予算委員会 第6号
- 発言数
- 225 件
- 登壇者
- 30 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1996/04/15
会議録
○委員長(井上裕君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 平成八年度総予算三案の審査のため、本日の委員会に日本銀行総裁松下康雄君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(井上裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(井上裕君) 平成八年度一般会計予算、平成八年度特別会計予算、平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 前回に引き続き、総括質疑を行います。 大河原太一郎君の残余の質疑を行います。大河原君。
○大河原太一郎君 前回に引き続いて総括質疑を行います。 さて、いよいよ明日、クリントン大統領が来日され、日米首脳会談が行われるわけでございます。冷戦終局後の日米安保体制を再認識して、日米安保に関する共同宣言を発出し、我が国外交の基軸でございます日米関係の基盤をなす安保体制に新しい魂を吹き込むということになるかと思うわけでございます。そのほか、経済問題等も取り上げるというふうに伝えられておりますが、この首脳会談に臨む総理の基本的な姿勢をお聞かせください。
○国務大臣(橋本龍太郎君) クリントン大統領の訪日に向けまして、現在もなおその準備を続行いたしているさなかでございます。基本的に私どもは、日米両国におきまして、政治、経済、安保そしてグローバルな協力体制、各分野について両国間の協力体制というものを一層発展させていく、そうした役割を今回の首脳会談には持たせたい、そのような思いを持ちまして、こうした議論を総括しながら、その中で新しい時代における、すなわち東西冷戦終結後の現在にふさわしい日米関係というものを積極的に意義づけていきたいと考えております。 特に、日米関係のいわば基礎をつくっております日米安保体制というものにつきましては、これまでの日米の緊密な協力関係の成果を踏まえて新しいページをめくることができればと、そのような思いを持っております。 そして、その前段階において、日米両国政府は協力をいたしながら、沖縄県における基地の整理、統合、縮小というものの中で、沖縄県民に見ていただけるような成果をここでまとめ上げていくことによって首脳会談が次の時代に向けての話に入っていけるように、そんな思いで努力を積み重ねてまいりました。 本日、本委員会のお昼の休憩の時間を利しSACOの会合が持たれるわけでありまして、そこにおきまして、非常に沖縄県から要望の強かった普天間基地の、幾つかの前提をクリアいたしました後のことになりますけれども、五年ないし七年後の全面返還というものを含めました全体のパッケージを確認いたすことになろうかと思います。そうしたものを受けまして、我々は日米関係を総括すべき文書、また共同宣言等の準備に入るわけでありますが、このSACOの最終の段階における、いわゆる2プラス2における外務大臣、防衛庁長官に最後の御努力を今お願いしつつあります。 経済関係は、確かに問題がないわけではありません。しかし、これはサンタモニカでクリントンさんとお目にかかりましたときにも、経済問題で日米間を傷つけるようなことはお互いに避けようということで、それぞれの分野において精力的な話し合いを引き続いて行っているところであります。個別問題についてはそれぞれ国際ルールに従いながら引き続き解決に努力をしていくことになりますが、コモン・アジェンダの推進など日米が協力していく、そうした面に重点を置いて日米経済関係というものをも含めまして前進の場といたしたい、そのような考え方を持っております。
○大河原太一郎君 さて、総理は今国会の施政方針演説におきまして、我が国外交の目指すところは自立的外交だということをおっしゃったわけでございます。具体的には、日米安保を基盤とする日米関係を軸としてアジア太平洋諸国に心の通った外交をする、あるいは国連改革、さらには紛争処理、さらには軍縮あるいは核廃絶等々の問題にイニシアチブを持って取り組むと言われておるわけでございますが、今日改めて自立的外交とおっしゃる真意は那辺にあるかという点についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 自立的外交という言葉に込めました意味は、日本が国際社会に受け入れられる理念をみずからの考え方として打ち出しながらその考え方に基づいてみずからのイニシアチブで行動していく、そして新しい国際秩序をつくり上げていく上で積極的、創造的な役割を果たしていくということに尽きようかと思います。 そして、既にそうした思いで我が国はでき得る限りさまざまな場面で行動してまいりました。先般のアジア欧州首脳会合の場におきましても、これが初めてのアジア、欧州の首脳の対話ということでありましたが、その中において、協力関係を安定させること、将来につなぐこと、そしてアジアの一員としてこの中で日本が行動していくことを土台に置きながら、その役割はおおむね果たせたと思っております。 今後も、そうした場面場面に、我々の行動というものをみずからの足で立つという基本姿勢に置きながら将来に向けての努力をしてまいりたい、そのように考えております。
○大河原太一郎君 日米関係を外交の基軸とする、これがまさに一番の大事な問題だと思うわけでございます。自立的外交というと日米間に距離を置くんじゃないかというようなこともひところ言われたわけでございますが、冷戦終結後の世界の情勢からアメリカの軍事、政治、経済のプレゼンスは大変大きいわけでございまして、それによき同盟者として我が国が積極的にイニシアチブを持って対応するということはぜひ必要だと思います。 そういう日米関係から見まして、具体的にいろいろ議論がされております、軍事大国化などと一方に言われている中国への対応、あるいは朝鮮半島問題への対応等について、総理はどう考えておるかお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) まず、基本的に、中国という非常に巨大な隣人を私たちが見るとき、この国が内向きになり、国内に閉じこもり、かつて外との交流を絶っていたような状態に再び中国を向かわせてはならない。むしろ、中国の今志向しております改革・開放路線というものを今後ともに定着させ、これを進行させていくための協力を我々は惜しまない。そして、中国がその中で国際ルールにのっとって行動してくれるように慫慂していくのが我々の大きな役割であると思います。 そして、その間には、個別的な問題を取り上げ出しますといろいろな問題があるいはあるかもしれません。しかし、大きな流れとして、中国の改革・開放路線というものを継承し発展させていく方向に我々は努力をしていくべきだと考えております。 また、朝鮮半島において、現在私どもが非常に神経を張り詰めてその状況をウォッチしているような情勢が生まれていることは極めて不幸なことであります。しかし、今日までも朝鮮半島情勢の安定というものにつきましては、我が国は韓国そしてアメリカと緊密な連携をとりながらこの地域の安定に力を尽くしてまいりました。今後ともにその基本的な姿勢を変えることはありません。 その上で、やはり何といいましても朝鮮半島に相対峙する状況になっております双方の当事者が話し合いができる状況をつくり出す、南北対話というものが実現する方向へ向けての我々のできる一ことがあるならば、ぜひともそうした方向に向けての努力を払ってまいりたい。そして、話し合いの中で平和が真によみがえることを願えるような状態をつくるための努力をする、我々の基本的な方向はそうしたものであるべきだと思っております。
○大河原太一郎君 去る三月の台湾総統選挙を挟んでの中国の台湾海峡における軍事演習、これにつきまして我々は米機動部隊の台湾周辺への出動もあって非常に不測の事態をも懸念したところでございます。さらには、極東有事の際における日米の協力関係、これについて改めて前進が必要であるというふうに感じたところでございます。 従来のガイドラインについては、有事の際の部分が空白になっております。港湾なりあるいは民間空港の提供の問題とか、あるいは艦船、飛行機の修理の問題とか、もろもろの協力問題について検討を進める必要があると思うわけでございます。いわゆるグレーゾーンと言われる部分について積極的な検討を今日進めるべき段階に来ていると思うわけでございますが、総理の御見解を承りたいわけでございます。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私たちは、基本的に、台湾海峡をめぐる双方の当事者が冷静な話し合いの中で平和をつくり上げてくることを願っておりますし、今日もその考え方に変わりはございません。 その上で、先般の中国によるたび重なる演習、殊に特定の海面を設定してのミサイルの発射訓練といったものが我々に非常な心配を与えたことは議員が御指摘のとおりであります。殊に、我が国の領土であります与那国島の漁民の方々の操業する場所にほど近い場所でその海域が設定されたといったこともありまして、我々としては極めてこれに不安を感じながら中国側にその自重を要請してまいりました。 ただ、ここで非常に私として心配をいたしましたのは、外交ルートによって中国に自制を促しました国は、私の報告を受けております限りにおきましては、我が国を含めまして、軍事的なプレゼンスの非常に目立ちましたアメリカ、そしてオーストラリアとカナダ、その四カ国にとどまったと聞いております。これはある意味では大変怖い話でありまして、台湾海峡における緊張というものがほとんど国際社会の中で中国への自制を促す方向に働かなかったということは、私どもは記憶にとどめておかなければなりません。 そして、有事という言葉を使うことが適切かどうかわかりませんが、どこかの地域で例えば在留邦人を緊急に避難させなければならないといった場面、あるいは観光客を急遽運び出さなければならないといった局面のみを想定いたしましても、現在政府に準備が十分に整っているとは申せない状況にございます。 そうしたことを考えますと、さまざまな非常に緊迫した情勢の中で、我が国がとり得る手法というものをきちんと整備し検討していく必要、さらにはその行動について法的な側面がどのようにその方向というものを規制する、あるいは慫慂する、さまざまなケースがありましょうが、そうした問題を真剣に考えておかなければならない時代に入っているという気持ちは、私自身が極めて強く持つ状態でありました。
○大河原太一郎君 次に、沖縄の米軍基地の整理、統合、縮小問題についてお伺いいたします。 沖縄においては、米軍施設全体の七五%、しかも県土の一〇%がそのもとにあるということでございまして、それに伴う非常な沖縄県民の負担あるいは苦しみというようなことから、本格的な整理、統合、縮小の問題が提案されておるわけでございますし、また他方では、この問題は我が国の安全保障政策の基盤である日米安保体制の堅持という面からも考えなければならない大変難しい問題でございます。 昨年以来、米軍、米側は相当積極的な姿勢で我々との間で基地についての特別行動委員会、SACOが開始されたわけでございます。特に、一番米軍の作戦行動の基幹であって、なかなか返還は困難だと言われる普天間航空基地については、今回、総理の言葉をかりれば、死に物狂いになって折衝を御自身が行ったというわけでございまして、その成果はまことに大きなものであって、敬意を表するところでございます。 このSACOについては、それぞれの積み上げが行われ、先ほども総理が申したように、中間報告として本日の2プラス2で明らかになるということでございますけれども、その成果が過去の二十五年間における整理、統合の実績を上回るものであるというように我々としては期待しておるところでございます。この点については、外務大臣、その期待が達せられるかどうかについてお話をお願いいたします。
○国務大臣(池田行彦君) 沖縄における施設・区域の整理、統合、縮小につきましては、委員御指摘のとおり、これをきちんとやり、県民の皆様方の御負担を少しでも多く軽減していくということが日米安保体制をきちんと守っていくためにも不可欠のことでございます。そういったことで、昨年来、日米共同作業で懸命な努力をしてまいりました。 そして、これまた御指摘のように、沖縄県民の皆様方の一番御要望の深かった普天間基地につきましては、総理御自身のリーダーシップ、そして大変粘り強いお取り組み、さらにそれにこたえての米国大統領あるいはペリー国防長官の政治判断ということもございまして実現することになったわけでございます。そのほかの基地につきましても鋭意やってまいりまして、きょう昼にまとめることにしておりますが、これも内容は実質的に十分意味のあるものだと思っております。 これまで本土復帰以来二十四年間にわたっての整理、統合、縮小、そして返還してまいりましたその総体を上回るものになる、このように考えておる次第でございます。さらに申しますと、これまで返還時にございました基地の大体一五%程度が返還されておるわけでございますけれども、パーセンテージでもそれを相当上回る、こういうことになろうと思います。 ただ、これはまだいわば設計図のデッサンができた段階でございまして、その詳細はさらに十一月に向かって詰めていく、そうしてその後に整理、統合、縮小に伴ういろんな問題を、跡地の問題等も含めましてやらなくちゃいけないわけでございます。これからも政府は一体となり、また沖縄県を初め地方公共団体の御協力もちょうだいしながら懸命に取り組んでまいりたい、こう思っております。
○大河原太一郎君 沖縄の基地の整理、統合、縮小の問題は当然基地の機能の移転を伴うわけでございます。したがって、この問題は本土を含めて国全体として受けとめる問題であると思うわけでございます。いわば、投げたボールがこちらに戻ってくるというような関係かと思うわけでございますけれども、この点について、非常に重要な問題でございますが、総理のお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) モンデール大使と御一緒に共同会見をいたしましたときにも、記者団の皆さんからもそれに類した御質問がございました。そして、日米安保体制というものを全く否定するならばこれは別でありますけれども、私は、日米安全保障条約、そしてそれに基づく体制というものは、我が国のみならずアジア太平洋地域の安定の上にも必要なものだと本当に考えております。 そういたしました場合に、私自身が大田知事にお目にかかりました二回の議論の中で、全く我々が知らなかった過去のさまざまな問題というものを改めて知ることになりました。そして、この条約を堅持していく前提の中でも、できるだけ基地の整理、統合、縮小というものはこれからも努力をしていかなければならないことだと思います。 しかし、当面、普天間の返還というものに向けて県の御要請はある意味では絞り込んだ形でございましたが、一方で普天間の果たしている役割というものを除外して日米安保体制というものが堅持できるかといえば、私はそうはならないと思います。そうした中で、他の基地への移設ということをも含めながら政治的な決断を迫られる部分に到達しましたとき、これは私自身の責任で判断をし、ただ単に沖縄の中だけではなく日本国全体の中で努力を払っていくことで何とか沖縄県の声にこたえたい、私はそう願いました。 記者会見以降、さまざまな方々から自分のところに基地が来るのは反対だという御意見が私のところにも届いております。大変残念であります。そして、我々は、沖縄県だけではなく全国各地にある基地所在地の住民の皆さんには、国全体としての選択の中から大変大きな負担をしていただいておりますことを決して忘れるものではございません。しかし、その上ででき得る限りの御協力を得たい、そしてこの国の安全のためにも、またアジア太平洋全体の平和と安定を確保していく上でも日本がその役割を持っていきたい、今私はそのような思いでこの決断をいたした次第であります。
○大河原太一郎君 次に、行政改革について若干の質問をさせていただきます。 先日は財政改革についてお尋ねしたところでございますが、今日、言うなれば世界が大競争時代に入っている。したがって、肥大化、硬直化した中央行政組織に対して地方分権の推進によってこたえる、さらにはがんじがらめの規制、我が国は規制大国と言われておるわけでございますが、この規制を緩和して二十一世紀にふさわしい強靱な経済構造をつくり上げるという点の規制緩和問題もまた重要でございます。 これについては、それぞれの関係委員会その他からの意見も出たり、あるいは中間報告等も出ておりますけれども、行政改革の現段階についての包括的な認識、現在の認識について総理の御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 各分野がございまして、それぞれの進捗状況の御報告からあるいはすべきなのかもしれません。しかし、委員が今御指摘になりましたように、我々はほかの要因を全く抜きにいたしまして、人口構造の高齢化、そして子供の少なくなるというその変化からだけでも行政の改革を進めなければならない状態にあります。加えて、国際的な大きな流れの中で、我が国自身が産業構造を思い切って転換しなければ二十一世紀に向けての経済の見通しが立たないという時代になれば、一層こうした要請は強くなります。 そして、我々は、高コスト構造を初めとする構造的な問題というものが、新産業の展開のおくれ、あるいは産業の空洞化に対する懸念というものを生んでいることも否定できません。そして、中長期の目標として今までにもさまざまな分野での努力が進められてまいりました。 そして、私自身、総理という立場になりましたとき改めて考えさせられましたのは、関係する審議会が複数に上る、そして審議会の任期が一定していない、同時にそれぞれの審議会の相互の間の情報交換が必ずしも円滑に行われていない、そのために往々にして二律背反の結果を生むケースもありましょうし、あるいは進行の速度の違いが全体としての計画の進展にブレーキをかけるといった面もうかがえる、そんな状況に気づきました。特に規制緩和と地方分権というものは、地方自治体の条例制定権との関係で非常に微妙な問題を既に生じつつあります。 そこで、行政改革委員会、地方分権推進委員会、そして既に任務は終了したことになっておりますが国会等移転調査会、さらに経済審議会といった主要な審議会の会長さん方にお集まりをいただきまして、相互の情報の交換と進度の調整、重複する部分あるいは相反する部分が生じました場合の調整といったことをお願いしながら、全体のバランスをとって進められる状況をつくり出すことに努力をしてまいりました。そしてその中で、会長さんたち同士よりもある意味では事務局がそれぞればらばらにございます、その事務局同士の連携がより必要だということに気づきまして、今そうした対応を急いでまいりました。 私は、将来、日本のどこにその適地を求めることになるかは別といたしまして、首都機能というものをこれから東京都民の暮らしを守るという視点からも進めていかなければならない時期が必ず来るだろうと思います。その時点に、中央省庁が今と同じ形で新たな首都に移っていったのではこれは全く意味がありません。当然ながら、首都機能が移転するとき中央省庁の再編は終わっていなければならないはずでありますし、それ以前の段階で国と地方との関係というものが整序され、地方分権というものが言葉の上から現実のものになっていなければならない。そうした進度調整を行政改革は絶対に行うという決意のもとに進めていく努力を求められておると考えており、そうした方向に向けての努力を今いたしております。
○大河原太一郎君 ただいまの総理のお話を承りますと、それぞれの行政改革を担った各委員会の横の連携なりあるいは進度等々いろいろ問題があるようでございます。ある段階では第三次臨調のごときものをつくりまして、そこで総括的なまとめ上げをする必要があるのではないかというふうに思いますが、総理、いかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、まさに第三次臨調という考え方を一時期自分の考え方としても世の中に出しておりました。そういう考え方を持ちました理由は、第二次臨時行政調査会の作業というものを党側から見ておりましたときに、一つの審議会が全体をカバーしながら個別の問題に分科会をつくりました段階から、同じような進度調整とかそれぞれの分科会の意見のすり合わせというものが相当必要になったことを記憶していたからであります。 しかし、第二次臨調のときには少なくとも事務局は一つでありました。それだけにその進度調整は比較的容易だったわけでありますが、今既に国会で設立をお認めいただき、法律によって事務局を持ち、あるいは事務を引き受ける部局が特定をされ、任期を持って動いている審議会が現実に複数存在をいたします。そうしますと、私は今の時点でその上に第三次臨調をつくるということは直ちに考えれば屋上屋を重ねるということになりかねない、それよりも、それぞれの審議会の今日までの作業の成果というものを生かしながら、これから先、連係プレーで進んでいただくことはできないだろうか、そのようなことから今御説明を申し上げたような考え方をとってまいりました。 しかし、それで効果が十分上がらないということになりますと、そうした御指摘のような方向もまた模索しなければならないかもしれません。しかし、私はやっぱり国会承認をいただいた人事で法律をもってつくられております審議会、それぞれ固有のお仕事を一生懸命やっていただいているわけでありますから、それを認めた上で横の連携をきちんととっていけば、ある程度までその食い違いというものは是正できるのではなかろうか、今そのような思いでおります。
○大河原太一郎君 次に、規制緩和の問題について御質問を申し上げます。 政府は、去る三月末に、規制緩和の改定計画と申しますか、五百六十九項目をつけ加え全体で千八百に近い規制緩和項目を打ち出されたわけでございます。これにつきましては、一部ではこれは一歩前進だけれども二歩足踏みをしておるというような意見も出されておるわけでございます。もちろん、よくよくこのたびの規制緩和の中身を見ますと、建築基準法についての大きなる前進、電気通信等の自由化とかあるいは外為取引についての自由化とか相当実質的な進展が見られておるわけでございますけれども、やはり持ち株会社の完全自由化とかNTTの分離・分割とか、それらの問題が先送りされておるためにそのような意見が出ておると思うわけでございます。 規制緩和は大変大事な段階になっております。総理は、経済的規制は原則自由、あるいは社会的規制についてはその目的に照らして最小限にいたすというような方針で臨んでおられるようでございます。今後の規制緩和に取り組む総理の姿勢をお伺いするとともに、一部ではこの規制緩和推進計画を一年前倒しする意向が総理にあるというような報道も承っておるわけでございますが、これについての御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) まず第一に、現在進行いたしております規制緩和推進計画を一年前倒すという考え方は今私は持っておりません。なぜなら、相当程度規制緩和の進んでまいりました今日、残っております問題は、ただ単なる規制の是非という観点からだけではなく、相当さまざまな角度から議論していくべき問題を含んだ問題が中心だからであります。 そして、例えば委員が今お触れになりましたNTTの問題一つをとりましても、電電公社がNTTに変わりました当時の情勢と、今日の高度情報通信社会というものが一部実現をし始めている状況の中で、我が国の情報通信分野というものが世界の流れの中でどう先導的な役割をとっていくのかということを考えますときには、十年前とは全く違った視点からの議論が私は必要になると思います。 NTTをつくります時点でも、例えば研究開発機能を低下させないためにどうすればいいかというのは最後まで非常に大きな問題点でありました。そして、NTTという存在になりましてからもその研究開発機能を低下させないということは、国際的な情報通信分野における競争の中でやはり我が国として非常に大切な一つの視点であろうと存じます。 あるいは、大店法のさらなる緩和あるいは廃止という問題もよく議論に出てまいります。大店法自身が随分緩和をされてまいりました。そして、その結果、小さなお店屋さんの中に転廃業に追い込まれておるケースが大規模店の出店の結果生じておる実例も議員は御承知のことであります。そうしますと、消費者の利便という中で、今後、より大店法の緩和あるいは廃止を加速し零細な商店を閉めていくような状況に持っていくことが果たして国策として望ましいのか、あるいはそうしたお店屋さんが競争でき得る条件を残していくことに重点を置くべきなのか。これは雇用という面からも、実はただ単に規制緩和という言葉だけから定義をすることのできる問題ではないと私は思っております。 それだけに、今二つの例を挙げさせていただきましたが、規制緩和という言葉のみではない部分、我が国の雇用政策あるいは高度情報通信社会における我が国の国際競争力といった視点からの議論を必要とするものが今残りつつある。そうした考慮を必要としないものは私はあくまでもどんどん規制は緩和あるいは撤廃の方向に向けていくべきだと考えておりますけれども、そうした認識は必要であろうと考えております。
○大河原太一郎君 規制緩和について雇用の問題等に触れられましたが、私は規制緩和の光と影というか影の部分でございますね、雇用のミスマッチの問題、この点についてはもっともっと深刻に取り上げなければならない問題であるというふうに思うわけでございます。規制緩和となって新産業が出現するが、逆に既存産業が淘汰されるというような問題でございまして、その間における雇用のミスマッチの問題、これは重大な関心を払わなければならないと思うわけでございます。 かつて前川レポートを取りまとめた前川座長が、規制緩和に伴う構造調整に伴って大量の失業者が発生する、非常な苦しみを伴うんだということを言われたことを記憶しておるところでございます。そういう意味では、労働政策における職業安定なり能力の開発等々の一段の努力が必要であると思うわけでございます。 なお、規制緩和の問題との関係でも、例えば民間の職業紹介事業とかあるいは人材派遣事業、これらの規制緩和等について労働省は大変慎重のようでございますけれども、これらもやはり規制緩和に伴う対応という点で大事でございます。 労働大臣、これについてひとつお答え願いたいと思います。
○国務大臣(永井孝信君) 先生御指摘の問題について簡潔にお答え申し上げたいと思います。 先般、フランスのリール市におきまして雇用サミットがございました。その席上でも、G7に参加する国々が経済発展と失業なき社会を創造するために何が必要かということを真剣に実は討議されたわけであります。その中で、産業構造の改革と規制緩和の推進ということも重要な課題であるという認識が統一されました。 そういうことも受けながらでありますが、労働省といたしましても、総理の強い御指導もいただきながら、先生が今御指摘になりました有料職業紹介事業の関係とかあるいは人材派遣事業の関係とか、こういう問題についてはできる限りこれを早期に規制緩和を実現させていこうということで今努力をしているところであります。 その中身について若干申し上げますと、有料職業紹介事業につきましては、まずは取扱職業の大幅拡大ということが一つございますし、労働者の保護に配慮しながら、民営化することについて不適切な職業以外は扱えることとするということを原則にいたしまして、平成八年じゅうに検討して、その検討結果を踏まえて年度内に実施を図っていくということにしているわけであります。 あるいは、派遣事業の関係につきましては、これまた昨年末の行政改革委員会の意見におきまして、早期に実現することが望まれる、このように中央職業安定審議会におきましても建議がされておるわけでありますから、それを踏まえまして、育児休業等の代替要員に係る特例等を内容とする労働者派遣法等の一部改正法案をもう既にこの国会に提出いたしまして御審議をお願いしているところであります。この法律が成立後、施行に合わせまして具体的に対象業務の拡大を図っていく予定にいたしているわけであります。 なお、昨年末の行政改革委員会におきまして、対象業務の大幅拡大であるとか不適切な業務以外は対象業務とするとともに、派遣労働者の保護のための措置を講ずる等の意見を尊重して、有料職業紹介事業のあり方の検討に引き続きまして、この派遣事業の関係につきましては平成八年度中に検討開始をするということで、当初の予定をかなり前倒しで早めまして検討することにいたしているわけであります。先生の御指摘を受けまして、私どもそのことはきちっと受けとめて対応してまいる所存でございます。
○大河原太一郎君 それから、これは一つ大きな問題なのでございますけれども、規制緩和に伴って企業間の激烈な競争が進む、優勝劣敗が起こる、勤労者等の所得なり富についての分配に非常に不公平が起こるという指摘があるわけで、現にアメリカ等においてもこの点が、規制緩和によって経済の活性化は行われたけれども、やはり所得なり富の分配の不公平が生じておって社会的不安の可能性を持っておるというようなことも言われておるわけでございます。もちろん、これについては市場原理のもとにおいて悪平等は許されないわけでございますが、この点についてもしお答えがあったら総理から聞かせていただきます。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変幅の広い難しいテーマでありますけれども、完全なお答えには残念ながらなりませんが、私はアメリカが不況から脱出してくるプロセスを見ておりまして、二つの現象が非常に気になっております。 一つは、アメリカ経済全体が回復した中でアメリカの労働者の給与水準は必ずしもそれにつれて戻らなかった。同時に、失業率が低下していくプロセスの中で人材派遣というものが占めた役割というものは予想より大きかったのではなかろうかという二つの現象であります。あるいは、その人材派遣というものにより雇用を確保した部分、これが賃金上昇にブレーキをかけたのかもしれないという感じもいたします。 いずれにいたしましても、産業構造が変化し、それに伴って経済の実体もまた雇用の情勢も変化をしてまいりますと、今まで我々が予測しなかった変化、数値に置きかえれば変数とでも申しましょうか、というものが働いてくる可能性を我々は否定できません。今、議員が御討議をいただきました問題の中にあるいはそうしたものへの解決のかぎもあるのか、そのような思いで拝聴しておりました。
○大河原太一郎君 次に、地方分権問題について若干触れてみたいと思います。 御案内のとおり、先般地方分権推進委員会から中間報告がなされたところでございます。中央集権か地方分権かというような観念的な議論の時代は過ぎまして、いわば行政のナショナルミニマムが確立されてきておる、そして豊かな多様な国民のニーズは住民に密着した地方公共団体のサービスによってできるだけこたえていくような時代になっておる、いわば地方分権の現実的な基礎が成熟しつつあるというふうに理解すべきだと思うわけでございます。 そういう意味では、中央の縄張り根性その他からこの分権問題が扱われてはならないわけでございます。しばしば公平性とか統一性とかいう議論が出ていることも承知しておりますが、やはりその点については、それにこだわり過ぎて縄張り根性になるという点はいかがなものかというふうに思うわけでございます。 先般の中間報告は、中央と地方は上下主従の関係ではなくて、平等対等の関係、協調の関係に置くことが必要だということを言っております。中間報告自体は、機関委任事務の全廃というような相当ドラスチックな提案もなされておりますけれども、税財源の配分の問題とかあるいは分権後の受け皿としての地方公共団体がいかにあるのかというような問題について必ずしも触れておりません。地方分権全体の姿が明らかでないわけでございます。 そういう点で今後の検討が必要であると思うわけでございまして、私が特に指摘しておきたいのはやっぱり受け皿の問題、これが必要であるというふうに思います。これは単に中央集権維持論者からの議論ではなくて、本当に地方分権がその実を上げるためにどうしても必要ではないかと思うわけでございます。 現に私どもは、分権の一番最後は住民に直結した町村、これの体制が必要だと思いますが、多くの町村長等に聞きますと、今日の町村等はまだまだ分権を受けとめるような体制やあるいは能力を持っておらぬということを言う人たちが大変多いわけでございまして、受け皿としての地方団体、特に市町村の問題が大事だと思うわけでございます。そうでないと、国から都道府県へ権限を渡すと、今日でも若干都道府県の行政の肥大化ということも一面言われておるわけでございまして、本来の地方分権の趣旨という点が完結されないのではないかというふうに思うわけでございます。 そういう意味で、自治大臣にお伺いするんですが、なかなか難しい問題なんでございますけれども、分権にたえ得る地方団体の適正規模というもの、これを御検討なさったことがございますか。あるいは、この十数年間全く停滞しておる町村合併について、さらには地方分権の視点からその合併の推進を行うお考えがあるかどうか、この二点について自治大臣にお伺いするところでございます。
○国務大臣(倉田寛之君) 大河原委員御案内かと存じますが、地方制度調査会の答申によりますと、市町村の現状につきまして、「これまで、わが国の市町村は、住民に身近な基礎的な地方公共団体として、住民に密着したサービスの提供や地域の特色を生かしたまちづくりなどについて重要な役割を果たしてきた。」、こう冒頭で評価をいたしながら、「いわゆる「昭和の大合併」の後、人口の都市集中と急激な過疎の進行が見られた結果、各市町村の人口規模等の間には、再び大きな格差が生じており、これに伴って、様々な問題も生じている。」と、こういう認識を示しているところでございます。 具体的には、大都市圏におきまする人口の都市集中によりまして、面積の狭い市の出現と、これに伴います広域的な調整が大変不十分になっている。また、地方圏におきましては、人口の自然減市町村というのが増加をしておりまして、高齢化社会を迎えまして、規模の小さい市町村におきましては社会福祉等の住民の皆様に対する身近なサービスの提供に必要な人材が確保できないなど、問題点も指摘をされているところでございます。 こういった認識に基づきまして、自治省といたしましては、市町村の合併は市町村の行財政基盤の強化等を図ってまいります上で有効適切な方策であるというふうに考えております。 昨年、住民発議制度の創設、合併市町村の町づくりを支援するための財政措置の強化を初めといたしまして、相当の行財政措置の拡充は図られました。改正をされた合併特例法を有効活用いたしまして、都道府県等とも連携を図りながら、自主的な市町村の合併を推進してまいりたいと考えておりまして、地方分権の推進に当たりましてかような対応をさせていただきたいというふうに存じているところでございます。
○大河原太一郎君 次に、国連海洋法問題について質問をさせていただきたいと思います。 国連海洋法問題につきましては、御案内のとおり、条約の承認案件として、また関係法令が既に国会に提案されておるところでございます。 国連海洋法は、海洋の新しい秩序を規定する海の憲法だと言われておるわけでございまして、海洋国日本にとっても重要な意義を持つものでございます。この海洋法の締結ということに伴って、一つ実は領土問題が登場するわけでございます。竹島と尖閣列島の問題でございます。 竹島につきましては、御案内のとおり、我が国固有の領土であるということの古い、長い主張にもかかわらず、韓国警備隊はいまだ竹島を占拠し、さらに最近では船舶接岸可能な防波堤の建設を始めておるというような報道もなされておるところでございます。しかも、御案内のとおりでございまして、我が国の海洋法に基づく二百海里といいますか、経済的排他水域の設定と関連して過剰というような厳しい反応を示したわけでございます。 これにつきましては、先般のアジア欧州首脳会議において橋本総理と金大統領との会談の結果、領土問題を棚上げする、とりあえず棚上げして新漁業協定の締結を進めるという合意に達したところでございまして、現実的な結論であったと思うわけでございます。 他方、尖閣列島の問題については、近時、中国側が東シナ海等に対して多数の海洋調査船を派遣して、日中の中間ラインを越えた資源探査を行っておる。我が国の抗議にもかかわらず、資源探査を行っておる。いわば尖閣列島に対する領有権主張を強化しようとするような節も見られるわけでございまして、我が国もこれに対しては厳しい眼を持って対応していかなければならないと思うわけでございます。 領土問題というのは、北方四島返還問題でも明らかなように、大変困難な息の長い対応が必要であることは言うまでもないところでございますけれども、やはり領土問題というのは主権国家として最も重要な問題でございます。したがって、我が国の明確なる主張はあらゆる機会をとらえてこれを行い、後代に悔いを残さぬような姿勢が必要であると思うわけでございますが、総理、これについてはどうお考えか、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員からもお触れになりましたように、我が国には領土問題が現に存在をいたしております。一つはロシアとの間に旧ソ連から引き継がれている北方領土の問題であり、もう一つは韓国との間における竹島の問題であります。なお、尖閣列島につきましては、我々は領有権が日本に存在をし、領土問題は存在しないという姿勢をとり続けております。 その上で、議員が御指摘になりましたように、例えばその問題は確かに漁業協定あるいはその他の議論のときに避けて通れない議論でございます。そして、私どもはでき得る限り、領土問題と例えば経済水域について、あるいは漁業協定について、これが一つのものとならないように、切り離しながら交渉を粘り強く続けていくという姿勢で今日までも現実的な問題の処理を進めてまいりました。現在、ロシアとの間にも漁業をめぐって話し合いが行われておるわけであります。 領土問題について、我々は固有の領土であるものに対する主張を変える意思はございません。その上で現実的な対応を模索してまいりたい、そのように考えております。
○大河原太一郎君 次に、海洋法に基づく排他的経済水域の設定の問題をお伺いしたいと思います。 御案内のとおり、一九七五年を境にして、各国ともむしろ海洋法の内容を先取りした経済的水域の設定を行い、我が国でも一九七七年でございますか、経済的水域の設定をいたしました。これは御案内のとおり、東経百三十五度以西の地域については、領土問題あるいは日韓、日中等の漁業協定等の関係からこの設定をいたしませんでした。また、水域内の規制等については、今申し上げました漁業協定との関係から韓国船及び中国船についてはこれを適用しないというふうなことになっておったわけでございます。 この結果、しばしば報道されたように、中国船、韓国船の我が国周辺水域における不法操業が頻発いたしまして、漁業資源も低下する、あるいは漁具の損傷があるというようなことでございまして、このたびの新海洋法に基づく経済的水域の設定については、漁業者は全面設定、全面適用ということを強く主張したところでございます。 政府はこの締結に当たりまして、一部区域を除くことなく全面設定をいたすという方針であるとともに、またその漁業協定との関係におきましては、合理的期間内で新海洋法の理念に基づく新協定を締結するように努力いたすということになっております。我々はその合理的期間は一年以内というふうに承知しておりますし、またその間における締結の見込みがない場合には、現行協定によるその条約の経過期間経過後はやはり全面適用を韓国及び中国に対して行うべきであるというふうに考えておるわけでございますが、外務大臣のお考えを承りたいところでございます。
○国務大臣(池田行彦君) 現在、国会へ提出し御審議をお願いしております海洋法条約、それの関連法案の中で、排他的経済水域及び大陸棚法案でございますが、そこでは一部水域の除外ということはしていない、こういうことでございます。 ただ、委員御指摘のように、韓国及び中国との間では現に漁業協定がございますから、それが存続される限りは、一部の水域とか一部の国とかあるいは行為を限定して例外的な行為ができるという、そういう規定も附則にあるところでございます。 なお、こういった新しい海洋法条約に基づく新しい協定というものを両国との間で話し合いを通じてつくらなくちゃいけないということで、中国とは既に予備的な接触をいたしましたし、韓国ともなるべく早くやりたいと思っております。そして、政府、我々としてはなるべく早く合理的期間内に円満な解決を得たいと思っておりますが、与党の方で今御指摘のございましたようなお考えがあることは私どもも十分承知しておりまして、それを十分体しまして交渉に当たってまいりたいと存じます。 ただ、その交渉がうまくいかなかったときにどうするかという点につきましては、今まさに交渉を始めようかという段階でございますので、私どもの立場としましてはなるべく早く円満に解決をしたいと思っておりますので、ひとつそういったことで御了解を賜りたいと存じます。
○大河原太一郎君 二百海里の排他的経済水域の設定と相並びまして、このたびの海洋法では沿岸国に対して生物資源の保存、管理の義務を課しておるわけでございます。漁業については総漁獲量を前提とした規制が行われるわけでございまして、漁獲量そのものについての規制という新しい局面を迎えたわけでございます。 魚種をどうするとか、あるいは各水域における配分の問題とか、あるいは漁業者に対する規制の問題とかという骨組みについては既に提案されている法律に明らかにされておりますが、やはり具体的な運用方針等々については漁業関係者は非常な不安と言うと大げさですけれども、なおその懸念も持っておるわけでございます。 さらには、この漁獲量規制という新しい方式が導入された場合には、海域によりましては減船の問題が生ずるというおそれがあるわけでございますが、これに対する十分な対応も必要であると思いますけれども、これについての農林水産大臣の御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(大原一三君) 長い間待望の海洋法条約が今国会でいよいよ日の目を見る、関係者各位に対して我々大変敬意を表しているところでございます。 今、委員御指摘のように、この二百海里の設定に関する漁民の期待は非常に大きいわけでございまして、いわゆる十二海里の外側は自由に漁獲できるという日韓、日中のこれまでの漁業協定のありよう、これと正面から取り組んでいかなきゃならぬ大きな折衝が残されているわけでございます。それと同時に、今御指摘のTAC制度、いわゆる二百海里内の総量規制というものが漁民の方々にマイナス効果になりはしないかという御不安のあることも我々は十分知っております。 しかし、我々農林水産省としては、今日までつくり育てる漁業ということに精力的に取り組んできたわけでございますし、適正な資源管理が長期的な漁業の経営の安定に寄与するという見地から、この問題には積極的に取り組んでいかなきゃならぬと思います。 また、最後に御指摘ございましたいわゆる西の方の海域でこの二百海里を引きますと締め出されてくる漁船がかなりあることも十分承知をしております。今までこの問題についてはいろいろの機会に取り組んできた経緯もございますし、これらの減船問題についても積極的に取り組んでまいる所存でございます。
○大河原太一郎君 二百海里の問題は我が国漁業にとって大きな節目でございます。 御案内のとおり、我が国の漁業は二百海里体制からかつての遠洋漁業は全く縮小され、周辺水域の資源量も低下したり、あるいは漁業経営もなかなか厳しい情勢であり、就業者の老齢化とか減少も続いております。こういう中における二百海里体制への突入でございますが、これを一つの節目として我が国の漁業振興に努めなければ相ならぬ、さように思うわけでございます。これについての農林水産大臣の、今後の我が国の水産のあり方、水産政策のあり方等についての御意見をちょうだいいたしたいと思います。
○国務大臣(大原一三君) もう委員御専門でありますから私から申し上げるまでもないのでありますが、漁獲の一千万トン時代というのは長く日本は続いてきたわけなんですね。それが世界的な二百海里ラインの設定に応じて、我が国は漁獲量が遠洋漁業等を中心に大変減ってまいりました。現在、八百万トンベースに減っていることは委員御存じのとおりでございます。日本の漁家の所得水準や経営実態を見ると、必ずしも明るい展望が開けていない面も我々は十分持っております。 しかしながら、これまでやってまいりました諸施策の中で、先ほども申し上げましたが、資源の管理とつくり育てる漁業、この方針を拡大再生産することによって何とか日本の漁業の拡大再生産ができないものか、こういう方向で積極的に努力をしてまいる所存でございます。
○大河原太一郎君 先ほどの外交、防衛等との関連で御質問を申し上げるべきであったわけでございますけれども、この通常国会の冒頭に小沢党首が、各国の主権から独立した国連警察軍の創設を提唱したらどうか、また自衛隊と別個の組織によって行うべきではないかという御提案がございました。 この問題につきましては、御案内のとおり今国連は過渡期にございます。かつて華々しい各地域におけるPKO活動も、ソマリアやあるいは旧ユーゴ等において限界を露呈したわけでございますし、またガリ事務総長自体がその平和予防のための軍隊創設を断念している。平和執行部隊と言われておりますが、断念しておるというところなわけでございます。国連とそれを支える各国とも、世界の平和と安全のためには国連がどういうふうに活動すべきであるということを模索している段階でございます。したがって、このような提案をいたしましてもなかなかに合意が得られないというふうに思っております。 そのほか、自衛隊と別個の組織と申しますとやはり金や時間の問題もございますし、また基本的には武装集団の海外への派遣というような根本問題もあるわけでございます。 この点についての総理のお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 国連が生まれましてから半世紀がたちました。しかし、国連憲章に言う国連軍というものはいまだ編成される機会がないままにいたずらに時間が過ぎてまいりました。 今PKOを例に挙げられて、国連の平和維持活動というものが一つ大きな問題を世間に投げかけております。そしてまた、そのPKO活動の限界というものもさまざまな形で議論をされております。その間、日本は随分長い間こうした活動に対しては極めて消極的な立場をとってきた国でありました。しかし、湾岸危機から湾岸戦争の経験の中で、我々はそれでは済まないということに気づき、湾岸戦争終結後、イラクの敷設いたしました機雷の除去作業に参加するという形でこうした行動に手を染めることになりました。カンボジアのPKO活動におきましては、殉職者を出しながら、それなりの評価を得ることができました。その後幾つもの事例を重ね、現在ゴラン高原におきまして日本の自衛隊の諸君が活動してくれております。 その間、私は、自衛隊の諸君は国連の旗のもとにおける行動というものについてのノウハウを非常にしっかりと受けとめて帰ってきてくれておると考えております。それだけに私は、将来ともに日本は他民族に対し、みずからを守るとき以外に他民族に向ける武器を持つ国家になってはならないと考えておりますけれども、その範囲内におきましても今よりも危険の高い行動に参加する場面はあり得るのかもしれません。しかしその場合にも、私は、そのための特別なグループを国連の旗のもとに他民族に武器を向ける可能性のある集団として組織することを望ましい方向だとは考えておりません。むしろ私自身としては、自衛隊の諸君が今日まで苦労しながら蓄積してこられたノウハウを今後活用し、継承し得る形でのPKO活動に努めてまいりたい、そのように思います。
○大河原太一郎君 最後になりましたけれども、前回の質問に際しても大蔵大臣に対して重ねて強調しておきました点について、さらにその御決意という点を伺いたいと思います。 それは住専問題における母体行責任でございます。あらゆる角度から責任が大きいということはもう繰り返しません。大臣自身も強い意欲を持っておられることは御答弁で拝聴いたしました。私もそう受け取っておるところでございます。もちろん法的強制は難しい、合意によるというわけでございますから、相当な困難も伴うと思うわけでございますが、ひとつ不退転の決意を持って追加負担の問題について取り組んでいただきたい、さように申し上げまして、私の質問を関連として笠原議員に譲りたいと思います。大蔵大臣、最後に。
○国務大臣(久保亘君) 今決意を求められました、そのような立場に立って全力を尽くしたいと思います。 先週、予算委員会が開かれておりますために私自身は出席できませんでしたけれども、信託の会合にも事務次官をして私のあいさつを伝えさせました。その中にも母体行責任に関して明確に私の考え方を伝えてございます。
○委員長(井上裕君) 関連質疑を許します。笠原潤一君。
○笠原潤一君 自民党の笠原潤一であります。先輩の大河原先生の後を受けまして、関連の質問をさせていただきたいと思います。 沖縄が返らなければ日本の戦後は終わらない、これは佐藤元総理大臣の有名な言葉であります。日本国民がひとしく大変に喜んだのは、一昨日のモンデール駐日大使と橋本総理大臣との会談において念願の普天間基地が返ってくる、これは国民ひとしく喜んだと思います。 一月早々、前総理大臣が伊勢の皇大神宮にお参りになって、その後、橋本総理が出現いたしました。 私は、昨年の九月二十日に、橋本総理に我が高山の遺族会が大変熱望しておる慰霊塔の碑文を書いてもらいたいと。総理は、あのアルプスを背にして、そして立派な碑文をお書きになりました。これは英霊であり、そして第二次世界大戦、大東亜戦争、そういうときに亡くなった英霊の心を心としながら、総理が本当の意味でそういう日本の国のために亡くなった人に対する追慕の念、それがしからしめたものだと私は思っています。 幸いにして、自民党総裁におなりになり、今回は総理大臣におなりになったわけです。いや、遺族会のことじゃありませんよ、これは日本国民のことですから。そういう意味で、総理は本当に真剣に真率に日本国民のことを思いながら、幾十万の沖縄のあの亡くなった皆さん方のことを思いながら今度の交渉に当たったと思うんです。そのためにこの普天間基地が返ってくることになりました。 しかし同時に、やはりお互いに思いは一つであります。沖縄の皆さんの苦衷を思われての総理のこの御決断、そして今回のクリントン大統領訪日を目の前にしてこの成果、二十一世紀にかけてのすばらしい私は成果だと思っています。そういう点で、総理、大変ありがたく思っています。しかし、後の問題もございますから、その点について総理の御所見とお考えをお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今激励をいただいて本当にありがとうございました。同時に、ぜひこの後について御協力を得たいと存じます。 この普天間基地の全面返還というものに、御承知のように機能を低下させないという大きな前提があります。私は、日米安保条約の中における当然のアメリカ側の要請として素直にこれを受けとめました。その上で、沖縄の県内にあります他の基地の中にヘリポートを移しかえていくという問題がまずございます。そして、そのヘリポートを移しかえてまいりますためには、当然のことながら環境アセスメントも必要でありましょうし、またその地域の関係住民の御協力も得なければなりません。 同時に、五年ないし七年というアローアンスをとりましたのは、そうした作業にどれだけの時間がかかるか確定できませんでしたのでその判断を決めたわけでありますけれども、普天間基地が全面返還をされるまでにはこの跡地の利用計画を国と県が一体になってまとめ上げなければなりません。そして、関係する地主の方々の同意をも得なければならないわけであります。これは国と県が一体になって進めていかなければ十分なものはできないと私は思います。 そして、古川官房副長官のもとにいわばタスクフォースのような形でチームを編成いたしますが、ここには沖縄県の代表者にも中央省庁のそれぞれのポストの諸君とともに一つのチームに入っていただいて作業をしていただきたいと大田知事にお願いをし、知事の御了承をいただきました。 こうした作業と並行し、一部の航空機を岩国基地に移すこともこの条件の中にございます。そのかわり岩国基地にあります現在の戦闘機のほぼ同数をアメリカ本土に移しかえるということもありますが、それだけで岩国の方々に私は納得していただけるとも思っておりません。それだけに、今後、岩国を初めとする国内の他の基地の所在する地域の皆さんの御協力をぜひ得ていかなければならない。そのための前提は何かということを、我々はこれからきちんと現地の御意見を伺った上で対応を決めていかなければならないわけであります。 こうした作業には各都道府県、自治体、また本院を初め国会の御協力もぜひとも賜らなければ、せっかく全面返還という意思を明らかにしてくれたアメリカの意思をもかなえることはできないわけでありまして、この上ともの御協力を心からお願いする次第であります。
○笠原潤一君 どうもありがとうございました。 続きまして、住専処理の問題についてお伺いしたいと思います。 住専処理を盛り込んだ平成八年度予算案は、衆議院の予算審議が二百時間を超え、予算総則に第十六条を追加することにより、十一日、ようやく衆議院で可決されました。この間、景気の回復を初め、薬害エイズやTBSオウムビデオ問題に加え、中台関係の緊張、また沖縄基地問題等、内外政の緊要な問題が山積する中、新進党が三月初めから衆議院予算委員会室をピケにより二十二日間も占拠し、五十日間に及ぶ暫定予算を余儀なくされたことはまことに残念であります。 参議院の我々は、国会の正常化、予算の一日も早い参議院への送付を強く要望してまいったのであります。参議院岐阜補欠選挙において我ら与党推薦候補が大勝いたし、国民が言論の府たる国会に望んでいることは、いたずらに党利党略に走って政局を混迷させることではなく、内外の重要課題について真剣に審議を深めることにあるということが明らかになったわけであります。参議院としては、衆議院の補完、抑制、均衡の機能を十分に発揮し、これから予算や法案について鋭意審議を深め、国民の政治不信を払拭してまいりたい、そう思っております。 それでは具体的に伺います。 住専問題は、景気本格回復、経済再建のために直ちに解決に着手し、時間との競争で徹底的な債権回収、責任追及を行っていかねばなりませんが、新進党の対案での法的処理では何年かかるかわからず、日本の金融、経済を長期にわたり大混乱のまま放置することになるわけであります。 すなわち、住専の貸付件数が二十四万件と膨大で、母体行百六十八、貸し手金融機関三百と利害関係者が余りにも多数かつ錯綜しておる中で、法的処理に任せたら結局は訴訟合戦を引き起こし、損失の負担割合を決めるだけでも数年以上を要することは、過去の多くの法的処理の事情を見ても明らかであります。(発言する者あり)よう聞きなさいよ。時間が長くかかるだけでなく、裁判費用が莫大になり、弁護士も数千人必要となる等、コストの面でも大きな問題が出てまいります。 新進党は、対案では五年しかかからず、政府案では十五年もかかると批判しておりますが、政府案により一括処理を行うメリットも含め、対案に比較していかに迅速的確に解決していけるか、大蔵大臣にわかりやすく御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(久保亘君) 今対案というお話がございましたけれども、衆議院予算委員会の審議におきましては政府案のみが審議をされました。そして採決に付されたのでございまして、対案は提出されなかったと考えております。ただ、この政府案に対する御意見をおまとめになりまして、このような考え方はどうだという方針や、この方針に基づく具体的な考え方というものをお示しいただきまして、十分な御審議を賜ったと考えております。 私どもも政府案を決定いたします段階で、特に昨年の春以来、長期にわたりまして、金融制度調査会におきましても、また与党の金融・証券プロジェクトチームにおきましても、政府はもとより、何回もこの問題に対して論議を重ね、そして十二月一日に示されました与党三党のガイドラインを一つの基礎に置きながら、この対策の具体的な取りまとめを行っていったのであります。十二月十九日、政府案として御審議を願っております案を閣議におきまして決定し、この前内閣の決定を橋本新内閣においてもそのまま継承することを検討の上決定をして、そしてこの国会に提出し御審議をいただいているところでございます。 その間におきましては、今御質問ございました法的処理の可能性等についても十分に論議を尽くしたものと考えております。もし法的処理によります場合には、私が再三申し上げておりますように、一般的には公平平等の原則に従って、その債権が不良となったものにつきましては、その基準に基づいて負担するのが一般的原則でございます。 したがいまして、現在、母体行、一般行、系統金融機関が住専七社に対して持っております債権をそのような立場で、損失の負担ということで放棄をさせます場合には、母体行が今放棄を合意いたしております三兆五千億の半分の一兆七千五百億となり、一般行は一兆九千億、そして系統金融機関が二兆七千五百億の負担となることを申し上げてまいりました。 また、そのことが第Ⅲ分類まで及んでということで御議論がしばしばございましたが、もしそのようなところまで損失を拡大して債権の放棄ということになりますれば、母体行で二兆九百億、一般行で二兆二千五百億、系統は三兆二千九百億の負担となることが計数上は明らかになっているのでございます。 そのような状況になりました場合に、一体どのような金融システム上の問題が起きてくるのかということも考え、また今預金者を本当の意味で保護し、そして内外の信用を保全しつつ金融システムの安定を図ってまいりますとともに、新たな時代における金融システムの確立のために今ぐらい早期にこの問題の解決が迫られているときはない。 今日まで長期にわたりまして問題がございました。長期にわたって深刻な問題をこの事態まで持ってまいりました責任は極めて大きいと思っております。その重い責任をどのように政策選択によって私どもが果たしていくかという立場に立って、国民の皆様方に将来にわたっての国益をどのように判断するかという立場での政策選択としてお願いを申し上げているのであります。 このことは、今日に至るまでの責任を軽んじたりするようなことではない。私どもはそのような立場から、責任の明確化とその追及、そして債務者に対する徹底した回収、そのことをこの問題を処理していく上の極めて重要な問題として申し上げているところでございます。 今御質問がございましたような点につきましても十分に論議を尽くしました上、今日我々が将来の国益を考えて果たすべき政策の選択、こういう立場からの国民の皆様方への大変厳しいお願いを申し上げているということを御理解賜りたいのでございます。
○笠原潤一君 実は、一月十四日から金融問題でアメリカへ行ってきたわけです。そのときに、アメリカのヘルファーFDICの総裁ともお会いいたしました。ルービン・ニューヨーク州監督局長とも会ったし、いろいろ話したんです。日本の金融処理のことはもう世界的に評判になっている、一刻も早くやらなきゃ日本の金融が本当にだめになってしまうと、これはもう世界じゅうだれしも言っていることなんですよ。 これは当たり前のことであって、だからそうかといって我々は税金を入れることが最上とは思っていないけれども、これはある程度はやむを得ないということでもあります。しかし、それについて国民が納得するような方法をとらなければ国民はやはり不信感がある、こう思うわけです。火事が起こって、その火を消すためにはどうしたらいいか。やっぱり消火活動しなきゃならぬ。 同時に、大臣が今おっしゃったように、責任追及は最もやらなきやなりません。貸し手責任もあるし、いろいろなことをやるのが当たり前であります。アメリカだってやったときには、ブッシュ大統領が、議会の皆さん、あなた方も覚悟してくださいと思い切ってやったんですよ。だからこそ、アメリカもああいうふうに処理できたわけです。 だから我々も、(「いいこと言う」と呼ぶ者あり)今そう言っているから、この参議院でしっかり我々はやろうと、こういうことであるんです。 ですから、大蔵大臣、ひとつそういう意味で所見をお伺いしたいんだけれども、会社更生法による処理が基軸となっていると言っている人もありますが、そもそも再建計画が二段にわたってとんざ、破綻した住専にどうして会社更生法の適用が可能なのか、非常に理解に苦しんでいるわけです。 会社更生法第一条、「目的」は、「窮境にあるが再建の見込のある株式会社について、債権者、株主その他の利害関係人の利害を調整しつつ、その事業の維持更生を図ることを目的とする。」とあります。第三十八条には、「更生の見込がないとき。」は「裁判所は、更生手続開始の申立を棄却しなければならない。」とされている。 したがって、今回の住専処理については、会社更生手続を開始することは大変難しいと思うのでありますが、大蔵大臣、いかがでありますか。
○国務大臣(久保亘君) 今御意見ございましたとおり、会社更生法三十八条は、再建の見込みのない更生の申し立てについてはこれを棄却しなければならないという取り決めがございます。また、実際にはこの会社更生法によりまして管財人が指定をされ、そしてそれぞれの責任の度合いにおいて債権の放棄等その負担を命ずることができるということも確かでありますが、一方、異議の存在する場合には、これは訴訟によって解決しなければならないということも、たしか百四十七条の定めだと思います。 そのようなことを考えてまいりますと、会社更生法によって今日この住専を整理することが可能であるかどうか、そしてそのことが早期に解決を迫られている不良債権の処理に役立つのかどうか、そういうことも検討の上、この道はとるべきでないという結論に達したものでございます。
○笠原潤一君 更生計画の「可決の要件」として第二百五条において、更生債権者の議決権の総額の三分の二以上の同意が必要となっており、農林系統金融が住専残高の十二兆九千億円のうち四三%近く占める中、債権者平等主義がベースとなる更生計画に農林系統金融が同意し更生計画がまとまる可能性はほとんどないという、実態を全く無視した非現実的な処理案と言わざるを得ないのではないかと思っています。また、更生計画の作成が困難となった場合、裁判所は第百九十一条で「清算を内容とする計画案の作成を許可することができる。」とされておりますが、これは破産法による処理とどのような違いを持つのか、あわせて法務大臣にお伺いをしたいと思います。
○政府委員(濱崎恭生君) 最初の、更生計画可決の条件としての債権者の集会の議決要件につきましては、更生債権者の組におきましては三分の二以上の同意が必要であるということは御指摘のとおりでございます。なお、更生担保権者の組、担保権を有する債権者の組におきましては四分の三以上または五分の四以上の同意を必要とするということにされておるところでございます。かなり厳しい要件になっているということでございます。 二問目の、会社更生法に基づく清算型の処理と破産法による処理の違いという御指摘でございますが、破産手続におきましては、債権者は債権額に応じて平等な配当を受けるものとされております。債権者は全く平等の取り扱いを受けるということでございますが、これに対しまして会社更生手続におきましては、債権者の弁済率等の条件につきまして、公平を害しない限度においてはその間に差を設けるということが、そういう余地が認められているところでございます。それが一番大きな違いでございます。 しかしながら、その会社更生の場合におきまして清算を内容とする更生計画につきましては、特に先ほど申しました更生担保権者の権利を確保するという観点から、担保権者のグループにつきましてはその全員の同意があることを要するということになっております。
○笠原潤一君 会社更生法の話は今よくわかりましたし、なかなか大変だということがわかったわけです。 それはそれとして、実は史上最低の超低金利のもとで金融機関の業務純益は都市銀行では昨年において史上最大の巨額に上っております。この大きな部分、三兆円程度は一年定期の〇・四%という低金利水準により生活者から所得移転されたものであります。この結果、高齢者、年金生活者が最も影響を受け、苦しんでおる状況にあります。 参議院自民党は、昨年来、超低金利下の年金生活者の預金所得の急減の問題を取り上げまして、年金生活者の預金利子を優遇するよう要請してきました。本年一月に入り、年金受給者を対象として一年物一%の上積みの新定期預金が広がっていますが、高齢者、低所得者の生活を考えるとまだまだ不十分であり、この点にもっと配慮した金融商品の開発を強く要請いたす次第であります。 あわせて、景気動向を踏まえつつ、超低金利政策の転換を機動的に行うことも主張いたしておきますが、大蔵大臣にこの点についてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(久保亘君) 超低金利政策と言われております今日の金利政策は、これは景気の回復を目指すことを主目的としたものであったと思っております。その役割を果たす中で、国民生活に寄与する面のあった一面、今お話しのように、年金生活者等を中心として特に深刻な生活上の影響を与えていることを私どもは深く注目しなければならないと考えております。 そのような意味で、今お話がございました一%の金利上積みを、年金受取口座等をお持ちの方々に対して金融機関において行うこと等をやってまいりました。これは百五十行のうち百二十八行において実施されております。なお、そのほか老齢福祉年金の受給者等に対しましては、福祉定期預金金利四・一五%をさらに平成九年二月二十八日まで続けることといたしております。そのほか、今後も社会政策の面でも、また金融商品の開発等についても工夫をしていかなければならない問題でありまして、御指摘のとおりであると考えております。
○笠原潤一君 銀行、金融機関は、仮に一円の金が出てまいらない場合、例えば銀行の支店では大みそかの晩まででも、また正月の朝まででも金額が合うまで全員居残って探し出すという神話を私たちは信じて、今日の日本の金融、銀行の信用があるわけです。にもかかわらず、今回の住専の問題により、日本経済の信用を失墜させ、金融秩序を大混乱させたその事実を銀行、金融機関は真剣に考えるべきであると私は思っています。 私は、国民が特に今一番求めているのは、金融機関の最たる母体行の責任として、三兆五千億円の債権放棄のみでなく、アメリカでもそうですけれども、世界の各国がやっている企業メセナと同じように、まあ私流に言えばコモンウェルス・ドネーションと言うべきか、国家国民、社会奉仕のために企業は企業、銀行は銀行、そういうものの責任のもとにおいて、すぐとは言いませんけれども、少なくとも五千億円ぐらいの金はこれはドネーションをすべきだと。それが国家国民のため、そしてこれから二十一世紀に向かっていろんな問題が起きてくる、老人問題とかいろんな問題があるでしょう。そういうものに対していわゆる企業が責任を持っていくと。特に金融機関は国民の金でやっているわけですから、私はそういうことをするのは当然だと思うんだけれども、大蔵大臣、そういう点でもし所見があればお伺いをしたいと思うんです。
○国務大臣(久保亘君) 企業の中で、特に金融機関の持ちます。その公共性、社会的責任というものは私は大変大きいと考えております。そのような立場から申し上げますと、今言われました企業としての金融機関の社会あるいは国家に対する貢献、このようなことを考えていただくことは私は当然であろうと思っております。また、今日この不良債権の処理に関しまして、金融機関が特に住専問題の処理に関する責任が大きく重いことは、皆様方の御審議の中でも各党派を通じて御意見の強いところでございます。 政府といたしましても、そのような立場を考えながら、金融機関に対してさらに新たな負担、この住専問題処理に対する寄与をお願いしているところでございます。
○笠原潤一君 先日の新聞報道によると、平成七年度の財政投融資の未消化額は過去最大の十兆円前後に達したと報じられております。七年度の財投計画は全体で約五十兆円ですから、記事のとおりだとすれば未消化額の規模は全体の約二割に達し、六年度末消化額の約一兆五千億円の約六・五倍にも上ることになりますが、実態はどうなっておるのか、まず政府から財政投融資の状況について説明願いたいと思います。
○政府委員(田波耕治君) 私どもも先般の新聞報道は拝見をしております。 七年度の財投計画の実行状況でございますが、これはこれから、例えば地方公共団体のようなところは出納整理期間においても貸し付けが行われます。さらには、種々の機関において計数整理もございますから、最終的ないわば不用額というのは当然のことながらまだわかちないわけでございますけれども、私どももかなりの程度の不用が発生するというふうには考えております。 財投というのは、御存じのように、手法が金融的な手法でございますから、どうしても金融の状況によってそういう見込み違いが出てくる可能性があるわけでございますが、私どもといたしましては今後とも資金需要をよく見きわめながら的確な把握をしてまいりたいというふうに考えております。
○笠原潤一君 それでは、実は系統資金の活用の問題ですが、住専の問題で一番大きな問題はいわゆる農業協同組合の資金の問題だったわけです。 農業協同組合は、その施設を組合員の利用により提供することを原則としております。法制上、員外利用を規制しておるわけです。このような事業の規制等もあり、制約等もあって、農協系統は貯金量が増加するのに対し、貸し出しが低迷し、貯貸率が年々低下いたしております。貯貸率は、単協段階が二七ないし八%程度、信連が二〇%程度、農林中金が四〇%程度と、都市銀行八六%程度や地方銀行七六%程度と比べまして著しく低いものとなっております。 ですから、このように農協の貸出量が停滞している原因としては、員外利用制限があることも一つの要因であるとの指摘があります。 しかし、いずれにしても、私としては今後農協資金の運用力を拡大していかなければ金融自由化という厳しい環境のもとで健全な経営を維持していくことは大変困難ではないかと考えておるわけです。しかも、それは安全で確実なものであることが必要であります。私は、その対象として地方公共団体が最もふさわしいと考えております。 そこで、まず信連や農協の地方公共団体への貸し付けの現状はどうなっているのか、その拡大についてどのように考えておられるか、農林水産大臣にお伺いしたいと思います。
○政府委員(堤英隆君) 農協とそれから信連の地方公共団体への貸し出しにつきましては、公共性がございますし、今御指摘のように安全確実だということで員外利用規制の対象外というふうになっておりまして、長期のものにつきましても貸し出しができるということになっております。 実績でございますが、農協と信連の地方公共団体への貸出実績は、平成七年三月末現在で、農協で約六千八百億円、信連で約千五百億円というふうになっております。 近年の推移を見てみますというと、系統から地方公共団体への貸し出し状況は、貯貸率が今御指摘のように下がっている中におきまして、農協、信連とも全体の貸出金総額の伸びをかなり上回った伸びで貸し出しが行われております。 そういう意味で、これからもそういった地方公共団体への貸し出しということは私どもとしても重要だというふうに認識をしております。
○委員長(井上裕君) 残余の質疑につきましては午後に譲ることといたします。 午後一時に再開することとし、休憩いたします。 午前十一時五十四分休憩 ―――――・――――― 午後一時開会
○委員長(井上裕君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 平成八年度一般会計予算、平成八年度特別会計予算、平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、笠原潤一君の関連質疑を行います。笠原君。
○笠原潤一君 午前中に引き続いて質問をいたしたいと思います。 先ほどの系統系の資金の活用についてでありますが、今特に地方公共団体について地方債を政府資金並みに、また縁故債と同じように、銀行と同じようなことにするために、特に公社であるとか公団であるとか第三セクターへの貸し付けを拡大していくとして、どのような問題があり、同時にこれを克服するにはどうすればいいか、自治大臣からお伺いしたいと思います。
○国務大臣(倉田寛之君) 笠原委員御指摘のとおり、県信連、農協等の農協系統の資金につきましては、銀行、信用金庫、信用組合などの資金と同様に、地方債計画上、銀行等縁故資金として位置づけられておるところでございます。従来から、系統資金からも一定の借り入れを行っております。 地方団体が必要といたします公共資金をみずから身近な地域から調達することは大変望ましいことだと存じます。資金を借り入れます地方団体がその円滑な調達の努力をすることは当然のことでございますが、系統資金の立場からも積極的な御協力をお願いしたいというふうに考えておるところでございます。
○笠原潤一君 実は今、年金財政が大変な深刻な状況になっています。バブルの後始末の結果、特に低金利政策が今行われていまして、その結果として非常に銀行は空前の利益を上げていることは御承知のとおりであります。 特に、国民といいますか、それからの所得移転が約三兆円もあるということであります。先ほども質問したとおりでありますが、低金利というのは大変な状況にあるということを今御承知おきいただきたいと思います。 したがって、この金利の問題について日銀総裁にお伺いしたいと思いますが、余りにも低金利であり、そういう意味で大きなひずみやいろんなものが出ておるわけです。金利政策について、今後どういうふうにお考えになっているか、日銀総裁にお伺いをしたいと思います。
○参考人(松下康雄君) 初めに、私どもの現在の経済情勢に対する判断を申し上げますが、景気は緩やかながら回復しつつあるというものでございます。こうした景気回復の動きが今後さらに強さを増して、また広がりを持つことによりまして自律的な回復につながっていくかどうか、現在はなお見きわめが必要な段階にあると考えております。 したがいまして、金融政策の運営面におきましては、当面、景気回復の基盤を万全なものにすることに重点を置きまして、今後の金融経済情勢の推移を注意深く見守っていくことが適当であるというふうに考えております。 もちろん、御指摘ございましたように、現在の低金利が利子所得に多くを依存しておられる方々の生活に影響を及ぼしているという点につきましては、私どもとしましてもまことに心苦しく思っております。しかしながら、景気回復をよりしっかりしたものとしてインフレなき持続的成長の実現を図ってまいれば、結局は預金者を含めて国民に広く利益がもたらされるということを御理解いただきたいと思います。
○笠原潤一君 次に、新介護システムについてお尋ねしたいと思います。 きのうの新聞でありましたか、新しい高齢者の介護保険制度について、厚生省の方ではこの新介護保険についての一つの問題を提起されたわけであります。これは市町村を運営主体とする介護保険制度をまとめたということになっておりますが、これについて厚生大臣にお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(菅直人君) 今、笠原委員の方から、新聞等によりまして新しい公的介護保険制度の運営主体を市町村ということで厚生省の方針が出されているように報道されているがどうかという御質問だと思います。 新しい公的介護保険制度につきましては、現在老人保健福祉審議会におきまして最終報告の取りまとめに向けて精力的に御審議をいただいております。御承知のように、ことしの一月には第二次報告を取りまとめまして、その前の中間報告とあわせて二度にわたる報告を踏まえ、先ほど申し上げたように、最終報告の取りまとめということで現在最終段階の審議をいただいております。 一部の日刊紙に報道されました制度案は、これまでの審議会における議論に基づきまして、保険者のあり方、高齢者の保険料や現役世代の負担のあり方など意見が分かれている論点を含め、制度の概要を整理したものであります。仮に市町村を保険者とした場合に予想される問題点などの対応についてといったことも含めて、考え方を整理いたして議論の材料としていただいているところです。したがって、具体的な制度の全体像が取りまとめられたというような性格や内容のものではまだ現在のところないということをぜひ御理解いただきたいと思います。
○笠原潤一君 いや、新聞にこれ出たものですからみんな市町村もびっくりしておるわけです。 しかし、私が思いますに、この新介護システムについて、これから日本という国のシステムを決定してしまうほど非常にこれは重要な大きな問題だと思うんです。日本の将来について、この新介護保険というのは、本当に二十一世紀を見据えて老人がどうあるべきか、老人介護はどうあるべきかという大変重要な、住専も大変なことですけれども、この問題の方がはるかに将来の問題としては大変なことだと思うんです。 特に、その一つの問題としては、施設の(「住専は大変だぞ」と呼ぶ者あり)いや、住専も大変だけれども、これも大変だと言っているんですよ。 その一つが、施設の整備やホームヘルパー等のマンパワーの確保とその財源確保の問題。(発言する者あり)いや、よく聞きなさいよ。住専も大変だから厳しいことを言っているんですよ。先ほど聞いてもわかるでしょう。だから、それと同時に、同じように二十一世紀を迎えてこの問題も大変なんですよ、これ。老人をどうするか、非常に大きな問題なんですよ。それを私は言っているわけです。 それで、ホームヘルパー等のマンパワーの確保とかその財源確保の問題とか、そして各市町村でのサービス施設のアンバランスなどいろいろと問題があるわけです。 もう一つは、保険制度とした場合の国民負担の問題もあります。そして、現行の国保との関係はどうなっていくか、また被保険者は何歳から行うとか、保険料はどの程度にするとか、さらに保険の未加入者の問題は生じないかとか、そしてまた構造的な赤字体質となっている国保の二の舞になるんではないか、こういう大変な心配がたくさんあるわけです。 次に、市町村を運営主体とした場合には、高齢者の人口が非常に多いわけですよ、各市町村は。したがって、市町村間の財政の格差が非常に大きいことは御承知のとおりです。 ですから、こういう問題、非常に大きな問題ですから、私は当然この介護保険制度をやらなきゃならぬと思うけれども、一体どういうふうに行うかということは非常にこれから重要な問題であり、また財政的な問題も大変なことになるんです。 今、日本の財政は大変厳しい。厳しい上になおかつ膨大な赤字が出てくるということになりますから、そういう点でいうと、このような問題について、これから二十一世紀を見詰め、さらに将来の問題を見詰めながら、総理並びに厚生大臣にもう一度この点についてどう行われるかということについてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(菅直人君) 今、笠原委員の方から、この公的介護保険制度をつくるに当たっての重要な問題点、まさに今議論がいろいろとされている問題点を幾つが御指摘いただいたと思っております。特に自治体につきましては、私も関係者と何度となく議論をしておりますが、国保の赤字ということがありまして、それと同じようなことになるのではないかという心配を大変関係者がされていることは重要に受けとめております。 そこで、今議論の仕方として考えておりますのは、この公的介護の場合に、サービスを供給する意味での実施主体ということと財政的な責任を持つという意味の主体ということの二つの要素があるわけですけれども、まずサービスを供給する主体については、これはやはり自治体を中心にやっていただくことがいいと思いますし、自治体の関係者もそれは基本的にはそうであろうという御理解がほぼ実施の方では得られているのではないかと思います。 ただ、財政の方につきましては、今おっしゃるとおり、本当に自治体単位できちんと責任を持たされるというのは大変重いという意見が強いものですから、そこにつきましてはいろいろな仕組みの組み合わせ、あるいは場合によってはもっと広域な県とか国とか、あるいは今の老健制度のような形とか、いろいろなことについてはまだ議論の過程であると理解をしていただいていいんじゃないかと私は思います。 おっしゃったいろんな問題点については、これから十分に議論をして、しかしそうはいっても議論がぐるぐる回りになってはまずいと思いますので、老健審の最終報告をいただければ、関係者、与党の皆さんともよく協議しながら、法案という形でできればこの国会中にはまとめさせていただいて提出をさせていただきたい、このように考えているところです。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、根本的な部分について厚生大臣から見解が述べられました。その同一線上のものとして私も一点補足をいたしたいと思います。 我々は、これからの高齢社会というものを考えます場合に、利用者本位ということを視点に置きながら、総合的、一体的、効率的なサービスの提供という視点から、高齢介護システムというものをつくり上げることはどんなことがあってもなし遂げていかなければなりません。 そして、その中で、菅さんから今お答えがありましたように、老健審で御議論をいただいているわけでありますけれども、いずれにしても適切な公費負担というものを組み入れた仕組みをつくりながら、同時にそれぞれの自己責任によって加入される私保険との組み合わせというものを考えていくことが、将来選択の範囲を広げるという意味でも仕組みとして大事ではないかと考えております。 こうした点も視野に入れながら、現在議論が行われておりますので、その結果を待ちたいと考えております。
○笠原潤一君 農業の問題についてお尋ねしたいと思います。 かつて一月二十四日に、新進党の小沢党首は、衆議院における代表質問において農業の基本的役割に関し、産業としての規模拡大のみを重視することは、余りにも非現実的であるとか、第一次産業に従事しながら、若い人たちは地元の会社に勤めるのが理想像等の説を開陳されました。 しかし、私は思うに、本当に農業に従事する、農業を専業でやっていきたい、こういういろんな多くの皆さんがいるわけです。現に、農業に専従しながらすばらしい成績を上げている方も随分多いんです。私自体も国際農業者交流協会の会長として、私の方にも随分、それはもう枚挙にいとまがない、いろんな農業の後継者がすばらしい生活をやっているわけです。ですから、私はそういう意味で本当に専業農家がやっていけるというような制度をつくらなきゃならぬと思っています。農林水産大臣、その点についてお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(大原一三君) これからの世界的な食糧不足時代、二十一世紀には地球人口が倍になろう、二十一世紀の中ごろには倍になるという爆発的な人口増加も予想される中で、食糧自給率を我々は今後どう確保していくかということがこれからの農業政策の私は一番重大な問題だと思っております。 聞くところによりますと、今度の日米会談でも地球的な食糧自給政策ということも触れられると聞いておりますけれども、今地球人口の中で、FAOの調査によりますと八億という方々が栄養不足人口だ、こう言われる。 そういう中で、非常に厳しい条件でございますけれども、どのようにしたら我々の食糧自給率を引き上げていくことができるかという大命題に、私は全部が兼業で結構でございますということではいかぬと思うんです。やはり、おっしゃるとおり、でき得れば五十万、百万という中核農家を育てることによって効率的な食糧増産政策をやっていくべきではないのかな、これが筋ではないのかな、こう思っております。
○笠原潤一君 それから、今一番根本的な問題として私がいつも非常に心配しているのは土壌改良対策です。日本の土地は非常にやせ衰えているし、本当に土地は大変な問題になっているから、今や思い切って土壌改良をし、土地の培養、地方培養をしなきゃならぬ時期に入っています。 そういう意味で、私の方に長良川河口堰がありまして、この土砂を高須輪中というところに客土したわけです。非常に高成績です。何といっても土をつくらなきゃならぬ。その土をつくるための根本的なことを農林省は今こそ本当に真剣に考えなきゃならぬ、私はこう思っています。 特に、ダム等に堆積している土砂、そういう点で田畑に土砂を客土すれば非常に土地の地方も培養されるし、いろんなことができるわけですから、そういう点について農林水産大臣、どうお考えになっているか、ひとつお尋ねしたいと思います。
○政府委員(野中和雄君) 農林水産省といたしましても、土づくりでございますけれども、先生お話しのように、農業の生産性の向上なり経営の安定、さらには地域資源のリサイクルの促進、農業の環境への負荷軽減といった点からこの土づくり対策は非常に重要だというふうに考えておりまして、積極的に推進をしているところでございます。 特に、今土地改良事業の中におきましても、それに対応する高生産性土層改良事業、その他圃場整備等、一工種といたしましても土層改良を実施いたしまして土づくり対策に努めているところでございます。 先生御指摘のダム等の堆砂でございますけれども、一般的にはヘドロとか土石まじりということもございまして、農地の表土として使うことにはなかなか利用しにくい点もございます。先生お話しのように、排水対策等に関連をいたしまして、これを農地のかさ上げ等に利用しているというような事例も見られるわけでございます。私どもも今後地域の実態を踏まえまして、土質あるいはコストの条件が合えば有効利用につきまして配慮をしてまいりたいというふうに考えております。
○笠原潤一君 農業については本当にいろいろ多角的な問題で質問しようと思いましたが、時間の関係もありますから次に移ります。 警察法の改正についてお尋ねしたいと思うんです。 オウム真理教関連事件の経緯を踏まえ、組織犯罪に適切に対処するための仕組みを早急に整える必要があると強く認識しております。米国においては、連邦政府の機関であるFBIが組織犯罪の捜査に当たり効果を上げていると聞いております。我が国においては、カルト集団犯罪、広域暴力団犯罪、薬物、銃器の密輸密売等の多発が心配されており、全国の警察力を挙げて組織犯罪対策に本腰を入れて取り組むべきときが来ていると考えております。 今回の警察法改正案は、広域犯罪や組織犯罪に適切に対処するための制度改正を行うものであると聞いております。期待しておりますし、しかしこれが単に制度の変更で終わることなく、その運用の実効性を確保するため機動力、科学捜査力の強化等について方策を講じていくことが極めて私は重要であろうと思います。警察庁として具体的にどのような方針であるか、官房長にお聞きいたしたいと思います。
○政府委員(菅沼清高君) お答えをいたします。 御指摘のとおり、犯罪の広域化あるいは高度の科学知識を用いた犯罪の発生といったものがこのところの犯罪の情勢でございまして、こうした状況に対応いたしまして、警察といたしましても、地方自治のところから参ります自治体警察の基本を維持しながら、既に共同捜査あるいは合同捜査といったものを積極的に推進してまいっておるところでございます。 ただいまお願いいたしております警察法の改正につきましては、従来、それぞれの都道府県警察はその管轄区域内に被疑者あるいは被害者等がいる場合に初めて管轄区域外に権限の行使ができるというような建前になっております。それをさらに最近の情勢に対応して一歩進めまして、広域的な組織犯罪につきましては、その性質上、全国の警察の治安にかかわるものという認識のもとに早い段階から管轄区域外に権限が行使できるような改正を今考えているところでございまして、そのために今回の警察法の改正をお願いしているところでございます。 これが成立いたしますと、早い段階からそれぞれの警察の持っております能力、知識、経験、そういったものを生かして積極的にそうした新しい犯罪態様にも対処していけるということになろうかと考えております。 また、御指摘の科学捜査の推進につきましては、今回三千五百人の警察官の増員をお願いいたしておりますけれども、その中にも約二百人ほどの科学捜査要員の確保をお願いいたしているところでございます。民間の研究機関あるいは民間企業等からそうした高度の能力を持っておられる人を警察の中に吸収、採用いたしまして、そうした事件に対応していく。また、科学警察研究所の組織の拡充を考えておりまして、そうした点から御指摘のような状況に対応してまいりたい、このように考えております。
○笠原潤一君 その次の首都機能移転の問題ですが、最近候補地を絞るということで、先般官房長官の談話というかお話がありました。これは私の要望ですけれども、我が岐阜県も立候補いたしておりますから、非常にいいところですからね、その点をまず申し添えて、これはひとつよろしくお願いしたい、こういうふうに思います。これは手前みそじゃありません。これは本当に今立候補して、一番いいところですから、その点を申し上げておきます。 それから、住専の問題、大変な問題です。したがって、本当に我々国会議員としてこの問題を解明しなきゃならぬと思っている。そういう意味で、やはり何といっても母体行、一般行、そしてそういういろんな問題がありますので、私としては当然証人喚問をしていただきたい、こういうことを要望して一応終わりたいと思います。
○委員長(井上裕君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(井上裕君) 速記を起こして。 ただいま笠原君から要請のありました証人喚問の要求につきましては、後刻理事会で協議をいたしたいと思います。
○笠原潤一君 以上をもちまして私の質問を終わります。 あとは大河原委員にかわります。
○大河原太一郎君 これをもって私の質問は終わります。
○委員長(井上裕君) 以上で大河原太一郎君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(井上裕君) 次に、山本正和君の質疑を行います。山本正和君。
○山本正和君 社会民主党を代表いたしまして、総括質問を行いたいと思います。 まず初めに、総理大臣、この前から本当に大変な御苦労をいただきまして、私どもとしても強く要望しておりました沖縄の普天間基地が返還されるめどが立った。私どもとしても大変うれしい思いでいっぱいでございます。 私は一九二七年生まれですから、最後の戦争体験世代です。私どもが考えた六〇年安保のときの安保条約改定反対闘争、これはまだ戦争のにおいがしておったときです。ですから、安保条約というものに対する受けとめ方が、今から四十年前の六〇年安保のときと今日とは大きく変わっている。 私ども社会民主党が、やれ安保条約破棄をいつの間にしたんだとかいろんな議論がありますが、四十年の経過の中で、国際的に平和とは何か、我が日本の進路とは何かということを考えていく中で、本当の意味での今の安保条約というものの意義づけ、あるいは国際社会における平和のために何が必要かという観点から我が国の安全問題を含めて抜本的な議論をしよう、こういう中で現行の日米安保体制を維持しようと、こういう方針をいっぱい言っているわけですね。しかし、そうはいいましても大変いろんな問題がございます。沖縄のこの普天間基地返還をめぐってもまたさまざまな問題が残っている。 しかし、私どもが思いますのは、いずれにしても大変難しい問題を解決し得た。ちょうどあの佐藤総理が大変な苦しみの中で沖縄の返還を俎上にのせて解決いたしました。それに匹敵するぐらい今度は難しかったと私は思うんです。そういう意味での総理の御苦労というものに本当に心から感謝いたします。 しかし、そうはいっても県民の皆様の中にはまだいろんな御要求がおありになる。そういうものに対して、今後総理としてどういう決意を持ってお臨みになるのか、まずその辺の御感想、御決意をひとつお聞かせいただきたい、こう思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) まさにこの普天間についての合意が私はすべてを物語るように思います。そして、本院を初め関係されるすべての方々に、今後の沖縄県の抱える問題、さらに基地所在市町村の抱える問題につきまして、改めて御理解を得たいと思います。 今回、おかげさまでアメリカ側が極めて積極的にこの問題の論議に参画をしてくれ、その中から、一定の前提条件のもとにではありますが、五年ないし七年の間に普天間基地の返還を行う全面返還というものが出てまいりました。私は本当にそのときほっといたしました。 しかし同時に、なぜ五年から七年という時間が必要なのか。これは日米安全保障条約というものがその機能を維持し続ける、その中における普天間基地の持つ重要性というものを認識する、そしてその機能を低下させることなく移しかえていく必要性があると。 こうした中で、まず沖縄県内の現在存在する他の基地にヘリポートを新たにつくらなければなりません。そういたしますと、その新たに移転をいたします基地の周辺の方々に御協力もいただかなければなりませんし、また環境アセスメント等もきちんと行わなければなりません。仮に当初考えました場所が好適地ではないということになりますと、その替え地を探すという時間も必要になります。私はその五年ないし七年というものが、五年以内に少しでも早く全面返還に結びついていくことを心から願っておりますけれども、この辺の作業はこれからやってみなければわかりません。さらに、地権者の方々の御協力を得るという問題もございます。 そして、普天間基地がいよいよ全面返還をされるという状況になれば、当然ながら返還をされた瞬間から跡地利用計画が動き出さなければなりません。そして、その跡地というものがこれからの沖縄県の発展にプラスになるような計画を我々は返還までにつくり上げなければならないわけであります。これは国だけの力でできるものでもなく、また県の力だけでできるものでもありませんから、両者が一体となって協力をしながら、地主の方々の理解も求め、その跡地利用計画をつくっていかなければなりません。 さらに、現在普天間にあります航空機の一部をアメリカとしては岩国基地に移したいと。そのかわり、その輸送機を移しますほぼ同数のハリアーといいます戦闘機、これは相当騒音のうるさい飛行機でありますけれども、これをアメリカ本土に移しかえるという提案もございます。これも岩国基地周辺の皆さんに御理解を得る作業をする時間はございませんでした。改めて申しわけないと思いますけれども、こうした点に御理解をいただく作業の時間も必要であります。 いずれにいたしましても、今回合意をいたしましたのは、そうした作業が全部完了し、普天間基地の持つ機能を損なわないという条件が整った段階において全面的に返還をするということでありますから、この約束がそのとおりに実現するまでにはまだまだ我々は越えていかなければならない多くの関門を実は抱えているわけであります。さらに、その費用をどうするかということもございます。 今回、SACOの合意の中で、外務大臣、防衛庁長官を初め日本側の関係者も、またペリー国防長官、モンデール大使を初めアメリカ側の関係者も非常に一生懸命努力をしていただき、そのほかにも幾つかの懸案に解決の方向が出てまいりました。しかし、それらの一つ一つにこの普天間に象徴されるような今後の作業というものが残されております。私どもは、まずこうした問題の一つ一つに誠意を持って取り組んでまいりたい。 そして、今回この普天間基地の返還という目標が生まれました段階で、古川官房副長官のもとに省庁の壁を越えたタスクフォースをつくりたい。そしてそれには、少々異例かもしれませんけれども、沖縄県の方から代表者を出していただき、中央省庁の幹部と席を並べて共同で作業していただきたいというお願いをし、知事にも大変気持ちよくこれを受けていただきました。 今後、国と県が一体になって、地域の方々、地主の方々の御理解を得ながら、少しでもよりよい成果を上げていくように努力をしてまいりたいと心から願っております。
○山本正和君 本当に御苦労が多いかと思いますが、何としてもいろんな取り組みをお願いしたいと思います。 ここで、外務大臣、お昼の大変忙しい最中に交渉をしていただきました。外交日程がございました。それを受けて、ここで国民の皆さんに御報告いだだけることがあれば御報告願いたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) ペリー国防長官が昨日来日されまして、ペリー国防長官そしてモンデール大使を米側の代表とし、また日本側からは臼井防衛庁長官と私が代表といたしまして、いわゆる2プラス2と言われておりますが、正式には日米安全保障協議委員会と申しますが、それを昨日と今日のお昼の時間と二回開いてまいりました。.その中で、沖縄における施設・区域の提供問題について、中間報告をSACOの作業を踏まえまして、承認して発表したところでございます。 それにつきましては、先ほど来お話しになっています総理が大変な御苦労をなさって、総理のイニシアチブのもとに実現されました普天間飛行場の全面返還を含めまして、ニけたの施設を対象としていろいろその計画を決めたわけでございます。その中には、例えば北部訓練場の過半を返還してもらうとか、あるいは今話題になっております楚辺の通信所につきましても、五年のうちにキャンプハンセンに代替の通信施設ができる、こういうことを行った後に返還する、こういったことも含めましていろいろ決めてきたところでございます。 もとより、これはまだ十一月までいろいろ詰めてまいらなくちゃいけません。返還の期限が一応明示してあるのは普天間と今申しました楚辺だけでございまして、そのほかにつきましてはこれから話し合うわけでございます。いずれにいたしましても、そういったことを詰めてまいりますと、全体としまして現在沖縄で提供している施設面積の二〇%を超える面積が返還されるんじゃないか、こういうふうに見込まれている次第でございます。 もとより、ただいまも総理から御答弁ございましたように、これを現実にするためにはいろんな面での多方面の努力が必要であり、それは日米の協力はもとよりでございますが、沖縄県を初め関係市町村の皆様方と一丸となっての作業が必要なのでございます。そういうことでございまして、沖縄における米軍の能力なり即応性というものを損なうことなく、県民の皆様方の御負担を相当程度軽減していく少なくともはっきりした方向を出すことができた、これからはその具体化に全力を挙げてまいりたい、こう思っております。
○山本正和君 ことしの正月四日に、村山総理時代でございますが、橋本副総理、武村蔵相、一緒に伊勢神宮に参拝されました。私も地元ですから一緒にこの神宮に参拝しておられる国民の皆さんの前で歩いたわけですが、国民の皆さんから、とんちゃん頑張れ、これは村山さんに対する言葉、片一方で黄色い声で、龍ちゃん頑張ってねと、こういう声が随分飛びました。武村さんに対してはちょっと怖い顔をしておったもので声が出なかったか、余りあれだったんですけれども。しかし、三人がずっと並んで歩かれる姿を神宮に参拝された国民の皆さんが見ている中で、何とも言えない新しい日本の時代を私は感じましたし、また本当に、まさに動員も何もない中での参拝でございます、有権者の皆さんの素直な声がそのまま出たんですね。 私は、長い間の自民党と社会党の激しい対立、もうそれこそピケじゃありません、私もやりましたけれども、牛歩もやった、随分いろんなことがございました。しかし、新しく時代が変わりつつあるんだなということを思ったんです。 そういう中で、総理に御就任以来いろんな御苦労が多かったと思うんですけれども、何はともあれ、我が国が抱えている沖縄問題の解決へ向かって一歩を踏み出した。本当にこれは私もうれしくて仕方がないんです。要するに、三党首が一緒になって御苦労願ったことの第一の成果がこれだろうというふうに私は思うんです。 そこで、これは要望申し上げておきたいんですけれども、私の地元で、これはおかしな話なんですが、自民党の衆議院議員の後援会で一生懸命頑張っている人が、私の比例区のときには社会党と書いてくれる人がたくさんおった。そういう方も含めてですけれども、こう言うんです。橋本総理何か元気がないよ、元気を出せ日本と総理が言っていただいた、その中でみんな頑張らにゃいけないと思っておるので総理に元気を出してくれとぜひ伝えてくれと、こういう私の三重県の地元の声がございますから、これはお伝えしておきたいと思います。 そこで、次の質問に入りますが、きょうは私は住専を中心にやりますけれども、その前にちょっと教育問題で御質問したいんです。 戦後の教育を受けた人と戦前の教育を受けた者の違いがある。戦後の教育を受けた人は民主主義とか人権はきちっと教わったはずなんですね。それから、討論の技術もしっかり覚えておるはずなんです。なかなか頭のいい人もたくさん育った。私ども戦前の教育を受けた者はなかなかそういう時間がないですから、しゃべるのも下手ですね。 しかし、私はここで思うんです。教育というものがいろんなところで影響をしてきますけれども、今の我が国の教育を、これはもう国会議員の皆さんも含めてですけれども、これでいいと思っている人はおらぬと思うんです。しかし、どうしてやったらいいかということについてもなかなかわからない。しかも中学生が、あるいは小学生まで自殺者が出る。そして、この前NHKが調査をしたら、何と先生のうちの半数を超える人がどうやっていいかわからない、場合によっては先生をやめたいという人まで出てきている。これはNHKの調査ですよ。そんなことを私は思いまして、これは日本の国は大変な危機になるぞと。 私は、戦争に負けた直後、昭和二十四年に高校の教員になったんです。そのときには教科書もなかったんです。だけれども、子供は生き生きとしていましたよ。私は月給が、やみ米を三日分くらい買ったらもうなかったですよ。 そういう中で私が一番思うのは、今の日本の教育の中で何が足りないかといったら、先生が文部省が決めた学習指導要領によってずっと教えていかなきゃいけない、そのことの中でいろんな苦しみがあります。(「日教組だよ」と呼ぶ者あり)やじっているのは勉強をしていない証拠です。だけれども、そういう苦しみの中で私は思うんですけれども、この学習指導要領という問題を文部大臣はどういうふうにお考えになっているのか。 要するに、小学校、中学校で子供たちを教えるのに支えとなるのが学習指導要領になっているんですけれども、その学習指導要領の現状についてどうお考えなのか。ちょっとまず御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(奥田幹生君) いろいろ教育の問題で御心配をいただいておりまして、大変どうも恐縮に存じます。 学習指導要領につきましては、もちろん先生御承知のとおり、教育基本法それから学校教育法に基づきまして制定をされておるものでございます。今教育現場で使われておりまする指導要領は、小学校につきましては平成四年からのものを使っております。中学校は平成五年のものを使っておるわけでございますが、このごろは非常に複雑多岐な教育現場に変わってきております。したがって、指導要領どおりに教育を小中ともに先生にやっていただこうとしまするとかなり忙しいんじゃなかろうか。特に、月二回週五日制を始めましてから、今もう手いっぱいのような感じを私どもは受けております。 したがって、次の改訂時のときにはそういうことも根本的に見直す必要があるのではなかろうかなと、こういう感じを持っておるわけでございます。
○山本正和君 大臣は現場の御経験もおありでございますからよくおわかりだと思うんですけれども、要するに学習指導要領というものが余りにも詰め込みを助けるような、余りにも中身の量が膨大過ぎる。そこからもう教師がアップアップしてくる、子どもにとっても次から次にいろいろなものを教わらなければいけないというふうになってしまう。その辺の問題を今文部省としては再検討していただいている、こういうふうに聞いていますから、今の大臣のお話で、ぜひひとつ人間が育つ学習指導要領、こういう観点から御検討いただきたい。 特に申し上げておきたいのは、ヨーロッパ、特にこれはスウェーデンの「ソフィーの世界」という哲学の解説本がありましたね。あの中で出てくる哲学が今の我が国の教育にはないんですよ。じっと静かに物を考える、人の言うことを聞きながらよく考えるということが欠けている教育、こう言われておる。哲学を何とか復活しなければいけない。そういう観点からぜひ文部省としては学習指導要領に対するいろんな御検討をお願いしたい。 ちょっと、御感想がありましたら。
○国務大臣(奥田幹生君) 指導要領の中にこういう信念に基づいて教育をしていくんだという哲学、大変必要でございますし、それに直接関係することとしまして、私はもう少しゆとりのある教育であってほしいな、そういう希望を強く持っております。
○山本正和君 ありがとうございました。ぜひひとつよろしくお願いしたいと思います。 そこで、いよいよ住専に入りたいんですが、その住専に入るについては、今までの論議の中でやっぱり順番を間違えるとおかしくなってしまうと私は思うんです。我が国の経済がどうなっているのというところの議論なしに住専問題を論議したってどうにもなりません。 そこで、初めにちょっと経済企画庁長官に、我が国の経済は現在どういう状況ですかと、きょうはテレビに出ておるわけですから、国民の皆さんにわかる言葉で日本経済はこういう状況でございますというのをひとつ御説明をまずいただけないかと思います。
○国務大臣(田中秀征君) 今回の景気の底あるいは谷と言われているものは、先生も御承知のように、平成五年十月、一九九三年十月、細川内閣のときと言われております。私はこのときに官邸におりまして、一段の円高、株の暴落、あるいはそこに加えて農業の不作ということで、日本経済があたかも暗やみの中に吸い込まれるような、そんな思いをしておりました。それ以後、各内閣が懸命にこの苦境から脱するべく努力を重ねてきて、累次の経済対策を講じてきたわけでありますけれども、なかなかうまくいきませんでした。 理由はいろいろあると思うんですが、一つは波状的に急激な円高が襲ったということがあります。それから、大震災のような不慮の出来事があった。あるいは、これは大事なことだと思うんですが、資産価格の急激な、大幅な下落がもたらす経済に対する影響、これを読み間違ったと言ったら語弊がありますけれども、予想以上であったということは言える。これは率直に認めなきゃいけないと思います。 そういう流れの中で、金融緩和の基調、そしてまた円高是正策が成果を上げて、昨年の九月に総事業費十四・二兆円という大幅な経済対策が講じられて、昨年の年末からいろいろな経済指標に大変明るい動きが出てくるようになったという流れであろうと思います。 しかし、先ほど日銀総裁の方からもお話ありましたけれども、緩やかながらも景気の回復基調というものが出始めているけれども、本格的なものではない、自律的なものではないというのが現状でございます。これが一番心配なところで、要するによちよち歩きの景気回復と言ってもよろしいかと思うんですが、政府が手を放してもたくましく育っていくには至っていない。あくまでも住宅建設であるとか公共投資が主導する回復過程にあって、設備投資や個人消費がたくましく引っ張っていくそういう状態には至っていないという微妙な段階にあると思います。 そして、加えて、御承知のように雇用情勢が非常に厳しい状態にある、中小企業が依然としてまだ勢いかない。そんな状態でありますので、大変微妙な回復過程にあって、これからの半年間が二十一世紀を展望しても日本経済にとって最も重要な局面である、そんなふうに心得ております。
○山本正和君 きのうの日経ですが、復活が見えたと、こういうふうなものが出てくる。それからさらに、鉱工業生産指数が去年の暮れの段階で持ち直してきている。特に、四月に企画庁が発表した数字の中にもいろいろなものが出てきている。そういう中で、私はもう少しいい方向に向いている感じがしてならないんです。 これは実業界の人も随分感じて盛んに主張しておられるんですけれども、ただそこで大変心配なのは、日本金融恐慌の裏側とか、米国証券市場の基盤は脆弱、ジャパン・マネーの影響大とか、日本の低金利で市場が潤うのもあとわずか、アメリカもヨーロッパもひどい目に遭いますよというふうなこんなものがどんどん出ているし、外国の経済評論家はいろいろ日本の経済に着目しているわけですね。ですから、そこで日銀総裁が何か一言言われるとアメリカの株がもういろいろと動く、大蔵大臣が何か年金生活者のために金利を云々と言うとまたそれで動くというふうな話が出てくるわけです。 そんなことを含めまして、大変微妙なんですけれども、日銀総裁は大変お忙しい中でおいででございますが、特に今のM1、お金の問題なんかを含めまして金利の問題について当分の間はどうなのか、さらに今の世界経済に及ぼす日本経済の影響、その辺を日銀はどういうふうにお考えになっているか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
○参考人(松下康雄君) 初めに、現在の経済情勢につきましてどういうふうに理解しているかということでございますけれども、全体といたしましては、先ほど長官のお話もございましたように、私どもも景気は緩やかながら回復しつつあるというふうに判断をいたしております。 その内容を見ますというと、まず最終需要面におきましては公共投資の本格化あるいは住宅投資の高水準といったように、政策に後押しされた需要が景気回復のリード役でございます。また、個人消費あるいは設備投資につきましても、緩やかではありますけれども回復をいたしております。一方、輸出入につきましては、輸入が高い伸びを続けております反面で、輸出はごく緩やかな伸びにとどまっております。 こういった動きを総合いたしまして、全体として最終需要は緩やかに回復をしており、こういった需要動向を反映して、生産も御指摘のように緩やかに増加をいたしております。また、企業収益や企業マインドも改善を続けている状態でございます。 こういった情勢でございますけれども、他方で、日本経済がこれまでに直面をしてまいりましたいろいろな構造問題というものをどの程度乗り越えつつあるのか、あるいは欧州を中心に減速ぎみであります海外経済が今後どのような展開をたどってまいるか、このあたりには不確実な要素もなお多くございますために、景気回復の強さ、あるいは広がり度合いにつきまして現時点で結論を出すのはなお時期尚早のように考えております。 したがいまして、金融政策の運営面につきましては、当面こういった景気回復の基盤を万全なものにすることに重点を置きながら、引き続き金融経済情勢の推移を注意深く見守ってまいることが適当であるというふうに考えております。
○山本正和君 バブルの最中に三重野氏が総裁におなりになって、総裁におなりになった冒頭に私が質問をいたしまして、日銀の役割ということについてお話を伺ったことがございました。しかし、私は今の日本の日銀の役割というのは非常に全世界的な大変な影響を持っている立場にあるというふうに思えてならないんです。 そういう意味で、私は率直に申し上げますが、我が国経済というものが今ここでどうなるか、どうなるかと言ってはおかしいんですけれども、例えば住専問題に象徴されるような不良債権問題でのっぴきならなくなった場合に世界経済はどうなるのか、こういうことについてはやっぱり通貨の番人という立場からもいろいろ御見識はおありになろうと思いますので、そういう世界経済に与える影響、もしこの不良債権問題を我が国がきちんと解決できなかったらどうなるのかということについてのひとつ総裁の御見解を賜りたいと思います。
○参考人(松下康雄君) 御指摘のように、日本の経済、とりわけ金融面におきます資産の形成というものは非常な大きさを持っておりますし、また他方で、世界じゅうのグローバルな資本の流れというのは、現在は過去の、例えば十数年前とは比較にならないほど大きなものとなっております。 こういう状態のもとにおきましては、一つの国での金融上のいろいろな問題が非常に速いスピードで他の国の金融あるいは経済に影響を及ぼすということは、これはありがちのことでございまして、例えば昨年の初めごろにメキシコを中心としましたいわゆる金融危機問題が大変世界の関心事になったようなこともあるわけでございます。 現在、日本の抱えております金融機関の不良債権問題等につきましては、そういう意味もございますので、各国の金融当局者のみでなく経済政策の担当者もかなりの関心を持って注視しているということは私も日常感じるのでございますけれども、昨年来、関係者また政府等の間でいろいろと真剣な検討、議論が続けられました。現在ではその大まかな整理の方向というものは具体的にだんだん固まってまいりまして、いろいろと国会での御審議も得ているところでございます。 私どもといたしましては、こういういろいろな不良資産整理に関連をする諸施策というものが、十分の御議論の上、国民の賛同を広く得まして早く具体化をすることによって金融の安定が一日も早く確立されるということを強く期待しているところでございます。
○山本正和君 そこで、私は特にテレビをごらんになっておる有権者の皆さんにもお考えいただきたいと思うんですが、住専に税金を投入するのは賛成か反対かと言ったら、皆反対と言うと思うんです。一〇〇%反対だと思うんですね。しかし、その住専というものは何ですかと。要するに、政府が今度出したのは何ですかということについてきちっとわからなければ、これはどうにもならない、議論ができないわけですね、だれでも税金使うのは反対ですから。 私はまず申し上げたいんですけれども、住専問題って何ですかと、こう聞いたときに、大蔵大臣、国民の皆さんにどういうふうに御説明いただけますか、易しい言葉で。
○国務大臣(久保亘君) 一言で申し上げるのは大変難しいのでありますが、住専というのは住宅金融専門株式会社というのが本当の呼び名で、それが昨年ごろから住専と呼ばれるようになりまして、今は外国でもジューセン・プロブレムということでそのまま使われるようになっておりますが、本来、住宅を必要としている国民が足りないお金を住専から借りて、そして家を所有するようにしたという、そういう任務を持って生まれた会社だと思っております。 いつの間にかこの住専が、その本来の仕事よりもバブルの時期に不動産等へ投資をしたりあるいは不動産会社に貸し付けたり、そういうことを主たる業とするように変わっていって、バブルの崩壊とともに破綻した会社である。しかも、この住専というのは、日本の大きな銀行を中心にしてこれらの銀行が設立の段階からかかわり、出資をして、そして役員を送り、この経営にも深くかかわってきた、そういうものだと思っております。 そして、住専はもう今では整理、清算する以外に方法はない破綻の状況に陥っている。そして、抱えている不良債権は十数兆に上っているということで、この不良債権を処理しなければ日本の経済にとっても金融にとっても大変な問題となってきた。この深刻な状況の打開を今最も緊急に迫られているのが住専だと思っております。
○山本正和君 大蔵大臣という立場は正確に言わなきゃいけないんであれでしょうけれども、国民の皆さんが私に質問されたりいろいろ話をしてみますと、山本さん、住専問題というのは悪いことをした人が金を返さぬでいいようにすることだろうと、こう言うんですね。また、政府が税金を出すのは、そういう経営もできなかった、ひょっとしたら悪いことをしたかもしれない住専の人を助けるために税金を使うんでしょうと、こういうことを言うわけですよ。また、普通の人が言うのかと思ったら、岐阜の補欠選挙のときも、私が岐阜へ参りましたら、実は対立する候補者が住専を助けるための税金投入やめましょうと言って宣伝カーでずっと回ったんですね。 そんなことがいろいろあるんですが、私が思うのは、国民の皆さんが大変な誤解をしている。まず、そこのところをきちんと説明しなければ、いつまでたっても国民の皆さんの反対はおさまらないというふうに私は思うんです。 私は、住専問題を聞かれたら、こういうふうに説明するんです。悪いことをした人、経済的に法律違反をした人、そしていろいろと利益が相反してぶつかっている人の間には、それはいろんなけんかも起こるし、法律の問題も起こると。ところが残念なことに、日本の戦後五十年の間に、そういうことをきちんとする法律制度がない部分がありますと、ないとは言わぬですよ、ない部分がある。そこを巧妙にやると、悪いことをした人が強いんですよ。言いませんけれども、借り手が国会へ出てきて胸張って威張って、政府は口出すなと、これは民間の話なのに何しているんだ、こんなことを言うんですね。その人はお金を払わぬでいいような方法を知っておるんです。 そういう悪いことをした人を退治しなきゃいけない、そして責任を明らかにするためには、現行のままでは政府以外には介入できないんです。あとは法律を変えなきゃいけない。政府が介入しなければいつまでたっても解決しませんから、これは政府は介入しますと。しかし、それは住専をつぶすんです、住専に貸した母体行の責任を徹底的に追及するんです、農協さんにも心根を入れかえてもらうんですと。そういうことをしてくれということを政府が言わなきゃいけない。だから、政府が税金を入れて、不良債権問題を処理するために来年度予算で六千八百億の金を国民の皆さん使わせてくださいと。 こう言ったら、ああ、山本さんよくわかったと。岐阜で街頭演説をやっておったら盛んに反対しておったのがおった。ずっと二十五分間は社会党がやった。しまいに、お年寄りの人が寄ってきて、いや先生よくわかったと、こう言って手を握ってもらった。国会議員の中でもひょっとしたらまだ誤解している人がおるんですよね。法律でもって、法的処理すれば住専問題は解決しますなんということを言っている人がおる。その点、私は日本共産党が立派だと思うのは、そういうことはお言いにならないですよ。あれは母体行が悪いんだから、母体行から金を持ってきてやらせいと、こういうふうに言う。その方法があれば一番いいんです、私もそれは大賛成。 しかし、法的に処理したらいいんだとか、ほっておいたらいいんだとか、政府は今口出したらいかぬとか言ったら、日本の国はどうなるんですかと、私はそこのところをもっと大蔵大臣はわかりやすく言ってもらったらいいんじゃないかというふうに思うんですね。 そこで、ちょっと今度は御質問をしたいんですが、こういう不良債権問題というのは我が国だけじゃないんですね。アメリカが既にこれをやった。ヨーロッパも、イギリスもフランスもそれからスウェーデンも全部やっておるんです、不良債権。そのときに、処理するのに公的資金を使わぬで処理した国がありますか、ちょっと聞かせてください。
○国務大臣(久保亘君) 私が承知しております限りでは、八〇年代後半、アメリカの貯蓄貸付組合の破綻が相次ぎまして、そして我が国で言います預金保険機構に当たります貯蓄貸付保険公社自体も破綻するに至りました。RTCをつくってこの問題の処理に当たりましたが、その際、アメリカは邦貨で換算いたしまして十九兆円の財政資金を投入いたしておると聞いております。 北欧三国におきましては、九〇年代の前半に同じように有力な銀行の経営危機に当たりまして、ノルウェーが三千億、スウェーデンが八千七百億、フィンランドが七千億、日本の金にしましてそういう財政支援を行ったと承知いたしております。 フランスにおきましては、クレディ・リヨネ銀行という有力な銀行の経営危機に際しまして財政支援が行われておりますし、イギリスでは七〇年代前半、九〇年代前半、いずれも中小の金融機関に経営危機がございまして、この際、中央銀行から融資または保証が行われた。 いずれもそのような方法によって経営の破綻が処理されたと承知をいたしております。
○山本正和君 そこで、これは単に住専に限りません。まだ信用組合の問題がある。まだ日本の金融機関、これは個人預金ですか、個人資産が一千兆円あるというんですね。その一千兆円のお金はどこへ行きましたか。銀行やいろんな金融機関に預けていますね。しかし、その一千兆円のうち、かなり外国にも行っているんですよね。 それはいいんですが、いずれにしても、この一千兆円預かっている金融機関が住専みたいなおかしなところに金を貸してどうにもならなくなった。ところが、どうにもならなくなったやつが開き直って、捕まえてみろとこうやって腕をたたいていると。捕まえられない、今の法律上の不備があって。そういう問題を全部含めたときに、どうしてもこれは不良資産となって回収困難な状況が何年かは続くんです。これは外国でもみんなそうですよね、どこでも。その回収困難な状況が続いたときに何をしなければいけないかというのが今の仕事なんです。 ところが、私は率直に言いますけれども、これは大蔵省に責任があると思うし、歴代政府に責任があると思うけれども、不良資産問題を解決するということについて本腰を入れて政府がやりますと言えなかった。なぜ言わないかといったら、今度みたいにマスコミにぱあっとやられて、税金を悪いやつを助けるために使ったらけしからぬと、こうやられたらみんなお手上げたからですよ。党利党略からいえば住専処理なんかやらない方が一番いい。知らぬ顔をしておけばいいんです、党利党略からいえば。しかし、それをこの際どうしてもやらざるを得ないということで、何年もかかってきた宿題を解決するために、私は、こう言ったらおかしいけれども、羽田さんが大蔵大臣のときにもこの金融問題を議論したことがある。いろいろありますよ。しかしなかなかできなかった。しかし、やっとここまで来て、そして三与党が何と一年近く議論してやってきたんです。 それはいいんだけれども、大蔵省、非常に私は残念に思うのは、これを見たら国民の皆さんもわかるというのをやっとつくった。こういうのをつくった。(資料を示す)皆さんに行っておるでしょう。これが行っておる。これは何と衆議院の審議が終わるときに持ってきたんです。(「そんなもの税金使ってつくっちゃだめだよ」と呼ぶ者あり)そういうことを言うからいけない。これをずっと読んだらある程度わかるんですよ、国民の皆さんは。ところが、これが何で衆議院の議論の前につくらなかったんだと私は大蔵省に怒った。 それから、もう一つ言います。今国民が反感を持っている理由、住専に反対している最大の理由は、銀行や信用金庫を含めて金融機関に預金したら間違いないと思っている、日本人は全部。戦後五十年間、皆そう思ってお金を預けてきたんですよ、一生懸命働いて貧乏人が。ところが、金融機関というのは当てにならぬなと頭にきちゃった、とんでもないところに金貸して悪いことしているなと。 正直言って、母体行の一部には住専に金貸したときに、おい、おまえ、これだけ貸すけれども、これだけバックせいよと言って定期預金させた例があるかないか。これは銀行局長に後で聞いたらいいけれども、もうけさえずればいいと思ってやった母体行の、そういう利益さえ上げればいいというけしからぬ部分が随分あるんですよ。国民が皆怒るのは当たり前ですよ。 それから、大蔵省に不信感が生まれちゃった。これを私は言うんです。大蔵省の役人は本当にみんな朝から晩まで一生懸命勉強して頑張ってくれておるんです。しかし、たまたまこの前二人ほど新聞に載って騒がれた人が出た。みんな何じゃと、これで怒った。大蔵省はほとんどの職員は一生懸命頑張っておるんですよ。しかし、そこのところにちょうどこれがぶつかった。 それから、自分たちの身の回りで悪いことして金もうけしているやつが余りにも威張っておるんですよ、正直言って。ゴルフ場へ行ってごらんなさい。税金一銭も納めぬやつがベンツに乗って遊んでおる。そういうのを見たらみんな腹立つんですよ。 そして、おまけに、そこで私が言いたいのは、政治家に対する不信がここ十年間ずっと来たんです。脱税をした政治家もおる。それから、現在野党の党首だけれども、かつてここで私らは証人喚問しようとした。絶対に受けなかった。そういう人が今、党首でおる。いろいろありますよ。しかし、そういうことを含めて政治家が負うべき責任もあるんです。世の中に対する不信が住専に対する誤解と不信を招いている。 だけれども、日本の国は今そんなことを言っておられる状況じゃないんです。何としても二百四十兆円という国の抱えている借金、財政再建しなきゃいけない。年寄りはどんどんふえてくる。しかも世界的にいろんな意味での責任を我が国は持たせられている。だから、この不良資産の解決はしていかなきゃいけない。(発言する者あり)今やじっておる連中は余り勉強していないもので言うんだけれども、勉強したらわかります。本当にこの不良資産問題を解決するためには党利党略を超えて、まじめに数字と事実をもって議論しなきゃいけないということです。そういうことを私は思うんです。 そこで、ちょっとこれは質問をしているときに演説になつちゃったから、演説はやめて質問に戻しますが、一番私が大蔵省にお聞きしたいのは、母体行の中で歩積み両建てとかいろいろありましたね。法律の範囲内で企業というのは利益を上げようとしますからやりますよ。しかし、住専問題が出るまでに銀行は一体どれぐらい利益を上げたのか、そして住専問題が出た後回収するためにいかに手早く動いたか、その数字があったらちょっと教えてほしいんです。
○政府委員(西村吉正君) なかなか難しい御質問でございまして、銀行の収益という意味から申しますと、いわゆるバブルの時期には随分と収益が上がりました。その後、バブルの崩壊期の初めころには一たんその利益は少なくなりましたけれども、しかし最近におきまして金利の低下というような状況の中で、経費と金利とのタイムラグという点もございまして、若干銀行の収益がふえているという状況は見られるところでございます。 しかしながら、銀行はそれぞれ今不良債権の償却に必死になっておりまして、そのようにして生まれてきた収益のほとんどをこの不良債権の償却につぎ込む。例えば、恐らく今度発表される三月末の決算を見ますと、大手二十一行のうち十数行が赤字決算をするというような状況になろうかと思います。これは戦後の歴史の中でも初めてのことでございまして、そういう意味では銀行の経営状況もなかなか厳しいというふうに申し上げられるかと存じます。
○山本正和君 なかなかお答えしにくいだろうと思います。しかし、これは衆議院では特別委員会をつくって徹底的にやるそうですから、私は参議院でもそういうことをやったらいいと思いますけれども、これはまた御意見がいろいろあろうかと思います。やっぱり追及すべき責任をきちんと追及していくということをやらなければ国民の理解は得られない。国民の皆さんにどうしても今度は政府が手をつけなけりゃならないんだということについては御理解いただく、そこのスタンスをきちんとする必要があるというふうに私は思うんです。 そして、考えてみてください。十三兆円の資産がある、それに対して六千八百億というのは約五%ですよね。そのかわり十三兆の資産を全部管理します、あわせてその十三兆に金をほうり込んだ人、借りた人、経営した人、徹底的に責任追及して悪いことをしたやつはみんな豚箱にほうり込む、こういうことを宣言しているんですから、あとはみんなでどうやってそのことをきちんとやるかということを与野党を超えて、党利党略を超えてみんなで議論すればいいと私は思っているんです。(「六千八百五十億で済むと思っているんですか」と呼ぶ者あり) 今の六千八百五十億で済むと思うかというやじに答えるんじゃないんですけれども、質問しようというのとちょうど一緒になったから言いますけれども、実はこの前から大蔵省等を呼んでいろいろ聞いたり、私どもから意見も言ったりしているんですが、我が国の今一番最大の問題は二十一世紀に向けた金融システムの再構築だと思うんです。要するに、このままでは日本の国はヨーロッパやアメリカの金融界から相手にされぬ、今のままでは大変だというので今一生懸命取り組んでいるんですね。 したがって、二十一世紀に向けた金融システムの再構築について大蔵省は今どういうふうなことを考えているのか、これは大蔵大臣から御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(久保亘君) 今回の住専問題の処理、つまり不良債権の処理は、一方で、今お話がございました新しい時代の金融システムはいかにあるべきかということを追求し、これを具体化していくことと同時でなければならないと考えております。 そういう立場から、新しい金融システムの目標となるべきものは皆さんに御異存がないところだと思っているのでありまして、自己責任の原則を確立し、そして市場規律による透明度の高い金融システムを確立するということ。特に、今日のように金融の国際化、自由化が進みます時代には、なおさらそのことを明確にしていかなければならないのでありまして、その目標を達成するためにどのような手順を踏んで、どういう機関を置いてやるかということが今問われているわけであります。 そして、そのようなことに取り組んでまいりますためにも、今深刻な事態となっているこの住専問題を整理した上で私どもは新たな金融システムの構築に進まなければならないわけでありますから、そのような方向へ向けて国会でも御議論をいただいております。また、与党三党においても既にプロジェクトチームを組織してそのような努力を開始されております。 大蔵省自体といたしましても、バブルの発生から破綻に至るその間の行政の対応はどのようであったかということの反省も含めて新たな金融システムのあり方を検討するためのチームを組織いたしまして、その検討を始めたところでございます。これらの問題が、ある意味では日本のあすをかける非常に重要な課題となってきているのだと考えておりまして、そのためにも住専問題の処理をいかになすべきかということについて速やかにその方策が決定されることが重要であると考えております。
○山本正和君 もう衆議院へは三法案を出したんですね。新しく出された金融三法案の内容についてはまたここで議論しなきゃいけないと思うんですけれども、伝えられるところによると、それに絡んで大蔵大臣の発言についていろいろと誤解が生まれたりもしております。 それは何かというと、信用組合は預金者保護のために金は幾らでも使います、ちゃんと預金者保護ができるようにしますというのがこの三法案の中に入っているんですけれども、信用組合以外にいろんな金融機関があるじゃないか、その金融機関がもしも何かあった場合には預金者保護についてどうなんですかと、その質問を受けるわけです。 誤解が生まれていますから、ちょっと大蔵大臣、私が受けとめているのは、我が国の金融機関が預金者保護ができなくなったときにはこの五年間はどんなことがあっても政府はこれを引き受けますという基本精神は生きていると思うんですが、ちょっとここのところだけ。
○国務大臣(久保亘君) そのために保険料率を七倍に引き上げることを提案いたしているわけであります。もちろん、一般の保険料率の方は法律の改定を要しませんけれども、特別保険料の方は法律の改定をお願いいたしているわけでございまして、五年間はそのことによって預金者の預金を保護できるものと考えております。 信用組合につきましては、金融制度調査会の答申も尊重しつつ、この特別保険料をもって預金者の保護に当たるわけでございますけれども、もしこの五年後に清算をいたします際に一般金融機関の特別保険料の黒字分を補てんいたしましてもこれが充足できない場合、財政支出の支援をもってこれは保証するということで御審議をお願いいたしているわけであります。
○山本正和君 銀行局長、もうちょっと追加して。
○政府委員(西村吉正君) 大臣が丁寧に御答弁になりましたので簡潔にわかりやすく申し上げたいと存じますけれども、山本委員御指摘のように、ただいまの金融情勢、すなわち言いかえるならばディスクロージャーがまだ十分ではございません。したがって、預金者にこの時点で金融機関を選択しなさいと言うことはなかなか難しいという点が一つございます。 もう一つは、不良債権問題が今のように不安定な状況では、一つの金融機関が破綻をいたしますと他に波及をするというおそれがございます。このような状況のもとで預金が戻らないということが起こりますときっと日本の金融全体が大変に厳しい状況になるであろう、そういう考え方から、政府といたしましては今後五年間は預金者には負担をさせない、すなわち預金はすべて戻ってくるという仕組みにしなければいけない、こういう方針で臨んでいるわけでございます。 今回御提案申し上げております金融三法におきましては、そのような方策を具体化するための措置をお願いしている、こういうことでございます。
○山本正和君 私の方で国民の皆さんからこれどうなったのといっていろいろ聞かれることは、これはやっぱりかなり誤解があるんです。要するに、自分は一生懸命働いてお金を預けました、お金を預けたけれども、それはもしもおかしくなったら返ってこないんですかと、こういう妙な話があるんです。取りつけ騒動というのは、その妙な不安が、さらにうわさがうわさを呼んで大変な状況になった状況だろうと私は思うんです。だから、それだけはさせないというのは政府の明確な意思だろうと、こう思います。 ひとつ重ねて、局長から細かい部分の説明が今ありましたけれども、わかりにくい言葉じゃなしにわかりやすく言えば、日本の国は戦後五十年間、国民はみんな金融機関に安心してお金を預けていたんです、皆さんが預けているお金は、日本の政府は金融機関をずっと指導してきたんですから絶対に今のところは大丈夫です、しかし五年たったら皆さん自分で目を開いて考えてくださいよ、五年間は政府が責任持ちますからと、こういうふうになっていますよということを大蔵大臣から言ってほしい。
○国務大臣(久保亘君) 金融システムの自己責任原則がきっちり確立をされた後の問題は預金者も責任を負うてもらう部分が出てくるのだと思いますが、今申し上げましたように、五年間は今度提案いたしております金融三法に基づいて預金者の預金は一〇〇%保全されるということでございます。
○山本正和君 そこで私は申し上げたいんですが、私も実は、まだインターネットまでは行っていないんだけれども、パソコン通信をやっているんです。そうすると、外国からいろんなこういうのがとれる。外国の経済界が盛んに言うのは、日本の住専問題、住専問題という単語で打ったら出てくるんです、住専。住専問題についていろいろ論評しているのがあるけれども、日本の政府はなぜもっと国民に早くこれを了解を得てやれないんでしょうか、これが延びたら大変なことになりますよという論調が非常に多いんです。 私は、率直に伺いますけれども、本当はこれは三月にはもう終わっていなきゃいけない。しかしきょうは四月のもう半ばです。これがどんどん延びていって、もしも野党の、これは共産党の提案はちょっと質が違いますから私は言いません、共産党の提案は私は賛成する部分もありますから。しかし、少なくとも新進党が考えた基本方針のようなことをやったら住専の処理はできますか。ちょっとこれ聞かせてください。
○国務大臣(久保亘君) 私どもの考え方に立てば、破産法を使いましても会社更生法を使いましても、これは金融上の大きな不安を惹起する可能性が高い、したがって法的な処理と言われている破産法、会社更生法の適用は適切でない、このように考えております。
○山本正和君 それから次に、これは後でまた上田委員が御質問になる予定になっておりますが、私は共産党の提案は本当は賛成なんです。それができたらいいということなんです。要するに、母体行にみんな負担させたらいいというのが一番いいんです。 ところが、現行法では母体行にどんなによこせと言ったってできないと私は思う。だから、とりあえずはこの予算案で決まっている六千八百五十億でもってスキームをつくっておいて、それから今からどんどんいろんなものを調べて、そしてできたら責任を明らかにしていくという方法しかないと私は思っているんですけれどもね。共産党の皆さんが今言っている母体行が負うべきだというのは私は賛成なんです。しかし、それは現行法上できるかできないか、大蔵大臣、これお聞かせください。
○国務大臣(久保亘君) 先ほど適切でないと申し上げましたことの中の一つには、母体行の責任が非常に重いということを皆さんがおっしゃっている中で、破産法や会社更生法でやりました場合には母体行の責任を大きく軽減することにならないかという懸念が非常に濃いのであります。そのことは問題だと申し上げました。したがいまして、私どもは、母体行には三兆五千億の債権の全額放棄を超えるさらに住専問題処理のための新たな負担を要請すべきだということを申し上げ、銀行側に対してもそのような意向を伝えてございます。 ただ、御質問ございましたように、残念ながら法的にこちらから要求することのできる内容といえば、損害賠償請求権の生ずる事項については法的な請求は可能となると思いますが、それ以外の問題につきましては、あくまでもこの問題に対する母体行側の責任を自覚された上で協議に応じ、合意を求める、こういうことであろうと思っておりまして、その努力を続けているところでございます。
○山本正和君 私、きょうはどうしても質問したいことがありますから、住専問題は要望をもう一つしておいて、次に移りたいと思います。 要は、国民の理解を得るということは政治家にとっての最大の任務です。と同時に、政府にとっても最大の任務だろうと思うんです。そういう意味でいいますと、去年の段階で与党が議論をし始めたときからもっとやっぱり情報を開示して、そして国際経済の中に占める我が国経済の位置づけをきちんとして、もっと言えば、今度の金融三法案を住専問題よりも先に出しておいて、そして住専問題が後から生まれてくるということの方がよかったと思います。しかし、今さら言っても遅いですから、何はともあれまず住専法案を確実に通してこれはやらにゃいかぬ。そのためにひとつ政府は一層お取り組みをいただきたい。これだけ要望しておきます。 そこで次へ入りますが、菅厚生大臣、この前から大変な問題がいろいろ起こっております。私がかつて厚生委員会の理事をしておったときにも、もう十年ぐらい前になりますが議論したことがありますが、我が国のお医者さんが非常におかしな形で仕事をさせられている。まじめな研究者、本当のすばらしいお医者さんでおったら病院が経営できないんですね。要するに、薬をしっかり売らなければ、薬をしっかり処方しなければ病院の経営が成り立たないというふうな状況がずっと続いておるんです。昔から医師の診断料、技術料、処置料、そういうふうなものできちんとせぬとだめになりますよということは言われておったんだけれども、今もってこうなっている。このことが今度のエイズ問題に関係があると思うか思わぬか、どうですか。
○国務大臣(菅直人君) 今、山本委員の方からの御質問は、薬価の差益というものが一つの原因になって、お医者さんが薬を使えば使うほどいわば差益が入ってくる、逆に言えば、それに頼らなければ病院や診療所の経営ができないために薬をどうしても多量に使う、そういう傾向が今回の薬害エイズの問題でも一つの原因というか背景にあったんじゃないかという御質問だと思います。私も、今この問題をずっと関係者の皆さんあるいは専門家の皆さんの話を聞いておりまして、一つのバックグラウンドとしてこの問題が非常に大きな影響を与えているんではないかというふうに思っております。 と申しますのは、例えばスモンの場合も、キノホルムと言われる薬でスモンが発生をしているわけですが、それは単にキノホルムを使ったからというのではなくて、キノホルムの大量使用というものをやったためにこういう結果が生まれたということを当時の専門家も言っております。あるいはクロロキンの場合も、本来あれはマラリアの薬として世界で使われていたのを他の分野に大量に使うことによって薬害が生じたというふうに言われております。 今回の事件そのものは、加熱製剤が出た時点での加熱製剤と非加熱製剤の薬価の差とか多少のことはありますけれども、必ずしもストレートにそれが原因というふうに言える、あるいはストレートに言えるかどうかは別といたしまして、日本の薬害なりいろいろなものの中でそういった薬価差益による薬の過剰な使用が背景に大きく影響しているというのは、先生がおっしゃった点についてはあるんではないかと、私も同感に思っております。
○山本正和君 そこで、もう随分長い間議論されておりますわけですが、お医者さんが安心して医療に取り組めるためには本当の意味での真の医薬分業がなくちゃいけない、これは昔から言われていることなんですね。ところが、我が国の医療事業の世界でいくと大変苦しい経営、良心的にやっていたらどうにも経営ができないというふうな問題がある。これもやっぱりまさに政府がきちんといろんな関係者の間での協議を重ねて解決すべきだろうと思うんです。 とにかくOECD加盟国、全部とは言いませんけれども、ヨーロッパと言わずアメリカと言わず、お医者さんが薬を売っているような国は日本だけなんです。これは何とかしなきゃいけないですよ。お医者さんにそんな暇があったら患者の問題やいろいろ医学の研究をしてもらったらいいと私は思うんです。 この前からもいろいろな問題が新聞で盛んに書かれる。クラフト社が医療機関にリベート云々というようなのも出てくる。あるいは薬事法上の薬局の許可が本当にされているんですかというようなのも出てくる。いろいろあるわけですね。そういうことを含めて、この医薬分業について厚生省としては今どういう決意で臨もうとしているのか、ちょっとこれだけお答えになってください。
○国務大臣(菅直人君) 今医薬の分業によって、本来の薬の適正な使用あるいは国民医療の質の向上というもののためにはそうした方向が必要ではないかという御質問だと思いますが、御承知のように、厚生省もそうした方向に沿っていろいろな施策をこの間進めてきたわけであります。 近年は数字の上では医薬分業は着実に進展をしてきているわけですが、そういう中で複数の医療機関からの薬剤の重複投与を避けたり、あるいは飲み合わせの副作用を防ぐことができるように医薬分業のメリットが発揮されて、広く国民に受け入れられるそういう医薬分業というものがより進められなければならないというふうに考えております。 医薬分業のメリットが発揮されるためには、今考えられておりますのは、先生はもう御専門ですから御承知だと思いますが、いろいろな医療機関にかかっても、例えば自分の一つのかかりつけの薬局というようなものがあって、そこで薬をもらうことによって適正な医薬の使用ができるようにする。そういうことのために、現在、医薬分業推進センターというものを設けて、医薬品の備蓄や休日夜間の調剤などを行うそういう機関をつくり、厚生省としても援助いたしております。 また、医薬分業に対する国民の理解を得るための啓発活動、さらには健康保険における調剤報酬上の評価などを行っております。 今後の対策といたしましては、本年四月の調剤報酬の改定により、面的分業という言い方をしておりますが、そういった医薬分業の推進につながるよヶな評価を行う。また、医薬分業計画の策定指針を作成する。さらには、適正な医薬分業を推進するために薬剤師の方に薬局の管理者の役割を、いわば責任と同時に権限を強化いたしまして、薬剤師が薬剤の適正な使用に必要な情報を薬局の設置者に対して伝えるいわば義務を課し、またそれにある程度応じる義務をまた課す。そういったことで進めているところであります。 そういったことを含めまして、先ほどの御質問にもありましたが、今回薬害エイズ問題を一つのきっかけといたしまして、今後の薬事行政をどういうふうに考えていくかという問題で、実は厚生科学会議に何人かの方に加わっていただいた形で議論をしていただこうということと、あわせて今省内にそういういろいろな問題指摘を受けとめるための場を設けようといたしております。 過大な薬価差は薬剤使用や薬剤費の適正化の観点から問題があると思いまして、薬価の算定方式の見直し、多剤投与の場合の薬剤費の低減等の措置はこれまでも講じてきたところでありますけれども、医療現場において薬剤の使用の適正化を図るため、臨床病理というんでしょうか、そういったものがお医者さんの中で学ばれているのが不十分じゃないかという指摘もありますので、医師国家試験の内容あるいはその後の研修など、そういったものについても充実させたい。 そういうことも含めまして、薬価基準制度のあり方について、医薬品の使用と薬剤費の一層の適正化を図る観点から、今後の薬価調査方式や医薬品の購入方法の透明化、さらには薬価差の解消方法について検討を行うために、厚生省内に薬価差益問題プロジェクトチームというものをできれば今週中にも設けたい。 こういうことを含めて、今、先生が指摘された問題あるいは厚生科学会議などでもいろいろ議論をしていただいた中身について受けとめて、改革につなげられるよう検討を進めていきたいと、このように考えております。
○山本正和君 「もんじゅ」の問題をちょっと聞いておきたいんですが、これは本会議でも御報告いだだきましたから詳しくはお聞きする必要はないんですけれども、「もんじゅ」に象徴されるこういう原子力に対する国民の不信の問題も含めて新しいエネルギー問題、これをまず科学技術庁長官に御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(中川秀直君) 今度の事故で率直に私が感じましたことは、エネルギーの問題は国民的な合意をつくっていかなきゃいけないということでございました。 明らかに言えますことは、万々が一の事故が起きたときには直接被害をこうむるのは立地点の住民であり市民でございます。したがって、安全というものは何にも増して最優先されるべきことでございますが、その安全というものに対する、何が安全かということは、もちろん科学者の技術的知見は十分に参考にしなければなりませんけれども、究極的にはやっぱり市民あるいは住民が決めていくべきもので、事業者のものでもなければ行政のものでもないと、こういうことを痛感した次第でございます。 そういう観点から、エネルギーについて今と未来、そして日本のみならず日本と世界ということも考えなきゃなりません。また同時に、これはバランスの議論でございますけれども、安全と環境問題、それから経済、暮らしとエネルギー、こういうものがどうあるべきかという議論になってくるのではないかと存じます。 新しいエネルギーに対する研究開発については、科学技術庁としても、かねて科学技術会議の御提言等も総理に提出されている。その研究開発の課題に沿って、例えば高温ガス炉の研究とか潮力、波力による発電の研究とか懸命にやっておりますし、また太陽光等についても当然熱心に取り組まれるべき課題である、こう考えております。 しかし現実に、天候が悪いとき、気象条件が悪いときには実際太陽光の発電は起きませんし、また量、規模、現実性、コスト、いろんなものが、例えば太陽光の場合ですと二百円ぐらいかかる、原子力だと九円とか、火力の場合、化石燃料の場合は十円とか、そういう現実性ということもある。そういうことを立地点のみならず消費地の皆様方にも真剣に考えていただくということが極めて肝要である。そういうために円卓会議でさまざまな角度から御議論を賜りたい、こう考えておる次第でございます。
○山本正和君 そこで、実は朝日新聞の四月八日の「論壇」に「太陽光発電の普及策をドイツに学べ」という論文が出ておりました。これは通産大臣並びに建設大臣にお読みいただいてひとつ御感想を承りたい。 というのは、今我が国の経済構造転換とかいろいろ言っていますね。小さくいえばベンチャー企業の問題なんかがありますけれども、要するに、経済構造を変えていかなきゃいけないんですけれども、産業構造そのものも大きく変えていかなきゃいけないという中で、実はエネルギー問題の占める割合というのは非常に大きい。通産省は既にこの問題には目をつけて、一住宅当たり三十平米の補助なんかもしているんですけれども、その辺を含めて、ドイツではここまで行っている、日本はどうもまだけちみたいに見えるんですが、ちょっとその辺、一遍通産大臣にまず御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(塚原俊平君) 「論壇」、栗原先生の文章を拝見いたしました。これは、非常に地元がやる気になって、皆さんが電力料金の中から幾らかの負担をして、そして新しい発電装置をつくっていこうということなんですが、日本の場合は一応電源開発促進税で必要な財源を確保するというようなことをいたしております。これは電力料金等にもかかわってくる問題でございますし、現在この電源開発促進税の中で私どもがいたしております太陽光に対する作業というものも、これから積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。 計画につきましては、一応、今全体は二万六千キロワット程度ということで、これは私どもの公式統計はないんですが、業界によればそういうことなんですが、いわゆる新エネルギー導入大綱では、二〇〇〇年には四十万キロワット、二〇一〇年には四百六十万キロワットの実現を目指していきたいというふうに考えております。 この「論壇」を拝見させていただきまして、さらに私どもも新しいエネルギー開発の重要性もしっかり認識をいたしますとともに、このような形で地域住民の皆様方も積極的に御参加いただけるというのはすばらしいアイデアではあるかもしれませんが、やはり現在の制度の中でやってまいりたいというふうに考えております。
○国務大臣(中尾栄一君) ただいま通産大臣から御答弁がございましたが、私も実は不学にしてこのような勉強はしていなかったのでございますが、つい先般の朝日新聞は読ませていただきました。 省エネルギーを初めといたします環境対策の推進は、建築、住宅分野におきましても重要な課題であると認識しておることはもう先生の御指摘のとおりでございます。この観点から建設省としましても、御指摘の太陽光発電等のソーラーシステムの普及、これは積極的に推進していかなければなるまい、このように考えておる次第でございます。 一方、太陽光発電につきましては、コスト並びに耐久性あるいは景観等の問題が、写真も添付されておりましたのを見てみますると、確かにそのような問題もあろうかなと思います。確かにその問題はあっても、今後とも建設省としましては、通産省と十分に協力し合いまして太陽光発電の低コスト化あるいは景観に配慮した設計方法の開発などの誘導をいたしまして、ソーラーハウスの普及促進に全力を挙げて尽くしていきたいものだ、このように考えておる次第でございます。
○山本正和君 この論文は、電力料金の一%を出して、そして全部太陽光発電をやってエネルギー問題を解決しよう、こういう発想なんです。 私は、確かに原子力に対して国が関与しなければ、国が援助しなければできないということはわかっていますから、国のそれは必要だと思うんですけれども、あわせてこういうところにも国家政策としてやれば、そうするともっとたくさんつくるわけですから、大量生産で太陽光発電のあらゆるものがどんどんコストも下がってくる、新しい産業も生まれると思います。 通産省、そういう意味でいったらいろんなプランの中にぜひひとつこれを入れて御努力願いたいし、それから建設大臣にお願いしておきたいのは、都市計画なりあるいは建築基準法なりの中にこの種の問題が今後考慮に入らないかということでぜひ御検討いただきたい、こう思っておりますが、以上二点につきましていかがでございますか。
○国務大臣(塚原俊平君) 長期エネルギーの需給見通しで、できるだけ石油に対する全体の率を少なくしていきたいというのがございます。現実に、石油資源等が、一番最初の石油危機のときから見ますと、はるかに埋蔵量が豊富であるとかあるいは掘削技術が進んでいる等々のものがございます。 ただ、やはり環境問題等を考えましたときに、私どもは石油、石炭の発電の割合はでき得るならば下げていった方がいいんじゃないか。そういうことになると、そのかわるチャンピオンは原子力ということになるのですが、原子力に対しましてはまだいろいろな御議論がある。私どもは、それぞれの地域の皆様方に御理解をいただきながらこれは進めていかなくちゃいけないと思います。 そういった中で、非常に夢とロマンのある問題として今の新エネルギーのお話等があるわけでございまして、通産省といたしましても今後とも積極的に開発に努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
○国務大臣(中尾栄一君) この問題は、ただいま通産大臣からも御答弁ございましたように、通産省はエネ庁を持っておりますので相当学問的にも進めてやっているかもしれません。 うちの建設省の方では住宅局の方でこれを担当しておりまして、これはやはりある意味においては調査予算を十分に盛ってもこの問題についてはコーディネートしていくことが極めて大事かなと、私はそのように考えておる次第でございます。積極果敢にやってみたいと思います。
○山本正和君 そこで、住専の問題にまた戻ります。 私はこう思うんです。政府の責任というのは大変つらいときもある。そして、国政全般を見ていく中で、場合によっては国民から理解をされないで、もう徹底的に袋だたきに遭うこともあると思うんです。橋本総理が大蔵大臣のときに、私もまたこの予算委員会でやり合いをした消費税を思い出します。いろいろあると思うんです。だけれども、はっきりと中身がわかっておって国民の御批判を仰ぐということを条件にしなければやっぱり政治の責任は果たせないんだろうと思うんです。 住専問題というものがなぜこうなってしまったか。私は前総理の村山さんにも申し上げたいのですが、あの人がよく言ったことに、細川総理のことを、よく夜騒ぐ男じゃなと、こう言った。夜中に何やかや決まるというのでね。しかし、私は、村山さんがこの住専問題の記者会見をしたのがやっぱり夜の夜中だったんです。こういうことで住専対策を決めましたと記者会見した。そのときには、率直に言いますけれども、恐らく経済記者の皆さんはいないんですよ。社会部か政治部か内閣付の人しか恐らくいなかったんじゃないかと思う、おる人もおったのかもしれないけれども。 ですから、私は、この種の国民に非常に大きな関心を持っていただかなきゃいけないような問題は、少なくとも政策発表するという段階では各界各層の経済の専門家あるいは国民の皆さんにきちっとした説明をして、そしてその形態を踏んで、そして昼間みんなが集まれるときに、なるべくなら経済専門家の記者を呼んで来てもらって、経済専門の論説委員もみんなおる中で記者会見して発表すればよかったと思う。しかし、それは今さら言っても繰り言ですから言いません。 私が総理に申し上げたいのは、この住専処理というのは、これはまさに日本の国が経済構造の大転換せざるを得ないときのどうしても踏み越えなけりゃならない階段だと私は思うんです。その階段を上るに当たって、大変これは苦しいと思うんです、総理大臣として。しかし、国家国民のために総理はひとつ橋本節で元気を出してタフに頑張っていただきたい、このことを特にお願いしておきたいんですが、最後に御感想があれば承りたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 物事を後から振り返ってみますと、あのときこうしておけばよかったと思うことというのは、さまざまな場合にございます。この住専の問題にいたしましても、昨年の夏以降真剣な検討が与党の中におきましても、また政府部内におきましても行われてまいりました。しかし、そのプロセスが必ずしも公開されておらなかった、そして私どもの問題意識と世間の皆さんに持っていただいていた予備知識の間にはギャップがあった、私は議員の御指摘のとおりだろうと思います。そしてある意味では、当事者間の話し合いをぎりぎりまで煮詰めようとして努力をした結果、公的資金の投入という決断が唐突のものに映った、これも私はその御批判はまともに受けなければならないと思います。 さらに、大変不幸でありましたのは、住専というものが政府の処理案でいけばなくなるんだということが、国民に御理解をいただきます前に、何となく公的資金の投入によって住専が存続するかのような印象を世間に与えてしまった等々、振り返ってみれば反省すべき点は多くございます。しかし、私どもは日本の金融機関の抱える不良資産の処理というものを完了しなければ、そしてその不良資産処理を完了した上で自己責任の原則に基づき透明性のある金融行政というものを再構築しなければ、国の内外における我が国の金融システムヘの信頼というものを、本当の再構築が終わったとは言えない、その喫緊の課題としてこの問題に今取り組んでまいります。どうぞこれからも御協力、御指導を賜りますよう、よろしくお願いをいたします。
○山本正和君 ありがとうございました。
○委員長(井上裕君) 以上で山本正和君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(井上裕君) 次に、上田耕一郎君の質疑を行います。上田耕一郎君。
○上田耕一郎君 日本共産党の上田でございます。 まず、住専問題についてお伺いいたします。 衆議院で予算が玉虫色、どうも色もついていないんじゃないかと思うぐらいの妥協で通過をいたしました。あの合意事項に「制度を整備した上で措置する」と、こうありますけれども、首相、どういう意味ですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 国会における与野党の合意を、政府に解釈権限があるのかどうか、ちょっと私は気になります。 しかし、私は、今回の与野党合意で「制度を整備した上で措置する」とされました緊急金融安定化資金の六千八百五十億円というものにつきましては、従来から本院におきましても御答弁を申し上げてまいりましたような徹底した債権回収を図るための体制整備に一層積極的に取り組んでいくことを初めとして、今後行われます特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法案の審議における御議論等を十分に踏まえながら措置していくということに尽きようかと思います。
○上田耕一郎君 首相は自民党の総裁でもあるのでお伺いしたんです。お伺いすると、まことに当たり前のことで、六千八百五十億円の削除でも修正でもありません。これは新進党がピケなどという愚行を演じたからこういうことになるんですよ。 首相も参加された三月二十五日の衆議院議長のもとでの五党首合意、これには母体行の追加負担問題、真相の解明、対策、この三つについて徹底審議する、そういうことになっていたはずなのに、これがじゅうりんされまして突如国対政治の登場、どうも竹下元首相の名まで出てくるんですね。永田町の論理でこういうとんでもないことになったと。 国民の政治不信はますます高まると思うんだけれども、首相、その政治責任をどう感じておられますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 三月二十五日に行われました合意事項と申しますものは、そのとおり読み上げさせていただきますが、「予算委員会及び衆議院本会議における平成八年度予算(案)の審議は各党の意見を尊重し十分な審議を行い、強引な採決は行わない。証人喚問等について、予算委員会は真摯に受け止め協議して対応する。」というものであると心得ております。その文章を今そのまま読み上げたわけであります。
○上田耕一郎君 あのとき土井議長は、その文章を提案するときに、与党三党と共産党との三項目の合意、それから土井議長の共産党、与党三党との二項目の合意、これを踏まえてと言っているんですから、あなた、首相は党首なのに不勉強過ぎる。 さて、それを受けていよいよ参議院なんですね。参議院はこれまでも、小選挙区制法案を見事に否決したり、平成二年、三年、四年、本予算を三回否決したというすばらしい実績を持っているところでございます。そこで、国民の九割が反対している六千八百五十億円の削除の修正を参議院はやっぱりやりたいと思うんですね。条件は大体出てきていますよ。与党の山本委員は先ほど共産党の母体行責任、大変褒めてくださいました。どうもありがとうございました。それから、与党自民党の大河原委員も、十二日の質問で、母体行に対する直接負担の増加、これは国民的合意と申しますか、理解を得るために必要だと、与党の総括質問のトップでこう言われている。私は、審議の流れができつつある、共産党、頑張ったかいがあると思っているんですけれども。 そこで、西村局長、お伺いしたいんだけれども、系列ノンバンクの破綻の処理については母体行が責任を持つというのがこれまでルールだったはずで、公的資金の投入はしないというのは大蔵省もかつてはそういう態度をとっていた。 それで、二月十六日の衆議院予算委員会で寺村元銀行局長が林大蔵大臣にどういう住専の処理方針の説明をしたか、そこの議事録を読み上げてください。
○政府委員(西村吉正君) 二月十六日の寺村参考人の答弁のこの部分をお指してはないかと思うのでございますが、 それから、林大蔵大臣に羽田大蔵大臣から内 閣改造で変化がございまして、五年の初めに、 住専の問題、どう考えるのだという御質問がご ざいました。これは、住専は金融機関の過剰貸 し付けで起きた問題でございますから金融機関 の自己責任で処理をするのだ、それから、公的 資金は入れない方がいいと思う、このくだりではなかろうかと存じます。
○上田耕一郎君 お聞きのとおりで、これがルールなんですよ、法律では決まっていないけど。なぜこうなっているかというと、母体行が処理しないと何だあの銀行はというので自分の信頼が崩壊するからですよ。だからそれがルールだった。 なぜこのルールを変えたんですか、局長。
○政府委員(西村吉正君) 私の理解では、今御指摘の問題と寺村さんの答弁とはちょっと違った視点があるのではないかと存じます。 いわゆるノンバンクの処理につきまして従来どういう考え方で対処されてきたか、この点につきましては、ノンバンクといいましても銀行との関係はいろいろございます。銀行が一対一で全面的に責任を持って経営をしてきた、こういうものにつきましては、従来、上田委員御指摘のように、母体行が責任を持って対応してきたというものが多うございます。しかしながら、独立系ノンバンクと言われているようなものにつきましては、全く債権者が同じ立場で対応をしてきていると思います。 そこで、しからば住専というのは母体行との関係においてどういう位置づけになるのか、この点に関しまして、いわば完全な直系ノンバンクと独立系の間にあろうかと思いますけれども、どのような間の位置づけがあるのか、この点に関しましては七社それぞれ違います。それぞれ性格が違いますので一概には言えないのでございますが、ただ寺村参考人が申し上げておりますのは、そういうもの全体を通じましてやはり金融機関の破綻処理というものは自己責任で行うということが原則である、そういう気持ちですべて取り組むということが建前であると、このような御説明を申したものと理解をいたしております。
○上田耕一郎君 私も経過を全部知っているけれども、母体行主義か修正母体行主義かで議論をやるつもりじゃないんです。 寺村参考人は公的資金を使わないと言っているんでしょう。なぜ今度使うんですか。
○政府委員(西村吉正君) 寺村参考人のみならず、私ども大蔵省の行政といたしましても、金融機関の破綻処理、ましてやこの住専を含みますノンバンクの処理につきまして公的資金を使わないことが望ましいと、そういうことをせずに済むのであればその方が望ましいという考え方をとってきているわけでございます。 しかしながら、今回、住専につきまして、政府の御提案をお願いしておりますゆえんは、第一に、この住専というものが通常のノンバンクとは異なりまして、三百に上る金融機関の非常に先鋭な対立のもとにある複雑な権利関係を背負っている。これを当事者の解決にゆだねることは非常に時間がかかる問題である。それからもう一つは、住専七社に共通した大きな融資元というものがある。すなわち、系統金融機関が四二%の融資をしているというような共通点があって、かつ系統金融機関という弱い立場にある金融機関の立場をも考えつつ一括して処理をしなければいけない。どういう全体的な住専の性格、そして日本の国際金融の中で位置づけられております立場を勘案いたしまして、一日も早く問題を解決するために公的な支援というものをもあわせてお願いをしたい、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
○上田耕一郎君 今の局長の説明は古い説明で、もう衆議院の審議で崩れちゃっているんですよ。 久保大蔵大臣にお伺いしたい。 共産党は、農協の系統の責任ももちろん重視したけれども、母体行の責任を専ら重視してきた。 久保大蔵大臣は、二月二十八日、松本善明質問に対して、三兆五千億の債権放棄だけでなく追加負担が必要、そう答弁、次に四月五日、佐々木陸海質問に、負担額は六千八百五十億円にとどまらない、こう答弁されて、四月八日、誠意を持ってそのために努力すると、こう答弁。これは重要な到達点なんです、衆議院の審議の。皆さんもこの到達点、共同で大事にしてください。 さて、この到達点に立って大河原委員は、十二日にこの母体行責任を追及された。久保大蔵大臣はこう答えておる。これは速記録です。銀行側は名案が出ない。「こちらからその名案を提示することも必要になってくるな」と、こう答弁された。名案をこちらから出そうというところまで来ているわけです。 大蔵大臣は、十一日に松本善明に対して、その追加負担を求めると六千八百五十億の財政支出に関する部分が縮減されると、こう答弁された。減るんですよ、名案を出せば。これは早く出す必要がある、この予算委員会が終わるまでに。いつ出しますか。
○国務大臣(久保亘君) 今、上田さんは、衆議院予算委員会で共産党の委員の方に私がお答えした部分だけを抽出されましたが、これは各党の方にそう申し上げたのでございます。 そして、私が申し上げておりますことは、住専問題の設立、出資、人事、経営、そういったもの一切のいきさつを顧みるときに、母体行の責任は同じ貸し手経営責任を持つ農協系統金融機関等と比べた場合にはるかに重い責任がある。その意味では、三・五兆の債権全額放棄を行ったからこれですべては済んだと考えているなら間違いであるということを当初から私は申し上げてまいりました。今もそう思っております。 そのことに対して、それでは母体行、いわゆる銀行側はどう考えているか。銀行側が考えておりますことは、確かに三・五兆の債権の全額放棄もいたしました。それだけではありません。私たちは、住専処理機構に対して二兆二千億規模の低利融資も合意をいたしております。それから、基金の拠出についても合意をいたしておりますということを言っておられるわけです。しかし、国会の審議の模様も御承知と思うが、それでは納得をされる状況にはなりませんよ。だから、もっとこの問題についてお互いに話し合うことが必要ではないかというのが私の側からの提起です。 これに対して、その後、与党三党の方も直接銀行側との話をされました。そして、そういうものも含めた上で与党三党の七項目にわたる新たな提案というのも行われたのでありますが、それですべては終わったということにはなっていないと私は思っております。そういう意味で、衆議院予算委員会において、共産党の委員の皆さんを初め皆様方の御質問にお答えをしてまいりました。 ただ、一つだけ私の方が申し上げたことで今明らかにされておりませんでしたことは、これは法的には新たな寄与を請求する手段というのがなかなか見出しがたい、ただ上田さんもおっしゃっておりますように、損害賠償請求権に当たるようなものについてはこれは徹底的に司法の力もかりて追及しなければならぬと思っておりますが、一般的に新たな寄与を法的に請求するというのは非常に難しいということについては衆議院の審議の段階でも御同意、こういうものを同意と言ってはいけないんでしょうけれども、そうかなというようなことで大体考え方は一致したと思うんです。 そこをどう越えるかという問題で、銀行協会の会長側がおっしゃっていることは、何か名案がありましょうか、こういうことを言われるわけです。それに対して私の方は、国会においてこの処理方策をお認めいただきましたら、その上に立ってできるだけ早く新たな寄与を話し合いたい、具体的なことも申し上げたい、そういうときが来ると今も私は思っているのであります。 ただ、もうこのスキーム全体がだめだということになりますと、今の合意いたしております三兆五千億の債権放棄を含めて法的処理の方へ移れば、一体我々の側からどういう提起ができるのか、これはまた舞台が新たな舞台になってしまうのかなと。その点で、私の方も今いろいろと検討をさせているところでございます。
○上田耕一郎君 やっぱり重要な流れができつつあると思うんですね。その名案についてお互いに協力し合いたいと思うんですよ。 先ほど紹介しました議長のもとでの五党首合意の中に「真相解明」というのがあるが、母体行、銀行が一体住専をどう扱ってきたかということの真相を明らかにすることが必要なんです。 これは朝日で、東海銀行の元支店長がこう言っているんです。支店長会議である常務が支店長は泥棒以外何でもやれと檄を飛ばしたのをはっきり覚えていますと、こうやってハッパをかけたんですよ。 さて、私は建設大臣にお伺いしたい。 私もいろいろ真相を調べました。銀行はバブル時代に不動産屋になり切っていたと。それで、不動産の仲介をやって手数料が取れないので、これは銀行法で取れないんですよ、協力預金という形で、不動産の仲介をすると三%ずつ両方からもらうでしょう、その五、六割は手に入れたというんですね。キックバックという手法をよく使ったそうです。 建設大臣、宅建業法の免許を持っていない銀行が事実上こうやって手数料を取っていたら、これ問題は起きませんか。
○国務大臣(中尾栄一君) 御質問の件につきましては詳細を承知しておりませんが、宅地建物取引業法違反の事実というものがあるならば私どもは厳正に対処してまいりたい、こう考えておる次第であります。
○上田耕一郎君 西村局長、銀行法違反になりませんか。信託銀行以外は不動産仲介ができないことになっているんです。
○政府委員(西村吉正君) 制度としてはおっしゃるとおりでございますが、御指摘のような事実があるということは私ども承知をいたしておりません。
○上田耕一郎君 何にも知らない。 法務大臣、こういう経済違反、違反があればきちんとやりますか。
○国務大臣(長尾立子君) 今お話しの具体的な状況については十分に承知をいたしておりませんので、お答えは差し控えさせていただきます。
○上田耕一郎君 今のは住専等とはある間接的な関係なんだけれども、住専との関係で一番重大なのは紹介融資の問題なんですね。日銀の大先輩の吉野俊彦さんがエコノミストに論文を書かれています。その論文の最後には、結局この問題では紹介融資の不良資産化されたものが最大の山場になるだろう、それで責任がある場合には当然母体行に及ぶべきだということを吉野さんもエコノミストの三月十二日号で厳しく書かれているんです。 それで、お伺いしたいんだが、私ども紹介融資の資料をいただきました。大変なことですよ。母体行が紹介融資した分の九一%が不良資産である、九割ですよ。 銀行局長、普通、銀行の業務で不良債権の発生率はどのぐらいですか。
○政府委員(西村吉正君) これはまさに銀行によってまちまちでございますが、今御指摘のような九一%というようなものでないことは事実でございます。 ただ、念のため申し上げますと、これは住専についてでございますが、住専七社全体の事業性貸付資金全体に占める不良債権の総額も八九・一%と高率になっております。これは住専の行動が芳しくないということの証拠でございますけれども、この母体行の紹介案件、若干高うはございますけれども、住専全体の姿から見まして飛び抜けたものでないということも申し添える必要があろうかと存じます。
○上田耕一郎君 配付した資料1を見てください。一般の業務の場合、不良債権は平均して三・三%ですよ。真ん中にあります。 そうすると、母体行の紹介融資の場合九一%というのはどんなに冷酷にやっていたかということのあらわれだけれども、同時に、こんなすごい格差があるのは、紹介融資の内規、基準があったはずだ。それで峻別するからこういうことになる。共産党が要求しても大蔵省は、銀行がそういう内規というのはありませんというので出してこない。 それで、我々自分で調べました。ある都市銀行の担当者が言いました。基準は三つある。一、土地は七掛け、建物は五掛け、この担保掛け目で融資額に届かない場合、二番目、収益還元法で評価して収益性に乏しい場合、三番目、エンドユーザーに行かないで転がしで実需につながらない場合、この三つの基準があるそうです。土地転がしの場合でも住専へ持っていくんだから。先ほどアメリカの例で貯蓄貸付組合のことを言いましたね。アメリカでは厳しくやって、逮捕者三万人、起訴六千四百人、有罪五千七百人、土地転がしで懲役二十年のケースがあるというんですよ。そういうことを住専に土地転がしまで回すわけだ。 こういうひどい状況で、大蔵大臣、内規はあるはずだから、母体行から当委員会に提出させていただきたい。
○政府委員(西村吉正君) 融資の手法につきましてはそれぞれの金融機関の自主性にゆだねられているところでございます。もとより、公共性のある金融機関として問題がございましたら、それは私どもといたしましても指導すべきものではございますけれども、一般的な金融の手法につきまして私どもが初めから指導するということは必ずしも適切でないと考えております。 なお、今紹介融資の基準とおっしゃいましたが、今おっしゃいましたようなことが、内規というのは文書で何らかの基準が定められているという意味のように受け取られますが、それはそのような性格のものとして御指摘があるということでございますならば、私どもはそういうことを承知いたしておるところではございません。
○上田耕一郎君 あれが官僚答弁というんですよね。もう僕の方が答えなきゃいけないようなことを言う。 さて、私はこの紹介融資の実情を担当した経験のある方からいろいろ聞きました。紹介融資の場合も、母体行は同時に一般行として紹介融資をやるというんですよ、自分の系列以外の住専に。自分の系列のところは親支店がうるさいのでなかなか面倒だ、だから自分の系列以外のところをねらって紹介融資をうんとやるんですって。だから、母体行は同時に兼一般行なんですよ。 その際、協力預金、バックファイナンス、これはひもつき融資のこと、これを大いに多用したというんです。局長、どういう中身ですか、これは。
○政府委員(西村吉正君) 協力預金と申しますのは、一般的には融資などの見返りとして預金を行ってもらうというようなことがかつて行われていたと言われております。私どもは、そういう問題がございましたので、数年前に望ましくないものとして指導をしたことがございます。 それから、バックファイナンスという言葉でございますが、これも新聞等でそういう言葉が使われているのは承知をしておりますけれども、使い方がいろいろあるようでございます。要するに、ある融資に関しまして他の金融機関が側面から資金的な支援をするというようなことを指しているようでございますけれども、使われ方はまちまちのように理解をいたしております。
○上田耕一郎君 私も担当者から図をかいてもらって、なかなか面倒なんですよ、それでかいてきました。これが紹介融資のバックファイナンスの仕組みなんですよ。(図表掲示) バックファイナンスというのは、バックアップという意味なんです、バックアップファイナンス。銀行支店が不動産業者から融資依頼があると、住専にそこで融資させるんです。しばらくたって自分の方からバックファイナンスで、だから一、二、三になるんです、お金を出す。このバックファイナンスの利率は市場金利より一%上乗せしてあるそうです。住専はそれにまた一、二%上乗せして不動産業者に貸すんです。住専に対しては先ほどの協力預金、これは通知預金で、ほとんど利率は少なくて十日から十四日でやらせるんです。 この協力預金でももうかる上にバックファイナンスで、例えば莫大な百億の不動産を扱った場合には一%でも一年間で一億円ですよ。それが手に入るというんですよ。これがバックファイナンス。そういうやり方を使っているんです。 局長、こういう実情をつかんでいないようだけれども、さて、こういうことを一番やったのが住友銀行なんですね。お配りした資料1の右の方に紹介融資額があります。住友銀行がトップ、総額二千六百八十八億円という状況になっている。 そこで、資料2を見てください。(図表掲示)これが住友銀行の紹介融資額。母体行としてやったのは七百三十二億円で、それ以外がはるかに多いんです、一般行としてやったものが。それで、何とロスは千四百五十三億円ですよ。母体行としてよりも系列以外の住専に一般行として紹介をやったのがこんなになっているんです。 局長、住友銀行の債権放棄額は幾らですか。
○政府委員(西村吉正君) 債権放棄そのものはまだ住友銀行はしておらないと思いますけれども、恐らく御指摘の点は、母体行として全額債権放棄のほかに一般行としてどれくらい放棄をする予定なんだと、こういう御指摘だと存じます。 一般行としては三百九十五億円の融資をいたしておりますので、そのうちどれだけを放棄するか、政府の処理案については基本的に賛成をしていただいておりますから、具体的には今後お決めになることかと存じますけれども、今の段階ではまだ決まっておりません。
○上田耕一郎君 一般行分はどうですか。
○政府委員(西村吉正君) 今申し上げたのが一般行としての融資額でございます。
○上田耕一郎君 母体行分の総額は。
○委員長(井上裕君) 上田君、手を挙げてください。
○上田耕一郎君 だから、母体行分、一般行分を合わせた総額。
○政府委員(西村吉正君) 母体行としての融資額は約四百億円だと理解をいたしております。
○上田耕一郎君 私、これに六百七十七億と書いた。これは「金融ビジネス」の数字で、今のを合わせると約七百幾らですね。債権放棄は両方合わせて今の局長答弁でも約七百億ですよ。ところが、ロスを与えた額は千四百億を超えているんだから。そうすると、本来自分が負担すべきものですよ、このロス千四百五十三億というのは。それだけのロスを住専に与えておいて、自分が放棄するのは七百億幾らで、半分なんですよ。しかも、もうけているんだから、先ほど言いましたようなバックファイナンスその他を使ってね。これはそのままにしていいですか。このロス分は当然住友銀行に負担させるべきだと思いませんか。これは大蔵大臣だ、局長はだめだ。
○政府委員(西村吉正君) 先ほど申し上げたのは母体行あるいは一般行としての融資額を申し上げたわけでございます。 ところで、今この資料で御指摘の紹介融資の額でございますが、確かに私どもから提出いたしました資料の中で、住友銀行に関します紹介融資の額はかなりの額に上っておることは事実でございます。 しかしながら、あの資料でも御説明申し上げましたように、紹介融資、これは確かに問題の多いものもたくさんございます。私どもその点は十分認識しておりますが、その紹介融資の性格というのはこれまたさまざまでございまして、金融機関の側が積極的に紹介をしたというものもございますし、住専の側が紹介をしてくださいというふうに金融機関に依頼をしたというものもございます。また、母体行に限らず一般行もこのように紹介をした案件もございますし、金融機関だけでなくて事業会社が融資の紹介をしたという事例もございます。 このように紹介融資というものはいろいろな問題を含んではおりますけれども、同じ性格のものとして一律に取り扱うということはなかなか難しい事情があるという点もあわせて御理解を願いたいと存じます。
○上田耕一郎君 この中で問題のあるところを当然負担すべきだと思うんですよ。 銀行側はほとんど資料を出してこない。紹介融資の実態についても出してこない。大蔵省は実態がわからぬと言う。けれども、私が先ほど言いました協力預金とかあるいはバックファイナンスというのは帳簿に残っているんですよ。だから、住専を使って大もうけをしたバックファイナンスを調べればこれは出てきますよ、問題のある紹介融資が。どうです、局長、それを調査して当委員会に、バックファイナンス、協力預金、この実態を銀行から出させるべきだ。要求したいと思いますが、これは大蔵大臣、どうですか。
○政府委員(西村吉正君) 私どもも紹介融資を初めといたしまして、世の中で御指摘のありますような問題については、厳格にその責任を追及するということについて同じような考え方を持っております。 ただ、その追及の仕方でございますけれども、先ほど申し上げましたように、紹介融資の事情というものはそれぞれさまざまでございます。そのような責任の追及はそれぞれの事情に応じまして、住専処理機構が住専から債権を引き継ぎまして、それをあらゆる法的手段も含めました手法をもちまして厳格にその責任を追及していく。その結果として損害賠償を求める場合もあり得ることはもう御指摘をまつまでもないことでございます。
○上田耕一郎君 大蔵大臣、どうですか。バックファイナンス、協力預金、この資料を国会に出して、問題のある部分について母体行に追加負担を求めるということについて大蔵大臣の見解をお伺いします。
○国務大臣(久保亘君) 銀行の持ちます公共性に反するような事実が存在すれば、そのことに対して銀行に責任を問うことは私は当然のことだと考えております。
○上田耕一郎君 さて、わかりやすくするためにパネルをいろいろ出しますけれども、これが母体行としての紹介融資とそれから一般行としての紹介融資の大蔵省提出の資料を図版化したものです。莫大な額ですよ。 母体行として九一%の不良債権の発生額、一般行として八八%ですよ。その中から五三%のロス見込み、四九%のロス見込み。半分ですよ。これを合わせますと一兆四千四百億円になるんだから、ロス額が。本来、自分がかぶるはずのロスだったんですよ。これを住専に押しつけたんだから。だからごみ箱と言われるわけだ。ごみ箱としてこれを押しつけて、しかももうけも取っていた。これは当然この中のかなりの部分を調べて負担させるべきだと思う。これはできると思いますよ。あり余るほど材料はある。六千八百五十億円、悠々とこういう母体行責任で追加させることができるじゃありませんか。 そこで首相、あなたは責任者なんだから、銀行から政治献金をもらっているとか、また借金もうんとして、それこそ銀行の不良債権を持っているんですよ、自民党は。そういうことで及び腰にならないで、こういう流れとして母体行の追加責任ということがこれだけ問題になって、与党も大問題にしているわけですから、これは任意の話し合いということになるかもしれませんけれども、首相として及び腰でなく、きっちりこの追加負担を実現するよう強力な指導をしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 自由民主党の借銭まで御心配をいただきまして光栄であります。ただ、我々は一生懸命に返済に努力をいたしておるということはまず申し上げておきます。 その上で、母体行に対してその責任を問う声は議員を初め今までにも多くの方からそうした声をちょうだいしました。そして、副総理久保大蔵大臣も、住専問題における母体行の責任というものについて、母体行自身が本来その責任を明らかにすべきだということも答弁をしておられます。私もそう思います。 殊に、今問題になりました紹介融資、これは住専処理機構が債権を回収していく過程におきましても、金融機関として違法な紹介融資などによって住専に対して損害を与えているということが明らかになれば、当然のことながら住専処理機構は住専から譲り受けた損害賠償請求権を行使することによってその責任を追及していくことになります。こうした行動に一日も早く我々が移れるよう、院としての御協力をも賜りたいと思っております。
○上田耕一郎君 我々は参議院でこれの削除を主張しているんですよ。なぜかというと、六千八百五十億円は手付金なんですよ。これをやると二次損失で何兆円にもなりますよ。信用組合でしょう、一般金融機関でしょう、大変なことになるのでそういう手付金はやめるべきだというのを我々は主張しております。スキームも手付金の一つでありますので、スキームに我々は反対です。そうでなく、母体行責任のルールでこれを解決することが日本の経済全体にとって非常に重要だということを指摘しておきたいと思います。 さて、予定の質問がもう時間が過ぎてできなくなりましたので、阪神・淡路の大震災問題に入りたい。 これは新聞その他が指摘していますが、私はこの住専問題だけで財政支出は三兆円近くになるだろうと思うんですね。国民一人当たり二万五千円近くになる。四人家族で十万円なんですよ。この三兆円あれば、被災者四十万世帯に対して一世帯当たり七百五十万円の支援ができる。七百五十万円出したら国民こぞって支持しますよ。九割以上支持すると思うんですね。 それで、被災地の復興の中心は人間なんです。その人間が今言いようのない状態にあるんです。自殺者もふえている。 三月十六日に神戸で公的支援拡大を求めるシンポジウムが開かれました。各党呼ばれまして、私も出席しました。最初に述べた医師会の会長は、一年たつと中堅で働いていた方々に疲れが出てきた、そのシンボルが灯油で焼身自殺された神戸の助役さんだと言って嘆いたんです。そこまで来ている。医師会や学界が呼びかけたアピール、公的支援拡大、各界から二千人の賛同、当日発表になりました。衆参両院の国会議員二百名以上が党派を超えてこれに賛成しているんですよ。 血を吐くような被災者のこの訴えに対して、国土庁長官、どう対処されますか。まず、お伺いします。
○国務大臣(鈴木和美君) 地震発生から一年三カ月が経過した現在でも、多くの方々が依然として仮設住宅などの仮住まいで不自由な生活を強いられておることは承知しております。同時に、これらの方々が公的資金援助の拡大を求めている声が大変強いということも承知はしております。 さて、政府といたしましては、もう先生御案内のとおり、被災者の生活の再建が最重要であるという認識に立って、その基礎となる雇用や住宅の確保を図るとともに、これまでさまざまな施策を講じてきたところでございます。 今後もこれらの施策を的確に実施するためにはより一層地元との意思疎通を図ることが必要なことから、先般、総理の指示にも従いまして、二月二十八日、現地で住宅対策を中心に意見の交換をしてきたところでございます。この問題は、建設省さんにお願いをいたしまして、現在住宅の的確な調査を行っておりますので、五月に現地においてこの問題の解決、もちろん家賃の問題も含めてでございます。それから、明日四月十六日、今度は経済復興、雇用の問題を中心に、現地からもおいでいただきまして東京で意見の交換を行う予定でございます。 いずれにいたしましても、私は、とりわけ仮設住宅から恒久的な住宅へのスムーズな移行、つまり早く恒久住宅の建設を急ぐことと、家賃対策を初めとする総合的な施策を全力で進める所存でございます。 なお、先生から今お話の公的支援ということの中身がはっきりいたしませんと、我々は全力を尽くしてまいっておりますが、仮にこれが個人補償というような状況になるとすれば、総理からもお答えをしているとおり、現行の憲法上の問題がございまして、公的資金のところにはなかなか手が届かないというのが残念ながら実情でございます。 それ以外については、これからも関係省庁と十分連絡をとり合いながら、現地とも連絡をとり合いながら万全を尽くしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○上田耕一郎君 やっぱり現地では今消極的な答弁があった個人補償の要求が非常に強いんですよ。雲仙などの場合には家を失った場合には一千万円出たのに、神戸では今まで出たのは十万とか二十万とか、その程度なんですから。 厚生大臣にお伺いしたい。現行法でも公的支援ができるんですよ。災害救助法第二十三条で救助の種類が決まっている。「救助の種類は、左の通りとする。」として、その七番目に「生業に必要な資金、器具又は資料の給与又は貸与」となっているんだから。ところが、この「給与」が死文になっているんですよ、「貸与」だけで。私は、現行法にちゃんと決まっているんだから、生業資金、器具または資料の給与、これをぜひ生かしていただきたいと思うんですけれども、厚生大臣、ぜひ積極的答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(菅直人君) 今の上田委員がおっしゃった点は昭和二十二年に制定されました現在の災害救助法の規定だと思いますが、この中では生業資金の給与または貸与が規定をされております。それは今おっしゃったとおりであります。 これに関しましては、その後、昭和三十年に現在の生活福祉資金貸付制度が創設されており、さらに昭和四十八年には災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律に基づく災害援護貸付金制度が創設されるなど、他の制度による公的資金による長期かつ低利の貸付制度が整備拡充されてきたことから、これまで災害救助法に基づく生業資金の給与は行ってこなかったところであります。このように、現在では災害救助法に基づく生業資金の給与を行うまでもなく、生業を支援するための所要の施策が講じられているところであると考えております。 なお、いろんなケースがあると思うんですが、主に家が倒れたときとかということもあり、一方では仕事をしている例えば工場がつぶれたとかというところでの問題、あるいは店舗がつぶれたという問題などがあるわけです。基本的にはこの災害救助法で想定しているのは生業に必要な資金ですから、どちらかといえば働く場に関連するものでありまして、働く場に関連するものの救済においては、現在の制度の中では先ほど申し上げました資金の貸し付けという制度がこの災害救助法よりもより充実した形でその後に決められておりますので、それを運用してきたというのがこれまでの経緯であり、そのことが少なくとも制度の比較の中でいえばこの間は適切であったという認識でやってきたところであります。
○上田耕一郎君 HIVではあれだけ積極的なのに、こういう問題になるとまるでもう背中を向けている。非常に悲しいですね。やっぱりこうなると首相の出番なんですよ。 今の説明でも、「給与又は貸与」のこの「貸与」の貸付制度がうんと広がった、あと弔慰金ができたと、それでこの「給与」の方は使っていないというんですよ。法律は「給与又は貸与」なんだから。貸与は広がったかもしれぬけれども、今度のような阪神・淡路大震災で本当にこの生業資金の給与を血を吐くように求めているんだから。憲法第二十五条に生存権が保障されているんですよ。首相の出番なんですよ、こうなると。あなたは厚生大臣の経験者でもあるし、首相、どうですか、現行法の規定を生かす方向でぜひ検討いただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、厚生大臣から理論的に従来とってまいりました議論については御紹介を申し上げました。 私自身、神戸の皆さんにお目にかかりましても、現地を拝見いたしましても、一年余りたちました今日、阪神・淡路大震災の復興の問題点というのはイショクジユウということにかかってきたと思います。ただ、そのイは着る衣ではありません。ドクターの医です。先ほどもお話がありましたように、精神的なケアを含めまして医療の面からどういう仕組みを考えていけるのか、また必要とするのか、これが一点であります。 ショクは、食べる方ではなくて、まさに職業です。震災後、例えば仮設工場あるいは仮設店舗、国会にも御協力をいただき、現地と御相談をしながら、当時私は通産大臣の立場でありますから、こうしたものを用意することに奔命いたしてまいりました。しかし、それがその後において、職業が被災地に戻ってきたという視点でこれを見ましたときに、実は震災前の神戸に存在した職業のごく一部分しかカバーしておりません。一体どうやれば地元の産業が立ち上がり、また職を得るチャンスを与えられるような産業を呼び起こせるのか、これがもう一つの課題であります。 そして、まさに恒久住宅を供給し、これに仮設住宅から移っていただくことを急いでいるわけでありますが、震災前の神戸の家賃の水準が非常に低廉な部分が相当多くありました。そのために、現在の非常に低い水準の家賃設定をいたしましても、その水準ですら従来の負担に比べて倍以上になるといった現実がございます。 これらの問題を我々は政府としての立場だけではなく現地の声を伺いながら対策を立てようということで、先般は国の方から、先ほど国土庁長官の報告でも申し上げましたように、中央から神戸の方に出向きまして一緒に会議をさせていただきました。今回、次の会は神戸の方から、また兵庫県の方から御上京を願って、より具体的な対応策を我々は詰めていこうといたしております。
○上田耕一郎君 十分な答弁じゃありませんけれども、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。 最後に、沖縄問題で質問をさせていただきます。 私どもは、昨年の十二月に約二十名の調査団で沖縄へ参りまして、調査報告書も最近発表したんですけれども、基地を持っている十八の自治体や県の方々、それからいろんなところをつぶさに見て、沖縄は残念ながら依然として事実上米軍の占領下にある、そういう結論になりました。 それで、今の沖縄県民の闘いは本当に超党派的に全県民の要求として進んでおりますので、今後この要求は強まりこそすれ弱まることはない、そう思います。その意味では、本土にいる我々も含めて、やっぱり米軍基地というのは一体何なのか、安保条約というのは一体何なのか、日本は二十一世紀に向かってどの方向に進むべきかという非常に深い問いを全国民に投げかけているものだと思うんです。 さて、首相は十二日に普天間飛行場の五-七年後の返還問題を公表されました。アメリカ側との交渉で何が一番難関だったですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 交渉のプロセスをお話しすることは私は控えるべきであると思います。 ただ、問題点として私自身が考えておりましたことの一つ、これは議員とあるいは意見が異なるかもしれません。しかし、私は、日米関係というものがこれから先においても日本のために必要なものであり、それは日本、アメリカだけの関係ではなく、世界的に非常に大切にされる関係であること、そしてその基盤に日米安全保障条約というものがあり、日米安保体制というものが堅持されていくことがその基盤をなしていること。そして今回、我々は、昨年の大変不幸な事件から沖縄の基地の整理、統合、縮小というものに真剣に取り組んでまいりました。県民の皆さんの今までの気持ちというものを本当に胸に抱きながら交渉はしていきますけれども、同時にそれが日米安保体制というものの価値を減ずるものにならないようにすること、こうした視点を私はみずからに言い聞かせておりました。
○上田耕一郎君 普天間飛行場の返還は、やっぱり沖縄県民の強い要求がかち取った譲歩だろうと思うんですよ。 それから、同時に重大な問題がある。首相が発表した合意の最後に、危機が起きたとき、米軍による施設の緊急使用を日米両国は共同で研究を行う、そう書いてある。これは何を意味しているんですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) まさに危機、あるいは緊急事態の発生と言いかえてもよろしいかもしれません。そうした事態の際に米軍が、例えば自衛隊の基地を使いたいというようなことを申し出られることがあるかもしれません。そうした問題については今まで議論をすることをお互いに避けてきたように思います。 しかし、今回、普天間の返還というものに、しかも全面的な返還というものにアメリカ側が踏み切るプロセスの中でこの問題は提起をされました。そして、この部分について御議論がありますならば、私は共同で研究をするということを私自身の責任で決心をいたしました。
○上田耕一郎君 首相は極めて重大なところに踏み込んだんですよ。これはつまり有事ですよ。有事のときに米軍が日本の施設を使う、このことを勝手に合意してきたんだから、それこそ有事立法への突破口をみずから開くというようなことじゃありませんか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 共同で研究することについて私は踏み切りました。それは確かに私自身の責任で踏み切ったことであります。しかし、その研究の成果がどう結論が出るのかはこれから始まることであります。
○上田耕一郎君 ガイドラインに基づく研究を見てください。もう何でもアメリカの言うとおりでしょう。研究して、アメリカが強いこと言ったらノーなんて言える態度は全くないんだから。 沖縄の琉球新報、それから沖縄タイムス、四月十五日の社説でともに今度の問題で懸念を表明しています。琉球新報は「軍事協力拡大の危険も」という題です。沖縄タイムスは「基地縮小に隠された代償」、こういう題です。 それで、いよいよクリントン米大統領が見えるけれども、その米大統領との共同声明で安保再定義と称して日米協力の一層の推進、これはアーミテージ氏によりますと、今まで政治同盟だったのを今度本格的な安保同盟にするんだ、本格的な攻守同盟、軍事同盟にする、そういう策謀が今度の安保再定義ですよ。これは集団自衛権にまでかかわる。 次の機会に詳しくやりますけれども、首相、こういう今の安保条約を極めて危険な本格的な軍事同盟にするような、そういう安保再定義の共同声明、絶対にあなたは結ぶ権利もないしゃるべきでないということをあなたに要望したいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 安保再定義という言葉をどのような意味でお使いになるのか存じません。しかし、日米安保体制というものは、冷戦終結の後におきましても、この東アジアを初めとして国際社会にさまざま不安定な要因を含んでおります中で、アジア太平洋地域、我が国自体を含めまして、平和と安定の中に維持する一つの大きな役割を持っております。これは、私は議員と意見が違うのかもしれませんが、厳然たる事実として皆さんはお認めいただけると思います。 そして、これからも私は日米間が安定し、そしてその基盤が日米安保条約というものに基づいて国際社会の中に位置づいていることがアジア太平洋地域の安定の上に大きな役割を果たす、しかもそれはひいては世界の平和のためにもプラスなことだと考えております。 そうした考え方のもとで、私は先ほど申し上げましたように確かに研究について合意をいたしました。その研究をすることも許されないということでありますならば、交渉はできなかったでありましょう。そして、隠れたという言葉をお使いになりましたが、私はその共同で研究するということを約束したことを隠しておりません。誤解のないようにお願いをいたしたい。 そして、私はまさにクリントン大統領との間で、できますならこれまでの安全保障分野における両国の緊密な対話の成果というものを踏まえながら、日米安全保障体制というものの、今このアジア太平洋地域の安定を含め果たしている重要な役割というものを改めて確認する共同文書を発出したいと考えております。
○上田耕一郎君 終わります。
○委員長(井上裕君) 以上で上田耕一郎君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(井上裕君) 次に、小島慶三君の質疑を行います。小島慶三君。
○小島慶三君 私は、限られた時間でございますので、従来の議論と重複しないように、論点を少し変えて御質問をしたいというふうに思います。 初めに、日銀総裁にお尋ねを実はしょうと思っていたんですけれども、ちょっとおくれておられるということなんで、これは後に回しまして、次の質問から始めさせていただきます。 私は、これは一昔も二昔も昔ですけれども、学生のときに中山伊知郎先生という大先生がおられまして、その先生に教わったのは、経済政策の目標というのは進歩と安定だと、この両立が非常に必要であるということを伺ったわけであります。 考えてみますと、進歩に対するいろんなニーズというのは予算上はほとんど大蔵省に集中しているわけで、反面、安定の方はその防壁として日本銀行というものがその機能を発揮するということが安定の基礎でありますけれども、その相反する立場の関係が大蔵省の全面的な管理監督下に日銀が置かれているというのは私は少しおかしいというふうに思っています。日銀の立場がともすれば弱くなる、世界一弱い中央銀行であるなんて言われるのは恐らくそこからくるというふうに思うのでございます。 一番の問題というのは、今は景気の屈折期に差しかかっておりますけれども、この景気の屈折する点で公定歩合を操作する、これがなかなかスムーズに行われない、ある意味では公定歩合の引き下げが早過ぎたりあるいは遅過ぎたりということで何かどうも実体経済とのアンバランスが生ずるというケースが多いと思うんです。 ですから、そういった点はバブルの過程でも私はあったと思うんですけれども、そういう点から見ると、やはりもう少し日本銀行に独立性あるいは自律性というものを与えて、そして安定という問題を、殊に通貨の安定という問題はまた日銀に与えられた非常に大事な権限でもありますので、その辺のところを少し修正する時期に来ているんではないかというふうに私は思うのでございます。日銀法の改正というふうな点が新聞でもちらほら出ておりますけれども、この辺についてひとつ総理大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変委員に申しわけないと存じます。本来なら日銀総裁がおられる前でお尋ねをいただき、お答えを申し上げる方が後の論議にはよかったのだと思いますが、まだ日銀総裁は御到着してないようであります。 ですから、一般論でお答えをして恐縮でありますけれども、私は、中央銀行の役割として非常に大事なもの、その一つは通貨価値の安定、そして信用制度の保持、育成を図る、またインフレに対する備えを続ける、こうした点を考えますときに、中央銀行の独立性の保持というものが非常に大切であることは言うまでもないわけであります。 そして、現行の日銀法を委員に御説明するまでもなく、法律上その独立性というものは配慮がなされておるわけであります。そして、その限りにおきまして、現行の日銀法の規定のもとでこれまで特に政策運営上支障となるといった問題は生じてこなかったと思いますし、その現実の前で日銀法の改正の緊急性というものはないというのが従来論じられてきたところでありました。 しかし、国際社会を見ますとき、日本の場合でありますと大蔵省と日銀となりますが、財政当局と中央銀行の関係というものはさまざまな形態がございます。そして、それぞれによさもまたそれゆえの問題点も私はあるのだと思います。 いずれにいたしましても、私は、中央銀行のあり方というのはそれぞれその国の経済あるいは金融システムの根幹にかかわる問題であり、もし中央銀行の存在の態様に変化を生じるような改正を考えるとき、それはその国の金融システム、経済システムの根幹にも触れる決意がなければならないことだと思いますし、逆に、経済、金融システムの根幹が動くような変化のときには中央銀行というものの存在についても改めて議論がなされるというのが常態でありましょう。 私は、それぞれの国の中央銀行と大蔵省当局との間の関係というものは一概に律し得ない、それはそれぞれの国のシステムと結びついた問題、そうした視点からこの問題を論じてみたいと存じます。
○小島慶三君 それぞれの国の実情に応じた制度を考えるべきだと、こういうお話でございます。それはもっともですけれども、今の日銀というのは、総動員体制のもとで国家権力というものの一翼を担うといいますか、それに従属させるという形で今の日銀法というのはつくられたというふうに私は思っておるわけです。 それで、一昨年の七月に改正されましたドイツのブンデスバンク法、これは中央銀行ですが、この第十二条を見ますと、「ブンデスバンクの連邦政府に対する関係」、ちょっと読ませていただきますと、「ドイツ・ブンデスバンクは、その任務を妨げない限り、連邦政府の一般的経済政策を支持する義務を負う。ドイツ・ブンデスバンクは、本法により賦与された権限の行使につき、連邦政府の指示を受けない。」というふうになっております。 それから、フランスの銀行法、この第一条には、「フランス銀行は、物価の安定の確保を目的として、金融政策を決定し、実施する。フランス銀行は、政府の一般経済政策の枠組みの中で、その使命を遂行する。」。そしてその次に、「これら権限を行使するに当たり、総裁、副総裁および金融政策理事会のその他構成員により代表されるフランス銀行は、政府あるいはいかなる者に指示を求めたり、また受け入れたりしてはならない。」ということで、非常にはっきりと中央銀行の使命とその独立性というものをうたっているわけであります。 やはり通貨の安定ということのためにはこのくらいの中央銀行の機能でないといけない。世界の流れというのは、このブンデスバンクやフランス銀行の今読み上げました規定のように流れてきているわけです。中央銀行に対する権限を与えるということで、かなり激しく流れてきている。 日本の場合にも、日本銀行法というのはかなり古い法律でもありますし、古い改正でもありますし、やはりこの際改正をお考えになってもいい時期ではないかというのが私の意見でございます。いかがでございましょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは久保副総理にお尋ねをいただきました方が最近の状況を踏まえて的確な御答弁ができるのかもしれません。今、議員はブンデスバンクの例とフランス中銀を例示に挙げられましたけれども、実態において私は、この両者には相当の差異があるように思います。 例えば、七カ国の大蔵大臣・中央銀行総裁が集まりましてG7が開かれます。通貨政策、金融政策の問題になりますと、ドイツの場合には完全にブンデスバンクの総裁がすべての発言を取り仕切る。ドイツの大蔵大臣には発言権が全くありません。それは議員の御指摘のとおりであります。ドイツの大蔵大臣がブンデスバンクに政府の意思をある程度強く反映させましたのは、両独統一の時点における東西両ドイツのマルクのレートの設定のときぐらいしか私には覚えがありませんでした。 しかし、フランス中銀の場合には私はより弾力性のある関係をフランス大蔵省との間に持っておるように思います。そして、G7で私どもがその席を占めておりましたときには、むしろどちらかといいますならフランス中銀よりはフランス大蔵省のベレゴボワ大臣の方がイニシアチブをとって発言しておられたように思いました。 私はその法律条文だけで必ずしも判断ができないと思います。
○小島慶三君 日銀総裁がお見えになる前に総理からいろいろお答えいただきまして、恐縮いたしました。 今の質問の要点は、要するに日銀法を改正するべき機運といいますか、そういう時節にもなってきたんではないか。もうちょっと大蔵省に対する日銀総裁あるいは日銀の権限というものを、その独立性、その自立性、あるいは日銀としての透明性と申しますか、情報公開のそういった面まで踏まえてひとつ組織あるいは機能というようなものを改正したらどうかというのが私の質問の要点でございましたんですが、総裁がお見えになりましたので、よろしければお答えいただきたいと思います。
○参考人(松下康雄君) 初めに、本日は遅参をいたしましてまことに失礼をいたしました。申しわけございません。 御質問についてでございますけれども、委員の御指摘のように、現行の日銀法は昭和十七年の制定でございますから、その形式あるいは当時の状況下におきます制度の立て方は、その後、戦後五十年を経ました今日の目から見ますというと、やはり今日の例えば海外各国の中央銀行のあり方について論ぜられ定められているところと比較いたしますといろいろな面でずれがあることは否定できないと存じます。 これまでのところは、政府の側におかれましてもこの法律の運用というような点でいろいろ弾力的にやっていただいておりますし、また制度的にも昭和二十四年に日銀政策委員会の制度が導入をされました。その後、金利政策に関しまして日銀の専管事項ということでやらせていただいておりますけれども、私ども、これから先の経済の市場化あるいは金融の国際化が進行していきます状態を考えますというと、やはりしかるべき時期にこの法律につきましても時代の要請に即応できるような改善が行われることは大変望ましいことと存じているところでございます。 御指摘のように、ちょうど今欧州中央銀行の設立の準備に関連をしまして欧州の各中央銀行におきましても、この際中央銀行のあり方を見直しまして、独立性等につきましての制度の統一を図っているというような機運が盛り上がっている時期でもございます。 もとより私どもは、こういう金融政策の関連におきまして、中央銀行としての独立性を高めるというような方向が実現をいたしますならば、これに伴いまして当然に中央銀行の政策そのものも透明性を高めるという形で十分責任の重みを果たし得るような、そういう制度が必要であろうというふうにも思うわけでございます。ただ、私どもといたしましては、中央銀行法は金融、経済に関します重要な基本法でございますから、これの根本的な改正ということになりますとすれば、やはり国民の英知を結集した御議論を尽くしていただくことが必要であるように思えます。 こういう点につきまして、今後中央銀行のあり方について議論が行われるということになりますならば、私どももこうした議論に積極的に貢献させていただきたいと思っております。
○小島慶三君 ありがとうございました。 そういう方向というか、そういう流れにやっぱり私はなってくると思います。殊にEUの中央銀行がそういう方向でいくということが原案になっておりますし、何かやはりそういう点をそろそろ御研究いただきたいというふうに思っております。 それで、私も前、日本銀行の政策委員として籍を置いておりましたので痛感したことであるんですけれども、政策委員会というのは、日銀法にきちっと書いてあって非常に大きな権限があるようですけれども、実際問題としては何か、先般大河原さんが御質問になりましたように、若干機能が弱いというふうなことで、そうなりますとどうしても大蔵省の指導というものがきつく出て、さっき申しました進歩と安定の安定の方が弱くなるという感じがしてならないわけでございます。 したがって、そういう点、チャンスがありましたら政策委員会の機能、位置づけ、そういった問題ももっときちっとしていただきたい。例えば、フランスやドイツの場合ですと理事会というものがきちっとしているようであります。そういうふうな形がいいのか日銀総裁の諮問委員会がいいのかわかりませんけれども、この辺はひとつ御研究していただきたいというふうに思います。 それからもう一つ、日銀の機能として非常に大事な問題として考査権というのがあるんです。一般の銀行の考査というのがありまして、これはやっぱり大蔵省の検査とは別に日銀がお互いに銀行同士で話し合うということで、非常に私は意味があるというふうに思っておりますんですけれども、これが法律には全然根拠がないわけです。ですから、こういう点も法律改正のときにはやはり入れていただきたいというふうに思っております。 その辺は日銀総裁、どうお考えか、ひとつお伺いしたいと思います。
○参考人(松下康雄君) 日銀の政策委員会は日本銀行の最高意思決定機関でございまして、実際に私も着任以来経験をいたしておりますけれども、委員の方々には平素から大変活発な御議論をいただいているところでございます。 その際に、先ほど申し述べましたように、今後、中央銀行の政策決定過程というものの透明性を高めていくという点につきましては、やはり私どもも独立性の向上、政策決定過程の透明性の向上、これは切り離すことのできないものだと考えております。ただその際、本当に合議体の内部で率直で建設的な御議論を自由にお願いするためにはどうすればいいかという点も大事でございますので、そういった点の工夫もあわせて考えるべきであろうかと思っております。 なお、最後に御指摘がございました日銀の考査の点でございますけれども、これは金融機関の監督の行政上の権限を持っておられる大蔵省の行われる法定の検査とは異なっておりまして、契約ベースで行っているものでございます。やはりその基礎は、現在日銀法の第一条に、日銀の主たる責務の一つに金融システムの安定性の確保ということが挙がっております。この目的をよりよく達成いたしますには、個別の金融機関の内容はもとよりでございますけれども、同時にその個別の金融機関が集まってつくっております市場の中で十分円滑な決済機能が行われているかとか、あるいはリスクが非常に偏ってどこか市場に発生していないかとか、そういう実情把握を行いますのに非常に効果を上げていると考えております。 したがいまして、この点は、今後とも内容につきましてはいろいろ工夫をしつつ向上していきたいと思いますけれども、重要な中央銀行の機能として私どもは考えてまいりたいと思っております。
○小島慶三君 残り時間がございませんので、私は、実はこれは最初に御質問しようと思った案件なんですけれども、ちょっと伺いたいと思うんです。 私は前から、今度の住専問題については日銀特融という形で処理されるのが一番無難ではないかということを申し上げてきたわけであります。それで、日銀の特融というのは、これは日銀法二十五条にもちゃんと書いてありますし、それから日銀というのは最後の貸し手でございますから、最後の貸し手としての信用不安に対する除去の問題あるいは金融市場の安定という問題については、やはり日銀の機能をフルに活用するということが一番適切ではあるまいかというふうに私は前から申し上げてきたわけであります。 この点は先般、実は総理、大蔵大臣にお伺いしたんですけれどもちょっと私よく理解できませんでしたので、きょうは日銀総裁がお見えでございますので、日銀総裁にこの点はどうなのかということをお伺いしたいと思います。よろしくどうぞ。
○参考人(松下康雄君) この住専処理の問題のポイントと申しますと、これは臨時応急の措置にとどまるものではございませんで、その最終的な損失をどこがどう分担するかという点であろうと思います。 その際に、日銀特融と申しましても、これは融資でございますから返済されるということが前提でございまして、これを最終的なロス埋めに使うということはできないというふうに考えております。仮に、日銀の特融で一時的につなぐという対応を図りましたとしても、それは処理を先延ばしすることでございまして、最終的な処理費用はかえって増大をする結果となると思われます。さらに、この日銀資金をもしもロス埋めに充てるといたしますと、それは日銀資産の劣化を通じまして通貨に対する信認の低下を招くというような重大な問題も惹起しかねないところであると考えております。 したがいまして、住専処理に日銀特融を使ってまいるということは適当とは申せないと考えるのでございますけれども、もとより金融システムの安定維持ということは日銀にとりまして根源的に重要な使命でございます。やはり住専処理の公的関与のあり方といたしましては、以上申し上げたように、日銀信用ということでなく、現在政府案としてお出しいただいております財政資金によるものが最善の方策であろうというふうに考えております。
○小島慶三君 そういう問題はあるんですけれども、結局は政策のバランスといいますか、例えば今のように予算で計上するということになりますと、これだけの国民的議論も発展いたしますし、それから議会も空転するという大変不幸なことが起こる。そういう手段と比べて日銀特融というのは、最後の始末をつける場合にいろいろ問題が出てくるかもしれませんが、これは十分に研究されてよかったのではないかというふうに私は思っているわけです。今のように時間がかかるということになりますと、かえってまた地価の下落とかいろんな問題が起こってくればそれだけ被害が大きくなるということで、日銀特融ならばそういう余り法律的な議論なしにできるわけでありますから、その方がかえってよかったのではないかというのが私の見解でございます。 結局、どういう政策をとるかというその筋道のバランスということから考えると、この方がよかったのではないかということを私考えているわけでございます。ちょっと今になってみると後始末になるかもしれませんが、きょうはせっかく日銀総裁がお見えでございましたので御意見を伺いました。どうもありがとうございました。 終わります。
○委員長(井上裕君) 以上で小島慶三君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(井上裕君) 次に、島袋宗康君の質疑を行います。島袋宗康君。
○島袋宗康君 普天間基地返還の合意の評価について質問したいと思います。 先日、普天間基地の全面返還の報道がなされましたが、本日、沖縄に関する特別委員会、SACOの中間報告が発表されました。そこで、急遽この問題を取り上げたいと思います。 まず、私は、この普天間基地事案の解決に最大限の努力を払ってこられました総理初め関係者の皆さん方に衷心から敬意を表するものでございます。 しかし、遺憾ながら、五年から七年の間にその基地が全面的に返還されるという可能性は非常に薄いのではないかというふうに考えております。それは過去にも那覇軍港の返還等いわゆる三事案、その問題が一九七四年、七五年の日米合同委員会で合意されながら、県内移設という条件がついたために結局いまだにその進展がないままに二十年が経過しているわけです。 そういうふうなことでありますから、今回の事案もたまたままた県内移設の条件というふうなものが厳しくついて回っているというふうになりますと、やっぱりこの辺で今回の合意は三事案の返還と同じ運命をたどっていくのではないかというふうに思えて仕方がないんです。 そこで、本当に五年から七年の間に返還が可能なのかどうか。三事案のような、今日まで二十年もたっているのにまだまだ日米の合意がなされないままに今日に至っているというふうな状況があってはならないというふうに思うから、その懸念をぜひ払拭していただきたいと思いますけれども、総理の決意のほどをお伺いします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、議員が今御指摘になったような状態を起こさないことにどうすればできるかを本当に真剣に考え、悩んでまいりました。そして、先ほど他の議員の方から危機における基地の共同使用の研究についてその責任を追及されましたけれども、その条件をも含めまして、どうすればこれが実現できるか、私自身の責任で考え抜いたつもりであります。 そして、その上で、県の御協力が得られるかどうかがこの一番大切な部分だと私は思い、モンデール大使たちにお目にかかります直前、一度知事に御連絡をとらせていただきました。そして、県内移設がどうしても一部は残る、それでも人口稠密地帯の普天間を閉じることができれば一歩前進と県は受けとめていただけるだろうか、本気で私は知事にお尋ねをいたしました。 率直に申し上げて、知事さんの声は必ずしも明るい声ではございませんでした。しかし、私自身、県内の他の既存の基地のどこか一角にヘリポートを移設したとしても、現在の人口桐密な、学校に隣接する場所への基地の存在を今回先送りするよりも全力を挙げてその可能性を追求したいと考えまして、先般発表したような内容にいたしました。 ですから、これから先、私は、五年から七年という、その五年を一日でも縮めたいと本当に思います。しかし、そのためには、移設する先の基地の周辺の皆さんの御理解をいただかなければなりません。また、環境アセスメント等、手続の上でもきちんと手順を踏まなければなりません。 同時に、普天間そのものにつきましても、返還をされました時点から、直ちに動かし得るような跡地利用計画を県と一緒になって我々はつくらなきやなりません。当然のことながら、地主の方々へもお願いを申し上げ、協力をいただかなきやなりません。 そういう作業をしていきますために、大変異例な形でありますけれども、これは知事にお願いをいたしまして、副知事あるいは調整監といった責任のある方に、古川内閣官房副長官のもとにつくるいわばこの問題についてのタスクフォースの中に中央省庁の官僚諸君と同じ地位でお入りをいただきたい、そして一緒に作業をしていただきたいということを私はお願いいたしました。知事もこの点については快諾を与えていただきました。 危険性はあります。しかし、私は県が協力をしてくださり、関係者が協力をしてくださればぬか喜びにしないで済むし、そういうふうに何とかこれから先を進めていきたいと心の底から願っております。
○島袋宗康君 五年から七年の期限を切って努力目標とされたということについては私は相当な根拠があると思いますけれども、五年から七年にした根拠というものは、総理としてはどういうお考えなのか、ちょっとお聞きします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) まず、県内にございます既存の基地の中でヘリポートを建設し、少なくとも現在の普天間よりも地域の方々に受け入れていただける場所を探さなければなりません。その場所を決定いたしましても、環境アセスメント等の作業の中で問題が生じれば他の候補地をまた選ぶこともしなければなりません。こうしたことを考えながら、その後の、もしアセスメントが無事に終了し地域の方々の協力がいただけるということになりました場合の今度は工事の時間等も考えなければなりません。そうしたことについて具体的に聞いてしまうことができませんでしたので、仮定の質問の中からさまざまな形で必要な時期というものは考え、五ないし七年という私は合意に達しました。 本当なら、県のアクションプログラムでは五年という日を区切っておられたわけであります。しかし、どこか適地を探したときに、適地と思われた場所で自然環境等あるいは埋蔵文化財等の問題が生じた場合には五年という時間では到底対応ができなくなりますので、そうしたことをも考えながら五ないし七年というぎりぎりの時間を選んだつもりであります。それでも専門家から言うとこの時間内では厳しいという声もございますが、私は県に御協力をいただくことによって一日でもこの時間を縮めたいと今心から願っております。
○島袋宗康君 モンデール駐日大使を初め米国関係者は実際に沖縄へ足を運んで実情を把握され、そしてこの事案解決を決意されたようであります。 総理は、実際御自分の目で普天間基地をごらんになったことがあるのかどうか。また、これから本当に真剣にもしこの五年から七年の間にこれを解決するためには相当な決意と、また総理の決断が必要だと思います。そういった意味で、沖縄の基地の実態をごらんになる必要があると思いますけれども、その辺についてお伺いします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私が沖縄県を最初に訪問いたしましたのは昭和四十年であります。それ以来もう数を勘定できる状況ではないぐらい公的にも私的にも県内を拝見してまいりました。 復帰の前後には本島における水道上水の水源探しでさまよったこともございます。その間、普天間だけではなく他の基地をもいろいろな角度から拝見させていただく機会はございました。ここ数年、そうした機会には恵まれておりませんが、実態は少なくとも全く無知のままでこの問題解決を決断したわけではございません。
○島袋宗康君 三事案の解決がなされなかった第一の原因は、明らかに政府の怠慢であった、努力不足、そういったものがあったのではないか、県内ではやはりそういった評価しかしておりません。県内の飽和状態にある基地の現状を県民はよく知っております。県内に新たに基地建設を許さないという強い意思は県内で確認されております。 ところが、一部では三事案が実現できなかったのは地元側の協力が得られなかったからだという指摘があるのも事実であります。総理は、いわゆる三事案の解決ができなかったのは何が原因なのか、それを再度ひとつ御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、他のケースについてそのプロセスをよく熟知はいたしておりません。ですから、そうした御質問にお答えをするだけの過去の経緯をよく承知いたしておりません。 ただ、今回の普天間基地の問題につきましては、私は県内移設で対応せざるを得ない状況を大田知事には御説明を申し上げ、決してもろ手を挙げて喜んでいただいたわけではありませんが、現状より一歩前進と、県としても協力をするというお返事をいただき、最終的な回答をアメリカ側にいたしております。
○島袋宗康君 先日の普天間基地返還に関する記者会見で、総理は沖縄県初め地元関係者の努力を要請しておられますけれども、総理は沖縄県当局に何を期待されるのか。 今回、若干の前進が認められたとしても、県内の移設につき沖縄県の立場として率先協力するということはなかなかこれは至難のわざです。それを、先ほどの答弁によりますと、県のいわゆる関係市町村の協力というふうなことについては、沖縄の基地はもうこれ以上要らない、飽和状態なんです。それを新たにまた基地建設をするということは、とてもじゃないけれども県内の情勢はそれは許しません。ですから、それを何とかして全面的な解決をしてほしいというのが県内のいわゆる米軍に対する基地の問題の取り扱いと思っております。この点について再度御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、私に対して普天間基地のめどをつけてほしいと言われた知事の言葉に対して、誠心誠意おこたえをしてきたつもりであります。知事から求められましたものは、普天間基地の将来について日付を入れてほしいという強い御要請でありました。そして、その御要請にこたえるべく私は私なりに全力を尽くしたつもりであります。 そして、そのプロセスの中で県内移設、しかもそれは何も今の普天間基地そのままを全部県内に動かすと申しているのではございません。一部は他の地域に、そしてヘリポートは県内の既存のどこかの基地へというようなことを申し上げながら、知事さんにそれで受けとめていただけるかどうかを私は真剣に伺いました。ですから、知事はもろ手を挙げて喜ばれたわけではありませんということを私はつけ加え、しかしそれでも大きく一歩前進したと言っていただきました。私は知事の言葉を信じております。
○島袋宗康君 そういうことで、いろいろこれから沖縄の基地問題というものはますます、県内の移設ということについては相当県内の合意は難しいだろうというふうにも考えますけれども、さらに努力をしていただきたいというふうに思います。 そして、中間報告の内容がすべて実現されたときに沖縄の基地は在日米軍専用施設の全体の何%に当たりますか。そして、それは秋に行われる最終報告で何%程度になることを目標にしておられますか。 これらの基地の移転にはどの程度の費用がかかるか、その試算があればお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(秋山昌廣君) 現在、沖縄に米軍施設は面積で二万三千五百ヘクタールあるわけでございます。今回の中間報告での返還に合意いたしました案件の面積をトータルいたしますと、まだ細かいところが詰まっておりませんので正確ではございませんが、ほぼ全体の二〇%、あるいはそれを超えるといったような状況でございます。
○島袋宗康君 費用について。
○政府委員(秋山昌廣君) 経費につきましては、そのうちの多くのものが移設、移設のないものもございますけれども、移設ということを考えております。この移設のため、いわゆるリロケーションのための経費でございますが、まだそれは積み上げておりません。おりませんけれども、相当の金額になるだろうというふうに考えております。
○島袋宗康君 私ども、日本復帰をするために、「沖縄を返せ」という歌を歌ってきました。最近、ちまたではこの歌を、「沖縄を返せ」を「沖縄へ返せ」というふうな読みかえをして歌われております。その真意はどこにあるかというふうなことを、まず総理に、「沖縄を」でなく「沖縄へ返せ」というふうな読みかえをしておりますけれども、その問題意識がありましたら、ひとつお教え願いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 議員にお教えをするほど私は沖縄のことを十分存じているわけではございません。 しかし、過去にも沖縄県の皆さんとは、対馬丸の問題、あるいは六歳未満で戦禍のために負傷された児童の問題、さらに二重国籍を解消すべき問題、いろいろなことで私は沖縄の皆さんとのかかわりを持ってまいりました。そのうちのどれだけを議員が知っていてくださるか私にはわかりません。 そうした中で、随分いろいろなことを見てきたつもりでありましたが、総理に就任をいたしました後、最初に大田沖縄県知事、吉元副知事にお目にかかりまして、知事の話を伺いましたとき、私自身が知らなかった沖縄というものをまざまざと見せつけられました。 そして、その前に、何の気なしに書店で購入した本でありましたが、大田知事の書かれた「高等弁務官」を持っておりましたので、真剣にこの本を読みました。その中で随分私のわからない部分がありました。それを調べました。そして、第二次世界大戦が始まってどの時期からアメリカが沖縄に対する考え方の整理にかかったか。さらに、第二次世界大戦中、日本軍がどことどこの基地を軍の力で収用したか。沖縄戦後、占領の続く間にどの基地がどのような形態でつくられていったか。そうしたことを一通り私なりに読みました。中には信じられなかったことがありましたが、調べましたところ、「高等弁務官」の中に盛られていた注書きの事項まで含めて、我々の知らなかった事実というものがございました。そうした中で、島ぐるみ闘争のありましたこと等々もそれなりに存じております。 また、その一節の中に、長くなって恐縮でありますけれども、アメリカと沖縄県民の物の受けとめ方を知事が対比された一節として、開拓の歴史の中で発展したアメリカの人々は、移動というものに非常に濶達であり、土地に対しての執着が少ない。しかし、沖縄の長い歴史と風土の中で先祖から引き継いできた土地というものは、どれほど小さな土地であっても、それを所有し続けることが先祖とのつながりであり、家族のあかしであるといった気持ちを沖縄の人々が持っている、こうした言葉も私の耳に残っております。 もし、私の理解に間違いがないなら、議員が今読み上げられました復帰時に歌われた歌が、今一部変えられて歌われている。恐らく同じような沖縄の方々の思いを踏まえたものではないかと思います。
○島袋宗康君 本当に、沖縄の基地にはあらゆる日本の戦後処理の矛盾がトータルされておると思います。内在しています。 一九四五年の敗戦時、一九五一年の片面講和時、一九七二年の沖縄返還等々で解決されずに先送りされた問題がほとんどすべて集積されております。楚辺通信所の不法占拠は、実はその矛盾が顕在化した典型的な例ではないか。 ところで、沖縄県知事のもとには、全世界から五万五千通もの激励の手紙や電子メールが届いております。また先日、不肖私ども沖縄社会大衆党がローカルパーティーの先輩として全国地域政党対話交流集会を開催いたしましたが、全国のローカルパーティーからも、沖縄基地問題について絶大な支援を決議してもらいました。要するに、沖縄問題を沖縄県民の選択にゆだねるべきだという声が全国だけでなく世界各国から届いているわけでございます。「沖縄へ返せ」という歌の意味はそういうことだと思います。 今回の普天間基地問題解決に向けて日米双方とも沖縄の強い意向にこたえたと言いますけれども、それがなぜ安保体制の強化につながるのか私には理解できないんです。 総理は、今回の普天間基地返還がこの県民の声にこたえているとお考えか、もう一遍所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 昨年、いわゆる八万五千人集会と言われる大集会が行われましたとき、私はちょうどイギリスで四極通商代表会議に臨んでおりました。そして、その日のBBCニュースの二番目にあの沖縄の大会の姿が映し出されておりました。そのとき私は、あの多くの方々が集まられ、そしてあの不幸な事件を皆が思い浮かべた大会でありながら、基地廃止、日米安保廃棄という言葉が躍らなかったことに非常な救いを覚えました。 議員と考え方がこの点は私は異なるのかもしれません。しかし、私は少なくとも、国際会議に出ておりまして、そのBBCのニュースを見ながら、安保廃棄という言葉も基地廃止という言葉もないあの大会に感動の思いを持って、食い入るように眺めたことを今も覚えております。 私は、日米関係というのは、今我々が考える以上に国際的に大きな重みを持っている国際関係なのだということを昨年の自動車交渉の際に改めて各国から知らされました。そして、その重要性というものは今日むしろ強まっていくであろうと思っております。その基盤をなしているものが日米安保体制であることは、これはだれも否定できないことでありましょう。 そして、その役割を減少させない範囲で、私は確かに沖縄の皆さんにどうすればという思いでこの交渉をいたしてきました。それが許せないと言われるのであれば残念でありますが、日米安保体制というものに対しての考え方の違いかもしれません。 しかし、私は、日米関係というものが非常に大事であり、その基盤をなすものが日米安保条約だということを認めた上でも、なお沖縄における基地の整理、統合、縮小というものには努めたいと思って努めてきました。皆さんのお考えどおりではなかったかもしれません。しかし、知事さんに申し上げたとき、一歩前進という評価をいただいたことで私は本当に少しほっといたしました。 そして、それが絵そらごとにならないためには、議員を初めとして県の皆さんがその目的達成のためへの協力をしていただかなければ、結果としてその約束が実現できないことになります。どうぞSACOの合意が現実のものになりますように、県を初め御協力を心から願う次第であります。
○島袋宗康君 政府は、米側の言う在日米軍四万七千人体制を不動のごとく受けとめているように思われます。 米国の情報公開法に基づいて入手した文書などを通じて、在日米軍について実証的な分析、研究をしている梅林宏道さん等の平和資料協同組合によれば、地上四万七千人、洋上一万二千人の在日米軍は、日米安保条約の極東条項を厳格に守れば、第七艦隊の洋上兵力を含め四万六千六百十人を削減し総兵力九千二百七十人にすることができるとしております。 この提案は去る二月二十二日に、総理府の大臣官房総務課を通じて橋本総理にも提出されておりますけれども、ごらんになってどのような感想をお持ちなのか、お聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 二月二十二日という正確な日取りまでは存じませんでしたが、先般政府としてその御指摘の文書は受け取りました。そして、在日米軍のあり方について一つの考え方という受けとめをいたしております。 アメリカ政府は、従来から、現在の国際情勢のもとにおいて安全保障上のコミットメントを達成するためには、我が国に四万七千人及びアジア太平洋地域に十万人の兵力水準を維持する必要がある、こうした方針を繰り返し表明しておりました。我が国としても、各種の不安定要因の残っております今の国際情勢のもとで、その体制としてアメリカ側の判断を妥当なものとして尊重してきたわけです。 ただ、これはあくまでも現在の国際情勢のもとでありますから、アメリカ側も未来永劫これが変わらないといったことを言っているわけでないことは改めて申し上げておかなければなりません。 私どもは、今の提言は五分の一以下に在日米軍の規模を減らすという御提言でありますが、それが適切なものだとは受けとめておらないということであります。
○島袋宗康君 この提案の中で、沖縄の海兵隊は日本の防衛任務に当てられていないとしたワインバーガー元米国国防長官の一九八二年の議会証言や、日本にはいるが責任区域である太平洋の内にも外にも緊急配備されるとした九一年の米会計検査院の報告などを根拠に、連絡要員など千二百人の駐留だけを認め二万二千百六十人が削減されるべきであるとしております。 この提案を政府は真剣に受けとめて検討し、沖縄の海兵隊の削減をクリントン大統領来日の際に申し入れるべきであるというふうに思います。同部隊は沖縄の基地の七四%を占有しているからでございます。沖縄米軍基地の目に見える縮小が可能となり、沖縄県民は日米安保条約の犠牲となっているが、その廃棄を主張するかわりに逆にその条約を厳格に守ることによって沖縄の米軍の大幅な削減と基地の大規模な縮小が可能となるわけであります。 橋本総理は自立外交を基本方針とされ、沖縄県民の痛みがわかっておられると思います。今私が申し上げた方策をぜひ実現していただきたい、こういうふうに思いますけれども、御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 先ほど来、委員からいろいろな論拠に基づくプレゼンスのあり方についてお話がございました。それらのいろいろな論文が発せられているということも事実でございますが、先般もペリー国防長官がクリントン大統領並びに米議会に対し、アジア太平洋地域のプレゼンスに対して現状の十万人を適正なものとするという報告を出したわけでございます。 私どももこの報告は現状について評価をいたしているわけでございまして、今後とも、先ほど来総理からもいろいろお話のございましたこのプレゼンスが変わらない以上、私どもは知恵を使いながら、今までどおり引き続き沖縄における施設・区域につきましては整理、統合、縮小、特に縮小が困難な場合は統合あるいは整理という形で、沖縄県民が長い間こうむってこられました大変な御苦労を少しでも減らす努力を引き続きいたしてまいりたい、このように考えている次第でございます。
○島袋宗康君 どうもありがとうございました。
○委員長(井上裕君) 以上で島袋宗康君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(井上裕君) 派遣委員の報告に関する件についてお諮りいたします。 先般、本委員会が行いました委員派遣につきましては、報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(井上裕君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時四分散会 ―――――・―――――