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136回国会参議院1996/02/07

国民生活・経済に関する調査会 第1号

発言数
99
登壇者
23
会派数
4
開催日
1996/02/07

会議録

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) ただいまから国民生活・経済に関する調査会を開会いたします。  議事に先立ち、一言申し上げます。  本調査会委員大野明君は、去る五日、逝去されました。まことに哀悼痛惜にたえません。  ここに、皆様とともに謹んで黙祷をささげ、哀悼の意を表しまして、御冥福をお祈り申し上げたいと存じます。  どうぞ御起立を願います。黙祷。    〔総員起立、黙祷〕

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) 黙祷を終わります。御着席願います。     ―――――――――――――

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) 委員の異動について御報告いたします。  去る一月十八日、栗原君子君が委員を辞任され、その補欠として千葉景子君が選任されました。  また、去る一月二十二日、菅野壽君が委員を辞任され、その補欠として上山和人君が選任されました。  また、去る五日、大野明君の補欠として上杉光弘君が委員に選任されました。     ―――――――――――――

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に上山和人君を指名いたします。     ―――――――――――――

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) 国民生活・経済に関する調査を議題とし、二十一世紀の経済社会に対応するための経済運営の在り方に関する件のうち、人材の育成と学術研究の現状と課題、産業政策の現状と課題、工業技術研究開発の現状と課題、科学技術振興の現状と課題及び労働政策の現状と課題について調査を行います。  本日の議事の進め方につきましては、各テーマについて関係省庁から三十分程度説明を聴取し、それぞれの説明の後、二十分程度各委員から質疑を行っていただくことにいたします。  質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、委員には懇談会形式で自由に御質疑をいただきたいと存じます。これは前回と同じです。質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行うようお願いいたします。  なお、時間に制約がありますので、質疑の内容は各省庁からの説明に関連するものに限るとともに、簡潔に行っていただくようよろしくお願いいたします。  また、各省庁からの説明、各委員からの質疑及びこれに対する答弁とも着席のままで結構でございます。  それでは、まず人材の育成と学術研究の現状と課題について文部省から説明を聴取いたします。文部省林田学術国際局長。

林田英樹文部省学術国際局長

○政府委員(林田英樹君) 文部省の学術国際局長の林田でございます。  本日は、人材の育成と学術研究の現状と課題につきまして御説明をさせていただきたいと思います。お許しをいただきまして座らせていただきたいと思います。  資料をお届けしておりますので、これをごらんいただきながらお聞き取りいただければと思います。  人材の育成と学術研究の現状と課題ということでございますが、大変幅広い課題でもございます。限られた時間でもございますので、特に国際化に対応した人材の育成と学術研究の現状と課題ということで、重要課題と私どもで考えましたことにつきまして御説明をさせていただきまして、不足のことにつきましては御質問にお答えさせていただくという形にさせていただければと思っております。  最初に、人材の育成の中で、特に国際化に対応した人材の育成ということを私ども大変大事な課題だと思っておるわけでございますけれども、御承知のとおり、昭和六十二年まで三年間かけて御議論いただきました臨時教育審議会におきまして、特に三つの原則が掲げられたわけでございます。その中の一つに国際化、情報化など変化への対応ということが取り上げられまして、大変大きな今後の教育改革の原則の重要課題の一つになっておるわけでございます。  この資料に掲げてございます初等中等教育の資料の関係で申しますと、学習指導要領は文部省が幼稚園から高等学校までの教育課程の基準として定めているものでございますけれども、平成元年に改訂をいたしておるわけでございますが、これは臨時教育審議会の原則を受けまして改訂をしたものでございます。  この資料にございますように、初等中等教育関係の国際理解教育の推進ということが今回の学習指導要領の改訂の中でも重要な課題になっておりまして、我が国の文化と伝統を尊重する態度の育成を重視するとともに、世界の文化や歴史についての理解を深め、国際社会に生きる日本人としての資質を養うことが改訂の基本方針の一つとなっているところでございます。  具体的な改善点の主なことを申し上げますと、そこに三点ばかり入れてございますけれども、小中高等学校の国語におきまして、我が国の文化と伝統に対する関心や理解を深めるとともに、国際理解を深め、国際協調の精神を養うことなどに役立つものを教材の選定の際に配慮することでございますとか、二番目といたしまして、小学校、中学校の社会科、高等学校の公民科、地理歴史科におきまして、我が国の文化と伝統及び世界と日本とのかかわりについて理解を深め、世界の中の日本人としての自覚と責任感を涵養するように配慮というようなことが入れてございます。三番目に、国際化の進展に対応し、国際社会の中に生きるために必要な資質を養うという観点から、コミュニケーション能力の育成や国際理解の基礎を培うことを重視するというようなことが改善点として入っているわけでございます。  中でも、外国語教育の改善・充実につきましては大変重要なポイントの一つと考えておるわけでございますが、今の学習指導要領の改訂の中で、外国語教育の内容につきましては特にコミュニケーション能力の育成を重視して改訂をいたしておりまして、中学校では、週当たり授業時数を一時間ふやして四時間とすることが可能になるような措置、それからネーティブスピーカーの活用というようなことを措置しておりますし、高等学校では、日常会話から討論などの対話能力の育成まで、各レベルに応じた新しい科目ということでオーラルコミュニケーションなどを新設いたしますとともに、ネーティブスピーカーについても活用する措置を講じているところでございます。  その2のところに書いてございます語学指導等を行う外国青年招致事業、JETプログラムと称しておりますけれども、これにつきまして近年特に力を入れているところの一つでございまして、ネーティブスピーカーから生きた言語を学ぶ機会を豊富に提供するということから、自治省、外務省と共同いたしましてこのプログラムを実施しております。この表に書いてございますように、年々対象人数の増を図ってまいりまして、平成七年度には四千二百四十三人、平成八年度予算案では四千八百人の措置をお願いしておるところでございます。  二ページに参りまして、日本人の英語担当教員の研修につきましても年々拡充を図ってまいっておるわけでございます。海外の研修、それから国内で実施しております英語だけを使うような集中的な研修というようなものも拡充をいたしておりますし、また4のところに書いてございますように、英語以外の多様な外国語教育という点でも取り組まなければならないということで、英語以外の多様な外国語教育の推進施策といたしまして高等学校外国語教育多様化研究協力校を設置するというようなことも進めております。  それから、近年、特に小学校における外国語教育の問題がいろんなレベルで議論をされております。現在、十四の研究開発学校において実践的な研究を行っているところでございますけれども、今後の検討に必要な資料を広く収集するという観点から、新年度には全都道府県で合計四十七校の学校で研究実践を進め、その質量ともに充実を図る予定にいたしております。  三ページのところでは高等教育の関係について触れております。  高等教育につきましても、先ほどの臨教審の方針を受けまして大学改革の推進を進めておるわけでございまして、大学の設置基準の大綱化でございますとか、大学によります自己点検評価制度の導入というふうなものを進めておりまして、カリキュラムの改善や教育研究体制の見直しというふうなものが行われておるわけでございます。  その中で、国際的に通用するような教育の実施ということが大変大きな課題の一つになっておるわけでございまして、幾つか例示的に申し上げますと、外国語教育につきましては過半数の大学が外国語教育に関する改革を実施しております。大学によりましては、その例示のところにございますように、例えば東京大学の教養学部でも、話題になりましたけれども、多人数によります教育としての英語Ⅰと少人数で多読、速読や精読などを目的別に行います英語Ⅱによる再編というようなことをやっておりますとか、東京理科大学ではネーティブスピーカーによる英語授業を必須化というようなところも出てきておるわけでございます。  それから、外国の大学との単位互換ということも進めておりまして、平成五年度の数字でございますけれども、単位互換を協定しております大学は百五十五の大学に及び、大学の学生の受け入れや送り出しというようなこともかなりの人数が行われるようになってきておるということでございます。  それから、学部、学科、研究科、専攻数等につきましても、国際を冠する学部、学科と研究科等を調べてみますと、そこの表にございますような形で増加をしておるというふうなことでございます。また、この表には入れてございませんけれども、留学生の受け入れということも大変大きな今後の課題になっておるわけでございますが、現在、文部省では二十一世紀初頭に十万人の留学生を受け入れるということを目標にいたしまして施策を進めておりまして、平成六年五月現在の数字で申しますと五万四千人というふうな数になっておりまして、計画をやや上回るようなペースで留学生の受け入れが進んでおるわけでございます。  それから四ページに参りまして、学術研究の現状と課題について御説明を申し上げたいと思います。  学術研究の振興は現在大変重要な課題になっておると認識をしておるわけでございます。四ページには学術研究の意義ということについて書いてございます。学術研究の成果というものは、人類の知的共有財産といたしましてそれ自体がすぐれた文化的価値を持っておるというふうに思いますし、同時にその応用化、技術化を通じまして、国家、社会のあらゆる分野の発展の重要な基盤であり、原動力になっておるというように思うわけでございます。  (2)のところで学術研究の特質について書いてございますけれども、大学を中心として学問分野全体が対象として行われ、研究と教育が一体として行われる学術研究の意義というものは大変重要なものがあると思っております。この学術研究は主として実用的技術の開発を目指します科学技術とは性格を異にする分野であって、それぞれが役割を持って振興を図らなければならないというふうに考えておるところでございます。  学術研究の振興方策といたしまして、そこにいろいろ書いてございますけれども、特に近年この重要性が一段と認識をされてきております。一方で、②のところに書いてございますように、特に国立大学などの研究施設・設備の狭隘化、老朽化、陳腐化というふうなことが各方面から大変心配をされるような状況になっておるわけでございまして、この整備充実が極めて重要な課題というふうに理解をいたしております。  ③のところに書いてございまして、五ページにございますけれども、私どものこのための主要な施策をそこに列挙してございます。科学研究費補助金などの研究費の大幅な拡充、それから大学の研究施設・設備の改善、それから学術情報についてのその基盤の整備充実、それから卓越した研究拠点、全体としての学術研究のレベルを上げると同時に世界的に通用する研究の拠点を形成していくというふうな点での努力、それから若手研究者の養成、確保、それから天文学研究や加速器研究、それから宇宙科学等の基礎研究の重点的な推進というふうなこと、それから大学と産業界との研究協力、連携、提携の拡充、それから学術国際交流の推進というようなことを主要な課題として取り組んでおるところでございます。  平成八年度予算案におきましては、これらの点を配慮いたしまして、科学研究費補助金につきまして一千十八億円、対前年度九十四億円増ということで一〇%を超える拡充をお願いしておるわけでございますし、出資金を活用した研究推進事業を新たに実施するための経費として百十億円をお願いしておるところでございます。また、若手研究者の養成のためのポストドクター等一万人支援計画の実現に向けました施策につきましてもお願いをいたしておるところでございます。  以上が概要でございますけれども、個別の事項について、資料に基づきまして若干御説明をさせていただきたいと思います。  六ページからのところに研究費につきまして記載をいたしております。  政府の全体の科学技術関係経費を科学技術庁が取りまとめをいたしておりますけれども、その全体の金額は七ページの上の表にございますように、政府全体の科学技術関係経費につきましては、そこにございますように対前年度六・七%増の二兆六千億円余ということでございまして、文部省関係がそのうちの四六・四%というふうな数字になっておるわけでございます。  文部省の科学技術関係経費の主要なものは、一般会計と特別会計に分けて書いてございますけれども、先ほど申し上げました科学研究費補助金、それから先ほどの百十億円の出資金を含みます日本学術振興会への補助、それから私立大学への補助のうち研究関係の経費、それから国立学校特別会計では、国立学校を運営するための経費のうち特に研究費と考えられる部分、それから研究所の運営経費、それから国立大学等の施設整備費、これらが対象として考えられて拡充を図ってきておるところでございます。  八ページに科学研究費補助金について記載してございます。  国の学術研究のための経費としての基幹的な経費であるわけでございますけれども、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、平成八年度予算案において初めて一千億円を超えた数字にさせていただいておるということでございまして、研究者の自由な発想に基づく申請によって審議会の審査を経て決定いたしまして、それについて研究費を補助するというものでございまして、特にここ四、五年、予算額は相当大幅な伸びをさせていただいておるということでございます。  実際に研究者からの申請に対します採択、取り上げております率がその下のところにございますが、年々改善をしているとはいいましてもまだまだ申請のうちの二九・四%しか採択できていないというふうな状況でもございますので、今後とも一層の充実を図りたいと思っているわけでございます。  九ページのところに研究分野別の配分結果を記載いたしております。  先ほど申しましたように、この学術研究は、人文科学も含みます幅広い分野の研究に対します補助の経費であるわけでございます。それぞれの時代に応じました重点的な部分には重点的な配分を図るというようなこともやりながら、ごらんいただきますような配分の比率になっておるところでございます。  十ページには、新たな制度といたしましてお願いをいたしております日本学術振興会への出資制度の創設というものでございます。  近年、特に科学技術創造立国を目指すということが国としての重要な方針になっておるわけでございます。特に、新たな産業の創出や地球規模問題の解決などを図りますためには、基礎研究に裏づけられた創造性豊かな学術研究を全体的に振興して、次世代への知的資産を形成するような活動を行っていく必要があるというふうなことで、文部省所管の特殊法人でございます日本学術振興会に出資制度を新設いたしまして、大学等の研究機能を活用して、将来に向けての知的資産を形成するというような研究活動を行うため、未来開拓学術研究推進事業を新規に実施をさせていただきたいと思っておるところでございます。  仕組みといたしましては、国から日本学術振興会に出資をいたしまして、学術振興会みずからが研究プロジェクトを実施いたしましたり、大学等の学術研究機関に対しまして研究を委託するなどの方法をとって知的資産の形成を図っていきたいということでございます。  研究期間は五年程度といたしまして、一課題当たり五千万から三億円程度、平均一億ぐらいと考えておりますけれども、それぞれの研究計画によりまして弾力的な割り当てをしていきたいと思っております。④のところにございますように、研究費の充実のみならず、研究現場のニーズにこたえますためにポスドク、ドクターを終わりました段階の若手研究者をポスドク・リサーチ・アソシェートというような形で日本学術振興会が採用して研究プロジェクトに派遣する、要するに若手研究者の養成にもあわせて使わせていただきたいというものでございます。平成八年度予算案で百十億円をお願いしておるところでございます。  十一ページに若手研究者の養成・確保について記載してございます。  やや細かいことがいろいろ書いてございますので簡単に申し上げますと、若手研究者の養成・確保の重要性は今さら申し上げるまでもないと思います。4の一の(4)のところにございますように、文部省といたしましては、日本学術振興会の特別研究員制度、その他の若手研究員の支援策につきまして、平成八年度予算案で大幅な拡充を図ることといたしております。2のところにございますように、特別研究員制度につきまして、平成八年度予算案では八十四億二千四百万円を百十二億四千二百万円というような形で格段の拡充の御提案を申し上げておるところでございます。  内訳的に申しますと、特別研究員、それから外国人も呼んできて外国人にも特別研究員として日本の研究所で一緒に働いていただく、研究していただくというふうなこと、それから日本人の若手を海外に特別研究員として派遣するというふうなものにつきましても拡充を図っておるところでございます。  十二ページに参りまして、研究施設・設備についての記載をいたしております。  十二ページのところでは国立学校の文教施設、これが大変問題になっておるわけでございますが、国立学校が保有いたします建物全体の面積は約二千万平米余りでございますが、このうち一般的に改修などが必要とされます建築後二十年以上経過した建物が全体の五〇%を占めるというふうなことでございまして、施設の老朽、狭隘や機能劣化というふうなものが大変懸念をされるような状況になっておるわけでございます。例えば、平成七年度の予算ベースが今後数年続くというふうにいたしますと、建築後二十年、三十年たったものの比率が、また面積がどんどんふえてくるというような状況でございまして、この対応策が大変求められている状況だと思っております。  十三ページのところにございますように、予算の現状が書いてございますけれども、平成七年度の文教施設整備費予算は、当初予算におきまして対前年度百七億円の増をお願いいたしますとともに、補正予算につきまして七百五十七億円というような予算をお願いいたしまして、合計で二千百二十八億円をお願いしたところでございます。  経年の予算額の推移につきましては下のグラフをごらんをいただければと思いますけれども、当初予算につきましては昭和五十四年に最高の千五百四十六億円を計上できたわけでございますけれども、その後の国の厳しい財政事情のもとで年々予算の縮減を余儀なくされたというふうなことがございまして、そこにごらんいただきますような予算の推移をたどってきたわけでございます。近年、平成四年以降、年によって補正予算をかなり上積みをいただきまして、そこにごらんいただきますような対応策がとれておるわけでございますけれども、正直申しまして、何とかこれを経常ベースにできるだけ増額を図る、さらには補正予算も含めまして全体的な拡充を図らなければ老朽化の対応については大変心配される状況になるというふうに考えております。  十四ページには研究設備について同様なことが書いてございます。  昭和五十八年にピークをとりまして、その後、減少を続けたものを、大変心配な状況になりましたので、また増額をいろいろ工夫して図っておるわけでございますけれども、まだまだ昭和五十八年度のレベルの金額までしか回復できていないというふうな状況でございます。これにつきましても、補正予算などでいろんな対応をお願いはしておりますけれども、今後ともその充実が必要な状況にあると考えておるわけでございます。  十五ページのところに科学技術基本計画の策定について触れております。  科学技術基本法につきましては、国会の大変な御配慮によりまして、超党派によります議員立法として第百三十四回の臨時国会におきまして提出をされ、昨年十一月八日に参議院本会議で全会一致により可決、成立ということでございまして、私どもにとりまして大変力強い御配慮をいただいたというふうに思っております。  この法律によりますと、政府は科学技術基本計画を策定しなければならないということになってございますので、この計画の策定に向けまして現在政府部内で作業をいたしております。この計画を策定するに当たっては科学技術会議の議を経なければならないとしてございます。昨年十一月二十九日の科学技術会議本会議におきまして、総理から科学技術基本計画について諮問がなされたところでございまして、現在、同会議の総合計画部会及びその下に設置されました基本問題分科会におきまして答申案起草に向け審議が行われておるわけでございます。  この科学技術会議の庶務は、大学における研究にかかわる事項につきましては科学技術庁と文部省とが共同して処理するということにもなってございますので、文部省としても共同事務局として科学技術基本計画の策定に積極的に取り組みたいと思っております。中でも、先ほど御説明いたしましたような研究費の充実、さらには施設の充実、設備の充実というふうなことにつきまして、何とかこの計画の中で改善のための大きな前進を得られればということで、今後一層努力をしなければならないと考えておるところでございます。  十六ページのところにその他の重要施策としてございます。  時間ももうなくなってまいりましたので詳細な御説明は省かせていただきたいと思いますけれども、全般的な振興のための方策といたしまして、学術研究体制等の整備ということで触れておりますのは、一つは研究体制の整備ということでございます。  学術研究につきましては、研究の動向でございますとか社会的要請などを考慮いたしまして、特に共同研究体制をできるだけ整備をしていくというふうなことに重点を置きまして研究体制の整備充実に取り組んでおるところでございます。  それからもう一つは、研究支援体制の整備ということでございます。この点も、特に近年、諸外国と比べまして問題があるというふうにいろんな御指摘もいただいております。最先端の学術研究を進めますためには、創造性豊かな研究者の確保ということはもちろん大事でございますけれども、研究支援体制の構築、強化というものが不可欠であると思っております。平成八年度におきましては、国立大学や大学共同利用機関が行いますすぐれた研究プロジェクトなどに大学院の後期博士課程修了者、在学者や特殊技能の保有者の参画を確保、促進するための経費を確保するというようなことで、学術研究の一層の進展を図る努力をしておるところでございます。  それから、(2)にございます学術情報基盤等の整備充実でございます。  近年、特に学術研究を進めますためには適切な情報が簡便に得られるということが大変大事でございますので、大学の共同利用機関として国立て設置しております学術情報センターを中心にいたしまして、各大学とのネットワーク、それから各大学の学内のいろんなデータの処理体制というようなものの充実に努めておるところでございます。  それから、(3)にございます学術研究における社会的協力・連携、これも特に近年、産業界等から大変な大きな要請が寄せられておるところでございまして、私どもとしても力を入れていかなければならない課題の一つであると思っておりますけれども、この点につきましては①から⑤まで書いてございますように、共同研究制度でございますとか受託研究制度、それから受託研究員制度、共同研究センターの設置、それから奨学寄附金制度等の施策というようなものにつきまして推進改善に努めておるところでございます。  それから、(4)にございます学術の国際交流・協力、これも大変大事な課題の一つでございます。学術を振興していきますためには世界レベルの交流・協力が不可欠でございますけれども、文部省におきましてはそこにございますような科学研究費を活用いたします制度、それから、先ほどもお話し申し上げました特別研究員制度等を使いまして国際交流・協力の拡充に努めておるところでございます。  最後に、(5)にございますが、基礎研究の重点的推進ということでございます。  近年、組織的、国際的に推進を図ることが求められること、それから社会的要請が極めて強い研究分野、それから大型の施設・設備を必要として比較的多額の経費を必要とする分野などが年々多くなっておるわけでございまして、これらの分野につきまして必要な予算を確保するということも大変大事な課題の一つとして取り組んでいるところでございます。  大変早口で御説明申し上げまして恐縮でございましたが、以上で御説明を終わらせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) ありがとうございました。  以上で文部省からの説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  先ほども申し上げましたように、質疑時間は二十分程度といたします。質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行うようお願いいたします。また、質疑はただいまの説明内容に関連のあるものとし、これも先ほど申し上げましたが、簡単にお願いをいたします。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。

笹野貞子新緑風会

○笹野貞子君 今の御説明を聞いていますと非常に高道な気持ちになりまして、日本の学術研究はすばらしい方向性にあるというふうに思いました。多方面の人材を養成するとか、あるいは知的な財産は将来の日本の財産であるということですけれども、しかし知的な財産を持つだけで現実問題には生活をしなければこの財産の価値を生かすことができないと思います。  そこでお尋ねしたいんですが、先ほどからいろいろと国際的に合った額をふやしたりすると言うんですが、女子学生について現在の経済発展のニーズに合わせたような教育方針というのは現在とっているんでしょうか。

林田英樹文部省学術国際局長

○政府委員(林田英樹君) 大変幅広いお尋ねのようにも感じるわけでございますけれども、女子学生を含めまして、私どもといたしましては、いずれにしても基本的には社会の変化や国民のニーズに応じた教育の内容の充実を図っていくということが中心でございます。  したがいまして、基本的にはそれぞれの国立ても公立ても私立てもいろんな大学が御計画をなさるものにつきまして、我々として必要な条件整備についての努力をしていくというのが基本であるわけでございまして、その点ではかなりそれぞれの大学におきまして、特に近年の女子学生の進学率というのが大変高まってきているというような状況に応じました学部学科内容でございますとかカリキュラム内容というようなものに取り組んでいただいておると思うわけでございますので、私どもといたしましては、そういう各大学の努力につきまして必要な御援助をしていくというようなことを基本に努力をしているところでございます。

大島慶久自由民主党・自由国民会議

○大島慶久君 日本学術会議というのがございますね。この日本学術振興会ともしかかわりがあるのでしたらその関係を御説明いただきたいのと、日本学術会議に対する文部省の予算的なかかわりをちょっとお聞きしたいんです。

林田英樹文部省学術国際局長

○政府委員(林田英樹君) 日本学術会議は、これは総理府に置かれております日本の学術会員の方々を代表する組織として、各学会等を母体といたしまして選任をされました会員で構成をされております学者の皆さん方の御意見をまとめ、いろんな御提言活動をなさる、または国際交流活動をなさっておる団体でございまして、文部省の所管ではないわけでございまして、現在、総理府の所管でございますので、総理府の方でいろんな予算を準備されまして、その活動に対します必要な予算措置をなさっておるということでございます。  日本学術振興会は、これは文部省の所管の特殊法人でございまして、歴史は大変古うございまして、天皇の御下賜金をベースにして活動を開始したというような大変古い歴史を持っておりますけれども、主な活動分野は、若手研究者の養成、先ほど申しました特別研究員等に支給いたしましての若手研究者の養成ということ。それからもう一つは、産学協力につきまして、学会と産業界とがいろんな、今後産学協力が必要になる分野につきましての協議をする活動。それからもう一つは国際交流の関係でございまして、外国のいろんな国際交流団体、アカデミー等との交流活動をいろんな協定等をもとにいたしまして進めておるということが中心の活動でございます。

上山和人社会民主党・護憲連合

○上山和人君 次回からの質疑に備えてのちょっと御質問ですが、国際化に対応した人材の育成に関連して外国語教育の問題、JETプログラムですね、これは今度四千八百人に平成八年度予算案が通ればふえるんですが、これは県単独あるいは市町村単独のものと合わせてどれぐらいになりますか、今、人数は。

本間政雄文部省初等中等教育局高等学校課長

○説明員(本間政雄君) 初等中等教育局の高等学校課長でございます。  JETプログラムにつきましては、平成七年度現在で四千二百四十三人の方々が招致をされておりまして、これは都道府県が招致をするという形になっておりまして、それぞれ管下の学校の方に巡回指導等をさせたり配置をするということで、学校現場におきまして我が国の先生方の助手として実際の発言の指導をするとか会話の指導をするとか、はたまた教育委員会に出かけていきまして、あるいは教員の研修センターに出かけていきまして外国語担当教員の相談に応じたり指導をするというふうな仕事をしております。

上山和人社会民主党・護憲連合

○上山和人君 続いてですが、これは例えば教職、教養との関連などを含めて、教育の助手だから、アシスタントだから、招致基準はどうなっていますか。

本間政雄文部省初等中等教育局高等学校課長

○説明員(本間政雄君) 招致基準につきましては、実際のリクルートの方は外務省の在外公館を通じて行っておりますけれども、実際に現場で外国語の指導をしていただくということでございますので、それにふさわしい学歴あるいは資格、経験といったようなものを基準にして招致をいたしております。

木暮山人平成会

○木暮山人君 文部省の現在のいろいろな研究体制のスタンスというものが非常に前向きになってきたことは、これはまことにいいことだと思うのであります。しかし私は、今の日本の国情から見まして、四六答申、六二答申、ここいら辺も十分踏まえまして、もう少し何か飛躍的に二十一世紀をがっちり把握できるような方法、簡単に言いますと、今、科学技術庁で大放射光、SPring8がございますね。これは文部省に今質問する問題ではないとは思いますけれども、関連しておりますから、これはなかなか予算がつかないと。  もう一つ問題は、これは文部省の管轄だと思うんですけれども、かつてアメリカでLHC、御存じですか、大型のハドロンヨフイダーでございますか、七十八キロの大型のものをつくろうと日本に予算の一部を要請してきた。しかしこれは中止してしまった。論理的な学問の研究ならば座って頭の中で考えればわかるわけでありますが、しかし今からの研究というのは一つ一つ実践していかなきゃならない。その舞台を国際的にやはり私はつくるべきだと思うんです。  それにつきましては、今ちまたに出ている住専の問題とか、また国債の大型赤字、また国鉄の隠し赤字、日教組の隠し赤字みたいなのが五百何十兆ある。大型のハドロンコライダーは一兆二千億出せば世界の科学者が皆日本に集まってくるというような施設じゃないですか。これを文部省は十分御承知の上、いろいろとお考えになっていると思うんだけれども、なかなかそれがうまく進まないでお困りになっていると思うんだけれども、そんな実情をひとつちょっとお伺いしたいと思うんです。

林田英樹文部省学術国際局長

○政府委員(林田英樹君) 大変心強いお言葉をいただきまして恐縮でございます。  これ、今の説明資料の一番最後の十六ページの括弧五のところに「基礎研究の重点的推進」ということを掲げてございます。ここで「天文学研究、加速器科学、宇宙科学、核融合研究、地域研究、地震予知・火山噴火予知研究、がん・エイズ研究、南極地域観測事業など」、これ書いてございますけれども、これらは大変多額の経費を要する。学術的な研究として私どもこの予算の獲得には大変努力をしたところでございますけれども、御指摘のように、現在の財政状況の中でなかなか苦労しておるところではございます。  しかし、この二番目のところにございます加速器科学というのが実はおっしゃいました物質の最小単位を研究していくという大変学術的な研究であるわけでございまして、確かに科学技術庁の方でSPring8の構想があるのは私どもも承知しておりますけれども、科学技術庁の方はかなり応用的な研究を加速器を使ってなさろうということだと思います。  実は、文部省サイドでは既に筑波に高エネルギー物理学研究所というものを設置いたしておりまして、ここにおきまして相当学術的な研究をさせていただいておるところでございます。相当大きな規模のものをつくらせていただいております。また、これにつきましては、現在、次の新しいステップといたしまして、トリスタンⅡ・Bファクトリーと言っておりますけれども、平成六年度から新しい改造計画を、現在の施設を使いながらさらに改善をしていくような形での計画を進めておるわけでございます。年次計画でやっておりますもので、必要な予算は現在一応何とか確保できておるような状況ではございます。  なお、これと同時に、また先ほどお話ございました米国におきます大変大きな規模の問題につきましては国際問題にもなったところでございますけれども、御指摘のように、途中で計画が中止になったというふうなことがございます。確かに、筑波のものとはまた別の大きなスケールでの研究が計画されておりますれば、日本の学者さんたちもそういうところに参加したいということは大変強うございます。  実は、似たようなと申しますか、規模は若干違いますけれども、ヨーロッパにおきましてEUが共同で設置をしておりますこのような目的のための研究所がジュネーブの郊外にあるわけでございます。CERNと申しておりますけれども、ここで相当大きな規模の計画が進んでおりますと同時に、さらに大きなものをやりたいというようなことで、これについてはEU諸国、それからアメリカや他の諸国にも協力の要請が参っておりまして、日本でも実はそれに対しまして今年度の補正予算で五十億円援助いたしまして、日本の研究者ももっと胸を張ってと申しますか、参加できるような形にも一方ではいたしておるわけでございます。なかなか必要な予算を十分確保するのは難しい状況にございますので、これからも一層お力添えいただければと思っております。

木暮山人平成会

○木暮山人君 済みません、ちょっと関連で一回よろしいですか。

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) はい、どうぞ。

木暮山人平成会

○木暮山人君 いや、それはわかっております。このいわゆるジュネーブのCERN、これが直径二十八キロメートルのトンネルの中でやるんだと。しかし、それではまだまだうまくいかなくて、七十八キロぐらいの大きいものが必要になってくる。今の日本の筑波で考えられている施設というのはやっているんだと。  しかし、これによって、じゃ、どこまで成果が上がるかといいますと、やはり世界的に成果が上がるような、いわゆる二十一世紀の科学の先進国に日本がなるのに、例えば一兆二千億円ぐらいの予算があればできるわけだから、今の筑波の研究所で私はいろいろな視察をさせてもらいまして、もう恐ろしくお粗末なわけですね。特に、文部省でありますから、二十一世紀に向けては最大限の予算を獲得されるように努力されまして、やはり世界の基礎の実験所というような日本、これが将来大きく私は伸びるんじゃないかと思う。そのスタンスは今あって、私は聞いておりまして、相当スタンスが変わってきて、立派ないい方向に向いていると思いますけれども、なおやはり実際予算をとる方向に、また我々も協力させてもらわなきゃいけないと思いますけれども、まず旗を振っていただきたい、こんなふうに思います。

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) お答えはいいですか。

木暮山人平成会

○木暮山人君 結構です。

金田勝年自由民主党・自由国民会議

○金田勝年君 せっかくの機会ですので、ちょっと御質問申し上げたいんですけれども、国際化に対応した人材の育成というお話で、国際理解教育の推進についてここに書いてあります。御説明ありましたが、学習指導要領の改訂ということで書いてありますが、日本の今の若い人たちが将来二十一世紀にどういうふうにこの国際化というものをとらえて、また積極的にそれをとらえて、真の国際人と言われる存在に成長する機会を若いうちから与えられるかということが非常に重要だと思うわけです。  そのときに、ここに書いてある文言を拝見しますと、書いてあることは非常に立派なんですが、じゃ、具体的には何をやるんだろうかと私は非常に心配になるのであります。要するに、真の国際人といった場合に、ほかの外国のいろんな国でどういう教育のあり方を実践しているのか、また二十一世紀に向けて取り組もうとされているのか、そういうことをどの程度分析されて、それにかんがみて日本もこういう水準に二十一世紀になったら持っていかなきゃいかぬというふうなビジョンを持っておられるのか、その辺が非常に関心があるので、機会がありましたら教えていただきたいし、この場でお答えいただいても結構です。  もう一点、真の国際人と言われるときに、その原点は、二十前後には確かに外国語はしゃべれた方がいいわけであります。そういう意味で、ここに以下御努力されているプロセスは非常に価値あると思うんですけれども、語学ができるだけでは真の国際人たり得ないのは御承知のとおりでありまして、語学プラス日本の過去の伝統や文化、現状、そういうものに誇りを持って、自信を持って外国人に対して説明できるというふうな人材をどうやって育てるか。  そしてまた、逆に、それぞれの国で一生懸命頑張っておられる方たちと出会って、相互理解といいますか、相手の立場、考え方を本当に理解できる、そのためにはどうしたらいいんだということを教育の中でどう取り入れていくのか、そういう前提がなければ私はこれは実現しない話だろう。  また、評価すべきポイントとしては、そういうポイントを文部省さんとしてどういうふうに位置づけていかれるのか、それを小学校、中学校、高校、大学の教育プロセスの中でどういうふうに取り入れていくのか、そしてその際にはぜひとも外国でこういうふうな先進形態があるんだ、先進教育のそういうやり方があるんだということをお示しいただいて、それもあわせてお聞きできればありがたいな、こういうふうに思っているんです。

林田英樹文部省学術国際局長

○政府委員(林田英樹君) 問題としては大変幅広い御質問であろうと思いますので、完全にはお答えにくいと思いますので、また必要ございましたら御説明の機会を持たせていただければと思っております。  御指摘のように、私どもとして、ここにも書いてございますように、国際理解教育というものは何も外国語を習うだけではないということは御指摘のとおりだと思います。  その意味で、学習指導要領におきます主な改善点といたしましても、まず基本として我が国の文化と伝統に対する関心や理解を深めるということをベースに、言っているのはそのことでございます。指導要領の中でもいろんな配慮もいたしておりますし、特にまた、それぞれの日本の歴史を理解する、それから各地域におきますいろんな活動にいろんな形で参加するようなことの奨励というようなことも含めまして、日本の国ないしは地域に対します理解と愛する気持ちを持ってもらうというようなことも大変大事なことだと思っておるわけでございます。  諸外国においてどのように行われているかということは、私どもとしても常日ごろ大変関心を持って、文部省の中にも外国調査の係を置きまして諸外国におきますいろんな文献でございますとか視察等を通じて調査に努めておりますし、国際会議でも定例的にそういう会議がございますので、そういうところの情報を集めながら、教育課程の改善の際には十分活用するように努めておるところでございます。  また最近では、特にどこの国でもそれぞれの教育をどう変えていくかということは非常に大きな問題になっているようでございますので、日本にいろんな形で視察に来る、また意見交換をする機会も大変多くあるわけでございまして、そういう機会を通じて我々の状況を理解すると同時に、外国の実情についても把握に努めながらやっていかなければならないと思っております。  実感といたしましては、すべての国でかなり共通の問題意識があるんではなかろうかなというような感じもいたしますけれども、いずれにいたしましても、おっしゃいましたように、諸外国の実情を踏まえ、かつ日本の伝統を踏まえた形での人間のあり方というのは大変重要なことだと思っております。これはしかし、言うはやすく、実際、教育の面でどう生かすかというのはなかなか難しいことではございますけれども、方向としてはいずれにしてもそういう方向で努めなければならないと思っております。  それから、相互理解につきましても、先ほど御紹介いたしましたような外国人、英語が中心でございますけれども、もう四千人以上の外国の人たちが学校の中に入り込んできているということは大変大きな変化の一つにもなっておるというふうに思うわけでございます。それから、日本の高校生や大学生が外国へ留学しているケースも大変多うございますので、これらが円滑に行えるような措置、要するにいろんな形の情報提供というようなことが中心でございますけれども、そういうようなことも進めなければならないというふうに思っております。  十分なお答えになったかどうかあれでございますけれども、とりあえずの御説明にさせていただきたいと思います。

中島眞人自由民主党・自由国民会議

○中島眞人君 関連でいいですか。

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) ちょっと時間がありませんので、次にまた機会がありますので、済みません。じゃ、短くお願いします。

中島眞人自由民主党・自由国民会議

○中島眞人君 私も高等学校の教師の経験がございます。  例えば、初等中等教育、小中学校、高等学校の国際化に対応した問題というのがありますけれども、はっきり言って微視的にしか一つの問題の解決策というのはできないと思うんです。例えば、日本の小中高等教育の中でやっている外国語は英語だけです。国際化時代になって英語だけでいいのかどうかというような問題をこの中でも指摘をしております。同時に、外国人の講師を頼んでいる。これが日本の教師との関係で外国人を教師にすることができるかどうかというような問題等々もあります。かなりいろんな問題がある。  私は、国民生活の調査会というのは、参議院で独自で高齢化の問題を取り上げて、それが立法化され、衆議院に送られて、それが一つの話題提供をなしたということで大変なこの調査会の一つの波及効果というようなものはあったと思うんです。  まさに教育、私がこの調査会の中でぜひ会長と理事にお願いをしたいのは、例えば少子化時代を迎えている、と同時にエンゼルプランではゼロ歳児からの保育が始まっている。子供たちのいわゆる就学年齢という問題が現行でいいのかどうかというふうな問題を含めた、そして六三三制の制度がいいのかどうかというふうな問題をじっくり、いわゆる党利とかいろんな問題に拘束されない中で日本の教育改革、教育制度そのものに、前回は高齢化をやったわけですから、できればそういう問題を含めながら日本の教育はどうあるべきか、そしてその中で国際教育はどうあるべきかという問題を調査会の中でひとつ継続的に論議を、これ一年でできなかったら二年でも三年でも結構でございますので、ぜひひとつ会長、お取り上げをいただきたい。  この問題も微視的に国際教育といったって、現行の教育制度の中でやっていったらともかくカリキュラムの問題等といったってなかなかできないし、教師の配分だってなかなか大変なんです。  私も高等学校の教師をやりまして、中学校三年、高校四年、大学四年英語をやってまいりましたけれども、私は外国へ行って英語を話しません。というのは、もうはっきり言って、僕の偏見でしょうけれども、今の日本人が英語がしゃべれないのは英語が高校受験の中に含まれているから英語がしゃべれないんだ、大学受験、高校受験から全部外せばもつどフランクに語学が発達できるという私見を持っています、これは暴論みたいにとられるといけませんけれども。  全体で、国民生活・経済に関する調査会ではぜひひとつ教育改革、日本のあるべき教育という問題を総合的に、党派を乗り越えた形で論議ができるようなそういうテーマを、ぜひ会長、理事に、何年かかっても結構ですからスタートをするように御要望を申し上げます。

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) ありがとうございました。  国民生活・経済というテーマでの調査会なので、幅が非常に広いのでいろいろな意見がございますけれども、今おっしゃいました点についてはよく検討をさせていただきたいと思います。

中島眞人自由民主党・自由国民会議

○中島眞人君 検討してください。

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) ありがとうございます。以上で文部省に対する質疑は終了いたしました。御苦労さまでした。  次に、産業政策の現状と課題について通商産業省から説明を聴取いたします。通商産業省横川審議官。

横川浩通商産業省大臣官房審議官

○政府委員(横川浩君) 通産省産業政策局担当審議官をいたしております横川でございます。  お手元に「産業政策の課題」という資料を配付させていただいておりますので、この資料に沿いまして御説明をさせていただきたいと存じます。  タイトルの産業政策の課題と申しまして冠とも大きく二つに分けて考える必要があろうかと思います。いわば短期的な経済の困難、これをどう克服していくか、当面の景気をどうするかという問題が一つございます。それと同時に、ある意味では短期的な面としてあらわれております現在の景気にも直接間接絡み合っておる問題でございますけれども、より中長期の課題としての日本経済が抱えます構造的な問題にどのように対応していくか。この短期の問題、それから中長期の問題と大きく二つに分けて私ども産業政策を実施いたしておるわけでございます。  お手元の資料で、まずその最初の景気の現状と当面の経済運営でございます。  平成七年度の政策運営を一言で申しますと、切れ目のない経済対策を昨年の春以来次々と実施をいたしてきたということでございます。ここにございますように、四月には円の大変な急騰がございまして、これを受けました緊急円高・経済対策を立てたわけでございます。構造的な側面への対応も含めまして、研究開発、情報化といったことにも相当の配慮をいたした対策になっておりまして、これらを実施するための第一次の補正予算を五月に組んでいただいたわけでございます。  四月には公定歩合の一次の引き下げをやりました。さらに、九月には公定歩合を史上最低になります〇・五%にまで引き下げまして金融の緩和をいたしてきておるわけでございます。同時に、九月には史上最大の経済対策としての規模十四兆円を内容といたします経済対策を立てまして、これに基づきまして第二次の補正予算を昨秋成立させていただいたわけでございます。  この九月の経済対策に関連をいたしまして、通産省産業政策局の関連でも、昨年の秋の臨時国会に構造改革関連の法律改正を出させていただきまして、民活法、新規事業法、それぞれの法律改正をしていただいたわけでございます。次いで、十二月には景気に十分な配慮をした予算編成をいたした、こういう流れで推移をいたしてきております。  こういった数回の経済対策が次第に実体経済の方にもいい効果を出してきておりまして、昨年の年末来、景気はいわゆる足踏み、弱含みの状態からこれを脱する動きに移りまして、その動きがますます加速化しているという状況にあろうかと思います。例えば円の為替、昨年の春には八十円というような大変な円高になったわけでございますけれども、昨年の九月以降、円相場は百円から百七円で安定的に推移をいたしてきております。  それから、生産活動の方も十月以降五カ月連続で上昇及び上昇の見込みになってきておるわけでございます。消費の方につきましては、実はいろいろ消費関連の指標がございまして、そのそれぞれで多少内容が違ってきておるわけでございますけれども、例えば新車の販売、家電製品の販売といったものをとらえますと、平成六年、平成七年と二年連続で対前年比で販売売り上げが増加をしてきておるということになっておるわけでございます。  それから、住宅建設、景気に大変大きな影響があるわけでございますけれども、十一月には年率ベースで百六十万戸強という高い水準にまで回復をいたしてきておるということでございます。さらに設備投資につきましては、中小企業の設備投資の勢いはまだまだ弱いものがございますけれども、全体として見ますと三年連続のマイナスから平成七年度は前年比でようやくプラスに転ずることができそうだ、そんな感じになってきておるわけでございます。  こういった経済の上向きの基調も背景に持ちまして、株式市場の方も年明け以降二万円台をほぼキープいたじてきておるというような経済の状況でございますけれども、こういった上向きになってまいりました経済の状況をより確実なものにしていくということが当面の経済運営としては極めて重要な点でございまして、平成八年度予算の早期成立てございますとか、また不良債権問題への対応というようなことで景気の動向、いろいろな指標にまだ私どもも一喜一憂させられる部分もございますので、そういったものにも細心の注意を払いながら機動的に対処していこう、こういうことでございます。    〔会長退席、理事牛嶋正君着席〕  そういった経済運営を前提にいたしまして、平成七年度の成長率、年度の成長率でございますけれども、丁二%の見込みを立てております。平成四年度、五年度、六年度とそれぞれ〇・四%、〇・二%、〇・五%といずれも三年間ゼロ成長、ゼロ%台の成長ということになっておったわけでございまして、ようやく七年度はこのゼロ成長からの脱却ができるのではないか、こんな感じでございます。この勢いの方向で平成八年度の経済成長の見通しを政府経済見通しにおきましては二・五%ということで立てておるわけでございますけれども、今の状況でございますれば十分この見通し達成は可能ではないか、そんな実感を持っておるわけでございます。  以上が当面の経済運営の問題でございますが、次のページに中長期の問題ということで先ほど分類をいたしました経済構造改革の諸施策について触れておるわけでございます。    〔理事牛嶋正君退席、会長着席〕  昨年十月には通産省の産業構造審議会が報告を出しておられます。それからまた十二月には、いわゆる新経済五カ年計画、これが閣議決定をされたわけでございますけれども、いずれも二十一世紀に向けまして安定的、継続的な経済発展を可能にするためには経済構造改革を実行することが不可欠である、こういうことを言っておるわけでございます。  このそれぞれの報告におきまして二十一世紀に向けましての経済の見通しを提示いたしておるわけでございますけれども、経済構造改革を的確に実施していけば二〇〇〇年までに日本経済三%程度の成長軌道に持っていける、しかし他方、経済構造改革が十分に行われなければ、この経済成長率で見ましても一%台という大変低い成長率に甘んじなければならない。例えば失業率などで見ましても、三%といった成長が実現できれば経済として許容できる失業率の範囲に入るわけでございますけれども、経済構造改革が進まない場合、低成長になり、そしてまた失業率もかなり高いものにならざるを得ない、こういったようないわば天国と地獄と申しますか、経済構造改革を実施する場合、しない場合のそれぞれの経済の行く末の違いを比較して提示をする形で経済構造改革の必要性を訴えておるわけでございます。  実は、お手元の資料の後ろの方に、次のページから若干の表などを掲げておるわけでございます。最初に二、三それを紹介させていただきたいと思います。  まず、日本経済の空洞化が言われておるわけでございます。この八九年度以来の我が国の製造業の対外直接投資の状況が数量化されておるわけでございますけれども、実はバブル時代の最後のころになるわけでございます。八九年度には対外直接投資のいわばピークが来ておるわけでございまして、その後、いっときこの対外直接投資が減少をいたしたわけでございますけれども、九三年度から再び上昇に転じてきておるわけでございます。  先ほど経済の当面の問題のところで申し上げましたように、我が国は景気の低迷の中に基本的に推移をしてきたわけでございますけれども、こういった中で対外直接投資、企業の海外進出が九三年度以降急速にまた伸びてきておるという現状にあるわけでございます。この中でもアジアヘの企業進出が非常に顕著になっております。表には載せておりませんけれども、この中でも対中国の投資というのがまたかなり全体を引っ張り上げているというようなそういった構図になっておるわけでございます。  それから、実は日本経済の空洞化の一部になるわけでございますけれども、技術開発、研究開発の側面でもひょっとしたら空洞化的な現象が起こっているのではないだろうか、そういった懸念を持っておるわけでございますが、このページの下の方に日本の民間企業の研究費の推移を棒グラフで示してございますけれども、ごらんのとおり、九二年度以降民間の研究投資が減少をいたしてきておるわけでございます。実は、こういった民間企業の研究費が減少していく中で、他方で日本企業の海外での研究投資、研究活動がまた伸びている、伸長しているという面もございまして、申し上げましたようにこの研究開発、技術開発の側面でも一種の空洞化的な面が見られるのではないか、こういうことでございます。  申し上げるまでもないことでございますけれども、これからの日本経済の発展を考える場合に、研究開発、技術開発が官民を挙げて非常に重要な要素になってくるわけでございまして、その面でこういった現象が出てきているというのは憂慮すべきことだろうと思っております。願わくは全体の景気の状況が申し上げましたように回復をしていく中で、再度民間企業の国内での研究活動が活性化していくことを実は期待いたしておるわけでございます。  それから、この資料の次のページをごらんいただきますと、我が国の企業の開業率、廃業率の推移を記しておるわけでございます。例えば製造業でごらんいただきたいと思いますけれども、いわゆる企業を新しく起こす、開く開業率なるものが、企業を閉じていく数、廃業率を、戦後ずっと開業率が廃業率を上回ってきた。つまり企業の数が日本全体としてふえてきたという、ある意味では日本経済の成長をその面でも物語ってきたわけでございますけれども、それが次第にこの関係が近接をしてまいりまして、ついに平成になりましたころから廃業率が開業率を上回るような時代に入ってきておるわけでございます。  後でベンチャーの問題に触れたいと思うわけでございますけれども、新しく業を起こす、起こす業としての起業意識と申しますか、そういったものが日本経済、また日本経済を支えております企業人の心の中で万が一停滞してきているようなことがあるとこれまた大変問題であるというように考えるわけでございます。  ちょっと資料はっけてございませんけれども、例えばアメリカの状況をこの開業率、廃業率で見ますと、実はそもそも開業率も廃業率もアメリカは日本の水準、現在で申しますと三%とか四%とかいうような水準よりはるかに高い一〇%を超えるようなところでともにあるわけでございます。つまり、企業の新陳代謝の水準がそもそも日本に比べますと大変高いわけでございますけれども、そういった中におきましてアメリカの場合は一貫して開業率が廃業率をずっと上回る状態を続けているというところに、いろいろアメリカの経済について強い、弱い、議論があるわけでございますけれども、ある種のこういうアントルプルヌールシップと申しましょうか、新しく業を起こしていくという世界について見ますと、なかなか活力のある社会をアメリカは維持しているんじゃないかというように言えようかと思うわけでございます。  というような幾つかの数字等をごらんいただいた上でもう一度もとの二ページに戻らせていただきたいと思うわけでございます。  経済構造改革ということで、どういう切り口でどういうアプローチをしていくかということでございますけれども、まず、産業構造の的確な改革を行っていくと申しますか、それに沿った経済政策を進めていく必要があるということでございます。ここに書いてございますように、既存産業の事業の再構築、リストラとそれから新規事業の創出によりまして産業構造の改革を促進していこう、こういうことでございます。  この関連で、昨年幾つかの新法の制定、それから法律改正をいたしたわけでございます。事業の再構築ということで申しますと、昨年の通常国会で御審議の上四月に制定をしていただきました事業革新法、これは研究企業の研究開発促進税制の強化などを内容としている法律でございます。それからさらには、秋の臨時国会におきましていわゆるストックオプション制度の新たな導入などを内容といたします新規事業法の改正でございますとか、また、中小企業の創造的な事業活動を後押しするための中小企業創造活動促進法を制定いたした。それからさらには、新しい産業インフラの整備ということで民活法の改正をいたしておるわけでございますけれども、産学連携施設でございますとか、また、環境関係のリサイクル施設といったものを従来からやってきております民活事業の事業対象に追加する、そういったような法律改正をいたしてきておるわけでございます。  新規事業の創出の関係では、実はいろいろな施策、つまり新規事業、ベンチャー企業を育成していくために金融面での対策も必要でございます。それから、こういったベンチャーの人材確保をどうするか、そういった面での対応、これも必要でございます。それから、もちろん研究開発を促進するための施策も重要でございます。こういったようないろいろなジャンルの施策を、またそれぞれのベンチャー企業の発展段階に応じましてかなりきめ細かにメニュー化してきているという状況でございます。揺りかごから墓場までではございませんけれども、ベンチャーの育成につきまして揺りかごから成人式までというようなことで、それぞれの段階ごとに必要とされる施策を提供しよう、こういうことでやってきておるわけでございます。  なお、昨年の新規事業法の改正で導入をいたしましたストックオプション制度、いわゆる株式を利用いたしました成功払いの報酬制度でございまして、アメリカ、ヨーロッパなどではベンチャー企業が新しく人材を確保するためにかなり有力な武器として、道具として使われておる制度でございますけれども、これが日本の場合には商法の規制によりまして事実上できなかったわけでございます。これに新たに道を開いたわけでございまして、つい先日でございますが、この第一号が出てまいりまして、いよいよこういったものも動き始めておるということでございます。  それから、産業構造改革の次に、先ほどの空洞化の問題に大いに関連をするわけでございますけれども、我が国の高コスト構造ということが言われます。内外価格差の問題というような言葉で言われることもございますが、これをどうやって是正するか。それからまた、先ほど申し上げました新規産業の育成、創造のためにも規制緩和が極めて重要な役割を果たすということで、この規制緩和の推進ということを大変重要な政策課題と位置づけておるわけでございます。  企業が国を選ぶ時代になってきたと言われるわけでございます。つまり、日本というこの土地が企業によって企業活動、事業活動をする場として選んでもらえるような魅力を備えた土地、社会にする必要がある、こういったことを通じていわゆる空洞化というものを防いでいこう、こういうアプローチでございます。  内外価格差の問題も、このはしりのころにはいわゆるグッチですとかエルメスといったようなプランド性の強い消費財の面で語られることから始まったわけでございますけれども、最近はこの内外価格差の問題がいわゆる企業活動の原材料でございますとか資本財とか中間財とか、そういった分野で大変顕著になってまいりまして、これの意味するところは、日本企業の使います原材料等のコストが諸外国での事業活動に比べて大変高くなってきているということで、我が国企業の競争力に大変大きなマイナスの影響を与えるわけでございます。ということで、極めて幅広い分野での内外価格差問題といたしまして、これを是正、縮小していくことが必要であるということでございます。  このためにいろいろな分野、情報分野、金融分野、雇用の面、運輸面、エネルギー等々、製造業の競争力に大きな影響を与える重要な重点分野とも言える分野があるわけでございますが、こういった分野を中心にいたしましてさらに規制緩和を進めていくことが必要であるということでございます。  昨年の三月に規制緩和推進計画が策定をされまして、また四月にはこれの前倒し実施が決まったわけでございます。それから、昨年十二月には行政改革委員会からまた新たな規制緩和の提言もなされておるわけでございます。ことしの三月にはこの規制緩和推進計画の見直しをやることになっているわけでございまして、こういったいろいろな節目節目、段取り段取りをとらえながら規制緩和をさらに進めていくことが必要だと考えております。  それから、経済構造改革としての三番目でございますが、企業を取り巻く制度改革ということで、企業の活力を取り戻すと申しますか、企業の活力を増進するという観点から日本のいろいろな制度のチェック、見直しをしていく必要があるだろうと。先ほどは規制緩和、規制という側面でそれを申し上げましたけれども、各種制度全体の見直しをする必要があるんじゃないかということでございまして、税制、それからまた産業金融の分野、それから雇用関連制度等々、企業を取り巻く制度の見直しを行おうと、こういうことでございます。この関連で、恐縮でございますが、資料のとじ込みの一番最後のページになりますが、今税制面での見直しと申し上げた点に関連をいたしまして、各主要国の法人課税の実効税率の比較を載せております。ごらんのとおり、現在、日本の法人課税の実効税率約五〇%ということで、欧米主要先進国と比べまして一段と高い水準にあるわけでございます。  実は、一九八〇年には、ごらんのとおり必ずしも日本が高いということではなかったわけでございますが、八〇年代を通じましてアメリカ、ヨーロッパの主要国がこの面での制度改革にいち早く着手、実行をいたしまして、その結果としてごらんのとおり、現在、我が国との比較でかなり企業課税が低い水準になっている。このあたりも先ほど日本社会の高コスト構造と申し上げたわけでございますけれども、それを形成している一つの論点でもあるわけでございます。  それから、産業金融ということで言いますと、いろいろ金融面での、これはもう直接金融の世界、間接金融の世界で各種規制があるわけでございます。そういったものをいろいろな場で見直しが行われておるわけでございまして、企業の活力ということで申しますと、企業の資金調達の多様化を図り、またそれを通じまして企業の資金調達コストを下げる、これを通じて企業のコストを低減し企業の活力を取り戻していく、そういった観点からの見直しを通産省としても大蔵省にお願いをする部分が多いわけでございますけれども、いろいろな議論をいたしておるわけでございます。  それから最後に、雇用ということ、雇用制度ということで申し上げましたのは、産業構造が変化をいたすわけでございます。この変化に的確に対応した社会のリソースの配分というものが必要になるわけでございまして、もちろん資金の面でこういった産業構造、経済構造の変化に対応した資金の流れの変化と申しますか、対応が必要でございますけれども、雇用、労働の面でもこういったいわゆる労働の円滑な移動が可能になるような制度改革ということで、各種の規制緩和等、議論がなされておるわけでございます。  一例を挙げますと、この労働移動の円滑化ということで申しますと、例えば労働者派遣事業にいろいろな規制がございます。それからまた優良職業紹介の世界でも規制があるわけでございますけれども、こういったものの規制緩和を積極的に進めることによりまして、人材、労働力を必要としているところに、どちらかといえば労働力が余剰ぎみなところから的確に人材が動いていける、そういったことを実現していく必要があるんじゃないか。  もちろんこのためには、今申し上げました制度改革のほかにも、例えば企業の中途採用を行った場合に中途採用者が不利にならないようないろいろな制度のチェック、改革も必要だろうと思います。退職金や年金制度、そういったものが中途採用者に不利にならないようにするためにどうしたらいいだろうかという問題もあるわけでございますけれども、こういう労働の、雇用の側面でも諸制度、多くのものがかなり長い間続いてきている制度でございますけれども、そういったものをもう一度見直してみよう、そういったことが必要だろうと。  ということで、ある種の多少気負った言い方になるわけでございますけれども、経済構造改革を進める、日本経済を活性化させていくということで、通産省としては多少他省庁の世界に入ることでもいろいろ議論をしていくことも私どもの役目かなという気もいたしておりまして、そんなようなことを少しでもやれればという気持ちで産業政策に今後も取り組んでいきたいと思うわけでございます。  最後に、資料の一番最後のページに産業構造審議会における試算ということで、実は産業構造審議会、平成六年になるわけでございますが、十二の分野を掲げまして、新規・成長市場分野ということでこの十二の分野の今後の展望を若干の具体的な数字とともに示しておるわけでございます。環境、医療・福祉、住宅等々十二の分野で、ごらんのとおりの分野でございますけれども、二〇〇〇年には市場規模で二百十兆円、雇用にいたしましてもこれまでに二百万人を超える雇用の増をこういった十二分野で期待できるんではないか、こういうビジョンの提示でございます。この産構審のビジョン、提言の中ではこういう産業の展開を見渡しますとともに、そこに向けてのやるべきこと、規制緩和でございますとかいろいろな研究開発、制度の改革等々、それぞれの分野ごとに必要とされる施策というのもあわせて提示をいたしておるわけでございまして、そういったものも参考にしながら一つ一つの施策を着実に、しかし早急に打っていく必要があるだろうと、こういうことでございます。  先ほど、文部省の御議論の最後の方をちょっと入って聞かせていただきました。研究開発の側面でも大変刺激のある御議論があったわけでございます。私どもも何度も申し上げますように、当然のことながら経済構造改革にとりまして研究開発、技術開発が極めて重要である。民間につきましては先ほど申し上げたようなことですが、政府の役割も重要であろうということで、先般、科学技術基本法が制定されたわけでございます。  それからまた、私どもは、政府の研究開発投資が欧米に比べても日本は低い水準にございますのでこれを倍増しようじゃないか、こういう議論をいたしております。この倍増も、例えば二〇〇〇年といったようなある目標を掲げて早期に実現をしていったらどうだろうか、そんなような議論をいたしておるわけでございまして、先ほどの文部省それから科学技術庁等各省庁とも連携をとりながらこの研究開発の促進に努めておりますことを最後につけ加えさせていただきまして、私の説明とさせていただきます。

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) ありがとうございました。  以上で産業政策の現状と課題についての説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は挙手をお願いします。

金田勝年自由民主党・自由国民会議

○金田勝年君 二ページの「経済構造改革の実行」というところで注書きが出てまいりますけれども、新経済計画の中身で、状況報告の中で二〇〇〇年までの経済成長、改革を実行すれば三%程度、改革しなければ一%台という記述があるんです。これは中身をよく承知していなくてちょっと教えていただきたいと思って御質問するんですが、この(1)、(2)、(3)、をやった場合に三%程度だ、改革しなければ一%台だと、こういうふうに拝見したんですけれども、そういうことですか。  そしてまた逆に、非常にこれは重要な問題だ、重要な記述だと思うんですよ。当然にして実質経済成長率が三%程度、大変な数字の根拠だと思うんですけれども、その中身は、こういう(1)、(2)、(3)についてはそれぞれに試算なんかはされておるんでございますか。  例えば、三番なんかになりますと、企業を取り巻く制度の見直しといっても非常にいろんなバリエーションがあり、この二行ではわからないいろんな前提があると思うんですね。そういうところをどういうふうにとらまえて、(1)、(2)も同じなんですけれども、こういうふうなことになるのか、その辺をもう少し詳しく教えていただく機会があればありがたいな、こういうふうに思うんですけれども、どうでしょうか。

横川浩通商産業省大臣官房審議官

○政府委員(横川浩君) 必要があれば担当課長から補足をさせますけれども、ここで申します三%とか一%というのはマクロのモデル計算の中からつくってきた数字でございますので、必ずしもこの下の方の個々の施策との厳密な対応関係で組み立てていっているものではございませんので、もう少し全体のふわっとしたところからきているものでございます。  ただ、考え方としては、例えば規制緩和のようなものを積極的に進めることによってある生産性の向上を図る。これはモデルを組むときにそれを織り込むわけでございますけれども、そういった形で三%を計算しておるわけでございます。

金田勝年自由民主党・自由国民会議

○金田勝年君 したがいまして、そのモデルのときにどういう前提でいくのかということなんだと思いますが、それぞれについてどういう努力目標があって、どういうふうな水準で改革が行われればどうなるんだというふうな、そういう細かい分析をされておるということではないわけですね。

中嶋誠通商産業省産業政策局産業構造課長

○説明員(中嶋誠君) 産業構造課長の中嶋でございます。この経済計画自体は経済企画庁の方が担当されまして、昨年の十二月に作成されたものでございます。  今御指摘の点は、試算を確かにしております。経済企画庁の方がマクロモデルを使いながらいろんな試算をしておりますけれども、構造改革を実施した場合というその構造改革の中身なんですけれども、確かにここにも指摘が部分的にしてございます。例えば、高コスト構造の是正という形で内外価格差が相当程度改善をした場合であるとか、一定の前提を置きながらの試算ではございます。ただ、もちろん科学技術の分野での技術進歩がどのぐらいになるかとか、いろんな不確定要因がありますので、厳密にすべていろんな政策と一対一に対応しておるわけではございません。  全体の考え方として、これは民間の調査機関でもそうでございますけれども、日本経済の潜在的な成長率は三%程度あるであろうと、それを具体的に実現するためにどんな施策が要るんだろうかということをいろいろ詰めているのと、それから仮にそういう施策を講じないと今の状況がだらだらと続いて一%台の低成長になってしまうというような基本的な考え方のもとに、幾つかの前提を置きながらモデルで試算をして議論をいただいた、こういう経緯と承知をしております。

金田勝年自由民主党・自由国民会議

○金田勝年君 対応関係が明確にあるというわけではないと……

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) ちょっと待ってください。まだありますか。

金田勝年自由民主党・自由国民会議

○金田勝年君 失礼しました。今の説明にちょっと確認申し上げたかったので。

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) では、金田君。

金田勝年自由民主党・自由国民会議

○金田勝年君 恐れ入ります。  対応関係があるかのようなこの資料でございましたので、そこのところを確認したかっただけであります。また機会がありましたら詳しく教えていただきたいと思います。

小林元平成会

○小林元君 今、金田委員からも話がありましたが、この高コスト構造の是正という中で、確かにそれが一番大事なことなんだろうと思うんですけれども、産業空洞化が起きた原因といいますか、つまりその中身なんですけれども、高賃金あるいは内外価格差というような問題なのかどうか、それが第一点です。  それから、そういう高賃金ということになるとどういう解決策があるのか。あるいは内外価格差問題にしましても、もうちょっと具体的にどういう対策で格差を少なくしていくのか、その辺をお尋ねしたいと思います。

中嶋誠通商産業省産業政策局産業構造課長

○説明員(中嶋誠君) 第一点の御質問は空洞化の現象の原因でございますけれども、空洞化というのは、多分非常に大ざっぱに定義をいたしますと、既存の産業がどんどん外に生産の拠点なり技術開発の拠点を移していく反面、国内でそれを補うに足るだけの新しい分野が育ってこないという現象かと思います。  最初の方の外にどんどん出ていってしまう原因でございますけれども、これは確かに日本で物づくりなりサービスを提供するなり、そういった事業活動をやるのが総体的に有利性を失う、あるいは魅力に乏しくなってくると。理由は、国内での高コスト構造というのがあろうかと思います。その高コスト構造のさらにブレークダウンした原因として、もちろん人件費の問題もありましょうし、いろいろなインフラの割高なこと、あるいは未整備なこと、あるいは法人税を初めとするいろいろな税制上の問題等々があろうかと思います。  それから、もう一つの現象でございます新規の分野がなかなか育ってこないことの原因といたしましては、やはりいろいろな規制がありまして新しい分野についてビジネス活動を広げていく際に支障がある、あるいは単に役所の許認可なり制度面のみならず、民間産業界においてもいろいろな従来の慣行と申しますかプラクティスがありまして、それが新しい事業活動をする際の妨げになっている、いろんな要因があろうかと思います。  もう一つ、委員の方から御指摘がありました内外価格差の是正の方策でございますけれども、内外価格差が出てきている原因として、もちろん一時期の非常に激しい円高もございましたけれども、やはりその円高の分を差っ引いてもなおかつ内外価格差の要因が非常に残ります。それを解消していくためには、今まで総体的に国際競争にさらされていなかった非効率な分野について、よりその競争を促進していくというのが基本であろうかと思います。  その意味で申しますと、例えば規制を緩和しながら、あるいは撤廃をしながら新しい事業者がそういう分野に参入できるようにする。その新しい事業者は国内の事業者でも外国の事業者でもいいわけでございますけれども、そういった規制緩和でございますとか、それから先ほども触れましたように、民間産業界においても従来のいろいろな制度慣行を見直していくというようなことが必要かと思います。  具体的には、先ほど御紹介いたしました経済計画の中に十ほど分野を挙げまして今後五年間に具体的な高コスト是正を進めていくための計画を策定しておりまして、それを毎年実施状況を点検していこうということでございます。これは経済企画庁が中心になって進めることになっております。

平田耕一自由民主党・自由国民会議

○平田耕一君 技術立国を目指すということで、これは促進しなきゃいかぬけれども、先ほどおっしゃったようなことの中でも、本当にニュービジネスとか最先端の産業を鼓舞するような政策というのは随分方策があるわけですね。でも、本当の技術立国というのは、周辺の産業とか古い産業とか底辺の産業というところからもう一遍その技術をリニューアルするような形の技術開発も起こってこないと、本当の日本の新しい産業構造というのはできないような気がするんです。  それで、例えば一つ提案ですけれども、研究開発費の損金算入の率が前年より何割か多ければ補助金が出るんだったかな、たしかそういう制度もあったと思うんですけれども、先ほどのこの資料の中で研究開発費の空洞化という資料がありましたよね。これは大企業だけの空洞化なんですよね。ですから、その研究開発費の空洞化を防ぐというよりも、研究開発費が日本の産業の中でもっとボリュームアップするための方策としましては、例えば研究開発費が当該年度に発生したものについて損金算入を認めるというか助成をするというのではとても対応ができないので、もうかったときにその計画を立てて二年なり三年なりの技術開発研究費予備費みたいな積み立てを認めるような制度をあまねくやっていくということは、これは本当に大事なことだと思います。  ぜひともひとつそういう意味で、広くオーハト産業も周辺産業も行き渡るような研究開発の推進策というのを、一つの規制緩和ですから、具体策でぜひお願い申し上げたいというふうに思います。御意見があればお聞きしたいと思います。

望月晴文通商産業省産業政策局企業行動課長

○説明員(望月晴文君) 企業行動課長の望月でございます。  今、先生御指摘がございましたのは増加試験研究費についての税額控除の制度のことであろうかと思います。  本制度は昭和四十年代の前半からいろんな企業に活用されてまいりまして、今でございますと、基準年度が昭和四十二年の事業年度のところから最高に試験研究費を使った、基準年度の研究開発費よりも増加した場合に、その増加分の二〇%相当額を法人税額から控除するということでございまして、税額控除というのは絶対免税でございますので相当に有利な税制ということで活用をされてまいりました。  おっしゃいました御提案は、私どもは大蔵省ともまだ議論をしたこともございませんけれども、本税制そのものが法人税において大変企業側に有利に税額控除をされているということで縮減の圧力が随分ございましたが、私どもの諸般の税制の中で最も今の時代に、先ほど来御説明を申し上げた試験研究費を何とかして企業が投じていかなければ新しい日本はないというような時代に、この税制というのはどうしても重要で必要な税制だということで守ってきたわけでございます。加えまして、先ほどちょっと御説明がございましたけれども、昨年成立をさせていただきました事業革新法であるとか中小創造法であるとかいうところでこの基準年度をもう少し有利な状況に変更をするという改正をいたしまして、より一層使いやすいものにするというような努力は少しずつやっているわけでございます。  御提案は私どもも余りまだ考えていなかったものでございますので、またこれから来年度税制に向けていろいろ考えていく折に一つの御提案として考えてまいりたいと思っております。

木暮山人平成会

○木暮山人君 済みません、一言だけちょっと質問させていただきます。  日本の為替レートが一円上がりますと日本の国はどれぐらいマイナスになるんですか、一日。

横川浩通商産業省大臣官房審議官

○政府委員(横川浩君) 大変難しい御質問でございます。つまり為替レートの日本経済へのきき方は非常に広範でございまして、それからマイナスの面ばかりじゃなくてプラスの面もあると。円高になればそれだけ輸入が低コストで済むとか、プラスマイナスが直接、またその影響の間接があるものですから、その一円の為替の変更でどういう経済への影響かというのはちょっと試算をしたケースは余りないかなと思うわけでございますけれども、民間の方も含めて御研究があるかもしれませんので調べさせていただきます。

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) 以上で質疑は終了いたしました。どうも御苦労さまでした。  引き続き、通商産業省から工業技術研究開発の現状と課題について説明を聴取いたします。工業技術院平石院長。

平石次郎通商産業省工業技術院長

○政府委員(平石次郎君) 工業技術院長の平石でございます。よろしくお願いいたします。  お手元に「工業技術研究開発の現状と課題」、また「工業技術院の研究成果」、二つの資料をお配りさせていただいておりますが、それに基づきまして説明をさせていただきます。  最初に、「現状と課題」の方でございますが、目次にございますようにまず現状について説明させていただきまして、その後、工業技術研究開発が現在どういう意味で重要かという点、またその研究開発体制、そして最後に今後の課題について説明させていただきます。  一ページ目でございますが、「工業技術研究開発の現状」。  最初から数字が出てまいりまして恐縮でございますが、まず我が国の研究開発費の動向でございます。平成六年度の我が国の研究開発費、トータルで十三兆六千億円ほどでございますが、前年に比べますと〇・八%ほどの減となっておりまして、これは二年連続して減少しております。この中でも特に民間の研究開発費は三年連続で減少しておりまして、不況が長引いている影響を受けまして企業での研究開発の活動が停滞していることをあらわしていると考えております。数字的に申しますと、一九九一年度から一九九四年度までこのような状況で減少しております。  また、とりわけ我が国の研究開発費の現状の特徴といたしましては、国全体の研究開発費に占めます政府負担の割合がおよそ二割程度でございまして、その多くを民間に依存しております。これは、欧米諸国と比べますと政府負担割合が半分程度ということで、我が国の特徴の一つとなっております。  またさらに、研究開発の八割を占めています民間企業の研究開発費、その中において政府が負担している割合というものも欧米と比べますと極めて小さい状況でございまして、そこの表にございますように、アメリカでは三〇%でございますが、我が国は三・三%という状況でございます。  技術貿易につきましては、世界全体に対しましてはプラス九百十四億円ということでございますが、先進諸国に対しましては依然として輸入体質が継続しているところでございます。  二ページに参りまして、研究者、技術者が海外とどのような状況で交流しているかというものをまとめたものでございますが、一九九四年度を見ていただきますと、我が国から出ていく人の方が非常に多くなっております。優秀な研究人材が流出する懸念があるところでございます。  さらに、実際の研究の現場でございます国立研究所、大学等の状況でございますが、施設・設備の老朽化あるいは陳腐化が進んでおりまして、早急な整備強化が必要と思われます。  通産省の産業技術関係の予算でございますが、全省庁での研究開発関連予算、平成八年度の予算原案におきましては、そこのグラフの左側の方にございますが、二・六七兆円ほどでございます。その全体の約半分が文部省でございます。また、残りの二分の一のさらに二分の一が科学技術庁でございまして、さらに残りの二分の一が通産省の方でございます。そして、通産省全体の中の二分の一を私ども工業技術院の方で使わせていただいておるところでございます。工業技術院といたしましては、八年度は千四百四十億円の予算を原案に計上させていただいております。  三ページでございますが、先ほど産政局の方から研究開発についての説明がなされたと思いますが、戦後の我が国の経済が発展してきた中では、その研究開発によります技術革新が非常に重要な役割を果たしてきたと認識しておりまして、最近でもこの傾向は変わらないものと考えております。  そこに実質GDP成長率の要因を分析したものがございますが、七三年から七九年の間でございますと、技術開発が寄与していると思われますTFP寄与の部分が全体の四三%であります。最近の六六年から九〇年全体で見ますと、そのTFP寄与、技術革新が中心と思われますTFP寄与が全体の成長率の約半分でございます。  このように、技術開発は中長期的に見て経済フロンティアの拡大に寄与すると考えておりますが、短期的に見ましても、研究開発投資の生産誘発係数というもので見ますと、従来型の公共投資と比べましても高いものがございまして、そこにございますように、生産誘発係数、公共事業が一・五八というところでございますが、研究開発で見ますとおおむね二程度になると試算されております。  四ページに参りまして、私ども工業技術院の研究開発の体制でございますが、全国に十五の研究所がございます。筑波研究センターに二千四百人弱、また札幌から九州の鳥栖の各地域にあります研究所を合わせまして七百五十人程度の職員で研究を進めているところでございます。  五ページに参りまして、八年度の私ども工業技術院関係の予算案でございますが、工業技術院関係全体、八年度、おかげさまで七・五%の伸びで予算案を計上させていただいております。およそ一般会計が六〇%、特別会計が四〇%程度となっております。  工業技術院の予算案の主要項目でございますが、国立研究所におきます研究開発の推進等、また提案公募型の研究開発、この後で少し説明させていただきたいと思いますが、それから産学官の連携によります研究開発プロジェクトの推進、地域技術振興対策の推進、民間技術開発の振興、国際研究協力の推進、そして工業標準化の推進と、七つの観点に立って進めているところでございます。  その施策の概要を説明させていただきます。  六ぺ-ジでございますが、まず第一に、独創的産業技術研究開発促進制度でございますが、これは八年度に新規の政策として計上させていただいているものでございます。将来の産業技術のシーズとなりますような基礎的な研究あるいは独創的な研究を全国の大学あるいは国立研究所等から公募いたしまして、それらの中から有望と思われるものにつきまして産学官を結集した形で研究開発を実施するということでございます。  平成七年度におきまして一次補正、二次補正で研究開発について御配慮いただいたところでございますが、その中で本制度と同様のものを実施しておりまして、多数の応募が集まり、またその提案されたテーマもレベルが高いというように判断しております。また、ニーズも非常に多いということがこの補正の中でわかってまいりました。  この中では、対象分野といたしましては、私ども次に述べます産業科学技術研究開発制度あるいはニューサンシャイン計画で推進しております分野を対象にしておりまして、そこにございますように、新材料に関する研究、バイオテクノロジー、電子・情報、機械システム、医療福祉機器、人間生活工学、資源、そしてエネルギー・環境、これらの分野を対象として募集をしているところでございます。  二番目の産業科学技術研究開発制度でございますが、これは私どものナショナルプロジェクトの一つでございますが、広く内外の産業界や学会と密接な協力体制をとりまして、産業科学技術の研究開発を計画的に、また効率的に推進することにしておりまして、先ほど独創的産業技術研究開発促進制度のところで申し上げましたそれぞれの分野につきまして研究開発指針を取りまとめ、それに沿った形で研究開発を進めているところでございます。  研究開発をしておりますテーマにつきまして二つ三つ紹介させていただきたいと思います。  最初は、超電導セラミックスが見出されて十年近くたつわけでございますが、その基礎的な発見をもとにいたしました超電導材料また素子、新高温超電導物質の探索、それを材料として使うための技術の研究開発、これを一つ行っておりまして、その中では世界最高の臨界温度を達成するなどの成果を上げているところでございます。  二つ目は、機械システム関係のものでございますが、超音速輸送機用の推進システムの研究開発をしておりまして、この中では、低速からマッハ五程度の広い範囲の速度域で飛行することができるようなコンバインドサイクルエンジンというものの研究開発を進めておりまして、最近になりまして初めて民間航空機用のラムジェッ十エンジンのマッハ五燃焼試験を行い、所期の結果を得ているところでございます。  三つ目は、マイクロマシンに関します技術でございますが、生体の中の非常に微小な空間域、血管の中等の微小な空間域で自分で作業できるような小さな機械、例えばそのようなものを目指しましたマイクロマシン技術の研究を行っておりまして、現在、例えば直径五・五ミリ、長さ二十ミリ、重さ一グラムというような非常に小さな発電器をつくっております。また、自走型の配管検査マシンなどの研究を行っております。  次に、ニューサンシャイン計画でございますが、この計画は数年前までサンシャイン計画、ムーンライト計画という二本立てで行っておりましたが、エネルギー関係の研究が地球環境の問題と密接な関係がございますので、新エネルギー、省エネルギー、地球環境全体を総合的に研究を進めるために一つの制度としておるところでございます。  例を二つ三つ紹介させていただきますと、第一は太陽光発電技術でございますが、太陽電池の大幅なコストを低下させるための製造技術の研究開発、例えば太陽電池を非常に薄いものにする薄膜化する研究、あるいは建材と一体化したような太陽電池システムの研究開発、このような研究を行っているところでございます。  次に、発電効率が高く、またNOx等の発生する割合が少ない環境負荷の低い発電システムとして期待されております燃料電池に関します研究を進めておるところでございます。最近になりまして千キロワット級の燃料電池のシステムの建築に取りかかったところでございます。  地球環境に関します研究開発では、炭酸ガス等環境負荷物質の回収や固定化、その他環境調和型の資源循環技術などの研究を行っているところでございます。  七ページに参りまして、医療福祉機器技術の研究開発でございますが、最先端の産業技術を駆使いたしまして医療福祉機器関係の研究を昭和五十一年度から始めておるところでございまして、この研究につきましては、厚生省の方と密接な連携をとって進めているところでございます。現在までに三十六テーマを終了いたしまして、レーザーメスあるいは電動車いすなど十八テーマについて実用化が現在行われているところでございます。  現在進めておりますテーマは、医療福祉機器関係六分野を体系的に進めることにしておりまして、例えば高精度の三次元画像診断システムの開発におきましては、そこにございますように、体に傷をつけることなく生体の形態についての情報を得たり、機能の情報を三次元でビジュアルな形で得られるようなシステムの研究開発を進めております。また、患部の切開、切除、接合などの負担が非常に少ない手術ができるような低襲手術支援システムの研究開発も進めております。  在宅福祉機器システム開発におきましては、患者さんの移動やあるいは排せつ、入浴等住宅内での生活動作が支障なく行われるような支援機器等在宅福祉分野の研究開発を実施しております。  次に、知的基盤の整備でございますが、基礎的あるいは独創的な研究開発を積み上げていくことが次の産業技術の基礎となるものでございますが、その際に必要となりますような基盤的なもの、例えば計量標準に関しますようなデータ、あるいは生物資源情報に関しますもの、また化学物質の安全管理に関しますような体制の整備が我が国はおくれておりまして、これを早急につくり上げる必要があると考えておりまして、新規の施策を講じさせていただきたいと考えておるところでございます。  その中身でございますが、計量標準の基盤でございますが、これは、計量標準に関します基礎的な研究、あるいはその標準の設定、維持、供給にかかわるものでございまして、さまざまな材料の研究開発や人間工学、さらに福祉機器分野などにおいて特に重要なところであるかと考えております。  バイオの分野において必要な生物の遺伝子の構造、あるいは生物そのものの機能などの分析、こういったものに対します情報の整備がおくれておりますので、この生物資源情報基盤につきましても早急に整備を進めたいと考えております。  化学物質の総合安全管理基盤は、そこにございますように、新たな化学物質の開発の前段階におきまして安全性を事前に予測したり、あるいは評価が的確にできるような体系をつくりたいというふうに考えております。  先ほど、私ども十五の国の研究所があると申し上げましたが、そこでの研究開発の推進について御説明申し上げます。  まず第一に、夢のあるプロジェクトということで、新規産業の創出という観点から、重要な分野につきまして戦略的に国の研究所で重点的な研究開発を推進したいという制度でございまして、八年度から新たに始めさせていただきたいと考えておりますが、具体的なテーマといたしましては、次世代光基盤研究と生体高分子機能解析研究でございます。  次世代光基盤研究は、紫外線レーザーを使うことによりまして次世代の光メモリーの研究を行いたいというものでございまして、現在のメモリー技術を大幅に超える新しいメモリー技術が生まれるものと期待しているものでございます。  生体高分子機能解析研究は、生物の中にありますDNAの情報によってさまざまな機能を持ちますたんぱく質が合成されるわけでございますが、そういったものを体系的に合成する技術開発でございます。  二つ目は、活断層に関します調査の推進であります。  昨年の阪神・淡路の大震災で活断層に関します調査の推進の必要性が痛切に感じられているところでございますが、私どもの地質調査所で地質調査の一環といたしまして活断層に関します調査を推進しているところでございます。平成七年度の補正予算におきまして、地震発生ポテンシャルの評価のためのフィージビリティー調査、これによりまして得られました既にわかっております活断層の活動履歴、この調査を加速して、これはトレンチ調査あるいはフィールド調査などが必要でございますが、そういったものと年代測定に関します調査から活断層の活動履歴を解明していきたいと考えております。  七番目は、超先端電子技術開発促進事業でございますが、新しい産業の創出、高度な情報化社会を実現する際には、そのかぎとなっております電子情報産業の基礎的かつ共通的な技術を維持し強化することが必要でございまして、ハード面につきまして超先端電子技術について研究開発を推進するものでございます。二十一世紀におきましては、電子製品に非常に高い集積度あるいは超高速の処理、そしてエネルギー消費の少ない製品といったものが要求されておりますので、そのような目標を達成するための要素技術開発に資するものでございます。  実際の研究の中身といたしましては、髪の毛の五百分の一の太さの線をかくような超微細加工プロセス技術、あるいはそういったものをきちんと計測、解析できるような極限的な分析・計測技術、そしてまた今までにない全く新しい機能を有するような材料の開発などを考えているところでございます。  最後に、民間におきます技術振興のための施策でございますが、一つは税制でございます。増加試験研究費税額控除制度で民間におきます技術開発を振興しているところでございます。また、財政融資によりまして新技術の開発を促進しているところであります。また、民間におきます基盤的な技術開発に関します研究を円滑に進めるために、基盤技術研究促進センターにおきまして試験研究に対します出資・融資事業を行っております。  九ページ目に、工業技術研究開発に関します今後の課題ということでございますが、まず第一に、科学技術創造立国を目指しまして、これを積極的に推進することが必要であると考えております。科学技術の進展、これは新産業創出あるいは新しい経済活動の展開、国民生活の豊かさの実現、そういったものの基礎になるというように考えておるところであります。その一方で、最初のところで申し上げましたが、我が国の研究開発制度の脆弱性が感ぜられるところでございまして、早急に抜本的な対応が必要であると考えております。また、科学技術分野の開拓のための独創的な研究開発また研究基盤の整備、こういったものは民間で行うことが困難でございますので、政府研究開発投資が必要であります。その抜本的な強化が不可欠であると考えております。  昨年の十一月に科学技術基本法が制定されまして、私ども科学技術関係の施策を担当しております者といたしましては大変感謝しているところでございますが、私どもといたしましては、この科学技術基本法の精神を実現するための基本計画を早急に作成することが重要と考えております。その基本計画の中におきましては、研究開発の推進に関します総合的な方針、またそれと同時に、研究開発が円滑に行われ効果的に推進されるような環境の整備、これにつきましてやはり総合的、計画的に施策を講ずるためのそういった施策がこの計画の中に記載されてほしいと考えておるところでございます。  以上のような状況を踏まえますと、科学技術基本計画を早急に策定して、それによりまして独創的、先端的な研究開発を推進し、またそのためには若手の研究者の活用が重要でございます。ポストドクター等の支援のための計画を推進する必要があると考えております。また、さらに効果的に研究開発を進めるために柔軟かつ競争的な研究環境を整備することが大切であると考えております。  また、このような施策を円滑に実施するために、新経済計画にのっとりまして、できるだけ早期に政府研究開発投資の倍増を実現していくことが必要であると考えております。  また同時に、柔軟かつ競争的な研究環境をつくっていくためにさまざまな制度改善が必要であると考えておりまして、例えば研究者の流動性が拡大するような環境を実現したり、競争的に研究者が研究を行うような環境、またそういった中から生まれてまいりました研究成果を産業界へ円滑に移転するための方策などが重要であると考えております。  二つ目の資料の方に工業技術院の研究成果の例がございますので、簡単に説明させていただきたいと思います。

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) 時間が来ておりますので、簡単にお願いします。

平石次郎通商産業省工業技術院長

○政府委員(平石次郎君) 恐れ入ります。  まず最初のページは、私ども国の研究所でやりましたものでございますが、少し古いものでございますけれども、PAN系の炭素繊維、いわゆるカーボンファイバーでございます。これにつきまして、大阪にあります研究所で世界に先駆けて研究開発をしたものでございます。また、東北新幹線の氷結防止パネルあるいは電卓の表示パネルなどで使われております透明電導膜、これも大阪の方で見出されたものでございます。また、筑波にあります物質工学工業技術研究所でカラー液晶表示装置の開発が行われておりまして、このカラー液晶表示技術で広く使われつつあるところでございます。  二枚目のところでは、比較的最近の成果でございますが、名古屋にあります研究所でファインセラミックスの超塑性現象というものを見出しました。セラミックスは、普通非常にかたいかわりに変形に対してもろいという欠点を持っているわけでございますが、ある工夫をいたしますと成形加工が容易な超塑性現象というものが起こることが名古屋の研究所で見出されておりまして、人工骨やヘリコプターのタービンなどさまざまな分野に活用されるのではないかと期待しているところでございます。  次は、筑波にあります生命工学工業技術研究所でエイズウイルスの切断などに利用する可能性のあるリボザイムを化学的に合成する、酵素の一種でございますが、合成することに成功しております。また、筑波の電子技術総合研究所では超電導エレクトロニクスに関する研究で世界最高の周波数九百七十ギガヘルツといったものの発振器に成功しておりまして、電子計算機の処理速度の飛躍的な発展につながる可能性があると考えております。  次に、私どものナショナルプロジェクトの中でのものを幾つか御紹介申し上げますと、航空機用のジェットエンジン、これは大型プロジェクトというものでやっておりましたが、そこにございますように、この研究の成果がV250〇エンジンの足がかりとなったものでございまして、現在ここにございますような形で使われ始めているところであります。  次のページには、超電導材料のところで世界最高の臨界温度のものが見出されたと先ほど申し上げましたが、そこの絵にございますように、人を持ち上げることができるような非常に強い浮力を得ることができます。  また、マイクロマシンは、先ほど申しました自走型の配管検査マシン、一緒にありますマッチ棒と比べていただきますとどのような大きさであるか御理解いただけるかと思います。  ニューサンシャイン計画におきましての太陽光発電、そこにありますような、これは資源エネルギー庁の普及促進と一体となって研究開発を進めております。また太陽熱利用技術、これは太陽熱を利用しました空調・給湯システムでございますが、これは広く、現在四百五十万台近く普及しているところであります。  その次の最後のところに燃料電池、また風力発電につきましてのものを載せさせていただきました。

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) ありがとうございました。  以上で工業技術研究開発の現状と課題についての説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は挙手をお願いします。

上山和人社会民主党・護憲連合

○上山和人君 一点だけお伺いしておきたいんですが、ことしはチェルノブイリ原発事故から十年ですね。そして「もんじゅ」の事故が起こりました。それでエネルギー政策について、ニューサンシャイン計画、これは太陽光発電のシステムの問題をここに提起されておりますけれども、これから原発にかわるエネルギーをどう開発し実用化するかということは、日本にとっては環境との問題もありまして大変重要な問題になると思いますけれども、この年を期して、もう少し総合的に新しいエネルギー体系をどうつくって開発して実用化するか、集中的な研究をなさる計画はないんですか。それだけ聞いておきたいと思うんです。

平石次郎通商産業省工業技術院長

○政府委員(平石次郎君) 一昨年、資源エネルギー庁で新エネルギー導入大綱というものを策定しております。その中で新エネルギーの導入についての予測もなされているところでございますが、私ども、太陽光発電、それから先ほど申しました燃料電池、この二つにつきまして、実用化も近いということも考え、重点的に研究開発を進めていきたいというふうに考えております。

太田豊秋自由民主党・自由国民会議

○太田豊秋君 別に質問ではないんですが、「工業技術院の研究成果」というところの「超電導エレクトロニクスに関する研究」のところで、九百七十ギガヘルツの「一秒間に約一兆円の発振」というのはどういうことなんですか。円というと、我々からいえばすぐお金の換算に使うような……。どういうことなんでしょう。

平石次郎通商産業省工業技術院長

○政府委員(平石次郎君) 失礼いたしました。一秒間に約一兆回の間違いでございます。大変失礼いたしました。

太田豊秋自由民主党・自由国民会議

○太田豊秋君 回ですか。わかりました。

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) どうも御苦労さまでした。  以上で通商産業省に対する質疑は終了いたしました。  次に、科学技術振興の現状と課題について科学技術庁から説明を聴取いたします。科学技術庁落合科学技術政策局長。

落合俊雄科学技術庁科学技術政策局長

○政府委員(落合俊雄君) ただいま御紹介いただきました科学技術庁の科学技術政策局長でございます。  本日は、科学技術振興の現状と課題ということで、御説明の機会をいただきまして大変ありがとうございます。既に文部省及び通産省工業技術院からお聞き取りをいただいておりますので、私の方からはできるだけ重複を避けて御説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  お手元に「科学技術振興の現状と課題」という資料をお配りしてございます。まず一ページをお開きいただきたいと存じますが、初めに、現在の我が国の科学技術の現状がどういうことであるかというところから御説明を申し上げたいと存じます。  よく言われますのは、我が国の研究開発水準、基礎研究について、アメリカ、ヨーロッパ等の先進諸国と比較しておくれているのではないかということが言われます。一ページにございますのがその一つの資料でございますが、ノーベル賞の自然科学部門の受賞者、これは戦後、一九四六年から一九九五年まで合計で二百九十二人の自然科学部門でのノーベル賞受賞者が世界でおりますけれども、その中で日本ではわずか五人にすぎないということで、ノーベル賞の受賞者の数の低さというのが基礎研究についてのいわば象徴的な資料ということでよく引用されるものがこの一ページでございます。  二ページに基礎研究水準の日米・日欧比較というのが上の方にございます。ここにございますように、基礎研究分野におきましては、わずかに情報・電子分野でヨーロッパにすぐれているということで、それ以外の分野ではヨーロッパ、アメリカに比べて劣位にあるというのが上半分の資料でございます。この資料は、ゼロを中心としてプラス〇・五、一というような数字で示されておりますが、これは産学官の研究者約千五百名を対象といたしましたアンケート調査でございまして、日本の優位なものをプラス一点、同等と思われるものを零点、ヨーロッパまたはアメリカが優位という回答をマイナス一点ということで算出いたしまして、それを回答の研究者数で割った数字でございます。  この上の方で、左側が日本とアメリカの比較、右側が日本とヨーロッパの比較でございまして、この中に黒い四角を線でつないだものと白い四角を線でつないだものとございますが、実は問題は、絶対値といたしまして、例えば日米比較を見ていただきますと、おのおのの分野で日本がマイナスの方に、日本が劣位の方にあるわけですが、白が三年前、黒が現在でございますが、特に三年前と比較して日本劣位の差といいますか、日本、アメリカの差というのがますます拡大しているというようなことを専門の研究者たちは感じているというのが上の資料でございます。  これに対しまして、応用研究・開発研究につきましては、これも日米、日欧同じような比較でございますけれども、ヨーロッパとの間では開発・応用分野では日本がすぐれているという回答が多いわけでございますが、アメリカとの間では生産・機械分野を除いてまだ努力が必要というような状態であるというのが二ページの資料でございます。  さらに、三ページに科学技術論文の発表件数の国別シェアの推移というのが④としてございます。研究成果の量的な指標の一つといたしまして論文の数というものがよく問題になるわけでございますが、日本もシェアとしては着実に増加をしているという傾向がございます。ただ、この④の一番右側、日本五・二万件云々というのを見ていただきますと、アメリカが圧倒的に、二十万三千件ということで非常に多いというのが実態でございます。日本の場合には一九九二年にイギリスを抜いて世界第二位の数字にはなったということでございます。論文の数が④でございます。  ⑤にございますのは被引用度の推移でございます。これは、論文の数は多いけれども、その質をあらわすという意味で論文の被引用度ということを我々よく考えるわけでございますが、優秀な論文はほかの論文でよく引用されるというようなことでございます。これを見てまいりますと、例えば九二年の被引用度の推移を見ますと、アメリカは五一・九%に対しまして日本は八・二%。先ほど論文発表件数では九二年にイギリスを抜いたと申し上げましたが、九二年のこの数字を見ていただきますと、イギリスは被引用度で一二・三%という数字でございまして、日本の場合、数はイギリスを抜いたけれども引用されるような論文という点ではまだ追いついていないということを示すわけでございます。  四ページに、我が国科学技術の現状ということで国際比較の表がございます。この表はよく引用される表でございまして、事によりますと、通産省工業技術院からも既にこの数字の御説明があったかと思いますが、日本、アメリカ、ヨーロッパを比較した表でございます。ただ、統計のとり方によりまして年度が若干違っているというところがございます。日本の場合、これは一九九四年度でございますが、上から三段目、研究費総額を見ていただきますと十三兆六千億円、それで二重括弧で自然科学部門で十二・四兆円とございます。この自然科学部門の十二・四兆円の数字は、その下の行でございますが、対GNP比で二・五七%ということになっております。  その中で、さらにその下の段でございますが、政府負担額が自然科学部門で二・五兆円、政府負担割合が自然科学部門で二〇・二%という数字でございます。政府負担割合を横に眺めていただきますと、そのすぐ右側はアメリカの数字でございますが、三六・一%、ヨーロッパの場合もドイツが三六・六、フランスが四五・三、イギリスが三二・三というような数字でございまして、先進諸国の中で日本の研究費の政府負担割合というものが格段に低いということが言えるわけでございます。  その裏返しといたしまして、下から二段目でございますが、民間の負担額は日本の場合七八・四%。ざっと申し上げますと政府負担が約二割、それから民間負担が八割という構図が日本の研究開発投資の現状であるということでございます。  それで、その次の五ページでございますが、このような研究費の動向でございますが、上の①にございますのが組織別負担額及び負担割合でございますけれども、括弧内が自然科学部門のみのものでございます。六年度の数字を見ていただきますと、総額で十二兆四千百九十二億円でございます。この構成比を見てまいりますと、国、地方公共団体が構成比といたしまして二〇・二%、民間が七九・七%という数字になっております。これは、今申し上げました公的セクターが二割、民間セクターが八割という構図がその隣の五年度の数字でもほとんど変わっておりません。この構図がずつと推移をしてきたわけでございます。  ところが、②を見ていただきますと、負担源別研究費の推移というのがございます。これはグラフ化されておりますけれども、政府の負担額というのはコンスタントに上昇をしてきたわけでございますけれども、総額で見ていただきますとここ二年間連続して減少をいたしております。この大きな原因は、民間部門が三年間連続減少した。これは景気の影響を受けた部分があるかと思いますが、民間における研究開発費の減少というのは三年間連続しておりまして、それの影響を受けて総額として二年連続の減少になったということでございます。  それから九四年度、このグラフの中で九四年度の政府負担が右下がりになっておりますが、これは率といたしましては確かに減少をしているのでございますが、その次の六ページを見ていただきますと、六ページの下にグラフがございます。これは政府の科学技術関係経費の推移を示しておりますが、黒い丸の実線でつないだものが当初予算、それから白い丸が補正後の数字でございまして、先ほどの五ページの資料は一九九四年度にマイナスになつたということでございますが、年度といたしまして平成六年度でございまして、平成五年度、六年度、六ページの下の表で見ていただきますと、当初予算は二兆三千億から二兆四千億にふえておりますが、平成五年度に補正予算が約五千億円ございました。その影響で補正後の数字が二兆八千億になっている。したがいまして、二兆八千億と二兆四千億をつなぐと一見平成六年度がマイナスになったように見えるというのがこの五ページの政府の負担額が下がったように見える原因でございます。  六ページ。上の方を見ていただきますと、政府の科学技術関係経費がどういう推移をたどっているかというのが上の表でございます。この中で、一番左側に「一般会計中の科学技術関係経費」、「うち科学技術振興費」とございます。この科学技術振興費といいますのは、各省庁の国立研究所の経費、それから文部省の科学研究費補助金、それから私ども科学技術庁の科学技術振興調整費、それから理研ですとか宇宙開発事業団等への出資金、補助金というような項目がこの科学技術振興費として計上されておりまして、これは現在御審議をいただいております平成八年度の予算案におきましては七千五百八十八億円、対前年度比一〇・九%という大きな金額を計上して現在御審議をいただいているところでございます。  ところが、これ以外に一般会計の中で科学技術の経費として計上できるもの、さらに特別会計、これは石油石炭特会、電源特会等、それから国立学校特会も入りますが、それらの特別会計の中での科学技術関係経費もございまして、これらをトータルした数字が上のしの上の四角の一番下の行でございますが、科学技術関係経費として計上されているものでございまして、これは平成八年度の予算案では二兆六千七百二十一億という数字、対前年度比六・九%という数字になっているわけでございます。  ちなみに、一般歳出、政策経費が平成八年度予算案では四十三兆一千四百九億円、プラスニ・四%ということでございますので、この一般歳出の伸びに比較いたしますと科学技術関係経費全体といたしましても非常に大きな伸びを計上できているということであろうと思います。  七ページにございますのが、これらの科学技術関係経費の各省庁のシェアでございます。文部省が一番大きくて四六・五%、これにつきましては先ほど文部省からの御説明の中で触れさせていただいたかと思います。その次は科学技術庁の二五・九%。その次が通商産業省の一一・九%というような大きさの数字になっております。以上が予算、金額の話、現状でございます。  八ページは、日本の科学技術を支えております研究者、研究支援者についてでございます。八ページの上の方にございますのは研究者及び研究支援者の数を示しておりまして、日本の場合には研究者が六十五万九千人、隣のアメリカの場合には九十六万三千人。これに対しまして、研究支援者といいますのが日本の場合には二十八万七千人というような数字になっております。  アメリカには研究支援者の数についてのデータがございませんのでそれを飛ばしまして、ドイツの場合は、研究者二十四万一千人に対しまして研究支援者が二十七万四千人というような数字になっております。ここで言う研究支援者といいますのは、注の二に書いてございますが、「研究者を補佐する者、研究に付随する技術的サービスを行う者及び研究事務に従事する者をいう。」ということでございます。それから、注の一にございますが、ここで言っております研究者、研究支援者は国際比較の便宜上人文系、社会科学系、両方を含めた数字でございます。  その下に組織別研究者数の推移とございます。これは上の資料が人文系、社会科学系、それから自然科学系を含めた研究者数なのに対しまして、下の方の資料は自然科学のみをとらえた数字でございます。合計数が五十七万五千人という数字になっておりますが、この五十七万五千人のうち会社等に所属している者が約六六%の三十七万七千人、大学等が十五万六千人、研究機関が四万二千人という数字でございます。この研究機関は国の国立試験研究機関、さらに特殊法人で研究に従事している者を含む数字でございます。八ページが研究者、研究支援者の現状でございます。  さらに九ページでございますが、これは別の角度から技術貿易の収支というものをとっております。ちょっと見にくい資料で恐縮でございますが、一番右側に三・九六アメリカ、その次が一・二五、一九九四年日本・総務庁、〇・七一、一九九三年フランス、〇・六三、九四年日本・日銀とございます。日本の場合には、総務庁統計と日銀統計と二つございまして、これが一を超えた場合には技術輸出が輸入を上回るという数字になるわけでございます。総務庁統計では丁二五という数字、日銀の統計、これは外国為替法上の報告書のベースでとっておりますが、これによりますと〇・六三ということで技術の輸入が超過しているということになりますが、両方の統計のとり方に幾つか出し入れがございますので、単純に輸出超過なのか輸入超過なのかということはなかなか言い切れないというのが実態でございます。いずれにいたしましても、この日本の線を追っていただきますと右肩上がりになっておりまして、日本の技術輸出が技術輸入を上回る水準に近づいているということでございます。  このような数字が具体的に地域別にはどうなっているかというのが十ページの資料でございまして、日本と外国との間の関係がどうなっているかという統計が十ページでございますが、一番大きいのが日本と北アメリカの間で、日本から北アメリカには千五百億円の輸出、それに対しまして輸入として二千六百十九億、千百億強の技術輸入の超過になっているという数字でございます。それに対しまして、アジアとの間では日本が大幅な技術輸出の超過になっているという実態にございます。  このような技術貿易とはまた別の関係で、別の観点で、十一ページに研究環境の状況はどうかという資料をつけてございます。  まず、①にございますのは研究者一人当たり研究費の国際比較でございまして、日本、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリスと並べて書いてございますが、まず研究者一人当たりの研究費は日本の場合二千百二十一万円、アメリカでは三千百五十三万円云々という数字がございます。自然科学系のみをとった場合には、日本の場合に二千二百二十四万円ということになるわけでございます。  あとは機関別にその下に分けてございますが、いずれにいたしましても、諸外国と比較して日本の研究者一人当たりの研究費というものはまだ相当に低い水準にあるという状況であると思っております。  さらに、十二ページでございますが、このような研究を行う施設がどうなっているかということでございます。施設の老朽化、それから設備の陳腐化ということはよく言われることでございますけれども、②にございますのが国立大学、それから国立研究所の二十年以上たった建物の状況でございます。国立大学では全体の四九%、国立研究所、これは科学技術庁と通産省所管の国立研究所に限っておりますが、全体の二九%、約三割が二十年以上たった施設である。  さらに、③でございますが、設備の陳腐化ということで、国立研究所の耐用年数を超過した設備といいますのが、私ども科学技術庁と通産省の関連の国立研究所のみに限った数字でございますが、全体の八二%が耐用年数を超過した陳腐化した設備であるということでございます。  さらに、問題は④でございまして、先ほど研究支援者という数字を見ていただきましたが、この国際比較を見てまいりますと、日本の場合研究者一人当たりに〇・十三人、ドイツでは一・一人、フランスでは一・一人、イギリスでは一・二人。これはどういうことを意味するかといいますと、研究者一人に対しまして研究支援者が何人ついているか。研究といいますのは研究者のみでできるわけではございませんで、研究支援者がいろいろと助けることによって十分な研究ができるということがあるわけでございますが、ドイツ、フランス、イギリスのこの数字を見ていただきますと、研究者一人に対しまして一人以上の支援者が存在している。それに対しまして日本の場合には〇・一三人であるというような数字でございます。  この推移を⑤で見ていただきますと、⑤の一番右側に数字がございます。先ほどの④は大学と国立研究所における研究者一人当たりの研究支援者でございますが、⑤は日本全体での研究支援者の研究者一人当たりに対する数を示しておりまして、大学、会社、研究機関、いずれもずっと右下がりで推移をいたしております。全体平均が会社等のものを含めましても〇・三二人、大学では〇・一二人というような数字でございまして、非常にこの研究支援者の数の低さといいますか、数がどんどん減っているということが日本の研究開発の能力を低下させる危険性が非常に大きいというのが私どもの問題意識の一つでございます。  それから、十三ページは科学技術を振興させるための研究を行う、その人材になります若者でございますが、この科学技術離れという状況が懸念される事態にあるというのが十三ページからの資料でございまして、①は科学技術についてのニュースや話題に対する関心の推移ということで、関心があるという層が特に二十代で年を追って減っているということがこの総理府の世論調査でも出ているわけでございます。  さらに十四ページ、小中高校生の科学技術に対する関心というものを見ていただきますと、これは文部省の国立教育研究所の調査でございますが、年次を追うに従いまして、例えばこれは毎年調査をやっておりますので、上の段の左側で「理科はおもしろいと思う」という層を追っていただきますと、例えば中学校二年生で、八九年、約六割強の子供たちが理科はおもしろいと思った。それが三年たちますと彼らは高校二年生になるわけですが、高校二年の欄を見ていただきますと、九二年の調査になりますと五割を割り込むような数字になる。同一の対象層で学年が上がるに従って「理科はおもしろいと思う」という層が減っているということを示すわけでございまして、非常に問題の大きな点ではないかというのが一つ指摘できるのではないかと思っております。  以上のような実態を踏まえまして、私どもの政策について十五ページ以下簡単に御説明をさせていただきたいと存じます。  まず、従来からの科学技術政策の基本方針等でございますが、科学技術政策大綱というのを一番初めに掲げてございます。平成四年四月に閣議決定をいたしました私どもの今現在での政府としての科学技術政策の大綱でございますが、これが平成四年四月に決定をいたしております。  まず、基本方針といたしまして、地球と調和した人類の共存、それから知的ストックの拡大、安心して暮らせる潤いのある社会の構築という三つの目標を掲げまして、そのために重点施策の推進といたしまして、基本指針の策定等を図りつつ、以下の施策を推進するとともに、大学、国立試験研究機関等の機能を抜本的に強化するということがうたわれております。  まず、第一に科学技術と人間、社会との調和、二番目に人材の養成確保、三番目に研究開発投資の拡充、この中では「時々の財政事情等を踏まえつつ、政府の研究開発投資額をできるだけ早期に倍増するように努める」ということが決定されております。それから四番目に研究開発基盤の強化、この中で先ほど触れました施設・設備が老朽化、陳腐化していると申し上げましたが、そういうような大学、国立試験研究機関の施設・設備の更新等を積極的にやっていくんだというような点。それから五番目に研究活動の活性化と創造性の発揮。それから六番目に、十六ぺ-ジになりますが、国際的な科学技術活動の強化、それから地域における科学技術の振興というようなことを挙げております。  さらに大きな三つ目といたしまして、基礎科学の振興と重要分野の研究開発の推進ということで、基礎科学の振興、重要分野の研究開発の推進ということで各分野を列記されているということでございます。  それから、十七ページの注といたしまして十八号答申の抜粋がつけてございますが、十八号答申といいますのは、平成四年四月に閣議決定いたしました科学技術政策大綱のもとになりました科学技術会議の答申でございます。その中で特に生活、社会の充実のための科学技術ということで、健康の維持増進、生活環境の向上というようなテーマについてこのような記述が行われているという、これは御参考まででございます。  十八ページに当面の政策課題についてということを掲げております。  まず第一に、基礎研究の強化と研究開発投資の拡充についてということでございますが、基礎研究の強化、これは先ほど具体的な状況を御説明申し上げましたけれども、この基礎研究をさらに強化していく必要があるということで、以下の施策を展開することによって基礎研究の強化を図るということで、基礎研究推進制度の充実、これは基礎的、先端的な研究開発を推進するための制度を充実させて、大学、国立試験研究機関等における活動の強化を図る。それから研究開発基盤の整備。それから三つ目に、研究交流、国際共同研究の推進、この中では、創造的な研究活動を促進いたしますために、国の内外におきます研究者の交流の促進、さらに海外のすぐれた研究機関、研究者との連携を図りつつ先端的な基礎研究を推進するというような内容でございます。それから人材の育成確保ということで、科学技術系人材の育成確保のための施策を推進していく。  さらに②でございますが、政府の研究開発投資の拡充ということで、研究開発投資を早期に倍増することが必要であるということで、先ほども工業技術院長が御説明申し上げておりましたが、平成四年の閣議決定のみならず、昨年十二月に政府が閣議決定いたしました新経済計画でも、「できるだけ早期に政府研究開発投資の倍増の実現を図る」という記述がなされたところでございます。  十九ぺ-ジでございますが、科学技術系人材の確保ということで、平成六年十二月に科学技術会議から答申を受けまして、十二月二十七日付で科学技術系人材確保に関する基本指針というものを内閣総理大臣決定いたしております。  この中で基本的な考え方といたしまして、一人一人の個性を尊重しつつ、多様性、柔軟性に富む環境を構築していく。そのために次の三つの視点からの方策を講じるんだということで、科学技術が身近に感じられるような社会環境の構築、創造性を発揮できる研究開発環境などの整備、多様な人材の科学技術活動への参加の促進というようなことをうたった上で、具体的な方策をこの指針の中で決めているところでございます。  二十ページでございますが、主要な横断的科学技術振興施策についてという表題で書いてございます。  まず第一に、独創的な基礎研究を推進するということで、この中に現在国会で御審議いただいております平成八年度の政府予算原案の数字を入れてございますが、幾つかございます。  一つは、科学技術振興調整費というものを拡充していく、これは二十三ページにございますが、科学技術庁に一括計上の上で各省庁に移しかえをして各省庁の研究を育成していくというような内容のものでございます。  それからその次に、文部省の科学研究費補助金、これは既に文部省から御説明を申し上げたところでございます。  その次に、特殊法人等における新たな基礎研究推進制度というものを六省庁が制度化をしたいということで予算原案に入れてございまして、全体合計で三百二十億円の数字になっております。  それから二番目に、ポストドクターの支援・活用ということで、科学技術庁、文部省、通産省の三省庁におきまして三年から五年程度をめどといたしましてポストドクター等を一万人確保するという施策を講じることになっております。  あと二十一ページは科学技術振興調整費についての説明でございますが、科学技術会議が総合調整を行ってこの実施を指導していくということになっておりまして、昭和五十六年度に制度として発足したものでございますが、平成八年度の政府原案では二百十五億円という予算を計上させていただいております。  二十二ページがこの調整費の内訳でございまして、内容的には国際プログラム、産学官連携プログラム、制度先導プログラム、それから国研活性化プログラムというようなものを内容とするものでございます。  二十三ページは、先ほどちょっと触れましたが、これは科学技術庁に一括計上されておりますけれども、研究内容によりまして各省庁に移しかえをして使うということになっておりまして、二十三ページには平成六年度の実績を入れてございますが、一番右側の率の欄を見ていただきますと、一番大きく各省庁、それから大学、民間におのおのこの資金が研究開発費として渡されることになっておりますが、この中で例えば科学技術庁には全体金額の一九・八%、約二割、それから農林水産省に一九・三%、通商産業省に二五・四%、大学に一六%、それから民間の研究機関に二六・三%というような、大きなところでは配分が行われているという資料でございます。  それから二十四ページは、先ほど触れました特殊法人等における新たな基礎研究推進制度、六省庁が発足させるということを申し上げましたが、全体合計三百二十億円になっておりまして、各省庁によりましておのおのの研究領域、研究概要というものの目的が違っておりますが、科学技術庁、文部省、厚生省、農林水産省、通商産業省、郵政省というところでおのおのの所管に応じた研究に振り向けるということになっております。  例えばでございますが、二十六ページには科学技術庁関係の戦略的基礎研究推進制度の研究領域というのがございます。未知への挑戦、環境に優しい社会の実現という戦略目標のもとに、研究領域といたしまして生命現象、極微細領域の現象、極限環境状態における現象、環境低負荷型の社会システムというような研究領域を取り上げていこうということになっております。  なお、この六省庁が基礎研究制度を新たに特殊法人という場を使って発足させることになっておりますが、この六省庁で集まりまして、各省庁連絡会を開催し、科学技術会議の政策委員会のもとに懇談会を開催いたしまして、お互いの調整を行っていくということで既に実際の事務的な作業は始まっているところでございます。  それから、二十七ページは先ほど触れましたポストドクター等一万人支援計画でございまして、文部省、科学技術庁、通商産業省の三省庁で約一万人、三ないし五年後に約一万人のポストドクターの手当てをするというのが二十七ページの資料でございます。  それから、二十八ページは青少年の科学技術離れということでございまして、この科学技術離れ対策をどうするかということで、二十八ページにございますのは科学技術庁におきます施策につきまして幾つか御紹介をいたしております。  一つはバーチャル科学館の構築。それから二番目に科学館の充実強化。三番目に青少年と研究者・技術者の橋渡し事業、出前レクチャーの実施。この出前レクチャーと申しますのは、科学技術庁傘下に限りませんけれども、国立研究所の研究員に中学校、高校に出張していただきまして、そこで自分たちの研究内容を子供たちにわかりやすく説明することによって、中学生、高校生の科学技術に対する、理科に対する関心を高めていただくというようなものでございまして、研究者が学校に出向くという意味において出前レクチャーという表現を使っております。それから四番目に、先端科学技術体験センターの普及というような政策を講じようとしているところでございます。  それから三十ページでございますが、これは先ほどから文部省さん、工業技術院さんからいろいろとお話があったと思いますが、科学技術基本法、それに基づきます基本計画の策定についてでございます。  もう繰り返しになりますので簡単にいたしますが、昨年十一月に議員立法によりまして、おかげさまで全会一致で科学技術基本法をおつくりいただきました。十一月十五日から施行をされております。これに基づきまして科学技術基本計画というものを政府が策定することになっておりまして、科学技術会議に十一月の末に内閣総理大臣から諮問を行いまして、現在、科学技術会議がその諮問に基づきまして科学技術基本計画に盛り込むべき内容についての御審議をいただいているところでございます。私どもといたしましては、できるだけ早期に答申をいただき、政府の科学技術基本計画の策定、閣議決定ということを行いたいと思っているところでございます。  この科学技術会議でございますが、科学技術会議につきましては私ども科学技術庁と、それから大学部分につきましては文部省と共同で事務を行わせていただいているところでございまして、できるだけいい計画をつくっていきたいと思っております。  さらに、科学技術基本法に基づきまして毎年国会に科学技術の振興に関して講じた施策に関する報告書の提出が義務づけられる二とになりました。今国会にまず第一号の年次報告の提出をいたしたいということで、私ども現在準備をいたしているところでございます。  ちょっと一枚資料を飛ばしました。失礼いたしました。  二十九ページでございますが、二十九ページは研究開発の情報化ということで、研究情報の整備、省際ネットワークの推進について、このような省際ネットワークの整備、それからデータベース化等々の事業を行っているという御紹介でございます。  それから三十一ページにつけてございますのは、科学技術基本法案に対しまして参議院の科学技術特別委員会で決議されました附帯決議でございます。この三十一ページの第一項の中に、   科学技術基本計画は、十年程度を見通した五年間の計画とし、科学技術基本計画を策定するに当たっては、当該基本計画に基づき、我が国が科学技術創造立国を目指すため、政府の研究開発投資額の抜本的拡充を図るべく、当該基本計画の中に、例えば講ずべき施策、規模等を含めできるだけ具体的な記述を行うよう努めること。という附帯決議をいただいているところでございます。  三十二ページにはその策定につきまして、先ほど私が口頭で申し上げましたが、昨年十一月に科学技術会議に対して諮問を行ったということ、それからさらに、その審議を現在行わせていただいているところというのが書いてございます。  それから、三十三ページは高齢者や障害者に配慮した科学技術振興の現状と課題ということで、科学技術庁におきます取り組みの現状について若干御紹介を入れてございます。  一つは、高齢者対策関連ということで、科学技術振興調整費におきまして生活・社会の基盤研究を行っている。それから二番目に、理化学研究所におきまして老化のメカニズムに関する基礎研究を行っている。それから三つ目に、新技術事業団におきまして委託開発事業を行っておりまして、例えばリューマチ等の慢性炎症の疾患診断薬の委託開発というようなことを行っている。さらに④でございますが、放射線医学総合研究所におきまして重粒子線を使いましたがんの治療の臨床試験の試行を現在行っているというような点。  それから、三十四ページは障害者対策ということで、①に科学技術振興調整費によるもの、それから②に新技術事業団におきます委託開発事業のテーマというような御紹介をさせていただいております。  以上、非常に簡単でございますが、私からの御説明とさせていただきます。

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) ありがとうございました。  以上で科学技術庁からの説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は挙手をお願いいたします。

笹野貞子新緑風会

○笹野貞子君 先ほど私が非常に心配して聞いておりましたのは、日本は資源のない国ですから人的資源というのは非常に重大だ、これはだれしもがそのように言っているんですが、青少年が自然科学離れをしている。そのことについて先ほど何点かありましたけれども、一つの大きな問題点は、日本にはそういう人的資源を養成するという大きな問題点がありながら、研究者に対するまず研究費が少ない、そして援助が少ない。しかし、大学の卒業生を見ますと、自然科学系統の卒業生は男女ともに非常に高い就職率ということですね。  そうするならば、自然科学を選ぶということは人生にとっては非常に安定したものがある。にもかかわらず、理科が嫌いというその現象は一体どういうところにあるのか。しかも、そういう予算の問題あるいは人的な援助の問題をどのように解決していくのか、その方策をちょっとお知らせください。

落合俊雄科学技術庁科学技術政策局長

○政府委員(落合俊雄君) まさに先ほど御説明申し上げましたように、青少年の科学技術離れ、私ども非常に重要な問題と思っております。これは今先生から御指摘ございました。小学校、中学校、高校の教育課程からいろいろと考えなければいけない問題があるんではないかということは思っております。  例えば、先ほどちょっと御説明申し上げましたが、出前レクチャーということで、現場の研究者が中学校、高校に行ってレクチャーをする、ないしは夏休みの間に、我々サイエンスキャンプと呼んでおりますが、子供たちに筑波の国立研究所の周辺で二泊三日程度のキャンプをやって実際に実験をやっていただく。そういう形で、理科ないしは自然科学に対する興味というものを子供の時期からかき立てるということが非常に重要ではないかという試みも既に始めているわけでございますし、文部省の方でもそういう小学校、中学校、高校の教育課程の中で子供たちに興味をいかに持たせるかというような方向での検討をいろいろやっていただいているところかと思います。  もう一つは、就職後の話でございますが、ポストドクターといいますか、ドクター課程が終わった後の就職先がなかなかない。先ほどポスドク一万人計画と申し上げましたが、実際に学位を取った後なかなかその活躍の場が得られない若者も多いと、それに対する対策というのもきちっとやっていかないといかぬということでいろいろな施策を現在講じようとしつつある、ないしは講じているわけでございますが、先ほど触れました科学技術基本計画の中でも、その人材問題というものは非常に大きなテーマとして具体的な提言をできるだけ盛り込んでいくような方向で考えたいというふうに考えておるところでございます。  ちなみに、先ほどちょっと触れましたが、平成六年十二月二十七日に科学技術系人材の確保に関する基本指針という内閣総理大臣決定を出しておりまして、これに基づきまして、青少年の科学技術離れだけではございませんが、科学技術系人材を確保するにはどういう視点でどういう方策を講ずべきかということを内閣総理大臣決定という形で決めておりますので、これに基づく具体的な施策というものを積極的に講じていきたいと思っておるところでございます。

笹野貞子新緑風会

○笹野貞子君 ちょっと関連で。その問題の中で、自然科学系統の大学の受験が余りにも高度過ぎるか難し過ぎる、そして受験生の数も非常に少ない。これはコストだけでもって自然科学はお金がかかるから学生を少なくするという、こういうがめつい発想がどこかにあるから結局そんな難しいところには行かないで易しいところにという、そういう問題もないんですか。

落合俊雄科学技術庁科学技術政策局長

○政府委員(落合俊雄君) 大学の入試の問題になりますと、実は科学技術全体といいますよりは文部省の大学教育の問題になってくるものですから、ちょっと私からは余りお答えがしにくい部分でございますが、御指摘のような点がないわけではないという感じは持っております。

上山和人社会民主党・護憲連合

○上山和人君 一点だけ。先ほどお答えがもう既にありましたけれども、これから科学技術立国を目指して科学技術の振興を進めていくためには、若手研究者が本当の意味で活躍できる環境をどう整えるかと、これは基礎的な課題だと思います。その中で、ポストドクター支援政策というのが今ありましたね。これは、ドクターコースを修了した人たちが若手研究者のトップレベルにある人たちだと思われるんですけれども、このドクターコース修了者は毎年今の学制のもとでは何人ですか。一年に何人ドクターコースを修了するんですか。  そして、就職難だとおっしゃいましたね。つまり研究活動ができる環境にないということ、だから支援策が必要だということなんですか、それもあわせて。

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) お答えできますか。

青山伸科学技術庁科学技術政策局調査課長

○説明員(青山伸君) 我が国の自然科学系の学位取得者でございますが、大変恐縮でございますが修士も入った数でございますが、九一年で三・一万人という数字でございます。今ちょっと手元に数字がございませんので、うろ覚えで恐縮でございますが、ドクター課程でこれに対応する数字はこのうちの四千人程度かと存じます。

上山和人社会民主党・護憲連合

○上山和人君 それとちょっとあとの方もお答えいただけますか。お聞きしておきたいんですが、就職難だとおっしゃいましたね、この人たちが毎年どの程度研究活動のできる分野に安定して職場を持つことができているんですか、何%ぐらい。

青山伸科学技術庁科学技術政策局調査課長

○説明員(青山伸君) 約半分かと存じますが、教育系の機関、それから研究機関、それから製造業などに就職されているというふうに伺ってございます。

清水嘉与子自由民主党・自由国民会議

○清水嘉与子君 研究者の実態を教えていただいて大変参考になったんですけれども、伺ってみますと数としては結構たくさんいらっしゃるし、それから支援者がいないとか条件が悪いとかいろいろありますけれども、そういう方々がやっている仕事を拝見しますと、どうも論文が少ないとか、それからその論文が評価されていないんじゃないかというような御指摘があったわけですね。そしてその方々が、自分たち自身、外国に比べていろんな分野で劣っているというふうに感じていらっしゃる、しかもそれが三年前よりももっと日本が優位じゃない、劣位の方だということを認めていらっしゃるということを伺いまして、一体これ、今いらっしゃる方々をどういうふうにしたらいいんだろうかと。  先ほど工業技術院の院長さんが、柔軟にそして競争のある研究体制をというようなことを盛んにおっしゃったものですから、ちょっとその辺気になるんですけれども、若い方々をこういうところに入れるというのももちろんなんですけれども、今いらっしゃる方々にもっと本当に積極的に仕事をしていただくためにどういう体制が必要なのかということをちょっと言いにくいかもしれませんけれども、もし御意見あったら教えていただきたいと思います。

落合俊雄科学技術庁科学技術政策局長

○政府委員(落合俊雄君) まさに今御指摘の点というのは、これから科学技術基本計画の中でできるだけ具体的な提案をしたいと思っている分野ですが、例えば大学の教員につきまして任期制を導入したらどうかという議論が大学審議会等では行われております。国立研究所の研究員についても、同じような任期制を導入することによって競争的な環境をもっとつくっていくべきではないかというような御議論も中にはございます。ただし、その場合にその身分保障をどうするのかとか、別の問題もいろいろございますので、そういう点を含めまして総合的に勘案して、どういう政策がまさに研究成果を上げていくために一番望ましいのかということを今検討いたしておりまして、できるだけ中身のある提案を計画の中に書き込めればいいなということで今作業をやっている最中でございます。  それから、多分個々の研究者は自分たちの研究水準がそれほど諸外国と比較して劣っていると思っている方はいらっしゃらないと思いますが、さらにそういう方々に研究しやすいような環境をいかにつくっていくか。これは多分研究費の問題もございますし、先はどのような設備がきちっとしているかどうかというような物理的な環境の問題もございますし、さらに、よく言われますけれども、大学のケースで言えば、一たん教授になれば成果を上げなくても教授でいられるというような固定的な社会というのはおかしいじゃないかという議論もございますし、そういうようなことを含めて研究環境の整備というものをいかにやっていくかというのがこれからの大きな課題ではないかと思っております。

石井道子自由民主党・自由国民会議

○石井道子君 いろいろ御努力していただいておりますが、女性のやはり科学技術研究に携わる方々の問題があるんですね。それで、女性科学者の会とかというのもありまして、いろいろ最近は大変頑張っているようでございますけれども、なかなか女性の場合には研究者としてのハンディが非常に大きいと聞いております。ですから、昇進とかという場合にもなかなかスムーズにいかないという点がありましたりしております。  ここでも基本指針の概要の中に、女性が能力を発揮しやすいということで項目が挙がっておりますので心強く思っておりますが、具体的にどのような対策を立てて女性の科学技術者を養成し育成していく方針を持っていらっしゃいますでしょうか、ちょっとお伺いしたいと思うんです。

落合俊雄科学技術庁科学技術政策局長

○政府委員(落合俊雄君) 先ほど御紹介いたしました平成六年十二月の科学技術系人材の確保に関する基本指針の中に、女性の活躍の場の拡大をすべきだということを一項設けて指摘をいたしております。  この中で、問題点として挙げられてございますのは、本来、科学技術分野は男女にかかわらず、その能力を発揮することができる分野であるにもかかわらず、一部には女性は科学技術活動に向かないのではないかといった認識も見受けられることから、このような認識を変えていくように努めることがまず重要であると。また、結婚や出産を経ても働き続けることができるよう、活動の場における上司や同僚、家族の理解を初めとして、安心して活動に参加をすることができるような環境を整備することが必要であると。  このため、政府や科学技術活動の主体においては、女性研究者、技術者が科学技術活動に対する考えや思いを語る講演会を開催するなど、科学技術分野で活動する女性の人間像や、活動そのものについて積極的な情報の発信を行うことによって社会通念を変えていく必要があると。さらに、育児休業制度の定着、再雇用制度の普及促進、それから保育施設などの施設や設備の整備充実、勤務時間の柔軟化ということに努めるべきだと。さらに、高等教育機関におけるリフレッシュ教育の推進などを通じて、再教育や研修・教育訓練を支援するための多様な機会を提供するなど、女性が働きやすい環境を整備するというのが基本指針として掲げられているところでございまして、あとは各省庁おのおの現場でこの基本指針の実現のために施策を講じていただきたいということを私どもとしてはお願いをしているということでございます。

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) 以上で科学技術庁に対する質疑は終了いたしました。御苦労さまでした。  きょうの最後になります。  次に、労働政策の現状と課題について労働省から説明を聴取いたします。労働省渡邊官房長。

渡邊信労働省大臣官房長

○政府委員(渡邊信君) 労働省官房長の渡邊でございます。  それでは、本調査会の調査のポイントに従いまして、お手元の資料に基づきまして、「最近の雇用失業情勢」、「労働市場の変化への対応」、「少子・高齢化への対応」、この三点について御説明をさせていただきます。  まず、「Ⅰ最近の雇用失業情勢」、一ページですけれども、上の角の中に書いておりますが、「最近の雇用失業情勢は、有効求人倍率が〇・六倍台前半で推移し、完全失業率も先月」、これは昨年の十一月のことですが、「先月に続いて過去最高を記録するなど依然として厳しい状況が続いている。」ということで、下の折れ線グラフを見ていただきますと、一番上の実線が有効求人倍率を示すもので、この一番山になっておりますのが平成三年二月の数字で、このときは一・四五倍ということでこれがピークでございました。この後、我が国経済は平成三年の五月から景気の後退局面に入っていくわけでございまして、このグラフも下降線をたどっていくわけですが、この実線の一番右の欄、昨年十二月の数字で〇・六五倍ということになっております。  それから、一番下の点線の折れ線グラフが完全失業率を示す数字でございますが、真ん中あたりのちょうど有効求人倍率が大変高いところに対応しまして完全失業率が最低となっておりますが、このときが二・一%でございました。これがだんだん上昇してきまして、昨年の十二月には三・四%ということで、これは昭和二十八年にこういった統計をとり始めまして過去最悪の数字ということになっておりまして、失業者の実数でも、そこに書いておりますが、十二月は二百二十三万人ということになっております。  この三・四%の内訳といいますか内容を見てみますと、特に若年層、十五歳から二十四歳層の失業率が相当高くて五・四%、あるいは今まで仕事をしていなかった方が労働市場に出てくる、家庭の主婦のような方が出てくるといったような方がかなりおられるということ、あるいは自営業で倒産をしましてこれが雇用労働者として労働市場に入ってくる、こういったことを内容としまして、現在、過去最高水準の三・四%の失業率というふうになっているのが実情でございます。  次の二ページ目ですが、産業別の労働力の過不足感の状況を見たものが次のページでございます。これは日銀の資料です。  これは過剰とする企業の割合から不足とする企業の割合を引いたものでございますが、角の中に書いておりますように、「企業における労働力の過不足感をみると、労働力過剰感はやや弱まっているものの、業種別にみると輸送用機械、鉄鋼、精密機械等では「過剰」超幅が大きい。」ということで、左の方の欄から、これは昭和五十年五月のオイルショック時ですが、全産業平均で二四ポイント、昭和六十二年五月の円高不況時で一二ポイントというふうになっておりまして、平成六年の二月から少しずつ、ここにありますように過剰感は弱まってはきております。  平成八年三月予測では九ポイントまで下がってきておりますが、その一番右の欄、内訳を見ていただきますと、二五ポイントが鉄鋼でございます。その下の方の三三ポイントの輸送用機械、三〇ポイントの精密機械というふうな状況になっておりまして、産業別のばらつきはかなりある。一番下の数字の非製造業では過剰感はニポイントというふうなことになっております。  次のページ、三ページですが、雇用調整実施の状況を見てみますと、角の中ですが、「こうした中で、雇用調整の実施状況を見ると、雇用調整の実施事業所割合は、引き続き高い水準となっている。その方法としては、「残業規制」や「中途採用の削減・停止」が中心であり、「一時休業」、「希望退職者の募集・解雇」といった厳しい方法を採る企業の割合は小さい。」ということで、一番左の欄に雇用調整実施割合で、内訳として残業規制あるいは休日の振りかえ、夏季休暇等の休日・休暇の増加等々の雇用調整の内容が書いてありまして、これは例えば製造業で見てみますと、第一次石油危機のときに雇用調整の実施割合が七一%でございました。  内訳がその以下の欄に書いてあるようなとおりですが、製造業の右の欄の平成七年十-十二月(予定)というところを見ますと、雇用調整実施割合は三九%で、残業規制が二六%で一番高くなっております。続いて真ん中あたり、中途採用の削減・停止が一四%、配置転換・出向は、配置転換が一四%、出向が一二%ということで、希望退職者の募集・解雇というものは一%、特別な措置はとらないというものが六一%、こういったふうな現況になっております。  こういった労働市場の現状を背景といたしまして、次に四ページですけれども、「労働市場の変化への対応」ということで労働行政としてどのような対策を考えているかということでございます。  まず、基本的な考え方ですが、今後、我が国の労働市場は、経済活動の国際化や高度情報化、規制緩和の進展等を背景に産業構造が大きく変化すると見込まれている。こうした構造変化に的確に対応しなければ、今後、労働力需給のミスマッチの拡大等により失業が増大することが懸念される。  このため、労働政策としては、経済社会の変革期において、国民生活の基本である雇用の安定を図ることを重点課題とし、雇用を創出するために必要な環境整備に努めるとともに、失業なき労働移動の実現、さらには、産業・企業の高付加価値化や新規分野への事業展開を担う人材の育成の推進を図ることとしている。  この後段の方に三点書いております三本柱によりまして対応しようということを考えているわけであります。  この三点につきましては、昨年の十二月十九日、閣議決定をされました雇用対策基本計画、これは平成七年から平成十二年までの計画ですが、この雇用対策基本計画の中で打ち出しておる重点的な政策ということになっております。  以下、順次御説明をしたいと思います。五ページですが、まず対応策の概要を掲げております。  まず、第一の柱の雇用を創出するための環境整備ということで、中小企業の活力を生かした雇用機会の創出、これは来年度予算におきまして二百六十七億円を計上してございます。これは昨年の臨時国会で改正をしていただいたものですが、ベンチャー企業等新分野展開を目指す中小企業が行う人材の育成・確保、魅力ある職場づくりの活動を支援することにより、新たな雇用機会の創出を図るということでございます。内容はまた後ほど御説明させていただきますが、これを平成七年の十一月一日から施行しております。  次の柱の失業なき労働移動の実現ということで二点掲げておりますが、これは来年度、五百八十二億を計上しておりますが、業種雇用安定法に基づきます特定雇用調整業種というものを迅速、機動的に指定するということでございます。構造的な要因によって雇用調整を余儀なくされている業種の労働者が、失業を経ることなく労働移動することを支援するというものでございます。  ②の公共職業安定所の情報提供機能の強化、これも失業なき労働移動の実現の中に掲げておりますが、ハローワークにおきます求人求職者情報に関する自己検索コーナーの試行的設置等。これは参考資料がありませんのでここで便宜説明させていただきますが、現在、安定所では職員が機械を操作いたしまして、求人や求職の情報を来所された方に提供しておりますが、来年度、東京圏、大阪圏におきまして、まだ若干の地域ですが、試行的に求人求職情報の欲しい方が自分で検索できる機械を設置するというふうなことをしてみたいというふうに思っております。こういった職業はないか、こういった労働条件の職がないかということを、自分で機械をたたけば情報が出てくるというふうなことを試行的に始めようと思っております。あるいは、家庭のパソコンと安定所のこういった機能等をつなぐというふうなことも試行的にやってみよう、開始してみようということを考えております。  三点目の柱の産業・企業の高付加価値化や新分野展開を担う人材の育成の推進ということで、これは来年度八十九億円を計上しておりますが、これは人材高度化支援事業というふうに命名をいたしまして、今までは公共職業能力開発施設におきますオーダーメード型、こういう科目で訓練をするというふうに用意をしておりましたが、事業主の希望するオーダーメードの職業訓練の実施とか、あるいは人材高度化のために事業主団体等が行います訓練の実施、準備に対して助成をする、こういったふうなことを考えております。  以下、簡単にそれぞれの対策について御説明をさせていただきますが、まず六ぺ-ジ、最初の新規雇用の創出に係るところでございますが、昨年の臨時国会で改正をさせていただきました中小企業労働力確保法に基づく新規の施策でございます。これいろいろと図をかいておりますけれども、中小企業が今まで行っていました事業と異なった新分野に展開しようというときに、これを労働行政の面から支援をしようという内容でございます。  支援の内容がその真ん中の枠で囲んだところに書いておりますが、まず中小企業新分野展開支援人材確保助成金ということで、これは新分野に中小企業が展開していくときに、それを指導できるような高度の人材を中小企業が採用する、雇用するというときにその賃金の三分の一を一年間助成しようというふうなものでございます。  次の助成の、中小企業人材高度化能力開発給付金ですが、これは事業所内外での訓練等に係ります経費や賃金を助成しようというもので、人材の高度化を支援するというものでございまして、これは経費の四分の三を三年間にわたって助成をしようというものでございます。  それから、一番下の角の中小企業雇用環境整備奨励金、これは従来からあった奨励金ですが、労働環境を改善いたしまして、労働者を雇い入れるというときに七十五万から一千五百万までの助成を行おうといったものでございます。これは昨年の十一月一日から施行しているものでありますが、かなりの反響がありまして、全国で数百件程度の現在照会がある、こういったふうな状況になっております。  次の七ページですが、二番目の柱の失業なき労働移動ということでございます。これは昨年の通常国会で改正していただきました改正業種雇用安定法に基づきます対策でございます。  まず、この図の一番上の網がけをしたところでございますけれども、「雇用の回復が見込めず産業間・企業間移動等による雇用調整を余儀なくされている業種を指定」する、これを特定雇用調整業種というふうに呼んでおりますが、このページの一番下に平成八年二月一日現在の特定雇用調整業種の状況を書いておりますが、業種数で百三、これは鉄鋼、繊維あるいは自動車部品等々といったものでございます。この対象労働者数が約百六十七万一千人というふうなことになっております。これは現在、逐次指定がふえていくという状況でございます。  その上の表の網がけをした下の欄でございますが、この指定をしました業種の中の個々の特定不況業種の事業主等々に雇用維持計画というものをつくっていただきまして、これを安定所に提出をするということになっております。この計画の中で、出向させるあるいは再就職のあっせんをするというふうな計画を立てましてそれを実行するということで、一たん解雇をして安定所で再就職の道を探すというのではなく、失業を経ないで再就職ができる、こういった雇用維持計画を作成させる、その過程で安定所なりあるいは人材銀行といったものが事業主の相談にあずかる、こういったシステムを考えているわけであります。  こういった計画をつくっていただいた事業主に対する助成が、その下の左の方、網がけをしたところに書いてあります。まず、出向や再就職あっせん、配置転換等に係る労働条件等々の条件整備に関する相談援助を実施しようというふうなことから始まりまして、次の労働移動雇用安定助成金と申しまして、賃金助成あるいは移転費助成ということで、こういった労働者を採用した事業主に対しまして、例えば賃金ですと中小企業三分の一、大企業四分の一、一年間、こういった助成を採用した事業主に対して助成をするということにしております。  その下の労働移動能力開発助成金ですが、これは新規能力の付与あるいは能力の向上というようなことで、移動の前後に教育訓練を当該労働者に対して行うという場合に、例えば中小企業は四分の三の経費の助成を一年間行う、こういったものでございます。こういった助成を行うことによりまして、失業を経ないで新しい産業、新しい企業への移動がスムーズにできるようにしたいといったものがこの対策の柱でございます。  この事業につきましては平成七年七月から施行しておりますが、先ほど申しました事業主からの雇用維持計画が現在百二十件程度、人員にしまして一万八千人ぐらい計画として上がってきているというところでございます。  次の八ページですが、人材高度化支援事業、個々の労働者の能力開発、能力のアップといった事業でございます。  これは具体的には、下の方、真ん中あたりに欄の中で囲った対策でございますけれども、まず人材高度化支援計画というものを事業主団体あるいは事業主が作成をいたしまして、これを雇用促進事業団が認定する、その計画に従いまして以下に書いておりますような助成を行うことにしております。  まず、公共職業能力開発施設によります支援ですが、これは事業主が行います訓練の体系づくりをお手伝いしたり、あるいはこの訓練所の場所や機材を貸与したり、あるいはこの能力開発施設におきましてオーダーメード型の能力開発を実施したり、こういったお手伝いをするというのが一つでございます。  次の人材高度化助成金ですが、この内容としましては、まず人材高度化事業助成金、これは訓練実施等のための準備等に対する助成ということで、事業主団体向けですが、訓練の準備をします事業主団体に準備期間、一年間程度見ておりますが、五百万円までの補助を行おうといったことを内容としております。  次の人材高度化訓練運営助成金ですが、これは教育訓練の運営費に対する助成でございます。これは三十年間、年間五十万までということで助成をすることを考えております。  それから、最後の人材高度化能力開発給付金ですが、これは事業内外の訓練あるいは有給教育訓練休暇の付与等に係る訓練費、賃金等に対する助成ということで、例えば賃金の三分の二を三年間まで助成しようと、こういったことによりまして勤労者の能力開発を積極的に進める、人材高度化を図るといった事業主等に対する助成を行いたいということでございます。  能力開発関係では、これらのほかに現在、産業や企業、技術の空洞化といった問題がいろいろとある中で、高度の熟練技能が失われていっているのではないかという問題がございます。今まで蓄積された高度の熟練技能を継承していくにはどうしたらいいか、こういった問題意識を持ちながら、来年度は支援体制についての研究等も行っていきたい、こういったことも現在労働省としては考えております。  以上、大変簡単でございますが、労働市場の変化への対応ということで、新規雇用の受け皿づくり、あるいは失業なき労働移動、あるいは人材の高度化のための助成、こういったことについて御説明をさせていただきました。  三番目でございますが、九ページの少子・高齢化への対応のテーマでございます。  まず、基本的な考え方ですが、我が国におきましては、出生率の低下あるいは平均寿命の伸長などを背景に高齢化が急速に進展しているが、このような中で、我が国経済社会の活力を維持していくためには、高齢者がその豊かな経験を生かし、希望すれば六十五歳まで現役として働けるようにすることが重要な課題である。このため、六十歳定年を基盤とした六十五歳までの継続雇用の推進を図るとともに、多様な形態による雇用、就業を促進するということにしております。  また、少子・高齢化が進展する中で、労働者にとって育児や家族の介護が働き続ける上で大きな制約要因になっていることから、働く男女がともに仕事と家庭とを両立できるよう積極的な支援を行うということを基本的な考え方としているわけであります。  次に、十ページですが、高齢者雇用の現状からまず見ていきたいと思います。  これはよく引き合いに出される数字ですが、まず高齢化の現状、上の表、人口の見通しですけれども、例えば二〇〇〇年の欄、五十五歳以上人口を見ていただきますと、三千八百七万人ということで人口の二九・九%を占めておりますが、これは二〇一〇年には三五・五%になるというようなことでございます。その中の特に六十五歳以上人口を見ていただきますと、二〇〇〇年の一七%から二〇一〇年には二一・三%に増加するということが見込まれております。  これに伴いまして、下の表の労働力人口、働く意欲と能力を持った人たちの人口でございますが、この人口も高齢化をしていきまして、二〇〇〇年には十五歳以上の労働力人口が六千八百四十六万人であったものが、二〇一〇年には六千七百四十五万人というふうに、我が国の歴史の中で恐らく初めて絶対数が減少するということになってまいります。特に、十五から二十九歳層の一千五百九十四万人が一千二百三十一万人へというふうに絶対数が減少していくわけであります。  五十五歳以上について見ますと、これが一千六百五十二万人から一千九百六十七万人に増加をするというふうなことになりまして、若い人が絶対数から見ても減っていく上に、高齢者の働く人たちの割合が、比重が大変高くなってくるというのがこれからのそう遠くない将来の姿であろうかというふうに思います。  十一ページでございますけれども、高齢者の就業意欲の状況を見たものですが、寿命の延長というふうなことを背景にいたしまして、多くの高齢者は六十五歳程度までは働きたいという高い就業希望を持っております。この表で見ますと、働ける限りずっと働きたいというふうな人も大変多いわけでございます。  ただ、働く形態を見てみますと、下の図ですけれども、高齢期になると勤務形態の希望は多様化する傾向にございます。六十から六十四歳層では、ここに書いておりますように、約三八%は短時間勤務を希望し、約一六%は任意的な就業を希望している。こういったことで、六十歳を過ぎますと非常に個人差が出てきますけれども、概して申し上げますと、パートのような短時間勤務あるいは働きたいときに働くといったような就業形態があればいいな、こういう希望を持っておられるようであります。  次に十二ページですが、高齢者の雇用失業情勢を見たものです。  これは、まず完全失業率の状況ですけれども、一番下の欄、平成七年十一月を見ていただきますと、年齢計で三・三、季節調整値で三・四となっておりますが、五十五歳以上ではこれが三・三%に対しまして、六十から六十四歳層では五・九%というふうに倍近くになっております。  それから、下の表の有効求人倍率の状況も、一番下の数字で見ますと、平成七年十一月で、五十五歳以上は〇・一三ということになっておりますが、六十から六十四歳層では〇・〇七というふうに極端に低い、こういった実情にございます。  十三ページですけれども、定年制等の状況を見たものですが、これは折れ線グラフの一番上の折れ線が六十歳以上定年制で、逐年右肩上がりでこの割合がふえてきておりまして、平成七年を見ますと、改定か決定というものを含みまして八七・七%までが六十歳以上定年。逆に、五十五歳以下定年等は右に行くにつれて非常に少なくなってきております。将来、改定するというのを含めますと、既に九四・四%の企業におきまして六十歳以上定年ということで達成をされております。  下の図は、勤務延長や再雇用制度というものがあるかどうか調べたものです。例えば、六十歳定年で、その後さらに勤務延長を認めるといった企業でございますが、ここに書いておりますように、希望者全員が六十五歳まで働けるという企業はまだ約二割にとどまっているということになっております。  次の十四ページですが、以上の高齢者雇用の現状等を背景といたしまして、高齢者雇用対策はここに書かれているようなものを考えております。  まず、継続雇用の推進の柱ですけれども、六十歳定年の完全定着ということで、これは一昨年の法改正で、定年制を定める場合には六十歳以上にしなければいけないという改正をさせていただきました。これは平成十年度から施行でございまして、まだ若干期間があるわけでありますが、平成十年四月以降は、定年年齢を定める場合には六十歳以下の年齢を定めることはできないというふうになっております。  次の六十五歳までの継続雇用の推進ですが、これも高年齢者雇用安定法で、六十五歳まで引き続き雇用するように事業主は努力しなければいけないという規定がございまして、これに沿って私ども指導していきたいというふうに思っております。  その柱の一番下の雇用継続の促進ということで、高年齢雇用継続給付というものをやはり雇用保険法の改正で設置をさせていただきました。昨年の四月一日から実施しておりますが、これは六十歳以降の雇用については賃金が相当それまでに比べてダウンするというのが一般的でございまして、こういったことが高齢者の就業意欲を失わせるというふうなことがございました。  こういったことを背景にいたしまして、六十歳以降の賃金がそれまでの賃金よりも八五%以下になったという人につきましてはその賃金の二五%を雇用保険から支給するということにしておりまして、現在この制度は、昨年四月一日から施行いたしまして、資格の確認手続を行っております。賃金がどのくらい変わったかということを安定所で確認をしておりますが、その件数が現在六十六万件ぐらい上がっております。このうち実際に八五%以下に賃金が下がって保険から給付が出る人がどのくらいになるかまだわかりませんけれども、少なくとも資格確認手続では六十六万件が上がってきておる実情にあります。  それから、次の柱の多様な形態による雇用、就業の促進ということで、例えば二番目の裁量的な雇用機会の提供ということで、六十歳以上の高齢者に関する労働者派遣システムの特例というのがございます。これは、現在、労働者派遣は十六の業務に限定をしているわけでありますが、六十歳以上の高齢者については雇用の場を拡大するといった観点から、基本的に派遣を自由にするというふうに法律改正でこれもあわせて行いました。  それから、シルバー人材センターの充実ということでございます。シルバー人材センターも六十歳以上の高齢者の方が働いておられるわけでありますが、現在、全国の市町村で七百シルバーがございます。まだまだ数も少ないということで、この国会にお願いをすることにしておりますが、市町村レベルで今まで設置をしておりましたシルバー人材センターを都道府県レベルでも設置できるようにいたしまして、シルバー人材センターの拡充発展を図りたいということを考えております。  こういったことが高齢者雇用対策の概要でございます。  次に、十五ページですけれども、育児・介護をめぐる現状でございます。  育児・介護は、就業継続上の大きな制約要因と意識されているということでございます。育児休業は平成七年の四月一日から事業主に義務づけられており、介護休業は平成十一年四月一日から義務づけられることになっておる。  これは、ちょっと飛ばしていただきまして、一番最後のページ、十八ページを見ていただきますと、育児休業制度は、労働者は、その事業主に申し出ることにより、子が一歳に達するまでの間育児休業をすることができる。この申し出を事業主は拒むことができないわけであります。またさらに、事業主は、労働者が育児休業の申し出をしまたは育児休業をしたことを理由として解雇することはできない。これも法律に明定をしております。  次の介護休業制度は、労働者は、その事業主に申し出ることにより、連続する三月の期間を限度として常時介護を必要とする状態にある対象家族、配偶者、父母及び子、配偶者の父母、こういった方ですが、一人につき一回の介護休業をすることができる。これも同様に事業主はこの申し出を拒むことはできないわけでございます。  こういった制度を、この介護休業の方は昨年の法律改正で、育児休業法の改正で成立をさせていただきましたが、この育児休業は昨年の四月から全面適用、介護休業の方は平成十一年の四月一日から全面適用になるということになっております。  十五ページに戻っていただきまして、このグラフは長く働き続ける場合の困難や障害を女性について見たもの、複数回答ですが、やはり育児というのが五八・六%で一番多く、老人や病人の世話四八・七というふうに、育児や介護というものが、これは女性について見たものですが、就業や労働を継続する上で大変困難な要因になっているということがうかがえるかと思います。  次の十六ページは介護休業制度の普及率の推移を見たもので、育児休業と異なりまして介護休業制度の普及率はまだ大変低いというのが実情です。平成五年度に企業平均で一六・三%です。これは下の表で見ますと、企業規模によりましてかなり格差がありまして、五百人以上では五一・九%の普及ですが、三十から九十九人規模ではまだ一四・二%しか普及していないということで、これは平成十一年四月の強制適用に向けていかに行政指導といいますか、事業主の努力によって企業に導入していただくかということが大きな課題になっているところであります。  十七ページに労働者の職業生活と家庭生活との両立支援対策ということで幾つか書いております。  まず、一番目の育児休業や介護休業を取得しやすく職場復帰しやすい環境の整備ということで、例えば(2)に育児休業給付の支給ということを書いておりますが、これは先ほど申しました高齢者の継続給付とあわせまして、育児休業取得者に対し必要な給付を行うということで、休業前の賃金の二五%相当を雇用保険から支給するといったことを内容にしております。  それから、(3)の介護休業制度導入奨励金ですけれども、法に沿った介護休業制度を導入し、最初の利用者が生じた事業主に対し奨励金を支給する。これは中小企業七十五万円、大企業五十五万円、こういった助成措置を設けまして介護休業制度の導入を奨励したいというふうに思っております。  二番目の柱の育児や家族の介護を行う労働者が働き続けやすい環境の整備で、例えば(1)の育児・介護費用助成金というものですが、これは育児や介護のためにベビーシッターやホームヘルパー等を利用する従業員に対して、それに要する費用を補助する事業主に対しその費用の一定割合、中小企業では五分の四、大企業では二分の一を助成するということで、権利として育児や介護休業をすることがありましても、休まないで働き続けようという場合には事業主がベビーシッターやホームヘルパーを雇うのを助成するというときに、国としてもその一定割合をさらに保障して、補助していこうといったふうな政策でございます。  あるいは、(3)のフレーフレー・テレフォン事業と申しますのは、保育施設やホームヘルパー等、育児や介護サービスに関する地域の具体的情報を電話で提供する、これは非常に活況のようでございます。こういったことで、家庭生活と労働者の職業生活とを両立させる支援政策、支援対策というものを行っていこうというふうに考えているところであります。  以上、大変概略でございますが御説明をさせていただきました。よろしくお願いいたします。

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) ありがとうございました。  以上で労働省からの説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は挙手をお願いいたします。

笹野貞子新緑風会

○笹野貞子君 大変御苦労さまでございました。  今の御説明を聞きまして、日本の国の六十五歳まで働き続けるような対策、あるいは育児、子供を育てながら働く、介護をしながら働くという、こういう方向に労働が変わってくる段階で、先ほども六十歳を過ぎて六十五歳になるまでは短期間の労働を欲する傾向にある、また育児をする場合にもそういう傾向にあるということになりますと、賃金の格差というのが起こり得るのか。そして、アメリカの賃金格差というのは、これは非常に大きな問題になっていると思いますが、こういうふうにいろんな問題点で、パートとかあるいはフレックスタイムとか、そういう問題を導入することによってアメリカで起きている賃金の格差というのが起こり得るかどうか。  そして、労働省としてはこのアメリカの賃金格差というのをどういうふうに見るのか、その御見解をお聞きしたいと思います。

渡邊信労働省大臣官房長

○政府委員(渡邊信君) 先ほどちょっと触れたと思いますけれども、六十歳を超えて働くといった場合に日本ではまだ非常に厳しい状況にあるというのが実情であろうと思います。さらに、雇用の場が少ない上に賃金が相当ダウンするというのが、少なくとも高齢者については実情ではないかというふうに思っております。  余り賃金が下がるものですから、再就職の努力をするよりは雇用保険をもらって引退した方がいいというような傾向すらあったぐらいでございまして、そういったことを拝見し、またこれから少子・高齢化社会ということで年金の受給年齢も上がっていくというふうなことで、やはり高齢者の方が生き生きと働ける社会にしなきゃいけないとか、そういったことで労働行政も努力しなければいけない。  こういった観点から、雇用保険法の改正によりまして賃金の二五%まで上乗せをして、事業主の方々に一挙に高齢者の賃金を上げてほしいというのもなかなか難しい面もあろうか、あるいは高齢者の就業意欲の問題もあろうかということで、こういった助成制度を行いながら徐々に高齢者が本当に社会の一つの中心的な力として働けるような社会へ移行するように支援をしようというのが、先ほど申しました高齢者継続雇用給付の趣旨でございます。  育児をしなければいけないという、例えばこういう女性がリタイアすると、そういったときに、再度労働市場に出るときに賃金格差が生じるかどうかということは、一たん離職するとやはりなかなか前の職場というか、同じような同等レベルに復帰することは現状では非常に厳しいのではないかと思います。結局パートで出るとか、そういったことになると賃金はやはりダウンするといったことはあるのではなかろうかというふうに推定をいたします。

上山和人社会民主党・護憲連合

○上山和人君 ちょっと関連してお尋ねしたいんですが、今、官房長のお話をお聞きしていますと少し気になるんですが、年金の支給開始年齢が六十五になるのは二〇一三年でしょう、たしか。そうすると年金改革をしたときの私たちの認識というのは、年金支給開始年齢を引き上げていく、二〇〇一年から三年ごとに一歳ずつ引き上げていって、二〇一三年に六十五になりますね。これは雇用システムとどうリンクさせるかというのが、これは最も前提になる条件だったと思うんですよ。今のお話を聞いていますと、二〇一三年、支給開始年齢が六十五になるときには実質定年制が六十五になるという雇用システムに連動する、リンクしていく、そういう厳しい状態ですけれども、それは労働省にとっては至上命題ではないんですか。その御認識をちょっとただしておきたいと思うんです。

渡邊信労働省大臣官房長

○政府委員(渡邊信君) 現在ではまだ六十歳未満定年というものも若干あるのが現状でございまして、これから今先生おっしゃいました二〇十三年には年金の受給年齢も六十五になるということを考えますと、到底六十歳未満定年というふうなことでは勤労者の生活はおぼつかないというふうに考えられます。  そこで、まず六十歳までの雇用保障、これは実際には出向とかいろんな問題があるわけですけれども、どの職場にいても少なくとも年齢によって解雇される、就職、就業が終わりになるという状況は六十歳未満であってはならないということで、これは平成十年の四月からは六十歳未満定年は禁止をするということに法律上改正を一昨年行ったわけでございます。さらに、六十歳からの雇用ということになりますと、先ほど申し上げましたが実際にはこれは非常に厳しい、特に現下の局面では大変厳しいということがあると思いますけれども、やはり年金に合わせまして、六十五歳まで希望すれば働けるという社会にすることが必要であろうというふうに私どもは思っております。  そういったことで、なかなか事業主の方に努力を呼びかけるだけでは実現は難しいということで、これは雇用保険法の改正によりまして、これはかなり思い切った改正であったというふうに思っているわけでありますけれども、賃金の二五%まで保障する、そういうことによって事業主の負担も軽くしながら、六十五歳までの継続雇用というものを実現していただきたいということで、その目標に向かって進んでいきたいというふうに思っているわけであります。  ただ、それが二〇一三年までに一〇〇%希望すれば全員が六十五まで働けるようになるかどうか、これは今後の私どもの努力なりあるいは社会の動きなりにかかっていると思いますけれども、今おっしゃいましたように年金とずれがあってはまずいというふうに思っていますので、こういったことを、助成施策というふうなものを加味しながら、行政としては、ともかく現在の定年は六十歳でこれは強行法規、それから六十五までは任意であるけれども助成をしながら誘導していく、こういったことで進めていきたいというふうに思っているわけであります。

三重野栄子社会民主党・護憲連合

○三重野栄子君 女性が働き続けるための条件は大変整いつつあると思いますけれども、それは幸いにして就労できた人だと思います。特に学卒の女性に就職がないという中で、これはテレビの知識ですけれども、今香港がおもしろいというようなことで、女性たちが香港に出て働いている。そういうところに仕事がありますよということで、職業訓練といいましょうか、職業あっせんをしている、そういうところも出てきたというようなことを言っておられたんですけれども。  今までの企業に対して、就労するということを促進するのもいいと思いますけれども、やはり新しい仕事を創出していくようなことについて、労働省はどのようにお考えでしょうか。それは中小企業にという意味ではなくてですね。

渡邊信労働省大臣官房長

○政府委員(渡邊信君) 現在、学生の就職状況あるいは内定状況といったものを見ますと大変厳しいわけですが、その厳しい中でも女子学生の内定状況というのは非常に厳しくなっております。  全般的に景気が悪いということは背景としてあると思いますが、中でも特に女性の就業率が悪くなっている原因の一つとして、いろいろあろうかと思いますけれども、やはり今まで女子学生が多く就業していた事務職部門というものの採用がOA機器の普及等によって非常に減少してきている、採用自体が出なくなってきているということがあるかと思います。また、企業の合理化努力も今そういったところに向けられているわけで、したがって、これから女性の側からも卒業したら事務職に就職するんだというふうなことではやはり就職の場というのは非常に狭くなってくるだろう、これは男子学生も同じだと思うんです。  そういったことから、労働省は婦人少年室を通じまして、女子学生に対する職業教育、職業観といいますか、セミナーなどを開いて就職の現状のようなものを説明するといった努力はしておりまして、やはり女性の側からもそういった将来の働き場所というものは単に事務職一辺倒ではないというようなことを考えていただく必要もあるのかなと思っておりまして、行政としてもそういった努力というか、広報、啓発というか、そういったことをしなきゃいけないなというふうには考えております。

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) あとはございませんか。

平田耕一自由民主党・自由国民会議

○平田耕一君 ちょっと次元が低いかもわかりません。  四ページ、「基本的な考え方」と書いてあるのでお尋ねするんですが、その四角の中の一番最初のセンテンスの主語と述語を教えてほしいんです。

渡邊信労働省大臣官房長

○政府委員(渡邊信君) 一番上の段ですか、これは「労働市場は、」「変化する」というのが一つの文で、それを「見込まれている。」で受けているかと思います。

平田耕一自由民主党・自由国民会議

○平田耕一君 「産業構造が」という主語の述語はどれですか。

渡邊信労働省大臣官房長

○政府委員(渡邊信君) 失礼しました。これは確かに文章がよくないと思います。先ほど申しましたように、趣旨としましては労働市場は大きく変化すると、こういうことで書いておるつもりですが、間に「産業構造」のような変な主語が入ってきておりまして、確かに文章はまずいと思います。失礼いたしました。

平田耕一自由民主党・自由国民会議

○平田耕一君 基本的な考え方ですから、しっかりと検証してほしいと思います。

渡邊信労働省大臣官房長

○政府委員(渡邊信君) わかりました。気をつけたいと思います。

金田勝年自由民主党・自由国民会議

○金田勝年君 せっかくの機会なので、ちょっと。  この調査会の性格からいっても、将来のことを考えて労働政策というものを受けとめていきたいという前提に立ちますと、ここに書いてある、非常にシンボリックにまとめていただいているんですけれども、そういう延長線上の話だとは思うんですが、この四ページにも書いてあるように、国際化、高度情報化、規制緩和の進展を背景に産業構造が大きく変化するということになれば、国際競争が激化して、アジア諸国も台頭してくるでしょうし、いろんな意味で我が国の競争力の向上の努力というのが必要になってくる。そういう中で、コスト削減とか生産性の向上というのは非常に難しい、限界があるという面もあるわけですね。  そういう中で、一方で雇用という面を見て、各人に主体を置いて考えると、結局自分で選ぶ、職業、雇用について、自分の付加価値を高めていくというんでしょうか。確かに少子・高齢化の問題、あるいは女性の方の問題というのは非常に重要なんですが、あともう一つは若い人にとってどういうふうに雇用というものについて受けとめていかれるのか。  要するに、西暦二〇〇〇年、二〇一〇年は若い人の比率が随分と減ってくるわけですね、一方で。そういう中で、産業構造がどうなっていくのかというふうな、どういう前提にお立ちになって、そして雇用の中で各人はむしろ自分自身の個性が尊重される。自分で仕事を選ぶ、そして自分の付加価値を高めて、そして自由に労働力の移動も可能なような状態、こういうものを若い人たちに準備していかなければいけない。そういうときに、これまでの現状分析を超えた何かビジョンみたいなものをどういうふうに受けとめて分析されておられるのか。  そして、そういうことについては、まさに「対応策の概要」という五ページ以下の施策がいつごろまでを想定して、どこまで国際競争というオープンのシステムを前提にした議論になっているんだろうか。何か私はちょっと先のことを考えておるものですから、若い人たちとかそういう方たちにとってどういうふうにこの議論がつながっていくのか、その辺がきょうの資料では余りよくわからないものですから、その辺をまた今後も教えていただきたいなという感じがするんですが、今何か簡単にでもコメントをいただければありがたいなと思うんです。

青木功労働省職業安定局雇用政策課長

○説明員(青木功君) 長期的な見通しでございますけれども、先生御案内のように、産業や職場が変わっていく、それから入っていく主体も変わっていくということで、昨年暮れに西暦二〇〇〇年をゴールとします雇用対策基本計画、これを閣議決定させていただきました。  その中のポイントは、これも今先生がおっしゃいましたように、働く者の立場でいけば、変わる状況にいかに適合して、自分の個性を生かしていくかということが大きなポイントになろうかと思います。  それから、それを受ける産業の方の仕組みとしては、そういう変わる中でいかに上手にいろんな人たちを許容し得るか。超高齢化社会になるわけですから、年をとった方々も、あるいは男性も女性もひとしくその能力に応じてサービスを受けとることができるような、そういうシステムをつくっていくことが大事ではないだろうか。そのために、特に検討過程でも議論になり、また結論になったものは、一人一人の自由な能力開発の活動、自己啓発の活動というものをどんどん進めていかなければならないというようなことでございました。

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) 労働省、ありがとうございました。  以上で労働省に対する質疑は終了いたしました。  本日の調査はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国民生活・経済に関する調査のため、今期国会中必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国民生活・経済に関する実情調査のため、委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鶴岡洋平成会

○会長(鶴岡洋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時九分散会

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