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136回国会参議院1996/02/23

科学技術特別委員会 第2号

発言数
5
登壇者
3
会派数
2
開催日
1996/02/23

会議録

長谷川清平成会

○委員長(長谷川清君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。  科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、中川科学技術庁長官から科学技術振興のための基本施策についてその所信を聴取いたします。中川科学技術庁長官。

中川秀直自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(中川秀直君) 先月、橋本内閣発足に伴い、科学技術庁長官を命ぜられました中川秀直でございます。  委員長を初め委員各位におかれましては、日ごろより科学技術行政推進に当たり、格段の御理解、御支援を賜り、まことにありがとうございます。今後ともよろしく御指導賜りますよう、心よりお願いを申し上げます。  第百三十六回国会に当たり、私の所信を申し上げます。  科学技術は、経済構造を改革し、新しい経済社会のフロンティアを生み出す源泉であります。天然資源に乏しい我が国が、二十一世紀にふさわしい創造性あふれた経済社会をつくっていくためには、唯一の資源たる人間の頭脳、英知を最大限に活用することが不可欠であります。  科学技術の振興は、普遍の原理を求め、人類共通の夢を実現する未来への先行投資であり、研究開発活動によって得られた知的資産は、次代へと引き継がれ、新産業を創出し、文化的で豊かな社会を実現するとともに、環境問題、食糧・エネルギー問題などの人類の直面する諸問題の解決に重要な役割を果たすものであります。  昨年十一月、科学技術基本法が成立、施行されました。本法は、科学技術の振興を我が国の最重要政策課題の一つと位置づけ、科学技術振興の方針と今後の我が国の進むべき方向を示したものであります。今後、本法の精神にのっとり、科学技術における世界のフロントランナーの一員として新たなる飛躍を図るべく、科学技術創造立国を目指して、科学技術振興に積極的に取り組んでまいります。特に、科学技術基本法に基づき策定することとされている科学技術基本計画については、科学技術振興施策を総合的、計画的に推進するために極めて重要であり、今後、科学技術会議における審議を経て、できるだけ早期に策定すべく努めてまいります。また、政府研究開発投資の倍増を早期に達成するよう努めてまいります。  昨年十二月に発生しました高速増殖原型炉「もんじゅ」でのナトリウム漏えい事故及びその後の情報公開をめぐる動力炉・核燃料開発事業団の不手際につきましては、地元の方々を初めとする国民の皆様に多大の御心配をおかけするとともに、信頼を損ねる結果になり、大変遺憾に思っております。私は、徹底した原因究明を行い、万全の安全対策を講ずるとともに、積極的かつ速やかな情報公開等を行うことにより、国民の皆様の信頼を一刻も早く回復することが重要と考えており、二月九日に原因究明と再発防止策に関するこれまでの調査結果を取りまとめ公表したところでありますが、引き続き、幅広く御意見を伺いながら最大限の努力を傾けてまいります。  このような認識のもと、科学技術による国際社会への積極的な貢献をも念頭に置きながら、平成八年度には、以下に申し述べますような柱を中心にして総合的に施策を展開してまいります。  第一に、知的資産の形成に資する独創的な基礎研究と科学技術振興基盤の強化であります。  新たな科学技術の知見を開拓し、知的資産の拡大を図っていくためには、研究者の持つ創造性を重視した基礎研究の抜本的な強化を図るとともに、科学技術振興基盤の整備、強化を図ることが重要であります。  このため、大学、国立試験研究機関等を広く対象とし、二十一世紀を展望した重要研究分野の基礎研究を実施する戦略的基礎研究推進事業を強力に推進するとともに、科学技術振興調整費等の基礎研究推進制度を拡充してまいります。  また、独創的な基礎研究の推進においては、斬新な発想を有する若手研究者に依存するところが大きく、ポストドクター(博士課程修了者)等の優秀な若手研究者の積極的支援・活用等を図るとともに、青少年の科学技術離れ対策を総合的に進める観点から、科学館の充実強化等の各種施策を進めてまいります。このほか、研究開発の高度情報化の促進、大型放射光施設(SPring8)の整備等を進めてまいります。  さらに、行政改革に資するとともに、科学技術振興のための基盤の整備を図る観点から、新技術事業団と日本科学技術情報センターを統合した科学技術振興事業団を創設するための法案を今国会に提出し、御審議をお願いすることとしておりますので、よろしくお願いをいたします。  第二に、安全で豊かな生活を実現するために必要な国民生活に密着した科学技術の推進であります。  人間が個人として、また社会の一員として、安心して暮らせる潤いのある豊かな社会を築くためには、国民生活に密着した科学技術の推進を図る必要があります。  阪神・淡路大震災から一年が経過しましたが、地震国の我が国にとって、地震防災対策は今後とも極めて重要な課題であります。地震に強い社会をつくるため、地震防災対策特別措置法に基づき設置された地震調査研究推進本部のもとで、関係省庁と連携を図りつつ、地震観測網の整備、観測データの集中化、先端的地震研究を進めるとともに、調査研究の総合的評価及びそれらに基づく的確な広報を一元的に推進し、地震防災対策の強化を図ってまいります。さらに、地方公共団体が行う活断層の調査等に対して積極的な支援を図ってまいります。  また、健康の維持増進、生活環境の向上等を図るため、がん関連研究、ヒトゲノム解析、長寿社会に対応した科学技術の研究開発等を推進してまいります。特に、がん関連研究については、放射線医学総合研究所において重粒子線がん治療の臨床試行を進めるほか、地域への展開を図り、治療法の確立、普及を図ってまいります。  第三に、先端科学技術分野の研究開発の推進であります。  科学技術全般の基礎となる知見を与え、また、多くの分野の科学技術を先導していくため、物質、生命等の基本的な要素を対象とする科学技術や宇宙、海洋等のフロンティアを対象とする科学技術といった先端的な科学技術を推進してまいります。  このうち、宇宙開発は、地球環境問題の解決、質の高い豊かな生活の実現等に貢献するとともに、スペースシャトル・エンデバー号に搭乗した若田宇宙飛行士の活躍の例にも見られるように、我が国の将来を担う青少年に対して明るい未来への夢とロマンを与えるものであります。本格的な宇宙利用時代への飛躍のために新たに策定された宇宙開発政策大綱に基づき、地球観測の推進、宇宙ステーション計画を初めとする宇宙環境利用の推進、通信、放送等の分野における人工衛星利用の高度化、輸送コストの低減等を目指したHⅡAロケットの開発、無人の宇宙往還技術試験機(HOPE-X)の開発研究等に積極的に取り組んでまいります。なお、二月十二日にJIロケットにより打ち上げました極超音速飛行実験機(ハイフレックス)につきましては、ほぼ所期のデータを取得できましたが、機体の回収に失敗したことは遺憾に思います。早急に原因の究明を行い、その教訓を今後の宇宙開発に生かしてまいります。  また、地球表面の約七割を占め地球規模の環境変動に深くかかわる海洋についても、その実態の解明が重要であり、大型海洋観測研究船の整備を進めるなど海洋観測の研究開発等に積極的に取り組んでまいります。  第四に、安全確保と平和利用を大前提としたエネルギーの安定確保であります。  地球環境との調和を図りつつ、将来にわたりエネルギーを安定的に確保することは、豊かな生活を築くための基本的条件であります。エネルギー資源の八割以上を海外からの輸入に依存し、今後ともエネルギー需要の着実な伸びが予想される我が国において、供給安定性等にすぐれたエネルギー源である原子力の研究開発利用を着実に進めるとともに、次世紀の長期的課題として取り組むべき核融合、新エネルギー等の研究開発を行うことが重要であります。  今日、既に総発電電力量の約三割を賄い、エネルギー供給に大きな役割を果たしている原子力の開発利用を進めるに当たっては、国民の皆様の理解と信頼関係が特に重要であります。そのため、積極的かつ速やかな情報の公開等に努めるとともに、核燃料リサイクル政策の重要性を踏まえ、国民の皆様の幅広い御意見を伺いながら、これらを原子力政策に的確に反映させてまいります。また、原子力による便益を享受していくに当たり、避けて通ることのできない高レベル放射性廃棄物処分対策を初めとするバックエンド対策等に積極的に取り組んでまいります。  さらに、原子力の開発利用を進めるに当たっては、安全の確保が大前提であり、厳格な安全規制を実施するとともに、安全性向上のための努力を払ってまいります。また、我が国の原子力平和利用を担保するため、保障措置及び核物質防護措置についてその充実強化を図るとともに、世界的な核不拡散体制の充実強化に積極的に貢献してまいります。  また、核不拡散の強化に対する国際的な世論の高まりの中で、いまだ一部の国により核実験が行われていることは極めて遺憾であり、今後とも核実験の停止を粘り強く働きかけてまいります。  以上、科学技術に対する私の基本認識を示すとともに、平成八年度における科学技術庁の施策の概要を申し上げました。  橋本総理は、この内閣の使命を「変革」と「創造」とし、二十一世紀にふさわしい新しい活気と自信にあふれた社会を創造していくことを目標に掲げられました。私は、科学技術の振興こそ、経済社会の構造改革を進め、自由で創造的な経済社会の発展基盤をつくっていくものであると信じて疑いません。  科学技術に課せられた重大な使命に思いをいたしつつ、科学技術行政の責任者として全力を尽くしてまいります。  委員長を初め委員各位の御指導、御協力を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。  ありがとうございました。

長谷川清平成会

○委員長(長谷川清君) 次に、平成八年度科学技術庁関係予算について説明を聴取いたします。工藤科学技術庁官房長。

工藤尚武科学技術庁長官官房長

○政府委員(工藤尚武君) それでは、平成八年度科学技術庁関係予算の概要を御説明申し上げます。  平成八年度一般会計予算において、科学技術庁の歳出予算額五千二百九十三億二千九百万円を計上いたしており、これを前年度当初歳出予算額と比較いたしますと、三百六十六億九千五百万円、七・四%の増加となっております。また、電源開発促進対策特別会計において、科学技術庁分として、歳出予算額千五百九十七億七千百万円を計上するほか、産業投資特別会計から、三十七億円の出資を予定いたしております。  以上の各会計を合わせた科学技術庁の歳出予算額は、六千九百二十八億円となり、これを前年度の当初歳出予算額と比較いたしますと、四百六十六億八千万円、七・二%の増加となっております。  また、国庫債務負担行為限度額として、一般会計千三百三億六千七百万円、電源開発促進対策特別会計四百六十二億七千三百万円を計上いたしております。  さらに、一般会計予算の予算総則において、原子力損害賠償補償契約に関する法律第八条の規定による国の契約の限度額を一兆四百二十億円とするとともに、動力炉・核燃料開発事業団法第三十四条の規定により、政府が保証する借り入れ等の債務の限度額として二百五億円を計上いたしております。  次に、予算額のうち主要な項目につきまして、その大略を御説明申し上げます。  第一に、知的資産の形成に資する独創的な基礎研究と科学技術振興基盤の強化のため、体制整備に係る措置も含め千九十億五千二百万円を計上いたしました。  まず、創造性を重視した基礎研究の推進といたしまして、大学、国立試験研究機関等から課題を公募し、実施する戦略的基礎研究推進事業に百五十億円を計上するほか、産学官の連携により重要な基礎研究等を推進するための科学技術振興調整費に二百十五億円を計上するとともに、創造科学技術推進制度等の重要な基礎研究推進制度の拡充を図ることとしております。  また、科学技術振興基盤の強化といたしまして、若手研究者(ポストドクター等)の支援・活用、科学技術離れ対策の総合的推進等の科学技術系人材の確保養成に必要な経費として九十六億五千二百万円を計上するとともに、研究開発の高度情報化の促進に必要な経費として百二十億六千三百万円、大型放射光施設(SPring8)の整備等放射光利用の促進を図るため、百六十六億八千三百万円を計上いたしました。  また、科学技術情報の流通促進等のため、産業投資特別会計から三十七億円の出資を予定いたしております。  このほか、研究交流の総合的推進、国の研究施設の整備、人当研究費の拡充、科学技術の地域展開等を進めることとしております。  第二に、安全で豊かな生活を実現するために必要な国民生活に密着した科学技術の推進を図るため、三百四十四億五千五百万円を計上いたしました。  これにより、地震調査研究推進本部を中心とした地震調査観測網の整備、地震防災科学技術の研究開発等の防災・安全対策の充実を図るほか、がん関連研究、ヒト遺伝子解析等の健康の維持増進、生活・社会特別研究開発制度、食品成分データの整備等の生活環境の向上、及び人間特性に調和した科学技術の推進を図ることとしております。  第三に、科学技術による国際社会への貢献を図るため、千六百八十八億四千七百万円を計上いたしました。  まず、宇宙からの地球観測を行うための環境観測技術衛星等の研究開発の推進や大型海洋観測研究船の整備を図ること等により、地球環境問題への取り組みを強化するとともに、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム等の国際協力プロジェクトに積極的に参加することとしております。  このほか、アジア太平洋諸国、旧ソ連を初め各国との研究交流・支援、さらには、外国の研究者の受け入れ等を総合的に推進することとしております。  第四に、先端科学技術分野の研究開発の推進を図るため、三千二百十四億九千七百万円を計上いたしました。  まず、宇宙開発利用の推進といたしまして、将来の多様な宇宙開発活動の安定的展開を図るため、無人の宇宙往還技術試験機(HOPE-X)の研究開発を進めるとともに、通信放送技術衛星等の各種人工衛星の研究開発、並びにコストの低減を図るためのHⅡAロケットの研究開発、さらに宇宙ステーション計画への参加等の推進のため、千七百七十九億千五百万円を計上いたしました。  次に、海洋開発の推進といたしまして、深海調査研究開発、海洋観測研究開発等を行うため、百九十九億二千九百万円を計上いたしました。  次に、先導的原子力研究開発の推進といたしまして、国際熱核融合実験炉(ITER)計画への参加等による核融合の研究開発、重粒子線がん治療等のビーム利用の高度化、高温工学試験研究等を進めるため、八百三十億三千四百万円を計上いたしました。  次に、超電導材料等の物質・材料系科学技術の研究開発の推進のため、百二十四億二千八百万円を計上し、また、脳・神経研究等のライフサイエンスの研究開発の推進のため、三百十五億六百万円を計上し、さらに、航空技術等の研究を推進するため、百四十四億五百万円を計上いたしております。  第五に、安全確保と平和利用を大前提としたエネルギーの安定確保のため、三千百九十四億九千百万円を計上いたしました。  まず、原子力安全規制行政の充実、安全研究の推進、放射能調査研究の充実等原子力安全対策の充実強化を図るため、五百二十八億九千三百万円を計上いたしました。  また、原子力平和利用の確保という我が国の国際的責務を果たすため、保障措置、核物質防護対策を充実強化するとともに、世界的な核不拡散体制の充実強化に積極的な貢献を果たすため、六十六億八千二百万円を計上いたしました。また、核燃料リサイクルの着実な展開とバックエンド対策の充実強化を図るため、高レベル放射性廃棄物等の処理処分対策、使用済み燃料の再処理等についての研究開発等を行うとともに、民間における核燃料サイクル施設建設計画の円滑な事業化等を促進するため、千三百九十億七千七百万円を計上いたしました。  また、未来エネルギーの研究開発を推進することとし、核融合の研究開発の推進を図るとともに、新エネルギー研究開発の新たな展開を図るため、三百五十六億九千九百万円を計上いたしました。  さらに、原子力の開発利用に対する国内外の理解の増進と情報の公開を図る観点から、原子力施設と地元が共生できるよう、立地地域住民の福祉の向上、地域振興等に必要な施策を講じるとともに、国民の信頼感、安心感を得ることができるようきめ細かくわかりやすい広報活動等を展開するため、二百六十九億五千八百万円を計上いたしました。  以上、簡単でございますが、平成八年度科学技術庁関係予算につきまして、その大略を御説明申し上げました。

長谷川清平成会

○委員長(長谷川清君) 以上で所信の表明及び予算の説明は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時七分散会

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