労働委員会 第2号
- 発言数
- 5 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1996/02/21
会議録
○岡島委員長 これより会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 この際、労働大臣から所信を聴取いたします。永井労働大臣。
○永井国務大臣 労働委員会の御審議に先立ち、今後の労働行政についての所信を申し述べ、委員各位を初め、国民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。 最近の我が国経済は、緩やかながら再び回復の動きが見られ始めているものの、雇用失業情勢は、完全失業率が過去最高水準になるなど、依然として厳しい状況にあります。このため、国民生活の基本である雇用の安定を図るため、景気動向を注視しつつ、雇用対策を機動的に実施する必要があります。 一方、中長期的に見ると、国際化の進展、規制緩和の推進などに伴う産業構造の変化や、出生率の低下、急速な高齢化などが進みつつある中で、こうした構造変化に的確に対応していく必要があります。また、労働者一人一人が職業生活のあらゆるステージを通じてゆとりを持ちつつ、その能力を開発・向上し、健康で安心して働ける環境整備を進めるとともに、就業形態の多様化等に対応して、労働者の多様な個性や能力が十分に発揮できるような環境整備を一層進めることが重要です。 こうした状況に対応し、二十一世紀に向けて我が国経済社会の活力を維持し発展させるため、積極的に労働行政を推進してまいる所存であります。 第一は、現下の厳しい雇用失業情勢等に対応した雇用対策の推進です。 既に申し上げましたように、最近の雇用失業情勢は依然として厳しい状況が続いており、また、中長期的には産業構造の変化や高齢化の一層の進展など、さまざまな変化に直面することが見込まれています。 このため、厳しい雇用失業情勢に対応し、かつ、さまざまな構造変化に的確に対応するための中長期的な観点からの雇用対策の方向を示すため、昨年十二月、第八次雇用対策基本計画を閣議決定したところであります。 労働省としては、本計画を踏まえ、現在の厳しい雇用失業情勢に対応するため、昨年九月の経済対策に基づいて拡充し、平成八年度予算案においてさらに充実強化を図ることとしている「新総合的雇用対策」の効果的な実施により、失業なき労働移動の実現、新たな雇用機会の創出などを図り、雇用の安定のために全力で取り組んでまいる所存であります。 今春の新卒者の就職環境は一層厳しい状況にあることから、求人開拓に全力を挙げるとともに、学生職業センターや新たに設置した学生職業相談室における職業相談・職業紹介等の実施、全国各地における就職面接会の開催など積極的な就職支援に努めてまいります。 急速な高齢化の進展に対応するため、二十一世紀初頭までに、希望すれば六十五歳まで現役として働ける社会の実現を目指していくことが重要であり、高齢者の雇用・就業機会の確保に全力を尽くしてまいります。 特に、多様な形態による雇用・就業機会の確保の観点から、シルバー人材センター事業の発展拡充を図るための体制整備を図ることとし、シルバー人材センター連合を創設すること等を内容とする高年齢者雇用安定法の改正案を今国会に提出したところでありますので、よろしく御審議をお願い申し上げます。 改正雇用保険法に基づく雇用継続給付については、昨年四月から実施しているところでありますが、引き続きこの制度の確実かつ円滑な実施に努めてまいります。 労働者派遣事業制度については、経済社会情勢の変化等に適切に対応するために、派遣労働者の適正な就業条件の確保を図るための措置等を充実するとともに、育児・介護休業取得者の代替要員に係る労働者派遣事業の特例措置を講ずること等 を内容とする労働者派遣法等の改正案を今国会に提出することといたしておりますので、よろしく御審議をお願い申し上げます。 第二は、高付加価値化や新分野展開を担う人材育成等の推進です。 現在、我が国は、産業構造の大きな変化が進んでおり、こうした中で安定した成長を遂げていくためには、産業・企業の新分野展開等を図っていくことが重要であります。 こうしたことから、これを担う人材の育成を進めていくことが大きな課題であると考えており、高付加価値化・新分野展開を担う人材育成の推進、労働者の自発的、主体的な能力開発への支援、産業の高付加価値化等を担う高度熟練技能の継承促進等を内容とする「人的資産形成プログラム」を実施することとしております。 さらに、今後の中長期的な職業能力開発施策の基本的な方向を示す第六次職業能力開発基本計画を策定したところであり、これに基づき我が国の発展を担う人材の育成を強力に推進していく考えです。 第三は、安心して働ける豊かな勤労者生活の実現であります。 労働時間の短縮については、平成九年四月からの週四十時間労働制への全面的移行に向け、週四十時間労働制の適用が現在猶予されている中小企業等が円滑に移行できるよう積極的な支援、援助を行うなど、政府目標の年間総労働時間千八百時間の早期実現に全力で取り組んでまいります。 職場における安全と健康の確保は、労働者が安心して働くための前提条件であります。このため、近年の高齢化の進展等に伴う労働者の健康状況の変化に対応して、職場における労働者の健康の一層の確保を図るため、産業医等による労働者の健康管理の充実を図ること等を内容とする労働安全衛生法の改正案を今国会に提出することといたしておりますので、よろしく御審議をお願いします。 「過労死」など労働災害に遭われた方に対しては、迅速適正な労災補償の実施に努めてまいります。特に、労災保険給付に関する審査請求については処理が長期化していることから、審査の迅速化を図るための審査請求制度の整備、労働保険審査会の審査体制の充実等を内容とする労働者災害補償保険法等の改正案を今国会に提出したところでありますので、よろしく御審議をお願いします。 第四は、多様な個性や能力を発揮できる環境の整備であります。 男女雇用機会均等法が施行されて以来、雇用の分野における機会均等は着実に進展しておりますが、昨今の厳しい雇用失業情勢のもとで、新規学卒女性を初めとして、女性が男性に比べ不利に取り扱われる事案など、均等法上問題のある事案もなお見受けられるところです。このため、男女雇用機会均等法の周知徹底や特別相談窓口の設置などにより、新規学卒女性の就職における均等な機会の確保を図るとともに、雇用の場における男女の均等な機会及び待遇の確保に努めてまいります。 また、育児休業制度の定着、介護休業制度の早期導入など、職業生活と家庭生活との両立支援対策を推進するとともに、総合的なパートタイム労働対策を推進してまいります。 障害者の雇用については、身体障害者雇用率制度の厳正な運用を行うほか、重度障害者に重点を置き雇用を促進するなど「障害者プラン」の推進に全力を挙げてまいります。 第五は、勤労者の福祉の向上のための対策の推進です。 勤労者福祉の充実のための施策や中小企業の魅力づくり対策のための施策などを積極的に推進してまいります。 特に、勤労者財産形成促進制度については、近年の少子・高齢化等の経済社会情勢の変化に対応するとともに中小企業勤労者の福祉の向上を図るため、育児、教育、介護等に際して財形貯蓄の活用による勤労者の自助努力を支援する制度の創設や、中小企業における財形制度の普及促進を図る措置等を内容とする勤労者財産形成促進法の改正案を今国会に提出したところでありますので、よろしく御審議をお願い申し上げます。 第六は、阪神・淡路大震災に係る対策についてです。 被災地の労働者の雇用の安定を図っていくことは、復興に当たっての重要な課題であります。このため、雇用調整助成金の特例措置の延長等により被災地における雇用の維持に努めてきております。また、震災により離職した方に対しては、特定求職者雇用開発助成金についての特例措置を延長するとともに、積極的な求人開拓や、求人・求職間のミスマッチを解消するためのきめ細かな職業相談・職業紹介、職業能力開発を実施すること等により、再就職の促進に努めてきております。今後とも、被災地の労働者の雇用の安定のためにできる限りの支援をしてまいります。 被災地における復興工事の本格化に伴い、労働災害の増加が危惧されるところでありますので、工事に従事される方々の安全と健康の確保に力を入れて取り組んでまいります。 このような施策の展開に加え、国際情勢の変化に対応した諸施策、特にAPEC域内の人材養成への協力等国際協力の積極的な推進、技能実習制度の適正かつ円滑な実施に努めるとともに、外国人労働者の雇用管理の改善などにも適切に取り組んでまいりたいと考えております。 以上、当面する労働行政の重点事項について私の所信の一端を申し述べました。私は、労働行政を預かる者として、「ともに働き、喜び、安心して暮らせる社会の創造」を目指して、全力を挙げて取り組む所存であります。委員長を初め、委員各位の一層の御理解と御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。(拍手)
○岡島委員長 次に、平成八年度労働省関係予算の概要につきまして説明を聴取いたします。渡邊労働大臣官房長。
○渡邊(信)政府委員 お手元の資料に従いまして、平成八年度労働省関係予算案の概要について御説明申し上げます。 初めに一ページでございますが、全体の予算規模について御説明申し上げます。 労働省所管の一般会計は四千九百八十億円で、前年度に比し三百二十九億円の増額となっております。 労働保険特別会計につきましては、全体で五兆三千七百九十四億円で、前年度に比し一千七百六十七億円の増額となっております。 これを勘定別に申し上げますと、労災勘定は二兆一千百九十五億円で、前年度に対し百二十六億円の増額となっております。 雇用勘定は三兆二千五百九十九億円で、前年度に対し一千六百四十一億円の増額となっております。 次に、石炭の特別会計の石炭勘定でございますが、労働省関係分は百六十二億円で、前年度に対し一億三千万円の増額となっております。 これを主要事項別に見てみますと、次の二ページでございますが、大きく分けて第一から第六の柱まで六つの柱から成っております。 以下、その主要な内容につきまして、新規事項を中心に御説明申し上げます。 まず、三ページでございますが、第一は、「産業構造の変化や本格的な高齢化への的確な対応」でございます。 その一は、高付加価値化や新分野展開を担う人材育成等の推進「人的資産形成プログラム」の実施等でございます。 技術革新の進展、企業活動の海外シフトの進展等のもとで大きな産業構造の変化が見込まれる中、我が国経済が安定した発展を遂げるためには、国内産業の高付加価値化や新分野への事業展開を図ることが肝要であります。このため、これを担う人材の育成に資する職業訓練や自己啓発等の能力開発に対する支援対策を推進することとしております。 その二は、四ページにございます失業なき労働移動・雇用創出等を支援するための総合的対策の推進でございます。 産業構造の変化等により、一部の業種においては雇用量の減少を余儀なくされ、労働移動が避けられない状況にあります。このため、改正業種雇用安定法に基づき、これらの業種における失業をできるだけ防止すべく、出向、再就職のあっせんによる雇用機会の確保に対する支援策を推進することとしております。また、改正中小企業労働力確保法に基づき、ベンチャー企業等新分野展開等を目指す中小企業者の人材の確保、魅力ある職場づくりを支援することにより、新たな雇用機会の創出を図ることとしております。 その三は、五ページにございます雇用の維持・再就職促進支援対策の機動的な実施でございます。雇用調整助成金制度等を活用し、雇用安定対策の推進を図ることとしております。 また、林業における労働力の確保を図るため、林業労働者の雇用管理の改善に関する総合的対策を推進することとしております。 その四は、新卒者・未就職卒業者等若年者対策の充実でございます。 大学等の新規学卒者を取り巻く就職環境は大変厳しい状況にあります。このため、各都道府県に設置された学生職業センター及び学生職業相談室を通じ、きめ細かな職業相談の実施、合同選考会の開催等により、就職支援対策の強化を図ることとしております。 また、説明欄の一番下にございますが、学生の就職支援を一体的かつ総合的に実施するための学生総合支援センターを東京都に設置することとしておりますが、その建設費七億円は、公共投資重点化枠に係る予算額であります。 その五は、六ページにございます高齢化に対応した高齢者対策の総合的展開でございます。 六十歳定年を基盤とした六十五歳までの継続雇用を積極的に推進するとともに、従来、市町村を単位として設置してまいりましたシルバー人材センターについて、新たに都道府県単位の新組織としてシルバー人材センター連合を設けることにより、就業を希望する高齢者が全国どこでもシルバー人材センター事業に参加できるようにするなど、高齢者対策の一層の推進を図ることとしております。 第二は、七ページにございます「安心して働ける豊かな勤労者生活の実現」でございます。 その一は、勤労者の自助努力支援など勤労者福祉対策の推進であります。 近年の少子・高齢化等が進む中で、勤労者が長期的な生涯生活設計に基づき計画的に対応することを促進していくことが必要であります。 このため、財産形成貯蓄活用助成金制度を創設するとともに、中小企業団体等が財形事務を代行して行うことができる制度を創設するなどにより、多様な生涯福祉ニーズの実現に向けた勤労者の自助努力を支援することとしております。 その二は、ゆとりある勤労者生活の実現に向けた労働時間対策の推進でございます。 平成九年四月からの全面的な週四十時間労働制への円滑な移行に向けて中小企業への支援措置を拡充するとともに、フレックスタイム制等の弾力的な労働時間制度の普及促進を行うこととしております。 その三は、八ページにございます健康で安心して働ける職場の実現及び的確な労災補償の実施でございます。 「過労死」の予防等のための事業場における産業保健活動の支援、健康診断の事後措置の適切な実施等による総合的な健康確保対策の推進を図るとともに、職業性疾病の予防等の安全衛生対策の推進を図ることとしております。 また、九ページ及び十六ページでございますが、労働保険審査会委員の増員等を初め、労災保険審査請求制度の整備を図ることにより迅速な対応を図ることとしております。 その四は、適正な労働条件の確保のための相談・支援等の充実であり、労働条件等に係る紛争の防止・解決に関する相談体制等の整備を図ることとしております。 その五は、中小企業の魅力づくり対策の推進であり、中小企業の新規開業に伴う労働面での相談、助言を行う労務管理整備支援事業を実施することとしております。 第三は、十ページでございますが、「多様な個性や能力を発揮できる環境の整備」でございます。 その一は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保対策の推進であり、女子労働者の能力発揮のための取り組みの促進、女性起業家の支援施策の推進を図ることとしております。 その二は、職業生活と家庭生活との両立支援対策の推進であり、介護休業制度導入奨励金の充実、次の十一ページでございますが、介護労働力等の確保対策の強化を図ることとしております。 その三は、パートタイム労働対策の総合的な推進であり、パートバンクの増設等による労働力需給調整機能の強化、労働条件確保対策など総合的な対策を推進することとしております。 第四は、十二ページでございますが、「障害者等に対する対策と阪神・淡路大震災関連対策の推進」でございます。 その一は、障害者対策の積極的な推進であり、重度障害者雇用促進プロジェクト事業の充実や精神障害者に対するジョブガイダンス事業の実施により、雇用対策の充実を図ることとしております。 その二は、十三ページでございますが、特別な配慮を必要とする人々に対する職業生活援助等対策の推進であり、援助対象者に応じ、それぞれきめ細かな対策を引き続き推進することとしております。 その三は、十四ページにございます阪神・淡路大震災関連対策の推進であり、失業の予防・雇用維持対策、再就職促進対策等を推進することとしております。 第五は、十五ページでございますが、「国際社会への積極的貢献」であり、国際情勢の変化に対応した労働外交の展開、人づくりによる国際社会への貢献を行うほか、外国人労働者問題への適切な対応を図ることとしております。 以上をもちまして、労働省関係予算案の概要の説明とさせていただきます。 何とぞよろしくお願い申し上げます。
○岡島委員長 以上で大臣の所信表明並びに平成八年度労働省関係予算の概要についての説明は終わりました。 次回は、明後二十三日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時二分散会