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136回国会衆議院1996/01/24

本会議 第2号

発言数
18
登壇者
10
会派数
5
開催日
1996/01/24

会議録

土井たか子無所属議長

○議長(土井たか子君) これより会議を開きま す。      ————◇—————  国務大臣の演説に対する質疑

土井たか子無所属議長

○議長(土井たか子君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。小沢一郎さん。     〔小沢一郎君登壇〕

小沢一郎新進党

○小沢一郎君 第百三十六回国会の開会に臨み、橋本総理の施政方針演説に対し、新進党の政治方針について所信を申し述べます。(拍手)  まず、橋本新総理に御就任のお祝いを申し上げます。まことにおめでとうございました。(拍手)また、村山前総理、本当に御苦労さまでした。  しかし、これは小沢一郎個人の心情として敬意を表するものであり、政治家、政党人として考えるとき、与党三党の政治姿勢、とりわけ今回の政権交代は憲法と議会政治の危機であり、強い憤りを感じます。(拍手)  村山総理の退陣は遅きに失しました。しかし、去る五日の突然の辞意表明は国民を全く愚弄するものであります。  憲法七十三条は、内閣の職務について「予算を作成して国会に提出すること。」と明記しております。それにもかかわらず、編成した予算を国会に提出する前に内閣の責務をほうり投げ、元旦の青空を見上げ退陣を決意したとは、まさに国会を冒涜し、憲法をないがしろにするものであります。(拍手)  これほど無責任な総理大臣が憲政史上ほかにいたでしょうか。憲法の定める予算編成権の自己否定であるばかりでなく、国会の予算審議権を侵害することでもあります。国会は予算を編成した総理、大蔵大臣らの責任を直接追及できなくなってしまうからであります。こうしたことが憲政の先例となるなら、議会政治は全く機能を失ってしまいます。  とりわけ、今国会の焦点である住専処理問題で、村山総理、武村大蔵大臣としての責任を直接追及できなくなったことは、まことに遺憾であります。両氏は昨年暮れの会談で、この問題の責任を回避するために今回の政変のシナリオをつくったと報道されていますが、それが事実とすれば、まさに国民を欺く行為であります。(拍手)  しかも、両氏は住専問題の実態も責任も明らかにしないまま、六千八百五十億円もの税金の投入を決定しました。破廉恥とも言える予算編成を大蔵当局に押しつけ、世論の厳しい批判を浴びると役人に詰め腹を切らせ、それでも批判をかわせず、自分が火の粉を浴びそうになると予算案をほうり出して内閣総辞職を画策する、このようなことがまかり通っていることは、果たして民主政治と言えるでしょうか。  住専問題の本質は、貸し手と借り手はもちろんのこと、村山、武村両氏を含めだれ一人責任をとらず、みんながなれ合い、もたれ合っていることであります。歴代の金融行政担当者も、行政当局を監督して政治責任を負うべき政治家も、一人としてみずからの責任を明らかにしていません。  また、六千八百五十億円を緊急金融安定化資金として予算化した根拠も不明確であります。今回の処理は第一次分にすぎず、いずれ第二次分でも再び国民の税金が使われることになるでありましょう。ところが、その前提となるべき住専問題全体の解決策も示されていませんし、最終的にどれだけの血税がつぎ込まれるのかも全くわかりません。  こうした状況の中で、村山政権は税金の支出のみをやみくもに予算化したのであります。このような不透明なやり方では、金融システムの安定という大義名分とは全く逆に、今以上に金融不安を高め、法秩序の崩壊をもたらすことになります。  新進党としても、住専処理問題の緊急性はよく認識しております。しかしながら、まず住専破綻に至る事実関係を究明し、次にあらゆる関係者の責任を明確にすべきであります。民事、刑事の責任追及はもとより、行政当局の法的責任と政治家の責任も明確にしなければなりません。財政資金の投入は、その上で行うべき最後の手段であります。このステップをきちんと踏まない限り、納税者である国民の理解は決して得られません。(拍手)新進党は、事実関係の確認と、村山、武村両氏を初めとする関係者の責任追及を徹底的に行う決意であります。  また、橋本政権が村山政権の無責任さを追認し、住専予算をそっくり引き継いだことも見逃すことはできません。さらに、橋本総理の施政方針演説でも住専処理問題の具体的方針が全く示されなかったことは、実に残念であります。橋本総理がまず実行すべきことは、六千八百五十億円を予算から削除することであります。(拍手)  さて、平成五年七月の総選挙において、今は亡き日本社会党は、非自民政権による新しい政治の実現を国民に公約いたしました。ところが、平成六年六月には理念も政策も真っ向から対立していた自民党と野合して村山政権をつくり、今度はまた与党三党が政権をたらい回しして自民党の橋本総裁を首班に指名しました。非自民政権の樹立を国民に公約した社会党が、憶面もなく自民党総裁を担いだのであります。  憲法の前文は、「国政は、国民の厳粛な信託によるもの」であり、「その権威は国民に由来」する と国民主権を規定し、この原理に反する一切のものを排除すると明記しております。社会党の公約破りは、憲法政治の基本原理に対する背信行為、憲法違反であります。党名を変更すれば済む問題ではございません。(拍手)  加えて、自民党と社会、さきがけ両党との間で、予算成立後三カ月間は衆議院を解散しないとの密約が交わされていると言われております。これもまた憲法違反の繰り返しであります。橋本政権の任務は、憲法政治の観点からしても、選挙管理内閣ではないでしょうか。速やかに衆議院を解散して、国民に信を問うべきであります。(拍手)  新進党は、危機的状況にある我が国の議会制民主主義を再生させるため、党所属国会議員が一丸となり、重大な決意を持って政局に臨む所存であります。  さらに、橋本連立政権の樹立に当たって与党三党が交わした政策合意について、憲法感覚の異常さを指摘しないわけにはいきません。「宗教と政治の関係について憲法二十条の理解を含めた検討を行う。」という合意は、信教の自由を制限しようというものであり、極めて重大な問題をはらんでおります。  昨年十二月の宗教法人法改正に続き、自民党は既に、憲法二十条の解釈を変更するよう内閣法制局に圧力をかけ、さらに、憲法ですべての国民に保障されている政治活動について宗教団体に制限を加えるために、宗教基本法の制定を検討していると聞いております。  しかし、信教の自由は、言うまでもなく近代民主主義の成立の過程で確立した基本的人権であり、特に我が国におきましては、戦争という大きな犠牲の上で獲得された権利であります。この民主主義の根本原理を特定の政治目的によって侵害するなどということは、民主主義国家では許されないことであります。(拍手)  しかもこれは、信教の自由の侵害にとどまらず、やがて言論、表現、出版、結社の自由の侵害にも及びかねません。与党三党の企ては、日本の民主主義の土台を揺るがす極めて危険な策動であり、人権抑圧のファッショ的暴挙であると強く警告しておきます。(拍手)  次に、外交・安全保障について、我々の基本的考え方を申し上げます。  外交・安全保障の基本は、言うまでもなく国民の生命財産と領土を守ることにあります。我が国の平和と安全は、適切な防衛力の整備とともに、米国との同盟関係に大きく依存しております。日米同盟の円滑な運用は、我が国の存立にとって死活的重要性を持っていると言っても過言ではありません。特に、冷戦構造の崩壊に伴い、各国の利害対立が表面化し、さまざまな摩擦や紛争が多発しています。日米関係もその例外ではありません。だからこそ、我々は個別の利害対立を克服し、日米安保体制を基軸として、同盟関係の強化を図っていかなければなりません。  また、日米安保体制は、軍備の拡張や核拡散など不安定要因の多いアジア地域において、平和と安定、自由と民主主義の体制を維持発展させる支柱でもあります。第二次世界大戦後五十一年目を迎えて、我々はこの現実を改めて認識する必要があります。  その際、沖縄の基地問題について、全国民は真剣に考えるべきであります。沖縄の米軍基地の存在が日本全体の平和と安全に大きな役割を果たしてきていることを十分に認識するとともに、沖縄の歴史的経緯と現状を理解し、沖縄県民の痛みを自分の痛みとして感じなければいけないと思います。その痛みを全国民が分かち合う覚悟で、在日米軍基地のあり方についてあらゆる角度から検討し、国を挙げて沖縄の基地問題の解決に取り組んでいかなければなりません。(拍手)  一方、日本は率先して国連の改革を進め、国連の機能を強化していかなければなりません。国連改革は、財政基盤強化のための財政改革、経済社会理事会の強化を初めとする経済社会分野の改革も重要でありますが、安全保障理事会の改革が特に重要であります。日本の今後の安全保障を考えた場合、安保理の強化を抜きにすることは不可能であります。  新進党は、これまで、日本が常任理事国となり、責任を果たす意思があることを国際社会でより明確にするよう主張してきましたが、ここで改めて我が国の考えを内外に宣明するよう求めます。同時に、その責任と役割を担い得るよう、国内の体制を整える必要があります。  この点につきましては、橋本総理は我が党と同じ意見をお持ちだと思っておりました。ところが、さきの与党三党合意でも、また総理の施政方針演説でも、極めて歯切れが悪く、常任理事国入りを希望するのか希望しないのか、どちらなのかはっきりしておりません。これも連立政権維持のためであるとすれば、余りにも情けないことではないでしょうか。(拍手)願わくば、橋本総理におかれましては、周囲の無責任な雑音にとらわれず、みずからの信念に従い、勇気を持って総理大臣の職務に取り組んでいただきたいと思います。(拍手)  日本が国連を中心とする国際的な平和活動に参加することは、日米同盟と並ぶ我が国外交・安全保障の柱であります。しかし、これまでの我が国の協力は決して積極的だったとは言えません。国連側からも、日本の対応は予見不可能であると言われております。  実際、我が国の政治は国連の平和活動について責任をとろうとしておりません。例えば、PKOに参加する自衛隊員の武器使用は個人の判断に任せております。また、PKFへの参加も凍結されたままになっています。これは、従来の憲法解釈では、国連の平和活動であっても、武器の使用は個人の自衛以外すべて憲法九条で禁じている武力の行使に当たるとの論議があるからであります。したがって、冷戦後の新しい安全保障のあり方が問われている今日、従来の憲法九条解釈では議論してこなかった国連の平和活動への参加について明確な方針を確立すべきであります。  日本国憲法は、言うまでもなく国際協調主義に貫かれています。前文で「恒久の平和を念願し、」「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持」することを誓い、第九条では「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求」すると宣言しております。したがって、国連の平和活動に積極的にかかわることは、憲法の理念に沿い、その理想を実現するものであると私は思います。(拍手)  新たに安全保障の基本法を制定して、国連の国際的な平和活動に対する我が国の参加のあり方を規定し、積極的な協力をすべきだと思います。それによってまた、日本の軍隊が再び海外に進出するのではないかというアジア諸国の疑念を払拭すべきであります。  このような国際社会の平和と安定に対する日本の基本方針と協力方法を内外に明確に示すために、我々は、日本が国連で各国の主権から独立した常設の国連部隊を創設するよう働きかけ、日本もそれに積極的に参加することを提案いたします。私が自衛隊とは別組織の国連警察部隊の創設を提言いたしましたのは、それに日本が率先して提供することを念頭に置したものであります。  次に、経済構造改革について私の考え方を申し上げます。  冷戦後の世界的な激変の中で、日本型システムがあらゆる面で行き詰まり、大胆な構造改革が必要なことは、もはやだれの目にも明らかであります。現在政治に課せられた最大の使命は、国民にはっきりと今後の日本の進路を提示することであります。それによって国民の先行き不安を払拭し、その進路に従って新しいシステムをつくり、努力を続けていけば、二十一世紀も今日の豊かさを維持できるのだということを理解していただかなければなりません。それこそが政治のリーダーシップというものであります。ただ頑張れ、頑張 れと言われても、国民はどう頑張ったらいいのか皆目わからず、構造不況の中で苦しみ続けるだけであります。  しかしながら、これまでの政府の対応を見る限り、構造改革のための政治の決断はもとより、ここで勇気を持って決断しなければならないという危機感や緊張感も全く見られません。なるほど、与党三党も口では改革とか変革とか言っております。しかし、村山政権成立以来、与党三党は衆参両院で絶対多数を握っていながら改革を何一つ実行しようとしなかったのは、本当は改革など必要ないと考えていると言わざるを得ません。(拍手)  我々新進党は、旧来のシステムを打破し、新しい経済社会をつくる政策を思い切って実施し、その中で不況からの脱出を図ってまいります。  まず、未来の人類を支える新技術の研究開発を積極的に支援することであります。日本がこれまで蓄積した経済力と技術力を総動員し、新素材、超電導、蓄電池、バイオなどの研究開発に国が率先して大幅な財政支援をすべきであります。さらに、ベンチャー企業などが容易に資金を調達できるよう、公正で自由な金融システムを確立する必要があります。それによって新時代のリーディングインダストリーの基礎を築かなければなりません。  次に、新産業分野の開拓であります。  政府は、最近、景気がよくなりつつあるとしきりに宣伝していますが、失業者はなおふえ続け、労働・雇用環境が一層厳しくなっている深刻な状況にあります。企業のリストラ、生産拠点の海外移転などが進み、このままだと六千万人の勤労者のうち二千万人が余剰労働力として失業するというリポートさえ発表されています。現に完全失業率は三・四%と戦後最悪を記録し、ことしじゅうに改善する見通しも全くありません。  日本社会は、終身雇用制も見直されつつあり、このまま失業者がふえ続ければ、社会崩壊の危機に直面してしまいます。失業なき労働移転も大切ですが、それで済む事態ではありません。特に、学校を出ても就職できない若者がふえていることはまことに憂慮すべき事態であり、若者の精神の荒廃と社会不安の増大をもたらしております。だからこそ、何としても新しい産業分野をできるだけ早く開拓し、働く場をつくり出すことにより、余剰労働力を吸収していかなければなりません。(拍手)  この新しい産業分野は、これからの社会を支える情報通信産業、世界的に需要が急増している環境保全産業、高齢化社会に対応した福祉サービス業、また福祉機器の製造などが考えられます。特に、高度情報通信社会に向けてネットワーク網の整備、さまざまなソフトの開発などを国が積極的に財政支援していく必要があります。  さらには、規制の緩和・撤廃を行えば、内外価格差の解消、物価引き下げにより、国民生活の質の向上が実現できます。しかし、現実に規制のもとで経済活動に従事している人たちが多数いる以上、口先で規制の緩和・撤廃を叫ぶだけではなかなか進展しません。規制の緩和・撤廃によって日本経済が再び活力を取り戻す一方、日本経済を支えてきた中小零細企業が今後も主役であり続けられるように国が最大限の支援を行うことにより、初めて規制の緩和・撤廃を実現することができるのであります。(拍手)  政府は、平成八年度予算に二十一兆円の国債発行を盛り込みました。赤字国債は十二兆円に及び、国債発行残高は八年度で二百四十兆円に達すると見込まれています。これは、国民一人当たり二百万円近い借金であります。地方財政も非常に厳しく、百兆円を大幅に超える債務残高になると予想されております。  経済社会を立て直す道筋がはっきりと示され、その立て直しのために国債を増発するというなら、それも一つの方法でありましょう。しかし、昨年暮れ財政危機宣言を出しておきながら、政府と与党三党は、日本経済の先行きについて具体的な見通しも展望も国民に示しておりません。規制緩和も行財政改革も口先だけで終わっております。これでは単なる赤字の垂れ流しにすぎないではありませんか。  しかも、来年四月からは、自社さきがけ三党が強行採決で決めた消費税五%の引き上げが実施されます。景気が引き続き深刻な状況にあり、失業者もふえ続けているときに、消費税の引き上げたけを行えば、日本経済に大きな打撃を与え、景気の回復を一層困難にすると私は思います。(拍手)  私は、実質成長率三%程度の成熟経済を確立するため、規制による経済管理をやめ、構造改革を行う中で不況からの脱出を図るという十年計画を提言しました。  経済構造の改革のために、新産業分野の開拓などに思い切った先行投資を行うとともに、新しい経済社会ができ上がるまでの間、総需要と雇用を維持するために、生活環境整備を中心とする社会資本への追加投資を行うべきであります。そのための当面の国債増発は、むしろ勇気を持って行うべきだと思います。  また、働く人々が報われるよう、余りにも高い所得税、住民税を引き下げ、可処分所得を大幅にふやすべきであります。具体的には、所得税、住民税を現在の半分に減らし、最高税率を現行の六五%から五〇%に引き下げることであります。法人税も実効税率を五〇%から四五%に引き下げ、国際水準に近づける必要があります。  もちろん、行政経費の節減に努力するのは当然であります。さらには、総合課税を徹底し、納税者番号制度の導入によって税負担の不公平を解消すべきだと思います。しかし、それでもなお消費税を段階的に引き上げることは避けられません。  これまでの自社さきがけ連立政権のように無為無策のまま経済構造の改革を先送りし続けるなら、二十一世紀の初頭には、失業者もさらに増大し、消費税も欧州諸国のような二〇%以上の高い水準になる危険な道を歩むことは、火を見るよりも明らかであります。我々は、今から大胆な構造改革を進めていけば、国債の償還と福祉の充実のために消費税を段階的に引き上げても、一〇%に抑えることができると考えております。  次に、農林漁業政策について御説明いたします。  農業政策は、これまで生産性の向上と規模の拡大に重点を置いてきました。特定の分野や地域、産品によっては、それがそれなりに効果を上げたことは事実であります。しかし、その枠組みでは対応できない農家が多数存在することも否定できません。このままで推移すれば、零細農家が次々に切り捨てられ、地域社会は荒廃していくばかりであります。これからの農業政策では、そのような農家と地域社会に対する配慮が何よりも必要であります。  林業は森林の環境保全に及ぼす効果が大きいことを考え、特別な配慮が不可欠であります。観光、各種林産品の開発も含めて、林業を中山間地の総合的な地域振興の柱と位置づけるとともに、国土・環境の保全に果たす役割を考慮し、特に国有林野については林野庁の抜本改革を行うべきであります。  また、漁業は農業と並んで自給食糧確保の重要な手段と位置づけ、二百海里問題を初め国際的な漁業権の確保を図り、漁港などの施設整備と沿岸漁業の振興を推進する必要があります。  将来、世界的に食糧不足が予想される上、第一次産業の国際化はさらに進むと思われます。したがって、基礎的な食糧を維持し自給率を向上させていくためには、国民の理解のもとに、生産者が再生産できるような条件を確保する新たな政策を実現しなければなりません。  いずれにしても、新しい農林漁業政策は、経済効率よりも地域社会全体を発展させていくことを目的とした総合的な政策でなければなりません。産業としての規模拡大のみを重視することは、余りにも非現実的であります。 農林漁業は、それぞれの地域で住民が工夫を凝らし、豊かで安定した生活を実現する柱の一つと考えるべきであります。我々は、地域住民が安定した兼業で生活していけるよう適切な対策を講じる必要があります。農山漁村地域に住み、第一次産業に従事しながら、若い人たちは地元の会社に勤める、自然環境と住宅に恵まれ、総合所得は実質的に都会の勤労者と遜色ない、そのような姿を農山漁村地域の理想像として描くべきではないでしょうか。(拍手)  このような地域づくりをしていくためには、下水道、交通通信網など、生活環境の整備が不可欠であります。農山漁村地域への商工業の立地、地方都市のベッドタウン化、観光の振興といった発想も必要だと思います。また、土地の利用形態に関する硬直的な規制はぜひ見直さなければなりません。建設省、農水省などの縦割り行政の弊害を取り除く必要があります。  以上のことを実現するために、新しい農林漁業基本法を制定すべきであります。  こうした政策を強力に進めると同時に、もう一つの柱として、本当の地方分権を実現しなければなりません。国家と国民生活の根幹にかかわる分野以外の身近な内政事務は、権限も財源もすべて地方に移して、地域住民の創意と工夫で地域づくりを行うようにすることであります。(拍手)地域振興政策と地方分権を同時に進めることによって初めて農山漁村の過疎化に歯どめがかかり、文化と教育環境にも恵まれ、若者が喜んで生活できるふるさとをつくることができるのであります。(拍手)  さらに、政治、行政の改革について基本的な考え方を申し上げます。  議会制民主政治は、政治家、政党が立法と行政に責任を持つ体制を確立し、主体的に政策を決定して、その最終責任を負うことが基本であります。そのためには、総理大臣が行政と与党のトップとして政治をリードできるように、首相官邸の総合調整機能を拡充する必要があります。また、議院内閣制が十分に機能できるよう、与党の議員が大臣あるいは副大臣、政務次官として政府に入り、与党と政府が一体となって政策決定を行う制度にすべきであります。  また、国会審議のあり方を見直さなければなりません。現在の質疑応答方式から与野党議員による討議方式に改めるとともに、政府委員を最小限に抑え、原則として大臣あるいは副大臣、政務次官が国会審議に臨むべきであります。また、新進党が実施している明日の内閣を制度化して、野党の政策立案能力を高めるべきだと思います。(拍手)  なお、新進党は、昨年の参議院議員選挙で、参議院の選挙制度について、定員を二百人とし、比例区を廃止するとの改革案を公約しました。衆議院に続いて参議院の選挙制度改革の実現に全力を尽くしてまいります  行政制度の改革では、地方分権と同時に、中央省庁を抜本的に改革しなければなりません。国は、外交・安全保障、危機管理、交通通信、警察、基礎的社会保障、全国規模の公共事業など、国家と国民生活の根幹にかかわる行政に専念すべきであります。そのためには、まず第一段階として、中央省庁を十五に再編するよう提案いたします。また、特殊法人は、原則として五年後にすべて廃止し、本当に必要なものはその間に新たな立法によって存続させるようにすべきであります。(拍手)  さて、少子・高齢化時代を迎え、我々は社会のあり方そのものを考え直すことを迫られております。我々の目指す福祉社会とは、一人一人が能力に応じて仕事につくことができ、自分でできることは自分でやり、足らざるところは助け合い、それでもなお及ばざるところは国が援助する社会であります。  少子・高齢化は、働けない人、病気の人、介護を必要とする人たちが多くなることを意味します。したがって、完全雇用を維持すると同時に、介護システムの確立、高齢者の社会参加の促進、医療体制の充実などを進めてまいります。特に、老後の生活保障である年金制度については、長期的に安定した仕組みに改革する必要があります。勤労世代の負担が重くなり過ぎないようにすることも考えなければなりません。国による負担と民間の福祉サービスとが、バランスよくかつ効率的にそれぞれの役割を果たしていくようにする必要があります。  また、教育は国づくりの基礎であります。いじめの多発、自立心の欠如、連帯意識の希薄化などは教育に大きな原因があります。有名校に入学するための画一的な教育、官民を問わず学歴を偏重して人間性を加味しない就職試験などはその典型であります。就職試験の学歴偏重の是正を指導する一方、教育改革を行う必要があります。国公立大学のあり方を再検討し、私学振興や中高一貫教育の拡大などを進めるべきだと思います。(拍手)  最後に、阪神・淡路大震災について一言申し上げます。  六千三百人を超えるとうとい命をなくした大震災から一年経過しましたが、今も仮設住宅で不便な生活をしている方が九万人もいます。新進党は、現在の諸制度を超える積極的な対策を講じ、被災地の復旧・復興を全力で支援してまいる決意であります。(拍手)  以上、国政の基本問題について、新進党を代表して所信を申し上げました。私がここで一貫して申し上げてきたことは、将来の世代のために、あえて今思い切った厳しい政策選択をしなければならないということであります。次世代のための真の改革、これが必要だという危機意識であります。具体的な個別問題につきましては、今後、新進党の同僚議員が本会議や各委員会でそれぞれの問題点を指摘し、見解を明らかにする予定であります。  橋本総理には、私の所信について御意見がありましたら、お聞かせ願えれば幸いであります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) ただいま小沢党首から新進党の政治方針につきまして御説明をいただきました。  その所感をということでありますが、厳しい政策の選択が必要だという点、この点は私も全く異論はありません。そして我々は、まさにそうした選択の中から、この国会に政府としての考え方を申し述べておるつもりであります。  冒頭、村山総理の退陣についてお触れになりました。私は、政治家の出処進退というものはみずからの判断によって決されるべきものであり、村山総理は御自身としての決断を下された、その後の責任を受ける、その重みを今感じながら御答弁を申し上げております。(拍手)  そして、その村山総理の退陣と憲法の定める予算編成権との関係についての御指摘がございましたが、一月十一日の内閣の初閣議におきまして、私から「八年度予算は現下の諸情勢に対応するために万全の内容を盛り込んでつくり上げたものであり、内閣の交代に伴う国政の停滞は許されないことから、新内閣においては村山内閣の決定した予算の概算を引き継いで予定どおり国会提出の運びとしたい」と、はっきりと意図表明をいたしました。その上で、現内閣の責任におきまして、この概算に基づいて予算を作成し、閣議の決定を経て国会に提出をし、御審議をお願いいたしているところであります。私は、内閣の予算編成の責務を全うしておると考えておりまして、また、これが国会の予算審議権の侵害に当たるとは考えておりません。(拍手)  また、いわゆる住専問題につきましては、これが金融機関の不良債権問題における象徴的かつ喫緊の課題であり、政府としては、我が国金融システムの安定性と内外からの信頼を確保しながら、預金者保護に資するとともに、経済を本格的な回 復軌道に乗せていくため、慎重の上にも慎重な検討を重ねた上で、財政資金の導入を含む具体的な処理方策を決定いたしました。この処理方策は、与党・政府が一体となって取りまとめたものであり、私自身、内閣の一員としても関与してきたものであります。その後、新しい政権に向けての三党政策合意におきましても、住専問題の早期解決を図るという方針を確認してまいりました。  住専問題につきましては、透明性の確保、原因やさまざまな責任の所在の明確化を図りながら、本処理方策についての国民の御理解を得るべく全力を尽くしてまいる決意であり、支出についての削減は考えておりません。  また、解散・総選挙についてもお触れになりました。私は、今住専が問題になりましたけれども、この住専問題の解決を含め金融システムの信頼回復が今求められているとき、切れ目のない経済運営により景気を本格的な回復軌道に乗せていくことこそ今の急務だと考えております。加えて、クリントン大統領の訪日を控え、沖縄の米軍基地問題について誠実に取り組みながら、我が国の外交にとって重要な日米関係をより強固にしていくなど大きな課題が山積しており、政治の空白をつくることは許されないと考えております。(拍手)  そして一点申し上げたいと存じますのは、平成五年七月の衆議院総選挙におきましても、自由民主党は、残念ながら過半数を国民から与えていただくことはできませんでしたが、比較第一党であったことは事実であります。そしてそれ以来、政党の合従連衡の中で歴代の内閣が組織されてまいりました。私どもは、現在の三党連立の政権は、村山内閣の退陣に伴って改めて政策合意を見直した上で成立したものであり、野合という御批判は当たらないと考えております。(拍手)次に、宗教と政治の関係につき、信教の自由についての認識を問われました。  憲法第二十条は、信教の自由を保障するとともに、さらにその保障を一層確実なものにするために政教分離の規定を置いております。このような憲法の定める政教分離の規定は、信教の自由の保障を実質的なものにするために、国及びその機関が、国権行使の場面において宗教に介入し、または関与することを排除する趣旨であると解しており、これを超えて宗教団体が政治活動をすることをも排除している趣旨のものではない、これが政府の従来からの見解でありました。  ただ、この問題につきましては、さきの国会で大変活発な御議論が交わされたところであり、当時の官房長官から、いわゆる宗教活動の政治的限界の問題については十分勉強して統一見解を出したいという答弁があったところであり、私としても、憲法学説などをよく勉強してみたいと考えているテーマであります。(拍手)  また、議員からも、特に日米関係というものの重視という、御主張がございました。私たちも、日米同盟というもの、その関係の強化というものが、我が国の外交にとって極めて大きなものだけでなく、むしろ、日本にとってだけではなくて世界にとっても最も重要な二国間関係であり、これが、アジア太平洋地域そして世界の平和と安定のかなめであるということを私は改めてここで申し上げ、クリントン大統領の訪日の機会もとらえて、幅広い協力関係を一層深めていきたいと願っております。  特に、日米同盟関係の中核をなす日米安保体制というものは、冷戦後の国際社会が依然として不安定な要因を残しております中で、我が国の安全を確保していくために必要不可欠でありますし、また、日米安保体制というものが日米協力関係の政治的な基盤であること、アジア太平洋地域の平和と繁栄にとって極めて重要な役割を持っていることを十分承知いたしておりますし、これを堅持してまいるつもりであります。  私は、四月のクリントン大統領訪日の際に、これまでの安全保障分野における日米間の緊密な対話の成果を踏まえながら、日米安保体制の重要な役割を改めて確認する共同文書をつくり、二十一世紀に向けた日米同盟関係のあり方について内外に明らかにしていきたいと考えております。昨年決定いたしました新防衛計画大綱も踏まえて、日米安保体制の信頼性を一層高めていくための具体的な施策につき積極的権検討し、実施してまいるつもりであります。  しかし、そのためにも、私たちは現在の沖縄の抱える問題について真剣に取り組まなければなりません。昨日、大田県知事に、内閣総理大臣としては私自身初めての機会でありましたが、じっくりと沖縄の気持ちを伺わせていただきました。  この米軍施設・区域の問題については、一方では日米の信頼のきずなを一層深いものとするためにも、また長年にわたる沖縄の方々の苦しみ、悲しみというものに最大限心を配った解決をしていくためにも、先般設置をされました特別行動委員会等を通じ、日米安保条約の目的達成との調和を図りながら、整理統合・縮小を一生懸命図る努力をするとともに、騒音とかあるいは安全、訓練などの問題の実質的な改善が図られるよう誠心誠意努力を払ってまいりたいと思います。一月三十日には、沖縄県から具体的な御要請が出されると承っており、昨日お目にかかりましたときにも、そうした基本的な考え方を申し上げた次第であります。  また、常任理事国入りの問題について御意見がありました。  我が国の国連におけるこれからの課題の一つとして、財政あるいは社会経済とともに、安保理の問題があることは申し上げるまでもありません。そして、我が国の常任理事国入りの問題については、既に昨年九月に河野外務大臣が国連総会において演説をされ、また、昨年十月、村山総理が代表質問でもお答えになりましたように、憲法が禁ずる武力の行使は行わないという基本的な考え方のもとで、多くの国々の賛同を得て、安保理常任理事国として責任を果たす用意があるというものであります。  我が国の常任理事国入りの問題を含む安保理改革については、国連総会の安保理改革作業部会で議論が現在進んでおりますが、第五十回総会の終了する本年の九月までに改革案の大枠に各国が合意することを目標として、積極的に作業に取り組んでいくことが重要と考えます。  そして、小沢議員からの御提言の中に、あるいは新進党としてのお考えの中にも、国連の平和維持活動への参画のあり方として、国連常設軍構想というものが提起をされました。国連常設軍構想というものは、国連において過去に提案されたことはあるようでありますが、いまだ加盟国の支持を得て実現するという見込みはないようであります。  日本は、これまでも国連を中心とした国際社会の平和と安全を求める努力の中で、資金面だけではなく人的な面でも貢献をすることが日本の国際的地位と責任にふさわしい協力のあり方という考え方のもとに、今までもカンボジアあるいはモザンビーク等の平和維持活動に参加をしてまいりました。しかし、私は、あるいは議員と考え方を異にするかもしれないと思いますのは、まず第一に、もしこの国連警察部隊というもの、常設軍というものができましたときに、自衛隊と別個の組織をつくることが望ましい姿だとは思いません。同時に、私は、自衛隊が武装集団として海外に出ることを国際的に認められるほど、かつての我が国の行動というものが尾を引いて、我々にそれだけの信頼は与えられていないように思います。憲法のもとにおける限界があるということは、私が考えている一つの問題であります。(発言する者あり)  また、経済構造改革については、我が国経済の将来の展望を開くために、昨年決定をした新経済計画に沿って大胆な構造改革に直ちに着手しなければならないというのが、私の基本認識であります。(発言する者あり)

土井たか子無所属議長

○議長(土井たか子君) 静かにしてください。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(橋本龍太郎君)(続) そして、施政方針においても申し上げましたように、まず必要なことは徹底的な規制緩和であり、その規制緩和は、まさに高コスト構造を是正すると同時に、新たな成長分野の発展を阻む要因を取り払うために、経済的規制については原則自由・例外規制、社会的規制については本来の目的に照らした最小限のものにするべき、こうした基本的な考え方に立って抜本的に見直しを進めていきたいと思っております。  また、各般の技術開発についてお触れをいただきました。  政府自身、科学技術創造立国を目指して、政府研究開発投資の倍増を早期に達成するよう努力するとともに、産学官の連携による独創的あるいは基礎的な研究の推進、科学技術系人材の養成確保など、科学技術の振興を積極的に図りながら経済フロンティアの拡大を目指していくということは、恐らく基本的な意見の相違はないものと思います。  そして、新しい産業分野の開拓という点につきましては、民間における公正かつダイナミックな経済活動を促進するためにも、競争政策を積極的に展開してまいります。  また、御指摘がありましたが、ベンチャー企業群の創出のために、既に技術開発、人材確保などの面で支援を始めておりますし、新規事業の創出に向けての資金的な面においても、立ち上がりの資金の得やすい状況をつくっていく方針に変わりはありません。  さらに、産構審の答申でも述べられておりますように、議員もお触れになりました分野を含め、新規の市場創造に大きく寄与し、豊かな国民生活や高度な産業活動を創出できる高度情報通信社会の建設のための施策というものを積極的に進めてまいりたいと考えております。  また、財政並びに税制改革についてお触れになりました。  我が国の財政の状況が極めて厳しい、平成八年度末において公債残高が二百四十一兆円に増加するといった状況の認識は、私は議員と問題意識は同じであります。それだけに、今回の予算編成に当たりましても、こうした点に意を用いながら、歳出削減に一層強力に取り組んでまいりました。今後、この平成八年度予算を地ならしとしながら、財政改革に取り組んで、できるだけ速やかに健全な財政体質をつくり上げていくことが緊急課題であります。  財政制度審議会において、財政の果たすべき役割や守備範囲の見直しなどについて検討を行っていただくことになっておりますし、また、与党三党におきましても財政構造の改革に関する検討の場をお持ちいただいており、国会の場におきましても、当然のことながら幅広く御議論がいただけると考えており、そうしたものを踏まえながら、積極的に取り組んでいきたいと考えております。  しかし、税制は、財政を支えるものであると同時に経済社会構造に深くかかわるものでありますし、経済社会の構造的な変革に伴って、あるいはそれを推進するためにも、絶えず新たな視点から見直していかなければなりません。こうした見地から、まずは、既に国民に認知され経済活動の前提となっております平成六年秋の税制改革を確実に実施することが、財政経済運営の信頼、安定につながるものと考えております。  この税制改革は、高齢化など我が国社会の中長期的な構造問題に対して活力ある福祉社会を構築しようという視点から、所得税、個人住民税の負担軽減と消費課税の充実を一体として立法化したものであり、その際、景気動向に十分配慮しながら、所得減税を先行して実施し、消費税率の引き上げは平成九年四月からとしておりますことは、議員が御承知のとおりであります。  その上で、大幅な所得減税や公共投資による経済構造改革について御議論がございました。  私どもは、議員の御主張になりましたそれぞれの施策に数字を入れて検討したことはございませんが、御指摘の税制上の措置を含めて、公共支出に必要とする財源というものは、いずれは国民によって支えていただかなければならないものであります。財政が国民のものであると同時に、その受益者も国民であり、負担者もまた国民である、こうしたことを踏まえ、具体的な方法については歳出歳入の両面から幅広く考えていく必要があると思います。その場合、当然ながら行政経費の節減に最大限の努力を払いながら、施策・制度の見直しを必要とするわけであります。  税制については、言い古された言い回しですけれども、公平・中立・簡素という基本理念に沿って不断の見直しを行う、そして所得と消費、資産等のバランスのとれた税制を構築すべく、今後とも国民の御意見を伺いながら努力をしてまいりたいと思います。  例えば法人課税については、公平・中立の観点に加えて、産業の活性化あるいは国際競争力を維持するといったこと、言いかえれば日本国内に製造業がとどまってもらうためにどうすればよいかといった、そうした視点も踏まえながら考えていくべきことであると思っております。  また、農林水産業について御意見がございました。  我が国の農林水産業は、議員からも御指摘がありましたように多面的な役割を持つ産業であり、その健全な発展を図っていくことは極めて重要であります。昨年大阪で開かれましたAPECの非公式首脳会合におきましても、二十一世紀における成長の制約要因として、アジア太平洋地域におけるエネルギー・環境の問題とともに食糧の問題が提起をされておりました。  これを考えますとき、これからの農林水産行政の推進というものについて、やはり我々は食糧自給率の低下傾向に歯どめをかけるということを基本として、可能な限り我が国農林水産業生産の維持拡大を図っていく必要があると思います。その際、地域の特性を生かした農林水産業の振興、また地域資源の総合的な活用による雇用機会と所得の確保を図るとともに、農山漁村地域を住みやすくかつ活性化することを目指しながら、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策等の施策を実施していきたい、それは地域の振興にも資するものでなければならないと考えております。  また、林業経営の安定あるいは林業労働力の確保に努めることにより林業の活性化を図り、緑豊かな森林というものを計画的に整備をしていきますとともに、新たな海洋秩序に対応して我が国漁業の振興を図るために、持続的な生産を可能とする漁業資源の管理、つくり育てる漁業の施策を推進していきたいと考えます。  当然のことながら、これらの行政は都道府県、市町村とも連携を図りながら施策を進めているところでありまして、今後とも、地方公共団体の適切な協力関係のもとに、地域の自主性を尊重して進めていきたいと考えております。議員御指摘の中で傾聴すべき点については、政府としても十分検討してまいりたいと思います。  ただ、若い人は地元の会社にというお言葉がございました。私は、地方に企業が分散し、それぞれの地域社会で働き場がふえるということは大切なことだと思います。しかし、若い人々は皆会社、農業や林業や水産業にお年寄りだけが働かれるということではならないと思います。我々は力を合わせて、若い人々も喜んで働いていただけるような農林漁業を、お互いに力を合わせてつくってまいりたいと考えております。(拍手)  また、政治と行政の改革についてお触れになりました。  私は、内外政上の課題の解決を図るためには、まず行政自身が時代の潮流変化をとらえながら、大きな価値観の転換を遂げていかなければならないと思います。そして、求める行政改革は、改革のための改革ではなく、根本的な問いかけにこた える行政改革であり、政治家の強い決意と責任で大きな改革の方向づけを行うとともに、その最終責任は行政の責任者でもある私たち政治家が持たなければならないと思います。  そして、こうした国会の場等を通じ、真に国家や国民本位の政策論争を国民に見ていただける形で進めていくことが、まず、やはり政治への関心を戻していただく一番大切なことだと考えております。  参議院の選挙制度改革につきましては、現時点でも各党各会派によって熱心な御論議を進めていただいておりますが、さらに十分な論議が進められることを期待いたしております。  また、少子・高齢時代の福祉政策につき御指摘がございました。  無論のことでありまして、高齢者や障害者の方々はもとよりとし、国民の一人一人が心豊かに安心して暮らせる福祉社会をつくっていくことが行政の重要な課題であると思っております。そして、今後とも、老若男女を問わず、社会のさまざまな構成員が、個人としての尊厳を持って自立をしながら積極的に社会に参画し、相互に助け合い、ともに充実した人生を送れるように、長生きをしてよかったと言っていただける長寿社会をつくるために、保健・医療・福祉などの各施策を総合的かつ体系的に進めてまいらなければなりません。  具体的には、年金制度や医療保険制度の安定的な運営をまず図ること、そして新ゴールドプラン、障害者プラン及びエンゼルプラン等保健・福祉三プランの総合的な推進を図ることによって、国民の福祉ニーズにこたえていかなければなりません。無論、高齢者介護のシステム、また雇用を含めた高齢者の社会参加のあり方について問題意識を持ち、殊に介護のシステムについては大きく論議をこれからもさせていただきたいと考えております。  そして、教育改革について御提言がございました。  国民が一人一人心豊かに暮らしていただくためにも、また、日本が国際化、情報化、技術革新といった変化に的確かつ柔軟に対応していくためにも、教育の果たす役割は限りなく重要であります。現在、いじめの問題等さまざまな問題がございます。また、先進国の中で、大学進学率は高いと言い条、残念ながら大学院進学率が他に比して低いといった問題も指摘されているところであります。こうした問題意識を持ちながら、現在、文部省の中教審におきまして、二十一世紀を展望した我が国の教育のあり方について鋭意審議をいただいております。  私は、私学振興の必要性、重要性については従来からも申し上げてきたことでありますし、また、中高一貫教育など学校間の接続の改善を初めとしたさまざまな教育の課題があることも十分承知しているつもりであります。そうしたものも含めながら、子供たち一人一人の個性、創造性を一層重視する、そうした教育改革を積極的に進めてまいりたいと考えております。(拍手)  最後に、阪神・淡路大震災の被災地の復旧・復興対策への取り組みにつきましては、政府は、三度にわたる補正予算、平成八年度予算案におきまして、復旧・復興対策に必要な各般の施策を可能な限り盛り込むなどの努力をしてまいりました。地震発生から既に一年が経過をいたしましたが、阪神・淡路地域の一日も早い復興、そして被災者の方々の生活再建に最大限の取り組みを行うことが内閣の最重要課題であることは、いささかも変わってはおりません。  今後とも、阪神・淡路地域の復興に向け、地元公共団体と緊密に連携をとりながら、復興関連施策の円滑かつ着実な実施に政府一丸となって全力で取り組んでいく決意であり、国会の御協力も心からお願いを申し上げる次第であります。(拍手)     —————————————

土井たか子無所属議長

○議長(土井たか子君) 佐藤観樹さん。     〔佐藤観樹君登壇〕

佐藤観樹社会民主党・護憲連合

○佐藤観樹君 このたび、社会民主党の幹事長になりました佐藤観樹でございます。  私は、自由民主党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ、与党三党会派を代表して、一昨日行われました政府の施政方針演説に対して、橋本総理及び関係閣僚に質問をいたします。(拍手)  忘れもしない昨年一月十七日に阪神・淡路大震災が発生し、未曾有の大災害をもたらしてから早くも一年が経過いたしました。今月十七日には、橋本総理を初め村山前総理も出席された追悼式典が開催され、六千三百人を超える犠牲者の御冥福をお祈りしますとともに、被災地の一刻も早い完全復旧と復興、そして被災者の方々の生活の安定に全力を挙げる決意を改めて示されたのであります。  与党三党は、ここに改めて犠牲者の御冥福をお祈り申し上げますとともに、阪神・淡路地域の復興に引き続き全力を傾注することをお誓いいたします。(拍手)  一九九五年は戦後五十年という節目の年でしたが、こうした自然災害の上に、オウム真理教団によります地下鉄サリン事件という我が国の犯罪史上始まって以来の凶悪無比な無差別大量殺人事件が発生し、加えて長引く不況が重くのしかかり、国民生活は不安と困難が重なる年でございました。  そうした次々と降りかかる難題に、日本の政治に全く新しい一ページを書き加えた村山前内閣は、三党連立のもとで適切に対処し、「人にやさしい政治」、「安心できる政治」の実現に邁進してきたのであります。  原爆被爆者援護法の制定、水俣病問題の解決、戦後処理の推進など、長年の懸案事項の数々を解決するとともに、規制緩和の推進や地方分権推進法の制定、福祉の充実のための介護休業制度の創設、新ゴールドプラン、エンゼルプランの策定など、庶民の目線に立った改革と創造への具体的成果を上げ、景気の本格的な回復に向けて最大限の努力を払ってきたところであります。このことは、一年半にわたる村山内閣に対し、約六割の国民の方々がその実績を評価するという各種世論調査にあらわれているのであります。(拍手)  私たち与党三党は、村山総理の退陣表明を受けて、内外の困難な課題が山積する今日において、日本国憲法の目指す平和と民主主義を守り、政治的な空白や混乱を招くことなく重大な責務を果たしていくために、厳正な政策論議を経て新しい政権に向けての三党政策合意を策定、確認をし、三党の連立政権を堅持することとしたのであります。  世界の政治経済は今大きく変化し、我が国も新しい時代における新たな発展に向け九基盤を確立しなければならない重大な転換期にあります。我々は、村山内閣において確認し実践してきた、腐敗をなくす政治改革のさらなる前進を初め、行財政改革、経済改革など諸改革に引き続き取り組み、創造と優しさの国づくりに全力を傾けることを国民に約束し、実行に移すときが来ているのであります。  橋本総理は、みずからの政権の使命を「変革と創造」とされ、「決断と責任」を政治信条に、掲げられた政策諸課題に全力で取り組むとされておりますが、この際、村山内閣の政治姿勢と成果をどのように認識され、またどのように継承されようとしているのか、まず総理に御見解、御決意を伺いたいと存じます。  同時に、この一年半の三党連立による村山内閣の実績を見るとき、民主的かつ闊達な政策論議の展開、国民の多様な意見の反映、そして政権運営の透明性に加えて着実な政策の実行という連立政治の持ち味が遺憾なく発揮され、改革、創造を進めながらも、たぐいまれなる安定した政治が実現されてきたと自負をしております。そして、こうした連立政治の着実な発展こそ、二十一世紀の我 が国の民主主義の礎を築くものであると確信いたします。こうした実績を踏まえた今回の新たな三党連立政権樹立の意義と評価、そして決意について、久保副総理並びに田中経済企画庁長官にお示しをいただきたいと存じます。  引き続き、国民が最も関心を持ち、政権に期待をしている景気・経済対策、雇用問題についてお尋ね申し上げます。  先般の政府の月例経済報告によれば、「景気には緩やかながらこのところの足踏み状態を脱する動きがみられる。」とされております。これは、景気回復内閣を掲げた村山前内閣が、所得税減税を含む二度の大型経済対策を講ずるなど的確な施策を次々に打ち出し、規制緩和推進計画の策定、推進など構造改革を進めてきた成果があらわれてきたものだと言えます。  しかしながら、ここで気を緩めるわけにはいきません。平成八年度予算案及び税制改正案は、三百八十兆円にも至ろうとしている累増する国・地方の借金の存在及び税収の落ち込みという厳しい条件下ではありましたが、最大の懸案である景気の本格的回復に向けて有効な措置を可能な限り講ずるとともに、経済構造改革をしっかりと視野に入れた内容になっております。  また、生活公共関連投資や科学技術研究開発費の増額のみならず、いじめ対策、障害者プランの具体化等々に配慮が払われているのは、国民生活の細部にまで目配りをし、人に優しくありたいという三党連立政権のよって立つ精神の何よりのあかしと高く評価できるものであります。(拍手)  明るさを感じさせる最近の動きを加速し、景気回復を確実、本格的なものにするためには、景気と国民生活、雇用の充実安定に配慮した施策を引き続き切れ目なく講じていく必要があり、また、八年度予算案の早期成立が急務であります。本格的景気回復に向けた、総理並びに大蔵大臣、経済企画庁長官の御決意、そしてそのための方策についてお尋ねいたしたいと存じます。  また、平成七年の消費者物価がマイナスになる見込みと言われておりますが、この場合においても年金等の給付がカットされない配慮が当然行われるべきであり、さらには、超低金利状況のもと、年金生活者に配慮した新たな金融商品の開発努力を金融機関に促すなど、庶民の生活実態を踏まえた温かい配慮が必要と考えますが、総理並びに大蔵大臣の見解をお聞かせいただきたいと存じます。  さて総理、景気には明るい動きが見られるとはいえ、雇用情勢はなお厳しい状況が続き、昨年十一月の完全失業率が三・四%と、これまで最高の数値を示していることはまことに残念であります。失業なき労働移動を円滑に進め、新たな雇用機会の確保を図るための環境整備や機動的な雇用対策の着実な実施、また、学卒未就職者、厳しい状況に置かれている女子学生を含めた新卒者等への積極的な支援措置が必要であると考えますが、総理はいかがお考えでございましょうか。  さらに、真にゆとりのある豊かで質の高い国民生活を実現するためには、社会資本の整備等とあわせて、週休二日・週四十時間労働制の早期実現や学校の週五日制の早期完全実施は不可欠な課題であります。過労死などという言葉は一刻も早くなくさなければなりません。ゆとり社会創造への総理の決意をお伺いしたいと存じます。  次に、国民がひとしく大きな憤りを覚えている住宅金融専門会社の問題についてお尋ねいたします。  御案内のとおり、いわゆる住専問題は、我が国の金融秩序の維持並びに景気回復にとって大きな重荷になってきたところであり、一刻も早い解決が求められております。したがって、政府・与党が一体となって早期解決に向けて処理案を作成したことは大きな前進であり、G7においても着実な実施への期待が寄せられました。  しかしながら、六千八百五十億円という多額の公的資金の支出を余儀なくされる以上、情報公開や、このような事態を招いた関係各方面の責任を明確にすることが、預金者、納税者である国民の理解を得るための前提であり、不可欠であります。その意味で、去る十九日に、政府が住専問題に関して三百八十五ページに及ぶ住専等関係資料を公表し、また、今後においても必要な情報公開には誠実に対応していく姿勢が示されていることは評価いたします。  しかしながら、公表資料は大口融資が匿名で示されているのにとどまり、国民が本当に知りたいと思っている、庶民の感覚では到底信じがたい膨大な金額をだれがいかなる理由で返していないのか、具体的にわかる内容とはなっておりません。民間の貸借関係の一々を政府が公表することの困難さや公務員の守秘義務ということも理解できますが、やはり、何が不良債権で、それがなぜ不良債権になったのか、だれがそれを判断するのかを明らかにすることが、国民の理解と納得を得られるか否かの焦点だと思います。  したがって、今回の処理案で住専問題が具体的にどのように解決に向かうのか、国民の皆さん方に懇切丁寧に説明するとともに、今後とも実名入り不良債権の情報公開をさらに積極的に推進するよう強く要請し、総理並びに大蔵大臣の御所見を伺いたいと存じます。  次に、各方面に及ぶ責任問題、経営責任、行政責任、政治責任、借り手責任、貸し手責任について若干お尋ねをいたします。  その第一は、住専から融資を受けて返済をしていない者の責任についてであります。高級外車を乗り回しながら住専への返済は知らぬ顔を決め込む者がいては、国民は到底納得できません。こうした者からどうやって取り立てを行うのか、また返済されない場合にはどのような責任追及を行うのかを明らかにしていただきたいと存じます。  同時に、住専の融資方法やその後の債権保全に問題はなかったのか、経営陣の責任が明らかにされるべきと考えますが、いかがでしょうか。  母体金融機関については、信用力のない者に住専が融資するように示唆、誘導あるいは強要はなかったのか、住専から金を借りながら返済していない者であることを知りながら事業資金を融資しているような例はないのか、これらについても、背任行為の有無等を含め、綿密に調査し明らかにすべきであります。  さらに、農林系統金融については、これまでの経営責任を明らかにするとともに、ノンバンクヘの融資の実態や五兆円もの融資額が戻ってきたときの運用方法など、今後とも同様の問題が起きない保証について情報公開や的確な改革が行われるべきと考えますが、政府の見解をお伺いしたいと存じます。  国民は、行政の責任と判断に対して最も厳しい視線を当てております。住専に対する多量の農林系統の資金投入を法の運用面で認めたこと、大蔵省、農林水産省両省の覚書によって住専を延命させて傷口を大きくし、結果として国民にツケを残した責任は大きいと考えます。また、大蔵省OBの金融機関、住専へのいわゆる天下りも、国民が憤りを感ずる大きな要因となっております。こうした行政的、政治的責任はどのように国民の前に示されるのでしょうか。  また、再び同様の問題を起こさないためにも、大蔵省中心の金融行政、検査・監督のあり方について総点検を行うなど、新しい金融システムのあり方についても明らかにされるべきであります。  さらに、今次の政府の住専処理案によって住専処理機構が株式会社として新設されますが、民間会社ではおのずと限界が出てくるのではないかとの疑問も示されております。株式会社として発足することの妥当性、回収の実効性について、総理並びに大蔵大臣の明快なる答弁を求めるところであります。  さて、総理が決意されている「変革と創造」そして「決断と責任」の政治は、内政分野のみならず外交と安全保障の分野においても特に必要とされて いると考えます。  日米関係においては、総理が御自身の言葉で語ったように、半世紀にも及ぶ沖縄の方々の苦しみ、悩みを理解しながら、いかにして沖縄の米軍基地の整理統合・縮小を図りつつ日米安保条約を基盤とする両国関係の強化を果たしていくのか、まさに創造力と実行力が問われております。  沖縄米軍基地問題と日米関係については、昨年の少女暴行事件の発生以来、村山前総理が、在日米軍基地の七五%が沖縄県に集中している現実とそれによって沖縄県民がこうむらなければならない苦悩を受けとめ、日米間に特別行動委員会を、また政府と沖縄県との間に基地問題協議会を設置して、問題解決に全力を挙げてきました。また、橋本内閣においても、早速、池田外務大臣が訪米し、沖縄米軍基地の整理統合・縮小について、四月の日米首脳会談までに一定の方向性を明確にする必要があることを米側首脳と確認したところであります。  しかし、正念場はこれからであります。沖縄県民の皆さんは、米軍基地の縮小とアジア太平洋における平和の島として発展する明るい展望のある未来を求めております。そのためにも、基地問題協議会において、政府が沖縄県側の国際都市構想などの要望を真剣に受けとめ、その具体化に向けて全力を挙げることが求められております。  また、四月に予定されている日米首脳会談において、日米安保条約の重要性を確認しつつも、そのことが沖縄の米軍基地の固定化につながらないよう、目に見える具体的な成果を積み上げる努力を傾注することが必要であると考えますが、総理並びに外務大臣の見解をお尋ねいたしたいと存じます。  また、アジア太平洋外交では、昨年のアジア太平洋経済協力会議、APEC大阪会議やASEAN地域フォーラムの成果を踏まえながら、アジア・欧州首脳会議を初め各種の多国間会議が予定されており、こうした多国間協議に我が国がどのような貢献を果たし得るのか、総理の御認識と御決意を伺いたいと思います。  さらに、与党三党は、昨年三月に三党訪朝団を派遣して日朝会談再開のための合意書を朝鮮労働党との間で取りまとめ、新与党政策合意でも日朝国交正常化に積極的に取り組むことを確認いたしましたが、総理並びに外務大臣はこうした課題にどのように取り組まれるのか、お示しいただきたいと存じます。  さらには、四月に予定されている日ロ首脳会議に対する基本姿勢、核実験をめぐり無償資金協力の供与停止に踏み切った中国との関係についても、総理並びに外務大臣の御所見を伺いたいと存じます。  あわせて、防衛政策についてお伺いをいたします。  昨年は、十九年ぶりに防衛計画大綱が改定され、またこれに合わせて新たな中期防衛力整備計画も策定されるなど、一九九五年は我が国の防衛政策にとって歴史的な節目となる年になりました。今後の時代において、自衛隊は我が国の防衛のみならず、大規模災害への積極的な貢献や安保対話、軍縮・軍備管理への貢献など、多様な役割を担うことが期待されるようになっております。こうした冷戦後の世界における防衛力の役割について、また核兵器の廃絶を目指す国際協調についてどのようなお考えをお持ちか、橋本総理の御答弁を求めます。  続きまして、規制緩和、行政改革、地方分権という我が国の経済社会構造の改革に必要不可欠な改革への一体的な取り組みについて伺いたいと存じます。  新与党政策合意では、自由で公正な経済社会構造への改革のためには、「規制緩和を一層推進するとともに、行政の関与・守備範囲を見直す。」とあり、総理も規制緩和推進についての御決意を述べられておりますけれども、規制緩和の推進と独占禁止政策の充実、さらには情報公開法の制定などについてどのように具体的に取り組まれるのか、御所見をお伺いしたいと存じます。  また、行政改革は時代にマッチした行政の充実をも課題とするものであり、そうした意味で、ボランティア、市民公益活動に対する支援、内外価格差の是正等の市民ニーズにどのように的確にこたえていくのか、経済企画庁長官の所見を求めます。  さらに、国会移転の具体的推進とともに、中央省庁の役割と機能の再編も重要な課題であり、しかもその成否は実効性ある地方分権にかかっております。現在、機関委任事務の原則廃止を初めとする地方分権の諸課題につきまして、地方分権推進委員会で真摯な議論と作業が進められており、今年度末にも中間報告がまとめられることになっております。この中間報告について政府としてしっかりと受けとめ、その具体化を図ることこそ政治の決断と責任であり、総理がリーダーシップを発揮すべき課題であると考えますが、総理の御見解はいかがでございましょうか。  次に、私はぜひとも橋本総理に、村山前内閣の「人にやさしい政治」をさらに一層前進させるよう御要請いたしたいと考えます。橋本内閣の重要閣僚の位置を女性が占められておりますことを歓迎いたしますとともに、男女共同参画社会づくりに象徴される福祉、人権、環境を重視する「人にやさしい社会」の創造こそ、国民の政治に対する信頼を確立する道であると確信いたします。  その第一は、高齢者介護問題であります。  家族全体の生活、そして人生設計にも重くのしかかっているのが実態であるこの重い介護負担を克服するためには、新ゴールドプランを着実に実施すると同時に、介護体制の一層の充実を図っていく必要がございます。  具体的には、介護マンパワーの確保を踏まえ、二十四時間ヘルプサービスの提供やグループホームなど新たな介護サービスの整備に着手するとともに、医療と福祉が別々に担っている介護サービスを新介護体制のもとに一体化していく必要があると考えます。同時に、必要とされる介護費用の社会的分担については、公費を相当割合投入した公的介護保険制度の創設が適切な方法だと考えますけれども、総理の所見はいかがでございましょうか。  次に、いわゆる薬害エイズの問題についてであります。  薬害エイズの被害者救済は、重大かつ緊急を要する課題でございます。患者に帰すべき責任は何もなく、かつまた被害者が五日に一人の割合で亡くなっている現状を踏まえ、東京及び大阪の両地裁における和解勧告の協議が一日も早く未提訴者を含め全面的に調うよう、当事者である国と製薬メーカーは誠心誠意努力すべきであります。  さらに、被害者救済のための恒久対策を確立すると同時に、薬事行政の中で、薬害エイズに関し責任問題も含め必要な調査を行い、薬害再発防止のための万全の措置をとるべきと考えますけれども、総理の見解をお伺いしたいと存じます。  さらに、教育の問題を取り上げたいと思います。  教育現場は、いじめや不登校等深刻な状況にあり、学校、家庭、地域社会の一体的な取り組みによって、一つ一つ、一人一人について具体的に解決していく地道な努力が不可欠です。同時に、いじめ問題の解消に向けて、単に学校任せでなく、家庭や地域社会が子育てや教育機能を充実させていくという視点に立って、子供がゆとりを持ち、希望を持てる学校や教育をいかにつくっていくか、抜本的に見直す視点が重要です。幼い生命が失われているいじめ問題への具体的な取り組みと教育改革の基本的方向性について、総理の御見解をお伺いいたしたいと存じます。  あらゆる差別の撤廃を目指した取り組みは、官民一体となって推進しなければなりません。我が国は昨年、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約を批准いたしました。今後は国内での 差別撤廃に向けた取り組みの強化が必要ですが、総理の基本認識をお示しいただきたいと存じます。  また、条約の精神に照らせば、アイヌ民族問題の解決を目指す新たな立法措置が必要になるのではないかと考えますが、総理の見解をお伺いいたします。  さらに、部落問題の解決に向けて、同和対策審議会答申の精神を踏まえ発展させる見地から、取り組みを強化するとともに、現行の地対財特法によって解決できない諸問題について、法的措置、行財政的措置を含めてどのように具体的な対策を講じていくのか、総理の基本方針をお伺いしたいと思います。  加えて、人権教育のための国連十年の国内での推進に必要な具体的作業はどのように進んでいるのか、お尋ねいたしたいと存じます。  また、私は、地域の振興、地域格差の是正という問題を忘れてはならないと考えます。とりわけ、ガット・ウルグアイ・ラウンドに対応した新総合農業対策の着実な実施、中長期的な国際食糧需給動向に対応した食糧供給体制の整備、あるいはまた山と緑の保全、新海洋法体制のもとでの漁業の再構築など、国土・環境の維持、そして地域経済の基盤の充実に政府を挙げて意を注いでいくことが必要であると思いますけれども、総理はいかがお考えでございましょうか。  地球規模の環境保全を進め、総理も述べられているリサイクル型社会を目指すとともに、新しい文化や産業を創出し、二十一世紀を安心と活力に満ちた豊かな社会とするためには、科学技術創造立国を積極的に推進する必要がありますが、その前提になるのは国民の安全と信頼であります。  この点で、昨年十二月八日の高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏出事故に対し動力炉・核燃料事業団がとったたび重なる調査事実の秘匿の態度は、国民の信頼を損なうものとして厳しく批判されなければなりません。また同時に、指導監督の責任を負う科学技術庁の責任も重大であります。  今最優先されるべきは、「もんじゅ」の運転再開ではなく、まず事故責任を徹底的に究明するとともに、完全に瓦解してしまったと言える国民、地元住民の信頼を回復するため、積極的かつ速やかな情報公開を行い、地元住民が納得する安全対策を講ずることと考えますけれども、総理の明快な答弁を求めます。  オウム真理教団に対しては、解散命令に基づく清算手続が開始されたところでありますが、引き続き同事件に対する厳格な措置と被害者の救済、信者の社会復帰対策、事件の再発防止に政府として万全の措置を講ずるよう強く要請をします。  同時に、政府のオウム教団に対する破壊活動防止法の団体規制の適用については、先日行われた弁明手続を見ましても、連立与党内においても議論があるところです。テロ行為を初め集団的組織犯罪に的確に対応するため、時代に適合した新たな法的整備を検討する必要があると考えますけれども、総理の御見解を求めます。  また、宗教法人制度の見直しについては、昨年の臨時国会で宗教法人法の必要最小限の改正を行ったところです。この改正を契機として、宗教界みずからが情報公開や会計基準の作成に積極的に取り組み、透明性や自治能力を高め、国民の信頼を回復することを期待いたしたいと存じます。そして、改正法の速やかな施行と円滑な運用を要望いたしますとともに、宗教法人の認証基準の明確化や財産保全などを含めた解散のあり方など、残された課題について今後どのように見直しを進めていかれるのか、総理の御所見をお尋ねいたします。  さきの国会論議で、宗教団体が基本的人権を無視して強引に信者の獲得を図ることや過度に営利事業や選挙活動に傾斜することへの対応など、宗教政策の基本にかかわる問題も課題として残されております。憲法の理念に立った市民社会と調和する宗教活動のあり方や宗教団体がどこまで政治に関与してよいのか、憲法二十条の理解も含めた宗教と政治の関係については、広く有識者の御意見も拝聴しつつ冷静に検討を行う必要があると考えますけれども、総理の御所見を伺いたいと存じます。(拍手)  橋本連立内閣の誕生は、内外からも好感と期待を持って迎えられております。三党の連立政権はハト派リベラル政権として出発し、村山前内閣は戦後処理問題に真剣に取り組み、数々の懸案を処理してまいりました。私たちは、引き続き歴史の教訓、反省に学び、村山前総理の昨年八月十五日の談話及び衆議院本会議で採択した歴史を教訓に平和への決意を新たにする決議の精神にのっとり、アジア諸国民との善隣友好、恒久平和への道程を着実に歩む決意を新たにすべきであると考えます。  総理の御決意を伺い、与党三党を代表しての質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 佐藤議員にお答えを申し上げます。  まず冒頭、村山内閣の政治姿勢と成果、その認識と継承についてのお尋ねがございました。  村山内閣は、既に私が申し上げるまでもなく、透明で民主的な政治を基本にしながら、連立三党が話し合いによって国民の納得できる合意点を見出し、懸案を解決してきた歴史を持っております。一年半にわたる村山政権は、未曾有の大災害、そして凶悪なサリン事件というかつて経験したことのない災害や事件に遭遇しながらも、戦後五十年問題、水俣病訴訟の和解、十四兆二千億円に及ぶ史上最大規模の経済対策、さらに宗教法人法や災害対策基本法の改正などを行ってまいりました。そして、私は、この村山内閣のもとで行われてまいりました政策を三党合意に従って継承しつつ、新たな課題にまた取り組んでまいりたいと思っております。  また、景気回復についてお尋ねがございました。  私は、この内閣に課せられた一番大きな使命、それは「強靱な日本経済の再建」だということを施政方針でも申し上げたところであります。そして、その実現のための第一段階として、この一年を目標にして本格的な景気回復を実現することが重要であり、ようやく明るさの見え始めました景気の回復というものを確実なものにしながら中長期的な我が国経済の発展につなげていける、その景気回復の年にしなければなりません。  そのため、来年度予算案におきまして、研究開発あるいは情報通信など経済社会の構造改革の基 盤となる分野を重点的に整備してまいりますほか、特別減税の来年度継続実施あるいは土地税制の総合的な見直しなど税制面でも格段の配慮を図ってまいりました。本予算案が、御審議をいただきました上、早期に成立することを心から期待をいたしております。政府といたしましては、引き続き為替動向を注視しながら、切れ目のない経済運営に努めていきたいと考えておるところであります。  また、消費者物価が下落する見込みの中で、年金額等についての御質問がございました。  この問題につきましては、近々発表される平成七年の消費者物価の最終的な結果を見て適切に対応したいと考えております。  また、低金利時代における新たな金融商品についての御意見がございました。  近年、民間金融機関の中でそれぞれの経営判断によりまして、御指摘のような年金生活者に配慮した金融商品が開発されていると承知しております。こうした配慮がもっと大きくなっていくことを心から願っております。  また、厳しい雇用情勢についてお尋ねがございました。  確かに、史上最悪の失業率の今日、私どもにとりまして雇用対策は極めて大きな課題であり、政府としては、中長期的な観点からの雇用対策の方向を定めた第八次雇用対策基本計画を昨年十二月に閣議決定をいたしました。この改正を踏まえながら、改正業種雇用安定法に基づきます特定雇用調整業種の労働者に対しての失業なき労働移動についての支援、改正中小企業労働力確保法に基づく中小企業の活力を生かした雇用機会の拡大創出、そして高付加価値化、新分野展開を担う人材の育成、学生職業センター、学生職業相談室における女子学生を含めた新卒者への就職支援等を内容とする新総合的雇用対策を推進することにより、雇用の安定に総力を挙げて取り組んでまいります。  また、週休二日制、週四十時間労働制の早期実現あるいは学校の週五日制の早期実施、こうした点について、ゆとりのある社会創造という意味から御指摘がございました。  私は、国民一人一人が心豊かに平和に暮らせる社会をつくり上げることが我々の目指すものだと考えております。そして、そうした観点を考えますと、ゆとりのある社会を創造していくためにも労働時間の短縮が重要な課題でありますし、平成九年四月からの週四十時間労働制の全面的な実施を確実なものとしたいと考えております。そのためにも、来年度拡充したいと考えております時短奨励金等の助成措置を積極的に活用しながら、現在猶予措置が講ぜられております中小企業等が円滑に無理がなく週四十時間労働制に移行できるよう、できるだけきめの細かい指導援助を行うなど、全力を挙げて取り組みたいと考えております。  また、学校の週五日制につきましては、現在、中教審におきまして、今後の教育のあり方等さまざまな観点での御議論が行われていると承知をいたしております。社会の実態とあわせながら、政府としてこの審議の結果を待って対応してまいりたい、そのように考えております。  また、住専問題についてさまざまな視点からの御指摘がございました。  私は、御指摘のように、住専問題の処理に当たっては、透明性の確保と原因、責任の明確化を図りながら、国民の御理解を得るべく全力を尽くさなければならないと考えております。  まず、農林系統金融を含めた情報開示につきましては、今回の住専問題の処理に当たり、透明性の確保の観点から、先般、住専各社のこれまでの経営状況の推移、不良債権の状況、住専七社に対する貸し付けの推移及び関係財務諸表等の情報開示を行ってまいりました。これからも、本問題をめぐる情報開示につきまして、院の御理解、御協力をいただきながら、政府として最大限の努力を払ってまいります。また、住専問題の処理の意義につきましても御説明を続ける決意であります。  借り手につきましては、法律上認められているあらゆる回収手段を用いて返済の責任を追及するほかに、違法行為については当然のことながら厳正に対処していく方針であるほか、住専各社に対して経営者責任の徹底した明確化を図っていく所存であります。  次に、住専の融資につきましてのそれぞれの母体行の金融機関の関与につきましては、さまざまなケースがあり、基本的には各住専の経営判断に基づくものと考えておりますが、仮に法的な問題が生じるような場合には、刑事、民事両面における厳正な対応が行われるべきことは言うまでもありません。  また、農林系統金融については、結果的に相当額を貸し付けている事実を踏まえますと、その貸し付けの経緯や経営の実態について明確にすべきであると思います。このため、さきに申し上げましたように、先般、住専七社に対する貸し付けの推移及び財務諸表を提出いたしましたが、今後とも情報開示に最大限の努力を払ってまいりたいと考えております。  さらに、行政的あるいは政治的責任につきましては、関係者が実態や経緯を含めて明らかにすべき事項につきましては、きちんと責任を持って説明していくように今後とも努めますとともに、今後の国会の御審議等の場におけるさまざまな角度からの御論議を通じまして、責任の明確化に努めてまいる所存であります。  また、新しい金融システムのあり方を明確にすべきではないか、農林系統金融機関の的確な改革が行われるべきではないかという御指摘につきましては、金融自由化の進展やバブルの発生、崩壊といった環境の変化を踏まえ、過去の金融政策や金融検査・監督のあり方を総点検し、今後、自己責任原則と市場規律の十分な発揮を基軸とする透明性の高い、新しい金融システムを早急に構築するように努めてまいりたいと思います。また、これを機に、農林系金融機関の事業、組織のあり方につきましても抜本的な見直しを行い、大胆なリストラを進めていくことが必要であると考えております。  住専処理機構が株式会社として発足することの妥当性及び回収実効性につきましては、住専処理機構は債権回収を促進するために可能な限り弾力的な業務運営を行うことが必要であると考えております。一方、公的資金の投入にかんがみ、公的な関与は当然のことながら必要でありますから、この二つを両立させるために、住専処理機構は預金保険機構が出資する株式会社とする方向で検討中であります。  いずれにいたしましても、今回の住専の処理に 当たりましては、情報開示など、あるいはさまざまな責任の明確化など、必要なことは多くあると考えておりますし、さらに、透明性の高い金融システム、新たなものを早急に構築するように努めてまいります。院の御理解、御協力を心からお願いを申し上げる次第であります。  また、沖縄の米軍施設・区域の問題につきましてお尋ねをいただきました。  政府といたしましては、日米の信頼のきずなを一層深いものとするためにも、また、長年にわたる沖縄の方々の苦しみ、悲しみに最大限心を配った解決を図ってまいりますためにも、先般設置されました特別行動委員会等を通じ、日米安保条約の目的達成との調和を図りながら、沖縄の米軍施設・区域の整理統合・縮小を推進するとともに、騒音、安全、訓練などの問題の実質的な改善が図られるよう誠心誠意努力を払っていく覚悟であり、ぜひとも国会の御協力をもお願いを申し上げたいところであります。  四月のクリントン大統領の訪日は、本件解決の上で大変大きな節目をなすものでありまして、その際の日米首脳会談において一定の方向性を示すことができますように、政府としても米側の協力も得て最大限努力をしてまいりたいと思います。  また、アジア太平洋地域における多国間協議への取り組みについてのお尋ねをいただきました。  我が国としては、このアジア太平洋地域の平和と安定にとって不可欠な米国の関与を確保しながら、地域の多様性を尊重しつつ、相互の信頼醸成を促進するための対話、開かれた地域協力を重層的に進めていくことが重要だと考えております。こうした認識のもとに、APECにつきましては、大阪における行動指針の着実な実施に努めながら、地域のさらなる発展に大きな役割を果たしていく決意であります。また、安全保障の面におきましては、ASEAN地域フォーラムなどにおける政治・安全保障対話への積極的な参画を通じて、域内の信頼醸成に努めてまいりたいと思います。  また、アジア・欧州会合につきましては、今回初めて行われる会議でありまして、どういう会議になるのか、私にも十分予測がつくわけではありません。しかし、政治、経済、そのほか幅の広い分野について協力ができるよう、高い視点から意見交換を行う歴史的な意義を有する機会でありますし、アジアと欧州の間の対話と協力の強化に積極的に努力してまいりたいと考えております。  また、日朝国交正常化についてのお尋ねをいただきました。  我が国といたしましては、今後とも、第二次世界大戦後の日朝間の不正常な関係を正すとともに、朝鮮半島の平和と安定に資するものとする、そうした観点を踏まえ、韓国等と緊密に連携しながら対応していきたいと思います。  また、日ロ首脳会談についてお尋ねがございました。  四月に開催されます原子力安全サミットにつきましては、首脳レベル会合とすることがハリファクス・サミットにおいて合意をされており、我が国からも内閣総理大臣の出席が想定をされております。しかし、実際にその出席が可能か否か、国会のお許しをいただくことでもありますし、また、私自身出席をお認めいただきました場合にも、日ロ首脳会談を行うかどうかにつきましては、今後サミットの日程が最終的に確定されました後に、国会と御相談をして日程を決めていきます中で検討することになります。  しかし、施政方針演説で申し上げましたように、本年は日ソ共同宣言による国交回復後四十周年に当たる年であります。日ロ関係におきまして、ロシアの政治情勢を注視しながら、東京宣言に基づいて、北方領土問題を解決し、両国間の完全な正常化を達成するため一層の努力を傾けていく決意でありますが、仮に私が本件サミットに出席することを国会でお許しをいただき、かつ、日ロ首脳会談が実現する場合には、このような方針を踏まえて対処する方針であり、ロシア側にも積極的な対応を求めたいところであります。  また、中国との関係についてのお尋ねがございました。  中国の核実験の実施というものは遺憾でありますし、我が国は中国が核実験を継続する限り対中無償資金協力を一部例外を除いて供与しないことを前内閣において確認いたしてまいりました。しかし同時に、日中関係で安定した友好協力関係を発展させていくことは極めて重要なことであり、私たちとしては、中国の改革・開放政策を引き続き支援してまいりますとともに、核軍縮を含む国際社会の諸課題について対話を深めてまいりたいと考えております。  また、冷戦後の防衛力の役割についてのお尋ねがございました。  冷戦の終結などによりまして国際情勢が大きく変化をした。しかし一方で、大規模災害などへの対応や国際平和協力業務の実施等につきまして、こうした分野における自衛隊の役割に対する期待が国民の中に高くなっておることは御承知のとおりであります。このような変化を踏まえまして、新防衛大綱におきましては、今後の防衛力の役割について、主たる任務である「我が国の防衛」に加えて、「大規模災害等各種の事態への対応」と「より安定した安全保障環境の構築への貢献」を挙げているわけであります。政府といたしましては、新防衛大綱のもとに、防衛力の整備、維持及び運用に当たり、こうした役割を適切に果たすよう努めてまいるつもりであります。  また、核兵器の廃絶を目指す国際協調についてお尋ねがございました。  我が国は唯一の被爆国として、二度と核が用いられるようなことがあってはならない、そうした決意のもとに、核兵器の究極的廃絶に向けて、現実的かつ具体的な核軍縮措置を一歩一歩積み重ねていくことに重要性を見出しております。こうした立場を踏まえ、今後とも核兵器国に対し一層の核軍縮努力を促すと同時に、全面核実験禁止条約交渉が本年の春に実質的に妥結され、この条約が秋に署名されるよう、交渉参加国と協力しながら最大限の努力を払ってまいります。  また、規制緩和についてのお尋ねがございました。  当然のことながら、我々は全力を挙げてこの課題に取り組み、抜本的な見直しを進めていかなければなりません。具体的には、まず規制緩和推進計画に沿って計画的な規制緩和を着実に推進するとともに、昨年十二月ちょうだいをいたしました行政改革委員会の御意見を最大限尊重して、本年度末までに改定の作業を終わるつもりであります。その作業の透明性を図りますために、各省庁 は今月下旬までに検討作業の中間公表を行いますとともに、二月中にも行政改革推進本部を開催し、中間公表に対する内外の事業者等の意見、要望を聞くことにいたしております。  また、独占禁止政策の充実についてお尋ねがございました。  民間における公正かつ自由な競争を促進することは、事業活動をより活発なものにし、我が国の市場を内外に開かれたものにしていくためには不可欠のことであります。このため、公正取引委員会事務局の強化拡充を図り、独占禁止法の厳正的確な運用を行うなど、規制緩和とあわせて独占禁止政策の積極的展開を推進することが重要だと考えております。  また、情報公開法についてのお尋ねがございました。  昨年三月十七日に発足されました行政改革委員会の行政情報公開部会で現在精力的に調査審議が行われております。行政情報の公開は、公正で民主的な行政運営を実現し、行政に対する国民の信頼を確保するという観点から、これは大変重要な課題と受けとめておりまして、十二月までに提出される行政改革委員会の御意見を尊重しながら積極的に取り組んでいきたいと考えております。  また、地方分権につきましてのお尋ねがございました。  地方分権の推進方策につきましては、現在、地方分権推進委員会において精力的な御審議が行われております。私どもは、地方がその実態に合った個性のあふれる行政を積極的に展開できるように、地方公共団体の自主性、自立性を強めていくことは、もはや実行の段階に入ってきたと理解をいたしております。政府としては、同委員会の中間報告及び地方分権推進計画の作成のための具体的な指針の勧告をちょうだいし、これを受けて速やかに実効ある推進計画を作成しながら、地方分権の流れを思い切って加速化させてまいりたいと考えております。  また、福祉政策全体につきましての御質問がございました。  特に新ゴールドプランにつきましては、その着実な推進により、サービス基盤整備のさらなる充実に努めてまいるものであります。また、二十四時間ホームヘルプサービス、グループホームなどの新たな高齢者介護サービスの展開に努め、多様な高齢者介護ニーズに適切にこたえていくことのできるサービス提供体制の整備に私どもとしては取り組んでまいります。さらに、保健・医療・福祉にわたる高齢者介護サービスを総合的、一体的に提供するために、適切な公費負担を組み入れた社会保険方式による新たな高齢者介護システムの制度化に向け全力で取り組んでまいります。  また、エイズ問題について御質問がございました。  エイズ訴訟の和解協議につきましては、患者の方々の置かれている状況を考え、政府としては、裁判所の和解勧告の趣旨に沿って、今後とも誠意を持って和解による早期解決に全力を挙げる所存であります。恒久的対策につきましては、現在、和解協議中でありますが、裁判所の和解勧告の趣旨も踏まえながら、平成八年度予算案には医療体制の充実及びエイズ医薬品の研究開発の推進等を盛り込んでまいりました。また、責任問題も含め必要な調査を行い、医薬品による健康被害の再発防止に最大限の努力を尽くしてまいります。  また、いじめや不登校等の問題の解決及び教育改革についてのお尋ねがございました。  これらの問題は極めて憂慮すべき状況であります。いじめというものにつきましては、私は、弱い者をいじめるというのは人間として一番恥ずかしいことだと思っておりますし、許されることではないと考えておりますが、これは学校だけで解決のできるものではございません。学校における指導の充実はもとよりでありますが、家庭、地域社会も学校と一体となって取り組みを強めてまいりたいと思います。また、二十一世紀を展望し、個性や創造性重視の方針を一層推し進めるためにも、教育改革に積極的に取り組みたいと考えております。  人種差別撤廃条約締結後の差別の撤廃に向けた取り組みについて、その基本認識をお尋ねがございました。  この条約は、人種差別を非難すると同時に、あらゆる形態の人種差別の撤廃を目的とするものでありますが、条約前文にうたわれた精神を踏まえますと、人種差別だけではなく、いかなる差別も行われることがあってはならない、これが私はこの条約の本旨であると思います。政府といたしましては、日本国憲法が保障する法のもとの平等の原則を十分に尊重し、いかなる差別もない社会を実現するよう誠実に努力することが責務だと思います。  次に、アイヌ民族の問題についての御質問がございました。  今後のウタリ対策のあり方につきましては、昨年春から官房長官のもとにウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会を開催し、既に八回の会合を重ねてまいりました。懇談会では、今年春の取りまとめに向けて基本的な論点を整理され、現在、それに沿って、アイヌの先住性の問題、アイヌ語、伝統文化の保存振興などの具体的なウタリ対策のあり方について審議をいただいていると承知しております。御指摘の新たな立法措置という問題につきましては、この懇談会の結論を踏まえて政府として適切に対処してまいりたいと思います。  また、同和問題についてもお尋ねがございました。  この問題は、憲法に保障された基本的人権にかかわる重要な問題だという認識のもとに、政府としては、現在の地対財特法に基づきまして、啓発等の各般の事業を積極的に推進することにより、同和問題の早期解決に努力をしておるところであります。早期解決に向けた方策のあり方につきましては、地域改善対策協議会に設置されました総括部会におきまして、同和地区実態把握等調査の結果も踏まえ、引き続き精力的に御審議を進めていただいておりまして、本年三月末ごろまでに最終意見を取りまとめていただけると聞いております。  また、人権と差別問題に関するプロジェクトチームにおきまして与党各党間の話し合いも進められておりますので、こうした御議論の動向を十分留意しながら対処してまいりたい、そのように考えております。  また、人権教育のための国連十年についてお尋ねがありました。政府といたしましては、総合的な施策を推進す   るために、昨年十二月、内閣総理大臣を本部長とする人権教育のための国連十年推進本部を設置したところであります。当面、人権についての教育、研修、啓発活動の推進などを内容とする国内行動計画を早急に策定し、人権教育のための国連十年に係る取り組みを積極的に進めたいと考えているところであります。  また、新しい総合農業政策等についてのお尋ねがございました。  先ほどもお答えを申し上げたところでありますけれども、我が国の農林水産業は、国民に不可欠な食糧の安定供給というその目的だけではなく、活力ある地域社会の維持あるいは国土・自然環境の保全等多面的な役割を果たしているところであり、その健全な発展を図っていくことは極めて重要であります。殊に二十一世紀のアジア太平洋地域は、大きく経済発展が期待されながら、その成長を抑制する危険性のある要因として、さきの大阪におけるAPECの非公式首脳会合でも食糧という問題が取り上げられております。  このため、今後の農林水産行政の推進に当たっては、何といたしましても、やはり食糧自給率の低下に歯どめをかけるということを基本に、可能な限り維持拡大を図っていかなければなりません。その際、地域の特性を生かした農林水産業の振興や地域資源の総合的な活用による雇用機会と所得の確保を図ると同時に、住みやすく活性化した農山漁村地域をつくり上げ、我々としては地域振興に資してまいりたいと考えるところであります。  また、林業経営の安定、林業労働力の確保に努めることによって林業の活性化を図り、緑豊かな森林を計画的に整備していきますと同時に、新たな海洋秩序に対応して、日本の漁業の振興を図るために、的確な漁業資源の管理、つくり育てる漁業等の施策を積極的に進めてまいりたいと考えております。  また、「もんじゅ」の事故に対するお尋ねがございました。  原子力開発におきましては、安全の確保というものは何にも増しての大前提であります。そして、国民の皆様、特に地元の皆様との信頼関係を欠くことはできません。先般の「もんじゅ」の事故は、地元の方々や国民の皆様に大変な不安感、不信感を与える結果になりました。本当に残念であります。この事件に対しましては、議員から御指摘がありましたように、まず何よりも徹底した原因究明を進めること、そしてその上で万全の安全対策を講ずると同時に、積極的かつ速やかな情報公開等により、地元の方々を初めとする国民各位の御理解と信頼を得るように全力を尽くすべきものと考えております。  また、集団的組織犯罪に対応するための法的整備についてお尋ねがございました。  政府といたしましては、現行法を最大限に活用して対処すると同時に、オウム真理教関連事件類似の凶悪事件やあるいは銃器使用犯罪の再発防止のために、サリン人身被害防止法の制定や銃刀法の改正など必要な法的整備に取り組んでまいりました。さらに、オウム事件の経緯などにかんがみまして、広域組織犯罪対策としての警察法一部改正案を今国会に提出すべく検討を進めているところであります。今後とも、諸外国における例等を参考にしながら、必要な法制度の調査研究を進めていく必要がある、そのように考えて、特に銃器取り締まりにつきましては国民各位にも御協力をぜひ賜りたいと考えております。  次に、宗教法人法の改正法の今後の施行、運用についての御意見がございました。  改正宗教法人法の施行や今後の検討課題につきましては、今後、改正法の趣旨、内容が広く宗教法人など関係者の方々に理解をされ、円滑に施行できますように、政府として適切に対処してまいります。認証のあり方や財産保全制度などを含めた解散のあり方というものは、これは基本的な制度でもありますし、また他の公益法人との均衡の観点も十分考える必要があることから、いずれも今後慎重に検討する必要があると考えております。  また、市民社会と調和する宗教活動というものについて御意見がございました。  無論、宗教法人といえども法令に従った活動を行わなければならないのは当然でありまして、刑法その他の法令に違反する場合には、それぞれの法令により厳正に対処されるべきものだと考えております。  また、憲法二十条についてのお尋ねがございました。  もう政府の従来からの見解を繰り返しませんが、この問題につきましては、先国会、非常に活発な御議論をいただきましたものであります。そして、当時の官房長官から、いわゆる宗教活動の政治的限界の問題については十分勉強して統一見解を出したいという御答弁があったことでもありまして、私としても、憲法学説等をよく勉強してみたいと考えているテーマであります。  また、村山内閣における八月十五日の談話、衆議院の本会議における決議の精神にのっとって今後の決意を問われました。アジアの諸国、アジアといいますよりアジア太平洋地域、多くの国民の方々との善隣友好あるいは恒久平和への道筋を着実に歩む決意があるかどうかというお尋ねでありました。  私は、施政方針演説の中ですべての思いをこの一言に込めたつもりでありましたが、それは「我々は過去の重みからも未来への責任からも逃げることはできない」という一言であります。昨年は戦後五十周年という節目で、国会での決議、内閣総理大臣談話が発出されたところでもございました。  政府といたしましては、これらを踏まえて、今後ともアジア近隣諸国等との間の過去の歴史を直視しながら、将来に向けて各国との相互理解や相互信頼を促進すべく積極的に取り組んでいく決意でありますし、このため、昨年開始いたしました平和友好交流計画の推進を初めとするさまざまな課題に着実に取り組んでまいります。こうして培われる各国との信頼関係を基礎として、我が国は国際協調を進め、平和の理念を推進してまいる、そうありたいと考えております。  残余の質問につきましては、関係閣僚から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣久保亘君登壇〕

久保亘社会民主党・護憲連合大蔵大臣

○国務大臣(久保亘君) 佐藤さんの最初の私に対する御質問は、三党連立政権の意義と評価、決意についてでございました。新内閣の首班として今橋本首相から答弁がありましたが、佐藤さんのお尋ねは、社会民主党を代表する閣僚の一人として 私にも答弁を求められたのだと思いますので、その立場でお答えいたします。  日本の政治が連立の時代に入って二年半になります。それは、政治の価値観が多様化し内外の変革が予測を超えて進む中で、連立そのものが価値を有しており、過渡的政権の形態ではないと考えております。現に、村山連立政権は、戦後五十年の年を中心に、一年有半にわたって価値ある政権の役割を果たしてきました。それを引き継ぐ橋本政権は、単なる政権の継承ではなく、新たな政策合意を行った上で橋本氏を三党の統一首班として村山政権を引き継いだものであり、連立は継承され発展を遂げると考えております。  民主的で透明度の高い政治の運営と政策の決定によって、新しい三党合意に継承された日本国憲法の目指す平和と民主主義、基本的人権のため、国民の皆様の期待にこたえられるよう全力を尽くす決意であります。(拍手)  次に、景気に関してのお尋ねがございました。  明るさのようやく見え始めた景気の回復を確実なものとするため、政府といたしましては、現在国会に御審議をお願いいたしております平成八年度予算において、公共投資の着実な推進を図るとともに、特別減税の八年度における継続実施、土地税制の見直し等の措置を講ずることとしているなど、景気にも配慮しているところであります。今後とも、景気動向を注視しつつ、適切な財政金融政策の運営に努めてまいる所存であります。ただいま進行中の昨年九月決定の経済対策の推進を図りつつ、景気に配慮をいたしております平成八年度の予算が速やかに成立いたしますよう、御協力をお願いいたす次第であります。  次に、消費者物価と年金にかかわってのお尋ねがございましたが、八年度の物価スライドの取り扱いにつきましては、一月二十六日発表予定の平成七暦年の消費者物価指数の最終結果を見た上で、所管官庁である厚生省の御意見を踏まえつつ検討してまいりたいと考えております。  次に、年金生活者に対する金融上の配慮についてでございますが、現在の低金利状況のもと、近時、民間金融機関の中で、それぞれの経営判断により、年金生活者に配慮して、年金受取口座を有する方を対象に預金金利の上乗せ等を行う金融商品が開発されていると承知いたしております。  次に、住専問題に関して数点にわたってのお尋ねがございました。総理の御答弁と重複をできるだけ避けて、簡潔にお答えをいたしたいと思います。  住専問題の処理においては、透明性の確保を図るために、国民及び国会に対して積極的に資料の開示を行っていくことが必要であり、大蔵省としては可能な限りの対応を行っていく所存であります。このような見地から、プライバシーの保護等の観点から問題がないと考えられるものについては進んで開示することとし、去る十九日に国会等に対して公表したところでございます。今後とも、住専問題をめぐる情報開示について、本院の御理解、御協力をいただきながら、積極的に最大限の努力を払いつつ、今回の処理策の意義について国民の御理解を得るよう全力を挙げてまいります。  次に、借り手と住専の経営責任及び回収についての御質問でございました。  住専問題の処理に当たっては、借り手や住専の経営陣を含め、種々の責任を明確化することが必要であります。このためには、関係者が実態や経緯を十分明らかにすることが必要であり、政府としても、これまでの経緯を含め、明らかにすべき事項はきちんと責任を持って説明をしていくよう努めるとともに、国会審議等の場におけるさまざまな角度からの御論議を通じて、種々の責任の明確化に努めてまいりたいと思っております。  また、住専が保有する不良債権の回収を積極的に進めるために、預金保険機構の指導のもと、住専の資産等を引き継ぎ強力な回収を行う住専処理機構を設立し、過去の経緯や関係者の利害にとらわれることなく、法律上認められているあらゆる回収手段を迅速、的確に用いて債権回収等を行うなど、強力な回収の実現に万全を期してまいりたいと思っております。あわせて、住専各社の経営者責任についても徹底した明確化を図っていくつもりであります。  次に、母体行の責任について御質問がございましたが、総理からお話を申し上げました。  いずれにせよ、今回の住専問題の処理に当たっては、母体を含め種々の責任の明確化が必要と考えているところでありますから、そのためには、関係者が実態や経緯を十分に明らかにすることが必要であり、政府としても、これまでの経緯を含め明らかにすべき事項については責任を持って説明していくよう努めるとともに、皆様方の国会の審議によりまして、さまざまな角度からの御議論を通じて責任が明らかになるようにしてまいりたいと思っております。  農林系統金融機関の責任につきましては、結果的に相当額を貸し付けている事実を踏まえれば、その貸し付けの経緯や経営の実態の明確化が必要であると思われます。また、事業、組織のあり方については抜本的な見直しを行い、今後必要となる法律案の準備等を進めるべく農水省において検討しているところと承知いたしております。今後とも、農水省と相談しつつ必要な指導に努めてまいる所存であります。  次に、行政の責任について申し上げます。  信連の住専向け貸し出しについては、昭和五十五年の通達において「その他の金融機関」の範囲に指定し、員外貸し付け制限の例外とすることにより、個々の金融機関の審査管理に基づく経営判断にゆだねたものであります。  住専の第二次再建計画の策定に当たって、当事者間の協議が円滑に行われるよう議論の整理を行うため、大蔵省と農林水産省両省間で覚書を取り交わしたのでありますが、再建計画はあくまで民間金融機関が決断して策定されたものであります。また、住専の場合、複数の母体により設立された会社が多いとの事情もあって、その後の経営をスムーズに行っていく観点から、こうした各母体に中立なものとして、大蔵省に在籍した経歴のある者が請われて就職する例が見られたところであります。  いずれにせよ、住専各社は民間会社であり、その経営については当事者が判断していくべきものであります。ただ、結果的に見れば、その後の地価の一層の下落、金利の低下の中で、住専各社の経営はさらに悪化したのであり、大蔵省は広く金融を監督する立場から、今般の住専処理を行うに当たって、過去の金融政策及び金融行政のあり方について総点検を行うとともに、国会審議等の場 において、さまざまな角度からの御議論を通じその責任を明確化してまいるつもりであります。  次に、金融システムのあり方についてのお尋ねでありますが、金融自由化の進展やバブルの発生、崩壊といった環境変化の中で、幾つかの中小金融機関の経営破綻や住専問題の経験にかんがみ、過去の金融政策や金融検査・監督のあり方を総点検し、今後、金融機関における自己責任原則の徹底を図るとともに、市場規律が十分に発揮される透明性の高い、新しい金融システムを早急に構築していく必要があると考えております。  このような観点から、昨年十二月の金融制度調査会答申も踏まえ、ディスクロージャーの促進、早期是正措置の導入や検査・モニタリングの充実を図るほか、破綻処理手続の整備、預金保険制度の拡充等を進めることとしており、このため所要の法律案を今国会に提出する予定であります。  なお、最後に住専処理機構についてのお尋ねがございましたが、このことにつきましては先ほど総理から御答弁がありましたので、省略いたします。(拍手)     〔国務大臣池田行彦君登壇〕

池田行彦自由民主党外務大臣

○国務大臣(池田行彦君) 佐藤幹事長に御答弁申し上げます。  私への質問は四点ございましたが、そのうち、日朝国交正常化関係、日ロ首脳会談及び日中関係につきましては、総理から御答弁申し上げたとおりでございます。  沖縄の施設・区域の問題につきまして若干補足させていただきますと、先般私が米国を訪問いたしまして、クリストファー国務長官並びにペリー国防長官と会談いたしました際、この問題を非常に重要な課題として取り上げ、話し合ったところでございます。そして、この問題は四月の日米首脳会談を成功に導くためにも進展を図ることが非常に大切である、したがって、ことしの秋までに特別行動委員会で具体的な成果を出すということが基本でございますけれども、それを基本としつつ、四月の大統領訪日という大きな節目で一定の方向性を明確にしよう、こういうことで認識が一致したわけでございます。  また、その際、米側より、日米安保条約に基づく米国のコミットメントを引き続き確固たるものとしつつ、沖縄県民の負担を軽減するような解決に向けて最大限努力していきたい、こういった認識と熱意、誠意が示されたということを御答弁申し上げさせていただきます。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣田中秀征君登壇〕

田中秀征新党さきがけ経済企画庁長官

○国務大臣(田中秀征君) 私に対する御質問も四点でございます。  まず最初の新たな三党連立政権についての御質問にお答えいたします。  この新たな三党連立政権、すなわち、橋本内閣は、村山内閣における政策合意を踏まえて、新たに三党間で真剣で厳密な政策協議を重ね、その結果成立した新しい政策合意に基づいて樹立されたものであります。特に、来年度の予算を編成し、いわゆる住専問題の処理方策を決定した三党連立政権は、これらの重要案件を継続して遂行する重い責任があると受けとめております。新党さきがけも同様の考えで政権に参加しております。  次の景気回復につきましては、既に、総理、大蔵大臣から御答弁があったとおりでございます。今後の経済運営に当たっては、このところの明るい芽を育て、民間需要主導の自律的景気回復への移行を速やかかつ円滑に実現することが極めて重要であると考えます。  それから、ボランティアや市民公益活動に対する支援についてのお尋ねでございますが、国際化や高齢化の進展などの我が国経済社会を取り巻く環境変化に適切に対応していくためには、ボランティアや市民公益活動の活性化が重要であります。経済企画庁としては、ボランティアや市民公益活動の自主性を尊重しつつ、その環境整備を進めていくことが必要と考えており、ボランティアや市民公益活動の実態を踏まえ、関係省庁と連携を図りつつ、支援方策を講じてまいります。  内外価格差の是正問題についてのお尋ねですが、政府としては、消費者・生活者重視及び高コスト構造是正の観点から、個別分野ごとの内外価格差の実態調査を毎年一斉に行い、その要因を明らかにするとともに、規制の緩和、独禁法の厳正な運用、競争制限的な取引慣行の是正の促進等、個別分野ごとの実態に即した具体的な対応を進めてまいります。  以上でございます。(拍手)     —————————————

土井たか子無所属議長

○議長(土井たか子君) 愛知和男さん。     〔議長退席、副議長着席〕     〔愛知和男君登壇〕

愛知和男新進党

○愛知和男君 私は、新進党を代表して、橋本総理に質問をいたします。  まずもって橋本総理、総理就任おめでとうございます。今後の御健闘をお祈りいたします。  さて、このたび発足した橋本内閣は、先ほどの小沢党首の指摘にもあるとおり、平成五年の衆議院選挙において国民から明確に否定された自民党中心の政権であると同時に、その性格は村山政権と同様に「理念なき談合政権」であるということは明白であります。(拍手)  しかも、村山前総理や武村前大蔵大臣は、みずから決定した住専の処理問題の政治責任を完全に放棄してしまいました。橋本総理、見識あるあなたは、みずから決めた予算を国会にも提出せずに辞任したいという村山前総理に対し、それは無責任だと指摘されたと思いますが、まず真相を伺いたいと思います。  私は、前内閣が憲法上の義務も予算もほうり投げて辞職した以上、民主主義の常道からいって、今橋本総理にできる唯一の選択は衆議院の解散・総選挙の一刻も早い断行以外にないと思いますが、いかがでしょうか。(拍手)  ところで総理、去る一月十八日に開催された新進党大会において経済界代表が来賓あいさつをされたのに対し、自民党の幹部は、小選挙区制のもとでは二またをかけることは許されないと批判し、圧力をかけております。個人、諸団体の自由な発言と活動の保障は民主主義の基本であります。権力をもって恫喝する姿勢は、ファッショそのものであり、民主主義の完全な否定であります。(拍手)  これが自民党の新しい体質なのか、自民党はその名を示す自由民主主義すらも捨て去ったのか、橋本自民党総裁の御見解を承りたいと思います。  次に、総理が一昨日行われました施政方針演説と政府が国会に提出した予算との関係についてお尋ねいたします。  そもそも政府が国会に提出する予算案とは、施政方針を予算として具体化したものです。だからこそ、予算案を審議する予算委員会では国政全般にわたって幅広い論議が闘わされるのであります。  ところが、今回政府が国会に提出した予算案は、村山前総理のもとで編成されたものです。つまり、この予算案は村山内閣の施政方針をあらわしたものであり、橋本内閣の施政方針をあらわしたものではないはずであります。  そこでお尋ねいたしますが、一昨日、橋本総理がお読みになった施政方針演説はどなたがお書きになったのでしょうか。村山前総理の責任で書かれたものを橋本総理が代読されたのでしょうか。もし、そうではない、自分の責任で書いたものだと言われるのであれば、予算案そのものも御自分の責任において編成し直さなければならないのではないでしょうか。(拍手)この矛盾についてどうお答えになるか、明快な答弁を求めます。  以下、具体的政策課題について順次お伺いいたしますが、住専問題、景気対策、行財政改革などは明日、同僚議員より質問いたしますので、私は主としてその他の課題についてお尋ねいたします。  まず、外交・安全保障関係についてお尋ねいたします。  目下の最大の問題は、日米安保条約を根幹とする日米関係についてであります。日米関係は我が国にとって最も重要な二国間関係であり、日米安保条約は戦後の日本の安全保障に重要な役割を果たしてきたことは論をまちません。日米安保体制の中での最たる課題は、我が国が米国の同盟国として必要とされるときに必要とされることができるかどうかということであります。  我が国の周辺地域、特に東アジア地域では、冷戦後の国際社会を彩る不安定性、不透明性という要素が顕著にあらわれている地域であります。事の次第によっては、ほかならぬ我が国に対して甚大な影響を及ぼしかねない地域が数多く存在します。このような情勢にもかかわらず、我が国が正当な同盟国である米国に対して実質的な協力を仰ぐための枠組みは依然としてでき上がっておりません。緊急時における日米相互の支援体制のあり方の見直しが図られることが肝要であります。  自国の防衛を自国のみで考えることは、我が国だけに限らず世界のどの国であっても困難であるのみならず、軍拡につながる可能性があり、かえって危険な方向になると考えます。地域的安全保障や国連の集団安全保障の理念に立った安全保障体制が確立されなければなりません。その際、我が国がその利益だけを享受し、義務を負わないという姿勢では、どの国も日本の安全に協力するはずがありません。これまでの狭い安全保障の認識を改めるべきだと考えます。  さらに、日米関係を危機管理の面から見た場合の具体的問題を一つ提起したいと思います。  北朝鮮の混乱に伴って朝鮮半島情勢が懸念される状況になった場合、米国は当然我が国にある基地を利用し、北東アジアにおける活動を展開することになります。この活動に当たって米軍が我が国に協力を求めてきた場合、我が国は、法制上我が国の領海外での活動には協力できないことになっています。総理、これで日米同盟関係は維持できるとお考えでしょうか。米国のみならず、国際社会から理解してもらえるでしょうか。  我が国は、日米安保体制のもとで安全が確保されてきたため、安全保障を空気と同じように自然に与えられるものと考えがちであることに注意を喚起しなければなりません。朝鮮半島で不測の事態になれば、避難民が大量に我が国に来たり、漁業に出られなくなって、ひいては我が国の生活が逼迫することにもなりかねません。そうした面での危機管理の欠如も心配されるところであります。  また、緊急時における適切な対応がとれるように、有事法制の策定にも本腰を入れて取り組むべきであります。何も起こらないであろうとの予断のもと何も準備しようとしないのは、政治家としての責任放棄であります。今や我々は、みずからの意思として、日米安保体制の機能が十二分に発揮できるような状況をつくらなければなりません。総理の明快な御所見を承りたいと思います。  ここで沖縄の米軍基地の問題についてお尋ねいたします。  私は、この問題は、日米の外交問題というよりはむしろ日本国内の問題だとの認識が必要だと思うのであります。つまり、沖縄県民の不満の本質は、長年にわたって過重な負担を押しつけ続けた日本政府の姿勢そのものに向けられたものであります。  このたび池田外務大臣が訪米し、ペリー国防長官とこの問題で早速協議をしたということでありますが、日本政府みずからの基本方針もなく、ただ訪米して米国の意見を求めようとするのは、まさに本末転倒であります。  総理は「外交の基本は自立である」と述べられておりますが、みずからの方針を決めないでおいて何が自立でしょうか。日米安保体制を我が国の安全保障体制の中でどう位置づけるのか、その中で沖縄基地をどのように位置づけようとしておられるのか、総理にお考えをお聞きいたします。  次に、我が国の安全保障についての基本についてお尋ねいたします。  国防の要請は、明確な方針のもとに平時から適切な防衛力を維持し、常に訓練を積んでおくことであり、それこそが国家存立の基礎であります。しかし、今の三党連立政権には、我が国の安全をいかに確保していくのかという理念も哲学も方針も皆無であると言わなければなりません。  最も如実にあらわれたのが、昨年末に決定した防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画であります。各党の基本政策の相違を棚上げにした妥協の産物であり、最も政治にリーダーシップが求められる重要政策がこのように決定されたことはまことに遺憾であります。また、新大綱及び中期防には、TMDや空中給油機の導入といった重要課題も明確にされておりません。重要な防衛体制をあいまいにした大綱は早急に再検討されるのは当然と考えますが、総理の明確な御見解をお伺いいたします。昨年の参議院選挙の際に、社会党は、一九九六年を軍縮元年にすると公約されましたが、軍縮は我が国だけが単独で行えるものではありません。軍縮についての総理のお考えをお聞かせください。  橋本総理が外交の自立を言われるのであれば、軍縮や平和を推進するために、日本外交の柱であるODAに明確な法的位置づけを与えるべきでは ないでしょうか。新進党は、昨年秋の臨時国会において、日本のODAの理念の明確化と透明性を確保するための国際開発協力法案を提出いたしました。政府はODA基本法の制定の必要性についてどう考えておられるのか、明らかにしていただきたいと思います。  国連外交についてお伺いします。  我が国は、世界の平和と安全に積極的に貢献するため、国連安保理常任理事国入りに向けた意思を明確に表明すべきであります。橋本総理は、昨年秋の自民党総裁選挙において、「我が国が国連安保理常任理事国としての席を占めることは決して不自然なことではない。そうすることの必要性を今私は痛感している」と言っておきながら、連立三党の合意では、「わが国は背伸びをせず、国連改革の進展、アジア近隣諸国の推薦状況と国民的合意を踏まえて、慎重に対処する。」と、総理御自身の信念とは正反対の、成り行き任せの外交姿勢をとっております。御自分の信念と三党連立の枠組みと、どちらを優先されるおつもりか、明快にお答えいただきたいと思います。(拍手)  次に、PKO協力への姿勢について伺います。  湾岸戦争を契機としてPKO協力法が制定され、我が国が積極的に国連の平和維持活動に参加する枠組みがつくられたにもかかわらず、これまでの政府の対応を見る限り、極めて消極的と言わざるを得ません。  UNDOFへの派遣では、要請があってから足かけ二年になっても現実にはまだ派遣されていないばかりか、武器弾薬の輸送はしない、各国共同の軍事訓練には参加しないなど、およそPKOの本質すら理解していないのではないかと思わざるを得ない決定をしており、かえって他の参加各国のお荷物にすらなりかねないのが現実であります。  さらに、昨年、ボスニア和平合意の履行のため、軍事活動とは別に、行政、司法、選挙監視などの民政部門の支援を行うため国連から各国に要請のあったボスニア国際警察隊への文民警察の派遣についても、十分な議論もないまま要請を断っているのが実態であります。なぜこれほど派遣要請に消極的なのか、またボスニアヘの文民警察派遣要請の拒否を決めた検討経過、拒否の理由をこの際明確にお答えいただきたいと思います。  次に、福祉政策への取り組みについてお尋ねいたします。  目下、本格的な少子・高齢社会への突入を目前に控え、我が国の多くの国民が感じている不安は、みずからの老後に対する不安であります。つまり、年老いた先に生活の保障があるのか、あるいはだれが自分の面倒を見てくれるのかという不安であります。また、多くの現役世代は、自分のかけている年金が後で確実に支払われるのかということに重大な懸念を抱き始めております。  このような懸念は、若年世代の人々が高齢の人々を一律に支えるという想定に基づいていることから生じております。高齢の人々がふえてくると社会に対する負担が重くなるといって慌てるのは高齢の人々を社会の半ばお荷物として扱ってきたからであり、従来の高齢者福祉とはこのように高齢の人々には極めて失礼千万な想定に基づいたものであります。高齢の人々とは、その長年にわたって培った技量や経験を後に続く若い世代の人々に引き継いでもらうべき人々であります。福祉政策を考えるのであれば、高齢者や障害者といった社会的弱者と呼ばれてきた人々には、まず何よりも先に社会の中で正当な役割を担っていただくための環境の整備を行うことを考えなければなりません。  また、人間にはだれにでも誇りというものがあります。この誇りに目配りを欠いた障害者福祉なるものは福祉の名に値しないものだと言わざるを得ません。総理の目指す福祉とは何なのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。  具体的な課題として、新介護システムの創設については、拙速を避け、まず先に施設やマンパワーなどの基盤を整備し、その上で国民の合意で新たな負担のシステムを考えるべきではないでしょうか。少子化に対応したエンゼルプランについても保育の部分のみ予算化されておりますが、住宅、雇用、教育も含めた総合的対策を具体的に講ずべきであります。総理の御決意を伺いたいと思います。  さらに、エイズ薬害問題について触れておきたいと思います。  東京・大阪HIV訴訟の和解勧告が昨年十月に出されましたが、私は、被害者及び関係者のお気持ちを察するとき、一日も早い和解成立を強く望むものであります。菅厚生大臣は記者会見で、「事実関係をきちっと調査して、責任をとるべきことがあれば対処していかなければならない」と述べておられますが、今日までの経過から見て、行政にも重大な責任があると言わざるを得ません。総理は政府の責任についてどのようにお考えか。さらに、東京・大阪地裁での和解協議についてどのような姿勢で臨まれるのか。特に、恒久対策としての健康管理手当及び発症後の介護費用の支給に対する具体的な方策についてお伺いいたします。  次に、教育政策への取り組みについてお尋ねいたします。  明治以来、我が国は、「西洋に追いつき追い越せ」という明確な国家目標のもと、近代化あるいは経済発展の道を邁進してまいりました。従来の教育政策はこの国家目標に沿う形で進められてきたわけであります。そして、この国家目標が一応達成されたこれからの日本社会に求められる優秀な人材とは、決められたことを確実に処理できる人材ではなく、多様な発想を駆使してさまざまな問題を発見し、解決できる人材であります。  総理、施政方針で述べられた「個性と創造力にあふれ、責任感と思いやりを持ち、将来の夢を生き生きと語ることのできる子供たち」を育成するためには、もはや使命を終えた従来の教育政策を根本的に見直し、来るべき二十一世紀にふさわしい教育制度を再構築することを避けて通ることはできません。激増するいじめ問題の根源には、児童や生徒に一方的に過酷な偏差値競争を強いてきた戦後教育の破綻があるのであり、ゆとりと創造性にあふれる人間らしい教育の再構築こそが、いじめ根絶の抜本策であります。  新進党は、昨年、二十一世紀に向けた大胆な学制改革案を提唱いたしました。六・三・三・四制を改め、中高一貫教育を柱とする義務教育年限の見直し、進路の選択を複線化するカレッジの創設、さらに教育課程の再編成を内容とする教育改革案であります。これらの改革を実現するには、当然のことながら、教育基本法の改正、教育予算 の思い切った投入などが不可欠であります。こうした大胆な教育改革に踏み込む決意がおありかどうか、御所見を承りたいと思います。(拍手)  また、高等教育について言えば、しばしば指摘されるように、大学教育の活力の停滞も、大学の中に真の意味での教育と研究の競争がないということに原因があります。そこで、手始めとして、大学教員に任期制を導入することを提唱します。私学教育についても、私立学校に対する規制を緩め、私立学校の自主性を大いに尊重していく環境の整備が必要であります。あわせて総理の御所見を承りたいと思います。  ここで初等中等教育の教育課程について特に付言するならば、受験をめぐる過酷な競争の陰に隠れて、本来教えられるべき重要なことが熱心に教えられてこなかったように思います。例えば、我が国の歴史、伝統、文化と、それに対する敬意や愛国心、そして他国の文化に対する敬意を教えることは、国際化の進展する中、何よりも大事なものであり、初等中等教育の段階から適切に教えられる必要があるように思います。  同じ意味から、国旗・国歌へ敬意を払うことは日本国民として当然と考えますが、橋本内閣は、前村山内閣と同様に学校等において国旗・国歌を強制すべきではないとお考えか、あわせて総理の見解を承りたいと思います。  六千三百人を超える死者を出した阪神・淡路大震災からはや一年が過ぎましたが、いまだ約九万人の被災者が不自由な仮設住宅で二年目の寒い冬に直面しておられます。この仮設住宅は二年が限度となっておりますが、公営住宅の用地取得が進んでいないため、その後の住居に対する不安が募っております。  政府は被災者が再び自分の町で生活できるような住宅建設に全力を挙げるべきであり、そのためには現行法の限界を超えた特例措置も必要であると考えます。仮設住宅はあくまでも二年を限度とされるのか、それとも被災者の住居の見通しが立つまでの配慮をされるのでしょうか。  町の瓦れきは一応取り除かれたものの、丸一年たっても民家が再建される気配がありません。瓦れき処理の撤去は本年三月を期限としておりますが、その後の撤去に対しても費用を負担すべきであると考えますが、いかがでしょうか。  建ぺい率や容積率などの建築基準法や都市計画法などを弾力的に運用し、被災者が早くもとの生活に戻れるように特例を設けるべきであると考えますが、いかがでしょうか。  高齢者や二重ローンに苦しむ被災者に対してどう対処されるのか。国は個人補償しないといいますが、大規模な被害では、多額の義援金も二戸当たり三十万円程度でしかありません。今般の大規模災害は日本国民全員が抱く不安であり、そのような被害に対しては国が現行の枠を超えて積極的に援助の手を差し伸べるべきであると考えますが、いかがでしょうか。被災者が悩むこれらの懸案に対して、総理の見解をお伺いいたします。  地震国日本で地震保険への加入率が二%にも満たない現状のもとで今回の惨事が起こっております。総額五兆八千億円の建物被害に対し、支払われたのはわずか七百六十億円でしかありません。しかも、火災に対する保険支払いに関し、関係者の間で紛糾しております用地震保険は、この際、抜本的に改善する必要があります。新進党は地震共済保険制度の創設を議員立法で準備する計画ですが、政府は立法化の準備があるのか、お聞かせいただきたいと思います。  橋本総理は震災一周年に現地を見舞われ、地元の復興に全力を尽くすことを約束されました。その約束は被災者の心に深く刻まれており、その実現のためには、少なくとも今述べました事柄をすべて実行することであります。総理の誠意ある御回答を求めます。  また、阪神大震災で我々が忘れてならないのは、多くのボランティアの方々が寝食を忘れて被災者の救済に立ち上がった姿でありました。我々は、市民の自発的な活動を社会に生かすことが、自由と民主主義の基礎である多元的社会の創造と、今後の真に豊かな社会をつくるに当たって極めて重要であると考えます。新進党は、かかる視点に立って、多様な市民団体に法人格を与え、その活動を支援していくことを目的として、NPO法案を国会に提出し、その成立を目指しているところであります。(拍手)本法案に対する総理の御見解をお伺いいたします。  次に、昨年十二月の高速増殖原型炉「もんじゅ」ナトリウム漏れ事故についてお伺いいたします。  事故発生後、一時間以上もたってから地元自治体に通報したり、ビデオ撮影について再三虚偽の説明を繰り返すなど、動燃の情報隠ぺい体質があらわになり、国策に協力してきた地元住民との信頼関係を根底から損ねました。  「もんじゅ」の試運転が動燃の閉鎖体質や科学技術庁の対応のまずさからとんざするならば、我が国の今後のエネルギー供給に重大な支障をもたらすおそれがあることを懸念いたします。住民との信頼関係が取り戻せなければどうするのか、「もんじゅ」事故を契機として、プルサーマル計画の延期、原子力バックエンド対策の変更を含めた核燃料リサイクル政策の変更があり得るのか、最高責任者の立場の見解を求めたいと思います。  最後に、地球環境問題について質問いたします。  地球環境問題は人類にとって全く新しい課題であり、世界のどの国も解決策を模索中であるだけに、我が国がこの分野で強いイニシアチブをとっていくことはまことに意義深いことだと確信いたします。  地球環境問題というと経済の視点からは後ろ向きの課題と見られがちですが、私はむしろ新しい産業を興していく切り口になり得るのではないかと考えます。つまり産業革命であります。先ほど小沢党首が経済産業政策に関する数々の提案をいたしましたが、これらを貫く理念を一口で言えば、新しい産業革命を起こそうというものであります。私は、この新しい産業革命を「地球環境産業革命」と名づけてはどうかと考えます。(拍手)  かつてイギリスで始まった産業革命は、自然を人間に都合のよいように利用するという思想をもとに構築された産業革命でありましたが、この思想を根本的に改めて、人間と自然とが共生することを基本理念として、その上に産業というものを組み立てていく、つまり産業というもののあり方を根本から改めるのであります。公害対策とは次元を異にする地球環境問題に対する総理の基本的考え方をお聞かせいただきたいと思います。  ここで私は憲法の問題に触れたいと思います。  我が国の憲法は、平和主義や国際協調主義と呼 ばれるこれからも堅持すべき理念を数多く持っておりますが、同時に、時代に合わなくなった点もあります。私は、その最も顕著な例が地球環境の視点だと思います。現憲法には地球環境の視点は全く入っておりません。この視点を盛り込むことにより、日本の平和主義や国際協調主義などをより明確に表明することができます。  また、地球環境問題は、現世代に生きる我々だけの問題ではなく、我々に続く世代の問題でもありますから、地球環境の視点を盛り込むことは、我々は次世代のことも考えて行動する責任があることを強調することにもなります。国家の基本法たる憲法をめぐる議論を積極的に行っていくことこそ、国政に携わる政治家の役割であると考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。(拍手)  我が国が今日直面している内外の状況は、まさに危機そのものであります。こうした状況を首尾よく打開しなければ、我々が享受してきた平和も繁栄も次代の人々に引き渡すことはできません。第二次大戦中、ヨーロッパにおいて孤立無援の状態でナチス・ドイツに対峙しなければならないというイギリス史上最大の危機に際して、チャーチル首相は「私は血と汗と涙と労苦をささげる」とイギリス国民に語りかけました。  総理は、橋本内閣の使命を「変革と創造」とうたっています。かけ声だけでなく、総理は「血と汗と涙と労苦」を国家国民にささげる決意をお持ちかどうかお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 愛知議員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。  先ほど小沢党首からも御指摘のありましたことでありますが、村山総理の進退についてのお言葉がございました。  私は、政治家の出処進退はみずから決するもの、そのように考えておりますし、その状況の中で三党が改めて政策協議を行い、私自身がその後を引き継ぐことになり、全力を傾けてこの時期を乗り切っていくために御協力を得たいと今、本会議で御答弁を申し上げているところであります。  自由民主党の体質についてお話がありましたが、議員がよく御承知のように、我が党では、党の役員間の論議あるいは意見というものはそれぞれの立場と責任で自由に論議をしていくというならわしがございました。そうした中で、御党の大会での話が出たということを聞いております。党から聞きましたところ、党大会でごあいさつされた方が日ごろ自由民主党支持とおっしゃっておられた方であったということから、その方が立場の異なる党と政策が一致をされるような祝辞を述べられたというお話を聞き、その真意を伺いたいという発言であったようであります。国政においても、自由活発な論議の積み重ねの中で民主政治を身上とし、これからも我々はまさに自由民主の党として国政に当たってまいります。  また、施政方針をだれが書いたかというお尋ねがありました。  今国会における施政方針演説は、私自身の考え方、内外の問題についての取り組み姿勢を示しました上、各省庁にわたる施策を取りまとめ、閣僚にも諮り、内閣として閣議決定を行ったものであります。  そして、八年度予算につきましては、最初の閣議におきまして、私から「平成八年度予算は現在の諸情勢に対処するため万全の内容を盛り込んだものであり、内閣の交代に伴う国政の停滞は許されないことから、新内閣においては村山内閣の決定した予算の概算を引き継ぎ予定どおり国会提出の運びとしたい」旨を諮り、意図表明をいたしました。その上で、現内閣において、この概算に基づき予算を作成し、閣議の決定を経て国会に提出したところであります。どうかこれを早期に成立をさせていただきたいと考えております。(拍手)  また、地域安全保障あるいは集団安全保障体制についての御論議がありました。  地域的な安全保障あるいは国連の集団安全保障体制が確立されるべきであり、これまでの狭い安全保障の認識を改めるべきではないかという御指摘でありますが、我が国の安全というものを確保していく上で、より安定した安全保障の環境の構築に努めることは当然のことであります。こうした観点から、政府としては、日米安全保障体制の信頼性の向上に努めながら、二国間及び多国間の安全保障の対話や協力の拡大に努力をいたしております。  国連の集団安全保障体制につきましては、国連憲章に基づく具体的な措置がとられる場合、我が国としては、国際の平和と安全を実現するために、憲法の許される範囲内で全力を挙げて協力するということであります。  また、朝鮮半島情勢についての我が国の対応及び緊急時における対応についてのお尋ねがありました。  政府としては、朝鮮半島の平和と安定の維持というものは我が国自身の安全にとっても極めて重要なことであると考えておりますし、朝鮮半島の平和と安定のために、米国、韓国等と協力しながら努力を行っている最中であります。  北朝鮮の混乱に伴い朝鮮半島情勢が懸念されるような状況になった場合という想定を置かれての御質問でありますが、こうした仮定の御質問に対しては答弁は差し控えたいと思いますけれども、あくまで一般論として申し上げますなら、緊急時における適切な対応をとるための立法等について申し上げれば、先般策定をいたしました新防衛大綱におきまして、「我が国周辺地域において我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合には、憲法及び関係法令に従い、必要に応じ国際連合の活動を適切に支持しつつ、日米安全保障体制の円滑かつ効果的な運用を図ること等により適切に対応する。」旨定めております。  いずれにいたしましても、我が国の周辺地域において、我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合、我が国としていかに対応すべきかということは、私たちがお互いに同じ党におりましたときから議論を繰り返しながら模索をしてきた道でありました。政府として、これからも真剣に検討研究していくべき課題であると考えております。  また、日米安全保障体制を我が国の安全保障体制の中にどう位置づけるかというお尋ねがございました。  日米安全保障体制は、冷戦後の今日におきましても、我が国の安全を確保していく上で必要不可欠なものであり、また、この日米安全保障体制というものは、日本のためだけではなく、日米協力 関係の政治的基盤であると同時に、アジア太平洋地域の平和と安定に極めて大きな役割を果たしております。当然のことながら、これを堅持してまいります。  こうした考え方のもとに、政権発足後直ちに池田外務大臣に米国に出張していただきましたのも、こうした日米関係が我が国にとって最も重要な外交関係という認識のもとであり、四月のクリントン大統領の訪日を控え、日米安保体制に関するこうした考え方をきちんと伝達しておくことが必要ということでありまして、これが外交の自立に反するとは私は考えておりません。  そして、その日米安保体制における沖縄の米軍基地の位置づけというものをお尋ねになりました。  繰り返し申し上げるようでありますが、日米安全保障体制のもとにおいて、米軍の駐留というものはその中核的な要素を持つものであり、沖縄に駐留する米軍もその重要な一端を担っております。他方、沖縄県におきまして施設・区域が集中しておりますことから、さまざまな問題が生じております。そして、これが日米の信頼の中に大きな傷を入れてしまっている状況があることを我々は忘れることはできないわけであります。  日米の信頼のきずなを一層深いものにしなければならない。しかし、同時に、長い間苦労してこられた沖縄の方々の苦しみや悲しみというものに最大限心を配った解決を得ることがどうしても必要なのです。政府として、この調和を図りながら、県民の負担が軽減されるよう誠心誠意努力を続けてまいるつもりでありますが、国会におかれても、どうかこの点に対しての御協力を心からお願い申し上げる次第であります。  また、新防衛大綱を早急に再検討すべきだというお尋ねでありましたが、国際情勢や自衛隊に期待される役割の変化等を踏まえ、私たちは、今後の我が国の防衛力のあり方についての新たな指針をこれによって示しました。また、新中期防は、この新防衛大綱に基づいて防衛力の整備を継続的かつ具体的に進めるものであり、これは、安全保障会議で幅広い観点から総合的な審議を行いました上、安全保障会議並びに閣議で決定したものであり、政府としてはこれらに基づいて適切な防衛力の整備に努めてまいります。  また、国際的な軍縮という視点のお尋ねがございました。  政府としては、核兵器のみならず大量破壊兵器の軍縮と不拡散、通常兵器の移転抑制のための取り組みを重視しております。殊に、我が国は唯一の被爆国として、核兵器の究極的な廃絶に向けて、繰り返し、国際社会に向け、すべての核兵器国が核軍縮に真剣に取り組むよう国連等の場で訴え続けてまいりましたことは御承知のとおりであり、こうした努力はこれからも続けてまいります。  また、全面核実験禁止条約交渉がこの春、実質的に妥結され、秋には署名されるように、交渉参加国と協力しながら最大限の努力を行っていきます。  なお、我が国の防衛力整備のあり方、これは、新防衛大綱におきまして、冷戦の終結後の国際情勢の変化等を踏まえ、現行の防衛力の合理化、効率化、コンパクト化を一層進める、その中で必要な機能の充実と防衛力の質的な向上を図ることによりまして、多様な事態に有効に対応し得る防衛力を整備することとしているところであります。  また、政府としても、ODAの理念の明確化、透明性の確保は重要だと考えており、平成四年にはその一環として政府開発援助大綱を定め、その中で援助の基本理念や原則を明らかにしてまいりました。政府としては、急激に変化する国際情勢の中で、ODAの機動性、柔軟性を損なわないように十分配慮しながら、今後ともこれを踏まえて的確な援助の実施に努めてまいります。  また、国連常任理事国入りの点についての御質問がありました。  我が国の常任理事国入りの問題についての政府の立場、それは先般私が施政方針演説に申し上げたとおりであり、この問題についての立場に何ら変更はありません。昨年九月の外務大臣の国連総会演説で述べた考え方に従い、我が国は安保理改革を初めとする国連の改革の議論に積極的に参加してきました。私たちは、これから先も常任理事国入りを含む安保理改革の問題について、財政、社会経済問題等とあわせて国連改革の中で努力をしてまいるつもりであります。  また、PKO協力について御質問がございました。  我が国では、平和維持活動等国連の活動に人的な面で積極的に貢献していきたいと考えております。そして、本年二月には、ゴラン高原に展開している国連兵力引き離し監視隊に我が国の要員及び部隊を派遣することにいたしております。ただ、国連からの派遣要請につきましては、政府として責任のある派遣が行えますように、それぞれのケースごとに、それに参加することが適当かどうかといった十分な吟味が必要なことは当然であろうと思います。いずれにせよ、今後とも、これまでの経験を踏まえながら、国際平和協力法に基ついて平和維持活動に積極的に参加してまいります。  また、ボスニアの文民警察派遣要請についての御質問がございましたが、国連からのPKO等についての派遣要請につきましては、非公式の打診の段階では、国連側としても一切対外的に公にしないという方針で臨んでおられるところでありまして、これに対して申し上げることは控えさせていただきたいと存じます。  また、福祉について目指すものは何かというお尋ねがございました。  当然のことながら、高齢者の方々あるいは障害を持たれたような方々はもとより、国民の一人一人が心豊かに安心して暮らせる福祉社会をつくっていく、それが一番大切なことであると思います。  なお、付言させていただきますなら、議員御承知のように、私の父親が障害者でありました。そして、その父親は、その身体障害者に対する偏見と闘い抜いた生涯でありましたが、彼が求めたものは、ハンディキャップはハンディキャップとした上で、健常者と公平な競争のチャンスを与えられること、それを目指しておったわけであります。私は、こうした視点も持ち続けたいものと考え、長生きをしてよかったと言える長寿社会の建設に向けて、総合的かつ体系的な対応をしてまいりたいと考えております。(拍手)  その中で、新介護システムについてのお話がございました。  確かに、高齢者介護問題は、老後生活の最大の不安要因として、この解決が大変急がれていることはそのとおりであります。施設やマンパワー等の介護サービス基盤の整備につきましては、昨年四月から新ゴールドプランをスタートさせながら、その着実な推進を図り、これからも在宅・施設サービスのさらなる充実強化に努めていかなければなりません。  まずこうしたものをやった上でというのが委員の御意見でありましたが、私は、こうしたサービス基盤の整備とあわせて、保健・医療・福祉全般にわたります高齢者介護サービスというものを総合的、一体的に提供していくためには、適切な公費負担を組み入れた社会保険方式による新たな高齢者介護システムをつくることがぜひ必要だと考えております。  昨年九月、総理府が実施いたしました世論調査でも、社会保険方式による新たな高齢者介護システムの導入を求める声が国民の多数を占めていたと聞いております。独善に陥らないように、関係団体、各方面の御意見を十分に伺うことは当然でありますが、そうした幅広い御意見を伺いつつも、新介護システムの制度化に向けては全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。  また、エンゼルプランの具体化についてお尋ねがございました。  平成八年度予算におきまして、保育対策だけではなく、良質なファミリー向け住宅の供給、育児休業制度の定着、育英奨学事業の充実等の施策も盛り込んでおるところでありまして、今後とも各般の子育て支援策を着実に推進していきたいと考えております。  次に、エイズ問題についてのお尋ねがございました。  政府の責任については、裁判所の「和解勧告に当たっての所見」において、国も「甚大な感染被害を早急に救済すべき責任を果たすべきである。」としておりまして、これにつきまして重く受けとめております。また、政府におきまして、行政の立場から、責任問題も含めて必要な調査を開始いたしました。  エイズ訴訟の和解協議につきましては、患者の方々が置かれている状況を考えますと、政府としては、裁判所の和解勧告の趣旨に従って、今後とも誠意を持って和解による早期解決に全力を挙げる所存であります。その際、御指摘の健康管理手当等の問題も含めまして、現在、裁判所の主導のもとに和解協議が進められていると承知しておりまして、政府としても、さらに努力を重ねていかなければならないと考えております。  また、教育改革についてお尋ねがございました。  中高一貫教育など学校間の接続の改善を初め、さまざまな教育上の課題があることは十分存じております。そういった教育上の諸課題を見直し、子供たち一人一人の個性や創造性を一層重視するという観点に立った教育改革を積極的に進めてまいりたいと考えており、現在、文部省の中教審において、二十一世紀を展望した我が国の教育のあり方について御審議を鋭意いただいております。  しかし、学制改革につきましては、現行の学校の体系というものが今日の我が国に定着していること、その改革につきましては国民や社会に非常に大きな影響を及ぼすであろうことが想像されますことから、社会の変化あるいは生徒の実態等を十分に見きわめながら、国民の合意を得つつ慎重に検討すべきことだと思います。  また、大学教員の任期制についてお尋ねがございました。  文部省の大学審議会では、昨年の九月、各大学の判断で任期制をとることができる選択的任期制を導入することが適切という中間報告を示され、なお現在審議が続いているというところであります。私は、こうした結論を踏まえて適切に対処してまいる所存であります。  また、私学教育につきましては、先国会、宗教特別委員会におきまして議員と私学助成に関連しての議論をさせていただきましたことも今改めて思い出しております。私は、議員が御指摘になりました自主性を尊重する環境整備が必要だという御意見には全く異論はありません。議員はその際、むしろ私学助成よりも育英奨学資金の方に重点を置くべきであり、私学助成は基本的に賛成できないという御見解を漏らされました。私は、私立学校というものは我が国の公教育を担う重要な役割を果たしておりますし、その自主性に配慮しながら、国が一定の関与を行いながら私学助成などの施策を積極的にむしろ進めていくことが必要ではなかろうかと考えております。今後もまた御議論の機会があるならば、私はぜひ議論をさせていただきたいと考えております。  また、国旗・国歌についての御質問がございました。  私は、日本国民として国旗・国歌に敬意を払うのは当然でありますし、今後とも、すべての学校において、学習指導要領に基づいて国旗・国歌についての適切な取り扱いがなされるよう指導してまいります。  次に、阪神・淡路大震災に関連しての御質問がございました。  応急仮設住宅につきましては、本来、一時的な居住の安定を図ることを目的としており、一般住宅等への円滑な転居が望まれるところであります。現在、地元の自治体において各種の住宅確保対策に努力をされており、国としても最大限これに支援を行ってまいります。入居期間の延長の問題につきましては、その必要性、今後の地元自治体の対応状況などを踏まえながら適切に対応してまいります。  また、瓦れきの処理につきまして、損壊建物の解体につきましては、被災地域の早期復興を図るため本年三月までに終了することといたしておりますが、先般、ちょうど一周忌の際神戸に参りましても、まだ取り片づけられておらない建物が残っておるのを現実に見てまいりました。本年三月までに終了すると言いますが、所有者間の協議が調わないなどの理由によって、関係市町に対し解体の申込手続は行っておられるものの着手がおくれているものにつきましても、平成八年度中に解体が可能なものにつきましては引き続き補助対象とすることとしております。  また、建ぺい率や容積率についての特例についてお話がございました。  この取り扱いにつきましては、関係地方公共団体が地域の実情に応じて判断されるべきものでありまして、良好な町づくりに貢献される優良なプロジェクトにつきましては、建築基準法や都市計画法に基づく容積率等の特例を積極的かつ弾力的 に活用されるよう兵庫県、神戸市等を指導いたしておるところであります。  また、住宅再建につきお尋ねがございました。  自立して生活できる環境をつくるために被災者の住宅を再建、確保することは極めて重要な課題であることは認識をいたしております。政府といたしましても、兵庫県のひょうご住宅復興三カ年計画等の円滑な実施を強力に支援いたしております。具体的には、高齢者が安心して住めるよう住宅の建設を進めることにしており、公的住宅供給戸数の確保など必要な措置を講じております。  しかし、被災者の住宅ローンにつきましては、被災地の一刻も早い復興を図るために、住宅金融公庫の災害復興住宅貸し付けや既往債務の返済条件の緩和等について特例措置を講じており、また、公庫融資に加えまして、被災住宅再建対策事業により住宅を再建される被災者の初期の負担軽減を図ってまいりました。これからも被災者の方々の生活の安定に向けた住宅の再建、確保に積極的に取り組みたいと考えております。  また、地震保険について御意見をいただきました。  阪神・淡路大震災を契機とする地震保険の見直しに関する御要望をいただきまして、引受限度額の引き上げでありますとか、家財の損害認定方法の改善等を本年一月一日から実施いたし、これからは各種の広報等を通じて一層の普及拡大に努めたいと考えているところであります。  また、地震共済保険制度の創設については、例えば兵庫県が御提唱になっております新たな住宅地震災害共済保険制度のような構想は、被災体験を踏まえられた一つの貴重な御提案である、私はそう受けとめました。  同時に、大地震に起因する各種のリスクにどう対応するかにつきまして、私は、これは阪神・淡路地域の復興ということだけではなく、全国的な観点も含めて、中長期的な視点に立っての幅広い検討が必要でなかろうかと考えております用地震保険創設の際にも随分長い議論があったことを今思い起こしております。  次に、ボランティアの方々に対するお話がございました。  確かに、阪神・淡路大震災の中で大変大きく目立ちましたボランティアの方々の活躍に対しては、我々は心から敬意を表します。そして、政府としては、ボランティア問題に関する関係省庁連絡会議を設け、ボランティア活動の環境整備のあり方について検討をしてまいりました。現在までの検討結果によりますと、市民活動団体が簡単な手続で法人格を取得できるようにすると同時に、その悪用を防止するための措置を講ずることも必要と考えております。  そして、NPO法案を新進党が現在国会に提出されておられるほか、与党におきましても今国会に提出するべく鋭意検討されておると聞いております。政府といたしましても、与野党が考えておられるNPO法案の趣旨は重要なものであると理解をしており、国会において十分御論議をいただきたいと考えております。  また、「もんじゅ」の事故についてのお尋ねがございました。  本当に残念な事件であったということは、先ほども申し上げたところであります。この事件に関しましては、今後、まず何よりも、徹底した原因の究明を進めること、万全の安全対策を講ずること、積極的かつ速やかな情報公開等により、地元の方々を初めとする国民各位の御理解と信頼を得るように全力を尽くしていかなければなりません。  プルサーマル計画、また原子力バックエンド対策等についてもお尋ねがございました。  核燃料リサイクル政策の重要性を踏まえ、今回の事故の経験を十分に生かしながら、幅の広い御意見を伺い、いかにそれを原子力政策に的確に反映していくかという点に努力をしていきたいと考えております。  また、地球環境問題についてのお尋ねがございました。  私は、まさに、この地球環境問題あるいは温暖化等を代表といたしまして、人類の生存基盤に深刻な影響を与える緊急な課題に既になっており、重要な課題である、そのようにとらえておりますし、我が国だけではなく、世界じゅうの国々にとって最重要課題の一つと位置づけているものでございます。そして、この問題に対応するためには、現在の大量生産.大量消費.大量廃棄型の経済社会活動、生活様式というものを問い直す、そして環境への負荷の少ない、持続的発展の可能な社会をつくることから進めなければなりません。  私は、まさに議員の御指摘を伺いながら、環境庁創設二十年のとき、たしか議員が環境庁長官の御当時ではなかったでしょうか、環境庁を創設いたしました当時を振り返り、その当時の経済活動を分析し、非生産的な経費であったはずの公害投資というものが、むしろその後に新たな産業をつくり出す結果を生んだという御指摘を拝見した記憶がございます。私は、そうした視点からまいりますと、我々自身が今後の環境基本計画に基づいて総合的な施策を進めていくと同時に、産業のあり方につきましても大きな指針を得るもの、そのように考えます。  そして、憲法に地球環境の視点を盛り込むという御議論をいただきました。  私は、憲法をめぐる議論が行われること自体何ら制約のあるものではないと考えており、議員の御意見をも傾聴いたします。同時に、国の基本法である憲法の改正というものについては、世論の成熟を見きわめる等、慎重な配慮が必要なものであると今日までも考えてまいりました。一つの御見解として拝聴をいたしたいと思います。  そして最後に、ウィンストン・チャーチルの言葉を引用され、それだけの決意があるかというお尋ねがございました。  このような非常に大きな転換点に差しかかっていると私自身が認識している時期、私はチャーチルのようなすばらしい言葉はうまく出てまいりませんけれども、全力を挙げてその責任に任じていきたいと考えておるわけでございます。(拍手)  なお、先ほど御答弁をしてまいりました中で、答弁が漏れておるという御指摘がございました。  私は、現在の我が国の状況をめぐる諸情勢にかんがみて、予算と関連法案の早期の成立のために努力をすることが国民に対して果たすべき最大の責務であると今考えており、衆議院の解散につきましては念頭にありません。(拍手)      ————◇—————

七条明自由民主党

○七条明君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十五日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。

鯨岡兵輔無所属副議長

○副議長(鯨岡兵輔君) 七条明君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鯨岡兵輔無所属副議長

○副議長(鯨岡兵輔君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十三分散会      ————◇—————

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