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136回国会衆議院1996/02/23

法務委員会 第2号

発言数
248
登壇者
29
会派数
6
開催日
1996/02/23

会議録

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 これより会議を開きます。  裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。  この際、法務行政等の当面する諸問題について、法務大臣から説明を聴取いたします。長尾法務大臣。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 委員長を初め委員の皆様には、平素から法務行政の運営につきまして一方ならぬ御尽力をいただき、厚く御礼を申し上げます。今後とも皆様の格別の御理解と御協力を賜りまして、法務行政の各分野にわたって全力を尽くしてまいる所存であります。  それでは、法務行政に関する所信の一端を申し述べさせていただきます。  改めて申すまでもなく、国民生活の安定を確保し、国家の平和と繁栄を図るためには、その基盤ともいうべき法秩序が揺るぎなぐ確立され、国民一人一人の権利が十分守られていることが極めて重要であります。私は、こうした認識のもとに、新しい時代の要請を踏まえつつ、法務行政の各分野にわたり適切な方策を講ずるよう全力を尽くしてまいりたいと考えております。  まず、第一は、治安の確保及び法秩序の維持についてであります。  国民一人一人が安心して暮らせる社会を確立するには、各種犯罪に厳正に対処し、治安の確保、法秩序の維持に万全を尽くさなくてはなりません。我が国は、これまで主要先進国の中にあって比較的良好な治安を享受してまいりましたが、最近における犯罪情勢を見ますと、オウム真理教関係者による一連の無差別大量殺人事件や、銃器を使用した強盗殺人事件など、国民生活の平穏を脅かし治安の根幹を揺るがしかねない凶悪重大事犯が頻発しております。他方、公務員による涜職事犯、いわゆる二信組をめぐる大型背任事犯を初めとする各種財政経済事犯が相次いで発生するなど、国民の不公平感を醸成し、政治・行政・経済システムに対する国民の信頼を損なうおそれが生じてきております。また、外国人による犯罪が増加し凶悪化するとともに、諸外国との間において逃亡犯罪人の引き渡し、捜査共助等を要する事件も増加するなど、犯罪の国際化の傾向が顕著となってきております。私は、このような犯罪情勢を的確に把握しつつ、変動する時代の要請にこたえ得る検察態勢の一層の充実を図り、安全で公正な社会の確保に努めてまいりたいと考えております。  また、いわゆる住専をめぐる不良債権問題は、その解決のために公的資金の導入が図られるというものでありますから、この問題に対する国民の不公平感や不信感には深刻なものがあると考えられ、これらを払拭するためには、政府が一体となって、債権回収のための万全な措置を講じることが必要であり、また、関係者らの民事上及び刑事上の責任の所在が可能な限り明らかにされることが必要であると思われます。  検察当局におきましても、不良債権の発生にかかわった関係者らについて、その刑事責任を追及すべきであると認められるような事実が明らかになった場合、あるいは、今後の債権回収の過程において悪質な妨害行為等の不法事犯が発生したような場合には、警察当局等の関係機関と連携の上、鋭意所要の捜査を行い、法と証拠に基づき、これに迅速かつ厳正に対処するものと考えております。そのため、検察当局において、平成八年一月十日及び同月二十四日、東京及び大阪で住専問題等に関する協議会や捜査専従班を設置して態勢を整え、大蔵省から公表された資料をも含め、さまざまな観点から資料や情報の収集、検討等を進めているところであります。  他方、オウム真理教に対する破壊活動防止法適用の問題につきましては、それが基本的人権に重大なかかわりを有する問題でありますところから、法と証拠に基づいて慎重に検討を重ねた結果、同法に定める解散指定請求のための弁明手続が開始されたものでありまして、今後その手続の中で、オウム真理教の弁明を十分聞いた上で、公安審査委員会に対する解散指定の請求をするか否か慎重に判断することにいたしたいと考えております。  また、過激派集団は、破防法粉砕、安保粉砕・米軍基地撤去、自衛隊海外派兵阻止、成田空港反対などを闘争課題に掲げて、依然としてテロ・ゲリラ活動を基軸とする闘争の展開を強く主張しており、今後とも十分な警戒を要するものと考えています。  なお、刑事事件の証人等の被害についての給付制度に介護給付を創設して被害者に対する給付の充実を図るため、今国会に証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案を提出したところであります。  第二は、犯罪者に対する矯正処遇と更生保護についてであります。  まず、去る二月十二日発生いたしました東京拘置所におけるイラン人集団脱走事犯につきまして、近隣住民の方々はもとより、国民の皆様に多大の御心配をおかけし、まことに申しわけなく、この場をおかりし、深くおわび申し上げます。このような事態が二度と起きないよう事務当局に対し徹底した原因の究明と再発防止策の策定を指示したところであります。  言うまでもなく、安全で平穏な社会を確保するには、犯罪者の矯正処遇と更生保護に万全を尽くし、犯罪者の社会復帰の援助にも努めなくてはなりません。  犯罪者の矯正処遇につきましては、改善更生に多大の困難を伴う暴力団関係者、薬物事犯者、累犯者等が高い比率を占める一方、外国人被収容者が急増するなど、依然として困難な諸問題に直面していますが、引き続き被収容者の特性、犯罪傾向等に応じた適切な処遇に努めてまいりたいと考えております。  また、犯罪者や非行少年が現に生活している社会環境のもとにおいて、その改善更生を図ることは刑事政策を全うする上で極めて重要であると認識しており、平素から献身的な御協力をいただいている保護司を初めとする民間篤志家の方々との連携を一層密にして、今後ともこれらの者に対する保護観察の効果的な実施に努めるとともに、昨年五月に皆様の御賛同を得て制定された更生保護事業法の趣旨に沿って更生保護事業の充実強化のための基盤整備にも一層の努力を傾注し、更生保護の実を上げてまいりたいと考えております。  第三は、民事行政事務の効率化、民事法の改正及び訟務事件の処理等についてであります。  国民一人一人の重要な権利の保全にかかわる民事行政事務につきましては、国民の利便に配慮した事務の効率化と窓口サービスの一層の向上に努めてまいりたいと考えております。  民事法の改正に関しましては、法制審議会において民事訴訟法及び民法の改正につき検討が進められてまいりましたが、近く、そのいずれについても改正要綱の答申をいただける見込みとなっております。民事訴訟法につきましては、現在の社会の要請を踏まえ、民事訴訟手続をより充実させるとともに、規定の全文を平仮名、口語体の表記による現代用語に改め、民事訴訟の制度を国民に利用しやすく、わかりやすいものとする観点から検討がされてきたものであり、また、民法につきましては、戦後約半世紀の間に家族をめぐる社会状況が大きく変化していること、婚姻を中心とした家族法制のあり方が政府の施策でもある男女共同参画型社会の形成に重要なかかわりを有することなどから、婚姻等に関する制度をより現在の家族の状況に適合したものとすることを目的として、選択的夫婦別氏制の導入などを中心に検討されてきたものであります。これらについて法制審議会の答申が得られましたときは、これを踏まえて、民事訴訟法案及び民法等の一部改正案を作成して今国会に提出いたしたいと考えております。  また、訟務事件の処理につきましては、近年における科学技術の進歩、社会・経済構造の変化、国民の行政に対する期待の増大と権利意識の高揚等を反映して、事件数が多数に上っているにとどまらず、質的にも複雑困難なものが増加する傾向にあり、その中には、訴訟の結果いかんが国の政治、行政、国民生活等に重大な影響を及ぼすものも少なくありませんので、引き続き訟務事務処理体制の充実強化を図り、適正円滑な事件処理に努めてまいりたいと考えております。  第四は、人権擁護行政についてであります。  人権の擁護は、憲法の重要な柱であり、民主政治の基本でもあります。すべての人々が人権を尊重され、差別を受けない社会をつくり上げるため、人権についての正しい認識を広めていかなくてはなりません。  人権擁護行政につきましては、各種の広報活動によって国民の間に広く人権尊重の思想が普及高揚するよう努めるとともに、具体的な人権に関する相談や人権侵犯事件の調査、処理を通じて関係者に人権尊重の思想を啓発し、被害者の救済にも努めてまいりたいと考えております。  特に、昨今、大きな社会問題となっているいじめの問題を初めとする子供の人権問題、我が国社会の国際化に伴う外国人の人権問題、部落差別を初めとする各種の差別問題につきましては、関係省庁とも緊密な連絡をとりながら、昨年より開始されました「人権教育のための国連十年」の趣旨を踏まえまして、一層きめ細かい啓発活動を行ってまいりたいと考えております。  また、法律扶助制度は、国民の裁判を受ける権利を実質的に保障するために極めて重要なものでありますから、今後ともその充実に努めるとともに、我が国にふさわしい制度のあり方について抜本的な検討を進めるために必要な調査研究にも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  第五は、出入国管理行政の充実強化についてであります。  国際化の著しい進展により、出入国管理行政が国民生活とのかかわり合いを深め、ますます重要なものとなっております。  出入国管理行政においては、国際協調、国際交流の増進への寄与及び我が国社会の健全な発展の確保を基本理念としつつ、この理念に沿って、外国人の円滑な受け入れの促進を図るとともに不法就労外国人問題に対する効果的な対策を推進していく必要があります。我が国と諸外国との間の経済的、文化的交流の拡大等に伴い、本邦に入国する外国人は年間約三百八十万人前後に上っており、その活動の内容はこれまで以上に多様化しております。また、その一方で、そのほとんどが不法に就労していると思われる推計約二十九万人の不法残留者が存在し、社会問題化しております。  このような出入国管理行政をめぐる現下の情勢に適切に対応するため、委員の皆様の格別の御協力をいただき、入国者収容所大村入国管理センター、同西日本入国管理センター等施設の充実が図られたところでありますが、今後も引き続き要員の確保等所要の体制整備を図るとともに、職員研修の充実等に取り組み、より適正な業務運営を推進してまいりたいと考えております。  第六は、司法制度及びそれに関する立法についてであります。  司法試験制度と法曹養成制度の抜本的改革に関しましては、昨年十一月、法曹養成制度等改革協議会の意見書が取りまとめられ、法曹三者に提出されたところでございます。今後、この意見書の趣旨を尊重し、真に国民的見地に立った抜本的改革を実現するための具体的な方策について、最高裁判所及び日本弁護士連合会と誠実かつ率直な協議を行ってまいりたいと考えております。  また、我が国における外国弁護士の受け入れ制度は、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の施行後、円滑に運用されているところでありますが、外国弁護士問題の一つであります国際仲裁手続における代理の問題につきましては、国際仲裁代理研究会の提言、内外の国際民事紛争当事者のニーズ、国際社会の要望等を踏まえ、外国で活動している外国弁護士及び我が国で活動している外国法事務弁護士が国際仲裁手続において当事者を代理することができることとするため、今国会に外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案を提出いたすこととしているところであります。  なお、地方裁判所における民事訴訟事件等の適正迅速な処理を図るため、今国会に裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を提出したところであります。  今国会に提出し、御審議をお願いすることになります法案の内容につきましては、今後、逐次御説明いたしますので、何とぞ十分な御審議をいただき、速やかな成立に至りますようお願い申し上げます。  以上、法務行政の重要施策につきまして所信の一端を申し述べましたが、委員長を初め委員の皆様の一層の御指導、御鞭撻を賜りまして、法務大臣としての重責を果たしていきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 平成八年度法務省関係予算及び平成八年度裁判所関係予算につきましては、お手元に配付いたしております関係資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承願います。

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 この際、お諮りいたします。  本日、最高裁判所涌井総務局長、堀籠人事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。萩山教厳君。

萩山教嚴自由民主党

○萩山委員 時間も私の持ち時間がもう十分食い込んだように錯覚を受けますが、今から二十分の質問をさせていただきます。  大臣の所信表明の中に、国民一人一人が安心して暮らせる社会を確立するということをうたってある。そしてまた、各種犯罪に厳正に対処していかなければならない、治安の確保、法秩序の維持に万全を尽くさねばならない、これは法務省の全くの基本方針であると私は思っております。そしてまた中には、異例ともいえる、大臣の所信表明の中に、去る二月十二日発生いたしました東京拘置所におけるイラン人集団脱走事犯について、近隣住民の方々はもとより国民の皆さんに多大の御心配をおかけした、まことに申しわけなくということがここに明記されております。  まことにもってそのようなことが今度起こったわけであります。それは今回の麻薬事犯における重要犯人、被疑者でありますけれども、イラン人七人が東京拘置所を脱走したという重大な事件であります。これがその被疑者の写真であります。これは亀有署が作成し、全国に、都内に配布したものであります。どうしてこの事態がこうして起きたのかということでありますが、まずもって私は先に断っておきますけれども、私の持ち時間は二十分でありますから、二十分全部質問に充てて、後は回答していただきたい、お答えしていただきたいと存じます。  大体、今まで拘置所というのは鉄壁を誇る、堅固にして頑固な、いわゆる監獄というイメージがあったわけであります。ですから、明治時代のあの監獄法、今も続いておりますけれども、昔は典獄と言って、それはそれは厳しいおきての中で収容者が中に収容されていたというのが通例になっております。そしてまた、東京拘置所というのは、皆さん御存じのように、非常に明るく、そしてまた快適な、快適と言ったら非常に失礼でございますけれども、中の収容者に対してはすばらしい施設であったと言われておるわけであります。大震災によってもあの塀はびくともしませんでした。そして、明治時代に建てられた建物が現在七十年経過し、老朽化しておるわけであります。その中にあって今回の事件が発生いたしました。  どうしてこういう事犯が起こったのか、初歩的な問題が私は視察をする中で見てとらえてきた気がいたします。それは、普通ならば外国人はばらばらに独居房に収容するはずのものが、なぜ六十人も収容されているイラン人の中に八人だけ雑居房に集めたのかということであります。日本人が収容されている中に一人ずつはめ込むということは常識であります。ロシア人がいろいろとあちこちで、北陸方面で逮捕されておりますけれども、すべて拘置所の支所では、あるいは拘置所では、刑務所ではすべてが独居房に入れられて、それぞれの連絡がとれないようにされておるわけでありますけれども、東京拘置所はなぜ八人も雑居の中に入れておいたのかということが一点。  そしてまた、あの頑固、堅固な刑務所をたった二分と五十秒で七人が四十センチと三十二センチの間をかいくぐって逃走した、脱獄したという事実であります。これは、あの拘置所の窓枠はこれくらいの鉄棒でされているわけであります。これを切ると大変な時間がかかります。果たして金のこだけで切れたのかという問題でありますけれども、金のこだけではなかなか切れるものではございません。そう簡単に切れません。だけれども、拘置所の説明ではこれは五十分で切れたと言われております。それはダイヤモンドの刃じゃなかったかということが言われるわけであります。どこから入ったのか。面会のときにでも厳しくチェックをされておりますから、看守が立っておりますし、そしてまた、面会のときにでもお互いに音声が通じ合うように穴がありますが、穴は完全に通っておりません。クロスされております。ですから、あそこから入れるのも至難のわざである。ですから、面会のときはほとんどないと思います。  じゃ、どこから入れたのかということになりますと、やはり差し入れではなかろうかなという思いがいたしました。そして、差し入れの中で、今、昔と違ってセンサーが置かれております。本をあのセンサーを通しますと、大体こういう平たいところに隠したものはすぐレントゲンで発見されます。だけれども、一冊の本で高い本は、ここに挿入されるとあのセンサーを通っていってしまいます。全然発見されません。大阪拘置所に私も勤務しておりましたが、昔ならば破ったものです、全部。襟も外します。こういうものも、差し入れてきた場合には襟も外す。石けんに加工してきた場合は石けんもぶち壊す。  すべて昔は差し入れがなされましたから、すべてのものを破壊してその捜検をしたものでありますけれども、今回私は見てまいりまして、これならば容易にダイヤモンドのこぎりが入るということを、私は、そのときは言いませんでしたけれども、見てまいりました。だから、あのセンサーがブザーが鳴らない、なぜブザーが鳴らないと言ったら、ホチキスでも反応するからブザーが鳴らないというような笑い事を言っている。これは言語道断なんだ。骨身惜します捜検しなければならぬのです。本が何百冊入ろうと全部ばらせばいいのです。本をばらすぐらいのことは何でもないのです、復元してやればいいのだから。それを怠ったばかりに、拘置所の中にダイヤモンド刃が入られてしまった。  そして、この一点と、三点目。あの雑居房の中に、常時大体十五分程度で巡回をいたしております。この脱走した日は振りかえ休日であり、三連休であります。ですから、捜査があるいは巡回が手薄になっていたのではないかな。当然謀議をして、これに私は当てはまるものと思います。そして、のこぎりで切る。これは昼間切る。水を流したと言われておるのですけれども、水道の水でこの音をかき切ったと言われております。確かにあの広い房の中ではこの音はかき切ることは簡単であります。そして、イラン人はコーランを歌いながら、合唱しておったということを言われております。  そこで、十五分ずつ巡回に来るということが事前にイラン人の被疑者にわかっていた、だから時計をはかりながら十分ごとに作業をすれば、またもとに戻っておればできるわけであります。独居房ならば小さな窓一つでありますけれども、雑居房なら両脇に窓があるわけでありますから、回って、刑事のような鋭い勘を働かせれば、ちょっと不審ならば六感が働くわけでありますけれども、そこを巡回したのは二十五歳の青年である。経験不足も甚だしいわけでありまして、老練なというか練達の士はその日は三カ日振りかえで休んでおったのでしょう。そんなことではどんな強固な刑務所でもやすやすと脱獄されてしまうのです。  そしてまた、刑務所の中に、大体一月(ひとつき)捜検というものを行います。捜検というものは、部屋の中を全部改めるわけです。そしてまた、窓を手でたたきます。たたけば、小便をかけてここを腐食させるあるいはみそ汁をかけて腐食させる、そのうちにこれがぽろんと落ちる、そのときに看守が行ってそれをたたけば未然に防ぐことはできるわけてあります、  そしてまた、今刑務所の盲点になっているのはシーツであります。シーツは、汚れるからシーツを与えているんだということになっておりますけれども、シーツがすべての自殺の道具にもなり、そしてまた脱獄の道具にもなっております。  悪いことに、所長さんも非常にかわいそうであった。悪条件が重なるとああいうことになるんだなということを私はつくづく思いました。  彼らは、七人雑居房に入れられて、謀議をして、そして外との連絡をとった。どんな連絡を取り合いしたか、私は保安部長にも、課長にも聞きましたが、わからない。私は、思うに、あのスペイン語で入っていた書物の中に、あいうえと、日本で言うならあいうえおになっている、その中に、頭に点を打っているはずです、よく熟読すれば。それをつなぎ合わせると、いつ幾日脱走するから外に待ち受けてくれということの暗号が書かれているはずであります。それすら調べていない。その本は私は見ることができませんでしたけれども、警察に押収されていると言われておりました。  そしてまた、二分五十秒で脱走したその被疑者がどこに到達したか。中に塀が幾重にもあるわけです。二メートルの塀もあれば、外の外壁と同じ塀がもう一個、五メートルの塀があるわけですから、そんなにたやすく逃走できるものではないのです。  それが、幸運にも、彼らにしたら幸運にもというか、そこに工事現場があった。私も見てまいりました。こんなところに工事現場を置いて放置しておったらこれは脱獄は容易だということを私は改めて認識をしてまいりました。この中に鉄さくのあのパイプがたくさん置いてあり、工事現場に使用されている、それを二本ぐらい継ぎ合わせれば、五・四メートルぐらい幾らでもはしごができるわけであります。  それで、はしごをつくって、八枚のシーツを持って出たのでしょう、それではしごをつくり、第一のハードルを何で越したか。最初は二メートルの塀垣でありますけれども、二メートルの塀垣は簡単に、彼らははだしで、刑場の方、死刑執行場の方に消えているのです。  そこから、今度は第一のハードル、五メートルの大きな塀を乗り越えるわけでありますけれども、はしごをかける。そして、みんなが向こう側の外側におりる。そのときには、そのシーツを縛ってありますから、簡単に、しかも東京拘置所というのは七十年もたっているから塀垣は府中の刑務所のようなつるつるじゃありません、がさがさです。ですから非常に摩擦があるから脱走しやすい。その上に彼らは一たんおりて、今度はそのはしごを最後の者が持ち上げて、その次の瞬間にまた次の塀に行くわけです。塀に行って、また同じことをやって、彼らは堂々と逃走してしまった、脱獄してしまった。  そのときに触れたのが、いわゆる非常線という刑務所の外に張られております防犯線であります。この防犯線たるや、どれだけ鳴ったのかチェックをされているのは所長から見せていただきましたが、ハトがとまっても鳴る、ネズミが通っても鳴る、昼間野球ボールをぶつけても鳴る。鳴るから安易に考えていたということが言われるわけであります。日ごろの訓練がなっておらぬ、大体。  大体、ここの総理官邸でもそうですが、同じものが張ってあるのです。一たび鳴ったら、内側に飛び出すんじゃだめなんですよ。特警隊は外に飛び出して、直ちに外を検索するような行動力があってほしかったなと私は思う。  それはなぜできなかったのか。結局、この刑務所から脱獄はできないんだ、安易な勤務、マンネリ化してしまった、一つのノルマを消化すればいいんだという看守の——昔は看守といったのですよ、今は刑務官というけれども。そういう連中が、今日の日本をして法秩序を乱すようなものを、世界からも笑われ物になるような大事犯を引き起こしてしまったのです。  大体七人も逃走した事件がいまだかつてありますか、どこかに。集団脱走ですよ、これは。アメリカならカ−ビン銃でだだっとやりますけれども、日本ではそういうことはないんだから。七人も脱走したのは前代未聞なんです。これを、法務省は襟を正して、矯正業務——今までは監獄であり、応報刑であった。今の刑務所というのは教育刑であり、矯正して社会復帰をさせるというのが目的でしょう。その点について甘くはなかったかということも言われるわけであります。  ですから、私は、今皆さんに質問いたしましたいわゆるのこぎりの所内に持ち込みの件、そしてまた、十五分ごとの見張りというものをもう少し不定期型に、相手にはいつ来るかわからないという判断をさせるように、十五分ごとに来たら、もう十五分来たらもういいな、看守来ないな、はい、やれよ、やれよ。また十五分、はい、ストップ。はい、寝ましょう。はい、水とめて。こんなもの簡単に彼らはやってのけるのですよ。どうしようもない。本当にどうしようもない。  だから、こういうことを、やはり今までどおりのマニュアルではなくて、今度は改めて、そういうものは囚人あるいは被疑者に対して知識を与えないようにしておく。いつ来るかわからないぞという間隔でいわゆる巡回をしなければならない。  捜検も、一月二回というのは大体少ないですよ。二回というのは、これはもってのほかだ。我々のときは、昔はもう毎日やったぐらいですから。徹底的に捜検しました。たばこ一本のんだって——拾ってくるのですから、公判廷の中から。草履の後ろに飯粒をつけていって、そして看守に見えないようにたばこを押さえて持ってくる。それを口の中に入れて知らぬ顔をしている。舎房に来たら火をおこす、まさに原始時代の火をおこすようなことをしてたばこを吸う。それを私たちは発見して、罰として懲戒房にほうり込んだものです。  厳しかった時代を思い出しておりますから、今の看守は一体たるんでいるのではないかと、私はそう思わざるを得ない。そしてまた、サラリーマン化しているのではなかろうかと思われます。我々は今日、この政治を眺めながら、政治家もそうですが、経済界もそうである、日本全体がおかしくなっているのじゃないかなという気がいたします。その中にあって、いわゆる法務官僚は襟を正して厳しく対処していただきたいと思っておるわけであります。  最後に、私から要望いたしておきますが、官房長もきょうは来ておられますから、拘置所が老朽化しているというか、雨漏りも激しい。一度官房長見ていらっしゃい。三階は使いものにならない。雨漏りしている。このバケツは何だいと言ったら、雨漏りのために置いてあります、どこの拘置所に雨漏りするような拘置所がありますか。早速大蔵省と折衝して予算をつけてもらって、政務次官にも一生懸命、力になっていただいて、あの拘置所をやはり立派なものにして、収容者が、あるいはまた付近の方々が安心して枕を高くして寝られるようにしなければならない。その予算どりについての御説明をお願いしたいと思います。  そしてまた最後に、この事犯によって第二次事犯が起こらなかったこと、都民に迷惑はかけなかったことがせめてもの私は幸せだと思っております。これがまだ、一人逮捕され、あと六人残っているわけでありますから——イランは麻薬に対する刑は極刑であります。厳しいのです。だから彼らは、日本にも極刑があるのかなという思いと、彼らは不法入国いたしておりますから、何とか逃走すれば、今まで逃げおおせてこれたのだから逃れれば何とかなるという考えで彼らは脱走したに違いありません。  そしてまた、東京拘置所の六十人ものイラン人、韓国人、ロシア人、たくさんおると思うのです。その方をやはり分類をして、各部屋、個別に独居房に入れるように、ひとつこれからも法務省の直轄的な指導をお願いしたいと思っております。  要望し、この質問に答えていただきたいと存じます。

東條伸一郎法務省矯正局長

○東條政府委員 お答え申し上げます。  まず、お答え申し上げます前に、被収容者の身柄の確保を最大の責務といたしております行刑施設におきまして今般七名の集団逃走事故を発生させましたこと、まことに遺憾きわまることでございます。担当部局の責任者として深くおわびを申し上げたいと思います。  ただいま先生から何点かの御指摘がございました。その御指摘の順に従ってお答えしてまいりたいと思います。  第一に、外国人であるイラン人をなぜ八名雑居に入れておいたか、こういうことでございました。御指摘のとおり、北舎一階の舎房に逃走者七名を含む八名のイラン人を収容しておりました。  その経緯について、若干長くなりますが御説明申し上げますと、東京拘置所では原則として外国人被収容者は独居ということにいたしておりましたが、言語の相違から職員との意思疎通を十分に図ることができなかったり、風俗、習慣の相違や裁判制度の不知などに由来する不安感などから心情の安定を欠く者が非常に多く、その結果、暴行したり、あるいはハンストをしたりして職員に抵抗したり、あるいは自殺を企図するなど、たびたび保護房に入れざるを得ないような極めて困難な対応を強いられる者が多くございました。  そこで、平成四年当時、これらの外国人被収容者の心情の安定を図るために、共犯関係や行状等にも十分留意して、同じ国籍の者あるいは同じ言語を使用する者の雑居拘禁を試みましたところ、心情面で効果的である、落ちついてきたということで、イラン人、中国人、パキスタン人などの雑居房を開設するに至ったわけでございます。その後、先生御承知のように、外国人の被収容者が急増しておりまして、その配房の都合もありまして、現在まで外国人の雑居処分が継続され、事故発生当時にはイラン人雑居房一カ房及び中国人雑居房三カ房が設けられておりました。  なお、このような雑居房に入れます者の選定基準は、一応、まず犯した罪が殺人等の凶悪犯でないこと、それから同一居房に共犯者がいないこと、それから所内生活上、対人関係などに問題がなく、集団生活に対応できることという基準で選んでまいりました。  なお、事故発生の翌日から、雑居でありましたことを反省いたしまして、外国人についてはすべて独居房に移す措置をとりました。それが第一点でございます。  第二点の、この脱走に使われましだ用具がどのように持ち込まれたか、先生から厳しい御指摘がございました。私ども、今現在鋭意調査をいたしておりますが、逃走いたしました者がまだ全部捕まっておりません。先ほど、未確認の情報でございますけれども、一名捕まりまして残っておりました六名のうち、二名がけさ逮捕されたという情報に接しておりますが、今確認中でございます。  いずれにしましても、一番知っているのはその者たちでございますが、一人残った者の調査その他から今までのところの調査結果を総合いたしますと、やはり先生御指摘のように、差し入れ物の中に隠匿されて持ち込まれたのではないか、このように考えております。先生から厳しく御指摘がございましたように、この差し入れ物のチェックの体制がやや甘かったと言わざるを得ないと思っております。現在いろいろな形を想定しまして差し入れられる態様に応じてどのようなチェックが可能かということを検討いたしておりますが、エックス線の差し入れ検査機及び金属探知機を併用する方法、さらに、書籍につきましてはもう一度ダブルチェックをする方法、その他いろいろ早急に講じたいと思っております。  それから、巡回の問題について御指摘ございました。先生の御指摘では、十五分ごとに看守が回ってくるということを被収容者は知っておって、その時間帯を外して悪いことをするということがあったのではないか。御指摘のとおり、原則として十五分に一回回るということにさせておりますが、これは先生もあるいは御承知かと思いますけれども、一定の順路、方法でいつも同じ方向に回るということではなくて、逆戻りをしたり変更したりすることで適宜回るという形で、いつも十五分に一回ずつ必ず時計の針のようにやってくるという形はもちろんとらせておりません。しかし、この方法も、問題意識がなくして回っておりますととかくルーチンで、同じところをチェックしておけばいいだろうということになりかねませんので、ここら辺も十分にこれから職員研修会あるいは指導ということを通じて勉強させてまいりたい、このように考えております。  それから第四点でございましたか、担当の看守が経験不足ではなかったか、これは先生御指摘のように、当時の担当の看守、確かに若い職員をつけておりました。東京拘置所の実情を申し上げますと、いわゆる被収容者に直接接触をする、私ども、処遇部門と今申しておりますが、処遇部門の職員の平均年齢は三十三・四歳、比較的若く、十分な経験を積んでいない者も多いのは事実でございます。本件事故の背景にこれらの職員の経験不足ということがあったことも否めないと思います。  ただ、基本的には、先生から今厳しく御指摘がございましたように、昭和三十年以来逃走事故がなかったというこのことに、現場で苦労している職員には私、情においてやや忍びないのでありますけれども、やはり気の緩みと言わざるを得ないようなもの、安心感といったものがあったのではないか。やはり全体を通じて事件を反省いたしますとそういうものが各所に出てまいりまして、具体的にいろいろな形であらわれてきた、このように思って反省をしております。現在この事故の反省に基づいて、動静視察の徹底ということについては、従前にも増して職員に対する指導を強化してまいりたい、このように考えております。  それから、防犯線その他設備の問題についても御指摘ございました。さらに改築についてのお話もございました。  防犯線についてはいろいろ問題があります。先生御指摘のように誤報といいますか、そういうもので、また誤報かというような感じで受けとめる。実は、昨年の一年間に二千数百件、全国の行刑施設で防犯線が鳴っておりますが、これはいずれも逃走とか侵入とかいう事故に関係のない、いわば結果的には誤報であるということがわかったということでございまして、この防犯線をもうちょっと誤報の少ないものにかえる、あるいは防犯線にかえて赤外線センサーを適宜配置して、そこを通過すれば直ちに警報が鳴る、つまり塀に達する前に警報が鳴る。その他、現代の進んだ技術が生み出しておりますいろいろな器具がございます。そのような器具を十分に活用して、現在、先生御視察いただいておわかりいただけましたように、東京拘置所、大変古くなっておりまして改築をお願いしておりますが、改築に当たってはそのようなものを十分取り入れて、塀その他で非常に問題もございますので、地域住民の方々から受け入れていただけるような、しかも安心して見ていただけるような拘置所を構築してまいりたい、このように考えております。  再度おわびを申し上げまして、今後、職員の綱紀の振粛という問題も含めまして、私ども、省内一体となりまして現在再発防止の施策に全力を挙げておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

頃安健司法務省大臣官房長

○頃安政府委員 東京拘置所の建てかえの早期実現につきまして堰全力を尽くして当たる所存でございますので、今後ともよろしく御支援いただきたいと存じます。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 まず最初に、今回、七名の集団逃走事故を発生させましたことにつきまして、法務大臣といたしまして心より深くおわびを申し上げます。  先生からは非常に具体的な形でいろいろな意味の御指摘がございました。今いただきました御指摘をさらに私どもも深く受けとめまして、原因の究明、今後の再発防止のために取り組んでいかなければならないということを痛感いたしていたところでございます。  今回の事故が発生いたしました直後に、全国のこういりた矯正施設に対しまして、矯正局長からすぐに通達を出しました。また御指摘にもございましたが、本当に根本的にこういった体制を考えていく、今までのやり方について、やや惰性に流れていたのではないかということ、ごもっともだと思っております。私も、この件につきまして省内で基本的に検討してほしい、プロジェクトチームをつくって全省挙げて検討してほしいということを申しまして、事務次官を委員長といたします東京拘置所逃走事故調査委員会を設置したところでございます。なるべく早くこの結論を出しまして、具体的な方向を我々として確認をいたしまして、二度とこういった事故のないよう保安警備体制を強化してまいりたいと思っております。  どうもありがとうございました。

萩山教嚴自由民主党

○萩山委員 政務次官にもよろしくお願いいたしますよ。  きょうは本当に、時間をとりましてまことに申しわけありません。心からおわびを申し上げて、また答弁も前向きの立派な答弁であったことを私は再確認しながら、ここで質問を終わります。

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 横内正明君。

横内正明自由民主党

○横内委員 自由民主党の横内正明でございます。私はオウム真理教事件、特に破防法の適用の問題を中心にしまして幾つかの点について質問をさせていただきたいと思います。  オウム真理教に対する破防法の団体規制、破防法の適用につきましては、公安調査庁が昨年の十二月十四日に破防法に基づく団体規制を適用するということを決定されまして、手続に着手をされました。それに至るまでの間いろんな紆余曲折があったわけでございます。とりわけ法曹とかマスコミの一部に反対もありましたし、また、政府・与党の中にも慎重意見があったわけでございますけれども、公安調査庁としては証拠を積み重ねてこういう決定に至ったということで、敬意を表したいというふうに思います。そしてことしに入って一月十八日に第一回の弁明手続ということで、公安調査庁が証拠を開示して、オウム教団側が弁明をするという手続がありました。  そこでまず第一点は、今後のスケジュールですね。仄聞するところによりますと、オウム教団の代理人との間で今後のスケジュールをいろいろ打ち合わせをしているんだけれどもなかなか難航をしておるというようなことも新聞報道では言われておりますが、第二回の弁明、それからその後のスケジュールをどういうふうに公安調査庁として考えておられるのか、まずその辺からお伺いをしたいと思います。

杉原弘泰公安調査庁長官

○杉原政府委員 公安調査庁といたしましては、できるだけ早い機会に次の弁明期日を実施したいと考えておりますけれども、具体的には時期はまだ決まっておりません。なお、本年二月八日に団体の代理人と今後の弁明手続の進め方につきまして打ち合わせを行いました。  当庁といたしましては、麻原が弁明期日に出頭して弁明したいという意思を有しているのであれば、いずれかの機会に麻原に弁明の機会を与える意思があるということをその際に伝えますとともに、とりあえず、麻原の出頭を必要としない求釈明に対する回答書の内容の告知とかあるいは私どもの方からする追加証拠の提示を内容とする弁明手続の期日を三月上旬に行いたいということを、その打ち合わせの際に申し入れました。しかしながら、これに対しまして団体側の代理人は、麻原が出頭しない弁明手続の開催には一切応じられないという態度でございまして、残念ながら結論を得るに至りませんでした。  私どもといたしましては、できるだけ早い時期に次の期日を開催できるように引き続き尽力をしていきたい、かように思っております。

横内正明自由民主党

○横内委員 今長官のお話にもありましたけれども、マスコミの報道によりますと、一月十八日の第一回の弁明が大分混乱をしたということがあるようでございます。四十年来初めての経験でありますから混乱をするのも無理もないという面もあります。特に裁判のように判定者がいないということもあって、当事者同士でやるものですからなかなかスムーズにいかないというようなこともあったというふうに聞いております。ただ、マスコミの報道は、どちらかといえば公安調査庁のもたつきが目立ったというような、公安調査庁側に厳しい報道がなされているように見受けました。  そこで、今長官のお話にもありましたが、麻原彰晃が弁明の場に出るかどうかというのが一番大きな問題だったようでございます。これを公安調査庁側は、警備上、捜査上あるいは公安上の理由から拒否をしたということでございます。今のお話ですと、いずれかの機会に弁明の機会を与えたいということでございますけれども、それはおっしゃるとおりでありまして、やはりオウム真理教というものが麻原彰晃によって独裁的に指揮をされているということでありますから、国民の目から見れば、これはなるべく早く麻原彰晃を出させて弁明をさせたらいいじゃないかというのが当然の国民の感覚だろうというふうに思います。  今お話がありましたけれども、もう一回、公安調査庁のその点についての方針を伺いたいと思います。

杉原弘泰公安調査庁長官

○杉原政府委員 委員御指摘のとおり、本件規制対象団体におきまして麻原が絶対者として支配しておりまして、同人によってこのオウム真理教という団体の意思が決定されております。この団体の構成員は、その麻原の意思決定をそのまま実行に移してきたという事実を考慮いたしますと、麻原が弁明期日に出頭して弁明したいという意思を有している以上、弁明手続のいずれかの段階では、麻原に出頭して意見を述べる機会を与える必要があるというふうに私ども考えております。

横内正明自由民主党

○横内委員 そこで、第一回の弁明へ麻原彰晃を出させることに反対したのは、警察が、特に麻原彰晃を勾留している警視庁が反対をしたというふうに聞いております。その辺が事実かどうか、その辺の経緯を警察庁の方から伺いたいと思います。

田端智明警察庁長官官房総務課留置管理官

○田端説明員 一月十八日に行われました破防法弁明手続への麻原こと松本智津夫の出頭につきましては、身柄を勾留している警視庁が、同人の身柄及び治安全般に責任を有する立場から認められないと判断したと承知いたしております。  具体的には、一連の被告事件の共犯被疑者がいまだ逃走中であるほか、未解決の被疑事件もあるという情勢下で、奪還やテロ等の対象ともなっている松本智津夫を出頭させることは、弁明会場への護送、会場内外の警備等において困難が予想され、また同人に対し事件等に関する弁明を認めた場合、その発言や動作が、逃走中被疑者を含めた信者に対するメッセージとなり新たなマインドコントロールを増幅させるおそれもあり、治安上問題があると警視庁がその時点で判断したというふうに承知いたしております。

横内正明自由民主党

○横内委員 今の警視庁のお話を聞いていまして、警察の立場として相応の理由があることはわかるわけでございます。とりわけ麻原彰晃が弁明をしますと、それが逃走中の被疑者に対してメッセージとなって新しいテロを誘発するおそれがあるというような御心配、その辺はよくわかるわけでございますけれども、しかし、かといって麻原彰晃の出頭を認めないということになりますと、これは破防法の手続が進まないということになるわけですね。  一方でオウム教団側は麻原彰晃を出頭させたい、こう言っている。それを出頭させないということになりますと、いってみればデュープロセスといいますか、法律の適正手続に欠けるということになって、仮に裁判が起こされたときに、それは違法な手続だということになるんではないかというふうに思います。したがって、警備上の理由から麻原彰晃を出頭させないということになると破防法の手続が進んでいかないということになるわけでありますけれども、一方で破防法の手続というのは、これは内閣総理大臣まで話をして、政府として決断をしたことでありますから進めていかなければなりません。  そこで、警察としてはその辺をどう考えるのか。政府の方針に反するつもりはないんでしょうけれども、将来の方向として、これから公安調査庁といろいろ相談をされると思うんですけれども、そういう心配があれば将来とも一切それは認めないということなのかどうか、もう一回ちょっと伺いたいと思います。

田端智明警察庁長官官房総務課留置管理官

○田端説明員 次回以降の弁明手続が、期日が設定されますれば、公判や捜査のその時点での進展状況を踏まえ、警視庁が諸般の事情を総合的に勘案して判断することになるというふうに承知しております。

横内正明自由民主党

○横内委員 もう一つよくわからないんですけれども、それ以上のことは恐らく言えないということなのであろうと思います。  いずれにしても、破防法の手続が一切進まないということでは困るわけですから、十分公安調査庁と相談をし、もちろん警察の立場はよくわかりますけれども、余り、百点満点でなければ絶対に麻原彰晃はだめだよ、心配が多少ともあれば一切だめだということになれば、これは進まないということになりますから、十分相談をして、警備には万全を期した上で、必要な時期には麻原彰晃の弁明を認めるという方向で進めていただきたいというふうに思います。  それからもう一つ、マスコミの報道で問題にされておりました点は、破防法が仮に適用されて教団が解散ということになったときに、具体的に教団のいかなる活動が許され、あるいは禁止されるのかというところでございます。言うまでもなく、破壊活動防止法は、解散の指定がありますと、「当該団体のためにするいかなる行為もしてはならない」と規定されまして、これに違反すれば「三年以下の懲役又は五万円以下の罰金」ということになっております。  そこで、その禁止される、団体のためにする活動というのは何なのかということが当然これは問題になるわけでございます。しかし、なかなかこれは難しい。教団の信者が個人で礼拝をしたり、あるいは修行をするというようなことはこれは認められるのでしょうけれども、ある人数がまとまって一緒にそういう礼拝だとかあるいは修行をするということになるとそれは認められるのか。それも多分認められることになるのだろうと思うのですが。しかし、では今度はオウム真理教団としてそういうことをやったとすればそれはどうなのかとか、なかなか線の引き方が難しいというふうに思うわけでございます。  現在の法律の規定が非常に抽象的なわけでございますけれども、今まではこれは動いていなかったからそれでいいわけでございますが、いよいよ破防法を動かすということになる以上は具体的にそこのところを明らかにする必要があるのは当然でございます。  具体的に公安調査庁として、どういう行為を禁止する必要があるからこれを適用する、そのために公安審査委員会に出すのだ、そこのところをはっきりさせぬと審査委員会の審理としても困るのではないかと思いますので、早期にそれを出す必要があるのではないかと思いますけれども、その辺についてどういうふうにお考えか伺いたいと思います。

杉原弘泰公安調査庁長官

○杉原政府委員 御指摘のとおり、どのような行為が団体のために禁止される行為に当たるのかという点については大変重要な点であろうと思います。これにつきましては、このオウム真理教という団体の性格あるいはその活動等に即して、具体的にどういった内容の行為がそれに該当するかということにつきましては、しかるべき時期にしかるべき方法で団体側とあるいは一般社会に対して示す必要があろうかと考えております。現在そのことについて検討中でございます。

横内正明自由民主党

○横内委員 しかるべき時期というのは公安審査委員会にその審理を求める時期ということでございますか。

杉原弘泰公安調査庁長官

○杉原政府委員 少なくとも現在はまだ弁明手続の途中でございまして、規制請求にも至っていない段階でありますから、現在ではまだ時期尚早であると考えておりますが、それではいつの段階でそれを明らかにするかということになりますと、やはり私どもとしては、少なくとも規制処分が行われるということがほぼ確実になった時点ではそれは必要ではなかろうかと思っておりますけれども、その辺の時期についてはいま少し検討させていただきたいというふうに考えております。

横内正明自由民主党

○横内委員 次の問題に移ります。  オウム真理教被害対策弁護団というのがあります。これはオウム真理教によって殺害された坂本弁護士を中心に結成をされて、今までオウム真理教のいろいろな犯罪の摘発に非常に力があった弁護団でございます。このオウム真理教被害対策弁護団が破防法の適用に反対をし、反対の意見書を、雑誌の「法学セミナー」の三月号に「意見書」として公表をしております。これは、特にこの弁護団というのが過去そういうふうにオウム真理教と非常に闘いを続けてきた、それだけの実績を持った弁護団ですね。したがって、また教団の実態もよくわかっているということがあるものですから、私も読んでみましたけれども、かなりの説得力がある部分があるわけであります。  その弁護団の意見書は、十二月十四日に公安調査庁が出した文書で、「オウム真理教に対する破壊活動防止法の適用について」という文書がありますが、新聞にも公表されましたが、この公安調査庁の見解に対して逐一批判を加え、結論的に、公安調査庁の主張は法律的にもずさんきわまりない、こういうふうに言っているわけなのです、それは御存じだと思いますけれども。  そこまで決めつけるというのは、やや私としても、これを読んでみて大変に気になるわけでございます。ちょっと見逃すわけにはいかないと思っておりまして、これは反論をし出せば膨大な反論が必要となると思うのですけれども、特に気がついた幾つかの点について公安調査庁の考え方を今伺っておきたいというふうに思います。  第一点は、オウム真理教教団の現在の実態についてということでございます。端的に言うと、どのくらいの力を温存し、将来再びああいったテロ行為、暴力主義的破壊活動を行う危険があるのかどうかという、教団の現在の実態についての認識が相当食い違っておるわけでございます。  公安調査庁の文書によりますと、オウム真理教は、現在なお約八百人の出家信徒と約七千五百人の在家信徒が麻原の教えを信奉して団体にとどまっている。また既に釈放された者、執行猶予判決を受けた者など相当数の者が教団に復帰し、それから新たな信徒の獲得にも成功しているということで、今後破壊活動が行われるそういった条件が整っているのだ、現在も持っているのだというふうに公安調査庁の文書は言っているわけでございます。  しかし、この弁護団の意見書によりますと、そういう教団の現状把握については明らかに誤っているのだというふうに言っているわけですね。  具体的には、教団の出家信者数が約八百名、在家の信徒数が約七千五百名というふうに公安調査庁は言うけれども、これは恐らく昨年夏時点での数字である、それ以降信者数は漸減をしていると言っております。そして、現在時点の出家者数は合計約三百名から四百名ぐらいだ、在家信徒数はせいぜい数百名程度ではないだろうかと言っております。そして、教団の主要幹部のほとんどが既に逮捕、起訴されており、教団は教祖の意思あるいは指示を実行に移していけるような状況は失われている、こういうふうに言っております。また、現在の信者の気持ちとしても、ほとんどの信者は、教祖の命令にすべて無批判に動くというような状態ではなくなっているというふうに言っております。  端的に言うと、このオウム真理教教団というのはもうほとんど崩壊過程にあって、将来何か危険なことを起こすようなそういう実態は失われているということを言っているわけでございますが、この点について、簡単で結構ですから、公安調査庁の御見解を伺いたいと思います。

杉原弘泰公安調査庁長官

○杉原政府委員 委員御指摘の「法学セミナー」につきましてはつい最近出たもののようでして、実は私、今先ほど手に入れたばかりでございますので詳しくは存じませんが、またその点についての反論ということについては必ずしもこういう席上で適当ではないかと思いますけれども、委員からの御質問ということで若干お答えさせていただくとすれば、私どもといたしましては、これまでの調査で、第一回弁明手続で記述において示した内容につきましては証拠によって明らかになったというふうに考えておるわけでございます。  その「法学セミナー」の内容となっている疑問点につきましては、その著者がどのような証拠に基づいてそういった主張をされておるのか、必ずしも、そこを確認しないと判然としないところもあろうかと思いますが、少なくとも私どもの確認しておりますところでは、昨年の十一月現在でも、やはり八百人の出家信者と七千五百人以上の在家信者がいるということは確認いたしておりますし、その後も順次確認いたしておりますが、全体として、多少の減少はあるとしても、実質的に大幅な減少はない、出家信者についての減少はないというふうに私ども考えております。  それからまた、何よりもこの教団の本質的な危険性というものは、その構成員が麻原に絶対的に服従して、正常な判断力を失っている、危険な教義と政治上の主義を堅持する麻原の教えを盲信して、その命令あるいは命令であるとの幹部の指示があればそれを忠実に実行するような体質、マインドコントロール下にあるということであります。  また、オウム真理教の教義あるいは政治上の主義を変更できる者は麻原ただ一人でございまして、麻原はこれを放棄しているわけではありませんし、またその正当性を頑強に固持して、麻原を信奉する本団体の構成員を支配する原理になっているという状況は今でも変わらないというふうに考えているわけであります。  したがいまして、宗教法人法に基づく清算の手続、あるいは今後例えば破産法に基づく財産整理等が行われることはありましょうが、そういったことももちろん考慮の対象になりますけれども、本質的には、今申しましたようなところが変わらない以上、やはり危険性は依然として存続しているというのが私どもの判断でございます。

横内正明自由民主党

○横内委員 長官言われるように、この弁護団も別に具体的な証拠を提示をして言っているわけではありませんから、これはある意味では認識の、見解の相違みたいなことになってしまうわけでございますけれども、気になる点だけを指摘をしておきますと、例えば、オウム教団が今後破壊活動を行う能力についても随分食い違っているわけですね。  この公安調査庁の文書によれば、「毒ガス・毒物等を製造する可能性も十分ある」、資金面でも年間数億円の収入が見込まれて、「青酸ガス、キロ単位のサリンの製造程度の武装化を開始するための資金力も備えている」ということで、依然としてそういった危険な武器を製造をする能力を十分備えている、こういうふうに言っているわけですが、この弁護団の意見書によりますと、サリン製造プラントその他のものは刑事手続で既に差し押さえられておって、教団が使用することはできない状態である。したがって、簡便な武器を製造するという能力はあるかもしれぬけれども、そういう能力というのは決して突出した能力とは言えない。ほとんどの国民、団体が持っている能力と変わらない能力でしかないというようなことも言っております。  それから、麻原彰晃教祖が現在でも教団を掌握し、そしてその指導、指揮をしているかどうか。具体的に、教団について具体の指示を出し、右と言えば右、左と言えば左というような、そういうふうに教団を指揮する、そういう状態になっているかどうかということについてもかなりの食い違いが見られるわけでございます。  公安調査庁によりますと、「麻原逮捕後も、接見を許されている弁護士を通じ、麻原の教団支配が貫徹されている。」という言い方をしているわけでございますけれども、この弁護団の意見書によりますと、麻原教祖に接見禁止がついている現状でも破壊活動の指示が行われている可能性を公安調査庁は指摘しているが、しかし、一体どのようにしてそれが行われているというのであろうか。接見することの可能な弁護人によって教祖の指示の意思が現在も伝えられているとでも言うのだろうか。想像の域を出ない空論であると言うほかはないというような言い方をしているわけでございます。  確かに私も多少疑問に思うのでございます。この公安調査庁の文書によりますと、接見を許されている弁護士を通じて教団を支配をしているという言い方をしているのですが、弁護士というのは、これは国選弁護人なんだろうと思うのですが、国選弁護人を通じて何か教団についてああしろこうしろというようなそういう指示を麻原彰晃が出しているのかどうか。国選弁護人がそういうメッセンジャー的な、パイプ役みたいなことをやっているのかどうか。そこまではやっていないのじゃないかなという気も、私も素人ですけれどもそういう感じもしなくもないのですけれども、その点についてちょっと何か御意見があれば承りたいと思います。

杉原弘泰公安調査庁長官

○杉原政府委員 幾つかの点についてお尋ねがありましたが、まず最初に後の方の御質問、つまり国選弁護人等を通じて麻原の指示が信者等に伝達されている事実があるかということでございましたが、私どもの調査によりますと、例えば麻原は過去に接見に訪れた弁護士が持参した録音テープを利用してメッセージを送ったという事実がございました。これを受けて、説法会でこのテープの内容が公表され、他支部で開催された説法会でやはりその内容が伝えられたという事実がありまして、そのことは本団体の機関紙にも掲載されております。そういったことがその後他の弁護士についても同様に行われたということを断定することはできませんけれども、過去にそういう事実があったという事実。  それから、そういったことのほかに、この団体が麻原のメッセージを引用した上で、麻原のメッセージを以後の活動方針とするというふうに指示しているというようなこと、あるいは宗教法人オウム真理教の責任役員の交代、あるいは信徒の修行方法、昇格人事、それから布施の方法、お布施ですね、そういったものの徴収、布施の徴収など、さまざまな事柄につきまして具体的に房内から、監獄内から指示をしているという事実は、関係者の取り調べを通じまして、間接的ながら確認されております。  そういうことから明らかなように、一応勾留中ではございますが、団体を支配下に置いてこれを運営しているという現状にはやはり変わりがないというふうに考えております。  なお、そのオウム真理教の代表役員代務者の村岡達子という者が、今年の一月二十四日に信徒に対する人身保護請求に伴う審問のため大阪地裁に出廷いたしました際に、麻原について、最終解脱者は麻原尊師だけで、尊師にかわる人はいない、このようにした上で、教団は今後も宗教活動を続けていくというふうに証言していることからも、私どもはそのように考えているわけでございます。  それから、先の質問、つまり教団の施設等が差し押さえられ、プラント等も機能が停止しているからサリン等の危険な兵器等をつくる能力はないのだというような主張が一部なされているということではありますが、そのことにつきましては、確かにこれまで利用されたプラントが、今後も同じような形式で、同じような規模で利用され使われ、そして同様の破壊活動が行われる危険というものはそれはないかもしれませんが、しかし一面において、こうした事柄に関与し、あるいはこういった科学的・専門的知識を持つ信者が今なお多数存在するということは無視できないと思います。例えば、本年一月現在、大学院及び大学を卒業、中退したいわゆる高学歴を有する出家信者というものは二百人に及んでおりますし、関係者の供述によってもこの化学・生物兵器あるいは自動小銃の製造に関与したとされる者三十五人について、団体での活動がなお確認されているということからいたしましても、私どもはやはり憂慮すべき状況にあるというふうに考えております。    〔委員長退席、太田(誠)委員長代理着席〕

横内正明自由民主党

○横内委員 了解をしました。  それともう一点、これはちょっと見逃せない指摘があるのでございますが、それは公安調査庁の調査についてです。何というのか、かなり問題のある調査が行われたということを述べております。証拠集めのために公安調査官が相当な調査をしたというふうに承知しております。去年の三月以来、信徒と目される人々に対して、公安調査官が恐らく悉皆調査に近い形での調査をしたのだろう、そういうことを通じて証拠集めをされたのだろうと思いますけれども、その調査がいろいろ問題がある幾つかの例があったということを言っております。  例えば、元信者に対する調査の方法については極めて執拗かつ強引であり、本人が嫌がるのに数日間もしつこく尾行して勤務先等にも押し掛けたというようなことを言っておりますし、また、勤務先や近所に、オウム信者であったことなどを言いふらし、「信者」の社会復帰の現実的妨げとなり、「信者」の社会復帰の意欲をそぐような調査方法を行ったとか、あるいはこの弁護団の一員の弁護士に対して、調査の際に現金を渡そうとしたり、ビール券を渡そうとして、買収まがいの行為まで行っているとか、いろいろ指摘があります。  多分、非常に膨大な調査をされたわけですから、そういった調査の中には、相手方にこういった指摘を受けても仕方がないようなそういう調査官あるいは調査の方法も多少あったかというふうに思うわけでございますけれども、しかし、これは十分今後注意をする必要があるだろうと思いますね。  破壊活動防止法三条では、この法律に基づく調査官の調査については、国民の権利を侵害するものでないように十分注意をしなければいかぬというふうに、そういう厳格適用規定が書かれているわけでございますし、今後のそういった調査については十分注意をする必要があると思いますけれども、この点について伺いたいと思います。

杉原弘泰公安調査庁長官

○杉原政府委員 御指摘のように、公安調査官の調査に当たりましては、破防法三条の規定によりまして、かりそめにも対象者の思想、信条の自由を不当に制限するようなことがあってはならないというふうに定められております。私どもとしては、いやしくも破防法の趣旨から逸脱するような調査は決してしないようにということで厳しく指導をいたしておりますので、議員御指摘のような事実はないと私は信じておりますが、今後とも同様の指導、教育は継続的に行っていくつもりでおります。

横内正明自由民主党

○横内委員 最初に申し上げましたように、オウム真理教被害者対策弁護団の見解というのは、それだけに過去相当な実績を持つ、また実態もよく承知している人々の見解であるということで、オウム真理教側として見れば、これは百万の味方を得たような気持ちになっているのだろうと思うのですね。今までは敵対関係にあったのが、破防法については共闘するというような格好になっちゃっているということで、恐らくオウム教側は、今後破防法にかかわる審理の中でこの弁護団の主張というのを徹底的に引用してやってくるだろうと思うのです。当然のことながら、調査庁としては、これから十分な証拠を集め、やっていただくというふうに思うわけでございます。  ただ、いずれにしましても、破防法の手続を今後不退転の決意で進めていただきたいと思うわけでございますけれども、しかし、基本的人権を規制する非常に強い法律であるだけに、また破防法の中には厳格適用規定というようなものがあって慎重な適用を求めているわけでございます。しかも、初めて適用されるものだからこれから手探りでやっていかなければいかぬということもありますし、ともすればやはり国民の批判を招きかねないという面があろうかと思います。したがって、今後の手続、証拠集めあるいは論理構成、それから手続を進める上において、私は決して拙速する必要はないと思います。万全の証拠固めをして、同時にまた、ある人に言わせますと、公安調査庁だけではちょっと手に余るのではないかというようなことを言う人もおりますので、法務本省や検察も十分協力をして、十分慎重にこのことを進めていただきたいと思いますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 先生から貴重な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。  確かに、御指摘のように、破防法に基づきます今後の諸手続、弁明手続につきましては、国民の皆様の御理解をいただいていくことが大変に必要なことであり、速やかな進行の中で十分に配慮していかなくてはならない重要な問題であると考えております。確かに、破防法の適用ということは基本的な人権に重大なかかわりを持つことでございますから、公安調査庁に対しましては、常にそのことを念頭に置いて今後の手続を慎重に、かつ厳正に進めるように求めてきたわけでございますが、先生お話しのように、法務省といたしましても、弁明手続の進行に協力をし、今後もこういった方針で臨んでまいりたい、このように考えております。

横内正明自由民主党

○横内委員 次に、これに関連しまして、公安調査庁の今後のあり方について一、二伺いたいと思うのです。  公安調査庁は、言うまでもなく、公安維持の観点からする破壊活動団体に対する調査、それを任務にしておりまして、職員数は千八百人だ。それで、全国八つのブロックに公安調査局を持ち、その下に四十三の地方公安調査局という組織を持つという、非常に全国を網羅した組織であるわけでございます。にもかかわらず、このオウム真理教教団のテロ活動の危険性というものを事前に察知し、把捉することができなかったということでして、去年の地下鉄サリン事件が起こるまでわからなかったということだろうと思います。あるいはそれ前にわかっていたのかもしれませんが、もしわかっていたのであればこの場で明らかにしていただきたいと思いますが、こういう教団の活動が全く把握できなかったのは、やはり組織として欠陥があるのではないかと思います。  端的に言うと、かつての冷戦時代の常識みたいなものをそのまま引きずってしまって、国際共産主義運動とか極左過激派とか、そういうものにだけ注意を払っていて、一種のマンネリズムに陥って、新しい状態の変化といいますか、そういうものに柔軟に対応できなくなっているのではないかと思うわけですけれども、その点はいかがでしょうか。

杉原弘泰公安調査庁長官

○杉原政府委員 公安調査庁の調査につきましては、破防法の三条で、公共の安全の確保のために必要な最小限度において行うべきであって、思想、信教、集会、結社の自由等憲法の保障する国民の自由と権利を不当に制限することがあってはならないというふうに規制いたしております。極めて慎重な姿勢が要求されているわけであります。  このため、宗教団体が暴力主義的な破壊活動を実行するというようなことを想定していなかった。従来の治安常識のもとでは、仮にも宗教法人として認可されていたオウムが、暴力主義的破壊活動と関連のある活動を行っているということを想定することが非常に難しく、また信教の自由との関係上、教団の調査につきまして特に慎重にならざるを得なかった。これらのことが本格的な調査活動の開始をおくらせる要因の一つになったということは言えるかと思います。  またさらに、私ども公安調査庁の調査官の調査の権限の限界というものもございまして、例えば松本サリン事件発生後の状況、情勢下におきまして、もちろんオウム真理教というものを視野に入れた情報収集はいたしておったわけでございますが、何しろ任意調査しか許されていない私どもの調査の限界もありまして、深いところの情報というものが得られなかったということも事実でございます。  そういうような反省点は委員御指摘のとおりでございますが、こういうことを踏まえまして、今後組織運営をどういうふうにすべきかということについてのお尋ねでございますが、御指摘のように、これまで左右勢力の対立図式を基調とした我が国の公安情勢が、これからはこうした一面的な図式ではとらえることが困難な情勢に変容してきているということもそのとおりでございます。こうした観点から、改めて我が国及び我が国を取り巻く公安情勢を見てみますと、冷戦構造崩壊後の世界的な価値観の多様化の中で、公安問題の国際化、ボーダーレス化という現象もあらわれてきております。また、こうした影響のもとで、調査対象団体の中には海外展開を図っているものもあり、また闘争目標を変えるなどいろいろな変化がございます。このため、当庁といたしましては、今後情勢の急激な変化に機敏に対応した業務の展開と、そのような対応をなし得るような組織機構の確立が必要であるというふうに考えております。

横内正明自由民主党

○横内委員 今そういった公安事犯の国際化とかボーダーレス化というような傾向もあり、そういうものにも対応できるような体制を検討しているというお話でありますが、確かに公安調査庁というのは、相当海外の公安情報の調査ということもやっているわけですね。調査第二部というのがあって、ここで相当北朝鮮とかロシアとか中国とか、そういった公安情報も集めている。  この点については、文芸春秋の十一月号で前の調査第二部長の菅沼さんという方がいろいろ書いておりました。私も読ませてもらって、おもしろかったのですけれども、ただ、一見読んだ印象では、やはり冷戦時代の昭和三十年代、四十年代には相当活躍をした、しかしどうも最近になって、冷戦が終結した現在でどういう方向に、何をしたらいいのか方向性を見出しかねているという印象を、御本人はそんなことは書いていないですけれども、そういう印象を私は受けたわけでございます。同時に、そういった海外も含む公安情報については、公安調査庁のほか警察、警視庁もありますし、内閣情報調査室それから外務省、防衛庁もある。特に防衛庁もこのたびは情報本部という形で組織の強化をしているわけでございます。  そこで、公安調査庁というのは相当膨大な情報を集めているわけですね、何しろ千八百人からの人がいるわけですから。それが常時活動をし、百八十億円の予算を使って活動しているわけですから、かなりの情報が得られていると思いますが、そういうふうなものを収集、整理をして定期的にきちっと首相官邸に上げるとか、そういうふうなことは行われているのかどうか。それと、今申し上げた幾つかの、合計五つくらいの情報組織があるわけですけれども、そういう情報組織との通報だとかあるいは常時情報を交換する体制とか、そういうふうなものはしっかりできているのかどうか、その点について伺っておきたいと思います。

杉原弘泰公安調査庁長官

○杉原政府委員 公安調査庁は、破壊的団体の規制に関する調査の過程において入手した情報、資料のうち、政府関係機関に有用と思われるものにつきましては、必要に応じまして適宜関係機関に提供しているところであります。  例えば官邸関係はどうかというお尋ねでございましたが、今お尋ねのそれぞれの情報機能を持っている関係官庁も含めまして、合同情報会議というものが定期的に官邸で持たれております。そこでそれぞれの庁から関連の情報を交換し、それを政策に反映するという、まあ政策に反映するかどうかわかりませんが、それに必要と思われるような情報の提供を定期的に行っております。

横内正明自由民主党

○横内委員 これは法務省や公安調査庁に申し上げても仕方がないのですけれども、やはり新しい情勢の変化に対応して、情報組織のあり方というようなことを検討する必要があるんだろうというふうに思います。情報組織というのは色眼鏡で見られがちで、なかなか真正面から情報組織のあり方というようなものを検討しにくい、そういう雰囲気があるんですけれども、そういうことを検討する時期に来ているのではないかという気がいたしますが、その点はもう飛ばしまして、大臣に御質問しようと思いましたがもう結構です。  信者の社会復帰対策について二、三お伺いをしたいと思います。  まず一点は、数字を教えていただきたいんですが、現在、信者、特に施設にいる出家信者ですね、それが幾つの施設にどの程度の人がいるのか。これは相当、毎日動いておりますし、かつ教団としてはできるだけ集約するような方向にあったりするわけですので把握が難しいと思いますけれども、可能な限り正確なところをちょっと教えていただきたいと思います。

杉原弘泰公安調査庁長官

○杉原政府委員 平成八年の二月現在で、主な居住施設は十九カ所と認められます。この十九カ所と申しますのは、それぞれの地域に存在します支部、道場のほかに、富士山総本部、上九一色村、東京総本部等も含めまして、それらの施設を総合すると十九カ所というのが本年二月現在の状況でございます。  居住信徒数につきましては、施設の閉鎖が時の経過に従って若干行われておりますけれども、それに従って施設を退去する出家信徒も見られることは事実であります。閉鎖された支部では、支部幹部信徒が引き続きその支部の近くのマンションやあるいはアパートを借りるなどいたしましてある意味での拠点を確保し、在家信徒の指導を行うなど、教団施設に居住する信徒数は若干減少はしているものの、全体といたしましては実質的な出家信徒数にさほど大きな減少はないというふうに私どもは考えております。  現在何名いるかということにつきましての正確な数字を今ここで申し上げることは差し控えますが、先ほどお答えしました数字からさほど大きな減少はないだろうというふうに考えております。また、出家信徒というものは一体何かということとも関連するわけですが、本部あるいは支部、道場等に居住している者だけが出家信徒というわけではなくて、その閉鎖によってさらにそういうアパートに移り住むということであっても、出家信徒としての性格が変わらない以上は、数自体は減っていないということにもなろうかと思いますので、全体としてはさほどの減少はないというふうに考えております。    〔太田(誠)委員長代理退席、委員長着席〕

横内正明自由民主党

○横内委員 ところで、オウム真理教に対して、破防法のほかに二つの解体手続が進んでいるわけですね。一つは宗教法人法の解散手続ということで、昨年の十月三十日に東京地裁から解散の決定があって、オウム側は抗告をしましたけれども、十二月の十九日に東京高裁が棄却をして解散が確定をした。現在、小野さんという清算人が財産の整理とか債権者の確定という作業をしておられるわけですね。  それからもう一方は、破産手続が進んでいるわけでございます。昨年の十二月十二日に、オウム真理教による被害を受けた被害者とそれから国が破産の申し立てをして、教団の財産が仮差し押さえをされているということでございます。そこで、新聞報道では、ことしの春ぐらいには教団の破産の決定が裁判所からなされるんではないかというふうな報道があります。  仮に破産の決定がなされますと、清算人よりも権限の強い破産管財人が選任をされて、その後の財産の整理の作業を進めていくわけでございますけれども、一点お伺いしたいのは、破産決定後の手続ですね。これは一般論になるわけですけれども、どういう手順で進めていかれるのか、進んでいくのか。特に破産の決定があって、ある段階で、現在十九ある施設から信者の立ち退きをさせる、その立ち退き命令が、ある段階で出されることになると思いますけれども、それが出されるようになるにはどのくらいの時間がかかるものなのか。これはもう個々具体の事例でみんな違うわけですけれども、一般論でも結構ですけれども、今の段階で言える範囲のことを、どなたでも結構ですけれども、おっしゃっていただきたいと思います。

増井和男法務省訟務局長

○増井政府委員 お答えいたします。  裁判所は、破産宣告をいたしますと、それと同時に破産管財人の選任を行います。以後の手続は破産管財人が、一方では破産財団に属する財産の占有を取得するとか、あるいはその管理を継続する、そして換価するといったような手続を進めますが、他方では破産債権の確定手続を進めるということになります。そして、最終的に破産債権者に配当を行う、こういう手続になります。  破産管財人は、今申し上げました財産を確保する一環としまして、施設にいる信者に対して任意に明け渡しを求める、退去を求めるということになりますが、これに応じない場合には明け渡し訴訟等の法的な手続を進めるということになります。  これらの時期につきましては、今申し上げたように破産管財人の判断にゆだねられておりますので、私どもとしては直ちにわかりかねるところでございます。  以上であります。

横内正明自由民主党

○横内委員 今御答弁にありましたように、現在十九の施設に八百人近い出家信者が居住をしているということでございます。そして、今お話がありましたように、ある段階で、破産管財人によってその施設の明け渡しということになるわけでございます。  そこで、現在その施設に居住している出家信者については、清算人の小野さんが調査をしたことがありまして、それによりますと、出家信者の約八割が、仮に追い出されても行き先がない、特に行き先は未定だというふうに答えているわけでございます。したがって、破産管財人によって、ある段階で明け渡しということで立ち退き命令が出されたとしますと、その居住している信者のかなりの人々は、行き先がないということで路頭に迷うというようなことになるわけでございまして、それを、したがいまして、ただ追い出すというだけでは、これは社会的な批判を招くわけでございます。  したがって、信者の社会復帰対策ということが大変に今重要になってくるわけでございます。しかも、その信者の社会復帰対策、信者を例えば親元に帰すとか、あるいは正業につかせるとか、あるいはマインドコントロールを受けた信者があればそれは精神的な治療をするとか、そういった社会復帰対策というのは、立ち退き命令が出る直前ぐらいにやっても仕方がないので、早い時期にきちっとやっていく必要があるんじゃないか。それで信者を自発的に脱会をさしていく、そして立ち退き命令が出る段階ではその施設にもうほとんど信者が残っていないという状態にしていくことが大事ではないかというふうに思うわけでございます。そういうことで、信者の社会復帰対策が大変に大事だというふうに思います。  現在これは、政府では、関係省庁連絡会議があって、内政審議室を中心に、そういった社会復帰対策について検討しているというふうに聞いておりますけれども、その検討状況について内政審議室の方から報告をしていただきたいと思います。

渡辺芳樹内閣内政審議室内閣審議官

○渡辺説明員 お答え申し上げます。  オウム真理教信者の社会復帰対策ということにつきましては、昨年六月から、先生御指摘の関係省庁連絡会議を設けまして、各省庁の対応策に関連して政府全体で連携を保って対処していこうということで臨んでおります。また、教団に対する破産宣告の申し立てに伴い、財産保全処分などの動き、こういう昨年末の新たな事態の展開に伴いまして、さらに信者等の社会復帰対策への取り組みの体制を一層強化するために、国においては関係各省庁に社会復帰対策調整担当官というものの発令をいただくとともに、地方公共団体に対しましても、適宜適切な対応を行うよう国として要請したところでございます。  御指摘のような、信者の教団施設からの立ち退きを含めた今後想定される新たな事態へどのように対応するのかという点につきましては、司法、あるいは現在活動されております清算人その他の方々の判断、活動に係る部分もあるわけでございますが、政府といたしましても、住民保護等の役割を担う関係地方公共団体の対応と連携しながら、さまざまな事態に対応できますように、適宜こうした連絡会議を開催し、情報交換をし、共通認識を形成しながら今後の事態に対する対応策に関する検討を進めてまいりたい、このように考えております。

横内正明自由民主党

○横内委員 まだ具体的にどういうことをやるのかということまで検討が進んでいないのかもしれませんけれども、そろそろそういうことを検討する時期に入っておるんではないかというふうに思います。既に内政審議室としては、関係の都道府県に、具体的に例えばどういうことが問題として考えられるのか、対応はどういう対応が考えられるのかというようなことを投げかけをしているようでございますけれども、具体的な検討を早急に進めてもらいたいというふうに思います。  特に申し上げたいのは、まず信者の詳細な調査が必要だろうというふうに思います。破産管財人が、ある段階で恐らく施設に立ち入って調査をすると思うんですけれども、そういうときに、あわせて信者の詳細な調査が必要ではないか。信者がどういう意向を、親元へ帰りたいのか、あるいはよそで働きたいのかとか、あるいは信者自身が、例えば老人や病人や年寄りがいるのかどうかとか、あるいは精神的なケアが必要な人がかなり大勢いるのかどうかとか、またどういう支援を求めているのか、そういった信者の実態について詳細な調査がまず必要だろうというふうに思います。  それから、特に、行き場のない信者が大勢いるわけでございます。この辺については、なかなか生活保護施設だとか犯罪者の更生施設のようなものに入れるというわけにはいかない、既存の法律の体系ではなかなかなじみにくいものになっていると思うんです。しかし何かやはり、一時的に信者を居留させる、置いておく施設が、保護する施設が必要だろうと思います。  それからさらに、精神的なケアを担当する専門家の確保とか、あるいは信者に対するきめ細かい相談に応ずるために民間のボランティア団体みたいなものが、適当なものがあればそういうところにお願いをするというようなことも必要だろうと思います。  そういった具体的なことをそろそろ検討する時期に入っているというふうに思いますけれども、何か具体的なものについて方針のようなものはありますか。

渡辺芳樹内閣内政審議室内閣審議官

○渡辺説明員 お答え申し上げます。  ただいま委員御指摘のとおり、オウム関係の施設を抱えておられる都道府県におきましても、ざまざまな検討がされているというふうに理解をしております。私どものみならず、当然関係各省庁が、先ほど申しましたような措置に基づき、地方自治体との意見交換なり情報収集に努めておるところでございますが、今後の想定される事態にどういう具体的な方途が有効、適切であるのかという点につきましては、これからの破産手続の進行等を十分踏まえながら検討をする必要があり、そういった意味で事態の動向を見きわめた連絡会議の開催等が大変重要であると思っておりますので、適宜適切にそうした会議を進めながら検討をさせていただきたい、こういうふうに考えております。

横内正明自由民主党

○横内委員 確かに、これからの破産手続の進行とか、そういう状況を見ながら進めていく必要があると思いますけれども、これは非常に幅広い関係省庁があり、かつ地方公共団体の協力も最大限求めていかなければできない話ですから、十分早い段階で相談をして方向を出してもらいたいというふうに思います。もう事態が切迫して、立ち退きをどんどんさせなければいかぬとか、そういう事態になってやるというのは問題があるので、やはり早い時期から方針を決めてきちっとやっていくということが大事だというふうに思います。  と同時に、今ちょっとお話がありましたが、地方公共団体に協力をしてもらうということは当然必要だと思いますけれども、それに伴う財政的な手当てというものは、これはやはり国がしっかりやってやる必要があるのではないかというふうに思いますので、その二点は特に要望をしておきます。  以上で、時間が参りましたので、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 山本拓君。

山本拓新進党

○山本(拓)委員 きょうは、大臣が先ほど表明されました所信表明に沿って質問させていただきたいと思います。  先ほどの大臣の所信をお聞きいたしまして、全く同感であることはいっぱいあるわけでありますが、要は、その言われたことを実際に行動で起こしてやっていただけるかどうかということだろうと思います。  そこで、先ほど表明の中で、「いわゆる住専をめぐる不良債権問題は、その解決のために公的資金の導入が図られるというものでありますから、この問題に対する国民の不公平感や不信感には深刻なものがあると考えられ、」というお話をされておられるところでございますが、改めて確認いたしますけれども、大臣の認識として、今回の住専の不良債権問題で国民はなぜ不公平感や不信感を深刻なものにしているという認識をお持ちなのでありましょうか。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 国会におきます御議論を伺っておりますと、やはり今回の不良債権問題につきまして、これを引き起こしました関係者の民事上の責任なり、またある場合は刑事上の責任なり、こういうものがはっきりと追及されなければ国民の皆様の御納得はいただけないのではないかという認識を持っております。国民の皆様にとりまして、それぞれの苦しい生活の中から納めていただいております税金を投入するわけでございます。皆様にしますと、やはりその必要性を十分理解していくことにあわせまして、不公平感と申しますか、何か一部の方がこういったことによって不当な利益を受けていくということについては何とも納得がいかない、このような御認識ではないかと思っているわけでございます。  法務大臣という立場でございますと、やはり今冒頭に申し上げましたように、関係者の方の民事上の責任または刑事上の責任、こういうものを可能な限り明らかにしていくという必要性、この部分につきましてどのような取り組みをしていくかということになるかと思っているわけでございます。  これはもう先生既に御承知であるかと思いますが、検察当局は、東京と大阪におきまして住専問題に関する協議会を設けましたこと、捜査のための専従班、こういうものを設けまして所要の態勢を整えております。国会におきましていろいろな御議論を予算委員会の中でいただいているわけでございますが、この御議論を念頭に置きまして、さまざまな観点から資料や情報の収集、こういうものに努めていることと思っております。  もう一つは、刑事上の問題でございますが、この不良債権の発生にかかわりました関係者につきまして刑事責任を追及すべきであるというような容疑事実が判明いたしました場合、または、これはよく言われておりますように、債権の回収過程におきまして悪質な妨害行為といったようなものが起こりましたような場合には、検察当局におきまして、警察当局等の関係機関と密接な連携のもとに所要の捜査を行いまして、法律と証拠に基づきました厳正な処分が行われていくものと考えております。

山本拓新進党

○山本(拓)委員 今のお話の中にもありましたように、今回の政府の処理案、公的資金を導入する案は、国民の不公平感や不信感を深刻なものにしているという法務大臣の認識については、まさしく正しいというふうに思っております。  そこで、先日十六日に京都商工会議所の稲盛会頭が定例記者会見で、政府の住専処理案については、法治国家の中で住専だけが破産法など従来のルールに従って処理されないのはアンフェアだ、不公平だと正式に表明されたわけでありますが、先ほどの所信の中で、法と秩序が揺るぎなく確立されるのが極めて重要だと所信でお述べになった大臣として、稲盛会頭のこの会見をどのようにお受けとめになりますか。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 今回の住専の問題をめぐります処理につきましては、今先生がお話しになりましたような民間の方からの御提案または国会の委員の先生方からの御提案で、他の法的な対応というものを検討してはどうかというような御指摘があったことは事実でございます。破産というような手続でございますとか、または会社更生法の手続といったような、本来こういった現実の経済界におきまして通常とられるであろうような手法によって解決をしていくというのはどうかという御議論があったと伺っております。  この議論につきましては、それぞれもちろんそういう方向の対処の方法が考えられるというものではあると思います。しかし、この住専問題につきましては、非常に利害関係が錯綜しておりますことと債務者、債権者が多数にわたっているというような情勢を考えますと、今のような破産という手続によるのがよいか、会社更生法という形によるのかどうかという問題になりますと、今政府として御提案を申し上げておりますスキームによるのが私は最もよろしいというものではないかというふうに考えているわけでございます。

山本拓新進党

○山本(拓)委員 今の大臣のお話、要するに、本来は破産法とか会社更生法でやるべきであるが、非常に関係者が多い、複雑なものがあるということで政府のスキームがいいということですけれども、それだったら、何年前だったか忘れましたが、豊田商事という事件がありましたよね。あのときにも、豊田商事は会社更生法か破産法、法的処分で、当時の管財人によりますと債務者三万人以上いたわけですね。そして海外にも資産隠ししていましたし、この状況からいったらそっちの方がもっとややこしいわけですよ、どう考えても。関係者の数から、その入り込み方から。この住専は、金額こそ大きいですけれども、簡単なのですよ、貸し借り、バブルのときの。だから、今のそういう理由だったら、大臣、豊田商事とか、民間にまだまだ複雑な何万人も抱えているものを五年以内、数年以内にきちっと片づけているのに、それどう思われますか。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 破産法または会社更生法というのを適用することについては、今回の案件については不適切なのではないかということを申し上げたわけでございますが、破産をさせるということになりますと住専を破産をさせるということになって、今の豊田商事に該当するものが住専ということになっていくかと思いますが、住専になっていきました場合には、破産の原則的な観点でいきますと、現在の政府のスキームの中でそれぞれ今回の処理で負担をいたします割合、これについては多分違う形のものになってくるということがあろうかと思います。  それから、その関係者も、今先生は豊田商事の例、非常に数が多いというお話をおっしゃったわけでございますが、私が承知しております限りでは、今回の件につきましてはいわば二重三重にいろいろな形で債権が入り組んでいる、こういうような要素がありまして、事態はさらに複雑な形を呈しているのではないかと思っております。  会社更生法ということになりますと、会社更生法というのは会社を更生させることができるということを念頭にできている仕組みだと思いますので、今回の場合は、御承知のように、住専はいわば処理をするという形のものになっているわけでございまして、いろいろな仕組みの中で考えられるといたしましても、適切な方向かどうかという当不当の問題になりますと、今回政府において提案させていただいております案が、非常に緊急な課題でありますこと、また住専の資産が落ちていくといったような損失額の膨張、それから追加的な金利負担の問題、こういうものを総合的に判断をいたしますとやはり最良のものではないかと私は考えておりますが、なお補足的な問題につきまして民事局長の方からお答えを申し上げるのをお許しいただきたいと思います。

山本拓新進党

○山本(拓)委員 いや、私がお聞きしているのは、今の大臣のは確かに総理の答弁なんですよ。例えば、今回大蔵省、農水省、いろいろな関係省庁がそれぞれの立場でこのスキームを議論していくときに、大蔵省はもちろん自分の管轄の銀行とか金融システムという形の議論をしますね。農水省は当然関連の農協の立場をやりますよね。その結果こんなわけのわからぬスキームが出てきたと思うのですが、ただ法務省としては、結局全くそういう、先ほども大臣所信でも述べられたように、民事、刑事上の責任と資金回収を全面的にやらなければだめだ。その点でひとつ法務の秩序がきちっとあるわけですから、それをあえて使わないということに対して批判があるわけですよ。  だから、その点で、今の大臣のお話を聞いていますと、法秩序を守る立場の大臣が、現行法ではこのような複雑な多岐にわたる問題をできないというふうにおっしゃったというふうにとれるのですが、その点、もう一点確認したいのです。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 まず事務的な観点から申し上げさせていただきますが、先ほど来大臣が申し上げておりますように、破産手続を使うかそれとも現在政府で提案しておられる処理法案のようなスキームを使うか。この違いは、要するに債権者の平等配当ということを原則とする破産手続という形を使う、しかも破産手続でございますと、住専各社、七社が対象になっておりますが、その七社をばらばらにそれぞれの破産手続が進められる、そういう手続を使うことにするのか、それとも今回の処理スキームのように、債権者の間で一定の債権の回収についての合意があって、それを前提として債権処理機構あるいはそれを指導監督する預金保険機構、そういう組織を使って債権を回収していくのがより実効性があるのか、こういう観点からの政府としての御判断として後者の方がベターであるという御判断をされたものと承知しております。  今御指摘の債権の回収の手段、住専が持っている債権の適切な回収という手段につきましては、破産法でございますと破産管財人が破産法の手続で回収するということでございまして、これはもう法的手続でございますが、今回のスキームにおきましても、住専処理機構が住専各社から債権等の財産の譲り受けを受けて、住専処理機構において後は法律の規定に従った方法によって回収をしていかれるということだというふうに承知しております。そういうことでございますので、いずれにしても法的な手続を使うということで、その法的な手続の使い方において違いがあるということであるというふうに思っております。

山本拓新進党

○山本(拓)委員 それではちょっと改めて確認しますけれども、大臣、住専というのは一般の事業会社ですよね。金融機関という認識は持っていませんよね。どうですか、大臣の認識。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 預金者を持っていないという意味では銀行というものではないと思いますが、広い意味ではノンバンクと言われる範囲の中に入り得るものだと思っております。

山本拓新進党

○山本(拓)委員 今後、要するにすべて、これからノンバンクの問題も出てくるわけです。だから、ノンバンクに対してもこういうことをやりますというなら、賛否あってもそれも一つの考え方なんですが、今回だけという話でございますから、だから余計に不平等だという批判が出てきているわけですね。  そこで、では確認しますけれども、今のお話で、破産法とか会社更生法とか、既存の民間団体、民間会社が行き詰まったときに当然そっちの方法をとるわけですね。今回、住専の処理で現行枠の法的処理をやった場合に、大臣が先ほど所信で申されておりました、民事上及び刑事上の責任追及と債権回収、これはそこで裁判官が選任する管財人がやるわけですけれども、それは十分機能を果たせるということは自信を持っていますよね。それが果たせないのなら現行法を改めなければいけませんからね。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 今回の処理法案のもとにおける処理をどのように運用していかれるかということは私ども所管でございませんので……

山本拓新進党

○山本(拓)委員 いや、今現在、要するに仮に住専の問題が、民間会社ですから、これは一般の民間会社がつぶれたときのように破産法とかの問題で管財人が責任追及と債権回収、それをやるということをとらえた場合に十分可能かどうかということです。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 お尋ねは、仮に破産手続をとった場合にどういう債権回収が行われることになるかという御質問かと思いますが、もちろん破産手続が適用されるということになりますれば、破産管財人が破産法の定めるところによって債権、財産の管理、換価、その一手段としての債権の回収ということを行われるということになるわけでありまして、それはそれなりにその手続に従った債権の回収が行われるということは御指摘のとおりでございます。

山本拓新進党

○山本(拓)委員 だから、私が確認したかったのは、先ほど大臣がこの住専については非常に複雑な問題があり、その複雑も、いろいろな関係者が複雑だとか、だから、要するに法務大臣としての立場で、現行で、みんな民間会社がつぶれたときにそっちの方で処理している、それが要するに十分でないのなら、確かに、改めようという話はわかりますが、それならば全部平等に、既存の管財人の役割も法整備し直さなければいけないというふうな認識を持っているものですから、そこでちょっと今確認したのですが、今のお話ですと、仮に現在の枠組みの法律処理をしても、大臣が述べられた刑事上の責任、民事上の責任、そして回収行為は十分にできるという御答弁だったということですね。  そこで、ついでに答えていただけるのなら、今別なスキーム、これから、まだ法案出てきませんからあれですが、逆に言うと、管財人の法的能力、責任追及するとか回収する法的能力、その管財人の効果と、そしてまた、今度新たにつくろうとするスキームの中でのその回収効果、責任追及の効果、トータル的に考えてどう違ってくると思いますか。より政府の今度の新しいスキームの方がその効果は大きくなるというふうに法務省として認識しておられますか、それとも同じぐらいだと。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 最初の御質問の、破産手続を使った場合に民事上、刑事上の責任追及はきちっとできるのかという御質問でございますが、民事上の責任追及という観点からは、管財人の職責の範囲内ですることができるということでございます。刑事上の責任ということになりますと、これは一般の犯罪があれば刑事事件として対応することができるということでございまして、それはそれとして、手続は整備されておるものというふうに考えております。  ただ、問題は、今、後段の御質問にありましたように、今回の住専問題一これを処理するその観点からは、単に住専の財産の処理、資産の処理ということだけではなくて、事柄が我が国金融システムの安定性を確保するということ、ひいて我が国国民経済の健全な発展に資するということ、そういう観点から、既存の破産法、破産手続というものを使った方がいいのか、特にこういう形での特別の処理スキームを、これは国も支援しながら特別の支援をしながら考えていった方がいいのか、その選択の問題でございまして、その点の選択の問題は私ども法務当局の所管事項ではございません。  これは大蔵当局におかれても、破産手続というものがどういうものであるかということは十分御理解の上、それを比較されて、まず第一次的に大蔵当局で今回の処理スキームの方が適当であるという御判断をされ、そしてそれが政府の方針として確認されて今回の法案になっているというふうに理解しております。

山本拓新進党

○山本(拓)委員 私がお聞きしているのは、例えば住専をつぶしたら金融不安が起こるか起こらないかという議論をここでするつもりはないのですよ。それは、銀行がつぶれたときに、預金者保護をする、預金を守るためには一兆円でも二兆円でも、極端な話負担してもいいという気持ちは私自身は持っているのですよ。  今私がお聞きしているのは、この法務委員会として、法務大臣のお考えとして先ほどお話しになった中で、民事上、刑事上、債権回収をするというだけに限った場合に、現行枠の効果と今の政府がやろうとしている新しいスキームの効果、それは同じぐらいか、それとも現行の枠よりもさらに強力な効果が期待できるのかどうかという見解をお聞きしているのです。

原田明夫法務省刑事局長

○原田政府委員 事柄が刑事上の責任追及にも委員の御質問がございましたので、私からお答えさせていただきたいと思います。  それと、一つ、この問題につきまして、住専問題について、政府といたしまして官房長官を本部長とする対策本部が設けられております。それには幹事が指名されて、私も法務省からは刑事局長がということで幹事として出させていただいております。そういう観点から、私が知り得たことも含めまして、ただいまの山本委員の御質問についてお答えさせていただきたいと存じます。  貴重なお時間でございますので申しわけないのですが、極めて端的に申し上げますと、いわば問題となっている民事上、刑事上の責任追及という点では、出発点は私は同じであろうと思います。そういう意味で、私どもも、今後住専の処理機構ができ上がり、それに対する指導監督をする立場の預金保険機構ができましたら、それに対する法務省としてのできる限りの御協力を申し上げたい。そして、その中で、それから先の債務者また借り主に対する責任追及については、できるだけ御協力も申し上げる態勢をとりたいというふうに考えております。

山本拓新進党

○山本(拓)委員 だから、今刑事局長の話でいくと、刑事上のあれはもう同じだ。では、民事上はどうですか、回収の点では。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 これは直接の比較は、先ほど来申し上げておりますように、私どもがどちらが効果が、実効性が高いかということを判断する立場にないということを申し上げさせていただきたいと思いますが、一点、若干御指摘させていただきますれば、破産手続、先ほど申しましたように破産手続の場合は、住専各社についてそれぞれ各別に破産手続が進行する。したがって、その債権の回収ということも各社ごとにそれぞれ行われるということになるわけでございますけれども、今回の処理法案の中身といたしましては、その住専各社の財産、債権等を住専処理機構が一手に引き取って、そこで集中的に回収措置を講ずる。しかも、その処理機構にはいろいろな人材を集めて、しっかりした陣容を確保して、さらには預金保険機構といったものの指導助言、支援等も受けながら、充実した債権回収の実施をしていく、こういう構想になっている。  そういうことを踏まえて、こちらの方がより中身の濃い債権回収ができるという御判断であろうというふうに理解をいたしております。

山本拓新進党

○山本(拓)委員 何遍も言いますけれども、問題は、金融不安とかそれは別問題で、基本的には現在の破産手続、会社更生手続、その問題が広く国民に親しまれ、親しまれたくもないけれども、定着しているわけで、そんな中で今回どうもそこが脇に落ちない。  ちょっと話を変えますけれども、大臣は、例えば今回のもの、一九九〇年から九一年がピークと伝えられているのですが、今からやるとしたら、もう五年たったものは全部時効になるということで、延長議論も我々も勉強していますし、いろいろ与野党やっていますね。その中で、刑事上は無理だということですよね。民事上はいいわけですね。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 今先生お話ございましたように、今回の問題につきまして、民事上の債権について何らかの法的な措置ということについて与党の中で御検討いただいていると伺っておりますし、私どももこの点につきましては、今お話がありました公訴時効につきましては多くの問題があると考えておりますが、今の民事上の問題につきましては私どももいろいろな角度で御協力を申し上げたい、このように考えております。

山本拓新進党

○山本(拓)委員 私がお願いしたいのはというか、筋論からいきますと、結局、法のもとの平等ということであるならば、もうそこらじゆうに民間で債権取り立て問題いろいろあるのですよ。一部には暴力団絡みが住専にあるというのですけれども、あんな暴力団絡みのものは大なり小なりどこでもあるわけですよ、嫌らしくやっているものは。それで、警察は民事不介入ということで余りそこまで入ってくれない。ところが、これについては警察の威光をかりてとか検察の威をかりてとか、そういうことで別なスキームをつくる。それはそれでやってもらえればいいんですが、私が一つ確認したいのは、本来は、今の民事上の延長ということを容認するならば、これは住専だけのことですよね、大臣がお考えになっているのは。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 今大臣御答弁申し上げました与党で検討されておられる内容、これは、今回の住専関係の債権に限っての立法を検討しておられるというふうに伺っております。

山本拓新進党

○山本(拓)委員 でありますならば、では、それ以外のものはだめなんですか。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 今回の問題を契機といたしまして、債権の消滅時効のあり方ということがいろいろ関心を呼んでいることは承知しておりますが、民法で定めている消滅時効の規定、これは法律関係全体の安定を図るといった観点から長く定着している問題でございますので、これをどうするかということについては大変慎重な検討を要する問題であるというふうに思っております。  今回、私どもが与党の検討状況をお聞きしております段階におきましては、今回の処理スキームにおきましては、先ほど来申しておりますように、住専各社の債権を処理機構が譲り受けをして、その膨大な譲り受けをした債権ということでございますので、そういう手続上の観点から、一定期間時効を完成させないというような措置を講じたらどうかということが検討されているというふうに承知しております。

山本拓新進党

○山本(拓)委員 私が申し上げたいのは、特別な、もちろん延長してしっかりとやらなければいかぬと思うし、私なんかは、何とか方法を講じて刑事上の責任も追及していただきたいな、すべきだと思っているのです。  そこで、日ごろ、先ほどから、法務省、法務大臣として所信を、いいことばかり言っているわけですよ、法の秩序維持を守るとか、行政に対する不安は深刻だ、それをなくさなければいかぬとか。結局、大蔵省とか農水省の大臣が言うなら理論的にはわかるのです、立場はそっちですから。しかし、法の秩序を守る立場の大臣が法秩序維持という、また法のもとの平等性という立場で議論していくにしてはちょっと国民は納得しないのではないかなという気はあるのです。  いずれにいたしましても、これはだんだん時間がなくなりましたからあれですが、きょうはちょっと警察庁にもおいでいただいているので、今度住専専従班か何かつくっていますね。それの進捗状況を教えてくれと言ったってなかなか教えてくれないでしょうけれども、一点確認したいのは、刑事上の責任、民事上の責任、特に刑事上の責任は五年たったら時効だということで、先ほど大臣も、国民の税金を使うということで非常に国民の不公平感や不信感は深刻なものだと言われている中で、それを払拭するためには債権回収とか責任を明確にしなければいかぬということを明言されているのですが、じゃ、逆に言うと刑事上の責任というのが最初から、もう資料が出ていますから、いつ借りた借りない、その発生期日が大体出ていると思うのですが、それで、大体もう刑事上の責任でおおむね全体のどれが有罪か、事件があるかないか別にいたしまして、総量の中で、一九九〇年、いわゆるこれから始まろうとして大体ことし時効を迎えるであろう対象になる物件は全体の何%ほどあるのでしょうか。

原田明夫法務省刑事局長

○原田政府委員 お答え申し上げます。  具体的に債権の最終的に不良となったもののうち仮に刑事法的にいって時効になるものはどのくらいあるかという点につきましては、これは全体像を明らかにしませんとわからない点でございますので、その点御了解いただきたいと思います。ただ、先ほど委員御指摘の中で、九〇年、九一年ごろに犯罪が行われてそれが完成してしまったというものについては、確かに時効にかかるということがあると思います。  しかし、私ども考えておりますのは、この一連の出来事と申しますのは、長い経過をたどっていって行われた一連の社会的な事象ととらえますれば、犯罪行為がどのようにそこで行われたか、ある一定の経過をたどって行われていった最終地点がどのあたりであったのかという点につきましては、いろいろ具体的な事実によってとらえ方が違ってこようかと思います。そういうわけで、最初に貸した段階でそれですべておしまいということでない場合もそれぞれあろうかと思います。それらにつきましては、具体的な、まさにそれぞれの立場の貸し手、借り手の中でどういうことが行われていって、また最終的にそれが追加されていったというようなことも含めまして、その損害がどういう形で発生したかということを踏まえませんと具体的な犯罪の成否は論ぜられないと思いますので、抽象的に申し上げることについては御勘弁いただければと思います。

山本拓新進党

○山本(拓)委員 では一つだけ。母体行が今度第一次処理案で債権を放棄しますね。その部分の不良債権も不正やら不当なものがある可能性は、当然対象になりますね。それだけ。当たり前のことですけれども。

原田明夫法務省刑事局長

○原田政府委員 お答え申し上げます。  母体行がいわゆる債権放棄いたしますが、それはいわゆる住専に対する債権放棄でございまして、住専から貸し込んでいったその先の不良債権の問題については別問題というふうに考えます。

山本拓新進党

○山本(拓)委員 それでは、いずれにいたしましても、政府が進めようといたしております住専処理案については、御存じのとおりいろいろな学者、いろいろな専門家がわあっと新聞で書いていますね。それは、大体総合的に考えましても、その中で法的にもともとつまずきかねないものがあるというふうに述べている人が多いですね。  例えば、住専の七社の中でも上場企業なんかは、営業権を譲渡する場合にやはり株主総会を開いてそれで三分の二以上の賛成を得なければいけませんし、上場企業ですから母体行が結構持っていましても一般株主が結構おる、その中でも政府の処理案に反対している人が非常に多いという伝わり方もしておりますが。私は実のことを知らぬのですが、これは受け売りでちょっとお聞きしたいのですが、そういう問題。  そして、今回の処理案にいたしましても、母体行の債権処理、これは住専に貸し込んだものですが、これはさかのぼっていけば当然これに対して不正とかいいかげんなものがあったとかいろいろなものが出てきたときに、株主代表訴訟というのですか、それで今は全くひっかからないという認定ですけれども、今ずっと議論していきますと、だんだん金融秩序を守るというよりも農協系を守るということがはっきりしてきた時点で、これが必ずしも訴訟が、訴える方が負けるとは限らないとか、そういう可能性を考えた場合に、法務省といたしまして、それらの懸念に対して全面的に否定するほど自信を持っておられますか。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 今いろいろな場面での御指摘があったように思いますが、中心は、母体行が債権全額放棄をするということにその母体行の株主に不満を持つ者があったときに、その放棄をしたことが取締役の義務違反である、そこで、それによってこうむった損害について株主代表訴訟を起こすというような場合を中心に御指摘いただいたというふうに伺っておりますが、そういった代表訴訟が提起された場合の判断は、それは個々の事案ごとに、裁判所が具体的な事案に応じて判断されるところでありまして、それが絶対に勝つとか負けるとかということは申し上げられないことでございます。  そういった判断に当たりましては、そういった置かれた状況の中で、当該銀行、銀行も株式会社でございますが、その株式会社の取締役の職務の執行のあり方として合理性のある判断であったかどうかということは、これは諸般のあらゆる事情を総合して考慮される。そういう中で、今回の政府による住専の処理案、この目的でございますとか、そういう中における、そういうスキームの中での金融機関としての対応であるといったような事柄、そういった事柄は、その判断に当たっては重要な要素として判断されるということであろうと思っております。

山本拓新進党

○山本(拓)委員 もう時間がなくなってしまったので、最後に、話がらっと変わって大臣に一つだけ確認しておきたいのですが、これはオウムの話で、公安審査委員会に対する解散指定の問題ですね、先ほどお話出ていましたけれども。これは、公安調査庁長官から、こうなりましたと来たときに、大臣として、要するにそれを一〇〇%受け入れるのか、ある意味では大臣として自分の考え方をそこへ入れるのか、どちらでしょうか。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 先生の御質問の趣旨を正確に理解をしているかどうかちょっと不安の面もございますが、現在、公安審査委員会への審査をお願いするための弁明手続を準備段階として始めているわけでございまして、今回の手続につきましては、公安調査庁が周到な、慎重な検討の結果、こういう手続を開始いたしたものと私は承知いたしております。  今後も、十分相談をしながら、適切な対応をとってまいりたい、このように考えております。

山本拓新進党

○山本(拓)委員 では、きょうはもうこれで終わります。ありがとうございました。

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山田正彦君。

山田正彦新進党

○山田(正)委員 法務省の行政の中での、登記所の出張所、これのいわば統廃合が現在進められておりますが、それについていろいろお聞きしてみたい、そう思っております。  まず、どういう基準で、その基準の、例えば何人の人がどれくらい利用するから云々という基準ではなくて、もう中身はいいですから、どういうものに従っていわば統廃合をやっているのか、それについて、まずお聞きしたいと思います。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 登記所の統廃合につきましては、基本的には私ども、法務大臣の諮問機関でございます民事行政審議会、そこにお諮りして、そこでいただいた基準、それを踏まえて、その上で各地の実情に応じて順次進めてまいっているところでございます。

山田正彦新進党

○山田(正)委員 民事行政審議会の答申、今聞きましたら、答申に従ってやっているということですが、答申の中には二つあるわけですね。いわば適正配置を実施するについての基準、それともう一つは、適正配置を実施するについて留意すべき事項、大きくこの二つあるわけですが、これを二つとも同じように考えてやっているのか、最初の、適正配置をするについての統廃合の基準、留意すべき基準ではなくて統廃合するに当たっての基準、こちらを重視してやっているのか。その点はどういう比重でやっているか、ひとつ局長から明確に答えていただきたい。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 委員には既に御案内いただいておりますが、適正配置の基準といいますのは、直接には当該対象登記所の事件数、それから隣接する登記所との距離、さらには、最近の基準におきましては地域の生活圏域、こういったことを基準として、基本的にはこの範囲内に、その基準に合致する登記所は隣接の登記所に統合するという基準を打ち立てているものでございまして、これが基本的な考え方の出発点ということでございます。  留意点というのが答申の中で同時につけられておりますが、これは、そういう基準で実施していく場合に、いろいろな留意をしなければならない点、これを指摘いただいているものでございます。  そういうことですので、基準と留意点というのは、おのずから性質の違いがございます。しかしながら、それぞれ非常に重いものと受けとめて、私ども対応をしているところでございます。

山田正彦新進党

○山田(正)委員 局長は、その留意すべき事項というのは十分読まれていると思うのですが、まず最初に答申があったのが昭和四十七年の九月。最初の、登記所の適正配置に関する民事行政審議会の答申ですが、この中には、「ここ数年間に実施すべき登記所の整理統合は、おおむね第一に掲げる基準によることを相当とする」、今言った利用者の数とか、いわば地域的な問題ですね。それから、「整理統合の適正妥当を期するためには、地域の実情について慎重な配慮を加える等の必要があると考えるので、その実施に際しては、第二に掲げる事項に留意するのが相当である」。第一の基準、第二の基準、いわば留意すべき事項、これについて、いずれも相当にこれを考慮してやらなければいけないのが相当であるという表現をいたしているわけであります。  現在実施されているものの中には、どうも法務省当局は、昭和四十七年の基準だから、いわば平成七年の加藤一郎会長のもとの基準とは違うのだというような言い方をかなりしておられますが、あえて昭和四十七年の答申の内容を今私言ったわけです。  さらにもう一つ、平成七年の七月四日、民事行政審議会、加藤一郎さんがその統廃合について、やはり答申を出しておられます。この中によりますと、ひとつ、大臣も細かく読んでないでしょうから、ぜひ聞いていただきたいのですが、「単に小規模登記所の弊害を除去するというにとどまらず、積極的に国民のニーズにこたえる質の高い行政サービスの提供を指向する必要がある。」いわばコンピューターとか通信技術相当について述べているわけですが、その中で、「将来的には、行政サービスの高度化を図るとの政府方針にのっとり、コンピュータを活用した新たな行政サービスの提供を実現していく必要がある。」いわゆる行政の住民サービスについて、答申のまず初めにこれをしっかりと書いているわけであります。  その次に、その期間について、答申の七ページを見ていただければわかりますが、「よって、今後およそ十年程度の間に実施すべき」「その実施に際しては、第二に掲げる事項に留意するのが相当である。」かなり、十年というスタンスを置いて十分に住民の理解を得ながらやっていかなければいけない、そういう答申の内容になっているわけでありまして、前回この法務委員会で局長にお聞きしたときも、十年から十五年をめどに、そういう回答をいたしておられます。そういう答申の中にいわば留意事項としては八項目、民事行政審議会では答申をいたしております。  その中で、まず住民サービスについてお聞きしたいんですが、当然のことながら、登記所を整理し、あるいは廃止をするということは、住民にとって大変な負担になる、サービスの低下につながる。それについてどのような措置をこの答申に従って法務局は考えておられるか、それを具体的にお聞きしたい。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 ただいま答申の中でいろいろなところで行政サービスの充実を図るということについて触れられておることを御指摘いただきましたが、この行政サービスの充実という観点からは大きく分けて二つの問題があると私どもは考えております。  一つは、最初の方で触れられましたコンピューターのそういったシステムを利用しての一層の新しい行政サービスというような課題、これが大きな課題でございます。現在、御案内のとおり、登記事務のコンピューター化を進めておりますが、それは、これまでの登記簿冊による処理をコンピューターを使ってやるということでございまして、あくまで当事者の方には登記所に出向いていろいろ申請、請求をしていただくということでございます。しかし、将来の課題といたしましては、これはコンピューター化がどんどん進んでいきコンピューター技術も発達してくれば、将来の方法としては、何とかオンラインで登記簿の記録を見ていただくことができる、あるいはオンラインで登記申請をすることができる、そういったシステムが開発できれば、これは行政サービスの向上に大変大きな効果を発揮するわけでございます。そういったことは今すぐにはできない、かなりの期間をかけていろいろシステム研究等をしていく問題でございますが、そういったことを目指す。  そのほかいろいろ登記事務の内容が高度化しておりまして、かつこれまでも事件がふえてまいっておりますので、全体としてより中身の濃い、しかも時代の要請に応じたサービスの向上を図ることができる、そういう全体のサービスの向上を図るという必要があるという問題がございます。  私ども、登記所の整理統合を進めさせていただいておりますのも、これは、そういうことによって人的、施設的な集約を図ることによってそういうことに対応できる組織をつくっていこう、そのために現在、大幅に人をふやす、大幅に予算をふやすということが難しい中にあって、高度化する要求に対応するサービスを充実させていこう、その一環としての整理統合であるということで御理解を賜っているところでございます。  そういう意味の行政サービスの充実という問題と、それから当面、ある登記所を隣の登記所に統合するということになりますれば、その直接の効果としては、なくなるところの地域の方々には当面の御不便をおかけすること、これはどうしても避けられないところである。しかしながら、その御不便をできるだけ少なくするというためのサービスをしていこうということを、これまでも考えておりますし、これからも考えていかなきゃならぬというふうに思っているわけでございます。  そういった後者の観点からのサービスといたしましては、これまで、登記所がなくなった地域に定期的に職員を派遣して登記相談に応じさせていただくというようなこと。それから、登記簿の謄抄本は郵便でも請求していただけますので、その郵使用の封筒、それから謄抄本の請求書の用紙、そういったものを市役所の窓口等に置かせていただいて、それに必要な印紙と送料を切手等で入れていただいて郵便で請求をしていただくということの助けとするといったようなこと。それからまた、新しい庁舎に移った場合に遠方から来ていただくということになりますので駐車場の確保、これはできるだけのことをさせていただくというようなこと。それから、統合の直後におきましては、その受け入れ庁、統合した後の庁の窓口に、その統合した地域の利用者の方々のための特別の担当者を置くというようなこと。そういったことで、できるだけ御不便を解消するための努力を傾けてきたところでございます。  さらには、今後は、統合される庁の郵便局に特別の専用ファクシミリを置きまして、それを使って謄抄本等の請求をしていただくということを現在開発し、できるだけ早く実施したいと考えているところであります。

山田正彦新進党

○山田(正)委員 こういうことをしたい、ああいうことをしたい、きれいごとを言ってもらうのは結構なのです。本当に住民にとっては、今困っている、それに対してコンピューター、これは将来やりたい将来やりたいじゃ話にならないので、ひとつ大臣に、いつまでにどういう方法でコンピューター化を図っていくつもりか。まずどこから始めるのか、過疎地域、いわば廃止するところから始めていくのか、都市部から始めていくのか、そういうところもひとつコンピューターの問題について具体的に御答弁いただきたい。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 まず私から事務的にお答えさせていただきます。御案内のとおり、現在の登記事務のコンピューター化、昭和六十三年から始めさせていただいておりまして、現在約百四十庁余りがコンピューター化しております。しかしながら、この一方には、大変な経費と労力がかかりますので、できるだけ早くということでございますが、全国展開までにはいましばらくお時間をいただかなければならない。現在私どもの見込みとしては、あと十年程度で全国をカバーする、そうしたいということで取り組んでいるところでございます。

山田正彦新進党

○山田(正)委員 今実際にどこを取り組んでいるのか、どうしているのか、予算もどれくらいかかるのか、廃止するところからまず始めようという気はないのか、それについて回答をいただきたい。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 突然の御質問でございますので、今実際に何庁移行しているかという数字はちょっと把握しておりませんが、今一年間で約四十庁くらいのペースで進捗を図っているところでございます。  それから、このコンピューター化の計画と申しますのは、これはそれぞれの法務局ごとに一庁か二庁ずつということでやっていくほかございません。例えば、ある地方法務局、ある県の法務局で一遍に何庁もということにはなかなか、人的な要因でまいらないという問題もございます。そういうことで、いろんな要素を考えながら全体計画を進めていかざるを得ない。  統合庁についてという御指摘でございますけれども、そういう要素の中の一つとしては考えさせていただいておりますが、逆に、整理統合する際にはまたそういったこともにらみながらということも私ども検討の一つの素材にしておりますが、なかなかそれだけでは、それのみを最優先するというわけにもまいらないという事情もあるところでございますので、御理解賜りたいと思います。

山田正彦新進党

○山田(正)委員 私が聞きたいのは、全国に廃止される法務局がある、不便をこうむる、そういうところを優先的にする気があるのかないのか、その一点だけ答えていただければいい。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 委員の御指摘も参考にさせていただく必要もあろうかと思いますが、私ども、このコンピューター化を進めております直接の目的、これはこれまで、最近でこそ落ちついておりますけれども一これまで大変に登記事件数がふえてまいりまして、それを現在の人的な態勢でやっていくということになりますと、どうしてもいろいろなところで弊害や問題点が生じてくる。これを一挙に大幅増員を得られない状況の中で適正な事務処理をするためには、コンピューター化によって効率化していくというほかに道がないということで始めたわけでございます。  そういうことでございますので、基本的な考え方としては、事件数の多いところということを優先的にということでこれまでも考えてまいりました。そういう要請もございますので、まことに口答えをするようで恐縮でございますけれども、そういう地域の方から先にというような考え方の転換は急速には難しい問題であると考えております。

山田正彦新進党

○山田(正)委員 局長も大臣もこの答申の内容をよく読んでいただきたい。いわゆる登記事務においてコンピューターで住民サービスを図りながら統廃合をやっていく。であれば、当然いわばそれによってサービスの低下等がないように、まずそちらの方から配慮するというのがいわば国民主権の、住民重視の行政であろう。これはぜひ法務省としては最初から考え方からして思い直していただきたい。  それから、ファクシミリについて先ほど話しておりましたが、これについては、因島の場合に昨年の二月ぐらいからファクシミリをつけたいようなお話を佐藤守良先生にしておったようでありますが、それはいまだにもつて実現していない。  ファクシミリは一体どれくらい費用がかかって、備えつけるにどれくらい期間がかかるものか、それを設置するのに。ひとつ因島についてどのような努力をされたのか、はっきりと、局長、責任を持って答えていただきたい。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 ファクシミリの設置、この費用の問題についてまずお答え申し上げますが、一台が約三十万円程度と承知しております。これを両方に置きますから、ワンセットで約六十万円ぐらいということになります。  それから、このファクシミリを設置する時期の問題でございますが、このファクシミリの設置ということは、ただいま委員御指摘いただきました、昨年の七月にいただいた民事行政審議会の答申、この審議の過程において、今回の答申によれば、さらに従前よりも広い範囲で整理統合をお願いすることになる、そういうことであるから、何かこれまでにない新しい利便のためのシステムを考えなければならない、こういう指摘がございまして、私ども、そういう指摘を受けて急速そういう方策としていろいろ検討しました結果、現段階で直ちにできる方法として、今の、郵便局にファクスを置いてそれで郵送請求をしていただくという方法を検討を始めたわけであります。  そういうことで、検討に着手し、これは業者に開発をお願いするということになるわけでございますが、そういうことをできるだけ早く開発してもらいたいということで検討を急がせた。片方、これを郵便局に置いていただくということになりますと、郵政当局、それから郵政当局として御承知いただいてもそれぞれの郵便局の事情がございますので、そちらの方の御了解もいただかなきゃならぬということがございます。そういうことを鋭意進めながら今現在に至っておりまして、今現在の段階では、新年度の早い段階から設置できるという見通しになってきております。  したがって、これまでずっとそういう作業を行い、郵政当局あるいは郵便局等との折衝を行ってきた過程の中で、それぞれの時点で、今の時点ではまだお約束できる時点がこの時点であるということが変わっていったということがございます。そういう状況でございますけれども、現段階では、今申しましたように、新年度のできるだけ早い時期には設置できるということを申し上げたいと思います。  ただ、個々の郵便局との問題というのがございますので、これはまた、そう大きな何カ月もという開きではないと思っておりますけれども、具体的に何月何日になるかということは、また個々の場所による違いというものは御了解いただきたいと思います。

山田正彦新進党

○山田(正)委員 局長、答弁する際に同じようなことを何度も繰り返したり——具体的に私の問いにだけ答えていただければいいんで、私が言っているのは、因島の件については昨年の二月ごろから話があったようだ、そういうふうに佐藤守良先生は聞いている。郵便局と話をしたり、それからいわゆる予算措置等々で、それができるのに一年以上もなぜかかるのか、その理由について具体的に話してもらいたい。因島の件に関しても、そしてまた郵便局に話をするのに、郵便局から了解とるのに、そんなに半年も一年もかかるものかどうか、実際にどのような話を郵便局としたのか、例えば因島の問題に関して言えば。だから、それだけを端的に答えていただければいい。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 具体的な因島の件について、ファクスの点について郵便局とどういう折衝をしたかということは、突然の御質問で私直ちにお答えできませんが、そんなに長期間かかったというのは、主としては、先ほど申しましたように、そういう対応システムを実用化できるかどうかということについて検討の期間が必要であったということが中心でございます。二月ごろにお話ししたとすれば、それはその時点でそういった方向を模索しておったという段階であったろうというふうに思います。

山田正彦新進党

○山田(正)委員 その検討の期間に一年間も要する、いわゆる答申の中にははっきりとそのサービスをしろとそう書いてあるわけですよ、これは廃止するところは。それは本当に郵便局に交渉したのか、いつ交渉したのか、これは調べてみたい、そう思っておりますが、いずれにしても、五、六年前、長崎県の郷ノ浦の勝本というところの登記所が廃止された。郷ノ浦町と合併された。そのときに、司法書士の坂口義信さんから直接聞いた話ですが、いわゆるファクシミリを設置します、そう言って五、六年、いまだにファクシミリの設置がなくて、そのままで来ている。法務省はうそを言っているではありませんか。これは佐藤守良先生も、法務省はうそを言っているじゃないかと怒っていますよ。それについて、ひとつ局長、端的に、うそを言ったなら言った、そうでないならそうでない、それを答えてもらいたい。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 御指摘の郷ノ浦の登記所の統合のときに、現地でどういうことを申し上げたのかということを私承知しておりませんが、しかしながら、当時の状況で、今申し上げているようなファクスを置くということは、これはちょっと考えにくいことでございまして、そういうお話をしたということは、私どもとしてはちょっと信じられない話でございます。  それから、先ほどの続きになりますが、そんなに検討に長期間かかるのかということでございますが、これは実は現在設置を考えておりますファクスのああいうやり方によることにするまでに、検討の段階では何度かやり方を変えた。一度、最初に考えて業者で検討してもらったけれども、これではどうも実用に供しづらいから、ちょっとやり方を変えるというようなことを二回ぐらい繰り返して、そして最終的にこういう方法でいけるという判断をするというまでにある程度の時間がかかりましたし、そしてそれを実際に実用化できるということのための最終的な詰めということにもある程度時間がかかるわけでございます。  先ほど、二月にという指摘でございましたけれども、それはその当時民事行政審議会の審議が始まったころでございまして、その時点でそういう意見が委員の中から出てきた。それでは、私どもとしてはそういうものについて考えてみましょうということで検討を始めた段階ではなかっただろうかと思います。そして、答申をいただいた時点では、ある程度アバウトな形でありますけれども、こんなものでいけそうだという私どもの腹も、見通しも踏まえて、そういう見通しも御説明してこういう答申をいただいた。ただ、その時点では、いつから具体的にどういうことで始動できるかということはまだ確定していなかった。それを順次詰めてきたわけでございまして、それまでの段階で、私ども今回の経過の中でうそを言ったということは、決してそんなことはないと思っております。

山田正彦新進党

○山田(正)委員 局長は勝本の法務局においてファクシミリの話はなかったはずだ、私がうそを言ったのではないかという言い方でしたが、それなら私、この委員会に坂口義信さんという司法書士を呼んできて、聞いてもらっていい。聞いてもらっていいですよ。ここで明らかにしてもらいたい。  局長、さっきから答弁は端的に答えてもらいたいのだ。時間がない、これは。  要するに、いわゆる、あなた方はこの答申の中でも、登記所を廃止しようというときには十二分な住民サービスをしなければならないというのに、一年もかけて二回ぐらいファクシミリがどういう形でできるかどうか検討したのだ、そんなことで行政というもののサービスが考えられるのか。これはしっかり、本当に法務省というものの行政サービスというものは考えてもらわなければ困る。  それから、留意事項の中に、「地域住民に対し、登記所の適正配置の趣旨及び目的について十分説明をして、その理解と協力を求めるとともに、統合後における登記所の位置等具体的な実施方法については、地域住民の意見をできるだけ尊重すること。」とある。一体、その登記所の適正配置、いわば廃止とか統合する場合に、どういうふうに住民に説明しておるのか、今までに説明してきたのか。ともかく端的に、どうこうした、それだけでいいからお答えいただきたい。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 これまでの御説明の方法といたしましては、まずもって最初に地域住民を代表される立場にある市町村長等の理事者の方に御説明を申し上げ、そしてその理事者の方々から要請があればまた議会等で御説明させていただく、あるいは関係団体の方々に御説明をさせていただく、そういう方法を通じて地域の御理解を求めるという努力をしてまいりました。

山田正彦新進党

○山田(正)委員 その理事者というのは町長のことを指すのかどうか。町長にただ話せばそれで今までやってきたのか。実際に町長から言われて、その地域住民の代表、町内会の会長さん方にも、因島と豊玉については話したことがあるのかどうか、その辺。また、もう一つ、理事者に対してどういう説明をしたのか。いわば留意事項についてまで説明したのか。この二点。これをイエスかノーか、イエスかノーかというのは極端ですが、本当に留意事項を説明したのか説明していないのか、具体的にそれについて御回答をいただきたい。言ったのか言わないのか。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 ただいま豊玉と因島でございましたか、御指摘ございましたが、御指摘のような町内会の方々に御説明するというようなことはしておらないというふうに承知をしております。  ただ、いろいろ存続を希望される方々の団体、そういった方々の代表者の方々と面会をするという中で説明させていただくという機会は持っておると承知しております。  それから、その説明の際に、この答申の全部を示して御説明しているということは、私、現場から直接は聞いておりませんが、その全部を逐一説明するということは必ずしもしておらないかもしれません。

山田正彦新進党

○山田(正)委員 町長に話して、議長に話した。あるいは、今はっきりわからなかったのだけれども、因島でなのか豊玉なのか、住民に、代表に説明したのかどうか。  因島で、私が聞いている限りでは、住民側は今でも説明会を求めている。私の方も、豊玉の方では説明会を求めているけれども、それを拒否しているではありませんか。この答申には、住民に説明する、「地域住民に対し、登記所の適正配置の趣旨及び目的について十分説明を」するとなっているじゃありませんか。説明を求めても説明をしないということはどういうことなのか。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 ただいま申し上げましたように、これまでの方法としては、市町村の理事者の方々、それは長であるか助役であるか、そういう方々にまず説明をするという形で説明をしてまいっております。  したがって、御指摘の登記所についても、直接に地域の住民の方に集まっていただいて、その住民それぞれに御説明するということはしておりません。(山田(正)委員「してない」と呼ぶ)はい。

山田正彦新進党

○山田(正)委員 では、今住民サイドから説明を求められている、それについてなぜ説明をしないのか。この答申の内容では、ここにちゃんと、第五項に、「目的について十分説明をして、その理解と協力を求める」となっているでしょう。住民から説明を求められている、それに対してなぜ今していないのか。それについて局長からあるいは大臣からでもいい、これは法務省全体の責任だ、しっかりとした御回答をいただきたい。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 まずもって、これまでの対応の仕方についてちょっと理由を敷衍して御説明をさせていただきます。  これは、もちろん答申で御指摘のように留意すべきこととされておるわけでございますが、これはやはり、登記所の利用というのは、これは地域住民の方が日常しょっちゅう利用されるというものでは必ずしもないわけでございまして、利用度というのはそれぞれによって差があるわけでございます。そういうことでございますので、従来はそういう方法で、地域住民の方々にはいわば間接的な方法で説明をさせていただくということで、そしてそういう方法で何回か、それは市当局にも足を運び、あるいは当局の方からこちらの法務局の方に足を運ばれる方もあり、そういう場合には何人かの関係者の方々がおいでになって、そこで意見交換をさせていただく。そういうことを何回も繰り返して最後の統合に至るわけでございまして、そういう過程において、そういう問題に関心のある方々にはおのずからその問題の所在というものは知っていただける、そして私どもの考えでいる統合の必要性というものも知っていただけるというふうに考えてこれまでやってまいったわけでございます。  今御指摘の豊玉等につきまして、なぜ今求めているのにしないかということでございますが、私どもとしてはそういうやり方で、例えば豊玉につきましては、一昨年の十一月以来、何度も繰り返し折衝をさせていただいて、そしてそういう形で当方の考えでいるところは御理解いただいている、これは承知していただいているということとは違うかもしれませんが、この必要性についての御理解をいただいているというふうに考えて、豊玉につきましては、来月の二十六日統合ということでお話をさせてきていただいたわけであります。  そういう状況でございますので、その段階で住民の方々に説明をするということは、これはもう時間の問題もございますので、これは従来のやり方で御理解を賜りたいということでお願いしてまいっているところであります。

山田正彦新進党

○山田(正)委員 局長は今大変重大なことを話したわけです。局長は、いわゆる法務局を利用する人はめったに年にいないじゃないかと、今確かにそう言われた。そして、法務局の方に来てくれる人に対して何人かと話し合いをしてきた。法務局の側が出張っていって説明会をしたのかどうか、それについてははっきり答えてない。  それからもう一つ。豊玉町においては、町長は房村課長もいる前で私のところに来て、ともかく住民は困っているから何とか延ばしていただけないかと言って、そしてまた住民から、わずか三日の間に、それを知った住民が驚いて、去年の十月の初めに二千百何名という方が反対の署名を持ってきている。そういう状況があって、豊玉町としてはともかく今困っているんだ。それならば答申その他の内容からしても当然住民側に説明しなければいけないのに、説明していない。これはもう日本の行政の全体としての法務省の責任は重い。これはまず考えてもらいたい。  それから、私は郵便局の統廃合のことについて郵政省にお聞きしました。特定局をいわゆる廃止するときは、その場合でも必ず簡易局に肩がわりして住民サービスの低下がないように図ってまいりました。そしてまた、税務署の場合にどういう形でやっているかというと、離島とか山間地とかいろいろなところでやる場合には、税務署がなくなるということが税務申告に対して遠くまで行かなければいけないので御迷惑をかけるから、十分慎重にやってきて、関係者、まず法人会の青色申告会とかあらゆる関係者に税務署そのものが足を運んでいって、今回はこうして廃止することについてひとつ何とか御了解をいただきたいと。そしてまた、納税貯蓄組合、いわゆる各町内会の会長さん、そういった方々まで、みずから税務署が足を運びながらやってきている。  税務署は、私の聞いた話では、夕張の税務署の支所を廃止するのに昭和四十年から始めている。しばらくの間税務署の支所という形にしながら、やっとことし、約三十年かけて廃止まで持ってくることができました——持ってくることができましたじゃなくて、できると言っていましたね。  それくらい各省庁についても、いわば税務署一つ、郵便局一つ、出張所一つ、それぞれ廃止するについては住民サイドに対して気を使い十分なサービスをやっているのに、十分な配慮をやっているのに、全く法務省は傲慢不遜。こんなことで本当に行政の責任者としてやっておられるのかどうか。  今のその税務署の話も聞きながら、住民に理解を求めるということについて、ひとつ大臣に見解をいただきたい。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 先生からいろいろな御指摘をいただいたわけでございます。  登記所の問題につきましては、全体といたしまして統合の方向に持っていくということにつきましては御理解をいただいていることと思うわけでございますが、現実にこの登記所出張所を御利用いただいております方々に十分な御理解をいただき御協力をいただく、またその後の対応について御不便の度合いをできる限り少なくしていくことが大切であるという御指摘であるかと思います。  局長から答弁をさせていただきましたように、従来の私どもの対処の方針といたしましては、地域住民を代表されておられる町村長さんまたは議会の皆様に御相談をしていくということで、このような形で御説明をするという方法をとらせていただいてきたということであって、先生からは、それでは直接話をする機会を持とう、持っていくべきであるという御指摘であるかと思うわけでございます。もう一つは、これが統合された場合に御不便にならないような対応について、組織的に効率的な検討が十分でないというおしかりであるかと思います。確かに両方とも大変重要な御指摘と思っております。  私ども、今先生からいただきました宿題を重く受けとめまして、今後、この登記所の統合につきまして御理解と御協力を求めていくという方法につきまして検討させていただきたいと思います。

山田正彦新進党

○山田(正)委員 当初、私は法務局に聞いたときに、町長と理事者に話せばいいじゃないかと。そして私が長崎の法務局長に聞いたら、どういう説明をしたかと言ったら、もちろん留意事項については話してない、留意事項については町長にも議長にも話してないと。町長さんにも聞いてみたら、いや、そんな話は全くなくて、閣議決定でこうなったから、もう本当に登記所の廃止をやらなければいけないものだとばかり、そう思ってやむを得ず、自分たちはそう言われたばかりでございましたと。また留意事項には、司法書士に説明するように、そうなっていますが、司法書士も、私が聞いた三人の司法書士それぞれが、ただ一方的に法務局の方から、もうこうして廃止するからと通知があったのだと。  今ここに豊玉町長の長郷さんの法務局長あての書面も持ってきております。そしてまた、前回も私引用いたしましたが、長崎県司法書士会の会長の吉田さんが、これは長崎地方法務局の三重出張所が廃止されたときですが、   ところが、御庁よりこの件について直接通知を受けたのは平成五年八月下旬のことであり、僅か六カ月余という切迫した期間を置いてのことである。当会会員のうち、同出張所管内に事務所を置き、業務を行っている者は二名であるが、この会員にとっては唯一の生活の基盤であり、事務所所在地の登記所閉鎖という事態は筆舌に尽くせぬ事件である。 当会としては、せめて四、五年前に実施を公表し、地元住民あるいは関係団体と十分な協議をして、そのコンセンサスを得た上でやるべきことではなかったか、ぜひそういう形で住民の立場を考えてやっていただきたいという意見表明を、言ってみれば司法書士の先生方は法務局に、いつもお世話になっている仕事場であるというところから、かなり気兼ねしている。その司法書士会がやっとこの書面を私に出してくれた、余り公表しないでくださいよと。余りにも法務局はひどいんじゃないかな、これはね。  まあ、そういう意味で、期間の問題にしてもひとつ十分な期間を置いてやっていただきたいと思いますが、まず、これから法務省が登記所を廃止することについて、住民サイド、ただ町長とか議長に一方的に言うのではなくて、住民側の連合町内会長さんとか、そういったところに説明をする気があるのかないのか。するというのかどうか、相変わらずしないというのかどうか、これについて、その一点だけで、イエスかノーかお答えいただきたい。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 今回、昨年七月に民事行政審議会から統合に関する新しい基準をいただきました。この基準に基づく統合を今後とも行政改革の推進、登記事務の充実という観点から進めてまいりたい、そのための御理解をいただきたいというふうに思っておりますが、その基準に基づく統合というのは従来以上に登記所の統合を進めていくということになるわけでございます。  そういうことを考えました場合には、また委員の御指摘も踏まえまして、今後はそういう説明の仕方というものも、もっとこれまでのやり方よりも充実していかなければならぬというふうに思っておりまして、御希望があるという場合には直接そういう住民の方々に対しても説明をするという機会を持っていく、そういう考え方で進めてまいりたいというふうに思っております。

山田正彦新進党

○山田(正)委員 御希望があればということは、向こうから要求がなければ法務省側は十分な説明をしないということだ。そういうことですね。御希望がなければ住民に説明はしない。そこをはっきりしていただきたい。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 これは、これまでのやり方でも、先ほど来申し上げておりますように、市町村当局の方々、それから先ほど来司法書士の方々のお話もございましたが、司法書士、土地家屋調査士という、そういう登記事務と非常に深いかかわりのある方々、あるいは議会の方々、そういう方々に説明を何回もしてきている。これはこれまで続けてきたことでございます。その中でおのずから、これは説明という要望が出てくるものというふうに思っております。そういうものに対応して適切に対応していきたいということであります。

山田正彦新進党

○山田(正)委員 税務署も、郵便局も、それぞれ、それこそ住民側に各廃止する場合には十分な説明に行っている。この答申の中でも「十分説明をして、」と書いている。  ところが、今の局長のお話だと、向こうから希望があればと。向こうから話がなければこれから先もいわゆる住民側に説明する気はない、そうとっていいわけですね。それでいいならそれでいいと答えてもらいたい。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 そういう必要があるかどうかということについては、そういった地域を代表される方々にお聞きして把握をしたいと思っております。

山田正彦新進党

○山田(正)委員 お聞きして、いわゆる要望があって——まあその法務省の立場、態度というものはこの民事行政審議会の答申に明らかに違反している。  私は、きのうおとといから、加藤一郎先生、この審議会の会長さんを、どうしても会いたいと思って探しておったのですが、出張中で会えなかった。ひとつ加藤先生にも一度この法務委員会に来てもらって、どういう趣旨でこういう答申を書かれたかはっきりしてもらわなきゃ済まない、この問題は。  まあ、いずれにしても、もう一つ豊玉の法務局のことに関しては、実は当時、昭和四十八年か四十九年ごろの町長の手紙でありますが、斎藤さんという町長です。そのころ法務局を廃止するという話があった。それで、町長さんは大変困って、長崎法務局あるいは福岡まで行って何度も話し合った結果、法務局の方に土地を提供してもらったら法務局は新しく建物をつくってそこで何とか存続させることをいたしましょうという約束をいただいた。それで、豊玉町長さんは二百坪の土地を法務局に提供した。私も行ってまいりましたが、法務局はその上に立派な二階建ての鉄筋コンクリートの建物をつくられた。そして、これでもう大丈夫ですよと豊玉町民の皆様にそういう話をなさった。ところが、それから今、今度豊玉町民に対して一方的に法務局を廃止すると。  これは、いわば国の機関とはいえ、二百坪の土地を町に提供させて、それでいてもう廃止します、これはまさに法務省は、いわゆる町民をだましているではありませんか。これはどういうことなのか。こんなこと、あってはならないことを法務省たるものがやっている。これについて局長、お答えいただきたい。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 豊玉の施設の新築に当たってどういうお話があったのかは私ども承知するべき資料がございませんが……(山田(正)委員「今ごろ知らないなんてことはないでしょう。前回も話している、この委員会で。」と呼ぶ)  これまで法務局の統合を随分たくさん進めてまいりました。それぞれの地域において、特にそういう地域は地方の小さい市町村でございますのでとりわけ地域の市町村当局とは非常にじっこんな間柄にさせていただいております。お互いに協力しながら仲よく仕事をやらせていただいた。そういう中で、今申しましたように、土地の提供を受ける、あるいは場合によっては建物まで提供を受けるというようなこともしていただいてきだわけであります。  そういう状況の中で、行政改革、組織の集約の必要性ということで、やはりそういうところから足を抜いていかなければならない。これはまた政府の方針でもあるわけでございまして、そういうことを実現するためには、やはりそういうこれまでの地元との長いつき合いからいうと、私どもといいますか、地元の法務局の担当者にとりましてもまことにせつない思いをしながら、これは政府としての方針であり、登記所を全体として充実させるためにやむを得ないことだということを御説明をしてこれまで統合を進めてまいったわけでございます。  今、約束に反するというようなことは、私は事実関係を承知できませんけれども、そういうことで提供して建てていただいて、そしてこの時点でやはり統合させていただかなければならぬということを説明させていただく場面もこれはいろいろな場面である。そういう点では、私どもこれを推進するについては大変片方ではせつない思いもしながら進めさせていただいているところでございます。

山田正彦新進党

○山田(正)委員 局長は豊玉の法務局の土地の提供の問題については今初めて聞いたような、よく知らないようなことを言っていますが、私は前回この委員会でそれを聞いている。それについてまた何にも調べずに、今みたいによくわからないような答弁しかしない。本当に私は、法務省のこの態度というのは傲慢であるし、やり方を間違っていると思う。  それで、私は今度の問題で、最初は何とか行革に協力し、本当にみんなで、ただ、ちょっとだけ住民サービスをやってもらえばいいのだからという話をしていった。そのときに、法務省民事局の検事揖斐潔、この揖斐君が私のところにやってきて、そしていろいろなことを言ったから、じゃ委員会でも聞いてみたいし、資料をもらいたいと。ところが、委員会の質問前になっても資料を持ってこない。その後も何度も資料請求しても持ってこない。私も業を煮やして、じゃ国政調査権があるのだよ、そう言ったら初めて、それも随分不満足な資料でしたが、それを持ってきた。ほかの省庁においては絶対考えられないことなのだ。各先生方はみんなそう言っている。  これは法務省の体質が、それは、検事さんが法務省にいっぱいいることは、私も司法修習二十四期でわかっておりますが、何でその法務省にいる今の行政官が検事という名称をつけなければいけないのか。だれだって検事という名称をつけられれば、それはそれで恐る恐る、ああ、そうですがということになってしまう。この体質なのだ、問題は。この名刺、何で行政をやっている人が、事実の捜査ならともかく、検事という名刺を使わなければいけないのだ。

頃安健司法務省大臣官房長

○頃安政府委員 お答えします。  法務省の中にたくさん検事という肩書の者が仕事をしていることは委員御承知のとおりで、官房長である私も検事でございます。  これは、法務省の所掌事務の性格上、民事、刑事に関する基本的な法律の立案あるいは訟務事務の遂行あるいは検察官人事等検察行政事務、その他もろもろ法律的素養を要するもの、言葉をかえますと、法律専門家でなくては処理しにくい事務をたくさん所掌しているからでございます。

山田正彦新進党

○山田(正)委員 もう時間がなくなりましたが、いいですか、民事の訟廷官が検事という名前を使うならわかる。しかし、この揖斐潔さんの名刺には「登記所適正配置対策室長」、これに何で検事という名刺が要るのだ。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 民事局の職員の問題でございますので、私が御答弁申し上げます。  職務上は検事という身分であり、そして民事局付に充てられ、民事局付として対策室長の仕事をしているわけでございます。私ども、内部では局付検事というふうに呼んでおります。  いずれにいたしましても、身分上は検事であって局付に充てられているということを名刺上表現する方法としてどういう方法がいいかということは、いろいろ御意見があろうかと思いますが、そういう意味で、検事という職務上の地位にあるということは、これは違ったことを書いているわけではないというふうに思っております。

山田正彦新進党

○山田(正)委員 もう時間が過ぎておりますのでやめますが、最後に。  何もその検事の名刺が云々とは言っていないのですが、こういう適正配置の問題等をやっていて、各市町村長とかそういった方々とも接するときに、本当に行政にタッチしているのに肩書に検事とつけている、こういう体質を私は問うているわけで、行政というものの本来のあるべき姿、公僕というもののあるべき姿、これを履き違えている、法務省は。もう時間が終わったので質問を終わりますが、この問題はこれだけで済まされない問題だ、そう思っております。  終わります。

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 鴨下一郎君。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 新進党の鴨下一郎でございます。  今回は、私は法務委員ではなかったのですが、特別、二月十二日午前三時二十分ころに、小菅の東京拘置所で塀を乗り越えてイラン人未決囚が脱走したというようなことの経緯につきまして、法務省に質問をしたいと思います。  報道によりますと、拘置所の北舎一階の雑居房からイラン人が集団脱走していることがわかり、五十分後に一一〇番通報した、警視庁亀有署が三百四十人を動員して捜査するとともに全国に指名手配した、こういうようなことが報道されていますけれども、この辺の少し詳しい経緯を教えていただきたいと思います。

東條伸一郎法務省矯正局長

○東條政府委員 お答え申し上げます。  全体の状況について御説明申し上げます前に、先生御指摘のように、今回、身柄の確保を最大の責務といたしております行刑施設におきまして七名もの大量脱走の事故を起こしましたことについて、大変申しわけなく、おわびを申し上げます。  それでは、事故の概要その他について御説明申し上げます。  ただいまお話のございましたように、本年二月十二日の午前三時二十二分ごろ、東京拘置所の防犯線が作動いたしまして、職員が現場に急行いたしましたところ、鉄パイプ等でつくったはしごが塀の内側にかけられておる、その付近には衣類数点が脱ぎ捨てられているということで、その後被収容者の人員点検を実施しました結果、八名のイラン人被告のうち七名が逃走した、こういう事故が判明したわけでございます。  現在までに判明している事実を総合いたしますと、恐らく金のこと思われるもので雑居房の鉄格子一本を切断して居房から抜け出しまして、居房から持ち出しましたシーツと洗濯ひもなどを利用いたしまして、構内の資材置き場から持ち出しました鉄パイプに、やはりそこにありました鉄筋、角材等を結びつけてはしごをつくり、塀の内側に立てかけて、その上端部にはひも状にしたシーツをくくりつけて塀の外側に垂れ下げて、これを伝わって塀を乗り越えて逃走したということでございます。  事故後の状況についても、続けて御説明申し上げたいと思います。  ただいま先生御指摘のように、防犯線が切れて警報が鳴りましてから警察への通報の時間関係を見てまいりますと、三時二十二分に防犯線が鳴りました後、警察に一一〇番通報いたしましたのが四時十分でございますので、四十八分のおくれがございます。その間、なぜそのようなことになったか。言いわけになることではございますけれども、結局、監督当直者等が非常呼集をかけて、二千名を超えます収容者の人員点呼をしたということで、いわば逃走を確認してから通報したということでございますが、この点、外塀にはしごがかかっていたことを確認した時点で逃走事故発生の疑いはもう極めて濃厚でございますから、人員点呼を優先することなく警察当局に通報すべきであったと、まことにこの点は深く反省しておわびを申し上げます。  その点については、おくればせながら、逃走事故発生後、警察当局への迅速な通報に関しまして、十四日付で私名義で全国の矯正施設に対して通達を発出いたしました。  警察へ通報いたしました後の措置についてと私どもでとりました措置についてだけ申し上げます。これは、刑務所職員は、警察と違いまして、逃亡後四十八時間だけは逮捕権がございます。その間の動きについて申し上げます。  東京拘置所では、全職員の非常呼集を発令するとともに、東京管区にも応援を要請いたしまして、非常配置をいたしました。非常配置につきました職員は、近隣施設からの応援職員を含めて、一番多いときは三百名という数に達し、五十五カ所に配置いたしましたが、残念ながら四十八時間以内に私どもの職員により身柄を確保した事実はございません。その後、警察当局の捜査によりまして、きょう現在、三名逮捕することができたものでございます。本日の午前零時過ぎに、逃亡者のうちの二名が追加して逮捕されましたので、七名のうちの三名が逮捕された、こういうような状況でございます。  現在までの状況は一応そういうところでございます。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 そういうようなことで、結果的には七人が逃げ出したということなのですが、今の時点での一番の原因は、一体どういうようなことだというふうに認識していますか。

東條伸一郎法務省矯正局長

○東條政府委員 事故の原因について、現在までに調査しました結果、反省をしている点は多々ございます。  多々ございますが、一番の原因といいますか、そういうものといえば、昭和三十年に逃走事故がございまして以来四十一年間、東京拘置所というところは舎房から逃げ出したという事故はなかったということで、やはり、逃げることはないという一つの安心というか、なれといいますか、そういうものからくる、例えば舎房の点検でございますとか、資材の管理でございますとか、差し入れ物の点検でございますとか、個別にはいろいろ問題がございますけれども、全体を通じましては、なれからくる、こう申しては現場の職員にはやや酷かもしれませんが気の緩みといいますか、やはり仕事を問題意識を持って行うという姿勢がやや欠けていた点がありたのではないか。ここが一番の、最大の反省点である、このように思っております。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 私は、その中でも一番の問題は、五十分間通報がおくれたということなのですよ。警報が鳴って、そしてはしごを発見した時点でなぜ警察に——周辺の人たちは非常に不安に感じたわけですよ。ですから、その辺のことを、なぜ五十分間の時間差があったのか、この辺のことだけちょっと教えてください。

東條伸一郎法務省矯正局長

○東條政府委員 先ほど申し上げましたように、三時二十二分に通報が鳴り、三時二十七分には塀のところに駆けつけた職員がはしごを発見しておりますので、先生御指摘のとおり、その時点で逃走事故疑い濃厚ということで、人員点呼を優先させることなくすぐに通報すべきであった、これは、私ももうそのとおりであると思っております。  おくれました原因については、先ほど若干申し上げましたけれども、結局は、逃げたか逃げないかということについて、全員舎房を一つ一つ点検していった、その作業に手間取った、こういうことでございます。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 それで、逃げたということが発見されなければ、その時点でまだ通報してないというようなことにもなりかねないわけですよね。現実には、刑務官があの辺をぐるぐる回って、地域の住民はもうみんな、一体何が起こったのかということも知らないで大変な不安になったわけですよね。  大臣、ちょうどこれは十二日の未明ということなのですが、大臣はいつの時点で逃げたということを知りましたか。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 十二日の五時四十分ぐらいであったと思います。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 大臣は、高校は江北高校ですよね。小菅の刑務所のすぐ裏ですから、ちょうど四十一年前に逃げた事件があったとき、あの周辺のことについての関心はおありだったと思いますけれども、覚えていますか、そのころのことを。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 記憶が悪いのかと思いますが、その事故のことにつきましては、個人といたしまして記憶いたしておりません。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 我々も子供心に、私のところもそこからすぐ近くなんですが、死刑囚が逃げたということで、本当に周辺も不安になりましたし、私自身も幼心にそれは大変だというようなことで非常に記憶として覚えているのですよ。  ですから、大臣が五時の時点で、逃げたということで、それを法務省としては逃がしちゃったのだからこれはあれですけれども、逃げられて、そういう人たちが地域の中に散らばったということについての思いというのは、大臣はどういうふうにその時点でお考えになったのですか。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 先生が御認識になっておられますことと全く同じであると思います。逃走したという者が、今先生がおっしゃった例は大変重罪な嫌疑をかけられている人間であったようでございますが、今回の場合は、外国人であるというような状況もございますし、御近所の方々にとりまして大きな不安であったということはもうすぐにお察しいたしたところでございます。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 くどいようですけれども、そういうふうにもし考えるのでしたら、直ちに通報して、そして警察を含めて地域の警護というのを万全を尽くすべきだっただろうと思いますよ。ですから、その辺のところの認識が、まあ四十一年ぶりというようなこともあったのかもわかりませんけれども、その辺の地域の人たちがどういうふうに考えて、どういう不安を感じていたかということについての法務省の考えは若干役所的だったろうというように思いますよ。  実際にそういうようなことで、久しぶりにそういうことが起こったということだというふうにおっしゃっていましたけれども、十二日の時点から今の段階でどういうふうな対策をとろうというようなことで——実際に私は申し上げてきたのですけれども、施設内の資材の管理というのは、あれは本当にあそこのところ、工事用のパイプだとかこういう鉄骨などがあって、あれを見ていたら、逃げてくださいというようなはしごみたいなのがあるのです。一人じゃ動かないかもわからないけれども、何人かで支えれば塀にかけられるような、そういうようなものが置いてある。  それから、あとは非常に、あれは何というのですか、警備の線、あれも今から見ると、戦前から戦後間もなくぐらいの装置なのかもわかりませんけれども、もっともっと近代的なさまざまな警備の方法というのはあるのだろうと思いますけれども、その辺のところの怠りは今までなかったのかどうか、こういうようなことを含めてですね。  それから、今局長おっしゃっていたような巡回等のそういうような、言ってみれば警備する側の心の問題、この辺のことについて直ちにやらなければいけないこともあるだろうと思いますが、いかがですか。

東條伸一郎法務省矯正局長

○東條政府委員 本件事故発生後、私の方から、本警備体制の再点検はもとより、差し入れ物の点検、居房の検査、構内における物品の適切な管理、防犯線作動時の的確な対応、それから事件が仮に発生した場合の警察通報などについては、全国の施設についてまず通達を出しました。  東京拘置所につきましては、今御指摘の、例えば資材の管理の問題につきましては、先生御指摘のとおりの状況がございましたので、もちろん直ちにそれを改めさせまして、資材置き場と通路との間に仮塀を設けまして、そちらが絶対に見えないような形にしましたと同時に、もちろん資材の管理を厳重に行うということをいたしております。  それから器材的には、まだ現在検討中ではございますけれども、防犯線のほかに、例えば赤外線センサーを入れて塀に近づく前に作動させるようなシステムをつくるとか、それから、これは金のこで鉄格子が切られたわけでございますが、その鉄格子について金のこでは通用しないような鉄格子に入れかえるということとか、それから差し入れ物の中に金のこがあったと思われますので、これについてもエックス線装置で徹底的に検査をする、これでも不十分な場合には金属探知機でもってさらに再検査をするというような、この事故の原因でございます種々の要因についてそれぞれできるものからやっていくということで、予算措置についても現在上申中でございます。  そういうことで、応急的といいますか、この事故を反省いたしまして、矯正局といたしましてはできるものからどんどんやっていくということと、省内には東京拘置所逃走事故調査委員会というものを事務次官を委員長としまして設けまして、現在、さらにほかにとるべき具体的施策を検討しているところでございます。  それから、先ほど御指摘のございました近隣の方々に非常にいろいろと御迷惑をかけ、さらに不安をおかけしたということについては、第一報を聞きまして、これは私もそのことが実は一番気になったわけでございます。それで、連絡方法その他についてさらに検討するように東京拘置所に指示してございます。現在検討中であると思います。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 先ほど申し上げましたように、四十一年前のことを私は幼心に覚えているわけですね。そういうようなことでいうと、あの地域は、言ってみれば明治の十二年から刑務所があって、そしてその後に巣鴨から東京拘置所が移って、もう既に昭和四十五年からですからね。非常に、その地域の人たちにとってみると、ああいう迷惑施設をいわば百二十年も押しつけられているわけですよね。  今回改築の話が出ていまして、その改築の話だって、あそこの地域は葛飾区という地域なのですけれども、三方は足立区に面しているのですよ。ところが、足立区の方には何の話もなくて、突然新聞で改築しますよという話。塀がなくなります、インテリジェントビルが建ちます、こういうような話だけで、全く地域の合意形成に対して法務省の方で働きかけもせずに、また新規に建てよう、新規に建てれば百年また我慢しなければいけない。そういうようなことでいいますと、十分にその辺の合意をしてくださいよと言っていた矢先の話ですよ、この話は。  言ってみれば一番の安心なことというのは、一〇〇%の警備体制ができたって逃げる人だっているかもわからない、そういうようなことでいうと、我々のこの地域の中ではできれば出ていってもらいたいというようなことがあるのですけれども、移転等に関しての法務省のお考えはどうなのでしょう。

東條伸一郎法務省矯正局長

○東條政府委員 拘置所と申しますのは、先生御承知のとおり、犯罪捜査とか刑事裁判というものの円滑な遂行に応ずる必要があるということで、刑務所と違いまして、どこでも、いわば都市の中に建てざるを得ないという状況でございます。つまり、裁判所や検察庁等、刑事、司法機関と近距離にある。それから、被疑者や被告人の防御権等を保障するために接見、面会等にも便利な場所に設置しなければならぬ。これは一般論でございます。  先生今御指摘のとおり、現在の東京拘置所は昭和四十六年に巣鴨から小菅刑務所を改造する形で移転したということで現在まであそこにおるわけでございますが、ただいま申し上げました拘置所の性格からいたしまして、やはりどうしても都内になければならないということで、私どもといたしましては、何とぞ現地で改築させていただきたい、このように考えている次第でございます。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 巣鴨から小菅に移った経緯というのを少し私なりに調べてあるところを申し上げます。  東京拘置所は昭和十二年十一月に巣鴨に新築されて、そして昭和二十年十一月に戦犯収容施設、いわゆる巣鴨プリズンとして連合軍に接収されたために、小菅の拘置所が未決囚の施設として業務をやっていた。  その後——ここなのですよ、問題は。池袋あたりが、人がたくさん住むようになって、そして周りが発展してしまった。だから、首都圏の中にそういうようなものがあったら困るからというようなことで東京都が要望を出して、そしてその要望に従って、言ってみれば昭和三十一年ごろから巣鴨プリズンをどこかほかに移したい、こういうようなことで東京都は法務大臣に要請を申し上げた。  そうしたら、その要請を受けて昭和三十三年二月二十一日の閣議において、巣鴨拘置所を首都圏に置くのは整備上支障があるので、極力早期に法務省及び首都圏整備委員会その他の関係省庁において適当な候補地を決定し移転するなどというようなことを閣議で決めたのですよ。その後に法務省は、閣議決定の趣旨に基づいて、東京都を相手方として、未決拘禁施設である拘置所の機能、役割を果たすには、さっきおっしゃっていたように、検察庁及び裁判所等に隣接していることが必要である。二十三区にいろいろと探したけれども、なかなか適地が得られなかったために、やむを得ず東京拘置所を旧小菅の刑務所に移転することを決定して、昭和四十六年三月に移転し現在に至っている、こういうふうなことなのですよ。やむを得ずですよ。  そして、それからずっと、言ってみれば死刑囚は脱走し、今回のイラン事件もありというようなことで、そろそろ周りの人たちにとってみると、もういいかげんにしてもらいたいというような感情を持っているわけなのですけれども、いかがですか。

東條伸一郎法務省矯正局長

○東條政府委員 現在の東京拘置所が巣鴨から小菅に移転した経緯については、ただいま先生がお話しになられたとおりでございます。  東京都にいろいろ適地を求めたけれども結局得られなかったということで、四十六年三月に小菅の刑務所に東京拘置所を移したということで、ただいま先生がおっしゃいました近隣の住民の方々の気持ち、私も個人的にはよくわかるつもりでございますが、現在の土地の事情その他を考えますと、あれだけのものを——小菅自体、かなり不便なところにございますけれども、あれに匹敵するものを見つけるということもこれは困難であろうと考えますので、今後仮に改築ということになりましたらば、建物その他につきまして、近隣の方々と十分協議をさせていただきまして、外見その他についても現在のようなものではない、地域に溶け込んだ形の拘置所、それから、もちろん安全面その他については、施設面で十分に考慮して御迷惑をかけないということは当然の前提として、何とぞ現在の場所で改築させていただきたいというのが再度、私のお願いでございます。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 拘置所の立地条件というのは、言ってみれば霞が関に一番近いところがいいわけですよね。実際に小菅の拘置所の方に例えば弁護士さんがいらっしゃる、それから地裁、地検の方に行くというようなことを含めて、非常にアクセスが、今交通事情が悪いので一時間以上かかるというような話で、非常に効率が悪い、こういうような話なんですよ。  地域の人にとってみると、例えば政治家の有名な人が入ってくるときなんかは、上をヘリコプターはぶんぶん飛ぶわ、周辺のところにいろいろな報道機関がわんわんいて、もうこれはたまったものではない、こういうようなこともあって、もっとしかるべきところがあるんじゃないか、こういうふうなことを私たちは考えるわけですけれども、例えば、今臨海部なんかのところは更地になっていて、どうやって、何に使っていいかわからないようなところもありますよね。この前青島知事にちょっとある会でお会いしたときに、あそこに迷惑施設を受け入れるというようなことはどうなんだという話をしましたところ、そういう議論もございます、こういうような話をしているのですよ。ですから、私はもうこれで、もしこのまま新しく建ってしまえばまた百年地域の人たちに我慢させなければいけない、こういうようなことで、ここでやはり考えなければいけない、考えていただきたい、こういうふうに思っているのですけれども、大臣、いかがでしょうか。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 近隣の皆様に、この東京拘置所がありますことにつきましていろいろな形で御迷惑をかけておりますことは、まことに申しわけなく思っているわけでございます。しかし、局長が今お話を申し上げましたように、二十三区内で、現在の国家財政の状況の中で今の地にかわるものを求められるかということになりますと、残念ながら不可能であるというふうに考えております。  今先生からも御指摘がございました、近隣の皆様にとって今御不自由をおかけしている、御不便をおかけしている面についてどんなような解決策があるのか、具体的な問題一つ一つを考えまして、できる限り御迷惑の及ばないような形で、同じ土地でまことに申しわけなく存じますが、再建をさせていただきたい、このようにお願いを申し上げる次第でございます。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 今一国会の移転の話がありますよね。首都機能をどこかに移そうじゃないか、そういうようなときに、首都圏の中に今拘置所を置いておかないといけない。そういうことの立地のときに、国会だとか霞が関がどこかに移動したときに、東京拘置所はあのままあそこでずっとあるというのが本当にふさわしいのかどうかということの議論を、今首都圏の設計そのものの中でいろいろと議論をしなければいけない時期なのですよ。  個別にあそこだけ建てないでくれというようなことじゃないのです。むしろ全体的なことの中で、これから首都圏の中で拘置所をどこに位置づけて、そして地域の人たちにも迷惑がかからないようにするためにはどうしたらいいのか、こういうようなことでいうと、ちょうどここ十年ぐらいの議論が非常に重要なときに、今もう固定的にあそこに建てちゃいますよ、百二十年も我慢させておいて、そしてさらにあそこへまた建てますよというような話というのはもうちょっと待ったらいかがか、こういうふうに考えるのですが、大臣、どうですか。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 先生のお話はまことによくわかるわけでございますが、先生もよく御承知でいらっしゃると思いますが、私も小菅の拘置所を視察をいたしまして思いますのは、大変に、残念ながら設備の老朽化が進んでおります。今回の事故をとりましても、やはり新しい、できる限り近代的な設備のものに建てかえる必要性というのは相当に緊急なものがあると思っております。こういう事情がありますことも御考慮いただきたいと思っております。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 実際、きのうおとといか、私も見てきたのですが、塀だってひびが入っているし、それからモニターだとか何かだって不十分です。死角もありますし、実際にはなかなか厳しい施設ですよ。だけれども、それは今までずっと使ってきて、そして整備ができていなかった部分で、これを新規に、じゃ古くなったから建てかえるということとはまた別の議論です。むしろ今のものをどういうふうに改修して使いながら、基本的なところで首都圏の設計の中で拘置所をどこに位置づけるかというようなことを考えていただきたい、こういうふうなことで、私は、今脱走したことが原因で直ちに移転しろとか、それからあそこはどうしろとかということじゃないのですよ。むしろ今の施設は施設なりにもつときちんと警備体制が整うように整備するべきですよ。それとは別の議論として、そろそろ地域の人にも開放していただきたいというようなこともありますよということを最後に申し上げたいと思います。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 先生の今のお話をよく検討させていただきまして、御趣旨に沿った形で考えてまいりたいと存じます。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 どうもありがとうございました。     〔委員長退席、佐田委員長代理着席〕

佐田玄一郎自由民主党

○佐田委員長代理 山田英介君。

山田英介新進党

○山田(英)委員 まずは大臣、御就任おめでとうございます。どうぞ御活躍くださいますように。  最初に、大臣所信をお伺いをいたしました。その中で、特に法秩序の維持に対して特段の所信の御表明があったかと思っておりますが、私は、特に住専問題に関連してきょうは質問をさせていただきますが、その前に、基本的な私のこの問題に対するスタンス、それはこの住専処理に税金は使うべきではない。特に法治国家でありますし、したがいまして、当然、一つの会社が破綻をした場合には法的にこれを適正に処理をする枠組みというものは用意されているわけでありますから、原則的には、基本的には、第一義的にはやはりこれは法的に処理をすべきだ、こう考えざるを得ません。  いろいろな角度から言うことができますが、一点だけあえて申し上げれば、第一次損失処理につきましては、御案内のとおり六千八百五十億円という公的資金をこれに充てる、投入するということでございますけれども、先般、追加的に政府が今後の処理方策を決められた中で、第二次以降、そして最終損失が発生をした場合に、その半分を国が責任を持つ、すなわち公的資金を導入するということを決められておるわけでございますが、そうなりますと、単に七千億弱の公的資金投入にとどまらず、これは数兆円という規模に発展をする、膨らむ危険性がある。  ちなみに、政府が分類をしているこの債権の種類などを見ても、明らかにほぼ回収不能債権というのが一・二兆ある。回収困難と言われる債権、これが二兆円ある。正常債権三・五兆円といいますけれども、一般の住宅向け個人ローンというものを除いた三・五兆の中のほとんどがきっと事業用、不動産向け債権ということであると思いますが、それは一度経営破綻をして処理をされるという状況の中で、その債権回収がどんなに困難を伴うかということは、これは幾つかの例を見ても明らかなわけであります。  そうなりますと、いわゆる住専処理機構あるいは預金保険機構等が譲り受けをするいわゆる債権の総額というのはおよそ六・七兆というふうに言われているわけでありますから、これが仮に四兆、五兆という最終的な損失が新たに発生をした、確定をしたということになれば、二兆円とか二・五兆円がまた公的資金導入ということになるわけでありまして、したがって、そう簡単に今回の処理スキームを私どもは認めるわけにはまいらない、こう思っております。  それで、午前中の山本拓委員と大臣及び民事局長とのやりとりを聞かせていただきましたが、後ほどこれはまとめて申し上げたいと思っております。事はやはり法治国家における、その一番中心におられる法務省の存在のかなえの軽重がまさに問われる事態でございまして、後ほどまた、この点については私の意見を聞いて御感想をいただきたいと思っておりますけれども、その基本的なスタンスを申し上げました上で、何点か質問をしたいと思っております。  まず、大蔵省にも来ていただいていると思いますが、いわゆるこの債権回収の体制として今示されておりますのは、住専処理機構を新たにつくり、あるいは既存の預金保険機構の陣容を強化して、今回処理をされる回収不能と言われる六兆四千百億円を含めて徹底的な回収に当たる、こういうことになっているわけでありますけれども、例えば新設される株式会社住専処理機構、ここはどういう陣容でどのくらいの規模で考えておられるのか。それから、預金保険機構には国税、検察、警察のそれぞれの人員を配置をし、陣容を整えるというふうにされておりますけれども、それぞれどのくらいの規模で債権回収に当たろうとしているのか。これをひとつお答えをいただきたいと思います。

古井俊之大蔵省大臣官房企画官

○古井説明員 お答え申し上げます。  今回の住専処理策におきましては財政資金が投入されることにかんがみまして、住専処理機構は財産調査権が付与されました預金保険機構と一体となって、住専から譲り受けた債権等を強力に回収することとしているところでございます。  預金保険機構及び住専処理機構の体制及び職員につきましては、強力な債権回収体制を確保していくという観点から、最も適した体制、人材を確保していくという観点から検討しておりまして、御質問にもございました法務・検察御当局、警察御当局、国税御当局も含めまして、幅広く各方面から御協力をいただきたいと考えているところでございます。  なお、具体的な体制、人数等につきましては、現在鋭意検討中でございます。

山田英介新進党

○山田(英)委員 鋭意検討中じゃなくて、それはどのくらいの規模でやるということは、まあ一けたの数字まで正確に言えというつもりはないので、要するに百人単位なのか千人単位なのか、その辺のことも何も考えてないでこんな処理スキームを、あるいは住専処理機構を法案にして出すなんてそんな話はあり得ないわけで、どうぞ、もう一回言ってください。

古井俊之大蔵省大臣官房企画官

○古井説明員 お答え申し上げます。  重ねてで恐縮ですけれども、その預金保険機構及び住専処理機構につきましては、細部にわたりまして検討を進めているところでございまして、現在そのスキーム、特に人員等をお示しできる段階にはないことを御理解いただきたいと思います。

山田英介新進党

○山田(英)委員 ここで押し問答してもしようがないのであれですが、私の承知しているところでは、この預金保険機構には現在は十数名の職員がいるだけだ、こう理解をいたしております。これを要するにどこまで、本気で回収を図るということであれば、どういう規模の陣容で臨むかということは極めて大事な話でありまして、そこのところは国民も知りたがっているわけでありますから、ひとつ早急に詰めて明らかにしていただきたいと思います。  それで、私は一つだけ申し上げておきますけれども、第一次損失処理分約六兆五千億、第二次以降、いわゆる預金保険機構に債権譲渡される額が約六・七兆、住専関係の債権だけで十三兆からの債権回収を図ろうというわけでありますから、そんな何十名だとか百名、二百名なんという話では話にならないということはぜひ本省へ帰ったら言っておいてください。腰の引けた、あるいは格好だけつけて十三兆どうして回収できるのですかという話になるわけですから。  これはアメリカのいわゆる金融犯罪摘発の、約五年間の摘発等に当たった、金融犯罪は許さないというこの陣容なんかを見ても、それは同じレベルにしろなんて乱暴な話を僕はするわけはないのですが、まあ実に大変な陣容ですよ。二万一千名になんなんとする。そこにはFBIから、FRBから、SECから、あるいはFDIC、これは預金保険公社、それからRTC、整理回収公社等々、全部合わせていわゆる金融犯罪のプロたちが二万名を超える体制で、不正の摘発から民事、刑事、この摘発から債権の回収から取り組んだという事例もあるわけでありまして、同じレベルにしろとは、そんな乱暴なことを言いませんが、やはりそれなりの陣容というものがなければ、決して国民はこれを理解し、納得することはあり得ないということは申し上げておきたいと思います。  それから、実は民事執行法の改正について法務大臣、法務御当局の見解を伺いたいのですが、簡単に言いますと、例えば抵当権者がその抵当権を実行しようと思って競売等にかけようとする。しかしそこに、何というのでしょうか、合法を装ったいわゆる仮装貸借人というような立場でその抵当物件に居座って執行を妨害する。そこにいわゆる暴力団と言われる連中が寄生をしている、食い込んできている。したがって、この執行が極めて妨害、邪魔をされて競売制度が実効を上げ得なくなってきている。これはもう御案内のとおりでございます。これをどうしても排除できるようにしなければならない。  そういうふうに考えていきますと、民事執行法のまず五十五条「売却のための保全処分」、七十七条「最高価買受申出人又は買受人のための保全処分」、それから八十三条、競落したりそういう人の権利を守るための「引渡命令」、特にこの三つのところは法律上、債務者、所有者、物件についての債務者、所有者しかこれらの命令等の処分の対象にされていない。ここにやはり悪意のというか、不法に占拠している占有者というところにもやはり適用の対象を広げるべきであるというふうに考えますが、いかがでしょうか。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 御指摘のとおり、民事執行手続におきましては対象物件が適正な価額で売却されるということが重要でございまして、そういう観点から、ただいま委員御指摘の民事執行手続における保全処分の手続がございます。  それからさらに、売却がされました後の、買い受け人がその対象不動産の占有を取得するために、執行手続の中で簡易な手続で引き渡しを受けることができる手続がございます。その範囲につきましては、保全処分につきましては、ただいま御指摘のとおりその相手方として債務者あるいは担保権の場合には所有者だけしか入っておらない。占有者を加えるべきであると。  それから、引き渡し命令につきましては、引き渡し命令の相手方たる占有者の範囲といたしまして、買い受け人に対してその権原を対抗することができない占有者についても法文上はそのすべてを相手方とすることができないという制約があるという問題が指摘されておるところでございます。  これらの点につきましては、いずれもこの民事執行法、昭和五十四年に政府提出法案として提出したわけでございますけれども、政府原案におきましては委員御指摘のように範囲が広かったわけでございますが、それが乱用のおそれがあるという形で、国会で修正されて現行法になったという経緯がございます。  そういうことでございますけれども、現在そういう御意見があり、与党におきましても、今回の住専問題を契機に法改正の検討をされておる、その対象の中に入っていると承知しているところでございまして、法務省といたしましては、民事執行法の所管庁として、与党の御検討も踏まえながら、民事、司法上の観点からどのような問題があるか等について重大な関心を持っているところであります。

山田英介新進党

○山田(英)委員 それで、五十五条と七十七条に占有者を加えるということは、先ほど申し上げましたように、いわゆる執行を妨害する、あるいは価格を低下せしめる、いろいろな他の目的、よからぬ目的を持って暴力団とかよからぬ者が居座る、これは非常によくない。それは、この二条については対象に加えることによって一応排除できる。しかし、今度八十八条は、極めて、条文を読んでもものすごくわかりにくい立て方になっているのですが、これはやはり民法三百九十五条の短期賃借権の保護との兼ね合いで非常に難しい立て方をせざるを得なかったのだろうと僕は思っておるわけですが、そうすると、例えば占有者を加えることによって、僕が申し上げましたように、また局長今御答弁あったように、賃貸借契約を結んでいるという形で貸借人を装う仮装貸借人になっている。それは当然債務者、所有者と通牒しているわけです、よからぬ連中が。その場合は、賃貸借契約を交わしたんだから、自分は合法的に契約をしたんだからというふうに言われた場合には、そこのところに占有者を加えることによって排除できるわけです、いずれにしても。  しかし、それが今度は、法改正ができ上がった後は、単なる契約だけでは排除されてしまうから、改正された五十五条やあるいは七十七条で。そうすると、今度は悪意を持ってそういう妨害行為をやろう、あるいは不当な利得をねらっている連中からすれば、それでは民法三百九十五条の短期賃借権を、債務者、所有者とこれもまたはかって、今度は登記までやってしまう。登記までやってしまうと、これは、この規定にありますように、抵当権が設定された後に短期賃借権が設定登記されたとしても抵当権は優越できないんですね。後から登記した短期賃借権が保護される。ですから、三年以内の賃貸借契約であり、それに基づく賃借権を登記したということであれば、抵当権者はそのものを排除できないんですよ。     〔佐田委員長代理退席、委員長着席〕  ですから、私が申し上げたいのは、民法の三百九十五条、これをぜひ抜本的に、あるいは賃借権者と抵当権者との利害というものを本当にすっきりと調整できるように、やはり抜本的にそういう仕組みを立法化すべき時期にもう来ているのではないのか。  しかも、これは債権回収に関連して私は申し上げているわけでありまして、住専処理機構は十五年の存続期間を置いて、したがって、十五年かけて最後まで借り得を許さずということでその回収の作業をやるわけですから、やはりこの十五年という期間を考えれば非常に難しいと思います、この民法の短期賃借権保護の規定は。これはすごい規定なんですよね。いずれにしても、このまま置いておくというわけにいかないでしょう。住専問題があるなしにかかわらず、これはいずれにしても本気で抜本的な立法化というものを検討して、それの実現を図るべきだというふうに思います。  これは第三百九十五条、三年を超えざる賃貸借は「抵当権ノ登記後二登記シタルモノト錐モ之ヲ以テ抵当権者二対抗スルコトヲ得」なんですね。後から登記しても抵当権に対抗できるという。しかし、それはバランスをとるためにただし書きがあるのですけれども、これがまた非常に難しい。「但其賃貸借カ抵当権者二損害ヲ及ホストキハ裁 判所ハ抵当権者ノ請求二因リ其解除ヲ命スルコトヲ得」と、一応バランスをとっているよう書き方にはなっておりますが、民事執行法の一部を改正しても、特に八十八条のところはこの民法の規定とひっかかってきますので、あわせてこの民法の当該条文についても、ひとつ、幅広く関連法案があるでしょうから、それらも精査をしつつ着手してもらいたいと思うのです。これはだれに聞いたらいいですか。——民事局長。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 委員御指摘のような御意見も私どもあることは承知いたしております。  ただ、短期賃借権の制度そのものというのは、これは抵当権者と土地所有者の土地利用をめぐるバランスをとるための規定でありまして、御案内のとおり抵当権というのは所有者に土地、建物を使わせながら担保価値を把握するという制度でございますから、その担保物件を一定の範囲で利用できるということでないとぐあいが悪いということで設けられているものであります。  御指摘のとおり、この制度が乱用されているという実態があるということは、私どもは聞いております。しかしながら、乱用形態でない、要するに通常の利用形態としての短期賃借権、建物の三年内の利用というのはあるわけでございますので、一概にこの制度を動かすということは、大変慎重な検討を要する問題であるというふうに考えております。  御指摘は、その民事執行法上の保全手続等に手を加えても、肝心のこれに手を加えなければ意味がないではないかという御指摘であったと思いますが、短期賃借権の乱用に対する対応といたしましては、現在でも裁判実務上の解釈、運用によりまして、全く乱用と認められるようなものについては、そういう賃借権を設定している、登記をしているということであってもその効力を認めない、短期賃借権と認めないという解釈、運用がされておると承知しております。  そういうことを前提にして考えれば、先ほど御指摘の民事執行法上の手続を、手だてを講ずるということになりますと、乱用と認められて、効力を認められないそういう占有者は保全処分の対象に入り得るということになるわけでございまして、その限度でも相当の積極的な効果はあるのではないかというふうに認識しております。

山田英介新進党

○山田(英)委員 とりあえずその答弁で結構だと思うのですが、要するに悪意を持ってこの民法の規定を悪用して、まあ悪意があるから悪用するのですが、それで登記をする。後から登記したって、先に登記した抵当権者よりおれの方が強いんだ、こういう事例がありますので、これについてはもう厳正に法の運用をやっていただきたい。特にただし書きのところの解除請求のところは実効性がしっかり担保されるように、ぜひ十分御注意をいただきたいというふうに、とりあえずお願いをしておきたいと思います。  それから、商事債権の消滅時効は五年です。バブルがはじけて不良債権が顕在化し始めてそろそろ四年、五年という年月が経過しようとしているわけですが、申し上げましたように、借り得許さず、借り手の責任はしっかり果たさせるという観点からすれば、この消滅時効は、五年ということを延長して対処すべきであるという考えを私は持っておりますけれども、法務大臣、局長、どういうふうに思われますか、一言。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 債権の消滅時効についても御指摘のような御議論がございますが、私ども基本的な考え方といたしましては、例えば既に消滅時効が完成しているといったものについて、それを遡及的に延ばすというようなことについては、財産権の保護の上から大変問題があるのではないかという認識を持っております。  ただ、現在、先ほど申し上げました、与党でこの関係の特別立法を御検討されているところでございまして、私ども承知をしております範囲内におきましては、今回の住専処理についての政府の案のスキームの中において、住専各社から住専処理機構が譲り受ける債権、これは一時に膨大な債権を引き受けてその債権の回収を図らなければならないという特殊性から、その相当の一定の期間は、まあ大ざっぱに申し上げれば譲り受けのごたごたの間に消滅時効が完成してしまうということがないような措置が講じられないかという観点から御検討をいただいているというふうに承知しております。

山田英介新進党

○山田(英)委員 私は、この商事債権の消滅時効を五年から延長すべきではないかと申し上げましたのは、既に時効が完成したものについて、またそれをどうのこうのなどということは言っていないので、今まさに局長がおっしゃいましたように、いっときに大量の債権を譲り受けをする、その引き継ぎのときにどたばたしているうちに時効が完成してしまったということ、これはどうしても避けなけれ、ばなりません。  と同時に、住専処理機構等が向こう十五年かけて債権回収を図ろうというわけですから、非常に大きなボリュームの回収すべき債権、それからほかにも、住専関連だけではなくてノンバンクの不良債権だとか、あるいは銀行が不良債権を例の共同債権買取機構へ持っていっていますね。十兆円ですよ、持ち込んでいるのは。換金されたのはわずか三千三十億円ぐらいという話でありますけれども、抵当権が実行されたのはたった四件だそうですよ。あるいは二信組の債権回収では東京共同銀行が当たっている。  そういうふうに考えると、それはそれとして、いろいろな、非常に幅広く不良債権と言われるものを回収しなければならない。あるいはまた、大蔵省からさっき聞いたけれども、先ほどの答弁から、雰囲気からして、どうもそんなに大きな規模の陣容で債権回収に当たろうとは感じられない。もう限られた陣容だ。しかも、無数の件数がある、膨大な回収すべき金額ということを考えますと、単に譲渡をする手続的な期間だけ消滅時効を延長すればいいという話ではないと僕は思っております。  したがって、一、二年というのじゃなくて、十年とか十五年とか、要するに、消滅時効の延長というのはもうそういう考え方に立つべきではないのかということを私は申し上げておきたいと思います。  それで、この点はどうでしょうか。要するに、与党三党が今検討しているとかしていないとかというのは、僕はそれはよく知りません。基本的な考え方としてどうなんでしょうか。一年なら一年とか二年とかいう移行期間だけ延長すればいいのでしょうか。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 責任回避のように受けとめられると恐縮でございますが、今回の債権回収の実態を踏まえてどういう立法措置が必要かということは、まず私ども、第一義的に考える立場にないということを申し上げさせていただきたいと思いますけれども、御指摘が商事債権の消滅時効一般についての改正という御指摘なのか、それとも特定の債権についてということか……(山田(英)委員「住専債権です」と呼ぶ)もし後者であるとするならば、債権の性質という観点から考えますと、どの債権であるからといって特に消滅時効に差を設けるというのは、なかなか説明が難しいのではないかなという感覚を持っております。  先ほどの与党で御検討されているというのは、要するに、その債権を大量に譲り受けるという過程におけるそういう特殊事情ということを考慮しての検討ということでございまして、それを離れて、そういう特定の債権一般について消滅時効を延長するということはなかなか難しい問題ではないかなという印象でございます。

山田英介新進党

○山田(英)委員 局長、違うのですよ。私は与党三党が検討されている案をベースにして質問しているのじゃないのですよ、私の考え方をあなたに聞いているわけですから。時間がありませんから、それはこの次またやらせてもらいますけれども。  最後に、恐縮ですが、大臣、いわゆる今回のこの処理スキームがベターだという趣旨の話をされました、先ほど山本委員とのやりとりの中で。利害関係人が多い、権利関係が非常に複雑だ、時間がかかるし時価が下がるし損失が膨らむと。だからこそ法的枠組みの中で腰を据えてやはりじっくり取り組むべきではないのか。これ、だからといって税金の投入を認めるという、それが安易に流されたという評価を受けるとすれば、それはまさに法務大臣がおっしゃいました法秩序を守れるのかどうか、法秩序を厳に維持できるのかどうかというところにこれは実はいく話でございまして、私は、だからこそということを大臣に申し上げたいと思います。  それからもう一つ、済みません、破産法で処理をした場合に、大臣は、債権者平等の原則があって、そうするとこのスキームの負担割合が違ってくる、それは当然なんです。ですから、私一言申し上げたいのですが、今政府が提案されているこの処理スキームというのは、実はだれも傷がつかないように考えられたスキームじゃないのか。まさに先ほどの大臣の御答弁をよくかみしめてみますと、負担割合が異なったら合意が得られない、したがって法律で定められた枠組み以外のこういうスキームを出さざるを得なかったんだというふうに当然これは解釈できるわけでありまして、私はそういうふうに考えた場合に、法治国家なんですから法的な処理というものをやはり原則にすべきであるということを申し上げたいと思います。一言どうぞ、大臣。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 今回の住専問題の処理につきましては、さまざまな角度からその解決方向というものが検討されたというふうに私も伺っております。それらすべてのいろいろな、今先生から御指摘になりました法律、諸制度の適用も検討の中に入れて、現時点において、それからさまざまな利害関係者、それから問題の性質、そういうものを考えまして、現在のスキームを最良のものとして採択したというふうに考えているわけでございます。  なお、この問題につきましては、民事または刑事上の問題、これがいろいろな形で議論されております。私といたしましても、この問題につきましては重要な関心を持っているわけでございまして、検察当局は十分な態勢を整え、それから国会におきまして十分に御審議をいただいております内容も念頭に置きながら、適切な対応をして進めていくものと考えております。

山田英介新進党

○山田(英)委員 済みません、最後に本当に一言でございますが、難しいから、複雑だから、だから、時間がかかるから税金入れるのが当面の一番いい選択だとおっしゃいますけれども、やはりモラルがあるわけですよ。借りたら返させる、あるいは借りたら返すという。そうすると、モラルハザードを助長するような、一生懸命働いて、申しわけない、それでも少しずつでも返したいという人まで、何だこれは、おれも返すのばかばかしいということになりますと、これはまさにモラルハザードを助長させていくようなことになれば、経済社会が健全に、あるいは公正に運営され、あるいは発展させていくことは不可能になるわけでありまして、その点、一言指摘をさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。時間超過で済みませんでした。

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 細川律夫君。

細川律夫社会民主党・護憲連合

○細川(律)委員 社会民主党の細川でございます。  私は、国会の方に参りますのに東武線を使って毎日参っております。その東武線からはちょうど小菅の拘置所が見えておりまして、毎日見ております施設の中からイラン人が七人も逃走するという事態が発生をしまして、私も本当に身近な問題としてこの事件を感じた次第でございます。  大臣からは、所信表明のところで、「このような事態が二度と起きないよう事務当局に対し徹底した原因の究明と再発防止策の策定を指示したところであります。」このように表明をされました。これまでに質問もありましたので重ねての質問になり、また少し細かいところにもなりますけれども、再発を防止をするというその観点から何点か質問をさせていただきたいと思います。  まず最初にお聞きをしたいのは、逃走した七人が、逃走しなかった一人を加え八人で雑居房に収容されていた。イラン人ばかりなぜ雑居房に収容されていたのか。これについては、外国人同士を雑居房に入れるということは余りないというようなことを聞いておりますけれども、一体どうしてこういうことがなされたのか、外国人を雑居房に入れるような場合どういうような原則でなされておるのかをお聞きしたいと思います。

東條伸一郎法務省矯正局長

○東條政府委員 今般、七名もの集団逃走事故を発生させましたことについては、何回も申し上げるようでございますが、大変申しわけないことだと考えて、深くおわびを申し上げたいと思います。  逃走をいたしました七名のイラン人は、全部で八名、イラン人ばかりの雑居、北一舎一階一房というところに入れておりました。なぜそういうことをしたのかというお尋ねでございますので、お答え申し上げます。  先生御承知のように、被告人というのは独居拘禁が原則とされておりますが、拘置所の施設、その他で独居数には限りがございますので、逃走、罪証隠滅のおそれがないと認められて、所内生活上対人関係などに問題がなければ、一応雑居房に拘禁することを、これは日本人、外国人を通じてでございますが——外国人につきましては、従来は独居房に入れるのを原則としておりました。それではなぜ、イラン人その他の外国人を雑居房にまとめて、しかも同じ国籍の者を入れたかという経緯について御説明申し上げます。  外国人の被収容者の中には、言葉が違うことから職員との意思疎通が十分にできない、それから風俗、習慣の相違や裁判制度を知らないということに対する不安などから、拘置所に入りましてから非常に心情の安定を欠く者が多うございます。その結果、職員に対して暴行を加えたり、あるいは自傷行為をしたり、それからハンガーストライキをしてみたりということで、特にイラン人には、東京拘置所に限らずそういう傾向の強い人がございます。それで、東京拘置所にもそういう人が入ってまいりまして、職員が処遇上極めて困難な対応を強いられた時代がございました。  そこで、平成四年に、これら外国人の被収容者の心情の安定を図るために、共犯関係等証拠隠滅のおそれがある者は別といたしまして、とりあえず同じ国籍の者あるいは同じ言語を話す者を雑居に入れてみたらどうだろうかということでやってみましたところ、非常に落ちついてきたという効果が認められましたので、イラン人、中国人、パキスタン人などの雑居房をつくりました。以後、外国人被収容者が増加してまいりまして、収容能力あるいは配房上の都合により現在まで外国人の雑居処遇というものを継続してまいりまして、事故発生当時には、イラン人の雑居房が一カ房と、中国人の雑居房三カ房が設けられておりました。  外国人被収容者でこのように雑居房に入れる者の選定基準といたしましては、第一に、犯した犯罪が殺人等の凶悪な事件ではない、つまり凶悪犯でないということ、それから共犯者等証拠隠滅のおそれがないということ、それから所内生活上対人関係に問題がなくて集団生活にも対応できる者であるということを基準といたしまして、選定して入れておったわけでございます。  なお、このような事件が発生したことにかんがみまして、事件発生の翌日から、外国人についてはもとのとおりすべて独居房に戻すという措置をとって、現在のところ、それでまあまあ円満に推移しております。  以上でございます。

細川律夫社会民主党・護憲連合

○細川(律)委員 次に、金のこで房の鉄棒を切って、そして逃走した。この金のこについては外部からの差し入れではなかろうか、こういうふうな答弁がありましたけれども、そうしますと、外部の者と通謀して、そして金のこを差し入れをしたということが当然予測をされるわけであります。  そうしますと、被告人が外部の者と接見をする、弁護人の場合には秘密接見交通が認められておりまして、それでだれもいないところで接見するわけなんですけれども、例えばこのイラン人と接見に来た者が接見をする場合、これは弁護人ではないですから立ち会いがっくと思うんですけれども、この場合どういうような接見がなされておるのか。私の経験では、接見をする場合には外国語を使ってはならないとかというような張り紙みたいなのがあったような気がするんですけれども、そうしますと現実には日本語を話せなければ、これは話ができないわけですから接見できない。しかし、イラン人同士の接見で、イラン語といいますかそれで話をすればこれはなかなか看守の人はわからない。むしろ秘密交通をしているような感じになるわけですね。その点はどういうふうな処理をされているのかお伺いしたいと思う。そして今後どういうふうにしていくのか。

東條伸一郎法務省矯正局長

○東條政府委員 被告人と一般人の面会につきましては、先生今御指摘のとおり立会人をつけることになっております。したがって、日本人の場合ですと日本語で接見いたしますので、接見の内容については全部把握できるということでございます。  外国人の場合はどうしているかということでございますが、逃亡あるいは罪証隠滅を防止する見地から、外国人の被収容者でありますと、接見の際に使用する言語は、立ち会っている職員が理解できる言語、特殊な能力がある、例えばペルシャ語をわかる職員が立ち会う場合もございますが、そういう場合を除きまして、原則としては外国語を使用してはならないという形で対応しております。  今回の事件を起こしました被収容者でございますが、これはある程度の日本語は理解できる、日本にかなり長く生活をしておったようでございますので、ということで接見もそれぞれの被告人について、回数の相違はありますし全くない者もございますけれども、中には相当多数接見しておる者もございますが、いずれも日本語を使用させまして、看守が立ち会って、逃走等の打ち合わせがなされないように配慮はいたしておりました。  ただ、今から申し上げますことが、本件逃走者の接見の際に現に起こったかどうかまだ確認はいたしておりません。したがって断定はできませんが、一般的に接見の終了時などにお互いにペルシャ語であいさつを交わすというようなことがあるようでございます。このような場合には一般の看守はわかりません。その際に、逃走の何か打ち合わせがなされたことが全くないかどうか、そういうことがあった場合に、そういうあいさつの形で何か言われてしまったときになかったかどうか、これは完全には否定することはできません。  したがって当面は、そういうペルシャ語等外国語は一切使ってはいけないという形で現在対応措置をとっておりますけれども、それ以外に何か有効な方法はないか。例えば録音をするということで一種の牽制といいますか、そういう形をすることはどうか。後で聞くということでいろいろ今考えておりますが、とりあえずは一応日本語だけで接見をしなさいという形に今は切りかえて、前からそうでございますけれども、それを徹底させるということでやっております。  以上でございます。

細川律夫社会民主党・護憲連合

○細川(律)委員 次に、電車の中からあの拘置所を見ますと、監視塔のようなものがあるんですね。あれには監視をする方が常時中に入っていて、それで常に拘置所の中とそれから外を、脱走するというか逃走するのを見張っているというような役目を負って仕事をしていると思うんですけれども、今回の場合、はしごをつくって、それで五メートルの塀を乗り越えるというときには、まず最初の人が塀を乗り越えるか何かのときには、既に警報が鳴っているはずですね。そうすると、その監視塔のところから見ている人は、その警報を聞いて、これは事件が発生したんじゃないか、逃走があるんではないかといってばっと見ると思うんですね。そのときになぜ発見できなかったか。どうも平面図のようなものを見ますと、監視塔とその場所はそんなに遠くはないような感じで、見られるところだと思うんですけれども、なぜこれが発見できなかったのか。そして発見をしていたならば、すぐにこれはもう当然警察に通報するという処置がとられたんだろうと思うんですけれども、その点どうだったんでしょうか。

東條伸一郎法務省矯正局長

○東條政府委員 お答え申し上げます。  東京拘置所の場合には、外塀の各所にといいますか角々に昔の刑務所などはよく監視塔というのがありましてそこへ人が入っておりましたが、現在はそこへは人は入れておりません。外塀内外の監視というのは、何カ所かに設置しましたカメラでいたしております。  それで、外塀全体に防犯線と称する、これが切断されますと本部の切断された箇所を示すところの電気がつきまして、さらに非常ベルが鳴るというシステムで対応するということをいたしております。今回の事故を見ますと、午前三時二十二分に防犯線切断の警報が鳴って、本部におる職員がそれを覚知して早速その防犯線の箇所に駆けつけたわけで、そこで、はしごと脱ぎ捨てられた衣類などを発見して逃走の疑いありということになったわけでございますが、その時点で、したがいまして当然のことながら警察へすぐに通報するというのが常識といいますか、なぜそうしなかったかということで先ほど来おしかりを受け、私も非常に深く反省しているところでございます。  この防犯線でございますが、細かいことで恐縮でございますが、三本張られておりまして、これは一定の圧力がかかりますと切れるような仕組みになっておりますが、このたび逃走に使われましたはしごを点検いたしますと、防犯線にかからないように、はしごの一番上に一本、はしごと直角な形に棒をつけまして、それを柱に立てかけまして防犯線に直接はしごが当たらないような仕組みにしておったようでございます。それでそれを次々に乗り越えまして、ただ最後に、やはり人間が何人も乗るものですから恐らく支えの木が、最後の状態は内側へかなり緩んだ状態で抜けておりましたから、そのときに圧力がかかって防犯線が切れたんだろうと思います。したがって、何番目の人間のときに防犯線が鳴ったのかというところまで私どもはわかりませんが、最初の人間のときに鳴ったのか最後の人間で鳴ったのか、そこら辺はわかりませんが、とにかく鳴った後の対応のまずさということについては、再三おわびを申し上げているとおりでございます。  以上でございます。

細川律夫社会民主党・護憲連合

○細川(律)委員 その警報が鳴った後なぜ警察の方に通報しなかったかということについては大変反省をしているということのようですけれども、これは今までも時々、実際に拘置者が逃走したんではないけれども、いろいろなことで警報が鳴ったというようなことがあって、実際逃走かどうかは、まず点呼しろ、調べてみろ、それから逃走したかどうかを確認して、それから警察とかに知らせるようにというようなことを内部で決めていたんじゃないですか。だから今回、こういうふうにはしごがあってもう逃走したことが明らかなような場合でも、まず点呼をして、それでやっと脱走したということがわかって、それから警察に通報するということをしたんじゃないでしょうか。そこのあたりどうなんですか。

東條伸一郎法務省矯正局長

○東條政府委員 防犯線が切断される事故というものは、先ほど申し上げましたように、実は、逃走その他でなくていろいろな形で起こるということで、誤報が多いということは申し上げたとおりでございますが、防犯線が鳴って、しかも、はしごがかかっておって逃走が予想されるときに、まず点呼を優先しろというような指導その他はいたしておりません。  ただ、これは、私が反省し、現在第一線の職員も深く反省しているところでございますが、何回も申し上げて言いわけめいておりますけれども、やはり東京拘置所、四十年ほど逃げられたという経験がなかったということで、まさか逃げられたんじゃないだろうということで、まず内部を捜せということ。それからもう一つは、外部からの侵入といいますか、あそこは、公安関係の被告人、あるいは死刑確定者も含めましてかなりたくさん預っていることで、これはいたずらも含めまして、外部から奪還するぞという情報も相当頻々と寄せられております。そういうことで、外部から侵入したのではないかというもう一つのこともありまして、その二つに対応するために、とりあえず点検をしろということを指示したようでございます。その判断が、今から考えますと大変甘かったといいますか、まずかったということは、これはおわびしてもし切れないところでございますが、そういうことで、特にそういう指導をしているわけではございません。

細川律夫社会民主党・護憲連合

○細川(律)委員 単なる気の緩みでこういうことになったというのではなくて、私はどうも、日ごろから、そういう誤報があって、警報が鳴ったときにはまずは点検をしろというようなことになっていたのではないかという感じがしてしょうがないから質問したわけなのです。  それで、今回の七人の集団逃走で、付近の家に入って、人を人質にとって、いろいろな大きな騒ぎになるというようなことがなかったということは、ある意味で本当に不幸中の幸いだったと私は思うのですよ。これがあったら大変なことだったと思うのですね。  そういうことを考えた場合、こういう事件があったときに、逃走したということがわかったときに、拘置所の周辺の人たちに知らせるといいますか、こういうことがあったんだと知らせる、こういうことは、今回の場合はどういうふうに知らせ、これから、またもしあつたような場合にはどういうふうにするのか、そこのあたりはどういうふうにお考えですか。

東條伸一郎法務省矯正局長

○東條政府委員 先生今お話しになりましたように、私どもも実は、第二次被害といいますか、そういうものが出ることが一番心配でございまして、それがなかったことで本当にほっといたしております。  近隣の方々への通報の問題でございますが、これも私実は一番気になっている点で、どうやったかということについて調べさせました。調べてみましたが、近隣の町内会の会長さんには、東京拘置所の者がその事故後何回か事情を説明に行っておるようでございます。ただ、起こった直後に、こういうことが起こったから警戒してください、こういうことが起こりましたから情報があったら提供していただきたいという緊急のお願い、情報の提供ということについては不十分であったと思われます。  そこで、現在、東京拘置所の改築問題に絡みまして、近隣の町内会の方々と東京拘置所の者とがいろいろな場面で定期的に会合を持つ機会もございますので、どういう形で情報を提供するのが一番よろしいかという問題も含めて御意見を伺うと同時に、私どもでも、何らかの形で緊急にお知らせする方法を確立しなければいけない、このように考えております。例えばサイレンを鳴らしたらどうかとか、いろいろ御意見がございます。そういうことも含めまして検討いたしたいと思っております。

細川律夫社会民主党・護憲連合

○細川(律)委員 ぜひこの点についても検討をしていただいて、まあ起こってはならないことでありますけれども、万が一起こった場合に対処するように一検討を早急にお願いしたいと思います。  それから、刑務官の数の問題についてちょっとお伺いいたします。  今、この拘置所の中に、既決の人もいれば1未決が主なんですけれども、約二千人というふうに聞いております。それに対して刑務官は、昼は二百八十人くらい、夜は五十人ということで対処している、こういうふうに聞いておるわけなんですけれども、一九九〇年、今から五、六年前ですか、収容されていた人が千三百人ぐらいだったというのです。七百人ぐらい多いのですが、そのころは刑務官はどれくらいいたのでしょうか。わかりますか、ちょっとこれは質問通告していなかったのですけれども。

東條伸一郎法務省矯正局長

○東條政府委員 東京拘置所の収容人員については、先生今御指摘のとおり、最近年々ふえております。現在、常時約二千名を超えるような状況でございます。あそこの拘置所は二千四百名が定員になっております。ただ、現在、北舎、南舎の三階部分は雨漏り等で事実上使えないような状況でございますので、実際は、二千名を少し超える程度が実際に使える部屋でございます。  現在の職員数は約六百名で、そのうち、いわゆる処遇部門といいますか、保安、警備に直接携わっている者が四百名でございます。  今一九九〇年の職員数についてお尋ねがございましたが、私ちょっと手持ちの資料がございませんけれども、数字はそれほど変わっていないと思います。

細川律夫社会民主党・護憲連合

○細川(律)委員 数字が変わっていないということでありますと、私の方の調べたのが正確かどうかわかりませんけれども、一九九〇年には壬二百人の収容者だった。そのときの職員の数と、二千人を超えるようになった場合の職員の数が同じということでは、これはやはり職員、刑務官の方に、労働の過重といいますか、重荷がいっているのではないかというようにも考えられます。  したがって、こういう点からも、今回のような事故、特に点呼するような場合には全員でやったと思いますけれども、やはり数が少なければ時間もかかったと思いますし、こういうこともいろいろ考えますと、果たして職員の数が適正な人数なのかどうかというのが大変疑問にも思われますので、ぜひこの点も考慮して、今後の方策の中できちっとしていただけたらと思っているところでございます。  あと大臣にもこの件で感想もお聞きしたがったのでありますけれども、今までにもいろいろとお聞きをいたしましたので、重ねてということはしないことにいたしまして、あと一つだけ質問をしたいと思います。  実は、今、日本の裁判制度というのは三審制度をとっております。一審地方裁判所、それから高等裁判所、そして最高裁判所というのが日本の裁判制度でありまして、これは、偏りのない公正な、慎重な裁判をするということで三審制がとられていると思います。例えば民事事件で、一審で地方裁判所で勝利した人、勝った人が高等裁判所で負けた。したがって、これに対して何としても不服であるから、最高裁判所で審理をしてもらいたいということで上告をいたします。上告をして、そして、その判決が、裁判所の方にいろいろな書類とかを出して、そして、最高裁判所の審理の結論はどうだろうか、こういうときに、まさにある日突然、判決が当事者のところに来る、これは私はちょっとおかしいのじゃないか。きちっと判決の期日というのは事前に当事者に連絡をする、そして、最高裁判所の法廷できちんと判決を言い渡すのですから、そこに出たい人は出ていって、そこでその判決を聞くということに僕はすべきではないかと思うのですけれども、今の最高裁判所のやり方ですと、全く知らさずに、公開の法廷で判決がなされますけれども、実際には当事者は一切行けない。そして、本当に当人にとってはある日突然、判決が送達をされてくる。これは私はちょっとおかしい、これは裁判を受ける権利あるいは公開の裁判所で判決を受ける権利があるという憲法の趣旨にも反するだろうというふうに思います。  そこで、この点についてはぜひ変えていただきたい、そしてまた今回の民事訴訟法の改正では、この点についてぜひ判決の期日を事前に当事者に連絡をするように、そういう制度に変えていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

涌井紀夫最高裁判所総務局長

○涌井最高裁判所長官代理者 現在の扱いの根拠といいますか、その点だけ裁判所の方から御説明させていただきたいと思いますが、御承知のように、最高裁で口頭弁論を開きまして判決をいたします場合には、必ず判決言い渡し期日を事前に御通知しております。  問題は、弁論を開かない場合でございます。この場合どうして通知をしていないかといいますと、法律上の根拠としましては、やはり判決言い渡し期日というのは、当事者の方で何といいますか、訴訟活動をおやりになる期日ではない、そういうこともありまして、民事訴訟法の規定自体、当事者がいない場合でも言い渡しができるという規定になっておるわけでございます。したがいまして、こういう扱いが適法であるというのは最高裁の累次の判例であるわけでございますが、しかし扱いとして通知してもよろしいじゃないか、そういう御意見があることも我々は十分承知しております。確かにそういう面もあろうかと思います。  ただ一番の問題は、口頭弁論を開かないで判決をするといいますのは、必ずこれは上告棄却の結論になる場合でございます。それで、事前に口頭弁論が開かれていない事件につきまして、いついつ判決の言い渡しがありますということを通知申し上げますと、もうその時点で、実はその判決の結論自体を判決言い渡し期日以前に外部に明らかにしてしまうことになる。これは裁判所の方としては何ともつらい。そこのところを何とかそういう形にならないようにということで、今ぎりぎりの工夫としてこんなような扱いをしているという実情でございます。その点を御理解いただきたいと思います。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 民事訴訟法の改正の点について御指摘がございましたので、私の方からも答弁させていただきますが、運用は、ただいま最高裁の方で言われたとおりでございます。実質的に見まして、判決の言い渡しは当事者が在廷しなくてもできるということ、あるいは当事者に対しては言い渡し後判決正本が必ず送達されるわけでございますので、実質的な不利益がないというようなことから、そういった取り扱いに合理的な根拠があるのではないかというふうに考えております。  そういうことで、今回の民事訴訟手続に関する法制審議会の改正要綱案、現段階は民事訴訟法部会の要綱案の段階でございますが、その中には盛り込まれていないというのが実情でございます。

細川律夫社会民主党・護憲連合

○細川(律)委員 私は、国民にはわかりやすい訴訟といいますか、それがやはり大事だろうというふうに思います。したがって、せめて当事者がその判決期日を教えてほしい、事前に通知をしてほしいという場合には、これは事前に、いつ判決があるかぐらいは知らせるようにぜひお願いをいたしまして、私の質問を終わります。

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 坂上富男君。

坂上富男社会民主党・護憲連合

○坂上委員 厚生省、よろしゅうございますか。  ことしの一月十三日の朝日新聞に、付き添い廃止について厚生省の岡光保険局長が次のような対談をして話をいたしております。お聞きください。  「医師は集まれば診療報酬が低いと怒っています。でも、上げても職員に回らず、奥さんの毛皮などに化ける病院もある。そういう病院からは職員も患者も出て、つぶすしかない。」この病院を、こう言っているのですね。そして今度、総理大臣みたいなことを言っているのですが、「これからは介護や高齢対策で首長」、県知事、市長、「首長が選ばれる時代になるし、そう変わるべきだと思います。」こういうことを言っているのですね。これはまずどんなふうに聞かれておりますか。  早速反応があった。一月二十日の朝日新聞の「声」欄にこういうふうにお医者さんが言っているのですが、「民を見下げる厚生省の態度」。「十分な対策のないままに付き添い廃止が実施され現場で混乱が生じているのに、改善中だから我慢しろと言っている。」「制度を一方的に改定し、これに従えない病院は「つぶす」という発言はそら恐ろしいし、診療報酬を上げても「職員に回らず、奥さんの毛皮に化ける」に至っては悲しみすら感じる。」こう言っておるわけであります。  そこで、今度は私の新潟県のお医者さんが新潟県医師会報に、二月二十八日発行でございますが、こういうことを言っておられます。「岡光保険局長は辞任せよ」。「なんと傲慢で卑しい考えの持ち主であろうか。」「国の低医療費政策のもとで国民の健康が守られているのは、医師たちの献身的な努力にあると言ってもよいと思う。」ずっと書いてありまして、「私は、岡光局長の辞任を県医師会代議員会で決議し、厚生大臣に上申することを提言するものである。」こういうことが会報に載っておるのですね。  そこで、平成八年二月十四日、新潟県医師会臨時代議員会で、「平成八年一月十三日付け朝日新聞に掲載された厚生省岡光局長の付き添い廃止に関する発言は、我々医師に対する侮蔑行為であり断じて許されるものではない。 責任をとって辞任することを要求するものである。 以上、決議する。」こう新潟県のお医者さんたちが集まって決議をなさったわけでございます。それをもとにいたしまして私たちの地元新聞に大きく書かれております。二つの有力新聞が書いておるわけでございます。そして、この行方について注目をいたしております。  そこで、今度は医師会の中央の本部の方のニュースを見てみますると、付添看護発言で岡光保険局長が謝罪をしたと書いてあります。医師会の会長さんに呼ばれまして、発言の真意をただすとともに、全国の医師に対する陳謝を求めた、こう言っておるわけであります。岡光氏は、真意が伝わらず申しわけなく存じておりますとした上で、誤解を招くような表現についておわびをいたします、皆様方の真摯な医療への取り組みには感謝と敬意を持っている者であることを改めて表明するものでありますと、全面的に発言に関する非を認めるとともに陳謝したとあります。しかし、新潟の先生方は、これだけでは勘弁ならぬ、こう言っておられるわけでございます。  きょうは官房長、法務委員会に来てもらって恐縮でございましたが、答弁次第によってはいずれ私、予算委員会でひとつ厚生大臣にもその責任の追及をしなければならぬとは思っておるのでございますが、差し当たり、ちょっとお医者さんたちの気持ちがおさまっておらぬようでございますから、この席をおかりいたしまして、官房長みずからお出かけをいただきまして大臣のかわりに御答弁いただきたい、こう思って御出席を要請したわけでございます。いかがですか。

山口剛彦厚生省大臣官房長

○山口(剛)政府委員 御指摘をいただきました保険局長の朝日新聞に掲載をされました発言につきましては、今も御紹介がございましたように、一月二十二日に局長みずからが日本医師会の村瀬会長を訪ねまして、誤解を招くような表現についておわびをいたしました。同会長もこれに対して一応御了解を賜ったというふうに承知をいたしております。  また、御指摘をいただきましたように、新潟県の医師会の臨時代議員会の決議につきましては、二月二十日付で厚生大臣に送付がございまして、受領をいたしております。  この問題につきまして、厚生省としましては、医療の現場で日夜努力をされておられる医師の先生方のお気持ちに立った場合、保険局長の発言は表現の仕方においても適切を欠くところがあり、極めて遺憾だと思っております。既に局長には注意をいたしております。また、局長も、新潟県医師会の決議の報に接しまして、改めて反省の念を表明いたしております。今後、このようなことのないように姿勢を正して行政を進めていくということを明らかにしております。  私どもといたしましては、今後とも、保険局長がその業務を遂行するに当たりまして、今申し述べましたような姿勢でこれを実践していくというふうに確信をいたしておりますので、どうぞ御理解を賜りたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

坂上富男社会民主党・護憲連合

○坂上委員 本当は余りこれに時間をとりたくないのでございますが、有力紙の「素粒子」という名前ですか、そこにこう書いてあります。「早春の朝(あした)に、新聞でエイズ資料を読んでいると太陽が昇ってきた。世は事が、ありすぎる。 厚生省のこの「犯罪」は官僚というものの一つの属性なのだろう。立派な人間が多いのに。」これからエイズの資料の提出問題について質問をするつもりでございますが、こういうふうに言っているのですね。  今大蔵省の官僚の諸君も大変問題になっております。私もこの間参考人質問をしまして、いささか唖然といたしました、与党であっても。これと同じく、厚生省が大蔵省と並んで今大きな問題は、エイズ問題、これは大変な問題が今提起をされておるわけでございますが、ひとつ官房長、厚生省きちっと、私たち国民の命と健康を預かるお役所でございます。とんだことが今起きている、その責任をどうするかという問題。大蔵省は住専の責任をどうするかという問題。まさに今日本の政治を揺るがしに揺るがしているという状況でございます。その点、十分御理解をいただきまして、ひとつ菅厚生大臣にもお伝えくださいまして、今の御答弁を精査させてもらいまして対応させてもらうつもりでございます。ありがとうございました。  さて、それに関連をいたしまして、やはりエイズ問題です。  法務省にお聞きをいたしますが、グンジと読むのでしょうか、生物製剤課長、これが法廷において偽証したということで検察庁に告発がなされていると新聞で報じられておりますが、どういう告発でございますか。

原田明夫法務省刑事局長

○原田政府委員 お答え申し上げます。  元厚生省の生物製剤課長郡司氏が偽証罪で告発されているようであるがとお尋ねでございますが、御指摘のとおり、この厚生省生物製剤課課長を被告発人といたしまして偽証罪により告発する内容の告発状が東京地方検察庁に提出されまして、本年二月十三日に受理されたものと承知いたしております。  その事実の要旨は、被告発人は、東京地方裁判所におきまして、損害賠償請求事件について、宣誓の上証言した際、遅くとも一九八三年七月十八日までには、米国防疫センター等によってエイズの伝播様式がB型肝炎に類似していると指摘されていた事実を知りながら、自己の記憶に反した虚偽の陳述をし、もって偽証したというものでございます。

坂上富男社会民主党・護憲連合

○坂上委員 私は医学については全くの素人でございますから、要約いたしますとどうもこういうようでございます。エイズウイルスは、B型肝炎ウイルスと同じように血液あるいは精液、そういうものによって伝播される、こういうことをアメリカの防疫センターの方が表明をした。医学的に常識になっておるようでございます。  したがって、そのことが今裁判所の損害賠償の問題になりまして、裁判をいたしまして郡司課長が証言をされました。それについて郡司元課長が法廷では、そのことは知りません、記憶にありません、こういう証言をなさったものでございますから、これが偽証罪だといって多分原告の皆様方が検察庁に告発をなさったのだろうと思っておるわけでございます。  そこで、この間厚生省で菅厚生大臣が——長い間法廷で、エイズの資料があるのじゃないか、あるのじゃないかということで裁判所で大問題になった。いずれも、知りません、存じません、ありません、こういう答弁なんです。そこで、大臣が新しくなりましてから徹底的な調査が行われた。そうしましたら資料がありましたということで、先般報道機関、関係者にこの資料が配られました。そして、この資料を見てみますると、今言った、課長であれば当然知り得るような資料がこの中に入っていたように思われますが、厚生省どうですか。

吉武民樹厚生省薬務局企画課長

○吉武説明員 二月二十一日に公表いたしました資料の中に、AIDS研究班第二回班会議、五十八年七月十八日でございますが、その配付資料と思われるものがございまして、「AIDSについて」という資料の中に、エイズにつきまして伝播様式についての記載がございまして、そこの記載で「伝播様式としては、B型肝炎に類似していると考えられている。すなわち、患者の血液、精液を介して感染する可能性が強い。」というふうに記しているものがございます。

坂上富男社会民主党・護憲連合

○坂上委員 さて、刑事局長、今のような答弁です。これは完全な偽証じゃないですか。  検察庁は厚生省の発表になった資料をどういうふうにごらんになって、この偽証問題にどう対応されておるのか、お聞きをしたいと思います。

原田明夫法務省刑事局長

○原田政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の件につきましては既に東京地方検察庁に告発されてございますので、主任検察官が、御指摘の公表資料も含めまして、また広い観点から証拠を収集いたしまして、これを吟味、精査した上で適切に処理するものと考えております。

坂上富男社会民主党・護憲連合

○坂上委員 もう時間も来たようでございますので、法務委員会での質問は間もなく終わらなければなりませんが、何かもう一回私に予算委員会の発言の機会があるらしいので、これも取りまぜまして質問させてもらいますので、また事件の進展をひとつ期待をいたしたいと実は思っておるわけでございます。  結構です、厚生省。そういう問題ですから、どうぞ勉強の上、ひとつきちっと対応してください。  もう時間がありませんので、大臣にお聞きをいたします。  破防法のことですが、宮澤さんの時代に破防法請求をなさったわけですが、所信表明でどうおっしゃっているかと思って今調べてみたら、宮澤さんは所信表明はなさらなかったのですね。それで、長尾法務大臣になられましてから、本日所信表明をお聞きいたしました。特に私は非常に新しいと申しますか、大変おやと思われる部分、おっしゃっておるわけでございます。  どういうことかと申しますと、三ページですが、破防法に定める「解散指定請求のための弁明手続が開始されたものでありまして、今後その手続の中で、オウム真理教の弁明を十分聞いた上で、公安審査委員会に対する解散指定の請求をするか否か慎重に判断することにいたしたいと考えております。」  非常に私は注目しておるわけでございますが、いろいろ破防法について言われております。憲法上の問題があると言われておりますが、法務大臣が、場合によっては請求をしない場合もある、慎重に判断したい、こう言って所信表明をされたのに私は注目したいと思っているわけでございます。法律には確かに破防法の手続が書かれてはおりますけれども、大臣が具体的にこういうふうに指摘の上でおっしゃいますということになりますと、少しお気持ちもお聞きしたいと思っておりますが、どのような意味を持つのでございましょうか。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 お答えを申し上げます。  破防法の今後の手続についての御質問でございますが、一般論として申し上げますと、弁明手続が終了いたしますと、公安調査庁長官が、弁明手続において団体側が提出した反証または弁明内容などを踏まえまして、最終的に処分請求を行うか否かということについて検討することになるわけでございます。  現在、現段階は弁明手続が開始されたというところにすぎないわけでございまして、そういう状況を踏まえまして、こういった公安調査庁長官の検討の内容、状況によっては規制請求を行わない場合もあり得るというふうに承知をいたしております。

坂上富男社会民主党・護憲連合

○坂上委員 これは公安調査庁からいただいた「破防法団体規制手続の概要」という文書でございます。これは間違いないと思うのです。これはみんなに配ったのかもしれませんが、これを見ますと、「公安調査庁」と書いてありまして、それで「調査弁明手続 処分請求」、それから今度は「公安審査委員会 審査・決定」「裁判所 取消訴訟」、こうあるのですね。これを子細に見ていきますと、いわゆる破防法団体規制手続の解散を命ずるという順序が書いてあるのです。  しかし、この審理の手続の中には、破防法十九条によって処分しない旨の通知という項目があるのですね。今大臣おっしゃったような事態が起きますと通知を出す、このことがこの中に書いてない。どういうわけですか、これは。やはり道が左に行くか右に行くかということは二つきちっと書かれてしかるべきものなのではなかろうかと私は思っているのです。  私も不勉強なものだから、ああ破防法というのはこういうものだなと思っていたのですよ。きょう質問するに当たっていろいろ勉強してみたら、十九条があるのですね、処分しない旨の通知。これはさすがに大臣が、請求するかしないかは慎重に検討すると言うものだから、さて、その意味はと調べてみたら、十九条があるのです。おっしゃるとおりなんです。  本当に法と事実に基づいて慎重に対応していただくということ、これは人権を守る上において非常にいいと思うのです。やるべきことだろうと思うのですが、これはどうですか、公安調査庁。どういうお考えだったのですか。

杉原弘泰公安調査庁長官

○杉原政府委員 ただいま大臣の方からお答えになりましたとおりでありますが、先生がお持ちのその公安調査庁作成の説明のための概要には十九条は載っていないかもしれませんが、破防法十九条にはそのような場合もあり得ることを書いておるわけでありまして、私ども、いろいろな機会にそれは御説明申し上げたつもりでございます。  また、弁明手続を開始する際には、あらゆる証拠を検討して解散指定の請求をする方向で一つの決断をし、そしてそのための一つの手続として合弁明手続を実施しているということも事実でございます。ただしそれは、その過程において、今大臣の方から答弁ございましたように団体側からの反証あるいは意見の提出が当然あるわけですから、そういった状況あるいはその後の状況を踏まえて、状況によっては破防法十九条で規定するようなケースもないではないということは一般論としてはあり得るというふうに考えております。

坂上富男社会民主党・護憲連合

○坂上委員 ありがとうございました。  特に大変な御準備をいただいた方がお見えのようでございますが、時間がありませんで大変失礼しましたが、いずれの機会でまた聞かせていただきますので。  ありがとうございました。

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 枝野幸男君。

枝野幸男新党さきがけ

○枝野委員 引き続きまして、私も薬害エイズ問題についてお尋ねをさせていただきたいと思っております。  先ほど坂上先生からの質問で、郡司東大教授の件は御回答いただきましたが、もう一件、安部英に関して刑事告訴が出ていると思いますが、その事実関係と捜査状況について御説明をください。

原田明夫法務省刑事局長

○原田政府委員 お尋ねは、いわゆるHIV問題に関係するものと存じますが、東京地方検察庁におきまして、まず、平成六年四月二十一日、当時の帝京大学医学部教授を被告発人といたしまして、同教授が血友病患者に対し非加熱製剤を投与した行為が殺人未遂に当たるとする旨の告発を受理いたしました。また、本年二月十三日には、同教授を被告訴人とする殺人の告訴及び当時の厚生省薬務局生物製剤課課長を被告発人とする偽証罪による告発をそれぞれ受理し、さらに本年二月二十日には、同教授を被告訴人とする殺人未遂罪の告訴を受理しております。これらの事件については、現在いずれも捜査中というふうに承知しております。

枝野幸男新党さきがけ

○枝野委員 この薬害エイズ問題については、行政責任あるいは民事責任などと並んで、特に今進んでいる和解が三月中にうまく解決をすれば、刑事問題というのが焦点になってくると思っております。  そうした中で、私、この問題ずっと一生懸命やらせていただいてきている中で、実は私自身もなるほどな、こういう見方があるのかなと思って驚いたのでありますし、特に御本人、御当事者にとっては大変心外なことなのかもしれませんが、実は今度の組閣がありました後で、長尾さんが法務大臣になられた。複数のマスコミ関係者の方が、これは薬害エイズシフトではないですかと。厚生省御出身の法務大臣になられるということで、薬害エイズに関する刑事訴追問題についていろいろと影響力を行使しようという一部の考え方があるのではないかなというようなことをお考えになって、枝野議員どうですかというようなことを、これも一社、二社ではなくて相当複数の多くのマスコミの方が同じようなことを私に聞いてまいりました。  よもや、もちろんそんなことはあり得ないだろうと思いますし、むしろ李下に冠を正さずという意味では、こういった今や住専と並ぶ国政の重大課題になっている問題について、法務当局としても全力を挙げていただくであろうというふうに信頼を申し上げておりますが、一部にそういった、誤解だと思いますが、そういった声もあるところでございますので、ぜひ法務大臣に、厳正中立な立場から、そして厳重に捜査に当たるというようなことについて決意を聞かせていただければと思いますが。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 御指摘のHIVに関する告訴、告発事件でございますが、東京地方検察庁におきまして、既に、今お話がございましたような形で事件を受理いたしまして、現在捜査中というふうに承知をいたしております。検察当局におかれまして、法と証拠に基づきまして、適切に対処されるというふうに私は考えております。

枝野幸男新党さきがけ

○枝野委員 ありがとうございます。  そういった御答弁でと思っておりましたが、けさ大臣の所信を聞かせていただきまして、実はぜひもう一歩踏み込んでいただければというふうに思いました。  と申しますのは、いわゆる不良債権問題に関する大臣の所信のところで、「関係者らの民事上」こちらはいいのですが、及び刑事上の責任の所在が可能な限り明かされることが必要である、そして、「関係者らについて、その刑事責任を追及すべきであると認められるような事実が明らかになった場合、」等について、「警察当局等の関係機関と連携の上、鋭意所要の捜査を行い、法と証拠に基づき、これに迅速かつ厳正に対処するものと考えております。」住専問題について大臣はけさ所信を述べられました。  住専問題も、これは国民の税金に絡むような大変重要な問題でありますが、薬害エイズ問題は、国民の命にかかわるさらにもっと重要な問題であります。そして、残念ながら、従来の経緯を見てまいりますと、住専問題と同じように、あるいはさらに根の深い構造上の問題、そして、その中には犯罪があったのではないかと疑われるような部分がたくさんございます。この住専問題に関して大臣が述べられましたような意欲を、同じようにこの薬害エイズにかかわる刑事事件の捜査についても示していただければと思いますが、いかがでしょうか。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 おっしゃるとおりと思っております。

枝野幸男新党さきがけ

○枝野委員 それから、これは通告をしておりませんでしたので、御回答までは結構でございますが、実は、私が昨年の十二月十五日付で提出をいたしました薬害エイズ問題に関する質問主意書に対して、きょう閣議決定がございまして、回答が参りました。私はこの件について、当時の生物製剤課長である郡司、松村両生物製剤課長等の刑事責任などについてどういうふうに考えておるのか、というようなことについて質問主意書を出した。これは質問主意書ですので、議長を通じて出たのは政府に対してであります、厚生省ではありません。  それに対する回答が、実は唖然といたしまして、その回答は、「御指摘の点については、警察として、」というまくら言葉がついておりまして、直接には、私が取り上げた郡司、松村両氏については業務上過失致死の疑いで取り上げておるのですが、告訴、告発が受けているのはこの事件とは違いますが、同じ薬害エイズの問題について、これはもう法務省としても、政府としても、検察庁の方に告訴、告発がある、関係事件としてあるというのを知っているのは当然であります。なのに、残念ながら、回答は、「警察として、」ということで、多分、法務当局、検察当局では聞いていないという趣旨の答弁が出てきております。これはむしろ法務省あるいは検察当局として、どうしてこんな回答になっているんだ、何で我々のところに照会しないのだというようなことを、これは政府、閣議できょう決定していますので、そちらでも御入手だと思いますので、ちょっとこの対応はおかしいんじゃないかと思っておりますので、調査をしていただきたいと思います。  次に、実はきょういろいろとお尋ねしたいことがございますので、また薬害エイズについては予算委員会等でも、場合によっては法務当局にもお尋ねさせていただきます。  私が従来から取り組んでおりますもう一つの大きな課題であります、夫婦選択別氏制についてお尋ねをさせていただきます。  報道等あるいは国会運営上のいろいろな御説明等で、夫婦選択別氏制についてもかなり煮詰まってきているというふうに聞いておりますが、現状でこの問題についてどういうふうになっているのか、できるだけ簡潔にお答えいただけますでしょうか。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 選択的夫婦別氏制度の導入などを内容といたします婚姻・離婚制度等に関する民法の改正につきましては、もう既に御案内のとおり、平成三年一月以来、法務大臣の諮問機関であります法制審議会民法部会において審議されてきたところでございます。その間、中間試案等を公表して、各方面の意見を聞きながら審議が進められてまいりましたが、同部会におきましては、本年一月十六日、それまでの審議の結果に基づきまして、民法の一部を改正する法律要綱案を部会の案として決定いたしました。この要綱案につきましては、来週の二十六日に開催が予定されております法制審議会のいわゆる総会におきまして審議がされ、御了承がいただければ、同日、その審議の結果に基づいて、法制審議会としての答申がされることが見込まれる状況になっております。  一方、選択的夫婦別氏制度が導入された場合には、その別氏夫婦の戸籍をどのように受けるかという戸籍事務の取り扱いが問題になりますので、この点につきましては、同じく法務大臣の諮問機関であります民事行政審議会において御審議をいただきまして、こちらの方は本年一月三十日に、その審議の結果に基づいて答申をいただいているところでございます。  今申しました法制審議会の民法部会における要綱案におきましては、夫婦別氏制につきましては、夫婦は、婚姻の際、夫婦の共通の氏を称するいわゆる同氏夫婦となるか、各自の婚姻前の氏を称する別氏夫婦となるかを定める。別氏夫婦は、婚姻の際、子が称する氏として夫または妻のいずれかの氏を定めるものとして、その間の子はその氏を称するということを骨子とする案になってございます。

枝野幸男新党さきがけ

○枝野委員 この夫婦選択別氏制についてはさまざまな御意見、御議論があるということは重々承知をいたしております。ただ、私は、これが選択別氏である、その選択というところが重要であって、現に同じ氏を選択せざるを得ない、別氏が選択できないということで生活上大変不便を受けている方に何とか道を開くという側面を強調していただければ、またそれこそがこの問題の本質であると思っておりますので、違った御意見の方々にもこの選択ということで御理解をいただけるんじゃないかというふうに思っております。  何度かこの委員会で申し上げておりますが、私自身もまだ未婚でおりまして、私と同世代の、特に女性を中心として、氏の問題ということについて大変悩んでいる、困っているという例がたくさんございます。なかなかこれ、例えば世代が変わってしまったりとか、そういったトラブルなく過ごしてしまうと気がつかない問題でありますが、たまたまこの問題、一番大事なところで長尾大臣、女性ということで、大臣御自身あるいは大臣の身近なところでも、その不便さというものをみずから御実感をされていらっしゃる方ではないかというふうに期待をいたしております。この問題に対する大臣の意欲というものをお聞かせいただけれ、ばと思います。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 先ほど申し上げました私の所信表明でも申し上げたところでございます。  今委員からお話がございましたように、家族をめぐります状況は大きく変化をしてきております。また、特に女性の生き方については、いろいろな形の生き方を認めていこうという社会的な流れの中にあるように思っております。政府自身も男女共同参画型社会の形成ということを大きな政策目標として掲げているわけでございまして、今回の民法改正は、その意味ではこういった方向に沿ったものというふうに考えているわけでございます。  しかしながら、民法は、やはり私どもの生活や心情、こういったものに深くかかわっている法制でございます。したがいまして、さまざまな御意見があることも事実であると思うわけでございます。法制審議会におきまして長い間の非常に慎重な、広範囲にわたる御検討をいただいて、間もなく御答申をいただくということを予定しているわけでございますが、御答申をいただきましたならば、委員が御指摘になりましたように、この法案の成立に向けまして関係方面の御理解をいただけますよう、私として精いっぱい努力さしていただきたいと思っております。

枝野幸男新党さきがけ

○枝野委員 ぜひよろしくお願い申し上げます。  次に、ちょっと入管行政に関してお尋ねをしたいと思います。  実は、外国人からいわゆる芸能人という名目で入国をされている方についての、あるいはそれに対する違反行為についての摘発という問題であります。  実は他党のものを使うという、情けないといえば情けないんですが、ことしの一月号の月刊社会党という社会党さんの雑誌の中にも「入管行政を考える 外国人芸能人立ち入り調査の明暗」という記事が出ております。  実は私自身も、実は別々の二つの方面からこの問題について何とかならないかというような話を聞かされております。一つは、興行を行っている立場の皆さんから、大変、外国人芸能人の皆さんの不法、違法就労について立入調査のやり方が恣意的ではないか、こんな恣意的なことをやられていたのではたまらぬ、何とかならないかという声が一方でございます。そして、その一方で、実は私は党の女性局長という立場にございまして、外国人女性の、特に性的自由などの観点から、もっとこれは厳しくできないのかという観点と、両方から実は要請、要望をいただいております。  いろいろと私なりにお話を聞かせていただいたりいろいろと読ませていただいたりしている中で、法務当局、入管当局としても一生懸命されているのであるとは思うのですが、若干、確かに一連の調査、摘発が恣意的ではないかというふうな誤解をされてもやむを得ないような部分、あるいは担当者がかわることによってなぜか急に方針が変わってやり方が変わってくる、これも、いわば恣意的といえば恣意的という表現に入るのかもしれませんが、そういった誤解といいますか、そういった思いを持たれているという部分についてはある程度認めざるを得ないのかな。このあたりのところ、どういった注意を払いながら、あるいはどういった方針でなさっているのか、入管当局にお聞かせいただければと思います。

伊集院明夫法務省入国管理局長

○伊集院政府委員 お答えいたします。  現在、外国人芸能人が在留資格「興行」に認められた活動を適正に行っているか否かなどを把握するための実態調査を行っておりますが、これは、法務大臣が有する外国人の入国、在留管理に係る権限に基づきまして、入国審査官が調査に先立って出演先の了解を求める等、任意調査の範囲内で適正に行っているものでありまして、調査方法が恣意的であるとの批判は当たらないものと我々としては考えております。  なお、今後とも適正な実態調査の実施に努めていきたいと考えております。

枝野幸男新党さきがけ

○枝野委員 多分確かに恣意的ではないんだと思うんですよ。だけれども、恣意的ではないかというふうなとられ方をするようなことに留意してもらわないといけないんじゃないかというのが一点です。  それから、本質的な問題として、基本的にこれは行政処分あるいは行政行為として行われます。例えばこれが、警察行為的な部分、あるいはこれが、刑事、司法的な手続と比べますと、行政手続というのは、ある意味ではデュープロセスの部分は厳格さがございません。それ自体は行政行為の性質上やむを得ない部分はあるとは思うんですが、ある意味では、ある人を国内にいてもらうのかいてもらわないのかというようなことにかかわる問題でありまして、オールオアナッシングで、行政の、普通の経済活動に対する行政指導などとは違っています。  それから、当事者からすれば、営業ができるできないという部分で、やはり経済活動に関する行政の対応、中でも、処分あるいは指導を受ける側からすると非常に影響が大きいということもあります。しかも、そうした中で、外国の女性の性的自由を我が国内的に余りおかしな形で侵害をしているというようなことになってはいけないという自制の要求というのも日増しに高まっています。  大変苦慮されているんだと思うんですが、私は、むしろデュープロセスの部分について、確かにデュープロセスを厳格にすればするほど行政としての柔軟性はとりにくくなりますが、処分の実質的な効果の強さからすれば、そして適正化の要求の強さからすれば、デュープロセスの部分をちょっともう一歩きつくして、その上で厳格な処分をしていっていただくということで、本当に悪いところはどんどん摘発をする。そして、あらぬ誤解に基づいて入管当局が批判をされるようなこともなく行政が進んでいくというようなことについて、御配慮あるいは御検討をいただいたらいいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

伊集院明夫法務省入国管理局長

○伊集院政府委員 外国人芸能人に関する実態調査の結果、興行の在留資格では本来認められていない資格外活動というのが非常に行われるということで、これは非常な問題であるということでありますので、これまでの調査の結果を踏まえまして、外国人芸能人の適正な受け入れを図るという観点、それから今委員から御指摘のあった点も考慮に入れまして、在留資格「興行」に係る審査基準省令の見直しを行いたい、そういう方法で適切な興行の在留資格に関する規制を行っていきたい、こういうふうに考えております。

枝野幸男新党さきがけ

○枝野委員 中身の基準も確かにいろいろ大事なところはあるのだと思うのですが、何といっても適正手続、透明でわかりやすくて、なるほど納得せざるを得ないという手続をとらないと、多分いろいろな不満が出てくるのだろうと思いますので、そこの部分にぜひ配慮をしていただきたいということをお願いいたします。  最後に、まずちょっと大臣にお尋ねをしたいのですが、日本の弁護士会は、全国組織の日本弁護士連合会の下に地域ごとの地域弁護士会がございます。東京に弁護士会が幾つあるか御存じでしょうか。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 三つだと承知しております。

枝野幸男新党さきがけ

○枝野委員 実は、御存じだと思いますが、弁護士法の三十二条は、「弁護士会は、地方裁判所の管轄区域ごとに設立しなければならない。」という条文になっております。御承知のとおり、東京には東京地方裁判所という一つの地方裁判所があって、三つありません。それなのになぜ三つあるかというと、弁護士法の附則という中に八十九条として、経過措置みたいな形で特例として、この弁護士法が施行のときにあるものはそのままでいいということになっております。  それで、三つあるということを御存じであれば、なぜ三つになったか御存じでしょうか。

永井紀昭法務省大臣官房司法法制調査部長

○永井政府委員 真の理由は必ずしもわかりませんが、客観的な経過だけを御説明いたします。  明治二十六年に制定されました弁護士法では、地方裁判所ごとに弁護士会を設立するということにされております。東京弁護士会もそれで設立されたのでございますが、大正十二年に弁護士法の改正が行われまして、一地方裁判所管内に二つ以上の弁護士会を設けることができるようになったわけでございます。この法改正によりまして、一つの弁護士会の会員が三百名以上で、うち百名以上の同意があれば別に弁護士会を設立することができる、こういうことになりまして、大正十二年に第一東京弁護士会が設立されまして、次いで大正十五年に第二東京弁護士会が設立されたものでございます。  なお、大正十二年には東京弁護士会の会員は二千三十八名だったと言われておりまして、第一東京弁護士会が独立したときには三百八十五人がそこから出られた。それから、第二東京弁護士会は、大正十五年に百七十八名をもって第二東京弁護士会を構成された。  それで、この理由でございますが、実はこの改正法の理由の中では、建前としての理由だと思うのですが、「非常に会員が多くなったので、監督不行き届きとなり、結束の弛緩となり、両々相まって、風紀維持の上において少なからざる遺憾を存しておる」こういう建前になっているのです。ところが、先生方の、弁護士さんのお書きになった文献の中には、これは役員選挙の方法に絡んで派閥的な対立があったのだ、こういうふうになっているのです。  法務省としては、これはどちらが真の理由か存じておりません。

枝野幸男新党さきがけ

○枝野委員 実は、国有地をお借りしまして、東京の三つの弁護士会と日本弁護士連合会で、東京地方裁判所の隣に新しい弁護士会のビルが建ちました。ここには実は、そうやって東京の弁護士会が三つあるがために、図書館が二つあります。それから、法律相談の窓口が、一応全体の窓口というのを、何とかそこまでは三会で合意をしたようでございますが、法律相談に来ると三つの会に振り分けられる。若干、一般的な法律相談については三会ともちゃんとできるのですが、特殊な案件の法律相談というのは、会によってやっている会とやっていない会がございます。そこで、その法律相談の割り振りなどが事務的に非常に繁雑というか、特にそこをお訪ねする市民の立場からすればわかりにくいのじゃないかなと思っています。  それから、さらに言えば、弁護士会というのは、公益的な活動と申しますか、例えば今度の住専の問題でも、日弁連を通じて、債権の回収業務などに当たるのに弁護士の協力をなどということがございます。東京以外の地域であれば、都道府県庁一つに対して原則として弁護士会が一つでございますので、例えば県の何とか委員会の委員を推薦してくれとか、あるいは県として法律関係のイベントをやるので協力してくれというようなことが窓口一本化なのですね。ところが、東京は窓口が三つあるのですね。  こういったことは、利用する市民の立場からは不便だと思いませんか、大臣。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 自治団体であります弁護士会のあり方にかかわることでございますので、法務大臣として所感を述べますことは遠慮させていただきたいと思います。

枝野幸男新党さきがけ

○枝野委員 大臣を追及するような性質のものではございませんので、あえてそれ以上の御答弁は求めませんが、かつて私、この委員会の中で、法務省からの公式な見解として、弁護士会が行政機関としての性質を持っているというお答えをいただいております。これは、弁護士の懲戒処分の権限を弁護士会が持っているということであります。不祥事を起こした弁護士を首にできる権限を持っているのは、政府ではなくて弁護士会であります。  最近、例えばオウム事件などで、大変立派な弁護士さんの姿が国民に明らかになる一方で、残念ながら、何なのだろう、この弁護士さんはというようなこともマスコミ等を通じて出ておりますし、また、具体的な不祥事件というのも多々出ております。  東京に三つの弁護士会があるということは、この懲戒処分を扱う権限を持ったところが三つばらばらにあるということであります。地域ごとに分かれているのだから、懲戒処分について地域によって若干扱いに差があるというのであればこれは合理的な理由だと思いますが、同じ東京の中で、たまたまどの会にいるかということで、この行政権限の行使の一つである懲戒処分について扱いが異なるというようなことが出てくるとすれば、これは見過ごし得ないことだと私は思っております。  確かに、私自身も弁護士でございますので、弁護士自治というのは大切だと思っております。例えば私は、先ほどの弁護士法の附則を改正していただいて、法によって強制的に東京三会を合併させるべきだと思っておりますが、するとしても議員立法でなければいけないと思っております。  法務省として、日本弁護士連合会とはさまざまな形で、特に法曹人口問題などで今後も協調的かつ建設的な協議の場がたくさんございます。日本弁護士連合会のもとにある東京の三弁護士会はこういう国民には説明のつかないようないいかげんなことをやっているということを頭に入れた上で交渉に当たっていただきたいとお願いを申し上げます。いかがでしょうか。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 御意見を十分承りました。

枝野幸男新党さきがけ

○枝野委員 では、ぜひよろしくお願いいたします。  終わります。ありがとうございました。

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 正森成二君。

正森成二日本共産党

○正森委員 日本共産党の正森でございます。  長尾法務大臣、まずは法務大臣御就任おめでとうございます。  私の承知しているところでは、明治維新で明治政府が成立しましてから百三十年ほどになりますが、女性の法務大臣ができたのは今回が最初であろうかと思います。今国会では女性に重大な関係がある民法の改正も行われますし、今後ともますます男女同権を推し進めるため、女性の社会的進出のために先頭に立って頑張っていただきたいと思います。  私は、法務大臣の所信表明を伺いまして、非常に注目した箇所があります。それは第一の部分にあります「オウム真理教の弁明を十分聞いた上で、公安審査委員会に対する解散指定の請求をするか否か慎重に判断することにいたしたいと考えております。」というように表明されている点です。つまり、弁明手続が始まったからといって必ずしも直ちに解散請求をするかどうかというようには決めておらないというように読み取れる部分であります。  そこで、私はこの点について伺っていきたいと思うのです。  まず最初に申し上げておきますが、私どもは、麻原初めオウム真理教関係者が、サリン事件とかあるいは社会に対して重大な犯罪を犯したことについて、断固として法に基づいて処分すべきである、こう思っておりますし、また、既に宗教法人法に基づく解散について最高裁の決定が出ておりますが、宗教法人として解散され、その財産が管理されるのは当然のことであるというように思っております。  しかし、それに加えて、破防法によって団体規制を行うかどうかという点については、我々は明確に申し上げておきますが、反対であります。それは、きょうはこの点を強く言うつもりはありませんが、破防法というのは、その制定の初めからして憲法違反の人権侵害、そして公安調査庁は、我が党を初めとして民主的な団体に対して、裁判所の団体に対してさえスパイ活動を行う、我が憲法のもとにあっては存在を許されない、そういう役所であるというように思っております。  しかしながら、そのことを我々の前提とした上で、現在進行しておられるオウム真理教に対する破防法適用の若干の問題について伺いたいと思います。  この間、最高裁判所の決定が出ましたが、これを見ますと、信教の自由という点については非常に慎重な態度をとっております。御存じだと思いますが、例えば、  解散命令によって宗教法人が解散しても、信者は、法人格を有しない宗教団体を存続させ、あるいは、これを新たに結成することが妨げられるわけではなく、また、宗教上の行為を行い、その用に供する施設や物品を新たに調えることが妨げられるわけでもない。すなわち、解散命令は、信者の宗教上の行為を禁止したり制限したりする法的効果を一切伴わないのである。 こういうようにわざわざ述べております。  つまり、「法による宗教団体の規制は、専ら宗教団体の世俗的側面だけを対象とし、その精神的・宗教的側面を対象外としている」、こういうように言っているわけであります。詳しくは読みません。  繰り返して言いますが、私どもは、オウム真理教というのはとんでもない宗教であり、その行った行為というのは断じて許されるべきでないという前提ですが、しかし、日本国民の信仰の自由、内心の自由というのは、これは守られなければならないというように思います。また、破防法をもってしてもなおかつ認めている憲法上の権利といいますか、あるいは結社の自由というものを擁護する自由というのは最小限度認められなければならないと思います。  そういう点について、私は時間の許す限り二、三点お聞きしたいと思いますが、弁明手続というのが行われております。その弁明手続で、教祖といいますか、あるいは代表である麻原彰晃、松本と言うようですが、それが第一回弁明の際には出席いたしませんでした。そのことについて新聞の報道するところでは、公安調査庁、警察、法務省、それぞれ微妙な意見があり、公安調査庁のために申しておきますと、公安調査庁はどうやら出席を認めてはどうかという意見だったようですが、警察が警備上の問題等々で余り前向きでなかったというように新聞では報道されております。真相はわかりません。  そこで、法務省に伺いたいのですが、第二回弁明以後はどういうようなスタンスで行われるのかということを伺っておきたいと思います。なぜ私がこういうことを言うかといいますと、弁明手続のときに公安調査庁が開示した証拠の要旨というのがあります。  それを見ますと、相当長いものですから多くは言いませんが、例えば、   本団体が構想する国家とは、「シヴァ大神の化身」、「大宇宙の聖法の具現者」であり「神聖法皇」と称する絶対者である松本が、立法・行政・軍事・外交・司法等の全権を掌握する主権者として君臨し、本団体構成員を「僧籍人」とし、僧籍人以外の者を「民籍人」として僧籍人の下位に置き、 云々というように書いてあるんですね。荒唐無稽なと思われるようなことですが、こういう表現になっておる。  あるいは、「教義」の点について見ますと、「ここでいうオウム真理教の教義は、松本の教えの集大成であり、」云々と書いてあります。つまり、全部松本の教えであります。  あるいは、「政治上の主義と教義の関係」というところを読んでみますと、「松本を独裁的主権者とする祭政一致の専制政治体制を我が国に樹立する」云々というように書かれております。  あるいは、「教義の危険性」というところを見ますと、   松本は、秘密金剛乗について、「場合によっては殺人をも肯定・実行し、それが功徳を積むことであり」、「グルを絶対視し、そのグルに帰依し、自己を空っぽにし、その空っぽになった器にグルの経験ないしエネルギーをなみなみと満ちあふれさせること、つまり、グルのクローン化をすることである」 というように書いてあります。  ほか、数え上げれば切りがありませんが、具体的な問題についても、例えば松本のサリン事件については、松本は、「中川智正、遠藤誠一を集め、同支部にサリンを撒くよう指示した。」とか、あるいは大量テロ化の問題でも、「絶対者である松本なしで教団は成り立たない旨の構成員の供述」云々というように、ことごとく松本、松本、松本というのが出てきて、これが絶対的独裁者で、その意のもとに動く、だから危険だということになっているんです。普通の政治団体の場合には、中央委員会とか中央執行委員会とか、あるいは万人に通用する綱領とか規約とか、そういうものがあるのですが、このオウム真理教については、松本が何でも絶対者ということになっているんです。  そうだとすると、私はよく知りませんが、公安調査庁が言っておる請求の原因ではそうなっておりますが、その松本を出席させず、弁明もさせないで、そしてどんどん手続を進めるということになれば、これは破防法が最小限予定している弁明手続の趣旨から見てもおかしいのではないですか。

杉原弘泰公安調査庁長官

○杉原政府委員 お答えいたします。  破防法十四条、あるいは同法施行規則の十三条等の趣旨にかんがみますと、破防法は、弁明期日に当該団体の代表者が出頭することを必要要件としているとは必ずしも解されないわけであります。  ただ、委員御指摘のとおり、本件規制団体におきましては、麻原が絶対者とされ、同人によって団体の意思が決定され、団体構成員はその決定をそのまま実行に移してきたということを考えますと、麻原が弁明期日に出頭して弁明したいとの意思を有している限り、麻原に出頭させて、そして意見を述べる機会を与える必要があるというふうに私どもは考えております。

正森成二日本共産党

○正森委員 公安調査庁長官はそういう意見であるということがわかりました。  そこで、次に私が申したいのは、この間、弁明手続が行われました。私も、新聞だけでなしに公安調査庁から資料を取り寄せて読ませていただきましたが、そのときに識者が言っておりますのは、ほとんどことごとく公安調査庁の職員が調査したという報告書のたぐいで、その報告のもとになった証言、証拠というのは、だれが言うたかというようなことは一切わからない形になっている。事実、私が読んだ限りではそういうことになっております。それでも十分信用できるということで、例えば、元検察官である識者の中には、弁明は民事訴訟よりもっと緩やかな行政手続だということを言って、これでいいんだという意見を言っているようであります。  ところが、法務省、実際は、立法者はそういうように考えていなかったのじゃないですか。ここに私は「破壊活動防止法の解説」という法制意見参事官の真田秀夫さん、これは法制局長官をなされまして、残念ながら御逝去になりました。その方が、これは読んでみますと非常に懐かしいのですが、法務省が法務府と言って、そして法制意見局というのがあった時代です。そのときの参事官で、まさにこの法案の生みの親のような人ですね。その人が、昭和二十七年ですから、できたすぐ近くのときにお書きになったものであります。その書いたものを見ますと、証拠についてどういうようにすべきかということが書いてあるのですね。公安調査庁は御自分のことだから十分勉強なさったと思いますが、こう書いてあります。百十二ページです。   弁解及び証拠の提出は、事実及び証拠について行うことができる。「事実」とは、処分の請求原因となるべき事実であり、「証拠」とは、その事実を証するに足るものとして、公安調査庁が調査、収集した証拠である。弁明の期日における手続の細則は、法務府令で定められることになるが、手続の順序としては、まず受命職員において、処分の請求原因となるべき事実及び、これを証するに足るものとして、調査、収集された証拠を開示し、これに対して、当該団体の側から、弁解及び証拠の提出が行われることになると思われる。公安調査庁で調査、収集した証拠が第三者の証言である場合において、当該団体がこれに対する反対訊問を求めたときは、弁明の期日において、その機会が与えられなければならない。 こう書いてあるのです。  だから、新聞で言われている、検察官出身者が、行政手続だから報告書でいいんだ、だれが言うたことだかそんなことはわからなくてもいいんだということと、昭和二十七年の、まだ占領下から解除されて十分に民主主義が発揚されていなかったこういう法律をつくったときの制定者が、そういう慎重な意見を言っているのですよ。それ以来四十有余年たって、自由と民主主義の国だとかなんとか言っているのに、公安調査庁の職員が調べたその報告書だけ出して、そして当時、識者が五人ほど傍聴しましたが、だれが言ったのやら何やらわからぬ、そんなことでやられてたまるかという意見が出ているわけですが、こういう破壊活動防止法をつくった当時の法務府の関係者が言っているようなことすら守られないようでは、新聞の社説なんかで破防法の適用というのはとんでもないという意見が出るのは、これは無理からぬ点だと思うのですね。その点はいかがですか。

杉原弘泰公安調査庁長官

○杉原政府委員 委員の御質問は、私どもが第一回の弁明期日の際に提示いたしました信者の供述に関する部分が中心になっているのだろうと思いますが、この信者の供述調書あるいは信者の供述に係る調査書を、例えば、供述者本人の氏名その他を明らかにすることによってその信者がだれであるかということが明白になるような形で提示したとするならば、団体側から、供述者本人あるいはその家族等の関係者に対しまして危害や不当な圧力が加えられたりするおそれが十分に考えられますので、そういった状況から、私どもといたしましては、そうした信者の供述をもとに公安調査官がそれらを総括しまして、調査書という形で証拠化したものを弁明期日に提示させていただいた次第でございます。  もとより、証拠能力あるいは証明力という観点からしますと、もともとの証拠を提示すれば一番いいことは御指摘のとおりでございますが、私どもも今申しましたような事情がありますし、また、行政手続と刑事手続の違いという点でも、この弁明手続は一つの行政手続でありまして、そこで提示される証拠につきましては、刑事訴訟法に規定しているようないわゆる伝聞証拠禁止の原則というような、いわゆる厳しい証拠法則はございません。自由な形で証明をすれば足りるわけで、そうした証拠について、最終的に証明力があるかどうかということを御判断なさるのは、最終的には公安審査委員会の委員、委員会でございます。  私どもといたしましては、そうしたことを踏まえて、このような形での証拠化はやむなしということで提出させていただいたわけでございまして、その辺の事情を十分御理解いただきたいというふうに考えております。

正森成二日本共産党

○正森委員 今長官が言ったのは、刑事訴訟法で講学上言われる自由な証明と厳格な証明とか、いろいろ言われるのですが、そういうことを前提にして言われたのだと思います。私はそういうことはよく知っていますよ、弁護士ですから。しかし、少なくとも法制定当時の法制局の責任者の一人が、そういうことを言って、やはり人権を守らなければいけないんだと言っていたことは、四十有余年たった後の後輩は、我が国で初めて団体規制をやるのですから、たとえそれが政治団体でなくて宗教団体であれ、やはり心すべきことであると思うのです。  それから、もう一つ私が伺いたいのは、あなた方は、破防法がいよいよ適用されるときには団体のためにする行為というのが規制される、いかなる名義によるも規制されると。これは弁護士さんなんかがもちろん言っているのですが、団体のためにするいかなる行為も三年以下の懲役とか何かになる。いかなる行為なんというのは構成要件がないことなのです。あるのは目的だけなのです。そうすると、これは治安維持法の目的遂行罪というのと全く同じ性質になる。  私どもは、治安維持法の猛威のもとに被害を受けたものですから多少は知っておりますが、事例を言いますと、例えば、彼らが主義者と言われる人をたまたま二階に下宿させておった、それが、よそへ出かけるので握り飯を下宿のおばさんがつくってやった、これが目的遂行罪だといって治安維持法違反で逮捕されるというような世の中ですよ。だから、団体のためにするいかなる行為、いかなる名義をもってするもなんというのは、こんなものは構成要件があってなきがごときものであります。  ですから、あなた方は法適用のためのガイドラインというのをつくらなければならないと言って、もう新聞で、各紙に出ましたね。私は、人権上、非常に注目すべきことであるというので資料の要求をしましたが、先に言っておきますが、そのときに言われたのは、これは何らかの形で新聞記者がリークしたものであろうけれども、これを実際に行うためには、実際に捜査をして、場合によったら逮捕するのは警察であり、あるいは裁判所に令状を請求するのは検察庁であり、公安調査庁だけではないから、三つの官庁が相談しなければ、公安調査庁だけではできないものである。まして今は弁明手続だけで、まだ公安審査委員会の解散の決定が出ておらない段階であるから、国会へお届けするのはこれは遠慮させていただきたい、こういうことでした。私はそのお断りの理由は、これはそれなりにわかる。  ところが、これを見ますと、何か二十八行為・種類というように書いてあるのですが、できるのは心の中で信仰するとか、あるいは信者らが新たに教団と無関係な会社を設立するとか、そんなものは当たり前でしょう。こういうのはできるけれども、ほかのほとんどのことはできないことになっている。例えば、教団の幹部が指導をしながら礼拝や修行をする、これはいかぬ。幹部の定義も全くありません。あるいは説法会やセミナーなどの開催もこれもいかぬということで、入信を勧めるための知人宅の訪問もこれもいかぬということになっているのです。  そうしますと、あなた方は、これはまだ案の段階で、できていないと言うかもしれませんが、これは何でもかんでもひっかかる。しかも講学上、信者や元信者だけでなしに、共犯の規定が適用されますから、あなた方はこういう適用は反対だという集会をやったとして、それに一般の人が入っておれば、その一般の人も調査の対象になる、あるいは場合によったら犯罪になるという意味のことを言っております。  これも元検察官であったある人が、名前は言いませんが、   解散指定後にどんな取り締まりを実施するかについては、確かに法はあまりに漠然としたことしか言っていない。いかなる行為が刑罰の対象になるのか。憲法三一条は何人も法の定める手続によらずには自由を奪われないとしているのですから、行政解釈できちんとした指針を明示する必要がある。 こう言っているのです。  そこで、この点は法務大臣に聞きたいのですが、こんな見解でいいのですか。罪刑法定主義というのですよ。罪刑行政主義じゃないのですよ。こんな行為になればこれは犯罪になるということを行政当局が決めて勝手に取っ捕まえて起訴をする。これは罪刑法定主義でないじゃないですか。罪刑行政主義じゃないですか。そうしなければ、一体、いかなる行為もいかぬというのですから構成要件はなきに等しい。だから我々はこういうのは憲法違反だ、こう言っているのですよ。罪刑法定主義との関係でどうなるのですか、答えてごらん。

杉原弘泰公安調査庁長官

○杉原政府委員 解散指定が行われた場合には、団体のためにするいかなる行為も禁止されるということは委員御指摘のとおりでありますが、その団体のためにするいかなる行為ということの構成要件の解釈につきましては、一般論としましては、団体の存続、発展、再建のためになる行為、これが団体のためにする行為というふうな解釈がなされております心  本件のオウム真理教の場合に、一体それが具体的にどういうことを意味するのかということにつきましては、確かにこれは初めてのケースでございますので、やはり類型化して、どういった内容のもの、例えばお布施を集めるとか、あるいは信者を獲得するために説法会を開くとか、あるいは機関紙を発行して信者を獲得するとか、いろいろな行為が考えられるわけですが、典型的なものを言えばそういったものがそれに相当すると思いますけれども、そういうものについて具体的な指針と申しますかガイドラインのようなものを行政解釈で明らかにして、そして団体側あるいは一般社会に公表することは必要であるというふうに考えております。ただ、その時期につきましては、さらに検討する必要があるだろう、こう思っております。  それから、委員御指摘の、極めて構成要件があいまいであるから憲法違反だとおっしゃいますけれども、今申しましたように、いろいろな法律については必ず構成要件の解釈というものがどんな刑罰法令についてもございます。それはこの場合については、もちろん初めてのケースですから前例はございません。したがいまして、ある意味ではそこを行政解釈ではっきりさせる必要がある、こういうふうに考えているわけでございます。

正森成二日本共産党

○正森委員 何もなくてひっくくられるよりも、たとえ罪刑行政主義であっても何らかのものがあって、ああ、これぐらいはいいのだなという方がまだましたということは言えるかもしれません。  また、いろいろなものについて、解釈によって判例で発展するというのは知っていますよ、例えば「財物ヲ窃取シタル者ハ」というので窃盗が決まっておるけれども、その財物の定義で、電気も財物であるとか、何やらかんやらと言って判例があったから。しかし、「団体のためにするいかなる行為」なんて言われたら、こんなものは罪刑法定主義でも何でもないのですよ。  それから、もう一つ聞きますが、あなた方はこういうぐあいにして取っ捕まえて起訴をして、それで行政訴訟を起こしてきて、行政訴訟で団体規制をやるという公安審査委員会の決定が取り消されたら、その前の起訴したことや有罪の者はどうなるのですか。あるいはどうするつもりですか。

杉原弘泰公安調査庁長官

○杉原政府委員 解散指定が行われた段階で解散の効果が生ずるわけでございますので、理論的にはその時点から規制が可能になるわけです。そういう意味では、委員御指摘のようなケースも、場合によっては考えられないことはございません。  しかし、その場合であっても、解散指定がなされたことによって行われた、それを前提としてなされた刑事事件、つまりこの団体のためにする行為を行った、そのいわゆる違反者、これに対する刑事責任は変わらないわけでございますが、それが後に、例えば行政訴訟でもってその団体指定が無効である、あるいは何かの理由で効力がないということが行政訴訟で確定したとすれば、その時点において、その刑事判決に対して影響があるのはこれはもちろんでございます。

正森成二日本共産党

○正森委員 非常にあいまいな答弁ですが、刑事判決に影響があるのは当然というのはどういう意味ですか。

杉原弘泰公安調査庁長官

○杉原政府委員 それは前提を欠くことになりますので、有罪判決が取り消されることになると考えております。

正森成二日本共産党

○正森委員 待ってください。有罪判決が取り消される。有罪判決が取り消されると言いましたが、控訴ができる間ならいいのですが、確定してしまったときはどうなるのですか。我が国の再審事由にはそういう場合に再審できるという規定なんてないですよ。

杉原弘泰公安調査庁長官

○杉原政府委員 これは法律的には恩赦法による恩赦しかございません。

正森成二日本共産党

○正森委員 お聞きになりましたか。今後ろの方で長官に知恵をつけた勉強してきた者がおるらしいのですが。  真田さんはこの本の中でもう明確に言っていまして、そういう場合がある。その場合には「違反行偽者の刑事責任には影響がないとする説があるが、これは正当でない。」こう言って、そして控訴なんかできる場合にはそれでやるべきだし、確定している場合には本当は取り消さなければいけないのだけれども、再審の事由にはないから、これは行政的な恩赦以外にはない、こう言った後で、 こういう重大なことも言っているのです。しかし、再審事由を追加してどうこうするというわけにもいかないから、  規制処分の取消又は変更の行政訴訟が提起されたときは、その裁判があるまでの間、刑事裁判所は第四二條又は第四三條の罪にかかる刑事事件について今の罪ですね。  有罪の裁判をするのを見合わせるのが最も無難であり、もし、刑事事件が先行して、有罪判決が確定した後に規制処分が取り消され又は変更されたときは、内閣は恩赦権を発動して、特赦によってその有罪裁判の効力を失わしめる措置に出ることが望ましい。こう言っているのですよ。  これを、今から四十何年前にこういう危険な法律をつくった者、行政官僚が、危険だなということを認識してこう書いているのですよ。  だから、法務大臣、今お聞きになりましたでしょう。もっともっと言いたいと思いますけれども、時間が来ましたからこれでやめますが、それぐらい問題がある、我が国の法制でかつて起こったことのないような手続をしなければ人権が守られない、そういう法律なんです。  ですから、我々は、繰り返して言いますが、オウム真理教の、ああいう天人ともに許さざる犯罪については刑事上の厳罰を処すべきだし、宗教法人法で解散すべきだし、その財産は管理すべきだと思いますけれども、破防法を適用してその団体活動をいろいろ規制するということは、かえって信者の社会復帰にもよろしくないし、我々には賛成できないという姿勢をとっております。大臣が、たまたま法務大臣としての所信の中に、必ず破防法の請求をするというのでなしに、弁明手続のいかんによっては、するかしないかも考えるというように言っておられるのは、私は非常に注目すべき見解であると思っております。  願わくは、我が国の法制のもとにおける異例の法律であるということを前提にされて、慎重な判断あるいは御相談をされることを希望して、大臣の答弁を承って、私の質問を終わります。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 先生の御質問を伺いながら、いろいろな意味で大変勉強させていただきました。御趣旨の線はごもっともなことと思っております。

正森成二日本共産党

○正森委員 終わります。

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 小森龍邦君。

小森龍邦新社会党・平和連合

○小森委員 法務大臣にお尋ねをいたします。  かねてから私は部落解放運動、広義の意味で言うと人権擁護運動でありますが、我が国の人権擁護行政に、人権を侵犯された者の救済という考え方がなかったと言うと語弊があるかもしれませんけれども、非常に希薄であった。時には、希薄であったばかりではなくて、そんなことを主張する者にきばをむいて、逆なことを人権擁護局が主張する。それは、人権擁護委員の法律にそんなことはないんだから、やろうにもできないんだということを堂々と、晴れがましく主張するというような場面もしばしば経験してまいりました。  今回、長尾法務大臣の所信表明を聞かせていただきまして、人権の救済というような言葉が出ておるわけでありまして、この十年間ほど我々が発言し続けたことが、この辺である一定の雰囲気を見ることができたのではないかというふうに思っておるのでありますが、法務大臣がイメージされております人権の救済というのはどういうふうなことなのかということをお尋ねしたいと思います。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 大変難しい御質問をいただいたかと思います。  人権ということは、やはりそれぞれの人のいわば人生観、人間というものに関する哲学、こういったものにかかわってくる問題であると思います。私は、人権は、人間が基本的に持っている権利であって、これは、すべての人がどういう立場の人間であっても尊重していく、我々の社会にとって基本として考えなければならない一番大きな権利であるというふうに考えております。

小森龍邦新社会党・平和連合

○小森委員 私が尋ねておりますのは、そんなに深い哲学的なことを尋ねておるわけではないのでありまして、時間が一時間ぐらいでもあれば、その辺のところからやらせていただきたいと思います。  例えば、部落差別の言辞をもって差別された、あるいは名前、名指しで落書きされたというようなことについて、それは人権侵害であることは間違いないのですが、そういうことを救済するということは、法務大臣はどういうイメージでもってあの言葉を使われておるか、そこをお尋ねしたいのです。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 先生のお書きになりました「慟哭する人権擁護行政」という本を読ませていただきました。法務省の人権擁護局のとってまいりました今までの仕事ぶりについての御批判を、私も謙虚に受けとめさせていただきたいと思っております。  人権擁護問題は、私どもとしては、こういった人権侵犯事件、今先生が御指摘になりました事件等を通じまして、関係者に人権尊重の思想を啓発することであって、同時に被害者の救済にも努めるということであると思っております。

小森龍邦新社会党・平和連合

○小森委員 どうも法務大臣が考えておられますイメージが私の方になかなか伝わってこないのであります。  一九六九年、だからもう相当以前のことになりますが、部落解放同盟の広島県連合会の委員長に就任いたしまして、自後二十二年間、県の委員長をしました。それから部落解放同盟中央本部の方は、十年ほど中央執行委員をやり、十一年余り中央本部書記長を務めました。私が委員長をやっておる県内のことだけ申しますと、その二十二年間のうちに、若き女性が三人ほど自殺いたしました。  そういう状況のときに法務省の人権擁護行政は、例えば、そういうことの引き金になった原因のようなことについて、その原因をつくり出したような、直接差別をしたような人に注意とか勧告とかをするだけでも六年も七年もかかっているのです。これでは啓発にもならないし救済にもならない。こういうことがございますので、あえてきょうお尋ねしたわけです。  法務大臣、ひとつ十分研究をしていただいて、具体的で有効な救済策を考えていただきたい。これは、答弁をいただければちょっと一言お願いします。

長尾立子法務大臣

○長尾国務大臣 人権が侵害された場合の被害者の救済の問題でございますが、平成八年度におきまして、人権擁護委員で構成します人権調整専門委員制度を設けまして、今先生からお話ございましたような被害者の一層の救済を図るということを検討しているところでございます。

小森龍邦新社会党・平和連合

○小森委員 ぜひひとつ、実のあるものに、できるだけ具体化するように御尽力をいただきたいと思います。  では、続きまして総務庁の方にお尋ねをいたします。  去る十二月末日に近いころ、地域改善対策協議会の総括部会の中間報告なるものが出されまして、私がテーマといたしております人権問題について、しかも、救済ということがうまくできていないので、それはひとつ法的に整備することが大事だという意味のことがその中間報告で出ておりました。  これは、従来総務庁と人権擁護局が、我々の主張の一番妨害をした部分でありまして、ここまで来たかと感慨無量なんでありますが、法的に整備するというか、法的にそこらを完備するというようなことについては、これまた先ほどの言葉を使わしてもらいますと、どういうイメージをされておるんですか。

川邊新総務庁長官官房地域改善対策室長

○川邊説明員 先生御指摘の点は、昨年の十二月の二十日に地域改善対策協議会の総括部会でまとめられた部分でございまして、   同和関係者への人権侵害に対しては、現行の人権擁護機関が中立公正な立場から対応してきたところであるが、なお十分なものとは言えな  い。各国の取組み等国際的な潮流も視野に入れ、あらゆる人権侵害に対して、被害の救済を含めより有効な対応が図られるよう、人権擁護制度の充実強化を図るべきである。 という指摘だろうと思っております。  この指摘についての地対協の総括部会での議論というものは、これも先生御承知でございますが、平成五年度に行いました同和地区実態把握等調査の結果によりますると、人権を侵害された同和関係者の対応につきまして、黙って我慢した者が約半数、次ぎまして、相手に抗議した方あるいは身近な人に相談した方がそれぞれ約二割ということでございまして、法務局とか人権擁護委員などの公的機関へ相談した者の比率が五%未満と、そういう実態にあるという前提、そういう認識のもとにこういう指摘をしたわけでございまして、具体的にこういう構想、ああいう形のものという形で地対協の総括部会で議論があったということではございません。

小森龍邦新社会党・平和連合

○小森委員 もともといえば、八六年の地対協の、現在でいえば総括部会に当たる部会というものがございまして、その部会報告は堂々とこんなことを書いているんですよ。我が国は整備された人権擁護行政があると。あれから約十年たって、整備されていないということを指摘されたんですな。だから、私は、この委員会でもしばしば人権擁護局長に言っておったのは、何が人権擁護局か、人権破壊局じゃないかということを私は指摘しましたが、ちょっと室長、あなたの受けとめ方も、そういう歴史的な経緯から言って、地対協の委員がそういうような全く当時とは逆のことを言うようになったということは、もうこれは目に余るというか、いかにおいても放置できない、そういう考え方でやっておるものと思いますよ。時間が来たから仕方がないけれども、要するに、先ほど法務大臣に要請をしたように、あなたのところでも最大限効果の上がることをひとつ考えていただきたいと思います。  最後に、これは質問でも何でもありませんが、先ほど正森委員が破防法のことについてお話がございましたが、一九五二年、昭和二十七年というと、私が高校を卒業した明くる年で、青年時代のことを思い出しますが、非常に危ない法律ができたということで心配しました。法務大臣も、ひとつこれには慎重な態度で臨んでいただきますようにお願い申し上げて、終わります。  どうもありがとうございました。

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十三分散会

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