安全保障委員会 第2号
- 発言数
- 7 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1996/02/22
会議録
○吹田委員長 これより会議を開きます。 国の安全保障に関する件について調査を進めます。 防衛庁長官から、防衛政策に関して説明を求めます。臼井防衛庁長官。
○臼井国務大臣 防衛庁長官の臼井日出男でございます。 本日は、平素から我が国の安全保障に深い関心を持たれ、御指導いただいている吹田委員長を初め委員各位に謹んでごあいさつを申し上げるとともに、あわせて私の所信の一端を申し述べさせていただきたいと思います。 まず最初に、国際情勢を見ますと、冷戦終結後、東西間の軍事的対峙の構造は消滅しましたが、依然として不透明、不確実な要素が残っており、我が国周辺地域においてもいまだ種々の不安定要因が残っております。他方、国際関係の一層の安定化を図るための各般の努力も継続されております。 また、国内におきましては、科学技術の進歩、若年人口の減少傾向、経済財政事情が格段に厳しさを増していること等の状況の変化が見られます。 このような内外の諸情勢の変化を踏まえ、昨年、政府は、我が国の防衛力のあり方についての新たな指針となる新防衛大綱及びこれを受けた新中期防衛力整備計画を決定いたしました。この新防衛大綱、新中期防につきましては後ほど御報告申し上げますが、私としては、この新防衛大綱、新中期防に基づき、国民の期待と信頼にこたえ得るよう、自衛隊の運営に努め、積極的に防衛政策を推進してまいる所存であります。 現在、国会で御審議をいただいております平成八年度の防衛関係費については、対前年度比二・五八%増の四兆八千四百五十五億円を計上しております。格段に厳しさを増している財政事情を踏まえ、本予算においては、厳しい経費枠の中で、防衛力全体としてその機能を円滑かつ十分に果たし得るよう配意し、新防衛大綱、新中期防の初年度にふさわしいものとなっております。 米国との安全保障体制につきましては、我が国の安全の確保にとって必要不可欠なものであり、また、我が国周辺地域における平和と安定を確保し、より安定した安全保障環境を構築するためにも、引き続き重要な役割を果たしていくものと考えております。防衛庁としては、その信頼性の向上のため、これを有効に機能させていくための各種施策等の実施に努めてまいる所存であります。 また、沖縄の米軍施設・区域の整理統合・縮小につきましては、日米安全保障体制堅持という基本方針のもとで、日米安保条約の目的達成との調和を図りつつ、総合的に検討し、米側とも協議の上、現実的にかつ誠意を持って対応してまいります。 さらに、日米共同訓練等の際の部隊間における物品・役務の相互融通の仕組みの構築についても、できる限り早く合意を得べく検討を進めてまいりたいと考えております。 先般、ゴラン高原に展開されている国際連合兵力引き離し監視隊(UNDOF)参加のため、自衛隊部隊等が派遣されたところですが、今後ともこのような国際平和協力業務を実施し、安全保障対話、防衛交流を引き続き推進すること等により、より安定した安全保障環境の構築への貢献に尽力してまいります。 最後に、私は、国民の理解と支持を得ながら、我が国の安全確保のために全力をもって国防の任に当たってまいる所存でありますので、吹田委員長を初め委員各位におかれましても、我が国の安全保障に関し幅広く議論される場である当委員会での御審議を通じ、なお一層の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、私の所信表明とさせていただきます。 ありがとうございました。(拍手)
○吹田委員長 次に、外務大臣から、我が国の安全保障政策について説明を求めます。池田外務大臣。
○池田国務大臣 吹田委員長を初め委員各位に謹んでごあいさつ申し上げ、我が国の安全保障政策についての所信を申し述べたいと思います。 私は、我が国の安全保障政策遂行の任に当たる者の一人として、また、安全保障会議の議員として、その使命と責任を全うすべく全力を傾注する所存です。 我が国を取り巻く安全保障情勢につき、簡単に申し述べたいと思います。 冷戦の終結等に伴い、世界的な規模の武力紛争が生起する可能性は遠のいており、米ロ間及び欧州において関係諸国間の合意に基づく軍備管理・軍縮が引き続き進展するなど、国際関係の一層の安定化を図るべく各般の努力が継続されています。しかしながら、国際情勢は依然として不透明、不確実な要素をはらんでおり、宗教上の対立や民族問題等に根差す複雑で多様な地域紛争の発生、核を初めとする大量破壊兵器やその運搬手段となるミサイル等の拡散といった危険に直面しております。 我が国周辺地域においても、域内各国の著しい経済発展をも背景として、政治的、社会的な安定に向けた動きが見られますが、朝鮮半島における緊張の継続、台湾海峡の情勢、南シナ海諸群島の領有権問題など、多くの未解決の問題ないし不安定性を内包しています。 このように多くの未解決の問題や不安定性を内包する国際情勢の中にあって、我が国は、みずからの平和と安全を確保していくために、適切な防衛力を整備しつつ、日米安保体制を堅持することをその基本方針としてまいりました。日米安保体制は、我が国の防衛において必要不可欠であるのみならず、広範な日米協力関係の政治的基盤であり、アジア太平洋の平和と安定にとって必要な米国の関与と米軍の存在を確保する上で重要な役割を果たしております。 昨年末安全保障会議及び閣議において決定された新防衛計画の大綱においても、日米安保体制の重要性につき記述されるとともに、その信頼性向上のための具体的施策を検討し、実施していくことが確認されたところです。四月のクリントン大統領訪日の際には、日米安保体制の役割の重要性を改めて確認する共同文書を発出し、二十一世紀に向けた日米同盟関係のあり方につき明らかにする所存です。 他方、沖縄県においては、米軍の施設・区域が集中していることから種々の問題が生じており、これが県民の皆様の重い負担となっています。私は、沖縄県の方々のこれまでの御苦労というものに改めて思いをいたし、関係者のお気持ちに最大限配慮していかなければならないと考えます。その意味で、沖縄における米軍施設・区域の整理統合・縮小及び関連する諸問題については、日米安全保障条約の目的達成との調和を図りつつ、本年秋を目途に特別行動委員会において目に見える具体的な成果を上げるよう、誠心誠意努力する所存であります。 また、四月のクリントン大統領の訪日は、この問題についても一つの大きな節目であり、その機会に解決に向けた一定の方向性が明確にされることが重要であると考えており、この点については、先月私が米国を訪問した際、ペリー国防長官を初め米側との間で認識の一致を見たところであります。 アジア太平洋地域の平和と繁栄を一層促進していくためには、以上述べたように、日米安保体制を堅持し、もってこの地域における安定要因としての米国の存在と関与を確保するとともに、この地域の多様性を尊重しながら、相互の安心感を高めるための安全保障対話及び地域協力を進展させることが重要であります。 このような観点から、我が国は、域内各国相互の信頼感を高めるため、ASEAN地域フォーラムを初め、二国間及び多国間の政治・安全保障対話や安全保障における種々の協力を重層的に推進していく所存です。特に、我が国としては、アジア太平洋地域における政治・安全保障対話の場であるARFを重視しており、昨年の第二回閣僚大臣会合での合意を受け、先月、東京においてインドネシアとの共同主催で信頼醸成に関する政府間会合を開催いたしました。我が国としては、今後ともARFに積極的に関与し、域内諸国間の信頼醸成の促進に努めてまいる所存です。 また、域内各国の経済発展に向けた協力を通じて政治安定性を高めていくことも重要であります。今後、我が国としては、昨年のAPEC大阪会合で我が国が議長国として取りまとめた貿易・投資の自由化、円滑化及び経済技術協力に関する行動指針の着実な実施を確保すべく、最大限の努力を行ってまいる所存であります。 さらに、地域紛争への取り組み、軍備管理・軍縮、不拡散の努力を推進していくことも、冷戦終結後の、我が国も含めた国際社会全体の平和と安定の確保にかかわるグローバルな問題として重要であります。 地域紛争の予防と解決に対しては、我が国としては、外交努力や人道・復興援助のほか、平和維持活動など国連の活動に対する人的面、財政面での貢献を通じて積極的に関与してまいります。旧ユーゴ紛争については、国際社会の和平・復興努力に対し引き続き積極的に参画してまいります。中東和平問題に関しては、先般ゴラン高原における国連兵力引き離し監視隊、UNDOFに自衛隊部隊等を派遣したところですが、今後とも積極的な貢献を行ってまいります。 また、軍備管理・軍縮、不拡散問題については、特に核軍縮につき、究極的核廃絶に向けて現実的な核軍縮措置を着実に積み重ねていくことが重要であるとの基本的立場に立って、今後ともすべての核兵器国に対し一層の核軍縮努力を行うよう促していくとともに、全面核実験禁止条約交渉の本年中の妥結及び署名に向けて最大限の努力を行ってまいります。 以上、我が国の安全保障政策につき所信を申し述べました。 国際的に相互依存関係が高まる中、我が国は、国際関係全般にわたってこれまでにない大きな責任と役割を有しており、世界の平和と安定の推進のため積極的に貢献していかねばなりません。このような状況の中で、それぞれの課題に取り組むに当たり、安全保障問題に精通され、多年にわたってこれに真剣に取り組んでこられました本委員会の皆様の御指導と御鞭撻を引き続き賜り、外務大臣の重責を十分果たせますよう、皆様方の御協力をお願い申し上げます。(拍手) ―――――――――――――
○吹田委員長 次に、平成八年度以降に係る防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画について、防衛庁長官から報告を聴取いたします。臼井防衛庁長官。
○臼井国務大臣 政府は、昨年十一月、平成八年度以降に係る防衛計画の大綱を安全保障会議及び閣議において決定し、また、これを受け、同年十二月、中期防衛力整備計画(平成八年度から平成十二年度)を安全保障会議及び閣議において決定いたしました。 以下、これらについて御報告申し上げます。 まず、平成八年度以降に係る防衛計画の大綱、すなわち新防衛大綱は、昭和五十一年に策定された防衛計画の大綱にかわり、今後の防衛力の整備、維持及び運用の指針となるものであります。 最初に、新防衛大綱の国際情勢認識について申し上げます。 これまで国際軍事情勢の基調をなしてきた圧倒的な軍事力を背景とする東西間の軍事的対峙の構造が消滅し、世界的な規模の武力紛争が生起する可能性は遠のきました。また、我が国周辺諸国の一部において軍事力の削減や軍事態勢の変化が見られる一方、地域紛争の発生や大量破壊兵器の拡散等、安全保障上考慮すべき事態が多様化しております。こうした状況の中で、二国間対話の拡大、地域的な安全保障への取り組み等、国家間の協調関係を深め、地域の安定を図ろうとする種々の動きが見られるところです。 次に、国内の状況を見ますと、近年科学技術が著しい進歩を遂げていること、今後一層若年人口の減少が見込まれること、経済財政事情が格段に厳しさを増していること等の変化が見られます。 また、自衛隊の役割について言えば、その主たる任務である我が国の防衛に加えて、近年、新たな分野における役割に対して期待が高まってきております。 まず、平成四年の国際平和協力法の制定以来、自衛隊はこれまでカンボジア、モザンビーク及びザイール等における国際平和協力業務を実施し、国際的にも高い評価を受けてきました。さらに、昨年一月の阪神・淡路大震災や三月の地下鉄サリン事件における活動等により、自衛隊が国民の生命と財産を守る存在であることが改めて広く認識されてきているところであります。 こうした自衛隊の諸活動の実績を背景として、大規模な災害等各種の事態への対応や国際平和協力業務の実施等を通じた、より安定した安全保障環境の構築への貢献という分野における自衛隊の役割に対する期待が高まってきているところであります。 このような背景を踏まえて新防衛大綱において示された防衛力に関する基本的考え方のポイントは、次のようなものであります。 まず、新防衛大綱においては、前大綱が取り入れていた我が国に対する軍事的脅威に直接対抗するよりも、みずからが力の空白となって我が国周辺地域における不安定要因とならないよう、独立国としての必要最小限の基盤的な防衛力を保有するという基盤的防衛力構想を、今後とも基本的に踏襲していくこととしております。これは、国際関係の安定化を図るための各般の努力が継続し、日米安全保障体制が我が国の安全及び周辺地域の平和と安定にとり引き続き重要な役割を果たし続けるとの認識に基づくものであります。 新防衛大綱のもう一つの特徴は、日米安全保障体制の重要性を再確認していることであります。 冷戦後の国際社会においては、国際情勢の変化、それに伴う国際的な課題の変化、そして、その解決に向けた国際社会の積極的な取り組みを背景として、日米安全保障体制が地域の平和と安定及びより安定した安全保障環境の構築の面で果たす役割について再認識されるようになってきております。このような状況を踏まえ、新防衛大綱は、日米安全保障体制が我が国の安全確保にとって不可欠のものであり、また、我が国周辺地域における平和と安定を確保し、より安定した安全保障環境を構築するためにも引き続き重要な役割を果たしていくとの認識を示しております。 また、こうした観点から、日米安全保障体制の信頼性の向上を図り、これを有効に機能させていくための具体的な取り組みの重要性について、この新防衛大綱において整理して述べているところであります。 さらに、今後の防衛力が果たすべき役割について、新防衛大綱は、自衛隊の主たる任務である「我が国の防衛」に加え、「大規模災害等各種の事態への対応」及び「より安定した安全保障環境の構築への貢献」を主要な柱として掲げているところであります。 大規模災害等各種の事態への対応については、まず、大規模災害等への対応として、関係機関との緊密な協力のもと、適時適切に災害救援等の行動を実施するとともに、我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合には、憲法及び関係法令に従い、日米安全保障体制の円滑かつ効果的な運用を図ること等により適切に対応していく旨述べております。 また、より安定した安全保障環境の構築への貢献という観点からは、国際平和協力業務や安全保障対話、防衛交流の推進、軍備管理・軍縮分野における諸活動への協力を進めていくこととしております。 新防衛大綱においては、こうしたことを踏まえて、次に述べるような基本的な方針に基づき、現行の防衛力の規模及び機能について見直しを行うこととしております。 第一に、防衛力の合理化、効率化、コンパクト化を一層進めるということであります。このため、「別表」に示された適切な規模の防衛力へと移行していく必要があると考えております。 第二に、必要な機能の充実と防衛力の質的な向上を図ることにより、多様な事態に有効に対応し得る防衛力を追求しなければならないということであります。このため、装備のハイテク化、近代化を図っていくとともに、情報・指揮通信、警戒監視機能等の充実強化を図っていく必要があると考えております。 第三に、事態の推移に円滑に対応できるように適切な弾力性を確保し得るものでなければならないということであります。そのためには、その養成及び取得に長期間を要する要員及び装備を教育訓練部門等において保持したり、即応性の高い予備自衛官制度を確保することが重要であると考えております。 次に、新中期防衛力整備計画について御報告申し上げます。 この計画は、平成八年度から平成十二年度までを対象としており、新防衛大綱に示された我が国が保有すべき防衛力の内容を実現するため、引き続き継続的かつ計画的に適切な防衛力の整備に努めることとして策定したものであります。 計画の概要を申し上げれば、次のとおりです。 第一に、陸・海・空各自衛隊の基幹部隊等を見直し、新たな防衛力の水準に近づけます。その際、種々の事情を勘案しながら、円滑な移行に配意するとともに、陸上自衛隊に即応性の高い予備自衛官制度を導入することとしております。 第二に、F2の量産を初め正面装備の更新、近代化に努めるとともに、情報・指揮通信機能等の充実を図るほか、災害救援に係る各種施策も実施します。さらに、技術研究開発の推進、隊員の生活勤務環境の向上なども引き続き行ってまいります。 なお、この計画期間中の検討課題として、空中給油機能や弾道ミサイル防衛の取り扱いなどがあります。空中給油機能については、今後検討を行い、結論を得、対処することとしており、また、弾道ミサイル防衛については、総合的見地から十分に検討の上、結論を得るものとしております。 第三に、戦闘部隊において保有する装備と同様のものを教育訓練部門において保有する施策に着手します。これにより、教育訓練体制の充実、効率化が図られますが、防衛力の弾力性が確保される意義も有しております。 第四に、日米安全保障体制の信頼性の向上を図るための各種施策を推進します。その際、沖縄の施設・区域の整理統合・縮小を含む、在日米軍の駐留を円滑かつ効果的にするための施策も推進することとしております。 第五に、より安定した安全保障環境の構築への貢献のための施策を推進します。具体的には、国際平和協力業務、防衛交流、安全保障対話等に係る各種施策を実施してまいります。 第六に、各年度の予算の編成に際しては、一層の効率化、合理化に努め、極力経費を抑制するよう努力するとともに、その時々の経済情勢、格段に厳しさを増している財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、節度ある防衛力の整備に一層努力します。 次に、所要経費について申し上げれば、この計画の実施に必要な防衛関係費の総額の限度は、平成七年度価格でおおむね二十五兆一千五百億円程度であります。このほか、将来における予見しがたい事象への対応、より安定した安全保障環境の構築への貢献等に特に必要であると認められる場合にあっては、安全保障会議の承認を得て使用することができる経費として、一千百億円程度の調整枠が設けられております。 新防衛大綱は、冷戦終結後、二十一世紀に向けての我が国の防衛力のあり方を示すものであり、この新防衛大綱に従い、新中期防衛力整備計画に基づき、防衛庁としては引き続き適切な防衛力の整備に努めてまいる所存であります。私としては、我が国の安全を確保し、国際社会の平和と安定に資するため、この新防衛大綱、新中期防衛力整備計画のもと、国民の信頼にこたえ得るよう、自衛隊の運営に努め、積極的に防衛政策を推進してまいる所存であり、国民の皆様方の御理解と御協力を切に希望する次第であります。 以上でございます。(拍手)
○吹田委員長 以上で報告は終わりました。 次回は、明二十三日金曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十三分散会