大蔵委員会 第2号
- 発言数
- 41 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1995/11/09
会議録
○委員長(片山虎之助君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 本日、大河原太一郎君が委員を辞任され、その補欠として海老原義彦君が選任されました。 —————————————
○委員長(片山虎之助君) 租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。武村大蔵大臣。
○国務大臣(武村正義君) 租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 政府は、最近における社会経済情勢にかんがみ、株式市場の活性化の観点から、上場会社等による利益をもってする株式の消却の促進を図るため、上場会社等が株式の利益消却を行った場合のみなし配当について、特例措置を講ずることとし、本法律案を提出させていただきました。 まず、上場会社等が利益をもってする株式の消却を行った場合には、その消却された株式に対応する資本の金額のうち消却されなかった株式に対応する部分の金額については、みなし配当課税を行わないこととしております。なお、法人株主については、受取配当として申告することを選択できるものとしております。 公開買い付けによる株式の消却に応じた個人株主が交付を受ける金銭の額のうち資本等の金額に対応する金額を超える部分の金額については、みなし配当課税を行わず、株式の譲渡による所得として課税することといたしております。 これらの措置につきましては、この法律の施行の日から平成十一年三月三十一日までの間に、利益をもってする株式の消却を行った場合について適用することといたしております。 以上がこの法律案の提案の理由及び内容でございます。 どうぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(片山虎之助君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○猪熊重二君 私はきょう、租税特別措置法の改正案の審議ですが、同じ租税特別措置法の条項の中で、六十九条の四、すなわち相続税課税のための相続財産の評価に関する特例に関してお伺いしたいと思います。 御承知のとおり、この条項は昭和六十三年十二月に創設された規定でありまして、同年十二月三十一日以降に相続により取得した財産の課税価格の算定に適用されることになっております。中身は、相続開始前三年以内に取得した土地、建物については、原則としてその取得価格を課税価格として相続税を賦課するという趣旨の規定でございます。 この規定が設けられた趣旨については、御承知のとおり、いわゆるバブル景気によりまして地価が異常に高騰し、不動産に対する相続税課税の評価の原則である路線価と実勢価格との間に非常に落差が生じている。路線価の方が低く実勢価格の方が高いということを前提にして税法上の処置をうまくやると相続税が実質的に回避できるということの抜け道をふさごうという趣旨の規定であります。土地がバブル経済で少なくとも同水準でいくとかあるいは高騰している場合には、この規定が今申し上げた相続税回避を防止するという効果がありまして大変よい法律だったわけですが、バブルが崩壊して土地価格が下落するという状況になってくると、この特例がとんでもない結果を招いてくる。 と申しますのは、三年以内に取得したけれども、取得した土地が相続開始時点において取得価格の半分に下落してしまう。ですから、相続のときには実勢価格、ところが取得価格がその二倍の価格だということになると、一千万の土地を相続したにもかかわらず、買った値段が二千万だと二千万として評価されるということになりまして、非常に相続税の税額が過重になり過ぎるという問題が生じてきたわけです。それはきのうきょう生じたのではなくて、バブル崩壊後、ここのところもう二、三年間、もう少し長ければ三、四年間そういう状態が続いている。 このような状況のもとにおいて、過日、十月十七日、大阪の地方裁判所においてこの特例に関連する判決がなされたわけです。これは先生方も新聞等で御承知のことと思いますが、いろいろ税務当局から数字を聞くと時間がかかりますので簡単に私の方から申し上げさせていただきますが、この事案では、堺税務署長が認定した相続財産の価格総額は二十四億一千万円余、これに対する課税額は十四億三千万円余なんです。これに対して、当事者である要するに相続人の方から、相続財産の価格は時価によって評価すれば十一億二千万円余である、したがって私にかかるべき税金は五億六千万円余であるべきだと、こういう訴訟が起こされたわけです。 ですから、税務署の方はあなた二十四億も相続したよというのに対して、私が相続したのは十一億ですと。二十四億だと税金は十四億だよというのに対して、十四億払うんじゃ私の相続した財産十一億よりも三億税金が、相続で取得した財産の価格十一億を超える十四億の相続税というのはどういうことなんだということで、その取り消しを求めたわけです。 大阪地裁の判決は、堺税務署長のこの数字の相続税評価は間違っているということで、相続人、すなわち原告の申し立てである相続財産の価格は十一億二千万円余だと、したがって相続税は五億六千万円余だということで、原告の言い分をほとんど全部認めたんです。要するに、堺税務署長が租税特別措置法六十九条の四によって評価したこの金額はだめだと、全然実勢価格を反映してないからだめだということでほとんど原告の申し立てを認めたわけです。 この判決に対して、まず国税当局としてはどのように受けとめているのか、そしてこの判決に対してどのような対応をとったのか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(内野正昭君) お答えいたします。 先生御指摘の判決によりますと、相続により取得した全財産をもってしても相続税額に足りないとの事実認定を行っておりますけれども、私どもといたしましては、この事実認定には疑問があるというふうに考えておりまして、控訴して高裁の判断を仰ぐことといたしたところでございます。
○猪熊重二君 そうすると、要するに裁判所が、この特例を用いることはできないと。もしこの特例を用いるようなことになって相続財産の価格よりも相続税額が多いような税金を課することは、相続税の名のもとに国家が収奪することになると。そしてこのような堺税務署長の処置は憲法違反の疑いが非常に濃いと。したがって、この特例をこのような場合に適用することは、本来的に法律の予定していないところであるから本件に適用しちゃならぬ、この租税特別措置法の六十九条の四を適用してはならぬと言っている。この判断に対しては税務当局としてはどう考えているんですか。
○政府委員(内野正昭君) ただいまの先生の御質問につきましては、判決では相続財産を超える相続税額になっておるという判断をしておりますけれども、私どもの試算等によりますと、相続財産を超える相続税額にはなっていないとの計算をしておりまして、この点について高裁で具体的に主張を立証してまいりたいということでございます。
○猪熊重二君 私の質問にあなた全然答えていないじゃないか。私が質問したのは、裁判所のそういう法律判断に対して国税当局としてはどう考えているかということを質問しているんです。それに対して、いやそれはだめなんだとか、その裁判所の判断はいいとか悪いとか、それをまず答えてください。
○政府委員(内野正昭君) 先生は直接の答えになっていないということでございますけれども、私どもは、相続税の総額が相続財産の総額を仮に上回っているというような場合につきましては、立法上の問題が出てまいろうかと思いますが、執行当局の国税庁といたしましては、相続税の総額が相続財産の総額を上回っていないとの事実認定をしておりまして、この点について具体的に争ってまいりたいということでございます。
○猪熊重二君 あなたそう言うけれども、そんなことは、今あなたが言ったような不服申し立ては一審では全然主張していないんですよ。あなたも判決見ている、私も判決見ている。判決の事実記載によれば、国税当局が大阪地裁において言っていることは、租税特別措置法六十九条の四は合理的な立法なんだから、これで計算したんだから間違いないんだと。相続税の実勢価格が幾らであるとかないとかなんということについては全然主張していないんだよ。一審で主張しているのは、この法律を適用すれば時価の二倍であろうが三倍であろうが、そこまでは書いていないけれども言っている趣旨は、この法律を適用すればいいんだと。実勢価格は幾らだ、どうだなんということは一審じゃ何にも言っていないんです。 負けたら今度は、じゃ実勢価格が幾らなんだどうだと、それを不服申し立ての理由としている。そんなものは一般的に言えば、訴訟手続上、一審で言いもせぬで、今になって実勢価格は判決の認定価格よりも高いとか低いとか。もしその実勢価格が、あなたが言うように、国税の方で課税しようとしている十四億三千万円よりも上になればいいけれども、やっぱりそれでもそうじゃないんだと、十一億だということになったときには、幾ら不服申し立てして争ったからといって、要するに十四億の課税価格よりも実勢価格が低いということになった場合にどうするんですか。
○政府委員(内野正昭君) 今の先生の御質問にお答えしたいと思いますが、私どもの試算によりますと、税務署の賦課いたしました相続税額十四億強の総額を上回る資産価額を納税者は保有していたという事実認定を行っております。
○猪熊重二君 それじゃまあいいわ。十四億から上回る、うまくあなたが念願しているような実勢価格が出てくればいいけれども、先ほど私が言ったのは、それでも出てこないときにはどうするんだということを申し上げたんだから、実勢価格が判決の認定価格よりも上だとか下だとかちょうどいいとかということを論ずること自体が、そのこと自体が六十九条の四の、三年以内の場合には取得価格によりというこの法律の原則とは矛盾するじゃないですか。 一審じゃこの法律が正しいんだ法律が正しいんだと言っておいて、負けたら今度は実勢価格が裁判所の認定価格より上だ上だと。上は上でいいですよ。だけれども、もしこの法律を適用するだけだったら、実勢価格が判決の認定価格よりも上だとか下だとかなんというのは何にも必要のない論理なんです。それにもかかわらず、実勢価格が課税価格十四億よりも上回ればいいんだというだけの論法で訴訟をやっているんだとすれば、じゃ、その訴訟で、あなたが言うように、十一億じゃなくて十四億を超えた超えたと、それはいいけれども、それじゃ十四億を超えたらそれを基準にして課税することでいいんですか。だとしたら六十九条の四はすっ飛んじゃうんです。不適用ということになるんじゃないんですか。その辺はどう考えているんですか。
○政府委員(内野正昭君) その点につきましては判決の中でも、先生十分この判決をお読みいただいていると思いますが、私どもといたしましては、本件特例は法令自体を憲法違反とすることはできないと判決の中で判示しておりまして、ただ本件につきましては、裁判所の認定によりますと、先ほど申し上げましたように、相続税額が相続財産額を上回っておる、こういったような本事案のような場合に本特例を適用することはできないという判示を行っているわけです。 この判決の内容は、私どもといたしましては、やはり事実の認定の問題というふうに執行当局としては受けとめて控訴をした次第でございます。
○猪熊重二君 ほかの会派の質問がなくてお急ぎのようなことなんで、大蔵大臣、私の意見を申し上げて大臣の所見をいただきたい。 どういうことかというと、確かに租税特別措置法六十九条の四という条項は、国会で法を制定したときには、相続税逃れを許さないための法律として必要だし、妥当な立法だった。しかし、つくったときには地価が上がることはあっても下がるなんということを予想していなかったにもかかわらずこういう事態になってきて、これをそのまま機械的に適用すると、親からもらった財産よりももっと余計税金払えなんというおかしなことになる。こんなのがおかしいということはもう大蔵大臣だって、相続したら相続財産を全部物納したってまだ借金が残るなんというようなことはあり得ないことです。 裁判所が、せっかくと言うとおかしいけれども、この六十九条の四という法律自体は憲法に違反しない、そういう必要があってできた法律だから憲法には違反しない、しかしこの法律を機械的に適用すると今言ったようなとんちんかんな事態が生じてくるよと。こんなところまでこの法律は予定していないんだから、この判決は逆転、要するに実勢価格よりも税金が多いような場合はこの法律は適用することはできないんだ、この法律はそこまでカバーしていないんだと。そういうときには原則に返って、路線価でやるなり、実勢価格をどういうふうにかして算定してそれに対する適切な税率による相続税を出せと、わざわざ裁判所で実際に存在する法律の条文と実際の適用の問題に関していいぐあいな判決してくれたわけですよ。 法律自体がだめだと言われたんじゃ国会のこっちの方もちょっとぐあいが悪いし、だから法律は憲法に違反せぬ、しかしこの法律を機械的に適用して今のような逆転があるような状況というのは憲法に違反する疑いがあると。この裁判官は言えば憲法違反の処分だ、こうまで言いたいところを、違反の疑いがある、だからそれを直せと。それで、その具体的な事案に応じてそのように直すことはこの法律に違反するわけじゃない、この法律は法律でこれは憲法に適合するんだと、うまいぐあいにバランスをとってこう判決しているんだから、この判決にのっとって、条文としては三年以内に取得したものについては取得価格という原則はあるけれども、しかし逆転、あるいはちょうど取得財産と税額が同額になるとか、取得価格で計算したらそうなるとか、あるいは、せっかくだから少しぐらいもらったものが残らなきゃもらった気がしないんだから、どの程度のときまではどうだとかというふうなことを早急に検討して、国税庁長官の通達だかどうだか知らぬけれども、早いところやったらどうなんですかということを大蔵大臣に申し上げて、これに対する所見を伺って質問を終わります。
○政府委員(薄井信明君) 今の御指摘の点について主税局の立場から御答弁申し上げたいと思います。 御指摘のように、法律自体は適正なものであるという評価をいただいたわけでございます。ただし、この個別の案件について御指摘のような不合理があるということでございまして、私どもとしては、立法した当時、こういう事態が起こり得るかどうかに関しては、通常こういうことは起こり得ないという考えでおりました。極めて高額な遺産であったり、あるいは相続財産の相当部分を死亡前三年以内に買っているケースでないと生じないわけですし、また不動産取得後三年以内の短期間において急激な地価の下落がないとこういう事態は生じません。いろいろのことを考えますと、立法時の諸事情を勘案しますと、こうしたケースというのは極めてまれな事態だろうと思っております。 なお、個別の本件について、価格の関係がどうなっているかについては国税庁が今控訴して争っているところでございますので、この点については触れませんが、この立法自体をどうするかということにつきましては、実情がどうであるか私ども調べているところでございます。その実情を十分見て、御指摘のように、ある亡くなった方の財産を相続した方がその相続した全相続財産以上に相続税の額の方が大きいということは、これは本来おかしなことだと思います。相続税の体系からしてそういうことはおかしいことだと思いますので、その点につきまして、もし実情がそういうことであるという結果が出るならば、幅広い観点から立法上の検討をしていかなければならない。ただし、これは個別の訴訟の案件とは別に私ども考えていきたいと思っております。
○猪熊重二君 立法上の問題だといってこっちにしりを持ってきても困るんだよ。そんな立法上の問題だなんていうことになったら、これをまた廃止するとかせぬとかどうだとかこうだとか、あなた半年も一年も三年もかかるじゃないか。そんなことじゃなくて、今この法律が法律としてあっても妥当な運用ができるんだという裁判所の判断があるんだから、それに従ってやったらどうだと。そうでないと、課税されて不服の国民はみんな裁判所へ行かなきゃならぬ。そんな手間を国民にかけることは必要はないんだ。大蔵大臣の方で国税庁長官に言って、うまいぐあいに世間並みの通り相場になるようなことをやったらどうだと、これをやりゃいいということだけなんです。これをやりますとは言いにくい立場もいろいろおありでしょうから、以上で終わります。
○海野義孝君 平成会の海野義孝でございます。よろしくお願いしたいと思います。 これから大臣初め関係の政府委員の方々に御質問申し上げるわけでありますけれども、冒頭に、その前提となる幾つかの点につきましてお聞かせいただきたい、このように思います。 最初に、景気の現状ということについてお尋ねしたいと思います。 これは今回の国会でも諸所の会議におきまして質問あるいは回答をいただいているわけでございますけれども、既に国会が始まりまして約一カ月半近くになるわけでございます。こういった中で、先般の九月二十日の経済対策、これはまさに未曾有の規模のものであると、大蔵大臣も財源困難の折からまさに清水の舞台から飛びおりるような思いで今回の措置を講じたというようなことをお話しされましたけれども、それから約二カ月経過しております。さらに、その対策の予算的な裏づけとなる第二次の補正予算にいたしましても、これが国会で成立してから既に約一カ月近くになる、こういうことになろうかと思います。 こういった中で、私は長い間証券界で仕事をしておりましたので、どうしてもいろんな数字にこだわる習癖を持っておりまして、これはかって池田勇人総理が、まさに昔、平生の民のかまどを見て経済をはかったというような話があるように、現在ではやっぱりいろいろな指標を見て経済の運営をなさっていくというのは当然だと思います。 そうした中で、巷間発表されておる経済諸指標、これにつきまして見ますと、もちろんこういった経済指標というものは、日本はすぐれているとはいいましても、発表されるまでのタイムラグがあるということでありますけれども、既に先月までに発表されました景気動向指数、つまりディフュージョンインデックスなんかを見ましても、その中の先行指標を見たって既に五〇を割っているというふうな状況でございまして、そういった面から見ましても、どちらにしても大変元気がない、ここ数カ月見ても依然として元気がないと、こういう状況だと思います。 企画庁の月例経済報告とか、あるいはいろいろな会議におきましての御答弁を聞いておりましても、ひところほどトーンは高くはなくなりましたけれども、景気はまあ足踏み状態であるというようなことを言っております。 ところが、最近の新聞等あるいはエコノミストの論調なんかを聞いたり見たりしておりますと、既に今回の景気は、戦後におきましてもたしか十三回目の景気の上昇サイクルにあるかと思うんですが、これが実は一昨年の十一月から上昇に入って、既にことしの三月をもってピークアウトしているんじゃないか、既に景気は今下降に入っているんじゃないかと、こういったことを言うわけでございますけれども、そういった点から見ると、どうも当局の御見解と一般のそういった見方とが若干そこにギャップがあるんじゃないかと、このように思います。 そこで、武村大蔵大臣にお願いしたいんですけれども、景気の現状についてただいま現在どのように認識をなさっているかの御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) お話しのように、昨今の経済の動向は大変微妙な状況にあると私も認識をいたします。政府は足踏み状態で弱含みで推移と、こういう表現を使っております。この表現にもそういうニュアンスがにじみ出ているというふうにも言えるわけでございます。さまざまな経済指標をめぐっても率直に言って明暗交差しているという状況でございまして、消費、設備投資などは大変に緩やかではありますがやや回復の感じがございます。しかし、生産そのものはまだ弱含みであるとか、そんな状況でございます。 ただし、為替が春から夏にかけて大変深刻な状況にありましたが、これが百円台に反転をしておることや、株価も一万八千円台に回復したことなどはやや明るさを感じさせていると。 そこで、九月二十日のこの経済対策も含めて、公定歩合もございますが、私どもありとあらゆる措置を総動員して日本経済の景気回復のために全力を尽くしているところでございますが、少なくともこうした努力によって先行きはだんだん不透明感が払拭をされて、一気に明るくなるとまでは思っておりませんが、徐々に明るい方向になるものというふうに期待をいたしているところでございます。 昨年は、GDPは〇・六%でございましたか、私個人の願望としては、少なくとも今年度は一%台に行ってほしいし来年は二%台に行ってほしいと、こういうレベルではありますけれども、そのために万全を尽くしていこうという思いで取り組んでいるところでございます。 評論家、専門家の意見も、今先生のおっしゃったような下降局面というふうな見方もありますが、しかしもう少し積極的な見方をする人もあるわけで、これもいろんな意見が交差しているというふうお認識でおります。
○海野義孝君 今の御答弁では、やっぱり問題になるのは雇用問題。これは御承知のとおりで、既にこの春以来、至上最悪の失業率ということでもございますし、近々報じるところによれば、この春の四大出あるいは短大出の就職率は未曾有の低さである、私の記憶では六〇%台。これは女子大生の場合かと思いますけれども、大変深刻な状況であります。さらに、これが現実の六%強とも言われている実質的な失業率から考えますれば、来春の就職については一段と厳しい。こういった面についてもちろん大臣は御認識あろうかと思いますけれども、私としてはその辺を感じるわけです。 そこで、私は長い間仕事をしてきまして、株式というものについては、これは経済の眼であるということを入社した当時先輩から教えられまして、しかも株価の約七〇%は心理的要因によって形成されている、こういったことを聞いたことがあるわけです。恐らく記憶に間違いはないと思うんです。そのように株式というのはまさに経済とか金融とか為替とかあるいは産業など、そういったもろもろの動向というものにつきまして投影するものである、このように思うわけであります。 そういった点でこの株式市場では、私ども日経平均株価、昔で言うダウ平均というやつですけれども、これは一九八九年の末に三万八千九百十五円というピークをつけまして、それから一年後ぐらいに景気はさすがにバブル経済の崩壊に入ったということでありますけれども、その後のいろんな紆余曲折はありますけれども、ことしの七月には一昨年八月の一万四千円そこそこというところまで一時的にニアミスしたわけでありますが、その後、円が多少持ち直してきたというか円安になってきた。これは円安というよりもドル高修正が行われた裏側の現象というようにとらえる面もあろうかと思うんですが、いずれにしましても、株価は九月の半ばごろと記憶しておりますけれども一万九千円近くまでたどり着きましたけれども、その後はまた迷走状態に入りまして、最近で言いますとこれが一万七千円台、八千円を割っている。 しかも、出来高で見ますと、八月、九月は証券界が何とか食っていけるぐらいの一日平均出来高が東証一部で四億五、六千万株ぐらいできましたけれども、これが実は十月に入ったら急減して三億株そこそこぐらいというふうに五〇%ぐらいダウンしている。そういうような株価の状況から見ましても、今の元気のない経済の状況というものをまさに物語っていると思われますし、あるいはまた先行きの経済というものを暗示している。 あるいは今回の一連の景気対策、今回の約十四兆二千億を含めましてももう既に六十兆円近いということは、年間国家予算の八掛けぐらいのものをここ数年で投じてきている。これはもちろん事業規模でありますけれども、こういうような今回の景気対策の効果をマーケットは判断しかねているんではないか、そういうように思うわけでございます。 これらの面で、最近のこういった株式市場の状況、先ほど円も持ち直してきたし株もやや明るさが出てきたので、そういった中での今回の乾坤一できの景気対策によって、必ずその効果に我々も期待したいわけでありますけれども、マーケットはどうも見放しているとは言いませんけれども、読めない、このように思いますけれども、こういった面からの大臣の御所見を一言簡単でいいですからお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) 株を中心にした見方でありますが、確かにおっしゃるように、株の動きというのが経済の先行きを示しているというのは常識でございまして、ことし夏、あれは七月でございましたか、一万四千円台まで下がりました。その状況からすると、昨日また一万八千円を割りましたけれども、一万八千円前後で最近は推移している。決してこれは安心できません。安心できませんし、今後の展望までどうこう申し上げるわけではありませんが、ただ、あのころに比べるとやや回復しているということは事実でございます。 私どもも、規制緩和も含めて、証券市場の活性化には証券局中心にかなり努力を続けているところでございまして、けさもニュースでミニ株式が活況を呈していると。これは小さな話かもしれませんが、でも百株でも売買できるように規制緩和をさせていただいた効果がああいう形で出ているなと思っているわけでありますし、このみなし配当課税の御審議も、これはもう織り込み済みでありますが、六月でしたか、これを発表したときには証券界では大変評価された大事な政策でもありました。ストックオプションなんかもそういうことにかかわってくるわけでありますし、あとフロンティアマーケットをつくったり、日経三〇〇を起こしたり、いろんなことを知恵を絞りながらやってまいりましたが、これからも精いっぱい努力を続けていきたいと思っております。
○海野義孝君 次に移りますけれども、冒頭、大臣から今回の法案につきまして趣旨の御説明がありましたけれども、その立案に至る経緯につきましては以前から私どもも絡んでおりまして、その辺のいきさつについてはここではあえて申しませんけれども、とりあえずは三年間の時限措置ということでありますけれども、今回の自社株消却ということを現実に可能にするそういった租税特別措置が講じられるということになろうと今しているわけであります。 こういったことから、既に本法律案の成立を前提としまして、店頭に公開されている株式会社のある一社が消却を目的として自社株買いを実施する、そういう国内企業第一号の名乗りを先般上げております。企業の株式持ち合い解消の受け血とか、あるいは一株当たりの利益の増加とか、証券市場の需給関係の改善による活性化とか、種々効果はあるというように言われているわけですけれども、できますれば、これの数値による具体的な効果についての予測、あるいはこれから一年間で予想される自社株の消却に踏み切る企業がどのぐらいあるかというようなことについて、もし御存じであれば、私もそれなりに承知はしておりますけれども、確認の意味でお教えいただきたいと思います。
○政府委員(日高壮平君) 今回のみなし配当課税にかかわる特例措置が実施をされて、その措置の効果ということもあって各企業の方々が自己株式の利益による消却を促進されるということになりますと、ただいま委員御指摘がございましたようないろいろな意味でのプラスの効果が発揮されてくる、そうしたことを通じて株式市場の活性化に大きな影響が出てくるだろうということで期待をしているところでございます。 今後、実際にどの程度の企業が利益による消却を実施されるかどうかという点については、私どももいろいろ経団連等を通じて経済界にもお願いをしているところでございますし、何といいましても、こういった行為を通じて株主に目を向けた経営戦略を経営者の方がとっていただくということは今後の市場の動向にも非常に大きな影響を与えるだろうということで、私どもとしてもこれからさらに引き続きお願いをしてまいりたいというふうに考えております。 具体的に計数的にどうかということになりますと、各企業の経営者の御判断というものはあらかじめ私どもが想定することはできませんけれども、先般、通産省が対象企業について自社株の購入・消却を行うかどうかというアンケート調査を行いましたところ、七割を超える企業の方々がこの問題について関心を強く持っているということでございましたので、私どもは今後ともいろいろな場を通じてお願いをし、できるだけ数多くの会社でこういった利益消却が行われるように私どもなりに努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○海野義孝君 証券御当局の今後のいろいろとそういった御指導、啓蒙等をよろしくお願いしたいと思います。 ただいまの件につきましては、先ほど申し上げた第一号を名乗り出た際の新聞報道によりますと、証券業協会当局では向こう一年間で二、三十社ぐらい出てくるんではないかというようなことを言っているように私は承知しております。 そこで、この問題について、しつこいようですが、何といっても今回の改正法案でございますのでもうちょっと申し上げたいんですが、何かアメリカ市場におきましては、この自社株の消却という問題、これが株式の需給関係というものを大変改善させ、株式相場の形成という面でも大変うまくいっているというように聞くわけであります。これも私があらかじめ申し上げていなかった質問がと思いますので、もしあれでしたら後刻でも結構でございますけれども、アメリカはマーケットがたくさんあるんですけれども、ニューヨーク市場などにおきまして、ごく直近、昨年でも一昨年でもいいんですが、年間でのいわゆる株式の増資によっての発行株数の増加数と、一方でこういった自社株消却等によっての発行株数の減少、具体的なその数字ないし比率、これは恐らく個々の企業によって大分効果が違うと思いますから、全体的なマーケットとしてとらえるのについて今申し上げたことがどうかと思いますけれども、もしその辺について数字をお持ちでしたら教えていただきたい。
○政府委員(日高壮平君) アメリカ市場全体を通じて網羅した統計というのは実はなかなか本件についてはないということでございますので、正確なところを申し上げかねることは御理解を賜りたいと思いますけれども、私どもが把握している例えば一九九四年に公表された、公表されたという意味は、各企業が自社株を取得して消却をする、そういう方針を、公表ベースでございますけれども、公表した取得予定額は七百億ドルに上るというふうに承知をいたしております。 委員御指摘のように、アメリカにおきましては、株主に対するいわば配慮といいますか、これが各企業の経営の一番大きな柱になっているわけでございまして、その株主に対する配慮の一番の大きなあらわれとしてこの自社株の購入・消却が行われているということが現実の姿でございます。したがって、各企業とも利益が生じた場合には積極的にこの自社株の購入・消却を行っているというのが現実の姿であろうというふうに承知をいたしております。
○海野義孝君 そこで、次に証券税制についてもうちょっとお聞きしたいのであります。 私どもでは、有価証券取引税の凍結ないしは廃止といった問題について、かねてよりこれを法案化したい、こういうふうに思っているわけでありますけれども、時間が限られておりますので私の方から申し上げますと、こういった有価証券、これも資産でありますけれども、そういったものの取得、保有あるいは譲渡、こういったものに対して、土地なんかもそうですけれども、それぞれ税金が課されるということであります。 例えばキャピタルゲインについての課税という面につきましては、世界の主要国は大体課税をしているわけでありますけれども、いわゆる流通段階における課税でございます有取税、こういったものにつきましては、日本とかイギリス、フランスといったところでは、やり方は多少違いますが、日本の場合は売った際にかかる、それに対してフランスの場合は売り買い両方、それからイギリスでは買った場合とかありますが、アメリカとかドイツにおいてはこういったいわゆる流通における段階での課税というのはない、こういうことであります。 私は、この有取税の問題も、先ほどのみなし配当課税についての凍結の問題とあわせて、やはり現在の資産デフレ、つまり株式と土地の問題でありますけれども、その株式についてのこの大変暴落した状況、これはもう一切のことがそこに象徴としてあらわれているわけですから、株式市場だけの問題というよりも日本経済全体の問題ということで、ただ税金の問題だけいじってどうかというような御議論もあろうかと思いますけれども、いろいろとこれまで政府当局の御答弁では、今の景気についてはまさに私も超党派で深刻に考える問題であろうと思いますけれども、とにかくこの税制改革というか、この問題については例えば与党の中でも三党の間で大分見解の相違があるというようなこと等があるんですけれども、私は、この問題は多分に当面は次元的に政治的な問題であると。あらゆることを講じて景気の早期浮揚を図りたいという当局のそういった御意思からするならば、国民もまたそれを願っていると思います。 そういった面で、有取税の廃止とまではどうかと思いますけれども、少なくとも三年間の凍結というようなことにつきまして、これはもちろん有価証券という資産の取得、譲渡、そして保有、それぞれの流通過程においてそのバランスの問題が税金の上でもあるかと思いますけれども、その辺についての大臣の御見解、こういった税金についての考え方、これをひとつお聞かせいただきたい。
○政府委員(薄井信明君) 税制面から有価証券の取引関係の各税について私どもの考え方を申し上げますと、委員御指摘のように、各国ともいろいろな形で証券、有価証券の譲渡、保有あるいは取得の各段階で課税をいたしております。その中でバランスを見ているのかと思います。かつ、これは証券、有価証券だけではなくほかの所得との関係のバランスも見ている、そういう公平の観点からの税体系ができ上がっていると思います。 したがって、アメリカのように有価証券取引税のない国も確かにありますが、御指摘のようにそうでない国もある。また、アメリカでは一方で有価証券の譲渡については総合課税の体系でやっている。日本は、選択制ですけれども、譲渡額の一%で結構ですよという日本流のやり方をまたとっている。これは総合課税できないという面があってそうなっている面はあります。 そういう意味で、税制の観点からいいますと、有価証券取引税を軽減するということがどういう効果があるのかなという点がまずはありますけれども、そういう短期的な経済への効果の点とはまた別にバランス論を考えていかないといけない。仮に有価証券取引税について手を加えるならば、一方で譲渡益課税について適正化を進めていくとかそういうことをしないと国民の理解は得られないと思っておる次第でございます。
○海野義孝君 どうもありがとうございました。大変よくわかりますけれども、そういったバランス論の問題はさておきまして、やはり喫緊の問題ではないかと私は思いますので、有取税の凍結につきましてやはり前向きにひとつ大蔵大臣、御検討を今後お願いしたいと思います。 そこで、時間がなくなってきましたので、なお税金問題についていろいろ申し上げたかったわけですが、あと二点ほど申し上げたいと思います。 一つは、最近の大きな問題になっております邦銀の国際的信用の失墜という問題につきましてでございますけれども、これについても私、質問事項を四点ほど用意しましたけれども、きょうは時間がありませんので、ただ一点だけ、金融・銀行行政の最高責任者であられる大蔵大臣に一言だけお聞きしたいと思います。 実はちょうど私、これ記憶に生々しいんですが、北陸の方に出張していた際に兵銀それから木津信組のいわゆる破綻問題が起こりました。その際に、大蔵大臣は記者会見におきまして、今回の大和銀行の問題と性格が違うかもしれませんけれども、とにかくこういった大きな問題で再び記者会見することはないだろうというようにたしかおっしゃったように私は記憶しておるわけです。これは新聞記事を見ればわかることなんですけれども。 そういった中でまたまた今回こういった、しかも国際的なこういう不祥事が起こってきたということにつきまして、大蔵大臣がどの時点で今回の問題を把握されたかは、私も大分裏話は知っておりますけれども、そういったことでとやかく言うつもりはないわけですけれども、まずこういった問題を今回お知りになったのはいつか、そしてその次に、一連のこういった金融機関の不良資産の問題、それから今回のこういう巨額な損失の問題、こういったことについてどのようにまずお受けとめになり、すかさずどういった対応を、行政監督・指導等をなされたのかということについて、時間がありませんので、もう一点お聞きすることがありますので、簡潔にひとつちょっと聞かせてください。
○国務大臣(武村正義君) 北陸でお聞きいただいた記者会見で私が申し上げたのはほぼそういうことでありますが、正確には、いわゆる大きな個別金融機関の破綻は山を越したと思っていると。永久にないという意味ではありません。大きなというのは、聞かれて預金高一兆円、あのときは木津信用が一兆二千億、兵庫は二兆二、三千億でございましたか、そういう大きな金融機関の破綻がこの後また続いて起こるということはないというふうに申し上げました。 というのは、二信組から始まってコスモ、木津、兵庫とどんどん規模も大きくなっています。これではもっとぱたばたこの後銀行が倒れていくんじゃないかというあらぬ不安を国民の皆さんに抱かせてはいけないということでもありますし、事実、私どもの掌握している各個別金融機関の状況からいって、そのことはそう背伸びをして申し上げたつもりはありません。今もその考え方は変わりありません。ただ、小さいものにはあると言っちゃうとこれもまた問題になりますから、申し上げませんが、全くないという意味ではありません。あるいは金融の合併とかそういうものはこれからも起こってくると思っています。 さて、大和銀行は本当に遺憾に思っておりますが、今の御質問にお答えしますと、私が知ったのは九月十四日でございます。局長から報告を受けました。その後アメリカの金融当局等に連絡をするということになっていったわけであります。
○海野義孝君 時間ですから終わります。
○吉岡吉典君 最初に、バブル期の借金の取り立て問題に関連してお伺いします。 バブルの時期に銀行は個人に対していろいろうまい話を持ちかけて、あの手この手と不動産などを担保とする大型の融資を積極的にふやしました。これには大型フリーローンによる株式投資や変額保険などがあります。バブルがはじけてこれらの人たちは多額の借入金の返済を迫られ苦しんでおります。うまい話を持ちかけたことなど全く無視した銀行による取り立ての中にはまことにひどいやり方もあり、最近では人権問題として日弁連に救済を申し立てられている、そういう事件もあります。詐欺同然と私は言いたい変額保険の被害者の問題はこの委員会でも取り上げたことがあります。 銀行を認可し、その指導責任を持つ大蔵省はこういう問題について実情を調査しておられるかどうか。また、人権問題まで起こるというような事態のもとで、こういう形にならないような形で指導するどういうお考えをお持ちであるか、最初にお答え願います。
○政府委員(西村吉正君) 個々の事案について私どもが申し上げることは差し控えたいと存じますけれども、金融機関が融資を実行するに当たりましては、事業計画、資金使途、返済財源等を十分審査いたしまして、債権保全の観点から必要に応じ担保あるいは保証人を徴求しているというところでございます。また、保証人を徴求する場合には、保証人の保証能力を勘案するとともに、保証人の保証意思を確認する必要があるというようなことで業務が運営されているわけでございます。 金融機関が債権回収をどのように行うかにつきましては、これは金融機関の判断の問題ではございますが、当局といたしましても、銀行はその業務の公共性にかんがみまして、いやしくも社会的な批判を受けることのないよう指導しているところでございまして、今後とも適切に指導してまいりたいと考えております。
○吉岡吉典君 人権問題で本当にひどい話まで起こっているわけで、今おっしゃったような指導方法を貫いていただきたいと思います。 大臣、これに関連して一言ですけれども、今そういう問題を考える場合にも、いわゆる不良債権処理をめぐっての公的資金の導入とかあるいは預金者保護ということが盛んに論議されていますけれども、私はもう一つ頭に置いておく必要があると思うのは、預金者と同時に、いろんな事業で今困っている借り手、この人々の人権問題等が起こることのないように、やはり銀行あり預金者あり、また借り手も人権をきちっと守られ、実情に応じて解決されなくちゃいかぬということ。 同時に、あのバブル期のむちゃくちゃなやり方の融資の拡大の中にはやはり貸し手の責任も当然伴うものがあると思いますけれども、そういう問題についてどのように考えて指導なさるか。具体的に言えば貸し手の責任というものも当然伴う事例もあると私は思います。それから、借り手についてもやはり保護をしなくちゃならない事情もいろいろあり得る。こういうことも念頭に置いて指導していく必要があると思いますが、その点について、簡潔で結構ですから。
○国務大臣(武村正義君) おっしゃるとおりに、借り手の保護といいますか、借り手に対する配慮も当然必要だとは思います。ただ、この不良債権をめぐっては、一〇〇%貸し手、金融機関側だけの責任であるかのごとき見方もありますが、やはり借りた側にもそれ相応の責任があるわけで、今局長が申し上げたように、ちゃんとした計画を立て、その中には銀行が勧めたものもあったかもしれません。何もかもそうであったかのごとく、銀行、金融機関が、いわば貸し手が全部悪いということではないということも御理解いただきたいと思います。
○吉岡吉典君 私は銀行が一〇〇%悪いと言っているわけじゃありませんので、やはり事情に応じてということで臨んでいただきたいと思います。 さて法案ですが、私は法案の中身に入る前に一つ大蔵省の基本姿勢をお伺いしたい問題があります。それは、去年の十一月の国会でも、またことし三月の租特改正法案の審議の際にも、租特の整理合理化、こういう問題が非常に大きい論議になり、大蔵省としては租特についての整理統合を進めるということが繰り返し表明されてきた経過があります。ことしの三月十六日の当委員会の附帯決議では、政府に対して、租特について「今後とも徹底した整理・合理化を推進すること。」ということが求められ、大臣はこの附帯決議を尊重するという答弁もありました。 こういう経過から見ると、租特の徹底した整理合理化ということでなく、逆にまた新たな限時とはいえ措置が提起されているということは、こういう約束にも反するものだと私は思います。 同時に、その中身について言うと、みなし配当課税についてはことしの五月、委員会で当時の小川主税局長が何回かの答弁の中で、みなし配当課税は我が国の所得課税制度上、法人税と所得税の間をつなぐ非常に基本的な部分であり、それを廃止することは法人税と所得税の基本が崩れる問題だという答弁をなさって、これを廃止せよという要求に対して、それは受け入れられないということを繰り返し述べておられるわけです。これは五月ですよ。 ところが、それをやれば基本が崩れるとさえ言った問題が今度は政府から提起される。こうなると大蔵省の税制の一貫性というのは一体どうなるのか。数カ月たつと変わってしまうようなあり方で、本当は私は中身の前に、こういう租特の徹底した整理合理化という約束に照らしても、また五月のみなし課税のあり方についての答弁からいっても、これだとその時々の答弁というのはもう全然信用できなくなっちゃうという気がするんですけれども、そこら辺、五月にそう言ったものが四カ月か五カ月後にこういう形で出てくるのは、何があったのか、考えが変わったのか、どこかからの強い要求で導入せざるを得なくなったのかどうなのか、その点を説明してください。
○政府委員(薄井信明君) 租税特別措置につきましての基本的な私どもの考え方は、これは経済政策的に誘導しなければならない場合に税という手段を使うことは当然に必要なことだと私ども思っております。 ただし、必要だからといって一つ一つつくってしまうと、これは公平を害することになりますので、基本的には常に毎年のように全体を洗い直して、もう必要のないものは整理していく、まさに整理合理化に毎年努めていく。ただし、必要なときには必要な租特をしていくことが税制としての役割を果たすことになると思っております。そういう意味で、特に昭和五十年代以降、毎年のように租税特別措置の整理合理化を秋になりますと各省とともにやっておりまして、各省庁からはまたかまたかと言われますが、私どもは今後ともこれは続けていきたいと思っております。 ただし、経済状況なりあるいは経済取引の実態が変わっていく中で、どうしても誘導した方がいいということにつきましては、ここは思い切って手当てしていくこともまた必要だと思っています。トータルとしては、私の気持ちとしてはなるべく租特は縮まっていってほしいと思っていますし、事実、数も縮まってきている状況にあります。そういうことで、総論といいますか、一般論として申し上げますと租特についてはそのように考えております。 なお、今回の利益による株式の消却につきまして、いわゆるみなし配当課税の三年間についての特例を設けさせていただきました。前局長が答弁したとおり、これは所得課税、つまり個人と法人の所得課税の間をつなぐ重要な課税制度だと私も思っております。したがって、これを廃止することは考えておりません。 ただ、現在の証券市場の状況、それから平成六年でしたか利益消却ができるという制度ができたにもかかわらず、税制がどうしてもこのままだと動かないという実情を何度も私ども聞かされてきておりまして、総合的に判断して、今回これを措置することが適当であるということで提出させていただいたものでございます。
○委員長(片山虎之助君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○吉岡吉典君 私は、日本共産党を代表して、租税特別措置法一部改正案に反対の討論を行います。 本法案は、自社株取得を促進するためとして、上場会社が利益による株式消却を行った場合のみなし配当について、三年間非課税とするというものであります。 現行のみなし配当課税は、大蔵省も強調してきたように、配当所得に対する課税の基本をなしているものであり、これを三年間の時限措置とはいえ廃止することは重大な問題を持つものであります。 また、今回の措置は、株主としての大企業や大株主に対して大きな税制上の優遇措置を与えるものであり、大企業・大資本家向け特別措置の拡大という性格を持っています。 以上の理由から、本法案には反対の態度をとるものであります。
○委員長(片山虎之助君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 租税特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(片山虎之助君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(片山虎之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時八分散会