予算委員会 第2号
- 発言数
- 368 件
- 登壇者
- 29 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1995/10/11
会議録
○上原委員長 これより会議を開きます。 平成七年度一般会計補正予算(第2号)、平成七年度特別会計補正予算(特第2号)、平成七年度政府関係機関補正予算(機第2号)、以上三案を一括して議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池田行彦君。
○池田(行)委員 私は、ただいま議題になりました補正三案につきまして、自由民主党・自由連合の立場から、総理初め関係閣僚の皆さん方に御質疑を申し上げたいと思いますが、最初に外交、安全保障の問題について見解を承りたいと思います。 総理、自社さきがけ三党連立の村山内閣の役割なり、あるいはその功罪というより功績でございましょうかについてはいろいろなことが言われておりますけれども、私は、やはりこの一年数カ月の歩みを見ておりまして、非常に難しい情勢の中で、決して派手ではありませんが、内外の諸懸案について一つ一つ真剣に取り組み、成果を上げてきた、これは評価できることだと思っております。 その中でも、とりわけ社会党さんが従来、よく言えば理想的に過ぎると申しましょうか、また言葉をかえれば空想的な主張をしておられた、そういった点をいろいろ現実化されまして、三党の間での政策調整を通じて大きな課題に取り組んだという点が、今回の政権だけではなくて、日本の政治の将来にとっても意味があるのじゃないかと考えております。 その中でも、やはり総理が、日米安保条約はこれを堅持するとおっしゃった。これは非常に大きな意味があった、こう思うのでございます。そして今、日米安保条約の新しい、冷戦後の国際情勢の中における役割なり意義なり、これはどういったものかと日米間でいろいろ話し合いが進められております。 先般、外務大臣、防衛庁長官もアメリカで、いわゆる2プラス2という会合でいろいろお話しされたと承っております。また、十一月にはAPECの際にクリントン大統領も訪日されまして、その際に日米首脳会談で、いわゆる安保条約の再定義というのでしょうか、再確認というのでしょうか、再評価というのでしょうか、いろいろな言い方がございますけれども、そういった話し合いが持たれると伺っておりますけれども、今の新しい国際情勢の中で、日米安保体制をどのように位置づけ、どのような役割を期待しておられるか、総理の基本的な御認識をまずお伺いしたいと思います。
○村山内閣総理大臣 三党連立内閣が発足して以降の三党の政策協調によって、戦後処理の問題等についても一つ一つ確実に解決してきたつもりでありますけれども、それなりの御評価をいただきましたことについて、心からお礼を申し上げたいと思います。 今、国際情勢の変化の中におけるこの日米安保条約の持つ役割というものについてのお尋ねでありますけれども、確かに私は、冷戦構造が崩壊した後、地球規模の大きな戦争というものはもう想定できないのではないか。しかし、現実にこの日本の周辺を見渡しましても、まだそれぞれが、軍拡をやっている国もありますし、それから紛争の火種になりそうな問題を抱えている地域もやはりあるわけですね。 したがって、地球全体がすべて平和で、そういう波乱要因は一つも存在しないというような状況になっていないときだけに、日米安保条約が持っておる両国の関係だけをとってみましても、やはり大変大きな役割を果たしていると思われるし、同時にこれは、アジア・太平洋地域全体を考えてみましても、日米安保条約の存在というものが陰に陽に大きなやはり影響力を持ってきておるのではないか。そういう効用というものは評価しなきゃならぬというように私は思っておりますから、これからも日米が安保体制をしっかり守った上で協力し合って、そして、両国の安全、平和だけではなくて、アジア・太平洋地域全体におけるそうした役割、機能というものを効果的に果たしていくことは極めて大事なことだというふうに思っております。
○池田(行)委員 ただいまの総理の御認識、私も基本的に同意するものでございます。特に、最後におっしゃった点でございますね。我が国の安全だけではなくて、アジア・太平洋地域全体の平和、安全のために大切である、この点は、冷戦後の安保体制の一つの大きな意味ではないかと思っております。 とりわけこの地域では、ASEANフォーラムのような多国間のいろいろな動きはございますけれども、実力を備えた、何といいましょうか、マルチな、地域的な安全保障の仕組みというのは現にございませんし、また、そう急にできる見込みはございません。そうなると、やはりアメリカを一万の当事者にして、日米とか日韓とかいうふうに二国間のいろいろな安全保障の仕組みは従来あった、これを、アメリカを核にして、クモの巣状にこれを張っていくということによって地域の安定に資するという意味があるのだと思います。 そういった中で、日米安保体制というものも非常に重要である、新しい意味合いも持ってきた、こう思うのでございますが、さて、そのような重要な日米安保体制の信頼性を維持していく、あるいは有効性、実効性を確保していく上で、若干心配されるような事柄がここのところ幾つか起きてきております。 その点について政府側の見解をただしてまいりたいと思うのでございますが、これは、何といいましても沖縄の少女暴行事件。まことに痛ましい、また遺憾な出来事でございましたが、この事柄を契機にいたしまして、安保条約のもとの地位協定のあり方、あるいは基地使用の問題につきまして今いろいろ国民の中で議論が沸き上がっているところでございます。 そこで、外務大臣にお尋ねしたいのでございますが、いわゆる駐留米軍の兵士による刑事事件、その裁判手続をめぐっての問題でございますが、地位協定の十七条五項(c)によりますと、現行犯逮捕以外は起訴までは米側に身柄が拘束される、こういうことになっておりますね。この点について、国民の中で、そういったことで本当に公正な、厳正な司法手続が進むんだろうか、やはり身柄はもっと早い段階で日本側にそれをゆだねるべきではないか、こういう声が上がっているところでございます。その地位協定そのものの改定を求める声まで起きておる。 心情は、それは理解できるところでございますが、一方で、いろいろ国際慣行なんか見ておりますと、アメリカは何か五十カ国ぐらいのところとこういった協定を結んでおる。そうすると、その間の権衡というものが必要なんだろう、こう思います。 ドイツと比べてどうだとか、韓国と比べてどうだとか、いろいろなことが言われておりますけれども、その辺を踏まえながら、政府においては、今、協定自体の改定まで踏み込まず運用の改善によって何とかきちっとやっていけないか、こう考えておられるというふうに報道されております。そのために専門委員会までつくっていろいろ検討しておられると伺っておりますが、その検討状況についてちょっとお伺いしたいと思うのでございます。三点ぐらいお伺いしたいと思います。 まず第一点は、専門家による協議委員会ですか、会合において、日本側としてどういう点を主張し、またその主張が入れられるかどうか、その見通し、その点でございます。 第二は、そのような改善措置を講ぜられる場合に、地位協定そのものの改定には至らないとしても、附属協定というのでしょうか、附属文書というのでしょうか、名前はともかくとしてそういった文書によって明確な形でなさろうとしておられるのかどうか、これが第二点でございます。 そして第三点は、こういった問題、早期の決着が望まれるわけでございますが、その解決の目途といいましょうか、そういったものを御教示いただければ御教示いただきたいと思います。 以上、三点お願いします。
○河野国務大臣 お尋ねの点についてお答えをいたしたいと思います。 まず最初に、日米で、ジョイントコミッティーのもとに専門家委員会というものをつくりました。これは私とモンデール大使との間で話し合いをいたしまして、今日の沖縄の事件、そしてその事件をめぐる沖縄県民の心情、さらにはこの問題が適正に解決するかどうかというようなさまざまな角度から考えまして、専門家による委員会をつくって、今御指摘の十七条五項の(c)の運用について議論をしてもらおう、改善の余地があるかどうか十分議論をしてもらおう、こういうことでスタートをいたしました。 現在回を重ねておりますが、我が方といたしましても改善方法についてさまざまな側面から議論をいたしまして、米側に対して話し合いをしているところでございますので、この話し合いは、今申しましたように十七条五項(c)について、(c)の運用の改善についてということに絞って話し合いをいたしておるところでございます。 したがって、その話し合いはまだ継続中でございまして、その話し合いの合意ができるかどうか、また合意ができた場合には、今御指摘のようにどういうものになるかということについても今まだ検討中、つまり話し合いが継続中でございます。 御指摘の第三点、これは私といたしましても一日も早く結論を出してもらいたい、誠意ある結論を出してもらいたいということを米側にも強く言っておりまして、米側もそれにこたえて非常に積極的な態度で対応しておられるようでございます。 この問題は、日米の専門家委員会での話し合いでございますが、事の性質上、なかなか日米だけでその結論が出るというものではない。今御指摘のように、NATOを初めとして、ドイツを初めとしていろいろな国とこの地位協定を結んでいるということもございますから、ワシントンに問い合わせる必要も当然あろうかと思います。したがって、若干の時間はかかるわけでございますが、それでもできるだけ早く結論を出してほしい。 さらに、結論が出ない場合にでも、言ってみれば中間的な、報告できるものがあれば中間的にでも報告をしてほしいということを言っておりまして、それにこたえるべく懸命な努力が今続いているという状況でございます。
○池田(行)委員 ただいまの点、御答弁のとおりなかなか難しい点もございましょうけれども、内容においてもまたその形式においてもきちんとしたものにするべくさらに御努力をいただきたいと思います。 それから、最後に御答弁がございました中間報告、ぜひこれは、国民の皆様方の御理解を得るためにも、しかるべき時期に、できるだけ早急に途中経過なり明らかにしていただきたいと御要望しておきます。 さて次に、やはり最近問題になっております米軍基地の使用権原、とりわけ沖縄における用地の使用権原の問題についてお伺いいたします。 これは防衛庁長官にお伺いしたいと思うのでございますけれども、どうなさるんですか。来年の三月ぐらいには賃貸借契約が切れて使えなくなる、そういった土地も、沖縄にある在留米軍基地の中にあるようでございますね。そうして、ちゃんとそれを使用するためにいろいろと手続をとっておられるけれども、大田沖縄県知事が頑として署名をなさらない、こういう状態にあるようでございますけれども、どうですか、これからのいろいろな収用委員会の手続あるいは訴訟手続がさらにあるということを考えますと、来年三月といってももう時期は本当に切迫していると思うんです。 先般、防衛施設庁長官は現地へ乗り込まれたようでございますけれども、会ってもらえなかった、副知事が上京されてお話があった、こう伺っておりますけれども、事務当局任せでいいんでしょうか。防衛庁長官みずから、あるいは官房長官、やはりもう少し積極的に、真剣に取り組まれる、こういう必要があると思いますけれども、ひとつ心構えと取り組み方について御答弁いただきたいと思います。
○衛藤国務大臣 お答え申し上げます。 沖縄の基地は、御案内のとおり我が国の在日米軍基地の七五%がここに集約をしておるわけでありまして、この問題からいたしましても、沖縄県、また県民の皆さんには大きな負担がかかっておる、こういうことでもございます。 政府といたしましても、今日まで、沖縄の基地、また本土の基地も含めまして、整理統合あるいは縮小に向けてのあらゆる努力をしてまいりました。これからもそういう努力を続けてまいりたいと思います。 また、池田委員御指摘のとおり、この問題につきましては、国の機関委任事務でありまして、政府としましては、総理府の長であります内閣総理大臣がその衝に最終的には当たることになっておりますが、基地の運用、こういう問題につきましては、当然責任者としての防衛庁長官が施設庁長官をしてこの問題の解決に今当たっておる、こういうことでございます。 御指摘のとおり来年の三月に切れる分もございまして、これにつきましては、私どもとしましては過去三回この問題につきましても駐留軍用地特別措置法に基づきまして署名をお願いしてきた経緯もあります。今回は四回目でございまして、この四回目につきましても私ども粘り強く沖縄の知事、県御当局と折衝いたしまして、ぜひ知事にその交渉のテーブルに着いていただきましてこの解決を図っていきたい。国の機関委任事務でありますから、もし行政レベルでなかなか話が進まないとするならば、政治のレベルでこの問題を解決することもあろうと思いますが、いましばらく時間をかけまして誠心誠意この問題の解決のために努力をしてまいりたい、このように考えております。 なお、私といたしましては、この問題の解決のためには防衛庁所管のいかなる事案よりも最優先いたしまして、二十四時間いつでもこの事案の解決のために時間を割く、そういう立場で臨んでおるということを申し上げたいと思います。
○池田(行)委員 言葉にもう一つ気迫が感じられませんでしたが、どうかしっかりやってほしいと思います。 そして、今の防衛庁長官の答弁の中にもありましたけれども、この仕事、最終的には総理府長官である内閣総理大臣のところへ来る可能性があるのですね。あくまで知事がその署名を拒否した場合には、総理による勧告、命令、さらには高裁判決というものを経て総理が署名を代行される、こういう手続が法律上決められておるわけでございます。これは法律上の責務、責任でございますから、仮にそこまで行った場合には、当然総理はその務めを果たされると思います。 それからまた、同時に、これは日米安保条約を履行するために必要な措置でございます。その日米安保条約の一万の当事者である日本国政府の最高責任者である内閣総理大臣でございますから、今の段階では知事の説得をいろいろ図られる、努力をされるといたしましても、最終的には法に定める仕事は粛々と進めていくという腹づもりはおありだと思いますが、その点はおありだと、こう御信頼申し上げておきましょう。何かございましたらちょっと答弁いただきたいと思います。 時間がございませんからもう一つあわせてお伺いしますけれども、基地の整理統合の問題ですね。 これは、もう平成二年に二十三事案を決めたけれども、まだそのうちの十事案は手つかずであるとか、あるいは最優先の三事案についても、県道百四号線越えの射撃訓練の問題についてはまだ最終決着が得られない、大変おくれております。やはり沖縄の県民の気持ちを考えますと、これは本当にしっかりやっていただかなくちゃいかぬと思うのでございます。 そこで、この秋のクリントン大統領との首脳会談の際に、この基地の整理統合の問題について首脳間で真剣にお話し合いいただけないだろうか、また、場合によってはそれを踏まえて共同声明のようなものにこの問題についての方向なり姿勢というものを盛り込むというようなことはしていただけないか、こう思いますけれども、総理の御見解をお伺いしたいと思います。先ほどの点についても、もし御答弁ございましたら。
○村山内閣総理大臣 今委員からお話がございましたように、日米安保条約の目的達成のために、我が国に駐留する米軍の施設、区域等について、円滑かつ安定的に利用できるように提供する義務を、条約を締結しておる我が国としては持っておる。 今御指摘がございましたように、今回の事件に関連をして、知事が代行をしないということの文書もいただいているわけです。これは、法律的なこの手続というのは、これは機関委任事務ですからそれなりに手続はございます。しかし、その手続を踏んで粛々とやって問題が解決するかといえば、私は必ずしも、解決はなかなか難しいのではないか。これは訴訟まで発展する可能性がありますからね、難しいのではないかというふうに思うんですね。 私は、この事件に関連をして何よりも大事なことは、やはり戦中戦後を通じてこの沖縄県民の皆さんには多大な犠牲を与えてきておると同時に、戦後日本に復帰してからも、今お話もございましたように、七五%の基地を持っておって、しかもその基地に関連をした累次のいろいろな事案が起こってきておる。とりわけ、今回の少女に対する暴行事件といったような忌まわしい事件が起こった。こういう歴史的な経緯を振り返ってみますと、沖縄県民の皆さんの心情というものはよくわかりますし、それから知事の立場も十分理解ができるところだと思うんですよ。 そういう沖縄県民が持っておる心情とかあるいは知事の置かれている立場とかいうものをやはりどこまで理解をして、そしてこの国民全体の立場に立った解決を目指せるかということが大事だと思いますから、そういう意味では可能な限り話し合いで、お互いの納得で決着がつけられるように最大限の努力をする必要があるというふうに私は今思っておるわけです。(池田(行)委員「首脳会談で」と呼ぶ)ですから、まあその決意で臨みたいと思いますね。 ことしの一月にクリントン大統領とお会いしたときに、沖縄基地の整理統合問題については特に三つの問題を取り上げて話を申し上げまして、今、日米間で鋭意解決のために努力をしているところでありますけれども、やはり不断にそういうことは行うべきものであるというふうに考えておりますから、十一月のこの日米首脳会談でも、当然その問題に触れて、お互いに率直な話し合いをする必要があるというふうに考えております。
○池田(行)委員 ただいま総理から、戦中戦後、あるいは復帰後今日までの沖縄の状況、それを考え、県民の心情を本当によく踏まえてというお話がございました。そのとおりだと思います。 総理、こういう言葉を御存じでしょうか。「沖縄県民斯ク戦ヘリ、県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」。これは、昭和二十年の六月だと思いますけれども、沖縄における戦火が終わろうとするころに、当時沖縄にございました海軍の部隊の指揮官でありました大田實少将、これはちなみに、その御令息が先年ペルシャ湾へ掃海艇で派遣されたのです。その隊長の落合唆海将補でございますが、その大田少将が最後に東京に対して電報を打たれて、軍のことだけではなくて、沖縄県民はこれだけ厳しい情勢の中で、しかも国のためにいろいろと力を尽くしたんだぞ、どうか後世の日本の政治の面でしっかりと配慮してほしい、こういう言葉があったわけでございます。 我々は、戦後五十年たって、まだその配慮も十分にできていないところか、いまだにいろいろ難しい状況に沖縄県民を置いている、このことを踏まえてきちんとやらなくちゃいけない。しっかりお願いいたします。 その関係でもう一つお伺いしますけれども、今度は新協定の方、特別協定の関係でございますね。これも駐留軍に働く日本人の方々の給与の問題とか光熱水料とかいわゆるHNSですね。安保条約を円滑に運用するために重要な協定でございますが、これは新協定を今度署名されましたですね。 それで、この中には、さっき言いました県道越えの訓練をほかへ移設するために必要な経費を出すなんという条項もあるのですよ。そういった観点からも早くやらなくちゃいかぬと思います。やはりクリントン大統領がおいでになるまでには決着をつけておかなくちゃいけない。どうですか、まだ出ていないようですが、早急にこの協定、国会に提出していただきたいと思いますが、これは外務大臣から。
○河野国務大臣 御承知のとおり、新協定、昨年の三月以来、日米間でずっと話し合ってまいりまして、このたびその話がまとまりました。我が国としても、日米安保体制のもとで効果的な我が国の安全保障ができますように自主的に考えて、米軍に対して我が国としてでき得ることをしよう、こう考えているわけです。 今お話しのように、新しい特別協定の中には米軍基地で働く日本人の労働者の方々のための基本給などを改善するというようなこともございまして、この協定、九月の二十七日に調印をいたしました。調印したからには、政府としては誠意を持ってできるだけ早く国会にお諮りをして御承認をいただくというのが、これは当然のことであろうと思います。 諸般の情勢それぞれ考えながら、私としては最善を尽くしたいと思っております。
○池田(行)委員 早急な提案をさらに重ねて要請しておきます。 外交関係で、また北朝鮮との国交正常化の問題とかあるいは国連の安保常任理事国の問題、PKO等々も御質問申し上げたいと通告しておりましたけれども、時間の関係もございますので、割愛させていただきます。 それで、経済問題に移りたいと思いますけれども、まず、今回の補正予算でございますね。この補正を含む今回の緊急経済対策、総額でも十四兆二千億を超えるという大変な規模でございます。また、その中身に、内容につきましても、従来とは違っていろいろ行き届いた配慮をしておられるなというふうに見受けられるわけでございますけれども、しかし、世間では、いやまだ真水が足らぬぞ、真水十兆円よこせなんという声も聞こえるようでございます。 しかし、まあ真水とは一体何かという議論なんかもいろいろしたいのでございますけれども、ともかく、真水というのは要するにその対策なかりせば生じなかったであろう新規の需要を生み出す、それが結局、まあその実効性があるんだ、真水だということになるんじゃないかと思うのですが、そういった意味でいえば、結局この補正を組む措置によってどれだけ経済が持ち上げられるか、こういう点だと思います。 そこで、大蔵大臣にもお伺いしたいんだけれども、むしろ経済企画庁長官から、今の経済の実態を、実情を一体どう認識しておられるのか、そうしてまた今回の措置によってどういうふうにこれからの足取りが、経済が歩んでいくだろうか。本当にここのところで景気回復への足がかりをつかまえませんと、本当にもうあといろいろ手もございませんし、財政の方もこれだけやっちゃったと、借金を覚悟でですね。公定歩合だってもう〇・五%という超低水準でございますね。もう本当に今回の対策がと思うのでございますけれども、どういうふうに景気の現状とこの対策を通じての将来の景気回復の足取りについて見ておられるか、企画庁長官からお願いします。
○宮崎国務大臣 最初に、経済の現状をどう認識するかということについて簡単に申し上げます。 最近の景気動向指数を見ましても、三カ月連続で五〇%を切っておりまして、景気が全体に弱いということをあらわしております。需要の面につきましても、あるいは供給の面についてもいろいろの指標がございます。生産指数ですとか在庫の状況を見ましても、景気が足踏み状況の中で弱含みに推移しているということが見られます。 そういう状況の中で今回の経済対策ということになったわけでございますが、タイミングが株価あるいは為替に明るい兆しが若干出たという時期をとらえたという意味で適切だと思っておりますし、規模についても内容についても、先生御指摘のように、従来とは違った大型で、そして内容にも未来志向的なものを配慮しているという特色がございます。さらに、景気の回復を阻害しておりますような問題の除去、あるいは中期的な構造調整という点にも触れております。 こういう政策の迅速かつ確実な実行によりまして、これまでの公定歩合引き下げを含めました一連の経済対策の効果とあわせて、我が国の経済は本年度の後半には着実に回復軌道に乗るものと考えております。
○池田(行)委員 ぜひ今御答弁のような効果が期待どおり顕現することを望みたいと思いますけれども、その際に心配される事柄が幾つかございます。 その一つは、何といいましても、今の日本の金融界を襲っております動揺、不安でございます。この金融システム、きちんと安定性を維持できるのかな、我々にとっても大切でございますし、世界の目もそこに注がれております。 それからまた二つ目には、為替の、今、円安方向に行っておる。先般、大蔵大臣御苦労さんでした、G7でもその点についてきちんと確認をとり、共同声明を打ち出されたようでございますが、その為替の動向がどうなるかなというのも、これからの我が国の景気を占う上で大きな要素だと思います。 そこで、その金融不安の問題でございますが、これは例の二信組の問題から始まり、コスモあるいは兵庫銀行等々ありまして、しかし、大体本当に危ないものは出尽くしたのかなと。あと、かねてから問題でございます住専、住宅金融のその専門金融機関ですね、その関係の処理を急ぐ、そういうことでいくのかな、こう思っておりましたら、あの大和銀行のニューヨーク支店の千百億に上る大変な損失を出したという事件が飛び出してまいりました。さらによく調べてみましたら、数年前にも百四十億ですか、そういったものもあったのだと、こういうことでございます。 まさか都市銀行の一角を占める日本の金融機関がこういうことはとだれもが驚いたわけでございますし、また、このことで内外の日本の金融に対する信頼感がさらに揺らぐおそれはないかと心配されるところでございます。 そこで、大蔵大臣にお伺いしたいのでございますけれども、この大和の事件ですね、まず一つは、十一年間もこういうことがずっとまかり通っておった、大和銀行自身の内部の管理体制なり検査体制に大きな欠陥があったのじゃないか、こう思います。 それからまた、最初は現地採用の行員の単独犯行と言われておったのが、そうじゃないぞと、複数の行員が参画しているらしい、いや、本店も含めてかなりの幹部まで早い段階から知っていたぞと、こんなことも言われております、大通名はこの事件について今、現段階でどういうふうにとらえておられるのか。 それから、今検査その他を当然進めておられると思いますけれども、どういう対応をしておられるかという点。 それからさらに、一部には、検査結果を踏まえて銀行法二十六条に基づく業務改善命令を出す方向で検討しておる、こういうことも報ぜられておりますけれども、そういうことなのかどうなのか。 それからさらに、経営者は引責辞職をされたようでございますが、責任のあり方というものは職を辞するだけでいいのだろうか、銀行、法人としてもやはり責任をとるべき道がさらにあるのじゃないか、こういった点について御見解をお伺いしたいと思います。
○武村国務大臣 我が国の金融不安の問題の解決に全力を挙げているさなかに、大きな銀行の一つである大和銀行ニューヨーク支店で報道されておりますような不始未が明らかになってまいりました。大変残念でありますし、私どもとしては本当に遺憾の限りであります。 御指摘のように、いわゆる不良債権の問題とはこれは異質の問題で、まさに犯罪でもありますし、ずばり、これが損失につながるわけであります。しかも、場所がアメリカで起こっておりますだけに、アメリカの通貨当局、金融当局も大きな関心を持っているところであります。 もちろん、まず大和銀行みずからが今進んでこの事件の実態を把握するために全力を尽くしているところでございます。近々その報告を大蔵省に出すように指示をいたしておりますし、私どもも日本銀行と並んで検査に入っております。その検査の結果も近々集約をしなければならないと思っております。 当然アメリカの連銀も入っているわけでございまして、そういった中で、基本は管理体制といいますか、銀行の支店における内部管理体制の不十分さということに尽きるわけでありますし、特に営業部門、売買部門と内部管理事務がきちっと分離されていなかったということを示しているわけでありまして、ある意味では本当に初歩的な経営上の問題だというふうにも認識をいたします。 事態を重視しながら、近々に急いで全体の総括をして、きちっとした対応をしてまいりたいと思っているところであります。 改善命令のことも含めて、今どういう措置をとるかということも含めて、きちっとした対応を、集約した後とらせていただきたいと思っております。
○池田(行)委員 これは今御答弁がございましたように、まだ途中経過でございますからなんでございますけれども、誤りのない対応をお願いしたいと思います。 今大蔵大臣の御答弁にもございましたけれども、この事件は、いわゆる金融不安なり金融のシステムの抱える問題一般とは違う独立した特異な個別案件ではあると思います。そうしてまた、大和銀行の自行内で基本的に対応可能な規模なり性格のものであるというふうに考えております。 しかし、そうは言っても、やはりこのことはいろいろ、あちらこちらに影響を及ぼす。例えば、もう既にいわゆるジャパン・プレミアムなんということで、日本の銀行が外貨資金を調達するときに特別の金利を要求されるとか、あるいは日本の金融機関の格付が軒並み切り下げられるとか、いろいろな問題があるわけでございますから、そういった面への影響もあると思いますので、よく対応を考えていただきたいと思います。 それから、この問題をめぐっては、いま一つ、大蔵省のあり方にも、これでよかったのだろうかということがございますね。最初は、あれは九月の何日ですか、十何日かに初めて報告があったという話でございましたけれども、よく調べてみたら、八月の八日にはもう銀行局長は頭取から聞いていたなんという話もある。 金融の問題でございますから、非常に難しいのはわかります。かつて、不十分な情報のままに不用意な発言を大蔵大臣がされて、そのことが金融恐慌、昭和の初めでございますが、の引き金になったということもございますから、それは慎重に対応される必要があるというのはわかります。 しかし、もう少し大蔵省も、こういった情報開示の時代なのでございます、旧銀行法で、全部通達行政でやっていればいい時代ではございませんから、やはり大蔵省としての対応、特に一般への情報あるいは事柄を公表するという点については、時代に即した感覚を身につけていってほしいと思いますけれども、これはもう時間が参りましたので、あえて答弁は求めません。 それで、後は、金融不安全般についてもいろいろお伺いしたいと思ったのでございますが、もう与えられた時間が一分しかございませんので、一言だけ。 住専の問題です。これは処理を急がなくちゃいけない。先般の金融制度調査会の関係の報告書でも、年内にということですか、解決を図ろうとしておられるようでございますけれども、現在のその事態を考えますと、一日も早く処理しなくちゃいけないのだ、こう思います。そして、それと同時に、また場合によっては、いわゆる公的資金の導入ということも検討しなくちゃいかぬ、こういうふうに触れられており、私もそう思うのでございますけれども、その辺についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。 また、公的資金について、いわゆる日銀特融なんかも含めて公的資金と言われることもあれば、そうでなくて、一般会計の税金を直に使う狭義のもののみを指す、そういった場合もあるようでございますが、この住専の問題についてはどう考えておられるのか。
○武村国務大臣 住専の問題は、今、金融問題の中でもひときわ規模も大きゅうございますし、最大の課題であると認識をしておりますし、難しいからとずるずる先送りをしてはいけない、この問題にきちっとした解決を見出すことが金融システム全体の安定に大きな影響を及ぼすという、そういう認識を持ちながら、私どもは年内に解決策を見出したいということを内外で表明をいたしているところでございます。 大変根は深く、関係者も多く、複雑で難しいわけでありますが、目下、まず関係者の話し合いを慫慂しながら、真剣な話し合いが始まっているところでございます。母体行や貸し手金融機関、そしてその中から解決の方向を見出していかなければならないというふうに思っております。 公的資金につきましては、慎重な対処をしていきたいと思っておりますが、金融制度調査会も既に報告をいたしておりますように、まずは金融システムの中での自己努力ということを原則にしながら、しかし、やむを得ざる場合は時限的な公的資金の導入を含めた何らかの公的関与があり得るという認識でございます。公的関与の中には、あるいは公的資金でもいいのですが、幅がございますから、日本銀行の金融措置もその中には入っているというふうに私どもは認識をしながら、その幅で最終の結論を見出していかなければならないと思っております。
○池田(行)委員 この金融問題の解決というのは、当面の景気だけではなくて、我が国の中長期的な経済の歩み、あるいは国際経済全般にとりましても大変重要な問題でございますから、真剣に対応をしていただくよう重ねて要望しておきます。 さらにいろいろ御質問を申し上げたい点はございますけれども、時間が限定されておりますので、残余の時間は保利委員にお譲りいたしまして、私の質問を終えさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
○上原委員長 この際、保利耕輔君から関連質疑の申し出があります。池田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。保利耕輔君。
○保利委員 池田議員に関連をいたしまして質問をさせていただきます。 まず最初に、総理御承知のとおり、平成七年十月というのは国勢調査の年でございまして、五年に一回の国勢調査を全国民にお願いをいたしております。全世帯四千万、四千数百万の世帯の皆様方に一々調査票にお書き入れをいただいて御提出を願った。また、調査員の方々も大変御苦心をなさってこれを配付し、お集めになった。中にはお年寄りの方が調査員をお受けになって、三階建てのアパートを上っていくのも大変だというようなことでおやりになったわけであります。 そういった皆さん方の大変な御努力でこの国勢調査が行われる。ちょっと限界感があるなあという感じもいたしますけれども、総理からこうした御苦心をいただいている方々に対して、まずもって御礼のお言葉をちょうだいできればありがたいと思います。
○村山内閣総理大臣 今委員お話がございましたように、国勢調査は五年に一回やっているわけでありますが、ことしは、十月一日現在日本に在住している方すべてについて、その世帯等々について調査をしたわけです。これは、国並びに地方自治体がこれから高齢化社会を迎えでいろいろな政策を実行していく上における貴重な資料になるものでありまして、そういう意味では、総力を挙げてこの国勢調査に取り組んでいかなければならぬというふうに考えてやってまいりました。 今お話もございましたように、全国的には、調査員というのは約九十万人の方にお願いしておるわけですね。その方々の中には、今お話もございましたように相当年配の方もおられますし、いろいろな方がおられるわけでありますけれども、そういう方々の積極的な協力によってしかこれはできない仕事ですから、私は心から感謝を申し上げておりまするし、同時にまた、そうした調査員に対して御協力をいただいている多くの国民の皆さんに心からお礼を申し上げたいというように思います。 何としても正確な資料を集めて、これからの国政なり地方自治体の行政の上に大いに生かしていきたいというふうに思っております。
○保利委員 国勢調査は総務庁の御担当でありますので、総務庁長官にも言いただきたいと思いますけれども、時間の関係でお許しをいただきたいと思います。もし一言ございますれば、特に調査員は今お話しのように大変御苦心をなさっていらっしゃる。御婦人の場合はガードマンまでつけなければいけないというようなこともあるわけでございます。そういったことに対してぜひ御認識を持っていただければ幸いだと存じます。どうぞ、じゃ総務庁長官。
○江藤国務大臣 総理から御答弁のように、五年に一回やる調査でありまして、約八十万の調査員、それに市町村役場の皆さんが手伝いますから、これは約七万人ぐらい、合計八十七万人ぐらいの方々がその調査に当たるわけでありまして、中には非常に安全性が脅かされる地帯もありますから、三人一組で回る、それから非常ベルを持って何か事故が起こったときには直ちに通報ができるようなシステムをつくる。これは平和なところばかりではありませんで、私もこの前、夜中に新宿のいわゆるホームレスの諸君のあれに行きましたが、なかなか御苦労をいただいておるわけでありまして、これがこれからの日本の、あるいは地方行政なりあるいは社会福祉なり行政の基本になる一番大事な調査でありますから、皆さん熱心に御協力をいただいたことに改めて厚くお礼を申し上げたいと存じます。
○保利委員 まだ御提出をいただいてない方も国民の中にはあろうかと思いますが、ぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思います。 次に、通告にはないんですけれども、この国会で大きな話題になりますのは、宗教法人法の改正問題でございます。 私は、宗教法人の問題を考えるときには、まず、全国民この問題を考えるときに、憲法二十条の信教の自由の条項をやはりきちんと頭に入れるべきであろう、こう思います。「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。」云々と、こうあります。このことを、我が党は憲法に保障されたいわゆる信教の自由というのを尊重していく政党だということをまず申し上げたいと思います。 そこで、今度の宗教法人法の改正については、宗教法人の所管庁と、それから限定された資料の提出というようなことぐらいが大きな柱、まだほかにもございますけれども、いわば国勢調査のような形と考えてもいいのではないかと思うわけであります。審議会の答申に基づいてこの宗教法人法の改正案が提出されるわけでありますけれども、文部大臣といたしましては、この宗教法人法改正についてどういうふうなお気持ちでこの国会に臨まれるか、そのことを御答弁をいただければありがたいと思います。
○島村国務大臣 お答えいたします。 宗教法人法につきましては、現在、宗教法人審議会の報告を受けまして鋭意改正案の準備を行っているところであります。準備が整い次第、今国会に御提案申し上げたいと考えているわけでございまして、ぜひこの成立を図らせていただきたい、こう考えております。 内容的には、宗教法人法は、御高承のとおり昭和二十六年に制定されました。それ以来、社会も大きく変化いたしておりますし、宗教法人の実態も非常に複雑化あるいは広域化いたしておりまして、大きな変化を遂げているところでございます。 そういう意味で、行政としても責任ある対応を国民から求められ、世論調査にも大きく早期改正が求められているところでございますのでこれを進めたい、こう考えております。ぜひ御理解とお力添えをいただきたい、こう考えております。
○保利委員 ことしの三月に忌まわしい地下鉄サリン事件が起こりました。私も毎朝国会まで地下鉄で通っております身にしてみますれば他大事には思えない、そういうような忌まわしい事件があり、それをきっかけにして宗教法人問題の議論が始まったわけでございます。 法人がやはりある一定の利益を受けております以上、いろいろなことで多少の御協力をいただかなければならないのではないか、このように考えておりまして、我が党としてもこの宗教法人法の改正には前向きに取り組んでいきたい、こう考えております。 次に、村山政権、誕生いたしましてから一年三カ月余りになるわけでございますが、この村山政権のベースになっております政治的な考え方というのは、昨年の六月二十九日につくりました三党合意というのにあろうかと思います。この合意は、政治改革でありますとか行政改革でありますとか九項目にわたりましていろいろな政策マターを並べておりまして、これに基づいて政権が運営をされてきた、そして今日まで一年三カ月を経過しておる。 私は、この三党合意の中で特に別紙として掲げられている事項、これが非常にこの政権の特徴をあらわしているだろうと思います。つまり、民主的な手続によってすべて結論を出していく。政策調整会議というのを発足させまして、大変苦心をしながら政策調整をやっていく中で政権を守ってきたという感じがいたしてなりませんし、現実にそのとおりであります。 この別紙に掲げられた事項といいますのは、なぜ羽田内閣が二カ月で崩壊をしたのかという反省とつながっているような気がいたしてなりません。民主的な手続によって、自由な論議によって結論を出していく。まさに自由民主党、そういう党だろうと思いますけれども、この内閣の一つの特徴をあらわしておりますのはやはり政策調整会議で、いろんな方に御参加をいただいて、親調整会議の下に十九の調整会議を、省庁別調整会議を設けまして調整に当たってまいりました。 いろいろ検証をいたしてみますと、前の三党合意でやりました事項、百数十項目の政策が並べられておりますが、その三分の二は、これは仕上げました。そして、手をつけたものまで入れますと、実に八割以上のものが手がつけられておるという状態でございまして、政策調整によってこの連立政権がもってきたという感じを持っております。 ここまでは感想でありますが、新三党合意というのを新たにことしに入ってからつくりました。新三党合意というのは、前の三党合意の反省をし、そして、残ったものは何であるか、それをどうするか、そして新たに何をつけ加えるか、この三段構えになって新三党合意というのができておるわけでございますね。 それで、ひとつ御質問申し上げたいと思うのでございますが、これは今度自民党総裁におなりになられました橋本通産大臣に総裁としての御答弁もいただきたいと思うわけでございますけれども、我が党の支持者が我が党に期待しているものというのは、自民党らしさを出せということであります。私が選挙区に帰りましても、必ずこのことは言われるわけであります。 自民党らしさ、橋本自民党、これは、国民が描いている、あるいは我が党の支援者が描いているイメージというのは一定のイメージがあるんだろうと思うのですけれども、それとこの新三党合意あるいは旧三党合意、これとの間にちょっとジレンマのようなものを感ぜざるを得ない。つまり、連立政権ですから妥協もしていかなければならない。しかし、自民党らしさも出さなきゃいけない。ここのところをどういうふうに調整をしてお考えになっていらっしゃるか、橋本通産大臣に御答弁をいただきたいと思います。
○橋本国務大臣 この連立政権が発足いたす時点におきまして三党合意というものがなされました。たしか六月二十九日であったと記憶をいたしておりますが、当時私は自由民主党の政務調査会長として、結構です、テーブルに着けますというお返事を、社会党さんとさきがけさんでまとめられました案を提示されたときにお答えをした責任者であります。そして、その結構です、テーブルに着けますということに対して、改めてそれは大枠はいいということですねという御確認があり、そのとおりですと、各政党はそれぞれの言い分があるんですから議論は当然していかなきゃなりませんというお返事を申し上げた責任者でありました。 そしてそれ以来、私は、自由民主党はそのお約束をきちんと守りながら、この連立政権の中で自由民主党としての議論を、まさに今委員の御指摘になりました政策調整会議の席上、それぞれに提示をしながら問題点の解決に他の二党とともに当たってきたと思います。そして、新三党合意というものは当面の重点政策に関する合意と私は受けとめておりまして、これは連立政権の閣僚として、その基本線に沿ってこれを具体化していくことに当然我々も努力をしなければなりません。 私が総裁を拝命いたしました後、私の方からこの三党合意を、新三党合意を見直すとか確認をするとかいうことを求めたことはございませんでしたが、他の二党の党首、すなわち村山総理、武村大蔵大臣から、九月二十七日の時点でありますが御相談がありまして、この新旧の三党合意というものを踏まえて政権は運営をされていい、これを前提にし、もし必要なものがあるならばこれに追加をするような話し合いを政策調整会議あるいは政策担当者の間でしていただこう、そういう話をしてきました。 私は当面、何といいましても企業が国を選ぶ時代になってしまっている今日の日本で、景気対策について全力を挙げながらこの三年続いたゼロ成長というものから脱却することは、だれが責任のある立場にありましても全力を尽くすべき課題だと思います。同時に、本年は我が国はAPECの議長国でございます。このAPECと経済対策というものを成功させていくためには、我々は第一党としての自覚と責任を持ちながら全力を尽くしていかなければなりません。 同時に、当然ながら政党としてはそれぞれ独自の理念、施策というものを持っておるわけでありますから、私は、三党の合意形成の中で、自由民主党としての意見ができるだけ反映するような努力は当然のことながら払うべきものと考えております。
○保利委員 ありがとうございました。党員、国民の皆さんが今のお話を聞いておられると思いますが、ぜひ御理解を賜りたいものだと思います。 その新三党合意の中で新しくつけ加えるべき事項というのが幾つかございますけれども、その中に科学技術立国を目指すということがうたってございます。これは党で決めたわけでございますけれども、連立与党で決めたわけでございますが、政府として、この科学技術立国というのをどういうふうにとらえておられるのか。この中には「科学技術創造立国を目指し、ポストドクター(博士課程修了者)等一万人支援計画を推進する。」若手研究者の支援ということをうたっておるわけでございます。 研究ということは、文部省もありましょうし、それから科学技術庁もありましょうし、通産省も工業技術院等を中心にしたところもございましょうし、あるいは農林水産省、バイオ等もございましょう。そういった中で、代表して科学技術庁長官から、若手研究者の育成ということでポストドクター一万人計画をどうとらえて、どう実現化されていかれようとしておられるか、この点、御答弁をいただきます。
○浦野国務大臣 お答えをいたします。 今先生お尋ねのポスドク対策一万人計画でございますけれども、これにつきましては、明確な統計がないので目安の数値になりますけれども、博士課程を卒業いたしまして恵まれた環境で研究を続けるという、その職場を得ていない方々というのが毎年四千六百名ほど出てくる、こう言われておるわけでございまして、この若い研究者の方々の創造力のたくましいそうした頭脳というものが十分に発揮されない、今日の科学技術の分野では大変残念なことであると思っております。そうした中で本年六月、新三党合意がなされた。そしてこの若手研究者の人々が環境に恵まれた職場で研究に従事する、そうした対策が講じられ、推し進められておるということは、まさに画期的なことだと科学技術庁としては受けとめておるところであります。 この対策は、文部省あるいは通産省を初め各関連省庁等も進めておられるところでありますけれども、私どもの庁といたしましては、現在六百八十名の若手研究者を受け入れておるところでありますけれども、八年度には五百名を増加し、そして将来的にはこれを一千名の増員まで持っていこうといたしておるわけです。 これは文部省、通産省等もやっておられるところでございますけれども、私どもといたしましては、そうした関係省庁等々連携を密にいたしながら、これからの科学技術立国を目指すという観点から、さらにこのポスドク対策一万人支援計画につきまして全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。 以上でございます。
○保利委員 若手研究者に期待するところは非常に大きいわけであります。それは、今日円高が進行し、そして産業の空洞化ということが言われておるときに、新産業を興していくというのには、まずどうしても基礎研究というのが必要であろう。基礎研究をすることによって何か発見した、それからつながって新しい産業が出てくる可能性がある。人類史上、例えば電子の発見というようなものが今日の情報化社会を構築するその大もとになっているというようなことを考えますと、若手研究者に大いに頑張っていただきたい、こういう感じがいたしてなりません。 今日よく言われるんですが、日米経済摩擦の中で、科学技術についても日本ただ乗り論というのがございまして、欧米の基礎研究を土台にして、それを応用して、それによってもうけているのが日本である、こういう非難があるわけでありますから、やはり基礎研究というのは非常に大事にしていただきたいと思うわけでございます。 ジュネーブの郊外にCERNというものがございますけれども、それは地下百メートル、そして一周三十キロメートルの真円形のトンネルがございまして、そこで電子の束をつくりまして、両方からぶつけて物質の究極の姿というのを解明していこうということをしておる。なかなか難しい仕事なんでありますが、私もそこへ参りまして、科学者と議論をいたしました。これをやって何になるのと聞いたら、それを聞かれたら基礎研究というのは成立しませんよと。これはおもしろいところでございまして、我々が考えなければいけない。 大蔵省にお金を出していただこうとすると、それをやって何になるのと聞かれる。まあ主計局当然だろうと思います。しかし、それをやって何になるのということを聞かない、そしてむだを覚悟でもある程度の投資をしていく、これが今まで欧米各国がやってきたことであります。我々もやってまいりました。そういう意味で、前の補正予算のときにCERNへの投資計画をつくっていただいたことはまことにありがたいと思っておるわけでございます。 さて次に、もう一つの、新三党合意の中にあります事項について述べたいと思います。 それは文化政策であります。どうしても、今の世の中でありますと、経済の問題が取り上げられるという形になってまいりますけれども、やはりこの村山政権、連立政権に一つの明るさをもたらせたい、こういう意味で文化政策というのが入れられております。明るい文化国家建設のために、国民が身近に芸術文化や文化財に接する機会を拡充し、音楽、演劇など創造的な舞台芸術の支援を推進するとともに、新構想の博物館や絵画・工芸部門等の全国的な公募展開催の施設などの建設を進める、こういうふうに非常に具体的に書いてあるわけでございます。 例えば、新しい構想の博物館というのは、九州博物館等が計画が進行しているやに伺っておりますし、それから、全国的な公募展の開催の施設、これは一体何かといいますと、全国的な公募展、例えば絵の場合でございますと、院展とか日展とかございます。またさらには二科会、一水会といったようなものもございます。これが現在使っております場所というのは東京都美術館でありまして、国の美術館ではないわけでございます。 そういう意味で、昭和六十三年でございましたか、ぜひ国のそういう公募展場をつくってほしいという強い要請があっております。それを受けまして、ここで公募展開催の施設ということをお願いをし、財政当局ともいろいろな御相談を申し上げました。申し上げましたところ、まず土地を決めないとこの話は先に行かないということから、土地の問題について考えたわけでありますが、いろいろな折衝の結果、六本木の七丁目にございますか、東大の生産技術研究所あるいは東京大学の物性研究所というものを駒場あるいは柏というところに移転し、その場所に建設をしようではないかということで合意を見たと聞いております。 そういうことで、この補正予算の中で新しい芽が出てきた。しかも、これを早く建設をしていただかなければならぬということであります。 これは所管が文部大臣でありますので、文部大臣にその辺の取り組み、それから今後のあらましの計画等を御答弁いただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
○島村国務大臣 お答えいたします。 近年、芸術鑑賞や芸術創造活動について国民の関心や意欲が高まっていることは御指摘のとおりでありますが、この高度化した国民の芸術文化への関心、意欲にこたえるためには、先生御指摘のとおり、国として、絵画・工芸部門等の全国的な公募展を開催できるナショナルギャラリーの整備を図っていくことが喫緊の課題である、こう考えています。 そういう意味で、文化庁では近々、美術関係者などから成る調査研究会を発足させまして、本年度中に基本的な構想を取りまとめ、平成八年度には施設規模などを含む基本計画を策定することといたしております。その後、諸般の状況等を勘案しながら基本設計など建設に必要な手順を踏み、整備を進めていく所存であります。 どうぞ、御支援方よろしくお願いいたします。
○保利委員 村山内閣は景気回復内閣ということでありますが、景気回復と同時に、こうした文化にも先を当てるということがこのことからも一つ言われるだろうと思いますし、これは中央だけではなくて、地方で資料を集めたりなんかして営々と頑張っておられる地方の方々に対しても、これは我々としても手厚い文化の支援措置を講じていかなければならないと思っております。 せっかく文化庁関係の話が出ておりますので、一つだけ、もう一つ別のことを御要望をお願いをいたしたいと思います。 それは、この予算委員会でもあるのですけれども、ほかのいろいろな委員会等で出てくる中に、私が常日ごろ考えておりますのは、外来語の使用の限界というものがあるのではないか。 例えば、郵政大臣いらっしゃると思うのですが、郵政大臣の所管する法律の中に電波法があるのですけれども、その中に「デジタル」という言葉があります。デジタルという言葉は日本語に訳せないのか、私は随分無理な注文を出してみました。訳せないのですね。それじゃ、デジタルという言葉は日本語でどのように定義をするのか、これを聞いてみましたら、これもはっきりした定義がなかなか出てこない。概念が明確でない。外来語なら何とか、こういうことだろうというようなことで法律を通すというのは本当はよくないことだろうと思うわけでございます。 この辺は法制局の問題でもあろうかと思いますし、同時にまた、これは文化庁の中にあります国語審議会の仕事でもあろうかと思うわけでございます。法律あるいはそれに類するものに外来語を使う限界、このことについて文部大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○島村国務大臣 我が国の国際化の進展に伴い外来語の増加の問題が指摘されているところでございますが、特に官公庁、新聞、放送等はとりわけ平易でわかりやすい表現をする必要がある、こう承知をいたしております。外来語の中には、我が国の国語として既に十分定着して、広く国民に理解され、使用されているものも少なくないわけでありますが、まさに御指摘のとおり、一般に理解しにくいような外来語を一般の人々に対して安易に使用することは好ましいことでないと考えます。 平成五年十一月には文部大臣から国語審議会に対しまして、「新しい時代に応じた国語施策の在り方について」を現在諮問中でございます。この諮問を受けた国語審議会におきましては、言葉遣いに関すること、情報化、国際化への対応に関することなど、広く現代の国語をめぐる諸問題について検討中であり、その中で外来語の増加の問題も取り上げているところであります。平成七年十一月には中間報告がいただけるものと考えております。 今後、国語審議会の御審議を踏まえ、平明、的確かつ美しく豊かな国語を目指して施策の推進に留意してまいりたい、こう考えております。
○保利委員 非常に難しいテーマなんですけれども、国語審議会でよく審議をしていただくように文部大臣からも再度督促をしていただきたい、こう思います。安易に使われ過ぎる、しかも概念がわからないというようなことは使うべきではないというふうに感じておりますので、よろしくお願いいたします。 時間も追ってまいりましたので、次に農業政策について伺いたいと思います。 平成七年度の補正予算では、ウルグアイ・ラウンド対策費として国費五千九百五十億円が計上されております。WTOの条約を批准するかどうかということをめぐりまして、総理の前で私も随分大声を出しまして武村大蔵大臣とやり合ったわけでありますけれども、その結果六兆百億という予算をいただいた。さらに、地方の財源措置として一兆二千億別にいただくというような格好になりました。その具体的なあらわれが今回のウルグアイ・ラウンド対策費五千九百五十億円だろうと思っております。 ところで、これは農林水産省が主管して執行に当たっていくわけでございますけれども、これだけ大きなお金を使います以上、日本の農業がこのお金を使ったことによってどういうふうな姿になっていくのか、そういうものを国民の前にしっかり示していかなければならないだろうと思います。 税金あるいは借金等でこれをやっていくわけでありますから、そういう意味で、これを使って今後こういうふうにしていくんだ、農林水産省あるいは農業農村整備研究会というようなところからパンフレットもいただいておりますけれども、大臣の御答弁で、ひとつ農業のあるべき姿、これを使った、ウルグアイ・ラウンド対策費を使った後の農業のあるべき姿、これをお答えをいただければありがたく思います。よろしくお願いします。
○野呂田国務大臣 ウルグアイ・ラウンド農業合意の受け入れなど、新たな国際環境に対応した二十一世紀に向けての今後の農政につきましては、本合意が、まず何といっても我が国の農業、農村に及ぼす影響を極力緩和したいということ、また農業、農村を二十一世紀に向けて持続的に発展させていく必要がある、こういうふうに思います。 農業や農村の活性化なくして、我が国の農業、農村が調和のとれた発展をすることは難しいのでありますから、農業が今後とも我が国の経済社会における基幹的な産業として次世代に受け継いていくことを期して頑張っていかなきゃいかぬ、こう思っております。 具体的には、平成四年の六月に農林水産省が公表いたしました新しい食料・農業・農村政策の方向において示してありますように、望ましい経営体、すぐれた、効率的な、安定的な経営体が生産の大宗を担うように、そういう農業構造をつくっていきたい。それぞれの地域の創造性や工夫を生かしてやってまいりたい。 また、農村地域が住みやすく活性化されることを目指して、昨年の十月に決定いたしましたウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱に示された具体的な施策を、目に見える形できちっと実施してまいりたい。特にその際には、問題があります中山間地域の振興に意を用いてまいりたい、こう思います。 なおまた、近く「農産物の需要と生産の長期見通し」を公表したいと思っております。これによりまして、長期の農産物の需要と生産の目標を明示したい。また、先般研究会を発足させまして、農業基本法を全面的に見直しをしながら新しい基本法の制定に向けてこの検討を進めたい、国民の幅広い声を聞きながら日本の農業のあるべき姿、進路というものを法制化したい、こういうつもりで今作業を進めているということをお答え申し上げたいと思います。
○保利委員 大体農林水産大臣の御答弁というのはいつも同じような答弁になるわけでございまして、非常に深刻な事態になっていると私は受けとめておるわけです。 特に、APECの会議がこの十一月には大阪で開かれることになっておる。そのAPECのアジア諸国、これはオーストラリアやアメリカもAPECというのに入っておりますが、アジアということで考えてみると、今一番大きな問題は何なんだというと、やはりそれは人口の増加、それに伴って食糧の不足、それから環境の悪化、こういうようなことが非常に大きなテーマとして上がっているんじゃないかと思うのです。 貿易の自由化ということを一生懸命にやろうとしているAPECのこの会議の持っていき方自体に私は疑問を持っておりますが、もっと人口とか食糧とか、そして将来、十年後、二十年後にどうするんだということを首脳間でぜひお話し合いを願いたいと思うわけでございます。 あのボゴール宣言が出ました後に総理も言っておられるわけでございますが、「自由化すべき分野、範囲、態様等の課題を含め、自由化をどのように進めていくかについては、人口・食糧問題への配慮と調和のとれた形で考えていくことが大切」と、まあ原文のまま読みましたけれども、そういうふうにおっしゃっておられる。念頭にあるんですね、総理の頭の中には。これこそが私は非常に大事なことだと思う。 場合によっては、食糧の確保というような観点から見ると、自由貿易論というのは、ある程度食糧というものについては制限をされてしかるべきではないかという気持ちも私自身は持っておるわけでございます。また、そうしないと、自国の食糧自給体制というのはとれないというふうに考えております。 ちょうど北朝鮮が大水害で困った。北朝鮮だけではないのですね、フィリピンも困っていらっしゃる。ほかの東南アジア各国も困っておられる。米が不足している。中国は二〇一〇年になると三億人分の食糧が足りなくなる、こういう報道もございます。 そんなことを考えますと、この食糧問題、人口問題とあわせてAPECの、あるいは別の会議でも結構ですが、大きなテーマになり得ると考えておりますが、総理の御所見を最後に伺って、質問を終わりたいと思います。
○村山内閣総理大臣 ウルグアイ・ラウンドで合意を受け入れるか受け入れぬかということについて、相当与党内部にも大きな議論がございました。しかし、国際的な潮流として、これは受け入れざるを得ないというんで決断もさせていただいたわけでありますが、そういう経過から考えてまいりましても、私は、人口がどんどんふえていく、それに見合って耕地は減っていくという状況の中では、食糧問題というのは、今お話もございましたように、やはり大変大きな問題になるんではないか。 とりわけこのアジア・太平洋地域というものは、どんどん経済が発展してまいりますから、経済が発展してまいりますと、それだけやはり食糧に対する需要というものもふえていくというようなことも考えますと、大変深刻な問題になるんではないか。 同時に、エネルギー問題というものも、あわせて経済発展に並行して需要が高まってまいりますから、それに供給が遣いつくのかといったような問題やら、それとの関連で環境問題がどうなるのかといったようなことがアジア・太平洋地域におけるこれからの重要な課題になるということはお互いに意識していると思いますから、そういう問題についてもあらゆる場を通じてやはり議論をし合って、共通の理解と認識を持ってお互いに協力し合うということは極めて大事なことだというふうに考えておりますから、そういうことを踏まえてこれから対応していく必要があるということは、十分考えていかなきゃならぬことだというふうに思っています。
○保利委員 総理、ありがとうございました。 与野党の御協力をいただいてこの補正予算が一日も早く成立し、執行されて、国民の皆様が御安心をいただけるということを願って、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○上原委員長 これにて池田君、保利君の質疑は終了いたしました。 次に、三野優美君。
○三野委員 日本社会党の三野です。党を代表して、若干の意見を述べながら質問をいたしたいと思います。 まず最初に、総理に所信をお尋ねします。 自社さきがけの村山政権が発足以来、御承知の阪神・淡路の大震災、オウム真理教の一連の大事件、東京の二つの信用組合の破綻を初め、住宅金融専門会社の不良債権に至る一連の金融不安、この間起きた銀行員によるハイジャックなどなど、戦後五十年目にして今日集中的に起きている大事件は、大震災など天災を除いてはその原因が一体何なのか、これが問われておると思います。 私は、あの敗戦直後の廃坑の中から立ち上がった日本国民が、欧米諸国に遣いつき追い越せの生産中心、経済万能の高度経済成長をなし遂げる過程の中でつくり出された経済的、社会的、精神的なひずみ、このひずみがさまざまな症状となって今噴出してきたのではないか、こういうように思うんです。 この難局に村山政権は懸命に取り組み、一つ一つを解決し、今乗り越えようとしています。三党首を初め与党の皆さんの結束した努力に敬意を表するとともに、この際、これら大事件に遭遇し、先頭に立っておられる総理、一年三カ月余を振り返ってみて、その感想とこれからの決意、展望についてお聞かせいただきたいと思います。
○村山内閣総理大臣 昨年六月にこの連立政権が発足をしましてから、先ほど来御意見もございましたけれども、できるだけ各党が持っておる政策調整を図りながら、透明度の高い民主的な政権の運営によって国民の理解と協力も得ながら、安定した政権を目指して政策の実行をしていこう。とりわけ、戦後未解決のまま解決できずにいる問題、これはやはりこの三党連立政権でなければできない課題もあったのではないかというふうに考えますので、例えば被爆者援護法とか、あるいはまた水俣病の問題とか慰安婦の問題とか、そういう国内外に抱えておる問題を一つ一つやはり解決をして、そしてちょうど五十年に、節目に当たっているわけでありますから、この五十年の節目に可能な限り過去を清算をして二十一世紀に向けて新しい気持ちで出発できるような、そういう体制をつくりたい、こういう努力をしてきたつもりでありますが、私は、それなりに皆さん方の御協力もいただいて成果を得ることができたのではないかというふうに思っております。 ただ、これからが問題なんでして、今、先ほどもお話がございましたけれども、三年間も続いてゼロ成長といったような景気が低迷する状況の中で、日本の経済をどう上向きにしていくかというようなことについては、やはり、端的に申し上げますと、戦後の復興から経済成長をしてきた、それはそれなりに意味はあったと思いますけれども、それがそのままの形で残されておる体質というものがあるのではないか。 そこで、規制緩和を行うべきであるというようなこともやかましく言われているわけでありますが、そういう意味では、新しい時代に乗り切っていけるだけの体質に変えていく必要がある。こういう意味では、やはり政治改革から経済改革から、それから税制改革から、いろいろな部面の改革を実行して、そして新しい時代を乗り切っていける日本の体制というものをしっかりつくる必要がある。これが私は当面課せられた課題ではないかというふうに考えておりますから、全力を挙げてそういう方向に努力をしていきたいというふうに思っております。
○三野委員 次に、大蔵大臣にお尋ねします。 為替相場は、一時七十円台まではね上がって、八十円台が長期にわたって続きました。当時は、一ドル百円が当面の目標である、こういうように我々も考えてきたし、そういうのが支配的だったと思うんです。 現在、その百円前後に到達してまいりました。これが日本経済及び世界の金融状況の中で適当なものだとお考えになるのかどうか、また、この百円台を維持できる条件というのは一体何なのか、どういうようにしようとしているのか、この点をまずお尋ねをしておきたいと思います。 時間の関係で、続いて質問いたします。 金融専門会社の不良債権の問題、先ほど出ましたが、都市銀行がみずからの営業方針でつくったいわゆる住専の経営については、私は、設立母体であるものが第一義的に責任を負うべきだと思っているわけです。 第二には、設立母体の金融機関がその能力を失った場合に初めて貸し手である農林金融関係なども責任を分担すべきではないのか。これが二つ目です。 三つ目には、この際明確にしておきたいのですが、住宅金融専門会社には一般市民の預貯金はないということですね。したがって、住専が破綻することによって国民の税を住専に直接投入することは絶対に許されないし、理論的にも成り立たない、こう私は思います。 四つ目には、住専の母体銀行及び貸し手金融機関が例えば破綻をして消滅した場合、その段階で初めて社会的金融不安を防止する立場から公的資金の導入援助の問題が論ぜられるべきであって、それ以前にやるべきではない、私どもはこういう考えです。 五つ目には、当時大蔵省は、住専などという金融機関としては極めて不明確な、片肺的な事業を認可した、また、多くの大蔵省関係者を重要ポストに送り込んで天下り場所をつくって指導に当たった大蔵省当局の責任は厳しく問われなきゃならぬ、こう思います。その責任をどうするのか。 以上、聞いておきます。
○武村国務大臣 四点お尋ねでございました。 まず為替でありますが、四月二十五日のG7で、私どもは、「秩序ある反転」が望ましいと七カ国で合意をして内外に発表をいたしたところであります。その時点から徐々に反転を始めて今日に至っているというふうに思います。 先週のG7では、そのことを含めてこれまでの動き、四月から今日までの反転の動きをまず歓迎するという認識を持つことができましたし、さらに、こうした反転のトレンド、趨勢が継続されることを歓迎するということであります。 現状でいいということではありません。さらに継続ということで意見の一致を見ているところでありまして、私自身もこれまで、目下の百円前後の水準に対しては、これでいいのかという質問はたびたび記者からもございますが、いいとは一切申し上げない、まだ反転の過程にあるという言い方をいたしてまいりました。この私の考え方と、先般のG7の合意をした考え方とほぼ一致をしたということであります。 今後とも細心の注意を払いながら、各国緊密な協調をとりながら、為替の安定に努めていきたい。基本はファンダメンタルズという、ちょっと英語で恐縮ですが、経済の基礎的な各国の状況、情勢にどう為替が正しく合っていくかということだと思っております。 そのためにどういう努力がということでありますが、まず、マクロ政策が各国にございます。日本は早く景気をよくすべしという期待がありますし、あるいは日米間に横たわるこの経常収支の黒字を解消、減らすべきだという、こういう課題を背負っているわけですが、そういういわば財政上の不均衡もあります。この不均衡是正に全力を挙げていこう、そしてお互い、七カ国が緊密な連携をとって変動する為替に対しては対応をしていこう。この中には当然協調介入という意図も入っているわけであります。 住専の問題につきましては、御指摘ございましたが、今の日本経済にとっては大変大きな問題でありますし、ひときわ金融全体の中でもこの住専の問題がスケールも大きい。いろいろな絡まりがある中で、これを放てきすることはますます景気の先行きに対してもいい影響を与えないという認識を持っておりまして、したがって、年内に解決を目指すということを私どもは方針といたしているところでございます。 まあ母体、貸し手金融機関も含めて、いわゆる当時の関係者ですね、正確には住専自身、そして住専を設立した母体行、そして各住専に金を貸した農協も含めた融資機関、この関係者がやはり真剣にテーブルに着いて話をしていただく、少しでも歩み寄って合意に近づいていただくことが基本でありまして、目下その努力が真剣に行われているところでございます。 その動きを見ながら、私どもは、公的資金の導入というテーマ、問題もそのプロセスの中で判断をしなければならないことだと思っておりまして、初めに公的資金を導入しますと、今いわばその可能性は示唆しているわけでありますが、しますというふうに明言しているわけではありません。これにはもちろん国会の論議もございますし、国民の大きな関心事でございますだけに、おおむね御納得がいただけるような状況の中で決断をすることが許されるというふうに思っております。そういう意味では慎重な検討という表現をいたしているところでございます。 今先生からお話のありました筋道についても、おおむね認識をさせていただきました。
○三野委員 総理に沖縄の軍事基地の縮小、地位協定についてお尋ねします。 沖縄の中に米軍基地があるのではなしに、軍事基地の中に沖縄があるとまで言われてきた在日米軍の基地は、先ほどもあったように七五%、これが沖縄に集中しているわけです。昭和四十七年祖国復帰以後でも、米軍による刑法犯検挙数は三千七百件近く、殺された日本人は十五人、そして去る九月四日、米兵三人による少女暴行事件となってきたのであります。これらの事件の中には、犯罪発生直後に基地に逃げ込み、または本国に逃亡するなど、日本の司法権が及ばない、それでうやむやにされた事件もございます。 広大な米軍基地によって沖縄県民の生活が脅かされ、悲惨な事件におののきながら、県民は一日も早い本土並みの生活ができるように願って、米軍基地の縮小、撤去を求めているのであります。今度の事件をきっかけに、現地沖縄はもちろん全国の地方自治体でも、基地の縮小、撤去、日米地位協定の見直しを求める意見書、決議は、日に増し拡大しております。市民運動もますます強まりつつあります。全国に広がる米軍基地反対運動は、今や反米感情に発展しようとしているのであります。日米関係の正常な発展のために、日米両政府はこの事態を重視し、事態の解決を急ぐべきだろうと思います。 そこで、まず第一点は、女子暴行事件の早期解決と再発防止策は一体何なのか。二つ目には、我が国の司法権の正常な行使を含む日米地位協定の見直し。三つ目には、知事の代理署名問題の早期解決。四つ目には、米軍基地の縮小、撤去の具体的計画とその実現。 移転するといってみても移転する先が反対するわけですから、なかなか実現しない。この四点は一体のものとして考えますが、それぞれに対する総理の見解をお尋ねいたします。
○村山内閣総理大臣 たびたび申し上げますけれども、沖縄県民の皆様には戦中戦後を通じて並々ならぬ御苦労をおかけしておりまするし、同時に、とりわけ戦後、全国の七五%の基地が沖縄にはある、今言われましたように、基地の中に沖縄があるのだという表現も使われましたけれども、それぐらい集中して沖縄に基地があることが、やはり沖縄県民に対して言うに言われない大きな負担になっておるということもこれはよく理解できますし、同時に、そうしたことによって引き起こされるいろいろな事件等についても、これまで累次にわたって起こっているわけです。 とりわけ今回の少女暴行事件なんというものは、これはもうあってはならない、許すことのできない事件だということはアメリカ当局も厳しく受けとめて、これはクリントン大統領もわざわざ記者会見でそのことを明言されるようなことで、大きな反省をしておると私は思いますけれども、そうした反省をお互いにした上で、そういう沖縄県民の気持ちなり心情なり、あるいは国民全体が命持っておる気持ちなりというようなものが、いろいろな地方自治体の決議にあらわれてきておると私は思いますが、そういうものもしっかり踏まえた上で、国の責任というものも十分感じながら、そうした問題に対して取り組みをしていく必要があるというふうに思うのです。 そこで、この少女問題につきましては、今専門委員会の中でその扱いについてこれからどうするかといったようなことについて真剣な議論がされておりまするし、同時に、基地の問題等につきましては、これは先ほどもお話がございましたけれども、二十三事案については今検討されておりますね。その中で解決した問題もありまするけれども、まだ未解決で折衝している問題もある。 同時に、私は一月にクリントン大統領とお会いしたときに、那覇港等を含む三事案について何とか解決を図りたいというので、今これも検討中でありますけれども、しかし、この基地の問題というのは、例えばAという場所からBという場所に移すという場合に、移す方は賛成しますけれども、移される地区は今度は反対というので、なかなかうまくいかないといったような難しい問題があることは、もうこれは皆さん御承知のとおりですね。 しかし、そうだからといって、これは放任のできる問題ではございませんから、したがって、誠意を持ってお互いにやはり話し合いをしていくということは大事なことですし、できるだけ早期に解決のために全力を挙げて取り組んでいくということも当然な話だというふうに思っておりますから、そういう決意でこれから取り組んでいきたいというふうに思っておるところでございます。 大体そういうことですね。
○三野委員 私は、冷戦構造が終わった段階で沖縄の基地の役割というものは当然変わったと思うのです。したがって、そういう観点から、単に移転ではなしに、縮小、撤去という方向で議論しなければ、実際に私はこれはできないと思いますよ、結果的には沖縄県民をだますことになっちゃうわけですから。その点を十分御理解いただいて、アメリカと交渉していただく。 しかも、先ほど言ったように、このまま放置しておけば、反基地から反米闘争に感情が高まっている現状というものを考えてみると、日本にとってもアメリカにとっても、これは重大なことであるということを認識してもらって、理解を求めていくようにお願いをしたいと思うのですが、どうですか。
○河野国務大臣 議員御指摘は、それぞれ我々も十分考えなければならない点を含んでいるだろうと思います。 ただ、議員にもぜひ御理解をいただきたいと思いますことは、村山政権は安保体制を堅持する、こういうことを基本的な姿勢といたしておるわけでございます。 それで、この安保体制を堅持するということの意味は、先ほどこの予算委員会の冒頭に池田議員からのお尋ねに対して総理から御答弁がございましたように、確かに議員が御指摘のとおり、ポスト冷戦ということで日米安保条約というものは少し変質をしたのではないか、こういう多くの方々のお考えに対しまして、私どもも、冷戦時代には、もし何かあれば地球規模の大戦争が起こるんではないかという状況であったものが、冷戦が終えんして、そうした可能性は極めて低くなった、しかし、我が国周辺にはまだ不透明な部分があるのではないか、それに対して我が国の安全をいかに確保するかということは、引き続き我々が考えなければならないことでございます。 さらに、アジア・太平洋地域の今日の状況は、国際的に見ると目覚ましい経済発展を遂げておる。この経済発展の基礎は何かといえば、その地域の安定といいますか安全といいますか、これはそれぞれの国の政治的な安定もございましょう、あるいはアメリカのプレゼンスによる秩序というものが安定しているということもございましょう。さまざまな役割がまだまだ残っておる、そうした点に着目をする必要があるのではないか。こういった点もあることをぜひ御理解をいただきたいと思います。
○三野委員 私は、時間の関係でこれ以上議論しませんが、冷戦構造が終わった段階で、安保体制を維持するから必ずしも沖縄の基地がそのまま残っとらなきゃならぬということには、私はとらないのであります。その点が沖縄県民の願いであるということも考えながら、もう少し今の現状というものを洗い直す必要があるということを申し上げて、これはこれで一応おきたいと思います。 続いて、オウム真理教と宗教法人の問題についてお尋ねします。 オウム真理教の解散請求が、宗教法人法に基づいて、東京地裁で去る六日審問が開かれ、法的手続は一応終了し、早ければ十一月にも決定されるんではないかという見通しがなされています。文部省は、解散命令が出されることに当然確信があると思われていると思います。そして、その時期等についての感想をお聞きいたします。 二つ目には、宗教法人の見直しに当たって、信教、結社の自由、政教分離の原則は厳守しながら、慎重にかつ国民的合意の上で行われることは当然でありますが、十八万五千以上もあるという宗教法人がその実態さえつかめないこの現状、関係地方自治体は全く把握できないという今の制度、これをやはりこのまま放置するわけにはいきません。 したがって、認可のあり方と同時に、宗教法人が所有する財産は、あるいはその資産というものは、毎年一回、関係地方自治体及び認可する行政機関を通じて国民の前に公表する義務が課されるべきだと思うのです。自分の町や村に施設があってみても実態がつかめない現状というのは、全く異常だと言わざるを得ないと思います。 二つ目には、宗教法人法の見直しに当たって、運営する者の私的な日常生活に使用する土地建物、これも宗教法人法によって無税になっているのです。どうしてだろうか。これは国民の疑問とするところです。いわゆる庫裏だとか社務所の私生活をやっているところまでが固定資産税も要らなければ取得税も要らないなんて、これはやはり国民の疑問があるところでありますね。 同時に、有料の宿泊施設についても、例えば四国八十八カ所を回ってみたらば、周辺の、昔から我々お遍路さんが泊まる宿はもうお手上げ。向こうは税金を私わぬでいい。集めた金も贈与税もかからない。そして有料でやっている。そうすると、周辺の、もう従来から民宿でやっていた人たちは手を上げている。どうもおかしいじゃないかという意見があるわけでありますから、これは宗教法人法の中に規定されておりますから、その改正とともにこの税法も見直す必要があると思うんですが、どうでしょう。自治大臣も後で。
○島村国務大臣 御質問が多岐にわたっておりますから、これはすべてお答えすると非常に長いものになりますが、税法に関しましては、大蔵大臣から御答弁いただくのが適当かと思います。 ただ、まずオウム真理教の解散命令につきましては、御高承のとおり、六月三十日に東京都知事と検察官が東京地方裁判所にこの申し立てを行ったところでありますし、今お話がありましたように、二日には現場検証、そして六日には関係者からの審問があったところであります。文部省といたしましては、これを応援することはできますけれども、しかし、我々が恣意的にいついつと言うことは、これは不可能でございますので、できるだけ早期に結論を出していただきたい、こう期待しているところでございます。 また、宗教法人の資産の課税の問題でございましたか……(三野委員「資産の公開」と呼ぶ)資産ですね、まず、じゃ資産につきましてお答えいたします。 これにつきましては、なるほど今までは、いわば書類の備えつけについての義務づけはありますものの、閲覧権等がございません。したがって、事実上は何も知り得ない、一度認証してしまえばそれっきり、こういうまま来たところでございます。 したがいまして、今、いろいろこれから御検討いただいてこれを改正したい、こう考えているところでございますが、その内容としては、従前のように、これはまだ想像の段階でございますけれども、一応御報告をいただいた範囲にとどめますと、所轄については、二県以上にまたがる、所在する宗教法人については国に所管を移す。あるいは情報開示のあり方とか、あるいはまた活動報告についてのあり方とか等々を中心にこれから改正を行って、今御指摘のように、全くわからないままに放置するのは無責任ではないかという御趣旨と受けとめましたけれども、これらについては、そういう御指摘にこれからはおこたえし得る責任ある形に置きかえたい、こう考えているところでございます。
○三野委員 税制の問題は国税、地方税あるのですけれども、宗教法人法を変えなければ、今、例えば私的な生活の場に税金をかけることはできないのですよ。 と同時に、私が言っているのは、国なり県にそれぞれ資産公開なりそういう実態等の報告をすると同時に、町の、村の村長や町長さんが全く何もわからぬというのは、こんなばかな話はないわけですから、私は、やはり自治体をも通じて国民の前に公開する、こうでなければ筋でないと思いますから、そういう点はぜひ御留意をいただきたいと思います。 次に、エイズの和解勧告についてお尋ねをします。厚生大臣。 去る十月六日、東京地方裁判所及び大阪地方裁判所は、エイズ薬害訴訟に和解勧告をなされました。血友病治療のために使用した輸入血液製剤によるエイズウイルスにより多くの人々が感染をし、約二千人、既に三百人を上回る人が死んで、今も命を落としているわけです。 この勧告では、国及び製薬会社の責任が厳しく問われています。勧告では、厚生省が当時、血液製剤によるエイズ感染の危険性を知り得る立場にありながら使用禁止、予防の措置を行わなかった、その責任が問われています。政府は、関係者に対しこの点をどういう態度を示すのか。当然謝罪すべきだと思いますが、その辺はどうですか。 二つ目には、政府及び製薬会社は、勧告の示すところによって直ちに和解交渉に取り組み、早期解決を図るべきだと思いますが、厚生大臣の御所見をお尋ねします。
○森井国務大臣 御指摘がありましたように、今月の六日夕刻、東京地裁と大阪地裁と同時に和解勧告が出されました。極めて異例だというふうに認識をいたしております。 私といたしましては、この和解勧告に対しまして、その事実を厳粛に受けとめまして、そして謙虚な気持ちでこれから検討してまいりたいというふうに考えておりますが、ほかの大蔵そして法務と私ども厚生省と三者で現在協議をいたしておりまして、東京地裁では期限がついておりますので、今月二十日ごろまでには態度を明確にしたいと思っております。 ただ、私といたしましては、率直な心境を申し上げますと、和解のテーブルに着く方向で検討をしていきたいというふうに考えております。 考えてみますと、もう亡くなられた方がどんどんふえていっておりまして、報道によりますと、五日に一人の割合で命を落としていらっしゃるということでございます。私といたしましては、この機会に、お亡くなりになられた方並びにその御遺族に対しまして心からお悔やみを申し上げたいと思っておりますし、そして、今なお闘病中の患者の皆さんに対しましても心からお見舞いを申し上げたいと思いますが、何としてもこれは早期に解決をする。裁判所の判断は、法的責任の存否の争いを超えて、社会的、人道的立場に立って和解交渉をやってもらいたいという御趣旨が入っておりますので、そのことも肝に銘じながら、これから問題の処理に当たっていきたいというふうに考えているわけでございます。 次に、恒久対策について御指摘がございました。これは、和解案の中で、恒久対策については話し合えということになっておりますので、御質問の趣旨を踏まえながら、私といたしましても恒久対策について話し合いをしていく所存でございます。 それから、治療について、施設をつくったらどうかという御指摘でございますが、現在、エイズ治療拠点病院というのを指定をいたしておりまして、これはさらに強化拡大をしていく予定でございますけれども、そういった拠点病院を通じて治療に万遺憾のないように努力をしていきたいと思っております。 最後でございますが、一言申し上げたいと思いますのは、厚生省といたしましても、当時の医学的な知見等に基づいて精いっぱい努力をした経過があるわけでございますので、したがって、そういったこともありますが、先ほど申し上げましたように、裁判所の認めていただくことにならなかったということについては、私としては極めて残念に思っております。同時に、患者、家族の皆さん、亡くなられた方に心からおわびを申し上げたいというふうに考えております。
○三野委員 そうすると、勧告にある、厚生省は当時この被害が起こり得ることを予知できる条件にあった、したがって国の責任というものを明確にしなさいと言っているんですが、今おわびを申し上げたいということは、そのことはお認めになったと理解したいと思います。そういうように、いいですね。
○森井国務大臣 責任の問題になりますと、法的責任の存否の争いを超えて、社会的、人道的立場から和解交渉を進めなさい、こういうことになっているわけでございますが、御質問でありますから率直に申し上げますと、厚生省としては、最大限の努力はいたしましたものの、結果としてあれだけの被害が出たわけでございますから、そのことを認識をして和解交渉のテーブルに着く方向で努力をしていきたい、こういうことでございます。
○三野委員 さっきの答弁で、おわびするという意味の発言があったわけですから、その点はそう受けとめさせていただきます。 次に、郵政大臣にお尋ねをします。 郵政大臣の諮問機関である電気通信審議会において、今NTTのあり方について議論されています。いつごろ答申がなされるのか。 ところが、去る十月三日、郵政省の電気通信局長の研究会なるものが、NTTの分割を示唆する報告書をまとめ、発表されました。郵政大臣の諮問機関が今審議中にもかかわらず、一局長の研究会が結論めいた報告書を出す、そして審議会の議論を誘導するがごとき行為があってはならないと思うのです。官僚主導の政策が意図的に行われていることの一つのあらわれだと私は思います。このような非常識な郵政の局長の研究会の報告というものについて、そのあり方について大臣はどう考えるのか。 二つ目には、NTTの分割が行われれば、大都市中心、地方切り捨ての通信行政が行われることが見通されるのであります。私のように四国や、あるいは北海道などは、都市との一体性によってのみ経済や交通や通信、文化が維持されるのであります。地方が都市を支え、都市が地方を援助しながらこの日本列島が共存できるのであります。地方に生きる者として、都市と地方との分割、切り捨ては絶対に承服することはできません。日本列島の平均的、平等的な情報通信行政を行うための決意を述べていただきたいと思います。
○井上国務大臣 三野先生御指摘の報告書は、研究会のメンバーの検討結果である、郵政省の見解ではございませんし、まして局長の見解でもございません。 なお、NTTのあり方については、電気通信審議会に今諮問をさせていただいておる途上でもありますし、私からいろいろな角度で御議論をいただいていると、むしろ期待も申し上げておる次第でございます。 大臣としては、そういう意味で、今日白紙の立場で、二月答申をいただくことを待って郵政省としての判断を下したい、このように思っております。
○三野委員 この際、この問題を含めて郵政省の内部改革を求めます。 総理、沖縄問題について、若干の、私の質問に対してお答えの足らぬ部分があるのではないかと思いますから、それをお答えいただくと同時に、在日韓国人の、実は六名ほど韓国に拘束されたままずっと長年になっているわけです。これは、家族などが再三にわたって、政府に対しても、あるいは各団体に対しても、とりわけ私は、中山外相のときに私もお願いに一緒に行ったことがあるのですが、御努力をいただいて、拘留されている人たちの人権その他について御苦労いただいたことを知っております。これは、一日も早く解決するようにという陳情が各団体に今来ているわけですね。 ちょうど朝鮮半島も独立五十周年、日韓条約三十周年がことしなのです。十二月十八日が条約の発効日でありまして、これを機会に一挙に釈放されるのではないのかということで、家族は一日千秋の思いで待っているわけですね。金泳三大統領も、いつでも釈放できるような特別措置を八月に行われたと聞いております。 この際、これら家族の心情というものを考える場合に、我々は、我が国で家族そろって平安な生活ができるように期待するのでありますが、総理の心情をお尋ねをしておきたいと思います。
○村山内閣総理大臣 先ほどの答弁漏れについて答弁を申し上げたいと思いますが、基地の提供について機関委任事務を知事が代行しない、こういうことになっておりますけれども、その扱いについては、先ほども御答弁申し上げましたように、沖縄県民の心情や知事の立場というものはよくわかるわけですから、したがって、その立場も踏まえた上で、誠意を持って話し合いをして、何とか話し合いで解決ができるような最大限の努力は挙げてしなきゃならぬ、こういう決意で最後まで努力をしたい、臨みたいというふうに思っています。 それから、今お話のございました在日韓国人の政治犯の問題ですけれども、これは言うならば韓国の法律に基づいて処断をされ処遇をされる問題だ、これは韓国の国内問題ですね。しかし、今お話もございましたように、日本に生活の拠点があって、しかも日本に親戚もおったり、また近い人がいらっしゃるというようなことから、関心をそれぞれ持っておる問題だというふうに私も理解をいたしております。 したがって、あらゆる機会を通じて、こうした方々の扱い方について、人道的にも十分の配慮をいただきたいということも申し上げてはございますし、いろんな場を通じて、そういう日本側の考え方については反映をさせていっておるところなんです。 しかしこれは、冒頭申し上げましたように、あくまでも韓国の国内問題でありますから、韓国の政治犯と在日韓国人の政治犯の扱いについては、これはもうやはり平等にしてもらわなきゃならぬというふうに思いますし、とりわけ今申し上げましたような関係もございますから、したがって、いろいろな機会を通じて、可能な限り人道的な配慮もしてもらうし、同時に、一日も早く釈放されるように働きかけていかなきゃならぬと思います。 しかしそれは、釈放してほしいと言ってこっちから要請できる問題ではございませんから、あくまでもそういう場を通じながら、十分こちら側の心情が伝わるように努力をしていきたいというふうに思っております。
○三野委員 ありがとうございました。 以上で終わります。(拍手)
○上原委員長 これにて三野君の質疑は終了いたしました。 次に、前原誠司君。
○前原委員 新党さきがけを代表いたしまして、御質問をさせていただきたいと思います。 通告をしておりました内答をちょっと順序を変えて行わさせていただきたいと思いますが、まず初めに、土地の問題について総理に御質問をさせていただきたいと思います。 きょうもいろいろ議論がございましたけれども、不況からの脱出というのが、私は今政治に課せられた一番重要な課題ではないかと思っております。特に、企業家の方々が日々血のにじむような努力をされており、しかし外的な要因の中でうまく事が進まないような状況を見て、なお一層、我々がこの不況というものの克服努力というものを、政治生命をかけて行っていかなくてはいけない重要な問題ではないかと思っております。 ただ、その前提として、一つ私は誤った期待がまだ国民の中にあるんではないかと思っております。それは、ミニバブル待望論というものであります。地価の水準あるいは地価のあるべき基準といいますか、それをどの程度にとどめるかということは大変難しいことでありますけれども、私が考えますのに、日本の地価というものはまだ国際相場から見て高いと思っております。 しかしながら、不況の中で地価を上げなくては景気が回復をしないという一種のジレンマの中で、どのような政策的な判断を下しながら国民に理解を求めていくのか、これは政治に課せられた大きな課題ではないかと思っております。 土地神話というものがありまして、とにかく土地は上がり続けるんだということがございました。そしてその中で生まれたのが、いわゆる土地を資産として利用しようということであります。本来土地というものは、この日本のように限られた資源、狭い国土を考えた場合に、いかに有効利用するかということに重きを置かれるべきでありますけれども、土地神話のおかげで、土地というものが上がり続ける、だから資産として保有をしようということで、逆にそれが土地の値上がりを助長したという悪循環がございました。 このような土地神話が一たん崩壊をした時点においてこそ、今チャンスである。つまり、資産としての保有から有効利用への転換をするのに非常にいい時期であるというふうに私は思っております。その点をどのように総理は考えておられるかというのが、まず第一点であります。 昭和五十八年を一〇〇としましたときに、平成六年の公示価格というものはどれだけの水準にあるかということを調べさせていただきましたが、東京圏では一七九・一、大阪圏では一七六・四、地方では一四五・九ということでございまして、まだ水準自体は高いわけであります。 そういうものを考えますならば、さっき申し上げたように地価はまだ高い。そして今大切なのは、資産としての保有から、投機的な対象から、いかに有効利用するかというパラダイム転換ではないかと思いますけれども、総理の御見解をお伺いをしたいと思います。
○村山内閣総理大臣 現下の厳しい経済情勢から考えてみて、これは先ほど来も申し上げておりますけれども、日本経済の構造改革を進めていくということは極めて大事なことだということに対する理解と認識というのは、もうほぼ一致していると思いますね。 そこで、不況になっておる厳しい経済状況の一つのネックとしてやはり土地の問題があるということも、もうこれは否定し得ない事実だと思うんです。ミニバブルというものは何を期待しているのかというのはよくわかりませんけれども、しかし、今お話もございましたように、土地神話ということが言われて、土地を持っておれば値上がりしてもうかるものだというような状況をまた想定して期待をするというのは、私は間違いではないかというふうに思いますしね。 土地というのは、これは生産をされてつくられたものではなくて、これはもう自然に存在するものなんですから、これをどう人間の幸せのために、あるいは経済活性化のために有効利用していくかということはやはり大事な視点だ、そういう立場から土地というものを考えていく必要があるというのは、私は当然のことだというふうに思っております。 したがって、いかにして土地を流動化して活用できるかということのために今度の補正予算にも予算計上いたしておりまするし、同時に証券市場の活性化等も図りながら、何とかそういうことから景気のてこ入れをしっかりやっていきたいというふうに考えております。
○前原委員 今総理がお答えになりましたように、地価というものあるいは土地の活用というものを考えた場合に、土地神話というものはもう一たん崩れたんだ、そして資産運用あるいは投機的な対象から有効利用というものにパラダイムの転換をしたんだ、そしてそれを前提としていわゆる景気対策を行っていくという御答弁をいただいたと思っております。 私もそれには大変賛成でございまして、ぜひ努力をしていただきたいと思いますし、今おっしゃったように、問題はいかに土地を流動化させるのかということではないかと思います。 そして、今の間接金融、まあ銀行の金融なんかを考えた場合に、まだまだ土地を担保にしてお金を貸すということが多うございます。やはり信用貸しとかその経営者の資質とかあるいはその会社の分野、あるいはこれからどういう伸びぐあいを示すのかということを銀行家の方がきっちりと評価をしていただいて、そしてお金を貸す。土地さえあればそれでいいんだということはこれから排していかなくてはいけないし、そして、総理がおっしゃったように直接金融、つまり間接金融でなく直接金融、株などの市場というものを活性化をさせて、経済の血液であるお金というものを、資金というものを調達しやすいような形に持っていくということが私はこの土地神話の崩壊に基づいた景気対策の根幹になっていくんではないかと思いますし、今度の補正予算がそういう原点に立ってつくられたということで、ぜひその点に基づいてさらに政策を進めていただきたいと要望をさせていただきます。 次に、その認識に基づいての話になりますけれども、不良債権の問題について大蔵大臣に御質問をさせていただきたいと思います。 ことし三月末の不良債権の総額が四十兆円、西村銀行局長からこの予算委員会での回答がございました。私も、いろいろな金融機関の方やあるいは専門家の方の話を伺いましたけれども、その実数を信じておられる方というのはまずおられないということであります。 まず一つの状態として、地価がさらに下落をしている、そして土地担保というものに基づいて融資をしているわけでありますから、半年たってさらに焦げつきを起こしていることが大きな問題ではないか。 そして二つ目に、資金需要という観点からいたしましたら、一九七〇年代の半ばごろから、金融業界の中では資金不足の構造からいわゆる資金余剰の構造に変わってきている。普通の産業でしたら、それで大きくなったり、小さくなったり、つぶれたり、あるいは発展したりという調節機能があるわけでありますけれども、今までの護送船団方式と言われる形で、金融機関はつぶさない。したがって、金融機関はつぶさないけれども、数が多いために、そして資金余剰という状況のもとで金融機関の業績というものが悪化をしてきている。それはある意味で仕方がないことでありまして、現段階においてそれが噴き出るような形になってしまっているということではないかと思っております。 公的資金の導入の議論がございますけれども、私はちょっと順序が違うのかなと思っています。つまり、責任の問題をとったら公的資金導入はいいのかとかそういう議論がありますけれども、まず根底は、日本が抱える不良債権というものの実態を把握をするということが、正式に把握をするということがまず私は第一歩ではないかと思います。 なぜならば、いかに金融機関の自助努力によって不良債権の償却をさせるといっても、もしそれが莫大な量に上れば、預金者保護という観点から、公的資金は有無を言わずに導入せざるを得ないことになるわけであります。 したがって、まず我々が、この不良債権の処理、これからの日本の経済を揺るがしかねない、あるいはもう揺るがしてきつつあるこの不良債権の問題を議論するときに、不良債権の総額というものを的確に把握をするということが大事だと思いますが、三月未が四十兆円、現在どのくらいの不良債権があると大蔵大臣はお考えでございますか。
○武村国務大臣 率直に言って、それほど四十兆円を大きく上回る数字ではないと私は思っております。 三月の四十兆の推計は、御承知のように二十一行、大きな金融機関の破綻先と延滞債権、プラス金利減免償まで含めてざっと二十三兆という数字をつかんでおりまして、大体金融機関全体はその約一・八倍ぐらいだろうという推計で四十兆という数字を出しておりまして、これはまさにそういう意味では推計でございます。 世上、外国も含めて、もっと多いんだと。少ないという声は余り聞かないのですが、もっと多いに違いないと。今前原議員御指摘のように、地価がどんどん下がっているだけにぐんぐんふえているんじゃないかという、これはもう常識的な御心配を含めた御意見があるわけでございます。 私どもは、今年度各金融機関に一定の基準でディスクロージャーを要請しておりますが、しかし九月期の状況を今全部ヒアリングをしておりまして、その全体の数字は年内、できたら十一月末ぐらいには総括できるのではないかと思っております。そのときに今私が答弁していることがどういう数字になるか明らかになるわけでありますが、これは個別金融機関を積み上げたものでありますが、四十兆を、びったりにはならないにしても、うんと大きく乖離することはまずないというふうに私どもは見ております。推計も、個々の金融機関のデータも今までわかった範囲ではとりながら大蔵省はこの数字を出しております。 問題は、この中で、いわゆる今後処理すべき、この四十兆全体がもう回収できない額ではないわけですね。その本当の回収不能債権がどのくらいになるのかというのは、六月に発表したときには十兆ないし十五兆という数字で、これも想定でございますが申し上げておりますが、これは地価が下がった分だけは少なくともふえているということでございまして、この数字はいささかふえる方向で動いているというふうな認識を持っております。
○前原委員 まあふえるにしてもそれほど四十兆から大きく出るようなものではないんではないかという御答弁でございました。それじゃ、十一月末にはまた改めて不良債権の額を今個別の金融機関の積み上げの中から御公表いただくということでありまして、それはぜひやっていただきたいと思います。 また、その前提として、じゃ、お願いをしたい部分もあるわけでありますけれども、まず、兵庫銀行というものが経営破綻をしましたけれども、この兵庫銀行、地方銀行でありますけれども、公表していた不良債権は六百億円でありました。破綻をして実際に出てきた不良債権というのは一兆五千億円、二十五倍になっていたわけであります。つまり、公表していたのが六百億円で、実際に破綻をしたときに出てきたのが二十五倍の一兆五千億円。 これはどういうことかと申しますと、今大臣がお答えになりましたように、延滞債権、つまり利払いが六カ月以上滞っているものについては不良債権にカウントするというのがありますけれども、金融機関は自分自身の対外的な体面もあってこれを何とか隠そうとする。そういう利払いが滞りそうなところには焦げつきを承知でさらに遣い貸しという形で融資をする。そしてまた泥沼にはまっていって不良債権の額が大きくなる。一つの兵庫銀行の例でありますけれども、まずそういうことがあります。そういうものを果たしてしっかりと把握をされているのかどうかということがまず第一点。 それから、アメリカとまず比較をしたときに、日本の不良債権のカウントの仕方というのが違うと言われております。一つの例を挙げますならば、不良債権額でありますけれども、一九九四年三月末における三菱銀行の不良債権額は、日本の方式で出すと五千七百億円、しかし、アメリカの方式で不良債権をカウントすると一兆一千四百億円。つまり、日本の不良債権のカウントの仕方が非常に甘い、ちょうど倍なのですけれども、甘いということが言われているわけであります。 確かに、今回、金融システム安定化委員会で、今大臣が御答弁になりましたけれども、都市銀行や長期信用銀行、信託銀行などについて、金利減免債権も来年の三月から公表していくとか、それから今まで公表されてこなかった信用組合とか協同組合というものについても公表していくとか、そういう努力は確かにされていることでありますけれども、まずその日本の不良債権のカウントの仕方というものについても、もう一度見直す必要があるのではないか。 私、それを、裏づけのあることを二つ申し上げたいのでありますけれども、海外の銀行の評価をする会社でムーディーズというのがあります。これは財務格付機関と言われるわけでありますけれども、A、B、C、D、E、五段階あって、そしていい銀行から悪い銀行まで、そのムーディーズというもののまあ偏見によって格付をされているわけでありますけれども、Bに当たっているのが静岡銀行一行のみ、そしてCが三行、残りの日本の銀行はDとかEということなのですね。要は、海外の議論と日本の議論がどうも食い違っているという部分があるのではないかと思います。 しかも、アメリカの例を挙げますならば、このように厳しい不良債権の規定をしているアメリカの銀行救済費というものは、一九八六年から九二年に、これは財政支出でありますけれども、日本円にして二十一兆七千億円、それぐらいを使ってやっと不良債権の償却をやっているということがございます。 したがいまして、これからの不良債権の償却ということを考えた場合には、さっき申し上げた追い貸しのようないわゆるびほう策というものがとられていないかというものをしっかり確認していただくというのが一点。 それから、日本の不良債権のカウントの仕方、まあ改善をされつつありますけれども、それをもうちょっと厳しくすべきじゃないかというのが第二点でありまして、その点についてちょっと大臣の御所見をお伺いできればと思います。
○武村国務大臣 確かに、延滞債権の定義も、日本は六カ月でありますが、アメリカとは少し違いがあるようでございますし、私は今すべてを承知いたしておりませんが、いずれにしましても、今回のこの不良債権という大きな経験のもとで、やはり不良債権のとらえ方も反省すべき点があればこれは大いに是正をしていく必要があると思っておりますし、国際的な比較も十分さしていただきたいというふうに思っております。 実質、金融機関が健全なることが私たちの目標でございますから、どこかに隠されていたり引き延ばされていたりして表の処理と違っているというふうなことにならないように最善を尽くしていきたいと思います。
○前原委員 あわせてお尋ねをしたい、あと要望したいことがございますが、今の不良債権の問題でありますけれども、日本の会計制度そのものにも大きな問題があるのではないかと、これは海外の金融機関からも指摘をされている部分があります。 一つは、簿価を採用することによりまして尋常には、尋常といいますか、普通の一般の国民にはわからない益出しとか含み益、含み損というふうな概念で、そういう会計処理をするために株を売って、そしてすぐに買い戻しをするということが行われたりしています。何も変わっていないのに、しかし会計上の操作だけでそういうものが行われたりしている。そして体裁を繕うということが行われているわけです。やはりこういう会計処理の仕方というものも日本の金融機関の評価の低さにつながっているのではないかと思います。 それから、金融システム安定化委員会では、これは答申がされまして、前向きに努力をされると思いますけれども、やはり早期是正措置というものは必要なのではないかと思っております。 例えば、日本の銀行をすべて徹底的にその内容を調査して、優、良、可、不可ぐらいの四つぐらいに分けて、そして不可というのは普通の企業ならもう倒産している。しかしながら、金融機関というのは普通の企業ではありませんで、いわゆる財務上は倒産をしていてもそれがばれなかった場合には、手持ちにお金がありますから、それを運用して何とか生き長らえることができている。そしてまた傷口を大きくしているという部分があります。 何か話を聞きますと、アメリカではそういうのをゾンビバンクと言うそうでありますけれども、要は心臓がとまっているのに幽霊のように動いているという銀行をそう言うそうでありますけれども、やはりそういうものを早い時期に摘出をして、被害が大きくならないような早期是正措置というものをとる必要があると思いますけれども、その点についてどうお考えか。 そして、もう一つ伺いたいわけでありますけれども、住専に対する公的資金の導入の是非がされておりますけれども、先ほど大臣が御答弁になりました。十一月末には新たに不良債権の総額というものを公表される、していただくということであります。 私はこれは、もしなかったらそれでいいのでありますけれども、不良債権の額というものを厳密に調べていった場合に、大きなものになっていったときに、住専だけではなくて一般の金融機関の処理にも公的資金を使わないと、今のように預金保険機構の残高がほとんどない、そして預金者は守るということで今政策をとられておりますけれども、公的資金というものは、住専だけではなくて、やはり全体の金融機関の信用秩序維持のために使う必要があれば使わなければいけないときもあるというふうに私は思うわけでありますけれども、その点についても御答弁をいただきたいと思います。
○武村国務大臣 確かにこれまでの日本の金融機関については、経営の実態が十分公開されてこなかったことは率直に認めざるを得ません。そういう意味で、今回の取り組みも、ディスクローズということをまず基本にいたしている。預金者にとっても、ディスクローズされることによってみずからも責任を負っていただこうという考え方であります。 その中で、保険業法の場合はソルベンシーマージンという議論がございましたように、個々の金融機関の健全性についても今貴重な御指摘をいただきました。そういう御意見も参考にさしていただきながら、公開をただすればいいのでなしに、公開した後、何をきちっとチェックするのか、また金融機関みずからがそのためにどういう日ごろ努力をするのかということも大変大事な課題であると思っております。 公的資金については、今まだ結論に達しているわけではないわけで、私どもも慎重に、これこそ本当に国民の皆さんの御議論も踏まえながら最終の結論を見出したいと思っておりますが、今のところ、金融機関、特に例えば二十一行のようなこういう機関に、それぞれ不良債権はございますけれども、公的資金を出す考えは持っておりません。 今まで信用組合等破綻をいたしました五つの金融機関がございますが、破綻に際しては、特に信用組合は都道府県知事が監督に当たっておりましたから、一定の公的資金を出す、出さないの議論が今もあるわけでございます。そういうレベルの話は当然ありますし、また、預金保険機構そのものは保険料を上げて充実をしていこうという意味で、これは公的資金とは私ども思っておりませんが、保険機構の支援は拡充していかなきゃならないという考え方に立っておりますが、総じて、絶対かというとそうは言いませんが、総じて、全体としては金融機関にいわゆる税金のような公的支援をどんどん出していかなきゃならない状況だとは思っておりません。
○前原委員 最後に要望をして終わりたいと思いますけれども、公定歩合も引き下げられて、そして銀行の業務純益というものが最大になっているということがあります。言ってみれば、預金者の利息が銀行救済に使われている、一つのこれも公的資金がなと。そして、自己競落会社、特別目的会社というものを設立を認めて、そして無税償却を可能にした、これも税収が減るわけですから、ある意味ではもう公的資金を導入しているのと同じ話になります。 そういうびほう策、びほう策と言うと言葉は行き過ぎでありますけれども、もっと国民は真っ正面から不良債権に、総額がどれぐらいで、そしてどのような形で取り組むのかということを求められておると思いますのでぜひそこら辺は、私は、我が党の代表でありますからかばって申し上げるわけではありませんが、今までの金融行政のツケを今一気に払わされるときが来て、大変なときに大臣をされていると思いますけれども、ぜひ、来年は世界のベスト大臣になられると私は確信をしておりますので、それぐらいの決意で臨んでいただければということを期待して、質問を終わらせていただきます。(拍手)
○上原委員長 これにて前原君の質疑は終了いたしました。 次に、西岡武夫君。
○西岡委員 私は、ただいま議題となっておりますことを中心といたしまして、新進党・民主会議を代表して、特に村山総理中心に質問をさせていただきます。 質問に先立ちまして、委員長にお願いを申し上げます。 私は、今日まで国会全体が政治改革というものにここ足かけ七年にわたって取り組んできたところでございます。そうした中で、まず足元の国会の改革がかなりおくれているのではないかということを日ごろ痛感をしているものでございまして、国会の議論のやりとりについても大幅に改善する必要がある、このように私は確信をいたしております。 その一環として、委員長にお願いでございますが、きょう私が村山総理を中心に御質問を申し上げる事柄につきましては、役所の各省庁の皆様方の手を煩わせるような質問はいたしません。したがって、補正予算を提出をされた責任を直接持っておられる主計局長はもちろんここに御出席をいただいて、まあ答弁は要りませんけれども御出席をいただきまして、午後の質問で、若干事柄が異なりますので人事院総裁の出席をお願いをいたしております。 したがいまして、私の政府委員の出席の要請はこのお二人でございまして、他の政府委員の皆様方はどうか御退席をいただきまして、各省庁においてその職務に精励されたい、このお取り計らいを委員長においてよろしくお願いをいたします。
○上原委員長 発言者の御趣旨につきましては理解をいたしますが、できるだけ発言者が要望する所管大臣に答弁させるといたしまして、必要に応じてやはり政府委員も御発言の機会がありますので、その点御理解を賜りたいと思います。
○西岡委員 私は、冒頭に申し上げましたように、それぞれの所管庁の最高の責任者は大臣であります。したがって、大臣に対して私はきょうは御質問を申し上げる、特に総理大臣に対して申し上げるわけでございますから、官僚の皆さん方がこれを補佐するという意味の内答の質問はいたしませんと申し上げているわけですので、そういう国会運営のあり方、委員長が今おっしゃいましたように、その西岡の主張もわかるけれどもとおっしゃったわけでありますから、ぜひおわかりをいただきまして、国会運営のあり方について、この際、一歩でも二歩でも改善をする。 この国会を開くために各省庁の皆さん方がどれだけ答弁資料をつくるのに時間をかけておられるか、私自身も、これまでの長い国会活動を通じて十分その実態というものは承知しているつもりでございます。このことをやはり改めていくということが大きな行政改革の、まず私どもがやろうと思えばやれる第一歩であると考えておりますので、ぜひ委員長におかれては御配慮をいただきたい。
○上原委員長 西岡先生の重ねての御発言でありますが、国会改革の課題につきましては、国会全体の重要な課題であり、改革すべきところは改革する必要があると認識はいたしておりますが、ひとつ御理解をいただいて御質問を続けていただきたいと思います。御協力願います。
○西岡委員 大変残念でございますが、このことにつきまして、どうか今後とも各党同僚の皆さん方におかれまして十分御議論をいただき、少しでも国会の改革をみずからの手で行うように、委員長におかれましてもお願いを申し上げたいところでございます。
○上原委員長 理事会でもよく協議をさせていただきます。
○西岡委員 よろしくお願いいたします。 質問に入らせていただきます。 まず、村山総理にお尋ねをいたします。 総理は、村山政権の使命と目的について、それをどこに置いておられるのか、どのようにお考えなのか、これをお尋ねをいたします。
○村山内閣総理大臣 昨年の六月に首班指名を受けまして、三党の連立による政権が誕生いたしました。これは、三党が政権樹立に当たりまして政策的な合意を行っておる。ことしの六月にちょうど一年になるわけですから、その一年間を点検をしてみて、検証して、やってきたこと、あるいはまだやり足りないこと、あるいはこれからさらにやるべきこと等々、それぞれ三党で話し合いをいたしまして、新三党合意の政策をつくりました。 そういう政策を踏まえて、今政権を担って、政府・与党一体となった形で進めておるわけでありますけれども、私は一つはやはりこういう連立政権が誕生してきた背景というもの、これはもう言うならば世界の構造が冷戦構造も崩壊をして変わってきた。日本の政治においても五五年体制というものが一応終えんをした。これからはイデオロギーの対立てはなくて、政策的に競い合う、そして可能な限り合意点を求めて、民主的に運営をしていく政権が必要だというようなことも十分踏まえた上で、この政権を担ってきたつもりであります。今申し上げましたように、政策的な合意を求めていくということもやってまいりました。 同時に、ちょうど五十年の節目に当たる政権でもありますから、したがってこの五十年を振り返ってみてまだ未解決の問題がある。ある意味では与野党が対立してなかなか合意点が見出せなかった、そのために解決できなかったというような問題もあるのではないか。そういう問題で何とか処理できる問題についてはこの政権で処理をした方がいい、こういう考え方に立ちまして、例えば被爆者の援護法の問題とか、あるいは水俣の問題とか、あるいは従軍慰安婦の問題とか、そういう問題についても、できるだけ整理のできる問題については、解決できる問題については解決をして処理していきたい、こういう意気込みで取り組んできたつもりであります。 そして、可能な限りこの五十年に節目をつけて、そして二十一世紀に向けて新しい時代に、世界に伍していく日本の姿というものを明確に示して、そして、友好、信頼の関係をしっかり築いた上で日本の国が成り立っていくような方向というものを目指していきたい、こういう気持ちで努力してきたつもりであります。 とりわけ、当面は景気が低迷をいたしておる。何としても景気の回復を図っていく必要があるというので、必要な政策をそれぞれ切れ目なく推し進めてきておるところでありまするけれども、いまだ明るい兆しが見えない、こういう状況の中で、皆さん方の御審議を煩わせておりまするかつてない大型な補正予算も計上して、そして一日も早く成立も図っていただいて、そして景気回復のために全力を挙げて取り組んでいきたいと、こう考えておるところでございます。
○西岡委員 もう一点総理にお尋ねをいたします。 これは基本的な問題ですけれども、総理大臣というものはいろいろなことが求められるわけでございますけれども、日本の政治を預かっている最高の責任者として最終的に何が最も必要か、総理大臣として。どのようにお考えですか。
○村山内閣総理大臣 どういう意味で御質問になっておられるのか、質問の趣旨がよく私にはわからないのですけれども、これは日本国には憲法がありますね。憲法に基づいて内閣法というものもつくられておる、あるいはそれぞれのいろいろな法律もつくられておるわけです。 したがって、憲法を前提に踏まえながらつくられておる法律に基づいて行政を執行していく、その責任がある。同時に、これはやはり内閣法によりますとそれぞれ閣僚が責任を持ってそれぞれの省の仕事をやっておる、同時に閣議で決定したことでなければなかなかできない、こういう制約もございまするけれども、しかし、政治全体に対する最終的な責任は総理大臣にあるということも十分踏まえた上で私は取り組んでおるつもりであります。
○西岡委員 私が総理にお尋ねをいたしたかったのは、総理大臣というのは日本の政治に最終的な最高の責任を負っている。したがって、総理大臣に求められるのはやはり決断だと私は思うのです。今日、日本が抱えております問題は数限りなくしかも困難な問題ばかりであります。そういう意味で、今日本の将来を展望する中で、決断すべきことはたくさんある。それだけに村山総理のお立場は大変であろうと私もそのように考えます。 それでは、今日本が緊急の課題として、将来やらなければいけないことはたくさんございますけれども、今この現在緊急の課題として何が一番大事な問題と総理はお考えですか。
○村山内閣総理大臣 決断決断と言われますけれども、私はよくリーダーシップの問題が問われるわけでありますけれども、今申し上げましたように、内閣法に基づきましても、各省の仕事というのはその担当の大臣がそれぞれ責任を持って仕事をされているわけですよ。そして、閣議で決めなければ執行できない、こういう面もありますね。したがって、私は、できるだけそれぞれが責任を持った立場で、民主的に透明度を高めて、国民の皆さんにもよくわかっていただくようなルールをやはり大事にする、言うなれば民主的なルールを大事にするということが必要ではないか。 その民主的なルールに基づいて合意が見出せた場合には、その合意に基づいて執行していくというのは当然の話です。しかし、合意点が見出せないという場合に、やはりそれは最高責任者に決断が求められるという場合には、最高責任者が責任を持って決断をしてやっていくということは当然のことだ、それでその責任を持つというのも当たり前のことだというふうに、私はそう思っております。 今ここで決断をしなければならぬことは何か。私は、大事なことはやはり、先ほど来申し上げておりますように、景気回復の問題だと思うんですね。その景気回復について、その必要な予算案の御審議をいただいておるわけでありますから、その予算の審議を十分やっていただいて、一日も早く成立をさせていただいて執行していく。同時に、関連法案も出ておりますから、その関連法案なりについてもやはり一日も早く成立をさせていただいて、そして全体として景気対策の執行ができるような体制をしっかりつくっていきたい。これが今求められておる課題ではないかというふうに私は理解しております。
○西岡委員 先ほども申し上げましたように、今、日本が抱えております課題はたくさんございます。しかも、今総理も御認識をお述べになりましたように、日本の経済、大変な事態に今立ち至っている。 私ども新進党といたしましては、この臨時国会の開催につきましても、参議院選挙の後に、八月の末、遅くとも九月初めには臨時国会を開いて、そして第二次補正について審議をしたいということを強く要請をしたところであります。しかし、なかなかそのようにいかないで今日を迎えたことについては非常に残念でございますけれども、決断という問題については、総理も御認識のように、最終的にはやはり、幾ら会議といいましても問題が難しければ難しいほど合意がなかなかできない。最後の決断は総理大臣がなさる、これはお認めになりますか。
○村山内閣総理大臣 問題によると思いますけれども、例えば、時間的に、決断をしなければもう手おくれになるというような問題もありましょうし、一定の時間があって、その時間内で合意点が見出せれば、それはやはりそれだけの時間をかける必要があるという問題もございましょうし、いやいやまだ決断するのは早い、結論出すのも早い、もう少し国会の議論も踏まえて、国民の意思も十分やはり確かめた上で結論を出すべきだというような問題もありましょうし、それはケース・バイ・ケースで、ケースによっていろいろあると思いますよ。 しかし、ここはもう、やはりここまで来たら総理が決断しなければ間に合わないよ、手おくれになるというような問題があれば、それは、やはり手おくれにならないように決断をしなきゃならぬのは当然だ、私はそう思います。
○西岡委員 私が申し上げているのは、すべて早急に決断をしなければならない事柄が山積をしている、私はそう考えています。そして、困難な問題であればあるほど、決断というものがおくれれば、選択の幅はだんだん狭くなっていく。非常に狭くなっていく。それだけ決断する余地がなくなっていく。 総理のお話を承っていると、どうも先延ばしをしておられるということを、言いわけをおっしゃっているように思うんですけれども、私は、日本の経済にとって最大の具体的な解決しなければならない決断を要する問題は景気の回復、なかんずく金融機関あるいは不動産あるいは建設会社等が抱えている多くの不良債権、この問題について、速やかにこれは解決をしなければ、今審議を私どもがしております第二次補正もなかなか生きてこないのではないかという認識を持っているわけです。 そういう意味において、後刻、午後の議論で具体的なことについてはいろいろと私の考えも申し上げ、総理あるいは大蔵大臣のお考えもお聞きしたいと思っておりますけれども、この問題が当面の最大の課題である、こう考えますが、総理はどうお考えですか。
○村山内閣総理大臣 今御指摘のありました不良債権の問題、これはバブルが崩壊した後、そういう不良資産が、持っている資産の価値がずっと下がって、そして償いがつき得なくなったといったような問題が起こってきておる。そのために金融不安も起こり、あるいは土地問題等の流動化についてもいろいろな阻害がある。これも私はやはり一つの課題だと思います。 しかし、もっと日本の経済構造全体を見た場合、これだけ戦後急成長を遂げてきた日本の経済の体質というものの中には、もうこれだけ国際化して、あるいは自由化された時代の中に、やはりそうした国際化、自由化に対応できない、言うならば妨げとなっておる、あるいは足かせになっておる、そういうものも日本経済が持っている体質の中にはたくさんあるのではないかというので、規制緩和の問題とかいうようなことが問われて、今真剣に取り組んでやっておるわけですよ。 そういう体質を変えていくことも私はやはり大事なことだと思いますし、そしてこの今の経済変化の状況を乗り切る、そして新しく二十一世紀に向けて日本が開発をして担っていかなければならない経済分野は何なのかということもやはり思考していくというようなことも、今当面与えられた課題としては大事な問題ではないか。 そういう全体の経済の基盤というものをしっかり構築をしていく上で、不良債権の問題等についてもこれは当面早急に解決しなければならぬ大事な問題だというふうに思っておりますから、年内にそうした問題の処理に対する方向を出していくために議論をしていこうというので皆様方の御議論もいただいておる、こういう状況にあることについては御理解を賜りたいと思うのです。
○西岡委員 不良債権の問題、銀行、金融機関のこのシステムをどうするのか信用の回復をどうするのかという問題については、午後の質疑を通じて総理、大蔵大臣のお考えを明らかにしていただきたいと思っておりますけれども、その前に、やはり先ほど総理は、よく使われております脱イデオロギーの時代というような御認識をおっしゃいました。 私自身は、イデオロギーというものがない政治というのはないと考えています。脱イデオロギーというのは非常に耳ざわりのいい言葉で一般化しておりますけれども、私は、やはり政治の基本にあるのは政治の一つの理念であり思想であり哲学である、このように考えています。 そこで、私自身ずっと日本社会党さんの動きを拝見してくる中で、大変な転換を社会党さんはなさったな、その余りにも思い切ったと申しましょうか、これは本物なんだろうかと疑うぐらいに大変な政策的な転換をされた、それが本物ならばですね。 そこで、一体その社会党さんの基本的な理念というのはどこに基づいているのだろうかということについて、具体的な政策の問題に入る前にお尋ねをしたいと思います。 具体的に申し上げますと、日本社会党のよって立つ立党の精神というものはどこにあるのか、これをちょっとお尋ねいたします。
○村山内閣総理大臣 社会党の問題についていろいろ御心配いただきまして、本当に感謝申し上げます。 私は、政治家個人としてもやはり理念やらあるいは哲学を持つことはそれは当然だと思いますし、それだけに政党自体がその理念や政策を持つことも、私はそれは当たり前のことだし、当然のことだと思うんですよ。 ただ、私が申し上げたいと思いますのは、従来のように資本主義か社会主義がといったような形における政策論争というのは、一応この五十年の経過の中でもう終止符が打たれたのではないか、したがって、そういう意味におけるイデオロギーの対立というものは解消したのではないかと思うのですね。 そして、今までは、これはどっちがいいか悪いかということは別にして、例えば安全保障の問題等についても同じ土俵の中に乗って議論ができなかった、そういう面があったと思います。 しかし、今日、もうそういう時代ではないということも反省をして、同じ土俵の中で日本の安全保障をどうするかといったような問題についても真剣に議論していこうじゃないか、こういうあり方に変わってきているんですから、私はこれは国民のために非常にいいことだというふうに思っています。 社会党は理念を変えたと言いますけれども、これは何か突然変えて、そして本物かという御心配もいただいているわけです。それは私が総理になってから政策転換をしたわけですけれども、しかし、それ以前に党内ではそういう議論はもうずっとやってきているんですよ。そして、しかも私が総理になったことを契機にして、それをさらに党全国大会で二回ほど深めて、そして議論をし合って、そして大会で方針を決めたんですよ。ですから、これは本物ですから、どうぞお疑いなく社会党をごらんになっていただきたいというように思います。
○西岡委員 お言葉でございますけれども、日本社会党は現在政党として綱領というものを、党の綱領をお持ちなんですか。
○村山内閣総理大臣 九五年宣言というものを先般の大金で確定いたしまして、綱領にかわる文書というものを今持っています。 これは今申し上げましたような時代の変化に対応して、今日の国際情勢なり国内情勢を十分踏まえた上で必要な改正を行う。そして、二十一世紀に向けて新しい日本をつくっていくための指針というものをしっかり指し示しておるというものであるというふうに私は理解しております。
○西岡委員 それでは、一九五五年の、昭和三十年の日本社会党の綱領は破棄されたと認識してよろしいのですか。
○村山内閣総理大臣 これまで持っておりました綱領は、歴史的文書として保存をいたしております。そして、新しい綱領を、綱領にかわる九五年宣言というものを大会で審議をして決定をした、こういうことであります。
○西岡委員 そうすると、歴史的文書ということは、これは破棄されたということですね。
○村山内閣総理大臣 私は、戦後五十年の歴史を振り返ってみて、そしてこの社会党が非武装・中立を唱えてきた、いろいろな運動をやってまいりましたけれども、それはそれなりに国際情勢を反映した国内の中で、日本の国はどうあるべきかといったような問題について対立して争いをやってきた、運動をやってきたという経過があるわけですね。その運動の基本になっておるのが綱領である、私はそういうふうにも思っています。 そういう意味から考えてまいりますと、先ほど来申し上げておりますように、これだけ国際情勢も変わり、国内情勢も変わって新しい時代になっているわけですから、したがって、そういう歴史的役割は一応終わったというので、今まで持った綱領は歴史的文書として保存をしてあるというふうに御理解をいただきたいと思うのです。
○西岡委員 私がなぜこうしたことについてまずお尋ねをしているかといいますと、具体的な政策を進めるに当たっての基本的な、総理のよって立つところがどうも明確ではないからです。 その歴史的文書として残しているとおっしゃるのはどういう意味なのか。時代は変わった、日本社会党も変わったと。それならば、破棄した、新宣言に変わったんだと。前のものは、これは歴史的文書というのは全部が歴史的文書ですから、あらゆるものは。それを保存してあるとおっしゃっても、ちょっとそれは図書館の話をしているわけじゃありませんから、そういう古文書の図書館ではないんですから。これはどうお考えなのか、これを明らかにいたしませんと、村山内閣が具体的な政策を進めていく、そのよって立つところの基本的な理念というものが明確ではない。 しかも、今の村山政権は、国民の皆様方から衆議院を解散して信任を受けた、新たな信任を受けた、変わった社会党が内閣を組織して政権の中心に座って、国民の皆様方からこれをどう見ていただいているのかということについて明確な判断をまだいただいていないと思うのです、参議院選挙においては確かに一定の判断が下されたと私は思っておりますけれども。その政党としての基本的な理念というのはやはり綱領にあると思うんですね。それを歴史的な文書として保存しているとおっしゃっても、これはどうも理解できない。国民の皆様方もわからないと思うんですね。それをお尋ねしているんです。
○村山内閣総理大臣 それは言葉の使い方だと思いますけれども、歴史的文書として保存をしてあって、これから社会党が運動を展開するよって立つ理念というのは九五年宣言にある、したがって過去の綱領にはないということは、これは明確ですよね。 しかし、私どもはやはり過去の歴史に学ぶということも大事なことですからね。したがって、そういう意味では歴史的な文書として保存をしておく。だけれども、その理念をまた復活させるとか、またそれが生き返ってくるとか、そんなことを言っているわけじゃありませんよ。これは九五年宣言というものを新しくつくって、大きく変わったわけですから、変わった綱領、九五年宣言がこれから社会党が運動を展開していく上でよって立つ理念だというふうに御理解いただいて結構だと思います。
○西岡委員 私はなおこの問題についてはしつこくお尋ねをいたします。なぜかと申しますと、綱領が歴史的な文書になった、新宣言をやった、これは一九八六年ですか。そして今度は九五年宣言だと。一体どこに基本的なものが存在するのか、新宣言と九五年宣言とはどう違うのか、来年になったら九六年宣言なのか、こういうことになりかねない。 だから、綱領を破棄したとおっしゃるならば私は理解できます。九五年宣言がまさに日本社会党の綱領なんだ、そうおっしゃるならば私は理解できます。
○村山内閣総理大臣 党大会、党の手続として、綱領にするためには例えば三分の二以上の賛成が要るとか、いろいろやはり手続の問題があるわけです。したがって、これは綱領にかわる文書という言葉を使わせてもらっておりますけれども。ですから、これは綱領にかわる文書ですから、綱領というふうに理解していただいても結構です、客観的には。 それで、これまでの綱領は歴史的文書として保存をしてあって、そしてこれから運動をするによって立つ理念というのは、この九五年宣言が新しい綱領になるというふうに理解して結構です。
○西岡委員 今の総理のお考えでかなりはっきりしました。何がはっきりしたかといえば、日本社会党を構成する皆さん方の三分の二以上の賛成が得られていないから綱領は新しいものにかえていないんだ、そういうことですね。
○村山内閣総理大臣 そういう手続の問題もありますけれども、しかしこれは、その手続を踏んでいないから、なんですけれども、これは全会一致で決まっているわけですから、全会一致で。したがって、これは党の新しい綱領として宣言は存在しておる。(発言する者あり)これは、私が党の委員長としてそういう説明をしておるのに、はたからそうじゃないんじゃないかなどというようなことを言われても、これは迷惑な話でありまして、私は委員長の責任において、ここで明確に申し上げているわけですよ。九五年宣言が社会党の新しい綱領でございますと、こう申し上げているのですから。
○西岡委員 いや、これは異なことを承るわけで、三分の二の多数でなければ綱領は変えられないとおっしゃったではありませんか。
○村山内閣総理大臣 これは、大会の議論に付する付し方やら、いろいろ党の運営上の問題がありますよ。ここで、まあそれは社会党自体の問題ですから申し上げませんけれども。しかし、この九五年宣言というのは全会一致で決められたというものでありますから、したがって綱領だと、そういうふうに理解してもらっても結構ですと、こう私が党の委員長として申し上げているのですから、そのとおりにお受けとめをいただきたいし、御理解をいただきたいというように思います。
○西岡委員 全くわかりません。 なぜそれでは、そうおっしゃるならば、これを綱領としないで、何か宣言とか、先ほども申し上げたように、九五年宣言、来年また九六年宣言で別のことを言われて、それで政権を運営されたのでは国民はたまったものじゃありませんから、そこをはっきりしていただきたい。というのは、具体的な経済政策にせよ、あるいは教育政策にしろ、基本的な考え方はどこにあるんだと。 ここで私は、歴史的文書というふうにおっしゃいましたから、あえて一九五五年の、現在なお、私の認識では、先ほどから総理の答弁を拝聴しておりまして、歴史的文書とおっしゃっているけれども、これは破棄されていないとしか、三分の二なければ変えられないわけですから、手続論としてもそれは党としては残っているんだと思うのですね。それをなぜ破棄できないかというところに日本社会党の基本的な問題が私はあるのじゃないかと思うのです。 その基本的なことがはっきりしない中で、具体的な政策をどこまで御信頼申し上げていいかわからない。それを私はお尋ねしているわけです。
○上原委員長 発言者に御協力願いますが、午後にしていただきたいと思います。 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時二分休憩 ————◇————— 午後一時一分開議
○上原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。西岡武夫君。
○西岡委員 午前中、総理に対して、日本社会党の綱領問題を中心にお尋ねをいたしました。これが破棄されたのか。歴史的文書ということで残っているということのようでございますが、少なくとも、一つの政党がその基本的な理念というものを、立党の精神というものを綱領に求めるということは、これは当たり前、普通の姿であろうと私は思います。 そういう意味でかなりしつこくお尋ねをしたわけでありますが、依然として、午前中の総理の御答弁では、綱領が生きているのか、破棄されたのか、まだ明確ではありません。生きているのかどうかということだけ一言、これだけは明確にしていただきたいのです。歴史的文書といいましても、一応本棚の中に入れてある、また出してくるということがあり得るのかどうか。 なぜ私はこういうことを申し上げるかといいますと、時代が大きく変化していく中で、そのときそのときの風景、周りの風景、景色に合わせて政党がその年々の宣言を出されて、これが我が党の基本的な姿勢であると言われては、これは国民の皆さん方も、一体日本社会党は何を考えておられるのかということがはっきりしない。 これは日本社会党だけの問題ならいいのですが、何といいましても委員長が内閣総理大臣でありますから、日本の命運を決定する重要な立場に立っておられる。その総理を出している政党の綱領が一体どこにあるのか、精神がどこにあるのか、これがあいまいでは、これは国民の皆さん方も納得できません。私は、この問題についてはやはり明確にお答えになる責任がある、こう思います。
○村山内閣総理大臣 せっかくの御質問ですから、ちょっといろいろな文書を取り寄せて、私も正確さを期す意味で持ってまいりました。 それで、歴史的に日本社会党を振り返ってまいりますと、一九四五年、昭和二十年ですね、終戦の年に日本社会党は結党されているわけです。そのときに結党綱領というものをつくっています。これはもうごく簡単なものでありまして、政治的には民主主義、経済的には社会主義、国際的には平和主義、この三条でもって結党の綱領というものをつくっているわけですね。そしてずっとやってきているわけです。 それから一九五五年、これは左右社会党が統一したときですね、統一綱領というものをつくりました。そして一九六四年に「日本における社会主義の道」というものをつくったんです。この「日本における社会主義の道」というときから、綱領でなくて綱領的文書という表現に変えたんですよ。 それから一九八七年に新宣言をつくりました。この新宣言も、やはり同じように綱領的文書になっているわけですね。そして一九九一年に、これは規約を改正をして、社会主義という言葉から社会民主主義という言葉に変えたんです。これは規約で変えたんです、名称を。そして一九九五年に、先ほど来申し上げておりまする九五年宣言というものをつくったわけです。この九五年宣言も綱領的文書というふうに位置づけていますね。 したがって、綱領という名称を使ったのは結党のときと統一をされたときの統一綱領だけであって、それ以後は全部綱領的文書という表現で扱ってきているわけです。ですから、この綱領的文書というものが綱領にかわるものだというふうに御理解をいただきたいと思います。 そして、新宣言から九五年宣言に変わるときにこういう表現を使っているわけです。これは正確を期す意味で言わせてもらいますけれども、 日本社会党は結党以来、社会的公正と平和、国際民主主義を求めてきました。この主張と行動は、政府の政策に影響を与え、国民の共感も集めました。しかしその半面、体制を変えようとするこれまでの社会主義的な政策手法は、世の中の急激な変化や、国民の生活感覚に対応できないという限界も生みだしました。私たちはその反省と教訓から、一九八六年に決定した「新宣言」で、現在の体制を認め、体制内で緩やかな改革を積み上げる社会民主主義の政策手法をとり入れています。 その「新宣言」も時代の新しい潮流にもまれ、冷戦後の新時代を担うことが困難になっています。私たちは、党改革を進めるうえで、歴史的な役割を果たした「新宣言」を新たな基本文書「九五年宣言」に発展させることにします。これによって「新宣言」は、大きな役割と任務を終え、歴史上の文書となります。こういう表現を使っているわけですね。 したがって、今お尋ねのありました歴史的文書というものが生き返ってくることがあるのかということにつきましては、生き返ってくることはありませんということを私は明確に申し上げておきたいと思いますね。 ただ社会党は、やはり先輩がやってきたことを大事にしたいという気持ちもあって、これをこのまま破棄してしまうんだというのではなくて、歴史的文書として保存をしておこう、こういう扱い方にしているんだというふうに御理解をいただきたいと思います。
○西岡委員 これはまた不可思議なことをおっしゃるわけで、政党の綱領というのを先輩がつくったのでこれは大事にしていく、その内容について現時点の日本社会党が、党としてはそういう立場をとらないけれども、先輩がつくったものについてはこれは尊重して大事にしなきゃいけないというのは、これは理屈として私は全く成り立たないと思うんです。 というのは、今お話がございました日本社会党の綱領、これは一九五五年の綱領ですが、この中で、もうこれは明確に社会主義社会というものを目指すということを書いておられるわけですね。こうした先輩の精神というのもきちっとお残しになっておられるということですか。
○村山内閣総理大臣 やはりそれぞれの時代の背景というものがあって私は運動も展開されるし、そういう綱領もつくられていると思うんですね。したがって、その時代に対応した歴史的役割を果たしてきたという意味ではそれなりに評価してもいいんではないかと思うんですよ。ただ、それが、変わった時代の中に生き返ってくることがあるかといえば、そんなことはありませんと、こう明確に申し上げているわけですね。 したがって、先輩のやってきたことを大事にするということは捨て切れないんじゃないかというふうに思われるとすればそれは誤解でございまして、私が申し上げますのは、たびたび申し上げておりますように、それぞれの時代を背景にしたそれぞれの運動があったし、それぞれの理念があった、しかし、時代が変わってくれば、変わってきた時代にやはり対応できる理念なり政策をとっていくのは当然のことでありまして、毎年毎年変わるなんてことはそれはありませんよ。ですからまあ十年に一遍変わるとか何年に一遍変わるとかいうようなことはあり得るかもしれませんね。 しかし、それは変わって新しくつくられた綱領、いわゆる綱領的文書がこれから運動する運動の理念になっているのであって、昔のものが生き返ってくることはありませんと、このことはもう明確に申し上げているわけです。
○西岡委員 午前中の総理の御答弁の中に、綱領をこれを破棄する、新しい綱領をつくるというためには三分の二、ちょうど憲法改正と同じことになるんですけれども、三分の二の賛成が必要だ、言いかえれば、だからこれは破棄できなかったという意味のことをおっしゃったわけです。 そうすると、現在の日本社会党を構成するメンバーの少なくとも三分の一強は、三分の一以上の皆さん方がかつての一九五五年の綱領を捨て切れないでおられる、こう解釈していいんですか。
○村山内閣総理大臣 いや、もうそれはあなたが前提を固定的に決めつけて、そしてお尋ねになっておりますから、私にはどうもちょっとわかりにくいんだけれども、綱領というこの表現を使いましたのは結党綱領のときと統一された統一綱領のときだけであって、それ以後は全部綱領的文書という表現を使っております。 この新宣言は満場一致で決定をいたしました、こう申し上げているんですから、したがって、三分の二とか三分の一とかいうのは党内の手続としてそういうものがございますということを申し上げたのであって、この新宣言は満場一致で大会で採択をされたものですということを申し上げているわけです。
○西岡委員 この問題をいろいろお話をしておりましても、なかなか明確にお答えになれないお立場のようでございますから……。 社会主義を社会民主主義に変えたとおっしゃっておりますけれども、日本社会党のいろいろな文書を私も拝見をしておりますと、社会民主主義も社会主義の一形態である、このように書かれてあるんですけれども、総理はそのようにお考えですか。
○村山内閣総理大臣 これはもう私が申し上げるよりも文書によって、これは決められている文書ですから、正確に申し上げた方がいいと思いますから申し上げますけれども、この社会党の規約を改正するときに、これは前文を皆変えたわけですけれども、私たちは、社会主義の最も民主的な姿である社会民主主義を選択をしますということを明確にしているわけです。社会民主主義を選択しますと。「それは、科学技術の進歩と現代文明の果実を、議会制民主主義のもとですべての人が公正に享受し、福祉がくまなく行きわたる社会制度をめざす。」こういうふうに言っておりますから、したがって、この規約で日本社会党は社会主義という言葉をなくして、社会民主主義という言葉に変えたということはもう明確になっておりますから、御理解をいただきたいと思います。
○西岡委員 それでは新宣言、これは、ここに書かれてあることはもう破棄されて、九五年宣言の中でこれで取ってかわられたということですか。取ってかわられたということですか。
○村山内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、新宣言も歴史的文書として、九五年宣言が今日の社会党の持っておる綱領にかわる文書であります。
○西岡委員 これは新宣言、九五年宣言、先ほど午前中も申し上げましたけれども、いつ綱領的な文書——日本社会党の基本的な理念というものは、しょっちゅうそうお変わりになるということなんですか。 なぜ私がこういうことを重ね重ね申し上げているかといいますと、この日本社会党の新宣言の中では基本政策を四点に集約しておられるわけですね。その第一点目に「非同盟・中立・非武装の実現。」ということが明記されています。そのほか、これは社会主義の問題についていろいろと書かれてあるわけですけれども、一体これはもう全くなくなってしまって、これまでの社会党の政策は全面的に否定する、そして新たにこの九五年宣言に基づいてこれからの社会党の政策は進めていくんだと。 ところが、私が知る限りにおいては、日本社会党は、これまでのみずからの政策の誤りというものを国民の皆さん方の前に一度も明確にしておられないと思うんです。今までの考え方は間違っていたんだ、だからこれからこうするんだ、それが全くないままに、あなたは今内閣総理大臣として日本の将来をまさに担っているわけです。明確にしていただきたい。
○村山内閣総理大臣 私はこれまでも、この委員会なりでそういう質問を受けてまいりました。その際に申し上げてまいりましたけれども、戦後五十年の歴史の中で、それぞれやはり国際情勢というものもありますし、その国際情勢を背景にした国内の諸問題もございます。 そんな意味では、米ソが対立するという中で、日本の平和憲法が持っている役割というものは一体何なのかということを十分踏まえた上で、あくまでも平和憲法を守り抜くという立場に立った運動が必要だ、そして日本は再び軍事大国にならないという路線をしっかり踏まえていく必要もあるという意味で、社会党がやってきた運動は、私はそれなりに評価される点があると思いますよ。私は、そういう意味では誇りに思っている点もございます。 ただ、これだけ情勢が変わってきて、冷戦構造が崩壊して、今や協調の時代になったのです。協調の時代になったときに、あくまでも対立している時代の方針をそのまま引き継いで運動が効果的に展開できるかといえば、それはできないのは当然ですから、情勢が変わってくれば、その情勢に対応した正確なやはり方針というものをしっかり打ち立てていくというのは当然ではないでしょうか。 私は、そういう意味で、社会党も情勢の変化に対応して、新しい時代を乗り切って、十分国民の期待にこたえ、国際的な役割が果たせるような日本というものをつくるためにどうしたらいいのかということを真剣に考えてつくられた方針であるというふうに思っております。
○西岡委員 それではお尋ねをいたしますが、日本の安全保障という問題は、極めて日本の将来のために重要な課題であります。 この問題について、総理のところの党の久保書記長が、ことしの七月二十四日の「NHKスペシャル」という番組で、こういう発言をしていらっしゃるわけです。社会党さんは自衛隊についても次々とその公約といいますか、考え方を変えていったではないか、そういうやりとりの中で、政権をとりました場合に、軍縮という手段によりまして、これをできるだけ速いスピードで縮小していく、そして将来、軍縮の極致というのは軍備ゼロの状態をいうわけです、そのときには違憲、合憲の論議の余地がなくなる、こうおっしゃっているわけです。 そうすると、現在の自衛隊、これは社会党さんは違憲的ということをおっしゃったわけですね、違憲であると。実はこのお考えは、ことしの通常国会の冒頭に、我が党の市川雄一議員からこの場で、総理との間でやりとりがございました。あのときには阪神・淡路大震災の問題もこれあり、論議は途中で終わっております。 この自衛隊が憲法に違反する存在であるのか、そのようにお考えなのかどうなのか。今のこの九五年宣言がまたいつ変わるかわかりませんけれども、これが行われた後の御堂の書記長の発言が、今申し上げたような発言を公になさっているわけですから、この点について明確にしていただきたい。
○村山内閣総理大臣 大変恐縮ですけれども、またいつ変わるかわからないというような表現を使われますと、社会党がくるくるくるくる変わるのじゃないかというふうに受け取られても困りますからね。ですから、私は、綱領から宣言に変わった年限まで申し上げまして、そしてこういうふうに変わってまいりましたということを申し上げたのです。そして、今はこの九五年宣言が社会党の綱領的文書として社会党の運動の背景となっております、こういうふうに申し上げているわけですから、これは当分これを守っていく方針で党大会で決めているわけですから、そのように御理解をいただきたいと思うのです。 それから、自衛隊が合憲であるということについては、私はもう明確に申し上げましたし、党の方針もそういうふうに変更になっておりますから、誤解のないように御理解願いたいと思います。
○西岡委員 今私が質問申し上げました久保書記長の七月二十四日のNHKの番組での発言、これはどのようにお考えですか。 もう一度申し上げましょうか。結局、日本社会党さんが政権、今連立政権とはいえ内閣総理大臣を出しておられるわけでありますから、その政権で、将来、軍縮の極致というのは軍備ゼロの状態をいうわけです。これは当然のことですね。そのときには違憲、合憲の論議の余地がなくなる。ということは、現在は違憲、合憲の議論の余地が残っているということを書記長はおっしゃっているわけですね。
○村山内閣総理大臣 社会党は、党の大会で明確に私が申し上げました方針を決めました。しかし、まだ日本の国全体の中には、違憲、合憲という議論は憲法学者の中にもありますよ。そういう意味で、そういう議論はなくなるんではないかというふうに書記長は言ったんではないかと私は思います。 それは、そのときに私がおったわけじゃありませんから正確にはわかりません。今、あなたの話を聞いておりまして、私はそういう意味のものだというふうに思いましたし、同時に、軍縮の方向を目指し、究極的にやはり軍備の必要ないような世界ができれば、それは一番いいわけですから、そういう方向を目指して我々は努力をし、頑張る必要があるというのは当然のことだと思っています。
○西岡委員 少なくとも日本社会党の書記長の御発言でありますから、自衛隊の存在について日本社会党がどう考えているのかということについて、この十カ月ばかりの間に、我が党の市川雄一議員からの質問、それにお答えになったときの議事録も私も詳細に拝見をいたしましたが、なかなか明確、明快なお答えになっていないように私は拝見をしました。 それでは、日本社会党は、自衛隊について、今方針をお変えになる前は、どの憲法の条文に従って憲法違反であるとお考えになり、現在は憲法に違反しないというのは、何を根拠におっしゃっているわけですか。
○村山内閣総理大臣 今はもうあのときに討論をしたときの資料も文書も持っていませんから、事前にお話があれば用意をしてきたつもりなんですけれども、思い起こしながらの答弁になると思いますが……。 私は、そういう米ソが対立する国際情勢の中で、日本に軍拡の方向というものが、あらゆる角度から議論をされ、そういう流れに行く可能性がある、それを阻止するためには、やはり憲法の持つ前文に書かれておる平和理念というものをしっかり踏まえて、その誤った道だけは阻止をしたい、こういう立場に立って運動を展開してきたのであって、憲法のどの条文に照らしてどうのこうのという議論は、私はしておりません。
○西岡委員 これは全く、自由民主党の単独政権の場合においても、憲法の前文に従って自民党政権は日本の国の安全保障をどうするのか、国際的な役割はどう果たしていくのかということを一貫して政策の基本に置いてきたと私は記憶をしております。少なくとも日本社会党は、自衛隊は憲法に反する存在であるということを明確におっしゃっていた。それが合憲というふうに変わったのは、憲法のどこの条文についての解釈がお変わりになったのですか。
○村山内閣総理大臣 これは、私は一貫をして答弁を申し上げましたけれども、憲法の前文というのは憲法全体を貫いておる理念だと私は思いますね。その理念がゆがめられるような政策が推し進められる可能性がある、これだけは何としても阻止したい、そのためには、軍拡に対して阻止する一つのやり方としては非武装・中立ということが一番いいんではないかという立場から政策を立てました。 その非武装・中立という政策を推し進めていく限りにおいては、運動として自衛隊は違憲ではないか、前文に反するではないか、こんなものはいかぬ、こういう立場で運動を展開したんであって、私は、国際情勢が大きく変わった状況の中では解釈が、解釈というか、そういう意味における判断が変わるのは、ある意味では当然のことではないかというふうに思っています。
○西岡委員 私が知る限りにおいては、日本社会党さんは、自衛隊は憲法違反であるということを一貫して言ってこられたわけです。それが、これは結構なことなんですけれども、自衛隊が合憲であるというふうにお変わりになった憲法上の根拠を教えていただきたい。どの条文が憲法違反であったけれども、社会党は間違っていた、だから憲法の上で自衛隊は合憲的存在なんだと、どういうふうにお考えになってどう変わったのか、どの条文について解釈をどうお変えになったのか、明確にしていただきたい。
○村山内閣総理大臣 これはもう、それはあなたからどう言われようと、私は私のそういう、かかる見解でもって合憲であるというふうに申し上げておるんであって、社会党が違憲だと言って運動を展開してきた、それは憲法全体を貫いておる平和理念というものを踏まえて申し上げておるんであって、どの条文がどうだからこうだからということではございません。 したがって、国際情勢がこれだけ変わってきたんですから、したがってそういう運動も、軍縮の方向に流れが変わってきておる、したがって党の運動として変わってくるのは当然ではないですかというふうに申し上げておるんであって、憲法のどの条文の解釈が変わったから違憲から合憲になったのかというふうには私は理解しておりません、こう申し上げておるわけです。
○西岡委員 これは文学的な論争をしているわけじゃないんですね。憲法の論議をしているわけです。少なくとも日本社会党さんは、一貫して憲法に違反すると言ってこられたわけですから、どこに違反していたのか、これはお尋ねしてどこがおかしいんですか。
○村山内閣総理大臣 ですから、私は、憲法の前文に書かれておる、憲法全体を貫いておる平和理念に照らして今やっておる政策は間違いだ、その運動を阻止するための運動として違憲という言葉を使わせていただいたんで、しかし、国際情勢がこれだけ変わって、前文に沿うような政策が推し進められる限りにおいてはこれは合憲であるというふうに申し上げておるわけですよ。
○西岡委員 これは総理、そのお話は全くおかしいんじゃないですか。憲法の前文に書かれてあることを情緒的にいろいろとおっしゃっていますけれども、少なくとも私の記憶では、日本社会党さんは、憲法に違反した存在である、そして、私も文教行政、文教政策に長年携わってきて、大変非力で、現状について私も憂えているところでございますけれども、そうした中で、自衛隊の皆さん方が防衛大学校を卒業して国立の大学院に入る、これは防衛大学校の卒業生だから入れないという運動まで起こったんです。それは、日本社会党さんが、自衛隊の存在は憲法に違反する、そういうことを明確に国民の皆さん方の前で一貫して主張してこられたわけです。 それは、前文でそうごまかされては困るわけで、憲法のどの条文で違憲であり、現在はどの条文で合憲というふうにお考えなのかとお聞きしているんです。(発言する者あり)
○上原委員長 お静かに願います。
○村山内閣総理大臣 これはもう理解と解釈の違いじゃないかと思いますけれども、私は私なりの理解と解釈を持って申し上げているんですよ。それを、あなたの言うとおりにならなければ承知できないというのでは、これはちょっと話にならないので、私は、あくまでも憲法の前文に照らして、憲法全体を貫いている平和理念に立ったときに、これは憲法に違反するのではないかということを申し上げているのであって、世界情勢が変わってきて、そして政策が変わっていくのは、これは当然のことですよ。 今ある自衛隊が、これは違憲だからといって我々は運動をやってきたわけなんですね。しかし、そうした全体の情勢が変わってきて、憲法全体を貫いている平和理念がそのまま大事に守られていく、こういう前提に立ったときに、自衛隊に対する扱い方なり政策が変わっていくのは、これは政党としてある意味では当然のことではないかというふうに思うのです。
○西岡委員 これは総理、自衛隊の存在そのものが憲法に違反するとおっしゃってきたのですよ、存在そのものが。憲法の解釈をお変えになったということですか。
○村山内閣総理大臣 憲法の解釈を変えたというのではなくて、憲法を貫いておる平和理念の扱い方が、政策として一方は軍拡をとっておるし、一方は軍縮を目指すわけですから、それは真っ向から対立しておるわけですよ。その運動の方法として、政策として、方針としてそういうことを言ってきたのです。だけれども、情勢が変わってきて、平和理念は守られて協調していける時代になったという場合に、自衛隊に対する政策が、方針が変わっていくのは、これは政党として当然のことではないでしょうか、こう申し上げているわけです。
○西岡委員 私がお尋ねしているのは、日本社会党さんがそのようにお変わりになったということは非常に結構だと思うのです。しかし、少なくともどの条文に従って憲法違反の、自衛隊そのものが憲法違反だとおっしゃってきたのですから、それが情勢の変化で、憲法のどこを解釈して、何条を解釈して合憲的だというふうに判断されるようになったのかということをお尋ねしているわけで、それは長いこと憲法違反の存在だ、存在だとおっしゃっていたのですから、これはやはり国民の皆さん方の前に明らかにする責任がおありになりませんか。
○村山内閣総理大臣 いや、ですから、私は私が理解し解釈している解釈を申し上げているのであって、それは、もう何遍も繰り返しますけれども、憲法全体を貫いておる平和理念、それは前文に書かれておるものですね、その平和理念に反するようなことが行われれば、それはやはりそれを阻止するために運動を展開していく。その運動を展開するための政策として、方針として、自衛隊は違憲だということも言われてきた。 しかし、情勢も変わってきて、その憲法の前文が協調してお互いに守っていけるような情勢になってきた。したがって、その情勢を背景にして、自衛隊に対する方針なり政策なりが変わってくるのはある意味では当然のことではないだろうか。だから社会党は変えたのです、こう申し上げておるわけです。
○西岡委員 これは総理、非常に重大、重要な問題なんですね。憲法学者の中にもいろいろな御意見があろうかと思いますけれども、少なくともこの憲法に違反する存在であるということを前文の議論としてなさるということについては、これは憲法学者の間でも私の知る限りでは全くの少数意見であると思うのです。やはりそれぞれの条文に従って憲法に違反するかしないかという判断が初めてできるのであって、これは明確にお答えをいただきたい。
○村山内閣総理大臣 それは明確にしろと言っても、私はそういうふうに理解をして解釈をしていますということを申し上げているわけですから、それをそれ以上に明確にしろと言ったって、これはちょっと私は変えようがございません。 そして、今あなたもおっしゃったように、憲法学者の中にはいろいろな解釈をされる方がありますよ。それは、第九条をとらえて、そして合憲だ、違憲だという意見もあるでしょうし、私の承知している限りにおいては、前文に照らしてそういう扱い方をしてきたという憲法解釈をされている方もありますよ。それは学者の中にはいろいろありますよ。私は私が今申し上げたような解釈に立って申し上げておるということで御理解を賜りたいと思うのです。
○西岡委員 総理が九条ということをおっしゃったので申し上げますが、少なくとも憲法第九条に基づいて、日本社会党さんは自衛隊は憲法に違反する存在であるということをこれまでは言ってこられたんじゃありませんか。
○村山内閣総理大臣 憲法学者の中にもいろんな解釈があるというふうに申し上げましたけれども、ですから、社会党の中にも、これは個人的にはいろいろな解釈を言っている方があるかもしれませんね。 しかし、私は、私の今まで一貫して解釈したことを申し上げているのであって、そのように御理解を賜りたいと思います。
○西岡委員 これは市川雄一議員とことしの一月の段階での総理とのやりとりも同じような推移をしたわけでございますけれども、これは総理、そういう情緒的なお話では困るのですね。違憲であるということは常に条文に照らして違憲であるということが憲法をめぐっての論争の基本じゃありませんか。そうおっしゃってきたのじゃないですか。
○村山内閣総理大臣 これはもう何度お聞きになられても、私はそういうふうに信じていますし、そういう解釈でやってきているわけですからそれ以上に申し上げられないと思いますけれども、これはやはり憲法の前文というのは、憲法全体を貫いておる一つの理念がうたわれておる。その理念に照らした場合に、今とられておる政策は誤りだ、憲法に反するという意味で自衛隊は違憲だ、こういうふうに私は申し上げてきたのです。 国際情勢も変わって、今申し上げましたように、そうした国際情勢を背景にして、軍縮の時代になり、協調の時代になったという背景の中で連立政権も生まれて、そして同じ土俵の中で議論をし合えるような状況になってきた。それで、この前文をお互いに尊重して、憲法を大事にしていこうではないかという話になっておるわけですから、したがって、そういう立場に立って、この自衛隊に対する方針なり政策が変わってくるのは当然ではないかというので、私は変えましたと、こう申し上げておるわけです。
○西岡委員 私は、この論議は政治の議論であって、法制局長官にお尋ねするつもりは全くなかったんですけれども、長官にお尋ねをあえていたします。 法制局長官にあえてお尋ねをいたしますが、今総理が前文ということで判断をしたんだとおっしゃいましたが、憲法に違反するという違憲訴訟が前文をめぐって行われた例がございますか。
○大出政府委員 憲法の前文の規定というのは、それ自体として裁判規範として考えられているものではない、こういうのが一般的な考え方であろうかと思います。 ただ、この前文といいますのは、先ほど総理もおっしゃられましたように、憲法全体の基本的な考え方というものを示しているものである、そういう意味合いにおきまして、憲法の個々の条文を解釈する場合の一つの解釈基準とでも申しましょうか、そういう役割を果たしているということであろうかと思います。
○西岡委員 総理は、今の法制局長官の答弁をお聞きになったと思います。お答えください。
○村山内閣総理大臣 憲法全体を解釈する基準であると。ですから私は、憲法全体を貫いている平和理念というものが前文に書かれておるということを踏まえてこれまで運動を展開してまいりました。情勢が変わればその政策なり方針が変わることはあり得ることだということを申し上げておるのです。
○西岡委員 法制局長官の答弁は、それぞれの条文の背景として、解釈としてということをおっしゃったわけで、自衛隊の存在そのものを憲法違反と日本社会党さんは一貫してこれまではおっしゃってこられた。それが合憲ということになった。どの条文に基づいて違憲であり、どの条文に基づいて合憲になられたかということを私はお尋ねしているわけで、これは前文の問題ではなくて条文の問題だ、これをお答えください。
○村山内閣総理大臣 いやいや、あなたは条文の問題だと言われるんだけれども、私は、そうでなくて、社会党の運動の歴史というものを振り返ってみて、そして方針を変えた、変えた背景というものはこういうものですということを申し上げておるので、それをあくまでも、何といいますか、条文でなければそれはおかしいじゃないかと言われてみても、これは私は私の理解と解釈を申し上げておるので、それを変えるつもりはありませんし、あくまでもそれは、憲法の前文というものが憲法の条文を解釈する基準になる、ある意味では憲法全体を貫いている理念になっておる、その理念にもどって、憲法に違反するのではないかという立場で私どもは運動を展開してきました。 しかし、もう情勢も変わって、その理念に対する、この理念に逆行するような運動というものがなくなってきて、軍縮と協調の時代になってきたというので、これなら社会党も方針を変えて、そして協調できる体制になった方がいいというので、私は私なりに解釈をして方針を変えました、こう申し上げているのですから、そのように御理解を賜りたいと思うわけです。(発言する者あり)
○上原委員長 少しお静かに願います。
○西岡委員 これは総理大臣の御答弁としては、全く私はいただけません。納得できません。 前文に基づいてということであれば、それでは、第九条には自衛隊は違反しているというふうにはお考えにならなかったということですか。合憲ということですか。
○村山内閣総理大臣 ですから、私はこれまでの社会党の運動というものを振り返ってみて、護憲政党であるということを標榜してきたわけですよ。護憲政党である、憲法は守る。その憲法を守るという立場に立った場合に、憲法の前文に書かれておる、一貫して貫かれておる平和理念というもの、その理念にもとるような政策については反対しようというので、違憲であるという立場をとりながら反対運動をやってきたのです。 しかし、情勢も変わって、お互いに軍縮の方向というのを目指し、協調していける……(発言する者あり)何が変わったかといえば、それは、米ソが対立するという冷戦構造の中で、日本に対しても防衛力は強化するという方向は志向されてきた。これはやはり憲法の理念にもとるのじゃないかというので、憲法に反するぞ、こう言って我々は反対してきたわけです。ですから、自衛隊が拡大されていくという傾向に対して、自衛隊は違憲的存在だから拡張しちゃいかぬ、軍縮をやるべきだ、こういう立場でもってやってきたのですよ。 ところが、もう情勢が変わって、冷戦構造も崩壊をして、今や軍拡の時代から軍縮の時代になった、対立の時代から協調の時代になった。こういう時代の変化を受けて、これは国内、日本の国だって連立政権ができる時代になったんでしょう。連立政権ができる時代になったということは、やはり話し合いで協調して、そして政策の合意を求めながらやっていこうという時代に変わってきたのですから、したがって、我々は、その憲法の前文に照らしてやってきた運動については、これを方針を変えて自衛隊は合憲であるという政策に変えました、こう申し上げているのです。
○西岡委員 総理、一言でお答えください。これは日本社会党さんのお考え方を聞いているのです。 憲法第九条について、我が国の自衛隊は違憲であるということを前はおっしゃっていた。しかし、情勢が変わったから、憲法第九条の解釈も日本社会党さんはお変えになった、総理大臣はお変えになった、そういうことですか。
○村山内閣総理大臣 私は、先ほど来申し上げておりますように、一貫してそういう理解と解釈に立っておるということについては御理解をいただきたいと思います。 憲法第九条の解釈については、憲法学者の中にはいろいろな意見があります。いろいろな意見がありますけれども、社会党はこれは合憲であるというふうに方針を持っていますということを申し上げたわけです。
○西岡委員 それでは、総理は憲法の解釈をお変えになったということですね。
○村山内閣総理大臣 憲法の解釈を変えたのではございませんということはもうたびたび申し上げているわけですよ。憲法の前文に照らして、憲法を貫いている平和理念というものをしっかり踏まえて我々は運動も展開したし、物を申し上げてきました、こう申し上げているわけです。
○西岡委員 私がこういうことを重ね重ね御質問申し上げておりますのは、これは日本社会党さんが、先ほど総理もお認めになったように、三分の一強の方が昔の社会主義社会をつくるんだというこの綱領をお捨てになることができないでおられる。その社会党さんが我が国の内閣総理大臣に御就任になっておられる。したがって、憲法を解釈で変えていくということについても、日本社会党さんは、これまで少なくとも、よくないことであるということを言い続けてこられたわけですね、自衛隊は変わってないわけですから、自衛隊の存在そのものは。それを私はお尋ねしているわけです。 ですから、今までの考え方は誤りであった、解釈も誤りであった、そう国民の皆さん方の前で明らかにされるならば、それは一つの答えだと思うのですよ。
○村山内閣総理大臣 私は、自衛隊というものの持つ役割、任務というものも、それは防衛計画の大綱も見直しをせにゃいかぬというときですから、やはり時代の変化に応じて役割と任務も変わってくると思うのですね。だから固定的に物を考えることはむしろ誤りではないか、私はそう思います。 同時に、これはもう何回も申し上げますけれども、私はそういう理解と解釈を持って対応いたしております。ですから、あくまでも憲法の前文に書かれた、貫かれておる平和理念というものに照らして合憲か違憲かということの解釈をしてまいりました。ただし、もうその解釈は情勢の変化によって変わったんだから、したがって、その争いをする必要はなくなった、こういう意味で社会党は方針と政策を変えたんです、こういうふうに申し上げたわけです。
○西岡委員 それでは、憲法第九条について、現時点で総理はどのような解釈を持っていらっしゃいますか。
○村山内閣総理大臣 これはもう憲法に書かれておるとおりに素直に解釈をすべきだと思いますね。「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」ですから、「国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」ということですね。 したがって、例えばカンボジアに派遣されたり何かそんなことについては、これは国際紛争の解決手段としての武力行使じゃありませんから、これは肯定されるということになりますね。(発言する者あり)
○上原委員長 お静かに願います。
○村山内閣総理大臣 で、「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」こう書かれておりまするけれども、しかし、これは国会の中でずっと歴史的にたびたび議論されておられましたように、自衛権というものは否定し得なくあるんではないかということはもう前提として含まれておりますから、したがって、その自衛の範囲内で最小限のものの、何といいますか、手段を持つことについてはそれは肯定されるんではないか、私はそういうふうに解釈しています。
○西岡委員 実は、総理のその御答弁をお聞きをしたかったのです。第九条についてそのようにお考えであるならば、国連が決定をして派遣するPKOの活動、これは、我が国の場合はこのPKOをめぐってのいろいろな特別な議論というものが経緯としてあったために、我が国独特のPKFなどという言葉ができてしまったわけでございますが、これは、私はそういうものは日本でしか通用しない議論だと思うのですけれども、PKOの活動について、総理はどのようにお考えですか。 九五年宣言でも一定の歯どめをかけたことが書いてございますけれども、今は、九条の解釈について、「国権の発動たる」ということについては、これはやるべきではない、しかし、そうでない場合、国権の発動でない場合には国際的な貢献もしていくんだ、そういうふうに解釈をしてよろしいのですか。
○村山内閣総理大臣 憲法第九条には、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」こうなっておりますから、したがって、武力の行使にわたるようなPKOについては、派遣については、これは憲法にもとるのではないか、やるべきではない、こういう解釈をしています。
○西岡委員 九条の解釈を総理が初めてなさいました。 またもとに戻りますが、九条に基づいて、自衛隊は現時点で総理は合憲とお考えなんですね。
○村山内閣総理大臣 そのとおりです。
○西岡委員 それでは、その前までの日本社会党さんの、九条に基づいて、自衛隊の存在は憲法に違反する、第九条に違反するとおっしゃってこられたことは間違いであった、このようにお考えですか。
○村山内閣総理大臣 何をもって、何を言われているかちょっと私にはわからぬものですから答弁のしょうがないのですけれども、日本の自衛隊というものがだんだん膨張して、ややもすれば武装したまま海外に派遣をされる、派兵をされるというようなこともあり得るのではないかという危倶を持たれた時代がありますよね。ありますよ。 ですから、そういうことに対して抵抗するという運動を展開したことは、これはもう紛れもない事実です。それで、あくまでもこの武力の行使は行わないという憲法の精神というものを貫いていく限りにおいては自衛隊の存在は合憲であるというふうに申し上げたわけです。
○西岡委員 総理にお尋ねしますが、それでは、これからも憲法の解釈というものを世界情勢の変化に基づいて、その都度総理はお変えになっていかれるということなんですか。
○村山内閣総理大臣 私は、憲法の解釈を変えたとは申し上げていないのですよ。憲法の理念に基づいてやられておった自衛隊に対する政策、方針というものについては、これは時代が変わってくれば政策や方針が変わってくるのはある意味では当然のことではないだろうか。 それは自衛隊が持っておる役割、任務だって、国際情勢が変わったり国内情勢が変われば役割や任務が変わってくるのは、またこれは当たり前なんであって、それは、例えば今度の阪神・淡路大震災で自衛隊が救援活動に大いに活躍してくれた、こういう役割をもっとやはり自衛隊に持ってもらった方がいいのではないかという国民の期待もあるでしょう。そうすると、それに対してやはり自衛隊はおこたえをせねばならぬという意味で、それはやはり情勢が変わってくれば、それぞれ役割、任務、機能というのは変わってくるのは当然であって、それは政党が持っている方針なり政策も変わることもまたあり得る、当然ではないか。 だから社会党は、前段で御質問がございましたように、綱領から、あるいは綱領にかわる文書という意味で新宣言やら九五年宣言やら、いろいろ宣言も変わってまいりましたということを申し上げたので、これはある意味で私は当然のことではないかというふうに思います。
○西岡委員 それでは、この問題について、最後に確認をいたします。 総理は、今後世界情勢、いろいろな情勢の変化に基づいて、その都度憲法の解釈を変えていくというお考えですか。
○村山内閣総理大臣 憲法の解釈を変えるという考えはございません。
○西岡委員 これはしかし、私、質問をこれで終わろうと思ったのですが、この問題について終わろうと思ったのですが、憲法の解釈を変えるつもりはないとおっしゃったのですけれども、それは、先ほどからのお話というのは全く話が逆転していて、私は憲法の解釈を変えないで自衛隊が違憲から合憲になるとは考えられないのですね。どうなんですか、それは。
○村山内閣総理大臣 これはもう何度もお答えを申し上げておりますように、憲法全文を貫いておる平和理念、それは憲法の前文に書かれております。その憲法全体を貫いている平和理念にもとるような行動をとられた、あるいは政策がとられてきておる、それに対して我々は抵抗し反対してきた、その限りにおいては憲法違反ではないかということも主張してまいりました。 しかし、もう今や情勢も変わって、前文を素直に受けとめて、そしてお互いに協調してやれる時代になってきた。ですから、政策、方針が変わったのですということを申し上げているのであって、憲法解釈を変えたわけではございませんと、こう申し上げているわけです。
○西岡委員 第九条の解釈について、私は、日本社会党さんがどのように自衛隊を考えてきたか、それをどのように変えたか、その経緯というものを国民の皆さん方の前に明確にしたかったわけであります。しかし、残念ながら、総理はそのことについて、前文ということを持ち出されて、九条の問題についてはできるだけ避けようとしておられます。」これはまことに遺憾でありますが、このことで次の議論を進めるのをとめるわけにはまいりませんので、お願いをしたいことがございます。 それは、今後情勢の変化がまた起こるということで、自衛隊は違憲的存在であるというふうなことはゆめゆめお考えではないでしょうね。
○村山内閣総理大臣 やはり政党の持っている政策、方針というのは、情勢が変わっていけば、それは政策、方針がその変わった情勢に対応し、機能できるように変わっていくのは当然だというふうに思いますね。しかし、今自衛隊に限って、自衛隊に対する方針や考え方が憲法に照らして変わるか変わらぬかということについては、私は変わるということは想定できません。
○西岡委員 私は総理のこの問題についての御答弁には全く納得できませんが、今後日本社会党さんが自衛隊について、憲法に違反する存在ではないのだ、そしてこの考え方は今後とも変わらないのだということが明確になったということだけできょうのところはとどめておきます。 次に、今臨時国会に提案されました補正予算につきましてお尋ねをいたします。 一つは、今回史上空前というふうに自称されているのですけれども、第二次補正が提案されたわけですけれども、日本の経済の状態を考えますと、この程度のいわゆる国からの支出では、私はなかなか景気を浮揚させるというわけにはいかないと考えます。したがって、新進党といたしましても、これについて具体的な御提案を申し上げる準備を今進めているところでございますが、補正予算と本予算との関係についてお尋ねをしたいと思うのです。 つい二カ月ばかり前に、平成八年、来年度の概算要求というものをおまとめになったわけですね。これまで当初予算で予算をつけることがなかなか難しいというような予算も補正には、拝見しますとかなり計上をされているわけであります。 わずか二カ月前に、来年の概算要求をおまとめになったわけでありますから、私どもは当時新進党として、今までのこのシーリングという考え方を改めたらどうだろうか、思い切って各省庁に、新しいアイデア、これからの二十一世紀を展望した予算というものを、将来の種をまくというような意味で、思い切って概算要求をそれぞれ出させて、最終的に、ことしの暮れになりますか、暮れに、今日本がやるべきことはこういうことではないかという政治的な判断を政府としてなさる。そういう意味では、シーリングというやり方が各省庁が思い切った政策を打ち出せないでいる足かせになっているのではないかということも当時提案をいたしましたが、残念ながらお聞き取りをいただけなかったのですけれども、これだけの大型の第二次補正というものをお組みになる。 そうすると、本予算との関係というのは一体どうなるのか。景気がこういう状況がずっと続いてきておりますから、やむを得ないといえば私どももそのように考えるのですけれども、本予算の編成という問題についても思い切って考え方を変える時期がそろそろ来ているのではないか。本予算と補正とを比べてみて、相当の重みのある補正が毎年毎年行われる、しかもそれは第一次、第二次というふうに行われるということになると、そもそも本予算とは何なのかということになりかねない。このことについてどうお考えか、これは大蔵大臣にお尋ねしましょうか。
○武村国務大臣 予算は、いずれにしましても、言葉があらかじめの算と書いておりますように、一定の先を見越して歳入歳出をまとめるものであります。現実の推移は、予想したどおりには必ずしもいかない。昨今のような急激な変化の時代でございますだけに、そういうことが少なくないという状況でありまして、そういう意味で、まあ補整的な財政措置が往々にして必要になってきている、これは一般論としてそう言えます。 特に昨今は、四年続きの経済の低迷がございますだけに、緩やかな回復基調からだんだん本格的な軌道に乗っていって、ことしは二・八%ぐらいの成長になると私どもは昨年末は期待をいたしておったわけですが、年初来、地震もございましたが、急激な円高等が、予期しない事態が出来をして、一次、二次の補正を組まざるを得ない状況になってまいりました。 一次の場合は、御承知のように当初予算、公共事業も五%増の当初予算がございましたから、これを前半前倒しで早期執行を図っていこうという方針をとりました。年度後半には当然公共事業が足りなくなる。年度後半、景気がぐんぐん明るくなってくれば、ひょっとしたら補正はそれほど必要ないかもしれない。しかし、これも不幸にして大変重たい状況が夏前後も続いたわけでございまして、ここではもう決断をして、大型の補正対応をせざるを得ないということで今回のような積極的な対応になった次第であります。 ですから、もとへ戻りますが、なかなか通年の、次の一年を見通した予算だけで終えることができない状況が続いておるわけでありまして、そういう意味では補正対応は間々避けられないことである。 ただ、今回大型であったから当初のシーリングを変えたらどうかというお話でございますが、今回の大型は、今御説明したような背景、事情でございます。 シーリングの問題はシーリングの問題として大いに論議があってしかるべきと思っておりますが、率直に言って、なかなかこれにかわる、我々も変えられるものなら変えたい、大蔵省主計局もそういう気持ちはあるのでありますが、どういう知恵を絞ったらいい概算要求のまとめ方ができるのか苦慮しているところであります。
○西岡委員 私がこの問題を指摘しておりますのは、もうシーリングという予算の概算要求のやり方には限界が来ているのではないか、二十一世紀を展望する中で、それぞれの役所のそれぞれの今までの予算の枠組み、既得権益と申しましょうか、そういう中で、前年度実績主義というようなものはもう根本から改めなければいけないのではないか、こう考えているわけです。それについて、大蔵大臣はどうお考えですか。
○武村国務大臣 もうたしか十年を超えていると思いますが、このシーリングシステムが非常に完全な制度であるとは思っておりません。むしろ、新三党合意の中でもたしかこういう、シーリングの見直しのために検討をするでございましたか、そんな表現が入っておりまして、どういう知恵があり得るのか、私自身もいい知恵があればその限りにおいて変えていきたいという気持ちであります。 ただ、シーリングで天井をぽんと示していることのまた制約もありますが、それだけに各省は、何か新しい要求をしようとすれば既存の事業をスクラップする、削る、そういうみずからの努力を重ねていただいている、そういうメリットもあるということでありますし、かってシーリングのなかった時代はいわゆる青天井でございますから、うわっとたくさん要求が出てきて、恐らく予算の調整、編成の段階で、政治のベースでも行政のベースでも大変苦慮をしたという苦い経験があるわけで、そういうことを振り返りながら、ぜひいい知恵を御提案いただければありがたいというふうに思っております。
○西岡委員 予算編成については、やはり単年度主義というのが大きな壁になっているということが一貫して言われてきたわけです。もちろん、この問題はそうはいっても、実際債務負担行為とかそういうことで、いろいろとそれぞれの役所が長期的な展望に立った施策も進めておられるということも十分承知をしておりますけれども、単年度主義というのを思い切って変えるということについて、大蔵大臣は何か具体的な検討に入っておられますか。
○武村国務大臣 これは法律の改正にもつながる大きなテーマでございます。学者等からは早くからこの問題をめぐってもいろんな提案、議論があるのは承知いたしておりますが、当面のテーマとして、今これを変える、大胆に変えていこうという議論をしているわけではありません。
○西岡委員 今回提出されました二次補正の問題について、これは何事にもタイミングというのが非常に大事だと思うんですね。そういう意味ではこの第二次補正を提出された時期、これはやはりちょっとおくれたかなと、そういう御反省はございませんか。
○武村国務大臣 新進党からは早い時期に積極的な補正対応の提案が、たしか四月ごろもありましたか、そして八月にもあったのをよく覚えております。 あのときも国会での答弁でも申し上げたわけでありますが、当初は七十兆を超える大きな予算が成立を見て、これを執行するという時期でございますね、一日も早く執行をしていく。その中には公共事業も五%増で組み込んでおりましただけに、この通年の公共事業予算をどんどん前倒しをして執行をしていく、これがもう景気対策の基本だと。そのときに新たな補正を組んでみても、これはとても執行はできない。前倒し執行しながら、さらにそれに補正をオンして、地震対策等は例外でございますが、十兆円を超えるような補正対応、執行することは地方公共団体の現実から見ても非常に難しいという判断をしておりました。 ですから、七五%、四分の三を前期半年間で執行をさしていただいて、そして後半に入る、下半期に入る早々に大きな予算、補正予算を成立をさしていただいて、そしてこの下半期六カ月に備えていくというのが、この一年を通じた景気対策に対する財政出動の基本的な姿勢でありたいと、こんなふうに思ってまいりました。
○西岡委員 今度は具体的な中身の問題、物の考え方の問題でございますが、公共事業、まあ先行投資、先行投資というものが今日まで大体、出資金等は別といたしまして、形に残るものを中心としてこれを先行投資として認め、建設国債の対象にして長年きたわけですね。 これについて今後は、形に残るということではないけれども、例えば人を育てていくとか、あるいは特に来年の就職等、ことしもそうでございましたけれども、新卒の若者の皆さん方が就職に非常に困っている、そういうような場合に、もっと教育であるとかあるいは職業の再訓練であるとか、そういうような、いわゆる俗に言うところのソフトの分野、人の育成というような分野、あるいは高齢社会を目指して看護婦さんが不足している、十分な対応ができないというような、そういう処遇の改善であるとか養成であるとか、あるいは教職員の養成の問題であるとか、そういう人の問題に目を当てた先行投資、あるいは学術研究というような分野についてのこれを先行投資として認めていくというようなことを大蔵大臣は今御検討になっておられないかどうか、また方向としては、そういう方向についてどうお考えか、お尋ねをいたします。
○武村国務大臣 一つの御提案として承っておりますが、整理の仕方が非常に難しくなってくるんではないか。結局まあ、建設国債はおっしゃったようにその投資のサービス、受益を何世代にもわたって享受ができると。言ってみればハードが中心でありますが、できた施設を何十年も使えるということから国債の道が開かれたわけでありますが、確かに人づくりもその他のさまざまな研究投資も将来花を開くだろうという意味では大変御趣旨はよくわかるんであります。 しかし、もし今の財政法のそうした基本的考え方を崩して一歩そういう道にまで、建設国債であれ、あるいは第三の国債であれ、道を開きますと、結局今特例公債と言われます赤字国債と同じ道を歩む可能性が強い、際限なく広がっていく、歯どめがなくなる、政治の世界も、私ども自身がもう抑えようがなくなってくる、過去の特例公債の苦い経験を振り返りましてもそんな思いも強いわけでありまして、そういう意味で、貴重な御提案として私どもはこれは検討は今もしております。研究開発関係は公債の対象にならないかという問題提起を昨年からいただいておりまして、検討はいたしておりますが、かなり重い気持ちで見詰めているというところであります。 問題は、建設国債だって充当が可能だというふうになっておりまして、今や昨今の財政は建設公債の充当可能な事業は全部建設公債を当て込んで、それでなお金がない、税収がないから、それ以外のところまで公債が認められないか、こういうことでございますから、これは背景としては財政の状況が極端に悪いという中での議論だということも頭にあります。
○西岡委員 もちろん、これは政府の責任が一義的でございますけれども、国会としても、与野党としても、国の財政の状況ということについては真剣に考えていかなければいけない大きな課題であろう、このように考えます。 その認識は、私自身も今大蔵大臣からの御指摘については全くそのとおりであろうと思いますが、私が申し上げたかったのは、我が国の場合、社会資本の充実という点で、整備という点でまだたくさんの分野が残されている。これはもうそういう意味ではまだまだ足らざるところがたくさんあるわけでございますが、その配分についてもそろそろ、今申し上げたような分野について、これまで形に残るものに公共事業という名のもとに先行投資が行われていた、そこに使われていた建設国債によって調達された資金というものの配分を少し変える必要がそろそろ出てきているのではないか、そういう意味で申し上げているわけで、その点についてはいかがでしょう。
○武村国務大臣 公共投資の絶対額も、そしてまた各分野に対するシェアもいろいろ議論があるところでございまして、そういう意味で、来年のシーリングも依然として公共事業はプラス五%という方針を既に出しているわけでありますが、公共投資を少し減らしながら、むしろ研究開発部門にシフトさせていくというふうな御提案は、一つの提案として受けとめさせていただきます。
○西岡委員 一つの提案ではなくて、平成八年の、来年度の予算編成において、今私が提案申し上げましたような予算編成の作業をお進めになるという考えはございませんか。
○武村国務大臣 ことしは、来年の予算編成はことしのシーリングで既に大きな枠組みを発表をしながら着々と作業に入っているところでございまして、その中でも、研究開発に対する姿勢は従来よりは少しでも積極的な対応をさせていただこうという気持ちは十分持っております。今回の補正もそうでございました。 しかし、今言ったように、この五%増の各省庁に示しております方針を今変える、変えてまでというのはこれはちょっと難しい、むしろ再来年以降の課題にさせていただいてはどうかというふうに思います。
○西岡委員 これは新進党が政権を担当いたしましてから考えなきゃいけないような状況だというふうに思います。 従来の公共事業につきましても若干御提案も兼ねて質問をさせていただきますが、やはり公共事業というのがかつてのようないわゆる経済に対する波及効果、いわゆる乗数効果というのがなかなか高度経済成長期のようにはないというのが現状だと思うのですね。公共投資のそういう経済に、現日本経済に与える乗数効果について、大蔵大臣はどのようにお考えですか。
○武村国務大臣 高度成長のときより今はないと言えるかどうか、こういう不況の時期ですから今の方が効果が高いという見方もあるかもしれません。私は専門的にはよくわかりません。ただ、何となく、土地代がかなり大きなウエートを占めていたということもあって、公共事業の景気に対する乗数効果は言われているほどではないではないかという議論があったのはよく承知しております。 昨今、国債を発行して公共事業をやるぐらいなら同じ国債を発行して減税に回したらどうか、所得税減税をもっと大胆にやってはどうかと、今週のある週刊誌もそういう論調を張っておりましたが、しかし、減税も御承知のようにまたいろいろな議論がございます。 ここで断定的にどちらがより効果的かというのは私も申し上げる自信はありませんが、昨年の減税も一定の効果があったことは間違いないと思っております。しかし、なかなか学問の世界でもきちっと捕捉をしかねている、いろいろな要素がございますから。 第一、貯蓄にかなり回っているというふうに言われておりますが、それが何割なのか、そういうところから議論が始まりまして、そのまま減税もすっぽり消費にお金が回れば一定の効果がある。しかし、貯蓄に回った分だけこれは蔵に入ってしまいますから効果がない。 それに比べると公共事業は、いずれにしても、特に補正の場合は用地代はそう大きなウエートを持っておりませんだけに、直接的にやはりそれなりの効果があるというふうに言われているところでありますし、私どももそう思っているわけであります。
○西岡委員 そこで、公共事業についても、何とか日本経済が底割れをしないという程度でしか役割を果たしていないのじゃないかな、経済全体に与える影響としては。ただ、社会資本を充実させていくという意味では、将来に対しては非常に大きな役割を今担っているなと私は認識をしているわけですが。 どうでしょう、この辺で公共事業にひとつ、大きな夢といいましょうか、そうしたものを持たせるということが心理的にも経済全体に与える波及効果というのは非常に大きなものがある。その象徴的な課題として、国会でもずっと長年議論が続いておりますが、首都機能の移転という問題について具体的に今政府はどういうお考えをお持ちか、これは総理にお尋ねしたいと思います。
○村山内閣総理大臣 今お話のございました、公共事業は従来のような考え方だけで踏襲したのではそれほど景気に対する寄与率というのはないのではないかという議論がございましたね。そこで、思い切って夢を与える、大きな一つの目標を与えるという意味で、この首都機能の移転というものもそういう意味では大きな影響力を持つものではないか、これはそういう議論があることも十分承知をしております。 そういう議論を背景にしながら、国会移転等について、今委員会もできて、そこで議論もしてもらって、その答申も受けて、できるだけ前倒しをして早く実現できるような段取りをつけていこうではないかという議論も合してもらっておるところでありますから、それは、いずれそういう方向が定まってくれば、国会の意見も十分お聞きした上で内閣としての方針も決めなければならぬというふうに思っていますが、いずれにいたしましても、促進する方向で我々は前向きに検討しておるということだけは申し上げておきたいと思います。
○西岡委員 総理、村山政権としては、どれくらいをめどに首都機能の移転ということをお考えでしょうか。
○池端国務大臣 西岡委員にお答えします。 ただいま総理から御答弁のあったことに尽きるわけでありますが、現在国会等移転調査会において真剣な議論がなされておりまして、十二月中にも移転先の選定基準、それから移転の時期の目標、この御答申をいただくことになっております。これを受けまして、この問題は二十一世紀を、日本の政治、経済、社会の改革を目指すものでありますので、与党の三党合意にもありますように、二年以内を目標にひとつ鋭意検討を進めてまいりたい、このように考えておるところであります。
○西岡委員 そうすると、大体二年以内に具体的な計画というのを打ち出すことができるという方針で現政権としてはお取り組みである、そう理解してよろしゅうございますか。
○池端国務大臣 なかなか難しい問題であることは重々承知しておりますけれども、二年以内をめどにという決意、その心構えてこの問題には対処してまいりたい、このように考えております。
○西岡委員 我が国の経済の状況につきまして、金融機関の不良債権問題の処理あるいは不動産業界が抱えております問題、そうした問題に入ります前に、村山政権は今の日本の経済というものをどのようにお考えなのか。 現在の経済というのは単なる景気循環型の中における不況が長引いているというお考えなのか。あるいは、そうではなくて、経済の構造が大きく変わってしまったのだ、したがって、かつてのような高度経済成長ということではなくて、質を充実させていくと申しましょうか、そういうような経済社会というものを目指すという方向なのか。その基本的な御認識というものをお尋ねをいたします。総理。
○村山内閣総理大臣 かつてのような景気循環論だけでは解決し得ない、対応できない構造的な問題を抱えておるということは、私は御指摘のとおりだと思うのです。 従来、景気対策として、これは三本柱と言われますように、例えば公共投資をふやすとか、あるいは減税をするとか公定歩合を下げるとか、こういう政策をとってきましたね。しかし、そういう政策だけではこの事態は乗り切れないのではないか。それは、やはり経済の構造的に持っておる阻害要因がある。 それは何かといえば、規制緩和も必要でしょうし、それからまた、新しい事業分野にやはり進出していけるだけの、何といいますか、高度な技術分野といいますか、情報通信分野とかそういうものも志向していく必要があるし、同時にまた、高齢化社会が到来してくるといったようなものについてどう対応していくかというようなことについても相当やはり突っ込んだ形で検討していく必要があるのではないか。こういう日本の国が持っておる経済的な構造というものをどう新しい時代に対応できるように改革していくかという部面が相当含まれておる。それを改革していかなければ現状は乗り切っていけないのではないかという認識を持っております。
○西岡委員 私も同じような認識でございますが、そうなりますと、経済政策も大きく変えていかなきゃいけない、そしてまた予算の編成も今までと同じような編成の考え方では対応できないというふうに私は考えるのです。これは大蔵大臣、いかがですか。
○武村国務大臣 私も同じような認識を強く持っておりまして、今回も経済対策の柱は三つあると申し上げております。一つは財政出動、一つは当面の土地流動化対策とか中小企業対策等々、もう一つはやはり我が国経済の構造改革、それが情報通信とか研究開発関係にかなり思い切って予算を組ませていただいた理由であります。 しかし、この程度で経済構造がどんどん変わっていくわけではありません。もっと総合的に、立法措置やこうした財政措置やあるいは政府の金融手段やあるいは税制措置等も含めて、全体で我が国経済の構造改革という大変大事な大きいテーマに取り組んでいかなければならないと思っております。そういう中に財政、予算編成もあるというふうに認識をいたしております。
○西岡委員 そこで規制緩和という問題になるわけでございますが、規制の緩和という問題が言われ、かなり長い年月がたったと思います。一部緩和といいましょうか、若干そういうようなことも行われている部分もゼロではございませんけれども、思い切ってやはり規制の、これは外国から見ると日本は緩和じゃなくて本当は規制は撤廃してもらいたいんだという、外国の方とお目にかかるとそういうお話を聞くわけでございますが、具体的に、この規制緩和ということについて村山政権はどういうスケジュールをお持ちなのか、これはなかなか見えてこないですね。 それを少し国民の皆さん方にわかりやすく、どういう方向でどういう分野をどういうふうに緩和なり撤廃していくお考えなのか、それが日本の経済にとってどういう影響を与え得るのかということをもうそろそろ具体的な個別の形で明示される時期が来ていると私は思うのですが、いかがでしょう。
○村山内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、戦後、日本の経済が急速に成長する過程の中で、その経済成長を補足する意味で必要な規制もあったと思いますね。しかし、これだけ経済が国際化して自由化が求められているとき、逆にこの阻害要因になっておるという規制もあるでしょうし、あるいはまたもう役割が済んだというような規制もあるでしょうし、そういう意味でその規制全体の見直しをする必要がある、これがやはり新しい国際化の時代、自由化の時代に日本の経済が対応し得る体質をつくっていくことになる、こういう私は理解を持っているわけです。 そういう建前からして、これからどういう規制の緩和の方針かという御質問でございますけれども、その取り組み方針につきましては、現在千九十一項目の規制について検討してもらっておるわけです。 同時に、規制緩和推進計画というものを本年三月三十一日に閣議決定をいたしました。これは五年でやるということになっておりましたけれども、この前倒しをして三カ年間で達成をしよう、こういう方針に切りかえて、今鋭意その取り組みをしておるわけです。 同時に、行革委員会というものが設置されています。その行革委員会の中に規制緩和小委員会をつくって、その規制緩和小委員会の中で規制緩和の具体的な推進状況というものを点検してもらう。そして、同時に内外の声も聞いて、必要な規制について、緩和する必要があるものについてはさらに追加をして政府に勧告してもらう、こういう仕組みをとりながら、できるだけ規制緩和が計画的に達成できるようにやっておる。 なお、詳しくは総務庁長官から答弁させますけれども、これは相当決断を持ってやらないと、やはり痛みを感ずるものが多いわけですから、したがってその痛みを感ずることは、今は痛みを感ずるかもしらぬけれども、次の前進ができる発展の一つの足がかりになるんだ、こういう決意で取り組んでいただく必要があるのではないかという意味で、私どもは決意を込めてこの規制緩和の問題については取り組んでおるということも申し上げて、具体的な問題については総務庁長官の方から御答弁をいただきたいと思います。
○江藤国務大臣 今総理から、千九十一品目をこの三月に決めた、それを三年間でやろう、当初五年だったわけですが、それを三年でやろう、こういうことになりまして、さらに今度は、千九十一品目のうちの約六割を今年度中にできたら実施をしたい、こういうことでやっておるわけです。 もう御承知のように、既に実施したもので一番おわかりやすいのは、車検制度の改正があります。あるいは、これからパスポートをやるし、グリーン料金、寝台料金ですね、あるいはまた、中には地ビールの免許を与えまして、多分二十一社ぐらいになったと思います。ビール四社が二十一社、これから地ビールがつくれる、こういうふうなやれるものはやっていこうということで、今鋭意取り組んでおるわけでありまして、中には法律改正を必要とするものも実はございます。 その節はまた御協力いただきたいと思いますが、そしてさらに、そのあと四割はどんなのだ、こういうことになります。この中にはちょっと厄介なのもありまして、私も三年間でできるかどうかと思っておりますが、例えば、本会議でもお答えしたように、大店法というのがあります。いわゆる大型店がどんどん出ていく。それでは小さな商店は参るではないかというので、国会において大店法というのが決まりました。今その廃止の議論があります。一体、それなら大店法というのは、設立のいわゆる趣旨からしてこれを全部廃止していいのか、こういう問題があります。 それからもう一つは、何といいますか、新聞、書籍の再販制度というのがあります。ですから、全国どこでも統一料金でもって新聞が買えるという制度になっておりますが、一番規制緩和を唱えるのはこれはマスコミですから、マスコミが真っ先に痛みを伴って再販制度をなくしたらどうだ、こういう意見もあるわけです。しかし、これもなかなかそう簡単にはいかぬ。 もっと厄介なのは、NTTの、先ほども議論があったと思いますが、分割論というのがあります。あるいは海外と国内とを分けたらどうだ、地域にやったらどうだ。私はこれも、アメリカのATTなんかの経過を見ると、一つの大事な考え方だと思っているのです。 ところが、国鉄の分割・民営化を見てみますと、東日本あるいは東海、西日本というのは経営がいいですよ。JR北海道あるいは四国、九州というJRはもはや赤字ですから、鉄道基金の利子がゼロになってきたわけですからね。だから、こういうNTTの取り扱いについても、これはもっともっと広く議論をする必要がある。 それから、よく言われる、いわゆる郵政事業、三事業というものを民営化すべしであるという意見もあります。 こういうことも含めまして、実は千九十一品目の上にさらに年内に御進言をいただいて、答申をいただいて、来年三月までにはもっとこれをふやそう、もっとふやしていく。これは毎年ふやしていく。私も、千九十一品目を読んでみましたが、頭が痛うなるぐらい多いです、千九十一というと。だから、これを来年の三月までにさらにふやす、毎年これを見直していく、こういうことであります。 これは、各歴代政権も取り組んできたことでありますし、これは与党のプロジェクトチームでも千百回議論を重ねておる——百五十回。御苦労が多いのでちょっと高く評価したわけでありますが、百五十回。それから皆さんの方からも、それぞれにまた御意見をちょうだいしておりますから、これは行政改革委員会の御意見等も十分そんたくをし、国会の御意見も尊重しながら取り進めてまいりたい、こう考えておるところであります。
○西岡委員 今個別の項目が述べられたのですけれども、結局これをおやりになるのですか。
○江藤国務大臣 私は、総理の決断は偉かったと思うのです。やれるやつにやれと言って任命されたわけでありますから、やろうと思っております。
○西岡委員 それでは、具体的にやるという方向をいつお出しになるのですか。
○江藤国務大臣 順序を立てて申しますと、閣議決定をした千九十一品目を五年間で……(「品目じゃない」と呼ぶ者あり)項目を、たまには言い直しもありますよ。千九十一項目を、それを五年間でやろうとしたのを、今度は三年に前倒しをしようということをしました。そのうちの約六割は今年度中にやろう、こういうことにしておるわけです。そして、さらに来年の三月までには、行政改革委員会やら皆さんの御意見もちょうだいして、さらにこの規制緩和の数をふやしていこう。 ところが、例えば議論の中には、日本における農畜産物の支持価格制度は全部なくしたらどうかという意見もあるんです。これは日本農政の根幹にかかわることでありますし、しかも、カロリーベースで三七%、穀物自給率で二二%になった日本の農業というのを一体どうするんだという基本的な問題にかかわってまいりますから、これらのことはもっと広く広く各界各層の御意見を承らにゃならぬ、こういうことであります。
○西岡委員 総理にお尋ねをいたしますが、総理がそういう意欲で担当の長官を、大臣をお決めになったということでございますが、大店法とかあるいは再販価格の問題とか具体的なことを明示されましたので、これは本当におやりになるんですか。
○江藤国務大臣 御理解願えなかったようですから、もう一回お答えします。 大店法というのは、これは国会の議決を経てつくった法律であります。それを右から左に簡単に廃止するということはなかなか私も困難であろうと思います。しかし、大きな国際化の中で、規制緩和という問題の中でとらえますと、これも例外ではない。例外を置かずに全部を議論しようということでありますから、広く御議論をいただいて、その決するところに従って実行していこう、こういうことでございます。
○西岡委員 それでは、それだけの御決意でこの規制撤廃、緩和という問題に政権としてお取り組みになるということであれば、当然これに伴って雇用の問題というのが起こると思うんです。それぞれの分野に大きな変化が起こるわけでありますから、失業という事態は避けられないということがどうしても引き起こされると思うんです。これについて政府としてはどうお考えですか。
○青木国務大臣 西岡先生御案内のように、先ほどもちょっと総理も触れられましたけれども、日本の雇用問題というのは、今も御案内のように雇用調整助成金というような形で、人が余ったら、その余った人に対して三分の二のいわゆる賃金を補助して、これを一年間続けよう、そのうちに景気がよくなってくるんじゃないか、いわゆる景気循環型であります。 ところが、今日ではそういう状態にはございません。日本の経済も世界経済と密接不離な関係にありまして、特に生産コストは、これはもう為替レートに関係なく、いわゆるアジア諸国に向かってどんどん企業が移動をいたしております。ここにいわゆる産業の空洞化という問題が起きておりまするから、これはとめようと思ってもなかなかとめられません。 したがって、この面において、九月二十日に新経済対策を立てましたけれども、この経済対策に基づいて、新しく中小企業の労働力確保に対する、雇用管理に対する法律改正を通産省と協力して打ち立てることになりました。本国会に提案いたしまするけれども、こういう問題について私たちは真剣に考えて、先生も触れられましたけれども、まず新技術を持ったものを移動させて、その周りに雇用を拡大するということとか、中小企業の活力を活用いたしまして、そうして冷暖房を完備したところの工場その他を打ち立てるとか、あるいはまた人員を移動させるとかいうようなことも考えて、労働力の、いわゆる失業なき労働移動という問題も考えつつ、ひとつ頑張ってやってみたい、こう思っているところでございます。
○西岡委員 そこで、提案でございますが、やはり規制の緩和というのは口で言うのは簡単ですけれども、そう簡単なことではないということを、私ども新進党としても、いろいろ議論する中で痛感をいたしております。しかし、避けられないことである。そのときに、今申し上げたように、失業という問題が一番大きな問題として出てくるだろう。新しい産業も創造していかなきゃいけない、創出していかなければいけない。 それで、具体的に労働行政として、職業の紹介あるいは人の派遣、こうした分野を自由化するということについては、政府はどうお考えですか。
○青木国務大臣 労働省としても、そういった今の御指摘の点については、これは規制緩和の一環として考えておりますけれども、ただ、無制限にやっていきますと、新しく職業紹介の分野におきまして、例えば言ったこととやることが違うとか、雇用管理が全くでたらめになってしまうとか、そういうような懸念がございます。 したがって、そういう点も考えて、今の職業紹介事業等の関係について、これなら大丈夫だというものについては緩和する方向というものは考えつつ、やはり今の、労働省でやっている職業紹介事業といったようなものについて、これを無制限に全部開放するというところには至っておりませんけれども、そういう点については努力いたして、皆さん方と相談いたしまして対応いたしてまいりたい、こう思っております。
○西岡委員 これは非常に大きな問題だと思うのですね。 今までは、やはりいわゆるお役所が全部責任を負うということで日本の社会は動いてきたかに見えます。しかし、これからは、国民一人一人の能力というものを信頼して、自己責任が完結されるというような社会をつくっていかなければいけない。 そういうことを考えますと、これも、何でもかんでも役所がやっておかないと心配なんだ、その責任だけ問われては困るんだと。しかし、自由主義社会というのは、後から金融の問題についても時間の関係で触れることができればその問題にも及ぶわけでございますけれども、自己責任が完結できる社会を私どもはっくっていかなきゃいけない。そうした中で、職業の紹介とかそういうようなものについては、お役所の仕事ではなくて、もう民間にかなりの部分任せたらどうなのかというふうに私は思うのですが、その点についてどうでしょう。
○青木国務大臣 現在は、中央職業安定審議会で労使、公益の三者構成で検討いたしまして、ただいまの御意見等も参考にしながら、さらにひとつ煮詰めてまいりたい、こう思っております。
○西岡委員 総理、今労働大臣からもお話があったのですが、もうそろそろこれは、私どももこれまでのやり方について反省しなければいけない点がたくさんあると思うのですが、審議会とか調査会とか、もちろん、そういうところでの御意見を、それぞれ各界の御意見をお聞きして遺漏なきをということはよくわかるのですけれども、やはり政治の責任で決断すべきだと思うんですね。 審議会で今審議をしていただいていますからと。まあこれはそうでない分野もあるかもしれませんから、全体をひっくるめて申し上げるのはいささか役所に対して失礼になると思うんですけれども、あるいは審議会の委員の皆様方に対して大変御無礼になると思いますから余り極端なことは申し上げることはできないかもしれませんが、やはりそれぞれの役所が持っておられる審議会というのは役所の枠の中からはなかなか出にくい、出づらいという点が多分にあろうかと思うんです。やはり政治が決断をすべきであろうかと思う。 今の問題も審議会で議論をしていただいているというお話でございますが、総理はどうお考えですか。
○村山内閣総理大臣 審議会のあり方につきましてはこれまた別の議論があると思いますけれども、今度できるだけ公開にして、そして民主的な運営ができる、より多くの声が反映されて、そして議論されている中身が国民の皆さんにわかるようにした方がいい、こういうことを閣議で決めて今後扱っていくことになっております。 しかし、これは審議会によってはまた、発言したことが社会的に問われでいろいろ御迷惑をこうむるというようなことだってあり得ますから、すべて何もかも無条件でやるというわけにはいきませんけれども、できるだけやはり公開の原則というものは拡大するように努力していくことは大事ではないかというように思います。 それから、審議会の議論を経るということは、やはりそれぞれ専門家の立場から、あらゆる角度からいろいろな方々の意見を開陳していただいて、そうした意見を踏まえた上で最終的にはこれはやはり政府が責任を持って決断をしていくというべきものであって、審議会の答申があったらその答申のとおりにするというようなものではないんではないかというふうに私は思いますから、それはあくまでも政治が判断すべき問題であるというふうに思います。 それから、規制緩和の問題と関連をして雇用の問題が先ほどから議論になっていますけれども、規制緩和をすることによって直ちに雇用に結びつく分野というのは案外少ないんではないか。例えば大店法なら大店法を廃止しますと、それは中小商店がとっつぶれる、そこでは深刻な雇用問題が起こるというふうに、関連して影響する分野は非常に多いんではないかというふうに思われますけれども、直接的には余りそうないのではないかと思うんです。しかし、そうかといって雇用問題を心配せぬでいいというものではないんですよ。それは雇用問題は重要なやはり裏づけとして慎重に考えて、雇用不安の起こらないような手だてというものをしっかり講ずる必要があるというのは当然のことだと思います。 私は、人材派遣事業とか、こういうのはやはりもう少し対象事業範囲を広げてもいいんではないかというふうに思いますし、それから、職業紹介等につきましても、それぞれいろいろな問題点も全然ないわけじゃございませんから、それはいろいろなことが言われてきているだけに、あるわけですから、したがって、本当に自己責任体制が確立をして、お互いに責任を持ってやり得るというような前提条件をしっかり踏まえた上で自由化していくことは、私は、方向としてはそのとおりではないかというふうに思っています。
○西岡委員 これは歴代内閣それぞれが抱えてなかなか解決できないで、抜け切らないできた問題で、にわかにというわけにはいかないかもしれませんが、私は、審議会方式というのは本来ならば基本的には全廃すべきだと考えているんです。これは、政府が政府の責任において、政治の責任においてこう考えると、そしてそれを国会にお出しをいただき、我々が議論して決めるということが本当じゃないんでしょうか。
○村山内閣総理大臣 これは、今私がこういう立場にあってそういうことを申し上げるのは大変恐縮なんですけれども、私がかってこの国会でそういう議論をしたことがあるんですよ。それは、政府は審議会を隠れみのにして、そして答弁逃れをしておる、それはけしからぬと、こう言っていたことがあるんですけれどもね。しかしそれは、そういうことを言われながら、やはりなかなか審議会というものはなくなっていかない。それはやはりそれなりの私は意味もあるんだなというふうに思っていますけれども、ただ、審議会の運用の仕方やら審議会の位置づけやら、そういうものについてはやはり十分見直していって、そして、もう必要のないようなものについてはこの際やはり廃止をしていくということも必要だと思うし、できるだけ公開制にして、そして世間に対して問うというぐらいのものはやっぱりあってもいいんではないか、そういうことによってだんだん淘汰されていってなされていくんではないかというふうに思っておりますから、そこらはそういうふうに御理解を賜りたいというふうに思います。
○西岡委員 総理、必要のないものとかあるものとかと言ったらこれはできないんですね。全廃するかどうかだと思うんですよ。いや、それは本当はそう思いますよ。必要のあるものとないものというのはそれぞれ、それは委員になっていただいている方々に対しても失礼な話でございまして、やはり制度としてそういうものが果たしていいのかどうか。まあそれぞれの大臣あるいは総理が私的な諮問機関を設けられていろいろな意見を聞かれるということは、それはあってしかるべきだと思います。 しかし、基本的には政府が責任を持って国会に法案を提出するという形で問題は解決をしていくというのが道筋ではないか。ですから、総理もかつては審議会を廃止するということを御主張になったということでございますから、総理がやろうと思えばできるんですから、どうでしょう。
○村山内閣総理大臣 いや、私も廃止するまでは言ったことはないんですけれどもね。廃止するまでは言ったことはないんだけれども、そういうふうに悪用されているんではないかという意味で申し上げたことはあるわけです。 それで、これはやはり行政改革の一つの問題点だと私は思いますね。そういう位置づけをしながら、今の審議会のあり方についてもやはり洗い直しをし、見直しをしていく必要はあるという問題意識は持っておる、そういう方向で今検討しておるということだけは申し上げておきたいと思うんです。
○西岡委員 この問題は国政を運営していく上で非常に大きな問題だと私は認識をしております。しかし、きょうのところは、これ以上この問題で議論を重ねることは避けさしていただきまして、先ほど雇用問題について、それほど心配要らないというようなちょっとお話があったんですけれども、私は、規制緩和の問題を、本気でこれを進めてまいりますと、失業という問題は、日本経済にとっては相当な重い問題、社会問題として出てくるだろう、こう思います。 同時に、現在産業の空洞化というようなことが言われているということと相まって、これは、これからの日本経済のやはり大きな問題の一つとして雇用の問題というのが非常に心配される。今まで企業が相当努力をして、なるべく失業を出さないようにしようということで頑張って踏ん張ってきている。それがもう限度が来ている。もう次に打つ手はという状況になってきている。それを十分踏まえられて、雇用問題については十分な対応をしていただきたい。
○村山内閣総理大臣 雇用問題は心配要らないという言葉を使いますと語弊がありますけれども、私が申し上げたのは、規制緩和をすることによって、直接的に結びつかないものもある、しかし、間接的にはやはり相当大きな影響を持ってくるでしょう、ですから、これは大変重要な問題ですということを申し上げているんですね。 これは、今の失業率というものは統計上の数字で出ている以上に、今お話がございましたように、企業が抱えておる失業者的な者もおるわけですから、だからそういうものを含めますと、もっと失業率は高くなっておるんではないかと私は思っていますから、それは本当に雇用問題というのは今深刻に受けとめています。同時に、新卒の皆さんが、学校は出たけれども、なかなか職につけないといったような深刻な問題もありますし、とりわけ女性の問題等についてもなかなか就職は難しい、こういう深刻な状況にあることも厳しく受けとめております。 したがって、さっき労働大臣からも答弁がございましたように、今の構造改革に乗り切れないような中小企業の場合には、これはそこで働いている労働者が職業訓練を経たり何かして新しい次の職場に移っていく、流動化していく、そういう場合にその生活を保障するだけの手だてをしていこうじゃないかというので給付金を支給するという制度を今度新しくつくったわけですね。 そういうこともしながら、できるだけ失業者が出ないような方策というものをしっかりつくっていくということが一つと、もう一つは、委員からもお話がございましたように、構造改革を行うことにより、あるいはまた新しい事業分野を開拓することによって雇用の場をどう確保していくかということについても積極的にやはり手を打っていって、そして新しい雇用の分野というものを拡大していくということも大事なことでしょうし、同時にまた、高齢化社会に対応して介護、福祉といったような分野もまだまだやらなきゃならぬことはたくさんあるわけですから、そういう分野を充実することによってそこに働く場所を確保していくというようなこともございましょう。 そういう新しい時代に必要とするような分野について積極的な対策を講じて、そこに雇用の場を拡大していくというような手だてもこしらえて、失業を出さないこと、雇用の確保を図っていくこと、その両面からやはり真剣な取り組みをしていくことが大事ではないか。雇用問題というのは極めて深刻な問題である、こういう認識を持っていることについては委員と全く同じであります。
○西岡委員 雇用問題については、もうこれで十分だという以上の対応を政府としては事前にといいましょうか、あらかじめ立てて、これまで以上に今後とも対応していただきたいということを強く要請をしておきたいと思います。 そこで、次に、審議会方式の問題とも絡むのでございますけれども、現在の金融システムの信用が著しく失墜をしている。金融機関が抱えておりますところの不良債権の問題、これは、土地の問題に限って申しますと、金融機関と同時にというよりは、不動産業界が抱えている土地という問題も大きな問題になるわけですけれども、この金融システムの信用回復について、今審議会で議論していただいているからとかなんとかということではもう済まない、もう、一年ぐらい対応がおくれてしまったのではないかと私自身は考えているわけでございますけれども、今の金融システムの信頼を回復するために、金融機関が抱えております不良債権の問題を解決するために、大蔵大臣は、自分はこうするんだという考え方を全体として国民の皆さん方の前にお示しになったという記憶は私はないんですね、全体として。 二信組の問題が起こった、あるいはどこどこの銀行に何々が起こった、どうも今までの対応を拝見しておりますと、問題が起こったことに対して対応をする、モグラたたきみたいな感じで対応しておられると思うのですが、既にかなりもう時間がたってしまって非常に難しい状況になってきているというふうに私は見ているのでございますが、もうこの辺で政府として、大蔵大臣としてこういう処方せんでやるんだということを明確にお示しになる必要があるのではないでしょうか。
○武村国務大臣 今の御指摘は、西岡先生、少し正しくないと私は申し上げたいのは、確かに二信組、コスモ、木津、兵庫と、この五つの破綻した金融機関に対しては、私どもは、これはもう起こった瞬間に対処方針を示しながら、ある意味じゃ非常に明快な姿勢でやってまいりました。 しかし、この四十兆を超す不良債権全体の問題は、早くからこの問題には触れておりますが、六月に大蔵省としては全体像を文書にしてきちっと考え方を発表いたしております。そして、先般、九月の二十七日に改めてまた早期処理に対する姿勢を表明いたしておりまして、不良債権あるいは金融問題全体についての方針も二度にわたって表明をしてきているわけでございまして、そこはぜひ誤解のないようにいただきたいと思っております。 そして、このことが我が国経済の現状においては解決しなければならない喫緊の課題であるということは当然でありますし、下手をするとこのことが日本経済の回復に、景気の回復に足を引っ張る、こういう可能性もある。バブルの背負っている日本経済の傷ともいうべき不良債権の問題を一刻も早く解決をするというこの姿勢で一貫して今日まで記者会見その他対応してきたつもりでございます。あるいは私自身の物の言い方あるいは説明の仕方に不十分な点があったのかもしれません。 先般ルービン長官と会ったときも、ここはむしろ日本政府の不良債権に対するやり方は非常に敬意を表したい、まずこういう表現がございましたし、一部新聞にも出ておりましたように、非常に思慮深く建設的なやり方をしていると、記者会見でルービンが答えている、公式の場で答えている表現ですが、とか非常にうまくやっているとか、そんな形で長官自身が認識をしてくれておりますように、一定の形で、むしろアメリカの不良債権問題との比較でそういう感想を漏らしてくれたんだろうと思います。 アメリカは一九八〇年ごろから始まりました。実際にあれこれ国会でも随分議論があって、なかなかまとまらなくて、方針がまとまったのが八九年でございます。まとまってから、八九年からちょうど今年まで六年間かけてやっと不良債権、八〇年代前半に起こった不良債権の問題を処理したというみずからの苦い体験を見ながら、日本はそれに比べれば割合早いという評価をしてくれているんではないか。 でも、そんな評価に甘えているわけにいきません。とにかく住専問題を基本にして、この秋から暮れにかけて解決策をまとめますと既に何回も申し上げているわけでございますから、この難しい問題に腹を据えて、この秋、年末にかけて真剣に取り組んでまいりたいと思っております。 〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
○西岡委員 それは大蔵大臣、ちょっとお話が違うんではないかと思うのですね。我が国の銀行、金融機関に対する世界的な評価というのは非常に悪くなっているというのが現状だと思うのです。その背景として、金融機関が持っている不良債権の問題がこれあり、それともう一つは、個々の銀行が起こしている、最近も起きております不祥事件等々、我が国の金融機関に対する世界の目はかなり厳しいものになっていると私はそう見ているのですが、間違いでしょうか。
○武村国務大臣 当然、不良債権問題がまだ解決できていないわけでございますから、バブル後もう四年、五年目を迎えていて、政府が発表しております四十兆という大変巨大な、不健全な債権を抱えているということが海外にも広く知られているわけでございまして、そういう意味では印象を悪くしていることは紛れもない事実であります。 ですから、私どもも、きのう帰ってまいりましたが、G7等におきましても、なるたけ具体的な数字をもって各大蔵大臣や中央銀行総裁にも御説明を申し上げたわけで、そういう意味ではみんな割合よくわかってくれたと、新聞が報道しておりますように、そんな雰囲気でありました。 残った財務官は、ヨーロッパの金融機関、アメリカの金融機関の代表も集めて、きのう、きょう説明をさらに続けておりますが、そういうことによって、いわゆる誤解といいますか、実態以上のオーバーな見方というのは是正されるだろうと思っております。 ただ、大変残念に思っていますのは、大和銀行の事件であります。 これがこの時期、この問題を解決しようとしている時期にちょうど起こってしまいました。これはもう本当に弁解のしようのない、しかも十一年間にわたる一行員の、ディーラーの不正事件でありますだけに、このことが改めて、大和銀行のニューヨーク支店の事件ではありますが、金額が大きいことも含めて、日本の金融機関の体質ではないかというそういう見方もされるのではないか。そんな意味で、この問題が起こったことを大変残念に思っているところであります。
○西岡委員 私は、こういう金融機関の不良債権を抱えている現状というものを政府が、大蔵大臣がこういう解決の方法でやるんだということを政府声明ででも出して、のんきなことをおっしゃっておられないで、直ちに政府声明を出して、具体的な手を、住専がどうだとかというそういう問題ではなくて、全体の問題として取りかからなければいけなかった問題ではないかというふうに思っているわけです。 具体的に申し上げますと、これだけかなり奥の深い金融機関の内部の状況、あるいは土地がなかなか動かないというような問題も含めて考えますと、異常な事態だと思うんですね。 しかも、公定歩合は〇・五%だ。〇・五%だけれども、それは、企業が新しいことに何か進出していこうということになってもなかなかお金は貸してもらえない。しかも、私の地元は九州の長崎なんですけれども、長崎で、例えば長崎の地場では優良な企業が短期のお金を借りる場合にはやはり二・二%ぐらい、長期になりますと四%を超えるという状況だ。 一方で、〇・五%という本当に異常な公定歩合の状況のもとで、年金生活の皆さん方とか、ささやかな預金の利息というものを消費に回されるというような、そういう国民全体にこの低金利政策というものがどれだけ大きな影響を与えているか、これがまた日本経済にはね返って消費を冷やしているというような問題にまでつながっていると思うんです。 そういうことを考えますと、これは速やかに政府として、大蔵大臣としての方針をお出しになって、具体的に提案を申し上げますが、金融の自由化というものにきちっとこたえていくということが、もちろんこれからこれを積み上げていかなければいけないんですけれども、とにもかくにも、現状を何とか打開しなければそれは始まらないと思うんです。 したがって、当面、大蔵大臣として国民の皆さん方に対して政府声明という形で、ぜひ総理とも御相談になって、金融の不安は政府の責任において決して起こさない、そして預金者についてはこれは原則的にきちっと保護する、保証するということをおっしゃった上で、すべての金融機関の実態を国民の前に明らかにする。 まあ三カ月、場合によっては半年ぐらいかかるのかもしれませんけれども、一定の期限を切って、その間に金融機関全体の実情というものを、実態というものを明らかにしていく。その上で対応を、それは私なりの考えを持っておりますけれども、そういう手順をきちっと踏んで思い切った対応をすべき時期が、もう既に手おくれだなという感じさえしないではないんですけれども、直ちにそれをなさるべきではないんでしょうか。 年内に住専の問題の解決とか、そういう問題ではなくて、早急にこれをやらなければ、せっかくの第二次補正も日本経済を浮揚させるだけの力にはなり得ないと私は判断をしているわけでありますが、大蔵大臣の御見解を承りたい。
○武村国務大臣 決して御質問に対して強気で答えるわけではありません。冷静に申し上げたいのでありますが、もうそういうことはすべて今まで大蔵省としては申し上げてきたし、私自身もみずから記者会見で申し上げているわけであります。 特に、先ほど申し上げた、六月八日に「金融システムの機能回復について」と、これは数ページにわたる大蔵省の方針を記者会見で発表しました。ここにはもう全体像、四十兆円もここで発表しましたし、おおむね五年間で、金利減免等を行っている債権も含めて、しかも従来の発想にとらわれないでこの債権問題の解決にめどをつけると言い切っているわけです。そして、公的な関与のあり方も含めて検討するとここで発言しているわけです。おっしゃったような、預金者には一切迷惑かけない、五年間は迷惑かけませんと、金融秩序を守りますと、預金者には五年間は迷惑をかけませんと、五年たてばやはり自己責任、ディスクロージャーをして自己責任を国民の皆さんにも呼びかけますということもここではっきり申し上げていますし、ましてや今年度、来年三月期までには金金融機関でディスクロージャーしてください、この方針もここで発表したわけです。 今御指摘のような幾つかの点は全部ここで、明快に記者会見で発表をしておりまして、声明を出すという形式は、これはNHKの討論で西岡先生の御提案として承っておりましたが、声明という形式をとることがよかったかどうかということは議論があるにしましても、声明以上の明確な形で大蔵省は全体像をとらえながら方針を発表して、これに続いて、先月の二十七日には、今度は住専問題も含めた早期処理という姿勢を改めて一段と明らかにさせていただいたわけであります。しかも、住専の一番難しい問題も年内に解決をいたしますと、ここまで言い切っているわけであります。 なお、申し上げますと、四十兆円全体が何か非常にデッドロックに乗り上げていてにっちもさっちもいかない事態に陥っているかのごとき印象も一部にありますが、先ほど午前中、前原議員の質問にもお答えしましたが、それぞれの金融機関がまず自助努力で精いっぱいの努力をしております。それはこれからも続けてまいります。 大ざっぱに申し上げますと、昨年一年間の銀行協会加盟の金融機関の業務純益は四・五兆円になります。同時にまた、償却に充てるための特別勘定というのがありまして、それぞれみんな積んでおりますが、それと貸倒引当金という制度がございますが、この二つを足した金額は約七・三兆円に上っております。これはもう刻々一生懸命自助努力でふやしております。そして、あえて言えば、株式等の含み益は十数兆ございますから。 そういう、この不良債権に対応する民間金融機関の能力というのはかなり高まってきているわけで、今まだ四十兆ございますけれども、これは引当金であったり特別勘定であったりでありますから、即、今日をつむって充当するわけではありませんが、いざというときにはいつでもその金を優先的にこの不良債権に充てられるという能力ですが、それはかなり高まってきておりまして、それとのバランスで全体をごらんいただきますと、不良債権四十兆全体の中で、償還可能なものもあるわけですから、実際に返ってこない、ロスというか、回収不能な債権がどのくらいかというところに目を置きながら、片方、金融機関のそういった能力、純益とか含み益とかあるいは特別勘定とか引当金という能力を両方でごらんいただきますと、民間金融機関のほとんどはこの不良債権、そう長くない期間のうちに乗り切っていけるというふうに申し上げることができるし、私どもはそう判断しているところでございます。 しかし、それにしても残るのは住専だ。これだけは、額が大きいということもありますし、系統金融機関も加わっておりますだけに、これはやはり政治も含めた大胆な決断が必要だし、ここには公的資金の導入も含めた公的関与の可能性を真剣にやはりこの秋詰めていかなければならない、こう思っているわけであります。
○西岡委員 私が申し上げているのは、大蔵大臣は確かにその時々で記者会見をなさっているかもしれませんが、政府として、大蔵省としての決意といいましょうか、それが具体的な形でどうも伝わってきていないと思うのですね。 それともう一つは、銀行の実態というのはどうなっているかということは、その大蔵大臣のお話ですけれども、国民の前に明らかになっていないのですね。金融機関、時間かけてこれを救うために公定歩合が〇・五%という低い状況になっているということがずっと続いていくのか。五年とおっしゃいましたけれども、私は、早急にこれは解決しないと日本経済は大変な事態になるということを本当に心配しているのです。 私自身も、みずからの不明をあえて申しますと、平成三年でございました。当時、銀行局長を私の部屋に、国会の中でございますが、来てもらいまして、バブルがはじける、株式市場がかなり悪い状況になってきた、これは金融機関が危ないんじゃないのということを、私は当時の銀行局長に忠告をいたしました。全く問題ございませんというのが返事でございました。その後具体的に一議員としてこれに対応できなかったということを私自身恥じているわけでございますが、今この時点で、五年であるとか何年であるとかということではなくて、直ちに政府はあらゆる手段を講じてこの問題の解決に総力を挙げるべきではないかと思うのです。 これまでの対応をずっと拝見しておりますと、一つ一つの、信用組合がおかしくなった、あるいは銀行がおかしくなった、何か奉加帳を回したみたいなことをして出資を求めるとか、そういうこそくなことではなくて、政府としてどうするんだ、大蔵省としてどうするんだということを明確に示して、全部の金融機関の資産の実態というものを明らかにする、それで私は政府声明と申し上げたわけです。実態を本当に明らかにした場合に、本当に金融不安が起こって大変な事態になるというおそれなしとしない、だから私は政府声明という形が必要なのではないかということを提案をしたわけでございまして、今大蔵大臣は首をかしげておられるけれども、そんなにこれ簡単なんですか。 例えば住専の問題にしましても、これは協同組合のあり方自体今後どうするんだという問題も含んで大変な問題だと思うのですね。そういうことを考えますと、これは私は、今の政府の取り組み方というのは生ぬるいのではないかと思うのです。そうお考えになりませんか。
○武村国務大臣 私どもが対応しておりますことが百点満点で問題がないとは思っておりません。そういう意味では、大きい問題でありますから、野党としても今後とも厳しくいろいろと御批判や御指摘をむしろ賜りたいと思っております。 ただ、金融の問題ですから、かなり専門的でもありますし、今まで個々には余りディスクローズされていなかった世界でもありますだけに、何となくこう、話が実態以上に大きく広がる性格を持っています。外国でもそうでございますが、日本の国内でもそうです。 ですから、ディスクロージャーが非常に大事だということを申し上げておるわけですし、私ども来年の三月期までにはほとんどの金融機関が一定の基準でディスクローズするという方針をもう指示をしておりますので、恐らく着々そういう覚悟で各金融機関は初めてオープンにする準備を今進めているところだと思っています。それよりも早く、ことしの九月期の不良債権の実態は報告を今聴取していまして、これだけは十一月末までには、来年の三月でなしにことしの暮れまでには全体像を発表させていただきたいというふうに思っているわけであります。 そして、先ほども申し上げましたように、例えば二十一行に例をとりましても十二・五兆円、ことしの三月の不良債権総額は破綻先と延滞を足して十二・五兆円残っているということで、これはもうはっきりしておりますが、この十二・五兆円全部がまだそのまま残っているというよりは、先ほど申し上げましたように、この中で五兆円ぐらいは回収が可能である、銀行みずからがそういう計算をいたしております。そして、先ほど言った特別勘定等による積み立てを着々ふやしていっておりますから、これでかなり対応できて、残るのは約三・二兆円だ。全体の十二兆五千億の四分の三はもう始末ができています、対応ができています、四分の一が残っています、こういう認識であります。 この三・二兆円に対しては、去年一年間のこの二十一行の純益が二・八兆ございますから、言ってみれば一年間の純益をばっと全部動員すれば消してしまえるぐらいの金額ですから、問題が軽いとか小さいと言っているのじゃないですよ、必死で頑張っておりますから、個々の金融機関あるいは全体で見てもほぼ対応する能力を持っているということを申し上げているわけであります。G7でもそういう数字を挙げながら説明をしてきたところであります。 なお、住専の問題は、今御指摘がありましたように、これは小さな問題ではありません。農協系の五・五兆円を含めた大変大きな根の深い問題でありますだけに、一般の金融機関と同じような姿勢で問題を解決することが大変難しいという認識を持っておりまして、目下、農協系も含めた関係者が真剣にテーブルに着いて今話し合いを始めたところでございます。この話し合いを慫慂しながら私どもは、もうそんなに時間がありませんから、十月、十一月、十二月というこの短い期間の間に、ぜひ少しでも歩み寄りを期待をしながら、最終的には政治にしろ行政にしろ、いろいろな努力によって最終の案をまとめ切るところまで努力をさせていただくという決意でございます。
○西岡委員 これは、今大蔵大臣のお話ですけれども、それぞれの金融機関のディスクロージャーというものを国民の前で全部なさるということでございますか。
○武村国務大臣 正確に申し上げますと、来年の三月期までに金融機関に、この六月の方針で要請をいたしているところであります。既に二十一行、大きい金融機関は破綻先債権、延滞債権プラス減免債権まで当然オープンにしていきます。それから地方銀行は破綻先と延滞、それから一定規模以上の金庫については破綻先債権、こういう銀行によって基準を設けておりますが、そういう前提条件でディスクローズすべしという方針で今作業にかかっているところであります。
○西岡委員 これまでのこともそうですが、今後のことにかかわるのですが、金融機関に大蔵省からかなりの方々が、もう古い数字、古い調査しか私持ちませんので具体的なことは申し上げませんけれども、大蔵省のOBの方が銀行の頭取になられたり、それぞれ地方銀行まで含めますと相当の人数の方々が、私は天下りという言葉は余り好きじゃないのですけれども、そこに再就職をしておられる。 私は、公務員の皆さん方の定年制の問題等、あるいはこれまでの慣習であった、同期の年次の方が次官になると同じ年次の方がおやめになるというような慣習も含めて根本的に改めないと、有能な方々が定年だということで第二の人生というのは、そういうことは国家、国としても非常な、何と申しましょうか、ロスになるところでございますから、もっと人材の、人の活用ということが大事ではないかなと思うのですが、金融機関に余りにも多く大蔵省からの天下り、いわゆる俗に言う天下りという再就職が行われているということは好ましいことではないと思うのです。 そのことが金融機関に対する大蔵省の行政というものを、私は曲げているとは申しませんが、ちょっと甘いものにしているのではないかなという思いなしとしないわけであります。思い切ってこの際、大蔵省からの銀行くの再就職というような、そういうものは一切やめにするということをお考えになりませんか。 〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
○武村国務大臣 たまたま大蔵省と金融とのかかわりの具体的な御指摘でありますが、政府全体としてもそれぞれ産業、行政がある中で、役所をやめた後、請われでそういう業界に入っていくということは、一定の条件のもとに許されているわけであります。公務員の退職の年齢とか公務員制度そのものとのかかわりも当然あるわけでございますが、早くからこういうことが、いわば天下りという批判的な表現で話題にされてきて今日に至っているわけであります。 私どもとしましても、弁解するだけでなしに、やはり今回の問題の中で今後どうあったらいいのか、今私がここで大蔵省だけ一切関係の機関への再就職はやめるということを申し上げませんけれども、今回のこうした問題の中で政府全体として議論をしていいというふうに思います。あくまでもやはり公務員制度そのものをきちっと議論しませんと、今回の大蔵省の場合も、結局、金融関係、財政、経理関係の専門家が比較的たくさん大蔵省では行政経験から育つわけです。 そうすると、住専のような、何社かが母体行で新しい会社をつくろうというときに、なかなか会社相互では決められない、突っ張り合って決まらない、そうすると、第三の中立的な大蔵省のOBをもらおう、こういうこともあって、そればっかりかどうか知りませんが、大蔵省のOBが設立当初はたくさん住専の社長等に就任をした。しかし、大体住専が定着した時期に大方はやめておりまして、現在は会長一人、社長一人という状況でありますが、それでもまだ二人残っております。 何というか、そう無理をして金融の世界に大蔵省のOBが進出をしていっているということはありませんし、また、職務の上で批判をされるようなことはまずないというふうに私は思っております。
○西岡委員 私も、いたずらに現状を全部やめてしまえということを申し上げているわけではないので、この公務員制度の問題、先ほど申し上げたように、定年制の問題も含めて検討をした中でそういうことをお考えになるべきではないかということを申し上げているわけです。 ただ、金融機関というのは、やはり特別な役割を、他の産業とは違う役割を担っている。だからこそ、国民の皆さん方も、中小企業の皆さん方が全くもって自己責任でやっておられる中で、なぜ金融機関だけがいろいろ破綻した場合に公的資金をつぎ込まなきゃいけないのかという素朴な疑問を持っておられると思うんです。 しかし、金融機関が持っている日本経済における大きな役割、今や世界経済の中においても日本の金融機関がどうあるかということについては大変な影響を与え、また関心を持たれている。 そういう金融機関をきちっとした形に立て直すという意味で、新進党としては、いわゆる日銀特融などの活用もこれはやむを得ないだろう、そう考えるわけです。それだけに、大蔵省としてはみずから襟を正すということが必要なのではないかという意味で申し上げているわけでして、これは他の役所とはちょっと違う趣を持っているのではないかというふうに思います。 それと、大蔵大臣、何と申しましょうか、かなり楽観的にお考えのようですけれども、そんなにこの金融機関の不良債権の問題、不動産業界が抱えているバブルのときに購入した土地の問題等々、全体を考えてみますと、それほどこれは生易しい状態ではないと思いますけれども。大蔵大臣はこの事態を、まあそんなに大して心配要らないよとお考えなんですか、先ほどのお話を承っていると、そのようにしか聞こえてこないんですけれども。私は事態は深刻だと思うんですが。
○武村国務大臣 大変大きな問題だし、深刻な事態だという認識では西岡先生と変わりありません。 ただ、いたずらに大変だ、大変だと言って不安が広がっていっては困る。事態がどうなのか、不良債権の総額がどうなのか、その中でロスと言われる再建不能な債権がどのくらいあるのか、それに対して個々の金融機関の力はどうなのか、能力はどうなのか、何年ぐらいかけたらこれが解決できるのか、こういう全体像で私どもは見ようとしておりまして、五年間というのも、何か五年間というと、ずるずる五年かけてこういう議論を続けながらやっていくのか、こういう印象を与えますが、年内にもう対策は全部決めていこうということです。 個々の金融機関が、早いところはそれはもう二年、三年でやり切れるでしょうし、遅くとも五年前後の期間で、抱えた不良債権をきちっと経営上ゼロにしてもらう、こういう意味で五年という数字を申し上げているわけでありまして、議論はそう先延ばしするつもりはありません。この秋から暮れに、たびたび申し上げてまいりましたように、果断な決断をしなければならないというふうに思っております。 事態は、決して軽く見ているつもりではありません。しかし、必死で金融機関が努力をし、また残された住専の問題についてもこの政治の議論、今特融というお話もございましたが、さまざまな御提案をいただく中で、全体の関係者が合意できる道を見出して、解決のめどをつけたいというふうに真剣に思っているところであります。
○西岡委員 大蔵大臣にお尋ねをしますが、関係者の間で話し合いをするという、これも大事なのかもしれませんが、大蔵大臣として、こういう方針でこういう処理をするということを国民の皆さん方の前に明示する責任がおありではないかということを私は申し上げているわけです。いかがでしょうか。
○武村国務大臣 この住専の問題は、大蔵省の責任ではありません。あくまでも民間金融会社の問題でありますし、住専みずから、そして住専を設立した母体行、そして住専に金を貸した貸し手金融機関等々の問題であります。 もちろん、私どもは行政として、これはまあ金融機関でありませんから認可ではありませんけれども、受け付け、これは登録でしたかね——届け出、ノンバンクと同じ扱いですから届け出ではありますが、大蔵省の出先機関が受け付けをした機関でありますし、また、母体行との絡まりで金融行政、広い意味では金融行政がかかわっておりますだけに、責任は十分感じております。ただ、大蔵省が、民間の問題でありますだけに主体ではないということをぜひ御理解いただきたいと思います。 しかし、それでも基本は関係者の話し合いだ。今、事実話し合いが行われているわけですから、真剣な話し合いが始まっているわけです。それだけでもう話が簡単につくとは思っておりません。そういうある段階に来れば、国会の与党の中でも真剣に御心配をいただいて、プロジェクトチームが御心配をいただいておりますが、大蔵省なり農林省もみずからそういう行政の責任を果たさなきゃならないときがあるというふうに思っております。
○西岡委員 私が申し上げているのは、やはり大蔵省の責任というのは、住専というふうに、一つ一つ、住専あるいは信用組合とかそういうことで区切って話をしますと、我が国の金融機関全体が抱えている問題というふうになかなかならない。私は、日本経済全体の中における金融のシステムを再構築していくために、今起こっている事態に大蔵省が責任があるのではないかという意味で申し上げているわけで、これを、住専をどうするこうするという問題ではなくて、やはり大蔵大臣としてこの問題に取り組む姿勢というものについて私は申し上げているわけです。その点は御理解をいただいて、対応を正確にしていただきたい。 しかも、公定歩合の〇・五%という、先ほどからるる申し上げたように、他の分野に与えている大きな影響、これをやはり大蔵大臣としても十分お考えにならないと、金融機関だけの方に顔を向けてこの問題をお考えになるというのは私は大きな間違いだと思うのです。異常な事態だと思いますよ。その点はいかがですか。
○武村国務大臣 これは公定歩合を発表をされた日も大蔵大臣として記者会見で申し上げたわけでありますが、金融機関のため、特に不良債権に苦しむ金融機関のために公定歩合の引き下げなんというのは全く頭にありませんと、あくまでも低迷する日本経済を早く明るくする、そのためには低利の状況になって資金に対する需要が少しでもふえてくる、そのことを専ら期待をして公定歩合を日本銀行は下げたと思います、そのことは率直に評価したいと思いますと、こういうことであります。 私の説明が十分でないかもしれませんが、金融機関の不良債権の問題を決して軽く思っているところか、最大の、大変難しい課題に直面しているという気持ちでございます。しかし、このことが大変経済全体にも世界にも影響を与えるぐらいの課題でありますだけに、それこそ先送りをしない、ずるずる引き延ばさないということとあわせて、時が来れば果断な決断をして、年内には解決策をきちっと生み出していかなければならない、そんな思いでございます。今後ともぜひいろいろな側面から御提案等いただくことができれば大変ありがたく思っております。
○西岡委員 大蔵大臣、現在の時点で、大ざっぱでいいんですけれども、国民の皆さん方の貯蓄の総額はどれぐらいというふうに把握をしておられますか。
○武村国務大臣 一千百兆円という数字がございます。法人、個人に分けたり、いろいろございますが、そう申し上げていいのかと思います。
○西岡委員 そうなりますと、金利が一%仮に上がっているとすれば、利息だけで十兆円を超えるということになります。 今回国会に提案されております第二次補正の国費は四兆七千百億でございますか、そういうことを考えますと、こういう低金利のことが将来に対して大変役に立った、建設的な、そういう低金利政策であるならば一つの考え方だと思いますが、それにしても〇・五%というのは、新しい産業を創造するためのということよりも、やはり現在の金融機関が抱えているいろいろな問題を解決するための公定歩合政策であるとしかだれも見ていないと思うのですね。そういうことを考えますと、できるだけ早い時点でこの問題についての思い切った対応を大蔵省としてはなさるべきであろうと御提言を申し上げます。 新進党としても、そういう具体的な、建設的な、思い切った御提案があれば、積極的にこれは賛成をしてまいりたいと考えておりますので、その御決意をもう一度、国民の皆さん方の前に、いろいろ大臣は記者会見でおっしゃっているというふうに言われますけれども、なかなかぴんときて受けとめられていないと思うのですよ。ですから、私は、この事態は政府声明でも出して、こういう方針でやるんだというぐらいの事柄ではないかということをもうしつこく申し上げているわけでして、もう一度その御決意のほどを承りたいと思います。
○武村国務大臣 この問題を重視いただいて、繰り返し御提案をいただいて、大変ありがたく存じます。 政府声明という形はとっておりませんが、私どもとしましては、大蔵省が中心ではございますが、政府全体にかかわる大きな課題でありますし、むしろ日本経済や世界経済にまで影響を与える問題であることをしっかり認識をさせていただいて、御指摘のとおり、そう時間を置かないでこの問題に具体的な結論を見出していきたい、年内というみずからタイムリミットを設定して、精いっぱいの努力をさせていただきたいというふうに思っております。ぜひよろしくお願いいたします。
○西岡委員 江田議員と交代をいたします前に、オウムの一連の問題についてごく簡潔に一点だけ、御新任早々で恐縮ですけれども、法務大臣にお尋ねをいたします。 明らかにオウムの集団が起こした行為というのは、私自身は破防法の対象になる、このように判断をいたしておりますが、法務大臣はどのようにお考えでしょうか。
○宮澤国務大臣 オウム真理教につきましての破防法の適用の問題につきましては、いろいろな意見があることは承知をいたしております。ただ、あのような凶悪無比と申しますか、あのような事件を再び起こしてはならないというような点においては、大方の御意見は一致をしていると思います。 破防法は、御承知のように、公共の安全を確保いたしますために、暴力主義的な団体活動でそういう行動をした者を規制をする制度でございますけれども、同時に、これも御承知だと思いますが、基本的人権にかかわる問題でもございますので、その適用の問題につきましては、法と証拠に基づいて慎重にやっていきたいと思っております。
○西岡委員 総理にお尋ねをいたしますが、総理は当初、この破防法の問題については事務当局の判断に任せる、政治的な判断は加えないという御発言がございました。その後何か若干お考えがお変わりになった発言がございましたが、それはどういうことだったか、御説明をいただきたいと思います。
○村山内閣総理大臣 破防法の扱い方につきましては、最終的に四段階ぐらい手続があるわけですね。最初に手続開始の公示をするということが官報でなされるわけです。その手続を開始するという判断をするところまでは、やはり行政の判断というものがあっていいのではないか。 そうしますと、これは行政の長としての私にも責任があるわけですから、したがって、これをするまではひとつ、いろいろな法をつくるときの経緯もありますし、同時に破防法についてはいろいろな意見もあるときですから、慎重に検討していただきたい、特に基本的な人権に関する問題でもありますから、慎重にやはり扱ってほしい、こういうことを申し上げましたけれども、それ以降については、これはやはり司法に準ずるような性格のものでもありますから、余り政治がこの問題について関与すべき問題ではないのではないか、こういう見解を一貫をして申し上げておるのですよ。 そして、私の後段の部分をよく聞いた人は、これは官僚任せか、こういう話になりますし、前段のものを聞いた者は、これは慎重が、こういうふうに分けてとられるものですから大変困るのですけれども、私はそういう意味では一貫をして申し上げているつもりであります。
○西岡委員 決して総理のこの問題についての御発言は一貫していると思いませんが。 法務大臣にお尋ねをしますが、要件は十分整っている、四つの要件があるわけですけれども、詳しくは説明いたしませんけれども、十分整っていると私は考えますけれども、いかがでしょう。
○宮澤国務大臣 要件が十分整っているかどうかということは、ただいま公安調査庁におぎまして各方面から資料を収集をいたしまして調査をいたしている段階でございます。 それから、私自身といたしましても、先ほどもお話がございましたように新任早々でございますので、よく公安調査庁の整った資料等を中心に検討をしていきたいと思っております。
○西岡委員 やはりこのオウムの問題で多くの犠牲になった方々、そしてなおかつ、いまだにこのオウムの集団の呪縛から逃れられないでおられる方が相当の数、七割ともいろいろ言われておりますけれども、存在をしているというようなことを考えますと、ここは政府としても、これは行政の責任で行うことでございますから、英断をもってこの問題についてはお取り組みをいただきたいということを強く要請をいたします。 引き続いて、この問題に絡んで、江田議員と交代をいたします。(拍手)
○上原委員長 この際、江田五月君から関連質疑の申し出があります。西岡君の持ち時間の範囲内でこれを許します。江田五月君。
○江田委員 我が国が今抱えている課題というのは、これは本当に多岐にわたり、かつ複雑である。金融不安の問題もあります、いろんな問題がありますが、この際、私は、西岡委員の質疑の範囲内で、関連をして、項目を極めて絞ってお伺いをいたしたい。主として今お話のあったオウム事件の関連、それと、その関連で、今これから課題になってまいります宗教法人法改正の問題、この二つに絞って伺っていきたいと思います。 総理、先ほど、オウム教に対して破防法を適用するかどうか、これについて、行政の段階とその後の準司法手続の段階に分けて考えておるんだというお話でしたね。それで、行政の段階のことなんですが、私も、これはやはり非常に重要なことで、そんなに何か政治があおるとかあるいはしりをひっぱたいてとか、そういうことではない。しかし、やはり国民は今依然としてオウムのことについては非常に不安に思っていると思いますよ。 三月の二十日に、まさに公衆の乗り物ですね、地下鉄、ことしですが、ここでサリンがまかれた。大勢の人が死に、また重軽症者が多数出た。そういえば、去年の六月の松本のサリン事件、すぐこれはぴんと皆ざます。そのすぐ後に連休がありましたね。連休のときに一体どうなるんだ、日本じゅうがパニックになるんじゃないか。その直前に総理は、四月でしたか、本会議で、こういうふうにやるから、こういうお話をいただいて、国民の皆さん安心してください、政府はしっかり対応をとっている、こういうことを言われましたね。 しかし、依然まだやはり国民は、それは麻原彰晃は逮捕をされて、今司法の手続が進んでいっている、大勢の被疑者あるいは起訴されて被告人、こういうことになっていますが、だからといってまだ安心しているわけではない。つい先日も、ある山の中で逃げた跡があった、そこに青酸が発見をされたというようなことがありましたね。サリンはもう多分まあないだろう、だけど、完全にありませんというところまでまだ国民の皆さんに言い切ることが残念ながらできないんじゃないか。いや、別に国民の危機感、恐怖感をあおっているんじゃないんですよ。 そういう状態ですから、とにかくオウムにもう一度あんなことをさしてはいかぬ。オウムの再発といいますか、また別のそういう団体が出てきちゃいかぬという話は置いておいて、オウムにもう一度あんなことをさしちゃいかぬ、これは国民の強い強い希望だろうと思うんですよ。ですから、オウムにああいうことをさせないために行政としてありとあらゆることをしてほしいという、そういう気持ちがあると思うんですね。 ですから、その国民の気持ちにやはりこたえなきゃならぬ。世論は沸騰しているわけで、沸騰している世論にそのまま流される、これはやはりいけないと思いますしっかりとそれは受けとめて、十分そしゃくをして、冷静な頭で、しかしやはり沸騰している世論にきっちりこたえるということは必要なんじゃないですか。 そこで、私どもは、今西岡さんを中心にいろいろな方面からの事情聴取をしてみました。オウム真理教というのが直ちにそのまま、破防法がもともと予定をしていた団体にすとんとこう入るというのは、それはいろいろ議論はあるでしょう。あるけれども、そこの守備範囲にどうも入る可能性は随分高いぞ。そういうことならば、これはやはり国民のそういう気持ちをしっかり理解をして、そして、そのことについてはひとつとるべき手段はちゃんととる、そのときの政治の責任はきっちり引き受ける、そういう不動の姿勢がやはり要るんではないか。 もちろん、総理がおっしゃる慎重にというのは、私は別に誤解をしているつもりじゃないんで、破壊活動防止法の二条には「この法律は、国民の基本的人権に重大な関係を有するものであるから、公共の安全の確保のために必要な最小限度においてのみ適用すべきであって、いやしくもこれを拡張して解釈するようなことがあってはならない。」と。 あるいは、一々読み上げませんが、三条にも同じような趣旨のことがいろいろ書いてある、そういう法律。この法律のここに書いてあるような運用方針でもって適切に、厳重にこれを適用すべきである。総理から慎重にと言われますと、これは何かいろいろ書いてあるからやっちゃいけないんではないか、あるいは国民の皆さんは、総理が慎重にと言うと、これはひょっとしたら政府はそういう毅然たる決意がないんじゃないだろうか、そんな不安を持つ。そうではないんだ。不動の姿勢でやっていくんだという、そういう気持ちがおありかどうか、これを聞いておきたいと思います。
○村山内閣総理大臣 破防法を適用するかどうかという問題については、これは今もお話がございましたように、それは基本的人権にかかわる問題でもございますし、それなりに私は法と証拠に基づいて厳正に取り扱っておると思いますよ。 それから、オウム事件については、これはもう、今そういう意味で厳正に、一つ一つやはり犯罪の証拠をとらえて、そして捜査を続けておるんであって、だんだん日がたつに従って拡大されて逮捕が進んでおる、こういう状況にございますね。これからまた裁判も行われるわけです。やがてこの全体像は解明されていくと思いますね。このオウムに関連をして起こっておるいろいろな違反事件、こんなことをもう二度と繰り返してはならぬというので、これはもう厳正に法と証拠に基づいてやっているわけですけれども。 一方、破防法を適用するかどうかという問題についても、私は、予見を持たずに、やはり法と証拠に基づいて厳正にこの作業が進められておるというふうに思いますね。 したがって、そういう作業をやはり見きわめながら、決断をするときには決断をしていかなきゃならぬというふうに思っていますけれども、しかし、これはやはり最初から申し上げておりますように、あなたもそうだと思いますが、政治的な、一つの恣意を持って権力的にやるとかやらないとか、そんなことをやるべき性格のものではない、これは当然の話ですね。そういう意味で申し上げているわけですから、誤解のないようにお願いしたいと思います。
○江田委員 総理、やはりここは非常にデリケートなところで、国民の皆さんも本当に総理の言葉に聞き耳を立てているわけですよ。法と証拠に基づいて厳正にというのと、法と証拠に基づいて慎重にというのは、やはりそれは違うように受け取るんですよね。総理、そこは、やはり国民がどう受け取るかというのは考えてほしい。 もちろん、国民の中には、それはこういう世論の沸騰で、もう法や証拠はどうでもいい、この際、もう法や証拠をねじり曲げてもやっちゃえという、そういう人もいるかと思います。確かにいると思います。そういう声をそのまま受けてというのではこれは世論に流されてしまうわけで、それでは法治国家の宰相としての責任を果たすことにならぬ。だけれども、やはり法と証拠に基づいて厳正に、的確に、生きている法律はきっちり使わなきゃならぬ。 さて、総理のいろいろなお話の中に、国民は敏感に、これはオウム真理教は、どうも生きている法律というよりも半分死んだ法律だ、どうもこれは憲法に適合するかどうかについて不安がある。だから、オウム事件についての見方の揺らぎじゃなくて、破防法という法律の憲法適合性についての心の揺らぎ、これがあっていろいろ揺らいでおるんじゃないかという、まあ誤解ならいいんですけれども、そういう心配があるので、破防法が憲法に適合しているという、そういう確信は自分はちゃんと持っておるんだということをここでおっしゃることができるかどうか、お伺いをいたします。
○村山内閣総理大臣 破防法は合法的に成立している法律でありまして、憲法に反するとは思っておりません。
○江田委員 私は、これは後でこれからいろいろ聞いていきますが、確かに破防法というのは、もともとオウム教のようなカルト集団、カルト・テロ集団といいますか、こういうものを予定していたのではないだろう。それはそうだと思います。 ただ、それでも守備範囲に入ってくれば、これはやらなきゃいけないということだと思うのですが、今、残念ながらオウム教のようなああいう集団を団体としてとらえて団体として規制する法律というのは、団体規制の法律というのは破防法と暴対法ですかね、このくらいしかないので破防法ということになる。 しかし、オウムのようなああいう集団犯罪、団体犯罪、テロ集団が反社会的な行動を起こしていく、こういうことに対して私どもどう対応すべきかというのは、これは今立法府に一つ問いかけられている課題ではないのかな、こんな感じがするんですね。 破防法ができた当時は、日本の体制に対して反体制運動がいろいろある、これをどうするかということでしたが、今は、国家の体制が揺らぐ、これに対してという話ではなくて、社会が揺らいでくる、これをどう社会防衛をしていくかということで、諸外国でもやはりこの問題は非常に大きな問題で、今課題になっている。 いろいろな集団犯罪というものが、これはいろんなことをやるわけで、麻薬のこともあるでしょう、銃のこともあるでしょう、その他もろもろのことがあって、そういう団体犯罪にどう対抗していくかということが、例えばアメリカにおいてはRICO法というんだそうですが、そのようなことが考えられていて、日本でも、オウム教がああいうことをやったのは、これはオウム教というのが宗教法人だからやったというんではない、宗教法人の属性でああいうことをやったんではないので、今団体というものがそういういろんな犯罪的傾向を持っていろんなところでうごめいてきているというのは国際的にもあるわけで、それを、日本における一つの団体がサリンという非常に世界じゅうが心配をした、ナチス・ドイツのときにできたと言いましたかね、そういうものを使ったというので、これでもう世界じゅうが震え上がったわけですね。 そういう事態に対する日本の社会防衛の方法はどうなのか。これは私は、単に対症療法的にいろいろ考えるのではなくて、やはり総合的にオウムについての徹底的な検証をして、そして対応策を考えていくという、そういうときが来ているんだと思いますが、総理、そのあたりについてどういう見解をお持ちですか。
○村山内閣総理大臣 当面は現行法を最大限に活用して取り組みをしていく必要があるというふうに思いますけれども、今お話もございましたように、主として個人を対象にした取り締まりの法体系になっておる、したがって、団体を対象にして云々するものは破防法しかない、こういう現状ですね。 したがって、これは今の捜査の状況やら今の社会の動向等もとらえながら、外国の例等も参照しながら、そういうものが必要なのかどうかということはやはりこれからの課題として検討する必要はある、私はそう思います。
○江田委員 そういうオウムにどう対処していくか、今のオウム教がまた同じょうなことをやることにどう取り組むか、これをどう防いでいくかということと、もう一つ、オウムのようなああいうことがまた再び我々の社会に起きないようにいろんな手だてをどう講じていくか、両方あって、この後者の方はかなりやはり突っ込んだ、広い、多方面の検討をしなきゃならぬ課題だと思うのです。 そういう徹底的な検証の前に、それをやるより前に、なかなか政府は素早い対応を幾つかとられておる。どうも素早いと言っていいのかどうか、この予算委員会が始まる直前に田沢法務大臣を更迭、更迭といいますか、辞表をお受け取りになったわけですが、これはどうですか、総理。どうしてあの時期にああいうふうにといろいろ言われておるんですけれども、世に言う二億円の問題とか、あるいはいわゆる裏取引とか、こういうことで辞表をお受け取りになったんですか。
○村山内閣総理大臣 私が報告を受けて、そして田沢さん御自身が辞任届を持って来られましたけれども、その後記者会見をやられていますけれども、その記者会見の中でも明らかにしておりますが、こういうことを言っているわけですね。「私の気持ちは一日も早く補正予算が成立して、国民に安らぎを与えたいという心情で一杯でございますので、閣内において円満な国会対応ができるために、自ら身を辞することがいいという判断の下に、辞表を提出した理由でございます。」こういうことを言われているわけですね。 そして、裏取引云々とか、それから例の立正佼成会との関係とかいうふうなことについては、一切疑惑を持たれることはございません、こういうことを明確に言っているわけですから、私はその田沢さん御自身の気持ちを素直に受けとめて辞任届を受理したわけです。
○江田委員 その疑惑を持たれることは一切ないというのをそのとおり受けとめて、こうおっしゃるわけですが、本当はそこはもっと疑惑解明をしたいところですが、本人がいなくなっちゃったわけですから、これはなかなか総理にしてやられたと、まあそういう、どうも困ったものだと思いますが。 今総理がおっしゃる、田沢大臣が、やめられた前大臣が辞任のときに読み上げた文章、私もここへ持っておるんですが、「一日も早く補正予算が」、その前のくだりがあるんですね。これをちょっと見てみますと、「第二次補正予算の早急な成立を国民が求めておる」、これはそうだ。「またこというのがあって、「宗教法人法の改正も重要法案であり、宗教界の大勢が慎重審議を求めており、私が閣内にあって何かと取りざたされることで、国会審議が遅れるようなことがあれば、国民に対して申し訳ない」。私が閣内にあって何かと取りざたされておる、宗教界の大勢は慎重審議、その前に宗教法人法改正。そうすると、やっぱりこれは、田沢さんをやめさせたのは、田沢さんが宗教法人法改正について消極の見解を持っていたからだ、こういうことになりますね。
○村山内閣総理大臣 これは記者会見されたその文章を正確に全部読みますと、そこだけ取り上げると何かそういうふうにとられますけれども、その後の方のくだりを見ますとこういうふうに言っているわけですよ。「オウム真理教の一連の凶悪事件を契機に、政府与党は今国会において宗教法人法の改正を目指していることは承知しており、私も閣僚の一員として公正・誠実にその職務を果たす所存でありましたし、今日の社会の著しい進展に伴う宗教法人法の認証後の実態変化への見直しについては、当然見直し、改正しなければならない点があると考えておりました。」これは明確に言っているわけですね。 したがって、私は、そういうお話も本人から直接聞いたんですよ。そして、今度の辞任についてはそんなこととは一切関係なしに、とにかく国会の審議に迷惑かけてもいかぬ、一日も早く予算の成立を図ってほしい、こういう一念で私は辞任をいたします、こういうお話ですから、そのことを私はそのまま素直に受けとめて辞任を受理したということであります。
○江田委員 いや、どうもにわかに納得できないんで、村山総理の場合は、これまではやめたいという人はすぐにそのままやめていただくということではどうもなかったのではないかなと。 御本人も含めていろいろあるかと思うんですが、しかし、もともと総理御自身が、形式的にはもちろん任命権者ですが、どうも実質は違うんじゃないかという話もあったりするんで、もうちょっと別の人に聞いてみたいんですが、自民党の加藤幹事長は、これはもう明確ですね。新聞の報道ですが、「宗教法人法(改正)は党の命運をかけた法案であり一丸となって取り組まなければならない。その矢先に慎重論を言われたのでは運動を進めていくのに馬力が出ない。党全体の規律の問題」、こういうこと。 これは橋本大臣、自民党の総裁として、この幹事長と同じ御見解ですか。
○橋本国務大臣 私が記者会見で申し上げましたその原稿そのものでお話をさせていただきます。 たしか先週の金曜日であったと存じますが、一部の報道機関で、参議院における質問の中で、平成会の方の御質問が田沢法務大臣の要請によって一部削除されたといった報道がございました。 そして、これはその日の閣議の終了後、総理からも事実関係を調査するようにという御指示を私が受けまして、参議院議員会長と参議院幹事長にその辺の事実確認をお願いをいたしました。私が報告を受けましたのは、月曜日、九日の十時であります。 その時点におきまして、いわゆる二億円の借り入れの問題について、これは資料等も取りそろえてあり、予算委員会等であっても明らかに自分は説明ができる、そして、そういう状況であるからいわゆる裏取引と報道等で伝えられたことは事実に反する、なぜなら自分はきちんと説明ができる、しかし、景気対策上、第二次補正予算の早期成立を国民が求めておられる現状下において、自分の問題について論議をされ、それが結果として審議をおくれさせることは不本意であるので大臣を辞任する、こういうお話でございました。 それで、私は、それを総理に官房長官立ち会いの場所でお伝えをし、なお、御本人をお呼びをいただき、その意思を確認をしていただきました。 御本人からは、その席上、いわゆる二億円の月々返済をしてきた残額を返済するについて、このとおりきちんと返済は済んでいるという領収書までお見せをいただいたということであります。
○江田委員 どうもまあ、一度記者会見で述べられたことをもう一度お聞かせをいただいてありがとうございますが、やはり加藤幹事長の方が率直。宗教法人法、党の命運をかけた、それが慎重論がいては馬力が出ない、馬力を出すためにという、まさにこれでは党利党略ということになってしまうと思うのですが、馬力を出すといえば、ほかにも馬力が相当出た方がおられる。 島村文部大臣に伺いたいのですが、かなり馬力は出ていますね。 一部の週刊誌では、これは九月の二十二日の金曜日から翌週にかけて、大手六社新聞社ずっと回って、宗教法人法についていろいろお願いをしてきたということが報ぜられておるのですが、これはあれですか、こういう事実はあったのですか。
○島村国務大臣 お答えいたします。 そういうことがあったことは事実であります。 理由を申し上げますか。
○江田委員 いや、後で。 そのときには、これはお話しになったのは今の宗教法人法の改正についての説明ということですか。この報道ですと、秘書官のコメントがあって、これは行政として説明を申し上げるという大臣の言葉があって、文部大臣としての公務で出向いたんだ、こういうコメントですが、これでいいのですか。
○島村国務大臣 そう受けとめられて結構でございます。
○江田委員 あなた、そのときの説明ですが、実は島村さん、これはまだ大臣になられる前ですが、文芸春秋でいろいろ言っておられますね。 そこで、島村文部大臣、もちろん大臣になる前ですが、宗教法人に対しては監督とか指導とか規制とかいろいろなことをする必要があるんだと、こうずっといっぱいおっしゃっている。そういう説明をされたのですか。それとも、きのうでしたか、一部の新聞ですと、やはり座談会にお出になって、そして、後でまた戻りますが、宗教法人審議会の報告がある、その報告のとおりの法の内容に大体なるんであろう、それによると、規制とか監督とかはやらないことは明らかだ。どっちの説明をされたんですか。
○島村国務大臣 言葉が足りませんと誤解を受けますので、まず補足いたしますが、法案の説明に伺ったわけではありません。検討状況について大方の何か絞り込みができたという話について、まず説明に上がりました。 通常ですと論懇というのがありまして、論説委員の方をお招きして、御担当のですね、そういう方々とまとまっていろいろお話はするんですが、それが実際に皆さんの御都合がそろわなかった。こちらの都合でもありましたので、私は冒頭のところだけ出向いて、あとの説明はそれぞれ専門の人が説明をした、こういうことでございます。ただし、経過でございます。
○江田委員 通常なら論懇でいろいろと説明をするところを出向いだというのは、よほどやはり急いでおられる。しかもまだ宗教法人審議会で審議をしている最中で、その審議の結果、これもまたいろいろ問題なんですが、報告が出る。その報告は、先ほどのあなたの文芸春秋の話と、それからきのうの新聞に出たあなたの話と。そうすると、あなたがもと思っていらっしゃったことと違うような報告が出ている、そういう経過について、一体どういう報告をしたのか。 それはそれで、ここであれこれやってもわからぬことですけれども、あなた、そのときに、どういう報告でもいいですが、それとあわせて著作物の再販制度の問題については触れておられますか、おられませんか。
○島村国務大臣 まず、私が一政治家の立場で、文部大臣としてでなくて、請われて文芸春秋に書いたことは確かにあります。しかし、その意思と、現在は文教行政全体の責任者でありますから、おのずから立場上の制約や、公平、公正を期さなきゃならない、時によっては個人の感情や主張も抑えなきゃいけない、こういう立場にあることはよく自覚いたしております。 第二点の、例の再販問題について話が出たかどうか。これは全く話が出ませんでした。
○江田委員 全く出なかった。しかし、そう報道されていますね。これももちろんそう大勢の中で話したわけじゃないでしょうからわかりませんけれども、再販問題に絡み圧力をかけに行ったか、あるいは裏取引をしに行ったか、それはわかりません。わかりませんから、ここで余り何とも申し上げられないけれども、再販問題というのが新聞社にとって非常にデリケートな、神経にさわるような問題である。しかも、あなたは著作物を所管する役所である文部省のトップである。あなたが歩いて新聞社へ行けば、再販問題、これはどうなると、すぐもう、お茶も一級品のお茶を出しておかなきゃとか、新聞社はみんな思いますよ、それは。 そういうときに、こうやって、いや論懇で呼ぶならまだ、ずっと出ていって、しかも宗教法人法についてまだ審議の途中なのにいろいろな解説をされるというのは、どうですかこれは、ちょっと配慮を欠いているのじゃないですか。文部大臣として慎重さを欠いているのじゃないかと思いますが、いかがですか。
○島村国務大臣 私は何でも誠実に事に当たる、それから行動をする、これを自分の日常の旨としておりますが、私は、今回文部大臣になってから、この宗教法人法のいろいろ検討がなされておるのはよく承知しておりまして、当然私のところにも宗教法人審議会のメンバー表などが来るわけです。 しかし、それを見ると、万が一私の親しい方がそのメンバーであったりすれば、どこかで出先で会ったりなんかすれば、私情において、何かそういう話が出たりするといけないので、私は三角さんという方が会長であることはたまたま話の中で承知をしましたけれども、その方を含めて一切私は電話一本しなかった人間であります。今回のことも、当然に再販問題について何かららつかせるとか、そういうおかしな動きは一切しておりませんし、御指摘の一級品のお茶をごちそうになった記憶はありません。
○江田委員 いや、余りお茶を濁してもしょうがないので、やっぱり新聞というのは、世論の鏡でもあるけれども、同時に、世論に大変な影響を与えるものですね。 その新聞社の皆さんが非常に今神経質になっている、その再販問題を担当しているんだという、それはやっぱり十分認識をしておいていただかないと、あなたの本当に言葉一つで、まああえて配慮を欠くとは言いません、十分配慮されてかもしれませんが、新聞の方があるいは世論に訴える筆の先がちょっとどうかなるということはないとは言えない。大勢皆さんおられてそんなことを言ってはいけませんが、あってはいけませんけれども、ないとはやっぱり言えないんだ。権力というのは、そのくらいやっぱり小心、肝を小さくして行使をしなきゃいけないんだということは、私はわかっておいてほしいと思いますが、これはまあこの程度にして、次の質問に移ってまいります。 オウム事件の検証を、多岐にわたりますからすべてにわたってはできませんけれども、できる限りちょっと試みてみたいわけで、どういう事件であったのか、背景は何なのかとか、あるいは行政に手落ちがあったんじゃないかとか、再発防止策とは一体どういうことなのか、あるいはこれまでのいろんなオウム事件に対する行政の規制、捜査その他、オウム事件が今宗教法人であったからというので、それで宗教法人法改正と、こう来ているわけで、これは非常に短絡で、しかも私はピント外れだと思いますが、一体宗教法人であったことが障害になったようなケースがあるのかどうかということなどについて伺ってまいります。 オウム事件でやはり一番、どれが一番ひどいなという比較はできませんが、これは大変なことだと思うのは、いずれもですけれども、やはり坂本弁護士一家の拉致事件ですね。拉致ですけれども、これは後に、拉致では済まなかった、殺害事件ということが明らかになっているわけです。坂本弁護士、私も弁護士登録をさせていただいていて、本当に胸が痛む思いがいたします。 この事件を含めその他の大勢の被害者の皆さんのために、ここで本当だったら予算委員会挙げて黙祷ぐらいしたいところですが、しかし時間がありませんから進みますけれども、憲法三十二条は、何人も裁判を受ける権利は奪われない、裁判を受ける権利を保障しているわけですね。裁判所がちゃんとある。だれも皆裁判所へのアクセスは権利として持っているわけで、しかし、まあなかなか普通の人に裁判所へといっても簡単じゃないのは、これはもう当たり前です。 そこで、弁護士制度というのがあって、弁護士というものが、これはもう徒手空拳なんですね。警察の力をかりるわけでもない、何の力をかりるわけでもない。弁護士が、まさにペン一本あるいは自分の足でいろいろと調査をしながら、裁判を受ける権利を国民に保障するためにいろんな努力を日々やっているわけです。その弁護士が、事件とのかかわりで相手方から殺されるというようなことがあれば、これは法治国家と言えるんだろうかという、法治国家が泣きますね、これでは。こういうことは到底許せない話でございます。 坂本弁護士事件を見ますと、平成元年、随分古いですね、十一月に起きた。その前のてんまつあるいはその後のてんまつも省略をしますが、お母さんが届け出をせられた、捜索願。磯子署の当直員が深夜現場に行ったら、茶わんとか炊飯器とかあるいは財布や眼鏡、そのままの状態で、家族だけがいなくなっているというそんな状態。 まあいろいろ捜査機関もやられたと思います。十一月十五日に公開捜査、十七日には神奈川県警の百二十名体制の捜査本部、ところが、一向にらちが明かない。平成二年二月になって、佐伯というのですか、佐伯こと岡崎という人の投書がある、長男龍彦ちゃんの遺棄の場所がそこに書いてある、捜索をしたが不首尾であった。 そしてまたずっと下って平成七年五月下旬の岡崎供述、これで輪郭がやっとわかって、そして平成七年九月の一日に警視庁と神奈川県警の合同捜査本部、九月六日に弁護士さんと奥さんとが遺体で発掘された。私も聞いたのでちょっとびっくりしたのですが、そこでやっと殺人被疑事件として認知をして、殺人事件としての手続が進んだというので。 これは私もいろいろ警察庁の人に聞きまして、それは捜査ですから難しいです、私もそれはよくわかっています。わかっていますけれども、世間から考えますと、世の中の人が見ますと、単なる行方不明の事件ではなくてもっと早く犯罪なのだと、そういう目でなぜ一体やってくれなかったのか。もっと早く犯罪だということで日本の誇る警察力を動員してやれば、法治国家が地に落ちるというようなこんな事件を早く解決できたのではないか。被疑者不詳で、だれが犯人かはわからなくても犯罪事件として捜査できるわけですから、なぜ一体もっと早く犯罪事件として取り扱えなかったのか。これは公安委員長、お答えください。
○深谷国務大臣 江田議員の御指摘のように、坂本弁護士一家の遺体が発見されたときに本当にあふれるような怒りを感じたのは全く同じ思いでございます。心からお慰め申し上げたいと思っております。 ただ、坂本弁護士がいなくなったその時点で捜査は開始したわけでありますが、何らかの形で犯罪に巻き込まれているというので捜査本部は設置したのであります。しかし、法律の中で捜査を行うということは、委員御承知のように、まことに至難なわざでありまして、一つ一つ証拠を積み重ねていくという作業を丹念に担当警察官は積み上げてまいったわけであります。 この件に関して申し上げますと、極めて証拠が乏しい、おまけに宗教団体であるオウム真理教が集団で証拠隠滅を挙げて行うといったようなことから、極めて時間を要するという結果に相なってしまったのであります。 マスコミの報道がにぎやかになる中で、しかし、捜査員は全力を挙げて、それこそ体を張って努力をいたしてまいりました。そして、その結果として、麻原を中心とする六名の者たちの逮捕にこぎつけて、今日、鋭意取り調べをしているところでございます。 時間的に遅い云々の思いというのは、私どもにもかつてなかったわけではありませんが、捜査の状態を細かく報告を受けてまいりますと、全力を挙げたが結果的にはこのような形であったというふうに了解せざるを得ない、そのように思っております。
○江田委員 これは私も詳細に聞いてみました。それぞれの段階で、それは捜査機関としてやむを得ないということはあったでしょう。そして事後的にはああすればよかった、こうすればよかったということはあっても、それは後知恵で、なかなかそこは難しいというのはよくわかります。 わかりますが、いや、捜査に誤りはなかったんだと言われますと、やはりそれは何だということにもなるので、やはり一生懸命やって、しかし、こうおくれてしまった、そのことについては申しわけないという、その気持ちだけはやはり持ってほしいと思うのですね。 ところで、この事件、確かに今おっしゃるような、オウム教というのが組織を挙げて証拠を隠すというようなことがあった。それはありました。ありましたが、しかし、宗教法人だ、だから捜査がやれなかった、これはあるのかないか。私はそんなことはないと思いますが、いかがですか。
○深谷国務大臣 犯罪に対する捜査というのは、宗教団体であれ他の団体であれ、差をつけるべき筋合いのものでは全くございません。すべてに対して、犯罪の要件があり、認知されたならば、全力を挙げて取り締まりに臨むというのは当然のことでございまして、今回の場合も、そのような姿勢で臨んだことは間違いがありません。
○江田委員 そのような姿勢で臨んで、そして確かに後知恵ではいろいろあったけれども、宗教法人だという何かの壁があって乗り越えることができなかった部分があるということはないんだ、そう理解してよろしいですね。
○深谷国務大臣 全くそのとおりでありますが、ただ、事実上の問題として、個人の捜査をする場合と集団の、組織の捜査をする場合にはどうしても差がございます。組織の捜査の方が難しい。そこへもってきて、いわゆる尊師と言われる者と弟子との人間的なつながり、宗教的なつながりでは、隠ぺいその他もろもろについてもかなり難しさが生まれてきたということは言えると思います。
○江田委員 それはそうだと思いますね。組織が総がかりで犯罪をやる、しかもその組織の中には異常なつながりというものがあるということで。ですから総理、これはほかの場合だってやはり起きてくるんですよ、こういうことが。総合的な立法を考えなきゃならぬと私がさっき主張したゆえんなんですが、坂本事件はまあそこまで。 次に、松本サリン事件。サリンの事件についてちょっとこれも伺っておきたいのですが、だんだん時間がたってきているのでちょっとスピードを上げたいと思いますが、松本サリン事件は平成六年六月二十七日に発生。そして、これも時間がかかったんですね。六月二十八日に捜査本部を設置しましたが、同じ六月ですが、平成七年の六月十二日、丸一年、こうしてやっと警視庁と長野県警の合同捜査本部が設置されて解決に向かった。こういうことになっているので、この間に河野さんが大変なとばっちりを受けたわけですね。これも結果論のところもありますけれども。 それで、決して被疑者として事情聴取したんじゃないんだとか、いろいろそれは弁解はあるでしょうけれども、やはりこの事件で一市民にあれだけの迷惑をかけた。新聞のこともあるでしょう、いろいろあるでしょうが、総理、一言やはり河野さんに何かおわびの言葉といいますか、総理から言葉があってしかるべきじゃないかと思うのですが。機会を提供しますので、ひとつ河野さんに。
○村山内閣総理大臣 今お話がございましたように、捜査の過程で松本さんに大変な御心労を……(発言する者あり)ああ、河野さん。訂正します。河野さんに大変な御心労をおかけしたことについては、これはまことに遺憾なことだったというふうに思います。 それで、当時、前の自治大臣は家庭を訪問して、そしてごあいさつに伺ったというふうに聞いておりますけれども、その気持ちはお互いに皆持つべきものであるというふうに思っております。
○江田委員 河野さんですが、松本サリン事件は、これはかなり、もちろん早い段階でサリンとわかっているんですね。ところが一年かかった。そして、同じサリンで地下鉄サリン事件が平成七年の三月の二十日に発生をした。死者十一名がな、五千五百名の重軽症。私は、この地下鉄サリン事件は、これは防ぐことができた事件ではないか、これは後知恵じゃなくて本当にそう思うんですよ。 阪神大震災、これは天災。しかし、これも行政の、きょうはまあここで話題にしませんけれども、行政の対応いかんによっては、あんなに被害が膨らむことはなかったと思っているのですが、その意味では行政による殺人だ、ちょっと言葉はきついですが、というような感じもするのですが、この地下鉄サリン事件、これも防ぐことはできたと思いますよ。 この事件、平成六年の七月の九日に上九一色村で異臭事件というのがあった。これはもう御家庭の皆さん全部、何しろこのオウムの事件というのは、ああいう状態ですから、もうよく皆さん御存じの異臭事件があった。平成六年の七月です。その異臭事件について、去年の十一月十六日にはその事件の付近で採取した土から、サリンが分解してできた物質であるというそういう物質が鑑定で出てきているんですね。サリンですよ。 七月の事件、すぐでなくても十一月には、上九一色村の異臭があったそこからサリンというものが、サリンそのものじゃありませんが検出されているんです。サリンなんてどこにでもあるものじゃありません。すぐこれは松本事件と結びつく。そして上九一色村ですからオウムと結びつくんで、これは本当にそこに敏感な感覚を持って、情報をしっかり判断をして、そしてああいうサリンなんというのは一日も早く抑え込まなきゃならぬという信念、使命感があれば、そんな三月の二十日、翌年の三月二十日ですよ。十一月から四カ月以上たっているわけです。そこまで何もできないなんということは考えられないんですがね。 これは実は、三月二十日までずるずるといったについては、もう言っちゃいましょうね、時間ないですから、一つかぎがあるんですよ。それは、平成七年の二月の二十八日に仮谷さん事件が起きたということなんですね、仮谷さん拉致事件。これも拉致事件ですが、今や監禁致死であることがわかっています。 ポイントは、この事件は警視庁の管内で起きたということなんです。前の事件は警視庁の管内じゃないんです。ほかにいろいろ事件がありますが、警視庁の管内じゃないんです。宮崎のことだってそうなんです。いろいろそうなんです。警視庁の管内でこの拉致事件が起きた、そこでやっと初めて、こういう事件について捜査をする能力を持っている警視庁が立ち上がって、合同捜査本部をつくることができて、そして、さあやろうと。 二月の二十八日からですから、それが三月二十日というと、まあいろいろな準備をやる、サリンというのがあるんですからこれは防毒マスクも要るでしょう、その装着訓練も要るでしょう。そんなことをやっているうちに三月二十日になってしまった。 警視庁管内で起きた事件がなければ、なぜ警視庁の捜査能力を活用できないのか。そこに何か問題があるんじゃないか。行政の運用の問題があるかもしれない。あるいは法の不備があるかもしれない。法の不備があったら我々は正さなければいけない。行政の運用の不備があったら、これも我々は改めてもらわなければいけない。そういうことをしっかり見ていかなければいけないと思うのですが、どうですか、これは。 今の、十一月の十六日にサリンが検出をされた。サリン情報が出てきた。松本サリンとこの上九一色村のサリンと、この二つの情報はどこかで結びついていたんじゃないですか、行政全般の中で。
○深谷国務大臣 ただいまの江田委員の御質問は、捜査の経過という具体的な問題でございますので、刑事局長から御報告させます。
○野田(健)政府委員 長野県警察において、六月二十七日の事件発生当初から捜査を開始いたしました。 で、サリンの生成方法、あるいはサリンの生成に必要な薬品というものがどういうものかということで捜査を始めていったわけでありますけれども、地道な薬品の販路捜査によりまして、オウム真理教がダミー会社を使って各種のサリン原料、薬品等を大量に購入しているという事実が判明してまいりました。 一方で、昨年十一月に上九一色村の土砂からサリンの分解残留物の一部を検出いたしました。これでオウム真理教がサリンを製造しているのではないかという疑いを持つに至りまして、その後、具体的な実行行為者の特定等に努めてまいりましたけれども、残念ながら強制捜査に着手することがそれまでの間はできなかったということで、七月の十六日に松本サリン事件の強制捜査に着手したものであります。
○江田委員 松本サリン事件では、サリンというのはこれは当然わかっている。そんなに何カ月もかかるわけじゃないんです。何カ月どころか、あっという間にわかっている。次に、平成六年十一月十六日には、上九一色村の異臭事件に関連してサリン副生物が検出されている。 その二つの情報というのは、そんなに十一月十六日から遅くない段階で行政の、政府部内のどこかでわかっていたんじゃないか、具体的に言いましょう。警視庁、警察庁は、その二つの情報はちゃんとわかっていたんじゃないですか。
○野田(健)政府委員 松本市でサリンが検出されたということと、上九一色村の周辺でサリンの分解したものが出てきたということについては、警察庁で両方とも把握しております。
○江田委員 それならば、その二つ、結びついているわけですから、なぜ膨大な捜査能力を持つ警視庁がすぐに犯罪捜査に乗り出せなかったのか。それは警視庁管内の事件が起きてなかったからだ、こういう理解でいいですか。
○野田(健)政府委員 それぞれの物質がサリンであるということはわかりましたけれども、実行行為者がオウム真理教のしかるべき者だということについて、その時点では判明していなかった。その後、一連のオウム真理教関係者の逮捕等によりまして実行行為者等がわかって、その結果、七月十六日に松本サリン事件について強制捜査に着手した、こういうことでございます。
○江田委員 その辺がやはり考えなきゃならぬ課題なんですよ。今のは、松本サリン事件はいつ強制捜査に入ったかという答えなんですが、そうじゃないんです。 オウム教という集団がいろんなことをやっているんですよ。それをあの事件、この事件、この事件といって、ばらばらにして対応したんじゃやはりだめなんですよ。あるいは、警視庁というのがあれだけの捜査能力を持っているのは東京都のためだけじゃないんですよ、やはり国民の税金でこういうものをちゃんと持っているわけですから。 そうすると、やはりこういうときにはもうちょっと機動的に、単に捜査の協力だけでなくて、自分の管轄の中に入ってきた事件以外にもいろいろな能力を発揮して、こういう団体犯罪、集団犯罪、テロ犯罪というものに対して対応できるようにしなきゃいけないんじゃないか。 警察庁、公安委員会、公安委員長、お答えいただきたいんですが、警察法がネックになっているのか、改正の必要があるのか、あるいは改正までいかなくても運用を改善する必要があるのか、そういうことについて検討されているかどうか、お答えください。
○深谷国務大臣 江田委員御承知のように、我が国は都道府県警察といういわゆる地方自治警察という形でございます。そういう意味では、国家警察ではございませんから、このような広域犯罪の対応について若干のすれ違いがあったということの御指摘に対しては、全面的に否定するつもりはございません。 しかし、これからこのような犯罪がまだ起こる可能性があります。今までの経験的な手法でまいりますと、このような宗教団体が毒ガスを使って大量に人を殺すなんということは想像の範囲になかったわけでありますが、これからはこういう事件も起こる可能性がございます。今までもやってはまいりましたが、共同捜査、合同捜査はこれから一層緊密にやっていかなければならないと思うのです。 さきに、昨年の六月でございますが、警察法を改正させていただきまして、合同捜査の際の指揮権はどちらにあるかということについてきちっと決めるといったような内容も決定させていただいております。したがいまして、従来よりはかなりスムーズになると思っておりますので、私は、今日の法律を運用することによって適切な対応は可能だと思っております。 そして、どうしてもそれがまだ足りないということであれば、改めて皆さんと御相談しながら法律改正等も考えていくという時期が来るかもしれないと思いますが、現状では十分合同捜査はできるし、過去の経験を生かしながら積極的にこのような犯罪の防止のために努力をさせたいと思っております。
○江田委員 私も国家警察をつくれと言っているのじゃないのです。ただ、事態がいろいろ変化をしてきて、今のこの社会でそういう広域犯罪、団体による犯罪というのがこれからもいろいろ出てくる。それをどう抑え込むかというのは相当真剣に考えなきゃならぬ課題だということを言っているので、國松長官は、新聞によりますとこうしたことに触れて、管轄権の問題から、日本の警察で最大の組織と体制を持った警視庁が仮谷事件が起きるまで捜査に加われなかったことを今後もそのまま放置しておいていいのか、こういう言い方をされていますね。 管轄権の問題ということは、要するに警察法の問題で、警察法の一条でしたか二条でしたか、警察の任務がありますね。しかし、その任務を分掌するのは各都道府県警察となっていて、したがって自分の管轄範囲内で事件が起きないと管轄権を持てないというのはあるのですね。だから、それで都道府県警察ということが成り立っているのだと思います。 いろいろなチェックポイントは必要でしょう。チェックポイントは必要だろうけれども、やはりもうちょっと弾力的に運用できるようなことを考えておかないと、必要なら法改正もしないと今後の対応はできない。野方図に何でもやれというのじゃないのですよ。そこはよく真意をわかっていただきたいと思います。ぜひ御検討ください。 次に、今いろいろな情報が、松本からも上九一色村からもあるいは神奈川県からもいろいろ上がったんだろうと思いますね。そういう情報をやはりちゃんと集中する、情報をきっちり収集する、現場情報、こういうシステムというのは必要だと思いますね。現場情報をちゃんと収集をして、その情報を評価をしながら、常にこうした犯罪が起きることを防止する努力をしていくということは今後必要になってくると思うので、トップダウンでの対応というのはなかなか難しいです。 何か事件が起きたら法改正をすればそれでぱっと解決つくなんという問題じゃない。やはり現場のやる気というのも非常に大切でして、そういう現場の皆さんが今もうみんな係長になってしまっているじゃないかという指摘をする、係長と言うとちょっと申しわけない、その指摘はあるジャーナリストがやっているわけですが、そういうような指摘もあるのです。つまり、前例踏襲とか先送りとかというようなことだけではだめ、だけといいますか、それではだめだという。 やはり社会のネットワーク、この市民社会のいろいろなネットワークというのは生きているのですよ。市民社会というのはやはり脈々と、毎日毎日皆そこで生活をして生きているわけです。そういう中でずっと行き交っている情報というのはかなり貴重なものがある。 犯罪の場合だけじゃありません。そのほかにだっていっぱい、経済の問題だってあるでしょう、あるいは原子力の問題だってあるでしょう。そういういろいろな、地域の住民の中、市民社会の中に行き交っている情報というものにもう少しセンシティブになって、そういうものに反応する、そんなシステムというのはやはり要るんじゃないか。 今回の事件でいえば、被害者弁護団の皆さんのいろいろな警告、要請などもありました。地域の住民の皆さんの話もいろいろあります。双眼鏡でじっと見ていたらどうしたこうしたというような話もある。あるいは元信者の皆さんの内部情報もある。怪文書なんというのもありました。ところが、その怪文書は当たっていたのですね、かなり。 というようなこともあるわけで、こういうような広域的情報把握、これはやはり国家公安委員長、そういうことについてひとつ問題意識を持って検討するかどうか、お答えください。
○深谷国務大臣 犯罪の捜査に当たっては、捜査当局が全力を挙げるのみならず、国民の皆さんの御理解と御協力が極めて重要であります。現にさまざまな犯人逮捕に当たって一般国民からの通報、それが非常に効果を上げているわけであります。銃器の問題等について今度私たちは国民大会を開きますが、それも国民挙げて協力をしていただこうという機運をつくるためでございます。 そういう意味では、各都道府県警察はもちろんでありますが、警察庁を中心にして、本当にきめ細かく耳を傾けながら、万全を尽くすような体制をつくってまいりたい、そう思っております。
○江田委員 これは警察庁はもちろん頑張っていただかなければならぬと思いますが、それだけじゃないのです。消防の関係だってあるでしょう、あるいは建設関係だってあるでしょう、厚生関係だって通産関係だっていろいろあるでしょう。そのほかにもいっぱいあるでしょう。そしてやはり自治体なんですね、県とか市町村とか。これがそういうような、そこに住んでいる皆さんの、地域の市民の中の情報についてもっと敏感な感覚を持つ。何も別にスパイ網を張れと言っているんじゃないですよ。そこは誤解しないでくださいよ。そういう気持ちを持つ必要がある。情報収集も含め、ひとつそうした総合的な対応策を、これは内閣としてもぜひ今後検討をしていただきたいと思います。 阪神大震災のときには、私どもは緊急災害対策本部をつくるべきだ、なかなかこれが腰が上がらなかった。非常災害対策本部でしたか、何かそれこそさっきの話じゃありませんが、お茶を濁したというようなことでと私たちは思っていますけれども、今度のこの地下鉄サリンあるいはオウム教、こういういろいろな教訓を残しているんだと思います。 そういうさまざまな教訓をしっかりこの事件から得ながら、二度とこうしたことのないような体制をつくるために内閣としても取り組んでほしいと思うのですが、今、内閣でそういうような問題意識で取り組んでいるようなことが何かございますか。
○村山内閣総理大臣 阪神大震災で五千五百人を超すとうとい方々がお亡くなりになったのですね。こういう事件について、こういう席上でお茶を濁しているなんということを言われたのでは、これは私はもう内閣の立場はないと思いますよ。ですから、それは私はやはり御配慮いただきたいと思いますけれどもね。 これは、今の災害対策基本法による緊急対策本部というのは、なるほど総理が本部長ですけれども、あとの部員というのは担当の局長がそれぞれなるのですね。したがって、それよりも、総理が本部長になって各閣僚が部員になって、そして内閣全体として取り組むような体制をつくる、それの方がより強力ではないかというのでそれは設置をしたのであって、決してそんなものではないということについては御理解をいただきたいと思うのです。 それから、今公安委員長からも答弁がございましたけれども、今回の事件に関連をして、広域捜査の場合に現状のようなあり方でいいのか、運営の面で改善ができる余地があるのか、あるいは法律の改正が必要なのか等々については、それなりにやはり教訓に学んで私は検討されておるというふうに承知をいたしております。 それから、単にこうした犯罪捜査だけではなくて、阪神・淡路大震災等の経験にもかんがみまして、やはり情報をいかに正確にいち早く収集するか、そして正確な情報をつかんだ上で、その情勢に対してどう機敏に対応できるかということについては、現行制度の中でやり得る範囲のものは何かということをあらゆる角度から検討して、とりあえずやれるものについては先にやろうじゃないかというので、そういう取り組みを今しているわけです。 なおかつ、防災問題懇談会等で各委員から意見を聞きながら、法制度を改善をする必要がある問題点やら、あるいはその他必要な問題、あるいは民間の協力の問題、あるいは自治体との関係の問題等々について必要な検討もした上で、この国会に基本法の改正案を提出をして、皆さん方の御審議をいただきながら、これからは起こった事件について疎漏のないような対応をしていこう、こういう取り組みでおることについては御理解を賜りたいと思います。
○江田委員 総理が、これはことし五月二十三日に衆議院の本会議で、先ほどちょっと言いました、当時の野中国務大臣がサリンの問題について報告をされた、そのときの質疑でお答えになっているのですね。 次に、これは国民の安全を守るための今後の対応についてのお尋ねですが、今回の事件は諸外国においても大きな関心を呼んでいるところでございまして、安全な国という日本に対する評価を損ないかねないものであると認識しておる、速やかな解明、そして政府におきましてもサリン法、この法律の策定、そして関係省庁連絡会議の設置等の対策を講じて、今後とも国民の安全の確保と信頼の回復に全力と、こういうお話をされておられる。 私もちょっと調べてみたのですが、総理の言われる関係省庁連絡会議というのは、サリン問題対策関係省庁連絡会議のことだと思います。時期的にそういうものがあるのですけれどもね。ここはこれまで五回ほど、拡大のものも開いていますけれども、具体的にはサリン法、これができて、あとサリン使用犯罪の再発防止ということをいろいろ検討はされたようですが、今はもう仕事が終わったからというような感じになっていると聞きます。 もう一つ実はあるのです。もう一つあるのは、オウム真理教問題関連対策関係省庁連絡会議というのが、よく似ているのですが、片っ方はサリン、片っ方はオウム真理教。こちらは何を研究しているかというと、これも私調べて、聞いてみたのですが、警察庁とか法務省とか文部省とか厚生省とかいろいろ入られて、オウムの関係の信者、元信者、こういう皆さんあるいは子供たち、こういう人たちの、言ってみれば社会復帰といいますか、とりあえずの監護、養護、こういう関係のことをやっておるというので、この事件というものを総合的に検証しながら、そこからいろいろな教訓を得て、いろいろな法整備であるとか再発の防止策であるとか、そういうことを研究するという体制は内閣にはないと思いますよ。内閣の中には今そういう意味の特別のシステムというのはないと思うのですが、どうですか、これはやはり何かそういう連絡会議か何かをつくってやるべきじゃないんですか。
○村山内閣総理大臣 さっき申し上げましたように、危機管理の体制というこの問題で、これは今度の阪神・淡路大震災の経験にかんがみてみてもいろいろやはり欠陥があった、ある。しかも、これは制度疲労みたいなもので、制度的にいろいろな問題があったということはもう率直にこれは認めざるを得ないと思うのです。 そこで、今の制度、仕組みの中で何ができるか、何が必要かということをいろいろ検討していただきまして、そして事件によってその関係省庁が直ちに官邸に集まって、そして集まったグループがそれぞれ正確な情報を提供し合いながら、全体としてそれぞれの受け持ちについて組織的に取り組めるような体制をつくっていこうというので、いろいろな事件に関連をして関係省庁の連絡会議を直ちに開くということにはしてあるわけです。 ですから、ハイジャックの事件のときなんかも、やはりハイジャックに関連をする各省庁が全部官邸に担当者が集まって、そして四六時中情報を集めながら対応していった、こういうことですから、私は、その点についてはいろいろな教訓に学んで、危機の管理体制については、当面今の制度の中でできる範囲のことは講じておるというふうに思っております。
○上原委員長 野田刑事局長。
○江田委員 いいです、もういい。 今の制度、仕組みの中でと、今の制度、仕組みを超えたいろいろな検討が要るんだということで……(発言する者あり)まあ、いいです、もうちょっと時間がないんで次へ……
○上原委員長 まだ御発言の許可は与えていませんよ。
○江田委員 続けますよ、質問。
○上原委員長 じゃ、江田五月君。
○江田委員 今の制度、仕組みということだけでは済まないいろいろな問題があるということでして、先ほども総理ちょっとお話しになりましたが、例えば刑法でも個人の責任ということを中心に刑法体系全体ができているんだけれども、しかし、もうああいう団体犯罪になると、個人の責任ででき上がった刑法、刑事訴訟法体系だけではなかなか進んでいかない。 そうすると新たな捜査の手法というものも、もちろんいろいろなデュープロセス、適正手続というのは必要ですが、そういうことも、保障も踏まえながら、新たな捜査の方法、コントロールドデリバリーなんてのもありますね、麻薬の関係とか銃の関係とか。こうしたものも考えていかなきゃならぬし、また、刑事法をもう少し超えて、団体的な反社会行動に対する対応策というのは世界どこでもこういう先進国はいろいろとっているようですから、ぜひ、我々も勉強する、新進党としても、今私もプロジェクトチームの座長で勉強を始めたところですが、勉強して提案をしますので、政府もやはりそれはそういう見地から今の時代認識というのを持って、今の時代というのはなかなかこれまでの過去の、牧歌的というと変ですが、そういう時代とちょっと違ったなかなか大変な時代にもなってきているんだ、新たな社会に対する脅威というのが出てきているんだ、そういう時代認識を持って対応していただきたいと思います。
○村山内閣総理大臣 さっきの質問は、現在何もしていないじゃないかという御質問ですから、いや、そうじゃなくてそうやっておりますという話を申し上げたのでね。 それから、先ほど来、今度の阪神・淡路の地震やらあるいはオウム事件やら等々の経験に学びながら、広域捜査の問題等については、今の制度の中で運用を改善をすれば十分やれるのか、あるいは法律の改正が必要なのか等々については検討していると承知しております、こう申し上げているので、先ほども今の刑法なりいろいろな法体系の中で、団体の組織的に行うような事犯について今の法体系で十分対応できるのかというような問題についても、これは外国の例等も十分に参照しながら、やっぱり検討に値するなというふうに思っておるということは申し上げたので、御答弁をもう私は申し上げているというように思います。
○江田委員 だんだん時間が来ておりますが、私は、さらにオウムの関係について、今専ら犯罪について聞いてきたんですが、犯罪以外にもいろいろ、犯罪といえば犯罪ですが、いわゆる刑法犯以外にもいろいろな違法行為があったんですね。子供のこと、子供がああいう状態に置かれていて、児童相談所長が何かできたんじゃないか。あるいは学校に行っていない、これは教育委員会が何かできたんじゃないか。あるいは私の古巣の話ですが、人身保護法というのもあるんですがね。 人身保護法という法律は、これは一二一五年のマグナカルタ以来の人権の歴史の中で、まさに歴史の中で光り輝く。とにかく人が拘束されている、その人の拘束が適法かどうかというのはすべからく裁判所が判断しますよという、裁判所の前にとにかく連れてこいと言ったら連れてこなきゃいけませんよというそういう法律なんですが、平成二年にはこれが若干威力を発揮した。しかし、その後、弁護士さん方の話によると威力を発揮できなくなって、これも聞きたいところがあるんですが、ちょっと時間がありません。 薬物の関係であるとか化学物質のこととか、建物への立ち入りのこととか、その他いっぱいあります。水道法、医療法、大気汚染防止法、自然公園法、食品衛生法などなど、言っていれば切りがないぐらいいろんな法律にひっかかっているんですね。 そういういろんな法律にひっかかっているこのさまざまなものが実はずっと見過ごされて、三月の二十二日の強制捜査、捜索、それ以来わっと出てきて、できなかったんだろうかなと。私はできたと思いますよ。本当にそれぞれのその立場にある、建設の関係でもあるいは消防の関係でも、あるいはいろんな関係のところが本当にその気になれば、できたことがいっぱいあるんで、それがさっきからの、市民社会の中の、地元の皆さんのいろんな情報にもっと敏感に網の目を張っておれば、ああ、こういうことがある、ああいうことがあると、いっぱいできたはずなんです。 それをちゃんとやってきていなかったんじゃないか。そこがこの問題の一番のポイントではないか。そういうことをきっちり検証をせずに、オウム真理教、これは宗教法人、したがって、宗教法人をコントロールすればこれはなくなるというふうにやるのはおかしい。 宗教法人法は八十六条で、「この法律のいかなる規定も、宗教団体が公共の福祉に反した行為をした場合において他の法令の規定が適用されることを妨げるものと解釈してはならない。」宗教法人だからといって、変なことをやったら、いろんな法規は全部適用されますよ、宗教法人法というのはそのときの障害にはならないのですよとちゃんと書いてあるのですね。そのことをやはり忘れてはいけないと思います。 そこで、宗教法人法改正問題に移りますが、加藤幹事長は宗教法人法改正問題に取り組む、党の命運をかけて、こういうことも言われたようですが、これはあれですか、総理、オウム対策なんですか、それともオウム対策じゃないのですか、どっちなんですか。
○村山内閣総理大臣 オウム対策のために宗教法人法を改正するつもりではない、これはもう断言しておきます。
○江田委員 これは明快なお言葉をいただいて大変、何か感激しますね。 余分なことですが、新聞によると自民党の山崎政調会長は、再発防止が重点で、それだけと言っても過言ではない、こういう言い方もしているのですが、これは自民党の総裁、橋本通産大臣、オウム対策なのかそうではないのか、そこのところをお答えください。
○橋本国務大臣 このオウム真理教の問題を契機として、宗教法人のあり方に対して国民の中に非常に強い関心が高まったということは、委員もお認めであろうと存じます。 それを受けて宗教法人審議会が今日まで議論をしてこられ、一定の結論を出してこられました。これは、宗教法人のあり方について宗教法人審議会が議論をしてこられたものでありまして、それ自体がオウム対策という性格のものではございません。 ただ、この事件をきっかけに、宗教法人のありようについて国民が強い関心を抱いておられるということは、つけ加えて御答弁を申し上げたいと思います。
○江田委員 オウム事件をきっかけとして、あるいは契機としてと言ってもいいでしょう、国民の中に宗教法人あるいは宗教団体の今のあり方についていろいろな批判がある。これはそうだと思うのです。確かにいろいろある。 あれは誤解もあるのですよね。税の問題などはかなり誤解をされている向きもあるかと思いますが、いろいろな批判があるのは事実で、そういう批判を宗教団体、宗教法人の皆さん受けとめながら、国民と宗教とのつながり方というのをよりいいものにしていかなきゃならぬということは、それはそうだと思うのです。したがって、そういう検討は、これは私どももやぶさかではないのです。 ただ、今お二人から確認いただいたのですが、オウム真理教対策、その再発防止、そのためにこれをやればいいのだとか、そのためにやるのだとか、そういうことではないのだ、もっと広くというそういう趣旨だということで、それならば私は、なぜ一体こんなに大慌てでやるのだ。何か本当に随分慌てているような気がしますよ。宗教団体の皆さんの動きというものをもっと大切にされたらどうなんだ。 例えば、ここに一つ私、文書を持っておるのですが、立正佼成会が十月になって、「宗教法人法改正問題に対する見解書」というのがあるのです。これによると、立正佼成会の皆さんは、今回の改正問題は自分たちは反対だ、そのことははっきりさせておいて、しかし、見直しを全く拒むものではないのだ、そして見直しのことをちょっとお書きになって、「こうした意味において、見直しは、広範な宗教界の参加と各界の参加協力を得て、宗教界の自浄・自主の努力によって行われることが適当であり、そのためにも第三者機関の設置を提案したいと考えます。」こういうことも言っておられるわけですね。 宗教界の中にも、いろいろそれは問題はある。世間の指摘を受けるところはある。そういうことを見直しながら、宗教法人のあり方をしっかりしたものにしていくために自浄・自主の努力、これは私はその方がいいと思うのですね。やはり信教の自由というものもある、政教分離ということもある。自浄・自主の努力、それはその方がいい。そういう自浄・自主の努力をしたい、そのために第三者機関を設置をしたい、こういうことを立正佼成会の皆さんおっしゃっている。 これは別に今、立正佼成会の皆さんだけじゃないと思いますよ。宗教界の中にもそういう機運が出てきているので、そういうものをしっかりと育てていく。私は、そのことを大切だと思いますが、総理、いかがですか。
○村山内閣総理大臣 自浄・自主でやっていただくことは、これは建前としては私はそのとおりだと思いますね。大学の自治だってそうです。 しかし、先ほど通産大臣からも答弁がございましたように、このオウム事件をきっかけにして、宗教法人というのは一体どういうものなのか、どういう活動をしておるのかといったようなものが非常に国民の関心を高めていますね。最近の世論調査なんかを見ましても、やはり宗教法人の見直しをすべきだという声は大変率が高いですね。 同時に、昭和二十六年に宗教法人法が制定されて、それを一遍も見直しもされていないし、改善もされてないのです。これは、やはり宗教法人自体ももうそれは大変な状況の変化にございますし、それから取り巻く社会的環境も随分変わっていますし、私は、やはりそういう観点から見ても見直しをされるのはある意味では当然のことではないか。 その上で、国会に法案が出れば、これは慎重な審議もしていただく必要があろうし、あるいはまた公聴会等を開いて、意見が必要ならば、これは議会の運営ですから私が言うことではありませんけれども、慎重な議論は当然していただくことだと思いますが、それは私は、今これだけ世論が高まって、関心が高まっているときに議論をするというのは、ある意味ではやはり政治の責任ではないかというふうにも考えておりますから、そういうふうに御理解を願いたいと思うのです。
○江田委員 だから、私冒頭申し上げたので、世論が沸騰している、その世論にちゃんとこたえていくというのは政治の責任なんです。しかし一方で、世論が沸騰しているときに、その世論の動きにただただ流されるというのではいけないので、そこはやはりしっかり見きわめなければいけないのです。いいですか。 だから、例えば、法と証拠をゆがめても何でも、とにかく、ねじ曲げても、破防法を使ってオウムをというのは、それは違うと。法と証拠に基づいて厳正にと。今これは、私はやはり宗教法人法改正というのは信教の自由にかかわる問題だと思いますよ。 あなたの内閣の中にこういうことを言っている人がいます。いや、これはすばらしい発言だと思うのですがね。 中外日報という新聞がございまして、これは宗教界で教派を超えて、それこそキリスト教から仏教、神道まで広く読まれている。もちろん宗教界以外のところまで、どのくらいかわかりませんが読まれている新聞なんですが、その中で、あなたの閣僚の一人が、 私は、本音では改正に反対だ。ちょっと長くなりますが、ただ閣僚として、見直しの論議を国会で行なうということには賛成せざるをえない。ちゃんとおっしゃっております。だが、「信教の自由」「政教分離」は現平和憲の根本原則である。日本の覇権主義による無謀な十五年戦争とその敗戦によって、また連合国や日本ばかりでなく、アジア各国の民衆の尊い血を流し、犠牲を払った上でもたらされた尊い原則である。その原則によって、日本は有史以来、初めて「信教の自由」を制度として確立てきたのではなかったか。極論すれば、日本は気の遠くなるような長い長い歳月にわたって祭政一致、政教一致できたのではなかったのか。敗戦亡国のつらい体験の中で与えられた信教(宗教)の国家権力(政・官)からの解放ではなかったのか。 そのことに思いをめぐらせれば、日本の宗教界や韓国、台湾などから反対論、慎重論が湧き起こるのもよくわかるのである。外国(先進国・議会制自由民主主義=政党政治の国)の識者たちから改正推進論者に対して向けられている厳しい批判の声にも耳を傾けなくてはならない。議会制民主主義と宗教とは相入れないというようなことを自民党政調の某幹部が言ったと報じられたが、あれはイギリスをはじめとする欧米のキリスト教国で議会制民主主義、政党政治が成立し、発達してきたものであるということを知らないか、知っていてもその辺をとぼけて言ったものとしか受けとれない。途中ちょっと省きますが、 信教(宗教)の自由は、自由民主主義国において、最も根源的な基本的人権である。それほど重大な問題を一つの国会や二つの国会ぐらいで性急にまとめようということの方がどうかしていると思う。国家百年の大計に属することだから、二、三年、時間をかけて議論していったらいいと思っているし、今度の臨時国会でその議論が始まったということで、政府・与党も面目が立つのではないか。 オウムのことは警察も検察も公安もなんの障害もなく自由自在に動いているのだから心配はない。むしろ坂本弁護士失踪事件の時の行政側の失点が大きいのではないか。ちょっと途中飛ばして……。済みません、ちょっと長くなって。 なぜ「信教の自由」と「政教分離」という憲法、人権の根幹にかかわる大問題を、つまり「宗教法人法の性格」を全く改変してしまうようなことを、大いそぎでまとめあげようと無理しているのか、その辺に疑問を抱かざるをえない。 国会でも、民間でも、国際的な学術界でも、今から大いに議論を深めていくべきであると思う。以前はうちの党にもクリスチャンの政治家とか、赤松常子さんといった仏教者何党がわかっちゃいましたか。仏教者の政治家が案外いたから、信教の自由が民主主義の絶対的基盤であるという政治哲学的教養とか理念のようなものが党内に割合とあったものだが、今はそういう議員もいなくなったようで、そんなせいからなのかどうか、そういう空気も体質も無くなったような感じがして淋しいね。こう結んでおられる。あなたの内閣の閣僚、「表現は、置かれている立場が立場だけに、活字では表現しきれない、苦渋に満ちたものであった。」と地の文で書いてありますけれどもね。 これは総理、やはり本当に真剣に、深刻に考えてもらいたいと思うんですよ。私は、この発言は本当にそのとおりだと思います。一々胸に響きます。宗教界の人々の声をもっと総理、聞くべきだ。 足を踏んだ人はそのことをすぐ忘れる、しかし踏まれた人は忘れない。戦前、一体日本の宗教界がどういう状態に置かれたか、こういう昔の経験を今も、当然ですよ、覚えていて、そういう声を発する皆さんの声、そういうことをおっしゃる皆さんの声、これを総理は、そういう宗教界の声をあつものに懲りてなますを吹くと聞くのか、それともそういう声にしっかり耳を傾けるという気持ちがあるのか、いかがですか。
○村山内閣総理大臣 戦前の状況に戻そうなんていう考えはもう全然ございませんし、信教の自由と政教分離というものは、これは憲法で保障されている基本的な人権ですから、これは当然尊重しなければならぬということを前提にして、今の社会情勢に対応し切らない面、あるいはこれだけ変化している状況の中で改善をした方がいいと客観的に思われる点等々を踏まえて、最小限度のものはやはり改正した方がいいんではないかという考え方に立っておるんであって、私は、その考え方を支持するのはやはり国民の中でも圧倒的に高いと思いますよ。 それは、感情的にあおられた世論に流されるなんて無責任なことではなくて、政府は責任を持ってそれにこたえる必要があるというふうに考えてこの臨時国会に提案をしたいという準備を進めておることについては御理解をいただきたいと思うんです。
○江田委員 信教の自由、政教分離、基本的人権は大切、これを侵害しない。侵害されるおそれを感じている皆さんの声というのがあるんですね。だから、足を踏んだ者はすぐ忘れるけれども、踏まれた者は忘れないんだ。自分たちはそういう信教の自由を侵害されるという心配を持つからといって宗教界の皆さんが声を上げているんで、そのことにしっかり耳を傾けないと、それは総理、「人にやさしい政治」とは言えない。 この宗教法人審議会で二十九日に審議がまとめられた、報告が出された。この宗教法人審議会自体も、私はこれ、大問題があると思うんですが、そのすぐ後ですよ、この委員であったある宗教法人審議会委員、天台宗宗務総長の杉谷義純さんが、これは文部大臣に手紙を出しておられるんじゃありませんか。 手紙といったってこれはもう公になった手紙ですけれども、反対意見、慎重意見が十五名中七名を数えた。十五名ですが、会長がいますから十四名で、十四名の多数決で決するわけですが、七名を数えた、しかし一任を求められた、これはまだ審議が尽くされていないからさらに審議を尽くすべきだという意見が多いことにも配慮せよ、これも会長一任を求められて一任をした。 ですから、もう一遍さらに報告をまとめた段階で事前了解を求められると思っていたら、それもなく、あっという間に文化庁の言うとおり、こういうことで、これは責任を負うことができない、公表せざるを得ない、こういう事態を。「茲に貴職」、貴職というのは審議会会長の三角さんですが、「貴職のとられた行動に対し、強く抗議するものであります。」こういう文書がある。宗教界の声だ。この人一人じゃないんだ、ほかにもある。 審議会はどういう審議をしたのですか。審議会のこの二十九日の議事録、これを提出してください。
○上原委員長 文部省小野文化庁次長。
○江田委員 文部大臣、答えてくださいよ、文部大臣。
○上原委員長 指名しましたので、聞いてください。
○江田委員 じゃ、とにかく。時間がないんだ、時間が。
○小野(元)政府委員 お答えを申し上げます。 審議会の報告をまとめるに当たりまして、審議会として採決という法はとっておりません。したがって、何人が賛成で何人が反対ということはございません。委員の一部には、報告の中身についてさらに審議をすべきだ……(初言する者あり)さらに審議を続けるべきだとする意見があったことは事実でございますが、既に十分審議が尽くされているということで、会長が議事を総理されて報告を受けられたものでございます。
○江田委員 私が聞いたのは、議事録を出してくれと。 じゃ、聞きましょう。 では、宗教法人審議会規則の十四条では、「会議の議事録の作成その他審議に関する事務は、文化庁文化部宗務課において処理する。」議事録の作成は「宗務課において処理する。」と書いてあるのですから、議事録がないとはまさかおっしゃらないでしょう。議事録の作成は宗務課で処理するのですから、あるでしょう。あれば出してくださいよ。文部大臣。
○島村国務大臣 お答えいたします。 議事録は非公開でございますので、出しておりません。
○江田委員 それは、非公開というのも今までならわかりますよ。だけれども、この日はいつなんですか、これは。九月二十九日の午後でしょう。九月二十九日の午前中に皆さんの内閣は閣議決定されているのじゃないですか、閣議決定。閣議決定はどういう閣議決定ですか。午前中ですよ。「会議の公開、議事録の公開などを行うことにより、運営の透明性の確保に努める。」一般の審議会は。ちゃんと閣議決定で審議会等の透明化、見直し等について決定しているじゃないですか。決定したことをやらないのですか。皆さんはそういうふうにして、ちゃんと自分たちで決めたことを自分たちで守らないのですか、どうなんですか。 とにかく、あなたじゃだめ、総理あるいは文部大臣、どっちか答えてくださいよ。そうでなければ時間がどんどん進んじゃう。答えてください。
○島村国務大臣 お答えいたします。 行政処分を行う審議会でございますので、公開をしないということで御理解いただきたい。
○江田委員 私もその閣議決定はちゃんと見ているんですよ。確かに、審議会を二種類に分けて、行政処分を行う審議会と一般の審議会と分けていらっしゃる。行政処分を行う審議会の方はこれこれ、一般の審議会はこれこれと書いていらっしゃる。だけれども、法の改正とか、そういうことについて建議をする、報告をする、それがなぜ一体行政処分を行う審議会なんですか。性格が違うじゃないですか。これはぜひ審議会の議事録は公開してください、出してください。(発言する者あり)
○上原委員長 お静かに願います。
○島村国務大臣 去る九月二十九日の「審議会等の透明化、見直し等について」の閣議決定におきましては、透明な行政運営を確保する観点から、審議会の会長に当該省庁の出身者を選任しないことや、議事録の公開等を行うことを定めております。(発言する者あり)ちょっと冷静にお待ちください。私もまだ就任早々なものですから。 行政処分、不服審査等にかかわる審議会につきましては適用から除くこととしておりまして、宗教法人審議会も宗教法人に関する認証等に関する審議を行うことから、会長の人選や議事録の公開については、特例的な扱いがされることとなっております。 なお、先ほど来、内部のいろいろ審議会のお話がございましたけれども、議員も御承知かと思いますが、十五人の委員中十一人が宗教家のいわば委員で構成されておるわけでございまして、いろいろな御意見があったことは、長い間なれ親しんだ、いわば四十数年間そのまま放置されていた既得権でございますから、私はいろいろな異議があることは当然だろうと思います。しかし、今回のいろいろな状況に照らし、また、国民の意見等も踏まえて、この際やはり法治国家として最低限度の改正というのはやはり必要である、こう認識いたしております。
○江田委員 審議会のことについてもっともっと聞きたいんですが、残念ながら時間が来ましたので、終わります。
○上原委員長 これにて西岡君、江田君の質疑は終了いたしました。 次に、松本善明君。
○松本(善)委員 総理に伺いますが、まず、田沢前法相の辞任問題であります。 総理、総理に伺うんです。この田沢前法務大臣の辞任問題は、辞任で済む問題では決してないというふうに思います。法を最も厳格に守るべき立場にある法務大臣の金銭にまつわる疑惑が、事もあろうに裏取引の対象になったという疑惑だからであります。(発言する者あり)
○上原委員長 御静粛に願います、
○松本(善)委員 そこで総理に伺いたいのでありますが、田沢前法務大臣は、特定宗教団体から二億円の融資を受けながら、九三年、九四年の国会議員資産公開で資産等報告書に記載せず、新聞報道で指摘されて初めて事実関係を認めました。しかも、融資を受けていたのは事実上の後援会で、一部は自分の比例区選挙の党員拡大経費に充て、事実が明らかになってから個人の借金に訂正をいたしました。政治資金規正法違反の疑いが極めて濃厚であります。 法の番人、こういうことがあれば取り締まるという立場のトップの法務大臣として適格でないことは明白で、罷免にも値するものだったと思います。私は、総理がこのような人物を任命した責任は極めて重大だと思う。 そこで総理に伺いたいのは、融資をされた金の使途を調べているのかどうか、政治資金規正法に触れないか、あるいは憲法上の政教分離の原則に反する政教一致の問題がないかどうかなど、問題点はお調べになったのかどうか、御答弁をいただきたいと思います。
○村山内閣総理大臣 これは先ほども答弁申し上げましたように、参議院の本会議で代表質問をされる方の中にその問題があって、それが削除をされた、これは裏取引があったのではないかというふうなことが新聞で報道されたわけですね。それで、これは双方がそういう事実はありません、こう言っているわけですから、それはもうそれを信ずる以外ないんで、それ以上のものはないと私は思います。 それから、例の二億円の問題については、使途も明確ですし、もう既に返済も済んでおります、こういう話で、これはどこから突かれても私は弁明ができますし、一つも誤ったことはいたしておりませんと。ただ、今御指摘のありましたように、届け出の問題については、これは訂正してすぐ直したというふうにも聞いておりますから、そのことに関する限りは指摘されるようなことはないのではないか。 ただ、本人が辞任届を持ってきたのは、先ほど来申し上げておりますように、こうした問題があっただけに、予算の大事な審議に、国会運営に迷惑をかけてもいけないのでみずから身を引きたい、こういう意味で辞任届が出されたので、私もそれはそのとおり素直に受けとめた、こういう状況であります。
○松本(善)委員 問題は、それでは国民は納得しないと思うのですよ。何か疑惑がかけられて、法律違反、それで本人が否定しているからそれですべて終わりということでは済まないですよ、それは政治資金規正法違反にしましても。 今先回って、総理は裏取引の問題について双方が否定しているからということを言われました。 しかし、この問題は、この今の二億円の問題を国会で取り上げないことで新進、公明と裏取引していたという疑惑がマスコミでは本当に大きく取り上げられた、御存じのとおりです。もし事実であれば、言論の府である国会にあるまじきことであります。田沢氏から質問取り下げを依頼されたとされる大久保直彦氏は、本会議直前の平成会の緊急会議で、味方をこの段階で攻撃することはないではないかと石井一二氏に質問削除を求めたことについては事実として認めております。要するに、田沢氏は宗教法人法に反対だから金銭的疑惑の追及をやめたらどうだ、こういう話なんだ。これでは疑惑は決定的だと思うのですよ。 総理はこの問題、この大久保氏の発言についてどういうふうに認識をしておられるのですか。
○村山内閣総理大臣 私もその新聞記事は読みました。しかし、質問をされる人とそして質問を受ける人と両方がその事実はない、こう否定しているのに、第三者がどう言ったから、こう言ったからといって私はコメントする限りではない、こういうふうに私は思います。
○松本(善)委員 総理、質問直前にこういう事実があったことが重大なんですよ。この原稿は、質問原稿ですよ、一週間前の平成会役員会と議員総会で了承されたもので、マスコミにも配付をされていたわけです。この時点、一週間前の時点で大久保氏が知らないわけがありませんから、このときに問題にしないで、本会議直前の緊急役員会をなぜ開かなければならなかったのだろうか。しかも緊急役員会は、大久保氏がその前日、二日午後十時過ぎから翌朝にかけて直接役員に連絡をしたということであります。一体何があったのかと疑うのが当然じゃないでしょうか。その上御丁寧に、この件は一切外に出さないようにと申し合わせたということなんですね。 総理は、このような国会審議そのものにかけられた疑惑を解明しなくてもいいと思いますか。お聞きしたいと思います、あなたの考え方を。
○野坂国務大臣 松本先生にお答えいたしますが、田沢法務大臣に辞表提出前に私はお会いして、いろいろとお尋ねをいたしました。 新聞紙上には松本議員がおっしゃったようなことが詳細に出ております。この問題については、田沢さんが法務大臣を辞任する前にこのような記者会見をしておりますわ。「一部報道により私に関わる問題で裏取引があったごとく報道され、国民に疑惑の念を抱かせたことは、誠に残念であります。私は良心に誓って、そのことはないということを申し上げたいと思っております。」 以下、非常に長く書いてありますので申し上げませんが、私はお会いして、あなたは二億円、立正佼成会から現代社会教育協議会という名のもとにお借りになっておりますね、なぜあなたは責任者ではないのに、あなたがお借りになっておるのですかと。できたばかりで銀行がなかなか貸さないので、私は立正佼成会に支援されておる、したがってそれらの方にお願いをして、担保を自分が出してお借りをしたということで、この段階で非常に疑惑の目が私に光っておるために、二千万は返しておったけれども、残りの金は全部お返しをいたしました、こう言って領収書を持っておいでになりました。したがいまして、国会の審議その他の問題について国会に大きな迷惑をかけるという関係から、私は進んでやめることにいたしましたと。 そういうことでございますので、私は、深く疑惑を持って云々と、本人がそのように公式に記者会見をしておられることを信用して、大体私は人がいい方でありますから、その点についてはそのように理解をして、私は御了承をしたということであります。(発言する者あり)余り騒がないでください。そういうことでございますので、賢明な松本善明さんにはよろしく御理解を賜りたいと思います。
○松本(善)委員 全く理解できないです。今言われたようなことを、総理の答弁や官房長官の答弁のようなことは、新聞報道でもかなり報道されているのです。にもかかわらず、全部の新聞が批判をしていますよ、臭い物にふたかと。それは、国会に対する信頼を全く失うことになります。そういう点では、国会の名誉のためにも徹底した真相の解明がどうしても必要だと思います。 また、もう一つ重大なのは、この疑惑の双方に政党政治家と宗教団体との癒着があり、民主主義にとって極めて有害な政教一致の疑惑になっているということであります。 これらの疑惑を徹底的に解明するために、田沢智治氏、それから質問の取りやめを頼んだ相手と言われております大久保直彦氏、質問原稿にあったこの部分を質問しなかった石井一二氏を証人として喚問することを要求をいたします。三人の国会議員が何ら恥じるところがなければ、今言ったように何も絶対にないということであれば、国会の権威のために、また日本の民主主義の発展のためにぜひ御協力をいただきたいと私は思うのであります。委員長、お聞かせ願います。
○上原委員長 ただいまの松本委員の証人喚問要求につきましては、後刻理事会で協議させていただきます。
○松本(善)委員 経済問題について伺います。 総理に伺いますが、本会議の代表質問以来、政府と我が党の間の経済政策をめぐる論争の中心問題は、国内総需要の六〇%を占め景気回復の牽引車の主役である個人消費を直接温め、国民の購買力を上げることが今最もなすべき、最も重要な不況対策だということでありました。しかし、実質消費支出は、三年連続で減少であります。これまでで最も深刻で、これが今の最大の特徴になっているわけであります。 総理、まず前提として伺いますが、経済白書も個人消費を景気牽引車の主役というふうに言っているのです。個人消費がこういう役割を果たしているということは、総理、認めるのでしょうね。まず前提を一致させてからと思いますので、お聞きしたいと思います。
○村山内閣総理大臣 民間の消費がGDPの中に占める率が六割ぐらいと大きなものを占めているということについては、これはもう指標が示しているわけですから、疑う余地はないと思います。
○松本(善)委員 そういうことで、その点では一致していると思いますが、総理は十四兆二千二百億の景気対策を組んだと言うのでありますが、その中に、間接的にではなくて直接個人消費を温める施策が少しでもありますか。お聞きしたいと思います。
○宮崎国務大臣 お答えいたします。 先ほど総理から述べられましたように、国民消費は国内総生産の六割を占める大変重要な役割青果たしております。しかも、御指摘のように、最近国民消費は全く停滞をしております。今回の対策では内需の拡大を一つの大きな柱にいたしまして、そのために十二兆八千億円に上る公共投資を実施することにいたしております。 この公共投資の中には、震災の復旧ですとかあるいは安全で安心のための社会資本の整備というようなことが含まれておりますし、このことを通じて民間に活力を与える、そのことを通じて消費の源泉であります国民の購買力をふやす、こういう考え方で今度の対策ができ上がっているわけであります。 お尋ねの直接消費を刺激するという意味での減税の問題でございますが、これは三・五兆円の恒久的な制度減税に加えまして、景気に配慮して、七年度におきましては二兆円の特別減税を上乗せすることにより、六年度と同規模の減税を実施しているところでありますし、もし景気がこのような状況で特に好転しないということであれば、特別減税を継続するということにいたしております。
○松本(善)委員 言われましたけれども、十四兆の今回の経済対策についてはやはり間接的だということを今言われたのですね。来年のでしょう、減税の話は。この十四兆の中にはないでしょう。だから、直接個人消費を温めるものはないとはっきり言ってください。十四兆の中にはないでしょう。
○宮崎国務大臣 十四兆の計算の中には入っておりませんけれども、特別減税の実施は前の経済対策で決定されております。
○松本(善)委員 そういう状況ですが、この五回、四十八兆円にわたる不況対策の七割、三十三兆七千億円が公共投資としてつき込まれたのですけれども、四年連続のゼロ成長なのですよ。経済白書も、景気牽引車の主役にバトンタッチがおくれていると言っているのですよ。バトンを大きくしてもバトンタッチができなければだめなのですよ。そういう問題が提起をされているわけです。 経済対策は、やはり個人消費を直接温める方向、消費税の増税中止とか庶民減税とか雇用の安定とか福祉の充実など、購買力が向上するように転換をしないと私どもは有効な対策にならないと思います。 それで、個人消費を温めるのではなくて逆に冷やしている例として、公定歩合と預金金利の問題をこれから質問しようと思います。 総理は、財政質問で我が党、佐々木議員が「この四年間九回にわたる公定歩合の引き下げで、ささやかな貯金から、合わせれば数十兆円の金利が奪われてきたこの庶民の怒りや苦しみが総理には全くわかっていないのではありませんか。」という問いに対して、何と、庶民いじめという御批判は当たりませんと答弁しているのです。これはもう見解、変わりませんか。
○村山内閣総理大臣 公定歩合を下げるということは一般の市中金利も下がることになりますし、金利全体が低目誘導されるわけです。金を借りている人は負担が軽くなる。しかし、預貯金をしている人は逆に、金利が下がって所得は減るということになるわけですね。 したがって、私は、そういうことだけを取り上げていえば、何といいますか、年金生活者とか何かで、預金や貯金をして、その利子がふえていくことに楽しみを持っているような人の楽しみを奪うという意味ではやはり問題があるというふうに思いますから、福祉預金なんかを設けて、そして年金生活者等については利子を若干据え置いて、そしてやっておるというようなことも、工夫してやっておると私は聞いております。 しかし、そういう配慮もそれはすることも大事だと思いますし、同時にこれは、やはり政策を通じ、福祉を通じて還元していくという意味では、今度の十四兆二千億円の中では、そうした面における予算もまあ回しております。 それから、やはりこれは、景気というのは全体に関連があるんで、例えば減税だけすれば消費が伸びるかといえば、それはそんなものでもないと思います。やはり景気全体が回復して、何となく景気がよくなった、じゃ物を買おうか、こういう気持ちにもなるだろうし、ですから一つ何かやれば景気がどうこうなるという問題ではなくて、やはり総合的な対策を切れ目なくやっていくことが大事ではないかというふうに考えておりますから、そういうふうに御理解を願いたいと思うのです。
○松本(善)委員 一つだけじゃなくて、全体の政策が回り回って個人消費に行くというのではだめだということを私ども言っているのです。 このパネルで御説明しましょう。預貯金の目減り、皆さんこれは大変なんですよ。これは同じですけれども、ごらんください。こちらの皆さんにも、どうぞごらんください。 預貯金はこういうふうに目減りをしている。一千万円を一年定期利子で預けた場合ですね。九〇年には六十万八千円の利子所得があった。それが今四万五千円なんですよ。これは物すごいものです。これを問題にするわけですよ。それで、金利はどんどんどんどん下がっているわけでしょう。ここのところを真剣に考えないといけないと思うのです。 それで、私のところに年金生活者から切実な声が寄せられています。「厚生年金二十万しかない、現役時代少しずつ蓄えた金と退職金の大半を貯金して、その利子を当てにして今まで生活してきた、低金利が続いて年間百万円以上の減収になります、何とかしてください」と言うのですよ。総理はこれでも庶民いじめじゃないと言いますか。お聞きしたいと思います。
○村山内閣総理大臣 いや、それは私のところにもそういう手紙をいただいておりますし、そういう気持ちはよくわかりますよ。本当に理解できます。 ただ、民間の金融機関ですから、国が法律をもって、金利自由化の中で操作を制度的にどうこうするということはなかなかできにくい。したがって、これは民間の方にもやはりお願いして、そして今、先ほど申し上げましたように、老齢福祉年金等を受給されている方については、福祉定期預金というようなものを設定して、四・一五%の利子を据え置いておるというふうに聞いておりますけれども、これは自主的に民間の金融機関がやっていることなんですね。 公的な機関でそれをやればいいじゃないか、こういうお話もありますけれども、公的機関がやれば、それはやはり民間に対する影響もございますから、なかなか難しい問題もあって簡単にいかない面があるわけです。それは何かいい知恵があって、いい工夫があれば、私はそういう制度ももっとやはり研究していいのではないかというふうに思っていますから、そういう方々の声を聞けば本当に気の毒に思いますよ。思いますけれども、制度的になかなか難しいという点もあることについては御理解をいただきたいというふうに思います。
○松本(善)委員 その点をまたちょっと聞きますが、景気対策としてこの四年間九回公定歩合の引き下げをやっている。史上最低の水準になったけれども、個人消費が低迷して一向に景気回復に効果をあらわさないんですよ。これはうまくいくという説明なんだけれども、ならないんですよ。これは、個人の預貯金の利子の低下は国民消費を低迷させる一大要因になっている。今借りている人はいいと言いますけれども、借りている人は、個人貯蓄が五百兆円、住宅ローンなんかは都銀で二十五兆円、全部合わせてもせいぜい八十兆円なんですよ。だから、圧倒的に庶民は預貯金なんです。 一方で、もう一つあれしますと、大銀行は、こういうふうにもうけている。これもひとつごらんいただきたいと思う。都銀十一行の業務純益です。これは九〇年には一兆四千六百億だった。これが二兆台にずっとなる。ことしの見通しは二兆五千億なんですよ。この金利の引き下げでだれが得をしているのかといったら明白ですよ。それは消費を低迷させる大要因で、高齢者だけの問題じゃなくて、壮年に老後の不安を増大させる。だから、これは重大なんですよ。 私は、そこで聞きたいのは、先ほど総理も既に述べられかけましたが、福祉預金ですね。提案ですが、巨大な恩恵を受けているのは、巨額の利ざやを稼いでいる銀行と金利負担を大幅に減らしている大企業だけですから、まず公定歩合政策を見直して、預貯金金利の極端な低下を防ぐべきだ、これが一つと、それから、金利低下の影響を緩和するために緊急に老齢福祉・障害年金などの受給者に一人三百万円まで年四・一五%の利息を今保証していますが、この福祉預貯金の制度を一人六百万円までにするとかあるいは高齢者世帯とか母子世帯に対象を拡大するなど、抜本的に改善をすべきだ。今検討ということをちょっと言われましたけれども、本格的にこれをやるべきだと思いますが、いかがでしょう。
○武村国務大臣 総理の答弁にございましたように、公定歩合をここまで、史上最低まで下げるのも、結局国難ともいうべき四年続きのこの不況から一刻も早く脱出して日本の経済全体を明るくしていこうというためであります。経済が回復することによって、これはもう間接であろうと何であろうと、国民全体のさまざまな経済活動にもプラスの影響が出るという前提だということも御理解いただきたいと思います。 それから、福祉預金につきましては、これは民間金融機関を中心にして自主的な努力で今四・一五%という、公定歩合が〇・五まで下がっていてもあえて三年前の四・一五%の水準を維持をしていただいているわけでありまして、大体老齢福祉年金を初め受給対象者は四百数十万に上ると思いますが、実際にこの恩典をお受けいただいているのは百万前後というふうに私どもは見ておりまして、せっかくこういう制度があるわけでございまして、ぜひ積極的に御活用を賜りたいと思っております。
○松本(善)委員 九回公定歩合引き下げたけれども、四年連続ゼロ成長じゃないですか。効果がないということが証明されているんです。 それから、老齢福祉年金受給者は五十八万人です、厚生省の調べで、今恩典を受けている人は。 それから、これで根本的な転換を求めますが、時間もありますので、最後に沖縄問題を伺いたいと思います。 これはちょっと総理、よく聞いていてください。総理が本会議で、我が党は志位書記局長が聞きましたが、主権の問題であります。総理がまともに答えていないので、私どもの志位書記局長の質問と総理の答弁を読みますから、答えているかどうかよく聞いてください。 うちの質問は、事件は、日本国内で日本人に被害を与える犯罪が行われていながら、日本側が二十六日間も逮捕、拘束できないという日米地位協定の屈辱的な実態を浮き彫りにしました。地位協定では、アメリカが公務中と認定した事件では日本側に裁判権すら保障されていないのです。「総理、あなたはこうした地位協定の実態を我が国に対する重大な主権侵害と考えないのですか。」という質問です。 あなたの答弁は、今回の事件は、米軍構成員の公務外の犯罪であって、地位協定によって日本側が第一次裁判権を有するものであることは明らかでありまして、九月二十九日に本件事件の被疑者三人の身柄は米側から我が国に引き渡されており、御指摘のような主権侵害には当たりません。 総理、質問は、二十六日間日本側が逮捕、拘束をできなかったということ、それから、今回の事件は公務中ではないけれども、米軍が公務中と認定した事件では日本側に裁判権すら保障されていないという地位協定の実態を主権侵害と考えないかということ。あなたの答弁では全く答えていないでしょう。私は、あなたはこの答弁で恥ずかしくないかと思うのですよ。真正面からこれは答弁できないのかと。 わかりませんか。もう一回言いましょうか。二十六日逮捕、拘束できなかった、それから、これは公務中の事件ではないけれども、公務中だというふうに米軍が言えば裁判権が行使できないんですよ。これが主権侵害でないか。はっきり答えてください。
○河野国務大臣 まず、基本的に地位協定というものが主権侵害であるかどうかということについて少しお考えをいただきたいと思うわけでございます。 国の安全を保障しようということで日米安保条約というものが締結をされて、その日米安保条約の中で、この日米安保条約にのっとって日本の国内で行動する米軍の行動の自由というものを地位協定で書いてあるわけです。その地位協定は国会の審議を経て決まっているわけでございまして、そのことだけでも一方的な主権侵害ということには当たらないと思います。 そして、これらの点は、松本議員ももうよく御承知のとおり、この地位協定は何も日米間だけであるのではなくて、米韓の間でもございますし、アメリカとNATO諸国の間にもみんなあるわけです。それらは、もし議員がおっしゃるそのポイント、つまり地位協定十七条五項の(c)の部分について申し上げるならば、恐らく世界各国と、つまりアメリカが地位協定を結んでいる世界各国のこの部分について比較してみても、決して我が国が主権を著しく他国に比べて不利な状況に置かれているということにはならないということがすぐおわかりになると思います。
○松本(善)委員 条約で決めれば主権侵害はない、そんな議論はないんですよ。中身が主権侵害なんだ、不平等なんだ。だから主要閣僚の中でもこれで独立国がという声が出ているじゃないですか。 それで、今沖縄の議会だけじゃなくて、全国百八十の地方議会が地位協定の見直しを言っていますよ。そして、沖縄の連立与党の議員を含む超党派の衆参両院議員が皆地位協定見直しを言っていますよ。それをやらない。やるんですか。やるんならはっきり言ってもらいたい。 これを、先ほども総理は言われたけれども、沖縄県知事と相談をして何とか解決をしたい、私は方向が違うと思うんです。アメリカに要求を突きつけて、アメリカと交渉して地位協定を変える。私どもは安保をなくして基地をなくすべきだと思います。最低限これはやらにゃいかぬ。これはやる気がないんですか。これは、そういうことをやらなかったら、ますます国民の怒りは大きくなって必ず破綻します。答えてください。
○河野国務大臣 所管でございますので、私から答弁をさせていただきたいと思いますが、この問題は、議員もよく御承知のとおり、他国の軍隊がその地域に来ている場合にはこうした地位協定を結ぶ、そしてその地位協定の内容についてはこうした内容になるということにもう国際的に認められたものでございます。言ってみれば、国際的な定説と言っていいと思います。 例えば、これは少し例が適当でないかもしれませんが、我が国の自衛隊がPKO活動でカンボジアに参りますれば、やはり同じような立場に立つわけでございまして、これらのことはもう国際的にそれぞれ認められたことであって、沖縄だけが、あるいは日本だけが全く特別な状況であると言うことは間違っておりますので、そこははっきりしていただきたいと思います。
○松本(善)委員 終わります。
○上原委員長 これにて松本君の質疑は終了いたしました。 次に、海江田万里君。
○海江田委員 今回の景気対策、政府は十四兆二千二百億円、これは大変規模の大きい景気対策でございましたけれども、それを受けての今次の補正予算、問題はその財源でございますね。この財源については、四兆七千二十億円の公債を発行するということにしておりますが、この四兆七千二十億円の公債の種類ですね。何年物をどのくらい出すのかということをお教えください。
○武村国務大臣 今回は、十年債と六年債と四年債、二年債とそれぞれ適切に組み合わせて発行をしたいと思います。額は、十年債、二兆九千五百二十億円、六年債及び四年債はそれぞれ七千億円、二年債は三千五百億円の追加発行を予定いたしております。
○海江田委員 この四兆七千二十億円の公債を入れまして、今年度の公債の新規発行額が二十兆円になるということでございます。 問題は、この公債の利払いでございますけれども、特にこれから新規に発行します四兆円につきましては、金利についてはまだ今の段階ではおわかりにならないと思うのですけれども、仮に三%だとしましても、この二十兆円分だけで六千億円ですね。それから、これまでの当初の予算に盛り込んでおります公債の利払い費、これが十一兆七千億円、これは一般会計の一六・四%が充てられておりまして、これはもう言うまでもありませんけれども、財政の硬直化を招いている、機動的な財政の運用ができないということでございますけれども、この国債の利払いの負担を何とか軽くしようという認識は、大蔵大臣お持ちでしょうかどうでしょうか。
○武村国務大臣 絶えずこの利払いの額を小さくしなければならないという責任を感じております。そのためには、まず公債そのものを減らすあるいはふやさないという努力が第一であります。結果は、しかしふやす方向にこの不況の中で来ておりますけれども、やはり国債全体の総量を減らしていく努力が必要だと思いますし、借りかえ等のときも含めて、なるたけ公債発行においては適切な利回りを、市場との関係で絶えず間違いのない判断をしなければならないと思っております。
○海江田委員 今大臣、国債をなるべく発行しないようにするのが一番だとおっしゃいましたけれども、ただ、正直申し上げまして、来年度の予算については恐らくことし以上の公債の発行というものが必要になることは火を見るよりも明らかだろうと思いますね。これは国債整理基金がもう既に底をついているというような事情もあるわけですけれども、私は、この際、もちろん公債をなるべく発行しないように努力することも大切でございますけれども、それと同時に、やはり公債の利払いの負担をなるべく軽くするように、例えば私はこれを相続国債とかあるいは無利子国債とか、これは私だけのアイデアではありませんで、実は与党、野党の中にもそういう考え方をお持ちの方がたくさんおりますけれども、それこそ本当に、今金利は低くなっておりますけれども、例えば、これを金利をゼロにして、そのかわり相続税の評価を八掛けにするとか九掛けにするとか、もちろん国債を買っておる方の中には利子収入を当てにしている人もいますけれども、ただ、相続のことを心配をして、相続税が割り引きになる国債なら買ってもいいんじゃないだろうか、こういうことを考えている人もいると思うのですね。そういう国債の多様化、種類の多様化、そういうこと、何かアイデアございませんか。
○武村国務大臣 一つの御提案をいただきました。相続税免除のいわば無利子国債という大変ユニークな提案でありますが、実はおっしゃるとおり、ことしある閣僚からもそういう提案がありまして、私も真剣にこの可能性を煮詰めてみたのでありますが、きょうはもう余り時間がありませんから詳しく言いませんが、幾つかやはり問題点がありまして、一見大変おもしろいなと思ったのですが、実現は容易でない。さらに検討を続けていきます。その他の国債についても、ぜひまた貴重な提案があればお聞かせをいただきたいと思っております。
○海江田委員 橋本副総理にもお尋ねをしますが、橋本副総理は自民党の総裁選挙で赤字公債容認論をぶち上げまして、それが実は今回のこの補正予算での赤字公債、大蔵省はかなりこれに抵抗があったやにも聞いておりますけれども、赤字公債発行の実現に大いに力があったというふうに私は承っておりますけれども、この赤字公債を発行する場合、やはりその利払いの問題、先ほどから問題にしておりますけれども、ここの問題をやはりお考えにならないと、それこそ画竜点睛を欠く、橋本龍太郎先生の「龍」でございますけれども、竜を描いて目を入れるのを忘れるということになりはしないだろうかという心配を持っておりますが、この利払いを何とかして圧縮をするためのアイデアがございましたら、お聞かせください。
○橋本国務大臣 私は、今海江田さんが御提案になりました無利子国債、前にも検討したことがございます。要は、これが市場で特別に有利なものとして受けとめられた場合に、その後の公債を発行しました場合の消化にどんな影響を与えるか、こうしたことまで考えましたときに、私自身は踏み切れませんでした。
○海江田委員 最後に村山総理、本会議での答弁で、やはり国債の低利借りかえの提案が出まして、その中で、借りかえは国債を持っている人に犠牲を強いることになるというお答えがあったんですが、覚えていらっしゃいますかね。かなり原稿を読んでおりましたから、お忘れになっているかもしれませんけれども。 もちろんそういう側面もありますけれども、それだけじゃありませんで、国債を買う人たちにはいろんなニーズがあるわけですから、そういういろんなニーズに適宜適切に合ったような国債を発行していくということは、やはり財政の硬直化というのを、もちろん相続税が減るとかいろんなデメリットもありますけれども、財政の硬直化というのはかなり喫緊の課題ではないだろうかと思いますので、今のやりとりを聞いていて、最後に御感想をお願いします。
○村山内閣総理大臣 いろんなやはり知恵を働かせて工夫はしなければならぬと思いますね。 それで、先ほど来お話がございましたように、無利子国債を発行して相続税の軽減をする、それに充当するというようなこともあると思いますけれども、しかし、それは相続税を持っている一部の人だけが利益を得るのであって、全としてのやはり影響というものを考えた場合にどうだろうかという話もありますし、それからまた、公債全体の発行についてその後やはり影響が出てくるんじゃないかというようなことも考えたりすると、必ずしもそれはとり得る手じゃないなというふうに思ったこともありますが、いろんな意味でいろんな角度から、これだけ大きな国債を抱えているときですから、やはり知恵を出し工夫をしていくことが大事ではないかというふうに考えておりますので、またいい知恵があったらおかしをいただきたいというふうに思います。
○海江田委員 終わります。
○上原委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。 次回は、明十二日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時八分散会