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134回国会衆議院1995/11/01

国会等の移転に関する特別委員会 第3号

発言数
22
登壇者
8
会派数
5
開催日
1995/11/01

会議録

佐藤孝行自由民主党・自由連合

○佐藤委員長 これより会議を開きます。  国会等の移転に関する件について調査を進めます。  本件調査のため、参考人から意見を聴取いたします。  本日御出席願っております参考人は、慶應義塾大学経済学部教授島田晴雄君であります。  この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、まず、参考人から三十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、島田参考人にお願いいたします。

島田晴雄慶應義塾大学経済学部教授

○島田参考人 ただいま御紹介にあずかりました島田でございます。よろしくお願いいたします。  それでは、早速、冒頭の陳述をさせていただきたいと思います。  本日は、先生方のお手元に、事務局から配っていただきました資料がございますが、冒頭の表書きの一枚紙がございますので、これに沿ってお話を申し上げたいと思います。陳述要旨という紙でございます。この要旨に沿ってお話を申し上げる過程で、二十ページ程度の資料に触れながら逐次御説明をさせていただきたい、こういうふうに思います。  それでは、早速、本題に入らせていただきます。  私は、今、この日本の歴史の転換期に新しい首都を建設するということが、国家百年の計として極めて重要なことだ、あるいは二百年の計かもしれませんが、そのように思います。  それはどういうことかと申しますと、日本は、明治維新以来百二十有余年にわたって欧米先進国に追いつき追い越そうというキャッチアップの努力を続けてきたわけでございますが、キャッチアップの目的が欧米の人々と同じような生活水準を達成するということであるとすれば、それは近年に至って達成したということが言えると思います。その先、日本がどのような発展を考えるのかという二十一世紀以降の新しい繁栄を築く一つの礎としまして、この新都の建設というのはまことにふさわしいプロジェクトだ、こういうふうに考えております。  長い歴史の発展ということから考えますと、過去百数十年の間、西欧諸国に追いっこうという努力をしてきてそれを達成した今日、全く新しい日本をどのように築いていくかということを示せるか否か、日本民族の英知が問われる問題だ、そのように私は思います。  もう一つ、直近の問題としましては、東京問題を解決するということと、より健全な、バランスのとれた国土の発展を図るということが重要であろうかと思います。東京の一極集中ということが経済発展過程の中で言われて久しいわけでございますが、これは経済資源が集中しているだけでなくて、いわば権力も集中している。この両面からさまざまな問題が出てきておったわけでございます。  一つは、人々の暮らしということから考えますと、東京の大変お物価高、混雑それから災害に対する脆弱さ、災害の危険、むしろ人災となる危険が大きい、この問題が大変大きな問題になっているところは周知のところでございます。それからもう一つ、東京中心の発展ということであったために、全国各地がいわゆる個性のない顔になってしまっている、全国の独特の顔が育っていない、これは東京中心の弊害であろうかと思います。  そういう弊害を乗り越えて、新しい未来を築く日本の知恵と夢というものを実現していく必要があるのではないかと思われますが、先ほども申し上げましたように、欧米に追いつき追い越せという段階を終えた日本が、本当の先進国として、そして開かれた国として、真に民主主義、新しい政治スタイルを実現する、そういうシンボルとして新都を建設する必要があるのではないか。その新都というものは、日本民族が持っている誇り高い伝統と文化というものを十分に象徴できるような、そういう新都を設計する必要があるというふうに考えます。そしてまた、これは世界に対して、人間の生活というものと環境それから最先端の技術というものが融合できるんだということを示す、未来の都市のモデルを示すという意味でも、日本民族が果たし得る大きな貢献ではないかと思います。  そして、私はエコノミストでございますが、経済的に見ますと、現在は新都を建設するのに絶好の好機でございますし、多分最後のチャンスではないかというふうに思います。  ただいま政府は正式には不況とは言っておりませんけれども、日本国民は大体、これはとても好況ではない、景気回復過程というのが公式の位置づけですけれども、とてもそういう実感がないという事実上の不況でございます。そういう状況ですから、この新都建設を推進していくときに、かつて心配されたような地価の高騰、暴騰ということは回避できるのではないか。  それから、逆に、こういう時期に新都プロジェクトを打ち出していくということが、経済を活性化する上で非常に有効な手になり得るということでございます。これは短期、中期的な問題ですけれども、むしろ大きな目で見ますと、日本の貯蓄超過というものを活用する、日本国民の本当の富を豊かにする上で活用するということが、日本経済の世界経済の中での調和とバランスを図る上で非常に望ましい。  そして最後に、最も重要なことなんですが、長期的な問題ですけれども、日本の人口はことしから若年者が減り始め、五年後から日本の人口そのものが減ってまいりますけれども、その高齢化に伴いまして貯蓄率が下がっていく。恐らく、この現在の日本国民の持っている貯蓄を活用してこういう大きなプロジェクトをすることができる、これが最後のチャンスではないだろうか。このチャンスを逸しますと、恐らく百年あるいは二百年そのチャンスは訪れないかもしれない。今まさにその英知が問われているのではないかというふうに思います。  そういう全体的な考え方の中で、やや各論に入りまして、一つ一つの論点を御説明してまいりたいというふうに思います。  まず、東京の過密問題の解決とバランスのとれた国土の発展ということでございますが、先般の阪神大震災が私どもに大変大きな教訓を残したというふうに思います。欄密な近代大都市で災害が起きるということがどのぐらい恐ろしい結果を生むかということを我々はまざまざと見せっけられたわけでございます。  このお配りしました資料の最初のページをお開きいただきますと、これは中央防災会議の周知の報告でございますが、南関東地域直下の地震の発生はある程度の切迫性を有している、こういうことが言われておるわけでございます。いつ起きるかというようなことは今の技術では予測ができないわけですけれども、かなりの可能性があるということでございまして、そのときにどのぐらいの被害が起きるかというのは、想像するのも恐ろしいほどでございます。  二ページ目をめくっていただきますと、「東京都区部の木造率」というのがございますが、今回の阪神大震災を見てもわかりますように、私も何度か現場を歩きましたけれども、古いタイプの木造の家がまずやられます。そういうことで、この東京が大災害になるということは想像にかたくないところでございます。これは災害、地震などが起きた場合には避けられないことではございますけれども、しかし、それを最小の被害に食いとめるために我々は最善の努力をすべきであります。  東京の首都機能が経済機能その他さまざまな機能と一緒に存在するということが、首都の機能そのものを失わせる危険をはらんでいるわけでございまして、私は、首都機能の安全ということを確保する、そしてまた国家の中枢機能を安全なところに置いておいて、そこから全国の指揮系統を運用するような安全体制というのがとられるのが当然のことではないかというふうに思います。それから、情報化時代でございますので、一朝事が起きたときのデータのバックアップ体制というようなことを考えましても、首都機能が何もこの欄密な混雑した東京の真っただ中にある必要は全くないというふうに思います。  また、次の問題ですが、東京が世界でも最も欄密な、最も人口の過密な都市になっているということから、ごみ問題、環境問題というのは大変大きな問題になっております。  三ページ目、資料の三というのをごらんいただきたいと思いますが、例えば東京と大阪を比べましても、東京は、ごみの焼却の限度をはるかに超えておりまして、埋め立てによって処理していかなくてはならない。ところが、東京湾岸、湾口の埋立地はもう能力が満杯でございまして、実は、全国各地に東京のごみを処理していただいているというような事態でございます。そういった観点。  それからまた、水資源の不安というようなことがございます。これまで数回ありました水不足は、たまたま台風が来るなどということで何とか回避できましたけれども、とてもこれは文明国の都市の運営の仕方とは考えられないということがございます。もちろん、新都をつくったからといってこれらの問題が直ちに解決するわけではございませんけれども、多少のプラスにはなるだろうということで、やはりできることはしておくべきだというふうに思います。  そして、東京に住んでいる方々のより大きな問題としては、居住条件の劣悪さあるいはゆとりのなさということがございます。  例えば、この資料で、二枚飛ばしていただきまして資料の六をごらんいただきますと、東京の住宅というものがいかに狭いか。全国に比べても、それから諸外国に比べれば言うまでもなく、東京の住宅の面積は大変小さい。ウサギ小屋と言われている実態がまだ解決し切れないということは、この東京の地価の高さ、混雑ということと関係があるわけでございます。通勤時間ということを見ましても、資料の七でございますけれども、東京の場合には、一時間以上片道通勤にかかる方々が五八%おります。全国の平均では、一時間以上かかる方が一四%ということでございまして、通勤が痛勤というふうに言われておるわけでございますが、こういう問題の緩和というのは、東京あるいは東京近郊、とりわけ東京近郊に住む人たちの痛切な願いであろうかと思います。  それから、その次のページをめくっていただきますと、「一般国道の走行速度」あるいは「都市高速道路の渋滞状況」というのがございますが、これは先生方いつも大変御苦労なさっていることだろうと思いますけれども、お急ぎのときに東京に来ると突然非常に大変な渋滞に巻き込まれるというようなことで、都市の機能がほとんど深刻な阻害状況にあるというように言わざるを得ないと思います。そういった意味で、この東京の移転問題というのは、東京に住むあるいは近郊に住む人たちから見ても、首都機能ぐらいは移転すべきだという声は実は強いと考えられます。  経済界はいろいろな意見を発表しておりますが、意見は二面ありまして、首都機能が移転することによって経済機会が減少するということは避けたい、これは経済界ですから当たり前のことですけれども、しかし経済界が一致して言っていることは、この混雑、過度な集中の解消をしてもらいたいということを言っているわけで、一般の住民の方々からすると、もちろんこれは大歓迎だということでございます。  東京からの首都機能の移転について、東京都という役所の立場からは比較的否定的な意見が繰り返されているようですけれども、これは方法論の問題であって、基本的には、都民も周辺住民も経済界もこれ以上の混雑は望まない、できることならもっとすっきりと整理をしたあり方というものを望んでいると思います。  そして、この一極集中を是正することができたら、一体新しい東京をどうするのかということが大きな問題でございまして、首都機能を移転することが直ちに住環境の向上をうんと進めるというわけにはいかないと思いますが、少なくとも安全問題については大きな一歩を踏み出すことになりますし、また、政治・行政機能の中枢を移転させることによって、むしろ東京が、国際都市として、商業、経済の中心地として、情報の中心地として、新しい、もっとまとまりのある東京らしい都市として発展することが十分に期待されるのではないかというふうに思います。  それと同時に、この首都機能が東京から移転するということが、先ほども申し上げましたが、全国に個性あるバランスのとれた発展をもたらすということでは大変大きな意味を持つだろうと思います。  今日、全国各地を歩きましても、小学校を見ても鉄道の駅を見ても、東京のマイナー版、全国に銀座通りというのがございますし、すべて東京の金太郎あめ型のスタイルになっています。これは東京に、ただ経済的な資源が集中しているというだけではなくて、権限と情報が集中しているということから来る一つの波及効果だと言わざるを得ません。  言うならば、全国が東京のコピーになっている。しかもコピーにならざるを得ないような仕組みが地方自治の制度の中に組み込まれている。とりわけ、中央からの補助金のシステムですね。地方財政需要に照らして補助金を得るためのいろいろな運用のあり方が比較的均質化してしゃくし定規的になっておりますので、地方の方々は恐らく好んでそうしているのではないと思いますけれども、無色透明な、均質的な、金太郎あめ的な構造にならざるを得ないという制度的な問題もあろうかと思います。  首都機能の移転、東京からそれを切り離すということによって、そしてとりわけ切り離された首都機能というものを、今日のあり方とは違って国政に限定をする、国としての政策、政治に限定をするということがもし可能になれば、ということは、とりもなおさず地方の各自治体がこれまでよりはるかに大きな地方自治の権限を持つということでございますけれども、そういう形になれば、おのずから今申し上げた制度的なゆがみが改善されて、全国各地がそれぞれの顔と文化を持った、個性を持ったそういうバランスのとれた日本列島として発展することのきっかけになろうかというふうに思うわけでございます。  この地方分権の問題は非常に重要でございますのでこの次にも触れたいと思いますが、今まで東京問題の解決ということでお話し申し上げましたけれども、その次に、それでは新都建設というものをどのようなイメージで考えていくのか、どんな意義がそこにあるのかということについて若干触れたいと思います。  一つは、基本的にはこれからの日本の未来を開いていく国家百年あるいは二百年の計だということでございます。  本当に先進国になった日本が内外にその首都をどういう形で示すのかというのは大変重要なことでございますし、日本の将来の顔というものをはっきりと示す、そこに日本民族の長い伝統と文化というものに誇りを持ってそれを象徴するあり方を示すということは大変重要だろうというふうに思います。  ワシントンDCというのは人工的につくられた首都でございますけれども、もう二百年の歴史を経ますと、あそこにアメリカの歴史を学びに全国各地から、世界じゅうから多くの方々が訪れるということでございまして、スミソニアン博物館を訪れる人々の数はディズニーランドを訪れる人の数よりもはるかに多いということが、いかに首都の顔というものが大切かを示していると思います。あるいはパリというような首都は、ナポレオン三世のころから非常に見事に整備をされて、フランスの、そして世界じゅうの愛する首都ということでございます。  日本は、これまでは一生懸命働いて経済立国をしてきたわけですけれども、一定の段階に達した日本が世界あるいは国民にそういうあり方をどのように示すのか、まさに私どもの英知と決意とが問われているというふうに思うわけでございます。  そういうものを築いていくときに大変重要なことは、政治スタイルの問題でございます。やはり新しい血は新しい革袋に入れるということが重要であろうかと思いますが、日本の政治というのは、これまでもちろん先生方は大変な御努力をなさってこられたわけですし、大変大きな貢献もあったわけですけれども、同時に、いわゆる政官業の癒着というような好ましからざるイメージを内外に持たれていたことは否定できないというふうに思います。  そして、そういう癒着の関係というものは、実は、目先の国内的なあるいは地方の利益が国政あるいは日本の国際戦略そのものを制約してしまう。外務大臣が国会の、非常にささいと言っては失礼でございますけれども、そういう問題のために世界の重要な意思決定の場に参加できないというようなことは象徴的でございますけれども、それに限らず、これはどこの国でも否定できないのですけれども、国内政治の極めてささいな問題のために国家の大戦略が制約をされるというようなことがあったことは否定できないところでございます。  やはり二十一世紀以降の新しい世界の先進国の知恵を示すということを考えますと、国内政治は国内政治として、しかし国際政治、国家戦略というものは、世界にも見えやすく、国民にももちろんよく見える形で、透明であり、公正であり、そして国民が参加をしていく、今日の情報技術の発展ということを考えますと、いろいろな形で実は政治決定に国民は参加できるわけでございまして、そういう中から新しい平和国家として世界をリードする、そういう新しい革袋といいますか、舞台をつくり上げてみせるということが、国民のためにも世界のためにも大変望ましいことではないかというふうに考えます。  その中で、新しい首都が行う政治ということでございますが、これこそ、これまで長い間先生方は御努力なさってこられたわけですけれども、真の政治改革をそこで実現する、そして真の地方分権をそこで実現するということであろうかと思います。地方分権を実現するということは、逆に言いますと、国政は国政に専念をするということでございます。  これはもう全くこれ以上の釈迦に説法はないわけですけれども、きょうお配りした資料の最後の方に地方分権推進法を数枚コピーさせていただいております。これはちなみに二十六ページでございます。地方分権推進法の第四条に、「地方分権の推進は、国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模で若しくは全国的な視点に立って行わなければならない施策及び事業の実施その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担いこというふうに国の役割を定めておるわけでございます。一方、「地方公共団体においては住民に身近な行政は住民に身近な地方公共団体において処理する」というふうにうたっているわけでございます。  この言葉の本義を率直に理解するならば、そして具体的に言うならば、やや極端な言い方になるかもしれませんが、新しい首都で行うべき政治というのは外交・防衛、金融制度というようなものに基本的には限定されるのだろう。もちろんそれだけじや済みませんけれども、しかし、今日中央政府が全面的にそれを担って行っております税、教育、社会保障、福祉、産業、インフラ、こういった問題は実は地方自治体が行うべきことだ、国はそれの本当に必要な全国統一のルールだけを定めるということなんだろうと思います。  そのくらいの覚悟で、新しい首都というものを本当の国政、世界国家としての国政ということに限定をしていく、そういう意気込みでこの新首都のソフトウエアを設計する必要があるのではないか。つまり、印象的に申し上げますと、たびたび形容されておりますように、小さくてしなやかな国会都市ということを基本にすべきなのではないかというふうに思います。  このお配り申し上げました資料の中で資料の十八というのがございます。十四ページぐらい、真ん中辺になろうかと思いますが、これは国会等移転調査会が出しました中間報告の骨子でございますけれども、この中に一つの重要なたたき台として、「第一段階における新首都は、およそ十万大規模の都市と想定する。 成熟段階における新首都は、最大規模で約六十万人程度と想定する。」こういうふうに書かれております。その次のページ、資料十九にさらに詳しくその中身が書かれておるわけでございますが、今申し上げました地方分権を本当に実現していくということを考えますと、これよりももう少しスリムなプランも一つ考えられるだろうというふうに思います。  実は、それから数ページめくっていただきまして二十一ページでございますが、資料の二十二というのがございます。これは、民間の団体で社会経済国民会議、今、社会経済生産性本部と言っておりますが、数年前に新都建設問題特別委員会というものをつくって、実は何年もかけて研究を進めてきておったわけでございます。私も実は当初からこれにかかわっておりますが、この中で考えました新都の規模、あり方というのはやや小さ目でございまして、この首都機能移転懇談会が考えております六十万大規模、九千ヘクタール、十四兆円の予算というものに対して、土地は五千ヘクタール、予算は九兆円というようなことで、三分の二ぐらいの規模のことを想定しております。  したがって、実はこの新首都に盛り込みますソフトウェア、どの程度までの国政に限定をするのかということによりまして、首都の規模そのものも、あり方も、設計も相当変わってくるだろうというふうに思います。今日、本当に全国各地で九千ヘクタールに及ぶ大きな土地が確保できるのかどうか、そしてその予算はだれが負担していくのか、地方自治体は何を負担しなければいけないのかというようないろいろなことを考えますと、夢は結構なんだけれども、実現ということになるとさまざまな問題が出てくるということも十分想像されます。  その中で、私は、今再び本義に返りまして、本当の国際都市、世界国家としての首都、国政に専念する首都というあり方をもう一度はっきり考える、そしてもう一度、機能のあり方を整理いたしまして、地方分権の実現とあわせて、本当の国政、世界国家の首都のあり方というものを考えることが必要ではなかろうか、このように思います。  さて、その次に大変重要なことは、もう少し物理的な問題ですけれども、未来を先取りする新たな都市像というふうに言わせていただきたいと思いますが、今日、世界じゅうを見回して、これだけの大きな規模で壮大な理想を掲げて何かを企画しようと考えている国はございません。主要国は既にいろいろな形で首都を近代史の中で建設しておりますので、残されたのは日本だけではないかというふうに思います。  この日本が何をするかということが重要なんですが、幸いなことに現代でございますので大変進んだ技術がございます。それと同時に、現代の独特な人類史的な問題がございます。それは環境問題でございます。人間と都市というものがどれだけ調和できるのか、あるいは自然と都市というものがどれだけ本当に調和できるのか、こういうことを考えたときに、日本が人類の最新技術を駆使して、そして最新の英知を駆使して、実は、これまでの都市というものになかった人間らしい自然と調和したコミュニティーをつくるということが示し得るのではないかと思うのですね。  例えば、私は空想的に考えますけれども、自動車が見えない都市などというのは考えられるのだろうと思うのですね。今日、高速道路が頭の上を走っている、排気ガスをまき散らして、老人が急いで道路を渡らないとはねられてしまうというようなばかばかしいあり方というのは、もう過去の話にしたい。しかし、現存の都市にはもうそのインフラが牢固としてありますから簡単に処理はできませんけれども、全く更地に新しい、しかも世界に誇るべき都市をつくるのですから、人間にたとえるならば、一皮むけば内臓でございますよね。内臓の部分は全部先につくってしまって、その上に表面を張って、その上に豊かな自然を築いて、小鳥のさえずりとともに住民が歩く、そして自動車に乗りたければ、足元からさっと下へ入ればいわゆる機能部分があって、あっという間に人が動けるというようなことは設計で十分可能なんですよね。  そういうこともできますし、あるいは私どもが都市活動でつくり出すさまざまなものを、つくるときからリサイクルを想定して収支をとんとんにする。今日の日本の文明というのは、自動車を皆さん急いで買いますけれども、自動車に乗っている期間はたかだか二、三年にすぎませんが、自動車が使えなくなってからプラスチックが消滅するまで恐らく数百年かかるのですね。そういうばかばかしいことを我々はやっている。そうではなくて、この新しい首都では、つくったものが適切な寿命の中で消えていく、あるいは再利用されていくというようなシステムを築くこともソーシャルソフトウエアとしては可能だろうというふうに思います。  そんなことを人類史に先駆けて示すということも、更地に絵をかくということであるからこそできるのではないかというふうに思います。そういうライフスタイルを築くということは、世界にそういう日本の総合的な貢献ということを示す絶好の機会ではないか、こんなふうに思うわけでございます。  ちょっと時間が超過し始めましたが、あと数分時間をいただきまして、経済的な問題、そして手続的な問題について若干触れさせていただきたいと思います。  経済的な観点からいたしますと、今日の日本の状況というのは、首都建設のために絶好の好機でございます。そして恐らく最後の機会になるのではないかというふうに思います。  第一に、日本の人口がますます高齢化しております。大分前の方になりますけれども、この資料の十をお開きいただけますとまことに幸いでございます。「年齢階層別人口の将来推計」というのがございますが、今日六十五歳以上の人口は全人口の中で一四・五%でございますけれども、これから二十五年後に二五・五%という人類未到の高齢化をいたします。そして、さらに二十五年後には二八・四%になるということが想定をされております。二五%で人類未到の高水準でございますので、これがどういうことを意味するか、世界じゅうが注目しているところでございます。  私が懸念いたしますのは貯蓄率の問題でございますが、次のページ、資料の十一を見ていただきますと、日本は高貯蓄国としてこれまで世界の中で注目されてまいりました。特に一九七〇年代に二三%という世界最高の貯蓄率を誇った時期がございますけれども、高齢化の進展とともに逐次貯蓄率は低下しておりまして、今後さらに低下していくだろうというふうに考えられます。  そうしますと、これだけ大きなプロジェクトということを考えても、どのように賄うのかということが問題でございまして、二十一世紀に入ってしばらくたちますと、これはとても賄えないという状態になろうかと思います。したがって、この十年が具体的な第一歩を踏み出す最後のチャンスではないかというふうに思います。  それから、資料の十二を見ていただきますと、これはやや複雑な表なので一言で申し上げますが、日本の現在の貯蓄過剰というものが世界各国に対して経常収支の黒字という形になってあらわれてまいりまして、これが世界経済のアンバランスを生んでおります。それが円高の圧力にもなっているわけでございますが、高齢化の進展とともにこの貯蓄が減ってまいります。特にこの表の中ほどにあります社会保障基金というものがだんだん使う方がふえてまいりますから減ってまいりますと、やがてマクロバランスとしても対外バランスは赤字国に日本は中長期的にはなっていかざるを得ない。そうなりますと、そういった意味でもこれはもうこういう大プロジェクトをやる余地というのはなくなってくるわけでございます。そういうことで、残された十年が最後のチャンスだということを申し上げたいと思います。  そして、もっと直近の経済状況に目をやりますと、今、地価が低迷をしております。それは、このような大プロジェクトをして土地の収用をしても、地価の高騰がかつてとは全く違う形で回避がしやすいということでございます。大変建設のしやすい環境が整っているというふうに思います。そしてまた、これは、経済の活性化にとって非常な起爆剤になるということは明らかでございます。  現在、銀行の不良債権問題が大変な問題になっておりますが、最大の問題は不良債権を処理できないということですね。不良債権であります担保にとっている土地を売ったときに、どのぐらいの値段になるのかわからない。底値が見えないので不良債権問題が回避できないというのが最大の問題でございます。底値が見えないというのはどういうことかというと、その土地を売ってビルを建てて家賃を取ったときに、どのぐらいの家賃が取れるのか見当がつかないということですね。  今、東京の臨海副都心が途中で計画を大幅変更せざるを得ない。私もたまたま懇談会の委員をさせていただいておりますが、今後、あの土地にあのプロジェクトを展開していって、どのような収入展望があるか全く開けてこない。底値が見えないわけでございます。それはどういうことかというと、底値が見えるというのは、あるプロジェクトを展開していったときに、どのような長期収入の見通しが立つかということが底値が見える基本でございまして、そのためには、経済にそこそこの活力の展望が見えてこないと地価の底値も見えない。したがって、不良債権も解消されない、住専の問題も解消されないわけなのです。  ですから、そういった意味で考えましても、現在の経済に一つの活力の契機を与えるという意味で、このプロジェクトを推進していく意義は非常に大きいというふうに申し上げたいと思います。そして、この過剰貯蓄の活用ということが進みますと、国際経済バランスにも貢献いたしまして、過度の円高に振れるという危険を取り去ってくれるということでございます。そういった意味で一石何鳥にもなる珍しい経済的な好機でありますが、十年何もせずに過ごせば、日本民族はもう百年も二百年もこういうことをできるチャンスがなくなるということでございます。  最後に、手続的な問題です。  資料の十三をちょっとごらんいただきたいのですが、これはもう先生方がずっと御活躍をなさってきた経過を示すものでございますけれども、いよいよこれが最終局面にかかっているのではないかと思います。  資料の十四というので第三夕ームという表現になっておりますが、今、選定基準をどうする、時期をどうする、残された東京をどうするということを最終的に考えていかなくてはならないところへ来ているわけでございます。  ここで最後に申し上げたいことは、まだ国民はこの問題を本当のものとして理解しているかどうかわからないと思うのですね。ですから、話には聞いたことがある、しかし、そんなものできるのですかというのが本当のところだろうと思います。  基準ということが言われるわけですけれども、基準の議論は詰めなければなりませんが、同時に、国民も参加させて広く周知徹底して、自分たちの問題なんだということで、やればできるんだというところへ持っていくにはどうしたらいいのか。国民投票がいいのではないかという議論もありますけれども、国民投票するほどまだ知識を国民は持っていないということだろうと私は思います。したがって、さまざまなアンケートですとか、さまざまな国民の意見を聞く機会をこれから本格的に展開して、そして、これが自分たちのものなんだ、この歴史的な転換点でやろうと思えばできるらしいなというところまで進めていく必要があろうかというふうに思います。  そのために、片方ではさらに十分な計画と詰めを準備していく必要がある。今日までのところでも相当立派な計画ができておりますけれども、本当に具体化するとなれば、まだまだこれは絵にかいたもちなので、さらに詳しい研究をしなければならない。  そして、やはり国民にとりましても先生方にとりましても最大の関心事は、一体どこへつくるんだということだろうと思うのですね。このどこにつくるという問題は非常に難しい問題でございまして、これこそが最後の最後だろう。  もちろん、今書かれております計画では非常に膨大なプロジェクトですから、一気にやるというわけにもいかない。ある程度の期間をかけて、五月雨的に国会都市並びに周辺衛星都市群という形でいきますと、いいかげんなところで時期と場所を決めなければいけないことは事実でございますが、決めたときには既に詳細は全部でき上がっていて、国民は相当程度の理解をしていて一気に走れるという形にしませんと、私は日本人でありながらこういうことを言うのは非常に心苦しいのですけれども、日本の政治決定をずっと拝見してまいりまして、やはり日本人はねたみの国民だ、どこかの地域が選ばれますと、周りじゅうが寄ってたかって足を引っ張る、邪魔をするということになるのだろうと思うのですね。それではせっかくの日本の英知も生かされない。  やはり大衆のダイナミズムのコントロールですから、ぎりぎりまで待って、弓をいっぱいに引き絞って、そして放ったときには一気に完成する。これはもう透明な民主主義のルールで、はっきりした基準で決めたことだから足は引っ張らないと約束して進むということでないと、国民の英知は生かされない。そういう英知を日本国民が持っているのかどうか、日本民族が持っているのかどうか、それだけの決意を示せるのかどうか。私ども、今働き盛りの年代層が、次の子供たち、孫の世代、その孫の世代に、お父さんたちお母さんたちはこういう国をあなたたちに残すんだよということを誇りを持って言って死ねるかどうかということが、今私どもに問われているのではないかというふうに思います。  大変長い話で恐縮でございました。

佐藤孝行自由民主党・自由連合

○佐藤委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     —————————————

佐藤孝行自由民主党・自由連合

○佐藤委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  この際、委員各位に一言申し上げます。  質疑につきましては、理事会の協議によりまして、一回の発言時間は三分程度、委員長の許可を得てお願いするということになっておりますので、委員各位の御協力をお願いいたします。  どなたかありますか。

青山二三新進党

○青山(二)委員 先生、きょうは大変ありがとうございました。大変すばらしいお話をお伺いいたしまして、感謝をいたしております。  私どもこの委員会では、九月ですか、キャンベラの方に視察に行ってまいりまして、いろいろと勉強させていただきました。本当に新しい首都をつくるということがこれほど大変なことかということを現実に見てまいりまして、日本の新しい首都をつくるときにも大変な苦労があるだろうなということを感じて帰ったわけなんでございますが、今の先生のお話、最後の部分でまさにそのとおりだなという思いがいたします。  本当にキャンベラというところは美しい町で、人工的につくられて、車が見えない、渋滞がない、人口が三十万だ、気候も本当に温暖で大変すばらしい。地方分権はもう完璧だ、本当にすばらしいなと思っておりましたら、シドニーとかメルボルンに参りましたときに、あれは妥協の産物だと。メルボルンに欲しい、シドニーに欲しいということで二つの都市が大変に引っ張り合いをして、とうとうその結論でもって中間がいいだろうということで決められたあれは全くの妥協の産物だ、こんなお話を聞いたわけなんですね。  ですから、これから二年以内に候補地を決めるということで既にゴールが決められておりますので、この二年の期間の中で本当に決められるのかどうか、どういうふうに国民の合意を得ていけばいいのか。今先生は、国民投票は難しいから、たくさんアンケートをとって国民に広く周知をするということでしたが、ただ、広げれば広げるほど決まらなかった土地の人たちの反発もさらに大きくなる、こんな心配をするわけでございますが、その点、どのようにこの二年以内に決めていくかというその手法について、もう少し詳しく参考になるような御意見をお聞きしたい、こんな思いでおりますので、よろしくお願いいたします。

島田晴雄慶應義塾大学経済学部教授

○島田参考人 オーストラリアの件については、最後には決闘してまでやったということが伝えられておりますけれども、本当に人間というのは倒しがたい生物で、そこのところが一番難しい問題だろうと思うのですね。  したがって、これはどの人間も皆同じなんで、多分日本人だけが特にそうだというわけではないと思いますけれども、日本人は論理を先に立てて理念に従って行動するということに余りなれていない民族で、とかく嫉妬と妥協でやりがちなために、最後は泥仕合になるおそれがあります。ですから、それを防ぐために、これまでもずっと蓄積されてこられました専門家の方々の御努力、先生方の御努力、やはり事態をよく承知なさっている方々が、できるだけ詳しく、できるだけ合理的な知識、やり方というものでプランを立てておかれて、そして同時に、多くの国民の方々にはいろいろな機会にそれが目に触れるよう議論を行う。ですから、もう全国的にどんどんとたくさんシンポジウムをする。  ただ、それを国民投票というところまで急に持っていけるかどうかというと、そこまで国民の理解とか政治的な成熟度を求めるのはちょっと無理があるのかなという感じを私は持っておりまして、一方で、できるだけ具体的な手続、中身、法的な準備というようなものも進めながら、他方で、これまでの恐らく十倍ぐらいの規模と頻度と熱意で国民の議論を巻き起こしていくということをしませんと、二年の中で何かをするというのはとても難しい。  やり方を間違えますと、急いで、ある人々の手柄にしようということで二年で決着をつける、拙速をやるというようなことをしますと、国民は何か意味がわからない。せっかく誕生した新都が、だれにも愛されない。一部の人たちの利権でできたのではないかというようなことになったら大変なことでございます。新幹線をつくるときにそういう例が一カ所あったように記憶しておりますけれども、今もってあの近辺はなぜか人々が居つかないということでございます。  そんなことになったら大変なことでございますので、やはり国民とともに議論をしていくということに十倍くらいの熱意をかけていただく。幸い、国会議員の先生方はみずから国会機能移転の決議をなさったわけでございますから、大多数の国会議員の先生方はこの問題について積極的なお考えをお持ちだと思います。これはもうすばらしいことなので、これを生かして、先生方が先頭に立って全国各地で非常に密度の濃い議論を展開していただいて、そして最後には決められたルールで一気に決めるということなんだろう。  それは、多数決の原理なのかどうか知りませんけれども、民主主義というのはそういうものですね。明快な理念とルールに従って決めたものに反対をしたんじゃ、これはもう政治を担う資格は国民にないわけですね、そういうことを言っているようでは。そういうことを言っていると、独裁主義になってしまう。  したがって重要なことは、どういう理念なのか、どういう手続なのか、どういうルールなのかということを国民討議の中でも徹底的に議論をしていただいて、そして国会議員の先生方は事態を一番よく御存じでいらっしゃるわけですから、国民の意見を待って、反応を見て、多数の分布のあるところにどうこうするというのではなくて、むしろみずから英知をお示しになって、こういう方向がいいのではないかというふうに世論を先導していくというような役割を担っていただきますれば成就できるのではないか、私はそんなふうに思っております。

田邊誠日本社会党・護憲民主連合

○田邊委員 首都機能移転をする場合においては今が一番いい、というよりも最後のチャンスだという先生のお話は、我々も特に肝に銘じなきゃならぬと思うのです。  幾つか問題がずっとあったのですけれども、今のお話のように、新首都というものは、特にそこで扱うものは国政に限る、権限にしてもあるいはいろいろな仕事もできるだけ地方に移譲すべきだというのは、我々も本来的にそう思ってきたのですが、いわばこの新首都建設というのは国政全体にかかわるというか、国政全体そのものということが一面あるのですね。そうしますると、これを実現するためには、これとこれとこれはもうどうしても克服しておかなきゃならない、解決しておかなきゃならない問題というのもあるし、それからまた、これを実現することによっていわば政治全体によりいい方向に拍車をかけるという両面あると思うのです。  ですから、我々が余り大ぶろしきを広げて、あれもこれも全部解決していかなければこれはできないぞ、こうなると、百年河清を待つ格好になりますので、そのところを最小限度これだけはやはり我々としては解決、克服しておかなきゃならない課題だというものを絞っていって、それを我々としては一生懸命努力する、そしてこれをさらに進める、こういうことが必要じゃないかという気が私はするのですが、いかがでしょうか。  もう一つは、これももう古くして新しい問題だけれども、東京から去るということについては、我々は理屈ではわかっているのです。特に、現在の東京のいろいろな隆路というものを打開することも副次的には私は非常に必要だと思うのですが、さっきお話しのように、といって、混雑は解消してもらいたいけれども東京の今持っているところの経済的な能力というのは低めでもらっちゃ困る、こういう意見がどうしてもあるのですね。ですから、東京の方々ばかりでなくて、今まで百年以上保ってきた東京というものの位置、それから今後の東京のいわばあり方、こういうところまで言及しておかないと、どうもそこのところが、何からぎって我々はそっちに行くんだぞ、こういう格好では、日本の政治経済全体の今までの蓄積というもののありようからいって少し不十分ではないか、こう思いますので、その点に対する御意見をあわせてお聞きしたいと思います。

島田晴雄慶應義塾大学経済学部教授

○島田参考人 大変重要な問題を二点いただいたと思いますが、第一点は、すべての詳細に至るまで、そしてすべての骨格に至るまで、そして発想の転換まで全部盛り込まれなければ動けないのだという議論の立て方をしておったらできないじゃないかということで、もう全く賛成でございまして、一方で高い理想と理念を掲げながら、他方では極めて現実的に運ばないとこういうものは動かないだろうと私は思います。ですから、これはもう既にこれまでの懇談会でもいろいろ御議論が出ておりますことですが、事実上はやはり十年か二十年かけて計画の成熟を待っていく、そして非常に明快でだれもが賛成するものについてまず手がけるという考え方ですね。  もう少し具体的に言うと、国会機能は真っ先に移転をして国会を開設してしまうということですね。これは懇談会でも一番現実的な議論が行われたところでありまして、十年間で建物からすべて含めて実際の国会審議が開会できるだろうということで、これが橋頭塗になりますね。あとは、もちろんマスタープランがあるわけですけれども、逐次、経済状況、いろいろな状況の様子を見ながら展開していき、衛星都市を展開していく。  しかし、このマスタープランは、案としては相当程度まで詳細なものが、専門家の、とりわけ国会議員の先生方の中では了解をされておって、時期とか場所を選定する前にはそれは全部できていないといけない。それに至る手続の基本法もあるいはその調査機構も十分なものができておって、しかし、実際にそれが形として実現してくるのは十年二十年かけてもよろしいかと思うのです。案として十分なものができておれば、いざ決定が行われたときに一気に走れますので、そういうことだろうと思うのですね。  もちろん、地方分権というのは非常に難しい問題ですけれども、理念としてはさっき私が申し上げたところをあくまで貫かなければならないと思います。もちろん、国政といっても、二十数省庁が担当しておりますことは全部国政といえば国政。しかし、計画機能、企画機能と行政機能、特に原局の行政機能というのが霞が関に集中しておりますが、原局の問題は相当程度これは現状では委任事務でやっておりまして地方でできることなので、霞が関の官僚機構の頭脳部分だけ動かしまして、残した部分はむしろ全国に展開するというようなきっかけをつかむためには、この機会にやはり物を移してしまうというのが一番大きな行政改革になるのだろうというふうに思います。  それから、東京をどうするということでございますけれども、首都機能、千数百万人の人々が生活をし仕事をし、そして昼間人口が三千万近くになるという膨大な東京で、政策に直結する方々十万人あるいは家族を含めて三十万人、この方々が移転するということが本当は経済機能にそんな大きなインパクトを持つとは私は思わないのですね。それほどの影響はないだろう。それよりもはるかに大きな影響は、実は全国各地で起きている人口動態と経済のメガトレンドそのものの変化でございますね。  私、先ほどちょっと申し上げましたように、たまたま臨海副都心の再設計のための懇談会の委員を最近仰せつかりましてやらせていただいているのですけれども、あの考え方が構想されたのは十年以上前にさかのぼるわけですが、当時のプランナーの方々はまさか今日のような経済状況が来るとは多分思っておられなかっただろうと思うのですね。しかし、実はその芽は、国際経済や国内経済のみならず、人口動態でもあったのですね。  十年前から東京都区部の人口は実は少しずつ低減を始めている。去年からドーナツも含めて全東京都が人口減少に転じましたけれども、そういうことが実は少しずつ始まっていた。そして、十年前から日本全国の人口は出生率が非常に下がっております。日本の人口を定常状態に一億二千五百数十万維持するためには、合計特殊出生率というのが二・〇八ないといけないというふうに言われておるわけでございますけれども、私どもの試算では、現在の一・四幾つというレベルを九十年間、つまり三世代続けますと、日本の民族は六千万人になるのですね。既にその段階に入り始めました。ですから、これまで東京が一極集中のダイナミズムの根本になっていたものが、実は十年前から崩れているのですね。  私は、戦後の日本の瞠目すべき経済成長というのは三つの要因で成り立っていたと思うのですぬ。それは、戦後の打ちひしがれた状況の中で国民が非常に高い経済復興、成長期待を持ったということ、それから若い人口が膨大にいたということ、それからそれが東京にみんな集中して地価をつり上げたという、この三つだと思うのですけれども、この条件が全部崩れておりますので、今までの東京のあり方というのは、その期待の延長線上につくられていた楼閣だったかもしれない。ですから、これは首都機能を移転すると東京はどうなるという問題よりも、むしろ今私が申し上げた根本的な原因について、東京はみずからのあり方を再設計しなければならない。  そこで私は、たまたま臨海副都心が象徴的でございますので申し上げているのは、あそこを世界の人たちの注目するフリーポートゾーン、フリーポートシティーにしたらどうかということを申し上げているのですね。それこそが地方分権なのではないか。つまり、今日、日本で国内物価が非常に高い。為替レートは一ドル百円でございますけれども、生計費ベースで考えました購買力平価は一ドル百七十円と言われております。つまり簡単に言うと、日本の物価は諸外国に比べて七割高い。それだけ日本の人々は、働けど働げと生活は楽にならぬという矛盾にあえいでいるわけですね。  これは基本的には何かというと、これだけ高い円なんだから、海外の財・サービスを国内に思い切って導入したらいいではないかということなんですけれども、生産性の向上の余地の少ない国内の零細な生産者の方々に急にそれをやりますと大変苦労しますので、抵抗があってできないという。ですから、生産者としての市民が生活者としての自分自身の首を絞めているという状況ですね。  本当は、地方分権で、ここに地方のおのおのの利点を生かしながら突破口をあけていくというようなことができなければいけない。そこへ行けば自由に世界の値段で物が買えたり、自由に新しい技術で交流ができて新しい資本調達ができたり、国のルールとは相当違ったことを全国各地でやれるというぐらいなことをすると、この東京の持っている世界最大の購買力というのが爆発的に生きできますので、そういう観点から東京を再構築することは十分に可能だ。そういう発想の転換によって、過去の経済成長の楼閣にしがみつくのではなくて、新しい、本当の自分の実力によって輝かしい経済都市東京をつくり直すということなんだろうと思うのですね。そういうふうに考えますと、首都機能移転は、歓迎されこそすれ文句をつけられるところは一つもないのだろう。  東京都庁のお役人の方がこの前この席でコメントを述べられたようでございまして、あえて余り具体的なことを言うと問題かもしれませんが、私は御回答を拝見しておりまして、極めて視野が狭い、あるいは硬直的だという感じがいたします。今私が申し上げたような、内外の大きなメガトレンドの変化を踏まえて本当に東京を自力でどう繁栄させるのかという視野が拝見できなかったのがいかにも残念で、恐らく東京都民は私が申し上げたようなことを望んでいるのではないかというふうに思います。

中島武敏日本共産党

○中島(武)委員 きょうは大変御苦労さまでございます。  幾つかお尋ねしたいことがあるのですが、最初にちょっとお尋ねしたいのは、先ほど先生が述べられた、どういう新都建設を行うかという問題なんですよね。  この間、政経分離の最も模範的な首都の建設ができているところとされているキャンベラへ行っています。それから、その他も行ったのです、シドニーとかメルボルンとか。あそこで僕が非常に思いましたのは、計画してから首都が移転するまで、百年ではありませんが、物すごい長い時間がかかっているのですね。だけれども、いまだに意見が強烈に出るのですね。あんなキャンベラに何で移したんだという意見が、メルボルンでもシドニーでも、それから西海岸に行けばもっと痛烈に出ますよという話でした。私は西海岸は別に行かなかったんですけれども。  それで、さっき島田先生のお話を伺っていると、更地に絵をかくような理想的なものをつくったらよい、非常に環境に恵まれたという話なのですけれども、僕は、率直なところを言って、なかなか勉強になった面もあるのです。あるのですけれども、キャンベラは大変環境に恵まれたところですけれども、人間のにおいが余りしないとか、それから生産のにおいがしないとか、確かにそういう点で、おまえここに住んでやるかと言われると、いやどうかな、こういう感じを正直言って受けました。更地に絵をかくとおっしゃるのだけれども、どういうものを先生はお考えになっておられるのか。それは国民が果たして望むものなんだろうかという気がするのです。  端的な意見では、エリートだけがそこに集まって政治をやるなんて、そんな政治やっていたらおかしくなってしまうよ、こういうことを随分端的な声としても出されておりました。私は、政経をどうしても分離しなければならないものなのだろうかということを非常に疑問に思うのですよね。その辺についてのちょっと先生の、幾つかお尋ねしたいのですけれども、まずそれをお尋ねしたいと思います。

島田晴雄慶應義塾大学経済学部教授

○島田参考人 私もキャンベラは何度か訪ねておりまして、まさに今先生おっしゃられたようなコメントを、オーストラリア人、口のいい人も悪い人もいろいろおっしゃいますね。非常に人工的な、人間臭さの感じられない、何となく夜になると寂しくなってしまう、そういう町であるという印象は受けます。オーストラリアはある理念に基づいて首都をつくろうということでおつくりになったわけですけれども、私は、日本とオーストラリアというのは幾つかの面で大変違うのではないかというふうに思うのですね。  一つは、国の大きさが全く違うわけです。オーストラリアの人口というのは、日本で言えば中くらいの県ぐらいの人口でございます。そして、国土が物すごく広くてスペースがある。そういう中での新都でございますから、どうしてもほとんど過疎のような形になる。日本の場合には、まさに先ほど申し上げましたように、東京の持っている膨大な集積の中で、それこそ庶民は物価が高い、環境が悪い、生活が苦しいということであえいでいるわけですね。そのときに新都をつくったからといって、それはすぐには解決できるものじゃありませんけれども、ちょっとでも過大な負担を軽減させるということができるのではないか。  それから、東京でサミットをやりますと何万人という警官が交通規制をやるというようなことで、サミットなんていうのは、本当は東京のように人の住むところでやってもらっては迷惑なのですよね。サミットなんていうのは、それこそキャンベラのようなちょっと隔離されたところで静かに、ほかに害を及ぼさないでやってくれればいいのです。サミットのニュースを流すのは一緒にいる記者団でございますから、これは世界各地の茶の間でテレビを通じて見られるわけで、サミットの場面で首脳に会う庶民があり得るわけがないのですから、そういうことで、庶民にむしろ害を及ぼさないでサミットをやってもらいたい。  非常に否定的な言い方で恐縮なのですが、むしろ積極的に言えば、安全を確保し、円滑にスムーズに効率的に、しかも情報発信しやすい形で、そういう舞台装置のつくられたところでやっていただくことがいいのではないか。そういう意味での国際都市としての非常な機能のしやすさというものを今の東京に設計するというのは、非常にコストが高いですし、複雑なものになって、庶民にとって決して望ましいことじゃないのではないかというような感じがいたします。  そして、私が更地の上にと申し上げましたのは、二つございます。一つは、技術的な問題がございます。それこそ地下に交通網はみんな入れてしまう、ライフラインはみんな入れてしまうというようなことも可能だという意味もございますけれども、最大の問題は政治改革ですね。  つまり、日本のこれまでの発展、つまり役所が主導をして、そして国の方向を決めて、きょう先生方の前でこんなことを言うのは本当に申しわけないのですけれども、いろいろ言われておりますことであながち否定できないのは、政官業の癒着といいますか鉄の三角形といいますか、お役所が許認可権限を余り強く持っているために、民間がその許認可を受けるための仲介を政治家の先生方にお願いして、そしてそのことが政治の腐敗なり行政の越権なりを生んでくるわけですね。これを断ち切るには、私は舞台装置をかえてしまえ、そのきっかけが重要ではないか、そういう意味で実は更地のことを申し上げているわけです。  その問題はアメリカも日本ほどは強くございませんし、オーストラリアも日本ほど強さはない。やはり日本がこれまでの発展の時代、これは大変成果が上がったのですけれども、歴史的な段階を越えましたので、新しい段階で新しい家を設計して、新しい日本民族として新しい政治を始めていく、そのきっかけをつくるというのには、やはり更地に政治都市をつくった方がいいのではないか、そんなふうに思っております。

中島武敏日本共産党

○中島(武)委員 今の先生のお話伺って、考え方の問題なのですけれども、結局、新しい革袋をつくればその中に新しい血液を盛ることができる、あるいは何か新しいことをやればそれをきっかけにしてよくなる、こういう考え方。私は、今の先と言われた政治改革の問題でもそうなのですけれども、政財官の癒着という問題についてまだ国民の皆さんは非常に不信を持っていますよ。新都建設というのは大プロジェクトですね。超大プロジェクトと申し上げていいと思うのですけれども、私が思うのは、やはりそういうことに対する国民の不信をまず一掃するということが先決なのじゃないのかな、こういう考えなのです。そういうことが一掃されて初めて、じゃ首都の建設をどうするのかということが考えられるのじゃないか。それから、国民的に納得を得るのじゃないか。  それから、地方分権という考え方なのですけれども、僕も地方分権賛成なのです。ですけれども、先ほど先生読み上げられた地方分権法、まだ具体的じゃないのですね。じゃ何をどうするんだ。日本は連邦国家じゃありませんから、そういう連邦国家じゃないもとにおける地方分権というのは具体的にはこうするんだというようなものがまずないと、首都を移したから地方分権が何かの引き金になってよくなっていくんだという、私はその考え方は非常に疑問を持つのですね。やはり、実質中身を決めることが先決なのじゃないか。そうしないと、そこがまた、国民とのかかわりで言うと、首都を新しくしたら今度は政治もよくなりますよ、それから政治改革もうんと実質進みますし、それから地方分権も進みます、こういうふうに言われてもなかなか納得しがたいのじゃないか。  だから、先生一番最初に強調しておられた、どんな手続でどれぐらい真剣な国民的議論と合意が必要かと言われた、まさにそこにかかわってくるのじゃないかな、こう思うのですけれども、先生とうですか。

島田晴雄慶應義塾大学経済学部教授

○島田参考人 最後におっしゃった点、私も全く同感でございます。最後におっしゃった点は、これは強調してもし過ぎることはない。つまり、国民が理解をし納得し参加をするという基盤をつくるために残された時間はそうたくさんないので、私は、先刻申し上げましたように、これまでよりも十倍ぐらいの規模で、十倍ぐらいの密度で国民との対話を進めていくということをこの新都計画の重要な一環として据えていただきたいというふうに申し上げたいと思うのです。  前段でおっしゃられたことについては若干コメントがございまして、申し上げさせていただきたいと思います。  一つは、大プロジェクトである、国民に不信があるというふうにおっしゃられたのですが、ちょっと私は十分理解できなかったのです。この新都建設という大プロジェクトに国民の不信があるのか、あるいは、その前段で申し上げた政官業の癒着に対しての国民の不信があるのか。私は、政官業の癒着に対して国民が多大な不信を持っているというのは、全く同感でございます。それを何とかして解消したいという御努力を、先生方は懸命に政治改革を含めなさっているのではないかというふうに、私は一国民として期待をして毎日国会の御活動を見ているわけなのです。  急にきょうあすじゅうに全部きれいになるということはできるわけがないので、いい方向へ向けて御努力をなさっているというふうに願いを込めて私は見ているわけなのですが、この大プロジェクトに国民の不信があるかどうかというのは、私はそう簡単に言えないのじゃないか。むしろ、そんなことができるのなら、本当にいいものをつくって見せてくださいねという感じの方が強いのじゃないだろうかなという感じがしております。  非常に大プロジェクトだとおっしゃられるのですけれども、実はこの懇談会が出された十四兆円というのは、今回の経済対策と同じ規模なんですね。あるいは先ほどの社会経済国民会議の出した九兆円というのは、今回の経済対策の真水の部分と大体一致しているので、実はそんなに大きなプロジェクトではないのですね。  地方分権をどう実現していくかということについて、先ほど私が読み上げました地方分権推進法は、まだ建前だけであって中身はない。中身については、今推進委員会でいろいろ議論が進行しているのを私も承知しておりますけれども、あの中でとりわけ委任事務のようなものは、極端な話をするとなくしてしまえ、これを全部地方に渡したらどうか。もちろん逆の問題としては、果たして地方にそれを受けとめるだけの成熟度があるのかないのかという議論はあります。  ただ、これは過保護ママと高校生みたいな関係でございまして、過保護ママがこの手心配だから心配だからといって大学まで付き添っていって、入社式まで付き添っていったら、これは大人になっても自立しない。ですから、どこかで相当なコスト、混乱があっても突き放してやってみる。そこでだめなら地方自治体はだめという評価が下りますから、そのぐらいの勇気を私ども持たなければいけないのじゃないか。  そういうことも含めて今検討が進んでいるというふうに私も承知しておりますが、それが済まなければ新都を計画してはならないというふうに私は考えませんで、むしろそういう地方分権を進めていくときに、一方では推進委員会の議論があり、一方ではさまざまな部面の議論があり、他方では霞が関の何とか省の企画部門だけとりあえず物理的に動かす。物理的に動かして部屋がかわるということは実は非常に大きな意味がございまして、原局と今度は書面で連絡をとらなくてはならなくなります。そうすると、やはりツーカーというわけにはいかなくなるので、どういう根拠でこういうことを言うのだよというのがはっきりしてまいりますから、ここら辺からも実は透明化が進む可能性があるのですね。  そういう意味で、むしろ地方分権を進める一環として、新都建設が私は極めて有効な促進剤になるのではないか。先生と各論はちょっと違うのですけれども、最後の結論の、それもこれもすべて含めて国民の理解を得ていくというところはもう大賛成でございまして、私は、理解を得つつ、できるだけ早く、残された十年以内にとにかく形をつくる、最初の形だけでもつくるということをしないと、日本民族は人類史の中でこのチャンスを失うだろう、こんなふうに思っております。

村田敬次郎自由民主党・自由連合

○村田(敬)委員 島田先生のお話、私は全般的に非常に納得するのです。世界国家としての日本のあり方、それから環境問題、ライフスタイル、そういういろいろな点から非常に豊富な資料を指摘して示していただいて、私は根本的に大変いい御意見だと思います。  そこで、時間が限られておりますから、二点に絞って質問を申し上げたいのですが、日本は明治維新のとき、人口が三千万だったのですね。東京市の人口はたしか百十五万。それから百二、三十年の間に日本の人口は一億二千万にふえる。東京の人口は、東京圏というと三千万、それから東京都でいうと一千二百万。十倍ないし数十倍になっておる。そして東京に対する一極集中はその間にきわまったと見ているわけです。  過密過疎の問題が国土計画の上でも非常に大きく言われておりまして、例えば私、愛知県ですけれども、愛知県の一番小さな村は冨山村。大正時代には千五百人、今二百人ちょっとです。だから七分の一以下に人口が減っておる。だから、この百数十年の間に、一方では大変な過密が進行し、一方では大変な過疎が進行しておる。何としてもこれは新しいスタイルをつくっていかなければいけないという問題意識の先生の提示は全面的に賛成なんです。  それで、これからの人口問題、所得問題等について御指摘になりました。人口、所得、経済というのはすべての判断の基準ですから、私はこの御指摘も大賛成なんですが、日本の人口がこのままの傾向でいくと二十一世紀中には五千万ないし六、七千万に減っていくであろう、この問題をどういうふうに解決するのかという問題がございます。  それから、先ほど来委員との質疑応答で示されたように、私は、二十一世紀のグランドデザインとして首都移転と地方分権をやらなければならぬ、だから首都移転と地方分権は並立する、ともに進んでいく概念であって、そういうふうに進めなければいけないと思っておるわけでございますが、これからの人口問題、所得問題との関連で、新しい時代はどういうふうに大きく進もうとしておるのかということについての先生の根本的なお考え方をひとつ伺いたい。  それからもう一つは、具体的な問題です。宇野牧さんを会長とする国会等の移転調査会は、ことしのうちには結論を出すと言っていますね。八十島義之助さんなどの出したクラスター理論とかいろいろな理論が展開をされておって、これはもう島田先生がよく御承知の問題でございますが、そうすると、ことしの末に調査会の意見が出た場合、これをこれから推進していく次の一手というのは何だろうか。  私は、推進機関は、例えば堺屋太一さんのやっておる社会経済生産性本部、それからこの国会、さらに国会議員が二百五十人加入しておる新首都推進懇談会、これは私が会長をさせていただいておりますが、それと宇野調査会、こういうところの機能が大変重要だと思っておりまして、宇野調査会の結論が十二月に出たならば、私は二年以内には新都の位置を決定すべきだということを村山総理にも申し上げております。いろいろな機関でも言っているわけですが、その具体的な進め方を、しからばどうやって進めていくかという所見を持っておいでになるか。  そういう全般的な問題と具体的な問題、二点についてお伺いしたいと思います。

島田晴雄慶應義塾大学経済学部教授

○島田参考人 大変重要な問題を、大きく分けて二ついただいたと思います。  一つは人口動態の問題でございますが、日本の総人口が、二十一世紀といっても次に生まれてくる赤ちゃんがお年寄りになったときにはもう二十一世紀は終わりでございますので、そのときに現在に比べてほぼ半減するという、どうもそういうことらしい。半減しないで済ませる手だてがあるかということを考えますと、これは実は非常に身近なことなのですけれども、家庭と仕事というものが両立する社会をつくるということ以外にないのだろうと思うのですね。  これは近代、現代の先進国はみんな人口減少に直面しておりました。一、二カ国人口減少を逆転させた国がございまして、スウェーデンが特別な例でございますが、一時出生率が一・四ぐらいまでの段階に下がりながら今二・一四まで上がってまいりました。これはもう大変なことでございまして、よく調べますと、やはり主婦の方々の家庭、出産、育児、それと社会生活と仕事生活が両立するようにさまざまな手厚い仕組みをつくっておるわけですね。一方では、マクロ経済はスウェーデンは惨たんたるありさまですけれども。  そういうような意味で、今、日本では近代化ということで大変経済発展が進んでまいりまして、女性の方々も学校を出たら大半は就職をするというのが当然のこと、これは望ましいことだと思いますが、それがまた家庭と仕事の両立という社会制度が十分整わない中でその一方が進んでまいりましたために、特に女性のところへ負担が物すごくかかって、家庭を持つことが面倒くさい、苦労が多過ぎる、スーパーウーマンでなければ子育てと仕事は両立てきない、こういう現状でございます。  これが、そうではない、普通の、特にスーパーの能力がなくても家庭と仕事が両立するという社会変革をやりませんと、私は現状の出生率のまま推移するだろうと思うのです。この綱引きだと思いますが、そのときに、急に社会変革が起きるとも思いにくい。多くの方々が鋭意そういう社会変革のために努力されていますけれども、時間がかかることだと思いますので、その間どんどん人口はこの状態のまま推移して、マクロの人口は減ってまいります。  そうしますと、とりわけそれが深刻に出てまいりますのが東京だと思うのです。東京はちょっと前まで若者が流入する町でございましたけれども、今やむしろ若干流出地域になっております。年配の方々が東京に残るので、ほどなく東京は大変な高齢化地域になり、とても富裕地域といって国庫にお金を預けて地方に再配分する、そういう役割はもうできない。むしろ逆に、全国各地から助けてもらわないと東京と首都圏がやっていけない、そういう事態になると思います。  その上、これだけ人口が稠密でございますから、介護施設などは全国各地はかなりの程度需給がマッチしておりますけれども、今ですら東京並びに東京近郊地域は圧倒的に介護施設が足りない大変なミスマッチでございます。これを築く社会資本というのをつくれるのかという大問題がございます。全国各地から東京を助けないとやっていけない、そういう経済的帰結がこの人口動態の結果として出てくるのです。  ですから、もう全くこれまでの一極集中をたたけという発想ではなくなるということでございまして、むしろ全国各地が自分の実力でもってこれまでよりはるかに活性化していただかないといけない。今後の東京問題というのは、東京がお荷物だからどうやってこれがスラム化しないように助けるか、こういう問題だろうと思います。  臨海副都心の問題について言うだけでも、東京都はあそこの地価が何十年後かに一平米百三十万円ということを言っていますけれども、あれは東京税関が土地を高く買い上げてくれたその根拠でそういうことを言っているのであって、実際に民間の方に想定させましたら、底が見えない。つい最近でも一兆円の赤字になると言っていますが、底が見えなければ、一兆円ではきかないだろうと思います。そういうことは、全体がもうこれは展望が持てない状態になっているので、東京の将来を若干暗示している面がある。  ですから、そういう意味でも、日本全体としては、全国各地が個性に基づき自分たちの自己責任で、一割自治だ二割自治だなどということでなくて、歴史が変わる、つまり五割自治、八割自治、十割自治を自分たちは実現するから東京ぐらい背負ってやる、こういうふうになるような発展、これが必要だ。  これはマクロ的に見ると十分できる姿なのです。人口が少なくなっていく過程では社会保障問題その他が大変な問題になりますけれども、二〇二〇年の、ある種の段階に到達しますと、人口は逆ピラミッドから普通のずん胴型になりますから、そうなりますと定常状態に入るので、定常状態に入ったときの少ない人口で豊かな生活をする。一人当たりの資本量が大変多くて、国民所得が高くて、生産性が高くて、産業は著しく高度化をしていて、諸外国と共存する、こういう姿を実現しなくてはならない。それをリードするのは、私は全国各地の、むしろ東京でないところだろうと思うのです。九州はアジアと交流をし、北海道は北方世界と交流をし、西欧とのつき合いはむしろ北の方がやる、南の方はアジアとのつき合いになるということになるのだろうと思います。  そういうこと一つを考えても、全国各地の主要な空港が世界に対して完全に開かれて、東京だけが国際化してそのおこぼれを全国がもらうというのではなくて、むしろ全国各地で最初の情報が手に入って、最初の交流が行われて、東京はむしろそれによって助けられる、そういうイメージだろうというふうに思います。  二番目の御質問でございますが、国会もございますし、民間の団体もございますし、調査会もあります、あるいは先生方のおやりになっていらっしゃいます懇談会もございます。それぞれの機関がこれまで大変な御努力をなさってここまで国民的な認識を高めてこられた、大変な成果だと思うのですね。  これまでの日本史を見ていて、平和の時代にこれだけの意図的な努力によって、少なくとも国会で決議が行われ、法律ができ、全国的な認識を高めるというところまで来たことは日本史にはなかった、革命のときしかそれはなかった。革命のときはあっという間にそれが動いたわけですし、東京に遷都をしたと言われていますけれども、本当に遷都をしたわけじゃない。天皇が京都からちょっと一時的に出かけますよといって、たまたま仮の寓居に着いてそれが東京になったというだけなので、ここはまだ首都がどうかというのも法的に言えばわからないところです。ただ、敗戦後明らかにこれが首都になったわけでございます。  天皇が所有していた構造の戦前の日本では、東京が首都であったという法的な論拠はないわけでございますから、そういうふうにしてルールも定めず、明確な手続もとらず歴史は動いてきたのですが、私はこれは日本史始まって以来だと思うのです。平時に、英知によって、論理的に、議論によってこういうことを実現しよう、これができるかどうかというのは、私は日本民族というのが相当な自決権、自治権、自能力を持っているということを示せる大変大きなチャンス、これができないとやはり日本人は何もできないんだなということになろうかと思うのです。  そのときに私は、年末までに調査会がある種の結論を出すというのはもう既定方針ですから出していただいて大いに結構なんですけれども、その後二年なり、あるいはそれはめどになっているようですが、比較的限られた時間の中で一気に具体化へ持っていこうということだと思います。そのときに、先ほど中島先生おっしゃられたように、国民の理解と合意ということが大変重要で、とりわけ、最後に決定するときの基準というものを国民的議論の俎上にのせていかなければいけないだろうと思うのですね。東京から六十キロ以上離れている必要があるとか、九千ヘクタールが必要だとか、それぞれみんな意味があるのですけれども、もっともっとこれはもむ必要があるわけです。  例えば、新都に盛り込むソフトウエア、政治機能一つ考えましても、先ほど私が割合強く申し上げた真の国政に限定するということで言えば九千ヘクタールは要らないのかもしれませんし、したがって問題は、一体どのような新都の理念なんだということから基準が決まってくるわけです。基準が先にあるわけじゃない。基準と理念は連動するわけで、そのあたりの議論をする。まだ国民投票するほどには国民はバランスのとれた知識を持っていないと思うので、私は国民投票にはちょっと疑念がありますけれども、国民投票でなくても国民の理解は得なければいけない。ですから、どういう理念の新都なのか、そのためにはどういう基準が重要なのかというところを、国民が参加して、なるほどそういうことなんですよねということが見えてくるところまで議論しなければいけないと思うのです。  政治改革をやりましたときに賛否両論あるいはさまざまな御議論があったわけですけれども、国民にとっては中選挙区と小選挙区のどっちがいいのかということについて、今でも賛否両論あろうかと思いますが、しかしイメージははっきりした。小選挙区ならこういうことですね、中選挙区ならこういうことですねというところぐらいまでは国民は理解をしたと私は思います。  今日の新都建設、首都機能移転問題について、恐らく五つ、六つの基準というものを国民にやはり理解していただく必要があると思うのです。それは、こういう基準を設けるのはこういう理念の新都をつくるからなんだということでございまして、対話の時間あるいはエネルギー、労力というのを決して惜しんではならない。これは私は本当に十倍にする必要があると思います。民間では労使を主体とする社会経済国民会議がもう十年ぐらい前から全国各地で大規模なセミナーを開いて、喧伝これ努めているわけですけれども、仮にあの十倍の規模で全国で国民の対話を展開するとしたらどうすればいいのかということあたりもぜひ先生方にお考えいただきまして、場合によっては必要な予算もつけてやるということをぜひお考えいただきたいと思いますね。  私も微力ながら、全国放送のテレビなどに出ましたときには、できる限りこの問題をこれから一市民としてしゃべらせていただこう、こう思っております。民族の英知が問われるなどということになったときに私は奮い立ちますが、先生方は私より十倍も奮い立っておられると思いますので、ぜひやはりやるべきだというふうに思います。  同時に具体的に、これは絵にかいたもちではなく、本当の案にしなければいけないので、やはり相当な予算をつぎ込んで調査機構というのでしょうか、もうそれこそ情報技術が発達しておりましてバーチャルリアリティーで三次元の設計は幾らでもできるわけですから、いろいろな案をやってシミュレーションしてその功罪をチェックして、そして本当に国民が今持っている能力の範囲内で、しかも最大の効果を上げられる具体案は何なんだというのを徹底的にやる。  そして国際コンペといいますか、国際的な英知もどんどん導入する。全世界が注目をする新しいプロジェクトなんだということになると、これは先立つものは金でございます。多少というか、相当程度の予算をつけなければいけない。そういうことを惜しんではならない。最初の予算を惜しんだために、拙速でつまらないものができて国民はもう見向きもしない新都になったといったらこれこそ日本の崩壊でございますから、ぜひそういう意味で予算を立てて、そして機構をつくって本格的な検討に入っていただきたい、そういうふうに思います。

中山利生自由民主党・自由連合

○中山(利)委員 きょうはいいお話をたくさん聞かせていただきまして、ありがとうございました。  先ほどの村田先生のお話とちょっと重複するのですが、余り大きなプロジェクトではないとおっしゃいましたけれども、やはりいろいろな困難を伴った大事業であろうと思います。土地の選定、取得というようなことも非常に難しいだろうと思いますし、先ほど先生からお話がありました国民のコンセンサスを得る、これは一番大事なことではないかなと思うわけですが、皇居のない首都というものを国民がどう理解するか。外国人もなかなか理解しにくいのではないかなという感じがするわけであります。それに東京の将来とかそういうこともやはり国民にはっきりと示さないと、なかなか理解が得られない。理解が得られないと、せっかくつくっても本当の首都の機能ということにはならないというふうな感じがいたします。これに私は相当の時間と努力を傾けるべきではないかなというふうな感じがしているわけでございます。  それと、今東京にあります首都機能をそのまま新しい新都に移転をするのでは何の意味もないのではないか。行政改革とか国と地方の権限の分担をどうするのかとか、そういうことをまず決めて、どういうハードの部門をつくっていくのかということが私は順序のような気がするのですが、今進められている流れを見てみますと、とにかく早くやれ、二年以内にゴーサインを出せ、そうやって建設を進めている間にコンセンサスとか行政改革、そういうものは後から自然についてくるんだというような感じを私は受けているのであります。これからの進め方について、その二つの点とどう並行していくのか、どちらかを先にするのか、そういう点について、進め方について御意見があったらお伺いしたいと思います。

島田晴雄慶應義塾大学経済学部教授

○島田参考人 夏前の参議院選のときにこの議論が高まってまいりまして、連立与党が合意をして、これを早く実現するということで期限を定めてまでやるという決意を示されたわけで、私はこれは大いに歓迎すべきことだと思います。いつまでも時間を費やしていて済むという問題でもないし、余り時間を費やせば機会を失ってしまうということを先ほど申し上げたわけです。ただ、早い方がいいわけですけれども、拙速は避けなければいかぬなと思うのですね。やはり二年というのは一つのめどだろうと思いますけれども、むしろ重要なことは、先生おっしゃられたように、国民に例えば基準が見え、基準のもとになっている理念、理想像が見える、少なくともそこらへ持っていかなければいけないし、それらについてなるほどなと国民が思うことを二年以内に実現できるのかどうかというのが実は最大の問題なんだろうと思うのです。  そのときに私は、だれでも人間はそうだと思いますが、一つは理念であり、一つは直近の私利私欲です。ですから、果たしてその問題は自分にとって利益があるのかないのか。利益があればやるし、なければそっぽを向く。そっぽを向くどころか、邪魔をするというのが多くの人の偽らざる性情ですね。それで問題は、人々の全体の利益と個々の利益とのギャップを乗り越えるところまでどう世論形成を進められるかというのが非常に重要なことですね。大変これは難しいと思うのです。  つまり、この問題はもう絵にかいたような利益問題でございますから、これで利益を得る人、そしてまた、特定のところに場所が決まってしまえば、むしろ自分と全く利益が背反する人というのが出てまいりますから、よほど上手な詰めをしていきませんと、起きそうなことは、場所を決めた途端に日本国民の大多数がそっぽを向いて、しかもそのうちのかなりの人たちは足を引っ張り始める、こういう状態だと思うのですね。それは人情の常ですからしょうがないのですけれども、それを承知の上で、にもかかわらず、全体の利益からすると、やはり新都をつくるという意義があるのではないか。  さっき私がるる申し上げたのは、全部全体利益、公益みたいなもので、私利私欲が何も入っていないわけですね。あんなきれいごとを全国民が納得するかどうか、自分のものとして受けとめるかどうか、ここが問われていると思うのです。  私は、日本民族というものについてそれほど実は過小評価をしておりませんで、なるべく現実的な評価はしたいと思っていますけれども、そんなにだめな民族じゃない。そんなにだめな民族だったら、戦後の焼け野原からこれだけ立派な工業国をつくることはできなかったと思うのです。世界じゅうがうらやむような成果を実現したというのは、いろいろな幸運もあったかもしれませんが、やはり努力ですし、全体の利益を考える国民性のある面でのすばらしさはあったのだろうと思うのです。そういうものがいい意味で最大公約数として出てくるようなもの、そして現実は、もちろんほとんどの国民には、公益としては役に立ちますけれども、私益としては余り役に立たないことになるわけですから、その公益についての国民の認識を、その程度のことなら納得できるし応援しようじゃないかというふうに持っていく、この世論形成ですね。  これは、国会の先生方はそういう国民の民意を見る最大の御専門家でいらっしゃると思いますので、ぜひひとつ。これは社会心理学者も広告会社もそんなに民意は実は見られないのです。先生方は選挙を通じてだれよりもよく民意というものはお感じになられるわけですから、ぜひその辺は、私利私欲からいえば過半の人は足を引っ張る方へ回るメカニズムがあるのを承知の上で、できるだけそう回らせずに、全体益について最大公約数の賛成を得るというようなメカニズムとプロセスをどう設定したらいいのか、これが最大の問題だというふうに思います。  それからもう一つは、行政改革問題その他いろいろな問題があるわけですけれども、私は調査機構のようなものを一刻も早くつくって、具体的なシミュレーションを早く始めるべきだと思うのです。例えば、これまでの議論の中でも、土地の収用についてはリースホールド方式なんという大変興味のある方式の提案がなされております。つまり、国が最初に宣言をしてしまって、そして国が主導権を持ちながら民間に参加させる、勝手に民間に買収させるというのではない、そういう方式も考えるべきだとか、さまざまないい考え方が出されておるわけでございます。  資料の二十一に大変立派な考え方が出ております。土地のリースホールド方式とか、土地所有者と公的主体との協定による緑地管理とか、土地の投機を排除する仕掛けとか、責任を持つ国家機関とか、一元的事業主体、モニタリング機関、アイデアの結集、大変すばらしい手続上のアイデアが今まで議論されてきているわけなんですね。それらを踏まえて、さらに具体的にシミュレーションに入るべきだ。  つまり、この中で一つ議論されているのは、行政改革をするときに、役所の機能をどう新都へ移転するか。たくさんタケノコのように役所が建っている中で、その頭のところだけさっと切り取って、企画部門、頭脳部分だけを新都に移すのか、それとも、二十幾つある省庁の中で、外務省とか防衛庁とか、比較的国政に近いと考えられている、国政そのものと考えられているようなものをまとめて最初に移して、そうでない、むしろ全国各地に深いつながりを持っている省庁は後にするのかという、今度は縦割り方式ですね。横割り方式か縦割り方式がその中間かというようなことも議論されております。  例えば、具体的にどこの省のどこの機能をどういうふうに動かしたらどういうことになるんだというような、これはシミュレーションできます。政治改革シミュレーションを社会工学的にやるということは可能です。その予算がどうなり、波及効果がどうなりというのはできますので、具体的な、どういう道路設計をして何をすれば何が起きるとか、人の交通量はどうなり、つき合い方がどうなり、国際的な情報発信がどうなるというようなことは、これは全部シミュレーションできる問題です。予算からアセスメントから全部やるということを、やはり来年の前半ぐらいにはもう次々とそれをやっていく。リースホールドにしたらどうなるんだ、土地の所有形態を変えたらどうなるんだということが全部できるというような戦略研究を一刻も早くスタートすべきだ。  それの中身は一々全部国民にまだ言うことはないと思うのですけれども、国民にとって重要なのは、どういう理念の都市であり、その基準がどういうことになっていくのか。やがてその基準について、場合によっては国民が投票させられることになるかもしれないし、国民でなくとも、国民の代表である国会議員の先生方が恐らくそれについて投票することになるのだろうと思いますので、その点については国民は十分理解しなければいけないというようなことで、来年はまさに歴史を変える新都元年にすべきだ。調査会の提言を受けて、そうすべきだ。  その国民の理解を得る活動と、本当に具体的な、専門的な研究が二年間でできるのかどうかというのが二年ということの意味なので、できなければ二年にこだわる必要はないのですね。拙速はいけない、私はそんなふうに考えております。

中山利生自由民主党・自由連合

○中山(利)委員 今絶好のチャンスであり、最後のチャンスだというお話、そのとおりだと思うのです。  ですから、二年間というのは一つの効果的な提言であろうと思うのですが、例えばキャンベラなどは余りにも国の権限が狭められているというか小さいといいますか、主要なものだけに限られているということで、首都としての敬意が払われていないような、特殊な人だけで集まっている首都、政府だというふうな感じを一般の国民は持っているような感じがするわけです。日本も、その土地の選定で、今先生方も大変高邁な理念のもとにこの仕事をされているのですが、現実にどこに決まるかということになると我田引都派に変身をする先生方が多いと思うのです。そういうことを含めて、国民全体がこの首都機能移転の意義、評価、効果というようなものをちゃんと理解をして、そこの新しくできた首都が我々の首都なんだという意識を持ってもらわなければいけないと思うのです。  それと、先ほどちょっとお話がなかったような感じがするのですが、行政改革ですね。国と地方の仕事の役割分担、そういうものがやはりきちっと並行していかないといけない。我々だけでやってもなかなかできないので、これは民間とかマスコミとかそういう人たち、あらゆる国内の機関から同時に大きな声を出していただいて、それを三つ一緒に進めていくというようなことをやっていかなくてはいけないのではないかなという感じがいたしますので、申し上げたわけです。

玄葉光一郎新党さきがけ

○玄葉委員 私は、島田先生のおっしゃることは全面的に賛成であります。国会移転は政治改革の第二弾だと思っていますし、今の諸課題というのは政官財の関係に帰着すると私は思っていますから、その意味でも全く賛成するわけです。  せっかくなので時間があれば、経済の先生でありますので、一つは、景気、経済あるいは財政負担の問題についてももう一言おっしゃっていただければありがたいということと、それからもう一つは、先ほど村田先生からも、また中山先生からもお話が出た次の一手の問題で、先ほど来先生がおっしやられた、まさに調査機関をつくったらどうだ、あるいは調査機関を速やかにつくって、具体的なシミュレーションを始めるべきだというような話でありましたけれども、私も、来年の通常国会あたりには土地対策と、そういった調査機関を設けるべきではないかと思っている一人なのですが、具体的にどこまでの権限をその調査機関に与えたらよいものなのか。  例えば極端な例を申し上げれば、具体的な候補地を二つに絞ってくれとか、あるいは方向を、東京から西だとか北だとか、そういうことまでもう権限を与えてしまうべきなのか、もっとそれ以前の、あくまで七つなり八つなり、今回十二月に出てくる選定基準に沿って想定した地域を具体的にシミュレーションしていくということくらいまでにとどめたものなのか。我々が本来考えるべきことなのですが、先生のお考えを参考までにお聞かせいただきたいと思っています。

島田晴雄慶應義塾大学経済学部教授

○島田参考人 大きく分けて二つの問題をいただいたわけですが、経済の見通し、景気については、先刻も触れたことですけれども、こういうプロジェクトをするという意思が国政の意思決定としてなされますと、民間全体にかなり大きな波及効果を生む。経済の希望といいますか展望というものが開けてまいりますので、先ほど土地問題のことについて申し上げましたが、下支えが出てくる、底値のない土地市場に若干明るさが見えてくるというような意味で、経済には非常に重要な刺激剤になるだろうというふうに私は思っています。同時に、かつて心配されましたような過度な地上げというようなことは、現在の経済状況ですから、そんなことをしたって採算がいませんからそういうことはないということで、一石二鳥にも三鳥にもなる時期、幸か不幸か、そういう時期に今あると思います。  また、財政の面について言うと、日本はどのみちこの十年間で六百三十兆という膨大な財政支出を公共投資の面でしていくということを抽象的にうたっているわけで、毎年毎年、この中身を検討しているわけでございますが、そういう全体規模から見ると、実は、ささいとは申しませんけれども、十分に組み込める規模なのですね。これはそれほど驚くべき国家の一大行事でも何でもないので、財政面から見ればこなせるのです。ただ問題は、先ほど中山先生おっしゃられました国民の了解と納得と賛成が得られるかどうかということです。  やはり皆さんおっしゃられるように、最後の瞬間には国会議員の先生方は全部我田引水の人になる。それはもう当たり前のことで、そのために国会に出ているような面だってあるわけですから、これは現実として認めなければならない。しかし、その先生方がお集まりになった上で衆知を集めたときにどういうものが生み出せるのかという、そこまで、国民も国会の先生の皆様方も集まって何かいいものをつくるために英知をどのぐらい生かせるか、日本民族の知的水準が試されるわけですね。それができなければ未開国と同じなので、それができるかどうかということですから、最後の最後まで心の中にはうちに引っ張ってきたいと思っておられるのは当たり前のことで、そのためにまた公明正大に、正々堂々と自分の引っ張っていきたいところを念頭に置いて、これがいいんだということを主張なさるのは大いに結構なんですね。そのディベートを徹底的に繰り返して、そのうちにだんだん議論が煮詰まっていって幾つかの候補が出てくるだろう。  その候補は、同時に現場で、全国の地方自治体の方々、産業界の方々、やはり誘致運動をやっていいと私は思うのですよ。どんどんおやりになればいい。そして誘致運動は、全体で議論されている理念にかなった環境、土地条件なら我が方でそろえられますよというのをどんどん出してくればいいのですね。そういうのは五つや六つは下らないだろうと私は思うのです。素人なりに考えても想像がつきます。  そういうものを割合抽象的に考えて、先ほどおっしゃられた二番目の問題なんですけれども、専門調査機構は、ここという決定はやはりすべきじゃない。どこへ持っていったってそこそこミニマムの共通項というのがあるので、まず国会、それから政府中枢機能。違いがあるとすれば、その地域その地域の例えは交通アクセスの設計の仕方とか物産がちょっと違うとか、その程度の違いしかない。あとは基本的には同じものをつくるわけですから、そういう意味では、私は、場所の決定はすべきじゃない。時間の決定もその機関がすべきではない。中身を徹底的にその機関は考えるべきで、やはり時間だの場所だのというのは国民の決定ですから、これは国会の先生方がおやりになることだ。  ですから、最後まで私利私欲で固まっておられても結構なんですけれども、やはり最後は民主主義のプロセスで決める。そのために多数決の原理もあり、いろいろな原理があるわけですから、それを活用して、決まったものには従う、足を引っ張らないということぐらいはお願いしたい。  それで、混乱を最小限にするためには、やはり最後の意思決定は、国会の先生方が最後の最後に国民の期待を踏まえて投票なさるということじゃないでしょうか。私はそれが一番いいのじゃないか、やはり国会議員の先生方がお決めになることが。そのために国会があるわけですから、国民はそのことを期待して先生方に負託をして国会に出ていっていただいているわけですから、ぜひ、最終決定はおれたちがするということにしていただきたいと思います。

中島武敏日本共産党

○中島(武)委員 時間も迫っておりますので、簡潔に私もお尋ねし、また先生もどうぞ簡潔に。  一つは東京問題なんですけれども、先ほどからいろいろお話を伺いました。だけれども、冒頭に言われましたように、経済、商業、そして情報の中心地としては首都を移転しても残るわけですね。そうしますと、東京の過密問題というのはなくならないと私は思うのです。これは一体どうすればよいというふうにお考えになっていらっしゃるかということですね。  それから、地震との関係で申しましても、東京は木造密集地帯が多いことはよく承知しておりますが、やはりこういうのをきちっと改造するということに大きな努力を注がなきゃいかぬのじゃないかということ。  それからもう一つお尋ねしたいのは、財源論なんですけれども、先ほどからの財源論、大したことないというお話もあったのですが、しかし、国民的な合意というお話も伺いました。理解ということも伺いましたが、私、先生の「ジャパンクライシス」という書物を拝見しております。消費税の問題でお書きになっておられる言葉も読んでいるのですけれども、六百三十兆円は、私、結局は消費税にかかってくるのじゃないかと思うのですけれども、先生のお考えはどうなのかということを最後にお尋ねしたいと思います。

島田晴雄慶應義塾大学経済学部教授

○島田参考人 確かにおっしゃるように、首都機能を移転する、そして三十万人ぐらいの方々が東京から出ていって霞が関があくというだけで過密問題は解消するのか、あるいは住宅問題はよくなるのかというと、多少のプラスがあるかもしれないという程度ではないかということを申し上げたわけで、むしろこの問題を解決するには、東京は東京の地方自治体としての本格的な取り組みが必要だ。ただ状況は、地価の動向とかから見ましても、それから人口動態から見ましても、実はいい方向に向いているのですね。問題は、しかし同時に、財政力がこれから急減していくだろうということなので、東京は相当大変なことになるなということなんですね。しかし、この問題は首都機能移転問題とはちょっと違う問題なんですね。首都機能を移転したことがこれにマイナスをもたらすかというと、私はむしろプラスにこそなれマイナスにはならないというふうに思うので。東京は大変な問題を抱えているというのはもう同感でございます。  それから、安全についても、もし阪神大震災のような直下地震が南関東で起きたら東京はどうなるんだ、これはやはり相当な被害が出てしまうだろうと思うのですね。特に私的財産の補てんをする仕掛けが日本にはございませんので、私はその本の中で書かせていただきましたが、一刻も早くこれは、もう神戸でも本当に立ち直りをしようというときに私的財産を失っている人たちが二重、三重のダメージの中で立ち上がれないのですね。その問題がいよいよ明らかになってきているので、住宅皆保険みたいな安心保障制度というのをつくって、そしてその予定された基金の中から前借りするような形で、現在の阪神大震災の方々にも補てんをする。  そういう形をしますと基金が成熟するのが数年おくれるという程度の話なので、これは国民の総意ができれば、特に国会の先生方がそういうことで意見を集約することができるならば、私は世界史でも珍しい災害補償制度というのを確立てきるだろうと思うのですね。ちょうどかつてビスマルクが社会保障制度をつくりケインズがケインズ政策をつくったように、日本がこの危険な日本列島の上に安心保障システムというソフトウエアをつくるというような英知を国会発でやっていただけないものかなというふうに、一市民としては非常に念願をしております。  それから、消費税問題ですが、現在所得税と消費税とございますけれども、いろいろな問題がここへ山積してきていて、一つは日本の活力がこのままで大丈夫なのかということと、それからもう一つは、本当に力の弱い人が安心して暮らせる社会になっているのかということですね。これは両方ともできてないのですね。  今の所得税でいきますと、まともに働いている人はもう大変な重税でございまして、やる気を失ってしまう。これは企業も同じでございまして、利益を出すとパニッシュされる。世界じゅうで純所得に対して五割の税金をかけている国なんかないわけですから、これではもう有能な企業は皆外へ出てしまわざるを得ないという大変なところへ今来ております。  これは、タックスペースを広げなければいけない。つまり、赤字企業からも税金を取るというようなことによって全体のタックスペースを広げて税率を下げるというようなことをしないと、日本の将来は危うい。これは企業所得税も個人所得税についても、有能な努力をする人が罰則を食らうぐらいの重税でございますから、ちょっとよくない。  じゃ、本当に力の弱い人は救われているのかというと、例えば老人マル優なんというのがございますけれども、老人マル優をやっている方々の半分、いや、八割ぐらいの方は相当な所得を持っておられる方です。この人たちがあの三千億円の減税分の利益を得るのであって、本当に貧乏な老人の方が利子所得で利益を得ているというのはほとんどないのですね。ですから、私は、お金持ち老人に対する利益補てんをやめてしまって、三千億円を全部、本当の貧困老人の方へ直接給付しちゃった方がいいじゃないかというような考え方を持っています。  そういう意味でいきますと、実は消費税というのは、御懸念されていると思いますが、逆進性があるのですね。これは、どんなに低所得でも食べるものはそう変わりません。ですから、そこへかかってきます。そのことについて精査する必要があるのですが、低所得者というのは実は若い人も低所得者なんです。ただ、この人たちは時間がたつと収入が上がっていくというので、これは一概に論ぜられない。家族を持った中年の、一生懸命働いているけれども大変だという方々をどう救うかというのは、さっきの直接補助も含めてきちっとした社会政策が展開できるはずなので、そういうものを含めて、消費税の比重をうんとふやして、そして節税を人々がなるべくしにくいようにして、そして益税も少なくして、所得税をうんと軽減して勤労意欲を刺激されるようにする一方、本当に貧困な方々にはもっと効果的な救済、支援の手段を講ずるという総合的な再編成が今求められているのではないか、私はこんなふうに思っています。

佐藤孝行自由民主党・自由連合

○佐藤委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人に一言御礼を申し上げます。  島田参考人には、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時三十一分散会

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