厚生委員会 第2号
- 発言数
- 260 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1995/10/24
会議録
○和田委員長 これより会議を開きます。 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤晟一君。
○衛藤(晟)委員 自由民主党の衛藤晟一でございます。 自由民主党を代表いたしまして、若干短い時間でございますが、緊急の課題と思われるものにつきまして質問させていただきたいと思いますので、簡明に御答弁をお願いいたしたいと思います。 まず、高齢者介護システムでございますが、この検討状況についてお伺いをいたします。 改めて指摘するまでもなく、高齢者介護の問題は国民の老後の最大の不安要因というぐあいに言われています。新たな高齢者介護システムの創設は喫緊の国民的課題であるというぐあいに思われます。 与党福祉プロジェクトにおきましても、断続的に、検討を進めるべき最重要課題として、昨年九月以来二十回近くにわたりまして検討を続けてきているところでございます。自由民主党といたしましても、関係団体のヒアリングを初め幅広い検討を進めているところでございます。 厚生省におきましても、去る七月に、老人保健福祉審議会において中間報告を取りまとめておりますが、その内容を見ますと、高齢者の自立支援、二十四時間対応を視野に入れた在宅サービスの充実等々、その理念や基本的考えについて評価できるものがございますが、具体的な姿についてはいまだ明らかにされていないというのが実情でございます。この新しいシステムが想定する介護サービスのあり方、費用保障方式のあり方など基本的な枠組みはいかなるものになるのか、また、具体的な制度像をいつまでにまとめるつもりなのか、この点につきまして、大臣の明確な御答弁をお願いいたしたいと思います。
○森井国務大臣 老人保健福祉審議会が去る七月に取りまとめた中間報告がございます。その趣旨は、高齢者介護問題を解決するために、高齢者介護サービスが福祉と医療に分立しております現行制度を見直しをいたしまして、公的責任を踏まえて、適切な公費負担を組み入れた社会保険方式のもとで総合的、一体的にサービスを提供する新しい高齢者介護システムというものをつくるために具体的な検討を現在進めていただいているところでございます。 この中間報告を取りまとめた後に、老人保健福祉審議会においては、議論の効率化を図る観点から、介護給付分科会、制度分科会、さらに基盤整備分科会、三つの分科会を設置いたしまして、中間報告に示されました論点について掘り下げた議論をお願いいたしておるわけでございます。 御指摘の新たな高齢者介護システムの基本的枠組みにつきましては、サービスのあり方に関しては、カバーすべき介護サービスの範囲、水準及びサービス体系のあり方、介護サービスの利用方法、要介護認定や介護支援体制、家族介護の評価等の論点、それから制度、費用保障のあり方に関しては、被保険者、保険者、保険料設定、利用者負担等の論点、それから基盤整備のあり方に関しましては、介護サービスを担う施設整備の促進や人材の養成確保、資質の向上に関する論点等について、十分に各分科会におきまして議論を進めていただいた上で、厚生省といたしましては、できれば年内を目途に老人保健福祉審議会において取りまとめをいただきたいというふうに考えております。 いずれにいたしましても、先生御指摘のとおり、高齢者介護問題は喫緊の国民的課題でございまして、新システムの検討に当たっては国民各層の御意見を幅広く伺いながら進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。 なお、私といたしましては、やはり国民の理解と御納得をいただきませんとこの介護システムというのは生かされないというふうに判断をいたしておりますから、老人保健福祉審議会の皆様方にも、単に役所の中で審議会を開いていただくだけではなしに、異例ではありますけれども、地方まで出向いていただきまして、そして公聴会等を開いていただき、あるいはまたアンケート調査等もやっていただきまして、それらをすべて公開をして、国民の関心を高め、御支援をいただきたいということで、現在お願いをいたしているところでございます。
○衛藤(晟)委員 障害者施策についてお伺いいたします。 我々与党の福祉プロジェクトにおきましては、昨年の夏以来、新ゴールドプラン、エンゼルプラン、障害者施策等につきまして、関係者からのヒアリングを含めて議論を重ねてきました。昨年十二月に新ゴールドプランといわゆるエンゼルプランにつきましての取りまとめが実現したわけでございますが、障害者施策につきましての新しい計画については、残念ながら実現ができませんでした。 したがって、障害者についての新たなプランにつきましては昨年からの積み残しとなっているわけでありまして、与党福祉プロジェクトにおきましても、年明け以降精力的に論議を重ね、六月に「今後の障害者施策の推進について」と題する検討の取りまとめを行ったところでございます。 その中で、例えば新しい障害者プランの策定に関し、「「障害者対策に関する新長期計画」をより具体化する計画を早急に策定する必要がある。」また「今後の障害者の保健福祉施策の基本的方向についての中間的なとりまとめを速やかに行うとともに、年末までに障害者の保健福祉施策のとりまとめを行うこと。」この取りまとめにつきましては、「可能な限り数値目標を設定する等具体的なものとすること。」というぐあいにいたしています。 私も福祉プロジェクトの座長の一人でございまして、ぜひとも年末までに、具体的な数値目標を盛り込んだ、新ゴールドプラン、エンゼルプランに負けないものをつくりたいというぐあいに思っているところでございます。 そしてさらに、新たなプランは関係省庁の施策を盛り込んだ総合的なものとすることが必要でございます。そうした目で見た場合に、現在の、三局三課に分かれて障害者福祉を実施しているという体制ではだめでありまして、ぜひとも障害関係組織の一元化を図る必要があります。このことにつきまして、与党としてもさっきの取りまとめにおいてそうした認識を示したところでありますが、厚生省もその方向で検討しているというぐあいに思います。 今後、年末に向けてこのプランを策定し、また、組織の一元化も行っていくということになるかと思いますが、組織のあり方も含め今後の障害者保健福祉施策の積極的な推進に向けて、大臣の決意をお伺いしたいと思います。
○森井国務大臣 厚生省におきましては、御指摘の与党の取りまとめも十分に念頭に置きまして、本年七月に障害者保健福祉施策推進本部の中間報告を取りまとめをいたしたところでございまして、今後、中間報告の方向に沿って施策の具体化を図ってまいりたいと考えております。 その際、障害者の保健福祉施策について、具体的目標を明示した新プランの作成を検討することといたしておりまして、現在、盛り込むべき施策の内容やプランの姿等について関係方面と協議をいたしておりまして、十分な検討の上、これを進めてまいりたいというふうに考えております。 さらに、障害者施策を総合的に推進するために、現在厚生省では三局三課にまたがっておりますけれども、その組織を再編いたしまして、大臣官房に障害保健福祉部、これはまだ仮称でございますけれども、それを設けることにいたしておりまして、総合的に施策を実施できる体制をつくるとともに、障害者の総合的なプランづくりや地方自治体の計画づくりを支援する企画調整機能も強化をいたしまして、障害者の生涯を通じた総合的な保健福祉施策の対応が可能となるように、関係方面に今協議を行っているところでございます。 これら施策の実現を通じまして、今後とも引き続き障害者施策の一層の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
○衛藤(晟)委員 それでは、公的年金制度の一元化についてお伺いいたします。 年金の一元化につきましては、昭和五十九年の閣議決定以来、与党自民党といたしましても、年金制度改革の重要な柱として位置づけ、基礎年金の導入による一階部分の一元化、二階の給付設計の統一、さらには財政破綻に陥ったJR共済等への支援など、逐次その推進を図ってまいりました。 今般、七月二十六日に、政府の一元化懇談会において、今後の一元化についての基本的な考え方が取りまとめられましたが、関係方面が多岐にわたる中、ぎりぎりの合意形成を図られたものと理解しており、評価をいたしたいと考えています。 殊に、今後の一元化の第一段階として位置づけられる旧三公社の厚生年金への統合につきましては、必要な積立金の移換、厚生年金だけではなく全制度で支えるという枠組みなど、今後の一元化の基本ルールを定めるものとしてぜひ早急な実現を図る必要があると考えております。このことにつきまして、厚生大臣の御決意をお伺いいたします。
○森井国務大臣 公的年金の制度の一元化につきましては、先生御承知のとおり、昭和六十年の年金改正におきまして基礎年金を導入いたしまして、いわゆる一階部分の一元化を図ってまいりまして、二階部分についても給付設計の共通化を図ったところでございます。 さらに、今後の一元化の推進につきましては、公的年金制度の一元化に関する懇談会の報告書におきまして、特定の産業や職種のみを対象とした制度が分立している状況は、産業構造等の変化による影響に対しまして脆弱でございますし、負担の不均衡が生じてまいります。したがって、被用者年金制度としては財政単位を大きくすることが必要であります。また、既に独立した制度として機能しなくなっております、例えで悪いのでありますが、JR、JT共済につきましては、NTT共済とともに厚生年金へ統合したい。それから、国家公務員共済と地方公務員共済につきましては、両制度の間で財政安定化のための措置を検討したい。さらに、私学共済と農林漁業共済につきましては、この二つの枠組みへの再編成という大きな流れの中で検討してもらいたい。ややおくれておりますが、そういう方向が現在示されているところでございます。 この報告書を踏まえまして、関係省庁において被用者年金の再編成について検討を進め、具体的成案を得て、関連法案を次期通常国会に提出をいたしたいと考えているところでございます。 いずれにいたしましても、公的年金は長期にわたる老後生活の基本部分を支えるものでございまして、年金財政の長期的な安定と給付、負担の公平性の確保に向けて引き続き最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○衛藤(晟)委員 年金財政の安定や費用負担をできるだけそろえていくという一元化の基本哲学からすれば、年金制度はできるだけ大きい方がいいというのは、私もそのとおりだというように思っております。そうした意味から、今後、制度の成熟化に対応して、官民二本立てあるいは一本化という方向に向けて関係者間で努力を重ねていただきますよう要望いたしたいと思います。 次に、規制緩和について質問をいたします。 我が国の経済構造改革を進める上で、規制緩和を一層推進していくという必要性があります。これまでも厚生省においても、医薬品の範囲の見直しや飲食店の営業許可期間の延長、手続の簡素化等を中心に規制緩和に取り組み、各方面からも評価されておりますが、今後とも、経済活動の活性化につながるような規制緩和に努力していただきたいというぐあいに思います。 行政改革委員会の規制緩和小委員会では、七月と十月に四十六項目にわたる論点公開を行いました。この中に、水道指定工事店制度や水栓器具検査といった水道に関する規制が盛り込まれています。今日のような経済活動が広域化する中で、これらの規制のように、すべてを市町村単位で規制するというような制度は時代にそぐわなくなっているわけでありまして、これらの制度の規制の緩和につきまして厚生省としてはどのように対処していくのか、お尋ねをいたします。
○坂本(弘)政府委員 お答えいたします。 指定工事店制度及び水栓器具検査につきましては、条例等に基づきまして、各水道事業者ごとに実施されているものでございますが、内外の規制緩和要望等を踏まえ、また本年三月の規制緩和推進計画の決定に基づきまして、厚生省といたしましても、これまで水道事業者等に対しまして、規制の合理化だとか、それから地域独占的とならない運用の改善等を指導しているところでございます。 なお、これらの規制の緩和のあり方につきましては、現在、行政改革委員会の規制緩和小委員会において、年内の報告をめどに検討が進められているところでございまして、厚生省といたしましても、この委員会の検討状況を見ながら必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
○衛藤(晟)委員 この問題につきましては、もっと明確な方針を固める必要があるというように思っております。水道につきまして規制があるというのは、国民に安全な水を供給するためでありまして、水道に関する規制緩和については、この目的が達成されるのであれば、思い切った規制緩和を行わなければいけないというように思っております。 水道の指定工事店につきましても、一定の技術力が担保されればよく、給水装置の構造、材質についても、基準が守られる合理的なシステムができればいいのではないかというぐあいに思っております。工事を行う者については、統一的な資格制度を設けて、必要な技術力があればだれでも容易に参入できるようにすべきであるというぐあいに私は思います。地道に水道を支えてこられた工事店の方々も、みずからの技術力を的確に評価する資格制度の創設を望んでおられるというぐあいに私どもお聞きいたしておりますので、ぜひそういう方向で検討していただきたいというぐあいにお願いを申し上げる次第でございます。 一方で、厚生省が行っている規制の中には、国民の生命、安全を守るために必要不可欠なものが多いわけでありまして、こうした分野の規制緩和について、生命や安全といった観点を踏まえながら慎重な検討が必要であるというぐあいに考えます。 特に、規制緩和小委員会の論点公開の中には、株式会社による医療機関の経営やコンビニ等の一般小売店における医薬品販売といった項目も盛り込まれております。こうした項目は、国民の生命や健康を守るという観点から慎重に検討すべきものであるというぐあいに考えますが、厚生省の見解を求めます。
○森井国務大臣 結論から申し上げますと、株式会社による医療機関経営あるいは一般小売店における医薬品販売、私はどちらも率直なところ消極的でございます。 厚生省の規制は、国民の生命や健康を守ることを目的とする社会的な規制がほとんどでございまして、いわゆる経済的規制のような原則撤廃をしろということにはなじまないと考えておりまして、規制の見直しに当たりましては、その政策目的を達成するための必要最小限の規制となるように現在努めているところでございます。 御指摘の事項につきましては、厚生省としても、医療のあり方や医薬品の適正使用の観点から問題が多いと考えておりまして、今後、関係者の意見も十分に踏まえながら慎重な検討が行われるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○衛藤(晟)委員 次に、HIVの問題についてお聞きをさせていただきたいと思います。 エイズ訴訟は提訴から約六年が経過をいたしておりまして、一刻も早い解決が求められているところでございますが、今月の六日、東京地方裁判所及び大阪地方裁判所から和解勧告がなされました。 我が党は、和解勧告に先立ちまして、「和解勧告が行われた場合には、国及び製薬メーカーは長い間苦しんできた患者や家族の真情を充分くみ取って誠意ある対応をすることが求められており、わが党はできるだけ早期かつ円滑な解決を支援する」旨決議したところでございます。 裁判所は、所見において、法的責任の争いを超えて広く社会的・人道的見地に立って早期に救済を図るべきであるとしまして、和解による解決を提唱しております。私も、裁判所のこうした和解の枠組みを原告、被告双方が尊重しながら早期に解決していくことが望ましいというぐあいに考えています。 去る十月十七日、大臣は和解のテーブルに着く旨回答されました。さらに本日は、製薬メーカーもテーブルに着く旨回答したという報道がなされております。これは我が党の、早期かつ円滑な解決を目指す決議に沿うものとして高く評価し、大臣の決断、そしてメーカーの決断に敬意を表するものであります。 私としては、国はこうした和解勧告の考えを踏まえまして和解による問題の早期救済に力を尽くすべきであると思いますが、大臣の早期解決に向けての決意をまずお聞かせいただきたいと思います。
○森井国務大臣 十月六日に東京地方裁判所及び大阪地方裁判所から出されましたエイズ訴訟に関する和解勧告につきましては、これを厳粛に受けとめ、政府部内で謙虚に検討いたしました。 裁判所の所見及び和解案につきましては、全体として厳しいものになっていると受けとめておりますけれども、せっかく裁判所が示した和解の枠組み、すなわち、法的責任の存否の争いを超えて広く社会的・人道的立場に立って早期に救済すべきだとしておりまして、こうした考え方に基づきまして具体的な和解案が示されておりますことを私も総合的に判断をいたしまして、大筋において受け入れることができるものと考えまして、和解の席に着くことにいたしました。 裁判所の期限は二十日でございましたけれども、三日ほど早く十七日に既にその意思表示をしたところでございます。すなわち、国といたしましては、いわゆる恒久対策など裁判所がなお協議をしなさいという事項が残されてはいるわけでございますが、裁判所の和解勧告の趣旨を重く受けとめをいたしまして、これから対処してまいりたいというふうに考えております。 この裁判が係争中の間にも相当数の血友病患者の方がお亡くなりになっていらっしゃいますし、また、現在もなお深刻な闘病生活を送っていらっしゃる方もいらっしゃるわけでございますから、そのことを考えますと、まことに心の痛む思いをするわけでございます。こうした患者の方々が置かれている状況にかんがみまして、本件の解決が長引くことは何としても避けるべきである、こう考えて和解の席に着くことにしたことを御理解いただきたいと存じます。 今後、裁判所の主導のもとで、裁判所の和解勧告の趣旨、つまり、法的責任の存否の争いを超えて広く社会的・人道的見地に立って早期に救済を図るべきであるとしております点に沿いまして、早期解決に向けて私といたしましても全力を尽くしてまいりたいと思うわけでございまして、皆様方の御支援を心からお願いを申し上げます。
○衛藤(晟)委員 どうぞ、一刻も早く解決に向けて頑張っていただきたいと思います。 次に、裁判所の方からいろいろな要望、要求がなされております。それについて質問をさせていただきたいと思います。 まず、今エイズ感染者は約三千五百名と言われております。そして、今回の血液製剤による血友病患者の方々は千八百人と言われております。その中で、今回裁判に原告団として参加された方々は二百十五名。そうしますと、大変に多くの方々が原告団に参加をされていない。これは、現実には社会的ないろいろな偏見がまだ残っているということの中でそういうぐあいになったと思いますが、残りの方々にも国としては原告団の方々と同じような対応をぜひするように、これは要望をさせていただきたいというぐあいに思います。 次に、医療についてお尋ねを申し上げたいと思います。 エイズに感染された方々は、免疫力が低下していく中で、発病と体力の低下に悩まされながら、大変な不安を感じながら生活をしておられます。こうした中で、国としては、エイズの治療研究を推進するとともに医療体制の整備を進め、エイズに感染された方々の不安を払拭しなければならないと考えます。今後、どのような形で治療の研究、医療体制の整備に取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。
○松村政府委員 厚生省といたしましては、平成六年度に西暦二〇〇〇年までのエイズストップ七年作戦というものを策定いたしまして、特効薬及びワクチンの開発、我が国におけるエイズの流行阻止等に取り組んでいるところでございます。 平成七年度におきましては、総額約百十億円の予算を計上しているところでございます。中でも、エイズの治療法の開発につきましては、発症予防に関する臨床研究、発生機序の解明、病態解析等の基礎的研究、エイズ医薬品の開発研究の推進に取り組んでいるところでございます。特にエイズ医薬品の開発研究につきましては、平成七年度補正予算においても一億五千万円を増額要求し、総額九億一千万円の予算を計上しているところでございます。 また、エイズ患者・感染者の方々が安心して医療を受けられる体制を整備するためにエイズ治療拠点病院の整備の促進に努めており、これまで三十八府県で百八医療機関が選定されているところでございます。 今後とも、研究の推進や拠点病院の整備の促進に努めてまいりたいと思います。
○衛藤(晟)委員 今、平成七年度の補正予算を審議しているところでございます。また、平成八年度の予算編成にかかったところでございます。今回の和解勧告に伴って、政府として、今まで努力していることは十分認めるわけでありますが、本当に思い切った対応をしなければいけないというふうに思っておりますので、これはぜひとも要望しておきたいというように思います。 次に、薬害の再発防止についてお伺いします。 厚生省は、これまでサリドマイドやスモンといった医薬品の副作用被害事件を経験してきたにもかかわらず、血友病患者の皆さんの血液製剤によるエイズ感染被害を生じさせてしまったというぐあいに思います。同じような医薬品による被害の再発防止を図るために、今後、医薬品の安全確保対策の強化を図らねばならないというぐあいに思います。この点についてどのように取り組んでいくのか、厚生省の考えをお伺いいたします。
○荒賀政府委員 血液製剤につきましては、ヒトに由来をいたします特別の医薬品でございまして、血友病等の治療に不可欠なものである一方、医学等の最新の知見に基づく安全対策を講じましても完全にウイルス感染等の危険性を排除できないといった特殊性を持っておるわけでございます。 血液製剤の安全性の確保対策につきましては、血友病患者の血液製剤によるエイズ感染被害の発生を契機にいたしまして、これまで、一つは、血液製剤の国内自給の向上に取り組んでまいりました。 具体的には、原料血漿の確保に努めた結果、平成五年には凝固因子製剤の自給をおおむね達成したところでございます。 二番目は、肝炎やHIV等のウイルスに対する検査を充実してきたところでございます。 具体的には、昭和六十一年にはHIVウイルス及びATL、成人不細胞白血病ウイルスの抗体検査を、平成元年にはHCV、C型肝炎ウイルスの抗体検査を開始したところでございます。 第三番目は、検査で排除できないウイルス感染を防止するための唯一の方法でございます問診を充実いたしました。 具体的には、本年七月から、日赤における献血時に不特定の異性との性的接触等に関し詳細な問診を行い、検査では排除することのできない初期の感染や未知のウイルス感染へ対応することといたしました。また、問診の際の献血者のプライバシー保護を図るため、日赤に対して問診室の整備のための国庫補助として、今年度の第二次補正予算において約一億円を計上したところでございます。 今後さらに血液製剤の安全性確保のために検討すべき対策としては、次の事項について考えております。 第一は、血液製剤に関する国内外の情報の収集・提供体制の整備であります。 具体的には、外国を中心にいたしまして、ウイルス感染症の発生情報を文献等を通じてより迅速的確に収集するとともに、収集した情報を医療機関等関係者に対して提供する体制を整備することでございます。 第二といたしましては、緊急な対応が必要と考えられる場合における血液製剤の情報提供、回収等の迅速な対応でございます。 具体的には、問題の生じた血液製剤について血液製剤メーカーや医療関係者に周知いたしますとともに、血液製剤メーカーに対して製剤の回収や代替製剤への転換を指導し、その場合、優先審査や治験の簡素化を図りたいと考えております。また、緊急輸入といった迅速な対応についても法的側面の検討をしていきたいと考えております。 第三としては、血液製剤の安全性の一層の向上を図るための検査方法の向上、代替製剤等の開発促進であります。 具体的には、感染をより早期に把握できる検査法の開発や、人の血液を用いない製剤や人工血液の開発の促進を図ってまいりたいと考えております。 一方、医薬品一般の安全性確保対策につきましては、現在、医薬品安全性確保対策検討会によりまして、医薬品の治験から承認審査、市販後の使用に至る総合的な安全性確保対策を検討しておるところでございまして、この検討結果を踏まえて、制度の見直しを含め安全性の確保対策の強化を図ってまいりたいと考えております。 医薬品は、人の生命、健康に直接関係するものでございます。今後とも、医薬品の安全性の確保に最善の努力をしてまいりたいと考えております。
○衛藤(晟)委員 ありがとうございました。ぜひ本当に、もう再発は許されないというぐあいに思います。 ただ、今お話がございましたような対策以外に、逆に言えば、今回、専門家の御意見をお聞かせいただいて検討をされてきたと思いますが、やはりそれだけでは足りなかったものがあったというぐあいに思います。もうちょっと第三者機関のような形で、しかも専門家だけではなくして総合的な判断ができる、そのようなものを厚生省の外につくる必要があるのではないのかなということを私は今回の血友病患者の例を見ながらつくづく感じたところでございますので、本当に抜本的に厚生省としても検討していただきたいというぐあいに切望する次第でございます。 どうもありがとうございました。これで終わります。
○和田委員長 青山二三さん。
○青山(二)委員 新進党・民主会議の青山二三でございます。 質問の時間をいただきましたので、少子化の問題、特に乳幼児医療の問題についてお伺いしたいと思います。 現在、高齢化とともに、異常なスピードで出生率が低下するという少子化の進行が大きな社会問題となっております。少子化は、高齢化に拍車をかけるとともに、子供の健全育成や社会経済全体への影響もはかり知れないものがあります。 昨年、一九九四年の出生率は、過去最低だった前年の一九九三年の一・四六から一・五〇へと十年ぶりに上昇し、出生率の低下に歯どめがかかったのではないかとの見方も一部ではございます。しかし、ことし一月から三月の出生数は昨年より二千四百人ほど減っており、とても楽観視できる状況ではありません。このまま低出生率時代が続いていくのではないかと思われるわけでございます。 そこで、昨年の出生率の上昇を政府としてはどのように分析しておられるのか、また、今後出生率がどのように推移していくと見ているのか、お伺いいたします。
○高木(俊)政府委員 昨年の出生数でございますけれども、百二十三万八千人ほど生まれております。前年と比べますと、約五万人ほど増加をしておるところでございます。 この出生数の増加の要因でございますけれども、私どもとしましては、一つには、昭和六十三年以降婚姻件数が増加をしておったということがあろうかと思います。それからもう一つは、第二次のベビーブーム期を含みます昭和四十二年から昭和四十九年生まれの方々が出産年齢に達してきた。こういったことが増加の要因ではないかというふうに考えております。 今後でありますけれども、非常に出生数は不確定要素が多いわけでありますけれども、厚生省の将来推計人口、この中位推計で見てみますと、人口構成の変化等によりまして、平成十六年、二〇〇四年ということでありますが、ここで百五十万人程度まで徐々に回復をするということになっております。ただ、その後は減少に転じまして、平成三十七年、二〇二五年ということでございますけれども、この時期には約百十四万人程度まで減少するのではないかというような予想が出されておるわけでございます。
○青山(二)委員 もちろん、子供を産む、産まないという問題は個人の問題でありますけれども、この出生率の低下は、人口の高齢化を加速し、社会や経済に不安を与えるなどの影響があります。子供を産みにくくしている原因があるとすれば、それを解決する必要があるのではないでしょうか。 子供を産んで育てたいと思っている女性が出産を思いとどまるということは、社会的に深刻な問題であり、とても残念なことと思います。特に仕事を持っている女性からは、保育制度が不十分だという悩みをいろいろ聞くわけでございます。昨年暮れに国としてもエンゼルプランを策定し、ようやく育児支援に本格的に乗り出したとの思いがいたします。子供を持ちたい人が安心して子供を生み育てることができるような条件整備をすることが大切であります。 そこで、このエンゼルプランを具体化した緊急保育対策等五か年事業についてお伺いいたしますが、この緊急対策のそれぞれの事業の中でどう具体化しているのか、現在の状況また今後の見通しはいかがでしょうか。
○高木(俊)政府委員 昨年の暮れの予算編成の際にエンゼルプランが策定され、この具体化ということで、厚生省としましては緊急保育対策等五か年事業というものを策定いたしたわけでありますが、今年度がその初年度に当たるわけでございます。 中身といたしましては、低年齢児保育を、昨年度四十五万人でございましたけれども、この五カ年事業では四十七万人に伸ばしていく。それからまた、延長保育でございますけれども、これも二千二百三十カ所から二千五百三十カ所に伸ばしていく。こういったようなことで、年次計画的に今後増強していくというようなことで予算措置を講じたわけでございます。 現在、この円滑な事業執行に努めているところでございますけれども、来年度、平成八年度に向けましては、八年度の概算要求の中に、引き続き着実な推進を図るというような観点から所要の予算を計上しております。今後ともその着実な推進に努めることが大事であるというふうに考えております。
○青山(二)委員 今いろいろと御説明いただきましたけれども、現場ではこの乳幼児保育や延長保育などは充足しているとは言えず、まだまだ働く女性に十分にこたえているとは思えないわけでございますので、さらに保育の問題には今後とも力を入れていただきたいと思います。 次に、乳幼児の医療費無料化の問題についてお伺いいたします。 この問題については、二十年前の昭和四十九年に、今の総理、厚生関係に大変詳しいと言われる村山首相が社会労働委員会で次のように質問されております。「最近特に各地方自治体で乳幼児の医療無料化がどんどん進められておりますね。これもやはり各市町村にまかせきりでなくて、国が何らかの形でやる必要があるのではないかと思うけれども、乳幼児の医療無料化についての大臣の考え方をお尋ねしたいと思うのです。」という質問に対して、当時の厚生大臣より、乳幼児の医療費を無料にすることについては、国の制度としてはそれを行うということは私は今考えておりませんと発言されております。 この質疑に対して大臣の御感想をお聞かせいただきたいと思います。
○森井国務大臣 私も、御指摘がございましたので、懐かしく議事録を読みました。村山総理も私も、その当時、当選一回の議員でございまして、純真なお気持ちからの御質問ではなかったかというふうに思っております。 しかし、昭和四十九年といえばまさに二十年前のことでございまして、当時は、地方自治体が乳幼児医療無料化を採用し始めた時期でございました。しかしながら、今日的な観点からこの問題について考えますと、医療費については、医療を受ける者とそれから受けない者との均衡という観点もございます。受診者にそういう意味で一定の御負担をいただくというのがやはり基本的な考え方でございまして、乳幼児医療一般については、単に都道府県の肩がわりをするような形で無料化するということは、厚生省としては考えておりません。 御存じだと思いますが、乳幼児につきましては、未熟児だとかあるいは障害児だとか難病を持つ乳幼児だとか、そういうものについては公費で負担を既にいたしておるわけでございまして、それで限界ではないかというふうに考えておりまして、ややそっけない御答弁になりますけれども、御理解をいただきたいと思います。
○青山(二)委員 本日は委員会なので、残念ながら村山総理のお考えは伺えませんが、この乳幼児医療費無料化の問題については、昨年度、沖縄県が制度をスタートさせたことにより、全国すべての都道府県でこの制度が実施されることになりました。こうした現状を見るとき、乳幼児医療費無料化という問題は、全国、国民全体が大きな関心を持っていると考えられます。 このようにすべての都道府県で乳幼児の医療費無料化を行っているということについて、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○高木(俊)政府委員 御指摘のように、昨年度から沖縄県が実施しましたので、そういった意味では全国実施しておるわけでありますが、ただいま大臣からも申し上げましたように、我が国は医療保険制度を基調として、その自己負担をそれぞれ受診者に御負担をいただくというシステムになっておるわけでございます。そういった意味で、乳幼児の医療費一般につきまして、単にそれぞれ都道府県で実施しておる肩がわりというような形で無料化をするということは考えていないわけであります。 ただ、厚生省としましては、乳幼児の健康の保持増進を図る、これは非常に大事なことでありますので、三歳児健康診査の実施などによりまして、母子保健の施策というものを十分講じておるということでございます。また、医療費につきましては、ただいま大臣からお話ししましたように、難病の子供たちとか未熟児あるいは障害児といった特に手厚い援護が必要な児童に対しましては、既に医療費の公費負担を実施いたしておるところでございます。
○青山(二)委員 私は今、大臣に御答弁をいただきたいということで質問をしたわけでございますけれども、答えづらいのでしょうか。 それでは、角度を違えてもう一点お聞きしたいと思います。全国の自治体の中から東京新宿区の制度を取り上げて紹介してみたいと思います。 新宿区では、平成三年十月より、所得制限のない、二歳児までが対象の医療費無料化をスタートさせ、昨年、七年度より対象年齢を六歳児まで拡大いたしました。これは、子供を生み育てる若い夫婦が地域から去っていく現状を目にして、こうした世代に対する子育て支援を通じて地域への定着化を図るための施策であります。このような自治体の少子化、高齢化への真剣な取り組みには目をみはるものがございます。 そこで、大臣としては、こうした自治体の真剣な取り組みをごらんになって、少子化、高齢化の危機感についてどのように認識されているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○森井国務大臣 人口の少子・高齢化に伴いまして、まず子供への影響ということでは、子供同士が触れ合う機会が減少して、自主性や社会性が育ちにくくなるという指摘がございます。また、社会全体への影響ということでは、若年労働力人口の減少を技術革新や高齢者、女性の雇用増などでカバーすることによりまして、多様そして高度な社会となるという見方もある一方で、若年労働力の減少、社会保障費用に係る現役世代の負担増などによりまして、社会の活力が低下するのではないかという指摘もございます。 こういった背景を踏まえまして、国民だれもが安心して子供を生み育て、年をとることのできる社会を築いていく必要があると認識をいたしております。 具体的には、エンゼルプラン、緊急保育対策等五か年事業の子育て支援施策を推進をいたします。また、ニューゴールドプランの推進や新介護システムの構築といった高齢者介護対策を充実してまいります。そういった施策を積極的に行うということで、御答弁にさせていただきたいと存じます。
○青山(二)委員 そこで重要になってまいりますのが医療費の問題であります。 この医療費の保障のあり方という点では、医療を受ける者と受けない者とのバランスを考えて受診者に一定の負担をしてもらう、そういう原則があって国としては無料化は難しい、これはよくわかります。 しかしながら、各自治体の個別の制度や単独の措置という性格上、居住地によって、対象年齢があったり所得制限があったり、差があります。それから、支給方法も現物給付と償還払いなど条件が異なり、このように自治体によってかなり内容に差があるわけでございます。同じ日本において、引っ越しをするたびに医療費が違う、支払い方法も違うということで、国民に大きな不満を与えております。 そこで、地方自治体にのみ任せて傍観するのではなく、国として制度を検討することぐらいはこれから始めてもいいのではないでしょうか。厚生省としてこの点に少しは前向きの理解を示してもよいのではないかと思うのでございますけれども、いかがでしょうか。
○高木(俊)政府委員 各県がこの乳幼児の医療費の支給事業というものを実施しておりますが、御指摘のとおり、それぞれ所得制限の問題とかあるいは対象範囲、あるいは場合によっては一部負担等々を課しているところもございます。そういった意味では、各県がそれぞれの独自の事業として実施をしておるということでございます。そういった意味で、それぞれその事業の内容につきましても、各県の実情に応じましてこういった事業が実施されているというふうに理解をしておるわけでございます。 そういった意味では、厚生省がそれを全国統一的に、支給方法等も含めて指導していくというようなことにつきましては、私ども考えてないわけでございます。
○青山(二)委員 私の地元、栃木県では、乳幼児の死亡率が大変高かったために、全国の自治体に先駆けて、昭和四十七年にゼロ歳児の医療費の無料化に踏み切りました。その後、この対象年齢を三歳まで拡大してほしいとの県民の要望が強くなって、ようやく最近になって、年齢の拡大について検討が始まったところでございます。 しかし、新聞報道によりますと、県としては「無料化を拡大してはならないという厚生省の指導に逆らって、各県が拡大することがどうなのか、検討する余地が残されている」と答えております。 厚生省は無料化を拡大してはならないというような指導をされているのですか。
○岡光政府委員 医療保険の運営という観点からの御答弁を申し上げます。 先生御存じのとおり、医療保険制度は全国民で保険料を出し合って運用しているわけでございます。そういう意味では、全国一律的な取り扱いをしているわけでございまして、したがって、各県でいろいろな対応をされるというのは、それはやはり各県独自の対応ではなかろうか。 しかも、医療保険の運営という観点からは、ただいま申し上げましたように全国一律的な扱いでございますから、いろいろな工夫を、例えば今御指摘がありました乳幼児についてされるという場合には乳幼児対策としてその状況にふさわしい、あるいはハンディキャップがある場合にはそのハンディキャップを補うということとか、そういったそれぞれの特別の観点から御工夫をいただくということがふさわしいのじゃないだろうか。 そういうふうな観点で、一律的な対応をしているということから御指摘があったような指導をしているところでございます。
○青山(二)委員 じゃ、新聞報道は正しい、そういうふうにとらえてよろしいのですね。何か今御答弁がちょっとあいまいでございましたので、どのように解釈していいのかちょっとわかりかねるのでございますが、いずれにしても、そのような指導をしたような、あるいはしないような、そんな感じで受けとめました。 やはり国の積極的な姿勢がなければ、自治体としてはなかなか拡大あるいは充実に踏み切れるものではありません。その点を特に御留意いただきたいと申し上げておきます。(発言する者あり) ちょっと今わかりにくかったものでございますから、もう一度、今の質疑の様子をごらんいただいて、一言大臣から御答弁いただけますか。
○岡光政府委員 重ねて御答弁申し上げますが、医療保険制度を運営する際には、決められた一部負担を患者さんにしてもらうということにしているわけでございます。その一部負担につきましては、先ほども申し上げましたように、全国一律的な扱いにしてくださいということにしておりますから、各県なり市町村の判断でそれを軽減するというふうな対応を個別にやってもらうというのでは困る、そういう姿勢をとっているわけでございます。どうしても乳幼児なら乳幼児を対象にいたしまして特別の福祉施策を行いたいというのであれば、そのハンディキャップに応じでどのような対応をするかという個別の判断をしていただきたい、そういう基本的な考え方をとっているということを申し上げました。
○青山(二)委員 何か同じような御答弁で失望いたしました。 それでは、時間もございませんので、もう一つ厚生省にお伺いしたいと思います。医療費の現物給付と償還払い制といった支給制度の違いについてでございます。 自治体が医療保険にかかわる無料化を現物給付で行った場合、国民健康保険に関する自治体への国庫からの交付金が一部カットされることになっているわけです。自治体としては交付金のカットされない償還払い制にしたいのは当然のことと思います。しかし、この償還払い制というのは、医療機関に代金を一度支払って、後日領収書を自治体に提出して支払った額を受け取るという、国民に二度手間をさせることになり、大変不便で不親切な制度になっております。これは、国民に面倒な手続をとらせることによって国の負担軽減を図るねらいがあるという不満の声も聞こえてまいります。 そこで、現物給付に一元化を図り、償還払い制を廃止することはできないものでしょうか。
○高木(俊)政府委員 各県が実施しております乳幼児医療費でありますが、この支給方法、自己負担分を一たん支払ってそして償還を受けるというやり方、いわゆる償還払いをとっている県、それからまた代理受領の形で、いわゆる現物給付の形で実施している県、あるいはどちらでも結構だという選択制を認めている県、それぞれ各県、実情に応じて支給方法を区々にしておるわけでありますけれども、この事業そのものにつきましては、先ほど申し上げましたように、各県の独自の事業ということで実施しておるわけでございます。そういった意味で、国として、その内容の統一化というようなことを指導するということにつきましては考えておりません。
○青山(二)委員 しかし、この場合、国民の利益を第一に考えてあらゆる施策を講じるべきでありまして、国民の側に立った視点で考えていくべきです。それが「人にやさしい政治」と言えるのではないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
○森井国務大臣 先ほど来言われておりますように、各県が独自の事業として実施していらっしゃいます乳幼児の医療費の支給方法については、各県の実情に応じて、現在、現物支給と償還払いによる方法とに分かれているわけでございます。しかしながら、各県において実施している乳幼児医療費の支給については、各県がその独自の事業として実施していらっしゃるものでございまして、国として内容の統一を図るというふうな指導はいたしておりません。 率直に申し上げますけれども、国民皆保険制度で、今、健康保険制度はすべての国民が加入をしているわけでございます。だから、とりたてて乳幼児だけ全額公費負担というふうなことはやはり制度の根幹を揺るがすことになると思うわけでございまして、そのために、障害を持つ子供あるいは難病の子供、未熟児、そういったものについては全額国費で負担をしているわけでございまして、それ以外の国民については、これはやはり制度のもとで均等に負担をしていただくということでなければならないということでございまして、先生せっかくの御指摘でございますけれども、ぜひ御理解をいただきたいというふうに考えております。
○青山(二)委員 何か人に優しくない政治のような姿が見えて残念でございます。 それでは、母子保健体制の充実についてお伺いをいたします。 母子保健法の第三条には「乳児及び幼児は、心身ともに健全な人として成長してゆくために、その健康が保持され、かつ、増進されなければならない。」とあります。乳幼児の健康の保持増進を図るためにも、最高水準の健康に恵まれる権利をひとしく保障するためにも、乳幼児医療の充実にさらに力を入れるべきであると思うわけでございます。 そこでお伺いしたいのが、エンゼルプランの「重点施策」の中に「安心して子どもを生み育てることができる母子保健医療体制の充実」という項目がありますが、この乳幼児医療また母子保健医療について、どのような取り組みをされているのか、現在の状況と、今後どのように具体的に取り組んでいかれるのか、御説明をお願いいたします。
○高木(俊)政府委員 母子保健でございますけれども、これは申すまでもなく、生涯の健康の基礎といいますか、それからまた次の世代を健やかに生み育てるための基礎でもございます。そういった意味で、その充実というのは極めて重要な課題であるというふうに私ども考えておるわけでございます。それからまた、近年の少子化あるいは女性の社会進出、こういったことによりまして、子供を生み育てる環境も大きく変化をしてきておるというような状況がございます。 こういったような母子保健を取り巻く環境の変化に対応しまして、来年度の概算要求におきましては、私ども、総合的な母子保健対策というものを構築したいということで要求をいたしたところでございます。 その視点としましては、一つには、健康的な妊娠の支援、それから、安心できる出産の支援、三つ目には、乳幼児の健全発達を支援していく、四つ目として、生涯を通じた女性の健康支援事業というものを確立していく、こういった内容を包含した総合的な母子保健対策ということでございます。 これから年末の予算編成に向けまして、私どもの概算要求の実現に向けまして努力をいたしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○青山(二)委員 今いろいろ説明をお伺いいたしましたけれども、充実をさらに頑張っていただきたい、このようにお願いを申し上げておきます。 それでは最後に、二十一世紀を目前にした少子化、高齢化の社会の中で、年金、介護、医療、福祉、そのほかいろいろな難問題が山積しておりますけれども、こうした厚生行政に取り組まれる大臣の決意のほどをお聞かせいただきまして、私の質問を終えたいと思います。よろしくお願いいたします。
○森井国務大臣 御指摘のように、我が国は二十一世紀の本格的な少子・高齢社会の到来を目前に控えているわけでございまして、その一方で、現在、日本経済を取り巻く状況というのは厳しい状況にあることは御案内のとおりでございます。 このような中で、経済社会の活力を維持しながら、一人一人が心豊かに安心して暮らすことができる長寿社会を築いていくことが強く求められているところでございまして、社会保障制度の基盤強化に積極的に取り組んでいく必要があると考えております。 具体的には、子育て支援施策や高齢者介護対策の推進を一層図りますとともに、医療保険制度や年金の長期安定の確保、さらには障害者の社会参加など障害者施策の推進といった諸課題についても適切な対応をこれから行ってまいりたいと考えております。 今後とも、国民すべてが社会全体の支え合いの中で健康で充実した生活を送る福祉社会の実現を図っていくことが重要であると考えておりまして、国民の期待にこたえるよう、私といたしましても全力を尽くしてまいりたいと思っております。 〔委員長退席、衛藤(晟)委員長代理着席〕
○青山(二)委員 大変ありがとうございました。時間が参りましたので、終わらせていただきます。
○衛藤(晟)委員長代理 山本孝史君。
○山本(孝)委員 冒頭、委員長並びに委員の皆さんにお願いをさせていただきます。 毎回、質問に立つたびにたばこの問題を取り上げさせていただいておりますけれども、世界的な禁煙、分煙の傾向がございます。健康問題に深くかかわる厚生委員会でございますので、ぜひ禁煙、分煙にしていくべきだというふうに思います。委員各位の皆さんには、大変だとは思いますけれども、御理解、御協力をいただきまして、ぜひその方向で、また委員長にも、委員長おられませんけれども、実現に御尽力をいただきたいというふうに思います。 きょうは、エイズ訴訟の問題とUS腎問題と臓器移植法について質問をさせていただきます。 さきに東京、大阪地裁で和解勧告が出ましたエイズ訴訟についてまずお尋ねをいたします。 森井大臣、先般の厚生委員会での御就任のあいさつの中で、もう一度初心に返って厚生行政に取り組みたいというふうにおっしゃいました。初心に返るということは、官僚の皆さんの意見に左右されるのではなく、議員の意思決定能力を取り戻すことだというふうに思います。 このエイズ問題については、これまでにも、竹下総理が薬害基金の枠組みをつくるということを打ち出されましたし、あるいは献血の全量の抗体検査、これもいわゆる政治判断をされて実現がなされております。 現在総理をなさっております村山さん、社労の中で随分御活躍でしたけれども、議事録をずっと全部読み返させていただきました。二回質問に立たれておられます。エイズ予防法のときは、社会党を代表して反対討論をされておられます。この血友病のエイズ感染についてぜひとも解決に向けて政治の指導力を発揮をしていただきたい、そういうふうに思うわけでありますけれども、まずそこでお尋ねをいたします。 和解のテーブルに着くことをお決めになった、この点については高く評価をさせていただきますけれども、どのような姿勢で和解のテーブルに厚生省はお着きになるのか、そこのところをお願いします。
○森井国務大臣 御存じのように、十月六日に東京地裁、大阪地裁から和解勧告が出されました。私といたしましては、これを厳粛に受けとめておりまして、政府部内で謙虚に検討いたしました。国としては、いわゆる恒久対策など裁判所がなお協議をする事項等が、指定していることが残っておりますけれども、裁判所の和解勧告の趣旨を重く受けとめをいたしまして、和解の席に着くことといたしまして、先ほども御答弁申し上げましたが、去る十七日に、両裁判所に対してその旨を回答いたしたわけでございます。 本裁判が係争中の間にも相当数の血友病患者の方々がお亡くなりになっていらっしゃること、闘病生活を送っている方がなおたくさんいらっしゃるということ、これらはまことに心の痛む思いでございまして、本件の解決が長引くということは何としても避けたいという私の気持ちでございます。 今後は、裁判所の主導のもとで、裁判所が法的責任の存否の争いを超えて広く社会的・人道的見地に立って早期に救済を図るべきだとした和解勧告の趣旨に沿いまして、早期解決に全力を尽くしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○山本(孝)委員 先ほどの御答弁を繰り返されたわけですけれども、和解で示されている枠組みをどういうふうにお受けとめになっておられるのでしょうか。
○荒賀政府委員 裁判所の所見及び和解案につきましては、全体として厳しいものというふうに受けとめておるわけでございますが、この裁判所が示されました和解の枠組み、すなわち、法的責任の存否の争いを超えて広く社会的・人道的見地に立って早期に救済すべきである、こういった考え方に基づきまして具体的な和解案が提示されていることを総合的に判断いたしまして、大筋において受け入れることができると考えて、和解の席に着くこととしたものでございます。
○山本(孝)委員 枠組みは大筋で受け入れるというふうにおっしゃっておられるわけですが、法的責任の存否を超えてとさっきもずっとおっしゃっているわけだけれども、業務局としてはこの点には触れていただきたくないという思いがあられるのでしょう。厚生省はそうだろうと思います。 したがって、そこを直接的に申し上げるつもりはありませんけれども、一体何があったのか、これまでのこの事件の一連の流れはどうなっていたのかということをしっかりと検証しないことには薬害の再発は防げない、そういうふうに私は思います。今回議事録を、あるいは皆さんからいただいた資料を読み返してみて、その思いが一層強くなるわけです。 それで、このなぜという疑問にやはりこたえていかなければいけない。この後ずっと御質問させていただきますけれども、大臣なり業務局長が、大臣さっき初心に返ってというふうにおっしゃったわけですけれども、初心に返るというのは、私は原告の皆さんの声を謙虚な気持ちで聞くということが初心に返ることだというふうに思います。 したがって、大臣なり業務局長なりがこの原告団あるいは血友病患者でエイズに感染してしまった皆さんの声をお聞きになる、それが一番大切だと思うのですけれども、そういうおつもりは、大臣、ありませんか。
○森井国務大臣 率直に言って、ございます。 しかし、タイミングはいつかということになりますと、申し上げましたように、これからいよいよ和解が開始をされるわけでございまして、当初は、原告、被告とも個別に恐らく裁判所からお呼びがあって、それぞれ意見を述べ合うのだろうと思うのです。全般的に想像いたしますと、やはり和解の話し合いの大きなテーマに、法的責任の問題でありますとか、あるいはそれに伴って謝罪をする問題でありますとか、そういったことも和解の重要なテーマだというふうに私は認識をいたしておりますから、したがって、今、いつお会いするかということにつきましては申し上げる段階にはございませんけれども、私がどうしても食えということになり、しかも和解でもそれぞれの当事者が大臣に食えということになれば、喜んでお会いをしたいというふうに考えております。
○山本(孝)委員 各論に触れさせていただく前にもう一度重ねて申し上げますけれども、所見に触れられている「法的責任の存否の争いを超えてこというのは、厚生省の法的責任をないというふうに言っているわけではありません。そのことは大臣もよく御存じだろうというふうに思います。その点を認識してやっていただきたいというふうに思います。 御質問させていただきますが、厚生省は早い時期に非加熱製剤でエイズに感染することを知っていたのではないか、知りながら対策を講じなかったのではないかという指摘が常になされてきております。私も、これまでの国会討論の中で触れられているように、非加熱製剤の危険性を知らせるシグナルというのは出ていた、そういうふうに思います。 もう繰り返すまでもなくですが、八二年の七月に、アメリカで血友病患者三人がエイズで死亡したというふうに報道が出ました。同じ八二年の七月二十日には、毎日新聞が「「免疫性」壊す奇病、米で広がる」という見出しで、「患者はほとんどが同性愛の若い男性。しかしその後、重度の麻薬常用者や血友病患者にも広がり始めている。」というふうに、血友病患者というものがこのエイズ感染の対象になり得るということをこの新聞が報道しております。 それで、八二年の十一月、東友会、血友病患者の団体の皆さんの東京の会ですけれども、そこで、後ほど出てきます安部英さん、今帝京大学の副学長をなさっておられるこの方が、輸入血液製剤には恐ろしい病気があるらしい、日本人からとった血液を製剤としてほしいというふうに述べておられる。 あるいは、八三年の五月、翌年ですけれども、ミドリ十字、この会社が、製剤によるHIV感染を報告する社内文書を作成しております。ミドリ十字には厚生省の幹部がたくさん再就職をなさっておられる。厚生省薬務局分室というふうに言われているそうでありますけれども、この警告がミドリ十字から厚生省に伝わらなかったとは考えにくい、私はそういうふうに勝手に推測をしております。 それで、八三年の六月に、当時のトラベノール社が、血液製剤の原料血液の提供者がエイズ症状を示して一部製品を回収したと、製品の回収を厚生省に報告をしている。これは、昨年「NHKスペシャル」で放映された「埋もれたエイズ報告」というビデオにもこの話が出てきます。そういう危険性を予測したからこそ、当時生物製剤課長だった郡司課長が八三年六月にエイズ研究班を組織されたのではないかというふうに思います。それで、全国ヘモフィリア友の会も、自分たちで得た情報をもとにして、八三年九月に郡司課長に、安全な血液製剤を提供してほしいという要望をしている。 しかし、その後の事態は、当時の郡司課長がこの「NHKスペシャル」の中でおっしゃったように、最悪のシナリオになりました。事は命にかかわる問題で、何らかの危険性がわかれば即座に調べて必要な措置をとるのが私は行政の責任ではないかというふうに思います。 そこで、御質問させていただきたいのですけれども、裁判所は和解文書の所見で、厚生省は「本件医薬品から生じる感染の危険性やAIDSの重篤性についての認識が不十分なまま期待される対策をとることに遅滞を来した」と、私が今述べたのと同じ所見を出しておりますけれども、厚生省はこの指摘についてどういうふうに受けとめておいでになるのでしょうか。
○荒賀政府委員 エイズに関する知見につきましては、当時の医学等の専門的な調査研究の進展に伴いまして、徐々に積み重ねられてきたものと考えておるわけでございます。 一九八二年、昭和五十七年の七月、アメリカにおきまして、血友病患者がエイズに罹患したという最初の報告がなされておるわけでございますが、一九八三年、昭和五十八年におきましても、エイズの原因ははっきりしておりませんで、血液製剤を介してエイズが伝播するかどうかも不明であったところでございます。その後、一九八四年、昭和五十九年の五月に、アメリカのギャロ博士がエイズの原因と見られますウイルスを発見いたしまして、同年九月の国際ウイルス学会で、エイズの原因がウイルスであるとほぼ断定されたところでございます。 こうした状況のもとで、厚生省といたしましては、一九八三年、昭和五十八年六月に、専門家から成りますエイズ研究班を設置いたしまして、実態把握と対策を検討いたしました。また、一九八三年、昭和五十八年七月に、血液製剤の製造販売業者に対しまして、エイズのハイリスク者から供血したものではない旨の証明書を製剤及び原料血漿に添付するように指示したところでございます。 それで、一九八三年、昭和五十八年の十一月に、加熱製剤の承認申請の取り扱いについての説明会を特別に開催いたしまして、承認申請の手続を早期に終えるよう臨床試験症例数を最小限にしたところでございます。さらに、血液製剤につきましては、一九八四年、昭和五十九年二月に臨床試験が開始をされまして、一九八五年、昭和六十年四月ないし五月に製薬企業から承認申請が出されまして、厚生省といたしましては、優先審査により同年七月に承認を行いました。 こういった措置を行っておりまして、その時々のエイズに関する知見に基づきまして相応の努力をしてきたものというふうに考えておるところでございます。
○山本(孝)委員 もう一つ、所見についての厚生省の受けとめ方をお伺いしたいと思いますけれども、東京地裁の所見はこのように述べております。八三年当時、「血友病患者のエイズに関する限り、血液又は血液製剤を介して伝播されるウイルスによるものとみるのが科学者の常識的見解」だったというふうに述べておりますけれども、この点については今の御答弁と少し違うのだと思いますが、どういうふうに受けとめておられますか。
○荒賀政府委員 私どもが国として今回の裁判で申し上げておりますのは、今申し上げたとおりでございまして、エイズに関する知見といいますのが、これは医学等の専門的な調査研究の進展に伴いまして徐々に積み重ねられてきたという考え方でございます。 そういったことで、医薬品の副作用等によります健康被害の予見可能性といっておりますが、そういったことについては、それぞれの時点におきます医学的、薬学的知見に基づいて判断されるべきものであるというふうに考えておるわけでございます。
○山本(孝)委員 ここは法的責任に極めて強くかかわるところだと思いますので、和解の席でしっかりと両者の意見を闘わせていただきたいというふうに思います。 時間がありませんので、先に行きます。 さっきも触れましたこのトラベノールから、血液製剤が危険なので回収したという御報告が厚生省に八三年の六月にありました。これは製剤の危険性を示す極めて重要な事実であったにもかかわらず、厚生省はこの報告を受けたことを公表しておりません。 さらに問題なのは、この回収の事実を当時郡司さんがつくられたこの研究班に報告したかどうかという点です。これは、報告したかどうか不明で、研究班の討議記録はすべて行方不明であります、資料は捜しておりますというふうになさっておられる。裁判所から提出を求められたけれども、確認できませんというふうにお答えをなさっておられる。先ほども触れました、昨年二月に放映されました「NHKスペシャル 埋もれたエイズ報告」によりましたら、当時の委員九人はすべてこの回収の事実を厚生省から知らされていなかったというふうに述べております。 お忙しい厚生大臣だと思いましたので、せめてこのビデオを見てくださいというふうにお願いをさせていただきました。見ていただいたというふうに理解をしておりますけれども、この回収の事実を研究班に伝えていれば、行政や医師の対応も変わって、あるいは患者に対しても違う選択肢を示せたのではないか、患者さんが一番今思っておられる点ではないかと思います。クリオや国内製剤に切りかえて被害を小さくした国というのはヨーロッパにもいろいろあるわけで、日本もそういう対応ができたのではないか。 そういうことを考えますと、なぜこの点を伝えなかったのか、この点が極めて重要なポイントなんですけれども、その点について厚生省はどういうふうに今理解をされておられますか。
○荒賀政府委員 ただいまの件でございますが、トラベノール社の輸入血液製剤の回収でございますが、米国のトラベノール社から、輸入濃縮製剤の原料血漿の供血者の一人が供血後エイズ様の症状を呈していたために当該ロットを自主的に回収したいという連絡を受けまして、日本のトラベノール社は、当該原料血漿により製造された製剤につきまして工場で出荷停止措置を講じた旨、厚生省に報告をいたしたわけでございます。 それで、一九八三年七月十三日、日本トラベノール社は、輸出検査法の品質基準に適合している旨の表示をしないでアメリカに輸出することにつきまして、厚生大臣及び通産大臣の輸出検査法上の例外許可を申請いたしまして、七月二十六日に日本トラベノール社に対しまして、輸出検査法上の例外輸出許可について厚生大臣及び通産大臣の許可が行われたわけでございます。それで、八月二十二日に日本トラベノール社から、米国に返送した旨の報告を厚生省にいたしたところでございます。 この一九八三年、昭和五十八年当時でございますけれども、先ほど申し上げましたように、このエイズウイルスというのがまだ未知なものでございまして、エイズの原因につきましては……(山本(孝)委員「局長、なぜそれを研究班に伝えなかったのかということを聞いているので、当時のことを聞いているのじゃないのです」と呼ぶ)今お答えをいたします。 今日のように明らかでなかったわけでございます。日本ではエイズの患者がまだ報告をされておりませんで、血液製剤によりエイズが伝播するかどうかも不明であったところでございます。そのような状況のもとで、米国におきまして血液製剤の原料供血者の一人が供血後エイズ様の症状を呈しましたことから、製薬企業におきましては、万が一のことを考えまして出荷停止等を行ったものでございます。しかも、医療機関に出荷される前の措置でありましたので公表をしなかったものでございます。 なお、エイズ研究班に報告したかどうかについては、確認ができておらないわけでございます。 〔衛藤(晟)委員長代理退席、委員長着席〕
○山本(孝)委員 重ねてお伺いします。 確認ができないということですけれども、報告をしていれば状態は変わったのではないか、事態は変わったのではないかというふうに思うわけですけれども、その点はどういうふうに思われますか。
○荒賀政府委員 ただいま申し上げましたように、その当時の状況におきましては、エイズの原因が今のように明らかになっていなかった、まだ未知のものであったわけでございます。そういった状況の中で、製薬企業が万が一のことを考えて出荷停止を行ったものでございまして、医療機関に出荷される前の措置でございましたので公表をしなかったものと理解をいたしておるわけでございます。
○山本(孝)委員 答弁になってないよ。
○荒賀政府委員 私どもの方では訴訟においてもそのような答弁を、主張をさせていただいておるわけでございまして、今、確認できておれば、報告をしておればどうであったかということについての答弁については、私の今申し上げた範囲でお答えをさせていただきたいと思います。
○山本(孝)委員 大変に重大な問題であった。今、出荷の前に回収したのだから、そんなに重大な問題でなかったので報告をしなかったのだろうというふうな答弁をされておられるわけだけれども、大変に重大な問題であったというふうに思います。 郡司さんは、そのNHKのインタビュー等にも答えて、こうした重要なことを決めたのは自分だけの判断ではないということをにおわせております。当時の業務局長は、さっきまでそこにおられたけれども、自民党の衆議院議員の持永和見さんです。持永さんが一番その点を実は御存じだろうと思うのだけれども、質問を察知されたかどうか、外へ出ていってしまわれました。ぜひこの点ははっきりとしていただきたい。僕は、持永さんの御自身の行動というか、自分の記憶の中に一番あるわけですから、その点をはっきりさせていただきたいというふうに思います。 加熱製剤が出回った後も、非加熱製剤は回収をされませんでした。八五年の五月に厚生省が初めて血友病のエイズ患者を認定したのを機会に、患者の皆さんは厚生省を訪問されて、ぜひこの血液製剤を回収してほしいという話をされておられます。しかし、実際のところは、回収命令は出されておりません。 この加熱製剤が認可された時点でもなお、厚生省としては、この非加熱製剤の販売停止に踏み切るだけの、あるいは回収するだけの危険性というものは認識されておられなかったのか。そういうふうに受けとめられても仕方がないと思うのですけれども、その点はどうでしょうか。
○荒賀政府委員 一九八五年、昭和六十年の七月でございますが、加熱製剤を承認いたしました後直ちに、メーカー各社が血友病患者さんの方々が従来使用をしておりました非加熱濃縮製剤と交換する形で自主的な回収を行ったわけでございます。その結果につきましては厚生省に報告をいたしておりますので、厚生省として非加熱製剤について回収の指示を行わなかったものでございます。厚生省は、メーカー各社から、この一九八五年、昭和六十年十一月までにほぼ回収をしたとの報告を受けておるところでございます。
○山本(孝)委員 松村さん、ぜひお答えをしていただきたいのです。この加熱製剤が認可されて、非加熱製剤を回収するかしないかという判断をなさったのは、当時の生物製剤課長であった松村さん、今の保健医療局長であるというふうに思います。 あなたの記憶の中にはっきりと残っていると思うのですけれども、当時、加熱製剤が承認をされた、そして非加熱製剤が世間に出回っている。さっきからるる申し上げているように、その間までに随分と危険であるというシグナルが出ていた。そういう状況の中で、むしろ厚生省よりも患者さんたちの方が非常にそのルートの少ない中で情報を集めながら、この製剤は本当に大丈夫ですかという思いで厚生省に行かれて、この非加熱製剤、出回っている製剤の回収をしてくださいというふうにお願いをされたのだと思います。その要望を受けとめられたのは、当時生物製剤課長であった松村保健医療局長、あなたですよね。あなたはそのとき、どういうふうにその患者さんたちの要望をお受けとめになったのか。なぜ非加熱製剤の回収の指示はなさらなかったのか。あなたの記憶の中にあると思いますので、ぜひお答えをいただきたいと思います。保健医療局長。――委員長、保健医療局長。保健医療局長、当事者なんだから、記憶の中にあるんだろう。
○荒賀政府委員 先ほど御説明を申し上げましたとおりでございますが、加熱製剤を承認をした後直ちに、各メーカーが自主的な回収を行ったわけでございまして、その結果を厚生省は受けたわけでございます。したがって、非加熱製剤についての回収の指示を行わなかったということでございまして、その回収につきましても、十一月までにほぼ終わったという報告を受けておるところでございます。
○山本(孝)委員 聞かないでおこうと思ったのだけれども、松村さん、答えていただけないので、もう一度質問させていただきます。 当時、厚生省を訪れてあなたにお会いになった患者さんの皆さんが、ちょうど欧州産のワインがヨーロッパから輸入されていて、そこに不凍液が混入をしていて大変危険だということで全量回収の指示が厚生省から出された、ワインは回収されている、我々の血液製剤も回収してくださいという話を厚生省になさった。そのとき、あなた、これは書いてあるものでしか私はわかりません、その場におりませんでしたので。こうおっしゃった。ワインは食品で一般国民に重大な影響を与えるけれども、血液製剤は市場が限られているから、そういうふうにお答えになって、随分と乱暴な答えだなというようなことで患者さんたちは怒っておられる。当時、あなたはそういうふうな回答をされたのですか。だれかの話を聞いているのじゃない、あなたの話を聞いているのです。(発言する者あり) 重ねてお願いします。きょうはたくさんの原告の皆さんが、あるいは患者の家族の皆さんがこの国会の審議の行方を見守っておられる。傍聴席が極めて限られているので、院内テレビを見ながら今あなたの答弁を待っておられると思います。当時、生物製剤課長という大変に重要な地位にあって、郡司さんからその仕事をお引き継ぎになって、そして血液製剤の危険性というのをどのぐらい認識されておられたのか。そして、なぜこの非加熱製剤というものを回収されなかったのか。 あなたは、原告だけではなくて国民の皆さんに答える義務があると私は思う。事実を明らかにしなければ薬害の再発は防げないとさっきから申し上げているわけで、さっきからの答弁にあるように、なかなかエイズの原因もわかりにくかった、血液製剤がこのエイズの感染の源になっているということはわかりにくかった、そういう状況はあるのだろうと思います。しかし、申し上げたように、危険なシグナルが出ていれば、それをとめる、あるいは回収するということは当時としてもできたのではないかという思いは極めて強いわけですね。 この非加熱製剤が全然回収がされないために、しかも、お医者さんたちは血友病の患者さんたちに、これは安全なんだから使いなさい、どんどん使いなさい。自宅でも注射ができるようになった。あなたは使っている回数が少ないじゃないかということで回数をふやされた。あるいは、加熱製剤が開発されたというニュースを聞いて、ぜひともに加熱製剤を使ってくださいというふうに患者がお医者さんに頼んでも、医者は、あなたはまだ家にある非加熱製剤を使い切ってから来なさい、それを使い切ったら加熱製剤を出しましょうというふうに言ったとこの本の中にもある。この間に随分とその被害が広がっていってしまう。 そして、「NHKスペシャル」にも出てきましたけれども、今も十一月までには回収したというふうにおっしゃるわけだけれども、翌年になっても、まだ残っている血液製剤を使ってエイズに感染する人が出てくる。一年に一回か二回しか使わないその血液製剤を打ったがためにエイズに感染したという人がいっぱい出てくるわけです。 その点について、あなたは今どういうふうに受けとめておられるのか。保健医療局長という大変に重要な地位におられて、当時の記憶が全く消えているというわけではないと思うのです。ぜひともに答えてください。
○荒賀政府委員 先ほど来御説明を申し上げておるとおりでございますが、この非加熱製剤を加熱製剤と交換する形で、メーカーが自主的に回収をいたしたわけでございます。 この血液凝固因子製剤は、先生御承知のとおり、血友病の治療に不可欠でございますので、この加熱製剤との交換によらずに一斉に回収をするというわけにもまいりません。これは治療のための製剤でございますので、そういった事情もあったものと考えておるわけでございます。(発言する者あり)
○和田委員長 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○和田委員長 それでは、速記を起こしてください。 山本孝史君に御了解を得たいと思いますが、本日は、松村保健医療局長はその任務で政府委員として出席をいたしておりますので、今山本孝史君の方からの質問につきましては、任務外でございますので答弁をさせていただくわけにはいかない。 そこで、今の山本孝史君の質問についての取り計らいについては、理事会で別途協議をさせていただいてしかるべく措置をおはかりしたい、こういうように思いますので、この場での質疑の内容についてはひとつ以上で御了承いただきたい、このように思いますが、よろしゅうございますか。
○山本(孝)委員 わかりました。 その役にあらずというか、自分の受け持ち範囲じゃないのでということですけれども、何か厚生省、身内同士をかばい合っておられるような、極めて悪い印象を持ってしまいますね。参考人ということで、ぜひお呼びをさせていただきたいというふうに私は思います。 さっき触れました持永さんも、ぜひ参考人ということでこの委員会の場に出ていただいて、当時の状況を、御自分の御記憶の中にあるものをぜひお示しをいただきたいというふうに思います。 参考人というのは、何か聞きましたら任意だそうですから、拒否をされる権利はあるそうですけれども、ぜひ、再びこういう薬害を防ぐためにも当時の認識をお示しいただきたい。大臣、その辺、ぜひ指導力を発揮していただきたいのですけれども。
○森井国務大臣 行政の継続性とか一貫性ということから申し上げますと、現役が責任を持って答えているわけでございまして、あなたの言われる理論でいきますと、それは、持永さんと松村局長だけでなくて、当時おった者全部呼べということになりまして、やはり審議の仕方としてはおかしいのではないかと私は率直に申し上げて考えております。 したがって、現役が責任を持ってお答えをいたしておりますので、ぜひそれで御了解をいただきたいというふうに思います。
○山本(孝)委員 大変に不満ですけれども、先に行かせていただきます。 さっきから言っておりますように、回収の指示はしていないというふうにこれまでの国会答弁でも厚生省はなさっておられる。その間に、非加熱製剤の在庫一掃が図られて、感染者がふえていったというふうに思います。 今もおっしゃいましたけれども、六十年の十一月には全部入れかわったという報告があるというふうに言っておられるわけですけれども、厚生省はこの報告を受けておられるのか。その報告の文書はありますか。あったら、この委員会に出していただきたいと思います。
○荒賀政府委員 この報告につきましては、当時、血液製剤メーカーで構成をしております日本血液製剤協会というのがございますが、そこに取りまとめて、そして厚生省に報告があったわけでございます。 各社における回収が終わった時点は、先ほど申し上げました十一月までにほぼ回収が終わったというふうに報告を受けておるところでございます。
○山本(孝)委員 ちゃんと答えていただけませんか。回収したという報告の文書は厚生省に残っているのですかということを聞いているのです。
○荒賀政府委員 私の手元には、それぞれ各社の回収の日にちについては承知をいたしておりますけれども、その現物を今私も見ておりませんので、その点については調べさせていただきたいと思います。
○山本(孝)委員 この六十年十一月に回収した報告があるのか云々というのも、松村さん、あなたが生物製剤課長であったときのお話です。 さっきも申し上げましたように、非加熱製剤が随分とそのまま使われていく、お医者さんはどんどん使うという話の裏側に、日米の薬価の違いが物すごくあって、結局、使えば使うほど病院はもうかった、お医者さんはもうかったという状況があるのじゃないか。そういう製薬会社あるいは血友病専門医の思惑が働いていたのではないかというふうに思いますけれども、その点の認識はどうでしょうか。
○荒賀政府委員 この回収につきましては、一九八五年、昭和六十年の七月に承認をいたしました後直ちに、メーカー各社が血友病患者が従来使用しておられた非加熱濃縮製剤と交換する形で自主的に回収に入ったわけでございますので、そういった意味で、薬価差により回収がおくれたというような事実はないものと考えております。
○山本(孝)委員 さっき文書の確認をお願いし、この委員会に提出をお願いしたわけですけれども、その当時の状況をぜひ確認していただきたい。 極めて素朴な私の疑問なんですけれども、今も業務局長がおっしゃった、交換という言葉を使われるのだけれども、交換というのは、ここに何か物があって、自分が新しい物をつくって、これをこうするのが交換で、差しかえをするのが交換ですね。当然、非加熱製剤は、出ていたものは回収されるというのがある。それをおっしゃっているのだろうと思う。だから、この回収の事実、古い製剤がどういうふうに回収されて、どういうふうになっていったのか、そのことが報告の内容になければ報告にはならないわけです。こちら側が、新しいものが古いものを追い出して、こっちはどこかに行かなければいけない。でも、結局はこれはみんな使われちゃって、そして使われ切った後に新しい加熱製剤が入ってくるというのは交換ではないのです。そこのところぜひ、当時の状況、資料、御関係者のお話等を含めてはっきりとしたものをこの委員会に出していただきたい。 委員長、ぜひその点よろしくお願いします。
○和田委員長 理事会で協議いたします。
○山本(孝)委員 この加熱製剤の認可が遅かったという話も、常にこれまでの委員会の中で出てくる話のそのとおりです。なぜ遅かったのか。当時の治験の担当をしておられた安部英さんがその期間を調整したのではないかというふうな、疑惑という形で常に指摘がされておられます。 業界への開発指示の時期はいつだったのかというのは、午後に坂口先生にお譲りしてぜひお話を聞いていただきたいと思いますけれども、この加熱製剤の承認という問題について、一点だけぜひ、これも私の極めて素朴な疑問としてお聞きをさせていただきたいのです。 六十年十一月十四日の衆議院社会労働委員会で、村山総理、村山富市議員が質問に立たれました。小林業務局長はこういうふうに答えておられます。第Ⅷ因子製剤の申請が出ましたので、「優先処理ということで大幅に審査期間を短縮して大急ぎで承認をして、もう市販されていると思います。」というふうに述べておられる。先ほども答弁の中にありました、期間をできるだけ短縮してこの加熱製剤が市場に出回るように厚生省は対応したのだというお話でありますけれども、一つだけ、議事録を読み返しておりまして、本当にそうなのかなというふうに実は思います。 委員長の御許可をいただいてパネルにしましたけれども、第Ⅷ因子製剤が製造承認をされたのは申請を出した五社ともに一緒、六十年の七月一日、みんな同じ、それはさっきの答弁にあるとおりです。そして、さっきも答弁の中にありました治験の開始は、トラベノールが一番早くて五十九年の二月、そしてミドリ十字が一番遅くて五十九年の六月、この間に四カ月の差があるわけです。 そして承認を申請した日、私はここを聞きたいのですけれども、トラベノールとカッターは六十年の四月三十日に承認の申請をしている。そして、ミドリ十字が一番遅くて六十年の五月三十一日。これは国会答弁の中にも厚生省がお答えになっているとおりで、こういう日にちになっております。 そこで私がお聞きしたいのは、大急ぎでこの承認をしたのですというふうにおっしゃる。大急ぎの割には、これは四月三十日に提出をしたのだけれども、実は薬の製造承認というのは、薬事審議会というものが開かれて、そこの審査を受けないと先に進みません。薬事審議会、ちょうどこの六十年の四月に開かれていました。四月の末に開かれていましたということで、具体的な日にちは書いてありません。ぜひ教えてください。六十年の四月の末に開かれていた。それにこの四月三十日に出されたトラベノールとカッターの承認申請は間に合いませんでした。この次、いつ薬事審議会が開かれたかというと六月十日です。六月十日に開かれて、製造承認が七月一日になされる。大急ぎで承認申請をして、期間を極めて短縮して加熱製剤ができるだけ早く患者さんに届くように厚生省は対応したのだというふうにおっしゃるわけだけれども、なぜ六月十日まで待たなければいけなかったのか。なぜこの承認申請が四月三十日というゴールデンウイークの真ん中に出てくるのだろう。五月三十一日のミドリ十字の申請を待って六月十日の薬事審議会にかける、そういう調整をしたのではないですかというふうに思われても仕方がない。 トラベノールもカッターも、既にアメリカでは加熱製剤の技術を持っている。もっと早くに承認ができたのじゃないか。厚生省がもし本当に大急ぎで承認をしたとおっしゃるのであれば、四月三十日に出てきたものを、五月の連休明けにでも開いて、六月十日まで待たなくてもよかったのじゃないか。 極めて素朴な疑問ですけれども、私は議事録を読み返してそういうふうに思うわけです。この点について、当時の状況はどうだったのか、業務局長、御答弁をお願いします。
○荒賀政府委員 厚生省におきましては、この加熱製剤の医薬品の有効性、安全性を判断いたしますために必要なデータの範囲を示しまして、適切な治験が早急に実施されますように、血液製剤メーカーに対しまして、一九八三年、昭和五十八年十一月に、承認申請の取り扱いについてという説明会を行ったわけでございます。この説明を受けまして、各社では、一九八四年、昭和五十九年二月ごろから承認申請のための臨床試験に入ったものであります。その後、一九八五年、昭和六十年四月末ごろから五月末にかけまして承認申請がなされたわけでございます。 厚生省といたしましては、できる限り早急に加熱処理製剤を承認いたしますために優先審査を行いまして、申請後一、二カ月という極めて異例の早さで承認をしたものでございます。したがいまして、承認時期を調整したというようなことについては、その事実はないというふうに考えております。
○山本(孝)委員 だから、承認申請を調整したのじゃなかったかと、調整したのは治験の担当者の安部さんだったのじゃないかというふうに言われているわけです。 私が聞いているのは、厚生省が、今も答弁にありますけれども、大急ぎで承認をしたのです、極めてこの期間を短くやったのですというふうにおっしゃるわけだけれども、四月三十日に出てきたものをなぜ五社そろって七月一日に承認をするという形に持っていかなければいけなかったのか。早く出てきたのだから、六十年四月の第一回目の薬事審議会がちょうど終わった後に出てきたので間に合わなかったから次の六月十日にしたのですとおっしゃるわけだけれども、当時の、加熱製剤の早い市場への出回りを期待しておられて、非加熱製剤の危険性を認識しておられてという状況であるならば、これは別に六月十日まで待たなくても、五月に臨時に開くことだってできたのじゃないか。そういうふうに開いておられれば、まさに御答弁にあるとおり、大急ぎにこの第Ⅷ因子製剤の加熱製剤を市場に出回るように厚生省は対応したのですというふうにおっしゃっていることに符合するけれども、私はそうは思えない。なぜそういうふうな対応をされなかったのですかということをお聞きしているのです。
○荒賀政府委員 加熱製剤の承認につきましては、一九八五年、昭和六十年の四月末日から五月末日に申請がございまして、これらの申請を一括して六月十日に中央薬事審議会血液製剤調査会に諮りまして、七月一日に承認をしたものでございます。通常の新薬の承認でありますと相当な時間を要するわけでございますけれども、一、二カ月という異例の早さで承認をしたものと考えておるわけでございます。
○山本(孝)委員 何回聞いても同じ答えしか出てこないから、しっかりそこは当時の状況をもう一度、今私が指摘したような点で見直しをしてください。 持ち時間に限りがありますので、もう一点だけ、このエイズ訴訟についてお伺いをさせていただきたいと思います。それは、血友病専門医と言われていたお医者さんたちの姿勢です。 六十二年五月九日の参議院の予算委員会、ここで、公明党の高桑先生が質問に立たれておられます。恐らく、これまでエイズの問題について一番熱心に取り組みをされてこられたのがこの旧公明党の高桑先生ではないかというふうに思いますけれども、この先生の質問に、当時の仲村保健医療局長が医者と患者の関係について答弁をされておられます。医者と患者の信頼関係が極めて重要、その信頼関係の中でエイズの感染を告知していただくのがよい、そういう医者と患者の信頼関係の中で治療が行われるのがよいという答弁を局長はなさっておられる。私も全くそのとおりだと思います。 問題は、患者が何とか助けていただきたい、いやしを求めて訪れているそのお医者さんの姿勢というのが一体どうだったのかという点です。 今回の裁判では、お医者さんはどなたも被告にはなっておりません。それは、医療の問題というものを裁判でやると極めて長期化してしまう。十五年、二十年とひょっとしてかかってしまうと、原告団が全滅をしてしまいます。そういう状況の中では医者を訴えることはできなかった、そういうふうにも聞いております。 しかし、これまでの経過を見てくると、安全だ安全だ、使いなさい使いなさいというふうにお医者さんは言い続ける、そして、告知をしないことで二次感染をして、自分の奥さんにもうつっていく、あるいは恋人にもうつっていく、そういう状況がいっぱい出てくる。それは、自分が安全だと言って勧めて使わせた血液製剤でエイズに感染をさせてしまうわけだから、その当時はわからなかったとしても、後になって気がついてみると、ああ大変なことをしていたと。その患者さんに告知をするということですから、これはお医者さんとしては多分極めて難しい判断というか、心の決断が要ったと思います。だからやらなかった。その心情はよくわかるのです。しかし、それによって物すごく被害がふえていっている。 こういう問題について、厚生省の答弁はいつも決まっているのです。医者というものの医療行為というのは、まさにこれは医者の裁量権の範囲の中であって厚生行政が踏み入るものではありませんというふうにおっしゃる。そして、今申し上げているように、国内産のクリオを使うにしても、あるいは非加熱製剤を使うにしても、それも選択をするのは医者の裁量権であって厚生省はそこには立ち入れません、お医者さん、どうぞお好きなようにやりなさいというのが厚生省のこれまでの姿勢になっているのです。 森井大臣、お忙しいだろうけれども、この「原告からの手紙」、これはお読みになったことがありますか。お読みになっていない。お読みになってなければぜひお読みください。一時間かそこらあったら読めます。 この本の中にいろいろなお医者さんが出てくる。眼科のお医者さんが息子の前で、これは両目とも失明すると宣告をしてしまう。いいですか、こういう患者さんもいるのですね。「あれ、君は知らなかったのかい? まだ話してなかったか。分かっていたと思った。実は君はHIVに感染しているんだよ。少し症状が悪くなってきたから、この薬を使ってみてくれないか」こういうふうに告知をされる。しかも、病院内の外来診療室で、周りには検査技師やほかの医師もいるという状況の中で、こういうふうな乱暴な発言をされるお医者さんが出てくる。 ある先生は、「昨年僕が入院していた時、先生は僕の病室に入ってきて、隣のベッドのエイズ発症患者のパジャマの裾を傘の先でめくって、足にできていたできものを診ていましたね。」これが血友病専門医ですよ。こういう医者がこの本の中には出てくるのです。そういうお医者さんの姿勢というのがある。 その反面で、厚生省のこれまでの答弁はずっと、医療行為は医者の裁量権の範囲の中だ、厚生省は、厚生行政はそこまでは立ち入れませんというふうにおっしゃるのです。 大臣、こういうお医者さんの姿勢をどういうふうに思いますか。
○森井国務大臣 非常に立派だと思います。――その本の中身を読んでおりませんから何とも申し上げにくいのですが、質問の趣旨がはっきりしておりませんので、もう一度できればおっしゃってください。
○山本(孝)委員 大臣、五千人からの血友病患者がいて、今、千六百人とも二千人とも言われる患者さんたちがその非加熱製剤のためにエイズに感染をして、そして、三日とか五日に一人という割合で命を落としていく。何でなんだ、なぜ私はこんな目に遭わなきゃいけないのだ、白衣を着た死刑執行人が出てきて、そんなふうに患者さんたちは思っているわけですよ。それ、みんなお医者さんですよ。松村さん、あなたもお医者さんですわな。みんな、これお医者さんですよ。 私、医者を十把一からげに言うと、この中にお医者さん多いから怒られてしまうけれども、私がかかっているお医者さんは大変に親切丁寧、一生懸命説明をしてくださいます。カルテも見せてくださって、こういう状況ですとやってくださる。 しかし、その対極にいるようなお医者さんの姿がいっぱいこの本の中に出てくるのです。患者さんたちがそんなに誇張を込めてこの本を書いておられるとは私は思わない。いつ発病するかわからないという状況の中で、極めておどおどしながら、しかし心の中に怒りを持ちながら、何でなんだ、なぜこういう状況になってしまうのだと。 それは、私が申し上げているように、厚生行政の極めて貧困があったし、当時の状況の悪さというものがあったと思いますけれども、私は、安部さんを初めとするこの中に出てくるいろいろなお医者さんがちゃんとした対応をしていればもっと状況は変わったじゃないか、そう思うのですね。ぜひお読みいただいて、医者の姿というものがどういうものなのか、もう一度考えていただきたいというふうに思います。 薬事法違反ではないかという御指摘もあります。問題は、やはり血液事業が極めて貧困だった、そういう背景がこの後ろ側に大きくあると思います。さっき、松村さんにしても持永さんにしても参考人としてぜひこの委員会に出ていただきたいというお願いをしましたけれども、問題は極めて深いというふうに思います。 さっきも委員長にお願いをしました。ぜひともにこの審議がこの委員会の中でできるように十分に御配慮をいただきたいというふうに思います。
○和田委員長 お申し出の件につきましては、理事会で協議をいたしたいと思います。
○山本(孝)委員 ぜひもう一つ聞いておきたい問題があるので、少しエイズ訴訟と違う観点でお聞きをさせていただきます。 いわゆるUS腎問題というのがあります。 六月七日に新聞やテレビニュースによって、東京女子医科大学の腎臓病センターが九三年から本年五月まで、アメリカから送られてきた腎臓十八個を十三人に移植をしたということが判明をしました。その臓器は、C型肝炎にかかっていたり、提供者が高齢であったという状況で、日本における移植の基準には合致しない臓器でした。そして、この四月から日本腎臓移植ネットワークというのが発足しておりますけれども、公平性、公正性を担保するためにできたこのネットワークの外を通って、本年四月以降五例の腎移植が行われております。 これらの患者の中には、佐倉のナショナルセンター、ここにこの臓器のためのセンターがありますけれども、そこに登録されておるHLAのタイプが東京女子医科大学が持っているHLAタイプと違う、そういう状況の中でこの移植が行われた。しかも、その移植をしたのはだれかといえば、このネットワークの設立にも深く関与をし、しかも移植学会の頂点に立っておられる日本移植学会理事長を務めていた太田和夫先生。その先生が自分がつくったネットワークの外を使ってこの臓器移植をなさっておられる、そういう問題が起きました。 ネットワーク発足後の四月十七日にアメリカから臓器が届いたときに、その対応策について厚生省はネットワークから相談を受けたというふうに聞きます。その相談を受けたのか、また、どのような対応策をそのとき決定されたのか、教えてください。
○松村政府委員 本年の四月十八日に実施されました第一回の移植に際しましては、前日に日本腎臓移植ネットワークの理事長が厚生省を訪れまして、米国からの腎臓が成田空港に既に到着している、なおまた、当該腎臓の対応方法を東京女子医科大学から早急に求められている旨の相談がございました。 そこで、私どももこの事案の性格にかんがみまして、今回に限り緊急避難的に、もう腎臓が届いているというような状況にございましたので、緊急避難的に東京女子医科大学での移植を認めざるを得ない、あわせて、その事後には報告をしてください、こういうことでその対応をとったところでございます。
○山本(孝)委員 今回に限り緊急避難的に認めましょう、そのかわり事後の報告を出してくださいということで、この四月十七日に届いた腎臓は移植をされました。緊急避難的に今回に限りと言っていたにもかかわらず、実はこの後、五月になって四例の移植がネットワークを通さずに同じように行われている。また、東京女子医科大学の説明では、いずれも研究として行ったというふうに言っております。 送られてきたから仕方がなかったということで、四月の腎臓は緊急避難的に今回に限り使われた。しかし、五月に四例来た。このことについては報告を受けておられるのでしょうか、あるいは後になってお知りになったのですか。
○松村政府委員 その後、五月八日、五月二十四日、五月二十六日に実施されました移植につきましては、実は残念ながら事前の相談はなかった、こういう理解でございます。 以上でございます。相談はございませんでした。
○山本(孝)委員 四月の分については緊急避難的に今回に限りということで例外的に認められた、しかし、まさかその後また四例も五月にやられるとは思っていなかった、それが今の厚生省のお答えであろうというふうに思います。 太田先生はいずれも研究として行ったというふうにおっしゃるのだけれども、研究だったらルール違反をしてもいいのかというふうに私は思います。患者は決して研究材料ではありません。そういう内容の悪い臓器を移植されて、しかも、厚生省は何らわからない。自分たちがつくったネットワークというものの枠の外を通ってこういう移植が行われる、自分でつくっておいてそのルールを自分で破る、それが移植学会の理事長であったという太田和夫さんという方でしょう。完全なルール違反ですね。こういうルール違反をする太田さんという人物、それを厚生省はどんなふうに受けとめておられますか。
○松村政府委員 実は、今委員御指摘のその第一回目の腎臓の移植の以後、日本腎臓移植ネットワークといたしましては、こういったことはもうしないようにということで保留の要請をしておった、こういうふうに聞いております。ところが、このネットワークの要請と太田先生との間で必ずしも意思の疎通が十分に行われていなかったことも考えられるのでありますが、これをネットワークの中の評価委員会というところで事実を評価をしております。やはりこれらの移植がネットワークの保留要請にもかかわらず行われたということは大変遺憾である、このようにネットワークも評価をしておるところでございます。 そこで、私ども厚生省といたしましても、このネットワークの中止要請が受け入れられなかったことはまことに残念であり、御指摘のように結果的には移植医療に対する社会の不信を招いた、こういうことであれば大変遺憾なことだと言わざるを得ないと思います。
○山本(孝)委員 さっき申し上げたように、その移植された腎臓は欠陥があったというふうに報道されているわけですけれども、移植を受けた患者さんにはこの臓器の状態などについてきちんとした説明がなされていたのか、きちんとしたインフォームド・コンセントがあったのか、その点は厚生省は確認をされておられますか。
○松村政府委員 個々の事例まで厚生省は現在把握していない、こういうことでございます。
○山本(孝)委員 ルール違反をされて大変遺憾であるという表現をされましたけれども、太田先生から直接事情を聞かれる、あるいは聞かれた、そういうことはありますか。
○松村政府委員 個々の事例についてはネットワークの方で太田先生から事情を聞いておる、このように承知しております。
○山本(孝)委員 腎臓の代金が一万ドル程度だというふうに報道されておりますけれども、このアメリカから来た臓器、腎臓一個一万ドル、これがどういう処理をされたというふうに厚生省は理解をしていますか。
○松村政府委員 この委員御指摘の経費、約一万ドルということは私ども承知しておりますが、この患者の費用負担につきましては、死体腎提供に係る費用を直接患者さんが米国側のネットワークに支払う、こういうことではないかというふうに認識しております。
○山本(孝)委員 ということではないかというふうにとおっしゃったので、ぜひこれは……。 そのネットワークは今立ち上がったばかりですし、この太田さんの事件があったがために今審査委員会の立ち上げも極めておくれている。そういう状況がある中で、さっきから私申し上げているように、医療行為だから、それは医者の裁量権の範囲だから行政は手が出せないのですということを言ってお医者さん任せにしてしまうということは、結局はお医者さんのやりたい放題になってしまう、そういうふうに思うわけです。今回も結局、太田さんから直接お話を聞くことはされておられない。最終的には移植医と言われている人たちの暴走を防ぐことはできなかったというふうに思います。 結局、女子医大においても太田先生の処分というものはなされていないのではないかと思いますけれども、これはもう一問質問を残している臓器移植法も含めて、ぜひ医学界が日弁連のような厳密な懲罰機構を持つべきではないか。自分たちの自浄作用が極めて働きにくい医者の世界というものがあるように思います。 医道審議会というのがありますが、医道審議会にかかってくる話は、脱税をしただとかレセプトの不正請求をしただとかそういう話で、医者の免許の停止が行われるだけであって、決して医療過誤だとか医療上の問題を起こしても医者がこの医道審議会にかかるということはない。富士見産婦人科のような、大変わかりやすいと言うと語弊がありますが、そういう医療問題があって、しかも裁判で決着がつけば、そこで医師が免許をとられるということになるのでしょうけれども、もう少し事前の歯どめというものはないのだろうかというふうに思うわけです。 最後に、森井大臣に臓器移植法についてお伺いをしたいのです。 私、さっきも申し上げましたように、非加熱製剤のエイズ訴訟の話、非加熱製剤がなければ助からなかったのです、あれ以外に治療の選択の余地はなかったのですというふうにおっしゃる。そういうふうにおっしゃることが、私には、臓器移植しか助かる道がないのですと言っておられるのと同じように聞こえるのですね。同じ過ちをまた今繰り返そうとしているのではないか。 しかも、今回の臓器移植法で、法律で、医者が臓器移植ができやすいように、行動しやすいようにということで、今そういうふうに道を開こうというふうにしているわけです。何遍も申し上げているように、そういう治療法の選択にしても、薬の選択にしても、全部医師の裁量の範囲内であって、行政は立ち入れない。お医者さんにフリーハンドを渡してしまおうという内容。しかも、そこで起こったことについてはほとんどチェックのしょうがない。 しかも、さっき大臣にぜひ読んでくださいと申し上げたように、この本の中にも出てくる。この本だけじゃありません。お医者さんの倫理観の低さというのは、さっきの太田和夫先生の例を引くまでもなく、程度の悪さというのは本当に目を覆いたくなるばかり。こんな人たちに自分たちは命を預けなければいけないのかという思いがいっぱいするわけです。 森井大臣は各党協議会の座長もお務めになって、大臣の御配慮によって、私もアメリカ、ヨーロッパの臓器移植の状況を視察する機会を与えていただきました。そういう状況はありますけれども、臓器移植法の提案者でおられて、今大臣のお立場ですけれども、どうしても臓器移植法と言われるのであれば、患者の権利法だとかあるいはカルテの公開義務だとか、あるいは今申し上げたような医道審議会の機能をもう少し活発にさせるだとか、それからインフォームド・コンセントにしても、説明と同意と言っているインフォームド・コンセントではなくて、理解と選択と言われるようなインフォームド・コンセントの体制をつくる。 どこまでも患者の自己決定権というものが、情報をちゃんと与えられて――自分はどっちなんだ、この製剤が危ないか危なくないかという情報も何も与えられないままに、医者がこれだこれだと言うままに使ってエイズになっていく。しかも、自分たちはこうじゃないのですかという情報を持ちながら、でもそこを避け切れない。そういう状況を見ると、もっと患者の自己決定権というのは保障されていいのじゃないか。 今の医療界の中に臓器移植法を我々が通すことで医者に新たなフリーハンドを与えるというのは、私はやはり賛成しかねる。この際、ぜひ廃案にしていただきたいというふうに提案者の皆さんにお願いをいたします。 臓器移植法は一遍医学界にお返しをして、医者の皆さんがもう一遍考えなさい。あなたたちが世間からちゃんと信頼を受けて、皆さんの祝福を受けてやれる体制をつくりなさい。厚生省は、今申し上げたような患者の権利法あるいはカルテの公開というふうな体制をつくりなさい。もっと患者側の人権と尊厳が守れるような体制をおつくりにならない限りは、この臓器移植法で医者に新たな道を開くということは私はやめるべきだというふうに思います。 今回の御質問でるる申し述べさせていただきましたけれども、そういう状況での私の主張、臓器移植法について今もお気持ちはお変わりないのか、あるいは考え直そうというふうに思われるか、最後に、大臣にそこのところをお聞きしたいと思います。
○森井国務大臣 御答弁申し上げます前に、ちょっと訂正をさせていただきたいと思います。 先ほどの医師の姿勢に対する御答弁で、立派ですと答えたように思いますが、これは質問の趣旨を取り違えておりました。エイズ患者の足元を傘の先で上げていくようなふらちな医師だと思いまして、医師の姿勢については問題があるというふうに思いますので、訂正をさせていただきます。 それから、臓器移植法案でありますが、山本先生も御存じのとおり、去年の四月十二日に国会に議員立法として提出をいたしました。当時は私が筆頭提案者でございまして、私から事務総長に出したわけでございますが、その前の各党協議会のときに、あなたも含めて御意見のあることは承知をいたしておりました。 したがって、これは、できた法案がかたくなにこのままでいいというのではなくて、幅広い意見を聞く、あるいは公聴会など十分やって、その上で納得のいくような形で法案をつくっていきましょうということで、ややその意味では法律案は問題を残したと私は思っておりますけれども、それにしても、御審議をいただく中から、必要ならば議員同士で、これは議員立法ですから、話し合いをしていただいた上でより立派なものをつくっていただく、そういうことでいいのではないかと思っております。 なお、厚生省といたしましては、医療現場の皆さんの声も届いてまいりますし、患者の皆さんも、臓器の移植をしなければ命が長らえることができないという患者さんもいらっしゃるわけでございます。しかも、現に外国にまで行って治療を受けるというふうなことになっておりますが、その外国も、だんだんもう外国人は受け付けない、自分の国だけで精いっぱいだという状況がだんだん来ておりますので、その意味ではやはり我が国に臓器移植法が何としても欲しい。 もう釈迦に説法になりますが、先進国で臓器移植ができないのは我が国だけでございますから、したがって、過去の経過からいきますと、脳死臨調で長い間議論をしていただき、閣議で決定をいたしまして、臓器移植の問題に取り組むという決定がございますし、山本先生が入っていただきました各党協議会もあれだけ長い期間、たくさんの回数をこなしまして、あの議員立法としてできたわけでございます。 それで、私は今提案者にはなれない立場でございますからこれ以上はなかなか申し上げにくいのでありますが、せっかくの法案があるわけでございますから、ぜひひとつ各党で御議論をいただきまして、早く成立ができますようにお願いを申し上げたいと思いますし、厚生省といたしましても、御協力ができるところはいかようにでも御協力をしたいということも申し上げておきたいと思いまして、ぜひ御協力をいただきたいと思います。
○山本(孝)委員 時間になりましたので質問を終わらせていただきますけれども、きょうのエイズ訴訟に見るお医者さんの姿、US腎の移植学会の理事長である太田先生の姿、いろいろなことを考え合わせる中で、私は、廃案にした方がよろしいのではないか、もっと体制をおつくりになった方がいい、そういうふうに申し上げているわけです。 残念ながら、初心に返って謙虚に私の主張を聞いていただけなかったようでまことに残念でありますけれども、委員長には、先ほどお願いをいたしましたように、ぜひ参考人をお呼びしてこのエイズ訴訟についての審議を深めていただきたいと思いますし、集中審議等もできますように御配慮いただくようお願いをして、質問を終わります。ありがとうございました。
○和田委員長 今、山本孝史君の方から、参考人ということで限定されて言われましたけれども、それも含めて協議をさせていただきたいと思います。 午後一時十五分より再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時三十四分休憩 ――――◇――――― 午後一時二十二分開議
○和田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。坂口力君。
○坂口委員 議論に入ります前に、森井厚生大臣にまだお祝いを申し上げておりませんので、まずお祝いを申し上げておきたいと思います。おめでとうございます。 さて、きょうはエイズの問題、前任者も行いましたので、私も少しエイズの問題を先にお聞きをさせていただきたいというふうに思っております。 今回、和解勧告が出まして、総論的には、この和解に国が応じてもらったこと、あるいはまた弁護団の方が応じてもらっていること、そうしたことを大変私も喜ばしく思っております一人でございます。 しかし、ここで明確にしておかなければならない点は明確にしておかないと、これから先またこうした薬害を起こすことにつながるおそれがある。もう二度と再び薬害を起こさない、前回のスモンのときにもこれを最後にしたいということでみんなが誓ったわけでございますけれども、またこうした事件が起こってしまった。もうこれ以上こういうことがあってはならない、そうした将来のために我々が誓いを立てるためには、やはりはっきりさせるべきところははっきりさせておかなければならない、こう思うわけでございます。 きょうは、午前中に局長さんの御答弁をお聞きをしながら、少し私と考え方を異にするところもございますので、そうしたところも織りまぜながら、もう一度、重なるところはございますけれども、お聞きをしていきたいと思います。 一つは、厚生大臣が今回のこの和解勧告に対しまして談話を発表になりまして、その中で三項目ばかり述べておみえになりますが、その一番最後のところで、「裁判所が法的責任の存否の争いを超えて広く社会的・人道的見地に立って早期に救済を図るべきとした和解勧告の趣旨に沿って、」云々、こう述べられているわけでございまして、きょう午前中の討論の中でも、何度かその言葉が出てまいりました。 もう一度この和解勧告をなぞってみたいと思うのですが、私も何度か読み直してみました。そういたしますと、この和解勧告に当たっての所見の中を、大きく分けますと四つか五つに分かれるだろうと思っております。 一つは、もともと血友病という先天的な疾病を持った人が何らの落ち度もないのに悲惨な死に至る苦痛を受けざる得ないことは社会的、道義的に容認できない、こういうことが述べられています。 もう一つは、医薬品に対する安全確保は厚生大臣が行う業務行政において最大の考慮を払うべき事柄の一つであり、とりわけ昭和五十四年改正後の薬事法においては特にそうであるということが述べられております。 もう一つは、「こと血友病患者のエイズに関する限り、血液又は血液製剤を介して伝播されるウイルスによるものとみるのが科学者の常識的見解になりつつあった」、微妙な言い回してはございますけれども、しかし、かなり明確にここは表現をされていると思うわけでございます。 そして最後に、厚生大臣は血液製剤を介して伝播されるウイルスにより国内の血友病患者がエイズに罹患する危惧があることを認識すべきでありと書いて、そして、中略でございますけれども、「かかる対策の遅れが我が国における血友病患者のエイズ感染という悲惨な被害拡大につながったことは否定し難い」こう述べられているわけでございます。 ここで、きょう昼までにも何度か出てまいりました法的責任でございますが、ここに述べられておりますことは、法的責任はさておき社会的・人道的見地に立って救済しようというのではなくて、法的責任を指摘しながら社会的・人道的見地に立って早期に救済を図るべきだと主張しているように私には読めるわけでございます。この点が少し厚生省の解釈と私の解釈とは違うように、けさからお聞きをしておりまして思いました。 したがいまして、もう一度私はここで確認をしたいわけでございますが、この勧告は法的責任を指摘した上で社会的・人道的見地に立って早期に救済を図るべきだ、こういうふうに言っておみえになると私は読むのですけれども、皆さんの方はどうもそういうふうには少しお読みになっていない。文字どおり「存否の争いを超えてこというふうにお読みになってる。「存否の争いを超えてこというのは、これは、法的責任はもう横へおいておいて、こういう意味ではないと私は思う。そこが皆さんとどうも少し私の解釈とは違う。 ここの点を明確にしておかないと、ここで業務局長が今後のことをどれほど口酸っぱく、そして言葉数も多くどれほど語られたとしても、私は、この点がきちっとしていないとそれは空文になってしまう可能性があるのではないか、ここを明確にとらえておいてもらったら今後にそれが大きく生かされるのではないか、問題はこの一点ではないか、こう思っているわけでございます。どのように表現するかは別でございますけれども、その点についてひとつもう一度見解をお聞きしたいと思います。
○荒賀政府委員 今回の和解勧告におきましては、「和解による解決の提唱」という第四番目の項目でございます。 被告国としても、法的責任の存否の争いを超えて、広く社会的・人道的見地に立って、被告製薬会社と共同して被害の早期、円満かつ適切な救済を図るとともに、エイズに対する研究をさらに進めて、これを根治できる治療薬の早期開発及び治療体制の整備拡充に向けて衆知を結集し、さらに、本件のような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることがないよう最善の努力を重ねることをあらためて誓約することこそが強く要請されるというべきであり、かくすることこそが広く国民の支持と共感を得るゆえんであると確信するところである。 というふうに述べておるわけでございます。 私どもは、大臣の先ほどの答弁でも申し上げておりますし、また、和解の席に着きます際の大臣談話でも申し上げておるわけでございますけれども、裁判所が法的責任の存否の争いを超えて広く社会的・人道的見地に立って早期に救済を図るべきとしたその趣旨に沿って、今後早期解決に全力を尽くしてまいりたい、そのような姿勢を持っておるわけでございます。
○坂口委員 ですから、その趣旨を私は聞いている。その趣旨に沿ってというその趣旨というのは何かとここで述べている。ここは余り詰めると皆さんぐあい悪い、こう言うかもしれないけれども、しかし、ここは大事なところでありまして、その趣旨とは何かということをやはりよくわきまえてもらわないといけないと思うわけであります。 先ほど申しましたように、その趣旨というのは、この和解勧告に当たっての所見をずっと読ませてもらいますと、かなり具体的に逐一今までの経過を追って、そして法的責任についても私は触れていると思うわけでございますが、これらの趣旨を踏まえてやるということでなければいけないのであって、ただ「法的責任の存否の争いを超えてこというこの言葉だけを取り上げて、そしてこれは横へ置いておいて、とにかく話し合いに着くのだというのではやはりいけないだろう。そうしなければ、またこうした問題を起こすことに結びついてしまう、そう私は言わざるを得ません。 したがいまして、ここのところは大変表現のしにくいところでございますけれども、しかし厚生省としては、今までの経過をずっと追ってみると、やはり胸に手を当てて考えれば、あのときにこうすればよかった、ああすればよかったということもたくさんあるのだろうと思うわけです。そうしたことをしっかりと受けとめて、そして、強い反省の上に立ってこの社会的・人道的立場で話し合いに応じていくということでなければならないと思うわけでございますが、先ほどおっしゃった趣旨とは何か、その中身をもう少し言っていただきたいと思います。
○荒賀政府委員 重ねて答弁をさせていただきますが、私どもは、この和解勧告の所見に示されている文字どおりの意味で受け取っておるわけでございます。 国の責任というところにつきましては、この前のところでございますけれども、「早急に救済すべき責任」というふうに指摘をされておるわけでございます。裁判所が指摘されましたこの責任につきましては重く受けとめておるわけでございまして、これらの指摘を踏まえて、裁判所が国に、法的責任の存否の争いを超えて早期に患者を救済すべき責任を有しているということで和解を提唱されておるというふうに考えておりますので、本件の和解により早期に解決をしていくことがかかる責任にこたえるものというふうに考えておるわけでございます。
○坂口委員 前段のところで、我々も責任を感じているというところはそのとおりかと思うのですけれども、すぐその後で法的責任の存否の争いを超えてとまた言うものだからよくわからなくなってしまう。どうかひとつ、皆さん方が法的責任の存否の争いを超えてということを言えば言うほど、何となく厚生省は逃げている、自分たちの責任はもう横へ置いておいてやろうとしている、そういうふうに思われるわけでありますから、そんなことは僕は余り言わない方がいいと思う。むしろ、謙虚な気持ちでこのテーブルに着かなければならないのではないか、こう私は申し上げているわけでございます。 大臣、私が申し上げていること、いささか言葉の足らない点もあるかと思いますし、もう少しうまく表現できればいいかとも思うのですが、私が言っております趣旨は御理解をいただけるだろうというふうに思います。 きょう午前中にもお話がございましたように、厚生省はずっと継続をいたしておりますので、大臣の任期中に起こったことでも何でもございませんけれども、しかし、これは継続していることでございますから、大臣の言うならば責任としてこれは処置をしていただかなければならない問題でございます。 ですから、今申しましたように、ただ法律的な問題は横に置いておいて、そして社会的・人道的な立場でこれを片づけるのだという紋切り調のそういうことではなくて、もっと温かい気持ちでと申し上げるべきか、患者さんに対して私たちが済まなかったという気持ちをにじませながらテーブルに着かなければ、やはりこれからの厚生行政に大きく影響を与えることができないだろう、これからさらに厚生行政を前進させることはできないだろう、そう思うわけでございます。その点、ひとつ厚生大臣の御見解を伺いたいと思います。
○森井国務大臣 結論的に申し上げますと、坂口先生のおっしゃること、痛いほど私はよくわかります。 ただ、経過を見ますと、この訴訟、もう数年続いているわけですね。そして、厚生省は厚生省の主張をずっと繰り返してまいりまして、一応弁論の終わった段階に来ているわけでございます。裁判所は、今度和解勧告をお出しになったわけでありますけれども、当然のことながら、原告からの要求も聞いておられるわけでございまして、結局、裁判の長い過程が続いたわけでありますが、一応弁論も終わって、この際やはり和解勧告を出そうということに裁判所が判断になりました。これは東京と大阪と両地裁が同時に、しかも同じ日にちの同じ時間にお出しになったというのは、私はよくよくのことだというふうに判断をいたしておるわけでございます。 これも率直にお聞きをいただきたいのですが、私の前任者がこの問題で発言をしたこともございますけれども、率直に言いますと、今までの厚生省の立場というのはやはり間違っていなかったという態度に終始をしたかに思うわけでございますが、前任の大臣から私に引き継ぎを今しているわけでありますが、当時とまた事情が変わっているのですね。最近はもう五日に一人ぐらいの割合でお亡くなりになっていらっしゃるというふうな現状などを見ますと、やはりこれは、前大臣の御発言もありましたけれども、私もじっくりとそれも考慮しながら、状態が変わっていっている、また国民の皆さんの感情、お気持ちも変わっていらっしゃるという判断をいたしまして、私なりに決断をさせていただいたという経過があるわけでございます。 けさほど来、政府委員が御答弁を申し上げておりますように、きゅっと締めつけてここが悪いじゃないかと言われますと、やはり議論をすれば時間のかかる話でございます。それは何としても避けたいという気持ちがあるものですから、さらに、和解の勧告の中身を見ますと、今話がありましたように、法的責任の存否の争いを超えて社会的・人道的にこの問題についての決着を図りなさいという裁判所の趣旨でございますから、私はやはり、坂口先生の御主張もわかりますけれども、ここは素直に、裁判所も原告と被告の両方の主張を当然お聞きになりながら、今申し上げましたように、存否の争いを超えてというところで最終的な結論をお出しになったというふうに私は判断をいたしておるわけでございます。 いずれにいたしましても、真摯な気持ちで和解の交渉に着くというその気持ちだけはひとつお酌み取りをいただきたいと思うわけでございまして、私もできる限りのことはこれからもしたいと思っております。あれだけの被害が出ているわけでございますから、お亡くなりになった方々への心からのお悔やみ、弔意と、それから、なお闘病中のたくさんの患者の皆さんに私はお見舞いを申し上げ、そういう意味でおわびもしたつもりでございます。ぜひ御理解をいただきたいと思います。
○坂口委員 大臣の真摯な気持ちでというその表現の中に大臣のお気持ちを酌み取らせていただいて、子としたいと思います。 もう一つ、午前中にございました問題で、少し具体的にお聞きをしたいと思っております。 それは、業務局長さんから、一九八三年前半、特に前半、まあ一九八三年ごろと申しますか、このころは原因がはっきりしていなかった、だからやむを得なかったのだというお話がございました。一九八三年、昭和で申しますと五十八年でございます。 それで私、このエイズに関する知見を、大体年代、月を追って、主に起こりましたことを一覧表にずらっと挙げてみたわけでございます。大臣のお手元にも一枚、先ほど差し上げたものでございますが、これをごらんいただきますと、一九八一年六月に、エイズ患者の第一号がアメリカで男性の同性愛者から見つかっておりまして、一九八二年七月に、血友病のエイズ患者第一号がアメリカで報告をされているわけでございます。そのころ、アメリカにおきましては、非加熱濃縮製剤が原因ではないかという疑いの声が既に出ていたわけでございます。 そして一九八三年、すなわち昭和五十八年三月に、加熱第Ⅷ因子製剤、これは肝炎対策ということでございますけれども、その中の一つがアメリカで承認になっております。一九八三年五月に、血液製剤加熱効果ということが期待できるということがアメリカで発表になっております。そして、この同じ五月にエイズウィルスが分離をされておりまして、これはフランスで、そして続いてアメリカで分離になっているわけでございます。当然のことながら、このニュースは世界じゅうを駆けめぐったわけでございますから、厚生省もこのことは十分に御存じのはずでございます。 そして六月に、厚生省エイズ研究班が設置をされております。この同じ六月に、アメリカのトラベノール社から、きょう午前中にも議論がございましたけれども、原料血液の供血者の中にエイズを発症した人がいるので製剤の回収を要請したい旨の文書が届いているわけでございます。 そしてこの七月に、一九八三年七月に、厚生省の言によりますと、輸入血液製剤にエイズ感染のおそれのない供血者からの採血である証明書添付を義務づける、こういうことが出ておるわけであります。これが一九八三年七月。 したがいまして、エイズ感染のおそれのない供血者からの採血である証明書添付を義務づける、これはこの時点ではまことに難しいことでございまして、実際問題としてこれはできたかどうかわからないと私は思うのですが、しかし、この時点で少なくとも厚生省の方は、エイズがウイルスかあるいは細菌が、そこのところの定かな判別はつかなかったかもしれませんけれども、もう五月にフランスやアメリカでウイルスが分離されているわけでございますから、多分これはウイルスだろうということがわかっていたわけでありまして、ウイルスだということが大体わかった上でそうしたウイルスを持った人からの採血でないことを証明するものを義務づけている、こういうことではないかと思うわけであります。これは大変難しいことでございますけれども、しかし、厚生省の中にそういう意思がなければこういうことは出てこないわけでございますから、厚生省はそういう意思を持たれたというふうに私は読めると思います。 そしてこの七月に、第二回のエイズ研究班会議がございまして、ここで主任の安部教授が、自分のところで診察をしておみえになります血友病B患者の中の一人にエイズと思われる人がいるというので、そこに症例を出しておみえになりますが、しかし、この研究会におきましては、それはエイズではないと、どういうわけか否定されているわけでございます。しかし、否定されましたけれども、その人は、その翌月の一九八三年八月に来日いたしましたアメリカの国立防疫センターの研究員でありますトマス・スピラ博士は、安部教授が示されました症例を見て、これは明らかにエイズであると認定をいたしているわけでございます。しかし、これらのことは、それから二年後の一九八五年五月まで発表されなかったわけでございます。 このように見てまいりますと、一九八三年七月から八月というのは大変重要な時期であったというふうに思います。 そして、衆議院におきます、今は厚生委員会でございますが、そのころ社労委員会でございましたが、一九八八年五月十九日の社労委員会におきまして、あるいはまたもう少し前の一九八八年三月十六日の参議院の予算委員会におきまして、当時の坂本業務局長さんから、日本においても加熱処理製剤の早期開発を製造業者に指示したということが述べられているわけでございます。また、そのことは医学雑誌でございます「医学のあゆみ 百四九-No2」に業務局生物製剤課の小野昭雄さんが書いておみえになりまして、一九八三年五月にアメリカ厚生省が加熱による効果が期待しうる旨発言したこと、研究班においてより安全な濃縮因子製剤の開発が指摘されたこと、などを踏まえて製造業者に対して加熱製剤を早期に開発するよう指示した。」こういうふうに述べておみえになります。 一九八三年八月には、厚生省の言によりますと、開発を製造業者に指示した。加熱処理製剤の早期開発を製造業者に指示したということは、これはもうそうしないと、加熱製剤でなければだめだというふうに厚生省がお思いになったからこういう指示をされた、こう思うわけでございますが、間違いございませんか。
○荒賀政府委員 お答えいたします。 一九八三年、昭和五十八年の夏ごろ、日本トラベノール社から厚生省に対しまして、米国における加熱製剤の承認申請データを提示をいたしまして、日本における加熱製剤の承認申請について相談があったわけでございます。厚生省としては、このデータを検討いたしました結果、同年の八月、副作用等の安全性の面で臨床検査データが必要であるというふうに判断をいたしまして、その旨日本トラベノール社に回答をしたものと考えておるわけでございます。 今お尋ねの、一九八八年、昭和六十三年の三月十六日の参議院予算委員会、同年五月十九日の衆議院社会労働委員会におきまして、厚生省薬務局長が、こうした経過を踏まえまして、五十八年八月に加熱製剤の開発を指示した旨の答弁をしたものと考えておるわけでございます。
○坂口委員 そこは違いますね。参議院の予算委員会におきましても、この社労委員会におきましても、トラベノール社なんというのは、その社名は一つも出てきていない。早期開発を製造業者全体に対して指示したという言い方になっている。それがなぜトラベノール社だけに今なったのでしょうか。 なぜこんなことをお聞きするかと申しますと、もうそちらの方はよくおわかりのことと思いますけれども、今回の裁判におきまして、裁判の中で厚生省は、当時の郡司課長さん、当時でございますから、課長さんは裁判の中で、そういう記憶はない、そうしたことを指示した記憶はないと全く否定をしておみえになるわけでございます。なぜ、衆議院、参議院において業務局長がきちっと答弁をされたことが、また、由緒ある医学誌に生物製剤課の方が論文として提出をされてその中にまできちっと書かれたことが、いつの間にそれはしなかったことになってしまったのか。今局長さんのお話を聞くと、それはトラベノール社が言ってきたから、そのトラベノール社だけのことだったのだ、こういうことにまたなったわけでございます。そういうことをすると、厚生省は何か隠しているのじゃないか、そういうふうにとられても仕方がないと私は思うわけです。 言うまでもなく、国民の代表であり、国民のための厚生省でありますから、当然、裁判の一方の方には座ってはいるでしょうけれども、しかし、国民の代表でありますから、国会で答弁をしたことと違うことをそこで言うということは、これは許されないことだと私は思うわけです。 なぜこんなことになっているのか。考えられることとすれば、厚生省がこの時点で加熱処理製剤というものを早期開発してほしいということをこの業者の皆さんに指示をしたということになれば、厚生省はその時点で加熱処理ということがいかに重要かということを知っていたではないかという論理になるので、内部論理の矛盾を来すから、そこを言いかえようということになったのではないか。 これは私の勘ぐりでございますけれども、私の言ったことがもしも当たっているとすれば、それは大変なことだと私は思うわけでございます。国会で答弁をしてもらったことは、堂々と裁判所におきましてもそれは主張してもらって、厚生省のそのときそのときの立場というものは当然あるとは思いますが、しかしその立場は、後を継がれた皆さん方も、やはりそれは率直に認めて発言をしてほしいと思いますし、また、そのときにそれを担当していただいた皆さんも、そのときのことは率直に発言をしてほしいと私は思うわけでございます。 何かこれに発言がございましたら、承りたいと思います。
○荒賀政府委員 ただいまの御質問につきましては、当時、日本トラベノール社から加熱製剤の開発承認について相談がございまして、一九八三年、昭和五十八年の八月に臨床試験が必要であるとの回答をしたことをもって加熱製剤の開発を指示した旨の答弁をしたものと理解をいたしております。
○坂口委員 業務局長さん、それは違いますよ。そんなことを坂本さんは言っていませんよ。あの前後のところからよく読んでいただいたらわかりますけれども、そういうことを言っていない。声高らかに、一九八三年の八月、その時点で私たちはもう早期にこの開発をしてほしいということを言っているのです。そういう意味で言っておみえになる。 だけれども、その言ったことが後で調子が悪くなってきたからといって、また全くそれをひっくり返してしまうというようなことは、これは厚生省のすべきことではないと思うのです。そんなことが重なりますと、厚生省は信頼されない省になってしまいますし、そして、厚生省の業務局長さんがここで、今後こういうふうにしたいのだとるるお述べになりましても、何かそれはそらぞらしいことに聞こえてしまうわけです。 ですから、私は何も無理なことを言っているわけではなくて、今まで主張をされましたことをなぜそう変えられるか。それはやはりおかしい。もしも違うことをおっしゃったとしたらこの議会を冒涜されるにもほどがある、私はそう思います。 私は、一九八三年七月、八月、この時点における動きを見ますと、これはやはり厚生省の中でも、早く加熱処理の製剤を何とかしなきゃならないというのが本心ではなかったか、予算委員会や社会労働委員会で御指摘になりましたことが本当ではなかったかと思うわけでございますが、後でそれをひっくり返されるから話がややこしくなってくる。私は、やはり初めに言われたことが本当ではなかったか。それは当然のことだと思うわけでありまして、何遍これを業務局長さんと行きつ戻りつやっていましても、違うことを言っておりましては時間がむだになりますので、これ以上申しませんけれども、しかしこれはおかしい、声を大にしておきたいと思います。 そして、これをずっと見ますと、やはり、一つは、この当時、そのトラベノール社から、原料血液の提供者がエイズを発症したので製剤を回収したい、こう言ってきたことを厚生省は世に明らかにしなかったといったこと、それから、来日いたしましたスピラ博士が間違いなくこれはエイズだと認定をいたしましたけれども、その血友病患者の方のエイズ認定の発表は約二年後、一九八五年の五月になったということ、あれこれこう考えますと、どうも厚生省はこの辺のところを何か覆い隠そうとしておみえになったのではないかというような印象を受ける。印象を受けるという言葉にとどめておきたいと思いますが、私たちはそういう気持ちになる。 だから、厚生省がそういうことであってはいけませんので、国民の健康を預かる厚生省でありますから、やはりここは、ひとつもっとオープンにして、そして、国民の中に飛び込んで国民の健康を守るということにしてもらいたいと私は思うわけでございます。そういたしませんと、その辺がきちっと整理ができて本当に厚生省としては反省をしなければならぬという気持ちがなければ、この後の交渉も、そしてまたこの後のさまざまな問題の処理に対しましても的確な手が打てない、そしてまた再発予防ということに対しましても的確な手を打つことができ得ないのではないか、こう思います。この辺のところをひとつ十分お考えをいただきたいと思います。森井厚生大臣は、先ほど真摯な気持ちでというお言葉ですべてを表現をしていただきましたから、どうぞひとつ真摯な気持ちで解決に当たっていただきますようにお願いを申し上げておきたいと存じます。 最後に、大臣から、もしございましたら何か一言お言葉をいただいて、このエイズの問題を終わりたいと思います。
○森井国務大臣 坂口先生の貴重な御意見を私も先ほどから拝聴させていただいておりまして、まさにおっしゃるとおり、私も真摯な気持ちでこれから取り組んでいきたい、また、そのための指示も役所の皆さんにもこれから出していきたいというふうに考えております。
○坂口委員 それでは、次の問題に移らせていただきたいと思います。 実は、やはりこれは医師に絡んだ話でございまして、きょう午前中にも医師に絡んだ話が次から次に出てまいりまして、どうも医学部出身者、肩身の狭い思いでございますが、最近のオウム真理教の一連の事件をずっと見ておりますと、この事件そのものは我々の全く予期せざることでございましたが、特にこの事件の中で目立ちますのは、最高学府、しかも一流の最高学府を卒業した教育レベルの高いと思われる人々がその中心的役割を果たしているということでございます。 とりわけその中で、医学部を卒業して、そして大衆の健康を守る役割を持った医師たちが、しかも、若い、情熱を持っているはずのこの医師たちが、人々の生命を奪う立場の役割を演じているということでございます。六年間の医学教育を終えまして、中にはさらにそれから四年間行っている人もありますし、臨床研修を積んでいる人もあるわけでございますが、その長い教育を受けた人たちがなぜこういうことになったか、私は何度も考えてみるわけでございます。大変残念なことだというふうに思えて仕方ないわけでございます。 きょうは法務省にお越しをいただいておりますので、ちょっと法務省にまずお聞きをしたいと思いますが、今回、オウムの一連の事件で起訴されました医師は何名で、起訴まではいっていないけれども関連していると思われる医師、そこまで挙げていただくことができるのかどうかわかりませんが、何名なのか、お答えをいただきたいと思います。
○小津説明員 一連のオウム真理教関連事件につきまして、検察当局がこれまでに公判請求したものについてだけ申させていただきますと、被告人が医師または医師であったと把握しているものは七名であると承知しております。
○坂口委員 私の方でも、これは厚生省の方から資料をちょうだいしましたが、それを拝見しますと、逮捕あるいは逮捕状の出ている人は八名でございまして、その中で起訴されている人は七名でございましょうか、もう一名、逮捕状が出ている人があるというような状況でございます。 それで、戦後五十年たつわけでございますが、医師が一連の事件にこんなにも多く関与したことが一体あるのかどうか。一連と申しましても、今回、内容はさまざまではございますけれども、一連というふうに申し上げてよろしいかと思うわけですが、この五十年の間にほかに医師が複数で起訴されたことがあるのかどうか、あわせて法務省にお聞きしたいと思います。
○小津説明員 法務当局で把握しております事件のうち医師による刑事事件、これはさまざまな罪名のものがあるわけでございますけれども、御指摘のように、非常に多くの医師が関与しているというものは承知はしておりません。 ただ、御参考までに申しますと、比較的最近、同一の業者からそれぞれわいろを収受したということで、それぞれ別々にでございますけれども、一名ずつ合計二名の医師が収賄罪で起訴されたという事件を承知している程度でございます。
○坂口委員 ありがとうございました。 医師が薬剤を投与するとかあるいは注射を行う、あるいは医療機器を使って医療行為を行う、これは当然認められているわけでございます。これらは、医療法に述べられておりますように、「医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、」こう第一条に書いてございます。「医師、歯科医師、薬剤師、看護婦その他の医療の担い手は、第一条の二に規定する理念に基づき、医療を受ける者に対し、良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならない。」こう引き続いて第一条の四で規定しているわけでございます。したがいまして、医療を受ける者に対して、医療の理念に沿った治療をするというのはいいわけでございますが、しかし、医療の理念に背いた医療行為を行うことは、当然のことながら、これは禁じられていると思います。 今回の事件、例えばチオペンタールナトリウムという麻酔をかけるというようなことがよく報じられておりまして、これで麻酔をかけてさまざまなことをインタビューする、しゃべらせる、あるいは電気ショックをかけて記憶を消去する、あるいはマインドコントロールのための薬剤を投与する、こうしたことが、マスコミを通じてでございますけれども、報じられております。 こうしたことは、当然のことながら、目的を間違っているわけでございますから医療法にも反しているというふうに思うわけでございますが、もう時間がございませんから私の方でお話を申し上げますが、厚生省の方でお聞きをしましたら、これは医療法の中の処罰対象ではないのだそうでございまして、刑法の対象であって医療法の対象ではないということでございます。しかし、それにいたしましても、医療法の目的に反していることは言うまでもございません。ましてや、監禁だとか暴力だとかあるいは住居侵入だとか殺人だとかというようなことはいわんやでございまして、これはもう例外でございます。 私は、なぜこんなに多くの医師がこのような事態になったのか。厳しい競争の中からよりすぐられて出てきた人たちでありますし、長い教育を受けているわけでありますから、それ相応の判断力というものは当然あるはずでありますし、この八名の方の出身校を見ましても、別に偏ってはおりませんで、それぞれ違った大学の出身者でございます。中には国立大学の出身者もおみえでございます。だから、こういう人たちを生み出した背景というのは一体何なのか、きょうは文部省にもお越しをいただいておりますので、その辺をひとつお聞きをしたいわけでございます。保 文部省の方に、どうしてこういうふうになったと文部省はお考えになっているのか、そしてもう一つは、国立大学において一人の医師を養成するのに大体どのくらい財源としてかかるのか、その辺もあわせてひとつお答えをいただければありがたいと思います。
○木曽説明員 お答えいたします。 まず、国立大学で医学部学生一人当たりどのくらい経費がかかっているかということでございますが、平成五年度の数字で推計いたしますと、学生一人当たり年間約五百一万円、五百万円の経費がかかっているということになっております。 それからお尋ねの、この原因いかんということでございますが、今回のオウム真理教の事件につきましては、確かに医師、医学部学生がかかわっていたわけでございますが、これらの者の入信につきましては個人の信仰によるもので、さまざまな個人的あるいは社会的な背景があるものと考えております。いずれにいたしましても、極めて特異な事件であろうというふうに認識しております。 なお、医学教育につきましては、先生御指摘のとおり、基礎的な知識、技術以外にも、特に倫理観の育成、患者との信頼関係の構築等、医者としての基本的態度、習慣を習得させるということが非常に重要であると認識しておりまして、文部省では、このような点に十分配慮するよう各大学に要請してきたところでございますが、今後とも一層カリキュラム改革等の推進を促してまいりたいというふうに思っております。
○坂口委員 私などが大学を出させていただきましたときですら、非常に学ぶべきことが多くて、詰め込みに詰め込みであったわけでございます。そのころと比較をいたしますと、最近はさまざまな理論あるいは技術が進歩いたしておりますし、あの当時に比べますと今はまたさらにふえていることも、これは当然考えられることでありまして、限られた時間の中でそうした多くのことを詰め込んでいることは間違いないというふうに思いますが、それだけにやはり、何かもう一つ学ばなければならないことを忘れているのではないかという気がしてなりません。 その辺のところを今後どのようにしていくのかということは、これは医学教育だけではなくて、教育全般にとって大きな問題ではないかというふうに考えておりますが、厚生省の方は、医師の生涯教育も含めまして、こうしたことが起こりましたことについてどのようにお考えになっているのか、ひとつ承りたいと思います。 〔委員長退席、衛藤(晟)委員長代理着席〕
○谷(修)政府委員 先ほど来お話のございます、オウム真理教の事件に関連して多くの医師が逮捕あるいは起訴されているということについては、大変遺憾なことだというふうに思っております。 先ほど先生もお述べになりましたように、医師は人の命あるいは健康を扱う職業でありますし、また、高い倫理観と豊かな人間性が要求をされているというふうに考えております。そういう意味で、今回の事件というのは非常に特異な事件ではありますけれども、その一方で、医師の倫理の問題というのが改めて問い直されているのではないかというふうに認識をしております。 このような医師についての処分という問題につきましては、今後、刑が確定をした後に、医道審議会において厳正に対処をしていくということでございます。 先ほど来お話のございます医師に対する教育という観点で、私どもの立場といたしましては、臨床研修におきます卒後教育の中で、さらに全人的な医療、これは従来からそういう形でもってかなり改善をされてはおりますけれども、さらにそのような面で充実をさせていかなければいけないということと、医師の国家試験に当たってもそういったような観点から対応をしていきたいというふうに思っております。
○坂口委員 本来なら、私は一番最初にこれは述べるべきことだったと思うのですが、現在起訴されている状況でありまして、これから裁判でございますから、刑が確定したわけではございません。したがいまして、この人たちを即、刑が確定したかのごとく扱うことは大変失礼なことだというふうには思いますけれども、マスコミ等の状況を拝見いたしておりますと、ほとんどの方がやはり事実を認めておみえになるというような状況でございますので、あえて私はきょう申し上げたわけでございます。 大臣、こうした多くの人たちが、特異な事件とはいいながら、最高の教育を受けながら、しかも国立大学等も出た人も含めまして、その教育で本来受けたこととは全く違った方向に行ってしまう。大変残念なことだと思うわけでございます。我々といたしましても、こうしたことを十分にひとつ考えて、今後の制度のあり方等も考えていかなければならないというふうに思いますが、大臣の御所見をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
○森井国務大臣 先ほど来語がありますように、オウム真理教の事件に関連をして多くの医師が逮捕、起訴されたということは、まことに残念であり、極めて遺憾でございます。 申し上げるまでもありませんけれども、医師は人の生命、健康を扱う職業でございまして、高い倫理観と豊かな人間性が要求されるわけでございます。今回の事件は非常に特異な事件ではありますけれども、その一方で、医師の倫理の問題を改めて問いかけているものというふうに認識をいたしております。 このような事件が二度と起こらないようにするためにも、今回問題となっております医師について、罰金以上の刑が確定をすれば、医道審議会の意見を聞いた上で厳正に処分をしたいと思っております。現に、今月の五日に判決が出ておりまして、これは確定判決になっておりますが、医道審議会に諮って処分を行いたいというふうに考えております。 また、医師の倫理観の醸成を図るために、これまでも国家試験の内容の改善や率後臨床研修等の充実に努めてまいりましたけれども、今後とも一層努力を行ってまいりたいというふうに考えております。
○坂口委員 終わります。ありがとうございました。
○衛藤(晟)委員長代理 岩浅嘉仁君。
○岩浅委員 与党席が少ないのですが、質問に入らせていただきます。医療保険財政あるいは痴呆性老人問題、そして保育と、大きく三つに分けまして質問をさせていただきたいと思います。 まず、医療保険財政についてでございます。 高齢化に伴う社会保障コストとしましては年金や福祉が注目されがちでありますが、医療に要する費用も高齢化の進展に伴いまして級数的増加は避けられない現状でございます。先日公表されました政府管掌健康保険の平成六年度の決算を見ますと二千八百九億円、過去最大の赤字となっておりますし、また、組合健康保険の決算状況を見ましても半数を超える組合が赤字となっているなど、医療保険財政は大変厳しい状況にございます。 政府として、このような状況を踏まえ、二十一世紀に向けて長期的見通しに立った抜本的な改革を行っていかなければならないと考えますが、厚生省として、現在のような状況、特に平成六年度の赤字の状況等をどのように認識し、今後どのように対処していくつもりか、新大臣に御決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
○森井国務大臣 医療保険財政は、高齢化の急速な進行に伴う医療費の増大、経済基調の変化による保険料収入の伸び悩みなどによりまして、御指摘がありましたように、各制度とも残念ながら赤字構造となっておりますが、今後ともかつてのような高度成長はもう期待できないということから、極めて厳しい状況に置かれているというふうに認識をいたしております。 このため、医療保険審議会において、今後の医療保険制度のあり方について幅広い観点から御審議をいただいているところでございます。去る八月四日に、論点整理的な中間取りまとめを行われまして、まず医療費の適正化、これが一番急ぐと思うわけでございますが、まず医療費の適正化を行うこと、それでも国民所得の伸びを上回って国民医療費が増加する場合には、保険料、国・地方公共団体の負担、給付の範囲の見直しや患者負担のあり方について総合的に検討する必要性が指摘をされているわけでございます。 医療保険制度の今後のあり方につきましては、国民の方々の関心が大変に高い問題でございまして、その厳しい財政事情も含め広く情報を提供いたしまして、関係審議会でも十分な御議論をいただきながら検討を進めていきたいと考えております。
○岩浅委員 今御検討されておられるところでございますが、医療保険制度のあり方を幅広く検討する、これはもう当然のことでございます。 足元を見詰めますと、よく言われるのですが、我が国の医療費の中で薬剤費ですね、薬剤費率、日本が約三割、フランスは一九・九%、アメリカは一一・三%、欧米諸国に比べてこういう指摘もされておるわけでございます。まだまだむだが多い部分があるのではないか、そういうことも指摘をされております。 今後、国民の負担が過大なものとならないよう、医療保険制度の見直しに先立って医療費の非効率なところやむだなところを改めていく、こういうことを真剣に模索をしなければならないと思うのですが、いかがでございますか。
○森井国務大臣 御指摘のとおりでございまして、医療費のむだは何としても省いていきたいというふうに思っております。 高齢化の進展に伴いまして、昨今、老人医療費を中心にして国民医療費が年々増嵩をすることは避けられない状況になっているわけでございます。 このために、医療保険審議会の中間取りまとめにおきまして、まずは老人医療費を中心とした医療費適正化の必要性が指摘されておりまして、監査指導体制の強化等、従来からの医療費適正化対策はもとより、新たな高齢者介護システムの検討等を通じて介護を要する高齢者によりふさわしい処遇の確保を図ることによりまして、介護を主とするニーズとして高齢者が長期入院している、いわゆる社会的入院とも言われるようなものでありますが、そういった問題の解決に取り組みますとともに、疾病予防等の健康づくり対策や、新技術の保険導入に当たっての費用対効果分析の実施、医療機関の機能分担と連携促進の検討など、幅広い視点に立った総合的な医療費適正化対策に取り組んでいきたいというふうに考えております。 これらの課題につきましては、現在、医療保険審議会におきまして、あるいはまた中央社会保険医療協議会、さらには老人保健福祉審議会等で御審議をいただいているところでございますが、その審議の状況も踏まえながら、高齢社会にふさわしい良質かつ適正な医療を効率的に確保できるように全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。
○岩浅委員 今答弁の中にありましたが、医療主導から介護主導、特に高齢者対策はこういう側面が強くこれからなっていくと思うのですが、それに関連しまして、施設中心から在宅中心というのが基本的な老人対策の流れになると思うのです。特に痴呆性老人につきまして、家庭における介護力には、これは当然御承知のとおり限界があるわけでございまして、今後、痴呆性老人対策をどのように進めていくかというのは要介護高齢者対策における大きな課題だと言われております。 最近、老人性痴呆についてはグループホームというものが脚光を浴びてきております。スウェーデンではこの施設が大変普及をいたしております、御承知のとおりでございますが。その発想の中には、痴呆の病気の部分は治せないが症状を和らげることが可能だ、そのために、老人性痴呆症の患者については、大きな病院や施設ではなく小さくて家庭的な雰囲気で介護をする、あるいはスタッフと二十四時間一緒に生活をする、そしてその生活をのんびり楽しむというケアの方法が痴呆性症状を改善するということがスウェーデンで発見をされまして、グループホーム制度というものがより広く普及をいたしておるようでございます。 日本におきましても、このグループホームという発想は非常に有効な施設だ、考え方だ、特に日本には適しておるのではないかと私は考えるわけでございますが、厚生省の方はどうお考えでございますか。
○羽毛田政府委員 お話しの痴呆性老人対策の重要性ということにつきましては、私どもも十分認識をしておりまして、今度の新ゴールドプランにおきましても、痴呆老人対策というものを今後の施策の重要な一つの基本的な柱という形で取り上げているところでございます。 さてそこで、先生御提案の痴呆性老人のグループホームの関係でございますが、先生から今御紹介ございましたように、これは一般的には、通常の家屋でございますとかあるいは病院だとか施設だとかの一部を改造いたしまして、小規模な住まいといいますか住空間をつくりまして、そこで小人数の痴呆性老人の方々が専属のスタッフのケアを受けながら共同生活をされるということで、それについては、これもお話ございましたとおり、北欧などでは相当普及をしているというふうに私どもも承知をいたしております。ただ、残念ながら、我が国ではまだ取り組みは緒についたばかりでございます。 したがいまして、私たち、こういう状況を踏まえまして、ちょうど本年の一月に全国社会福祉協議会に設置をいたしました調査研究委員会におきまして、この調査研究施設を指定をいたしまして、全国八カ所くらいでございますが、指定をいたしまして、その利用対象者だとかあるいはサービス内容、事業主体あるいは経費等の基本的な事項について、今鋭意検討調査を行っていただいているところでございます。これがちょうど平成七年度末までに報告書をお取りまとめをいただくということになっておりますので、私ども、その調査研究結果を十分踏まえまして、今後これを我々の痴呆性老人対策という中にどういうふうに位置づけ、どう考えていくかということを結論を出してまいりたいということで、今鋭意検討をいたしておるところでございます。
○岩浅委員 私は、先ほど申し上げましたように、これは非常に日本に合致しておる仕組みではないかと注目をいたしておるのですが、痴呆症というのは、最近は老人だけでなく四十歳代、五十歳代、いわゆる若年性痴呆の出現も問題になってきております。こういう方は精神病院にお世話になるというのが現状なんですが、将来このグループホームというものを普及させていくということになれば、単に六十五歳以上のお年寄りだけに限ってそれを対象にしていくのか、あるいはこういう四十歳、五十歳代の若年層の痴呆性患者、こういうものも視野に入れてこの施設をつくっていくのか。さらには、そういう制度、仕組み、そこまで踏み込んで国として考えるお気持ちがあるのかどうか。
○羽毛田政府委員 現在、老人性の痴呆の方あるいは初期の初老期痴呆の方というような形で、いろいろな段階における痴呆の方々につきましては、例えば特別養護老人ホームなんかですと、通常六十五歳以上ということですけれども、特別に必要な人はさらに年齢を若くする、老人保健施設につきましても初老期痴呆も対象に見ていくというような形の中で施設そのものを弾力的に見ていく、もちろん症状によりまして精神医療の領域での対応もしているということで、それぞれやっているわけです。 さてそれで、その中で先生御指摘のグループホーム、今後その利用対象者をどういうふうに考えていくかということのお尋ねでございますけれども、これにつきましては、先ほど申し上げましたような、実は目下その報告書に基づく検討をこれからいたしましょうという段階でございますので、こういったことにつきましても、今度出ます調査研究委員会において幅広い御検討をお願いいたした上で、その検討内容でございますとか、あるいは現在痴呆性老人を処遇している施設につきまして、先ほど申し上げましたように、現行施設なり、あるいは在宅サービスというものも六十五歳未満の初老期痴呆の方々も対象にしながらやってまいっておりますので、そこらあたりの兼ね合いも考えながらもう一回しっかり検討させていただきたいというふうに思っております。
○岩浅委員 国土が狭くて地価が高い日本ですから、小さな面積でこういう施設がつくれるということは、私は、お年寄りの満足の面だけでなくコスト的な面からもぜひ注目に値する施策になるのではないか、積極的にお取り組みをいただきたいと思います。 次に、保育費の保護者負担について伺っておきたいのです。 連合が行いました女性の就業と保育に関する調査報告を見てみますと、就業女性の保育制度に対する要望として最も多いのが保育費の負担の軽減でございます。現在の国の保育料、つまり保護者負担金の徴収基準は高過ぎるという声が強いわけでございます。 例えば、国の徴収基準によると、所得税区分で二十一万円以上から四十三万円未満の階層、これは夫、妻、子供二人の家庭でおおむね年収で六百五十万から八百万程度の階層の世帯に当たるわけでございますが、この場合、月額で三歳未満児の場合五万七千円、三歳以上児の場合五万四千円を限度とする保育単価が徴収基準額とされておりますけれども、この水準について国はどういうふうに考えておられますか。
○高木(俊)政府委員 保育料の徴収基準でございますが、これは、今先生が御指摘の階層、かなり負担が重いのではないかという声もございます。 これまでも、この保育料の徴収基準につきましては、保護者間の均衡の問題あるいはまた負担感、こういったものに配慮しながら徴収基準の水準というものを改定してきたわけでございます。ただ、これは現在の保育制度そのものと相当密着しておりますから、そういった意味で、抜本的にこの辺のところを検討するということになってまいりますと、制度全体についての検討と絡めて考えていく必要があるだろうというふうに考えておるわけでございます。 これまで保育問題検討会というようなものの中でいろいろ御議論が行われてまいりましたけれども、私ども、この保育料のあり方につきまして、保護者の負担能力あるいはまた負担感、公平感、こういったようなものを踏まえまして今後とも引き続き検討していきたい、このように考えております。
○岩浅委員 月額で五万七千円ということは年額で七十万円近くになりますし、年収の十分の一になる。また、同一世帯から二人以上入所している場合は、原則として二人目は基準の半額、三人目以降は基準の十分の一額と軽減策がとられておりますが、それでも年間の負担は百万円に達するわけでございまして、こういう現状にかんがみ、地方の市町村では軽減措置が行われております。私ども、地元でも市町村の徴収額は国の基準額の約八〇%でございまして、財政基盤の弱い町村にとって大きな負担にもなっておるわけでございますが、この点、どう考えられますか。
○高木(俊)政府委員 この保育料につきましては、先生御指摘のとおり、各自治体で軽減措置を講じておるところもかなりございます。 国の方の基準、これをまずどの程度の水準にするかということについて、先ほど申し上げましたように引き続き検討していかなければいけないわけでありますが、それを踏まえて各自治体がまたそれぞれの地域の状況においてどの程度に軽減措置を講ずるかということはあろうかと思いますけれども、まず国の基準につきまして、私どもとしては負担感等々も考えながらやはり検討していかなきゃいけないな、こんなふうに考えておるわけでございます。
○岩浅委員 初めに国家ありきというお考えだと思うのですけれども、エンゼルプランで、子供を持ちたい人が安心して出産や育児ができるようにと大変高邁な理想を掲げておりますけれども、実際問題として、こういう負担の問題でなかなかそれは現実のものになっていかない。これは改善していかないと、人口をふやすといったって、これはやはりできないと思います。実際の生活の現状を見ながら考えていかなければならないのではないかと思います。 次に、保育所の保母の配置基準についてお伺いいたします。 現在は、零歳児は三人につき保母が一人、一、二歳児が六人につき保母が一人、特にこの一、二歳児の六人につき保母が一人というふうに大変きついわけでございますけれども、三歳児が二十人につき保母一人、四歳児以上は三十人につき保母一人という最低基準がうたわれておりますけれども、緊急保育事業を着実に推進するためにも、この基準というものを見直すべきではないかと思うわけでございます。 実際問題として、地方の市町村は独自の裁量でもって保母を加配をいたしております。国もこれに倣うべきだと思うのですけれども、実際、現場が御苦労されておる基準というものを尊重しなきゃいけないのじゃないか、そう思うのですけれども、いかがでございますか。
○高木(俊)政府委員 保育所の保母の配置基準でございますけれども、これまでも、現行の配置基準に立ちまして、さらにそれにプラスアルファする形で、いろいろな保育ニーズに対応した形での充実というものを図ってきてまいりました。 昨年つくりました緊急保育対策等五か年事業の関係で申し上げますと、非常にニーズの高い低年齢児保育あるいは延長保育、こういったものを計画的に推進していこうということでございますけれども、この計画を着実に推進するために、こういった保育所の数をふやしていくということとあわせて保母の充実というものも盛り込んでおるわけでございます。 そういった意味で、これからも保育所の保母の充実、これにつきましては努力をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○岩浅委員 この項の最後なんですけれども、次に、延長保育、夜間保育、一時的保育等の特別保育事業に関する補助基準でございますが、現行の補助要件は、夜間保育、延長保育については利用人数が常時六人以上であること、一時保育については非定型保育サービスの利用人員が常時十人以上であることとされております。都市部はともかく、これは過疎市町村では補助の対象になることが困難である、補助要件の緩和を図るべきではないかと思うのですが、いかがですか。
○高木(俊)政府委員 延長保育などの特別保育事業、これに対する国庫補助の要件でございますけれども、考え方としまして、ある程度やはり対象人数がまとまった保育所に対して補助をするということでやっておるわけでございますけれども、今後、ただいま御指摘のありました人口の少ないようなところ、なかなかこれではやりにくいという話がございます。 そういった意味では、これから国庫補助の対象要件をどうするか。一つには、これまでのように、ある程度の規模ということも必要だろうと思いますが、一方、地域の実情に見合った形での補助制度というものがやはり大切でございますから、この辺のところをどう調和を図って適切な補助制度とするかということでございまして、私ども、引き続きこれから検討をさせていただきたい、このように考えております。
○岩浅委員 最後に、大臣にちょっとお伺いしておきたいのですが、この保育の問題で、都市圏においては、保育所というのは女性の方が通勤に使う駅とは全く関係のない方向にありまして、保育所に朝夕寄らなければならない、こういう現状が多々見られます。こうした都市の設計思想といいますか、そういう考え方は、女性は家におるものだ、いるものだ、こういうことが根底にあると言われております。 新聞で拝見したのですが、昨年四月に民間業者がアメリカの育児事業者と提携して川崎市で駅ビル保育を事業化したところ大人気になった、こういう記事が載っておりました。就労女性の合計特殊出生率は〇・六〇、未就労女性の二・九六を大きく下回っておるのですが、子育て支援のために、働く女性の立場に立った発想というものがこれから特に大事なわけでございます。 国は、母親の七五%が今働きまして、子育てができて、人口も減らさないという大変難しい問題をこれから解決していくわけでございますけれども、エンゼルプランとこれに基づく緊急保育対策等五か年事業の推進に当たり、働く女性のニーズをどのように吸い上げていき、子育ての分野で声を取り上げていくのか、そして、具体的施策に生かしていくお考えなのかを最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○森井国務大臣 緊急保育対策等五か年事業のことしは初年度に当たるわけでございますが、低年齢児の保育を昨年度の四十五万から四十七万にふやし、延長保育を二千二百三十カ所から二千五百三十カ所にするなど、予算措置を講じてきたところでございまして、現在、円滑な事業執行に努めているところでございます。 また、御指摘がございましたように、同じ保育所を設置するにいたしましても、働く婦人のニーズに的確にこたえるような工夫をしていきたい。例えば駅の近くでありますとか職場の密集しているところの近くでありますとか、そういった工夫をする必要があるかと思いますが、御指摘のように、何とか工夫をいたしましてそのニーズにこたえていくように努力をしていきたいと思っております。 なお、平成八年度予算の概算要求をいたしておりますが、緊急保育対策等五か年事業の着実な推進のために必要な予算を計上しているところでございまして、今後ともその着実な推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
○岩浅委員 ありがとうございました。
○衛藤(晟)委員長代理 福島豊君。
○福島委員 本日の質問では、厚生年金基金の問題を取り上げさせていただきたいと考えております。最近の委員会では余り取り上げられていないようにお聞きいたしましたので、取り上げさせていただきました。 厚生年金基金の財政状況に関しましては、大変に悪化しているということが昨年の秋ごろより繰り返し報道されているわけでございます。 まず、昨年十一月十六日には日本紡績業厚生年金基金が財政悪化により解散を決定いたしました。財政悪化による解散は九年ぶりであると報道されております。 この解散に際しまして、加盟企業に働く人からは、頼りにしていた基金がつぶれ、一時金が一人二百万円も不足している、年金も月数千円も下がった人がいて大打撃だという深刻な声が上がったわけでございます。また、解散に当たって、年金給付を継続するための資産は、同基金では三十七億円も不足している、最低責任準備金の水準にも十三億円足りなかったことが明らかになりました。基金に参加していた企業がこれを分担して負担したわけでございますけれども、これに対して、ある企業からは事務局を訴える訴訟が起こされたわけでございます。 また、本年六月には、厚生年金基金連合会が、九五年度末の支払い準備、責任準備金が必要額に対して約二千億円不足すると明らかにいたしております。さらに、株価の低迷などによる資産の含み損は九三年度末で約二兆円、九四年度末では三兆三千億円に達したと報道されております。 資産を時価評価すると、九四年度末で、厚生年金への上乗せ支給をするだけの資産を有しない基金が千八百基金のうち四百基金を超え、全体の二割以上に達するとも報道されております。 一つ一つの報道を目にいたしますと、財政状況は大変に厳しいと実感せざるを得ません。保険料も、この春から百七十基金が保険料の、掛金の値上げに追い込まれたと報道されております。 年金基金の制度は、一九六六年にスタートいたしまして、七三年に法改正がなされ、現在千八百を超える基金が設立されております。また、厚生年金加入者の約三分の一に相当する約千二百万人が加入する、我が国の年金制度にとっては大変に重要な制度にと成長をいたしておるわけでございまして、まさに働く者にとって老後を安心なものとするために決して軽視することのできない問題である、そのように私は考えております。 バブル崩壊後の日本経済の低迷が基金の財政を直撃し、運用実績が低迷したために今日の財政状況の悪化をもたらしているというふうに言われておりますけれども、私は、この経済状況の変化に対して的確な対応がなされなかったというところに大きな原因があるのではないか、そのようにも感じるわけでございます。 厚生省は、この制度を設立し推進してきたと言える立場から、国民に対して明確な展望を示す責任があると私は思います。その意味で、本年六月に厚生年金基金財政運営基本問題研究会から「厚生年金基金の財政運営の基本的なあり方について」という報告が出され、九月末には厚生年金基金制度研究会が発足したようですけれども、どのような方向へとこの年金基金の制度を改善していくのか、この委員会で概略でもお示しいただければというふうに思っております。このような観点から御質問させていただきます。 まず第一点でございますけれども、厚生年金基金の現在の財政状況についてお尋ねいたしたいと思います。 責任準備金また最低責任準備金に資産が達しない基金は現在どのくらい存在するのか、これは資産をどのように評価するのか、簿価なのか時価なのかということで当然違ってくるわけでございますけれども、その両者につきまして、厚生省が現在情報をお持ちであればお示しいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○近藤(純)政府委員 先生の御指摘のとおり、非常に厳しい経済状況のもとで、金利が急激に低下いたしましたし、株価が低迷いたしておりますし、それから円高が進む、こういうふうに基金の運用状況というのは非常に厳しくなっておりまして、基金の運用利回りは、平成四年度で四・一五%、平成五年度で四・三六%、平成六年度は、まだ確定しておりませんけれども、三・二%台という見込みであるわけでございまして、予定利率を非常に下回る状況が続いているわけでございます。 この結果、少なからぬ基金におきまして準備金を下回る、こういう状況になっているわけでございますけれども、私ども現在、基金の資産につきましては簿価で管理をいたしておりまして、決算は簿価ベースでいただく、こういうことになっておりまして、時価ベースでの状況把握というのは必ずしも十分でないわけでございます。 しかし、先ほど申し上げました事情から、かなりの基金におきまして評価損を抱えているのではないか、こういうふうに考えておりまして、一部では非常に深刻な状態にあるのではないか、こういうふうに推測いたしているわけでございますが、残念ながら、今のところ正確な数字は持っておりません。今後、私どもといたしましても、時価ベースでも正確な把握に努めたい、こういうふうに考えている次第でございます。
○福島委員 ただいまの御答弁で、一部では大変に深刻な状況ではないかというお話でございましたが、そのようにお答えなさるということは、ある程度の概略をおつかみであろうというふうに私は思うのです。 その深刻なというのは、この日本紡績業厚生年金基金はいわば破綻したわけでございますが、破綻する可能性のある基金が、数はわかりませんけれども、ある程度存在するのだという認識であると受けとめさせていただいてよろしいのでしょうか。
○近藤(純)政府委員 日本紡績業厚生年金基金は、先ほど先生からお話がありましたように、最低責任準備金を割るような状況になったわけでございまして、これまでですと、それが一つとか二つとか、こういう状態であったわけでございますけれども、恐らく数十の域でそういう数字がふえているのではないかという、今のところはまだ予測でございますけれども、こういうふうな話を聞いております。
○福島委員 数十のレベルであるというふうに今お聞きしまして、大変にびっくりしたわけでございます。 それに関連しましてまた後ほど御質問いたしますが、また、掛金率の引き上げにかなりの数の基金が追い込まれている、身近でもそのような声をお聞きいたしております。換金が上がって大変やというふうな声を聞くわけでございます。この掛金率の引き上げの現状というのは一体どのようになっているのかということについて、また次にお聞きしたいと思います。 〔衛藤(晟)委員長代理退席、荒井(聰)委員長代理着席〕
○近藤(純)政府委員 六年度のものにつきましては現在集計中でございますので、五年度でお答えさせていただきますが、五年度に財政再計算を行った基金というのは三百十基金ございまして、この中で掛金の引き上げを行っておりますのは百八基金でございます。それからこのほかに、決算の結果によりまして保有資産が予定の水準を一定以上、五%以上下回ったときには財政再計算に前倒しで掛金を引き上げる、こういう基金があるわけでございますが、この基金が六十八基金でございまして、合計で百七十六基金が五年度におきまして引き上げを行っているわけでございます。 このうち、今の掛金率より五%高くなるということでございますけれども、パーミルに直しまして三パーミル、これは基金のもともとの水準によって数字が変わってくるわけでございますけれども、平均的に申しまして二パーミルから三パーミルというのがこの五%の数字でございますけれども、この五%以上の掛金の引き上げになった基金が先ほどの百七十六のうち百二十八基金でございまして、その要因といたしましては、運用環境の悪化でございますとか、加入員の平均年齢が上昇いたしますと給付費がふえる、それからベースアップがありますと給付費がふえる、こういったような事情があるわけでございます。
○福島委員 一割弱の基金がかなりの引き上げをせざるを得ない状況であると。 今、理由も何点か述べられましたけれども、今後さらに掛金率を引き上げざるを得ない状況に追い込まれる基金も多々あるのではないかなと思うのですけれども、今後の見通しということにつきまして厚生省のお考えを。
○近藤(純)政府委員 六年度のものにつきましてはまだ明らかになっておりませんけれども、厚生年金基金連合会の方で資産運用実態調査というものをやっております。これによりますと、先ほど申し上げましたように、簿価ベースの利回りが三・二%程度にとどまっておりますので、また、平成六年の財政再計算に伴いまして基金の死亡率が改定されておりますので、こういったものを考えますと、設立年度の古い基金を中心に相当数の基金で掛金の引き上げが必要になったのではないかな、こういうふうに推測いたしております。
○福島委員 また、含み損の問題ですが、これは時価での数値というのがなかなか全部把握していないだろうとも思いますので推定ということになると思うのですが、九四年度末で約三兆三千億円だというふうに言われております。今後の推移、株価が若干持ち直して少しは少なくなったのかなというふうにも思うのですけれども、この点につきましても見通しをお聞かせいただきたいと思います。
○近藤(純)政府委員 日経新聞の方で、三兆三千億円の含み損があるのではないか、こういうふうな報道でございました。これは新聞社独自の推計というふうに伺っておりますが、これは厚生年金基金連合会の調査を参考あるいは自分で調査をされた、こういうものでの推計だというふうに考えておりますが、この調査結果からすぐ正確な損益、含み損というのが出るわけではございませんけれども、おおよその見当はっくわけでございまして、厚生年金基金関係者からのお話などからいたしまして、おおむねこの新聞報道程度の水準に近いのではないのかな、こういうふうに私どもも推測いたしております。いずれ私どももこの辺は正確につかむ必要がある、こういうふうに思っている次第でございます。 それから、今後の運用利回りとかどうかということでございますが、先ほども申し上げましたように、株式市場が不振でございますとか、それから急速な円高の進行ということで、六年度といいますのは、あらゆるといいますか、基金の運用史上最低の年であったわけでございまして、したがいまして、非常に低い、今までの最低レベルの低い利回りになったわけでございます。 今年度の利回りの見込みにつきましても、これから株がどうなるのかとか、円高がどうなるのかということで非常に不透明でございますので申し上げられないわけでございますけれども、あえて今年度の市場環境を申し上げますと、若干円高の修正がなってきているわけでございますし、総合経済対策ということでやや市場が持ち直しする可能性が出てきているわけでございます。しかし、一方では、不良債権の問題でございますとか、あるいは雇用問題とかデフレ懸念とか、これも非常に不安材料もございましてわからない面が多いわけでございますけれども、六年度の最悪の事態よりはいいのではないのかな、こういう感じがいたしているところでございます。
○福島委員 六年度が最悪であって、今後改善されていくということであればまことに望ましいことでございますが、まだまだ不透明だなと私自身は思っております。 また、先ほどの年金財政に与える影響の幾つかのファクターの中で、要するに基金の成熟化の問題だと思いますが、平均年齢を指摘いただいたわけでございますけれども、基金の中には大変平均年齢が高くなって掛金率も高くなっているという基金もあるというふうに伺っているのです。これは、業種によってリストラが進んだりとかいろいろなことで影響を受けまして、構造変化が非常に突出している場合もあり得ると思うのですけれども、この点につきましても差がかなりあると思うのですね。基金間の差がかなりあると思うのですけれども、実態はどんなところなんでしょうか。
○近藤(純)政府委員 年金制度の成熟化をはかる指標といたしまして、年金受給者数の加入員数に対します比率というのをよく使うわけでございますけれども、この比率を厚生年金基金全体で見ますと、これは平成五年度末でございますけれども、一三%でございます。ちなみに、厚生年金本体のこの比率は一六・九%でございますから、比較的厚生年金基金の方が全体として見れば若いということが言えるわけでございます。 しかし、先生御指摘のように、基金の設立からの経過年数の違いによりまして成熟度は異なるわけでございまして、約半数の九百十三基金では一〇%未満ということでございますけれども、この比率が一〇〇%を超える、こういうような成熟化が進んだ基金が十一基金もあるわけでございまして、そういう意味では非常に差があるわけでございます。 ただ、成熟度といいましても、公的年金の制度で見る場合と基金制度で見る場合とは若干差があるわけでございまして、厚生年金基金は基本的には事前積立によります財政運営をやっておりますので、成熟度が高まりましても、後代の負担が必ずしも高くなるわけではない。ただ、特別の事情、先ほどからお話ございますような利差損が出るとか、あるいは加入員の平均年齢が著しく上昇するとか、あるいは過去勤務債務が異常に大きい、そのうちに加入員がどんどん減ってくる、こういうケースがございまして、日本紡績業の基金はこの要素が非常に大きかったというふうに私ども認識しております。
○福島委員 いろいろと今お聞きしまして、全体としては比較的安全なのかなとは思うのですけれども、その中に、構造的な問題そしてまた現在の経済状況の影響を受けて、いわばダブルパンチで非常に財政が困難になっているところが一定の数やはり存在するのだというふうに考えていいのかなというふうに思ったのですけれども、一定の数といいましても、実際に加入している方の数からすれば相当な数になるわけでして、一体どのように対応するのか。決して破綻したということでは済まないというふうに私自身思いますし、老後の生活ということを考えたときに、財政状況がたとえ厳しくても軟着陸するような方途というのを厚生省としては示さなきゃいかぬというふうに私は思うのです。 それで、厚生省が本年になりまして出されました報告書、「厚生年金基金の財政運営の基本的なあり方について」、これは私的研究会ということのようですけれども、その中で指摘されている点につきまして何点がお聞きしたいと思います。 まず第一点目は、積立金の評価の問題ですが、簿価から時価に改める、そういうことですが、これは当然財政運営を健全ならしめるためには必要なことであるというふうに思うのです。これは九七年度の決算から行う予定であるというふうに報道されておりますが、そのように認識してよろしいのでしょうか。
○近藤(純)政府委員 厚生年金基金の積立金の評価につきましては、先ほど申し上げましたように、今までは簿価方式を中心に行ってきたわけでございますけれども、先生御指摘の厚生年金基金財政運営基本問題研究会の報告書におきまして、基金の加入員等の受給権の保護、それから財政の健全性を確保する、こういう視点から時価の要素を反映すべきである、こういう意見書をいただいたわけでございます。 一方、ことしの二月に決着いたしました日米金融協議におきまして、積立金の評価方法につきまして時価に考慮をする、こういう観点から、平成八年の半ばまでに厚生年金基金の数理基準を改めて、遅くとも一九九七年、平成九年度から実施する、こういう合意ができたわけでございます。 厚生省といたしましては、この研究会の報告書の趣旨、それから日米金融協議におきます合意を踏まえまして、平成九年度導入を目途に現在数理基準等の検討を進めている、こういう段階でございます。
○福島委員 その際、この報告書では評価損の償却についても述べられておりまして、「償却期間は、急激な掛金率の引上げを招かないよう、移行前の経済環境を踏まえて評価損益の大きさを分析したうえ、償却期間に関する基準を検討する必要がある。」いわば含みのある表現になっていると思うのです。その時間の長さの問題だと思うのですけれども、掛金率を引き上げて償却するしかないということであろうというふうに私は思うのです。 ただ、今でも掛金率はどんどん上がっているわけですが、今後この評価損をどうやって償却していくのか。どんどん上げると言ってもやはり限度があることだろうというふうに思うのですけれども、その点についての認識をお聞かせください。
○近藤(純)政府委員 時価ベースヘの変更に伴いまして、基金財政には非常に大きな影響があるわけでございます。したがいまして、財政状況に応じました償却期間の設定とか、こういう基金の実情に応じました対応が必要になるわけでございます。 ただ、先ほども申し上げましたけれども、昨今の基金資産の運用利回りというのは歴史的にも異例に低いわけでございまして、その導入の時点で経済環境というのがどうなっているのかというのははっきりわからない面もあるわけでございます。そういうこれからの経済変動とかいろいろな要素も勘案の上、円滑に移行できるように考える必要がある、こういうことでございまして、先生がおっしゃられますように、時間をかけまして償却するとか、あるいはやはり給付との関係というものも見直すとか、こういう面も踏み込んだ対応が必要ではないのかなというふうに思っております。
○福島委員 場合によっては給付も見直して引き下げざるを得ないという御意見かなというふうにも思いました。 時間が大分迫ってまいりまして、いろいろとあとお聞きしようと思っていたのですけれども、最後に、年金博士と言われる大臣にお聞きしたいというふうに思っておるのです。 要するに、今までの話をずっと聞いておりまして、千八百余りの基金がありますね。その中で大変厳しいものがあるというのは事実だと思うのです。その大変厳しい基金を一体どうするのか。自己責任であるというふうに言ってしまえないというふうに僕は思うのですね。 また、例えば保証制度の問題にしましても、五十億の積み立てしがない。先ほどの日本紡績業厚生年金基金では三十七億が足りなかったわけですね。ですから、一つ二つつぶれるとあっという間に足りなくなってしまうような心もとない保証制度でしかないという問題もあるわけですね。 今後、厚生省としてどういう姿勢で取り組むのか。どのような基金も、たとえ財政状況が大変厳しくなっても、加入者の人に大変な思いはさせないというおつもりで取り組む思いがあるのか。その決意のほどを私はお聞きをしたいわけでございまして、大臣、よろしくお願いいたします。
○森井国務大臣 今のような経済情勢は、考えてみると、余り経験したことがない。金利は歴史的に今一番低いところで抑えられておりますし、それから株価もぱっとしない、円の相場もまだ高い水準にあるということでございまして、年金をめぐる環境というのはかって経験したことがないくらい厳しいものがあるというふうに認識をいたしておるわけでございます。 厚生年金基金制度は、これは昭和四十一年に創設されたわけでございますが、これは率直に申し上げまして、こういう経済情勢というのは想定をせずにつくったものだというふうに私は思っておりまして、やれば必ず一定の運用利回りがあって計算上うまくいくということであったと思うわけでございますけれども、今のような経済情勢からいきますとやはり厳しいものがありますが、同時に、厚生年金基金制度が持つ非常に大切な役目というものも認識をして、これから制度全般について安定的に運用できるように厚生省としても全力を尽くしてやっていきたいというふうに思うわけでございます。 今、基金関係者や学識経験者等によりまして研究会を設置したところでございますけれども、ここで十分御議論をいただきました上で、この研究会の検討状況も考えながら、基金財政の安定化方策、基金財政に関する関係者の責務など、幅広く検討してまいりたいと思っております。 いずれにいたしましても、今厳しい時期でありますけれども、創意工夫をしながら、この基金制度を立派に将来に向けて運用していくように努力をしたいと思っております。
○福島委員 具体的にどうなっていくのかということがいま一つよくわからなかったわけでございますが、幾つかの方向性につきましてはもうマスコミ等でも報道されておりますので、一言だけ申し上げますと、経済の状況というのは大変大きく変わっている、当然である。そういうことは最初は予想していなかった、これも当然かと思います。 ただ、このバブルの崩壊からの数年間の変化というのをやはり先取りしていく必要があるというふうに私は思いますし、社会保障制度そのものが経済状況によって大きく影響を受けるということは事実でございますし、厚生省もそのような意味におきましては経済の変化に敏感に対応するような省であっていただきたいというふうに思うわけでございます。途中まで掛けてきたのだけれども、どうも解散しそうだなどというようなことで、くれぐれも加入者の人が苦しむことがないように、どうかよろしくお願いいたします。 それ以外にも何点がお聞きしようと思っておりましたけれども、時間が参りましたので、以上で私の質問は終わりにさせていただきます。大変ありがとうございました。
○荒井(聰)委員長代理 枝野幸男君。
○枝野委員 私も、午前中以来何人かの方が質問をされておられますHIV薬害訴訟に関連をしてお尋ねをさせていただきたいと思っております。 午前中から、このたび東京、大阪両地方裁判所から出されました和解勧告の見方、法的責任論というものについて議論がなされておりますが、私も、現在も国会議員であると同時に法律家の端くれでございますので、そうした見地から、ひとつ私の所見とともに、政府としての考え方というものをお聞かせいただければと思っております。 まず、けさほど来、法的責任、法的責任ということが何度も言われておりますが、まず確認をさせていただかなければならないのは法的責任という言葉の意味でございます。 法的責任と言ってもさまざまな意味がございます。例えば刑事上の法的な責任、それから民事上の法的な責任あるいは行政法上の法的な責任、これはそれぞれ違ったものでございますし、同じ民事上の責任とは言っても、例えば不法行為に基づく責任なのか、契約責任なのかというのは全く意味が違ってまいります。これは法務省さん、そういった理解でよろしいですね。
○小池説明員 その点はおっしゃるとおりでございます。
○枝野委員 さらに言えば、そうした法的責任についても、法的責任が存在をするという問題と、それを裁判所が認定するという問題は別個の問題であります。 例えば、刑事事件において起訴猶予ということが行われます。犯罪を犯した嫌疑が非常に高い場合であっても、裁判所において、犯罪を犯した、つまり刑事的な法的責任があるということを認定する手続をせずに、検察官限りにおいて、起訴をせずに処分を済ませるというようなことが行われます。この場合に、だれも、裁判所が法的な最終的な結論を、確定判決を出さなかったからといって、法的責任が存在をしないという言い方はいたしません。 そこのところをまず前提として申し上げた上で、今回の訴訟において問題にされているのは国家賠償法に基づく損害賠償責任の有無の問題でありますが、それは厚生省さん、よろしいですね。
○荒賀政府委員 国家賠償法上の問題でございます。
○枝野委員 法務省に御確認を申し上げますが、国家賠償法は民法七百九条のいわゆる不法行為の特別法であるということで間違いございませんね。
○小池説明員 国または公共団体が国家賠償法によりまして損害賠償責任を負う、そういう関係は、実質上、民法上の不法行為によって損害を賠償すべき関係と性質を同じくするものというふうに考えております。 したがいまして、国賠法による損害賠償の要件につきましても、一般的には民法上の不法行為の理論が妥当するところでございまして、その意味で国賠法は民法の特別法と言うことができようかと思います。
○枝野委員 では、便宜上わかりやすいので、七百九条の解釈論を法務省に政府の公式見解としてお伺いをいたしますが、七百九条の不法行為に基づく損害賠償責任が発生する要件を述べてください。
○小池説明員 民法の解釈といたしましては、四つの要件があるというふうに理解をしております。 一つは、特定の人の故意または過失ある行為が存在するということ、二つ目、その人が責任能力を有すること、三つ目、当該故意または過失ある行為によりまして他人の権利を侵害したこと、四つ目、その権利侵害により他人に損害が発生したこと、以上でございます。
○枝野委員 今回のHIV薬害訴訟の場合は損害が発生している、これは死亡という重大な被害が、損害が発生しているのですから問題はありません。責任能力というのも、国家公務員の皆さんの行為を問題にされているのですから、責任能力があるのも問題はありません。 争われていたのは、過失があったかどうか、それから権利侵害違法性と言われている要件の問題だと思いますが、この場合、国が何かをしなかったという不作為の問題ということでありますけれども、不作為の場合に要件が加わる場合はありますか。
○小池説明員 不作為によって不法行為が成立するかどうかという点につきましては、種々議論のあるところでございますが、現在のところではこのように解されております。 例えば、ある人について、ある損害が生じたといたします。その損害発生の具体的な状況に照らしまして、ほかのある人に法令とか契約あるいは公序良俗に基づきまして一定の行為をなすべき作為義務がある。その作為義務に基づく行為がされていれば損害の発生を回避することができたのに、その行為がされなかった。こういう関係がある場合には、当該その人、つまり具体的な行為を行わなかった人について不作為による不法行為が成立するというふうに考えられております。
○枝野委員 今回の所見は、その作為義務の問題について明確に述べております。例えば東京地方裁判所の出している所見の六ページには、 厚生大臣は、医薬品の安全性確保について与えられた権限を最大限に行使して、病原微生物により汚染され、若しくは汚染されているおそれがある医薬品が製造、販売されることがないよう措置したり、医薬品の副作用や不良医薬品から国民の生命、健康を守るべき責務があるというべきである。 これは裁判所が明確に断言をしていることであります。したがいまして、本件の場合に今の作為義務が存在をしたというのも、これまた明らかな問題であります。 そこで問題となるのは、まさに過失があったのかどうか、要するに、国がこういった医薬品を見逃してしまったということに落ち度があったかどうかということでありますが、民法の解釈として過失というのは何ですか。
○小池説明員 過失といいますのは、一般には、損害が発生することについての予見可能性があるということを前提にいたしまして、その損害の発生という結果を回避すべき義務に違反するというふうに解されております。
○枝野委員 今のような七百九条の解釈に基づけば、裁判所の所見は、この七百九条に基づく責任が存在をするのかどうかということについては疑う余地もなく明白に言っております。「右のような状況の下においては、厚生大臣は、血液製剤を介して伝播されるウイルスにより国内の血友病患者がエイズに罹患する危険があることを認識し得たというべきでありこということで断言をしております。そして、その後は中略いたしますが、「販売の一時停止などの措置をとることが期待されたというべきである。」ということを明確にこの所見は述べているのであります。さらに言えば、「かかる対策の遅れが我が国における血友病患者のエイズ感染という悲惨な被害拡大につながったことは否定し難いところ」であるということも、これまたこの所見の中で明確に断言をしております。 したがって、この過失と今回の被害発生ということについての因果関係も明白にしております。これらの事実は、裁判所が明らかに七百九条の不法行為の損害賠償責任の発生する要件の事実を一つ残らず明確に示しているということであります。 したがいまして、この所見を読む限りは、裁判所は、国に民法上の法的責任があったということを認定はしないけれども、存在をしたということの事実としては認めているとしか読みようがない。もし、これをもって法的責任の存在自体を否定するというのであるならば、それは三百代言とか法匪とかと言われても仕方がない。これをもって、法的責任がなかった、あるいはあるともないとも言っていないと言われても、だれがどう考えたって読めるわけがない。 したがって、けさほど来厚生大臣初め何度も何度もおっしゃっている、法的責任の存否の争いを超えて広く社会的・人道的見地に立ってと。よく読んでください、そういったつまらない言葉、文言にとらわれるなら。法的責任の存否を超えてとは言っていません。「法的責任の存否の争いを超えてこと言っているのであります。厚生省は争っているけれども、裁判所は、それまでの前提事実で、国に法的責任があったということを明確に断言しているのがこの所見であります。 したがいまして、この和解について真摯に受けとめるというのであるならば、国に法的責任が存在をするということを前提として進めていただかなければ、司法をばかにする、無視するような大変けしからぬ事態である、私はそう考えております。裁判所は、法的責任は存在するけれども、あえてその宣言はしないという恩情を国に対して与えているのがこの所見であるというとらえ方をしていただかなければ困る。こんなことは法学部の学生だったら、三年生ぐらいの民法を勉強している学生だったら、だれが読んだってほかの解釈はしょうがない。それぐらいのことであるということを十分に理解していただかなければ困る。これについては、法務省に対しては意見を聞いても答えはわかっていますから聞きません。 もう一つ、本件では、このHIVの薬害に関連しては、実は民事上の責任だけではなくて刑事上の責任というものをこれから考えていかなければならないと私は思っております。 現に、厚生省に置かれたエイズ作業班の当時の班長であった安部英なる者がこのHIVに関連して殺人未遂罪で告発を受け、東京地検特捜部はそれを受理したということでありますが、間違いございませんね。
○小津説明員 御指摘の事件につきましては、平成六年四月、東京地方検察庁に対し殺人未遂罪による告発状が提出されまして、当地検においてこれを受理して現在捜査中でございます。
○枝野委員 受理をするということは告発の要件が整っているということにほかなりませんので、これは国民の生命にかかわる大切な事案でありますので、東京地検において厳重に、そしてしっかりと捜査をしていただかなければならないと思っておりますが、私は、この安部英なる者の殺人未遂罪だけではない刑事上の問題というのはまだまだあると考えております。 ちなみに、法務省刑事局おいでいただいていると思いますので、業務上過失致死傷罪の要件についてお話しください。
○渡邉説明員 刑法二百十一条に言います業務上過失致死罪は、業務上必要な注意義務を怠り、よって人を死亡させた場合に成立する罪とされております。そして、注意義務の内容につきましては、判例上、結果の発生を予見することの可能性とその義務及び結果の発生を未然に防止することの可能性とその義務であるとされております。
○枝野委員 過失の内容をお話しいただきましたので、今この場でお聞きいただいた方、皆さんはおわかりだと思いますが、民事上の、先ほどの七百九条の、そしてこの所見が述べている過失の内容と業務上過失致死傷罪の過失の内容は抽象的には一緒であるということは、日本語のわかる方は皆様御理解いただけると思います。もちろん、刑事で必要とされる証拠の内容と民事で必要とされる証拠の内容には、刑事の方は厳格な証拠が必要であるというような若干の違いはございますが、この和解勧告で地方裁判所の民事部が認定をした事実を前提とすれば、過失があったと、業務上過失致死罪の過失がその当時の国の担当者のどなたかにあったという、かなり合理的な高い蓋然性のある疑いがあると言っていいのじゃないかと私は思っております。 ちなみに、この場合の国家公務員の、特に厚生省の命にかかわる公務に従事することは業務上過失致死罪の業務に該当しますね。
○渡邉説明員 お答えいたします。 二百十一条に言われる「業務」とは、本来、人が社会生活上の地位に基づいて反復継続して行う行為であって、他人の生命、身体等に危害を加えるおそれのあるものをいうというのが判例でございます。
○枝野委員 当てはめまではしてくれないようでありますが、先ほど裁判所が認定をしている所見の中にもあるように、「厚生大臣はこということで「国民の生命、健康を守るべき責務」というのが言われているわけですから、明らかにこの医薬にかかわる厚生省職員の行為は業務性がある、これも明らかであると思っております。 ついでに、私は単に業務上過失致死の疑いだけでないと思っております。殺人罪の場合の故意というのはどこまで必要なんですか、刑事局。
○渡邉説明員 お答えいたします。 一般論として申し上げますれば、殺人罪における故意には未必の故意も含まれていると理解されておりますので、未必の故意による場合にも殺人罪は成立するものと考えております。
○枝野委員 私は未必の故意でもわかるのですが、未必の故意というのを説明してあげてください。
○渡邉説明員 普通、故意といいますのは、結果について意欲することでございますけれども、意欲でなくても、結果を認容するということによっても故意は成立すると言われております。
○枝野委員 つまり、例えば今出回っている血液製剤の中にはエイズウイルスが含まれているかもしれないし、自分にはそれを回収する権限もあるのだけれども、それをあえて回収しないで放置をしておく、それによってもしかすると人が死ぬかもしれないけれども、仕方がないねということも殺人罪の未必の故意に当たるということであります。 法務省刑事局には、こうした業務上過失致死の合理的な疑いは、場合によっては未必の故意による殺人の疑いが当時の厚生省の担当者に合理的に存在すると私は考えておりますので、ぜひ捜査をしていただきたい。その参考にしたいと思いますので、一九八三年から八五年当時の厚生省の事務次官、業務局長そして生物製剤課長の名前を法務省に教えてあげてください。
○亀田政府委員 最初の、事務次官でございますが、一九八一年八月から八二年八月まで石野清治氏、現職が株式会社資生堂相談役。八二年八月から八四年八月まで山下眞臣氏、全国社会保険協会連合会理事長が現職でございます。八四年八月から八六年六月まで吉村仁氏、既に亡くなられております。八六年六月から八八年六月まで幸田正孝氏、年金福祉事業団理事長が現職でございます。 次に、業務局長でございますが、一九八一年八月から八三年八月まで持永和見氏、現衆議院議員でございます。八三年八月から八四年八月まで正木馨氏、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構理事長が現職でございます。八四年八月から八六年六月まで小林功典氏、厚生年金事業振興団副理事長でございます。八六年六月から八七年九月まで森幸男氏、宮内庁東宮大夫が現職でございます。 最後に、生物製剤課長でございますが、一九八一年九月から八二年八月まで柳澤健一郎氏、現環境衛生金融公庫理事でございます。八二年八月から八四年七月まで郡司篤晃氏、東京大学医学部教授が現職でございます。八四年七月から八六年六月まで松村明仁氏、現職が厚生省保健医療局長でございます。八六年六月から八八年六月まで高橋透氏、現職が関東信越地方医務局長でございます。八八年六月から九〇年六月まで小野昭雄氏、現職が厚生省大臣官房統計情報部長でございます。九〇年六月から九〇年九月まで……(枝野委員「その先はまだいいです。後でやります、必要になったら」と呼ぶ)よろしゅうございますか。 以上でございます。
○枝野委員 法務省刑事局、おいでいただいています。 今申し上げましたとおり、この和解勧告の裁判所が認定をしている、しかも、これはちゃんと厚生省として立証を、主張をすべて尽くした後で出ている所見の中で合理的な過失が認定をされているということを考えたときには、残念ながら、ただいま名前の挙がった方の中で業務上過失致死または未必の故意による殺人が成立し得る方もいらっしゃる蓋然性があるわけですから、ぜひ法務省、検察当局としてはしっかりと捜査をしていただきたい。何かお答えいただけるかな。
○小津説明員 具体的な事案におきましてどのような犯罪が成立するかしないかということにつきましては、捜査当局が収集する証拠に基づきまして、法律的な検討を加えて判断するということでございますので、私の立場から答弁をすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○枝野委員 ちょっと話題をかえますが、先ほど来いろいろと問題になってきている話でもありますし、また、今回の訴訟の中でも問題になってきているものに、一九八三年に設置をされたエイズの実態把握に関する研究班というものの存在がございます。この研究班の組織上といいますか、法制上といいますか、その位置づけはどんなものがありましたか。
○荒賀政府委員 このエイズにつきましては、米国等の諸外国において発生した新たな疾患でございます。米国において血友病患者から発症者が出現をしていることから、我が国において適切なエイズ対策を実施するためには、これに関する最新の知見が不可欠でございました。 このため、厚生省におきましては、エイズ問題に関連すると考えられる各分野の学識経験者から成ります後天性免疫不全症候群、エイズの実態把握に関する研究班を一九八三年、昭和五十八年六月に設置をいたしまして、我が国におけるエイズ患者の実態調査及び対応策について研究を依頼したところでございます。 エイズ研究班におきましては、血液事業の科学的な推進に資する……(枝野委員「聞いたことに答えてください。組織上、法制上の位置づけと聞いているんですよ」と呼ぶ)はい。これは、厚生省から研究班に対して研究の依頼をいたしまして、その当時の依頼をした業務局の所管課は業務局生物製剤課でございます。
○枝野委員 生物製剤課の私的な諮問機関というとらえ方でいいのですか。
○荒賀政府委員 私的ということではございませんで、厚生省の一業務局の生物製剤課としてこの仕事をやっておるわけでございますので、その生物製剤課からお願いをしたということでございます。
○枝野委員 ということは、その研究班の事務、運営その他を担当していたのは生物製剤課ということでよろしいわけですね。
○荒賀政府委員 その委託費を出したもと、それから、事務局というのはむしろ研究班の中にあったかと思いますが、報告を受ける立場にあったということでございます。
○枝野委員 このHIV訴訟の中でも大変問題になっているのですが、この研究班ていっ何を、どこでどういう話をしていたのかということが全く厚生省に残っていないということを厚生省はこのHIV訴訟の中で言っています。人の命にかかわるような大変なことについて研究をしていたその記録が今残っていないというのは本当なんですか。
○荒賀政府委員 このエイズの実態把握に関する研究班、エイズ研究班でございますが、一九八三年の六月に、血液研究事業としてエイズに関する学術的な研究を目的として設置をいたしたものでございまして、議事録は作成はされておりません。 また、当時の配付資料につきましては、十年以上前の資料でございまして、保存はされておりません。また、当時の所管課は生物製剤課でございましたが、いつから保存されなくなったかについては把握できないところでございます。
○枝野委員 そんなばかな話はないですよ。人の命にかかわるような大事なことを研究しておいて、しかも、十年前といいますけれども、十年前からだんだんこの話が小さくなっていって問題じゃなくなってきたというのだったらともかくとして、一年一年問題は大きくなってくる中で、それを途中で捨てる。まだ継続中の話なんですよ、この話は、HIVの薬害がどうなったのかというのは。それを途中で捨てるだなんというばかなことはない。それは、捨てた人は公務員法違反ですよ。懲戒の対象ですよ。だれが捨てたのですか。
○荒賀政府委員 当時の事情は調べてみましたが、残念ながら、資料が保存されていないという状況でございます。
○枝野委員 当時の担当者に聞いて回ったのですか。
○荒賀政府委員 当時の担当の者にも聞いてみましたけれども、残念ながら、残っていないということでございます。
○枝野委員 どういう聞き方をしたのだか知らないけれども、だれが捨てたのかもわからないだなんて、そんなばかな話はないので、捨てた人間は自分でわかっているはずなんで、だから、内輪で追及しているからそういう甘いことになるので、先ほど山本委員の話にもありましたけれども、当時の製剤課長とか局長とか、順番に参考人で公の場所で問い詰めないと事実は出てきませんよ、こんなものは。 そこで、厚生大臣にお伺いしますが、厚生大臣は、今回のHIV訴訟に関連をして、和解勧告が出たらそれを最大限に尊重するというような趣旨のことをおっしゃっていたと思いますが、今も変わっておりませんね。
○森井国務大臣 十月六日に東京地方裁判所及び大阪地方裁判所から出されたエイズ訴訟に関する和解勧告につきましては、これを厳粛に受けとめ、謙虚に検討した結果、国として、いわゆる恒久対策など裁判所がなお協議するとしている事項が残されてはおりますけれども、裁判所の和解勧告の趣旨を重く受けとめまして、和解の席に着くこととし、十月十七日、両地方裁判所に対してその旨を回答いたしました。 本裁判が係争中の間にも相当数の血友病患者の方々がお亡くなりになられていること、闘病生活を送られている方々がおられることは、まことに心の痛む思いでございまして、本件の解決が長引くことは何としても避けるべきであると考えたわけでございます。
○荒井(聰)委員長代理 短目にお願いします。
○森井国務大臣 今後は、裁判所の主導のもと、裁判所が法的責任の存否の争いを超えて広く社会的・人道的立場に立って早期に救済を図るべきとした和解勧告の趣旨に沿って、早期解決のために全力を尽くしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○枝野委員 この話では大臣を責めてもしょうがないというのは僕もよくわかっているのですよ。ただ、被害者の方々が今何を求めているのかということをよく認識していただきたい。 確かに、被害者の方々は、闘病その他でお金もかかっているから、金銭的な解決というものも非常に早期にということで求めていらっしゃる。それも間違いない事実であります。しかし、それが一番の望みであるかといえば、そうではない。被害者の方々の今の一番の望みは、なぜ自分はこんな目に遭わなければならなくなったのか、どこで何があって、だれがどうしたからこんなことになったのか、これはとめられなかったのかという事実関係を明らかにしたい。その事実関係を明らかにすることによって、二度と再びこういった被害を受ける人間が出てこなくなる。そのことが被害者の大方の皆さんの一番強い望みであって、金銭的な救済というのはその次なんですよ。そのことをまずわかっていただきたいし、わかるためには――厚生大臣としてのお立場はよくわかります。厚生省という役所としては過去の責任を認めがたい。それも役所の体質としてよくわかります。 しかし、ここは、今のような役人のつくった答弁を棒読みするのだったら、政治家が大臣をやる必要はないのですよ。森井さん、長く厚生の問題に携わってきて、こういった問題をよくわかっていらっしゃる。そして人情家である大臣だったら、政治決断として、今の被害者の皆さんの気持ちというものをしっかりととらえて、そして、早期の解決というのはお金で解決することじゃない、なぜこんなことになったのかという原因をしっかりと追及して明らかにすることが責任なんだということをやっていただきたい。ぜひお願いします。大臣、どうですか。
○森井国務大臣 私は、けさから、それこそまじめに、真剣にお答えをしたつもりです。なるほど、先ほどは役人が書いたものを読んだという御指摘がありましたけれども、私の気持ちをそのまま書いてくれた中身でございまして、あのお答えに間違いはありません。 そして、今あなたがおっしゃいますけれども、私も患者の皆様あるいは原告の皆様の気持ちを十分体の中に入れて今日まで行動してきているつもりでございまして、ぜひ御理解をいただきたいというふうに考えております。
○枝野委員 結構です、今のことを原告の皆さんかどう評価するかというのは原告団の被害者の皆さんが評価するのであって、私が評価することではありませんので。 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
○荒井(聰)委員長代理 岩佐恵美さん。
○岩佐委員 私は、まず最初に、厚生省が今進めている試験研究機関の再編問題について伺いたいと思います。 厚生省は、ことし一月に続いて四月、八月と試験研究機関の具体的な再編計画を明らかにしました。この再編計画案について、厚生省は、事前に試験研究機関で働く職員の意見を聞きませんでした。計画案発表後も、職員が厚生省の考えを初めて知ったのは、厚生科学課長の大阪で開催された厚生科学に関する講演会での講演内容を読んでからでした。民主的な論議のプロセスを経ることなくトップダウンで再編が決められたことで、研究機関で働く研究者の皆さんは非常に大きな不安に包まれています。 井出前厚生大臣は、厚生省の職員組合に対して、皆様方の御協力をいただかないことにはできっこない話であることも十分心得ております、必要な情報については、今後とも御要望の点については、引き続き誠意を持って御協議して対処してまいりたいと言っておられました。 改めて、森井厚生大臣のこの問題に取り組む姿勢について伺いたいと思います。
○森井国務大臣 井出前厚生大臣のお話につきましては、残念ながら、私は引き継ぎを受けておりませんし、承知をしておりませんけれども、改めて私からお答えをしたいと思います。 今般の国立試験研究機関の重点整備、再構築は、人口の高齢化や科学技術の進歩を踏まえて、医療、保健、福祉に関する政策研究や感染症、医薬品に関する研究等、時代の要請に迅速かつ的確に対応し、二十一世紀に向けて厚生科学研究の一層の推進を図っていくためのものでございます。 再構築に当たりましては、研究機関の職員の処遇や研究環境が確保されるよう努力いたしますとともに、こうした問題でございますから、職員の意見を十分に踏まえまして、また誠意を持って対応してまいりたいという私の気持ちを申し上げておきたいと存じます。
○岩佐委員 職員の意見を十分踏まえてということは、職員の意見をお聞きになるということですね。
○森井国務大臣 そう考えております。
○岩佐委員 再編計画案では、特殊法人の社会保障研究所を廃止して人口問題研究所と統合するというふうになっています。特殊法人の定員は二十三人であります。これを国家公務員とすることになるわけですから、当然、従来の総定員にプラスされなければならないはずであります。ところが、実際には定員枠をふやしていない。これでは、結局は機能縮小、定員削減のための整理統合と言われても仕方がないというふうに思います。 厚生省の試験研究機関の定員というのは、一九七二年には千二百四十三人いたわけですが、九五年には九百四十二人へと三百人余りが削減をされているのです。試験研究機関としての機能がそれだけ縮小されてきたということであります。 二十一世紀に向けて厚生科学研究の一層の推進を図るというのであれば、私は、総定員というのはきちんと守っていくべきだ、確保していくべきだというふうに思いますけれども、基本的なお考えについて伺いたいと思います。
○亀田政府委員 今回の試験研究機関の再構築でございますけれども、御案内のように、現下の定員事情は大変厳しいものがございます。こういうことから、原則として既存の定員の枠内で措置する、こういうことで進めておるわけでございます。そういうことでございますが、その具体化に当たりましては、組織や業務の効率化等を真剣に行い、各研究機関の運営に支障が生ずることのないよう十分努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。 また、再構築に伴う研究機関の職員の処遇についてでございますが、これにつきましても、本人の意向を踏まえて十分配慮していきたい、こういうふうに考えております。
○岩佐委員 人口研の再編というのは来年の秋になるわけですが、続いて平成十年には公衆衛生院の再編が予定をされています。憲法でもうたわれている公衆衛生という言葉が全くなくなり、組織的にも解体されるに等しい大編成であります。公衆衛生の理念を含め、何の議論もなく計画が打ち出されてきた。こういう中で職員アンケートが行われたのですが、評価するという方はほとんどおられません。十分説明されていない、不安を感じるという方がほとんどであります。 また、らい病を研究している唯一の研究機関ともいうべき多摩研究所も予防科学研究所に統合される計画ですが、関係者は、将来的には機能が縮小されるのではないかと非常に心配をしています。 先ほどの大臣の答弁があるのですけれども、職員が納得した上で作業を進めるのが私は当然だと思います。そういう合意ができないうちに作業を一方的に進める、話し合いを打ち切るというようなことがあってはならないというふうに思います。十分に時間をかけて検討をしていくべきだと思いますが、その点について伺いたいと思います。
○亀田政府委員 最初に、公衆衛生院についてでございますが、地域の保健、医療、福祉に関する総合的、実践的な調査研究を行う、こういう研究所として再構築するということを考えておるわけでございますが、御指摘の公衆衛生に関する研究につきましても、医療や福祉に関する研究との連携を図りながら今後一層充実強化をしていきたい、こういうふうに考えでございます。 また、御指摘のございました国立多摩研究所でございますが、御指摘のとおり、国立予防衛生研究所と統合する、こういうことで進めておるわけでございますが、その研究組織はハンセン病治療研究センター、こういう名称に名称変更をいたしました上で引き続き現在地に残す、こういう予定にいたしております。これによりまして、国立予防衛生研究所の感染症に関するこれまでのもろもろの研究成果あるいはすぐれた研究設備、こういうものを活用する、こういうことで、らいに関する研究もより一層推進が図られる、こういうふうに考えておるところでございます。 いずれにいたしましても、私どもこれからも十分検討いたしまして、先ほど大臣から申し上げましたように、職員の意見を十分踏まえ、職員の方々の処遇や研究環境を確保しつつ、これらの再構築の目的が達成されますようこれから十分努力してまいりたい、こういうふうに考えております。 〔荒井(聰)委員長代理退席、委員長着席〕
○岩佐委員 次に、HIVの問題について伺いたいと思います。 裁判所の所見では、何ら落ち度のない原告らがこうむった容認できない被害あるいは被害者の「死亡に至るまでの病態は極めて悲惨」などと、この事件、薬害の深刻さについて指摘をしています。被害者は今、被害者の気持ちに沿った早期解決を望んでいます。厚生大臣は、先ほど来のやりとりの中で、和解勧告の枠組みを受けとめる、そう言っておられます。そういうことでいえば、所見の第三項「被告らの責任について」で示している国、企業の被害発生、拡大についての責任を重く受けとめて和解協議に望むべきだと私は考えます。 先ほど来「法的責任の存否の争いを超えてこという部分のみを繰り返しておられますけれども、これはおかしいと思います。所見のこの部分は、四のところ、「和解による解決の提唱」という部分を見てみればわかるように、いわゆる治療体制の整備などを言っている、その後の部分にかかわるものであります。このことを言う前の前提として前の部分があるのですね。四の最初のところ、「被告らには原告らのHIV感染について重大な責任があるといわざるを得ず、それによって原告らが被った物心両面にわたる甚大な被害について深甚な反省の意が表されて然るべきである」こういうふうに述べられているわけであります。この点について、大臣のお考えを改めて伺いたいと思います。
○森井国務大臣 和解案は、初めからしまいまで読みますと、裁判所の苦労といいますか配慮といいますか、そういったものが総体的ににじみ出ていると私は思うわけでございまして、やはり和解勧告というのは、原告のみならず被告である国にも一定の理解を示していただいた和解案だというふうに基本的に認識をしておることをまず申し上げておきたいと思います。 それから、裁判所の所見におきましては、国に感染被害を早急に救済すべき責任を果たすべきだ、そういった指摘があることは私も承知をいたしておりますが、これを重く受けとめをいたしまして今日に至っているわけでございます。この指摘は、裁判所が国に、法的責任の存否の争いを超えて早期に患者を救済すべき責任を有しているとして和解を提唱されているものと考えておりまして、本件を和解により早期に解決することがかかる責任にこたえていくことであるというふうに私は考えているわけでございます。
○岩佐委員 その答弁だと、先ほど来のお考えと同じになるわけですね。今私がお話をした部分というのは、要するに、裁判で決着をつけるとすれば非常に長い時間がかかるということで、それで和解勧告になるわけですけれども、しかし、その前提として、今読み上げたように、被告らには原告らのHIV感染について重大な責任があると言わざるを得ないのだという部分があるわけですね。ですから、そういう面も含めてきちんと踏まえてこれからの問題に対処をされていくべきだ。 何か、先ほどから伺っていると、「法的責任の存否の争いを超えてこという部分だけが強調されている。そういうことではないのじゃないですか。全体的にやはり重大な責任があるという部分、だから、六対四の企業と国との損害額の分担についても、かつてない四という割合も出てきているのじゃないだろうかというふうに思うのですけれども、そういう部分も含めて、あるのではないですかということを言っているわけであります。
○森井国務大臣 今、岩佐先生おっしゃいましたように、日本の裁判制度からいけば、本来、判決を迎えて、それが不服なら控訴、上告というちゃんとしたルールがあるわけでございます。恐らく、私もそうですが、裁判所の方も、この際、そういうルートをたどらずに和解によって一刻も早く解決した方がいいのではないかという裁判官の御判断だというふうに解釈をいたしておりまして、その意味で、この和解というのは何としてもまとめていきたい、そのための努力をぜひやっていきたいということでございまして、責任論もございますけれども、それはそれといたしまして、これから和解の協議の中で十分議論をしていただきまして、最終的に合意に達すればありがたいというふうに思っております。
○岩佐委員 この点については、これからも議論はしていかなければいけないというふうに思いますけれども、余りその「法的責任の存否の争いを超えてこということだけを強調されて、何か所見が法的責任がないというふうに言っているように勝手に解釈をされるということではなくて、枠組み全体を重大に受けとめてやられるということなのですから、きちっと対処をしていっていただきたいということを重ねて申し上げておきたいと思います。 最大の薬害訴訟の一つであるスモン訴訟で、一九七九年、国は被害者との確認書で、「薬害を防止するために必要な手段をさらに徹底して講ずるなど行政上最善の努力を重ねる」ということを約束しました。ところが、このわずか二、三年後に血友病患者が、汚染された血液製剤によってエイズウイルスに感染をさせられてしまったわけです。 血液製剤によるエイズウイルスの感染が明らかになってきた一九八三年の後半以降、厚生省がどういう対応をしたか、これが最も問題にされる部分です。クリオに切りかえるとか加熱製剤を早期に承認する、これらが行われていたらもっと被害が少なくて済んだことは明らかです。裁判所の所見でも、「医薬品の安全性確保は、厚生大臣が行う業務行政において最大の考慮を払うべき」と強調して、この権限を行使しなかった国の責任を指摘しています。「行政上最善の努力」をしたとは決して言えないというふうに思います。この点について、大臣、いかがでしょうか。
○荒賀政府委員 当時、厚生省におきましては、そのときの医学等の知見のもとで、血友病患者がエイズに罹患する危険性というものを予見できなかったわけでございまして、クリオ製剤に戻ることもあるいは加熱製剤へ転換することも困難な状況にございまして、相応の努力はいたしたものと考えておるわけでございます。 しかし、結果として被害の拡大を防止できなかったことについては、まことに残念であると考えておりまして、今後、こうした事件の再発防止を図る観点から、血液製剤の安全性の確保に一層努めてまいりたいと考えております。
○岩佐委員 もともと、加熱製剤が開発されたというのはウイルス性肝炎対策としてでした。しかし、八三年の後半には、エイズウイルスの感染防止のために加熱製剤が有効である、日本においても早期の開発が必要である、そういう認識のもとに、厚生省として血液製剤の製造業者及び販売業者に対して開発を要請したのではありませんか。その点についてはどうですか。
○荒賀政府委員 ただいま御質問の件は、一九八三年の八月に加熱製剤の開発を指示したという政府委員答弁のことをおっしゃっておるかと思います。 当時、一九八三年、昭和五十八年の夏ごろでございますが、日本トラベノール社から、アメリカにおける加熱製剤の承認申請データを提示して、日本における加熱製剤の承認申請について相談がございました。厚生省は、このデータを検討の結果、同年八月に、副作用等の安全性の面で臨床試験データが必要であるというふうに判断をいたしまして、その旨同社に回答をしたものでございます。
○岩佐委員 これは先ほど来議論をされてきたところでありますけれども、八八年の国会答弁でははっきりと、昭和五十八年八月に加熱処理製剤の早期開発を指示、こう答えているのですね。八五年の質問注意書に対する答弁では、「昭和五十八年十一月に、血液製剤の製造業者及び輸入販売業者に対し、エイズウイルス不活化のため加熱処理した凝固因子製剤の開発について要請を行つた。」こう答えているわけです。ところが、これらの国会答弁を後でみんな覆しているのですね。これでは、厚生省の国会答弁は信用できないということになるのではありませんか。 厚生省が現在説明している、八月や十一月の内容の資料を幾ら請求しても、ありません、その一点張りなのですね。非常に無責任な話だと思います。こんな国会軽視というのは、私たちは決して納得がいきません。 患者の皆さんは、エイズ感染とは死を感染させられたようなもの、被害者たちは生命、健康、社会生活のあらゆる場面で極限状況の被害と日々闘っているのです、こう悲痛に訴えられておられるのです。国はなぜこのような悲惨なエイズ薬害を防ぐことができなかったのですか。被害者はもとより、私は、国会や国民の疑問にこたえて必要な資料はみんな出すべきだと思うのです。 厚生省が無謬論にしがみついてそう開き直っている限り、悲劇はまた繰り返されると思います。私は、国会で引き続き徹底的に調査をする必要があるし、審議をする必要があるというふうに思っています。先ほども同僚議員から提案があったところでありますけれども、委員長、私からも、時期を見てHIV問題について集中審議を行うよう提案をいたします。御検討いただきたいと思います。
○和田委員長 ただいまのお申し出の件につきましては、改めて理事会で協議をさせていただくことにいたします。
○岩佐委員 加熱製剤の開発要請から許可をされるまでに二年近くかかっています。これは先ほども議論をされているところですけれども、アメリカのバクスター社では、当時開発が終了していました。だから、安全性、有効性確認の治験等が必要だったにしろ、緊急性が求められている、そういう医薬品でありますから、承認の期間としてはいかにも長過ぎます。しかも、各社同時に承認をされている。これはどういうことなんですか。
○荒賀政府委員 厚生省におきましては、この加熱製剤の医薬品の有効性、安全性を判断するために必要なデータの範囲を示しまして、一九八三年の十一月に血液製剤メーカーに対しまして、適切な治験が早急に実施されますように、承認申請の取り扱いについて説明会を行ったところでございます。この説明を受けまして、各社においては、昭和五十九年二月ごろから承認申請のための臨床試験に入ったわけでございます。そして、昭和六十年四月末から五月末にかけまして承認申請がなされたところでございます。厚生省としては、できる限り早急に加熱処理製剤の承認をいたしますために優先的に審査を行いまして、審査後一、二カ月という極めて異例の早さで承認を行い、承認日は結果的にそろったものでございます。
○岩佐委員 優先的に承認を行うということで結果的に時期がそろったと言ったって、余りにも時期がそろい過ぎているのじゃありませんか。今の説明では本当に納得がいかないのですね。厚生省が結局はこの問題にかかわって、そして時期を一致させるというようなことがあったのじゃないですか。 そういう背景には、日本のミドリ十字の開発がおくれていたために、それに合わせたとも言われています。先ほどからも議論があったところですが、ミドリ十字には多くの天下り官僚がいます。また、厚生省薬務局から製薬企業や製薬団体に再就職する、こういうことがルール化しています。現在まで、ざっと調べただけでも百名近くにも及んでいます。 皆さんに資料を出してくださいと言っても、なかなかこの資料が出てこないのです。ちゃんと職員名簿、役員名簿と突き合わせればできないことではないのですね。それでも出さない。私は、これは本当によくないというふうに思っています。こうした製薬企業と厚生省の癒着、これが野放しにされる限り、私はこうした問題が繰り返されていくと思います。 大臣、このような製薬企業や関連の団体への業務局からの大量の天下りというのは、私は、やめるべきだ、見直してやめていくべきだというふうに思いますけれども、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○亀田政府委員 厚生省内における業務の遂行の仕方でございますけれども、特定の職員への職務権限の集中の防止、あるいは同一の職員が同一の職に長年在職することのないような人事配置、こういうこと等々を実施いたしておりまして、綱紀の厳正な保持に努めているところでございます。そういうことから、御指摘のような、企業との間に癒着が生じる、そういうことはない、こういうふうに考えておるところでございます。
○岩佐委員 大臣の大臣答弁を伺いたいと思います、今の天下りについて。
○森井国務大臣 今政府委員が答弁をしたとおりと考えております。
○岩佐委員 大臣、これは百名近くも天下っているということ自体が異常なんですね。業務局と製薬会社あるいは団体とのそういう緊密な関係というのは、これはもう本当に広くみんな知っていることだし、みんな心配していることなんですね。そういう問題について、今の、別に癒着しているわけでも何でもないし、大したことはないというようなことのまま大臣が繰り返されるというのはいかにも情けないというふうに思うのですけれども、その点いかがでしょうか、大臣の政治家としてのお考えを伺いたいと思います。
○森井国務大臣 職業の選択の自由ということもあるわけですよ。だから、誤解を招くようなことは絶対にいけませんけれども、学識経験を買われたり、あるいはまた技術の知識を買われたりしてその人が就職する場合までは、私としてはとめるわけにいきません。 繰り返し申し上げますが、誤解があるような天下りというのは好ましいことじゃありませんけれども、本人のそういった経験を買われて就職をするという場合に、それでもなお大臣としてやめろとはなかなか言えないわけでございまして、人数はそう多くないというふうに私は判断をいたしております。たしか十五人かな。
○岩佐委員 私には資料を出さないで、大臣には十五人と説明したようですけれども、それは役員だけでしょう。それで、役員に天下ったというだけじゃなくて、いろいろな担当部門にも天下っているわけですから、今の、職業の自由とかそういうことで判断をされるというのはおかしいと思うのですね。 私は、そういう意味でいうと、厚生省の官僚の皆さんの資料をそのままうのみにされる、そのままそう信じ込まれるということでは、これはもう本当にどうなのかと首をかしげざるを得ないわけで、この問題だけで時間を費やすことができないので、後でしっかりと考えていただきたいというふうに思います。 最後に、この何の罪もない被害者が五日ないし三日に一人亡くなられておられます。これは、このこと自身大臣も心を痛めておられるということであります。医療体制の不備のために発症予防など必要な治療を受けられないでいる被害者が多数おられます。また、エイズを発症して入院している被害者やその家族は、日々刻々とさまざまな苦しみにさらされているわけです。 厚生省として、こういう被害者の皆さんの生の声を聞いて、そして、医療体制など緊急に講ずる必要があるそうした問題については対処されていかれるべきだというふうに思います。大臣のお考えを伺います。
○森井国務大臣 裁判所の訴訟手続の中で和解勧告が出されたのを受けて和解の席に着くことにしたものでございまして、当面、恒久対策についてまだ内容が明らかでありません、それは協議をしろということになっておるわけでございまして、その協議の結果を見守ることが適当であるというふうに判断をいたしております。
○岩佐委員 最後に、障害者問題について伺いたいと思います。 午前中、同僚議員とのやりとりの中で、厚生省として総合プランをつくって関係方面に働きかけていくというふうに言われておられました。そこで、ぜひ大臣に閣議等で、例えば、各省庁割りのプランだけでは困るわけですから、町づくりにしてもあるいは補装具の問題にしても各省庁統一して取り組んでいけるような、そういう指導性を発揮していただきたい。そういうことで閣議等で働きかけていただきたいと思います。 それからもう一つ、心身障害児の通園事業の問題です。 九五年度では、この予算が一億三千万円、七・四%も減額になっています。この事業は二十名をもともと標準利用定員としているわけですけれども、少子化等によって、子供の数が障害児の場合も減ってきているわけです。 ことしから通園施設に対する補助が、一律だったものをいわゆる平均利用人員ごとに五段階に分けて、そして補助をすることにしました。その結果、二百七十九施設のうち二百二十六施設、八〇%以上の施設に対する補助が減額をされてしまいました。関係者は、私たちの取り組みがいつか正当に評価されると信じて頑張ってきたのに本当に残念だと肩を落としておられます。 利用状況を見ると、六人から十人の施設が最も多いのです。百二十一施設あります。出生率が低下をしている現実、それからもう一方では、身近な施設が望ましいということでいえば、むしろ二十名定員というのは非現実的になってきています。現に、二十名を標準利用定員としているために補助を受けられない、そういう通園事業の類似事業が全国に三百七十五施設もあるわけです。 この実態から、五段階に分けてずっと補助金をカットしていくということをさらに進めて、平成九年度をめどに厚生省は五人以下は継続承認は行わない、つまり、五人以下の施設はつぶしてしまうというようなことを方針として出しています。さらに、十一人から十五人のこの施設の補助単価を六人から十人の補助単価の水準に引き下げようということを考えているのです。 利用人員の少ない施設を切り捨てる、単価を切り下げる、これは到底「人にやさしい政治」とは言えないというふうに思います。むしろ、出生率の低下という現実に合わせて標準利用定員を二十名から十名に引き下げる、そのくらいの配慮をすべきだというふうに私は思います。 時間がなくなってしまいましたので、大臣のこの点のお考えを伺って、それで終わりたいと思うのです。
○森井国務大臣 岩佐委員、いわゆる天下りは、先ほど十五名と申し上げましたが、これは人事院から承認を得て過去五年間で十五人でございましたので、これは訂正をさせていただきます。 なお、本日、某新聞の天下りのリストが載っておりましたが、この中には厚生省は入っておりませんでした。 次に、御答弁を申し上げたいと存じますが、障害者が地域の中で普通に生活できる社会を実現していくためには、厚生省の担当する保健福祉分野だけでなく、広く関係省庁がそれぞれの立場で施策の推進に取り組んでいく必要があると考えております。 このため、政府の障害者対策推進本部において、平成五年三月に、平成五年から平成十四年までの十年間についての計画である障害者対策に関する新長期計画を策定いたしておりまして、現在、政府全体でその具体化に取り組んでいるところでございます。 新障害者プランの策定については、現在作業中でございますが、プランの範囲をどのようなものにするかについても今後検討していくことになりますけれども、障害者対策推進本部を設置している総理府とも連携を図りつつ、よりよいプランとなるように取り組んでまいりたいと考えております。 次に、心身障害児通園事業の問題でございますが、在宅で生活している障害児が通園しながら生活訓練を受けたり交流することは、障害児の福祉を地域において支える上で極めて重要であるという認識を持っております。 今回、心身障害児通園事業については、利用児童数の実態に応じた補助方式に改めたわけでございまして、こっちの方が合理的かなとは思いましたけれども、今御指摘のような問題もございますので、今後とも、通園事業の実態を十分に見きわめながら、地域における障害児の療育体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
○岩佐委員 終わります。
○和田委員長 五島正規君。
○五島委員 朝から大変御苦労さまでございました。 まず、私も今回のHIVの裁判和解につきまして、森井大臣に質問いたします。 大臣は、裁判所の和解勧告提出と同時に、この和解のテーブルに着くということをいち早く決断されたわけでございまして、その点につきましては非常に高く評価するものでございます。ただ、先ほどからの話を聞いておりましても、確かに大臣の御答弁の中におきましても、法的責任の存否を超えて人道的見地、社会的見地からこの和解のテーブルに着くのだというお話が非常に強調されて聞こえてまいります。 そこで、私の方から私見を交えて若干御質問をさせていただきたいというふうに思います。 今回の事件ほど、患者さんの立場から見た場合に、患者さんの自己の健康を守るための自己努力を含めてあらゆる側面から見て、患者さんには何らの瑕疵のない事件というのは珍しいだろうというふうに思います。先天性の疾患である血友病という病気にかかる。そのために、唯一ともいうべき血液凝固剤、血液製剤を、専門医のもとにおいて治療を受けておられる。そして、その治療の中においても、国の認定のもとにおいて、限られたメーカーから提供されている血液製剤の治療を受け、それによって血友病の治療を行いながら社会生活をしてこられる。その過程の中で、全く患者としては想像もできないような、こういうエイズの罹患というふうなことが発生したわけでございます。 この患者さんの心情を思うときに、私は、患者さんが国の責任とおっしゃることについて、無条件にそのとおりだと思わざるを得ません。それは、そうした血液製剤を流通にそのまま放置した国の責任ということもあるでしょう。あるいは、信頼する医者からそういう血液製剤を注射され、それによってエイズという疾患にかかったという思いもあったと思います。さらに、そうしたエイズという疾患にかかりながらも、医者からの告知が大変おくれてしまい、現在もなおまだその告知さえされていない患者の存在があるとも言われています。 言葉としてのインフォームド・コンセントということにつきましても、この委員会において何回も繰り返されてまいりましたが、日本の医療の中においてインフォームド・コンセントは一体どこにあるのだというふうな、非常に痛烈な日本の医療界に対する批判としても私に聞こえてまいります。また、こうした疾患にかかった結果、疾病差別によって社会的に、この訴訟の当初においても実名公表をされることが非常に難しかったというような状況にも代表されるような、日本社会の中における疾病差別という問題もあると思います。 そうしたものすべてに対してのこの患者の心情としていえば、それらすべてに対し一体どういうふうに責任をとってくれるのだという気持ちが前面に立つということは、私は当たり前のことだろうというふうに思います。私は、この患者の心情を理解せずしてこの裁判の和解というものはあり得ないというふうに考えます。後ほど、この点についての大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。 そして、この裁判所の裁判和解の中におきましては、単に和解のテーブルを裁判所が提出しただけではなく、この和解のテーブルを用意するに当たって裁判所は、東京も大阪もともにかなり共通した内容でございますが、それぞれ裁判所の所見というものを提示してございます。この裁判所の出されました所見書を見ますと、やはり国には予見可能性、回避可能性というものがあったのだというふうにも記載されているわけでございます。 大臣がこの和解のテーブルに着くに当たりまして、その裁判所の所見というものは関係ないよという立場なのか、この裁判所の所見というものを含めて、その立場に立って和解のテーブルに着かなければならないとお考えなのか、まずそこのところをお伺いしたいと思います。
○森井国務大臣 御指摘のように、今度のエイズ感染の事態については、全く原告、患者には責任のないことでございまして、私も五島先生と全く同じ認識に立っております。特に胸が痛みますのは、少年などを含む若い層が罹病をしているという事実などを考えますと、本当に胸の痛む思いがいたしております。 今月の六日に和解勧告案が出されまして、私はもう四度も五度も、何度も読んでみました。私も一定の判断をしたわけでございますけれども、私が就任をいたしましたのが八月の八日でございます。既に、一部ではありますけれども、口頭弁論が終わっておりまして、そういう状況でございましたけれども、私といたしましては、やはり和解勧告が出ればこれは真剣に受けとめなければならぬということで、前の大臣のお立場もございました。それは、裁判がずっと係属をしておったわけでございますから、私は訴訟の場がどうであったかということは承知をしておりませんけれども、恐らく、けさほど来政府委員が答弁をしておりますように、結果としては大きな被害が出たわけでございますけれども、厚生省の判断に誤りはなかったという主張を裁判でも繰り返したのだろうというふうに私も考えております。 これは数年たっておるわけでございますから、非常にそこで裁判上の争いというのは明確になったものだろうと思いますけれども、やはりそういう意味で今度の和解を考えてみますと、今申し上げましたように、厚生省の主張がどこまで裁判所に認めていただけたかということについては、私も記者会見でも申し上げましたように定かではありませんけれども、結果としてあれだけの大きな被害が出たということに関する社会的な責任といいますか、政治的な責任といいますか、それは皆無ではないというふうに私は判断をいたしましたものですから、和解勧告を受け入れるべきだというふうに世の中に申し上げてきたわけでございます。 御指摘のように、原告あるいは被害者の方々のお気持ちを考えますと、とにかく長引かせてはいけないというふうに考えておりますし、これから和解交渉が始まるわけでございますが、けさほども申し上げましたように、国の責任をどうするかということにつきましては、私は、和解の協議の中で大事なテーマだ。補償の額もあるいはその恒久対策もありますけれども、責任論も含めて、また謝罪もあると思いますが、法的責任とかあるいは謝罪の問題とか、これはぜひ、今までの経過が先ほども申し上げましたようにあるものですから、和解の場で十分、思う存分に話し合いをしていただきたい。これが私の願いでございまして、それができれば、繰り返し申し上げておりますように、私も可能な限り何でもいたしますと申し上げてもいいくらいの気持ちになっておりますので、ぜひ御理解をいただきたいというふうに考えております。
○五島委員 大臣がこの問題解決のために取り組まれる熱意については、私は、おっしゃったとおり、そのとおりと受け取って、ぜひ頑張っていただきたい、解決に向けて努力をお願いしたいと思います。 この問題と関連いたしまして、一、二質問をさせていただくわけでございますが、一つは、こうした事故の再発を防止する上においても二つの重要な問題があるだろうというふうに思います。 先ほど来同僚議員が大変、当時の業務局あるいは生物製剤課長の責任について言及しておられるわけですが、スモン禍との関連の中におきまして、医薬品の安全に関して昭和五十四年に薬事法が改正されました。その中で、こうした重篤な疾病が想像される場合、厚生省の方は、裁判との関係の中で、事実関係について、あるいはその当時の資料について非常にあいまいな発言をされているわけですが、少なくとも、厚生省がエイズの実態把握に関する研究班を発足させられた。これは文字どおり呼ぶとすれば疫学調査なのかな。疫学調査になぜ血友病の専門家が会長に就任されたのか、非常に疑問も感じるところでございますが、そういうふうな事実もございます。 しかし問題は、そうした薬品の安全性に関する審議をする場所というのは一体どこになっているのか。薬事審なのか、それとも、厚生省がその当時のそれぞれの課長あるいは局長の権限において研究班をつくって行政判断をされるのか。そこのところはどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
○荒賀政府委員 このエイズの問題につきましては、先ほど来御説明をしておりますように、全く未知のウイルスで、その対策についてもどのように取り組んでいくのか、また、その実態をどのように把握していくのか、必要であるという判断でエイズ研究班を厚生省が業務局におきまして設置をし、検討をしていただき、その報告を受けたわけでございます。 そのほか、医薬品自体の有効性、安全性につきましては、先生御承知のように、中央薬事審議会におきまして、それぞれ調査会、部会がございまして、承認申請がございますと、そこにおいて審議会にお諮りをして、そして答申を得て承認をするという手続がございます。また、法制度上の問題につきましても、この中央薬事審議会の中に法制度関係の特別部会がございます。これは、昭和五十四年の大改正以来数次にわたる薬事法の改正もございますし、また今後必要があれば、その中央薬事審議会の特別部会においても検討をしていただくことになろうかと思います。 また、昨年の十月には、医薬品をめぐる総合的な安全性確保対策、これは治験から承認審査あるいは市販後対策に至る総合的な対策を今医薬品券全性確保対策検討会において議論をしていただいておるところでございます。この方向、内容がまとまりましたら、これを踏まえて抜本的な、総合的な対策を法制度の改正も含めて検討してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○五島委員 そうしますと、一つお伺いしておきたいのですが、この血液製剤の安全性の問題あるいはクリオ製剤の採用の問題について、薬事審に対して厚生省の方から諮問をされたということはあったのでしょうか、なかったのでしょうか。4の点だけ、簡単にお答えいただきたいと思い吉す。
○荒賀政府委員 今回の問題につきましては、年ほど御説明をいたしましたエイズ研究班で、クリオ製剤へ戻ることの検討も含めて血液製剤の今後のあり方も検討されておりますし、また、実態調査それからエイズの診断基準、そういったことについてもこの研究班で検討をされたところでございます。 それから、先ほどの加熱製剤の承認の件につきましては、中央薬事審議会の関係の調査会を経て、昭和六十年七月に承認をしたところでございます。
○五島委員 昭和六十年にそのクリオ製剤について薬事審にかけたということでございますが、クリオ製剤そのものは外国においてもう数年前に出ているわけで、なぜそこまで薬事審の答申がおくれたのかということになりますと、結局、この問題につきまして、正規の審議会でない研究班というふうなものが私的につくられ、そこに任されたことが事態を解決する上において非常にネックになったということだと思います。第一、先ほども述べましたが、エイズの実態把握に関する研究班であれば臨床医学研究でございますから、その範囲として血友病患者の専門家が入ってくるということは、当然、血友病との関係を疑われたから入ったのだと考えざるを得ません。通常であれば、疫学の専門家がそれを担当するのが当たり前でございます。 そういう意味からいっても、この点につきましては、もっと薬事審のあり方あるいはそういうふうなものをきちっとやっていくということでないと、こうした問題の再発は防止できないのではないか。そして、そうした正規にかけられる、そういう審議会の中の議論というものは、どう考えても、やはりきちっと情報として必要な医学界あるいは医療関係者に対して公表されるということがないと、こうしたことの安全性というのは確保できないだろうというふうに思います。 この点の問題につきましては、先ほど来各同僚委員から一度集中審議の御要望もございます。私も、ぜひやるべきだということで委員長にお願い申し上げますが、その中において明らかにしたいと思います。 また、今日に至ってもなお、インフォームド・コンセントといいますか、告知をしていない医療従事者の存在、医者の存在というものに対しては、これもまた、このインフォームド・コンセントの問題をやはり法制上何とかしていかないといけない時期に来たのかなと思います。そういうふうなことを含めまして、ぜひ委員長の方にお取り計らいをお願いしておきたいと思います。 この問題は、これで一応終わらせていただきます。 次に、医学研修体制と医学教育の問題についてお伺いしたいと思います。 午前中、坂口議員の方からもオウムの問題との関連の中において御指摘ございましたが、確かに、医師を初めとしていわゆる高等教育を受けた、知的なレベルとしては非常に高いと思われる方々がああした凶暴な集団の中で非常にとんでもない行動に走っている。これはやはり現在の教育制度の中で非常に問題があると思わざるを得ません。 その関係で、きょう文部省からもおいでいただいていると思いますが、文部省は最近、いわゆる教養学科、教養学部というものを基本的に廃止の方向を打ち出しておられます。事実、六年間の医学教育の中で従来二年間の一般教養課程というのがあったわけでございますが、この一般教養課程がだんだん専門教育に置きかえられてきている。医学の進歩とともに医学教育が四年間では難しいということの中で、一般教養の時間帯が今実際上はもうその半分ぐらいになっていると思われるわけでございますが、こうした状態がやはり全人的な医師を養成するという意味においては非常に問題になっているのではないかというふうに思われます。 その点につきまして、いち早く薬学を初め、あるいは看護教育を含め、いわゆる医療関係の専門家の養成の修業年数を延長するべきという声が各界から強まっているわけでございますが、医師の一般教養の問題を含めて医学教育年数について、これをやはり延長すべきではないかというふうに考えるわけでございますが、文部省、どのようにお考えでしょうか。
○木曽説明員 お答えいたします。 先生御指摘の一般教育の問題でございますが、医学教育における一般教育というのは非常に重要だという認識を持っております。幅広い教養を与え、その知識の調和を保ち、総合的かつ自主的な判断力を養うことを目的としているわけでございまして、非常に重要なものと考えております。 ただ、現在の医学教育の中で、医学分野それぞれの分野の発展、学問分野の発展によって、教えなければならない知識量が飛躍的に多くなっているということも事実でございますが、教育内容につきまして、まさに基本的な知識、技術の習得という観点から、それを精選することやあるいはカリキュラムを工夫することにより、学部教育六年の中で一般教育と専門教育を両立させることは可能であろうというふうにまず考えております。 また、学部延長の問題につきましても、現在六年の医学教育のあり方につきましては、いろいろな意味で各界に影響が大きいわけでございます。例えば、教育のあり方そのものへの影響あるいは学生の教育費負担の増という問題、あるいは教育だけでなく研究面への影響、また現在医学を学んでいる学生や医学部に入学しようとしている高校生への影響等、教育研究の見地から慎重に検討すべき問題であると考えております。 以上でございます。
○五島委員 確かに、教育年数がふえればそれだけ学生のコストも高くつくし、いろいろな問題があるというのは当たり前でございますが、だからといって非常に人間としての常識を欠如したような、そういう医者がふえてくるというのは大変困るわけです。 今回のエイズ問題の中においても、先ほどから強調しておりますが、インフォームド・コンセントというような問題が果たして医療ということに特有のものなのかどうか。人と人との関係それから専門家と人との関係において常識の問題、そこのところが不十分な中において、みずからの治療の中で起こしてきたこういう重篤な障害に対しても、そのことを告知しないままに口をつぐんでいるという、他の社会では通用しないことが現実にはあるわけなんです。 そういう意味からいえば、やはり医学教育の中において、そういう全人的教育というものをどう強調するかということは非常に重要でございますので、文部省は、大学経営者の問題やあるいは医学生の経済的問題について配慮していただくのは、それは結構でございますが、社会的な機能としての医者のあり方という問題を忘れてその問題だけについて対されるのは大変困ることだということを申し上げておきたいと思います。 あわせて、それとの関連の大変ございますポスト・グラデュエート・エデュケーション、特に医学研修の問題について厚生省の方にお伺いしたいわけですが、これまた非常に重要な問題でございます。 ところが、最近、卒後二年間の研修期間というのを、スーパーローテーション、すなわち全科回るような形での診療技術の習得あるいはローテーション研修というふうなものから、いわゆるストレート研修という、卒業したらすぐにある特定の診療科の専門医として、スペシャリストとしての教育に入っていくという医者が大変ふえてまいりました。ストレート研修というのは、言いかえれば専門家としての基礎的な教育である。それに対して厚生省はどう位置づけておられるのか。 私は、アメリカの議論も含めて見ていきますと、その医者が専門医として存在していこうというふうに決断しておられるのであれば、ストレート研修もそのコースとして認めればいいと思います。しかしながら、医師として開業したりあるいは第一線の病院の中で医療をしていこうという場合には、何としてもプライマリーな形で全科についての医療知識を身につけることによって医師と患者との関係、疾病と人間との関係というものを包括的に理解するということは欠かせないだろう。 そういう意味では、このローテーション研修をきちっと補習するシステムというものがやはり必要であり、それが、場合によっては卒後直ちの二年間でなくても、スペシャリストとして育った後においてでも、必要があればそういうローテーション研修が受けられるというシステムが必要だろうと思います。これを大学病院にすべて任すというのは、大学というところは、私もおりましたけれども、決して必要なプライマリーケアを身につけられるところではございません。 そういう意味では、もっと第一線の病院の中においてこのローテーション研修というものをきちっと補習して、本当に患者と医師との関係というものを重視できる、そしてプライマリーをきちっと押さえることのできる医師の養成というものが必要だというふうに感じている次第でございますが、その点についてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
○谷(修)政府委員 医師の卒後臨床研修のことでございますが、私どもは従来から、先生がおっしゃいました、ストレート方式ではなくてローテーションあるいは総合診療方式による臨床研修が望ましいという立場で関係方面に働きかけをしてまいっております。 基本的には、医師が免許取得後の早い時期に幅広い臨床経験を積んで患者を全人的に診る能力を身につけることが必要だ、そういう認識でございまして、そういう意味で、先生がちょっと今おっしゃいました、専門医になるのであればストレートでいいのではないかという考え方は、私どもは現在のところはとってないわけでございます。この臨床研修の位置づけについては、あくまでも、先ほど申しましたような全人的な幅広い知識なり経験を医師免許取得後できるだけ早い時期に積んで、その後専門医に向かうのであればさらに専門医としての研修なり修練を積んでいただく、そういう考え方を現在とっております。 この卒後臨床研修の問題につきましては、現在の臨床研修のやり方、これはいわゆる努力義務でございますが、それだけで十分なのかどうかといったような問題意識もございまして、今後の臨床研修のあり方をどういうふうにすべきかということにつきましては、昨年の十二月に医療関係者審議会の臨床研修部会でいろいろ御議論をいただきまして、その結果をもとに、今その下に小委員会というものをつくりまして、具体的に、今後のあり方、今おっしゃいました大学病院との関係あるいは臨床研修指定病院をもっと幅広いものにしていったらいいのではないかというふうなことも含めて検討をしていただいております。
○五島委員 私は、スペシャリストというのはスペシャルホスピタルに附属するものだというふうに考えておりますので、そういうコースを生涯追求したいという方についてはストレート研修もいいのではないかと考えているわけですが、厚生省の考えはわかりました。 なぜこうした医学教育研修問題について申し上げるかということでございますが、私は、率直に申しまして、今回の血友病患者さんのエイズ罹患という問題を考えた場合、裁判の中においては挙がってきておりませんが、医者として非常に反省すべきものがあると思います。 いろいろおっしゃっておりますが、一九八三年ぐらい、我々の一般医の段階でもエイズの問題というのは非常に大きな、普通の医者として関心事であったというのは事実です。そして、その当時、B型肝炎問題等々がいろいろ議論されている中において、感染性の疾患であるとするならば、やはり最も危険性の高いものとして血液というものを考えるのも常識であったと思います。そういう意味では、一部の医者が自分自身率先してクリオ製剤をお使いになったということもあったと思います。しかし、血友病の専門家として見た場合に、与えられた薬が非加熱の薬しかない。血友病の治療をするということで、そうした疑念や疑惑というものを押しのけてお使いになって感染させたとすれば、やはりそこに医者として本当に反省しなければいけない面があるのだろうと思います。 そうした私自身医師としての立場としてこの問題というものを考えた場合に、もっと人間というもの、病気と人というもの、そのことが医学の基礎として本当に身にたたき込まれるような医学研修というものがないとだめだろう。それから比べて、いまだにこれの告示もしてないなんという医者が現実に存在するというのは非常に恥ずかしいと思います。そうした医療体制を持っている日本は恥ずかしいと思います。 そういう意味で、ぜひこの医学研修の問題につきましても、あわせて非常に重要な問題として御努力いただくように大臣にお願いしたいと思いますが、一言何かございましたら。
○森井国務大臣 先ほど来ずっと拝聴しておりました。五島先生の貴重な経験に基づいた医師の資質の向上のための御意見だとも拝聴したわけでございますが、お説をしっかりと踏まえまして、厚生省としても努力をしていきたいと思っております。
○五島委員 終わります。
○和田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十七分散会