科学技術委員会 第3号
- 発言数
- 137 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1995/11/07
会議録
○野呂委員長 これより会議を開きます。 科学技術振興の基本施策に関する件について調査を進めます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本件調査のため、本日、参考人として地震調査研究推進本部地震調査委員会委員・東京大学地震研究所教授島崎邦彦君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ―――――――――――――
○野呂委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田昇左右君。
○原田(昇)委員 私は、科学技術基本法をこの前この委員会で成立させたわけでございますが、科学技術全般にわたっての振興体制というのをぜひ整備していただきたいと思います。 ところで今回は、実は先国会において、阪神・淡路大震災の痛ましい経験をもとに、我々としては、できるだけ常日ごろ調査研究もやり、そして地震の痛ましい経験から、いつ起こっても災害の程度を著しく軽減できるように手当てをしようということから、地震防災対策特別措置法というのを成立させました。それに基づいて、科学技術庁には、科学技術庁長官が地震調査研究推進本部の本部長に就任され、そして調査委員会あるいは政策委員会等でいろいろ施策を講じておられると承知いたしております。 そこで、その法律を成立させるときに、浦野大臣は災害特の筆頭理事をやっておられまして大変御苦労してまとめられたということでもございますので、きょうは地震に絞ってお伺いをさせていただきたいと思います。 まず、地震に関する総合的な調査研究をやっていただくことになっておるわけですが、私は、調査計画というのがなくてはならないと思うのですね。例えば、活断層でこの前の阪神大震災は起こった。日本に活断層というのは千幾つもあると言われております。そのうち相当大規模なものが百幾つある。じゃ、それを調査をして、本当に起こりそうなところなのかどうか、どの程度警戒しなきゃならないかということもやらなきゃならないと思いますが、そういう調査計画をやっていただくことを我々としては非常に期待をいたしておるのですが、どのくらいの作業になっておられるのか、どういう方針でこれに対処しておられるのか、大臣からお伺いしたいと思います。
○加藤(康)政府委員 御指摘の全国的な調査計画でございますけれども、現在の我が国におきましては、東海沖の地震とか首都圏直下型の地震、そういうものを念頭に置きまして、東海とか南関東地域についてはかなり調査網を整備されておるところでございますが、全国的に見ますとまだまだ観測の空白区域の存在が指摘されているところでございます。 このため、そういう空白区域をできるだけ解消したり、密に調査をしなきゃいかぬところには密に観測網を置くというようなことを考えまして、全国的な地震調査観測網を整備するために、先ほど先生おっしゃいました本部の政策委員会のもとに調査観測計画部会を設けまして現在審議をしているところでございます。 その中では、陸上それから海、そういうところにおきます微小の、海底でございますが、微小の地震の観測施設を全国的に展開をする、それから地殻の変動を観測するために沢地球測位システム、GPSと言っていますが、カーナビの原理を応用して物すごく精密に測定するものでございますが、そういう施設をつくるとか、全国の活断層の調査、そういうものを含めました観測計画を、例えば五カ年計画のような格好でできるだけ早く策定いたしまして、全国的な調査網の整備をしてまいりたいと考えている次第でございます。
○原田(昇)委員 今もお話がありましたが、地震が起こる可能性のあるところとして、空白域というのがこの前の新聞にも大々的に出ておりましたけれども、地震に関する観測測量調査または研究を行う行政機関とか大学の情報を収集、整理、分析して、並びに評価をするというのが調査委員会の仕事だと思います。その調査委員会の委員をやっておられます島崎先生にきょうはわざわざお越しいただいて大変ありがとうございました。 島崎先生から少し専門的に、この空白域というのはずばり言ってどこなのだ、そしてそれが非常に地震の起こる確率が一般のところよりは高いと言われておりますが、その辺についてもぜひ伺わせていただきたいと思います。
○島崎参考人 日本は地震国でございまして、どの地域でありましても、いつの日にかは地震が発生すると考えられます。ただ、実用的なレベルで申しますと、例えば今後五十年以内というような時間範囲で大地震が必ず発生する地域をすべて間違いないように挙げるというようなことは、残念ながら現在の地震学のレベルでは困難でございます。 お話しの空白域でございますが、プレートの境界の地域では、大きな地震がお互い重なり合うことなくすき間を埋めるように起こっておりまして、その場合に、現在埋められていない、残っている部分を空白域と呼んでおります。これは第一種の空白域と呼ばれることがございます。例えば東海地域がその例でございまして、昭和十九年の東南海地震あるいは昭和二十一年の南海道地震の際に埋められず、現在空白域として残っている地域でございます。 また、大きな地震が発生する数年前からその震源域の地震活動が静かになって、静穏化して、空白域と呼ばれる地域ができる、これは第二種の空白域と呼ばれることもございます。例えば秋田沖の地震活動が静穏化して第二種の空白域になったのではないかというような議論がなされております。ただ、現状では一地震活動の一般的な変化の可能性も残されております。 さらに、内陸の地震に関してでございますが、気象研究所の石川室長の提唱する第三種の空白域というのがございます。これは、内陸の地震活動から地震帯というようなものを考えまして、そこで埋められていない地域ということでございますが、これは必ずしも近い将来の震源域ではない可能性もあるとされておりまして、別府湾等、国内で二十カ所が挙げられてございます。 さらに、より長期的な観点からは、熊本大学の松田教授が九つの断層を要注意断層としております。 地震調査委員会では、現在、長期部会を設けるということが検討されておりまして、ここで日本全国につきまして統一的な見地から長期的な地震発生の可能性を評価する、こういうことが期待されております。
○原田(昇)委員 そういうところで地震が起こる可能性が非常に高いというように解釈してよろしいのですか。
○島崎参考人 可能性が高い地域の候補というのが正確なところだと思っております。
○原田(昇)委員 島崎先生にお伺いしたいのですが、最近各地でいろいろ地震活動が見られるわけで、我々大変心配をいたしております。 特に、そのうち東海地震についていろいろ言われてきております。例えば震源域が内陸側に移動しているのではないか、また御前崎の沈降速度が鈍っているというように出ております。例えば地殻の動きに変調があるという、駿河湾周辺の専門家の報告が出ております。それから、東海地震の発生機構に見直し論があって、従来理論では説明がつかない、こういうことも新聞報道されております。 これはどういうように解釈したらいいのか。今までの理論を見直して、では新しい観測体制をしかなければならないのか、それとも、もう東海地震の前兆、前ぶれということになるのか、大変大事なことだと思うのですが、これらについて、この前もいろいろ地震学者の間で御議論があったと聞いておりますが、先生の御意見をぜひ聞かせていただきたいと思います。
○島崎参考人 今お話ございましたとおりでございますが、過去に起きました東海地震では、内陸深くまで実際に被害が及んでおります。そのことから、震源域の一部が内陸に及んでいる可能性はあると考えております。しかし、基本的に東海地震がなぜ起こるかというのは、フィリピン海プレートの沈み込みによると考えられますので、基本的な発生過程は従来どおりの考えでよろしいのではないかと私自身は考えております。 御前崎の沈降速度は、現在、ここ一、二年鈍っております。実は、一九八〇年ごろにも同様に沈降速度が鈍ったことがございました。このことから、今回も当時と同様な単なる平常時の変動である、そういうふうに考えることもできます。ただ、駿河湾内での地震活動は、かつては静穏でしたけれども、今回は活発化している、この点が異なります。 個人的な見解ですけれども、広い意味で考えますと、東海地震の前兆現象であるという可能性もあると考えております。
○原田(昇)委員 そうしますと、大変私は注目しなければならない現象だと思うのですが、これに対する観測網とか調査等については今の体制でいいのか、さらに強化をしなければならないのか、さらに、分析とか評価についての手法は今のままでいいのか、あるいは改善しなければならないのか、その辺はどうお考えですか。
○島崎参考人 昨年から、先ほどもお話がありましたGPSという、その場所の位置を正確にはかる観測が導入されましてちょうど一年ほど経過しまして、年間の変動、季節的な変動現象がわかった状態でございますので、今後GPSの成果が出てくることによってより詳しくここら辺のところが明らかになるものだと思っております。 観測網自体に関しましては、二十年ほど前につくられた観測網がございますので、私個人としては一度見直しした方がいいのではないかと考えております。
○原田(昇)委員 今の島崎先生のお話のように、観測体制、少し見直した方がいいだろうというお話ですが、これについて科学技術庁、どういうように思いますか。
○加藤(康)政府委員 先ほど申しましたように、今全国的な観測網につきまして部会で検討中でございますので、島崎先生の御意見もそういう中で検討させていただきたいと思います。
○原田(昇)委員 最近また起こりました伊豆半島東方沖と神津島の群発地震について、推進本部としてはたしか終息宣言を出して地元に評価されたと思うのですね。伊豆の地方では、特に伊東を中心にもう観光客のキャンセルが相次いで大変だというのに、終息宣言を出していただいたので少し落ちついたということを言っております。奄美の地震等についてはまだどんなふうになったのかよくわからないのですけれども、私は、こういうことで調査研究推進本部が積極的にこういう終息宣言を責任を持って出していただけるということについては、これを我々議員立法でつくって大変よかったなということを感じておるわけですが、奄美についてはどういうように対処しておるのですか。
○加藤(康)政府委員 奄美大島の喜界島の近くで起こった地震でございますけれども、十月の十八日、十九日に地震がございまして、地震の直後から本部では、本部の島崎先生を初めとします委員会の関係者、それから関係機関と密接な連携を図りながら情報収集を行いまして、十九日に臨時の地震調査委員会を開催いたしました。 そして、その内容を検討したわけでございますけれども、ここでは、この地震がフィリピン海プレートというものの沈み込みに関連して発生したということでは意見が一致しますけれども、その後の活動の見通しにつきましては現状では判断が困難である、そういう結論でございました。したがいまして、その後、関係機関が臨時に実施しております調査観測の状況につきまして随時取りまとめているところでございます。 科学技術庁とか運輸省の水路部、気象庁、国土地理院、大学グループ、それぞれ現地に乗り込みまして、観測を現在も実施しているところでございますが、明日地震調査委員会を開催いたしますので、そこでそれらの結果を検討させていただくということでございます。
○原田(昇)委員 去る十月二十三日にたまたまテレビを見ておりましたら、琉球大学の木村助教授という方がおりますね、この人が出てきて、海溝型地震では震源地に近い火山から遠い火山へと噴火が移っていく、そしてやがて大地震が発生するのだ、こういう新説を唱えておられるわけです。この方は、この「噴火と地震の科学」という本を出しておられるのですけれども、これはどういうように評価したらいいのでしょうか。島崎先生、いかがですか。
○島崎参考人 その説には二つの基本的な仮定があると思います。 一つは、まずひずみが最初に震源域に集中しまして、その後周りにひずみが蓄積していくという仮定でございます。大きな構造線などではこのような仮定が成り立つことがわかっております。 しかし、逆に広い地域のひずみが地震の破壊前に震源域に集中していくという仮説もございます。この場合には先ほどとは逆の傾向があらわれることになります。 さらに、もう一つの仮定は、火山が常に臨界状態の付近にあって、少しでもひずみが増加すると噴火が起こる、そういう仮定が含まれてございます。 しかし、これは現実には遠いと思います。実際にさまざまな状態に火山があるというのが妥当な仮定だろうと思います。その場合には、決して木村さんの提唱されるように大地震の直前に遠いところで火山が噴火するとは限りませんで、むしろ近いところで火山が噴火することもあり得ると考えております。 一般的に日本では地震活動も火山活動も活発でございますので、これらの事象を組み合わせて一つのストーリーをつくることは可能でありますけれども、そのような場合には、仮定自身が妥当であるか、あるいはほかの地域でも成り立つであろうか、そういったことの検討が必要かと思います。
○原田(昇)委員 今のお話によると、余りきちっとした論理構成できちっとした理論でないのをいかにも確信ありげにばらまかれでは、大変いろいろなところが迷惑するのじゃないかと思うので、私としては、こういうことがないように、ひとつぜひ調査委員会で総合的な評価を正しく出していただくことが大事じゃないかと思うのですね。 地震予知の研究に相当の国費を今度からかけていただくことになります。私は、大変結構なことで、研究の成果を国民のためにフィードバックしていただくことは非常に大事だと思うのですが、それについて、今までどうもその辺のフィードバックが足りなかったし、また施策とのリンケージかうまくいってないということで、調査研究推進本部では政策委員会というのをつくっていただいて、そこでそういうことをやっていただくことになっております。 それから調査計画も、調査研究の総合、一元的にここで予算の総合調整をやっていただけるわけでございますので、例えば活断層の調査とか、先ほどの空白域の総合的な調査とか、あるいは東海地震も見直さなければならぬ、観測体制を見直さなければならぬということであれば、これらについてもぜひイニシアチブをとって、総合的な力をそこへ投入できるような体制づくりをぜひやっていただきたいと思います。これについて、科学技術庁長官、どういうような所信で対処していかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○浦野国務大臣 原田委員、きょうは地震に絞ってお尋ねをいただいておるわけでありますけれども、冒頭におっしゃいました、この地震防災対策特別措置法、これはさきの国会で、それも国会終盤ぎりぎりのところで議員立法という形で成立を見たわけでございますけれども、この法案成立に向けまして、原田委員、まさに中心になられまして御活動された、その結果として今日に至っておるわけでありまして、私ども科学技術庁といたしましては、この法案の成立というものを大変重く受けとめ、また感謝をいたしておるところでもございます。 加えて、調査研究推進本部、これが当庁に設定をされまして、長官がその本部長という立場に立っておるわけでありまして、発足いたしましてから四カ月ほどでございますけれども、私どもといたしましては、まさに精力的に、この体制を整えるべく、今日もなお努力を続けておるところでございます。 今原田委員お尋ねのポイント、これを国民にいかにフィードバックするかということでございますけれども、これまたお話がございました阪神大震災の教訓に立ちまして、この地震調査研究の総合的な評価を行いまして、これに基づき広報を行う、これを重要な任務といたしておるところでございます。 これを受けまして、地震調査研究推進本部におきましては、これまた委員からもただいま御指摘もございましたけれども、地震調査委員会で検討した地震活動、地殻変動の状況あるいは今後の活動の見通し等につきまして、直ちに、これは的確な評価を行った後でございますけれども、直ちに報道機関に説明いたしますとともに、都道府県また防災関係機関に対しまして説明をいたしておるところでございます。 しかし、さらにこのフィードバックの体制、これを充足、充実するための努力もいたしておるところでございまして、政策委員会のもとに広報小委員会というのを設けることといたしまして、この広報のあり方につきましてさらに研究を進めておるところでございます。 したがいまして、こうした体制を充実する中にあって、国民の方々が地震情報に対し、これを的確に受けとめ、また的確な対応をすることのできるようなことに向けて、私どもといたしましては一層の努力をしてまいる所存でございます。 なお、特別、数字的な面での御質問があれば、局長の方から答弁いたします。
○原田(昇)委員 今大臣から大変力強いお話がございましたので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。 そこで、私は、地震防災対策の第一線というのは地方自治体なのですね。調査研究の面でも地方自治体としても大変心配しておる県があります。例えば、活断層が自分の町の下を通っておるということだったら、その活断層を調べて安心できるかどうかを調べたいという気持ちになるのは当然なのですね。横須賀市でしたか、新聞によると、もう国の援助なんか待っておられぬ、自分の責任でともかく調べてやらなければ、横須賀の真ん中に活断層がある、これを調べなければならない、こういうことになる。私は、至極これは自然な話だと思うのですね。 そこで、そういう、自分のところでどうしても活断層を調べたいという自治体にはどんどん国が応援をし、技術の面、資金の面で、交付金を出して、あるいは技術的にも、大学とかいろいろな専門家を派遣して応援をしていくというのが当然国のやらなければならないことではないか。この法律にもこの点は第十三条にそういう趣旨のことを入れてあるわけですが、ぜひともそういうことで、活断層の調査、あるいは自治体がおやりになる観測について応援をしていただきたいと思うのです。この点についてどういうように調査計画で取り上げられるのか、考え方を示してください。
○加藤(康)政府委員 先ほど申されましたように、地震防災対策特別措置法におきまして、国は、地方公共団体が地震の調査研究を行う場合には、必要な技術上、財政上の援助に努めなければならないと書いてございます。もとより、地震の調査研究の成果というのは、地域の地震防災対策等に生かされるべきでございますので、国だけではなくて、地方公共団体にも一定の役割を担っていただくということは極めて重要であると考えております。 ちなみに、活断層につきましては、そのような趣旨を踏まえまして、平成七年度の二次補正予算におきまして、活断層調査のための地方公共団体への交付金制度を創設いたしまして、二十五億円を計上させていただいたわけでございます。 先ほど申しましたような推進本部の定めます五カ年計画、そういうような中で、国は、地質調査所が中心でございますが、国は全国的に見て重要度の高い大規模な活断層を重点的に調査する。地方公共団体は、地域の防災計画等を踏まえまして、地域の防災対策等の観点から重要と思われるものを実施する。そういうような役割分担をいたしまして計画的に推進していきたいと考えておるところでございますし、もとより、先ほど申しました観測調査部会の中に活断層ワーキンググループという専門家の集団をつくっておりますので、技術的な支援、県等に対する技術的な援助、そういうこともそれを通じてその先生方にお願いしようと考えているわけでございます。 それから活断層以外でございますけれども、平成八年度の予算案の要求につきまして、活断層の調査のための交付金は継続して要求しておりますけれども、それに加えまして、地方公共団体が地震の調査観測設備を整備する際に補助金を出すというようなこと、これは公共投資重点化枠で要求しておりますし、それから原子力施設の立地地域の地方公共団体が地震観測システムを整備する場合に交付金を交付する、こういうものを電源特会で要求しているところでございまして、いろいろな手法を通じまして、地方公共団体の地震の観測の調査、そういうものについて支援してまいりたいと考えているところでございます。
○原田(昇)委員 それでは、時間でございますのでこれで終わりたいと思いますが、この地震防災対策特別措置法は、前大臣の田中大臣、ここにいらっしゃいますが、大変すばらしい意欲でこれを推進され、そして、今の大臣が災害対策の筆頭理事で御苦労いただいてこれができた、こういう経緯でございますので、ぜひ科学技術庁、あらゆる力を動員して、これがしっかりと根づいて地震国日本が世界に冠たる地震対策を整備し、みんなが安心して生活できるようにぜひしていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
○野呂委員長 島崎参考人には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手) 小野晋也君。
○小野委員 まず質問に先立ちまして、田中眞紀子長官の後を受けられて、このたび科学技術庁長官に御就任になられました浦野大臣の御活躍を心から御期待を申し上げたいと存じます。 大臣は、これまで主に商工分野での御活躍が多かったとお伺いするわけでございますけれども、今時代はまさに商工分野と科学技術分野とが一体になりながら二十一世紀を切り開いていかねばならないところだと私どもは考えているわけでございまして、まさに長官がこのときに当たって科学技術庁長官に御就任になられましたのは、時が要請したものだと考えております。ぜひ御活躍を賜りますように心からお願いを申し上げて、質問に入らせていただきたいと思います。 ここしばらくこの日本の国を見ておりまして大きな話題になってまいりましたのは、オウム真理教の問題でございます。長官も御存じのとおり、テレビをひねってまいりますといつもオウム真理教の話題でいっぱいでございまして、私どもも地元に帰りまして有権者の皆さん方と話し合いをしておりましても、オウム真理教の問題は困ったものだなというようなことがよく話題になっております。 そんな中でよく取り上げられますのが、私自身が昔技術の世界にいたことも関係しているのでございましょうけれども、なぜオウム真理教のような反社会的な集団の中に、有名大学で、特に科学技術分野、ですから医学部ですとか理工学部のようなところでございますけれども、このような学部を卒業したエリートがこんな行為を行うんだろうというようなことが言われるわけでございます。 論理的な思考を重視しながら学んできた理科系学生や、また卒業後、科学的な研究職についていたような人がなぜこの非論理的なハルマゲドンを信じるようなオウム真理教に入信し、また社会に対する破壊活動を行ってきたのだろう。これは多くの国民の疑問であろうと思いますけれども、浦野長官におかれましては、この問題に対してどのような御見解をお持ちになっておられるでしょう。まずこの点からお伺いをさせていただきたいと存じます。
○浦野国務大臣 小野委員には、冒頭、過分なお言葉をいただいて恐縮に存じております。 ただいまの御質問につきましては、長官の立場というよりも、あるいは政治家または私浦野個人としての見解を申し上げるということになろうかと思います。 オウム事件は、耳目を震憾させたまさに大きな事件でございまして、この中で、人もうらやむような一流大学を出て、そして博士号なりを取得し、そうした優秀と言われる人材があのような宗教団体に入る、出家するというようなこと、そして殺人あるいはサリンをばらまくという事態を引き起こしておるわけでありまして、まことに憂うべき事態であることはひとしく思うところでございます。 なぜこういうことになったかということなんでありましょうけれども、私は、そうした研究者はきっと大変まじめな人たちが多いんじゃないかと思うんですね。まじめ過ぎるというか、豊かさの中で、きっと受験地獄ということもあったでしょう。そこで、言い方は悪いんですけれども、純粋培養された人生を送ってきた。 まじめなるがゆえに、やはり自分の能力、力の限界を感じ、それを救済してくれるものはあるいは宗教ではないか、こういう思いの中で、また一方オウム教は、テレビ、新聞等で見る限り、そうした、政府をつくり上げると言わんばかりの、現内閣と同じような各省庁のポストまでそろえて、ここにこの優秀な人材をはめ込んでおるわけでございますが、言葉巧みに、純粋培養された方々であるがゆえにもうやすやすと引き込まれてしまったのかな、これはいささか私の勝手な推測かもしれませんが、そんな思いでテレビ、新聞等を目を通しておるところでございます。 こうした中で、こうした科学者がそうした方面へ走る、これはもう特殊な例だとは思いますけれども、しかし、我が国の今後の科学技術というものを振興していかなければならぬということは、まだ正確には基本法は成立しておりませんけれども、多分成立していただけると思うんですね。 こうした中で、もっと力を入れる中で、この我が国の科学と技術の進歩を図っていくわけでありますが、そうした中で、せっかく一生懸命で勉強した、そしてそれなりの資格を取ったにかかわらず、自分の働く場所というのは必ずしも充足されていない。あったとしても劣悪な研究室等々の中で黙々と研究をしなければならぬというそうした点、こうしたことがこれからの科学技術の進歩について阻害になってはならぬということも我々といたしましては真剣に考え、予算獲得の中でその環境整備を図っていくべく努力をしております。 加えて、研究者の自発的な意思によることなんでありましょうけれども、私は、ゆとりというようなものをもっと研究者に持ってもらうような、こうした環境というものも整える必要があろうかと思うのです。それは、研究者と一般の方々、あるいはまた生活の異なる人たちとの交流をさらに図る中で、バランスのとれた人間形成というものを、若い研究者にそうした点を培っていただきたいと思うし、もっと言えば、今の教育方針、家庭教育、学校教育という点に、我々は、戦後五十年を経ていま一度しっかりと振り返る中で方針を立てていくということも極めて重要なことだろうと思っております。 ちょっと長くなりましたけれども、申し上げました。
○小野委員 ありがとうございました。長官の、今の教育に対する思い、また研究者の置かれている立場への御見識、大変感銘を受けながら拝聴させていただきました。 加えまして、私自身の思いをこの問題について語らせていただきたいと思うのですけれども、昔、ある雑誌で石を煮る母親というタイトルの文章を読んで、ひどく感銘を受けたことがございました。 簡単に御紹介申し上げたいと思うのですけれども、音といいながら一九九一年のことのようでございますけれども、飢餓をなくそうということで世界各国から約五百人の人が集まっての国際会議がこの東京で開かれたのだそうであります。その場で、ある一人のアフリカの女性が立ち上がって、会場の人たちにこんな話を御紹介したと言われるのです。 石を煮るんです。何も食べるものがなく、子供たちがおなかをすかせて泣くとき、母親は、まるで芋を煮ているように見せかけて石を煮るんです。そして、これがやわらかくなったら食べようねと言うんです。子供たちはじっと待ちますしばらくすると、まだ食べられないのと子供たちが聞きます。もうすぐだからね、待ってねと母親は言います。子供たちは何度も何度も聞きます。そのたびに母親は、もう少し待ってねと言い続けます。やがて子供たちは、待ちくたびれて、疲れ切って眠ってしまいます。子供たちが眠ると、母親はそっと火を消すのです。 こういうふうなことを御紹介したと言われるのであります。貧困地帯に生まれ落ちたがために、これほどのやるせない業を背負わねばならない母親の姿を語った話であろうと思います。 先ほどもお話し申し上げましたように、私は、かつて技術の世界に身を置いていた人間でございます。大学時代、またさらに少年時代、科学技術に大きな夢を抱いて、全身全霊を傾けて、この科学技術の世界で取り組んでいた時代がございました。 その当時の自分自身を思い返してみますと、この科学技術という巨大なそして可能性に満ちあふれた道具を使えば、人類というのはどこまでも幸せになれるんだというような夢を持っていたように思えてならないのでございます。長い歴史の中で人間は、いろいろな問題を抱えながら、苦悩し闘いながらこれまでの歴史を築いてまいりましたけれども、その新たなフロンティアを技術こそが切り開いていけるんだ、こんな信仰に似た気持ちを持ちながら取り組んでいた青年時代を今のことのように思い返しております。 そんな私がなぜ今政治家をやっているかということでございますが、一言で申しますならば、人生の岐路において大きな迷いを持ったからだと思うのです。その迷いとは、科学技術が先ほど申しました人類の救済といった高邁な理念に立つものであるのかどうか、この点に大きな迷いがあったように私は思い返しております。 具体的に申しますと、科学技術の進展とともに人は幸せになるはずだと思ってまいりましたのに、次々に新たな公害問題が生まれてまいりました。また、極端なケースでは、原子爆弾のような大量殺りく兵器が生まれてきて、人を幸せにするはずの技術が人を一度に大量に殺してしまうというような事態も起こってまいりました。科学技術の研究者の中には、ノイローゼに悩む人たちがふえてきて、自殺者もその中から生まれてまいりました。科学技術者の仕事がだんだんと細分化して、しかも、その先端部分がどんどん前へ進んでいくことから、仕事の達成感と言われるものも薄らいでくるような気配も私は感じておりました。 そして、それらに加えて、さきに述べたアフリカの貧困のような問題に対して科学技術がなかなか的確な答えを提出し得ないというのみならず、回り回れば、科学技術こそが逆に貧困者を生み育てているというような社会現象も見られたわけでございます。 そんなさまざまな問題を考え、迷うときに、偶然の出会いがあって、技術研究者の道を捨てて政治家の仕事をしているというのが私の今の立場でございますけれども、言ってみるならば、研究者としての自分の人生から、ある意味では挫折をしてしまった一人の人間だと考えております。それだけに、今の科学技術の世界の問題について我が事のように感ずる部分があるわけでございます。 端的に申し上げますならば、今の科学技術の中には、人類を助け人々を幸せにするというような魂が衰弱化している部分はなかろうか、そんな思いを持ってならないのでございます。先ほどのオウム真理教に走ってしまった科学技術者の問題にいたしましても、彼らの心の中における科学技術離れというような問題が起こっていたのではなかろうか。 平成六年度の科学技術白書によりますと、若者の科学技術離れという問題を大きく取り上げられて、子供たちの科学技術への関心が年とともにだんだん薄らいでくる、技術系を志望する学生の数がだんだん減少してきているというような、外形的な数字でとらえた問題が指摘されておりましたけれども、その数字では取り上げられない技術者、研究者の心の中の空洞化問題、また、心の中で科学技術というものが本当に共鳴を起こし得なくなっているというような現状について、我々はいま一度振り返って考え直すべき問題があるのではなかろうかというのが私の率直な気持ちでございました。 そんなことをつらつらと考えております中に、実はある言葉に出会いまして、はっと思うものがありました。その言葉とは、著名な陽明学者でございます安岡正篤氏の物の考え方ということについて書かれた言葉であったわけであります。それは、今の科学技術行政のみならず、今の社会全般を考える上に非常に大きな示唆に富んだものであるように私は感じております。 それは何かと申しますと、第一には、物を考えるに当たって、目先にとらわれず長い目で見ることが必要だというのであります。そして第二には、物事の一面だけを見ないで、できるだけ多面的、全面的に観察する姿勢を持つことが大事だというのであります。そして第三には、枝葉末節にこだわることなく根本的に考察すること、こういう三つの条件を語っているわけでございまして、このような考え方で政治を行う者は取り組まねばならない、こう安岡氏は語るのでございます。 この三つの条件というものが今の科学技術行政の中に反映できれば、先ほど申し上げました科学技術が魂を取り戻し得るのではなかろうか、こういう気持ちを私は抱いている次第でございまして、ぜひともこの点について、科学技術庁、長官のみならず、職員皆さん方の御検討をお願い申し上げたいと思うわけであります。 その中から、きょうは幾つか質問をさせていただきたいと考えております。 まず第一の、目先にとらわれず長い目で見ることということについてでございますけれども、これはもうこの言葉のとおりでございまして、短期的な成果をむやみに追い求め、うたかたのごとく生まれては消える騒々しさに身を置くのではなくて、大きく時代の流れを認識し、決してその活動が派手ではなくても、また注目を集めることが少なくても、遠き未来を展望しつつその未来を信じてなすべきことをなす姿勢だ、こういうふうに要約することができようかと思います。 その長期的な新展望に立つ考え方の中には私はまた大きく三つ要素があるように考えております。一つは、人づくりの視点であります。真に有力なる研究者の育成というものは、短期的に目の前でできるものではなくて、長い時間をかけながら養成していかねばならないものであるという自明のことでございます。 それから第二には、基礎研究の視点でございまして、真に大きなインパクトを後世に残すような研究というのは、騒々しさの中から生まれ出るものではなくて、研究者の深遠なる思考とたゆまぬ研究活動の中から生まれ得るものであるということを再確認することだろうと思います。 そして第三は、国家としての科学技術における基礎的パワーをきちんと養成していくということでございまして、これは言いかえればインフラの視点と申し上げることができるかもしれません。具体的には素粒子研究を行うような巨大な加速器の建設とか、海洋観測・開発のために高額のお金をかけて実験観測船を整備するとか、高速増殖炉等の原子力分野の基礎的な研究を進めるとか、また宇宙開発を進めるということで、現在科学技術庁の皆さん方が力を入れて取り組んでいただいているような問題でございますが、準備に長い時間を要しそして大きな建設費を要するような事業に思い切って果敢に挑戦していくということになろうかと思います。 これら三点のそれぞれについて幾つかお尋ねしたい点があるわけでございます。 まず、人づくりの視点ということを先ほど提示させていただきましたが、その人づくりの問題の中でやはり一番基礎的な部分からというと、子供時代からの科学技術への教育であり、そこへの触れ合いを設けていくということだろうと思います。 そんな視点から考えましたときに、私が最近注目をさせていただいているのが宇宙少年団という団体の活動でございまして、科学技術のボーイスカウトと申し上げたらよろしいでしょうか、子供たちが寄り集まりながら科学技術のこと、例えばロケットを打ち上げてみたり、宇宙の観測をしてみたり、また基礎的な科学実験を行うというようなことをみんなで行いながら、時にはボーイスカウトのジャンボリー活動のようなものも展開しているのがこの宇宙少年団という団体でございますけれども、この宇宙少年団の活動について、ぜひいろいろと御支援といいましょうか、今後の科学技術庁としての応援方をお願い申し上げたいと思います。 今、サイエンスクラブだとか出前レクチャーだとか、いろいろな取り組みをしていただいているわけでございます。これらの評判は非常にいいものがあると私ども聞いておりますけれども、やはり子供たちに本当に科学技術に関心を向けさせるためには継続的な活動が必要であるというような視点からも、これは大変私どもが大事にしていかなくちゃならない活動だと思う次第でございます。 宇宙少年団の活動のこれまでの実績そして今後の活動方針、並びに今まだ十分な広報活動が整っていないような気持ちがいたしておりますが、その広報に対してどのような取り組みを進めていくということを御指導されようとしておられるのか、この点についてお尋ねを申し上げたいと存じます。
○加藤(康)政府委員 日本宇宙少年団でございますけれども、これは、青少年の宇宙あるいは科学、そういうものの普及啓発を促進しまして二十一世紀を担う人材の育成に寄与する、そういう目的で一九八六年に設立されたわけでございます。現在理事長は、著名な漫画家でございます松本零士先生が理事長をされておりまして、団長には毛利宇宙飛行士が就任されております。全国に六十九の分団がございまして、約二千四百名の団員で活動を行っているところでございます。 これまでの活動といたしましては、団員の国際交流を深めるための国際コンファレンスヘの参加、ことしは北京であったわけでございますが、そういうところへ参加をするとか、子供たちの科学への興味や創造力をはぐくむことを目的としたセミナーの開催、それから九月に、宇宙の日でございますけれども、そういうのを記念いたしまして作文とか絵画コンテストを行う、そんなこととともに、「 ―――――」という月刊誌の機関誌を出しておりまして、それからパソコン通信を通しましていろいろな情報を伝える、そんなことの活動を行っているわけでございます。 また、それぞれの分団におきましては、先生先ほどおっしゃいましたように、モデルロケットを打ち上げたりとか、あるいはキャンプを行ったりとか宇宙関連施設を見学したり、そんな活動をしているところでございます。 これからのことでございますが、これまでの活動を踏まえまして、さらに宇宙とか科学への探求心とか向上心、そういうものを持っていただいたり、国際社会に貢献できる人材を育成する、ひいては青少年の健全な育成に寄与する、そういうことを基本の方針として活動を行っていく予定でございます。 宇宙少年団のPRがまだ少ないという話もございましたけれども、青少年の参加型の例えはセミナーとかコンテスト、そういうものを行うとか、機関誌の配布あるいは宇宙飛行士等の講演会、そんなものを通しまして、さまざまな活動を行いまして団員数の拡大を図っていきたい、ひいては先生のおっしゃいました長い目で青少年を育成する、そういうことに貢献したいと考えている次第でございます。
○小野委員 ぜひその指導方をよろしくお願い申し上げたいと存じます。 引き続きまして、人づくりの第二の質問になるわけでございますけれども、青少年に対して科学技術に対する意識を啓発する上にマスメディアというものの影響力の大きさを私どもは今痛感をいたしております。テレビの番組で取り上げられたテーマソングがヒットチャートの上位に来るというようなことはもう皆さん御存じのとおりでございますけれども、マスメディアが青少年の心理形成また関心の涵養の上において大変力を持っているということは、今の時代の万民が認めねばならない点だろうと思うわけでございます。 そんな点から考えてまいりましたときに、報道規則の中にも報道のある一定割合は教育番組にしなくてはならないというような規定もあるそうでございますけれども、私は、日本の将来がこの科学技術に大きく依存しているということを考えましたときに、もっと日本のマスメディアの中で科学技術番組というものが取り上げられていいのではないかというようなかねてからの考え方を持っているところでございます。もちろん娯楽番組が悪いというわけではございませんけれども、その割合においてもう少し全体的に見ると科学技術啓蒙につながるものが多くていいのではなかろうか、こう思う次第でございます。 この点に関しまして、番組づくりの上に科学技術庁としてどう協力していくことができるのかという点と、それから、やはり民間放送における番組づくりということになりますとどうしてもスポンサーの問題というのが出てくるわけでございますが、ここに対しては直接的なことはなかなか難しいと思いますけれども、しかし、科学技術の重要性を長官ないし科学技術庁の皆さん方が財界関係の皆さんに説いていただいて御協力を願うというようなことは多少はできるのではなかろうか、こんなことを考えている次第でございますけれども、大臣はこの点についていかがお考えでございましょうか。
○浦野国務大臣 若者たちの科学技術離れ、これに歯どめをかけ、科学技術について若者たちに強い関心を持ってもらう、こういう政策、手法というものはしっかりと考えていかなければならぬと思います。 そうした中で、これは先生も御承知であろうと思いますけれども、本年の二月に科学技術と社会に関する世論調査というものをやっております。これは複数回答でございますけれども、その中で、科学技術に関する知識を得るところの情報源としてはテレビが圧倒的な高さを示しておるわけですね。そうした点で、もちろん新聞等ほかのマスメディア、そうしたものを活用することも大事ですが、やはりテレビも十分これを利用、活用していく必要があるということを痛感しておるわけです。 こうした中で、政府といたしましては、政府としての広報実施としては、「あまから問答」とか「さわやかニッポン」「もっと知りたいニッポン」、ラジオの方でも「暮らしのマイク」、あるいは雑誌等では「フォト」というようなもので広報活動をいたしておるところでございますけれども、この点につきましては、さらに一層政府として力を入れていくべく科技庁といたしまして努力をいたします。 加えて、御指摘をいただいた、これは番組放映をする、そうした中では当然産業界のかかわりがあるわけでありまして、こうしたところには当庁といたしましては、私を初め、幹部職員、産業界の方々とお目にかかる機会を通じながら、この科学技術関係番組の放映に協力していただくような強い要請をお願いをしてまいりたいと思っておるところでございます。
○小野委員 続きまして、人づくりの第三ということになるわけでございますけれども、今度は科学館の問題でございます。 御存じのとおり、全国各地に、最近は博物館ブームというふうに申しましょうか、いろいろな歴史資料館をつくってみたり、地元の産業に関連する産業館と言われるものをつくってみたり、そういった中に科学技術を主体にした展示を行っている科学館というものも随分数多くなってきていると思うわけでございます。この科学館というのは、私も子供を連れて一緒に見に行ってみますと、子供たちが非常におもしろがっていろいろなものをさわりながら、科学への知識を体で体得している施設だなと改めて痛感したりしているわけでございます。この科学館の整備充実という問題がこれからの日本の技術振興、その意識啓蒙という面で大変重要性を増してきているというふうに考えている次第でございます。 ただ、私ども危惧しておりますのは、その展示内容というのが極めて雑然とした展示を行っているとか、物を並べているけれども、子供たちの関心をいま一つ引かない展示になってしまっているとか、それから一度この科学技術委員会で御指摘申し上げたことがございましたけれども、すぐに施設が陳腐化してしまって、何度も何度も行くとおもしろくなくなってしまう展示内容になってしまっているとか、さまざまな問題が出てきているような気持ちがしてならないところがございます。 この科学館の振興につきましては、科学技術庁も随分力を注いでいただいて、若手の職員の中での研究会を開催されているという話もお伺いしているところでございますが、今後のこの整備に当たりましての基本的な科学技術庁としての考え方、それから、これからの整備計画をお持ちでございましたら、その点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
○浦野国務大臣 科学館、これは全国に三百ほどあるということでございます。これにつきまして、ただいま御指摘をいただきました、すぐに陳腐化する、あるいは一部にはガラス張りで見学をするだけだ、こういうものであってはならぬというような御意見等を承っておるわけでありまして、いかに若者たち、特に子供たちが親しみを持てる、そうした施設にしようかということで腐心をいたしておるところでございます。このことが、先ほど来申し上げておりますように、若者たちの科学技術離れに歯どめをかけ、関心を持ってもらう方向に進め得ることになると思っております。 こうしたいろいろな問題点があるわけでございますが、イベント等もやっておりますし、セミナーもやっておりますが、八年度概算要求におきましては、ただいま御指摘をいただいた点も含めまして、科学館の展示手法の調査であるとか、科学館関連人材の育成あるいはバーチャル科学館の開発等による科学館そのものの充実強化を図ってまいるとともに、今後の科学館活動の中心となるような総合的な科学館の整備に向けても調査を始めたいと思っておるところであります。 なお、この科学館というのは各地方自治体等に設置をされていくわけでありまして、この三百という数もできればさらにふやしてまいりたいと思っておりますが、そうした点では地方自治体の協力等々もちょうだいしなければなりません。そうした点で、地方に対する啓蒙活動等も、当庁といたしましては力を入れてまいりたいと思っておるところでございます。 〔委員長退席、笹木委員長代理着席〕
○小野委員 さまざまな啓蒙の問題について、御質問かたがたお願い申し上げたわけでございますけれども、これらの点に関します積極的なお取り組みをぜひお願いを申し上げたいと思います。 質問の中に、人づくりの、実際に研究職についている方を対象としての戦略的基礎研究推進制度の問題、ポストドクター等一万人支援計画の問題、この両者を取り上げたわけでございますけれども、ちょっと時間の都合でここには踏み入れる時間がないと思いますから、これはちょっと省略させていただいて、概算要求等を拝見させていただいても、大きな予算を要求されて積極的なお取り組みを進めていこうとする意欲にあふれる施策でございますから、これら施策を通して具体的な研究活動が順調に推進されますように御期待を私どもからもぜひとも申し上げておきたいと思います。 引き続きまして、先ほど大きな枠組みの中で多面的、全面的に科学技術という問題をとらえていく視点が必要だというような安岡先生の言葉を通じての指摘をさせていただいたわけでございますけれども、この、一面でなく多面的に科学技術を見詰めるべきであるという問題に関して御質問をさせていただきたいと思います。 この点に関しましては――ちょっと途中飛ばしてしまっているのですが、もうこれに移らせていただきます。 平成七年度版の科学技術白書を見ておりまして、私は非常に流れが変わってきたなということを痛切に感じました。それはどういう点かと申しますと、今年度の科学技術白書は、これまでの戦後五十年の科学技術の研究のあり方というものを振り返っておられまして、しかも次の章では世界各国の科学技術研究のあり方ということについての調査を行っておられる。つまり、古今東西の科学技術研究というものを一度すべて検討しながら、これからの科学技術のあり方を模索していこうではないかというような姿勢が科学技術庁の皆さんの中に生まれ始めてきている。その機運がこの白書の形になったのかなということを痛切に感じた次第でございます。 特に、戦後五十年の科学技術ということを述べておられるところの「むすび」の文章でございますが、このような文章が書かれております。 人間的豊かさの実現のために、国民からの要請に応え、生活者の立場を重視しながら、健康の維持・増進、生活環境の向上、社会経済基盤の整備、防災や安全の確保等の面で、科学技術を駆使していくことが必要である。科学技術により、国民の人間的豊かさの実現を目指すとともに、人類社会の福祉向上のためにも我が国が重要な役割を担うことが求められる。 他方、科学技術と人間・社会との間にある種の緊張関係が高まりつつあることが懸念されている。科学技術に携わる者としては、科学技術と人間・社会との関係を常に意識し、両者の調和のための方策を模索していくことが必要とされる。また、科学技術の成果が社会に受け入れられるためにも、科学技術に携わる者と社会との対話を促進していくことが重要となっている。この点は、ちょうど田中前長官がこちらに御臨席でございますけれども、前長官が御就任の直後に、科学技術という問題を一度とらえ直して、もっと生活者の次元の科学技術という分野を科学技術庁は持たねばならない、こういう御指摘をされたわけでございますが、その精神が取り入れられた形になっているのかな、こんなふうに感じているわけでございます。 まさに、今科学技術者が迷っているという話を私は最初の方で申し上げたところがございますけれども、科学技術がこれからどの方向に向かっていけばいいのかということについて、このしばらくの期間が非常に大事な期間になるような気持ちがしてならないのでございます。 長期的視点に立つ中で、科学技術というものと人類というものがいかなる関係を持ちながら進んでいくべきなのか、この部分が定まらないがために、いかに高度な技術が開発されたといっても、何か私たちの気持ちの中に響かなくなってきている、そんな気がしてならないのであります。 そのような視点に立ったときに、今日本の科学技術の振興の上にも、世界の哲学者や科学者が一堂に会して、今後の科学技術のあり方やビッグサイエンスのあり方等について議論し合っていくということがまさに必要になっているのではないだろうか、そんな思いを持つわけでございますけれども、この点についてのお考えはいかがでございましょう。
○落合政府委員 ただいま御指摘ございましたように、近年の科学技術の進展に伴いまして、社会経済とのかかわりというものは非常に大きくなってきております。 したがいまして、科学者、技術者、科学技術政策担当者というものが、社会全体との交流を考えてあるべき方向を考えていくということが重要かと思っておりまして、特に先ほど御指摘ございました素粒子物理学の分野ですとか核融合の開発というようなビッグサイエンスにつきましては、多くの資金、人材の投入が必要でございまして、こういうような分野についての各分野での交流というのは一層重要な時代に入っていると思っております。 このような問題意識に立ちまして、例えば科学技術会議、これは我が国の科学技術政策の基本を立案する会議でございますが、この中には人文科学者、科学哲学者等の人材を加えまして、多様な背景を持っております方々に議論をしていただいておりますし、当庁におきましても、自然科学と人文社会科学系の研究者が集まって議論を行います科学技術フォーラムというものを開催いたしまして、海外からの研究者も参加していただいているというような取り組みを行っているところでございます。 今後とも、多様な専門領域、背景を有します人々との交流を通じまして、科学技術のあり方についての理解を深めていくという取り組みを強めてまいりたいと思っている次第でございます。
○小野委員 さらに、今度はぜひ長官のお考えを聞かせていただきたいと思うのですけれども、この平成七年度の「戦後五十年の科学技術」というタイトルになった科学技術白書の先ほど読ませていただいた文章の中に、人間的豊かさの実現のための科学技術が必要なんだというような指摘がなされているわけでございますが、この「人間的豊かさ」という言葉、これがどういうイメージの言葉であるかということによって随分具体的な施策というものが変わってくるのではなかろうかという気持ちがいたしております。 長官の個人的な思いとして、この「人間的豊かさ」というのはこういうイメージなのではないのかというようなことについてお感じになっておられるものをお聞かせいただければと思います。
○浦野国務大臣 前大臣の精神、私も受け継いでおるところでございますが、そうした中でこの白書が作成されておると受けとめておるところでございます。 「人間的豊かさ」 戦後五十年、我が国の経済発展の中で科学技術の果たしてきた役割は極めて大なるものがあったと私は思います。しかし、ややもするとそれは物質的な豊かさという生産活動という面、こちらに力点が置かれてきた、そのように感ずるわけでございます。 今ここで、五十年を経ていま一度その見直しをしてみる。これはもとより物質的な豊かさも維持する必要があろうかと思いますけれども、あわせて、心の面でのそうしたゆとり、潤い、みずみずしさというような、あるいは安心感といいますか、そうしたものを持てるような生活が、社会生活ができるそうした国づくりというものが必要ではないだろうか。そうした点で科学技術というものが生活者に一層目を向けていく必要がある、このように私は思います。 そうした点では、具体的な科学技術の進め方ということについては、がんの治療であるとか、あるいはごみ、廃棄物等も公害を出さないような、そうした点での開発を進める等、幾つか考えられるわけでございます。 さらに一方、これは国内のみならず、「人間的豊かさ」という点は、やはり人類、これを共通のものとしていかなければならぬという視点に立てば、地球環境保護に関する点、あるいはライフサイエンス等々の問題、先ほどおっしゃいましたビッグプロジェクト、ビッグサイエンスプロジェクト等も国際的に共同して推し進めていくというその中に、私は近い将来、できるだけ短い時間にしなければならぬと思うのですけれども、本当の意味での豊かさの実感できる国づくり、あるいは地球というものができ上がっていくのではないかと私なりに思っております。
○小野委員 長官から非常に前向きの、科学技術によってこれから本当の豊かさを実現しようというお話をいただいたわけでございますが、その思想、哲学というものが本当に今求められている時代だと思います。 この点につきまして、科学技術庁の皆さん方の御尽力によりましてきちんとした位置づけをしていただいて、二十一世紀はまさにこの科学技術で開いていくんだというような勢いのある展開をこれから行っていただきますようにお願い申し上げておきたいと思います。 最後になってまいりましたけれども、先ほどの大きな分類をいたしましたところの第三の、枝葉末節にとらわれるのではなくて、根本に立ち返って物事をとらえることということでございます。 私は、社会というものを根本のところに立ち返って考えようということは、物質社会において原子と原子の結びつき合いによって物質が生まれてくるがごとく、社会というものを考えた場合も、一番の原点まで立ち返れば、個々の存在とその個のそれぞれを結び合わせるインターフェースがいかなるものであるかというような関係で社会というのは決まってくるのだろうと思います。個々がすぐれ、そしてその個々の間をうまくつなぎ合わせられる社会がつくり上げられたときに、それがすぐれた社会になるのではなかろうか、こういう考え方を持っているわけでございます。 これからの科学技術行政の中におきましても、個々の要素技術を高めていただきますと同時に、それらが有機的にうまく連携しながら時代の潮流をリードする、またその時代潮流に対応できる技術体系をつくり上げていっていただきたい、こんな願いを持っている次第でございます。 この考え方を技術者の側面に当てはめてまいりました場合には、これまで技術者というのは、個々には非常にすぐれたものを持っておられましても、その個々の人間同士が的確に結びつき合いながら日本の科学技術が振興されてきたかどうかについては疑問を持つところがございまして、今後の一つの研究課題といたしまして、単に学会等で技術情報を交換し合うというのみならず、より人間的な触れ合いをつくり上げる場についても御検討をいただきたい。 例えば経営者ですと、全然別個の経営をしているような人たちが、ロータリークラブだとかライオンズクラブ、こういうようなところで、仕事を離れてお互いが人間的に触れ合いながら高め合おうというような活動があるわけでございまして、日本の技術者の世界においても何かこの種の会ができてくれば、先ほど申しました、それぞれの個が輝きながら、全体としてより効果的な活動が展開できるような世界が生まれるのではなかろうかと考えている次第でございます。この点については研究の御要望のみを申し上げておきたいと思います。 最後の質問になりますけれども、これは私の質問の定番で、これまでずっと取り組んでまいりましたロボリンピックの問題でございます。 これも先ほど申しました、事インターフェースという問題と非常に強くかかわり合いを持つ問題でございまして、二十一世紀の人類がより今の人類よりもすぐれた人類になってくる、また技術方面も今の技術よりも二十一世紀の技術がよりすぐれた技術になってくるといたしましても、この人間と機械というものの間がうまくコミュニケートできないような状況に置かれていたとすれば、かえって人類にとって技術の発展は不幸な結果をもたらすことになるかもしれません。 そんなことを考えましたときに、二十一世紀という時代は人間と機械とが相調和しながら両者の力ですばらしい時代を築く世紀にならねばならないというのが私の信念でございまして、まさにロボリンピックというこの言葉で表現されておりますのは、ロボットオリンピックでございますが、人間と機械である、技術であるロボットというものとが相互に力を合わせながらお互いに競い合っていくような競技会というものをイメージをしている次第でございます。 これまでこの科学技術委員会で取り上げてまいりました中では、積極的に科学技術庁としてはこの種の問題に取り組みを進めていきたいという前長官の御答弁もいただいたことがあったわけでございますが、長官がかわられました現在、このロボリンピックの実現に向けてどのような状況になっているのか、そしてまた新大臣はどのような考え方をお持ちになっておられるのか、この点についてお尋ねをさせていただきたいと存じます。
○浦野国務大臣 このロボリンピックの件につきましては、前大臣からも払お話を伺っておるところでございます。また、せんだっての「あまから問答」というテレビ番組で、私は当庁の一つの夢といいますか、ロマンとしても検討しているんだという紹介を申し上げたところであります。 この件につきましては、かねて小野先生が御提唱されておるところであり、今お話しのとおり、人間と機械、また技術の調和共存あるいは何度も申し上げておりますけれども、若者たちの科学技術離れに歯どめをかけるという点で極めて私は有力なイベントになり得るのではないかと思っておるところでございます。 そしてこのロボリンピックにつきまして、当庁では担当者、若い職員ですけれども集まって、非常に情熱を持って、どういう方法がいいのか、どういう規模でやるんだというような検討を今させていただいておるところでありまして、こうした点につきましても、どうぞひとつ先生のまたいろいろな面での御示唆、アドバイスをちょうだいできればありがたいと思っておるところでございます。 以上です。
○小野委員 時間になりましたので、これで終了させでいただきたいと思いますが、新長官初め科学技術庁、皆さん方の今後まずまずの御活躍をお祈り申し上げます。
○笹木委員長代理 鮫島宗明君。
○鮫島委員 新進党の鮫島でございます。 先ほど長官もちょっとお触れになりましたけれども、今科学技術基本法が衆議院で成立して、既に参議院も特別委員会で成立して本会議での承認を待っている、今まさに生まれようとしているという状態だと思います。私も提案者の一人としてこの基本法の一刻も早い成立を祈っているわけですけれども、この基本法は幾つかの意味でこれまでの科学技術政策をさらに新たな方向に発展させるという理念が含まれているように考えております。 一つは、新たな産業分野を創出するための基盤技術を充実強化していきましょうという考え方ですし、またもう一つ新しい方向としては、人類共通の知的資産としての科学的成果を日本が率先して生み出していくという姿勢もこの中で打ち出されているものと考えております。さらに三つ目には、政府を代表する方々が、国連の総会を初めとして国際的な重要な会議の場で、人類の生存を脅かす諸問題、人口や食糧、地球環境、エイズ、麻薬といった人類の生存を脅かす地球規模の諸問題について日本が積極的に貢献をしていくということも表明していると思います。 この科学技術基本法の中でも、第一条の目的において、「我が国の経済社会の発展と国民の福祉の向上に寄与するとともに世界の科学技術の進歩と人類社会の持続的な発展に貢献することを目的とする。」というふうにうたわれておりますが、今言ったような分野について、つまり科学技術分野における国際貢献について今後の取り組みをどのように考えておられるのか。 私は、国際貢献といいますと、どうも一般的にはすぐPKOとかPKFというのを日本人が思い浮かべるような状況は余り好ましくないなと思っていまして、むしろ人類の生存を脅かす地球規模の問題で科学技術の分野で日本が積極的に貢献する、こういう国際貢献というのも日本から強く発信していく必要があるんじゃないかというふうに思いますけれども、長官のこの分野についての今後の取り組みの姿勢なり御決意についてお伺いしたいと思います。
○浦野国務大臣 基本法は、もうあすにでも成立をされることを強く願っておるところでございますが、この件につきまして、鮫島先生には提唱者というお立ち場で大変御尽力をいただいております。 今の国際貢献ということでありますが、私はこれまでも答弁の中で申し上げてまいりましたけれども、これまでの我が国は、ややもすると内向きな、国内向けの科学技術、そうした点に比重が置かれてきた。したがいまして、今日なお、時に諸外国から技術ただ乗りであるというような指摘も受けておる中でありますが、五十年を経てまさにこれだけの国になった、キャッチアップが終わりフロントランナーとしての立場を持って国際的な面で活動していかなければならぬということが言われておるわけであります。 これまで我が国といたしましてもそれなりの国際貢献というものをやってきたところでありますが、科学技術の分野においてはバイにおける協力、こうしたものも進めてきておるところであり、近々APECも開かれるところでありますけれども、こうした場を通じて多国間の国際協力というものにも努めておるところでございます。 具体的にそれじゃどういうものをやるかということでありますが、これはこの基本法成立の暁には、基本計画というものが審議され、具体的な形で私はそれがあらわれてくると思うんですけれども、そこにも当然御指摘の国際貢献という観点に力を入れたものが私は計画としてあらわれると確信を持っておるところであります。 これまでにやっておるところの研究者の交流の推進、これは研究者の海外派遣あるいはもっと多くの外国の研究者を受け入れるフェローシップ制度というものの充実等もやっていく必要があろうかと思いますし、地球環境問題等、これはエルニーニョ現象等々の衛星を使っての国際共同研究というもの、あるいはヒューマン・サイエンス・プログラムとか宇宙ステーションの関係、こうした我が国が今日手がけておるビッグプロジェクトにまたさらに力を入れていかなければならぬと思っておるわけであります。 こうした施策を一層充実する中において、私は、人類共存という観点に立っての我が国の科学技術力というものを発揮してまいらなければならぬと思っておるところでございます。 以上です。
○鮫島委員 ぜひ今長官がおっしゃったような形での国際貢献に力を入れてほしいと思います。特に、欧米諸国が余り手を出したがらないような食糧問題とか人口問題についても、日本が率先して取り組む姿勢を表明していただきたいと思いますし、日本にとって得意な分野が何だろうということも考えながらやっていただければありがたいと思います。 例えば、アジアの知恵として自然との共存ということが伝統的にあるわけですけれども、そういう分野については、環境とか食糧とか人口というような問題については私は日本が得意な分野ではないかというふうに思いますので、こういうところもぜひ視野に入れてやっていただきたいというふうに思います。 国際貢献をする上にはもちろん国際交流の具体的な措置というのが必要になってくるわけですけれども、この基本法の第十八条では、そのような観点から国際交流の重要性がうたわれ、そのための施策をとるようにということが表現されているわけです。国の研究機関においても、あるいは大学の方々等実際今研究現場で働いている方々から意見を聞くと、例えば一番やってほしいことは何ですかという質問をすると、大きくは二つ返ってくると思います、特に予算の使い方について。 一つは、研究予算の上で、いわば機械設備がやや重視されていて、なべかまに当たる消耗品の予算がいささか少ない、使い勝手が悪い。実際研究していく上で使い勝手が悪いということが多分共通して出てくることでしょうし、それからもう一つは、海外旅費が少ない。これは恐らく異口同音にどこのセクターからも出てくる話だろうと思います。 前者についてはなかなか難しい面がありますけれども、どうも研究予算については、額がふえることに反比例して、だんだん大型の機械とか施設の比重が高まってきて、ある意味では研究予算における大艦巨砲主義というようなものがどうも見えているんじゃないかと思って、それをやや私は懸念しているところなんです。 もうちょっと、研究の進捗というのは非常に読みにくいところがあって、走りながら考え、そしてまた新たな小さな発見をすればその方向にかじをとりながら進めていくというのが特に基礎研究における一般的な進め方ですけれども、大型機械とか施設という形で予算の大半が使われて、小回りのきくあるいは自由に使える消耗品の部分が少ないというのは、研究の臨機応変な進捗ということから考えると、ある意味ではマイナスになっている。 これはなかなか、大蔵省の考え方を変えさせなければいけないので難しいかもしれませんけれども、先ほど前の委員から科学技術分野におけるシビリアンコントロールの話がちょっとオウムとの関連で出ましたけれども、本来ですと、基礎研究の分野にはお金は出すけれども口は出さない、あるいは信じて任せるという態度が大事でして、これは恐らく大蔵省が最も苦手とする態度じゃないかと思います。 具体的には、先ほど申し上げました海外旅費について、特に若い人たちが国際会議の場で他流試合をすることが非常に大事だと思います。現場では、とにかく異口同音にみんなが足りないというふうに言うんですけれども、実態がどうなっていて、これまでどの程度ふやしてきたのか、それから今後どうふやしていくのか、できれば国の研究機関と大学とについて御紹介いただければと思います。
○工藤政府委員 お答え申し上げます。 先生おっしゃいますように、研究活動の中で国際的な活動の比重というのは年々ふえておりまして、そういう意味で特に研究公務員の外国旅費というものは非常に十分でない状況でございます。 現在、各省庁に計上されている部分、それから科学技術庁あるいは環境庁に一括して計上されている部分合わせまして、平成六年度で八億五千万円の外国旅費が計上されてございますけれども、これは例えば、その三年前の平成三年度は七億三千万円でございまして、そういう意味では年々着実に外国旅費をふやす努力はしてきているわけでございます。 しかしながら、まだまだこれで十分ということではございませんで、例えば研究公務員の海外出張の実態を考えますと、まだ自費で出張している部分というものが、約一五%くらいの方が自費で海外出張されている。それから、特にマルチの国際的な研究集会になりますと、半分以上の割合が、具体的には六割くらいの方が自費で研究集会に出席しているという状況が残っているわけでございます。 私どもとしては、何とかこれを解決していきたいということで、具体的には平成七年度の一次補正におきましてこういった方々が公費で出張できるように手当てをしていただいたわけでございます。今度は、さらに平年度の通常予算におきましてもこれが実現できるように努力してまいりたいと考えている次第でございます。
○鮫島委員 一応ふやす方向になっているとのことですけれども、先ほどの自費で国際会議等に参加している方々の年齢を調べてみると、恐らく若い方々ほど自費で参加している比率が高いのではないかと思います。 海外旅費については、特に官の側の考え方というのが、私もそう詳しいわけではありませんけれども、どうもやや大げさに考え過ぎるところがあって、特に行政の分野において海外旅費というのが何やら非常に大げさな話になっていて、いわば研究をしている世界にとって、研究の世界は完全にインターナショナルですから、むしろ国内の会議に出るのも海外の会議に出るのもほとんど抵抗はないわけです。旅費が、そもそも国内旅費と海外旅費とが研究の世界において仕切られていること自身が非常に奇異な感じがいたしますので、この辺はぜひ大蔵省とも交渉して、少し基本的な考え方を変えていただきたいというふうに思います。 国際交流を図る上ではまだ日本はいろいろな意味で社会的にも足りない面がありまして、例えば筑波研究学園都市に来られる外国の方々がおっしゃるのは、これだけの国際的な研究学園都市でなぜアメリカンスクールがないんだろうかというようなこともおっしゃいますし、いろいろな意味で、買い物をする、生活をするという意味で、余り海外の方々が研究に支障のない快適な生活が送れるようにという配慮がされていないということもよく耳にしますので、ぜひ国際交流を図る上では、こちらから外国に行くことも大事ですけれども、海外から日本に来られる方々が研究をしやすいような環境をつくるということも同時に重要ではないかという気がいたします。 次に、先ほど科学技術基本法は新しい産業分野の創出のための基盤技術開発というねらいももう一つあるというふうに申し上げましたけれども、今やはり新しい産業分野として一番期待されているのがニューメディアを中心とする情報通信分野だろうというふうに思います。 この分野の研究開発について産官学の役割分担、特に民間の担うべき分野について、これは科学技術庁の方ですか、郵政省でも結構ですけれども、政府委員の方にお答えいただきたいのですけれども、この情報通信分野の研究開発について産官学の役割分担、特に民間の担うべき分野をどういうふうにお考えになっているのか。これは科学技術基本法の中の基本計画を立てていく上でも、民間にどういう分野を主として担ってもらうかということがうたわれると思いますけれども、現時点でどんなふうに考えておられるのかお聞かせいただければと思います。 〔笹木委員長代理退席、委員長着席〕
○鬼頭説明員 情報通信分野の研究開発におきます国、大学、民間のそれぞれの分担というか、ふさわしい役割というお尋ねかと思います。 最初に、順番ということで国の役割ということでお答え申し上げますが、情報通信分野の国立の研究機関としましては、私ども郵政省の通信総合研究所がございます。 ここで取り組みます研究開発といたしましては、非常に技術的な困難度が高い、あるいは研究開発期間が非常に長期にわたる、そういったことから成果の見通しを当初から立てることが非常に困難な、非常にリスクの高い基礎的、先端的な研究開発、あるいは非常に公共性は高いのですが市場規模が非常に小さくてなかなか利益に結びつかないような研究開発、さらに、私ども郵政省の場合ですと、国民共通の財産でございます電波の有効利用ということを所管いたしておりますが、こういったものを促進するような研究開発、こういった観点の研究開発を推進すべきと考えております。 また、将来を担う研究人材の育成、養成の場と考えられます大学におきましては、新しい現象の発見、解明、あるいは独創的な新技術の創出等をもたらすような学術研究を中心に研究開発が推進されるものと考えております。 さらに、情報通信分野の研究開発を一番大きく担っております電気通信事業者あるいは情報通信機器メーカー等の民間セクターでございますが、ここにおきましては、情報通信分野というのは非常に技術革新が早い分野でございます。どんどん技術も陳腐化する分野でございまして、こういった民間セクターでは、市場動向に応じた機動的な研究開発というものを今までも進められてきておりますし、今後とも国民のニーズに一層的確かつ具体的にこたえる、例えば新しい商品開発、新しいサービス、そういうものを実現する技術、そういったものを中心にそれぞれの民間の企業の経営判断に基づいて研究開発を推進していくものと考えております。 なお、ちょっと国の役割について補足させていただきますが、日本の場合、情報通信分野の技術貿易というのはまだ非常に大幅な赤字ということで、基礎研究のおくれということが言われております。この分野の抜本的強化のためにやはり政府の研究開発予算の拡充ということが急務であると考えております。 このため、郵政省といたしましても、平成八年度におきまして、基礎的、先端的な研究開発とかあるいは新しい研究開発の制度の創設等に向けまして全力を挙げて取り組んでいるところでございますので、御理解を賜れればと思います。 以上でございます。
○鮫島委員 今の民間の担うべき研究開発分野は主として市場動向に応じた研究開発というお答えでしたけれども、民間部門においてやはり我が国においてはNTTの研究開発能力というのは端視すべからざるものがあるのだろうと思います。現在NTTについては分割論議が一部で行われておりまして、その分割論議をするときに、現在NTTの持っている研究開発能力にどういう影響を及ぼすのかということも当然考慮されて論議されるべきだろうというふうに私は思います。 個人的には、NTTの分割という言い方よりも、むしろ電気通信事業全体を国際競争力を持つ形にどう再編成するかというのが議論の筋だろうとは思いますけれども、現在、民間部門の中でNTTが持っている研究開発能力のいわば長所と短所、これが分割なり再編成によってどんな影響を受けるのか。ある意味では、縮小することが情報通信分野全体の民間の研究開発能力にどんな影響を与えるのかという点について、もしアセスメントといいますか、御返事がいただければと思いますけれども。
○重田説明員 民間の担うべき分野の中でNTTの研究開発能力をどう評価するかという、まずその点でございますけれども、NTTの平成五年度の研究開発費と研究者数について申し上げますと、それぞれ二千八百八十三億円と八千五百人でございます。 これをどう評価するかでございますけれども、これは情報通信分野の主要メーカー、例えば日本電気とか富士通等でございますけれども、これとほぼ同程度の規模でございます、研究開発費と研究者数でございますが。また、情報通信分野の製造業、これは総務庁の科学技術研究調査、産業分類の通信・電子・電気計測器工業ということで情報通信分野の製造業をとってみますと、平成五年度の研究開発費総額は二兆四百九十三億円でございます。情報通信分野の製造業全体と比較いたしますと、研究開発費におきましてはNTTは一割強でございます。 さらに、基礎研究費について見てみますと、NTTは同じく九十億円に満たない規模でございまして、先ほどの情報通信分野の製造業は七百九十九億円となっておりますので、これもまた一割強でございます。 これが事実関係でございます。研究開発能力をはかるというのは非常に難しゅうございますので、とりあえず事実関係でお答えさせていただきます。
○鮫島委員 これからNTTのあり方についてどういう議論が行われるかにもよりますけれども、ぜひそういう流れの中でこの研究開発能力が国際レベルで落ちていかないように、民間における研究開発能力の維持、涵養ということも十分視野に入れていただきたいというふうに思います。 科学技術分野におけるもう一つの、一番巨大な領域であります原子力の開発利用について、残された時間で幾つか聞きたいと思うのです。 平成六年六月二十四日に出された「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」というのを、この質問時間がいただけるということで私改めてじっくり読み直してみました。大変、頭の方にはいろいろいいことが書いてあって、特に「長期計画は何よりもまず国民にその内容が理解されるものでなければならず、この長期計画においては、原子力開発利用に関する明確な理念と計画を国民に提示するよう努めました。」ということが前書きの方に書いてあります。 〔委員長退席、笹木委員長代理着席〕 それから、「国内外の理解の増進と情報の公開」というところにも、「行政は国民の支持の下に推進されるべきものですから、国民が判断する際の基礎となる情報を適時的確に提供していくよう努めることが重要です。」という考え方で、大変わかりやすく書かれているだろうというふうに思って読んだのですけれども、かなりわかりにくくて、特に二〇一〇年には七千五十万キロワット、現在よりも八割程度増しの発電量を確保しますという数字があります。じゃ何基ぐらい新設するのかなというつもりで全部見ても、そういうことは、基数は書いていないとか、それから、すぽっと抜け落ちているのが、コスト論が抜け落ちていまして、大まかなつかみの数字だけは出ていますけれども、実際この計画に沿って推進していくのにどのぐらいの設備投資が要って、二〇一〇年には一体電気代が幾らぐらいになるのかというような普通のことが、なかなかこの利用計画を読んだだけではわからないというのが私の率直な印象です。 〔笹木委員長代理退席、委員長着席〕 特に諸外国との比較で、私はここに書いてあるのは筋としては大変わかりやすい筋でして、一つは資源埋蔵量が、どういう資源をとってみても、石油、天然ガス、ウランは数十年しかありません、石炭は一番多くて二百年とされていますけれども、これは現在の水準で消費を続けていくと、二十一世紀にはエネルギー資源の状況は危機的なものになる、これは実際事実ですから、それはそれでいいのでしょうけれども。そうすると、じゃ石炭が一番たくさん残っているから、みんなが石炭を使うと、今度はCO2問題という大きな壁に突き当たる。結局、エネルギー需要は一九九二年に比べて二〇一〇年には世界全体で一・五倍とされていますから、これを石炭で賄おうとしたらCO2が大変な問題になる。 一方で、気象変動に関する国際パネル、IPCCですか、そこでは、二〇〇〇年までに一九九〇年レベルでCO2を安定させましょうというのがOECD加盟国の間で合意ができているということですけれども、今のエネルギーの利用の形態、あるいはその利用の推移、それから世界の先進国の今後のエネルギー供給の見通しというのを見ると、とても二〇〇〇年までにCO2を一九九〇年レベルで安定ということにはなっていない。 例えば、原子力依存度ということで、一次エネルギーの供給見通しを見ますと、アメリカは一九九一年が八・六%だったのを二〇一〇年には六・五%まで落とします、一次エネルギー供給の中の原子力の占める割合ですけれども。それからイギリスにおいても一九九一年八・四%だったのを二○一〇年には三・四%に落とします、それからドイツは一一・一%から一〇・九%、ほぼ横ばいでこれ以上ふやしません、フランスだけは三七・二%を四五・二一%までふやす計画になっています。それからカナダも一〇・五%が二〇一〇年が一〇・六%とほぼ横ばいの数字になっていますけれども、その中で日本は割合突出して、ちょっと数字が古いのですけれども、一九九二年度の実績で一〇・〇%のところを二〇一〇年には十六・二%へ持っていきます、日本だけが突出して六割増しにしますということを世界に向けて宣言しているわけです。 これは話の筋からいえば、日本のエネルギーの輸入依存度は八二%、これはイタリア並みですけれども、そのエネルギーのうちの石油依存度が五六%、石油の輸入依存度が九九・七%、ほとんど一〇〇%輸入しています。特にまた、エネルギーのセキュリティー指数と言われているホルムズ海峡を通過する原油の比率、これが日本は七〇・四%と大変高い数字になっていまして、そういう意味では、日本のエネルギーの供給構造が非常に基盤として脆弱だということは一目瞭然だと思います。 そういう環境の中で日本は、非常に石油の供給構造は脆弱です、しかも石油も天然ガスもウランも残りは数十年しかありません、石炭に依存したら、これは環境問題とぶち当たってCO2の削減という国際公約が果たせませんという、ある意味では大変正直な組み立てに日本はなっていると思います。 外国はある意味ではそんなことを無視して、今言った原子力依存度をフランス以外は減らしますという組み立てになっていまして、そのかわりに何をふやすのかと思えば、大体天然ガスと石炭をふやすことになっていまして、これはどこかにうそがあるといいますか、国際的なCO2の削減に対する取り組みというのが実は余り国際合意になっていないのではないか。ある種の理念的な取り決め、あるいは姿勢としての取り決めだけで、余りなっていないのではないかという、この供給の見通しから判断する限りですね。そういう中で日本は、正面からその言葉どおりを受けとめて、したがって核燃料リサイクルシステムを完成するしかありませんというのがこの長期計画の骨子だろうというふうに思います。 一方で、ではこの長期計画に述べられているようにスムーズにプルトニウムリサイクルシステムが完成する方向に行くのかどうか。二〇一〇年まであと十五年しかないわけですから、実際新設でまだあと四十基ぐらいが必要というふうに恐らく見込まれていると思いますし、ことしから来年ぐらいにかけて、そろそろ最初につくった原発が耐用年数に達してきて、廃炉という問題も恐らく始まるんだろう。でも新たなサイトの確保については、現在確保してあるサイトの中の増設分というのがかなりいくんでしょうから、新規サイトの確保は、それほど年限はかからないにしても、事前の調査から含めると、既に今の段階でこの長期計画に書かれてあるようなことはかなり絵にかいたもちになっているんじゃないか。 特に、これは十月二十四日の朝日新聞ですけれども、六ケ所村の核再処理工場の建設費の当初見込みが八千四百億となっていたのが、実際に見積もってみたら一兆七千億余りと倍になった。これで設計変更を余儀なくされたということもありますし、またその前に、後ほど斉藤委員が質問すると思いますけれども、新型転換炉、ATRですね。これも建設費当初見積もりの約四千億が、実際本気で見積もってみたら五千八百億になったというようなこともありまして、コスト意識のなさというのが、ある意味では核燃料リサイクル全体の完成の足を引っ張るというか、その夢を非常に不確かなものにしているのではないかという気がいたします。 この計画の中にも、「資金」のところでかなり大ざっぱな表現がありまして、二〇一〇年までの所要資金のおおよその見込みを集計すると、国と民間が共同でやる部分で九兆九千億円、それから民間が独自に行う部分で研究開発が二兆円、それから実際の施設建設等で十兆円、全部合わして二十二兆円が二〇一〇年までにかかりますということになっていますけれども、最近のこの見積もりの変更から判断すると、多分これは大ざっぱに言って倍ぐらいになるのではないか。 右肩上がりで税収が伸びていく中での計画ならまだしも、今後税収の伸びが当面期待できない環境の中で、実際この計画がどの程度計画どおり進捗していくのかというのは、ある意味では、この長期計画を読んだだけでは、国民にわかりやすく表現しなければいけませんと言っている割には、大変わかりにくいというのが私の率直な印象でございます。 二〇一〇年までに二十二兆円かかるというふうに見積もられているわけですけれども、現時点でこの数字、これは去年の六月に出されたもので、多分この内容を詰めるのはもうちょっと、半年なり一年前なんでしょうけれども、現時点でもおおよそこの程度というふうに思っておられるのか。 それから内訳について、特に民間の軽水炉原子力発電所及び商業用核燃料サイクル施設の建設に必要な経費、これは十兆円とされていますけれども、この辺はもうちょっと内訳を示していただければありがたいと思うのですけれども。
○岡崎政府委員 先生御指摘のとおり、昨年六月の原子力開発利用長期計画の策定に当たりまして、できるだけ多面的にわかりやすく総合的にこの原子力政策というものをとらえるよう努力をいたしたわけでございます。 その一環として、御指摘ございました資金の問題につきましても、このような長期的な原子力開発利用を進めるに当たっての一つの基盤として、人材の問題と並んで資金をどのように確保していくかという観点が大変大事でございます。もちろん、その資金の試算に当たりまして、この長期計画の中でも前提として書かせていただいておりますとおり、今後さらに資金の詰めというのは具体的に検討すべき課題があるし、今後の情勢によって大きく変化するという前提のもとに、この長計の策定時点における二〇一〇年までの資金見通しというものを行ったわけでございます。 その中に、御指摘のとおり、直接この長期計画の研究開発を進めるに当たって、国と民間の合計として約九兆九千億円という数字は書かせていただいておるわけでございます。もちろんこの中には国が負担すべきものと民間が負担すべきものがまじっておるわけでございますけれども、それぞれは個々の具体的な計画に即して、国と民間の役割というものによって判断すべきものでございますので、この試算において細かくは国と民間の分担をこの九兆九千億円について行っているわけではございませんが、それぞれの個別のプロジェクトに対する国と民間の役割というのはできるだけこの長期計画の中で示しておるわけでございます。それは、例えば原子炉の開発に当たって国と民間がどのような役割を果たすかということについて分類をしておるわけでございます。 さらにそれ以外に、御指摘のとおり民間が独自に行う研究開発費が二兆円、さらに、いわゆるもう実用施設として、原子力発電所と商用の核燃料施設の建設費として約十兆円という数字も述べておるところでございます’この中には、先生御指摘のこれからの軽水炉の原子力発電所の建設費プラス六ケ所の核燃料再処理工場の建設費も含まれておるわけでございますが、それらにつきましては、今後、この進展に応じて必要な段階で見直していくということでございますので、もし六ケ所の再処理工場の建設費の見直しが行われました場合には、もちろん当然のことながらこの試算というものが変化があるわけでございます。 その時点においては、それぞれもう一度適切に見直しは行われることは確かではございますけれども、全体の長期計画としての今後おおよその資金の見通しについてこの長期計画に書かせていただいたこの基本というのでしょうか、あるいはこの大きなトレンドというもの、そういうものに大きな変更をもたらすものではないのではないかなという認識はしてございます。ただし、具体的な計画に即して見直しは行っていきたいとは思っております。
○鮫島委員 多分、ATR実証炉の建設が経済的に引き合わないということで中止になったというのは、日本の原子力の歴史において初めてのことではないかという気がいたします。それまではむしろ安全性ということがずっと原子力行政の、少なくともこういう場での論議の中心になっていたのだと思います。 やはりこの長期計画を見ても、非常にコスト論が甘いなという気がいたしまして、このことがいろいろな設計の変更あるいは計画の変更につながっていったり、今度、「もんじゅ」に次ぐ実証炉も多分計画は先送りになるのだろうと思います、予算の都合上計画が先送りになっていく。 そうしますと、いわゆるプルトニウムの需給のバランス、これが全部計画がうまくいくといって立てておいたのが、実際にその使う方のATRとか高速増殖炉の実証炉が先に延びますよということになると、一方でプルトニウムの抽出精製は進みます、こういうミスマッチが進むことが非常にまた国際的な疑義を生まないとも限らない。 こういう長期計画については、日本人が読んでわからないものはもちろん外国人が読んでわからないわけですから、まずやはりだれが読んでもわかりやすく、日本の考え方、このエネルギー政策については環境のことも考えてまじめな組み立てという意味で私は世界に誇るべき論旨だろうと思いますから、そういうことが十分外国にも通じるように表現することと、それから、ほかの国々が非常に原子力に関しては慎重で、フランス以外は依存率を余り高めないという趨勢の中で、日本だけが非常に依存率を高めようとしていることについては、十分やはり国際的理解を得ると同時に、できればこの分野全体の研究開発なり技術開発を日本単独でやることなく、国際プロジェクトとしてむしろ推進していくことが日本のためでもあり、世界のためでもある。 また、全体のエネルギーの需給からいけば、石油や天然ガスの将来というのは非常に限りあるということが見えているわけですから、日本が率先して、むしろ何を考え、どういう技術体系でやろうとしているのかというのを日本が中心になって世界の国々と連携をとりながら、日本のためだけのリサイクルシステムの完成じゃなくて、世界のためのリサイクルシステムの完成という形で取り組んでいただきたいというふうに思います。 時間が来ましたので、私の一方的意見だけで失礼します。
○野呂委員長 午後二時より再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時七分休憩 ――――◇――――― 午後二時開議
○野呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。斉藤鉄夫君。
○斉藤(鉄)委員 新進党の斉藤鉄夫でございます。 きょうは、新型転換炉実証炉の建設計画中止につきまして、大臣、科学技術庁、そして通産省の方にいろいろ御質問をさせていただきたいと思います。 新型転換炉の実証炉、青森県の大間に建設される予定だった実証炉の建設計画が八月二十五日の原子力委員会で中止ということが決定されました。一般の世の中の受けとめ方は、極めて妥当な決断であるとか、日本では一たん動き出した国家プロジェクトはなかなかとまらない、例えば、航空機時代になっても掘り続けた青函トンネル、米が余っても干拓を続けた中海、そういうふうなことが言われる中で、今回のATR、新型転換炉実証炉計画の中止というのは大変勇気ある決断だ、こういう論調がほとんどであったわけでございます。新聞もほとんどそういう論調でございました。 新型転換炉によって発電される電力は、軽水炉の三倍近くかかるという見通しになった。また、建設そのものも非常に高いものについてしまう。そういうことで、コストを考えれば建設中止もやむを得ない、こういう論調がほとんどであったわけでございます。 しかし、この新型転換炉路線を日本はいくんだというのを決定したのが昭和四十一年、以来三十年間、日本はこの新型転換炉路線、一生懸命頑張ってきたわけでございます。「ふげん」も建設されました。そして、大間に実証炉をつくるということで、さまざまな科学技術的な研究、そして計画、土地の取得等の努力が行われてきたわけでございます。この三十年間で投入された国費は約二千五百億円、また、電力業界からも七百数十億円投入されている。三千億円以上のお金がかかっているわけでございます。したがって、ここで急に三十年間続けてきたプロジェクトを何ら国民に納得できる説明なしにやめましたということは、私はちょっと待ってくれ、国民の代表としてこう言いたい気持ちなわけでございます。 きょうは、この議論を通じまして、このATR実証炉建設中止が本当に原子力長期計画の中で妥当なものなのかどうか、そういう議論をして、その議論の結果、国民の皆様にこれからの原子力長期計画を考えていく上の材料を提供したい、こういう観点から質問をさせていただきたいと存じます。 まず最初の質問でございますが、昭和四十一年に新型転換炉の開発が原子力委員会で決定されたときの新型転換炉の原子力全体の中での位置づけ、また軽水炉、また、今我々が目指しております高速増殖炉、この軽水炉や高速増殖炉と比較してどういう特徴を持っていたのか、どのような位置づけにあったのか、その点をお聞きいたします。
○岡崎政府委員 お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、新型転換炉、高速増殖炉の動力炉開発計画につきましては、昭和四十一年の原子力委員会決定から始まっておるわけでございます。この昭和四十一年当時、すなわち昭和三十年代の後半から昭和四十年代の初めにかけまして、いわゆるアメリカからの導入技術に基づきます軽水型の原子力発電所の建設というのが我が国において本格的に開始されようとした時代でございました。この段階におきまして、原子力委員会は、将来の日本の原子炉戦略はどうあるべきかということを関係各界の意見を聴取しながら検討されたわけでございます。 その結果として、まず軽水炉につきましては、当時、今後当分の間我が国原子力発電の中心となるものであるという位置づけであるとともに、高速増殖炉につきましては、核燃料問題を基本的に解決するものである、かつ将来の原子力発電の主流になるべきものという位置づけでございました。それに加えまして、この新型転換炉を動力炉開発の一つとして位置づけた理由につきましては、FBRにつきましては開発にまだ担当な期間を要するということで、その間、軽水炉に比較をいたしまして核燃料の効率的利用あるいは多様化の観点から大変有意義であるという位置づけがなされたわけでございます。 具体的に、この新型転換炉の位置づけにつきましては三点に集約できるのであろうかと思いますが、一つは、我が国の自主的な技術によります原子炉体系を開発するというのが第一点。 それから第二点目が、天然ウラン等が利用でき、核燃料の有効利用及び多様化に資する。この点につきましては、軽水炉は濃縮ウランに頼らざるを得ない。当時は残念ながら濃縮ウランを国内で生産することができませんでした。アメリカ等の海外に依存せざるを得ないという状況でございました。したがいまして、将来の核燃料の安定的な利用あるいは効率的な利用という観点を考えた場合に、この新型転換炉が大変役に立つであろうという視点が第二点でございます。 それから第三点が、プルトニウム政策の観点でございましたけれども、当時は、高速増殖炉と併存をしてプルトニウム供給をする役割、すなわち、高速増殖炉が実用化したときには大変大量のプルトニウムがいわゆる初装荷燃料として必要であるという観点から、むしろプルトニウムの供給をこの新型転換炉に期待をするという観点もあった。こういう三点からこの新型転換炉の開発に着手をした、このように理解をいたしております。
○斉藤(鉄)委員 新型転換炉、今後ATRというふうに略称させていただきますが、ATRが軽水炉と高速増殖炉の間のつなぎだ、そういう位置づけにある、よくこう言われておりますのは、先ほど局長御説明のあった三番目の理由、プルトニウムの供給という機能も持つ、こういうふうに理解してよろしゅうございますでしょうか。
○岡崎政府委員 その点もそうでございますし、それから、先ほどの繰り返しになりますけれども、高速増殖炉の実用化までの間軽水炉に依存をする、そのときの軽水炉の燃料が果たして長期的に、あるいは安定的に入手できるかどうかという点について必ずしも定かではなかったという、そういう諸点を考慮して、燃料サイクル上の意義が十分あるのではないか、こういう位置づけであったかと思います。
○斉藤(鉄)委員 昭和四十一年当時にATRがどのように位置づけされていたかということはよくわかりました。 では、その当時においてどういう予測をしたか、その予測の問題ですけれども、昭和四十一年、原子力委員会で決定された時点で、ATRはどういう、ATR実用化に至るまでの道程予測といいましょうか、実験炉、原型炉、実証炉、こういうふうにつくって何年ごろに商業化する、こういう道程が当時わかって、もし予測されていたらお聞きしたいと思います。
○岡崎政府委員 この新型転換炉の炉型の性格上、基本的には軽水炉と同じ技術がベースでございます。それに加えて、重水を使いますために、若干の新たな設備改良というのでしょうか、改良点がございました。 そういった観点を考慮して、この新型転換炉実用化に対する見通しにつきましては、この昭和四十一年当時、まず臨界実験装置という、実験炉の非常に小型なものと御理解いただいていいと思うのですけれども、こういった幾つかの実験装置をつくると同時に、昭和四十年代の前半には原型炉、現在の「ふげん」でございますけれども、この原型炉の建設に着手し、その運転経験をもとに、昭和五十年代には実用化を目指す、このような計画でスタートをしたわけでございますが、原型炉「ふげん」につきましては、建設開始されましたのは昭和四十五年、運転を開始しましたのは昭和五十四年でございました。
○斉藤(鉄)委員 当時におきまして、今回大間に建設しようとしていたいわゆる実証炉段階でどの程度の発電コストになるか。これは軽水炉と比較して、もしそういう予測が当時あったとすればお聞かせ願えますでしょうか。
○岡崎政府委員 昭和四十年代当初におきまして、原型炉の建設を経て将来の実用化につなげていく、こういう構想であったわけでございます。そのときの経済性の評価につきまして、あるいは将来の見通しにつきましては、新型転換炉の発電原価は軽水炉の発電原価と比較して同等ないしそれ以下になし得る見通しがある、このような形でスタートしたわけでございます。その後、原型炉の実績等を踏まえて原型炉以降の開発計画につきまして審議をした結果、実証炉の段階を経て将来の実用化につなげていく、こういう構想が具体化をしていったわけでございます。
○斉藤(鉄)委員 それでは、昭和四十一年当時は、軽水炉と同等もしくはそれ以下という予測であった、そういう予測で国産技術として重水炉をつくっていこう、こういう決断がなされた、そこまではよくわかりました。 それでは、実際に、昭和四十一年からこの平成七年八月二十五日に至るまでの新型転換炉、ATR研究開発の大まかな経緯、それから投入費用、できれば投入マンパワー、これは研究員も含めてですが、お聞きいたします。特に、原型炉「ふげん」につきましては非常に優秀な運転成績ということで、これは科学技術者の間でつとに有名でございますが、「ふげん」についてはまたどうだったのか、この点についてお聞きいたします。
○岡崎政府委員 「ふげん」につきましては、昭和四十五年に建設を開始し、五十四年から運転を開始いたしたわけでございます。この建設費につきましては、約六百八十五億円でございました。当時の計画どおり、原型炉の建設費につきましては官民それぞれ半分ずつ負担をする、五〇%ずつ負担をする、このような形でこの建設が行われたわけでございます。その後、五十四年に運転が開始されまして、非常に順調な運転の実績を示しておるわけでございます。 本年十月までの全体の設備の利用率は六五・七%、また、この原型炉「ふげん」に装荷をいたしましたプルトニウム混合酸化物燃料の集合体数は六百二体ということで、恐らく、一つの炉型に対してこれだけのプルトニウム燃料を使用したというのは世界でも誇り得る実績であろうかと思っております。 さらに、ATRに投入いたしましたマンパワーの点でございますけれども、現在は約百数十人程度がこのATR関係に携わっておりまして、「ふげん」につきましては約百三十人程度、研究開発関連は三十人程度でございます。ただし、最も最盛期でございました昭和五十四年、五十五年当時は、トータルとして二百四十人程度がこの新型転換炉開発に直接携わっておった、このような経過でございます。
○斉藤(鉄)委員 昭和四十一年から平成七年までトータルとして投入した国費は二千五百億円というふうな新聞記事もよく読むわけです。先ほどは「ふげん」にかかわる御説明をいただいたわけですが、全体としてATR研究開発にかかわった国費、投入費用、これについてはわかりますでしょうか。
○岡崎政府委員 幾つかに分類して御説明を申し上げたいと思いますが、まず動燃事業団が主として関連をいたしました「ふげん」の建設費は先ほど申し上げましたとおり六百八十五億円、これは官民折半でございます。それから、運転費に関しましては平成六年度まで約四百七十億円、それから研究開発費が八百億円強ということで、この「ふげん」並びに関連の研究開発費といたしまして、合計約二千億円程度でございます。 加えまして、実証炉関係の関連経費がございまして、これが確証試験あるいは燃料関係の建設費等合わせまして二百五十三億円、それから大間の実証炉建設直接部分、これは通産省からの補助金並びに電力からの補助金、それから電源開発みずからの負担分を合計いたしまして約六百億円弱ということで、すべてそれを総計いたしますと、約二千八百億円程度が「ふげん」あるいは関連の研究開発プラスこれまでの新型転換炉実証炉の設計、建設等の関連の費用の総合計でございます。
○斉藤(鉄)委員 これまでにかかった費用がよくわかりました。 それでは、これまでのATRの研究開発、学術研究として主に行われてきたわけですけれども、このATRの研究開発に関連して書かれた論文の数、もしくはこの研究から生まれた工学博士、理学博士、その数がもしわかればお教え願えますでしょうか。
○岡崎政府委員 これまでの新型転換炉研究開発に直接関連をいたします今先生御指摘の論文等につきまして、まず論文数につきましては約千八百四十件程度の論文が提出されております。それから、学位を得ました論文につきましては七件ございます。それから、研究開発にこれまでどれだけのマンパワーが投入されたかということ、総合計、なかなか評価は難しゅうございますけれども、動燃事業団部分だけを取り上げた場合の今までの総人年というのでしょうか、マンイヤーというのでしょうか、これが約五千百七十人年、このようなマンパワーが投入されたわけでございます。 そこから得られました成果につきましては、もちろん主として原子炉関係のいろいろな研究の論文が発表されておるわけでございます。ちょっとここにございますけれども、かなり専門的になりますので、個別のテーマについては省略をさせていただきたいと思います。
○斉藤(鉄)委員 学術的にもかなりのマンパワーが割かれ、論文が書かれ、そしてそれで学位を取った人も七人もいる、非常に学術的にも価値のある研究が三十年間なされてきた、このように感じる次第でございます。 それでは、ATR研究開発全体の中で、大間実証炉、大間に建設予定だった実証炉がどういう位置づけてあったか、またどのような建設計画が進められてきたか、これについてお伺いします。
○岡崎政府委員 原型炉「ふげん」の建設、運転の経験を踏まえまして、その後の新型転換炉の実用化につきまして昭和五上二、四年あたりから原子力委員会で審議を進めてまいりました。その結果、昭和五十七年に、大間の実証炉につきまして、原型炉の建設、運転の成果をもとに、大容量化に伴う技術の実証及び経済性の見通しの確立を図り、実用化の見通しを得るもの、このような位置づけで、昭和五十七年に先般の実証炉の建設計画という構想が具体化したわけでございます。
○斉藤(鉄)委員 それでは、昭和四十一年決定以降原子力委員会がこのATRをどう位置づけてきたか、昨年の六月の新長計も含めて御説明願えますでしょうか。
○岡崎政府委員 昭和四十二年あるいは昭和四十七年の原子力開発利用長期計画の中の位置づけは、先般御答弁申し上げましたとおり、自主技術の開発であるとかあるいは天然ウラン等の核燃料の有効利用及び多様化に資する、あるいは高速増殖炉と併存しプルトニウム供給をする役割、こういう形でスタートしたわけでございます。その後軽水炉は、我が国の原子力発電の主流としての大変安定した運転を続けるという、こういう実績を踏まえながら、その後長期計画の改定が数度にわたりまして行われてきたわけでございます。 その間の位置づけの変遷につきましては、基本的には、我が国の炉型戦略が軽水炉から高速増殖炉というこの基本路線というのは変化はないわけでございます。 その間の新型転換炉の位置づけにつきましてちょっと振り返ってみますと、昭和五十三年には、プルトニウムであるとかあるいは回収ウラン等の有効利用という、むしろプルトニウムを使用し得るという観点が加わってきておりますし、さらに五十七年の長計を見ますと、プルトニウム利用に関する国際的な理解、こういう観点がこの新型転換炉の位置づけの中に加わってきておりますし、さらに昭和六十二年の長計におきましては、新型転換炉は一定規模の核燃料リサイクルを図ることができるということで、全体の燃料リサイクルの中の一つの位置づけがこの昭和六十二年長計の中には加わってございますし、さらに昨年の平成六年の長計の中には、軽水炉におきますプルトニウム燃料の利用、いわゆるプルサーマルというものがいよいよ本格的な時代を迎え、こういったMOX燃料利用についての国内外の理解と信頼を得るにも、この新型転換炉というのは大変役に立つ、このような位置づけで変遷をしてきたものと理解をしております。
○斉藤(鉄)委員 原子力委員会の中におけるATRの位置づけも、そういう状況でいろいろ変化があったとはいえ、基本的に国産の重水炉をつくる、それは日本の原子力開発にとって非常に意義のあることだという基本的な姿勢は変わらなかったかと思います。 それが、今回、我々の目からすると突如ATRの建設中止が決定されたわけですが、これに至る経緯と理由についてお伺いします。
○浦野国務大臣 ただいま局長から答弁申し上げたところでございますけれども、ATRは元来、将来高速増殖炉が実用化されるまでの間、国際情勢の変化等により濃縮ウランの供給が厳しくなるような事態も踏まえまして、その場合においても、プルトニウム燃料あるいは天然ウラン等、幅広い燃料というものを柔軟に活用できる、そうした形の炉型として位置づけられて研究開発が進められてきたと理解をいたしております。 しかしながら、情勢が変わってまいりまして、天然ウランの需給が緩和してきた、あるいはウラン濃縮についても、国内における濃縮事業化の成功、また海外のウラン濃縮サービスが安定化してきたという状況でございまして、また、プルトニウム燃料については、軽水炉における利用が、技術革新といいますか、そうしたものによって具体化してきた、そういう状況の変化がございまして、これまで研究開発を進めてきたATRの役割というものにも変化が生じてきたという受けとめ方をいたしておるわけでございます。 そうした中で今回の見直しに至ったわけでございますけれども、今般の漁業補償交渉の決着を受けて、実証炉の建設費を見直しましたところ、建設費が大幅に高騰していた。加えて、ATR実証炉の代替計画として提案されたところの改良型軽水炉におけるプルトニウム燃料の利用が、核燃料リサイクルという我が国の原子力政策の基本にも沿うものであるということから、ATRの実証炉の建設は断念いたしたわけでございまして、全炉心にプルトニウム燃料を利用する改良型軽水炉、ABWRを建設することといたした次第でございます。
○斉藤(鉄)委員 ここが一番大事なところかと思うのですけれども、大臣の御答弁を要約しますと、一つは、プルトニウムをめぐる情勢が変わってきた。昔はプルトニウムをどこかでつくらなければ、FBRでそれを使えない。プルトニウムを生産するためにATRをつくるんだ、こういう位置づけがあった。しかし、現実にはウランも安くなり、かつ、プルトニウムについても余剰の状況にある。ATRを建設する一つの理由がなくなった。 それからもう一つは、高い。先ほど、昭和四十一年当時は軽水炉と同等程度のコストだということであったのだけれども、実際に試算をしてみると、どうも軽水炉の発電コストよりも三倍近くかかりそうだ、だからやめたんだ、こういうことだと思うのです。しかし、その二つの理由は、ある意味ではかなり前からわかっていたことじゃないか。 まず、コストの問題につきましては、「ふげん」が建設され、「ふげん」の運転実績がいろいろ出てきました。それをもとに実証炉を建設しようということで、当初試算されたときには軽水炉の発電コストの二倍程度になる。これはかなり前から、十年ぐらい前から言われてきたことじゃないかと思います。しかし、やろう。重水炉ですから、ウラン燃料を濃縮しなくても、天然ウランでも、また一遍軽水炉で燃やしたような減損ウランでも燃料として使える、こういう特徴がある。だから、そういう意味では、発電コストが二倍になってもやろうということだったのじゃないかと思うのです、この十年間。 それから、プルトニウムをめぐる諸情勢が変わった。これもここ二、三年で変わったことじゃなくて、ある意味ではもう十年以上前から、アメリカの核不拡散政策があったころから徐々に変わってきて、これも十年近く今のような状況が続いてきております。 であるならば、なぜ-三千億円もの国費を今まで投入してきました。たくさんの有能な研究者がこの研究に従事してきました。もっと早くこの見直しをすべきだったのではないか、科学技術庁なり原子力委員会がイニシアチブをとってこの見直しをすべきだったのではないか、こう思うわけでございますが、その点についてはいかがでございましょうか。
○岡崎政府委員 先生め御指摘も大変私ども理解するところがあるわけでございますが、若干経緯等について御説明をさせていただきたいと思います。 経済性の問題について、確かに昭和五十七年当時、この実証炉を計画したときも、もちろん実証炉でございますから、いきなり軽水炉と同等ということではなくて、先生も御指摘のとおりに、若干軽水炉よりも高くなる、そういうことではあるけれども、実証炉の次の段階の実用化を踏まえて、順次その経済性の向上も図っていくことによって、将来実用化段階で軽水炉と同等になる可能性が十分ある、このような見通しで進めてきたわけでございます。 今回、この実証炉の具体的な建設費につきまして、もっと前からわかっておったのではないかという点について若干釈明をさせていただきたいと思いますが、この実証炉の具体的な建設費を算定し、あるいは具体的にメーカーとやはり交渉しなければ最終的な建設費というのはなかなかはじけるものではございません。 御承知のとおり、この新型転換炉実証炉の建設計画は五十七年に開始されたわけでありますけれども、残念ながら地元の理解を得るのに十年余りを経過してしまった。こういう段階で、ようやく昨年の五月に漁業補償が解決したことによって、具体的にいよいよ建設のスケジュールが確定し、具体的にメーカーと建設主体である電源開発がいわゆる契約交渉というものに本格的に入れるようになった段階が昨年五月でございました。 ことしの三月にかけて電源開発は懸命にこの建設費の詰めを行ったわけでございます。その間、相当いろんな合理化の努力等をなされた形跡はもちろんあるわけでございますけれども、この三月に判明した建設費が、当初三千九百六十億円でございましたのが、どうしても五千八百億円程度になってしまう、こういう事実が残念ながら判明したのはこの三月ということで、いよいよ現実的に建設を踏まえてこの実証炉をどうするかという問題が提起をされたという経緯であるわけでございます。その点ぜひ御理解を賜りたいと思います。 それからもう一点、核燃料リサイクル上の意義につきまして、私ども、短期的には天然ウランも大変需給関係が緩和しておる、あるいは濃縮ウランも非常に安定をしておるというのは確かに事実でございますけれども、やはり十年、二十年先に我が国が目指しております核燃料リサイクル政策という観点から、こういった核燃料を弾力的あるいは有効に利用できる、こういう技術、あるいは今までのプルトニウムを実際に原子炉で使ってきた実績というものは、決してその意義というものが今時点において薄れたということではなくて、恐らくそれは将来に必ず役に立つし、こういった技術というものは日本としてもやはりきちっと蓄積をしておかなくてはならないという、それそのものの意義というのは、私どもは、基本的には変わっていないのではないかということではございます。 ただし、新型転換炉の実証炉あるいはそれに続く実用化を現段階において継続することは適切ではない、こういうことから今回の判断に至ったということを、恐縮でございますが説明をさせていただきたいと思います。
○斉藤(鉄)委員 私が次に質問しようとすることと今局長お答えになったこととちょっとダブったんですが、先ほど大臣がお答えになった最初の理由、つまりプルトニウム需給が緩んできた、つくるよりも使わなきゃいけないんだ、こういうことに関連して、もしそういうことであれば、いわゆる今日本が国策として進めている高速増殖炉路線、FBR路線、それも論理的なそごを来してくるのではないか。 濃縮ウランも安い、軽水炉もかなり長期間安い燃料で使えそうだ、かつそこからプルトニウムが生まれてくる。今後、MOX燃料のプルトニウムを利用して再びまた軽水炉で燃やすことができるということであれば、そのプルトニウムも、今全然需給関係が緩んでいる、かなり長期間それが見込まれる、これがATR建設中止の理由だということであれば、FBRをつくる理由もないのじゃないですか。また、FBRそのものもATRと同様に非常に高い建設費になるという予測もございます。だからATRと同じような理由があるわけです。 建設費が高い、プルトニウム需給も緩んでいる。であれば、今回のATRに対する決定はFBRについても波及してくるのじゃないか、このように思うわけですが、いかがでしょうか。
○浦野国務大臣 私が原子力委員長という立場で最終的な判断をいたしましたのは八月の二十五日でございました。率直に申し上げまして、この見直しに際しましては、長期計画ができ上がったばかりのところであり、私なりにその決断をするのには悩んだところでございます。 経済性ということがとかく前面に出がちでございます。確かに経済性というものを重視していかなければならぬと思いますけれども、しかし、資源に乏しい我が国がこれからのエネルギーセキュリティーというものを念頭に置いていくとき、今日、確かにこの数年来、天然ウラン等もその需給が緩和しておると言われます。しかしながら、いつそれが厳しいものになるかわからぬ、こういうことも念頭に置きながらやっていくとすると、経済性も大事でありますが、あわせて、長期的な視野に立って、技術の劣化というものを抑えるといいますか、研究開発というものは引き続いて継続していかなければならぬ。 私は、それが我が国のエネルギー確保の極めて重要な要点であろうと思っておるわけでありまして、今回の見直しに際しましては、経済性もさることながら、しかしそれ以外に、ただいま申し上げましたようなところも含めまして、総合的な判断の中で結論を出させていただいたということで御理解をいただければと思います。
○斉藤(鉄)委員 これは質問ではございません、私の意見です。いわゆる軽水炉でMOX燃料を燃やしていった場合に、廃棄物の問題が非常に大きな問題になるという指摘もございます。非常に扱いにくい放射性廃棄物になる。プルトニウムはできるけれども、要するにプルトニウムがまた中性子を吸って、核分裂しないプルトニウム、俗に言うおばあちゃんプルトニウムですけれども、そういうものができてしまう。また、いわゆるアクチニドができて、非常に高レベル放射性廃棄物の扱いが難しくなる。 その点、ATRはそういう問題は全くないわけです。かつ、将来の高速増殖炉路線の中核を担う炉として非常に研究開発上の意義が高かったのじゃないかと私は思うので、そこら辺の議論をもう一度していただいて、わかりやすい、国民に納得のいく理由をもう一度科学技術庁としても原子力委員会としても出していただく必要があるのじゃないかなということを感じます。 それで、大間には次にフルMOX燃料のABWRが建設されるということでございます。これは通産省の関係がと思いますが、このフルMOX燃料のABWRの計画、これからの安全審査等の計画についてお伺いします。 また、既に、これは科技庁に関係することかもしれませんけれども、MOX燃料のABWRは東電の柏崎でも計画があるわけで、これは一〇〇%民間がやっていることです。それを、その三分の一MOX燃料を一〇〇%MOX燃料にするということで、ある意味では民間で今やっている技術をちょっと拡張するということじゃないかなと思うのですが、それに国策として取り組む理由をお伺いします。
○知久説明員 大間の計画、見通し等についてお答えいたします。 大間の原子力発電所につきましては、ATR実証炉時代も地元の御理解をいただきながら進めてきたということでございまして、今後フルM〇X-ABWRをつくるということになったわけですが、これも地元の意向を踏まえつつ、大前提に計画を進めていかなければならないということであります。 それで、八月二十五日に原子力委員会の決定がなされました後、九月にも電源開発は町当局に申し入れをしております。その後、町御当局、町議会の基本的な御了解はいただけまして、それで十月、先月下旬に関係漁協あるいはその周辺村に協力方を町と電源開発が一緒になって申し入れたところであります。特に差し当たっての反対というのはまだ出てきておりませんけれども、いずれにしろ、漁協としては、これから内部で検討していくということであります。 今般、今までのお話にありましたように、実は漁業補償が非常に長くかかった。土地買収もそうでありますけれども、漁業補償が長くかかったわけであります。それが、スムーズに漁協とのお話し合いがうまくいったり地元状況が落着すれば、電源開発としては、まあ希望というかもくろみといたしましては、来年度、八年度にも電調審にかけたい。 通常の軽水炉のケースもそうですけれども、その後、安全審査の期間が三年弱くらい必要であります。それで、平成十一年度にも着工したい。工事期間、それから工事を終わって後、使用前検査とかあるいは燃料初装荷とか、そういったことも含めて五、六年を見て、運開、運転開始は平成十六年度にもしたいというもくろみを持っております。この見込みは、いずれにしろ、当面の地元とのお話し合いがどうなるか次第ということではあります。 あと十年後くらいにその運開を目指して折衝等をやっていくということでありますから、そのフルMOXを使う、利用することに特有な技術開発等々につきましては今から準備しておく必要があります。ということで、八年度にも、国サイドとしてもフルMOX特有の技術開発についての予算要求をしてまいる所存であります。 以上です。
○岡崎政府委員 先生御指摘のとおり、軽水炉におきますプルトニウム燃料というのは具体化しつつございます。三分の一炉心までの装荷についての安全性も、おおよそ大丈夫だという評価も得られつつあるところでございます。 今回、代替計画として具体化をしつつございますのは、全炉心にこのMOX燃料を装荷し得るABWRということで、この全炉心に装荷することの意味するところにつきましては、もちろんのことながら、一基当たりのプルトニウム利用量というのは大変大きくなる。したがって、プルトニウムの供給に応じて弾力的にこの利用量を調整することが可能となる、こういう観点から、我が国核燃料リサイクルの柔軟性を広げていくという観点から、リサイクル政策をとろうとしている我が国の政策に合致するものだ、こういう位置づけであろうかと思います。 ただし、具体的には、このフルMOXのABWRの建設というのは、あくまでも電源開発がその建設の責任を負う主体でございます。したがいまして、いわゆる民間が責任を持ってやるべき計画であることは当然のことだと思いますが、このフルMOXに伴う諸般の点について、先ほど通産省の方からも御説明申し上げましたとおり、国としてもいろいろな形の支援はもちろんやっていかないといかぬな、こう思っておるところでございます。
○斉藤(鉄)委員 もう時間が来ましたのでこれで終わりますが、最後に大臣にお願いでございますが、三千億円をATRの開発に投入してきた。その三千億円をむだ金にしないためにも、今「ふげん」でたくさんの研究者が研究しております。その研究成果、またその研究者、研究者の頭の中に蓄積されたノウハウ、それをABWRまたはFBRに活用していくことが本当に大事じゃないかな、三千億円をむだ金にしないために必要じゃないかな、このように思いますので、その点の御努力、どうかよろしくお願いいたします。 質問を終わります。
○野呂委員長 今村修君。
○今村委員 社会党の今村であります。 七月以降、青森県の核燃をめぐって現地で起きたいろいろな事象について取り上げながら、御覧聞をさせていただきたいと思います。 特に、ただいま質問もありましたATR突然中止の問題、何十年間地元に説明をしてきたものが一夜にしてひっくり返る、こういう状況になったわけであります。かつて青森県では、国が開発を進めた原子力大型プロジェクトの原船「むつ」が挫折をした。今度はまた、この大型プロジェクトのATRが挫折をした。こういう状況を見るにつけて、県民の怒り、不満、不安というのは現地では大変な勢いで沸き上がっている、こんな状況にあると思っています。 このATR、昨年の新原子力計画や、ことし六月七日に科学技術会議で出したエネルギー研究開発計画の改定に関する意見、これでは、進めます、こう言っているのですよ。翌月になったら、今度はやめます、何が十分検討した課題ですか。青森県民にすると、怒り心頭に発するという感じですよ。これは莫大な国費を投じて、ある日突然変更になる。この責任は一体だれがとるのですか。その責任の所在をまず明らかにしていただきたいと思います。 同時に、国の計画というのはこんなに権威のないものなんですか。信用しませんよ、こんなことでは。権威のないことと責任問題について明らかにしていただきたい、こう思います。
○浦野国務大臣 先ほど、斉藤委員からの御質問の中にもあったわけでございます。 私が就任いたしまして、最初に抱えたといいますか、遭遇した極めて大きな問題でございまして、私自身、先ほども申し上げましたけれども、こういう決断を下すには、正直苦しんだわけでございます。 今先生おっしゃいましたように、県民の方々からすれば極めて大きな変化でございまして、とりわけ、大間の地元の皆様方にとってはなおのことであろうとその心情を拝察をするものでございます。また、三十年間にわたって、営々とこの新型転換炉実用化に向けて努力をしてきた、研究をしてきた研究者の皆さん方においても大きな衝撃であったというふうに受けとめておるところでございます。 しかしながら、現状を見るに、経済性の点、これも考慮に入れなければならないということ、しかし、それだけでこうした結論に至ったわけではございません。核燃料リサイクル、この原子力政策というものは、ATRを見直すという中にもしっかりと堅持できるという原子力委員会における精力的な、経済性を含めた総合的な検討の中でそうした結論に至ったわけでございます。先生御指摘のとおり、確かに県民の皆様方からすれば大きな不安というものをお持ちでありましょうけれども、私どもは、そうした県民の方々に対して理解をいただくべく、今後とも懸命な努力をしてまいる所存であります。 加えて、私どもは、決してこれを言い逃れるつもりは毛頭ありません。こうしたことに至ったことを極めて重く受けとめておりますし、そして、これまでの経緯等を振り返り、率直に反省をいたす中で、今後しっかりとした、科学技術行政の中で原子力行政というものを図ってまいりたいと思っておるところでございます。
○今村委員 今の答弁、とても了解できる答弁でございません。同じ現象が次から次へと起きています。 一つは、十月の五日、動燃と電力会社が開発を進めてきた新型ウラン濃縮機の開発期間が一年延長されることが明らかになりました。結果としてこれは、青森県六ケ所につくられているウランの濃縮工場の建設が延期になるという内容につながるわけであります。ウラン濃縮工場建設が計画どおり進むという内容になっているのかどうか、明らかにしていただきたい。 同時に、十月二十四日のマスコミでは、これもまた経済性を理由にして、再処理工場の建設費が八千四百億円から一兆七千億円になる、そのために建設費を抑制せざるを得ない、安全にかかわる部分の設計も変更するなどという新聞報道があって、これまた県民がびっくりしています。今の状況では再処理工場の建設は多分無理ではないか、こんな話なども出ています。金の話でいくと、こんな問題に全部行き当たるわけであります。 このウラン濃縮工場の計画、一体どうなっていくのか、この再処理工場の設計見直し、現状はどうなっているのか、これは県民にも全く知らされていなかった話です。この状況について明らかにしていただきたいと思います。
○岡崎政府委員 まず、ウラン濃縮施設の現状でございますが、おかげさまで平成四年の三月に年間処理能力百五十トンSWUということで操業を開始をいたしました。その後増設をいたしまして、現在は六百トンSWUで操業中でございます。さらに、千五十トンSWUまでの事業許可を受けまして、このための増設についての建設を進めているところでございます。さらに、当初目的といたしております最終規模でございます千五百トンSWUの規模とするべく、日本原燃株式会社が残りのこの増設部分について、できるだけより経済性も向上した新しい遠心機の採用について現在鋭意検討中である、このように承知をいたしておるところでございます。 続きまして、六ケ所再処理工場につきまして、確かに報道等で大変御心配をおかけしたわけでございますが、先生御承知のとおり、現在進められております再処理工場というのは、我が国核燃料リサイクルの確立を図る観点から大変重要な施設でございます。 もちろんこの再処理施設そのものの経済性は大事ではございますけれども、何よりも安全性の確保というのが第一義的に重要であることは申し上げるまでもないことだとは思っておりますが、現在事業者において、安全性の確保を大前提としつつその経済性向上について目下懸命な努力がなされているということは承知しております。しかしながら、まだ具体的な、どのような見直しになるかということについて、懸命に今努力中ということで、できれば年内にもという御説明をされておられるようでございますけれども、残念ながらまだ確定はいたしておらないわけでございます。 いずれにしましても、安全の確保というのはまさに大前提でございます。地元の理解が得られるよう着実にこの建設が進められるということが重要なことであると認識をいたしております。
○今村委員 ATRをめぐって、建設コストが高いからやめたという波紋は全部に出てきています、こういう形で。この行き着く先は最終処分場、六ケ所は一時貯蔵ですよね。最終処分場は莫大な金がかかる、多分どうにもならぬじゃないか、経済的な部分でいえば。こんな話まで飛び交っている。こんな状況に今なっているわけであります。 そういう点では、県民に知らされないままある日突然こんな形でぼんぼん出てくる国の原子力行政のあり方に本当に不信だけが増大している、そのことだけは指摘をしておきたいと思います。 十月十六日、これも地元マスコミのトップを飾ったのは、一時貯蔵数百年から一千年、こういう提言が、元名古屋大学教授で原子力研究所技術相談役の天沼さんからレポートが発表された。地元では、一体どうなっているんだ、三十年から五十年と言ったのは、あれはうそなのか、こんな話になっているわけです。天沼さんの書いた論文を見させていただきました。学者として書いたという内容で、そういう点ではそれは当然なのかなという気もします。それじゃ青森県民はだまされてきたのか、こんな感じがするわけであります。 この事実は科技庁は知っていたのか。それから、三十年から五十年という問題と絡んで、どう科学技術庁としてこの問題を考えているのか、明らかにしていただきたいと思います。
○岡崎政府委員 先生御指摘の天沼氏の論文につきましては、財団法人の政策科学研究所の中に設けられた地層処分研究会が去る三月にまとめた報告書を指しておるわけでございますが、その報告書の中には、研究会総意の意見の部分と、さらに個人の見解として記載されたということを明示して、この報告書は成り立っておるわけでございます。 特に、今先生御指摘の貯蔵の部分について、天沼氏は、基本的には三十年から五十年間の貯蔵という現在の計画に沿って進めるべきだということを示しながらも、将来の廃棄物について、人工バリアの開発等によって数百年から千年貯蔵した後の地層処分ということもあり得るのではないだろうか、こういう個人的な提案をなさっておられるということは確かでございます。 しかしながら、繰り返しこの場でも御説明申し上げておりますとおり、原子力委員会として各界の知見等ももとにして検討をした結果、昨年の六月の長期計画の中に明確に、三十年間から五十年間冷却のために貯蔵を行った後地層処分をする、こういう方針を明確に示しております。 さらに加えて、青森県の皆さん方に、本年四月にフランスからガラス固化体が返還されたときにおきましても、事業者等も明確に、三十年から五十年間の貯蔵をお願いする、こういうことをお示しをしておるわけでございまして、したがって、この貯蔵期間について、私ども一切の変更はございません。
○今村委員 ただ、この天沼氏の論文を見ますと、当面は三十年から五十年、将来的にはやはり長いほどいいよ、こういう指摘になっているわけですね。とすれば、一時貯蔵の施設というのはどこにあるか。これは青森県にしかないわけですね。将来の話をされても、再処理工場があって一時貯蔵の施設は青森にしかない。こうなると、結果として、将来青森県は長い期間背負わざるを得ない、こういう理屈になるのじゃないですか。この点はどうなんですか。
○岡崎政府委員 天沼氏のこの論点について、私どもも必ずしも天沼氏から直接伺ったわけでもございません。詳細に承知をしているわけでございませんので軽々に論評することは差し控えるべきだとは存じますが、むしろ先生の視点は、将来の処分のあり方についてどの時点でどのような形で処分を行うべきか、こういうことについての問題提起をされておられると理解をいたしております。 この処分につきましては、基本的には非常に大事な問題で、私ども全力を挙げて取り組むべき課題だということで、具体的に、例えば二〇〇〇年ごろには実施主体を設立をして取り組むとか、こういうスケジュールも明らかにしておりますに加えまして、本年の九月には、原子力委員会としてこの地層処分に向けた取り組みを強化していく、まさに関係者総力を挙げてこの問題に取り組んでいくということで、専門部会を設置するとともに、さらに幅広く社会的、経済的、政治的、いろんな観点からの御意見を踏まえながら、この処分に向けての具体的施策をより強化していこうということで懇談会の設置も決めたところでございます。 したがいまして、私どもとしては、長期計画に沿った線にのっとりましてこの処分に全力を挙げて取り組んでいきたい、このように考えておりますので、その観点から、貯蔵期間につきましても、三十年間から五十年間というこの期間については遵守をしてまいりたい、このように思っておるところでございます。
○今村委員 次に、フランスから返還をされてきた高レベル放射性廃棄物、ガラス固化体の問題についてお伺いをしたいと思います。 事業所外廃棄確認申請書に基づき平成七年九月二十九日に国が交付した確認書は、ガラス固化体にかかわる数値等の妥当性を国が検証した。同時に、ガラス固化体受け入れが、貯蔵施設にガラス固化体を受け入れることが可能であることを国が確認した。同時に、その施設で三十年から五十年間貯蔵をすることを国が保証した、こういう内容になるものだ、こう理解してよろしいのですか。この点、確認をしておきたいと思います。
○宮林政府委員 お答えさせていただきます。 事業所外廃棄確認につきましては、ガラス固化体が廃棄物管理施設で安全に管理できるものであることを確認するという趣旨のものであるということは、そのとおりでございます。 それから、ガラス固化体を管理する廃棄物管理施設につきましては、事業者において常時監視が行われるとともに、国においても定期的に検査を行っていくということにしております。したがって、ガラス固化体が適切に管理されるように常に措置をしていく、こういうふうなことになっているわけでございます。 そして、ガラス固化体は、このようなガラス固化体の確認という行為と廃棄物管理施設に対する安全規制、こういう二つが相まって、三十年から五十年間安全に管理できるものというふうに考えているわけでございます。
○今村委員 いずれにしてみても、そのことを国が保証したということでいいわけですね。この点、確認しておきます。
○宮林政府委員 保証という言葉が必ずしも法的な意味であるかどうかというところでございますが、十分それが安全に管理できる、安全にそれが施設において管理できる、こういうことを常に監視をしながら十分確保していく、こういう覚悟である。したがいまして、保証したというふうに表現をいたしますと、なかなか言葉のあや等もございまして難しいのでございますが、気持ちとしてはそういうふうな前向きの姿勢でいるということでございます。
○今村委員 ちょっとはっきりしないですね。 次に、これは六月三十日付で申請書の一部補正が行われています。昨日この申請書をいただいたわけでありますが、この中で、返ってきたガラス固化体が入っているキャニスター、容器の肉厚五ミリという記述があったものが、強度を担保する上で必要な部分の容器肉厚は五ミリ以上という形で書き直されています。当初、容器の重さは八十キロと言われていたのですね。それがいつの間にか九十キロになっていますね。この問題とどんな関係があるのか。そして、日本に荷物が着いてしまって、検査している最中に肝心かなめの容器の肉厚が変更されるというのは我々には理解できないのです。容器というのは前からあるのですから、何でこれは変更されたのですか。この点を一つ。 それから同じ申請書の中で、もう一つ変更されているものがあります。フランスにある会社、ビューロ・ベリタス社に委託をしてガラス固化体については検査する、こうなっていたのです。この添付書類の二の三のページに記載されていたビューロ・ベリタス社に委託して云々という部分が全部削除になっていますね。この理由は何ですか。
○宮林政府委員 お答えさせていただきます。 まず、容器肉厚の件でございますけれども、これにつきましては、確かにそういう一部補正の形で変更を加えた形になっております。 それで、これにつきましては、先生のおっしゃるような疑問が出てくるということは理解できるわけでございますが、当初、肉厚につきましては、「約五ミリメートル」こういう表現になっておりました。しかしながら、より正確を期すということ、それから特に強度を担保するというふうなことで、キャニスターの肩の部分、それについてはむしろ五ミリ以上というふうなことになっていることが明確になりましたので、そこの点を明確に記載する、こういうふうにさせていただいたものでございます。 それから、容器重量の件でございますが、容器重量につきましては、八十キログラムという数値は、昭和六十一年のコジェマ仕様において示された標準的な容器重量というふうに考えております。一方、約九十キログラムという先生の数値は、外廃棄申請書から算出により求められた数値である、こういうふうなことで考えております。それで、これにつきましては、六十一年のときは八十キログラム、こういうふうな予定をしていたものが、実態として九十キログラムになっているということだと存じております。 いずれにいたしましても、ガラス固化体の容器肉厚あるいはガラス固化体総重量に係る規制によりまして、十分な強度が確保されることになっているというふうに思っておりますので、安全上の問題はないと思っております。しかしながら、先生のそういう御疑問については、私どもも早速調査をして御報告をさせていただきたい、こういうふうに思っております。 それから、ビューロ・ベリタスの件でございますが、ちょっと準備が不足しておりまして、申しわけございませんでした。 ビューロ・ベリタスの件につきましても、補正の資料の中で、これは「技術監査」ということで、品質管理のためにそういうことをやっているという趣旨のことを表記しております。
○今村委員 この肉厚の問題は次に質問しますけれども、返ってきた返還高レベル放射性廃棄物、収納する前に検査した段階でセシウムが検出をされているわけです。これが検出をされて、漏れているのではないかということで県民が大変びっくりしたわけです。これは、事業者、国を含めて、漏れているわけではございません、表面についていたものが検出をされたんです、こう説明をしているのです。ただ、私どもは、肉厚の関係を含めて何かあったのではないかという疑問を持っているのです。 最初、この申請書の一部変更については、大分出してくださいという話があったけれども、なかなか出してこなかった。きのうようやくいただいたという結果になっているわけです。なぜ、容器そのものがこっちへ届いてしまって、一定の時間経過してから変更されたかというのは、これは大変疑問を持つ点です。その点を指摘しておいて、これからまた解明させていただきたいと思います。 セシウムが出た点、これは容器からの漏えいではなかったのですか。表面汚染だ、ついていたものが検出された、こう言われますけれども、この点の疑問はどうしても解けません。 この検査の方法は、漏れるものを検査するものですよね。表面汚染を検査する検査の仕方でないところで検出をされた。そして、それは表面汚染だ、こう言っているわけですよ。もともと漏れたものを検査する検査のやり方で出てきたということでいいわけですね。この検査の方法に問題があったのではないですか。 それから、フランスで漏えいの検査や表面汚染の検査が行われていたのか。行われていたとすれば、なぜ検出できなかったのか、日本で出てきたのか。この点をお答えいただきたいと思います。
○宮林政府委員 まず、検査のやり方でございますけれども、密封された容器の中にガラス固化体を閉じ込めまして、それでそれを真空で引きまして、そこで、引いたときにそこの中に放射性物質が含まれていないかどうか、こういう検査をするというメカニズムをとっております。したがいまして、中から漏れて出た場合、それから表面についていた場合、両方の場合が結果としてはそこで検出されるというふうな形になっております。 それでは、なぜこれにつきましては、内部からのものではなくて外部のものである、こういうふうに判断をしたかと申し上げますと、これは、四つの点を検討しました結果、そういうことになっております。 一つは、ガラス固化体の容器の表面に付着しておりました放射性物質を分析いたしました。その結果、放射性セシウム、これは非常に揮発性の高いものでございますが、こういうものが検出されております。 それから、ガラス固化体内部からの漏えいでありますれば、揮発性の高い核種、これは放射性セシウム以外に放射性のルテニウムというのがございますけれども、この両方が検出されるはずでございます。しかしながら、放射性ルテニウムといいますのは、セシウム以上に揮発性が高いために表面に付着しないで出たと思われますけれども、この放射性ルテニウムについては全く検出されなかった、こういうふうなことがはっきりしたわけでございます。 それから、三つ目といたしましては、もしも内部からの漏えいでありましたら、一定量の放射性セシウムが測定される。つまり、持続的に測定されるわけでございますが、これは、放射性セシウムが測定されたり測定されなかったりと、こういうことが起こっておりました。 それから、四つ目といたしましては、放射性セシウムの測定結果を検討いたしますと、測定の初期につきましては、顕著に高い値の放射性セシウムが測定されるという場合がありました。しかしながら、ある時間を経ました後は、検出限界以下というふうなことになっております。 こういうふうなことから、これにつきましては、放射性セシウムは外部に付着したものである、こういうふうな判断をしたわけでございます。 それから、フランスでのことでございますけれども、外部の表面汚染につきましては、私ども国は特に規制を加えておりません。それで、事業者がフランスから搬出される際に、ガラス固化体につきましては、表面汚染は三・七ベクレル・パー・スクエアセンチメーターということを確認をしている、こういうふうなことにとどまっております。したがいまして、表面にある程度の汚染があったという事実は考えられるわけでございます。
○今村委員 検査の方法の答弁がなかったのですけれども、これは漏れるものを検査する方法ですね。表面汚染を検査する方法はまた別にやっていますね。ここだけ確認しておきます。
○宮林政府委員 御答弁させていただきます。 先ほど申し上げましたように、密封された容器の中にガラス固化体を入れまして、それで真空で引きまして、その結果としまして、そこから引いたガスの中に放射性物質が含まれているかどうかというふうな検査をしているわけでございます。 したがいまして、内部から出たものも、それから外部の汚染のものも、両方がこのシステムではチェックされる、こういうことになります。あとは、チェックされた後、それが外部のものであるか内部のものであるか評価を加えて、最終的には今回の場合は外部のものであるという判断をさせていただいた、こういうことでございます。
○今村委員 表面汚染の検査は別にやっています。そういう点では、ちょっと今の答弁は理解できないのです。 ただ、いずれにしてみても、短時間ですけれども、この七月から今日まで青森県で起きてきた現象を指摘をしたわけです。ある日突然、こんな形で県民に知らされる。経過は全くわからぬ。透明性や公開性を云々されながらこんな形で処理されているところに、県民にとっては耐えがたい不満や不安や怒りが出てくるということになっています。こういう状況をなくしてください。 最後に、長官から答弁をいただきたいと思います。
○浦野国務大臣 今、先生御指摘をいただいたところでございますけれども、この件につきましては、ついせんだっても青森県知事さんもお越しをいただき、いろいろお話し合いをさせていただいたところでございまして、安全性を第一にいたしまして、県民の方々には原則情報公開、その観点に立って取り組んでまいりたいと思っております。
○今村委員 終わります。
○野呂委員長 松前仰君。
○松前委員 大臣におかれましては、大変重要な時期にこのような重要な仕事につかれて、一生懸命頑張っておられることに敬意を表したいと思います。 私、前回、科学技術基本法のときに質問と私の意見を申し上げて、そして若干の御答弁もいただいておるわけでありますが、それをもうちょっと深く進めて、大臣のお考えをお聞きしながら、今後の科学技術行政について、しっかりした方向づけというものを持っていくというようなことで大臣も頑張っていただきたい、そういう意味で質問をしていきたいと思っております。 まず最初に、非常に大まかな話でありますけれども、今日の我が国は非常に豊かになってきておりますが、この中での科学技術振興というのが今盛んに言われている。今後我が国の科学技術が果たす役割というものは、一体どういう点に重点を置いていかなければならないか。 いろいろ、国内問題それから国際問題等もあろうと思いますけれども、その辺について大臣のお考えを、これは、大臣のお話も一度あったかと思います。繰り返しになるかもしれないけれども、もう一度お答えをいただきたいと思います。
○浦野国務大臣 戦後五十年、その中で、我が国なりの科学技術というのは大きな役割を果たしてきたと思います。 まだ正式には基本法は成立を見ておりませんけれども、あすにでも恐らく参議院の方で成立をしていただけるものと思っておりますが、その議員立法の論議の中でもいろいろ御意見があったわけでございます。 今日までの豊かさを実現した我が国の科学技術ではございましたけれども、これは、ややもすると他国の発明、発見したものを活用してきた、こう言われてもいたし方のない側面もあったと思います。これからはまさにフロントランナー、そうした立場に立たなければならぬという、これがさきの基本法における御意見の中にあったわけでありまして、私ども科学技術庁といたしましても、まさにその信念、精神に基づいて頑張ってまいりたいと思っておるところでございます。 したがいまして、独創的、基礎的な研究に力点を置いていこうといたしておるところでありますが、我が国の科学技術というものがどういう思想、理念をこれから持つべきかという御指摘でございます。 これは、私なりの考えでございますけれども、一つは、国際的に我が国がしっかりと科学技術をもって貢献していく、そうした領域を大きくしていく必要があろうかと思っています。それは先ほど申し上げました、ややもすると技術ただ乗り論なんということを言われる向きがありますが、これから我が国が科学技術の分野で世界人類あるいは地球全体のために貢献していくような、そうした研究開発に取り組んでいく、これはビッグプロジェクトということに相なっていくでありましょう。 それから国内的な面でも、我々日本国民というのが本当の豊かさというものを感ずる、そうした社会づくりのために科学技術というのがどのような役割を果たしていくか。これは人に優しいといいますか、あるいは人間生活に潤いとか安らぎあるいはみずみずしさあるいは安心というものを与えるような科学技術の分野の開拓ということが肝要であろうと思います。例えば、それは地震対策であろう、あるいはがんの撲滅でありましょうし、あるいは産業廃棄物、公害を出さないようなものにしていこうかというような、具体的なことを申し上げればそう言えるかと思います。 また国際的な面では、衛星を活用するところの、エルニーニョ現象等、あるいは地球全体を衛星から写真に撮る中での地球の変化というもの、あるいは地球温暖化に対する研究、こうした国際的な面と、また、国内的な面におけるそうした科学技術の役割をはっきりさせていくといいますか、しっかりやっていく。 特にそうした中で、先生さきの御質問の中にもございましたけれども、国際貢献というものをしっかりやっていく中に日本という国の世界各国から見ての信頼感あるいは尊敬、そうしたものをから得ることになるだろう、そんな考えをしっかり持ちながらやってまいりたいと思っております。
○松前委員 一月の二十日の村山総理の施政方針演説の中では、かなりたくさんの科学技術振興といいましょうか、科学技術に関連した事項がたくさん出てきているわけであります。 今おっしゃいました地震の問題、当然これは阪神・淡路大震災の直後でありますから、地震の予知能力の向上のため、予報能力の向上のための体制の強化や研究開発の推進、そういうような言葉もありますし、また、二十一世紀に向けて創造性にあふれる社会を実現するために、最大の資源である人的・知的資産をさらにつくり出して次の世代に引き継いでいかなければならない云々というようなことで、研究環境の改善を図るため、人材の育成とか大学や研究機関の教育研究活動の充実とか産官学の連携の強化、いろいろ科学技術についての重点的な取り組みをしていきたいということがたくさん施政方針演説の中に出てきているわけであります。 今、私お伺いしたのは、今おっしゃった考え方、それはもっともでありますけれども、私も大臣の言われるような方向でやるのは当然であろうと思いますが、一月の二十日にこうやって村山総理が技術をかなり重視してきちっとお話しになったということを受けて、科学技術庁としては今どのように具体的にその政策を進めようとしているかということが私は一番聞きたかったところでございます。その辺についてはいかがでしょうか。
○落合政府委員 全体としての科学技術政策につきましては、先ほど大臣の御答弁があったとおりでございます。 もう少し具体的に申し上げますと、例えば、新たな産業創出につながる画期的な技術開発というような独創的な基礎研究をさらに推進する、それから、御指摘ございましたような地震の防災研究、従来からやっておりますがん研究などの国民の豊かな生活というための研究開発、それから、宇宙ですとか海洋などのフロンティア開拓のための先端的な分野の研究、さらに、地球環境問題、エネルギー問題などの人類共通の問題解決のための研究開発というようなテーマに従来から取り組んできたわけでございます。先ほど大臣からの答弁にもございましたが、科学技術基本法が成立した暁には科学技術基本計画というものを政府として策定するという責務がございますので、この計画の中で、当委員会での附帯決議もございますが、さらに具体的な計画内容を組み立てていきたいというふうに考えているところでございます。
○松前委員 科学技術庁として、本来ならば科学技術基本法のようなものを政府提案として出すのが当然ではないだろうか。村山総理の御発言がこれほどまでたくさんの科学技術に関する重点事項を出しておられるということになれば、当然科学技術庁としては政府提案としてそういう基本法的なものを出すのが当然だと思うのですね。それが議員立法で出たということ、これは科学技術庁そのもののメンツがつぶれたと言ってもいいのじゃないか、私はそういう感じがします。 さらに、地震の問題、地震防災対策の措置法が議員立法で出た。これだって、一月十七日の大震災、そして当然、六千ぐらいの方々が亡くなっているんですよ、亡くなっている。その亡くなった方々がおられるのにもかかわらず、そのことについて新たな対策といいましょうか、予知とかそういうものについての重点研究やら施策を盛り込んだ対策をいち早く出してこなければいけない。それが議員立法として逆に出てきているということ、このことについて科学技術庁としていかにお考えか。そのことに、どなたでも結構ですから御答弁いただけますか。
○浦野国務大臣 先生御指摘の点、それなりの御理由があろうかと思います。しかし、私、お聞きをいたしておりまして、確かに政府として、地震につけ、この基本法につけ、前向きに検討するという点では若干の反省すべきことがあったとも思います。しかし、あの特別措置法、地震について、私は当時災害対策の理事をいたしておりまして、このことに取り組んだわけでございますが、常に法案が政府提案という形が多い中で、私は、与野党含めての議員各位が真剣にこの議員立法という形に取り組まれたということは、これを多としたいと思っております。もとより政府も議員諸公に負けないように、今私は政府の一員でございますけれども、頑張らなければならぬことも肝に銘じておるところでございます。
○松前委員 過去のことを申し上げても仕方ございませんが、いずれにせよ科学技術基本法はもうすぐ通るであろうというような時点に差しかかっております。私もその中の一員として加えていただいて、賛同者の一人としてやらせていただいて、これでようやく我が国の科学技術振興というものが日の目を見るといいましょうか、そういうような形になったのじゃないだろうか、そう思って喜んでいるわけでございます。 これから先は、科学技術庁がこの仕事の中心という形になっていくわけでございまして、その辺について、やはり科学技術庁にそういう責務といいましょうか責任といいましょうか、それを私たちはお願いをするという格好になりましたから、ぜひともこれから科学技術行政について自覚をしながら進んでいっていただきたい、そう思っているわけでございます。 そこで、この科学技術基本法というものでいろいろな科学技術の振興が図られるということになりますけれども、その振興をするということに対してもう一つ考えなければいけないのは、先ほどからATRの問題とか青森の問題も出ておりました。ああいうような問題がなぜ出てくるかということ。だれも知らないうちに計画が変更になったとか、そういうようなことが出てくるということ。それから、過去の大きな例は、原子力船「むつ」の問題もございました。いろいろな問題があって、非常に問題が長引いて、そして大きな問題になってきて、社会的問題にもなってくるというようなことになると、これはやはり何か足りないのじゃないかと思うわけです。 そこで、私どもは、そこに一つの、アメリカでもやっておりますOTA、すなわち技術事前評価制度というものを取り入れて、ある科学技術があることに応用される、その時点において、将来を見込んで、将来のことをずっと考えて事前評価をしていく、そして、しっかりとした責任の上においてその科学技術を進めていくという体制をつくっていかなければならぬ。とにかく、事前に評価するということ。事後に評価をすることは、これは幾らでも可能でございます。大体問題が起こってから後に評価をされるのですが、そうではなくて、事前に評価をしていく、そのことによって有効な科学技術の進展、振興というものが図られていくのじゃないか、そう思うわけです。 科学技術庁といたしましては、この技術事前評価制度の制定が必要であるかどうかという点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○浦野国務大臣 今先生の御指摘の、これを的確に評価をするということは極めて重要でございます。 我が国におきましては、従前より科学技術会議の第十八号答申の総合政策、分野ごとの研究開発基本計画の策定に当たりまして、科学技術会議において産学官の英知を結集し、高い先見性のもとで計画づくりをしてきたところでございます。御指摘の技術の事前評価制度、これが研究開発に当たっての優先度を明らかにするためとの御趣旨であれば、これまでも具体的な予算配分で配慮してきたところでございます。 今後は、成立するでありましょう基本法に基づくところの基本計画の策定に当たりまして、科学技術動向の客観的評価を踏まえ、より一層高い先見性のもとで、国全体の科学技術を先導する議論を科学技術会議でしていただくことで、御趣旨の御要請におこたえしてまいりたいと思っております。
○松前委員 ということは、そういう科学技術事前評価の制度というものをつくらなくても、今のシステムでやれるというお話でしょうか。
○浦野国務大臣 行政の中では、評価制度というものをつくる考えは現時点ではございません。今申し上げましたように、科学技術会議等、こうした機関でしっかりと検討していただければと思っております。 なお、もう一言、私は、立法府の方でこうした御意見があるということは耳にいたしておりますけれども、それは立法府の、議員各位の中での御論議を待つ、こういう考え方でございます。
○松前委員 私どもは、議員立法、恐らくこれは政府提案というわけにはいかないものでありますから、当然私ども議員の、立法府の方でこのことについては十分検討して、そして必要であるということになれば御提案申し上げて、国会で承認してもらう、こういうようなことになろうと思います。 いずれにせよ、先ほどお話ありましたようなATRの問題、原子力船「むつ」の問題、それから非常にたくさんのお金を投ずる宇宙開発の問題とか、こういうことについて、それぞれきちっとした多角的な評価というものが国民の間でなされる、そういうような形のもの。国民といっても、これは全部の国民がするわけではありませんが、代表がきちっとやるわけでありますけれども、そういうような形で事前評価というものが出されて、コンセンサスを得ながら技術開発そして科学の振興が進められていくということが非常に重要であろうと思うし、また、混乱を起こさない、そして健全な進展につながっていくだろうと思います。 このことについては、私どもさらに検討を進めて、また御提案をする機会があるのじゃないか、そう思っております。ぜひとも、科学技術庁においても御理解をいただきながら進めていただきたいと思っている次第でございます。 地震の問題、先ほどちょっと申し上げましたが、ついこの間の大変な地震について、予知研究というものが一番の重要なポイントであろう、今現時点で一番の国民的課題であろう、そういうふうに私は思っておるわけでございますけれども、この辺について、今どのように進行しているかということを、もし大ざっぱにお聞かせいただければ幸いと思います。
○加藤(康)政府委員 地震の予知の研究でございますけれども、現在、多くの省庁でやっているわけでございます。 科学技術庁のほかに、大学におきましては、地震に関する基礎的な研究、気象庁におきましては、地震に関する速報と津波予報の観点からの観測をやっておりますし、国土地理院におきましては、全国的な測地測量の観点から、地殻変動の観測をやっております。さらに、地質調査所におきましては、活断層の調査等をやっているところでございます。 先ほどの、議員立法でつくられました特別措置法の本部が発足した以降、その本部で予算の調整というのも事務に加えられているわけでございまして、この体制ができてから以降は、地震調査研究につきましては、推進本部の政策委員会におきまして、関係省庁の予算要求の段階から調整を行います。さらに、全国的な地震調査観測計画もそこでつくるわけでございますので、そういった次第によりまして、一元的な推進を図ることとしているわけでございます。 なお、そうした一元的な推進の後、結果につきましても、データを気象庁に集中して、やはり推進本部の地震評価委員会で評価をするなど、気象の体制を整えているところでございます。 以上でございます。
○松前委員 私は、ポイントだけ申し上げますと、この地震の問題につきましては、やはり六千ぐらいの方々が亡くなったということ、このことは一番の重い問題だろうと思うのです。こういう方々が亡くならないような方策、それはすべてゼロにすることは無理かもしれないけれども、少なくとも半分でも三分の二でも助かるというような形にならなきゃいかぬ。それは事前の、ほんの寸前の地震予知、そういうような研究、そういうものができれば、これは可能であっただろうと思うのですね。 神戸あたりへ行ってみますと、一般の家が倒壊している。そしてその下敷きになった人がたくさんいらっしゃったわけでありますけれども、そういう方々は、少しでもその予知が、寸前の予知ができておれば、これは逃げることも可能であったろうというように思うわけであります。少なくともそういうような最低限のことが今、全然できていない。 予知、予知といっても長期な予知でありまして、いつ起こるかわからぬというような、そういうような形でありますから、そうではなくて、寸前の予知、短期の予知ということについてやはり重点を置いて、今研究を進めていく必要もあるし、またそのシステムをつくり上げていく必要があると思うのですよ。 ですから、いろいろと今技術があるようであります。いろいろな情報もあります。また、ギリシャあたりでの大変な成功例もあるということも聞いておりますから、そういうようなことに重点的にお金をつぎ込んでやっていくということが必要だと思うのでありますが、いかがお考えでありましょうか。
○加藤(康)政府委員 地震の予知ということにつきましては、現在では、東海沖の地震がある一定の要件を満たせば予知ができるということが言われておりますが、それ以外につきましては非常に難しいと言われていることが現状でございます。 先ほど、たくさんの方が亡くなられたとおっしゃっておりましたけれども、我々としましては、できましたら長期的な予測と申しますか、こういうところはどの程度危ないかというような予測を立てまして、そういうものがその地域の防災対策に役立てられまして、それによって地域の被害が軽くなる、そういうことも一つの大きな役割だと考えております。 それから、先生がおっしゃいました地震予知の研究、これは当然我々一生懸命努力するわけでございまして、今御指摘ございました、ギリシャでは使われていると言われております地電流による予知の研究、それ以外にも微小地震計等を使った観測とか地殻変動の観測等の研究、さらには人工衛星を使ったリモートセンシング、いろいろございまして、そういういろいろな研究が日の目を見るように、地震に関するフロンティア研究というものを新しく今度スタートさせていただくことになっておりますので、そういう場を利用いたしまして、いろいろな研究者が参加できるようにしたいと考えております。
○松前委員 ぜひとも、たくさんの研究をされている方々がいろいろな実験をしながら、その中から本当に予知のできるシステムというものを見つけ出していっていただけるような、そういうような援助を科学技術庁として御努力をいただきたいと思います。 時間がもうわずかでございますから、最後に文部省にお聞きしたいのですけれども、健全な科学技術の発展というものについて、先ほどオウム真理教の話もあったようでありますけれども、この科学技術というもの、科学技術者というものだけが問題があるように言われておりますが、それを応用する、応用に携わる人たちが健全でなければいけないということも当然であります。 理工系離れの対策として独創性の育成ということを一生懸命言うわけでありますけれども、それと同時に、社会的な人間教育というものもどうしても必要であろうと思うわけでございます。ですから、理工系、数字ばかり頭の中に入るようなそういう人間だけではない、しっかりとした人間教育というものを受けながらの体制づくりというものが必要であると思いますが、これは学校教育においてどのように進めようとしておられるのか、お考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
○加茂川説明員 お答えをいたします。 学校教育におきましては、単なる科学技術の指導にとどまることなく、科学の意義でございますとか役割を含めました正しい科学的素養を培うとともに、理性的に判断して行動できる資質や能力などを身につけるとともに、豊かな人間性を育てることが、すなわち人間教育を充実することが重要であると考えておるところでございます。 このような観点から、各学校が教育課程、具体的なカリキュラムを編成する際の基準でございます学習指導要領におきましては、社会の変化に主体的に対応できる心豊かな人間の育成を図ることを基本的なねらいといたしまして、科学技術の進展に適切に対応するとともに、論理的な思考力あるいは判断力の育成等を重視いたしまして、具体的には理科でございますとか、社会科でございますとか、道徳など関係教科等の内容の充実改善を図っておるところでございます。 具体的に申しますと、例えば中学校の理科でございますと、新たに科学技術の進歩と人間の生活のかかわりについての認識を深めるように指導することといたしておりますし、高等学校の場合には、公民科の現代社会という科目におきまして、科学技術の発達などを理解させ、環境と生活のかかわりについて考えさせることといたしております。また、倫理という科目におきましては、自然や科学技術と人間のかかわりなどについての理解も深めさせることといたしておるところでございます。さらには、道徳教育におきましては、心豊かな人間の育成を図るため、児童生徒の発達等を考慮いたしまして、内容の再構成、重点化を図ったわけでございますが、一方で、自然との触れ合いや奉仕などの体験活動などを重視する観点から、それぞれの内容の充実を図っておるところでございます。 今後とも、先生御指摘の心豊かな人間の育成を図ることなどに十分努めてまいりたいと思っておるところでございます。 以上でございます。
○松前委員 文部省はすぐに学習指導要領、そういうもので上から一方的に押しつけるような形をとるのがお好きでございますけれども、もっともっと広くこのことについては国民的に議論をしていっていただかなければ困ると思うのですね。これは新しい課題であろうと思うのです。 これまでは、理工系は理工系というような方向へ進む、人間としてそういうようなセンスのある者にはそっちの方向で頑張れというようなことでやってきたのだけれども、今はバランスのとれた人間というものをつくり上げていかないと、社会的に問題を起こすような人がたくさん出てきてしまうというようなことになりますので、ぜひともこれはもう少し幅の広い議論をできるような方向で考えていっていただきたい、要望でございますけれども、また別の機会にこのことについては触れなければいけないと思います。きょうはこの辺ぐらいにいたしておきたいと思います。 いずれにせよ、科学技術者というのは競争の中に生きております。これは、自分の成果というもの、これをアピールすることが必要でありますから、政治の社会よりもはるかに競争社会だろうと私は思うのです。 そういうような中で競争をし合いながら進んでいる科学技術者でありますから、人間的にお互いに連携をとろうということすらできないような人も出てきてしまう。その中にぎすぎすした人間関係が出てくる。そういうような中で科学技術の発展ということをやっていくということなのですから、社会的な問題も含めてバランスのとれた方向づけができるかどうか、非常に難しいことがあろうと思います。 今度は科学技術基本法でそういうのをまとめるのが科学技術庁ということになったのでございますから、大局的な立場に立つ人が上に立って、その方向づけをしっかりとしていかなければいけない。その指導の一番の中心になるのが科学技術庁長官。ですから、非常に重要な場所にいらっしゃるわけであります。ぜひとも、今後とも十分に御活躍をいただいて日本の科学技術の進展のために尽くしていただきたい、このことを御要望申し上げて質疑を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○野呂委員長 吉井英勝君。
○吉井委員 十月の十八日からの奄美群発地震に、島民の皆さんの中で不安が大変高まりました。もともとここはユーラシアプレートとフィリピン海プレートのプレートがぶつかって沈み込んでいっている境界に近いところです。今世紀に入ってからは、少し見てみますと、この地域ではマグニチュード七以上が四回、マグニチュード六以上が二十八回、マグニチュード四から六は最近の二十年間に至っては非常に頻繁に起こっているわけですね。特に主な被害地震というのを少し見てみますと、一九〇一年に奄美大島近海地震でマグニチュード七・五、一九一一年には喜界島近海地震でマグニチュード八、そして一九二三年の種子島付近地震でマグニチュード七・一というふうにあるわけですが、今世紀に入ってから七回のマグニチュード八級の一つがこの喜界島近海で起こっているわけです。地震エネルギーの非常に大きな巨大地震の起こったところでもあるわけですね。 そういう点で、特定観測地域でもないし、観測強化地域にもなっておりませんし、人口密集地でもないからということなのか知りませんが、私は実はこの地域の観測体制を見て驚いたのです。こういうところであるのに震度観測点は喜界島に一、奄美大島に二カ所だけ、検潮所は三百キロメートル以上離れた枕崎と油津にあるだけ。ようやく種子島と奄美大島に津波観測施設を整備するということになっただけということです。 科学技術庁の地震調査研究推進本部の仕事の出発というのは、私は地震観測のデータを集積するところから始まるというふうに思うわけです。念のためにそこで伺っておきたいのですが、地殻変動連続観測の施設とか地球電磁気観測、重力観測、地下水観測などの施設がこの地域にありますか。まず最初にこれを伺っておきたいと思います。
○加藤(康)政府委員 当該地域におきます、これまで地震が起きる前まで、起きたときまででございますが、そういう観測施設は、先生御指摘されましたように、地震観測施設が奄美大島と喜界島、それから検潮施設が奄美大島にあるだけでございました。
○吉井委員 それで、プレート境界近くで海底活断層も随分あるところです。きょう、私、神戸以来すっかりおなじみになりました活断層地図も持ってきておりますが、時間がありませんので、これを広げてやりたいところですがそれは省略します。 奄美群島の各市町村に、こういうときですから、やはり震度観測点それから奄美大島以外の各離島にせめて津波観測計を設置するということとか、何といっても海底地震計を設置されることとか、それらのデータがリアルタイムで集中されて地震予知や防災対策に役立てられていく、このごとが今、せんだっての群発地震を通じてこの地域は改めて注目されてきていると私は思うのです。 けさほど来も東大の先生の方からも、フィリピン海プレートの沈み込みによって起こった、その点は学者は皆一致しているのだというお話もありました。そういうところだけに、ここのところは、大臣、ぜひ神戸の経験も踏まえ、せんだっての群発地震も経験したわけですし、しかも、ここは巨大地震、巨大なエネルギーがたまって爆発した地震が実際に起こっているところですから、ぜひ来年度予算編成に向けてこの地震観測の体制強化ということを図っていただきたい。この点については最初に決意を伺っておきたいと思います。
○浦野国務大臣 先生御指摘の地域、これは観測空白区ということになっておりまして、地震調査研究推進本部におきましては政策委員会のもとに調査観測計画部会、これを設けておりまして、ただいま審議をいたしておるところであります。御指摘の地震調査観測網の整備につきましては、できるだけ早期にこれを実施に移してまいりたいと思っております。
○吉井委員 これまで指定されている地域だけじゃなくて、今おっしゃったように、ぜひ強化を図っていただきたいというふうに思います。 次に、FBR「もんじゅ」の申請図書が先日来公開されました。ファイルで百七冊、三万五千ページに及ぶものでありますが、全ページに白ぼて、真っ白というふうなものなどを含めて大体二割方白ぼての状態、数式などが白ぼてになっているところを含めると大体三割近くに及ぼうかと思うのです。 例えば、原子炉容器の周辺での中性子線等の計測器の取りつけ位置なんというようなものは、これは別に秘密にするようなものじゃありませんし、原子炉から計測フラグ等で減衰する中性子線の線量とさらに外へ漏れ出していく線量ですね、そして熱電対プラグの遮へい計算配置図とか、これなんかもきょう持ってきておりますが、一ページ丸々この配置図なんかは白ぼてです。 私は、こういうものは原子炉の遮へい効果と放射能漏れの予測とさらにその実測データをとるための計器取りつけの位置がどこなのかということを知る上でごくごく普通の情報だと思うのです。フィジカルプロテクションということにも核不拡散にも当たらないし、財産権の保護ということに全く当たらないものです。公開の原則に立ってこれはやはり明らかにするべきだというふうに思うのですが、なぜこれを秘密にしているのか、この辺のところから伺いたいと思います。
○宮林政府委員 お答えさせていただきます。 先生御存じのとおり、原子力施設につきましては、安全性に係る資料等につきましてはできる限り公開をする、こういう考え方をとっております。今御指摘がございましたように、核物質防護あるいは核不拡散、財産権の保護あるいは個人情報の保護、外交上の制約事項の観点、そういうふうなことを考えながら、公開することが適当でない情報は非公開としているところでございます。 今般高速増殖炉「もんじゅ」に関します設計・工事方法の認可の申請書につきまして公開をさせていただいたわけでございますが、この一般的な方針に従いまして財産権の保護の観点から非公開、こういうふうな整理をいたしました。 それで、財産権の保護の問題につきましては、どこまで公開するか公開しないかというところはいろいろと御議論があることだと思います。しかしながら、私どもといたしまして、特に私ども安全規制を担当している部局といたしましては、これにつきまして一義的に当該情報の所有者の了解を得る必要がある、こういうふうに考えているわけでございます。 それで、本件につきましては、財産権の保護の観点から、申請者でございます動力炉・核燃料開発事業団に対して非公開とすべき箇所について照会を行ったわけでございます。その結果、現在のブランクになっているような中身について非公開とする必要がある、こういうお話を伺いまして、非公開とさせていただいております。
○吉井委員 原子炉から中性子線がどう漏れていくか、それを計測するようなものが、こんなものが財産権に全く当たらないということはだれが考えてみても私は常識中の常識だと思うのです。 さらに、FBRのプルトニウム燃料については、これは普通は軽水炉で使って取り出したものをまた使うわけですが、科学技術庁の出しております「FBR広報素材資料集」にも載っているのですね。百万キロワット級のBWRで、プルトニウム239、プルトニウム240、プルトニウム241、プルトニウム242の同位体組成の比は五七・三、二四・三、一三・六、四・八と、ちゃんと書いてあるわけです、科学技術庁のFBRに関する資料の中で。 私も考えてみたのです。財産権とおっしゃるのだけれども、例えばプルトニウムの今の組成ですね、何かどうしても秘密になる、財産権を守りたいということで考えるとすれば、どういう同位体分離をやればいいのか。私は、プルトニウムについては知りませんが、もう少し軽い目のものであれば、粒子線にして、電圧かけて加速して、それで磁場をかけますと、質量数によって曲がり方が違うものだから、それでスリットを通せばきれいに同位体分離ができるわけです。それを、同位体分離してターゲットに集めたものを全部また寄せ集めて、この組成比に応じて燃料をつくるとなれば、確かにこれは、おっしゃったように、企業秘密という問題もわからぬでもないのです。 しかし、もともと原発の中から出してきたそのプルトニウムの再処理でやるわけですから、組成比がどうなっているかわかっているのですね。何でそんなものが企業秘密だ何だといって隠さなきゃいけないのか。このプルトニウム富化度算出式の中で設計基準組成が空白、白ぼてのままになっておりますが、何で企業秘密にも当たらないようなもの、財産権保護にも当たらないものを明らかにしないのか。科学技術庁でさえ通常の軽水炉はこうだということを示しているのに、なぜ出さないのか。その理由を伺いたいと思うのです。
○岡崎政府委員 先生御指摘の設計・工事方法の認可上の燃料組成の点でございますけれども、この原子炉を設計するに当たりまして、どのような燃料を対象にどのような形で計算をしていくかということにつきましては、やはりこの炉心設計上の一つのノウハウであるという認識を動燃事業団は持っておるわけでございます。したがいまして、そういう観点から、財産権の保護で今回非公開にしたわけでございます。 他方、私ども日ごろ指導しておるわけでございます。財産権の保護を名目にいたずらに非公開の部分が多くなることは絶対避けなければならない。ましてや、安全性について御理解をいただく努力はこれはしなければならないという観点から、したがいまして、その財産権の保護を守りながら、かつその安全性についてどのような形で御理解をいただくかということについては、個々、ケース・バイ・ケースでできるだけ努力をしていくというその一つのあらわれではないかと承知をしております。
○吉井委員 そんな説明では全くだめですよ。 これは、実は既に昨年の秋、この炉心の問題が出てきました。あのとき、岡崎原子力局長からの答弁で、反応度が低い値を出したというのは事実だということを認められたわけであります。結局、私は、非公開の本当の理由というのは、核分裂性プルトニウムの富化度ですね、等価フィッザイル富化度、これによって反応度が変わってくるという問題、つまり、炉心設計のミスで反応度が出なかったのか、核燃料の製造の失敗によるものなのか、あるいは炉内の中性子の効率が悪くなっている、それで反応度が出ないのか、そのことが明るみに出てしまうことを最も恐れて非公開にしているのじゃないかというふうに思わざるを得ないわけです。 この点では、さっき触れました、原子炉からの中性子線の計測位置も不明だ、計算配置図も計算結果データも公開しないわけですが、それは原子炉の中の反射効率がよくなかったり、遮へい効果がよくなくて中性子線漏れで炉内の中性子の効率が落ちているということも考えられることとも結びついてくることですよ。 ですから、本当にこういう、別段PPでもなければ核不拡散でもない、財産権保護にも当たらないようなものを隠せば隠すほど、本当の理由は別なところにあるのじゃないかと思わざるを得ないわけです。この点についてごく簡潔にお答えください、大臣に後でお聞きしたいことがありますから。
○岡崎政府委員 先生御指摘のとおり、この「もんじゅ」は国費を投じております。したがいまして、国民が広く享受をすべき研究開発成果については当然のことながら公開が原則でございますし、それから、先般も御指摘をいただきました反応度の研究の成果につきましては、これは地元の方々あるいは関係する方々にも広く公開をして御説明をしていると私どもは承知をしております。
○吉井委員 昨年、この問題で参議院の産業・資源エネルギー調査会の会議録を私は改めて読んだのですが、ここでもやはり岡崎原子力局長の答弁で、原子力の開発利用を進めるに当たりましては、情報を積極的に公開し、適時的確に公表していくよう動燃を指導してまいりたい、これが答弁でした。 大臣、今若干技術的な話に入りましたのであれかもしれないのですけれども、本当にフィジカルプロテクションにも当たらない、そして核不拡散の問題にも当たらない、財産権保護という理由はとても当たらない。考えてみれば、これは結局炉心設計ミスを、この問題は昨年認められたわけですが、明らかになったことを裏づけるようなデータは出したくない、それが本当の理由じゃないかというのが、もちろんほかの白ぼて部分は別ですが、この問題に関しては私はそういうふうに感ぜざるを得ないわけです。 今もおっしゃったように、七千億の国費を投じた、これは国民の財産なんですよ、国費を投じたということは。ですから、たとえ委託研究に出そうと、どんな計算をやらせようと、出てきたデータは全部国民の財産なんですよ。それを、計算コードまでは、ノウハウ的なものがあって私はあえて出せとまで、本当は出してもらった方がいいと思うのですが、そこまでは言いません。出てきた計算結果まで全部、これはごらんになられたらわかりますが、数表は全部、表の計算結果のデータは全部白ぼてなんです。何にもわからないのです。専門家が見ても、どうしたらこの結果が出るかさっぱりわからない。こういうものは公開に値しないと思うのです。 そういう点で、ぜひ大臣には、原子力基本法に基づいてこういうものは公開するべきだと思いますし、自主、民主、公開の原則はスローガンであってはだめなわけです。私は、具体的な問題でこの原則を貫いていかれるかどうか、これはもう大臣の決断にかかっていると思うのです、この点をお聞きして、質問を終わるようにしたいと思います。
○浦野国務大臣 今おっしゃったように、我が国の原子力開発利用、これは基本法に基づきまして、平和の目的に限る、そして安全の確保を旨として、民主、自主、公開の原則に従って行われる。私は就任以来、きょうの委員会における質問も、まずは国民にいかに情報を提供するかという御指摘が多々出たわけでございますが、とりわけ原子力につきましては、私は、ともかく速やかに原則公開という姿勢でやってもらいたい、こういうことを指示してまいりました。 もとより、不拡散の問題、財産保護の問題等、あるいはもう一つありました、核物質防護の観点、こういうものから公開になじまないというところもございますけれども、ただいま原子力局長が答弁をいたしました件につきまして、申しわけありませんが私は専門的な知識は、先生ほどの高度なものは全くありません。今の件につきましては、私の立場で、役所といたしまして再度検討させていただきたいと思っております。
○吉井委員 終わります。
○野呂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時九分散会