労働委員会 第11号
- 発言数
- 53 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1995/05/30
会議録
○委員長(笹野貞子君) ただいまから労働委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る二十五日、川橋幸子君が委員を辞任され、その補欠として角田義一君が選任されました。 また、二十六日、青木薪次君が委員を辞任され、その補欠として安永英雄君が選任されました。 また、昨日、田辺哲夫君及び角田義一君が委員を辞任され、その補欠として河本三郎君及び瀬谷英行君が選任されました。 —————————————
○委員長(笹野貞子君) 育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案及び介護休業等に関する法律案を議題といたします。 両案の審査のため、本日、参考人としてお手元に配付しております名簿の方々に御出席いただいております。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。参考人の方々から忌憚のない御意見を承りまして、法案審査の参考にいたしたいと存じます。よろしくお願いいたします。 次に、議事の進め方について申し上げます。 まず、参考人の方からお一人十五分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。よろしく御協力をお願いいたします。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、まず佐々木参考人からお願いいたします。佐々木参考人。
○参考人(佐々木修君) 日本商工会議所の佐々木でございます。 それでは、着席したままで発言させていただきます。 本日は、介護休業制度の法制化問題につきまして、このように意見を申し述べる機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。 御案内のとおり、私ども商工会議所の会員はその大部分が中小企業でございますので、私からは主として中小企業の立場からの意見を申し述べ、御理解を賜りたいと存じます。 御高承のとおり、我が国は世界に例を見ないほど急速に高齢化が進んでおります。これに伴いまして、介護を必要とする高齢者の数も飛躍的に増大していくことが予想されております。また他方において、少子化の進展、核家族化や共働き世帯の増加など家族形態の変化が進む中にありまして、家族による介護の機能が低下しております。こうしたことから、介護の問題は社会全体で取り組むべき重要かつ緊急な課題となってきていることは十分私どもも理解しているところでございます。 しかしながら、介護問題を考える場合、政府はまずあるべき介護対策の全体像を策定し、介護に対する政府、地方公共団体、企業、家族、個人など、それぞれの役割とコスト負担を明確にした上で国民的なコンセンサスを得ることが必要ではないかと存じます。介護休業制度のあり方については、こうした枠組みの中で明確にし、取り組むべき課題だと考えます。つまり介護対策は、基本的には社会福祉サービスの充実が根幹になるべきでありまして、これを補完するものとして位置づけられるべきものと考えております。 企業における介護休業制度は従業員福祉対策であり、労働条件設定の問題であります。また、介護を要する状況あるいは環境によって介護のニーズも極めて多様でございます。このような点から、介護休業制度の法制化については、まず企業の置かれている経営環境を十分に踏まえた上で、法で定めるべきものは必要最小限度のものにとどめ、それ以外のものについては個別労使の自主的な判断のもとでお互いの立場を十分に尊重した上で決めるべきではないかと存じます。 現在、介護休業制度の企業における普及状況を見てみますと、平成五年度の労働省調査では、五百人以上の事業所、すなわち大企業でございますけれども、ここでは五〇%以上の普及率になっております。しかしながら、中小企業の普及率は、三十人−九十九人の事業所を見てみますと一四・三%にとどまっておりまして、まだまだ低いというのが実情でございます。 もとより、中小企業といえども介護の問題は大企業と同じで、従業員福祉対策の観点から労使が自主的に取り組むべき重要な問題であるということは十分理解しているところでございます。また、実際個別企業においても真剣に取り組んでおるものと存じます。しかし、中小企業において大企業に比べて普及率が低いということも現実の姿でございます。 その理由を考えてみますと、主として二つの要因を挙げることができます。 まず第一は、コスト負担の問題でございます。 御高承のとおり、中小企業は長期にわたる不況と最近の急激な円高の進行という大変厳しい経営環境の中で、生き残りをかけて必死に努力しているところでございます。私どもで毎月実施をしております景気観測調査によりましても、企業の景況感は長期停滞基調を続けておりまして、中小製造業においては親企業や取引先企業の海外進出や部品の内製化、あるいはまた海外調達比率の上昇等により受注量の減少や納入単価の引き下げ要請を受け、採算面では悪化を訴える声が日増しに強まっております。 また、中小小売・サービス業においても、郊外型の大型店やディスカウント店との競争激化、あるいはまた価格競争等もございまして、廃業に追い込まれる事例も最近見られるようになってまいりました。 こうした状況の中で、育児休業制度の導入や労働時間の短縮に加えまして新たなコスト負担というものが強制されるというようなことになりますと、中小企業にとりましては再生の意欲さえ喪失してしまうのではないかということが非常に危惧されるところでございます。 次に、第三の要因でございますが、中小企業は代替要員の確保が非常に困難であるという問題でございます。 現下の我が国の労働需給を見てみますと、長期不況とリストラの進展によってやや緩和傾向にあるものの、中小企業においては若年労働者を中心として人材の確保が大きな経営課題となっております。こうした中で中小企業はぎりぎりの人員で事業をやっておるわけでございまして、介護休業取得者が出た場合に、代替要員を直ちに社内から確保することはもちろんのこと、外部から確保することは至難のわざでございます。 特に介護休業の対象となる従業員は、多分四十歳代が中心になると思いますが、この方々は事業運営のかなめとなる従業員でございまして、代替要員の確保についての対策が講じられることなく法制化が進められるということになりますと、中小企業にとりましては経営の存続問題も起こりかねないということと存じます。 その意味で、介護休業取得者の代替要員の確保が容易になるよう、労働者派遣法の改正を初め代替要員確保のための法的整備というものが必要だと考えております。 このたびの政府案では、介護に関する部分について施行期日を平成十一年四月一日とされております。これは、中小企業を含めたすべての事業所に介護休業制度を円滑に導入させていくための相当の準備期間を置くということとともに、制度の普及と定着のための支援措置を初め環境整備を図っていこうということだろうと存じます。この点については評価をいたしているところでございます。 次に、法制化の内容について申し述べます。 まず、介護休業の対象となる家族の範囲の問題でございます。 現在の介護休業制度利用者の実態を見てみますと、利用者の配偶者、子供、父母及び配偶者の父母が多数を占めていると言われております。法律で規定するという場合には、こうした実態に即して定めるべきではないかと考えます。 また、介護休業の回数とか期間についても、中小企業の要員管理等の負担や実際に介護に従事される方々の精神的、肉体的負担というものを勘案いたしますと、介護休業を取得できる回数は対象となる家族一人につき一回とし、介護休業を取得できる期間は連続して三カ月とすることが妥当ではないかと考えております。 もとより介護については、介護の必要な人、必要な期間、回数等さまざまなニーズや形態が考えられます。しかしながら、法律によって一般化するとともに、すべての企業に義務づけるということになりますと、その内容は最低限度の必要な範囲にとどめるべきであり、それ以上については個々の企業、事業所において個々の労働者の事情を踏まえて労使間で十分に話し合って決めるべきものだと考えます。 今回提出されております政府案は、正直に申し上げまして、中小企業にとって大変厳しいという受け取りをしております。しかしながら、介護問題の重要性にかんがみますと、中小企業といえども一定の役割を果たすべきものとの判断から、ぎりぎりの線であるというのが我々の理解でございます。これ以上義務づけを強化されますと、中小企業の対応を一層困難にさせるとともに企業の存続にも影響が出るものと考えます。ぜひこの点を御理解賜り、政府案でお取りまとめいただくようにお願いしたいと存じます。 最後に、政府案によりますと施行まで約四年ございます。その間に中小企業においても介護休業が円滑に導入できるよう、代替要員の確保を初めさまざまな支援措置を講じていただきますようお願い申し上げまして、私の意見陳述とさせていただきます。 ありがとうございました。
○委員長(笹野貞子君) ありがとうございました。 次に、保原参考人にお願いいたします。
○参考人(保原喜志夫君) 北海道大学の保原です。 政府原案に大筋において賛成の立場から、次の四点について意見を述べさせていただきます。 第一点、基本的視点。基本的視点の第一は、立法目的が労働者の福祉にあるということでございます。すなわち、企業で働く労働者が退職することなしに一定期間仕事を休んで親族、配偶者、子、老親等を介護することができるようにするというのがこの制度の趣旨でありまして、老親等の介護のために労働者が退職に追い込まれることがないようにという趣旨であると理解されます。 もとより立法は、当事者が複数いる場合に、特定の当事者だけを一方的に利するものであってはならないのでありまして、当事者間の利害の調和が図られるべきことになります。介護休業を考えますと、当事者は最低限次の三当事者が考えられます。 第一に要介護者、老親等でありますけれども、この要介護者につきましては、この介護休業によって介護の最小限度の目的が達成できるような制度でなければならない。 それから企業にとりましては、これは介護休業制度は必ずしもマイナス面ばかりではなく、労働者が仕事をやめないで済むという意味では企業にとっても利益もありますけれども、要員管理上のマイナス効果は否定できないわけでありまして、この要員管理上のマイナスの影響をできるだけ少なくするということが必要かと思います。 三番目の当事者である介護者といいますか労働者については、介護休業した後に職場復帰が可能な範囲のものでなければならないということであります。 基本的視点の第二番目は、介護休業はいわば緊急避難的措置であるというふうに考えられます。労働者が介護のために休業することによって、老親等の介護のすべてを賄うことができるというふうにこの制度を考えるのは誤りであるというふうに思います。高齢者等の介護は、もはや家族のみの手に負えるものではなくなっています。これは、肉体的、身体的には二十四時間の介護と見ても明らかなように、おのずから限界がありますし、また精神的にも負担が大きく、育児とは質的にも異なるものであります。 人々の意識も変化をしてきておりまして、ある調査によりますと、大体日本人の四十五歳ぐらいを境にしまして、子供は親の介護義務を負っていない、必ずしも親を介護しなくてもよいという考え方の人が過半数を占めるに至っております。 我が国の介護についての基本施策である在宅介護との関係について見ますと、在宅介護は家族だけの手による介護を意味しないのでありまして、介護は社会的な介護でなければならない。その中で社会的介護のシステムをどのようにつくり上げ、その中で介護休業をどのように位置づけるべきかということが問題になるはずであります。 以上が基本的視点ですけれども、第二の問題点は、介護休業の期間についてであります。法案では三カ月となっておりますが、私は結論としてはこの期間は妥当であるというふうに考えています。 今まで申し上げましたように、介護休業の期間は老親等の介護に最小限必要な期間でなければならないというふうに思われます。なぜ最小限かということでありますけれども、これは企業の要員管理面へのマイナス影響、それから労働者の職業生活に対するマイナスの影響を考えなければいけないからであります。およそ立法をする場合に、法の理念である公平の見地から、利益の侵害は最小限度にとどめるべきであるというふうに思われます。その意味で必要最小限度のものでなければいけないということであります。 次は、最小限度の期間といってもなぜ三カ月かということでありますが、これについては六カ月がいいとか一年がいいとか、あるいは無制限がいいとか、いろんなお考えがあるかと思いますけれども、私は以下の三つの理由から三カ月が妥当であるというふうに考えます。 一つは、介護休業につきまして政府関係の報告書が三回出されておりますが、その中で各種の典型的な老人性の疾患につきましてどの程度の期間の療養が必要かというような検討がなされています。その中で最も典型的な高齢者疾患の症例である脳血管性疾患の経過を見ましても、大体三カ月たちますとそれ以降の療養の方針並びに見通しがつけられるというふうに考えられます。それ以外の疾病につきましては、脳血管性疾患に比べますと見通しをつけるのは大変難しいと思われますが、あえて言えばアルツハイマー型痴呆とかあるいは骨粗鬆症による骨折等についても何とか三カ月で一応療養の方針あるいは見通しがつけられるのではないかと思います。 三カ月とする第二の理由は、これまで企業の中で行われてきました企業内福祉制度としての介護休業制度の利用の実績でありまして、これもいろんな数字があるかと思いますけれども、実際に介護休業をとった人の約四分の三強に当たる人が三カ月以内で職場に復帰しているということがわかります。 三カ月が妥当とする第三の理由は、職場復帰をスムーズにするために、三カ月を超えたらどうかという問題ではありませんけれども、一応の目安がつく期間かなというふうに思います。介護休業制度は女性労働者だけでなく男性労働者にも認められるわけですけれども、実際に介護の負担は女性にかかっている、これは日本だけでなく外国を見ても大体そういうことが言えますけれども、男性も進んでこの介護休業を取得し利用してもらうというためには企業の管理職の人も中堅の職員もひとしく利用できるような制度でなければならない、そのためには余り長期の期間を認めてもそれほど意味がなかろうということであります。 ただ残る問題としましては、政府原案では三カ月で要介護者について一回限りということになっておりますので、このほかに理想としてはいわゆるみとり休暇的なもの、あるいは発病直後の対応のための数日あるいは一週間ぐらいの休暇等もあった方がいいというふうに思われますが、差し当たり制度の導入に当たってはその煩瑣を避けるためにも三カ月一回限りは妥当な線であるというふうに思われます。 論点の第三番目は、対象となるべき家族の範囲ですけれども、これは法案では配偶者、子供、労働者の父母及び配偶者の父母を対象にしておりますが、これもほぼ妥当な線であろうかと思います。企業の企業内福祉制度としての介護休業制度を見ましても、大体多くがこの四者に絞られているということができると思います。 ただ、介護休業制度は諸外国ではほとんどない制度でありまして、スウェーデンでは一カ月のいわゆるみとり休暇制度、それからアメリカでは一九九三年に導入されました家族・医療休暇制度がありますが、例えばアメリカを見ますと、その対象になっているのはもともとの原案では配偶者と子供だけであったわけですが、審議の過程で実の父母も対象にすることになったわけです。しかし、配偶者の父母については当初から除かれていまして、日本はそういう意味ではある程度手厚い保護を与えることになるかというふうに思われます。 論点の第四番目は、適用範囲についてでありまして、これはほとんどすべての労働者を対象にするという極めて広い適用範囲を持っております。これもまたアメリカの家族・医療休暇法と比べてみますと、アメリカでは従業員五十人未満の企業にはこの法律の適用がない、それから企業の職員のうちの上位一〇%のいわゆる管理職層にはこの権利を認めないということで、大体せいぜい全労働者の六割弱しか実際にはこの権利を行使できないというふうに言われておりまして、今回の日本の法案はほとんどすべての労働者、短期雇用者を除いてほとんどすべての労働者を対象にしていまして、この点も妥当な法案であるというふうに思われます。 私の意見の陳述を終わります。
○委員長(笹野貞子君) ありがとうございました。 次に、高島参考人にお願いいたします。
○参考人(高島順子君) 連合の女性局長の高島でございます。 介護休業制度の法制化の審議に当たって意見を述べさせていただく機会をつくっていただき、感謝申し上げます。 私は、連合が介護休業制度の協約化あるいは法制化に当たって取り組んできた経過とそしてまた介護休業取得者の実態調査をしていますし、それからまた要介護者の状況についての調査もしておりますので、これらのこれまでの運動の経過から意見を述べさせていただきたいと思います。 まず、法制化についての連合の取り組みですけれども、連合ができる前は省略させていただいて、民間連合が八七年に結成されて以来、一貫して一年間の看護休業制度を要求してまいりました。特に九一年に育児休業法が制定されて以降は、次の課題として介護休業制度、短時間勤務制度の法制化に取り組むということを最重点に進めてまいりましたし、このことについて中央執行委員会で確認をし、当時の社会党、公明党、民社党、社民連、連合参議院にお願いをし、共同法案を作成して国会における働きかけを要請してまいりました。 一方、労働協約については、政策制度要求は連合の責任と労働協約等は産別の責任になっておりますが、特に法制化を進めるためには労働協約化を急がなければいけませんから、既に先進的な幾つかの組合はそれぞれの力で協約をから取ってまいりましたけれども、九二年の六月に労働協約の取り組み指針を連合として機関決定をいたしまして、全組織に全力を挙げてその協約化を進めるように要請をしてきました。 協約の経過を見ますと、幾つかの組合が個別に先進的な単組でとっているところもありましたが、特に八九年にゼンセン同盟が産別統一闘争の課題に取り上げました。これで大きく前進をさせることができました。さらにその後、育児休業という一年間の休業ということが労働協約の中に入ってきましたので、育児休業がその協約として締結されると同時に介護休業の協約化が進みました。例えば電機連合、鉄鋼労連、造船重機労連、自動車総連そして電力総連と、次々と一年間の協約を獲得してまいりました。 したがって、私たちの経験として、育児休業を協約化するためには非常に長い時間がかかりました。しかし、介護休業については、一たびこういう制度が必要だという認識が広まると急速に進展をしました。これはまさに高齢化の速さがその必要度の高まりを促したということではないのかと思います。 地方公務員についても早くから、特に地方公務員については中高年齢女性の割合が高いですしそれから地域の実情もありますので、条例で既に多くのところで実施をされています。ですから、そういう意味でいえば、中小に働く労働者の休業権の確立ということが残された大きな課題でありますから、何としてでも法制化を実現しなければならないというふうに考えている次第でございます。 さて、それでは介護休業を取得した人たちはどのような状態であったかということを調査を中心に紹介してみたいと思います。 それで、先生方は介護休業をとった人は一体どういう状況で介護をしているというふうに連想されているでしょうか。私どもの調査では、まず介護の場所ですけれども、介護休業取得者調査では、病院や施設での介護のみが全体の四四・五%で最も多く、次いで病院や施設での療養と介護が中心が二三・三%でありますから、これを合わせると約七割が病院や施設での介護であります。在宅での介護はわずかに一一・六%にしかすぎません。特に男性が介護している場合は、特に配偶者が入院した場合が男性の介護取得の場合多いわけですけれども、四人のうち三人までが病院での介護です。ここで調査の項目が施設となっていますから施設が入ってきますけれども、施設といっても老人保健施設や特別養護老人ホームはわずか三%程度しかありませんから、ほとんどの人が病院に家族が入院したために病院での付添看護をしていた、それが介護休業をとった人の実態であるわけです。 一方、同じ連合の要介護者を抱える家族についての調査を見ますと、調査対象のうち七割の人は働いている人たちですが、要介護者を抱えている状況について聞いているわけですけれども、こちらの方の調査では六割は在宅です。病院に入っている人は二一・三%です。施設が一一・九%あります。したがって、在宅で介護をしている人たちの多くは休業をとっていないということが言えるわけです。 ですから、介護休業というのは今の状況では病院と非常につながっていると。しかも、その人たちは介護休業中介護に当たっていた時間は十二時間十四分であり、睡眠時間はわずかに五時間二十分という厳しい実態に置かれています。利用した病院は、国公立病院が五六%、私立病院が四二%であります。多くが基準看護体制にある中でこのような状態であります。 来年四月から健康保険で付き添いをつけることになっていますが、これが本当に家族を付き添いから見舞いに変えてくれるでしょうか。社会サービスの拡充の議論とともに、病院における家族の付添看護の問題改善についてぜひとも労働委員会でも重要な事項として取り組んでいただきたいというふうに思います。 次に、介護の期間であります。政府案は、介護休業は家族の介護を行う労働者が介護のために仕事をやめざるを得ない状況を回避するための緊急避難的な制度として三カ月の休業をしたという考え方をとっているわけですが、連合の調査では、介護休業の上限は一年以上が五二・三%であり、一年未満はわずか一五・六%となっています。労働省の調査でも、三十人から九十九人の事業所でも一年以上が五六・六%になっているわけです。 そして実際に、それでは介護休業をした期間はどれだけかというと、休業が三カ月以内の制度のところにおいては、休業した人の七五%は三カ月きっかり休んでいます。制度が六カ月以内から三カ月のところにおいては、三カ月以上六カ月以内が四二・九%で、平均期間は三・九カ月休んでいます。さらに、制度が一年のところにおいては、三カ月以上六カ月以内が三七・七、六カ月以上から一年未満が一七・〇であり、平均した休業期間は四・五カ月というふうな姿になっています。 したがって、制度が長くなれば休む期間も長くなると。これは当然と言えば当然ですけれども、とにかく労働者にとっても休業期間が短くて済めばそれは大変いいことであるわけで、長く休みたいということでは必ずしもないわけです。しかし、先ほど申し上げましたように、現在の状況からいったらとても足りないと。休業期間が短ければ、雇用の継続と言いながら結局は職場を去らなければならなくなってしまうということにつながっていると。それは職場にとっても損失だと思いますし、やめた本人、その人自身の生活、そして特にその人たちが老後の生活ということを考えると非常に不安になると言わざるを得ないと思います。 実際に介護を必要とした期間は、平均値で七・七カ月、中央値では一〇・一カ月となっておりますから、休業取得者の評価が、三カ月以内の休業をとった人の六割が三カ月では足りなかったというふうに答えているのは当然と言えるのではないかと思います。これは、休業をとった人です。 そして、要介護者を抱える家族の調査の方を見ますと、この調査の中で五十五歳以下は対象者の一〇%以下ですから、ほとんどが高齢者を介護している人たちについての調査ですけれども、要介護状態になってからの期間は在宅で平均五・八年、病院で三・八年、老人病院で五・九年というふうな姿が出ています。 在宅で介護をしている人の中で、既に特養に入りたいというふうに申請をしている人は、現在時点で申請を出してから十一カ月待っています。施設に入るのに大体三年から五年ぐらい待たなければならない状態にあるというのは、もう労働委員会で再々説明がされていますけれども、私たちがお願いしている休業期間一年で介護をすべて賄えるものではありません。 長い介護期間に対して、せめて一年あれば労働者も安心できるということを私たちは訴えているわけです。したがって、一年ということの主張とともに、何としてでもやっていただかなければならないのは、新ゴールドプランをさらに前倒しをし施設入所が早くできるようにすることと、そしてホームヘルパーを一週間に二回とか三回ではなくて、毎日何回でも来ていただけるような姿をどうして日本の社会につくっていくかということではないかと思います。 第三点は、勤務時間短縮の措置についてであります。政府案は、休業と勤務時間の短縮を合わせて三カ月という案になっております。 先ほど申し上げましたように、介護期間が非常に長いわけです。要介護者の症状に合わせて、例えば午前中とか午後とかといった短時間勤務の制度が入ってくれば、労働者にとっては仕事と介護が両立てきます。そして賃金についても全額なくなるというわけではありませんし、企業にとっても全くいないという状況とは違いますから、労使双方にとって有効な制度ではないかと考えるわけです。 労働省の雇用管理調査では、制度ありは五百人以上の事業所において二三・三%の導入率となっております。連合調査でも三〇・四%となっております。その取得期間ですけれども、この取得期間は、一年六カ月以上が三三・三%、二年を超える人が五五・六%という長きにわたっています。それは介護期間の長さに対応しているというふうに言えるというわけですけれども、何としてでもこの勤務時間短縮措置について介護休業と一緒に三カ月というのは短過ぎます。期間の延長をぜひとも検討していただきたいと考えます。 さらに第四点として、取得回数でありますが、人間だれしも病気になることは避けられませんし、生涯において何度か要介護状態になるかもしれません。家族一人につき一回しか介護休業することができないとすれば、いつ休業を申請すべきか迷うことになるでしょうし、介護される側にとっても、自分について一回のみ、三カ月しかないんだということがわかっていれば、非常な重荷になるのではないかと思います。休業回数は一症状に一回とすべきであります。ただし、断続的に取得できるようにすべきであると考えます。 次に、施行期日でありますけれども、労働大臣は、介護休業制度について、小さく産んで大きく育てるというような表現をされておられます。私は、大きく育てるという意味ですけれども、どちらかといえば、今の社会状況からいえば、大きく産んで後はきめ細かく育てていくということが社会の実態に合っているのではないかと考えます。不十分とはいえ新ゴールドプランにより介護を家族の責任から社会的にケアしていく体制が進みつつあります。社会サービス体制の整っていない今こそ休業制度は二年必要であり、またできるだけ早く施行すべきです。法の施行時期は、介護の問題が緊急かつ重要であることから一刻も早くすべきであり、私は九六年四月から施行すべきであると考えます。 中小企業の人たちの負担が重いということを言っておられますが、少しでも軽減するために、制度導入奨励金のみでなく、休業者が出たことについての費用助成等の検討もされるべきではないかと思います。 それから第六点は、休業中の所得保障並びに社会保険料免除についてです。介護は費用がかさむ上に賃金が無給であるならば、休業中の生活は厳しいものにならざるを得ません。休業中の所得保障措置と社会保険料の免除の措置を講ずべきです。 最後に、これまで労働委員会の審議の中で、三者構成の婦人少年問題審議会の答申と、そしてその専門家会合の報告が大切にされています。労働関係の法案についてはILO条約にもあるとおり、当事者の意見が重要視されることは当然であります。ILOが言っていますのは政労使でありまして、日本の公益ということを言っているとは思いませんけれども、それぞれの当事者の意見が重要視されるのは当然であります。 しかし、日本は世界に例を見ない急速なスピードで高齢化しています。そしてこの高齢化についてどう対応したらいいのかということは、単に労使関係だけではなくて、日本社会全体の課題として議論をされなければならないと思います。そこの中に介護の労使における課題の問題をその当事者が意見を出し合って意見を言っていく。しかし、それがこれまでの労使関係の枠組みの中だけで見て対応できるんだろうかということが私たちが投げかけている課題であります。国会で、国民の代表として真剣に先生方に議論をしていただきたいわけであります。 介護については、私たちはだれも避けて通ることができない課題ですし、事業主も人道的、社会的責任としてかかわっていただかなければならないことであると思います。この意味で、立法府である国会に平成会が平成会案を提起されたことは、国民に介護休業問題を考える機会を提供したこととして高く評価したいと思います。特に、良識の府であります参議院において介護の実態を慎重に審議され、国民の期待を受けて与野党による共同修正を強く期待するものです。 以上であります。
○委員長(笹野貞子君) ありがとうございました。 次に、暉峻参考人にお願いいたします。
○参考人(暉峻淑子君) 衆議院において行われた介護休業法についての記録を全部丁寧に読ませていただきました。これを読みますと、かなり一般的に広い部分について国会議員の方がいろいろ質問をしたり勉強したりしていらっしゃるということがわかりました。この衆議院で議論をされたことの中で、まだ不十分と感じられることだけを私はここで申し上げたいと思います。 私の場合は、政府案がどうかとか平成会が出している野党案がどうかというような立場をちょっと超えて、これだけは必要ではないかと思われる点を指摘させていただきたいと思います。 まず、今多くの方がおっしゃった介護の期間ですけれども、私はやっぱり三カ月というのは短いということです。私は父が亡くなったときに介護もしましたし、今母は九十三歳でまだ生きているわけですけれども、それから私は友愛の灯協会という老人介護をしている社団法人の理事もしていますけれども、そういういろいろな経験からいって、やっぱり三カ月は短いと思います。 それで、この国会の議事録をつぶさに見まして、三カ月というのが一体どこから出てきたのかという根拠をかなり綿密に追ってみたわけですけれども、三カ月というのは根拠がありません。これはただバランス論というようなもので答弁されている。それから、あるところでは突然に、さっきある参考人の方が言われたように、高齢者の典型的な症例である脳血管性疾患、これを見ると三カ月程度の期間が必要とされると。最低、回復期を経過し、状態が安定してくる慢性期の初期に至る約三カ月程度の期間が必要とされる。そういうことで、このため、最低限としては、この三カ月程度の期間につき介護休業が認められることが必要であると考えられるという専門家会合の報告が百三十二回国会の議事録にあります。 ところが、こういうものをもし根拠とされるならば、何ゆえに二週間も前に介護休業の開始日を申し出なくちゃいけないんでしょうか。ここに出てくるいろいろな脳血管性疾患というのは突然に起こることが大変多いわけです。私の父親の場合もそうで、突然に倒れたんですね。もう三週間前なんということは言っていられない。しかも、突然に倒れた当初が一番大変なんです。どうやって看護する人を見つけるか、一体病院はどこが入れてくれるんだろうか、いろんな老人ホームなども探し歩く、それから自治体には一体どういうホームヘルプの制度があってそこにどうやって申請書を出すかという、こういうこともたくさんあります。それからお金の出し入れの問題もありますし、それから家庭の中の看病する部屋を一室どうやって、寝たきりになった人をそこに置いておかなきゃならないかという、そういう部屋の整備もあります。 ですから、二週間前なんということを事前に言っておいて、そこにはある程度の融通は考えられていますけれども、それは企業が決めるということなんですね。二週間前に申告した、申請したものと本人があした休みたいという、その期間の間のどこに決めるかは企業が決めるということになっているんですね。これは本当に実際この法律の意味を理解してないと思います。ですから、この三カ月というものを見ていてもあちこち穴だらけで、なぜ三カ月にしなきゃいけないのかというのはとうとう私は理解できませんでした。 そして、先ほど私のお隣の参考人が言われたように、この私がいただいた介護休業等に関する法律案参考資料という、これを見てもやっぱり一年から三年未満というところを一番多くの人がとっているわけですね。つまり介護というものをいかにもここで実態に即して三カ月にしましたという答弁を、これは松原局長がなさっているわけですが、そういうことをなさるのならば、やっぱり実態に即して介護の開始日をどうしたらいいのか、あるいは先ほどから何度も言われているように、何回にも分けてとるということは既に東京都ではそれがやられているわけで、三回に分けてとっても、一回だけとった人と三回に分けてとった人との間にはそれほど大きな支障もないということもわかっているわけですから。 それからもう一つ言えば、これもお隣の方がおっしゃったことですけれども、例えば午前中は出勤して午後は介護に回るとか、あるいは午前中は病院で必要なことをやってそれで午後は出勤するとかということも含めて、私はやっぱり最低一年はあった方がいいという考えです。 それで、例えば年次有給休暇の付与日数などを見ても、これもお隣の方がおっしゃったのと一致するんですけれども、大体付与日数の半分ぐらいを皆年次有給休暇でとるんですが、付与日数が多いとその半分をとるから結局とっている年次有給休暇も多いんですね。付与日数が少ないとまたその半分近くをとりますから結局とっている日にちも三日ぐらいということになっていて、政府がその期間を幾らと定めるかということはとても大きな問題なので、私は三カ月はやっぱり短いと思います。 それから、雇用の継続ということですけれども、この資料で見ますと、やはり四十代ぐらいの働き盛りの女の人が老親の介護ということでやめていくわけですね。これはもう企業からいっても、企業内の研修とかあるいはいろいろな仕事になれてきて全く働き盛りの一番大事な時期で、この時期にやめられるということの損失を考えたら、そっちの損失の方は余り議会の議事録に出てこないんですが、これは非常に大きな損失だろうと思います。ですから、三カ月にしてどれだけ損をするとか、そういう損に比べたら私はこの何十年も積み重ねられた実績ある働き盛りの人がやめるということの損失の方がはるかに大きいのではないかというふうに思います。 それから、現在ではこれは公的介護の肩がわりとしてこの介護休暇がとられるわけではないのですから、このことははっきりしなければなりませんが、しかし現実を見れば公的介護というのは余りにも貧弱です。 ゴールドプランはまあ有名なものですけれども、消費税をかけるときにこれは老人がふえていくのでそのための費用がかかるということで消費税がかけられるようになったわけですけれども、一九八九年から九三年の間に消費税は二十九兆円の上がりがありました。しかしゴールドプランに回されたのは、そのうち一兆七千億にすぎません。それで、今回九五年、新ゴールドプランといって七千億円の要求がされましたけれども、大蔵省はこれを三千三百億円に削ってしまいました。それでホームヘルパー、特養ホーム、デイサービス、これはすべて削減されましたし、削減だけでなくて見送りということになったものに地域リハビリ事業、痴呆性老人疾患センター、給食サービス、特養ホームの介護職員増、これは見送りになってしまいました。これらのことが、先ほど言われた病院や施設でも家族が介護しなきゃならないということにつながると思います。 それから、在宅介護のサービスの目標値というものもこれは厚生省がある目安を示しているんですが、現行では長野では二八%だけれども、計画とすれば四二%必要だと、厚生省がこれを抑えに抑えているわけですけれども。例えば、奈良県の當麻町では大変細かく調べたものを出していまして、この町で必要なのは最低七十人である、だけれども今のところは十一人しか認められていないと。上から押しつけられた水準では三分の三は家族介護を前提としてホームヘルプのサービスの用意が決められている。 病院の長期入院は六カ月以上が三十万人もありますというようなことを考えても、私はどうも三カ月というのは、公的介護というもので大きくは原則的にはやるということを考えてもなお少ないのではないかと思います。特に、二〇〇〇年にはひとり暮らし老人は二百九十万人にもなり、二〇一〇年には四百六十万人にもなります。 働いている人というのは人間です。人間は自分の家族を抜きに働くことはできません。家族を持った人間なんです。ですから家族の介護の問題を、これは不払い労働と言われてきたんですが、やみからやみに押し込んでただ働け働けと言っても、これはやめざるを得ないか、あるいは何らかの形で老人が大変悲惨な病床に置かれるという、そういうことです。 中小企業の場合、しきりに弱者、弱者と言われますが、これは衆議院でも樋口参考人が言っていることですが、弱者というのは中小企業だけではなく、本当に寄る辺もなく体の自由もきかない老人こそが弱者なわけですから、そこから考えてみてもバランス感覚からしても三カ月というのは私は少ないと考えております。 それからもう一つは原職復帰の問題なんですが、これは私が一番長くいたドイツでも、三年間職場を離れても原職復帰または原職と同等以上の職につくということがうたわれていて、これは厳しく守られております。ただ不利益を受けないという程度の表現ではとてもだめで、これが守られないと男の人はなかなか休むという気持ちにはならないでしょう。 今はボランティア休暇というのもありまして、企業によっては一年間ボランティアに従事する社員にはちゃんと有給でボランティアに従事しなさいと言っているわけですが、これはなぜかというと、ボランティアつまり介護とかそういう社会福祉の事業に従事することは大きなキャリアになるということですね。なぜ職場の中でのキャリアだけがキャリアなんでしょうか。職場の中でだけのキャリアをキャリアと見るから、例えば大蔵省の最も頭のいいと言われている人がああいういろんな接待の中に加わったり、もう常識とうんと離れたことをやらかすんですね。私はむしろ常識的な一般の生活の現場のキャリアをみんなに積んでほしい。そのためにはやっぱり原職復帰でないといけない。 それから、これは衆議院の報告と先ほどもちょっとアメリカの例が出ましたが、ほかの国では介護休暇はないというのがありますが、これは非常に表面的なつまみ食いの表現でありまして、例えばドイツなどの場合は確かに子供のための介護休暇は十日間なんですけれども、そのほかに非常に長い有給休暇というのがあります。 それから、法律としてはそう決められていなくても各企業ごとにベトリープスラートというのがありまして、これはドイツの場合は労働者の企業に対する参加権というのが憲法で保障されていますので、労働者も本当に納得できる制度を各企業がやるということで、その中心を担っているのがベトリープスラートという人です。これは労働組合から出ている人が半分以上なんですけれども、そうでない人もなれます。この人が一人一人の労働者の生活の状態を聞いて、企業に対して、この労働者についてはこういう介護を認めるべきだ、しかも不利益処分をしてはならない、原職復帰という提案をしますと、これはもうほとんど一〇〇%守られます。 そのベトリープスラートの外側にまた地方自治体のラートというのがありまして、ベトリープスラートで納得できない場合は地方自治体のラートにまた持っていって、それが非常に大きな権限を持って労働者の利益を守りますので、そういうことを抜きにして外国ではありませんと言うのは大変表面的であります。 それから、私が長くいましたオーストリーでもアルバイターガンマーという特別のそういう労働者の生活を調査する中立の機関がありまして、ここがオーケーと言わない限りは国も国会も法律で労働者に不利益なものを定めることはできないという強い権限を持っています。特に福祉について労働者の権利が侵害された場合は、裁判の第一審からこのアルバイターガンマーが労働者の保護のために弁護士を用意してその裁判にかかわるという非常に強い労働者保護というのがあります。 ですから、そういう全体を考えて、日本の労働者の権利は本当に守られているかということを考えるべきです。 それで、宮澤元首相が、これからは経済大国から生活大国にならなくちゃいけないとか、いろんな審議会が、今までのようなただ企業利益を考えているだけではだめだということを続々と出したというのはこういう日本のおくれというものを言っているわけで、先進国というのは人権という面において先進国であるということが一番大事なことなんです。ただお金を持っているというのは先進国ではありません。そのことを強く言いたいと思います。 それから、これは全然衆議院で指摘されていない大事なことですが、婦人少年問題審議会がこういうふうに答申しておりますからという答えがしばしば政府側委員から出されています。しかし、審議会と国会とはどっちが一体大きな権限を持っているんでしょうか。中曽根さんのときに、審議会というのが何か国会抜きにあることを決めてそのとおりにどんどん諮られるという習慣が根づいたようですけれども、審議会というのはある意味では政府側の、政府側といいますか役所の側の隠れみのと言われているみたいで、中立委員というのも本当に批判的な中立の委員というのは大体審議会に余り選ばれません。 ですから、国会こそが国民の意見を代表するものでありますから、婦人少年問題審議会がこう言いましたといっても、なお福祉に関すること、労働者の権利に関すること、実態にそぐわないことについては国会が責任を持っていろいろ議論し、決めていただきたい。 次に、法人をつくるというのが出ているんですね。これは大問題ではありませんか。これはどうして衆議院ではそういうことが余り議論されなかったんでしょうか。調査をするとかお金の出し入れをするとかということに新たにまた法人をつくる。こういう法人は、今行革でもう整理するのが大変なんです。 それで、今私が持っている資料を見ただけでも、過去五年間に制定、改正された労働省関係法律で新たに指定法人に業務を行わせることとしたもの、介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律、平成四年、第十五条、財団法人介護労働安定センターです。それから労働時間短縮の促進に関する臨時措置法、社団法人全国労働基準関係団体連合会。短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律、財団法人21世紀職業財団。育児休業等に関する法律の一部を改正する法律では財団法人21世紀職業財団というふうに、一つ法律が改正されたりつくられたりすると必ず法人がくっつくんですね。何でそういう必要があるんですか。役所こそが本当に自分で調査をして、婦人少年室などもお持ちなんですから本当に必要なことは役所がやるべきじゃないんでしょうか。 このことについても、役人の天下り先を一つ法律をつくるたびに一つつくるというようなことが国民の間では言われているわけですけれども、本当に法人が必要なのかどうかということは、衆議院ではそれが行われていませんのでこの参議院ではぜひ行ってほしい。これは行革の精神にも反することでありますし、一遍つくったらやめさせるのは大変なことなんです。 この点の論議が欠けているということを指摘して、私の話を終わります。
○委員長(笹野貞子君) ありがとうございました。 以上で参考人の意見の陳述は終わりました。 それでは、これより参考人に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○野村五男君 自由民主党の野村五男であります。参考人の先生方に何点かお伺いさせていただきます。 この介護法案が今日ここまで来たということに対しまして、私はよくこの法案がここまで来たなという、むしろ驚異に満ちた感じで今ここにおるわけであります。 私は今、参考人の先生方からいろいろお話を聞いた中で、実は先日NHKで、神戸震災の後、三万二千人の失業者といいますか職のない人が現実的には出ているというお話を聞いたり、それから私どもの知っている女子大の生徒が幾ら会社に案内状を出しても会社側から来ないという現実。しかし、それはそれとしまして、なぜ私はこの介護法案がここまで来たなと思いますのは、日本というのはどちらかといいますと欧米の文化とかいろんなものを参考にしながら来たわけでありますが、このように三カ月の介護休業をとれるような、そういうものが法案として成案間近に来ているという現状を見ますと、やはりここにありますように、企業も労働者も社会を構成する一員という認識に立たなくてはならない、あるいはこの法案がもし成案になるならば、やはり私たちが生活者として非常にレベルアップと申しますか、グレードアップしていくことなんだなということ、両方を考えながら今ここにいるわけであります。 現実的な話をさせていただきますが、ここには契約スチュワーデスでは困るという要望が実際に来たこともございます。なぜ来たかといいますと、余りにも契約スチュワーデスと前に入ったスチュワーデスの差があり過ぎるんではないかという現実。それに、先ほど三万三千人の失業者が出るという話を聞きましたときに、私はこのことを思い出すんです。 参考人の先生方も御存じだと思うんですが、神戸には日本を代表するような有名な酒の蔵がございます。この間の震災で倒壊をしてしまいました。それで、ある酒蔵の社長さんの話でありますけれども、来年十億円ぐらいかけてそれをぜひとも直したいんだけれども、最近直さないことにしたんですという話を聞いたんです。なぜかと申しますと、それは、ことし酒蔵が壊れてしまいましたので、腐ってしまいましたので出せませんでした。一方で、壊れなかった酒蔵は、間に合わしてしまいましたのでお得意さんがもうとれないと。お得意さんがとれないからもう酒蔵を建てることはやめたんだという話を聞きましたときに、私は、一番困るのは労働者である、結局そのしわ寄せが労働者に行ってしまうんだなと、そう考えたわけであります。 そして現実的に、先ほど申し上げましたように、内外価格差から来て、日本人のスチュワーデスを採るならもっと安い国の人の方が二人も採れるからという、走っていってしまういわゆる中小企業もあるわけでございます。 先ほど佐々木参考人からこの法案は実に中小企業にとっては厳しい、そしてぎりぎりの線だという話がありましたけれども、私もその不安の面では、生活者として見てみるならば非常にすばらしい法案がまさに成案として生まれようとしている一方、やはり私も不安があるわけであります。それは、もし法律ができたとしても魂が入らないんじゃないかなと、これをどうしていったらいいのかということで考えているわけであります。 と申しますのは、先ほど申し上げましたように、今社会に出ようとしている女子大生初め非常に厳しい条件に置かれていて、そしてこの厳しい円高の中で生き残りをしようとしている中小企業というのは、法案に構わずに自分たちが生き抜くためにあらゆることを考えてきて、それがむしろ労働者にしわ寄せが来てしまうんではないかという不安を私も持っているわけなんであります。それは、人件費が高いし、そして介護もしなくてはならない日本人よりは、むしろ安い、そういうものでない、言葉は悪いかもしれませんが、外国人に走ったり、空洞化を一層進めてしまうおそれのある法案にしてはいけない、そういう心配の念も持っているわけであります。 しかし私は、自分もこれからいつの日か介護される身になるならば、高齢化そして少子化の進む日本にとってこの法案をつくっておくことが将来の日本の文化であるし、質の高い文化になっていくんではないかと本当に思っておりますので、ここまでよくぞ来たなという感じを持って今ここにおるわけでございます。 そこで、最初に佐々木先生に、今私が不安を申し上げましたが、本当に中小企業にとって厳しくてぎりぎりであるし、実のところ本当はなかなか中身までつかめていないんではないかという感じがするわけですが、企業も労働者も社会を構成する一員としての責任を再び問い直す必要があるのではないかということで恐らく賛成の立場になっておられるんではないかと思いますけれども、中小企業の現実をもう一度踏まえてこの法案に対する御意見をお伺いしたいと思います。
○参考人(佐々木修君) まさに先生が今御指摘の、要するに企業も労働者も社会を構成する一員であるということはまさにそのとおりだと思いますし、私ども、今回ぎりぎりの線ではあるけれども、やはり中小企業といえどもこういった問題に前向きに対応していかなければいけないという認識のもとにある意味で政府案に御賛成申し上げている、こういうことでございます。 御案内のとおり、我が国の産業構造を見ますとやはり圧倒的に中小企業が多いわけでございます。こういった福祉とか介護の問題というのは、やはり社会全体が活力ある中でどういう豊かな社会を築いていくかということで対応していくべきだろうと思います。それにはやはり産業の活性化といいますか活力というものはどうしても維持していかなきゃいけないんだろうと思います。 産業構造を見ますと、やはり中小企業が圧倒的に多うございますし、これまでも中小企業がある程度我が国産業の経済を下支えしてきたという自負心も中小企業の経営者の皆さんは持っておりますし、今後もそういう形で中小企業は頑張っていかなきゃいけないと、こういう自覚は持っておるわけでございます。そういう中で、みずから企業をつぶしてまでいろんな問題に対応するということになりますと、やはり経済全体に与える影響というのは非常に大きゅうございますので、そこのところは、やはり法律である程度決めるということであれば、ある程度実態に即して、中小企業も我慢しながら対応できるように、そういう線で決めてもらいたいというのが我々の、中小企業の立場からの多い声でございます。 そういうことでございますので、確かに今の制度がそれじゃ最善であるかどうかということになると議論もいろいろあるかと思います。しかし、法律ということになりますと、我が国はどちらかといいますと法律に対する遵法精神というのは非常に私は高いと思っております。特に、中小企業の方々は法律違反を犯すということに対しては非常にやっぱり回避したいという気持ちもございますので、なるべく中小企業もそういう法律を守りながら対応できるような制度の仕組みにしていただきたいというのが本音でございます。
○野村五男君 私も実は中小企業に対して厳しい環境を見ております。というのは、私もよくタクシーに乗るんですけれども、現在、東京でもやはりこの円高、それから土地本位制だったものが土地の下落によって変わってしまったように、実際には金融機関の不良債権が表に出ているよりもはるかに沈んでいるものが多くて流れてこない。こういうことから見まして、ほとんどもういわゆる会社のチケットで乗るお客さんというものがいなくなってきているというのも私たちは考えなくてはならないと思ったものですから、今そのようにお聞きしたわけであります。 次に、高島参考人にお聞きしたいと思います。 今の問題も、実は労働者側から企業の側、中小企業側のことも考えなくてはいけない時期にもちろん来ているんだと思っておりますが、それはともかく、本来家族の介護は、一人の人に押しつけるのではなくて、家族で交代で行うことが自然となる社会を実現することがよいのではないかと思っておりますが、一人の人が長期にかつ何回も介護を行うことを認めることは、結局お嫁さんがおしゅうとめさんを見なければならないなど、特に女性にとって権利というより義務ということに、義務を押しつけるというような社会になってしまうのではないかということが心配されるんですが、この点についてお伺いしたいのであります。
○参考人(高島順子君) おっしゃられることは理屈としては非常によくわかります。 これは多少冗談を込めて申し上げるんですけれども、もしそういう心配をしてくださるなら、まず最初に男性が義務づけられるべきです。そして、男性が権利を譲ったら女性がとるというぐらいの、例えばスウェーデンの育児休業みたいに、女性がずっととるのは望ましくありませんよ、したがって夫がとらなきゃいけませんと、どうしても夫がとらなくて妻がとる場合は夫と妻の間でそういう書類をつくっていくということまで法律が求めています。ですから私たちは、そういう理想の姿だとか理論的なことではなくて、現実にそういうことがかなわないんですと。 そして、介護をされる人たちも、例えば経企庁の国民選好度調査なんかを見ますと、特に東の方がそうですけれども、介護される人も女性を望んでいる。そして、日本の社会というのは、女性自身も女性の優しさが日本の介護をおくらせていると山井さんは本に書いていらっしゃいますけれども、そういう部分があるのかもしれません。しかし、女性の中にもそういうことに対する心の痛みを持っていることは事実です。それを全部捨ててしまえというふうに今言っていいんでしょうか。そういうことをしていけばだれにしわ寄せが行くのか。 そして、日本の社会にあります特に男の人たち、介護のために休業をとる、私たちの調査でもありますけれども、例えば妻が入院したために職場をやめた人がいます。あと定年まで三年とか三年ぐらいだと夫の方も会社をやめています。ずっと結婚生活を長くやってきた人たちが、最後に妻のために介護をしてあげるということが自分たちの夫婦愛だというふうに考えたんでしょう。そういうところまで日本の社会が成熟しているんでしょうか。まだそういう成熟していないときに、理屈として妻にあるいは女性に娘に嫁にというふうな話というのは実態に合っていない。そうあってほしいとは思いますけれども、そういう実態にまでまだ日本の社会は成熟していないということを私は申し上げたいと思います。
○野村五男君 保原先生にお伺いします。 今のようなお二人の参考人の意見がありました。やはりこの法案を急ぐ必要性があるのには、実はこの委員会でも何遍も言っているんですけれども、現実的に八万人の人が介護のためにやめるような状態であるというゆゆしき事態を聞きまして、しかし現実的には、私が先ほど申し上げましたように非常に日本の中小企業はかつてないほど厳しい状況にある、これが現実であろうかと思っております。 先生は、介護休業制度に関する専門家会合の座長としていわゆる介護の報告書をおまとめになられたとお聞きしております。介護というのは育児と違って多種多様でなかなか一律に法制化することが難しいと思われているところでありますが、要介護状態、家族の状況、家庭環境などさまざまな要因が絡み合う問題についてどう対処していくべきか、専門家会合でどのような議論があったのか、最後に先生にお聞きしたいと思います。
○参考人(保原喜志夫君) 専門家会合の委員は六人で、そのうちお医者さんが二人です。あと法律家が二人、あとは看護の実務をなさっていて今は研究と調査等をなさっている女性の方と、それから家族社会学専攻の大学の方と六人ですけれども、前半は正直な話、介護というのはどういうふうに行われるかという医療関係の専門家三人のお話を伺って、我々が質問をするという形で進みました。 それで、比較的早い時期に結論を得たのは、育児休業と違って複数の人が同時に休めると。例えば育児休業だと母親が休業をした場合には父親は同時に休めないとかそういう制度になっていますけれども、介護というのは大変だから複数の人が同時に休めるという制度にしよう、むしろそれが望ましいということで、これは大体比較的早い時期に意見が一致しました。 最後まで残った問題は、結局、今問題になっております期間、どの程度にした方がいいのかということが一番大きな問題で、二番目は要介護者の範囲をどのように規定すべきかという問題でした。 この要介護者の問題につきましては、結局、老親、年老いた父母だけではなくて配偶者や子供も当然入るべきだろうということでは直ちに意見が一致しましたが、問題は配偶者の父母を対象にすべきかということでは議論をしました。外国のいろんな制度とかあるいは労働協約の中身等も多少参考にしまして、それからいろんな意識調査とか企業の企業内福祉制度としての介護休業制度の実際等々を調べた結果、日本では配偶者の父母も介護の対象に少なくとも今の時点ではすべきだという結論になりました。 実際問題としては、男性も介護を一生懸命やるべきなんですが、実際は女性に多くの負担がかかっているというのが実情で、そうすると結局、いわゆるお嫁さんが仕事を休んで配偶者の父母の介護をするのかという問題で大分議論をしましたが、しかし今言ったような諸般の事情でこれも対象にすると。しかし、あと孫と祖父母の関係とかあるいは兄弟姉妹とかいうのは、企業の実態とか人々の感情とかも考慮して、これは少なくとも法律上の制度の対象にはしないということになったわけです。 それとも多少関係がありますが、最後まで残った問題は期間のことでありまして、正直なところ、病気の種類によって、それからその人その人によってどの程度の療養期間が必要かというのはこれはわからない。特に老人の場合には育児と違いまして先の見通しがないというのがむしろ普通ですから、結局どこかで割り切らざるを得ない。お医者さん方にお伺いしても、いやどのぐらいの長さがいいかというのは医学的には言えませんよということなんですね。 それで結局、先ほど申し上げたような、中小の企業でも何とか人員のやりくりができるかというようなこと、それから最低限老親等が倒れた場合に療養の手段の見通しがつくのはいつかというようなことを考える。それからもう一つは、これはやっぱり余りきれいごとだけを言ってもしょうがないだろうということで、お嫁さんは本当に亭主の父母を見るということ、もちろん進んでやってくれる人もいるでしょうけれども、法律で規定されるとそれが周囲の圧力として使われるおそれなきにしもあらずである。これは現実問題としてそういうことを無視できない。そうだとすれば、そういう弊害は避けるべきだというようなことで三カ月という線に落ちつきました。正直な話、三カ月がベストであるということは私も言えないと思いますが、ここいらがベターな線かなというふうに思っております。以上です。
○野村五男君 ありがとうございました。終わります。
○千葉景子君 社会党の千葉景子でございます。 きょうは四名の参考人の皆さんに貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。これからの審議に向けましてもぜひ参考にさせていただきたいと存じますが、その上で、きょうお話しいただいたことにプラスして若干の質問をさせていただきたいと思います。 実は、この介護休業問題をめぐりまして、やはり今介護の実態あるいはそれぞれ家族が置かれている実情、そういうもののお話がよく出てまいります。私も、このような席で言うべき話ではございませんけれども、私の家族、祖母あるいは父、そういうものの介護に直接関与する状況もございましたし、あるいはまた周りの多くの皆さんの実情なども耳にさせていただいているところでもございまして、そういう実情を私なりに承知させていただいているつもりではございます。そういうことも前提にしながら、何点がお聞きさせていただきたいと思います。 まず、佐々木参考人にお尋ねをさせていただきたいと思います。 先ほど来既に、中小企業などの立場でこの法案制定に向けてぎりぎり決断をされてきている、そういう経過をお話しいただきました。改めて佐々木さんの立場からこの法案の評価をお聞きさせていただきたいと思います。 また同時に、今後この制度は社会的にも必要なものとして多くの皆さんから認知をされていくだろうというふうに思いますが、それに向けて、導入までに至る間、中小企業の立場でやはり準備のためのさまざまな体制をとられたり、あるいは御努力もされなければならないだろうというふうに思います。そういう点についてはどんなことをお考えになっていらっしゃるか、あるいはまたそういう際に、こういう点についてぜひ国の制度やあるいはサポートが必要だという点などございましたらお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(佐々木修君) 今回の政府案をどのように評価しているかということでございますけれども、先ほど冒頭にも申し上げましたように、ある程度実態を踏まえた形で、中小企業としてもぎりぎりの線ではあるが対応可能であろうというようなことを十分に御理解いただいておりますし、また施行期日の問題につきましても相当の準備期間というものをとっていただいておりますので、その点については私ども評価をしているところでございます。 また、なぜそれじゃそれだけの準備期間が必要かということでございますが、もちろんこういった問題が制度化されますと、中小企業においてもやはり労使の話し合いの中での労働協約の問題なりあるいは就業規則の問題なり、そういった面で社内の体制整備というものももちろん図っていかなきゃいけません。また、そういった整備と同時に、実際にそういう事態が発生したときにどういう形で代替要員を確保していくのかということまである程度経営者としてはいろいろ考えていかなければいけない問題だと思います。 何回も申し上げておりますように、そういう事態が発生しますと、当然コスト・要員負担になりますので、そういったコストの問題も踏まえてどういった対応をしていくかということは、やはり準備期間の中でいろいろ対応策を考えていかなければいけないと思っております。 また、それと同時に、この介護休業制度の問題について、要するに介護の問題をこの介護休業制度だけに頼るということではなしに、社会全体として、社会なり個人なり企業なり、また政府なりがどういう形でお互いに支え合っていくかということが大事なのであって、そういった環境整備のためにもやはりある程度の準備期間というものは必要じゃないかとも考えております。 そういうことをもろもろ総合的に判断しますと、今回の政府案というものが私ども中小企業としても対応できるぎりぎりの線だというようなことで評価しているということでございます。 したがいまして、ぜひともお願い申し上げたいのは、こういう相当の準備期間の中でやはり中小企業が本当にスムーズに円滑に対応できるようなそういう環境整備なり法体系の整備なり、それから社会的な仕組みの中でのいろいろな役割の分担の問題等々、やはり政府としても明確なビジョンなりそういうものを策定していただいて、国民の理解を求めるべきであろうと考えております。
○千葉景子君 それでは次に、保原参考人にお尋ねをいたします。 きょうは、先ほどの御意見をお聞きいたしまして、介護休業制度について、ある意味ではわかりやすくというか整理をしてお話しいただいたというふうに思います。 そのポイントとしては、やはりこの法案の立法目的が高齢者福祉法ではなくてあくまでも労働者の福祉法であると、そのためにつくられようとしている法律だという点、これをまず私たちも改めて明確に認識をしておかなければいけないだろうというふうに思います。 それからもう一つ高齢者介護、とりわけ在宅介護が今中心に据えられておりますけれども、これが決して家族のみによる介護を意味しているのではないんだと。そういう意味では、とかく在宅介護イコール家族介護というイメージになりやすいんですけれども、そうではないということも明確に指摘をいただきまして、この辺の整理を私たちもきちっとしておかなければいけないのではないかというふうに思っています。 そして、諸外国を見ますと、介護休業制度というものがほとんど見られない。みとり休暇とか、それに近いものと言えるんでしょうか、あるいはこれは少し私たちの認識が違っているのかもしれませんが、もし御指摘をいただければと思いますけれども、アメリカの家族・医療休暇法、そういうところに若干共通点が見られるのかなというふうに考えておりますけれども、そういう意味では非常に国際的に見てもまれな制度というんでしょうか、非常に特異な制度であると言ってもいいのかもしれません。 そういうところから考えまして、家族のあり方あるいは家族の役割、家族の責任、こういうところを諸外国などと比較して、そして近年の考え方の変化などを私たちも整理しておきたいというふうに思います。 そういう意味で、例えば扶養の問題、あるいは相続において家族の介護や家族の手助けというものがどのように寄与分として認められるのか、こういうような家族の責任の問題について諸外国の法制とかあるいは日本の法律制度の中での変化、現状、こういうものについて少しわかりやすく御説明をいただけないでしょうか。
○参考人(保原喜志夫君) 今、千葉先生の御指摘のとおり、アメリカには若干似たような制度が最近できましたけれども、介護休業法は介護を目的とする休業を正面から認めたという意味では恐らく世界で初めての立法と言ってもいいかと思います。 それで、諸外国ではこの介護の問題が扶養とかあるいは相続とか、そういうものとの関係でどのように考えられているかということをかいつまんでお話し申し上げたいと思います。 アメリカでもそれからヨーロッパでも大体似たような事情にあると思いますが、子供が成人しますと親とは別々に暮らすというのが一般的でありまして、いわゆる三世代同居は余り見られないということが言えるかと思います。しかしながら、やはり女性が年老いた父母を介護しているというのはどの国でもほとんど共通の実態でありまして、女の人にかなりの負担がかかっているということが言えるかと思います。その軽重はありますけれども、押しなべてそういうことが言えると。 ただ法律上の問題、つまり法律というのは権利を与えると同時に義務を課するわけですから、法律上の制度としてはどうなっているかということについて若干申し上げますと、まずイギリスとアメリカですが、御案内のとおり、コモンローといいますか普通法がイギリス、アメリカのいわば原則ですけれども、この普通法では子供の親に対する扶養の義務は存在しないというふうに言われています。ただ、イギリスでは救貧法が何回か出されていまして、この救貧法に基づく公的な施設に収容された老人の子供に対して求償をすることができるという規定が置かれたことがあります。 それから、アメリカでもコモンローではそういうふうに子の親に対する扶養義務はないわけですけれども、特別立法によりまして公的な医療機関とか救貧機関、救貧施設に収容された親の経費を生活に余裕のある子供に求償するという制度が多くの州によって大体三十世紀、一九一〇年代から三〇年代ぐらいの間にかけて立法されたと言われています。 ところが、これは訴訟がかなりありまして、一番有名な訴訟は一九七三年のカリフォルニア州の最高裁の判決ですけれども、これでは子に対する公的施設からの求償は適法であるという判断がなされています。これはどういうことかといいますと、その求償を受けた子供は平等の原則に反する、したがってこの州の立法は無効であるということを言ったわけですが、それは一つは、資力のある人にだけ求償するというのは平等の原則に反する、同じ兄弟の中でも資力がないと求償されない。それからもう一つの問題は、たまたま親が生きていると、たまたまと言っては言葉はあれですが、それで公的な施設にお世話になった人の子供だけが求償の対象になる、これも平等原則に反するというようなことで主張したんですが、最高裁はこの求償の規定は合理的である、憲法に違反しないという判断をしたわけです。 ただ、その二年後に、つまり一九七五年にはカリフォルニアでこの求償の規定が廃止されています。というのは、アメリカの世論がこういう求償はよくないというのが圧倒的に強くなったというふうに言われていまして、今アメリカの州でこの求償の規定が残っている州はもう一けたであるというふうに言われています。 次に、ドイツとフランスですけれども、ドイツでは夫婦間だけでなくて直系血族間に扶養義務を認めていまして、子の親に対する扶養義務も存在しますけれども、最近の議論としては子の扶養義務を実際には認めないといいますか、これをできるだけ限定解釈しようという方向に行っているというふうな話を聞いております。 それから、フランスでも子供の親に対する扶養義務がありますけれども、現実に公的施設の世話になった親の経費を子供に求償するというような規定は廃止の方向にありまして、フランスにおいても子の親に対する扶養義務は法的な義務としてはかなり弱まっていると言うことができます。 あともう一つは、親を一生懸命介護した人に相続法上の寄与分というのが認められるかという問題であります。 これは、親を一生懸命介護した人はいわば親の財産をそれだけ経済的に守っだということが言えますから、したがってその人には相続の場合に多く相続していいんじゃないかという寄与分という考えですが、アメリカ、イギリスでは介護者の寄与分は特に認められないということが言われています。それからドイツでは、職業収入を放棄して親を、被相続人を長期間にわたって療養した場合には寄与分は認められるわけですけれども、職業収入というのは生活費を支弁するに十分な相当額を意味して、パートタイマー等の人はこの中に入っていないということです。 おまけにもう一つ重大なことは、息子の嫁は相続権がありませんので、いわゆる義理の、配偶者の父母を介護しても寄与分の対象にはならないということであります。フランスでも寄与分の制度がありますけれども、実際に収益をもたらすような家業といいますか、家の事業に貢献したというふうに認められないと寄与分はありませんので、そういうことで介護による寄与分は法律解釈上まず認められないということになります。 そういうわけで、これらの国を大体総合してみますと、相続とかあるいは扶養については、そもそも子供がそういう義務を負っていないか、あるいはその義務を弱める方向、それから寄与分についても余り評価されないという、むしろ介護はそういう家族間の問題ではなくて社会的な問題として取り扱おう、そういう趨勢にあるかと思います。
○千葉景子君 今のお話をお聞きいたしますと、大きな流れとしては家族のありようというのはむしろ精神的に支えていくというようなことが中心になっていくのかなという気がするんですけれども、ただ現実には日本の場合でも介護をせざるを得ない、そういう状況があり、それを踏まえて今回の法案などが検討されているということであろうかというふうに思いますが、それだけでやはりすべてを解決するということは到底できないだろう。 そういう意味で、先ほど先生に今後の課題ということもお話をいただきましたけれども、その点について、例えば介護、看護ではなくて介護、あるいは介護ではなくて倒れられた直後の対応の仕方などについてどのような制度のあり方、あるいは今後の考え方というのを私たちはとっていったらよいのでしょうか。その辺について御意見がございましたらお聞かせください。
○参考人(保原喜志夫君) 今回は三カ月で一回限りというある意味ではやはりこれは使いづらい制度であるということは否めないと思います。しかし、今までいろんな方がお話しされましたように、いわば法律上の利害の調整をして、なおかつ最低の線はこのぐらいだろうということで、まずここから歩みを始めてみようというのがこの法案の趣旨だと思いますので、私はそれに賛成をしております。 今後の問題としましては、一つはみとり休暇的なものを、これは短い期間でいいと思いますけれども、考えていったらよかろうというふうに思います。 それからもう一つは、今回の法案では予告期間が三週間ということになっていまして、普通は企業の方で大変だったら三週間待たなくても休んでいいよというふうに言ってくれると思いますけれども、しかし法律上の制度としては企業は二週間待てと言うことができるわけでありますから、そうすると倒れた日にはどうするんだとか次の日はどうするんだということを考えないといけない。これについても、予告期間をやめるとか予告期間を三日にするとかというようなことではなくて、むしろ別の種類の、倒れた次の日からどうするかという数日のお休みみたいなものを何か考えた方がいいんだろうというふうに思います。 それで、現実には今恐らくそういうものは年休で処理されるということになると思いますけれども、年休はできれば計画的な連続取得の方向で考えるべきだと思いますので、近い将来の問題としては本体の介護休業とは別に若干のみとり休暇、緊急時の休暇あるいは休業といったものを考える必要があるんじゃないかというふうに思っております。
○千葉景子君 ありがとうございます。 高島参考人、暉峻参考人にも貴重なお話を伺いましてい本当はちょっと何点がお聞きしたいところもございますけれども、時間が参りましたので、これで終わらせていただきたいと思います。
○都築譲君 平成会の都築譲でございます。 きょうは四人の参考人の方から大変貴重な御意見を伺いまして、これからの法案審議に大いに役立てていきたい、このように考えておるわけでございます。 今回、平成会におきましても、政府から出されました介護休業制度の法制化に対する対案ということで介護休業制度の法案を出させていただいております。 私ども平成会の方でこういう対案を出させていただいたのは、まだまだ政府案では現実の状況に十分対応し切れないんではないかと。特に、急激に進んでおります高齢化の現状、そして将来予想されるであろう福祉の問題、こういったものを考えます。家庭と職業生活との両立の問題、さらに現実に生じております八万人もの方たちが介護を理由として毎年退職せざるを得ないという現実の雇用問題、こんなものも考えながら、ただ、将来的にはやはり日本経済が活力を維持し、発展しながら福祉社会を実現していくことがこれからの日本にとって本当に重要なことである、こういう観点から出させていただいたわけでございます。 きょうは四人の参考人の方から本当に貴重な御意見を伺ったわけでございますけれども、幾つかお聞きした中から、またそれとも絡めまして質問をしたいと思います。 暉峻参考人からは大変貴重な、海外での生活の経験から、また御自分の介護の経験などからお話をお伺いしたわけでございますが、今公的サービスが余りに不十分な状況ではないか、こういう御指摘があったわけでございます。 これからの高齢化の問題を考えますと、現在でも要介護老人が約三百万人、さらに二〇二五年ごろには五百五十万人ぐらいになる、こういうお話もあるわけでございまして、本当に安心して豊かに暮らせる社会をつくっていくというのは政治のこれからの重要な課題でございますけれども、ソーシャル・セーフティー・ネットとして公的サービスの充実、必要な人に必要なサービスを提供するという体制をこれから築き上げていく必要があろうかと思います。 ただ、そうは言っても、やはり日本的な文化といったものが、ヨーロッパとかアメリカの個人主義的な親子の紐帯がある程度薄いものと比べて東洋的な家族観と申しますか、そういったものがあるだろうと思うわけでございまして、御自分で日本で生活しまた海外で生活をされて、これから家族による介護といったものがどういうふうな意味合いを持つのか。 これは、現在家族による要介護老人の介護のための休業を法制化する作業をやっておるわけでございますけれども、これから三十年、三十年とたっていくわけでございますが、実際に家族の介護というものは、先ほどお話がございましたけれども、子供の意識としては余りもう親の面倒を見なくてもいいんだと、こういうふうな形でいくのであろうか、それともまだ子供によるあるいは家族による介護といったものが日本の社会の中では重要な意味を持つんだと、こういうふうにお考えになるのか、その点についてお話をお聞かせいただけますでしょうか。
○参考人(暉峻淑子君) 私は、ヨーロッパの中で行かない国はポルトガルだけでほかの国には全部滞在した経験があるんですけれども、一番長くいたのがドイツとオーストリーですので、市民の生活の中にまじって、その市民たちが自分たちの親をどういうふうにしているかというところまで知っているのはドイツとオーストリーなんです。 その点でお話をしますと、私は、家族が親を介護するということを言うときに日本で大変気をつけなきゃいけないのは、子供が見るべきだというふうに強制してしまうということなんですね。見るべきだということで強制するのはいけないけれども、親子の情というのが自然発生的にあって親を見たいんだという人には見させてあげる、そういう社会の制度が必要だと思うんです。 それで、この衆議院の議事録にも、多分、東さんだったと思いますが、自分がデンマークに行って、デンマークはもうきょう倒れても公的介護の人が来ていろいろやってくれるんだけれども、しかし、子供にあなたは病気の親にいつ会いましたかという質問をしたら、大体一週間以内にみんな会っている、何度も親のところに行っているんですね。 これは公的介護をしっかりしても、むしろしっかりするから子供は逆に親の介護もできるという、そういう関係を示しているわけで公的介護が親子の情を冷たくしているということはないんです。親子の情は親子の情で非常にこれは自然権としてとうとばれている。それで、例えばドイツの場合だと、親が入っている老人ホームに、親の年金だけで足りなければ子供が自分の所得からそれを埋め合わせて払わなきゃいけないという、これはもう法律で決まっております。 それで、例えば緑の党という党が第三党に進出しているわけですけれども、緑の党は、余りにもそういう夫婦の情、親子の情というようなものを機械的に考え過ぎる個人主義の社会に対する反発をして、強制はいけないんだけれども、自然に自分がそうしたいというふうに思うならばそれをちゃんと実現させてあげる社会でなきゃいけないという、これをスローガンにして新しいいろいろなそういう哲学を出しているわけなんですね。これはかなり賛成されている哲学です。 それで、もう本当に強制はいけないと言いますけれども、現実に、例えばホームヘルパーの人が家の中に入ってきても、寝たきりの老人だけがいて、あとだれもいないというのは老人も不安がるんですね。こういうことは、ここで言うとちょっと議事録に残るとぐあいが悪いのかもしれませんが、ホームヘルパーといったって公務員じゃないし、どういう人が入ってくるかわからない。すると、やっぱり家族にいてくれということを言うわけです。 それから、病院でも同じで、家族がともかく半日でもいてくれれば看護婦さんの対応も違う。それから、これは私の親の場合ですけれども、付添看護婦さんを一日一万幾らも出して雇っているんですけれども、家族がしばしば行くと付添看護婦さんもかなりちゃんとした看護をしてくれるんです。私の父がいた隣の部屋の人は忙しくて余り来ない人だったんです。そうしたら、やっぱり病院の対応が全然違う。どういうときにも家族というのはたとえ半日でも三時間でも、寝たきりになって特に意識が定かでない、手足が不自由になったらいてあげるのが人間的だという、こういうことは経験上言えると思います。しかし、だから嫁が見なきゃいけないんだとか、そういう強制はもう間違っている。 それから、公的介護と家族が本当に自然的に親の横にいてやりたいという気持ちとは決して相反するものではなくて、公的介護が十分になればなるほど家族もそういう情をあらわしやすいという、こういうことだと思います。
○都築譲君 ありがとうございました。 今の暉峻参考人のお話を伺っておりますと、本当になるほどなと、こういうふうに思うわけでございますが、この関係で佐々木参考人にお伺いをしたいと思うわけでございます。 私も、今のようにやはり強制はいけないし、また公的サービス等の本当に充実したサービスを受けられるようにするためにも家族の力というのが大きいんではないか、こういうふうに思うわけでございます。 それで、中小企業の皆さん方の困難な事情というものを佐々木参考人の方からお伺いをしたわけでございますが、実はいま一つなかなか納得できない部分もあるわけでございます。 と申しますのは、例えば労働時間の短縮につきましては、法定労働時間が短縮されることで、実際労働時間が変わらないとすれば、余った分は残業時間ということで二五%増しとか、こういう形になるわけでございますが、代替要員の確保がうまくいけば中小企業の抱える困難、特に代替要員の確保の困難性をぎりぎりの人員体制でやっている、こういうことをおっしゃっておられたわけでございます。現実には、先ほど八万人の方が退職をしているということで、要員管理の困難性というのが既に顕在化をしているのではないのか。だから、八万人の方が家族介護のために退職をされたということで、現実に中小企業が立ち行かなくなってしまった事例というものを御承知になっておられるのか。 あるいは、特に中小企業においては本当に少ない人員でやっておられるということでございますけれども、そういう例えば介護に当たるような四十代、五十代の中堅層、今までその企業でスキルを積んでこられて、なかなか余人をもってかえがたいような存在になっている方がやめざるを得ないという状況よりは、最長一年でございまして、私ども平成会の案が通ったからということで一年金部とる方が出てくるとはなかなか思えません。勤務時間の短縮措置等と絡めて、必要な介護をやりたいということで要望があったらそれを認めてやるという形で、退職を防止することによって企業がその活力をさらに維持していくことも十分できるのではないのか、こういうふうに思うわけでございます。 そういった意味で、現実の困難性の点について少し御説明をお願いできればと、こう思います。
○参考人(佐々木修君) 今、先生から八万人の退職を余儀なくされた人間が現実にいるではないか、こういうお話がございました。 ただ、八万人という労働者が果たして全部すべてが中小企業なのか、また大企業なのか。この介護という問題についてはいろんな状況、環境等によっていろんな問題がございますので、必ずしも私どもは八万人の人間が中小企業ばかりではないだろう、そういう受けとめ方をしております。 それから、実際に要介護者等の人数を見ますと相当の数に及んでいるわけですけれども、その中で現実に職場をやめざるを得ないという方が八万人というのは、見方を変えれば、これまで介護制度というものが企業になくても、企業はそれなりにその場その場で労使の話し合いの中で対応してきた結果八万人でおさまっているのではないか、こういう見方もできるのではないかというふうに私は思っております。 それから、先ほど暉峻先生から介護したい者が介護できるような制度をつくるべきだと、全くそのとおりだと思います。 ただ、逆に今度は、介護される人間から介護してほしい人間という者もいるんだろうと思うんです。現実に私もいろんな本や何かを読みましても、実際に子供には面倒を見てほしくない、むしろ専門家に面倒を見ていただきたい、こういう要介護者もたくさんいるというのがいろんな本にも書かれております。やはりそこのところは公的介護のサービスのおくれではないかと私は思います。望ましい姿というのは、家族が精神的な面での支えをし、肉体的ないろんな介護の問題というのはある程度公的な面で専門家が負っていくというようなことも考えてもいいんではないかと思っております。 そんなことを考えますと、私どもとしては今のこの政府案でもって、そういったお互いお互いの役割というものをきちっとしていけば十分に対応できるのではないか、こう考えております。
○都築譲君 ありがとうございました。 保原参考人にお伺いをしたいと思います。 先ほどアメリカの家族・医療休暇法の御紹介がございました。今回の政府案においても平成会案においても適用範囲が相当広いという御指摘でございましたが、実際にアメリカの家族・医療休暇法の中で五十人未満の事業所については適用が除外される、こういうふうなお話でございましたが、その労働者の常用あるいは臨時・有期雇用の別とか、そういったところまで含めてそういう形になっておられるのか。 実際私どもは、中小企業には約四千万人の労働者が働いている、こういうふうに承知をしておりますけれども、長期雇用慣行として言われております期間の定めのない契約の労働者というのは意外と中小企業の方では少ないのかなというふうな感じを持っておりますし、中小企業における労働移動の頻繁性というのはかなりあるだろうと思うわけでございます。 そういった意味で、政府案も平成会案もいずれもいわゆる期限を切った一年未満の労働者とかそういった方々については適用がない、こういうふうになっておるわけですが、その点についてはいかがでございましょうか。
○参考人(保原喜志夫君) 条文だけを見ますと、休暇を取得できる権利を持っている者は、当該事業主によって最低十三カ月間雇用されている、つまり一年前から雇用されている、その上に過去一年間当該事業主のもとで最低千三百五十時間、大体アメリカの年間労働時間の三分の三だと思いますけれども、それぐらい出勤した人ということになっていますので、この数字に当たらない人がどれだけいるかというのはよくわかりません。それから、上層職員一〇%を認めないとかというようなことを考えますと、物の説明では六〇%弱の労働者にしか適用がないという説明もありますし、いや半分ぐらいの労働者にしか実際は適用がないんだという説明もあります。それでお答えになっているのかどうか、わかりませんけれども。
○都築譲君 ありがとうございました。 時間が参りましたので、最後の質問を佐々木参考人とそれから連合の高島参考人にお聞きしたいと思います。 この観点は、実は中小企業のこれからのあり方でございまして、戦後五十年を経まして日本の経済は相当大きくなってまいったわけでございます。こういった中で、中小企業が日本の産業の中で果たしてきた役割というのは相当あるわけでございます。そういった中で、商工会議所の皆さんが中小企業の近代化のためにいろんな提言をされ、また実際にいろんな指導をされてリードされてきた、こういった役割も私としては大変評価をしたい、こういうふうに思うわけでございます。 ただ、これからの本当に十年、二十年、さらに五十年という長いスパンで見たときに、今まで中小企業の近代化ということで経営改善とかあるいは技術革新への対応とか、産業構造変化への対応とか、さまざまな変化が起こった中で一生懸命やってこられたわけでございますけれども、実は中小企業の労働者の労働組合の組織率というのがなかなか進んでいない状況の中で、やはり大手の労使の関係とは違って、中小企業の労働者というのはなかなか労働条件の改善が進まない現状に置かれたまま来たのではないのか、こういうふうに思うわけでございます。 例えば、労働時間に例をとってみますと、実は法定の労働時間について中小企業労働者と大企業労働者とで格差が設けられているという、これは法の適用がない労働者ということで除外するのであれば話は別でございますけれども、四十時間制が適用される労働者と四十六時間とかあるいは四十八時間という労働者が区分されたということの問題があったわけでございまして、今回の介護休業法案、政府案においても施行時期を繰り延べすることでその問題は回避をしているわけでございます。 私自身、これから本当に日本の産業が、経済が活力を持って発展していくためには、中小企業の近代化、さらにそれを支える労働者の福祉の向上、そういったものがまた必要な人員の確保にもつながるというのが、八〇年代の半ばからの前川レポートあるいは生活大国五カ年計画の中でうたわれた必要な人材をどう確保するか、よい労働条件を提示すべきであると、こういう発想であっただろうと思うわけでございます。 これから中小企業の近代化について、やはり従来のような戦後五十年間の発想の中で労働問題はなかなか難しいんですという一言でやっていかれるお考えなのか、本当にこれからの五十年を考えて、労働条件については大企業も中小企業もそれなりの格差は労使交渉の違いがありましょうからあるんでしょうが、それなりの努力をされることになるのか。 そして、連合の高島参考人には、これから中小企業の労働組合の労働条件向上についてどういうふうに取り組んでいかれるお考えなのか、そういった点をお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(佐々木修君) 先生御指摘のとおり、確かにこれまで中小企業というのはややもすると、先ほどどなたかの参考人の方もおっしゃいましたように、中小企業を弱者という見方で、弱者を保護というか何とかしてほしいというような形の考え方というのが非常に強かったわけですけれども、最近、中小企業経営者の中でも相当進歩的な考え方のある方がたくさんおられますし、それから中小企業の考え方も次第に変わってきまして、弱いから何とかしてくれという時代じゃないということは、経営者として大分そういうところは認識をしてきていると思います。 したがいまして、社会のこういう大きな変革期の中で、これから中小企業として必要な人材をどうやって確保していくのか、そういうときにやはり何といっても労働条件の改善、いろんな意味でそういった努力はしていかなきゃいけないということは重々承知しており、またそれなりに努力はしていると思います。ただ残念ながら、いろんな現実の取引の関係の中で、また社会環境の変化の中で、また経済環境の変化の中で、なかなか中小企業が一遍にそこまではいけないというのが現実の姿でございます。 したがいまして、歩みは遅々としたものがありますけれども、中小企業といえども必ずしも昔の中小企業のイメージではなくて、やはり今後の二十一世紀の社会を支えていこうという中小企業経営者がたくさんおられますので、そういう目でひとつ育てていくということで御理解を賜ればありがたいと思います。
○参考人(高島順子君) 中小企業と大企業の労働条件の格差は、働くということについては同じであるわけですから、本来あってはならないんだというふうに思うわけです。 しかし、日本の企業のあり方として幾重にも幾重にも下の方につながっている、結果としてそのことで労働者にしわ寄せが来ている。中小企業の経営者の方は、中小企業は経営基盤が弱いんだから、社会的弱者なんだからということをしきりにおっしゃる。 しかし、人を雇っている責任というのは大企業であっても中小企業であっても同じわけです。法のもとに、企業間で公正な労働慣行のルールを守っていただいた上で競争するというのは当然なことですから、そのことについて、しわ寄せを労働者の方に寄せるんではなくて、企業者、いわゆる経営者団体の中で、圧倒的多数が中小企業団体なんですから、その方たちが公正な取引のルールを確立するための努力をしていただくということがもっともっと必要だと思います。それから、商工会議所は通産省の法律に基づく団体ですが、もっとそのことを企業経営の中で主張していただくことが必要ではないかと思います。 そして例えば、労組法の地域の労働協約の拡張適用なんかについて、法律をもっと積極的に前向きに前進させていくべきだと思います。それから、先ほど企業は遵法精神が高いんだとおっしゃっておられましたが、そういうことであれば、労働組合も組織化には努力いたしますけれども、事業主の方も労働組合の組織化について積極的に対応していただきたい。労使が話し合いで労働条件を確立していくことこそ社会の前向きな進歩であるし、経営者責任、それから労働者責任をより明確にしていくことになると思うんです。 そういう前提がなくて、いろんなところで、労働基準あるいは事業経営あるいは税制について常に中小企業は弱いんですという話でもう何十年もやってきて、さらに一遍にはいかないという話ではなくて、日本の中の雇用慣行あるいは経営環境、それから企業間競争が国際的になってきている今こそ思い切って、もっと日本の社会を公平、平等にしていくためのルールというのはどうあったらいいのか、そしてそのことが国民全体の生活向上とどうつながってくるのかということを、私は労使の間であらゆるレベルで産業間協定なんかが結ばれていくということがこれから必要であると思います。そういうふうな形で労働組合も対応していかなければ、本当の全体の労働者の条件向上にはならない。 特に、ここで議論していますように、多くの女性がかかわってくるような問題についてはなおさら前進していかないと、結果として個々人が非常に大変な思いをしているという状況を切り抜けたいものだと思います。
○都築譲君 ありがとうございました。
○古川太三郎君 新緑風会の古川でございます。 きょうは貴重な御意見、大変ありがとうございます。都築議員の最後の質問に関連するかと思うんですけれども、佐々木参考人、保原参考人に若干お聞きしたいと思います。 佐々木参考人は、中小企業のコスト負担の問題が大きいということを述べられました。保原参考人も、法律は利益の制限は最小限にしなきゃならぬと。その言葉の裏には、中小企業の利益あるいは雇い主の利益ということが前提にあるんではないかなと、こう思うんです。いずれにしても中小企業の利益の均衡からこの法律はそのあたりで仕方がないんだというような印象を私自身は受けたわけなんですが、中小企業のコストあるいは雇い主が一人を雇うためのコストというのをどのように考えていらっしゃるのか。 例えば、環境問題がやかましいときに、大企業ならば環境保全に設備投資ができるけれども、中小企業はそのコストはなかなか払い切れない、したがって少し待ってほしいというのと同じように、一人の人間を雇うときに、大企業ならそれはできるけれども、中小企業はそれがしにくいんだ、競争に負けるんだというような議論が隠されているんではないかなと、こう思っているんです、それは私の誤解かもしれませんけれども。 そういう中で、暉峻参考人から、先進国というのはいかにお金持ちかというんではなくて、人権を大切にする国であるかどうかというのが大きな問題だという御指摘もございました。それで、一人を雇う場合に、奴隷制度の時代ならばいざ知らず、また女工哀史の時代なら別ですけれども、今日本は先進国として、一人の人間が病気になった場合には休まさなきゃならぬ、これはもう当然の雇い主の倫理観として確立されていると思うんです。 じゃ、自分が病気なら休まなきゃならぬというのと同じように、子供が病気ならば休むのが社会的な倍としてこれは当然な正義だ、だったら親だったらどうかというところまで広げていく社会的な常識といいますか、そういうものがあるはずだと思うんです。そういったことも考えて人を雇わなきゃならぬ、それがコストだという、雇い主にはそこまでの倫理観が必要なんではないか、そういう時代に来ているんじゃないかなと。 特に、先進国である日本はもうそういう時代、ましてやそれを率先してやっていかなきゃならぬ立場ではないか、こう思うんですけれども、お二人の参考人に、倫理観はそこまでいっているのかどうかをお聞きしたいと思うんです。
○参考人(佐々木修君) 先生今御指摘の人間的な倫理観の問題ですけれども、私は中小企業の経営者といえどもそういった倫理観は当然持っていると思います。 やや先生の御指摘の点で誤解があるかと思いますけれども、私ども今度のこの制度について、中小企業は大変対応が難しいからこういった現状の案でよろしいんじゃないかと、決してそれだけの理由で申し上げているつもりはございませんで、介護制度というものは社会全体の中でどうあるべきかということの全体像自身がまだ見えてきていないというのが大きな問題であると思います。やはり介護の柱となるべきものは公的サービス、公的福祉対策であると思います。あくまでも企業のこういう介護休業制度というのはそれを補完すべき一つの制度であると思っています。 そういう視点からいろいろ総合的に判断したときに、法律で定めるとすればやはり最低限というところで今回の政府案が私どももよろしいんじゃないかと、こう申し上げているつもりでございます。 また、コスト負担のことだけが強調されますとちょっと誤解がありますが、実は中小企業の従業員というのは、非常に少ない人数でかなり個々の人間が専門的な分野を担当していろいろやっている場合が多うございます。したがいまして、そういう方が長期間休業されますとその代替要員の確保というのはだれでもいいというわけにはまいりません。したがって、コストの問題以前に代替要員をどうやって確保するかというのが非常に難しい問題としてございます。 仮にもしコストが多少かかっても、代替要員を確保して企業経営をやっていきませんと企業自体が成り立たないわけでございます。したがいまして、コスト負担もかかることも事実でございますが、コスト負担よりもまず大事なのは代替要員がスムーズに円滑に確保できるかどうか、そこのところに大きな問題があるということをひとつ御理解賜りたいと思います。 それから、先ほど保原先生も御指摘のように、やはり労働者の勤労意欲という面からいっても、中小企業の中で仮にもし一年休んだとしますと、果たして職場復帰のときにはそういう以前と変わりないような意欲を持って働いていただけるのかどうか。その辺の勤労意欲の問題も、保原先生から御指摘ありましたようなそういう問題も若干あると思います。
○参考人(保原喜志夫君) 専門家会合でも、古川先生御指摘のようなコスト計算はしておりません。したがいまして、どの程度の企業規模であればどの程度の期間の介護休業に耐えられるか、あるいはいつからできるかというのは正確には申し上げられません。 これは私の主観になりますけれども、数カ月前にイギリスのある新聞が次のような指摘をしていました、日本では何で弱い企業を守るんだと。つまり、自由競争の市場原理に従って消滅する企業はあってしかるべきだということであります。 イギリスの新聞が指摘するまでもなく、これから市場開放あるいは規制緩和が進みますと、中小企業はかなり大きな痛手をこうむることになる。それで、先ほど都築先生から労働時間の御指摘がありましたけれども、労働時間も短縮されてきてかなり負担が大きくなるということで、最低限何とか負担に耐えていただけるのはこんな線かなという、いわば経験的な線で施行期日あるいは特にその期間を考えさせていただいたわけであります。 したがいまして、できるところはできるだけ早く、それから三カ月と言わずにもっと長く、企業の中で先ほどお話がありましたような労働協約とか就業規則とかそういうので上積みは幾らでも可能でありますからやっていただいて、これは最低の線で、これだけは守っていただきたいというのが法案の中身だというふうに思います。 これはちょっと古い調査ですが、平成元年の労働省関係の報告書を見ますと、アンケート調査では、超一流の企業を対象にそのときはやっているようですが、介護のために仕事をやめたという回答はほとんどありませんでした。女性も含めて大企業の長期の雇用が慣行化している日本では、恐らくこの法律の直接利益を受けるのはどちらかといえば中小企業の労働者が大きいんじゃないかなというふうに思われます。 そういうわけで、綿密なコスト計算はしていませんが、中小企業は今非常に大変な時期になっているので、このぐらいは何とか最低やってもらいたいという線かなというふうに私は思っております。
○古川太三郎君 では保原参考人にもう一度別のことをお聞きしたいんですが、今三カ月以上になってくると、また一年以上になってくると職場復帰が難しい、こういうお話でございますけれども、むしろボランティアというのもキャリアだと、一つの経験からその会社にまた大きな寄与をするという人間をつくっていく制度だと考えれば、私は一年というのは決して長いものではないし、職場復帰が不可能だというものでもないだろうと思うんです。 いま一つは、介護休暇というのは確かに日本がそういう意味では先んじた国かもしれませんけれども、これはアジアという家族的な情から私は当然のことだと思っていますし、むしろヨーロッパの感覚では、労働者個人のリカレント制というようなものが今大きくクローズアップされてきています。そして、一年間ぐらい労働者が自分自身に磨きをかけるということで休暇をとれるような制度もできてきているわけなんですね。したがって、一年間休んだからといって職場復帰がしにくいという理屈は成り立たないんじゃないかなと、こういうふうにも考えるんですが、そのあたりはいかがでしょうか。
○参考人(保原喜志夫君) 先生御指摘のように、親の面倒を手厚く見るとかというのはどちらかといえば儒教国といいますか、儒教の影響を受けたアジアの国にそういう考え方が強いんだというふうに私も理解をしておりまして、ヨーロッパの個人主義だけではこの問題は解決しないというふうに思っております。 先ほど申し上げたのは、いわば先進諸国ではこの問題をどういうふうに考えているかという一つの例でございますので、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。 それからボランアィアの問題につきましても、私も先生と全く同意見でありまして、狭い専門に偏らないでむしろ違った世界を見るということはキャリア形成の上でも重要なことではないかなというふうに思っております。 ただ問題は、介護休業に当たる人はいわば中高年の人たちで、企業の中でも重要な役割を果たしている人が多いと思いますので、その業務の種類とか職種によってはそんなに長く休むとなかなか原職復帰が難しいというのも出てくるんじゃないかなというふうに思っております。 したがいまして、比較的長く休んでもいい、あるいはかえってよそを見てきた方がプラスになるというような方と、余り長く休むとなかなかいわば仕事に追いついていけなくなるというような、そういうような仕事の中身とかあるいはその人の性格なりあるいは会社の全体の大事なりとか、いろんなことがあってなかなか急には変えにくいと思いますから、私は、三カ月以上の長期にわたる場合には企業の方と労働組合あるいは労働者の代表の人たちとが協議をしていただいて、そこで弾力的な、いわば法的な義務としてでなくて企業内の措置として弾力的な運用を図っていただきたいというふうに思っております。 以上です。
○古川太三郎君 ありがとうございました。時間ですので終わります。
○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。 四人の参考人の皆さん、きょうは貴重な御意見を伺わせていただきましてありがとうございます。 順次お伺いしていきたいと思いますが、この介護休業制度の導入はILOの百五十六号条約、つまり家族責任を負う労働者が職業上の責任も全うできるように職場が継続できるように、そのための差別があってはならないというその条約の国内法の整備という側面で導入された、こういうふうに言うこともできるかと思います。 それで、高島参考人と暉峻参考人に、まずこの百五十六号条約との関係において、女性が働き続けるということとの関係において、今回の介護休業制度の内容について御意見なり御感想がありましたら、それぞれ伺わせていただきたいと思います。
○参考人(高島順子君) 百五十六号条約は、家族的責任を負っている労働者と負っていない労働者の間に差があってはならないということを求めています。そして、家族的責任を負っている人たちが仕事と家庭を両立させながら、うまく雇用継続ができるようにということを求めています。したがって、この介護休業の制度の法制化というのは、先生がおっしゃられましたように、そのおっしゃられた趣旨で全く合致していると思います。
○参考人(暉峻淑子君) これは国民生活白書にも指摘されていることですけれども、このごろ結婚しない女、男も女もそうかもしれませんが、しない人がふえてきたり、あるいはそれよりももっと深刻なのは子供が欲しいんだけれども子供を産めないという、そういう人がふえてきているということはもうはっきり指摘されているわけですね。その場合、今おっしゃったように、家族を持つと独身の人と競争できないからだということを多くの人が答えております。 つまり、独身だったら家族がないわけですから家族が病気することもないし、ひとりで全く自由にできる。そうすると、残業もどこまでもできるし、年次有給休暇も消化しないで出ていっても平気だと。しかし、家族がいるとどうしてもそれは人間としてほっておけないので、足を引っ張られるという言い方は悪いけれども、面倒を見ざるを得ない。そうすると、企業の方も家族持ちよりも家族持ちでない人の方を優遇するということになりかねない。だから、そういうことがないようにしてほしいということだったんですね。 だから、家族を持っていても、老親を持っていようと子供を持っていようとそこに下支えをして、そして人間らしい社会、人間らしい労働条件をつくっていこうということだったわけですから、その趣旨をやっぱり忘れないようにしてほしいと思います。 ですから、もう一つ言えば、期間の問題もそうですけれども、二週間前に言わなきゃならないとか、一回きりしかとれないとか、それから時間短縮の運用というのはきちんとうたわれていないというようなことは仏つくって魂入れずということにもなりかねないので、参議院のこの議会では本当にそれが有効に働くように今後議論をどうぞしていただきたいというふうに思っております。
○吉川春子君 先ほど暉峻参考人が、諮問政治といいますか審議会の内容についてそれを答弁に使うということで国会の役割との関係で言われまして、私も、非常にその点については鋭い御指摘であるし、やっぱり審議会というのが別に国会の上にあってはならないわけで、私たちは国権の最高機関で立法機関なんだからそういう立場で本法律案についてもきちっと審議をしていく必要があるなということを痛感したわけですが、それは別に答弁は要りません。 もう一つ、暉峻参考人に伺いたいのは、原職復帰についてなんですけれども、今回の法案は、介護休業をとったために解雇という、そういうことをしてはならないということだけは書いてありますけれども、その他の不利益取り扱いについては言及していないわけですね。そして、介護休業をとりながらなおかつ職業上の責任も全うし働き続けるという立場で言えば、職場に帰ってきた途端に意に反する配転だとかあるいは昇給・昇格差別などがあっては本当に安心して介護休業をとれないわけなんですけれども、現実にはこういう休暇をとらなくても、特に四十代、五十代の女性にとっては厳しい差別も待ち受けているんです。 さっきドイツの例もおっしやいましたけれども、同等以上の職に復帰させるというドイツの話を聞いてうらやましいなと思ったんですが、原職復帰を保障する上でどういうことが必要なのか、もう少し具体的にあれば教えていただきたいと思います。
○参考人(暉峻淑子君) それはやっぱり法律の中に、原則として原職復帰を妨げないとか原職復帰するものとする、もしそれが不可能な場合には同等な、これは賃金においてもステータスにおいても同等なあるいは同等以上の職場に復帰するものとするというふうにきちんと書いた方がいいと思うんです。 さっき、これは労働者福祉であるということをおっしゃった方がありますが、労働者福祉の立場に立ては、それは必ずそうしなきゃならないわけですね。特に男の人にも介護休暇をとってほしいということであればなおさらのことであって、その一つには、さっきから繰り返しになりますが、介護というキャリアは職業上のキャリアにならない、これはマイナスなんだ、失点なんだという、こういう考えが根強くあるから原職復帰についてもそれほど熱心じゃないんじゃないかと思うんです。 しかし、これは私の職場で言っても、短期的にはマイナスのように見えても、そういう広い経験を持って、しかも人間的な経験を広く持った人というのは職業ばかの人に比べるともうはるかに役に立つ。応用能力もあるし、それから物の考え方が非常に深いし、こういう人を原職復帰またはそれ以上の職につけるということは企業にとっては全然損失じゃない、余り短絡的に企業に忠誠を誓わなかったのは左遷するぞみたいな、そういうようなやり方はもうここらで変えないといけない。 それからもう一つ、これきょう持ってくればよかったんですが、国際統計で「ウィゾー」というのがあります。これを見ると、企業福利の順番というのがずっと出ているんですね。最下位が日本です、鉄かぶとに日の丸がついているのがあって。一番上はスウェーデンです。真ん中あたりがドイツとかフランスとかというのがあるんですね。だから、企業福利があたかも何か日本はいいかのように言われているけれども、そうじゃない。 それから、私は、通産省の外郭団体でメロウ・ソサエティ・フォーラムというので、企業がどれだけそういう老人のためにいろいろな福利をやっているかという審査員をしていまして、いい企業を表彰しているわけですけれども、それは驚くべきことに第一回の審査で全員がもう文句なしに九十点をあげたのは日本アイ・ビー・エムだったんですね。それで、日本の企業はそれに比べるとうんと企業福利が落ちているわけです。だから、企業福利という場合日本は、先進国レベル中進国レベルも入れてもそうかもしれませんが、決して企業福利は手厚い方ではありません。 それで、これも私が見たプラカードですけれども、日本がそういうソーシャルダンピングをやるから、せっかくEU、ヨーロッパ連合、これがいい社会福祉の制度、企業福利の制度を統一しでつくっても、日本がそれを破って低コストでテレビとかビデオとか自動車とかといういろいろなものを、企業福利をやらない会社が低コストでつくって殴り込みをかけるから困るんだというポスターが、本当にそれを持ってくればよかったんですが、張られているんです。 ですから、日本もやるべきことはきちんとやるということをしないと、貿易黒字でめちゃくちゃにたたかれるということの反感の一つはそこにあると思います。
○吉川春子君 ありがとうございました。 佐々木参考人にお伺いいたします。 私ども日本共産党は、中小企業が置かれている厳しい環境を考えて、修正案の中でも特に中小企業対策というものを打ち出した案を出しているわけなんですけれども、中小企業が代替要員を雇った場合のその人件費の国庫補助を行うとか、そういう内容を出しています。代替要員の確保など具体的な、こういうふうにしていただければ中小企業はもっと介護休業に積極的に対応できるんだという案があればお示しいただきたいと思います。
○参考人(佐々木修君) 正直なところ私どもも、中小企業の立場で今回のこの法案が実際に施行されるまでに何をすべきかということを、今内部でもいろいろ検討しているところでございます。 ただ、先ほども冒頭にちょっと申し上げましたように、例えば現在の制度の中にある労働者の派遣法という問題がございますけれども、派遣法も現在がなり制限された形の制度になっております。こういった制度もできることでございますし、やはりそういう制度の中でもう少しスムーズに代替要員が確保できる体制というものをとっていただきたいなというのが私どもの望みでございます。 もとより、そのコスト負担がかかることも事実でございますけれども、先ほども申し上げましたように、コスト負担がかかってもやっぱり企業としては存続するためにはやっていかなければいけませんので、その辺は現行の出されております法案であればぎりぎりの線で中小企業としても努力していこうじゃないか、こういうところでございますので、今例示的に派遣法の問題を申し上げましたが、税制の面とか、あるいはまた融資の面とかそういったもろもろの面で、やはりコスト負担を幾分なりとも緩和できるような形での環境整備というものはぜひお願いしたいと思っております。
○吉川春子君 ありがとうございました。 保原参考人にお伺いいたしますけれども、先ほど介護休業制度を設けるに当たりまして、利益の侵害は最小限でなくてはいけない、こういうふうに言われたんですけれども、介護休業制度によってもたらされる利益の侵害とは一体どういうものなのか、だれの利益がどのように侵害されるのか、またそのおそれがあるのか、その点について一つお伺いしたいと思います。 それからもう一点は、三カ月という期間は脳血管性疾患の経過から病状の見通しがつけられる期間だ、それからアルツハイマーも三カ月で一応の療養の方針がつくと。これは専門家会合の意見の内容とも一致するわけですけれども、そういうお話がありましたけれども、ゴールドプランその他いろいろの数値を見ましても、例えば特養老人ホームの数とか受け入れるべき施設の数というのは今極端に不足しているわけです。三カ月たつとどういう見通しが立つんだろうと。それは公的な施設に送り込める見通しが立つという意味なのかどうか。それだとすると、余りにも現実の数は少ないんじゃないかと思いますが、その二点についてお伺いいたします。
○参考人(保原喜志夫君) 第一点目ですが、これは労働者の職業上のキャリアにマイナスの要素があると思います。先ほどからお話が出ていますように、プラスの要素もあると思いますけれども、専門的な職業になればなるほどその間職業に従事していない、それから職業に必要なさまざまの情報を受けない、勉強しないということになりますから、マイナス要素として考えざるを得ない。ですから、プラスの要素ももちろんありますけれども、マイナスの要素としても考えざるを得ない。 それからもう一つは企業の要員管理の面でも、特に申し上げるまでもなくマイナス要素として働くことは事実です。ボランティアというか、介護等の仕事をやった場合、人間が立派になって企業にもプラスになるだろうという考え方があって、その要素は否定できませんけれども、現実問題としては労働者の数が少ない企業ほど人のやりくりに困るということになると思います。それで、日本の人材派遣法等も必ずしもそういう代替要員の確保を主たる目的にはしていないのでありまして、これは外国のヨーロッパ型の人材派遣法と違いますから、そういう意味でもマイナスの効果というのは否定できないというふうに思います。 済みません、もう一つ何でしたか。
○吉川春子君 三カ月という期間の根拠を説明されましたよね。
○参考人(保原喜志夫君) わかりました。どうも済みません。 それは正直な話、頭が痛いです。公的な施設が、先生御指摘のように十分ではない。したがって、三カ月で見通しがついたら、はいすぐに十分な公的な施設に入れるかというと、そうではないですね。そうではないんですけれども、結局見通しがつく段階で後は介護休業以外の方法を考えるほかはなかろうというそういうことであります。長いにこしたことはないんですが、諸般の事情、今までいろいろ議論があったようないろんな事情を考えると、見通しがつくような段階までで今回の立法は一応限度とするというのが妥当であろうという考え方でありまして、十分というふうには思っていません。
○吉川春子君 時間ですので終わります。
○委員長(笹野貞子君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々に一言お礼のごあいさつを申し上げます。 参考人の方々には、長時間にわたりまして御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 本日の審査はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十八分散会