労働委員会 第1号
- 発言数
- 13 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1995/02/09
会議録
○委員長(笹野貞子君) ただいまから労働委員会を開会いたします。 議事に先立ちまして、去る一月十七日に発生いたしました兵庫県南部地震災害により亡くなられました方々並びに御遺族の方々に対し、謹んで哀悼の意を表します。 ここに、犠牲者の方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。 どうぞ御起立をお願いいたします。黙祷を願います。 〔総員起立、黙祷〕
○委員長(笹野貞子君) 黙祷を終わります。御着席願います。 —————————————
○委員長(笹野貞子君) 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、細谷昭雄君、風間昶君、石井一二石及び平井卓志君が委員を辞任され、その補欠として西岡瑠璃子君、星野朋市君、和田教美君及び大河原太一郎君が選任されました。 —————————————
○委員長(笹野貞子君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。 本委員会は、今期国会におきましても、労働問題に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(笹野貞子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(笹野貞子君) それでは、労働問題に関する調査を議題とし、労働行政の基本施策について、労働大臣から所信を聴取いたします。浜本労働大臣。
○国務大臣(浜本万三君) 労働大臣の浜本でございます。 労働委員会の御審議に先立ち、今後の労働行政についての所信を申し述べ、委員各位を初め、国民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。 特に当委員会は私も所属をした経験がございますので、格別よろしく御協力をお願い申し上げます。 初めに、兵庫県南部地震により亡くなられた方々及びその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表するとともに、負傷された方々、避難生活を続けておられる方々に対しましても、心からお見舞いを申し上げたいと存じます。 労働省といたしましては、地震発生以来、被災者の救護や被災地の復興に全力を挙げて取り組むこととし、まず、緊急の対策として、労災病院における救急医療活動や被災者に対する雇用促進住宅の提供等の対策を講ずるとともに、被災に伴う経済活動の混乱の中で、被災労働者の雇用の安定を確保することが重要であることにかんがみ、激甚災害法に基づく雇用保険の特例を発動し、事業所の被災により休業を余儀なくされた労働者に対して失業給付を支給することとしたほか、被災地域内の事業主が労働者を休業させる場合等においては、業種のいかんを問わず、雇用調整助成金を特例的に支給すること等を決定し、順次実施に移しております。 また、これらの措置が的確かつ円滑に実施されるよう、被災労働者や事業主に対してきめ細かな相談体制を整えるべく、関係公共職業安定所に特別相談窓口を設置いたしました。さらには、今後、新規学卒者についての採用内定取り消し等の動きが懸念されることから、新卒者等の雇用機会の確保に万全を期すべく、事業主団体への要請を行うとともに、新卒者等への雇用調整助成金の拡大適用等について検討を行っております。 また、被災地の復興対策に関しては、災害復旧工事等が、今後、相当長期間かつ大規模に実施されることが予想されることから、それに必要な労働者の確保及びこれらに従事する労働者の安全衛生の確保のための対策に万全を期してまいります。 さて、我が国経済は、緩やかながら回復基調をたどっているものの、雇用情勢は依然として厳しい状況にあります。雇用の回復がおくれることは、景気の回復にも悪影響を及ぼしかねないことから、景気の回復を支えていくためにも、雇用対策の一層の推進が必要であります。 一方、中長期的に見ると、経済活動の国際化や技術革新の進展等により経済環境の変化が進むとともに、出生率の低下、高齢化の急速な進展等に伴い、大きな産業・就業構造の変化が見込まれており、こうした変化に対応した雇用対策の確立が急務となっております。また、雇用就業形態の多様化などに対応して、個々の労働者の能力が十分活用されるような環境整備を進めるとともに、職業生活と家庭生活の調和を図ることが必要であります。 こうした状況に的確に対応し、二十一世紀に向けて我が国社会経済の活力を維持し発展させるため、次の事項に重点を置きつつ、安心、ゆとり、活力に満ちた社会の実現を目指して、積極的に労働行政を推進してまいる所存であります。 第一は、経済社会構造の変化等に対応した雇用対策の推進であります。 労働省としては、雇用支援トータルプログラムの実施により、雇用の安定に一定の成果を上げてきておりますが、引き続き、離職者の再就職促進に重点を置いた取り組みを強力に推進してまいります。 特に今春の新率者の就職環境は依然として厳しい状況にあることから、就職面接会の開催、求人情報の提供など積極的な対策に努めてまいります。 また、円高等により生産拠点の海外移転が進展するなど、産業構造は大きく変化しつつあります。こうした状況のもとでやむなく必要となる労働移動については、できるだけ失業を経ることなく行われることが、社会にとっても個々の労働者にとってもよりよい対処のあり方であると考えております。このため、失業なき労働移動のために出向等や移動前後の教育訓練に取り組む事業主を支援すること等を内容とする特定不況業種雇用安定法の改正案を今国会に提出したところでありますので、よろしく御審議をお願い申し上げます。 さらに、急速な高齢化の進展に対応するため、二十一世紀初頭までに、少なくとも六十五歳まで現役として働けるような社会の実現を目指していくことが重要であります。 このため、六十五歳までの継続雇用をさらに推進するとともに、高齢者がその就業ニーズに対応した多様な形態により働けるよう、環境整備を行ってまいります。 あわせて、雇用継続給付の創設等を内容とする改正雇用保険法については、本年四月からの施行に向けて、これらの給付制度を確実かつ円滑に実施できるよう、体制の整備に努めてまいります。 なお、失業対策事業については、昭和四十六年に新規流入を停止し、事業の円滑な終息に向けた取り組みを行ってきたところでありますが、その対象となる失業者数が大幅に減少しておる現状にかんがみ、緊急失業対策法を廃止する法律案を今国会に提出することといたしておりますので、よろしく御審議をお願い申し上げたいと存じます。 その他、産業間、企業間の移動を余儀なくされる労働者に対する教育訓練を実施する場合の支援の充実を初め、構造変化に適切に対応した職業能力開発施策を積極的に展開してまいります。 第二は、職業生活と家庭生活との両立の支援及び女性の能力発揮を可能にする環境の整備であります。 少子・高齢化が急速に進展している中、勤労者が生涯を通じて充実した職業生活を営むためには、仕事と育児や家族の介護とを両立させつつ、その能力や経験を生かすことのできる環境を整備することが極めて重要であります。 このため、介護休業制度の法制化及び育児や家族の介護を行う労働者に対する支援措置についての法的整備等を内容とする育児休業法の改正案を今国会に提出したところでありますので、よろしく御審議をお願い申し上げたいと存じます。 なお、育児や家族の介護という家族的責任を有する男女労働者に関するILO百五十六号条約につきましても、早期批准に向け、関係省庁と連携して取り組んでまいります。 また、雇用の場における男女の均等な機会と待遇の確保やパートタイム労働者の雇用管理の改善等にも努めてまいります。 第三は、働きがいがあり安心して働ける勤労者生活の実現であります。 まず、労働時間の短縮については、政府目標の年間総労働時間千八百時間の早期実現に向け、完全週休二日制の普及促進などに努めるとともに、特に、週四十時間労働制の適用が猶予されている中小企業などができる限り早期に四十時間制に移行できるよう、積極的な支援を行ってまいります。 また、職場における安全と健康の確保のための対策を推進するとともに、いわゆる過労死問題については、このたび改正いたしました認定基準に基づき、迅速、適正な労災補償の実施に努めてまいります。 さらに、労災保険制度については、高齢化、核家族化等今日の社会経済情勢の変化に的確に対応し、その充実を図っていく必要があることから、重度被災労働者に対する介護補償給付の創設、遺族補償年金の給付水準の改善等を内容とする労働者災害補償保険法の改正案を今国会に提出することといたしておりますので、何とぞよろしく御審議をお願い申し上げます。 これに加え、中小企業の魅力づくり対策や勤労者福祉の充実のための施策を積極的に推進してまいりますが、特に最近における厳しい金融情勢のもと、本格的な高齢社会を迎え、退職金制度が一層重要なものになっている状況に対応して、中小企業退職金共済制度の財政的な安定を維持するとともに、本制度の充実を図ることを内容とする中小企業退職金共済法の改正案を今国会に提出したところでありますので、よろしく御審議をお願い申し上げたいと存じます。 このような施策の展開に加え、障害者雇用対策の推進、国際協力・交流の展開、技能実習制度の適正かつ円滑な実施、さらには外国人労働者の雇用管理の改善などにも適切な対応を行ってまいります。 また、安定した労使関係の維持発展を図るため、労使の話し合いが促進されるよう努めてまいります。 以上、当面する労働行政の重点事項について、私の所信の一端を申し述べました。 私は、労働行政を預かる者として、働く人一人一人が職場でも家庭でも輝くことのできる社会の実現のために全力を挙げて取り組む所存であります。委員長を初め、委員各位の一層の御理解と御協力を賜りますよう心からお願いを申し上げまして、所信にかえたいと思います。 どうもありがとうございました。
○委員長(笹野貞子君) 次に、平成七年度労働省関係予算について説明を聴取いたします。伊藤労働大臣官房長。
○政府委員(伊藤庄平君) それでは、平成七年度労働省所管一般会計及び特別会計予算案の概要について御説明申し上げます。 労働省所管の一般会計は四千六百五十一億円で、前年度に対し四十六億円の増額となっております。 なお、雇用保険国庫負担金について、平成六年度と同様に、三百億円を控除して労働保険特別会計雇用勘定に繰り入れる特例措置を実施することといたしております。 労働保険特別会計につきましては、全体で五兆二千二十七億円で、前年度に対し九百二十八億円の減額となっております。 これを勘定別に申し上げますと、労災勘定は二兆千六十九億円で、前年度に対し千九百四十四億円の減額となっております。これは、保険料率の改定に伴う保険収入の減額などによるものであります。 雇用勘定は三兆九百五十八億円で、前年度に対し千十六億円の増額となっております。 石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計の石炭勘定につきましては、労働省所管分は百六十一億円で、前年度に対し一億八千万円の増額となっております。 以下、その内容につきまして、新規事項を中心に御説明申し上げます。 第一は、経済社会構造の変化等に対応した雇用対策の推進であり、その一は、産業構造の変化等に対応した雇用対策の展開であります。 円高、国際化の進展等による産業構造の変化により、一部の業種においては、雇用量の減少を余儀なくされ、労働移動が避けられない状況にあります。このため、これらの業種における失業をできるだけ防止すべく、出向、再就職のあっせんによる雇用機会の確保や労働移動の際の能力開発に対する支援対策を推進することとしております。 また、依然として厳しい雇用情勢に対処するため、平成六年度限りの措置である雇用支援トータルプログラムを雇用の動向を見つつ当面継続して実施することとしております。 さらに、改正雇用保険法に基づく高年齢雇用継続給付及び育児休業給付につきまして、円滑かつ確実な実施を図ることとしております。 その二は、産業・職業構造の変化に対応した職業能力開発の推進であり、自己啓発対策の充実やホワイトカラーを中心とした職業能力開発の推進を図ることとしております。 その三は、新卒者を中心とした若年者対策の拡充であります。 大学等の新規学卒者を取り巻く就職環境は大変厳しい状況にあります。このため、未就職卒業者に対する職場体験プログラムの実施、合同選考会の開催や機動的な職業能力開発の実施といった就職支援対策の強化を図ることとしております。 その四は、高齢化に対応した高齢者対策の総合的展開であります。 六十歳定年を基盤とした六十五歳までの継続雇用を積極的に推進するとともに、地域における高齢者雇用の促進に対する支援事業の創設やシルバー人材センターの増設など高齢者対策の一層の推進を図ることとしております。 第二は、職業生活と家庭生活との両立と女性の能力発揮を可能にする環境の整備であり、その一は、介護対策の充実等職業生活と家庭生活との両立支援対策の推進であります。 少子化、高齢化が進む中で、育児や介護の問題は、労働者が働き続ける上で重大な問題となっております。このため、介護休業制度導入奨励金を創設するとともに、育児・介護費用助成金の創設、両立支援セミナーの実施など育児、介護等を行う労働者が働き続けやすい環境づくりを推進することとしております。 また、重度被災労働者に対する介護施策の充実を図ることとしております。 その二は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等対策の推進であり、女子学生の均等な就職機会の確保を含め男女雇用機会均等の確保等の対策を推進することとしております。 また、女性の地位向上のための施策の推進を図ることとしております。 その四は、女性の社会参加についての支援事業であります。 少子化、高齢化が急速に進む二十一世紀に向けて働くことを中心に女性の社会参加や地位向上を支援するための事業を行うこととして、女性の歴史と未来館(仮称)を設置するものであります。なお、このうち六億円については、公共投資重点化枠に係る予算額であります。 その五は、パートタイム労働対策の総合的な推進であります。 雇用改善等のための援助事業の実施やパートバンクの増設等による労働力需給調整機能の強化、労働条件対策など総合的な対策を推進することとしております。 第三は、働きがいがあり安心して働ける勤労者生活の実現であり、その一は、労働時間の短縮を初めとする労働条件対策の総合的推進であります。 中小企業の週四十時間労働制実現に向けた支援措置の拡充、年次有給休暇の取得促進などを行うこととしております。 その二は、職場における安全と健康の確保及び的確な労災補償の実施であります。 労働災害防止対策の一層の推進を図るとともに、健康確保対策、快適な職場環境の形成などを推進することとしております。 また、労災保険制度につきまして経済社会の変化に対応した改善を図ることとしております。 その三は、中小企業の魅力づくり対策の推進であり、中小企業退職金共済制度の見直し、中小企業集団の安全衛生活動への総合的な支援などを推進することとしております。 その四は、勤労者福祉対策の推進であり、勤労者財産形成制度の充実、快適通勤の実現のための環境整備などを図ることとしております。 第四は、障害者等に対する対策の推進であります。 その一は、障害者対策の積極的な推進であり、地域障害者雇用推進モデル事業の拡充等の重度障害者雇用対策や職業リハビリテーションの充実などを図ることとしております。 その二は、特別な配慮を必要とする人々に対する職業生活援助等対策の推進であり、援助対象者に応じ、それぞれきめ細かな対策を引き続き推進することとしております。 また、これらのうち失業対策事業及び炭鉱離職者緊急就労対策事業につきましては、昨年十二月の失業対策制度調査研究会の報告を踏まえ、平成七年度末をもって終息させることとしており、そのために必要な予算を計上しているところであります。 第五は、国際社会への積極的貢献であります。 国際協力を積極的に展開するとともに、技能実習制度の円滑な実施、職業能力開発短期大学校への外国人留学生の受け入れなどを行うほか、外国人労働者問題への適切な対応を図ることとしております。 以上をもちまして、労働省関係予算案の概要の説明とさせていただきます。 何とぞよろしくお願い申し上げます。
○委員長(笹野貞子君) 以上で所信及び予算の説明聴取は終わりました。 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。 —————————————
○委員長(笹野貞子君) 次に、先般当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。庄司君。
○庄司中君 委員派遣について御報告申し上げます。 本委員会の委員派遣は、去る一月十七日から十九日までの三日間、最近における雇用失業情勢と雇用対策等につきまして長崎県及び佐賀県の実情を調査してまいりました。 派遣委員は、笹野委員長、野村理事、吉川理事、武田委員、三石委員及び私、庄司の六名でございます。 長崎県におきましては、県から労働行政の概況説明を聴取するとともに、三菱重工業長崎造船所及び長崎労災病院を視察いたしました。 まず、長崎県の雇用失業情勢についてであります。 県内の経済は緩やかに回復傾向をたどっているものの、雇用情勢は依然として厳しい状況にございます。すなわち、昨年十一月の有効求人倍率は〇・六三倍で、前月より〇・〇一ポイント低下しております。また、卒業予定者の同月末における就職内定率も大学等で四二%、高校で七九%と、前年同期に比べそれぞれ九・六ポイント、三・五ポイントの低下を示しております。さらに、昨年末において県内主要企業の四五・二%が残業規制や中途採用の削減といった雇用調整を実施しております。こうした厳しい状況の中で、県としては知事みずから企業に赴き、雇用の維持を要請するなど、雇用の場の確保に最大限の努力をしているとのことでございます。 その他の課題として、労働時間の短縮と女性労働の問題が挙げられました。長崎県は、商業や接客業などが多いこともあって中小企業の占める割合が高いため、所定内労働時間、総実労働時間のいずれも全国平均に比べ年間で七十時間ほど多くなっております。そのため、中小企業を中心に時短の指導、援助の強化を図っているとのことでございます。女性労働の問題では、介護休業制度の普及促進に特に力を入れており、百人以上の企業に指導的役割を果たしてもらうべく制度の導入に理解を求めているとのことであります。なお、現在、婦人少年室の職員は五名でありますが、女性労働に対する施策の重要性から、増員の必要性が指摘されました。 次に、三菱重工業長崎造船所では、火力発電用タービンなどを製作しているタービン工場、長さ千メートルのドックを有する香焼工場を視察するとともに、円高など厳しい経営環境のもとにおける今後の企業のあり方などについて説明を受けました。 本造船所の生産高の四割程度が輸出のため、円高は非常に厳しい条件となっており、今後は高度技術を駆使し、技術的に他国の追随を許さないような高付加価値船、省エネルギー船、高速物流船の建造などに力を入れたいとのことであります。また、大型タンカーの分野では、韓国の賃金が日本の三分の一以下ということもあり、韓国に抜かれておりますが、一層の経営努力で対抗していきたいとのことでございました。なお、昨年、本造船所内で、労災により一人の死亡者を発生させてしまったため、労災防止には最大限の努力をしているとのことであります。 次に、長崎労災病院では、労災病院のあり方そのものが問われた平成五年の総務庁勧告の受けとめ方を中心に意見の交換が行われ、病院側から次のような説明を受けました。 第一に、労災病院においては、一般患者が多くなり、労災患者の割合が七%程度に低下しておりますが、これは、労災病院が地域に密着し、しかも高度の医療を行ってきたため、地域住民の信頼を得た結果であろう。第二に、労災患者は長期慢性化する例が多いが、他の病院では採算上から十分な医療を受けることが困難な場合が多いので、労災病院が重要な役割を果たしている。第三には、労災患者に対する医療という側面だけでなく、今後は、勤労者全体の健康管理にかかわる面を重視した病院運営が必要であろう。第四は、各労災病院が、地域、行政、近隣の病院などと地域の各病院の役割や特色について十分に話し合い、合理的な機能分担を図る必要があろう。さらに、本院は労災病院の中でも、脊椎損傷、脳出血、循環器疾患に対する医療水準ではトップレベルにあるが、全国の各労災病院もそれぞれ特色を発揮していくことが重要であろう。 佐賀県におきましては、県から労働行政の概況説明を聴取するとともに、深川製磁株式会社、三玄窯、唐津水協商事株式会社を視察いたしました。 まず、佐賀県の経済の情勢は非常に厳しいものがあり、鉱工業生産指数、大型小売店販売額、企業倒産件数などいずれも回復傾向を示しておりません。特に、産業空洞化の影響で、県内の下請中小企業の倒産も目立っているとのことであります。また、畜産関係は、円高の影響で打撃を受けているとのことであります。県としては、平成十年に予定している佐賀空港の開港、来年七月から十月まで有田地区で開催される「世界炎博」などを経済回復の契機としても期待しております。なお、雇用情勢は依然として厳しいものの、昨年十一月の有効求人倍率は〇・七四倍で、前月より〇・〇二ポイント上昇しております。また、障害者の雇用には力を注いでおり、昨年の雇用率は一・九六%で全国トップレベルにあるとのことでございます。 労働時間は、中小企業の占める割合が高いこともあって、所定内労働時間、総実労働時間のいずれも、全国平均に比べ年間で実に百十時間以上も多くなっております。その原因としては、週休二日制の普及が全国レベルに比し三年ほどおくれていることが挙げられるため、その普及を労働行政の柱の一つとしているとのことであります。 労働災害の防止には力点を置いているとのことでありますが、高齢者の被災率が高いことや交通事故による労災の多いこともあり、減少率が鈍化しているとのことであります。 女性労働の問題では、長崎県と同様に、介護休業制度の普及促進に特に力を入れており、今年度から新たに、中小企業等への啓発事業を経営者協会に委託しているとのことであります。 深川製磁株式会社では、伝統的な技法を継承した製磁の工程を視察するとともに、雇用状況、職場環境等について話を伺いました。 磁器製造業も、現在の景気の影響をもろに受け非常に厳しい状況にあり、多くの企業が雇用調整助成金の支給を受けておりますが、雇用の維持確保には最大限の努力をしているとのことでございます。磁器製造の工程は、絵つけ、ろくろ回しなど、繊細で、一定の体勢を保ち、さらに根を詰める必要がある作業が多いため、眼精疲労、腱鞘炎、腰痛などを起こしやすいとのことであります。そのため会社としては、労災や職業病に結びつかないよう、職場の安全性と環境には十分配慮しているとのことでございます。なお、絵つけの材料や磁器材料の関係で、鉛毒やけい肺が心配な時期もありましたが、材料の吟味等により、現在心配はないとのことであります。 次に、中里重利氏の窯である三玄窯に赴きました。中里重利氏は、重要無形文化財唐津焼保持者に認定された先代中里太郎右衛門氏の三男であり、先代のもとで厳しい修行を積み、その技芸の保持、伝承と、さらに独自の作風を開くべく御努力されております。 唐津水協商事株式会社では、水産加工業の経営の苦悩、漁業・水産労働の厳しさなどについて説明を受けました。 同社は、他の十六組合員、これは事業者の組合であります、労働組合じゃありません、とともに水産加工団地協同組合をつくり、冷凍冷蔵施設の共有などによるコストの削減、汚水処理など公害の防止にも共同で取り組んでおります。同社の営業内容は、主にノルウェーから輸入した冷凍サバを解凍し、揚げ物材料に加工することなどであります。 労働の内容は非常に厳しいものでございました。すなわち、生ものを扱っているため暖房は使えず、非常に低温の作業場の中で、零下三十度以下の冷凍サバのブロックを人手で一匹ずつに解凍する作業、零下五度以下のサバの内臓や骨を除去する作業などは、想像以上に厳しいものでございました。腱鞘炎なども出やすいため、会社としては従業員の健康管理に特段の配意をしているとのことでございました。さらに、採算上の制約から、それらの仕事に対して、時給六百円から六百五十円程度しか支給できないため、人手を確保するのに苦労するとのことでございました。現在、苦肉の策として、従業員七十九名の約半分を別会社からの出向に依存しているとのことでございました。 こうした経費節減の努力にもかかわらず、売り上げも停滞するなど経営状況は厳しく、景気は緩やかな回復傾向にあるとの政府の分析を素直に受けとめることができないほど深刻であるとの印象が述べられました。 以上簡単ではございますが、今般の委員派遣の概要について御報告申し上げました。 最後に、今回の委員派遣に当たり、格段の御高配を賜りました関係者各位に対し、深く感謝申し上げたいと存じます。 以上でございます。
○委員長(笹野貞子君) 以上をもちまして派遣委員の報告は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時三十九分散会