中小企業対策特別委員会 第7号
- 発言数
- 60 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1995/06/13
会議録
○委員長(石渡清元君) ただいまから中小企業対策特別委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る五月二十二日、溝手顕正君、河本三郎君、南野知惠子君、牛嶋正君及び竹村泰子君が委員を辞任され、その補欠として岩崎純三君、井上章平君、竹山裕君、片上公人君及び櫻井規順君がそれぞれ選任されました。 また、本日、前畑幸子君が委員を辞任され、その補欠として堀利和君が選任されました。 —————————————
○委員長(石渡清元君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石渡清元君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に及川一夫君を指名いたします。 —————————————
○委員長(石渡清元君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 中小企業対策樹立に関する調査のため、本日、参考人として文理情報短期大学教授柏木孝之君、ゼンキン連合書記長相馬末一君、全国卸商業団地協同組合連合会副会長吉野哲治承及び財団法人KSD中小企業経営者福祉事業団理事長古関忠男君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石渡清元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、小規模事業者の声を聞くため、全国中小業者団体連絡会の代表を参考人として出席を求めることの提案がありましたが、御遠慮いただきました。 —————————————
○委員長(石渡清元君) 中小企業対策樹立に関する調査を議題とし、これからの中小企業政策の課題に関する件につきまして参考人から御意見を聴取いたします。 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(石渡清元君) 速記を起こしてください。 この際、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。 本日は、御多忙のところを本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。皆様から忌憚のない御意見を伺いまして、今後の国政審議の参考といたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。 なお、議事の進め方といたしましては、柏木参考人、相馬参考人、吉野参考人、古関参考人の順でそれぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただくということでお願いいたしたいと存じます。 なお、委員には起立して質疑をお願いいたしますが、参考人の方々の意見陳述、質疑に対する答弁は御着席のままで結構でございます。また、御発言の際は、その都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと存じます。 それでは、これより柏木参考人に御意見をお述べいただきたいと存じます。柏木参考人。
○参考人(柏木孝之君) 今、御紹介にあずかりました文理情報短期大学の柏木でございます。専門は、中小企業論、経営管理論それから経営立地論が本来の専門ですけれども、経営立地論に基づく地域開発あるいは都市計画というあたりで中小企業を二十数年にわたりずっと勉強させていただいてまいりました。 本日は、中小企業の直面する諸問題と対応する方向というふうなことで課題をいただいていますが、特に一番問題になっていることというのは、中小企業が急激に減っているという問題だと思います。 なぜ急激に減っているか。ちなみに申しますと、大田区の機械工業ということで大田区だけに限りますと、約九千が七千ぐらいに減っています。極端な例を最初に申し上げましたけれども、そういう形でなぜ減ってきているか。 一番の問題は、円高とか不況とかという問題よりは、むしろ工業とか商業に共通している問題というのは後継者の不足です。ですから、後継者がすごく減ってきているということで、むしろ後を継ごうとする人たちがいない。これは息子であっても、例えば企業に入っている人でもそうなんですが、そういう人であっても創業者の後を継ごうという意欲が非常に少なくなってきているというのが基本的に申し上げますと一番の問題であるというふうに思っております。 なぜ後を継ごうとしないか。現象的に申しますと、例えば中小企業の工場を見ていると、皆さん方も多分いろいろなところを見ておられると思いますけれども、両親があれだけ十二時間とか十六時間働いていても、例えば大田区なり港区の企業、あるいは地方の企業へ行かれても、マシニングセンターとかNCという数値制御の機械を入れて一生懸命働いて努力しているにもかかわらず車一台を維持できないような状況である。 ということは、もっと言えば付加価値が上がらないという問題があるわけです。付加価値が上がらないということは、端的に申しますと粗利、もうけが出ない。ですから、車一台も持たずにホンダのカブあたりで部品を運ばなきゃいけないという状況が中小零細には極めであるという問題がある。それを見ている子供たちあるいは一緒にやっている人たちは、おやじの後を継ぎたくないというのが非常に大きい。 特に統計で見ますと、三人以下とかあるいは九人以下というその辺のクラスですと三〇%ぐらい、ちなみに東京都のアンケートで申しますと、東京都の機械工業で三〇%ぐらいは後継者がいないという結果が出てきています。これは非常に大きな問題です、三分の一がいないというんですから。 それから、そこにまつわる問題としては何かというと、一つは仕事が少ない、単価が安いという両方の追い打ちをかけられています。なぜ安くなるかというのは、人件費が若干高いという問題もあるんですが、基本的に申しますと国際競争の中で単価が決まってくる製品が工業の場合は非常に多うございます。したがって、国際競争の中で価格決定されたものの加工ということとかあるいは平成品づくり、サブアッセというふうに申し上げるんですけれども、サブアセンブリーというあたりは非常に安くなってきているというふうな問題がある。 そういうことを含めますと、どうしても息子の方はサラリーマンを志向してしまう。むしろ一カ月当たり幾らもらえるというふうなものがいいじゃないかと、おやじがあんな苦労しても難しい、もうおれはあれは継ぎたくないというふうな意思決定が先ほど申し上げた三分の一あるということです。 ところが一方、地方を見ますと、中小企業が徐々に伸びていって比較的経営者らしい企業になり得るんですね。例えば、三人とか四人であったのが、割と大手の量産工場の下請なんかをやりますと二十人、三十人の工場になってきて、若干社長らしい待遇ができるということで比較的息子が継承します。 ただ、継承しますけれども、この円高で、地方に出ていったのは何かというとハイテク量産製品、非常に技術的に確立されたマスプロ生産、量産製品が多いわけですね、例えばICにしてもステレオカセットデッキにしてもテレビにしても何にしても、技術が確立されていますから、その技術が確立されたものはそのまま海外へ生産を移行することが可能であるというものが多い。単価的に日本の労働費よりも他の国々の方が非常に安いという問題ですから、これが下手をすると、この状況の中では地方のそういう中クラスの企業もかなり揺さぶりをかけられて、後を継ぎたくないというふうなことを言い出しかねないという状況に今あるということです。 ですから、そういった意味で、工業の場合に一番急激に減っている原因というのは後を継ぐ人間がいない。 もう一つは、特に大都市部でそうなんですけれども、経営者が比較的高齢化しているということです。大体戦後に創業して、昭和三十年代、四十年代に創業した人たちが五十代、六十代、ひょっとすると七十代になってきているという状況で、後継者不足と経営者の高齢化という両面相まってかなり減ってきているという状況になってきている。これからもその傾向は続く可能性があるかなというふうなことを思っております。 一方、商業の方を見ますと、これも極めて深刻でして、両親の方は、やっぱり商店街で、例えば何間の店構えというふうに皆さん地方でも東京でもおっしゃいます。何間の、これだけの店構えがあるんだからというふうなことをおっしゃいますけれども、これだけの店構えがあっても人が来なきゃだめなんですね。客が来なかったらどうしようもない。ところが、両親にしてみればおれは呉服屋でこれだけの店構えがあるんだからすごい財産だと思っているのと、一方息子はそれは財産だと思っていない、このギャップが一番問題なんですね。 したがって、そのギャップのことを本人たちは考えない、しかもライフスタイルはモータリゼーション化してきて、それから買い物自身がまとめ買いになってきた。だから、商店街に行ってわざわざ井戸端会議をやってあちこち歩いて買い物をするんじゃなくて、スーパーに行ってまとめて買ってきちゃう。それで車に乗って週一回しか行かないという状況がライフスタイルとして多くなりました。したがって、商店街というのは、両親の方は店構えと、ところが息子たちはそういうのは財産じゃないというふうに思っているというギャップで基本的にはそれを継がなくなってきている。これが商業が減ってきている極めて大きな原因です。 ですから、もっと言いますと、郊外のショッピングセンターに店を出したところは、例えばキーテナントがあって、キーテナント以外の商店街が一緒に出たところは比較的そのまま継続的に息子が継いでいるというふうな傾向がありますけれども、従来の商店街のままに居続けているところは、地方の商店街をよく見ていただければ、歯抜けの現象、途中途中がほとんど閉店しているという状況がかなり出てきていると思います。 ですから、これは意識の差、それから後継者の方の判断が僕は合っているというふうに思っていますので、こういう現象もやっぱり続くんだろうというふうに思っています。 じゃ、なぜそういう中小企業が減ってしまうかというふうなことで、その減る現象というのは基本的にはこれからも続くだろうというふうに判断した方がいいと思います。なぜ続くかといいますと、一つは業態が先ほど申し上げたように変化しているということです。 ですから、ただ単に売るだけじゃなくて、いろんな説明をしたりいろんな形で提案をしたりするようなものになっていく、あるいは使うもの自体が非常にファッショナブルなものになったりいろんな物の形の考え方がついてきたりというふうなことでいいますと、業態がかなり変わってきている。ただ単なる加工だけでは成り立たないというふうなものとか、商業でも一品だけを売っていてはだめで、一つの提案型のものがない限りはだめだということでだんだん衰退して客が来なくなる、あるいは商店街が変わってきているということで廃業はかなりふえてくるので、これからもさらにふえてくるだろうと。 〔委員長退席、理事中曽根弘文君着席〕 それは、商業でいえばショッピングセンターで郊外化がさらに進みますから、当然商店街の方は減ってくるだろうというふうなことがあると思います。 もう一つ、一番問題なのは、新しく創業する人、清成先生風に言いますと起業ですね、起業する人たちが少なくなってきちゃっているという問題があります。新たに業を起こす人たちが四十年代、五十年代とかなりふえてきたんですが、それが少なくなってきているということが非常に問題だということで、かなりこれも減ってくるだろうと思います。 それから三つ目としては、やはり先ほど申しました円高に伴いハイテク量産品が海外に生産を移行してしまうという問題がありますので、きょうの日経の一面にもありましたように海外からの部品調達の方が安くなるというふうな問題もありますので、そういった問題で地元の企業あるいは地域の企業あるいは大都市の加工屋さんというのもその分減ってくるだろうという問題があります。 円高よりもっと深刻なのは不況による減少です。利が乗らない、利益が出ない、やっていてもしょうがないというという不況の、やっぱり市場の経済循環の中での付加価値がとれないという問題で当然廃業するというふうなことが出てくると思いますので、そういった問題がもう一つあると思います。 最後に、ちょっとこれはここで論ずるのがどうか問題なんですが、我々が地方を歩いていて一番問題なのは、従来の補助金で補助率のすごく高かった、こんなことを言っては恐縮ですが、農業機械なんかが極めて疲弊しています。これは北海道あるいは山形あたりの農業機械の二十億とか三十億の企業が非常に疲れています。これは何かといったら、そもそも必要以上の補助があったためにその企業の市場調査が非常にあいまいだったということがあって、その農業機械とかそれ以外も含めて、補助金のかなりついた工業に関しては物すごく疲弊しています。これは結果としてよかったか悪かったかは私は判断できませんが、すごく疲れていることだけは事実である。 それらが多分減ってくるだろうという問題も含めると、どうしてもそれらも含めてこの五つぐらいの問題の中でやっぱりまだまだ中小企業は減ってくるだろうというふうに言えるかと思います。 じゃ、どう対応するかというふうなことで申しますと、基本的には工業も商業も、空洞化という問題というのは我々日本経済を戦後生きてきた者の中でいいますとこれは成長のあかしであって、当然経済原理からして空洞化してくるのはしょうがない。そうすると、それをどう乗り越えるかというのを考えなきゃいけない。考えない企業は廃業するだろうし、減るだろうし、衰退するだろう。これは前提と踏まえた中でどういう努力をしていくかというのがかなり重要であると思います。 努力をしている企業は基本的にはまだまだ生き残っているし、帯広あたりでも、非常に労働集約的なものが一部内需拡大型の電子部品産業を含めて、一部手加工を入れた中で安くつくるというふうな生産システムをつくって、そういう形で生き延びているというふうなのがあったり、あるいは山口の小野田あたりへ行っても真空技術を使いながら残ったりというふうなことで、例えば帯広で先ほど申し上げた農業機械の市場限界があるんですけれども、そういう市場限界を突破するような企業というものが必ず出てくるということです。 ですから、もっと言いますと、大体建設業とか農業機械なんていうのは市場限界を突破できませんが、それを突破するような企業がかなり出てくるというふうなことで、そういう企業は育成すると。 それから、ぜひベンチャー企業をふやしてほしい。ということは、ハイテク量産品が海外生産へ移行するとベンチャーとか研究開発型企業をかなり伸ばさなきゃいけないということでいいますと、その技術が、昔私が十年前に歩いたときには大田区には十ぐらい五十億なり百億になりそうな企業があった。だけれども、今歩くと二企業とか三企業しかないというふうなことで、そういうふうな企業が減ってきているということが非常に問題なんで、ベンチャi企業をふやすような仕組みをどうつくっていくかというのをぜひ日本国全体として考えていきたいというふうに思います。 それから三番目は、やはり新しく業を起こす創業者をふやしたいというふうに思います。それには金融の問題がかなり問題でして、基本的には土地を担保にしか金を借さないという金融システムがどうしてもずっと続きます。技術を担保に金を貸さない。これが多分創業をすごく少なくしている原因だと思います。ですから、そういう金融システムに対しても何らかの形でそういうふうなことが担保されるような形、技術あるいは人間を担保にできるというふうな仕組みをつくっていただくと、もっともっと創業がふえて日本経済が中小企業から刺激を与えながら活性化していくんじゃないかというふうに学んだ学問の中では思っております。 以上です。
○理事(中曽根弘文君) ありがとうございました。 次に、相馬参考人にお願いいたします。相馬参考人。
○参考人(相馬末一君) まず、私が所属をいたしますゼンキン連合の組織的な状況を申し上げてからお話をいたしたいと思います。 私どもゼンキン連合は三十二万の組合員を有しておりますけれども、その八五%は中小企業に働く労働者でございます。現在一千百程度の組合が入っておりますけれども、そのうち千社ぐらいが中小、こういうことでございますから、私どもの労働組合の活動の中心は、まさに中小企業そのものに対する対策をどう進めるか、こういうことでございます。 〔理事中曽根弘文君退席、委員長着席〕 きょう求められておりますいわゆる技能労働者の減少問題というのは、実は連合ができてすぐ、連合の中に中小企業対策の委員会が設置をされた段階から、私どもの立場から基礎技術の保有といいましょうか、それをきちっと意図して日本は取り組んでいく努力をしなければ最終的には技術の空洞化というものを起こしていくのではないか、こういう危惧の念を連合の中に持ち出しましていろいろ研究なり調査をいたしました。今日、国会でこういう問題を取り上げていただくというのは大変うれしいことだと思っています。 きょうはそういう意味で、今、柏木先生が中小企業をめぐります経営基盤そのものに対します状況を報告いたしましたから、私はそれを支えております技術の状況というものを御説明申し上げて、中小企業の実態なり日本の物づくり基盤の問題についてお考えいただきたい、こんなふうに思います。 そこで、端的な例を申し上げますと、三K職場という問題が非常に最近話題になっておりますし、若い人たちがその職場につかない、こういうことがよく言われていますけれども、例えば鋳物でありますとかあるいは鍛造でありますとかあるいは金型でありますとか、こういう大変労働のきつい職場の問題について特徴的な例で申し上げますと、今先生の御指摘がありましたように戦前戦後あるいは集団就職世代の人たちが現実にはこの産業を支えているわけです。 日本の経済の発展なり産業の発展というのは、戦前戦後を通して企業の中で進めてまいりましたいわゆる養成工という企業の中で技能者を養成する制度というものをずっと持って、集団就職の世代ですから三十年代の後半ぐらいまではあったと思います。その人たちが長い勤務の中で技術を集積させて今日の日本のこの高い水準の技術を維持しているわけですね。これが今まさに枯渇をしていこうとしている。そういう現象の代表的な職場が鋳物でありますとか鍛造でありますとか金型でありますとか、代表的な事例として挙げるならばそういうところをよく見ていただくとわかると、このように思うんです。 例えば鋳物でいいますと、今日では大変金型技術というものが発達をいたしておりますから、皆さんがイメージするような暗い鋳物工場のイメージというのはありません。大変されいになっていますし、環境もよくなっています。 問題は、例えば量産的なもの、あるいは技術が安定しているものについては金型でもいいんでしょうけれども、新しいもの、新しく創造して何かをつくる、そういう場合には金型ではなくて木型というものがあるんですね。もともと鋳物というのはその木型の技術が発達をして、もちろん材料の技術というものも発展をいたしておりますけれども、そういう物をつくる、たくみの世界じゃありませんけれども、そういうのがあって今日の鋳物というのは実はあるわけです。そういうものが、既に木型工がいなくなる。 それから、例えば鍛造品も、よく汚いからロボットにかえるという話がございます。実はロボットにかえられないんですね。皆さんも乗っております自動車のあのクランクですね、ああいう質の高い鍛造品というのは全部人間の勘と技術によってつくったものでなきゃだめなんです。 ですから、そういうものを維持するには、やはり基礎技術としてしっかりと産業育成なり技術の育成というものを考えていかなきゃならない。 それからもう一つ、例えば金型なんかは代表的な例でありますけれども、今国際技術の問題が言われてまいりましたけれども、中小企業の起業率の問題というのを先ほど柏木先生がおっしゃいましたけれども、実はこれはかって大企業で働いていた技能工の人たちが製造業でいいますれば自分で企業を起こして中小企業を支えてきたと、こういうふうに言ってもいいと思うんです。 その場合に、例えば金型工なんかは、大企業が生産を上げていく、効率を上げていく、国際競争力をつけていくという意味合いてほとんど内製化をやめて、実は中小企業に仕事も技術もおろしていたわけですね。ですから、電機産業でいいますと、例えば金型技術というのは、もう既に大企業の中で金型をつくる技術はありません。言ってみれば中小専用の問題です。例えば大変薄いミクロンのような板を切る金型技術などというのは、これは大企業にはありません、中小企業の中に蓄積されたものです。ですから、このような金型技術というものも、今の年代の人たちがやめてまいりますと後継者がいませんから、経営者ではありませんけれどもその技術を後継していく対象がいないわけですから、日本の国からそのような技術が失われていくと。 それから、工作機械なんかでよく使いますキサゲという仕事がございました。皆さんも御存じのように今は平面研削盤が、ミクロンの世界で平面研削できるような工作機械がどんどんできていますね。しかし、実際にはどんなにミクロンで精度の高い接面をつくっても、凹凸がなければ機械は動かないんです。横にスライドしないんです。キサゲというのは、そこにミクロンの世界における凹凸をつけて、油の乗りをよくして精度のある工作機械をつくる。そのものを、きついということによって、我が国の工業機械をつくってまいりました工場の中でキサゲの作業をどんどん取り除いて平面研削盤にかえましたけれども、今やその人たちがいなくなった。 しかし、やはり翻ってみると、本当に質の高いものをつくるにはそういう技術が必要だということで、かつてやめた方を講師にお呼びになって企業の中で訓練をする、こういう作業が実は始まっているんです。 それから、皆さん時計をはめていらっしゃいます。今、私たちの時計というのは、ほとんどみんな水晶発振で代表されますような、昔のメカ時計じゃございませんね。ところが、東南アジアその他貧しい国へ行きますとこの電池をかえるというのは大変ですから、改めてまた機械時計というものがはやってまいりました。機械時計がはやってまいりますと、機械を修理するというのは、町の時計屋さんはほとんどもう修理ができません。そういたしますと、修理をする技術がもう実はないんですね。ですから、大企業では修理をするためにかつての人たちをお呼びして修理の技術を習得するための作業を開始する、こういうことなどが実は起きているわけです。 ここで言いたいことは、今コンピューターですとかあるいはロボットに高い技術を習得させております、あるいはインプットいたしております技術の水準というのは、実は日本のその高い技能、技術を持っている労働者の水準がロボットにインプットされているんですね。そのロボットなりコンピューターというのは、そこから高い水準を生み出すものじゃないんですよ。それはそれでとまっているだけなんです。 ですから、技術の進歩というのは、生きている人間が日々努力を繰り返して新しいものをつくり出すと。このところを、私たちはやっぱり高度成長の中で効率というものを求め過ぎて基礎的な技術の大切さというものを忘れてしまったんではないか。ですから、ここで言いたいことは、やはり技術の枯渇というのは言ってみれば物をつくる基盤を失うことに等しい、このところをしっかり考えていくことが大変大事ではないか。 しかも、日本の産業、経済の発展を支えてまいりました中心は、製造業でいえば中小企業であります。経済の活力をつくってきたのも中小企業であります。物の創造性、新しい開発も実は中小企業なんですね。そこがだめになるということは日本の産業、経済がだめになる、こういう危惧を実は持っておりまして、そのことに対する技術の問題をどのように保全をしていくのか、育成をしていくのか、その体制をつくるのか、こういうことなんだろうと思います。そのために、私どもは幾つかの提案を実はいたしております。 それは、一つは、日本の社会に技術に対します社会的な評価基準というのは実はないんですね。ドイツと日本を比べたときに、ドイツの場合にはマイスター制度があって学歴と同じように技術の評価が社会的に非常にきちっとしている社会なんですね。日本にはそういうものはございません。学歴というものは大変大きなウエートを持っておりますけれども、技術に対する評価というのは全くないわけです。 ですから、一つの提案として、例えば労働省で技能検定試験というのがございます。こういうものに技術と賃金がリンクしていくようなそういう制度をつくるとか、そこで取った検定が企業の中で自分の技能としてリンクされていくような、そういう社会の仕組みというものをつくる努力が必要なわけです。 それと同時に、物をつくることの大切さというものを学校教育の時代からきちっと教えていくという、ここも非常に欠いている条件ではないのか、こういうことを私ども大変色惧をしているわけでありますので、そういう点に対します視点からの御検討をぜひお願いいたしたい、こんなふうに思います。 それからもう一つは、そのようなものをどういう形でコスト負担をするか、こういうことだろうと思うんです。かつては個別の企業が負担をしてきたわけでありますけれども、今そのような状況が企業の中にないとすれば、やっぱり公的な意味での援助施策、こういうものが非常に求められるんだろうと思います。ですから、その点についての社会的な意味での援助施策というものをどのように考えていくのかと。 今申し上げましたようなシステムとそれから援助施策というものが抱き合わせで考えられていくような、そういうものをお考えいただくことが大変大事ではないのか、そういうことの中で初めて技術の伝承、技術の向上というものができていくんだろうというふうに思っております。 ここで言うのは、個々の労働者の技術の水準というものはございますけれども、これは総体としてのやはり日本の技能、技術の水準の深さ、厚さといいますか広がりといいましょうか、そういう総体でもお考えいただくことが大変大事だと。今日のこの状況をつくってきたのは、戦前戦後を通してかなりの膨大なそういう技能群があって初めて今日の姿があるということを十分お考えをいただきながら、そういう日本の技術が枯渇しない、技術の空洞化が起こらない、技能の空洞化が起こらない方向で物を考えていくことが大変大事だと、そういうことを申し上げて、ぜひまたこの委員会でそのような観点からの御検討をいただければ大変ありがたいということを申し上げまして私の意見といたしたいと思います。 以上です。
○委員長(石渡清元君) ありがとうございました。 次に、吉野参考人にお願いいたします。吉野参考人。
○参考人(吉野哲治君) 商団連からやってまいりました吉野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 卸の立場は、もう既に皆様方御存じのように、時流に適合して変わっていくのが我々の産業でございます。 昭和三十八年に、次の時代は日本も成長期を迎える、あるいは車社会を迎えるということから、中小企業庁の卸の集団化事業の制度の創設で卸団地がスタートいたしました。高崎の卸団地は第一号団地として指定を受け現在に至っているわけですが、昭和四十二年に完成し、早いもので約三十年が経過いたしました。 おかげさまで、この制度をおっくりいただいたおかげで卸は順調に推移してまいりましたけれども、三十年を三つに分けてみますと、四十二年からの十年間というのは高度成長にも相乗らせていただきまして、あるいは団地に移転をしたという成果が出てまいりまして、大変成長をさせていただきました。そして、五十年代からの十年間は安定成長というんでしょうか低成長というんですか、成長が少しスローダウンしてまいりました。それでも十年間は少しずつでも成長を続けてまいりました。 しかし、この二十年で時流は大きな変化をいたしました。そして最近の十年、特にこの平成に入りましてから、卸は構造的な大きな問題に直面いたしました。そこへもってまいりまして、実は不況に突入ということでもって、今現在、卸は大変厳しい状況が続いている現状でございます。 ですから、三十八年に指定をいただいて以来、大変ありがたく成長したわけですが、今日ではそういう状況だということをまずお知りおきいただきたいというふうに思います。 次に、現状の流通業というんでしょうか、卸売業を先生方に、釈迦に説法になるかもしれませんが、ちょっと御披露をさせていただきたいと思います。 先ごろ発表になりました商業統計の中にはっきりと数字上出ているわけですが、卸は商店数においては七%、約三万二千店減少いたしました。全体では四十三万社ございます。そして、人員では二・七%、十二万七千人の従業員が減少いたしました。現在、約四百六十万人がこの卸に携わってございます。そして、販売規模は五百十四兆という規模を扱っているわけですが、これは何と平成三年に比べまして一〇・八%減少いたしました。 一方、流通業でも小売の方を見てまいりますと、小売で一番厳しく減少しましたのは四人以下の小売の店舗でございます。この四人以下の小売の店舗は、何と売り上げで二けた、二十数%という金額を三年間で落としました。しかし、小売全体を見ますと、商店数では三年間で六・六%減少し、十万五千店少なくなりました。現在、百五十万店ございます。人員では逆に五・五%増加をして、三十八万人増加をし、七百三十八万人の人が小売に携わっていらっしゃいます。売り上げは〇・七%ですが増加いたしました。約百四十三兆円でございます。 そうしますと、四人以下がそれだけ大きな減少をしていながら全体でふえているということは、大型店がこの間に出店をし、そして売り上げを増加した結果こういう状況になったんだと思います。大型店は人員でも売り上げても七%ぐらい三年間で成長をされています。 そうしますと、日本は過去五十年間、生産が中心で、そして卸に物が流れ、卸から小売にという長い流れに携わってきたわけですけれども、どうやらこの平成になりましてからその流れが逆になったという感じがしてなりません。というのは、小売主導型に変わりつつあるのが今回のこの商業統計の結果ではないかというふうに思うんです。その中でも、小売でも、小売という表現がいいのか悪いのかわかりませんが、大きなお店が中心になって既に流通の主導権を持っているということが流通業の現状じゃないかというふうに思います。 そこで、卸の立場から三つほど実はお願いがあるわけですけれども、第一番目が中小企業の基本の定義の問題でございます。 この基本の定義につきましては、既に国会でも取り上げていただいたり、あるいは行政の場面でもたび重なる論議を交わされているわけですが、昭和四十八年に定義が制定されましてから本日まで変わっておりません。簡単に御紹介をさせてもらいますと、卸は資本金三千万円、従業員百人、小売は資本金一千万円、従業員五十人、工業は資本金一億、従業員三百人と、これが基本的な中小企業の定義でございます。 四十八年から現在といいますと、団地だけ見ても先ほどのように変わったわけですけれども、実際に国のGNPも四倍になり、国民の車保有台数も五倍になり、政治も経済もありとあらゆる場面が変わってまいりました。そういう現状の中で、我々卸が現在のコンピューター化、物流センターに投資をするお金は三千万円というような単位ではやっていけません。 ですから、ぜひお願いをしたいのは、どうか基本の定義を見直していただいて、中小企業の枠の問題についてはいろんな問題がありましょうけれども、その中小企業からはみ出しました中堅企業というんでしょうか、そういう企業に対しても何らかの施策をぜひよろしくお願いをしたいと思います。 次に、内外価格差の問題ですけれども、この内外価格差の最大の原因は卸が受け持っているというふうにたびたび報道されたりしているわけですが、実は物の値段というのは卸が勝手に決めているわけではございません。商品が生産されてからお店の店頭に並ぶまでの間には、各種伝達の電話の料金ですとか郵便料ですとか、あるいは物流でガソリン代ですとか高速道路料金ですとか、ありとあらゆる公共料金によってもまた値段は左右されるわけでございます。 公共料金の問題はたびたび御検討いただいておりますけれども、税金ですとか郵便料ですとか水道、電気、電話代あるいはガソリン代、高速道路代というのは世界的なレベルで大幅に価格が違うように私は認識をしております。どうかこれを国際間の価格に合わせるように御努力をぜひお願いして、物の値段が世界と競争できるようによろしくお願いをしたいと思います。 最後に、規制緩和の問題でございますけれども、規制緩和は各種たくさん取り上げていただいて既に検討中でございますが、大店法の規制が緩和されました。これによって、戦後輸出大国であった日本の国が、最近では輸入というものがかなり注目をされてまいりました。輸出に関しては空港も港も通関制度もかなりそろっておりますけれども、輸入についても今かなり変わりつつありますが、いま一段スピードをもって、港、空港あるいは通関制度の問題について御審議をいただきたいというふうにお願いいたします。 それから、流通業者の独禁法の問題ですが、これは今回の中小企業の政策審議会の中でも述べられておりますが、需要者サイドへの流通の主導権がシフトした段階で運用の強化が必要であるというふうに指摘されておりますが、戦後、生産者の段階に独禁法の目が当たっておりますけれども、どうかこういう機会に需要サイドについての独禁法の解釈をよろしく拡大をお願いしたいと思います。 続きまして、消防法の件でございますけれども、先生方、卸とデパートとは消防法の観点で同じでございましょうか。実は消防法では同じになっているわけでございます。かつて六千平米までは枠でなかったんですが、長崎屋さんとか一連の事故がありましてから、現在では、三千平米の大きさの段階では、デパートの売り場も卸の売り場もスプリンクラーを設置しなさいという不特定多数の来客があるという設定になってございます。 当社の話で恐縮ですが、三百人ぐらいの従業員で仕事をしているんですが、今回その指示をいただきました。何と一億円のスプリンクラー代がかかります。先ほどの規制のところでもって中小企業の枠が三千万ということですけれども、一つ何かの仕事をするのにこういう膨大な金額がかかってまいります。特にこの消防法の問題については卸と小売とは違うので、できましたらよろしく御審議いただければ幸いかというふうに思います。 卸はとかくいろんなことを言われている産業でございますけれども、五百十四兆という膨大な金額をしょっている産業でもございます。今ここでこの五百十四兆がどう進むかによって日本経済に及ぼす影響もかなりあるんではないかというふうに自負している一人でございますけれども、御検討また御援助のほどをよろしくお願いしたいと思います。
○委員長(石渡清元君) ありがとうございました。 次に、古関参考人にお願いいたします。古関参考人。
○参考人(古関忠男君) 私は、財団法人KSD中小企業経営者福祉事業団の理事長をしております古関忠男でございます。本日は、このような発言の機会を与えていただきまして本当にありがとうございました。私からは、現在の中小企業を取り巻く諸問題について小規模事業所の立場からお願いを申し上げてまいりたいと思います。 まず、手前ども財団法人KSD中小企業経営者福祉事業団につきましては、ちょっと厚いのでございますが、お手元の資料一と二をごらんいただければおわかりになるかと思います。私どもの財団は、昭和三十九年に発足をしました労働省許可の財団でございます。御案内のとおり、中小企業の経営者は大企業の経営者と違い、従業員と全く同様に働いているにもかかわらず、昭和三十九年のそのころは、けがをしても労災保険の適用はなかったのでございます。こういうことでありましたので、ひとつ何とかして社会保障の欠陥を埋めていこうということで共済制度ということを考えたのが始まりでございます。 現在では、災害補償共済を初めとしまして、災害の防止事業、福利厚生事業、人材の育成事業、さらに経営支援の各事業を通じて中小企業の経営につきまして支援してございますが、昨年三十周年を迎えました。現在、関東、東海、北陸を中心に八十六万人の会員を擁してございます。事業所の数としましては四十九万事業所でございます。この六月からは、東北、北海道も事業エリアに加えまして、一部一道二十一県にまで拡大いたしました状態でございます。 全国に商工会は二千八百二十五の団体がございます。加入事業所は百十二万事業所でありますので、当事業団のおおよその規模はおわかりいただけるかと思いますが、このうちで手前どもの会員というのは、何と約九〇%が従業員十名未満なんです。非常に小規模の事業所が中心でございます。 こういうことでありますので、ほかの中小企業団体とはちょっと内容が違う点もあろうかと思います。こうした小規模の事業所は国の中小企業施策の恩恵になかなかあずかれない層でございます。そういう観点からへ私どもが日ごろ肌で感じている問題について何点かをお願い申し上げてまいりたいと思います。 まず、中小企業の労働環境の問題についてお話ししたいと思います。 昨今、景気は一向に回復しない、有効求人倍率も低迷のさなかでございます。新規学卒者の就職に関しては就職氷河期と表現してございますが、このような状況を見ますと、一見中小企業においても採用に関しては何ら問題はないんじゃないか、このようにお考えなさっている向きもあるやに聞いておりますが、実際には、従業員十人未満となりますと雇用の状況についてはまことに厳しい、それは特に新規学卒者の採用について言えることでございます。 資料の四の十二ページをごらんいただきたいと思います。そこには、私どもKSDで中小企業の抱える諸問題についてアンケート調査を行ったんです。この調査は総回答数が十三万一千事業所でございます。これは大体従業員三十名未満の小規模事業所を対象にしてございます。 こういったことがなぜ行われたかということでございますが、実は、従業員三十名未満の事業所に対する調査が政府関係においては極めて少ない、実態を把握されていないというのが現状でございます。したがって、政策的には、データがないから政策が立たないという理屈にもなってくるわけでございまして、こういった観点から、KSDは全力を投入しまして約三十ページにわたりまして小規模事業所の実態調査に踏み切ったのでございますが、今申し上げたようなことで約七〇%の回答率を得でございます。 この中の内容でございますが、この調査から明らかになりますことは、小規模事業所における従業員の確保が困難な理由として、まず勤務時間の不規則、そして休日が少ない、給与水準が非常に低い、作業環境が未整備であるということが挙げられている。完全週休二日制になりますとわずか七・五%なんです。こういう状況でございます。 ちなみに、同じ調査におきまして建設及びその附帯事業についてということになりますと、作業場での安全確保についてお尋ねしたところ、三割が十分ではない、そういう回答を得ているんです。これは資料五の三十二ページをごらんいただければおわかりになると思いますが、何と三〇%は安全確保されていないと。安全対策を行うための経費の捻出ができないんだというんです。工期にどうしても間に合わせなきゃならないから仕方がない、親企業、元請企業の安全確保に関する関心が低いという点もありますが、そういった点が非常にこういったデータにあらわれてございます。 このように、小規模企業における従業員確保の問題は労働環境の問題と密接不可分の状態でございます。中小企業の自助努力のみですべてを解決することはまことに困難である。先生方にお願いしたいのは、政策の中にこの点をどうぞひとつ御配慮いただければ大変ありがたいと思っております。 その次は第二点でございますが、先ほどの問題点とも関係しますが、技能職者養成でございます、まあ普通の職人ですね。 機械設備、それから道具を操作して製品を加工する、それを組み立てる、さらにこれを保全する、こういう技能職が現在非常に不足している。今申し上げていることは格好のいいことを言っているわけですが、いわゆる職人が少ないんだということです。長期的に見た場合には深刻な状態になっておる。技能職の確保は産業界全般の問題でございますが、大企業のように自前の研修制度があるところはいいんです。ところが、小規模になると、零細企業になるとそんな研修制度なんかございません。そういうことで、小規模事業所にとってはこの技能者の確保については死活問題と言える。 小規模事業所の中には、例えば大工、とび、さらには伝統工芸、このような大規模かつ組織的に行えない職種がいかに多いか。これらの技能職については先ほどもお話がございましたけれども後継ぎが出てこない。このままいきますと、例えば大工さんがいないということは、十年先、二十年先には日本家屋が建たなくなる。大変厳しい状態に追い込まれてくるという現状でございますので、将来をおもんぱかるならば何としてもこの辺のところを考えていただきたいということでございます。 この点につきましては資料七をごらんいただきますとおわかりになりますが、この技能職者を養成するための大学を開設する動きが現在ございます。私どもとしても何としても支援してまいりたいと思っておりますが、政策的にも若者が技能職に魅力を感じるような政策をぜひとつていただきたい。そういった意味でも専門職の、技能職の大学というものをぜひひとつお考えいただければ大変ありがたい、かように考えておるわけであります。 さて、話は変わりますが、先般問題になっておりました規制緩和について、これは中小企業の立場でのお考えをぜひお願いしたい、大企業だけじゃなくて中小企業についての規制緩和。 規制緩和することによって新たなビジネスチャンスが生まれると先ほどもお話がございました。経済の活性化につながります。そして、規制の緩和はまさに時代の流れに沿った方向でありますが、例えば大店法の緩和によって大型店の出店が加速され中小小売店が大打撃を受けたように、大企業ばかりを利するような規制緩和であってはならないということでございます。 こういった点につきましては、お手元の四十ページをごらんいただきますと、こういったものに非常に不安感を持ってございます。商店、小売屋の非常な悩みでございます。どうかひとつこの資料をごらんいただきまして、将来ともこの規制緩和につきまして、中小企業にとっての規制緩和を一層政策の中に御加味いただければありがたいと思います。 終わりに、お手元の資料八にございますが、私どもKSDでは、昨年平成六年からことし一月にかけて、現在の中小企業にとって一番大きな問題である事業継承に絡んでの相続税、贈与税あるいは公的融資に関してのアンケート調査を行いました。それが資料八の四ページから六ページをごらんいただくとおわかりでございますが、その結果は、多くの中小企業が、後継者を確保し健全な中小企業の育成を図るために事業承継に伴う相続に関する優遇措置を求めております。 また、七ページから十一ページに参りますと、国民金融公庫の経営改善貸し付け、いわゆるマル経資金でございます。マル経貸し付けが小規模事業所にも利用しやすいような方法を考えていただきたい。なお、この点につきましては、これから御審議いただきまして十分の御配慮をちょうだいしたいと思います。 以上、三点ございましたが、ぜひ委員会で御審議をちょうだいできれば大変ありがたいと思います。どうかひとつよろしくお願い申し上げます。 ありがとうございました。
○委員長(石渡清元君) ありがとうございました。 以上で参考人の皆様からの御意見の聴取を終わります。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○鈴木栄治君 参考人の皆様、お忙しいところ大変ありがとうございました。 吉野参考人にお話をちょうだいいたします。 確かに、私たち何か物を買って原価を聞くと、あれれと、こんなに原価というのは安いのかと驚くことも多々あります。また、米国等からの市場開放の圧力の中に、日本の流通経路が長いために最終消費者が高い物を買わされているんじゃないか、そのような御批判もあることも事実でございますが、先ほど参考人にいろいろお話を聞きまして、ああなるほどな、そういうこともあるんだなとは思います。 しかし最近、価格破壊という言葉がございますね、要するにメーカーから小売等にダイレクトに打っちゃう。ですから、物すごく今度は安くなってきちゃう。今そのような現象が実態として非常に起こっている、起こりつつあるのでございますが、そのような実態について参考人はどのようなお考え、または御認識でございましょうか。
○参考人(吉野哲治君) 今、先生から価格破壊の御指摘がございました。確かに、ほとんどの流通業者がここ三年ばかりこの価格破壊には振り回されたんではないかと思います。 御指摘のとおり、卸が小売の三・五倍もありますから、三・五倍あるということは三・五余分に通ってくるであろうと。ですが、すべてそういう判断では卸の立場は大変っろうございます。卸が一つしか必要のないものは一つしか通りません。メーカーのつくったものが上代まで、値段まで決められての関係で売られる場合には代理店というのが一つあるのがほとんどでございます。その方たちが物流というものを受け持っております。 しかし、今度はリスクをどうやってお互いが分担してヘッジするかという商品がございます。これは我々が着ています衣類などは、ちょっと世界に例がないぐらい、日本の場合には年に八回ぐらいシーズンが終了してまいります。終了するということは、御存じのとおり終わるんですからバーゲンという格好で処分されていくわけです。 そして、つくる方は、クイックレスポンスというようなことが最近大変通産省でも話題になっておりますけれども、実は衣料品などそう簡単につくれません。特に海外の生産がふえてまいりますと、六カ月から八カ月猶予がないと物がつくれません。そして、年に八回シーズンということは一カ月半ですから、つくるのに六カ月もかかって販売するのに一カ月半ということですから、一たびリスクを間違えますと企業の命取りになります。そこで、リスクをヘッジするために、順番に在庫を負担したような格好で流通経路を余計にとっているわけでございます。 ここのところが理解していただけないので、すべてが短絡的に、ない方がいいんじゃないかというふうに言われがちですけれども、物によって全部二通りあるというふうに我々は認識している次第でございます。ですから、短絡でいいものと、そしてお互いに情報とかリスクを分担し合いながらやっていくものと二通り私は流通にはあるというふうに思っております。 それから、価格破壊ということでかなり価格が安くなったように感じたものも多々ございますが、少し反省期が来ているようにも私らも見ております。 というのは、価格破壊的につくられた商品が市場でかなり残りました。一例では、ビールがたくさん残ったとか、あるいは衣料品でもかなりそういう商品が残ってしまいました。消費者が欲しいものをつくるのが我々卸であり生産者なものですから、もう一度見方を変えなければいけないというのが今現在の一つの傾向かというふうに認識をしている次第でございます。御説明になったかどうかわかりませんが。
○鈴木栄治君 私なりに理解したつもりでございますが、確かにそうなんでございますね。しかし、消費者として見れば、責任がどうだとかなんとかというよりも、まず安いものが欲しいと思うのがこれは人情でございますね。そうすると、今までの流通機構においてそれなりにやっぱり反省点というのもあるんでございましょうね。
○参考人(吉野哲治君) それは先生の御指摘のとおりの点もあろうかと思いますけれども、何せ元禄時代からこの狭い日本の中でもって生産地から消費地にだれがどう運ぶかというのが卸が携わってきた役目なわけでございます。そういう世界に例がないぐらい歴史的な背景を持ってきたのが卸の仕事でございました。そして、戦後もそれなりの卸の役目はやってまいりました。 しかし今、私が先ほど申し上げたとおり、小売が小売という、小さいという売り物じゃなしに大型売りに変わりました。一兆円も販売されるような小売業の皆さんは、自分で直接中国へ行ったりベトナムヘ行ったりして生産をすることは可能だと思います。しかし、なぜああいうところがすべてされないんでしょうか、逆に。するものとされないものときちっと分かれ始めました。それはやれるものもあればやれないものもあると。 ですから、これがここ数年間、やれるものはますます短絡化されていって、極端に言えば物流だけを卸が受け持つ。それから、やれないものは要するにファッション性から情報からリスクからすべてを受け持つというように二極分化がこれから卸で進んでいくので、そういう意味で価格だけを追求していくものはますます短絡化されていくだだろう、こういうふうに思います。
○鈴木栄治君 ただ、消費者の立場にすれば短絡化されるということはいいことなのかなと、あるいは無責任かもしれませんがそう思うこともあります。 さっき中堅の施策とおっしゃいましたが、それは全く私たち考えていかなければならない問題だと思いました。ありがとうございました。 次に、古関参考人にお願いいたします。 私の親戚は、父親が宮城県で農家をやっていたものですから農業。ところが、やっぱり農業はやりたくないというのでみんな出てきちゃうんですね、言うなればその後継者ですか。しかし、これは農業のみならずいろんなものに対してのやっぱり後継者の問題が多々あると思うのでございます。先ほど参考人もいろいろお話しになりました。 事実、特に都市部においては零細事業所、そういう事業を継承していく人がどんどん少なくなっている。要するに廃業率が開業率を上回るという事態が起きちゃっている。また、その要因も先ほどお話しになりましたが、どうでしょう参考人、例えばもっと具体的に、いやおれたちはこういうアイデアを持っているんだよ、こうしてくれればぐっと盛り上がるんだよとか、そういうお考え、アイデアがありましたらぜひお聞かせ願いたい。よろしくお願いします。
○参考人(古関忠男君) ただいま先生大変ありがたい御質問をちょうだいしました。 まず第一点は、相続税、贈与税の納税に関しての猶予措置を何としてもお願い申し上げたいのでございます。 なぜかと申しますと、特に大都市で土地の路線価がバブルのときに上がったそのままになっている。したがって小規模事業所でも同じなんですね、これは土地ですから。それで、相続しようとする場合にこれに対しての税金がかかる、相続税が高いから土地を売らなきゃならない、そういうケースが出ているということです。 ところが、先ほど先生のおっしゃるとおり、農家の場合は相続人または受贈者が農業を続ける限り相続税も贈与税も納税を猶予されている。もっと具体的に申し上げますと、相続人または受贈者が農業経営を行うならば農地の農業投資価格を超えた部分については相続税が免除されている。つまり、三反歩あった場合に、これを政府は告示で価額を決めております、九十万円とか七十万円、非常に安いです。こういったような場合、一般に売る場合は別として、これを住宅にするとかいうような場合は別として、そのまま承継する、相続する場合については税金はかけないという猶予措置がとられている。 中小企業は非常に今苦しい状態である。先ほど申し上げたとおり後継ぎが出てこないのも、出てこないというよりは商売ができないということなんです。その土地を売らなきゃならないというんですから商売をやめなきゃならないという、そういうことでございますので、まず相続税、贈与税につきまして、せめて農家並みの優遇措置をとっていただければ本当にありがたいと思いますので、どうかひとつそういった措置を設けていただきたいと思います。 第二点が、景気が悪いので、つまり一般的に言うマル経ですね、五百五十万円の融資枠が認められているけれども、五百万円じやどうにもならぬと、せめて一千万円ぐらいまで引き上げていただきたいということです。 それともう一つは、このマル経資金をいただくのに、商工会議所、商工会どちらかの推薦を得ないと国民金融公庫からお金を借りられないというんです。ちなみに手前ども東京の、これは地方へ行くと商工会議所、商工会に入っている率が多いんです、ところが都市部になるほど少ないんですね。調査しましたら、私ども四十九万事業所のうち約四〇%が商工会、商工会議所に入っていないんです。特に東京二十三区の場合なんかは十六万五千事業所のうち六割強が入っていないんです。したがって、マル経資金を受けられないということな人です。これは大変な問題であります、そういうことで、でき得ればこの小規模事業所を応援している公益法人にもひとつその窓口を広げていただきたい、かように考えている次第でございます。 この二点だけをひとつどうか先生方、皆様方よろしく御賢察の上御検討を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
○鈴木栄治君 柏木参考人、どうですか、今のお考えといいますかお話を聞いて、先生なりの御見識並びにお考えをぜひいただきたいのでございますが。
○参考人(柏木孝之君) 今、実は相続税の問題で同じ参考人の方から御発言があったんですけれども、僕はそれを全く逆に、ちょっとそれに対しては実は余り賛成ではないというふうに思っています。 それはなぜかといいますと、農業はある程度限られた生産地の中でやっていくということで、国民に対してかなりの食糧を担保しなけりゃいけないというふうなもので、そういう相続を認めて農業を継承させていくというのは必要がなとも思いますけれども、工業の場合には世界に開かれて勝負していますので、基本的にその中で勝っていく負けていくというのは如実に出てくるというふうに思っております。 ちなみに申しますと、例えば釜石とか宇部とかという従来からの石炭産業とか鉄の産業があったところは極めて衰退しています。そこによく私お伺いします。話をしますと、やはり基本的には国際競争の中で闘おうという意識が非常に希薄です、そこの経営者は。 したがって、それがもしそういう形で、何らかの相続税とか何か税金のいろんな形の手当てができたとしたらさらに弱くなってしまうというふうに思いますので、私は経営者にそういう形での税の減免をするということに対しては、逆に経営者を弱くするんではないかなというふうに思いますので、ぜひそういう形でない方がいいのではないかというのは一つ逆の意見でまことに恐縮なんですけれども、思いますということです。 それからもう一つは、マル経については私は見識がなくて存じ上げないんですけれども、商工会議所とかあるいは商工会の形が必要であるということなんですけれども、そのこともあるんでしょうけれども、もう一つは、やはり金融関係の機関がどうしても担保というと大体中小企業とかなんとかに関しては土地を担保にするというのが問題で、例えば私はちょっとシンクタンクというかコンサルタントみたいなのにも関連しているんですけれども、例えば通産省とか各自治体とかの契約が済んで、契約が成り立った場合に、そこに支払いが十カ月とか一年とかあるんですけれども、その間の運転資金をその契約書をもとに借りるということは不可能なんですね。 確かに、法律上はどうも認められていないのでだめだと言うんですけれども、例えば人的とか契約条件とかあるいは技術的なそういう能力に対しても担保として認めるようなことが可能であればそういうことの方を少し見ていただく、あるいは経営意欲みたいなものに対しての評価をしていただいて、どこかの推薦がなくともそういうふうなものがやっていただけるといいんじゃないかなというふうに思うんですけれども、どうも商工中金さんとかいろんな形の政府系の中小企業の金融機関でさえもそういうことは余り認知していただけないという問題がある。 その辺を少し御検討いただけると、非常にいい形で起業したり、あるいは運転資金の問題で倒産したり金策で非常に苦労するということはなくなるんで若干廃業も減るだろうし、創業するような企業も起きてくるんじゃないかというふうに思います。 ちょっと意見としては二つ申し上げましたが、そんな形の御発言をしたいというふうに思っています。以上です。
○鈴木栄治君 両方の意見を聞かせていただきまして、十二分に参考にさせていただきたいと思います。 さて、相馬参考人からは、要するに職人といいますか技術といいますか、古関参考人からも技能者を何とか養成したいんだ、そのようなことをおっしゃっておりましたけれども、大学という話も出ましたね。 事実、例えば工業大学だとかなんとかというそういう大学があることはあるんでございますが、古関参考人の方で実際に、じゃいいよと、おれたちの専門のこういう技能のこういうものをつくるんだとか、いや今つくっているんだとか、実際に計画としてあるわけではないわけですか、将来やりたいということなんですか、その辺をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○参考人(古関忠男君) ただいまの先生の御質問でございますが、現在既に一つの試験校的なものができているんです。これはお手元の資料の七をごらんいただきたいと思うんですが、先ほど申し上げたとおり「国際技能工芸大学基本計画」というのがございます。俗称職人大学と言っておりますが、とりあえず建設関係から、このままいくと日本の家屋が建たなくなっちゃうということで非常に危機感を持っておりますので。 そういうことで、関連の建設関係だけでも従業員を含めると全国に約三百万人いらっしゃるんですね。そういう中ではございますが、大企業はともかく、特に小規模の事業所においてはそれを教育するだけの力はない。それで、現在例えば工業高校がありますね、工業高校あたりでも大学というと、普通の高校と違って学力差があるみたいです。したがって大学に入れないという人もいる。そういったような人が全国で八千人ぐらいいるんです。こういった方をひとつ専門的に吸収したいというのと、自分のところの大工職を、技術をせがれにどうしても伝授したいけれども、今どきの息子ですから訓練校へ行くよりは大学へ行きたいと、四年制の大学に非常に希望を持っているんです。そして、うちのせがれも大学に行ったんだということでその職に対して誇りを持って仕事ができると、こういうこともございます。会社の方でも、中小企業でも、そういう大学ができれば、自分のところで教育ができないからぜひその学校に入れたいと。 そして、これは全寮制にしたいと。半分は学科、校舎で勉強させる、あとの半分は会社へ勤務させる、勤務というか技術を覚えるために出すと、そういう独自な一つの構想を持っておられるようです。既に、新潟県佐渡、それから群馬県の月夜野に校舎を設置したいというお申し出が現在出ております。 そういう状況でありますので、これらの将来の問題につきまして、建設以外にも、金属加工業においてもこういうような専門校をぜひつくっていただきたいと、かように考えています。
○鈴木栄治君 ありがとうございました。 相馬参考人にお伺いいたします。 やっぱり技術を保存する、それは大事でございますね、本当に乱そう思います。 それとちょっと話がそれるかもしれませんが、ゼンキンさんはほとんど中小企業ということをもってお聞きさせていただきますが、かつて村上参議院議員が労働大臣に就任されたときに、勤労は美徳である、自分は二宮尊徳型の考えである、労働大臣は労働時間の短縮を進める立場であり、当時大臣は、私自身の哲学と労働大臣としての立場との間でジレンマを感じていると。要するに、時短という言葉でございますが、それについてどのようなお考えを持っているでしょうか。ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○参考人(相馬末一君) 時短に対します考え方を申し上げる前に、技術、技能というのは長い時間をかけて個人的にも産業的にも業種的にも集積されていくものですよね。ですから、先ほど御説明いたしましたように、日本の今日のこの姿をつくり出したのは、戦前から戦後の集団世代にかけて養成工制度があって、企業の中で大変大量な技能者を養成してきた、その大きな社会的な厚みの中で今日の姿があると考えていただく。ですから、それには一定の時間がかかるんです。 それを支えてきたのは何かというと、日本の長期雇用制度いわゆる終身雇用制の問題でありますとか年功賃金ですとか、こういうものが結びついて、やっぱり勤労意欲の問題ですとか、あるいは自分の生きがい、働きがい、あるいは技術を磨いていく、あるいは物をつくる心、こういうものをつくり出してきたんだろうと思うんです。これは一人一人の働き方の問題であって、それは時間の長短の問題ではないんです。 今日、労働時間の短縮というのは、より豊かな生活をしていくという条件の中で労働時間が短いということがいいわけですから、それはそれで大事なことだと思うんです。ですから、労働時間の短縮というのはきちっとやらなければなりませんけれども、技術の習得あるいは技術の錬磨という問題、この問題はやっぱり労働時間とは関係なしに、一つの産業政策と労働政策がどう結びついてきちっとなされていくかということが基本的になければできないことなんだろうと思うんです。 そこで言わせていただきますと、今まで我が国の技能に対します考え方というのは、通産省でいきますと、今日でいえばハイテクという問題であり、一方では伝統技能、こういう問題ですね。労働省でいきますと訓練校というこういう問題になっちゃって、非常に両極の問題なんですね。技術というのはそういう両極の問題じゃなくて、そういう間をきちっと埋めて一つの層をなして、そこに人が集団として、そして個々の技能も高いという、こういう姿が日本に生き続けることが大変大事だと、こういうふうに思っています。 ですから、そのことと、今、鈴木先生が言われました労働時間の短縮という問題は、総合的にその枠の中で考えていって両立し得るものだと私は思っています。
○鈴木栄治君 実際、労働界においては時短というものが非常に考えられておりますし、また事実、行政としてもそのように指導している。しかし、それは職種によって違うんだというふうに理解してよろしいんでございますか。
○参考人(相馬末一君) 私は製造業ですから、物をつくるというのは幅の広いものですよね、特定の物をつくるというそれはそれで大事なことですけれども、日本全体としての産業基盤として、物づくり基盤というのは幅広い多面的なものです。それを総合的にやっぱり考えていかなきゃならないということを言っているわけです。 ですから、そのものがなくなれば、どんなに物をつくろうとしても、これは例えば具体的に申し上げますが、今円高で海外にどんどん行っていますね、物がどんどん出ている、工場がどんどん出ている。これが円安に振れたときに、一方で国内に物をつくる基盤なり物をつくる技術が仮になかったといたしましたら、国内へ戻ってきて物をつくるということができなければ経済の発展や産業の振興なんてできっこないですね。まして一億二千万の国民の生活を維持することはできなくなると思うんです。 そういうことをやっぱりきちっと踏まえた上で、産業空洞化の問題、産業政策の問題、労働政策の問題をきちっと考えてほしい。そのための中心点は何といいましても技術だと、こう言っているわけです。 アメリカの場合、産業空洞化が起こって、今日アメリカの産業は蘇生じたと、こう言っていますけれども、実際のところ、今アメリカの中では富の差が非常に拡大をしているんですね。非常に二分化をしているんです。それは何かといいますと、やっぱり物をつくる技術、物をつくることが生活の水準を高め富の条件を高めていくことになっていくと思うんです。ですから、そういう点からいきますと、サービス業が発達をし、サービス業で雇用を吸収するからといって、それが生活水準につながっているかというと、必ずしもアメリカの場合にはつながっていないわけです。 ですから、やはり何といいましても国民の生活を高めていく手段として考えておかなければならないことは、物をつくる条件ということをベースにして国の政策を考えていただくということが大変大事ではないか、このことを申し上げたい、こんなふうに思っているわけです。 それから、美徳という問題について先ほどお話がございましたけれども、物をつくるというのは非常にやっぱり大切な心だと思っているんです、それが美徳かどうかは別にいたしまして。物をつくることが社会の中からなくなるということは、やっぱり社会に対します責任と役割を果たすということの心を失うことにもつながるのじゃないか、こんなふうに思っています。
○鈴木栄治君 もう少し私自身も勉強させていただいて理解するように努めます。 吉野参考人、先ほどもう一言か二言言いたいようなお顔をしていたんですが、あと一分半ございますから、どうぞおっしゃってください。
○参考人(吉野哲治君) 価格破壊というお話が盛んにマスコミでも取り上げられ、今、先生からもお話がございましたけれども、生活必需品に関しては価格は安いにこしたことはないと思います。あるいはもっと生活のよいものをしたいと思っても安いにこしたことはないと思うんですけれども、生活の向上品という商品は価格だけで仕切れない問題もあろうかと思います。 ですから、一時デフレぎみの世の中になって価格を強烈に言われる昨今ですけれども、そういう意味で卸の中でもタイプは二つになるでしょうし、消費者の生活の中でも二つになってこようと、こういうふうに私は認識をしていますし、だんだんそういう傾向になってきています。そうでないとすると、全く日本はディスカウントされたような商品だけで全部埋まってしまって先生方は御満足かどうか。 私は、ある量はそういう横物でいいでしょうし、ある量は常に生活を向上させるものが必要だ、その生活を向上させる場面においても卸というのが携わる各部分があるんじゃないか、こういうふうに思いますので二極分化というふうに申し上げました。
○鈴木栄治君 最後に立派なお話を聞かせていただきまして本当によかったです。私もより一層理解することができました。 参考人の皆様、大変勉強になりました。ありがとうございました。終わります。
○及川一夫君 参考人の皆さん、大変御苦労さまでございます。 さすがに現場の皆さんを指導されている方々ですから、聞いておって肺腑をえぐられるような気持ちで、問題の指摘があった点などこれからの討議に大変役立つというふうにまず申し上げておきます。大変ありがとうございました。 そこで、私は二十五分ほど時間をちょうだいいたしておりますので、手短に御質問したい点を申し上げて、お答えいただければというふうに思っております。 まず、柏木参考人にお伺いしたい点としては、今現在も中小企業にかかわる金融制度とかさまざまな施策は施策として政治の問題として存在はしているわけです。しかし、恐らく不十分ということの前提に立っての問題の指摘で、とりわけ資金という問題で私は問題点を突かれたように思うわけであります。 担保は常に土地、土地のない者はどうするということにぶつかるわけでして、今競争が大変激しいものですから、そういう意味では新しいサービスとか産業を興さなきゃいかぬという問題にぶつかると多額の資金を必要とする。したがって、資金問題についてもっと大胆に政治の面で保障するようなことを求められて、それこそ人間を担保にしなさいというぐらいの発想の転換をしたらどうかという提起だと思うんですね。したがって、人間を担保にするということは信用というものに対して損保するということなんだろうというふうに思うんですが、そういう理解でよろしいかどうかということが一つです。 それから次に、相馬参考人にお尋ねしたいのは、よくお話はわかります。何でも新しいものだけがすべていいわけではないわけでして、やっぱり古きものでなくしてならないものは私はあると思うんですね。したがって、それは産業各般にわたってそれこそ大事に保存しなければいけないとか、あるいはそれを機械でなしに、むしろ人間の手作業で生かしていった方がもっときれいたしもっと効果的という面もあると。私もそう思っております。 そこで、先ほどお話しになられた点について、連合という立場で、あるいはゼンキンという連合の組合の立場で労働省などと御議論されたことがあるかどうか、それから労働省と御議論された結果というのは現状どうなっているのか。もしお話しされたとすればそういう結果があるわけで、問題が解決しないならしないという前提での結果があるんじゃないかと思いますが、そういったことがあったらお答え願いたいというふうに思っています。 それから、結論として、こういう技術についてはやっぱり保存をしていくというか、なくしてはならない、むしろ磨きをかけるべきだ、こういうお話でございまして、それをやるにはコストがかかる、コストがかかるということになると今の中小企業の皆さんの力ではなかなか立ち行かない、そこで政治、政府としての助成、支援というものが必要になってくるではないか、こうおっしゃられたわけです。そのとおりだと思います。 問題は、そうなると一体どのぐらいかかるんだろうかというふうに現実の問題になってきますね。我々、政治の問題もただでやっているわけじゃないものですから、最後はそこにぶつかるので、大体このぐらいのめどをつければ産業各般の技術についてこのように保存できるではないかというふうなことが言えると思うんですが、もしそういった点で何かイメージ的にあればお答えいただきたい、こういうふうに思います。 それから、吉野参考人にお伺いしたいわけでございますが、お話の中で中小企業の定義を見直せというお話がございました。それで、中小企業の見直しの中で中堅企業というお言葉を使われたわけなんですが、この中小企業の中の中堅企業とはどんなイメージで我々描いたらいいのかということが一つであります。 それから、こういう面に対して何らかの施策が欲しいというお話もされました。それで、それは一体税制上の問題なのか、金融制度の問題なのか、あるいはその他の施策を求めてお話しになられたのか、その点お伺いしたいと思います。 それから、質問の中であったんですが、価格破壊の問題に関連をしまして、過日、安森さんという方、これは流通生産性の改革を唱える方なんですけれども、日米の価格破壊の問題を比較されて論じられているものがあるんですが、端的な例として、例えばアメリカではバドワイザーが十二本で五ドルだと。今、円高ですけれども、仮に百円としてみても五百円で十二本買える、こう言うし、コカ・コーラなどは二十四本で五・九ドル、つまり、おおむね六百円で買えるんだと、こういうお話の紹介があって、日本の価格破壊などというのは不十分、こういう規定をされまして、その原因はどこにあるのかという中で土地の問題に求められているわけですね。 大体、日本の商店の皆さんというのは繁華街ということになりますから、駅前であるとか繁華街に商店を求めている。そうすると土地が高い。したがってそれが価格にはね返って高くなるという前提に立って、もう少し土地の安いところに大きな店舗を構えて、そこに商店の方が入るという方法だってあるじゃないかと。今は車社会である、車社会だから車に乗って少々遠くてもみんな買いに行くんだというようなことを指摘されているんですが、日本の今の中小企業の実態から見て、こういった問題提起に対してはどのような受けとめをされるかということについてお伺いしておきたいと思います。 もう一つ、吉野参考人とそれから古関参考人にお伺いしたい点は、実は規制緩和ということが御両者からも言われているわけです。規制緩和の問題、一生懸命取り組んでいるんですが、常に壁にぶつかって中途半端に終わっていると、こう批判されます。そして悪いのは官僚だと、こう言うんですね。 しかし、官僚と言われるけれども、もともと規制緩和の要求というのは、むしろ商売をされている方とか生産業者とかそういったところから提起をされて、なるほどそうしなければいけない。特に日本の場合には弱肉強食ということに対しては余り歓迎はしない。したがって、無理やりな競争のないようにということは、終身雇用制というのは法律であるわけではありませんけれども慣行としてそうなっていますね、そういう雇用を守るためにも弱い者は強い者に徹底的に食われるというようなことは余りないように、こういうふうなこともあるんでしょう。 いずれにしても、規制緩和の要求というのは歴史的に見てみますと生産者の方から要求されているわけです。そして、その生産者が一定の成長を遂げていくと、そこに入ろうとしても入れないほど規制というものがかけられているのが私は実態だと思うのであります。 したがって、規制緩和を成功させるには、むしろ生産者の皆さんがこれとこれをこう変えるという具体的な要求があると、それを、官僚ところではない、政治家が、政治がそれを具体化するというふうにしてまいりませんと、やることはやっても壁がなぜ出てくるのかということになる。官僚も確かに抵抗するんですが、官僚の抵抗の前に、むしろ生産者である企業経営者の皆さんが後ろで要するに官僚に対してひもをつけると、こういうことの繰り返しなんですね。ですから、日経連の会長が、政治はなっておらぬと、こうおっしゃるけれども、政治家の方から見れば、日経連の会長、それなら具体的に自動車産業についてこれとこれとこれを緩和しなさいということを持ってきなさいという意味の発言になって、何となく対立的な様相に見えるんですね。 ですから、規制緩和はもう日米関係でも大変な象徴的な対立点でございますから、ぜひとも解決をしたいという意味で私が今申し上げたことに対してどんなお考えを持つか、お伺いしたい。 以上でございます。
○委員長(石渡清元君) 参考人に申し上げますが、手短に御答弁いただければありがたいと思います。
○参考人(柏木孝之君) 金融制度の問題は非常に古くて新しい問題でして、御指摘のように中小企業に対しては高度化資金とか商工中金も含めてかなり整備されております。それをどう使うかということについての手続の問題の方がむしろ非常に煩雑で、まことに恐縮なんですけれども、時間が長くかかり過ぎちゃうという問題があると思うんです。 ですから、例えば組合をつくって転貸融資という、組合がかわりに借りて組合員に貸すというふうなことはできるんですけれども、まず組合をつくるということが必要である。高度化団地、それから中小企業組合なら組合というのをつくるということが第一で、それに基づいて組合から転貸で借りられますとか、新規創業であっても資金が一千万円なり何万円借りられますとか、あるいは不況においても幾ら借りられますというふうな非常に手厚いいろんな制度というのはできております。 ただそれが、多分中小企業者からいいますと、使わないということはいろんな書類が要ると。例えば、中小企業事業団のそういう書類を書きますと六十枚ぐらい、三年間の貸借対照表とか損益計算書とかというのを含めて、あるいはどういうふうなことをやるかとかというようなことで非常に煩雑で、約一年から一年半、大体二年ぐらいかかるというふうに言われています。 それは、そういうお金を貸すことですから当然必要だと思いますけれども、基本的には非常にショートタームとか、あるいはある程度の固定的な運転資金に対してのお金を貸す部分が、どうしてもなぜか、例えば技術の信用とかあるいは人の信用とかというふうなことでいうと、お金を持っている人は信用されるんですけれども持ってない人は信用されないと。多少技術があってもその技術を評価する主体がない。 ちなみに申しますと、日本にはベンチャーキャピタルというのが幾つかできました。それが技術を評価してくれるんだろうと思いましたけれども、実際の自己資金を持っているのは二社。一社が二千億、一社が七百億ぐらいです。一社は日本に投資するんじゃなくてアジアに投資する会社ですから、基本的には一社しかないというふうに考えてもらっていい。 銀行系のベンチャーキャピタルができましたけれども、技術屋を入れたんですけれども技術を見る目がないので、ここに投資していいかという判断のときは必ず土地がついてくるということです。どうしてもアメリカ的な技術に対して投資するとか、まあエンゼルみたいなものが必要だというふうなことではありませんけれども、少し違った角度でそういうものを見ていただくような仕組みがもしできるとすると、なおかつ我々日本人は弾力的にそういうことを金融について考えるということは非常に嫌がる、私は自分自身はルーズですからあれなんですけれども、几帳面な性格なんで、そこがすごくお金に関してきちっとし過ぎているものですから、その人間をある程度信用して幾らまでというのがどうしても非常に金利の高いところにいってしまうというふうな問題が、やはり創業して、創業した後の問題が非常に苦しくなるということがある。 その辺については、詳しくは時間もあれなんで、その辺が非常に難しい問題であると。できたらその辺について御検討いただくと、創業とかあるいは新たにいろんな企業が起きてくるというふうなことが出てくるんじゃないかなというふうに思いますので、その辺を御考慮いただきたいというふうなことでございます。 以上です。
○参考人(相馬末一君) 労働省にどういう話をしているのか、それからどの程度のコストが総体的にかかるのかという二つの御質問だったと思うんですけれども、労働省の役割は、どちらかといいますと技術という問題よりも労働者の雇用、失業にかかわります問題がどうしても中心に置かれますから、この手の話というのは、いわゆる失業業種の中におきます雇用調整給付金の一つの枠組みの中で何か考えられるとか、こういうところに大体視点が行くんですね。これは本来、やっぱり通産行政にかかわります中小企業育成にかかわる問題ですから、そういう点からいたしますと、労働省の行政の一つの枠組みの中からいいますとなかなか取り上げにくい問題ではないだろうか。 ただ、資金的に考えますと、やはり労働省には三事業というのがあって、これに関します能力開発その他の問題についても事業をやることになっているわけですから、当然、通産行政と労働行政の抱き合わせの中で総合的にやっぱり考えてみるべきだというのは一つの考え方としてはあるんではないか、このように思います。 それから、どの程度の費用がかかるのかというのは、これは大変難しい問題でありますけれども、私は技術、技能の集積という問題はやっぱり長年かけていかなければならない問題だと思うんですね。それが今、年代的に枯渇しようとしているわけですから、これから長時間かけていくということになりますと、現在既にそういうもののベースがあるわけですから、それをどう活用するのか。それは企業だけではございませんし、集合的な訓練というのは限りがあって、やっぱり日常的な生活の仕事の中で技術が集積されていくものというふうに私は思います。 そうなってまいりますと、企業が集団で、あるいは共同して何かをやる、そういうことがいいのではないか。それに対する助成措置というのは、今の失業防止にかかわります費用等々を考えたら、そういう範疇よりも安いのではないか、もっと工夫をすればいろんなやり方ができるんではないかというふうに思います。 ですから私は、やはりやり方の問題で、現実には、一つの例を申し上げますならば、例えば鉄筋工の問題などは個別の小さな中小企業ではできませんけれども、親元企業が全部引き受けて訓練をする、その費用はそういう集団で請け負う、こういうことなども実際にやっているんですね。 ですから、政府にお願いしたい、あるいはこの委員会の中で御検討いただきたいというのは、日本自体が物をつくっていくことを大事にするということを社会的にどう定着、発展させるかというところに力点を置いた御検討をぜひお願いしたいということがお答えとして申し上げたいところです。
○参考人(吉野哲治君) 先生から三つ御指摘がございましたけれども、中堅企業の件ですが、中小企業という現在の枠で中小企業に対する国の施策、補助金等は現在の方たちがお受けになっているわけですが、実は先ほども出ましたけれども、中小企業に対する高度化資金制度というのがございます。しかし、中小企業の枠を超えたところは当たり前のように受けられません。ですから、四十八年には中小企業であったものが、この二十年間の間に資本金をふやす、あるいは発展したから従業員をふやす、その途端に中小企業高度化資金が受けられませんから、問屋団地にいて団地に対する国の資金援助は受けられないということです。 そして、平成四年でしたか、物流効率化法が制定されました。この物流効率化法も中小企業に対する物流の集団化の問題なんですね。そうしますと、中小企業の枠を超えた人たちが話し合って自分たちが物流団地、物流センターをつくらなきゃならないといっても、これもなかなか難しい問題になってまいります。 ですから、中小企業の枠を広げていただくことは中小企業に対する補助が分散いたしますから、中小企業の皆さんにとってはちょっとおかしいというなら、中堅企業だけまた集めて、極端に言えば幾らまでの資本金、幾らまでの従業員が正しいかどうかわかりませんけれども、大企業に対する施策は我々は受けられておりません。ですから、真ん中の部分に対してももう一度ひとつ御審議をいただければありがたいというのが中堅企業の問題です。 価格破壊の件は、先生の御指摘のとおり土地が最大の問題かというふうに思いますから、先ほどのバドワイザーあるいはコカ・コーラ、アメリカでつくってアメリカで売っている値段とこちらへ持ってきて工場をつくるのでは大変違ってまいります。また、運んでまいりましても、例えば港横浜へ商品を揚げてから高崎まで運んでくるこの運賃の方がもし先生、高かったらいかがなものでしょうか。そのくらい物流価格は日本の中は高いです。それはガソリン代も高いですし、高速料金も高いです。 そこで、先ほど申し上げたように、公共料金並びに準公共料金的なものが世界に例がないぐらい高い場合が多々あるということをぜひ御検討いただきたい。また、電力にしても水道料金にしても、御検討いただいているんですけれども、よりひとつ御検討いただければありがたいと思います。 規制緩和の問題ですけれども、これは先ほどのように、こちらからお願いして、それで今度はこちらから外してくれと、こういうことなんですが、それはおっしゃるとおりだと思うんですけれども、ここ平成に入ってから、要するに世の中はインフレで右上がりの時代がデフレ右下がりに変わったと思うんですね。流通業でいえば生産者主導型から小売主導型に変わったわけです。全く世の中は百八十度変わったわけです。変わったら変わったように規制も全部変わらないとおかしいということだと思うんです。 ですから、輸出に対しては大変なすばらしい施策がとられていても、輸入に対しては現状はまだ不足の部分がたくさんある。なぜならば、輸入商品が入ってから自社まで来るのに猛烈に時間がかかります。こういうことによって価格は上がってしまいます。あるいは先ほどと同じように、港からこちらまで運んでくるときに運賃で猛烈に上がってしまうというふうに、手続ですとか物の問題で、世の中が変わっただけにぜひ見方を変えてお願いをしたいというふうに思います。
○参考人(古関忠男君) 規制緩和は大体大企業向けのが意外と多かったんですね。そういった意味では、小規模の事業所に対する規制緩和は、相対的に緩和の中で特に小規模に対しては配慮していただきたい。大企業の場合はそれなりの対応の仕方がありますけれども、小規模事業所の場合は非常に選択が難しい。 先ほど申し上げましたが、手前どもは八十数万の事業所でございますが、この五カ年計画で三百万人体制をつくるんです。したがって、例えば東京ですと、一番多い荒川区あたりは全事業所のうち二軒に一軒はKSDのメンバーなんです。にもかかわらず、五百万円のマル経資金の商工会議所、商工会に六〇%入っていないのが実態なんです。せっかくそういう制度があるにもかかわらず使えない。こういったこともございますので、先ほどお願い申し上げました底上げの問題と、できれば公共的な公益法人にも推薦のできるような措置をとっていただければ、規制緩和の一環としてお考えいただければありがたいと思います。
○及川一夫君 終わります。
○市川正一君 私、日本共産党の市川でございます。どうも御苦労さまです。 実は、これは私どもの側の問題でですが、四人の参考人のお方のうちお二人がにわかに交代でいらっしゃいましたものですから、準備不足の質問になるかもしれませんが、お許し願いたいと思うんです。 一つは、現在の円高不況、空洞化と中小企業の問題なんですが、先ほど柏木参考人が、誤解を恐れずにコンパクトに申しますと、空洞化は成長のあかしであり、これに対応できない企業というのは結局敗退するんだ、自助努力が今重要だと、こうおっしゃいました。 しかし私は、自助努力で対応できる状況に中小企業は今あるのかということをどうしてもやっぱり問いかけざるを得ぬのです。例えば自動車や電機産業などの輸出型大企業は、野村総研がいみじくも悪魔のサイクルと、こう申しましたが、円高が進行するたびに国際競争力の低下をコストダウンで切り抜けて競争力を回復する、それがまた円高の進展をもたらすという悪循環なんです。そのコストダウンの手法は、生産拠点の海外移転、また国内生産の縮小、大量の人減らし、合理化、下請企業への単価の切り下げの押しつけ、いわば労働者と中小企業の犠牲で乗り切ってきたというのが事実の経過ではなかろうか。今回の異常円高でもこれが繰り返されようとしている。私はここにメスを入れるのが今大事じゃないかと。 ということで、柏木参考人と相馬参考人に以下お伺いするんですが、現実もまた、これは関東通産局のレポートでありますが、空洞化実態調査報告書、大田区を中心に調べています。ですから柏木参考人も御存じかと思いますが、これを見ましても、今日の状況というのは水平分業ネットワーク崩壊の危機ということまでいわば警告しているわけです。 今日の日本の海外生産比率というのは、日本全体で九ないし一二%、それから製造業では二〇%を超える、こういう報道もなされております。四月二十二日の日経では、この異常円高によって、大企業の海外進出による影響で製造業の雇用労働者が二十二万人減少していると報道しています、相馬参考人よく御存じだと思うんですが。 政府は、内需拡大や規制緩和など輸入拡大の促進によってこれを切り抜けるんだと、こう言っておりますが、しかしその結果、競争力がない中小企業は海外移転で仕事がなくなる、安い価格の逆輸入製品、部品でまた仕事が奪われると。ここもまた悪循環なんですね。 こうしてみると、相馬参考人も技能労働者の育成策の問題にお触れになりましたが、中小企業は単に技術力などの企業努力、自助努力だけでは困難だ、やっぱり冒頭申しました大企業の海外進出を規制する、そこにメスを入れる、そういう方向をもっと重視する必要があるんじゃないか、こう思うんですが、御意見を承りたい。
○参考人(柏木孝之君) 御指摘いただきました最後のところ、大企業にメスを入れるべきであるということに対しては、私は賛成しかねます。 なぜかといいますと、基本的には先ほどの関東通産局あるいは悪魔のサイクルの問題とかというのは、実は私は機械工業の立地がそもそもの専門で約三十年余りやってきておりまして、ちなみにちょっと専門的な話で恐縮なんですけれども機械工業の立地で申しますと、生産形態でいいますと一個当たりつくる個産とロット産と量産、マスプロというのに分かれるわけです。それから、それは技術的に申しますと、かなり革新的な技術とそれから非常に技術的な熟度が高まったやつ。ですから、量産で技術的な熟度が高まったものは地方に行くというふうに言い始めたのが、通産省から茨城大学に行かれました殿木先生が約三十年前に殿木理論として出されていまして、基本的にハイテク量産品で技術的な熟度が高いものというのはボーダーレス社会になれば労働費の安いところに行くというのは極めて論理的に正しいんです、立地論的に言いますと。 これは今、基本的にそこで大企業を規制しなきゃいけないということもありますが、経済原理からいいますと、基本的に私は、経営立地論というか経済地理とか工業立地論なんですけれども、工業立地論的に見て当然ボーダーレスになった段階ではアジアNIESに行くということだけは妥当な経営的な判断であるし、当然そういうふうなことの中で二十二万人の雇用減少が出てきた場合に雇用を代替するような仕組みをつくらなきゃいけないというふうなことを考えるべきであって、それを何で雇用していくかというのはまた違った政策なり何かで考えていくべきであって、それはもう既に三十年前に論理的な説明をされているんですから、それに対しての判断が遅かったというふうにまず一つは申し上げたいというふうに思います。 ということは、そのモデル自体は学位論文ですけれども、かなり雑誌等にも発表され、私もエコノミスト等で十年前にも書いておりますので、その時点での、地方におけるそういう空洞化が起きるよという指摘はそういう各専門の中ではされていたというふうに思いますので、それについての形はできている。 もう一つ申し上げたいのは、実は先ほどから何度も申しておりますけれども、帯広の企業で、おっしゃるようにハイテク量産品で海外の通信機器会社、もっと言えば昔の電電公社に近いような形の下請をやっていた企業が、三次下請ですけれども、それが内需拡大の製品にかわって、従来ピーク時で一億六千万だった企業が一億二千万まで三年前に落ち込んで、今一億五千万になっています。 それは何をしたかといいますと、つくるものをかえたといいます。何かというと、例えば今急に温まる電気なべというのがありますけれども、その電気なべみたいなものにはやっぱりリレーが使われていまして、それは先ほど申し上げた量産品じゃなくてロット産です、月当たり百個とか二百個つくって、なおかつ全部大型の自動機械でつくらないで一部手加工が入るもの。もっと言えば、カジメを、ちょっと工学的なことを言って申しわけないんですが、カジメを手でやるとかというようなシステムについては、付加価値が高くて十分労賃が払えるような状況の工夫をしている企業が中小企業でございました。これは大手企業の三次下請です。 それ以外にも幾つか事例があるんですけれども、高知であったり松山であったり宇部であったり熊本とか岩手、北海道、とことこ見てきましたけれども、そういう形で生き延びておりますので、そういう意味でいうと、ただ単に規制するよりは、その中での自助努力を企業、経営者の方々にしていただく中で再度リストラクチャリング、再構築をしていただくような経営をした方が、僕は基本的には日本経済自体の力を増してくるんだろうというふうに思います。 そういった形の中で雇用構造の変化についてどうしていくかというのは、私は専門じゃありませんのでその辺については発言は控えさせていただきますけれども、そういう工業自体の発展、経済の発展の中で工業がどういうふうな役割をなしていくかというのは、そういう傾向というのはどう規制しようがとめようが流れていくというふうに思いますので、その流れに即した形での自助努力をしない限りはなくなっていくというのは必然だろうというふうに思っています。 以上です。
○参考人(相馬末一君) 中小企業問題というのは、端的に申し上げれば経営、経営基盤にかかわる問題と、こう考えていいのかもわかりません。ですから、技術の問題というのは経営者自身と技術あるいは開発力が結びついている経営、特に製造業の場合にはそういうものが多いですね。かつてはそれが、先ほどから話してきているようなところでずっと保有されて、そういう人たちが企業を起こしてきたという、こういう歴史でもあると思うんです。ですから、そういう点で基礎的な条件を日本の社会としてどう具備していくか、こういうことを訴えているわけです。 今、市川先生がおっしゃられました産業の空洞化、特にこの円高による海外進出、それに伴う産業の空洞化、そして失業の問題、雇用にかかわる問題というのは、ある意味で現状の中では私たちにとっては大変厳しいもの、こういうふうに受けとめています。しかし、実際の流れとして、国内に製造業が生きていく産業条件が仮にないといたしますれば、海外へ出ていくことをとめるというのは大変難しいことだろう、こういうふうに思っています。 そこで、やはり円高の問題というのは象徴的に言われていることでありますけれども、これはやっぱり国内問題とお考えいただいて、国内の産業が成り立っていくような産業基盤整備というものを、経済の運営なり産業のあり方も含めて総合的な検討を早期に開始していただいて、製造業が生き残っていけるような経済体制にしていただくということが大変大事だと思う。そのためには、いろいろ言われているような、規制緩和から始まりますいろんな意味の障壁撤廃の問題でありますとか、さまざまな今言われているような施策をやっぱり早急に実施をすることではないのかな、こういうことではないかと思っています。 しかし、そうはいっても、新しい産業創出ができて、そこに雇用がかつてのように吸収できるものかどうかというのは、これはなかなかわかり得ることではございませんから、そういう意味からいたしますと、仮に二年、三年というふうに時間の経過を必要とするならば、その間におきますソフトランディングを、国内政策の中でどう緩和をしながら雇用の確保と国民の生活をどう守るか、このことがやっぱり政治ではないのか。こんなふうな考え方で我々は我々の立場で努力をさせていただいている、こういうふうに思っています。
○市川正一君 きょうは議論の場ではございませんので承っておきますが、柏木理論なるものは現実によってその破綻がますます深刻になるであろうということだけ申し上げておきます。 あと、許された時間で恐縮ですが、吉野、古関両参考人にお伺いいたします。 九四年度の商業統計によりますと、小売店が百四十九万九千九百店と、この三年間で十万五千六百店減っております。新規店の開業などを考えますと、この三年間に約二十万店の小売店が廃業したといえるんだろうと思います。その結果、町の中の商店街が歯抜け状態になって、五月の通産省の産構審の中間報告でも、町のにぎわいを失わせる社会的問題になりかねないと、こう指摘しているところであります。 商店街や小さな小売店は、生活用品の購入に役立つ身近で便利な存在だけではなしに、人々の憩いの場となっております。神戸の実例を見てもそうです、けさもテレビでやっておりましたけれども。お祭りや町内会あるいは地域の活性化や交流の場となる、地域になくてはならぬ役割を果たしていると思うんです。ところが、政府の施策、姿勢、これを見てみますと、大店法での目的、共存共栄や公正な競争、これを阻害して、小規模小売店を自由競争の名のもとにいわば弱肉強食の場にさらしているというふうに私は言わざるを得ぬのです。 政府の規制緩和推進計画では、一九九九年までに大店法の見直し、緩和、さらに廃止の方向が打ち出されておるのでありますが、先ほどの御意見の中で、古関参考人は、中小企業に配慮した規制緩和をお述べになりました。より積極的に言えば、大企業の横暴を規制して中小商店や商店街を繁栄させることが高齢者社会、消費者や地域社会にとって必要になっている、こういうふうに考えるのでありますが、御両者の御見解を承りたいと思います。
○参考人(吉野哲治君) ただいまのお話ですけれども、私は、流通業は時流適合産業であろうと思うんです。そして、大型店が出店を盛んにしましたときに、それを規制する法律ができました。そのときの条件は、大型店に対しては時間を規制するけれども、町の発展のために、小さな商店街のお店は時間を延長して大型店がやらない時間を受け持ちなさいというのがあのときの大型店の出店規制法案の付記された事実でございます。 しかし、各商店街で、その当時から、大型店が閉まった後、夜遅くまであいているような商店街は、今でもやはりお客さんは憩いの場として集まってまいります。しかし、日本全国ほとんどの商店街は、あの高度成長期、六時半に大型店が閉まると同時に自分たちのお店もお閉めになりました。そして、消費者は時流適合ですから、だんなさんも奥さんも働く時代になって、仕事が済んで買い物に行くと商店街が閉まっているというふうなことが続いてまいりました。 ですから、ぜひ先生方にお願いしたいのは、大型店規制法案が今回外れましたけれども、要するに小型店に対する弱肉強食がどうのこうのじゃなしに、小型店の皆様方が消費者のためにどういうことが便利なんだということでもっと御指導をぜひよろしくお願いしたいと思うんです。 というのは、コンビニエンスストアさんがなぜあれだけはやっているか。極端に言うと二十四時間あいているというだけのことであれだけ栄えていますのはそれを物語っていることだろうというふうに思いますので、私は、私たちの商売でも中小型店の皆さん方がつらいのは大変つらいんですけれども、どうしても時流適合であるということを優先したくなるというのが我々の思いなのでございます。
○参考人(古関忠男君) 手前どもは約二十万事業所が小売屋さんなんです。非常に今厳しい状況に置かれておりまして、先ほど先生おっしゃるとおり、これからやはり小規模の商店にどのような規制をかけられるか、その点は十二分に小規模の事業所を配慮して考えてほしいということでございます。 何といっても、今、吉野先生お話がいろいろございましたが、やはり小売屋さんのこれから生き延びるすべ、これはそれなりの特色を生かさないとなかなか時流に合わないということもございまして、時間の問題も、もちろんただ時間を延ばせばいいということじゃございません。同じ人間ですから、大手の関係は人員交代で労働力の配置を行っている、ところが小規模の事業所は、商店はそれはできないと。単にいたずらに働いている時間を延ばすだけでは体力はもたぬ、魅力のある小売屋さんになり得ないという問題もあります。 ですから、それをどう絡めて、特色を生かしながら小売店の魅力をつけ、地元の人たちに喜ばれるような商店になってほしいということを考えておりますので、これからの規制等もそういったものに合わせて御検討賜れば大変ありがたいと思います。
○市川正一君 時間が参りましたので、吉野参考人に一つだけ。 吉野参考人のお仕事の、お商売の企業の規模は、資本金と従業員は何人ぐらいなんですか。
○参考人(吉野哲治君) 三億五千万の三百人です。
○市川正一君 わかりました。
○翫正敏君 翫正敏です。 先ほど森田健作さんが質問されていた中で後継者不足の問題が出まして、それで古関参考人の方からは、資料を読みますと、「農業後継者特例に対する中小企業者の不公平感は非常に強く、回答企業の半数が「不公平感を感じる」と答えている。一方「仕方がない」と特例に対して理解を示す回答は三割に満たない。厳しい経営環境の中で後継者問題に頭を痛めながら、地道な努力を続けている中小企業者にとって、農業後継者だけに認められている税制の優遇特例は大きな不公平感を生み出している。」というような趣旨のお答えがあって、それに対して柏木参考人の方からは、それは農地と事業をしている土地とは違うんだからやむを得ないんだというお答えがあったんですが、そのお答えに対して古関参考人の方は何かおっしゃることございますか。
○参考人(古関忠男君) 率直に申し上げます。 日本の企業で三十名未満の従業員を抱えている小規模の事業所、これが全体の九五%です。これによって日本の経済は保っているわけです。御案内のとおり、日本は今日、資源自体がないんですから輸出をせざるを得ない。それによって稼いだ金で九五%は生活用品を輸入しているわけです。それらを賄っているんだということでございます。大企業はその上に乗っかっているだけにしかすぎないと。大多数の、九五%は従業員三十名未満で極めて小零細企業でございます。それで支えているんです。その中小企業、小零細企業はどんどんどんどん減る一方だと。このままいったら大変な事態になるわけです。 ですから、少なくも景気が回復するまでは、農地も確かに米をつくることは日本にとって先祖代々大変大切なこと、しかし今日の中小企業の立場というものは農地にまさるとも劣らないような窮地に追い込まれている。また、大切な存在でなきゃならない。これに対しての優遇措置は当然のことであると私はあえてお願い申し上げたいと思っております。
○翫正敏君 柏木先生にお聞きしたいんですが、不公平感があると思っておられる方が中小企業の方に多いということはアンケートに出ているとおりだと思うんですが、そのことで、不公平感をなくする、ないしはそれを少なくするという方策がないのかということで、お考えがあったらお示し願いたいんです。 例えば、農地を相続したときはいいけれども、相続したものを売ったときには、それはもう全く棚ぼた式にお金が入ることになりますよね。そういう場合には例えば税制について何らかの措置を考えるとか、そういうようなことによって、現にかなりたくさんの人が不公平感を持っているという事実を何か改善すべきだというふうにはお考えになりませんでしょうか。
○参考人(柏木孝之君) 実は、ちょっと本音をはぐらかして言って申しわけないんですけれども、実は僕は農地に対しても反対なんです、本音を言いますと。ですから、ちょっとごまかして言ってまことに恐縮なんですけれども、相続なり贈与に関して、ある産業だからというふうなことで特例を持っているということは、やっぱり市場経済の原則からいってもそれは少し過保護なんじゃをいかなと。 それから、先ほどの相続の問題もそうですし、あるいはいろんな形で過保護になる。それは私は現状から教えられているんで、ある山口県の大メーカーがダイカストマシンの四千トンをフォードに入れるときに、その下請をやっている地元の企業が、もともとこれだけの単価をくれたのに今こんなに安くなったというふうに言われたわけですね。その山口県にある企業は当然のごとく国際競争の中で戦っているわけですから、コストダウンを図らなきゃいけないというときに、その人たちはそういう意識がなくて、コストが安い、もっとよこせというふうなことを言うというふうなことも、状況的な認識の甘さが多分ある種の過保護につながってくるんだろうというふうに思いますので、できましたら、全体的にそういうふうなことの自助努力もないやつに過保護を与えるということはいけないんじゃないかというふうに基本的には思っております。
○翫正敏君 そのことは終わりまして、先ほど柏木参考人の方からの提起で、新しく業を起こす創業ですね、そういうときに土地を担保にしかお金が借りられないという現状、それを改めて技術とか人間、人それ自身の信用に対して融資できるようなシステムが望ましいということの御指摘があって、大変もっともだと思ったんですが、ただ方法論ですね、どうしてそういうふうにするのかという方法論について教えていただきたいんです。例えば政府系の金融からまずそういうのをやりなさいというような御指摘なのか、それとも金融制度そのものに法制度上の何かをするのか、何か方法論的にどんなふうなことをお考えになっておられるのか、お示し願いたいと思います。
○参考人(柏木孝之君) 実は大阪府なり横浜市が地方自治体単独でそういう制度を、できたところもありますし、つくりつつあります。それは一つの技術を見る尺度というのがある程度一般化というか、ゼネラルになった形で尺度をお持ちになったんだろうというふうに思います。それが多分、別に都市銀行のことを悪く言うわけじゃなくて、都市銀行とか地方銀行あるいは信用金庫等ではどうもそういう尺度をお持ちにならないんで土地を担保にして貸すというふうなことなんだろうと。 それから、中小企業金融機関も含めて、同じようなことで尺度を多分お持ちにならないんで、たまたま私の仲間が中小企業をやっていて、借りにいく場合に、どうしても何か担保ありますかと聞かれてしまうということなんで、何らかの形でほかの国々なり地方自治体がおやりになっている尺度あるいは新たに尺度をおつくりになるかして、どういう技術であればどうであるというふうな問題でお考えいただく、あるいは実績的にどういうものをおつくりになったということでこういう判断をするというふうなことで、例えばそれは五百万の価値なのか一千万の価値なのか二千万の価値なのかということでやっていただけるようになると、実績を評価した形でやっていただくようになると、多分それは担保価値として生まれてくるんじゃないか。 だから、技術の市場価値をどういう形で一つの尺度化するかというのは非常に難しいんですけれども、だれかが何らかの形でつくっていただくということが必要なんじゃないかなというふうな気がします。
○翫正敏君 吉野参考人の方からはいろいろな御指摘がありましたが、公共料金を下げてほしいということが強く御指摘があって、国際価格と比べても日本の公共料金が高い、それがいろんな物価を押し上げているという御指摘だったんですけれども、例えば公共料金の一つの高速道路の料金なんかをうんと下げるとか、ある程度の期間使ってしまったものは無料にするとか、そういうようなことをもしするとしますと確かに公共料金は下がりますよね。 その分下がるんですが、じゃそれで公共料金が下がっても別に日本経済の全体にとっては大丈夫なんだという、そういう一つの担保といいますか安心といいますか、そういうものがやっぱりないと、とにかく下げなさい、はい下がりました、下がったらうまくいきましたというふうにもなかなか難しいんじゃないかと。高くしているには高くしているなりの日本的な理由が何かあるんじゃないかなというふうなことを思ってお聞きするんですが、どんな御見解をお持ちですか。
○参考人(吉野哲治君) 大変恐縮なんですけれども、先ほど来私は、自分たちの仕事の場面では不況という文字では今ないと思っているんです。既にデフレに突っ込んでいる、こういうふうな認識をしていますので、デフレという初めての体験の上で企業のリストラクチャリングでどうやって生き延びていったらいいのか。それは言い方は悪いですけれども、血眼でリストラをやって、そして売り上げの落ちているものをリカバリーしようと合しているわけです。 そういう時期に、例えば高速道路の値上げが発表になりました。今回、私鉄の運賃の値上げが発表になりました。もし企業が全体にすべてデフレという見方でリストラクチャリングを考えているんだとしたら、私はある意味で国もデフレでリストラクチャリングを考えていただかないと、足らないから上げる、こういう発想で、企業の皆さん税金がこれからどうなっていくのか。私のところが、あるいは我々の回りが厳しいからということでありませんけれども、大変環境は簡単なものじゃないと思うんです。 ですから私は、そんなことを先生方に申し上げると大変失礼かと思いますけれども、御質問ですからあえて申し上げるなら、ぜひ国はデフレ対応を考えていただかないと企業は大変厳しい状況にあると。ですから、国も官も挙げてデフレの対応をどうしたらいいのかというふうにお考えいただきたいというふうに思います。
○翫正敏君 公共料金を下げなさいという指摘について相馬参考人はどういうふうにお考えになりますか。
○参考人(相馬末一君) 物をつくっている立場からいたしますと、物づくりは血みどろになって努力しているんですね。だけれども、足らないから上げるんだというんだったら楽なのにねと、そういう気持ちは物をつくっている立場からいたしますと非常に強いです。しかも、それが法や規制で守られているということになればなおさらじゃないでしょうか。 ですから、物をつくっている出身の立場からいたしますと、いつまでこんなことをやっているんだ、こういう気持ちは率直にあります。
○翫正敏君 終わります。
○委員長(石渡清元君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の皆様に一言ごあいさつ申し上げます。本日は、大変御多忙のところをわざわざお越しいただき、当特別委員会で意見を開陳していただきましてまことにありがとうございました。お述べいただきました貴重な意見を今後の参考にさせていただきたいと思います。委員会を代表いたしまして一言御礼を申し上げます。 ありがとうございました。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十五分散会