中小企業対策特別委員会 第6号
- 発言数
- 57 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1995/05/19
会議録
○委員長(石渡清元君) ただいまから中小企業対策特別委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る三月二十日、佐藤三吾君が委員を辞任され、その補欠として梶原敬義君が選任されました。 また、去る三月二十二日、武田節子君が委員を辞任され、その補欠として白浜一良君が選任されました。 また、本日、櫻井規順君、片上公人君、村田誠醇君及び岩崎純三君が委員を辞任され、その補欠として竹村泰子君、牛嶋正君、及川一夫君及び溝手顕正君がそれぞれ選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(石渡清元君) この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石渡清元君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に及川一夫君を指名いたします。 ―――――――――――――
○委員長(石渡清元君) 特定中小企業者の新分野進出等による経済の構造的変化への適応の円滑化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。橋本通商産業大臣。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 特定中小企業者の新分野進出等による経済の構造的変化への適応の円滑化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。 特定中小企業者の新分野進出等による経済の構造的変化への適応の円滑化に関する臨時措置法は、経済の多様かつ構造的な変化の影響を受け、または受けるおそれのある中小企業者が新分野進出等を行う際に各般の支援措置を講ずるものとして、平成五年十一月に制定されたものであります。 現在、中小企業者は、最近の円高の急激な進展により事業活動に支障が生ずるなど深刻な問題に直面しております。このように中小企業者を取り巻く環境が一層厳しくなってきている中、中小企業者が前向きに事業活動に取り組み、こうした環境に適応していくことが強く期待されているところであります。 本法律案は、以上のような観点から、かかる中小企業者に対する各般の措置を講ずることを目的として立案されたものであります。 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。 最近の急激な円高の進展という国際経済事情の急激な変化が、工業その他の特定の業種に属する中小企業に影響を及ぼしていることにかんがみ、その事業がこれらの変化による影響を受け、または受けるおそれがある中小企業者が行う新分野進出等、新商品または新技術の開発その他の新たな事業活動及びこれらの準備のための事業活動を行う中小企業者に対して、中小企業近代化資金等助成法の特例措置及び課税の特例措置を講ずることとしております。 以上がこの法律案の提案理由及び要旨であります。 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(石渡清元君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○牛嶋正君 平成会の牛嶋正でございます。大臣は予算委員会から引き続いての御出席でお疲れのことと存じますが、三十分という限られた時間でございますので、よろしくお願いをしたいと思います。 予算委員会でもこの問題についていろいろ御質疑があったようでございますので、できるだけ重複を避ける意味で、私はちょっと中長期的な視点でこの問題を取り上げさせていただきたい、こんなふうに思っております。 政府は四月十四日に緊急円高・経済対策を発表されました。その三日後でございましたでしょうか、APECの蔵相会議がございまして、聞くところによりますと、そのときアジアの各国・地域からのこの対策に対する評価というのはそれほど高くなかった、むしろ冷ややかな見方が多かったというふうなことを聞いております。 なぜそんなふうな評価に終わってしまったのかということですが、私なりに考えてみますと二つほど理由があったのかなというふうに思っております。 一つは、全体で二十四項目の対策が提示されておりますけれども、そのいずれもが大体これまで出てまいりました対策でそれほど新味がなかった。そんなことで、多くの関係者から全く具体性に欠けるというふうな批判が出たように思います。 もう一つの理由は、円高による国内経済への影響を最小限に食いとめることに終始したために、これまでのと同じように守りの姿勢が非常に強く出てしまったんではないかと思っております。この守りの姿勢というのは、アジアの各国あるいは地域から見ますと、日本が国内のことだけしか考えていない、こういうふうな状況に映ったのではないか、そういうところからこの対策に対しまして余り高い評価を得られなかったんではないかというふうに思うわけです。 私は、こんなふうに考えてみますと、今我々がやらなければならないことは、もちろん当面の対策や緊急の対策も必要ですけれども、もう少し前向きで中長期的な視点に立って各般の対策を提案していかなければならないのではないか、こんなふうに思うわけであります。今こそ中長期的な視点に立って、これからの日本の経済、財政の運営の基本方向をある程度示す、あるいはあるべき産業構造の姿を示す、そうする必要があるのではないかというふうに思うわけであります。 大震災とかあるいは急激な円高、こういった我々国民生活に非常に大きな影響を与えるような出来事に対処していく場合に、もちろん緊急の対策、そして当面の対策も必要ですけれども、あわせて中長期的な視点に立っての対策も出していかなければならないのではないかと思うんです。 そこで、まず第一番目の質問ですけれども、この法案は、今私が申しました緊急の対策、当面の対策、中長期的視点に立った対策というふうに三段階に分けた場合にどの段階に属する対策であるのか、まずこの点について大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は委員の御見解に反論をいたすつもりはありませんけれども、APECの蔵相会議並びにその時点で行われました日米蔵相会談における各国の受けとめという点につきましては、私は多少委員とは判断を異にいたしております。 これは、実は日本の国内における報道でも同様の問題点があったわけでありますけれども、私は今回の緊急円高・経済対策の中における重要なシグナルについて必ずしも市場は的確に受けとめておらなかったんではなかろうかという思いを、その後四極の通商代表会議等におきましても痛感をいたしました。 それは何かといいますと、今回の補正予算に臨みます姿勢として、例えば既往の予算の組み替えでありますとかあるいは増税によるのではなく、赤字国債を発行するという、言いかえれば日本が国家意思を持って経常収支の黒字の意味のある縮小に政府として踏み切る決意をした、この点のシグナルが必ずしも的確に伝わらなかったのではなかろうか。あるいは、的確に伝わりました結果、その実体を見せてほしいという、これはまさにアメリカのルービン財務長官が武村大蔵大臣に対して使われた形容詞のようでありますが、その数字を見せていただこうという表現が非常に的確に示しますように、円高対策から補正予算の編成までの時間差というものが、ややもすると懐疑的とかあるいは非常に批判的という受けとめを市場にされた一つの原因ではなかろうかと思います。 ただ、私自身四極通商代表会議に参りましてそれぞれの方々との個別の会談をいたしました際に、全く相手側がびっくりされましたのは、一つは公定歩合一%という史上かつてない低金利を設定していること、そこまで金利を引き下げているということ、さらに赤字国債の発行というものを前提にした補正予算の編成に取り組んでいること、この二点でありました。 これは、あるいはむしろ我が国の広報能力に問題があったのかもしれませんけれども、残念ながら十分に相手側にメッセージとしては伝わっておりませんでした。そして、この二点を説明しましたときには、むしろそこまで思い切ったのかという反応が返ってまいりました。 ですから、この点は私は委員の評価と多少見解を異にいたします。その上で、私は委員が今御指摘になりましたような、さまざまなプロセスを経て中長期的な施策を必要とする、そのお考えは全く我々と異なるものではないと受けとめております。 そして、我々自身が今、内需拡大のための社会資本の計画的な整備、また我が国の市場というものに対する世間の目を改めていくためにも、対日アクセスの改善、また内外価格差の是正のための規制緩和というものを積極的に今後も継続をしていく努力、そして新規事業の育成支援、既存産業の事業革新の支援等によります経済フロンティアの拡大、これには例えば純粋持ち株会社の制限の緩和といったものも含めて考えたいと私は思いますけれども、こうしたものをあわせまして総合的に進めていく必要があると考えております。 そして、こうした考え方というものは、私は内外に開かれた日本、国際的にも調和のとれた経済社会の構築に向かおうとしている姿を示すものであり、またその方向に進んでいくことに資するものであると考えております。 その意味では、先ほど委員から御指摘がありましたこの法律案の位置づけはと言われますならば、我々は、昨年以来の為替の状況の中で既に円高の影響を受けておりました中小企業というものを、例えば今回御審議をいただきました、そして成立をさせていただきました創造法等の役割として今後の対応を考えておりました。ところが、三月に入りましてから非常に急激に為替が変動いたしました結果の、私はびほう策という言葉は使いたくありません、この非常に急速に動きました為替の状況に対応する対症療法的な役割を持つものと、私はそう思っております。 むしろこうした法制度を恒久立法にしなければならないような状態は何としても避けなければなりませんし、この法律を含めました施策がそうした効果を発揮することを心から願っている次第であります。
○牛嶋正君 今、大臣がおっしゃいましたように、やはり中長期的な対策というものもはっきりと示していかなければならないと思います。その場合に、もう一度やっぱり戦後の我が国の産業政策と申しますか経済の運営の基本的な方向、どういうふうな方向をたどってきたのかということを振り返っておく必要があろうかと思います。 これはよく言われることでありますけれども、やはり貿易立国主義に基づいて先進国に追いつけ追い越せということで経済運営はなされてきたわけです。それぞれの経済の発展段階で、産業政策としてはリーディンクインダストリーを育てて、それを先頭に立てて経済の発展を持続させる、こういう政策であったかと思います。 この政策は、外から見ると、これは余り私は好きな言葉ではありませんけれども、一国繁栄主義というふうな呼ばれ方をする人もあるんですけれども、そんなふうにも映るんではないかというふうに思います。そして、そのもとで今の産業構造というものができ上がって、あるいは経済のいろいろな仕組みができ上がっているということです。 しかし、我が国の経済は非常に経済活動も拡大をいたしまして世界GNPの一五%以上を占めるようになったわけですが、こういった状況のもとで、この一国繁栄主義のもとで形成されてきた産業構造にしてもあるいは経済の仕組みにしても、十分に機能できないような、何といいますか経済の実態とそういった制度や仕組みとのずれみたいなものが今あらわれてきているんじゃないか、そのことが実は円高を初めとするいろんな諸問題を引き起こしているというふうにも考えられるわけでございます。 そうだといたしますと、今の産業構造を大きく変わりました我が国を取り巻く国際環境の変化に対応するようにやっぱり変えていかなければならない、また経済のあるいは財政の基本的な運営の方向もやっぱり見直していかなければならないのではないか、こんなふうに思っております。 そこで、どういうふうな方向にそれを持っていけばいいのかと。これは非常に難しい問題でありますけれども、今大臣がお考えになっておられます考えの一端でもお聞かせ願えれば、私もそれに基づいてまた議論を展開していきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは大変難しい御質問でありまして、的確な答えになるかどうか、自信は必ずしもありません。 ただ、過去を振り返るという意味で、第二次大戦後の日本の産業の中で常にリーディングインダストリーがあった、そしてそれが全体を引っ張ってきた、そしてある意味ではそのリーディングインダストリーというものの次なる候補者が見つからない中で苦悶をしている、こういう言い方も私はあながち間違った見方ではないと思っております。 ただ、過去を振り返るという点になりますと、少々過去になり過ぎるかもしれませんけれども、私は徳川時代から明治そして大正、昭和と続いてくるこの時代の中で、ややもすると忘れられがちでありますけれども、日本の教育水準が非常に高かった。そして、徳川時代で既に日本は非常に優秀な職人国家であった。そして、その方向というものは、少品種大量生産の方向ではなく多品種少量生産の中でその職人国家としての技量が育ってきていた。私は歴史の中から学ぶとすれば、まず一つこれがあると思うんです。 去年の秋、実は長官に私が無理を言いまして、東京の中で特に大田区における中堅企業と特殊な部門に非常にすぐれた能力を持つ小企業との結びつき、それが現在一体どういう状況になっているかを調査してもらいました。 この中には、我々として考えるべき多くのものが存在をするように思いますが、そこで一つ、やはり私自身間違っていなかったなと思いますのは、その少品種大量生産を支えてきたものも、実は徳川時代からずっと育ってきていた職人国家日本という部分の系譜に属する非常に特化された、非常に専門性の高い優秀な技術力というものが結果として大企業を支えてきたのではなかろうかということであります。 私は、これから先の日本の産業が当然のことながら新たな分野を模索し、その中では、産構審の答申の中でも情報・通信でありますとか医療・福祉でありますとか住宅関連でありますとか十二の分野を掲げておりますように新たな分野を模索していくでありましょう。その職人国家日本という部分を我々が今後忘れてしまうならば、リーディングインダストリーそのものが育っていかないのではないだろうかということを非常に強く感じております。 言いかえれば、我々は一方では産業構造自体を変えていく、その中で既存産業が新たな分野に発展をしていくプロセスも模索をしなければなりませんし、新たな産業の育成にも心を砕かなければなりません。同時に、それを支える特化された技術を持つ小企業、中小企業というよりもこれはもう小企業から零細企業に属する分野かもしれません、しかしその特化された技術の伝承というものをどうすれば今後存続できるか、これは国際分業とかさまざまな視野で進めていく施策の中にあっても忘れてはならない視点である、私はそのように考えております。
○牛嶋正君 もう少しこの問題について議論をしたい気もあるんですけれども、ちょっともう一つ大事な質問が用意されておりますので、これはまた次の機会にさせていただきたいと思いますが、私自身も先ほどリーディングインダストリーの話をしましたけれども、その根底には地場産業があったというふうに私は思っております。今、韓国が非常に成長しておりますけれども、日本と韓国の違いは地場産業の層の違いではないか、こんなふうに思っております。この議論をし出しますとまた相当時間がかかりますので、次の問題に移らせていただきたいと思います。 今、私ここに先進主要国の貿易依存度という一つの数表を持っております。貿易依存度というのはGNPに対する輸入輸出の合計額、いわゆる貿易額の比率でございます。 ちょっと申し上げますと、これは一九九四年のデータでございますが、日本は一六・七%、アメリカは二一・八%、イギリスは五一・三%、ドイツは六一・一%、フランスは四二・〇%。三極構造と言われておりますEU諸国、この代表選手でありますイギリス、ドイツ、フランスはいずれも五〇%前後の貿易依存度を持っているわけで、いかにEUに含まれる諸国の国際分業が進んでいるかということであります。それに対しまして日本は一六・七%なんですね。私は、この数字は余り議論されませんけれども、非常に重要な意味を持っているんではないかというふうに思います。 例えば円を基軸通貨にするとかなんとか言っても、やっぱり根底に物の流れがあるわけでありまして、それから考えますとこの比率は余りにも低過ぎるのではないか。こんなところに、日本のこれまでの産業政策等の、全部日本で何でもつくってしまうというふうな一国繁栄主義と呼ばれても仕方のないような方向づけがあったんではないかなというふうに思っているわけです。 ですから、よく黒字幅のことが議論になります。GNPに対する黒字幅が、日本は輸出が九・四で輸入が七・三ですから二・一%、ドイツは輸出が三二・一%の輸入が二九%ですから三二%。このGNPに対する黒字幅からいいますとドイツの方が大きいんですね。それでなぜ日本だけがこんなに攻撃されるのかということですが、私はこの場合に、先ほど申し上げました貿易額に対する黒字幅を見る必要があるのではないか。それで見ますと、ドイツの場合は五・一%、ところが日本は一二・七%なんですね。私はこの点を改善しなければなかなか円高問題というのは解決しないのではないか。 これは私の私見でございますけれども、少なくとも貿易依存率を二五%から三〇%まで引き上げていく、そうすることによって東南アジアを中心にした新しい国際分業体制というものが構築されるのではないか。私はそういった新しい国際分業体制をつくらなければいつまでもこの円高問題というのは解決しないというふうに思っておりますけれども、これについて大臣はどんなふうにお考えになるかお聞かせを願いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今の数字は私も大変興味深く伺いました。そして、その見識というものには私は敬意を表したいと思います。 ただ、それだけではないと私は思います。そして、やはり我が国の場合によく言われますように、経常収支の黒字幅というものは、実は為替が変動しておりますために、円で考えますと縮小しておりますものが、円のピッチの方が速いためにドルでカウントいたしますといつまでたっても黒字幅が縮小しない、むしろ拡大する危険性すらあるというような問題点も一方ではございましょう。 さらに、委員の御指摘になりましたような国際分業という視点でこれを考えますとき、比較的等質なレベルを持っておりますヨーロッパの場合には比較的水平分業は成立をしやすかった。島嶼国であるということも一つ原因がありましょうけれども、アジアの一角に位置いたします日本の場合に、たまたま今韓国を例示に引かれましたが、あれだけの産業を持ちながらすそ野分野においての層の薄さがある、こうした点を委員も御指摘になりましたように、アジアのエリアの中におきましてすそ野産業の育成というものが非常に急務でありますことは、昨年秋にAPECの中小企業大臣会合を主催いたしましたときにも一つの大きな問題点でありました。 そして、そのすそ野産業をそれぞれの国において育成すべく日本の投資が行われますと、そのためにまたその建設資材あるいは機械、さらには原材料といった形で日本の輸出が一時的にではありますけれども拡大をする。これを代替するだけの相手国の国内産業が育ちませんと、そこでまた日本の輸出は膨らむという、これはヨーロッパにおける水平分業とは異なった問題点を私は持っておると思います。ですから、これはヨーロッパと日本を比較いたしました場合に、その点のハンディは一つやはり計算に入れていただかなければならないと思います。 それと同時に、私は実はヨーロッパと日本を比べましたとき、たまたま本日予算委員会である委員から御質問が出たわけでありますけれども、電力あるいはガス、このエネルギーにおける内外価格差というものが論議の俎上にのったわけでありますが、そこまでの御答弁を申し上げる間がありませんでしたけれども、例えばガスにおきまして、パイプラインでつなげるヨーロッパ諸国、タンクローリーで運ばなければならない日本、コストの高くなる原因というものはさまざまなところに存在をいたしております。 ですから、私は実は、例えば抗生物質のような非常に急速に効く処方せんというものが今我々にあるかといいますならば、このリストラ法の改正案もそうでありますけれども、対症療法的に対応いたすものはございます。しかし、日本が現在必要とするのはむしろ漢方薬ではないんだろうか。根本的に体質を治していくためには、直接問題となっている部分以外をも治しながら、常にその市場を開いていく努力、むしろ私はそうしたものが必要なのではなかろうかと思っております。 的確なお答えになりませんでしたけれども、そのままの感じを申し上げました。
○牛嶋正君 私が次に質問しようとしていたことを答えていただいたんですが、実はもう繊維産業は割合分業が進んでおりますね、これは直線型の産業構造ですから、川上の紡績から始まりまして川下のファッション、アパレルまで。それで、割合技術水準の格差がありましても、例えば川上を発展途上国で受け持つ、そしてファッションとかアパレル部分は日本で受け持つ、こういうふうな分業がもう今やでき上がっているわけです。 問題は、組み立て加工型産業の、いわゆるピラミッド型をしていて、しかも非常に複線型の産業構造の場合ですね。これは技術の格差がありますとなかなか分業ができない。今大臣が御指摘になったとおりだと思うんです。だけれども、これをやらなければ先ほど言いましたような本当の新しい国際分業体制というのはできないと思うんです。 そうだとすると、この技術格差を埋めながら分業をどういうふうに拡大していくのか、しかもこういった複線型の組み立て加工型産業のところでどう進めるか、これが非常に大きな課題で、この法案がそれに対してどんなふうなかかわり合いを持っているのかということをこれからさらに質問したかったんですが、実は時間がもう来てしまいましたので、ちょっとこの点についてはまだ次の機会に御議論させていただくということを申し上げて、終わらせていただきたいと思います。
○古川太三郎君 最近の円高ということについてはもういろいろ議論があるんでしょうけれども、本当は何が原因がということを突き詰めていかないと、これはやっぱりいつまでも円高になっていくような気がするわけなんです。突き詰めても、それが実行できるかどうかという問題も大いにあると思うんです。 この法律ですけれども、確かに円高で大変御苦労なさっている中小企業に救済の手を差し伸べるというこの趣旨は非常にいいことだと私は思っております。 決してそれについて反対をするつもりはございませんけれども、ここで製造業に限って苦しいところならやはり救済するよと、こういうことでやると、確かに製造業ならば今までよりも生産額が落ちれば必ずこの法律の適用ができるというのならば、例えば百人いるときに八十人に減らして、そして新しい生産能力のある設備を投資した、それで百人で百万の生産額があったものが八十人で九十万の生産額まで来たと。確かにこれは合理化されているんですけれども、そういうことができるような企業でもこの法律で救うことになれば、これは労働者の首切り、雇用調整というものを非常に進めることにもつながってくるんですね。だから、その点をこれは見落としていられるんじゃないかなと。 もう一つ言えば、そういう合理化をすることによってコストダウンができますから、これはまた外国に輸出することもできる。そういうことになれば円高をますます円高にしていく。三百六十円のころから見れば、日本人は働いて働いて働き尽くして、そしてまた苦労しているんですよ。 だから、同じ設備投資をするにしても、環境問題とかあるいは新商品とかそういったものの分野ならいいんですけれども、単に量産ができる、そしてコストダウンができる、それだけでもこれを救っていくと。中小企業は大変な時代ですからそれもいいとしても、それならば大企業が今までそのことをやりながらやってきた反省というのが一つもないんですね。 日本の企業というのは、今までは先行投資、労働者にそのときにもうかったお金の分配も制限しながら、しかも税金もなるべく支払わないようにという形であれば、会社というのは先行投資していればいつまでたってもよかったわけですね。そういう先行投資が多過ぎるから、生産力が上がって日本の経済はよくなったんですけれども、いつまでも円高になっていくというような恐れを私は持っているんです。 だから、一番大事なことは、労働者の首切りにつながっていかないかどうか、そしてそれがとまったとしても円高はまたまた繰り返されるんじゃないか、そういう疑問を持っておりますので、その点を答弁願いたいと思うんです。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 一面私は委員の御議論のようなケースも想定し得る、これを全く否定はいたしません。そして、それが心配だからこそ、この法律の中に雇用についての配慮規定を「雇用の安定等」と、十二条に我々としてこれを条文として起こしております。 ただ、その上で一点私は申し上げたいと思いますのは、日本の経済の実態に合った水準でじりじりと円高になっていくのであれば、私は必ずしもその円高がいかぬということはないと思うんです。ところが、今回なぜこのリストラ法の改正法の御審議をお願いしなければならないかと申しますならば、この三月に入りましてからの本当に急速な、異常な為替の変動というものに対応する、ですからまさに対症療法であります、先ほど申し上げたわけでありますけれども、条件の中でこの法律の御審議をお願いをすることになったわけであります。 本質的に、委員が御指摘になりましたような、例えば会社自身が設備投資を積極的に行い、それによって自社の営業成績を維持できるようなノーマルな状態でありますならば、私はこういう法律を必要とはしないと思います。むしろ、そうした心配以上に、この急速な円高の中でそれぞれの企業が持ちこたえられなくなり失業が発生するような状態を防がなければならない、雇用を確保しなければならない、そうした視点があることはぜひ御理解をいただきたいと思います。 ―――――――――――――
○委員長(石渡清元君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、井上章平君が委員を辞任され、その補欠として河本三郎君が選任されました。 ―――――――――――――
○古川太三郎君 大臣のおっしゃることはよくわかるんですけれども、事実この法律の適用は、先ほど申しましたように百人で百万を稼いだところは八十人にして、そして新機械を入れることによって九十人分の九十万を稼ぐというところでも適用になるわけなんです。これは除外していないはずです。ということは、そういうおそれが必ずあると。労働者の首切りというのはしやすくなる。しやすくなると言っては語弊があると思いますけれども、しても構わない。 これはやっぱり国の予算を使ってのことですから、国民一般の税金をそういう方面だけに使ってしまったということになっては、私はそういう意味でもろ手を挙げて賛成できるものではないなと。何かこう絞れるものが必要じゃないかなという気がするんです。それが一つ。 それと、急激な円高ということをよくおっしゃるんですけれども、円高になるときは、それは急激でなければ余りそれを売買している人の意味がないですから、必ずどこか急激にどんと行きます。そして、このあたりでとまるだろうという、例えばファンダメンタルズとしては日本では百円だとか百二十円だとかそういうことを言われますけれども、それは本当に生きている人間の躍動感といいますか、そういうところで経済は動くんですから、机の上で統計だけを見ていて、このあたりが日本の円の実力だとか、そういう発想が逆にそのギヤップをつくっていくんじゃないか、そういうおそれも持つんです。 そういう意味から、急激な円高というのは何も一回に限らない、何回でも起こるときは起こるだろうと私は思っているんです。だからそれは余り理由にはならない。政策をやっていたというけれども、急激な円高だから仕方ないということはやっぱり政策がなかったことと一緒ではないかなと。 そういう意味で、生きた経済の関係で利益が出るという形になれば、会社というものはその方面にがむしゃらに進みますから、そういったものまで救うことになっていいんだろうかという疑問があるということです。本当はそういったものは絞ってもらいたいなと。設備投資が多くなり過ぎて円高になってきたという反省が一つもないというところにこの法律の疑問点があると思うんですけれども、そのあたりをお伺いしたい。
○政府委員(中田哲雄君) 二点御指摘ございましたけれども、最初の雇用の問題でございますけれども、私どもこの法案の考え方といたしまして、円高といったような不可抗力的な事態によって企業が被害を受ける、それによりまして雇用にも悪影響を及ぼす、それを何とかしのげるような状況をつくっていきたいというのが基本的な考え方でございます。 むしろ、この計画の承認の時点におきまして雇用についてどうなっているかということについても記載をしていただくということで、これにつきましては十分配慮をすると。先ほど大臣が申し上げましたように雇用の安定についての配慮ということが第十二条にございまして、今度の改正もさせていただいておるわけでございますけれども、それが法律上の義務でございます。そういう形で雇用への配慮をしていきたい。 これまで千三百件ほどの承認が行われておりますけれども、これまでの承認の実態から申しますと、雇用に問題のあるものは一件もなかったわけでございます。申請上もございませんし、またしたがいまして承認しているものもない、こういう状態でございます。むしろ雇用を維持し、企業の経営を安定させていくということがねらいでございます。 それから、二点目の急激な円高といっても切りがないではないかということも御指摘のとおりでございますけれども、ただ、現に起こっているものにつきまして放置できないという面がございます。円高によって苦しんでいる方もたくさんあるわけでございます。 そういう意味で、円高の基本にさかのぼって対策を講ずるということは大事でございますけれども、現に苦しんでいる企業を何らかの形で救っていきたい、少しでもお役に立っていきたいということでございます。むしろ大変に窮地に立っている企業でございまして、投資について過大投資をするといったような状況にはなくて、むしろ新しい分野に出ていくための準備期間として必要最小限の投資でもいいからぜひやっていただきたい、こういうことでございます。
○古川太三郎君 だから私もこの法案は初めから反対だとは決して申してないんで、賛成なんですけれども、今までのやり方をそのまま続けて、何ら疑問点も反省点もなく、とにかく救えばいいという趣旨だけなら余りにも無策ではないですかと、こういう質問なんです。 そういうことで、そんな会社はないでしょうとかそういうことだけではやっぱりだめなんで、会社というのはもともとこの点に利益があるということであればそこへ行くわけなんです。法律というのはそこまできっちりくくっていればいいけれども、くくってない場合には必ずそういうものを探しながら会社は動いていくんで、全部が善人だというようなことでやっては、これはせっかくの法律が逆作用になっては困るなという趣旨から疑問点を投げただけでございます。 時間も来たようですから、終わります。
○市川正一君 今回の改正案は、異常円高のもとでの大企業の海外移転、リストラの促進、逆輸入増大など、大企業の海外進出によって影響を受ける中小企業者に対する対策となっております。もちろんそれ自体必要なことでありますが、今最も重要なことはその根源にある異常な円高の抜本的是正にあることを私は指摘した上で、法案の内容について以下質問させていただきます。 この改正案で新設される第六条の二、そこで定義づけられています特定中小企業の要件、政令で定める事業展開計画の承認を受けられる中小企業者の対象業種及び条件とは、私の理解するところでは、九五年三月以降の生産額がそれ以前の三年間のピーク時より五%以上減少している、新分野進出等を行うまでの準備期間に息継ぎとして実施する事業展開計画を持っている製造業などの中小企業がその対象になるという理解をいたしておりますが、間違いございませんですか。
○政府委員(安本皓信君) 間違いございません。
○市川正一君 といたしますと、製造業等で過去三年間のピーク時より生産額が五%減少していれば対象になるわけでありますが、この三月に成立した大企業リストラ促進法と言われる事業革新円滑化法、これは過去五年間の生産額より五%減少しておれば対象になるということになっています。 そうしてみると、これに照らしても、今回の不況に入る前の時点、すなわち三年ではなしに少なくとも五年間の生産額を採用すべきではないんでしょうか。また、法律本体の新分野進出計画の対象条件、生産額が一〇%以上減少しているか、または生産額が五%以上減少し下請・海外取引依存度が二〇%以上ある中小企業という、この対象条件を事業革新円滑化法並みに五%に、もっとハードルを低くしていいんじゃないかと私は思いますが、いかがでしょう。
○政府委員(安本皓信君) 事業革新法につきましては、法の対象となる業種につきましては省令で定めることとしておりまして、具体的判断の際、原則として過去五年間に業種全体の雇用の減少及び生産の五%以上の減少を基準としております。生産の減少だけではなくて雇用の減少ということも要件になっております。 他方この法律は、事業展開計画及び新分野進出計画、いずれにおいても事業革新法のように細かく業種を指定するということではなくて、すべての製造業者等を対象にしておりまして、経済の構造的影響を受けている業種を広くカバーできるというふうに考えております。 また、支援措置につきましても、今回の改正によりまして追加されます事業展開計画につきましては、急激な円高によります中小企業への深刻な影響を緩和することによりまして、中小企業者の前向きな努力を支援するために……
○市川正一君 ハードルが高いんだ。
○政府委員(安本皓信君) それにつきましては、要するに講じております措置がこちらの方が例えばより手厚いものでありますとか、あるいは事業革新法の方は例えば標準産業分類の四けたの業種に絞り込むためのことでありまして、こちらは個別の企業がどんどん対象になるというふうなことでございまして、必ずしもどちらが手厚いとかあるいはどちらの方が要件が緩いとか、そういうことは言えないのではないかというふうに考えております。
○市川正一君 三年と五年の問題にしろ、あるいは一〇%、五%の問題にしろ、ハードルをやっぱり中小企業やからもっと配慮すべきだということを私指摘して、研究してほしいというふうに思います。 それから次に、中小企業にとっての実際的な支援効果ですね、それを読ませていただいてつらつら思うのに、新分野進出に向けての具体的設備投資がなければ減税の恩恵はない、以前から赤字企業であれば欠損金の繰り越しもだめ、設備近代化資金を利用していなければ償還の特例も受けられぬというのでは、私はけちばっかりつけているんじゃないですよ、これではやっぱり魅力に乏しいんじゃないかと。 もっと魅力あるものにするためにも、なぜ事業展開の承認を受けた業者に、八六年のあの円高不況のときには新事業転換法で国際経済調整融資制度などのように法律に基づく融資をちゃんとしたんですね、それを今度は見送っているんですか。また、信用保険の特例措置をちゃんと法律で担保する必要はなかったのか。そういう魅力あるものに何で仕上げてはいただけぬのやろうかと思うんですが、どうですか。
○政府委員(中田哲雄君) 今度の立法措置につきましては、委員御案内のとおり今般補正予算を成立させていただいたわけでございますけれども、これによります緊急対策、各種ございます。 例えば政府系中小企業金融機関による特別の融資制度でございますとか、あるいは府県と一緒にやっております体質強化資金あるいは信用保険の特例等々緊急対策を今講じようとしているわけでございますけれども、これらの措置をフルに使って、さらに法律事項として手当てをしなければならないものを今度の法律でやったわけでございます。 したがいまして、円高緊急対策として今実施をしつつありますこの対策とあわせてぜひ御判断をいただきたいというふうに思うわけでございます。
○市川正一君 いろいろやっているから任しときというお話のようですが、任じとかれぬのですよ。 例えば、九三年十一月からの新分野進出等の低利融資の実績を通産からいただきました。それを見ますと、認定業者千三百三十八件のうち四百四十四件、三三・二%しか適用されていないんです。近代化資金の返済猶予は二百七十七件、二〇・七%です。信用保険法の特例は四百七十五件、三五・五%しか利用できていないんです。つまり、中小企業庁がおっしゃる新分野進出を目指して自助努力に取り組んでいる前向きの業者が、法律の認定業者でも今申しましたように大体三〇%台なんです。それしか融資を受けられておらぬのです。 ですから、私、今回の改正で創設される事業展開計画を承認された業者が、確かに補正予算での中小企業国際経済環境変化対応等円滑化融資の創設あるいは信用保険の特例の円高関連枠の創設、これを必ず利用できるように保障してやってほしいんですが、どうですか。
○政府委員(安本皓信君) 先ほどの既存の中小新分野進出等計画にありながら施策を利用しているのが少ないというお話でございましたが、中小リストラ法につきましてはいろいろな施策をその中に盛り込んでおりますので、実はどの施策を受けたいのかというのが分散する傾向にございまして、例えば融資で申し上げれば、その計画の承認を受けた方々の約三分の一程度が要するに実際にその融資の申し込みをされているというふうなこともございまして、必ずしも計画の数と承認数と融資とかあるいは個別の利用のあれを見て、少ないとか多いとか必ずしも言えなくて……
○市川正一君 私、一つだけ言ってしまへん、三つちゃんと並べて言ってますけど。
○政府委員(安本皓信君) 全体についてそういう分散がありますので、そういうことで御理解いただきたいと思っております。 今回の計画につきましても、御承知のとおり直接この法律と融資制度はリンクしているものではございませんが、その要件に合いましてそういった審査を経れば、できるだけそういう御要望にこたえられるようにいたしたいというふうに考えております。
○市川正一君 もう一つ伺いたいのは、今回の補正予算案で、緊急経営貸し付けの適用期間が延長され、あるいは中小企業保険の特例の円高関連枠を創設する、あるいは地方自治体の無担保無保証人融資のもとになる特別小口保険が一千万円にまでなる。これらはかねて私が要求いたしておりましたことが実現したものとして大いに評価させていただきたいと思うのであります。しかし、七千億の国際経済環境変化対応等円滑化貸し付けの金利が三・六%というのは、ここはいただけないんですね。結局、融資の原資である財投金利が三・八五%ですから、〇・二五%引き下げただけのことにしか結果としてはなっておらぬのです。 私、今円高で苦しんでいる業者の求めているのは無利子あるいは公定歩合並みのせめて一%の低利融資だと思うんですが、そういう方向に改善すべきじゃないんですか。いかがでしょう。
○政府委員(安本皓信君) 先生御承知のとおり、三・八五という財投金利の中で三・六ということで、非常に私どもとしては最大限の努力をさせていただいていると思っておりますし、また単純に金利を比較しますと、三・六でも高いじゃないか、市中ではもっと安いやつもあるというふうなこともございますけれども、しかしながら政府系金融機関の金利は、これは御承知のとおり長期固定でございますので。 それからまた、市中の場合には往々にして非常に優良なところが非常に安くなっているということがございます。政府系機関の場合にはそういういろんな差別というふうなこともございませんですし、そういう意味では実質的に最大限の努力をさせていただいているというふうに考えております。
○市川正一君 もっと頑張ってほしい。それでこれは可能なんですよ。都道府県が実施している緊急経営支援貸付融資を見ますと、日経新聞も報道しておりますけれども、埼玉県が二・四%、岐阜県が二・六%、福島県が二・七%、大阪は二・八%、多くの県などで二%台になっているんです。だからやっぱり国ももっと努力していただきたいということを強く要望いたします。 そこで、大臣お待たせいたしました。今度の補正予算における信用保証の倍額化、これは大いに歓迎いたすところであります。しかし、この倍額化が、文字どおり、額面どおりに保証協会や銀行で融資や保証を実施するかどうかが大変懸念されているんです。 と申しますのは、信用保証協会が物的担保主義に陥っておる。先日、中堅中小企業の経営者団体である中小企業家同友会から、保証協会が物的担保優先主義に陥ることなく、事業経験あるいは経営努力、企業体質等を正当に評価するシステムをもっと構築してほしいという要望を寄せてこられました。 私は、こういう円高のもとで、企業として存続を図り、また新分野進出に前向きに取り組もうとしている中小企業者が利用できるように、保証協会が物的担保主義に固執するんじゃなしに弾力的に対応するように通産省としても指導を強めていただきたいというふうに願っているところでありますが、御意見を承りたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は一度でいいから市川先生、ちゃんと褒めたら最後まで褒めていただきたいと思うんですけれども。 しかし、私は今の御注意は既に私ども自身が懸念をいたし、担保徴求に対しては弾力的に対応するようにということを指示、要望をいたしております。 なお、これは政府系金融機関だけの問題ではございませんで、民間の金融機関についても同様の問題が耳に入ってまいります。先日、十四日でしたかの閣議後の閣僚懇談会の席上、私から大蔵大臣に対し、民間金融機関に対しても担保徴求について弾力的な対応を要望いたしまして、たしか昨日でしたか、そういう指示を出していただいたと聞いております。
○市川正一君 最後に、橋本通産大臣との今までのかかわり合いをも踏まえてお伺いいたしますが、十六日の参議院本会議の私の質問に対して村山総理が、阪神・淡路大震災の災害融資について、国の制度は八月以降も延長する方向で検討すると、こう述べられました。兵庫県の緊急災害復旧資金の融資は県と国の両方が八月以降も続けると、これが被災中小企業の自力による復旧あるいは復興を支えることになると私確信いたします。大臣の格段の御努力、これを心から要請し、決意のほどを承って私の質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 阪神・淡路大震災にかかわります政府系中小金融機関の融資の特例措置につきましては、確かに七月末までとなっておりますが、八月以降も延長する方向で今検討をいたしております。これは兵庫県とも密接に連絡をとり合いながら制度の取り扱いについての万全を期してまいりたい、そのように思っております。
○市川正一君 ありがとうございました。 ―――――――――――――
○委員長(石渡清元君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、竹山裕君が委員を辞任され、その補欠として南野知惠子君が選任されました。 ―――――――――――――
○翫正敏君 翫正敏です。最近の急激な円高に対する緊急対策として、さっき大臣の言葉では対症療法的なということだったんですが、今回の法改正は必要な法改正だと思って、賛成する立場から少し御質問をいたします。 円高によりまして経済的なダメージを受けている中小企業が多いと思うんですが、その企業の数、それからその金額、これを教えていただければと思います。
○政府委員(中田哲雄君) 先般、五月十二日に本年度版の中小企業白書を閣議決定いたしまして国会に御報告をする手はずをしているところでございますけれども、これによりますと、円高によりマイナスの影響を受けた中小企業は、私どものアンケート対象、これ全産業でございますが、三八・八%を占めております。これを中小企業の事業場数に単純に掛けてみますと、二百五十万余の中小事業者がマイナスの影響を受けているということになるわけでございます。 他方、プラスの影響を受けている中小企業もございまして、全体の、これは流通業、サービス業含めてでございますが、一九・一%がプラスの影響を受け、あるいは予測をしておるということでございまして、これも単純に掛け合わせますと、百二十万余の中小企業がプラスの影響を予測しておるということでございます。 なお、このメリット、デメリットの額といいましょうか、これにつきましてはそれぞれ各企業の内情にわたるわけでございまして、ちょっと私どもの調査では把握し切れていないわけでございます。
○翫正敏君 こういうふうに考えてもいいんでしょうか。金額ということはわからないということですけれども、ただ円高メリットというものが一方である、それが一〇〇%消費者、国民に還元されたというふうに仮定をしますと、日本の国全体としては円高によって損害を受けているということではないと、こういうふうに理解してよろしいんですか。
○政府委員(中田哲雄君) 円が高く評価されると、それによりまして輸入物価等々が引き下がってくるということ自体は国民経済的に見て好ましいことだろうというふうに思っております。 ただ、これが急激に進んだ場合に、前々から御指摘いただいておりますように、輸出開運の企業あるいは輸入競合品の企業あるいは輸出等を行っております大企業の下請企業、こういったところが集中的に被害をこうむるということでございまして、このあたりは国民経済的にも大変な問題だろうというふうに思っております。
○翫正敏君 そこで、円高のメリットがあってもそれをため込んで出さないという企業や業種もあるんではないかと思いますが、そういうところに対しては行政指導をさらに強化すべきだと思うんですが、大臣の方からお答えいただきたいんですが、どういうふうに進めておられるか、現在及び今後ということについてお願いします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 円高メリットとよく言われます。そのメリットについては、これはできるだけ早く、しかも十分に還元がされなければなりません。 四月中に、通産省といたしましては、所管をいたしております輸入、卸、小売あるいは卸・小売、メーカー、各広範な関係業界、九十六業界だったと思いますが、に対しまして円高差益還元の要請を全部に対していたしました。政府全体としては、その結果をたしか五月いっぱいに経済企画庁の方で取りまとめていただくことになっております。 また、従来の調査ではこれは輸入消費財を中心に行ってきたわけでありますけれども、輸入原材料あるいは中間財にも着目いたしまして円高メリットの浸透状況についての調査を行っておりまして、これも五月中にまとまる予定でございます。
○翫正敏君 ところで、数日前、アメリカの方で日本の十三の高級車に一〇〇%の関税、つまり倍にするということの制裁リストが発表になったわけです。総額五十九億ドル、約五千億円ぐらいでしょうか。 そういうことなんですが、この制裁の発表についてマスコミの報道を見ますと、アメリカの国内の世論の中にもこの対日制裁に対して批判的な意見が多いか、少なくともあると、こういうふうに報道されているんですけれども、アメリカ国内での対日制裁に対する批判というのはどういう理由が挙げられているというふうに政府としては分析していますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは現時点で必ずしも正確なことを申し上げるところまで集まってはおりません。 ただ、基本的にありますのは、ビッグスリーなどアメリカの自動車メーカー、これは既に歴史的な利益を計上しております。そういう状況の中でありますだけに、今回の一方的措置でまたその上にプラスして多大な利益を受けるということにつきましても、米国民一般の空気は必ずしも快いものではないというふうに承知をいたしております。 さらに、日本から輸出をいたしておりますこの十二車種を対象にして二千店強のディーラーがございます。我々はそこの従業員数を六万人強と思っておりましたが、本日ニュースを見ておりますと、アメリカの関係業界の方では八万人強と言っておられまして、我々が予測したよりも雇用は多いということでありました。これは大体対全米で五%から七%の数字に当たります。少なくともこのディーラー並びに労働者には大きな影響を生ずるということになります。 しかも、これはカンターUSTR代表の発表の際には、その影響はないと言い切っておりましたが、日本側で調べてみますと、この十三車種の中には大体アメリカからの部品購入が相当入っております。これは金額的には約二億四千万ドル程度になろうかと思いまして、当然その一〇〇%の報復関税といったような関税が実施されますならばほとんどの輸出はとまるでありましょうから、これは当然のことながらアメリカからの部品購入が二億四千万ドル余り減少するということでありまして、これはそうした関係の方々にも非常に大きな影響をもたらす。 そして、そういう影響が次第に皆の中に浸透し始めまして、カンターUSTR代表の発表にもかかわらず、関係者には被害が及ぶということでの反発が今生じつつあります。
○翫正敏君 今御説明があった経済問題のほかに、アメリカ国内での批判的な意見の中に、日米関係の安全保障問題に悪影響があるんじゃないか、そういうことを懸念する意見、こういうものもあるのではないかと推測もされるんですが、そういうのは聞いておられませんか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 我々は、この包括協議における補修部品市場の問題についての合意のできなかったことが日米関係に大きな影響をもたらしてはならないと、非常に注意深くこの問題を扱ってまいりました。そして、WTOに手続を移しますについても、この点については十分な配慮を払ってきたつもりであります。 アメリカ側におきましても、カンター代表の記者会見の時点におきましてはこうした点に非常に注意を払われた会見がなされたと私は思いました。そして、他の分野に波及させないということを言い切っておられたように思います。 ところがその後、日本の姿勢が必ずしもアメリカにひざを屈する態度ではないということを感じて以降の政府の関係の発言には微妙な変化が生じておりまして、これは予想以上に大きな問題になるかもしれない、安全保障問題にも影響が及ぶかもしれないといった言辞が目立つようになりました。 これが本心からのものか、あるいは交渉上のテクニックによるものなのか、現時点において私には判断がつきません。しかし、そうした事態にならないようにこれは全力を尽くさなければならないと考えておりますし、本日の予算委員会におきまして副総理・外務大臣の方からもそうした決意を述べられたところであります。
○翫正敏君 強く対日制裁を推進しようという論もあるわけでこういうふうな決定も出ているわけですが、そういう推進論というものの背景には、我が日本の国に米軍の基地を置いて、そして安保条約によって日本の国を守ってあげているといいますか守ってやっているといいますか、そういう考えも背景にあるのではないかと私などは邪推するんですけれども、そんなことは感じませんでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは、あえて委員御自身が邪推という言葉をお使いになりましたが、私もその点は邪推であることを願っております。
○翫正敏君 いや、そういうのがあるんではないかというふうに、これから表立って出てくるのではないかというように感ずるということで推論をしたわけなんです。 もしそういうような、米軍基地を置いて日本を守ってやっている、やっているやっているということに対して、つまり経済と安全保障をリンクさせて圧力を日本に対してかけてくるというようなことが今後も高まってくるというような場合は、そういう仮定のことには答えられないとおっしゃるかもしれませんが、そういうふうなことも一応考えて、そういう場合には、やはり米軍基地というものに対して日本は逆に言えば多額の思いやり予算というものを支出しておるわけですね。二千七百億円というんですから、安全保障問題の金額と経済の制裁金額と比較するのは適切かどうかわかりませんが、今度の制裁額の半分ぐらいという金額になっておるんです。こういうようなものもこの際少し削ろうかというような議論も考慮に入れてみて、そういうようなことも考えながら経済交渉に臨んでいくというようなことも必要なのではないかと推測するんですけれども、大臣のお考えを述べていただいて、それで終わります。
○国務大臣(橋本龍太郎君) この点は、私はちょっと委員と見解を異にいたします。 と申しますのは、多少答弁をお許しいただきたいと思うのでありますが、実は私自身、日米交渉、何回かの体験の中で、今回大変まれなケースでありますが、国務省あるいは国防総省が全くこの議論の中に介入をいたしておりません。むしろMOSS協議のころあるいは建設市場参入が非常に面倒な論議になりましたころ、さらに構造協議のとき、常に実はUSTRあるいは商務省の裏側には国務省あるいは国防総省の影がございました。 そして、非常にぎすぎすしたお互いの議論の中で、ある場合はアメリカ側をなだめる、要するにアメリカ側の通商担当をなだめる立場で、これ以上議論を進めると影響が生ずるからというようなことで妥協の道を模索する方向に誘導する、あるいは逆に我々の方にプレッシャーを、まさに今委員の言われた議論の裏返しのような形でかけてくるということが今までは何回かございました。 今回、私はこの包括協議の議論で、非常に激しい議論を繰り返しておりますが、従来と全く違いますのは、国務省がこの議論の中に全く介入をしてきておらない。より国防総省の影は全くない。この点は従来と全く私は状況が違うと思っております。そして、それはやはりある意味では、アメリカとしてもみずから生み育てるべく努力をしてきたWTO体制というものの中で経済問題、貿易交渉の問題と他分野を絡めないという考え方をとってくれてきたのではなかろうか、少なくともきょうまで私はそのように感じておりました。 そして、現時点におきましても国務省あるいは国防総省が動く気配はございません。ですから、私はその点では従来むしろそうした感じを持ったことがございました。今回、その懸念を全く感じずに議論ができております。
○翫正敏君 終わります。
○委員長(石渡清元君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 特定中小企業者の新分野進出等による経済の構造的変化への適応の円滑化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(石渡清元君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石渡清元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後七時八分散会