商工委員会 第4号
- 発言数
- 86 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1995/03/16
会議録
○委員長(久世公堯君) ただいまから商工委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る二日、川橋幸子君が委員を辞任され、その補欠として前畑幸子君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(久世公堯君) 特定事業者の事業革新の円滑化に関する臨時措置法案を議題といたします。 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○沓掛哲男君 それでは、質問させていただきます。 最初にこの特定事業者の事業革新の円滑化に関する臨時措置法案の背景となる産業の空洞化についていろいろ質問させていただき、それから順次この法律について質問をしたいというふうに思います。 まず、海外直接投資に関連いたしまして、今申しましたように第一番目には国内産業の空洞化について、二番目には国際分業についてお尋ねしたいというふうに思います。 海外直接投資は、八二年度七十七億ドル、八五年度百二十二億ドル、八九年度は実に六百七十五億ドルにも達しておりますが、九〇、九一、九二年度は不況が原因で減少し、九二年度は三百四十一億ドルにとどまっておりますが、その後は増加傾向にあると思います。 さて、産業の空洞化の論議は石油危機以降のアメリカにおいて展開され、日本にも波及してまいりました。我が国ではプラザ合意後の円高のときに産業の空洞化問題が取り上げられましたが、海外生産比率で見てみますと、当時、八九年度ではまだ三・二%程度であり、当時の米国では一八・一%、ドイツが一九・三%であるようなことから見ても、今後の検討課題程度であったというふうに思います。 参議院の政審でもいろいろ議論をいたしまして、当時、通産省の先輩である矢野議員にこういう問題をお尋ねいたしましたら、通産省においてもこういう問題は非常に重要なのでこれから積極的に検討すると言っておるというような返事でございました。 しかし近年、アジア諸国は安い良質な労働力を背景に経済成長を進め、安い物も輸出するようになっていることと、我が国の円高等により我が国企業の海外直接投資は増加し、それに伴い産業の空洞化も懸念されてきております。しかし、この産業の空洞化というのは、一面また明るい面もあるわけでございまして、そのうちの二つほど例に挙げてみたいと思います。 今申し上げたようなことは一時的には国内において雇用問題、経済の停滞等をもたらしますが、少し先を見れば、一つの例としては、海外直接投資は経営資源が我が国から例えばアジアに移動することであり、その結果アジア諸国の経済活動は活発化し、ひいては日本とアジアの相互依存関係が強まり、日本からアジアへの輸出の増加も期待し得るというようなこと、また二つ目の明るいものとしては、日本国内としてみれば、伝統的産業の重要性が相対的に低下し、先端技術産業の比重が増大することによって、産業構造が国際的には国際分業の原則に沿って転換し、国内的には構造調整が進展するということでもあると思います。 現状では、海外へ進出している日本企業千四百六十社、製造業が九百十一社、商業関係が二百八十社でございますが、その海外生産比率は九二年度では六・二%、九三年度では六・四%となっております。現在アメリカは二七・五%、ドイツは一九・六%から見ればまだ低位にあるというふうには思います。我が国の海外生産比率は、先ほど申しましたように八九年度は三・二%であったものが、九三年度には六・四%とわずか四年で倍になっており、現状から見て今後ともこの率はかなりの速度でふえていくのではないかというふうにも思います。 海外直接投資も度を越しては、国内での雇用、投資国での摩擦それから資産の危機管理等の面で種々の問題が生ずることも懸念されます。通産省でも、先ほど申しましたが、プラザ合意後の円高のころから直接投資に伴う産業の空洞化についていろいろ勉強されておると聞いておりますが、海外直接投資の限界のようなもの、例えば海外生産比率が数字的に幾らと言うわけにはいかないでしょうが、そういうような比率等についてもお考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。 経済原則のみならず、経済的には強いんですけれども政治的、外交的には大変弱い立場の日本の現状も配慮しながら、海外直接投資が無限にどんどんいくということもこれはまたいろんな問題になると思いますが、そのような限界的なもの、あるいは考慮しなければならないもの、そういうものについてお尋ねしたいと思います。
○政府委員(牧野力君) ただいま御指摘がございましたような、我が国企業の海外進出と国内の空洞化といった問題に関する評価をされましたけれども、お説のとおりであると思います。 それで、今後海外投資がどういうふうに進んでいって、その限界がどうかということでございますけれども、これは今委員御指摘がございましたように、特にアジアとの関係においてより適切な国際分業を進め、その反面、国内において新しい産業をどんどん起こしていくということによって国際的に調和のとれた産業構造になっていく。これを自由経済のもとで進め、政府としてはその基盤をできるだけつくっていくということでございますので、どのくらいが限界かということにつきましては、なかなかこれは申し上げにくいと思いますが、今御指摘のとおりの数字で伸びていることは事実でございます。 それからまた、委員が御質問でございますが、こういった海外進出に伴いまして、受け入れ国との摩擦でございますとか、あるいは進出した日本の企業の安全といいますか、資産の管理、資産の安全等、そういったような問題についても十分に注意しつつ進めていく必要があろうかと思います。 これにつきましては、例えば適切な海外事業が行われていくために、それを担保するために、九三年六月に産構審におきまして海外事業展開に当たっての期待される企業行動というものを策定し、これをお示ししているところでございます。この内容を簡単に申し上げますと、投資先の地域の社会的な問題の解決に向けて積極的にいろいろ参加をするとか、投資先企業に対しまして現地人の人材の育成、活用を図るとかいったような、現地における適切な調和ある行動をできるだけ行っていくための指針を出しております。 それから、我が国企業が海外へ進出した場合の安全といいますか、そういった問題につきましては、御承知のとおり海外の投資保険制度もございますし、さらには二国間の投資保護協定を結ぶ、あるいは結ぶ努力を今しているというようなことで、きめ細かな対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
○沓掛哲男君 私は、昨年の九月、マニラで行われましたASEANのいわゆる議会会議に日本から三人の国会議員と一緒に参加させていただきました。これはASEAN六カ国の議会、国会議員が集まりまして、それからオブザーバーという相手国を一国ずつ呼んで、こういう会議場でお互いに忌憚のない意見を交換するものでございます。 その帰りに、マラッカ市へ行ったり深川等へ行って現地で働いている企業の方々からいろいろなお話を承りますと、大変いろんな御苦労をしておられるし、いろんな難しい問題と申しますか、例えばマラッカ市の各企業では離職率ということを非常に気にしておりました。私は最初、離職率は五%と聞いたので、年間五%かと思ったら、そうじゃなくて月五%ですから、これはなかなか大変でございます。 その内容を聞いてみると、例えば一人当たり月五千円で雇用していると。しかし、それがラインで働くにはやっぱり二カ月、三カ月の訓練が要る。ところが、後から入ってきた日本の企業やアメリカの企業は五千五百円を出すと。その人はもう翌日から向こうへ行ってしまう。そうするとそこでまた空洞があく。そういう人を埋めるためにラインのリーダーは現地人にするとか、いろんな工夫をしてやっているんですけれども、何しろ月五%の離職率、年間六割の人がやめていく、そういう非常にいろんな難しい問題もあるので、そういう御苦労を聞いてきたので、今のような御質問をし、さらにこれから両国間で摩擦がないように、そして資産の危機管理等もうまくいくようにするためにやはりもう少し工夫が必要じゃないか。 そういうためにやはり国際分業論というものももう少しいろいろ深く検討して、そして基本的にはアジアの国と日本の国がお互いに必要なものを協力し合ってつくり上げていく、そういうふうな分業論的なものも必要じゃないかというようなことを頭に置きながら、私はひとつ国際分業論についてお尋ねしたいというふうに思います。 国際分業は貿易によるルートと海外直接投資を通じての二つのルートで進むものと思います。円高はこの二つのルートを通じて国際分業を促進するものでもあると思います。 さて、国際分業には大別して産業間の分業と産業内分業が考えられます。ちょっと詳しいことを申し上げるんですが、実はこのことは、私は昭和六十一年から国会に出まして最初産業資源エネルギー調査会に属しました。そして三年間こういう問題を議論し、三年たったときに各党の代表がそれぞれ三年間のものをまとめていわゆる意見を開陳するということで、私は自民党を代表して意見をまとめさせていただいた。そのときにこういうことをいろいろ議論したので、その後の変化も踏まえながら少し説明したいと思います。 さて、今申しました産業間の分業と産業内分業が考えられますが、産業間分業はわかりやすいけれども現実問題としては無理があるというふうに思います。例えば、我が国は先端技術にかかわる産業に特化していく。そしてアジアNIESと言われる国はスタンダードの製品に特化していくように我が国は技術の面でも資本の面でも援助してあげる。そしてASEANや中国といった国については労働集約的な産業に特化していく。そしてお互い仲よく手を結び合っていくということなんですけれども、どこの国においても先端産業に向いた人、それから一次産業に向いた人、いろいろいるわけですから、この産業間分業については問題が多いというふうに思います。 これからアジアの人たちと協力し合ってそれぞれの国の産業を発展させていくには、私は産業内分業を進めることが大切だと思いますし、現実にこのことがかなり進んでいるようにも思います。産業内分業も大別いたしますと垂直的産業内分業と水平的産業内分業があります。 垂直的産業内分業とは、同一の生産工程上で加工段階の異なる製品を相互に輸出する、いわゆる工程間分業であります。例えば、我が国国内においては技術集約的な生産工程を、アジア諸国においては労働集約的な組み立て、検査工程等を行って一つの製品をつくり上げる。一つの物をつくり上げるにおいても、その工程においては非常に高度な技術を要するものとそうでないものとがありますから、それらをお互いに得意とするところを分担し合いながら一つの製品をつくり上げていくというものでございます。 この例として、先週日本経済新聞で連載されております「空洞化に挑む」の中でよい実例がありましたので、ちょっと紹介したいと思います。 三条市でキッチン用品やアウトドア用品を製造販売するパール金属株式会社というのがございますが、それが中国にある協力工場でフライパンの鉄板を型に打ち抜き、その半製品を今度は日本に持ってきて、そして三条市の工場が得意とする弗素加工などの表面処理という大変難しい工程をこなして、そして最後のフライパンができ上がるというようなものです。こういうことが今申しました垂直的産業内分業でございます。 もう一つの水平的産業内分業というのは、同じ製品分野に属しますが、デザインや品質、価格等の異なる製品を相互に輸出する製品差別化分業、この差別というのは余りいい言葉じゃないんですが、製品に差のあるもの、価格、品質に差のあるもの、そういうものを分業するという意味で製品差別化分業であります。例えば、同じ電子機器でも、コンピューターや通信機器等の技術集約度の高いものは我が国で、家庭用電気機器等はアジア諸国で製造するというようなものです。 いろいろ国際分業について申し上げたのは、最初申しましたように、海外直接投資を行う場合、受け入れ国との関係では、お互いに必要な製品をそれぞれ得意な工程を分担し合うことにより一緒に協力し合って製造するという考え方が、いわゆる相手国にも受け入れやすく、お互いに協力しなければ最後の目的物ができないわけですから永続性があるというふうにも思うからです。 通産省でもいろいろ勉強されておると思いますが、アジア諸国との関係でいろいろな生産をしていく上において、お互いの国で理解し合える、そしてそれがずっと続いていく、何かそういうような国際分業というものを、秀才ぞろいの通産省ですから、もちろん今までも十分検討されていることと思いますが、それについてひとつ御所見なり、こういうことを今やろうとしているとか、そういうお考えがいただければと思います。
○政府委員(牧野力君) 今、委員の御指摘になりました具体例も含めまして、私どもこの具体例は大変最近の動きとしては結構な動きであるというふうに思っております。それから、今いろいろ御指摘になりましたけれども、全くもっともであると思いますし、一言で言いますと、そういう線に沿って現実的にいろいろ対策を進めていきたいということでございます。 なお、若干付言をいたしますと、最近の特にアジアとの関係でいきますと、日本の資本財、特に部品、サポーティングインダストリーですが、こういったものはまだまだ日本に頼る面がございます。これをどんどん輸出をする、あるいは海外に進出をする、それに伴って海外、特にアジアで完成品を生産いたしまして、これをまた逆に日本に持ってくる、あるいは第三国に輸出するという形態がどんどんできてきております。 こういう動きに沿いまして、例えば民間会社におきましても、例えば自動車のある会社におきましては、部品別にタイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、それぞれでどういうものをつくるかということを分担いたしまして、それをアセンブルする集中生産体制を確立しまして、今申し上げました四カ国の間で部品を相互に供給し合うといったような形態をとっておるようでございます。こういった中で、アジアの諸国におきましても、例えばそういったものにつきましては関税を相互に軽減をしていく。アジアの政府もこういうような積極的な対応をしているようでございます。 こういった動きをきめ細かに進めていくということが大事でございまして、通産省といたしましては、例えばタイ、フィリピン等の政府との間で政策対話を行いまして、一年に一、二回行っているようでございますが、現地のサポーティングインダストリーをどう振興していったらいいかというようなことについて政府ベースでも対話を進めている、こういう状況でございます。
○沓掛哲男君 では、次にお尋ねいたします。 昨年六月に取りまとめられました産業構造審議会報告書において、今後の新規成長分野として住宅関連、医療・福祉関連、情報・通信関連等の十二分野を指摘しております。これら新規・成長分野の発展を支援するために政府としてはどのような施策を具体的に講じてこうと考えておられるのか。この中で必要な人材を、海外直接投資する分野、企業の余剰人員から確保するというようなことも考えていかなければ確保できないような気もするんですが、そういう点も含めてどういうふうな対策をお考えか、お聞きいたします。
○政府委員(牧野力君) 昨年出させていただきました今御指摘のいわゆる十二分野でございますが、一々は申し上げませんけれども、例えば住宅、医療・福祉、情報・通信といった、今後日本の国内で新たにどんどん伸びていく、したがって雇用等の吸収のもとになる、こういった産業のビジョンをお示しいたしたわけでございます。 今、委員が最後におっしゃいましたが、既存の産業の成熟化といったような状況の中で、新たな雇用の吸収の場所が必要なわけでございますが、そういった観点からも非常に期待をしているところでございます。 具体的にどういう対策を講ずるかということでございますが、それぞれについていろいろきめ細かな対策を講じていく必要があろうかと思います。例えば、住宅関連につきましては、技術開発の推進あるいは建材等の標準化、流通の合理化及び規制緩和の推進といったようなことをやっていく必要がございます。医療・福祉関連につきましては、高度医療機器、医療情報システム等の研究開発や、あるいは福祉用具、医療情報システムの普及の促進あるいは環境整備。あるいは情報・通信関連につきましては、まず公的分野から高度情報化を図って需要を喚起していくといったような問題、あるいは基礎技術の研究開発、人材の育成といったような、税制、財政あるいは規制緩和等をそれぞれの分野に応じてきめ細かく進めていきたいというふうに考えております。
○沓掛哲男君 では、この法文の第三条第一項では内外価格差調査の努力義務規定を置いておられますが、政府としては内外価格差是正にどのように取り組もうとされておられるのか。この次の第三条二項も非常に重要な項目だと思います。「国は、前項に規定するもののほか、内外の産業、我が国事業者の海外事業活動等の動向の調査を行い、必要な情報を提供するよう努めるものとする。」としております。 第一項では結果を公表する、広く周知徹底を図るという手段として公表を掲げておりますが、二項はそういうふうな情報をどのような形で提供するかという形を示していないんですが、本当はこの二項というのも、これから直接投資をしよう、海外へ行こうという人たちにとってみたら大変重要な内容を含んだ情報ですから、もっと周知徹底を図る、場合によっては公表でもいいんじゃないかなと思うんですけれども、一項、二項でこういうふうに差をつけているのはどういう理由なのかもあわせて質問いたします。
○政府委員(牧野力君) 内外価格差の存在は、御承知のように我が国の経済の構造的なゆがみあるいは非効率性を端的に示しているものであるというふうに思います。 例えば、サービスでありますとかあるいは食料でありますとか、そういった面についての内外価格差は国民の生活のコストを非常に高くするということで、これがひいては日本のいわゆる国際競争にさらされている製造業のコスト高になっているわけでありますし、より直接的に見ますと、製造業のいろいろなコスト分析をしてみますと、輸送の分野でございますとかいろんな分野で非常にコスト高になっている問題がございますので、こういったことを是正していくことが非常に厳しい国際競争にさらされております製造業の改革に非常に重要であるということでございます。 そういった意味におきまして、内外価格差の調査、特に要因の分析、どこにどういう問題があって、それがどこから生じているかというようなことを分析いたしまして、それに基づいて取引慣行の是正でございますとかあるいは規制緩和を進めていくことが非常に大事であります。しかも、内外価格差を示すことによって、産業界あるいは関係者の意識の革新を推進するということが非常に大事である。こういう趣旨から、今御指摘がございましたように第三条におきましてこの内外価格差を調査し、その結果を公表するというふうになっているわけでございます。 そこで、次の御質問でございますが、この第三条二項におきまして、我が国内外の産業、我が国事業者の海外事業活動の動向の調査を行って、これを情報提供するように努めるということで、公表になっていないのはなぜかということでございますが、いずれにしましても、我が国事業者の海外事業活動の動向につきましても、これは今後の空洞化対策あるいは海外進出を適切に行うためのデータとして非常に重要なことは御指摘のとおりでございまして、従来我が省といたしましてはこれについての調査を行っておりまして、その調査を内外に発表しております。 公表するかどうかという法文上の問題でございますが、内外価格差の問題につきましては、これは一般的に客観化できるものでございまして、したがってこれを公表するということは何でございますが、海外事業活動につきましては、かなり個別のケース等がございますので、法文の書き方として必ずしも公表というふうになっていないわけでございますけれども、実態上は、必要な情報を提供するように努めるということは実際上は公表するということでございまして、従来から私どもの調査もそういう扱いをさせていただいております。一応、法文上こういう書き方になっているということでございまして、実態的には十分に内外にこれをお示しして御批判を仰ぎ、関係者に十分理解を得たいということにしております。
○沓掛哲男君 では、次の第四条について質問したいと思います。 我が国の物価高の一要因として、複雑な、非効率な流通過程があるわけですから、取引慣行に関する調査は積極的に行うべきだというふうに思います。この法文では、「国は、事業革新の円滑な実施のため、その行う商品の販売等に係る取引慣行の改善を行おうとする事情を共通にする特定事業者からの相当数の申し出があったとき」初めてそういう調査をするということになっているんですが、いわゆる物価高、内外価格差の大きな要因として流通過程の問題があるんですから、もう少し積極的にその流通過程の複雑さ、非効率さを解明していくことが必要だと思います。相当数の申し出があったとき初めてそういうことをいろいろその分野でやるんだというのではちょっと消極的過ぎるように思うんですが、それについてもう少し前向きにやれないのか、もっと幅広くいろんなところでもそういうことをやっていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(牧野力君) 取引慣行の改善が、規制緩和と並んでこの内外価格差を是正し、現在のいろいろな問題に対して対応する一つの大きなかぎであるということは、私どももそういう認識を持っております。 ただ、規制緩和につきましては、これは政府が規制をしているわけでございますから、いろいろ計画をつくり、政府の自主的な判断でやっていけるわけでございますが、この取引慣行というのはあくまでも民間の慣行でございます。これが非常に問題がある場合は当然のことながら、独禁法その他の法令に違反するような場合はそれで処置するわけでございますが、そういったものにひっかからないけれども、従来からの長い歴史的ないろいろな経済社会の環境の中でできてきた取引慣行、これもやはり事業を改善していく場合には望ましくないというものがあることは事実でございます。 ただ、こういったものにつきまして、政府が一方的に、あるいは単なる一事業者が問題にしたということだけでこれをけしからぬということで公表したりすることは自由経済の中ではやはり穏当を欠くのではないか、こういうことも一方ではございます。 そこで、この法文にございますように、ある事業に属する複数の事業者が何社が、これはやはり事業慣行として問題だというようなことを申し出た場合には、問題にされました相手の産業界といろいろと話し合いをすると。必要があれば私どもあるいはそれぞれの主管大臣の属する官庁が入りましていろいろそこで議論をして、問題がない場合もあり得ると思いますけれども、問題がある場合は問題があるということで関係者に情報を提供することによって、そういった民間の自由な取引の中で、問題のあるものが関係者の自覚と一種のプレッシャーの中で、自由経済の中でそういったものが自発的に是正をされていくということが一番穏当なやり方ではないかということでこういう規定になっているわけでございます。 ただ、この四条の下段にございますように、「その他の関係者への情報の提供を行うものとする。」というふうになっておりますけれども、この「取引の相手方その他の関係者」というのは、できるだけ幅広く、実際上はほとんど関係、関心のある人が皆知り得て、そういった知り得た中で社会的な一種のプレッシャーの中で、もし問題がある慣行があればそれが自然と是正をされていくということを期待したいと。これがこういう自由経済の中での取引慣行の改善を促す現時点におきましては一番適切な方法であろうということで、このような結論になったわけでございます。
○沓掛哲男君 では、次に質問いたします。 本法においては国内産業活性化のための種々の助成措置が規定されております。税制、金融、そういう点でいみいろ規定されておりますけれども、助成措置を講ずるだけでなく、工場の新増設等の障害となっている諸規制の見直しを行い、我が国の立地環境を改善していくことも必要ではないかと思いますが、この規制緩和について質問をいたします。
○政府委員(齊藤眞人君) 工場の新増設に際しましては、土地利用の適正化、防災、環境保全というような観点からいろいろな規制がなされております。近年、産業の空洞化と社会経済情勢の変化の中で、これらの規制が自由な企業活動の障害となっているというような指摘もあることは承知いたしております。このため、自由な経済活動と適正な規制とのバランスのとれた経済社会システムを実現していくというような観点から、これらの規制につきましても、個々の規制の趣旨を踏まえつつ適正な見直しを行っていくということが非常に重要であるというふうに考えております。 こういうような規制のうち、通産省で所管しておりますものに工場立地法というのがございますが、この工場立地法は、周辺の生活環境との調和を図りつつ工場立地を行いますために、工場敷地内におきます緑地の面積割合さらにその配置等、具体的な基準を定めまして準則ということで公表しているわけでございます。これまで、この準則に不適合の場合にはそれだけで勧告されるものというような理解があったりいたしまして、工場の建てかえをそもそも断念するというケースがあるという指摘もございます。 このため今般、本事業革新法の第十四条の規定に関係いたしまして、工場立地法の運用について、個別事情を勘案し、準則に適合できなくとも生活環境の観点から問題がない場合の判断の基準を明確にしますとともに、事業者からの相談等にきめ細かく対応することにしております。現行の工場立地法の範囲内ではございますが、工場の建てかえに関します計画というのがこういうことによりましてより円滑にいくんじゃないかと考えておる次第でございます。
○沓掛哲男君 それでは、次に移らせていただきます。 産業構造転換を円滑に進めるためには、経済・産業政策と雇用対策の一体的推進を図ることが必要と考えますが、本法に関して雇用対策との連携をどのように図っていかれるのか、質問いたします。
○政府委員(牧野力君) 産業構造対策と雇用対策、これは裏腹で、一体として進めていかなければならないということは政府全体強く認識をしているところでございまして、先般、御承知のように内閣に産業構造転換・雇用対策本部を設置いたしたところでございますし、我が省におきましても、これは非常に異例でございますが、大臣を本部長とする本部を設定したところでございます。 この法律におきましても雇用の問題を非常に強く認識をいたしておりまして、詳細は省略をいたしますが、法律の目的あるいはこの承認計画の内容あるいはその他の条項におきまして、雇用の安定を図るということがこの法律の一つの大きなねらいであるということを明確にいたしております。 さらに、本法におきましても、特に労働省との連携、労働大臣との連携を極めて密にする旨が規定をされているところでございます。具体的に申し上げますと、今回この事業革新円滑化法、私どもの法律をつくるに当たりまして、労働省におかれましても特定不況業種雇用安定法を改正されまして、労働省の方の法律におきましても通産大臣との連携を密にするようにという規定が置かれているところでございます。 具体的に一、二申し上げますと、一つは、この労働省の法律におきまして、従来適用しておりました雇用調整助成金を、企業あるいは産業から別の企業、別の産業に労働者が移転をする場合にもこの雇用調整助成金あるいは職業訓練費等を支給するように法律を改めていただいたところでございまして、今後も労働省との関係を極めて密にしてこの法律の運用を図っていきたいというように思っております。
○沓掛哲男君 では、橋本大臣にお尋ねします。 円高は今後とも進んでいくというふうに思います。それに伴う海外直接投資、それに起因する空洞化問題は息の長い課題であると思いますが、これに対処する上で技術開発が活発に行われることが肝要であるというふうにも思います。 現状を見てみますと、民間企業の試験研究費は三年連続減少する尊いたしております。技術開発の活性化のため、本法に関連して民間事業者の試験研究を促進するための減税措置が講じられることは評価できますが、我が国においてはもともと技術開発に対する政府の負担割合が低く、産学の交流がおくれている点にも問題があり、改善を図っていくべきだというふうに思います。 私自身も大学を出て、最初五年間国立研究所におりました。研究家生活というのは私の人生を通じて一番苦しい時代でございました。というのは、一年一生懸命やってみるんだけれども、うまくいかないとゼロになってしまうんですね。ゼロになると、そのゼロの報告では次の予算がとれませんから、一生懸命に何かやったように成果を出さなきゃいけないということで、土曜も日曜も本当にそういうことで休む暇がない、大変苦しいのがこの研究家生活です。 またその後、私もそういう研究関係の人たちとずっとつき合ってきているんですけれども、例えば昭和五十五年に南イタリアのナポリ等で地震がございましたが、そうしたらその暮れの予算で、地震関係の予算は幾らでもどんどんつけるからどんどん要求しろと言うんですけれども、いわゆる学者関係、例えば国土地理院のいわゆる判定委員会の人たちとも相談してみるけれども、そういう人たちは、そんな急にことしだけぽんと予算をもらっても研究は進むものじゃないんだと。やっぱり毎年継続的にある程度の額をずっと確保していただくことが研究にとって一番いいことで、ある年地震があったから突然地震の予算だけどんとふやしてやると言われても、研究というのはそういうふうにして進むものではないのでございます。 これからは、我が国は貿易立国であるとともに技術立国である。将来我が国を背負って立たれる橋本大臣から、この点について強い決意を含めての御答弁をいただきたいというふうに思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員のお話の中で、私は円高がこのまま進むだろうと言われる点に対しましては少々異論がございまして、これは通貨当局に少なくともよりノーマルな水準にこれを戻す努力は本気でやっていただきたいと今願っております。しかし同時に、今委員が御指摘になりましたように、研究開発の必要性というものは私は幾ら強調しても足りないと思いますし、御自身の体験の中から継続した体制が必要と言われる御指摘も、私はそのとおりだと思います。 しかし、委員も触れられましたように、近年の我が国の研究開発投資というものにつきまして、調査開始以来、一九九二年に初めて風間投資が前年から対比いたしまして減となるというように停滞をしておりまして、今後の経済活力を維持する上で極めて大きな懸念材料となっている。それは委員の御指摘のとおりであります。それだけに、基礎的な分野など民間ではなかなか継続して行うことが難しい研究開発については、やはり何といいましても国みずからが積極的に行っていかなければなりませんし、民間企業に対する研究開発の支援などを含めまして、我が国において研究開発というものが積極的に行われるような環境を整備する必要性というものは一層高まっておると考えております。 こうした認識のもとで、本法案に基づく施策といたしましても、研究、人材育成の両面にわたる産学の連携を促進すると同時に、税制上の優遇措置を講ずるなど、民間企業が積極的に研究開発に取り組んでいただけるような必要な措置を講じたいと考えてまいりました。 さらに、従来からこつこつと進めてきたわけでありますけれども、国の研究開発につきましても、国立研究所の施設、国立研究所だけではありませんけれども、こうしたものの施設設備の整備、あるいは情報ネットワークやデータベースの整備、さらに産学官の研究交流の充実などに向けまして一層の努力を払っていかなければなりません。 昨年十月、公共投資基本計画を改めたわけでありますけれども、この中にも科学技術振興の必要性がうたわれているわけでありまして、こうした公共投資基本計画なども踏まえながら、研究開発の基盤整備、重点的な基盤整備を行っていきたい、そう考えております。 今、科学技術創造立国という言葉をお使いいただきましたけれども、まさにそうした目標に向けて産業技術政策の積極的な推進に向けての努力を続けてまいりたい、そのように考えております。
○沓掛哲男君 ありがとうございました。時間でございますので、終わります。
○梶原敬義君 円高問題について先にお伺いをしたいと思います。 私の友人で音響関係の部品をやっている社長がおるんですが、このたび重なる円高のもとで、あるところに自分の住宅を持っておりましたが、とうとうそれを手放して、百人ぐらいの従業員とともに大変苦しい仕事をまだ続けております。会うと、どうにかならぬのかと、もう本当に血の出るような叫びをするんです。 それからまた、縫製工場を経営している、地元では二百人ぐらいの女性の労働力をもとにしてやっておりましたが、この円高でもうどうにもならないということで、国内は随分縮小して、そして一億円持って上海の郊外に出ていきまして、もう社長本人が、五十過ぎまして、おれはもう命をかけるということで頑張っておりますが、非常に心配であります。 また地元で、御承知のように新日鉄という大きな会社がありますが、これらは随分合理化をして、そして直接首を切らなくても取引のある地元の企業等に人を労働移動させております。そういう非常に深刻な状況が続いております。 この前、つい最近ですが、東洋工業の下請の関係のばねとか部品をつくっている会社の社長や組合の役員と一緒に会いまして、ここももう大変な悲鳴を上げておりまして、もう何とかしてくださいと。鶏の首を絞めたときに目が白黒なるような、そういう社長さんの叫びというのは、もう本当に必死なんですね。それが今回また九十円を切り込むような状況になって、もうどうしようもない、あいた口がふさがらぬというか、言うことさえこれはもうどうにもならない、あきらめのような状況なんです。 大蔵省おいでですから、特に国際金融局が担当で、この新聞を見ますと、これは十五日の毎日でしたが、国際金融局長のもとに皆さん方が集まって、日銀とも相談をして手を打っていると言っているんだが、実際、今度の円高の要因あるいは円高というものをどのように認識しているのか。打つ手があるのかないのか。この委員会で少し正直な話をしていただいて、我々がもっと何をするかということに対する示唆も与えていただきたい。この点についてお伺いします。
○説明員(吉村幸雄君) お答えを申し上げます。 最近の為替市場におきましては、日本経済に起因する要因ということではなくて、欧州におきます欧州南部の政治的不安定等を背景にした欧州通貨内におけるマルクの上昇、メキシコ情勢の先行き不透明などからの米ドルの不安定化、あるいはアメリカとドイツの間の金利の先行きに関する見通しの不透明さ、そういった多分に思惑的なさまざまな要因によりまして、結果としてはドル安が進んでおりまして、これにつられる形で円高がここに来まして急速に進行しているという状況かと思います。 今御指摘ございましたように、最近の為替相場の動きと申しますのは、いわゆる経済のファンダメンタルズ、基礎的な条件を適切に反映していない思惑的な動きだと考えております。私どもといたしましては、この事態を大変深刻に受けとめておりまして、日本経済、また世界経済の健全な発展を損ないかねないものでありまして、現状を強く懸念しているものでございます。 私どもといたしましては、引き続き為替市場の動きになお細心の注意を払いつつ、為替相場の安定を図るため関係の通貨当局とも緊密に連絡をとりつつ適切に対処してまいりたい、かように考えている次第でございます。
○梶原敬義君 ドル安に問題があるというのはわかるんですね。しかし実際問題として、ファンダメンタルズも百八円とか百十円ぐらいがまあまあいいところじゃないか、こう言って、それ自体がもう百円を切り込んでずっときまして、だからもともとそこに一つ問題があるし、さらにまたもう一つ、今度九十円を割った、その二つの段階があるわけです。 ドルの関係や欧州通貨の関係はわかりますが、日本の機関投資家やあるいはドルを持っている企業が、一体どれほど今回の九十円を割り込んだときにこれに乗じて円買いに動いたのか。その総量みたいなものがわかれば、あなたの言うとおりだと、そう全部信じますが、いかがでしょうか。
○説明員(吉村幸雄君) 最近の為替市場におきます取引は委員十分御承知のように非常に多額に上っておりまして、また私ども当局としての対応も一々これを細かく数字にわたって報告をとるような対応には現在なっておりませんので、今御指摘の点につきまして具体的な数字を示してお答えすることができかねるかとは存じます。 ただ、私どもが市場の関係者などから話を聞いているところによりますと、今回の円高が急速に進んで九十円を割り込むような時点におきまして、日本の機関投資家あるいは輸出入業者などの動きが表に出たものというふうなことは必ずしも聞いておりませんで、むしろ外国の仕手筋的な、投機筋と申しますか、そういうところの動きの方が大きかったというふうに市場関係者から私どもは聞いているところでございます。
○梶原敬義君 私もきのう、難しいしさっぱりわからないから東京銀行の方に行きまして担当者の話を聞いたんだけれども、急激に下がったものですからディーリングルームはもうパニック状態になったんですね、やっぱり日本のドル持っている皆さんも心配して。だから加速度をつけたのは間違いないんじゃないかと、私はじっとお話を聞いておりまして。一兆ドルぐらい毎日動いていると、だから後のことはよくわからぬのだというのが、我々どこへ行っても、あなた方から聞いても数字がつかめないので、大蔵省、もう少しそこら辺をよくわかるように、しっかりしているんだろうと思うんですが、御要望したいと思います。 それで、まず緊急対策が一つですが、それはちょっとこっちにおきまして、通産省の方も考えていただきたいんですが、基本的に円高の基調というのは、やはり貿易の経常収支がずっと黒字を続けてきている、これはやむを得ないと思うんですね。しかし、これは私の持論ですが、半導体摩擦のときに、当時田村通産大臣のときでしたが、大変いろんな議論がありました。たしかあのときに日本の半導体業者は物すごく深刻になりました。ところがあれを契機にいたしまして、日本の業者がダンピングみたいに安く売り込んでおったのをやめまして、そして半導体の輸出価格は比較的上がりまして、国内価格も上がって、東芝や何かが、私のところに東芝の企業があるんですが、結果的には物すごく経営もよくなったんですね。そういう例もある。 例えば、自動車あたりは円高の為替の相場をストレートに反映していないんですね。どういうことかと言うと、まともにいきますと二百万か二百五十万円ぐらいで売らなきゃならない計算になるんだが、そこのところはもう下請を合理化し、そして自分のところも合理化し、利益も落として、そして二百五十万で売るところを二百二十万かそこらで売ると。三十万ぐらいはもう企業内努力あるいは下請やなんかの努力でやる。それをずっと続けてきているんですよね。 だからもう下請やなんかというのは大変な、御承知のようにトヨタのかんばん方式なんかいうのは、部品の在庫持たぬですよ、そのときそのとき注文して。この前の大震災で困ったのはありますが、関連会社まで、下請まで大変合理化を強いて、そしてそういうことを続けておるわけですが、もう少し相場を反映する価格で輸出をする、どうしてそれができないのか。中に商社が介在して、とにかく台数をどっちが余計売るかということに競合するからなかなか価格が引き上げられない。それは確かに価格を上げたら一時的に販売量は減るかもしれないけれども、それは余りにも国内の下請あたりをいじめて、そしてそういう価格を抑えること自体がこの悪循環を招いている。 だから、前から私はそういうことをここでも言ってきているんですが、この点についてはもう少し本気で考え、指導する余地はないものかどうなのか、お伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今ちょうど手元に参りました十時現在の東京市場、対ドル八十九円六十五銭から六十七銭と、八十九円台に入っております。 この数字は、我々にとりまして大変深刻な数字でありまして、百円ラインを突破して九十円に入りましたときと、この九十円台から八十円台に入りました衝撃とは、これは質的にも量的にも比べ物になりません。それだけに、私は本当に通貨当局に一層の努力をお願いをしたい思いでいっぱいでありますし、今たまたま総務課長の方から触れられた話の中にもありましたけれども、マルク高というものに対しましてドイツ連銀のティートマイヤー総裁が、このマルク高の中で金利下げの余地が出てきたという発言をしたというようなことも報ぜられておりまして、早朝取引からドルが多少マルクに対しては戻り基調ということが言われております。 そうした状況の中でありますだけに、この機を逸せず、日、米、欧の通貨当局の緊密な連携プレーで本当にこの相場を何とかしてもらいたい、これは本気で私はそう思います。 そしてその上で、今委員が御指摘になりましたような問題意識は全く我々も持たないわけではありません。ただ、たまたま特定の企業の例示を挙げられてのお話でありましたけれども、私は基本的にはこの経常収支黒字を、本当に意味のある縮小という言葉を私自身が大蔵大臣のときにも使いました。そして、当時の公共投資基本計画にその夢を託したわけでありますけれども、その公共投資基本計画もちょうど中間点で全面的な見直しをし、六百三十兆という新たな規模を設定したわけであります。 そして、これは大変不謹慎とおしかりを受けるかもしれませんけれども、私どもは、この一月十七日に阪神・淡路大震災という我々がかつて想定しなかった大災害に遭遇をいたしました。今、予算の審議中に補正予算を云々することは本来不謹慎でありますが、本院の予算委員会の御論議の中におきましてもこの復興に対する補正予算というものは既に議論になっておりますので、あえてこの点に触れることをお許しいただきたいと思いますが、私は、今この経済情勢の中で、阪神・淡路大震災の復興に限定することなしに、この六百三十兆円の公共投資基本計画というものを思い切って前倒しをしながら、復興と同時に、その他の地域における災害に強い都市づくりというものを思い切ってスタートさせる、その初年度をことしの補正に求めるというぐらいの決意を示す必要が現実に生じでおると思っております。 同時に、これも言い尽くされたことでありますけれども、規制緩和というものを思い切って進めながら、企業がそれぞれの創意工夫の中で新たな分野にどんどん動いていける余地を我々はつくらなきゃなりません。それが、今一方で議論されております空洞化に対する対応としても、これは本当に必要なことであります。 そして、今日よくマスコミの報道では外国からのという形容詞がついてこの規制緩和が論じられるんですけれども、そうではなくて、我々の国が生き延びていくために規制緩和は要るんです。そういう視点で、この三十一日に政府として取りまとめる規制緩和の対応について、少なくとも通産省としては努力をしてまいりました。 そして今、政府部内で調整を要する最大の問題点の一つとして公正取引委員会と私どもの間で議論になっておりますのが純粋持ち株会社の制限の緩和の問題でありまして、こうしたことも含めて総合的な対策を今必要としている。そして、その方向の中長期のものが、この公共投資基本計画をいかにうまく活用しながら経常収支の黒字の意味のある縮小を図り、同時に規制緩和というものを進めることによって新たな業の起こりやすい環境を整え、新たな業が起こるときの規制を少しでも減らしておくこと、これが必要なことだと今私は考えております。
○梶原敬義君 経常収支の改善というか黒字幅の縮小というか、これは確かに規制緩和等もありますが、よく考えてみますと、一台二百万とか三百万というような車が何百万台さっと出ていきます。それに伴う部品とか、そういう非常に高額のものが出ていきます。買うものは、食料品や何かというのは比較的安いですね。したがって、ある程度値の張るものを日本が買わないと、結局、数量はふえるとかふえないとかあるかもわからないけれども、改善ができないんじゃないか、幾ら考えても。何かいい知恵あるかと。 そこで私は、ある程度それに見合うものというのは、全部見合うわけじゃないが、そういう点からするとアメリカの住宅ですね、ツーバイフォーの。これは、阪神大震災で木造の古いかわら屋根の家が壊れて、そしてその下敷きで亡くなった人が大変多いわけで、土地を持っている人が家を建てかえる場合にそういうツーバイ工法の家がもし安く建てれば、そういうものを国も一緒になって誘導していくような手は何かないか。 ただし、私の家の前に立派なツーバイの大きな家を、六十坪ぐらいのを今つくっているんですが、それはもう立派なものですけれども、どうも業者やそのツーバイ工法の輸入住宅もいろいろあるんでしょう、水道の水回りのことや何かあって、やっぱり坪五十万ぐらいかかると言うんですね。そうすると、地方へ行きますと坪五十万の家なら国産のいい材を使ってもできるわけです。 先般、モンデール大使とも話をしたときに、住宅が安いから買ってくれと言う。本当に安いのかどうなのかというのは、日本で建てるとやっぱり値はいいわけですよ。中身は立派な住宅なんです。これが例えば五十万が四十万円とか何かで、そういうところが本当に安くなれば私は需要はどっと出てくると思うんですね。 だから、そこを今度、もしそういう貿易収支の改善になると、そういう大きなものも日本が買えるような、そういうものにジェトロや何かがもう少し真剣になって情報提供するなり、あるいはなぜ高いのかというのを分析して、モンデールさんが言っているように、半分ぐらいですよと言うんなら半分ぐらいになるようにできないのか。どうもそこのところが解明できないんですけれども、取りとめないんですが、一つの例としていかがでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) もし精緻な答弁が必要でありましたら事務方から答弁をさせますが、実は今、今回の復興住宅の中に兵庫県も輸入住宅の活用というものは真剣に検討しておられました。そうした方向は当然のことながら出てくると思っております。 また、モンデール大使の御発言を引用されましたけれども、実は一昨日でしたか、たまたま私はそうした関係の方々の話を聞く場面がありました。そうしますと、実はそこでも出てくる問題は規制緩和なんです。 日本の港に到着するまでは確かに安いんですね。ところが、例えば使われております、私はガスがあるかどうかはよく存じませんけれども、水道管の材質あるいは電気、ガスといったものについての日本の基準が、ある意味では非常にレベルが高いといいますか、独特のものを持っている。そのためにせっかく入れてきた輸入住宅が、例えばアメリカであったりカナダであったり、そのままの規格で通用しない。手直しを必要とする。結果として非常にコストを押し上げている。そして、それでは輸入住宅のメリットがない。これは現実にそうしたお仕事に携わっておられる方々の生の声としてそうしたものがございました。 私どもが規制緩和を今強調いたしました理由も、実はそうした隘路を一つでも減らしておきたい。そして、現地から運び込まれる輸送料を加えて、それに適正なマージンが乗って消費者の手元に届けられる環境をつくるためには、まさに我が国の持っている規制そのものを見直して、それが合理的なものでない場合、あるいは国際規格と整合性を持っていない場合には国際規格に合わせていく努力というものを我々は欠くことができないと思うんです。 同時に、先ほど私は公共投資基本計画の前倒しを申し上げましたのは、内需を拡大していくという役割とともに、例えば都市復興についての国際コンペによる外国企業参入のチャンスを拡大することといったようなことも役に立つものだと思っております。これは感想のような答えになりますけれども、我々が今目指している方向というものをどうぞ御理解をいただきたいと願っております。
○梶原敬義君 そこで大臣、この話を続けますと、少なくとも住宅回りの関係の規制緩和だけでも早くやって、私は規制緩和をいろいろやったってそんなに日本はアメリカから買う物はないんじゃないかという気がする。しかし、住宅だけは非常に高いし、国民生活を圧迫している非常に大きな要因の一つですから、住宅回りだけの規制緩和を徹底してやってみることが大事じゃないか。安くてよければ需要というのは間違いなくあると思うんですね。御検討をお願いしたいと思います。 そこで、もとに返りますが、大蔵省は国際金融局で関係国の担当者と連絡をとりながらと、こう言っておりますが、アメリカは今度のこの急激な円高に対して余りこれを是正しようという気はないようなことを聞きますし、ドイツも平然としておると。どのようにあなた方が各国と連絡をとって、そして何を協議しようとしているのか、その辺がどうもわからないんですよ。いかがでしょうか。
○説明員(吉村幸雄君) お答え申し上げます。 私ども、今回の急激な円高に関しましては、財務官、国際金融局長、担当課長それぞれのレベルで、今御指摘のありましたアメリカやドイツの通貨当局者と密接な連絡を取り合って適切に対処をしてきているつもりでございます。 三月三日には、御承知のように大蔵大臣も為替相場の状況につきましてアメリカのルービン財務長官と電話で直接協議を行いました。また、当時来日中でありましたフランスのアルファンデリー蔵相とも協議を行いました。また、それに引き続きまして、各国の主要な当局が市場において協調的に行動をしたところでございます。 引き続き私どもといたしましては、為替相場の動きに細心の注意を払いつつ、相場の安定を図るため関係通貨当局と密接な連絡を続けてまいりたい、かように考えております
○梶原敬義君 私は、大蔵省は日本の中では威張るかもしれないけれども、客観的に見ましたら無能に等しいんじゃないかと思うんですよ。今のお話を聞いていまして、連絡をその後とっていると言うけれども、相手が理解を示し、相手が呼応しないような形では、それは努力をしたのはしたかもしれないけれども、結果が出なきゃやっぱり努力のうちには入らぬのじゃないか。それはいろんな要因があって難しい面もあると思いますけれども、相手を説得しなきゃ。どうなんですか、それじゃ具体的に、いいタイミングを見て、アメリカもドイツもドル安をこれは異常だということでひとつ協調をしてドル買いでいきましょうというふうなところまで話が行くんですか、答えにくいでしょうけれども。
○説明員(吉村幸雄君) お答えを申し上げます。 主要国、特にアメリカ及びドイツの動きでございますが、先ほど御紹介申し上げました三日のルービン財務長官の声明のほかに、八日にはグリーンスパンFRB議長が米議会におきまして、ドルの主要国通貨に対する下落は歓迎できず問題がある、ドル安は行き過ぎの可能性が非常に高く、国内経済の潜在的インフレ圧力を高めるため歓迎できないという証言を行っております。また、ドイツにおきましても同じく八日にティートマイヤー・ドイツ連銀総裁が、現在のドル相場はアメリカ経済の潜在的な力を正しく反映していない、アメリカ政府と中央銀行が強いドルを求める姿勢を明確に示したことを歓迎するという旨の発言を行っているところでございます。 以上から見まして、私どもの認識とアメリカやドイツの当局の認識とが違っているというふうには考えておりません。皆それぞれ懸念を持っているということかと思います。 今後の対応につきましては、委員御指摘のような点を踏まえ、私たちといたしましてはできる限りの努力をいたしたいと、かように考えております。
○梶原敬義君 通産大臣、閣僚会議なんかで有力な御発言をされるんですが、やっぱり相手がその気になっていると言うのなら、本当にそれを信ずるなら、G5あたりを呼びかけて、今のお話を聞きますと当然呼応してくれるんでしょうから、早急にそういう展開ができるように努力をしていただきたいなと、このように思うわけです。もう答弁は要りません。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは私は別に国金局総務課長に同情するわけではありませんけれども、彼らとしてここでなかなか申し上げられない部分があるであろうことは、私も経験者の一人として理解をいたします。なぜなら、本当にそうした発言というものが市場に与える影響というものを考えましたとき、何らかの処方せんを持っておりましたとしても、その処方せんを実行に移す瞬間まではそれは表には出せないでありましょう。 たまたま、けさある場所でお話を申し上げてみましたけれども、実は私は余り世間に知られないうちに、ちょうど当時のアメリカの財務長官のブレイディさんにロサンゼルスまで来てもらい、こちらを金曜日の夜、国会が終わりましてから夜八時過ぎの飛行機に乗りますと、ロスで一晩泊まりでじっくり議論をして、月曜日の朝澄ました顔をして帰ってくることができるんです。そういうことを活用したこともございますけれども、そういうものがやはり事前に漏れますとなかなかうまくいきません。私のときには、実は逆に崩れて円が下がってしまってそれに歯どめをかけたいという時期でありましたから、今とはちょうど逆さの局面でありますけれども。 恐らくそうしたこともお考えになりながら、それが与える影響というものを考えられればぎりぎりまでそうしたものは公表されないであろうと思います。そして、そうしたことをも含めた対応を十分財務官室、国金局考えてくれておりますことを、そして大蔵大臣が行動してくださることを私としては心から願っております。
○梶原敬義君 それでは、特定事業者の事業革新の円滑化に関する臨時措置法案に関係して質問させていただきますが、十一時一分までということでどうも時間がなくなりましたので、二、三点だけお聞きしたい、 一つは、本法を制定するに至った経過、ねらい等もある程度私も研究をしてまいりました。しかし、どうも鉄鋼とか化学とか繊維とか、そういう大きな企業の方にこの円高とかあるいは産業空洞化が与える影響等を見てこの法律ができたというのはよくわかるんですが、この法律は平成十四年六月までの臨時措置法でありますが、果たしてこの法律をやったときに、これを使って何物かが出てくるか、実業が派生してくるかどうかということを考えると、これはどうもポイントの照準がぴたっと合っていない、大分研究してみましたが、何かそういう感じを受けます。その点をお聞きしたい。 それからもう一つは、特定事業者及び活用事業者、要するに特定業種の指定は各主務省令で定めると第二条で言うんだけれども、国会の審議をするに当たってはこの辺の基準みたいなものをもうちょっとわかりやすくした方が親切ではないか、このように思います。 それから、もう一つは下請関係、従業員の雇用関係に配慮をするというのは入っておりますが、下請の中小企業というのはずっとこれまでたたかれっ放しですから、これらのこともこの計画をやっていく上においては十分配慮していただきたいと思います。十一時一分で、時間がありませんが、そこまでで終わらせていただきます。
○政府委員(牧野力君) それでは、三点御指摘がありましたので、簡単に御説明申し上げます。 まず、この法律のねらい及びその効果がどうかということでございます。詳しくは申し上げませんけれども、現在、日本の産業は大きな構造変革を迫られているわけでございまして、これに対しましてはもうあらゆる対策を講じていく必要がある。先ほど大臣が申し上げましたように、公共投資の問題もありますし、規制緩和もありますし、いろいろあるわけでございますが、その一環として、いわゆる既存の産業、成熟化した産業におきましても、何か対応する能力と意思のある産業、企業に対しまして、その既存の経営資源なり労働者なり知見なりを活用して新たな活路を開くものについてはとにかく環境整備をして応援をしよう、こういうことでございます。これがねらいでございまして、そのねらいの中の最大のねらいはやはり雇用の確保ということであろうということだと思います。 そこで、効果でございますけれども、私ども今いろいろ当たっておりますけれども、新しい技術の芽といいますか、既存産業がそれぞれの従来の技術を活用し、かつそれを革新をすることによって活路を開こうという動きは非常にございます。これがどのくらいの規模になるか、どのくらいの効果があるかということについては今明確に申し上げることは非常に難しいわけですが、とにかくそういう動きをフルに活用していきたい、応援したいということでございます。 それから下請についてでございますが、これは本法上も雇用の安定と並んで中小企業、下請が今後も安心して新たな方向の中でやっていけるということを十分に考えております。こういうことでございまして、下請や雇用者につきましても、この事業計画を策定しそれを承認する場合にそれが生かされるように、あるいは不当にそれが害されることがないように十分に配慮をしていきたいというふうに思っております。それから、当該業種のいろいろな事情に通じた主務大臣が、これは通産大臣のみならず、それぞれの業種におきまして農林水産大臣あるいは運輸大臣がそれぞれの業種について責任を持って対応していくという法律の体系になっております。 以上でございます。
○牛嶋正君 私は、この法律は今我が国の企業が置かれている非常に厳しい経済の環境を考えた場合に非常に時期を得た一つの措置ではないかというふうに思っております。それだけに、先ほどもこの法律のねらい、それから目的が説明されましたけれども、これがどれぐらい実効性があるのかということが我々にとりましては非常に関心が持たれるわけです。きょうはこの実効性についてを中心に御質問をさせていただきたいと思います。 まず、この定義、先ほども出ておりましたけれども、特定業種の定義でございますが、非常に抽象的に書かれているわけでございます。「内外の経済的環境の多様かつ構造的な変化の影響を受けて、その生産及び雇用が減少しており、」というふうな書き方をされておりますが、これに当てはまる業種を考えていきますと、この参考資料でも挙げておられますけれども、例えば鉄鋼、化学、繊維、自動車、家電、こういったものが挙がるかと思います。 これらの業種というのは、戦後の我が国経済の発展のそれぞれの段階でリーディングインダストリーとしての地位を保ってきた業種であるわけであります。しかも、その産業構造と申しますか、業種内の構造もそれぞれ違いますし、またその業種の市場における需給関係も違いますし、その業種の中での大企業と中小企業の関係もそれぞれ違うわけであります。 こういうことを考えますと、このように特定業種というふうにくくっておられますけれども、実際に実効あらしめるためには、それぞれの業種が持っている特色、そういったものを十分考えてこの法律を行っていかなければならないと思うのであります。どうもこの法律を読んでおりますと、そのあたりにちょっと懸念が持たれるんですけれども、この点についてまずお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(牧野力君) 先ほどの梶原委員の御質問で特定業種の概念が非常にまだはっきりしないという御指摘もありました。今の委員の御質問とダブると思いますが、先ほど時間がなくてちょっとそこを失念いたしましたので、あわせて今お答えを申し上げます。 特定業種は、ここに書いてありますように、構造的な変化の影響を受けて生産及び雇用が減少しているというふうになっておりますが、これは一応具体的には省令で定めることになっております。これは今検討中でございますが、例えば五年間で五%生産が減っておる、それから雇用については減少ぎみである、これは何%ではなくて減少ぎみであるという業種を拾い上げていきたいというふうに思っております。 それから、今委員御指摘のように、これに対応する措置の仕方でございますけれども、これはそれぞれの業種及びその特定事業者で、例えばその業種によっていろいろやり方が違うと思います。これは新しい商品を開発するものもあるでしょうし、生産方式を大いに変えるものもあるでしょうし、それは業種、業態あるいは企業によって対応が違うわけであります。それにつきましては、それぞれの計画をどういう内容でつくるかということにつきましては第二条の二項でその内容を一応列挙しておりまして、これに即した計画を申請していただくという格好になろうかと思います。
○牛嶋正君 それで、私自身も先ほど挙げました業種についてこの法律の実効性を検討しているんですけれども、きょうの質問は三十八分と非常に限られておりますので、すべての業種を取り上げることはできません。 そこで、自動車産業及び自動車関連産業を取り上げてきょうは幾つかの質問をさせていただきたいと思います。 なぜこの自動車産業を取り上げるかということでございますが、二つ理由がございます。 一つは、三月十日に月例経済報告がございましたが、その資料を見せていただきますと、個人消費の動向のところで、全国百貨店販売額それからチェーンストア売上高等は余り芳しくない動きを示しているんです。その中で新車の新規登録・届け出台数だけが割合好調でございまして、昨年の六月にそれまでのマイナスからプラスに転じまして、ですから九カ月連続で前年同月比の登録台数がプラスで伸びているということでございます。そういうことで非常に好ましい数字が出ておりますので、この自動車産業をちょっと取り上げさせていただいたわけでございます。 それからもう一つは、自動車産業というのは組み立て加工型産業の典型でございます。関連産業がピラミッド型にすそ野が広いわけでございます。そして、しかもかんばん方式に基づきまして、自動車産業は自動車のメーカーとそれから部品メーカー、素材メーカー、これがむだなく結ばれて系列化されております。すなわち、企業間に好ましい関係がつくられてきているというふうに考えていいかと思います。しかも、自動車産業全体で見ますと雇用者数は五百六十万人を超えております。これは全体の雇用者数の一〇%にも及んでいるわけであります。 このことを考えますと、この自動車産業の動向というのは、我が国の産業構造全体に非常に大きな影響を与えるだけじゃなくて、雇用問題を考える場合にもやはりこの問題を考えておかなければならないのではないかということで取り上げさせていただいたわけでございます。 先ほど申しました自動車の登録台数は、バブル以降ずっと三年ほどマイナスで落ち込んできていて、昨年の六月プラスに転じたわけですけれども、このきっかけと申しますか、なぜそういうふうに今自動車の登録台数が伸びているのか。その点について通産省はどのようにお考えになっているのか、まずお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに、百貨店あるいはスーパーが月例経済報告の中で委員が御指摘になりましたような状況の中で、自動車が今プラスを続けております。 これは幾つかの原因があると思いますけれども、一つは、やはり私は平成六年二月の緊急経済対策で行いました所得税減税の効果というものがあると思います。また同時に、同じく平成六年四月に行われました自動車にかかる消費税率の本則税率への引き下げ、これも私はやはりマスコミ等を通じて一つの効果をし上げたと思っております。さらに、ピークでありました一九九〇年に販売されました自動車のちょうど代替需要が生まれてきた。そして、そこへもってきて、一つはトラックについて平成六年の春から過積載の取り締まり強化によりまして新規の需要が生まれた。そして最後に、レクリエーショナルビークルあるいは低価格車など消費者のニーズに合致した革がちょうどこの時期に投入をされてきた。私はこれらの要因がすべてミックスされながらこの状況をキープしている、そのように思います。
○牛嶋正君 私も大体今の大臣のお考えに沿った考え方を持っているんですけれども、ずっと販売台数が減少していく過程で議論された一つの議論がございます。それは、既に自家用車の保有台数は六千万台に達しているわけです。これは人口でいいますと二人に一台、世帯で申しますと、世帯に一台ということになります用地方へ行きますともう既に一世帯二台というのが定着しております。これから見ますと、大体自動車というのは飽和状態に達しているのではないかというふうなことが言われました。 それでいきますと、自動車の需要も、大きく分けますと、新規に求めるという需要があるんでしょうけれども、大半は今大臣がおっしゃいました買いかえ需要ということになろうかと思います。その場合に、今仮に買いかえ需要が需要の大半を占めるということになりますと、非常に需要が安定するようでありますけれども、例えばみんなが今まで八年で買いかえていたのを九年に延ばしますと、簡単な計算ですけれども、六千万台で計算いたしますと、八年で買いかえる場合には七百五十万台の需要が出てまいりますけれども、それを九年に延ばしますと六百六十七万台、ですから八十万台ほど減少するわけです。ところがこれが逆に、今まで八年のものを七年にしますと、今度は八百五十七万台ということですから逆に百万台ほどふえるわけです。 ですからきっかけによって、先ほどおっしゃった何か減税とか規制緩和とか、そういうものによって実は買いかえ需要というのは変動すると。ですから一見しますと、我々が考えますと何かこれから需要は安定するんじゃないかというふうに考えがちですけれども、そういうふうな保有期間というものを考えた場合非常に変動要因があるわけです。 そのことを考えますと、なるほどマイナスがプラスに転じたあの時点は、所得税減税もありましたし、それからまた消費税の税率の引き下げもいろいろありましたが、私はもう一つ大きいのは、各自動車会社が非常に積極的に売り込みを行った、販売競争を行ったというふうに見ております。 私のところにもトヨタのディーラーが参りまして、先生もう買いかえはいかがでしょうか、実は今ですとこれぐらい下げられます、値引きできますというふうな販売合戦が行われたようであります。そのとき私が聞きました値引き率というのは大体三〇%ぐらいでありました。 このことが私は非常に大きな問題を持っていると思います。三〇%といいますと、今言われております価格破壊といいますかあるいは価格革命であります。なぜそれだけの値引きができるのかということが非常に問題になるわけであります。このことについて法律との関係を少し議論させていただきたいと思いますが、今の値引きが一つの大きな要素になっているということについてどうお考えであるか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(渡辺修君) お答え申し上げます。 今、委員から、全体の自動車保有台数の水準が相当高くなってきた場合に買いかえ需要のウエートが大きくなるんじゃないか、こういうお話がございました。おっしゃるとおりだと思います。事実、過去三年間において相当程度売り上げが落ちました一つの要因というのが、八〇年代後半に大幅に売り上げが伸びたことの反動というのがございまして、その間買いかえ需要が手控えられたという要素があることはおっしゃるとおりでございます。と同時に、毎年約三百万人弱の新規免許取得者が出てきておりまして、こういう人たちも新規の車を買っているのは事実でございます。 したがいまして、保有台数が多くなれば徐々に買いかえ需要のウエートが大きくはなりますけれども、引き続き新車、まさにネット増で購入されている分も着実にふえておる。これは事実でございます。これがまず冒頭のお話でございます。 それからもう一つ、最近の、特に昨年六月以降の新規登録車の売り上げ増に値引きが相当影響しているんじゃないか、こういう御指摘でございますが、それが大きな要素の一つであることは間違いございません。特に、三年間にわたり需要が減退いたしておりましたときでございますから、かつまた御承知のような為替の状況その他でメーカーの経営が非常に苦しくなってきておるものですから、その間思い切った販売競争が行われたことは事実でございます。 そこで、その値引きでございますけれども、これはなかなか、どのくらいの値引きかというのは、車体自身の値段を下げる場合もございますし、それに加えていろんなサービスする、用品をサービスする場合もございます、さらには下取り価格を高くするような形もございます。いろんな要素を組み合わせてトータルとして販売競争が行われておるというのが実態でございます。今、先生三〇%とおっしゃいました。それは、今言ったいろんな計算の仕方があるものでございますから一概にどのくらいの値引きが行われているかということは必ずしも明確に申し上げられませんが、おっしゃるような要素があることは事実でございます。 もう一つの要素は、現在国際競争が非常に厳しくなってきております。したがいまして、自動車自身の値段を安くする、つまりクライスラーのネオンの例でございますように、そういう傾向にございますので、したがってメーカーがつくります自動車自身の値段の値引き、プライスからの値引きじゃございません、値段自身の、メーカー希望小売価格自身を大幅に引き下げる、こういう傾向もあわせて今出てきておる、こういうのが現状でございます。
○牛嶋正君 今最後におっしゃいました、自動車自体の値段を下げていくと。これは先ほど私が申しました三〇%というふうなことにはならないと思いますけれども、しかしかなり値下げを行っていることは確かです。 その値下げを行う場合に、どういうふうな費用項目で値下げが行われているのかということですが、まず今の自動車の価格を形成している費用項目を見ますと、一つはやっぱり部品とか原材料といった他の企業からの仕入れのコスト、ここが大きなウエートを占めておる。その次が減価償却費でございます。そして、その次が要素費用と申しますか、賃金それから給与、利子、賃貸料の要素費用。そしてもう一つ、最後に利潤マージンというんですか、利潤の部分があるわけです。 こういうふうに分けますと、どれかを削っていかなければ全体の価格を下げることができません。このうち、要素費用の部分、これを下げようとするのがリストラだと私は思うんであります。何とか今の人材をうまく活用する、あるいは整理をする、こういうことを行って要素費用のところを抑えていく。しかしこれも限界があろうかと思います。 もう一つは、利潤マージンを圧縮する。これは割合、利潤マージンを圧縮いたしましても実際に税引き後の利潤というのはその圧縮した分の半分しか減らないんです、税金を半分取られますから。ですから、利潤部分の圧縮というのはいわば国から補助金をもらって圧縮しているという部分もあるわけであります。これは実はあした議論させていただきたいと思っております。 もう一つ、結局やっぱり部品なんです。部品の価格を抑えていく、安く仕入れるということであろうと思います。そうなりますと、結局はその部品メーカーに対して値引きを求めていくと、もしそれができなければ海外からその部品を入れますよというふうなことで非常に圧力がかかっていくと思うんですけれども、車体自体の価格の引き下げについての私の今のような説明についてどういうふうにお考えなのかをお伺いします。
○政府委員(渡辺修君) 自動車のコスト、構成各費目についての委員の精通された御指摘、御分析、大変正確であるということを今拝聴させていただいたわけでございます。 おっしゃるように、車体の原材料部品、そういったものの購入価格を安くすること、これが非常に大きなウエートであることは事実でございますが、同時に、車体価格自身を下げようという場合に、今先生がおっしゃった幾つかの項目すべてについて今必死の合理化努力がされているというのが現状でございます。 その中で、リストラで行われている部分も非常に多うございますけれども、もう一つ、今御指摘のあった原材料部品の引き下げのところで大きく二つの要素があると思います。 一つは、特に下請関係とかあるいは部品屋さんとか、そういったところに思い切ったバリュー・アナリシス、VA、あるいはバリュー・エンジニアリングと言っておりますけれども、そういったあらゆる費目の節約というのをお願いしてそこで生産性を上げると。それが一つでございます。もう一つは、先ほどのネオンの例で申し上げましたけれども、そもそも今の品質の、非常に過剰といいますか、性能がある意味でゴージャスにできておるものをもっと簡素化できないかとか、あるいは設計、製造段階で部品を共通化するとか、いろんな工夫をいたしましてトータルとして車の値段を下げることができないかと。こういう二つの要素が今組み合わされて行っておるわけでございます。 したがいまして、一概に数字は申し上げませんけれども、私の感じで申し上げますと、部品メーカーあるいは材料メーカーの思い切った企業努力によって下げていただく部分と、それからむしろ車自身を材料をもっと簡素化し安くする、あるいは部品を共通化して安くするという、トータルとしてメーカーそれから部品屋さんが一緒になって行っておる努力、その二つが組み合わさっているというのが今の状況だと思います。
○牛嶋正君 部品メーカーも、例えばラジエーターとかエンジンとかあるいは計器類、こういったメーカーというのはやっぱり大企業ですね。ですから、大企業の場合は今おっしゃったような対応ができると思うんですね。自動車メーカーと同じぐらいの規模を持っている部品メーカーもあるわけですから対応できると思うんですね。ですから恐らく、場合によっては海外へ生産基地を移して、そして先ほど私が申しました要素費用の部分を非常に抑えていくということも可能だと思います。それからまた、今ここで問題になっております、自動車メーカーに対して部品を供給するだけじゃなくて新しい分野というふうなものを事業革新ということで開発をしていく、それだけの能力も私はあると思うんですね。 問題はその後なんですね。部品メーカーには幾つかの下請企業がずっと連なっているわけであります。部品メーカーも同じく自分のところで全部消化しようとするわけですけれども、できない部分はやっぱり下請へしわ寄せされていくだろうと。このときに私が非常に気になるのは、先ほど申しましたこれまでのかんばん方式ででき上がった大企業と中小企業、あるいは親企業と下請企業の好ましい企業関係というのが崩れるんでないかということであります。この点が、やっぱり一番すそ野が広いわけですから、ですから我々もこの法律を考える場合にそのあたりのところの手当てがうまくいくように考える。私は、部品メーカーでも大企業にはそんなに手をかす必要はないというふうに思っておりますが、その点についてちょっと。
○政府委員(渡辺修君) おっしゃるように、現下の国際競争に勝っていくためには大変なあらゆる面での合理化努力が行われております。その意味で、例えば一例で申しますけれども、トヨタではマルⅠ作戦ということで向こう三年間で全体のコストを一五%から二〇%ぐらい下げようとか、あるいはそれぞれ各社でそういったような長期的な計画が行われております。 ただこれは、今先生御指摘ありましたように、当然のことながら企業収益の状況を見ますと、組み立てメーカーの方は今大変どん底に陥っているような状況でございますものですから、そういったようなものを何とか改善していこうという、いわば組み立てメーカー、下請、部品屋さん、みんなひっくるめたトータルの、同じ船に乗ったような作戦が展開されておるというのが現状であると思います。したがいまして、そういう意味でメーカー、部品屋さん、さらにその下請というのが頻繁に縦に結びつきましていろんな共同の作業が行われておりますし、さらにそれをコストダウンするためには、今申し上げましたように情報基地を使いまして共同でCAD・CAMシステムを入れるとか、いろんな分野が行われております。 そういった過程でトータルのコストを下げておるわけでございまして、今おっしゃいました、しかしながら最終的には二次下請、三次下請、そういうところにややもすればしわが寄るんではないか、そういう面が絶無ではないと思います。我々も十分そこは、下請対策も含めて、中小企業施策その他あわせて意を用いていかなきゃいかぬと思っておりますけれども、ただ、そういうところの企業努力あるいはそういうものの存在なくしては成り立ち得ないのがこの組み立て産業でございます。 したがいまして、今申し上げましたけれども、トータルの向こう数年間の作戦という中には、今言ったような末端の下請メーカー自身が十分合理化していけるような、かつまた彼らが十分企業経営が成り立つような、そういった総合作戦を展開しておる、こういうふうに我々は認識しておるわけでございます。
○牛嶋正君 恐らく今おっしゃったように努力を重ねているんでしょうけれども、先ほどの梶原委員の御質問もありましたように、今の円高がこのような速度で進んでいる、さらにこれが進むということになりますと、私はもう企業内の努力だけではこれはもう解決できない問題ではないかというふうに思います。しかも、先ほど申しましたその価格を形成している部品についても言えるわけですけれども、このコストの項目を考えますと、下請へ行けば行くほどリストラによる要素費用のところのカットというのは非常に難しいと思います。 さらに、だからといってそれじゃ新しい技術革新、事業改革を行ってということになりましても、今までの下請と親企業との関係から申しますと、いわば親会社が資金面あるいは技術面でほとんど手当てをしてきたわけです。トヨタなんかの関係の自動車会社を見ておりましても、下請の投資計画というのは、全部親会社が一応投資計画を立ててそれを下請がやるというふうな感じになっております。今までそういうふうに親会社から大きな庇護を受けてまいりましたですから、この危機を下請会社が乗り切るだけの体力は私はないんじゃないかというふうに思っているんです。 この体力をどういうふうにつけていくのか。やはり親会社の方も、先ほどのような価格の引き下げということになりますとどうしても安い海外から部品を導入するということもありますし、それから部品のメーカーも海外へ出ていくということになるわけで、そうしますとその力がない下請企業のところでこの法律がどういうふうに手当てできるのか、これが問題になってくると思うんです。このあたりちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(牧野力君) 今、委員御指摘になりました下請の問題は、私ども非常に深刻に考えております。 この下請対策につきましてはあらゆる政策を駆使していくことになろうかと思います。今、機械情報産業局長が説明いたしましたように、それぞれの自動車なら自動車産業におきましては、この下請も含めて全体が合理化しつつ生きていくというトータルなアプローチもあると思いますし、それから後ほどまた説明があろうかと思いますが、中小企業対策、一般的な下請企業対策としてのいろんな対策もあろうかと思います。 私ども、この法律において考えておりますのは、その点に関する対策といたしましては、ここにございますように、下請企業におきましても特定業種に属するようなものにつきましてはこの制度をフルに活用することを期待いたしております。それから、活用事業者という概念を設けておりますが、例えば大企業あるいは中堅企業の特定事業者が事業革新を自分だけでは行えない場合には活用事業者にそれを渡していくわけですが、その場合も下請企業をそちらに移してそちらの方で活用をしていただくというような制度を、その場合にこれを支援するということを設けております。 それから、これはこの法律と特に直接関係しませんが、海外展開を図る場合にも、これは自動車ではございませんが、最近ある機械メーカーで、関連の下請企業を全部含めましてアジアのある発展途上国に工業団地をつくってそこに全体が出ていく、そういうような配慮もなされておるようでございます。 従来から下請企業等に対しましては、そういった場合に情報提供を十分行うというふうなことも行っておりますし、この法律自体でカバーできるとはもちろん思っておりませんけれども、この法律も駆使して下請対策には十分の意を用いていきたいというふうに思っております。
○政府委員(中田哲雄君) 大企業の経営の合理化あるいは海外への移転等によりまして下請中小企業がいろいろな形での影響を受けているというのは、委員御指摘のとおりでございます。 昨年の十一月に私どもで取りまとめました企業の海外展開等に伴う下請中小企業への影響調査、こういうのがございますが、これによりますと、今のような状況に対しまして、下請中小企業者は今後の対応策といたしまして、コストの引き下げ、これが第一の順位でございますが、さらに第二に親企業の分散化、第三に新製品の開発、第四に事業転換あるいは新分野進出、こういったものを重視しているということがうかがえるわけでございます。 私ども、このような下請中小企業者の意欲にこたえていくために支援をしていきたいというふうに考えておるわけでございまして、従来から各都道府県に下請企業振興協会というものが設けられておりますけれども、これを通じまして、新たな取引関係の設定も含めまして取引のあっせん、これを強化していきたい。また、この協会に指導員あるいは顧問弁護士等も増員をいたしましてきめ細かな相談にも乗っていきたいというふうに考えております。 さらに、コスト引き下げのためには、従来から金融措置あるいは投資減税等々を行っておるわけでございますけれども、これらの御活用をいただきますとともに、新しい分野への進出あるいは海外への展開という新たな活路を見出そうとする下請中小企業者につきましては、中小企業新分野進出等円滑化法、これが既に施行されておるわけでございますけれども、これに基づく金融、税制等の支援措置を講じていきたいというふうに思っております。 また、下請企業を含みます中小企業者が新規の事業開拓を進めるために創業あるいは研究開発というものをいたしますことを支援いたしたいということでございまして、現在中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法案を国会で御審議いただいているところでございます。この法案の成立をまちまして、できるだけ早くこの支援体制を整備していきたいというふうに考えておるところでございます。
○牛嶋正君 我が国の自動車産業が非常に発達、発展してきた一つの大きな要素としてかんばん方式というのがあると思います。これは他の業種にもいろいろと影響を与えているようです。私はこのかんばん方式を見ておりますと、もちろん親企業とそれから系列会社の子会社との間に若干の摩擦もありますけれども、まずまず大企業と中小企業との関係としてはこの方式というのは非常に好ましい関係をつくってきたと思うんです。ですから、先ほどから私言っておりますように、価格破壊が見られるこのような状況こそ、この方式はやっぱり守っていきたいと思っております。 この法律を見せていただきまして、そのあたりがちょっとまだはっきりしない部分もございますけれども、今私の申しましたかんばん方式を守っていくということについて、この法律との関係で何かございましたらお教えいただきたいと思います。
○政府委員(牧野力君) 非常に難しい御質問なんですけれども、具体的な御質問で難しいんですが、いずれにしましても、下請企業も含めて特定事業者が事業の革新を行っていくと。それは新商品もあるでしょうし、新しい生産方式もあるでしょうし、それから部品の調達の方式でありますとかあるいは販売方法を変えていくとか、それが事業革新の概念に当てはまる場合は、これは当然のことながら下請も均てんするような格好でこの法律が適用されるというふうに思っております。
○牛嶋正君 私はきょうは自動車産業を取り上げましたけれども、それぞれの業種においてそれぞれの業種の特色というものがありますし、特徴があると思いますので、できるだけこの法律の適用に当たりましてはそういったきめ細かなところを配慮して適用されていくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○小島慶三君 新緑風会の小島でございます。 きょうは、せっかく機会を与えられましたので、この法律の持っているスタンスといいますか意味といいますか、そういうものから二、三お伺いしたいというふうに思っております。 先ほど大臣がお示しになりましたように、為替レートが大変な段階にまた落ち込みそうだということでございますが、この間外国の雑誌を見ておりましたら、さっき大蔵省から御説明がありましたように、今回の動きというのはグローバルな動き、メキシコに始まり、ラテンアメリカに行き、最後はニューヨーク、そしてマルク高、円高という形に動いているということで、今までのマルク高が大体一六%ぐらいになっている、日本の円が二一%というふうになっているということが書いてあって、いかにもまだ円高の余地があるような書きぶりで、大変私は気になったのであります。しかし、もう九十円を割れたところで、産業としてはむしろ悲鳴を上げる状況になってきていると思います。 それに対して、大蔵大臣も経験された実力大臣がおられるわけでありますから、ひとつ内閣全体を挙げて、世界的な協調といいますか、そういったラインでこの難場を切り抜けていただきたいというふうに心からお願いをするわけであります。 ただ、協調介入の時期それから幅、これもなかなか難しいものがございますし、金利調整という点についても困難な面があると。とにかく困っているのは日本だけということで、なかなか各国の、ドイツ、アメリカとのコンセンサスが得られないということが非常に難しい事態をつくっているというふうに私は思うわけであります。 そうなってみますと、マクロ的な調整が難しければ、やはりミクロ的なといいますか、そういう調整をしなければならないということで、企業の自己防衛といいますか、そういうことはもう緊急の問題になってくるというふうに思いますし、それがやはりこの法律が出てきた非常に大きな意味ではないかというふうに思うわけであります。 それで、もともとこれは企業セクターの問題でありますから、企業のイノベーションでどう難場を切り抜けるかということが主題でなければならないわけでありますが、それに対して、企業だけではどうにもならないので、産官学といいますか、そういった協調体制でこれを切り抜けるということでこの法律も大きな主題を担うということになってきたのではないか、そういうふうに理解をいたしております。つまり、緊急避難であるということではないかと思うんです。 ですから、この中には通産省の新しい行政としての情報化時代に即応した情報行政といったようなものか明らかに書かれておりますけれども、同時に、計画とか計画の承認とかあるいはカルテル行為の承認とかといったように、従来の日本の自由企業体制といいますか、そういうものを促進してきたような流れ、これに比べると、若干新しい、異質なとは言いませんけれども、そういうふうな行政が登場してきたなと、そういう感じも持っております。 したがって、やはりこの法律はあくまでも臨時の緊急避難的な性格のものである、日本的な自由主義の体制を後戻りさせるものではないということについて、まず大臣の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 十一時現在、八十九円八十九銭から八十二銭という水準で依然相場が動いておりまして、先ほど来御論議がありますように、非常に深刻な思いでこの数字を眺めております。 ただ、今委員がこの事業革新法につきまして緊急避難的な対応という御見解を述べられましたけれども、私は実はそうはとらえておりません。ただ、現在のこの為替の流れの中では、確かにこの法律案自体が緊急避難的な要素を持ってしまったということは私は事実だと思います。 しかし、本来私どもはこれほど、いきなり九十円を超えて八十円台に突入するという事態を想定してこれを考えたのではないということはまず申し上げたいと思うのであります。そして、今既存の産業の成熟化に伴いまして、新たな業がなかなか起こらない、閉塞感が生まれてきているといった我が国の産業構造の中で、その既存産業の体力を維持しながら新たな分野にどう事業が本当に転換していけるだろうか。そして、そのために行政の役割はどういう部分であろうか。我々は、そういう視点から、二十一世紀に向かっての我が国の産業構造を円滑に変化させていくための重要な柱としてこの政策を考え、この法律案を国会に提出をいたしました。 ただ、その後の為替相場の変動の中で、むしろそうした長い、これからを見通した施策として打ち出したものが、まさに緊急避難の役割を負わなければならなくなりつつある。非常に不幸なことでありますけれども、その性格に新たな側面を付与した。その意味では、私は委員の御指摘をそのとおりと受けとめております。
○小島慶三君 それから、私の持ち時間ももう限られておりますからこれはお願いをしておきます。この法律をずっと拝見していって、この法律の附属資料の方にも新しい十二分野というふうな提示があるんですけれども、何かこの法律のイノベーションに関する文言と、それから具体的に一体、では例えば鉄鋼あるいは電機産業、こういったものがどういうイノベーションの可能な要素を持っているのか、その辺の展開のプロセスとかそういったものについて、いずれ御研究あると思うんですが、その資料を後でいただきたいというふうにお願いしておきます。 それから次に、空洞化と言われる問題なんですけれども、この前のプラザ合意以後のいろんな円高の動きのときに、例えば日本の東京の工場が随分地方に出てまいりました。量産工場が出てまいりました。東京が空洞化するという話もあったんですけれども、よく後をフォローしてみますと、必ずしも東京の物づくりの体質というのは、またノウハウというのは消えていないということで、新しい商品の開発には必ず試作とかそういったものが必要になるわけでありますが、その試作工場を新しくつくるかわりに、東京の残ったノウハウ、技術力を活用して、そして安くて短納期で少ロットでという悪条件といいますか、そういう条件をうまく満たして東京の工場の能力が機能したと私ども思っているわけであります。 言葉としては適当かどうかわかりませんけれども、例えば城東地区の中でかなりのものが地方に疎開したけれども、しかし残ったものはしっかりした技術を持って残ったと。だから、例えば大田区なら大田区ではそれが十分に今でも機能している。大田区ゼーションと言うんだそうですけれども、そういうことがある。 したがって、今日本全体の空洞化ということは、いろいろ先ほどからも御議論がありますけれども、恐らくこれはマイナスの空洞化とばかり考える必要はないんじゃないかと私は思っております。日本全体が先ほど言いました大田区のような機能を持てばいいわけでありますから、またそれだけの実力はあるわけでありますから、東アジア全体の中で日本の産業がどういう再配置、再展開を遂げるかという角度でこの空洞化という問題を考えてみる必要があるというふうに思っておるわけであります。 世界の市場もこれから中国を中心とした東アジアに大きく広がっていくということを考えると、日本の企業がどんどんそういう展開をしていくという限りにおいては空洞化ではないというふうに私どもは思っておるわけでありますが、その辺についての通産省のお考えを例えればありがたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、それこそ大変失礼でありますけれども、通産省の大先輩であり、その後また産業界で御活躍になられたその実体験からの御意見、今非常に素直に拝聴をいたしました。そして、特に通産省として昨年その例示に引かれました大田区を中小企業庁の諸君に頼んで調べてもらった結果等もありまして、なおさら私はそうした感じを強く持ちます。 そして、この法律が例えば国際的な競争力を失ってしまった非効率な産業の温存を図る、あるいは海外進出を抑制しようという法律でないことは、もう委員がよく御承知のとおり、御指摘をいただいたとおりでありまして、まさに我々は自助努力によって新たな事業分野また方式の開拓を図っていこうとする意欲のある事業者というものを国内における設備投資あるいは研究開発の促進などを通じて支援しようとするものであります。 たまたま委員が例に引かれました大田区の調査の中で、実は私が非常に心配をしたことが一つありましたのは、我が国の人口の成熟化に伴いまして年少労働力の減少が顕著になっております。そうしてまさに、試作あるいは例えば特定の金型製作における特化された技術を持っているような企業が後継者がないために自分の一代で終わるのではないかという不安を非常に強く述べておられました。 こうしたことを我々は頭に置かなければならないわけでありますが、実はこの法律が対象といたします業種も程度の差こそあれ同じような問題を抱えるわけであります。その事業が成熟化し衰退していくとすれば、それにかわる後継を持たなければなりません。その後継分野をつくり出すためにこの法律は生かしていきたいということでありまして、委員の御指摘はそのとおりと思います。
○小島慶三君 ありがとうございました。 それでは、時間もありませんので最後の質問を簡単に申し上げたいと思うんです。これは非常に従来からも懸念されていたことでありますが、こういう新しい産業が起き、そして日本の産業の活力を担っていく、こういうことに向けて通産省の施策も展開されていくと思うんですけれども、一番の問題はやはりそういったイノベーターの立ち上がりのときの最初の金の問題なんですね。 これはアメリカとか、最近はヨーロッパでも非常に活発に店頭市場あるいは第三市場というものがつくられているんですけれども、日本の場合にはそういったものが、投資家保護という建前があるのかもしれませんが、余りにも慎重でなかなかそれが活発に動かないということであります。民間は金を持っているわけでありますから、そのリスクマネーに匹敵するものをやはり供給する仕組み、これはいろいろあると思うんですけれども、そういった点についてひとつぜひいろいろその促進方の御配慮をお願いしたいというふうに思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) もう長い御答弁は申し上げませんが、委員の御指摘の懸念は我々も非常に心配なところでありまして、年来、店頭公開市場というものを何とかして育ててほしい、そのためにも現在持っております制度の具体的な問題点を解決してほしい、我々なりに考え、これを関係当局に対して働きかけを続けてまいりました。今ようやく日本証券業協会におかれまして店頭登録基準の見直しについて店頭登録基準検討懇談会を設置して検討が行われておるわけであります。 我々として、一層積極的に店頭市場の活性化に向けて努力をし、立ち上がりの資金需要に対して民間においての資金供給がより可能になるように全力を尽くしたいと思います。
○小島慶三君 ありがとうございました。終わります。
○市川正一君 前回も少し触れましたが、今日の異常円高に対して橋本通産大臣は、七日の記者会見で円高になる基本的な問題として経常収支の黒字があると述べられたのに続いて、十日の記者会見でも円高の根本要因としての日本の経常黒字を真っ正面からとらえるべきだ、こう発言なさいました。 もちろん、今回の円高は外回為替取引が本来の目的を離れて投機の手段化したことや、アメリカの財政、貿易の巨額に上る双子の赤字の増大など、アメリカ経済に対する不信を背景に、国際基軸通貨であるドル不安からきていることは言うまでもありませんが、同時に、この法律の対象である自動車や電機産業など一部大企業の輸出ラッシュによる日本側の貿易黒字にも厳しくメスを入れる必要があるという点では、通産大臣の問題意識とは共通する接点を持っていると感じます。 自動車や電機産業などの輸出型大企業は、円高に直面するたびに、それによる国際競争力の低下を猛烈なコストダウンで切り抜けて競争力を回復するが、それがまたさらなる円高の進展を呼ぶという、野村総研がいみじくも悪魔のサイクルと名づけました悪循環を繰り返してまいりました。その節々での海外への生産拠点の移転、国内生産の縮小、大量の人減らし、合理化、下請企業へのコストダウンの押しっけなど、労働者と中小企業の犠牲で乗り切ってきたのが事実の経過ではなかったでしょうか。 その結果、貿易黒字は減るどころか、プラザ合意の八五年度の五百二十六億ドルが九三年度には千二百二十億ドルと逆に二倍にふえ、そして今回の異常な円高に至るわけですが、大企業のいわゆる悪魔のサイクル的な手法の再現、これではやはり問題は解決しない。 私は率直に伺いたいのでありますが、大臣のおっしゃる経常黒字を真っ正面からとらえるということは、今私が申しましたような問題にもメスを入れるということなのかどうか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 市川委員にお褒めをいただきますときには、往々にして委員御自身の御議論に私の申しましたことを大変さや寄せされましてお褒めをいただくケースがあります。今回の部分につきましても、私はどうも問題意識としての根幹には多少違いがあるような感じがいたします。 私は、もともと経常収支の黒字というものが悪だと決めつけるつもりはありません。むしろ、現在の世界経済の中で、例えばG7各国の中においてニューマネーの供給能力を持つそうした国がほかにあるかといえば、残念ながらニューマネーの供給能力を持つ国は日本以外にないわけであります。 ところが、今世界経済全体を見ますときに、それこそ東欧における劇的な社会主義から民主主義、あるいは計画経済から市場経済への転換が起こりまして以来、あるいはソ連邦の消滅、ロシアを初めとしたCIS諸国の誕生、ラテンアメリカにおける民主化の促進、中国の市場経済の進展、それぞれ歓迎すべきことではありますけれども、実はこれは新たな資金需要が地球上の各地に生まれたということでもあるわけであります。そして、その新たな資金需要に対して十分な資金供給をどう行っていくかというのは、現在先進諸国の中における大きな論議のテーマであるはずだと私は思います。 そうした中におきまして、ニューマネーの供給能力に限界がある現在のG7に、日本の経常収支を国際的な資金需要にいかに効果的に利用するかは、むしろ日本独自の問題ではなく、例えばG7等においてもあるいはIMF等においても十分考えられてしかるべきものだということを私は年来主張し続けてまいりました。そして、その限りにおいて私は経常収支の黒字が悪だとは考えておりません。しかし、今日その経常収支の黒字がある意味ではたまり過ぎている。言いかえれば、それだけの投資が思い切って国内で行われていないことが非常に大きな問題を持っていると思っております。 それだけに、先ほども答弁の中で申し上げましたように、私は、公共投資基本計画の思い切った前倒しをすることによって、ただ単に阪神・淡路大震災の復興という限定された補正予算ではなく、この際、災害に強い都市づくりといったテーマを柱にした思い切った新たな補正予算を考える必要が生まれたのではなかろうかということをここでも御答弁を申し上げました。そして、今委員が引用されましたような、その新聞等に引用されました私の考え方の基礎にはそうしたものがあるわけであります。 また、これは牛嶋委員の御論議の中にもございましたけれども、こうした法律を我々が国会に御審議をいただかなければならない中において、まさに大企業と下請の関係というものには我々は十分な留意を払わなければなりません。しかし従来から、例えばデザイン・インといった手法で、メーカーである自動車産業とその下講の間に設計段階からの非常に緊密な連携がとられることにより、そうした問題に対しては少しでもこれを解決しておこうという努力をしてきたことは委員各位も御承知のとおりであります。そして、今後もそうしたことは我々は続けなければなりませんし、先ほど中小企業庁長官が御答弁いたしましたように、この法律一つですべてに対処しようとするのではないこともぜひ御理解をいただきたいと思います。
○市川正一君 私は善か悪かという道徳律を伺っているんじゃなしに、現実にそれが日本経済に重大な危機をもたらしてきていると。きょうは橋本独演会ではないので、私は少し時間を延長していただくことを切望いたしますが、問題を進めていきます。 私は、そういう意味で実際、規制緩和とかいろいろ八五年の円高のときの前川レポートで実施した政策が、やってみてやっぱり成功していないんです。ますます矛盾、破綻が激化している。そのことをめぐって財界人からもいろいろの発言が起こってきている。もう最近の例は省略しますが、例えばソニーの盛田会長が九二年二月号の文芸春秋に「日本型経営が危い」という論文を発表いたしました。彼の意見によりますと、低コストでの大量輸出体制を進めている日本の大企業上位三十社が世界中に害を振りまいているかもしれないと、こう問題を提起している。社員を長時間安い給料で使う翼なるルールで競争に勝っていると厳しく指摘し、ルールを同じくすべきであるということを説いております。 私は、大臣が真っ正面からとらえるべきであるとする問題の核心もまさにここにあると思うのでありますが、ここでこれを質問いたしますともう私の持ち時間がなくなるので、またゆっくりお時間をちょうだいしてこの点は改めて議論をいたすこととして、以上のことを私の見解として前提にしながら、法案の質問に入らせていただきます。 今度のこの法案によっても、目的は国内生産の縮小などのリストラ、合理化で国内産業の活力を低下させ、既に世界市場を相手に海外生産を展開している自動車や電機産業などの大企業の国内生産活動だけを切り離して事業革新を支援するということになっております。海外生産や空洞化を大前提にして国内産業の空洞化の懸念に対する対策を講じても、それは産業空洞化を防止することにはならぬではないですか。自己撞着だと思うのであります。なぜならば、法律の対象業種となっている大企業は、国内での事業革新を実施するだけでなしに、海外展開とリストラ、国内生産の縮小、合理化とを表裏一体で進められているからであります。 そこで伺いますが、特定業種とは第二条で「内外の経済的環境の多様かつ構造的な変化の影響を受けて、その生産及び雇用が減少しており、若しくは減少するおそれがある」となっておりますけれども、その基準、内容は具体的にはどういうものですか。
○政府委員(牧野力君) 簡単に申し上げますと、これは省令で定めることになっておりますけれども、今考えておりますのは、例えば五年間で生産が五%減少している、あるいは雇用が減少の傾向にあるというものを一応対象と考えております。
○市川正一君 そうしますと、五年間で国内生産が五%と雇用の減少ということになりますと、かつて中小企業新分野法では、売上高が一〇%以上減少している中小業者で、しかも業種が明確に変わることが条件でありましたが、本法はかなりの優遇というふうに言えるんじゃないですか。
○政府委員(牧野力君) 優遇か優遇でないかというのは、これは見解の相違があると思いますけれども、私どもといたしましては、とにかく構造的に問題のある業種を放置をいたしますと、下請の問題でありますとか雇用の問題あるいは中小企業の問題、非常に大きな問題になりますので、こういった業種であって、しかも事業革新を自力で行う意思と能力のあるものについて、その環境を整備するというふうに考えております。
○市川正一君 次に雇用の問題でありますけれども、第八条では、例えば自動車や電機産業などの特定業種で、事業革新計画の承認を受けた特定事業者が実施する事業革新でなお活用することのできない従業員や施設等について、これを活用して事業を行う活用事業計画を認めております。 これでは、今までは子会社、関連企業への出向などで雇用をしていた労働者を他の企業、下請などに押しつける、いわゆる人減らし合理化をしていいということ、つまり現在進めているリストラを大いに促進していいということに相なりませんか。
○政府委員(牧野力君) これは、そういうふうにならないと我々は考えております。 それで、法律をよく読んでいただきますと、まず特定事業者がみずから事業計画をつくり、それで雇用なり経営資源を十分に活用していこうというものでございますけれども、それでもなかなか雇用の安定なり事業革新ができないという場合に、活用事業者に対して、引受手に引き受けてもらうというようなことでありまして、その活用事業計画にいたしましても、あるいは特定事業者の事業計画にいたしましても、十分に雇用なり下請なりに配慮しているかどうかということを、この法律第八条第三項で承認の基準がございますが、そこで十分配慮していくつもりでございます。
○市川正一君 既に発表されておりますけれども、現に新日鉄は三月四日に今までの出向者を転籍者として関連会社に押しつける措置を発表しております。日産自動車は新たに七千人の合理化案を発表しております。電機でも不採用部門の分社化が進んでおります。 こういう状況のもとで、この法律は、国内生産活動の活性化の名目のもとに、今指摘しましたように国内生産の縮小に伴う大量の人減らし、下請切り捨てを容易にする、そういう側面があるということを私は率直に指摘せざるを得ないんであります。 伺いますが、第五条の事業革新計画の承認に当たって「従業員の地位を不当に害するものでないこと。」の条件をつけており、第十六条で雇用の安定に配慮しているから心配ないと、こういうふうに承っておるんでありますが、しかし鉄鋼などの過剰設備廃棄やあるいは新規産業の育成を目的にした八七年に制定したいわゆる産転法ですね、ここでは企業に労働組合との協議を義務づけておりましたけれども、本法では「雇用する労働者の理解と協力を得る」ということになっています。これで雇用保障はできるんですか。
○政府委員(牧野力君) 前提といたしまして、今委員がおっしゃいましたことでございますけれども、こういうような対策をもし講じないとすれば、より雇用なり下請なりに大きな影響が出るというふうに私どもは考えております。 そこで、今御指摘の法律の問題でございますが、産構法におきましては、これは設備の廃棄というものを直接の目的とするものでございまして、これは直接にその設備で働いております雇用者に極めて直接的な影響がございますので労働組合との協議というものは条文上示されているというふうに承知をいたしております。 本法におきましては、むしろそういう直接的な影響は必ずしもないわけでございますので、その点が違うと思いますし、それから今御指摘がございましたように、この法律の随所で雇用の安定、労働者の協力、理解を求めるということが指摘をされております。したがいまして、実質上、労働組合なりの意見や考え方に反して計画が進められるということはあり得ないというふうに考えております。
○市川正一君 時間が参りましたので、最後に一問だけ。
○委員長(久世公堯君) 時間が参っておりますので、御意見をまとめてください。
○市川正一君 最後に伺います。 事業革新計画の認定を受けた特定事業者に対する支援措置、例えば税制上の措置、これはどうなっているのかを伺って、質問を終わります。
○政府委員(牧野力君) これにつきましては税制、財投、いろいろな措置を講じておりますが、税制に関しましては、例えば長期保有土地等に係る買いかえの特例でございますとか、試験研究促進税制の適用、あるいはこの承認計画に基づきます設備についての特別償却等々を考えております。
○市川正一君 終わります。
○委員長(久世公堯君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○市川正一君 私は、特定事業者の事業革新の円滑化に関する臨時措置法案に対し、日本共産党を代表して反対討論を行います。 本法案に反対する第一の理由は、今日の異常円高をもたらした要因の一つでもある自動車や電機産業など主要産業の大規模な海外生産・展開を野放しにしたまま、これらの大企業が実施する事業革新なるものは、国内生産の縮小、下請中小企業や地域経済への犠牲を転嫁するものであり、産業空洞化に歯どめをかけることにならないからであります。 本法案の対象となる自動車、電機産業などは、円高に直面するたびに、労働者と中小企業、下請企業に対してコストダウンなどの合理化を押しつけ、海外生産の拡大や輸出を促進させ、円高の悪循環を繰り返してきたことは、質問で指摘したとおりであります。事業革新計画は、これらの大企業の国内生産活動だけを切り離して支援するものであり、海外生産の拡大と表裏一体に実施される国内生産の縮小やリストラを促進させ、国内産業の空洞化を防ぐことにならないことは明らかであります。 第二の理由は、自動車、電機、鉄鋼産業などで実施されている出向、転籍、配置転換などの人減らし合理化を事業革新計画の名のもとで容認し、大企業による大量の人減らしを容易にするだけでなく、余剰人員を人為的につくり出すなど、労働者の人権と民主的権利を奪うことになるからであります。 第三の理由は、大企業のリストラを支援するために、事業革新円滑化施設に対する特別償却、九三年度以降の試験研究費の最高額を超える分の金額の一〇%の税額控除の特例、長期保有資産の買いかえについて八〇%の圧縮記帳による特例、不動産取得税、登録免許税の軽減など、大企業への優遇措置を実施するからであります。 これでは、今日の産業空洞化や異常円高をもたらした自動車や電機産業などの大企業の責任を免罪にし、国内産業活動の活性化の名のもとに、税制、金融などの優遇措置を実施するものにほかなりません。 以上、本法案は、大企業の海外生産の促進を前提に国内対策を実施しても、それは産業空洞化を招き、労働者や中小企業、地域経済に一層深刻な影響を与えるものであることを指摘し、反対討論を終わります。
○委員長(久世公堯君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 特定事業者の事業革新の円滑化に関する臨時措置法案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(久世公堯君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 長谷川清君から発言を求められておりますので、これを許します。長谷川君。
○長谷川清君 私は、ただいま可決されました特定事業者の事業革新の円滑化に関する臨時措置法案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、平成会及び新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 特定事業者の事業革新の円滑化に関する臨時措置法案に対する附帯決議(案) 政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一、現下の内外環境の変化に伴う産業空洞化の懸念に対処するため、内需中心の適切な経済運営と規制緩和等の一層の推進に努めるとともに、製造業等の事業革新が雇用の維持を図りつつ円滑に行われるよう環境整備に努めること。 二、特定業種を定めるに当たっては、機動的に行うとともに、事業革新計画の承認に当たっては、雇用の安定に配慮するよう周知徹底に努めつつ、特定事業者の創意工夫や主体性が十分配慮されるよう弾力的に行うこと。 活用事業計画の承認についても、対内投資の促進、他分野からの事業進出の機会確保等多面的な活用が可能となるよう弾力的に対処すること。 三、内外価格差の調査に関しては、対象品目、調査方法及び公表時期等について、整合性にも留意しつつ、関係省庁連携のもと積極的に取り組むこと。 取引慣行に関する調査についても、その改善が一般的な取引秩序の改善、市場の効率化に資するものと認められる場合には公表に努めること。 四、事業革新計画に基づく事業革新の実施に当たり、労働移動が伴う場合においては、労働者の理解と協力を得つつ円滑に行うよう指導するとともに、雇用安定助成金の活用等雇用安定施策を積極的かつ適切に活用するよう主務省庁は労働省と協議連携を深め、関係業界団体等を含め周知徹底に努めること。 五、特定事業者の事業革新の円滑化に資する見地から、教育、研究の場における産官学の研究交流等の環境整備に努めるとともに、情報ネットワークシステムの整備、製造・製品の規格標準化の推進等新規分野の開発が円滑に進むよう努めること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(久世公堯君) ただいま長谷川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(久世公堯君) 多数と認めます、よって、長谷川君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、橋本通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。橋本通商産業大臣。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、本法律案の適切な実施に努めてまいる所存であります。
○委員長(久世公堯君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久世公堯君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(久世公堯君) 化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。橋本通商産業大臣。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。 東西冷戦構造崩壊後の流動的な国際情勢のもと、大量破壊兵器の全面的禁止に関する国際的な認識の高まりにより、平成四年九月に化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約が採択されたところであります。我が国といたしましても、世界的な枠組みでの軍縮を推進していくことが国際的責務であることから、平成五年一月にこの条約への署名を済ませております この条約につきましては、承認をいただくために今国会に提出されているところでありますが、我が国としては、この条約の的確な実施を確保するために、化学兵器の製造、所持、譲り渡し及び譲り受けを禁止するとともに、特定物質の製造、使用を規制する等の国内法整備を行うことが必要であります。 このような要請に対応するため、今般、本法律案を提出した次第であります。 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。 第一に、化学兵器及びその製造を目的とした毒性物質等の製造、所持、譲り渡し及び譲り受けを禁止することとしております。 第二に、化学兵器の製造の用に供されるおそれが高いものとして、条約の規定に則して政令で定める特定物質の製造、使用をしようとする者に、通商産業大臣の許可を受ける義務を課し、また、特定物質の所持、譲り渡し及び譲り受け等についての制限を設けることにより、我が国に存する特定物質の総量が条約で定める限度を超えることとならないこと等について担保することとしております。 第三に、化学兵器の製造の用に供されるおそれがあるものとして、条約の規定に則して政令で定める指定物質の製造をした者等に、国際機関に申告を行うために必要な事項について届け出をする義務を課すこととしております。 第四に、許可・届け出事業者等に、国際機関が行う検査の受け入れを義務づけることとしております。 第五に、報告徴収、立入検査、罰則等について所要の規定を設けることとしております。 以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(久世公堯君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本案に対する質疑は後日行うこととし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十六分散会