外務委員会 第11号
- 発言数
- 138 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1995/04/27
会議録
○委員長(田村秀昭君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題とし、これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○野沢太三君 野沢でございますが、化学兵器禁止条約ほか、オウムあるいはNPT等の問題について質問をさせていただきます。 この化学兵器祭止条約につきましては、これまで大変長い時間をかけまして御議論をいただき、ようやくここまでこぎつけていただいたわけですが、時あたかも日本においてこの化学兵器に類するようなテロ行為が発生をしているということで、まことにまずい意味での時宜を得た条約になったかなと、こう思うわけでございます。一刻も早く成立をさせまして、その効果を上げなければならないと心得ておるわけでございます。 この条約が成立するまで、たしか一九六九年に生物・化学兵器の廃絶を目指して軍縮の討議を始めておるようでございますが、その後、八〇年に特別委員会が設置され、九二年に至って軍縮会議で全会一致かつ総会での勧奨決議が出た、さらに九三年でパリで著名と、こういった長い経緯があるようでございます。これだけの時間を要した理由、またその内容につきまして、要点といいましょうか、どういう背景があったか、これについてひとつ大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 委員お尋ねのように、この条約の成立までには大変長い時間を費やしました。 一番最初から言えば、一九二五年のジュネーブ議定書に始まるわけでございますが、御承知のとおり、このジュネーブ議定書は戦争の際に使われるということであったのに対しまして、一九六九年の「化学・細菌兵器とその使用の影響」と題する国連事務総長報告書が提出されて以来、ジュネーブの軍縮会議などにおいて議論されてまいりましたのは戦時と限定しないものでございます。この条約をぜひともっくり上げたいと私どもは念願をしておったわけでございますが、残念ながら、その間、東西対立というようなものがございまして、米ソ間でも化学兵器の禁止についての意見が必ずしも一致しないという状況でございました。 またもう一つは、この条約の中で最も重要な根幹をなしているものは査察の問題でございますが、この査察などの検証措置のあり方について合意がなかなかできないということがあったわけでございます。この中にございますいわゆるチャレンジ査察、申し立て査察というものについては、厳しい冷戦状況下ではなかなかこういったことは合意ができないということもあったわけで、これらが条約交渉を長期化させた理由であろうと思います。 今御指摘のように、一九八○年代以降になりまして、イラン・イラク紛争あるいは湾岸危機の発生、こういうことで条約交渉をどうしても妥結させるべきだという国際的世論が高まってまいりまして、一九九二年九月に、申し立てによる査察を初めとする検証措置、これは極めて画期的なものだと言えると思いますけれども、こうした検証措置を盛り込んだ条約案が合意に達した、こういう状況でございます。 一九九三年、パリにおきまして著名が行われて、その後二年間の期間を経て、今、国際的にこの条約の批准に向けての努力が各国でなされている、こういう状況でございます。
○野沢太三君 時間は要しましたが、戦争をやめたい、あるいは非人道的な武器、兵器を使わないようにしようという意味での人間の英知というものが少しずつでも実りつつあるという意味で、大変これは価値のある条約と思うわけでございます。 そこで、今、大臣申しておりました二五年の毒ガス等議定書が戦時についてはこれが有効としてこれまで既に機能をしてきたわけでございますが、この署名国の数、それから今回のこの条約に対する署名国、締約国の数に大分違いがあるように見受けられますが、現時点でどうなっておりますでしょうか。
○政府委員(林暘君) 一九二五年のジュネーブ議定書の現在の締約国数は百三十六カ国でございます。ただ、この百三十六カ国の中には、今存在しておりませんソ連、東独、チェコスロバキア、南イエメンという国が入っておりますけれども、百三十六カ国でございます。 それに対しまして、今御審議をお願いいたしております化学兵器禁止条約の、これは署名国でございますけれども、署名国は百五十九カ国でございます。
○野沢太三君 この違いでございますけれども、今回は平和時においても拘束を受けるという意味でむしろ非常に進んだ姿になっているわけですが、この新しい条約にまだ署名をしていない国の中にいろいろとどうも問題意識を持ったお国があるようにうかがえます。今回の条約に署名をしていない国が二十九か三十ぐらいまだ残っているというふうに承っております。そのうち主なものとして、例えばリビアあるいはエジプト、イラク、あるいはアジアでは朝鮮民主主義人民共和国等が挙げられておりますが、私が今申しましたような国々は二五年の毒ガス協定にはちゃんと締約国として名を連ねておるわけでございますので、この辺の皆様には今後の働きかけによっては加入していただける可能性があると思うわけでございますが、この辺についてはいかがでございましょうか。どのような外交活動をしていらっしゃいましょうか。
○国務大臣(河野洋平君) ジュネーブ議定書に署名をしながら今回まだ未署名であるという国が幾つが御指摘のようにあるわけであります。その事情については、それぞれの国にさまざまな事情があるというふうに思いますが、一つは国際情勢の変化というものがあると思います。例えば、一部のアラブ諸国について言いますと、これはいわゆるNPT、核不拡散条約に絡みまして、あの国が核不拡散条約に入っていない以上自分はこれには入れないといったような、国際的な環境と申しますか条件と申しますか、そういったことをもとにして署名ができない旨主張をしておられるというふうに聞いております。 我が国としては、まず自分が手続を完了した上でこうした消極的な国に対しても加入を勧めるということが必要かと思います。もちろんこの条約の合意成立時に条約に消極的な国に対して署名の働きかけを行うという努力もいたしてはまいりましたが、今こういう状況になりますと、まずみずからが手続を完了して、その後に説得をすることがより説得力を持つものではないか、こんなふうに思っているわけでございます。
○野沢太三君 日本は平和国家を目指しながらも平時にサリンのようなものをばらまくというような、いわば一番世界の中でも注目をされる立場になってしまったとすれば、大臣おっしゃるように、まずみずからが条約を批准し、その上で呼びかけを行っていくということが大事かと思います。 このジュネーブ協定、二五年の協定を見ますと、本当に簡単なペーパーでございまして、罰則というようなものも余り明確にはない。ただ拘束されるということに同意するということをうたっているにすぎませんし、かつ査察ということもない。しかしながら、この条約があることによりまして、第二次大戦その他各地に起こりました紛争の中で、化学兵器を保有しながらも使用することをためらった、あるいは使用しなかったということも大きなやはり力になって効力を発揮したのがこの条約議定書ではないか、かように思うわけです。 今回、この新しい条約ができることによりまして、いわば保有国の立場も含めて、特に一番たくさん持っていると言われております米国あるいはロシアが廃棄を含めて同意をしているということはまことに画期的ではございますが、一面、先ほどのまだ非加盟の国の立場を考えますと、いわゆる戦争の抑止力としての力がバランスを欠くことになりはしないか、かような心配を持つわけでございます。 今回の条約に伴う条約違反のペナルティーについてどのようなものがあるか、これを調べていただいたと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(林暘君) この条約では、化学兵器を廃絶する目的のためにいろいろの手段が条約の中に講じられておりますし、それが実際に実施をされることを検証するメカニズムが入っております。 先ほど大臣の方からもお触れになりましたように、検証の際にこの条約では新たに申し立てによる査察という、ある意味では多数国間の軍縮条約では初めての試みを導入いたしておるわけでございますけれども、そういったことを含めまして、検証手段を使うことによって加盟国、締約国がこの条約の目的規定に合致した行動をとることを確保するということがまず定められておるわけでございます。 それで、それにもかかわらず条約に違反することがあった場合にはということにつきましては、この条約の中にもいろいろな規定がございますけれども、この条約の機関であります執行理事会ないしは締約国会議でその状況を検討し、その違反が重大であるというようなことの場合には、この条約に基づく制裁といいますか集団的な措置をとるということが定められておりますし、さらに重大なものであるということの場合には、最終的には国連総会及び国連の安保理事会に注意を喚起することができる。したがいまして、最終的には国際の平和の維持に責任を持ちます安全保障理事会がその状況を踏まえて判断をするということになろうかというふうに思っております。
○野沢太三君 大変そこまで整った形にはなっておりますが、安保理にすべての判断がゆだねられるということでございますけれども、国際紛争まで行かなくてもトラブル、あるいはそれの裁きという面では国際司法裁判所というものがこれまでございます。さらに、今回の旧ユーゴ地区の紛争に対しては国際刑事裁判所というものをつくって五十年ぶりに戦争犯罪あるいは人道に対する罪というものを裁こうということで、既に裁判が始まっているというふうに伺っておるわけでございます。こういった面まで踏み込んだことがなければ結構でございますが、そういう可能性というものは今後残されていると見てよろしいでしょうか。
○政府委員(林暘君) 国際司法裁判所についてのお尋ねでございます。先ほどの御説明でその点を申し上げませんでしたけれども、この条約の十四条、「紛争の解決」という規定におきましても国際司法裁判所への付託ということは規定をいたされております。すなわち、条約の解釈または適用に関して締約国間または締約国とこの条約に基づきます機関との間に紛争が生じました場合に、関係者の合意がある場合にはその紛争の解決について国際司法裁判所に付託することができるというふうに定めております。 関係者の合意がある場合にはと書かれておりますのは、国際司法裁判所の管轄権を受諾している国、受諾していない国、ないしは当該事案について合意をするしないということがございますのでこういう書き方をしてございますけれども、そういう形で国際司法裁判所に紛争の解決を付託することができるという形になっております。
○野沢太三君 まだ批准の前段でそこまで心配をする必要はないとはいうものの、やはり完結するという意味ではこのペナルティーということもあわせて今後の議論の中で考えていく必要があるのではないかと思うわけでございます。 そこで、今回のこの条約の最大の特徴であるのが検証制度を導入しているということであろうかと思います。軍事、産業あるいは現場査察という面で工夫が凝らされておりますが、この要点を簡潔に述べていただきまして、特に今回新たに導入されておりますチャレンジ査察導入の意義についてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(林暘君) 本条約の検証制度でございますけれども、ごく簡単に申し上げますと、この条約に基づきまして、毒性の化学物質というものをその毒性度といいますか危険度によりまして表で一、二、三というふうに三つに分けております。それぞれのカテゴリーに基づきましてどういう検証措置を、それがどういう頻度でどういう検証、査察が入るかということをそれぞれ規定してあるわけでございます。 通常の検証制度と並びましてこの条約で特徴的なのが今御指摘の申し立てによる査察、いわゆるチャレンジ査察という制度でございます。このチャレンジ査察という制度は、条約の違反の可能性についての問題を解決いたしますために、この条約のいずれかの締約国の要請によりまして他の締約国のいかなる施設・区域に対してもその締約国の同意を経ずに、同意を必要としないで極めて短時間の間に国際機関の査察団が査察を実施するという制度でございます。すなわち、条約違反の疑惑がある、可能性があるという申し立てがほかの国からあった場合に、この国際機関が極めて短時間の間にその締約国に参りまして当該施設を査察をするという制度でございます。 先ほど申し上げましたように、これはこういう国際条約で初めて導入された制度でございますので、どういうふうな形で実施をされていくかということは、この条約が発効しかつ実施をされていく過程において十分に詰めていかなくてはいけない問題もあろうかと思いますけれども、政府といたしましては、こういう制度が円滑に実施されるということによって、条約違反の防止ないしは実際に疑惑があった場合に、その解明ということに大きな効果を上げることになるんではないかというふうに期待をいたしております。
○野沢太三君 初めての制度であるだけにすべてこれからの課題になるわけでございますが、やはり査察当事国の合意なり協力というものがないとうまくいかないというのがNPTの条約の中でも問題が出てきておる状況でございますから、できる限りそういった面で事前の協議なりあるいは話し合いなりでうまくいくということをまず尽くした上でのこのチャレンジ査察というものの運用であってほしい、かように念願をするわけでございます。 そこで、いろいろこの条約の効果というものを考えていく中で、今回私どもが経験した未曾有の事件でありますサリンの地下鉄散布、こういったものを考えた場合に、問題は、あれを製造する前駆物質の管理がもう少しうまくいっていればあそこまでエスカレートしなかったのではないかと、こう思うんですが、この前駆物質の管理については本条約並びにこれを担保しております国内法としての化学兵器禁止法、この二つでカバーできるのかどうか。この点についていかがでしょうか、外務省並びに通産省、あわせてお願いします。
○政府委員(林暘君) 国内法の方の問題につきましては先ほど通産省の方から御答弁をお願いいたしたいと思っておりますけれども、いわゆる前駆物質というものにつきましても、条約上、毒性化学物質と同様にこの検証措置の対象となる化学物質に関する附属書に掲げられておりまして、それによって検証措置、これは申告と査察でございますけれども、それの対象となっております。そういう形によって平和利用の確認をするという体制にしているわけでございます。 それで、現在、表に掲げられております化学物質につきましては、条約交渉の際に多数の国によるかなり長期の議論を踏まえてこれらの物質が決定されたものでございまして、そういう意味で、化学物質の平和利用を現地査察その他によって確認する上で適切な種類の化学物質が選定されているというふうに我々としては考えております。
○説明員(掛林誠君) 化学兵操の禁止及び特定物質の規制等に関する法律につきましては、化学兵器禁止条約の国内実施法といたしまして条約上の義務を的確に履行するというために必要な措置を講ずるものでございます。 具体的に申し上げますと、条約上の表二剤、表三剤には多数の前駆物質が規定されておりますけれども、これらにつきましては、今御説明のありましたような申告、査察等の義務を担保するために、この化学兵器禁止法におきまして、条約上の規定に従いその製造、使用等につきまして届け出の対象とするということと、さらに条約機関による検査等の受け入れを義務づけているところでございます。また、化学兵器禁止法上は、条約上の前駆物質を用いて化学兵器または条約上の表一剤を製造するということはそれぞれ一切禁止または原則禁止としているところでございます。 以上のことから申し上げまして、条約に定める前駆物質の管理ということにつきましては化学兵器禁止法をもって十分に担保しているというふうに考えております。
○野沢太三君 今回、この条約と法律だけでは地下鉄サリン事件のような事件は防げないということで、十九日の本会議で新しくサリン等の禁止法をつくったわけでございますが、これだけで予想されるさまざまな事件、事案に対応できるのかどうか、すき間がまだ相当あるのじゃないかという気がするんですが、この点いかがでしょうか、警察庁。
○説明員(篠原弘志君) お答えいたします。 サリン等による人身被害の防止に関する法律は、毒性の程度が著しく強く、人の殺傷以外にその用途がほとんど考えられないような物質につきまして、公共の安全の確保等の観点から重罰化を含めて規制をするというものでございまして、サリン以外の物質につきまして政令で規定するかどうかにつきましては、その物質がサリン以上の、またはサリンに準ずる強い毒性を有するものであるかどうか、あるいは犯罪にかかわる社会状況等を勘案して規制の必要性があるかどうかなど、この法律に定められた要件の有無を検討しながら判断することとなっております。 また、使用方法によりましては危険が生ずるような物質一般につきましては、サリン法の規制の対象とすることはしたがって困難でございますけれども、必要に応じまして毒劇法などの関係法令によりましての所要の規制が行われているものと承知をしております。
○野沢太三君 例えば、横浜で散布されたようなガスは何割であるかまだわからないということですが、あの程度のものになるとどういう取締法でやれるのか、どうでしょうか。
○説明員(篠原弘志君) 現在この横浜での異臭事件については捜査中で、現在の状況ではどういう物質か不明な段階でございます。したがって、いかなる法令に該当するかという点にお答えするのは非常に困難でございますけれども、少なくとも刑法上の傷害罪等には適用があるのではないかというふうに考えております。物質が判明しますれば、それによって刑法犯以外の関係法令の適用があるかどうかについて検討ができるというふうに考えております。
○野沢太三君 化学兵器禁止法の発効がたしか五月五日、それから今度のサリン立法は五月一日から施行されるということになっていると承知しておりますが、この法律によって今回のオウム事件等に対する取り締まりが可能なのかどうか。どうも後追いで、泥縄で法律の方が後からできたという感があるわけですけれども、新法でどこまで取り締まれるかお答えいただけますか。
○説明員(篠原弘志君) お答えいたします。 オウム真理教につきまして、現在サリンの製造についての容疑を私ども持って捜査をしておるわけでございますけれども、既に製造された罪等につきましては遡及することはできませんので該当はいたしませんけれども、現在においてもなおサリンについて隠匿所持しておる可能性というものは払拭できないところでございます。したがいまして、今後、隠匿所持等についてこの法令の適用をもって積極的に取り締まっていけるのではないかというふうに考えております。
○野沢太三君 ぜひひとつ活用をしてしっかり取り締まっていただきたいと思います。 それから、本条約を批准することによりまして国際機関に対して申告をする義務が相当発生すると思われます。それからまた、査察を受ける対象の施設が相当出てくるかと思いますが、これはどのくらいの数になるか、概要で結構でございますが、お願いします。
○説明員(掛林誠君) 御説明させていただきます。 規制対象となり得る民間の事業所につきましては、現在も私どもの方で調査中でございますが、現時点で把握しているところから申し上げますと次のとおりになると思われます。 申告の対象事業所は、条約上に定められた表剤につきましては約百三十、それからその他の有機化学物質関連事業所につきましては約千ということでございます。また、査察対象事業所につきましては、表剤につきましては約七十、その他の有機化学物質関連事業所につきましては同じく約千ということでございます。
○野沢太三君 大変な数になるわけでございますが、これは一度きちっとやっておけば後は定例的な姿で処理ができるかと思います。問題は、そういった製造過程あるいは流通過程を含めて透明化をしておくということ、これが非常に今後大事であろうかと思いますので、万遺漏なき対応をお願いいたしたいと思うわけでございます。 そこで、この条約が発効いたしますと、オランダのハーグでございますか、事務局をつくる。化学兵器禁止機関、OPCWということで準備を進めておるようでございますが、ここはどのくらいの規模でスタートをするのか、あるいはこれに対する日本からの参加の見通しについてはいかがでございましょうか。
○政府委員(林暘君) 御指摘のように、条約が発効いたしますと技術事務局というのがこの条約の機関として設立をされるわけでございますが、その設立されます事務局の職員数等は現在ハーグにおきます準備委員会で検討中でございまして、確定はいたしておりませんし、我が国が派遣する人数についても今のところそういう事情で決まっておりません。ただ、現在準備委員会に附属いたしております暫定技術事務局というのがございまして、これは職員数百二十名で今やっておりますけれども、その中には我が国から二名の者が派遣をされております。 それから、条約が発効しました暁に査察を実施する査察員というものが必要になるわけでございますけれども、その査察員の訓練生の選考作業が現在準備委員会によって行われておりまして、我が国からは三名の者がこの査察員に応募をしているという状況でございます。
○野沢太三君 特に、査察員になりますとある程度軍事的な基礎知識、素養あるいは訓練等がないと手のつけようがないということも考えられるわけでございます。自衛隊には化学班というのがあって、これまでも大変立ち働いていただいて感謝しておるんですけれども、この中からやはりこういった国際機関へ参加をしていただいて情報をいただくあるいは経験を重ねる、こういうことは大変大事だと思いますが、この自衛官の派遣についてはどういうふうになっているでしょうか。
○説明員(新貝正勝君) 化学兵器等の大量破壊兵器などの分野におきます軍備管理・軍縮の動きということにつきましては、国際社会の平和と安定にとって差し迫って重要な課題であると認識しております。したがいまして、防衛庁といたしましても国連の行う活動等に対する支援を含めまして、今、先生御指摘のありましたこうした課題に対して従来より取り組んできておりますが、今後とも積極的に貢献していきたいと考えております。 ただ、御指摘のありました件については、特別職たる自衛隊員につきまして一般職の国家公務員に適用のあります国際機関等に派遣される一般職の国家公務員の処遇等に関する法律といったような国家公務員として国際機関等に派遣される場合の法律がないのが実情でございます。このため、派遣に際しまして、一般職の国家公務員のようには身分、処遇といった面についての体系的な整備がなされていないのが現状でございます。しかしながら、自衛隊員の派遣に際しまして適切な身分、処遇が図られるべきことは当然でございますので、鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。
○野沢太三君 既に大使館等には自衛隊からもそれぞれ配置がされていることを考えますと、やはり国際貢献の一環としてこういったことが可能になるような立法措置をしなければならないと思うわけです。この点、衆議院でも指摘があったようですが、この委員会としてもぜひそういった方向で検討を進めていただきたい、こう希望します。ひとつしっかり詰めた上で、必要があれば法改正等も御提言いただければと思っております。 それから、化学兵器は膨大な量が備蓄されておるわけでございますけれども、これを廃棄するのに、これまで伺っておりますと、地中に埋めるあるいは海中に投棄するというような荒っぽいやり方で環境汚染を招いているんじゃないかという心配があるわけでございますが、この条約を見ると廃棄用のプラントをつくってきちんと処理をする、こういうことになっております。このやり方次第によっては大変周辺に問題をまき散らすおそれもあるように思いますが、廃棄の方法と環境の汚染に対する対策についてどうするのか、これはいかがでございましょうか、外務省になりますか。
○政府委員(林暘君) 御指摘のように、化学兵器を保有しております国は、この条約に加盟をいたしますと、原則として条約発効後十年間で化学兵器を全部廃棄するという義務を負っているわけでございます。 廃棄の方法といたしまして、まさに御指摘のとおり、過去においてこういう兵器を廃棄する場合には海洋に投棄するとか土中に埋めるという方法を使ったことがあるわけでございますけれども、今回の条約におきましてはそういう方法は使ってはいけないということになっておりまして、適切に設計され設備が適切に整えられた施設において廃棄をしなければならないというふうに定められております。また、締約国は、このような化学兵器の廃棄に当たりましては、人の安全を確保し環境を保護することを最も優先させ、安全及び排出に関する自国の基準に従って化学兵器の廃棄を行うことというふうになっております。すなわち、環境というものの保護を最も優先させて、そういった観点からの自国の基準に従った上で廃棄をしなさいという規定になっているわけでございます。 現在、化学兵器を保有しているということを公に表明しておる国はアメリカとロシアであるわけでございますけれども、アメリカにつきましては、太平洋の中のジョンストン島に化学兵器の廃棄施設を既に有しておりまして、そこで化学兵器の廃棄を既に進めているというふうに承知をいたしております。ロシアにつきましては、まだ現実に化学兵器の廃棄を行っていないというふうに承知をいたしております。
○野沢太三君 前委員会で中国での遺棄化学兵器の調査状況の御報告をいただいておるわけでございます。総理が近々訪中をされると伺っておりますけれども、この中国での遺棄兵器の処理について何らかの提言なり、あるいは環境を配慮するとコストが非常にかかるということになろうかと思いますが、そういった意味での我が国の責任をどう果たすか。御提言等をなさるつもりがあるかどうか。
○政府委員(川島裕君) 中国の遺棄化学兵器につきましては、これまでも現地視察、調査、それから日中政府間での協議を通じて、目下の段階ではまずは実態把握に努めているわけでございます。そして、我が国といたしましては、日中共同声明、日中平和友好条約、そして今御審議いただいております化学兵器禁止条約の精神を踏まえつつ、具体的な処理のあり方について今後中国側と協議していく、こういう基本方針に沿って取り進めているわけでございます。 そこで、来週予定されておりまする総理訪中の際には、今申し上げました基本的な考え方を踏まえて中国との会談を行うということになろうかと思っております。
○野沢太三君 ぜひ中国の皆様が安心できるように、かつやはり日本の責任ということがはっきり出るような形でまとめていただきたいと思います。 それから、もう一つ隣のロシアでございますが、ロシアは相当最の化学兵器が蓄積されておるわけですけれども、このまた廃棄方法が、海中投棄も含めてどうもこれまでいろんなところに遺棄、投棄がなされていたということですが、これについては把握をしておりますでしょうか。
○政府委員(林暘君) ロシアは、おっしゃいますように約四万トンの化学兵器を有しているというふうに言っております。これを今後廃棄施設を建設して廃棄を行っていく方針であるというふうに承知をいたしております。 ロシアの化学兵器の海中投棄という点につきましては、新聞報道がありましたことは承知をいたしております。この件についてロシア側には照会をいたしましたけれども、ロシア政府としては、我々が聞きましたものは、日本海及びオホーツク海に化学兵器を海中投棄したという情報は持っておりません、そういう情報は承知しておりませんという返事でございました。
○野沢太三君 二、三日前の報道でございますが、ロシア科学アカデミーの先生の話として、相当な範囲での海中投棄、特に今お話しのありました日本海、オホーツク海も含めての事実があったということですが、これはそうするとまだ未確認情報ということでございますか。
○政府委員(林暘君) そういうことでございます。確認はいたしておりません。ロシア側は否定をいたしております。
○野沢太三君 水かけ論ではございますが、やはりこういった問題について信頼がなくなるということが一番問題だと思いますので、ロシア政府との連絡、情報の交換等を機会ある都度ひとつしっかりやっていただきまして、お互い必要な義務の履行なり、あるいは場合によっては援助の一つの対象にもできるのではないかと思うわけですが、この点、ロシア政府との連絡、情報交換等はどんなことになっているんでしょうか。
○政府委員(林暘君) 化学兵器禁止条約がまだ発効いたしておりませんので、その条約の締約国同士という形でのロシア政府との意見の交換、情報の交換はいたしておりませんけれども、今申し上げましたような形で、例えば化学兵器の海中投棄をしているかどうかというような情報がありました際にはロシア政府に照会をする等の、そういう意味での情報交換は行っております。
○野沢太三君 先日も核廃棄物を日本海へ垂れ流ししているということについて厳重に抗議をした結果、これをやめてもらったという経緯がございますね。そして、処理施設の建設について日本からの援助資金を活用してもらう、こういったこともございますので、この条約が相互に締結された暁には、そういった面での情報交換、連絡、さらには必要な手だての構築、こういうことについてひとつ抜かりないようお願いしたいと思います。要望でございます。 そういう中で、六月になりますとカナダのハリファックスでサミットが開かれるわけでございますが、このサミットにおきましてこういった化学兵器等を利用したテロが起こるとか、あるいは国際間での問題が発生するということはまことにまずいということでもありまして、日本がその先例をつくったような形になっておりますので、ここでの議題なり話題として取り上げることかできるのかどうか、これは大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) ハリファックスにおきますサミットは、これは御案内のとおりカナダが議長国でございます。議題につきましては、議長国であるカナダが中心になって議題の整理をするわけでございます。目下、カナダのジェルパが各国ジェルパを集めてその議題について協議をいたしているところでございます。 ただ、テロリズムについては、かねてからG7では各国の大変な関心事でございまして、一九七八年のボンにおきますサミットでもこの話は一度大変強い関心を呼んだわけでございますが、それ以後、私の記憶しているところでは、サミットのたびにテロに対してきちっと対応しようということはしばしば議論になっております。東京サミットそれから昨年のナポリのサミットにおきましても、このテロに対する問題は議論になっております。したがいまして、今回のハリファックス・サミットにおきましても、こうしたことに関心が集まるということは想像できるところでございます。
○野沢太三君 どうも日本の御当局はこういった問題に対して甘いのじゃないかというような批判が外国あたりのジャーナリズムにも見られるわけでございますので、ぜひひとつ断固たる決意を示すということで臨んでいただければ幸いかと思います。 それでは、これに関連しましてオウム対策について二、三の質問を申し上げたいと思います。 オウムが宗教法人であるということについてはどうも違和感を覚えるわけでございますが、現在の宗教法人というのはまことにその点で緩やかな法律になっているように思います。これを見直す必要があるんじゃないかということで、今、審議会にかけていただいているようですが、この内容について御報告いただきたいと思います。
○説明員(中根孝司君) 宗教法人制度につきまして、これを改正するかどうかということにつきましては、御承知のように信教の自由あるいは政教分離の原則との関係もございまして、基本的に慎重な検討をしていく必要があるのではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、オウム真理教事件を契機にいたしまして宗教法人制度につきましても国会等におきまして種々御議論をいただいている、こういうことでございます。 私ども、宗教法人審議会を所管する立場から、一昨日の宗教法人審議会におきましても、同会等で御議論いただきました論点、例えば宗教法人の所轄庁のあり方、あるいは認証後の活動の把握の方法などにつきまして問題点を報告し、その問題点につきましては今期の宗教法人審議会において制度上の問題点について適切な検討を行っていただける、かように考えているところです。
○野沢太三君 認可を受けてしまえば後は何をやってもいいということでは、これはやはり少し行き過ぎではないかという気がいたします。特に地方自治体の認可のもとに全国展開をする、さらには世界的な進出をする、そして会員が何人いるのか、どんな資産があるのか、それが全く把握できないということでは、これは信教の自由という名をかりて、どうも野方図であるということにもなりかねないわけでございますので、この点については最低限の状況だけは国民の皆様に提示をしながらそういった面で公明正大な活動をしていただく、これがやはり宗教の本来のあり方ではないかと思うわけでございますので、強くひとつ見直しの希望を申し上げておきます。 そういう中で、毒ガステロというまことに厄介な問題が出てきておるわけでございますが、これをどう防ぐかということが非常に大事だと思います。やはり発生してからではなくて、発生させること自体が非常にもう困難であるという状況をつくり出すことが大事だと思いますが、これについての抑止策はどうなっておりますか。
○説明員(近石康宏君) 警察といたしましては、現在、国民の不安を一刻も早く解消すべく総力を挙げて犯人の早期検挙に努めてまいりますとともに、地下鉄などの交通機関や地下街、公共施設等大勢の方々が集まる場所を中心に、制私服の警察官を動員して警戒活動を強化しているところであります。 また、これら地下鉄やJR等々の私鉄管理者に対しましても、自主警戒の強化や不審物を発見した場合の通報等についてきめ細かな打ち合わせを行うとともに、防犯カメラの設置などハード面での整備充実についても働きかけを行っておるところであります。 今後とも関係省庁や関係団体等と一層連携を強化して、再発防止に全力を尽くしてまいる所存であります。
○野沢太三君 ぜひひとつ、安心して乗れる地下鉄であり、あるいは広場であり、そして公共機関であるということになりまするよう、しっかりと対応していただきたい。これに対しては、必要なら要員の増備、あるいは先ほどのお話のように設備面での対応ができるならばぜひひとつこの点についても対策の一環として増強していただきたいと思うわけでございます。 そういう中で、今回のオウムの動きを見ますと、ヘリコプターは既に購入してあるとか、あるいは戦車を買ってこようとか、あるいは核物質の導入まで考えるとか、あるいは小銃を密造していたのではないかとか、まさにこれは国家を転覆するような目的で動いていたとしか思えないわけでございますが、これに対する破防法の適用、あるいは既にもう死人まで出ております状況からしたら内乱罪の適用等は可能かどうか、お願いいたします。
○説明員(小林正一君) お答えいたします。 破防法の適用に関して申し上げますと、今回の一連の事件について破防法の適用を想定して検討する前提としては、まず個々の事件の事実関係の解明及びその行為が団体の行為として行われたことの解明が必要であります。この両方の事実関係の解明につきましては、警察、検察において鋭意捜査されているところでありまして、現時点では個々の事件の解明の段階と理解しておりますが、個々の事件の解明が進めばおのずから団体の行為として行われたことも解明されるものと考えております。 公安調査庁としましては、これらの事実の解明を受けて破防法の適用を検討することになるのでありますが、公安調査庁も一連の事件は公安上憂慮すべきものと認識しておりまして、重大な関心を持って情報収集に努めているところでございます。
○説明員(津田賛平君) 内乱罪の適用に関してお答えいたします。 報道等によりオウム真理教関係者に対し内乱罪の適用をすべきだという御意見があることは承知いたしておりますが、現在は御案内のとおり各種の犯罪に対する捜査が行われている状況にございまして、将来的にどのような罰条を適用するかということは、今後、捜査機関、最終的には検察官において収集した証拠によって認定した事実に基づき判断されるべきものでありますので、お答えは差し控えさせていただきたいのでございます。
○野沢太三君 どうもいつも後追いになって泥縄になるというおそれといいますか、そういう嘆きがあるわけですが、今回の事件を見ていますと、一般法の厳格な適用があれば未然に防げたのではないかということが幾つかの点で言えると思うんです。例えばその一つとして、第七サティアンと称する建物も建築基準法に基づいて申請があり、そしてまた検査も行われているはずでございますが、あのようないわゆる化学工場として申請があったのかどうなのか、検査は一体どうなっていたのか、建設省さん、お願いします。
○説明員(佐々木宏君) 上九一色村及び富沢町におきますオウム真理教関係施設でございますが、現在までに判明しておりますところでは、建築基準法に基づきます建築確認という手続、これが必要とされるものは十二棟あるわけでございますが、それらのすべてにつきまして建築基準法上の建築確認の手続はとられておるということでございます。 この建築確認でございますけれども、これは建築の計画が建築基準法その他の関係法令に適合しているか否かということを建築主事が審査するものでございまして、建築計画がそれらの法令に定める基準に適合している場合には確認を通知しなければならないということになっておるわけでございます。これらの十二棟に関しましても、審査の結果すべての基準に適合しているということで建築確認がなされたという状況でございます。 なお、先日、現地におきまして山梨県が立入調査をしたわけでございますが、これが行われましたのはいわゆる第十サティアンという建物でございます。これにつきましては、確認をした後に完了検査、完了届という届けが出されておりませんでしたけれども、オウム真理教側は現在も工事が施工中であるということを主張して、完了の届けを提出しておらなかったという状況でございます。そういうことの中で山梨県が立入調査をしたということでございます。 今後とも調査、情報収集等に努めまして、違反の事実が明らかとなりました場合には、建築基準法に基づきます使用禁止などの適切な措置をとるよう山梨県、特定行政庁でございますが山梨県を指導してまいりたいと考えておるところでございます。
○野沢太三君 たしか熊本県の波野村という村では国土計画法違反ということで立ち退きを言いまして、これはそのことで処置ができたわけでございますから、ただいまのお話のように建築確認という、これも全く普通の行為でございますけれども、これをしっかりやっていただきますれば、礼拝所と称してつくりながらああいった化学工場であるとか武器製造工場ができ上がっていたということにはつながらないんじゃないかと思うわけでございますので、これはひとつ一般法のしっかりした運用をぜひともお願いいたしたい、かように思います。 それでは最後になりますが、時間も余りありませんけれども、NPTの条約延長の交渉が国連を中心に今行われておりますが、これについて二、三質問をさせていただきます。 河野大臣におかれましては、大変難しい状況の中で我が国の立場をしっかり主張していただきまして、今その方向に沿って関連の国々が意見の集約をしてくれていると伺っておりますけれども、現在伺っておりますところでは、投票で決着をするというアメリカの主張に対して、これを公開とするかあるいは非公開とするか、いわゆる秘密投票でいくか、この対立がなかなか根強いと伺っております。投票方法が違うことによって結果にどのような影響が出るか、これが気になるところですが、これについていかがでございましょうか。
○政府委員(林暘君) このNPTの延長会議におきまして、延長の決定をいかなる投票手続でやるかということについての手続規則がまだ決定をしてないということはそのとおりでございます。御指摘のとおり、それが決定をされてない最大の問題点が、当該投票をいわゆる秘密投票、無記名の投票でやるか、そうでない通常のこういうことの決定に使われております記名投票といいますか、それでやるかということであるわけでございます。 それで、秘密投票にしたいということを言っておりますのは非同盟諸国でございまして、ただ秘密投票にした場合とそうでない場合とで投票結果にどういう差異が生ずるかということにつきましては甚だ見通しを申し上げるのが難しゅうございまして、もちろん国によって秘密であればある投票態度をとるけれども、公開であれば違う投票態度をとるかということはちょっとわかりかねますものですから、具体的にどういう差異が生ずるかということについて見通しを述べることは困難ではないかというふうに思っております。
○野沢太三君 なかなかこれはデリケートな御題でございますから、私は、前回、予算委員会の委嘱審査の折にもこの件について質問をし、大臣からは、投票で一票多ければいいんだという問題ではなくて、でき得れば全加盟国のコンセンサスで決めていくことが望ましいということで、今回の演説の中でもそのような趣旨について述べておられますが、やはり不平等条約であるということからいたしましても、核保有国五カ国の核軍縮努力がまずあって、さらには非保有国の安全保障をどうするかという課題が非常に大きな課題だろうと思います。 このたび向こうに行かれまして、その点につきまして大臣も大変各国との御交渉をなさってこられたかと思いますけれども、その辺の御感触と今後の決着の見通しについて、可能な範囲で結構でございますが、御感想をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 今回のNPTの延長問題について各国のさまざまな意見、考え方というものは、NPTを無期限に延長するか期限をつけて延長するかの違いの中の一つの重要な要素は、核保有国の核軍縮努力をどちらがより多く慫慂することができるかということであったように思います。それはまた言いかえますと、この二十五年間に核保有国がどれだけNPT第六条に言われる核軍縮というものに対して努力を払ってきたかということの評価にもかかっているように思われました。 正直申し上げて、それではこの二十五年間に一体核兵器というものはふえたのか減ったのかということがあると思います。NPTは確かにこの二十五年間核保有国をふやしたということはないわけですけれども、核保有国の保有する核兵器がそれではふえたか減ったかということになりますと、残念ながらこの二十五年間をずっと通して見た場合、二十五年前に比べて核兵器の保有数はふえていると言わざるを得ないことはまことに残念なことでございます。 しかしながら、それも、冷戦が終わりまして新しい状況に入って、米ロがそれぞれ核軍縮に対して合意をして、STARTIが発足をし、STARTⅡに向けて今努力がなされているわけでございまして、米ロについてだけ申し上げればSTARTⅡが終わった時点で七千発まで減らすことができるということになるわけでございます。 この七千発という数は、現状に比べればそれは大変な核軍縮でございますけれども、二十五年前に比べてそれではその七千発というものがどういうことになるかというと、これは評価はまちまちでございまして、破壊力で評価をするんだとか、数で評価するんだとかいろいろございますけれども、一つの評価としては、そこでやっと二十五年前の状況に戻るのだという評価もあるわけでございます。 しかしながら、いずれにせよNPTの延長についての結論が出れば、核保有国に対してさらに誠実に六条を遵守することを求めて、つまり核軍縮を求める多くの国際世論というものは強まっていくであろうというふうに私は期待しているわけでございまして、我々が考えております究極的な核廃絶に向けて努力をさらに進めていくという状況が出てくるのではないか、こんなふうに考えております。
○野沢太三君 ありがとうございました。
○大渕絹子君 おはようございます。よろしくお願いをいたします。 松本のサリン事件や地下鉄のサリン事件など世界に類のない化学兵器による無差別殺人が日本で起きたことに対しまして非常に私は危惧を覚えるわけですけれども、日本の歴史的な背景とか現在の日本社会のあり方、例えば教育であるとか家庭とか地域村会あるいは産業経済構造等々にこうした事件を引き起こす何らかの要因があったのかどうかというようなことを、大臣としてではない答弁になるかと思いますけれども、個人的な見解として河野大臣にお伺いをしておきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 今回の地下鉄におきますサリン事件を初めとするいわゆる社会不安を引き起こすような事件というものは、まことに憂慮すべきことであり、残念な事件でございます。残念というよりは、もう決してあってはならない事件だと思います。 こうした事件が世界でも最も安全だと言われた東京で起きた、日本で起きたということについて我々はいろいろ考えさせられることがございます。一般的に言えば、こうした問題は世界各地で起きる、大都市に起きる問題ということも言えるかと思います。これはニューヨークでもこういう不安はございましょう。その他世界の大都市の中にはこうした問題が起こっておりましたし、それからこういう問題を起こす可能性というものをみんなそれぞれ抱えているいわゆる大都市問題というものであるかもしれません。 しかしながら、我が国は世界の中でも最も安全だということを我々自身確信をしておりましたし、我々もそういうものを誇りにもしていたというだけに、今度の事件がもたらす衝撃というものは日本国民にとっても大きいし、世界の国々にも大きな衝撃を与えたというふうに思っているわけです。 さて、それではこれは一体何なのか。今まさに議員がお話しになりましたように社会的な根本的な問題がそこにはあるのではないか。家庭の問題あるいはこの大都市の中における疎外感といいますか孤独感といいますか、そういうものからくる心理的な問題、あるいはそういうものからくる、どこかに頼りたい、あるいは何かに対して自分の不満をぶつけたい、そういった気持ちが出てくると思います。そういうものを抑える、だれしもがそんな気持ちに一瞬駆られたとしても、それを抑える理性といいますか、そういうものが教育によって培われている、あるいは家庭の中でそういうものが養われているかということをやっぱり省みなければならないのだと思います。 なかなかこれは法律をつくって警察力で押さえ込むというのには限度があると思います。そういうもの以前の問題として、家庭とか教育とかあるいは社会全体がお互いの肋け合いといいますか、あるいは友情といいますか、そういうものを大事にするという、あるいはそういうものの価値を重く感ずる、そういう風潮というものがやはり欠けてきているということに問題が非常に多くあるのではないかと思います。 しかしながら、今回の問題をそういう一般的な風潮としてとらえるのか、あるいは極めて異常な人たちによって計画的になされたものということであるのかは、これはまずは警察を中心としてこの問題の真相が解明されるとそれは明らかになってくるのであって、そのときに我々は、明らかに異常な人たちによるあるいは人による犯罪であったのか、あるいはもう少し一般的な風潮であったのかということもそのときもう少し明らかになるだろうというふうに思います。
○大渕絹子君 まだ事件の真相が解明されていない中でのお話でございますからそういうことになろうかと思います。私自身も、日本の社会が今まで、戦後五十年ですけれども、豊かさを求めてひたすらに働き続けてきた結果として、現代の日本社会の中には大変な物・金余り、あるいはすべて金に換算をされるような時代、それから過剰な効率化を求めているというような社会風潮ができ上がってきているという中で、人間性が非常に疎外されているということに今なっているというふうに思います。 もちろん、家庭では夫婦とか親子の断絶というのが起こっておりますし、教育の現場はもう御存じのような荒廃をしています。また、自然環境も産業優先の中で大変な破壊がされている。地域のコミュニティーももうずたずたに分断をされているというような状況、あるいは企業戦士や過労死というような言葉に見られるように働き過ぎの日本人というようなことも言われています。市場原理のもとで経済成長を追い求めてきた結果の社会のゆがみというものが今噴き出している、そういう時代に入ったのかなというふうに思います。そこへ追い打ちをかけてきたのが、バブル経済の崩壊とか、あるいは阪神の大震災によるいわゆる日本の安全神話が崩壊をするというような自信の喪失と絶望感というのがさらに拍車をかけているような状況が今の日本社会にあるのではないかと思います。 この社会の中についていけない人たち、あるいは大臣も言いましたけれども、日本の社会と共生のできない人々によってこうしたサリンの事件やあるいはオウム真理教の事件などが引き起こされているというふうに認識をするわけでございます。日本人がお互いに信頼ができなくなった不安定な状態が始まっている。これは一日も早く犯人を逮捕し、事件の解決を図るとともに、日本社会全体のあり方を再構築する時代に入ったのではないかと思います。 政治に対する不信感というものも払拭をしていくために、私自身もそうでございますけれども、国会議員たるもの政治家としての責任というのは物すごく大きい時代に入ったのではないかと思います。ここはもう一致団結をした中でこうした社会不安といいますか、そういうものをきちんと払拭していくような政治のあり方を求めていきたいものだというふうに思っているわけでございます。 それから、越えてはならない一線を越えたわけでございますけれども、このことに対しまして海外の各国からいろいろな反響あるいは抗議あるいは懸念あるいはお見舞いとかいろいろなお問い合わせとかあったと思いますけれども、どういう国からどんなようなお話があったのか、聞かせていただきたいと思います。
○政府委員(池田維君) 今回の事件に際しましては、既にアメリカ、イギリス、ドイツ等の諸外国政府の首脳から見舞いのメッセージが村山総理、それから河野外務大臣にも届けられました。また、幾つかの国から支援の申し出がございましたが、その中でサリン中毒あるいはその治療について格別の知見を有するアメリカからの申し出を受け入れまして、医師を含みます四名のアメリカの専門家チームが日本に来たことがございます。 一般に、本件につきましては諸外国におきましても大変大きな関心と懸念を呼んでおりまして大きく報道されておりますけれども、主要紙の論調というのは、毒ガスを使用した無差別テロに対する現代社会あるいは大都市の脆弱性ということを指摘しながら、こういうケースは日本のみならず世界どこでも起こり得る事件としてとらえられているという点がございます。この点につきましてはただいま外務大臣から御答弁のあったとおりでございます。 こういうことから見ましても、全体として本件事件が極めて異例かつ悪質な犯罪であるということで、我が国のみならず諸外国においても同種の犯罪に対する警戒心が高まっているというような反応であったと言えると思います。
○大渕絹子君 先ほど野沢委員からもお願いというが御指摘ありましたわけでございますけれども、カナダで開かれるハリファックス・サミットですか、ここにテロの問題が恐らく議題として提案をされるのではないかということがバンクーバーの政務局長会議の場所でも出されたやに報道されているわけですけれども、もし議題になりましたら、日本としても積極的にテロ防止についての国際的な情報交換の場の設置でありますとか、あるいは警察、治安機関など関係当局の間での緊密な多国間協力体制の整備でありますとか、あるいは化学・生物兵器の拡散防止の共同計画の策定などについて具体的な提案をし、そして成案を得るようにしていただきたいと思いますけれども、大臣、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(河野洋平君) 先ほど御答弁申し上げましたようにサミットの議題の整理その他が、今、議長国たるカナダを中心になされているところでございまして、もしお話のようにテロ対策というものが関心事項として話し合われるということになれば、我が国としても国際社会に対して不安の一つを提起したという経験にかんがみても、我が国としてできることについて話をしたいと思っております。 〔委員長退席、理専大木浩君着席〕 どういう視点から議論が行われるかということなどについてはまだわかりませんので、内容についてはもう少し協議を続けた上で考えたいと思います。
○大渕絹子君 それでは、条約の方に入らせていただきます。 この条約は、原則として戦時のみならず平時も責めるいかなる場合にも化学兵器を使用してはならないと第一条第一項で規定をされているわけでございますけれども、化学兵器の一部である毒性化学物質及びその前駆物質については「この条約によって禁止されていない目的のためのものであり、かつ、種類及び量が当該目的に適合する場合を除く。」ということで、第二条のただし書きのところで一定の場合は一部使用が認められているという中身になってございます。 〔理事大木浩君退席、委員長着席〕 そうした使用の可能性というのは第九項の目的のところで規定がされているわけでございますけれども、まず目的の中で「化学兵器の使用に関連せず、かつ、化学物質の毒性を戦争の方法として利用するものではない軍事的目的」の場合には毒性化学物質及びその前駆物貨の使用が認められるというふうになっているわけですけれども、まず最初に、この条約での戦争の定義というものについてどういうふうになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(林暘君) この条約で戦争というものは具体的に定義はされておりませんけれども、ここで言っておりますのは、いわゆる国際法上の戦争、すなわち宣戦布告によって開始された戦争というものに限らず、およそあらゆる国家間の武力紛争というものを押しているのであろうというふうに考えております。
○大渕絹子君 私もそういうとらえ方をさせていただくということで進めさせてもらいますけれども、その結果この条約では、先ほど言いましたように第一条でいかなる場合にも化学兵器の使用を禁止しておきながら、他方では、毒性化学物質及びその前駆物質は、正規の戦争には該当しないいわゆる武力紛争、あるいは最近頻発している民族紛争、そして多くの国内紛争には軍事的目的で使用してもよいという結論になっていますけれども、この認識でよろしゅうございますか。
○政府委員(林暘君) 御指摘のとおり、「この条約によって禁止されていない目的」というものの中に「国内の暴動の鎮圧を含む法の執行のための目的」というのを掲げております。そういう意味で、国内の暴動のために使われる場合には適用にならないということがあろうかと思います。 また、その前の、先生御指摘の「化学兵器の使用に関連せず、かつ、化学物質の毒性を戦争の方法として利用するものではない軍事的目的」といいますのは、条約交渉に参加した国の共通の理解としては、締約国の軍隊が、ここに掲げておりますような毒性化学物質を洗剤であるとか潤滑油であるとかあるいはミサイルの燃料であるとか、そういったものに使用する場合に、かかる目的に該当するというふうな共通の理解が交渉に参加した国の中にあったというふうに承知をいたしております。
○大渕絹子君 それでは、この「軍事的目的」というのは、この場合、化学兵器から除外をされるということが規定されているわけですけれども、そういう目的のためであって、人を殺傷させるようなための軍事的目的では当然ないということですね、その話の経過の中で。
○政府委員(林暘君) ただいま御説明申し上げましたとおり、二条9の(c)に掲げておりますものについては、先ほど申し上げましたようなものに化学物質が使われるという共通の理解があったということでございまして、これを人を殺傷する目的のために使うということがここに掲げられているのではないというふうに理解をしております。
○大渕絹子君 説明をしていただければそういうふうに理解をするわけですけれども、しかしこの条文を読む限りにおいてはそういうところまではわからないわけですね。 そうすると、そのとおりであるとしますと、これは化学兵器の禁止条約、世界のすべての人々にとって全面禁止につながっていくということを私たちも期待をしているわけですけれども、もしかしたら穴があいている、国内の暴動には使えるというようなことで全面禁止の方向にはなっていないというふうに思うわけです。この疑問に対して、この条約の解釈というようなものをきちっと明確にしておく必要があるのではないかと思いますけれども。
○政府委員(林暘君) この条約は、確かに御指摘のとおり、化学兵器というものを生産、開発、貯蔵を含めてすべて廃絶をするという目的のためにつくったものであることは御指摘のとおりでございますが、化学物質というものが、物質にもよりますけれども、人を殺傷する等の目的、いわゆる化学兵器の目的のためだけでなく、ほかの目的にも使われるような物質、汎用性のある物質もあるものでございますから、そういう意味で、ここに掲げられておりますように「禁止されていない目的」のためにそういう物質を持つということは禁止をされていないということになっております。 ただ、禁止されてはおりませんけれども、そういった物質の生産その他については検証措置その他の規定がかかることになっておりますので、ここに禁止されていない目的であればいかなるものをいかなる量でも勝手に持っていいということではございません、
○大渕絹子君 先ほどおっしゃったわけですけれども、もう一度確認をさせてもらいます。 「国内の暴動の鎮圧を含む法の執行のための目的」ということの中に、今盛んに世界で行われております民族紛争や国内紛争には使用が可能というふうに判断してよろしいんですね。
○政府委員(林暘君) この条約はいわゆる暴動鎮圧剤のようなものを戦争の方法として使用することは禁止をいたしておりますけれども、今まさに御指摘のとおり、国内における法の執行等を目的として暴動鎮圧剤を使用することまでを禁止はいたしておりません。 それはそのとおりでございますが、暴動鎮圧剤でないいわゆる化学兵器に当たるような毒性物質というものを暴動鎮圧の目的で使うことが認められるか認められないかということにつきましては、具体的なケースによるかと思いますので一般的にお答えすることが難しいんですけれども、例えばサリンであるとかマスタードガスであるとか、そういった致死性の高い毒性物質を暴動鎮圧剤として使用するということ、これは条約上許されていないものであろうというふうに我々は理解をしております。
○大渕絹子君 条約上はそういうふうにはなっておらないのですよね。そこらがやっぱり今議論をしておかなければならないことなんです。 「毒性化学物質及びその前駆物質」ということになっておりまして、それは化学兵器であるという規定になっているわけですね。そうすると、そこの使っていいものと悪いものの線引きというのが明快になされておらないというふうに思うのですけれども、いかがですか。
○政府委員(林暘君) 確かにそこの点について非常に明確に客観的な基準が置かれているわけではございませんけれども、条約の第二条の1の(a)にありますように「種類及び量が当該目的に適合する場合を除くこということで、量及び種類がその目的に適合する場合だけを除かれているというのが条約の建前でございまして、それが具体的にどういうことかということについては、確かに御指摘のとおり条約に具体的な規定はございません。 したがいまして、そういう個々のケースについては、問題がある場合に、この条約が発効いたしますればそこの機関で検討するということになろうと思いますけれども、この条約の趣旨にかんがみれば、先ほど申し上げましたように、ここで言っていることはサリンであるとかマスタードガスというような致死性の非常に高いものを暴動鎮圧のために使うということを許容しているものというふうには我々は考えておりません。
○大渕絹子君 国内法の制定もなされておりまして、日本の国としては明確にそこのところの違いというのは法律の中に規定をされておると思いますけれども、条約がそうなっておらないということだけを指摘させていただきたいと思います。 それから、第三条の中に申告の義務というのがあるわけでございますけれども、今、オウム事件で問題になっておりますあの山梨県上九一色村の発見されたオウム真理教の第七サティアンがサリンの製造工場であるというふうに報道がなされておるわけですけれども、これがもし事実ならば、この第三条の一の(a)の化学兵器生産施設として日本は申告をする義務か生ずるのではないかと思うわけですけれども、この点はいかがでございますか。
○政府委員(林暘君) 御指摘の山梨県のオウム真理教の施設がどうであるかについては、捜査当局が捜査中でございますので、その事実関係を含めまして我々がコメントする立場にはまずないということを指摘させていただいた上で、一般論として、国内のある施設がサリンを製造していたということが立証された場合、化学兵器生産施設といいますのは、これはニ条の8に定義がございますけれども、二つの要素から成り立っております。つまり、そういう生産をしていたということと、それからそこの(a)で除外をする場合という二つの立て方になっております。 それで、サリンを製造していたということになりますれば、この8の(a)の(i)の(1)、ちょっと詳細になって恐縮でございますけれども、化学物質に関する附属表の表一に揚げる化学物質」にサリンは入っておりますので、そこには該当いたします。 ただ、(b)の方で、「もっとも、次のものを意味するものではない。」という規定の中に、いろいろなことが書いてございますけれども、例えば最初の項に揚げておりますように、生産能力が、当該能力が一トン未満のものというものについては除外をされることになっておりますので、その辺の具体的なケースがわかりませんと正確なことは申し上げられませんけれども、そういうことを踏まえて化学兵器生産施設に該当するということになれば、それは申告の対象になります。
○大渕絹子君 第四条、第五条では廃棄の規定があるわけでございます。 先ほど来、野沢委員の方からもロシアの化学兵器の廃棄について御指摘があったわけでございますけれども、ドイツやアメリカでは既に財政とか技術支援の決定をしているわけです。日本として具体的なロシアへの支援策を示すときが来ているのではないかと思いますけれども、こういうことに対しての御検討はどうなっていますか、
○政府委員(林暘君) 御指摘のとおり、ロシアの化学兵器の廃棄のためにアメリカが支援のための合意がございますし、かつまた具外的な金額の合意もあることは事実でございます。他方、ロシアがこの条約を締結した場合に直面する非常に大きな問題の一つが、彼らの保存します化学兵器を廃棄するための財政的負担の問題であるということも事実でございます。 ただ、それについて日本が支援をすることを考えているかという御質問でございますけれども、御案内のとおり、ロシアに対する支援としては、人道的な支援であるとか核弾頭の解体に関連します支援というのは既に実施をしておる状況でございますけれども、この化学兵器の廃棄の問題についてロシアに財政的その他の支援を、技術的な支援というのはその能力が余り日本の場合にはございませんのでそういうことはないかもしれませんけれども、財政的な支援をするということについては現在のところ考えておりません。
○大渕絹子君 第六条では検証制度ということになるわけですけれども、先ほどお話し合いをしましたように、条約で禁止されていない目的のために毒性化学物質を開発、生産、取得、保有、移譲、使用する権利が認められているわけですけれども、この権利と検証措置が一体になって存在をするということになろうと思います。 検証制度が非常に具体的に極めて厳しい状況で制定をされているということに対して、私は非常にいいというふうに思うわけです。本条約は、過去の各種軍縮条約の歴史を踏まえて、条約違反を防止するために、一つは現存する締約国保有の化学兵器、その生産施設の廃棄などの軍事検証制度があること。二つには、一般の化学物質の生産確保、消費施設にかかわる産業の検証制度があること。三つ目は、締約国がほかの締約国の疑わしい施設の査察要請と、それに基づく現地検証。チャレンジ査察といいますけれども、これは今までの軍縮条約には例のないものであるというふうに思うわけです。 しかし、これらの検証を実施するに当たって問題も起こってくるのではないかというふうに思うわけでございます。もちろん、我が国は軍事施設としての化学兵器をつくるものはないわけですから、検証制度の対象は専ら産業検証ということになるわけでございます。 先ほど野沢委員の方からも御指摘があったわけでございますけれども、大変数多くの事業所が存在をしている。第一種の指定物質では、届け出対象事業所は約九十、そして国際機関の検査対象事業所は四十になっている。第二種の指定物質の届け出対象事業所は約四十、そして検査対象は三十。その他では千ということであったわけでございます。 本条約締結のために施行される新しい法律の周知徹底や企業の保護については、去る三月三十日の衆議院商工委員会におきまして、あるいはまた参議院の本会議、これは四月十四日でございますけれども、橋本通産大臣から詳細に答弁がされておりますので、ここでは省略をさせていただきます。 また、査察による企業の秘密の漏えいの防止についても本条約は機関が遵守すべき義務を細かに定めるとともに、締約国の権利として秘密保護に必要な措置をとることができると規定をされていますが、査察によって明らかにされねばならない点と、企業が秘密保護を主張する点とが重なっておる場合が非常に多いのではないかというふうに思うわけです。企業の保護が優先をされれば査察検証の実効性というのが失われるのではないかという懸念があるわけですけれども、この点に対してはいかがでしょうか。
○政府委員(林暘君) 御指摘のとおり、この条約に基づきます産業検証というのが一般の化学産業、化学物質をつくっている会社に入ることになるものでございますから、そういう意味でこれらの会社が有するいわゆる企業秘密、ノウハウの保護と査察という、ある面では相反することを達成しなくちゃいけないということがございます。 その辺につきましてもいろいろ条約をつくる過程において議論をいたしまして、結果といたしましては、今、先生が御指摘になりましたように、締約国が秘密を保護するために必要と認める措置をとることができるという規定、それから査察員が査察の実施のために必要な情報及び資料のみを要請して査察を受ける国はその要請に応じて情報を提供するというような規定、それから査察員がその任務の遂行に関連すると認める文書、記録を検査する権利を有するというような形で査察を受ける側と行う側の双方の権利のバランスを保つような規定になっておりますので、査察の実効性というものが締約国の秘密保護のために損なわれることはないというふうに考えております。かつまた、秘密保護のために査察の実効性が損なわれる、ないしはその逆のこともないというふうに思います。 ただ、現実には、これも今後いかに実施をしていくかということによる側面が非常に多いものでございますから、今、準備委員会その他でもいろいろな検討はいたしておりますけれども、実際に査察をやりながらその辺のことについても機関でいろいろ検討していくということに具体的にはなろうかと思います。
○大渕絹子君 産業情報の保護については、アメリカでは化学兵器禁止条約実施法という中で、経理、市場、それから原価、人事、研究、特許の各データ、それに環境保全、健康管理、安全管理のために記録をされているデータは開示しなくてもよいというふうに規定をしているということでございますけれども、日本は国内法においてここの部分については特に記載がありますでしょうか。
○政府委員(林暘君) 我が国の国内実施法に書かれておりますのは「条約で定める範囲内」でという言い方で立ち入り、査察を認めるということになっておりますので、今御指摘のありましたように国内実施法で、アメリカの場合には実施法案でございますけれども、書いているような詳細な規定は我が国の国内実施法の中には置かれておりません。
○大渕絹子君 チャレンジ査察は、先ほどお話がありましたように、産業活動を阻害するおそれが大きいわけですけれども、その乱用の抑制措置というのは明らかになっておりますでしょうか。
○政府委員(林暘君) まず、条約の規定から申し上げますと、九条に「締約国は、濫用を避けるために注意を払い、根拠のない査察の要請を慎まなければならない。」というふうに、一般的にチャレンジ査察を行うに当たっての乱用の防止という規定が置かれています。その上で、締約国がチャレンジ査察の要請を行った場合にその要請が妥当なものかどうかということを執行理事会が検討することになっておりまして、その結果、権利の乱用であるというふうに認められます場合には、執行理事会の四分の三以上の多数決でその申し立てによる査察の実施を停止することができるという規定がございます。これが査察が行われます前の段階での乱用防止の措置でございます。 それからもう一つは、査察が行われた後の話でございますけれども、査察が行われて査察団が最終報告書を執行理事会に出すことになっておりますけれども、それを執行理事会が検討いたしまして、仮にチャレンジ査察を要請する権利が乱用されていたということが認められる場合には、執行理事会はそのチャレンジ査察の財政的負担の一部を要請した国に負わせることを含め適当な措置をとるということになっております。 そういう形で、一般的に乱用してはいけないよという規定と、査察の前、後でそこのチェックはするという形になっております。
○大渕絹子君 今度は逆に、査察の結果勧告等が必要になったのに、その勧告等に従わずに条約から脱退をしたような場合に、この締約国に対する制裁措置、条約の中では締約国同士では制裁措置というのが規定をされているわけですけれども、脱退をした国に対しては規定がないわけです。この場合、どのような対抗手段があるのでしょうか。
○政府委員(林暘君) この条約の脱退の規定といいますのは、NPTの脱退の規定と基本的に同様の、つまりいかなる理由でも簡単に脱退できるということではございませんで、自国の至高の利益を危うくしているというような状況のもとで脱退が認められるということになっているわけでございます。もちろん、その至高の利益というのは何かということについては明確な定義があるわけではございませんけれども、いずれにいたしましても、気に入らないからとかということで脱退をすることができるというふうには我々は考えておりません。 まさに、NPT条約の場合に北朝鮮がIAEAによる特別査察を不満として脱退しようとした際に、御案内のとおりのいろいろな状況があったわけでございます。そういうものを含めまして、もし脱退をするということになった場合に、その脱退というものが最終的には国連の安保理事会その他で国際の平和の維持という観点から見てどういう問題であるかということを判断した上での判断ということはあり得ようかと思いますけれども、その辺につきましてはそのときの個々の具体的な状況、ケースを見ませんとどういうことになろうかということはわかりかねますし、かつまた国連の安保理事会がどういう判断を下すかということについても、我々が一般的な形で申し上げることはちょっと難しいかなというふうに思っております。
○大渕絹子君 脱退された国に対しては、国連の安保理事会で対応せざるを得ないというふうに受けとめさせてもらいます。 先ほど野沢委員の方からもオランダのハーグに派遣をする化学兵器禁止機関への職員の問題が出たわけですけれども、民間の産業界の人が今三名応募されているというふうにさきの衆議院の委員会でも御答弁になっているわけですけれども、この募集の方法というのはどういう方法で行われているのか、あるいは選考の基準といいますか、選出はどこで行われて、行かれる人たちの身分というのはどういうものになるのかを教えていただきたいと思います。
○政府委員(林暘君) 募集は、一般的な応募、それから各国の推薦といいますか加盟国ないしは加盟国になるべき国からの推薦の応募の二通りがあるようでございます。 日本から査察員として応募いたしております三名につきましては、政府としての推薦をつけて事務局の方に応募をしてもらったわけでございます。この三名につきましては、すべて日本の化学産業界の方々でございますけれども、この方々については通産省を通じて業界の方に人材の発掘をお願いした結果出てきた三名でございます。 それで、これらの査察員候補者が採用されました場合には、その身分といいますのはこの条約が発効したときにできます機関の職員という形になります。
○大渕絹子君 政府が推薦をしたということですけれども、どこの会社のどういう人でしょうか、三名は。
○政府委員(林暘君) 今ちょっと手元に三名の資料がございませんので、どこの会社のどういう者かという資料を今のところ持ち合わせておりませんので、必要があればすぐ照会をいたして、後刻御報告させていただきます。
○大渕絹子君 それではそれをどうぞ届けていただきたいと思います。お願いをいたします。 それでは、中国に遺棄をされました化学兵器の現状について大臣からも御報告をいただいたわけでございますけれども、この化学兵器の処理につきましては大変な問題であろうというふうに思うわけでございます。条約の発効がされるとかされないとかということを待たずに、積極的に資金とかあるいは技術、専門家、施設その他、遺棄締約国、日本は条約が発効すれば遺棄締約国になるわけですけれども、日本の責任において行われなければならない問題であるという認識は大臣も何度も会議の中でも御答弁なさっておるわけでございますから、具体的にどういう組織にして処理をしていくかというような問題にもう入つていかなきゃならない時期が米ていると思うんですね。 外務省がこれを担当なさることになろうかと思いますけれども、実際には調査あるいは廃棄計画、実施、それから完了するまでを一貫して行う機関というのが必要じゃないかと思うのですけれども、この件に対していかがでしょうか。
○政府委員(川島裕君) これからどうするかというのは大変いろいろな詰めが必要であろうと考えております。目下のところ、現状把握ということを急ごうではないかということで、これは外務省が主管しておりまして、数次にわたって現地調査を行ったことは御承知のとおりでございます。 問題は、これから何をしなければならないかといいますと、どこかいろんなところに埋めてあるわけですけれども、これを掘り出しまして集めて収納するというのが必要になるわけでございます。それから、先ほども条約との関連で別途答弁がございましたけれども、これからはプラントをつくってそこでもって無害化するというか、集めた化学兵器を焼却がなんかして、要するに無害なものにしなければならないというのが次の段階でございます。そこまで至りますと初めて処理ができたということになるわけでございます。 そこで、中国との関係でどうするかということでございますけれども、今のところ、それをどういう体制でもってやるかということについては政府部内でまだ方向が決まっておりません。確かに、そろそろそういうところに取り組む段階に至っているんではないかという御指摘でございますし、私どもとしても、これは累次答弁申し上げておりますとおり、この条約の精神あるいは日中共同声明とかいろんなものにかんがみまして、これはきちんと取り組むべき問題であろうと思っております。ただ、今の段階ではそういう体制がまだ方向として見えてきていないということでございます。 これは、戦後処理、今まで賠償の支払いとかあるいは個別の案件でも、例えば台湾の日本兵の弔慰金とかサハリンの韓国人とかいろいろございましたけれども、みんな人に対してどうするかという話で、これは物理的に物をどうするかといったぐいの作業でございまして、戦後五十年たちましたけれども、この種のことをやったことが今までないわけでございますので、その辺を今後どうやっていくかということを前例もない中で締めなきゃならないという状況でございます。
○大渕絹子君 大臣、中国の廃棄処理のプロジェクトチームみたいなものがどうしても必要だというふうに思うんですね。ですから、大臣からも閣議の席でつくっていただけるように発言をしていただいて、できるだけ早い段階で処理ができるような方向でぜひ努力をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 今、政府委員が御答弁申し上げましたように、調査をし、十分日中間で話をして、それをいよいよ処理するという段階になれば、これはノウハウを持った人たち、実行する人たちをどこでどう手配してどういう形でやるか、二百万発なんという膨大な量であれば何か処理施設をつくるぐらいのことまで考えなければならぬということになろうかと思うんです。そうすると、まさにおっしゃるように、一体どういう組織をつくるか、それはどこにつくるかということなども含めて、相当よく考えてやらなければならないと思います。 私は、今、閣議でというお話がありましたが、これはいきなり閣議で発言をして各大臣に申し上げてもそれはそう簡単にいかないので、もう少しきちんと事務的な詰めをする必要があると思っております、これは外務省がやれる仕事とやれない仕事、外務省ではできない仕事もありますから。さはさりながら、中国との関係などを考えると、外務省はその窓口としての役割もこれまで狙ってきたわけですから、もうそう遠くない時期にこれは関係者が集まってどこかで体制をつくるということを始めなければ当然いけないというふうには思っておりますので、どこへどういうふうにつくるかを今これから相談を始めようという、そういう状況でございます。
○大渕絹子君 だれもがこの任務というのは大変何というか後ろ向きにならざるを得ないような任務であろうかと思いますけれども、ここは積極的に取り組んでいただきたいと思います。 大臣、第二次大戦で日本軍が毒ガスを使用したかどうかという認識ということがまだ日本では明らかになっておらないのですけれども、どうお考えでございますか。
○国務大臣(河野洋平君) これは認識というよりは事実関係があったかどうかということの問題だと思いますが、少なくとも現時点、こういうことが使用されたという事実関係を明確にするようなものというのは、そう私のところにはございません。これをどこでどういうふうに見るかということについても、大戦のさなかにどういうやり方をしたかというような資料というものはないのでございまして、これは正直私にも今申し上げる資料がございません。
○大渕絹子君 私の手元に松谷みよ子さんという方が書かれました「現代民話考」の「軍隊」という本があるんです。私が政治家になろうという決心をさせてくれた本でもあるわけですけれども、時間が五分ほどありますので、今この文章を少しだけ読ませていただき、国会の議事録の中にこの内容というのを私は記しておきたいというふうに思っています。 それはなぜかといいますと、戦争に参加をした人たちが、自分はもう余命が幾ばくもないということを察しまして、今までひたすらに自分が犯してきた罪を公表しなかった、家族にも話さなかった、しかしこのまま死んでいったのでは自分は死に切れないということの中で、何とか自分がやってきた罪というのを記したいということで松谷さんに語られた、あるいは知人に語られたことを松谷さんが聞き取って、その言葉どおりに書かれている本なんですね。非常に短く、子供たち、次の世代にも残していけるようにということでわざわざ民話という形で松谷さんが編集をされているわけですけれども、そういう中身でございます。毒ガスの使用等々も、この本を読んでいきますと、ああやっぱり使われていたんだなというのがわかるかというふうに思うわけでございます。 中国漢口。昭和十八年頃の話。行軍中一番こわいのは水や。とにかく、すずめがとまっただけでも落ちるという暑さや、漢口のあの辺は。部落で水をガーと飲むやろ、ものの三十分もしないうちに死ぬのや。たまには毒のはいっているときもあるんや。また一部落男も女も子供であろうが全部殺してしまうぜ。なんで殺したかっていったら、たった一人伍長が殺された腹いせや、行軍中に。それが戦争の悲惨さや。異常な神経になる。人間を気違いにする環境やな。(青木一二郎) 七三一部隊、別称小井部隊に入った私は印刷関係の仕事で恐ろしい実験をみることはなかったが、たまたま零下四十度から五十度の冷凍室ヘロシア人らしい三十歳~四十歳くらいの男を二人放りこみ、凍死する断末魔を記録しているところへいきあわせた。寒さのあまり裸の二人が抱きあって泣いていた。生体解剖の実験は見たことがないが、雑巾バケツに大腸、小腸、心臓などをわけて放りこみ、まだ温かくびくびく動いているのをよく運んでいた。かかわった人間には気が狂った人間はたくさんいる。私などはポイポイ布だがそれでも日本へ帰って二年間はうなされた。(上園直二) 七三一部隊。ペストやコレラなどの細菌戦、またガス死、凍死、破傷風などの実験に使った中国人などは個別の名も出身地もきりすてられ、丸太と称されていた。何人実験に使ったかは丸太の号数でわかったが、中には貴重な丸太もいた。ペスト実験で奇蹟的に生き残った丸太などで血清にするため生かしておく。この丸太が暴動をおこした。丸太が入っている独房は特設監獄といい、一般の研究室の人も本部の人間も入れない。要塞の中の要塞といった所であった。暴動だ武装してこいという報にすぐかけつけた。一人の丸太がマスターキイで丸太を房から出したのだが、逃げられないのは判っていた。なだめて元へ入れようとするが動かない。 「撃つなら撃て、我々をだまして連れてきて虐殺しても、いつかお前らもやられるぞ」、あれは共産党員のバリバリだと思う。そういってにらみすえる。若いものがバカヤロウと撃ち殺し、最後は毒ガスで全滅させた。いなくなっても丸太はすぐ補給された。常に百五十から六十はいたと思う。昭和二十年六月のことだった。 (上園直二) ガス実験はね、百部隊二五○二部隊というガス専門のが満州に点在しておったが、丸太がないんですよね。ためにガス部隊から幹部がきて、平房の飛行場のすみにある実験室で合同実験やるんです。日に三回くらいずつで私ら何百回みました。六帖くらいの部屋で三方ガラス張り。レールがついていて杭のついたトロッコに丸太を結わえて、入れて閉めちゃうんです。バッキングが入って洩れないようになってるんです。丸太も中年老年、結核などの病気持ちとか、にわとりなど、いろいろ入れます。ガスの種類もいろいろ使ってガラスごしに映写機で記録するんです。断末魔の状況、わたしら年中みましたね。(越定男)等々、たくさん次から次へと日本軍が犯してきた非情な出来事が非常に端的に、語った人たちの言葉のままに記されているんですね。 これは次の世代の子供たちにも戦争の悲惨さというものを伝えていくために、ここの部分はこの本の中でも一番悲惨な部分を書いているわけですけれども、前段には軍隊、新兵さんが軍人として育て上げられていく経過というようなものも非常にユーモアを加えながら書かれているところもあるわけでございます。こういう記述、本というようなものをやっぱり学校に、歴史の資料として学校の図書などにも配付をしていくような必要というのが私はあるというふうに思うわけでございます。 きょうはたまたま少し時間を余らせていただきましたので、皆さんにもわかっていただき、日本人が犯してきた戦争というものを改めて認識をする必要があるのではないかと思います。ありがとうございました。
○委員長(田村秀昭君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。 午後零時二分休憩 ―――――・――――― 午後一時三十分開会
○委員長(田村秀昭君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 休憩前に引き続き、化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○武田邦太郎君 毎々原則論的な発言ばかりして恐縮でございますが、複雑で急激な現代の変化の中で大局を誤らないために原則論的なことを考えるのも意味があるのではないかと思いますので、お許しを願いたいと思います。 戦争はいつの時代でも文明進歩の先端を歩んだわけでありますが、ごく初めのころはこん棒や石ころで戦ったわけです。やがて刀ややりがあらわれまして、青銅でつくったものから鉄でつくったものに移ったことが勝ち負けを決定いたしました。特に弓という飛び道具の意義は非常に大きかったと思われます。 やがて戦争は騎馬で戦うのが主力になりましたが、ルネサンス時代に鉄砲があらわれまして、騎馬部隊の威力は失墜いたしました。日本におけるルネサンスの驍将は織田信長であります。 次いで、大砲、軍隊の時代になりまして、海戦が戦争の帰趨を決定するようになりました。トラファルガルのネルソンの勝利がナポレオンを失墜させましたし、日本海海戦が日露戦争の勝利を決定しました、 ところが、第一次大戦になって飛行機、戦車があらわれまして、空軍の威力が戦争の勝敗を決定いたしました。第二次大戦ではソ連軍がまずベルリンを占領したということになっておりますけれども、その前にアメリカの空軍がハンブルク、ベルリンを爆砕して、もう既に勝敗は決定しておったわけであります。日本も米軍がサイパンを占領して日本全土を空爆し得る状態に至って、もう戦争の帰趨は決定いたしました。 ところが、最後の決定的な戦争の進歩の段階はロケットと核兵器の出現であります。一九六三年だったかと思いますが、ケネディとフルシチョフが核兵器を持ってにらみ合った時代、もし戦っておれば人類の文明は破局に陥ったことは間違いなかったでしょう。以後、戦争は国策遂行の手段としては意味を失ってしまったと思います。その象徴的な出来事は、ベトナム戦争における米国の敗北、アフガニスタンにおけるソ連軍の敗北であります。こうしてどのような強い国も国策遂行のために戦争で成功するということはなくなりました、 そこで、古典的な戦争学では、地球上の一地方に根拠する武力が迅速、的確に世界の至るところをやっつけるに至ったら世界の政治的統一の基本的条件が整うというのでありましたけれども、もう既にそういうような武力は、アメリカ、今はなくなりましたがソ連はつとにそういう武力を身につけておるにかかわらず、世界の政治的統一は実現しておりません。常識で考える限りは、先進国間の戦争はほとんど予想しがたいと言っていい状況であります。 しかし、地球世界はいわば一種の内乱状況に入りまして、武力をもって簡単にこの内乱を終わらせるということの困難な状態が続発しております。ソマリアでありますとか旧ユーゴの状態がその代表的な事例でありますし、ルワンダもその一例かもしれませんし、オウム、サリン事件も内乱と言えないことはありません。しかも、なかなか終息させることが困難な状態を我々もまた体験しております。科学技術の進歩によりまして、このような化学兵器、核兵器を手に入れることが急速に困難でなくなりつつあります。 現代の国際状況では不可能に近い話でありますけれども、何よりもまず先進国の戦争放棄、兵器産業の平和産業化などの平和革命的な決断が望まれるところであります。この歴史的要請は恐らく時だつにつれていよいよ決定的になるのではないかと思います。高い平和モラルなしには人類の生存が不可能になりつつあるのではないかと、こういうふうに思います。現代は、戦争をやれば共倒れになりかねない、そういう時代で、同時にまた地球環境の悪化が決定的になる時代でもあります。こういうわけで、人類数千年の歴史の中で今日は極めて特殊な時代、これまでの時代とは異質の時代であるということが言えようかと思います。 化学兵器禁止条約はもちろん心から賛成するのでありますけれども、一歩進んで核兵器廃絶、進んで戦争そのものの廃絶のために、戦争放棄の憲法を持ち、核兵器により被爆した唯一の国である日本が諸外国に先んじて重大な奮起を要請されるときではないかと、こういうふうに思います。 例によってお返事しにくい問題でありますけれども、大臣の御意見はどうか。
○国務大臣(河野洋平君) 議員のお考え、御指摘は大筋私も同じような考え、見方を持っております。ただ、現実の国際政治の中で我々が今なし得ることは何かという現実の問題に立ち返って考えると、仰せの筋道はそう簡単なことではないと思います。現実問題として国際社会の中に存在する核保有国、そしてその保存される核、そういったものを我々は、究極的核廃絶を目指してそこへ一日も早く到達するべく努力をしているわけでありますが、そのために具体的に我々がなすべきことは何かということを常に自問自答しながらこの状況に臨んでいるわけでございます。 今回のNPTの無期限延長もまたその一過程であろうというふうに思っております。NPTについてはいろいろな議論が、前後左右から評価がいろいろありまして、核保有国と非核保有国との不平等性を固定化するものだという議論もございますし、他方、これによって核保有国の数がふえるのを防ぐことができたという評価も一方ではあるわけでございます。いずれにせよ、この二十五年間のNPTの歴史を見ますと、その中に冷戦の終結という大きな出来事がございまして、その結果、核軍縮は進む気配ではございます。こういう状況を利用して、一日も早く核による力の秩序というものをできるだけ減らしていきたいというふうに思っております。 ただ、そのことだけをやっていたのでは核にかわる通常兵器が強化される、そして地域紛争は非常に激化しその数がふえるということになってしまうわけで、政治の仕組みとして新たな考え方をつくっていく必要もあろうかと思います。ヨーロッパにおけるOSCEもそうでございますし、アジアにもARFという信頼醸成のための努力をする芽生えが出てきたように思います。そうした人類の英知といいますか、あるいは二十一世紀を見据えた動き、そうしたものの中には、例えばみずからの主権を多少制限したとしても、それによって大きな安定、秩序というようなものを維持するということもまた考えていいのではないかというような議論もあろうかと思いますが、いずれにせよ中長期的に考えたさまざまな知恵を絞らなければならないというふうに思います。
○武田邦太郎君 お話はよくわかりますが、理想と現実ということは常に非常に古くて新しい問題でありまして、私が申し上げたことは単なる理想と言うには余りに現実性があるわけですね。何千年の人類の歴史は戦争の歴史と言えぬことはありませんけれども、戦争のやり方が進歩の極限に達して、大陸間弾道弾、しかも核兵器、それ以上の戦争の進歩はあり得ない、いわば戦争は進捗の極限に達してこれ以上は戦争絶滅以外に歴史の前進ができないような状況に今立ち至っている。こういうことを肝心なアメリカ、ロシア、中国が確認しているのかどうか。 最後に申しましたように、現代は今までの時代とは全く異質の時代であって、軍隊が強かったら世界が動くという時代ではなくなっている。そういう特殊の時代に、特に先進国が、中国も入るわけでありますけれども、やたらに武力をもって国際世論をリードしようと思うならば、これはとんでもない間違いを犯す。これはどこまでも現実の問題でございまして、特に大国の責任は重大である。それを明確に面を冒して発言するかしないかということは、日本にとっては単なる理想ではなくて、まさに日本が歴史に課せられた現実的な役割ではないか、こういうふうに思うんですね。 直ちにというわけにはいかぬでしょう。これはもう十分に時期の熟するのを待ち、チャンスを見て発言することでないと本当に効果的な発言にはならぬと思いますけれども、まず聡明な御判断をお願いします。
○国務大臣(河野洋平君) 理想と現実というのはまさに我々がいつもその中で悩み続けることでございます。政治の判断というものは現実に即した判断をしなければなりませんが、理想のない政治、理想のない判断というものはまたこれほど意味のないものはないだろうと思います。理想を目指して、そして現実的な判断をしていくということでなければならないというふうに思います。 我々が、今、目の前にあるさまざまな問題の中で、以前にも議員から御指摘がありましたように、言ってみればアジア・太平洋、この地域で中国とどうするか、アメリカとどうするか、あるいは北東アジアについてどう考えるべきか、そうしたことを頭に描きながら、一つ一つの事象に対応していかなければならないというふうにも考えます。 繰り返しになりますが、今、アジア・太平洋において日米中、こうした関係を常によりよく保つ努力というものは必要なのでありまして、どちらに力を入れるかという議論はよくあって、日本はアメリカに重点を置くのかアジアに重点を置くのかなとという議論がありますが、それはアメリカもアジアもともどもに我々と一緒に共生をしていかなければならない時代であって、どちらか一方に決めて物を考えるという状況ではないだろうというふうに私は思っているところでございます。
○武田邦太郎君 どうぞよろしく。終わります。
○立木洋君 午前中の同僚議員の質問で、かつての戦争で日本が毒ガスを使ったのかどうかということについてどういうふうにお考えかと言って大臣の御認識を質問したことについて、大臣は、それは事実の問題だから事実については私としては承知していないのでというふうなお話だったと思うんです。私は、大臣の御発言としてはいかがなものかと思わざるを得ないんです。一九三七年七月に日中戦争が開始されてから毒ガスというのは物すごく使われているんです。 大臣がそのようにおっしゃるので少し詳しくお話ししますと、日本における化学兵器の研究開発は第一次世界大戦の末期から始まりまして、久村種樹、当時の陸軍中佐、これが欧米に行って毒ガスの調査をやりました。この方は最後は陸軍中将になったわけですけれども、さらには中村隆寿陸軍少将や小柳津政雄陸軍中将あるいは陸軍少将の秋山金正、これらの人々はみんな化学戦に関係のあった人です。 こういう人々が詳しく書いているわけですけれども、年表がありますが、一九四一年末までに日本としては研究成果の大要として「化学兵器 (1)毒物にては欧州大戦に使用した有効と認むる毒物の研究は全部完了、」、そして新たな「毒物として採用したもの」として、日本軍が採用した毒ガス兵器、化学兵器というものを全部明細に書いてあります。 そして、この問題が、ただ単に研究がされていたというだけではなくて、一九三七年七月に日中戦争が全面的に始まるわけですが、この七月二十七日、化学戦の部隊である迫撃第三大隊、第五大隊、第一野戦化学実験部を華北に派遣するという天皇の命令、当時臨参命という言い方をされましたけれども、その第六十五号が出されて、化学部隊が華北に派遣されました。そして、早くも七月二十八日にその使用命令を閑院宮参謀総長が出しております。臨命第四百二十一号で香月清司支那駐屯軍司令官に対して平津地方掃討作戦に際し「適時催涙筒ヲ使用スルコトヲ得」という命令文書があります。 そしてさらに、三八年の四月十一日に閑院宮参謀総長が寺内寿一北支那方面軍司令官それから蓮沼蕃駐蒙兵団司令官に対して、いわゆる占拠地域の確保安定に関して大陸指第百十号の指令が出された。「左記範囲二於テあか筒軽迫撃砲用あか弾ヲ使用スルコトヲ得」と言って、その中には、それを使用した場合には「使用地域ノ敵ヲ為シ得ル限リ殱滅シ以テ之カ証跡」、つまり跡ですね、「証拠を残サゝル如ク勉ム」べしというふうな命令の文書まであります。これらの問題を全部挙げていきますと、晋南粛正戦だとか徐州会戦、安慶作戦、これは全部命令書があります、閑院宮参謀総長の。これは参謀総長の命令で出されているのと天皇の命令を受けたという形で出されているものといろいろあるんです。 そして、実際にそれが使われだというのでは「武漢攻略戦ニ於ケル化学戦実施報告」というのがありまして、その報告を見ると、中支軍においては一九三八年八月二十一日から十一月二十一日までの間に三百七十五回以上にわたって赤弾九千六百六十七発、それから赤筒三万二千百六十二本を使用した、その攻撃の約八割は成功し、約二割は成果が十分でなかった、こういういわゆる武漢攻略戦における化学兵器を使った状況なんかも詳しく報告をされております。あとまだありますけれども、これはたくさん挙げてもあれでしょうから言いませんけれども、こういうふうに事実は明確に当時の軍の文書、政府の文書によって明らかにされているんです。 それで、防衛庁の方が来られたようですが、防衛庁の防衛研究所図書館の戦史資料の中に上海派遣軍の「化学戦二関スル報告」、中支派遣軍司令部の「徐州会戦及安慶作戦ニ於ケル特種煙使用ノ戦例及戦果送付ノ件」、さらに教育総監部本部長の「事変ノ教訓第五号 化学戦ノ部送付ノ件」、これらの資料は図書館にありますよね、防衛庁研究所の。
○説明員(守屋武昌君) 今、先生御指摘の資料につきましては、突然の御質問でございますので、私どもの方で研究所に問い合わせまして確認の上、後ほどお答えいたしたいと思います。
○立木洋君 あなたが承知していないというんだったらやむを得ませんけれども、この問題についてはきちっとした資料があります。この中には、一九三七年からの化学戦の利用状況だとか、作戦の結果それがどうなったかというのが詳しく書かれた資料があります。 こういうことは、なぜ先ほどの大臣の答弁に私が大変不満を持つかといいますと、今、五十年たって、つまり戦後処理の問題で日本政府がどういう態度をとるかというのは非常に重要な時期なんですよね。そういう重要な時期であり、なおかつ化学兵器の禁止という最も重要な条約を審議している中で、かつて日本軍が中国にそれを使ったのかどうかということが問題になったときに、その事実を承知していませんということを、河野さん個人で述べられる分だったら本を読んでいないから仕方がなかったということになりますけれども、政府の代表として、しかも外務大臣として私は承知していないというようなことになりますと、これはあの戦争に対してどういう認識を持っておられたのか、あれほど大変な化学戦が行われて莫大な犠牲を与えた問題について本当に責任を感じておられるのかというふうに今度外国から言われてもやむを得ないことになってしまう。そういう点で私は先ほどの御発言にも大変遺憾に思ったんです。 それで、大臣は、中国で化学砲弾約二百万発、それから化学剤約百トンというふうに言われたんですけれども、日本がかつてつくった化学兵器というのはどれぐらいあるか御承知でしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 先ほどの私の発言についていろいろ論評をいただきましたが、私としては、中国に遺棄された化学兵器の処理については我が国として誠実に行う、またこれまでその調査その他を誠実に行ってきているということはぜひ御理解をいただきたいと思うんです。この問題について日本政府が不誠実な取り組みをするということは決してないということだけはぜひ御理解をいただきたいと思います。 それから、私が中国における遺棄された化学兵器の処理について誠実に取り組むと言っていることは、中国に日本軍が持っていって中国に残されたものを処理すると、こう言っているわけですから、そのこと自体に、私が日中の戦争の中でこういうものが使用されたかどうかということに目をつぶるということではないということはぜひ御理解をいただきたいと思います。 それから、それではどのくらい日本がつくっていたのかということについては、これは先般も防衛庁から御答弁申し上げたところでございますが、正確な資料というものはなかなか確認ができない。これは場合によっては防衛庁から改めて御答弁を申し上げたらいいと思いますが、私ども外務省でこれを把握するということは、外務省独自で把握するということはできませんから防衛庁その他にお願いをしなきゃならないわけですが、防衛庁とて旧軍を全部引き継いでいるということではないようですから、旧軍の資料をどうやって集めるか、これは防衛庁がおやりになることがいいのか、どこにそういう方法、能力というものを持っておられるかということも含めて考えなければならぬと思いますが、とりあえず防衛庁から御答弁させていただきたいと思います。
○説明員(守屋武昌君) 旧軍がどれほどの毒ガス兵器をつくったかという御質問でございますが、防衛庁は戦史を研究する機関としまして防衛研究所を持っております。その防衛研究所におきまして戦史を研究するために旧軍の文献、書類等を集めて、これを参考にしております。 この関係で申し上げるわけでございますが、旧軍の文献、書類は終戦時に多くのものが焼却されておりまして、今、先生の御質問にお答えするのは現在防衛研究所において保管している戦史資料から申し上げるわけでございますが、これは大変不十分なものでございまして、これによって旧軍による化学兵器の製造の全体像を把握することは困難でございます。 今わかっているだけを申し上げますと、化学兵器の製造量に関しては、昭和七年から昭和十六年までに陸軍造兵廠のもとで製造されたものについて記録が残っております。それによりますと、発煙剤や催涙剤などを含めた化学兵器の製造数量は、砲弾が約百三十六万発、それから爆弾が約一万九千発、発煙筒が約二百十三万個、化学剤が三千三百七十トンでございます。 それから、昭和十七年度以降の製造量につきましては記録が断片的でございまして、旧軍が昭和二十年の終戦までに総量としてどれだけの化学兵器を生産していたかを把握することは、実際上、防衛庁の持っている資料では不可能でございます。
○立木洋君 日本の旧陸軍が行っていた毒ガス工場、これについての資料がアメリカの太平洋陸軍参謀第二部にありまして、そこの報告書の中に記載されております。これは昭和六年から昭和二十年までの数字がここに全部あります。それによりますと、毒ガスが七千三百七十六トン、それから毒ガス弾が七百四十六万九百七十二発という数字になっています。ですから、化学砲弾が約二百万発といいますから、これが全部がどうかは私は承知しているわけじゃありません。アメリカの資料で記載されている数としては、結局、広島の竹原市大久野島でつくられたものと、それから北九州市の小倉南区曽根でつくられたものと、それから神奈川県の寒川町、この三カ所の化学工場の集計として出されている数字です。 それによると、先ほど言った中国でいわゆる遺棄されている数量から見ると、弾丸で言えば三・五倍、それから化学剤で言えば百トンですから、こちらは七千三百七十六トン、ですから相当な量あったと。今のお話では昭和十六年までで三千三百七十トン、それから以後の数字がないという状況ですからほば符合するんじゃないかと思うんです。 そうすると、相当の量が中国大陸で使われた、一部破棄されたり遺棄されたり戦後放棄されたにしても使われたということは、これはやっぱり事実だと思うんです。だから、そういう化学戦を日本陸軍が行った。つまり、極めて国際法違反という形で一九二五年にああいう使用禁止の問題が問題になり、日本政府も調印したわけでありながらそれが実際に使われたということ、ましてや第二次世界大戦中にそれが使われだというのは日本とごくわずかですよ、一部の国しかありません。そういう状態を考えると、やはりああいう極めて犯罪的な侵略戦争にこういう国際法に反するような毒ガスまでが使われたというようなことについては、私はその事実を確認した上で深刻な反省というのを日本政府としてはやっぱりとるべき態度だろうと思う。 だから、そういうことが今日の遺棄されている化学兵器を誠実に取り除くということにやっぱりつながっていくだろうというふうに思うんですが、そういう事実についてお認めになるのかどうか。それから、そういうふうな反省の姿勢をおとりになるのかどうか。その点についての大臣の御所見をお願いいたします。
○国務大臣(河野洋平君) 議員御指摘のとおり、事実を確認することがまず大事です。事実が確認されるということが大事だと思いますが、と同時に、今回の条約の成立までのもろもろの議論というものをきちっと踏まえ、この条約の趣旨といいますか目的といいますか、そういうものをきちんと踏まえ、さらには日中の国交正常化に至るまでのさまざまなやりとり、そして正常化のための共同声明を初めとするそうした精神というものを踏まえる。それらを踏まえて、もちろんこの条約にのっとって、遺棄されて現存するものがあれば、それはもう誠実に処分する。これらは、かつて我々が、ジュネーブ議定書というものがありながら、それに調印をしながらそういうことをやったという事実があるとすれば、それは我々は相当反省しなきゃならぬのは当然のことだというふうに思います。
○立木洋君 私がこれだけ事実を挙げたんですけれども、私の挙げた現実だけでは事実として確認できないというふうなどうも御答弁のようですが、私のしゃべったことはこれは真実ですから、ひとつそれについては現実だったということも御確認いただきたいと思うんです。 それで、つい先日ですけれども二十五日、イギリスの新聞でデーリー・テレグラフというのがあります。これに日本にとっては嫌だと思うような記事が書いてあるんです。日本にとってというのは、大臣なんかにしてみれば嫌だと思うんでしょうけれども、「日本の変わらぬ恥」という社説が載っているんです。その中には、日本の戦後史は卑劣な戦争責任回避の歴史であり、半分の真実と完全なうそで固められている、こういうことまで書いて非難しているんです。それで社説は、ドイツが過去に正直で戦争の恥を認識しているのと対照的に、日本は細菌兵器によるアジアでの人体実験などの事実を否定している、こういうことまで書かれているんです。 今、これがどうかこうかという論評は別にして、五十年を迎えた今日、あの侵略戦争の問題に対して本当に深刻な反省をするということは非常にやっぱり大切な、日本が戦後歩んできた道を正しく進めていく上で私は基本的に大切な点だろうと思うんです。こういうようないろんな形での、ある場合には正当かもしれませんが、ある場合には行き過ぎかもしれませんが、いろいろな非難が集まってくると、日本が実際に何をやってきたんだろうというふうなことまで問題にされかねない。だから、そういう点における、今日の時点における日本の政治家の発言というのは、私は非常に大切だろうと思うんです、戦後五十年を迎えた今日。 だからそういう点で、化学兵器を使用したということについては事実としてこれをやっぱり認めて、それはかっての旧軍の措置であったけれども、それはやっぱり正当なことではない、誤りだったということを明確にされて、その上に立った戦後の歩み、平和を求める歩みということがなければならないんじゃないかということを重ねて申し述べたいわけですけれども、それはそれで結構でしょうか、そういう御認識で。
○国務大臣(河野洋平君) 自由主義を非常に大事にする国においてマスメディアが自由な論評をなさるということは、それはそれで当然認め合って尊重をしていく必要があると思いますが、すべてが正しい論調であるというわけではないと思います。 我々は、幾たびか内閣総理大臣を初めとして国を代表する方々が厳粛な過去への反省というものを述べ、その反省に基づいた努力もしてきたことも現実で、このこともまた認めていただかなければならないと思います。しかし、それは、我々は努力をするのであって、その評価は評価をなさる方々がそれぞれの評価をなさるのであって、その評価についてまでまた我々が論評をしたり反論をするというつもりはありません。 しかし、私は、現在の日英関係は非常にいい関係になっていると思います。この二国間関係は、私は十分お互いに尊重し合えるいい関係をつくって、それはこの五十年間に我々も努力をし、先方も非常に寛容であったということもあっていい関係ができているわけで、この関係をこれから先さらに発展をさせていく努力をしなければならないというふうに思います。
○立木洋君 この問題でこれ以上申し上げませんけれども、ただ最後に申し上げたいことは、かつての従軍慰安婦の問題も、あれは極東裁判のときには問題にならなかったわけですね。事実がそこまで判明していなかったということもあったでしょうけれども、しかし日本政府がとってきたのは、関与をしていない、日本政府がやったんではないというふうなことからだんだん、結局日本政府がついに関与をしていたというところまで認めざるを得なくなってきた。ああいう経過は、もちろんさまざまな人が見ればいい過程じゃないんですね。やっぱり事実を日本政府は積極的に調査して、もう誤りは誤りとして率直に認めるという態度を速やかにとることの方が、もっと明確なかっての誤りについての反省の立場になると思います。 それから、化学兵排の問題についても防衛庁の方ともよく相談されて、実際にはどういうふうな使われ方をしたのか、それからどうだったのかという問題についてはいち早く、日本政府としては、化学兵器の禁止条約の採決をするに当たって、かつての使用ということは大変な問題だったと、そういう反省の上に立ってというぐらいな気持ちを表明されることが私はやっぱり大切なことだろうというふうに思います。 ですから、そういう点についても、そういう立場の上に立った反省の弁だろうというふうに感じますので、ぜひともその点は今後ともよろしくやっていただきたいということを重ねて御要望しておきたいと思います。 それでは、条約の問題について若干質問させていただきます。 十四条二項のところで、この条約の解釈または適用に関していわゆる紛争が生じる場合、違った見解が生じる場合、平和的手段として括弧内にはいろいろなことが書かれてありますけれども、「平和的手段によって紛争を速やかに解決するため、協議する。」というふうな形になっておりますけれども、この「平和的手段」というのはいかなる意味でもいわゆる軍事的な強制措置は排除したものというふうに理解するのが妥当じゃないかと思うんですか、そういう解釈でよろしいでしょうか。
○政府委員(林暘君) 今、立木先生御指摘のとおり、ここに書かれております「選択するその他の平和的手段」というのは、当然軍事的な手段は含まないものと、かように考えております。
○立木洋君 次に、八条の三十六の(c)項の二行目からですが、そこのところに、いわゆる国連総会や国連安保理なんかに注意を喚起するために通報するというような場合、ここに「特に重大かつ緊急な場合には」というふうな表現がなされております。また、十二条の制裁を含む措置をとるということの第四項目には、「会議は、特に重大な場合には、問題につき、」国連総会及び安保理に対して「注意を喚起する。」と。ここで言われている「特に重大な場合」だとか「特に重大かつ緊急な場合には」というのは、どういう場合のことを想定しておるんでしょうか。
○政府委員(林暘君) ここの「重大な障害」とか「重大な場合」ということについては、それぞれ締約国会議が判断することになろうかと思いますけれども、この化学兵器禁止条約というのは基本的に化学兵器の開発、生産、貯蔵、保有及びその使用を禁止しているという条約でございますので、そういう基本的な目的に対して違反があるというような場合が通常「重大」ということに該当するのかなというふうに思いますけれども、具体的には締約国会議が判断するということになろうかと思います。
○立木洋君 つまり、それは第八条の三十六のところで「この条約の遵守についての疑義又は懸念及び違反を検討するに当たり」と、こういうふうに書き出されているんですね、八条の三十六のところに。そうすると、違反があったということは明確になるんですね。違反があって、それを製造しているとかそれを使うみたいな危険性が起こってくれば「重大かつ緊急な場合」ということになるんでしょうけれども、疑義、懸念という場合、言うなれば疑い、どうもおかしいじゃないかと、こういうふうな場合もすべて重大な事態として安保理に報告して安保理での措置を求めるというふうなことになるのかどうか。 この疑義、懸念というのはどういう基準で疑義、懸念。いつも問題になるのは、この間 のIAEAの問題もそうですよね、疑いがあるからといって、実際そうなのかといったら、いや原爆までは持っているとは確認できないと。だけれども、疑義があるからとなると、その後の措置をとる場合の基準として考える場合に疑義、懸念というのをどういうふうに解釈すべき問題なのか、なかなか難しいところかと思いますけれども。
○政府委員(林暘君) 非常に難しい御質問でございまして明確なお答えをするのがなかなか難しいわけでございますが、条約の遵守についての疑義または懸念というものがあった場合に、確かにこの八条の三十六で執行理事会の機能としてどういうことをやるかということが書いてあるわけでございます。 具体的にどういうことでやっていくかということになりますれば、その次の九条だと思いますが、実際には協議その他をして、当該国との関係でも協議をしていくというような過程がございますので、情報交換、協議という過程においてそれが解消されるなり、ないしはそれが単に疑義、懸念ではなくてもう少し確固たる何らかの事実に基づいた理由のある疑義なのか懸念なのかということが解明されていく、そういうプロセスで解明されていくのではないかというふうに我々としては思っておりまして、単なる疑義、懸念で条約の最終的な担保である安保理事会まですぐに行くということにはならないというふうに思っております。
○立木洋君 今度の場合、これはIAEAの場合と違って特別というか、当事国の同意を得なくても締約国は完全にうまく査察が行われるようにしてやらなければならない義務と権利を負うというふうになっていますから、IAEAの場合とは若干変わってきている規定の仕方になっているなというふうには思うんです。 これは結局、第九条で述べられているように、疑惑、懸念が持たれて、そして協議を行った結果査察が必要だというふうになれば、締約国としての査察を受ける場合の国は拒否するとかなんとかということは一切できないわけですよね、この九条の文言から言えば。それはそれでいいわけですね、そういうふうに解釈して。
○政府委員(林暘君) いわゆる申し立てによる査察というのは、当該国の同意を得ずに査察が入るわけでございます。それはそのとおりでございま ただ、査察団が行きましたときに、現実に査察すべき場所に物理的に到達し、かつ必要なことがきちんと見えるかどうかという問題は、実際の実施の場合に全く問題のないことであるかどうかは、これも実際のケースになってみないとわからないという部分は当然のことながらあるわけでございますけれども、この条約の立て方、規定上は、当該国の同意を経ずに査察団が極めて短時間の間に飛んでいって、それに対して当該国は、査察を受ける国はきちんとしたアクセスを与えなくちゃいけないという規定になってございます。
○立木洋君 このチャレンジ査察について一部の国から難色が示されたというふうな記事を読んだんですけれども、討議の過程でどういう意味で一部の国が難色を示したんでしょうか、このチャレンジ査察について。
○政府委員(林暘君) この条約を交渉しました過程におきましてその辺がいろいろ議論になったということは、これは現実でございます。 それはある意味では当然のことでございまして、このチャレンジ査察という、特に査察を受ける国の同意を必要としないで査察団が入ってくるものについて締約国がそれを認めなくちゃいけないという、こういうシステムの査察、検証といいますか、査察というのは午前中にも申し上げましたように多数国間の条約で初めてのものでございまして、そういう意味では、そういう国際的なものと、それからそれを受け入れる各締約国の国内法のシステムといいますか体制とどういうふうに調和させるかということは、それぞれ各国異なった国内法を持っておりますし、考え方を持っておりますけれども、いずれにいたしましても各国にとってそう簡単な話ではないわけでございます。 そういう意味で、いわゆる国内主権という問題どこういう条約ができた場合のこういう規定とをどう調和させるか。伝統的に国内主権というものをきちんと確保しておきたいという考えの強い国の場合には、かなり抵抗があったということは事実でございます。
○立木洋君 この条約を調印した国というのは今百五十九カ国でしたよね。ところが、一部ではこれを拒否している国もあるというふうに聞いているわけです。それで、締約国の場合はこの条約に基づいて懸念が生じれば協議も行い、必要ならば査察もして、それで十分に問題点を解消していくという努力をしなければならないという形になるわけですけれども、批准を拒否している国の場合にはこの条約は法的な拘束力は一切ないわけですよね。 ところが、そういう締約していない国、いわゆる調印していない国、批准していない国が現実に化学兵器を持っていると。そういう懸念、疑惑どころか違反が、もうほとんどそういう状態に近いというふうな問題が起こってきた場合にはどういうふうになっているんですか。それはそういうことが起こらない方が最も望ましいわけですけれども、しかし拒否しているというからには拒否する何かの理由があるんでしょう。そうすると、そういう国が化学兵器を持つという権利を自分たちとしては留保したいという意思表示ともとれるわけですから、それにどういうふうに対応していくのが正当な対応になるんでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) これは条約の問題ではなくて、国際情勢の問題だろうと思います。現実にアラブの一部にそういう状況があって、これはこの化学兵器の条約のみならず核兵器の条約についてもそうでございますが、そうした国と隣接している国あるいは非常に至近距離の国の中には、言ってみれば目には目をということでしょうか、あそこがやらない限りは自分もやらないというような考え方がある。NPTの場合にはもっと説得が進んでおりますけれども、この化学兵器になりますと比較的コストもそうかからずに保持できる、所持できるというようなこともあるせいでしょうか、そうしたことが現実にあるのでございます。 しかし、私は、NPTもそうでございますし、これもそうだと思いますが、現実問題として国際世論というものがもう圧倒的多数で形成されるということになれば、これは徐々に説得力が強まって、所持をやめるという方向に持っていくことができるのではないか、つまり、ではそれができないからといってこれをあきらめてしまって問題が解決するかといえば、そうではないわけで、やはり圧倒的な国際世論を形成するためにもこれは非常に意味のあるものだというふうに思います。
○立木洋君 今言われた趣旨は理解できないわけじゃありません。こういう形での化学兵器の全面的な禁止の内容が圧倒的多数の国で採択されるということは、それは法的な拘束力を持たない、批准しない国々についてもそれは相当なる影響力を持ち得るということは当然でしょうし、さらにはそういう形の中で積極的に加盟してもらうように働きかけるというふうなことも当然行われていくことでしょうし、そういう問題点が確かにあるということはよく理解できます。 ただ、その過程でいろいろな問題点、摩擦、トラブル等々が起こった場合に、例えばアメリカなんかの場合には大量破壊兵器については拡散対抗戦略というのをとっているわけですね。結局、武力でもってでもそういうふうな大量破壊兵器を拡散するようなことは抑えていくんだというのが戦略で、この間も御質問しましたが、これがもう二年ほど前からクリントン政権のやり方として出てきているわけです。 そうすると、さっき言った懸念か疑惑かという段階で、いわゆる批准していない国が、おかしいと、査察も認めないと。それが突っ張り合っていくと、アメリカのそういうふうな戦略の中で武力を使うというふうなことまでなってくると、さらに緊迫した国際状況というのが生まれてくることになるので、そうならないような努力がやっぱり必要だろうということもあるだろうと思うんですね。 それで、そうならないようにすると同時に、大きな問題としてあるのは、こうした化学兵器の問題のみならず、先ほど武田さんの方からもお話がありました核兵器の廃絶ですね。核兵器を持っている国と持っていない国とで不平等があるということは、日本政府がこれを署名するときにもこれは不平等なものだということを明確に宣言して加盟されているという経過もあるわけですから、こういう状態を一刻も早くやっぱりなくすと。 これはいろいろNPTの議論の内容を見てみましたけれども、完全に非核保有国の安全を保障するのは核兵器の完全廃絶だという少なくない国の発言にも見えるわけですね。それは必ずしも今の段階で延長するということにすべて反対だと言わない国でも、やっぱり核兵器の廃絶ということが我々にとっての完全な安全保障だ、だからそういう方向に努力してほしいというふうな発言が相当あったと思うので、この点についてはぜひ、もう時間がないからこれで終わりますけれども、そういう化学兵器の完全禁止というようなことが実現できる状況が出てきたわけですから、核兵器についてもやっぱり完全廃絶ということをできるだけ速やかに行える努力をしていただきたいということを最後に強く要望しておきたいと思います。 大臣の御所見をいただいて、質問を終わります。
○国務大臣(河野洋平君) 国連におきましても、例えば予防外交とか、何かトラブルが起こる前にそのトラブルを未然に防ぐという仕組みというものは、今、最も野心的な分野だと思いますね。そのために何ができるかということについて大いに議論をし、そしてその方法を見つけ出すということが極めて重要だと思います。そうした分野にも我々は大いに関心を持って努力をしたいと思います。
○椎名素夫君 化学兵器の問題については、二日間にわたって同僚議員からさまざまな角度からの御質問がありまして、もうあえて私がさらに質問すべきことは残っていないかと思うんです。時間がありますので、お許しを得て、足腰にかかわるのじゃないかという問題についてちょっとお伺いをしたいと思います。 せんだって、交通も余り便利ではないし、郵便なども便利でないんでしょうね、ある在外公館長にお会いをしたら、日本の新聞が届くのは六日おくれだというのですね。それで、何か情報島流しに遭ったような気分で非常に落ちつかないという話をしておりました。これはいろんな形で実際の仕事にも差し支えるんじゃないかと思いますが、それと同時に士気にもかかわる問題だろうと思うんです。便利なところは、今、衛星で送って現地で印刷をする新聞なんというのは日本で印刷するよりも早い時間に配られたりすることがありますが、一方では、今申し上げたようなところも世界の中にはたくさんあるだろうと思うのです、そのあたりは一体どういうふうにしておられるのか、伺いたいと思います。
○政府委員(池田維君) 特に開発途上地域にございます在外公館は通信とか郵便の事情がよくないという状況がございまして、椎名先生御指摘のとおり、特に我が国の最新情報を迅速に入手するのは確かに難しいという状況が幾つかございます。 しかし、私どもといたしましては、できるだけこういった状況を改善するということで、原則といたしまして、これは先進国、開発途上国を問いませんで、在外公館すべてについて、毎朝、日本の主要新聞のニュースの要約版、これは一般情報と称しておりますが、それを作成いたしまして、外務省の通信網を通じて在外公館に送付はいたしております、これは全体として主要紙の見出しが中心でございます。何新聞には一面トップが何という見出しであったかということは、全世界の我が方の公館はその日のうちに見ることができるようになっております。 しかしながら、もう少しこの報道の内容の詳細について知りたいと思うときには、まさに今御指摘のような事情が幾つかあるわけでございます。例えば、アジア地域の公館では、日本で出版された新聞を入手するのに三日間程度時間がかかっております。それから、中南米地域で三日間程度、中近東、アフリカで四日間程度ということでございます。 しかし、こういう事情を何とか解消するということで、ファクスの通信網で在外公館の劣悪な地域につきまして何とか改善を図りたいということで、平成六年度からは特に通信事情の悪いところにファクスによりまして我が国の主要紙の主な記事というものを送付するサービス、これはファクス新聞と呼んでおりますが、これを開始したところでございます。百八十程度ございます在外公館すべてにはまだ行き渡っておりません。 したがいまして、ただいま御指摘になられましたような地域はまだございますけれども、私どもといたしましては、できるだけその範囲を今後とも拡大していきたい、そうしてそれによって情報というものをもっと正確に提供できるようにしていきたいというように考えております。
○椎名素夫君 今おっしゃったことは随分手間をかけて大変なことだろうと思うんですけれども、そのとき申し上げたんですが、今、コンピューターを皆大体持っておられますね。あれでつながるんですね、世界じゅうに。殊に日本にはつながる。コンピューターがあるのだったら、それをちょっと工夫してインターネットにつなげて、それから日本のコンピューターサービスにつなげる。そうすると、全新聞どころか地方新聞まで全部入っちゃうんですね。見出しはもちろん最初出てきますが、欲しければ全文出てくるというような仕掛けになっている。外務省で手間をかけておつくりになるよりも、大してお金はかからないのでその方にはそれをしなさいよと言ったら、早速考えますと言っていましたが、そういう工夫を全部にわたってなさったらどうかという気がするんです。 今のお話は、いろんなファクスニュースなんかやりますが、これはある意味ではかたいところだけでしょう。ところが、きのうから相撲をやっているけれどもだれが勝ったのかなというような話とかというのもやっぱり必要なんですね、誇りある外交官であると同時に日本人ですから。また、そういう不便なところは、周りにいる在留邦人の方々は同じように情報の枯渇で島流しに遭ったような気持ちになっているから配ってあげるとか、そういうことをやるためには、もう既にでき上がっているようなネットワークとかデータベースみたいなものをむしろ活発に御利用になって、本省でニュースをつくったりする手間をかけたりするよりその方がよっぽど速いんじゃないか。あの速報ニュースなんというのは、新聞に載る前あるいはこれから何時かのニュースでやる前のテレビ局のニュースなんというのもみんな入ってしまって、それこそ大変速いし、最も大したことはない。今圧縮してだんと送りますから安いものだし。何かそういうソフトを統一的におつくりになっておやりになったらどうか。これは提案ですが、ぜひお考えを願えればと思います。
○政府委員(池田維君) ただいま御指摘いただきましたような点は、私どもぜひ積極的に検討をさせていただきたいと思います。 ちなみに申し上げますと、幾つかの通信社のニュースを講読するためのティッカーですが、これは例えば共同通信とかそういったものが自動的に入ってくるティッカーというのはもう既に在外公館、百五十機設置いたしておりますので、かなりニュースの大小とかそういうものに無関係にずっと入ってくるというようなものはございます。それから、パラボラアンテナを在外公館で二百五十二基つけておりますので、今御指摘のようなインターネットに結びつけるという意味では相当役に立つ設備自体はもうございますので、御指摘いただきましたような点につきましては何とか予算措置等を講じまして早く実現したいと思います。
○椎名素夫君 それで、これは日本につなぐだけじゃなしに、それをやっておくとそこらじゅうにつながるんですね、ワシントンだろうがパリだろうがロンドンだろうが。およそ情報を発信しているところには即座につながるという利点がその上に乗っできますので、せっかくこういうハイテクノロジーの国の外務省ですからあるものは、それに安くなっていますから、ぜひ御利用になるといいということを重ねて申し上げておきたいと思います。
○政府委員(池田維君) 一般的な情報を単に活字の上で入手するということでは、先ほど申しましたようなティッカー等を通じて相当程度入手できるわけではございますけれども、在外におりますと、特に情報の孤島になりそうなところは、日本の新聞の活字に書いてあるような、そういう見出しも中身も、それがコピーされたものを見ることによって感じをつかみたいというのが一般的な強い要望でございます。したがいまして、何とかファクスでうまくつながるような形のものを、つまり目で見られるようなものを情報として提供したいというように考えておりますけれども、大変貴重な御指摘をいただきましたので、ぜひその方向で実現いたしたいと思います。
○椎名素夫君 幾つか実はあるんですが、これできょうはおしまいにします。
○委員長(田村秀昭君) 他に御発言もなければ、本件の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約の締結について承認を求めるの件に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(田村秀昭君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 なお、本件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田村秀昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(田村秀昭君) 次に、国際連合要員及び関連要員の安全に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。 政府から趣旨説明を聴取いたします。河野外務大臣。
○国務大臣(河野洋平君) ただいま議題となりました国際連合要員及び関連要員の安全に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 この条約は、平成六年十二月に第四十九回国際連合総会においてコンセンサスにより採択されたものであります。 この条約は、国際連合の平和維持活動等に従事する要員に対する殺人、誘拐の行為などを犯罪として定め、その犯人の処罰、当該犯罪についての裁判権の設定などについて規定するものであります。 我が国がこの条約を締結することは、これらの活動の効果的な実施及びこれに従事する要員の安全の確保に資するとともに、これらの活動に対する我が国の高い評価を示すという見地からも有意義であると認められます。 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。 何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
○委員長(田村秀昭君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本件の質疑は後日に譲ります。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時四十分散会