労働委員会 第13号
- 発言数
- 69 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1995/05/12
会議録
○笹山委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案及び松岡滿壽男君外四名提出、介護休業等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桝屋敬悟君。
○桝屋委員 おはようございます。早速質疑に入らせていただきます。 今回の介護休業法、地方公聴会あるいは中央におきます参考人の御意見等もいろいろお聞きしまして、私ども新進党といたしましても、特に経営者協会あたりからの厳しい御示唆をいただき、今議論されている介護休業法の社会における大変難しい位置づけというものを私どもも強く認識をいたしました。そういう意味で、最終になるかどうかですが、地方公聴会並びに参考人の意見あるいはこの労働委員会での質疑等も通しまして、再度何点がまとめをさせていただきたいというふうに思っております。私、新進党で、介護休業の期間を今回専ら担当いたしております。その部分にまず話を持っていきたいと思います。 今回の労働委員会での質疑等も通じまして局長の方からも御説明がありましたが、今回の政府案の三カ月というこの期間の考え方につきまして何度も御説明をいただきました。介護休業に関する専門家会合報告書、これを何度もお出しになったわけでございますが、私も改めてこの報告書を何度も読み直したわけでございます。 介護休業の期間につきましては、御説明もありましたが、限度を設けるということ、私ども新進党としても、これは今の状況からしまして、上限を設けるということはそれはやむを得ないだろうというふうに考えておりますが、その限度を設ける場合の考え方で、この専門家会合の報告書を読みますと、「要介護者の症状の経過と家族による介護の必要度を勘案し、最低限必要と考えられる休業の期間や回数を判断すべきである。」という説明になっております。まさに、介護の実態に着目をして最低限必要と考えられる休業の期間を判断すべきである、こういう当然のお話があるわけでございますが、そうしたことで私はこの席で、介護の実態といいますか、「要介護者の症状の経過と家族による介護の必要度を勘案」して、この認識論の問題を再度やりたいというふうに思います。 最初に、介護の実態、これも委員会で随分話が出ました。現在の我が国の要介護者の実態は、厚生省の一九九三年の調査で、痴呆性老人と寝たきり老人が百万人、これは虚弱を除くいわゆる要介護の状態の数で百万人という数字もお聞きいたしました。きょう厚生省から来ておられると思いますが、このうち私非常に関心を持っておりますのは、在宅に現におられる方と入院、入所のこの割合というものの実態はどうなっておるのか。四十数万人という御説明も委員会であったように思いますが、再度厚生省に御確認をさせていただきたいと思います。
○吉冨説明員 平成四年度末現在、約百万人の要介護老人の方がいらっしゃるわけでございますが、そのうち在宅で介護を受けていらっしゃる方は約四十四万人でございまして、老人福祉施設等で介護を受けていらっしゃる方が約五十五万人、こういうことになっております。
○桝屋委員 そうしますと、百万人の要介護者がいて、現状約四十四万人ぐらいが在宅、施設入所あるいは病院が残り五十五万人ぐらい、四五%と五五%ぐらいのこんな大まかな理解でよろしいですか。 私も恐らくそうだろうというふうに理解をしております。現在、我が国にいらっしゃる寝たきり老人あるいは痴呆性老人、要介護、介護を必要とされるお年寄りの方の実態というのはこういう実態になっているわけでございますが、今回この労働委員会でも随分議論が出たポイントの中に、新進党は家族介護中心でいくのか、一年なんと言っているけれども、全部家族介護で賄おうと思っているのじゃないかというある意味では誤解もいただいたわけでございますが、私ども、決してそうではないわけでございます。 現在、四〇%以上、四五%ぐらいいらっしゃるいわゆる在宅の寝たきりなり痴呆の方、要介護の方、これは言葉をかえますと介護が必要ということですから、在宅で何らかの介護をされる方が逆にいらっしゃるということであろうというふうに私は理解をいたしております。 そうしますと、今後、将来どうなるのか、まさに家族介護でいくのか社会介護でいくのかという議論もこの委員会であったわけでございますが、この数はちょっと多いから将来はできるだけ、もう少し施設、病院も必要ではないかというふうに私は思っているわけでございますが、ここも厚生省にお聞きしますと、非常に苦しい回答になるかもしれませんが、将来、我が国の二十一世紀初頭 に我が国が初めて迎える大きな高齢社会の波が来るというふうに言われているわけですが、その状態のときに果たして、公的介護システムの中で、いわゆる施設なり病院というもの、いわゆる在宅でお世話しなくても社会的に施設や病院でお世話していただける、この割合というのはどのぐらいを見通しておけばいいのか、この介護休業を検討する上でぜひとももう一度確認をしておきたいというふうに思います。言える部分だけで結構でございますので、厚生省の御説明をいただきたいと思います。
○吉冨説明員 自治体が作成をしました老人保健福祉計画、これは平成十一年度の時点での要介護老人の数あるいは必要な施設、在宅サービスの水準、こういったものを推計をしまして基盤整備を図っていこう、こういうことでございますが、それによりますと、平成十一年度末の時点で、在宅で介護を受けられる方が約五十九万人、そして老人福祉施設などで介護を受ける方が約八十万人、こういうようなことで見込まれております。
○桝屋委員 ゴールドプランの目標値、平成十一年の姿ということで今御説明をいただいたと思うのですが、恐らくそれから先の計画は実はないのだろう。何とかしなければいけないと私どもも思っているわけですが、平成十一年度、在宅で五十九万人、その他施設、病院で八十万人、恐らく今在宅で介護されている率、大体横ばいで推移するというくらいで考えていいのかなというふうに思っておりますが、恐らくこれから底辺であります高齢者の数が当然ふえてくる、そういうことに伴って施設等も新ゴールドプランでふやすけれども、在宅での介護の割合というのは私はそんなに変わっていかないのだろう、そこから先はどうするかということは実は政治の大きな課題であろうというふうに思っております。 したがいまして、私どもは、今回労働委員会でも議論がありましたが、介護は社会化すべきであるという議論、一〇〇%社会化で対応できるというふうには、また、すべきであるというふうには実は考えられないわけでございまして、恐らく日本型福祉社会を二十一世紀の少子・高齢社会で私たちが志向するといたしまして、その具体的なビジョンというのはまだ明確になっていないわけでございますが、しかしながら、さりとて、すべて介護は社会化できるという時代は、恐らく私は、費用と負担の関係から考えても無理だろうというふうに思っております。 そういう意味では、今後、二十一世紀のまさに初頭に迎えます人類が経験したことのない高齢社会、介護の問題が大きく横たわるわけですが、やはり家族介護というこの実態というものは、在宅で介護をしなければならないという、しなければならないといいますか、在宅で生活をされる要介護の方がいらっしゃるというのも、これまた事実であろうというふうに思っております。そういう意味では、現在厚生省等で検討されていますが、家族の方が自宅でお世話をされる場合の手助けといいますか、支援策というものを十分拡充していかなければいけない、これは私どもも強く感じているわけでございます。 さて、そこで、先ほどの話に戻るわけですが、介護休業の期間を考える場合、要介護者の症状の経過と家族による介護の必要度を勘案する、もう一回この原点に私は返りたいと思うんですが、この専門家会合でもお示しをされておりますが、いわゆる典型的なパターンとして、脳卒中で家族が倒れた場合のお世話の概念図あるいは介護休業の利用パターンというものをお示しをしていただいております。私は、この一覧表というのは、このスキームといいますか表は大変わかりやすいものでございまして、恐らくこの介護休業を今から国民の中に御理解をいただく上で非常に重要な書類ではないかというふうに実は思っております。 脳卒中というのは非常に我が国では多いわけでございますので、脳卒中を選ばれて介護休業の利用パターンをお考えになったということは私は非常に妥当な考え方だというふうに思っております。しかしながら、これは確かに医療の世界、お医者さんから見るとこういう認識もあるのかもしれませんが、これを見ますと、脳卒中で倒れた場合の病気の状態の経緯が書いてございますが、急性期あるいは亜急性期、これで二週間から一カ月、それから回復期になりますと一カ月から三カ月だ、慢性期になりますと三カ月から六カ月、その後六カ月以上は安定期を迎える。こういう病状の流れに従いまして、当然ながら、急性期なり亜急性期においては医療施設で生活をされるんだろう。それから、回復期、一カ月から三カ月ぐらいの間では、介護休業を効果的にお使いいただいて就労を継続されるということだろうと思うんです。そして、三カ月を過ぎまして慢性期になると、そういう方々は、重度の方は施設へ入所されたり、いろいろなケースが出てくるんだろう、こういう流れなんです。 最初に、認識論として、私は、この前提として、実態と大分遣うんではないかという気が、何度も申し上げているんですが、しております。 一つは、医療施設で生活をされる場合ですが、治療を受けられることが最初にあるわけですが、脳卒中で入院された方の入院期間、これがこの利用パターン、専門家会合で報告されたこのパターンでもそうなんですが、急性期、亜急性期で二週間から一カ月ぐらい、回復期の一部も含むのかもしれませんが、その程度の入院というふうに考えるのか。 実は私、資料を、データを持ってまいりましたが、平成五年の「患者調査」、厚生省の調査がございます。これを見ますと、脳血管疾患で入院をされた場合、総数で見ますと平均百十九日、約百二十日、四カ月、平均でも入院をなさる。当然ながら年齢によって、年齢が高くなればなるほど入院期間が長くなるわけでございますが、脳血管疾患で入院された場合、四カ月ぐらいの平均があるというこの実態ですね。 さらには、私も地元で、山口県の脳卒中情報システムで当たってまいりました。データは二カ年なんですが、どのくらい入院をされておられるか。脳卒中情報システムというのは、まさに今回、労働省さんがあるいは専門家会合がお示しになっているこの病状、脳卒中と同じなんですが、脳卒中情報システムというものを今厚生省は仕掛けられております。そのデータで見ますと、二カ年の間に退院をされた方の平均入院期間といいますか、入院期間の状況を見ますと、一カ月以内で退院をされる方が一九%、一カ月から二カ月がやはり一九%、三カ月から六カ月の方がやはり一九%ぐらいということです。 先ほどの患者調査では四カ月ぐらいの例があるというこういう実態も見ているわけですが、私はある意味では、この表なんですが、医療施設で治療を受けられるのが急性期、亜急性期で二週間から一カ月、これは実態から見てちょっと余りにも離れているのではないか、こういうふうに思うんですが、この点、専門家会合で議論はございませんでしたでしょうか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
○松原政府委員 専門家会合は、先生も既に御承知と思いますけれども、メンバーの方を見ていただきますと、お医者様とか高齢者の介護の問題の専門家の方とかそういう方にお入りいただいて、まさに医学的、専門的な見地から御検討をいただいたわけでございます。 多分、今先生がおっしゃいましたのは、そういう医学的な見地のみならず、社会的な実態ということでおっしゃったのだろうというふうに思いますけれども、この専門家会合は、今申し上げましたような見地からの検討ということを御理解いただきたいと思いますし、私どもも、この先生がお示しいただきました概念図というのは、そういう検討の結果取りまとめられているというふうに理解をし、今回の法案のベースにさせていただいているというものでございます。
○桝屋委員 専門家の方が高度な専門的な検討をされたんだから意見を言われても困ります、こうおっしゃるのかもしれませんが、確かに私はこういう専門家の御意見も理解はできます。こういう 症状はなくはないことは否定はしません。このパターンでいくケースもそれはあるだろうと思いますが、しかしながら、今私が申し上げました実態、いかなる専門家の会合であろうとも、実態からかけ離れて議論をするということは私はいかがなものかというふうに思うわけでございます。 あえて申し上げますと、医療施設へ入院されるケースというのは、現在私が持っていますデータでいきましても、一カ月を超え四カ月、あるいは二カ月、三カ月、四カ月というケースが多々あるというこの実態をまず申し上げたい、このように思うわけであります。 続きまして、どうもこの概念図を見ますと、労働省さんがイメージされているのは、介護休業は、退院をされてから三カ月、最低三カ月、いわゆる緊急避難的に家族の方がこの制度を上手にお使いになって就労を継続されるというまさにこういうパターンだろうと思うんですが、この中に三つのパターンがありまして、完全に回復するパターン、そして労働者は職場復帰される、介護者は職場復帰される、それから病状が軽くなって固定をするというケース、もう一つは症状が重いまま固定、この三つがあるわけでございますが、完全に回復あるいは軽快というのは私はすばらしいことだというふうに思いますけれども、問題なのは、症状が重いまま固定という方が実は今、多くの国民の方が不安を抱いている介護の問題になるわけでございます。 どうでしょうか、これは。介護休業、脳卒中で完全に回復されるケース、あるいは症状が軽くなって固定をするケース、症状が重いまま固定するケース、大体どのくらいの割合でお考えになっていますか。その辺の想定はございますか。
○松原政府委員 この専門家会合の性格は、どういったパターンで、治癒ないし死亡に至るケースがどの程度あるかという観点から検討したものではございませんので、今先生が御質問されたことに対して直接お答えでさるようなものがあるわけではございませんが、かつまた、私どもはそういうことについて正確に集めた統計を持っておるというわけではございませんけれども、これはある家庭向け医学書でございますので今の御質問に十分お答えできる内容と言えるかどうかという点はあるものの、御参考までに御紹介させていただきますと、その医学書によりますと、脳血管性疾患で倒れた場合、初回発作の急性期で死亡する方というのは大体二割ぐらいおられる。それの残り、つまり八割、残りの八割の方のうち、重い後遺症による寝たきりになられる方が約三割、ですからトータルで見て全体の二十数%、こういうことになろうかと思います。自分で日常生活ができる程度に回復される方が約半分。ほとんど完全に軽快される方が約二割といったように示された医学書がございます。 もちろん、これも多分、多分と言うと恐縮でございますが、医学書として出されているものですから、医学的、専門的に検討された上出されたものだと思いますので、完全に先生の御質問にお答えできているというふうには思ってはおりませんけれども、おおむねのつかみとしては今申し上げたようなところではないかというふうに私どもも思います。
○桝屋委員 貴重な資料、ありがとうございました。 この点も、私も、地元の先ほど言いました脳卒中情報システムで当たってみました。できるだけ仕事をお持ちの労働者がいらっしゃる家庭でと思いましたのですが、全体で見ますと、大体、完全に回復される方がかなり多いのですね。四割方ぐらいいらっしゃいまして、病状が軽くなって固定する方も四割ぐらい。残りの方がやはり症状が重たくなる。恐らく亡くなる方は別途、このデータに上がってきませんが。いずれにしても、今局長さんがおっしゃったように二〇%ぐらいの方、あるいは私どもが調査しました一四、五%ぐらいの方が、一五%から二〇%ぐらいの方はやはり症状が重いまま固定をするという方がいらっしゃるという、実はここが大変大きな問題だろうと思うのです。 それで実は、この三カ月という期間について重ねてちょっと申し上げますと、症状が重いまま固定をした場合のケースでちょっと申し上げますと、この脳血管疾患の場合に必要とされるお世話の概念図の文書で見ますと、例えば発病後三カ月以降について、寝たきりや痴呆になった者については、その状態も固定してくるため、施設での介護を受けることになるものと、引き続き在宅で介護を受けることになるものとに分かれてくるということで、三カ月を超えると症状も固定をしてきて、ある人は在宅で介護のお世話ができなければ、じゃ施設で、おうちで介護できる方はおうちで、こういうふうに落ち着いてくるという説明なんです。 実は、これも厚生省の仕事ですが、身体障害者福祉法という法律がありまして、身体障害者の手帳が出ます。重い後遺症なり肢体不自由とか障害が発生をすれば、障害が残れば、身体障害者の手帳の交付を受けて、そして身体障害者福祉法にいうところのさまざまな在宅サービスや施設入所が可能になる。このサービスや施設入所の前提条件としては手帳をおとりにならなければだめだ、こうなっているわけですが、例えば、身体障害者の手帳も、脳血管疾患の場合は、これは一般的に言われていることでございまして、厚生省も通知等はございませんで、疑義解釈に、「脳血管障害に係る障害認定の時期について発症から認定までの期間を示すべきものと考えるがいかがか。」こういう問いに対して、厚生省の答えは、脳血管障害は、どの程度の機能障害を残すかはほぼ六カ月以内に決まるものが通常である、その時点以降に認定することが適当である。いわゆる原則論が書いてございます。もちろん身体障害者手帳は、それだけではいけませんで三カ月未満でもいいと。その場合は、明らかに症状が固定しであるように、CTスキャンを撮ったりさまざまな複雑な手続がありますが、一般的には市町村の窓口では六カ月を超えないと身障手帳の申請の受け付けすらしてもらえないという実態がございます。これは私も幾つかの市民相談を受けて了知しております。 そうしたことを考えますと、六十五歳以上で特養にお入りになる方はいいのですが、若年性、若い方で、六十歳以下の方が脳卒中で倒れて肢体不自由になる、身障手帳をもらって施設でも利用しよう、こうすると、三カ月、四カ月ぐらいでは一般論として無理だ、こういう実態がございます。ここも、私は、ある意味では制度の調整をしなければいけない部分だろう、こう思っておるわけですが、こういう情報というのは労働省もおつかまえになっておられますでしょうか。
○松原政府委員 先生が今御指摘になりましたことについては、私どもも情報を得ております。 ただ、先生がお述べになりました後、先ほどの厚生省が出されております認定基準によりますと、近年における診断技術の発達により三カ月以内に決定し得るような重度の場合もあるということも書かれておりまして、特に、医学の技術の進歩などによりまして、今おっしゃったようなことが原則ということでもないという場合も多々あろうかと思います。そのことだけつけ加えさせていただきたいと思います。
○桝屋委員 局長、多々ないのですよ。ほとんどありません。私も実態を現場で何度もお聞きしてきましたけれども。これは要望ということで、私どもは、新進党はあくまで一年ということで動いておりますから、一年であれば、六カ月から一年たって身体障害者の手帳がおおむね出るわけですから、これは問題ないわけですが、例えば政府案の三カ月でいくのであれば、こうしたきめ細かな連携もぜひお願いを申し上げたいというように思います。厚生省に聞きましたら、大丈夫です、出ます、こう言うでしょうが、実態はそうではございません。あくまでも私は実態に即して議論をしたいと思っております。 それからもう一つ、この表の中で、一番症状が重いまま固定する場合の問題なのですが、さっきも言いましたように、三カ月を超えて施設入所さ れる方、あるいは家族で介護という在宅で生活をされる方、このケースに分かれると思うのですが、施設入所については、この前名古屋の地方公聴会で、施設入所を申し込んだって三年から四年というひどい数字を聞きまして、私も唖然といたしました。 これは連合さんの調査、今回連合さんがわざわざこういう実態調査をやっていただきましたけれども、この調査によりますと、特別養護老人ホームヘの入所待機期間はどのくらいか、申請をしまして実際入所できるまでどのくらいかかっているかといいますと、施設全体では六・四カ月、特養、特別養護老人ホームに限って見ますと、社会福祉法人立の場合は八・一カ月、公立の特養の場合は十・八カ月ということで、かなり長い期間待たなければいけない実態があるということでございます。 厚生省さん来られていますが、まず特養の待機期間を厚生省としてどのように把握しておられるのか、この連合の数字もお示しをした上ちょっとお聞きしたいと思うのですが、いかがでございましょう。
○吉冨説明員 特別養護老人ホームへの入所に要する期間でございますが、これは地域によってかなり差があるものというふうに考えておりますけれども、先生御指摘のように、中にはかなり長期にわたりまして待機を余儀なくされているケース、こういうケースもあるのではないか、このように考えております。
○桝屋委員 今厚生省さん、非常に地域差があると。東京等では一般的に一年を超えないとまず入れない、こういう実態もあるわけでございまして、そういう意味では、この利用パターンでいきますと、症状が重いまま固定をしましたと、労働者は職場復帰する、そして公的サービスを利用しつつ他の家族が介護を行うというケースはそれでいいのですが、他の家族がない。今回居率もどんどん下がっております、東京あたりは相当下がっておりまして、欧米に近づいているという実態も伺っております。 そうしますと、勢い施設入所、こういうことになるわけでございますが、施設入所は、今言いましたように地域差がある。東京あたりでは一年、愛知では三年から四年という話を聞いて、これは愕然としましたが、連合の調査でも六カ月あるいは十カ月という数字が出てくる。そうしますと、介護休業期間を三カ月おとりになって、症状が重いまま固定をする、そして職場復帰をして施設を希望しようとすると、これプラス六カ月ぐらい足していただかないと安心をして労働者の方はこのパターンに乗っかれないわけでございまして、ぜひこれは、労働者にお示しいただくときには何か、この施設入所を線を引っ張るときには、地域によって差があるが長い人は入所待ちもありますぐらいは、実態として必要だろうと私は思うわけであります。 今のような状況を申し上げたわけでございますが、こうした実態を考えますと、確かに介護休業の利用パターン、あるいは脳卒中での一般的なお世話の概念というのは、専門家会合である程度、特に医学的な見地から私は理解できるものでありますが、実際に介護の、私たちは今介護休業を検討しているわけですから、介護の実態に着目して言うならば、なかなかこんなにうまくいかないのではないか。 三カ月という数字は、これは局長さんの方からも委員会で答弁がありました。三カ月という根拠をるる述べられた後、この介護休業制度というのは緊急避難的にどうしても三カ月は必要だというふうに考えるという御答弁もいただいたわけでありますが、労働者の方が要介護者を抱えて緊急避難的に介護休業をおとりになる、その場合の最低の数字として三カ月というのは、今申し上げたような実態からすると、私は大変にある意味では低く見積もり過ぎではありませんかというふうに思うわけでございまして、ぜひそこのところを御検討いただきたい、このように思うのですが、どうでございましょうか。
○松原政府委員 私どもが提出させていただきました法案における三カ月の考え方は、既に何度も申し上げさせていただいておりますので繰り返すのもいかがかと思いますけれども、もう一度申し上げさせていただきますと、確かに先生が御指摘のように、個々のケースを見ると介護というのは本当に多種多様だということを私どもは承知しておりますので、個々のケースを見れば、三カ月を超えて家族による介護が必要となる場合がないということを言っているわけではありませんで、それもあり得ましょう。しかし、一人の家族に長期の介護をゆだねるということになりますと、それは個人の肉体的、精神的な疲労という観点からも限界に来るのではないか。実際に介護で困ったことは何かといったようなことを調査いたしますと、精神的な負担が大きいということを挙げた方が非常に多いというのは先生も御承知だろうと思います。 そういうことを考えますと、長期に介護が必要だからといって、一人の人にそれを担わせるということは、これは非常に過酷なことではないかというふうに私どもは思うわけでございます。そういった場合は、むしろ家族が交代して介護に当たるといったようなことなどをやっていただいて、特定の人だけに介護の負担がかかるといったことのないようにしていただくことの方が、より長期にお年寄りなりを見るということが家族の中でできるのではないかというふうに思うわけでございます。 また、こういった労働者が介護をしなければいけないという必要性と、もう一方では、介護休業という労働条件について事業主に対する義務を課すということになってくるわけでございますので、長期の休業者が出た場合の中小零細企業なども含めた企業のそういう負担ということも配慮する必要があろうかと思うわけでございます。そういう観点から、三カ月を超える期間を一律に企業に義務づけるということは私どもは難しいというふうに考えたわけでございます。 最初に申し上げましたように、三カ月を超えて家族による介護が必要な場合というのもないわけではございません。こういった場合に対応するためには、労使が十分に話し合っていただきまして、この法律で定めようとしておりますのは最低基準でございますので、それを上回る制度が導入されることが私どもも望ましいというふうに考えているわけでございますので、そういった御努力を労使あわせてやっていただくことが必要なのではないかというふうに思う次第でございます。
○桝屋委員 私がお尋ねしたかったのは、一般症例として利用パターンをお示しいただいた、このパターンというのは余りにも低く見積もり過ぎではありませんか、このようにお尋ねしたわけでございますが、結構でございます。 今お答えになったのは、一人の方が三カ月を超えて一年なんということになると、一人の方に介護がかかり過ぎだ、こういうお話がございましたが、これまた介護の実態を余りにも御承知でないお話だろうと私は思うのです。実際に介護なんというのは、一年を超え、二年、三年、みんなお一人でおやりになっている、こういう実態が今地域で行われている介護の実態である。 確かに、家族で交代交代でやろうと言っていろいろ苦労をされておりますが、それができなくて、中には非常に不幸な結果が出てきたようなケースもあるわけでございまして、私ども、そういう意味では一人の方におっかぶせようなんてさらさら考えているわけではないわけでございます。そういう意味では、ぜひとも私どもは、介護する方のサポートシステムというものはがっちりつくり上げていかなければいけない、こう思うわけでございます。 そこで、後半部分で局長さんがお答えになった部分は、私は理解できます。むしろ、今回労働省さんがこういうパターンをお示しになって、緊急避難的に最低限三カ月あれば何とかなるだろう、こういう説明をされるから、それを前提に議論されるから、違う、私はこう申し上げているわけで、 実際は介護の実態はもっと長いのだ、緊急避難的にはもっと必要なんだ、だけれども、今の労働条件の中で、労働界の中で理解をいただくには三カ月が限界です、労働者の声はわかるけれども、経営者の立場に立ってください、これは無理ですよ、こういう議論であればまだ理解できます。しかしながら、緊急避難的に見てもこのパターンで大丈夫だ、こういうふうにおっしゃるから、現実は違うのだ、このように私は申し上げているわけであります。 ちなみに、専門家会合報告書、これの私が非常に納得できない部分をもう一つ御紹介しておきたいと思います。 もう一回御説明をいたしますと、上限を設けるのは私も納得でございます。その上で、その期間を判断するのに、何度も言いますよ、「要介護者の症状の経過と家族による介護の必要度を勘案し、最低限必要と考えられる休業の期間や回数を判断すべきである。」このように言って、この専門家会合で使われている理由は、これは局長もこの委員会で何度か使われた理由でございます。一つは、例えば脳卒中の場合、今僕が申し上げたケースですが、最低三カ月あれば大体落ちつくだろう。私は、そんなことはない、身障の例を申し上げました。それから、アルツハイマーのような方であれば、これも三カ月を過ぎれば施設へ入ればいいじゃないか、こういう説明があって、一番私が納得できないのは、この最後、今のような理由に加えて、「平成五年度女子雇用管理基本調査によると、実際に労働者によって取得された介護休業の期間としては「三か月未満」で七七・七%という高率になっており、この実態からみても、この程度の期間の確保は必要と考えられる。」とあります。 この七七・七%、約八〇%ですか、八割と局長はこの前委員会で御答弁になりましたけれども、現在介護休業制度が導入されている企業の中の実際におとりになった方が三カ月未満という方が八割だ、こういう説明をされているわけであります。しかし、私は、この数字こそ相当意図的な数字ではないか、こういうふうに思うわけでございます。 それはどういうことかといいますと、実際に介護休業が導入されている企業全体の平均が三カ月までとった方は七七パーということでございまして、実はこれは全部の合計で、この合計の中には企業によって上限を付している企業も全部一緒くたにまぜ込んでいるのですね。当然ながら、企業の中には最高限度の休業期間を決めている、限度を設けている企業もたくさんあるわけでございまして、たくさんあるかどうか率まではここでは出ていませんが、一カ月未満、あるいは一カ月から三カ月未満、あるいは三カ月から六カ月未満、例えば三カ月までが我が企業での限界ですよ、そういう数字を全部挙げているわけで、実は三カ月未満の企業にあっては三カ月以上の休業はとれないわけでありまして、そういう数字を全部足し込んで合計で七七パーという数字をお出しになるというのはいかがなものか。 ちなみに、これは私の理解が間違っていたら教えていただきたいのですが、例えば三カ月を超えて、三カ月から六カ月未満の上限を持っている、休もうとすれば三カ月以上六カ月まで休める、そういう許容されている企業の中で、三カ月以上の方は実はたった〇・九%。しかしながら、六カ月から一年未満、会社が与えている上限が幅が長くなってきますと、これは相当ふえてくるのです、三カ月以上とっている方が相当ふえてくる。 その割合は、わかりやすく申し上げますと、さっき三カ月未満しかとっていない人は七七・七%というふうに言われましたが、これは企業の休業期間に上限をちゃんと設けているところについて言えば、例えば六カ月から一年の上限を設けているところについては、今の七七・七%という数字は四四・三%になる、あるいは一年を上限としますよという企業では五二・八%、一年以上の限度になりますと、これも五〇%。七七・七%という高率ではないわけでありまして、三カ月未満が高率というのは、実際企業が認めないからとっていないわけであります。ちゃんと幅があれば長い期間の休業をおとりになっている、この労働者のニーズがあるということを認識すべきだ、私はこういうふうに思っております。 ちなみに、一番私が注目しましたのは、幅があれば、三カ月を超えて六カ月までとっている方が、幅が長くなればなるほど、この率がふえてまいります。驚くことに、一年以上の限度を持っているところについては、三カ月を超えて六カ月まで取得されている方は全体の四五%、どんどん伸びている。ということは、労働者の介護のニーズというのはこういう実態があるんだ。介護休業に関する専門家会合の報告書はどうしてそういう整理をされなかったのか。余りにも意図的な整理ではないかというふうに私は思えてなりません。この資料の理解の仕方を御指導いただきたいと思います。
○松原政府委員 今先生が御指摘になりましたのは、平成五年度の私どもが実施いたしました女子雇用管理基本調査の結果ではないかというふうには思いますが、それによりますと、繰り返しになりますけれども、おっしゃるとおり、全体を合計いたしまして、いわゆる平均値で見ますと、三カ月未満の取得者が七七・七%ということになっている。これはこの間申し上げた数字でございます。 おっしゃるとおり、企業で最長の介護休業期間を設けているという企業のうち、何カ月、どの程度の期間を定めているかというその期間ごとに見ますと、三カ月から六カ月未満を定めている、三カ月を超えて六カ月未満の間の休業がとれるというふうに決めているところにつきましては、三カ月未満の取得者が九九%というふうになっております。それから、六カ月を超えて一年未満という制度を持っている企業では、三カ月未満は、先生御指摘になりましたけれども四〇%の半ば。それから一年という制度を持っている企業では、三カ月未満という取得者が約五三%。そして一年を超える期間を定めている介護休業制度を持っている企業においては、三カ月未満しか利用しなかったという方が五〇・六%。限度はなく必要日数取得できるという制度を持っておられる企業もあるわけですが、そういうところで見ますと三カ月未満は八八・一%ということで、それらを平均して七七・七%ということでございます。 これは先生、意図的というふうにおっしゃいましたけれども、必ずしも意図的という意味ではございませんで、この調査の結果を引用したということで御理解いただきたいと思いますし、制度の実態ごとに述べなかったということはあろうかと思いますけれども、今申し上げましたように、三カ月を超える期間を定めている場合でも、例えば一番最初に申し上げた、三カ月を超えて六カ月未満の制度を持っている企業でも、三カ月未満に復職されている方が九九%という数字も一方にあるわけでございます。労働者の介護ニーズというのはさまざまでございますので、どこを見てやるかというものはあろうかと思いますけれども、この専門家会合においては、平均値を示すということで決断をされたわけでございます。
○桝屋委員 意図的というのは言い過ぎかもしれませんが、しかしながら、これは局長も委員会で高率という七七パーという数字は御説明をされたわけでございまして、これは単純に合計をすれば足りるというものではないんだろう。やはり企業のそれぞれの持っている制度ごとに比較検討をしなければ、私は、ちゃんとした結論は、労働者の本当のニーズというものには着目できないのではないかというふうに思うわけであります。 実は、この議論は専門家会合では特になかったですか。こういう整理でいい、高率七七・七%、こういう整理でいいと。いやいやこれはおかしい、ちゃんと企業ごとに、企業の制度ごとに報告書の中で、データではなくして報告書の中で整理すべきだ、こういう議論はございませんでしたか。
○松原政府委員 報告書の中でその期間ごとに示すべきだという御趣旨だとしても、結論は変わらなかったというふうに思います。
○桝屋委員 局長が全部主宰されている専門家会 合のような気もしますが、あえてもう申し上げません。 私は、専門家会合のこの考え方は理解はできます。しかしながらこの整理、要介護者の症状を前提として、介護休業期間というのは、労働者の介護ニーズそれから雇用管理上の負担、この調整だ、これは理解できます。したがって、現在の雇用管理上の負担を考えると、ということはわかるんですが、こちら側のもう一つの介護の実態という部分では、現在のさまざまな在宅の福祉のサービスや施設の状況等からかんがみますと、決してこれで緊急避難的に三カ月でやれるということではないだろう。私は、低く見積もり過ぎである。少なくとも三カ月を超えて一年に限りなく近づくという新進党案を私どもは主張してまいりたいと思っています。 それでもう一点、この期間について非常に大事な御示唆を樋口先生からきのういただきました。樋口先生からお話がありましたのは、実は、介護休業、フルタイムお休みになるという形態も大事だけれども、それと同時に時短、フレックスタイムを含むんでしょうが、時短という形態が今の介護という実態を考えますときに極めて重要であるという御指摘をいただいたというふうに私は思っております。 樋口先生の御説明では、現在の在宅福祉サービス、例えばホームヘルパーにしても、終日サービスがあるわけではないわけでして、現在でいけば、一週間に大体二回、一回二時間。これをゴールドプランでは、ほとんど毎日のように来ていただけるようにはしたい、このように厚生省は言っていますが、これとても大体一回が、今短い場合では十五分から二十分、長期で二時間ぐらいでございますから、それが何回か来たとしても、やはりフルタイムの、オールデイのサービスというのは難しい。さらにはデイサービスなんかは、朝十時ぐらいに出かけていって、三時ぐらいに早い人は帰ってくる、こういう実態から見ますと、やはり時短という制度は、在宅で介護を労働者がされる場合に私は極めて有効だろう。在宅サービスとうまく連動させて、リンクさせてやっていけば、フルタイムの休業も大事ですが、それと同時に時短という制度もうまく利用しながらやっていくということは、現在の福祉の実態からしますと私は極めて有効だろう。なお、新ゴールドプランまでしか見えませんが、新ゴールドプランまで見ても恐らくこの時短というのは極めて大事だろう、そして将来的にも私は大事だ、こう思うわけです。 そういう意味では、政府案の三カ月、これは時短も含めて介護休業、最長三カ月。私ども新進党案は最長一年。この時短という部分、フレックスタイムも含めてですよ、この部分も私は極めて大事なシステムだろうと思うんですが、三カ月という線で切られている政府案は、もう一点、この時短をも短くしているということで、大変新進党案に劣っているというふうに私は思うわけですが、この点いかがでありましょうか。
○松原政府委員 勤務時間短縮等の措置の重要性につきましては、先生がおっしゃったとおりだというふうに私どもも認識いたしております。家族による介護がやむを得ない場合の緊急的な対応措置といたしまして、必要な期間、介護休業を何らかの理由でとらない労働者というのもいるわけでございますが、そういう方々が就業しながら家族の介護を容易にするための措置として私どももその重要性は十分認識いたしておりまして、提出させていただいております法案の中にも、そういった措置を講ずることを事業主に義務づけるということをいたしているわけでございます。 ただ、その期間につきましては、先ほど来るる介護休業そのものについて申し上げてまいりました三カ月というものとやはり趣旨というのは同じだろうというふうに思いますし、企業の雇用管理上の負担なり要請、そういったものとのバランスを考慮するというのも、やはり同じようにこれについても必要である、そういう必要性については変わりがないというふうに思っております。 先ほども介護休業について申し上げましたように、この三カ月というのは法律で義務づける最低基準でございまして、それを上回る制度、個々の企業の実態に応じてどういった制度を導入していくか十分労使で話し合っていただいて、さまざまな工夫をしていただきたいというふうに考えているわけでございます。
○桝屋委員 時間もございませんので、次の質問に行きたいと思うんですが、基本的な認識論としてお伺いをしたいと思うんです。 私は、この法案の審査に入る段階で労働省からお聞きしまして、労働省としては相当の期間を費やしてこの介護休業導入のために努力をされてきたというふうに思っております。先ほどから私も引用しておりますが、平成元年、「老親介護に関する労働者福祉対策のあり方について」、あるいは平成四年にガイドラインを策定され、シンポジウムをどんどんやりながら、大企業だけではございますが半分ぐらいの企業は導入する時代が来たということで、今までの労働省の努力というものは流れとしてあったんだろう。そして、今や介護問題は国民の最大の関心事になっております。 これも資料をいただいておりますが、国民の高齢期における不安、病気と介護等で九割近くの人が大きな不安を持っておられるということ、そして労働省の調査でも、介護に関する企業内福祉制度として介護休業を求める声が約七割、先ほどの平成元年、「老親介護に関する労働者福祉対策のあり方」、平成元年ですよ。今から七年前、もうここでも三カ月という数字は出ているわけでございまして、今回の議論の中で、小さく産んで大きく育てるということがありましたが、小さく産むのはこの元年で、いろいろな識者の声も、法制化に至っては介護休業期間は三カ月ではなくして一年、今やもう育ってきているという段階ではないのか、こういうお声もあるわけでございます。それと同時に、平成十一年まで施行を待つ、さらに先延ばしをする、今のような準備をしてきて、さらに先へ行くというのはいかがなものかというふうに思うわけであります。政府は、政府案の今から先延ばしするというこの施行まで一体何をされようとしているのか。 例えば、現在の企業の導入率、全体で一六%ぐらい、今回の委員会でも議論がありましたが、これをおおむね八割ぐらいいっていなければ制度化が難しいという声もあったぐらいでございますから、毎年目標を定めて、例えば何%まで持っていこうというような、そういう行政目標をお持ちになっているのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。
○松原政府委員 介護休業制度の現状、導入率につきましては、先生も既に御承知のとおり、平均で一六・三%でございますけれども、中小規模の事業所、これは中小規模と私どもが言っておりましても、統計がとれます三十人から九十九大規模の事業所でございますけれども、この規模の事業所におきましては一四%ちょっとというような普及率になっております。 私どもも手元に資料がないままに申し上げるのも恐縮でございますけれども、三十人未満の事業所についての調査というのは、行政としては、企業に負担を負わせるということで、こういったことまではなかなか調査ができないのが実態でございますけれども、先般の名古屋での公聴会の席上に紹介された、私どももその後手に入れて検討したいとは思いますけれども、商工会議所でしたか、そこの調査によると、三十人未満の事業所の普及率は三%未満というような御紹介がございました。そういったことを考えますと、介護休業制度の法制化問題というのは、やはり中小企業に対する配慮、ここをどういうふうに底上げしていくかといいますか、中小企業にどうスムーズに円滑に導入ができるような雰囲気、環境といいますか条件をつくっていくかということが最大の問題ではないかというふうに改めて私どもも思った次第でございます。 そういったこともありまして、施行時期は平成十一年四月一日からということにしておりますけれども、それまでの間私どもは何もしないという わけではございません。既に今年度の予算の中におきましても、中小企業集団ぐるみで中小企業にこういった制度の導入が図られるように計画的な取り組みをしていただけるような、そういう援助もやりたいというふうに思っておりますし、また、代替要員確保のための支援ですとか、介護休業制度を導入された企業に対して奨励金を支給しますといったようなことも用意いたしているわけでございまして、そういったさまざまな支援措置の周知を図り、それよりも何よりも、まずその前に、この法律が成立いたしましたら、この法律そのものの内容を広く周知することが必要だろうというふうに思いますが、そういったこととあわせまして支援措置の周知を図り、事業主を初め関係者の意識啓発をするなどにより、平成十一年までに、できるところはなるべく早く導入していただけるように、行政としても周知、啓発に努めたいというふうに考えているところでございます。 ただ、先生が御指摘されましたような具体的な数値目標というのはこういったことにはなじむものではないというふうに思いますので、そういったことをやるつもりはございませんけれども、できるだけ早く多くの企業に導入されるよう、行政としては積極的な指導、啓発をやっていきたいというふうに考えているところでございます。
○桝屋委員 目標のない行政はないだろうと思います。ぜひ御検討いただきたいと思います。 最後に、時間がございません、大臣に一点お伺いしたいと思います。 名古屋の地方公聴会で、経営者協会の高島専務理事からのお話の中に、介護休業制度の検討を行うに当たって介護問題に対する社会保障全体の姿が明確でない、何で介護休業だけ先に、「先行する」という言葉が出ましたけれども、先走りするのかという御質問がありました。極めて感情的な発言というふうに私は受けとめたわけでございます。それも理解できるわけですが、介護休業制度の検討を行うに当たって介護問題に対する社会保障全体の姿が明確でない、こういう御指摘もございました。大臣、この御発言に対してどのような認識をお持ちになりますか。
○浜本国務大臣 お答えいたします。 介護問題に対処いたしますためには、社会保障全体の姿を明らかにすることが重要であるというふうに私も存じております。そのために、政府といたしましては、二十一世紀福祉ビジョンを策定をいたしておりますほか、また、ゴールドプラン、新ゴールドプランを策定いたしましてその充実に努力をしておるところでございます。また、介護保険に関する論議も開始されておるということを承知をいたしております。 そういう状況でございますので、介護休業制度は、公的介護サービスの充実と相まちまして、労働者が家族を介護する場合に休業を余儀なくされるような緊急事態に対処できますように、企業に社会的責任の範囲で一定の負担をお願いをしなければならない、かように考えまして、今回の法律案を策定し、御審議をいただいておる次第でございます。
○桝屋委員 時間がないのですが、大臣、今の御答弁の中で、高島専務理事がお話しをされた、介護問題に対する社会保障全体の姿が明確でない、この言葉どおりかどうかわかりませんが、ちょっと違っているかもしれませんが、これは社会保障全体の姿、ビジョンというものが今あるというふうにお答えになったのですか。それとも、まだない、だからつくらなければいけない、努力をしなければいけない。どっちなんですか。
○浜本国務大臣 ちょっとお答えしますと、平成六年三月に示されました二十一世紀福祉ビジョンにおきましては、「主要施策の今後の進め方」の中で、「いつでもどこでも受けられる介護サービス」といたしまして、「新ゴールドプランの策定」、「二十一世紀に向けた介護システムの構築」、「介護を支える多様な人づくり」、「仕事と介護が両立し得るような雇用システム」が掲げられております。 介護休業制度につきましては、「仕事と介護が両立し得るような雇用システム」の中で、「早急にその法制化問題の検討を進めるとともに、介護のための勤務時間の短縮等を行う企業に対する支援など、仕事と介護の両立支援策を推進していく必要がある。」とされているところでございますので、完全なものはできていないと思うのでございますが、そのような計画で今施策を進められておるというふうに理解をいたしております。
○桝屋委員 完全なものはまだできていないと今大臣おっしゃったわけですが、恐らく、税制改革に絡む平成九年の福祉ビジョンが当然私は必要になってくると思います。そうした声が経営者協会からも出たということは大事な問題でございまして、これはつくろうと思えば今までもチャンスもあったわけでございまして、ぜひ政府の一員として、労働大臣からこの声は総理にも届けていただいて真摯にお取り組みいただきたい、私は、このことをお願いして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○笹山委員長 北橋健治君。
○北橋委員 新進党で政権準備委員会労働・雇用政策副担当の北橋でございます。 政府におかれましては、長い間の険しい道のりを乗り越えられまして、ことしの二月、政府提案をされました。あれから三カ月たちました。これまでこの委員会におきましても、私ども新進党の提出いたしました介護休業法案とあわせまして、それぞれの委員の真摯なる論議を経てきたわけであります。そしてまた、名古屋と東京におきまして各界の学識経験者の皆様方から貴重なる御意見を拝聴する機会も得まして、理事会の協議におきまして、いよいよ審議も大詰めに入った段階であります。私も、当委員会におきまして政府の見解をお伺いするチャンスは、恐らくこれが最後になると思っております。 そういった意味では、これまで同僚委員からの重複した点について質問をすることもあろうかと思いますし、また、御答弁によってはあえて通告をしてないこともお尋ねをすることもあろうかと思いますが、これまでの三カ月間のこの国会の質疑を通じましていよいよ最終段階を衆議院で迎えようとしているわけでございますが、これまでの多くの方々の質疑を踏まえましての政府の見解をるるお尋ねしてまいりたい、こう思っております。 最初に、私ども新進党が提案いたしましたときに一番大きな議論のポイントは、中小企業のお立場にどのように配慮をするかということでございました。私も新進党におきましては二足のわらじを履いておりまして、労働畑の仕事と同時に中小企業総合調査会の事務局を新進党で担当いたしておりまして、多くの方々からその方面の御意見も拝聴してきたところでございます。 しかしながら、我々はこの問題を考えるときに、例えばガイドラインによる普及率がどの程度あるかということもこれまた重要な判断の根拠だと思いますけれども、労働者の過酷なる介護のためにやめざるを得ない、苦しみ抜いている、しかも多くの女性の方々が存在している、この現実に対して我々はどのように決断をするかということだと新進党内では判断をいたしました。 昭和二十二年に労働基準法で法定時間を定めるときにも、当時は審議会でどのような議論があったのか私承知いたしておりませんけれども、恐らく現実の、法定労働時間を定めようとするときに、それにふさわしい内容の労働条件を持った企業はほとんどなかったと思うのです。ほとんど普及はしていなかったでしょう。しかも、労使の間の対立は激しかったと思います。介護休業には比べ物にならないほどの大変な意見の対立があったかもしれません。しかし、当時の政府は決断をしたのであります。それは労使の対立もあり、いろいろな問題点はありましたけれども、当時の労働者の置かれている過酷なる現実、それを改善することがひいては使用者にとりましても、国民経済、国民福祉の観点からも有益だと判断したからこそ、当時の政府並びに国会の皆様方は、先輩の皆様方は英断を下されたものと思っております。 私どもも、この問題につきましては、中小零細 事業所におきまして円滑に制度が定着をしていくことが極めて重要な課題であると思っておりますし、施行時期におきましても来年から即やってほしいと申し上げておりますが、そのためには相当程度の手厚い助成を思い切って講ずる必要があるとも考えまして今回提案をしたところであります。そして非公式には、いよいよ出口に向かいまして、与党と野党とがこの国会の場におきまして何とか今までの議論を踏まえて実りある修正ができないものか、そういう段階に来ているわけでございます。 そこで、以下御質問をしていくわけでございますけれども、最初に私が政府にお伺いしたいことは、介護のために仕事をやめざるを得ない、その勤労者のお気持ちを察しますと、やめる前に一体どれだけ苦しんだであろうかと察するのであります。数字によれば、八万一千人の方々がおやめになっていらっしゃる数字がありますけれども、仕事がなければ飯を食っていけない、介護をすればお金もかかる、面倒を見なければいけないけれども仕事もやらないと生きていけない、その中で悶々と苦しみ抜いている人たちがその周辺にはたくさんいらっしゃるだろうと思います。それを政府の統計でどの程度あるかを探り出すことは難しいのかもしれませんが、私は、八万一千人というのはこの問題で苦しんでいる方々のほんの氷山の一角ではないか、そのような気がしてならないわけであります。 そこで、まず政府に統計上の調査についてお伺いいたしますが、私どもがこの問題を議論するときにしばしば使っております八万一千人、これは総務庁が平成四年度で第一回目の調査をしたものでございます。これは三年に一回の調査だと聞いておりますけれども、過去に、介護のためにやむを得ず退職せざるを得なかった、私はそれは悲劇だと思いますけれども、そのような悲劇が一体我が国においてどれだけあったのであろうか、そのことを調査した資料をほかにお持ちであれば教えていただきたいと思います。
○松原政府委員 私どもが承知しております限りでは、家族の介護や看護のためにやめたという離職者をとったのは、これが初めてであり、過去にそういう統計はないというふうに承知をいたしております。
○北橋委員 統計調査をする場合には、その統計の手法または予算、そしてまた調査に応じていただく方々の御負担も考えますと、これはそう簡単にできることではありませんし、しかも所管官庁は総務庁と聞いております。過去のことについては、もう済んでしまったことでありますから言っても仕方がないわけでありますけれども、これほどまでに重要な国民的な課題に対しまして、私は今後、三年に一回ではなくて、この法案が成立をいたしました段階におきましては、総務庁の方にぜひとも労働省の方から尋ねていただきまして、この家族の介護、看病のためにやめざるを得なかった、そういった事情を統計の中で調査をしていくという姿勢をぜひお持ちいただきたいと要望するのですが、いかがでございましょうか。
○松原政府委員 この平成四年の後の調査につきましては、私どもまだ十分な情報を得ておりませんけれども、引き続きこういった調査項目がとれますように、私どもとしても努力をしたいと思います。
○北橋委員 他省庁の所管の仕事でございますだけに、恐らくこれは与党も野党もないと思っております。この法案が成立した暁に、いずれにしましても施行までの間に時間はあるわけでございまして、その間に果たして事態は改善されるかどうかにつきましては当委員会の同僚委員の皆様方も深い関心をお持ちだと思いますので、全面的にバックアップをいたしますので、ぜひともこの調査を今後適宜やっていただくように御努力をお願いしておきたい、こう思っております。 そこで、どれだけ苦しんでいる人たちがいるか、日本にどれだけ介護のための悲劇があるかということについでは余りデータがないというところから我々は議論を出発せねばなりません。ただ、今までの多くの議論の過程におきまして、今後どうなるであろうかについてはいろいろな予測があります。もちろん、それを数式に当てはめまして、来年には、再来年には何万人くらいということを推計することは不可能であろうと思いますけれども、果たして今後、政府のお考えになっております四年後、三年間の猶予期間を置くということでございますけれども、それまでの間に介護のために退職せざるを得なくなった人たちがどうなっていくであろうか、その点についての御所見があれば聞かせていただきたいと思います。
○松原政府委員 先生の御趣旨は、平成十一年までの間に介護のためにやめざるを得なかった方々、つまりそういう方々は、したがいましてその間に家族の方の介護なり看護なりをおやりになるということだろうというふうに思いますけれども、そういったこと、いわばそういう責任が終了するといいますか、就業との両立という面で、就業することが可能になる程度に家族の介護や看護ということに時間を割がなくても済むようになれば、そのときの労働したい、働きたいという意思、能力によりましてまた再就職をするという方もあられるのではないかというふうに思いますし、そこのところは一概にどうこう言えないのではないかという気はいたしますけれども、ちょっとお答えになっていなければお許しいただきたいと思います。
○北橋委員 今後こういった苦しんでいる労働者の現実というものがどの程度改善されるかについては、後ほどまた改めて議論をさせていただきたいと思っております。 といいますのは、新進党が提出した法律案の中で、これだけはどうしてもという項目が四つございます。そのうちの一つは所得保障でございますので、法律にはなじまない事項というお考えもあるかもしれませんが、介護の期間と、その取得のあり方、そして施行時期、この三つは今後こういった悲劇を未然に防ぐために最も重要な核心部分であると私どもは思っております。ですから、その点の議論を踏まえた上で、最後にもう一度お尋ねをさせていただきます。 そこで、これまで政府は、こういった非常に深刻な苦悩をされて退職をしていかざるを得ない方々の現実を前にいたしまして、随分と御苦労されて審議会での考え方を取りまとめて、法案の提出にこぎつけられたわけであります。そしてまた、法律案の提出を見るまでに、平成四年度からはこのガイドラインをおつくりになって普及、啓発に努めてまいりました。そのガイドラインをつくる前からも二年程度、既に労働省としては、重要な課題であるということで相当程度の御努力をされたものと伺っております。 私が今から次にお伺いしたいことは、つまり、それは法律に基づかない、いわゆる行政指導と呼ばれている対応ではなかったかと思いますけれども、行政指導というのはどの程度実効が上がるのであろうか。私は選挙区が北九州でございますけれども、労働省の方々がたまにお越しになりますと、労働の現場の問題のみならず、いろいろな問題につきましても、やはり労働省の官僚の方のおっしゃることについては、皆さん真剣に耳を傾けておられます。したがいまして、たくさんある官庁の中でも労働省は一級の官庁である、そのように私どもは思っておりますし、皆様方の行政指導はそれなりに効果があるともちろん思っているわけでございますが、果たしてどの程度の実効が上がるであろうか、この点についての議論に移らせていただくわけであります。 まず第一に、データがあれば教えていただきたいのですけれども、大手企業では、これまでの行・政指導の御努力もありまして、また労働団体の熱心な運動が功を奏しまして、おおむね半分ぐらいのところがこの制度をつくっていると聞いておりますが、大手企業でもなお半分程度はまだつくっていないのだそうでありますけれども、それは一体どういうところに原因があるであろうと考えておられますか。
○松原政府委員 調査時点そのものの整合性とい うのが必ずしもとれているとは言いがたいわけでございますけれども、平成三年の十一月時点で私どもが調査しました結果によりますと、介護休業制度を実施・検討していないという企業に対してその理由は何かというふうに聞いた項目がございますが、その回答で多い順から申し上げますと、「代替要員の確保が困難」、「特に必要がない」、「同業者等が導入していない」というようなことが挙げられておりまして、これは大手企業についても同様の結果になっております。 それから、介護休業制度がない企業で介護休業制度を実施するということになるとどういった問題点があるかという、ちょっと別の側面から聞いた問いもございますけれども、その質問に対する回答としましても、やはり同じように「代替要員の確保」が最初に挙げられている問題でございます。次いで、「休業中の給与等の負担」、それから「復職後の代替要員の処遇」というのが挙げられておりまして、これは大手企業についても同様の結果でございます。 こういうことから判断いたしますと、代替要員の確保そのもの、それから休業者が復職した場合に、代替要員の方を雇っていればその方の処遇をどうするかという全体的に代替要員の問題、これが非常に大きな理由になっているのではないかというふうに考えているところでございます。
○北橋委員 代替要員の問題というのは、今回も政府の提案の中に方向づけがなされておりますのでよくわかるわけでありますが、「特に必要がない」とか、あるいは同業者がやっていないからうちはやらないのだ、こういった企業が日本の大手企業の中で半分ぐらいあるということなんです。それだけの理由ではないかもしれませんが、こういった理由を言われている会社に対して労働省はどういう行政指導をされているのでしょうか。
○松原政府委員 これまでは、先生も先ほどちょっと御指摘になられましたけれども、平成二年から、介護問題が非常に重要な問題になるということでシンポジウムなどを中央のみならず地方でも開催をいたしまして、まず、この介護問題についての国民の意識の啓発をやるといったようなことから私どもはスタートをいたしたわけでございます。そして、その中でも特に労使関係の中で望まれていること、企業の福祉制度として望まれていることは介護休業制度の実施というのは非常に率が高いというようなこともありまして、介護休業制度の必要性についてもいろいろな折にPRをやってきたわけでございます。ただ単にPRということだけではその導入が進まない面もあるということから、具体的にどういった制度が望ましいのかということを示す必要があるだろうということから、御承知のとおり、平成四年に介護休業制度等に関するガイドラインというのを策定をいたしたわけでございます。」このガイドラインを示したリーフレット、パンフレット等を大量に印刷いたしまして、各種の会合、それは実際には都道府県の婦人少年室が設けます会合というだけではなくて、事業主団体が主催される会合、場合によりましては労働組合の会合といったようなところにも呼ばれて行くということもあったかと思いますけれども、そういった折々にガイドラインの趣旨を理解していただき、それに沿った制度が労使の御努力で導入されるようにという働きかけをずっとやってきたわけでございます。 したがいまして、今先生が御指摘になりました「必要がない」というのは、多分、まだそういう声が企業の中で上がっていない、労働者の方から上がっていないということから、事業主の方にまだ必要性があるというふうに判断されていないということもあろうかと思いますし、同業他社がやっていないということで、自分のところだけやるのはどうかというふうな意識であろうかと思います。必ずしもこの問題に理解がないといったようなことで決めつけるわけにはいかないとは思いますが、まだまだ十分広く必要性が認識されていない面もあろうかということで、先ほど申し上げましたようなさまざまな機会をとらえましてガイドラインの周知、啓発をずっとやってきたわけでございます。 また、婦人少年室はいろいろな折に企業を訪問する場合がございます。男女雇用機会均等法の施行ですとか、パートタイム労働法についての施行、こういった事務もやっておりますので、また、当然のことながら育児休業法が制定され、その導入が、特に大企業は先にスタートいたしましたけれども中小企業はことしからといったような状況がございまして、そういった各種法律の周知を図るというような機会もございますし、また、そういったものを具体的に企業に実施していただくために、法の趣旨に沿ったような雇用管理が行われるように企業に要請するというような場面が多々ございますので、そういったときに介護休業のガイドラインに沿った制度の導入を働きかけるといったような、さまざまな機会に働きかけなどをこれまでもやってきており、今後ともやっていきたいというふうに考えておるところでございます。
○北橋委員 現実にその意を体して動かれる労働省のマンパワー、行政指導に当たられる方々、例えば今婦人少年室というお話が出ましたが、お伺いいたしますと、各県に平均五人ぐらいではないかという話も聞いております。五十人、百人おれは三十人未満の多くの零細事業所も相当程度回れるだろうと思うのですけれども、現在のマンパワーからしても、そして行政指導という手法からして、果たして一体どれだけ進むのであろうか。 九九年からの施行というふうにお考えになっておると思いますけれども、この法律をつくりますとそれなりに私は前進する余地はあると思いますけれども、今までの行政指導という手法におきまして一生懸命な労働省の皆様方のお気持ち、そして毎日の熱意ある行動については敬意を表するものでありますが、過去を振り返ってみても、大手企業でなおかつ半分のところが入れられていない。そういうところには当然皆様方はアタックされていると思うのですよ。労働団体もそうだろうと思います。それでもなおかつ動かない。ましてや、中小零細事業所はなかなか進んでいない。果たして行政指導という手法で一九九九年までに皆様方の意図は伝わるのでしょうか。これまでの経緯を見ただけでも大変難しいのではないか。ガイドラインの制定をしたのは平成四年の七月ですから、かれこれもう三年になろうとしております。それで現在の現状であります。自信をお持ちなんでしょうか。
○松原政府委員 ガイドラインを策定し、指導したといいましても、それは具体的に法律に何か書かれていて、それに基づいて行政指導してきたというものではございません。今回お願いしておりますこの法律案が成立いたしましたら、平成十一年には具体的にこういった制度を導入することが義務づけられるということが明確になってくるわけでございます。そういうことに基づいた行政指導でございますので、これまでやってまいりましたガイドラインに基づく行政指導というものとは質的にも異なってくるというふうに思っておりますし、また、そういうものとして広く世間に認識していただけるように私どもも努力をいたしたいというふうに思っているところでございます。
○北橋委員 努力をされるということなんですけれども、一番最後の方でお伺いしようと思ったのですけれども、中小企業に対してこの啓発普及活動をこの猶予期間の間にどのように進めるかという問題をお尋ねしようと思ったのです。 それをちょっと今、ここでの議論の過程でやらせていただきたいのですが、今年度におきましても労働省は、中小企業に対してこういう制度を導入するために奨励金というものをおつくりになっておられますし、そしてほかにも、中小企業集団をおつくりになって、そこでいろいろとこの周知徹底を図るための施策を考えておられるのです。 そこで、私が今お伺いしたいことは、法律に基づく行政指導は効果があるんだ、ガイドライン以上の効果があるんだというお話でございますが、私は、その御答弁の御趣旨は理解をしたいと思います。しかし現実的に、例えば予算にとられた規 模を見ますと、介護休業制度を導入する奨励金、今年度の予定額は四億円余であります。そして、これは中小企業に七十五万円、大企業に五十五万円、一回こっきりですね。最初に休業取得者が出たときに事業所に対して奨励をするということなんですけれども、これは私は効果のある手法だと思っております。 ところが、果たしてどの程度の企業が対象になっているかといいますと、中小企業というのは百五十五万カ所あるわけです、そのうち千百カ所程度、このように労働省は積算をされているやに聞いております。百五十五万もある中小零細事業所、ここにおいて行政指導を真っ先に進めていかねばならない事業所がある。それに対して平成七年度は、これは半分であります。施行は十月からでありますから、わかるのでありますけれども、それを膨らましても一方、二万という対象じゃないですね。中小企業の事業所は百五十五万あるんです。それをこれから九九年度までに予算を十倍、二十倍、百倍にするんでしょうか。どれだけの事業所に対してアタックができるのかということであります。 それからもう一つ、皆様方のこの制度を進めるに当たりましての予算の内容がございますけれども、中小企業の集団をおつくりになるということであります。そして、その中小企業の集団に対していろいろな施策を講ずるということなんですけれども、二百団体だったでしょうか。この仕事というのは、中小企業の集団をつくって、そこに介護休業の制度を導入するためのいろいろな趣旨を徹底していくということなんですけれども、中小企業の団体というのはたくさんあるんですよ。 といいますのは、なぜこのことに私ども気がついたかといいますと、我々も、新進党が法案を出すに当たっては、中小企業の立場を大変深刻に議論したのです、本当に零細事業所は受け入れられるだろうかと。そのときに、やはり政府の考えている四億円だとかあるいは七億円という規模ではとても無理だろうと。計算してみましたら二百四億円になったんです。これをある人は、どんぶり勘定じゃないかと言う人もおりましたけれども、決してそうじゃありません。我々なりに緻密に、要介護者がどの程度あるか、中小企業の実態はどうかということを我々なりに勉強してみて、そういう議論になったんです。それは中小企業の集団、これは団体でもどこでもいいんですが、そういうまとまった団体に対していろいろと助成をしたり奨励をする、そういった指導をするときに、数がたくさんあるんですよ。 もう一度質問に戻りたいと思うのですけれども、個別に奨励金を送るところも百五十五万のうちの千百カ所、そして集団をつくるところも、たくさんある中小企業の団体の中でもほんの一部しか予算の手当てがない。これは初年度である、しかも施行がことしの秋からだということで、こうなっているんでしょうか。それとも、我々が知りたいのは、新進党のようにやってくれれば相当程度の悲劇がなくなるだろうと思いますが、政府案の考え方というのは、四年間待ってくれ、そういう考え方なんです。四年間の間における全体像を示してほしい。法律によって行政指導すれば効果があるとおっしゃるならば、それによってその間に一体どの程度の中小企業者、どの程度の中小企業団体に対して皆様方の高邁な趣旨というものが伝わるんでしょうか。予算規模の面から教えていただきたい。
○松原政府委員 中小企業に対する支援策、いろいろございますけれども、まず、今先生が御指摘になりました介護休業制度導入奨励金でございます。 これの要求をつくる段階においていちいろ基礎数字なども使いましていわゆる積算をいたしたわけでございますけれども、その積算の根拠といたしまして、今先生が御指摘になられましたとおり、中小企業では、平成七年度、今年度、施行が十月一日からでございますので半年の予算というふうに見ていただいてよろしいかと思いますが、この半年間に約千百件出てくるということを見込んで積算をいたしております。 この介護休業制度導入奨励金の仕組みでございますけれども、これは制度を設けただけで支給するという仕組みにはいたしておりませんで、制度を導入し、そして最初の取得者が生じた場合に支給するということにいたしております。そういったことから、実際に介護休業制度がどの程度導入されるであろうか、また介護休業制度が導入されている事業所でどの程度利用者が出るだろうかといったようなことを総合的に勘案いたしまして算出をいたしたものでございます。 また、もう一つの中小企業集団を通じての支援事業でございますけれども、これは私ども、「仕事と介護支援トータルプラン事業」というふうに言っております。平成七年度は百四十一団体に委託をするということにいたしております。おっしゃいますとおり、中小企業団体というのは非常にたくさんございます。その一部ではないかという御指摘であろうかと思いますけれども、これはこれだけで終わりで、二年計画のものでございまして、この二年が終わればまた新しい団体に委託をするという形でずっと広げていきたいというふうに思っておりますし、また、すべての団体ということになるよりは、むしろ、やっていただく団体の波及効果ということも私どもは期待をいたしたいというわけでございます。 こういった幾つかの手法によりまして、また何よりもまず、こういった法律ができたんだということの周知というのがすべてに先立って重要だろうというふうに思います。そういった広報啓発費なども用意をいたしておりますけれども、そういったものを総合的に活用いたしまして、中小企業も含めまして、なるべく早期に介護休業制度が導入されるようにということで指導していきたいというふうに思っております。 それから、これの周知という場合に、必ずしもこれだけのお金がなければということではなく、特に広報、啓発などにつきましては、例えばマスコミを通じた広報、啓発というのもあるわけでございますし、労使団体を通じて、そういった広報紙を通じての周知、啓発というようなこともあろうかと思いますが、そういったことも私どもは期待をいたしたいというふうに考えているところでございます。
○北橋委員 中小企業集団をつくってそこに対して委託をしていろいろとするという仕事は、単年度の仕事じゃないですよね。時間がかかるのですよ。これは初年度でこういうことをします、そして二年度目でこうするという二年間ですね。皆様のお考えは、九九年度までは待ってほしいというこういうお考え方なんです。そうしますと、ローテーションに新たなところを加えるにしましても、掛ける二じゃないでしょうか。 私どもの調べたところによりますと、二百四億円程度の中小企業の助成が必要だというふうに計算したのですが、その中で中小企業団体に対する助成というのはどのように積算しようか、いろいろ議論したのです。そうしましたら、助成をすべき団体数というのは少なくとも一万以上はあるのではないか、こういうことになったわけです。一団体当たりに五十万を掛けますと大変なお金になってしまった、五十八億円ということであります。 大蔵省主計局との間にいつも白刃を交える議論を闘わせて、相当御苦労されてとってこられたということは承知をいたしておりますけれども、しかし、四年間待ってくれと労働者に対して言うにしては、予算規模は少な過ぎるんじゃないか。大蔵省主計局というのはそれほどまで、この八万一千人の人たちがやめていくという現実に対して物わかりが悪いんだろうか、そういう気がしてならないのです。労働省の責任だとは思っておりません。 そこで、まず休業を初めてとったところに対しては千百件ほど、半年の規模ですから、全体で二千件ぐらいでしょう。ということは、新しく介護休業の制度をつくってそこで取得する人は一年間で二千カ所ぐらいに想定されているのかなと思う のですけれども、八万一千人の人がやめていくことからしますと、この介護休業の制度を普及される、そしてそれに対して必要な奨励金をつくるにしては、余りにも少ないような感じがしてならないわけです。 したがいまして、ここでさらにお伺いしておきたいのは、ここでは半年間で千百件ということをおっしゃっておられるけれども、法律ができれば大蔵との予算折衝においても非常にやりやすいだろうと思います。要は、行政指導でいろいろなところに当たっていくときに、介護休業制度をつくってください、つくって最初にもし取得者が出られたら、これだけのお金はあるのです、幾らでもある、助成は幾らでも惜しまない、そういう意思をまず確認をしたい。初年度の予算であるから、これがいけないとか悪いとかと言うことは今ここであえていたしませんけれども、とにかくこの制度の導入を図って最初に取得者が出たときには、予算はあるのです、どんなことをしてもそれは捻出しますということをまず確認させていただきたい。 二番目に、中小企業団体は、助成をする対象は一体幾らあるかについては議論が分かれる。しかしながら、九九年まで待って新しくローテーションを加えるにしても、今のここに示された姿からすると百四十一団体ですか、これが千団体とか二千団体にとてもいきそうにない。中小企業集団百何十万とある人たちに対して皆様の趣旨を徹底するには、こういう手法が極めて重要だし、これしかないだろうと思う。それにしては余りにも少な過ぎる。これに対しては大蔵との今後の協議において我々も全面的にバックアップせねばならないし、与野党はないと思っておりますが、労働省としての決意を聞いておきたいと思うのであります。
○松原政府委員 この介護休業制度、今回の法律は、企業に義務づけるということで制定をさせていただこうというものであるわけでございます。 そういう御趣旨から、もちろん施行日までの間になるべく多くの企業がこういった制度を導入されるようにということで、先ほど申し上げましたようなさまざまな支援措置を設けるということにいたしておるわけでございますけれども、やはり限度というものがございまして、幾らでも支援をするということはなかなか言いがたいわけでございます。やはり企業の社会的責任としてこういったものを導入してもらうという趣旨であるわけでございますので、先生の御指摘ではございますけれども、エンドレスにやるというわけにはいかないという性格のものであることは御理解いただきたいというふうに思います。 ただ、おっしゃるとおり、今後円滑なる施行、特に中小企業に対する定着というような観点から、必要な予算措置については私どもも努力をいたしたいというふうに思っております。
○北橋委員 この法案が成立するまでは参議院の段階での質疑もございますし、私ども、この点は非常に重要なポイントの一つだと考えておりますので、その機会にまた譲りたいと思いますので、ぜひともこれについては不退転の決意で今後皆様方も政府部内において頑張っていただきまして、とにかくこういう制度を御理解いただいて介護休業制度を導入される企業に対しては、いやもう予算がないのだ、奨励金がもう目いっぱいなのだ、そんな情けないことにならないように、そしてまた委託をする団体についても可能な限りこれをふやしていく、そういう気持ちで努力をしていただきたいと思っております。 さて、時間は余りないのですが、これから私の一番お伺いしたい本論に入ります。御答弁は、よろしければ簡潔にお願いをしたい、こう思っております。 まず、この制度を導入するときに重要なポイントは四つあると申しました。そのうちの一つは、法律に明記することがなじむかどうかについては与野党、意見は分かれておりますけれども、私どもはやはり、所得保障について法律に明記することが肝要だ、このように考えております。 実際、この介護休業制度がある事業所におきましても、皆様方の調査で、よくしばしば答弁でお使いになられました、三カ月以内に戻っているのがほとんどだよ、そういう現実をよくおっしゃる。これは現実をうかがい知るには大変危険なデータだと思っております。といいますのは、とりたくてもとれないのです。そのときの一番大きなネックは、収入が途絶えることではないか、そのように思うのです。だからこそ八百万人の連合の皆さん方が組織的に議論を闘わせて一年は必要だという議論になったのも、本当はもっととりたいのだけれども、制度があってもとれない事情がある。そのネックが私は所得保障だと思うのであります。これについては多くを申し上げるまでもなく、村山総理の答弁あるいは与党の責任者の永井議員の御質問の中にも明確に、この所得保障の重要性がうたわれております。 そして、お役所が書かれたと言うと怒られるかもしれませんけれども、大体政府の高官のしゃべられる内容というのは、やるのかやらぬのかよくわからぬのでありますけれども、永井さんの質問では、育児休業の場合の給付と同様の給付を行うようにすべきだと言っておられるのですね。それに対して総理のお答えは、これは育児休業の場合には賃金の一定割合を出している、それから社会保険料の問題についても手当てがされているということが前段にありまして、それとの並びで御質問でありましょうということで、結論として総理からのお答えというのは、平成十一年四月という時期を念頭に置きながら、「御指摘の点については今後十分検討の上対処してまいりたい」。「今後十分検討の上対処してまいりたい」というのは、これはやるのかやらぬのか、一般の人たちにはまずわからないでしょうね。やるとお答えいただきたいのです。 その理由を申し上げます。これは労働大臣にぜひお答えいただきたいと思っているのですけれども、浜本労働大臣もこれまで、衆議院の本会議場におきましても、また委員会におきましても、この点については非常に深い御理解を持っておられるのではないか、そのように私ども察しております。そして、予算にかかわることは労働省だけの専管で事が進められない、大蔵省との合い議もあるということで、言える範囲内でぎりぎりのところの御答弁をされているのだろうと私は察しております。 つまり、前向きに対処する、ぜひやりたいということだと思うのですけれども、政府の行政の長というお立場になりますとなかなかこの問題についても言いにくい面はわかるのでありますが、労働者の切実な声は、とりたくてもとれない、その大きなネックは所得が途絶えるからだ、収入がなくなってしまう、それが余りにも大変なのだ。実際、介護をすると幾らお金がかかるかについていろいろなデータがある。ある人は月三万六千円は最低かかっているだろうというデータもあれば、もっと多い人もいる。とにかく大変なのですね。 これがなければ、今我々が議論しているこの法律案の趣旨というものは絵にかいたもちに終わる可能性がある。法律に明記するかしないかは別として、所得保障については、育児休業の給付金と、我々はもっとできれば多いということを期待しているのですが、育児休業給付金レベル以上の、少なくともその給付金と同額の給付を介護休業に対しても支給する、そういうふうに御決意を聞かせていただければ幸いであります。
○浜本国務大臣 お答えいたします。 議員も御承知のとおり、この問題につきましては、まず第一に審議会の建議があるということでございます。中小企業のことも考えておられましたので、審議会の建議におきましては、非常にいろいろなことを考えられまして、「今後、介護休業制度が適用される時期を念頭におきつつ、更に十分に議論することが適当」であるというふうになっておるわけでございます。したがって、私も、今までの御質問に対する答弁といたしましては、そういう精神を踏まえまして、制度の適用時期を念頭に置きつつ、十分に検討の上対処してまいり たいというようなお答えをさせていただいたわけでございます。 今日、さらに今御質問でございますが、それ以上私の方から踏み込んだお答えをするということはちょっと難しいというように思います。
○北橋委員 少なくとも育児休業の給付金と同様に、介護休業をとられた方については、この制度をぜひ実現をしていただきたいと思います。 なお、つけ加えますけれども、衆議院本会議場という重要な質疑の場面におきまして、この趣旨に賛同しているのは我々新進党だけではありません。我々は法律に明記してそのことをうたったわけでありますが、法律案に書かれていない与党の責任者もそう述べておられます。つまり永井さんは、自民党と社会党とさきがけを代表して与党の責任者として質問されております。その中で明確に、育児休業の場合の給付と同様にすべきであるということを主張されているわけであります。恐らく共産党さんも我々と同じだろうと思います。 ということは、労働省もよく聞いておいていただきたいのでありますが、大蔵省と今後協議される、あるいは審議会、各方面で議論されるときに、選挙を通じて選ばれた私ども衆議院におきましては、全員がこのことに賛同しているわけであります。だれも反対しておりません。全員が賛成しているわけであります。我々国民の生活にかかわる事項は国会によって、法律で決まるわけでありますが、それは国会によって決まるのであります。国会のすべての代議士がこの所得保障については賛同した、その事実をしっかりと念頭に置かれて対処していただきたいと申し上げておきたいと思います。 社会保険料の免除については、これは与党のお立場を注意深く私どもも見ておったのですけれども、察するところ、厚生省あるいは財政当局の方でも、これはなかなか容易ならざる難しい大きなハードルが待っているような感じがしてなりません。 しかし、育児休業のときに初めて社会保険料の免除ということをやりました。私どもは、そのときの厚生省の年金審議会の議論というのは、詳しいものは我々の手元にはもらえないのですね。大事な国の政策ということがお役所の任命された委員の中で非公開のところで議論されまして、そこで決まっていくのですけれども、我々に、じゃどういう資料があるのですかと言ったら、余り詳しいのはないのですよね。それはいいのですけれども、それはそれでまた別の機会に行政改革という観点から議論はさせていただきたいと思います。 いずれにしても、社会保険料の免除について厚生省が踏み切ったのにはいろんな理屈づけがあったと思います。最終的に審議会の答申の中で文章にしないまでも、行間、にじみ出るものがあるでしょうし、合理的な、大蔵の財政当局が納得するだけの理由というものが恐らくあるんだろうと思いますが、とにかく介護休業をとっている人にとりましては、収入が途絶えてしまう、これは大変な苦痛であります。しかも、政府提案の理由説明にありますように、これはまさに国民的な重要な課題だという位置づけてあります。しかも、婦人局の方で、育児とそしてこの介護の問題、これが職業生活を全うするときに大きなハードルになっている、これを何とかしたいんだという気持ちからしますと、私は、労働省の気持ちとしては、ぜひとも社会保険料については免除をしていただきたいという気持ちだと思うのです。 厚生省の方はきょう来ていただいていると思うのですけれども、時間が限られております、簡潔にこの点につきましてお答えいただければと思っております。
○中村説明員 介護休業に伴います社会保険料のいわば本人負担分の取り扱いについてのお尋ねでございます。 まず、社会保険制度におきましても、育児休業期間中の社会保険料につきましては、御本人の負担分について、先般の年金法の改正あるいは医療保険法の改正に伴いまして、平成七年四月から保険料免除制度を導入することといたしたところでございます。 経過については、簡潔にと言われておりますのでくどくは申しませんが、年金制度あるいは医療保険制度の中においても、育児、そういったものの重要性も認識し、また、そういう育児休業のとられている実態、その方々の所得の問題、そういったことを総合的に勘案し、また年金審議会、これは平成四年六月から先生御指摘がありますように年金制度については議論してまいったわけですが、その際、育児についてはどう考えるべきか、介護についてはどう考えるべきか、そういった議論を踏まえた上で、一応結論として、介護については、今後総合的な政策の中でもう少し検討していこうということで、年金制度としての対応はその際は見送られ、育児については、判断をし、本人の保険料負担の免除をすることといたしたところでございます。 要は、介護休業期間中の社会保険料の免除につきましては、当然介護の問題がこういうふうに重要になっておりますし、そういう御議論がなされているということでありますので、社会保険の立場からしても慎重かつ十分な検討が求められる、そういうことについては認識いたしておりますが、基本的な考え方といたしましては、介護休業期間中の保険料を免除した場合、その免除した保険料というものは他の被保険者の方、事業主の方々の負担によって行うということになっておるわけでございますので、そういった意味で皆さんのコンセンサスが得られるか、またそういった介護休業というものの、どれだけとられるようになるか、そういう実態がわかりませんと、年金財政あるいは医療保険財政への影響、そういったことについてもわかりませんし、また、介護の問題にはいろんなアプローチがあるかと思いますが、そういった中で、私年金が担当でございますので、年金制度としてどういう貢献をしていくのがふさわしいのか、それが社会保険料免除ということなのかどうなのかというような議論もあろうと思いますので、そういった観点から検討をしていく必要があるというふうに考えております。
○北橋委員 労働省にお伺いしますが、この点につきまして育児休業については社会保険料の免除という措置がとられました。私は、長い間かけてやっと難産の末生まれようとしているときでありますから、この問題につきましても当然、同様の措置を念頭に置かれて行動されてきた、そのように察しております。お立場上、厚生、大蔵との合い議もあるでしょうから、なかなか答弁しにくい面があると思いますが、新進党としては、先ほどの介護休業の給付金とあわせて、所得補償のためにはこれはどうしてもやってほしいということを強く要望するわけであります。そして、それは労働者の皆様方の切実なる声だと私ども理解をいたしておりますが、労働省はどのようにお考えでしょうか。
○浜本国務大臣 なかなか難しい答弁になると思うのでございますが、基本的には厚生省で考えていただくことなんでございますが、そうはいっても私ども政府の一員でございますので、この問題は介護対策全体のあり方を問われる重要な問題であるというふうに理解をいたしておりますので、関係省庁と慎重に協議をいたしまして考えをまとめることが必要であると思っております。
○北橋委員 新進党からいたしますと大変不満の多い御答弁ではありますけれども、そういう切実な声が国民の間にあるということを念頭に置かれ、そして育児の場合も多くの困難を乗り越えてこれを実現をしたという経緯に照らしまして、ぜひとも頑張っていただきたい、このように思っております。 さて、介護休業制度を論ずるときの重要なポイントにつきまして、介護の期間、そしてその取得のあり方につきましては、これまで同僚の桝屋委員の方からるるお尋ねをしたところでございます。これについては、時間も限られておりますのであえて重複は避けたいと思いますけれども、労働省の御答弁を聞いておりますと、いろいろと理 由というものはつけられるものだなと思います。介護のために仕事をやめるかどうか苦しんでいる人たち、その切実なる気持ちというのは、我々新進党の提案しましたように一年は欲しい、そして国家公務員でもやられているように、要介護状態ごとに一回にしてほしいというのが切実な声なんです。何も連合の幹部の人たちが決めたわけではない。八百万人の人たちが組織を動かすときには数千万の未組織の人たちの気持ちも含めて議論をして、これだけはどうしても必要だろう、そういうことで議論を集約してきたことでありまして、私はそれは国民の切実なる願いではないかと思っております。 あえてここで答弁を求めないわけでありますけれども、ただ一点、今度の法律案というのは、施行時期が二つ重なっておりますので、普通の法案と違いまして非常に構成が難しい、わかりにくいのでありますが、第二十条の二項で「必要な措置を講ずる」というところがありまして、これは何をするんだろうかなというところがあります。読んでいてよくわからない。 例えば、これから一九九九年までの間はいわゆる行政指導で対応されるということなんでしょうが、その場合、三月だとか一回、つまり政府が決めるのは義務づけだから最低条件なんだ、それで、低い条件で固定化するものではないんだ、それを上回るものについても積極的に導入していきたいということもおっしゃっておられるんだけれども、二十条の二項、恐らくひょっとすればほかにもあるかもしれませんが、この期間だとか回数の問題について、施行法が施行されるまでの間に何か特段考えていらっしゃることがあるんでしょうか。あれば聞かせてください。
○松原政府委員 先生御指摘になりました、最終の姿の中での二十条二項でございますけれども、これは「事業主は、その雇用する労働者のうち、その家族を介護する労働者に関して、介護休業の制度又は前条第二項に定める措置」、これは勤務時間短縮等の措置でございますが、この「措置に準じて、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」というふうに規定をいたしているものでございます。 それで、これにつきましては、これまでの審議の過程で私ども、今回労働者のいわば形成権として定める部分、これは最低の基準を示すものであるということを何回も御答弁申し上げてまいりました。この最低の基準を上回る部分については労使で十分話し合って制度がいろいろな形で設けられることを私どもは期待しているというふうに申し上げましたけれども、それが具体的に、今読み上げましたけれども、この二十条二項に体現されているわけでございまして、厳密に「(定義)」と読み比べていただければでございますけれども、「その家族を介護する労働者」ということ自体も範囲が若干広いということが読めます。 また、介護休業制度等に準じてというふうに書いてございますけれども、先生が今御指摘になりました、三カ月とか、家族一人につき一回というこの最低基準を上回る部分につきましては、介護休業制度に準じた措置、介護休業制度そのもの、この法律の定義とのかかわりですけれども、この法律で定義しております介護休業制度というのはいわば最低基準でございますから、それに準じたような措置をとるように努めなければならないという努力義務を事業主に課している。つまり、最低基準を上回る制度については労使の努力でやっていただきたい、それを事業主に努力義務として規定しております。 こういうことでございまして、法案が成立いたしましたら、その趣旨もあわせまして周知をいたしたいというふうに考えております。
○北橋委員 その三カ月の問題でもそうなんですけれども、それでやれというのでは決してなくて、ぜひとも労使の話し合いでいいものにしていってほしいという趣旨で行政指導をされるということなんですけれども、今までの政府の答弁を聞いておりますと、なぜ三カ月という期間を出したかというと、幾つか理由があるだろうと思うのですが、一番答弁の中で柱になっているのは、現実に介護休業制度のある事業所では三カ月未満で帰る人がほとんどなんだということをおっしゃっておられる。この問題についてそういう認識でもって行政指導をされるならば、三カ月が最低なんです、もっといいものにしてくださいという行政指導というのは、私は熱意が伝わらないのではないかと思うのです。 三カ月未満で帰る人が多いというのは、収入が途絶えてしまうのです。自分の、後の職場がどうなるか不安なんです。連合のアンケート調査で明確に出ている。だからこそ、とれないのです。帰らざるを得ないのです。そういう状況だからこそ三カ月になっているのではないかと我々は認識している。これは連合の多くの方々のアンケート調査で明確に出ているし、これが現実だろうと思うのです。ですから、三カ月が最低期間だという理屈の中で、それを柱にされてきたのだけれども、そんなことは、現実には三カ月で帰っているじゃないかということになったら、だれが耳を傾けてくれますでしょうか。 我々新進党の議論のみならず、公聴会におきましても、現場で苦労されている方々の生々しい声がありました、意見陳述がありました。一年ぐらいは欲しいのだという気持ちの表明がたくさんあった。そういうことを念頭に置いて行政指導をしてもらわないと、最低限を上回るところについて行政指導をするというのは効果が余り期待できないように思うのですが、いかがでしょうか。
○松原政府委員 先生がおっしゃいました最初の点で、三カ月としておることの最大の理由が、現実に復職している人の介護休業期間というのは三カ月未満がほとんどだということを最大のポイントにしているというふうにおっしゃいましたけれども、必ずしもそうではないということをまたあえて申し上げさせていただきたいと思います。 それは、先ほど桝屋先生から専門家会合の報告書につきましてるる御質問がございましたけれども、医学的に見て、労働者が休業しても家族の介護をしなければならないという期間として事業主に義務づけるという観点から、どの期間であるかということがやはり最大の検討のポイントでございました。そういう観点から考えて三カ月ということでございまして、また実際にとっている人の実態を見ても、という位置づけでございまして、先生がおっしゃいましたように、現実が三カ月、それが最大の理由になっているということではないということだけは、まず御理解をいただきたいというふうに思います。 そういったもろもろの理由からではございますけれども、必ずしも三カ月ですべて家族が介護しなくてもいいという状態になるばかりではないというのは、先ほども申し上げたことでございます。 そういった認識に立った上でこの二十条二項についての指導もやらせていただきたいというふうに思っているわけでございますので、先生がおっしゃいましたように、そういう認識では熱意が伝わらないということは、それは杞憂ではないかというふうに思いますし、そういうふうに終わるように私どもも頑張りたいと思っております。
○北橋委員 ぜひその点での御努力をお願いしておきたいと思います。 施行時期は順番では最後になっているわけなんですが、これはやはり法案の修正を求める方々の一番切実なる願いであろうと思います。これまでも、法律が施行されるまでの間は予算措置を講ずる、あるいは法に基づく行政指導に今後鋭意努力をするということでございますけれども、一番最初に申し上げましたように、我々は過酷な労働の現場の現実から出発せねばならない、それが議論だと思うのです。 そういった意味におきまして、今までの政府の答弁を聞いておりますと、審議会で物すごく苦労したんだ、しかも、この審議会も不思議なことに、使用者側の意見と付記されておりまして、国会ではこの中身を変えないでくれというようなことも書いてあるのです。そういう気持ちがあることはわかるのですが、審議会の委員を任命されて、い ろいろと会議を回すために努力をされ、そして文書を浄書される、まとめる方は恐らく皆様方だと思うのです。それは何も皆様方が好んで書かれたとは思わないのですけれども、こういう議論を聞いておりますと、事介護休業法案の提出過程における審議会のあり方というのは、国会の議論というものを言うなれば拘束するといいますか、そこまで審議会というのは大きな権限というものがあるのであろうかという気もしてなりません。 いずれにしましても、苦労されて皆様方は提案をされた。しかし我々は、冒頭に申し上げたように、八万人プラスやめるかどうするか苦しみ抜いている御婦人の方々を入れると十万をはるかに超えると思う。これから、九九年度の施行になれば、一体どれだけの人たちが退職せざるを得ない状況に追い込まれるだろうか、悲劇というのは後を絶たない、そう思えてならないのです。 これまでの政府の答弁では、中小企業団体もなかなか大変だ、景気が悪いし、しかも時短から、高齢者雇用から、育児休業から、何から何まで法律で義務づけるわけですから大変なんだとおっしゃるんだけれども、介護のために仕事をやめるかどうかという苦悩は、週何時間の労働を何時間減らすということと全然質が違うと私は思う。 そして、今までるる御説明を聞いてきましたら、何とか労働省の力でこれをいいものにしたい、法律が施行できるまでの間全力でやりたいんだ、その意欲はよくわかりました。しかし、先ほどの予算のところでも若干触れましたように、これで百数十万という中小零細企業も含めてどれだけの人たちに伝わるのだろうか、行政指導で。 私は、八万何千プラスアルファの人たちがこれから四年間に一体どれだけふえていくだろうかと考えると、種々の労使の対立があったという問題じゃないと思う。昭和二十二年の労働基準法のときには、労使の意見が一致したはずがない。しかしながら、過酷なる労働の現実というものを直視し、それを変えることが、一時的に使用者団体の反対はあったとしても、国民全体の福祉につながると国会が判断したからこそやったのであります。 その意味で、非公式にはいろいろと修正の話し合いもないわけじゃないものですから、我々は今まで出した案を譲ってもいい、来年からの施行をさらにもう少しぐらい延ばしてもいい、そして三カ月、四カ月でもいい、そういう議論も実は非公式にはしたことがあります。そういった意味で少しでも実りある議論というのは、過酷な労働の現場の方々に耳を傾けて可能な限りやることだと思う。 中小企業団体の方々のこれまで公聴会の陳述を聞いておりますと、それはどうしてもできないことだというお気持ちは痛いほどよくわかります。我々も、新進党の中小企業総合調査会におきまして、もう嫌というほどその苦しいお立場は聞いてまいりました。でも、この問題は、もしも介護のために仕事をやめてしまうと、企業にとっても大変なんです。 今回、労働省が我々の新進党案に対して冷たいといいますか、余り理解を示していただかなかったのだけれども、その中で、政府提案理由説明の中に一行だけいいところがあります。この制度をつくることは、労働者はもとより企業にとってもいいことなんだという趣旨があります。私は、審議会で議論を経てきたわけでありますけれども、その意味で、新進党が提唱してきたように施行期日を一日でも早める、少しでも早めることが、数多く予想される悲劇を防ぐために大所高所から英断をすべきことではないかと考えております。 そのことに対して仮に国会で修正して、賢明なる中小企業者の団体の皆様方からやはりおしかりを受けるでしょうけれども、しかし、私の知る限り、中小企業というのはおやじさん、おふくろさん、みんなファミリー、一緒であります。大企業から買いたたかれたり単価を切り下げられても、歯を食いしばって耐えているファミリーであります。そして、自分の社員がやめるかどうか苦しんでいるときに、わしゃ知らぬ、そんな社長はいないと思う。少なくとも中小企業の社長たちは、介護のためにやめるかどうかという苦悩の問題に直面したときに、国会での修正をかたくなに拒否はしないだろうと私は信じています。 その意味で、施行時期について、いっときでもそれを早める、そのことが数多くの悲劇を少しでも減らすために絶対に不可欠であると私どもは確信を持つところでありますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○浜本国務大臣 介護休業の法制化につきましては、先ほどから何回も答弁申し上げておりますように、審議会における議論を含め、それぞれの立場からさまざまな御意見があるところでありました。政府といたしましては、それを労使ぎりぎりの折衝の結果最大公約数的にまとめて、今回法律案を提案させていただいたというふうに理解をしておるわけでございます。 したがいまして、各議員におかれましても、ぜひその点につきまして御理解をいただいて御協力くださるようにお願いを申し上げたいと思います。
○北橋委員 残念ながら時間が来てしまいましたので、最後に、この質疑を終えるに当たりまして、私ども新進党の思いからしますと、ぜひこの新進党の案を通したかったし、そしてまた一歩でも修正という形でやりたかったのですが、いずれにせよ、この国会でこの子供を産まねばならないと思います。そして、その子供がどういう顔かたちであったとしても、これまでの議論の経緯からして、我々にとってもかわいい子供であってほしいし、力強く大きく育ってほしいという気持ちであります。 今後どのような国会の修正が進むにしろ、この法律が成立した暁には、いずれにしましても当分の間は労働省は行政指導で対応することになります。それに向けて最善を尽くす決意を最後にお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
○浜本国務大臣 お答えをいたします。 この法律案が本委員会で成立させていただきました暁には、猶予期間におきまして一生懸命行政指導を行いまして、できるだけ条件を整備いたしまして、完全な介護休業制度ができますように努力をしてまいりたいと思います。
○北橋委員 ありがとうございました。
○笹山委員長 寺前厳君。
○寺前委員 地方公聴会なり、昨日は当委員会で参考人からの意見を聞かせていただきました。働く人々の権利ですから、権利としての法律をつくろうということになったのですから、私はその点は賛成です。 この前の質問のときに、大臣、何か勘違いをされて、権利でないみたいな発言をされて、後で直されたようですからそれで結構ですけれども、やはり権利ということを確立するためには、いろいろな分野に積極的に乗り出さなかったら権利を確立するということにはならないと思うのです。 そこで、せっかくスタートする権利が実効性のあるものでなかったならば困るじゃないか、これが地方公聴会でも中央における参考人の聴取の場合でも労働者から期せずして出てきた話だと思う。私は、きのう参考人がお配りになった資料を後から読ませていただいて改めてその感を強くするものです。大臣はお見えにならなかったから、私はここで紹介します。 自宅介護で夫の父を看とった。看護休暇はすばらしい制度と喜んでみたものの、実際にはこの制度を利用することができなかった。一度しか利用できない制度を有効に使おうとすると、先の見通しがっかないだけに、どの時期に休暇をとるのが一番いいのか決断しかねているうちに最期を迎えてしまった。日中は人に頼み、夜は家族で介護するという生活は、心身共に大変である。介護人が倒れることのないように、期間の延長、複数回数の取得など利用しやすい制度になるように願っている。 これは東京の例なんです。東京都はもともと、今政府が出しておられるのに似た案なんだ。そして次に、こういう切実な願いから、これは変えなけ ればいかぬなというふうに変わってしまっている。私は、いよいよ今出発するという段階において、こういうふうに実践的に経過してきた内容を見たときに、同じ誤りを繰り返すことはなかろう、実効性のあるものにする必要があると思うのです。 もう一つ読んでみます。 母が静脈瘤破裂で入院。数日授業をしてはその夜の新幹線で岩手に向かい、数日看護しては後ろ髪引かれる思いで東京に帰って、また授業をしてという繰り返しで、姉妹で交替とはいえ大変だった。担任としての仕事がずしりと重く、母の看護に専念できないつらさを味わった。看護休暇をとろうと模索し始めた頃母は亡くなってしまい、思いきって看護休暇をとって生活を支えてやったならもっと長く生きてもらえたのにと悔やまれてならない。その後、父が寝たきり状態となり、三ケ月の看護休暇では見通しが立たないので、やむを得ず妹が退職をした。せめて必要に応じて一年くらいまで延長できたらどんなに助かるだろうか。 こうたくさん載っておる。これが実践的な例だ。 きのうも参考人の樋口先生がおっしゃっていました。私のおじさんをほっておくわけにはいかない、面倒を見てもらったお方だから、そこへやはり通わなければならない。そういうことすら、やはり対象として面倒見てもらえないものだろうか。 せっかくこれから権利を保障するというのだったら、まず権利の保障のあり方の問題として、今の政府案ではなというのが期せずして出ている、実践的にも。そう思ったら、これは変えなかったらせっかくの権利自体を保障することにはならぬのじゃないだろうか。私の提起している問題、大臣はどうお考えになりますか。人によってはおじさん、おばさんまで面倒を見なければならぬということはありませんか。そのことの訴えがあるんです。 それから、とるのも三カ月の間で一回、冗談じゃないと。本当に保障してくれるのならば、断続的に気楽にとらせてほしい、兄弟で見られるようにしてほしい。私は、これは実践例だと思う。実践例にこたえるようにやってこそ、権利として保障されたなということになるんじゃないだろうか。政府案がぎりぎりだ、ぎりぎりだと労働者はだれも思ってないですよ。冗談じゃないと、本気になって権利を保障するという立場に立って面倒を見てほしいんだということを言っておられる。 事務当局の話は、もう審議がここまで来たんだから、全部聞きました。私は、大臣がこれが実効性のあるものとしてぎりぎりだと言われるんだったら、ちょっと考え直してほしいな。ぎりぎりというのは、労働者が受け入れるぎりぎりでなかったら労働者の権利にはならないんですよ。それでもあえてまだぎりぎりだとおっしゃいますか。いかがでしょう。
○浜本国務大臣 介護休業制度というのは、高齢化、核家族化が進展します中で、介護を必要とする家族を抱える労働者が働き続けるために重要な制度であるというのは私もよく理解をしております。 このため、私といたしましては、今般政府が提出いたしました法律案につきましては、速やかに成立をさせていただきまして、できるだけ多くの企業において、可能な限り早期に介護休業制度が導入されますように広報、啓発に努めてまいりますとともに、積極的に労働省も指導援助を行いまして、法の円滑な施行に向けて最大限の努力をしてまいりたいと思っております。 また、介護休業制度の法制化を行うだけでなくして、企業における介護休業制度の導入に対する支援措置、中小企業集団を通じた中小企業の計画的取り組みに対する相談・援助、介護休業をした労働者の円滑な職場復帰のための支援措置等を行うことにより、労働者が介護休業をとりやすく職場復帰しやすい環境の整備を図っていくことも大切であるというふうに思っております。 したがって、まことに申しわけございませんが、とりあえずこの法案を成立させていただきまして、以上申し上げましたような努力を、行政努力をさせていただきまして、充実した介護休業制度をつくり上げてまいりたいと思っております。
○寺前委員 私の聞きたいのは、労働者にとってこれはぎりぎりの線として理解されたいとおっしゃるのか、労働者にとって権利としていうならばぎりぎりとは言いがたいとおっしゃるのか、そこの話なんだ。とりあえずこれを通してくれ、必ず次には改善をさせますから、こういう意味なんですか。そこはどうなんです。私は、こんなもの、ぎりぎりなんて言えない。そこの話なんだ。
○浜本国務大臣 労働者のぎりぎりかどうかという点につきましては、労働者の大多数が結集しております連合の労働組合も、連合としての御要求をなさっておると理解をしております。しかし、そういう御意見を持った労働者の代表の方とまた負担を要求される経営団体の代表者の方がつくります審議会におきまして十分審議をされまして、そこで一定の合意といいましょうか、コンセンサスを得た内容を労働省が法制化したわけでございますので、そういう点を理解していただきまして、議員の御質問に対するお答えにさせていただきたいと思います。
○寺前委員 実践例からして東京でも変えざるを得なかった。現実に行われているところの介護休業の制度を持っているところだって、この期限の問題といい、対象の問題といい、とり方の問題といい全部、こういう政府案がいいなんというような態度をとっているところはないですよ。ほとんどないです。この経験から考えたならば、前提は権利として保障するんだということだから、賛成だと言うんだ。だけれども、私は、実効性のあるものにするためにはもっと研究をしなければあかぬなと。 次に、この間からの参考人やらあるいは地方公聴会の意見を聞いていましたら、中小企業は大変だという問題、私もそう思います。中小企業対策を真剣に考えなかったならば、事業者負担だけですべてやっていくわけにはいかぬよという感じは、これは共通して私は持つだろうと思うのですよ。 そこで、私は気になるのですが、大臣にお聞きしたいのですよ。大臣も閣僚としていろいろなことを、法律を閣議でお決めになるんだから。 そうすると、閣議で決められてきているところの法律の中でこういうのがあるのですね。事業革新円滑化法。何かというと、我が国製造業者の三割を対象業種として、自動車、家電、鉄鋼などが進める事業革新計画を税制などの優遇措置を講じて支援するものだ。具体的に言うならば、増加試験研究税制の特例措置によって税額控除をやっていこう。要するに、試験研究費を、基準年度である一九六七年以降で過去最大額よりも増加して研究費を出した場合には二〇%相当額を税額控除する、こういう法律が従来あった。ところが、バブルがはじけて以後、とっとことっとこ、それがそう簡単にいかぬようになって減ってきた。減ってきたので、最高の基準額というのを従来の一九六七年に置いておくわけにいかぬといって、それで、一九九一年度がピークになって研究費というのが下がってきておるから、そこの段階から考えて、この研究費に対する助成を変えようということで九三年度に変更して、少しでも研究費をふやせば税額控除が受けられるというふうな制度になってきた。 これはどういうことかというと、結局のところ、本当にばかにならない金額になる。千数百億円という減税措置がとられているんです。では、今度はどういうところが対象になっていくのだろうかと見ておると、今リストラで海外へ出ていく分野の諸君たちのところで、税制が千何百億から減税になっていくという事態が出てくる。それからまた、製品輸入促進税制というのがあって、外国で物をつくって、この前よりも二%余計輸入してきたら、そうしたら減税をやってやりましょうという制度が法律上できてきている。 考えてみたら、その中小企業や労働者は、海外 へ出ていくリストラによって泣かされている。それに対して莫大な金がとっとことっとこ出ていっている。中小企業は、そこで、たまらぬところへ、これが出てきたら大変だと言う。だから権利の問題は抑制しなければならぬということになったら、政治のあり方の主客が転倒してくることになるのではないか。むしろ、海外に大手企業が進出していく場合に、待ったをかける規制をやる必要があるんじゃないか。そんなところに対する研究費などについては、冗談じゃない、国際競争力に打ちかっなどという面倒を見るよりも、働く人たちの問題をもっと考えるという政治姿勢をとるべきではないのか、私はそう思うのですよ。 だから僕は、犠牲を、家族、労働者に負担をかけて、中小企業は我慢しなさいではなくして、権利として全面的に保障をして、そしてむしろ大手企業のこういうようなことに対する規制をやってごらんなさい。要らぬことに使ったお金、それは中小企業対策に回しましょうかいな、積極的に労働者のこれを保障しようと思ったら、所得保障に対して国も一役買いますと、あるいはまた後に代替要員を入れるということになったら、代替要員について全面的に面倒を見ましょう、こうやって積極的に中小企業がやりやすいようにする、そういうふうな構えで、私、大臣が中小企業が大変だということに押されないで、むしろ積極的に、そういう角度でもって大手企業の規制をやっていく立場をとって中小企業を守り、そうして労働者の権利を確保するために所得保障から、そういう問題を全面的に打ち出して直ちにやりましょうやないかというふうに打って出るというのが、これが基本的政治姿勢でなければ困るじゃないか。私はそんなことをこの間うちからの地方公聴会なり参考人の話を聞きながら感じたのですが、大臣、いかがでしょうか。
○浜本国務大臣 議員の積極的なお話は非常によくわかるのでございますが、今回提案いたしました政府の法律案では、そこまで考え方を及ぼさせておりませんので、ぜひひとつ成立させていただきまして、小さく産んで大きく育てるという話もさっきございましたが、そういう意味で御協力をいただきたいと思います。
○寺前委員 いや、もう時間が来たようだから遠慮しておきますけれども、だから私は、この際にはっきりしておかなけりゃならぬというのは、よくわかる、私の意見がわかるというのだったら、わかることをやってもらわなあかん。やってもらうといったら、やはり内容がこれでは実効性が乏しいから、期限の問題、対象の問題、あるいは断続的にとれるという問題、一回というのはやめるとか、所得保障をやるとか、あるいは代替要員の保障をやるための予算を組むとか、そこを全面的に直ちに検討に入る。そして、このお粗末な程度だったら四年も待つことはないので、一九九九年まで待つことなしに直ちにやりましょうやないか。そこまで考えてなかったんだと言うのだから、だから一九九九年までにはそこまで考えるところのものに変えるから、この程度だったら直ちに、すぐにでもやりましょうかいな、こういう姿勢を私はとってほしいな。 以上、意見を述べて、終わりにしたいと思います。
○笹山委員長 この際、休憩いたします。 午後零時二十二分休憩 ————◇—————