労働委員会 第4号
- 発言数
- 84 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1995/02/17
会議録
○笹山委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、特定不況業種等関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北橋健治君。
○北橋委員 新進党の北橋でございます。おはようございます。 ただいま当委員会に付託されました法律案につきまして、新進党を代表いたしまして、以下順次質問をさせていただきたいと思います。 まず最初に、昨今の雇用情勢といいますか、それについて、今後の見通しについて政府の認識をお伺いしたいと思っております。 私どもも、月外経済報告のレポートなどを通じまして、一年ぐらい前から景気は底を離れて、厳しいながらも緩やかに拡大基調にある、そういう状況でございますが、先般も私の地元事務所に、三十五歳の方が、会社が行き詰まって肩たたきに遭った、ほかに就職先はないのかということで御相談を受けまして、私自身、知り合いのところに片っ端から——中途から退職を余儀なくされた方の採用という問題を抱えまして、大変に厳しいものがあるというものを実感をしておるわけでございますが、今後の雇用情勢につきまして政府の基本的な認識をまずお伺いしたいと思います。
○浜本国務大臣 お答えをいたします。 企業活動のグローバル化の進展や最近の急速な円高などを背景にいたしまして、製造業の生産拠点の海外移転や製品輸入の増加の動きが加速をしておるようでございます。こうした動きは、今後の日本の産業構造を大きく変化させることになると認識をいたしております。 平成六年六月に雇用政策研究会におきまして取りまとめられました中期雇用ビジョンにおきましては、今後二〇〇〇年に向けて製造業では生産拠点の海外移転に伴って雇用の需要の減少が見込まれる一方、サービス業や情報通信分野あるいは住宅分野、さらに医療福祉分野などでは大幅な雇用需要の増加が見込まれるとされております。 こうした中で、産業間の労働移動を余儀なくされるケースも多くなることが見込まれますが、その場合に、できる限り失業を経ない形で労働移動が行われるように支援していくことが重要であると考えております。その一環といたしまして特定不況業種雇用安定法の改正案を今国会に提出し、御審議をお願いいたしておるところでございます。 なお、新規雇用機会の確保につきましては、新規事業分野の開拓などが必要であると考えておりまして、政府といたしましては、昨年十二月に産業構造転換・雇用対策本部を設置いたしまして、政府が一丸となってこうした問題に取り組んでいるところでございます。労働省もその方針に従いまして全力で取り組んでまいりたいと存じます。
○北橋委員 ただいま大臣の方から、雇用政策研究会等の論議も踏まえまして、中長期的な我が国の雇用情勢についての基本的認識を承ったわけでありますが、それに加えまして、短期的な今後の見通しについてさらにお伺いをしたいと思っております。 と申しますのも、最近のある報道におきまして、労働省がこれまで平成不況を打開するために雇用政策では相当思い切ったてこ入れ対策を講じてきたわけでありますけれども、それを打ち切るのではないかといった記事も出まして、労働団体初め関係方面には大変に疑問視する声も出ております。その問題に対する労働省の見解についてはまだ後ほど改めてお伺いしますが、そういった意味で、短期的な昨今の雇用情勢につきましてどのように見ておられるでしょうか、お伺いします。
○征矢政府委員 当面の雇用情勢につきましては、これはもう先生も御承知のとおりでございますが、完全失業率は、今回の不況時で最悪期には三%ということで四カ月ぐらい継続したわけでございますが、その後逐次改善いたしまして二・九%、二・八%、最新時点では十二月現在で二・八%になっているという状況でございます。それから、有効求人倍卒につきましては、これも今回の不況時で最悪期が〇・六二倍でございましたが、これがその後〇・六四倍まで来ているということでございます。 ただし、この水準自体はいずれにいたしましても厳しい状況でございまして、今後の見通しもなかなか難しいわけでございますが、経済は緩やかながら回復基調にございますし、そういう中で、恐らく雇用につきましても、一部いわゆる残業時間がふえているとか、あるいはパートの有効求人倍率が一・一倍台で推移しているとか、いわば先行指標面ではやや明るさも見えておるところでございますが、この辺につきまして今後なお慎重に見守っていかなければならない状況であると思います。
○北橋委員 今の御答弁では、確かにこれまでの各般の施策が功を奏して明るさが見えてきているけれども、なお慎重に動向を見守る必要があるということでございまして、言外には依然として厳しいものがあるというものを感じておられるのではないか、そのように推察をいたしております。 そういった意味で、この雇用問題について、私は与党も野党もないと思っております。政府と議会が一丸となって取り組まなければならないわけでありまして、そういった意味では、平成不況のときに労働省が雇用支援トータルプログラム、緊急雇用対策を打ち出されました。これは私どもも賛同を申し上げましたし、政府も鋭意努力をされてきたわけでありまして、そういったもろもろのこれまでの努力、そして企業の労使の自助努力が相まって明るさが見えてきているんだ、もしこれがどこかでぷつんと切れますと、これまた昨今のような厳しい状況に逆戻りしかねないような、そういったものを私どもは感じております。 ある報道によりますと、「緊急雇用対策打ち切り」という大見出しで出まして、続きまして、調整金助成率引き下げ、三月末で労働省の方針として、失業増一段落と判断をする、被災地では継続と出ておりますけれども、基本的にこの雇用支援トータルプログラムを打ち切るといった報道が出たわけであります。私どもはこれに対しては断固反対でございます。それについて政府の御所見、方針を承りたいと思っております。
○征矢政府委員 雇用支援トータルプログラムにつきましては、これは本年度予算におきまして特別高卒助成等の対策をまとめまして、現在鋭意それを実施しているところでございます。これにつきましては、一定の成果もそれに基づき上がっているというふうに私ども考えているところでございます。 ただ、これは緊急特別対策でございまして、そういう意味では今年三月末までという一応の区切りにはなっております。ただし、先ほど来申し上げておりますように、雇用失業情勢を見ながら適切に対処をすべき課題でございまして、これが三月末になりましたら即打ち切り、こういう考え方を持っているわけではございません。当然これは関係審議会で十分御議論をいただいた上で、さらに次の段階を考えるということになるわけでございまして、そういう意味で予算的にも、当面継続実施するということを踏まえた予算を今国会にお願いしているところでございますし、今後、雇用失業情勢を十分見きわめつつ適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
○北橋委員 今後関係審議会とも緊密に連携をとってというお話でございますけれども、今震災対策で各省庁がいろいろな案を検討されております。当然それに伴って予算も必要になってくると思いますが、新進党としては予算の組み替え要求をしてまいるわけでございますが、政府としては、それに対しては非常に慎重な姿勢と伺っております。 そういうことで、今後阪神大震災によって労働省関連でも相当程度の予算が必要になるということもあるでしょうから、そういった意味では、特に労働省としては、今のところ予算を新たに組み替えてやるというお考えもないようでございますから、そうすると、今までトータルプログラムでやってきたようなことが削られるのじゃないか、そういう心配もあるわけです。 あの兵庫県の近くの自治体でも、既に内示を受けている公共事業の予算が削られるのではないかと大変心配する声が一部に上がっておりますし、そういった意味でも、私どもは、三月末で一応の区切りとは聞いておりますけれども、現在の雇用情勢からいたしまして、引き続きこの緊急雇用対策は極めて重要な施策である、そのように確信を持っておりますので、労働大臣、ぜひともこれについては基本的なフレームを継続するという方向で関係方面の意見調整に当たっていただきたいのですが、いかがでしょうか。
○浜本国務大臣 委員も御指摘のように、今回の改正法案というのは、従来の雇用支援トータルプログラムを含めまして施策を実施していかないとその効果が上がらないという認識を私も持っておりますので、委員の御主張のような方向で今後努力してまいりたいと思います。
○北橋委員 どうぞよろしくお願い申し上げたいと思っております。 さて、当委員会に付託されております法案につきまして、以下順次質問をさせていただくわけでございますが、この立法の目的は政府の提案理由説明に述べられているとおりでございまして、私どもも極めて重要な内容を盛り込んだ法案であると評価をいたしております。 その中で、何と申しましても、今後産業の空洞化と言われている現象がかなり日本の雇用情勢を変化させるであろうということが背景にあるわけでございますが、産業のこの空洞化の見通しにつきましては、いろいろな学者の分析もありますし、一言で言えば、非常に極端な悲観論もあればまた楽観論もある。さまざまな、未来の予測でございますので議論が分かれるところでございますが、例えば日経連のレポートによりますと、アメリカとの生産性の比較をした場合に、現在の六千万人の雇用というのはとても多過ぎる、これを四千万人ぐらいで対応するようにしなければいけない、そして、その余った二千万人の労働力は今後新しく需要が伸びると思われる分野に振り向けていかなければいけない、そういう趣旨のことが書かれております。まあ、学者の中にはいろいろな意見がありまして、そういう意見もあるかもしれません。 ここで忘れてはいけないことは、例えば有力な団体の分析によれば、中長期的に二千万人ぐらいの新しい雇用をつくっていかないと日本の経済全体がうまく回らないんだ、この指摘は雇用面では看過し得ないわけであります。有力な団体からもそういう問題提起があるときでございますので、政府としても、この産業の空洞化は今後我が国の雇用にどのような影響を及ぼすと考えておられるか、基本的な認識を政府にお伺いしたいと思います。
○征矢政府委員 産業の空洞化をめぐりまして、先生御指摘のようにいろいろな御議論があるわけでございますが、私どもといたしましては、先ほど大臣もお答え申し上げましたとおり、昨年六月に雇用政策研究会において取りまとめていただきました中期雇用ビジョンにおきまして、今後二〇〇〇年に向けての動向を見ているわけでございますが、これによりますと、製造業では生産拠点の海外移転等に伴いまして雇用需要の減少が見込まれる一方、サービス業あるいは情報通信分野、住宅分野、医療福祉分野などではかなり雇用需要の増加が見込める、こういう見通しをとっているところでございます。 ただし、この辺につきましてのそれぞれの試算はあるわけでございますが、具体的にそれではどれだけ雇用需要が出てくるかというのは、具体的な数字になっているわけではないわけでございまして、具体的な雇用の場としての道筋が明確になっているわけではないわけでございまして、そういう意味ではいろいろな面でのミスマッチがあり得るわけでございます。 そういう視点から、恐らくこの産業間の労働移動を余儀なくされるケースも今後多くなるということで、今回、特定不況業種雇用安定法の改正法案を御審議をお願いする、こういうことでございます。
○北橋委員 私もこの間中華民国を訪問する機会がございまして、連戦首相を初め関係閣僚の方にお会いをしてまいりました。台北の方でも最近の話題は、北京、中国大陸の方に資本が流出している、あるいはアジアの低賃金の市場の方に台湾の方から企業の資本が流出している現状にありまして、私ども、昔、日本から見ると中華民国というのは非常に友好関係も経済的にはございましたし、そこに日本の方からもいろいろと投資をするという話は聞いておりましたが、今やもう台湾から各方面に出ていくという時代でございまして、あちこちで資本の流出という問題が起こっております。 そのときに、まず情報をキャッチするといいますか、日本から資本が流出していく、生産拠点が移っていくという場合の、東南アジアが多いと思いますけれども、いろいろなそういうところの情勢を的確に把握するという意味におきまして、例えば私は労働アタッシェというのは今後大変大きな意味を持ってくるのではないかと思っております。 実は、突然の質問でありましたものですから十分通告していなくて恐縮なんですけれども、私は、やはり最近のサミット初め各国が集まりましても、失業問題が主たるテーマと聞いております。どこに行きましても、労働担当の閣僚あるいはその専門家というものが集まって、専ら欧米先進国では雇用問題を話し合っている。そのときに、労働省から大使館に一体何人ぐらい出ておられるのだろうか。これは外務省との関係もあるから難しいかもしれませんが、やはりここは最近の世界の情勢にフィットさせるために、労働省から専門家をどんどん大使館に送るべきだ、このように思っております。 これはまた別途委員会の方で私は要求してまいりたいと思っておりますが、当面、まず労働アタッシェについては、労働省もこの制度を温かく育てていただいておると聞いております。 第一陣として行かれた方は今や労働界のトップリーダーで御活躍でございますが、その行かれた国の東南アジアの状況については大変お詳しい。そしてその辺の市場の状況なり、また労働界に復職してこういった雇用問題にも対応していますので、そういった方々というのは、今後非常に情報を入手するときに重要な役割を果たされるのではないか。その意味で今後空洞化という問題を考えるときに、やはり労働アタッシェといった人たちも含めて、あるいは労働省からどんどん外国に、大使館に出ていかれる、こういったネットワークづくりが大事ではないかと思っております。 といいますのは、雇用政策研究会で議論されていますが、大学の偉い先生方ばかりでございまして、そういった方の意見は十分聞かれていると思うのですが、やはりみずからネットワークをどんどん広げていかれる努力が求められているし、また、私どももこれは党派を超えて応援をしてまいりたい、こう思っているのですが、どうでしょうか。
○浜本国務大臣 最近の状況を見ますと、確かに雇用問題が国際的な大きな課題になっておることは私もよく承知をしております。現に労働サミットというのも開かれております。また、各大使館に労働アタッシェをたくさん派遣させていただくということも大変よろしいのだろうと思いますけれども、これはやはり外務省とのいろいろな話し合いも必要だろうと思います。 したがって、現状の問題と、そういう状況についてどのような対応をしておるかということを今官房長の方から答えさせていただきたいと思います。
○伊藤政府委員 ただいま御指摘のように、雇用問題を中心にいろいろな各国と労働問題は関連し合ってまいっておりますので、先生御指摘のような点を私ども念頭に置いていろいろ関係方面とも話し合いを常々進めておるところでございます。現在はタイとアメリカに労働組会の出身の方に行っていただいておりますけれども、私ども、これからもそういった成果を十分生かしていくと同時に、先生御指摘のような方向で関係方面と話し合ってまいりたい。 また、労働省から派遣しています労働アタッシェにつきましては、現在十五カ国に行っております。これにつきましても関係方面と話し合いを進めながら、今年度は中国にこれをふやしてまいるといったようなことを具体化する予定でおりますので、そういった方向で、これにつきましても充実をするような形で進めてまいりたいと考えております。
○北橋委員 ぜひとも海外とのネットワークづくりのために御努力を続けていただきたい、また、そのために私どもも全力で応援をさせていただきたい、こう思っております。 さて、この法案の中身でございますけれども、これまで法律が念頭に置いておりました「特定不況業種」に加えまして、今回新たに「特定雇用調整業種」というものを法律の中に盛り込んで、そこでもろもろの施策を講ずることとなっております。その「特定雇用調整業種」というのは、今後政府としても具体的にそれを指定していく基準づくりなりそういう作業に入られると思うのですが、現時点におきまして、今後どのようにして指定をされていくお考えか、具体的に想定されることについて方針をお伺いしたいと思います。
○征矢政府委員 この「特定雇用調整業種」、これを労働大臣が指定する予定にいたしているわけでございますが、産業構造の変化等に伴い製品や役務の供給が相当程度減少しており、その状態から長期にわたり回復しないことが見込まれることに伴い雇用量の相当程度の減少を余儀なくされる業種、こういうことで「特定雇用調整業種」を指定するということでございます。 この具体的な指定のあり方としましては、指定基準をつくった上で、それに該当する場合に指定するということでございますが、この手順といたしましては、この法律の成立をお願いいたしまして、その実施に当たりまして、中央職業安定審議会にこの指定基準について諮問し、その意見を伺った上で決定するというふうに考えております。 現時点で、一定の考え方としましては、これは現在特定不況業種の指定基準があるわけでございますが、この中で稼働卒とかあるいは設備廃棄等の要件、こういうものを除いたもの、具体的には生産量、雇用量が三年以内の同期比で一〇%減少している、そういうような基準を頭に置いているところでございます。
○北橋委員 今でも電機部品だとかテレビの製造だとか、具体的な業種につきましても、各方面から産業の空洞化は避けられないと指摘されているものがありますが、そういった業種についての踏み込んだ議論はこれからでしょうか。
○征矢政府委員 業種につきまして具体的にどうするかにつきましては、これはやはり法律成立後指定基準を定め、それとあわせまして、それぞれの関係団体からの御要望、申請等を踏まえて対処するということになりますが、先生御指摘のように、現時点で想定されるものでどんなのがあるかというようなことになりますと、これはなかなか今時点でははっきりは申し上げられませんけれども、ただいまお話がありましたような家電製造業の一部であるとかあるいは繊維工業とかあるいは鉄鋼業とか、そういうものが想定されるところでございます。
○北橋委員 この法律の中で具体的に指定された業種につきましては各般の施策を講ずることとなっているわけでありますが、日本の産業構造はよく二重構造と言われておりますけれども、私も地元で七五三という言葉を聞いたことがあります。大企業と中小零細事業には、賃金で七割、一時金で五割、退職金で三割、それぐらいの格差がある、ちょうど非常にごろ合わせがいいものですから、そういう言葉を聞いたことがありますが、実際はそこまで格差はないにしましても、やはりその業界に大きな変動がやってまいりますと、中小零細事業に伴う痛みというのは大変大きいものがあると思います。それがゆえに、介護休暇その他施策を講ずる場合も難しい問題も出るわけでありまして、今後こういった対策をこの法律に基づいてやる場合には、関連のいわゆる下請事業所に対する手厚い気配りといいますか対応が必要だと思いますが、これについてはこの法律はどのように考えておられるでしょうか。
○征矢政府委員 親事業主が事業規模の縮小等を行う場合、関連部品の内製化等による下請企業への発注の削減、あるいは下請企業へのコストの低減のしわ寄せ等を行うことが多くございまして、下請企業の雇用にも多大な影響を与えるわけでございます。 特定不況業種雇用安定法におきましては、これまでも特定不況業種の事業主の中に下請まで含めて施策の対象としてきているところでございまして、今回新設することといたしております特定雇用調整業種につきましても、特定雇用調整業種事業主の中に一定の下請事業所を含めて施策の対象とすることといたしておりまして、これらの事業所に雇用される労働者につきましても雇用の安定が図られるよう配慮してまいりたいというふうに考えております。
○北橋委員 ぜひともこの関連協力企業、いわゆる下請事業所につきましては、格段の御配慮をお願い申し上げておきたいと思っております。 今回の法改正の前には、特定不況業種という言葉で指定をされた業種に対する施策をこの法律は行っていたわけでありますが、今回、新たに特定雇用調整業種を加えるに当たりまして、これまで対応してまいりました特定不況業種の扱いというものが今後どうなるかであります。 今後その指定されている業種が変わるだとか、そういった変化があるかどうか、それについての取り扱いの基本方針をお伺いしたいと思います。
○征矢政府委員 特定不況業種の定義に関しましては、今回の改正により新たに特定雇用調整業種を設けたことに伴いまして規定の整備はいたしておりますが、特定不況業種の指定基準等につきましては、これは実質的な変更はないものという考え方でございます。 したがいまして、本年六月三十日までを期限といたしまして現行法に基づき特定不況業種に指定されている業種につきましては、これは改正法の施行後に改めて業種指定を行うということにいたしておりますが、その際には、従来の基準を満たしていれば、改正法に基づき七月一日から特定不況業種として指定されることとなるということでございます。
○北橋委員 今回指定された業種につきましては諸般の援助策を講ずるということになっておりますが、その具体的な施策、中身についてお伺いをしてまいりたいと思っております。 まず第一に、雇用促進事業団が職業訓練施設に関して資金の貸し付け等を行うというところがございます。これは職業訓練施設の設置または整備について相当前向きに取り組まれている趣旨だと理解をいたしますが、この基本的な、具体的な中身について、まずお伺いをしたいと思います。
○中井政府委員 今回、改正をお願いしております特定不況業種等雇用安定法の第十条の二第一項の規定により拡充される雇用促進事業団の雇用促進融資、これは職業訓練施設設置資金と言っておりますけれども、その具体的な内容は、融資対象に雇用維持等計画認定事業主から出向、再就職あっせん者を雇い入れる事業主で職業訓練施設の設置、整備を行うものを追加するということでございます。こうした方々に対しては、実習場とかあるいは教室等について原則として限度額五千万円以内の範囲で所要額の九〇%を融資をする、そういうような制度でございます。 また、「特別の配慮」ということを言っておりますけれども、その内容は、特別に低い融資利率を適用するということでございます。いわゆる特別金利ということを言っておりますが、本日現在、通常は中小企業は四・六五%、大企業四・九%の利率であるところを、中小企業四・〇%、大企業四・二五%ということで、当初三年間これを適用する、そんな内容でございます。
○北橋委員 続きまして、どうしても勤労者が地域を移動して新たな職につかねばならない場合に備えまして、宿舎の確保を図る規定がございますけれども、これについては、現在も移転就職者用の宿舎が設置されていると思いますが、その利用状況がどうなっているか、まずお伺いしたいと思います。
○征矢政府委員 移転就職者用宿舎につきましては、これは労働者の地域間及び産業間の移動の円滑化を図ることを目的として、公共職業安定所の紹介等によって就職する者、これをいわゆる移転就職者といっておりますが、これに対しましてその職業の安定を図るために貸与する宿舎ということで雇用促進事業団が設置、運営しているものでございまして、平成六年三月未現在で全国で約十四万戸が設置、運営されておりますが、入居戸数が約十二万戸、入居率は約八五%でございます。
○北橋委員 今のところまだあきがあるということでございますが、これをまたさらに新しく拡充するということになるのでしょうか。
○征矢政府委員 雇用促進事業団のあり方につきましては、行政改革の一環として現在業務の見直しを行う予定にいたしておるところでございますが、移転就職者用宿舎につきましても、これは見直しをしながら、なお必要に応じて新規に設置することも検討いたしたいと考えております。
○北橋委員 この宿舎の確保につきましては、雇用促進事業団法十九条第五項の規定を適用しないというふうに書いてありますが、この具体的な意味は何でしょうか。
○征矢政府委員 雇用促進事業団法の現在の規定につきましては、移転就職者の利用に支障のない限り、移転就職者以外に対しても貸与することができるという規定でございます。 これを適用しないということは、逆に言いますと、本法律に基づきまして認定計画に基づき移動を余儀なくされる労働者に対しましては、改正後の特定不況業種法第十条の二の第二項に基づきまして、政策的に住宅の確保について配慮すべきである、こういう考え方から、移転就職者に準じて優先的に移転就職者用宿舎を貸与することができる、こういうことにいたしておるところでございます。
○北橋委員 この法律では、今後施策を進めるに当たりまして関係省庁とのお互いの緊密な連絡、協力、そういうところもございますけれども、単身赴任者というのが最近すごくふえていて、結局子供さんの教育のために親子離れ離れに住むということが大変多い。人間というのは怖いもので、なれてくると当たり前になってしまいまして、こういう異常なことがどうして放置されているのかと常々思っているわけでございます。今後不幸にして産業、経済の変化によって新しい職場を求めて移動せざるを得ない、こういう人にとりましては、実際にそういう一たん勤めた会社を離職して新しいところに行くというのは大変な苦痛を伴うものであると思っております。そういった意味で、子弟の教育という問題もあわせて考えませんと、住むところだけではどうにもならない、こう思っております。 私も、ある事業所が遠隔地に大量に移動するときに、県立高校の入学等につきまして陳情を受けたことがかつてございまして、文部省にもいろいろとお願いしたのですが、お父さんの勤務地の変化に伴いまして子供さんがスムーズに入れるというのは大変難しいということを身にしみて感じております。今後労働省は、日本経済全体がマクロで大変大きな変化を受ける、キーワードは「失業なき労働移動」だと思いますけれども、そういった意味で、そういった他の省庁にかかわることについても積極的に発言をし、協力を求めていっていただきたいのでございます。 この宿舎の確保に関連いたしまして、子弟の教育といった問題についてもぜひ御配慮いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○征矢政府委員 地域間の労働移動を円滑に行うに当たりましては、御指摘のように、移動先におきます住宅の確保あるいは子女の転入学等は非常に重要な問題でございまして、求人情報等の雇用情報だけでなく、住宅、教育などの地域の生活関連情報をこれらの方々に提供することは非常に重要であるというふうに私ども考えております。 このため、私ども労働省といたしましては、地域間の労働移動を希望する者、これは例えばUターン希望者等もございますが、これに対する職業相談、職業紹介に際しましては、地方自治体の協力も得て、地域の生活関連情報もあわせて提供しているところでございます。 今後とも、地域間の労働移動を進めるに当たりましては、文部省など中央省庁はもちろん、地域の情報を有する関係機関との連携を図りながら、生活関連情報を含めて提供できる情報の充実を図ってまいりたいと考えております。
○北橋委員 先ほど職業訓練施設についても具体的な中身についてお伺いしたのですが、これはちょっと通告していなくて恐縮なのですが、民間の施設の活用という問題もあるのではないかと思っております。これまで特定不況業種という名前で法案ができましたときに、国会におきます附帯決議などがございまして、それの社労委員会なんかを見ますと、職業訓練施設については、公共の充実強化に加えまして、民間施設の活用という問題もございます。 実は、職業訓練施設の実態については私も十分な調査をいたしておりませんので、抽象的な質問で恐縮なのでございますけれども、今や官民の区分といいますか、新しくまた行政改革の御時世でございますので、こういった公共的なものと民間的なものの活用については労働省としても十二分に検討、留意されて進められると思いますけれども、こういった民間の活用というものについてもどのようにお考えになっておるか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○中井政府委員 私どもで職業能力開発行政を進めていく場合に、公共の能力開発施設を使ってその訓練をしていくということが多いわけでございますけれども、実は公共の能力開発施設だけでは不十分なところもございます。委託訓練という形で実際に事業主に訓練を委託するというような政策もとっておりまして、先生がおっしゃったような趣旨は、それなりにやっているというふうに思っております。
○北橋委員 今回、雇用促進事業団がこの重要な新しい任務を主担当でやられるということでございますけれども、今、政府内部でも行政改革の問題で大変重要な局面を迎えておられると思います。私どもも、行革は緊要の課題でありますし、そこに聖域は設けるべきでないということで、今回、この法案の審査に当たりまして、その見地からも検討してきたところであります。 そこで、基本的に私どもは雇用促進事業団が重要な役割を果たしているものと信じておりますし、この事業団が仕事をされることについては、私は基本的に異を唱えるものではございません。しかしながら、こういう行革の推進が叫ばれているときでございますので、その点についても十分議論を詰められた上での国会提出だと思いますが、その点について所見を承れればと思っております。
○征矢政府委員 御指摘のとおりでございまして、今回この法律でお願いいたしました考え方は、「失業なき労働移動」という形で、失業を経ずに移っていただく、こういう観点でございます。 そういう観点からいきますと、現在の公共職業安定所は、従来から失業者についていろいろな相談をし、職業紹介をするというような形で設置、運営してきているわけでございます。一方、雇用促進事業団につきましては、従来の仕事として、雇用管理についてのいろいろな相談業務、あるいは職業訓練について施設をつくりまして訓練を実施する、こういうようなことを現にやってきているわけでございまして、そういうことを総合的に考えて、今回雇用促進事業団に新たな業務としてこの仕事をやってもらうという考え方で整理したところでございます。ただ一方、行政改革という面から、雇用促進事業団の業務の見直し、これは現在別途やっているところでございます。 なお、この新たな業務を雇用促進事業団に行わせることにつきましては、予算面あるいは制度面について関係省庁と十分調整した上で法案を提出いたしたところでございます。
○北橋委員 行政改革の見地から聖域を設けず見直しを進めるというのが政府の方針のようでございます。私どももそれを支持したいと思いますので、重要な任務を果たされると同時に、今後、効率的な運営についても万全の御配慮をしていただきたい、こう思っております。 さて、関係省庁との緊密な連携協力でございますが、中でも産業政策を所管する通産省との関係というのは極めて大事だと思っております。通産省の方の特定事業者の事業革新の円滑化に関する臨時措置法を見ましても、基本的にはこれは産業の空洞化が進みかねない状況に適応して新しい職場をつくる、そういう趣旨だというように私ども理解をしているわけでございますが、今後労働省と通産省との緊密な連携がますます重要性を帯びてくるものと思います。この問題についての政府の基本的な対処方針をお伺いしたいと思います。
○征矢政府委員 産業構造の転換と雇用対策を一体的、総合的に進めていくために、政府といたしましては、昨年十二月に産業構造転換・雇用対策本部を設け、同本部が決定いたしました基本方針に基づいて諸施策に取り組むことといたしているところでございます。 雇用政策といたしましては、今回御提案申し上げておりますような産業構造の変化に伴う産業間、企業間の労働移動が失業を経ることなく円滑に行われるようにする支援策を内容とします特定不況業種雇用安定法の改正案を審議をお願いいたしているところでございます。 また、産業政策といたしましては、既存産業の新商品の開発等の事業革新に向けた取り組みを支援するための特定事業者の事業革新の円滑化に関する臨時措置法案を提出し審議をお願いしている、こういうことでございます。 これらの両法につきましては、労働大臣と関係行政機関の長、これは対象業種を所管する主務大臣ということになりますが、これが相互に緊密に連絡し、及び協力しなければならない旨規定しているところでございまして、これによりまして、改正業種法に基づく雇用の安定及び能力の開発向上のための措置と、事業革新円滑化法に基づきます事業革新の円滑化のための支援措置を必要に応じ連携させつつ講じることといたしております。 具体的には、例えば業種指定に当たりまして相互に緊密に連絡調整を図るとともに、特例事業所制度を活用して両施策の連携を図ることも考えているところでございます。
○北橋委員 今回の新しい法律のスキームによりまして予算が予定されておりますけれども、労働移動雇用安定助成金、労働移動能力開発助成金でおおむね三十数億円の予算が予定されているようでございます。今後こういった事業を継続するに当たりまして、雇用保険料率が上がるということが懸念されるわけでありますが、十分現行水準を維持したままでできる、このように考えてよいかどうか、お伺いしたいと思います。
○征矢政府委員 私ども、今回この対策を検討するに当たりまして御指摘の雇用保険料率の問題も含め検討いたしましたが、現在のこの仕組みでの施策につきましては現行保険料を特に上げる必要はないという判断のもとに法案を提出した次第でございます。
○北橋委員 時間ももう間もなく終わろうとしておりますけれども、一つ要望でございますが、法律でも労働組合等の意見を聞いて計画を立てるといったところもございますけれども、これは我が国の組織された勤労者にとりましても、とりわけ民間企業の組合にとりましては、まことに死活問題といいますか、極めて重要な案件でございます。 過日発表されております雇用政策研究会も、非常に重要なレポートだと思いますけれども、メンバーは学者の方でございます。それで、今後いろいろな施策を考えるに当たりまして、公式、非公式の場で連合等の意見を十分聞かれて労働省は対応されているという意味においては私ども御信頼を申し上げておりますが、法の運用に当たりまして、今後さらに、連合に代表される勤労者の生の現場の意見というものを十分重要視しながら施策を進めていただきたいのでございますが、大臣、この点についての御決意をお伺いしたいと思います。
○浜本国務大臣 委員も御承知のように、労働省の政策決定は大体三者構成で御審議をいただきまして、それぞれの御意見を集約した形で政策決定をさせていただいているような次第でございます。したがいまして、これからの雇用問題を検討する場合には、その原則にのっとりまして、どうしても労働組合の御意見を拝聴するということになると思います。また、そうしなければ立派な雇用政策が実現できないというふうに思っております。御趣旨のとおりこれからも進めてまいりたいと思います。 なお、最近の計画としては、産労懇、産業労働懇話会というのがございますので、二月のもうすぐこれを開催したいと思うのですが、総理にも出席をいただきまして、労働組合の代表の方からも、それから経営者の代表の方からも、また公益、中立側の代表の方からも率直な御意見を伺いまして、立派な雇用政策を樹立してまいりたいと思っております。
○北橋委員 時間が参りましたので、今後勤労者等の現場の意見を十分拝聴されまして、本法の施行に当たりまして万全を期していただくことを御期待申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○笹山委員長 岩田順介君。
○岩田委員 大臣におかれましては日夜御奮闘されていることに心から敬意を申し上げます。なおかつ、阪神大震災の御心労につきましては、なお一層お取り組みの進まれんことを心から祈念をする次第であります。 この委員会でも二回にわたって阪神大震災の問題が取り上げられましたが、私も当地に参りまして痛感をすることは、職員の皆さんが心身ともに疲労の極限に至るであろうということであります。近々応援団を編成をされて現地に送り込まれるということも聞いておりますが、こういう大震災というのは、国の法律さらには県、市、自治体の条例では救済できない、つまり法の網では救済できないという問題が多々発生するわけでありまして、そこにどう心を配るかというのは大変大きな問題であろうと思います。 労働省関係につきまして、私が気がつく範囲ではございますが、例えば季節労働者であるとか、さらには外国人労働者であるとか、万全の措置はとられているだろうと思いますが、なおかつ情報の不足や被災された方々の安否の問題もあるわけでありまして、一方では国際問題、一方ではいわゆる底辺の労働者の問題でありまして、そこには何といってもやはり職員の配置を、潤沢にはできませんけれども、情報の収集やさらに諸施策の伝達がうまくいくかどうかということにもかかわっておるわけでありますし、ぜひとも御留意をいただきたいと思います。
○浜本国務大臣 委員の御指摘のように、労働省といたしましては、震災以降の取り組みといたしましては、十分情報の収集を行いまして、特に現地の第一線で活躍しておる皆さんの御意見も聞きながら、人員の配置をいたしておるところでございます。 最近私ども考えまして、きょうがちょうど震災後一カ月になりましたので、きょうあすのうちに事務次官をもう一遍現地に派遣をいたしまして、さらに緊密な連絡をいたしまして、現地の実情も聞きながら十分な体制を整えてまいりたいと思っております。
○岩田委員 本法に無関係ではないわけでありますが、主題に入る前に、空知の炭田の最後の空知炭礦が、今回、先月二十六日に提案されまして、三月三日閉山ということになっております。内容は先般池田同僚議員が質問をしましたので概略はおわかりと思いますが、まず一つは、早急に労働省も現地に派遣をしていただけるようにひとつ要望しておきたいと思います。 それから、空知の石炭閉山につきましては、他の山の閉山、過去の閉山といささか異なる点が幾つもございます、特徴がございます。 私も筑豊炭田の中で生まれて育ってきたわけでありますが、昭和三十年代、あしたに一山、夕べに一山、炭鉱が次々に閉山をいたしまして、大量の労働者とその家族が京阪神に向かって大量に移動するという悲劇を味わってきたわけであります。北海道の場合も、今度の空知は、例えば砂川だとか夕張だとか赤平だとか、近年閉山をした閉山状況と若干異なりまして、突然の閉山、そして会社更生法の手続をいたしましたが、労務債も退職金も支払われない状況の中で八百余名が離職をするわけでありますね。 これは、特定不況業種に指定をされておりまして、しかも石炭産業政策で手厚い保護が他の産業に比べてされております、労働省には大変御苦労をいただいておりますが。本工につきましては黒い手帳というのがございまして、なお二百数十名が下請労働者でこれは緑の手帳が発給されますか、しかし、石炭に関連をして直接解雇、離職を余儀なくされた他の労働者の皆さんは、それらのいわゆる救済の方法がないわけであります。例えば、空知石炭の本社の倒産によりまして関連する六社が倒産の憂き目に遭っておりますが、この労働者は恐らく退職金はどうであろうかというのか心配になります。さらに、現地歌志内市の関係で申し上げますと、地元商工会の皆さんが、石炭社に対する売掛金が主であろうと思いますが、なお三億五千万の凍結になっておりますが、後、商売やっていけないのです、もうこれは。退職金も払えないという窮状が訴えられておるわけであります。 各省庁連絡会議は既に一回行われておるのじゃないかと思いますけれども、なお、こういう不況の時代、離職が、雇用問題が深刻な時代でありまして、全く展望を失う労働者を多く出すことは労働政策にとってもこれは極めて遺憾なことであるというふうに思うのであります。なせることとなせないことがありますが、当面、地域振興策につきましては通産省が中心になってやっていくと思いますが、なおかつ雇用創出の場を含めまして、労働省及び労働大臣の多大なる御努力をひとつ賜りたいということをあえて御要望申し上げる次第であります。
○浜本国務大臣 空知炭礦につきましては、先月の二十六日に会社側が組合に三月三日付の閉山提案を行ったということを私も伺いまして、大変心配をしておるような次第でございます。 私のところにも北炭本社社長及び空知炭礦の社長が見えまして、閉山問題について報告をいただいたところでございます。その際、私といたしましては、会社側と組合でよく話し合って円満に解決してください、こういうことを強く要請をしたところでございます。 いずれにいたしましても、現在閉山問題につきましては労使で話し合いが行われておるというふうに伺っておりますので、円満に解決するように、推移を見守っておるところでございます。 仮に閉山の事態になりました場合には、多数の離職者が発生する状況が予想されますので、地元の北海道や通産省を初め関係機関と十分な連絡を図りながら、地域対策や雇用対策について最大限の努力をしてまいりたいと思っております。けさも閣議がありましたときに、通産大臣とこの問題について相談をいたしまして、ともに協力し合ってこの問題の円満な解決のために努力しようという約束をしたところでございます。
○岩田委員 今大臣の前向きな御答弁をいただきましたが、いずれこれは労使双方の交渉によるものでありますが、既に破産状況、実態は破産状況でありまして、管理人のもとに置かれているわけですね。会社側は交渉能力を持たないわけでありますが、労働省としては、直接対応できるもの、また間接的に、北海道が、道庁が中心になると思いますが、なおかつ大臣に現地の方々の状況に心を砕いていただくようにお願いを申し上げたいと思います。 そこで、雇用情勢が今後どうなるかということにつきましては、十五日、さらにきょうの先ほどの御質問にも御答弁がございまして、そのとおりであろうというふうに思われるわけであります。しかし、楽観は極めて許されないのではないか。 例えば、産業における雇用調整の実施の状況などを見てまいりますと、オイルショックのときと比べまして相当に減ってはおりますが、しかし六十年、六十一年の円高不況のときに比べて雇用調整はぐんと高こうございます。現在下がりつつあるわけでありますが、しかし今後リストラをどういうふうにするのか、海外進出に伴って国内の従業員をどうするかということを産業別に見ております統計などを拝見させていただきますと、なお進むであろうという予測はかなり高い数値で出ているわけでありまして、なおかつ予断を許さないというふうに思っているわけであります。これは、日本における貿易黒字の問題、円高の問題の推移がまさに原因となって今後変化していくものだろうというふうに思います。しかし、急激な変化というのは当面想定できないというふうに私は思うのでありますが、なおかつこの辺について、再三御答弁いただいておりますが、簡単に御答弁いただきたい。 そしてまた、この法案が延長になりましたその原因は、二〇〇〇年、二〇〇一年ということを念頭に置かれているやに聞いておりますが、あえてそういうふうに置かれたことと雇用情勢の推移との関係があるのかどうなのか、御説明をいただきたいと思います。
○征矢政府委員 最近の雇用失業情勢につきましては、これはもう御指摘のとおり、有効求人倍率は三六倍台で推移しておりますし、完全失業率は二カ月連続して低下しているもののまだ二・八%という水準にございまして、なお注意すべき状態にあります。今後、景気の回復基調、これが継続いたしますとすれば、やはり雇用情勢も緩やかにしろ徐々に改善していくのではないかというふうに考えているところでございますが、現状は今なお注意すべき状態、こういうことでございます。 また、中長期的に見ますと、これも御指摘のとおりでございまして、製造業の海外シフトに伴ういわゆる構造的な課題、これに取り組んでいく必要がある。こういうことから政府といたしましても、内閣総理大臣を本部長とします産業構造転換・雇用対策本部を設置し、政府一丸となって構造問題に取り組んでいくということで、そういうことを踏まえて、今回法案の審議をお願いしている、こういう状況でございます。
○岩田委員 先ほど質問者の意見、質問にもございましたが、二月十四日付の日経新聞でしたね、九五年三月で雇用支援トータルプログラムを打ち切るのじゃないか。これは御説明いただきましたが、ぜひこれは我々も努力をして、七年度予算にきちんと盛り込まれた雇用政策の基本ともいうべきものでありまして、いささかもこれは削減もしくは打ち切るということは許されない。これを基軸にもっと幅の広いものを努力していくことの方がやはり基本ではないかというふうに思いますので、あえて御答弁は要りませんけれども、先ほどの決意のとおりにお進めいただきたいというふうに思います。 先ほど征矢局長の方からもお話がございましたが、産業の国際化の進展の中で、日本の雇用慣行さらに労働力の流動化という問題をめぐってさまざまな議論があります。中職審の雇用対策基本問題小委員会でも報告書が出されておるわけでありますが、これは労働政策のあり方、労働者の雇用や労働条件のあり方に重大な影響を与える問題であることは言うまでもないわけであります。私は、基本的な認識といたしまして、産業や企業の一方的な都合によって労働者を振り回すような労働力の流動化というものは許してはならないし、これは何としてでも抑止をしなければならぬというふうに思っているわけであります。 今回の改正は、構造的な要因によって雇用の減少を余儀なくされるというような業種において、失業を経ることなく労働移動することを支援するということが趣旨であるというふうに御説明をいただいておりますが、ところで、このような「失業なき労働移動」というものは、私が懸念するような労働力の流動化を積極的に進めようとするものであってはなりませんが、そうではなかろうとは当然思いますけれども、労働省の所見を伺っておきたいと思います。
○浜本国務大臣 委員が御指摘になりましたように、今後、円高や国際化の進展等を背景にいたしました企業の海外進出や製品輸入の増加がいわゆる産業、雇用の空洞化をもたらすのではないかという懸念が広がりつつあります。こうした懸念は一部産業においては既に現実化しておりまして、企業外への労働者の移動が避けられないケースとなっておると思います。 労働省といたしましては、その場合の社会的痛みをできる限り少なくするために、「失業なき労働移動」への支援ということに特に重点を置いた政策展開を行っていきたいと考えておるわけでございます。その一環といたしまして、本国会に特定不況業種雇用安定法の改正法案を提出いたしまして御審議をいただいておる次第でございます。 特に、先生が御懸念の点でございますが、これは中央職業安定審議会でも指摘されておるとおり、この対策は、あくまでも労働者がやむなく移動させられている現実に対処するものでありまして、長期雇用システムを否定いたしまして労働力の流動化を無制限に進めようとするものではないということを御理解いただきたいと思います。
○岩田委員 なお一方では、二十一世紀を見通して日本の産業の、産業というか日本の新産業の創出、雇用の創出というものが基本であることは言うまでもありませんが、なお一層総合的な御努力をお願いをしておきたいと思います。 次に、経済、産業政策と雇用対策のあり方についてお尋ねをしたいと思います。 我が党も浜本労働大臣を頂点に鋭意努力をしてきたところであります。社会党は、一九八五年の例の不況の際に緊急総合雇用政策を発表いたしておりますが、その中で、政府の経済政策、産業政策、地域振興政策などを雇用労働政策と一体のものとして策定をしてきた経過があります。社会的成長と完全雇用の実現のために総合的かつ計画的にこれらを推進する必要がある、こういった観点で取り組んできたところであります。したがって、社会的成長と完全雇用の推進に関する法律案、これは仮称でありますけれども、こういったものもかって世に問うたこともございます。 我が党の委員長でもあります村山総理が、平成六年の九月二十二日だったと思いますけれども、税制改革に関連をいたしまして、「経済・産業政策と雇用対策の整合性を保持しつつ、政府全体として一体的・総合的に推進する」、こういうことを指示されたわけでありますが、今回のこの法律改正でこれらがどう配慮されているのか。さらに、通産省が今国会に特定事業者の事業革新の円滑化に関する臨時措置法案というものを出しておりますけれども、これとの関連におきましても、関連性があるものであるならばひとつ御説明を賜りたいと思います。
○浜本国務大臣 委員が御指摘になりましたように、私たちも総理の指示を踏まえまして、産業構造の転換と雇用対策を一体的、総合的に進めてまいりますために、内閣に設置されました産業構造転換・雇用対策本部で決定されました基本方針に基づきまして、産業間、企業間の労働移動が失業を経ることなく円滑に行われるようにする支援策を内容とする今回の法律の改正案を提出しておるところでございます。 また、産業政策といたしまして、既存産業の新商品の開発等の事業革新に向けた取り組みを支援いたしますために、特定事業者の事業革新の円滑化に関する臨時措置法案が今国会に提出されておるところでございます。 これら両法案におきましては、労働大臣と関係行政機関の長とが相互に緊密に連絡をし合うこと、また協力をいたしまして行わなければならないという旨が規定されておるわけでございます。 それを具体的に申しますと、一つは、業種指定に関し産業所管官庁と緊密に連絡調整を図ること。二番目は、事業革新円滑化法の特定事業者であっても、改正業種法の特定雇用調整業種に属さない事業者がある場合、必要に応じ、当該特定事業者であって事業規模の縮小に伴い相当数の労働者が離職を余儀なくされるおそれがあるものにつきましては、労働大臣が特例事業所として認定いたしまして、改正業種法に基づく各種支援措置を受けられるようにすることを検討いたしておるところでございます。そのように通産省と十分連絡をしながら、努力をしてまいりたいと思っています。
○岩田委員 労働組合との関係も先ほど触れられましたが、これについても御質問をしておきたいと思います。 今回の法案は、さまざまな配慮があるわけでありますが、まず、労働移動雇用安定助成金を設ける。特定雇用調整業種等について、みずから事業転換を行ってその雇用する労働者を配置転換する事業主や、出向や再就職あっせんにより労働者を受け入れる事業主に対してこの賃金助成金を行う。それにあわせて、労働移動能力開発助成金によって労働移動前後の教育を行う。雇用の安定と能力の開発向上の観点から配慮されているものだと思いますけれども、しかし、これらの制度が下請事業所の中小企業等にも十分に行き渡り活用されないと、この本来の趣旨が生かされていかないのではないかという危惧もするわけであります。 特に、最近のリストラの一環として内製化の推進だとか下請業者の絞り込みというのが親企業によって再編の動きがあることも存じておるわけでありますけれども、これらのことが中小企業に大きく影響されては困る。これは連合の要望事項でもありますけれども、それに加えて、十分に配慮するために申請手続についてのもっと弾力性という要求も来ております。 さらに、これは労働者個人への支援策になっていないという点にも指摘がありますが、移動するときの、いわゆるA社からB社に行くときに、A社では一〇〇であったものがB社に行くと六〇になる、五〇になる、そういった極端な例もあることを知っておりますけれども、こういった点にも配慮をして、ぜひ実効の上がるように取り組みをお願いしたいというふうに思いますが、いかがでしょう。
○征矢政府委員 今回の法律でお願いしております労働移動雇用安定助成金あるいは労働移動能力開発助成金等があるわけでございますが、これにつきましては、出向、再就職あっせん等については関係労働者に重大な影響を与えるものでございまして、「失業なき労働移動」を事業主が進めるに当たりましては、労使間の十分な意思疎通が必要なものというふうに考えております。中央職業安定審議会におきましても、失業を経ることなく労働移動をさせるための事業主の取り組みを支援するに当たっては、労働組合等との協議が前提、そういう旨の指摘もされているところでございます。 したがいまして、特定雇用調整業種等の事業主が雇用維持等計画を作成するに当たりましては、当該事業所の労働組合等の意見を聞くことを要件とするとともに、実際に労働移動雇用安定助成金あるいは労働移動能力開発助成金を支給するに当たりましては、雇用調整助成金の仕組みと同様、労働組合等との書面による協定の締結を要件とすることによりまして「失業なき労働移動」が円滑に実施されるようにしているところでございます。 また、下請事業所等につきましては、あるいは中小企業等につきましては、これは御指摘のようにより大きな影響を与えるおそれがあるわけでございまして、したがいまして、今回新たに設けます特定雇用調整業種におきまして一定の下請事業主を適用対象にして、特に中小企業については二次下請事業主まで対象範囲とすることを予定いたしております。また、中小企業につきましては助成率を大企業より手厚くすることを考えておりまして、労働移動雇用安定助成金につきましては、大企業四分の一に対して中小企業は三分の一、労働移動能力開発助成金につきましては、大企業三分の二に対して中小企業は四分の三というような助成率を考えているところでございます。 こういう形で労使間の協議あるいは中小企業に対する配慮、そういうものをあわせながら対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
○岩田委員 一月十九日、村山総理大臣は経済計画の策定を経済審議会に諮問をなされました。従来から経済計画と雇用対策基本計画とは密接に連動するものでありまして、そこで当然、雇用対策基本計画について見直すことになると思いますが、我が党出身、社会党出身の労働大臣として、次の雇用対策基本計画が雇用に手厚い、労働者に優しい、雇用安定に一層配慮したものとなるようにお願いする、配慮していただくように期待するわけでありますが、大臣の基本的なお考えを一言お聞かせいただきたい。
○浜本国務大臣 委員御指摘のように、先般、総理から経済審議会に対しまして新経済計画策定について諮問が行われました。労働行政を所管する私といたしましても、これとあわせて新雇用対策基本計画の策定について早くやらなければならないという決意をいたしておる次第でございます。 本計画の見直しを行うに当たりましては、委員から御指摘がございましたように、今後の経済、産業構造の変化や少子化、高齢化の急速な進展等に対応しながら、労働力需給の展望を明らかにいたしますとともに、国民生活にとって最も重要な課題である雇用の安定を図り、豊かな勤労者生活を実現することを基本的視点に据えまして、中期的な雇用政策の方向性を検討してまいりたいと思っております。
○岩田委員 これで質問を終わりますけれども、御答弁ありがとうございました。 これは要望でございますが、時間の関係で雇用促進事業団法の分野につきましては質問するに至りませんでしたが、一点だけ要望がございます。 二十四条の第三項に「財務諸表をその事務所に備えて置かなければならない。」というのが新たに追加をされましたが、これは既に設置をされております部署につきましても、一般の方々にこれを公表する、閲覧できるという仕組みにはなかなかなってないですね。これまで改善をされたわけですから、一般の方々が閲覧を要望されたときには速やかに閲覧できるような開かれた窓口にしてほしいということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○笹山委員長 寺前巖君。
○寺前委員 最初に、局長にちょっと聞きたいと思うのですが、この特定の不況業種というのは一体どういうことが今日では予想されているのですか。
○征矢政府委員 特定雇用調整業種、今回特定不況業種雇用安定法の一部改正法案でお願いしております中身の特定雇用調整業種でございますが、これにつきましては法律で基本的な考え方を書いてございますが、産業構造の変化等に伴い製品や役務の供給が相当程度減少しており、その状態から長期にわたり回復しないことが見込まれることに伴い雇用量の相当程度の減少を余儀なくされる業種を特定雇用調整業種として考えているということでございます。
○寺前委員 今日の時点ではどういう業種が特定なそういう不況業種として見られるのですかということを私、ちょっと聞いておるのです。
○征矢政府委員 これにつきましては、何が特定雇用調整業種に該当するかにつきましては、具体的には指定基準をつくりましてそれに基づいて判断するということでございますが、この指定基準につきましては、法律成立後中央職業安定審議会に諮りまして、そこで決めていただいて、それによって対処するということでございますが、その考え方としましては、特定不況業種の基準が現在ございますが、この中での稼働あるいは設備廃棄等の要件を除いたものを考えておりまして、生産量、雇用量が三年以内の同期比で一〇%減少しているというような一定の基準を考えているところでございます。 そういう基準でどういうものが該当するかという点につきましては、これはその時点での判断ということになりますが、現時点での状況から考え得るものとしましては、家電製造業の一部あるいは繊維工業、鉄鋼業、そんなものが想定されると思っております。
○寺前委員 最近のリストラで海外の生産拠点が円高の中で急にふえてきている。例えばここに通産省の資料を見ておりますと、家電や自動車工業が急速に海外へ移転してきています。例えばカラーテレビでしたら、一九八五年が三八・八%であったのが六五・九%、電子レンジでしたら、二二六%であったものが六四・五%、これは九二年ですね。それから、自動車でも、五・三%であったものが三六・一%。随分急速にこの十年間というのは海外へ生産拠点が移っでいっている。これはやはり日本の中小業者にとっても労働者にとってもゆゆしき問題に直面しているというふうに言えると思うのです。 そこで、労働大臣のこの間の所信表明を改めて読んでみましたら、「こうした状況のもとでやむなく必要となる労働移動につきましては、できるだけ失業を経ることなく行われることが、社会にとっても個々の労働者にとってもよりよい対処のあり方であると考えております。」そこから今度の改正法を出したのだという御説明がありました。やむを得ずこうなるので、そうだと思うのです。だから、ほっておいたらこのまま進んでいくものを、ほっておかない手をやって、それでなおかつこうなるのだ、こういう意味だろうと私は理解している。 そうすると、労働省として、やむを得ない事態までの努力は一体どういう努力を具体的にされるのかをお聞きしたいと思うのです。
○征矢政府委員 大変難しい御質問でございます。 率直に申し上げまして、そういう事態といいますのは、これは経済の枠組みの中で動いているわけでございまして、いわゆる空洞化、これはそういう意味では一面では避けて通れない課題でもあるわけでございます。生産性の低い部門等が開発途上国に移転していく、こういうあり方というのは避けられないわけでございますし、いろいろな国際的な経済社会の中で動くものについて、労働省としてどういう対策でとどめるかという御質問の御趣旨と思いますが、これはなかなか難しい課題であると思います。 ただ、一方で、急激な円高等によりましてこの海外移転のテンポが速くなる、それによりまして本来我が国内から出ていくことが望ましくない、そういう産業まで加速して出ていく、こういう事態は避けなければならない重要課題だろうと思いますが、その対応策としましては、これもいろいろ言われておりますように、いわゆる規制緩和の問題とかあるいは内外価格差是正の問題、こういうものに今後どう取り組んでいくか、そういう課題であろうというふうに考えておるところでございます。
○寺前委員 大臣の所信で、わざわざ「やむなく必要となる」と「やむなく」までおつけになったのですから、何かやむなくなるまでの間の対処をお考えになっておるのだろうと私は善意に想像しておりましたけれども、何にもないですか。
○浜本国務大臣 その「やむなく」というのは、産業構造の転換に伴うて労働省が積極的に労働者の移動を推進するものではないのだ、今日の経済構造の変化によって雇用も流動化しておるし、いわゆるやむなく労働移動する場合には、失業のないように支援をしていかなければならぬ、こういう意味で申し上げておるわけでございます。
○寺前委員 私は、この問題が実はなかなか重要だと思っているのです。富士電機常務取締役の加藤丈夫という人が「季刊労働法」の中でこう書いているのです。 出向が「派遣元にとっても派遣先にとっても負担になりつつある。派遣元にすれば派遣先の全ての労働条件が低い場合が多いので、“余分な”負担をしなければならないという不満があり、派遣先では直傭の社員に比べて担当する仕事の割には物心両面の負担が大きいという受けとめ方がある。」「お互いのこうした不満を解消するには、出向が長期間に亘り派遣元に復帰する可能性が少ない社員に対しては、派遣時点で派遣元との雇用関係を清算する転社措置の方が合理的と言うことができる。」「ただこうした措置は、現在のように“短期間に”“大量に”実行しなければならない時には退職金を中心に一時的な出費が莫大となり、かえって企業体質を弱めてしまうという危険もある。」とした上で、出向や転社が「大企業にとってはこれがリストラの中心施策であることには変わりない。」と述べているわけなのです。 要するに、出向させているのは、短期間はいいとしても、長期になってくるとこれはもたぬようになってくる。だから、こういうふうに海外移転を急速に進めていくという場合には、何としてもそこのところを促進させてしまう必要がある。出向で移籍をするということをやろうと思ったら、この前労働省がおっしゃったように、それはちゃんと本人の理解がなかったならばそうはさせることができない。ちゃんと全部規制がかかってしまうわけです。だから、そういう規制がかかっている中で、この法律によってこれが公然と行われて、いや、賃金の何分の一を面倒見てやりまっせというようなことをとっとことっとこ促進したら、これは大手企業の海外へ拠点を移していく流れに積極的な役割を担うことになるのではないだろうか。私の危惧するのはそこなのです。これはちょっとそう簡単に、これはいいことですなと言うわけにはいかない。 大手企業が今やろうとしていることに対する促進剤に逆になってしまうのではないだろうか、私はそう危惧するのですが、その危倶はございませんと言える何らかの保証がございますでしょうか、大臣。
○征矢政府委員 この法律の枠組みとしましては、先ほども申し上げましたように、特定雇用調整業種という形で業種を指定いたしまして、その中におきます企業が出向あるいは再就職あっせん等をする場合、それを「失業なき労働移動」という形で支援するものでございます。ただ、この点につきましては、まず計画段階で労働組合の意見を聞くという枠組みと、それからただいまおっしゃっておりますような問題で、当然出向等については個別労働者の合意が必要である、これは当然のことでございます。 そういう問題も当然の前提としまして、なおかつこの仕組みとしまして、助成金等を支給するに当たりましては、これは雇用調整助成金制度をつくるときにも同じような御指摘、御議論があったわけでございますが、その歯どめとしましては、やはり企業におきます実情、これを判断いたしますのは、行政ではなかなかそういう意味で困難でございます。したがって、労使協定によります書面による協定、こういうものを労働組合等が結んでいただいて、そういうものを要件にして支援をする、こういう考え方で組み立てているところでございます。
○寺前委員 これは、最近の動向を私、この間ちょっと調べてきたのですよ。例えばシャープ、恐らくこれも海外へどっと移転していくところだろうと思って調べてみたら、一九八五年に国内生産高は二百四十万台だった。今、七十万台に減っている。海外生産は六十万台から三百七十五万台にふえている。だから、国内の生産比卒というのは一六%になってきている。 そうすると、そこでどういうことが行われてくるかというと、重点化部門強化といって、八尾工場の電子レンジ部門から天理市にある液晶部門への配置転換が行われる。労働者にとっては配置転換はかなわぬかもしらないけれども、会社全体がそうなっているんだからということで、老人介護をしなければならない者や子供の受験を控えた連中、そういう方々も配置転換は応じざるを得ないという問題になっている。そういう問題が大手企業の中でも起こるわけです。 ところが、海外へ移転されていくということになると、問題になってくるのは下請ですよ、下請がついていくわけにはいかないから。そこには労働者もついているわけです、その下請の労働者が。そこをどうするのかということになってくると、結局仕事はなくなっていく方向だ。しかも、この間松下で同じようなことを聞いてみたら、今度は下請に出していた仕事を本社がとるようになってくる。だから、下請に出す仕事を本社がとってしまって、海外へ本拠地は移していく。そこの松下の労働者にとっては仕事はなくなるということにならないかもしらないけれども、配置転換で済むかもしらないけれども、下請の企業や労働者の方は本当にとられてしまう。これが実際に現地の置かれている状態からすると一番頭の痛い問題になってしまう。 だからそうなってくると、大手企業が、下請さん、おまえさんのところなあ、もう仕事を私のところ、本社の方でやらぬと、私のところの労働者自身の問題があるからうまいこといかぬのや、おまえさんのところ独自で新しいものを研究しな、労働者については、研修に行かせてもらえるし、賃金も保障してもらえるんだから、こういう制度ができたんだから喜んでやれるやろ、私らそこまで心配してこの法律をつくる一役を買うているんだ、こういう話になっている。そうすると労働大臣、労働移動についてもうどうにもなりません、お手上げですわという姿勢を直すことが、私は今日労働省にとって必要になっているんじゃないだろうかというのをつくづく感ずるのです。 ところが、去年の十二月に出された労働省の職業安定局の本を読んでおると、こういうことが書いてある。製造業の「海外シフトについての基本的考え方」として、こう書いてあるんです。そもそも企業が経済のグローバル化の中で国際競争力を維持するために海外進出したり、海外からの部品調達などを拡大していくことは、市場メカニズムに基づいた行動であり、これを政策的に押しとどめることはできない。断定しちゃっているんです。もうしようないんやでと、あきらめの宣言を、この労働省の職安局が出しておられる本というのか報告というのか知りませんが、その中に書いてある。あきらめてしまったら、もう政府の役割はなくなってしまうのじゃないだろうか。 私は去年も臨時国会で大臣に申し上げましたけれども、大企業の海外への生産の移転や国内の事業の縮小などの場合に事前に国や自治体に計画を提出させて、そして何しろ、あなた、大手企業の今内部留保が国家予算の三倍からに匹敵する内部留保を持っているわけでしょう。その資金を持って海外へ出ていくわけでしょう。海外へ行ったら労働賃金はうんと安いからたくさんの人が雇えるんだというやり方でいくんだ。だから、そこをとめる役割を考えるということを内閣として考えなかったら、私は、基本的に日本の労働者の今日の事態を救うことにならないのではないか。 自由化の時代になかなか議員の御質問にお答えするのは難しいとこの前おっしゃっていたけれども、労働省の担当部門はみんな、先ほど言ったように、押しとどめることはできない宣言をやっているんです。そんなときに内閣まで一緒になって、私どもは大企業のおやりになることはもうどうにもできませんとおっしゃったら、だれが日本の中小企業や労働者を救うんだということになると思うので、これはぜひ研究してほしい、この点を私は所信に対する質問として大臣に改めてお聞きしたいと思うんです。
○浜本国務大臣 今委員から御指摘がございましたが、経済の最近の状況は国際化しておりまして、そういう意味では海外に進出する企業も多くなっておることは事実でございます。 したがって、内閣としては先般、産業構造転換・雇用対策本部というのを設置いたしまして、当面は、内外価格差の縮小でありますとかあるいは産業構造の積極的転換に対する支援対策を通産省が中心に決めましたし、私の方はそれに対しまして、雇用対策として失業のない労働移動を支援するような対策を計画いたしまして、今回法案として提出しておるような次第でございます。ですから、そういうふうな総合的な計画を、施策を実施いたしまして初めて、委員が言われるようなことを防ぐことができるのではないかというふうに思っております。 したがって、私どもとしては、労働政策の観点から、とにかく労働者の雇用を維持する方向で積極的な対策を講じる以外にない、こう思いまして法案をお願いしておるような次第でございます。
○寺前委員 私は、もう繰り返しはやめますけれども、逆に推進していくようになるのじゃないかという危倶をしますので、あえてもう一度、御検討いただきたいということをお願いしたいと思います。 せっかくの雇用問題を聞いている機会ですので、ちょっと震災の現地の問題について聞きたいのですけれども、神戸職安が一番中心になっていろいろ行われていると思うのです。私は、あそこで震災後、離職票の発行とか受給資格決定などの業務というのが沸騰しているだろうと思うのです。現状はふだんとはどういう違いが生まれているのか、ちょっと御報告を願いたいと思うのです。
○征矢政府委員 現状につきまして、現地の職業安定所が大変であるという点につきましては御指摘のとおりでございまして、どこが違うかという点になりますと、やはりこれは阪神・淡路大震災によります。その後の相談が事業主の方あるいは労働者の方から急増している、こういうことでございます。そのための特別相談窓口をつくって対処しているわけでございますが、その相談件数か相当累積してきている。 今後の問題としましては、そういう相談を踏まえまして現実に雇用調整助成金あるいは失業給付の特例措置等の手続をしていく、こういうことになるわけでございまして、そういう事務が非常にふえているということでございます。
○寺前委員 私が現地へ行って見ておりますと、二月一日から十五日までの半月間で八千から九千ぐらいの離職票が出ているように思うのですよ。従来だったら、二月だったらどのぐらいだと聞いてみたら千九百ぐらいだというのですから、恐らく四、五倍はたくさんお見えになっているだろう。受給資格の決定の方を見ておっても、半月間に三千七、八百か四千ぐらいあります。二月の全体を、従来を見ると千二百件ぐらいだとおっしゃるのだから、恐らく三倍以上来ておられるだろう。 それだけの事務量になってきて、しかも切実感というのは非常に強いのですから、そうなってくると、これに対する対処というのは、必要な要員配置というのは即刻やらなければならぬということになっているんですが、現状はどうなっているんですか。
○征矢政府委員 御指摘のように、私ども現在、失業給付の特例支給等につきまして、離職票の交付枚数とかあるいは受給資格決定件数について把握するような指示はいたしておりません。これは現地の状況にかんがみて相談業務あるいは支給業務というものを優先しておりますから把握しておりませんが、先生が現地をごらんになりまして神戸職安についてそういう状態であるという点については、私どもそういう確認をいたしているところでございます。 いずれにしましても、この全体的な把握方法につきましては、一カ月も経過いたしましたし、検討いたしまして、今後対処したいというふうに私ども考えておる次第でございます。 それから、現地の業務量増に対する対応につきましては、現在被災安定所におきまして、本来の職員に加えまして県下の職員が応援に当たっているところでございます。しかしこれだけでは十分対応できないということから、現地の県の要望を踏まえまして、増大する失業給付の特例措置の業務処理等のために、既存の窓口とは別に神戸公共職業安定所の旧庁舎に新たに窓口を設置いたしまして、近隣県の職員によります応援体制をしき、必要に応じまして臨時職員の活用を図る等、求職者、事業主に対するサービスを強化したいということで、これは来週からそういう方向で対処したいということで考えているところでございます。
○寺前委員 聞いてみたら、県外からも三十人ほど配置されるという話でした。ところが、そこで現地の人の不安が起こっているのは、これは四月以後もやってくれるのかという不安がある。私は三月でこの仕事が終わりだというふうにはならぬと思うのです。だから四月以後も保証してやるということをはっきりしてやらなければならぬということと、県外からの応援者を入れたら、まだこの時期は非常に忙しい時期なので、それぞれのところもまた行き詰まってくるという問題も出てくる。そこの保証もちゃんとしなければいけない。そういうことをちゃんと考えておられるのか、そこをちょっとお聞きしたいと思います。
○征矢政府委員 この業務につきましては、これは本年度いっぱいで終わるというふうには考えられないわけでございまして、そういう意味では必要に応じて継続的に四月以降も対処しなければならないというふうに考えております。 それから、当面県外からの応援三十人ということでございますが、兵庫県の現状からいきますと、現地におきます相談業務、これは地域におきます実情をよく承知した方でないと相談が難しいという面もございまして、そういうことも考えながら当面対応可能なものとして失業給付の特例措置についての業務処理、こういうことを中心に応援体制を組んでいるところでございます。 それから、応援につきましては、これは各府県からお願いいたしておりますが、やはり一カ所に偏りますとそこで業務に支障が出てくるというようなこともございますので、関係県と相談しまして、やはり業務の支障を最小限に抑えるということを踏まえながら応援体制をお願いしているところでございます。
○浜本国務大臣 私も、職員の方が被災者でありながら一生懸命頑張っていただいておりますので、現地の職員の方々の御意向というものを十分尊重して業務を遂行しなきゃならぬというふうに思っております。先般、参りまして、現地の御要望に沿った応援体制を整えるという約束をいたしまして、その都度、現地からの御要望をいただいておるわけです。 ただ、御承知のようにちょうど一カ月たちましたので、そうはいってもやはりこちらから最高責任者が参りましていろいろな御意見を伺った上で直ちに具体的な対策を講じなきゃならぬと考えまして、けさ打ち合わせをいたしまして、事務次官にきょうないしあすの間に現地に行っていただきまして、さらに現地の要望を伺って遺漏のないような体制を整えていく、こういうことにいたしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○寺前委員 時間が終わりになってきましたので、せっかく他省の人をお呼びしておるのでお許しをいただきたいと思いますが、一つは、労働省の方で雇用保険の対応の問題について措置しておられますけれども、雇用保険の対象でないところの船員の皆さんの問題があそこでやはり起こっていると思うのです。船員の皆さんに対して同じように対処をしてほしいというのが要望としてあるんじゃないかと私は思うのですが、まず運輸省の方に、船員の皆さんかどういう状況になっているかという実情を、タグボートなどの関係があると思うのです、御説明をいただきたいというのが一つと、それから、厚生省の方でどういうふうにこの船員の皆さんの問題について処理をしようとしておられるのか、お聞きをしたいと思います。
○金子説明員 先生の御質問のタグ労働者の件につきましては、今回の被災によりまして神戸港等は壊滅的な被害を受けたために、入港船舶は激減をいたしております。このため、当該地域で稼働しておりました港湾タグボートはほぼ休業状態になっておりまして、現在タグボート三十三隻、船員が二百六人おりますけれども、ほぼ休業等の影響を受けているというふうにお伺いをいたしております。
○辻説明員 船員についての雇用保険に関連する対応でございますけれども、船員の失業につきましては、船員保険法で失業給付が行われる体系になっております。ただ、雇用保険におきまして、いわゆる激甚災害法によるみなし失業手当、これについての措置が行われますけれども、これと同様の措置については船員保険法に現在規定されておりません。 これにつきましては、現在も、運輸省から御説明がありましたように、神戸港で就労せざるを得ない船員に与える影響というものが非常に大きい現状のもとで、陸上労働者との比較におきましてもこのような船員を救済する必要が高いと考えておりまして、まさに本日十時半から医療保険審議会で、このような措置を船員保険制度においても講ずることにつきまして御諮問をさせていたたいておりまして、その結果を踏まえまして所要の対応を講じてまいりたいと考えております。
○寺前委員 ありがとうございました。
○笹山委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。 次回は、来る二十二日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時四十七分散会