予算委員会第二分科会 第1号
- 発言数
- 100 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1995/02/20
会議録
○衛藤主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。 私が本分科会の主査を務めることになりました。何とぞよろしくお願い申し上げます。 本分科会は、法務省、外務省及び大蔵省所管について審査を行うことになっております。 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。 平成七年度一般会計予算、平成七年度特別会計予算及び平成七年度政府関係機関予算中法務省所管について、政府から説明を聴取いたします。前田法務大臣。
○前田国務大臣 平成七年度法務省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。 法務省は、法秩序の確保並びに国民の権利保全等国の基盤的業務を遂行し、適正円滑な法務行政を推進するため、現下の厳しい財政事情のもとではありますが、所要の予算の確保に努めております。 法務省所管の一般会計予算額は五千五百四十億三千四百万円、登記特別会計予算額は一千六百五十八億二千七百万円、うち一般会計からの繰入額七百二十三億二千七百万円でありまして、その純計額は六千四百七十五億三千四百万円となっております。 この純計額を前年度当初予算額と比較いたしますと、百八十八億七千九百万円の増額となり、増加率にいたしまして三%となっております。 何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。 なお、時間の関係もございますので、お手元に配付してございます印刷物を、主査におかれましては、会議録に掲載せられますようお願い申し上げます。
○衛藤主査 この際、お諮りいたします。 ただいま前田法務大臣から申し出がありましたとおり、法務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○衛藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 平成七年度法務省所管予定経費要求説明書 平成七年度法務省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。 まず、法務省所管の一般会計予算額は、五千五百四十億三千四百万円であり、登記特別会計予算額は、一千六百五十八億二千七百万円でありまして、その純計額は、六千四百七十五億三千四百万円となっております。 この純計額を前年度当初予算額六千二百八十六億五千五百万円と比較しますと百八十八億七千九百万円の増額となっております。 次に、重点事項別に予算の内容について、御説明申し上げます。 まず、定員の関係でありますが、前年度定員に比較いたしますと純増百七十人となっております。 平成七年度の増員は、新規五百一人と部門関配置転換による振替増員五十三人とを合わせ、合計五百五十四人となっております。 その内容を申し上げますと、 一 法務局における登記事務、訟務事務、人権擁護事務及び国籍事務の処理体制を強化するため、登記特別会計の百五十人を含め、百六十二人 二 検察庁における特捜事犯、財政経済事犯及び国際犯罪事犯等に対処するとともに、公判審理の迅速化を図るため、九十七人 三 刑務所における保安体制、処遇体制及び医療体制の充実を図るため、百十二人 四 少年院及び少年鑑別所における教育、観護体制の充実を図るため、三十人 五 保護観察活動等の充実を図るため、二十四人 六 出入国審査及び在留資格審査並びに退去強制手続の業務の充実強化を図るため、百三十七人となっております。なお、公安調査庁につきましては九人の減員となっております。 他方、平成三年七月五日の閣議決定に基づく平成七年度定員削減分として三百八十四人を削減することとなっております。 次に、主な事項の経費につきまして、概要を御説明申し上げます。 まず、一般会計では、 一 刑事事件の処理等検察活動に要する経費として、五十一億七千百万円 二 刑務所等矯正施設における被収容者の衣食、医療、教育及び作業等に要する経費として、三百三億四百万円 三 保護観察に付された少年等を更生させるための補導援護等に要する経費として、六十億六千七百万円 四 出入国の管理及び難民の認定等に要する経費並びに在留外国人の登録等に要する経費として、百二十六億二千八百万円 五 破壊活動防止のための公安調査活動に要する経費として、二十七億九千万円 六 施設費としましては、老朽・狭あい化が著しい基幹の大行刑施設及び拘置支所の継続整備を含め、法務省の庁舎及び施設の整備に要する経費として、百六十四億五千九百万円をそれぞれ計上しております。 次に、登記特別会計について御説明申し上げます。 登記特別会計の歳入予算は、一千六百七十億三千万円、歳出予算は、一千六百五十八億二千七百万円でありまして、歳出の主な内容といたしましては、登記事務のコンピュータ化計画を推進するとともに登記事務を適正、迅速に処理するための事務取扱費として、一千五百五十八億九千百万円を計上し、ほかに、登記所等の施設の整備に要する経費として、八十七億二百万円を計上しております。 以上、法務省関係の平成七年度予定経費要求の内容について、その概要を御説明申し上げました。 —————————————
○衛藤主査 以上をもちまして法務省所管についての説明は終わりました。 —————————————
○衛藤主査 この際、分科員各位に申し上げます。 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。和田貞夫君。
○和田分科員 村山政権のもとで、人権問題を抱える行政府として非常に頑張っておられる前田法務大臣に敬意を表したいと思います。 そこで私は、きょうは三十分の間でございますので、できるだけ大臣の政治的な決断をお聞きしたいと思いますので、各局長の答弁はそれぞれ五分以内程度にとめていただいて、大臣の発言を多くしてもらうように、冒頭にひとつ御配慮いただくことをお願い申し上げておきたいと思います。 村山総理は「人にやさしい政治」を掲げて、施政方針演説でその意味を、いろいろな立場や状態にある人々が、社会全体の中で、人権が守られ、差別のない、公正で充実した生活を送ることができる社会を建設することと説明をされておられます。私は、部落差別を初めとする差別を解消し、人権が擁護される社会を建設するための法律や体制を確立することが「人にやさしい政治」だと考えるのであります。 政府は、一昨年、同和地区実態把握等の調査を行われました。昨年の夏にその中間報告がなされたわけでございます。 この報告の内容を見てまいりますと、結婚に対する問題、あるいは被差別部落の起源についての一般国民の考え方、非常に残念な結果が出ておるわけであります。特に、結婚問題については、何らかの形で反対する可能性のある人が実に五六%を占めておる。あるいは被差別部落の起源についても、人種起源説だとか宗教起源説だとか職業起源説だとか貧困起源説を挙げる国民の方々が実に三〇%以上ある、こういう結果が出ております。 この実態調査によりますと、同和地区住民の皆さんの中で、三人に一人が何らかの部落差別を受けているということが明らかになっているのであります。今回の調査で、そのような人権侵害を受けてどういうふうに対応しているか、その対応方法を見てみますと、黙って我慢をしたというのが実に四六・六%、ほとんどが泣き寝入りをしておるのです。法務局や人権擁護委員に相談をしたというのは、わずかに〇・六%。これでは、公的機関がほとんど役に立っておらないという結果を示しておるのでなかろうかと私は思います。 そこで、法務省が人権侵犯事件が三十六件というように言っておるわけでございますけれども、実態調査では、先ほど申し上げましたように実に四六・六%、勘定すれば、そういう人権侵犯を受けても泣き寝入りをしている方々が実に二千八百件ということになります。したがって、法務省が人権侵害件数ということで挙げておられる数字というものはまさに氷山の一角でございまして、部落差別事象の解決について、先ほども申し上げましたように公的機関については何の役にも立っておらないというように結果が出ておるわけでございますが、人権擁護局はこの事態をどういうように考えておられるか、簡単にお答え願いたい。
○筧政府委員 ただいま御指摘を受けました、総務庁が実施いたしました平成五年度の同和地区実態把握等調査についてでございますが、大きく二つの点を御指摘を受けたと思っております。 その一点は、結婚に対する一般国民と申しますか、それの意識に関する調査結果でございます。 これらの調査結果につきましては、総務庁の方でさらに詳細な分析がなされるものと承知しておりまして、その分析結果を踏まえた上での評価ということが必要であると考えておりますが、御指摘のとおり、現段階の公表された調査結果を見る限り、結婚に対して依然として同和問題についての差別意識というものがあらわれているという遺憾な状態になっておると思っております。ただ、この調査結果を昭和六十年の調査と比較いたしますと、子供の意思を尊重して親が口出しすべきでないという人たちが約九ポイント上昇する、あるいは親としては反対であるけれども、子供の意思が強ければ仕方がないとするものが約四ポイント、家族や親戚の反対があれば結婚を認めないとするものが二・一%、絶対に結婚を認めないものが約二・二ポイント減少しておるという状況にありますし、また、同和地区外との結婚状況についても、夫婦のいずれかが同和地区外の生まれとするものが約六ポイント上昇するというような状態にございまして、状況としては、なお心理的な差別が残存しておるという状況を示しながら、その状況が解消に向かいつつあるということを示しているのではないかと考えているわけでございます。 もう一つの御指摘の点は、いろいろな差別事象についての対応の仕方といたしまして、人権擁護機関に対する相談というパーセンテージが極めて低いということは御指摘のとおりでございまして、人権擁護機関を含めた公的機関に相談したとの回答を含めましても約四%にすぎないということにつきましては、なお、その要因については分析しなければならない要素があるとは思っておりますけれども、率直に、謙虚に受けとめなければならないと思っております。法務省の人権擁護機関といたしましては人権侵害の、侵害を受けたりその情報を認知した場合には、積極的に対処することとしたいと思っているわけでございます。 ただ、この調査の中で、人権侵害を受けたとされる人たちの侵害を受けた年といいますか、いつごろのことかということを問うた問いがございますが、それを見ますと、十年前以上とする人が約六二%、そのうちで二十年以上とする人たちが三八・五%とされていることを考えますと、かつては人権擁護委員を含む人権擁護機関の役割等が十分周知されていない時期があったことも、この結果を生んだ要因として指摘できるのではないかと考えている次第でございます。 なお、同じような人権に関する調査でございますが、平成五年の七月に、これは同和問題だけに限らない、人権擁護に関する一般の世論調査というのをいたしたことがございますが、それによりますと、人権を侵害されたと思った場合の対応として、黙って我慢すると答えた人は六・二%、人権擁護機関と法務局合わせたものでございますが、それに相談をする人たちが約三%という結果が出ておりまして、これらの結果をさらに今回の調査とも勘案いたしまして、私どもの対応も十分考えていかなければならないと考えているわけでございます。
○前田国務大臣 先生からの御指摘で、私もこの同和問題、ライフワークの一つとして取り組んでまいりましたが、一つは通婚率の問題でございますけれども、これも先生、おかげさまで大分改善はされてきておりまして、昭和三十八年が二〇・四%、六十年が三四・四%、今回の調査で四二・五%というような数字で、大変国民の人権意識というものが、こうした今日までの教育啓発活動その他あらゆる皆さんの御努力で改善されてきたなとは思っておりますけれども、やはりこの結婚問題が解決せぬ限りは問題が残るのだという認識を私はとっておるところでございます。なおそうした面からは改善に努めていかなければならぬという、強い問題意識を持っております。 それから、法務省の人権擁護委員の相談をいただいたのが〇・六%、私にとりましては大変ショックな数字でございます。法務省といたしましては、ポスター、パンフレット、映画、教育啓発、特に昨今ではえせ同和の対策に取り組んでおりまして、今後、この〇・六という数字は上げていかなければいかぬ問題だと思っております。 ただ、やはり今日までの私の体験からしましても、例えば市役所や役場に相談した人も三・一、これはもう地方自治体は何をしておったのかな、こういう気がいたしますし、また、私どもも一緒にお付き合いもしておりますが、民間団体で四・五、これも先生、えらいショックな数字でございまして、こうした問題、やはり国民一人一人が個人のレベルで同和問題というものに本当に真剣になお取り組んでいただく必要があるというのが、いろいろ結婚や起源説についての誤解などにもつながっておるかな、今後、なお教育啓発が大事だ、全力で取り組んでいかなければいかぬという気持ちでおるところでございます。
○和田分科員 私は、大臣、今から二十年前に法務委員会で、差別を売り物にする地名総鑑事件を国会で初めて議論に取り上げた。まさにこれはけしからぬ話で、それから二十年経過するのですが、まだこれが続いておる。最近ではパケット通信で商売をやっておる。大阪で、ごらんのとおり、大阪府下で条例をつくったでしょう。そういう差別を売り物にしたり、お金をとって身元調査をやったりしたらいかぬ。ところが、大阪府下でいかぬから、名古屋へ出てきたり岡山へ出てきたりしておるわけです。一つの地域の県の条例では、これはなくならないわけなんですね。 そこで、ひとつ大臣にお聞かせ願いたいと思いますが、そういうことでございますので、何とか、個人個人が差別事件を起こしたり、あるいは差別言辞を吐いたりした場合は、これは啓発教育活動で直していくことはできるわけです。しかし、商売でやっているという、こういう悪質な身元調査等を中心としたことをやっていることについては、これはやはり法の規制というのが必要でしょう。そして、行政罰をかけていくとかいう法の整備というのは、私はぜひとも必要じゃないかなという気がするのですが、その点の大臣のお考え方、ついででございますので、ひとつお聞かせ願えますか。
○前田国務大臣 一般論でよく差別事象がございますが、落書きあるいは発言等々、これは当然また、本来法律で規制すべきものかどうかというのは長年議論されてきたところでございますし、今日まで政府がとってまいりましたのは、やはり字に書く差別や、口に、目に、耳に聞こえる差別は防げても、心の中に残る差別だけは、これは法律では消せない。だから、本当に心の中から日本の人権意識を高め、差別をなくしていこうという基本的な取り組みで取り組んできた、私は今日の我が国の同和問題をそう理解いたしております。 そこで、先生の法的な規制ということでございますが、特に昨今、大げさに申し上げれば、世界の冷戦後の共通の価値観の基準点というのは私はもう人権になってきた、かように理解しておりまして、この人権意識の高揚というものは、やはりこれは同和問題の解決が今日まで努力されてきたからこういう時点になったのだろうという、同和問題解決への歴史的な、歩んできた道の功績というのは大変大きい、かように理解しておるわけでございます。 昨今では、この同和、部落差別問題以外にも、大変国際化社会と申しますか、極めて多くの国民の皆さんが人権意識を高めてこられました。特に、その中でもやはり歴史的にも大きいのは部落差別でございますが、そのほかに最近は、私どもにもいろいろ御相談やら陳情がございますのは、例えば、男女差別、身体障害のある方への差別、人種、国籍、難民問題、また最近ではエイズ、同性愛、いじめ等々、数え上げれば限りない、国民レベルの中で人権に関する問題意識というのは大変深まっておるところでございまして、その中で、やはり先生おっしゃいますような、まさに差別というのは社会悪でございまして、基本的人権を守る以上、あってはならぬことでございます。 そこで、法整備、特に商売にしておる人の法整備、大阪府で条例をつくられたということも私どもよく承知をいたしておりますが、実は、これらも踏まえながら、特に同和問題という観点から申し上げれば、ちょうど平成三年度末に、現行法の前の法律の切れる前でございますけれども、地対財特法の後をめぐりまして与野党問協議を、先生も御出席をいただきまして幾度もなしたわけでございますが、その討議、またそれに加えて衆参の内閣委員会で附帯決議をいただきまして、そうした問題等についても、特に、物的問題は解決できるだろうけれども、ソフトについては残るであろう、残るソフトについてもどう対応するのか、ひとつ審議機関を設けるべきだ。 審議機関、最初は審議会というお話でございましたが、るる変わりまして、結局、地対協の中に機関を設けるという合意のもとに、附帯決議の中にも盛られまして総括部会が誕生じ、そして、総括部会で大変に、かつての歩んできた道もレビューしながら、新しいこうした問題に対応しての審議を現在いただいておるというところでございます。 また、大変御指導いただいておりますが、与党の中にも人権と差別問題に関するプロジェクトチーム、ここで大変御熱心に御審議をいただいておるところでございまして、政府としましては、これら御熱心な審議の結果を踏まえまして十二分な対応をしていきたい、その御審議の結果をお待ちをしておるという状況でございます。
○和田分科員 与党のプロジェクトの方もできるだけ意思統一を図ることを早めるように努力をいたしますけれども、何しろ自民党の中で、やはり大臣が一番後ろの方で、この点については指導的役割を果たされてまいったわけでございますので、プロジェクトチームの方で早く審議を促進するようにひとつお骨折りをいただきたい。我々も努力したいと思います。お願いしておきたいと思います。 そこで、今お答えいただいたわけでございますが、お答えの内容が不十分でございますので、私はつけ加えさせていただきますけれども、やはり悪質な差別者については法で規制するしか方法がないと思うのですよ。それで、大阪からよそへ逃げるということは、大阪で効果があったということなんです。だから、それを日本から外へ出るように、なくなるようにやはり法律で規制していくしか方法がないわけで、これは法務省としても現実の問題としてひとつお骨折りをいただくように御検討願いたい、こういうように思っております。 さらには、実態調査の結果の部落差別の実態やあるいは国民意識が、先ほど大臣も述べられたわけでございますけれども、やはり不十分さというのがあるので、人権を担当する行政府として、これからもなおそれらの対応策についてぜひとも御検討いただきたいということを、時間の関係もございますので、お願いをしておきたい、こういうように思うわけでございます。 そこで、時間がやってまいりましたので、あと一つだけお答え願いたいと思うわけでございますが、いわゆる人種差別撤廃条約の批准問題でございます。これは、昨年の十月にアメリカが批准いたしましたので、先進国で残っているのは我が日本だけ、百四十二カ国が締約国になったということですね。村山総理もこの点については、前向きで積極的に努力するということを言っておることでもございますし、また過去におきましては、渡辺外務大臣の時代には批准に傾いているという言葉がございましたし、羽田外務大臣の答弁の中には決断のときに来ているという言葉もあったわけです。 そこで、総理答弁として、条約が規定する処罰義務と表現の自由等憲法が保障する基本的人権との関係をいかに調整するかということが残されておる課題なんだ、早期批准に向けて努力すると言っておられるわけでございます。今までのそのような各内閣の外相答弁以降、これまでどういうように検討されてきたのかな、あるいはどこまで議論を詰めてこられたのかなというように私はお聞きしたいわけなんです。そして、これからどのように検討していこうとお考えになっておるのかということを私はお聞きしたいと思うわけです。 そこで、村山政権の中で人権問題の中心になっておられる前田法務大臣は、人種差別撤廃条約の批准を行うことは村山政権として歴史的な使命であると私は思いますので、村山政権を支える法務大臣として、この条約に対する認識と批准に向けた決意をお伺いしておきたいと思うわけです。
○前田国務大臣 先生御指摘のとおり、人種差別撤廃条約でございますが、昨年の十月でございましたか、アメリカが批准をいたしまして、残るのは日本とアイルランドだけというような形になっておりまして、我が国としても、総理の御答弁を初めとして、できる限り早期に締結が重要だと考えておるところでございますが、先生から御指摘のとおり、憲法との関連の問題が残っておるわけでございます。これは外務省、また特に総務庁にもいろいろ御相談も申し上げておるところでございますが、できるだけ早く結論を出す、しかも前向きの結論を出すように、締結の方向で努力を早急にしてまいりたい、かように思っています。
○和田分科員 批准に向けて努力をするというように受け取らせていただきます。 この部落差別の実態については、昨年は政府でなされた実態調査の中間報告がなされましたけれども、来月の末に調査委員会から地対協に報告がなされるというようにも聞いておるわけであります。 そこで、人種差別撤廃条約は、差別扇動等に関する処罰規定を決めております。部落差別を初め、在日韓国・朝鮮人への民族差別、アイヌ民族差別などあらゆる差別の撤廃に有効なものであると認識をいたしております。また、今日の国際情勢から、日本政府が人権の面においても諸外国から信頼され、尊敬を得るためにも、同条約の批准は避けて通ることのできない課題であると思います。 今大臣に決意を述べていただいたわけでございますが、私たち与党といたしましても、プロジェクトにおきまして、同条約の批准に向けて合意形成を実現すべく全力を挙げてみたいと思っておるわけでございます。「人にやさしい政治」を掲げる村山政権において、批准が一日も早く達成することができるよう、法務大臣のさらなる取り組みをこの機会に強く要請をしておきたいと思うわけでございます。 なお、先ほど大臣が述べられた地対協の総括部会、私はあの実態調査というのは、既存の事業を継続している地域の実態ということであって、未指定地区がもう全く置き去りにされているわけなのですね。私は、未指定地区を含めての実態把握の中でこそ、初めて部落の完全解放に向けた同和行政というのは実現があり得るというふうに思うわけです。 したがって、その枠の中にある地対協の総括部会というのではなくて、やはりこれを新しい審議会ということに発展をさせて、そして未指定地域を含めた実態の把握に努める、そしてそれを解消するためにはいかなる施策が必要であるかということを検討課題にしていく、そしてその結果を政府に施策として実現を迫っていく、こういう審議会に私は発展をさせてもらいたいなという希望があるわけでございますが、どうでございますか。
○前田国務大臣 地対協の総括部会は、総務庁の山口長官の管轄でございまして、法務大臣がとかくその審議会に申し上げるコメントは差し控えたいと思いますが、未指定地区につきましては、もう何回も御論議をしてまいっておりますが、法律的には新たな対象地域の追加は行えないような仕組みにはなっております。 なおまた、同対審四十年、四十四年から同対法ずっと続けてきておりまして、まさにもう二十年弱になろうとする長い間やってまいりましたけれども、私もこの間がないの、何割かを御一緒にしてまいりました。各地方自治体を初めとして、この地区指定の御希望につきましては、かなり何回かお問い合わせもしたことがございますし、その結果、現在四千六百三地区になっておるわけでございますけれども、あらかた皆さんの御意見は聞いて、まだ仮にあるとしますと、今度はそれじゃそこにいらっしゃる地区住民の皆さんの御意思がどうだとか、その未指定地区と称されるところへも私も行ったことがございますけれども、中には意見がやはりいろいろございまして、さっき申された結婚差別等もまだ若干残っております関係から、うちの娘結婚するのに先生指定せぬといておくんなはれや、こういう御意見も実は私の耳に多数あったことも事実でございまして、なかなかこれは難しい複雑な問題だな、かように考えておりますが、先生からの御提案でございますので、総務庁長官ともまたよくお話をしたいと思います。
○和田分科員 それでは大臣、部落問題を中心とした人権問題にこれからもひとつ積極的に行政の推進に頑張っていただきたいということを激励をさせていただきまして、質問を終わりたいと思います。
○衛藤主査 これにて和田貞夫君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして法務省所管についての質疑は終了いたしました。 —————————————
○衛藤主査 次に、大蔵省所管について、政府から説明を聴取いたします。武村大蔵大臣。
○武村国務大臣 平成七年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関收入支出予算について御説明申し上げます。 まず、一般会計歳入予算額は、七十兆九千八百七十一億二千万円となっております。 このうち主な事項について申し上げますと、租税及び印紙収入は五十三兆七千三百十億円、雑収入は四兆三千百八十七億九千六百万円、公債金は十二兆五千九百八十億円となっております。 次に、当省所管一般会計歳出予算額は、十六兆二千百五十九億二千六百万円となっております。 このうち主な事項について申し上げますと、産業投資特別会計へ繰り入れは一兆二千八百十二億二千六百万円、国債費は十三兆二千二百十三億円、政府出資は三千五百四十九億円、予備費は三千五百億円となっております。 次に、当省所管の各特別会計の歳入歳出予算について申し上げます。 造幣局特別会計におきましては、歳入、歳出とも二百八十二億一千七百万円となっております。 このほか、印刷局等の各特別会計の歳入歳出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。 最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算について申し上げます。 国民金融公庫におきましては、収入五千八十九億六千三百万円、支出五千四百八億四千万円、差し引き三百十八億七千七百万円の支出超過となっております。 このほか、住宅金融公庫等の各政府関係機関の収入支出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。 以上、大蔵省関係の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。 なお、時間の関係もございまして、お手元に配付しております印刷物をもちまして詳細な説明にかえさせていただきたいと存じますので、記録にとどめてくださるようお願いいたします。 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
○衛藤主査 この際、お諮りいたします。 ただいま武村大蔵大臣から申し出がありましたとおり、大蔵省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○衛藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 平成七年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関收入支出予算に関する説明 平成七年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関收入支出予算について御説明申し上げます。 まず、一般会計歳入予算額は、七十兆九千八百七十一億二千万円でありまして、これを前年度当初予算額に比較いたしますと、二兆九百四十五億四千九百万円の減少となっております。 以下、歳入予算額のうち主な事項につきまして、その概要を御説明申し上げます。 第一に、租税及印紙収入は、五十三兆七千三百十億円でありまして、これを前年度当初予算額に比較いたしますと、六百六十億円の増加となっております。 この予算額は、現行法による租税及び印紙収入見込額五十三兆七千六十億円に、平成七年度の税制改正による増収見込額二百五十億円を加えたものであります。 次に、各税目別に主なものを御説明申し上げます。 まず、所得税につきましては、住宅取得促進税制の縮減による増収見込額を加えて、二十一兆三千五百億円を計上いたしました。 法人税につきましては、租税特別措置の整理合理化等による増収見込額を加えて、十二兆七千二百六十億円を計上いたしました。 消費税につきましては、五兆九千八百億円を計上いたしました。 以上申し述べました税目のほか、相続税二兆六千八百四十億円、酒税二兆一千七百二十億円、たばこ税一兆三百八十億円、揮発油税一兆八千五百億円、関税八千九百七十億円、印紙収入一兆七千六百二十億円及びその他の各税目を加え、租税及印紙収入の合計額は、五十三兆七千三百十億円となっております。 第二に、雑収入は、四兆三千百八十七億九千六百万円でありまして、これを前年度当初予算額に比較いたしますと、一兆三千二百二十二億六千四百万円の減少となっております。 この収入のうち主なものは、日本銀行納付金六千六百九十億円、日本中央競馬会納付金四千四百三十五億七千三百万円、特別会計受入金二兆六千二百三十七億九千三百万円等であります。 第三に、公債金は、十二兆五千九百八十億円でありまして、これを前年度当初予算額に比較いたしますと、一兆四百五十億円の減少となっております。 この公債金につきましては、公共事業等の財源を確保する等のため、建設公債九兆七千四百六十九億円を発行することといたしております。 また、所得税減税の実施等による平成七年度における租税収入の減少を補うため、先般、第百三十一回国会において成立した「所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の施行等による租税収入の減少を補うための平成六年度から平成八年度までの公債の発行の特例等に関する法律」に基づき、特例公債二兆八千五百十一億円を発行することといたしております。 最後に、前年度剰余金受入は、十七億八千六百万円となっております。 なお、別途、税外収入の確保の特別措置等のため「平成七年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案」を提出し、御審議をお願いいたしております。次に、当省所管一般会計歳出予算額は、十六兆二千百五十九億二千六百万円でありまして、これを前年度当初予算額に比較いたしますと、一兆五千百八十億七千四百万円の減少となっております。 これは、国債費が一兆一千三百八十九億四千二百万円、決算調整資金へ繰入が一兆五千四百四十七億六千八百万円減少しましたが、他方、産業投資特別会計へ繰入が一兆一千八十六億八千五百万円増加したこと等によるものであります。 なお、現下の一段と深刻さを増した財政事情にかんがみ、特例的な措置として、平成六年度予算に引き続き国債整理基金特別会計に対する定率繰入れ等三兆二千四百五十六億七千八百万円を停止する等の措置を講ずるとともに、平成五年度の決算上の不足に係る国債整理基金からの繰入れ相当額五千六百六十三億三千五百万円の同基金への繰戻しを平成八年度まで延期するという臨時異例の措置を講ずることといたしております。 以下、歳出予算額のうち主な事項につきまして、その概要を御説明申し上げます。 まず、第一に、産業投資特別会計へ繰入につきましては、一兆二千八百十二億二千六百万円を計上いたしておりますが、この経費は、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」に基づく無利子貸付け等の財源及び先ほど申し述べました「平成七年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案」に基づく貸付金の財源に充てるため、産業投資特別会計への繰入れに必要なものであります。 第二に、国債費につきましては、十三兆二千二百十三億円を計上いたしておりますが、この経費は、一般会計の負担に属する国債の償還、国債及び借入金の利子等の支払並びにこれらの事務の取扱いに必要な経費の財源を、国債整理基金特別会計へ繰り入れるためのものであります。 なお、同法律案に基づき、平成七年度において、前年度首国債総額の百分の一・六に相当する額及び割引国債に係る発行価格差減額の年割額に相当する額の繰入れは行わないことといたしております。 この定率繰入れ等の停止に伴い、国債整理基金特別会計の運営に支障が生じることのないように、NTT株式の売却収入に係る無利子貸付けについて繰上償還を行うこととし、このための必要な措置を講ずることといたしております。 また、同法律案に基づき、一般会計において承継した債務等のうち平成七年度に償還すべき金額八千五十四億二千七百万円の償還を延期することに伴い、当該債務の償還の財源につきましては、国債整理基金特別会計への繰入れは行わないことといたしております。 第三に、政府出資につきましては、中小企業信用保険公庫等二機関に対し、一般会計から出資するため必要な経費として、三千五百四十九億円を計上いたしておりますが、その内訳は、中小企業信用保険公庫百九十五億円、海外経済協力基金三千三百五十四億円であります。 第四に、経済協力費につきましては、四百六十九億四千六百万円を計上いたしておりますが、この経費は、国際開発金融機関を通じて供与する発展途上国に対する経済協力等に必要なものであります。 最後に、予備費につきましては、予見し難い予算の不足に充てるため、三千五百億円を計上いたしております。 次に、当省所管の特別会計のうち主な会計につきまして、その歳入歳出予算の概要を御説明申し上げます。 まず、造幣局特別会計におきましては、歳入、歳出とも二百八十二億一千七百万円となっております。 次に、印刷局特別会計におきましては、歳入九百九十億三千二百万円、歳出九百四十九億四千三百万円、差引き四十億八千九百万円の歳入超過となっております。 以上申し述べました各特別会計のほか、資金運用部、国債整理基金、外国為替資金、産業投資、地震再保険及び特定国有財産整備の各特別会計の歳入歳出予算につきましては、予算書等を御覧いただきたいと存じます。 最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。 まず、国民金融公庫におきましては、収入五千八十九億六千三百万円、支出五千四百八億四千万円、差引き三百十八億七千七百万円の支出超過となっております。 このほか、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、北海道東北開発公庫、公営企業金融公庫、中小企業信用保険公庫、環境衛生金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行の各政府関係機関の収入支出予算につきましては、予算書等を御覧いただきたいと存じます。 以上、大蔵省関係の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。 —————————————
○衛藤主査 以上をもちまして大蔵省所管についての説明は終わりました。 —————————————
○衛藤主査 この際、分科員各位に申し上げます。 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤英成君。 〔主査退席、越智(通)主査代理着席〕
○伊藤(英)分科員 大臣、きょうはやや専門的な分野のお話でありますが、実は、私は議員になりまして今もう十一年半になりますが、多くの問題について関心を持ちながら議員としての活動をしてきているのですが、そのうちの一つに、いわばライフワーク的な感じで、車の善良なユーザーのためにという意味で、自動車のいわゆる強制保険の自賠責保険の問題について取り組んできているわけです。本日は、その問題のみについて質問やら意見を申し上げさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。 その自賠責保険の料率検証の評価についてお伺いしたいと思うのですが、昨年の十二月七日に自賠責審議会が開かれまして、そこで収支報告がなされております。その審議会の資料によりますと、平成六年度の損害率は一三〇・一%というふうになっております。 その自賠責保険の料率に関しましては、関係者の皆さん方の御努力によって、平成三年と平成五年の二回にわたって引き下げられ、そして滞留資金を還元していく、こういうふうになっているのですが、赤字は当然の結果として出てくるわけですね。そうでありますが、平成五年四月の料率改定時の予定損害率が一三九・七%であったはずであります。したがって、一〇%近い損害率の差は、これはどういう要因であるのか、まず伺います。
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。 平成五年度の損害率は一二九・〇、六年度の見込みが一三〇・一と、御指摘のとおりでございます。平成五年四月の料金改定時の予定損害率が一三九・七でございましたので、五年度でいいますと七・七%の改善になっておるわけでございます。 ごの改善の要因を申し上げますと、平成五年度の交通事故死者数が前年に比べまして四・四%減少、ちなみに四年が一万一千四百五十一名だったのが五年が一万九百四十二名と、幸いなことに減少したということがまず挙げられます。 それから、医療費の適正化対策というものを今進めておりまして、これが進んでおりますゆえに治療費が減少した、四年度が傷害で平均治療費が二十六万三千三百七十九円だったのが、五年度、二十五万九千九百八十三円というふうに若干下がったということが主な理由がと思います。 〔越智(通)主査代理退席、主査着席〕
○伊藤(英)分科員 今のその一三〇・一%というふうに考えますと、予定損害率との差でいきますと、その差額が、私で計算してみますと七百二十億円ぐらいになると思うのですね。そうすると、ちょっと七百二十億というとかなりあるわけですよね、金額的に。そうしますと、滞留資金が予定どおりユーザーに還元されていかない、こういうふうになると思うのですが、いかがですか。
○山口(公)政府委員 今申された七百二十億の余裕といいますのは、五年度で申し上げますと六百八十億円程度、まあほぼ御指摘のとおりでございます。 ただ、今後の実行率の見通しを申し上げますと、昨年六月の支払い基準の改定、これは休業損害の一日当たりの支払い額が引き上げられたこと、それから、医療費適正化を進めておりますが、従来に比べまして、その帰趨が今後どうなるかということもありまして、七年度以降、少し損害率を高目に見込んでいるということもございます。 そういった環境の中で、平成五年の保険料の引き下げによりまして、収入保険料に対する支払い保険金は三九・七%を上回る姿と大幅な赤字を予定しておったのですけれども、結果としてその赤字が二九・〇%にとどまって改善したということは御指摘のとおりでございますが、依然として赤字料率が大幅なものでございますので、そういった意味ではユーザーに還元されておるわけでございまして、五年度でその還元額が二千百六十億円となっているわけでございます。 この六百八十億を直ちに還元するか、それとも将来にわたっての財源にするかという問題があろうかと思いますが、現在の見込みでは平成四年度の累積黒字は五年間で、また運用益は八年間で契約者に還元という考え方に立っておりますが、これが御指摘の数字が、若干今後とも期待できるとしますと、これが還元期間が将来に延びるということになろうかと思うわけでございます。 いずれにせよ、こういった金額は、ノーロス・ノープロフィットで運用しておりますので、何らかの形で契約者に還元されることになるかと思っております。
○伊藤(英)分科員 現在の推移の状況だけで見ますと、私どもで計算しますと、大体ポリシー・イヤー・ベースでやって平成二十年度ぐらい、だから実際には平成二十五年度、そのくらいまで現在の料率でいつでも十分足りるくらいの状況になるのですよね。それは、計算してみればそんな感じですよ。今の数字で考えますとそういう状況になっている。 そうすると、そもそも滞留資金、この金額が多くて、それを早くユーザーに還元しようという趣旨でこれはやってきている話が、なかなか還元できないということになっていくわけですよね、今申されたように平成二十年だ、あるいは二十五年だなどという話をしたりしていますと。どうですか。
○山口(公)政府委員 確かに、御指摘のように損害率が見込みに比べまして改善しておりますので、それを現在の保険料率の引き下げ、あるいは直近の保険料率の引き下げに使うという考え方も十分あり得ると思うのでございますけれども、私ども、昨年十二月、自賠責審議会でお諮りしたときの御意見は、平成六年度及び七年度の損害率の見込みは料率改定時に比べてそれほど大きくは乖離していない、それから昨年度に料率引き下げを行って間もないという状況でございまして、今後の収支の推移をいま少し見守る必要があること、それから、もともと現行料率が大幅な赤字であるということなどから、当面、現行料率水準を維持するのが適当であるというふうに御答申をいただいております。 現在、極めて低水準の赤字料率で運営しておりまして、できれば、できるだけ長期にわたってこのような低位の料率を続けてまいりたいというふうに思っている次第でございます。
○伊藤(英)分科員 ちょっと話がそれますけれども、本当に、こういうようなことをいろいろ考える意味でもという意味で申し上げるのですが、従来、私からも自賠責審議会のメンバーのあり方についていろいろ提起もしてまいりました。もちろん、そのときどきに審議会のメンバーの構成の見直しは行われますよと。しかし、どういうときに、どういうチャンスにやるんだとかいうような話もあったりいたしましたけれども、いずれにしても、今のこの自賠責審議会のメンバーは、私から見ますと余りにもいびつだなという気がいたしますよね。何といったって、正規の委員のうちの何%になりますか、今委員が全部で十三人ですよね、そのうちの五人は役所の人です。そもそも審議会というのは一体何だろうかということになるわけですよね。 だから、そういう意味で、私は今までも、例えばユーザー代表というのをもう少ししっかりとした形で入れたらどうか、これは人数の問題もあるかもしれませんね、そういうようなことも含めて、この審議会のメンバーの見直しということを申し上げてきたわけですが、この三月末には審議会のメンバーの任期も来ると伺っているわけですが、この見直しの問題については、今回は見直しされますか。
○山口(公)政府委員 自賠責審議会の委員の任期は二年でございまして、現委員の任期は本年の四月十四日というふうになっております。その時点で当然見直しをさせていただくわけでございますが、今御指摘のとおり、自賠責審議会の委員につきましては十三名と法定されておりまして、なお、省令に基づきまして臨時委員も加えることができるというふうになってございます。 先ほどの御指摘の行政機関の局長クラスのメンバーについて御疑問を呈していただきましたけれども、例えば、警察庁の交通局長を例にとりますと、よく委員の方から交通事故がどういう状況だというお尋ねがありまして、そういうときに的確な情報をいただいている。それから、例えば法務省の民事局長におかれましては、賠償責任の問題となりますと、やはりこういった専門家に御意見を賜るというようなことがございまして、行政機関の職員が五名メンバーになっておりますけれども、私どもとしては、そういった方々の適切なコメントあるいは資料提供等をお願いしている以上、ぜひ続けさせていただきたいなというふうに思っておるわけでございます。 それから、御指摘のございましたユーザー代表という問題、そういった消費者代表的なものにつきましては、現在の委員の中でもいろいろマスコミ関係者が二人入っていらっしゃいます。それから労働組合関係の方もいらっしゃいますし、そのほかにユーザー代表そのものとしまして一人入っていただいておりまして、ユーザーの御意見を聞く体制にはしておりますけれども、ただそれで十分かどうかという問題は、御指摘のとおりあると思います。 四月の人選に当たりましては、委員の御指摘を踏まえまして少し考えてみたいというふうに考えております。
○伊藤(英)分科員 今の部長の話ですと、今回は委員の見直しをしてくださるようでありますから、私の申し上げた趣旨を生かしてぜひこれは実行していただきたい、このように思います。 それから、話はもとに戻りますが、さっき今後の収支の話を申し上げましたけれども、さっきは部長からもお触れになりましたけれども、今回の七百億前後の誤差ですね。そこに至るのに医療費の適正化ということが非常に大きいという話もありまして、私も全くそのとおりだ、こういうふうに思っております。診療報酬基準というものをつくり上げるために今日までいろいろと努力もしてくださっていると思うのですが、自賠責審議会の資料によりますと、現在二十七地区で合意、うち二十三地区で実施中というふうになっていますが、今後の見通しはどのようになっておりますか。
○山口(公)政府委員 自賠責保険の診療報酬基準の問題につきましては、当初から委員にはいろいろと御指摘を賜り、また、かつ御指導をいただいておりまして、おかげさまをもちまして少しずつ改善の方向に向かっておるというふうに考えております。これは、昭和五十九年の自賠責審議会の答申を受けて、現在保険業界と日本医師会との間で折衝を進めてまいっているものでございます。今御指摘のような進みぐあいで参っておりますけれども、これまでに二十四道府県以上のほか、現在三地区で一応合意ができておりまして、それに向けて詰めをやっているという状況でございます。 今後ともこの動きをとめないように、また進めるようにということを私どもも願っておるわけでございますけれども、最近、なかなか進まなかった話が、平成六年度においてはこれまでに既に八道県の新規実施、今申し上げた数字の中の八道県は六年度において実現を見たわけでございます。若干ペースが早くなってきたなということで喜んでいるわけでございます。 私ども、医療費の適正化ということについては真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
○伊藤(英)分科員 この医療費の適正化はこれからさらに進むと思うのですけれども、この収支の予測に当たって、これからの医療費の適正化の問題がどういうふうに加味されているのか。私は、この間の過去二回の引き下げのとき、その織り込み方は非常に不十分であったのではないかと思っているのですよ。その辺はどうですか。
○山口(公)政府委員 収支の改善の際に医療費の適正化が大きく寄与しているということは御指摘のとおりで、それを織り込みながらやっておるわけでございますが、今後どういうふうになるかということになりますと、私は今し方、かなり期待をしていると申し上げましたが、一方で、残ったところはまたかなり難しい地区、地域でもあるという面がございます。それから、医療費の適正化が進みましても単価等が上がってくる可能性があるというような問題がありますし、それから特にむち打ち症等における適正化が大分進んだのでございますが、それが効果が大分一巡したというようなこともございます。 そういうことで、将来どれくらい寄与できるかということにつきましては、いま一つまだはっきりと、私どもは自信を持って織り込むにはまだ十分なデータがないということでございますので、そういった医療費適正化を期待しつつも、まだ様子をもう少し見させていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
○伊藤(英)分科員 先ほど申し上げたように、今回の実際の損害率も、さっきの予定損害率に比べて一三〇・一%とよくなった。そして、そのために約七百二十億、私はこういうふうに申し上げましたけれども、七百億前後よくなっているわけですね。それで、こういう収支の改善分というのを、まずこういうふうによくなっているのだから、その分だけでも料率を引き下げるということをやったらどうか、こう思うのですが、それ、どう思いますか。
○山口(公)政府委員 収支が改善したものをすぐ翌年度あるいはその翌々年度に還元するというのも一つの考え、筋の通った考え方だと思っておりますけれども、一方で、長期的に安定的に赤字料率、つまり安い料率で維持していくということは、料率の低位安定という意味では意味があるわけでございまして、そういった形を今回とらせていただいておりますけれども、物は程度の問題でございまして、幸いにして改善が非常に進みますれば、また適宜、適時見直しましてその還元をより進めるということは、当然あり得ることだろうと思っております。それはまた、その時点で自賠責審議会の御意見をちょうだいしながら判断させていただきたいというふうに思っております。
○伊藤(英)分科員 冒頭部長からも言われましたように、この制度が、ノーロス・ノープロフィットの原則でやりますよ、そういうふうにやっている。そして、今お答えになられたような言葉を言われて、長期安定的な保険制度云々というような感じでいろいろ言われたりする。そして、そういうふうにやってきた結果が、例えば平成四年度末の滞留資金一兆九千億、二兆円ということですよね。要するに、そういう状況にどんどんなっているんだということですよ。 だから、こんな状況が続いてどんどんまた多くなっている。少し切り下げてもそれはいろいろな御努力によってまたよくなってくるというようなことになっている。それは今申し上げている二兆円ですよということですよ。そう思えば、ああ、思い切った料率はやはりやった方がいいというふうには思われませんか。
○山口(公)政府委員 累積の黒字額というのは、必ずそれは料率の低位安定ということでユーザーの方々に還元されていくわけでございます。それをいつ、どの時点で、どの程度、どのスピードで還元していくかという問題があります。余りそれを急激に取り崩してしまいますと、急に料率がぽんと上がる事態というのも理論的にはあり得るわけでございまして、そういったことの兼ね合いを、データを見ながら、いかなる姿がいいのかということを審議会の御審議を経ながら判断させていただきたいというふうに思っておるわけでございます。
○伊藤(英)分科員 これはなかなか重要な問題なのですね、この辺は。だから私は、実際に現在の状況で考えれば、営業保険料ベースでも一〇から一五%ぐらい、純保険料ベースでも一五%から二二%ぐらい再引き下げを行うべきだと考えている。そうして、ユーザーへの適正還元ということが図られていくだろうというふうに考えているのですよ。ぜひこれは考えていただきたいと思うのです。 そして、それについてもお伺いしますが、今までこの料率引き下げの問題について、大きく分けると、私は、これは先ほど部長も触れられましたけれども、二つの要因で議論されてきたと思うのですね。一つは医療費の適正化、これをどういうふうにやっていくのかという問題。そして、それがどういうふうに効果があるのかという話が一つ。それからもう一つは、いわゆる交通事故の問題ですね。事故がどういうふうになっていくかという側面だと思うのです。 今日までの状況を見てみれば、それはその関係者の御努力による部分が本当に大きいわけですが、医療費の適正化の進展がこの収支にどんなに大きくきいているかということだと思うのですね。これは大蔵省としてもお認めでいらっしゃると思います。先ほど医療費の適正化の話も伺いました。そして、今日までの状況もお話もされました。そして、今後のことについても、これは鋭意力いっぱいの御努力をされていくだろうと私は思います。今日の状況を見れば、医師会等もこれは真剣に取り組んでいくだろうと、これは期待をいたしますね。 というようなことを考えれば、私はことしの七月があるいは来年の一月からでもこの料率の引き下げはぜひ実行すべきだ、こういうふうに思いますが、いかがでございますか。
○山口(公)政府委員 今申されましたように、医療費につきましては、六十三年度から平成五年度にかけまして、通算しますと五・六%の低下を見ておるわけでございまして、できればこういった低下がさらに進んでくれればいいなということで、残った地域での損保協会と医師会との話し合いがまとまるように私どももいろいろと指導、また支援をしてまいりたいと思っております。 そういったことがうまく事が運び、また交通事故というのも、どういう状況でふえるか減るかというのはなかなかわからない状況でございますが、幸いにして減ってくれるような状況が続きますれば、今委員のおっしゃったようなことが実現できようかと思うわけでございますけれども、五年の四月に下げたばかりでございまして、それで、まだ今の段階では料率改定をお約束するにはちょっと、もう少し様子を見させていただきたいなというのが正直なところでございまして、昨年十二月の自賠責審議会でもそんな御意見の方が多く出されたわけでございます。 御趣旨はよく、十分承っておきたいと思います。
○伊藤(英)分科員 最後の、御趣旨はよく承って云々という話は、昨年の審議会のときにはそういう議論はあったかもしれませんが、実際に今私が冒頭申し上げてきたような現在の状況、そして今後のことを思ったときには、やはりその引き下げの問題についても、どのくらい本当にできるかということについて、私先ほどは、ことしの七月からあるいは来年の一月からでもどうですかという話を申し上げたのですが、そういうことについてやるべく努力をする方向で検討をするというくらいのことが言えませんか。
○山口(公)政府委員 いろいろと私どもが操作できない数字に依存している部分がかなりございまして、そういったことを考えますと、今の段階でそういうことをやりますというお約束をすることは御容赦いただきたいと思うのでございますけれども、私どももできるだけ低位安定した保険料率であるべきだと思っておりますので、先ほど申された医療費の改善等について、一生懸命努力をさせていただいて、そういったことが実現できるように取り計らわせていただきたいというふうに思っているわけでございます。
○伊藤(英)分科員 実は、私はもう今や二兆円余っているという言い方をいたしましたよね、平成四年度末で一兆九千億円余ですよという状況。要するに、本来ユーザーに早く還元すべき話がこういう状況になっているからこそ、金が余っていればまたいろいろなところに使うような話が起こってくるなということですよね。 実際に、平成六年度も平成七年度もここから一般会計へ繰り入れをするというようなことが起こっているわけでしょう、起こっている。いわば断りもなく勝手に使っているような感じですね、ユーザーから見れば。本来自分たちの料率に還元されるべきものがなかなか還元されずに、今や二兆円ぐらいのお金が余っている。それで、その金を一般会計に使うというようなことが起こってきたりする。 あるいは私から見れば、自動車事故対策センターへの補助金も同じ。何で自動車事故対策センターにこの金がぼんぼん使われていくのだ。しかも、使われ方自身も、きょうは時間がありませんから中身については触れませんけれども、私は極めて問題だ。行政改革という意味においても、ああいうところに金が使われていくのは極めて問題だと私は思っていますよ、またこれは改めて申し上げますけれども。 それで、きょうはこの一般会計への繰り入れ措置について、返却のスケジュール、あるいは金額についてどのようになっているか、お伺いいたします。
○星野説明員 自賠特会から一般会計への繰り入れ分につきましての、今後の繰り戻しのスケジュールという御質問でございました。 私ども、考え方といたしましては、原則として平成九年度から十二年度までの間に分割して自賠特会に戻していただく。その際は法律上も、自賠特会において生じていたであろう運用益相当分も付して、すなわち利子つきで戻していただく、そのような予定でおります。 この考え方は、先ほど来いろいろ御議論ございましたけれども、この運用益については原則としてユーザーに還元していく、そういう方針で、平成五年度、自賠責審議会の答申が出まして、平成十二年度までにそのような還元を行っていくんだ、そういうことで、自賠責の保険料が引き下げられております。したがいまして、その還元のために必要な時期には、これは当然必要な金額を戻していただく、そういう必要があるということで、冒頭申し上げましたようなスケジュールで予定をいたしておるということでございます。
○伊藤(英)分科員 時間が参りましたので、大臣、済みません、通告もしてなくて突然お伺いするのですが、実は、先ほど私が申し上げてきたような感じで、自動車の自賠責保険というのは、これはもちろん強制保険、こうなってきているわけですけれども、なかなかユーザーに十分に還元されないという状況のもとで、今や約二兆円という金が余っているという状況であります。そして、今の料率等の問題についても、いろいろな御努力等によって損害率も当初想定していたよりは改善してきている。これは、先ほど申し上げたように、そのために約七百億円ぐらいはすぐよくなっているという状況ですよ。だから、これはノーロス・ノープロフィットの原則で行われている制度であるわけですから、できるだけ早く料率の引き下げ等もやって、ユーザーから見て納得のできるような制度にすべきだと私は思うのです。 そういう意味で、先ほど保険部長も言われましたので、大蔵省としてもその方向に沿ってこれから鋭意御努力されるのだと思いますが、大臣の思うところがあれば、大臣としての決意といいましょうか、お気持ちを一言お伺いして終わります。
○武村国務大臣 自賠責特別会計をめぐるかなり専門的な御質疑を拝聴させていただきました。造詣の深い伊藤議員の御主張もよく理解をさせていただきました。損害率が改善されていることもあり、保険料率、さらに引き下げの努力ができないかという一貫した御主張であったように思います。 保険部長がお答えしたとおりでございますが、全体としては、ロングレンジの中では、だれかが利益を吸収するというわけではないということでもありますが、それにしましても、今のような状況を見ながら、ひとつ審議会の専門の立場の意見もお伺いをして、健全性を保持しながら、御指摘の点も、御主張も十分拝聴させていただきました、間違いのない判断をさせていただくようにさらに努力をしてまいりたいと存じます。
○伊藤(英)分科員 ありがとうございました。
○衛藤主査 これにて伊藤英成君の質疑は終了いたしました。 次に、近藤鉄雄君。
○近藤(鉄)分科員 大臣、御苦労さまでございます。 我が国の経常収支の黒字は、ここ数年、千二、三百億ドルでございますが、この千二、三百億ドルの経常収支の黒字というものをどういうふうに世界に還流していくかということが、我が国の経済政策の、あえて国際金融政策と言っていいと思うのでありますが、最大の課題ではないかと思うわけでございます。 私は、いわゆる黒字有用論にはくみしませんが、そうかといって、これだけの大きな黒字というものをどう還流するかということによっては、円高にも非常に大きく影響してくる。経常収支が黒字であっても、それを積極的に海外へ還流をしていけば、まさに円の需給関係で円レートが安定する、こういうことにもなるわけであります。 そこで、まず最初に、端的に承りたいのでありますけれども、そういう我が国の資金還流について、政府としては、これまでどのような計画を持ってきたのか、またこれから持とうとするのか、御説明をしていただきたいと思います。
○加藤(隆)政府委員 御指摘のとおり、我が国の経常収支の黒字は、昨暦年、千二百九十三億ドルと、九三年の千三百十四億ドルに比べまして、ドルベースでも微減いたしておりますが、なお大幅な経常収支黒字でございます。 こうした我が国の持っております貯蓄資金なり、資本市場あるいは資金市場の資金を有効に活用するという観点から、御案内のとおり、東京サミットの開催されました平成五年に、開発途上国に対します今後五年間で千二百億ドルの資金協力計画を定め、説明させていただきました。私どもといたしましては、その円滑な実施に努めてまいっておるところでございます。
○近藤(鉄)分科員 五年間で千二百億ドルというお話ですが、五年間で割ると大体年間二百二、三十億ドルになるわけでありますけれども、私は、もっとそれはふやしてもいいのではないかと個人的に思っているわけであります。そして同時に、恐らく世界の先進国、後・中進国を通じて、我が国ぐらい貯蓄が過剰でそして世界に還元する力を持った国はないわけでありますから、それがどういう使い方をされるかということについて、見識を持っていいのじゃないかな、ただ流れるに任せていく必要は全くないと思うわけであります。 そこで、きょうの日経新聞を見ますと、「日本の資金還流機能 回復」そして「長期資本流出、経常里一字上回る公算」こういう記事が出ているわけであります。この数字によりますと、経常黒字が四月−十二月期で九百四十四億ドルだけれども、長期資本収支はそれを上回る千二百八十九億ドルの流出超過、こうなっておりますけれども、国際金融局長、この千二百九十億ドルの内訳はどの程度といいますか、内訳はわかるのですか。
○加藤(隆)政府委員 今御指摘の四月から十二月までの計数というのは、手元には直ちには出てまいりませんが、昨年、暦年の数字で申し上げさせていただきますと、長期資本収支のネットの流出額が八百十九億ドルでございます。このうち、本邦資本の流出額が千百億ドル、その内訳は、直接投資が百七十七億ドル、証券投資が八百二十六億ドル、それからあと金融勘定におきます民間銀行の対外赤字の返済等が二百二十七億ドル、こういう項目が重立った内容となっておるところでございます。
○近藤(鉄)分科員 日本の長期資金の還流を、今局長からお話がありましたけれども、結局、債券投資、証券投資という形で先進国に回る割合が非常に多いのではないか、こういうふうに私は考えるわけであります。先進国の方が市場が安定しているし、マーケットの拡大も期待できるし、返済も安全だ、こういうことでありますから、だからいわゆるコマーシャルな金融の流れというのは当然先進国に偏ってくるというのは当然であります。しかし、私は、ほうっておけば先進国に流れるお金だけれども、例えば我が国における財政投融資みたいな形で、ある程度長期安定的な形として提供することができれば、それは先進国ではなしに、中進国に相当程度向かって、そして中進国の社会また産業基盤整備に大きな貢献をできるのではないか、こう思っているわけであります。 そこで、大臣、私はかねてから財政投融資の国際化ということを言っておったわけでございますが、我が国の資金還流のあり方として、採算ベースで先進国に流れるお金があっていいわけですね。それから、採算がとれない、だからODAの無償援助とか、もしくは有償だけれども、長期で非常に低利でしかお金の需要がないというのが片方でありますね。だから、片方は完全にコマーシャルでペイしますし、片方はODA、無償もしくは非常に低利条件の有償。 ただ、それだけではなしに、真ん中にちょうど我が国において財政投融資資金があって、それに基づいて中長期的な産業基盤の整備とか、それから社会公共施設の整備、これはグラントでもないのだけれども、しかし、ある程度の期間を与えていただければ返済可能だ、こういうプロジェクトも相当あるのじゃないか。私は、そういうところに輸出入銀行の融資をもっともっと積極的に拡大をしていったらどうだということをかねてから考えているわけでありますけれども、大臣のお考えがありましたら承ってまいりたいと思います。
○武村国務大臣 おっしゃるとおりだと私も思っておりまして、民間、対外的な純粋の民間金融、これは投資その他ありますが、片方で無償ないしは極めて低利のODAの枠内にあるような政策金融措置、その間に輸銀の、この準は準ずるの準ですが、準民間ベースの対外的な措置が行われてきておるわけでありまして、昨今、輸銀の統廃合とかいろいろ論議されておりますが、十分輸銀の役割というものが説明できていない嫌いもあります。 私も大蔵省の仕事に参加をして痛感していますのは、G7等でいろいろな議論があるたびに、IMFの専務理事なんかも日本の輸銀に対する評価というのは非常に高い。メキシコの通貨問題にしましても、あるいは中近東の問題にしましても、ロシア、ウクライナの問題にしましても、あるいは途上国の十三カ国の対応にしましても、今度恐らく軽水炉のような問題が起こってきましても、この準商業ベースの、いわゆる財投資金を活用した輸銀の対応というのは非常に有用といいますか、役割が評価されているということを率直に認識をしなければいけないと思うのであります。そういう意味では、今後むしろ、そういう需要はまたこれから一層ふえていくのではないかというふうにも思っておる次第でございます。
○近藤(鉄)分科員 私もいわば先進国、欧米の輸銀についていろいろ調べてみますと、日本の輸銀が一つ例外でありまして、アメリカの輸銀も、イギリスの輸銀も、フランスの輸銀も、イタリアの輸銀も、ドイツはちょっと違うようでありますが、まさに輸出入金融に関係した金融をやりくりしている。ただ、日本の場合にはアンタイドローンだとか投資金融だとか、そういうことを積極的にやっておって、ある意味では、これは世界銀行がやっているような役割を果たしているわけでありますので、私は、これもかねてからの私の持論なんですが、輸銀は名前を変えたらどうだと思うのです。 どうも、いかにもこの輸出入銀行という名前ですと、通常の輸出とか輸入、輸入は今非常に大事だけれども、輸出も大事なんだけれども、何かそういう形にしかやっていないというイメージになってしまいますね。もっと積極的なアンタイドローンだとか、それからプロジェクトローンみたいなことをやっているとすれば、これは世界銀行の融資と同じようなことをやっているわけでありますので、私は、輸銀をむしろ日本版世界銀行だ、金額的にも世銀融資の六割か七割ぐらいの金額の金をすでに融資しているわけでありますから。私も実はかつて世界銀行、IMFの理事の補佐役をしておったことがございますけれども、なかなか世界銀行とかIMFというのは意思決定が大変なんです、各国の理事が出ていろいろ議論しますから。 だから、それでなしに、日本が単独で、今恐らく世界銀行の融資の条件よりも輸銀の融資条件の方が有利じゃないかとすら思うのでありますけれども、どうでしょう、大臣、積極的に輸銀をそういうふうないわば世界銀行化していく、そして財投資金を取り込んでいく、そして積極的に財投資金、国内で財投需要があるのと同じように国際的にも財投需要があるわけでありますから、それに向かっていくということをお考えいただいていいのではないかと私は思うわけでありますが、大臣の御所見があったら承っておきたいと思います。
○加藤(隆)政府委員 委員御高承のように、輸出入銀行は日本輸出入銀行法に基づく銀行でございます。その業務の内容も、御指摘のとおり、輸出金融から輸入金融、それから投資金融、それからアンタイドローンとだんだん間口を広げてきております。アンタイドローンもいろいろな性格のものも融資いたしております。したがいまして、業務の範囲も非常に広範でございまして、なかなかこれを一括して考えるということは難しかろうと思います。 ただ同時に、今大臣の答弁にもございましたように、輸銀の行っております業務の内容につきましては、IMFを初め、国際的G7を初め、いろいろなところの評価が非常に高くなっている。業務の内容については非常に高く評価されるような業務内容を輸銀の方で努力して広げてきたということが実態であろうと存じます。
○近藤(鉄)分科員 ここに輸出入銀行法を持ってきたのでありますが、時間がありませんから申しませんが、業務、十八条にざっと列挙してあるのだけれども、ほとんどが「本邦の輸出入市場の開拓若しくは確保又は外国との経済交流を促進するため、」みんなこうなっているのですね。だから、まさに輸出入銀行としてスタートしたのだけれども、単なる結果的に日本の輸出が伸びることはそれは当然でありますけれども、むしろ、繰り返しますが、日本のちょうど財投のように、郵便貯金の、——これは財投の議論もまたありますから、またそれはそれとして、現行の財投制度を認める限り、それをプールして、そして世界に対して供給していく。 今だからこそ千二百、三百億ドルの経常収支の黒字があるわけだけれども、これは内需拡大政策を進めていけば、だんだん千億ドルなり八百億ドルなり、減っていいんでしょうね。そのときには、むしろ積極的に輸銀債をロンドンやニューヨークやフランクフルトや世界に対して、東京も含めていいのでしょうね、世界の国際金融市場に打って出て、そこで金を集めてくる。輸銀のクレジットスタンディンクで集めれば相当安い金利の資金調達ができるわけですから、それで、さあインドネシアだ、さあサウジアラビアだ、さあどこだというふうに貸していくわけです。 だからそういう形で、準民間で、しかも長期安定資金を国際的に提供するという、いわば国際的な機関に輸銀をつくりかえていく。そして、完全にコマーシャルベースでいくものはコマーシャルベースでやってもらう。それから、ODAに関するものはいわゆる海外経済協力基金でやる。 新聞等で我が自民党の考え方のようでありますが、ここに自民党の金融問題調査会長がいらっしゃるから、自民党がそう決めたのかと申し上げたら、まだ決まっていない、こういうことでありますから、あえて申し上げますけれども、私はやはり、ODAと私の考える財投の国際化とは違うと思うのですね。これを一緒にしてしまいますと、例えば国際金融市場で輸銀が資金調達をする、こうなると、ODAも一緒にやるとなりますと、相当リスキーなプロジェクトにも輸銀が金を貸すことになりますね。そうすると、今なら国際的に高いクレジットスタンディンクがあるんだけれども、あの一部でODAの多少リスキーなソフトローンもするということになってくると、輸銀全体の国際金融市場における地位が揺らいできますからね。 だから、やはりODAはODAとしてこれに徹していく、そして輸銀はもう、繰り返して申しますけれども、財投資金を使い、そして国際的に金を集めて、積極的な世界のいわば産業発展、社会発展に貢献していくんだ、しかしちゃんと利子は払ってもらうし、いずれ返済してもらう、こういうふうにやっていくということではないかと思うわけであります。 時間がないから続いて申しますが、それでは開銀と同じじゃないかという議論が出てくるわけでありますが、国内の開銀、私はやはり開銀は違う、こう思うのは、これは先般予算委員会でも御質問したんだけれども、開銀の場合には今度の阪神大震災のところに思い切って低利の金を貸す、そのためには積極的な出資をして、出資の資金と財投の資金とをミックスして、そして思い切った低利の融資をしていくだけの金融機関である必要があると思うのですね。これは、国内的にはそういういろいろな、もともとスタートが復興金融公庫でスタートしたわけでありますから、思い切った低利の金村の金も貸す、災害の企業に対して、そういうことができるようにしていく。 これは一緒にしてしまいますと、国内的なニーズで、開銀がそういう特剔出資した安い金利の金を提供する、こうなってくる。外から見てくると、そんなに安い金で提供できるなら、ひとつおれにも同じようにして金を貸してくれというふうになりかねない。ですから、そこは、私の言う、日本版世銀としての輸銀、それから完全にODAの執行機関としてのOECF、そして国内的には、その時々のいろいろな需要に応ずるような金融機関、政府関係機関としての開銀というふうにきちっと分けて、そしてコマーシャルベースでできるものはコマーシャルベースで思い切って国内的にも国際的にもやる、そういう体制が今必要なのではないか、こういうように思うわけでありますが、大臣、どうでしょう。
○武村国務大臣 政府系金融機関の議論が盛んな中で、輸銀、開銀の問題について率直に御意見をお聞かせをいただきまして、ありがとうございました。 開銀はあくまでも国内の産業支援機関であります。輸銀も輸出の、日本輸出銀行でございましたか、一番最初は、輸出促進ということからスタートを切ったようでございまして、今は輸出入となっていますが、しかし、国内企業に対して、輸出入にかかわる奨励手段、激励手段という形でスタートしたのかもしれませんが、今や本当に世銀とアジ銀の中間ぐらいの融資残高を持つ大変大きな、国際的に大きな存在に成長してきているわけであります。これも財投という資金が背後にあって、日本のこういう資金需要がこういう特異な銀行を育ててきたというふうにも言えるわけで、これはむしろ率直にやはり評価をしていいと私は思っております。 同時に、世界からも高い評価を受けておって、日本の特殊法人ではありますけれども、世界の各国から、その恩恵に浴していたり、さらに将来大きな期待を持たれるような存在になってきていることを考えますと、これはむしろ基本的には今後ともはぐくんでいくという姿勢が私は正しいと思っておるわけでございます。少なくともこういう役割をなくしてしまうような議論というのは、これはくみせないというふうに思っております。 整理統合等々の議論の中には参画をしてまいりますし、輸銀プロパーの問題としても改善すべき点があれば改善はしていかなければいけないと思っておりますが、ぜひ委員の御指摘いただいたような認識に立って私も対応してまいりたいというふうに思っております。
○近藤(鉄)分科員 実は大臣、私は暮れからお正月にかけて、中東四カ国を回ってきたのです。クウエート、サウジアラビア、カタール、そしてエジプトです。 我々、クウエートのジャビル首長に会いましたら、向こうから、日本は憲法の制約があって湾岸戦争で軍事的な協力をしてもらえぬということはもう十分わかっている、我々もうよくわかっているんだ、しかし私たちが非常にありがたいことは、大変多額の協力をしていただいた、それは非常にありがたくてお礼を言いたいと向こうから言ってきたわけです。それで、我々は、湾岸戦争は金を出したけれども余り評価されなかったんじゃないか、やはり自衛隊を出さなければだめかななんという思いでちょっとおったら、向こうから、お金の協力はありがたい、こう言ってくれるのですね。 考えてみますと、私は初めてクウエートに行ったのですが、湾岸戦争でクウエートの町が破壊されていると思ったのですね。ところが、すばらしい空港ができている、町が完全にリカバーしてしまっている。山形県にないようなスーパーハイウェーがどんどん走っているわけですね。これは大変なものだ。オイルマネーの力を初めて知ったのですね。 だけれども、聞いてみたら、今非常に財政的に苦しいのです。いっときの高いオイル価格が低位、低位といったってバレル十五、六ドルですから、買う方は高いんだけれども、安くなってしまっている。だけれども、高い石油価格を前提にしていろいろなソーシャルインフラストラクチャーをやってしまっている。 サウジの例でありますけれども、石油で海水を真水にして、そして、農業をやって、小麦を輸出しておるなんということをやっておるわけです。これはもちっこないと思うのですよ。 だから、私は、日本では土地バブル、株バブルが崩れたけれども、向こうではオイルバブルが崩れたんじゃないかと思っている。そういう経済調整が非常に難しいのです。だから、今はオイル価格が高くないから、石油を現地で精油したい、そしてさらには石油化学工業をつくりたい、こう言っている。日本は資金協力してくれ、こう言うわけです。そんなこといったって、人口も余りないから大丈夫かと言ったら、いや、それはもうここを拠点にして、ブラックアフリカから西アジアから南ヨーロッパ、みんな売れるから大丈夫だ、こう言うのであります。 話をはしょりますが、申し上げたいのは、ああいうところはODAの対象にならないのです。だけれども、いわゆるコマーシャルの方ではいまいち心配なのですね。だから、そういうところに輸銀融資で積極的に石油の精油所をつくってやるとか、石油化学工業のコンビナートをつくってやる、そして、世界に対してそういう安い価格で、オイルが安いオイルで、そして売れるようなそういう体制をやってやることが、また何かあったときに、日本に対して安定した石油の供給が確保できる道だと私は思うのです。 はしょって申しますが、私は、日本の外交の基本は二つあると思う。一つは食糧をちゃんと確保できるかどうかですね。一つは石油をちゃんと買えるかどうかです。だから、そういう意味で、私は日米関係は大事だと思うのです。いわゆるフレームワークトークなんということは私は余り評価していないんだけれども、ちゃんとアメリカから必要なときに食糧が入るのか、この保障があるかどうか。 それからもう一つは、一たん緩急あるときにちゃんと石油が入るかどうかです。それは、湾岸戦争が始まったときに、慌てて増税をしてやって、後はもう関係ないということでいいのかなと思うのですよ。長期安定的に石油の供給を確保するためには、中東に石油をベースにした精油所だとか石油化学工業だとか、そういったことをやっていかなければならないとすれば、私はやはり輸銀の果たす役割は非常にあるんではないでしょうか。 いろいろなことをお話し申し上げたいのだけれども、そういうことで、これからの日本が、まさに世界最大の貯蓄供給経済ですからね、世界最大の貯蓄供給経済がその貯蓄をどういうふうに世界の発展に活用するんだという、そういう体制をつくる必要があるのであって、そのために、くどいようだが、輸銀がちょっと輸出入にこだわり過ぎている気がする。だから、法律も思い切って改正してやりたい。そういう新しい我が国の国際企業的な地位の担い手としての輸銀というものをぜひひとつ大臣の御見識でまとめていただきたい。 それと、やっぱり国内のいろいろなニーズに即応しなきゃならない。いろいろな政府金融機関とこれは別だと思うのです。それはそれとして、またきちっと考える必要があるのであって、あえて申しますけれども、大臣の前でございますが、何かそういう、日本の国際、国内経済戦略とか資金的なニーズというものを余りきちっと議論されないで、非常にせっからに、何とかこうしてああしてというような議論がどうも先行し過ぎているのじゃないか、こんな感じがいたします。かつて国際金融機関に身を置いた一人としてそういう気持ちを強くいたしますので、ぜひひとつ大臣の御見識で、日本の国際的役割は何だということを、金融の役割は何だということをお考えいただいての案をぜひひとつ進めていただきたい。我々も御協力するにやぶさかではありません。 以上でございます。どうもありがとうございました。
○衛藤主査 これにて近藤鉄雄君の質疑は終了いたしました。 次に、海江田万里君。
○海江田分科員 武村大蔵大臣、昨日、札幌で御講演をされて、そこで国民の支えというのは増税と同じ意味であり、税負担していただく以外に道はないというような発言をなされたということなのですが、私、予算委員会でこれまでずっと大蔵大臣の発言を聞いておりまして、もちろん増税の可能性を否定したことは一度もなくて、税も含めてあらゆる手段を講じていきたいという御発言があったように記憶をしておるのですが、きのうの発言というのは、増税も含めてあらゆる可能性をというところから一歩踏み出しておるのではないだろうか、増税の可能性について、というふうに受け取られるのですが、いかがでしょうか。
○武村国務大臣 今回の大震災に対する財源の対応をどうするかというのは、もう震災が起こった直後から、私ども役所としては最も大きな真剣なテーマでありましたし、そのことを真剣に見詰めてきているところでございます。 国会も、予算委員会を中心にしてさまざまな御議論をこうして真剣に展開をしていただいておりまして、私は、今日までも、ひとつ財源についてはあらゆる可能性を真剣に求めたいといいますか、検討させていただくということを答えてまいりました。その姿勢には今も変わりはないわけでありますが、議論を整理する意味では、北海道でもそれは申し上げたと思うのですが、まずは既存の予算のやりくりというか、既存の予算による対応が最優先であります。 今年度も、新年度もそのことがまず何よりも真っ先に取り組まなきゃならない姿勢だと思っておりますし、それから、既存の予算の中におけるやりくりという言い方は大変あいまいでありますけれども、場合によっては補正措置等も講じて、不急不用という予算はないはずでありますが、たとえ有用であっても、この際はやはり災害を優先するという姿勢から、ことしはある種の予算を少し遠慮をいただいて、震災に回していくというふうな対応も当然必要になってくると思うのです。このことは、当初予算を今御提案をしているさなかでございますから、成立した後の予算の修正にかかわることは明確に申し上げることはできないものですから、極めて抽象的に申し上げているわけであります。 それで、こういう既存の予算のあらゆる工夫というか、やりくり算段でまず精いっぱいやる、それで足りないときにはどうするかということになってくるわけで、今回の災害のスケールからいきますと、まずそれをやっても足りなくなるだろうというふうに想定せざるを得ません。 そこで出てくるのが、その他の財源措置でしょうか。既に郵政省が義援を兼ねて、郵便切手でしたか、二十円ほど上げる、二十円は寄付していただくというようなことをもうお決めいただいたようでありますし、また自治省は、宝くじについてもそういう義援のための特別の宝くじを発行することもお決めいただいたようです。また、中央競馬会等も含めて、そういう特別競馬等の開催も今話題になり始めているということで、そういうさまざまな財源手段も精いっぱい工面をする必要があると思っております。それでも足りないときに税の論議が出てくると。 そこで、税か国債かという、単純化すればこの二つの予算対応があるわけですが、私は、昨今の我が国財政の置かれている状況もあるものでございますから、国債、特例公債、建設国債、両方含めてですが、国債というのは確かに法律で認められる道でありますが、一般的には六十年償還という大変長い、将来世代に負担をお願いするような対応でありますから、既に二百十二兆にさらにそれに上乗せして、これをまだまだ膨らましていくという、そういう安易な道はよほどでなければとるべきではない、極力慎重でなければいけないという思いもあって、国民の皆さんがこの震災にかかわる財政需要をどう御理解いただけるか、そして支えてくださるか、もうこの一点に尽きますと。 それをわかりやすく言えば、支えてくださるというのは、税の御負担ということになります。しかも、今御負担をいただくか、二正期間かけて御負担いただくか、あるいは国債のように六十年かけて御負担いただくか、こういう選択が最後に残されますということを申し上げ、いずれにせよ、国民の皆さんの御負担をお願いするしかすべはないのですと。 こういう大変回りくどく長い説明でございましたが、そんなことを申し上げているわけであります。
○海江田分科員 確かに、いろいろな知恵を出し合って、今大臣からもお話がありましたけれども、郵政省も競馬会も自治体もということでやっておるわけです。ただ、そういう知恵で出てくる金額というのはそれほど大きな金額にならないだろうということと、それから今度の補正でも税収の見積もりは当初より大分減るということ、これは当然でございますが、九五年でもこれは同じようなことが当然予想されるわけですから、そういうことを考えると、やはり何らかの形の税金の負担というのは私は必要なんじゃないだろうかと。 ただ、タイミングの問題がございまして、一体いつからその税金の負担というものを国民にお願いをするのか、今大臣からもお話がありましたけれども、それこそ国債を出して六十年間の償還ということであれば、これはかなり遠い先になるわけです。もっと早い段階で、例えば、それこそこれだけの大震災があって、アメリカなんかでもロスの震災のときに、これは地方税、小売売上税、セールスタックスですから、地方税ですからカリフォルニアは早く手当てができたとか、いろいろな例がございます。 やはり国民の間に、この問題を何とかしなきゃいけないということで、これは日本の場合、湾岸戦争のときもそうでしたけれども、そういう大規模な震災なり災害なりがあって、それに対してかなり大量の資金の需要が必要になってきておる。これはもうだれが考えても明らかなことですから、それと、その国民の負担というものを切り離すことが果たしていいことなんだろうかどうなんだろうかということを私は考えておるわけですね。 そういう意味では、いずれどこかで負担をしなければならないのは、やはりなるべく早い段階で現状をつまびらかにして、そして国民に負担をお願いするということも一つの方策ではないだろうか。もちろん財源、どういう形での税の負担を求めるかということによって、景気が低迷をしておるとか消費が伸び悩んでおるとか、そんなようなことも配慮しなければいけないわけですけれども、私は、ある程度の時間差は、設けるのは余り得策でないという考え方を持っております。 その税負担ということを、大蔵大臣、はっきりおっしゃいませんが、やはりなるべく早い方がいいのか、それとももうちょっと時間をかけて、例えば九五年はもうこのままでいて、九六年以降の負担になるのか、そのあたりのお考えというのはございますか。
○武村国務大臣 税の災害対応の財源として、具体的な内容を詰めるのがいつの時期がいいのかとか、あるいはいつまでにしなければいけないのか、こういう議論も一つありますね。これは一定の幅はあると思うのでありますが、意識的におくらすということは避けるべきだということを、私は記者会見で申し上げたことがあります。選挙があるから選挙までにやれとか、選挙の後にしろとか、そういうのはどうだろうかという思いがあります。しかし、もう三月中に決めなければならぬ話でもありません。真剣に国会あるいは各党の議論をしながら、そういう中で結論を見出していったらいいと思うのです。 問題は、どういう財政対応なのかというときに、おっしゃるとおり国債にも十年あるいは五年もあるんですが、あるいは四年とか二年とか、それからもっと短期な半年とか一年とか、いろんな国債対応があるわけです。先般、第二次補正の建設国債、それから赤字国債について記者会見では質問がありましたので、今のところ中期債で考えたいということを申し上げました。 中期債というのはどういうことかと言われたから、四年ないし二年、四年債、二年債等々であるという、こういう短期でない長期でないという意味でそう申し上げたわけでありますが、それじゃそれはつなぎ国債を考えているのか、こういう質問も飛び出しましたが、いや、そこまで結論を出したわけじゃありません、こういうお答えをしておりました。とりあえず今回の第二次補正の国債については、中期債で対応したいというのが私どもの考え方でございます。 そのことも含めて、湾岸戦争のときのようないわゆるつなぎ国債、財源を明らかにしてとりあえず国債で対応するか、あるいはもう通常の国債のように六十年償還の長い期間かけて返済をする国債にするかというこの議論は、真剣な議論として当然私ども政治の中でしなければいけないテーマだと思っております。
○海江田分科員 いずれにしろ、今度の国会は六月十八日までが予定をされておる、それから参議院の選挙もありますから、そう長く引っ張るわけにはいかないわけです。それで、この九五年度の予算も比較的順調に進んでおるということですから、当然のことながら、統一自治体選挙が終わった五月からそれこそれ五年度予算の補正ということを真剣に議論しなければいけないと思うわけです。そのときに、国債の種類がどういうものになるのかということも当然議論をするわけですけれども、やはり国債の償還の財源としての税負担の問題ということ、これは切り離して議論するわけにはいかないんじゃないだろうかという気がします。 それから、もし九五年度の税制を手直しをする、きょうの新聞なんかには所得税、法人税に対して一%上乗せをする付加税というような話も出ておるわけでございまして、私もそれも一つの考え方かなという気がするわけでございますが、九五年度の税制で手当てをするのならば、一年間あると言わずに、やはりなるべく早く今度の通常国会で対応すべきだろうと思います。この付加税の話というのは、これは大臣初めてお聞きになった話ですか。
○武村国務大臣 これは新聞で読みましたので、ちょっと審議官からお答えを……。
○薄井政府委員 私どもも、きょう新聞で初めて見させていただきました。大臣が御答弁申し上げたとおり、具体的なことについてはまだ議論しておりません。
○海江田分科員 私、先ほど付加税も一つの考え方かなということをお話しをしましたけれども、もう一つ、付加税の前に、宗教法人ですとか公益法人の法人税、優遇されておりますね。大分御努力されて、今は昔ほどでなくなりまして、三〇%ということで、中小企業の低い税率の二八%から比べると少し上にあるわけでございますけれども、一般企業の法人税三七・五%ですから、それと比べるとやはりかなりまだ差があるわけでございますね。こういう公益法人の軽減税率の見直しなどというのも、私はこの際考えられてしかるべきではないだろうかという考え方を持っておるんですが、いかがでしょうか。
○薄井政府委員 今回の財源としての議論は私どもまだしておりませんが、御指摘のように、公益法人等に対する課税の適正化につきましては古くから議論がされておりまして、例えば軽減税率をもっと上げるべきではないか、それから収益事業の範囲を広げられないか、金融資産の収益に対する課税のあり方、いろいろと検討すべきことがあるというふうな指摘がなされております。 先ほど委員から御指摘ありましたように、昨年の改正におきまして、公益法人等の寄附金の損金算入限度枠、これを三〇から二七にすることによって課税の強化をいたしたところでございます。これもなかなかできなかったことですが、昨年踏み切らせていただいたところでございまして、財源論の話とは別に、公益法人に対する課税のあり方については、今後とも検討すべき事項だと思っております。
○海江田分科員 きょうは法務省にもお越しを願っておりますので、この阪神・淡路大震災で被害に遭ったマンションの再建の問題ですね。これも今日の新聞ですけれども、全壊しましてそれを取り壊した土地の上に新たに建物を建てる場合、五分の四の賛成でいいという方向で検討しようじゃないかということでございますが、これはそのとおりですか。
○升田説明員 ただいま委員御指摘のとおり、マンションといいますと区分所有建物、こういうぐあいに法律上はなるわけでございますけれども、これが全部倒れました、つまり全部の滅失の場合につきましては、民法の原則によりまして、土地の利用権者といいますか、共有者の全員の同意が必要であるということになっておりまして、これを今回御指摘のような点も含めまして、要件を緩和するという方向で検討を続けているところでございます。
○海江田分科員 今要件を緩和するということで、五分の四ということは発言いただかなかったわけですけれども、新聞報道にありますような五分の四ということですと、区分所有法で既に五分の四という決まりがございますね。ですから、その区分所有法の五分の四に合わせたということになるんだろうと思うんですね。 これは正直申し上げまして、何も今回の大震災での手当てということとは切り離しをしまして、やはり民法と区分所有法との関係で、区分所有法がそういう形での規定が決まりましたから、いずれ民法の方も直さなければいけない話ではなかったんじゃないだろうかという気が私はしておるのですね。ですから、そういう意味において、区分所有法の五分の四というのが現地ではやはりかなりきつい条件だという話がありますので、この区分所有法の五分の四というのはこれをもう少し下げるといいますか、この基準を緩和するというお考えはありませんか。
○升田説明員 現在何分いろいろな観点から検討中でございますけれども、五分の四とおっしゃいますのは、現在の区分所有法の六十二条に規定がございまして、例えば建物の一部が滅失いたしましたときに、それを取り壊して建てかえをするという場合の規定になっておりまして、今回問題となっておりますように、全部滅失があったという場合には、先ほど申し上げましたように民法の原則に戻るということで、例えば一人の方が反対されても、それじゃ再建できないのかというような問題がありましたので、現在そこを中心に検討しておるわけでございます。 ただし、今委員御指摘のように、五分の四の要件を緩和するということにつきましては、例えば反対される権利者の方の権利の保護をどうするか、そういった点からもなかなか難しい問題があるなというぐあいに感じておる次第でございます。なお、その点につきましても、広い観点から検討しているというのが現状でございます。
○海江田分科員 これは法務省になりますのか、大蔵省になるのか、どちらかでお答えいただきたいんですが、一つのアイデアとしまして、今回特にマンション住民の方は、被害に遭われたマンションの建てかえということでいろいろ大変悩んでおりまして、そこで定期借地権という考え方がございますね。建物の所有権を五十年なら五十年貸し出しをしますよ、五十年たったらそれは更地にして戻しますよということですけれども、この定期借地権の考え方を応用しまして、そしてマンションの区分所有をしておる皆さん方が、その自分らの敷地のところに自己定期借地権というのですか、それを設定をして、この自己定期借地権、これを例えば国でありますとか、それから地方公共団体でありますとか、公団でありますとか、公社でありますとか、そういうところに買い取りをしてもらう。 そうすると、この土地そのものは、国になりますのか、地方公共団体になるのか、公団になりますのか、公社になりますのか、そこの所有になりますけれども、五十年なら五十年間の定期借地権がつきますから、そこで国や地方公共団体に売り渡しをしたその値段でもってマンションの建てかえをやるということ。これをやりますと、実はそこに住んでおる区分所有者というのは、自己負担なしで建てかえができるんですね。 大体、阪神地域のマンション、これはマンションのグレードによっていろいろな値段があるわけですけれども、おおよそ土地の値段とそれから建物の値段が六対四でありますとか、五対五でありますとか、大体その辺でおさまるということになりますと、自分たちで自己定期借地権をつけて、そしてそれを国なり地方公共団体に売り渡しをした。その売り渡しの値段というのが大体更地価格の八割ぐらいということで、これは国税庁が、定期借地権でもって大体どのくらいの評価をしろということを言っております通達がございます、定期借地権の底地価格を更地の八割にするというような規定ともぴたりと合いますので、そういうアイデアというものはいかがでしょうか。全く検討できないのか、それとも少しは可能性として検討できるのかということでございます。
○升田説明員 ただいま委員御指摘の、定期借地権についてお答えいたしますと、これは御承知のように、平成四年の八月一日に施行されました借地借家法によりまして新たに認められた制度でございます。 この借地権といいますのは、一般の借地権と異なりまして、借地期間の存続期間が満了いたしましたときに、契約が更新されずに、最初に定めた期限どおりに借地関係が終了するという基本的な性質を持っている借地権でございます。ただ、定期借地権と申しましても一種類ではございませんで、三種類ございまして、一般定期借地権、今御指摘の五十年以上の存続期間を定めるという性質のものでございます、建物譲渡特約付借地権、さらに事業用借地権、こういう三つの類型が定められております。
○海江田分科員 今のは借地権の説明で、私が言っているのは一般定期借地権のところなんですけれどもね。 武村大蔵大臣、これは国の国有財産が、結果的に五十年たって更地で返すということになると、国有財産、国でなくて自治体ならば自治体の財産ですけれども、これがふえることになるわけです。そういう公有地だとか国有地に定期借地権をつけるということは、私が最初にしたお話というのは、これは震災で被害に遭った人たちの底地を買い取って、結果的に国有地がふえるということですけれども、その逆の発想で、国や地方公共団体が持っております公有地だとか国有地だとか、これに定期借地権をつけて、そうしますと、マンションなんかが安価で分譲できるわけですよね、これは。そういうお考えというか、きょう、ここで急に聞いたお話ですから、なかなか返答も難しいと思うんですけれども……。 私は、例えば少し飛躍した話になりますけれども、これから日本の経済を活性化をさせる、しかも一人一人が本当に豊かな暮らしをするということでいうと、やはりこの住宅の問題というのは欠かすことができないわけですね。しかも、今のように都心部から遠いところで、一時間半も通勤にかかるようなところで何千万かのマンションを買ったところで、これはなかなか毎日の通勤とか大変なわけですから、少し将来的に、今国や地方公共団体が持っております。そういう公有地にあるいは国有地に定期借地権をつけて、そしてそれを安価でマンションを建てて販売をするというようなことは、これは将来の一つの検討課題としてなかなかおもしろいアイデアだと思うんですが、いかがでしょうか。
○田波政府委員 全く突然の御質問で、必ずしも専門的な検討をやっておるわけではございませんけれども、現在の国有地の管理、処分の基本的な考え方というのは、まず第一に、公用、公共用の用に供するということが第一でございます。それで、それ以外のものにつきましては、例えば先般の、いろいろ社会的な事象になっております物納財産のようなもので、公用、公共用に使えないものについては、できるだけ民間に処分をしていくという基本的な考え方をとっております。 今の委員の御提案でございますけれども、いろいろ検討すべき事項があると思いますけれども、例えばそのような体制をとった場合に、国がどういうような管理をやっていくのか、いろんな面で、経費もかかるでしょうし人員も要る、あるいは権利関係をどういうふうにフォローしていくのか、いろいろ勉強すべき事項が多いのではないかというふうに思っております。
○海江田分科員 今ちょっと二つの話をしましたので混乱しているかもしれませんけれども、前者の方の、被災者用のマンションの再建に対してそういう定期借地権を利用して、国がそういう借地権者になって、そしてその分の資金を、この財源は財投でもいいですし、あるいは場合によっては、公有地になる、国有地になるということでいえば建設国債が利用できるのかということもあると思うんですけれども、そういう形で手当てをする。 そうしますと、管理が大変だということでもありますけれども、その管理の裏返しとして、当然のことながら地代が大体二%ぐらい入ってくるわけですね。そうすると、時価の八割でとって二%の地代が入ってくると、利回りでいうと二・五%ぐらいになるんですね。国の利回りとして、国有財産の運用の利回りとして二・五%ぐらいになるわけですから、これは決して負担だけあって国にとっては大変な、迷惑な話だとかいうことではありません。 もう少し前向きに、あるいは被災者の方からしてみれば、これはもう本当に、やはり今一番問題はダブルローンといいますか、金融公庫だとかそれぞれの持ち場持ち場でいろんな手当てを講じておりますけれども、結果的にはやはり二つのローン、しかも、現在払っておるローンというのは、もう財産そのものがほとんど滅失してしまったということに対するこのダブルローンというのが非常にやはり負担がきついわけですから、そのダブルローンから免れるということにおいては、私は真剣に検討していい問題ではないだろうかという考え方を持っておるんですが、いかがでしょう。
○田波政府委員 基本的な物の考え方は、先ほど申し上げましたような考え方になるんだろうと思いますけれども、そういった、いわば事業と呼んでいいかどうかわかりませんけれども、これが果たして国のやるべき分野であるかどうか等についても、ある意味では財源措置をどうするかということと結びついている面もございますけれども、よく検討をしなければいけないというふうに思っております。
○海江田分科員 余りこういうアイデアというのはまだ出ていないと思いますが、これはさっきお話しした二つ目の、将来的にどうやって働く人たちに安価でしかも働くところから近いところに快適な住宅をつくれるかというような観点からも、やはり定期借地権というのは、——今国の土地だけじゃありませんけれども、公有地、地方公共団体の土地なんかも必ずしも有効利用されているとは思わないのですね。 しかも、じゃそれならば、有効利用されてないものならすぐ民間に払い下げをしてしまっていいものなのだろうかどうなのだろうか。いわゆる中曽根民活の反省というものに立たなければいけないわけですから、そういう中曽根民活の反省なんかも含めて、国有地、公有地というものをどういうふうに利用するかという意味合いにおいて、私は、やはり定期借地権ということをもっと国としても勉強してみる必要があるかなということで、今後の検討をぜひお願いをしたいと思います。大臣にもお願いをしておきます。 時間が参りましたので、ありがとうございました。
○衛藤主査 これにて海江田万里君の質疑は終了いたしました。 次に、矢島恒夫君。
○矢島分科員 所得税などの確定申告が始まりました。最初に、この確定申告の問題でお尋ねしたいと思います。 被災地の納税者の方々には、納付期限の二カ月延長という措置がとられました。さらにまた、阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律も施行されました。そして、住宅、家財あるいは事業用資産等の損失については、平成六年分の所得からの控除も認められるようになりました。被災者に一定の措置がとられました。 このことは非常に結構なことだと私も思うわけですが、一つ心配しますのは、被災地で罹災したけれども、その後被災地以外に転出した納税者がいらっしゃる。あるいは、営業の面で被災地と深くかかわり合いのある納税者もいらっしゃいます。あるいは、納税地は被災地外だけれども、顧問税理士が被災地で、書類がなくなったというような納税者もいます。被災地と関係の深い被災地外で申告する納税者の問題なのです。 実は私、これは関東地方の税務署ですけれども、被災地関係納税者が税務署へ行っていろいろと相談を申し込んだ、しかしなかなか即答してもらえない、こんな話を聞いたわけです。そこで、被災者に対する申告納税問題について、大阪国税局管内の税務署だけでなくて、全国の国税局管内のすべての税務署でも、機敏に、的確に対応できるようにしておく必要があると思うのです。その点、万全を尽くしているのかどうか、不十分なら十分対応できるようにしていただきたい。国税庁もしくは大蔵大臣、御答弁いただければと思います。
○堀田政府委員 ただいまお話ございましたように、今回の震災につきましては、被災地外におられる方にもいろいろな影響が出ているところでございます。 例えば、先生御指摘になりました申告期限等の延長について申し上げますと、これは、国税庁の告示におきまして被災地十八市町を地域指定いたしましたが、その指定地域以外の方につきましても、申告等ができないやむを得ない事情がおありの方につきましては、個別に税務署に申請をしていただくことによりまして期限等の延長を可能にするというシステムがございますので、そのシステムで運用をさせていただきたい。税理士の関係で無理な場合があるというお話もございましたが、それもそういうことだと思います。 それから、今回の震災の被災者あるいは関係者の中で、遠隔地で避難生活を送っておられる方もたくさんおられるわけでございまして、今回、納税相談、申告書の仮収受につきましては被災地区の税務署以外の税務署でも行えるようにいたしまして、被災された納税者の方々に極力不便をかけることのないように、適切に対処してまいりたいと思っておるわけでございます。
○矢島分科員 ぜひ十分な対応をお願いしたいと思います。 もう一つ、確定申告の問題でお尋ねしたいわけですけれども、税務署に確定申告に行く納税者というのは、中小企業関係者が多いと思います。ただでさえなかなか、税務署に行くのが好きな人は少ないのじゃないかなと思うのですけれども、長引く不況、その中の申告ですから、一層重苦しい気分で申告に行く人が多かろうと思うのです。 そういう中で、国税庁の「税務運営方針」、この中にはいろいろいいことも書いてあるわけです。例えば「税務官庁を納税者にとって近づきやすいところにしなければならない。」とか、あるいは「納税者の主張に十分耳を傾け、いやしくも一方的であるという批判を受けることがないよう、細心の注意を払わなければならない。」こういうことが書いてあります。しかし私は、この方針についてはいまだ現実のものになっていないのではないかと思うわけです。一方的あるいは権力的あるいは高圧的と思われるような税務行政が行われて、私の方にも苦情や陳情や要請が数多く来ているわけであります。 大蔵大臣にお聞きしますが、やはり税務行政というのは、公平適切、民主的運営というものが必要だと思うのですが、大臣、この税務行政の中で大事だと思っていらっしゃることをお伺いできればと思います。
○武村国務大臣 おっしゃるとおり、税務行政というのは、法の執行という点では直接国民の暮らしにかかわる、経済利害にかかわる仕事でありますだけに、法に対してきちっと厳正に対応しなければならないということが基本だと思います。 しかし同時に、まさに税を納めていただく国民の皆さんのお立場に立ちながら、一方的な権力行使という姿勢でなしに、一人一人もうケース・バイ・ケースでいろいろな事情があるわけでありますだけに、相手のお立場に立ちながらよくお話も聞き、相談にも乗りながら、納得がいただけるような努力が必要だと思います。特に今回の大震災の場合は、一層納税者に対して親身な姿勢で努力をしていかなければいけないというふうに思っております。
○矢島分科員 税務署の職員の中にも立派な職員がたくさんいらっしゃいます。同時に、ひどい税務調査というのもいろいろと聞くわけであります。 そこで、法務省においでいただいておりますけれども、まずお伺いしたいのは、刑法第百九十三条の公務員職権濫用罪はどういう場合が該当するのか、簡潔にひとつお答えいただきたいと思います。
○小津説明員 お答えいたします。 お尋ねの刑法百九十二条、公務員職権濫用罪でございます。一般的に申し上げますと、公務員がその職権を濫用し、人をして義務なきことを行わせ、または行うべき権利を妨害したという要件が認められる場合に成立するものであると言われています。
○矢島分科員 そこで、具体的な例でお伺いしますけれども、これは昨年五月の話なのですが、大阪の藤井寺市で美容院を経営している納税者の方でございます。五月十日午前十時ごろ、事前通知もなく突然富田林税務署員二人が来て調査した。さらに五月十三日には三人が来た。そのときのことですけれども、帳簿や預金通帳や現金などいろいろ調査しながら、まるで半ば犯罪者扱いのような質問をされた。そしてその納税者が、もうどうでもいいから早く終わりたい、こういう気分になったというのです。そうしたところ、調査員が、いわゆる税務署の職員が、楽になりたければ、書面に毎日二万円売り上げを除外していた、こういうことを書面に書かせて判を押させたのです。もしそうしないと毎日店の前で客の数を数えて従業員も徹底して調べるぞと、本人に言わせればおどかされた。その文書を書いて判を押したというのですね。もちろん、この文書は法定文書ではありませんから、書く義務もない文書です。税務署は強引に書かせたということです。 もう一つの例ですけれども、これは栃木県の佐野市のラーメン店を経営している藤川佐一郎さんという方の例です。ここでも、昨年九月五日のことですが、関信国税局の調査官と佐野税務署の職員二人が事前通知もせず、午前九時半ごろ突然訪ねてきて午後六時まで調査した。この方は青色申告をしておりますので、税理士といろいろと帳簿をつくっているわけですけれども、税理士にも連絡しないで調査を進めた。この方は、調査の過程でその日のうちに二通、九月十二日には一通の反省文を、やはり税務署の職員が出した下書きどおりに書かされているのですね。三通全部読むのは時間がかかりますので、最後に書いたのをちょっと読みますと、 平成三年に佐野市へテレビ局で食べくらべという番組で佐野ラーメンの取材に来た時に私の店も取材され、以降売上がよくなりました。悪いこととはわかっていましたが自分だけ正直に申告する気になれず平成三年以降年間一千万円程度売上を少なく申告しました。このお金は生命保険、住宅ローン、ゴルフローンのほか遊びに使ってしまいました。 今後は正しい申告、記帳をすることをお約束します。 似たようなこういう文書を三通書かされているわけです。実際に、これをてこにしまして、この方の場合には四年間の修正申告を書かされたわけです。捺印して提出させられた。 このような、事前通知もなし、それから突然納税者宅に来て、本人の意思を無視して強引で高圧的な調査をする。また、書く義務もない文書を書かせる。さらに、本人が納得しない金額なのに税務署員の言うとおりに、修正申告だというのでこう書きなさいとしてやられる。このような税務職員の行為というのは、先ほど私がお尋ねした刑法第百九十三条に定められた公務員職権濫用罪に該当するのではないかと思うのですが、法務省いかがですか。
○小津説明員 お尋ねの公務員職権濫用罪の要件は先ほど御説明したところでございますけれども、ただいまお尋ねの具体的な事案についてこれが成立するか、つまり犯罪が成立するかどうかというお尋ねでございますので、この具体的事案に関する犯罪の成否ということになりますと、性質上、これは捜査当局におきまして法と証拠に基づきまして個別的に判断すべき事柄であろうというふうに考えておりますので、法務当局からお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○矢島分科員 法務省は非常に慎重な答弁をされましたが、私は今述べた例などはこの公務員職権濫用罪に該当するのではないかと思うのです。こういう事例が多いから、公務員職権濫用罪での告訴も出ているわけですね。 その一つが、これは九二年十二月二十五日ですけれども、いずれも新聞に報道されているものです。南足柄市の建築板金業者の方であります。この方は、所得税の税務調査をした小田原税務署員について、この方、つまり小川さんという方ですが、その方と取引のない業者九十三人以上にまで裏づけ調査をしたため、仕事に支障が出たなどとして告訴した。 もう一つ新聞に出ましたのは、九三年五月十四日、札幌市の不動産会社社長の告訴の内容であります。別の不動産会社の脱税に関する税務調査に絡み、取引先だったこの社長の会社を税務署員が突然訪問した。ところが、来訪目的も告げずに金庫をあげるよう命じ、社長の上着から預金通帳や財布を力ずくで取り上げた。かかってきた電話に社長が出ようとすると、制止して社長にかわって応答などした。そういうようなことでの告訴であります。 そこで、国税庁にお尋ねするわけですけれども、今私が述べましたこの藤井寺の納税者あるいは栃木県の佐野市の方のような例、このような文書はもちろん法定文書ではないし、また書く義務もない文書であります。また、こういう文書がなくても税務署は修正申告の指導はできるわけですし、更正処分なり決定処分もできるわけです。それにもかかわらず、このような、納税者にとっては屈辱感を与えるような、使い道まで克明に、ゴルフのローンに使ったとか何に使ったとか書け、こういうような文書を書かせるのはなぜなのかということなのです。いいですか、これは税務署が、嫌がっているのを無理やり書かせているのです。 したがって、この「税務運営方針」の「調査と指導の一体化」という項目があります。そこには「調査は、その調査によってその後は調査をしないでも自主的に適正な申告と納税が期待できるような指導的効果を持つものでなければならない。」こういう方針にも反していると思うのです。このようなことをなぜするのか。一つは、重加算税を徴収するためとも聞いておりますし、また国税局がこういう文書を書かせるように例文まで作成して指導しているという話もあるのですけれども、そういうことなのですか。
○堀田政府委員 先生御指摘の幾つかの個別の事例の話がございましたが、具体的な事実関係を承知しておりませんので、その点についての答弁は差し控えさせていただきたいと思います。 税務調査は租税の公平、確実な賦課徴収を図るという公益上の目的を実現するために必要なものだということで私どもやらせていただいておりますけれども、その際には、その公益的な必要性と納税者の私的利益の保護との考量におきまして社会通念上相当と認められる範囲で行われるものと考えておりまして、お話ございました「税務運営方針」にもそういう方針が出ておりますし、その方針を私ども一線の職員に徹底をしているところでございます。 先生から特に具体的にお話がございました文書、申述書というのでしょうか、文書を書かせているという問題について申し上げますけれども、そういう文書を納税者にお書きいただくケースがございます。調査の過程において把握した事実を確認するためや、不正計算を行っていた納税者に将来の適正な申告を約束していただくなどのために文書を作成していただくことがあるということでございますけれども、これはもとより私どもの方で作成を強要しているものではございません。納税者に理解を示していただいて、納税者にお書きいただくことになっているということでございます。 それから、そういった書類が、重加算税賦課のためということで文書をとるのではないかという御指摘もございましたけれども、今申し上げたようなことで文書を作成していただくということでございます。重加算税につきましては、納税者からの文書があろうとなかろうと、仮装または隠ぺいの事実があるかどうかという法律上の要件に照らしまして適切に賦課するということになっております。
○矢島分科員 納税者を指導するというのならば、このような納税者に屈辱感を与えるような文書は書かすべきではないと私は思います。 また、こういう法定文書ではない文書を納税者からとるということは、一つには腐敗行政の温床にもなりかねないということを心配するわけです。なぜなら、こういう文書を利用して税務職員が納税者をいろいろとおどすことだって可能なことになりますし、また納税者をおどかして収賄など不正行為が起こるかもしれない。こういう意味でも、私はこういう文書を納税者に書かすことはやめるような方向で指導していただきたいと思いますが、時間がありませんので次の質問に移ります。 修正申告の問題です。先ほど佐野市の藤川さんの例を挙げましたけれども、この方の場合、本人の納得できない所得額で、九〇年から四年間で一千万円を超える追徴税額になる修正申告を無理やり書かされたというのです。ほかにもたくさんいろいろな例があるのですけれども、一々述べる時間がありませんが、本来納税者が自分の意思で自主的に行うべき修正申告が、こういう税務署の高圧的な態度、例えば修正申告に応じなければもっと高額の更正処分ができるのだというような、そういうおどかしによって無理やり修正申告をさせられているという例というのは次々と出てくるわけです。 これは、行政手続法の第四章にあります行政指導の精神に反するものではないかと私は思うわけです。行政手続法の第三十二条には「行政指導に携わる者は、」「行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。」こうあるわけですね。 大蔵大臣、国税庁はこの行政手続法というのを遵守しているのかどうか、職員にこの行政手続法の趣旨を徹底しているのかどうか、非常に私は疑問を持つわけです。こういう税務行政は正さなければならないと思いますけれども、大蔵大臣の御所見を。
○堀田政府委員 ただいま修正申告のお話がございました。 修正申告は、確定申告等による所得や税額が過少でありました場合に、税務署長が更正するまでは確定申告をした納税者がいつでも提出できるという性格のものでございまして、税務職員がその提出を強要するという性格のものではございません。私ども修正申告を慫慂しておりますけれども、これは納税者が調査額を納得して修正申告をしていただくことが申告納税制度の基本の精神に沿うと考えているからでございます。 今お話ございました行政手続法との関係でございますけれども、修正申告書を慫慂いたしまして提出していただいているわけでございますが、中には協力とか納得が得られないということももちろんあるわけでございます。その場合には調査結果に基づいて適切な更正処分を行うということでございます。 いずれにしましても、修正申告であれ、更正処分であれ、そのいずれを行うにしましても、その調査結果が変わるものではございませんし、修正申告に応じなかったということで不利益な取り扱いをするというようなものではございません。
○矢島分科員 そういう答弁は、私どうしても今までいろいろな納税に関する相談を受けた中では納得できないわけでありますけれども、私が聞いている話では、税務当局の最近の修正申告の奨励というのは、従来のように三年間ではなくて四年、五年、場合によっては七年もさかのぼって修正申告をさせるのがふえている、これが一つの特徴だろうと思うのです。 この藤川さんの場合もそうですけれども、一度修正申告を出します。やり直したいから提出した修正申告書を返していただきたいと本人が申し出ても、一たん提出させた修正申告は断固として返還をしない。これでは納税者は、国税通則法の第二十三条の「更正の請求」は法定申告期限から一年以内と限られていますから、それ以前の修正申告については税務署長の減額更正を期待して待つほかはないわけであります。しかし、この減額更正というのは、まずされないわけでありまして、納税者の権利は全く保護されていないというふうに思うのです。 所得を増額する修正申告を五年、場合によっては七年さかのぼってもさせるのですから、少なくとも減額更正も五年ないし七年間認めるようにしないと、納税者の権利を認めない不公平な税制だ、こういうふうに私は思うわけです。 そういう意味では、法改正もしくは行政指導によって改善をすべきではないかと思うわけですけれども、今までのやりとりをお聞きになって、大臣御感想を。
○堀田政府委員 先生御指摘ございましたように、納税者の方が自分で行っていただいた確定申告や修正申告の減額を求める手段といたしましては、現行法上更正の請求という手段がございまして、御指摘ございましたように、原則としてその請求ができる期間は法定申告期限後一年以内とされております。 お話ございましたけれども、昭和五十六年に国税通則法の改正が行われまして、更正・決定の制限期間が延長になっております。そういった制度の変更がございまして、その変更を受けまして七カ年分に遡及して更正処分を行う、あるいは修正申告の提出を慫慂するということをやらせていただいておるということでございます。
○矢島分科員 今お答えの中にもありました、五十六年に国税通則法が改正された、脱税の場合の更正・決定等の制限期間の延長という法律、国税通則法でいいますと七十条第五項になっております。 それから、脱税の場合の徴収権の消滅時効の特例を、今おっしゃられましたけれども、もちろんその背景に、このときにはロッキード事件だとかダグラスあるいはグラマン事件、こういうものが起こって脱税問題が社会問題になった、こういう中で調査や課税をする期間を延長して厳しく追及できるようにした、租税負担の公平を図るようにしたのだと思うのです。 そのときに、大蔵委員会の議事録を読みますと、この中で期間延長の問題ではいろいろと論議がされております。当時、国税庁もこういう答弁を大蔵委員会の中でやっていらっしゃる。現場にも趣旨を徹底させまして一般の中小企業の方々に無用の不安を抱かせるようなことのないように十分注意してまいります、こう答弁しているのです。 その議論を受けて、衆参両院の大蔵委員会で附帯決議がされているわけです。内容はほとんど同じような内容ですが、昭和五十六年四月二十四日の衆議院の附帯決議の中には、「今回の改正により延長された更正、決定等の制限期間における調査に当たっては、高額、かつ、悪質な脱税者に重点をおき、中小企業者を苦しめることのないよう特段の配慮をすること。」こういう決議がされているわけです。 ところが、その後、この附帯決議の趣旨を軽んじられているのではないかと思うような相談がたくさんあるわけなんです。つまり、更正とか決定でなくて、税務署で対処しやすい修正申告という形で、つまり実質的には更正処分のようなものですけれども、本人が自発的に提出した形をとるということで税務行政が進められている、私はこう思わなければならない場面にたくさんぶつかっているわけです。 私は、中小企業からは脱税は見逃すなということは言いません。この法律の改正した趣旨を十分考慮すべきだし、一方で巨悪を見逃しながら中小企業に厳しい態度、こうなりますと、まさに公平、適切な税務行政とは言えないと思うのです。こういう点で、先ほどのことも含めまして、大蔵大臣、お考えがありましたらお聞きしたいと思います。
○武村国務大臣 税の執行は、さまざまな事態を想定しながら今日まで積み上げられてきたわけであります。私も地方で税務執行の一端を経験したことがありますが、やはり善良な納税者との均衡ということも絶えず考えなければなりません。 御指摘のような特に悪質な場合については、それに対応する、今御指摘があったような措置をとってきているわけでありますけれども、基本的には厳正に税務職員挙げてこの大事な職務に取り組んでいるというふうに私は思っているところでございます。しかし、いろいろなケースについては十分勉強もさせていただきながら、何もかも絶対正しいと言うつもりはありません。具体的なケースでのケーススタディーも重ねながら、今後誤りのないように努力をしていきたいと思っております。
○矢島分科員 ぜひ厳正、厳格に対処していただくことをお願いしまして、私の質問を終わります。
○衛藤主査 これにて矢島恒夫君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして大蔵省所管についての質疑は終了いたしました。 次回は、明二十一日火曜日午前十時より開会し、外務省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時四十三分散会