法務委員会 第3号
- 発言数
- 32 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1995/03/08
会議録
○金子委員長 これより会議を開きます。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所石垣民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ――――◇―――――
○金子委員長 内閣提出、阪神・淡路大震災に伴う民事調停法による調停の申立ての手数料の特例に関する法律案を議題といたします。 まず、趣旨の説明を聴取いたします。前田法務大臣。 ――――――――――――― 阪神保淡路大震災に伴う民事調停法による調停 の申立ての手数料の特例に関する法律案 〔本号末尾に掲載〕 ―――――――――――――
○前田国務大臣 阪神・淡路大震災に伴う民事調停法による調停の申立ての手数料の特例に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、阪神・淡路大震災による被害の状況にかんがみ、同震災に起因する民事に関する紛争の迅速かつ円滑な解決に資するため、当該紛争に係る民事調停法による調停の申し立ての手数料について特別の免除措置を講じようとするものでありまして、その内容は、次のとおりであります。 平成七年一月十七日において阪神・淡路大震災の被災地区に住所等を有していた者が、同震災に起因する民事に関する紛争につき、同日から平成九年三月三十一日までの間に民事調停法による調停の申し立てをする場合には、その手数料を免除しようとするものであります。 以上が、この法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 ―――――――――――――
○金子委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。冬柴鐵三君。
○冬柴委員 新進党の冬柴鐵三でございます。 私は、平成七年二月十六日の衆議院予算委員会一般質疑におきまして、阪神大震災被災者救済のために種々の提言を行いました。 その一つとして、阪神大震災民事調停事件の申し立て手数料その他訴訟費用の減免につきまして、特別立法をぜひ制定されたいということを質疑の中で要請をしたところであります。本日、早速にその提案をなされ、その審議が行われることになりましたことは、法務大臣初め関係の御担当の方々の御尽力を思いますと、大変感謝にたえないところでありますし、敬意を表したいと思います。 深刻な災害に巻き込まれた上、今まで友好な関係にあった隣人と深刻な法律紛争に巻き込まれた当事者にとって、やはり本格的な裁判というのではなしに、民事、話し合い、互譲の精神によってそういうものを解決をしていくということが大変望ましいし、また、そうあるべきであろうというふうに思うわけでございます。 そのような意味で、関東大震災のときにも、東京市の借地借家調停委員出張所というものがつくられたという歴史があるようでございまして、その例によりますと、わずか三カ月余りで二千件が成立をしたというような歴史が残っているようであります。今回も、近畿弁護士連合会を中心として、関西一円の弁護士が震災一一〇番というようなことでやっておりますし、また、私の知り合いの弁護士も独自の電話相談を、弁護士会の許可を得て、フリーダイヤル三本を引いて一生懸命朝から晩までやっている人もおります。 そういうことで、その中でわかってきたことは、いかに多くの紛争がこの震災を契機として起こっているか、そしてまた被災された方々が、非常に多くの今まで未知の世界であった法律紛争というものに巻き込まれて不安、困惑ということに陥っているかということがうかがえるわけでございます。その中でも、多くの申し立て事件というのは、民事調停法に定められるような借地借家関係あるいは土地の所有権に関する問題等々が多いようであります。 そういうところから見ますと、今回のこの特別法を早速に制定していただくということにつきましては、精神的に打ちひしがれた人々にとっては、裁判所へ行って、ただだと言われると、思わずやはりほっとされるのではないかというふうに思います。その額もばかにはなりません。一億円の申し立て額で十七万一千三百円というものを払わなければいけないようでございますけれども、それが全部ゼロ、全部免除ということになるわけでございますから、大変本人たちにとっては喜ばしいことであろうというふうに思います。重ねて敬意を表したいと思います。 そこで、これにまつわる問題点について、主に裁判所でありましょうけれども、お尋ねをしてまいりたい。予算委員会でもお尋ねしたことでありますけれども、それから日時も経過しております。したがいまして、現状でわかる範囲のことをお知らせいただければ、これが被災地の方にも伝わりますので、よろしくお願いをしたいと思います。 まず、管轄について、民事調停法はそんなに厳しい定めはしておりませんけれども、しかし、不動産関係の事件が多いわけですが、そういうものについてはやはり建物土地の所在地というものが管轄になりましょう。相手方の住所地、これもそうでしょう。これは、相手方にとっても重大な利害関係を有するわけですから、そう勝手に申立人の利益だけで動かすわけにいきませんけれども、事情が事情ですから、できるだけ、神戸地裁管内の簡易裁判所あるいは地方裁判所だけではなくて、周辺の地方裁判所管内の簡易裁判所あるいは地方裁判所等も受けられるようにしていただくとともに、先ほどもちょっと申しましたけれども、関東大震災のときの例に倣って、神戸地裁管内、被災地に近いところで、臨時の出張所といいますか調停室といいますか、そういうものも設けていただきたい、そういうことも御配慮いただきたいということも申し上げたわけでございます。 まず最初は、物的施設の前に管轄の問題だけ、どういうふうに御指導いただいているのか、その点についてまとめて御説明をちょうだいいたしたいと思います。よろしくお願いします。
○石垣最高裁判所長官代理者 民事調停事件の管轄の問題についてのお尋ねでございますが、民事調停事件の管轄についての規定の基本的な形につきましては、今委員から御紹介がありましたように、一般の民事調停事件は基本的には相手方の住所地が基準になる、しかし宅地建物調停事件につきましては宅地建物の所在する裁判所が基準になるということになっております。そして、この管轄が、単に裁判所の都合だけではなくて、相手方の都合あるいは当事者の都合等、総合的に利益衡量した上で規定をされているものだということも御高承のとおりでございます。 ただ、調停事件につきましては、御承知のとおり、民事調停法の四条に、管轄のない裁判所に申し立てられた事件につきましても、場合によっては事件を処理するに特に必要があると認めるときにはその裁判所で処理することもできるということも規定がございます。したがいまして、神戸の管轄の事件が例えば大阪に申し立てられた場合でも、そのままその庁で事件が処理されることもあり得るというところでございます。 今委員がお話しになりました中で、多分、一体どういうぐあいに進んでいくのかということも御関心の的ではないかと存じますので若干申し上げますと、管轄のない裁判所に調停の申し立てがあった場合に、やはり裁判所としては相手方に対してその意向の確認をするというようなことで進むのではなかろうか。したがいまして、相手方の意向を確認をした上で総合的に判断をして、申し立てを受けた裁判所で調停をすることが適切であると認めるときにはそのまま調停を実施するということになりましょうし、そうでなければ本来の管轄裁判所へ移送するということになるのではなかろうかと存じます。 いずれにしても、管轄のない裁判所に申し立てがあった場合に、直ちに却下になるというようなことはなくて、一たん受理をした上で、そこで一つの判断がなされるというふうに御理解をいただければと存じます。この調停の申し立てにつきましては、管轄のない場合でも、なるべく早く相手方の意思を確認をして、迅速な調停を実施したいと考えておるのが一つでございます。 それからもう一点、物的設備の関係もお話してございますので、先ほど御紹介ありましたように、関東大震災のときに臨時の出張所という形で手当てがされたことは私どもも承知をしております。今回の震災につきましても、その必要性があるかどうかということをよく現地の方と意見交換をしながら、状況を今詳細に掌握をしているところでございます。現在のところ、交通手段が復旧をしてくるにつれまして、今のところ現在の裁判所庁舎で足りるかなという感じも一方でございますが、ただ、事件がそれほど今現在起きておりませんけれども、今後相当数ふえるであろうということを考えますと、やはり裁判所庁舎だけで不足するような事態が生じそうな場合には早目に手当てをして、裁判所外での公共施設を利用した調停事件の処理も積極的に検討していきたいというふうに考えているところでございます。
○冬柴委員 その際、私予算委員会で自治大臣にも、もし必要がある場合には地方公共団体の物的施設も御提供をいただきたいということを申し上げましたところ、申し出があれば当然協力をさせていただくというお話もありました。ぜひ、その需要に応じた早目の手をお打ちいただけるようにお願いをしておきたい、このように思います。 物的施設はそうなのですが、問題は、やはり調停は調停委員の人によって解決ができるかどうかということは決まってくると思うわけでございますが、調停委員だけではなくて、裁判官も書記官も事務官も要るわけでございます。そういう意味で、そういうものについても特段の御配慮をということでお願い申し上げ、新聞報道等でも調停委員についてはいろいろお手当てをされつつあることが報道されておりますが、この点についてもお伺いをしておきたいというふうに思います。
○石垣最高裁判所長官代理者 人的な手当てについてのお尋ねでございます。 基本的に、多数の調停事件が申し立てられた場合でも、適正迅速な処理をするに必要な数の調停委員あるいは職員等の確保をしたいと考えていることは事実でございます。 そこで、まず調停委員について、その後の経過もございますので申し上げますが、当面、ほかの庁で既に調停委員をされている人をあわせて神戸地裁管内の民事調停委員にも任命をする、いわば併任ということになりますが、そういう方向で現在候補者の意思の確認を行っているところでございますが、現在のところ、大阪地裁あるいは簡裁所属の調停委員、あるいは大阪家裁所属の調停委員、神戸家裁所属の調停委員のうち、百六十人を超える弁護士の調停委員から御了解を得られております。これらの人を神戸地裁管内の民事調停委員に併任するという手続を進めているところでございますが、このほかに、新規に二十人を超える調停委員を任命する予定でおります。 それから、その他の関係でございますが、裁判官等につきましては、現在、大阪等の裁判官等を応援に派遣することを検討しております。ただ、事件数がどうなりますかということもございますので、必要に応じて適時さらに適切な人的措置を講じていきたいというふうに考えているところでございます。
○冬柴委員 ぜひ、受理事件の推移とかそれの解決に要した時間とか、そういうものがわかれば、少なくとも法務委員会の理事か委員がわかるように、ひとつ御配慮も賜りたいと思います。 民事調停規則によりますと、申し立ては「書面又は口頭ですることができる。」というふうに定められておりますけれども、私の経験では、ほとんど書面でされていると思います。それで、口頭申述申し立てということも当事者が希望すれば行えるような手当てをしておいていただいた方がいいのじゃないか。この費用を免除していただいたのとあわせてそういう配慮もしておいた方が、何回も裁判所へ行かなくていいし、それはいいのではないかと思う反面、やはり書面がないといろいろ不便だなということも思われますので、申立書のひな形、家庭裁判所はそういう配慮をいろいろやっていられるようですけれども、そういうことも配慮をしていただきたいというふうに思います。 それから、被災した方は昼どうしていられるのかわかりませんけれども、できれば休日とか夜間とか、そういうときも裁判所が開かれるような、家庭裁判所でそういう配慮をしていられる向きもありますが、事件がふえてきたらの話ですが、そういう需要があった場合に、そういう対応もできるように考えていただきたいと思うのですが、あわせて御答弁をいただきたいと思います。
○石垣最高裁判所長官代理者 お尋ねの第一は、事件の申し立てに伴います受理の手続についての配慮ということでございます。 実は、今委員が御指摘になりました、家庭裁判所のお話がございましたが、民事調停につきましても、裁判所の方としましては、調停をより一層一般の人にとって利用しやすいものにするために、口頭受理あるいは定型の申立書による受理を積極的に行ってはおります。しかも、裁判所が作成しております定型の調停の申立用紙は、裁判所だけではなくて地方自治体の市民相談窓口等にも備え置いておりますし、その備え置いている定型用紙とあわせて手続書も置いてございます。したがいまして、一般の人でも容易に調停の申立書を作成することができるように努めているつもりでございます。 また、口頭で申し立てをしたい人のためには、裁判所の窓口に、書記官が陳述の要領を調書に記入する形式の口頭受理調書用紙というのも備え置いておりますので、これで何とか遺漏なく対応できるのではないかと考えております。 なお、平成五年の数字によりますと、簡易裁判所が受理した調停事件のうち、口頭受理及び定型申立書によって受理をした事件の割合は約七割に上っております。 それから、もう一つのお尋ねは夜間等の調停のことでございますが、御承知のとおり、現在大阪と東京におきまして一部夜間調停の試みがなされております。今回の震災に伴います調停につきましては、事件の動向によりますが、その動向をよく見きわめた上で、必要に応じて場合によっては検討しなければいけないかもしれないというところが現状でございます。
○冬柴委員 実務を離れてしばらくたっているものですから、口頭申述申し立てがそのように随分一般化しているということ、普及していることを知らずに質問いたしましたけれども、まことに結構なことだと思いますので、どうかその御努力をお願いしたいと思います。 さて、私は一般質疑の際に、調停だけではなく訴訟費用につきましても減免をお願いしたわけです。調停が当事者のあるいは調停委員の努力によっても成立をしない、どうしても不調にせざるを得ないという場合には、不調の日から二週間以内に申し立てをすれば、調停の際に貼用した印紙、手数料は訴訟の手数料に通算できるということで、我々そういうことを思っていたわけですけれども、今回全免していただくということになりますと、訴訟に移行するとこれは直ちに訴訟手数料が要ることになると思います。 それで、先ほどの一億円、一億円というのはごつい金額ですけれども、最近土地も随分評価が上がっていますから一億円を基準にしますと、調停では十七万一千三百円ですけれども、訴訟費用になると四十一万七千六百円ということになりそうでございます。そうしますと、調停不調で本訴に移行したときに、被災者は四十一万七千六百円を納めないと紛争を裁判所で解決してもらうために維持することができないというようなことになりかねないということを心配するわけでございます。 そこで、もちろん何もかもというわけではないです、被災を起因とする紛争ではありますけれども、その点について減免といいますか、あるいはそれを考えていられない場合はどういうふうな手だてをお考えなのか、その点について法務省、法務大臣からお願いします。
○前田国務大臣 先生初め委員各位に大変貴重な御意見、御指導を賜りまして現法律案の御審議をいただいておるわけでございますが、この申し立て、民事調停手続が不調に終わった場合の訴訟に提起する場合の提訴手数料についてでございますが、これは民事訴訟法第百十八条の、民事訴訟法上の訴訟救助の制度によって対応することが可能である、かように考えておるところでございます。
○冬柴委員 最後に、昨日実は私の地元から、私の地元も被災地でございますけれども、私の非常に親しい公務員の人ですが、電話が地元からかかってまいりまして、今自分のところも、被災したのでしょう、建物を取り壊すためには、利害関係者の承諾、抵当権入っていますかとかいろいろ聞かれた、あなた所有者ですかと。もちろんそうでしょうね。それで、それを立証するために登記簿謄本を提出してくださいというふうに言われた。それで登記所へ行ったら、随分混雑していたというのですね。 それで、ほとんどが、家屋罹災証明をもらったり、あるいはそれを取り壊したり、それから例えばこういう調停申し立てをするにしても、登記簿の謄本が要るわけでございます。私もちょっと気がつかなかったのですが、不動産登記簿謄本をとるのに、表題部、甲区、乙区で三枚ぐらいあったそうですが、千二百円、そんなものですかね、一枚四百円ぐらい要ったと。それで、聞いてみると、みんなそんなことで来て、これは高い、平素とったことがないものですから。 それで、私も登記の手数料改正のときに、公用でとる分をもっとお金を取って、そして民間から取る分についてもう少し安くするべきじゃないかということを提言した覚えもあるのですが、いずれにしましても、不動産登記法二十一条で手数料を払って登記簿謄本なり抄本を請求できる、こういうふうに書いてあるわけですから、手数料ゼロには、ちょっと改正せぬと無理かなという感じがするのですけれども、何とか、その三項では実費等勘案してそれを政令で決めるということになっておるわけですから、こういう一億円で十七万の調停申し立て費用を全部免除していただいた法務省でもありますので、これは登記特会ということでコンピューター化についてもいろいろ絡みがあることはわかっていますけれども、一定期間だけでも被災地の住民のこういう問題についてはやはり特別の配慮をしてあげるべきではないかというふうに考えます。これは今まだ決まっていないようですから、私もう答弁は求めないことにします。 しかし、その人が言うのには、この限りにおいては市役所あたりがわずか三十円、五十円のいろいろな手数料をもらっているものまでほとんど免除しています、そういうふうに地方団体が努力しているさなかに法務省がこういう手数料を取るのですかというような話が出まして、いや、実はあしたもっとごっつい費用をただにしてくれるという法律をやるのだからそう言わないでくれ、だけれども、これは我々も気がつかなかったけれども、ぜひ法務大臣に一言お願いをしようと思うということを申しましたので、ぜひお考えいただきたい。一言、まけてあげるまで言わなくて結構ですから、感想だけひとつお願いいたします。
○前田国務大臣 御指摘の点、私も先生からお話を伺いまして実は気づいたわけでございまして、現場を確認いたしますと、御指摘のとおり大変混雑をいたしておりまして、何か多い日には一日今も二千件以上需要があるようでございまして、今現場は迅速な処理をまず第一に考えておることで頭がいっぱいのようでございます。 また、おいでいただいておる方の中では、被災者の方ももちろんでございますが、やはりこうした登記簿謄本等でございますので、業者関係と申しますか、不動産関係の皆さんが極めて多いというようなこともございまして、これまた料金等をいろいろ配慮いたしますと、迅速処理に、どう区別するかとか、現場は現場でいろいろ悩むところもあるようでございますが、いずれにいたしましても、全体の流れ等も先生御指摘のとおり踏まえながら、その適切なあり方について十分検討してまいりたいと思っております。
○冬柴委員 終わります。
○金子委員長 正森成二君。
○正森委員 日本共産党の正森でございます。 本法案は、被災の現状を見ますときに当然のことで、賛成法案でございますが、ごく短い質問ですが、二、三させていただきたいと思います。 最高裁は、阪神大震災民事調停事件がどの程度申し立てられると予測していますか。私どもの調べでは、大正十二年の関東大震災のときは、翌年七月宋までの十一カ月間で仮受け付け件数が約一万五千件、本受け付けが一万二千件で、そのうち九千件の調停成立を見ておるという報道がありますが、今回はどのように見ておられますか。
○石垣最高裁判所長官代理者 調停事件の数の予測の問題でございますが、実は私ども大変苦慮しておりますのがまさにこの事件数がどうなるかということでございます。 今関東大震災のときのお話は確かにそのとおりだったようでございますが、例えば、当時の焼失の建物の数等で類推をいたしますと、一つには三千八百件ぐらいではなかろうかという数字もございますが、しかし、例えば今回の調停手数料の問題とか、行政的ないろいろな措置等の動きによりましてまたどういう方向に動くかということもございまして、かなりの数の事件を覚悟しておかなければいかぬだろうなというのが現状でございます。
○正森委員 なかなか予測というのはやってみないとわからないと思いますが、関係の弁護士会に現状を聞いてみますと、大阪の弁護士会では、地震に関する電話一一〇番、一月二十六日から二月末日で集計を見ますと、面接相談を含めて合計二千九百七十八件で、休日を除く毎日の集計でも連日百件以上、多い日は百五十四件。それから、これは神戸の弁護士会ですが、新聞報道によりますと連日二百件近い相談が寄せられているということになっています。 そういう点から見ますと、相当な民事調停事件が出てくるのではないかというように思いますが、この大阪弁護士会の法律相談の担当者が各地で法律相談を行っているその経費の推計を弁護士会で作成してもらいますと、交通費用とかいろいろなのを入れまして二月未現在で大体二千三百万円ぐらいかかっただろうと。もちろん、そのうちの大部分は弁護士さんが言ってみれば手弁当で費用ゼロで行っておられますから、実際にはこんなにかかっておりませんが、相当なボランティア活動であるというように思われます。 そこで、そういうのに対して一定の財政的援助が必要であると思いますが、法律扶助協会への緊急な抜本的資金援助とか補助金の大幅な増額が必要だと思われますが、いかがですか。
○前田国務大臣 先生御質問のとおり、多数の法律相談、またこれからは相当数の訴訟や調停が提起されることはもう十二分に予想されることでございまして、従来から法務省は法律扶助協会に対する、法律扶助事業に対しまして補助金を交付してまいったところでございますが、今回の震災に伴う法律上の問題に対しましても的確に対応をしていかなければならない、支障の生ずることのないように財政上の措置を検討いたしておるところでございまして、してまいらなければならない、かように考えております。
○正森委員 今申し上げましたのは弁護士会関係ですが、肝心の裁判所関係でもなかなか大変だろうと推察をいたします。 それで、裁判所職員の配置が十分にできるだろうかということで、近隣の簡易裁判所からの応援態勢を組んでいかれることになるだろうと思いますが、裁判官とその他の調停委員については、弁護士会などの協力も得て何とか見込みが立つのではないかと思われますが、それの関係の裁判所職員の配置ですね。伝え聞くところでは、近隣の大阪関係に勤めている職員とかいうような方々を兼務発令で行うというようにも聞いておりますが、そういう兼務発令ということになりますと、もともと自分は別の裁判所で仕事を持っておるわけですから、それが出かけていくと、自分のおらない間に仕事がたまっておるというようなことで、結局非常な重労働といいますか、超過労働になるので、関係職員からは特別な人員の配置についてもお願いを申したいという声があるようですが、どうお考えですか。
○石垣最高裁判所長官代理者 裁判官以外の一般職員についての応援態勢をどうするかということも、実は事件数の動向によりまして今後詰めて検討しなければいかぬ問題だと思っておりますが、今御指摘ございましたように、仮にその応援に派遣をするといたしましても、本来の所属庁での仕事ということもございますので、その内容等も十分配慮して労働過重にならないような措置を講じたいと考えておりますが、例えば余裕のある部署から応援を出すなど、応援を出す庁にとってもなるべく負担の少ない方法で対処していきたいというふうに考えておるところでございます。
○正森委員 それから最後に、調停室ですね。現地が被災しておりますので、それを確保するためには地方自治体とかあるいはそれに準ずるところなどの協力も必要だと思いますが、そういう手当ても考えておられますか。
○石垣最高裁判所長官代理者 調停室の確保につきましても、この事件数の動向を見ながらということになろうかと思いますが、現在のところはそれほど多くの調停事件の申し立てはございませんので、裁判所の庁舎だけで足りている状況にございますが、将来的に裁判所の庁舎外で調停を行う必要が生じる場合には、公共施設等にお願いをして調停事件の処理を考えたい。御承知のとおり、調停相談等の事業を区役所等にお願いをして、場所を借りてやっているという実績もございますので、プライバシー等の関係につきましても配慮しながら進めてまいりたいと思っております。
○正森委員 終わります。
○金子委員長 これにて質疑は終局いたしました。 ―――――――――――――
○金子委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 阪神・淡路大震災に伴う民事調停法による調停の申立ての手数料の特例に関する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○金子委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ―――――――――――――
○金子委員長 次回は、来る十五日水曜日午前九時四十分理事会、午前九時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時四十二分散会 ――――◇―――――