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132回国会衆議院1995/06/07

逓信委員会 第12号

発言数
45
登壇者
13
会派数
4
開催日
1995/06/07

会議録

自見庄三郎自由民主党・自由連合

○自見委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件、特に高度情報通信社会とマルチメディアについて調査を進めます。  本日は、参考人として国際大学グローバル・コミュニケーション・センター所長公文俊平君、東京大学工学部教授・大型計算機センター長齊藤忠夫君、日本アイ・ビー・エム株式会社会長椎名武雄君、日本電信電話株式会社会長山口開生君に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、大変御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におきましては、本日のテーマでございます高度情報通信社会とマルチメディアについて、忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  本日の委員会の議事の順序でありますが、参考人各位からお一人十五分程度ずつ御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、公文参考人にお願いをいたします。

公文俊平国際大学グローバル・コミュニケーション・センター所長

○公文参考人 発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。  忌憚のないことを言えということでございますので、忌悼のないところを申し上げさせていただきたいと思いますが、時間の関係で、お手元にございますレジュメの多分一ページと二ページくらいしかお話しできないかと思います。一ページ目は、結論的なことを書いてございます。二ページ目は、その理由のようなことを書いてございます。  一ページ目で申し上げたいことは、下の「注意」というところを見ていただきたいのでありますけれども、今大きく取り上げられている、電話産業をどうするかとか、それからケーブルテレビがおくれているからどうやって追いつくかといったようなイシューは、私の考えでは、日本の情報化にとっての真のイシューというか、少なくとも中核的なイシューではないであろう、もっと大事なイシューがあるはずではないか。  それから、特にこの一、二年、アメリカなどで進みました、新しいゴールドラッシュと言われるような非常に激しいさまざまな動きがございましたけれども、それに幻惑されることもないのではないか。どちらかというと、あれを見ておりますと、いささか既存の業界の近視眼的な競争という感じがしてなりません。  そこでまず、では基本的なイシューとはどういうものだと考えるかと申しますと、ここで三つ挙げでございます。  その第一は、我々は日本あるいは世界がこれから二十一世紀を目指して新しい経済成長、新しい産業革命の段階に入っていこうとしているという共通の認識を持って、その中で二十一世紀の産業社会にふさわしい新しい産業構造をどうつくっていくのか。とりわけ先進国型の高度情報通信サービスを我が国はどのような形で提供するのか、また、途上国の電気通信システムの展開に対していかに支援をするのかといったような点での基本的なビジョンないし合意をつくることを目標にしなければならないのではないかと思います。  そして第二に、それを前提といたしまして、まず、大きくは、この新しいタイプの情報通信産業の、これまで流の言い方で言いますと育成と規制ということになると思いますけれども、それを目指す枠組みあるいはシステムをつくるというそのデザインが必要である。これは、戦後の二十世紀の産業化にとって非常に効果的でありました日本のとってきた産業政策あるいは開発主義と呼ばれている政策とは一味違うものになるだろうが、しかし全くの自由放任ということではないはずでございまして、私は、あえて新開発主義といったような名前を与えてみたいと思うのですけれども、 この新開発主義の制度、政策の体系を考える必要がある。  その中で申しますと、とりわけ官庁のシステムとしては、後ろに政府委員の方々がいらっしゃる前で私も大変言いにくいのでございますけれども、情報と通信が融合をするということであれば、それを所管する官庁も当然融合してしかるべきではないか、その点をどのように考えるのかという議論は、やはり特に政治の世界で正面から考えていただきたい。  それから同時に、今の既存の電気通信事業法や日本電信電話会社法そのものも、もう一度改めて抜本的に見直す必要があるのではないかと私は思うのですけれども、これもおやりいただきたい。例えば今の国内、国際というふうな分け方とか、一種と二種というふうな事業区分というのは、ほとんどこれからは無意味になっていくのではないか。むしろ別の枠組みを考えてみる必要がある。  それから第三に、ベンチャーキャピタルと申しますか、あるいはそれを支えるような人材と資本、こういうものを供給したり育成したりしていく態勢を早急に整備する必要がある。これが現在の日本には決定的に欠けているのではあるまいかというような認識を持っております。  そして、そのような枠組みを考えながら、第三番目の大きなイシューとしましては、後で申し上げますけれども、新しいタイプの情報通信サービスの全面的な提供開始を、二十一世紀のことではなくて、今世紀中にもう始めていくのであるということ。そのためには、どんな料全体系でどのような競争方式を考えるべきか。とりわけ相互接続というのは非常に大事な条件になると思いますけれども、これをすぐ考えるべきである。  また、その基盤となるような、無線もそうですし、低軌道衛星もそうであります、あるいは通常の衛星それからまた光ファイバー。このようないろいろなタイプの媒体の回線を自由につくって提供する、これを促進させるということが必要である。  そして、その上に乗るような、私どもはオープン・データ・ネットワークといったような言葉を使っておりますけれども、文字どおり情報通信が融合したような新サービスの提供を始めていく。そうして、中でも、これまたいろいろを言葉を出して恐縮でございますけれども、私どもはコミュニティーネットワークと呼んでおりますけれども、具体的に、それぞれの地域を基盤とする新しいタイプの情報通信システムはどのようなデザインで、まただれが主体になって行うかということを考えて、その構築を促進していかなければならないということでございます。  どうしてそういうことを考えるかというのが、二ページに書いてございます。  まず、大きいのは、基盤として、産業社会で三度目の大きな技術革新の波が進行中であるということでございます。一九七〇年代の後半以来明らかになってきたことでありますが、その根底は、いわゆるディジタル革命と呼ばれております、さまざまな形の情報をディジタル情報として一元的に処理することが可能になった、急速にその可能性が広がりつつあるということでございます。  もしもこのディジタル革命がこれからの産業あるいは技術の基本になるとするならば、このディジタル革命を進行させていくための新しいタイプの情報インフラストラクチャーとでも呼ぶべきものが必要になる。それは基本的に、コンピューターをもとにした、コンピューターのネットワークのネットワークという形で築かれるものでなくてはならない。  その上に、これまでの情報処理やあるいはこれまでの通信サービスがいずれはすべて乗っていくということになるだろう。しかし、まずはこのインフラをつくるということが先決問題。しかも、これは急ぐ。何も非常に高度な完成されたものを遠い将来に構築するということではなくて、どんどんつくりかえていきながら始めていく必要があると思いますけれども、この情報インフラが必要となり、そしてその上に新しい産業の花が開くだろう。  これは世の中では、この産業のことを通常マルチメディアとかニューメディアというふうに総称しているわけでございますが、その特徴は、今の一と二で考えますと、基本的にディジタルな情報処理を基盤にした産業であり、しかもネットワークを前提としてその上で展開される産業、これをマルチメディアという名前をつけているのであって、マルチメディアという言葉自体は以前からございましたけれども、最近の、今のような意味でのマルチメディアというのは、一味違ったものになっているのではないかと思います。  それで、レジュメの三でございますけれども、今日の情報革命は、私の考えでは、三つの非常に大きな社会変化が同時進行的に起こっている。どれか一つということではない、同時進行的に起こっていて、それぞれが非常に大きな社会変化としての意味を持っているということを私どもは的確に認識しておかなければならないのではないかということでございます。  その第一は第三次産業革命でございまして、産業社会は大体百年ごとに大きな技術革新の波に見舞われてきた。十八世紀の終わりの軽工業、そして十九世紀の終わりの重化学工業、そして今日の情報産業あるいはマルチメディア産業というふうに流れております。そして、それぞれの百年ごとの産業化の段階は、前半の突破段階と後半の成熟段階というように分けて見ることができ、我々は今、二十世紀の後半の成熟段階を経験し終わったところでございます。そして新しい突破段階に入っていこうとしている。  突破段階は、成熟段階とは大きく性格が違う。突破段階の意味は、新しく生まれた技術あるいは産業を既存の産業や行政が利用して、みずからの生産性の向上あるいは力の拡大に向けるということであります。あるいは競争力を獲得しせしめる。今日であれば、とりわけホワイトカラーの活動の生産性を上げるということが大事であります。  その意味では、いわゆるマルチメディア産業の現在の利用先は、娯楽とかそういうものではなくて、むしろビジネス、行政の現場でなければならない。もちろん、例えば映画産業もマルチメディアは使うと思いますけれども、その意味は、映画そのものがマルチメディアになるということではなくて、現在と同じような映画を制作する上でマルチメディアの技術を使うのである、そのことによって制作の費用も期間も大幅に引き下げることができる、こういう意味での産業革命だということではないかというように思います。それで、同じことは他の産業や行政についても言えることでございます。  これをにわかに二十世紀後半の、例えばテレビに代表されるような娯楽産業がそのまま次の段階に進んで、ここに巨大な需要の花が開くだろうというふうに期待するのは時期尚早であって、端的に言って、私は間違っているだろうと思います。そういう時代は来るだろうけれども、それはまだまだ先の話ではないかと思います。  それから、二番目の大きな変化は、私は第三次の社会革命と呼んでいますけれども、近代社会がどうやら第三の局面に入りつつある。第一の局面は軍事化の局面でありまして、いわゆる近代の主権国家がそれに伴って誕生してまいりました。それから、第二の局面は産業化の局面と呼ばれておりますけれども、産業革命を通じて近代の産業、企業が主要な社会的主体として出現したわけでありますが、現在は、情報革命あるいは情報化の局面に入ることによって、私の言葉で恐縮でございますけれども、近代替業が今登場しようとしております。  智業は、国家や企業とは性格を異にする。つまり、国家主権の、国威の増進、発揚でもなければ富の蓄積と誇示でもない。むしろ知的な影響力を獲得し発揮することを目標にする集団があらわれつつある。今の世の中の言葉ではうまい言葉がな いので、NGOとかNPO、非政府組織とか非営利企業というふうに否定的な表現で呼んでおりますけれども、ポジティブには何かというと、自分たちが正しい、美しい、よいと考えることを世の中に広げていこう、こういうのが智業の活動であります。  変な例で恐縮でありますが、オウム真理教のようなものはある種の智業の典型であります。それも恐らく道を踏み誤った智業の典型でありまして、そういう点からいっても、智美的な活動を国としてどのように考え、これにまたどのような育成または規制の枠組みを考えていくかということは非常に重要であります。  また、その智業が既存の、特に企業と協働することによって、この二十一世紀の産業社会または知的社会は新たな展開をしていくことができる。この協働関係をどのようにつくり上げていくのかという点が、これまでの産業化の時代とは一味違う新しい問題になっております。  それから、第三に、社会革命だけではなくて、事によると、我々は近代社会で二度目の大きな政治革命の時代を迎えているのかもしれない。  最初の革命と申しますのは、いわゆる市民革命でございます。産業化に伴って市民階級が出現して、この市民たちが過去の絶対主義的な国家権力に異を唱えて、主権は国民にあるんだと主張し、また主権に対する人権というものを主張して、それがさまざまな形での政治革命になったという歴史は私どもがよく教わっているところでありますけれども、今や、都市に住む市民に並んで、ネットワークの中に住む、私どもはネティズンというふうに呼んでおりますけれども、ネティズンとでも呼ぶことが適切な人々がたくさん生まれつつある。  それで、彼らは専ら、市民が商工業に従事したのに対して、ネティズンは知識や情報の獲得や普及を業とする人々でありますけれども、その中から智業が出てくるわけでありますが、このネティズンたちが現在の第三次社会革命としての情報革命の担い手となっていると同時に、恐らく、これまでの国家やあるいは企業のあり方に対してさまざまな異議申し立てを行い、あるいは新しい政治の方向、新しいビジネス活動の方向を模索し始めているのではないか。この人たちの力をどのように積極的に生かしていくことができるか、これが今後の政治にとっての一つの非常に大きな課題ではないか、こういうふうに私は思います。  時間が限られておりますので大変駆け足で恐縮でございましたけれども、最初の二ページについての説明をとりあえずさせていただきまして、私の発言にかえさせていただきます。

自見庄三郎自由民主党・自由連合

○自見委員長 ありがとうございました。  次に、齊藤参考人にお願いをいたします。

齊藤忠夫東京大学工学部教授・大型計算機センター長

○齊藤参考人 東京大学の齊藤でございます。こういう機会に発言の機会を与えていただきまして、大変光栄に存ずるものでございます。  私、コンピューターあるいはディジタル通信の技術的側面について大学で三十年以上にわたっていろいろ研究をしておるわけでございますが、技術が社会に大きなインパクトを与える、そういう時代になったわけでございまして、技術的側面のみならず、同時に社会の面からこういう問題について考えるということが非常に重要であるというふうに考えている次第でございまして、きょうはそういう面を中心にいろいろお話をさせていただきたいというふうに思うわけでございます。  用意しました紙でございますが、一枚めくっていただきます。  情報化というのは、いろいろな考え方があると思いますが、価値の源泉、世の中で我々が価値があるものだ、そういうものが何かということが、昔は農業製品がすべての価値の源泉であったわけでございますが、現在ではたくさん農業製品がとれても、もちろん農業製品がないと困るわけでございますが、それだけでは豊かな国とは言えないということでございまして、自動車でもコンピューターでもそうでございますが、立派な工業製品ができないと価値の高い製品を生み出す国とは言えないわけでございます。そういうふうに社会が変わってきたというのが第一の産業革命であるというふうに思っています。  それが、今、工業製品をつくるということに関しては世界的に非常に拡散しているわけでございまして、工業製品をつくることそのものというのが昔ほど価値を生まなくなった。それに対して、工業製品の中に組み込む情報も含めまして、情報をつくり出すということが非常に価値が高くなっている。価値の源泉が変化している。これからはますますそれが顕著になっていくであろう。その変化の過程が情報革命である。そういう意味で、第二の産業革命だというふうに言ってもよろしいのではないかというふうに思います。  これに対応して、今、公文参考人がおっしゃったようなことでございますが、新しい社会が生ずるということでございます。当然産業も変わってくるということでございまして、従来の社会の諸問題あるいは国際競争力あるいはいろいろな問題を解決するための政策手段というのが、従来とられてきた工業的手段では効果がだんだん薄くなって新しい手段が求められる。それが情報に密着した手段であるということが広く認識されるようになってきているということではないかと思います。  日本で伝統的に行われていた地域政策、産業立地というのについて考えてみましても、昔は沿海部に工業団地をつくるということによって地域政策、地域の振興が図られたわけでございますが、現在はそういうことは余り効果がない手段になっているわけでございまして、情報型の地域振興政策がとられなければいけないということであろうと思いますし、一極集中問題にしましても、道路をつくるとか鉄道をつくるとかということよりは、ネットワークを通して、地方にいても就業の機会、教育の機会、医療の機会、文化の機会において東京と同じレベルのサービスが受けられる、そういうことが期待されるわけでございまして、そういう方向に向かって、一極集中政策あるいは地域政策を、新しい枠組みをつくっていかなければいけないというふうに思うわけでございます。  景気対策にしても、昔はいわゆる土木型の、工業型の投資を行うということが景気対策の基本であったわけでございますが、それの波及効果が昔よりは期待できなくなったということでございまして、より情報に根差した景気対策というのを考えていく必要があるということではないかと思います。それがすべて新しい社会の形ということに結びついているというわけでございます。  その下に四角い箱が四つ書いてございますが、一番左に書きましたのは、「インプリメンテーション」と書いてございますが、そういう社会をつくるためには当然マルチメディアのネットワークというのが基本でございまして、非常に大量の情報を送ることができるようなネットワークというのが技術的に可能になっていく。それに技術的に大変進んだ、「プラットフォーム」と書いてございますが、具体的にはコンピューターを中心としたネットワークに接続していろいろなサービスを与える、そういう装置でございます。それにいろいろなアプリケーションが乗るということでございまして、これは、政府のサービスということから考えれば教育とか医療とかということが含まれるわけでございますが、民間の企業でございますと、各種の産業の生産性を向上するためにいかに新しいエレクトロニクスを使うかということでございます。  それができた後、そういうエレクトロニクスを使っていろいろな仕事をするための仕事のやり方あるいは生活のやり方というのが変わってくるわけでございまして、これが、四層構造というふうに申しておりますが、この四層構造が我々の生活にまで大きな影響を及ぼし、それが当然の手段であるというふうにみんなが理解するようになったときに情報化ということが次のステージに入るということでございます。  真ん中に「立法的側面」と書いてございます が、こういったような社会の成り立ちあるいは我々の仕事の仕方というのは、いろいろな意味で従来の工業的社会における前提から変わってくるわけでございまして、そこの真ん中、下から三つ目の、「教育・医療」なんて書いてございますが、例えば教育をネットワークを通してやるということは従来の義務教育制度の中では想定されていないわけでございまして、あるいは医療行為そのものをネットワークでするというようなことも今後はスムーズにできるように考えていかなければいけない。あるいは在宅勤務なんというのもございますが、労働法の面からいろいろな問題もあり得るということが指摘されているというふうに思います。  こういうようないろいろな問題は、従来、国民を保護するという観点から、それ以前の技術をベースとしていろいろな規制が加えられているわけでございますが、よりよい、生産性を向上し生活を向上するためには、いろいろな意味で制度の柔軟な運用あるいは適応した制度をつくる、そういうことが求められるわけでございます。  こういうことが世界的に実現しますと、一番右に書いたような「GII」、世界の共通理解が進み、産業が国際化し、教育、流通その他ネットワークに乗るような産業が国際化していくということでございまして、ここら辺の問題が将来の情報化社会における国際競争力に直接リンクするということではないかと思います。  こういうような問題は、すべて基本的には一番下の二つの層のネットワークあるいはプラットホームにおける技術革新に根差しているわけでございまして、そういった技術革新が、産業革命のときにはそもそも蒸気機関がそのもとであったように、ネットワークにおいてもコンピューターにおいても、技術の高度化、低コスト化、簡単に言えばコストパフォーマンスの改善ということがこういった問題の基本になっているわけでございます。特に、ネットワークのように全国的あるいは全世界的に広がるものについては、それをどういうふうに進めていくかということに対して、競争を促進しながら同時にそれを進行していくという立法的側面の支援というのも必要なんではないかというふうに思うわけでございます。  こういう問題に関して、基本的には民間が主導で進められるわけでございまして、昔ブルーカラーの生産性向上のために民間が中心となって大変な投資が行われ日本の競争力が高まっていったように、これからはホワイトカラーの生産性向上ということが重要なわけでございまして、民間のそれぞれの部門において業務を高度化し、生産性を向上し、競争力を高めていく、やがては情報そのものの価値を高め、それをもって国際的にも競争力のある社会をつくっていく、そういうことが民間を中心に求められるわけだと思います。  それと同時に、政府においても、次のページをごらんいただきますと、いろいろな振興策ということをぜひお願いしたいというふうに思うわけでございますが、まず第一に、政府内部の情報化。最近は省庁LANというような形でいろいろお進めになっていらっしゃるわけでございますが、それをさらに推進されるということとともに、国民とのインターフェース、例えば情報アクセスの改善あるいは申告等をネットワークを通してできるようにするというようなことも含めて、電子化政府ということも含めましてお進めいただくということが重要ではないかというふうに思います。一言で言えば、それは全部行政の生産性改善ということになるわけでございますし、行政の生産性改善は情報ネットワークに対する積極的な投資がベースとして必要なわけでございまして、そういった問題についての積極的な予算化ということが重要ではないかというふうに思います。  第二は、第一番の問題と非常に関連いたしますが、行政サービス、政府サービスの情報化の推進ということでございまして、これからは、教育の問題にしろ高齢者ケアの問題にしろ、多様化、サービスの向上ということが非常に重要になってくると思いますが、そういう問題を従来の工業的手段のみで解決するということは限界があるわけでございまして、政府のそういうサービスについても、最も高度化し量的拡大を経済的に実現する手段として情報ネットワークの活用ということが重用なんではないかというふうに思います。  そこに例として、幼稚園から十二年生までの教育多様化というようなことが書いてございます。英会話教育なんというのはつまんない問題かもしれませんが、一人の先生が有効に小人数を相手に教育することができるというような問題がこれに含まれるのではないかというふうに思います。  三番目でございますが、こういった問題については、これは現在まだ確立しているわけではないわけでございまして、今の四層構造のすべてにわたって研究を進める必要があるわけでございます。特に、ネットワークを使って多様なアプリケーションを実現していくというようなことに関しては、これからの開発項目というのはたくさんあるわけでございます。  これとともに、例えばアメリカではこういう問題が非常に進んでいるということでございますが、今非常に話題になっております例えばインターネットというのを考えてみましても、インターネットはそもそも一九六八年ごろから約二十五年ぐらいかかってアメリカの政府が積極的に大学を中心とした研究機関に投資をし、大学の環境の中でたくさんの学生がインターネットを使ってコミュニケーションをするという社会環境が定着した、それが大学の環境から民間の環境に進み、今日のインターネット社会をつくった。これには大変な、四半世紀にも及ぶ開発も含めての時間がかかったということを考えますと、これからますますそういう問題はふえていく可能性があるわけでございまして、そういう問題についての研究支援、開発支援を積極的に進めていただく必要があるというふうに思うわけでございます。  同時に、日本は今や世界の先頭を走っているわけでございまして、先が見えないということも事実でございます。従来、先が見えている問題についてはむだのない研究投資ができたわけでございますが、先の見えないということに関して、今申し上げた例のように、四半世紀もかかる可能性もあるわけでございますし、あるいはその前にだめになるという問題もあるのかもしれませんが、そういった多様な問題に関する許容ということも重要なことではないかと思います。  四番と五番は、先ほど申し上げたアプリケーションその他に対するフレキシブルな制度ということの配慮が重要でございますし、今の学生の教育から含めて生涯教育に関する問題というのが、今言った社会のネットワーク化、情報化を進める上にキーとなる問題である、こういう種々の問題に関して多様なかっ積極的な推進をお願いしたいというふうに思うわけでございます。  以上で終わらせていただきます。

自見庄三郎自由民主党・自由連合

○自見委員長 ありがとうございました。  次に、それでは椎名参考人にお願いをいたします。

椎名武雄日本アイ・ビー・エム株式会社会長

○椎名参考人 今両参考人から非常に体系的なお話がございましたけれども、私は、コンピューター誕生以来四十数年にわたりましてこの業界で仕事をしてきた人間でございますので、きょうのお話は主として現場に携わる、コンピューターというのは情報化の一つの役割を果たしてきたと思いますし、今後も非常に重要だと思いますので、そういう現場の立場からと、それから、多少立場を離れても一国民としてどのような認識を持っているか、この両点からお話しさせていただきたいと思うのです。  まず、提出いたしました紙を一枚めくっていただきますと、「マルチメディア時代の「社会」」ということで何か格好いいこと書いてあるのでございますけれども、これは決して、コンピューター屋がきれいごとを言っているとかあるいは夢を言っているというふうにおとりいただくと困るのでございまして、私は、すばらしい技術が誕生して、これからも非常に応用というものが進んでく ると思うのでございます。  そうしますと、現在日本が抱えていると言われている、そこに書いてある問題以外にもいろいろな問題を解決する有効な手段になり得るのではないか。もちろん、新技術というのは必ず光と影ということで影の部分もございますから、そういうものは十分注意しなくちゃいけませんけれども、私は、マルチメディアというのは今の、先日の経団連の使った言葉をかりれば、現在の経済社会のみならず何となく日本の社会そのものが閉塞状態にあると、こういうものから脱却する非常に有効な手段ではないか。  それと同時に、海外から日本を見る目というのが最近非常に厳しくなっているのは御案内のとおりでございまして、いわく日本は閉鎖的な市場を持っているとかなかなか透明性に欠けるとか、いろいろな批判をいただいているわけでございますけれども、このような手段を使えば国際的にも日本を非常に透明化してわかりやすい国にするということも可能であるという点で、私は、やはり両先生方がいろいろな角度からおっしゃいましたように、非常に大きな転換点に来ている日本を非常に積極的にうまく転回する手段ではないかと考える次第でございます。  そこで、二枚目に移らせていただいて、パラダイムということで申し上げますと、資料一を、これは言わずもがなのことが書いてございますのですけれども、要するに工業化社会が持っておりましたパラダイムが情報社会になるとどのような転換をするかということを羅列したものでございますが、私が申し上げたいのは、情報という全く新しい、情報というものは古いわけでございますけれども、情報化、つまり情報をうまく体系づけてうまく活用するという手段、こういうものができるような時代になってまいりますと、情報化というものが持っている非常に特性、これを、工業化時代に我々が資源として使った人、物、金に加えましてうまくこの特性を使うということが必要ではないのか。  言わずもがなで特性を申しますと、一つは、情報というのは時間と距離を超越する、発生したと同時に地球の反対側、あるいは宇宙で発生しても即時に我々が活用することができる、距離には関係ない。それから、いつでもだれでもどこでもという言葉がございますように、これは技術をうまく使えばだれでもどこでもいかようにも使えるということでございます。それが人、物、金の資源と違う。それから、双方向にコミュニケーションできる、つまり一方通行ではないということでございますね。したがって、個人個人がネットワークでっなげるということをすれば、今両参考人がおっしゃったようないろいろな可能性を秘めているということが言えると思います。  ですから、私が申し上げたかったのは、工業化時代の、ちょうど鉄道であるとか空港であるとか港湾の整備あるいは高速道路網の建設というようなものに加えて、情報のインフラストラクチャーというものを構築することによってすばらしい未来が展望できる、こういうことを申し上げたかったわけでございます。  三枚目の、「情報化社会に向けた取り組み事例」ということで、これは米国においてどのような使われ方がしているかということの具体例を申し上げたいわけでございまして、これはもうつとに我が国でも報道されておりますので余り細々と申しませんけれども、スタンフォード大学総長というのが二年前に日本に参りましていろいろな話をしたときに、米国の高等教育の一番の問題は、ウナギ登りに上っていく教育コスト、この上昇をどうやって抑えるか、と同時に、残念ながら質が低下している、この質の低下をどうやって食いとめるか。それは、生徒一人一人にパソコンを与えて、それで教育するということが非常にこの解決の手段になる。  なぜならば、パソコンを持っておりますと、データベースに入っております先生の講義というものはいつでもどこでも取り出せるわけですね。生徒は学校へ来る必要ないわけです。昼間でも夜中でもスイッチオンすればデータベースに入っている講義は御自分の好きなときに出てくる。しかもコンピューターは、大きな教室で先生が一方的に講義するのとは違いますから、生徒がどのような理解を示しているかということは、簡単なテストを必ず講義の後にいたしまして、生徒がそこでインプットいたしました答えを見て判断して、そうしてこれなら先へ進んでもよろしい、この判断ではもう一回やり直しというようなことをやりますから、非常に個々に合わせたレベルの教育ができる。学生の側から見ますと、単に学校へ行かなくてもいいというだけではなくて選択肢が非常に広がります、スタンフォード大学の授業がおもしろくなければハーバードにスイッチオンすればいいわけでございますから。  そういった意味で、広大なキャンパスを使うこともなく、先生方の時間もフリーになりながら教育の質を高めることができる。同時に、先生方はフリーになった時間を今度は生徒と一対一の対話を通じて人間的な教育ができるという意味で、非常にこれは大きな意味があると言っておりましたが、現にアメリカではそのようなことが実現しているようでございます。  あと、二十四時間市役所であるとか電子申告であるとかいうようなことは、アメリカの行政府はもう既にこのようなものを情報キオスクという形でやっておるということでございます。  それから、ネットワークによる診療、研究支援。これももう既にアメリカでは、例えばがん研究などの場合に、ハワイ大学も含めた全米の大学研究機関と衛星通信で結びまして、患者のいろいろなデータ、診療データその他をお互いに交信しながら治療を進めているというようなこととか、それからナショナル・ライブラリー・オブ・メディシンというのは、これはもう非常に有名でございまして、日本のお医者様も非常に活用しているデータベースの事例でございます。  それでは、最後に、「日本における今後の具体化に向けて」ということで申し上げたいわけでございますが、私は、一言で申しまして、我が国は情報大国であっても情報化は小国だと思います。つまり、情報ははんらんしているわけですが、それをうまく活用して使っているという面では、残念ながら小国と言わざるを得ないという認識でございます。  幸いなことに、ことし二月二十一日に高度情報通信社会推進本部というものが、御承知のとおり村山総理を長にいたしまして、昨年も私も参画いたしましていろいろやりまして、そして報告が出ております。これは実はすばらしい報告でございまして、この世界では有名なのが、例のゴア副大統領が上院議員のときにつくりましたものをベースにいたしまして、いわゆるNII構想ですね、アメリカのナショナル・インフォメーション・インフラストラクチャーの構想というものが有名になっておりますが、それに匹敵するということよりもむしろそれを凌駕するような、原則とそれから非常に細かい応用例を出しておりました。これは、我が国の情報化を進めるバイブルだというふうに私は認識しております。  そのようなものが決定されましたので、あとはもうやるしかないということなんでございますけれども、このときに、民間主導とよく言われておりますが、政府の役割というのは非常に大きいということを申し上げたいと思います。  齊藤先生もおっしゃいましたように、インターネットというのは二十五年の歴史がございますけれども、最初は非常に細々と、アメリカの、しかも国防省がお金を出して、そしてアメリカの大学と結べたネットワークが、今や全世界、三千万人が活用しているというような大ネットワークになったわけでございます。そのようなことで、やはり種をまくのは政府でなければいけない、そして、花を吹かせるのが民間だという認識でございます。  したがいまして、政府の役割というのは、大変失礼ながら、民高官低と申し上げましたけれども、我が国は政官の情報化というのは大変おくれ ております。それは資料の二と三を御参照いただきたいと思いますが、このチャートでごらんのように、これは通産省の関係であります団体が出しました資料でございますけれども、このようなことでも明確になっておりますように、政官の使い方というのは、民に比べますと大変おくれております。細かいことは先ほど両先生方がおっしゃいましたので申しませんけれども、要は、政府とそれから公官庁が率先してこの情報化を進めていただきたいというのが切なるお願いでございます。  そのためには、そのような動きがあるということは新聞報道でもございますけれども、情報化というものにどのぐらいお金を使っているかということを現在、政府の方でつかんでいないということを、驚くべきと言っては失礼なんでございますけれども、私、昨年知りまして、愕然としたわけでございます。民間では、もう何十年の歴史の中で、情報化にどのくらいの金を使っているかということは、トップマネジメントは必ず知っております。  ところが、政府や官庁ではこれをつかんでいないということが非常に端的に証明しているように、何かもう非常におくれた世界にまだいらっしゃるんじゃないか、大変失礼でございますけれども、という認識でございますので、どうかひとつ、情報化にどのくらいのお金を使うかということを認識していただくと同時に、大変失礼なんですけれども、大幅に予算をつけていただきたい。それも、一けた増ではなくて二けた増ぐらいの額でやりませんと追いつきませんぞと申し上げたいわけでございます。  それから「情報化推進政策」ということで、「人材育成 コンテンツの充実」「新規産業の送出」というのは、いかにコンピューターがばかだということの証明でございまして、ソウシュツと仮名で入れたら送り出しと出てしまいまして、これはクリエーションの方でございますので、まことに恥ずかしい、コンピューター屋として恥ずかしい文章でございますが。  最後に申し上げたかったのは、両先生もおっしゃいましたように、現在このインフラを進めるに当たって、法制度の大幅な見直し、これは二月二十一日付の高度情報通信社会推進本部の決定にもきちんと書いてございますが、法制度は、失礼ながら、情報化の、大変昔、ないころの、私はまあかごとわらじの時代と失礼ながら言っておりますが、その時代の法律が生きております。したがいまして、医療であるとか教育であるとか、いろいろ我々の生活に密着しているようなことを今コンピューターのネットワークでやろうとしても、規制があってできません。ですから、あるいは電子ショッピングなんということでやりましても、いろいろなことがいろいろな規制でできないことになっておりますので、これをぜひ改めていただきたいということ。  それからもう一つは、地方公共団体には多いのでございますけれども、オンライン結合の禁止規定というのが、何とこの二十年の間に随分ございます。  これは、住民のプライバシーの保護であるとか、いろいろな観点から設けられたということは認識しておりますが、しかし、現在のネットワークの時代で、プライバシーの保護とかデータを守るというようなことは技術的に可能でございます。そのような時代に、オンラインしてはいけないというような条例がまだ残っているということは、これはもう大変な危機と私は感ずる次第でございますので、このような面をすべて含めまして、日本において今後の具体化に向けてのお願いは、どうかこの、バイブルと私申し上げましたけれども、高度情報通信社会推進本部の御決定にあるようなものを踏まえた上で、政治の世界、政治家の先生方が強力なリーダーシップを発揮していただいて、我が国を、情報大国を情報化大国にしていただきたい。  コンピューターの世界での経験でございますが、コンピューター化というのは、民間企業が自然にやったように今ではとらえておりますけれども、決して自然にはできませんでした。必ず、嫌がる現場をトップが強力な命令をいたしまして、使っているうちに割と便利だなという認識があって、日本の民間のコンピューター化は進んできたわけでございます。したがいまして、大変申しわけないのでございますが、先生方がどうか強いリーダーシップを発揮していただいて、我が国を情報化でも世界をリードする大国にしていただきた。いというのが切なるお願いでございます。  以上でございます。

自見庄三郎自由民主党・自由連合

○自見委員長 ありがとうございました。  次に、山口参考人にお願いをいたします。

山口開生日本電信電話株式会社会長

○山口参考人 山口でございます。本日は、このような発言の機会をいただきまして、大変ありがとうございました。  本日のテーマはマルチメディアと高度情報通信社会ということでございますので、私、長年通信事業に携わってまいっております、そういう立場でお話を申し上げたいと思います。お手元に資料として二部参っていると思いますが、「高度情報通信社会とマルチメディア」という方の資料をごらんになって、お話をお聞き願いたいと思います。  まず、マルチメディアということでございますが、これは日本語では多様なとかあるいは情報伝達の形態ということになるわけでありますが、意味するものは、音声だけではなくて文字、映像などのメディアの融合という意味を持っております。今日使われておりますマルチメディアという言葉は、こういった多数のメディアに必要に応じてコンピューター処理が加えられて、さらにこれがネットワークと結ひつく、そういうものとしてとらえられております。またその上に、無線技術により実現されております移動体、携帯電話とかあるいは最近またPHSとか新しい個人用の電話等もございますが、これも恐らくマルチメディアという言葉の中に含めて考えた方がいいのではないかと思っております。  そこで、現在、高度情報通信社会の実現に向けまして、電話からマルチメディアヘと大きな流れが進んでいるわけでありますが、そのベースは、新技術の展開、技術革新の成果が大いに役立っておりまして、その大きな技術の中で三つあると思いますけれども、一つはディジタル技術、それから光、従来電気通信といえば電気が主だったのでございますが、今は光が中心になっておりまして、この光を使う技術、それからLSIの技術、この三つの技術革新であると思っております。  まずディジタル技術でございますが、これは音声、映像、こういったメディア情報を、御存じのように、今さら申し上げることはないのですが、0、1の信号に変換しまして、メディアの種類を意識せずに、同じようにこの0、1の信号でもって処理していく、画像処理もそれでできる。こういうように、その処理加工を容易にするものでありまして、これが、マルチメディア通信の基本の原点というような技術だと思っております。  それから次に光の技術でございますが、マルチメディアの主役になっております動画の情報のように、こういった情報は大変大容量化、しかもハイスピード、高速化、こういうものを効率的に、経済的に伝えていく上でこの光技術の果たす役割は極めて大きいというふうに考えておりまして、大変技術的な問題で恐縮なんですが、広帯域性とかあるいは低損失性とか軽量性、軽い、こういった特徴は、従来の銅を使っておりました伝送体に比べて格段の向上を示しております。レーザーとか光ファイバー製造法とかあるいは接続装置だとか光ファイバーのアンプ、こういったものの技術革新は目覚ましいものがございまして、現在は、電話局間の中継ネットワークだけではなくて、この中継ネットワークは日本ではほとんど終わっておりますが、これから先二十一世紀にかけまして加入者系のネットワーク、つまり電話でいえば電話局から家庭まで、こういうところに光ファイバーが進められておるわけであります。大変効率 のいいものでありまして、髪の毛のように大変細い光ファイバーで、これ一本ありますと一秒間に十億ビットという伝送ができまして、十億ビットというのは、新聞一年間の文字情報を一秒間で送る、こういう効率の大変いいものでございます。  次にLSIの技術でありますが、これは装置の小型化とか経済化を実現するために不可欠な技術でございまして、先ほど言いましたディジタル技術と光技術を支える基盤の技術でございます。椎名さんもいらっしゃるので、私がここで細かく言うことではございませんけれども、大変コンピューターが性能もよくなって、しかも価格も安くなってきている。現在、パーソナルコンピューターというのは四分の一世紀前の大型コンピューターに比べまして性能でも十倍以上、大きさで千分の一、価格も千分の一、こういうような状態になってきております。  携帯電話につきましても、当初は肩に担いで、ある程度重いというものでありましたけれども、このLSIの技術によりまして、現在では大変軽くなって片手で軽々と持てる、こういうことまで進んでまいっております。こういった技術が基本だと思います。  そこで、現在の社会のトレンドと新しいニーズでありますが、先ほど来諸先生が話しておられますように、二十世紀を支えてきた工業社会がだんだんと陰りが見え始めているように思います。我が国におきましても、高齢化社会の到来あるいは失業問題あるいは経済不況あるいは環境問題、こういった工業化社会での解決困難な問題が顕在化しつつございまして、大量生産、大量消費という物を中心の工業化社会から、これからは情報流通を中心とする高度情報化社会への変革が求められているわけであります。情報通信に対します新しいニーズとしても、産業分野では、少量多品種というような多様化に伴いまして、新しい市場の対応が求められております。生活の分野でも、自己実現のために、あるいは精神的なゆとりを確保し、豊かな生活を送るために教育、医療あるいは行政などの分野にこの情報通信の利用が求められると考えております。  そこで、このマルチメディアを推進する原動力とマルチメディアの基本的な進め方でございますが、マルチメディアの実現に向けましては、アプリケーションあるいはコンテンツ、ネットワーク、いろいろ言われております。これと端末あるいはLAN、こういういろいろな既に出現しておりますものとの調和ある発展が不可欠でございます。コンテンツやアプリケーションの充実によりまして需要が生み出されることによりまして、ネットワークの整備が促進され、この整備の促進が今度はアプリケーションを誘発するという相乗効果がございます。これがマルチメディア推進の原動力となっていくものと考えておりまして、ネットワークの整備だけでは発展は望めないと考えております。  具体的な進め方、基本的な進め方としまして、私どもNTT、ずっと電話をやってまいりました。電話主体の時代では、公共性から多くの国が通信事業を国営で運営してまいりましたけれども、マルチメディアという情報通信の多様化に向けた世界の潮流の中で、通信事業というのは競争原理に基づく民営化の方向に動いております。この流れは、利用者の立場を重んじて魅力あるマルチメディアサービスを立ち上げていくということで当然の方向でございまして、民間事業者が競争のもとで創意工夫を発揮して推進していくことが基本であると考えております。一方、民間事業者の活動を活性化させるための規制緩和やあるいは制度、習慣の見直し、さらには先ほどから話が出ておりますように知的所有権の保護、こういったものが国の果たすべき重要な役割だと思います。  この関係で、別の資料でちょっと共同利用実験のことを出しておきましたが、マルチメディアの発展にはアプリケーションの開発が不可欠でございます。このアプリケーション開発につきましては、端末の事業者あるいはサービスの提供者、通信事業者がばらばらに行動するのではなくて、利用者も含めて連携をしながら協調のもとで結集して推進すべきものであると考えております。政府はその規模と有効性が大いに期待できます大きなユーザーさんでありますので、これも先ほどから話が出ておりますように、政府自体もみずからの情報化を促進して、そして公的アプリケーションの開発導入を推進していただくことが極めて重要であり、これは大いに期待をしたいと思っております。  民間側としましては、私ども、昨年よりユーザーあるいは端末事業者の方、サービス提供者の方々と一緒に検討を進めてまいっておりまして、マルチメディア通信共同利用実験を開始しております。この資料にございますように、この共同利用実験というのは高速コンピューター通信利用実験とそれから一般の利用者向けのマルチメディア利用実験それからCATVの映像伝送等利用実験という三つの枠組みで取り組んでおりまして、国立大学の研究所あるいは企業等百二十七団体の参加をいただいて、全国規模で展開を進めております。  次に、インフラの整備でありますが、インフラストラクチャーの構築に関しましては、先ほど申しましたように、我が国ではもう既に中継系のネットワークのディジタル化あるいは光ファイバー化はほぼ完了しております。今後はユーザーさんの、加入者の宅までの系統が高度化されるということだと思っております。  この基本となります、これには光ファイバーが一番適していると思っておりますが、この光ファイバー、光加入系ネットワークの構築に向けた、政府でもいろいろ議論されておりまして、二〇一〇年を念頭に置いた早期全国構築に向けまして、先行整備期間であります二〇〇〇年までの間に、私ども民間事業者に対して新たな低利の融資制度の創設など公的支援を講じていただくことになっております。  一方、民間事業者であります私どもでも、二〇一〇年を整備完了の目標年度といたしましてネットワークの構築を進めることとしております。当面の具体的な目標といたしましては、二〇〇〇年までには全国の光加入者系のネットワークを導入いたしまして、カバー率でいきますと全国の二〇%ぐらいが達成をできる予定としております。それ以後も全国的に進めていきますためには、やはりこのシステムの徹底的なコストダウンを図っていかなければいけない、こういうことも考えております。  話が長くなりましたけれども、諸外国の動向について一言触れたいと思います。  諸外国におきましても、マルチメディアに向けてのさまざまな動きが活発化しております。先ほども話がありましたが、アメリカではNII、ナショナル・インフォメーション・インフラストラクチャーというのですが、NII構想が推進されておりますし、ヨーロッパにおきましても各国がそれぞれ取り組みを進めております。また、これを全世界的に取り組むために、GIIという、これはグローバル・インフォメーション・インフラストラクチャーでありますが、この構築も既に始まっておりまして、ことしの二月にベルギーにおきましてGIIを中心としたいわゆる情報サミットが開催されまして、私も参加させていただきました。GIIに向けては、各国が自分の国の状況を勘案したビジョンを策定して、それに基づいてGII構築に向けた国際的なビジョンを明確化し共有化していこう、並びに、そのGIービジョンに基づきインフラストラクチャーとアプリケーションの一体的構築を担保するということがいろいろ議論になりました。ヨーロッパはもちろん、アメリカももちろん国際的な先導者でありますが、そういう意味では、日本も国際的な協調をとりながらやっていく必要があると痛感したわけであります。  以上で私の説明を終わらせていただきます。

自見庄三郎自由民主党・自由連合

○自見委員長 ありがとうございました。  以上で参考人各位の御意見の開陳は終わりました。     —————————————

自見庄三郎自由民主党・自由連合

○自見委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  この際、委員各位に申し上げます。  議事整理のため、質疑のある委員の方は、挙手の上、委員長の指名により発言されますよう、また、発言の際は、所属会派及び氏名並びに質疑を行う参考人の方の氏名をお告げいただくようにお願いをいたします。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いをいたします。

岸本光造自由民主党・自由連合

○岸本委員 自由民主党の岸本光造でございます。  公文参考人さんに、ちょっとよく私わからないのでお伺いをしたいのですが、産業革命、社会革命、政治革命。産業革命、社会革命というものはよくわかるのですが、政治革命の概念というか、そういうものがちょっとよくわかりません。情報化革命の中でどのような形で予想されるのか、お伺いをしたいと思います。

公文俊平国際大学グローバル・コミュニケーション・センター所長

○公文参考人 政治革命と申しますのは、いわば一国あるいは一社会の政治権力構造の交代というか転換だというふうに理解しております。  例えば、日本で申しますと、明治維新のときに起こったような事態はそれでございますね。ただし、いろいろな形のものがありまして、非常に平和的に行われる場合もあれば、極めて深刻な多量の流血等々を伴いながら行われる場合もあります。そして、近代社会で私どもが一番よく目にしてまいりましたのは市民革命であり、社会主義革命というのも後にはございましたけれども、これは破産してしまったということではないかと思うのですが、それともちろん違う種類の政治革命という意味でネティズン革命という言葉を使ってみたということでございます。  もちろん、まだそういうのが起こっているところがあるわけではないと思いますので、どういうふうになるか、私にもよくわかりません。

岸本光造自由民主党・自由連合

○岸本委員 この政治革命は明治維新とか社会主義革命とか市民社会の革命とかいろいろな概念があるのでしょうけれども、この情報化社会の中で先生が予想される政治革命とは一体どんなものですか。

公文俊平国際大学グローバル・コミュニケーション・センター所長

○公文参考人 それが、ネティズン革命という言葉で申し上げましたように、つまりこれまでの例えは産業社会の典型的ないわゆる代表制民主主義の政治形態を見直すというか、場合によっては否定をするということかもしれません。別の形の、多分民主主義的なものを探すのではないかと思うのですけれども。  一つの例としてアメリカの議論を簡単に御紹介いたしますと、もちろんネティズン革命という言葉は使っておりませんけれども、ゴア副大統領の発言を見ても、あるいは共和党のニュート・ギングリッチ下院議長の発言の中にも、アメリカは今や建国以来の新しい政治革命の時期に差しかかっている、こういう認識ははっきりと見られると思います。

佐藤剛男自由民主党・自由連合

○佐藤(剛)委員 自由民主党、福島一区の佐藤剛男でございます。  本日は、公文先生、齊藤先生、椎名先生、山口先生それぞれ切り口の違うところから有益なポイントをついていただきまして、非常に参考にさせていただきまして、感謝を申し上げます。  私は、椎名会長に焦点を当ててお話をします。  椎名会長は、もうまさしくおっしゃられるとおり、現場で情報問題にずっと取り組んで、日本の情報を支え発展させてこられたわけでございますが、おっしゃられたように、国が種をまく、それから花を吹かせるのは民間である。しかし、種はまいたが、非常に阻害要因があって根が張りにくい、枝っぷりがよくならぬ、この言うなれば電子化を阻害するいわば法律、条例、制度、慣例。  それで、私は、これはいろいろ椎名会長は頭にお持ちだろうと思うのですが、すべてあらゆるものを業界か何かで網羅していただきまして、国会というのは立法機関でございますから、こういうふうにここのところが障害になっている、根を土やそうとしても邪魔になって、種はまいてくれたけれども大きくならぬ、幹がふえない、枝っぷりがよくならぬというところ、これを少し条例を含めてやるのが我々の責務だろうと私は思いますし、本日の御指摘の一つのポイントだと思うのです。どうなんでございましょう、何か出していただくとか、請願というような形でも結構なんでございますけれども、何かそういうようなものに取り組んでいただければ非常に我々としてありがたいなと思っている。感想も含めまして、何か対応がございましたら、お聞きしたいと思います。

椎名武雄日本アイ・ビー・エム株式会社会長

○椎名参考人 実は、この分野というのは物すごい広うございまして、極端な言い方をすると、ありとあらゆる現行の法律や制度を見直していただかないと多分電子化にはならぬだろうということなんでございます。したがって、業界が何か申し上げるということよりも、徹底的に、どういう仕組みになるのか知りませんけれども、政府及び官庁の方でこれをやっていただきたい。  実は、先ほど申しましたように、二月二十一日に決定いたしました高度情報通信社会推進本部の決定にもきちんとそれは書いてございまして、これはやらなくてはいけないということでございますので、そんなことを言って、おまえ責任を逃れるのかと言われると困りますから、それはそれぞれの立場でこういうのを請願していくということもあるいは必要なのかもしれません。しかし、余りにも範囲が広うございますので、これは業界が一つ一つ何かやるというようなことではないのではないかという気がいたします。  それから、本部の決定以外にも、昨年十月に社団法人行政情報システム研究所がお出しになった「電子政府の実現を目指して」という立派なものがございますけれども、これによりましても、諸制度を変えなくてはいけないということは明確に書いてございますし、また、これをお書きになった先生方が、これは民間の代表の方が随分お入りになっているのですが、そういうところであるいはさらにその活動を拡大するということも必要かと思いますが、まことにお答えにならないで恐縮なんですけれども、余りにも範囲が広うございますので、そう簡単ではないということを申し上げたわけです。

佐藤剛男自由民主党・自由連合

○佐藤(剛)委員 ちょっと関連で。  まさしくそうだと思うのですね。すごく範囲が広いし、ある意味では、根の突っ張り出てくるものをとめている規制的なものは一定期間全部停止するくらいの気持ちでやった方がいいのかなという感じすら持っているのですけれども、また、各省庁あるいはいろいろなしがらみがありまして、それを脱却できない部分というのはあるわけですね。  また、業界としても言いにくい部分というのはあるだろうと思うのですけれども、そこら辺を我々はやはり真摯にやっていかなければならないのが、まさしくこれから情報大国であるけれども情報化小国だとおっしゃった点だろうと思いまして、そういう面で、どうぞ遠慮なくいろいろ業界からも、気がついたこういう点がありましたら、何かそういう提言みたいな形で、だれだれがというのではなくて、ニュートラルで出していただくと非常にいいのじゃないか。学界も含めて、公文先生齊藤先生それからNTT山口会長も遠慮なくひとつそういう面でやっていただけたらと思います。  以上でございます。

大木正吾日本社会党・護憲民主連合

○大木委員 社会党の大木正吾でございます。  山口会長にはちょっとこれは質問しにくいのですが、椎名先生にお伺いいたしますけれども、今日本の産業界の中におけるリーディング産業というのは余りはっきりしないのですが、結局、この間衆議院の規制緩和委員会におきまして、田中直毅先生が来られて通信関係の問題について規制問題を話し合われておったのですが、いわば基本的な料金以外は全部取っ払う、こういった話をして おられたのです。もし日本に今こういった、大変な不況なり産業が発展段階でございますから、思い切って現行規制を基本的な料金以外は全部取っ払ってしまって、二、三年間少しエンジンを吹かしていく、こういったことについて、推進本部でも結構ですから、ああいうところで大号令をかけてもらうことはできないかどうか、こう考えているのです。

椎名武雄日本アイ・ビー・エム株式会社会長

○椎名参考人 やはり情報化推進に当たって非常に大きな問題の一つは料金問題だと思います。それは先生の御指摘のとおりでございまして、もう既に言われておりますように我が国の料金は、いろいろな歴史的な変遷がありますから一概に国際比較はできないのでございますけれども、米国と比べますと非常に高いということは言われております、ヨーロッパと比べますとそうではないのでございますが。したがいまして、高度情報通信社会を実現するに当たって、料金をさらにユーザーにとって使いやすいものにするということは絶対必要だという認識はそのとおりでございます。  ただし、それをどうやって実現するかということは大変難しい問題がございますから、先生おっしゃるような規制撤廃をすぐ進めて全くの自由競争にするのがよろしいのか、いろいろな方法があるのか。もう既にNTTさんの方もいろいろな、定額でパソコンは使えるとか、これは私新聞で知ったので本当にそういうお考えなのかどうか知りませんけれども、アメリカは御承知のように非常に多様化した、アメリカも規制はあるのでございますけれども多様化した料全体系というのをとっておりまして、例えばパソコンなんかを使う場合にはつけっ放しでも料金が時間とともにふえないというような体系もとっているようでございますし、そんなような多様な料全体系を我が国でも導入していただくということはユーザーといたしましても大歓迎でございます。ただし、それをどうやってやるかということは、これはいろいろな意見がございますので、もう先生方にお任せしたいということでございます。

山口開生日本電信電話株式会社会長

○山口参考人 料金問題のことですのでNTTだけで決まる問題ではございませんけれども、先生おっしゃったように、やはり高度情報化社会、特にコンピューターのネットワーキングされたシステムを従来の電話料金と同じような課金では大変コスト高になっていくということは、これは間違いないと私たちも思っております。  それではやはり高度情報化社会の進展に阻害になるだろうということも考えておりまして、何か料金面でも安い料金というものを、これは技術的にも設備の低廉化をもちろん図っていく、あるいはネットワークのつくり方についても一般の電話と違ったネットワークをつくれないかどうか、こういう点について検討を進めておりまして、今まだ結論は出ておりませんけれども、もちろん郵政省の方もそういう面について、やはり本当にそういったものを導入しないと立ちおくれをするということも考えておられまして、その方向で検討を進めてまいっておりますので、何かの形が出てくるのではないかと思っております。  この程度でちょっと御勘弁願いたいのですが。

河村たかし新進党

○河村(た)委員 新進党の河村たかしてございます。  二つばかりございまして、一つは、申しわけございませんがちょっと全員の方にお聞きしたいのですが、どちらにしろ、ネットワークというのが一応最下層というか一番のインフラになりますものですから、それをどう構築していくかというところで、どういう競争政策をとるにしろ、やはりこれはNTTさんをどういうふうに考えるかということを考えないと、実際のところはあと具体的になかなか競争政策もとりにくいと思うのですね。ですから、せっかく規制緩和の話も出ておりますので、こんな場で非常に言いにくいことになると思いますけれども、どういうふうにお考えになっておるのか、ひとつ率直なところを聞かせていただきたい。  それからもう一つは、公文先生のネティズンというものですね。これは私も、多分今度の時代というのは、今言ったNPOといいますか、官と、金もうけでないところ、智業と書かれておりますけれども、なかなかいい言い方だと思いましたけれども、そういう時代になるだろう。  だけれども、そこにはやはり現状二つの大きい関所がありまして、一つは、民法がいわゆる公益活動は主務官庁の許可に服するというふうにぼんと規定しておりまして、これをひっくり返せるのかどうか。それからもう一つは、情報はネットワークで行きますけれども、公的なお金は大蔵省に一元的に行く。それを補助金という格好でいろいろなところへ援助することになっていますけれども、どうしても金のシステムが一元化している。ここを何とか打ち破らなければ、二つ関所を打ち破らないとこのネティズン時代は来ないだろうというふうに思って、それは私も努力しておるのですけれども、その辺のところを公文先生は、そうなのか、それともこういうふうにしたら河村君いいよというようなアイデアがありましたら御教示をいただきたい、そういうことでございます。

公文俊平国際大学グローバル・コミュニケーション・センター所長

○公文参考人 二つ続けて……

河村たかし新進党

○河村(た)委員 まず、NTTの問題で結構です。

公文俊平国際大学グローバル・コミュニケーション・センター所長

○公文参考人 NTTといいますか、私は今一番必要なのは、先ほど申し上げましたように、これまであるような電話とか放送とかケーブルテレビのネットワークとは異質なコンピューターのネットワークのネットワークをどうつくるかという、これが最大の課題であるということでございます。そして、そのネットワークの細かい性格はまだなかなかわからないと思いますが、しかし、基本的にはこれは自立分散型と申しますか、だれでも自由に参加して、つくって、持ち寄って、お互いにつなげるというのが基本だろうと思います。それは、一番下の層のネットワークのところでも、アプリケーションのところでもすべてにわたって言えるはずです。ですから、その意味ではNTTでもだれでも入ってきていい、また入ってこられるように今の事業法を変えていただければよろしいのではないか、それが先決ではないかというふうに考えております。

河村たかし新進党

○河村(た)委員 そうすると、経営形態論はそれほど主流ではない。コンピューターにしましても、どちらにしろ今のところはNTTの回線を通すことになりますので、一応何かそこのところはひとつ考えなければいかぬのじゃないかと私は思っているのですが、それは別にいいということですか。

公文俊平国際大学グローバル・コミュニケーション・センター所長

○公文参考人 はい。

齊藤忠夫東京大学工学部教授・大型計算機センター長

○齊藤参考人 齊藤でございます。  河村先生の御質問でございますが、新しいネットワークをつくるには大変大きな資金が要るということは事実であろうと思います。日本の次世代ネットワーク、昨年の五月の郵政省さんの電気通信審議会の答申によると約三十兆円という数字でございますが、NTTが中心となって、従来年間二兆円ぐらいの設備投資をされておられるわけで、それを十五、六年続けるというのが基本的な数字であるということでございます。現在の投資規模というのは、電話の現在の収入でNTTは賄っているわけですから、二〇一〇年になって広帯域ネットワークができたときにもなおNTTの収入、GNPの増分とかインフレ率とかいろいろあると思いますが、基本的には、現在の料金水準でそういうネットワークができるというのが日本のネットワーク化の長期計画であるということだと思います。そういうためにまず第一に必要なものは、経営問題がどうであれ、新しいネットワークをつくる主体は、現在のNTT程度あるいはそれ以上の資金力を持った企業が必要であるということではないかと思います。  それで、問題でございますが、NTTの経営形態問題というのは、少なくとも一九八五年−一九九〇年においては、一九八〇年代前半のアメリカモデル、長距離・市内分離というモデルをベースに考えられてきたように思います。しかし、アメ リカでも、一九九〇年以後顕著になっているのは、長距離に有効競争が働き市内に有効競争が働かない一九八〇年代モデルというのは成り立たなくなってきている、そういう認識ではないかと思います。  長距離事業における競争というのはアメリカでも大変難しくなっているわけで、一説によると、AT&Tが他の二社をつぶさないようにするためにコントロールされた競争をしている、そういう説がございます。日本でも、仮に長距離と市内を分割して一九八〇年代モデルでやろうとすると、その姿が発生して長距離料金の値下がりというのは多分とまる可能性が強いのではないかと思います。やはり一九九〇年代あるいは二〇〇〇年代にふさわしい新しい業務モデルを考えなければいけないというのが一つの重要な点ではないかと思います。  それと同時に、競争を促進するということが重要でございまして、長距離にしろ市内にしろ、競争がないと技術の進歩はおくれますし、かっコストの低下ということもおくれるだろうというふうに思います。そういう意味では、大変難しいことだろうと思いますが、これからの経営形態の議論というのはモデルのない議論をしなければいけないということでございまして、一九八〇年代前半のモデルで議論をするということは恐らく時代おくれのことになるだろうというふうに思います。  ですから、どういうモデルにするかについてはいろいろ可能性があるわけでございまして、世の中でよく言われるのは、電力会社型モデルというのが考えられていると思います。それが市内に有効な競争を持ち込むかということに関しては、電力会社モデルについてもいろいろ疑念があるわけでございまして、新しいモデルを考えて、世界に例のないことをこれからやる必要があるということが重要な条件、考えなければいけない基本的な立脚点になる、具体的にどうするかということに関してはいろいろな可能性があるだろうと思いますが。

椎名武雄日本アイ・ビー・エム株式会社会長

○椎名参考人 NTTの経営形態ということは、今、齊藤先生もおっしゃっていましたように、大変難しいことでございますし、これからゆっくり時間をかけて政府の方もおやりになるようでございますから、それに一々口を挟むことはございません。  基本的には、ネットワークが非常にお安く簡単に使えるということが情報化社会には大切でございますから、そのような形態のいろいろなサービスというものが広く国民の手に渡るということが可能になるようなシステムをぜひ構築していただきたい。  今は、今度導入されますPHSなんかいい例でございますけれども、ああいうものをうまく使えば、携帯型のノートブックにユニットをぽんとくっつければ、大げさに言えば世界じゅうどこでも交信できるというようなものももう目の前に来ているわけでございますね。そうなりますと、どうしてもそういうものが自由闊達に使えるようなインフラをひとつつくっていただきたい、それにNTTがどうかかわり合うのかということはこれからの御議論を待ちたい、こういうふうに考えております。

山口開生日本電信電話株式会社会長

○山口参考人 いろいろ諸先生から話が出ておりまして、私どものことなものですから、まだこの時点で申し上げるのは大変難しいのですけれども、とにかく利用者の方に対して、いつでもどこでも御要望に応じたネットワークができなければ話にならない。  そのためにどういう経営形態がいいかということの議論になるのかもしれませんけれども、私は、日本全体を考えますと、アメリカは確かに分割をしました、しかし、アメリカは日本の二十数倍ある広い土地で、カリフォルニア州でも日本よりは大きいのですから、そういうところも考えながら、このエリアの中でたくさんの事業者がインフラをつくり合うということよりは、やはり国全体としてインフラができるまでは、これは一つの方策あるいは施策によって進めた方が、満遍なくといいますか、全国的に見ていいものが早くできるのではないか、こういうふうに基本的には考えております。  いろいろな議論はされますでしょうけれども、競争状態のあり方とかあるいは私どもの合理化とかいろいろありますから、これは別途議論していただけばいいのですが、基本的にネットワークということから考えますとその方がいいと私は思っていますし、そのつもりで、先ほども話がありましたように、年間に、二兆円はいっていませんけれども、一兆九千億円くらいの投資。これは光ファイバーとか新しいネットワークだけではございません、従来の設備もやはり手直しをしていかなければいけない、それ全部を含めての一兆九千億円ですけれども、しかし数千億円の新しい高度情報化社会に転換するための投資を続けておりまして、おかげさまで先般基本料の改定もさせていただきました。  そういうものを見ながら、あるいはNTTのこれからの合理化、合理化も随分やってきました、御承知のとおりでありますけれども、今後ともそれはやっていかなければいけないことであります。そういうものを見通しますと、二〇一〇年ということになりますとまだあと十五年くらいございますね、先のことではありますけれども、金額的には不可能なことではないというふうに考えております。  それと同時に、政府でもやはりいろいろな点で支援をいただいておりますし、先ほどは低利の融資を受けていることもお話ししました。そういうことで、国としてバックアップがあればNTT——NTTだけでやるものでもないと私は思っております。新規事業者が既に長距離部門ではほどほどのシェアも持たれていますし、それからローカルな部分につきましても、これはNTTが独占のように言われていますが、しかし、それはやはり市内料金が現在安いものですから、原則的には今入るのは自由なんですけれども、やはり経営的に非常に難しいということで新規参入者が従来なかったのだと私は思いますが、しかし、最近、無線技術を使いまして、PHSもそうですし、それから移動体の電話もそうなんですけれども、そういう新しい技術を使っていわゆるローカルエリアにどんどん入ってこられます。ここもやはり競争状態が起こっていますから、先ほど齊藤先生おっしゃったように、今議論されるとすればやはり従来と違った考え方での議論が必要ではないか。競争状態も相当進んできたということも事実としてございますので、そういうふうに考えております。

田中昭一日本社会党・護憲民主連合

○田中(昭)委員 社会党の田中でございます。  今の問題も少し議論したい点もございますが、きょうはやめにしておきまして、簡単なことですが、三つ先生方の御意見をお聞きしたい、こう思います。  その第一でございますが、今本屋に行きますと、マルチメディアの本のコーナーなどがございまして、まるで世の中を挙げましてマルチメディア時代をいろいろうわさされているわけですが、かつて七〇年代では、情報化時代とかあるいはコンピュートピアとかいろいろ言われた時代がございました。八〇年代になりまして、特にINSの時代が到来したと言われ、それから、特にニューメディアということでかなりこの幻想が振りまかれた時代があったと思うんですね。このニューメディアが、当初いろいろ言われたように全く国民の中に、社会の中に浸透しなかったと私は思っているわけです。  で、このマルチメディア時代がニューメディアのような二の舞になるのかならないのかと。時代が変わっておりますから同じような過ちは繰り返しはないと思いますが、私は、ニューメディアの失敗というのは幾つか原因があると思いますが、一つはやはりハードが先行した、それから、供給者を中心にした発想だったという点とか、それから、必要とされる需要の解明と、この需要を喚起できるアプリケーションなどが非常に不足して おったとか、あるいは、生活に役立つような、国民が飛びつくようなソフトが非常に貧弱だったとか、あるいは、ネットワークが重点で、使いやすい、安い端末の開発が不足しておったとか、こういろいろ言われておるわけです。  私も、この点についてはそういうことだったかなというふうに思うんですが、今回のマルチメディアに向けまして、こういう誤りを二度と繰り返さないという意味でも、どういう点が当時問題であって、今回このマルチメディアというものを我々が考えておるとおりに持っていこうということになるとすれば、どこのところをやはり注意すべきであるのかという点などにつきまして、これは公文先生あるいは椎名先生などから御意見をお聞きをしたいというのが一つです。  それから二つ目の問題は、先ほどの御説明でも幾つか出てきているんですが、マルチメディア時代の中では光ファイバー化が不可欠だ、こういう議論がかなり先行しているわけですね。本当にこの光ファイバーは不可欠なのか、あるいはハイブリッドではいけないのかという議論もまだ残っているんではないかな、こう思います。  特に行政の場合でも、郵政省と違いまして、通産省の「高度情報化プログラム」などの中ではそういう意見が提起されておるわけですね。例えば、画像圧縮技術の進歩によって鋼線、無線でも十分対応できる。アメリカでもそういう例がたくさんある。それから、最適な通信インフラの形態が今後のコストの低下や具体的な用途によってかなり大きく変わってくるんではないかという意見の提起。それから、無線がどんどん発達をして、光よりも経済的に有利となる可能性があるんではないかということが言われているわけですね。いわゆる光ファイバー化という問題についてはかなりの不確定要素があるという疑問が通産省の意見の中にもありますし、全体的な意見の中にもあるんではないかと。アメリカのNIIでは、すべて日本のように家庭まで光、こういう関係には発想としてないんではないかという気がするわけですが、今後やはり二〇一〇年を展望した場合に、ここらの考え方というのは少し整理をしていくことが必要ではないかと思うんですが、この点について、これは齊藤先生あたりからお聞きをしたいと思います。  それから三つ目は、これは極めて簡単な質問なんですが、山口先生にお聞きをしたいと思いますが、やはり情報化とかあるいは電気通信とかいう場合には、最低限国民にあまねく公平なサービスをどれだけ提供できるかというのが基本にある。一般的に言うユニバーサルサービスというものをどう考えるかというのがすべての場合にやはり基本にならなければいけないだろう、特に政治家の場合にはそのことをきちんと考えなければいけないだろう、こう私たちは思うんですが、このユニバーサルサービスという概念も、いわゆるマルチメディア時代、二〇一〇年ぐらいになれば、今の発想というものがやはり変わるべきではないかというふうに思うんですが、何といいますか、言葉はなかなか難しいんですが、ユニバーサルサービスの質の向上といいますか、国民が受け取るサービスの質の向上みたいなことをやはり考えていかなければ、このマルチメディア時代というものが社会化、国民化しないんじゃないか、こう思うんですが、この点についてのお考え方をお聞きをしたい。  以上、簡単な質問ですが、三つ、先生方の御意見をお伺いしたいと思います。

公文俊平国際大学グローバル・コミュニケーション・センター所長

○公文参考人 その前に、先ほどの質問の答えが残っておりましたので、それも一緒にさせていただきたいのでありますが、私は智業という言葉を使いましたけれども、何と呼ぼうと、これまでの企業や国家とは性質を異にする種類の、しかも、競争的な活動が急速に普及しつつあるという事実は否定しがたいと思います。そうであるならば、そういう存在に対して第一に適切な名前を与えなければならない。ノンガバメント、ノンプロフィットではだめで、ポジティブに定義をしなければならない。それから第二に、その制度化を考えなければならない。  企業が例えば株式会社といったような制度化をしていったように、この智業に対しても制度化が考えられなければならないし、民法や商法のルールが企業の活動を律したりしたのと同じような意味で、いわば智業法とでも呼ぶべき新しい活動のルールをどうしても考えていかなければならない。それを今の公益法人に関する民法や商法の規定や宗教法人法の枠組みの中で片をつけようと思っても、それは到底難しいだろう。  それから、それと並んで大事なことは、企業の発展の基盤には私有財産権というコンセプトがありまして、これが制度化されて、そして国家主権と調整されたんですね。それと同じような意味で私は、智業の活動の基盤には情報権とでも呼ぶことがふさわしいような新しいタイプの権利の観念があって、これも、きちんとルール化され、また、それが私有財産権や国家主権としかるべく調整されていかなければならない。暗号化の問題一つとってもそうであります。著作権の問題をとってもそうであります。こういう問題が山積しております。ですから、そういう権利の体系の見直しが必要であります。  それから最後に、お布施であります。  智業といえどもかすみを食って生きるわけにはいかない。しかし、企業でなければみずから営利を営むわけではないでしょう。しからばその経済的基盤をどうするのかというと、これは、ある種の贈与、グラントによって支えられなければならないが、これについてもやはりしかるべきルールがなければ、暴力的なお布施を取るというわけにはまいらないでしょう。税法も見直していただく必要がある。国が全部補助すればいいというものでもないと思いますね。ですから、こういった問題がたくさんある。これはしかし非常に緊急の問題ではなかろうかというふうに私は思っております。  それから、田中先生の質問で私あれのある部分、ニューメディアの時代との比較ということでございますけれども、私は、先ほど申し上げましたように、ディジタル革命がどんどん進行しているというのが非常に大きな違いであり、そしてコンピューターの世界では、八〇年代の後半から九〇年代になってダウンサイジングに加えてネットワーキングという技術が実際に利用可能になってきた。その中で今回は、前のニューメディアブームと決定的に違うのは、ユーザーというか、つまり需要の側の力が強いということでございます。供給よりもある意味で先に出ている。  その需要者の主になるのは、一方における、私がネティズンと呼びましたような新しいタイプの市民たちであり、積極的にネットワークを使おうとしている人たち、それからもう一つは、ビジネスに利用しようとしている企業であり、あるいは政府のようなものが今大きなニーズを出している。問題は、それに対して十分こたえられていない、技術の点でも普及度の点でも価格の点でもまだまだ足りないというか、決定的に足りないと思います。  ですから、ここが前の時代とは違うのであって、今度もし失敗するとすれば、需要にこたえられなくて失敗するということではないかと思います。

椎名武雄日本アイ・ビー・エム株式会社会長

○椎名参考人 先生がおっしゃったニューメディアの失敗のいろいろな理由ということは、もうすべて大変専門的な、よくお調べになったなと思って感心して、私も常に使っているポイントと全く同じでございます。そのとおりでございます。  それでは、マルチメディアではどうかねという御質問に対しましては、やはり基本的には、公文先生がおっしゃったような、技術的なものが世の中随分違うという背景がございますのと、それからやはり、ユーザーが相当昔と違いまして先行しているということも事実でございますが、同時に、ようやくこの世の中でソフトの重要性というものが認められ始めだということも一つ指摘したいと思います。今までは、コンピューターをお買 いになるときに、まずハードにお金をかけて、あとソフトはおまけじゃないかというような認識も一部ございました。今ではもう御案内のとおり、我が国の市場ですら、ハードウエアよりもノンハードと言われているソフトであるとかサービスの方が実は情報産業の収入は多くなっております。  したがいまして、政府の調達なんかでも、これは残念ながら最近なんでございますが、ソフトにもお金をかけようということがようやく認められ始めたということでございまして、ソフトウェア、あるいはマルチメディアになりますとコンテンツという、要するに道路がつくられてもその上を走る車両あるいは列車、こういうものがなければいけないという乗り物の方を、このコンテンツというものを積極的に育成しなければいけない、そのためにお金を使わなければいけないという風潮が出てきたということは歓迎すべきであるということが一つ。  それから、そのためにも、実は先日ブラッセルで行われたいわゆる情報サミット、これでも七カ国が合意いたしまして、そうしてそれぞれプロジェクトを共同で国際的に開発しようじゃないか。例えば医療問題であるとか福祉問題であるとか教育問題であるとかというようなことで、我が国も二つか三つのプロジェクトに参加するということを伺っておりますが、このようなことで、国際的な合意のもとに、非常にコンテンツに重きを置いた、あるいは民間企業ではなかなかできないようなものはそういうような政府間の共同プロジェクトでやるというような動きも歓迎すべきだと思いますから、多分、そのようなことでニューメディアのようなことにはならぬだろうという認識を持っております。

齊藤忠夫東京大学工学部教授・大型計算機センター長

○齊藤参考人 田中先生の御意見は、お話は、光ファイバーが不可欠か、あるいはハイブリッドでもいいんじゃないか、無線をもっと活用できるのではないか、こういうお話でございまして、いろいろな技術的可能性は十分あるだろうというふうに思います。  こういった問題を考えるときに、基本的にはいろいろな要素があろうかと思いますが、重要なことは、その社会の環境において現にどれだけ投資が行われてきたか、その投資をどれだけ尊重しなければいけないのかという問題が一つバックグラウンドとしてあるわけでございますが、それと同時に、これから技術を進めていく上で、今後低コスト化が進みそうな技術は何であるか、技術的発展の可能性が最も高いのは何であるか。それから、その問題の中では技術の開発にどれだけ既に労力をつぎ込んできて、今後さらに工夫する余地がどれだけ残っているのかというような問題が一つでございます。  もう一つの問題は、資源的な問題でございまして、それが大量に使われるようになった場合に、その資源がなおかつ利用できる状況に残るのかという問題があろうかと思います。  そういう意味では、光ファイバーとハイブリッドあるいは無線の間には技術的な特徴あるいは技術的な差というのが大変あるわけでございまして、例えば、その地域全体で広帯域の需要がほとんどない、あるいは全くないというときに、一人のお客さんだけが広帯域ネットワークが欲しいとか、あるいは少数のお客さんがネットワークを要求する、そういうような環境が十分考えられるわけでございまして、少なくともそれはサービスが十分にない需要の初期においてはあり得ることだと思います。そういうときに何が何でも先ファイバーを引くというのは決して経済的なことではないというふうに思います。  しかし、情報社会と言われるようにある程度大きな需要が想定される、例えば高齢者ケアのシステムのために、老人を持っていらっしゃる御家庭の多くがそういうネットワークを必要とする、そういう時代になったときに、それが地域ごとにどういうふうに集中しているかという問題があるかと思いますが、ハイブリッド方式や無線方式で実現することは大変難しいだろうということが考えられるわけでございます。  ですから、どれくらいのタイムスパンで考えるかということが問題でございまして、多分、現在から二〇〇〇年ぐらいまではハイブリッド方式が経済性があるだろうというふうに思いますが、それを越えて、ある程度需要が予想され、かついろいろなソフトの開発も進めたいという環境としては、ハイブリッドでは二〇〇〇年を越えたら大変難しいのではないかということでございます。  技術的進歩ということに関しましても、光ファイバーの場合は、先ほど山口会長からの絵がございましたように、適用分野によって今後数年の間に何分の一がに値段が下がるということが努力目標として示されておりますし、それは十分実現可能であるというふうに多くの専門家がお考えになっていらっしゃるわけでございますので、そういうような技術進歩によるコスト低下の可能性というのは、ハイブリッド方式では大変難しいだろうというふうに思います。  そういうことも含めますと、アメリカの議論は先生おっしゃったとおりでございまして、特に同軸ケーブルでネットワークを引いていらっしゃるケーブルテレビ事業者を初めとして、既にそういうネットワークがあるわけでございまして、そういうネットワークを短期間利用して今のような広帯域サービスを実現する最も早い道は何かというと、アメリカの環境では恐らくハイブリッドであろうというふうに思いますが、残念ながら日本の環境では、光ファイバーをつくると同時に同軸ケーブルも引いて、同軸ケーブルが有利になるような状況というのが生ずるということは大変難しい可能性があるということでございます。  無線についても、適用する状況によっては必要な場合もございますし、また有効である場合もあるわけでございまして、光ファイバーと一緒に無線の技術開発というのは十分しなければいけないというふうに思います。その利用するところはあると思いますが、全面的に、例えば電話局に相当するところから御家庭の間まで無線で引くというようなことがあって、それが現在想定しているような非常にたくさんのお客さんに対してサービスするということは、電波の資源の上からこれは技術的に不可能であるということは相当はっきりしているだろうと思いますが、うまく場所を選んで、短い距離、無線を使うというのは、いろいろな場面で重要な技術になる可能性はあるだろうと思います。  いずれにしろ、その適用分野によって無線も先ファイバーもハイブリッドも考えなければいけないことでございますが、今後二〇一〇年にかけての社会問題の解決のためにネットワークを必要とするという場合には、伝送手段としてはやはり光ファイバーが基本になる。その光ファイバーを中心に全体としてどういうネットワークを組むのかという問題に関しては、現在のような集中型のネットワークに限るわけではないわけでございまして、公文先生がおっしゃったようなこともございます。自立分散的にそのネットワークが管理されるというような形態も考えられるわけでございまして、いろいろなネットワークの形態があり得るだろうというふうに思います。

山口開生日本電信電話株式会社会長

○山口参考人 三番にお答えします前に二番の、今、齊藤さんがほとんど私が言いたいことといいますか、考えていることをそのままおっしゃったのですが、ちょっと補強させていただいてよろしいですか。  確かにアメリカでは、同軸ケーブルがCATVで御家庭まで大変行き渡っておりまして、そのために同軸ケーブルを引いてあります。それを使いまして、ハイブリッド方式で光ファイバーと同軸をうまく組み合わせて使うという方向がアメリカではいいと言われております。  私は、日本の中で光ファイバーの開発に深くかかわってきたものですから、その立場で申し上げたいと思うのですが、光ファイバーが大変いいということは、先ほど言いました特性が非常にいいということと、材料的に、資源的に、銅はやはり地球上有限な資源でありまして、かつて三十年ほ ど前に、私、こういった銅線を使うか、銅の資源をどうするかということについて研究したことがございます。その当時は、やはり銅が資源的には有限でありまして、世界的に銅が三十年前に今の三倍以上に値が上がったことがございます。これは、世界的に価格が統制されておりまして、まず有限資源だということと、それから国際価格の変動でもって、日本だけで決められる価格ではないのですね。  非常に銅が高くなったときに、我が国におきましても、銅線を、銅を使わずに別の代替資源はないかということで、アルミニウムを考えたことがございます。アルミニウムで銅線のかわりに通信線路をつくろうということを研究しました。これは、我が国だけではなくて、ヨーロッパの中では英国も研究しまして、日本と英国がこのアルミニウムのケーブルの技術開発で相当進んでおったのです。その後世界的にまた銅の価格が下がりまして、今また下がっておりますけれども、しかし、いずれにせよ銅というのは有限資源であります。  それに比べて光ファイバーはガラスですから、ガラスは、シリコンは世界じゅうもう無限にあるのです。ここを考えますと、将来性を見たときに一体どっちがいいのだろうかということを考えますと、私は、この無限にある資源を使って、しかもこれをうまく使えば、その方がコスト的には非常に安定していくのではないか。  ましてやこの通信線路といいますのは、基盤の設備、一遍張りますと二十年近くは寿命がもつわけです。それがもっから、アメリカでは一遍引いたものを使っていった方が経済的だ、こういう考え方に立つのだろうと思います。したがいまして、一遍引くともう二十年ぐらい先を考えてインフラというものはつくらなければいけないのですから、そういう面でいきますと、今から手をかけるには私は光がいいのではないか、こういうふうに実は考えております。  ただ、でも先を使えばいいというだけでは、これはもう芸のない、能のないことでございまして、私どもの研究所に対して、光ファイバーのコストダウンと光ファイバーを使ったシステムをむっともっと下げるという、下げていくべきだということで、研究者を相当動員して今研究を進めております。  齊藤さんおっしゃいましたように、ある程度めどがついておりまして、これは二〇〇〇年前後で恐らくその技術ができるのじゃないかというふうにも考えられますものですから、寿命の長い先のことを考えますと、できれば光を引くべきだ、こういうふうに考えております。  第三番目のユニバーサルサービスの件でございますが、ユニバーサルサービスというのは、ゴアさん盛んにアメリカの中でおっしゃっていまして、どうもまだはっきりしないのですけれども、ユニバーサルサービスの中は、だれでも申し込めば接続をするというのもユニバーサルサービスだという言葉の中で包含されておりますし、サービスの内容について、じゃ、どの程度のところまでユニバーサルサービスと定義するかという議論がまだ進んでいないわけですね。電話ですと、これは接続して通話ということがユニバーサルサービスとか一般的に言われていますが、新しいマルチメディアになってきますと、一体どの辺の品質、どの辺のサービスまでがユニバーサルなのか、この辺は今後の検討だということになっております。  接続、要するにつなぐかどうかということは、これはどこからだれでもつなぐ、これはユニバーサルサービス、こういうふうになっておるようでございます。

小坂憲次新進党

○小坂委員 先ほどの田中先生の御質問の中でかなり私の疑問が解消いたしまして、今、齊藤参考人の御説明をいただきまして、私も大分わかったのですが、私も先の前にハイブリッドでできることが相当あるのではないかと思っておりました。  それはすなわち、ここにいるメンバーは違うのですが、一般に今の国会の雰囲気あるいは社会の一部で、光ファイバーのネットワークが完成するまでが日本の情報化までの猶予期間だと思っている人がいるわけですね。ですけれども、そうじゃないんだ。情報化、マルチメディアというのは今始まっていて、今倍数的にではなくて、乗数的にこれは拡大していくものなのだという認識を持っていないと誤ってしまうのではないかと思っておりましたので、光ファイバーのネットワーク以前に、やるべきことをもっとやっていかなければいけないのじゃないか、こう思ったわけです。  情報化のコストをいかに下げるかという点で考えますと、まず第一の障害は、日本人は情報発信ということが非常に苦手だ。教育の面からもこれから充実していかなければいけないものは、自分の意見を発表する能力を開発すること、ディベートに参加する能力をもっと開発することだと思うのですね。  具体的にコストを下げる点については、今お話しになりましたように、規制緩和を推進をしていくこと。それから機器、ハードウエアの開発によってコストを下げていく。今の光にいかなくても、ハイブリッドでやるためには画像圧縮技術だとか今のモデムの高速化だとか、そういう技術で大分代替ができるような部分が出てきていると思いますので、これをまた推進すること。それから回線のコストの問題、敷設費とそれから回線利用料の改定という問題ですね。そういうものがある。しかし、これでは解決できない最後の部分に、入力コストというものがあるだろう。  この入力コストの部分で一番障害になってくるのは、語学という問題が出てくるのじゃなかろうか。シンガポールが非常に伸びているのは、やはり英語圏である。これからマルチメディアの時代に、やはり英語圏というものが非常に重要になってきている。  これで日本は、幾らやっても英語教育が進みませんけれども、これもマルチメディアのあれによって推進はされるでしょうけれども、この日本語というバリアをいかに我々は突破すべきかという点についてサジェスチョンをいただける部分があれば、例えば椎名会長の方では、日本語との自動翻訳機を初めとしたインターフェースの問題が何かあると思います。あるいは公文先生齊藤先生の方では、また何かそれなりのあれがおありなのか、その辺で御意見をいただければ、もう時間が余りありませんので簡潔にで結構でございますので、御意見があればお願いいたしたいと思います。

椎名武雄日本アイ・ビー・エム株式会社会長

○椎名参考人 先生御指摘のとおり、入力コストの障害の一つだ言語であるというのは同感でございます。御案内のとおり、メーカーは、IBMに限らず、どうやったら自動翻訳が低コストでできるかということを鋭意研究しておりまして、もう何十年も歴史的には研究が進んでいるのでございますが、残念ながらまだ実用化には至っていない。非常に簡単に、まあNTTさんおやりになっていると思いますが、文章を翻訳するということでは相当のレベルまで来ているのでございますけれども、スピーキング、スポークンランゲージをすぐ翻訳してしまうというところにまでは残念ながら至っていないというのが現状でございますが、これは技術革新の中で多分解決できる問題ではあろうと思っております。  ただ、そうなりますと、もう自由にどこの国の人もネットワークで参画できるという点ではそのとおりなのでございますが、それと同時に、一国民としては、先生がおっしゃったみたいに、やはり日本人の外国語能力の教育に関しては相当変えなければいけないのじゃないか。文章をこつこつと、私もそうですが、中学からやって実際に向こうへ留学してみて全く役に立たなかったというようなことは、これはもう戦後何回も言われても解決していない問題としてございます。

齊藤忠夫東京大学工学部教授・大型計算機センター長

○斉藤参考人 大変重要な御指摘でございます。特に現在、マルチメディア時代とはいえ、なおかつ文字の占める役割は非常に大きいというわけでございます。インドやシンガポールが情報化で成 功しているというのは、特にインドの場合など考えますと、ソフト開発とその文書化ということについて、あるいはソフト開発にかかわるコミュニケーションについて、英語の占める割合が非常に強いということではないかと思います。  それで、問題でございますが、先ほどからいろいろお話がございますように、日本ではネットワークを通して何かいろいろなコミュニケーションをするということに関して文化的なバリアがあるというのは、英語、日本語ということにかかわらず、文書を通してやりとりしながらディベートしていく、あるいは仕事を進めていくというようなことに関して、これは英語と日本語ということと余り関係なく、そういう問題が日本人の教育の中に十分進んでいないということも含めて問題があるのではないかというふうに思います。  それで、私は、日本語というのが問題の一つであることは確かでございますが、その前に、英語云々ということも大事でございますが、それと同時に、やはり学校教育その他で、文書で物をやりとりする、社会の中ででも、一々出かけていってあいさつするということではなくて、文書で物を済ませる、そういうような社会習慣をうまく進めるように、これは生産性向上の第一歩でもあるわけでございますが、非常に重要なことだと思います。  もう一つそれに関してですが、技術の進歩は、現在まだ文字が多く使われているわけでございますが、それから今後画像の方向に進むわけでございまして、それが入力コストの非常に大きな部分を占めることは確かでございまして、画像になりますと、これは絵は百聞は一見にしかずというようなことで世界共通でございます。そういう意味からすると、長期的には言語のバリアというのは低くなって、それが、GIIで世界がコミュニケートするのは現在より容易になるだろうというふうに期待されていることだと思います。  大事なことは、日本文化の中でどうやってネットワークをうまく使いこなしていくか、これは語学に関係なく、そういう習慣が根差すということが第一歩ではないかというふうに思います。

公文俊平国際大学グローバル・コミュニケーション・センター所長

○公文参考人 小坂先生の御意見、大変共感を持って聞かせていただいたのですが、あえて楽観的なことをちょっとだけ申してみますと、三点ございます。  その一つは、まず今のネットワークは、パソコン通信、インターネットを含めて、英語ができなくても日本語で十分やれる広大な領域があるということでございます。ですから、とりあえずそこからスタートすることは結構ではなかろうか。  それから二番目に、しかし長期的には、我々は、特に我々の子供の世代は、英語、日本語だけといわず、さらにもう一力国語ぐらい当然のこととして学習し使うということを決心をしなければならないだろう。これは、社会的に決心をしてそれが当然ということになれば、随分環境は違ってくると思います。  それから最後に、そう思いますと、しかし日本人は戦後この五十年の間に、少なくとも日本語圏においては、例えば自分のところの方言と東京弁と関西弁ぐらいは学習してごく当たり前に使えるようになっているじゃないか。五十年前は決してそうではなかった。これはラジオ、テレビの普及のおかげだと思います。同じような意味で、コンピューターネットワークが普及していきますと、気がついたら日本語だけじゃなくて英語も何とかも使えるようになっていたよという時代がきっと来るだろう、こう思っております。

矢島恒夫日本共産党

○矢島委員 どうも先生方御苦労さまです。  時間が来てしまっているわけですが、やはり国民に開かれた情報インフラの議論が必要だということは論をまたないと思うのです。そういう点から、利用者本位の情報通信基盤の確立という点では、私、公文先生の「アメリカの情報革命」という、あれは百六十七ページに出ておりましたが、コンピューターのネットワークのネットワークであるこのインターネットを原型として構築する必要があると、きょうもお話を聞きました。  そこで、実は河村理事の方からも質問のあった内容ですが、それを担う情報通信事業者のあり方、こういう問題で、先ほど自立分散型とおっしゃられたのですが、NTTの分割ということで、今お考えの状況はどうか。  それから、齊藤先生には、先ほど経営形態とかあるいは業務モデルということについてはこれからの問題と、ただアメリカの長距離の問題やあるいは市内の分割の問題などお話しいただいたわけでございますが、これは先生が九三年ですか、ちょうど二年ぐらい前に「日経コミュニケーション」という本の中でお書きになっている、いわゆる長距離系の競争というのはないのじゃないか、加入者系の部分、そうすると加入者線というのは一本あれば十分であると、確かにそのとおりなのですが、光ファイバーを運用するのは実質的には独占企業体がやるようになるのじゃないのだろうか、NTTの問題とも絡んで、公団というものはどうだ、こういうことを読んだわけなんですが、その点について、先ほどのお話と絡めてお伺いしたい。  もしそれらの御意見の中で、私のすぐ隣に山口会長もおるものですから、山口会長の御意見があれば。  日本共産党の矢島恒夫でございます。

公文俊平国際大学グローバル・コミュニケーション・センター所長

○公文参考人 矢島先生の御質問でございますが、NTTにつきましては、私先ほどもお答えしたように思うのですけれども、大切なことがコンピューターのネットワークのネットワーク型の新しい情報通信システムをつくることであるとするならば、それがなるべく規制の少ない形で、そして競争的な環境の中でだれでも参加できるような枠組みをまずつくる必要があるだろう。  その意味で、NTTにはとりあえずそういう環境の中に自由に入っていくことを認めてやってもらうことが大事なのではないか。それにこたえられないということであるならば、これはまた別の手が必要になってくるだろう。いずれにせよ、これは電話の問題ではないと思います。  ちなみに、アメリカの地域電話会社はこの点で決定的におくれている、お荷物であるという状態になっているというのは示唆に富んでおると思います。

齊藤忠夫東京大学工学部教授・大型計算機センター長

○齊藤参考人 齊藤でございます。  おっしゃるとおりなところもあるわけでございまして、今後ネットワークの形態をどういうふうにしていくかということでございます。  ネットワークの形態あるいは業務形態ということに関して、大きく分けて垂直分割モデルというのと水平分割モデルというのがあるだろうと思います。  垂直分割モデルというのは、一九八〇年代には市内、市外の垂直分割ということが考えられたわけでございますが、今後、光ファイバー化の多様な利用によって垂直分割の垂直の切れ目というのをどこに置くかということでございます。市内交換機と加入者線の間に一つの分割点を置くというモデルも考えられるということでございまして、それが何年か前に垂直分割モデルの一つとして注目されたこともあるわけでございます。  そういうことをいろいろ考えてみますと、垂直分割モデルということに関しては、アメリカでは現在アンバンドリングという言葉でいろいろ言われているわけでございまして、どこに切れ目を置くかということに関しては、切れ目を置く可能性のある場所ということに関しては、ネットワークのコンポーネントを約十幾つの、少なくとも十程度のコンポーネントに分けて、それをばらばらに利用できるような業務形態が検討されている。それで、その十の部分をそれぞれに組み合わせて、それを一体化してサービスするという別の事業者がもう一つあらわれる。卸売小売モデルということになるのではないかというふうに思います。  「日経コミュニケーション」に何か出ていたという話でございますが、そのとき私がお話ししたのは、そういういろいろなモデルについてお話しして、そのうち一つがわかりやすかったために新 聞記者がお書きになった、そういうことでございまして、それを私が推奨したというわけでは必ずしもないというふうに思います。  もう一つ、水平分割モデルというのがあるわけでございます。  先ほどの今後の経営形態をどうするのかということに関してでございますが、水平分割モデル、垂直分割モデルを総合的に考えながら、最終的にアンテナネットワークが供給でき、かつお客さんにとって自然なネットワークの利用ができる、そういうモデルをやはり日本独自で考えていかなくてはいけないというふうに考えております。

遠藤乙彦新進党

○遠藤(乙)委員 新進党の遠藤乙彦でございます。  素朴な質問になって恐縮なのですが、恐らくきょうの四人の先生方共通する質問だと思います。代表して、では公文先生にお願いしたいと思っております。  公文先生も齊藤先生も新しい産業革命という言葉を使っておられますが、今までの産業革命は、新しい産業技術体系が生まれて、それが爆発的な需要を生んで今日まで産業化を推進をしてきたわけです。また今度情報を基盤とする新しい技術体系が生まれる、それが新しい産業革命を生むというふうに言われているわけですけれども、むしろ需要側の要因を私もう少しお聞きをしたいと思っております。  特に今までの産業革命の場合には、物的な生活水準向上の欲求というものが大変強い要因となって爆発的な需要を生んで、これがリードをしてきたわけですけれども、新しい情報産業革命の場合、何がこの需要側の要因になり得るのかということだと思います。恐らく物的な生活水準向上欲求というものはないだろう、むしろそれにかわる何か新しい、ヒューマンニーズであろうという気がいたしております。  私など個人的に考えておりますのは、むしろ産業化というものが逆にいろいろな社会的なひずみを生んで、むしろ人間の心理として孤立感とか無力感、無意味感みたいなものが非常に強くなってきて、今一億総五月病みたいな状況ではないかと思いますが、それに対応して、例えば心理学で言う自己実現欲求みたいな、こういったものが急速に強くなっている。あるいは社会学的に小集団をつくる要求ですか。  今の産業化が余りにも職場中心主義、過重な労働時間の中で家庭が崩壊し、それから地域社会も崩壊し、職場も今は終身雇用制がなくなりつつあって非常にドライなものになりつつあって、非常に個人として精神不安定、あるいはアイデンティティークライシスが起こっていて、それに対する反動として、まさに自己実現あるいは小集団の要求が出てきて、それをむしろサポートする意味で高度情報化が非常に有効な手段たり得るという点にあるのではないかと思っております。  そういった意味で、公文先生、何か智業という言葉をお使いでございますが、そこの、さらにその背景に何が要因であって今後どうなっていくのか、新しい技術体系に見合う爆発的な需要がマッチするのかどうか、そこら辺につきましてお答えをいただければと思っております。

公文俊平国際大学グローバル・コミュニケーション・センター所長

○公文参考人 まさに遠藤先生のおっしゃるとおり、そういう意味での新しいタイプの需要は今大きく出てきている。自己実現と言ってもよろしいでしょうし、あるいは、これまでの平和、繁栄、ピース・アンド・フロスベリティーに対して、第三の軸として私はプレジャー、楽しみと言っておりますけれども、楽しみを追求したいという気持ちがある。しかし、そういう需要に差し当たり今的確にこたえてくれる存在は、企業というよりはむしろ智業、つまり営利を追求するのではなくて知的な影響力を獲得しようとしている、それからまた、手段というよりも目的との関連でその知識、情報を提供する、こういう集団であると思います。ですから、そっちの方に大きな需要とそして供給の絡み合いが起こってくるだろう。  他方、企業の方で申しますと、産業革命の初期の突破段階にあるということの意味は、生活水準を上げようとか大衆的な需要が牽引力になって動く段階ではないということでございまして、端的に言ったら、新しい技術を使っていいもうけ口はないかと考える、むしろそのビジネスの需要、この方がはるかに大きい力になる。そこがアメリカの場合でもこの一、二年見誤られてきた傾向がある、そういうふうに理解しております。

椎名武雄日本アイ・ビー・エム株式会社会長

○椎名参考人 一言だけ。今先生がおっしゃったことなんですけれども、お布施という善言葉、さっきありましたように、この智業というものが実際にマルチメディアの起爆剤になるかということは、現時点ではちょっと考えられない。やはりビジネスが先行すべきだという先生のお考えのとおりで、もう一言だけ、くどいようですけれども、そのためには行政の非常なおくれというものをまず直していただく、そこでシーズを、種をうんとまいていただくということを最後にお願いします。

自見庄三郎自由民主党・自由連合

○自見委員長 ありがとうございました。  それでは、質疑はまだ尽きないところでございますが、予定の時間が参りましたので、本日の参考人に対する質疑はこの程度で終了することにさせていただきます。  参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十二分散会

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