消費者問題等に関する特別委員会 第5号
- 発言数
- 67 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1995/05/11
会議録
○大石委員長 これより会議を開きます。 物価問題等国民の消費生活に関する件、特に内外価格差問題等について調査を進めます。 本日は、参考人として株式会社大和総研企業調査第二部長武者陵司君、慶應義塾大学経済学部教授佐々波楊子君、椙山女学園大学生活科学部教授武長脩行君、以上三名の方々に御出席をいただいております。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、武者参考人、佐々波参考人、武長参考人の順に、お一人二十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。 なお、念のため申し上げますが、参考人は委員長の許可を得て御発言を願い、また、委員に対しましては質疑ができないこととなっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。 それでは、まず武者参考人にお願いをいたします。
○武者参考人 大和総研の武者でございます。よろしくお願いいたします。 私は、この席をおかりいたしまして、現在日本の経済の非常に重要な問題となっております内外価格差問題とその背景につきまして、簡単に意見を述べさせていただきたいと思います。お手元に配付されております資料に沿いまして御説明をさせていただきます。 まず、日本の経済、日本の現在の状況で、内外価格差がどれほどあるのかということでございます。 二ページ目に、私ども大和総研が一年余り前に調査いたしました内外価格差の一覧表がございます。この調査時点、一ドル百七円のときでございましたが、この時点で、日本の主要商品と米国の主要商品との間にどれほどの価格差があるのかということを調べた結果がこれでございます。 これでごらんいただいておわかりいただけますように、日米の間には非常に大幅な内外の価格差が存在しているということがわかるかと思います。そして、いま一つ大きな特徴は、この内外価格差はそれぞれの品目によって非常に大きなばらつきがあるということでございます。端的に申し上げるならば、内外価格差は特に食品関連の品目、そして石油製品の品目及び公共料金の品目、そして建設関連の品目におきまして特に大きくなっているというところが大きな特徴として指摘できるかと思います。 このような内外価格差は、OECDが計算しております一九九三年のデータによりますと、一ドル百八十八円ぐらいの値段で購買力がバランスするというふうなことになっております。 このような内外価格差がどういった要因によってもたらされたのかということを次に申し上げたいと思います。 三ページ目にございますのは、プラザ合意がございました一九八五年以降の日本の諸物価の推移でございます。 このグラフでおわかりいただけますように、為替は、ドルレートは、当時を一〇〇といたしますと一九九四年には四五の水準まで低下をいたしました。つまり、日本の円の購買力はこれだけ強くなったわけでございますが、それに対しまして日本の国内諸物価の低下はさほどではございません。工業製品の輸入価格は当時と比べまして五八の水準までしか低下しておりませんし、工業製品の卸売物価は八八、つまり、一割余りしか低下をしておりません。消費者物価に至りましては当時よりもさらに上昇しておりまして、一一四ぐらいになっております。 つまり、円高が進行して相対的に日本の円が対外的には強くなっているにもかかわらず、日本の国内の物価が依然として低下をしていないというところに内外価格差発生の大きな原因があると思います。 このような価格差が拡大してまいりました要因としまして、まず三つほど直接的な要因が挙げられるかと思います。 第一は、今申し上げました円高でございます。当然のことながら、円高になりますと直ちに内外の購買力の格差は発生いたします。 そして、第二の要因として指摘できますのは、輸入品の浸透を阻む障壁が日本国内に非常に多い。その結果、値段が安くなって非常に消費者にとっては需要がふえていいはずであるにもかかわらず、この輸入品の浸透がおくれているということでございます。 そして三点目には、このような円高になったとしても、それによって国内の物価が低下しない商品があるということでございます。輸入によって物価が低下する品目は言うまでもなく貿易財でございまして、非貿易財あるいはサービスといったものは、これは輸入が不可能でございます。したがいまして、円高になったとしましても、海外製品の浸透によって国内において物価が低下するというふうなメカニズムが働きにくいということが指摘できるかと思います。 このように、プラザ合意の当時、我が国では、円高になることによって日本の国民の購買力が高まる、そして物価が安くなって、結局日本の国民生活が豊かになるという期待が高まったわけでございますけれども、その後の事情によりまして、そのような期待は今のところまだ実現されていないということが言えるかと思います。 ただし、このような三つの直接要因のさらに背景にある大きな要因を指摘させていただきたいと思います。それは、内外価格差のより根本的な要因としまして、日本の産業の間に非常に大きく異なる生産性の上昇率のギャップがあるということでございます。 四ページ目にございますのは、日本の主要産業、主要品目において物的な労働生産性がどのように上昇してきたのかということを示した表でございます。 まず、製造業全体で見ますと、一九七〇年を一〇〇といたしますと、直近の一九九四年、労働生産性は三・一倍まで高まりました。特にこの製造業の中でも高い生産性の伸びを示しましたのは精密機械であるとかあるいは電機でございまして、七倍、八倍の生産性を見せております。このような製造業の中で相対的に生産性が低かったのは、石油製品及び繊維、食料品・たばこ関係でございまして、いずれも一倍台の上昇率にとどまっております。 さらに、サービス分野を見てまいりますと、電力、建設あるいは農林水産業の主要品目における生産性というのは一倍ないしはあっても二倍強ということで、これも生産性の伸び率が非常に低い水準にとどまっております。 このように生産性の低い品目をざっとごらんいただきますと、これがまさしく冒頭に私が申し上げました、内外価格差で日本が異常によその国に比べて高い商品と一致するということがおわかりいただけるかと思います。 冒頭に、食品、石油製品、それから公共料金関連及び建設という内外価格差の特に大きな品目を申し上げましたが、これらはいずれも労働生産性の伸び率が非常に低い産業になっているという一致がございます。つまり、労働生産性の低い産業におきましては、なかなか生産性が上がりませんので物価が下がらない。むしろ公共料金であるとかあるいは米であるとか、一部の物価はどんどん上昇してまいっているわけでございます。このように物価が上昇しておりますので、円が幾ら強くなっても日本の国内の購買力は上昇しないということになって、これが内外価格差上昇に結びついているということでございます。 そもそも日本の円高の大きな原因は、日本の輸出産業の生産性の伸び率が非常に高いということからもたらされているというふうに考えてよろしいかと思います。その結果、大幅な黒字がたまり、そしてその黒字が日本の円高圧力となっております。つまり、日本の円高は、あらゆる産業の生産性の平均の水準に基づいて形成された円高ということではなくて、日本の輸出商品の生産性の高い上昇率に合った形で円高が進行してきたわけでございます。 ところが、今申し上げましたような非貿易財あるいはサービス関係という非常に生産性の伸び率の低いセクターが一方ではございまして、こちらの方の物価は下がらない。この結果、円高が進行するとともに内外価格差が拡大の一途をたどってしまったということになったのではなかろうかというふうに考えることができます。 このように、かなり大きく拡大しております内外価格差が今後日本の経済にどのような影響を与えるのか、三つほどの問題点が指摘できようかと思います。 まず第一の問題は、やはりこれだけ円が強くなっても日本の消費者の生活水準は一向に高まらない、国内の物価が下がらずに実質の生活水準が上がらないということが指摘できるかと思います。これは消費者にとっての問題でございます。 しかしながら、二点目の問題といたしまして、生産者にとってもこの内外価格差の拡大というのは非常に深刻な問題をもたらすということを指摘させていただきたいと思います。 内外価格差が拡大するということは、言葉をかえて言えば、日本の生産者が日本の国内で支払うコストがなかなか下がらない、あるいは相対的に諸外国と比べて高くなっていってしまうということを意味しております。その結果、日本の産業の競争力に大きく影響を与えるのは必至でございます。そして、これが進行いたしますと、日本の製造業は製造拠点を国内から海外にシフトさせるという、いわゆる空洞化の問題に結びついてまいります。 これは日本の生産者にとっての深刻な問題でございますが、しかし、これがさらに高じますと、やがてはこの空洞化の結果、国内において深刻な雇用問題に結びついてくるということが考えられます。その場合には、やがては生産者の問題が消費者の家計の所得の問題というふうになってはね返ってくることも考えられるかと思います。 そして、三点目のこの内外価格差の問題として指摘させていただきたいのは、このような内外価格差の進行に伴って、日本の産業構造が非常に望ましくない形に展開し始めていきそうだということでございます。言葉をかえて言いますと、非常に生産性の低い産業が保護され、比較的温存され、そして生産性を高めてきて国際競争力を上げてきた産業が非常に強い打撃を受ける。その結果、日本全体として産業構造が弱い方の産業をプロテクトするような形にシフトしてしまうということでございます。 六ページ目の上にございます資料六をごらんいただきたいと思います。これはプラザ合意直前の一九八四年度と、そして直近の一九九三年度のこの九年間に、主要産業において売上高に対する付加価値率の割合がどのように変化をしたかという表でございます。この産業の売上高付加価値率は、それぞれの産業が一体どれほど利益を得やすい、もうけやすい環境にあるかということを示したものと考えていただいてよろしいかと思います。この九年間の変化を比較いたしますと、非常に大きなコントラストが浮かび上がってまいります。 まず第一に、食品産業あるいは石油産業、電力・ガス産業といった全体として内需型の産業、そして生産性が余り高くなかった産業、こういった産業間におきまして、八四年から九三年の間に、売上高に対する付加価値の割合がかなりはっきりと上昇しております。ところが、これとは反しまして、電機産業あるいは自動車産業、機械産業といった相対的に生産性の高い、そして競争力の高いと言われていた産業群における売上高に対する付加価値率は、逆に大きく低下をしております。 つまり、円高が進行し、そして内外価格差が拡大していった局面におきまして、日本の産業間における所得の配分は、低生産性セクターが優遇され、生産性の高いセクターがかなり厳しい環境に立ち置かれたということが言えるかと思います。 そして、そのようなことの一つの結果として、例えば日本の半導体産業に見られますように、本来日本が相当な生産性を有し、高い競争力を持っていたと思われていたような産業におきまして、企業収益が著しく落ち込みまして、その結果、設備投資に支障が出てまいりまして、そして国際競争力を低下させてしまったというふうな例が出始めております。これは一つのやや極端な例でございますけれども、いずれにしましても、内外価格差がこのような形で定着したといたしますと、日本の産業構造は非常に大きなゆがみを受けざるを得ないというふうに思います。 六ページ目の一番下にございます資料七、これは、一九九〇年を一〇〇としたところの主要産業における生産性指数の推移でございます。 戦後の日本の経済発展は、一言で言いますと、より生産性の高いリーディングインダストリーが非常に大きくその規模を拡大させ、国民経済の中においてウエートを高めることによって、日本の経済をリードしてきたというふうに言ってよろしいかと思います。かつては繊維だとか食品だとか、あるいは化学がございました。そして、少し前まで自動車だとか機械あるいは電機がございました。ところが、このような日本の高い生産性を持っている産業群、これが一九八〇年代の後半以降、ほとんど成長することがなくなってしまったという状況がございます。 そして、今申し上げましたような成長産業の喪失というものと、先ほど申し上げました産業間における付加価値配分のゆがみというものとは非常に大きな関連があると私どもは考えております。このように、日本の産業構造が大きくゆがむというふうなことになってまいりますと、これは日本の経済の長期的な潜在成長率に大きな影響を及ぼすものと考えられます。 このように考えてまいりますと、やはり内外価格差問題というのは、決して放置することができない非常に深刻な日本の国民経済にとっての問題であるということが言えようかと思います。 最後に、このような内外価格差問題を解消するに当たりましてどのような処方せんが考えられるかという点につきまして、三点ほど指摘をさせていただきたいと思います。 まず第一の最も重要なポイントは、何といっても、日本の国内におきまして産業の非常にシビアな競争的環境をつくり、市場メカニズムを再構築し、それによって日本の国内産業の生産性を大きく引き上げるということでございます。それは、貿易財にとどまらず、非貿易財あるいはサービス産業においても非常に重要なことではなかろうかと思います。 そのためには、規制の緩和であるとかあるいは日本に特徴的な競争を制限するような商慣行を撤廃していくこと、あるいは情報をより公開いたしまして、消費者が賢明な消費行動を行えるような条件をつくることが必要ではなかろうかと思います。 そして、二点目に指摘されます処方せんは、やはりこのような内外価格差は異常な円高によってもたらされたという側面が強いわけでございます。この円高を何とか食いとめるというのが二点目に求められる処方せんではなかろうかと思います。 そのためには、この異常な大幅な黒字の原因となっております内需の弱さというのを改めて、内需を刺激していく、そして日本の黒字を減らしていくということが必要であります。それから、それとともに、一方方向の日本の黒字をそのまま日本の国内にため込むのではなしに、この黒字が資本流出、日本からの海外投資となって世界に還流するルートの確立というのが必要であります。現在の円高は、そのような資本の対外還流がうまくいっていないところに大きな原因があるわけでございますので、こちらの面からも円高阻止の諸策が必要ではなかろうかと思います。 そして、三点目に指摘させていただきたいことは、やはり最終的には日本の国境をより低くして、そして海外から非常に安くて品質のいい経済資源が自由に入ってこれるような環境をつくるということでございます。 例えば、食料に関しましては、食料自給策を維持するということは不可能になってくるかもしれません。あるいは労働力に関しましても、これは議論のあるところだとは思いますけれども、内外価格差を縮小するためには、やはり非常に安い海外の労働力の流入ということは非常に有効な諸策でございます。それからまた、さまざまな形での外資の参入の規制がございます。こういったことを撤廃あるいは改善することによりまして、内外価格差の縮小という方向が期待できるのではなかろうかというふうに思います。 私の意見陳述は以上で終わらせていただきます。
○大石委員長 どうもありがとうございました。 次に、佐々波参考人にお願いいたします。
○佐々波参考人 慶應大学の佐々波でございます。 ただいま武者参考人の方からお話がございましたことになるべく重複しないようにしながら、新しい観点というものを私なりにつけ加えたいというふうに思います。 まず、参考資料としてお配りしましたところは、既に武者参考人より御指摘がありましたように、日本の東京とニューヨーク、ロンドン、パリというような国々の都市と比べての内外価格差というものが非常に大きくて、既にお話のありましたように、食料品、被服といったものも大きいけれども、エネルギーでありますとか、保健、教育、家賃というような、経済学でいいまず非貿易財と称する貿易が行われないような財、もしくは行われにくい財について大きいということは、既に御指摘のとおりでございます。 ここで二つに問題を分けまして、貿易財という方は輸入ということが可能ですので、元来、もし自由に取引ができるとすれば、今回の円高というものによってさらに開いているような内外価格差というものを縮小する方に輸入が行われるはずである。もしそれが行われないとすれば、まず関税率というようなものが非常に低くなっておりますので、商慣行なり規制なり、何か理由があるはずだというのが一つの推論になるかというふうに思います。 ここで問題になってきますのは、この非貿易財と称する例えば教育でありますとか家賃、家賃の高さというのは、東京が高いからといってニューヨークにすぐ引っ越すわけにもいきませんので、元来、貿易財の話と非貿易財の話というものは、ちょっと分けて考えなければいけないのじゃないか。 ところが、企業の行き来にしましても、先ほどの話にもありましたように、今企業というのは、勝手にと言うと変ですけれども、日本を離れて、より労賃の安い中国でありますとかインドといったところに移動してもいいし、ニューヨーク、ロンドンにいたしましても、断然嫌だ、東京は高過ぎるから嫌だということですと、移住も可能なような時代になっております。そうしたときに、こういう非貿易財の内外価格差というものは、そのように放置しておいていいのかというのが、今日のように国境を越えて企業なり人なりというものが動いていったときに考えなければいけない問題じゃないかというふうに思います。 一つは、こういった非常に内外価格差の大きいものと小さいものというものがあったときに、まず貿易財のところで申しますと、食料品とか耐久財、被服というのは、相対的に消費者の中でもエンゲル係数の高い、いわゆる消費支出の比重の大きい人々の支出項目の大きいところですので、ここのところが高いということは、それだけ消費者の中でも弱い人たちというんですか所得水準の低い人たちがこの内外価格差の大きいところの影響を最も強く受けているんだ。 したがって、もし内外価格差の解消ということが今問題になっております内需の拡大ということに役立つとすれば、こういった品目が高いということこそ問題なんだということが一つです。いわゆる景気の拡大というものをもし内外価格差というものが非常に大きく妨げているとすれば、この内外価格差の大きさが大きいのが、いわゆる所得水準の低い人たちがより多く消費しているような品目について大きいということこそ問題なんじゃないかというふうに思います。 二つ目は、この内外価格差が大きいというのは日本人だけが感じていることではありませんで、海外から入ってきます留学生がこの円高で最も大きな影響を受けておりまして、どうしてこんなに高いんだ、コーヒー一杯四百円とか七百円とかするのは考えられないじゃないかというようなことをすぐ申します。 ということは、今度できましたWTO、世界貿易機関におきましても、日本がリーダーシップをとらなければならないというような議論が非常に多く出ておりますけれども、リーダーシップをとるんですと、大体なぜこんなに高いんだということに対する明快な回答というものが準備されなければいけないんじゃないかというふうに思っております。殊に、との食料品、衣服といったような品目について輸入品が入ってきにくいとすれば、非常に大きな問題であるというふうに思っております。 三点目は、既に武者参考人からも御指摘になりました、こういった大きな内外価格差というのは、即、日本の企業にとりましても、より高い賃金を払わなければいけないということになるわけです。これは、日本の企業が外で生産をしてしまうということが一つ。 それから、こういった非常に内外価格差の大きい非貿易財産業というのを国内に抱えていますと、競争せざるを得ないような産業、先ほど武者参考人の方から、生産性の高い産業というのは日本の競争力のある産業で、むしろ非貿易財産業の方が生産性が低いというようなお話がありましたけれども、生産性が低いということは必ずしももうからないということではないわけで、いわゆる規制に守られて、そこに超過利潤が発生しているのかもしれない。ということは、競争にさらされて利潤のところを押しつぶされている産業と超過利潤のあるところといいますと、人間はどうしても怠惰なものですから、超過利潤のところに参入していくんだ。 そうしますと、そういった資源配分上のロスというもの、資源配分上のロスといいますと、非常に経済学というのは業界用語がありまして、易しく言うのは難しいのですけれども、もうかるところに人間がいっぱい入ってくるということは、生産性の低いところに企業が集まってしまう。国全体としては生産性を低めてしまうというふうに言い直したらいいかと思うのですけれども、そういうことが発生してしまう。 これは日本経済の将来にとりまして非常にゆゆしき問題だというふうに思いますのは、日本の経済がこれまで高い成長率を維持してきました背後には、いわゆる研究開発というものが非常に重要であった。人間も企業もすべて生き物だとしますと、怠惰なものですから、黙っていて利潤が発生しているのに研究開発を一生懸命やるということは余り考えられない。 事実、日本の研究開発というものは、先ほど生産性の高い産業ということで武者参考人の方から幾つかの産業の御指摘がありましたけれども、ああいった産業がリーダーとなって研究開発を行ってきたわけです。そういった産業というものが、内外価格差が大きいために、国内にいなくて外に出ていってしまう、もしくは設備投資を元来日本でする分を外国でする。 なおゆゆしいことは、日本の研究開発というものの一つの特徴として、非常に生産現場密着型でこれまで行ってきたという経緯がございますので、外に生産現場が出ていってしまうということは、これまで日本の産業の活力の原因であった研究開発が長期的に外に出ていってしまうというようなマイナスの面というのがあるかと思います。 それからもう一つ、今日本の企業のお話ばかりしたんですけれども、日本の企業が外に出ていったときに、一体だれが入ってくるのかということだと思います。 ここのところアメリカ経済の再建、それからリストラクチャリングの成功というお話が新聞紙上に非常に多く出ておりますけれども、その一つの原因として、いわゆるアメリカヘの投資、もっと平たく言ってしまえば、日本の自動車産業というのが盛んに出ていって、そこでの生産技術、経営技術というものを一生懸命、一生懸命といいますか学んだんだ、それを取り入れたんだ、それがアメリカの自動車、半導体もそうですけれども、いろいろな産業のリストラクチャーにつながったんだというお話が非常にたびたび出ていると思います。 翻って、日本経済というものの成長率がここ数年非常に停滞している。日本の対外直接投資と対内直接投資、これに非常に大きな非対称性があるというのは既に御承知のとおりで、年によってかなりぶれるんですけれども、大体一対十ぐらい。そうしますと、もし日本経済というものが今後、より外国からもすぐれた経営技術を持っているような企業というものが参入してきてほしいんだということになりますと、これだけ賃金も高く、生産コストの高い国に入ってくるという企業は、よほどすばらしいものを持っている企業以外は入れないということなんではないかというふうに思います。 より具体的に言いますと、ソフトウエアなんかも、非常に向こうの方が競争力があるんだというようなことを言うんですけれども、そういった外資というものの活用を今後考えていかなければいけないんじゃないかというふうに思います。 最後に、じゃ、その処方せんとして、この内外価格差の縮小というのは、今原因として申し上げましたことをなくせばよろしいわけですから、なくすことと同時に、なくすというのは、こちらは政治家の先生方で、釈迦に説法になって申しわけないんですけれども、そういうリストラをやったときに伴う痛みと申しますか、いわゆる総論賛成でなく、各論の方をぜひしっかりしていただきたいというようなことで、一選挙民といたしましての願いを込めまして、処方せんのお話というのをしたいと思います。 まず、貿易財の方からいきますと、貿易財の方は、目に見えての障壁、関税障壁というのは下がっております。関税障壁がない場合に一体何が残っているのか。私ども、内外価格差を使ってのいわゆる貿易保護のコス十分析というのを十二月にいたしました。それは貿易財だけについてやったんですけれども、四十七品目ばかり非常に内外価格差の大きい品目について調べましたところ、一番多くの品目が挙がってくるのは、当然のことといいますと変なんですけれども、食料品、飲料でございます。これは、国家貿易品目でありますとか、高関税、価格安定化政策、それからお酒の方では酒税法というようなものが指摘できると思います。 それから次がいわゆる衣料、軽工業部門でして、これらについては非常に輸入の増加はあるんですけれども、依然として若干問題がある。次がエネルギー関連でして、これは政府規制がかかっている品目が多いですし、それから薬事法関連といった品目、いわゆる化学薬品の分野というのにかなり内外価格差の大きいものが挙がってきているようでございます。 ここでは、すべてこういった規制というのはそれなりの国民生活の必要性から出てきているもので、すべて外せというようなことは言っているわけではなくて、どれが一番どうしても必要なものかというのをこの際論議していって、余り必要ではなくて何となく残っているものというのは、この際洗い直すべきではないかというふうに考えております。 それから、非貿易財と称します、先ほどの建設とかかわりますけれども家賃でありますとか教育、運輸・通信というような分野、こちらの方は、輸入よりもむしろ取引慣行、それから競争政策といいますかいわゆる企業間の話し合い、談合体質というようなものを除去していただく。競争が盛んになるということは、みんなが一生懸命やるということの裏返しでもありますので、いわゆる技術革新というようなことが盛んになります。 最後は、この競争ということは、かつてですと国内の企業だけの競争だったわけですけれども、今のグローバルエコノミーというものの特徴は、人も動けば企業も動くんだ、グローバルエコノミーの中で日本だけが違ったルールではできないのだというのが今度のWTOの非常に基本だと思います。 この競争政策を国内の非貿易財部門についても行うということは、外資が入ってきやすくして、いわゆる金融の話も出てまいりますけれども、金融サービス、運輸・通信サービス、通信などは今最も技術革新の盛んな分野なんですけれども、こういったところに外資が入ってきて、いわゆるグローバルコンペティションといいますか、グローバルな競争条件の中で日本の産業の競争力を高めていくということが、ひいては内外価格差の縮小になるわけであります。 ここで余り消費者のお話をしなくて、内外価格差で時間が切れてしまいましたということは、いわゆる今日の内外価格差問題というのは単に消費者の話ではなくて、消費者をひっくるめての日本経済全体のお話だというふうに理解していただければいいんではないかというふうに思っております。 以上でございます。
○大石委員長 ありがとうございました。 次に、武長参考人にお願いいたします。
○武長参考人 ただいま御紹介にあずかりました椙山女学園大学の武長です。 私は、消費者の立場からこの問題についてアプローチしろということの御要望がありましたので、なるべくそういう方に沿っていきたいと思います。前のお二人の、武者参考人、それから佐々波参考人のデータを借用しながら話を進めたいと思います。また、手元には私の簡単なメモがありますけれども、そのとおりになるかわかりません。一部データをつけ加えたりいたしたいと思います。 最初に、生活者と消費者ということでちょっと一言言わせていただきたいのです。宮澤内閣の「生活大国五か年計画」以来、生活者というコンセプトが大分言われてきましたけれども、消費者と言った場合と、普通企業の場合は生産者になるわけですけれども、この場合、私たちが消費者だという狭い概念でいいかということをちょっとここで一言言いたいんですね。 企業に雇用されているある一人の人が一日二十四時間生活している場合、昼間が雇用者で、雇用されていて生産者の側に立っている、それでアフターファイブでは消費者に変わるというものではなくして、一人の人間が二十四時間、自己の価値観に基づいて生産の場に、仕事の場にいますし、また消費にも参加し、時間あるいは所得を自分の価値観に基づいて配分する、そういう生活をしているんじゃないか。ですから、生活者という概念はいろいろ人によって定義が違うわけですけれども、一応私はそういうふうに仮に定義させていただきたい。 といたしますと、例えば今回、一連の内外価格差問題で先ほどからお話がありましたように、いわゆる貿易財を扱っている輸入中心の企業にいます労働者の場合は当然恩恵をこうむりますし、輸出型は非常に影響を受ける。そうしますと、それが消費者の立場になってただ内外価格差が是正すればいいと思うと、一人の個人として矛盾するところがあるのですね。 しかし、その矛盾があって当然なわけでして、そこを我々の方が、単なる消費者に全部還元すればいいというわけでもないし、一方で日本の空洞化を避けるべきだというだけでは分裂してしまいますので、個人はやはり一人の生活者としてトータルで考えるべきではないか。矛盾は当然中に含まれているということをまず指摘した上で、消費者はあくまで生活者に含まれているというふうに思いたいのですね。 しかし、この生活者というのは実は日本的な概念でして、これを英語で訳す言葉がなくて、私なんかもあるところで訳したときは、どうしてもコンシューマーにぐっと引きつけたわけですけれども、そういう面で、どちらかといえば消費者に近いというふうに一応ここでは仮にとっておきます。 ということで、まず前提といたしまして、内外価格差の現状ですけれども、消費者の側から見ますと、消費者は既に相当内外価格差があることはよく知ってきているというわけですね、もちろん知っていない消費者もいますけれども。 ちなみに、今、年間千二百万人、海外に旅行あるいは長期・短期滞在者が出ていまして、少なくとも欧米あるいは発展途上国を中心に日本の価格が、物価がいかに高いかということを実感として知っているというわけですね。ちなみに、不景気だといいながら、ことしのゴールデンウイークは史上最高に近い海外旅行者と言われているぐらいですから、ともかく円高についての例に絞りますと、やはり皆さん非常に事実を知っている。 ちなみに、先ほどからの例で少し内外価格差のデータを御紹介いたしますと、日経の研究所の調査によりますと、欧米に比べて日本の価格はどういうものが高いと思うかのベストスリーは、住宅、ガソリン、家賃、その次が生鮮食料品。これはまず世代によって違いまして、若い世代は家賃が高いと思うし、高齢者世代は生鮮食料品が高いというふうに言っております。これは後にまた世代ごとの消費者行動をお話しいたします。 それから、通産省の外郭団体の国際価格構造研究所の報告書によりますと、日本の公共料金は二十項目調べたら十三項目アメリカより上回る。特に長距離電話、郵便、高速道路、家庭用ガス、水道、タクシー、米はアメリカの二倍以上であるというわけですね。 また、この公共料金の問題、これは去年あたりから大分上がってきているわけですけれども、日本総合研究所の試算によりますと、この間の公共料金の値上げは家計に対して一兆七千九百億円の負担になるというわけですね。たとえ二兆円減税をしたとしても、実はほとんど今回の公共料金の値上げでそれが飛んでいってしまうというような試算が出ております。 先ほどから佐々波参考人及び武者参考人のデータをおかりしてわかりますように、内外価格差というのは、過去においては高級輸入品あるいは高級ブランド品なんかについてどうも象徴的に高いというイメージで、我々はどうしても買いあさりなんということをやっていたわけですけれども、ここ近年において、特に平成不況の中で、食料品、石油、ガスなどのエネルギー、電話のような公共料金、あるいは教育費等のような我々の生活に一番基本的なものが、欧米、まあ欧米にもいろいろありまして、特にアメリカあるいはオーストラリア等なんかと比較いたしますと、どうも日本は相当高いのではないかということを皆さんもうわかってきている。 これの原因については、先ほど武者参考人がおっしゃっていますから、またここで繰り返しませんけれども、つまり私たちの、消費者の一番基本的な財、どうしても消費あるいは支出せざるを得ない財、これが非常に高い。これは大体固定的な部分ですから、どうしても支出せざるを得ないというわけですね。 ちなみに、食料費に関する例のエンゲル係数は、今大体二〇から二二%ぐらいです。これは従来に比べて大分低いというふうに見る見方もありますけれども、逆に言えば、二〇%は固定的であるというふうにとらえると、やはり相当の負担ではないかというふうに思います。 それで、先ほどからの貿易財、非貿易財の関係でいきまして、貿易財について例えば消費者物価にどれだけ反映されているかというと、経済白書の試算によりますと、輸入物価が一〇%下落した場合、約一年後に〇・七%の消費者物価の下落を生じるという試算が出ております。実は、輸入物価の下落は消費者物価にはほとんど反映されていないというのが今の現状。 これは平成六年版の経済白書ですけれども、これについての消費者物価については、実は消費者物価指数の調査法が問題になっておりまして、小売物価調査でディスカウントストアなんかまだ含まれていないということですね。そういうことなので、実際はもっと下がっているということも言われていますけれども、一応公的にはそういう試算が出ております。 というわけで、ともかく円高差益を例にとりますと還元が十分されていない。当然流通機構の問題等がありますね。それから、さまざまな規制緩和の障壁、規制緩和されていないということがありますけれども、これは皆さん既におっしゃったことなので、繰り返しいたしません。 では次に、そういうことで、実は消費者と言いましたけれども、もう少し消費者をミクロに見たいと思っております。 消費者というのは、日本の人口一億二千万いますけれども、一様な塊ではないというふうにとらえるべきではないか。ちょっと消費社会学的な発想になりますけれども、例えば世代による違いを見てみたいと思います。 最近の四月十三日、日経流通がやった円高緊急消費者調査をおかりしますと、今回の急激な円高の恩恵はどうかといいますと、若年層はやはり肯定的なのですね。二十代では五五%が、海外旅行なんか行けますし、これは我々にとって得する。損が二五%。全体では得が三七%、損が三六%で拮抗しているわけですね。 それが四十代以上になりますと、損が得を上回る。全然我々の方に還元されないし、雇用不安も生じさせるかもわからないので損じゃないかというような発想をしております。当然、四十代、五十代は、ライフステージから考えて、住宅ローンもあり教育費の負担もありますので、それどころではないというわけですね。そういうデータがあります。ですから、これは消費者心理の方ですけれども、世代によってどうも受けとめ方が違っている、こういうことが一つ確認されるのではないかと思います。 それから、さらにもう少しいろいろ消費者の中身を見てみますと、現在の中で住宅ローンのあり世帯となし世帯を比べますと、かつては住宅を持つことが、不動産あるいはそういうものの価格が上昇するということでそのまま含み資産的な形を持っていましたけれども、近年の不動産価格の下落等で、実はむしろマイナスですね。バブルのときに買った不動産は、ステップ償還等をして五年くらい猶予されていたのが、実は五年後になって急激にふえるというわけですね。住宅ローンあり世帯は、なし世帯に比べてローンの支出は大体七万円くらい支出していますから、その分だけいわゆる普通の消費に回らないという統計が出ております。ですから、それだけ抑制されるわけです。 それからまた一方で、家計の借入金の負担も増大していまして、平成五年で平均九百四十六万円というわけで、年々これは増大しております。 一方、賃金は必ずしも上がっていませんし、ボーナス等あるいは残業代等のそういう変動的な所得はむしろ減っている。企業によってばらつきがありますけれども、そういうことが言えます。 それからさらに、六十代以上の高齢者層を見てみますと、高齢者層というのはいろいろ言われていまして、お金を持っている高齢者も結構いるんだよと言われていますけれども、現在の高齢者の方々の消費行動は、戦後の復興期を経ていますので、合理的あるいはどちらかといえば割合倹約型の消費行動をとっています。ですから、所得を十分持っている、あるいは資産を持っていても、どちらかといえば抑制するというふうに言えるのではないでしょうか。 ちなみに、高齢者においてもいろいろ二極分化が当然あるのですけれども、例えば家計の金融資産の保有を見てみますと、一世帯当たり平成六年度で平均千三百万円、日本人は貯蓄をしているというわけですね。これは実は統計の詐術で、百人の中の真ん中の中央値をとりますと七百五十万円なので、平均千三百万円でも、いわゆる三千万以上の割合と高い所得層と低い層に分極化している。分極化というか、むしろ低い層が普通、平均に近いだろう。しかし、高い層は明らかに存在しているわけですね。 本当はこういう方々がどんどん消費のリーディングセッターになってほしいわけですけれども、どうもなりにくい。特に高齢者の中にそういう方が結構おられると思うのですけれども、これがなりにくい。 それからまた、高齢者の場合でも、近年預貯金の利率の低下が大分急激に進んでおりますので、預貯金の利息等である程度生活をしていこうと思っている方にとっては、それを抑える方向で消費を抑制させるというわけですね。やはり消費者マーケットというのはこれから二〇〇〇年にかけて二〇%を超えますから、これに対する対策はすごく重要じゃないかと思っております。 それから、ちょっと繰り返しになる部分もありますけれども、世代から少し離れまして、消費をリードする高所得層、資産を保有している層を見てみますと、御存じのように、かつてというかバブルのときにおいては、不動産あるいは株等の金融資産がどんどん上昇しまして、いわゆる資産効果が非常に機能していたわけですね。それが近年の平成不況によって逆資産効果、つまり、不動産を持っていても実は自分の買ったときよりも下がっている場合もあるし、下がっていないにしても上がっていない。さらにはこれからも上がる気配はないのではないか、そういう消費者マインドが働いているわけですね。 それから、例のバブルの時期にいろいろ買った一連のワンルームマンション等のようなああいう資産運用の不動産が実は重荷になっていて、中から上の所得層についてもその辺のローンによって動けない層も結構いるわけです。 それで、三月の一番直近の経済企画庁の調査をちょっと援用しますと、保有資産の価値が今後どう動くかといいますと、やはり目減りすると予想して、弱気な態度がまだ見えているわけですね。つまり、これは日本の経済に対する一つの悲観的な見方が反映しているわけですけれども、そうすると、こういう高所得層あるいは資産を有している層が、将来に対してまだ楽観的あるいは消費拡大型になろうという気が起きないというわけですね。 貯蓄率は非常に高いわけです。貯蓄率は高いし、かつ貯蓄額も非常に多いわけです。例えば一九八六年ぐらいでも既に日本の貯蓄額は恐らく相当の額にいっているわけですけれども、そのときの円が例えば百五十円として今八十五円としても、ドルでいえば実は二倍の貯蓄額を持っているわけですね。それを消費者の方は使おうとしないというあたりが、逆に海外から見ると、アメリカなんかから見ると非常に奇妙に見えるのかもわかりません。 というわけで、ここではやはり消費者は各世代ごと、本当を言うともっと個別にさまざまなライフスタイルを有している方々がおられるわけですけれども、一応少し簡単に整理しますと、世代ごとによって消費者行動が違う、あるいは所得階層ごとによって違う、あるいは資産のありなしによって違う、それから住宅ローンのありなしによってまた違う、さらには将来に対する期待の持ち方によって違ってくるということも言えるのじゃないかと思います。 それから次に、消費者の態度というのですか消費者行動。消費者の側にもいろいろ問題があるのではないかと先ほどからの御指摘もありましたけれども、日本の消費者ということを一般的に私が言うのはちょっとあれですけれども、例えばバブル期を例にとりますと、非常にブランド志向があって、現在それが崩れているかというと、一部はまだ崩れていない。人間はどうしても過去の最高所得のときのイメージが残りますので、そのイメージの生活構造を維持しようといたしますから、どうしてもそれは構造的にすぐ簡単に崩れない。 しかし、逆に今度それが崩れて、そういう生活態度からぐっと倹約型あるいは消費抑制型の構造になりますと、むしろ消費に対してどちらかといえばペシミスティックになるというわけですね。それが一つあると思います。ですから、今そういう時期に入っているので、いろいろな形の刺激をされたとしても、なかなか消費者が動かないことが一つあると思います。 それからもう一つ、先ほどから繰り返して言われていますけれども、消費者の情報選択の目がまだ弱いのではないか。これは何も輸入品だけではなく、非貿易財なりさまざまなサービス、例えば典型的な医療だとかそういうようなもの、あるいはハイテク商品なんかのようなものについては、消費者側が必ずしもその物のクオリティーだとか価格を十分に判断する力がない。ないというか、弱いというわけですね。 それから、それを供給する側の生産者あるいは企業等が十分に情報開示をしていない。PL法がいよいよ七月から施行されますけれども、情報開示が弱い。企業側の方の問題もあります。それから、当然行政側がそれに対して十分な指導と、さまざまな中立的情報をどんどん開示するということも必要ではないでしょうか。それから、消費者自身がもっと勉強いたしまして、批判的な力をつけることが当然重要になってくると思います。 それからさらに、先ほどから繰り返して言いますように、消費者心理がいろいろ大きく影響を与えまして、先行きに対する楽観的な期待というものを一たび持たなくなると、それがむしろ拍車をかけてそっちへどんどん行ってしまうのではないか。ですから、低価格をどんどんしたからといって必ずしも消費者が買うかどうかということは、また一万別の問題ではないかと思います。 以上を、繰り返しになりますけれども、ちょっとまとめたいと思います。 まず第一に、生活者視点ということで、生活者ということは、実は雇用されている人間であると同時に消費者でもあるということですね。ですから、非常にある面で矛盾する存在の中で消費行動をしているということです。さまざまな産業分野において実はさまざまな働いている人がおられますから、そういうところから出られた消費者行動ですので、一元的な消費者というイメージは実はつくるべきではないのではないか。 しかし一方で、消費者全員に共通する生活基本財あるいはサービスに関して、それが価格が下落することは全員にとってやはりプラスではないかというわけですね。その場合、先ほどからも指摘されますように、一部雇用調整が当然行われるわけです。その場合、雇用調整である産業部門に痛みが伴う。それに対しては規制緩和等を通じて新しい雇用の場をつくり出す、あるいは従来の生産部門の生産性をアップさせるというようなことが当然要求されるわけです。 それから、消費者像をもう少し細かく見て、多様な消費者に応じた政策を政治側は出すべきではないか。消費者一般では今回の内外価格差問題は必ずしも十分に効果を上げないのではないか。割合前途に楽観的な若年層と、四十代、五十代のさまざまな教育あるいは住宅等についての負担がかかる層とは大分消費者行動に違いがあるのではないか。ですから、四十代、五十代の中所得層に対する減税政策、そういうことを非常に要求されると思います。 さらに、これから新しい世代がどんどん出てくるわけですけれども、このような過去十年間の大きな変動の中で、実は消費者教育ということがすごく重要になってくると思います、私も教育の場面におりますので。この場合の消費者教育というのは、実は悪徳商法にだまされるとかそういうことよりも、むしろ経済教育ですね。経済のそういう大きな流れを把握でき、かつ日本というものを国際化の中で、あるいは情報化の中でとらえる力をつけるような教育をすべきじゃないか。これはどうしても中長期的な課題ですので、すぐには効果があらわれるとは思いません。 ということでまとめますと、今の日本社会は、実は生産者主導から大きく生活者主導へのシステム転換の転換期ではないかというわけですね。転換期ですから当然さまざまな混乱が生じているわけですけれども、それに対して政治あるいは政府、企業も含めて、消費者にある種のいい意味での明るい期待というもののイメージを提示しない限りは、消費者自身が幾ら所得を持っていても資産を持っていても、消費は抑制がちになるのではないかということです。 以上です。
○大石委員長 ありがとうございました。 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。 —————————————
○大石委員長 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤剛男君。
○佐藤(剛)委員 本日は先生方お忙しい中御出席賜りまして、そしてまた有益なお話をただいま聞かせていただきまして、ありがとうございます。種々教えていただく点があったわけでありまして、感謝申し上げさせていただきます。 私、三人の先生それぞれに焦点を合わせながらお話しするのがいいのじゃないかとは思うのですけれども、皆同じ問題についていろいろな切り口でお話しされておりますので、私も私なりの切り口で内外価格差問題というのをお話しさせていただきたい。 最初に、佐々波先生からお話しされました言葉の中で、私がアンダーラインいたしました点が一つあるのです。その一つは、生産性が低いところはもうからないわけではないので、そこに参入する人たちがいる、それは非常に重要な点じゃないか。それから、日本の企業が外に出ていってしまった後だれが出てくるのか、私はそれを非常に心配しているのです。 アメリカの場合に、産業空洞化ということで、アメリカの海外生産比率というのは四分の一を超えてしまった。日本は七%、八%ぐらいだ。しかし、急激な円高の影響で産業空洞化が来る。東南アジアに行く、中国に行く、ベトナムに行く、インドに行く。アメリカの場合には日本が行ったのですね、自動車なりテレビにしましても。ところが、日本の企業が行ってしまったときに、では韓国の企業が来てくれるのか、あるいは台湾の企業が来てくれるのか、中国の企業が来てくれるのかというと、これはクエスチョンなのですね。その問題を私は一つアンダーラインさせていただきたい。アンダーラインという意味は、非常に感銘を受けたという意味でございますし、私も共感をいたしますということでございます。 それから、そういう点で先生がおっしゃられていたのは、企業自身が長期的に研究開発をしなくなってくる。いわば投資を、国内投資志向じゃなくて、もうすごい高コスト経済になってしまったので低コストのところへ行ってしまうとか、そういう反響、さらに言いますと失業問題、こういう問題は非常に重要な点である。それならば、では海外から直接投資が国内に来て、ヨーロッパの企業が工場をつくるかアメリカが工場をつくるか、それで日本に雇用の機会をつくってくれるか。どうもそれは先生がおっしゃられたように比率が余りにも大き過ぎるわけで、日本の対外投資比率と海外からの対日投資比率の差は、いろいろな見方がありますけれども十対一ある。私はここに一つ根本問題があるかと思います。 そして、内外価格差の問題というのが問題として取り上げられる理由をまず考えてみますと、二つに分けて考えた方がいいのじゃないかと私は考えております。アプローチの仕方であります。 一つは、消費者がどういうふうにその問題を取り上げるか。これは生活者という形で武長先生おっしゃられたわけでありますが、そういう面。それから、企業の立場で考える。つまり、企業の立場で考えるということは、内外価格差が激しくなってくるといわばコスト高の経済になってしまうので、いわゆる産業空洞化、工場も海外に移しましょう、こういうような形態に行ったときに、海外に行ける企業はいいけれども、取り残された中小企業だ何だののいわば行けない企業ですね、こういう問題が出てくる。 しかも、その間が必ずしも二つに線が引けるのじゃなくて、東芝、日立の従業員は家に帰りますと消費者なのですよね。豆腐を買ったり、野菜を買ったり、肉を買ったりするわけです。そうすると、日本の中の食料品というのは高いな、これはどうしてなのかな。家に住もうというと家賃高いな。佐々波先生がおっしゃるようにアメリカに行くわけにもいかないわけですね。ですから、移動できるかできないかという、国内だけでの問題がどうかというのを整理してやっていく必要がある。 それから、経済の先生方が比較されるときに、すぐ内外価格差といって全部日本以外の国にまとめてしまうわけですね。それでパリティーがどうだとか購買力平価とやるのですが、これは少し研究し直していただきたいと私は思うのです。 というのは何なのかといいますと、戦後五十年、為替レートが高くなっている国と為替レートが低く下がっている国というのは根本的に違ってくるのだろうと私は思うのです。それを、みそもくそもというのじゃないのですが、一緒に差をつければ——日本とドイツ、西独の場合には為替が上がっていたわけですよ。日本もずっと上がっているわけですね。四十六年のニクソン・ショックのときには三百六十円だった。そのときにニクソンが金とドルの兌換を取り消してから、いわゆる御承知のようにフロートに行き、今八十円で計算すれば四分の一近くです。そういうふうな形になった。ですから、本当なら西独と日本を比較するといい。 それで西独も悩んだわけですよ。ドイツ自身もすごいコスト高になっていたわけです。それで、日本とドイツとの違いは、ドイツは戦後すごいインフラ整備をやったのですね。住宅投資をばんとやって、無利子の資金を出して、そして十六年、二十年ぐらい出したら、後はもう払わなくてもいいよという政策をとったのです。 日本の政策はどういうことをやったかというと、住宅公庫をつくって、そして低利の資金だったのだけれども、そういう政策をやった。私は、そのときにドイツ流をとっていれば日本のインフラはもっと整備されたろうと思いますし、ある意味ではそういうインフラが整備されていないところに今日の問題があるのじゃないかと思います。 というのは、例えば港湾の問題一つをとってみても、港湾の倉庫料金、沖仲仕料金、もう香港だのシンガポールに行った方が安いのですね。それからコンテナ船も、十五メーターぐらいの水深のあるコンテナ船というのはもう香港にはできている。日本にはできていない。日本の輸出入の三分の一はコンテナ船でやらなければいかぬが、その神戸が地震でつぶれてしまった。こういうようなもので、ドイツと日本の違いは、ドイツはハイウエーにしましてもすごい整備をしておるのです。日本の倍以上やっています。日本の道路というのは、まだまだそういう意味では、ない。 つまり、基本的に私はなぜこの問題を取り上げるかというと、内外価格差の問題というのはどうしても円高問題、為替レートがつきまとうわけですよ。なぜ日本が円高になるのか。円高のところは、生産性のとり方からいく部分は一部だろうと私は思うのです。それは全部解明できないのです。それで、なぜ円高になるのかといったら、これは経常収支が黒字になるからです。経常収支が千二、三百億ドルだとか千五百億ドル、一ドル百円で計算して十三兆円、十五兆円のものが毎年毎年黒字になって続けば、これは完全に円高傾向に行くと私は思います。 それで、円高がいかぬかというと、為替レートが高くなった国で滅びた国はないのですよ。例えば、ウォンを買いますか元を買いますかと言いまして、それでウォンを買ったり元を買うかというと、東南アジアの人たち、ユダヤ系の資本の人たち、華僑の人たちは円を買っていると私は思うのです。円を買っているから円が上がるのですよ。そういう投機資本というのは必ずあります。投機資本が今六千億ドルとも一兆ドルとも言われるのですけれども、そういう資金はあるのです。それで日本の為替というのが高くなる。 それから、円というのがやはり一つの支払い通貨になる。アジアの円経済圏というのは、私は大いに進展していると見ています。 そういう観点から見ると、比較しなければならないのは本当はドイツと日本というものだったのだけれども、ドイツはたまたまベルリンの壁が崩れまして、東の大量の低賃金の人たちが一緒になってしまったから、その意味ではドイツは一息ついたわけです。日本という国が世界の中で非常に異質な、例のない形で今進んでいる内外価格差問題なのじゃないか。 そういう観点で経済学の先生方がアプローチをすべきだし、そして、消費者の立場と生産者の立場を分けないと、すぐ食料の問題を言い出すわけですよ、日本の米は高いとか。ところが、米の自由化をしろと始まってしまう論理は飛躍しておりまして、食料品というのは、日本全体で野菜から肉から米から全部合わせたって十兆円ですよ、生産額は。日本の国内の予算というのは七十兆円を超えているのです。GNPというのは、御承知のように四百兆円ですから。 そういうふうな中において、将来、日本国が世界の食料戦略の中に巻き込まれないようにしっかりしなければいけない、こういうように思います。それから、砂漠が拡大しているところを考えてくると、食料を全部輸入するというのは私は飛躍しておるという気がするわけであります。まぜ合わせで、みそもくそもという失礼なことは申し上げませんけれども、私はそういう問題があるのじゃないかということで、私自身解決の道がないわけでありますが、非常に心配しております。 簡単に言えば、すごい産業空洞化が起きて、インドだとか中国に工場がどんどん出て、失業がふえて、佐々波先生がおっしゃったように失業率が一〇%ぐらいになれば、私は円安になると思いますよ。一ドル百五十円の方向に行くかもしれません。そうなれば、当然比較すれば内外価格差は私は縮まると思います。しかし、それが果たしていいのかというと、違うのだろうと思う。そこに日本の世界市場にない内外価格差問題というのが、為替レート、それから産業空洞化、そういう問題との連係で今問われているということではないかということを申し上げたいと思っておるのです。 それで根底は、なぜこんなに急激に円高にしてしまうか。例えば、半年前に外国で百億ドル持っていた人が二十億ドルももうかっているのですよ、二割も上がるのだから。そうでしょう。これはどんどん円高になりますよ。しかも円というのが強いなと見れば、なるでしょう。 それを是正するのは、政府としてやらなければならないものは、日本がこれだけ高コスト経済になってしまった。もう土地は高い、住宅は高い、人件費は一番高い。これはスイス並みですね。スイスも高いのですけれども、高い。それから港の沖仲仕は高い、倉庫は高い、運送費は高い、電気は高い、ガスは高い、水道は高い。安いのは何なのかというと、金利だけでしょう。公定歩合ぐらいのものでしょう。だから、そういうふうな非常にコストが高い経済になっていきますと、どうしても大企業は行ってしまうのですよ、これは当然のことながら。 ですから、今回の円高の問題でも、大企業の東芝にしたって日立にしたって海外にもう工場のネットワークをつくっていますから、輸出入合わせますととんとんなのです。ところが、一番影響を受けるのはその下請関係の中小企業だ何だの部門で、上から発注がないと労働者を雇えなかった人たちが待っていて、いつしか景気がよくなる、注文が来ると思ったら来ないという状況が来るので、そのときには何なのかといったら、リストラしかないですよ。従業員を切るしかない。 この問題が基本で、生産の問題ですよ。私さっき言った分けた方がいいという部分が出るのじゃないか。ところが、切られた人は、何とか中小企業の人も家に帰れば消費者なわけですよ。生活者なわけです。肉屋さんが八百屋に行けば消費者なのですよ。生活者なのです。八百屋さんが魚屋に行けばやはり消費者なのです。ですから、物のサービスの非常に生産性の低いところにおりましてもそういう部分ができ上がってくる。 一つの問題として、内外価格差をなくすというのが正しいとすれば、内外価格差というのは、こういう為替レートが高い国で、世界の中でこうなっている国には価格差の解消というのはできないという私の持論があるのですよ。 これについて先生方に御意見をお聞かせいただきたいのですが、ないのじゃないか。モデルがない。ポンドはモデルにならない。フランスも落ちてしまった。アメリカもだめ。そうすると、ドイツとこうやっていくのが一番いいかな、スイスとやっていくのがいいかなと見ているわけですけれども、スイスというのは六百万の人口なのですね。四国ぐらいのところに六百万いて、そのうちの五分の一は外国人ですよ。外国人が百二十万いて、四百八十万がその人たちで、四カ国語をしゃべってそれぞれやっている国と二十倍の日本の国とを比較してもなかなか難しい。そんな問題を抱えた、私は何か根本にすごく難しい問題があるという気がいたすことの根本論を、テーゼを出させていただきたいと思っております。 そして、その解決方法は、経常収支というのは、数式でいいますと貿易収支プラス貿易外収支ですよね。経常収支というのは、カレントアカウントというのはトレードアカウント・プラス・インビジブルアカウントですから、別の面で見ますと、総貯蓄一セービング)から総投資(インベストメント)を引くことなのですね。ですから、普通はこのバランスがSイコールIにならなければいかぬ、事後的には。総貯蓄が総投資になるような形にならなければいけない。 ところが、日本の場合には非常に投資不足なのですね。ですから、アメリカが日本はもう少し国内の需要を喚起しろと言うのは、私は正しいと思うのですよ。これはSがIに比べまして余りにも大きいのです、貯蓄が。個人貯蓄が今一千兆円近くあるというのですよ。六百兆円だか一千兆円だかある。この貯蓄がいかに動くかということをうまく考えなければ、景気対策いかないのですよ。株式投資だって個人投資でも行かないのですよ。 ところが、日本の場合というのは、では住宅を買おうかと思うと、やってきた話は、従来の細川政権のあれでもおわかりのように、動かないようにしてしまったわけですよ。三九%の土地の譲渡所得なんてかけてしまったわけですよ。私はそれは二〇%にすべきだなんて話をしているのですよ。二六%にしろと言っても、やはり与党内で意見が合わなくて、足して二で割ってしまったような形で、六・五%下げて三二・五%だとやっているから動かない。投資を誘発するためには、土地が動かなければ投資しませんよ。SマイナスIが千五百億ドルなのですよ、計算でいうと。これが経常の黒字なのですよ。 ですから、経常収支というのは、イコール貿易収支プラス貿易外収支、イコール総貯蓄マイナス総投資だという考え方で、すべて予算から、すべて税制から、そういう形でISギャップをなくしていかないと、IがSよりも少ないと、しかもこの状況というのは、高齢社会になるほんのわずかの、十年間くらいの間によほど投資をしませんと、これは円高基調にずっと行って、内外価格差はずっとふえて、今度は急速に産業の空洞化が進んで、それで失業がふえて、そのあげくに急激に今度はまた円安の方に通じますよ、為替レートが下がれば。そして下がってきて、今度は内外価格差というのは縮まってくるような形になるのじゃないか、私はそういう想定をいたしているのです。そういうことを言っている経済学者はおらぬのであれですけれども、私はそういう議論をしております。 政府がやらなければならない部分というのは、先ほど申し上げましたように、総貯蓄が総投資より多いことをできるだけイコールにする政策をこの機会にやって、高齢長寿社会になったときには、逆に総投資が総貯蓄よりも多い時代が来る。食いつぶしが来るのです。資産を食いつぶす。一千兆円の預金だの何だのを食いつぶさなければいかぬ。 そのときに僻地のところに道路をつくれといったってつくれないですよ。だから、今のうちに港湾開発できちんとやったり、国内のところにやったり、そういう還元ですね、このことを国内でやっていくべきであり、それに障害になるような規制緩和というのは取っ払うべきであるということだろうと思うのですよ。ただ、佐々波先生がおっしゃっているように、生産性だけでは言えないので、もうかると思えば生産性が低いところにも行くのですから、生産性が低いからもうからないというわけじゃないのだろうと私は思いますよ。 というのは、生産性が低いと言われている例えば小売店、日本は小売店百六十万戸弱になりましたけれども、あるのですよ。日本とアメリカを比べると、アメリカの小売店の数というのは百五十万戸弱ですよ。そうすると、人口一人当たり日本はアメリカの倍あるということですよ。確かに商店街に行きますと、八百屋さんが並んでいたり、肉屋さんが何軒置きにあったり、果物屋さんがあるわけです。それが合すごい大きな形で、商店はアメリカ流になっているわけですね。 そこのところがまた地域においてはすごいいろいろな雇用問題を抱えているのですよ。だから、お年寄りの人たちがやめた、自分の息子たちも継がないような生産性がないところはいいのですよ。そうじゃないところで、本当に働いて、子供たちが一緒になってやろうと思ったのが競争してもできないという形にいくと、これはまさしく雇用問題にぶつかるから、私はその問題は非常に大変だなという形を申し上げました。 私が申し上げましたのは、内外価格差問題について、アプローチの仕方について、ひとつやはり生産者という立場と消費者という立場と分けて、しかも、消費者も生産者の中でおって、お互いに家に帰ったりすれば消費者という立場に返ってくる。 そういう中で私が懸念するのはやはり雇用問題の観点で、佐々波先生強調されておりますが、日本が出ちゃった。インドに行く、ベトナムに行く、インドネシアに行く、シンガポールに行く、中国に行きますよ。打っちゃいますけれども、アメリカの産業空洞化の場合には日本が助けに行ったわけです。日本の自動車メーカーが行き、電機メーカーが行き、そして雇用を確保したわけですよ。 ところが、日本よりもコストが低い国が、コストが低い国ですよ、韓国とか中国とか、じゃ日本に来てくれるかといったら、来ないですよ。人は来ても資本は投下してくれない。ここが日本の特別のこの問題についての悩みであり、非常に深刻な問題ではないかということで、為替レートの高い、為替レートの比較できない国が今内外価格差に苦しんでおって、それをどういうふうな解決でやっていくかという試金石なんじゃないかというような考え方を私は持っております。 いろいろ申し上げましたけれども、その解決の方法は、基本的には経常収支をゼロにする方向ですよ。何もアメリカに約束することはないんだけれども、日本の国内としてはゼロにする方向。ということは、つまりSマイナスIが千五百億ドルの黒字を持っているから円高に行くわけだから、それと投機資金が行くわけですから、その十五兆円はゼロになるように、十五兆円を道路であるとか住宅投資であるとかに振り向けなきゃいかぬ。家賃が高いからといってアメリカに移るわけにいかぬし、スペインに移るわけにもいかぬわけです。国内で処理しなきゃいかぬわけですから、そういうことをやらなきゃいけないのじゃないかなということであります。 為替レート自身については、為替レートが高くなったから滅びたという国はないので、為替レートが高くなるとますます盛んになるのです。滅びそうなときには為替レートは安くなるわけですから、私はそういう意味においては、聞きませんが、内外価格差がイコールだというのが正しいということじゃない。日本の国が危ない状況に今来ているのじゃないかということを私はむしろ懸念しているわけであります。特異な現象が出ているのじゃないかということでございます。 以上でございます。 そういう点についてのアプローチの仕方、私が申し上げましたことについて、後はとても、ありましたら御意見をお伺いさせていただければと思います。
○大石委員長 どなたを御指名されますか。
○佐藤(剛)委員 特に全般的に申し上げましたが、私は、佐々波先生のお話をちょっとお聞きしたいと思います。
○佐々波参考人 どれだけお答えできるかどうかわからないのですけれども、こういう機会にお答えする日本の教師というのは、非常に四角四面にお話しするというので評判が悪いわけです。 外国に行きますと、最近受けるジョークが二つばかりございます。日本語でうまく受けるかどうかわかりませんけれども。 一つは、私は海外に旅行に行きまして、大抵秘書の人にお土産を買って帰る。お土産は必ず口紅を買っておりますと言うとどっと受けるのです。内外価格差が非常に大きくて、七倍ぐらいであります。これは先ほど先生おっしゃいました外資の問題と絡みまして、外資が全部日本に市場参入、規制緩和で入ってきたがっているかというと、必ずしもそうじゃないが、一たん入ってしまいましたものにとりましては、このくらいうまい商売はないわけでございます。 具体的に名前を出すと余りよくないかもしれませんけれども、化粧品、先生方は余り関係ないかもしれませんけれども、OLさんなどが空港で一番群がっているのは化粧品のところでございまして、内外価格差は非常に大きいわけです。ここは常に言われております取引慣行の問題がございまして、外資も非常にもうかっているわけです。 ですから、規制、取引慣行のあるところに入ってきた外資というのは、必ずしも自由化論ではないというのが非常に苦しいところでございまして、先生のおっしゃっているような韓国、台湾が入ってくれるかというと、入ってきている外資は、むしろもうかっているのは必ずしも自由化論ではないというのが非常に苦しいところではないか。そのために、規制緩和、取引慣行の自由化というのですか改善、競争政策ということを申しましたのは、必ずしも外資のためだけではなくて、一たん入ってきた外資というのは結構おいしい商売をしているのかもしれませんので、取引慣行の是正をということを申し上げたわけです。 もう一つ受けますジョークは、私、海外で買い物をするときには現金は使わないわというのが受けております。クレジットカードで買っておきますと、今どきですと、一カ月後に落ちるときはうまくいけば一五%ぐらい安く買い物ができます。 それ以来、外国人と話しますと、私は現金買いの国から来ているんだなんと言うのです。そういう面では、現金買いの国から来ているんだというのは非常に自虐的な面も含んでおりまして、先生のおっしゃいますように、円高というのは、ある意味で、海外勢にとっては、いつも現金買いしなきゃならない国から来ている者にとってはうらやましいことなのかもしれません。 ただ問題がありますのは、この円高、それから円高阻止のための介入というのは、日本にとって海外資産というものがふえているということです。その一部はドル資産になっているというところが一番苦しいところだと思います。先ほど、円を持っていればもうかるのにと先生はおっしゃいましたけれども、ひっくり返しますと、ドルを持っていれば損をするわけです。ここのところ百二十五円ぐらいから今の八十三円に上がったということは、国民にとりましては海外資産をみすみす損をして、減価しているということだと思います。 それが具体的にあらわれておりますのが、おとといですか私、いろいろな卒業生がおりますので、生保の人たちと会いましたら、生保の海外資産の目減りで非常にひどい目に遭った話をしておりました。生保のお金というのはそれこそ消費者の掛金でございますので、それが損をしているというのが一番ドルを持っての円高の損をしている部分だというふうに思います。 先生のおっしゃったように、そこでISバランスをイコールにするように、国内に資産を、いわゆる資本を蓄積しなければならないというところが先生のおっしゃっている議論だろうというふうに思います。 海外資産の蓄積なんですけれども、あながち悪いことばかりではないというふうに思いますのは、海外に出ていった投資がすべて悪いわけではない。つまり、海外に日本の企業が出ていくということは、すぐれた生産資源なり技術なりを持っていって出ていくわけなんですけれども、今日の東南アジアの成長というものは、日本の企業の活躍のたまものという側面もあるわけでございます。それは翻って、今日日本の成長率は何%ですか、一・四ぐらいですかに下がってしまっているわけなんですけれども、日本の輸出、雇用という面でアジアの国々の成長に助けられているという側面は多々あるわけでございます。 私が憂慮しております海外直接投資の中でも、リチャード・クーさんは「良い円高悪い円高」という本を書いたようで、リチャード・クーさんにこの間会って、本を読んだなんて言ったのですけれども、よい直接投資、悪い海外資産というのがあるように思います。よい海外資産というのは、近隣の国の生産性を高め、成長していただき、翻っては我が国の繁栄に役立つような直接投資だというふうに思っております。 私どももう十年以上前からこんな商売をしておりますので、この話を随分前からやっておりました。悪い海外資産というのは何かというと、かなり目減りをしてしまうようなものに置いておくような直接投資もしくは資産の運用というのが問題があるかというふうに思っております。 以上でございます。
○佐藤(剛)委員 ありがとうございました。
○大石委員長 岸田文雄君。
○岸田委員 自由民主党の岸田文雄でございます。 参考人の先生方におかれましては、きょうは貴重なお時間を割いていただいて、当委員会で意見を聞かせていただきますこと、心から感謝申し上げます。ぜひ貴重なお教えをいただきたいと思っておる次第でございます。どうかよろしくお願いいたします。 先生方のお話を聞かせていただきまして、内外価格差問題、この問題の問題意識、大変大きいものを持たなければいけないということを改めて痛感したわけであります。 内外価格差、特に日本におきましては近年この内外価格差の拡大が盛んに言われるわけでありますけれども、この内外価格差のコストはまずは消費者が払うということになるわけでありますが、その一方で、消費者に対しましては賃金という形で企業、業界が世界一高い賃金を払っておるということになっておるわけですから、消費者、企業、業界、要するに日本の経済全体がコストを負担して経済を回しているというようなことになるのではないかというふうに思うわけです。 そして、この状況を打開するために、先生方いろいろ御意見を聞かせていただきました。武者先生の方から、生産性の低い産業、これを規制緩和等を通じて生産性の向上に努めなければいけないですとか、円高の問題あるいは参入障壁の除去の問題等、そういった方策についてもお話があったわけであります。生産性の低い産業に関して生産性の向上を図る、これは佐々波先生からもあったかと思います。この部分で、生産性の低い産業に関して規制緩和等を通じて生産性の向上を図らなければいけない、この点につきまして、ひとつまずは武者先生の方にちょっとお伺いしたいと思うのです。 これは、そのお話を聞いて、私、大変素人じみた発想で恐縮するのですが、ふと思ったことがあります。確かに生産性の低い産業において規制緩和等を通じて生産性の向上を図らなければいけない、これは当然だと思うわけですが、日本の経済、産業におきまして六千五百万ほど労働者がいると言われております。その中で製造業というのは一千五百万程度だと言われております。その中でも生産性の高い製造業ということになりますと、一千五百万の中でもさらに限られているということが言えるのではないかと思うわけです。そうしますと、それ以外の産業に含まれる労働者というのが圧倒的に大きな比率を占めているのではないかということを思うわけです。そして、多くの部分を占める労働者を考えた場合に、先ほど言いましたように、今、内外価格差コストをそれぞれ消費者として払う一方で、企業からは規制等で守られたことによって実力以上に高くなった賃金を受け取っておるという立場にあるわけですね。そうすると、労働者のかなりの部分においては、内外価格差が解消することによって確かに物は安く買えるかもしれない、ただ、そのことに伴って自分たちの賃金も下がってしまうということになるのではないかと思うわけです。 そうしますと、内外価格差の解消ということによって、確かにほかの部分、産業の空洞化を食いとめるとか、日本の経済の景気そのものの問題ですとかそういったメリットがあるわけですから、それは進めなければいけないわけですが、事、実質所得の向上ということを考えた場合、効果の方は、ないとは言いませんけれども、意外と薄いのじゃないかというような気がふと、先ほど先生のお話を聞いておってしたわけなんです。これは素人じみた発想かもしれませんが、この点について武者先生どうお考えか、お教えいただけますでしょうか。
○武者参考人 きちんとしたお答えになるかどうかわかりませんけれども、私の考えを申し述べさせていただきます。 おっしゃいますように、確かに生産性の高い製造業は日本の就業者数の中で二割ちょっとというふうなところまで低下しております。したがいまして、かなりの多くの産業は生産性が低くて、そして低い生産性であるにもかかわらずさまざまな規制、保護によって守られて高い収益を得て、その結果、就業者も高い所得を享受しているという側面も確かにあるかと思います。 そういったことは事実そのとおりでございますが、しかし、私どもが内外価格差の要因を各品目によって調べたところによりますと、主要望造業品目において日本のコスト高、内外価格差が非常に高くなっているということの要因といたしまして、製造業の製造工程においてコスト高になっているということよりは、流通であるとかあるいはサービスであるとか、実際に工場から出て消費者の手に渡るまでの間のコストが非常に高いというふうなところに一つの大きなコスト高の原因があったと思います。 というふうなことでございますので、結局、日本の国内の高価格の原因といたしましては、製造業における生産性の低さということよりは、製造業の周辺にあって、そのためのさまざまな要素を提供しているところのサービス産業だとか流通産業だとか、こういったところにおける生産性の低さに非常に大きな問題があったということだと思います。 御指摘のように、そういった多くの産業において規制緩和などがなされて生産性が上がって、その結果そういった産業においてそれほど多くの就業者が必要なくなる、あるいは競争が激しくなってそういった産業における企業の収益チャンスが低下する、したがって労働者の賃金は抑えられてしまうということがあった場合に、これは国民経済として歓迎すべきことなのかどうなのかという御質問がと思います。 これは、結論的に申し上げますと、私は、歓迎するしないにかかわらず、やはり避けて通れない一つの流れではなかろうか。 私が御説明をさせていただいた資料の中に一つおもしろいグラフがございますので、それをちょっと御説明させていただきたいと思います。五ページ目の上段にございます資料四というグラフでございます。これは経済企画庁で出しております物価レポート93から転載させていただいたものですけれども、日本と米国を比較した産業間の生産性格差のグラフでございます。日本も米国も、製造業における生産性を一〇〇といたしまして、それとそれ以外の産業との間でどれほど生産性のギャップが広がっているかというグラフでございます。 これを見てよくわかりますことは、日本においては産業間の生産性のギャップが極めて大きい。例えば農林水産業でありますと、アメリカであれば製造業の七割ぐらいの水準でございます。ところが、日本は製造業の三割ぐらいの水準でしかない。つまり、極めて生産性がこの分野において低くて、こういった低い生産性が価格に転嫁されることによって高い消費者の価格になっているということでございます。 今後期待される生産性の向上というのは、言葉をかえて言えば就業者数の削減ということでございます。就業者数が減るということは、一人当たりの生産性が著しく高まる、そして、その産業が生み出す所得はそれによっては差し当たっては減らないということであります。 したがいまして、恐らく規制緩和などが行われてその次に起こることは何かといいますと、産業における生産性の上昇、そして企業における収益チャンスの上昇、そしてその結果、企業は二つの大きな自由を手にします。一つは、自分が売っている商品の値段を著しく引き下げることが可能になるということ、そして、仮にそういったことが行われないとすれば、企業はその所得を自分の就業者に配分することができる、つまり、企業の従業員は、生産性が上がった分だけ逆に給料をふやしてもらうということも可能性としてはあり得るわけです。 つまり、ここで私が申し上げたいのは、このような形で生産性の上昇によってもたらされる失業の差し当たっての増加ということは、しかし国全体にとっての所得の減少には結びつかないということだと思います。考えられることは、ある意味ではかなり自由な所得が、企業サイド、あるいはそれが売り値に転嫁されまして物価が低下いたしますと、今度は消費者の実質購買力の上昇となって消費者の所得の増加になります。つまり、所得はいずれにしても、企業に残るか消費者に配分されるかは別にして、ちゃんと確保されている。しかし、その所得は、従来と同じように割り当て先が決まった所得ではなくて、使い道の自由な所得です。 一方、企業において発生いたしました失業者は、これは差し当たっての失業者ではありますけれども、新たな労働の予備軍というふうに言ってよろしいかと思います。つまり、規制緩和が進みまして生産性の上昇等が期待されますと、所得と新たな労働力が提供される。この所得あるいは資本と余剰な労働力というのは、これはいつの時代でも新しい産業だとか新しいビジネスの担い手、母であるということであります。ですから、このような観点からしますと、生産性が上がらずに雇用が削減される場合には大変なことでございますが、生産性が上がって雇用が低下するということは、これは国民経済にとっては必ずしも懸念すべきことではないのではないかというふうに考えております。
○岸田委員 ありがとうございました。 それでは続きまして武長先生の方に、消費者マインドというお話があったものですから、ちょっとお伺いさせていただきます。 今、生産性の向上という中にも規制緩和の話が出てきたわけですけれども、一方で、今の内外価格差の拡大の大きな要因として円高という問題があります。そして、この円高の問題におきましても、本来理屈からいえば、円高が進んだとして一時的に内外価格差が拡大したとしましても、国際的な市場メカニズムの中で国内に海外から安い輸入品が入ってくる。そして、それが国内の製品の価格も刺激して、物価が下がることによって内外価格差は解消されるという理屈にはなっているわけですが、規制等の障害があるためにこの機能がうまく作用しないということになるわけです。 ここでも規制緩和というものが大きな問題になるわけです。ただ、日本でも今国を挙げて規制緩和ということで大騒ぎしているわけですが、実情を見てみますと、官庁ですとか業界ですとか消費者団体等からさまざまな総論賛成、各論反対というような意見が出てくるわけです。 そして、その規制緩和に反対する、抵抗をするときに使う常套文句でありますけれども、安全とか業界秩序とか、それから安定した供給とか、こういったことが言われるわけであります。そして、安全、業界の秩序、それと安定した供給、この言葉は、裏返してみますと、消費者の自己責任の原則、これが今の日本の社会に徹底していない、言葉をかえて言えばそういうことではないか。そのことに対する心配が官庁や業界や消費者団体の抵抗に口実を与えているのではないかということが言えるのではないかと思うわけです。 要は、消費者の意識、志向、マインド、この部分が根底にあるために規制緩和というものは進んでいかないのではないか、日本全体として物事が動いていかないのではないか、ここに根本的な問題があるのではないかという気がしておるわけであります。そういった考え方について武長先生自身どうお考えか。 そして加えて、もしそこに原因があるとしたら、これは解きほぐすのは大変難しいとは思うのですが、具体的にはどのあたりから手をつけたらいいか、何かそういったヒントでも御示唆いただければと思います。よろしくお願いします。
○武長参考人 今の御質問に対して正しい答えは恐らくないと思います。 第一に、今おっしゃったように安全性、例の米騒動なんかありますけれども、私もアメリカなんかで一年以上過ごしたときにアメリカのカリフォルニア米を毎日食べていまして、すごくおいしかったのですね。それが農業云々と言われますけれども、新しい企業をつくって、最近いろいろな農業者がカリフォルニアに行って直接日本の米をつくろうとしているのですね。そういうことを含めて、安全性そのものについて、国内にいてただ輸入品が入ってくるときだけ問題だから米を守ろうということは、実はそれは少数の農民を守るという一種の既得権益を守ることになるので、基本的に安全性を盾にとるというのは、一種の従来の体制というかシステムを守ろうという態度なので、私個人は反対というよりも、それはなくすべきだ。 ですから、自己責任というよりも、そういうことによって利益を得ている人が実は従来の我々消費者のマインドに寄りかかっているのであって、ただそれは我々の方も心配なわけですから、安全性に対して大丈夫だよということを言う場合、やはりカリフォルニア米はちゃんと日本人のやり方でつくっている。その場合は、明らかにアメリカのカリフォルニア米よりも日本人がつくったカリフォルニア米の方が高いかもわかりませんけれども、その辺は許容すべきではないか。 それから、野菜なんかでも今はオーストラリアとか中国あたりからも大分入ってきているらしいですけれども、オーストラリアも私は一年に一回ずつ行っておりますけれども、非常に安い。ただ、流通というか、あちらから物流のコストがかかりますから、それは当然オンしたぐらいの価格差になってもいいかわりに、そういうことも取り入れるべきだろう。ですから、安全性神話というか、我々消費者がそうであるように、逆にシステムを要求してプラスになるように企業側にもすべきだし、我々も知るべきではないかということですね。 それから、業界の秩序の問題は業界側の問題だと思います。 それからもう一つ、安定供給。これは確かに、私も実は今回これのことで食料の問題をいろいろ考えていたのですけれども、では食料の問題は果たして内外価格差に直接反映するか。先ほど佐藤先生がおっしゃっているように、そのままぽっと輸入したらいいか。そうすると食料の安全保障の問題もありますし、自給率の問題もありますので、これについてはいろいろ意見があるのですけれども、私個人としては、国内の農業がもっと活性化する意味で、ある種の広域の地域的な農業圏みたいなものができて、そこである程度自給自足体制を何十%か何割かはする。ですから、最低限のミニマムは私は食料に関してはすべきではないかと思っております。 その場合、残りを方々から輸入する。当然そこに食料の内外価格差がある程度残るのではないか。でも、それは長期的にはそうなった方がいいのではないかと思うので、僕は食料に関しては、余り短期的に安いものを普通のものみたいにすぐ輸入するべきだと思っておりません。 しかし、それにしても政府なんかの内外価格差の報告を読んでみますと、やはり日本とアメリカは違うんだ、アメリカは広大な国土だし、日本は狭いと。だから逆に、狭いからこそ流通コストなんかかからないはずなわけですね。 先ほど佐藤先生がおっしゃっているように、アメリカの人口二億四千万で日本は一億二千万、それなのに日本の面積はカリフォルニア州一州ぐらいの面積ですから、あそこにぎゅっと入っているわけですから、流通コストなんかそんなにかかるはずがないのですよね。だけれども、それが実は混雑現象か何かで、車の数が多かったりして結局時間がかかると言いますが、しかし、面積的にいっても距離的にいっても物流コストはそんなにかかるはずがないので、物流コストなんかはもっと下がってもいいのじゃないか。 しかし、それはみんながその利益を分け合っている構造ですから、そういう面では、先ほど言うように、ある程度これから所得が下がらざるを得ない。しかし、所得が一割下がっても内外価格差が三割下がれば二割は実質上がるわけですから、こういう方向は日本もこれから出てくるのではないかと思っております。 アメリカは、御存じのように一九八〇年代の前半ぐらいから、たしかミドルクラスの下の方の大体年収三万ドルか四万ドルの層というのは、ずっと所得が上がっていないのですね。上がっていないけれども、一応アメリカは何だかんだ言いながら生きていくということは、やはり基本的には食料とかああいうものは安いということじゃないか。 ですから高コスト構造は、まさにおっしゃるように、消費者の側は、一方で賃金は苦みたいに下がらない、あるいはちょっとぐらい上がっていく、他方で内外価格差を下へもっと下げるべきだということは一種矛盾しているので、やはり内外価格差が是正されれば賃金がある程度下がる、あるいは一部雇用問題が生じるのではないか。そのときに対応しなければいけないということが政治の問題だろうと思っております。
○岸田委員 ありがとうございました。 それでは、時間がなくなってまいりましたので、最後に一つ佐々波先生にお伺いさせていただきます。 やはり円高問題になるわけなんですが、先ほど言いましたように、円高であっても、国際的な市場メカニズムのもとに、内外価格差は一時的に拡大したとしても、縮小に向かうということに理屈の上ではなっておるわけです。ところが、先ほど言いましたように、規制等の障害があるためになかなかそれが理屈どおりに動いていかないという問題点があるわけです。しかし、私は、たとえその規制等の問題が今より改善されたとしても、やはり最近のような為替の変動が大幅かつ急速な変化を見せるようなことになってしまっては、そういったメカニズムがいかに機能したとしても、どうしてもタイムラグがあるわけですから、最近のような急激、大幅な変動に対してはなかなか十分なメカニズムの作動が期待できないのではないかという気がするわけです。 そこで、私は最近、自分自身でも思っておりますし、また一部の方の中から出ておる話ではあるのですが、今現在世界において採用されております変動相場制、この変動相場制そのものに対する見直しをするべきではないか、その辺を検討する必要があるのではないかという気がするわけです。 日本においても御案内のとおり、戦後間もなくは複数固定相場制でしょうか、物によって相場が幾つか使い分けられていたわけですし、その後、三百六十円固定相場に移り、それから三百八円の時期がちょっとあった後、一九七三年からでしょうか、二十何年間変動相場制がとられておるわけです。 しかし、今の状況を考えた場合に、それこそもう投機の資本、資本取引、実需のある貿易取引、全部一緒くたにしたこの変動相場制そのものに対して、例えば完全な固定相場制とは言わないまでも、ある程度半固定的な相場制を考える必要があるのではないかとか、あるいは、現在においてはIMFの規定がありますから、この規定を変えない限りは複数市場というのはつくることはできないわけですけれども、例えばその規定を国際的な理解のもとに変えることによって市場を複数つくる。要するに、資本とか実需のある取引と投機的なものを区別するとか、例えばそういう複数の市場をつくるとか、いろいろな意見が出ておるのも事実であります。 この点につきまして、要は二十何年間続きました変動相場制そのものに対する先生のお考え方、それから評価、これを最後にお伺いさせていただきたいと思います。
○佐々波参考人 非常に難しい問題で、多くの経済学者、それから金融担当の人たちが息をのんで見詰めているところだと思うのです。 変動相場制になりましたときには、これでうまくいくのかなということだったわけで、確かにその後投機的なマーケットになっております現在の為替市場で、急速な円高というものが内外価格差で国内の消費者の不満を増幅しているというのは事実だと思う。どだい消費者の立場からいえば、家賃とか教育費とかいうものは非貿易財ですので為替の裁定がきかないわけですから、その比重が家計費の中で非常に大きな部分を占める消費者が不満を抱くというのは当然だと思う。 通貨の話なんですけれども、通貨のところでターゲットゾーンなり幅を持たせるというのは、当然マクロ経済での協調ということが不可欠になる、一つの国になるということですから。息をのんで見詰めておりますのが、今のヨーロッパ、EUの通貨統合の話だと思うのです。 EUのように歴史を持っているところでもなかなかうまくいきませんで、昨今のマルクの話ですか、マルクの方が高くなると、リラ、それから弱いところのスペイン・ペセタが売りを浴びる。昨今のメキシコのときも弱いところが売りを浴びるということで、ターゲットゾーンにしましても、一たん天井に張りついちゃったら、今までふたをしてあったマグマみたいなものが爆発するんじゃないかというような議論もありまして、ターゲットゾーンの話というのも今のところ議論は出ていない。 その中で、変動相場制の中で、もっともEUの方は一応地域的な通貨統合の話があるのですけれども、日本の場合には圧倒的にドルとの取引が大きいというもので、今度の円高、殊に世界的に見ると円が非常に独歩高のような形をしているというのが現状だろうというふうに思っております。 以上です。
○岸田委員 それでは時間が参りましたので、以上をもちまして質問を終わらせていただきます。先生方におかれましては貴重な時間、本当にありがとうございました。 終わります。
○大石委員長 石田美栄君。
○石田(美)委員 新進党の石田美栄でございます。 前お二人が御質問なさったのは、むしろいろいろなことをよく御存じの立場だなと思ったのですけれども、私は専門が経済とはほど遠くて、一消費者、むしろ武長先生の御著書なんか拝見していて興味深いなというふうな立場でございます。 本日のお話はむしろ専門的なことが多くて、完全には理解できなかったというところなんですけれども、前もっていただきました資料は、私のように平生は新聞で断片的に見ているだけでいろいろな感想を持っていますけれども、こういう資料をいただいて、じっくりお三人のそれぞれの立場のものを読ませていただいて、私のような者でもほとんどわかりました。本当にありがとうございました。 それで、きょうのお話、それから資料等を拝見していまして、本日のは内外価格差等消費者の問題でございますが、こういう資料を拝見させていただくと、本当に内外価格差、特に生活必需品を中心にしたことで生活をする、台所を預かる立場から見ますと改めてびっくりしたようなことですけれども、その解決策として、どなたも恐らく規制緩和といったようなこと、そして商習慣、それとともに消費者教育、賢い消費者ということを挙げられたと思います。 私たちのこの委員会もそういったことが重要な課題の一つだと思うのですが、これは新聞の記事なんですけれども、東京都の消費者センターで規制緩和に関する消費者団体の討論会が初めて開かれたという記事を見ましてびっくりしたのです。 規制緩和を初めてテーマにして、その中で、これは京都の消費者団体連絡協議会の事務局長さんですけれども、「価格が安くなるからといって、安全性がなおざりにされるようなことは許されない。むしろ公的規制は強化すべきだ」と総括したというふうに出ていましたり、また消費者連盟運営委員長の方が「価格破壊という名の価格の下落は、生産者の生活を押しつぶしてしまう。生産者だって消費者ですよ」というふうなことをおっしゃっていたり、また主婦連の副会長さんは「何でも緩和するのは問題だ。投資家保護のために、免許制を担保とすべきです」というふうに、また次には、消費科学連合会事務局長さんが「免許制が登録制に緩和されると、業者の資格要件が甘くなる。今のほうが業者の質を保てると思う」といったようなことが次々に出ているのを見まして、私は、私たち消費者というのは実際には賢くなってきているように自負していたのですけれども、こういう団体、先頭に立って運動なさる方たちが、こうした大きな問題についてこういう姿勢なのにびっくりいたしております。 また、「消費者運動の歴史というのは、価格を高くする歴史なのか」というふうなこともここに出ていますが、こうした一連のことにつきまして、お三人の先生それぞれのお立場から、こうした今の消費者問題等の解決、規制緩和等の解決策について御感想を伺うと同時に、どういうことが原因になるか、また、どうしたらいいかというふうなことをお伺いできたらと思います。
○大石委員長 最初にどなたからお願いしますか。
○石田(美)委員 じゃ、発言いただきました順序で。先ほど岸田委員も少しお尋ねになりましたけれども、もう少しお伺いしたいと思いますので、お三人に伺いたいと思います。
○大石委員長 はい、わかりました。それでは武者陵司君。
○武者参考人 消費者の立場からのことで幾つか指摘をさせていただきたいと思います。 一年余り前に、私どもが、私どものアナリストを三十名ほど動員いたしまして、内外価格差の実態とその背景の調査をまとめたことがございます。お手元にお配りしております資料の五ページ目に、私どもが考えましたさまざまな内外価格差の背景にある日本の商品のコスト高の要因のフローチャートが示してございます。この中で私ども痛感いたしましたのは、確かにさまざまな規制、輸入規制だとか参入規制だとかあるいは価格規制といったものが日本の産業の自由な競争を阻みまして、それが大きなコスト高になり内外価格差の原因になっている。これは非常に重要なポイントでございますけれども、やはりその中で明らかになりましたのは消費者の態度でございます。 上から三段目に消費者態度という項目がございます。さまざまな商品に消費者が非常に高い仕様を要求する。あるいは過剰な品質を求める。あるいは非常にたくさんの品種、グレードを求める。あるいは、先ほどのプロダクトライアビリティーではございませんけれども、消費者が非常に多くの保護を求める。こういった消費者のさまざまな要望によりまして、日本の流通コストだとかさまざまなデリバリーコストなどが必要以上に高くなって、それが内外価格差の一つの大きな原因になっている。これはやはり非常に重要な事実ではなかろうかと思います。 そのような事実があるからこそ、先ほどの佐々波先生のお話にもございましたように、海外企業であっても日本に来てしまうとむしろ規制に守られて高い価格を追求してしまうというふうなことにもなってしまうわけでございまして、やはりこのような規制緩和というのは、それぞれの生産者、消費者がみずからの判断に基づいて適正な購買行動、経済活動が行えるということが前提でございます。 そういった意味では、消費者がそれに見合った形でのみずからの選択眼を高めていく、そしてそれを可能にするような制度的な整備、例えば情報開示への義務であるとか、あるいは消費者へいろいろな形で啓蒙する方策であるとか、そういったことがあわせて非常に重要ではなかろうかというふうに考えております。 以上でございます。
○佐々波参考人 補足させていただきますと、今お話ありました消費者のお話なのですけれども、内外価格差で二つ考えなければいけないというのは、日本の輸入業者が横浜税関なりなんなりで比べたときに海外よりどのくらい高いかというのと、その後流通コストなりサービスなりをくっつけてどのくらい、私も主婦でございまして、私ども主婦が買ったときにどういう小売の値段になっているか、そこのところは、いわゆる日本の流通の問題というので非常に長い間議論のあったところです。 私も長い間同じところに住んでおりますと、決まったお店屋さんへ行くと便利な面があるのですよね、昔から知っている人というのは。奥さん、これをとっておきましたよというような感じで。日本の消費者というのは地域密着型のそういったサービスが好きなのだという議論もございます。 ですけれども、一方では最近出ておりますいわゆる価格破壊と称するもの、かつてはいわゆる電気製品ですと町の電気屋さんから買っていたものが、このごろはうちの近所にもあります城南電機というのは化粧品から何からすごい行列でして、ここなどは長く言われておりました日本の消費者の行動というものがお若い方を中心に非常に変わってきていて、安ければ非常に重いものでも何でもそこで買っていってしまうというものに変わってきた。 それに付随いたしまして、従来電気屋さんで直してもらったというような消費のパターンから、今度はメーカーの方もそれに対応しまして、最近はこれを直すというと、奥さん、こんなの直せませんよ、直すと高くつきますよ。大体、カメラから始まりまして、時計もこのごろは直すことを余りしなくなってしまった。そうすると、消費者行動というのは、アメリカ流の、地域密着てはなくてああいうスーパーと同じようになるのかなというのが私の感想でございます。 そうしますと、従来言われていた日本独特の消費慣行というものも、こういう量販店、スーパー、安売り店というものの普及によって変わってきている。また、そういった変わってきたということが、いわゆるそういう電気製品にしても、パーツに切り込んでしまうというところに変わってくるのかな。従来から言われている日本の消費者の態度なり特殊性というものも今後変わるのかなというのが私の一つの感想でございます。 もう一つは消費者運動なのですけれども、日本の消費者運動自体が非常に長い間安全性ということを一つのグループとしてのまとまりのスローガンにしてきた面がございまして、団体というのは一つのにしきの御旗というか旗印みたいなものが必要なので、そういうスポークスマンの話とこの価格破壊の話というのは同時並行なのですけれども、価格破壊の方は若い方を中心にして進んでいるのではないかというのが感想でございます。 以上です。
○武長参考人 まず、先ほども一部お話ししましたけれども、消費者の情報能力ということでちょっと整理いたしますと、消費者が知らないためにあるものを買ってしまう。例えば米問題ですと、アメリカの米はまずいとかいうふうに最初から思い込んでいる。食べてみるとおいしいとか、そういうことがあります。これは知らないため。 あるいは、知っていても中途半端に知っている。例えばハイテク商品なんかどんどん出ています。一時期多機能電話というのがあって、私も持っていますけれども、あれは最高で三十二ぐらい機能があるそうですね。全部覚え切れないので私は実は三つぐらいしか使ってないのですけれども、これはメーカー側も多機能がいいということを思うし、我々消費者側も多ければいいということでした。最近は実は割合シンプル化になってきて、そんなに機能をたくさんつけない方向にまたメーカーもなっていますね。そういうことです。 それからさらに、ある種の企業あるいは商品を供給する側、私は医療経済が専門なのですけれども、例えば医療なんかですと、明らかに圧倒的に医者という専門家が知識を持っていて、患者である消費者は持ってないわけですね。最初からお任せしますというために起きる情報の非対称性の問題がありますね。これは別に医療で極端に言っただけでして、ほかのいろいろな場合でもいっぱいあるわけでして、この辺の情報開示、医療ではインフォームド・コンセントみたいなことも言われていますけれども、そういうことがあると思います。 それから、教育の場面でちょっと考えてみますと、例えば高校の社会科とか家庭科なんかで消費者教育の部分があって、私なんかもその一部を書いているのですけれども、例えばクレジットカード、今二億枚出回っているのですね。しかし、実は現場の先生がクレジットカードを一回も持ったことがなくてクレジットカードを教えるので、怖い怖いと言っているが、実際は学生は高校を出たらすぐ使うという。教育側が実はその現状を知らないということが一つあるのではないかと思います。 それから一方で、若者は実は手探りの状況の中でいろいろ、先ほどの海外旅行なんかも千二百万人と私は言いました。実はあそこの中でリピーターが結構多いのですね。若者は繰り返しちょっとお金をためて行ってくるというわけで、より海外のことを知っている。あるいは知る人はどんどん知っていく。つまり、情報における格差が出てきているのではないか。 それで若者の例を言いますと、先ほど佐々波先生もおっしゃっていましたように、若者は今、一方で量販店みたいな形で低価格的なものを買う。他方でコンビニエンスストア、結構あれは定価高品で高いわけですね。しかし、あれは便利というサービスを買っていますから、両方使い分けているのではないか。だから一方で、サービスがいいものであれば少々高くても買ってもいいということを結構若者は使い分けていて、若者というか、私もコンビニエンスストアをよく使っていますけれども。 そういう面で、実は消費者運動に限らずすべて、四十代、五十代の中高齢層が従来の古いシステムあるいは古いコンセプトのまま安全性神話等について持ちながらやっていて、ちょっとそういう若者の消費者マインドとのギャップが現実に今出ているのではないか。ですから、消費者運動について若者がどんどんやるべきだし、それから一連のああいう有機野菜なんかも一種ネットワークに結構なっていますので、そういうものが今は新しい形で起きつつある時期ではないか。 だから従来型の消費者運動というのは、どちらかといえば、コンサーバティブな面で実は規制緩和に対する逆の抵抗になっているような気がいたします。
○石田(美)委員 いろいろとありがとうございました。 続きまして武者先生にお伺いしたいのですが、武者先生のお話の中で、日本の産業構造、貿易財というか、輸出産業と非貿易産業の生産性の格差等のことをお伺いしていまして私ふと思ったのですけれども、こういう形というのは、産業構造も日本文化、私たちの精神構造と大きく関係があるのかなとふと思ったので、ちょっとお話ししまして、広いお立場から御感想を伺いたいのです。 日本の文化というのは内向きと外向きというのが物すごく違いますね。例えば客間、まあ東京のような大都会は別としても、地方に行きますと、家の構造一つ見ましても、客間というのは南のいい部屋に広々とあって、日常暮らす者は裏の方の小さな部屋で寝起きしている。お客様が来ると年に一、二回でもいいお部屋にという。ところが、アメリカなんかに行きますと、御夫婦はすばらしいベッドルームに寝ていても、私のような客はちょっと子供の部屋を片づけて、そこに一カ月いなさい。 こういうふうに日本の文化というのは外向きは物すごく努力してきちっとするけれども、内向きはなかなか変わらない。そういった文化に産業構造も関係があるのかな、そうするとなかなか難しいなと思いついたので、国際化というところと産業構造も大きく関係してくる日本文化と思いましたので、この点どのようにお思いになりますか、お伺いしてみたいなと思います。
○武者参考人 私などがふだん余り考えないような御質問でございます。しかし、非常に的を射た、そういった見方もあるということで、まともなきちっとしたお答えになるかどうかわかりませんけれども、ある意味ではハレとケといいますか、日常の生活でぜいたくをできるのはお祭りだとかお正月であって、それ以外のときはつつましやかな、もうちょっとセービングを中心とした生活を行うという伝統的な日本の生活スタイルと、それから欧米型の、とにかく五時を過ぎたらすべて自分の時間で、なるべく豊かに個人生活を送ろう、そういったある意味では国民生活、個人生活あるいは国民経済そのもののゴール、目的に非常に大きなギャップがやはりあるのではなかろうかというのは私も強く感じるところでございます。 つまり、例えばアメリカの経済ですと、国民の経済政策を考える際には、競争力云々であるとかあるいは財政赤字だとかということがまず問題になるのではなくて、アメリカの生活水準をいかに引き上げるか、そのために何が必要なのかというのが常に一番最初の出発点でございます。 日本の場合には、そういった出発点における議論の組み立て方というのが大分乏しかったのではなかろうか。むしろ、戦後の欧米にキャッチアップする時代というのは、どちらかというと、日常生活を少し節約をしても競争力を高めて、日本の将来のための蓄積をふやしていく必要があるというところに国民経済のウエートが置かれておりました。そして、それに合った形で国民生活も組み立てられていたのではなかろうかという感じがいたします。 ただ、ここまで日本の経済が強くなって大きくなってまいりまして、そのような欧米とかなり乖離した日本に特徴的な経済の目的だとか生活の目的ということが、欧米流に変わりつつあるように思います。 そのように変わってまいりますと、国民の生活を豊かにするためには何が求められるのかということになってまいります。従来であれば、輸出産業の競争力をエンカレッジするためにさまざまな傾斜的な資源配分が行われたときもありますし、産業政策が打たれたときもあったと思いますけれども、そういったことよりも、むしろ今のように内外価格差が大きくなり、そして日本のように円高で、生活水準が高い国でありながら異常に食料品などの値段が高くて、結果としてエンゲル係数が非常に高い、生活水準がもう全然上がらなくなってしまっているというふうな堂々めぐりに入りかけておるわけでございますので、おっしゃったような居間と客間の大きなギャップを埋めるような方向での政策運営と、それから国民そのものの目的意識の転換というのが必要になってきているのではなかろうかと思います。 そういったことが先ほど佐藤先生がおっしゃられたようなISバランスの、貯蓄ではなしにむしろ投資だとか消費活動を豊かにするという方向での経済の組みかえ、経済政策の組みかえということにやはり結びついていくのではなかろうかと感じております。
○石田(美)委員 ありがとうございました。 続きまして、佐々波先生にもう少し突っ込んでお伺いしたいのです。 どの方の資料にもそうですけれども、内外価格差の大きいのは、食料品、衣料・履物、光熱費といった生活必需品に本当に一番格差があるわけです。そのことについてお話では余り触れられなかったのですけれども、特に消費者問題としてのこういったものの価格差が大きいことの逆進性のことが、本日いただいたのではなくて、前もっていただいた資料を読んでいますとすごく興味深かったので、その点もう少し伺ってみたいなと思うわけです。 規制緩和とか消費習慣というもので内外価格差を是正することによる経済効果のことを書いておられるのをちょっと読みまして、これが特に低所得者に対しては所得増が大きいわけで、それが消費意欲の高い低所得者の需要増といったことで経済の活性化にも連なるということを拝見しまして、もう少しそのあたりをお伺いできたらと思います。
○佐々波参考人 食料の価格が高いということ、それを象徴的に示しているのが、ことしは豊作だということで余り騒ぎが起きていないですけれども、去年急にスーパーから日本のお米が消えてしまいまして、タイ米を買いに走ったりというのが記憶に新しいことだと思うのです。 日本の食料品が高いというのは、日本でいわゆる国家貿易品目、国でなければ輸入ができないというような品目にお米、小麦、それから非常に多くの酪農品が含まれております。ここは非常に議論のあるところでして、先ほどの消費者運動の安全性のこととも絡みますし、それから、こういう国家貿易品目ということで、日本の政府しか輸入ができないという最も厳しい規制を置いてありますために、タイ米が入ってきたときにも問題がありました。 留学生が最近ふえていまして、私のところにもシンガポールからの学生がいるのですけれども、自分は日本のお米は大好きだ、だけれどもタイ米も大好きなんだ、だけれども先生、まぜてはいけませんよと言うのですね。タイ米というのはぱらぱらしていまして、カレーやピラフなんかにすると絶品においしいお米です。ですが、今まで入れなかったというために、消費者はどうやって炊いていいかわからないのですよね。タイに行ったことのある人は、先生、まぜてはいけませんよ。ませてしまうと、ねばねばしているところとぱらぱらしているのとまざり合いまして、何にしていいかよくわからない。 ですから、今までの消費習慣では、こういう規制品目ですと消費者の方もどう対応していいかわからない。ですから、一遍に自由化しても直ちに消費者がどういうふうに反応するかわからない。規制というものがあるから日本の消費習慣が特殊なのかそれともその規制というものが大昔に入ってもう要らなくなったものなのかというのを、この際、内外価格差問題と消費者問題ということですと一応洗い直す必要があるのじゃないか。 殊に食料品については、私ももう三十年主婦をしておりまして、お米のときも、大体働いている主婦というのは情報の入りが遅いものですから、ずっと忙しくしていまして、ある日土曜日にスーパーに行きましたらもうないのですよ。それで愕然とした覚えがあります。こういった消費者問題と内外価格差といったときに、殊に食料の話というのは非常に多く洗い直してみる必要があるのだと思っております。 それから、衣料についてもそうでして、衣料品については最近は非常に多くの輸入品が入ってきております。価格破壊というものがこういった輸入品を中心に起きてきていることは事実だろうと思います。 こういった食料品、衣料、この問題を非常に難しくしておりますのは、先ほどのお話の中で、消費者というのは、実は稼ぎ手は生産者なんですね。その食料だとか衣料というものがこれまで日本の産業として守られてきた。というのは、非常に地域密着型の産業であると同時に中小企業の多い部門であった。この問題が非常に根深く、難しく、今後考えていかなければいけないというのは、こういった内外価格差の大きい産業、輸入品の入ってきている産業というのは、実は中小企業部門も多いし、地域密着型の産業であるという点だろうというふうに思っております。 ですけれども、先ほどからのお話のように、内外価格差の縮小ということがマクロの日本経済としてどうしても必要であるとすれば、そういうミクロの地域の問題、生産者イコール消費者であるような中小企業の問題とどのようなすり合わせをして、一番いいような国のあり方というものを考えていくのかというのが実は最も難しい問題であり、ここでぜひ先生方に考えていただきたい問題だというふうに思っております。 以上でございます。
○石田(美)委員 私は、先生の資料を読ませていただいていて、逆進性、内外価格差を是正したら日本の経済は活性化する、この三つの要因を挙げられていたので、そういうことをもっとお伺いしたいなと思ったのですけれども、時間がありませんので、また資料をじっくり読ませていただくことにいたします。 先ほど、お互いに主婦というふうなこともあって、お米のことをおっしゃったのですけれども、あのときのブレンド米は、私ども女性議員というのは数少ないわけですけれども、その決定の場にだれもいなかったのじゃないかと後で随分後悔いたしまして、地域に帰って、あれは私など関与しなくて、ああいうことになって済みませんと言ったのです。私たちだったらすぐわかりますよ、ブレンドしたら、おうどんとおそうめんと一緒に煮てしまったらどんなことになるか。それぞれはよくても、まぜてしまったらどうなるかということは。でも、御飯を炊いたことがない男性の方から見ると、まぜたらいいじゃないかと。あれは後悔いたしました、笑い話のようなことになりますけれども。 続きまして、武長先生にいただいた資料の中で、四ページの「対策」のところで、「新たな雇用創出と、国内の生活基盤整備のために、「赤字国債」を発行して、それを進めるべきである。」という御提言があるのですが、前のページの三ページのところに、同時に「安定成長一停滞)の、成熟社会の形成に向かうべきである。」ということがありまして、これは私は本当に専門でなくて、的が外れていたらお恥ずかしいのですけれども、これは両立するのでしょうか。
○武長参考人 赤字国債という問題は、ちょっとケインジアンのあれで、どちらかといえばインフレを助長するようなことと通常言われますけれども、この場合、例えば阪神大震災の復興の問題とかいわゆる緊急の課題で、今不景気の中で税収が伸び悩んでいる。一方で課題がいっぱいある中ではやむを得ないではないかということであって、財政再建の問題とはちょっと切り離して、一種の緊急避難的にということです。 それから、先ほど佐藤先生がおっしゃったように、一種の生活基盤の充実という方につなげていく。しかし、基本的には雇用問題が恐らく絡むので、それを何とか救わざるを得ないのではないか。ですから、赤字国債を発行するのがいいということではなくして、今の時期はやむを得ないのじゃないかということです。ですから、長期的にずっとこれをやりながら日本経済をまたやろうということを別に言っているわけではない。 それから、安定成長というのは、今後、かつてのような右上がりの成長をもう望めない社会に日本は来ているのではないかということを言っているわけです。
○石田(美)委員 引き続いてもう一つ武長先生にお伺いしたいのですが、先生の御本を拝見していても、「おとことおんなの生活学」とか、それから先生は高等学校の家庭科の教科書も執筆されていまして、これもいずれ買い求めて読んでみたいなと思っているところなのです。 消費者といっても、実際に消費をしているのは、お金を使っているのは大半女性でありまして、本日の消費者問題というところでは非常に重要なことです。消費者教育、そして賢い消費者というところでは、女性イコールとまではいかないまでも、御研究の中でいろいろと問題をつかんでいらっしゃると思います。NHKなどでもそういう講座もお持ちで、実際私、拝見したことがないのですが、女性の消費者の問題について感じていらっしゃること、あるいは、これが問題解決に重要なのだというふうな御提言などありましたら、お教えいただければと思います。
○武長参考人 女性というより、平成六年以降、高等学校の家庭科がいわゆる男女共習になりまして、実は女性、男性という枠を今は取り払おうという方向にむしろ来ているわけですね。むしろ男性の方は、これまで女性がやっていたことをどんどんやる。それから女性の方も、逆に必ずしも何も女性でなければいけない、女性が家事労働をやるということではないし、不得意な女性もおられますから、そういうことを含めて、そういう流れで例の「おとことおんなの生活学」というのができてきたわけですけれども、まだまだ従来の文化的な流れがあります。 それについてちょっと一言触れますと、例えばハイテク商品などで、女性は技術に弱いと言われて、女性に易しいだれでも使える情報機器なんと言いますけれども、実はそうじゃなくて、女性に易しいというより、もう女性も男性も超えて、あるいは高齢者も超えて、使用者全員にとって取り扱い容易なものというふうにむしろ今後はした方がいいのじゃないかというふうに思っております。 それからもう一つは、女性の方が実はこの生活者優先型の社会においてはさまざまなノウハウをお持ちだし、かついろいろなネットワークをつくっていて、男性よりも女性の方がいろいろなネットワークづくりなどもうまいのですけれども、まだまだ女性型の組織運営については企業などもなれていないので、そういうことを含めて男性の方が女性型の従来の地域密着型の組織の方に入っていき、女性の方は、どちらかというと企業型のああいうものを含めて、両方とも緩和するような方向、そういう時期に入っているので、男女共生、ともに生きるという時代に来ているのですけれども、しばらくは時間がかかる。 ですから、私なんか同年代の学生、男子と女子を両方見ていますと、女性の方がむしろしっかりしているわけですね。それが今後どういうふうに日本の社会へ影響を与えるかということをむしろ期待しているのです。ですから、女性がどうというよりも、若い人に関しては女性の方がしっかりしているのではないかという印象を持っているのです。 それから、中高年に関してはいろいろありまして、実は四十代ぐらいの女性、主婦なんかに調査などいたしますと、便利なもの、便利な商品ができても意外と嫌がるのですね。便利な商品ができることによって家事労働時間がなくなってしまうと、自分がやることがないという一種のアイデンティティーの喪失みたいなことがありまして、全自動洗濯機などを買いたがらない人もいるのですよ。二十代、三十代の女性はそういうのは非常に活発で、働きながら何でも便利なものを使おうなんというようなことをやっております。 ですから、女性の中でも結構世代的な文化の影響を受けている。技術の例をとってみましてもそういうことなのです。そういう面から見て、消費者運動あるいは情報教育、それから一連の情報機器の使い方などについては、世代ごとに分けた形での教育が重要じゃないかというふうに思っております。
○石田(美)委員 武長先生ばかりになりますが、いただいている資料の最後の五のところの御提案の中に「消費意欲にブレーキをかけている。そのための税制などの対策が求められる。」とありますが、具体的にお考えになっていることをお教えいただければと思います。
○武長参考人 これは先ほど言いましたように、例の住宅ローンあるいは教育の負担等を非常に感じている四十代、五十代のいわゆる中から上の、中所得層ですか、あそこにおける負担感の問題をちょっと言いたいのですね。 あの層に私なんかも属しているのですが、毎年給料は少し上がるのですけれども、実は教育費あるいはローンは減りませんので、少しも伸びた気がしません。実際は実質は下がっているわけですね。その層に対してある程度何らかの措置をしないといけない。 日本は教育立国ですから、教育に対しても、実は今大学進学率等も非常に大きな変化に入っていますので、そういうことを含めてあの層に対する減税措置。それもひとまずライフサイクル、例えば大学の教育なんかが終わった後は戻してもいいですけれども、その時期に関しては何か措置をする。例えば、そういう子供さんをお持ちの方の場合は教育ローンなんかに対して低利のものをするとか、私は私立大学にいますが、補助の問題もちっともここのところふえておりませんので、そういうことも含めた形で、四十代、五十代前半ぐらいまでのいわゆる一番教育費、住宅費のかかる層に対する傾斜的な政策、減税等の措置をお願いしたいということを思っています。
○石田(美)委員 済みません、また武長先生。 これはちょっとこの委員会とは外れるのですけれども、先生の御本を拝見していても、今お話を伺っていても、私も一昨年まで大学の教員をしていまして、女性学が一つの専門だったのですけれども、先生もこういう立場でいくと、まさに私が考えております女性学、そしてまたその女性学の行き着く先の目標としているようなことと同じようなお考えなので、先生は女性学というふうなことは多少意識されておられるのか。あるいは、今はまた男性学というのも出てきていますけれども、そういう点、この委員会と外れるかもしれませんけれども、ちょっとお伺いしてみたいなと思います。
○武長参考人 女性学そのものは実は古いという説もありますし、最近男性学が大分出てきましたけれども、基本的には私も男女共生型ということで、先生のおっしゃるような形で今方々の大学でいっぱい出ていますけれども、意外と人気はある講座です。私なんかももちろん男女平等に扱って授業をやっていますけれども、非常に元気で、そういう面でそういう効果はあらわれています。 逆に男性の学生の方は元気がないのですね、マザーコンプレックス等々いろいろ含めて、子供の数が少ないために。ですから、そういう面において、若い学生あるいは若い男性たちは実は女性が理解できないという。だから、そういう面における男性学が確かにこれから出てくるんじゃないか。幾つかの大学で今講座が出てきまして、アメリカなんかもその影響が大きくて、一連のゲイの問題なんかもそういうことがあるのかなと思います。 そういう面で、やはり大学等の中で男性学がいよいよ、男性学というより一種の人間学みたいなところへ最終的には行くんだけれども、今のところ過渡期で、女性学、それから男性学が幾つが入ってきて、それから共生型に行くんではないかそういう予想をしております。
○石田(美)委員 三人の先生、意欲的に質問にお答えいただきましてありがとうございました。また、委員長さん、格別に質問もお許しいただきましてありがとうございました。
○大石委員長 畠山健治郎君。
○畠山委員 本日は、大変御多忙中のところ本委員会に御出席をいただきまして、大変貴重な御意見を承りまして、まことにありがとうございました。 短期間でおよそ二〇%の急激な円高に直面する日本経済の現状に対しましてどのような経済政策を講ずるべきかは、本日のテーマである内外価格差問題にも共通する問題であろうかと存じます。そこで、ただいまの参考人各位からの御意見をそんたくしつつ、幾つかの問題につきまして御質問をさせていただきたいと存じます。 まず最初に、参考人各位に共通する問題としてお尋ねしたいと思いますが、緊急円高・経済対策として、先月の十四日、対応策が発表されてございます。 その内容でございますが、特に千九十一項目の規制緩和を、五カ年という計画でしたけれども、この対策の中で前倒しをして三カ年にしよう、こういう方策が打ち出されておるわけでございますが、このことについての先生方の率直な評価がございましたら、承りたいと存じます。
○大石委員長 お答えは発言の順序でよろしゅうございますか。
○畠山委員 はい。
○武者参考人 先生方のいろいろな御議論によりまして規制緩和が一歩踏み出されているということに関しては、高く評価をさせていただきたいと思います。 ただし、やはり規制緩和の精神は原則自由ということであろうかと思います。しかしながら、現在のいろいろな事態の進捗を見ておりますと、疑わしきは規制するという色彩といいますか、それが非常に強く残っているように感じられます。それよりはむしろ、疑わしきは自由にするという政策立案の基軸の変更ということが望まれるのではなかろうか。そういった形で対応いたしませんと、現在の円高だとかあるいはこれから進行しようとしている急速な日本の企業の競争力の低下であるとか空洞化であるとか、こういった問題に対して十分に迅速に対応できないのではなかろうかというふうに今は感じております。
○佐々波参考人 緊急円高対策なんですけれども、規制緩和というのは、先ほどもちょっと申したと思うのですけれども、総論賛成、個別になりますといろいろな議論が出てきて、これは例外だということでございます。したがいまして、先ほどの武者参考人と同じでございまして、一体何を残すべきかというのが今議論さるべきなのではないか。つまり、これはだめ、これはだめと固執するんじゃなくて、本当に何を残していくのか、ほかは自由なんだという方が進むように思っております。 規制なんですけれども、先ほどから消費者の問題というのがずっとお話に出てきたのですけれども、ここで確立しなければいけないのは、いわゆる消費者主権といいますか、個々人が主権者なんだ。それはある意味で、情報公開であるとか知る権利だとかいうことと表裏一体をなす問題で、日本人というのが個々人できちんとやっていくんだということが基本にありませんと、規制に守られているとか、人のせいにするとか、もたれ合うとかいうのに全部帰着する問題でして、規制緩和というのは、かけ声、号令だけではなくて、日本の経済というものを今後こういう方向に変えていくんだということでやらないと、またかけ声だけに終わってしまうのではないかというふうに危惧いたしております。 以上でございます。
○武長参考人 今のお二人の参考人の先生方と同じことを言ってもあれですので、私としては、規制緩和によって従来のいわゆる規制を外すということですと、余り大きな変化がないんじゃないか。むしろ規制緩和したことによって新しいビジネスチャンスが生まれるようなイメージを与えると、先ほどの佐藤先生のISのインベストメントにいくわけですね。ですから、そういうイメージのない規制緩和の場合は、結局はちょっと従来型のあれが広がったというだけじゃないか。 だから、新しいビジネスチャンスがあるんだというふうに見て、多くの投資家がそれを仕事につなげる。まさに雇用機会の拡大にもなりますけれども、そういうものができるようなイメージを与える規制緩和ということですね。従来の枠をただ外したというようなことではないようなものにしていただきたい。そうでないと実効力がないのではないかと思っております。
○畠山委員 ありがとうございました。 次に、武者参考人にお尋ねいたしたいと存じます。 参考人がお書きになっておられます「アメリカ蘇生する資本主義」の中では、内外価格差の解消は、円高による日本の交易条件の改善による予定調和的議論では当てはまらない、そして、著しい内外価格差を所与とした現実認識と政策対応が必要である、このようにお述べになっておられるようでございます。つまり、本日の御意見でも述べられておりますように、円高差益が一〇〇%還元されたとしても、新たな円高によって生まれる内外価格差は解消するどころか拡大することになるから、これを全面的に解消するためには、低生産性部門の生産性の向上、規制緩和、保護・非競争的慣行の撤廃が必要というのが参考人の主張がと存じます。 そこでお尋ねいたしたいと思いますが、参考人の御指摘のように考えた場合、今後の日本経済に対する政策対応は、供給サイドの政策をとるべきであって、需要サイドの政策は余り必要でないのではないかというふうにも考えられますが、この点第一にお尋ねをさせていただきたいと思います。 第二点は、低生産性部門の生産性が高められたら、労働力が新たな市場に吸収されると見るのはいささか楽観的に過ぎるのではないかと思われます。特に我が国の場合、リストラの対象となるのは中高年層でございます。こうした層が再雇用されるのはなかなか困難なのが実態ではないだろうかと考えます。この点から、マクロとミクロの乖離についてどのようにお考えになるのか承りたいと存じます。 第三点は農業問題でございます。 参考人は、米、食料自給策の完全な放棄を主張なさっていると言ってもいいのじゃないだろうかというふうに考えられますが、これらを完全放棄したことによる余剰の増大と環境保全等の社会的コスト増とは、完全に均衡ないしそれ以上の余剰が生まれると考えられますが、以上三点についてのお考えを伺いたいと存じます。
○武者参考人 まず第一点のポイントにつきましてお答えさせていただきます。 私自身が、供給サイドの政策がむしろ重要であって、需要サイドは従属的な重要性しかないのではないかというふうに主張しているということですけれども、これは先ほど来議論がありますように、ここまで経済が発展してまいりますと、消費者イコール生産者であり、被雇用者であるということでありまして、需要と供給ということをきちっと分けてしまうことがかなり難しい経済になってきていると思います。 私がこのように供給サイドの経済政策が必要であるというふうに考えます一番大きな理由は、何といっても日本のさまざまな問題というのは、内外価格差も含めまして、日本の需要者にも問題がありますけれども、やはり日本の供給サイドに非常に大きな生産性の上昇を阻むネックがありまして、この供給力の面での制約が高コストを招き、日本の国民生活の向上をむしろ阻んでいるという認識があるからでございます。 そういった意味で、やはり供給力を強くすることは結果としては物価の低下と国民生活の向上に結びつくという意味で、何が鶏で何が卵がという議論にはなるわけですけれども、ただ単に消費者の利益、消費者の保護ということだけではなしに、総体として日本の欠けている供給サイドの弱みを強化していくということが、やがては消費者の利益にも結びつくという認識を私は持っております。 ただ、それとは別に、昨今の経済情勢というのは、ここ数年ほぼゼロ成長に近い状況を余儀なくされておりまして、その結果、日本の主要産業において稼働率が著しく低下し、企業収益が低迷しているということで、将来のための投資も大分低下をしております。先ほどの佐々波先生の御説明にもありますように、研究開発が非常に大きな壁にぶつかっているという状況もございます。 このような状況の中で、とりあえず求められるのは、日本の企業の稼働状況を高め、そして、さまざまな高コストになっている非効率性というところを取り除くと同時に、日本の過大な貯蓄を国内において消費する、あるいは投資するという手法をつくることによって黒字を圧縮するということが非常に重要でございまして、そういった観点からいたしますと、現時点においてはむしろ、供給政策という非常に長い目で見た政策もさることながら、需要政策が極めて重要であるという強い認識を私は持っております。そのために、金融政策及び財政政策の発動というのはぜひとも一段の努力が望まれるところではなかろうかと思います。 それから二点目の御質問でございますが、新たな生産性の上昇によって職を失った労働者が、新たな職場に再雇用されるチャンスというのはそう楽観できないのではないかという御議論でございます。 これは確かにおっしゃるとおりだと思います。これまでも理論的には、過剰な資本と過剰な労働力がありまして、この過剰な資本と労働力をうまく組み合わせれば非常に有利なビジネスができるチャンスはたくさんあるわけですが、しかし、その労働力と所得なり資本がミートする場だとかシステムが日本に十分に準備されていない。 例えば中高年者、これは大変にノウハウを持った有効な労働力であります。こういった有効な労働力を有利に使ってビジネスを起こそうとすれば、これはかなり有利なビジネスが可能であるだろうと思います。しかしながら、それを阻む年功的なシステムであるとか、あるいはベンチャー企業を創設するに当たってのさまざまな障害だとか、あるいは日本的な因習、慣習というふうなものにとらわれて、なかなかそういった有効な労働力資源が活用できていない。これは中高年であろうと若年であろうと同様のことだと思います。 そういった意味で、やはり現在持っている有効な資源を活用するためにも、そういった意味でのシステムの面での整備、規制緩和ということを中心にしたシステムの整備というのが非常に重要ではなかろうか。 それから、もう一点ここで指摘したいと思いますのは、このような形で規制緩和が行われ、そして企業のリストラクチャリングが行われた経験というのは、かつて一九八〇年代以降のアメリカにあるわけでございます。 この当時アメリカで一体何が行われたかといいますと、政策意図は別といたしまして、非常に大幅な財政政策の出動がございまして、結果として財政赤字だとか双子の赤字という問題になりましたけれども、しかし、大きな国内市場と、そして雇用の機会が創出された。それがある意味では、アメリカのリセッションあるいは恐慌というふうな深刻な経済の後退を伴わずに、大企業がリストラクチャリングを推進できた一つの大きな受け皿になったと思います。 そういった観点からいたしますと、先ほど武長先生がおっしゃられましたような、財政政策が出動することによってこの調整の間のある意味ではコストを負担する、準備をするということも必要なのではなかろうかというふうに思います。 それから三点目の、食料自給策を完全に放棄すべきであるというふうに考えているということですが、私はそのように考えてはおりません。 それは、ある意味で内外価格差を完全になくそうとするとすれば、日本の国境をできる限り低くするということをおいてないというふうに考えておりまして、その一つの例として、やはり食料のような商品の流通も完全に自由にすべきであるし、言ってみれば労働力の移動も自由にすべきである。 日本の床屋さんであるとかタクシーの運転手は非常に高いわけで、日本の国内においてサービスを受けようとすれば、輸入できませんので、この高い料金を甘受せざるを得ないわけです。しかし、仮に労働力が自由に移動できるのであれば、安い労働力を投入することによって、よその国並みのサービス価格まで引き下げることも可能であります。 このような形で国境を著しく下げますと、この大幅な内外価格差が縮小される展望というのはより高まってくるわけでございますが、ただしそれは、ほかの国民政策の政策目的と果たして一致することであるかどうかという別の検討は当然必要でございまして、私がここで申し上げたいのは、そういった配慮は全くなしに、ただ内外価格差がどのようにしたら是正されるのか、解消されるのかという観点だけから申し上げますと、このようなことも必要なのではなかろうかという仮定の議論でございます。
○畠山委員 ありがとうございました。いろいろ議論もしたいところでありますが、時間もございませんので、次に移らせていただきたいと思います。 次に、佐々波先生にお伺いをいたしたいと思います。 一物一価の法則が完全に働くならば貿易財の内外価格差の解消は可能かと考えますが、必ずしもそうとは言い切れないのではないでしょうか。例えば、ブランド品について、海外の輸出業者が差別的価格政策をとるという動きがかなり目立つようになってまいりました。これは一面では経済的妥当性を持ち、現実に日本の業者にもそうした態度が見られるようになっております。マクロ経済理論では貿易財の解消が成り立つとしても、現実には限界があると考えますが、この点についての御意見を承りたいと存じます。 次に、価格差を是正した場合の税収の問題でございますが、参考人の書かれた九三年八月号の「経済セミナー」の論文では、輸入関税四千億円の減というシミュレーションがなされておるようでございます。この場合のシミュレーションがあくまでも価格差解消の直接的な影響分析であることは十分承知をいたしておるところでございますが、経済全体に及ぼす影響を考えた場合、税収全体としては、短期的には確かに大きくマイナスに振れるというふうに思いますが、長期的にはプラスに転ずると見ることができるのではないだろうかというふうに思います。また、その場合、税収が中長期的にプラスとなるとするならば、国債による補てんでよいと考えるでしょうか。 以上、二点についての御意見をお伺いいたしたいと存じます。
○佐々波参考人 一物一価の点につきましては、おっしゃったとおりなんです。 ただ、一つ物価白書などを見ますと、規制のかかっている製品については円高にもかかわらずほとんど横になるんですけれども、規制のかかっていない製品は円高期に価格が下がってきているということは、つまり規制というか、国内に輸入障壁がなければ一物一価の方向に価格が動くということだろうというふうに思っております。 それから税収の点についても、長期的には、いわゆるシミュレーションというのは他の条件を一定にしてやりますのでそういうふうな形になりますけれども、もし例えば一物一価というように、輸入品の価格が下がることによって、先ほどからの問題で出ているように内需拡大が進む。 先ほど私、逆進性のお話をし損なったようなのでここで品させていただきますと、逆進性と申しますのは、例えばウルグアイ・ラウンド対策ということで農業対策費が出ていたと思うんですけれども、そういうものは結局国民の負担になるわけですね。ですから、食料を高く買わされている人というのは、二つありまして、一つは国内的な補助費を負担しているということ、それからもう一つは高い価格を負担しているということで、そういう高い価格の財を、食料品を買っている人というのは二重の意味で負担を強いられている。 そうしますと、そういうものを外したとすると、エンゲル係数というのがありまして、所得水準の低い人ほどいっぱい使うわけですから、そういうところの負担を外してやれば内需拡大効果はさらに進むだろう。いわゆる内需拡大をするのに、そういう所得水準の低い人を内外価格差の重圧から解放してやれば、内需拡大はさらに進むのではないか。内需拡大が進めば税収が、今回の税収減というのは、土地バブルの影響もありますけれども、低成長率なものですから、いわゆる企業の法人税収入、所得税収入が減っておりますので税収が減っているわけで、内需拡大が進めば成長率が上昇する。成長率が上昇すれば税収は上がるはずでございます。 ただ、経済の非常に難しいところは、一つの議論が次々と連鎖状になりますので、どこで断ち切るかというのが非常に問題になります。経済学者のやりますところは、ちょうど自分の分析の都合のいいところで断ち切るものですから、こういうような結果になっているわけでございます。
○畠山委員 武長参考人にお伺いいたしたいと思います。 内外価格差の対象が貿易財を中心に取り上げられることはやむを得ない面があり、特に消費者にとっては切実な問題であることから申し上げますならば、当然でございます。しかし、内外価格差には、貿易財だけではなく非貿易財も含まれます。しかも、サービス経済化が進む中では、この非貿易財の比重はさらに拡大することが予想をされます。非貿易財には、金融サービスを含め、単純に一物一価が働く要因は低く、それだけに価格差の解消は難しい面があると思います。この点、参考人は財の種類によって対策を分けるべきだと述べておられますが、この点さらに詳しくお考えをお聞かせいただきたいと存じます。 また、消費者の商品、サービス選択の幅を拡大充実するためには、現在のような情報提供をさらに工夫することが重要ではないかと考えます。 一例を挙げますならば、内外価格差一つをとっても、経済企画庁、農水省、通産省、国税庁とそれぞれ数値は異なってございます。対象都市とその地点あるいは対象品目とその質など、統一した調査が必要であろうかと考えます。また、円高による輸入価格の動向等、消費者選好の基本となるデータを政府が豊富に提供することが重要ではないかと考えます。いわば情報民主主義ともいうべき問題ではないかと考えます。この点についてのお考えをお伺いをいたしたいと存じます。
○武長参考人 最初の第一点の方ですけれども、とりわけいわゆる非貿易財ですね。 さまざまなサービスがありまして、先ほどから武者参考人がおっしゃるように、生産性格差がさまざまな領域であって、低い方の生産性格差のところが高い生産性格差の賃金にどんどん引きずられて、例えば理髪店なんかどんどん上がっていく。でも、理髪店も実際はどんどん今つぶれているらしいんですけれども、どちらにしても、そういうさまざまな分野においての問題がある。 先ほど武者参考人は、外国人労働者の導入なんかを含めて、タクシーとかそういうものはもっと下がってもいいんじゃないかというお話をされまして、アメリカなんかまさにそれをやっているわけですけれども、現実に日本においてそれを急激にやることは可能か。この間、大分外国人労働者が入りましたけれども、実際は不景気になると第一に首を切られて、それで結構駅なんかに、ホームレスとは言わないまでもいろいろいるわけですね。 そういう面で、ドイツなんかの例でいきますと、いわゆるガストアルバイターという外国人労働者の処遇の問題が失業になった段階で出てくるので、これに対して、日本はやはり先人の訓を学びまして何か対策を打たないといけないのではないか。だから、そう単純ではないと思います。 少なくともいわゆるサービス部門の高コスト構造は、実は日本の入り口で入ってくる輸入品の輸入物価が例えば先ほどの例でいきますと一〇%下がっても、消費者物価で〇・七%しか下がらないということは、その間の流通コストのサービスが大分取るわけですね。それが今までは分配しちゃっていたわけですけれども、そういうことをやっているといつまでたっても高コスト構造は直らないので、やはりサービス部門においては、いわゆる賃金というのはアメリカのように下がらざるを得ないのではないか。ただ、その下がる幅が内外価格差の下落幅よりも少なければ、ある程度の人が納得するのではないか。 それから、いろいろな分野においてしばらくでこぼこが起きるだろう。その起きる間に新しいニュービジネスのチャンスをつくって雇用を創出することをやらないと、確かに不満が出て、何のためにやったかということが出てくると思います。これが第一点ですね。 第二点の方の情報提供の問題、これは非常に大きいことでして、よくいわゆる調査とかで東京とベルリンとかニューヨークを比較しますけれども、東京はやはり日本の中でも逆に特殊なわけですね。私も毎週名古屋と東京を往復していますけれども、名古屋の方へ行きますと物によって一、二割下がっている。ですから、国内においても実はいろいろな面で国内価格差があるわけですね。 アメリカでも、ニューヨークは特殊だとアメリカ人は言っていまして、アメリカで生まれてもニューヨークに一回も行かないアメリカ人もいるくらいですから、そういう面で、まず比較する都市が果たしてその国のスタンダードかどうかということが第一ですね。 それから二番目に、調査方法の問題がありまして、日本の例の小売価格の調査方法も、先ほど言いましたように、まだディスカウントストアが何か入っていないわけですね。そうすると実質的には過大評価になっているということで、今この調査方法の見直しが審議会等で始まっているわけですけれども、そういうことを含めて、ある種の割合納得できる方法をした上でデータを提供することは非常に重要で、それをまた国民の側が関係ないと見ないで、見る力を持つというのですか、それがすごく重要だと思っております。
○畠山委員 ありがとうございました。
○大石委員長 矢島恒夫君。
○矢島委員 参考人の皆さん、長時間にわたって本当に御苦労さまでございます。私が最後でございます。 私は、今まで三人の方のいろいろな御発言、御意見、それから質問に対するいろいろな御答弁をお聞きしておりまして、大体大きな問題点については相当程度解明されたり、あるいは出されてきたなという感じがいたします。そうした中で、私、今の政治、今の政府に対して参考人の皆さん方はどういうことをさらに望んでいらっしゃるか、既に御発言の中でそういう部分も多々出ているわけですけれども、何点かについてお聞かせいただければと思います。 そこで、最初に武者参考人にお聞きしたいのですけれども、やはり私も内外価格差というもの、いわゆる購買力平価と為替レートとの関係からいきまして、円高というものが内外価格差を拡大するということは当然だと思うのですが、その内外価格差をいわゆる直接要因の一つとして武者参考人は挙げられたわけです。対策として、内需拡大だとかあるいは黒字減らしとか挙げられております。 確かに昨今の異常な円高という状況の中で、何がその要因がということについて私はここでいろいろ御論議申し上げようとは思っておりません。例えば、アメリカのこの相場維持に対しての積極的な態度が見られないとか、あるいは投機取引というものが大いに拡大していでこれが影響するとかいろいろ言われております。 そこで、この円高に対する対策として今政府がいろいろな対応を行っております。補正予算の中でも円高対策を行っております。しかし、どうも簡単に歯どめがかからないのじゃないかというのが私の実感なのです。そういう点から、政府に対して、先ほど参考人がおっしゃられたことも含めても、またそれ以外の問題でも結構ですが、今どういう施策を進めていったらいいのか、また求められていらっしゃるか、その点についてお聞かせいただきたい。
○武者参考人 円高対策として政府に求めるべきことというふうに理解させていただきます。円高の原因はさまざまありますけれども、理由は二つしかないと思います。 一つは、日本の大幅な経常収支の黒字があって、これが容易に減りそうもないことですね。その結果、実需としてのドル売り圧力があるということが一つの大きな要因でございます。しかしながら、もう一つ忘れてはならないもっと大きな要因としましては、資本が日本から海外に還流していかないということがあると思います。 先ほど佐藤先生がおっしゃられましたように、自国の通貨が強くて困る国はないということでございまして、日本の円がこれだけ強いわけですから、ある意味では好きなものをよその国に行って買うことができる。仮にこれが領土を買える時代であれば領土を買うことすらできる、あるいはそれぞれの国の最も大事にしている資産を取得することもできるというのが円高の本当の意味ではなかろうかと思います。 ただ、残念ながら日本の円高の場合には、そのような全面的な購買力の発動といいますか、それが十分に行えない形での円高である。したがって、日本の投資家も対外への資本流出、還流ということになれば、せいぜいアメリカ政府の財務省証券を買うにとどまるというふうな形でございまして、そういった意味での仕手を制限された資本還流である。その対応が結果として日本の円高を一層加速させているという面が非常に強いのではなかろうか。ましてやそういった状態が続けば、これは円高とは逆に、弱くなる通貨の国はそのことによるデメリットを強く感ぜずに済むわけでございます。 そういった意味で、やはり日本の政府に私が望みたいと思いますのは、このような円の全面的な強さを本当に全面的な強さとして実現できるような環境を整備するということが考えられるのではないか、そういったことをやってもよろしいのではないか。 一例を挙げれば、一千五百億ドル近い一千四百数十億ドルの巨額の外貨準備を日本は持っておりますが、これはほとんどすべて米国の国債として運用されているというような状況がございます。しかしながら、これはそういった形で運用されなければいけないという特段の理由はないと思いますので、こういったものも含めまして、やはり国民経済へのリターンを最大限にするためには最も望ましい有利なところに投資をするという自由なフレームワークが必要ですし、そして政府はそれを保証していただきたいと思いますし、それができるようになれば、もうちょっと頭をひねった有利な資産運用ということが可能になっていくのではないか。それが円高をとめる一つの大きなきっかけになり得るのではなかろうかというふうに感じております。
○矢島委員 武長参考人にお聞きしたいと思うのですが、今のことでもしございましたらおっしゃっていただいて結構ですけれども、もう一つ、円高に対しての生活者の心理といいますか、世代によっていろいろな違いがある。四十代、五十代はやはり雇用問題というのは非常に心配の種になっております。新しい産業ということで雇用を確保していかなきゃならない。 経済改革研究会ですか、あそこから「規制緩和によって、企業には新しいビジネスチャンスが与えられ、雇用も拡大し、消費者には多様な商品・サービスの選択の幅を拡げる。」同時にそれは「内外価格差の縮小にも役立つ。」という文書が出ているのですが、まことにバラ色の内容だけであって、本当にそうなるだろうか、これが国民の心配なのですね。 それで、確かに雇用拡大しないと大変な状況になるだろうけれども、果たしてそういうことが実際としてできるだろうかとか、そういう新しい産業の問題にしても雇用の問題にしてもあるわけです。もちろん、そういう中で政府が果たしていかなきゃならない役割があろうかと思いますが、それと同時にもう一つお聞きしたいのは、生活者に期待を持たせる政策が必要だ、こういうことで、その中の一つとして例えば減税というのをお出しになられたわけですけれども、そのほか先生が考えられていることでございましたら、お聞かせいただきたい。
○武長参考人 前の方の政策の方は武者参考人がおっしゃっていましたが、私の方は今の二点、新しい産業というか雇用、新しい産業を創出できるかということですね。これについては、基本的には、まず輸出増進型ではなくて内需拡大型の産業をつくるべきだ。 例えば一例を挙げますと、高齢化社会になりますね。そうすると、例の新ゴールドプランが最近作成されてきて、いわゆるホームヘルパーなどがすごく不足しているわけですね。そういう福祉関連というのはすごくこれから伸びる。これはさっきの中高年の方が実は十分やれる仕事なわけですよね、当然ノウハウ、トレーニングはしなきゃいけませんけれども。ですから、これからいわゆる福祉社会、高齢化社会の中におけるその進展の中で、内需で、サービス経済ですけれども、これの方に相当ビジネスチャンスをつくるべきじゃないか。 例えば、アメリカなんかですと救急車に、日本の場合だとたしかまだ医者しか無理ですけれども、医者でなくても、そういう救急上みたいなのが大分今つくられつつありますので、そういうものを入れたりしながら、日本の場合いろいろな規制が医療の場合にまだありますけれども、そういうところでも外せば大分出てくるだろう。ですから、福祉関連に関しては相当これから期待できる。現実に今看護大学だとか福祉関係の大学の応募者はすごく多いので、これは若者ですけれども、これがまず可能性があるだろう。 それから、二番目の方の期待という問題です。 これは私も今回非常に思っていたのですけれども、結局我々の消費行動というのは急激に変わるものじゃないわけですね。例えば所得が下がっても、今までの水準からぐっと下げることはみんな嫌がるわけですね。しばらく抵抗して過去の履歴の中で頑張るわけですけれども、やむを得ないとしばらく赤字を続けながら落とす。ところが、一回落とすと、人間というのは、今度は上がるのは簡単なように見えてもなかなか上がらないし、そこに滞っちゃう。ましてやこれからの経済がどんどん不景気になるなどという見通しがあると、ますますみんながしぼんじゃう。それに対してそうじゃないんだということを示さないと、ますますそういう構造に入っちゃうのじゃないかということですね。 その場合、先ほど言いましたように、若者なんかは結構楽天的な要素があるわけですね。そういう人たちに対してまで何もそういうしぼんだイメージを与えるべきではないのではないか。ですから全員に期待を持たせる。今だったら老人なんかの年金生活者に対してまで急に利率を上げることはなかなか難しいけれども、少なくとも若者なんかに対してまでそういうふうにした場合、これからの活力が大分失われるのではないかという不安を持っているわけです。
○矢島委員 佐々波先生にお聞きしますが、今の私の質問の中で、もし先生独自のお考えが何かありましたらお聞かせいただくとして、さらに、あっても役に立たないような規制はどんどんなくすべきだと私も思います。ただ、規制をすべてなくせばよいというわけではないというお話がございました。私もそのとおりだと思います。 その中の一つとして、企業間の話し合い、いや、談合とおっしゃられましたか、こういうのをなくすんだというお話もあったのですけれども、例えばかって並行輸入の問題がございまして、ウイスキーの価格というものが、内外価格差が相当縮小していった、こういう事態がございました。実際に今、独禁法で認められているカルテルの存在もあるわけです。独禁法の運用の強化という中で内外価格差をなくしていくということも非常に大切な分野ではないかと私は思うのですけれども、もしお考えがありましたら、その辺も含めてお聞かせいただきたいと思います。
○佐々波参考人 今、独禁法の強化のお話があったのですけれども、先ほど談合というような言い方をしたのですけれども、非常に俗でわかりやすい言葉でした。 殊に、この点が今後重要になると思いますのは、今度ガットがこの一月からWTOになりました。ガットというものができた一九四七年からずっと、ガットの基本精神というのは物の貿易についてのルールでした。物の貿易について何をしようかというと、今度のお米の関税化でわかりますように、全部関税化というようなわかりやすいものにして、それをだんだん下げていこうというのがガットの基本精神だったわけです。 それで、WTOになりますと、先月行っていたのですけれども、世の中変わったなと思いましたのは、先ほどから私が言っておりますように、企業が国境を越えて動くようになってきた。WTOの基本ルールというのは、どうしようかということなんですけれども、各国がそれぞれ国内政策をやってきた。それぞれ歴史的な背景もあり、社会的な背景もある。ただ、どういうルールでやろうといったときに、盛んに透明度、トランスペアレンシーとか市場へのアクセスということを言います。市場へのアクセスを高めていこうじゃないかと。 そのときに、ルールというのは透明度の高いものにしよう、こそこそやらないで。みんなそれぞれ違ったことをやっているなら、それは仕方がない。それはいずれすり合わせをしなければいけない。ハーモニゼーションと称しまして、ルールのハーモニゼーションということをしなければならないんだけれども、トランスペアレントにやろう、つまり透明度の高いものにしようと。 談合というイメージは、すり合わせのプロセスであるんだけれども、それは非常にわかりにくいですね。ですからそういう言い方をしたのです。英語流に言うとトランスペアレント、日本ですと透明度の高い、つまり、みんなにわかりやすいものにして、みんなが入れるようにしましょうよというのがWTOの基本概念だと思いますので、いずれ独禁法の運用につきましても、EU、ヨーロッパユニオンがやっておりますように、すり合わせの時代に入っていくんじゃないかというふうに思っております。 以上でございます。
○矢島委員 どうもありがとうございました。私の持ち時間はこれで終わりますので、この間の皆さん方の御意見、非常にありがとうございました。 終わります。
○大石委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 参考人各位には御退席いただいて結構でございます。 —————————————
○大石委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 物価問題等国民の消費生活に関する件、特に内外価格差問題等について調査のため、来る十八日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大石委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 次回は、来る十八日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時十五分散会