大蔵委員会 第4号
- 発言数
- 210 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1994/11/22
会議録
○委員長(西田吉宏君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨二十一日、渡辺四郎君及び小林正君が委員を辞任され、その補欠として一井淳治承及び野末陳平君がそれぞれ委員に選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(西田吉宏君) 所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の施行等による租税収入の減少を補うための平成六年度から平成八年度までの公債の発行の特例等に関する法律案、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律案及び平成七年分所得税の特別減税のための臨時措置法案の三案を一括して議題といたします。 前回に引き続き、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○池田治君 おはようございます。 大臣も大蔵省の方々も毎日御苦労さまでございますが、私の質問も丁重にお扱いを願いたいとお願いしておきます。 今回の税制改革というのは、中堅所得層の重税感をなくして勤労意欲を増進しようとか、また高齢化社会を迎えましてこの対策も図らなきゃいけない。そうしているうちに、出生率の低下ということもありまして、少子化対策も練らなければいけない。また、地方分権が叫ばれて、地方財政の確立というようなことも重要な要素を占めてまいりまして、この財源の手当てをするためにどうするかということで、消費税を二%増加しようということから始まったものだと思っております。 何せ目的は盛りだくさんあって、それを裏づける財源というものはわずかな財源と、こういうことで多くの改革をなし遂げようとするわけですから、無理が生ずるということは当然あろうと思います。そこで、改革なき税制改革なんて新聞紙上でも批判をされておりますが、こういった問題が出てくるのだろうと私も理解しております。 そこでお尋ねしますが、消費税の税率がアップされましたけれども、これには逆進性があって、低所得層ほど負担感が重く、これを増税するということになりますと低所得層の懐ぐあいをよくしていかなければ社会的な公平を欠くことになる、こういうことが考えられるわけでございます。しかし、低所得層の減税といいますか、税負担感をなくするということは、その分だけ中堅所得層に対する減税分が薄くなってくる、こういう結果となります。そこで、消費税の増税というのと中堅所得層の減税というのは、財源が限られた中で行われる場合にはこれは理論的になかなか両立しにくい問題ではないか、こう考えますが、大蔵省としてはどういうお考えでしょうか、まずお尋ねします。
○国務大臣(武村正義君) 中堅所得者層の累進税率の緩和、重税感の解消という課題と、逆進性の立場からいわゆる低所得者に配慮する例えば課税最低限の引き上げと、あれもこれも両方考えたのでは財源が足りないのではないかという御指摘でございました。 冒頭おっしゃったように、あらゆる財政の要請、特に長期的なものも含めて要請にこたえる税制改革というのは容易ではありません。また、税制という歳入面の改革にしましても、さまざまな税制がございますから、何もかも一挙に改革するということも容易なことではありません。 そういう意味では、今回の改革もある極限定的なものでありますが、しかし税制の大宗をなしております基幹税制である所得税の問題点をこの改革によって大きく改善を図るということが基本でございまして、その一点に関しては、今御指摘もありましたように、前回は低中所得者中心の累進の緩和をしてまいりました経緯もございまして、今回は中から上というところに力点を置きながら累進税率の緩和策をとらせていただいたことは紛れもない事実でございまして、これはかなり大幅なものであり、まさに抜本的な改革だと私どもは思っております。 課税最低限そのものは、これだけの議論をする限りは、もう上げる必要がないという主張もさまざまあるわけでございます。むしろ国際的に見れば高過ぎるという御批判も受けておりますが、やはり消費税二%引き上げをお願いする中で、今回もそれぞれの控除について配慮をさせていただいて、一兆円規模の課税最低限の引き上げをさせていただいたと。これが一兆円で累進緩和が二・五兆円、足して三・五兆円。 十分でないというのはどういう意味がわかりませんが、もう詳しく申し上げませんけれども、おおむねほとんどのサラリーマンはこの改革で一〇%ないし二〇%の所得税率で済むといいますか、正確に言いますと千三百四十九万円、これは標準家庭で収入ベースでございますが、までは二〇%ということになりますから、二〇%のブラケットがかなりぐっとシフトしたことになりまして、今サラリーマンの平均収入が七百万前後でございますから、ほぼその倍に近くなるまでは二〇%で済むということであります。これ一点だけじゃありませんが、この一点をごらんいただいても相当思い切った改革だということを御理解いただけたらというふうに思っている次第でございます。
○池田治君 中堅サラリーマンの累進緩和をして重税感がなくなるという大蔵大臣のお答えでございましたが、九月二十三日の日経新聞の論説を見ますと、年収一千万円前後の所得層の重税感をなくするような政府税調答申ではあるけれども、実際にやってみますと、所得税、住民税の合計で一千万前後の所得層を対象にした場合、月に一万六千円程度しか減税にはならないと。ことしの戻し減税、いわゆる定率減税に比べると年六万円程度の実質増税になるのではないか。これを前提にすれば実質八百万前後の年収の人たちは増税となる。こういうことだと、消費税を導入するために低所得層に逆に減税をして中堅層には泣いてもらうことになりはしないか、こういう論説でございますが、これについてはいかがお考えでしょうか。
○政府委員(小川是君) ただいま御指摘の日本経済新聞の論説は、私ども拝見いたしましたが、かなり基本的な税制改革についての受けとめ方のところについて議論が混線しているような感じがいたします。 そこで、まず、まさに今大臣と委員の間でお話がございましたように、今回の税制改革、三兆五千億の制度改革に伴う減税の姿で申し上げますと、収入一千万円のところでは、ここにあります月一万六千円ではなくて、年額にいたしますと約十三万八千円でございますから、月当たり十二で直しますともうちょっと小さいものになります。ここで月一万六千円程度と言っておりますのは、平成七年度において制度減税のほかに景気対策の観点から定率の特別減税を二兆円行う、その減税額をこの一千万円の階層について計算して加算をしてみると、それは合計十三万八千円ではなくて二十万八千円程度になりますので、月額一万六千円程度になるというところでございます。 今回の税制改革の趣旨からいたしますと、やはり恒久制度改革である制度減税が各階層別にどのように影響を及ぼしているかというのを何よりも御審議いただきたいと思うわけでございまして、その際に、一千万円階層のところの軽減割合が実は比較的低い。例えばこの階層ですと軽減割合一一・六%でございまして、というのもこれまた事実でございます。 これは大臣から御説明いたしておりますように、さきの抜本改革以前の改革とあわせて各階層別にごらんをいただきますと、軽減割合は、四、五百万円の六、七割のところから一千万円の階層は三六・八%になだらかに実はこの軽減割合が下がってきているわけでございまして、その後、一千万円から上もこの三六・八からなだらかに下がっている。しかし、前回の軽減割合は比較的低かったものですから、今回の分は相対的に高くなっている。この七百万円、八百万円あたりから上の中堅所得階層で二回を合わせますと、滑らかなかつ負担感の累増を減らすような形の制度改革を御提案しているという次第でございます。
○池田治君 大蔵省の試算と日経新聞の試算とはちょっと違っているようでございますが、私もここで議論をする用意もありませんので、次に移らせていただきます。 平成六年分所得税減税法の附則についてでございますが、七年分以降の所得税につきましては「速やかに、税制全般の在り方について検討を加えて税制改革を行い、抜本的な所得税の減税を行うものとする。」というような附則がついておりますが、附則というものは法律の条文そのものではございません。条文の後にこうしなければならないという、これは訓示規定といいますか注意規定といいますか、そういうものだろうと理解しておりますが、そこにおきましても抜本的な減税を行うと書いてあります。 今の減税法は定率減税と制度減税という二階建て減税と言われておりますが、全体として五・五兆円のうち制度減税が三・五兆、特別減税が二兆円、この程度でございまして、この程度の修正では附則に書いた趣旨には到達しないんじゃないかと私考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(武村正義君) どういう物差してごらんいただくかによって結論も違ってくるのかなというふうに思います。 五・五兆円の制度減税論がございました。国民福祉税はまさにそれを基本にしておりましたから、その制度減税の額からすれば二兆円値切った、少なくなったと。だから小幅になった、中途半端だと、こういう見方は外見だけで見ればされがちでございますが、やはり中身をきちっと見ながら御議論をいただければありがたいと思うのであります。 あるべき所得課税を構築するために何が必要か、今の所得課税のどこに大きな矛盾というか問題点があるのか、その一点を見詰める限りは、たびたび申し上げてまいりましたように中堅層以上の累進緩和というのが最大の課題、長年の課題であったわけですが、この課題に今回思い切って手をつけたと。 〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕 先ほどブラケットの話を申し上げましたが、これは三〇%、四〇%もごらんいただきたいし、最高税率の五〇%ですら一千万円ぐらい金額がシフトしますから、今まで二千五百万前後でございましたのが、三千五百万を超えると最高税率というふうに全体に幅が動きますから、税率の緩和は大きく働いてくるわけでございまして、これを抜本的と言わないで、ほかに抜本的という改革はあり得るだろうかというふうにも私は思っております。 そもそも五・五兆円の場合は、そのうち二兆円は課税最低限の引き上げに充てるということが基本でありまして、これは先ほども申し上げたように、果たしてそれは本当の改正になるのかどうかということも含めて真剣に考えますときに、今回の改正はそういう所得税減税法附則に言うまさに抜本に値すると、私どもはここは自信を持って申し上げている次第であります。
○池田治君 「抜本的な」という抜本の解釈によるというような意味でございますが、大蔵大臣がこれが抜本でなくて何が抜本がと言われれば、それ以上のことは伺えませんので、次の問題に移ります。 この制度減税の内訳を見ますと、給与所得控除の拡充、人的控除額の引き上げ等々で一兆円近いものは省かれておりますので、残りの所得税の税率構造の改正に充てられる分は一兆六千三百億円、住民税の税率構造の改正に充てられる分は六千七百二十億円にとどまっております。 政府税調の中期答申に示されたように「世代を通じた税負担の平準化」、「ライフサイクルを通じた税負担の平準化」ということを目指す税制を構築しようとするならば、所得税、住民税の税率構造の改正にもっと財源を充てるべきではなかったか、こう考えますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(小川是君) 先ほど大臣から申し上げましたように、国民福祉税構想当時の減税につきましては、昨年十一月の政府の税制調査会答申を受けまして私ども事務的にはいろんな想定をしながら作業をいたしておりました。その結果が、税率構造で三兆ないし三兆五千億、消費税率を四%引き上げるときにはやはり課税最低限二兆円程度上げざるを得ないのかなということでございました。 その税率構造の直し三兆ないし三兆五千億というところからいたしますと、今回は税率構造の改正で直接二兆三千億でございますが、実は給与所得控除の改定といいますのは実質的に税負担構造、累進課税等に影響いたしてまいります。そういったものを勘案いたしますと、税率を見た部分が約二兆五千億ということでございまして、想定いたしておりました七、八割方は税率構造を滑らかにといいますか、負担累増感をなくすために改革をさせていただけるのではないか。これはやはり現在の財政状況あるいは税負担状況のもとでは非常に思い切った抜本的な将来たえ得る税率構造をつくらせていただいているのではないか、このように考えている次第でございます。
○池田治君 しかし、もっと多ければもっといい税率構造ができるんじゃないですか。
○政府委員(小川是君) その点につきましては、例えば最高税率のあり方についてどのように考えるか、それから二〇%の税率の適用帯を広げるとともに、三〇、四〇、五〇も適用帯を滑らかに広げているわけでございます。これをどの程度まで広げることが望ましいと考えるかということについて新しい税制調査会でも改めて御議論をいただき、最終的にこうした姿が現状考えられるベストの姿ではなかろうかということで御提案を申し上げた次第でございます。
○池田治君 次に定率減税、特別減税の二兆円ですが、これにつきましては、我々も以前から景気対策をやれやれと言いまして要求した額でございますので、それなりの評価はしております。そしてまた、低所得層への重点配分という点でも評価できますが、これは早ければ七年の末、遅くとも八年の末には打ち切りとなる運命となっております。打ち切られた後には、平成九年度の初めから消費税がアップされてきます。 そうしますと、定率減税の打ち切り、消費税の引き上げというのが同時もしくは一年後になされるわけでございます。そうしますと、年収七百万以下の所得層、いわゆる低所得層の方はダブルパンチを食って、かなり家計が苦しくなることが予想されるのでありますが、果たして低所得層への配慮は、今はいいですが、二年後これでいいんでしょうか。また、景気へのマイナス効果が出てくると思われますが、これはいかが大蔵省は考えておりますか。
○国務大臣(武村正義君) 今回の税制改革の特色の一つは、この不況のさなかに論議がなされて、今日はやや明るさが出始めておりますが、まだ本格的な軌道に乗ったとは言い切れない、こういう状況の中で今議論をいただいているということであります。 したがって、長年議論がございましたが、景気政策として大胆に減税政策というものを政府が採用させていただいている、そのことが今回の税制改革の、先ほど来議論がありますような所得税の制度減税をきちっとやっていると言いながらも、全体像をやや複雑にさせている背景がございます。しかも、その規模が五・五兆円というスケールでことしもう出発をいたしておりますことから、この五・五兆円を来年も継続する、景気が回復しない限りは再来年もやるんですと、こういう姿勢をまず打ち出しておりますために、制度改革全体の姿をよくごらんいただければわかっていただけるはずでございますが、見ようによっては二階建てとか、そういうやや複雑な状況を来していることは事実でございます。それは私どもは非常にそこは工夫をして、細心の配慮をさせていただいてそういう結果になっているというふうにお答えをしているところでございます。 ところで、景気対策でございますから、いつまでもエンドレスにこれを続けることはできませんし、またすべきではありません。なぜなら、財源が非常に厳しい状況の中で、目をつぶってつなぎ国債を発行しながらこの減税政策を実施しているということでございます。政府としては、一年でも早く景気がよくなってこの減税はやめさせてもらいたいというのが本音でございます。 しかし、来年は少なくとも、たとえ上昇に向かうにしてもまだかなり重い足取りでありますから、既に同じ規模でやらせていただくという決断をしておるわけでございますが、再来年はこの辺はまだ見えておりません。でも、今の経済状況で見る限りは緩やかな回復の方向でございますから、だんだん明るくなっていくと私どもは信じております。 そういう意味では、消費税の増税を三年後の平成九年四月一日に置かせてもらっておりまして、そのときまでには景気は回復しているだろうという前提に立っておるわけでございまして、あくまでも減税政策として特別の対応をさせていただいております以上は、二年ないし三年の期間が来れば、これは迷わずやめさせていただきたい。 そのことによって、特別減税がなくなるということは事実でありまして、それを負担の増とおとりいただくか、特別の減税がなくなったというふうに素直にとっていただければ一番わかりやすいわけでありますが、そのことと消費税のアップがたとえ万一ダブりましても、これはやはり二つの問題は性格を異にしておるということで御理解をいただきたいというふうに思います。
○池田治君 性格を異にすることはわかりますけれども、消費税のアップというのと特別減税のなくなることとが一緒に来た場合の経済的な効果というものはどうお考えかというお尋ねをしているわけでございますが。
○国務大臣(武村正義君) それはまさに景気が明るくなるという状況を前提に置いておりますから、そういう前提で特別減税を終えるということであります。消費税の問題はまさに減税、福祉を基本にしながら二%の充実をお願いいたしているところでございまして、問題はその時期をいつからということで、来年からという選択もそれはあり得るわけでございますが、これも景気対策の視点から三年後という選択をあえてさせていただいているということで御理解いただきたいと思います。
○池田治君 今の大臣の答弁にもありましたし、また税制改革要綱でも、「景気が特に好転した場合には改めて検討するしということがうたわれております。ここに言う「景気が特に好転した場合」とは、どういう場合を指すんでしょうか。今、大臣のお話を聞くと、緩やかに景気は上昇に向かっておると言われましたが、「特に好転」と言ったら、これはバブル経済のようなことを意味するのか、それともそこまでいかないけれども、現在の経済成長率二・四%が三%、四%になったという場合を指すのか、こういう問題があると思いますが、これは大蔵省はどういう試算をされておりますか。
○政府委員(小川是君) 特別減税の趣旨が、先ほど来申し上げておりますように景気に対する配慮であって、所得税の負担感あるいは負担のあり方の問題とは別の問題として景気対策のために講じているわけでございますし、財源はないわけでございますし、できるだけ早くこれを打ち切る必要があるということでございます。 逆に申しますと、我が国経済の内需中心の持続的成長を確保するという観点から行っているわけでございますから、あえて赤字公債を発行してまでそうした減税を行って景気刺激のための措置を講ずることは必要がないのではないかという景気の状況になれば、それはそこで平成八年度の特別減税を実施しないということも検討する、あるいはそういう判断があり得るということでございます。 したがいまして、この点につきましては、経済の水準ももちろん重要でございましょうが、そのときの経済の流れと申しますか、どういうふうなテンポで動いているか、あるいは動くと見きわめられるか、それからさらには先ほど来の平成九年の消費税率のアップということも見きわめながら、来年の秋、平成八年度の予算編成の際に総合的に判断をしなければならない課題である、このように考えております。
○池田治君 お気持ちはわからぬこともないですが、それではちょっと大蔵省としての国民に対する説得力は弱いんじゃないでしょうか。 続けますが、平成八年の特別減税につきましては法律案としてはなっておりません。平成八年の定率減税は、要綱には出ておりますけれども法律案に明記されておりません。要綱に示されただけです。としますと、この要綱記載の記述は法律でもない。大蔵省が勝手に決めるものだと。専制君主が、これは景気がよくなったら景気がいい、景気が悪いと思ったら景気が悪い、こう判断すればやれるんでしょうか。
○国務大臣(武村正義君) 御承知のように、つなぎ国債という異例の措置をとりながら特別減税をしていくわけでございますから、毎年毎年真剣な判断、議論を経て最終的には国会でお決めをいただくということであります。大蔵省が恣意的にやるというようなものではありません。 来年の今ごろでございましょうか、再来年の景気をしっかり議論して、その上で総合判断をしていきたい、国会でもしていただきたいというふうに思っている次第でございます。
○池田治君 それは総合的な判断も必要だし、最終的には国会で決めていかなくちゃいけないと思いますけれども、来年度のは書いて再来年度のは書かないで要綱だけで示しておるということが、もともと租税法定主義の観点から見ましてもちょっと中途半端なんじゃないかと私は考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(武村正義君) 御承知のように、赤字国債と言われております特例国債につきましては、財政法も大変厳格に規定をいたしておりまして、禁止されておるわけです。それを特別なときには例外的に認めると、こういう姿勢で来ておりますので、毎年毎年真剣に議論をして、特別な理由があるときには認める、認めていただく、こういう非常に厳しい姿勢をとっておりますからこういうふうなことにしておるわけで、安易に何年も先にそういうものを規定するという姿勢は、やはり財政運営、特に赤字国債発行の姿勢としては財政法の趣旨に合わない、そういう考え方に立っているからでございます。
○池田治君 それはそうですよ、何年も先のわからぬことを言うわけにいかないし、財政法が厳しくチェックしていることもわかるし、何よりも租税法定主義というのが先に立ちまして、税を国民に負担していただくためには国家権力は法律によらなければできないということは厳しい鉄則でございまして、それがあるにもかかわらず、要綱に記載させたり、また法律で記載しないでいるところが今回の問題点ではなかろうかという疑問を私は抱いているものでございますが、どうですか。
○政府委員(小川是君) 当面の景気対策としてどのような政策を講ずる必要があるかという点につきましては、来年も制度減税三兆五千億を含めて五兆五千億規模の減税を継続したい、そういう意味で政策を定め、それに要する法案の御審議をお願いしているというところでございます。 ところで、八年度の経済についてはどうかというところにつきましては、この税制改革要綱で閣議決定をした文章の中でわざわざ、八年度もやります、ただ、特に好転したら再検討しますというところは、まさに現状における将来の経済、景気に対する一つの考え方を反映しているわけでございまして、再来年の経済を論ずることでございますから、本来なら来年裸で論ずるというのも一つでございましょう。 しかし、現下の経済情勢から、再来年についても必要があればこれを継続するのだ、しかし、それが本当に必要かどうかは直近である来年決めていく必要があるというところが閣議決定で要綱にその政策の方向性を定めているところでございまして、両者はやはり政策の位置づけといいますか、御提案のしぶりにおいて当然経済とのかかわりで若干の差があるという点は御理解を賜りたいと思うわけでございます。
○池田治君 平成七年度と八年度の間に経済が好転するかまた低迷するかわからない状況のもとにあるから明文は示せなかった、その後で書くということは十分理解しております。しかし、私が言っているのは、そういうわけもわからぬものを要綱に書いて示すというよりも、一年だけ確定しているのならこの一年間の法律だけでよかったのではないか、来年は来年の新しい問題を論ずればよかったのではなかろうか、こういうことで租税法定主義を厳格に守っていただきたいという要望をしておきます。 次は、所得税減税の効果です。 住民税、所得税が中堅所得層に適用される限界税率の水準というのは、高い構造になっていたのを是正して、給与収入がふえた分だけ手取りもふえますよといった構造にしたいということで、いろいろ政府も御苦労されてきたのだと思っております。 しかし、今回厚生年金の改正がありました。これでいきますと、保険料を二段階に分けて一千分の二十八・五引き上げて、同時にボーナスからも一%分を徴収する、こういうことになりました。そういうことになりますと、所得税の減税の効果が余りなくなってくるのではないか、保険料率の負担というものと減殺されるような結果になるのじゃなかろうか、こういうふうにも考えられますし、実際に民間研究機関の試算も出されております。このような結果を含む税負担と年金保険料の問題について大蔵当局はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(武村正義君) 今回の年金制度の改革は、高齢化が進展していく中で保険制度としての年金制度を長期的に安定させていくためにいろいろ議論をいただきました。将来にわたって給付と負担のバランスを図るという立場から保険料の引き上げをお決めいただいたということでございます。一方、税制改革は、こうした特別の行政目的といいますか、特別のサービスにかかわる議論でなしに、国民のだれもが享受する公共サービスの費用をどうして公平に社会全体で御負担をいただくかという立場に立つものでございます。 そういう意味で、受益とサービスが比較的直接つながっていてわかりやすい年金の問題と税制全般の問題とはやはり分けてお考えをいただきたい。確かに、足せばオーバーラップしますから負担という意味では重なるわけでございますし、その分可処分所得は減るわけでございますからこういう論議は大変大事だと思っております。しかし、制度の本来の背景といいますか、は別のものだという認識に立っております。
○池田治君 それじゃ、次に移ります。 法人特別税の廃止分が三千六十億円、自動車消費税の経過措置の廃止分が四百二十五億六千万円となっておりますが、今回の税制改革ではこれらにつきましては特段の財源措置を講じておりません。これは来年以降の予算編成の分で対策を立てるということで大蔵省はお考えなんでしょうか。なぜ法人特別税の廃止分についても税制改革の中で財源の手当てをなさらなかったかということをお尋ねいたします。
○政府委員(伏屋和彦君) 今、先生がおっしゃられましたように、法人特別税三千六十億、それから自動車消費税四百二十五億がいわゆる減税特例公債の対象となっていないわけでございます。 これはもともと前回の税制改革の一環として位置づけられておったものとはいいましても、厳しい財政事情に対応するために特に設けられました時限的な措置であったことから、他の所得税等の減税とは若干性格を異にするということで、まず全体の税制改革のフレームの中に入っていないこととしたところで、したがいまして七年度以降の減税特例公債の対象にもしていないわけでございます。 そうしますと、今先生がおっしゃいますように、一体その減収分はどうなるのかということでございます。まさにその減収分は、結局、今の額の分財政状況が一層厳しくなるわけでございます。といいますことは、例えば今やっております七年度予算編成におきましても、歳入と歳出のアンバランスの差がその公さらに要調整額が開くわけでございます。 この処理につきましては、現段階でまだ私どもその確たる見通しを立てているわけではございませんが、これらの減収分も含めまして、もともと極めて大きな要調整額があるわけでございますが、まさに歳出歳入両面でこれからぎりぎりどのような努力が考えられるか、予算編成過程において鋭意検討し、調整していかなきゃならない問題でございます。
○池田治君 財源の手当てもなしでいろいろ税の負担を軽くするということは、軽くされた方からいえばありがたい話ですけれども、国家の財政としては、廃止した分だけどこに財源を求めるかということも考えなかったら、本来ならば廃止すべきじゃないと思うんです。だから、大蔵省のやり方は、廃止だけしてあとの財源の手当ては考えていない、今から考えるということでは、ちょっと泥棒を捕まえて縄をなうというような方式で、国家財政を担当される大蔵省の方針としては若干不信感が出てくるんではないかと思いますが、どうお考えですか。
○国務大臣(武村正義君) ことしの減税の中には、御指摘のように法人特別税にしましても自動車消費税にしましても入っているわけです。さらに相続税もございました。 それで、この三つの性格を考えますと、相続税は言うなれば前向きに新しい改革として、恒久的なものとして改正をいただいたわけでございます。そういう減税であります。 前者二つは、過去にさかのぼりますといろいろ沿革がございますね。まさに湾岸戦争の対応として一定期間法人特別税の御負担をお願いしたという経緯がございました。そういう意味では、その目的が終わればこれは通常ベースに戻さなきゃならないという性格のものでありましたし、自動車消費税は、六年前の消費税の論議のときに過渡的に一定期間特別の税率をお願いして、将来はこれを一般の率まで下げるというそんな関係者の合意もございまして、そういうことを守ってといいますか、そういう経緯に従って今回減税に踏み切ったという性格のものであります。ある意味では当然踏み切らなきゃならないものだという性格でございますから、あえて分けさせていただいたということでございます。 一方、しかし財政的には御心配いただくとおりでございまして、いよいよ厳しい状況の中でまだ最終の整理ができておりませんが、予算編成間近にして見詰めておりますと、今の税収等々の状況で見る限りは、この分に限らず概算要求全体に対応するだけの財源の見通しというのはなかなか容易なことではありません。赤字国債を出さないでどうしたら予算編成ができるか。よほど切り込むか何か考えないと難しいというぐらいの状況に立っておりまして、深刻に真剣に心配をしているところでございます。
○池田治君 そういう苦しい財政のもとにおけるやりくりであろうとは理解しておりますが、今度は逆に石油とか酒税等は消費税と併課されているというようなことになっておりますが、これは税率の引き下げとか免税点を拡大するとかして調整措置をとらないと、先ほどの質問とは逆に重税を課していることになりはしないでしょうか。
○政府委員(小川是君) 酒とかたばことか石油などに対しましては個別間接税を含んだ価格に消費税が課されているわけでございますが、消費税の性格はあらゆる価格に一律に上乗せして課税するべきものでございます。 そこで、消費税率を引き上げる際には、こうした物品等についてはその含まれている個別間接税にもいわば上乗せされて負担がかかっているという問題を生ずるわけでございますが、消費税が本質的にあらゆる要因の価格に上乗せして課税されるというものであるという、こうした制度を前提にいたしまして、今後総合的な検討、考えを進めていく必要があると。昨年の税制調査会におきましてもこの点が議論されまして、答申におきましてそうした趣旨が指摘されているところでございます。 したがいまして、調整と申しましても、これは個別の間接税の方をどうするかという問題でございます。財政事情で上げているもの、あるいは目的税的な使途との関連で定まっているもの、さまざまございます。ただいま申し上げました消費税の性格あるいは財政事情等も踏まえて、今後総合的な検討をしていかなければならない課題であると考えております。
○池田治君 時間もありませんので、ちょっとがらりと方向を変えまして、平成七年度の税制改正に関する要望でございます。 今、住宅を建設させることが景気対策にも一番いいし、そしてまた勤労者の住居の安定ということからも奨励されておるわけでございますが、住宅を建てる場合に、建物取得の際の登録免許税というものは一定の条件のもとでは軽減されておりますが、今度、土地の取得については租税特別措置法による税率の軽減措置は一切とられていないのでございます。どうも住宅建設が思うように進まないのは土地税制との関係も非常に深いと聞いております。したがって、一般の不動産というよりも住宅用敷地の取得については何らかの税の軽減措置が必要なんではなかろうかと考えますが、大蔵省はいかがお考えでしょうか。
○政府委員(小川是君) 現行の住宅用家屋に対する登録免許税の特例措置というのは相当な負担軽減になっているわけでございますが、土地についてそうしたことを考えられないかというお尋ねでございます。 やはりこの土地と住宅、土地の場合には、住宅用地としても使えます、それ以外のさまざまな用途にも使える国土の一部でございます。そして、これは償却対象でもございません、恒久的な資産であるといったような、そうした土地を購入する方々に対する負担の求め方としては、やはりこれに税金を何か軽減するというような形で助成をするということは適当ではないのではないかと考える次第でございます。したがいまして、これまでも住宅に対して何らかの助成をするというときには、土地ではなくて住宅部分を重点的に、登録免許税であれ、あるいは所得税であれ、対象にしているところでございます。 やや技術的に申し上げますと、住宅と土地、建て売りで取得する場合もございましょうし、土地を何年か前に取得しておいて後に住宅を建設されるといったような場合もございましょうし、また借地の上に住宅を建てるというさまざまなケースがあろうかと思います。そういったことも勘案いたしますと、やはりこの住宅建設、保有に対する助成としては、土地というよりは上物に対する助成を行うということが税制としては適切ではないかと考えている次第でございます。
○池田治君 一般の土地については主税局長言われるとおりですが、建物を建てるための敷地ということに限定していけば、必ずしも局長が今御答弁なさったようなことは当たらないんじゃなかろうかと思います。どうしても敷地についての減税ということをやらないと、今から住宅建設というのは行き詰まりになってしまって、これは社会政策上も問題が生じると思っておりますので、今後の御検討をお願いします。 それから次に、似たような質問ですが、登記の登録免許税の見直しでございます。 これは大蔵委員会には前々から陳情がなされてきたものでございますが、やっぱり土地の評価額に従って登録免許税が上がるということになると、非常に登録免許税が高いために、それを脱法的に中間省略の登記をして、登記をAからB、Cと移す場合に、Bを省いていきなりCに移す、こういうような登記手続がなされて適正な登記が行われない、公示機能が妨げられる、こういう要請もございます。この免許税というのを一定の基準にして、固定資産税評価額の見直しに伴って上昇したり下落したりするようなことはしないというような方策はとれないものでしょうか。
○政府委員(小川是君) 登録免許税の性格からいたしますと、こうした不動産等の権利の設定あるいは移転といったようなものに伴って負担を求めるものでございますから、やはり対象となっている物件、権利の価格というものに応じて負担をお願いするというのが最も妥当なものではないかというふうに考えるわけでございます。 その場合に、土地について何をもって課税標準とするかという点につきましては、固定資産税の評価額があまねく全国の土地についての価額としてございますので、これを基準にするという考え方で制度をつくり上げているわけでございます。この場合、固定資産税評価額が三年に一度評価がえになるということから、いわば経済の伸びに応じ、地価の上昇に応じ、登録免許税の負担も増大するわけでございますが、今回のように固定資産税評価額の評価がえが大変大きい、異例に大きいという場合でございましたので、平成六年度の税制改正におきましては、平成九年の三月末までの暫定措置といたしまして固定資産税評価額の百分の五十ないし百分の四十とする軽減経過措置を講じたところでございます。 土地の価格が上昇すれば上がり、あるいは下落していけば評価額に応じて下がっていくという、この登録免許税の性格としてはそのようなものとして御理解を賜りたいと。今回のものは固定資産税の評価額が大きく上がったことに伴う経過的な負担軽減措置で、またこれが切れますときに御議論を賜りたいというふうに思うわけでございます。
○池田治君 終わります。
○寺崎昭久君 まず、大蔵大臣にお尋ねいたします。 税制改正に関して今回二階建て部分を採用したという事情もあり、税制改正の理念や目的が大変わかりにくいという声が少なくございません。そういう中で、十月四日の閣議決定は税制改革とあえて言われておりますけれども、改革と力を入れて提示された意味合い、あるいは税制改正の目的について、これまでも何度も答弁されていると思いますが、お尋ね申し上げます。
○国務大臣(武村正義君) たびたび御答弁申し上げてきたことでありますが、先ほども池田委員とのやりとりでお感じいただくように、初めに五・五兆円ありきというのか、この五・五という数字に大体どういう意味があるのか、これは余り議論はなされていませんが、これが先行してありまして、それが制度減税としては三・五になった、足りない分は特別減税を継続すると。これだけでもって二階建てはややこしい、中途半端と、こういう何か御批評をいただいている感じがするわけです。 でも、真剣にこうして意見を交わすことによって、なぜ三・五兆円にさせていただいたのか、決してこれは消費税を二に抑えることがあってやったわけではありません。私も就任直後から小川主税局長と意見交換をして、とにかくきちっと抜本改革をやるにしてもぎりぎりどの程度が必要なのか。特に課税最低限の議論が私は前から頭にあったものですから、五・五兆円のうち二兆円は課税最低限に回すというのは国民福祉税のときの議論でしたから、課税最低限をこれ以上まだ上げるということは一体正しいのかどうかという疑問を持っておりまして、そんなところからもそういう問題提起を私もしておりました。 それがいろいろ議論をなされて、三・五兆円で抜本的な所得減税ができる、これで十分だという専門家も含めたさまざまな判断に到達をしまして、それなら残る二兆円はどうしようかと。そうすると、ナポリ・サミットへ行くときに、もうこれは対外的な発言が先行しましたが、もちろん国内の景気対策ということが根本でありますけれども、対外的にもことしとほぼ同規模の減税を来年は継続するという発言をしておりましたので、じゃ、その差額はもう目をつむってというか、特別減税を継続させていただこう、こういう判断になったわけでございまして、こういった経緯を御理解いただければ、形の問題は十分御理解がいただけるんではないかというふうに思っております。 さて、中身の理念という御質問でございますが、これもたびたびお答えしてまいりましたように、一つは、やはり働き盛り減税とも称しておりますように、中堅層に重点を置いて所得税の累進税率を緩和させていただくということが基本でございます。累進税率を下げる、そしてブラケットを広げるということが基本でございます。 そして、消費税につきましては、やはり特定の働く階層に負担がぐんとかかるという状況をこの減税措置によって改めながら、社会の構成員全体がみんなで支えていただく、御負担をいただくという制度を採用することによって税体系全体のやはり安定、公平を貫いていきたいということであります。 もちろん、あわせて中小特例の見直しとか長年の議論でございました地方財源の独立化とか、そういうことにも今回一定の方針を示させていただいた、これが大体今回の税制改革の基本でございますが、もう一つあるのは、景気対策としての減税という強い柱というか、姿勢が全体を貫いております。
○寺崎昭久君 今のお答えを伺っても、従来税制改正要綱と言ってきたのを、あえて改革と名前を変えるほどの内容ではないのではないかと思います。 後から申し上げますけれども、今は二十一世紀を見据えて日本の将来をどうするのか、そういうことをもとに、税制についてもまさに抜本的に変えるべき時期を迎えているのではないかと思います。少なくとも改革と言うからには、税制において基本的な部分を変えるということが要件だと思いますけれども、そういう観点から見ますと、今回は改革と言うには少しオーバーで、言葉遊びの嫌いがあるんではないかと思います。 そうしたことから、例えば福祉ビジョンとその財政基盤をどうするのか、あるいは二百兆円を超える公債残高をどう処理するのかという財政の健全化の問題とか、そういったようなことが含まれて初めて私は改革という名に値するのではないかと思ったわけです。 もう一度お尋ねしますが、改革と名前をつけられたゆえんをお尋ねいたします。
○国務大臣(武村正義君) 改正と改革というのは、別に厳密な定義が存在するわけではないわけであります。制度の基本に触れるような改正が改革なのかなと私は理解をいたしますが、所得税、住民税の減税三・五兆円ぐらいでは改正だとおっしゃるなら、じゃ四・五兆円だったらどうですか、五兆円ならどうですかと。金額で決まる話でもないですね。長年の課題であった中堅層のブラケットの問題、累進税率の問題に手をつけた、思い切って改革をさせていただいたからこれは改革だと私どもは自己評価をしてそう称しているわけでありまして、そこのところは見方なのかなと思います。 ただ、先生の御意見を伺っていてうなずいておりますのは、税制の仕組みを変えるという意味で改革だと申し上げているわけですが、その背景にある二百兆円の公債が累増しているという状況に対する税制改革ではないじゃないか、あるいは将来の福祉、年金、医療の巨大な財政需要が見込まれる高齢化への対応としては、特に長期的な視点から見ればこれは改革に値しないじゃないかとおっしゃるなら、その点は私はそうでないと否定をするつもりはありません。それはまさに、見直し条項を置かしていただいて、その中で、少なくとも行財政改革と並行しながら福祉の将来に対する展望をしっかり持って、あるべき消費税率を最終判断していこうという考え方をこの条項で鮮明にいたしておりますのはそこでございます。
○寺崎昭久君 仕組みを変えるという意味においては不十分だという御趣旨のお話がございましたが、少なくとも税制改正するにはそういったところも十分検討した上で一つの結論を出すべきものであると思います。 そこで、消費税に係るこれまでの課題のうち幾つか具体的にお尋ねしたいと思います。 例えば我々は、消費税についてはインボイス方式を導入し、いわばEC型付加価値税を導入するべきだということを主張しております。これまでも主張してまいりましたけれども、この点ほどのように御検討されたのか。それからもう一つは、簡易課税制度は廃止すべしということを主張してまいりました。若干の変更はありますけれども、現状の改正案にとどまった経緯を御説明いただきたいと思います。
○政府委員(小川是君) インボイス方式は、消費税の仕入れ税額控除方式と呼ばれているものでございます。 現在の消費税が五年前に導入されましたときには、仕入れ税額の控除は、帳簿にだれからいつ幾ら何を仕入れたかという事実があればそれによって控除をすることができるというふうにしてスタートをしたものでございます。しかしながら、この自己記帳に基づく帳簿だけではどうも制度として信頼性が薄いのではないかという御指摘が税制調査会でもございました。 そこで、こうした制度の信頼性を高める観点からは、控除すべき仕入れ税額を帳簿によって計算するというのは大変利便性、便利なところがございます。ずっと記帳しであるものを合計しておいて百三分の三を掛ければいいという意味で大変利便性が高いわけでございますけれども、その帳簿だけではなくて、今回の改正では、帳簿に書いてある仕入れの事実を記載した請求書等の書類の保存をもう一つ要件として追加をするということで御提案をしているものでございます。 こうした方式をとることによりまして、確かに、EC諸国のようにそのインボイスに税額を記入させて、記入された税額だけを控除するという方式とは違っているわけでございまして、帳簿で合計した額の百三分の三を控除してよろしいという意味ではEC方式とは違うわけでございますけれども、ただ、取引の事実を証する書類が保存されていなければいけないという立証性といいますか、信頼性という意味では全く異なることがないというふうに考えているわけでございます。 税額を書いていないということと、もう一つは、EC諸国の場合には基本的に免税事業者はこうした税額を記載したインボイスを発給できませんので、免税事業者から購入すると仕入れ税額控除ができないということになりますが、我が国の場合には免税事業者の場合にも仕入れ税額控除を認めるという制度を引き続き存置しようということでございまして、これは中小零細事業者が多い我が国の実情から見ますと、やはりそこのところの配慮が必要ではないかというふうに現状では考えている次第でございます。 それからもう一点、簡易課税の問題につきましては、この制度につきましてやはり事業者の事務負担、とりわけ中堅中小事業者の事務負担を考えますと、確かに制度の公平性という点ではない方がいいわけでございますが、また簡素性という面からいいますとやはり簡易課税制度というものが必要であると。 次第に制度が定着をして事業者の方が実務になれてこられるに従って、一つは、この適用限度を引き下げていくという考え方から、今回は四億円から二億円に引き下げを御提案いたしております。もう一つは、今後ともこのみなし仕入れ控除率につきまして実態の点検を常時やっていく必要がある、かように考えている次第でございます。
○寺崎昭久君 今のインボイス方式に至った経緯はわかりましたけれども、このことは将来はEC型付加価値税に移行するための準備であるという意味合いがあるのかどうか。その辺についてはいかがでしょうか。
○政府委員(小川是君) 現状で申し上げますと、布とも主とも、どちらの方向へ進むべきであるかということは、必ずしも決まり切ったことであるというところまでは至っていないような気がいたします。 とりわけ、免税事業者からの仕入れを認めるか認めないかという点は一つ重要な点であると存じますし、それから、税率が複数化していったときには、税率を異にすることにインボイスに税額を書くことを要件にした方がいいのか、それとも、現在の取引に使われている各種の書類におきましても、単価が違えば同じ物品であっても別々に請求書あるいは納品書を切るという商慣習あるいは商業上の便宜がある以上は、税率が仮に複数であっても当然商取引上そういう形になっていくのではないか。事業者間ではやはり便宜のためにいろいろな進んだ簡便な、しかし必要最小限の書類が交わされるものでございますから、EC諸国のようにあえて法律でこういう書式でなければいけないというところまで求めて、かつそれを仕入れ税額控除の要件にすることがいいのかどうかという点につきましては、今回の改正とそれの実施状況などを見ながら将来また御議論をいただき、各方面で検討していただく課題であるかと思っております。
○寺崎昭久君 大臣にお尋ねしますが、ただいまの免税業者からの仕入れ分について、仕入れ税額控除をしないというのを原則として考えるのか、現状でいいんじゃないかと考えるのか、その辺は大臣は。私はあるべき姿を伺っております。
○政府委員(小川是君) ちょっと技術的な点を先に申し上げさせていただきますと、現状であれば、年商売り上げ二千万円の方から仕入れた例えばこういう書類であるとか簿書等のたぐいにつきまして、これは売り上げの段階で三%の消費税がかかっていないわけでございますから、負担としては消費税相当分が抜けているわけでございますが、購入した側はあたかもそれが負担されていたかのように計算をして控除を認めているわけでございます。 こうした方式をとっておりますゆえんは、もしもそれを認めないといたしますと、同じものを買うのであれば購入者側は当然消費税を差し引くことができる相手、つまり課税事業者からの購入に移るという可能性が高いわけでございます。我が国のように中小零細事業者が小売店だけではなくてさまざまな製造段階あるいは流通段階で入り込んでいる商業といいますか経済の仕組みの中では、そうした免税事業者を仕入れ税額控除を認めないという形で排除していくということが果たして経済のあり方としてどうかということが問題として税制調査会等でも議論されているわけでございます。 一つの考え方は、むしろ免税点を引き下げていくということによっても、三千万円から下げていけばそれだけ免税事業者が減っていくということで、仮に免税事業者からの仕入れ税額控除を認めたといたしましても弊害は極めて小さくなっていくのではないか、こうした意見もあるわけでございます。 したがいまして、御指摘の点は、技術的に申し上げますと両方の方向で検討課題であろうかというふうに思っております。
○国務大臣(武村正義君) 我が国の経済は欧米に比べてもかなり特異な面もございます。中小企業が非常に多いということもそうですし、流通段階が大変複雑であるという実態もございます。 そんな中で、六年前消費税の議論が行われて出発をしたわけでございまして、当時のそういうさまざまな御意見を集約されながら、免税点、限界控除制度、簡易課税制度等々、もちろんインボイス方式をとらない前提で始まったのがこの制度でございます。今回それぞれ議論をいただいてこれをどう評価いただくか。かなりの見直しであると私は思っております。三千二百億ぐらいの増収になりましょうか、そんな想定をしております。 簡易課税もまず半分までぐんと下げさせていただきました。限界控除制度はもう廃止に踏み切らさせていただきました。日本式のインボイスもこういう形で導入を決めさせていただいたということで、あと免税点三千万は据え置きになりましたが、これでいいのかどうか、簡易課税も二億円以下は残っているが、今後ともこれを存続すべきかどうかという論議はこれからも続いていくと思っておりますし、見直し規定におきます「課税の適正化」という表現の中には、そういう論議の可能性も考えながらこういう名言が置かれているというふうに認識をいたしているところでございます。
○寺崎昭久君 消費税法の附則二十五条にも見直し規定がございますから、その時期にまた改めてこの問題については議論させていただきたいと思います。 それから、税制全般にかかわる問題でありますけれども、総合課税制度を導入してはどうか、また所得税の税率構造を簡素化してはどうかというのが一つのテーマだったと思いますが、この点についてはどのような検討がされたんでしょうか。
○国務大臣(武村正義君) 総合課税についてまずお答えいたしますが、基本的にはこの方向を目指すべきだと私どもも認識をいたしているわけですが、現行は分離課税方式がとられております。現在の所得把握体制のもとにおいて実質的にどう公平性を実現するかということや、経済活動等に対する中立性の問題や、あるいは制度の簡素性というような観点、こういうさまざまな考え方を総合してこれまでは分離課税方式がとられているということであります。 総合課税の問題としましては、所得把握体制の整備がどうしても欠かせません。その観点からも、いわゆる納税者番号制度の導入をめぐる論議が出てくるわけでございまして、そういう理論面それから実態面、両面から今後とも総合課税化の問題に真剣に取り組んでいきたいと思っております。 税制調査会におきましても総合課税化の方向に触れていただいておりますが、四つぐらい問題点を指摘いただいております。 一つは、海外預金へのシフトという可能性、租税回避というふうなことから、そういう可能性をどう防いでいくかという問題がありますし、役所の側も払っていただく民間の側も、納税コスト、徴収コストをどう乗り越えていくかという問題もございます。また、総合課税になりますから、いわゆる最高税率、先ほど来ございますようなこの扱いも一つの論点になってまいります。最後には、包括所得課税論、分類所得課税論という議論が学問の世界にはあるようでございまして、それぞれ分けてきちっと捕捉した方がいいんだという議論と、全体をやはり総合課税にしてとらえた方がいいんだという議論の対立というのはずっと今もあるようでございまして、こういうさまざまな側面をきちっと乗り越えて方向を見出していかなければいけないというふうに思っております。
○寺崎昭久君 税率構造。
○政府委員(小川是君) 税率構造の点につきましては、現行所得税五段階、住民税三段階、合わせて八段階あるわけでございますが、二つの問題があると思います。 一つは、両税が合わせて滑らかな税率構造であるということ。この点につきましては、今回の改正でその点に十分配慮をされた形にさせていただいていると思っております。 もう一つは最高税率でございますが、昨年の中期答申におきましては、両税を合わせて現行の六五から五〇%程度をめどに引き下げていくことが適当であるという答申をいただきました。ことしの六月に改めて税制調査会で御議論をいただきましたときには、それに加えまして、今大臣から申し上げましたとおり、最高税率の引き下げの前提として資産性所得の総合課税化ということを図る必要があるのではないかという御指摘がございました。また、ブラケットを大きく引き上げればこの際は最高税率を据え置くのもやむを得ないのではないかという御意見もございました。 将来の方向といたしましては、この中期答申で示されました最高税率の引き下げの方向に向かいまして、しかし他方で総合課税化、資産性所得の把握、課税対象への取り込みといった問題を含めて検討がなされなければならないというふうに考えております。
○寺崎昭久君 先ほど大臣の冒頭の御説明の中に、将来にわたる財政基盤の確立てあるとか福祉財源の確保であるとかいうのは平成八年九月の見直し時期までに行いたいという趣旨の御発言がありましたけれども、手順として、平成八年の末と言われても、条件を出していただかないと国会の議論に上ってこないと思うんです。そうしたもろもろの条件というのはどのような手順でいつごろ出されると考えてよろしいんでしょうか。
○国務大臣(武村正義君) 法律をまだ御審議いただいている状況でございまして、法律が成立をしますれば、そういう点についても一定のスケジュールを持ちたいと思っておりますが、既に論議としましては、福祉の論議も行財政改革の論議も政権の中ではスタートをいたしております。それぞれチームを置きながら、昨今も連日のように議論を進めていただいておりまして、行政改革という、規制緩和とか地方分権とか特殊法人の整理とか、そういう目標もございますが、行財政と言っておりますように、むしろ将来の財政需要がどうなるか、ある意味では削減するという期待にこたえていくということからいえば、むしろ行政改革よりも財政改革の方に注目が移るのではないかというふうにも思っております。 これも来年の予算編成をめぐる論議の中でまず出発いたします。概算要求そのものをどこまで切り込んでいくのか。切り込むというとちょっと僭越な感じもございますが、既に内閣の方針としましても、あらゆる事業を制度の根底にまでさかのぼって論議をしていただきたいと。ということは、もう法律で保障されているような義務的な経費であっても、そこまで目を向けて議論を、法律改正をしてでも見直すべきは見直していこうということでもありますし、必要でないという事業はそう多くありません、必要であってもプライオリティー、優先順位がどうなのか、そこに厳しい選択の目を向けて、やはりより優先順位の高いところに目を移していこうということもその一つでございます。そういう議論が既に始まっております。予算編成でまたすぐに始まります。 〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕 二年という平成八年九月三十日という目標は、どちらかといえば、平成九年の四月一日に消費税の改正が動き始めます、施行いたしますから、その半年前ということでこの日時は見直し規定で設定をさせていただいたところでございまして、半年前ぐらいには結論を出していただいて平成九年の施行に間に合うようにしようという意図でございまして、二年といいますが、もう少し切れておりますが、法律が成立を見ますれば、真剣にその日時を見詰めながら一定の運びを、スケジュールを考えていかなければいけないというふうに思っております。
○寺崎昭久君 それでは、平成八年度における特別減税についてお尋ねいたします。 先ほども池田委員の質疑がございましたけれども、私もこの要綱の備考欄に書いてある内容というのが何度読んでもよく理解できないんです。つまり、平成八年においては特別減税を行うけれども、景気が好転した場合には改めて検討するという部分でございます。 この意味するところは、平成六年度規模の減税を行うというところにウエートがあるのか、それとも景気がよくなったら特別減税はやりませんよということなのか、あるいは特別減税は制度減税に振りかえますよ、組み込みますよという意味なのか、いかようにもとれる内容なんですね。 私は、ここに書いてあるように、平成六年度規模の減税を行うというからには、やはりきちんとこれは景気のいかんにかかわらず制度減税に組み込みますよというぐらいのことを約束してもらいたいと思うんです。そうでなければ後の消費税の議論も大変ややこしいことになると思いますが、もう一度聞かせていただけますか。
○国務大臣(武村正義君) この備考の表現について御指摘をいただきましたが、少なくとも「特別減税」というふうにきちっと表現をしております以上は、制度減税、制度改正減税は予定いたしておりません。景気対策としての特別減税を上乗せして実施する、しかし特に好転した場合は検討と、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
○寺崎昭久君 「検討する」という文字が大変悩ましいわけでありますけれども、景気がよくなったらやめます、その景気というのはどの程度というのがわかりませんというように読んでよろしいんでしょうか。例えばどういう状態が景気がいいという判断の指標になるのか、お伺いします。
○国務大臣(武村正義君) 特別の指標を持って申し上げているわけではありません。まさに「特に好転した場合」という表現そのものでございますが、そのときの経済の状況、さまざまな経済指標がどういう数字であるかということもありますし、先ほど小川局長が申し上げたように、経済の動き、流れも今後どう動いていくか、どう数字が変わっていくかという展望もあわせて総合判断をさせていただくということだと思っております。 いずれにしましても、「検討」というのは、正直に言えばやめるということであります。やめるやめないの基準は「特に好転した」かどうかということでございます。
○寺崎昭久君 消費税は平成九年から、それから減税は八年分について言及しているわけですから、多少時間のずれがあるかもしれませんけれども、今回の消費税率のアップと、それから、特別減税というのは平成八年に言及されていることですから、九年以降はないと考えるのが常識だと思うんです。 そうすると、国民の税負担は減税を上回るものであるというように受けとめていいわけですね、今回の提案は。
○国務大臣(武村正義君) 上回る上回らないの議論は、今日まで表をごらんいただきながら説明をしてまいったようなことでございます。所得階層によっていろいろ白三角、黒三角というふうなデータを出しておりますのが大体の減税と消費税増税を含んだ見通しでございます。 あくまでも、やはり特別減税というのはまさに特別の過渡的な臨時の景気に資するための政策である。ですから、不況が前提にあるわけでございますし、不況を克服すれば一刻も早くやめさせていただきたいというのが財政当局の本音でございます。
○寺崎昭久君 私が申し上げたのは、平成九年以降は特別減税がなくなるので、それを加味して考えれば、少なくとも消費税の引き上げ分を下回る減税ですねと、九年以降、今の状態を前提にすれば、ということを確認させてもらったわけですけれども、それでよろしいでしょうか。
○政府委員(小川是君) 全体の税制改革として九年度以降どういう姿であるかと申し上げますと、所得税、住民税の減税が制度的に三兆五千億規模、相続税の減税が六年度からスタートしておりますが、これが約三千億規模、したがいまして減税は全体としまして三兆八千億円の規模ということになります。一方、消費税率の引き上げによる影響は、平成九年四月一日からですが、最初の年は九カ月しかききません。十年から十二カ月できいてまいりますが、この規模が三%から二%相当分で、ネットで約四兆一千億円ということになります。 したがいまして、いわゆるフレームとして申し上げれば、税の部分は、三兆八千億の減税、四兆一千億の増税ということになります。このほか、消費税の中小特例の改革によりまして約三千億のプラスがございます。片方、税ではございませんが、受益の方の増加といたしまして社会保障関係で約五千億がある、こういうことでございます。これがいわゆるフレームでございます。 他方、個々の方の税制改正による負担増減という点では、試算として四百万円の世帯から一千万円の世帯の方まで平成十年までの姿をお示しいたしております。平成十年になりますと、所得税の減税は制度減税だけでございますし、消費税の負担が上がってまいりますので、この年がいわば両者がフルにきいた年でございます。その年になりますと、いささか消費税の負担の方が減税を上回るという階層があるのは事実でございます。
○寺崎昭久君 私は、今税率が高いとか安いとかということを特別問題にしているわけではなくて、仮に税率が上がったとしても、それに見合う、あるいはそれよりもプラスになる給付が期待できれば国民は納得してくれるかもしれない、そんなつもりで申し上げているわけであります。 先ほど、今回の税制改正の目的の中に、中堅所得者層を中心とした税負担の累増感を緩和するという御説明がございました。いろんな試算の方法はあると思うんですけれども、例えば低所得者層には課税最低限の引き上げとかあるいは福祉の特別給付というようなことも均てんされるのかもしれないんですけれども、仮に中堅所得者層というのを六百万とかその程度に考えますと、必ずしも総体的な緩和感というのは生まれないんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(武村正義君) 中堅層をどうとるかにもよりますが、たびたび申し上げてまいりましたように、所得税の税率二〇%の層というふうなとらえ方をしますと、これは現行は七百九万を超しますともう二〇%に入ります。それが七百七十三万ぐらいからということにまずシフトしますから、一〇%の幅はそれで広がるわけですね。それで、そこから千三百四十九万円までがずっと二〇%になるわけでありますから、これが今回の改正の一つのわかりやすい基本だと思います。さらに三〇、四〇、五〇もなだらかに税率は幅を広げていくような形で改正を加えております。 それで、六年前の所得課税の抜本改革とやはり重ねてごらんいただく必要があるんではないか。あのときも減税と消費税の導入と一体に行われましたから、どうしてもやっぱり増減税、どの層は得か損か、こういう議論がございました。今回も減税と消費税の増税を一体に提案をいたしておりますから、すぐにそういう階層別のプラス・マイナスの議論になるわけであります。本当は、先生が先ほど福祉のための負担なら国民の中には理解してくださる可能性もあると思うとおっしゃったように、私もそう思いますし、減税と分けて消費税の議論ができたら一番わかりやすいなという思いはあるんです。 しかし、今回も減税と増税と一体の提案になってしまいました。恐らく福祉の将来の財政需要ということを考えますと、今度見直しの議論の中では、片方で行財政改革という税率を抑える要素もありますけれども、福祉ビジョンを基本にしながら、どういうふうに財政需要がふえていくのかということをしっかり議論していかなければいけないというふうに思っております。 ただ、申し上げたいのは、前回と今回とある意味では二段階で所得課税の改正を行っておりますので、四百万の層でございますと七〇%ぐらいの減税率になります。そして一千万のクラスですと三六%の減税率でございまして、そういう意味では低所得者層に大変厚い減税をこの二回の改革で行ったというふうに御理解をいただきたいと思います。
○寺崎昭久君 私は、その比較で累増感が緩和されたと思えるほど減税がされていないんではないかという気持ちで申し上げております。 言うまでもなく、中堅所得者層というのは日本の経済や産業を支えている大事な人たちですから、平成七年の税制改正のとき以降などと言わず、できることなれば来年度税制の中でもこの辺の税負担を軽減するための措置をとっていただきたいと思いますし、そういう方向で不断の御検討をいただきたいと思っている次第です。これは意見だけにとどめます。 それでは、これは今回の要綱では取り上げられていない問題でありますけれども、給与所得控除の問題について若干お尋ねいたします。 よく配偶者特別控除の制度がパート労働者の就労や存在をゆがめているということが言われております。よく話題になっていると思いますし、これがとりわけ女性の社会進出を妨げる要因になっているのではないかということも言われております。今日の所得水準あるいは核家族が進んでいる状況を踏まえて言えば、これまでの人的控除については私は見直すべき時期に来ているんではないか、とりわけ配偶者控除とか配偶者特別控除というのは全体の中で見直すべき項目ではないかと思いますけれども、大蔵省はどのような見解をお持ちでしょうか。
○政府委員(小川是君) 我が国の所得税制は、原則としまして所得を稼得する個人を単位として個人ごとに課税する制度をとっております。したがいまして、同額の給与所得を得ている者の間で、例えばパート、常用雇用でないというだけで何か特別の措置を講ずるということは考えられないところでございます。 しかしながら、前回の抜本改革の際に、主としてサラリーマンの奥さん方の内助の功の議論であるとか、あるいはまた、パート労働者がある一定の所得以上で、世帯として見ますと税引き後の手取りが逆転をするといったような問題が議論になりまして、税制調査会でもさまざま議論をしていただいた結果、配偶者特別控除という制度が設けられたところでございます。 しかしながら、その後におきまして、委員から御指摘ありましたように、こうした特別の控除というものが女性の真の社会進出にとっては逆効果ではないかといったような指摘も行われているところでございます。税制上の問題は解決されたけれども、逆にそういう点をどう考えるかという御指摘であると存じます。 この問題は、基礎控除、配偶者控除、それから扶養控除というものを基本的な控除としてつくり上げております我が国の所得税制の課税単位の基本にかかわるところでございますから、いろいろな御意見あるいは社会情勢の変化を踏まえながら、将来とも慎重に議論、検討を重ねていくべき課題であるというふうに思っております。
○寺崎昭久君 御検討する際に、私は人的控除をなくしてくれ、なくすだけでいいということを言っているわけではなくて、申し上げたいのは、そういう複雑化あるいは拡大しつつある人的控除については、どちらかというと抑制する方向、整理する方向で、例えば児童手当を拡充するとか、そういう歳出の面を重視するべき時代になっているんではないでしょうかということを申し上げた次第であります。何か御発言ございますか。
○国務大臣(武村正義君) 労働省の婦人少年問題審議会の建議がございますが、そこでもパートタイム労働者の就業調整問題について、一定額の引き上げでは根本的解決にはならず、社会制度等の枠組みの見直しの検討が必要であると、また、この検討は女性を社会の基幹的労働力として位置づけるという観点にも立って行うべきであるというふうな趣旨の建議が出されております。 こういう御趣旨にも合致する今の御意見かと思いますが、主税局長が申し上げたように人的控除の基本的なあり方にかかわる事柄でもございます。十分問題意識を持ちながら検討をさせていただきたいというふうに思っております。
○寺崎昭久君 それでは、今回の減税の財源となる公債発行の問題についてお尋ねします。 今回、特例公債発行に係る法律が出されているわけでありますけれども、ここで予定されている公債発行予定額というのはトータルで幾らなのか。それからもう一つは、三年度にわたって発行されるわけでありますけれども、その減税見合いというのは各年度ごとの見合いなのか、トータルの見合いなのか、お尋ねいたします。
○政府委員(伏屋和彦君) お答え申し上げます。 今回の減税特例公債法案におきましては、各年度の公債発行限度額は、各年度の所得税等の減収見込み額に基づきまして、その範囲内において予算をもって国会の議決を経るということとさせていただいております。 したがって、まず今お尋ねの将来の具体的な所得税、相続税の減収額につきましては、その年度の予算編成過程におきます税収見積もりを踏まえまして初めて見積もることができるものでございまして、現時点では正確には申し上げられませんが、現時点におきまして平成六年度ベースでの減収見込み額を用いるなどの前提を置きましてあえて試算してみますと、平成六年度は〇・二兆円、約二千億ということでございます。今の平成六年度は、来年、七年の一月-三月に係る所得税分でございます。それから、平成七年度は所得税恒久減税と特別減税を合わせ、かつ相続税を合わせますと二・九兆円。それから、平成八年度は所得税の恒久分と相続税分ということで二兆円。この三つを合計いたしますと五・一兆円になるわけでございます。 もう一つは、既に公債発行の授権をいただいております平成六年分の所得税の特別減税等に係る公債で、二十年で償還することとしております公債の発行額が二兆八千億ありますものですから、今先生のお尋ねの意味では、今回の法案による発行見込み額、全部合計いたしますと七・九兆円程度、あえて試算しますと七・九兆円程度ということになります。 そこで、それが実際に各年度とういうことになるかということになりますが、それは今申し上げましたように各年度の予算編成過程の税収見積もりを踏まえるわけでございますので、各年度の公債発行限度額は、それぞれの年度の減収見込み額の範囲内ということで、まさに最初申し上げましたようにその各年度の租税収入の減少を補うわけでございますので、予算をもって国会の議決を経るという仕組みになっておるわけでございます。
○寺崎昭久君 次は、いわゆる隠れ借金の問題に移りたいんですが、その前に一つ確認しておきたいのは、先ほど池田委員から石油とかあるいはたばこ、お酒にかかる税金については調整併課にするべきという主張がございましたが、調整併課ではありませんけれども、自動車の取得税については消費税と全く同種類のものであると思われますので、今回要綱にも触れられておりませんけれども、ぜひこの取得税は廃止するということを考えていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○説明員(瀧野欣彌君) お答えいたします。 自動車取得税につきましては、御案内のとおり自動車の取得というものに担税力を見出しまして課税いたします道路目的財源でございまして、その七割は市町村にも交付されておるわけでございます。したがいまして、その趣旨、性格が消費課税とは違うということで、平成元年の抜本改正におきましても特にそれぞれの見直しを行わずに課税されてきたという経緯がございます。また、平成五年度にこの自動車取得税の暫定税率が期限切れになるという中で、道路整備五カ年計画等の中で道路目的財源をどうするかという議論もされたわけでございますが、結論的にはそのまま暫定税率を延長するという取り扱いできておるわけでございます。 こういった従来の経緯、あるいは特に市町村道におきます整備水準等を考えますと、やはり廃止というわけにはいかないのではないかというふうに我々考えておりますが、いずれにいたしましても、この自動車取得税の暫定税率は平成九年度というのが一つの期限になっておるわけでございますので、その段階で道路整備五カ年計画との関連も踏まえまして御議論いただく問題じゃないかなというふうに考えております。
○寺崎昭久君 今、担税力を見出してとかあるいは道路損傷云々というお話もございましたけれども、担税力があるかないかというのを、何を基準にしてそういう判断をされるのか私は定かではないと思います。確かに、十万円の商品から一万円の税収を仮に集めるとするとこれはなかなか難しいかもしれないが、百万とか二百万を超えるような商品からだったら一万円二万円は取りやすいというお感じを持っているのかもしれませんけれども、既に自動車にはもう過重と言えるぐらいの税金がかかっており、なおかつ六千万台を超える自動車が走っているとすれば、これはもう国民がこぞって負担している税制の一部だと考えてもいいと思うんです。 そういうことを考えますと、今回三%から五%に消費税を引き上げる、なおかつこの自動車取得税を存続させるという意味合いは余りないし、過重過ぎると思うんです。お話しございましたように平成九年には見直しということになっておりますので、これは暫定税率の見直しということですが、消費税も今回導入する計画になっていることでもありますし、この際、取得税の廃止を含めてぜひ御検討をいただきたいと思っております。 それから、特別地方消費税についても、今回の地方消費税ができるのを機会に廃止すべきだと思いますが、これはどうなんでしょうか。
○説明員(瀧野欣彌君) 特別地方消費税につきましては、宿泊なり飲食という消費行為とそれぞれの地方公共団体の行政サービスの間に密接な対応関係があるということで、平成元年度の抜本改革におきましても、免税点を引き上げる、あるいは税負担の調整を図るというような中で地方の自主税源として存続するということとされたものでございまして、こういった特別地方消費税の課税の根拠なり必要性、そういったものは今後も同じように存続していくというふうに我々考えております。 また、この税は、平成四年度で税収規模といたしまして千四百億程度のものでございます。平成四年、五年、地方財政は前年度決算割れを起こしておりますし、平成六年度におきましても同じような非常に厳しい状況の中で貴重な自主税源でございます。また、二割が市町村の税源にもなっている。 こういうようなことを考えますと、直ちに廃止ということはなかなか難しい。地方消費税が今回提案されておりますけれども、平成九年四月という時期に導入というようなことになります見通しの中で、その時期までにさまざまな観点から検討していきたいというふうに考えております。
○寺崎昭久君 大分時間が厳しくなってきたのでまとめて御質問いたしますが、運輸省来ていただいておりますか。いわゆる今後処理を要する措置の金額、隠れ借金のことでありますけれども、このうち国鉄清算事業団の長期債務についてお尋ねしたいと思います。 国鉄改革が行われた昭和六十二年の四月には、長期債務の残高というのは二十五兆五千億程度あったと承知しております。その後、いろんな発表された数字を見ましても、一向に減らないところかふえているというのが実態ではなかろうかと思います。 そこで第一には、長期債務残高の現在の金額、それから売却可能な資産の評価額、これが第一点。それから、平成元年には、事業団が保有する土地の処分については平成九年度をめどに処分を完了するということだったんですが、それの見込みはいかがか。またJR三社、正確には、JR東日本の株は一部売却されておりますので、残余と本州二社の株式というのは、いつ幾らぐらいで売り出す計画なのか、その辺をお尋ねいたします。
○説明員(隈元道雄君) お答え申し上げます。 まず、第一の国鉄清算事業団の長期債務でございますが、今年度首で二十六兆円となってございます。 それから第二に、お尋ねの事業団が現在保有する資産の評価額でございますが、まず事業団が所有する土地でございますが、平成六年三月に公表されました公示価格をベースに推計を行っておりまして、おおむね六・一兆円となっております。 JR株式につきましては、御質問のとおり、昨年度JR株式の中で初めて東日本株式の二百五十万株の売却を行ったところでございまして、現在事業団としては六百六十九万株の株式を保有しております。なお、JR株式の評価でございますが、これにつきましては、その処分がJR各社の運営動向あるいは株式市場の動向等に影響されるものであることから、現時点においてその評価額を予想することは困難であると考えております。 それから三番目に、御質問の平成元年の閣議決定の目標との関連でございますが、御案内のように最近の不動産市況をめぐる状況はまことに厳しいものがございますが、私ども、国鉄清算事業団ともども一般競争入札の拡大、随意契約の要件の緩和、あるいは多様な土地処分手法の活用、開銀融資の活用、あるいは私ども運輸省全省を挙げた売却支援体制の強化等、これまでに講じてまいった包括的な売却促進策の成果を生かしてさらに全力を挙げて売却の促進に努めることとしております。これらの取り組みを通じまして、また関係省庁の協力も得ながら政府を挙げて処分の促進を図ることによりまして、大変厳しい状況ではございますが、平成九年度までに実質的な処分を終了させるよう最大限努力してまいりたいと考えております。 それから四点目に、御質問のJR本州三社の株式の売却をどのように進めるかという点でございますが、先ほど申し上げましたとおり、東日本の株式四百万株中の二百五十万株式につきましては昨年、売却・上場を果たしたところでございます。JR東日本株式に続きまして株式の売却・上場に向け準備を進めてまいりましたJR西日本の株式につきましては、昨今の株式市場をめぐる状況等から、本年度内の売却・上場は残念ながら見送らざるを得ないことになりましたが、JR株式の売却・上場につきましては、事業団の債務償還あるいはJRの早期民営化の観点からできるだけ早くこれを行う必要がございますので、私どもといたしましては市場動向に十分配慮しながらその適切な処分を進めてまいりたいと思っております。 また、その後のJR東海株式等残りの株式につきましても、今申し上げましたような観点から、市場動向に配慮しながら一つ一つ着実にこなしてまいりたいと思っております。 最後に、JR株式の売り出し価格でございますが、昨年行いましたJR東日本株式につきましては、入札の結果に基づき三十八万円との売り出し価格が設定されたわけでございますが、今後行うJR東海及び西日本の株式につきましては、今後の売却手続の中で売り出し価格が決定されるということになっております。
○寺崎昭久君 清算事業団の長期債務については、これから圧縮するための努力がいろいろなされると思いますし、また資産の処分等もこれから行うわけでありますから、この時点で国民負担額がどの程度になるかというのを確定するのは大変難しいことはわかりますけれども、少なくとも二十兆円ぐらいになるんじゃないかと推計されます。これが少し多過ぎるかどうかという議論はあるかもしれませんが、十兆円ではおさまるわけがないと思います。 となりますと、これは清算事業団で処理しろといったって処理できない問題だろうと思うんです。そうしますと、究極的には国民が税金という形で負担するのか、あるいは公債を引き受けるという形で償還するのかという問題になりますし、これは大蔵省にかかわることだと思うので、大蔵大臣の御所見を最後に伺って終わりにしたいと思います。 平成七年度以降も事業団に対して国庫補助を、これまで同様があるいはふやしてか、行う計画がおありかどうか。それから、最終的な国民負担の推計値について私はそう遠からず国民に提示するべきではないか、そしてこのように償還したいんだということを言うべきではないかと思いますが、その是非についていかがでしょうか。 それから、長期債務を圧縮するための方策、これを一般会計、つまり税金で償還するのか、あるいは公債という方法をとられるのか、御所見がございましたら伺いたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) 七年度の国鉄清算事業団に対する国庫補助金については、七百六十二億円が要求をされておるところでございます。これは予算編成の中で運輸省と協議をしてまいりたいと思っております。 清算事業団全体の債務について真剣にお考えをいただいて御提案もいただいているわけでございます。今、運輸省当局の答弁にありましたように、基本的には土地の売却と株式、これを基本にしてこの債務を償還していこうというのが今日までの政府の考え方でございました。バブルの崩壊等によって土地や株に影響を与えていることも事実でございますが、今この原則を政府が変えるということではありません。さらにその先を見詰めると、御心配いただくように、それでもこの債務は償還できないだろう、一体どうするんだという問題提起だと思いながら拝聴させていただきました。 今ここで、土地はこのぐらいで売れて株はこうなってというところまで大蔵省としても想定をしながら最終のゴールを詰めることができておりませんけれども、貴重な御意見として拝聴させていただきます。
○寺崎昭久君 私は、平成三年の運輸委員会でも、その時点では十兆円程度の国民負担が予想されることから、これは長期にわたってどうやって借金を返すのか国民に提示するべきじゃないですかということを申し上げましたけれども、まだ平成九年までは時間もあることであるというようなことの御答弁で終わっております。しかしながら、平成九年が一番最後かどうかというのも確定していないところではありましょうが、そう先送りしていい問題ではないと思いますので、これは運輸省の問題である、あるいは清算事業団の問題であるということではなくて、国民の負担にかかわる問題としてぜひ大蔵省としても真剣に取り組んでいただきたいということであります。 なお、きょう厚生省にもお願いしておりますが、ちょっと時間の関係で次回に回させていただきたいと思いますので、申しわけございませんが、これで私の質問を終わらせてもらいます。 ありがとうございました。
○野末陳平君 残り時間が少なくなりましたので、寺崎委員が先ほど触れました人的控除のことを中心に二、三お聞きしておきましょう。 この税制改正に絞って言いますと、これはかなりの前進で中堅所得層は喜んでいますから、それなりの評価は当然すべきなんですが、先ほどから大臣が言うような抜本改革ということにこだわるならばやはり物足りない点は多々ありまして、その一つが、先ほど寺崎委員からの質疑にありました人的控除の整理縮小といいますか、これへの検討が十分でない。 はっきり言えば、毎年とは言わないが、税制改正のたびにこれまでの仕組みをそのままにして、今回三万円だけれども、金額を上乗せして横並びでもって大体まとめるという、そういう形をとり続けてきたわけです。もうそういう時代は過ぎた。やはり、今始まる新しい時代への視点を入れた人的控除に切りかえなきゃいけない。今回はそれがかなりやれるだろうと期待していたんですが、全くやられていないので、これを今後の税制改正の参考にしてもらいたいという意味で質問します。 まず、老人扶養親族に係る扶養控除、老人扶養控除ですけれども、これがまた上がりまして、上がってこれは結構なんです。そもそも老人というのは経済的弱者で息子たちの世話になる、息子が親の面倒を見る、こういう時代の発想が続いているわけですから、それはそれで決して悪いと言いません。しかし、現実のいろいろなレベルの差のある老人を抱える家庭に合った税制改革がどうかという点が大事だと思うんです。 そこで、この老人扶養控除を上げていくことは、この恩恵を受けない、つまり減税にならないいわば低所得の家庭で老人を抱えている、こういうところには何のメリットもないわけですね。ましてこれが消費税アップになったら、メリットがないところか増税になるというこの負担。こうなると、いわば広い意味の福祉を税でやってきたというこれまでの考え方は変える時代に来ている、こういうふうに私は考えるわけです。 ですから、税でやるか歳出でやるかという基本の部分をはっきりさせないでこの扶養控除を上げていくということはもうやるべきではない、そう考えているんですが、まずこの考え方についてどうですか。
○政府委員(小川是君) ただいま御指摘の点につきましては、昨年来の政府の税制調査会におきましてもそういった御議論がございました。とりわけ、委員御指摘のように基礎控除、配偶者控除、扶養控除という基本的な控除のつくり方以外の特別の控除のあり方につきまして、勤労学生控除あるいは寡婦控除その他――老人扶養控除の場合には今回の場合にも扶養控除に老人加算をしている、老人を扶養している場合には加算をしているという考え方から、扶養控除の上げに応じた上げにとどめたわけでございますが、根っこのところにある考え方、特別の加算あるいは特別の控除のあり方につきましては今後その整理合理化を幅広く検討していく必要がある、しかし、今回の見直しにおいてはその控除額については少なくともこれを据え置くべきであるという方向性がはっきり出ておりますので、今回は据え置きということで対応をいたしたところでございます。
○野末陳平君 同居老親というか、そういう場合が今まではやや優遇されていたけれども、これも実情はかなり変わってきて、やはり今まで我が国は、税制だけじゃありませんが、お年寄りを優遇してきた、その効果は十分にあらわれてきたわけです。しかも、このごろはもう自立てきるある程度余裕のあるお年寄りもふえてきたわけですから、相当お年寄りの間に格差が出てきたわけです。まして、同居しているというけれども、最近では親が同居している方が楽なんで、息子たちも援助してもらえるということになる。別居しているということは、今度は向こうは独立しているので、たまには仕送りするけれども全面的に生活の面倒を見ているわけじゃない。いろいろなケースが出てきましたね。 ですからそういう意味で、これからは一般のお年寄りという考えじゃなくて、在宅介護なら在宅介護というところに絞って、歳出の面の充実は当然としても、もし税の面で福祉的な配慮をするならば、やはり在宅介護中心とか何かそういう絞り方をしていかないと、これは新しい時代にふさわしくない。次はそういう考え方を入れる改正を検討すべきだと思う。大臣、どうですか。
○国務大臣(武村正義君) 確かに福祉の配慮を税でやっているケースもあるわけでございます。それなら、税のそういう特例な措置はやめて歳出で、一般福祉政策の中でやってもいいんではないかという議論もあります。 福祉全体も、御承知のように年金、医療、介護と言いますし、そこへ今の野末先生のお話を加えれば、税制による福祉というそういう言葉も入るかもしれませんが、何もかも充実を図っていくということではもうもたなくなってきていると。どこかに焦点を絞っていくというか、そういう選択を迫られてきているようにも私個人としては強く感じておりまして、年金、医療、介護という三つの分野につきましてもそんな議論が必要になってきたのではないかなというふうに思っている次第でございます。 今の御指摘につきましては、局長も答えましたように、極力その整理合理化について検討していく必要があるというふうに認識をいたしているところでございまして、今回は見合わすことになりましたが、引き続き今後の課題として検討させていただきたいというふうに思っております。
○野末陳平君 さっき出た勤労学生控除とか寡婦控除というのは、意味があるようで実は余り意味がない。これははっきり言ってもう廃止してもいいぐらいに思っていますよ。しかし、廃止というのはなかなか難しいから、せめて控除額を据え置きするという考え方があってもいいんです。 今の老人扶養控除などは、特に子供の問題ですね、育児と関連して、お年寄りばかり優遇してきたが、じゃ育児の面についてはどうなんだと。これももちろん扶養控除があるからこれでいいんだという考え方と同時に、じゃ特定扶養控除というのができた、これがどういう意味づけになっているか。恐らく、これは将来にわたって非常に大事になってくると思う。 つまり、十六から二十二ぐらいの、特定というこの対象になる年代の子を持っている家庭はいろいろとお金もかかるからこのぐらいの配慮という見方もできるが、じゃ子供が一人二人あるいは三人という家族がいるんですが、ここら辺は、これから子育ての環境を整備充実していくという福祉面の対策は当然のことながら、税でもやはりやっていいんじゃないか。というのは、一人と二人と三人と、できれば二人か三人ぐらい持ってほしいわけですね、これから人口構造のことを考えると。そうすると、何の優遇もないから、優遇のために子供を産む人はいないけれども、しかし現実に子供が欲しい家庭にはそれなりの子育ての優遇があるということは、今後非常にいい形の新しい福祉という評価を受けると思うんです。 恐らく、大蔵省はばかにしているけれども、実際に子供のいない夫婦は非常に楽なんだよ。はっきり言ってうちはそうなんです。だから、これは子供が二、三人いる若い後輩の連中を見ていると、やっぱり優遇してあげるべきだという考えになりますよ。だって今、一生懸命に子供二人三人育てるのはすごく大変です。ところが、十六から以後は特定扶養控除、ほんのちょっと楽になるだけだけれども、それ以下の子供の場合は単なる扶養控除でしょう。これでいいのかなと。やっぱり二人三人を一生懸命育ててくれることはいずれ社会的にもかなり貢献することになるんだから、僕は少しやってあげてもいいと思いますよ。 もしそれが嫌なら、できないというなら、子供のいない夫婦というのはその点すごく得で楽なんだよ。僕はもうはっきり言ってそれは認めますからね。かといって、そこにきつくしろといったって方法はない。なかなかそんな、おまえのところは子供がいないんだから税金を余分に払えというのは、特定の何か仕掛けではできない。 どうですか、大臣、福祉では児童手当その他の充実は当然でしょう。今より金額を上げなきゃいけないでしょう。しかし、いわゆる通常わかりやすく言えば、子育てのための優遇イコール減税、これが一人目の子供、二人目の子供、三人目の子供で特定控除対象よりも低いというのはおかしいし、ふえればそれなりにもうちょっと色をつけてやるぐらいの配慮を今後するのが税制だよ。だって、それなら勤労学生控除は何でやった、寡婦控除は何でやったのかというそのときの時代背景を考えたならば、今勤労学生を優遇することよりも、子供を二人か三人欲しい、そのために頑張りたいというところを優遇するのが当たり前じゃないかと僕は思うんですが、どうですか。
○政府委員(小川是君) 委員、百も承知で御質問なものですから大変申し上げにくいんですが、所得税の構造をつくるときの控除の考え方には大きく三つあると存じます。 一つは、収入に対する配慮でございまして、先ほどお話のございましたような勤労学生控除とかあるいは老年者控除のようなものは、同じ稼ぎがあっても、それを得るためにやはり負担力といいますかあるいは経済的な力が、何か配慮してやってはどうかという考え方が一つございます。 それから二つ目の考え方としては、今度は支出の方に対する配慮で、かつての課税最低限の考え方というのは、扶養控除につきまして第一子より第二子、第三子という控除を小さくしておりました。それは家計におけるかかり増しの経費というのは大きな世帯になれば限界的に小さいだろうということでやっておりましたのを、その時代は終わったのではないかということで二十年ほど前に人的控除は一律にいたしました。 それから三つ目の考え方は、今委員おっしゃったような非常に政策的な配慮によって、負担関係というよりは、少し世の中を考えるとこういうことが考えられないかと。実は寡婦控除は、どちらかといいますと戦争で未亡人になられた方、そして再婚されないような方は家を守ってお気の毒ではないかというような社会政策的な配慮が大変強かったように存じます。その後は、同じ女性お一人でも、稼ぐときに収入支出面の配慮というのも加わってきたと存じます。 今、委員が御議論されておられるのは、三つのうち多分第三カテゴリーの政策的な課題ではないかという感じがいたしますので、この問題をどう考えていくかというのは大変難しい課題である、このように税制を扱っておる立場からは申し上げさせていただきたいと存じます。
○野末陳平君 難しい課題をうまいことこなすのが大蔵省だから、今回も二階建てとかなかなかいい知恵を出したり、いろいろ見方によればこそくな手段だけれども、とにかくそういう知恵を出すんだからこれはやらなきゃだめですよ。 時間がないから、要するに私は、人的控除の整理縮小によって課税ベースの拡大ということが今非常に必要だが、しかし単になくせとか縮小とかいうことでなくて、新しい時代の要請にこたえるということが税制に配慮されなければ抜本改正と言えない、こういうことを言いたかったわけです。 そこで、もう最後、答えは要りません。 寺崎委員からも話があったけれども、配偶者特別控除、あれは前からもうやめろと言っているんだよ。全然やめないんだ。時代に逆行するんです。つまり、配偶者特別控除があるからうちにいた方が得みたいな話も出てくるし、社会進出を妨げるとは言わないけれども、ブレーキをかけたりする。同時に、パートというのは、これまでは確かにパート減税があるからということを意識して働く主婦が多かったけれども、今やパート減税の中じゃおさまらなくなってきたんで、逆にパート減税があるからこのぐらいでやめようと、労働を抑止する、そういうプラスじゃなくてむしろマイナスというこれが定着してきちゃったんです。 僕は、もう今配偶者特別控除はやめるべきで、配偶者控除だけで十分であると。となれば、悪いけれども主婦の税意識を変えてもらって、税金を払うのは嫌だからこれで稼ぐのをやめようというんじゃなくて、払ってもいいけれどももっと働いた方がいいという方向に持っていくのが当然だと思うんですよ。その第一段階としては、配偶者特別控除はやめると。ただし、健康保険その他の問題がいろいろあるから、逆転現象が起きたりというところで配特をつくったんだから、そのときの事情が余り変わっていないから、そこのところには知恵が要ると思います。思いますが、配偶者特別控除が今回また三万円上がりましたけれども、これは余り意味がない、むしろやめるべきだった、そういうふうに思うから、それだけ言って、これでやめます。次回またやります。
○委員長(西田吉宏君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。 午後零時二十分休憩 ―――――・――――― 午後一時二十四分開会
○委員長(西田吉宏君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の施行等による租税収入の減少を補うための平成六年度から平成八年度までの公債の発行の特例等に関する法律案、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律案及び平成七年分所得税の特別減税のための臨時措置法案の三案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○牛嶋正君 きょうは質問の時間を百分いただいておりますので、この前本会議で質問させていただきましたことをベースにしながら少し突っ込んだ議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。 午前中も、大臣と寺崎さんの御議論の中で、今回の税制改革が改革か改正かという御議論がありましたけれども、私はその問題というのは戦後の租税史の中で今回の税制改革をどう位置づけるかということである程度決まるのではないかというふうに思っております。 その位置づけでございますけれども、やはりもう間もなく二十一世紀を迎えるわけでございます。経済体制の基本を市場経済に置くといたしましても、高齢化が進んでまいりますと、どうしてもお互い支え合ったりあるいは負担を分かち合う、こういった側面を強めてまいらなければなりません。そうなりますと、今の社会の仕組み、制度というのはかなり改革をしていかなければならないと思っておりますが、その中でも私は税制の改革が非常に重要な意味を持っている、こういうふうに思っております。 こういうふうに位置づけてまいりますと、私は今回の税制改革は昭和二十五年に行われましたシャウプ税制改革と同じような位置づけになるのではないか、こんなふうに思っております。そういう意味では今回の税制改革は抜本改革でなければならない、こんなふうに思っているわけでございます。 振り返ってみますと、シャウプ税制改革は、その後半世紀にわたって我が国の税制の骨格をそのときつくったというふうに見ることができます。ですから私は、今回の税制改革も二十一世紀の初頭、高齢化がピークに達するぐらいまでの我が国の税制の基本がつくられていかなければならないのではないか、こんなふうに思っているわけでございます。 先ほど私は改革か改正かということについてその位置づけを申し上げましたけれども、それは言うならば税制改革を進める場合の姿勢の問題であろうというふうにも考えられるわけであります。私は、やはりこれだけの改革をするためにはきちっとした手順を踏まなければならない。それは税制改革の目的を非常に明確にし、そして改革の基本理念を明らかにし、それに基づいて具体的な改革案というものが提示されていかなければならないというふうに思います。こういう手順がきちっと踏まれているならば、その改革はまさに抜本的な改革であると言っていいのではないかと思います。 このうち、私きょうは理念のところを少し取り上げて御議論させていただくわけでございますけれども、その議論の出発点といたしまして、少し時間をとらせていただきまして、もう一度シャウプ税制改革のときの目標それから理念、そして具体案、具体的な改革案はどうであったのか、それを今回の税制改革と対比させてちょっと整理をさせていただきたい、こんなふうに思います。 シャウプ勧告のときには、まだまだ我が国の経済というのは、社会もそうでしたけれども混乱期であったわけで、したがって経済の復興ということが第一番目の課題であったというふうに思います。そして、国際社会への復帰、さらには国民生活の安定と雇用機会を拡大していく、これがそのときの税制改革の大きな目標であったのではないかと思います。さらに、社会のいろいろな側面で民主化を推進していく、これもそのときの税制改革に課せられた課題であったように思います。その課題あるいは目標を受けて、私は四つの理念がシャウプ税制改革のときには立てられたのではないかと思います。 その一つは、公平を重んずる税制を構築していくということでありました。それから二番目は、所得税を基幹とする税制をつくっていく。三番目は地方自治を支える税制をつくる。そして四番目には経済安定を促す税制をつくっていく。 そして、そのもとで行われた税制改革の具体案というのは、一つは所得税の総合課税化ということがあったと思います。そしてまた、地方税では事業税の創設、固定資産税の創設、こういった具体的な税制改革がそのときの改革の目標と非常につながりがあるわけですけれども、そのつながりは結局は理念がきちっと示されていたからではないか、こういうふうに思うわけであります。 それに対しまして、今回の税制改革をそれと同じように整理させていただきますと、改革の目標は、高齢化に対応して安心と活力ある豊かな福祉社会を支え得る新たな税体系の確立てあったのではないかというふうに思います。 そして、これまでの皆さんの御議論を聞いておりますと、理念といたしましては私は三つにまとめることができるかと思います。一つは、社会の構成員が広く負担を分かち合うような税制をつくるということ、それから二番目は中堅所得者の税負担の累増感の緩和、そして三番目は所得、資産、消費に対する課税のアンバランスを是正してバランスのとれた税体系をつくっていくということでありました。 そして、具体的な改革案は、所得税の税率構造の累進緩和等による負担軽減、それから二番目には、消費税に関しては中小企業者に対する特例措置等を改革しながら税率を上げていくということ、そして三番目は地方消費税の創設であったというふうに思います。 ただ、こういうふうにシャウプ税制改革のときと比較いたしますと、どうも私は今回の税制改革の理念のところが非常にあいまいになっているのではないかというふうに思われるわけであります。なぜあいまいになったのか、これは幾つかの前提があったからです。 その一つは、税制改革でありながら景気対策を盛り込んでいかなければならなかったということです。そしていま一つは、今回もまた増減税一体処理というふうな枠組みがはめられたということですね。このためにかなり理念があいまいになってしまって、したがって、せっかく改革案を打ち出しながら、それが改革の目的とつながっていかない部分があったのではないかと思います。 まず最初にお聞きいたしたいことは、先ほどの改革か改正かの御議論を引き継ぐわけではありませんけれども、むしろ量的なものではなくて、私が今申しましたような税制改革の位置づけあるいはそれに対する取り組み方、こんなことで改革とか改正とかいうふうなものが決まるのではないかと思いますが、それについての大蔵大臣の御意見をまずお聞きしたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) 昭和二十五年のシャウプ勧告に基づく税制改革と比較をされながら今回の税制改革についてお尋ねをいただきました。 御指摘のとおり、戦後間もない我が国の社会経済情勢を踏まえて、そういう中で恒久的、安定的な税制を確立していくということが基本でありましたし、したがって直接税を中心に据えた近代的な税制を構築するということから、結果としましても所得税、法人税を初めとする税体系全体の見直しを行うものがシャウプ勧告の内容でございました。 今次の税制改革を議論するには、六年前といいますか、六十二年、六十三年の税制改革とある意味では一体に、あるいは連動して論議をすることが大変大事かと思うわけであります。この二つを重ねて見るときに、シャウプ勧告以来の大きな税制改革であるというふうに評価をして間違いはないと思うものであります。 〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕 目的、理念ということでございますが、今回は特に活力ある福祉社会を構築するための税制をつくっていこうということが基本にあると私は思っております。そういう中で、先生が整理していただいたように、先生はさきに社会の構成員が広く負担を分かち合うということが第一、第二が中堅層の負担軽減、第三が資産、所得、消費のバランスという御指摘でございましたが、このことに異はございませんし、そういう認識をそのまま肯定させていただくものであります。 いずれにしましても、中長期的にはいわゆる勤労意欲あるいは事業意欲に対して好ましい影響を与える改革だ、そのことが経済の活力、社会の活力を生み出すもとになるという基本に立ったものであるというふうに認識をいたしております。あえて午前中の議論を踏まえますと、そういう方向に向かう大きな第一歩であると私どもはお答えを申し上げてもいるわけでございます。
○牛嶋正君 そこで、三つに整理させていただきました理念を一つ一つ順番に取り上げていきたいと思うのでありますが、まず社会の構成員が広く負担を分かち合う税制の確立てありますけれども、実はこの改革の理念といいますか方向というのは、これは近年の先進諸国の大きな潮流でもあるわけでございます。 御承知のように、世界経済というのは一九六〇年代、我が国もそうでしたけれども、非常な繁栄をしたわけです。その当時、税収がどの国も大変な伸びをいたしました。そのために、私はいずれの国も大きな政府になってしまったのではないかと。福祉などについても各国とも大変な振る舞いをいたしまして、その税収の伸びのほとんどを福祉に費やすというふうな国もあったわけであります。 ところが、一九七〇年代に入ってニクソン・ショック、オイルショック、こういったことを経て世界経済というのはかなり長期的な停滞に入ってまいります。そうなりますと、一たん大きくなった政府がそれに必要な財源をどういうふうに調達するか、これが一九七〇年代から八〇年代にかけての各国の課題であったのではないかというふうに思うわけであります。我が国もやはり同じような道を大体たどってまいりました。 そうなりますと、これまでのように特定の人だけが税を負担する、例えば資産家が負担するとかあるいはかなり所得の高い人が負担するということではもう賄い切れないわけです。そうしますと、やはり課税対象者を広げる、あるいは納税者の範囲を広げていく、こういうことになろうかと思います。 第一次大戦前の各国の税制を見ますと、いずれもやっぱり間接税が中心でありました。そして、財産税もその中でかなり大きなウエートを占めていた。私は、第一次大戦前の税制というのは、資産家がある程度税を負担すれば、小さな政府でしたから、まだそれで賄い切れたんだと思うんです。 しかし、今申しましたように、一九六〇年代の経済の繁栄を通して政府が大きく肥大化してまいりますと、やはり納税者の範囲を広げなければならない。こういったことで、広く分かち合うというのは言葉としては非常に耳ざわりはいいんですけれども、言うならば、みんなで持たなければ税負担というのは持ち切れないぞということだろうと思うんです。問題は、それをどういうふうな税でそうしていくかということなんですね。 そうしますと、三つの大きな流れがございます。 一つは、アメリカの税制改革に見られますように、所得税を中心にして、所得税の中で広く負担を分かち合う、そういう税制をつくっていくということ、これがレーガン政権のときの税率の思い切ったフラット化でなされたわけだと思うのであります。 それからもう一つの流れは、これはフランス型の税制改革ですね。消費税、いわゆる付加価値税を中心にできるだけ広く負担を分かち合う。この消費税、付加価値税というのは、これはいわば国民全部が納税者になるようなものですから、こういう形をとるというのは私は当然の成り行きではないかというふうに思っております。 そしてもう一つの流れは、これはイギリスやドイツに見られますように、どちらかに偏るのではなくて、所得税でも広く負担を分かち合うような税制に持っていく、そして同時に付加価値税でもそれをやっていく。こういう三つの流れであったのではないか、こういうふうに思っているわけであります。 そこで、我が国ですが、この三つの流れのいずれを目指そうとされているのか、ここのところをまずお聞きしたいわけであります。理念の「社会の構成員が広く負担を分かち合いこと、これだけではその方向がちょっと見えてこないわけでございますが、そのあたりをまずお聞きしたいと思います。
○政府委員(小川是君) ただいま御指摘の点は、非常に大きく租税負担率のあり方、水準とも関連をしてくることであろうかと存じます。 現在の我が国の租税負担率のもとにおきましては、いわば純粋に増税を大きくお願いするというよりは、税体系のあり方、税サイドのバランスを、所得課税負担をある程度軽減し消費課税を充実するというところでございますから、現状から申し上げますと、所得課税のウエートが六割強、消費課税が二割程度、資産課税が一五、六%というものが、所得課税が六割を切る五七ぐらいになろうかと思いますし、消費課税が二七程度、資産課税は変わらないわけでございます。こういった姿になるというところでございます。 今御指摘があったような、どちらかというと所得課税に非常に大きくウエートのかかったところ、あるいは一般的な付加価値税を中心に据えようとするところ、それとそれをミックスしたような形に見えるところ、どの辺を目指すかというお尋ねに対するお答えとしましては、やはりそのときどきの租税負担として求めるべき水準を考えながら、全体としてやはり国民負担がどういう形でバランスを持って受け入れられるかということをときどきに考えていかなければならないんではないかという感じがするわけでございます。 現在の消費税の税率の負担水準でございますとこの程度でございます。この後、全体としての社会保障を含めた負担率が上がっていく過程で租税負担率がどのようになっていくか、どのような求め方をしていかなければならないかというときにその点の変化を考えていくことではなかろうかと。今、定型的にどのタイプであるか、どこら辺を志向していこうとしているんであろうかという点にはなかなか直にお答えしがたいところがあると存じます。
○牛嶋正君 今お答えいただいたようなことであると思いますけれども、私が聞きたいのは、二十一世紀の税制をにらんで今税制改革を進めているとするならば、そしてしかも理念にこういう理念が置かれた場合、その目指すところはどういうところなのかということが聞きたいわけでございます。 と申しますのは、このまま租税負担率あるいは国民負担率が増大していって、結局は二十一世紀にかなり租税負担率が上がった状態のもとでは、私は今のフランス型の税体系になるんではないかと。そこでは、おっしゃっておるような所得税というのは基幹税目としての位置はもう失うわけでございますね。それに対してイギリス型と申しますか、少しは所得税でも広く分かち合うというふうなそういう構造をつくっていくということになりますと、私は今のイギリス型のような消費税とそれから所得税とが割合バランスのとれた形になるというふうに思いますので、お答えいただきたいのはどういう方向を目指そうとしているかということなのであります。 というのは、納税者は理念を見た場合に、どういう方向に向いているのかなということをやっぱり知りたいわけです。それが理念だけでは出てこない、そこでお聞きするわけでございます。
○政府委員(小川是君) まず、法人課税から申し上げますと、こうした今後の経済を考えますと、高度成長下において法人の分配が大きく、その負担率が国際並みであるというところから、全体としてウエートが高かったことが恐らく次第に逆方向に緩んでくるであろう。そういう意味では、法人所得課税のウエートが全体の中で相対的に下がっていくという過程にあるのではないかという感じがいたします。 次に、個人所得課税につきましては、引き続き現在の勤労性所得が基幹であり、加えて資産性所得に対する課税ベースを広げる、充実するという形で、同時にまた、さらに将来の問題として御議論をいただかなければいけないんではないかという気がいたしておりますのは年金課税の問題でございます。移転的な所得のウエートが高まっていくということになりますと、これまた所得課税の中で考えていかなければいけないんではないか。そういう意味におきまして、所得課税というのは将来とも相当程度重要なウェートであり、位置づけになるであろうというふうに思うわけでございます。 先ほど租税負担率と申し上げましたのは、現在の社会保障と合わせて三八%程度、租税負担率だけで二四、五%程度というところと、将来の国民負担率がどんなに年金等の負担があっても五〇%以下にとどめるというときに、そういった租税負担率が上がっていく過程では何が負担をするんだろうかというふうに考えますと、委員御指摘のとおり消費に対する負担も広く求めていかなければいけないだろう。所得だけでその分が全部賄えるとは考えられないという意味におきましては、所得課税が基幹であると同時に、消費課税というものを、従来の所得課税、消費課税の相対関係からしますと、より重要な税目としてあるいは負担のあり方として考えていかなければならないのではなかろうか、そういうことであろうかと。 それが委員がおっしゃっておられる三つの形のうちの、例えばイギリスはその辺にあるのかどうか、残念ながらそこまで分析をいたしておりませんけれども、その型だと私どもは申し上げる知識がございませんが、方向性としては所得も消費も重要な柱であろうと考える次第でございます。
○国務大臣(武村正義君) 大変わかりやすい問いかけをしていただいているわけでありますが、この問題は歴史とか国情等それぞれ異なる中で決まってきているものでありますから、一義的に特定の国を挙げるのは遠慮をさせてほしいということでありますが、率直に言って、やっぱりイギリス型とか言いますと、それは消費税をまだまだ上げることだなという政治的な方向を示唆することになりますので、そういう意味でもちょっとここはこういう答弁でお許しをいただきたいと思います。
○牛嶋正君 今、法人税のことが出ましたのでちょっとお聞きしたいのでありますけれども、イギリスの今の税制と日本の税制を比較いたしまして一番違う点は、所得税の税収全体に占める構成比は大体そう変わりませんね。違うところは、イギリスは税収構成比の二番目の税目に付加価値税が来ているわけです。日本の消費税が来ている。そして三番目が法人税なんです。日本はそれが逆転しておりまして、二番目が法人税、そして三番目が消費税なんです。ですから、法人税と消費税が入れかわりますと非常によく似た税体系になるわけでありまして、私は、非常にバランスのとれた税制ということでいきますとそういったところを目指すのが一つの方向かなというふうに思っております。 それじゃ、その所得税をある程度基幹税目として、そして所得税の中で、この理念にありますように構成員ができるだけ広く分かち合う、こういう構造へ持っていくとするならばどういう条件が必要なのかということを次にちょっと考えてみたいと思います。 そこで、大蔵委員会の調査室からいただいておりますこの参考資料をちょっと見てみたいのでありますけれども、その百六十三ページに「所得税・個人住民税の実効税率の国際比較」という表がありまして、ここで日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの五カ国の、給与所得でございますけれども、実効税率の曲線が描かれております。 これを見ますと、私は二つのグループに分けられるのではないかと思うのであります。一つはイギリス、アメリカ、ドイツの三カ国のグループであります。この実効税率の形状を見ますと、私はJ字型と呼んでいるんですけれども、大体Jを横にしたような形になったJ字型であると。そして、いま一つは日本とフランスの場合であります。これは、形としてはどちらかといいますとS字型になっているわけですね。ですから、S字型になっているために中堅サラリーマンのところで勾配が非常に急になるわけでございます。 このJ字型をとっているところは、言うならば、これは先ほど申しました所得税でもって広く負担を分かち合う、こういう構造を所得税で取り込んでいこうとしている国々であります。それに対して日本とフランス、フランスは先ほど申しましたように所得税よりもむしろ消費税で広く分かち合うという理念を実現しようとしているわけであります。 そういうことになりますと、日本でも、もし所得税である程度社会の構成員が広く分かち合うような税構造へ持っていこうとするならば、今のS字型をやっぱりJ字型の方へ移していかなければならないのではないか。これは大変なことなんですね。しかし、そうしなければ所得税というのは税制の中で基幹税目としての位置を失ってしまうのではないか、私はこういうふうに思うわけであります。 そこでお聞きしたいんですけれども、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、フランス、この五カ国の所得税の租税負担率、すなわち国民所得に対する比率は今どうなっているのか、ちょっとお聞きいたします。
○政府委員(小川是君) 恐れ入ります、現在手元に国民所得に対する負担率ではなくて個人所得に対する負担率の数字しかございません。国民所得、わかり次第申し上げたいと思います。 個人所得に対する所得税負担割合といたしましては、日本は個人住民税を含めまして八・〇%でございます。アメリカは州税を含めまして一一・〇%、イギリスは一〇・八%、ドイツは一一・一%、フランスは四・六%、このようになっております。
○牛嶋正君 今の数字は個人所得に対する負担率ですが、それでもある程度類推できると思いますけれども、やはりJ字型に持っていかなければ負担率が上がってこないという面が、これは課税する側の議論になるかもしれませんけれども。そういたしますと、日本の場合もS字型でこのままいっては、やっぱり税収の中での所得税の割合というのはだんだん低下していくのではないか、こういうふうに思っております。 ただその場合、J字型にどういうふうに持っていくかということは別といたしまして、今仮に高齢社会を迎えて所得税の税率構造がこういうふうに今までのS字型からJ字型になった場合、問題が出てくるのは、それでもって垂直的公平というものが満たされるのかどうかということでありますけれども、ここのところは非常に重要な問題を含んでいると思います。 このアメリカやイギリスのようなJ字型と、それから日本のようなS字型、この累進度はかなり違うわけですけれども、所得税の公平、課税の公平というふうな面から見て、日本の場合このJ字型のような累進構造は受け入れられるのかどうかということを、ちょっと大蔵大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) 御指摘のように、アメリカ、イギリスのような形の実効税率にする場合には、課税最低限、今回も上げる方向で御議論をいただいておりますが、これを逆に下げていくということが必要になってまいります。また、最低税率の水準も引き上げるというふうな措置をとることがどうしても必要になってまいりますが、今まで納税義務のなかった低所得者の方々に新たに所得税負担を求めるということは、現実問題としては大変困難だなというふうに認識をいたします。
○牛嶋正君 次の二番目の中堅所得者層の税負担の累増感を緩和するという理念とも関連してくるんですけれども、今回の税制改革ではこの中堅所得者のところ、具体的に申しますと、一千万から一千五百万ぐらいのところで累進構造のひずみを直すというふうなことで税率適用の所得幅を拡大されたわけですね。 同じく参考資料の百六十二ページには、現行と改正案の実効税率の線が描かれております。これを見ますと、なるほどこの勾配のところは若干緩やかになっているわけで、そういう意味では累進構造はある程度手直しされたというふうに思います。そして上の方には、切り立った実効税率のカーブのえぐれは改善したというふうにされているわけですけれども、これはもう一度下の方に移して見てみますと、下に移してみますとちょっと横軸の単位のとり方が違いますので、これがもう少し縮小されて下の方におさまっていくわけです。そうしますと、全体としての累進度は緩やかになったかもしれませんけれども、基本的にはS字型というのは変わっていないというふうに見ることができるわけであります。 なぜ全体のS字型が是正されなかったのか、ここは非常に重要なところだと思うんです。税制改革は、なるほどこういうふうに現行税制とそれから改正案を見ますと勾配は緩やかになっていますけれども、これは部分的な絵でありますから、下に移して全体の絵で見ると基本的にはS字型というのは変わっていない。変わっていないとしますと、やはりこれから全体の租税負担率が上がっていくに当たって、所得税の基幹税目としての位置づけというのは非常に難しくなってくるのではないか、こういうふうに思うわけであります。 なぜ基本的に変わらなかったのか。累進構造を決めるいろんな要因がございます。午前中も議論されておりました人的控除を含みますところの課税最低限の問題があります。この課税最低限が引き上げられていきますと累進度はどうしても高まっていきます。それから税率構造、これも刻み目、それから所得の幅、そして最高税率と最低税率、これが問題であります。そしてもう一つ、給与所得の場合は給与所得控除が累進度を高めている部分がかなりあるというふうに私は思っております。 今回は、税制改革されたと言うんですけれども、このうち所得幅の拡大とそれから課税最低限の引き上げなんですね。課税最低限の引き上げの方は、これはむしろ累進度を高めていくわけです。そうしますと、所得幅が広げられたということだけなんです、累進度を緩和させたと言うけれども。先ほどから言っておりますように、もう少しJ字型に持っていくためには、私はやっぱり刻み目、これが問題でありますし、同時に最高税率と最低税率というのが問題になってくるというふうに思うわけであります。 こういうふうに、部分的に見ればかなりの改善のように見えるわけですけれども、全体的に基本的に変わらなかったのはなぜなのかということです。これは、午前中大蔵大臣もおっしゃっておられたように、やっぱり今回の税制改革も増減税一体処理なんですね。そうすると、かなり税制改革を進めていく場合に大きな制約になるんです。ですから、この制約を取り除かなければ私は日本で抜本的な改革はできないんじゃないかというふうに思っておりますけれども、この点について大蔵大臣の御所見をお聞きいたします。
○国務大臣(武村正義君) この点については私も、減税、増税を分離しなければ抜本改革ができないとは思いませんが、この二回の大改革がいずれも増減税改革ということで御議論をいただいたために、どうしてもプラス・マイナスの議論に目が行きがちでありました。消費税という新しい税制を導入するためには大変な困難があったわけでございまして、そういう意味で、かねてからの課題であった減税を実行しながら消費税の導入をお願いしてきたという政府の判断、これは間違っていなかったと思いますが、できることなら減税は減税として真剣に議論をし、増税は増税として真剣に議論をする方がわかりやすいのかなという、私は素人的な判断も含めてそんな思いは強くいたしました。 今後、減税も増税も引き続き我が国税制をめぐる大きな課題として不断にそういう努力が必要になってこようかと思いますが、幸い見直し条項が置かれて、税率一点に絞りながら議論をしていただくときには、今度は所得税の減税というテーマはこの見直し条項に上がっておりませんが、そんな中でございますだけに、少し締まったというか、焦点を絞りながら論議がいただけるのではないかというふうに期待をいたします。
○牛嶋正君 それでは、次に消費税の方に移ります。 消費税でも、ただ税率を上げることで広く負担を分かち合う税制になっていくんだということにならないんじゃないかというふうに私は思っております。と申しますのは、消費税は消費税としてのやはりきちっとした条件を整えなければならないと思っております。 〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕 今でも、特に中小企業の団体の方に消費税は定着したのかというふうなヒアリングをいたしますと、その中で出てくる益税の問題に対して、むしろ担税をこうむったんだというふうな、一面そういう逆襲があるわけなんですね。よくよく聞いてみますと、仕入れに伴うところの税額が十分に控除されていない、あるいは物品の販売に当たって取引相手に税負担を十分転嫁できないんだと、こういうふうな答えが出てくるわけであります。 そうしますと、むしろ担税をこうむっているんだというふうに考える人たちというのは、消費税を消費課税としてよりもむしろ企業課税として見ているんじゃないかというふうに思うわけであります。もしそうだといたしますと、我々が議論していることはどういうことになるのかなという疑問が出てまいります。 我々は、どの段階の取引で課税される消費税も全部前転されて、そして最終的に消費者に全部帰着する、これが前提で議論しているわけです。そこで逆進性の問題とかそういうものが出てくるわけです。ところが、税の一部は企業の取引のどこかで企業のだれかが負担しているというようなことになりますと、これは消費税ではなくなって企業課税というふうなことになってしまいます。 私は、今回税制改革で消費税の税率を上げるわけですけれども、その前提としてやはり消費税は消費課税であると、こういうふうにきちっとしておかなければならないと思うんですけれども、この点について大臣はどういうお考えでしょうか。
○政府委員(小川是君) 消費税が消費課税であって、事業者から消費者の手に渡るまでの間に税相当分が価格に転嫁されて、負担が先に渡っていくべき税であるというのは全くそのとおりでございます。例えば税制調査会の答申では消費税につきまして、「消費税は、消費一般に負担を求める税であり、消費者がその最終的な負担者となることが予定されている間接税である。」という言い方をいたしております。しかしながら、税法ではこの部分はどういう形でもあらわしようがございません。したがいまして、納税義務者は事業者であるということになっているわけでございます。 消費税は、消費者が負担することが予定されている間接税でございますから、その予定されているとおりに価格に上乗せされる、価格に込みにされるということが社会的に、あるいは経済取引においてできる限り実現をしなければならない。そのためには、この税の性格はこういうものでございますということのPRと同時に、それがより価格に転嫁しやすいような仕組みをつくるということもあわせて大事でございます。 そういった意味におきまして、消費税については価格に転嫁し、あるいは事業者間でそれを別に乗せて取引をしていただきたい。あるいはそのために仕入れ税額控除というものの御説明をし、これにできる限り沿ってやっていただきたい。ここは、どこまで行きましてもこの税についての御理解を求めて、消費者、事業者にまたこれを受け入れていただくという努力が大切であるというふうに思っております。
○牛嶋正君 御理解を得るわけですけれども、御理解を得るだけでは私は転嫁というものは保証されないというふうに思います。むしろやっぱり制度上、制度というのは課税方法ということになると思いますけれども、制度上やはり税負担が転嫁されることが保証されなければならない、そのとき初めて、私は消費税が消費課税としての性格をきちっと持つのではないかというふうに思っております。 そこで、午前中も議論がありましたインボイス方式ということになるわけでございますけれども、もう一度EC型の付加価値税を振り返ってみますと、私はEC型付加価値税というのは二つの特徴点を持っているというふうに思っております。 一つは、その付加価値税が導入される前の取引高税、これが税負担の累積によりまして産業構造なりあるいは流通構造に非常に大きな影響を与えている。そこで、取引高税が産業構造あるいは流通構造に悪い影響を与える、これを工夫して何とか取り除こうということで考え出されたのが、売上高から付加価値に課税ベースを移すということでありました。しかし、長年行われてきた取引高税、これをできるだけ生かしながら、そこに連続性を持たせるということでインボイス方式が工夫されたんだと私は思います。 このインボイス方式の特徴としましては、今局長がおっしゃいましたように、前段階税額控除方式がインボイス方式の、またそれはEC型の付加価値税の特徴というふうにされておりますが、私はそうじゃなくて、インボイス方式の中に含まれる問題ですけれども、請求書や送り状に、取引される物品の代金と別に税負担を、税額を記載するという別記載の義務、これが私はポイントではないかというふうに思うわけであります。そういうことで私は、EC型付加価値税というのは税負担の転嫁の保証をし、そして消費課税としての体裁を整えているというふうに考えるわけでございます。 そういうふうに考えますと、今の消費税は、日本型インボイス方式とおっしゃっていますけれども、これは基本的にはやはり帳簿方式だと私は思います。帳簿の保管ということも、それもやはり帳簿方式の課税ができるだけ正確に行われるための一つの条件ではないかというふうに思うわけであります。 ですから、消費税が定着しているというふうなことを言われておりますけれども、私はこのインボイス方式を導入して、そして税負担が、税額が別記載される、それが義務づけられたときに初めて定着を見るというふうに考えたいわけですけれども、これについての大蔵大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○政府委員(小川是君) インボイス制度について日本とヨーロッパ諸国の違いは、日本の消費税は今度の改革案についても税額別記の義務を課していないというのはまさに御指摘のとおりでございます。 そこで、インボイスと価格への転嫁の関係を考えてみますと、確かに事業者間取引におきましては税額が別記されるということが、転嫁をしているあるいは受けているということを認識される、あるいはそれを保証させる意味合いを持つことはそのとおりであろうかと思います。現実の商取引におきましても、各種の請求書等の書式において通常の商取引では税額を別記しているという例が断然多いわけでございます。 冒頭御指摘のありました、例えば小売業者が益税どころか損税である、つまり転嫁を十分できないということを問題にいたしておりますところは、実はインボイスではございませんで、小売業者から消費者が通常購入いたしますときには、EC型の付加価値税の場合にも税額別記のインボイスの支給が義務づけられているわけではございません。これはどこまでも事業者の仕入れ税額控除のための税額別記でございます。したがいまして、我が国におきましても、転嫁を確実にさせる、とりわけ小売段階での転嫁をできるだけ確実にするということのためには、やはり消費税の仕組みの御理解を求める、PRをするということが非常に重要であろうかと思います。 もう一つは、事業者間の転嫁を確実にするという意味では、現在の取引慣行においても外税方式が当然事業者間ではほとんどであるという例から見ましても、そこのところの転嫁というのは相当程度現実問題としては行われている、制度的にもあるいは実質的にも保証されているのではないかという感じがいたします。 したがいまして、このインボイス制度、仕入れ税額控除を認めるインボイスに税額の別記を求めるという考え方も、午前中御議論ありましたように当然あり得ると思いますけれども、今回のような保存方式で果たしてうまくいかないだろうか、また何か問題が残るだろうかというところは、これを実現し実施の状況を見た上で引き続き検討をさせていただきたい、このように考える次第でございます。
○牛嶋正君 私は、インボイス方式の導入ですね、もちろん今議論させていただきましたように、税負担の転嫁を保証するということは大きいと思いますけれども、もう一つ、インボイス方式を採用することによって納税義務者である事業者の事務負担というのは軽減されるんではないかというふうに私は思っております。と申しますのは、これは請求書をファイルしておくだけでいいわけですね。あとそれを合計して、そして売り上げに対して相手から受け取った税額からそれを引くということですから。 それを証明する一つの数字として、EC諸国の免税制度、これもこの資料で見せていただいたんですが、イギリスの免税点が日本円で七百十六万円、それからドイツが百五十八万円、フランスが百二十六万円、そしてECの第六次指令では約六十一万円ということになっているわけです。我が国の四分の一ぐらいと。この中ではイギリスがちょっと高いんですが、イギリスは付加価値税を導入するときに取引高税を持っていなかったから、そういった点でかなり日本と近い、ほかの国々と合わせられない部分があったと思うんです。それにしても日本に比べまして大体四分の一ですね。 私は、こういうふうに免税点を押し下げることができるのは、むしろインボイス方式の方が納税事務負担というのはかからないんじゃないか、やりやすいんじゃないかというふうに思っております。もちろん商習慣等々が違いますので一概には言えませんけれども、今申しましたような数字で言うとそんなことが言えるのかなというふうに思います。かなり開きがございますので、この点についていかがでございましょうか。
○政府委員(小川是君) さきのといいますか、消費税が導入される前に売上税法案がございました。このときには税額別記の書類による控除方式というのを御提案した次第でございますが、この仕組みを世の中にあらわしましたところ、やはりそれは大変商売上の手間、事務負担が大き過ぎると。別の紙を全部用意しておいて、その紙について足し上げなければいけないというのは大変な手間であると。そこで、通常、取引はまとめて帳面に記帳をしているので、その記帳している合計額を出した上で百三分の三という仕入れ税額を計算するというやり方がより簡便な方法であるという議論があり、消費税のときにはこうした帳簿方式を採用したわけでございます。 恐らく、この帳簿方式とインボイスに書かれた税額を全部足し上げて控除税額を出すという方式を比較いたしますと、事務的な手続としては、直接税の問題もございますし記帳の問題もございますから、帳面に記録をいたしておりますから、その一覧性のある記帳に基づいて合計をして、合計額に仕入れ税額が幾らであるかという計算をする方が便宜であるというのは、これまで我が国でやっているところから、事業者の皆さんからはそういう声が圧倒的に多いというところでございます。
○牛嶋正君 その点と非常に関連してくるんですけれども、インボイス方式というのは、納税義務者たる事業者の経済活動の内容を透明化するという面があるように思いますし、この点が非常に重要じゃないかなという気がするわけです。 それで、今お話にありました売上税の導入のときの議論、それからその前の一般消費税のときの議論、それから今回の消費税の導入の場合、納税義務者の人たちのいろんな議論を聞いておりますと二転三転するわけですね。 一般消費税のときには、大平内閣のときでしたけれども、仕入れ控除方式というのが採用された。このとき納税義務者たちはどういうことを言ったかというと、転嫁が保証されていないからこれは反対だ、我々が全部かぶらなきゃいけない、いわゆる消費税ではなくて企業課税だというふうな理由で反対をしたと私は思うんです。 そして今度は、売上税のとき、今おっしゃいましたように別記載をする。もちろん税額伝票を別につくりますのでEC型とちょっと違いますけれども、しかし売上税の場合の反対は、今おっしゃいましたように納税事務が煩雑になるということであったわけですね。ところがその翌年、消費税で再びまた帳簿方式に戻りますと、割合あっさりと受け入れるというふうなこういった経緯を見ていますと、私はインボイス方式の非常に大きなメリットというのは、納税義務者の事業者の経済活動の内容が透明化する、これにあるんじゃないかというふうに思うんです。そうすることによって、最終消費者である実際の担税者、これも自分が払った、自分が負担した税がどこへ行くのかという行き先もはっきりしますしね。 私は、この面を考えただけでも、インボイス方式を導入して消費税の定着を図っていかなければ、今回は二%ですからいいけれども、この後三、七、一〇というふうに上げていく場合、こういうふうな格好の税のままであればなかなか納税者の理解は得られないんじゃないか、こんなふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。
○政府委員(小川是君) インボイス制度というのは、繰り返しになりますけれども、多段階課税において累積を排除するために、前段階の税額控除を幾ら何によって立証するかといいますか、制度的に認めるかという問題でございます。 それをEC諸国のようにインボイスに書かれた税額で控除すると考えるか、インボイスから帳面に転記されたもので税額控除を計算して認めるかという点につきまして、ECと日本は確かに違うわけでございますけれども、そのことが何かこの消費税制度について不透明な、あるいはわかりにくい問題を生ずることは、とりわけこの単一税率のもとにおきましては計算は簡単でございますから、この制度によって消費税に対する一般の方々の信頼を持っていただけるんではないかというふうに思うわけでございます。 転嫁の問題は、必ずしもインボイス制度の問題ということではなくて、商取引において事業者問あるいは消費者との間でどのようにすると転嫁がしやすいかという問題であろうかと思います。繰り返しになりますが、我が国でも事業者間では請求書であれ納品書であれ税額を別記する、あるいは税率を明記するという取引が圧倒的に多いというところから見ましても、その転嫁の問題とはもう一つ別の角度からこのインボイス制度をお考えいただけるのではないかというふうに存じます。 同時にまた、このEC型のインボイスに書いたものを控除するというやり方と、我が国のようにインボイスがありながら帳面に転記されたものから計算をして控除するというやり方が、将来的にもどちらの方が便宜であるか、それから信頼性、確実性があるかというところにつきましては、諸外国の中でも日本の制度に関心を持っているところがございますところから見ましても、そういう意味では御指摘を含めて将来の検討課題かと、このように考えている次第でございます。
○牛嶋正君 次に、二番目の、中堅所得者の税負担の累増感の緩和の問題について幾つかまた御質問させていただきたいと思います。 先ほども図で見ましたように、今回の所得税の改正によりまして、年収七百万から年収千五百万ぐらいの中堅所得者のところで実効税率の勾配が、かなり出っちりが整理されまして滑らかになったことは確かであります。問題は、こういうふうに滑らかにするということが、どういうねらいがそこにあるのかということです。 一つ考えられますことは、これによって所得税をより公平な税にしていくというねらいが一つあろうかと思います。もう一つは、言われておりますように、社会を本当に支えている中堅所得者の税負担の累増感をできるだけ緩和して、そして労働インセンティブを維持しながら社会の活力を図っていく、維持していく、こういうふうなねらいがもう一つあろうかと思いますけれども、今回の税制改革ではどちらにポイントが置かれていたのでしょうか。
○政府委員(小川是君) 実効税率のカーブが滑らかでない、あるいはS字型になっているということの具体的な問題はどういう形であらわれるかというところでございますが、これは改正前の所得税率構造を前提にいたしますと、先ほど御指摘がありました給与所得控除が次第に小さくなっていくというような問題もございます。 それを全部ひっくるめましたところで、給与がある程度、ある期間、数年で例えば三割ぐらい上がる、五割ぐらい上がるという状況で税引き後の手取りがそれぞれの給与所得の階層に応じて滑らかにふえていっているかと。限界的にもちろんふえ方は減ってまいるわけでございますけれども、現行の制度のもとにおきましては、年収が八百万から一千二百万ぐらいのところでは、三割程度それぞれの方が数年間で上がったといたしますと、例えば八百万の方が三割上がりますと給与収入では二百四十万でございます。それが税引き後手取りの増加は百七十二万でございます。九百万の方は二百七十万円名目でふえますが、税引き後手取りの増加が百七十三万八千円であるとか、あるいは一千百万円の年収を今得ておられる方が三割ふえるというのは、三百三十万ふえるわけですけれども、税引き後の手取りでは同じ百七十三万八千円であるとか、ちょうどこの八百万から一千二百万ぐらいのところは、仮に三割の場合にはほとんど税引き後手取り額が同じであるということになっております。 これはブラケットが狭いということと、先ほどの給与所得控除のような問題が全部がかってくるからでございまして、中堅所得者層の負担の累増感を緩和するためには、こうした収入が増加したときの税引き後手取り額が、次第に小さくなるにしましても滑らかに増大するということがぜひとも欠かせない。 そういう意味におきますと、改正前の実効税率カーブは、我が国の場合は一部の中堅所得者層から上のところで無理があるところがある、それをぜひ改正させていただきたいというのがポイントでございます。
○牛嶋正君 もう一つやっぱり、先ほど私申しましたように、サラリーマンを中心にした中堅所得者の労働インセンティブの問題、税負担の累増感が問題になるというのはそこにつながっていくというふうに思うわけです。そういたしますと、今回のこういった税制改正が二十一世紀の我が国の高齢社会の活力の維持に果たしてどれだけ寄与していくのかということになりますと、もうちょっと議論を深めておかなければならないのではないかというふうに思います。 課税と労働インセンティブとの関係というのは、これは租税論の中でもかなり重要な問題であったわけです。従来からいろいろな議論がなされておりますけれども、必ずしもまだきちっとした結論が出ているとは私は思っておりません。と申しますのは、課税側の納税者、特に所得税の場合ですね、給与所得者に対して与えるインセンティブというのは二つの効果があると思います。 一つは、所得効果というふうに呼んでいるわけですけれども、それはこれまでの生活水準を何とか維持したい、ですから税がふえた分だけ余分に働いて所得をふやそうという効果であります。ですから、この所得効果が働くときにはむしろ労働意欲を促すような効果として出てくるわけです。 しかし、もう一つ、代替効果と言っていますけれども、働いても税で取られるならば、むしろ税のかからない余暇で時間を過ごそうといったことで、労働時間を余暇にかえていくという効果だろうと思います。これはですからインセンティブに対しましてマイナスに作用してくると思うんです。 ところが、この二つの反対方向の作用がどちらが強く作用するかということは、これは個人によってかなり違うわけです。そのときにどういうふうな要因がそこに加わってくるのかということですが、私なりに整理をさせていただきますと、次のような五つの要因があろうかと思います。 一つは税負担の重さです。これは実効税率で申しますと高さですね、実効税率の高さの問題です。 それから二番目は、今ここで問題になっております税負担の累増感、これは実効税率の勾配です。 それから三番目は、私は税の公平性があると思うんです。中でも水平的公平、これがかなり重要な意味を持ってくると思います。お隣の人が自分のところとほぼ同じような生活水準であるのに、聞いてみますと税負担はかなり差がある。そういうことを知りますと、税負担感というのはずしっと加わってくるわけであります。もちろん垂直的公平に関しましても問題はありますけれども、私はこういった税負担感というものを考える場合には、水平的公平というのはかなり重要な意味を持っていると思います。 そしてもう一つは、その人がどういうふうな税モラルを持っているかということです。私は、税モラルが高ければ高いほど、水平的不公平に対しましては非常に大きな不満が今度は逆に出てくるんではないか、こういうふうに思っております。 そして、五番目といたしましては課税方法。同じ税負担を負ったにいたしましても、分割して納めてもらうとか、あるいは消費税のように価格の中に含めて税を余り意識しないで納めてもらう、こういうふうなことで課税方法というふうなものもかなり重要なポイントだと思うんです。 そういたしますと、税負担の累増感というのは、そういったたくさんある要因の中の一つなんです。ですから、これを緩和したからといって、直ちに私は社会の活力がかなり維持できるというふうには思わないんですけれども、この点について大蔵大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○政府委員(小川是君) ただいま御指摘のあった五つの点は、全くそのとおりであろうと存じます。 前回の税制改革も含めてでございますけれども、例えば最高税率が非常に高いということは、そのこと自体で先ほどの問題を拡幅するところだと存じます。したがいまして、税率を全体として滑らかというよりは幅を狭く、極端な最高税率を下げてきているというのも一つであると存じますし、また、課税ベースを拡大する、あるいは高過ぎる税率はフリンジベネフィットのような形で課税から逃げようとする、それがまた不公平を招くといったような問題もあろうかと思います。税率が高いほど、あるいは勾配がきついほどそういう弊害を生じやすいわけでございますから、単に累増感の問題だけではなくて、税率をフラット化する、こう呼んでおりましたけれども、そのことの意味は御指摘のようなところにこたえるものだと存じます。
○牛嶋正君 こんなふうに考えますと、私は所得税の公平性、特に所得税における水平的公平の確保というのはかなり重要な意味を持っていると思うんです。それは公平性を確保するだけの問題じゃなくて、今私が申しましたように勤労者の労働インセンティブに非常にかかわっているというふうに思うからであります。 ところが、最近こういうふうな議論がよくされます。それは、所得税というのは所得の捕捉が非常に難しいのでなかなか水平的公平が確保できないんだ、だからむしろ水平的公平に割合合致する消費税でそれを補完していくべきであると、こういう議論が消費課税に重点を移していくときの議論によく使われるわけですけれども、私はこの考え方は問題を幾つか含んでいるのではないかというふうに思います。 と申しますのは、消費税というのは、なるほど所得税で漏れた所得を消費支出されるときに捕捉するということはあると思います。しかし、きちっと所得税を払った所得もまた消費のときには捕捉されるわけでありますから、したがって、こういった所得税から漏れた所得を捕捉するといっても、それは何も所得税における水平的公平を確保するものでも何でもないと思いますけれども、この点について大蔵大臣。
○国務大臣(武村正義君) いろいろ先生のお話を伺っておりまして、なるほどなと思いながら頭を整理させていただいております。 おっしゃるとおり、所得税における不公平を是正するために消費税を使うという考え方はいかがなものかという御指摘はそのとおりかと存じます。先生がおっしゃるように、所得税についても水平的な公平が大変大事だと。確かに給与所得も農業所得も事業所得も、やはり同じ所得であればきちっと捕捉されて、同じ率で課税をされなければなりません。ただ、現実になかなか一〇〇%捕捉ができていないのも事実であります。今たまたま農業所得や事業所得、給与所得と申し上げましたが、利子所得とか譲渡所得とかいろんな所得の種類がございます。そういう中で総合課税化していくという議論が出てきているのも今の先生のお話にかかわる一つの方向だと思っております。 所得税の不公平を是正するために消費税を導入したり充実することでないにしましても、消費税そのものは確かに所得税とは違ってほとんど今度は捕捉できるという特色を持っておりますから、そういう意味で大変公平な税制の一つだというふうに認識をしている次第であります。
○牛嶋正君 よく、消費税は水平的公平に合致する税目だという議論があるんですけれども、私はこれについてちょっとやっぱり疑問を持っているわけです。 例えば、今仮にAさんとBさんというような二人の給与所得者がいたと、お互いどちらも七百万の年収を得ている、こういうふうに想定をいたします。Aさんの方は独身で気楽な生活をしている。したがって、その七百万の所得のうち消費に向ける分というのは三百万ぐらいでいいと。ところが、Bさんの方は子供が三人もおりまして五人世帯である。そうしますと、消費支出はどうしてもふえてまいります。七百万の所得のほとんど六百万ぐらいは消費に振り向けなきゃいけない。 こういうことになりますと、今仮に三%というふうな税率で消費支出はきちっと捕捉されるというふうにいたしますと、AさんとBさんでは負担率がかなり違うわけです。しかし、担税力はほぼ同じであるというふうにみなすことができるわけですけれども、負担率がそういうふうに違うということになりますと、私は、消費税は水平的公平に合致するという考え方は少し間違った考え方ではないかと。 今、大蔵大臣がおっしゃったように、完全に捕捉するという点では、これは所得税よりももちろん消費税の方が捕捉率は高いと思いますけれども、水平的公平というふうなことで申しますと、今私が申し上げたようなことではないかというふうに思いますが、この点について大蔵大臣。
○国務大臣(武村正義君) 昔、どこの国でございましたか、消費税一本にしようという議論があって、実際にやったかどうか知りませんが、消費を全部きちっと一人一人捕捉をして、それに累進税率を掛けて、捕捉しやすいという特色は所得税と同じことですかね、もしそれが可能ならば、そっちの方がすぐれているということになりますが、そんな制度が実際あったかどうか知りません、議論があったという話を聞きました。 今の七百万のサラリーマンの例は大変わかりやすいお話ですが、確かに消費というのは所得があって初めてできるわけでございますから、所得にまでさかのぼって考えれば公平でないというお話はよくわかりました。しかし、消費という事象をとらえて課税をする限りにおいては極めて公平であるという見方もできるわけでありまして、私はそんな意味で申し上げた次第であります。
○牛嶋正君 今、大臣がおっしゃいました消費税というのは、支出税、エクスペンディチャータックスと言っておりまして、これは所得税と同じでありまして、所得に対して課税するのじゃなくて、一年間の消費支出をとらえて、それにそれぞれの納税者の置かれている経済的な情勢、すなわち扶養家族が何人いるかというふうなことを全部勘案して累進課税をする。ですから、いわば課税ベースが所得から消費額に変わるだけでありまして、人税は人税なんですね。ですから、やはり物税ではなかなか納税者の置かれている経済的な情勢というのは勘案できませんから、難しい点があるのではないかというふうに私は申し上げたわけでございます。 しかし、今おっしゃいましたように消費だけを考える、消費支出に担税力を見出す、そうしますと、すべての人は同じ割合の負担をするわけですから、これは確かに水平的公平というふうに言ってもいいと思います。ただ、この議論はいつでも所得税と対比させて議論しますので、一方はやっぱり所得を基準にしております。ですから、消費税では消費を基準にした場合に、ちょっと対比させては議論できないんじゃないか、こんなふうに思うわけでございます。 それからもう一つ、私、所得税の水平的不公平は所得税の中で是正すべきであるということを申し上げたわけですけれども、所得税の垂直的公平は水平的公平が前提にあるわけですね。水平的公平が満たされて初めて垂直的公平の議論ができるわけであります。ですから、そういう意味で、やはりより公平な所得税をというふうになりますと、これまで議論してまいりましたように、消費税でではなくてやっぱり所得税の中で水平的公平を確保するということが大事ではないかというふうに思います。 ですから私は、これまではどちらかというと、所得の捕捉が非常に難しいということで議論が全部垂直的公平の議論になっているんですね、累進度の問題というのはそうですから。それはちょっとまずいんではないかと。ですから、今申しましたように垂直的公平を議論する前提には水平的公平が満たされていなければならないわけでございますから、そうしますと、これからの税制改革では、やはり所得税で総合課税化も含めて水平的公平を確保するということが非常に重要になってくるんじゃないかと思いますけれども、もう一度重ねて大蔵大臣の御意見をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) 重ねて強調されたお考えについては、そのとおりでございます。 すべての税に公平が貫かれていなければなりません。税制の大宗をなす基幹的な税制である所得税課税において、垂直的公平、水平的公平、どちらにしましても、公平という視点から問題がないように今後とも努力を続けていかなければいけないというふうに思います。
○牛嶋正君 この理念に関連して、最後、もう一つだけちょっとお尋ねしてまいりたいと思います。 いや応なしにこれから租税負担率が増大をしていくわけです。そういたしますと、同じ税負担を負うにいたしましても、負担感をできるだけ小さくしていく、これは課税当局が努力しなければならない一つの大きな課題ではないかというふうに思います。恐らくそういうことからできるだけ消費税でというふうなお考えもあるんだと思うんですけれども、公平ということも問題ですけれども、私は、だれもができるだけ納めやすい形で納めていく、税を負担していく、そしてそれほど税額に対して税負担感を感じないで、できればそれをできるだけ小さくしていくということを考えますと、課税方法というのが非常に重要になってくるように思うわけであります。 結局は、消費税が余り税負担感を感じない。それに対しまして、同じ税負担でも所得税は税負担を感じるというのは、これは課税方法の問題ではないかと思います。ですから、できるだけ分散して税を納めることができる、都合のいいときに納める、そして余り税を意識しないで納めるというふうな方法がとられれば非常にいいわけです。それを満たしているのが私は消費税だと思うんですけれども、所得税も、これからも基幹税目として位置づけていくならば、所得税の中でもそれを考えなきゃいけないのではないか。その一つは源泉徴収方法、これはできるだけ活用していくということが必要かと思いますけれども、こういった点について、もし大蔵省の方で御議論があったとするならばちょっとお聞かせを願いたいと思います。
○政府委員(小川是君) ただいまの点は、ほかの各種の原則と並んで私ども極めて重要だと思っております。税制調査会などの中でもそういった議論が交わされることがございまして、源泉徴収制度は負担感を伴わないから、消費税のように、財布から出るときに価格に乗っているということで負担感を初めて間接税で感ずるということを議論される方もおられます。 他方において、やはり所得税というのは、今お話がありましたように、所得を得る段階でまず払っておいて後で清算をするということの方が、負担感からいっても、あるいは社会全体のシステムとしてもより効率的ではないかという御議論もございますし、また所得税のあり方としては、同じ源泉徴収をいたしましても、できるだけ清算のために税務署に納税者が出向くという形で還付というものがあってもいいんだというふうに考える方もおられますし、逆に、そういうことになればなるほど大変手間がふえるばかりであるから、少ない方がいいという考え方もございます。 これまでもそういったさまざまな議論が行われているところでございますけれども、全体といたしまして、今委員御指摘のような角度から税のあり方というものを仕組むときに考えなければいけない重要な項目であるというふうに認識をいたしております。
○牛嶋正君 最初に申しましたように、三つの理念を取り上げて議論を進めてまいりました。 残りました理念は、所得、資産、消費に対する課税のバランスができるだけとられた税制を確立していくということであります。残念ながら時間がもうあと四、五分ぐらいになってしまいましたので、また機会がありましたらお尋ねしたい。この点についてまた幾つか御質問させていただきたいと思います。 一つだけお聞きしておきたいと思います。 以前に直間比率が議論されたときに、それぞれの国はそれぞれ歴史があって、その歴史の積み重ねで税制がつくられているんだと。その結果ある一定の直間比率というものが出てきているわけで、その直間比率そのものがどういう水準がいいのかというふうな客観的なあれはないというふうな議論がなされたように思うのでありますけれども、そういう議論があって、最近では大蔵省の方は直間比率の議論をおやめになって、所得、資産、消費というふうなことになってきたように思うんです。そうだとしますと、所得、資産、消費に対する課税のバランスということも、先ほどの議論じやありませんけれども、どういうふうな割合になれば一番バランスがとれているのかということは、それはやっぱりそれぞれの国のこれまでの税制改革の積み重ねの結果ではないかというふうに思うわけであります。 ところが、どうもこのバランス論が非常にいつも議論されるわけでありまして、納税者の側から見ますと非常にあいまいな感じをそこで受けているわけであります。もしこのバランス論が、税源をそういうふうにできるだけ分散させることによって安定した税収を確保するというふうなことで議論されているならば、これは課税側の議論です。ですから、納税者の側から見るとますますこの理念があいまいなことになってしまうのですけれども、このバランス論はどういう立場で御議論されているのか、これをお聞きして私の質問を終わらせていただきます。
○政府委員(小川是君) 直間比率といい、所得、消費、資産のバランスのとれた税体系といい、いずれもいろいろ御議論を進めた上での結果であるという意味では同じでございます。 直間比率というと、各国を比較するときに、大ざっぱに税の姿を想定することができるという意味で便利でございました。しかし昨今のように、税体系の中身を御議論いただくときに、例えば固定資産税のような税は、これは当然のことながら個人、法人が負担する直接税と言っておりますけれども、法人が負担するコストであるという観点からいたしますと、各国を比較したときにそういう直間で直であると見ておいて果たしてわかりやすいんだろうかといったような疑問もございます。したがいまして、やはり所得、消費、資産というのは一つの目安として姿を考えていくことができるのではないかという感じがいたします。 いずれも、いわば税源を示しているといいますか、課税対象を示しているといいますか、そういうものを一つずつ御議論をいただいて、そのときどきの社会経済情勢の変化、将来を見据えてどのあたりがバランスがとれていると考えるかというのは、さまざまな角度から御議論をいただき、私どもも検討したその結果であるということは繰り返しになるところでございます。
○牛嶋正君 以上、三つの理念を取り上げて、私なりに質問させていただきながら、明らかにしてきたわけでありますけれども、いずれにいたしましても、最初に申しましたように、今後の税制改革も、景気対策をその中に入れたり、あるいは増税と減税を一体的に処理するというふうな方向で大きく枠組みを決めてしまいますと、なかなか思い切った税制改革はできないというふうに思います。 ですから、もっとはっきりと納税者に理念を示して、そしてその理念を実現することによってこういうふうな高齢社会にふさわしい税制が確立するんだというふうな姿をもっとはっきりと示していただいて、そして改革をこれから進めていただきたい、そういうことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○吉岡吉典君 消費税の税率を幾らにするかということは、これからの見直しによって最終的に決まっていくというところまでは明らかになったわけですが、きょうはその見直しの中身に関連して幾つかの面から質問させていただきます。 まず、見直しの一つの要因、要素となる財政事情の問題です。 この附則でも、財政状況を勘案して決めていく、こう書いてあるわけです。さてその財政需要ですが、現在の内外情勢を見れば、財政需要はどこを見てもふえる一方だというふうに思われます。もちろんこれまでの論議でも、マイナス要因としての行財政改革、税制の適正化についての努力も行うということが言われていますけれども、その行財政改革それから税制の適正化、私ども不公平税制の是正と言っているわけですが、これは後にしまして、財政需要は今後どういう面でプラス要因は考えられるか。国内施策の面、また対外的な日本がいろいろ対応していかなくちゃならない問題もあると思いますけれども、大蔵大臣、大体どういう部分がふえそうですか。
○国務大臣(武村正義君) 私の直観で申し上げても、一つはやはり福祉。もうたびたび議論がされておりますように、高齢化社会が始まっております。まだまだぐんぐん加速をしていきます。厚生省のビジョンの三つのケースで試算がされましたが、社会保障費全体で見ても、数十兆円の現状から見て、三百数十兆というふうなちょっと想像を絶する巨大な額に膨らんでいくという、そういうシミュレーションもまたされているわけであります。そのことから見て、年金、医療、介護等々を中心にした福祉の財政需要をまず挙げなければならないと思います。 二つ目は、やはり六百三十兆円に象徴されるような社会資本の整備でしょうか。かなり社会資本には力を入れてきているわけでございますが、それでも全国各地の国民の皆さんの需要からすれば、道路、河川を初めとして、下水道や公園や身近な環境整備も含めて社会資本に対する大きな期待が存在をいたしております。このことにこたえていくための需要はやはり大変大きなものだと思っております。 もう一つ挙げれば、やはり国際的なかかわりで、国際貢献といいますか日本の世界に対する役割を果たしていく中で、世界の各分野あるいは事業の各分野、環境とか人口とかエイズというふうな問題もございます。あるいは南北の貧困の格差の現実をにらみながら日本の果たすべき役割を考えますときに、この分野も財政需要が膨らんでいく一つだというふうに認識をいたしております。
○吉岡吉典君 今幾つか大きいものを挙げられました。最近、新聞でも「歳出膨張の足音」といったような連載が行われております。これは来年度の予算編成をめぐってのものですけれども、例えばそういうものの中の一部を見ますと、整備新幹線について「さながら建設促進の大合唱が巻き起こっている感もある。」と新聞は指摘しながら、「将来の建設財源は五%に引き上げられる消費税の一部でまかなえばよい」と自民党代議士の言葉が紹介されておりました。これは十一月十五日の日経新聞です。ですから、今論議している消費税の税率引き上げというのは、こういう面からもこれでやろうというような声が現に出ているということです。 大蔵大臣も国際貢献の需要も大きくふえるだろうとおっしゃいました。そこで、これが一体どういう見通しを持つようになるだろうかという点をはかる上で、まず外務省に幾つか挙げてもらいたいと思います。というのは、これは総理も同じように国際貢献ということを日本の財政状況を考える一つの重要な要因として強調しておられました。我が国が国連の安保常任理事国入りということも明らかにしているもとで、日本の国際貢献への役割分担というのはいろいろな分野で一層強く求められると思います。それを見る上で、外務省、まずODA資金というのは、この十年間さらに二十年間過去へさかのぼってみると大体どういうふうに伸びてきているか報告してください。
○説明員(旭英昭君) お答えいたします。 〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕 ODA予算についてでございますが、ODA予算の概念といいますのは、第一次中期目標がちょうど今から十六年前の昭和五十三年七月に設定されて以来取り入れられたものですから、したがいまして二十年前との対比はできませんが、十年前と比べますと一・三四借の増となっております。
○吉岡吉典君 国連分担金は二十年、十年前との関係でどうです。
○説明員(旭英昭君) お答え申し上げます。 我が国の国連通常分担金額に関してでございますが、いずれもドル建てではございますが、二十年前と比べますれば七・六倍増、十年前と比べれば一・九倍増となっております。
○吉岡吉典君 PKOの分担金、同じように。
○説明員(旭英昭君) お答えいたします。 PKO分担金額につきましては、国連に対しまして通常予算とは別勘定で支払うことになりましたのが今から十八年前の昭和五十一年、一九七六年度からでございますものですから、二十年前との比較はちょっとできかねますが、十年前と比べれば円建てで十二倍、ドル建てでは二十六借ということでございます。
○吉岡吉典君 今幾つか挙げてもらいましたが、我が国の国際的な分担というのは非常に急速に伸びております。特にPKOの分担金というのはドル建てでは二十六倍になっている。今度安全保障常任理事国に入ればこういう負担というのは一層大きく伸びるようになってくると思います。 もう一つ、日本は近年、この十年以内の間に、かつてと違って国際分野でも自衛隊の派遣をも含む役割分担をやるようになりました。そういうことともあわせての日本の分担で、まず湾岸戦争の分担は幾らだったか、米軍基地の思いやり予算はどういうふうに伸びているか、これは通告していなかったんですが、わかればお答え願いたいんです。これ外務省ですか、湾岸戦争は。
○説明員(北原巖男君) 私の方からは思いやり予算につきまして御報告させていただきます。 先生御承知のように、在日米軍のいわゆる経費負担につきましては、従来から、我が国の安全保障にとりまして不可欠な日米安保体制の効果的運用を確保するために極めて重要と、そういった観点から我が国といたしまして自主的にできる限りの努力をしてきているところでございます。 これを歳出予算額で申し上げますと、初年度、昭和五十三年度でございますが、これが約六十二億円でございます。それから十年前、昭和五十九年度、これが約六百九十三億円となっております。ちなみに、現在平成七年度の概算要求をしておりますが、およそ二千五百九十二億円を要求しておるところでございます。 以上でございます。
○吉岡吉典君 十六年前ですか十七年前ですか、六十二億円で始まった地位協定の取り決めにもない日本の在日米軍に対する負担、これが六十二億円から実に四十倍にふえている、そういうことになっております。こういう負担というのは、私は今の政治が続く限りはこれから一層ふえていくだろうと思います。 湾岸戦争、参考までに。
○政府委員(伏屋和彦君) 突然の御質問でございますので、ちょっとデータを持っておりませんが、記憶では九十億ドルということで、一兆を超える規模の支出であったと覚えております。
○吉岡吉典君 これは何かの連絡違いだと思いますが、きのういただいた資料では百十五億ドル、こういうふうになっております。今のは結構です。 今のように、国際分担、国際貢献というのも、ODAからPKOの分担、国連の分担、さらに在日米軍基地の思いやりの予算の物すごいふえ方等々、これらは私は国連安保常任理事国入りすれば一層飛躍的に伸びるだろうと思います。私どもがこれから財政状況ということで検討してもらわなくちゃならない要素にこういう国内の財政需要増、そして国際的なこういう日本の負担というものが迫っているわけです。これをどうして生み出すのか。 私は、もちろんこういう政策自身の根本的な転換も求めなくちゃいかぬわけですが、財政問題として見た場合に、税制という点で言えば、主としてこれをもしこれから消費税の増税で求めようというようなことになったら、幾ら消費税の税率を上げても大変なことになると思います。もちろんそれは行財政改革とか税制改革の努力が行われても大変なことだと思います。ましてや、消費税に主として頼ろうと思えばそういうことになると思います。 私はこの国会での論議を聞いていると、今後日本の税制としては、自然増を除けば、歳入増は大体消費税に頼ろうという方向じゃないかと思いますが、大蔵大臣、どうですか。
○政府委員(伏屋和彦君) まず、歳出の方のお答えをさせていただきたいと思いますが、まさに今先生の御指摘がありました、それから先ほど大臣からも答弁させていただきましたが、やはり今後我が国の財政は、社会保障、社会資本整備、それから国際社会への貢献等、いろんな財政需要が出てまいるわけでございます。財政がこういう社会経済情勢の変化に弾力的に対応していくためには、まさに健全な財政運営、財政の健全化を図っていかなければならないわけでございます。 そのときにまず大事なことは、一つは、現在国債費の重圧が今先生も御指摘のようないろんな政策的な経費を圧迫しているという財政構造の問題でございます。したがって、私どもといたしまして、これは財政審からも御指摘をいただいておりますが、これからの財政が健全な財政というために最も大事なところは、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げることであるということでございまして、その意味で今後ともいろんな経費を制度の根本にさかのぼって見直し、また施策の優先順位を厳しく選択して財政の体質をよくしていかなければならないというぐあいに考えておるわけでございます。
○吉岡吉典君 答弁になりませんよ。それは全然答弁にならない。大蔵大臣は。
○国務大臣(武村正義君) 将来期待する税目は何か、消費税ではないのかという御質問でございましたが、さまざまな税の仕組みの中で税という歳入全般を賄っているわけでございます。 たびたび御論議がございましたように、所得税は今回の減税がありましても今後とも基幹税目として重視をしていかなければなりませんし、法人税も大変大きな大事な税目でございます。そして、御議論いただいております消費税もその中で大変大事な税目だというふうに認識をいたしております。
○吉岡吉典君 所得税が基幹的な税制だということはおっしゃってきていますけれども、速記録を読み返してみますと、大蔵大臣、こういう答弁があるんですね。今までの税制では高齢者に対応する年金、医療、介護の巨大な財源を負担し切れなくなっている、そこで、国民全体が広くこの福祉財源を負担していこうというので消費税の税率を値上げするんだという、そういう趣旨の答弁があるんです。 だから、所得税ではもう支え切れなくなったからこういう税制に転換するんだということになると、自然増はもちろん所得税もあるでしょうけれども、今後主として比率としては所得税ではなく間接税、消費税の比率を大きくしていこうということだろうと思って私はこの答弁を読んだわけです。 この問題、押し問答してもしようがございませんからいいですが、参考に大蔵省にちょっとお伺いしておきますけれども、ことしの五月、「税制改革に関する機械的試算」というのを発表されました。これは現内閣ではありません、前内閣のときでありますが、それで二〇〇〇年のいろいろな試算の前提を設けての数字が出され、そこで機械的試算Ⅱというところでは、消費税率が一〇%になってこれでやっと黒字になる、歳入超ということになっているわけです。機械的試算Ⅱ、ここでは九%でも歳入不足ということになっているわけです。 これは二〇〇〇年ですけれども、高齢社会がピークを迎えるとあなた方も言っている二〇二五年に置きかえるとどういう数字になるか。私は、大蔵省は二〇二五年ということを盛んに強調なさってきたからこのままの前提での数字がおありじゃないかと思うんですが、あったら報告してください。
○政府委員(小川是君) 本年五月に提出をいたしましたいわゆる機械的試算は、政府の税制調査会が四月から審議を始めていただきました。その税制改革の議論の材料となる観点から、一定の仮定を置いて税制調査会の会長から試算をするようにということで行った機械的な計算でございます。 したがいまして、その中には所得課税についての規模であるとか、あるいは福祉等の財政需要については福祉ビジョンを用いるとかいったこと、それからさらに、この改革が財政を悪化させないといったようなことを仮定に置いて試算を行ったものでございまして、税制改革の論議の参考に資するという観点から、二〇〇〇年度の名目値を九四年度、足元の年度で計算をしてみたものでございます。そういう意味において、お尋ねのような非常に超長期の計算を試算としても行ってはおりません。
○吉岡吉典君 ないとおっしゃれば、これはしょうがない。 私は同じ二〇二五年でちょっと計算してみました。おたくは計算がないとおっしゃるから、これが正確とも正確でないとも言えないでしょうけれども、私の数字だけ言うと、二〇二五年には一五%でも赤字、一六%でやっと黒字という税率になります。これは年金の保険料の値上げ等がありましたけれども、そういう要素抜きに、ここの前提とされているものに沿っての計算です。 いずれにせよ、もし消費税の税率引き上げで日本の財政を賄おうというようなことになれば、私はこれは本当に大変なことになるということだけを申し上げて、次の問題に進みますが、高齢者対策の問題です。 三千億円ということが繰り返し強調して答弁されていますが、この三千億円というのは国庫負担金だけなのか、地方の負担金も合わせてのものなのかどうかということと、この三千億円というのは何を根拠に出されたのか。大蔵大臣の答弁を読み返してみますと、こうこうこういうふうに減税財源に充てたけれども、余裕金が出たのでこういうふうに充てたと。何かおつりが出たので充てたともとれる答弁もございますので、これは本当は金が余ったので当てずっぼうでの三千億円なのか、何らかの厚生省のデータに基づくものなのか、ちょっとお答えください。
○政府委員(伏屋和彦君) お答え申し上げます。 今回の税制改革におきまして、急激に進展します少子・高齢化社会に対応するために、現在のゴールドプランに上乗せいたしまして、当面緊急に整備すべき老人介護対策及び必要最小限行うべき少子対策に取り組むという必要があって、福祉のために全体で四千億の財源を確保しているところでございます。 そのうち三千億円、これは老人介護対策に要する経費として、今先生の御質問で言いますと国と地方を合わせた公費でございますが、地方公共団体の老人保健福祉計画の中で特に緊急に必要とされる特別養護老人ホームの充実、ホームヘルプサービスの充実等を実施するためのものということでございます。 例えば積算的に申し上げますと、具体的に言いますと、地方の老人保健福祉計画では目標値が特別養護老人ホームの場合二十九万床ということでございまして、現行のゴールドプランを上回っておるわけで、これを例えば単年度で整備できる量ということになりますと一万床ということで、それぞれ単価等掛け合わせた上、質的改善等も加えて三千億という数字をお示ししているところでございます。
○吉岡吉典君 国の負担分は千五百億円だということがわかりました。 この間ここで論議がありましたときに厚生省は、厚生省の新ゴールドプランに基づく経費試算との間には非常に大きい乖離があるとおっしゃいましたが、厚生省の新ゴールドプランに基づく経費試算ではどういう額になっていますか。
○説明員(堤修三君) お答えいたします。 私ども厚生省がお示しをしております新ゴールドプランでございますけれども、これを平成七年度から実施するといたしました場合に、現行ゴールドプランの必要な経費に加えまして、事業費ベースで五年間で三兆七千億円の増、国費ベースで一兆七千五百億円程度の増になるものと試算をいたしております。 この案では五年間の内訳を明示はいたしておりませんけれども、単純に五等分してみますと、単年度では総事業費ベースで七千億円余の増、国費ベースで三千億円余の増、こういうことでございます。
○吉岡吉典君 そうすると、厚生省の要求では年三ないし四千億円ですか、そういう要求に比べると、千五百億円ですから新ゴールドプランの要請の半額だということですね。 さて、そこでもう一つ福祉充実ということに関連してお伺いしておきたいんですが、高齢者対策、医療、年金と、こういうふうにおっしゃって、それで医療、年金のところでは自然増の推計等という言葉を使われているときもあります、これは大蔵大臣の答弁ですけれども。そうすると、自然増の計算だけであるのか、ゴールドプランというのはどういうことをやるのか。今、厚生省の新ゴールドプランがあるわけですけれども、大体これがもとになるのか、これはまだまだ不十分だからもっともっと大拡充をやろうというふうなことも検討なさるのかどうなのか、私はそれを要求しますけれども。 それから、年金、医療というふうなのは自然増の計算だけなのか、やはりそれも制度的な検討を含む見直しか行われることになるか、それ全体についてお答えください。
○国務大臣(武村正義君) 年金、医療につきましては、恐らく厚生省の福祉ビジョンの仮定としては現行制度、年金は当時提案されていた改正案が基本であったと思っております。 新ゴールドプランはまだ政府としてはオーソライズができておりません。先般、九月でございましたか、与党の論議の場に素案という形で厚生省が提示されたその数字が今説明されたものだろうと思います。今後、政府としてはこの数字を基本にしながら真剣に詰めをしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○吉岡吉典君 年金、医療の分、厚生省さん、今のようなことで、基本は大体今の制度のままというふうにとっていいんですか。
○説明員(皆川尚史君) 今、大蔵大臣からお答え申し上げたことが基本になろうかと思いますが、私どもの福祉ビジョンでは幾つかのケースを想定しまして、例えば現行制度維持のケースとかあるいは福祉充実のケース、そういうさまざまな三ケースほど用意して御提示をしているということでございます。
○吉岡吉典君 年金、医療についてもですね。
○説明員(皆川尚史君) 基本的には、年金につきましては現行制度維持のケースとか、あるいは今大蔵大臣が申し上げましたように、今回の年金改正を前提とした推計ということをさせていただいているわけでございます。
○吉岡吉典君 新ゴールドプランはそうするとこれが基礎にはなるわけですね。それから、医療、年金というのは基本は現行だけれども、しかし幾つかの仮定も持っている、したがって、結果としてはそういうところにまで検討が及ぶ余地もある、そういうふうにとらせていただいていいですか。
○政府委員(伏屋和彦君) 新ゴールドプランは、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、まだ現段階では政府としてオーソライズされたものではございません。これからまさに検討され内容が詰められるわけでございます。 それから、厚生省の方の関係でお出しになられております福祉ビジョンの方で、先生の御質問の意味で言いますと、年金につきましては今回の改正後の制度を仮定したり、また、これはケースⅡでございますが、医療につきましては効率化を図るものと仮定し、さらに介護対策や児童対策等の充実を図った場合というようなケースも示されているわけでございます。 いずれにいたしましても、こういうもろもろの内容につきまして今後いろいろ検討していきまして、年金、医療、まさに福祉等全体の自然増等の推計もこれから行って、将来どんな社会保障の具体的な姿になるか、これらをこれから議論していかなきゃならないということでございます。
○吉岡吉典君 今、答弁がありましたけれども、新ゴールドプランはこれからだと。そのことはどういうことかというと、この法案は福祉充実あるいは高齢化対策ということがうたい文句になってはいますけれども、そのプランはすべてこれからだということで、大変勢いよくまだオーソライズされていないということを強調されますけれども、そのことは具体的プランは何も決まっていないということを一生懸命に宣伝なさっていることでしかないというふうに申し上げておきたいと思います。 当面決まったのも四兆八千億円ですか、消費税の増収を見込みながら、そのうちの地方分を含めて三千億円しか計上されない。約六%余りですね。これでは私はやはり高齢者対策をうたい文句にするような税制改革だとは言えないと思います。 かつて加藤税調会長が、「消費税を導入したとき、高齢化社会に備えるといい、われわれ税調もそう説明しましたが、本当はあれは一般の人に分かりやすいからということでした。消費税本来の意義はそういうものではないんです」と、こういうふうに語ってマスコミに登場したことがありますけれども、大体それがこの間の消費税導入後の消費税収分のわずか三%ぐらいしかゴールドプランに上積みされていないという実績から見ても、それからいまだ何ら具体化されていないことから見ても、看板に偽りありだと言えるという気が私はいたします。 いずれにせよ、これは料理を示さないところかメニューさえも示していないわけですから、食える料理か食えない料理がさっぱりまだわからない。それに大きく高齢者対策だという看板を掲げるというのは、繰り返すようですが、私は看板に偽りありという感じがいたします。 いずれにせよ、高齢社会という人類の夢が実現した。私どもはやはりこの高齢化社会を立派に支えていかなくちゃならない。しかし、それを支えるのに安易に消費税税率引き上げでというふうなことになれば、これは国民に大変な負担を強いることになるわけであり、この法案の中でも言っている行財政改革が本物になるかどうか、あるいは不公平税制の是正ということがどのような形で行われるかということが非常に重要な問題になってくるわけです。 そこで、大蔵大臣にお伺いしますけれども、不公平税制の是正、これは総理もそういう言葉を時々使っておられます。法案では「適正化」とあなた方は言っていますけれども、この法案で附則には「租税特別措置等」と書いてあるわけですが、検討対象、見直しの対象は租税特別措置法に限定されるんですか、ほかの税制も全部見直すんですか。どういう税目を見直すのか、ちょっと説明してください。
○政府委員(小川是君) 附則の二十五条で「租税特別措置等」という書き方をしてございますのは、単に租税特別措置法だけではなくて、他の法律でも税制の基本的な原則をいわば犠牲にしてつくられている政策的な税制ということを念頭に置いておるものでございます。したがいまして、基本的な税制の考え方から出てきているもの以外のものと、政策的な配慮に基づくものと御理解いただきたいと思います。
○吉岡吉典君 そうしますと、法人税法の本体にもかかわる見直しもあり得ると、そういうふうにとっていいですか。
○政府委員(小川是君) これまで租税特別措置等でやや幅広く、いわゆる政策的な税制として御説明しておりますのは、例えば所得税本法に入っておりますけれども、生命保険料控除とか損害保険料控除のように、所得税の課税の基本原則からというものではないといったようなものでございまして、もし御指摘が例えば引当金といったようなものであれば、それはいわゆる租税特別措置等あるいは政策税制という位置づけはいたしておりません。それはむしろ税制のあり方としていつも検討がなされる課題であるというふうに考えております。
○吉岡吉典君 それでは、具体的にお伺いしていきましょう。 まず、租税特別措置法です。 租税特別措置法については、これは法案にも出ているわけですから当然検討対象になるわけです。最近の報道によると、企業からもこれを残せという巻き返しかあるということであり、また与党内部でもこれについてはいろいろな意見が出ていて、いっとき政府が強調していたこれへの強い姿勢というのは少々弱まっている、そういうことが報道されています。 大蔵大臣、この租税特別措置法、相当強い調子で述べられたこともありますが、変わりありませんか。
○国務大臣(武村正義君) 変わりありません。
○吉岡吉典君 そうすると、先ほどの答弁で租税特別措置法だけでなくということがありましたので、これは租税特別措置法以外にも見直しか及ぶという前提で質問を進めさせていただきます。 というのは、租税特別措置法だけですと、野中自治大臣の答弁によっても、「企業だけについての租税特別措置は五千億足らずだ」ということでしたから、これだけだと見直すといっても極めて限られたものになるわけですが、そこはそうではないという答弁だということでありました。 先ほど答弁がありました引当金、準備金の問題です。 我が国の税制には六種類の引当金、二十四種類の準備金、この中には一種類だけ中小企業向けのものがありますけれども、こういう世界にも例を見ない制度が多数設けられています。減価償却についても、特別償却が二十八種類認められていることなど手厚い措置がとられています。 〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕 これらは決算利益から控除されるのでそれだけ課税所得を小さくし、したがって税額を小さくしています。このような数々の準備金や引当金制度が認められている国が我が国以外にもありますか。制度はありますよ。制度はあるけれども、六種類の引当金、二十四種類の準備金というようなかくも多くの制度が設けられている例があったら報告してください。
○政府委員(小川是君) 二つ申し上げさせていただきたいと思います。 一つは、いわゆる法人税に関する引当金制度につきましては、先ほど申し上げました租税特別措置等というものではないというふうに考えております。これらは、いずれも法人税の課税対象である法人の所得の計算、合理的に計算する上での必要な制度でございまして、引当金の率その他の制度がいつもいつも実態に応じているかということは見直しが必要でございますが、いわゆる政策的な租税特別措置等ではないというのが一点でございます。 しかし、お尋ねでございます諸外国がどうなっているかという点につきましては、必ずしも私どもつまびらかにいたしておりません。 ただ、例えば退職給与、退職金を我が国のように給与制度上織り込んでいるところがほかの国にはほとんど見当たらないといったようなこと、あるいは賞与といったような大きな額を毎年定期的に払うといったような制度がございません。そういったものがある場合にどういう引当金制度を持っているかということになるわけでございますが、残念ながらその実態を含めて私ども必ずしも外国の制度についてはつまびらかにいたしておりません。
○吉岡吉典君 つまびらかでないということでしたけれども、それはないんです、日本のような例は。ないから挙げるわけにもいかないんです。そして今、外国にはない例があるということをお認めになりました。 ですから、その一つである退職給与引当金について、まずどのようになさるかお伺いします。 全従業員が一斉に退職した場合に要する費用の四割を引当金として認める、こういう制度です。しかし、そういう事態が仮に起きても、つまり四割が一斉にやめるなどということは普通考えられませんけれども、実際にそういうふうになった場合にも、その金銭が現実に確保されているかどうか保証もない、そういう非常に大きい問題を持った退職給与引当金、これの九二年度末残高、これは幾らになっていますか、おわかりになりますか。
○政府委員(小川是君) まず一つは、先ほど外国についてあえてつまびらかにしていないと申し上げましたが、もとより例えばドイツには退職給与引当金というのがあるということは私ども承知いたしております。その他の国で貸倒引当金の制度があるということも承知をいたしております。しかし、その社会的実態の方が十分つまびらかでないということを申し上げた次第です。 次に、退職給与引当金ですが、平成四年度末の残高は十二兆九千二百十五億円でございます。 この退職給与引当金といいますのは、課税所得の計算上のものでございますから、これは支払い準備のために認めているという制度ではございません。支払い準備の方は、これは労働関係の法制の問題でございます。
○吉岡吉典君 この退職給与引当金が実際に引当金として退職金のために取り崩されている実績値、これはどうなっていますか。
○政府委員(小川是君) 退職給与引当金につきまして、ただいま平成四年度末に十二兆九千億ということを申し上げました。私どもがつかんでおりますのは、毎期末の残高ベースでつかんでおりまして、この引当金に幾ら繰り入れられ、幾ら取り崩されているかというところを今ちょっと手元に持っておりません。
○吉岡吉典君 実際に退職金として取り崩された実績値というのは、私どもが持っている資料では、例えば代表的企業十三社の場合、大体一〇%程度。そして、個々の企業で幾つか挙げてみますと、例えばトヨタ自動車はわずか四・二%、日立製作所も四・二%、こういう一割どころか四%というふうな実績値。そういう退職給与引当金を認める、そして課税対象を狭めている、こういう税制というのは私はもうきちっとなくさなくちゃならないと思います。 引当金については、中曽根総理が売上税を導入しようというときに、退職給与引当金などについて廃止することを含めた踏み込んだ検討が行われた事実があります。六十一年末の税調答申でも、退職給与引当金は廃止も含めてそのあり方の見直しをするのが適当である、こう言っていますが、それが今日までそのまま続けられてきているという状況です。 大蔵大臣、もうそういう中曽根内閣時代に廃止が検討された問題です。今度きちっと廃止しますか、どうですか。
○国務大臣(武村正義君) 局長もお答えしましたように、今回の租税特別措置等の中には入っておりませんが、将来の特に法人税制のあり方の論議等の中で引き続き議論が行われる問題だというふうに認識をいたしております。
○吉岡吉典君 議論が行われるというのじゃ話にならないです。なくす方向で議論するのか、いやこれは必要だから継続すると、それも議論ですからね。 これはあわせてもう一度答弁を求めますけれども、賞与引当金についても同様で、廃止の方向が当時法案に盛り込まれました。自民党の中曽根政権のもとでさえもこういうことが具体化されようとした。それが社会党の委員長が首班の政権で実行されないということになると、私は大変問題があるというふうにいよいよ言わざるを得ません。 税調でも答申し、それから政府の文書の中でも廃止する方向が明記されたことのあるこういう退職給与引当金、賞与引当金。方向も言えないんですか、大蔵大臣。
○政府委員(小川是君) 引当金全般につきまして、あたかもこれが利益を何か留保しているような印象をお持ちいただくといけませんので補足させていただきますが、現在の法人所得というのは企業計算上、利益の方も発生ベースでございます。それに対応して経費の方も、その期間にどれだけを利益に対応して見るのが合理的な所得計算がということでこうした引当金が設けられているということが一つでございます。 それからもう一つ、賞与引当金につきましては、確かに前の抜本改革の前の税制調査会でそういう議論がございました。賞与引当金の大変難しいところは、例えば三月決算の法人につきまして、夏のボーナスを六月に支給するというものが、既に六月には幾ら支給するというのが約束で決まっている、あるいは慣行的に決まっているというケースに、三月決算の段階で、この期の利益に対応する次の六月に払う賞与が幾らであるというものを経費として所得計算上控除する、それが賞与引当金でございます。 この引当金を仮になくすといたしますと、それじゃそれだけで利益がふえるかと申しますと、そうはいきませんで、やはり未払いの賞与というのがどの部分であるかという認定をいたしまして控除をしなければならない。その一つ一つの認定が大変複雑になってまいります。その意味において、現行の賞与引当金で一定の計算式に基づいてやるというやり方も一つの合理的なあり方として今日まで継続されているというところでございます。 繰り返しになりますが、これは将来とも合理的な計算のあり方として検討しないという趣旨のものではございません。 失礼しました。
○吉岡吉典君 あなたは、具体的に大蔵省主税局の文書でも、税制調査会の答申でも廃止せよと言っているその問題について、私が大蔵大臣にどうかといって聞いているのに、あたかも引き当て制度全般についてなんて要らぬこと言うなよ。人の言っていることが不当だと思わせようとする、そういう作為的な答弁はやめてもらいたい。あなた自身がそういう例は外国にないということをさっき認めた。日本にだけある例なんだよ。 大蔵大臣、もう一つ、有価証券取引税、これは日経新聞の報道によると、大蔵省の試算なるものがあるということが紹介されております。 有価証券取引税は、近年、証券市場の空洞化などを口実に撤廃を求める声が強くなっている。それに対して大蔵省の試算では、有価証券取引税は、我が国では株式譲渡益課税が極めて軽いので、それを補完する役割を果たしている。そして、その両方の税を合わせて国際比較をすると、五百万円の株式を購入し六百万円で売却した場合の納税額は、日本は七万八千円、英国は四十二万五千四十四円、フランスは二十二万一千六百円、米国は三十五万五千九百三十七円、ドイツが三十九万八百五十二円。このように英米諸国は低いところでも二十二万円以上、そして四十二万五千円、それに対して日本は七万八千円だと。そういうわけで、決してこれが外国に比べて高くもなければ、それが証券市場の空洞化の要因でもないと、大蔵省はこういう試算に沿って反論している、こういう報道がありました。十月二十九日ですか、日経新聞。 これは事前通告していませんでしたけれども、日経新聞に大きく報道されたものですから記憶があると思います。こういう証券市場の空洞化を理由とする取引税の撤廃要求、これに対してどういう態度をとりますか。
○政府委員(小川是君) 有価証券取引税につきましては、昨年の税制調査会の答申におきましても、「現行制度を維持していくべきである。なお、将来、株式等譲渡益課税の適正化の検討が行われる場合には、併せて有価証券取引税の負担のあり方についても検討すべきである。」というふうになってございます。 今、委員が御指摘になられたのは、恐らく株を何百万円、何千万円売ったときに取引税が幾らかかるかということと、それを譲渡したときの譲渡益に対して幾ら税金がかかるかということを各国比較すれば、諸外国で有価証券譲渡益に対する課税があるので、その負担もあわせて比較をしなければいけないという問題を私どもいつも指摘をしております。その一環であろうかと存じます。
○吉岡吉典君 時間がだんだん終わりになってきましたのでほかのテーマに入るわけにいきませんが、私は、ここで大蔵大臣、これから見直し作業をやろうというときに、日本の税制を見ますと、高度成長期に、この高度成長を支えるためのさまざまの優遇税制がつくられてきた。それが今もいろいろな形で残っており、その不合理を正さなくちゃならない、そういうところへ来ている。そういう一つの不公平税制がある、そういうふうに思います。 もう一つ、日本の企業が海外進出を続けるのに伴って、その海外進出を促進するためのさまざまの税制が設けられた。きょうこれは時間の関係で取り上げることができませんでした。次回、その問題を取り上げたいと思います。 そういう日本企業の海外進出に伴う優遇税制、その中には、かつて数年前の水野主税局長時代に、我が国は何とか海外進出と輸出の振興を図ろうとするために非常に甘い税制をつくった、そういうことは否定できないという答弁をなさっている例もあります。そういう高度成長期の不公平税制、海外進出を進めるためのさまざまの、主税局長自身が非常に甘いと言わざるを得ないような制度、そういうものを今根本的に見直す時期だと思います。 法案にも名前が出ている租税特別措置というふうなものを見ても、随分大昔のものがあるわけですね。一番古いのは何ですか。ちょっと念のためにお伺いしておきます。
○政府委員(小川是君) 特別措置で最も古いものという意味では、昭和二十四年に特定の登録ホテル等の減価償却資産の耐用年数の特例、これが最も古いところでございます。
○吉岡吉典君 今お答えがあったように、昭和二十四年ごろからつくられた制度がそのまま引きずられておる。二十四年のものもあれば、二十六年のものも二十七年のものもある。時代が大きく変わっている中でもそういう優遇措置は見直されないまま残ってきた。それに加えての新たな海外進出に伴う優遇税制、これをいいかげんに済ませて、そして二年後の見直しか終わって、さて税制をどうするか、税率をどうするかということになれば、私はここへ抜本的なメスを入れない限り、消費税率の大幅な値上げ、六%、七%、さらにはもっと高くなるかもしれない、そういう危険を持ったものだということを強調せざるを得ないわけです。 そして、時間の関係がありますから詳しく述べられませんけれども、私どもは、そういう抜本的な税制改革、それと行財政改革をきちっとやることによって高齢化社会は立派に支えることができるという具体的な提案も行っているわけです。 きょうの質問の最後に、大蔵大臣に、二年後の見直し、税率を最終決定する間に、今も幾つか問題にしたような不公平税制、こういうものを抜本的に見直す決意があるかどうかということをお伺いしまして、私のきょうの質問を終わりにします。
○国務大臣(武村正義君) 租税特別措置の見直しにつきましては、再三申し上げてまいりましたように、精力的に一つ一つを精査して改革の努力をさせていただきたいと思っております。 昭和二十四年から残っているものもありますし、委員がおっしゃるように、高度成長時代に大変有効に働いた措置もあるかと思います。しかしまた、昨今の経済情勢、産業構造そのものを転換していくために必要な租税特別措置もあるわけでございます。一つずつ精査をしながらその改廃を決め、整理合理化を図るという方針に従って努力をしてまいりたいと思います。 今年度の作業としては、来年度税制改革における租特の見直しというとらえ方があります。同時に、御指摘のように平成八年九月いっぱいにかけて消費税の税率との絡みで論議をするという、二段階といいますか両面といいますか、そういうとらえ方をしながらこの問題に取り組んでまいりたいと思っております。
○吉岡吉典君 終わります。
○島袋宗康君 本日の最後の質問者になるわけでありますけれども、多少重複する部分もあろうかと思いますけれども、ひとつ誠意を持ってお答えいただければ大変ありがたいと思っています。 まず、今回の税制改革のねらいは、当面の景気対策として減税を継続することと、中長期的には中堅サラリーマンの重税感を和らげること、そして高齢化社会での財源を確保することといったような問題点が幾つかあるわけであります。 そこで、回復基調にあると言われる景気の動向について、現時点で大蔵大臣はどういうふうに御認識をされているのかお伺いしたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) 景気の現状を見ますと、個人消費の持ち直しの動きの広がり、生産面の増加傾向、企業マインドの改善等引き続き明るさが広がってきております。緩やかながら回復の方向に向かっているというのが政府の認識でございます。他方、為替相場の動向など懸念すべき要因が一部あるのも事実でございます。 政府としましては、このような景気回復へ向けた動きをより確実なものとし、本格的な回復軌道に移行をさせていかなければなりません。今回の税制改革において、所得減税を消費税引き上げより先行して実施をいたしておりますのもこうした目的に沿うものでございます。 また、六年度予算の着実な執行についても努めていかなければなりません。各般の経済政策の適切な運営によってぜひ本格軌道に乗せるべく、引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
○島袋宗康君 来年度予算に向けても、そういう景気浮揚の問題についても配慮するというふうなお言葉がありましたけれども、ぜひ景気回復に向けてなお一層の御努力をお願いしたいというふうに思います。 そこで、政府は、原則三年間五・五兆円の減税を景気対策として今打ち出したわけでありますけれども、先般、経企庁が宣言された景気回復にこの減税がどういうふうに寄与したとお考えですか。また、五・五兆円の減税を少なくとも一九九六年までは確実になされるおつもりなのか、その辺を確認しておきたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) 減税につきましては、今お話しのように原則としてというふうに申し上げておりますが、今年、来年、再来年と継続をして実施をしていこうという考えでございます。あえて原則と申し上げておりますのは、平成八年度については、再来年でございますが、ことし、来年の景気動向をしっかり見据えて、特に景気が好転してもう本格的な回復軌道に乗ったという状況を除いては、同じような規模で減税を実施させていただくという決意でございます。
○島袋宗康君 それから、アメリカの連邦準備制度理事会、FRBが大幅な金利引き上げに踏み切ったという報道がなされております。金融の国際化が進んだ現在、米国の高金利は世界経済に大きな影響を与えるものではないかというふうに思います。これ以上の金利上昇は回復の方向にある各国の景気に水を差すのではないか、そういうふうな可能性もあるのではないかというふうなことが懸念されているわけです。 そこで、アメリカのこういった金利の大幅な引き上げについて、我が国への影響について大蔵大臣はどう認識されておられるのか、御所見を承りたいと思います。
○政府委員(竹島一彦君) 十一月十五日にアメリカのFRBが公定歩合を〇・七五%引き上げて四・七五というふうにしたわけでございます。外国の金融政策についてコメントすることについては慎重でなければならないんですが、これについての説明といたしましては、アメリカ経済についてインフレ圧力の懸念が言われておりまして、このところアメリカの連銀は、金融を引き締めるということで、現在のアメリカの好景気を持続的な経済成長の過程に乗せていくということでその予防的な措置を講じてきているわけですが、そういった基本的な流れで今回も〇・七五%の公定歩合の引き上げを決められたというふうに理解をしております。これはむしろアメリカ経済の今後の持続的な成長にプラスであるというふうに評価されていると理解しております。 一方、日本の経済でございますが、これにつきましては先ほど大蔵大臣が答弁申し上げましたとおりでございまして、内需中心型の緩やかながらではございますが景気回復ということでございますので、引き続き先ほど大臣の答弁にありましたような政策スタンスで臨んでいく、それが適当であるというふうに考えているわけでございます。
○島袋宗康君 それは他国のことですからとやかくは言えないと思うんですけれども。 今年度の国の一般会計税収は五十一兆円前後にとどまると、当初予算の税収見積もりを二、三兆円下回ることは避けられないというようなことが見通されているようでありますけれども、そこに至る原因はどういうふうなものなのか、どうして二、三兆円の減収になるのか、その辺のことについてひとつ御説明をお願いしたいと思います。
○政府委員(小川是君) 平成六年度の当初予算における税収見積もりは五十三兆六千六百五十億円でございます。今年度、これまでのところ判明しております税収は九月末まででございまして、これは予算見積もり額に対しましてまだ三割程度入ってきている段階にすぎません。 九月の法人の中間決算の発表も相当出てきておりますが、全体がそろっていない現状におきましては、残りのところを具体的に見込みを申し上げられるような状況にはございませんが、一つは、六年度の当初予算を見積もりましたときに五年度の税収を見込んでおりました。その見込みの上に六年度の予算の見積もりを行いましたが、五年度の決算をいたしましたところ、結果的に税収は補正後予算額を一・六兆円下回ったわけでございます。 いま一つは、七年度以降の税収には直接の影響はございませんが、今回の税制改革による所得税減税によりまして、来年の一月から三月まで源泉所得税が軽減されるという形で約三千億程度の減収になるといったようなことを踏まえますと、六年度の税収に相当の影響が出てくることは避けられないのではないかというふうに考えております。 いずれにいたしましても、具体的な金額がどの程度になるかというところにつきましては、直近までの課税実績や各種のデータを織り込みながら鋭意その作業を進めてまいりたいと考えております。
○島袋宗康君 今回の税制改革について村山総理は、本会議の冒頭において、活力ある福祉社会の実現を目指す税制改革を実現するためには何よりも納税者に納得していただくことが大事だ、そして国民の理解を得るためなお一層の努力をするというふうなことを述べられております。 しかし、今回の税制改革、とりわけ税率見直しの規定については、税制改革論議の最終局面である現時点においても行財政改革や不公平税制の是正などが定かでない、多くの課題を残しているというふうな批判があります。このような批判にどのようにお答えし、どのようにして国民の理解を得ようとされているのか、ひとつ大蔵大臣の御見解をお願いします。
○国務大臣(武村正義君) 御指摘いただいておりますように、率直に申し上げて今回の、九月半ばに取りまとめをして年内に臨時国会で税制改革を実現させていただこう、こういう政府の意図からいたしますと、行財政改革、福祉のビジョンの固め等にはどうしても時間が足りませんでした。 そういう中で、最終段階でも、じゃ消費税率は少し先送りして一年か二年そういう議論がきちっと詰まるまで待とうじゃないかという意見も少なくなかったわけであります。しかし、私もこの税制担当大臣としては意見を申し上げたわけでありますが、ここでそういう形をとれば、それも一つのまじめな考え方ではあっても、租税というものの性格からいって、あいまいなまま、しかも先送りをするかのごとき印象を与えるのは好ましくない、ここは、そういったさらに論議の必要な項目については見直し条項を置かせていただいて、引き続き真剣な論議をし詰めをしていくという姿勢を鮮明にしながら、この段階で三・五兆円の減税を基本にしながら、五%の消費税の充実という方針で増減税一体処理の方針を決めさせていただいたわけであります。 何となくそのことが、たびたび論議をいただいておりますように、一面倒批判もございますが、むしろ行財政改革や福祉の論議というのは事が大変大きゅうございますから、一カ月二カ月で粗っぼくぱんぱんと詰める話ではありません。一定の時間を置きながら、今この時点で確かに行財政改革の具体案もまだ出ておりませんが、既にもう論議は始まっておりますし、規制緩和は来年三月、地方分権は年内いっぱいとか、特殊法人も来年三月と、割合近い時点でそれぞれ目標日時を設定しながら政府挙げて取り組んでいるところでもございますし、財政改革あるいは先ほど吉岡議員の指摘がありました租税特別措置法等の見直し、こんな問題についても真剣に詰めをしていきたいというふうに思っております。
○島袋宗康君 こういった大きな税制改革ですから、やはり国民の目というのが、従来のいわゆる不公平税制とかあるいは今国が目標としているところの行財政改革というものを非常に注目しているわけです。そういったふうなものが一番国民の要望が強いにもかかわらず、それを先送りにして、今回ただ消費税をアップするという面について国民は相当不満があるように思うわけです。 そこで、今大臣がおっしゃったようなもろもろの行政改革あるいは規制緩和といったようなものを一定の議論をし、そして国民にこういうふうな改革をしていきたい、あるいはこういったような規制緩和をしていきたいというふうなものは、やっぱり目に見えるような形でどんどん発表していくような体制をつくらぬと、二%アップして五%、これだけ大きな税制改革をやろうとしているのに、その内部体制が十分に国民の要求にこたえていないということがあるとするならば、これはもう大変大きな国民の不満につながるわけです。 そういった一つ一つの今の問題について、何か具体的にまとまったことがあればそれを国民に発表して、こういうふうなことをやるんだというふうなことになれば、それは国民も、消費税アップのところまでこういったふうに目に見える形でやっているなというふうなことを相当期待感を持って臨むとは思うんです。そういったふうな事前の、事前というよりも具体的に論議された分については発表して、国民にこうやっていくんだというふうな姿勢を政府としては考えておられるのかどうか、その辺について。
○国務大臣(武村正義君) それは既に発表していることだけを申し上げても、行政改革については、規制緩和の問題は五カ年計画を三月いっぱいまでにつくり上げるという方針を発表しております用地方分権につきましては、年内に大綱を決めて、新年の通常国会に地方分権推進の基本法を提案させていただくという方針を発表しております。特殊法人等の整理合理化につきましても、これまでの政権が二年がかりで集約をしようとしておりましたのを一年前倒しをしまして、これも来年三月までに具体的な個別の法人名を挙げた整理合理化の政府の方針をまとめてまいります。 これだけに限定するわけではありません。縦割り行政の問題とかその他さまざまな行政の問題各般にも取り組んでいこうということであります。 片方、行財政改革と申し上げるときには財政改革という大きなテーマがございます。こっちの方はどちらかといえば経費の節減といいますか、具体的な数字につながる改革の論議であります。これも既に予算編成が始まっておりますが、来年の予算編成におきましても、税収の見積もりで大変厳しい状況でございますから、これはもう必然的にかなり徹底した洗い直し、見直し、優先順位等の論議を重ねて予算編成を仕上げなければなりませんし、そこにも財政改革がさまざま具体的に論議になってまいります。引き続き、再来年の九月までの見直し期間中も、どこで経費を節減していくか、場合によっては法律を改正してでも、義務的経費を節減していくというような議論までお願いをしていきたいと思っているところでございます。 ところで、今回の五%の提案をいたしております消費税の充実の考え方は、フレームという形でお示しもいたしておりますが、やはり三・五兆円の減税ということがこの基本にございまして、それに見合う財源というのがまずあります。もちろんつなぎ国債の償還という問題もございます。加えて、五千億ほどはゴールドプランの上乗せとして老人介護や少子対策に充てさせていただこう、こういう前提でまず二兆円だけはお決めをいただきたいというのが今回の改正の姿勢でございまして、今後の見直しにおいては消費税率を抑える要素と、むしろふやす要素と両方ございますから、そのことは抜きにしましても、今回は明確にこういったフレームを基本にしながら五%の消費税の充実をお願いいたしたいということで改革を提案させていただいている次第でございます。 ―――――――――――――
○委員長(西田吉宏君) この際、御紹介いたします。 本日、南アフリカ共和国上院議員御一行が参議院を訪問されまして、ただいま本委員会の傍聴にお見えになりました。 御起立の上、拍手をもって歓迎の意を表したいと存じます。 〔総員起立、拍手〕 ―――――――――――――
○島袋宗康君 大蔵大臣のわかりやすい御説明である程度納得はしたわけですけれども、やはり国民が納得する、あるいはわかりやすい説明を早目にやるというふうな観点に立ってぜひこれからも進めていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。 それから、不公平税制の是正の問題について、いわゆる益税が非常に問題になっているわけです。いろいろと論議をされてきているわけですけれども、この問題については、今回の改正で益税というものはもう考えなくてもいい水準に達したというふうな議論もありますし、また、先ほどもありましたけれどもむしろ担税になっている、そういう意見もあるわけです。 この益税問題について大蔵省はどのような見解を持っておられるのか、また中小企業の皆さんが関心を持っている免税点の引き下げはどういうふうに考えておられるか、その辺をお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(小川是君) 今委員が言われました益税という言葉は、私どもは使っておりません。使っておりませんのは、制度的には中小企業の特例措置によって、それがなかったときに入ったであろう税収が減っている、これは意図してそれだけ減るということを認識して特例を設けているわけでございます。 いわゆる益税として御指摘を受けておりますのは、中小事業者が例えば免税事業者であるにもかかわらず三%フルに価格に転嫁をしているとすれば、その一定の部分については税務当局に入らない、消費者は負担しているという問題であると存じます。これがどれぐらいであるかということをいろいろ言われますが、試算は困難でございます。ただ、中小事業者の転嫁の割合が相対的に大企業あるいは中堅企業に比べて低いところからいたしまして、そう広範かつ多額に発生しているとは考えられないわけでございます。 しかしながら、今回の消費税の改革におきましては、さまざまのこれまでの御指摘を受け、公平性、中立性、それと簡素性との間のバランスを図る観点から、中小特例措置につきましては、一つは限界控除制度の廃止ということを御提案いたしております。二つ目には、簡易課税制度につきまして適用上限を四億円から二億円に引き下げることにいたしております。三つ目は、いわゆる事業者免税点につきましては現行の三千万円というのは維持することにいたしておりますが、資本金一千万円以上の新設法人に対する免税点制度は適用しないという形で大幅に特例の縮減をすることにいたしております。 今後とも、今回の税率引き上げの機会に、事業者の方々には適正なみずからの仕入れで負った負担、免税事業者の方はそれを転嫁する、それ以上の転嫁はないといった適正な転嫁について広報を行い、また消費者の方にもその点を御理解いただくように努力をしたいと思っております。そういうことの結果が先ほどの、消費者が負担するけれども国庫には入らないというような価格転嫁が行われないようにさらになるのではないかというふうに期待をいたしております。 最後に、免税点は先ほど申し上げましたようなことで、小規模零細事業者の事務負担、徴税コストの面といったようなものを考えまして、今回の御提案では三千万円を据え置くことにしているところでございます。
○島袋宗康君 今回の税制改革では触れられていない資産税、それから特に利子、株式等の譲渡益、そういったものに対して総合課税をすべきではないか、税負担の公平という観点からぜひ総合課税を推進していただきたいというふうに思っているわけです。この総合課税に対しての問題点については大蔵省としてはどのようにお考えですか。
○政府委員(小川是君) 所得税のあり方といたしましては、基本的には各種の所得を総合して課税するという課税方式をとることが好ましいのではないかというふうに考えております。しかしながら、利子、株式等の譲渡益課税につきましては、現行制度におきましては、現在の所得把握体制のもとにおける実質的な公平性の実現、あるいは経済活動等に対する中立性、制度の簡素性などの観点を総合的に勘案しまして原則として分離課税方式がとられているところでございます。 問題は、理論面あるいは実態面、とりわけ経済取引に対する中立性といったような問題も今後検討していかなければならないわけでございます。基本となるところは、所得把握体制の整備が何よりも不可欠でございますので、この点からも納税者番号制度をめぐる議論と切り離すことができないわけでございまして、こうした点につきましては、税制調査会の答申で言われておりますように、いろいろの問題について積極的に、かつ現実的、具体的に今後検討を進めていきたいと考えているところでございます。
○島袋宗康君 この場での皆さんの御意見を大体総合いたしましても、やはり総合課税というものは必要ではないかというふうな御意見が強いわけです。それは日程的にも、どの程度論議をしていつごろからやりたいというふうな具体的なお考えはないんですか。
○政府委員(小川是君) いわば総合課税の前提になる納税者番号制度につきましては、これまでなかなか全国民あるいは全納税者を対象とするものが想定できなかったわけでございますけれども、近年いわゆる年金制度の統一との関連で、厚生省を中心に年金番号制度が今や具体的な日程に上ってきておりますし、また自治省の方でも、住民基本台帳をもとにすると何らかの番号制が考えられるのではないかと模索をしておられるところでございます。 そこで、そうした状況が一方ででき上がりつつありますので、それをどういう場面で利用できるのか、すべきなのか、そしてそれを利用したときに、先ほどございましたように、例えば取引の預金の海外へのシフトであるとか租税回避の問題であるとか、あるいは今度はコスト面で納税者あるいは事業者、それから執行当局に対するコストの問題、そういったものも検討していかなければならないと存じます。また、最高税率の扱いなど所得課税の累進緩和との関係、さらには、総合課税を基本としながらも、所得課税についてのいろいろな理論、学理的な議論もございます。そういったものをより真剣に、納税者番号制度の具体化をにらみながら進めてまいりたいと考えているわけでございます。
○島袋宗康君 次に、地方消費税の問題についてちょっとお伺いしておきたいと思います。 地方消費税を導入し、地方分権を推進するということになると、地方消費税だけ税率アップすることも考えられるわけです。そのことについて自治大臣、どうお考えなのか。その際、引き上げの手続とか具体的な方法はすべて地方自治体に任せていくのか、その辺についてちょっとお伺いしておきたいと思います。
○説明員(瀧野欣彌君) 今後の高齢化の進展に伴います地域福祉の充実等を考えますと、安定的な税体系を確立して地方税を充実強化するということは重要な課題でございます。そうした中から、今次の税制改革におきます消費課税の充実の一環といたしまして、今回地方消費税の導入を御提案しているところでございます。 この地方消費税の税率水準でございますが、将来の社会保障を初めといたします歳出の見通しにつきまして、今後国民的な議論を尽くす必要があるというように考えられますとともに、行財政改革の推進状況あるいは課税の適正化の状況、財政状況等を総合的に勘案した議論を行うことが重要であるというふうに考えられることを踏まえまして、この地方消費税の税率につきましても国税の場合と同様に附則に検討条項を設けまして、今後この税率のあり方を議論していくということにしておるところでございます。 それから、そういった場合に地方団体にいろいろな手続が任されるのかどうかという御質問でございますが、それについては、我が国の地方税制につきましては御案内のとおりでございますが、地方税法の定めるところによりまして各地方団体が条例を制定し賦課徴収する、こういう仕組みをとっておるわけでございますので、今回の地方消費税についてもこういった仕組みの中で対応していただくということになるというふうに考えております。
○島袋宗康君 今回の消費税アップの一%を地方財政に寄与させるというふうな問題については、これは地方に行きますと非常に安定した収入が得られるというふうなことで、受けとめ方としては各地方の首長にとっても非常に喜ばれているわけでありますけれども、先ほど私が質問したようにどの程度まで任せるのかという面について、まだ具体的に余り示されていないんじゃないかというふうに思うんです。そういった地方財政、一%というような枠内でありますけれども、どの程度任せていくのか、あるいは税率アップについて地方団体に任せていくのかどうか、もう少し具体的に御説明願えませんか。
○説明員(瀧野欣彌君) 地方消費税につきましては、御案内のとおり、それぞれの地方団体が地方税法に基づきまして条例を制定して賦課徴収していく地方税でございます。 その場合に、今御質問の中で一番ポイントとなります税率の水準あるいは税率の決め方ということにつきましては、特に今回の地方消費税が国税の消費税とともに多段階の付加税でございまして、前段階税額控除というシステムをとるという税の性格上、一定税率で仕組んでいただくということがどうしても必要なわけでございますので、そういった税の性格を踏まえながら条例を制定していただいて徴収していただく。徴収していただいた税は当然一般財源でございますので、それはそれぞれの地方団体の議会の議決を経て使途を決めていただくということになろうかというふうに思います。
○島袋宗康君 もっとお聞きします。 これは一%の枠内という意味ですか、それとも一%と限定して賦課していくのか、その辺はどうなんですか。
○説明員(瀧野欣彌君) 地方税の税率の決め方につきましては、標準税率の制度とかあるいは制限税率の制度がございまして、今御質問がございましたように、一%の中で選択の幅のある税率を決めるという方式もあるわけでございますが、地方消費税につきましては先ほども申し上げましたとおり前段階税額控除ということで、それぞれの各県の課税が連鎖をなすような形で課税がされるわけでございますので、税の性格上、一定の税率であるということが必要であるというふうに考えております。
○島袋宗康君 そこで、徴税事務が地方自治体に移管されるというふうなことを聞いておるんですけれども、その移管するめどについてはどういうふうにお考えですか。
○説明員(瀧野欣彌君) 今回、地方消費税につきましては、原則的には地方税である以上、地方団体がみずから賦課徴収するということであるものでございますけれども、納税者の事務負担等を勘案いたしまして、当分の間その賦課徴収を国、税務署の方にゆだねまして、国が消費税の例により、合わせてこれをしていただくというシステムにしておるわけでございます。 したがいまして、今後の見通しでございますが、今申し上げましたような賦課徴収を国に委託しました趣旨、こういったものを踏まえまして、今後適時適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○島袋宗康君 その場合、国の機関で賦課徴収するわけですから、その徴収取扱費ですね、それはやっぱり都道府県から国に納める形になるんですか、その辺はどういうからくりになりますか。
○説明員(瀧野欣彌君) 先ほど申し上げましたとおり、地方消費税はそれぞれの都道府県の条例で定める地方税でございますので、本来それぞれの地方団体が徴収すべきものを国の方にお願いするわけでございますので、当然その部分の徴収取扱費を国の方に都道府県の方から支払っていただくということになろうかと思います。
○島袋宗康君 最後になりますが、その今の徴収費ですね、それは地方から大蔵省に入る部分については、まあどこに入るかわかりませんが、その手数料というものは大体金額にしてどれぐらいになる予想ですか。
○説明員(瀧野欣彌君) どのくらいの金額になるかということにつきましては、今後、法案が成立した後、国の方でどういう体制でこの委任を受けた事務に取り組むかというようなことが決まります中で検討していく課題でございますので、現在のところはまだはっきりした数字は申し上げられる段階ではございません。
○島袋宗康君 私の質問は終わります。大変ありがとうございました。
○委員長(西田吉宏君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時四十三分散会 ―――――・―――――