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131回国会参議院1994/12/07

世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会 第6号

発言数
239
登壇者
29
会派数
8
開催日
1994/12/07

会議録

矢田部理日本社会党・護憲民主連合

○委員長(矢田部理君) ただいまから世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日、和田教美君及び林紀子君が委員を辞任され、その補欠として風間昶君及び市川正一君が選任されました。  また、本日、粟森喬君及び下村泰君が委員を辞任され、その補欠として井上哲夫君及び青島幸男君が選任されました。

矢田部理日本社会党・護憲民主連合

○委員長(矢田部理君) 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結について承認を求めるの件、著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律案、特許法等の一部を改正する法律案、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案、農産物価格安定法の一部を改正する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案、以上八案件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

大塚清次郎自由民主党

○大塚清次郎君 きょうは、自由民主党の皆さんにかわりまして、今度のWTOに関することにつきまして具体的に質問をいたしたいと思います。  まず第一の質問はいわゆる新食糧法に関してでございますけれども、今度の新食糧法の内容を一読してみますと、この法律の中には政省令にゆだねられている部分が非常に多い。そういうことでこの全体像について少し不分明さを残しておる、理解の上で。そういうことが出ておりますので、そういう点を踏まえまして、きょうはこの新食糧法によります食管システムの骨格となる部分について、しかも主なる政省令の内容等につきまして若干の質問をしたいと思っております。したがって、かなり事務的なことでございますので、主として食糧庁長官にお伺いをいたしたいと思います。  まず、今度の新制度の枠組みの前提になります備蓄、生産調整というのが法律に著かれております。新法の第三条第二項、その定義が規定されておりますが、この第二項の中には政令に任せられた部分が二つ、省令が三つ含まれております。これらを踏まえて、生産調整というのは具体的にどのようなものであるか、これを簡単に食糧庁長官に御説明願いたいと思います。

上野博史食糧庁長官

○政府委員(上野博史君) まず、生産調整の関係につきましては、今、先生がお話しございましたように、定義の中に対象になる水田のあれであるとか取り扱いの対応の問題であるとかいうのが皆書き込まれておりまして、確かに政省令に譲られているわけでございます。  具体的に言いますと、具体的な生産調整の手順につきましては、前年の十一月ぐらいにその年の作況が見えてまいります。それに従いまして翌年の需給事情というのが大体わかるわけでございまして、そうしますとどれぐらいの生産調整をしなければならないのかということもわかってまいるわけでございます。  そこで、生産者にどれだけの生産調整をやっていただくかということの全体量を示し、その際、御判断いただくべき主要な事項についてあらかじめ数字を発表いたしまして、それをもとに生産者に幾らぐらいの生産調整をするかをお考えいただく。それを三月ぐらいまでの間に順次、各生産者から市町村、市町村から都道府県、都道府県から全国という形で調整をしながら全体としての数量を取りまとめていく。取りまとまったところで各生産者に幾らぐらいずつやっていただくかということが逆に決まってまいるというような、そういう手順を踏まえておりまして、あとは出来秋に向かって生産調整の確認というようなことをやっていくということを具体的にここで手順としては決める。  それから、どういう形状の水田が生産調整の対象になるのか、いかなる取り扱いをしたら生産調整として認められるのかというようなことが規定をされてくるというようなことがこの内容になろうかと考えております。

大塚清次郎自由民主党

○大塚清次郎君 そこで、今、概要を伺いましたけれども、いわゆるこの新食糧法が新たな制度として発足する、施行が決まっていく。その前に経過段階を踏んでいくわけですから、混乱がないようにひとつ十分今後対応していただきたい。  農林水産大臣にちょっと。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(大河原太一郎君) お話のとおりでございまして、新法案の適用実施ということは平成八年産米から実施いたすわけでございます。旧制度と新制度の移行の手順なりタイミング等については、当然のことでございますが、十分配慮いたしまして混乱を生じないように努力をいたしたい、さように思っております。

大塚清次郎自由民主党

○大塚清次郎君 次に、食糧庁長官にお伺いしますが、米の計画的な流通の確保を図るためこの基本となる生産者からの出荷、これについて新法第五条第一項では、生産者ごとに定められた数量の計画出荷を第一種出荷取扱業者に売り渡すということになっておりますが、この場合、政省令の内容を踏まえられまして計画出荷基準数量の具体的な決定はどうなさるつもりか、それから計画出荷米を売り渡す場合にはその旨を表示しなきゃならぬということでございますが具体的にはどのようになるのか、簡単に御説明願いたい。

上野博史食糧庁長官

○政府委員(上野博史君) これも具体的な事務手続にわたる事柄でございますので政省令に譲られているところでございます。  まず、生産者が幾らの計画出荷基準数量を受けることになるのかという点について御説明申し上げますと、先ほどの生産調整のお話と一体の話でございますものですから、前年の十一月ぐらいから作業が始まるわけでございまして、先ほどの生産調整の場合と同様に、来年の必要な生産量、出荷の指針というようなものを公表いたしまして、各生産者はそれをもとに、幾ら生産調整をし、幾らの米を生産するかということを御判断いただくということがまず出発点になるわけでございます。  そこで、生産者が一定の生産をし、一定の生産調整をするということをお決めになられますと、生産された数量のうち一体どれだけのものを計画出荷数量として政府なり自主流通米として出荷するかということを御判断いただくわけでございまして、その数量をあらかじめ登録出荷取扱業者、単協、経済連が主体でございますけれども、そういうところに通知をしていただきます。そうしますと、その通知を受けた登録出荷取扱業者はこれを順次単協から経済連、全農という形で全国段階まで持ち上げまして、それぞれの段階で、そのときの需給事情の中で単協なり経済連あるいは全農が、このお米は売れるかどうか、集まってくると見込まれる米が売れるかどうかということを御判断いただいた上で、これならいいという数量が順次上に上がっていくわけでございます。  そこで、取扱業者の方の対応が決まってそれでいいということになりますと、生産者はこれを市町村に通知していただきまして、行政ルートに乗っかって以後、県、国という形で上がって数量がまとまってまいるわけでございます。そのまとまったところで国は複数の自主流通法人、つまり全農とか全集連とか、現在ではそういうものが当たるわけでございますが、先ほど申し上げました取りまとめた数量というものの全体を見まして、それでこれなら計画出荷数量としてこなせるということがわかった上で基本計画の中にこれを書き込むという作業がまず行われるわけでございます。  この基本計画が定まりますと、今度はこれを踏まえまして、その年の作がまとまります出来秋調整を行えた時点後に、今度は具体的に国から都道府県、市町村、個人という形で逆に調整を若干加えたものが計画出荷数量という形で個人までおりてまいるというのが第。問のお答えになるわけでございます。  その枠の中で今度は生産者は出荷をされることになるわけでございますが、出荷取扱業者にお持ちになってこられたときに、その数量が定められた基準数量の範囲内のものであるのかどうかということを食糧事務所としてはチェックをいたしまして、その基準内であるということであれば一定の表示をして、これが計画流通米になるんだということを担保するということになるわけでございます。

大塚清次郎自由民主党

○大塚清次郎君 次に質問いたしたいのは自主流通法人、この問題でございます。  これについては、新食糧法第二十八条でこの指定要件を規定しておられます。そこで、政令に任せられる部分として同条の第一項第二号の区域、数量、これについてどうお考えか。これまた食糧庁長官からお願いします。

上野博史食糧庁長官

○政府委員(上野博史君) この区域、数量というのも、そのときどきの米の流通状況を踏まえて定めていくということになるものでございますので、政令の段階に落としておるということでございます。  これについての基本的な考え方でございますけれども、まず区域につきましては、その自主流通法人になろうとする方のお集めになられるお米を集荷される範囲、これについては大体相当広い地域で集荷活動が行われていなければ、全国ベースの出荷をしていくという自主流通法人の立場上、必要な米が集まらないということになるわけでございますので、かなり広域的な考え方で決めていく必要があるだろうというのが、抽象的でございますけれども現在の基本的な考え方でございます。  それから数量につきましては、これは、全国的な流通の主体になるという立場上、かなりの量の取り扱いをしているということがやはり要作になるというふうに考えているわけでございます。  では、当面どういう基準を置くのかということになりますと、第一の区域の点につきましては、少なくとも一都道府県の区域を単位としている集荷業者であるといいますか、その集荷単位を持っているものであるということを考えております。  それから数量につきましては、現在、指定法人というものがお米の全国段階の集荷なり流通に携わっておるわけでございますけれども、この現在動いております、活動しております指定集荷業者の取扱量というものが一つの基準になってくるだろう。現在の指定法人は、若干要件が違いますけれども、自主流通法人に横滑りをして活動するだろうというふうに思っておりますものですから、現状のその法人の数量というものが一つの判断基準になってくるというふうに考えております。

大塚清次郎自由民主党

○大塚清次郎君 続きまして、新食糧法の第五条五項、これは国へ届け出の義務がございますが、届け出をすれば計画外にも販売できる。この場合の計画外流通を、国の米の総量管理の中でどの程度になるという判断のもとにこの制度をしかれたわけですか。その点につきまして食糧庁長官。

上野博史食糧庁長官

○政府委員(上野博史君) 新しい制度のもとでは、やはりお米の安定的な流通、消費者への円滑な供給という観点で計画流通米の制度というものを設け、これによって相当量の多数のお米の流通を図ってまいりたいというのが基本的な考え方でございます。しかしながら、やはり消費者のニーズであるとかあるいは生産者の考え方、こういうものにこたえるという意味で産直的なものも残ってくるというふうに考え、そういうものの流通というものも制度上位置づけると。  現在、不正規流通米という形で流れているものは、これはやはり一部は計画外流通という形になって残ってまいると思いますけれども、これまでの審議の中で何回も御議論になっておられますように、流通規制の緩和と流通ルートの多線化といいますか、いろいろな流通ルートがとれるようになることによって計画流通米の中に不正規流通米も相当入ってくるのではないかというふうに考えております。したがいまして、この計画外流通として残りますのは、先ほどの繰り返しになりますけれども、生産者が消費者に直接販売をするというような、いわゆる産直のようなものになるのじゃないかというふうに考えておりまして、余り大きな量にはならないのではないかというふうに今のところは考えております。  計画流通米の制度に乗るように、先ほどの基準数量の決定の手続であるとかいうような点について、あるいはその集荷の励行というようなことの努力もしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

大塚清次郎自由民主党

○大塚清次郎君 この点についてはやっぱり規制緩和ということが一つございますが、実際の物の流れというのはそう簡単にはこの経済社会ですからいかないわけですね。そこで今まで不正規米というのが非常にはびこってきた。だから、それを扱う業者が英雄視されるということになって、これじゃいかぬ、食管制度そのものがほころびるということで、今度新食糧法でそういったような、主はあくまでも自主流通米であり、それから政府米であるという立場でございますが、この点ひとつ食糧庁としても十分今後気をつけてやっていただきたい。いわゆる大きな資本系列化の中で乱されないようにして、これとの闘いだと思いますから、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  それから次に、この自主流通米の価格形成、これは今度自主流通米が主流になってまいりますので、新法第五十条でこれを位置づけ、それから業務の内容について業務規程にゆだねられております。したがって、これから業務規程をお定めになると思いますけれども、これを担当する自主流通米価格形成センターというのをつくるように法律ではなっておりますけれども、このできようによっては米の流通の中でこれが力を発揮し過ぎて幾らか硬直化してくる、米の管理が。こういうことにならぬようにするために特に私は気をつけていただきたいと思うのは代金の決済、ここまでの機能を持つようになるのかどうなのか、業務規程の中で。その点ちょっと懸念いたしますので、その点だけ食糧庁長官、ひとつお答えいただきたい。

上野博史食糧庁長官

○政府委員(上野博史君) 今お話がございましたように、この価格形成センターは新しいお米の流通、特に自主流通米の流通の円滑化を図る上で非常に大事な役割を持っているものですから、これの活動につきましては、我々としてもその役目が公明正大に果たせるように十分意を使ってまいらなきゃならないというふうに考えております。  そういう意味で、取引回数であるとか参加者の範囲であるとかいうようないろいろな観点から現状の価格形成機構の運営の実態についても再検討を加えまして、より需給実勢に合った価格形成がなされる、あるいは公正な価格が決められるという方向に持っていきたいと思っております。  その一つの問題としてこの決済の問題というのが実はあるわけでございまして、買い受け人の側からいいますと、現在のシステムで言えば、幾らの値段で幾らの数量のものをどういう銘柄に指し値を入れたかということが全部、落札をした場合の話でございますけれども、売り手の側にわかるというシステムがやはり一つの制度の公明正大な運用という点から見て問題があるんじゃないかというのが、特に買い手の側から意識をされているところがあるわけでございます。  ただ、売り手の決済機能を担当しているところからいいますと、決済というのはそんな簡単な話じゃないと。物の受け渡しであるとか、あるいは売買に伴う瑕疵担保責任であるとか、そういうものまで皆ひっくるめた話なんで、なかなかそう簡単ではないという議論もございまして、この辺は最初に私が申し上げました非常に大きな命題を踏まえながら、もう少しよく検討させていただきたいというふうに考えております。

大塚清次郎自由民主党

○大塚清次郎君 特にこのことにつきましては、農林水産大臣、よろしくひとつ慎重に検討して、実際これが役立つようにやっていただきたいと、こう御要望を申し上げておきます。  それから、この問題で最後になりますけれども米の買い入れ価格、いつもこれは問題になっておるわけでございます。そこで、新法第五十九条に規定されておりますが、具体的な買い入れ価格の決定が同条第三項の審議会の議を経てなされていくわけでございます。  それで、同条第二項には勘案要素がいろいろございます。「農林水産大臣が、自主流通米の価格の動向その他の米穀の需要及び供給の動向を反映させるほか、生産条件及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産を確保することを旨として定める」ということになっており、まことにこれ以上法律には書けないと思いますけれども、従来とってきた生産費・所得補償方式が一つあるものですから、非常にこれが今、気になるところでございますので、ぜひうまい方式を、その場その場でなくして息の長いシステムをぜひおつくりいただきたい。御苦労でありますが、よろしくお願いします。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(大河原太一郎君) 御指摘の五十九条の生産調整実施者等から買い入れる政府米の価格については、ただいま条文に即してのお話があったとおりでございます。したがって、やはり自主流通米の価格を的確に反映させるというのが第一条件でございまして、さらに勘案事項として、お話のとおり、生産条件、物価その他の事情はそれぞれでございますが、再生産を確保するということでその生産コスト、これをどういうふうにとるかというような点については慎重な検討を要すると思います。  米価決定にお詳しい大塚委員でございますので一々申し上げませんが、現行の食管制度においても生産費及び物価その他の事情を参酌し再生産を確保して決めるというような規定に法律制度としてはなっておりますが、具体的な算定方式については幾多の変遷があったことも御案内のとおりでございますが、やはり算定方式自体についてもその安定性が求められることは確かでございます。一番大事なポイントでございますので、この点については我々としても十分な検討をいたしたい、御指摘のように、長続きをするような算定方式というものを考えていきたい、さように思っております。

大塚清次郎自由民主党

○大塚清次郎君 ただいま新食糧法についての私の問いにつきましては、非常にわかりやすく要点をとらまえて御答弁いただきました。新食糧法が本当に時代の流れに沿った、しかも生産者、消費者から受け入れられる形でスタートできますように、今後、政省令等を含めてぜひさらに御努力をいただきたい、このように思います。  次の問題でございますけれども、これはまたお答えいただくのは外務大臣と農水大臣になるかわかりませんが、ひとつお願いをいたしたいと思います。  実は、これはもう衆議院でもこの委員会でもたびたびほかの議員から触れられたことでございますけれども、去年十二月のガット農業交渉、細川内閣でドゥニー調整案を受け入れて農業交渉の合意に至ったという経過がございます。これは特に米について六年間の年々逓増でのミニマムアクセスを受け入れる羽目になったということでございますが、七年目からどうなるかという議論についてはいろいろあっておりますが、今決められる問題でもない、政府の態度を決める問題でもない。事、外交に関することですから密なるも要するということもよくわかっておりますが、白紙白紙ということになりますと、五年間白紙で六年目からひとついろいろ具体的にアクションを起こしていくかということに受け取られがちですから、その辺余り白紙白紙ということじゃなくして、やっぱりこの段階では十分七年後を見据えて対応していくんだという一つの政府の態度であってほしいなと、こういう考えが第一点いたします。  そこで、私が申し上げたいのは七年後というのは、六年間の特例措置でございまするから、これはやっぱりその実施期間の終了する、六年間の終了する前一年の中で話し合うようになっておるんですね、協定には。ですから、これは先を見据えますとどうしても選択の幅が非常に狭いと思うんです。  一つは、現在の六年目のミニマムアクセスの数量をずっとそのまま続けていくか、あるいはダンケル・ペーパーにあるようないわゆる逓増を認めていくか、ダンケル・ペーパーそのもの、思想です。そういういわゆる量で七年目以降を決めていく選択、それともそれはいかぬということになれば関税化を選択するかの二つに一つだと思います。これは国際協約ですからゼロにするとか断るとかいうことは、当面、それは状況の変化によってそういうことがあっても、今のところ考えられない。まあ二つの選択肢というのが出てくるわけでございます。  そこで、私はひとつ今から取り組むんだということをなぜ言わなきゃならぬかといいますと、今度のガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉をじっと見まして、またその結果からいたしましても、農産物についての非貿易的な関心事項というものが相当強調されはしてきております。しかし大きなうねりに、世界的なグローバルなうねりになっていないという問題が一つあるんじゃないか、このように私は思うわけです。だから、非貿易的関心事項というと、それぞれの国の食糧の安全保障、国土保全も含めてですね。それから今、人口問題、飢餓問題、世界全体の需給という問題があります。それからもう一つは、環境問題が非常に出てきております。  ですから、非貿易的関心事項をほとんど反映していないと思いますが、今度の協定の中に色濃くどう入れていくかということは、これは我が国だけのエゴじゃなくて世界的なもの、特に我が国はこういうところですからその問題を入れていく。色濃くそういう非貿易的な関心事項を今後、今のガット・ウルグアイ・ラウンド合意のマラケシュ協定の中に取り入れていくというアクションをひとつ起こさなきゃならぬ。これは外務大臣、おとといでございましたか、ちょっとその片りんが出たわけでございますが、そういう点でひとつアクションを直ちに起こすと、非常に難しい問題でございますが。  しかし、やっぱりFAOが当初設立されたときのような勢いかない、これをどうするかということ、活性化ですね。それからもう一つは世界環境ですね。環境機構というものが会議じゃなくてきちっとできていかなきゃならぬ。その中で世界環境というものが扱われていくと。それからWHOという保健機構がありますね。安全性の問題等についてもやっぱりこれはそういうところとの兼ね合いにおいてやっていかなきゃならぬといったような非貿易的な、世界的なこの問題をひとつしっかり取り上げていくことが、選択肢が二つしかないと年後に備えるただ一つの私は日本としてとるべき道じゃないかと思いますが、そういう点についてまず外務大臣にひとつきょうはお答えをいただきたいと思います。

河野洋平自由民主党外務大臣

○国務大臣(河野洋平君) 大塚議員からいろいろな点について御意見、お尋ねがございましたが、私は今、議員がお尋ねの一番最後の部分についてまず申し上げたいと思います。  確かに議員が御指摘になりましたように、世界の大きなうねりというものが経済、貿易の拡大ということに集中をして、その結果、非貿易的関心事項というものがそのうねりの中にのみ込まれてしまった感があるという御意見はかなり我々も聞いておりますし、私自身もこの問題について今後議論をしなければならないというふうに思います。  幸いにしてと申しますか、WTO協定の中でもこれから貿易と環境の問題については議論をしなければならないということにはなっておりますし、先般のAPECの会合におきましても、村山総理は最後のボゴールにおきます非公式首脳会議の席上でもこうした問題に言及をして、そして何人かの首脳の共感を得ているというふうに聞いておりますので、これはぜひ議員の御主張のように、我々も食糧の問題、環境の問題、大いに国際的に議論をしなければならないというふうに思っております。  御案内のとおり、環境の問題はUNCEDその他で国際的な大きな関心が高まっておりますし、人口の問題も先般のカイロにおきます国連人口会議でも大変大きな議論の輪が広がったわけでございます。  そうしたものを受けまして、我々が考えなければなりませんのは食糧の問題であろうと思います。これは議員御指摘のように、FAOという国際的な議論の場がございますが、これはかって一度、食糧問題に対する関心が非常に高まったときにはみんなでFAO、FAOと言ったものでございますが、ややもすれば最近は、おっしゃるようにかつての勢いかないといいますか、活力がない。しかし、これはもう一度着目をして、ここで議論を大いにしなければならないのではないかというふうに思っているわけでございます。そのことが議員お尋ねのように、これからの六年間の時間というものの中でどれだけ我々が、次の我々が議論をするときのベースといいますか、国際的な言ってみれば風を起こすことができるかということにもつながってくると思います。  必ずしもFAOばかりが場ではないと思います。APECの場もそうでございますし、WTOにおきます今後の貿易と環境の委員会でもそうした場があろうかと思いますが、そうした場をできるだけとらえまして議論を広げてまいりたいと思っております。

大塚清次郎自由民主党

○大塚清次郎君 また後で、この問題の議論の最後に外務大臣、農林水産大臣にお伺いしたいと思います。  私がこう申し上げますのはほかでもございません。やっぱり七年後は米に限らずもう一遍大きな山が来るわけで、これはしかしもう今以上のものを許していけば日本農業はどうなるかということになってまいりますので、特に私はそういう点を今から用意してかかる必要があるということを申し上げておるわけでございますが、実際交渉に当たられた、あるいはまた交渉の経過をお知りの外務省にひとつお聞きしたいと思います。  実は、農業に関する協定は前文に非貿易的関心事項というのが書かれております。本文にも著かれております。特例措置にも書かれております。配慮するとか、考慮するとか、いろいろ書かれておりますが、実際問題として、今、外務大臣もおっしゃいましたように、できた合意の中には一つの訓示条項のような形では盛られておりますが、果たしてそういうものをやっぱり、その前文にも書かれ本文にも書かれ、そして特例措置にも書かれたのが、それに値するように入っておるかというと、私は入っていないと見るんですが、外務省の現場を担当されたときの御認識はどうでしょうか。

原口幸市外務省経済局長

○政府委員(原口幸市君) 先生御承知のとおり、これは七年以上にわたる交渉でございます。今ここにおります我々も実は交渉に直接参加していない人間でございますので直接縦験に基づいて先生の御覧固にお答えすることはできないわけでございますが、もう七年以上も続いた交渉でございますから我々もいろいろな形で、直接というわけじゃございませんが、関係してまいりまして、例えば非貿易的関心事項という概念そのものにつきましてはそれなりに共感を得たとは思います。  ただ、それから先、具体的に非貿易的関心事項の中に何があるのかと。環境の問題もございますし、それから食糧安全保障の問題もございます。そういうことを、その具体的な中身につきまして具体的に書き込むということになるとまた一つ大きな問題が山てきて、その書き込んだ中身についてさらに具体的にどういう特別な扱いをするかという話になると、先生御承知のとおり、そういう具体的な措置までは書き込むことができなかった、そういうことが実態ではなかったかと。これは私、OECD等の場でも同じような議論がありましたので、そこには出ていたものでございますので、そういう経験を踏まえてお答えさせていただきます。

大塚清次郎自由民主党

○大塚清次郎君 これにはちょっとだけ関与された、国際部長だった今の東経済局長にお願いいたします。

東久雄農林水産省経済局長

○政府委員(東久雄君) 先生御承知のとおり、非貿易的関心事項という言葉を最初に使ったのはガット・ウルグアイ・ラウンドのジュネーブでやりました中間合意のところで、八九年の四月だったと思います。そのときには我が方は、食糧安全保障に考慮しというのを入れるという主張をいたしましたところ、北欧諸国は、環境並びに国境付近の維持の問題というのがあるんだということで、非貿易的関心事項、例えば食糧安全保障というような表現になりました。  その後、交渉の中で、先生御指摘のとおり、前文にもそういうことに考慮してやったということが書いてありまして、それからもう一つは、先生が訓示的とおっしゃるかもしれませんが、第二十条で六年後の交渉のところの目的のところにも非貿易的関心事項ということが触れられております。それから、特例措置の継続のところにも非貿易的関心預項に考慮して交渉と書いております。  したがいまして、この条約そのものの中でこの非貿易的関心事項が配慮されているところが二カ所ございます。一カ所は特例措置を設けたということがそれでございます。それからもう一カ所は、実は国内助成措置の中で二つございまして、一つは食糧安全保障のための公的備蓄、これがいわゆる緑の政策ということになっております。それから環境に係る施策、これも緑の政策ということで削減対象から外れるという形でなっておりまして、具体的なところはその二点に反映されていると思います。

大塚清次郎自由民主党

○大塚清次郎君 さすがに詳しいことで、随分交渉の中では主張はされたんでしょうけれども、結局これが先ほど外務大臣がおっしゃるようにトレードルールの中に全部埋没してしまった、そういう反省をここでやっぱりやらなきゃならぬ。  それからもう一つは、ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉の全体の結果からすればどうしても輸出国に優位、輸入国に非常に不公平な場面があっちこっちに出ておる、この二つの非貿易的な関心事項を盛る。それから輸出補助金に代表される、あれが一番貿易を歪曲するわけです。実はこのためにウルグアイ・ラウンドは始まったんですよ。だから、これを六年後にと言わず主張できるような理論武装をしっかり政府でやってもらわぬと、私はほかに手はないと思います。  これは非常に高度な政府の一つの政策として、総理大臣を中心に何らかの手だてを特に外務省、農水省あるいは通産省が一緒になって対応していただきたいということを要望したいと思います。  農林部門につきまして農水大臣から、それから外交のアクションをすぐ起こしていただきたいということについては外務大臣から、最後に御答弁を願いたいと思います。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(大河原太一郎君) 大塚委員から御指摘のとおりでございます。  時の過ぎるのは早いわけでございまして、六年日ロの交渉についても七年間かけて主張した我々の輸入国としての立場、食糧安全保障、非貿易的関心事項等についての主張が貫かれるような条件を国際的にもつくり上げていくことがぜひ必要であるというふうに考えております。

河野洋平自由民主党外務大臣

○国務大臣(河野洋平君) 御指摘を踏まえまして研究をいたします。  恐らく百二十を超える国と地域が集まる協定の中で議論を展開するのには、一国のエゴととられるような議論では決して成功はしないわけでございまして、国際社会がやはりこういうものが重要だという認識を多く持つということが必要であって、これは相当な迂遠な方法であっても世界が今、何を重要だと考えるかということから説き起こさなければならない問題ではないかというふうに考えます。  できるだけの努力をいたします。

大塚清次郎自由民主党

○大塚清次郎君 両大臣、よろしくひとつお願いいたします。  それでは次に農水省にお伺いしたいと思いますが、これは農政審が農水省に要望されております新政策絡みについて、農産物の需要と生産の長期見通しをつくるようにというのが農政審の答申の中にございます。そこで、今、農政審議会では小委員会をおっくりいただいて二、三回これをどうつくるかということについて話し合いがあっておるようなことをちょっと聞いております。  まず、農林水席大胆にお伺いいたしますけれども、問題はいつごろまでのめどで農政審の答申を得たいと思っておられるか、そしてまた農水省としてこれに合わせた作業チームといいますかプロジェクトチームといいますか、そういうものの取り組みはいかがか、ひとつ大臣にお答えを願いたいと思います。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(大河原太一郎君) 委員お話しのとおり、農政審議会の国内対策実施のための答申と申しますか報告、この中でも新たな国際環境だから、したがって早期に需要と生産の長期見通しを行うべきだということを受けまして、お話しのとおり、現在既に小委員会が設置されて検討が行われておるところでございます。一年以内に結論を出すと。  長期見通しは、もう委員十分御案内のとおり過去にも大体十年を目途にして、十年目を目標にした長期見通しをやっておるわけでございますが、今回の長期見通しは大変大きな意味を持っている。新たな国際環境に対応して、また自給率の低下等にかんがみてそれに歯どめをかけるとか、従来の長期見通し以上のもろもろの課題をしょっておるわけでございます。  そういう意味で私どもとしては、まとめ上げる視点の大きな点としては、新たな国際環境に対応した我が国の食糧・農業政策の基本方向を示すということも必要であろうし、また生産者が意欲を持って農業経営に取り組めるような生産の方向を示すべきであるとか、あるいは健康等に配慮した我が国の食生活、そういうものに対応した農業生産の態様、あり方はどうかとか、それからまた我々がこのたびの対策でも強く言っております消費者や実需者のニーズに応じた良質、安全な、また適正な価格というようなものによる供給、そのための農業の役割をどうするかというような点について、そういうものを視点にした検討を行い、取りまとめていただくようにするわけでございます。  役所の体制いかんということもございました。これは官房企画室を中心とした作業グループが委員会の検討の事務局として今、鋭意努力中でございます。

大塚清次郎自由民主党

○大塚清次郎君 ぜひ早くつくっていただきたい。  と申しますのは、いろいろな事情があったにせよ、新政策が出て、そしてまたことしの六月ですか、国際環境の変化によって新政策がアレンジをされてきちっとしたものが答申されたわけですが、かなりの時間経過をいたしております。  当初出たときは、基準年次から十年たてば二十一世紀の入り口だと。その辺で当初の新政策は考えられておったということですが、こういうガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉なり国際情勢の変化なりいろいろ国内的な変動要素がありまして、なかなかそういう一つの策定の条件が固まっていなかったということから私はおくれたんだろうとは容易に推測できます。  しかし、やっぱりこの種の総合プランをつくっていくためにはまず理念がないと、政策理念が。それから、そこに一つ掲げる目標がなくちゃいかぬ。そして、それに政策をぶら下げていく。そしてそれに大蔵省に予算をお願いしてつけていくということになるのがこれはセオリーだと思うんです。だから、これがずっとそういう状況の変化で作業がおくれていけば、もう二〇〇〇年までにはあと五年ぐらいしか残らないということになってくる。そして、その間はとにかく目標のないままにも等しいようなこと。  というのは、いわゆる自給率は今、カロリーべースで四六%、それからもう一つは、その目標とするところは担い手が他産業並みの生涯所得を得うる体制をつくるんだということでございますが、これはやっぱりある程度具体的な項目的な指標がそれによって示されるということがまず前提であろうと思いますが、もうそれは申し上げません。したがって、一年と言わずもう少し、もう今度の国会で大体固まりますから、ひとつぜひ急いでやっていただきたい、一刻でも早く目標提示ができるようにしていただきたいということが一つ。  それから、農政審の答申をちょっと聞きますと、できてから十年のものをつくろうじゃないか、そういう十年というのは一つの望ましい期間、いわゆる基準年次から到達年次までの十年をつくっていく、それは望ましいことかもしれませんが、非常に国際情勢は変化している。それからもう一つは、今度のガット・ウルグアイ・ラウンドの合意が大体六年目という一つの節目があるんですな。だから、その辺の整合性をどうとるのか、それはまあおおむねこんなものだろうということでやっていくのか。それからもう一つ、需要のニーズの変化が背と違う、スピードが非常に速いという問題がございます。  そういう点をあわせ考えた場合は、固執はいたしませんが、なるべくそれに合うように、目標たり得るように、マグナ・カルタであり得るようにひとつこれは新たな発想で、幸い、大臣は専門家で知り尽くしておられますから、その辺ひとつしっかりやっていただきたい。  農政審の答申を三回分大体の概要を見せてもらいましたが、ちょっとこれは少し意見にしても元気がないなというような、失礼な話ですがそう感じておりまするから、どうかひとつその点についてお考えを伺いたい。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(大河原太一郎君) 一つは我々としては、理念がないとかそういう御指摘がございましたが、先ほど私が申し上げましたように、国際環境の変化に応じた食糧・農業政策の基本、これをやっぱり盛り込むべきだということとか、生産者から見てその将来の経営に希望が持てるような生産の方向を示すべきだとか、あるいは健康に配慮した日本人の食生活、その動向に応じた農業生産のあり方をどうするかとか、繰り返して申し上げて恐縮でございますが、それから消費者ニーズに合致した農業の役割というようなことについてやはり意欲的に盛り込むというふうにしてまとめたものにしなければならない。また、一年と言わず急げというお話についても、できるだけ早期に案を練り上げなければ相ならぬというお気持ちもよくわかると思います。  それから十年は、これは長期見通しの性格からいって、生産の変化もございますし、生産面の技術革新もあるし、今回の国内対策等の当初の成果、それが最終的にあらわれるのはやはり十年という問題がありますし、技術革新の問題もあります。需要構造も、これが大事で、需要構造がどう変化するかという見通しもございまして、やはりそれはある程度のタームを、期間を置いて的確にやらぬとということもございまして、十年をやらせていただきたい、さように思っております。

大塚清次郎自由民主党

○大塚清次郎君 それでは最後の質問ですが、大臣、ひとつぜひ早くつくっていただきたいということでございます。  特に私がお願いしたいのは、このつくり方の問題でございます。従来の長期見通しは国内だけ考えればよかった。生産に需要を合わせるということ、そこからまた国内の自給力なり自給率を出して、あるいは農家の所得目標を出していく。これでよかったが、これだけ国際化しできますと需要構造が非常に変わってきた、嗜好の変化で。固形物でカロリーを昔は全部とっておったわけですが、これがやっぱり流動物でカロリーをとっていく、こういうことでいわゆる加工食品の比率がだんだん増してきた。だから需要の測定が非常にやりにくいという問題があります。  それからそれに対応する供給の側、生産の側、これは国内生産とそれから海外からの輸入がある。この仕分けの問題がある。だから私は、これをどうなさるのだろうかなと。従来のような手法で、品目別に出してその結果によってカロリーベースでこれだけの自給率を維持するということになるのかどうなのか。ですから今度は、前の定番の需給見通し、ああいう項目でごく簡明にやることができるかどうか、それからそれのいわゆる自給力との結びつきをつなぎ得るかどうか、これを非常に私は心配いたしております。  だから、これは要らぬ心配だと言われればそれまでですが、その点についてよっぽどしっかりした作業をしていただきたい、このように要望いたします。私の時間が来ました。どうもありがとうございました。

三上隆雄日本社会党・護憲民主連合

○三上隆雄君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、今回の質疑は農業に関する集中質疑だということで、農業に関連したことを主としてそれぞれの大臣に御質問を申し上げたい、こう思います。今まで衆参両院にわたって相当な審議を尽くされてきました。ダブる面もあるかと思いますけれども、一部確認をいたしながら私なりの質問を展開してまいりたい、こう思っております。  言うまでもなく、今回のWTOマラケシュ協定は、現行のガット、物を主とした条約からサービス、知的所有権、資本も含めて世界のすべての貿易を自由化して、そして関税化するという、いわば簡略に申し上げますとその協定を批准するという関係の議題であるわけでありますけれども、この前のウルグアイ・ラウンドは七年越し、そして九五年一月一日発効に向けて百二十三カ国の加盟国がそれぞれその実効に向けて努力しているわけであります。  アメリカの議会は両院とも一応批准の手順ができた、こう聞いておりますけれども、アメリカが一番これを推進していた国にしても、あれほど困難をきわめているわけであります。ヨーロッパもまたしかりであります。  そこで、ここまで七年以上も費やしながら、期限ぎりぎりまで困難をきわめたその主なる原因は何なのか。類別には、先進国、途上国、そしてまた輸入国、輸出国、その程度の分類で簡略にお答えをいただきたいと思います。外務大臣、お願いします。

河野洋平自由民主党外務大臣

○国務大臣(河野洋平君) 御指摘のとおり、大変長い時間をかけてそれぞれの国がそれぞれの主張をぶつけ合ったわけでございます。  御指摘のとおり、各国がそれぞれ大変困難な事情を抱えながら議論をいたしました中身についてごく簡単に申し上げれば、先進国につきましては主として農業分野、それから繊維などがそれに入るかと思います。途上国につきましては主としてサービスの分野あるいは知的所有権、こういったものが挙げられると思います。  これらはいずれもそれぞれの国情を踏まえて大変厳しい議論をされたわけでありますが、最終的には、交渉参加国間で、ウルグアイ・ラウンドの成功によって貿易自由化と貿易ルールの強化が実現されるということが総合的に考えてプラスになるという評価で合意が達成されたと、こういうことでございます。

三上隆雄日本社会党・護憲民主連合

○三上隆雄君 輸入国、輸出国の分類では大きく分けてどういう結果を生ずると思いますか。

原口幸市外務省経済局長

○政府委員(原口幸市君) 各国ともそれぞれ輸出も輸入もやっておりますので、それぞれ輸出産業、輸入産業で問題のとらえ方は違うわけでございます。  ちょっともう一度繰り返させていただきますと、そういうわけで各国とも完全に輸出国、輸入国というわけにはいきませんが、例えば日本に関して青えば、農業については圧倒的な輸入国でございます。そこで日本は、農業については、関税の引き下げ等になりますと極めて厳しい状況になるということでございます。また、例えば繊維の問題になりますと、アメリカ等は純輸入国、日本も最近は純輸入国になってしまいましたので、そういう意味では輸入国として厳しい状況になると。他方、発展途上国の大半は、知的所有権とかサービスにつきましては輸入国の色彩が非常に強くなると。そういうことだろうと思います。

三上隆雄日本社会党・護憲民主連合

○三上隆雄君 ただいま大臣それから経済局長からそれなりの答弁がございました。そこで、もう一歩具体的に進めてまいりたいと思います。  特に、食糧の輸出国と輸入国の関係について極めて不均衡だという見方もあります。輸出国の輸出補助金、これは全部撤廃になっているのかどうか、その点についてまず確認をしたいと思います。

東久雄農林水産省経済局長

○政府委員(東久雄君) 輸出補助金につきましては、金額で三六%、それから数量で二〇%の削減ということが原則になって、その形で各国がみずからの譲許表の中でみずからのいわゆるコミットメント、約束をしております。

三上隆雄日本社会党・護憲民主連合

○三上隆雄君 そもそもそれ自体が私は不均衡であると、こう思うわけであります。  輸出補助金というのは、例えばスポーツでもあるいは戦争でもいいと思います。輸入する側はすべてを守る立場ですね。輸出の方は、例えば戦争では戦争をしかける方、いわば大砲でもいいわけですが、大砲を機関銃に置きかえたと、守る輸入国は今までよろいを着ていたのを、よろいをはいでアンダーシャツ一枚になって、そうして同じ条件で国際貿易をするということ自体に私は問題があると。輸出補助金をゼロにして、そして輸入国がそこからスタートするのであればフェアであるけれども、そこ自体に私は問題があると思います。  それに関してのお考えをそれぞれの関係大臣からお聞かせをいただければと思います。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(大河原太一郎君) 三上委員も御案内のとおり、七年間にわたるウルグアイ・ラウンド交渉においては、輸入国としての日本の立場から、輸出国の輸出補助金問題を大きく取り上げまして、オール関税化と言うならそれとの均衡をとれということを主張してきたところでございます。  その点については我々としては極めて、このたびの金額にして三六%、数量にして二一%程度の削減では不満足であると思います。それにはいろいろ言いわけがあるようです。輸出規制については、今までガットになかったのを初めて取り上げたんだからこの程度というようなことは関係者からの説明を受けておりますが、我々としては、輸入国としては一方ではオール関税化を受け入れ、それに対するバランスとしては必ずしも均衡を得たものではないというふうに思っております。

三上隆雄日本社会党・護憲民主連合

○三上隆雄君 そこで、せっかくの機会でございますから、橋本通産大臣の御見解をいただきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今の御質問は、私の立場から非常にお答えのしにくい部分がございます。農水大臣のお立場として農業分野について今お述べになりました御意見、私もそのとおりであろうと存じます。  そして、私どもの立場から工業製品を眺めました場合には、障壁が低くなることによりまして外国製品の輸入が拡大した場合、非常に影響を受ける業種があることは事実であります。一方、世界経済全体の中での日本の貿易というものを考えましたとき、WTO体制の進行と申しますものは、輸出輸入とも拡大の可能性を持つわけでありまして、これは経済の上から望ましい方向であるわけでございます。  いずれの問題点も私どもとしては大変大事な問題と認識をしながら、例えば関税の期間の延長あるいは引き下げ幅の縮小、さらにそれぞれの国内対策というものを講じてまいりましたことは御承知のとおりでありまして、国内に弱い産業というものを抱えておりますものに対し最大限留意をしながら今日まで努力をいたしてまいりました。その上で申し上げますならば、世界経済全体の中に大きく役立つ要素というものを高く評価したい、そのように考えております。

三上隆雄日本社会党・護憲民主連合

○三上隆雄君 いろいろ問題がある。特に食糧、農業に関しては問題がありながらも、広い意味で世界の貿易全体、そして日本の経済全体の観点からいくとこれは有利な協定であるという判断はそれぞれの大臣からいただきました。  以後、順次また質問を繰り返してまいりたいと思います。  そこで、世界の人口の状況、そして食糧の関係を若干私なりの認識を申し上げて、それに対するお答えをいただきたいと思います。  今、この地球上に五十七億人の人口が生息しているわけであります。二〇〇〇年には六十億を超えるということは確実視されて、年間それぞれ一億人近い人口が急増しているというのが実態だと、こう思っております。逆に、食糧、農地の関係から見ますと、農地の拡大は地球の環境全体から見た場合に、農地の造成そのことは、環境を壊さないといえども農地の造成によって地球のバラシス、環境のバランスがとっていけないような状況にある、したがって農地の拡大も限界であるというのが常識だと、こう言われております。  人口は急増している。人間が今まで編み出した、これからまた研究開発をするバイオテクノロジーを初めとしていろいろな増産政策があると思うけれども、一応限界であるというのが大方の見方だと思います。その点についての御認識をまず承りたい。  なお、日本の経済を重視するがために農業を相対的に軽視する立場になるわけでありますけれども、そちら側の人たちに言わせてみれば、食糧は生産性の低いものは諸外国から輸入した方がいいという考えもこれまたあるわけであります。その点について農水大臣、副総理であります外務大臣の御見解をいただきたいと思います。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(大河原太一郎君) 世界の急激な人口の増加、それに対する食糧供給力の不安定性等については、FAOなりあるいは各国の民間のシンクタンク等においてもいろいろな見方が出ておりますが、おっしゃるように不安定性が増加するというのが多くの見解のようでございます。  これに対してはいろいろ意見がございまして、貿易を通じて必要な食糧は輸入すればよろしいというような意見があるわけでございまして、ガット加盟諸国の中でも輸出国には非常にそういう意見も強いわけでございますが、何せ食糧については申すまでもなく、委員も同意見かと思いますが、国民生活の基礎的食糧であるからして、それについては国内資源を最大限に活用して自給力を強化していくということはやはり必要でございます。また、農業の持っている多面的な環境なりあるいは国土保全ということ全体を考えた場合においては、その必要は一層高いというふうに考えております。

河野洋平自由民主党外務大臣

○国務大臣(河野洋平君) 世界的規模で人口の増加に食糧をどう対応させるかという問題については、学者がさまざまな意見、議論をしていると思います。  最近までは人口の増加率と食糧の増産率というものは統計的にはややパラレルにきたわけでございますが、どうやらそれも限界に来たようだという説が大変多いわけでございます。耕地面積の拡大も、例えば耕地自体が環境にマイナスの影響もあるという説などもあって、必ずしも耕地をどんどん拡大していけばいいということにはならないという説もございます。  他方、かんがいその他の技術的な開発が進んで、これまでは不もの地と言われていた地域に水を引き新しい技術を加えることによって、そこに食糧が生産できるような基盤をつくることができるという、そういう説も一方にはあることはあるわけでございます。  しかし、いずれにせよ我々は、人口の増加というこれはもうかなり確実に予測できる数字の前に、食糧という、これは気象状況にも大きく影響を受ける、農水大臣が今まさにおっしゃったように非常に変化の可能性があるそういうもの、不安定要素の非常に強いものを、我々が少なくとも必要最小限のものは確保するためにどういうことが必要かということは、真剣に深刻に考えなければならないことだというふうに思います。  それから、日本の問題はちょっと別にして、国境を越えて食糧を動かすということについては、どうしても国内で自給できない、つまり人口とのバランスとかあるいは自然条件が非常に厳しいという国もあるわけですから、それは必ずしも食糧が動くということを否定する、排除するというわけにはいかないと思います。  しかし一方、我が国の問題を考えれば、これはもう農水大臣がお答えになったとおりだと私は考えます。農業はさまざまな意味で日本の国の生活を、文化を支える大事なものというふうに私も認識いたしております。

三上隆雄日本社会党・護憲民主連合

○三上隆雄君 今、両大臣から的確なお答えがございました。私どもの認識と同じだ、こう思っております。  そこで、二十世紀は科学技術文明といいますか石油文明といいますか、その発達によって私ども人間の生活や経済の営みを続けてまいったわけであります。それは、人間の生きていくための利便性を追求しての、人間が生み出した一つの手段として進めてきたわけでありますけれども、この地球のすべての資源は限りがある。そしてこれ以上環境は壊してはならない。環境を改善するということは無理だとさえ言われているわけでありますから、今までのような産業経済のあり方、大量生産、大量消費、大量廃棄というこのサイクルの中での経済の考え方そのものを変えなきゃならない時代ではないかな、こう思うわけであります。  いろんな産業がありますけれども、農業こそ永続的な産業であると私は断言したいと思います。特に水田稲作農業については、同じ田んぼで、同じ手法で、同じ耕作方法で何千年も営々と続けてまだ収量が落ちていない、むしろ品種改良、技術改良によって高品質、高生産のそういう環境を維持しているというのは稲作農業だと思うわけであります。そういう意味からいって、これからの世界の経済、産業のあり方を見直すべき時代に二十一世紀は入っていく、こう私は思うわけであります。  今回のマラケシュ協定の前に、現時点ではもう遅きに過ぎるかもしらぬけれども、少なくとも、先ほど大塚先生も申し上げましたけれども、今回の協定に当たって一定の条件をつけていくという、そういう日本がリーダーシップをとっていくべき時代であるな、こう思うわけであります。それに対する考え方を副総理と通産大臣からお願いしたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 昭和四十年代の半ばに我々は、自然の浄化力の限界を見誤り、公害列島と言われるほど日本国内に公害を多発させました。そして、この反省の中で私どもは、公害対策基本法あるいは自然環境保全法、こうした法体系のもとにその公害問題の解決に努力をしてきたわけでありますが、今日既にその時代を過ぎて、環境基本法の成立という大きな変化を来しておることはもう委員が御承知のとおりであります。  そして、その限りにおきまして、今日の環境問題というものは新たな我々への挑戦という受けとめもできるでありましょう。そして、しかも今日の環境問題というのは、かつて公害というとらえ方で我々が対応した例えば企業の活動というものにとどまるものではなく、お互いの日常生活あるいは普通の事業活動に起因するものばかりであります。これを解決していくためには、当然のことながら、社会経済活動あるいは生活様式そのものの変革まで迫りながら、環境への負荷をいかに減らしていくかという視点を持たなければなりません。  同時に、地球の上に緑を保たなければならない、保たなければというよりむしろ積極的にふやしていかなければならないということを考えました場合、その中における農業あるいは林業、こうした一時期においては非常におくれた産業のように言われた分野が再び非常に大きな役割を負っていただくことになる、その認識は私は委員と同感であります。

三上隆雄日本社会党・護憲民主連合

○三上隆雄君 今、この問題を掘り下げて議論することは時間的な制約もありますけれども、今のすべての産業の構造が、その思想が消費者のニーズにこたえる。その消費者のニーズというのは産業界がつくり出したニーズと言うべき点も多々あるかと思います。だからこそ今回のマラケシュ協定において、そういう環境、人口、食糧という観点から、今までの自由経済の中で科学文明を主としたそういう流れを見直して、それを変えていくような、そういう視点で今回の協定に当たっていただきたい、こう思うわけでありますけれども、結論的にはそのことを最終段階でお答えいただきたいと思います。  その最たるものが、利便性を求めて核兵器をつくった。これは戦争のための核兵器だけれども、その核兵器で出てきた原子というものを利用して原子力発電をつくった。そしてまた、そこから出てくる廃棄物が人類にとって大変な負担になるものだと、こう思うわけでありまして、これもまた人類の編み出した一つの利便性を追求したものの副産物として、負の資産として出てしまったわけでありますけれども、人類の責任においてこれは安全に管理をしていかなきゃならない時代に入ったわけであります。その点も含めて、これから根本的に今までの経済のそういう考え方というものを変えていく時代であるということを提言申し上げておきたいと思います。  それから、WTO協定の一括受諾方式、この問題点について若干の質問をしたいと思います。  私は、食糧や命そして生存権にかかわる事項については、何でもかんでも、世界の協定だからといって自由化すべきでないという基本的考えを持っているわけであります。先ほども言ったように、原子力の技術まで売るということ、今回の協定にその部分は入っているのか。一言で確認をしたいと思いますが、どうでしょうか。

原口幸市外務省経済局長

○政府委員(原口幸市君) 原子力はガットの取り決めの例外になっております。したがいまして、ガットの規定が直接それに適用されるということはないと承知しております。

三上隆雄日本社会党・護憲民主連合

○三上隆雄君 その点については一応確認をいたしました。  次に、今回のガットからWTO協定に至るその手続はほとんど済まされている状況にある。先ほど前段で確認をいたしましたところ、それぞれの国の事情によって問題があるということ、その中に先進国は食糧、農業の部分が大変問題があったということでありますから、私は日本にとって、この協定に協力して、この協定に基づいた国際ルールに基づいてこれから貿易するわけでありますから、その場合に日本のメリット・デメリットがどの分野にどの程度あるのか御縦告をお願いできればと思います。

橋本龍太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 総論からまず申し上げさせていただきますならば、従来、物の貿易だけを管理いたしておりましたガットからWTO体制に変わりますことは、知的財産権あるいはサービスまでをカバーするということで今後の国際経済活動の総合的な基本原則が示されるものと、そう理解をいたします。  結果としては、この協定が実施されますと、関税引き下げを初め貿易障壁の低減が図られることになり、世界貿易全体は拡大するでありましょうし、これに関連して所得増加も図られることが予想されます。そして、これを我が国の産業界に当てはめました場合におきましても、分野によりまして相違はございますが、全体としては好ましい影響の方がより大きいと考えられます。  なぜなら、こうした貿易障壁の低減あるいは諸外国への投資の保護、さらに輸出先あるいは投資先における知的財産権の保護の強化などを通じまして相手国への市場参入の機会はふえる、これはすなわちビジネスチャンスが増大するということになろうかと思います。  同時に、我が国自身の貿易障壁も低下するわけでありますから、輸入価格及び国内価格が低減し、これは消費者の実質所得が増加することを意味づけるわけでありますが、その結果として消費の拡大を通じ生産の拡大が期待をされると思います。  同時に、国際競争力の弱い産業に与える影響というものも当然ながら考えなければならないわけでありますが、従来からこの交渉のプロセスにおきましてこうした分野を分析し、考慮をしてまいりました結果として、こうした分野につきましては、協定上でも輸入急増に対応するため数量制限などの緊急輸入制限措置などが認められておりますほかにも、関税引き下げの期間を長期化する、あるいは関税引き下げ幅を小幅にとどめる、こうした対応を行っておりまして、これによって我が国の産業に対する急激な影響というものは最小限に食いとめることができると考えております。  本年九月に輸入品との競合が中小企業に字える影響につきまして調査をいたしましたが、この結果として、例えば製品の高級化あるいは新製品の開発や新分野進出などの対応をしようとしておられる中小企業が非常に多かったという結果が出ておりまして、通産省といたしましてはこうした前向きな中小企業に対して積極的に支援をしていきたい。今後の対応として考えているところであります。

三上隆雄日本社会党・護憲民主連合

○三上隆雄君 総合的にはこの協定が実施された段階では日本の経済に大きなプラス効果があるというお答えだと思います。  そこで、先ほど大塚委員も申されましたけれども、農業の分野は極めて不利な条件が予想されると、こう言われるのが共通した認識になりました。  そこで、日本の食糧の自給率、世界の人口と食糧の関係がそういう状況にある、先進国では最低の自給率に低下した日本の食糧増産事情がこれでいいということはない。今の状態だと社会的条件からいって私は急激に自給が低下すると、こう思うわけであります。少なくとも自給率を上げていくというそういう方向を政策的に示さないと、政策と財政も含めて推し進めていかないと、農業後継者を見て私は急激に低下するということは認めざるを得ないと思うわけであります。  その農業後継者が今どの程度かというと、皆さん、それぞれの大臣は御認識だと思いますけれども、全国に三千二百の市町村がある。その中で、新規就農者ですけれども、一年に千六百名、いわばそれぞれの各市町村から一人は出ていない、半分も農業後継者がないということ。我々の年代は、少なくともその地域のリーダーの長男がほとんど就農してきたんです。しかし今、我々の世代の地域のリーダーは、農村のリーダーの長男を、子息をほとんど農業につかせておりません。なぜかというと、農業の将来に展望がないからです。資産はある、やろうと思えば資本の集約もできる状況にあるけれども、別の産業につけるものを、何も好きこのんで農業につかせる必要がないという、そういう判断からやらせていないんです。  だとすれば、日本の食糧を確保するために八世界の食糧事情がそうだ、日本がそういう状況であれば、今までのような路線では日本の農業が崩壊すること、これしかりであります。しかも今回は比較にならない、アメリカやタイ等々から、条件の全く違うところから安いものが入ってくる。それをイコールにして価格だけで評価されるという事態が目に見えているわけでありますから、抜本的な農業の構造改革と、今までのような扱いではなく希望と誇りを持たせるような、そういう施策を示さないと、日本の農業は過保護だ、自立が足りない、いろいろ批判されていますけれども、自然条件、社会条件が違う状況の中で農業生産をやらせるわけでありますから、だれもやらない、嫁も来ないという状況が来ているわけであります。  しからば、日本の農業で生産コストを低下させることができるのかどうか、機械をどの程度下げられるのか、農業資材をどこまで下げられるのか、賃金をどこまで下げられるのか、その点の見通しを示していただきたいと思います。そうでないと、自由に貿易して、若干の関税化、ミニマムアクセスということでは私は大変な事情になると思うわけであります。農水大臣から。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(大河原太一郎君) 委員、段々の御質問でございまして、国際的な食糧の需給関係あるいは国内における諸般の情勢から、食糧の自給について農政なり国政の最大の問題の一つだという御指摘かと思うわけでございます。  この点につきましては、端的に申し上げますと、このたびのWTO協定の農業協定の受け入れということに伴いまして、やはり農業を産業として確立する、しっかりした縦営林によって活発な農業生産が行われる等々をねらいまして今回の国内対策を行おうとしておるところでございます。  自然条件、経営規模の制約、地価の問題等々日本の農業にとってはなかなかに困難な諸条件があるわけでございますが、その中においてもしっかりした農業構造をつくり、それによる農業生産の活発化によって、お示しのような食糧の自給率の問題について対応していかなければならない、さように思っておるところでございます。

三上隆雄日本社会党・護憲民主連合

○三上隆雄君 先般、日本経済新聞にこの記事が特集として、これは全部その特集で掲載されているわけでありますけれども、「環境との共存を求めて—二十一世紀の企業像」をテーマに地球環境経済人サミットが十一月九日と十日、東京で開催されたわけであります。「近代技術超え 環境守る文明を 倫理の確立、早急に 日本の手腕、世界へ 「廃棄物ゼロ」構想に脚光」、こういう見出しで貫かれているわけでありますけれども、私はこのサミットが極めて時宜を得た会合であるなど、こう思っております。  経済人自体がこういう発想のもとに世界をリードしていくという、日本の経済人に私は敬意を表したい。  そこで、ひとつ今回のマラケシュ協定に当たって食糧や環境に関したものは別扱いにできないか。その点に対する決意と、それができないとすれば少なくとも次のラウンド、いわば六年後の二〇〇一年ということになるのかな、それに向けて食糧の問題は別扱いにする、環境の問題は、命に関した問題は別扱いにするという、日本が世界のリーダーとしてそういう発言をしていけないか。その点についての御決意を外務大臣からお聞かせいただければと思います。

河野洋平自由民主党外務大臣

○国務大臣(河野洋平君) 国際社会全体が何を考え何を目指すかという中で、我が国が何を主張していくかという問題だろうと思います。  議員も御承知のとおり、この七年間、農水大臣からも通産大臣からもお話がございましたが、我が国は、これまでの我が国の経験に照らし、あるいは我が国の国情に照らして、我が国なりの主張を懸命にしてきたわけでございます。  幾つかの国、同じような主張を展開された国もございますけれども、今回のウルグアイ・ラウンドにおきましては一括方式というものを当初からとるということもございまして、先ほど御議論になりました先進国、途上国、それぞれの国情に照らした主張、あるいは議員がお話になりました主として輸入を多くする国、あるいは主として輸出に頼る国、こういったそれぞれの国の状況もございますけれども、それらも総合してそれぞれの国はメリットがあるという判断をして、今回の百二十を超える国と地域の一致した合意ができ上がったということでございます。  しかしながら、その合意の中で、議員が御指摘になりましたように、ただ単に貿易だけの問題ではないだろうと。すなわち、非貿易的関心事項も考慮に入れてさらに引き続き議論をしていく必要のあるものもあるという認識もこのWTO協定の中には含まれておるわけでございます。それはとりわけ環境の問題であり食糧の問題であろうと我々は理解をいたしておりますが、そうした問題については今後とも当然議論をしていかなければなりません。  しかし、今、冒頭申し上げましたように、国際社会の合意というものを我々は取りつける必要があるわけでございまして、一国のエゴと見られるようではこれは理解、合意は得られないわけでございますから、国際社会が中長期的視点に立って、今、我々がなすべきこと、また注意しなければならないこと、あるいは譲ってはならないことは何なのかという視点を大いに世界各国にアピールをして、共感を得る努力をしたいというふうに考えているところでございます。

三上隆雄日本社会党・護憲民主連合

○三上隆雄君 最後に、そのために日本のガット関連対策、国内対策を万全にするということで四、五点質問したかったわけでありますけれども、その点については同僚委員にお願いせざるを得なくなりました。  どうぞひとつ、いろいろ批判があるけれども、ガット関連対策六兆百億円といい、どうもこれはいわゆる真水の部分がその半分にも満たないということを国民に見せるように情報を発してください。大新聞でありながら、しかも論説で、国の厳しい財政の中から六兆円、七兆円を投資することがいかがかというような論調もあるわけでありますから、正しい情報を出していただきますことをお願いを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

星川保松新緑風会

○星川保松君 私は、ずっと農水委員会に所属をしておりまして、農水大臣初め農水省の皆さんと日本の農政について今までいろいろ論議をしてまいりました。そうした論議の中で、日本の農業は農水省の中だけで論議をしてもどうにもならないという面が極めて大きいということを痛切に感じてまいったわけでございます。  それで、農水省以外の皆さんとぜひ農政について論じてみたい、こう思っておったわけでございます。特に財政的な措置を責任を持ってなさる大蔵大臣、それから産業としては農業と並ぶところの商工業を担当する通産大臣あたりと日本の農業について論じてみたいと思っておったその機会が図らずもきょうやってきたわけでございますので、そういう意味で大蔵、通産大臣と農業を論じ、最後に農水大臣と農政について論じてみたいと、こう思うところでございます。  そこで、今回のマラケシュ協定によって世界貿易機関というものを設置して、今よりもさらに世界の貿易を盛んにしようということなわけであります。そのことはまことに結構なことでありますけれども、その中でのいろんな問題点が出ておるわけであります。  その問題点の中で最大のものは、やはり貿易でありますから輸出国と輸入国があるわけでありまして、輸出をふやせるという国はメリットが大きいわけでありますから、これは大賛成だということになるわけでありますけれども、輸入の立場に立つ国は国内産業との関係でいろいろな障害が出てくるというので、これにはやはりデメリットのことも考えて慎重にならざるを得ないということで、いわゆる売り手市場に立って売り手としての力をつけている国は、これはメリットが大変大きいわけであります。ところが、その、反対に貰い手市場に立たされている国としては、これはまた大変なダメージを受けるということになるわけであります。  国ごとにそれぞれの産業を抱えておるわけでありますが、我が国の場合は一番心配されておりますのは、商工業はかなり強いわけでありますけれども、弱い産業としての農業を抱えておる。その農業がどのようないろいろなダメージを受けることになるのかということを心配しますと、これはただというわけにはいかないということで、国内対策としての六兆百億という手当てをしてひとつ農業を救っていこうということだろうと、こう思うわけでございます。  それで、今このマラケシュ協定について問題になっておるのは農業問題である、こう言ってもいいわけであります。その農業がなぜこういうことになったのか、そのことをやはり考えなければいけないと私は思うわけでございます。  いわゆる先進工業国はすべて農業のような一次、二次産業の方が衰退をしているのか、立ちおくれをしているのかということを見てみますと、必ずしもそうではないんです。  例えば農業というものをいわゆる食糧自給率の上で見た場合は、例えば穀物の場合は米国が一〇九、それからイギリスが一〇五、ドイツ、西ドイツだと思いますが一〇六、フランスは二二二、ところが日本の場合は二九ということになっておるわけです。他の先進工業国はきちんと農業の振興、農業という産業もきちんと維持しながら、育てながら、そしていわゆる工業国になっておるわけなんですよ。なぜ日本だけがこういう農業の落ち込みを来してしまったのか。  いわゆる日本の経済の成長とは言いますけれども、その経済を支えている産業がどれもそろって日本の経済の発展を支えているのではない。つまり、商工業がぬきんでて、そしておくれている農業と、ただならしにして、平均にすれば各国比較においては日本の高度経済成長ということが言えるということになっておるわけでありますけれども、なぜこういう産業のバランスのとれた発展を図ることができなかったのか。その産業政策として今まで何か日本の場合は誤りがあったのかというふうに私は思うわけでありますが、これについて、財政当局の大蔵省とそれから通産大臣からひとつお考えをお聞きしたいと思います。

武村正義新党さきがけ大蔵大臣

○国務大臣(武村正義君) 大変共鳴を感じながらお話を承っておりましたが、この時期に日本国政府の全体の判断としては、まさに当時の細川総理の談話に表現されておりますように、やむを得なかった、この道しかなかったんではないかというふうに私は今も思っております。  今は、政府側としてひたすら、御提案をいたしております条約の批准や関係立法に御理解をお願いする立場でありますが、振り返ってみますと、宮澤総理自身がおっしゃっていたように、ウルグアイ・ラウンドは成功させなければいけない、しかし米の例外なき関税化は、これは日本としてはのめないという表現が象徴的でありました。昨年の合意も、その延長線上で最終段階ぎりぎりの激しい交渉を重ねた結果、今、御提案を申し上げ御説明申し上げているような内容になったわけであります。国会決議もあり、国民の幅広い米に対する自由化反対の世論を背景にして、日本政府はやっとこれだけの成果といいますか、例外的な措置をから取ることができたというふうにも私は思うわけであります。  御承知のように、ダンケル・ペーパーは例外なき関税化というのが原則でありました。それに反対をして二年近く交渉を続けて、日本の米、韓国の米、あと農林大臣に伺いますとフィリピンとイスラエルに何か農産物で例外があるそうですが、四カ国ぐらいの特定の農産物についてのみ関税化の例外排置が認められて、いわばこういうミニマムアクセスという方途が合意をされるようになったわけであります。したがって、一貫して国会や日本国政府が主張してまいりました考え方は間違っていなかったというふうに思わざるを得ません。  私個人としましては、農業は、お話がありましたように自然条件を背景にした産業でございますから、もう一言うまでもないことですが、広大な大地を持った国、しかも自然条件に恵まれた国が圧倒的に有利であります。そういう大きな本来的なハンディキャップが国の間に存在するわけでございますから、それだけに例外が認められてしかるべきであったというふうに思っております。

橋本龍太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) たしか昭和二十三年に提案されたと記憶をしておりますが、優生保護法の提案理由の中に、日本の国土で支え得る人口約八千万というくだりがあったことを今、私は思い起こしておりました。そして、敗戦後の日本の産業政策の中で、私はやはり食糧生産というものは非常に大きなウエートを占めておったと思います。それだけに、当初国土回復のプロセスの中におきまして、農業あるいは化学肥料といったものに相当な生産がシフトされていたことを人生の先輩である星川議員は御記憶でありましょう。そして、その後、日本の商工業の発展の中にありまして、農林水産業というものは常に一定の役割を果たしてこられたと考えております。それは、ある場合におきましては土地あるいは労働力を提供するといった役割であったことも否定はいたしません。  ただし同時に、産業政策の中におきまして、従来から農村地域へ工業をいかに導入するか、その促進等を通じました農村地域の活性化というものは通産省の政策の椎の一つでございました。今後ともに、そうした意識を持ち続けながら我々は努力をしていかなければならぬものと、そのように考えております。

星川保松新緑風会

○星川保松君 私が質問をしたのは、いわゆる工業先進国すべてが農業をきちんと産業として育てているのに、日本だけがなぜこうおくれをとったか。つまり、農業の場合は、農産物の輸入が七兆ぐらいですか、それで輸出というのはゼロなんですね。農産物の輸出というのはほとんどできないわけですよ、国際競争力がありませんからね。だから全く輸入ばかりで、それで輸出するものが何もないという、いわゆる弱い産業になったわけです、国際的には。なぜ農業だけがそういう立場に置かれたのかということについての考えを聞きたい、こう言ったんです。大蔵大臣は自然条件とおっしゃいますが、それもあると思いますが、私はそれだけではないと思うんですね。自然条件が違えば違ったなりのやはり産業対策というものをきちんとやらなかったのではないかということに問題がある、私はこう思っているわけですよ。  それで、実は私はきょう通産大臣に質問すると言いましたら、担当の方がどういう質問をするんですかということで私のところへ電話をくださったんですよ。それで私は、今まで日本の経済が高度成長をした、それは特に商工業が成長した、その商工業の成長の発展のために農業がいろんな貢献をしてきておりますね、今度は立ちおくれた農業の方に商工業の方からお手伝いをする番ではないですか、そういうことを聞くつもりですと、こう言ったんですよ。そうしたらその担当の方が、農業が商工業に何か貢献してくれましたかと」言ったんですね。私はびっくりしました。  それで、先ほど大臣もおっしゃいましたんですが、まず労働問題ですね。例えば、就職列車というのがかつて走りましたよ、これはいわゆる農村の労働力の運送の専用列車なんです。これ全部商工業の方にその労働力を運んだわけですよ。その労働力は、これはいわゆる養育費と教育費、義務教育までは、高校までもあるでしょう、それ全部が農村持ちなんですよ。農業持ちなんです、これ。それをつぎ込んで一人前にして、立派な労働力にしてこれを送ったわけです、商工業の方に。  つまり、よく婿養子三代続くと蔵が建つということがあります。なぜ蔵が建つかといいますと、それは婿養子ですから、余り放蕩できませんから一生懸命働くということもあるでしょう。それだけではないんです。それはいわゆる養育費と教育費が向こう持ちなんですよ。そして労働力としてやってくるんです。それが三代続けば当然蔵が建つわけですよ。  それと同じようなことが農業と商工業の間で労働力について行われたと私は思うんです。これは大変なお手伝いだと思うんですよ、農業という産業から商工業という産業に対して。  それから例えば工場敷地、それから道路、新幹線、いろんな社会設備があるわけです。そういう設備にしろ、それを使ってまた商工業が伸びたわけですけれども、その敷地などはほとんど農林漁業が提供しているんですよ。  例えば太平洋ベルト地帯といって大変工業が盛んになったんですけれども、それは全部漁村の浜辺なわけですよ。生産の場なんです、漁業の。その浜辺を提供しているわけですよ。それから工場敷地には農地を大変提供しました。道路にも大変提供しています。それから空港、港湾ですね。山の方では山林を提供しているわけですよ。そういう提供することによって農業の方は経営規模を縮小せざるを得なかった、あるいは転業しなければならなかったわけですよ。それはそれなりの補償はしてもらっていることは個々の場合は当然ですけれども、しかし産業として見た場合は、私は、土地、労働、もう大変な手伝いをしていると思うんです。  もう一つ言うならば、例えば資本。企業の場合は土地と労働と資本がなくちゃいけない。その資本についても企業はどうやって資本を都合したか。それはほとんど土地担保なんですよ。土地がどんどん値上がりしていったんです。担保価値がどんどん大きくなっていった。その大きくなった担保価値を利用して資本を調達してやっていったわけですよ。だから私は、企業が伸びた、会社が伸びた、商工業が伸びた、その土地と労働、資本のほとんど、その元となったのはこれは農林漁業が提供していると思うんですよ。その提供によって今日のような世界的な成長を遂げた。そうした場合は当然、そのために提供してくれた手伝ってくれた農業がおくれをとったということになったら、今度はこっちの余力でもって農業をひとつ進めていこう、救っていこうというふうにならなければ一国の産業政策としてはならないと思うんです、これは。  だから、一つのものを先導的に育てていくという方法は、これは国家としていろいろあるわけです。例えば中国の場合は、臨海地帯をまず発展させる、そして臨海地帯の発展の余力をかって奥地にこれを及ぼしていくという、臨海重点の先導という形で進めているわけです。そういう地域的な先導政策ということも私はあり得ると思うし、それから一つの産業、まず商工業を伸ばそう、そしてこれを先行させてそれにいわゆる先導する役割を果たしてもらって、やがては農業という産業も発展させていこうということだろうと思うんです。  私たちは、例えば田中角栄さんの「列島改造論」なんか読んだときはそういう構想だと思っておった。だから、どんどん商工業の発展にお手伝いをしよう、いずれはそっちの方が進んでいったら今度は農業の方を引っ張ってくれる、こういうふうに思っておったわけですよ。ところが、今度はそろそろと思っていたときにどうなったかというと、バブル崩壊ということなんですよね。今までのはバブルだったというんです。それで、もうバブルですっ飛んでいって、人のこと、農業のことはもう構っちゃいられないというような、そういう様相になってきてしまったわけですよ。そうなりますと、私たち農村、農業、農家の皆さんとともにある者は、これは何か大変なだましに遭ったんじゃないかなとさえ思わざるを得ないわけですよね。  だから、そういう農業の立場というものをやはり大蔵省は、今後は特に、今回いろいろ考えてくれたようですけれども、なお一層財政的に措置をして、それで農業を押し、立てていってもらわなければならない。それから、やっぱり商工業の皆さんも産業の皆さんも、我々はここまでなった、ここまでなるために農業の皆さんに大変な御負担をかけた、今度はあなた方に伸びてもらうためにお手伝いをしましょうというような、そういう気持ちでやってほしい。そうでなければいつまでたっても均衡ある日本の産業の発展もないし、農業の立場は救われないのではないか、こう思うんですが、これをもう一回ひとつ御両人に。

武村正義新党さきがけ大蔵大臣

○国務大臣(武村正義君) 先ほどの委員のお話で、イギリスは百何%というお話を承って改めて思い起こしましたが、たしか第二次世界大戦の前のイギリスは二、三〇%ぐらいの自給率ではなかったか。あの大戦のさなか、植民地を初めほとんど外国に依存をしていたイギリスは、戦争の一番激しいときには穀物を運んできた船をほとんどドイツのUボートが次々と沈めてしまって、大変な食糧危機に陥ったようであります。  その深刻な反省から、戦後、チャーチルが食糧の自給政策というものを非常に強く主張し、あの工業国であった、貿易立国であったイギリスがこの五十年で大変高い自給率を生み出したというふうに今数字を伺って改めて感じましたが、先ほど来のお話は確かにそのとおりだと思います。  農村から、農業から第二次、第三次産業に優秀な人材がシフトをする形で戦後の経済発展が進んできたわけであります。今度は農業に返す番だという御主張も真剣な御主張として受けとめながら、この日本列島に日本民族が生き続ける限り、主としてこの大地で民族の命を支える農業は、食糧は生産をしていくことを基本に考えながら今後も努力をしていかなければいけないというふうに思います。

橋本龍太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) まず、通産省の事務方が大変失礼な言辞を弄したとすれば、これはおわびを申し上げます。大変申しわけありませんでした。ただ私は、委員の御上張を伺いながら、対立的にこれをとらえるというのはいかがなものかという感じも率直にいたします。  私は昭和三十五年に大学を卒業したわけでありますが、その時点で紡績会社の社員になりました。その時点における状況というものは、今、委員がお述べになりましたように、農山漁村から相当数のまだ中学を卒業したばかりの若い優秀な豊富な労働力が産業界に供給されておりました。そして、それらの優秀な若年労働力というものが当時の日本の産業界を支えておったと思います。  今、高齢化の状況の中におきまして、産業界自体、状況は大きく変化をいたしております。そうした中におきまして、要は農村部分と都市の部分、あるいは農山漁村と言いかえても結構です、と都市の部分との格差をいかに縮めていくかということを我々は考えなければならないと考えております。通産省の立場として努力をいたす分野はまずこの部分にありましょう。  同時に、科学技術の進歩の中で、例えば今、バイオテクノロジーを応用した農業というものが真剣に議論され、一部実施に移されております。たまたま私はそうしたグループの一つのお世話をさせていただいておりますが、工業技術の中から生まれました新たな発見というものが農業を支える基盤の一角を今担おうとしている状況もございます。こうした分野に対する協力の度合いを強めていく、こうしたこともまた産業界が農林あるいは水産業までを含めまして協力していき得る新たな分野であろうか、そのように感じました。

星川保松新緑風会

○星川保松君 それから、特に大蔵省の方と私ども農政に対していろいろお話をしておりますと、どうもかみ合わないところがあるんです。武村大臣は現場を踏んでいらっしゃいますからそういうことはないと思いますけれども、どうも大蔵省の皆さんというのは帳づらばかり一生懸命合わせているような感じがしてならないわけなんです。  特に、米価の問題等について話し合って私らがもう耐え切れない思いをするのは、どうも近視眼的な物の見方しかできないんじゃないかという気がしてならないわけです、といいますのは、例えば米と言った場合に、米という食神としての商品というふうなとらえ方しかほとんどできないんです。そうすると内外価格差、アメリカと日本は八倍とか、ではそのコストをどう下げるかと、どうもこういう端的な話だけに終始するわけです。  我々が米と言うのは、米の後ろに水田があるんです。水田には水路があって、水路には川があって、川の向こうには山があって、そこには森林があって、日本の国土があるわけです。だから、米の問題は、米をつくらなくなったらどうなるか、ずっと連なっていって、日本の国土がもう荒れてしまうというのが私たちの鎖にあるわけです。そういう頭でもって私たちは米を論じている。ところが、これは仕事の上からそうなるのも傾向として仕方がないのかもしれませんけれども、帳づらの価格、内外価格差という発想しかできないというような気がしてならないんです。  特に田んぼというのは、私は大蔵省の皆さんにもよく勉強してほしいと思いますのは、作物をつくる圃場としてはもう特殊なものなんです、これは。日本人が狭い面積の中にいかにしてみんなひもじい思いをしないで生きていこうか、それには何をつくったらいいかということで探し求めて米に到達したんです。米ぐらい単位面積当たりで人を養えるカロリーを生産できるものはないんです、このアジア・モンスーン地帯としては。  ところが、日本という国は大変な山岳国なんです。この間、海の底から、立ち上がりからすれば日本の国土というのは七、八千メーターの山のいわゆる頂上部分だけなんだということを言われますね。そういう山岳部分で農業をやる。畑の場合は傾斜なりに排せばいいんです。それから牧村の場合は、牛でも羊でもかなりの傾斜まで移動できるわけです、のこのこはって行きますから、だからそのままで利用できるんです。ところが田んぼというのはそうはいかないわけですよ、平らにしなくちゃならないですから。平らにする、真っ平らの水平面にしなくちゃ、これは田んぼにならないわけなんです。この山岳国の中でその水平面をつくるという努力は並み大抵のものではないですよ、これは。それを今まで我々の祖先が、米でなくちゃいかぬということでそれをつくってきたわけですよ。それをつくって、それを自然の中にはめ込んできたんですね。  それから、いわゆる水田というのがほかのなにと違うのは、永久連作可能なのは米だけなんですよ。これはもうほかの作物、どこでも特産地をつくったところが連作障害ではたばた倒れていますよ。ところが、水田稲作の場合だけは、いわゆる植物も毒素を出すんだそうですが、それが水に流される。それから微量要素、少しでもいいけれども、なければ病気が発生するような微量要素も水に含まれて流れてくると。それでもって永久連作が可能だということで、極めてそういう意味でもすぐれた作物なんですね。  そういう作物を選んで今日まで育ててきているわけですよ。だから、大変な祖先の汗と労力をつぎ込んだ納品なんですね、この田んぼというのは。もうすばらしいものなんですよ。その田んぼの耕作に響くようなことをしたら、日本の国土が結局荒れてしまうということを考えて私たちは米一の問題と取り組んでいる。それで、米価の問題も——しかりなんですよ。だから、そういう奥の方のバックをしっかり踏まえて、そうして農業のことについては大蔵省は対応してもらいたい、こう思うんですが、ひとつ大胆にその点についてお考えを。

武村正義新党さきがけ大蔵大臣

○国務大臣(武村正義君) 先ほど来のお話にも関連しますが、私も農家の息子でありますが、日中川委員、日本農業はそれでも随分変わりましたよね。稲作にしろ、機械化、圃場整備、その他の果樹や畜産やたばことかそういう特殊な作物に守るまで、私が子供のころの作業の状況と今たまに帰って農家の皆さんと話をしている状況とでは大きく変わっていることも事実であります。  そしてまた、大蔵省は毎年渋いことを、い続けてきたんでしょうが、それでも農水省の真剣な。要求を受けながら、この国の農業の近代化のために、この四十九年間がない巨大な金額を注いできたことも、これも紛れもない事実だと思うのであります。  しかし、それでもこういう事態を迎えてみると、日本の農業は、今、後継者の問題に象徴されるように、あるいは内外価格差の数字に象徴されるように、大変厳しい、あるいはいよいよ厳しい状況に立ち至っているという。そのことをしっかり認識しながら六兆百億円という六年間のこの対策費も政府・与党でお決めをいただいているわけでありますし、今後、財政の担当当局としましても、過去の政策が全部正しかったというふうにはもちろん思ってはおりませんし、過去を振り返り、反省すべきところは、反省しながら、これからの一層厳しい日本農業の前進のために精いっぱいの努力を続けていかなければいけないというふうに思っております。

星川保松新緑風会

○星川保松君 もう一つだけ大蔵大臣にお話をしておきたいことがございます。  それは、大臣に就任前のことでありますけれども、昨年、大変な冷害で被害をこうむったわけですね、稲作農家が。それで、いわゆる保険金を受け取ることになったわけですよ。その際に、この農業共済、これは任意加入じゃなくて強制加入なんですね。それで、掛金をもちろん掛けておるわけですけれども、この額が何ぼでしたかな、四千億円でしたか何ぼに、膨大なものになったわけですよ。それで国の再保険としてのこの共済の特別会計では間に合わなくなったわけです。そして、本来なればそれは一般会計からちゃんと繰り出しをして、それで特別会計に入れてこれを支払うというようなことをしなくちゃならないのが当然なわけです。ところが、これをいわゆる米の緊急輸入した差益金をもって充てるということが報道されたわけです。これで農家の皆さんが大変な誤解を受けたんです。  といいますのは、消費者の皆さんとしては、輸入差益金というものは本来は消費者に還元すべきものなんだと、それを農家の方に出してやったというようなことで、これは消費者からやはり農業は過保護じゃないか、何でおれたちの取り分までそっちへ回すんだみたいな声が上がってきたわけです。  私はそのときに、何ということを大蔵省はするんだろうと思いました。農家としては、保険金を受け取る方の側としてはちゃんと掛金を掛けているわけですから、その条件に基づいて災害が起きたらちゃんとその分を払ってもらうのは当然のことでありまして、その金をどこから持ってこようが受け取る方としては正直言ってかかわりのないことなんです。それをわざわざ大蔵省が輸入差益金の方から回しましたなんというようなことをなぜ言ったのか。私は極めてこれは、いわゆるいじめじゃないかと、こう思いました。いじめは学校だけじゃないと思いましたよ。何でそんなことを殊さらにやるのか、このことによって農家の皆さんは大変印象を悪くしたわけです。  こういうことは今後二度とやらないように、農家に誤解を招くような金のやりくりなどは一切やらないようにしていただきたいと思うんですが、ちょっとひとつお答えを。

武村正義新党さきがけ大蔵大臣

○国務大臣(武村正義君) 大変誤解を与えたとすれば、説明の不足も含めて反省をしなければならないと思います。  実は、来年度の予算編成の議論をいたしておりまして、来年の食糧管理費、この法律が通りましても来年の十一月まで、来年は従来のシステムで対応することになりますからかなりの資金需要が必要でございまして、その説明を受けているときに、とにかく数兆円の歳入歳出ギャップがございますから、どこかに財源がないかというので私自身もいろんな質問をするわけです。ついこの間、輸入差益金があるじゃないかと主計官に、言いましたら、それはもう去年の災害で使ってしまっておりますと、こういう答えが返ってきまして初めて今御質問のことを私は認識をしたのであります。  詳しいことを説明する状況ではありませんが、しかし大蔵省の立場で弁解をさせていただくならば、もうありとあらゆる財源を使わせてもらわなければ予算が締めない。昨年の補正予算も、恐らく歳入が当初より大きく落ち込んでおりまして、そういうわけで税収のような一般財源はもうからきし全然ありません。むしろマイナスで残っている中で、どこかに財源ないか、しかし災害だけは目をつむってやらなきゃいけない、そういう中で恐らくそういう措置を講じたのかなと私は今、想定をいたしているわけであります。  これはこの問題に限らず、あらゆる分野でそういうやりくり算段が続いてきて今日の日本の財政になっていることを振り返りますと、いよいよ財政の健全化、再建のためには、今御指摘の点も反省材料として含めながら一層しっかりやらなければいけないという思いであります。

星川保松新緑風会

○星川保松君 大蔵大臣、私は決してやりくりをするなと言うのではございません。やりくりをする際に、そうでなくても過保護だとかなんとかと言われている農家に迷惑のかかるようなことだけはひとつ避けてほしい、こういうことでございますので、よろしくお願いします。  以上で終わります。

矢田部理日本社会党・護憲民主連合

○委員長(矢田部理君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十分休憩      —————・—————    午後一時三十二分開会

矢田部理日本社会党・護憲民主連合

○委員長(矢田部理君) ただいまから世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結について承認を求めるの件外七法律案を議題とし、質疑を行います。  賞疑のある方は順次御発言願います。

風間昶公明党・国民会議

○風間昶君 公明党・国民会議の風間でございます。  今回のWTO批准に関する国内の農業対策について、まず、膨大な国内対策事業費六兆百億円について伺います。  衆議院の方でも、それから午前中も真水の部分の議論がございました。年間予算と別枠の部分があいまいであるという質問が衆議院でもありましたけれども、少し観点を変えまして、今回のこの国内対策について、WTOを批准することによって初めて問題になるもの、それから批准によって実施が前倒しになるもの、それから批准をしようとしまいと実施すべきもの、この三つに私は分けて考えてもいいのではないかと思っておるわけですけれども、この点に関してちょっと御説明いただければと思います。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(大河原太一郎君) 御案内のとおり、このたびの国内対策、事業費ベースで六兆百億円、その中の事業につきましては、しばしば申し上げておりますように、日本の農業に対する面接の影響を当面最小限に食いとめる、さらにこれを契機として二十一世紀に向けての農業農村の自立を図る、それで持続的成長を確保するということで、思い切った対策をやるということで施策を打ち出したわけでございます。  したがいまして、それぞれの事業について御質問があれば御説明申し上げますけれども、やはりそれぞれの事業について重点的あるいは加速的という言葉がいいと思いますけれども、それによってその目的を達成しようとするものでございます。従来事業の中心は、従来の農林関係予算、三兆四千億ばかりに現在なっておりますが、それらの事業の中でそれを着実に実施するという関係に御理解願えたらと思うわけでございます。

風間昶公明党・国民会議

○風間昶君 ただいま大臣から、日本の農業を最小限に守る、自立ある農業、持続的なこと、この三つのいわば大宗を示されました。では、実際に六兆百億円という予算についても配分の比重の問題でございますけれども、WTOを批准することによって初めて問題になるものに重点配分を私はすべきではないかというふうに思うわけであります。もう一方では、批准しなかったとしても必要とされる対策、これは六兆百億円の中から支出する必要があるのかないのかという議論。私は必要ないと思っておるわけです、批准に関係ない部分で国内対策として必要な部分は。  政府はそういうもうちょっと絞り込んだ重点施策を、絞り込んだ形での努力というのをされていらっしゃると思いますが、どうも対策の目玉といいましょうか、俗に言われているばらまき予算のばらまき額が少しふえたなというふうな印象を持っている人もいるやに聞いておりますけれども、そんなことはないという意見も当然これまた一方ではあるわけで、こういうようなやり方で私は本当にいいのかというふうに思っているわけです。  私は、農家が、生産者が、今、国内的には借金とそれから後継者難で苦しんでいるという実態から見ますと、極端な話、そこの部分はもうこの六年間に何としてもやってやるある意味では最後のチャンスじゃないかなと。最後というとちょっと語弊がありますけれども、もう最大のチャンスじゃないかというふうに思っておるわけです。農水省の今回の予算の組み立てというか中身をちょっと見せていただいてもそういう緊迫感が感じられないように感じられるんだけれども、本当にいけるのかなと。ここの部分をぜひ、実際に農業をやっている方々が、大臣初めこの政府が本当にやってくれたんだと、そこのところを自信のある部分をぜひ発表していくことがある意味では大臣のおっしゃる本当に自立した持続的な日本の農業を守っていくことになるのではないかというふうに思うんですけれども、どうでございましょうか。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(大河原太一郎君) このたびの対策は、やはり効率的な、何と申しますか、安定的な担い手、しっかりした担い手を中心として力強い農業生産を展開する、それによって今回の対応をするということが一つでございまして、そのためにはやはり生産性向上の基盤になる農業農村基盤整備事業、これを一つの重点事業として取り上げております。したがって、金額等から見ると公共事業でございますので金額のウエートが大きくなるわけでございますが、今、委員が御指摘になりましたような点、負債対策、これについても、事業内容を御承知かと思いますけれども、六年間に六千億、毎年一千億をかけまして低金利で借りかえ資金を十二分に用意して、そして前に進もうとする経営に対する負担を軽減する。あるいは土地改良負担金対策についても新しい施策を講ずる。  それから、新規就農者を確保することが緊急の事態でございますので新規の就農対策、これは次三男の方はもちろんでございますが、最近の傾向を見ると農外から農業に参入しようとする方々も若手でふえておりますので、そういう者に対する援助を思い切ってしていくというようなことも今回の措置に全部含まれておるということでございます。それについて委員の、重点の置き方等についての御意見があることはただいま承りましたけれども、我々としては、それぞれの緊急、重点的な施策として取り上げておるところでございます。

風間昶公明党・国民会議

○風間昶君 大臣、そうすると、六年かけておっしゃるようにいくことを目指していらっしゃるわけでありましょうが、私は年次計画ぐらいはつくるべきじゃないかなと。単に六年間で六兆百億使いますからよろしくと言われても、私は十分な受け取りしていないのかもしれませんけれども、そういうわけにはやっぱりいかないんじゃないか。やっぱり年次計画をきちっと立てないと私はまずいのではないかと思う。ぜひスタートに当たるところはこのぐらいかけなければ、本当に最初でつまずくとかなり厳しいものになってくるんではないかというふうに予測されるわけです。ぜひその年次計画を大至急つくっていただきたいというふうに思うんです。そうでないと、来年の予算審議のときにこれは考える材料がないわけでありますから。  そこで、まず大蔵省にちょっと確認、まだ余裕がありますのであれですが、予算は単年度主義なんでしょうから、農水省も来年度の予算、概算要求を出していらっしゃるわけでありますけれども、その中で、WTOの国内対策関係について、ほかから明らかに区別できるような形で要求されていらっしゃるんでしょうか、いらっしゃらないんでしょうか。では、これをまず農水大臣にお伺いしておきます。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(大河原太一郎君) お答え申し上げます。  今回の国内対策で事業費として六兆百億円、これはそれぞれの事業を積み上げた六年間の事業でございます。したがって、その一年分、当初についてどうするかという点については、それぞれ積み上げに基づきまして財政当局と協議中でございまして、機械的に六分の一にするのか、事業によってやはり初年度は準備が要るから多少後年度に事業を加速させるという点で、実施期間六年間には必ずそれぞれの事業についてやろうとするという考えを持っております。したがって、やや先走っておりますが、ただいま委員の御指摘のように、年次計画的なことは私どもとしては必ずしも必要がないんじゃないかと。事業の進度その他を見て全体事業をこの六年間の計画期間内で、実施期間内で終了すればよろしいんではあるまいかと。  ちょっと言葉が続きますけれども、現に土地改良長期計画とかあるいは各種の公共事業計画、これは総体事業費を確定しておって、年度別についてはそれぞれの事業の進度とかあるいは予算編成の過程における問題とかで措置されておるわけでございます。

風間昶公明党・国民会議

○風間昶君 そうしますと、今、大臣から年次計画は必ずしも必要としないという根拠がお話しありましたが、では、それで大蔵省として査定はできるんでしょうかね。

武村正義新党さきがけ大蔵大臣

○国務大臣(武村正義君) 今もお答えいただいたように、政府、各種の中期計画、長期計画がございますが、年次計画を持っているものはたしかないと思います。これは、自由経済の中で、そもそも計画のあり方というところに議論もあるかもしれませんし、予算が単年度主義になっている中で、どこまで年次計画を発表して責任が負えるのかということもあるかもしれません。さらには、五年という大ぐくりでございます中に弾力性があるということで、今回の対策費もさまざまな事業が盛り込まれておりますが、事業によっては早目に取り組めるものもあるだろうし、やや、一、二年は置いてからがっと要望が出てくるものもあるかもしれません。そういうところを見ながら対応していきたいということでございます。  あくまでも農水当局の御要求を基本にして、私どもも真剣に相談をさせていただきたいと思っております。

風間昶公明党・国民会議

○風間昶君 ちょっと観点を変えさせていただきますと、ガット事務局の試算によりますと、WTO協定を批准することによって二〇〇五年、つまり十年後の時点で日本の国民所得は二兆七千億程度増加することになるようでございます。単純に比較できないかもしれませんが、今回六兆百億円使いたいというふうにおっしゃるわけですが、この差額分ぐらいのメリットは当然あると踏んでいるんでしょうか。農水省として六兆百億円使うことでどのぐらい国民所得に寄与するというふうに考えていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。本当に六兆百億円が必要なものであるということをこちらも理解させていただければ、これはもう当然賛成するわけでありますけれども、むだ遣いが、まさにこういう部分での改革も必要ではないかというふうに思っておりますから、しっかりやってもらいたいということから、先ほどの質問でございますけれども、六兆百億円使うことでどのぐらい国民所得に寄与すると考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(大河原太一郎君) ただいまお話がございました、ガット事務局のWTO協定に基づく貿易拡大等による各国の、世界のというか、それぞれの各国の積み上げになると思いますが、その所得の増加が二兆七千億、これは一年の、単年度のもののようでございます。私どもが承知しているところでは、しかも物の貿易だけで、サービスとか知的所有権その他十五分野にわたる効果ではないというふうにも承知しております。  そういうことを申し上げた上で我々としては六兆百億円、これは事業費ベースですから、したがっておおむねその国費率は五割以下、大体五割だと、補助率がそれぞれ違いますからと我々としては考えておるわけでございます。これの国民所得といいますか、それはやっぱり定量的なものではなくて定性的にしっかりした経営ができるとか、あるいは生産性が上がるとか、そういうものとしてそれぞれの事業に即して我々はとらえておるわけでございますので、委員御指摘のようにマクロでどうだというようなことは、ちょっと申し上げかねるところでございます。

風間昶公明党・国民会議

○風間昶君 これはいずれ、今の時点ではわかりませんが、はっきりするときが来ると思うんですよね。その見通しを誤らないようにしていただきたい、ぜひともそういう部分でしっかりとやっていただきたいというふうに思います。  次に、中山間地域対策についてお伺いしますが、大体調べさせてもらいましたら、すべての都道府県に中山間地域、東京都でさえも抱えているということで、日本のように、特に北海道はカスベのような形をしてずっと南北に長い山合いの国、そういうところで土地の高度利用によるコストの削減といってもやっぱり限界があるのではないか。これはもうだれしも認めるところじゃないかと私は思うわけです。だったら中山間地域における棚田や段々畑をそのまま残すことが、国土保全の観点からいっても、ダムの代替機能を営むという公益的機能も有するんではないかと。そうすると、公益性に着目するならば何らかの資金を提供することが考えられるわけで、それが直接的な所得補償とは変わりはないとしても仕方ないんでないかなというふうにまた思うわけであります。  いろんなやり方があるでしょうけれども、僕なんか個人的に単純に考えると、森林率六七%という高い割合からいくと、広葉樹をベースにした混交林を中山間地にもっとふやしてもいいのではないか、耕作放棄地に黙ってするんじなくてゃ。  耕作放棄地が出てきた場合にそういったことも考えているんですけれども、もうちょっとマクロでいきますと、EU型の直接補償、条件不利地域に対する直接補償対策を参考にした、本当に日本型のハンディキャップを持った地域対策としてここは知恵を出さないとだめじゃないかというふうに私は思うんです。いわゆる日本型のデカップリングの導入について衆議院でも議論があったように承っておりますけれども、その部分について導入を端的に言って考えていらっしゃるのかどうか、お伺いしたいと思います。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(大河原太一郎君) お答え申し上げます。  委員の御指摘なさいました直接的所得補償あるいは日本型デカップリング、これについては各般の論議が国会、関係委員会等においても従来から行われておりますし、また外部の関係からも中山間地帯対策としていろいろ議論をされたところでございます。農政審議会の衣に隠れるわけではございませんけれども、この点については先般、国内対策の前提となった農政審議会の審議でも大きな論議をし、検討していただいたわけでございますが、構造改善がほぼ終了したヨーロッパと我が国では、やはり中山間地帯においては産業政策として農林業の振興あるいはその他各般の、所得機会を増大するとかあるいは生活基盤を整備するとか、そういう総合的な対策を重点に置いてまずやった方がよろしいという結論になりまして、直ちにその採用については積極的な意見の提示がなかったわけでございます。  それについてはいろいろな議論もあるかと思いますけれども、やはり現状維持的な所得補てん的な対策よりも、私どももこの中山間地域の活性化とそこにおける主産業としての農林業等々、あるいは中山間地帯が持っているそれぞれの自然資源、景観、そういうものを活用した収入機会の増大というようなものを行うのがまず第一義的ではあるまいかというふうに考えておるところでございます。  直接的補償方式については、中山間地域の一部の農林漁業者に対する所得補てんで、他の産業従事者との均衡はどうだとか、またそういう国民的な論議もクリアしながらこの問題についての結論を出さなければいけない、そういう面もございます。  ただ、農政審議会においても、各地で行われているいろいろな第三セクターとかあるいは基金とか、そういうものについては地方の創意工夫、自主性というようなことでそれぞれ取り上げてやることも望ましいというような提言があるわけでございまして、私どもも実はさように思っておるところでございます。

風間昶公明党・国民会議

○風間昶君 まさに大臣が今おっしゃったように、既に地方単独事業としてそういった、デカップリングと言っていいのかどうかあれですが、直接所得補償というふうに言っていいのかどうかが問題でありますが、既に、それに直接的ではないにしても、それこそまさに日本型所得補償という感じの部分が多くの県でスタートしている。その際に国としても、今、大臣はお認めになって、陰からの後押しというふうなニュアンスで今受けとめたんですが、今までどおりで直接的な所得補償じゃなくて、先に構造改善を含めて、あるいは都市とのいろいろな交流とかリゾートとかというのでは私は続かないと思うんです、ずっとは。そういう気がするんです。これまだわかりませんけれども、気がするんですね。  ちょっとここで話を変えますけれども、さっきのダムの代替機能ということでありますと私は国土庁が担当してもいいと思いますし、今、大胆がおっしゃった景観保持、自然をそのまま利用した景観の保持という観点、そのためにやるということであれば環境庁が担当してもいいというふうに思うんですが、仮に農水以外の他省庁の所管で所得補償的なものが創設された場合、それはWTO協定で問題になる国内支持に当たるんでしょうか当たらないんでしょうか、見解をお伺いしたいと思います。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(大河原太一郎君) お答え申し上げます。  このたびの国内対策につきましては、農業、産業としての対策が中心でございますが、一方、一番この農業協定受け入れに伴って影響を受けるのは中山間地帯だろう、したがってその地域の活性化のために総合的な施策を重点的に行うべきだというのが私どもの考えでございます。  これについては、例えば基盤整備事業等につきましても、平たん地域に対する大区画圃場整備その他、担い生育成に役に立つ、効果を発揮する事業というものに対して、中山間地帯でも傾斜度が強い高いところ、したがってなかなか立ちおくれもあるということから、圃場整備とか農道とか農地防災事業とか、そういう各般の事業を総合的に行う事業をやはり重点、加速的に行うということで、基盤整備事業の事業費二兆五千五百億の中でその四割を中山間地帯に割いて重点的に行うというような点をしておるわけでございまして、やはりWTO協定の農業協定受け入れに伴う対策として既に取り上げているところでございます。

風間昶公明党・国民会議

○風間昶君 わかりました。  次に、中山間地域振興の観点から、来年度からスタートさせて六年間で市町村に地方交付税措置で配分するという農山漁村ふるさと事業、内容について若干知っておるわけでありますけれども、その前に、竹下内閣時代に創設された六十三年、平成元年のふるさと創生資金、金塊を買ったとか宝くじを買ったとかいう記事もあって、いわば批判も出たことは出たわけですけれども、六年間ふるさと創生資金が経過しまして、農林水産部門での運用があったのかどうかちょっとお伺いしたいんですけれども。

野中広務自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(野中広務君) 委員御指摘のように六十三年、竹下内閣のときに、一市町村、人口にかかわらず一律一億円というふるさとづくり事業を始めたわけでございます。今、御指摘ございましたように、中には金塊を買ったとか、宝くじを買ったとか、ばらまきだというところもございまして、一部いろいろ批判をいただきましたけれども、この六年間を振り返りますと、非常に地域にインパクトを与えまして、そして市町村長がみずから考えみずからつくるという、そういう意欲を持ってくれたことは非常に大きな成果を得たと思っておるわけでございます。  そんな中で、農村の中でどういう事業があったかと、私はすべてを承知する立場にございませんけれども、これから高齢化が進んでいく中において一方において少子化があるということで、例えば一つの町におきましては、子供が三人以上生まれた場合はお祝いを一時金として三十万差し上げる、そしてその子供が中学を卒業するまでその家族全体に月五万円渡すとか、そういう基金にしたところとか、あるいは農山村でそれぞれ荒廃した林野を公有化いたしまして、そして老人クラブ等にささやかな手当を出して公有林の清掃あるいは伐採等の手当てをして、従来マツタケの出なかったところに意外にマツタケが出だしたとか、そういう効果を私ども見せられたり、あるいは加工場をつくりまして地域の特産を、これも地域の老人あるいは婦人の皆さん方がつくり出しまして物流センターでこれを販売するとか、さまざまな取り組みがされまして、今では非常に地域に根づいておるわけでございます。  昨年、人口百七十人の青ヶ島村から二百万人を超える市まで一律一億円というのはどうもやっぱりもう少し見直さなきゃいかぬじゃないかということで、最低を六千万にいたしまして、最高を一億六千万にいたしまして、そして人的交流とか地域間交流等の問題をも含みながら、適正なある程度の規模でそれぞれ交付税配分をしたところでございます。  この事業はこれからも、今、別にお願いをいたしております農山漁村ふるさと事業とは別に続けさせていただきたいと願っておる次第でございます。

風間昶公明党・国民会議

○風間昶君 今お話がございました農山漁村ふるさと事業は少なくとも農山漁村の活性化のために目的があるわけですから、試行錯誤ももちろんこれはしていかなきゃならない部分もあると思います。全部やれば大当たりというふうにはなかなかいかないのもこれは現実的な問題だと思います。だから、投資がどぶの中に入るのではなくて土の中にちゃんと返るような、それできちっと日本の自然が、農山漁村の自然が守られるということが大事な観点になると思います。  そうすると、効率的な使い方をするためには、今、野中大臣がおっしゃったように、ふるさと創生資金の農林水産部門での運用との違いをどうやって出していくかというのも、またこれは知恵を使わなきゃならないのじゃないかと思いますけれども、自治省としてその使い道というか、使い方について何らかの指導、ガイドラインみたいなものを今考えていらっしゃるんでしょうか。

野中広務自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(野中広務君) これは今申し上げましたように交付税措置をするものでございますから、基本的にはそれぞれの市町村が自主的、自律的にやっていただくものでございます。  ただ、今日までのふるさとづくり事業につきましては、いろんな市町村で行われました非常に特徴的ないいものを全国の自治体に紹介する、そういうやり方をいたしまして、できるだけすぐれた事業が地方に根づいていく。そしてまた、そういうものを参考にしながらいいアイデアが出てくるというように考えております。特段私どもがこうしなければならないという立場には立たないつもりでございますけれども、できるだけそういうメニューを示していくという、それぞれの地域でやられておるのを御紹介していくということはこれからも続けていきたいと考えておるわけでございます。

風間昶公明党・国民会議

○風間昶君 まさに、ふるさと創生資金との違いをどうやって出していくかということも知恵の使いどころだと思います。それで、この中山間地域対策というか中山間地域の振興は、私はやっぱり農業政策の枠内だけでは無理があると思っておるんです、この部分は本当に行政の垣根を越えた地域政策としての展開が求められているわけですから。  では、農水省としてそれをどうやって受けとめて、共管の形でいくか、あるいは協調しながらいくか、自治省のこの農山漁村ふるさと事業とのかかわりをどういうふうに農水省としていかれるのか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(大河原太一郎君) ふるさと創生事業について今、自治大臣からお話ございましたが、そういう事業の実施内容等については、十分国費を伴う事業についても連携をいたしてその効果を発揮いだすというのが建前であるというふうに思うわけでございます。  なお、やや余計なことになりますけれども、今、委員がまさに地域政策だと。したがって、農水省の枠を超えた事業が必要だとおっしゃっていた、そのとおりでございまして、このたびの国内対策においても、受諾したときに総理を長とする緊急農業農村対策本部が内閣にできまして、そして関係大臣が全部本部員として、例えば建設関係である交通アクセスの改善とか、あるいは医療だとか保健、福祉等についての厚生関係とか、あるいは上下水道の整備、特に下水道についての整備等、それから情報通信網の整備とか、これは関係所管大臣がそれぞれその所管の事業に即してこの中山間地帯に対する重点的な配慮をして事業を進めるべしということになって、しばしば会議を開きまして構想等を出し合っておるということでございまして、国内対策は農林関係中心でございますけれども、総合的な地域対策を実施していきたいというのが政府全体の方針でございます。

風間昶公明党・国民会議

○風間昶君 その情報を私にもいただきたいんです。野党だから来ないのかどうかわかりませんけれども、ぜひ教えていただきたい。それは、与党、野党ということじゃなくて、本当に国民のためになるには一致団結してやらなきゃならないことだと思うんです。日本の農業を守るというだけじゃなくて、日本を本当に世界の中できちっと存在感を示していくためにも私は必要じゃないかというふうに思いますので、ぜひお願いしたいと思います。  次に、畜産、酪農対策について二点ばかりお伺いしたいんです。  今回の加工原料乳生産者補給金等暫定措置法十四条の削除といいましょうか、例の指定乳製品の一元輸入の見直しで、国内の関税相当量の支払いをすればある意味ではだれでも輸入できるようになったことで、国内の需給事情について私は当面は大丈夫だろうと思うんですよ。問題は、酪農とか畜産はやっぱり六年間ぐらいを展望しているものですから、むしろその六年目以後は本当に大丈夫なのかという懸念があるわけですけれども、この点についてはどうですか、大臣。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(大河原太一郎君) お答え申し上げます。  もう委員御案内のとおり、今度の乳製品の関税化、畜産振興事業団による一元輸入から配給制度からいわば関税化されたわけでございまして、関税相当量は相当高く取っておりますけれども、しかもそれを超えた場合には輸入差益を徴収するということでございまして、それからまた通常輸入、カレントアクセス分についても事業団が差益を徴収して事業団がその需給操作をいたすというようなことで、ある意味では国家貿易をかみ合わせた措置が交渉の結果獲得できましたので、その点については、我々としても当面の点については心配しておりません。  今後の問題としてはやっぱり酪農の生産性を高める、その点においての各種の施策でございます。お尋ねがあれば申し上げますけれども、そういう施策を講じて我が国の土地利用型、あるいは国民の栄養上の大事な乳製品について対策を十二分に講じてまいりたい、さように思っております。

風間昶公明党・国民会議

○風間昶君 最後に農水大臣、今回の国内農業対策の決定後の記者会見で、米の部分開放などで衝撃を受ける農家や農村の不安に前向きに対応するものだというふうに御発言されたと伺っていますが、しかし今までの議論の中でまだやっぱり総花的かなと。私の理解度の問題もこれあり、大臣の説明の仕方もこれあり、いろいろあるんでしょうけれども。どういう農家を支援していくのか、農水省の明確な決意が生産者農家に伝われば私は勝ちだと思うんです。  今回の対策で衝撃を受ける農家というのは具体的にどんな農家なのか、どういうイメージでそうおっしゃられたのかということが一点。もう一点は、本当に十分な内容を持った農家支援のために今回のこれはあるんだというふうに認識しているんですけれども、大臣の懐の深いところをお話しいただいて、質問を終わりたいと思います。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(大河原太一郎君) やはり米という基幹的な作物についてはミニマムアクセスが認められたと。それから厳しい交渉で、反対しておったけれども関税化されたと、その他各品目、十品目でございますが。そういう点で関係農家がそれぞれ衝撃を受けたことは確かでございますが、特にこういう困難な農業情勢の中でもあえて農業によって頑張っていこう、自立しようと、そういう農家の方々は殊さらに影響を、心理的なショックを感じたと思います。  したがって、このたびの対策は、やはり意欲を持って積極的に農業によって自立しようとする農家の皆さんに対してこれを激励鼓舞すると、そのための諸条件を整備するというような視点を中心としてやっていこうというわけでございます。もちろんその場合には、地域においては兼業農家の皆さんその他はございますが、それぞれ地域においてそういう担い手を核とした労働力とか農地を分担し合って地域における農業生産を活性化するというようなことのためにこのたびの対策を重点的にやっていきたい、さように思っておるところでございます。

風間昶公明党・国民会議

○風間昶君 ありがとうございました。

西野康雄新党・護憲リベラル

○西野康雄君 新党・護憲リベラルの西野でございます。  食糧の自給率の問題等々随分と取り上げられてまいりました。九〇年代に入って、日本だけでなく韓国も含めた先進工業国家で急速な穀物自給率の低下が見られるようになりました。アジア諸国の工業化の進展と農業生産の拡大の間にギャップが生じること、これは目に見えているかと思います。そういった摩擦が世界の食糧需給を過剰から不足へ一転させてくるというおそれがまことに多いかと思います。事実、食糧需給の予想というものは逼迫の方向に向かっているということが各種の報告書で報告されております。世界的に見て食糧不足であることも事実です。  今後、食糧不足の国々から逆のことが要請されてくるのじゃないか。日本が減反で米の生産を制限しながら安い食糧を大量に輸入している、こういうことに対しての非難の声が寄せられるであろうし、世界の飢餓を増大させている元凶という声もちらほら聞かれるようになりました。  現在は食糧の輸入自由化に向けて動いております。しかしながら、金に物を言わせて大量輸入をするということが国際摩擦の新たな要因となるということも考えられますし、そういう観点から見ても、食糧自給率の向上というものの下準備を私は合しておかなければならないのじゃないか、そんな思いをいたしておりますが、大臣どうでしょうか。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(大河原太一郎君) そもそも論で恐縮でございますが、我が国の食糧自給率の急速な低下、これは韓国もさようです。わかります。というのは、食生活が戦後大変変わりまして、でん粉質の食糧から畜産物あるいは油脂分、これの原材料はトウモロコシとかあるいは菜種、大豆等でございますが、我が国農業では遺憾ながらその耕地面積を持っておりません。  御指摘のように、先進国の中で異常に低いこのような低下はやはり非常に問題であるし、今おっしゃいましたように、国内資源を活用して自給率を高めようとしないで金に任せて諸外国から輸入をするという批判も高まっておることも確かでございます。  そういう意味で、今度の国内対策におきましても、先般の農政審議会の報告においてもやはりこの自給率の低下に歯どめをかけるような施策を講じようということでございまして、国内対策においてもしっかりした担い手をつくって、それを中心とした国内生産を力強く推し進めていくというのが我々の考えでございます。

西野康雄新党・護憲リベラル

○西野康雄君 食糧自給率が低下をしてきたということの一つの原因は、日本が経済を発展させるときに、例えばヨーロッパは今でもきっちり食糧自給率が高いじゃないかとか、そういう論議がされます。しかし、それは安価な労働力を海外の出稼ぎ労働者から吸収していった部分と日本は違うわけです。向こうは、ヨーロッパは農村地帯を結構温存させながら安い海外の労働者を受け入れていった。日本はテークオフするときに兼業化という形で労働力を工業の方に引っ張っていったという、そこの部分の構造的な違いをはっきりさせておかないと、同じように経済のベースがこれだけ上がっているからといって、それでヨーロッパと日本とを比較してはならないと思うんですね。  だからこそ、食糧自給率を上げていくときに、農村というものを再構築していくという作業が一つ必要であろうかと思いますし、また、労働生産性ばかりにこだわってきて日本は随分失敗しました。大規模大規模と、規模拡大、単作だと言っているけれども、そんなものをやったってそれはもうアメリカに負けるのはわかっているんです。そうすると、労働生産性ではなくて日本独自の土地生産性をどういうふうに上げていくかとか、そういうふうなことが必要ではないだろうかと思います。  日本というのはずっと古来から水田だけじゃないんですね。確かに米というのは多くの人口を養うことはできるんですが、そうではなくて、水田を中心にして結構多毛作をやってきたわけですね。米麦だとか、野菜だとか、あぜにいろんなものを植えてみたりとか、そういうふうな土地利用の立体化ということが随分とあったわけですね。それが経済の発展とともに兼業の方が簡単に所得が得られるということで、あぜ道に大豆を植えなくなったりとか、いろんなことが重なってまいりました。そういうふうな兼業の方へ簡単に所得が得られるという理由などからやっぱり崩れていって、これが日本の農業総生産の縮小、食糧自給率の低下というものをもたらしてきたわけです。  ですから、新しい日本型の複合経営というのを打ち立てていかなければならない。今、そういうふうなものは有機農法という形で少し芽が出てきておりますが、日本農業の独自の行き方というものが私は可能だと思うし、そうしていかなければならないと思うんですが、農林大臣の所見はいかがでしょうか。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(大河原太一郎君) お答えいたします。  経営の類別十等についてまでお話がございますが、今度の対策におきましても、一昨年のいわゆる新政策で経営展望を示しました。そこの中では、モデルを簡単にするために水田単一経営というようなことで、これがモノカルチャー的であるとかというような批判もいろいろ受けておりますが、その他にも今お話しのような水田プラス何々、野菜なり麦なりあるいは大豆なり等々の複合経営の類別十も示しておりまして、実際の地域地域の育成すべき経営目標を今、各県、さらに市町村で類別上をつくっております。お話しのような複合経営、地域の事情に応じた複合経営というものが取り上げられておるわけでございまして、私はその点については、やっぱり地域の実態、それに応じた経営の目標が立てられるべきであるというように思います。

西野康雄新党・護憲リベラル

○西野康雄君 やっぱり農村の基盤を壊してしまったということが今、一番、反省すべき点ではないだろうか、そんな思いもいたしておりますし、事実そうであろうと思います。  兼業という形で労働力を吸収してきたというふうなこと、これは複合経営とかを進めていかないと、では規模拡大して専業農家ばかりつくりゃいいのかというと、今度四百万人ほどのそういう方々が、兼業でやっていた農家の方々がはじき飛ばされる。それを日本国内でどうやって吸収できますか。できないと思いますね。  そうすることを考えると、やはり複合経営だとかそういうふうなこと、そして労働生産性というふうなことだけではなくて土地生産性ということもきっちりと考えていかなければならない。日本の農政の中で労働生産性ばかりおっしゃるけれども、それを追求していっても四百万人、五百万人と農業からはじき飛ばされた方々を吸収できないですね。そういうふうなことを考えると、労働生産性だけでよいのだろうか、そういうふうな思いをいたしておりますし、その部分においても農政のところで視点を持っていただきたいということを御要望申し上げます。  外務大臣もお帰りになられました。突如としての御質問でまことに印しわけないかなと思うんですが、アメリカではWTOの事柄に関して、これはもう国益に反するときには三〇一条の条項の対象を拡大するんだとか、そういうふうなこともたくさん要望として川されておりますし、国益に反するようならば脱退していいんだと、そういうための監視機関を設けてもいいんだというふうなことが言われております。  私は、WTOの運用だとか協定の適用状況について恒常的に把握をしていく、そして日本の適切な対応を講じていくため、国会としても何らかの機関を設置していくべきではないだろうか、そういうふうな思いをいたしております。例えば、このWTOの特別委員会をずっと存続させておいても私はいいのではないだろうか、年に一回WTOの状況を報告してもらうとか、そういうふうなことがあってもいいのじゃないだろうかと思うんです。国会と政府と違うんやとけんもほろろに言われると困りますけれども。  しかし、河野外務大臣、またWTOで一番必要な部分としての重要な問題というのは農業問題ですから、ちょっとお二人の大臣からお答えを願えればと思っております。

河野洋平自由民主党外務大臣

○国務大臣(河野洋平君) アメリカは、西野議員御指摘のように、監視委員会のようなものをつくろうという話が、まだ具体的に決まったわけではないのですが、行政府と議会との間でそうした話し合いがあるというふうに伺っております。これらは、WTOというものが本当にフェアに動くのかなという、やや疑いの目で見ているといいますか、不信の目で見ている部分があるのではないかという感じがするわけです。もちろんアメリカも、私ここでも御答弁申し上げましたが、アメリカに不利益なパネルの報告が出たからといってけしからぬと言うつもりはない、それが恣意的に、不当にアメリカが不利に扱われたら物を言うよと、こういう構えでございます。  本来、こうした国際的な機構というものはフェアに行動をするという信頼保がなければこれはできないのでございまして、機構をつくる前からこれはひょっとしたらアンフェアに動くかもしれないぞという目で見ていたのでは、これはなかなか機構は本当に動かないのではないかという気がいたします。しかし、アメリカは議会がいろいろやかましいことを言うものだから、昔からそういう伝統がともすればあるというふうにも言われておりますが、この機構自体がフェアに動くと信頼をしなければ、こんなつらい、例えば農業の分野などでつらい思いをしてこの機構に入るということ自体が意味がないわけで、我々はやっぱりこの機構はフェアに動くというふうに確信をしているわけです。  もし我々にそういう気持ちがあるのなら、むしろWTOの中に日本から事務局に人を入れるとか、そういうことを我々これから努力するつもりでいるわけで、そうしたことを含めて考えたいというふうに私は思います。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(大河原太一郎君) お答え申し上げます。  ただいまの問題の前段については、まさに外務大臣が今お答えしたとおりでございます。  私どもの方で一番関心がございましたのは、農業法二十二条に基づくウエーバーという特別の除外制度、これと牛肉輸入調整法の問題でございましたが、いずれも実施法案の成立という点においてこれはかねがねアメリカが約束したとおりのことになりましたので、それはそれなりの受けとめ方をしております。

西野康雄新党・護憲リベラル

○西野康雄君 そういう答弁ですが、国会は国会としてこれからきっちりと、WTOとかいろんなものに対して、果たして十二分に機能しているんだろうかとか、そういうふうなことを我々の側は側でチェックをしていかなければならない、かように思っておりますし、委員長、またそういうふうなことも私の提案として頭の中で少し転がしておいていただければと思いますし、検討もまたいろいろな党の中でしていただきたいな、こう思っておりますので、御要望いたします。

矢田部理日本社会党・護憲民主連合

○委員長(矢田部理君) ただいまの西野君の御意見、御要望につきましては、扱いを理事会で協議することといたします。

西野康雄新党・護憲リベラル

○西野康雄君 質問を終えさせていただきます。

梶原敬義日本社会党・護憲民主連合

○梶原敬義君 私は商工委員会にも所属しておりまして、そういう立場で特許法の関係の質問をさせていただきます。時間が二十分なものですから、質問事項もゆうべ要点を差し上げておりますし、非常に短い時間ですので的確に答えていただいて、大臣には最後にまとめて質問させていただきたいと思います。  最初に特許期間の関係ですが、特許の存続期間というのは、日米フレームワークの協議並びにTRIPS協定によりまして最低二十年ということで合意をされたわけであります。我が国内はもちろん、諸外国からも我が国の特許の審査に時間がかかり過ぎると。我々が前、いろいろと議論しているときには三年七カ月ぐらいかかっておったこともあるんですが、このような強い批判があります。それだけに、登録から特許の期間が二十年になった場合に、審査に余り時間がかかるということになるとそれだけ特許の存続期間が短くなります。したがって、特許審査期間のより一層の短縮というのが求められているわけでありますが、この点につきまして、審査処理期間の現状と短縮に向けた施策というものを伺いたい。そのために、一つは工業所有権の審査処理期間の推移、審査処理期間の国際比較、審査処理期間の短縮のための改善手段、この点についてお尋ねをいたします。

高島章特許庁長官

○政府委員(高島章君) 先生御指摘いただきましたように、いかにして審査の期間を短くするかというのは私どもにとって今一番の課題であるわけでございます。  先ほど御指摘いただきましたけれども、昭和六十三年は約三年一カ月が平均の審査処理期間でございましたが、平成五年末では二年四カ月にまで短縮をしてきたわけで、そういう意味では弟実にその期間の短縮を図ってきたと我々は考えているわけでございます。  それから、御質問ございましたほかの国の事情でございますが、我が国の審査処理期間は米国及び欧州特許庁のそれよりも残念ながら長くなっております。具体的に申し上げますと、米国が一年八カ月、欧州特許庁が二年一カ月、いずれも九二、年の数字でございます。  それから、それに対してどういう対応、施策をとっていくのかということでございますけれども、まず審査官等の増員、さらにはペーパーレス計画の推進、そして先行技術調査を外洋化すること、さらには出願や審査請求を厳選してもらうように産業界に要請する等々、幅広く強力な施策を今までやってきたわけでございます。  今、期間短縮の目標といたしまして、御案内のように、日米構造協議での公約がございます、すなわち、平成七年末に、平均の審査処理期間を二十四カ月にするということになっておりまして、その公約を速成するために今、全力を挙げているところでございますが、内外の要請に的確に今後ともこたえていきたいと存じている次第でございます。

梶原敬義日本社会党・護憲民主連合

○梶原敬義君 随分努力をされているのはわかりますが、果たして二十四カ月でやれる自信はあるのか。電子出願の状況、あるいはペーパーレス計画がうまくいっているかどうか、要員の増加、このような対応について当面どのように取り組んでおられるのか、お聞きします。

高島章特許庁長官

○政府委員(高島章君) 審査の中核、かなめは審査官という、あるいは審判の中核は審判官ということでございますので、御指摘ございましたように、いかにしてその増員を確保するかということは非常に大切なわけでございます。  非常に財政事情は厳しいわけでございますけれども、数字を少し申し上げますと、過去五年間で審査官は百八十。二名、さらに審判官は同じく三十名の増員を確保してきているわけでございますが、今後とも所要の増員のために最大の努力を傾けたいと思っているわけでございます。  なお、増員と並びまして、先ほども触れましたペーパーレス計画といった形での機械化でございますが、これは逐一実績を上げてきておりまして、電子出願から今や幅広くペーパーレス化の実態が進んでおりますし、予算面でもこのための手当てを今、十二分に図りつつあるところでございます。

梶原敬義日本社会党・護憲民主連合

○梶原敬義君 次に、特許付与後の異議申し立て制度の導入が今度の新しい取り入れでありますが、この点についてお伺いしたいと思うんです。  日米包括経済協議知的所有権分野における本年八年の日米合意に基づいて、日本側は特許付与前異議申し立て制度を廃止し、特許付与後異議申し立て制度の導入を図ることになりました。従来、出願公告されて三カ月間認められておりました異議申し立て制度の廃止は特許審査機関の短縮には資すると思いますが、この度は特許の第三者に与える影響が大きいこと及び審査の公正を図ることから認められていた制度であると思います。  ちなみに数字を申し上げますと、平成五年で異議申し立てをした作数は、特許の場合が一万七百六十八、実用新案が二千八百十七、商標が三千二百六と、このようになっておりますが、廃止によって問題はないのか。  二番目もついでに言いますが、付与した後の手続、審判制度、これもまた非常にやり方に時間がかかるし問題が出るのではないかと思います。そういう心配がありますが、この点はいかがですか。

油木肇特許庁特許技監

○政府委員(油木肇君) お答えします。  現行の特許付与前の異議申し立て制度は、瑕疵のない安定した権利を付与するという点では意義のある制度と我々も考えております。しかしながら、こうした制度におきまして、出願公告された出願のうち実際に異議申し立てがなされますのはわずかにもかかわりませず、すべての出願につき一律に異議申し立て期間を経過するまで権利設定を待たなければならないという点がございます。  また、異議申し立てがなされた場合、実際に申し立てが成立し特許椎が認められなくなる利く口は多くないにもかかわりませず、多数に及ぶこともある異議を処理しなければならないという点で、結果として特許椎の成立がおくれることにもなるといったように、迅速な権利付与という点では問題点を有していたというふうに申し上げなければなりません。  他方、諸外国の制度を見ましても、先進国の多くは特許付与後の異議申し立て制度を採用しておりまして、制度の国際的調和を図る視点からも我が国の制度改正が求められたところでもございます。  以上申し上げましたように、迅速な権利付与を実現するとともに、制度を国際的に調和したものとするために付与前異議制度から付与後異議制度への改正を御客談いただいているわけでございます。  なお、現行制度におきましては、異議申し立てにより拒絶査定となりますのは、出願公告がされた出願に対して二、三%という程度と考えております。付与前異議制度を廃止したことにより直ちに瑕疵ある特許が頻発するといった問題は生じないものと考えておりまして、さらに審査段階における公衆審査がなくなることも考えまして、第三者による情報提供制度の拡充を図ること等によりまして審査の充実に努めてまいりたいと思います。  また、もう一つ御懸念の審判制度の観点でございますが、その点は人員等の配置等を含めまして十分手当てのできる体制をとってまいりたいと考えでございます。

梶原敬義日本社会党・護憲民主連合

○梶原敬義君 特許特別会計について現状は、これは役所のする社中の中で熟字は少ないんだけれどもなかなかうまくやっていると思うんだが、歳入歳出の状況、簡単で結構です。

高島章特許庁長官

○政府委員(高島章君) 先生既によく御存じでございますけれども、特許行政は収支相償の原則、すなわち収支相償うという原則に立ちまして特別会計で運営をしているわけでございます。  この特別会計につきましては、実は昨年七月に国会の審議をいただきまして料金改定をいただいたところでございます。少し数字を申し上げますと、平成六年度の予算で歳入が九百十六億、歳出が七百五十。二億円ということになっております。歳入の内訳は、ほとんど特許の印紙収入、出願料の料金でございます特許の印紙収入でございますが、歳出の方は人件費と機械化料費とその他、それぞれ大体、二分の一ずつということになっているわけでございます。  今後、こうした歳入と歳出の構造につきましては大きな変化はないというぐあいに考えておりますけれども、こういった収支相償の原則に基づくものでありますことを十分留意いたしまして厳に料費の節減に努めてまいりたいと思っている次第でございます。

梶原敬義日本社会党・護憲民主連合

○梶原敬義君 次に、今度の改正点の主なところは、英語によって届け出ができるということになります。これはまた、英語で一々審査をする。学のことも大変で陣容も大変だと思うんですが、その点はさらに事務処理が遅延するのではないかという心配はありますが、この点はいかがでしょうか。短くていいですよ。

油木肇特許庁特許技監

○政府委員(油木肇君) 簡単に御説明させていただきます。  先生おっしゃるとおりに、新たな手続が加わることは事実でございます。具体的には、新たに翻訳文や翻訳訂正書の受け付け、あるいは方式審査等にかかわる業務、さらに実体審査における明細書等の読み直しの業務が発生することは確かでございます。  たた、しかしながら英語出願件数は我々の調査で申します全特許出願件数の約二%程度と予測されますことから、増大する事務量もさほど大幅なものではないというふうに考えられます。  基本的に処理の遅延を招くことのないように考えられているのが現状でございまして、新制度の導入に対応した業務量の変化等を踏まえて、今後とも必要な人員の確保や適正な人員の配置を行うなどをいたしまして、処理の遅延が起きることのないよう十分留意してまいる所存でございます。

梶原敬義日本社会党・護憲民主連合

○梶原敬義君 そのようにぜひ努力をしていただきたいと思います。  これは同じく日米関係ですが、日米包括経済協議の知的所有権分野における日米合意によりまして、今言いましたように、英語出願を日本は認めるようにいたしましたし、また特許付与後の異議申し立て制度の導入に踏み切りました。  一方、米国側は、特許期間の適正化と特許出願内容の早期公開制度の導入等を実施することとなっておりますが、アメリカの対応はそのように進んでいるのかどうなのか、米国議会における特許法の改正の方向というのはどのようになっているのか、米国の先発明主義の是正に対する見通しというのはどうなのか、この点について伺います。

高島章特許庁長官

○政府委員(高島章君) ことし二回にわたりまして日米の間で、それぞれの工業所有権制度の調和につきまして合意をしたところでございますが、その内容につきましてアメリカ側も今、非常に誠実にその実行を図っているところでございます。  具体的に申し上げますと、まず二十年の特許の期間、シーリングの件につきましては、先般成立いたしましたWTOの関連法律の中で既に取り込まれておりますし、それからもう一つ大きいアメリカ側の措置といたしまして、早期公開制度というのがございますが、これは既に九月三十日に法案が提出をされているわけでございます。  それからアメリカの一番大きい問題でございます御指摘ございました先発明主義につきましては、残念ながらまだアメリカはそれにつきましての動きが具体化しているわけではございませんけれども、欧米等々とともに、今後の先願主義への移行につきまして我々は説得を続けているところでございます。

梶原敬義日本社会党・護憲民主連合

○梶原敬義君 通産大臣、時間がなくなりまして、要望だけしておきたいと思います。  一つは、特許庁というのは特別会計で自前でやっておりますから、できるだけ、今のように滞貨が百十六万ぐらいたまっておりますから、この陣容の強化、確保をお願いしたいということ。それから大企業が我先にと、何かあるとつばつけのようにどんどん申請、登録申請をする、こういうやり方にやっぱり自粛を求める必要があるということ。三番目に、対米交渉についてはどうも全体がやっぱり弱気のような気がしますから、この特許関係についてもひとつ、従属的な交渉じゃなくて打って出るような強い交渉をしていただきたいと思います。  以上、要請であります。  最後に、外務大臣。きょうずっとこれまで聞いておりまして、いわば我が国はガット体制から新しいWTO体制に移ることになるわけであります。すなわち、物の貿易から知的所有権まで広がり、さらにはこれらのことが食糧の安全性あるいは環境にいろいろ及ぼす問題に発展してくる。国民生活あるいは国内産業に重大な変化というか影響を及ぼすわけであります。したがって、当分の間、政府は国会の求めに応じてWTOの状況についての報告を行ってもらいたい、行うべきだと、このように考えますが、いかがでしょうか。

河野洋平自由民主党外務大臣

○国務大臣(河野洋平君) 先ほど西野議員のお尋ねにもございましたが、WTO協定が仮に発足をいたしますと、さまざまな機構ができてくるわけでございます。そこで、どういうことがどういう順番で進んでいくかということは今まだちょっとこの時点で想定ができませんが、お尋ねのように、国会で御下問があればもちろん喜んで私ども御説明を申し上げたいと思いますが、これは必要に応じてということで心得ておきたいと思います。

梶原敬義日本社会党・護憲民主連合

○梶原敬義君 終わります。

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○会田長栄君 会田でございます。  TRIPS協定に伴う所要の著作権法の改正の内容につきましては、この委員会の審議の中でも、現行の著作権法においてのみ込まれているということがよくわかりました。しかし考えてみれば、参議院の文教委員会においては、第百十四回国会平成元年六月十六日、第百二十回国会平成三年四月二十三日、第百二十五回国会平成四年十二月七日、附帯決議が関連をして上げられております。  ウルグアイ・ラウンド交渉の中ではさまざまなことがあったと思いますが、私はこれらのことも踏まえながら次に質問をしてまいりたいと思います。率直に誠実にお答え願いたいと、こう思っております。  まず著作権について伺います。  TRIPS協定では、著作権保護の基本条約であるベルヌ条約の最新規定の保護内容をすべて遵守しなければならないと規定してあります。これによりベルヌ条約の保護内容が多くの国に拡大することは、著作権制度の国際調和を図る上で大変大きな意義を持っているものと私は思います。しかし、著作者人格権については、ベルヌ条約遵守の唯一の例外があります。TRIPS協定から除かれているという問題であります。著作者人格権は、みずからが著作物の創作者であると主張する権利、著作物が勝手に改変されない権利等、著作者の人格的な利益を保護する重要な権利であり、欠くことのできない課題だと認識しております。  そこで、まず外務大臣にお伺いいたしますが、TRIPS協定で著作者人格権が除かれた背景にはアメリカの事情があったのだろうと思いますが、とりわけその事情に基づいての強い主張があったと聞いております。その経緯、あるいは背景、理由といったものについてお聞かせいただければ幸いであります。

河野洋平自由民主党外務大臣

○国務大臣(河野洋平君) 著作者人格権は、議員がおっしゃいましたように、著作者が創作者であることを主張する権利、あるいは著作者の名誉などを害するおそれのある侵害に対し異議を申し立てる権利というものでございます。TRIPS協定の交渉の過程で、こうした権利は国際貿易に密接に関連するような財産的な権利ではないので、知的所有権の貿易関連側面を取り扱うことを目的としたTRIPS協定の枠組みの中で取り扱うことはなじまない問題であると、こう考えられてこの協定の規定から除外されることとなったわけでございます。  そうした過程の中で、今、議員が御指摘になりましたように、アメリカの姿勢というものがあったのではないかと、こういう御指摘でございますが、確かにアメリカがこの協定において著作者人格権の保護を定めることに消極的であったことは事実でございます。  しかし、いずれにせよ、さまざまな交渉、やりとりの結果、協定の適用から除外するということに全体の合意ができたという、結果として合意ができたということでございまして、この点、結果としては全員が納得をしたと、こういうことでございます。

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○会田長栄君 それでは次に、アメリカは著作者人格権を遵守するベルヌ条約の加盟国でありましょう。にもかかわらず、著作者人格権の保護があいまいなんです、率直に言いまして。それはなぜあいまいなのか、その点を一言聞かせてください。

与謝野馨自由民主党文部大臣

○国務大臣(与謝野馨君) 米国におきまして著作権の人格的利益が法律上あるいは運用上どのように確保されているのか、その詳細については実は水加をしていないところでございます。  なお、ベルヌ条約においては、締約国において著作者に対し著作者人格権を与える義務が規定されており、米国は一九八九年にベルヌ条約に加入する際、この義務を満たした上で加入したものであるという認識を持っております。

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○会田長栄君 それは私からわかりやすく言えば、この条約と関連して大企業を中心として反対する声が強いんでしょう。したがって、その強い声を背景にして実は唯一の例外規定になったんだと私は思っています。  そこで、実はアメリカとの著作物の流通が多い我が国にとって、このことはいつまでもこのままにはしておけないのではないかと感じます。したがって、この問題は私にとっては不安なんです。  そこで、文化庁に次にお伺いします。  日本国民著作者人格権がアメリカで適正に保護されているかについて、現状認識を素直に聞かせてもらいたい。

林田英樹文化庁次長

○政府委員(林田英樹君) お尋ねの作につきまして詳細を私ども承知していないわけでございますけれども、今日まで関係の権利者団体等ともいろいろな場面でお話し合いする機会があるわけでございますけれども、功作までのところ、特にそのことについて深刻な問題として私どもに要望があってはいない状況でございます。

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○会田長栄君 詳細に承知していないということでありますからそれ以上のことを聞いては酷だと、こう思いますけれども、文化庁としては著作者の人格権の関係する問題であって、アメリカと日本との関係の中で日本にとって不利になるということであれば、それは日本国民に被害を及ぼすということでありますから、これは詳細に大いに研究、検記してほしいと思いますが、いかがですか。

林田英樹文化庁次長

○政府委員(林田英樹君) そのように努めたいと思っております。

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○会田長栄君 それはしっかり頼みます。  次に、TRIPS協定では著作者人格権以外にもアメリカの強い主張により設けられた例外が以外と多いと聞いています。TRIPS交渉がアメリカ主導で行われた感を私も強く感じます。そういう意味では、欧州も統合されてEUとなりました。一層EUの声も強くなるでありましょう。日本はこれらの欧米諸国の主張に押し切られないように、著作者分野あるいは著作権分野の国際ルール、これを確立するために今どうしても日本がリーダーシップを発揮する時期に来ていると、こう思うんです。そのことについて文化庁はどう考えますか。

林田英樹文化庁次長

○政府委員(林田英樹君) 御指摘のとおり、著作権につきましてはその利用の実態等大変変わってきている面かございますし、国際的な著作権の権利関係も大変経済的にも大きな活動にもなり、かつまた複雑にもなってきている面もございます。それから、いろんな機器等の発達によりまして相当新しい状態も出ておるわけでございます。  そういう意味で、私ども国内的な問題としても著作権審議会において多方面の研究をいただいておりますし、それらを踏まえながらWIPOにおきましてもいろんな見直し活動が行われております。実は、現在もジュネーブにおきまして各国の専門家の会合が開かれております。ただいまもそういう検討会議が開かれているような状態でございますけれども、私どももそういう機会には積極的に参加をいたしまして、日本の立場を踏まえた主張をしてまいりたいと思っております。

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○会田長栄君 次に、文化庁さん、これから文化庁としてこの国際ルールづくりのために日本がリーダーシップをとらなきゃいけないと今簡潔に申し上げましたが、これからコンピューターやマルチメディアの世界がやってまいります。著作者人格権すら例外規定になっているという今日でありますから、この点について積極的に取り上げて文化庁が既に準備に入ったんであろうと私は思っているんです。まだ入りませんというのでは遅いから入ったんだろうと思っています。  本当に準備に入っているのかどうか、改めてその決意を込めてお開かせいただきたい、こう思っております。

林田英樹文化庁次長

○政府委員(林田英樹君) 御指摘のように、コンピューターやマルチメディアの発達に伴います著作権保護の国際ルールづくりというものは大変大きな課題になっておると思っておるわけでございます。  文化庁におきましては、マルチメディアソフトに関する著作権上の問題につきまして既に、平成四年六月以来、著作権審虚会にマルチメディア小委員会を設置して審議を進めておるわけでございます。  平成五年十一月には既に第一次報告書が出されておりまして、その中では、マルチメディアソフトの製作者と権利者の両者の協議の場を設置すべきであるとか、著作物の適切かつ円滑な権利処理ルールの必要性というふうなもの、さらにはマルチメディア時代における円滑かつ適切な権利処理体制の整備のため、各権利者団体の権利の所在情報を統合して利用者に提供するシステムを構築し、管理連帯に当たる著作権権利情報集中機構というようなものを設ける必要もあるというふうな提言もなされておるわけでございまして、それぞれを受けとめまして私どもとしても必要な作業を進めておるというところでございます。

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○会田長栄君 それでは外務人山、今度のTRIPS協定で著作者人格権の問題などについてアメリカを中心としての例外、これがあるということであります。例外のある協定というのは弱い国だけ被害を受けるということだけは明らかになってまいりますから、今後そういう点についても営々と継続交渉をする決意をして、できる限りそういう条件を整備するというお考えがあるかどうかお聞かせください。

河野洋平自由民主党外務大臣

○国務大臣(河野洋平君) WTO協定の中で、先ほども御答弁申し上げましたが、各国がこの問題でいろいろ議論はございましたけれども、最終的に各国は納得をしてこの協定をつくり上げたわけでございます。  問題は、この協定が誠実に履行されるかどうかということが人、の段階は何より重要でございます。協定はあるけれども、さらに力のある者がこの協定を無視して何かするというようなことがあってはなりません。各国が合意をしたこの協定が誠実に履行されていくかどうかということをきちんと監視するということをいたします。

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○会田長栄君 次に、文部大臣にお伺いいたします。  本年十月、大江健三郎氏のノーベル文学賞受賞といううれしいニュースが日本に入りました。我が国の文学が世界レベルにあることが実証されたことは大変意義深いものと私は感じます。しかし、大江文学のように世界で愛読されている例はまた一部であります。それは、我が国のすぐれた文学作品の多くは、英詩などいわゆる外国調に翻訳されていないという状況があるからでありましょう。  そこで、文化発信村会を構築するためには日本文学の英詩などへの翻訳を国が積極的に支援し、すぐれた文学作品の海外への紹介等を私は推進する必要があるのではないか、こう思っていますから、人山の所見を承っておきたいと思います。

与謝野馨自由民主党文部大臣

○国務大臣(与謝野馨君) 先生の御指摘は、日本の文化活動あるいは文化発信という意味から、日本のすぐれた文学作品等を積極的に海外に細分すると。そのためには、商業ベースに乗らないものに対しては国が援助をすべきだ、こういう御意見だろうと存じます。  例えば、大江健三郎さんの作品についてはいろんな国の言葉というものを含めまして百点以上が紹介されるということで、国が援助をいたしませんでもすぐれたものはそれなりに自然に海外に紹介されております。しかしながら、それほど著名でなくとも、日本の文化をよくあらわしている、よく象徴しているというような作品について積極的に国として紹介をしていくということの必要性は、先生の御指摘のとおりだと存じます。  一つは、民間の財団等が行っている事業の中に翻訳を援助するという事業がございまして、こういうものは民間の財団にさらに御協力をお願いするということになります。また、外務省が所管しております国際協力基金におきましても翻訳事業をやっておりますし、また文部省もユネスコを通じまして日本文学を翻訳するための拠金を出しているところでございます。今後さらに、日本のすぐれた芸術作品を言語の壁を乗り越えて世界じゅうの方に御理解いただくという重要性については先生の御指摘のとおりだと考えております。

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○会田長栄君 積極的な答弁をいただきましてありがとうございました。どうぞ今後とも御努力よろしくお願い申し上げます。  最後になりますが、これは本特別委員会の委員長にお願い申し上げます。  日本の農業を守れるかどうか、真剣な議論をこの委員会は尽くされてきました。WTOの活動状況を国会に報告を求めることは当然であり、やってもらいたいと私も思っています。国会、参議院の本委員会としてもそれを集中的に検討する何らかの受け皿というのが今後必要ではないか、これだけ議論があったのだから。その点で、本委員会は間もなく終了いたします。受け皿はございません。したがって、ここまで真剣に議論をし、なおかつ今後の問題を憂えてきたところでありますから、この国会の書誌で出た問題などを含めて今後の活動を円滑に進めるためにもその取り扱いについて委員長に御一任いたしますから、受け皿づくりについて検討を願いたい。  以上です。

矢田部理日本社会党・護憲民主連合

○委員長(矢田部理君) ただいまの会田君の御要望、御意見等については、委員長としても受けとめまして、その取り扱いを理事会で相談したいと思います。

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○会田長栄君 ありがとうございました。終わります。

小島慶三新緑風会

○小島慶三君 関係各大胆の方々、本当に連日御苦労さまでございます。よろしくお願いをいたします。私は、二、三、一般的な問題について御意見を承りたいと思っております。  まず第一に、外交というルートを通じての日本の意思の疎通というか、日本の立場の理解というか、こういう点についてであります。  今回のウルグアイ・ラウンド、七年を経てWTOのこの協定まで追い詰められたと申しますか、そういう過程を考えてみますと、やはり私どもとしては、関係の外務省の方々も、それをバンクアップされる農水省の方々も本当に身命を賭してというか、お骨折りをいただいたと思うんですけれども、結果的に見ますと、若干フーティングの上で非貿易関心事項といったようなものは入ったりしておりますけれども、本当に日本のこの立場が理解されているのかどうかという点については、若干は疑念を持っております。  実効上の問題からしますと、非貿易関心事項というのは、これはほとんど、要領よくといいますか、フーティングの上で残っているという程度であって、これは本当に意味を持たないというふうな感じもするわけであります。その基本には、私はこのウルグアイ・ラウンドの本質に関する問題が一つあると思うんですけれども、それはやっぱり農業と工業といったようなものの根本的な違いというものがあると思うんです。農業と工業、たびたびいろんな意見もありましたように、確かに違うんですね。  私は海外に工場を五つばかりつくりましたけれども、工場をつくるというのは割に楽なんです。技術があって資本があって労働力が集められれば、これは日本と同じものができます。したがって、市場機構を通じてそのできた製品というようなものを比較しましても何ら問題はない。要するに、コストを比較するにしてもそれから製品の質を比較するにしても問題はないんですね。ところが、農業はそうはいかないんです。農業は国土、自然、その状況が違えば違うほど皆違うのであります。だから、そういうものを一括して普遍的な基準とでも申しますか、そういうもので律するということ自体が違うんじゃないかというふうに私は思っております。  一般に農業と申しましても、土地利用型と施設利用型とありますし、これは全く違います。それから、西欧あるいはアメリカのような、私に言わせればいわゆる略奪型の農業と、それから日本のように自然環境と調和した見事な仕組みをつくっているところ、調和型農業とはこれは全く違うわけであります。それを同じベースの上でやるというのは、少しやはり関係の方々がいわゆる市場経済論といいますか、近代経済学的な市場経済論にとらわれ過ぎているのじゃないか、そんな感じがしてならないわけであります。ですから、市場経済の上では環境もカットされる、生態系もカットされるということで、人間の営みである農業にとっての大事な要素というのはどこかへみんなカットされてしまうということであります。  だから、日本の貿易の自由化の問題について、農業の自由化の問題について、いろんな近代経済学を旨とする先上方がそういう立場からして自由化賛成だ、あるいはミニマム賛成だ、それが日本の農業のためになるということを言ってきたわけでありまして、それは私は全く間違っている、農業の本質を知らない人の意見であるというふうに今まで言って論戦してきたわけであります。そういうふうな風潮というか理論というか、そういう近代経済学的な理論武装だけでいっては、とても日本の農業というのはその特質が生かされるということにはならないと思うんですね。それで、そういう教育を受けた若い人たちが、有能なエリートたちが外務省、通産省あるいは農水省に入って、そういう立場で農業の交渉をしようとしても、それは本当に何かわからないで交渉しているような、そういうことがあるんではないか。高い安いとか、そういうことだけの議論になりますと、これは全く日本の農業はたまったものではないというふうに思います。  私は農水省に頼まれまして、何回か農水省の新入省者の研修に呼ばれてお話し申し上げたことがあるんですけれども、後でテーブルを囲んでいろいろ話してみますと、ほとんど農業のことは知らないで農水省に入ってくるということがある。もちろん外務省ではそういう方はいないでありましょう。私はそのときに、いろいろ役所の仕事は大変だろうけれども、例えば三カ月でも四カ月でもテーブルを離れて、地方を回って、農家へ泊まって、いろり端を囲んで夜っぴて話をする、酒は飲むだけ飲む、こういうことをやらなければ本当に農民の心というのはわからないということを申し上げたことがあるんです。  そういうふうなことを考えますと、やはりこれから外務省の力でも農水省のバックアップを得て問題の交渉をされるわけでありますから、お互いの気持ちの通うところで、問題を本当に理解している立場で農水省も理論武装し、外務省も理論武装して交渉するということがないと、どこまでいってもうまくいかないというふうなことになってしまうんではないかと大変危惧しておるわけでございます。  したがって、両大臣がおられますので特にお願いをいたしますけれども、そういう外交交渉に当たっての人材の配置、適材適所の配置ということをぜひお願いして、国内の近代締済学の先生たちの、私は雑音と言うんですけれども、雑音に迷わされないような、本当に農業のあり方を直視した立場での交渉というのをぜひお願いしたい。  先ほどもそういうふうな御質問もございましたけれども、これからまだ六年あるわけでありますが、六年間に次のステップというのはしっかり固めていかなければなりませんし、また七年目になって今の状況の継続あるいは積み増しということになりますと、本当に私が前のときに御質問したような惨たんたる水田の崩壊といったようなこと、あるいは中山間地帯の崩壊とかこういうことが出てくると思いますので、この辺はひとつぜひお願いしたいと思いますので、外務大臣、農水大臣、ひとつよろしくその辺のことをお願いしたい。

河野洋平自由民主党外務大臣

○国務大臣(河野洋平君) 議員からの御指摘は我々も十分考えているところでございます。  七年間にわたる交渉の中では、そうした視点に立って我が国が外国の方々と交渉をしたという場面もしばしばあったというふうに聞いております。まことに残念ながら、国際社会の中でそれがマジョリティーにならなかったということは、我々交渉を担当する人間にとってもまことに印しわけないこと、残念なことであったと思いますが、交渉を担当された方々は、それぞれ日本の国情というものを十分踏まえて、そして国際的に合意を、理解を得るべく最大の努力をしたに違いないというふうに私は確信をいたしております。  しかしなお、今、議員からの御指摘でもございます。私どもといたしましても、再三申し上げておりますように五年目が終了した段階で新たな交渉に恐らく入ることになると思うわけでございまして、そのときにはさまざまな視点を持ちまして交渉をするということになるだろうと思います。

小島慶三新緑風会

○小島慶三君 ありがとうございました。  農林大臣いかがでございましょうか。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(大河原太一郎君) 小島委員からの御指摘いろいろあるようでございますが、私も農林省の飯を食った男でございます。  一つは、やっぱり農業なり農村に対する情熱といいますか、そういうものが一番大事だ。さすれば、まさに理論武装についてもいろいろな学者の話もございます。例えば東大の小汗さんの本なんかを見ますと、それを引いてくると、これは近経の領域との理論闘争等についても役立つのではないかというぐらいに、やっぱり農業と農村、それから農政、これに対する烈々たる愛情さえあれば若い人たちにそれを持たせる、それによってやはり農政の内外の諸問題に当たる体制ができるのではあるまいか、私はそう思っております。  したがって、農水省でも入省者について農家とか漁家に入省後一月ぐらいの滞在研修をずっとやっておるようでございますし、それから地方庁、県との交流、これは当たり前の話ですが、市町村との交流、人事交流、これも相当な人数で現在やっておりますが、そういうものを通じて肌で農業農村なりを感じて、それをばねにしてしっかりした理論武装をして、今後のいよいよ難しくなります農政なりあるいは対外交渉等についても臨むような体制を固めるように努力をしなければならない、さように思っています。

小島慶三新緑風会

○小島慶三君 ありがとうございました。そういう国内留学というか、そういうことも非常に私は大切だと思っております。  これは外務省の所管でございましたか、国際農業者交流協会ですか、大臣が会長をやられておったんではないかと思いますけれども、そういうことで、往復の旅費だけ国で出して、そして農業青年を毎年二百人ずつアメリカに送る。これは大変すばらしい制度だと私は思っておるわけです。もう今まで二十年間で四千人を超えているわけでありますが、こういった農業青年がアメリカで汗を流して実務をやって農業のあり方その他を考えて、そして国内に帰ってきて村の中心人物になって、そして村おこしをやっている、こういう形がとれていまして、これは大変立派な制度だと私は思っております。  いつぞや、その四十人のアメリカで暮らした里親と申しますか、そういうふうな方々が集まったことがあるんです。そのとき、今の陛下もおいでいただいてお言葉をいただいたんですけれども、こういうものもやっぱり外交交渉の一つだろうと思うんですね、お互いにもう腹を割って話し合うということの機会があるわけでありますから。そのときにアメリカの方からは、日本に対するいろんな農業たたきのような話は一切ありませんでした。やはり農業者は相身互いというか、お互いにそういうことで理解が早いんだと思うんですけれども、やっぱりこういう形もこれからの外交の補佐役というか応援団として利用するということは大変いいことではないかと思っておるわけです。ワシントンでは日本たたきみたいなものは随分流付しておりましても、地方へ行きますと日本に対する理解は割にある。日本の農業に対する理解もある。  殊に、それから例えばさっき言った日本の農業の持っている本質的な有利さ、日本の農業例会システムのすばらしさというものについては、これは私、前に読売の国際会議で、東京会議で座長を務めましたときにいろんな話を座長としてしたわけであります。そのときに、会議に参加したフランスのトルストという、これは生態学の方で非常にすぐれた人なんですけれども、その人から話があって、日本というのは最も環境とか生態系とかそういうものを大事にする非常にすばらしい制度のある国ではありませんか、あなた方の主張というのはどうして国際的に通らないのかということを言われたことがあります。  そういう点から見ると、それはお役所のそういった努力と一緒に、やはり民間でもそういったあらゆる会議を通じてそういった主張をしていくということは、国際理解を広め、深める大きな要因ではないかというふうに思っております。この辺についてもひとつ今後の努力をよろしくお願いしたいと思っております。  それから、次に私が申し上げたいのは、これは通産大臣にお伺いした方がいいのではないかと思いますが、通産省の力でもいろいろ今後の新産業それから新分野、こういったものについての産業構造審議会や何かのいろんな検討がなされて、その作業部会の報告なども私、拝見しておりますけれども、とにかく今後かなり、二〇一〇年までですか、三百六十七兆かの新市場が見つかると、そしてそのうちの三分の一は情報産業であるということで、非常に今はやりのマルチメディアその他の新しい行き方というものが市場を興すということで大変期待されておるというふうに思うんであります。  私、従来いろんな産業に携わっておりまして、やはり非常に難しいのは、従来の工業といったようなもの、この中心が化石系の資源あるいは化石系のエネルギー、これを使っていることだと思うんですね。それで、こういった化石系の資源は、資源的な限界という問題もございます。それから化石系のこのエネルギーは、エントロピーを通じて環境面にいろんな問題を起こすということで、これから恐らく、CO2の処理とかそういう環境基本法のねらっているいろんな問題が具体化しますと、やはり既存の産業というのは、化石系であればかなり苦しむんではないかというふうに思っております。  例えばトヨタさんあたりでは環境憲章というものをつくっておられて、その環境憲章の中を読んでいきますと、従来の設計者は車を安くそして丈夫につくればよろしいという配慮だけでよかったんですけれども、これからの会社のあり方としては、設計者がそういう配慮だけでなくて、例えば製品になった場合にも解体しやすいとか、そういうオシャカになった後のいろんな措置というものを考えてやらなきゃならない。それほど環境という問題が深刻になってきて、僕はもう設計者としては二律背反みたいなもので、安くというのと、それからそういう措置まで講じて壊しやすくつくる、これは背、反だと思うんです。難しい立場に追いやられると思うんですけれども、恐らくこれはトヨタさんだけでなくてあらゆる企業が環境憲章というものを通じて考えなきゃならぬ。  そのもとは、やっぱり化石系の資源を使うことだというふうに私は思うわけであります。だから、化石系の資源を使って製品の歩どまりが四八%とかそういった計算もありますけれども、そうするとメーカーは製品をつくっているんではなくて廃棄物をつくっているということにもなるということで、大変これからはそちらの方の苦労が多いのじゃないかと思うのでございます。  私が言いたいのは、これに比べますと農業、林業、畜産業、水産業、これ全部が有機物をつくる産業であるというわけであります。これは光合成によって資源は無限にある。とにかく太陽が照って、そして空気と水があれば、これはもう資源的には全然困らないわけであります。それから廃棄物になったらどうかというと、廃棄物も全部有機物であります。だから、例えば木材の削りくずでも、魚のはらわたでも、それから畜産のふん尿でも、これ全部肩機物でありますから有機物のリサイクルができる、やりようでは全部できるというわけであります。  ところが、今の場合では、例えばそういった布機物が廃棄物として捨てられているケースが多い。例えば稲なんかでも、我々が食べているのは稲の二八%だけで実の部分だけである、七二%は捨てられている。これは使えばいろいろリサイクルできる。ですから、木質系のものでも水産系のものでも、これ全部そういうリサイクルができる。  例えば水産なんかでも、従来イカのはらわたなんというのは処置に困っておった、廃棄物として。ところが、今ではイカのはらわたから肥料をつくり、飼料をつくり、魚のえさ、餌料をつくり、それから医薬品をつくり、化粧品をつくるというので、一〇〇%利用できるというシステムが完成しております。それから畜産の関係なんかでも、ふん尿のリサイクルもできますし、骨とか血とか、こういうのは新しいバイオメディカルの立派な付加価値の高い産物になるということであります。  だから、そういう点を考えていきますと、今まで捨ててきたものが余りにも多くて、農村工業といえば都市から移入した農村の生活と関係ないものが、農村工業導入法というのもありますけれども、それでやられているということであります。それで、やはり農村にたまる付加価値というものが、従来は二六%もあったものが九%ぐらいしか農家に歩どまらないということになっておるということが最大の問題ではないかと思うのでございます。    〔委員長退席、理事稲村稔夫君着席〕  昨日も御質問申し上げましたように、これからだんだん自由化で黒字がたまる、そして円高でいじめられる、輸出して空洞化になるというふうな傾向というものを考えてみますと、従来の産業の中心をなしていた化石系のものだけでなくてやっぱり農林系の、私はこれを生命系と言っておるんですけれども、生命系の産業にもう少し力を入れるということが必要なんではなかろうか。  長い話をして申しわけございませんでしたけれども、そういうことがありますので、通産の方としても、例えば農業のそういった生命系の産業には、これからのバイオだとか、あるいは微生物工業であるとか、あるいはマルチメディアだとか、そういった通産の方で指導されている技術によって大いに生命系の産業が活性化すると。それで日本の産業社会が全体として歩どまりをよくする、環境に対する影響を少なくするということができるのではないかというふうに思っておるわけでございます。  大変長くなりましたけれども、その辺につきまして通産大臣、農水大臣のお話を伺いたいと思います。よろしくどうぞ。

橋本龍太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 非常に高い次元からの御論議でありますが、私なりに感じたことを率直に申し上げてみたいと有します。  まず、第一点で委員が挙げられました化石系と生体系、この分類は私も非常に興味を引かれる分類でありますが、今、一つ原材料としてとらえるのではなくエネルギーとしてとらえました場合に、私は、化石系にかわり得るエネルギーというのは今、原子力以外に残念ながら実用化の段階に達しておるもので効率を持つものはないように思います。  本来なら、例えば太陽光発電といったものは大変魅力のあるテーマでありますが、これは受光のためのパネルの面積が非常に広大なものを必要といたします。そしてその結果として、その下にある土地の利用というものに制約が出てくるでありましょう。あるいはバイオマスといったものも、これは生体系エネルギーと言えるのかもしれませんが、残念ながらそれほど実験段階を超えて成功に至っているとは申せないと存じます。その意味では、火山国であります日本として地熱発電というものがもう一つ魅力のある存在でありますけれども、これも環境保全との立場においてなお接点部分を見出し得ない状況にあります。工業原料としての場合でありますと、これは化石系のものにつきましていろいろなまた違った角度の議論も出るかもしれません。  しかし、いずれにいたしましても、化石系を燃料、エネルギーとして使いました場合、環境問題に大きな影響をもたらすことは委員の御指摘のとおりでありまして、こうした点に対する配慮は今後ともに欠くことはできないと存じます。  一方、今、生体系として挙げられましたものを産業の分野でとらえますなら、これは確かに我々として非常に大切な課題でありまして、それは環境問題の視点からも、あるいは資源問題としてとらえた場合でありましても、さらには廃棄物リサイクルといった、面から考えましても、むしろ産業活動が自然環境と積極的な調和を図っていくという視点を持ちましてもこれは大切なものであると思います。  殊に、バイオインダストリーというものを考えます場合に、原料が再生可能であること、あるいは製品が人体や環境に適合しやすいこと、あえてしやすいと申し上げておきたいと思います、あるいは廃棄物の環境への負荷が小さいこと、また製造プロセスが温和なものであり得ること、さらにこれをうまく活用いたしました場合に自然環境の積極的な改善に貢献できる分野が存在をする等々の視点から、私は将来を考える上での非常に大切な産業の一分野であると存じます。  午前中、農業に関連いたしまして、バイオテクノロジーを利用した農業が現に進行しつつある状況について申し上げたわけでありますが、新たな製品開発の可能性を持ち、また新たな市場を創造する可能性を持つ非常に有望性の高い産業分野であることも間違いがありません。そして、そうした視点からこうした分離に対して通産行政というものも一つの協力の体制を組み上げていくことは必要であろうと考えております。  今日までも研究開発の推進でありますとか、あるいは基盤の整備でありますとか、あるいは国際研究協力の推進でありますとか、さらには産業基盤の整備、こうした各種の施策を関係省庁とも連携しながら展開をしておるところでありますが、私どももバイオインダストリーというものの将来に対しては大きな夢をかけたい一つの分野であります。

小島慶三新緑風会

○小島慶三君 大変御懇篤な御答弁でありがとうございました。  ただ、バイオのほかにも微生物工業というものが非常にこれから注目されてくると思うんですけれども、例えばプラスチックスなんかでも、従来のプラスチックスですと非常に廃棄物の処理が困難だと、燃えない、溶けない。しかし、例えば植物系のゲーツを利用したプラスチックス、それから微生物を利用したプラスチックスというようなものでありますと、これはそういった後の廃棄物の処理という点については問題ないということもございますし、やはり従来気のっかなかったそういうものは非常に存在するし、またそういう新技術の分野へのアプローチということもやはり大切なのではないか。  今回のいろんな対策として大変大きな六兆百億円、自治省のものも入れれば七兆二千百億円、こういう金が使われるわけでありますが、もちろんそれはそれとして重要な役割を果たすと思われますけれども、その中でも新技術によるアプローチといいますか、こういうことも忘れてはならないというふうに思うのでございます。この辺はひとつ農水大臣、よろしく御配慮をいただきたいというふうに思います。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(大河原太一郎君) ただいまいろいろ一次産業の持つ生体系を通じてのリサイクル、こういうことに対する広範な新しい視点からの産業等についての有益なお話をちょうだいしたわけでございます。私どもの方でも、農林水産技術会議において、新しいプロジェクトとしてあるいは長期のプランとしてそれぞれの検討も始めておるところでございますので、そのようなお話等についても、また帰りまして関係の技術陣営にもよく伝えまして検討させるようにいたしたいと思うわけでございます。  さて、具体的な国内対策との関係での技術革新の問題のお話がありました。これについては、農業というのはその特殊性で民間の研究機関がございません。国の試験棚究機関がしっかりする、あるいは地方の都道府県の研究がございますが、従来はその二系列で相提携してやっておるとか、片方は基礎研究、片方は実用化試験というようなことでやっておりましたが、このたびはやっぱりもう一つ民間の例えはバイオとかエレクトロニクスとか、そういうものの技術と知識の蓄積のあるところ、これを動員して生産現場に直結したような技術開発、それを急速にやらなくちゃならぬということで国内対策にも取り上げております。今お話もございましたので積極的な推進を図りたい、さように思っております。

小島慶三新緑風会

○小島慶三君 ありがとうございました。  さて、もう一つお伺いしたいと思いますのは、これは韓国の言葉で身土不二という言葉がありまして、要するに我々の体を支える食品、そういうものと土というものは別物ではないということであります。だから、やっぱり食神というのはその土地でできたものを食べるのが一番理想的なわけでありますが、そういう点でそういった食糧の供給構造といいますか、そういうものを破壊するようなことは絶対に反対であるというので、韓国の農民が例の自由化問題が盛んなときに身土不二という鉢巻きをして大いに気勢を上げたということがあります。  その土というものをやはりもう少し私どもこの辺で考え直した方がいいと思っておりますのは、例えば農水省の八年度の予算でも大風模化、集約化、そういうことにかなりな努力がささげられていると思うんですけれども、私はこういう大規模化、集約化ということで確かにコストが下がるという面があると思いますし、そういうふうなことが可能な土地もあると思うのであります。  ただ、よほど気をつけないと、その経営が例えば商社、商利が必ずしも悪いとは言いませんけれども、商社の手に渡るということになれば、せっかく戦争後になくした地主と小作の関係といったようなものが復活するということもあり得ることでございますし、またそういうものを別としましても、そういう形の経営になりますと、土地への自分の子供に対するようなきめ細かな配慮というか、そういうものがともすれば忘れられて、そして大規模化の規模のメリットだけ追求するということになると思いますので、この辺はよほど注意が必要であろうというふうに思っております。  それで、私の知っている限りの経験で申しますと、この大規模化で一番失敗したのはロシアだろうと思っております。  ロシアの一番の穀倉というのはウクライナでございますが、そのウクライナのコルホーズ、ソホーズでもこれはやはりそういったタイプを迫い過ぎて、そして機械化、これは必然でありましょうが、それに伴っていろんな肥料とか農業とかそういうものを基準以上にぶち込んで、その結果何が生まれたかというと連作性が非常に哀えてきたということで、ロシアの農業大臣は本当に何人もかわっております。  だから、それだけではなくて、結局、自給が非常に難しくなって、アメリカに頭を下げてゴルバチョフが七重のひざを八重に折って、そして食糧の輸入を懇請した。これが今度の冷戦終結のきっかけだと私は承知しております。  それから中国を歩きましても、非常に人口がどんどんふえる、今の十億が来世紀には十六億になると言われております。そのための食糧増産で、とにかく食糧の生産に適したところでなくて、先祖代々この土地は手をつけちゃいけないよといったようなところを手をつけて、地下のアルカリ分を吸い上げて塩漠になり、つまり塩の砂漢になり、不もう地帯になっているという例を私ども随分見聞してまいりました。そういうことは、やはり土地に対する温かな配慮といいますか、こういうものが欠けてくると、えてして出てくるというふうに思うわけでございます。  アメリカ自体も大規模化で随分やっておりますけれども、これも結局、広い土地を利用するために森林を切ってスプリンクラーで水をまき、それからヘリコプターで種をまくというふうなやり方をしていきますと、どうしてもまた表土を削っていきますから表土が流れる、表土が風に飛ばされるということで、これはアメリカの農務省の発表では、アメリカの農地の表土の六五%はピンチであるというふうな発表になっております。  アメリカというところは水の足りないところでありますから、どうしても地下水をくみ上げる。地下水のコストもばかにならないということもございますし、何かそういう大規模化というものだけで私は事は片づくものではないというふうに思っておるわけでございます。  その辺のところを日本は非常に上手に森林と水田の、そしてその間の水のサイクルということで小さな区、固でも上手に生産をやってきたということで、この価値は捨てるべきではないというふうに思っておるわりでございます。そういった土地の問題について、ひとつ農水大臣に御所見を伺います。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(大河原太一郎君) 我々が今度の国内対策等においても育成、確保しようとしております経営体、これは先般もそれぞれの立場から御質疑がございましたが、やはり一言で、言いますと家族農業経営を中心とした規模拡大ということでございまして、御懸念のような企業的な経営、規模の効率だけを、スケールメリットだけを求めるような経営を目標としているわけではないわけでございます。  現に一昨年、新農政と言われるもので経営の展望をしたときにも、やはり十ヘクタール以上ぐらいの経営で水田単作、まあモデルですから割り切ると。その場合においても、せいぜい中型機械化の体系を前提としたものでございまして、それにはプラス他作物というような複合経営も想定しているわけでございます。  新農政に基づく経営基盤強化法というのができまして、今、県で地域に応じた類型の指針、市町村でそれをおろして地域地域でやっておりますが、どうも出てきているものは大体複合経営が多いわけでございます。単一経営というのは純水田地帯の一部分だけでございまして、やはり日本農業の現実なりあるいは家族農業を基幹とする経営については、小島委員御懸念のようなことはないと思うわけでございます。

小島慶三新緑風会

○小島慶三君 ありがとうございました。  以上で終わります。

浜四津敏子公明党・国民会議

○浜四津敏子君 それでは、まず大蔵大臣に二点お伺いいたします。  ウルグアイ・ラウンド農業合意に伴う国内対策費としての六兆百億円、これは別枠かどうかという議論がありまして何度がお答えはいただいておりますけれども、どうもちょっとわからないという声が多いものですから、再度よくわかるように明快にお答えいただきたいと思います。

武村正義新党さきがけ大蔵大臣

○国務大臣(武村正義君) ウルグアイ・ラウンド対策につきましては、政府・与党挙げて真剣な論議を重ねまして、その結果六兆百億円、これを六年間で実施する、しかも内容はウルグアイ・ラウンド合意というこの事態に対応するこれからの新しい農業の予算であるという考え方でございました。六年間でございますから、毎年度の予算編成におきましてきちっと対応させていただきたいというふうに思っております。  なお、既存の予算に影響を与えるのではないかという御心配をかけております。従来の農林水産予算には支障を来さないよう配慮させていただきますというのが私たちの合意でございますし、したがって一般的なその年度その年度の予算査定の方針からいえば、既存の従来の農林水産予算も枠外ではありません。しかし、新しい事業への財源を捻出するためにいたずらに既存の農林水産予算を削減するあるいは抑制する、そういう考えはとりませんということも申し上げているところでございます。  もう十三日ぐらい後には私どもの方針では大蔵省内示をしなければなりません。申し上げているうちに結果が明らかになるわけでございますが、言葉だけでなしに、申し上げてきたことがしっかり成果としてあらわれますように全責任を全うしていきたいと思っております。

浜四津敏子公明党・国民会議

○浜四津敏子君 もう一点、今後、関税率が下がることになりますが、それによって関税収入も減収となる、大蔵省では約二五%ぐらいの減収というふうに試算されていると伺っておりますが、この減収についてどうお考えか。それについて簡単にお答えいただいて、大臣、御用がおありということですので御退席いただいて結構でございます。

武村正義新党さきがけ大蔵大臣

○国務大臣(武村正義君) 提案をいたしております法律によって関税率を引き下げていく方向になるわけでございます。  品目によって、期間五年のもの、六年のもの、あるいは十年というふうなものがありますように、さまざまでございます。また、関税を引き下げることによってどれだけ輸入がふえるか、この推計がなかなか難しゅうございまして、明確に、関税が引き下げられた結果日本の輸入がどうなるのか、したがって関税収入がどのくらい減るのかというのはなかなか予測がしにくうございます。しかし、九三年度の状況を固定して考えますと、今おっしゃっていただいたように約二千億、今は八千億余り関税収入がございますから、二五%前後ダウンするという予測をいたしているところでございます。

浜四津敏子公明党・国民会議

○浜四津敏子君 ありがとうございました。  それでは次に、知的所有権についての日米合意及びTRIPS協定についてお伺いいたします。  知的所有権の国際的なハーモナイゼーション確立の努力が続けられてまいりまして、今回の合意及び協定につきましてもその流れの中にございます。技術革新の目覚ましい進展、そして経済活動がこれほど国際化している中にありまして、各国の制度を調和させる必要があることはだれもが組めるところでございます。  ところで、知的所有権についての日米協議において、日米互いに要求項目として主張されてきたものがございます。そのうち、アメリカ側が日本側に要求していた項目が十一項目、また日本側からアメリカに要求していた項目が十一項目と理解しておりますが、この十一項目の中で今回合意に至ったものはどのぐらいあるのか、また日本側要求項目のうち合意に至ったものはどれだけあるのか、お答えいただきたいと思います。

高島章特許庁長官

○政府委員(高島章君) 今御指摘ございましたように、日米間で昨年の秋以来、知的所有権の調和問題について議論をし、そして合意という形で確認をいたしました。  今、先生柳指摘の十一項目、非常に幅広いいろいろな問題点を双方議論させていただいたわけでございますが、そういった要求を受けまして、まず我が国の方は、第一に英語による出願を受け付けること、第二に特許の何手前の異議申し立て制度を廃止いたしまして、特許の付与後に異議申し立てを受け付ける制度に変えますこと、さらに第三には早期に審査制度を改善いたしまして審査の迅速化に努めること、そして第四に利用発明に係る強制実施権を制限することということを受け入れたわけでございます。  一方、日本側からも、先ほど御指摘ございました多くの項目につきましてそれぞれ指摘をしてきたところでございますが、その結果といたしまして、アメリカ側といたしましては、第一に特許期間を出願から二十年とすること、第二に出願から十八カ月で出願内容を公開する早期公開制度を導入すること、そして第三には再審査制度におきます第三者の関与する機会を拡大することを受け入れた次第でございます。

浜四津敏子公明党・国民会議

○浜四津敏子君 結果として、日本は四項目受け入れまして、アメリカは三項目受け入れた、こういうことになっております。  今回アメリカが受け入れなかった項目、先発明主義を先願主義に変えるという点でございますが、ほとんどの国が先願主義をとっておりまして、アメリカとあるいはフィリピンぐらいだと、例外はこの二国ぐらいだと言われております。  この先発明主義を固持するというのは大変不都合もありまして、また無理があるのではないかと言われております。  一九九二年九月の段階でこの先発明主義から先願主義への転換が合意されかかったと言われておりますが、今回、合意に至らなかった理由、そして背景、また今後の見通しはいかがでしょうか。    〔理事稲村稔夫君退席、委員長着席〕

高島章特許庁長官

○政府委員(高島章君) 御指摘のように、日本側からアメリカヘいろいろ申し上げております問題点の一番大きいのは、まさにこの先発明主義の問題でございました。今御指摘ございましたように、九二年九月と申しますのは、これは米国の商務省の諮問委員会におきまして、米国の特許制度を国際的に調和のとれたものとすべく、先発明主義から先願主義に改めることを勧告したところであります。ところが、クリントン政権になりました後、本年一月に米国商務長官が、当面は先発明主義を維持しまして先願主義へ移行するつもりはないということを明言したわけでございます。  御質問の背景についてでございますが、これは長年、先発明主義になれ親しんでまいりました米国の個人発明家、大学研究者等を中心といたしまして、依然として先願主義への移行に反対するグループが存在をしていることが挙げられるかと思います。彼らは、先願主義のもとでは大企業と比べまして相対的に不利な状況に置かれるのではないかという懸念を有していることが理由ではないかと考えております。  しかしながら最近は、米国内におきましても、特許関係者の大勢が徐々に先願主義への移行を支持しつつあると認識しておりまして、今後の問題といたしまして、引き続き米国に対しまして先願主義への移行を強力に働きかけてまいりたいと思っている次第でございます。

浜四津敏子公明党・国民会議

○浜四津敏子君 それでは、多少技術的あるいは細かい議論になりますが、個別問題に入らせていただきます。  平成五年四月に行われました参議院の商工委員会で、WIPOの条約に伴う特許法改正に関連いたしまして、クレーム解釈のあり方、均等論について質問させていただきました。この問題は、特許関係者あるいは特許を利用する企業等にとりまして大変重大な問題でございますので、改めて質問させていただきます。  クレーム解釈のあり方というのは、法的安定性と発明の保護と、対立する二つの要請の調和が求められている大変困難な問題でございます。  ところで、WIPOの二十一条にはこのように規定されております。クレーム解釈に当たり、均等か否かを考慮すべきこと、こういうふうに規定されております。そして、均等か否かの判断手法としてヨーロッパ型、米国型のいずれをとってもいい、こういうふうにされております。  先ほど申し上げました委員会での特許庁の御答弁では、我が国の現行特許法七十条の解釈については、これまでの判例を見るとヨーロッパ型に近い、つまり置換明白性を条件としていると思う、だから現行法七十条はこのままでいいのではないか、こういう御答弁でございました。  ところで、今回の改正法の内容を見ますと、この七十条に二項が加わっております。この一項は、特許発明の技術的範囲は、明細書の特許請求の範囲に基づいて定めなければならない。これに加えまして、二項が「前項の場合においては、願書に添付した明細書の特許請求の範囲以外の部分の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとする。」、こういうふうに追加されたわけでございます。この意味を明確に知りたいと思うわけでございます。現行法と意味するところが変わってくるのかどうかでございます。  これまでの最高裁判決によりますと、有名なアルキレン基事件、あるいは平成三年のリパーゼ事件、あるいはクリップ事件、いずれも特許請求の範囲は、特許請求範囲の項の記載を基準としてなされなければならない、明細書全体の記載を基準としてなされるべきとする見解は到底採用しがたい、こういうふうに判示しております。  請求の範囲の記載が不明確であれば他の項を見る、これはだれも異論はないところでございます。この記載が一義的に明瞭である、しかし全体を見ると中身がそごしていると、その場合に問題が出てきているわけでございますが、その場合に最高裁は一義的に明瞭な場合には中身を見るな、こういう判断かと思います。これに対しまして下級審の判断は、その場合にも中身を見て中身でいけ、こういう判断だろうと思います。  この七十条二項というのはいずれの立場に立って解釈すればいいのか、そのあたりを教えていただきたいと思います。

森本修特許庁総務部長

○政府委員(森本修君) 御質問の七十条二項の規定の趣旨でございますが、これは私ども特許発明の技術的範囲、おっしゃられますあくまで特許請求の範囲の記載に基づき定めるべきであるというふうに考えておりますけれども、この請求の範囲に記載されました。論について、発明の詳細な説明の中に、あくまで用語でございますが、用語について定義とか意味するところを記載されているというときは、それを考慮してクレーム解釈を行うということを確認的に規定をいたしたということでございます。  御指摘の最高裁の判決あるいは個々の判決の考え方につきまして直接コメントすることは避けさせていただきたいと思いますけれども、基本的には、一般論として申し上げますと、判例のクレーム解釈についての確立している考え方は、クレームに記載された技術的事項がそれ自体として明確に把握できる場合は、それ以上に限定するような仕方で発明の詳細な説明を参酌することは許されない、ただ、語義の明確化等のために原則的に発明の詳細の説明を参酌することは許容されるということであると理解をいたしておりまして、その意味では今回の七十条二項は最高裁等判例の考え方を変えるものではないというふうに考えております。

浜四津敏子公明党・国民会議

○浜四津敏子君 それではもう一点、均等の判断基準時につきましても、従来、侵害時説と出願時説とがありました。従来の通説、判例は出願時説をとってまいりましたけれども、WIPOの二十一条によりますと、明確に侵害の時点でと規定しておりまして、侵害時説に立っております。国内的にはこの条約に基づいて、均等の判断時は侵害時とする、こういう規定を置かないと不都合が生じるのではないかと危惧いたしますが、いかがでしょうか。  これも、先ほどの委員会での御答弁ではこうお答えになっておられます。我が国ではどうも出願時点で判断するとされているということでございますから、現行の条約案を批准する際には、判断時点を侵害時とするかどうかについて所要の整備が必要ではないか、かように考えられるわけでございますと、こういうふうに御答弁いただいております。それがなぜ今回立法措置がとられなかったんでしょうか、その理由についてお伺いしたいと思います。

森本修特許庁総務部長

○政府委員(森本修君) 御指摘のようにWIPOの特許ハーモ条約、これはまだ草案でございますが、二十一条では一応均等の判断基準は侵害時ということにされておりますけれども、この規定文につきましては、実際、侵害時の何を基準にして判断をするのかというところについて必ずしも明確なところになっておりませんで、諸外国の中で、加盟国の中で議論が続けられておるところでございます。それから、この均等論の適用について、条約上も義務的なものにするというよりはもう少し弾力的な考え方にしたらどうかということで、必ずしもファイナルな格好になっていないという問題がございます。  そういう意味でいろいろ議論があるところでございますし、またアメリカにおきましても現在、連邦の巡回裁判所におきまして従来とられてきました均等諭のあり方についていろいろ議論がされておる、修正の方向もあり得るという意味での審理が行われているという状況にございます。こうした内外でさまざまな議論がございますので、引き続き意見交換をして、法制化のあり方については今後の検討にいたしたいという結論に至ったわけでございます。

浜四津敏子公明党・国民会議

○浜四津敏子君 本年五月二十五日に開催されました工業所有権審議会総会におきまして、当面の審議事項の一つとして、ただいまお話しいただきました「クレーム解釈(均等論)の在り方の明確化について」という項目が決定されました。均等の法制化あるいは均等論を立法的に明確にする、そして議論及び解釈の混乱を解決するということが多くの実務家あるいは関係者が考え、期待していたところだと思います。  そうしますと、今回は立法的な解決はしないけれども、近い将来その方向に向かって検討するというふうに理解してよろしいんでしょうか。

森本修特許庁総務部長

○政府委員(森本修君) 御指摘の工業所有権審議会の答申でも、立法化するのも一つの案であるけれども、他方、明文化するに当たりましていろいろ派生する問題がある、その点につきまして十分な議論を尽くしていかないと、もうちょっと時間がかかるのではないかということでございました。  また、先ほど申しましたWIPOの動きでございますとかアメリカの動きでございますとか、そういう点を踏まえまして、現時点では均等論の法制化を行うことは適当ではないけれども、中期的な課題として引き続き検討していこうという結論に至ったわけでございます。

浜四津敏子公明党・国民会議

○浜四津敏子君 それでは、今回合意に至った大変重要な項目の一つとして、付与前異議から付与後異議制度への移行というものがございます。  この異議申し立て制度とそれから無効審判制度、今この二つの制度が併存しているわけでございます。この二つの法的性格が異なる、併存していても別に矛盾はない、これは十分承知しておりますが、これも工業所有権審議会の答申で次のように指摘されております。異議申し立てに対する決定と無効審判の審決の間で判断の矛盾が生じないようにすることが必要である、このように指摘されております。  また、平成五年四月の商工委員会での答弁でも、次のように答弁されております。「私ども、いずれ近い将来行われるであろう国内法の抜本的な見直しの際に、どのようにして異議申し立ての決定と無効審判の審決の判断の抵触を回避するか、いろいろと工夫をし勉強してまいりたいと考えております。」、こういう御答弁をいただいたわけでございます。  この異議申し立て制度と無効審判制度、無効審判における無効理由と異議事由というのはオーバーラップするわけでございまして、仮に特許有効という審決が確定した場合でも異議申し立てが職権で取り消される可能性もある、こういう仕組みになっております。東京高裁の無効審決取り消し訴訟の取り消し判決の割合は四〇%と言われております。つまり十のうち四つは取り消されている、こういうことでございます。  この異議申し立て、そして無効審判は並行して行われておりまして、これが矛盾した結論が防げないシステムになっております。同じ理由に基づいて一方は有効一方は無効、こういう矛盾した結論が起こり得るという制度はやはり制度として非常に法的安定性を欠くのではないか、こう思いますが、これを防ぐための担保措置を講ずべきだったのではないでしょうか。

森本修特許庁総務部長

○政府委員(森本修君) おっしゃるように、仮に付与後の異議申し立て制度と無効審判制度が同時に係属をした場合に、その間の調整を十分にとる必要があるということについては十分認識をいたしておりますし、平成五年の御質問の際にもその点をお答えしたところでございます。  これに関連しまして、前回の工業所有権審議会の議論でも、その効率的な審理なり判断の抵触の回避をするための手段といたしまして、異議申し立てと無効審判が仮に同時に係属をした場合の担保措置といたしまして審理の中止ができるということを規定するということで、今回の改正法案百六十八条におきまして審理の中止ができるということを規定いたしております。したがいまして、仮に同時に係属をいたした場合でも、一たん片方の審理をとめまして、先に行われた審理の結果を十分に吟味し、後の決定または審理が行われるということで判断の抵触を避けるというふうに考えております。  実際問題として、異議申し立てがなされた証拠と同一の証拠による無効審判が請求されるケースというのがどれだけあるだろうかということでございますが、我々が無効審判で調べたケースにおきましては、そういう異議申し立てがされたものと同一証拠で審判が請求をされたというケースはないわけでございますので、実態上、同時に係属をするということはまれではないかというふうに考えております。   しかしながら、先ほども申し上げましたように、仮にそういう係属をした場合には、今申し上げましたような片方の審判あるいは決定の結果を十分に判断して抵触を避けるという、工夫をしていきたいと思いますし、そのような運用を図ってまいりたいというふうに思っております。

浜四津敏子公明党・国民会議

○浜四津敏子君 現実にほとんどないというお話でしたけれども、制度として矛盾が起こり得るという制度そのものの問題として指摘させていただきました。御検討いただきたいと思います。  それから、手続を中止できるという制度で担保するんだというお話がございましたが、現在でも、裁判所の侵害訴訟と特許庁における査定系の事件が併存している場合に裁判所は手続を中止することができるという制度が現にあるわけですけれども、これは、条文としてその中止の制度が規定されていても、実際には中止されないというのが実情でございます。これも単に法文をつくるというだけではなくて、適切な、適正な運用がなされるような措置を講じられるように望みたいと思います。  次に、特許の有効性をめぐりまして裁判所とそれから特許庁が同時に関与することが多いわけでございますが、この裁判所と特許庁の判断が矛盾したり、つまり食い違ったりあるいは時間的にずれがあるということが多々ありまして、特許係争に大変混乱を生じさせております。  これはたまたま先日、十一月二十八日の朝日新聞に載った投稿でございます。日本化薬の社長をしておられる付出和彦さんという方が「論壇」に載せておられました。判断の食い違いの例といたしましては、本年二月に大阪高裁の判決が出ました。これは均等論の関係でも有名な判決でございますが、本年二月の大阪高裁の判決、そしてその原審は一九九一年十月に判決がなされております。  これはどういう事件がといいますと、心筋梗塞の治療剤TPAの特許侵害訴訟でございますが、アメリカの特許権者と、日本の有名な会社ですが、その会社との間で争われた事件でございます。  本来、特許椎が有効かどうかというのは特許庁の専権事項でございまして、裁判所は本来最終的な判断はできない、こういうことになっておりますが、この大阪地裁、大阪高裁はその理由の中で特許は有効だと、この有効の判断を前提としてアメリカの特許権者を勝たせたわけでございます。  この事件は、同じ特許がアメリカそれから欧州の特許庁では有効とされた、しかしイギリスそれからドイツでは無効とされた。この判断が分かれていたものですから、果たして日本ではどういう判断が山…るのかということで世界からも注目されていた事件でございますけれども、いずれにしてもこの事件で日本の会社は負けたわけでございます。そして、この会社は十年の歳月とそれから約百億円を投入してきたバイオ医薬品から撤退を余儀なくされた、こういう事態に追い込まれました。  そして、この当該特許の有効性が同時に特許庁でも無効審判の審理に保っておりまして、この審決が出されたのが本年七月でございます。つまり、地裁の判決が出て高裁の判決が出て、その後に特許庁の審決が出た、こういうことになりました。  本来、特許権の有効無効の最終判断は特許庁の専権事項でございますから、まず特許庁の判断が出て、それから裁判所が判断するというのが本来の筋だろうと思います。その特許庁の審決が大変時間がかかって、この事件でも約三年と少しかかったんでしょうか、特許庁の判断がおくれる、その前に裁判所の判断が出てしまう、これが大変不都合であると、こう言われております。また、実務家の方からもこの特許庁の審決が時間がかか係り過ぎる、非常にそれによって不都合をこうむっている、こういう声が多いわけでございます。  このケースは、特許庁の判断と裁判所の判断が幸い食い違っておりませんでしたので混乱は避けられたわけですけれども、しかし食い違う例も幾つもあるわけでございます。それによって企業は振り回されてしまう。この先ほどお話しいたしました日本化薬の社長さんの投稿の中にも、こういうことで企業は振り回されて大変なんだと、こういう趣旨の話が出ておりました。  例えば、食い違った例といたしまして、本年三月の静団地裁の判決では、骨粗鬆症の治療薬の特許侵害訴訟で地裁は有効を前提として原告を勝たせた。ところが、その約一カ月後に特許庁はその特許は無効だと、こういう審決を出しました。また、九二年十月に東京地裁が抗アレルギー剤をめぐって特許有効を前提として差しとめを認めた。それに対しまして、九四年の三月に特許庁がその特許は無効だと、こういう審決を出しました。  もうこれで例は終わりますけれども、いずれにいたしましても、これが制度としてこういう制度になっているということ自体が問題で、これを何とかやはり整合できるように直していかないといけないのではないか。いつまでもこういう状態を続けていくというのは、企業にとっても非常に迷惑な話ではないか、こう思います。立法論としてぜひお考えいただきたいと思います。  立法論としてはこれから考えるといたしましても、現実にこういう状況があるわけですから、特許庁としてはなるべくこの審決の手続を早めていただきたい、こう思いますが、ちょっと説明が長くなりましたが、この点について御説明いただきたいと思います。

森本修特許庁総務部長

○政府委員(森本修君) 残念ながら御指摘のような事例があることは事実でございまして、無効審判そのものについて言いますと、約半数以上のものは二年程度で処理をされておるわけでございますけれども、やはり特許の有効性判断を私どもに保ゆだねられておるわけでございますので、審判処理を迅速に行うということは当然のことだろうと思っております。このために審判合議体を増設するということで、この五年間で約十合議体、三十人の審判官の増員を図っておりますし、これを引き続き努力をいたしたいというふうに思っております。  それから無効審判の審決に至るまでの時間がかかっているケースは多分に手続的なところがございまして、一つは訂正審判でありますとか訂正無効審判でありますとか、そういうものの絡みでおくれるというケースがあります。これにつきましては、先般の法改正で訂正無効審判を廃止しますとか、無効審判継続中に訂正が行えるようにするよとかいうような手続面での簡素化を図っておりまして、これにつきましてはこれからその面での緩和の実効が上がるんではないかというふうに思っております。  それから運用面におきましては、やはり早く審理に着手をするということで、審理用の副本の提出をいただきまして早く実体審査に入るというようなことでありますとか、口頭審理の活用を図るとかいうことを通じまして無効審判の審査処理の促進を図っていきたいというふうに考えております。

浜四津敏子公明党・国民会議

○浜四津敏子君 それでは、次に移らせていただきます。  日米合意では、利用発明の独制実施権の設定については、公的非商業的利用、反競争的慣行の是正の場合以外は裁定しない、こういう合意の文書が交わされていると伺っております。しかし、この利用発明、九九%が商業的なものでございまして、公的非商業的なものというのは恐らく約一%ぐらいだろうと言われております。ですから、これを裁定しない、こういうふうになりますと、ほとんどのものが裁定制度から除外されてしまうということになります。  従来、強制実施権の制度があったがためにこの実施料が適正に抑えられてきたと、こう言われております。例えばアメリカの企業と契約する場合に、アメリカの側からは大体売価の一〇から一五%の実施料の要求がある。しかし、大体適正価格、適正実施料というのは通常三から五%と言われておりますが、いざとなれば強制実施権の設定がなされる、こういう担保があったからこそ三から五%に抑えられてきたというのが実情だと思います。これがなくなりますと、今後のライセンス交渉ではかなり実施料が上げられてしまう、これを憂慮している企業がかなり多くございます。こういう状況下で、あえてこの強制実施権の設定についての合意をされた理由はどこにあるのでしょうか。  それからまた、こうしたことによってかなり、特に基本特許を持っている薬品関係等についてはかなりの深刻な憂慮をしておりますが、こうした企業に対する何らかの救済措置等は考えておられるのでしょうか。

森本修特許庁総務部長

○政府委員(森本修君) 先ほど長官の方から答弁いたしましたように、利用発明の強制実施権、御指摘のとおり、制限をするということで合意をいたしたわけでございますけれども、これはまず一つは、今まで強制実施権の裁定の実績が率直に言って皆無でございまして、請求自身も一件しかなかったわけでございます。  もう一つ、利用関係の強制実施権につきましては、今回のTRIPS協定におきましても、利用する方の発明、第二特許発明ですね、これが相当の経済的重要性をもたらす重要な技術的進歩を有するものでなければだめだということで、非常に実施権の要件が厳しくなってきたわけでございます。  一方で、強制実施権の制度は、公益的理由による強制実施権という制度が別途ございます。これは国民の生命でありますとか財産の保全とか、そういったもののために重要と認められる場合には強制実施権を認める制度が特許法にございますので、その部分でかなり救済がされるだろうというふうに考えたところでございます。  加えまして、先ほど申しました早期公開制度でございますとか、二十年でございますとか、再審査でございますとか、アメリカ側の極めて問題であった制度を改善するという譲歩が得られたということを勘案いたしましてこういう格好にいたしたわけでございます。  基本的に利用発明の強制実施権制度があるといっても、やはり軽微な改良発明につきましてはもともと強制実施権の対象にはなっておらないわけでございますし、先ほど申し上げましたようにすぐれた改良発明であれば公共の利益にかかわる強制実施権制度ということで実質的に救済は可能であるというふうに考えておりますので、今般の措置が利用発明の特許権者に多大な不利益を及ぼすというふうには私どもは考えておりません。

浜四津敏子公明党・国民会議

○浜四津敏子君 実績がほぼ皆無と言われましたけれども、先ほどもお話ししましたが、いざとなったら裁定に持ち込めるんだ、いわば制度の存在そのものが後ろに控えていてにらみをきかせていた、こういう意味があったと思います。それからまた、これが合意されたということで、アメリカの企業ではこれで自分たちは有利になる、勝ったと、こういう声が実は入ってきておりますので、そのことをお伝えさせていただきたいと思います。  最後に大臣、これまでちょっと技術的なことばかり申し上げて大変申しわけありませんでしたが、特許制度の国際調和というのは経済活動のグローバル化を踏まえますと非常な重大課題でございます。また、殊にアメリカあるいはヨーロッパ等では知的所有権国家戦略、このようにして取り組んでおります。知的所有権というのは経済にとってその盛衰を大きく左右するものである、国家として取り組まなくてはいけない問題であるという認識が欧米では常識になっております。  先ほどお話しさせていただきましたアメリカの先発明主義の是正も含めまして、通産大臣の国際調和に向けて、それから日本の知的所有権戦略についてのお考えあるいは決意を伺います。

橋本龍太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) まず、非常に専門性の高い御質問に敬意を表します。そして、事務方から御説明をいたしました内容を私も拝聴しておりました。私自身の脳裏にありますのは、昨年のハネウェルとカメラメーカーとの間における民事における裁判というものに関心を持って多少調べておりました程度で、専門的な知識を持つものではございません。  しかし、やはり何といいましても知的所有権制度というものが国際的に調和していることの必要性というものはどなたも否定される方はないと思うんです。それだけに、日本としてはTRIPS交渉あるいは日米包括協議などで積極的にこの論議に取り組んでまいりました。そして、それなりの成果は上げてきたと思います。アメリカの先発明主義というものが一たん変わりかけたかに我々も感じました。ところが、また先ほど事務方から御報告をしましたように戻ってしまった。非常に我々としては残念な思いがいたしております。  これがこれから先、WIPOにおきまして先願主義への統一などを規定する特許調和条約交渉が進められておりますけれども、さらに我々としては欧州諸国とも連携をとりながら、先発明主義の是正をアメリカにあるいはフィリピンに対して求めていくなど一層の努力を傾けてまいりたいと考えており、一層の御支援をお願い申し上げます。

浜四津敏子公明党・国民会議

○浜四津敏子君 大変ありがとうございました。以上で終わらせていただきます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 今回のWTO協定は、これまでの貿易に関するルールの強化とともに、新たにサービス、知的所有権に関する分野をルール化したことが特徴であります。とりわけサービス貿易は、交渉継続中の基本電気通信、海上運送を除いて、金融、運輸、観光、通信、建設、流通、環境、教育、福祉、娯楽、文化、スポーツ等々およそあらゆるサービス分野で協定の対象となりました。そして、自由化を約束したこれらすべてのサービスについて最恵国待遇義務、透明性に関する義務を負うことになります。これは我が国の経済と国民生活の全分野にとってまさに死活の重大問題となります。  きょう私は、主としてこのサービス貿易分野に関する問題についてただしたいと思います。  WTO協定の交渉経過を見ますと、サービス貿易での免除登録を、アメリカは商業宇宙衛星など九分野、EUはAV、音響、映像などでありますが、こういう分野を含めて十分野について行っておりますが、日本の免除登録はゼロであります。外務大臣、そのとおりですか。

原口幸市外務省経済局長

○政府委員(原口幸市君) 先生の御指摘のとおりでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 何ぼ勘定してもゼロなんですな。すっぽんぽんみたいなものなんです。  ところで、特に橋本通産大臣にお聞きしたいんですが、大臣とは八六年十一月に国鉄分割問題でこの部屋でやりとりをしたことを想起いたしますが、お久しぶりでございます。伺いたいのは、どなたでもいいんですが、あえてそういうしがらみで橋本さんにお伺いしますが、国会に超党派でつくられている映画議員連盟というのがあるのを御存じですか。

橋本龍太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) しばしば御教育をいただきましてありがとうございます。先日もまた御忠告を感謝いたします。  その上で、映画議員連盟は私もその一員でありまして、そこにまいりますと市川議員の手下であります。

市川正一日本共産党

○市川正一君 いささか紹介させていただきますと、この映画議連は現在百三十名の会員を擁しております。会長は田村元・元衆議院議長、事務局長は、きょうは見えていませんが前田勲男法務大臣、私も世話役をやらさせていただいております。  来年はちょうど映画百年に当たります。今日、残念ながら映画館の数、観客数、また制作本数、特に七割にも及ぶ輸入映画が占めるシェアの増大などで日本映画の危機は深刻であります。映画議連は、この日本映画の復興と振興のために補助とか助成とかも大いに拡充しようということで取り組んでおりますが、政府としては日本映画の振興にどんな助成策をとっていらっしゃるのか、文部大臣に伺いたいと思います。

与謝野馨自由民主党文部大臣

○国務大臣(与謝野馨君) 日本映画の現状は先生の御指摘のとおりでございまして、映画の振興上大変残念な状況が続いておると考えております。  このようなことを踏まえまして、文部省としてはこれまでも芸術文化振興基金による制作費助成や優秀映画の顕彰など、映画芸術の振興に努めてきたところでございます。また、本年八月の映画芸術振興に関する調査研究協力者会議報告を受け、現在、映画にかかわる人材養成の充実、東京国立近代美術館フィルムセンターの整備等にかかわる主要な経費を概算要求しているところでございます。  映画は、芸術作品として人々の生活を心豊かにするものであることはもとより、我が国固有の文化を表現する総合芸術として映像社会の中心的担い手になるものと認識しておりまして、今後とも映画芸術振興施策の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 今の御答弁にもありましたけれども、政府は日本映画の振興のために一定の助成をやっていらっしゃいます。また、芸術文化振興基金から映画制作に助成金も出ております。さらに最近、おっしゃった文化庁の芸術文化課が提言を発表されております。これが具体化されますと、将来、政府を初め民間ベースでもさまざまな助成措置が期待できるところであります。  こういう助成措置は、WTOのサービス貿易協定第十七条に定める内国民待遇の規定によって、それが日本映画に対してだけであればWTO違反ということになるんでしょうか。外務大臣でも文部大臣でも結構でございます。

原口幸市外務省経済局長

○政府委員(原口幸市君) お答えいたします。  日本映画に対して、上映支援とか助成金の交付等、振興策を今とっているわけでございますが、現在は映画の制作者等について内外差別的な要件を設けておりません。また、日本映画への放映時間の割り当て等、市場アクセスの義務に合致しない措置もとっていないと承知しておりますので、これらの振興策はサービス貿易一般協定における我が国の自由化約束には抵触しないと考えております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 第十七条によれば、この内国民待遇の規定で、アメリカ側が、それではおれのところにも助成をよこせということになりますと、これはほっておけぬことになるんですよ。私は、衰退している日本映画を振興しようということで設けたこの助成制度が、内国民待遇で要求されると、いわば世界でエンターテインメントの君臨者としてのアメリカ映画企業に助成金を交付せざるを得なくなるというのが今度の協定の中身ですが、こんなばかげたことになるんですか。

河野洋平自由民主党外務大臣

○国務大臣(河野洋平君) 議員のようなその道の権威に対して、しかも専門的な御質問でございますから、大変申しわけありませんが政府委員から答弁をさせたいと思います。

市川正一日本共産党

○市川正一君 文部大臣はどうでしょうか。

与謝野馨自由民主党文部大臣

○国務大臣(与謝野馨君) 誇り高きアメリカの映画会社が、日本のそういう支援を求めてくるということは想像のっかないことでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 では、想像がつかないということの答弁をベースにこれからいたしますが、後で何かあればまた言ってください。  フランスの例を引きたいんです。フランスでは今度のこのWTO問題をめぐって、映画はフランス固有の文化であるということで、政府が積極的に従来から映画振興のための補助金を出しておりました。ところが、さきのウルグアイ・ラウンドの交渉の際からアメリカの方が、その補助金をアメリカの映画企業にも回せと、こう持ち出したんですよ。御承知のとおりです。そうすると、AV分野の自由化をそれをてこにしてフランスに迫りました。しかしフランス側は、映画は文化なんだ、一般の工業製品とは違うんだと言って断固これを拒否したのは文部省は御存じです。外務省も御存じです。  私は、今、AVの例を挙げましたが、欧米諸国がこの協定に基づいて、一般的に適用すべき最恵国待遇について自国のサービス産業の実態を踏まえて留保分野を設けているのが先ほど紹介した九つであり十であり、それに対して日本はゼロ。すべて無条作で開放しております。市場アクセスについても欧米諸国が八十業種程度あります。それに対して我が国は百業種も開放しております。  私は聞きたいんです。政府は、こういうサービス分野について、本当に影響があるのかないのか、それを調査した上で対応なさったのか、その点いかがでしょうか。

原口幸市外務省経済局長

○政府委員(原口幸市君) 我が国は、サービス貿易につきましても基本的にはできるだけ自由化を進めることが望ましい、それから基本的にはできるだけ最恵国待遇の例外がないことが望ましい、こうした判断に立って、今、先生が御指摘になったような約束をしたわけでございます。それで、そういう形で各国にも日本の後に従ってきてほしい、そういう意図を込めてこういう措置をとったわけでございます。  先生、今、AVの話も御指摘になりましたが、確かにEUは、AVは文化的な政策に関係するからということで、当初はサービス協定の枠外とするように強く主張したわけでございますが、それはならぬということで我々随分交渉いたしまして、結局AV自身はサービス協定の対象になっております。ただし、その上で協定に基づきまして、例えば協定の二条の附属書に基づいて最恵国待遇の免除という登録をしたし、それから自由化につきまして、あるいは内国民待遇につきましてこれを自分たちはできないという形で載せなかったという形でございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 少しはフランスの根性を見習えと私は言いたいんです。  私は、実態を調べて対応したのかということについてどうもあいまいなので、委員長にお願いいたします。  私ども日本共産党は九項目の資料要求をいたしております。その中の一つに、WTO協定に伴う日本経済の各分野への影響予測の資料要求を行っておりますが、まだ出されておりません。委員長においては、ぜひこれを至急提出されるようにお取り計らいを願いたいのでありますが。

矢田部理日本社会党・護憲民主連合

○委員長(矢田部理君) 理事会で協議中でありますが、御要望もありましたので、努力をしたいと考えております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 頼みますよ。  文部大臣、お引き取り願って結構でございます。通産大臣はまだこれからです。  そもそも経済貿易交渉というのは、各国が主張し、各国が合意できる範囲で協定をつくるものであります。合意できない事項は継続して交渉するのが外交上の基本です。また、ガットの精神でもあります。それなのに、三回にわたる米の自由化反対の国会決議まで踏みにじって一括受諾しなければならない理由はないんです。  一方、アメリカはどうですか。他国には一括受諾を押しつけて、自分たちの国内法は優先させる、こういう横暴な覇権主義に固執しております。それはサービス貿易の分野だけではありません。物の貿易についても、アメリカ、EUは民間航空機産業に対する補助金の問題で、欧州のエアバス社とアメリカの航空機メーカーとの摩擦について補助金協定から除外し、民間航空機協定を継続交渉にいたしております。同様のことは鉄鋼分野でも造船分野でも今後の交渉にゆだねております。一覧表は省略いたしますが、ローカルコンテント要求についても、貿易関連投資措置協定で明示的禁止措置にとどめて、NAFTAあるいはEUの枠内の協定を優先させる。自国の利益にならない事項については、協定から除外することとか免除措置をとるとか、あるいは明示的禁止措置にとどめるとか、継続交渉にいたしております。  こういうアメリカの態度に対して、WTO協定で、日本の国益を守るために政府はどういう主張をし、どういう要求をなさったのか、簡潔に外務大臣お願いします。

河野洋平自由民主党外務大臣

○国務大臣(河野洋平君) 基本的には、WTO協定によって世界の経済、国際的な貿易事情というものが統一のルールにのっとって拡大していくことが望ましいという基本的な考え方を持ちました。しかしその中で、蔵員も御指摘のとおり、日本の国内には農業分野その他国際的な競争力という点で問題のある分野もございます。そうした分野にはでき得る限りの配慮をするということもまた我々考えなければならないことも承知いたしておりますが、基本的にはでき得る限り自由化という方針が望ましいという建前でございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 実態を調べもせずに、その影響をも調査せずに、初めに自由化ありきでは国民は納得できません。  私は、この点でも資料要求をしております。WTO協定以外の分野で、合意に至らず継続協議となっている案件及び合意に至らなかった理由、及び日本の対応の一覧表の提出を求めているのでありますが、今のようなアバウトな答弁でなしに、具体的にどう調べてどう対応なさったかという資料を提出していただくように、委員長、この点も至急実現方をお取り計らい願いたいと思います。

矢田部理日本社会党・護憲民主連合

○委員長(矢田部理君) 理事会で相談いたします。

市川正一日本共産党

○市川正一君 具体的に伺いたいんです。  例えば我が国の繊維製品でありますが、その輸入は、一九八四年と九三年のこの十年間の実績を比較してみますと、ドルベースで四・五二倍、円ベースで二・○二倍、こうふえております。激増しております。また、零細な製造業がもろに影響を受ける革靴の輸入、これを見てみますと、八五年と九三年の比較でこの九年間に数量で十倍、介類で五・六倍にまた激増しております。  その主要な原因は何か。繊維について申しますと、我が国の商社や大企業が東南アジアあるいは中国などの安い労働力を利用してコストの低い製品をつくり、日本に逆輸入しているんです。その結果、繊維産地は壊滅的な打撃を受けております。日本の国内業界に被害を与えるこういう人企業の海外進山を規制すべきなのに、逆にWTO協定に基づいて関税の引き下げを実施するというのは全く逆行です。あべこべです。  日本の鉱工業の関税を調べてみますと、既に先進国の中で飛び抜けて低い水準になっております。日本が三・八%に対してアメリカが五・四%です。EUは五・七%です。さらに、この現行三・八%を一・五%という実に六一%も引き下げるというのが、今度の約束じゃありませんか。関税割り当て品目である皮革、それから革靴、この産業に至っては、二次税率で五割の引き下げまで約束しております。  通産省の資料、ここにたっぷりあります。今でも飛び抜けて低い日本がさらにこの関税を引き下げる、国民には納得できません。なぜ堂々と主張しないんですか。この点、通産大臣、いかがですか。

橋本龍太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員は、繊維及び皮革、革靴製品という例示を挙げられたわけであります。これはウルグアイ・ラウンド合意に基づいて、我々は、世界の市場が拡大し、その結果として日本の経済が長期的に発展していくことを期待いたしております。しかし同時に、本院でも何回か御答弁を申し上げましたように、輸入品との競合によって既に影響を受けておられる中小企業者がたくさんおられることも十分承知をしているつもりです。  殊に繊維製品につきましては、輸入の増大、消費の低迷に直面している状況にかんがみまして、関税の引き下げ幅を小幅にとどめるなどの配慮も行ってまいりました。また、繊維産業の抜本的な構造改善を図るために、今年一二月に改正、延長されました繊維工業構造改善臨時措置法を活用して、各種の支援併置を講じておることも委員御承知のとおりであります。  さらに革靴製品、皮革製品につきましては、この業界が社会的歴史的に困難な地域の主要業界であること、そして厳しい状況に置かれているということを十分認識しておりまして、交渉におきましても最大限の努力を払ってまいりますとともに、関税の引き下げの影響を緩和すべく規模四十八億円の基金を関係団体に設置をいたしました。  いずれにいたしましても、政府としては今後ともこれらの産業の動向を注視してまいるつもりでおります。

市川正一日本共産党

○市川正一君 具体的な数字で指摘いたしましたように、文字どおり輸入の急増です。しかも、それが繊維などに至っては逆輸入です。そういうことが放置されたままで、確かに被害を受ける産業と業者に対して措置をしたと、私ども通産省と話し合って、繊維セーフガード措置の運用指釧というのももらいました。しかし、結局、大もとのところを放置したままでやるならば、焼け石に水どころか、ざるに水です。これでは救われないんです。しかもこの指針は、慢性的な打撃を受けております和装産業が中心の絹織物は対象外です。そうでしょう、大臣。  私は、きょう野中自治大臣がおられたらじかに聞こうと思ってたんですが、お忙しいようだから放免いたしましたけれども、例えばちりめんの伝統的産地である京都の丹後地域、あそこでは去年からことしの初めにかけて二十人以上の自殺者も出て社会問題になっているんです。長期にわたって減産、工賃ダウンが続いております。ちりめん業者は全体で一千軒、最盛時の数十分の一にもなっている。親機も八百軒あったのが現在二百五十軒になっておる。そして、織物だけでは生きていけないので夫婦で出稼ぎに行っているという。地元のことですから、野中さんここにおられたら首を縦にうなずいて聞いておられると思うんです。  そこへWTOが関税引き下げをやっていく、絹織物、繊維産業、革靴産業が壊滅的打撃を受けるというそういう認識はお持ちなんでしょうか、政府は。

橋本龍太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員が指摘されましたそれぞれの分野の深刻な状況は私自身存じておるつもりであります。そして、その状況を踏まえながらこのWTO協定の締結までの間に日本として努力をし、関税の期間の延長でありますとか、引き下げ幅を小幅にとどめる工夫でありますとか、今、基金造成の例小も申し上げたような努力を積み重ねてまいりました。これからも私どもとしてはそれぞれの分野における努力を継続していきたいと考えております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 伺っておきますが、事態は生易しくないんです。  中小企業との関係では補助金協定も懸念されるんです。新補助金協定は、輸出補助金と国産品優遇補助金、これはレッド補助金として禁止されます。研究や地域間発補助金、環境補助金はグリーン補助含としてこれは対象外だと。それ以外の構造改革などの補助金はイェローとなっています。Jリーグのサッカーじゃありませんが、実際そうなっているんですよ。すぐひっかかるんです。  となると、小沢地域の振興とか繊維産業など特定の地域や業種に対する支援策、不況対策などの中小企業支援の補助金、融資制度について、アメリカの方が国内産業保護対策、市場アクセスを阻害するというクレームをつけてきて、補助金協定での相殺関税の措置をとるとか、三〇一条で不公正取引慣行くの報復措置で制裁措置がつけられる、そういう懸念が実際に私はあると思うんです。そういうことはないと、こう断言なさるのか。外務大臣でも、通産大臣でもどっちでも結構です。

河野洋平自由民主党外務大臣

○国務大臣(河野洋平君) WTO協定中の補助金協定は、東京ラウンドにおいて作成された現行の補助金協定を受けて作成されたものであります。我が国はこれまでの現行協定を誠実に遵守してきたところであって、WTO協定中の補助金協定において交付を禁止されている補助金は交付していないと認識いたしております。よって、この協定によりまして我が国が現在交付している補助金を交付することができなくなるということはないと考えております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 現実はそんなに付くないですよ。八五年のプラザ合意での円高のときに、円高不況で窮地に陥っている中小企業を支援する法律ができました。そのときに、アメリカはこれは輸出補助金に当たると圧力をかけてきよったんです。そのために時の中小企業庁長官がアメリカにまで出かけていって、何とか八六年の十一月、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法、その中の緊急経営安定対策についてアメリカの了解を取りつけて法律を制定した経緯があります。  私は、参議院の商工委員としてその苦労の内幕も知ってまんがな。だから生き証人です。これはしかも七九年に合意した東京ラウンドの補助金協定、つまり輸出補助金だけ禁止していたあの時期のことなんです。ですから、その時期でもアメリカは円高不況対策は協定違反や言ってクレームをつけてきたんですよ。今回の新補助金協定によれば、構造調整補助金は明確にイェローと規定され相殺関税の対象になります。WTOが実施されれば、アメリカは不況対策や中小企業の構造改革に対する法律、制度の廃止を求めてくるか、あるいはUR合意実施法で強化した三〇一条の不公正取引慣行くの報復で圧力をかけてくることは必至です。こういう圧力に屈して中小企業を殺すのか守るのか、その点はひとつ決意のほどをはっきり聞かせていただきたい。

橋本龍太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 先刻、副総理から御答弁申し上げましたように、我が国の中小企業対策として講じております各種の補助金制度、この中にはWTOの神助金協定におきまして禁止されている輸出補助金及び国産品優先使用補助金に該当するものは含まれていないと我々は認識をいたしております。同時に、我が国の中小企業対策として講じられております各種補助金の交付というものは、輸出促進などを目的としているものではございませんし、貿易歪曲効果を生じているとは私どもは認識いたしておりません。したがって、相殺関税の賦課等の問題が生じるとは考えておりません。

市川正一日本共産党

○市川正一君 しかと承りましたが、これからはやはりお互いに腹を決めてやっていかんならぬ局面だと思いますよ。  というのは、私は国内産業保護や中小企業の振興策について自国の経済発展のために措置することは、これは経済主権に属する当然のことだと思います。現に、アメリカやEUは、民間航空機産業に対する補助金については補助金協定、サービス協定から除外して民間航空機貿易協定に移して継続交渉にしておるじゃないですか。  今までのガットにあった祖父協定はWTO協定では削除されました。WTO諸協定は抵触する国内法、制度についてすべてWTOに合致する方向で改定する義務が課せられました。このこと自体不当ではありますが、しかし、サービス貿易、物の貿易については、きちんと協定の上で日本が免除するなり猶予の表明をしなければ押し切られてしまう。そういうことを私は今言わなければならないときだと思うんですが、外務大臣いかがですか。

河野洋平自由民主党外務大臣

○国務大臣(河野洋平君) これまでも御答弁を申し上げてきましたが、各国はそれぞれ主権と申しますか自国の国益にのっとって大変長い間議論をし、厳しい論争を続けてきたわけでございます。そして最終的に各国がそれぞれ厳しい議論を絆て納得をして、それは一〇〇%みんなが。百点満点であったかどうかはこれは評価はいろいろあるかもしれません、これはまだ後世評価があるかと思います。いずれにしても、各国が納得をして合意をしてこの協定はでき上がったわけでございます。  私は、そういう経過、そして最終的に各国の合意を得てでき上がったこの協定が不当に主権を侵害しているというふうに見ることはできないと思っているのです。

市川正一日本共産党

○市川正一君 どうも不当にとかなんか、言われるとひっかかるんですが、これは後にしましょう。要するに不当でない主権侵害というのはあるのか、それはまた別途やりますが、時間があれば。  TRIPS協定の問題に移っていきたいと思うんです。  知的所有権の保護についてはWIPOという世界的な規模での特別の組織があります。百四十六カ国が加盟し、工業所有権の保護に関するパリ条約には百二十六カ国が加盟しております。このWIPOでは一国一票制をとって、そして工業所有権の国際的ハーモナイゼーションについては八三年以来ずっと協議されているんです。条約のたたき台までできているんです。それなのに、なぜそれがガットの場に持ち込まれてきたんですか。特許庁でも結構です。

橋本龍太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) もう委員自身が今御指摘になりましたように、そのWIPOにおきまして一九八〇年代に入りましてから新たな国際ルールづくりの議論が進められておりましたけれども、加盟国間の複雑な利害対立のためになかなか交渉が進展しなかったという事実はそのとおりであります。  一方、その貿易的な側面というものに着目して、知的所有権制度の新しいルールづくりというものをガットで取り扱おうという動きが東京ラウンドのころから存在していたと聞きました。これがウルグアイ・ラウンドの一つのテーマとして正式に取り上げられることになりまして、今回TRIPS協定として結実した、そう承知をしております。  そして、このTRIPS協定の交渉が成立した、成功した原因としましては、知的所有柄だけの議論でなしに、物、サービス、知的所有権という幅広い交渉分野の中で取り上げられた結果として、参加各国にとって交渉のインセンティブが存在した、さらにその知的所有権制度の整備というものが、円滑な物の貿易あるいは技術移転にとって重要だという認識が広く参加各国の中に生まれてきたといったことが私はまとまった原因ではなかろうか、そのように率直に感じております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 表向きの経過はそういうことのようです。  しかし実際は、私ここに持ってきたのは、経団連の八八年七月に発行した知的所有権に関する日米欧民間三極会議の見解という資料がございます。これを見ますと、要するにアメリカのIBMとかデュポンとか、そういう多国籍企業が中心になって日本の経団連、欧州産業連盟の民間経済団体三団体が共同してガット閣僚会議で知的所有権問題を新しい交渉項目に取り上げさせたんだと、我々がそのイニシアチブをとったんだということを、言うならば誇らしげにここに述べております。  私は、TRIPS協定は日米欧の産業界、多国籍企業の要求に基づいて結ばれたのがその実態だとあえて言わせていただきたいんです。そういう動機に基づくTRIPS協定は、したがって多くの問題点を持っています。確かに近年、発展途上国でも特許法を制定する国がふえてまいりましたか、その内容を見ますと、動植物品種や食品、医療品を特許の対象外にしておりますし、保護期間も十五年航後になっております。これは決して異常ではなしに、我が国でも一九七五年までは食品、医療、化学物質は特許の対象外でありました。  したがって、特許法による保産の対象とか、また保護期間、保護内容、それはその国の産業技術の発展度合いを勘案してその国の政府が独自に決める、これが原則だと思うんです。これを無視してWTOで一律に決めるのは主権の侵害になるおそれがないだろうかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

河野洋平自由民主党外務大臣

○国務大臣(河野洋平君) 議員ももう既に研究をし尽くされておられるわけですから十分御承知、お読みになっていらっしゃると思いますが、協定の第一条の一には「加盟国は、この協定を実施する。加盟国は、この協定の規定に反しないことを条件として、この協定において要求される保護よりも広範な保護を国内法令において実施することができるが、そのような義務を負わない。加盟国は、国内の法制及び法律上の慣行の範川内でこの協定を実施するための適当な方法を決定することができる。」と、こう書いてありまして、今まさに議員がおっしゃったような問題点をここで指摘をし、十分な許容の範囲をここに書いているというふうに思います。

市川正一日本共産党

○市川正一君 今の答弁及び総理答弁などの中にも、このTRIPS協定によって先進国から発展途上国への技術移転が進むんだと、こういう評価がなされております。果たしてそうか。  特許庁の資料での研究でありますが、発展途上国における特許の所有状況は世界全体の特許の六%を占めているにしかすぎぬのです。資料はいささか古うございますが、要求しても資料を出しよらぬのでこれで物を言わせてもらいます。しかも、そのうちの八四%は外国人の所有なんですね。そのうちの九〇%から九五%は使われていないんです。  これは何を意味するかといえば、つまり発展途上国が技術移転を希望すれば先進国の多国籍企業に高い特許料を払わなければならぬのです。このTRIPS協定には発展途上国の特許料を特別安くするという規定があるんですか。そんなのはおませんがな。ということは、やっぱり現状を根本的に変えることはできぬのです。簡単に移転移転と言いますけれども、そうはならぬ。  なぜかならば、インドの元大蔵次官でガント大使のシュクラ氏、これは衆議院でも取り上げたので閣僚の方は御存じだと思いますが、彼はWTO条約が強制する特許法の大棚変更で医薬品が値上がりし、この分野で地域、技術をほぼ独占している多国籍企業への依存が高まることは避けられないということで、結局国民の命がこのままでは守れぬという不安を表明しています。  多国籍企業の主張に基づく今回の協定は、公正公平の原則から外れるおそれがある。私は、政府の言う技術移転が進むということは、単純にはそうならぬということをよく認識して対応していただきたいと思いますが、いかがですか。

河野洋平自由民主党外務大臣

○国務大臣(河野洋平君) 単純にはそうならぬという議員のご発言は、なる可能性も非常にあるということも御承知の上でのことだろうと思います。    〔委員長退席、理事稲村稔夫君着席〕  私は別に妙なことを申し上げるつもりはありません。発展途上国において先進国の知的所有権の保護が透明性その他を持ってなされれば技術移転の可能性は多くなるだろうということを繰り返し申し上げているわけで、その意味では議員も御納得をいただけるだろうと思います。

市川正一日本共産党

○市川正一君 可能性だけでは、夢では生きていかれまへんのや、ほんまに。この間胆については、そういう世界の現実、発展途上国の現実を見て日本が果たすべき役割をしっかりと見きわめてほしい。  時間も進んでまいりましたので、次にアメリカの三〇一条にかかわる問題について伺いたいんですが、アメリカのWTO協定の国内実施法案の百二条では、協定と合衆国法が対立する場合は合衆国法が優先するというふうに明記しております。去る九月末に日米包括経済協議の結果、自動車、同部品が三〇一条の調査対象になりました。  まず最初に伺いたいのは、アメリカが今回のように一方的措置をちらつかせながら、車検制度や系列取引に問題がある、あるいは輸入数量を追加しないのはけしからぬ、こう言って日本に自動車部品の輸入拡大を迫ることは今度のWTOの協定のルール違反になるのかならぬのか。通産大臣、いかがでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) まず、委員のご発言で一点訂正をさせていただきますが、アメリカが通商法。二〇一条の適用を申しましたのは自動車の補修部品の分野のみでありまして、自動車及び組みつけの部品を指してはおりません。この点だけは正確にさせていただきたいと存じます。  その上で、日米包括協議の枠の例えは民間各社の部品の自主調達計画というものはもともと外であります。民間企業のそれぞれの経常判断の中でそれぞれの企業がつくりました将来計画をいわば積み上げたものでありますから、これは政府の関与の外の問題でもございます。これは民間企業そのもの並びにその集合体である工業会の自主計画でありまして、包括協議の当然のことながら外でもありますし、政府の関与の外でもあります。  我々は、こういう議論が続くことを決して好みませんし、二国間の議論が新たに今後、多角的な話し合いの場というものが設けられるならば、そうした場で議論をし、少しでもこうした摩擦が解消できればと心から願っております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 この三〇一の今までの経過を橋本通産大臣も篤と御存じだと思いますが、逐年……

橋本龍太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は当事者であります。

市川正一日本共産党

○市川正一君 今までのこと。今のことは一番よう知ってはるが、知ってもらわぬと困るんだが。  逐年的に整理してみると、これは通産関係とも確認をいたしております。七七年には皮革、八二年には革靴に三〇一条の制裁を発動して関税を引き上げる。そして日本に関税割り当て制度を導入させました。八六年には外国人弁護士受け入れ制度で、八八年にはオレンジ及びオレンジジュースでUSTRに提訴。八五年には半導体問題で半導体以外のパソコン、カラーテレビ、電動工具に一〇〇%の搬復関税を発動しました。八九年には木材、人工衛星、スーパーコンピューターで調査が開始されました。  こういう経過をずっとたどり、その中で明らかになったことを整理してみると、二つのケースをアメリカはねらっております。第一は、WTOの対象外の分野、内容に対しては。二〇一条の発動が自由にできる。第二は、WTOが対象としている分野でも三〇一条による調査開始で圧力をかけることはWTOのルールに反しないという立場です。第、二に、WTOの対象とする分離で三〇一条による一方的制裁を発動しても、WTOの紛争の処理が確定するまでの二十八カ月間は日本はやられっ放しなんですね。  こういう二つのこのケース、このパターンを巧みに利用しながら、調合の開始、提訴、制裁、こういうような形で日本に迫ってくるというのが今、通産大臣が直面している事態の本質じゃないですか。村山総理が、二国間の紛争はWTOのルールで解決できるとおっしゃいましたが、これで解決できますか。何の保証もないということを私ははっきりと申し上げたいと思うんです。  そこで、私の時間がもう迫ってまいりましたので最後に、これは答弁を求めるつもりはありませんが、結びとしてあえて外務大臣に申し述べさせていただきます。  昨日、河野外相は、再交渉を行うべきであるという主張に対して、再交渉は今では遅過ぎる、前内閣がもっと頑張るべきだった、海洋法のときは多数の国が再交渉を求めたけれども今は違うという三点を述べて、再交渉の要求を退けられました。  私は率直に言いたいのでありますが、遅過ぎるのじゃないんです。批准前の今だからこそ間に合う。決して遅くない。あなた御自身、衆議院の答弁で、協定受け入れは国際的義務でないと述べていらっしゃいました。改めるにはばかるなかれというあの言葉は、先日、武村大蔵大臣が、きょうはまた大事な人がおりませんが、代弁して言うとそういうことですよ。野党のときは政府を糾弾、弾劾し、政権につけば前政府に責任をなすりつける。これでは話は通りません。  しかし、国権の最高機関である国会の三度にわたっての全会一致の決議は、全会派全議員の責任に属する問題であります。しかも、海洋法のときと違うとおっしゃいますが、ヨーロッパでもアジアでも農産物の自由化に反対し抗議する世論と運動が各国で広がっております。アメリカの顔を見ながら言うべきことを言わぬ、これは完全な主権放棄ではないですか。私が冒頭、あえてフランスのことを申しましたのは、日本にとって米は日本の文化なんだという立場からも、ぜひそういう見地を学んでいただきたい。  午前中のやりとりで外相は、一国のエゴに陥ってはならぬと述べられましたが、今日、一国のエゴは世界経済を支配しているアメリカの覇権主義です。そういう点でも、私は、この際改めて交渉をやり直すということを主張いたしまして、立木議員に譲ります。  どうもありがとうございました。

河野洋平自由民主党外務大臣

○国務大臣(河野洋平君) 私、答弁をさせていただきたいと思います。  議員から再交渉を行うべきだという御指摘がございました。私はこれまで再交渉は難しいということを申し上げてまいりました。今となって日本一国が再交渉をせいといっても、それはなかなか再交渉ができるわけのものではない。今、議員は、ヨーロッパでもどこでも再交渉を望む声があると、こうおっしゃっておりますが、しかし確実にはもう百二十五カ国の国と地域でこのWTO協定の国内手続をするためにそれぞれ審議が進んでいるわけでございます。恐らく一月一日には相当数の国が手続を終えてWTO協定の発足ということになるというふうに私は見通しているわけでございまして、海洋法のときがそうだったという例示は、この状況とは全く状況が違うということをぜひ御理解いただきたいと思います。  また議員は、先ほどアメリカの三〇一条についての態度について三つの例示をお挙げになりましたが、あの例示を伺っておりますと、それではもっとWTO協定の幅を広げればいいのか狭めればいいのか。一方では、WTO協定外のときにどうするんだと、こうおっしゃる。それなら広げれはいいのかと思うとそうではない。こういうことでは私どもは判断のしょうがないと思うのです。きょうは議員から、大変その道の権威から御指導をいただいたことは心から感謝を申し上げますか、先ほど通産大臣からお答えを申し上げましたように、このWTO協定によって被害を受ける、大きな打撃を受けるそれぞれの分野には、政府としてできる限りの対応を現在しているわけでございます。  一方、関税の引き下げによって国民生活にはプラスの面もあるということもぜひ御理解をいただきたい。内外価格差がこれによって縮まってくる、あるいは従来よりも消費者にとってプラスも大きいという視点もまた見ていただかなければならないのではないかということだけ申し上げさせていただきます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 質疑に入る前に、先般の総括質疑のときに私は、アメリカ側にパネルに提訴をして対抗措置が確認されたのはオランダだけだという問題で、一件だけしかなかったという質問をしました。そのときに通産省の伊佐山次長の答弁で、私はオランダは対抗措置をとらなかったと述べたのに、伊佐山次長の方からは対抗措置はとったという全く事実の違う答弁がありました。  私は、これは非常に事実の問題として大切なことなので、その後直ちに通産省にお願いをして、書類に基づいてそれが事実かどうか確かめてほしいということを要請しました。その後通産省の伊佐山次長の方から持ってこられた四つの文献、ガットのアナリテルカル・インデックス、二番目に日本関税協会発行の解説審「ガットの全貌」、三つ目に日本関税協会発行の雑誌「貿易と関税」に載った大蔵省関税局国際機関課、中川鑑査専門官の文書、四つ目に通産省の資料でまとめた通産省通商協定管理課の文書、この四点を持ってこられました。  そこで、この四点の文書とも私が主張したとおり、この問題についてはパネルがオランダに対してアメリカに対する対抗措置を認めたということは確認しておりますけれども、オランダが対抗措置を実際にとったという記述は全くないわけであります。通産省の方はさらに引き続いてその後オランダ本国に調査を今依頼しているという状況が説明されました。  しかし、この特別委員会が開かれている会期中に、私は問題のけじめをつけておく必要があるというふうに考えましたので、ましてやこれは判断の問題でなくて事実の問題ですから、私は何か日本共産党の質問が事実に基づかないで勝手なことを述べたというふうに誤解されては困りますし、ましてやテレビでの放映でありますから、この際、伊佐山次長の現時点でのお考えをお聞きしておきたいと思います。

伊佐山建志通商産業省通商政策局次長

○政府委員(伊佐山建志君) お答え申し上げます。  先生御指摘の実際に発動されたか否かの点についてでございますが、まさに先生今御紹介いただきましたように、正確な事実関係については現在、在オランダ日本大使館を通じましてオランダ政府に確認をいたしているところでございまして、その確認の結果につきましてはもう少しお時間をいただけると幸いでございます。  月曜日の御質問に対する私が御答弁申し上げました点でございますけれども、オランダが米国の措置に対してガットに提訴し、対抗措置を求め、それがガットにおいて認められたというプロセスがあったものですから、対抗措置がとられたと申し上げました。実際にオランダがどのような措置を実施したかにつきましては、現在確認をさせていただいているところでございまして、そういう意味で誤解を与えるような発言をいたしましたことについては申しわけなく存じております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 通産大臣、お聞きのような状況なんです。結局私が述べたのは、アメリカにいろんな違反問題があって提訴をした場合に、アメリカに問題があったということはパネルでいろいろ問題になりましたけれども、事実上対抗措置をとった国というのは一件もないんです、この四十七年間。そういうことを私は明確にしたがった意味で述べたわけで、事実が明確でないのにもかかわらず、いわゆる慎重を欠く答弁が今、不十分でしたというお話がありましたように、こういうことについては今後の教訓としてやっぱり改めていただきたいと思いますので、最後に一言何かコメントがございましたら、大臣。

橋本龍太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 不正確な答弁を事務方がいたしましたこと、私からもおわびをいたします。

立木洋日本共産党

○立木洋君 食品の問題について厚生大臣にいろいろお伺いいたしたいと思います。若干時間が少なくなりましたので、途中ではしょるかもしれませんが、よろしくお願いします。  日本で決められておる食品安全基準としての食品の添加物の問題や農業の残留基準等の問題について、これは日本では国民の生命と健康を守るという、科学的でそれから安全性の点から十分に検討を経て決められているものだと考えておりますけれども、そうでしょうか。

井出正一新党さきがけ厚生大臣

○国務大臣(井出正一君) お答えいたします。  我が国の食品の安全基準は、先生今お述べになりましたように、国民の健康確保を第一に考えて策定してきたものでございます。食品の安全基準についての審議は、厚生大臣の諮問機関であります食品衛生調査会において行われますが、当調査会には常任委員会及び分野ごとの八つの部会が設置されておりまして、科学的・専門的知見に基づき慎重な審議が行われておるわけでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 SPSですね。    〔理事稲村稔夫君退席、委員長着席〕  結局、コーデックス委員会で作成された国際基準の点で、これと比較して日本の食品の安全基準がどういう違いがあるのか、その点について若干説明していただきたいと思います。

小林秀資厚生省生活衛生局長

○政府委員(小林秀資君) 食品衛生法に基づく残留農薬基準があり、かつ国際基準もある農業のうち、残留基準が国際基準より厳しいものは二二%ございます。  次に、食品添加物についてでございますが、国際機関において安全と評価された化学的合成品たる添加物三百十二品目のうち、我が国において食品衛生法の指定を受けている添加物が百九十二、六一%、我が国において指定を受けていない添加物が百二十一、三九%ございます。  それから、食品の放射線照射につきましては、コーデックスの照射食品に関する国際基準では食品の吸収する総平均線量は照射工程で十キログレイを超えてはならないと規定をされております。しかし、対象品目は規定をされておりません。我が国では、食品の規格基準において、この放射線照射はバレイショの発芽防止を目的とするもののみ認められておりますということでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 WTOの内容では、このSPSでは国際基準に調和させることが義務化されているというふうに承知しておりますが、このSPS協定で日本としては基準を守っていくことができるんだろうか、WTOが発効された後、日本の基準、日本で決めた基準を守っていくことができるのかどうか、いかがでしょうか。

井出正一新党さきがけ厚生大臣

○国務大臣(井出正一君) WTO協定中のいわゆるSPS協定は、各国の衛生植物検疫措置と国際基準との調和を図ること等を規定したものであります。食品の安全に関する国際基準は、国際的な機関において消費者の健康の保護を目的として策定されてきているものでございまして、我が国においてもこのような国際基準により国民の健康は確保できるものと考えております。また、この協定には、科学的に正当な理由がある場合等におきましては、国際基準よりも厳しい基準を採用し得ること等の規定も盛り込まれております。  こうしたことから、この協定の締結によって国民の健康確保に支障を及ぼすような食品の安全基準の緩和を行う必要はないものと考えております。これからも国民の健康を守ることを第一に考えていく所存でありますし、このコーデックス委員会の国際基準には我が国の食品衛生調査会の研究あるいは意見を反映できるように頑張っていきたいと思います。

立木洋日本共産党

○立木洋君 科学的な正当な理由がある場合、いわゆる厳しい基準を維持することができるという点は、これは極めて単純ではないんです。  問題は、先ほど言われましたように、TBTの方では結局、貿易の障害になるようなことがあってはならないということが一方で決められていますね。同時に、科学的に安全性を評価する場合に用いられるのはどういうふうな問題が用いられるか、どういうことが用いられるかというと、どれだけのリスクが受け入れられるかというリスク評価が問題になるんです。つまり、これだけの残留農薬があると、これで本当に人体に危険を及ぼすのかあるいは危険でないのか、どの程度が危険でどの程度が危険でないのかと。これはもう今までの公害の問題だって常に問題になることですよ。そして、そういういわゆる価値判断に非常に大きく左右される。  ですから、政府や企業の見解と一般消費者市民との間では非常にこの基準のとり方というのは、科学的科学的と言いますけれども、問題が今までもたくさん起こっているんです。現にこの問題は、国際基準を定めているコーデックス委員会のメンバーの三五%は食品関係の多国籍企業の代表によって占められている。発言権はどんどん認められていますから、発言することは可能であります。だから、国際的に決めた基準より厳しい基準をいつでもとれるみたいな言い方をするというのは私は正確ではないと思うんです。その点だけはこの問題ではっきり示しておきたいと思うんです。  その点で、国際基準より厳しい基準を持とうとするような国がそれを証明する義務を負うわけですが、厳しい基準を持とうとした結果、しかし実際にはガットの規定によってそれがTBTに反すると、つまり障害だと判断されたような場合には、その国はどうなるんでしょうか。

小林秀資厚生省生活衛生局長

○政府委員(小林秀資君) まず、先生がおっしゃいました科学的な正当な理由というのは、私ども日本人がお米をたくさんとる、それからリンゴをたくさんとるということも立派な私は正当な理由だと思っております。  ただ、先生がおっしゃるように、仮に食品の輸出国、日本に輸出をしようとしていらっしゃる国が我が国の基準について貿易を制限するものと訴えた場合なんですね。その紛争は、WTO協定の紛争解決に関する規則及び手続に関する了解に基づき解決が図られることになります。この際、中立的な委員から成る小委員会がつくられまして……

立木洋日本共産党

○立木洋君 経過はわかっているんですよ。問題は、否定された場合、障害だと断定された場合。

小林秀資厚生省生活衛生局長

○政府委員(小林秀資君) そういう委員会で科学的な正当性があるかどうかの判断をすることになっております。  仮に、我が国の基準が科学的に見ても厳し過ぎるという判断がされた場合であっても、農業等については人の健康に全く影響を与えない一日許容摂取量、ADIを超えることのないよう基準を設定することが国際的にも大前提とされておりますので、国民の食生活の安全を守るには支障を来すことはないと、このように考えております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 だけれども、最も重要な点を今お避けになっている。  もし、ガットに提訴をして、ガットで争いになって、そして国際的よりも厳しい基準を求めたけれども、それが実際には貿易の障害になるということが判定された場合、大変なことになるんですね。  一つは何か。その国が厳しい基準をとったために輸出できなかった国にさまざまな経済分野で報復措置が実行できるような権限が与えられるんですね。もう一つは、厳しい基準によって被害を受けた国、その被害に対しては補償しなければならないという義務を負わなければならない。  だから問題は、厳しい基準を求めようとしてこのことを認めてくれといって訴えてそれが敗訴した場合、莫大な高額の負担を負わなければならなくなるんですよ。そんな負担まで負って厳しい基準を求めるというふうなことは本当に確信がなければできなくなる。これは大変な問題があるんだということを私は指摘しておきたいと思うんです。  同時に、日本はこれまでこの科学的な安全性を検討したといって基準を決めたんです。そうでしょう。いいかげんに決めたんじゃないと私は思いますよ。もちろん消費者の意見を聞いたり、専門家の意見を聞いて決めてきた。ところが問題は、ここ数年間、なぜ日本は日本よりも低い国際基準に合わせるような緩和作業を進めてきたのか。この点が私は問題だと思うんです。  どうしていわゆる国際基準に先取りして緩和するような作業を進めてきたんですか。その点について、大臣、いかがでしょうか。これは基本的な考え方の問題ですから、大臣にお答えいただきたい。

井出正一新党さきがけ厚生大臣

○国務大臣(井出正一君) 厚生省といたしましては、国民の健康が確保されることを大前提として、食品衛生に関する規制が不当な貿易障害にならないようにするため、加盟国の基準をできる限り国際基準に調和させることは必要であると考えております。  食品の安全に関する国際基準は、消費者の健康の保護を目的として策定されてきているものでありまして、基本的には我が国においてもこのような国際基準により国民の健康は確保できるものと考えております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 いや、その文章を読み上げられただけではどうも皆さん聞いておってわからぬし、納得できないのじゃないですか。私が育っているのは大変なことなんだ。正しい科学的正当な理由があるなんて言ったってTBTの問題もこれあり。それから、大体コーデックス委員会が決めているのはなぜか。食品の流通を促進するための委員会なんですから、それが妨げになるような状態になれば敗訴になるということだってあるわけです、専門委員会が何ぼ選ばれたって。そうした場合に、厳しい基準があって、高い金額まで払って、賠償金まで払って、それでもなおかつ高い基準を求めるようなことをするのか。つまり、リスクの評価というのは価値判断にかかわるわけですかも大変な問題なんです。いいかげんなことではないということだけは、大胆、よく心得ておいていただきたいと私は思うんです。  そこで問題は、今なぜ日本が国際基準に調和をし、国際基準の緩和を進めてきたのか。  ウルグアイ・ラウンドができる前の十五回FAOとWHOの合同食品規格委員会に出席した日本の代表は、国際食品規格の最大残留農薬許容量と日本の基準とは異なっているということを主張して、国際基準を直ちに受諾することはできません、これは困難ですと言って主張したんです。これはウルグアイ・ラウンドが始まる前です。  ところが、ウルグアイ・ラウンドが始まってから日本の主張は変わったんです。それまでガットと関係なかったんですね、コーデックス委員会というのは。だけれども、コーデックス委員会がWTOの中に組み込まれていくというふうな状態にウルグアイ・ラウンドの中でなってきた。そうなった結果、その規格を受け入れるということがかつては任意であったのが、国際基準の受け入れが自由貿易の促進という立場から義務化されたんですよ。そして、FAOとWHOの合同食品規格委員会第十八回総会、これはウルグアイ・ラウンドが始まった後です。そこではもう日本は早期に国際規格の受け入れの対策を検討するということを総会で発表しているんですよ。  問題は、どうしてなのか。これは食品の国際的な流通量が増加してきた、それを妨げるという口実で、各国に対して厳しい食品安全基準の見直しかアメリカを中心としてガットの場で推し進められてきたからなんです。だから、日本でもそういう食品関係の多国籍企業などができるだけ参加をしてもらって見直しをするというふうな状態になってきたんですよ。つまり、大変な事態。  食品の安全の問題でも科学的な正当な理由があれば高い基準が認められるんだ、厳しい基準が認められるんだなんというようなことは、私に言わせるならば令く道理の通らない言い分にすぎない。現実にはこれが進められてきた。日本自身だって、日本政府自身が科学的な安全性という見地から検討したと言いながら、食品の安全基準の緩和をずっと進めてきているじゃないですか。いわゆる残留農薬にしたって、一九九一年からこれをふやしてきて、二十六だったのが百三まで、いわゆる国際基準の八二%まで既にウルグアイ・ラウンドによって合意して、WHOが発足する前に国際基準に調和させたじゃないですか。結局、これはアメリカの圧力なんですよ。  こういうふうな問題を考えるならば、私は最後に指摘したい点ですが、日本政府は本当に、厚生大臣がおっしゃるように、国民の生命あるいは健康のため安全を第一義的に考えていわゆる安全基準の問題を考えているのか。食品多国籍企業の食品貿易、これの流通を増大させるということを第一義に考えて実際上は進んでいく危険性があるんではないかという懸念があるので、その点についての厚生大臣のまず見解を端的で結構ですから述べてください。大臣が述べてください。

小林秀資厚生省生活衛生局長

○政府委員(小林秀資君) 先生、先ほど申しましたように、残留農薬基準をつくってきておりますけれども、緩和したというのではなくて、新しく厚生省としては今まで残留基準がないものを順次づくってきたと。最近そういうことでつくってまいりまして、そのときにはもちろん国際基準というのを参考にし、それから本当に人間の体に、健康に害があるのかどうか、そこを吟味してきちっとつくっているものでございまして、緩和してきたということにはならないと私は考えております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 もう時間があれですから、私は最後に質問をして、大臣の答弁をいただきます。  今の局長は、どのようなことでもお述べになることができる。しかし、現実に国際基準の八二%に合わせているということは事実なんですから、国際基準というのは低い基準なんですから、私はそのことだけはもう一度述べておきたいと思います。  同時に、この問題については、つまり未来を担う子供たちあるいはお年寄り初め日本の国民というのは安全な国内産の食品ということを願っているんです。そして、政府自身もその立場から、消費者の要望を受け入れながら、やっぱり食品の安全の問題についてはいろいろ科学的安全の問題を検討しながら進めてきたと言われておりながら、現実にはアメリカの圧力等によって食品基準を、リスクの評価にかかわる価値判断の問題ですから、だんだん切り下げていくというふうな状態になることは極めて大変な問題だと私は指摘したいと思うんです。  ですから、この点で本当に厚生省が国民の生命と健康の安全を第一義として今後とも貫いていくという立場をとるのかどうなのか。貫いていくならば、その食品基準において危険な問題をもたらすこのような協定については明確な主張を、こういう協定については同意できないという主張をもやっぱり明確にする立場をとるべきだと思いますけれども、その二点について政治的な判断を述べていただきたい。

井出正一新党さきがけ厚生大臣

○国務大臣(井出正一君) 食品の安全基準につきましては、引き続き国民の健康確保を最優先に進めていくつもりであります。さらに国際基準との調和も踏まえていかなくちゃなりませんが、その際、私どもの食品衛生調査会の科学的あるいは合理的な判断に基づいて対応をしてまいりたいと思っております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 一言だけ。本当に科学的な安全性を守るという立場を貫くかどうかということは、国民が見ているわけですから、今後とも真剣な立場で私は対応していただきたいし、そういう立場であるならば、このWTOにおける関係の内容については、これは受け入れることができないということを重ねて私は主張し、質問を終わります。

青島幸男二院クラブ

○青島幸男君 私は、著作権の問題につきまして主に質問をさせていただきます。  まず著作者人格権につきまして、これはこの協定の中では特例事項、例外事。項だというふうなことになっているということ自体、私は納得がいかない思いがするんです。先ほど私の前に質問に立たれた方の発言に対して河野大臣が、それは各国はそれなりに議論をして了承しているんだからそれでいいじゃないか、しかしそれがフェアに行われるかどうかをシビアに見詰めればそれでいいというようなお答えをいただきましたけれども、特例になっていること自体がフェアではないのじゃないかという気が私はいたすのですけれども、この問題についてここで御議論申し上げようとは思いません。  著作権あるいは知的所有権についてもさまざまな形がありますけれども、今まで主に工業著作権とかそういう工業権、あるいは特許、そういう問題について論じられましたけれども、今、私が取り上げたいのは、音楽著作権などに代表される芸術的な分野の著作権のことをお尋ね申し上げたいんです。  と申しますのは、最近、特にアジアでは日本の楽曲とか映像とか出版物が大変に人気がありまして、もてはやされております。非常にポピュラーになっておりまして、どこへ参りましても日本の歌が聞こえたり、日本の映像があったり、出版物があったりします。それは大変に文化交流の上では役に立っていると私は思うんですけれども、著作権者の権益の問題になりますと、これは全く尊重されるどころか無視され、じゅうりんされているというような実感を私は持つんですね。  これではやっぱり本当の意味の友好とか文化交流には結びつかないんではないか。やっぱりその点には配慮していかなきゃいけないんじゃないか。他国にそのことはあるいは求めることが必要なのかもしれない。これは外交的な手段で面と向かってねじ込むような形でいくのか、あるいはそうでなくて、もっと友好的な手段がとり得るのか、あるいは改善方を求めるように要求を入れるのか、さまざまな形があると思いますけれども、現状のままでいいとは私は思わないんですが、大臣、その点に関して御見解を承ります。

河野洋平自由民主党外務大臣

○国務大臣(河野洋平君) 青島議員の御心配、御指摘は私もよくわかります。音楽著作権などをどうやって守るか、権益を守るかということは相当技術的な問題もあると思います。協定だけが結ばれていても、それは十分な権益を守るということにはならないと思います。つまり、技術も必要だし、知識も必要だし、あるいは人的な問題もあるだろうと思います。したがって、この協定が実際に効果的に運用されるためにはそれなりに技術的支援、あるいはもっと言えば、さまざまな経済的支援まで含めて行う必要があるだろうというふうに思います。

青島幸男二院クラブ

○青島幸男君 と申しますのは、観光客として我が国を訪れた方がテープとかディスクとかあるいはさまざまなものを持ち帰られて、しかもそれを何十万というようなオーダーで複製なさって、営利目的で販売するわけですよ。そうすると、やっぱりオリジナリティーを持った考案者とか作者ですね、その方の権益というのはもう本当にじゅうりんされまして、これを明確にしておかなければそれこそ有効な手だてにも結びつかないと思いますし、その数はまた大変なものなんです。  かつて私の同僚で今泉隆雄という方がおいでになって、そういう名前だと皆さん御認識ないと思いますが、いずみたくさんです。この方は高名な音楽家ですから皆さん御存じだと思いますけれども、この方が旧ソ連に旅行に参りまして、団体ですから、シャイな方ですから端の方にいたらしいんです。それが、ピンキーとキラーズというのが歌いました「恋の季節」という大変ポピュラーな歌がありましたけれども、この歌が何かロシア民謡にちょっと似た感じがするんですか、大変に旧ソ連で受けまして国民歌謡のように歌われていたそうなんです。実はそのいずみたくさんがこの曲の作曲者だということが明確になったら、いきなり上座へ据えられて大変なもてなしを受けた、こういうことなんです。ただ、いずみたくさんが申されますには、これがアメリカでこんなに受けてくれたんだったらプールつきの邸宅が建ったかもしれないなと苦笑いをしておられましたけれども。  車ほどさように、莫大な金額を生んだり権益を生んだりすることなんですよね。しかもやる方は、そういうことを行う方々はこういうことを営利目的に行うということが作者の権益をじゅうりんする重大な犯罪行為だという認識をお持ちにならないんですね。また作者の方の周りもそうなんですけれども、昔から我が国でもそうですけれども、そういう無形の知恵とか元手のかからないものだとかというものは余り尊重しない風潮があるのは私は許しがたいことだと思うんです。いいじゃないか、おまえの歌が世界の人々に親しまれて歌われるのなら作曲者冥利に尽きるじゃないかと、それでおしまいになってしまってはいけないんだと思いますよ。やっぱりつくった方の権益が正確に保障されて、しかも尊敬を持って受け入れられるというような制度を持たなきゃならない。  それを他国に求める場合、我が国の場合は日本音楽著作権協会などと言われる、御存じのとおりJASRACというのがありまして、それがそういう権益をお持ちの方から的なりなんなりをお預かりしてそれでその実行行為を代行するという形で、外国のものを使った場合でもそれはそれなりに集めてそちらへお支払いするという格好になっています。  ですから、各国でそういう格好のものがきちっと整備されて、そのことをまた国民の一人一人が認識して、楽しんで歌ったり感激を持ったりして、感激を受けられるようなものについては十分な尊敬を持ってその作者に対して何らか感謝の気持ちを持つというような形が、金銭を支払うという格好で明確にお互いの権益が尊敬を持って守られれば、それこそ友好関係が結ばれると思うんですが、そういうふうに外国に求めるということは果たして内政干渉になったりするのかなとか、そんな気もするんですけれども、これは一朝一夕にはできないことだと思います。  先ほど大臣の御発言にありましたように、長い時間をかけて相互にどういうふうに理解を進めていくかということを研究し合いながら啓発し、あるいは援助していかなきゃならないと思います。その点でもう一度御決意を承りたいと思います。

河野洋平自由民主党外務大臣

○国務大臣(河野洋平君) コピーとかテープとかというものが出回るころ我が国でもそうしたことが随分と議論になって、著作権法というものをもう少ししっかりしなければならぬという議論をしたことを私は覚えておりますし、最近でも貸しレコードなんというものがどういうふうに扱われればいいかという議論があったり、我が国でもそういう議論があるわけですから、途上国ではもちろんそうした議論があると想像してもそれはもう間違いがないだろうと思います。  そこで、我が国としては、途上国への支援ということでJICAを通じたりあるいは文化庁のさまざまな事業などで、主としてアジア地域における著作権制度の整備、普及を目的とする例のWIPOの途上国開発協力プログラムに対して支援するとか、こういう作業が行われています。  これは一遍に手品のように全体を把握するなんということは残念ながらそう簡単にできるとは思いませんけれども、しかし法制の仕方それからシステムをつくることをどうやって把握するか、あるいは海賊版なんというものは非常に本人の権益を侵すものだということの意識を普及させること、こういったことのために大いに努力をしなければならないのだと思います。  技術協力に関する第六十七条という条文の中にもそのことが、技術的支援を、ここにはこう書いてありますね。「知的所有権の保護及び行使並びにその濫用の防止に関する法令の準備についての支援並びにこれらの事項に関連する国内の事務所及び機関の設立又は強化についての支援一人材の養成を含む。こ、こういったことをしようということを掲げてこれからも進めていくということが当面一番オーソドックスな方法であろうというふうに思います。

青島幸男二院クラブ

○青島幸男君 おっしゃるとおりなんですけれども、少々のことならまだ我慢はできますけれども、それが極めて大規模に行われているわけですよ。出版の部分なんかでは、やっぱり翻訳の問題もあるでしょうから、一部の専門書などを除いては余り海賊版というのはないですね。しかし、コミックスなんというのはそれこそ何百万というオーダーで出ますけれども、これを土産で持って帰ってすぐ版を写真で起こして、漫画みたいなもの、コミックスは吹き出しの部分だけ現地の言葉にかえて、大変な量が出回っているわけですよ。それから、こちらから持って帰ったビデオあるいは映像をそのままテレビにまで流して何の支払いもしないというような例もあるわけですしね。  そういうことを重ねて考えますと、例えばヨーロッパでディジタルで録音してすぐに再生できるというような機器を輸入するときに大問題になったことがありましたですね。それをやられちゃかなわぬ、レコードが全然売れなくなってしまうじゃないかと。ですから、そういうものに蔵出しのときに税金をかけて、それで著作者に保護を与えようじゃないかという議論もありましたけれども、これはなかなかうまくいきません。ということは、一人一人がきちっとした認識を持って対応するようになるのを待たなきゃならないという大変気の長い話ですけれども、それは確かにそのようで、しかもそういうものが莫大な利益あるいは金額を生む。  例えば、リバプールの四人の青年が世界的な音楽のリーダーになりまして、ビートルズというメンバーですけれども、これが大変なヒットを飛ばし続けまして、アメリカから莫大な著作権料が入りましたね。そのときに、逼迫をきわめておりましたイギリスの経済に非常に大きく寄与した、おかげで勲章までもらったという話まであるくらいでして、これはないがしろにできない問題としてきちっと見詰めて、他国に理解を求めるということもしながら援助の手も差し伸べるという格好で、文化的にも相互信頼、理解のためにもそれがその道に沿って国際平和につながるように努力していかなきゃならない。  しかも、これは一朝一夕にはできないことだということを十分認識をしておりますけれども、その線で推し進めていただきたいし、重要な論点になるものだという認識をお持ちになってお続けいただきたいという要望をもちまして、終わります。  ありがとうございました。

矢田部理日本社会党・護憲民主連合

○委員長(矢田部理君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後六時八分散会

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