世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会 第5号
- 発言数
- 263 件
- 登壇者
- 35 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 1994/12/06
会議録
○委員長(矢田部理君) ただいまから世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、島袋宗康君、上野雄父君及び井上哲夫君が委員を辞任され、その補欠として下村泰君、三上隆雄君及び粟森喬君が選任されました。 —————————————
○委員長(矢田部理君) 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結について承認を求めるの件、著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律案、特許法等の一部を改正する法律案、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案、農産物価格安定法の一部を改正する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案、以上八案件を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○木宮和彦君 私が自民党を代表いたしましてトップバッターで本日の一般質疑を行いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 外務大臣ほか諸先生方、連日のごとく審議に加わっていただきまして、本当に御苦労さまでございます。WTOは、どうも人によりましては大変評判がいいような悪いようなものでして、まず最初にわからない、つまらない、終わらない、これは私が言うんじゃなくて、ある評論家がそうおっしゃいましたので、そういうふうに大変私にもわかりづらい点がたくさんございます。 きょうは最初に外務大臣にぜひお伺いしたいんですが、このWTO、世界貿易機関の協定の今までの沿革並びに今後の見通し、そして今審議しております国内法の整備につきまして御所見をまずお述べいただきたいと思いますので、よろしくどうぞ。
○国務大臣(河野洋平君) WTOにつきましては、議員ももう御承知と思いますけれども、ガットの中で新しい貿易の仕組みを検討するという状況の中で、七年余りをかけまして各国が議論を続けてきた結果によるものでございます。南米のウルグアイ、プンタデルエステの会合におきまして、こうした新しい考え方というものに向かって議論が始まりました。 私の記憶に間違いかなければ、当時の日本の外務大臣、倉成正外務大臣であったと思いますが、倉成外務大臣がウルグアイ・ラウンドというふうにこれを呼び始めた最初と伺っております。自来七年間、大変多数の国が多角的な検討を加えられて、今日のウルグアイ・ラウンド交渉が結実をするまでには幾多の紆余曲折があって、当初はまず四年間で結論を出そうと、こう言っていたものが四年ではまとまらず、さらに延長延長ということで、やっと本年の四月に最終的な文書が確認をされたということでございます。 これまでガットのルールによって行われておりました物の取引が、新しい経済の中で物と同時にサービスの貿易が非常に多くなったということに着目をされて、物と同時にサービス貿易についてもルールを決めようということになったということでございます。 物の貿易については関税の引き下げその他が議論され、さらにサービスについては新しく国際的なルール化に取り組むと。同時に、紛争処理手続について新たなルールをここに加えるというような議論がまとまりまして、百二十を超える国と地域の合意ができたところでございます。 しかしながら、この議論の過程で、農業問題など国際的な競争力に問題のある分野については国益を踏まえてさまざまな議論が各国から提起をされてきたわけでございます。しかし、いずれにせよ例外なき関税化という大きな網をかぶせて議論が進みまして、その中にあって我が国は最後まで、議員御案内のとおり農業関連について国益を踏まえた主張をしてきたわけでございますが、最終的に昨年十二月、ドゥニー調停案を受け入れるということでこの問題に終止符を打つという経過でございました。
○木宮和彦君 ただいま御説明がありましたように、大変長い間、我々の先人が一生懸命この問題に取り組んでくださった、こう思います。 日本という国は貿易立国でございますし、ガットというのは戦後、昭和二十二年、私は昭和で言わないとわからないんですが、ガットの暫定的適用に関する議定書がジュネーブで作成されてからガットというのが始まった、こういうふうに聞き及んでおります。 日本がガットに加盟いたしましたのは昭和三十年と聞いております、三十年の九月十日。以来、ケネディ・ラウンドとか東京ラウンドの中でもやるし、それから第二次石油危機が起こり、そして今日に来たわけでございますが、そもそも今回の世界貿易機構についての提案は、レーガンさんが日本においでになったときに中曽根さんが提唱したというふうに聞いております。それから、いわゆるウルグアイ・ラウンドでもって初めてこれが開始されましてから、今お話しのとおり七年七カ月かかってやっと昨年ジュネーブでもって実質的な妥結が得られ、本年の四月十五日ですか、マラケシュでもって調印されたというふうに聞いております。 ただ今回は、今までは物だけが主なる目的でありましたのが、途中からですが、いろいろ必要があったと思いますが、附属書の一の中にA、B、Cとあって、Aが物であり、BがサービスでCが知的所有権、いわゆるTRIPSと言いますが、この三つのことをひとつ例外なき関税化をやろうという手続が書かれていると思います。 それでは、今までは主に物のことがほとんど言われましたけれども、なぜここへ来て急にサービスのこと、あるいは知的所有権のこと、これはアメリカの立場あるいは先進国の立場なのかもしれませんが、どうしてこういうものを今回包括的に入れざるを得なかったか。その理由と、それからまた、日本にとってこのいわゆるB、Cが、これがあった方が私はいいと思うんですけれども、外務大臣いかに思いますか。あるいは通産大臣にもお伺いいたしたい、こう思います。
○国務大臣(河野洋平君) 先ほども少し触れましたけれども、一般的に先進国におきましては経済発展に伴って産業構造が変化をしてまいりましてサービス産業が拡張されてきた、どんどんとそのシェアを大きくしてきた、そして経済のソフト化あるいはサービス化というものが非常に顕著になってきたということがございます。 こうした傾向は先進国では特に顕著でございますけれども、発展途上国においてもやはりそういう傾向が見られるようになってきているというふうに認識をしても間違いでないと思います。 ウルグアイ・ラウンド交渉の準備が開始されました一九八〇年代の前半、まさに今、議員がお話しになりました中曽根・レーガン時代でございますが、この時代に、最もこの傾向が顕著になりつつある時期であったということもございまして、つまり基本的に物の貿易に対するルールということであったガット体制に対してサービス貿易についてもルール化をするべきだという議論が起きてきたわけです。これは日米首脳会談その他でも語られて、アメリカなどはこの傾向が非常に顕著でございましたから、それはもう非常に推進しようということになってきたのだと思います。 当初、これらの新たなルールづくりにつきましては開発途上国は慎重であったわけでございますが、さまざまな議論を経まして先ほど申し上げましたウルグアイ・ラウンド交渉が始まりまして、その交渉に当たってサービス貿易などの規律の策定を目標とするということが決められたわけでございます。 我が国におきましても、今、議員が御指摘になりましたように、我が国の産業構造が、これは場合によれば後ほど通産大臣から御答弁があるかもしれませんが、産業構造の変化というものはもう御承知のとおりの状況でございまして、こうしたサービスの分野におけるルール化というものは我が国にとってもプラスの要素は大きいと思いますし、発展途上国におきましても、知的所有権その他の保護が先進国からの技術移転その他には非常なプラスになるという部分もあろうかと思います。こうしたことが先進国、発展途上国を含めて世界の経済というものを大きくしていき、そして経済の発展にも貢献する部分が大きいというふうに考えているところでございます。
○木宮和彦君 私も大体同意見でございますが、ただ、昭和五十七年にガットの閣僚会議でもってアメリカがこれを提唱したんですけれども、当時はブラジルとかインドがこれに強く反対してできなかった。今回そのように日の目を見たといいますか、そういう経過があると思いますので、今度は百二十五カ国がこれに加盟しようと、こういう事態でございますが、これについての心配はありませんか。
○国務大臣(河野洋平君) 現在、合意をされました百二十五の国及び地域はそれぞれ国内の手続を進めておられます。それで、現在のところ、ガットの事務局の報告によりますと、およそ三十カ国程度が手続をしたというふうに報告されておりますが、そのほかに、既に国内での手続が終わっております国も七、八カ国ございます。ここのところ毎日少しずつ、国内手続が完了したという報告がございまして、国によっては既に上院は終わったとか、あるいは既に下院は終わったという国などもございますので、十二月八日、実施のための会合がございますが、その会合を目指して多くの国は努力中というふうに思っております。 今、議員まさに御指摘になりましたブラジルなどは、この手続についても少しおくれがちというふうに聞いております。
○木宮和彦君 いろいろあろうかと思いますが、お米の問題とか農産物の問題は諸先生方が熱心に毎日のようにやっていらっしゃいますので、私は主にこの附属書の一のBとCについてきょうはお尋ねをしたいと思います。 そこで、実はこれは科学技術庁の白書から拾ってきたんですが、主要国の技術貿易額の推移というのがございます。日本は現在出入りでいいますと大体半分くらいが輸入超過になっています。ですから、技術移転は日本がよそへ提供するものよりも日本が金を払う方が多いということですね。大体半分です。出ていく方が倍多いわけです。アメリカはどうかといいますと、四倍稼いでいるんですね、四・三倍くらい。かつては十倍稼いでいたんです。払う方は一でもらう方は十という、これがアメリカの今までの、昭和五十年代が大体そうでございました。現在はそれが四・三くらいになっております。ドイツが大体日本と同じでやはり半分ぐらい。出る方が半分多い、倍たくさん払っている。フランスが大体七割払っている。それからイギリスが大体とんとんで、出る方と入る方とが大体一緒。これが現在のいわゆる技術貿易に関する実態だと思います。これは白書から拾ってきたものですから間違いないと思います。 ところで、これはバブルのときでありましたけれども、ある学者のお話を聞きました。日本という国はともかく、物は製造して、しかもそれを立派に改良してすぐれた製品をどんどん、自動車でも家電でもあるいはその他いろんなものがそうですが、それを新しく改良することが非常に得手だと。それで、大量に生産して海外に出しますからやはり日本が非常に目立ってしまう。 それに対してイギリスなどは逆に、例えば携帯電話もそうですが、あのパテントを取っているのはイギリスと聞いております。現在爆発的に日本でも売れていますが、それが恐らく一台売れるごとにその何%、数%は特許料としてイギリスに日本からそれが移転している、私はそう思います。 アメリカは、貿易で言いますと、貿易収支と貿易外収支とが大体とんとんだそうですね。日本は七五%と二五%だと。三対一くらい。ですから、見えないものの稼ぎ、例えば観光もそうでしょうし運輸もそうだし、また金融であるとか、あるいはビルを買ってそれを貸すとか、あるいはパテント料とか著作料とかいうものが大体そういうことだと思いますが、アメリカが五〇で日本が二五である。大体いいじゃないか、こう思うんですが、そうじゃないんですよとこの学者はおっしゃっていました。アメリカはその五〇のうちの約四五%は主にいわゆる知的所有権で稼いでいる。日本は二五のうちの何と一六%は金融でもうけている。実際に頭でもうけた、いわゆる知的所有権は九%しかない。そうしますと、片方は四五%、片方は九%ですから、言ってみれば五倍、目に見えないお金をアメリカは稼いでいる。日本はわずかにその五分の一しか稼いでいないよ、こういうお話を聞いたことがございます。私もそれを聞いて、なるほどなと。 これはどこに由来するかというと、一つには、今までの日本の教育がともかく欧米に追いつけ追い越せということで、安いお金でもって効果の上がる教育をしなきゃいかぬということで、校舎にしても教科書にしても先生にしても、ともかく安上がりで大量の優秀な労働力をつくったから現在こういうことができた。しかし、欧米に追いついてしまった今日、これからはもうアジアの諸国が、自動車にしてもあるいはテレビにしても日本が技術移転していますから、どんどん優秀なものをつくるから逆輸入で日本へ入ってきてしまいます。これはちょうどかって日本がアメリカを襲ったように、逆に今やられています。 我々は、やはりこれから日本が生きるためには、物じゃなくて今度はこの附属書の一のB、Cのように、サービスとか著作権とか商標とかあるいはその他いろんなそういうものでもって日本が本当に産業構造していかなくちゃならない時期に私は来ていると思うんですけれども、その点、通産大臣の御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員からもお話がございましたけれども、一九九三年の我が国の国際収支を見ますとき、サービス貿易の分野におきましては全体では四百七十五億ドルの赤字となっております。そして、このうち旅行、運輸と並びまして特許権使用料に係るものが三十三億ドルの赤字となっているところでございます。一方、総務庁の統計によります技術貿易収支で見ますと、昨年初めて黒字に転じたわけでありますが、それまでは恒常的な入超が引き続いておりました。 これは、我が国が基礎研究の成果であります基本的な産業技術というものを米国を初めとする諸外国からの導入に相当程度依存していることによるものであろうと思われますし、一国の貿易構造というものは基本的にはその国の比較優位構造とでもいいましょうか、そうした比較優位な構造の中で決定されるものでありますから、やはり日本としては、物、サービスにかかわらず、今後我が国の企業の生産拠点の海外進出でありますとか途上国の経済発展が進む中で、いかに独創性あふれた技術の開発によってより付加価値の高い産業構造への転換が行われるかということが大切であろう。これは、私は委員の御指摘のとおりだと思います。 通産省自身といたしましても、こうしたことを考えながら、新公共投資基本計画に基づく、特にその中で研究開発施設など今後の社会のニーズに応じた社会資本整備の積極的な実施を関係各省にも働きかけておりますし、新規事業あるいは技術開発の阻害要因となっております規制の緩和など国内経済改革の推進を図る。また、新しい事業分野を開拓して創造性豊かな産業への脱皮のための経済産業政策、こうした視点からの政策展開に取り組んでいきたい。御指摘の方向と基本的に同一の考え方を持っております。
○木宮和彦君 大変心強い御返事をいただきましてありがとうございます。まさに今、大臣がおっしゃるとおりでございまして、私はこの間の日曜日、おとといですか、浜松に浜松ホトニクスという会社がございます。これはベンチャービジネスでして、従業員は今、大体千九百人ぐらいいるそうですが、静岡県では中堅企業としてかなり有名な会社でございます。 この社長さんは変わっているわけじゃないですが、いわゆる新しいことしかしない。大量生産でつくるようなものは、あんなものはだめだというのが彼の主張なので、これからは未知のものを、全然わからないものをやっていくのが大事であると。しかしながら、ともかく日本ではベンチャービジネスは資金がまず集まらない、それから人もやはりなかなか集まらない、これが私の悩みだと。だから今、金を集めるためには、会社は貧乏だけれども随分開発費に相当数やっておると。しかしながら、利益を出して税金を納めて、そうしないと株価が下がっちゃったりあるいはその他でもって資金が集まってこない。 ですから、何とかしてこういうベンチャービジネスを養成するために税制上からもやっぱり優遇してもらわにゃならないと同時に、また逆にいかにしてその資金を得るかということで、これは国もやっぱり協力してもらいたいと。通産省にも、科研あるいは科学技術庁にもいろいろお金をいただいているけれども、なかなか政府がそういうリスクの多い何が何だかわからないようなことについては予算をつけてくれない。我々が今やっているのは本当にわからないことをやっているので、これは幾ら説明してもわからないものはわからないだろうが、金はくれなくちゃ困る、こう彼は言っているんです。そういう意味で、なかなかそれは私はこれからの日本の将来を示唆しているようなお話であったと思います。 ところで、今言いました科学技術の振興のための資金は科学技術庁としてどのくらいか、各省それぞれお調べであると思いますが、もし実態がわかれば。まだこれからの方針、ベンチャービジネスに対してどういうようなあれを行うのか。その辺どうぞひとつお答えができましたらお答えしていただきたいと思います、どなたでも結構ですので。
○政府委員(石井敏弘君) お答えさせていただきます。 科学技術関係の予算につきましては、平成六年度で申しますと、科学技術庁のみならず文部省、通産省その他関係省庁等でいろいろ計上させていただいておりますが、総計で申しますと二兆三千六百億円というような数字になっております。このうち、一般会計では約一兆一千億円、特別会計が一兆二千億円といったような数字で、それぞれ関係の研究開発等についての経費を計上し努力いたしておるという状況でございます。
○木宮和彦君 口幅ったい言い方でございますが、基礎研究の充実というのは、今も数字のお話がありましたけれども、これは内容的にも今、文部省では公立大学にも科研費というのを随分払っていらっしゃると思いますが、ただしかしこれは評価をするのが本当に難しいことだと思うんですね。 これから日本の将来をやるためには、現在の文部行政では単線でもって幼稚園から大学までずっと一つの系列でいきますが、これも一つの方法だと思いますけれども、しかし果たしてそれでもって偏差値だけで、今回ノーベル賞をもらった方もいらっしゃいますが、理科の方で、ノーベル賞が一番いいとは思いませんけれども、新しい創造的なものをクリエートする人材が生まれるためには、やはり今の教育体制というものにある程度手を入れないことには私はうまくいかないと思うし、またそれが日本の将来、産業の将来にとって大きな禍根を残すと思いますので、やはりそういう意味で一日も早く教育の改革も必要だろうし、また逆に言いますと、これからの教育の一番重要性は何かということを文部省もお考えであると思います。 どうぞひとつその辺について、将来、日本の産業のソフトについてどういうふうに支援すべきかあるいはどういうビジョンを持って行うべきか、抱負がございましたら文部大臣と科学技術庁長官とお二人にひとつお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(与謝野馨君) 先生が先ほどからるるお話しになっているように、二十一世紀に向かって日本がどういうふうに生きていくのか、そしてこの大変厳しい国際競争の世界の中にあって日本がどう生きるか、あるいは生き延びていくのか、そのために教育あるいは科学研究がどういう役割を果たすかと、こういうことであろうと思います。 そこで、技術あるいはその他で、通常のものは世界共有のものにだんだんなってまいりまして、やはり日本は新しい技術分野、新しい科学分野、そういう財産をこれからつくっていかなければならないわけでございます。今までですと、日本の教育は平均値を上げるという意味では大変成功してきた教育制度であったと私は思いますが、新しいものをつくり出す創造性、あるいは全く新しい分野を切り開く新規、パイオニア的な研究、やはりそういうものに力を入れてまいりませんと、やがては日本が世界の競争の中で取り残されていくのではないかと思っております。 そういう点から考えますと、平均的な教育水準を上げるということに関して成功してきた日本もやはりそういう新しい創造性、クリエーティブな側面を育てていく。我々の一億二千六百万人の中からは、それぞれの分野でそれぞれの才能を持った子供たちが出てきているわけでございまして、そういうすばらしい才能をやはり生かしていって日本人の共有の財産にするという方面も今後力を注いでいかなければならないことであると思っております。 そういう意味では、学力観と申しますか、今までは試験の成績で知識や技能にやや偏重をするような教育をやってきておりましたけれども、やはり一人一人の子供が個性を伸ばし、その子が潜在的に持っている創造力を発現できるような機会を与える教育ということをこれから真剣に考えていかなければならないと、そのように考えております。
○国務大臣(田中眞紀子君) 長年、教育の現場でまた経営者として、教鞭もおとりになって御苦労なさった木宮委員でいらっしゃるだけに大変御示唆に富んだ質問を先ほどから続けていらっしゃって、本当にすばらしいお尋ねだと思っております。 科学技術庁も、御存じでいらっしゃると思いますけれども、今までは応用開発の分野では欧米におくれをとっておりましたので、キャッチアップすべく努力をしてまいりまして、ほぼ遜色がないようなところまで来ているかと思いますけれども、御指摘のとおり、基礎研究の部分では予算が足りないためにまたその成果もなかなか上がっていないという実情でございます。ですから、今後科技庁としましては、振興調整費とか補助金とかでできるだけ今回も、平成七年度の概算要求につきましてもできるだけ多くのものをお願いしてございます。 ですが、根本にありますのは、私がこの五カ月間の経験で申し上げられることですけれども、先ほども知的所有権のお話をなさいましたり、通産大臣にお尋ねになりましたり、それからベンチャービジネスのこともおっしゃっておられましたけれども、まさしくその点でございまして、本当に優秀な人材というものが国家にとって最大の宝だろうというふうに思います。そのためには科技庁だけではなくてやはり文部省とか通産省とか、ともに縦割り行政を超えて予算も有効に生かし知恵を出していかないと優秀な人材の育成というのはできないと思いますので、そういうことも心がけて、今までも一生懸命予算も頑張っておりましたけれども、より一層努力をしてまいりますので御指導いただきたいと思います。 ありがとうございました。
○木宮和彦君 ありがとうございます。 ともかく、日本人はまねごとはうまいんですが自分で考えることが下手だと、これはまさに皆さんもお認めになるのじゃないかと思います。著作権にいたしましても、日本で唯一、アニメと任天堂ぐらいなものですよ、稼いでいるのは。 しかし、最近、デザイナーでもあるいは絵かきでも音楽家でもニューミュージックでも、若い人たちが外国で相当やり始めていますから、これの芽をまず消さないでもらいたい。日本じゃ認められないけれども、外国に行って音楽でも絵でも認められて、日本へ帰ってきて日本で注目されると。これはやっぱり日本人の、こういう汚い言葉を使っちゃいけませんが、けつの穴の小さいところだと私は思うんです。ぜひひとつそういう点、これからまさに指導力を発揮する皆様でございます、我々もそうですけれども、やっぱりそういう者に対して温かい目で、今後それが成長していくように頑張らなきゃいけないと思います。 同時にまた、大蔵大臣にもお伺いしたいんですが、ベンチャービジネスの場合、何とか資金がそこへ集まるように、しかしそれはなかなか難しい問題ですけれども、何か優遇税制みたいなことで何とかそれを、一たんは税金で納めてもそれをベンチャーのための開発費に使う場合にはそれは戻してやるなり、あるいはその半分でも三分の二でもいいから戻してやるような、そういう施策というものはできないものでしょうか。それは将来のことでございます、今すぐどうのこうのじゃありませんけれども大事なことだと思うんですが、御所見がありましたらひとつお伺いしたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) 先ほどからお話しのように、新しい経済のフロンティアをどう開いていくのか、それに成功できるかどうかが日本の経済構造改革の最大のテーマでありますし、その中でベンチャービジネス、ニュービジネスをどう激励していくかということが政治の面でも大変大事な課題になってきているというふうに認識をいたしております。 御指摘のように、政策金融と並んで税制の面も今後真剣に検討をさせていただきたいと思っておりますし、また、店頭市場のあり方も、私個人としてはアメリカのNASDAQのような市場の状況も勉強をしながら、改革できる分野があれば大蔵省としても改革をしていかなければいけないというふうに思っております。
○木宮和彦君 時間が参りましたので、最後に。 日本は先ほども申し上げましたように貿易立国でございますし、自由競争の原理をこれからもますます堅持をしていかなくちゃならないし、今回の法案につきましては長い間の懸案でございました。しかも、多くの国がそれに参加してこれから新しいルールをつくってやろうとしております。確かにこのことにつきましては、デメリットもメリットもあると思いますし、痛みを感じるところもたくさんあると思います。それはそれでひとつ何とかして政治の力で克服して生きられるようにしていただくと同時に、一日も早くこれをばねにして、新しい日本の、経済大国といいますか経済の姿といいますか、そういうものを充実するように努力していきたいと思いますので、ひとつ一日も早くこれが通るように私どもも頑張りますが、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。 以上で私の質問を終わります。
○吉村剛太郎君 おはようございます。自民党の吉村でございます。 来年が戦後五十年ということでございます。振り返って見ますと、あの終戦のころちょうど私は小学校一年に入ったばかりでございました。きょうは五人の大臣いらっしゃいますが、外務大臣、通産大臣、文部大臣、私よりも若干上かな、いずれにしても小学校低学年。大蔵大臣が中学になられたかどうかという年齢ですかね。農水大臣はもう既に社会に出られておったかどうかわかりませんが、大学生かその辺ではなかったか、このように思う次第でございます。 子供のころ、戦中戦後、大変苦しい思いをしたなと、またこういうことが決して二度とあってはならない、このように私自身思う次第でございますが、それと同時に、みずから戦地に行ったとかそういうことではございませんが、疎開とかまた戦後のひもじい思いとかそういう戦争体験、これはまた我々が次の世代に平和な社会を築くということでその経験をやっぱり送り継いでいかなければならないんではないかな、このように思う次第でございます。 そういう来年戦後五十年を迎えるに当たりまして、今現在このウルグアイ・ラウンドが合意成りまして、アメリカを初め議会承認も続々と成っておるようでございます。順調にいけば来年の一月からこのWTOといいますものがスタートするわけでございます。 このガットの思想といいますものは、戦争前のあの当時、世界の特に経済構造を見てみますと、各国が大変保護主義に陥っておった、それがあの悲惨な大戦につながったんではないか、このように言われておるところでございます。すなわち、一九二九年のウォール街における株価の大暴落に端を発しまして、世界経済は大恐慌に陥ったわけでございます。世界市場が縮小する中で、各国は他国の輸出を犠牲にしても自国産業を守るという努力をした次第でございます。一九三〇年、アメリカがスムート・ホーレー法を制定し、保護主義を強化し、それに対抗して連鎖的に世界各国が保護主義政策をとるようになったわけでございます。 そういう経験の中から、やはり世界の経済といいますものは、自由に行き来し、それによって各国が豊かになり、そして雇用が創出され、それによって戦争を回避しようという一つの理念が生まれてきた次第でございます。私は、あの当時の社会環境の中でそういう理念を生み出したという、これは大変すばらしいことを、あの当時の社会情勢、世界情勢の中から考えますと大変すばらしい理念を生み出したなど。それを営々として守ってきて、努力し、試行錯誤を繰り返しながらガット・ウルグアイ・ラウンドの締結、そしていよいよWTOがスタートするというまさに半世紀をかけたこの足跡を見ますときに、人類というのはすばらしいことをやってきて、これからまた新しいスタートをするなという感を抱くわけでございます。 外務大臣も子供のころそういう戦争体験といいますか、疎開とかひもじい思いとか、そういうことをされたと思いますが、そういう中でいよいよこうやって参議院で今、WTO関連法案を審議しております。まさに新しい時代を迎えようとしております今日、それに携わられる一閣僚として、その歴史を思いながらどういう感慨をお持ちか、ちょっと聞かせていただければ、このように思います。
○国務大臣(河野洋平君) 議員が御指摘になりましたように、戦前の世界経済というものは、保護主義あるいはブロック化といいますか、関税の引き上げその他があって保護主義につながり、ブロック化につながる、それが戦争にいろんな意味でつながっていったという今の御指摘は私もそうだろうと思います。 その結果、第二次世界大戦という悲惨な状況になり、それが終わったときに、そうしたものの反省というものも、我が国はもちろんですが、多くの国々も持たれたに違いない。そして、戦後はIMF・世銀体制、あるいはガット体制と言ってもいいのかもしれませんが、こういう体制で世界の経済というものは新しく構築をされる、こういうことになっておよそ半世紀が今たとうとしているわけでございます。 ガットの締約国数も最初は二十数カ国、それが今や今回WTO協定に合意をした国は百二十を超えるわけでございまして、大変多くの国々がここに集まって共通のルールをもって物の貿易あるいはサービスの貿易等を行うという合意ができてきた。この合意に至るまで随分長い間それぞれの国はその国の国益を考え、いろいろな議論をしてきたわけであります。 しかし、とにかく一つのルールで世界は経済を、貿易を進めていくことがいい、そしてトラブルが起こればそのトラブルを処理する、紛争を処理する一つの共通のルールをつくって、大きい国も小さい国も一つの共通のルールで紛争の処理もやろうではないかという合意ができたということは、私はやはり人間の英知といいますかあるいは経験というものを生かして、そして新しいものをつくっていこうという意欲がそれに重なってこういうものができたということで、私は本当に感慨深いものがございます。まして、この七年にわたるウルグアイ・ラウンドの交渉に当たられた方々は、いろいろな思いで今、我々のこの国内手続を見詰めているに違いないと思います。 まだまだやらなければならないことは残っております。残っておりますが、少なくとも新しいルールができ、共通のルールができ、問題は改善される方向に行っていることは間違いがないので、ここでまずWTOという新しい機構をつくり、その機構のもとで物の貿易、サービスの貿易、あるいは知的所有権、あるいは紛争処理、こういったことをその機構の中でやっていく、そういうルールをお互い確認し合って進むということができれば、それはやはり大変すばらしいことではないかというふうに思っているわけです。 このルール化のために現在それぞれの国が議会でいろいろな手続のための議論を行って、今この時間もやっているに違いない。そういう中で我が国もひとつその一員として、貿易立国としてここまで来た我が国でございますから、とりわけこの問題を重大な関心を持って議論をし承認をし、その一員となって行動していくことがいいのではないか。ぜひ御理解をいただきたいと、こんな気持ちでおります。
○吉村剛太郎君 まさにこれからの日本、資源がない日本でございますから、貿易立国としてこのWTOの中で豊かになっていかなければならない、このように思う次第でございます。 ただ、その中で一番懸案になりました農業問題でございます。先ほど申しましたように、四十九年前の昭和二十年八月十五日、我が日本はポツダム宣言を受諾いたしまして、無条件降伏をしたわけでございます。その無条件降伏の中でただ一つ守ったのがございます。それは何かといいますと皇室を守った、国体を護持したというわけでございます。 振り返ってみますと、あの状況の中でよく皇室を守ることができたなと。それを理解してくれた国連といいますか国際社会、いろいろ議論があったと、このように承知しておりますが、よく守られたなと。皇室を中心にして、やはり自由主義のもとで日本が進んできたこの五十年間、今日あるのはやはりそういうものがあったからではないかなと、このように思う次第でございます。まさに皇室を中心にした日本の社会構造といいますものの結果がこのような姿として結実したものと、このように思う次第でございます。 申すまでもなく十一月二十三日、かつては新嘗祭と、このように言っておりました。毎年、陛下は皇居内で田植えをされております。まさに日本国民と皇室は一体でございますし、そして皇室が田植えをする、稲をつくるということ、そういう文化、伝統の中で日本が今日まで進んできた。その農業、そしてその象徴的な米が、昨年末のミニマムアクセス受け入れ、そして今後どうなるかということで一つの大きな転換期に差しかかっている、このように思う次第でございます。 総合的な農業政策として六兆を超す対策費を今言われておりますが、まだまだ私はこのような金額では足らないんではないか、農業だけではなく日本の国といいますものを守るときに、まだまだ財政も投入していかなければならないんではないかなと、このように思う次第でございます。これは質問ではなくて、農水大臣、担当大臣として今後ともよろしく御検討をお願いしたい、このように思う次第でございます。 続きまして、時間がございませんのでAPECについて御質問したいと思います。 総理、また外務大臣、通産大臣、先月インドネシアに渡られまして、暑い中で大変御苦労さまでございました。そして、ボゴール宣言といいますものがうたわれまして、先進国が二〇一〇年、途上国が二〇二〇年までに域内の貿易・投資の自由化に努力をするということでございます。 WTOの発足とまたこのAPECの関係、もうまさに世界は自由な経済を運営していくという時代に入ってきたな、このように思う次第でございますが、まだまだAPECといいますものは形がはっきりしておりません。これからどうなっていくのかということは、ある意味ではもうブロック化するのではないかという心配も一方では抱かれているわけでございますが、そういうことがあってはならない、このように思う次第でございます。 これからのAPECのあるべき姿について通産大臣に見解をお聞きしたい、このように思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、APECから議論を始められましたけれども、私は、これからの世界経済の中でアジア・太平洋地域が非常に大きな発展の可能性を持っている地域であるということにだれもが折り紙をつけておる。と同時に、このままの例えはエネルギー需給構造で進展した場合、環境破壊の非常に大きな責任を負わなければならなくなる地域であるという指摘がなされている点にもぜひ一半の関心を持っていただきたいと思っているわけであります。これは昨年から本年にかけまして日本がその調査の責任に当たったわけでありますが、ここに今後我々が注意しなければならない大きなネックがあるということが明らかになりました。 しかし、これは同時に、そのアジアのエネルギー需給構造を変えようといたしますと次に出てくるものは、例えば中東の原油をどこがどれだけ確保するのかというテーマにも移動をいたします。同時に、今後それだけの発展のための資金、これがどこからつくり出されるのか、こうした問題もございます。さらに全く新たな角度から、本年日本が議長国を務めました中小企業大臣会合の中で、すそ野産業の育成というものが今後欠くことのできない大きなテーマであるということになりました。世界経済全体の中でアジア・太平洋地域が牽引役を引き受けていく状態になるとするならば、我々は同時にこうした問題にきちんとした結論を出していかなければなりません。 その中におきまして、やはりこのWTOのルールというものが前提にある。そして、そのルールのもとにおいて、例えば今までは物に限られていたが、サービスの分野というもの、知的所有権の分野というものが対象になったということは、逆に透明度の高い技術移転が行えるということでもありましょう。こうした中で、我が国としてはそれぞれの分野における役割を果たしていかなければならない、そのような受けとめの中で作業をいたしております。
○吉村剛太郎君 いよいよ世界も自由な貿易の時代に入ってきたわけでございます。一方、日本の経済を見てみますと、円高、また価格破壊、株価の低迷、資産価値の下落、そういうことを見ますと、一つは、今までは戦後五十年ずっと右上がりで来たこの日本の経済が、物価下落、資産の下落、そういうことでデフレの傾向も中期的には出てきておるんではないか、こんな感じがするわけでございます。 これはエコノミストもいろいろな見方があると思いますが、今日まで日本の経済が右上がりの中で、そして企業家が旺盛な投資意欲で邁進してまいりましたが、それは一つは、右上がりになるという安心感の中で、例えば設備投資で借入金をする。今、十億借りても十年後には十億だけの価値はない、そういうことで積極的に借り入れし設備投資もできてきたわけですが、デフレという傾向の中ではこれはなかなか難しい問題にもなってくるのではないかなと、このように思うわけでございます。 そういう中で、中期的に日本の経済がどういう道筋をたどるのであろうか、通産大臣の御見解があればお聞かせいただきたい、このように思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変難しいお尋ねでありますけれども、私なりに考えてみますと、現在がデフレであるかどうかということはさておきまして、一方で、現実の為替水準の動向の中で海外に対する投資がふえております。これは国際的な分業という意味では望ましい方向でありますし、この趨勢は今後も私は続くと思います。しかし、これは逆に、国内の産業のいわゆる空洞化というものを懸念する材料として我々の前に提示されているわけであります。 そして、ここしばらく日本経済を牽引してまいりましたいわば牽引車の役割を果たしてきた産業の幾つかは既に成熟状態に入ったとも言われております。となれば我々は、これから先、新たな日本の牽引車をどこに求めるのか、これは雇用を含めまして考えていかなければなりません。その中で、産業構造審議会から十二の分野が挙げられておることは委員御承知のとおりでありまして、こうした分野は当然のことながら今後の成長材料として考えていかなければならないと思います。 同時に、現実の経済状況の中で私ども非常に懸念を持っておりますのは、従来の不況からの立ち上がりの時期、中小企業の設備投資というものは既にある程度先行して行われておりました。今回この部分がなかなか活気を取り戻しておらないという状況にあります。これがまた従来の経済状況と違うという議論を世間から招く一つの大きな原因でもあります。 そして、新しい業を興す創業の意欲が薄れたのではないかということも言われております。しかし、私は必ずしもその創業意欲が衰えたとは考えておりませんが、立ち上がり時の資金需要に対して政府としてさまざまな措置は講じておりますけれども、民間での資金調達が思うに任せない状況があることもこれは否定できません。 先般、たまたまニュービジネス協議会がアメリカのNASDAQの当事者を呼び講演を聞かれたとのことでありまして、その後の反響を調べてみました。ニュービジネス協議会は、どちらかといいますと本当にベンチャービジネスと言われるような方々が多いわけでありますが、この関心は非常に強くNASDAQに向かっております。これは同時に、日本の店頭市場を含め民間における資金調達がスムーズに行われていない、少なくとも関係者の求める状況にはなっていないということに原因はあろうかと存じますし、こうした点で我々は、新たな国際化を進めるためにも、国内産業を育成するためにも、規制緩和を積極的にそれぞれの分野において行っていく必要がある、そのように考えております。
○吉村剛太郎君 いずれにしましても、これから大いに競争社会になるわけでございますが、その中でやっぱり日本という国は資源も何もない国でございます。ただ、日本人が持っております知力といいますか、そういうものを大いに活用しなければならない、このように思う次第でございます。 今度のウルグアイ・ラウンドの知的所有権交渉におきまして新しい分野の合意がなされたということは大変いいことだな、このように思っております。ただ、知的所有権につきましては、今日まで世界知的所有権機関、WIPOというのがあったわけでございます。目的とするところは一緒であろう、このように思いますが、私はそのWIPOといいますものを余り詳しく知りませんが、ガットの知的所有権の合意、これとWIPOとの関連、また違い、それから今後どういう形でこの二つが相携えていくのか、また並行して進んでいくのか。その辺について、事務局でいいですが、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(高島章君) お答えをいたします。 今、御指摘ございましたWIPOは一九七〇年の設立、非常に古いものでございまして、知的所有権の専門機関といたしまして、知的所有権の保護の促進、制度の調和、さらには途上国におきます制度導入に対する支援といった非常に幅広い活動をしてきているわけでございます。一方、WTOの方でございますが、これは知的所有権につきまして、貿易に関する側面から最低限の国際的な保護水準を定めましたこのTRIPS協定の実施に関することをつかさどることとなっているわけでございます。 このように、知的所有権分野につきまして、このWIPOとWTOはそれぞれ独立した機関として重要な役割を果たすわけでございますが、同時に相互の協力関係を築いていくということもこの知的所有権制度の発展のために非常に大切だと考えております。現にこのTRIPS協定の前文の中にこの二つの機関の相互協力関係を築き上げていくことが期待される旨の明文もございます。我が国といたしましては、この両機関が積極的にうまく協力していくように努力をしてまいりたいと思っているわけでございます。 ちなみに、WIPOにおきましては、現在、世界の特許制度の調和を目指しました特許調和条約案が議論をされておりまして、また国際登録機関としての機能の拡充が検討されつつあるということも申し添えておきたいと思うわけでございます。
○吉村剛太郎君 もう時間がありませんので、実は通告をしておりませんでしたが、大蔵大臣、ようございますか。きのうの夕刊ですが、大変和気になりましたのでちょっとお聞きしたいと思います。 これはきのうの朝日の夕刊でございます。もう当然御存じだと思いますが、「外国証券の撤退三件目 東証米国系、支店も閉鎖」、米国系のキダー・ピーボディ証券というのがあるらしくて、これが東証から撤退をしたということでございます。これからの金融市場におきまして、我々常識的にはニューヨーク、ロンドン、そしてアジアではやっぱり東京ではないか、このように思ったんですが、外国系の証券会社が撤退をしたという、これはまず御存じでございますか。ちょっと通告していなかったものだから申しわけないです。
○国務大臣(武村正義君) 私も実は夕刊で知りました。 東証の外国部に外国の資本が上場する動きが始まって、最近それが少し減り始めているという状況の中でまた一つ減ったというニュースだと思います。あわせてロンドン市場なんかに日本の株式を上場する動きも始まっておりまして、これもある意味では国際化というふうにとらえられます。実はいろいろ調べておりますが、背後にはいろんな要因が重なっておりまして、単純にはこの理由でやめたというふうには断定しにくい状況もございます。 このきのうのニュースの件は私は詳細を存じておりませんから、金融局長からちょっと補足をさせていただきます。
○政府委員(加藤隆俊君) 私の直接の担当ではございませんので、今、照会をいたしまして御答弁申し上げたいと存じます、事実関係につきまして。
○委員長(矢田部理君) 後でよろしゅうございますか。
○吉村剛太郎君 はい。 ということは、自由化の中でこれだけの経済大国でありながら東京市場から撤退していくということは、何か金融の面も空洞化ということが起こりかけているのではないかなという危惧の念を私は抱いたものですから質問したわけでございますが、いずれにしましても時間が参りましたので、詳しく状況を聞きましてまた改めて個別に質問させていただきたいと思います。 終わります。
○谷本巍君 大河原農林水産大臣に伺いたいと存じます。 初めに、ウルグアイ・ラウンドの農業合意関連対策から伺ってまいりたいと思います。 これは日本だけではありませんが、世界の消費者団体が以前は農産物の自由化に賛成しておったのがほとんどが反対に回ったというのが三、四年前からであります。環境団体も同じであります。こうした皆さんが言われる、指摘されておることの共通的な点は、自由化が進んでいくというと農業生産のあり方がモノカルチャー化し企業化していく、そしてそういう中で薬物使用生産が全般的になり土を滅ぼし水を汚染するという指摘があってのことであります。さらにはまた、食生活の点では多様な食生活のあり方というのが一様化が進んでいく、つまり最近言われておるところのコカコーラ・ハンバーガー化ということですね。そういうことから、日本の消費者団体でも安全な食糧生産を求めて農家と一体になってやっていくといったような運動が進んできているわけであります。 この今度の関連対策について消費者団体の間からも、規模拡大をしなきゃならぬということは理解はできるが余りにもエリート農家の育成に集中し過ぎているのではないのか、つまり選別強化、そして近代化、合理化への傾斜というのが少し極端ではないかという指摘があります。それからまた農村の中では、地域農業づくりというのは、大臣も御存じのように大型農家と小さな農家というのがどう協力関係をつくっていくかということが一番大事な点なんですね。そういう意味からいっても、ちょっと今度の関連対策についてその辺のところで疑問があるといった声も少なくありません。 そこで初めに大臣から、どういう日本農業の再建を目指していくのか、端的に承りたいと存じます。
○国務大臣(大河原太一郎君) 既に一昨年の新政策でも明らかにしておりまして、経営感覚に富んだ効率的、安定的経営、これは生涯所得なりあるいは労働時間等において地域の他産業従事者に匹敵するような経営をつくっていくというわけでございます。これを育成強化しよう、確保しようというわけでございますが、ただお話しのように、あくまでも家族農業経営、これを主体とすることでございまして、いわゆる企業とかあるいは単一生産のモノカルチャーというようなことを考えておるわけではございません。 既に御質問にもありましたように、その地域地域の生産は地域の実情にかなった経営類型を確立して、そういう担い手を中心として、兼業農家あるいは高齢農家あるいは農地持ちの非農家等が労働力とか農地等について相互に活用し合うということによって地域の農業生産を確保したいというのが今回の政策の目的でございます。
○谷本巍君 そこで、大臣、助成政策等の要件を見てみますと、割と多い言葉で言いますというと、生産性向上に資するかどうかといった言葉も出てまいりますし、それから認定農家でなければならないといったような場合もありますし、さらにはまた、利用改善団体がつくられているかどうかといったこと等も指摘されております。こうした言葉をずっと読んでいきますと、条件がやっぱりちょっと厳し過ぎやしないかなという印象を受けることも少なくありません。余り要件が厳し過ぎますと、私は、六兆百億をやりましょうということで出したところが使いこなせなかったという場合もあり得るだろうと思うのです。 特に大臣にお考えいただきたいのは、今、担い手が少なくなっていく時期でありますから規模拡大の絶好のチャンスなんです。これが一つの側面なんですね。 それから、大臣、もう一つの側面は、今これから日本農業を担っていくという数少ない若手の皆さんで言いますと、これは戦前派から今度は戦後の近代化、合理化をやってきた人たちを見てきた人たちなんですね。つまり、借金で規模拡大をやってゆとりのない農業経営をやってきているという先輩を見てきているんですね。この皆さんが目指そうとしているのは何かというと、もっとゆとりが持てるような複合的な経営というのが割と多いんですね。他方、都市で見てみれば、今や消費者団体に組織された世帯が一千五百万を超えるという状況なんですね。 ですから、つくる人、食べる人という主体的な条件からいけば、これはやたらめっぽう規模拡大でいいんですじゃなくて、今、大臣が言われたような家族農業経営でもって安全な食糧生産でなけりゃならぬという、そういうのがこれから私は主流になっていくと思うんですよ。してみるならば、今度の助成等の要件ですね、やっぱり地域地域を見ながら弾力的に運用していくことが非常に大事だと思うんですが、大臣の御所見はいかがでしょうか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 御案内のとおり、一昨年の経営基盤強化法に基づいて国が経営類型を示しておりますが、従来のように国の計画ではなくて、都道府県が地域の農業事情によって基本方針を出して、それぞれの市町村においても地域の農業事情の実態に合わせてそれぞれの経営類型を決めて、その経営類型に対して適合するものを認定農家というようなことを言っておりますが、やはり私どもは、ここが大事なんですけれども、その担い手農家の育成、確保、そういう点でございます。 したがって、現に認定農家的なものでなくてもそれに対する意欲を持ってやろうとする農家群、兼業農家も当然入ります。そういうものに対する施策も行わなければ、本来的な意味の担い手の育成、確保ということはできないだろうというふうに思っております。 ただ、平均的、ばらまき的な助成であってはならない、重点的な加速的な施策であるということに配慮しながら、御指摘のように、今回の対策は効果的な結果を上げるよう全力を尽くしてまいりたい、さように思っております。
○谷本巍君 ガット・ウルグアイ・ラウンド対策が来年から実施されていくわけですけれども、非常に今の状況がよくないんですね。大臣も御存じのように、昨年は史上まれなる大凶作でありました。そして、輸入された外米で見てみますというと二百五十五万トンでありますから、昭和二十八年の百四十五万トンをはるかに上回る戦後最大の輸入になったということでありました。 さらにはまた、農産物価格で見てみますというと、牛肉に続き豚肉が今、価格の暴落状況にありますね。さらには地域的農産物にしましても、青森のニンニクを初めとしてショウガ、レンコン等々、軒並み円高のもとでやられてきているというような状況が出ております。つまり、十年に一度あるかないかのような現象が一遍に吹き出したというような状況になっておるわけであります。 そして今、付回りをやってみますというと、米価が暴落しませんかという話を聞くようになりました。例えば上越の上等な一番高いところの米作地帯へ行ってみますと、ことしの出来秋には一俵当たり二万六千五百円という話でありましたが、今、既に二万三千円まで下がりましたという話を最近耳にいたしました。農協によっては、二万一千円で仮払いしたところが二万一千円で売れなかったよ、さあどうしようかという話も実は一部に出ております。 こうした状況が出てくるのは、輸入された外米の売れ残りが意外と多かった。それから外米で言うなら来年からミニマムアクセス米も入ってまいりますし、それからことしは大豊作であった、そして減反も緩和されていたというようなことから、二百六十万トンから二百七十万トン程度の過剰米が生じはしないかというような話が出てきてのことであります。一方、農家の方も、豊作でありますから四百万トン見当保有米を抱えているぞという話もささやかれております。 という状況の中で、来年まで持っていきますと古米になって安売りしなきゃならぬから、今のうち売り急いだ方がいいのではないかという話があるんです。これが出てまいりますというと値崩れ現象が出てまいります。何しろそういう状況が出てしまいますと、ウルグアイ・ラウンドの関連対策実施初年度にして円滑にいかなくなるというような状況になってしまいますから、米の暴落対策、これをしっかりやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(大河原太一郎君) 御指摘の中の、まず緊急輸入米約九十八万トンの在庫がありますが、これはしばしば当委員会においても申し上げておりますように、いわば棚上げ的に息長く処理をするということでございまして、標準価格米等で低価格を要する需要者があればこれを放出する、あるいは加工用米の一部に出すということで、あくまでも需給は国産米を主体として流通すべきであるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、政府の在庫を足し上げると二百何十万トンというお話がございますが、私どもとしては、心理的な影響はともかくといたしましても、やはりその国内米の流通の問題だと思います。 さて、しからばこの点については、ただいま委員御指摘のとおり、大豊作でございます。昨年の大凶作によりましてゆとりのある需給を持ちたいということで、本年産米と来年産米を投じて在庫を百三十万トンというところにいたしましたが、本年の豊作によりまして、大をつけてもいいと思いますけれども豊作によって、来年の十月末、すなわち七米穀年度の末では百五十万トン近くになるということでございます。 したがって、今御指摘のような自主流通米についての売れ残りの懸念とかあるいは価格低落の懸念とかというところが出ておるわけでございます。これにつきましては、我々としては、政府米と自主流通米を計画的に供給したり在庫保有に努めるというようなことで需給調整を図り、やはり国内米の流通というものを主体として考えて、ちょっとことしの激しい夏で落ち込んだ需要の面もございますので、需要増進を図っていきたいということでございます。 それとともに、今申し上げましたように自主流通米の販売環境は大変厳しゅうございますので、明年度については生産調整面積を二年固定するということでございましたけれども、本当に自主流通米の販売環境等を考えますとこれでいいのかどうかという点について、ただいま生産者団体と話し合っておるというわけでございます。大体そういうことで需給価格安定については着実に手を打っていかなくちゃならぬというふうに思っております。
○谷本巍君 そこのところは、農業団体の在庫調整なども含めて一定の援助をしなきゃならぬでしょうが、しっかりとやっていただきたいと思います。 引き続き、今度は今提案されております新食糧法における米価暴落対策問題について若干伺っておきたいと思います。 大臣も御存じのように、価格が上がったときはいいんですけれども、価格の暴落について大きな農家と小さな農家のどっちが抵抗力があるかというと、兼業農家の方が抵抗力があって、大きな農家の方がゆとりがありませんからお手上げになってしまうというわけですね。それだけに規模拡大を進めなきゃならぬ。構造政策は一生懸命やってきたが、価格の安定対策がありませんというと大型農家は育たないということになってくるだろうと思います。 そこで、新法は消費者米価については備蓄でもって備えていきますから市況が高騰するということは生じてはこないでしょうが、生産者米価の方の暴落についてはどうなのかというと疑問が残っております。といいますのは、備蓄にゆとりがあれば減反農家から米は買い上げましょう、さらにはまた、買い上げるときの価格というのは需給価格を基本にしますというようなことになっておりまして、あとは結局生産者団体の調整保管しかないということになるわけです。それでは、今の農協が大々的に調整保管をやれるかというと、私はそれほどの力はないと思います。例えば調整保管で大量に抱えた翌年に古米になって安売りしなきゃならぬ、差額はどうするといったような問題等々がある。そしてまた二年続きに豊作になったらどうするといったような問題等々を考えてみれば、この調整保管にもおのずとやっぱり限界があるだろうというふうに思います。 さて、そこで今提案されておる新食糧法を前提にしてどう暴落対策をやるかということになってくると、あとは運用しかありませんね。運用の第一の問題として私は大臣に考えていただきたいと思いますのは、備蓄の上限というのをからっとしたものを決めていただきたくないということであります。 三党でこの原案をつくるときの論議でも、三党がまず合意しましたのは、備蓄は百五十万トンを下限にしようということで合意をいたしました。役所の側からは、それはもう百五十万トンを基礎ということでいかがですかというようなことで手打ちになったという経過が正直に申し上げてありました。 私どもが備蓄の上限というものをからっとしたもので設けていただきたくないということを再三この三党議論の中でも言いましたのは、きちっと上限の数字が決まっていますというと、それを超えるときには必ず売り急ぎが出てくる、ダンピングが出てくるというような状況があり得るだろうということですね。それだけに上限については、これはそのときそのときの状況を見ながら一定程度幅を持った対処というのが大事ではないか。同じように生産者団体の調整保管にしても、この程度ということじゃなしに、政府が助成措置を講じていけばかなりの規模でやれる可能性もあるわけであります。でありますから、その辺のところについても情勢を見ながら対応していくという以外に方法がないだろうと思うのです。 つまり、そういう意味では備蓄にしても、それから生産者団体の調整保管にしても弾力的な運営が必要だと、こう思いますが、大臣、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 需給調整のかなめとしての備蓄制度、これについては、備蓄である以上、不作のときを主体とした在庫量というものがやはり一つの基準になると思います。 それで、今お話ございましたように、備蓄基準量と申しますかそういうものは法律用語にありませんけれども、そういうことで考えようということで、ただ一定の幅を持って考えようということでございます。一定の幅という場合にも、いわゆる過去の不作年を見まして、それによる標準偏差をとって考えていくというようなことを一応のめどにしようということで、プラス五十万トンというようなことで二百万トンということでございますけれども、やはり需給事情ですね。今お話がございましたような二年続いて豊作と、本来のスタートのときの生産調整が需給均衡であっても、豊作による振れがあるというような場合においてはその需給事情によってもいろいろ考えていかなければならないことはもちろんでございます。 特に、お話にもございましたような生産者団体の在庫調整、これと国の備蓄とが一体となってその辺の需給調整をしなければ相ならぬというわけでございまして、備蓄基準等を政令で書くわけではありません。また、幅も政令で書くわけではございません。その点については我々としてはそのときそのときの情勢等も考慮しながら考えていかなければならないと思いますが、やはり異常な、いわゆる過剰在庫的な、本来の備蓄水準を超えたような過剰在庫に運用によってはなりますので、その点については生産者団体その他関係者の皆さんの御理解を願って適正な運営をしなければ相ならぬと、さように思っております。
○谷本巍君 そうしますと、大臣、プラス五十万トンと大臣言われましたが、その点もそのときの状況を見ながら弾力的に考えていきましょうと、こういう意味ですね。
○国務大臣(大河原太一郎君) お答えいたします。 それとともに、最後に申し上げましたように、過剰在庫を生ずるような運営というものは極力、これは後で備蓄自体の制度の安定性とかあれという問題にもなりますので、その点についても配慮が必要だということをつけ加えさせていただきます。
○谷本巍君 ともかくも自由経済下の米価というのは、大臣、これは株価に似ていることは戦前の例を見てもおわかりと思いますが、野菜なんかの場合に似た格好になっていく可能性があるわけですね。野菜の場合でしたら、一割不足で価格は二倍ですから、一割増収をやれば価格は半値になってくるわけでありますから、それほど自由経済の中における農産物の価格変動というのは激しいわけでありますから、その点は重々お願いしておきたいと存じます。 さらに、こうした価格安定の問題と関連してもう一つ伺っておきたいのは、生産調整の問題であります。 今度の新しい生産調整は、ペナルティーがなくなる。それからまた、今までとは違いまして、いわゆるやみ米というのが計画外流通として自由販売ができるというようなことになってまいります。今までの制度のもとでも生産調整に参加したい農家というのがあったわけでありますが、今度はどうやらこのシステムだとそれがふえやしないかという話も少なくありません。そこのところは、政府の助成措置がどうなっていくのか。それから生産調整に参加した農家からの買い入れ価格の水準がどうなっていくのか。つまり、生産調整に参加したことによってきちっとした一定のメリットが保証されるというような状況があるかないかによって左右されていくと思います。その点についてどういうふうにしていかれるか、大臣の所見を承りたいのです。
○国務大臣(大河原太一郎君) 具体的にまず、生産調整の実効をあらしめる手段としての御指摘の生産調整の助成金、これについては、やはり生産調整の規模だとか、非常に過剰基調であって転作面積をふやさなければならないというようなときと、比較的従来の水準で行うというような場合と、これはいろいろありまして今後検討の課題だと、私どもが腹案が現在あるわけではございません。その年の、平成八年から新制度は始まりますから、八年産米についての水準について、その前の年の明年の十一月ごろを目途に決めなければ相ならぬというふうに思っております。 それから価格につきましては、政府買い入れ価格については、御案内のとおり一応新法でも考え方がございますけれども、現にそのときに自主流通米の価格形成があるわけですから、手法があるわけですから、それとの関連でやっぱり政府米と自主流通米の価格体系の整合性ということが必要であるというふうに思っておるところでございまして、政府米については大方の皆さんが指摘するように下値支え的な意味を持っていると。今回も政府の生産調整実施者からの買い入れは下値支え的なものを持っておるということもございますので、それらを勘案して決めなければ相ならぬというわけだと現在思っておるところでございます。
○谷本巍君 今、大臣がおっしゃられたのは、減反農家からの政府買い入れ米、これは自主流通米価格との整合性ということを言われましたが、ここのところも機械的に運用されるというと、私は生産調整の実効は上がらぬだろうという気がいたします。といいますのは、過剰期には生産調整を広げていかなきゃならぬわけですね。ところが、その過剰期には自主流通米価格形成の場での価格というのは暴落状況にあるわけです。下がっているわけですね。ですから、そこをベースにしますと、生産調整をやってみても、政府に買い入れてもらってもメリットがないということになってしまいます。 この原案をつくる際の三党協議の中でも私どもが強く申し上げたのは、再生産の確保ということを前提としながら一定のコスト保障、この考え方を入れなきゃならぬということを強調してまいりました。法律の文章の中にもそれが勘案事項ということで「生産条件」という言葉で入り、そして結びの言葉が「再生産を確保」という具合になっております。でありますから、大臣が今おっしゃられたように、政府米は自主流通米との整合性ということを考えていかなきゃならぬということでこだわりますと、これはもう減反の実効性というのは上がってまいらぬような状況になる可能性もあるわけでありますから、そこのところも一定の幅を持った運用を図らなければ実効は上がらぬと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(大河原太一郎君) 自主流通米の過剰、これは通常の場合であれば需給をしっかり見通した的確な生産調整によって需給は均衡する。だから、今後考える場合は専ら豊作の場合における過剰ということでございますけれども、この点については、自主流通米が流通の主体でございますから、生産者の皆さんも一種の共犯と申しますか、上からのものではなくて自主的な姿勢で生産調整に積極的に取り組んでいただくことが、まず今後は大事であるというふうに私は思います。 その上で、お話しのような政府買い入れ米の水準をどうするかということは、法律でもはっきり書いてありますように、自主流通米、この需給事情あるいは市場評価によって決まるものを基本としながら勘案事項として、今、委員御指摘のとおりでございまして、それにのっとってやっていくということでございます。 政府買い入れ米を割高にしろということについての、引き上げなければ実効は上がらないんだろうかという端的なお話もございますけれども、私どもとしてはやっぱり自主流通米との価格体系を考えなくては相ならぬし、また逆に政府米の引き上げが生産刺激的な要素になるのではないかという点も慎重に考えなければならない、さように思っておるわけでございます。一つの御意見としてこの段階では承らせていただきたいと思います。
○谷本巍君 大臣、重ねて申し上げておきたいと思うのでありますが、先ほども申し上げましたように、史上最大のような大凶作があった後にかなりの豊作になる。一つには、やっぱりこのごろの気象変化というのは激しくなってきているという状況が続いておるということであります。その点で言いますと、天候がいいときには技術水準が高いですからたくさんとれるんですね。ところが、一たん天候が悪くなりますというと、土がやせてきている、したがってもって減収の度合いが非常に極端な形で出てくるんですね。 そういう時代であるだけに、新食糧法の価格政策や備蓄政策についても弾力的に運用していきませんというと実態とかけ離れたものになるということを再度申し上げながら、最後にもう一度大臣の御決意を承りたいと存じます。
○国務大臣(大河原太一郎君) 今回の新法案に基づく新しい米の管理システムは、政府管理を中心としたいわば直接統制的なものから民間流通を主体とする自主流通米、これの流通を基本とするいわば間接統制でございます。これに対する需給調整その他は、今も申し上げましてもう委員には十分御案内の、備蓄の運用とかその他の政府米の操作というようなことでその需給の安定を図ろうとしておるわけでございますけれども、その点についての運用等については、かつての直接管理的な時代に比べて一層諸般の条件を配慮しながら運営しなければならないと思います。 そういう意味では、委員の御指摘のような、弾力的という言葉を使っていいのかどうかわかりませんが、そういう点で運営に遺憾ないようにいたしたい、さように思っております。
○谷本巍君 大臣、また申し上げなきゃならぬことが出てきてしまった。大臣から間接統制という言葉が出て私は驚いたんですが、これは与党三党の協議の中でも間接統制という言葉は一つも出ておりません。そして、でき上がった新食糧法について間接統制という見方をされたのはどの党もありませんし、そしてまた政府との話の中でもそういう話は出ておりません。 大臣も御存じのように、間接統制というのはこれとはかなり違ったものです。そこのところは、言葉上の問題ですけれども、間接統制という言葉はひとつ撤回していただきたい。
○国務大臣(大河原太一郎君) その言葉にはこだわりません。全量管理から部分管理的な、そういうことに変わったということを申し上げておるわけでございます。
○谷本巍君 次に、自治大臣に伺いたいと存じます。 伺いたいのは一兆二千億の地方単独事業のことについてであります。新聞はこれを村山型ふるさと創生事業というぐあいにも称しておりましたが、村歩きをやってみますというと実にこれが評判いい。六兆百億について悪口を言う人があっても、こっちの悪口も言う人は私はまだ一度も聞いたことがありません。そこで、なお評判をよくするにはどうするのかということでありますが、やっぱり自由な地域的な発想を生かした使い方を徹底していただきたいということであります。 日本列島の地域の特徴というのは豊かな変化に富むというところが最大の特徴であり、これは私は武器だろうと思います。地域の人や自然を生かすのにはどう個性を発揮するか、そこが勝負どころになってまいります。そのためには、天下り押しつけは一切やめる、そして自主的な力に依拠をすると。そのかわり審査の方は私は厳しくしていいと思うんですよ。 自治大臣、どうお考えでしょうか。
○国務大臣(野中広務君) 委員から御指摘いただきましたように、今回の地方単独事業は村山総理の指示に基づいてやったものでございまして、まさしく村山農山漁村対策と申してよかろうと思うわけでございます。 御承知のように、これは一つには、仮称でありますけれども、農山漁村ふるさと事業といたしまして地方交付税で措置するソフト事業でございますので、あくまで地方が自主的、自立的に考えるものでございます。 いま一つは、従来やってまいりました農山漁村対策をさらに拡充しようとするものでございまして、これは御承知のように集落排水事業とかあるいは農道事業とか林道とか森林保全とか、こういう多種多様にわたるものを地方単独に行う事業でございますので、私どもあくまで地方が、今申し上げましたように、自主的、自立的に創意工夫を生かして、その地域地域に根差した事業としてやっていただきたいと期待をしておるところでございます。
○谷本巍君 農業合意の関連対策の中で中山間地域対策について特段強調されている点は、一つは地域条件を生かした付加価値の高い農産物をつくってほしいということ、それからもう一つは都市との情報交流、人的交流も含めてこれをやっていこうということを柱にしているわけです。これを生かしていくのには、一つの流域に例えますというと、どれだけ多くの専門店をつくっていくかということが私は勝負だろうと思うんです。 村おこし運動をやって成功した市町村長さん方が最近言われるのは、おれのところ単独じゃもたないという言葉です。隣の市町村が、おれのところと別なことをやってくれ、まねは困るよと。それぞれの地域的な個性を生かしたものがそれぞれに例えば一つの流域の中にたくさん出てきますというとデパートになると言うんです。そうなると都市から人がやってくると言うんです。 こういう状況をつくるのには、やっぱりメニューであっても示してほしくない。メニューとして示すのであるとするならば、単なる参考資料程度にとどめていただきたい。ともかくもそれぞれの市町村長に考えてもらう。大事なことは、市町村長間に競争がなかったということがこういう状況を生んでいるんですよ。競い合ってもらえばいいんですよ。いい計画をつくったところにはどんどん援助をしていくというふうにしていきますと、これはやっぱり村の中から力が出てくるだろうと思うのです。 大臣、メニュー問題について一言、どんなふうにお考えになっておるか、その辺の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(野中広務君) 今まさしく委員がおっしゃいましたように、それぞれの地域がみずから考えみずから行うというのがこの事業の本質でございますので、私どもが個別メニューをこちらから示したりあるいは都道府県が指導するようなことは一切しないで、より自主的にやっていただきたい。そして、今おっしゃいましたように、地域が連帯して一つの地域・村おこし事業になるように、また今までやってまいりました広域市町村圏あるいはふるさと広域圏といったようなそういうものも活用しながらぜひやっていただきたいと存じておる次第であります。
○谷本巍君 最後に、自治大臣にお願いをしたいことが一つあります。 例えば流域ごととか地域のくくり方があると思いますけれども、今申し上げましたように、市町村長間の話し合い、それから農業団体とか、あるいは特に注目しなければならないのは商工会議所ですね、商工会議所の最近の農業問題についての熱心ぶりというのは大体共通的になってきました。ですから、そういうものが地域連帯的に話し合いができるような工夫といいましょうか指導といいましょうか、その辺のところの御配慮をお願いできないかということであります。いかがでしょうか。
○国務大臣(野中広務君) 私どもが画一的に指示するのじゃなしに、市長村長がみずからの圏域でお互いに話し合っていただくような、そういう環境は私どもも整えてまいりたい。あるいは、今、川下の話をされましたけれども、水源保全のためには下流域の市町村が上流域の森林を公有化するとか、こういうものはより連帯を持ってやっていただきたい。あるいは都市と農村の交流とか、あるいは後継者の養成とか、こういうものについても地域連帯を持ってやっていただくように、ぜひ市町村相互の連携、そして私どもは、それぞれやられた地域のメニューをまた全国に紹介する業務をやることによってより参考に供していきたい、このように存じておる次第であります。
○谷本巍君 最後に、外務大臣に食糧外交について伺っておきたいと思います。 きのう河野外務大臣は、人口問題を論ずるとき食糧問題をやっぱり論じなきゃならぬというふうにおっしゃいました。まさしくそのとおりであります。 大臣が九月にカイロで開かれた国際人口・開発会議に御出席になって、そこで採択された行動計画を見てみますというと、食糧安保に特別の注意を払いつつ公正な貿易関係の強化を図るという一文が出てまいります。これを私は読んでみまして、九二年の地球サミットでは環境と調和した農業の発展ということが強調された。その後、私がブラジルで開かれた列国議会同盟の会合に出席したときには、経済よりも環境優先の貿易づくりのルールをということが最終合意文書に出てまいりました。貿易をめぐる状況というのは大きく変わろうとしているというぐあいに私は思います。また、この間のAPECでは村山総理が、二〇一〇年の自由化と関連して、農業を工業と同一とするのはそれはよくありませんという意味のことをおっしゃっております。 そういう点を踏まえて、これから食糧問題を踏まえての外交をどう展開されるのか。とりわけ二十一世紀に向けて途上国の人口が増大していく、地球環境問題があるといったような点等々を踏まえて、ひとつ大臣の御所見を承りたく存じます。
○国務大臣(河野洋平君) 農業は自然の恵みを受けて持続的に行われていくというのが最も基本的な認識だろうと思います。しかしながら、一方で人口の爆発的増加という状況がございます。これは我々予測ができる、計算ができる状況に今もう既になってきております。これだけの人口の増加というものを支えるだけの食糧、もっと言えば、農業というものが維持できるか、あるいはそれだけの農業開発というものが進められる状況がどうかということになりますと、しばしばここでも通産大臣初めお話がございますように、今度は環境との問題も考えていかなければならないということでございます。 もちろん、まだ地球上には耕地として開発する余地のある広大な面積は数字の上ではございます。しかし、それらが現在この地球の環境を支えているというそういう面も考えれば、それはそう簡単に算術計算だけでできるというものではないと思います。 そこで、議員お尋ねのように、我々は貿易について国際的な会議を起こし合意に達しておりますが、他方、例えばFAOを初めとして農業問題、食糧問題を論ずる国際的な場というものもあるわけでございますから、それらをさらに活性化してパワーアップしていくということも考えなければならないと思います。また、WTOでは貿易と環境の問題について大きな関心事であるということは、既に各国の共通認識になりつつございます。 非貿易的関心事について我々はこれから大いにまだまだ発言をし、各国ともどもに協議をしていかなければならないと思います。その中で我が国の主張、これはしかし、ただ単に我が国の主張というよりは人類の将来を見据えた議論というものを大いにしてまいりたい、こう考えております。
○谷本巍君 終わります。
○上山和人君 日本社会党・護憲民主連合の上山和人でございます。 私ども日本人の日常的な食生活に欠くことのできないでん粉がございますけれども、閣僚の皆さん、一年間に我が国のでん粉の需要量がどの程度か御想像いただけるでしょうか。大臣は御存じだと思いますけれども、平成五年度で見ますと二百七十八万五千トン、我が国の年間のでん粉の需要量でございます。その主な原料は、南九州で生産されておりますカンショ、そして北海道のバレイショでございます。今、南九州には五万三百三十戸の農家が、南九州といってもほとんど鹿児島で、宮崎も一部ございますけれども、北海道では一万八千四百五十三戸の農家が、それぞれカンショの生産、バレイショの生産に一生懸命に努力をいたしているのであります。 この芋でん粉につきまして、今回のウルグアイ・ラウンド農業交渉の結果、関税化されることになりまして、大変大きな影響を受けることになりました。当事者だけでなくて、私たちもこれからの畑作農業の将来について大変心配しているところでございます。したがって、私はわずか十五分の時間でございますから農産物価格安定法関連に絞りまして農水大臣に二、三の点についてお伺いいたしますので、これから心配しているカンショの生産農家、バレイショの生産農家の皆さんが意欲を高めつつ今後とも引き続きこの生産に励めるような、そんな前向きの農水大臣の積極的な御答弁がいただければと最初にお願い申し上げる次第でございます。 そこで最初に、今回のウルグアイ・ラウンド農業合意が全体としてでん粉に与える影響をどんなふうに大臣は受けとめていらっしゃるのか、それからまずお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(大河原太一郎君) お話しのとおりで、でん粉につきましては、北海道及び南九州のカンショなりバレイショ作にとって非常に大事なものであるということは承知しておるところでございます。 従来の数量IQ制度が今度関税化されるということで、その影響を農業交渉においても最も懸念したところでございますが、関税化につきましては内外価格差を前提とした高い関税相当量が設定されたということでございまして、この点については一つの防波堤と申しますか、歯どめであったわけでございます。 それからもう一つは、御案内のように、コーンスターチ用トウモロコシと国内でん粉との抱き合わせ問題。これは何といっても、でん粉の需要を確保し、さらにでん粉需給の安定を図るためにどうしても必要な制度でございまして、これが関係国の合意が得られるかどうかという点について大変懸念しておったところでございますが、この点について確保されたという点でございます。 この二点を見ますと、当面その悪影響は緩和されたというふうに思っておるところでございます。
○上山和人君 今、大臣の方から、コーンスターチ用トウモロコシとそれから国内産芋でん粉との抱き合わせ制度ができたからこの影響が緩和されるというふうに御答弁がございましたけれども、私どももそのように理解をいたしております。ただ、今回の農業交渉によりましてこの制度は二〇○〇年までは維持することがもちろん明確になっておりますけれども、その後のこと、二〇〇一年以降のことが不明でございまして、大変心配されております。 やっぱりどうしても今後ともこの地域における健全な畑作農業を維持していくためには、このコーンスターチ用トウモロコシと国内産芋でん粉との抱き合わせ制度は維持されなければならないと私どもはもう切実に思っているところでございますが、この二〇〇一年以降の展開について大臣はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 実施期間が六年間でございます。その期間については当然この制度は維持される。その後はこの制度が維持できるかどうか、また交渉によって決まる。単にそこは時限でおしまいというのではなくて、この制度を維持するか、我々は維持すべきだと思っておりますけれども、それは交渉によって決まるというわけでございます。 非常に抽象的な言い方でございますが、今の実施期間の終了の前に次の交渉が始まりますが、そのときのいろいろなでん粉をめぐる諸情勢等を十分勘案しながら、基本的には今の制度を維持する方針ということを現在においては考えているところでございます。
○上山和人君 わかりました。 大臣の前向きの御答弁がいただけましたので、恐らく北海道や南九州の農家の皆さんも少しは安堵されるんじゃないかと思います。どうかひとつこれからもよろしくお願いを申し上げます。 そこでもう一つ、時間が迫っておりますけれども、先般、緊急農業農村対策本部でウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱が決まりました。この大綱の中で、ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴う個別品目対策として、実は芋でん粉工場の再編整備を進め、そして生産性の向上を図ること、こういうふうに盛り込まれているわけでございますけれども、私どももこれから段階的に関税相当量が削減されていくことなどを考えますと、やっぱりどうしても国内産芋でん粉の需要をしっかり確保するためにも国内産芋でん粉の生産性向上政策といいますか、これが積極的に推進されてコスト削減が図られることが極めて重要だと思っているわけでございます。 大臣、どうなんでしょうか、今回の芋でん粉工場の再編整備対策につきまして、具体的にはなかなか私ども見えないものですから、どのようにお進めになるのか、基本的にお考えになっていらっしゃることで結構ですからお答えいただけませんか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 今、御指摘のように、北海道のでん粉工場あるいは南九州鹿児島のでん粉工場については、やはり生産性の点で今後思い切った対策が必要だという認識のもとに我々も対策を進めたいわけでございます。 具体的には、明年度予算では、第一年目でございますから、そこではっきりした考え方が決まるわけでございますが、我々としてはその地域の都道府県知事の基本方針を立てていただいて、まず残って頑張っていこうというでん粉工場、それについては新しい設備の導入というようなものを、これは一般的には融資でございますけれども、まずモデル的なそういう工場に設備の導入を行うための助成もいたしたいわけでございます。 それから、あともうリタイアしたいという工場もございます。そういう意向もあるようですから、それに対しては設備処理についての必要な助成を考えていったらどうだというふうに思っておるところでございまして、基本的なお話でございますから、現段階ではさようなことを申し上げるところでございます。
○上山和人君 次に、今回の法改正の内容の中で一つだけ。需要がどんどんふえていく場合に、役に立つ場合に限りまして政府在庫の特別売り渡しを行い得ることとされておるわけでありますけれども、これは私ども国内産でん粉の需要拡大にも役立つものとして大変期待をいたしております。 農産物価格安定法の第七条の第二項第二号ですけれども、この中にはっきり規定してありますのは、生産者団体が農林水産大臣の承認を受けた用途または販路に向けるため売り渡すときに特別売り渡しかできるとされているわけでありますけれども、農林水産大臣が承認する場合の基準がございますね。この基準について、私たちはまだ具体的にはよくわからないんです。 そこで、現地も大変心配していると思いますので、この基準についてはっきりしておりますなら大臣から明らかにしていただければと思います。
○国務大臣(大河原太一郎君) ただいまのところ、今、委員御指摘の基準についてでございますけれども、農林水産大臣の承認する基準としては、生産者団体の需要増進計画の提出を求めますが、その計画の中でその生産者団体自体が申し込み数量をこなせるような従来の販売実績があるかどうかというような点も大事なことだというふうに思っております。 それからもう一つは、売り渡した政府在庫は、従来扱っていた量の肩がわりであって純増にならないということでは意味がないわけでございますので、純増になるような計画であるかどうかという点を承認の基準にいたしたい、さように思っております。
○上山和人君 最後に、あと一分半ございますので。 北海道、南九州というのは農業がどんな状況に置かれているかはもう農水大臣だけではなくて閣僚の皆さんよく御存じだと思いますが、ただ、一つだけ最後に、北海道、南九州の畑作で特に重要な役割を占めておりますサトウキビとてん菜に関連いたしましてお伺いいたしたいと思います。 糖価安定制度、よく御存じのこの糖価安定制度が、今回のウルグアイ・ラウンド農業合意では二〇〇〇年までは存続することが合意されております。しかし、この問題もやっぱりそれから先のことが不明でございまして、私どもはどうしてもこれからもこの制度を堅持していただかなければ、今でさえ大変厳しい状況に置かれておりますサトウキビやてん菜は非常に先行き危機的な状況に陥ると心配しておりますから、二〇〇一年以降のことにつきまして、大臣の決意も含めてひとつ明らかにしていただければと思います。
○国務大臣(大河原太一郎君) お答え申し上げます。 先ほど委員からでん粉の抱き合わせ制度についてのお尋ねがございましたから、実施期間六年後はこの制度をどうするかという点については関係国との交渉によって決まるということでございます。ただいま御指摘の糖価安定制度、この制度は砂糖の価格の安定はもちろん、特に外国産と北海道のビート、南九州の甘蔗糖、これの調整を図るという意味で非常に国内産糖にとっては重要な制度でございまして、今回の交渉でもこの制度の枠組みを維持するように全力が尽くされたわけでございますが、今後も同様な条件に恐らく六年経過後もあると思いますので、その制度の維持について努力をいたさなければ相ならぬというふうに思っております。
○上山和人君 大臣の前向きな御答弁をおおむねいただきましたので、これをよりどころにしながら現地の農家も頑張ると思います。私たちも後は努力をいたしたいと思います。本当にありがとうございました。
○委員長(矢田部理君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 午後零時七分休憩 —————・————— 午後一時二分開会
○委員長(矢田部理君) ただいまから世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結について承認を求めるの件外七法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○小島慶三君 私、本案件につきまして若干の質疑をさせていただきたいと思います。関係各大臣の方々、連日本当に御苦労さまでございます。よろしくお願いをいたします。 初めに、私のこの問題に関する全般的な感触と申しますか、それを先に申し上げておきたいと思うんですけれども、これは恐らく日本の何世紀かを左右するような大変大きな協定であり、またこれに関する法律の制定であるというふうに私は受けとめております。しかし、それにしてはこの二万二千ページという膨大な書類、私、白状いたしますけれども、これ全部読むことができませんでした。関係閣僚の方々も恐らくこれは全部読まれていないのではないかと、もし間違っていたらおわびいたしますが、そういうふうに思います。したがって、そういうふうな提案をされる政府の方も、それからこれを慎重審議せよということで託されました私どもにいたしましても、その内容全部について詳細に、そしてもう細大漏らさずこれを点検するということは恐らく私は不可能だろうと思うのでございます。 しかも、時間が非常に限られております。この一件書類を整理されるにしましても、これは政府の方としても随分時間をおかけになったと思いますし、これが我々の感じではぎりぎりに出てきた、国会に提出されたということ、事情もわからぬでもございません。さらに十二月八日の各国との話し合いという時間の制約も考えますと、これはやむを得ないことかと思うんですけれども、これだけの国連を左右するような大法律をこれだけの時間で処理しろというのも、私はこれも大変無理な話ではないかと思っております。そういった意味におきましては、慎重審議の上、速やかにという「速やかに」がいたく我々の方には効いてまいりますので、そういうことをひしひしと感じております。 これはただ、日本だけのことではどうもないようでございます。今までに批准された国が二十九カ国、あるいは国内法の制定が七カ国というふうに承りましたけれども、恐らくそのほかの国々もこれをどういうふうに受けとめるかということでやはり大変苦労がおありになるのではないかと思うのでございます。 それで私、この法律をざっと拝見をしまして一番ひっかかる点といいますか、これはこの協定と国内法との関係と申しますか、あるいは国内法を統べる主権の問題といいますか、これが大変気にかかるわけでございます。この協定によりますと、協定に整合するように国内の法律その他を決めなきゃならぬということになると思うんですけれども、単に法律だけでなくて、自治体の条例とかあるいは民間の団体のいろんなアクションに至るまでこれが支配するということで、これは大変強烈な法律である、あるいは協定であるというふうに私は思うのでございます。 それで、そういった主権とのかかわりにつきましても、これもひとつ副総理・外務大臣にお尋ねをしたいと思うんですけれども、その一番の問題はやはり、これは後で厚生大臣にお伺いした方がいいかと思うんですけれども、国民の食料の安全といいますか、そういうものについての関係だろうと思うのでございます。 かつてアメリカの下院は決議をしまして、要するにアメリカの国益を害するような一切の対外協定については議会はその立法化の責任を負わないという決議をしたことがございます。それで現在の段階でも、これはアメリカの市民団体がことしの六月九日でございましたか、労働団体、環境団体、農業団体、宗教団体、こういった全部のグループがアクションを起こしまして、そしてウルグアイ・ラウンドから見た影響の要素を検討して、できれば批准を延ばせと、こういう運動を起こしておるわけでございます。これはもう御案内のとおりだと思います。 それからなお、環境論者として有名なラルフ・ネーダーが四月十二日にステートメントを発表しまして、やはりこの問題は余り討議されなさ過ぎる、恐らく国民もあるいは政府もその内容を十分に知らないのじゃないかというふうに言っておる。殊に一番の問題は、食の安全という点でこのウルグアイ・ラウンドの規定する、あるいはWTO、マラケシュ協定の規定するハーモナイゼーションというものがアメリカの食生活に関するいろんな基準を緩和するおそれがあるということを言っておるわけでございます。 そういう意味で、単に日本だけでなくて、これはそういった従来の主権と申しますか、あるいはそれに伴ういろんな国民の権利、例えば健康な生活とかそういった意味の権利を侵害する危険があるということは言われておるのでございますが、まず本件については副総理、その点ほどういうふうにお考えになりますか、お尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 議員も御承知のとおり、本件は百二十五の国と地域が大変長時間にわたって議論をして、合意を見るためにさまざま紆余曲折があって最終的な合意を見たというものでございます。 御指摘のように、国の主権にかかわる問題という見地から見れば、これは多数の国が集まって合意をする、一つのルールで仕事を進めようということになれば、ある意味で主権が一部認められないという状況もそれはあるかもしれない、しかしそれは不当に侵害されたものとは言えないであろう。つまり、七年有余をかけて議論に議論を重ねた上、最終的に合意をしたものであるだけに、不当に侵害を受けたというふうに見るべきではないのではないかと思うのです。 さらに、結果として、農業問題を初めとして議員が御心配、御指摘になったような問題は現実の問題として認識をしなければなりませんが、他方、貿易・経済の広がりというメリットもあるということもこれは認めてよろしいかと思います。 そこで、我が国としては、農業問題については農業農村対策というものを講じることによって新たな農業政策というものが実行される。さらには、これは厚生大臣から御答弁があるいはあるかと思いますが、ハーモナイゼーションにつきましては科学的根拠をもって議論するということはまだ十分できるわけでございますから、そうした点はきちんと科学的根拠を提示して議論をするということが、今後とも必要になればそういうことはあるというふうに考えているわけでございます。 いずれにせよ、七年数カ月に及んで、多くの方々がこの問題に御自身が関係する部分については、例えば農業関係者は農業の問題について、あるいは食品関係者は食品の問題について関心のある部分については相当長時間にわたって議論をなさったというふうに私は思うわけでございまして、国民に広くこの点が理解をされて、効果のある運用が今後なされていくための努力をこの協定が発効するという状況下で我々もやっていかなければならぬだろうというふうに思っているところでございます。
○小島慶三君 どうもありがとうございました。 それで、本当は次に移りたいわけでありますが、つまりこの協定、一連の措置のバランスシートと申しますか、プラス面とマイナス面というものを私は今、慎重に判断をしなきゃならぬ一つの問題ではないかと思っております。昨日のこの委員会でも橋本通産大臣から光と影という大変巧妙な表現がございました。私も先と影、あるいはもっと深刻な話になるのかもしれませんが、その辺の議論に移りたいわけでありますが、厚生大臣のお時間の御都合がおありのようでございますので、先にハーモナイゼーションの点について、少しく立ち入った議論で総括論と離れるわけでありますが、お伺いしておきたいと思います。 このハーモナイゼーションの規定というのは、アメリカの市民団体もこれを問題にして先ほどのような運動を起こしたと言われておりますが、これはドンケルさん時代にドンケル案として提示されたものがあって、これがハーモナイゼーションの今の規定の根幹であり、そして今まで引き継がれておるというふうに私は承っておるわけであります。もとはといえば、アメリカの牛の輸出についてのホルモンの注射というものがECの拒否に遭って、そしてそれからトラブルが起こって、その情勢というものがこのハーモナイゼーションのもとになっているというふうに私は承知しておるわけであります。それで、その調整のためにと申しますか権威のある機関をつくろうということでコーデックス委員会ができた。これもそういうふうに伺っております。 しかし、このコーデックス委員会というものがどういう構成のものであり、そしてどういう運用がなされているのか。例えば、このメンバーというのはほとんど輸出国の関係者あるいは学識経験者というもので構成されている。しかし、その大部分が多国籍企業の影響力を受けているということで、何か本当の意味のフェアな議論がなされる場ではないというふうに私も聞かされておるわけであります。ほとんど輸入国のメリットといいますかそういったものは反映されない。ガット全体がそうでウルグアイ・ラウンド全体がそうであるという、そういう批判もございますけれども、それは別としましてほとんど輸出国の利益というものによって動かされる。 そういう組織であるというふうに聞いておるわけでありますが、果たしてその辺のことはどういうことになるのか。いわゆる国際的に権威のある機関の判断あるいは科学的と言われる判断、そういったものとの関係で恐らくこのコーデックス委員会というものが大変今後も大きな意味を持つと思うので、その辺のところをひとつ厚生大臣にお伺いしておきたいと思うんです。
○国務大臣(井出正一君) お答えをいたします。 先生御指摘のように、今回のいわゆるSPS協定は、従来ガットのころは貿易の技術的障害に関する協定に含まれておったのが、今度安全性だけに着目して分離されてできたと承知しております。 このコーデックス委員会でございますが、加盟国の政府から代表及び代表代理が出席し、政府があらかじめ定めた訓令に基づき国の意思を表明しているところであります。ここで議論されるコーデックスによる国際基準というものは、FAOとWHOの合同食品添加物専門家会議等において科学者による公平かつ専門的な安全性評価に基づきWHOとFAOの合同プロジェクトで策定されるものでございまして、消費者の健康の保護の目的に適しているものと考えております。 我が国の科学的に根拠のある文献等による意見、主張は、このコーデックス委員会に十分反映し得るものと考えておりますし、今後一層反映させるような努力は当然していかなくちゃならぬと思っております。 いろんな企業の代表みたいな方がオブザーバーとしてこの会議に参加していることも事実でありますが、これはあくまでも専門的な知識を補助的に政府代表が得るために参加をしていただいておるものでございまして、決して企業の利益がこのコーデックス委員会に反映されるとは考えておりませんし、またそうなってはいけないとも思うわけであります。 いずれにいたしましても、今後とも政府といたしましては、食品の安全性に関して科学的な研究の充実等に努め、国際基準にその成果を反映させていきたいと考えておるところでございます。
○小島慶三君 ありがとうございました。 十分に今後の日本の主張というものを、コーデックス委員会あるいはそれにかわるような新しい機関ができるとすれば、そういったものに影響力を行使するように、ひとつぜひ御努力をお願いしたいと思います。厚生大臣、ありがとうございました。 それから、本題に戻らせていただきたいと思うんですが、先ほど申しましたように、今度の協定参加のプラス面とマイナス面というものをひとつ考えてみなければならないと思っております。 それでまず、マイナスの面では、九割方の問題というのは農業関係の問題だと思いますので、これはやはり農林大臣にお尋ねをしたいと思います。 私の心配しておりますことは、去年の十二月七日あるいは十五日の決定のときに既に出ていた問題でありますけれども、要するにミニマムアクセスというもの、これは七年目には見直すというわけでありますが、見直す場合に追加の義務といいますかそういうものを提供しなければならぬということになっているかと思うんですけれども、その段でいきますとますますミニマムアクセスの幅が大きくなって、四から八、八から一五あるいは一五から三〇というふうにどんどんこれが広がっていくということが最大の懸念であるわけであります。 今でも水田というのは、減反に次ぐ減反ということでもう既に全体の可耕面積の一五%ぐらいになっていると思うんですけれども、あるいはもっと大きくなっているかわかりませんが、そうなりますとこれがどんどん広がっていく。そして、森島教授のかの有名な試算によりますと、二〇一〇年には今の三三%、それから二〇二〇年には八%にまで水田面積は減反してしまう。八%といいますと、新潟と北陸三県ぐらいのものだろうと思うんです。 そういうことになると、日本の食の自給率、殊にその中心としての米の自給という点から見て、ほとんどこれは自給率の意味を喪失してしまうというふうに思うんですけれども、農水省の方ではそういった事態にはならないと。それではどのくらいまで一体先の見通しが得られるのか、そしてまた食糧の本当の意味の自給力としての水田の供給力というものを何%ぐらいまでで食いとめる、こういうふうなビジョンがおありになるかどうか、その辺について大臣のお考えを伺いたいと思います。よろしくどうぞ。
○国務大臣(大河原太一郎君) 小島委員の御質問は、実は中身としては大変多岐にわたると思います。順を追ってお答えしたいと思います。 第一点は、ウルグアイ・ラウンドの直接的な影響。これについては六年間についてのミニマムアクセスの受け入れでございますが、これは受け入れの際の細川内閣の方針でも明らかなように、これによって生産調整を増加はいたさない、上乗せをしない、減反の増加はいたさないということがあるわけでございまして、そういう意味では、我々としては直接水田面積等の作付面積に触れることはないというふうに承知しております。 また、国家貿易のもとにおいて受け入れた米につきましても、委員御案内のとおりに、一定のマークアップと申しますか、差益徴収によって国内米との価格調整を行い得るという相当高いマークアップでございます。 〔委員長退席、理事梶原敬義君着席〕 トン当たり二十九万円が上限ということでございますので、それによっての国内米に対する影響を遮断できるということでございますので、直接的な影響というものは考えられないのではないかと思います。 その後六年間経過して七年目からどうするかという問題は、当委員会においてもしばしば御論議があったように、交渉によって決められるということでございます。 委員からは、そこに相手方が許容できる追加的な条件がっくではないかというお話もございますが、その辺については今後交渉によってこれらについても決まるわけでございまして、一義的に八%が一〇%になり二〇%になるというようなことは断定的には考えられないのではあるまいか、さように思っておるところでございます。 さて、森島教授の例をお挙げになりましたが、これは我が国の農業においては水田を含めての担い手が大変減少している、老齢化しておる、農業従事者も減っておる、後継者も少ない、そういうことを勘案いたしますとこのままでは稲作生産も大変減退をいたすと。したがって、水田を耕すと申しますか、その上に乗っかる経営体、それが脆弱化すればしたがって水田の面積も減り米の供給力も減るであろうというような立場に立っての御所論かと思うわけでございます。 それに対して今回も、その国内対策としてやはり経営感覚にすぐれたような安定的、効率的なしっかりした担い手、これを育成確保して、それによって稲作生産の相当の部分を担うような構造改善をいたしたいといって諸般の対策を講じようとしておるところでございまして、そのままに推移すればということと政策努力によって米の供給力、これを確保いたすということとの差だと私どもは思っておりまして、全力を挙げて安定供給に努力をいたしたい、さように思っております。
○小島慶三君 ありがとうございました。 それで、今のお話の政策努力ということに今後かかっていくと思うんですけれども、その政策努力と、もう一つこの水田確保の上で重要なのは農家のやる気だと私は思っております。やる気がなければ幾ら金をつぎ込んでもどうにもならない。ですから、やる気を起こす条件というものを政策努力の中でどういうふうに組み込んでいくか、これは今後私どもも農水省さんの出方を十分に見守っていきたいというふうに思っております。 それで、今申しましたようにこの六年間の努力によるところも大きいわけでありますが、やはりこの受けとめ方というのが、大河川の流域といいますか、そういうふうな平たんな地域と中山間部ではおよそ条件が違うのではないかというふうに思います。ですから、恐らく農水省の政策の方向というのは大規模河川の水を利用した大規模集約化といいますか、そういうことにおありになると思うんですけれども、これだけで全体の日本の食糧を賄うということはもちろんできませんでしょうし、やはりそこには全体の四二%を占める中山間部の生産力というものも非常に私は重要だと思うんです。影響の出方によってはこの中山間部が真っ先にがたがたになるということも、これはかなりな確率で考えられることではないかというふうに思っておるわけであります。 それで、大規模集約化についても、それが果たして表土の保全になるかならないか、荒らしづくりにならないか、そういう点も問題ではありますが、それは一応おくとしまして、仮にこれがコストダウンの効果を上げて競争力のある農業になっていったとしましても、中山間部の方はそうはいかないと思うんです。そうしますと、現在でも進行しておりますけれども、中山間部の疲弊というか、これがかなり急速に出てきているのではないか、私ども全国歩いておりましてつくづくそんな感じがするわけであります。 仮に、中山間部の農家が将来にあるいは見切りをつけてどんどん都会に出てくるということになって、今の過疎化がどんどん広がってまいりますと、これは一番大きな問題はやはりそういった中山間部の共同体としての集落の崩壊ということになると思うんですけれども、そういうふうな共同体が崩壊しますと森林に一番響いてくる。森林の面倒を見る者がだんだんいなくなると、これはやはり水の問題とか表土の問題とか、こういうものが一遍に露出してくるというふうに思っておるわけです。ですから、ヨーロッパあたりでは、例えばスイスでもドイツでも、そういった中山間部のデカップリングその他で、要するに人がいるということが自然を保護する、国土を保護するという大きな条件であるということで政策が進められているようであります。 日本の場合にはまだそこまでいかないということで、私どもも随分いろいろ御意見申し上げましたけれども、これはまだそういう段階にはなっていない。そうしますと、かなりこういう地域に作物の多様化だとか付加価値のつくようないろんな農産物、林産物の育成といったようなことを考えるにいたしましても、やはり傾向としてはかなり急ピッチに過疎化していくだろうというふうに思います。 それに従って森林というものもだめになっていく。森林の保全ができませんと、これは北海道大学の松永先生のお話じゃないですけれども、やはり海の産物がだめになるということ。これは、森林の腐植土の中から生まれる鉄のイオンといいますか、これを吸収して海の藻とかいろんな植物やプランクトンが生育するというので、最近のいわゆるいそ焼け現象なんというのは森林の崩壊に非常に大きな原因があるというのでこのごろは漁師さんが山へ行って木を植えているという状態になってきているそうでありますけれども、そういうふうなことが起こってくると思うのでございます。 それで、やはり森林が崩壊するということは同時に水田にも大変ピンチが来るわけでありますから、森林と水田と両方つないで日本というのは今までやってきたわけで、そういうふうな古人の知恵と申しますか、そういったものから生まれる社会的なシステムと申しますか、これがだめになるということはやはり一番恐るべきことではないかというふうに思っております。 その辺のことについて、各論にあるいは入るかもしれませんが、ひとつお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(大河原太一郎君) 委員のお話も広範にわたっておりますが、順を追ってお答え申し上げます。 まず、今回のウルグアイ・ラウンドの交渉の結果、WTO協定の受け入れという際に、お話しの中山間地域が最も影響を強く受けるであろう、しかも現状が大変厳しいということから、このたびの国内対策におきましても、特に新しい農業構造をつくり上げるという前向きの政策と並びまして、地域対策としての中山間地域の振興対策、これを強く打ち出すということにしておるわけでございます。 その場合に、中山間地帯についてはやはり農林業が基幹産業でございますから、その活発な振興を図らなくちゃならない。委員は付加価値作物の導入とか、いろいろ今後の方向等についてただいまお触れいただいたわけでございます。それから、多様な就業機会の確保あるいは生産段階と生活基盤との一体的な整備とか、そういう農林政策中心の施策も講ずるわけでございます。 特に、今お触れになりましたのでちょっと申し上げておかなければならないのは、基盤整備事業は、単なる大河川流域の平野部だけではなくて、全体事業量の四割は中山間地域を対象にいたしたい。御案内のように、中山間地帯は地形その他が平場と違って大変複雑でございますから、それにかなったような圃場整備なり農道とかあるいは防災事業とか、そういうようなものを強力に進めたいということでございまして、今度の施策は平場中心の施策ではないわけでございます。 それから、まさに中山間地帯においては、林業を支えているのはその地域でございますが、林業については御案内のとおりなかなか厳しい情勢にございます。これについては、特に林業においても担い手の老齢化とそれから減少が続いておりますので、その育成対策なりあるいは林業作業適なり林道網の整備、さらに機械化というようなことで林業の活性化を図らなければならないというわけでございます。 それから、さらに広く全体の総合施策が要るということで交通アクセス、交通条件の整備とか情報通信網の整備とか、医療、保健、福祉、こういう問題についてもいろいろの施策を講ずるとかということでございまして、総合的な施策を政府を挙げてこれに取り組むということにして活性化に努めております。 水産業との関係までお話が出ました。確かにそうでございまして、これは森林の方では早くから気がついておりまして、魚つき保安林というような保安林制度も実は古くから取り入れられておるわけでございまして、そういう魚つき保安林の整備等についても水産業の観点から勘案した施策も進めなければならない、さように思っております。
○小島慶三君 どうもありがとうございました。 マイナスと思われるような面についても、むしろこれをばねにしてプラスにするということが大変重要かと思います。農水大臣のお話もその線に沿って積極的にこれから施策が講ぜられるということで大変結構だと思います。 けさの新聞にも例の六兆百億円のあれについて、とりあえず来年度予算に五千億ないし六千億プラスするというふうな記事が載っておりました。これは後で大蔵大臣にお伺いしようと思いますけれどもその前に、今のようなマイナスの面の反面、もちろん橋本通産大臣の光の方があるわけでありますが、これは恐らく今度のマラケシュ協定の最大の目的というのは世界貿易の拡大、そのた保めの自由貿易ルートの保証ということで、自由貿易を守るためにというので二万二千ページのあれができたと思うのであります。 この自由貿易になるということについて私は多少疑問を持っております。といいますのは、自由貿易というのはどこまでいってもこれは強者の論理でありまして、強い者の論理であります。ですから、パクス・ブリタニカ、パクス・アメリカーナ、どちらもイギリス、アメリカの経済力、軍事力、そういったものを背景にして成り立っているものでございます。しかし、日本がそういう点で自由貿易のメリットをこれまで大変受けてきましたし、その持続のためにアメリカの方式や何かを抑えるためにウルグアイ・ラウンドの今度の協定ができたということも私は伺っております。 しかし、これから考えてみますと、これはフランスの「レタスプレス」という雑誌に載っておったことでありますが、自由貿易をやって一番メリットがあるのは恐らく日本だけじゃないか、そういうことが言われております。ですから、今の国際競争力その他から見て、若干最近は日本も落ちてまいりましたけれども、フリーにしたら恐らく今まで以上の輸出が出て、そして今まで以上の黒字がたまってという形に恐らくなるのではないか。そうなった場合にはまた日本たたきが始まるということでいろんな貿易障壁が、バリアができ上がるとか、あるいは円高で日本を脅かすとか、そういう形になっていく危険性はないのだろうかというふうに私は思っておるわけであります。 殊に、最大の問題はアメリカとの関係だろうと思うんですけれども、アメリカとの関係におきましても、アメリカがつくっている戦略というのはこれはいわば三所攻めだと思うんですね。つまり、グローバルな国際ルールというもの、これが一つ。それから地域主義の点から見て日本とアジアの関係にメスを入れる、これが二番目。それから三つ目には二国間貿易ということで、これは数値目標、三〇一条等、従前からの姿勢が変わろうとしていないわけでありますから、そういうふうな、これがだめならばこれということでアメリカの戦略が立てられているのではないかと思うのであります。 そういった場合に、日本は果たしてどういうふうにしたらいいのか。日米包括協議の問題もまだ残っておりますし、アメリカに対する輸出の七割は管理貿易であります。そういった点がますます加重される。つまり、グローバルな点でうまくいかなければアジアの日本を中心とした自由貿易地域の設定についてもアメリカは容認をしない、そして最後は二国間貿易だというふうなことになるのではないか。そうしますと、自由貿易を目指しているのだから、原理がいいんだからすべてがいいんだというわけに果たしていくのかどうか。私は自由貿易の将来というものについて若干の疑惑を持っております。自由貿易であれば何でも片づくというのは幻想であるというふうに思っておるわけであります。 この辺、一番御苦労なさるのは通産省であると思いますので、通産大臣からひとつ御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、確かにその自由貿易体制というものの中に問題があることは認めたいと思います。なぜなら、国内産業において競争力の弱い分野の産業は、自由化が進展する中で海外からの製品が入ってくることによりましての競合を来すわけでありまして、そうした問題点がないとは私は申しません。 ただ、これは先日来お答え申し上げてきておりますように、この交渉のプロセスにおきまして、期間の延長でありますとか、あるいは関税の下げ幅を低く抑えるとか小さく抑えるとか、さらには、例えば繊維の場合のセーフガードのようなさまざまな措置の組み合わせを今までにも議論してまいりました。御審議をいただいております協定の中にもこうしたものが盛り込まれているわけでありまして、国内産業に対する影響というものは最小限に食いとめるべく努力をしてまいっております。 こうしたことを考えますと、私は、確かに国内産業に与える影響というものを過小評価するつもりはありません。しかし同時に、将来を考えますとき、やはりそれぞれの国の垣根が低くなるということはそれだけ経済の拡大発展というものに資している、そのように考えていきたいと思っております。
○小島慶三君 ありがとうございました。 私が心配しているのは、一方では黒字減らしという対策がなかなかできない、実際問題として。したがって、これは黒字減らしかできない間に日本の自由貿易のメリットが発揮されればますます黒字はふえる、ますます日本は目のかたきにされてたたかれる、レートもどんどん上げられるということになると大変ぐあいが悪いということを申し上げているわけであります。だから、仮に自由貿易のメリットがうまく発揮できないということになれば、逆にいろんな今のシステムというものは意味を持つということになる、何かそういうふうな逆説的な関係というものがあるということを申し上げたつもりであります。ただこの問題は、御見解のように、これからの通産政策で、社会的に弱い産業の保護とか、あるいは新しい産業による活性化とか、そのための規制緩和だとか、いろんなことで乗り越えられていくものと私は御期待を申し上げておきます。 次の問題に入りたいと思うんですが、次の問題は、協定そのものとそれから対策として打ち出された国内法の関係でございます。 これはどういうことかと申しますと、今度の国内法の中で最大の問題は、農水省関係の主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律だと思うのであります。これは食糧管理法の廃止という前提でつくられておりますし、法案の中にも食糧管理法の廃止ということはうたわれております。ですから、それにかわる新しいルートということであろうと思いますし、これは新農政に関する審議会等で十分御議論になったことであろうと私は思っております。ただ、今度のウルグアイ・ラウンド、いわゆるマラケシュ協定を受諾するかしないか、これに関連しての問題としますと、これはちょっと法域が欲張り過ぎているというふうに私は思うのであります。 つまり私の申し上げたい点は、これだけ膨大なものであり、これだけ関係が広く、これだけ急ぐという法律であるならば、むしろ今の食糧管理法の一部を改正する法律というものでも、この協定に関することだけ考えますとそれでいいのではないかというふうに思うわけであります。 どうしてそう思うかといいますと、やはり今度出されました法律は大変御苦心の法律でありまして、いわゆる自由化という呼び声と計画制度という呼び声、その必要というか、そういうものとの間で揺れ動いているのが今の法律ではないか、大変失礼な申し上げようでありますが、そんな感じがいたします。 生産調整の第一項一つをとりましても、生産者の意見を尊重するということはあります。それから二項以下には、そのために政府は枠を決めて、あるいは関係府県あるいは関係団体と話を詰めていく、こういうふうにも書いてあります。そうしますと、その辺はどっちが本当なのか、よく私にはのみ込めないという点があります。それから、例えば今後の流通についての集荷業者の規定とかあるいは販売業者の規定とか、いろいろそういうことが書いてありますけれども、大事なことは書いていないんですね。それをどうやって決めるかというのは全部政令、省令にゆだねられているというふうに私は伺っております。 これはどうなるかといいますと、まだ中身はわからない、これからの審議だということでありますけれども、それではちょっと法律としては不親切ではないかというふうに私は思うのであります。それなら、そちらの方は十分これから時間をかけて議論をして、とにかくマラケシュ協定の受諾という一点に絞って法律をお考えいただいた方がいいのではないか。恐らくここまで来てはもう引き返せないとおっしゃると思うんですけれども、私の意見を申し上げておきますので、ひとつお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(大河原太一郎君) お答え申し上げます。 一つの御意見としては、マラケシュ協定の農業協定でございますね、ミニマムアクセスの受け入れ、この部分について改正を行えばよろしいではないかというような御所論でございますが、二つの理由で我々はこの全面的な改正に踏み切ったわけでございます。 一つは、実は御案内のとおり、現行の食管制度は制度と現実との乖離が極めて大きいということはもう事実でございまして、昨年のいわゆる輸入米に伴う米騒動等における社会的な混乱という点を見ても明らかでございまして、生産者のサイドからもあるいは消費者のサイドからもそれぞれの食管制度の根本的見直しということが要請されておりまして、そういう時期に来ておるということが一つでございます。 それからもう一つは、形式的でございますが、細川内閣が昨年十二月に米のドゥニー調整案を受け入れたときに、緊急農業農村対策本部をつくった。その際の、農業に対する悪影響の防止、さらには今後二十一世紀に向けて農業農村の自立を図るとか、それで基本対策を立てるというときのその第一項目におきまして、既に米の安定的な流通はもちろん、新しい米の管理システムをつくるということを言っておるわけでございまして、私どもは国内対策の重要な一環として今回の新しい食糧管理に関する法案を提出させていただいたということでございまして、私の方としては、単にここまで来たからということではなくて、よろしくお願い申し上げたいというふうに考えております。
○小島慶三君 ありがとうございました。 あと具体的に農業に関する問題、仮に今度提出された新食糧法が審議の対象としてこれからも続けるという、そういうお話に承ったわけでありますが、それに関連しての個別的な質問は、ちょっともう時間が残されておりませんので、これはしかるべき時期にまたお伺いをさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。 それで、経済企画庁長官がお見えでございますので、一つお伺いしたいと思います。 それはどういうことかと申しますと、このWTOの受け入れということによって日本の経済も新しいターニングポイントを回るというか、そういう形になると私は思っておるわけであります。それだけ重要な転機になると思っているわけでありますが、現実の日本の経済というものは果たしてそれを受け入れて非常に、何と申しますか、またさっそうと飛び上がるというか、そういうことになるのかというと、私はそうはならないと思うのでございます。 先般の第二・四半期のGNPですか、これはかなりいい数値が出たようでありますが、全体としてことしの経済見通し二・四%には、成長率はそこまではいかないだろうと私は思っております、ちょっとその辺は議論になるかもしれませんが。それで、大体その辺が、一%台から二%近くまでのところが恐らく回復期の日本経済としてはその程度が妥当なところなのではないかというふうに思うわけであります。しかも、それを中長期的に見ても、大体その辺の低成長率というのは持続するようなそういう日本の社会経済の体質になってきている。言うならば、経済の成熟段階というのにこれから突入していくのだろうと思うのでございます。 その一つの理由は人口がふえていかない。何か厚生省の方では、昨年の人口再生産率ですか一・四六というものに対して、それが一番底で、それから人口増加というのにまた転じていくんだというふうなことを発表しておられますけれども、人口問題研究所ですか、そういうふうに果たしてうまくいくのかどうか大変私は疑問に思うわけであります。そうしてみると、やはり中長期的に見れば、人口増加率というのは大きく見れば減衰の方向にあるということで、人口増加率から見た経済の成長率というのは期待できないということがまず第一点であります。 それから第二点としては、これは技術の進歩率といいますか、その辺から見ても、これは唐津先生のような非常な、あるいは石井先生のような積極論もあるわけでありますが、これからやはり従来のようなわけにはいかないのではないか。従来のように、外国の技術を入れてきてうまく応用するという、そういう形ではうまくいかない。それに対して、基盤技術の研究というのは、これはかなり立ちおくれているということがありますので、技術の進歩率というのはこれからそう急激に上がっていきそうにもない、むしろ停滞する。 産業構造の中身を見ましても、これから一番ふえるのは情報・知識産業、これが全体の、新産業の三分の一と言われておりますが、そういうことでは技術の進歩率を思い切ってここで高めるようなそういう新産業というのは出てこないのじゃないか。自動車、エレクトロニクスは既に減衰期に来ている。エレクトロニクスなんかはむしろ輸出よりも輸入の方が多い、こういうふうな状況になってきておりますから、これはそう期待すべくもないということになりますと、日本の今まで隆盛をきわめた工業が今後の経済を支えていくということにやはり陰りがある。 それから、三番目には空洞化の問題でありまして、空洞化は最近、金融の空洞化まで言われるようになってまいりましたが、とにかく日本を取り巻くいろんな情勢の中で円がどんどん押し上げられる、それに伴って海外へ出ていかざるを得ない、海外へ出ていけばそれはやがては成熟する、成熟すれば日本に輸入として入ってくる。これはブーメラン効果ということで当然であります。国内の産業はますますそれによって空洞化する、こういう悪循環を来しておりますけれども、そういう空洞化。そしてこれにまた、先ほど御質問がありましたが金融の空洞化というものが加わっていくと、やはり日本の経済というのはこれからそう楽観を許さない、そういう状況ではないかと思うのであります。 そうしてみると、今までいろんな政策の前提になってきていた三%とか五%とかというやや高目の成長率をこれから維持するのは非常に困難なのではないか。そういう点で、企画庁の方にはそういった長期計画の修正というか、そういうものを私は今やるべきではないかという御注文を申し上げたいわけであります。そうしないと、シルバープランもそれからいろんな税制改革も絵にかいたもちになってしまうだろうと思うのであります。こういう点について長官のお考えを伺いたいと思います。よろしくどうぞ。
○国務大臣(高村正彦君) 現行経済計画をつくった時点と現在では、確かに先生のおっしゃるようなことも含めて経済の姿が変わってきているだろうと、こういうふうにも思いますし、政府・与党の中にも、そういった点から現行経済計画を期間中であっても見直すべきだという有力な意見があるわけでありますし、私もそれは十分に検討に値する問題だと、こういうふうに考えているわけであります。 ただ、経済審議会の中において四つの委員会で経済改革のあり方について今検討をしている最中でありまして、その四つの委員会のうち三つの委員会で年末ぐらいに検討結果が出るということでありますので、その結果を見ながら総理に最終的に現行経済計画を見直すか否かの判断をしていただきたいと、こういうふうに考えているところでございます。
○小島慶三君 ありがとうございました。長官、結構でございます。 今お伺いしたような事情、情勢で、これからの問題だということにあるいはなるのかもしれませんけれども、もうすぐ来年度予算の編成についての作業も始まるといいますか、あるいは形をなすと申しますか、そういうことになってくるだろうと思いますので、その場合の前提としての現在の国力の測定そしてその展望というものは、これは当然前提にそういうものがなければ予算も組めないというふうに私は思っておるわけであります。 先般の税制改革はああいうことで一応決着いたしましたけれども、なお法人税、地価税その他のいろんな問題はまだ残っていると思います。恐らくそういう点も加味して財政のポテンシャルというものを見きわめていくべきだと思うんです。基本的にはやっぱり来年度の経済というものは前のように右上がりになるのか、それともそうでなくて、成熟期らしく横ばいという形になるのか、その辺が非常に私は問題の根本になると思っておるわけであります。 ですから、そういった点から見ますと、やはりこの計画の全面的な見直しというのが非常に急がれる段階ではないか、またそれを急がないとやはり腰ための予算、腰ための経済運営ということにならざるを得ないと思いますので、この点はひとつ政府の方の再考をお願いしたいと思っております。 それから、もう時間がなくなりましたので、あとせっかくお待ちをいただいた大蔵大臣に少し御質問をしたいと思います。 一つは、さっきちょっと申しましたけれども、けさの新聞に出ておりました五千億ないし六千億乗せる。しかし、最後に、これは新聞の解釈でありましょうが、大蔵省としては切り込めるものは切り込むというふうに言っておると新聞に書いてあるんです。そうしますと、やっぱり別枠ではないということになるわけでございましょうか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) けさの記事は私も見ましたが、まだそういう事実はないようであります。要するに、正式に農水省から六兆百億の平成七年度初年度分の数字の要求はまだ運ばれておりません。切り込むものは切り込むという報道がありましたが、全体に予算編成の姿勢としましては、どこの省庁の予算というのではなしに、政府全体、各省庁なべて厳しく既存の予算を見直しながら改めてプライオリティーをつけていただいて、スクラップ・アンド・ビルドの姿勢で編成にかかっていきたいということでありまして、そのことの表現と御理解をいただきたいと存じます。農林予算だけを特別にという気持ちはありません。
○小島慶三君 どうもありがとうございました。 この問題はもうこの委員会で初めから現在に至るまで議論されているいわゆる真水の問題でございますので、これは新聞の憶測記事であろうと思うんですけれども、その辺の話の出ようというものがやっぱり非常に微妙でありますので、これはひとつ御注意をいただきたいというふうに思います。 それから、先ほどお答えがございましたので重ねて申し上げるのも恐縮でございますが、いわゆる産業の空洞化と並ぶ金融の空洞化というのは、これはお互いに連動するものなのかどうなのかちょっとわかりませんが、外国資本が日本から引き揚げる、そして新しい金融センターを求めていくという動きには間違いないわけでありますので、これは前から出ている議論でございますけれども、例えば有価証券取引税とかそういったものの見直し、あるいは法人税の見直しということもこういった傾向については歯どめになるかと思うのでございますが、その辺はいかがでございましょうか。
○国務大臣(武村正義君) 金融の空洞化という表現で今日までも御質問をお受けしたことがあります。金融資本がどうなっていくのかということでもありますが、たびたびお答え申し上げてまいりましたように、さまざまな要因が複合している状況でもありまして、その辺の実態を十分分析しながら対応をしていきたい。もう既に対応を決めたものもございますし、今から決めようとしているものもございます。 ただ、言えますのは、東証外国部の上場企業の数が減っているのは事実でございます。百二十幾つかありましたものが百を割るぐらいに減少しているのは事実でありますが、日本の株式市場全体が数年前の最盛期に比べますと八分の一とか十分の一ぐらいに取引高がぐっと縮小をしておりまして、外国企業が日本の東証に上場しましても、日本の投資家の魅力といいますか関心を引かないというところが根本的な原因でございます。もちろん円高ということもありましょうし、日本の株式市場全体がぐっと小さくなっている。その中で外国株に対する関心も小さくなっているというところが一番基本的な背景であります。 しかし、そもそも日本の東京の市場が、ロンドン、ニューヨークと並んで世界の三大市場と言われておりますし、いろんな意味で世界の資本の供給に対しても大きな役割を担っていることも事実でございまして、日本の経済の行方を考えましても、そういう状況を手をこまねいて見ているわけにはまいりませんし、私どもとしましても、なぜそうなのかという状況はさらに深く突っ込んで分析をしながら、例えば阻害要因があるならばその阻害要因は取り除くように努力をさせていただきたいと思っております。 その中に法人税率の引き下げとか有取税の引き下げ、廃止等の論議も起こっているところでございますが、有取税そのものも、やはり資産、消費、所得のバランスの議論がある中で、資産課税は充実をしていきたいという一つの方針もございます。そして、有価証券譲渡益税との関係で、証券税全体の中でこの問題は議論をしていきたいというふうにも考えているところでございます。 法人税そのものは、ぜひ今後、課税ベースを拡大しながら税率を下げる方向で議論をさせていただきたいというふうに思っております。
○小島慶三君 あと、個別の農業関係の問題というのは、これはまた機会がありましたらお伺いすることにいたしまして、以上で私の質問は終わりますが、要するに私がきょうお伺いしたかったことは、最後に申し上げましたように、日本経済の減衰とかそういった状況、これを反映するものとしての空洞化といったような状況の中で、ウルグアイ・ラウンドのWTOの受諾というものがどういうふうな影響をもたらすか、その辺の突っ込んだ検討といいますか、そういうものが大変この問題の議論のためには重要なのではないかということで、後先構わず御質問申し上げたわけでございます。 本日は、各大臣、どうもありがとうございました。以上で終わります。 —————————————
○理事(梶原敬義君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、森山眞弓君が委員を辞任され、その補欠として河本三郎君が選任されました。 —————————————
○和田教美君 公明党・国民会議の和田教美でございます。きょうは主として通商関係、貿易関係、サービス貿易の関係、それから関税の関係、そういった分野を担当して質問をいたします。 WTO設立協定の締結について承認を求めるの件の提案理由説明を見てみますと、その中に次のようなくだりがございます。 我が国がこの協定を締結することは、我が国 が世界の主要な貿易国であることにかんがみ、 多角的貿易体制の発展に寄与するとともに、我 が国の国民生活に多大の利益をもたらすことと なるという見地から極めて有意義であると認め られます。このうち、「多角的貿易体制の発展に寄与する」という点は私も認めます。しかし、「国民生活に多大の利益をもたらす」あるいは「極めて有意義」というふうな断定的な表現については、なぜ政府がそう判断するのか、その根拠について河野外務大臣から御説明を願いたいと思います。 といいますのは、WTO協定はすべてが万々歳というようなものではなくて、既にいろいろな論議が出ておりますように国民にとっても数々の痛み、犠牲を伴うものであります。米の特例措置、ミニマムアクセスの受け入れが日本の農業にとって深刻な影響を及ぼすということは既にもう各方面から指摘されております。 また、これは単に米に限らないわけでございまして、米以外の農業分野でも小麦、乳製品などすべての輸入制限品目は関税化とミニマムアクセスのダブルパンチで関連産業が非常に厳しい立場に立っております。また、世界のNGOの中には、食品の安全性の問題に関連して、貿易拡大のために健康がかえって犠牲になりかねないという危機感を提起するところもございます。確かに多角的貿易体制の発展は世界経済を活性化させるだろうと思いますけれども、競争力のない産業で雇用危機を生み出すところも出てくるかもしれないと思います。 このように数々のマイナス面、犠牲を伴うことを承知の上であえて「国民生活に多大の利益」と断定する理由は何か、ひとつお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 確かに和田議員が御指摘のように、このWTO協定のうち農業部分につきましては我が国にとって大きな影響を与える厳しいものであるという御指摘は私もそのとおりだと思います。 他方、WTO協定全体を見た場合に、これは議員もお認めいただけると思いますが、関税の引き下げなど物の市場アクセスの改善によります経済的な利益というものは十分認識できると思いますし、また繰り返し申し上げているところでございますが、これまでそのルールが国際的に共通のルールを持たなかったサービス貿易あるいは知的所有権など、ガット体制のもとでは貿易ルールが存在しなかった新たな分野における規律をつくるということでは意味があると思います。さらに、紛争解決手続の強化によります一方的な措置の発動というものが抑制をされる、こういうメリットもあるということは認識していい、確認していいと思います。 これらは、こういう言い方が若干皮相的な言い方になると御指摘があるかもしれませんが、我が国にとって、つまり貿易立国という我が国にとって重要な意味を持つのではないか、こう考えたわけでございます。 多角的貿易体制を維持強化するという点では議員も今お認めをいただいたわけでございまして、こうしたこと全体を見た上で、繰り返しになりますが、確かに農業分野を初めとする国際的な競争力を持たない分野について当面大きな打撃、厳しい状況に直面するということは認めながらも、それらに対してでき得る限りの国内対策をとるということによって総合的に勘案した結果、WTO協定の締結は我が国にとって意味のあるもの、そしてそれは国民生活に大きな利益をもたらすものというふうに判断したわけでございます。
○和田教美君 大河原農水大臣にお尋ねをしたいと思います。 WTOに参加することはWTO協定に附属される十七本の多角的貿易協定をすべて受け入れることを条件にしておりまして、一つだけつまみ食いするとかあるいはつまみ食いしない、むしろそれに参加しないというふうなことはできないわけです。そこで、農水省としても米については、私も指摘しましたように明らかにこれは犠牲だというふうに思うんですけれども、いろいろ苦渋の選択をされたんだろうと思います。それにしましても今の外務大臣の答弁ですと、全体として見れば極めて有意義だとか、国民生活に多大の利益という判断をされておるわけなんですけれども、農水大臣としてどういう御感想をお持ちでしょうか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 外務大臣がただいまお答え申し上げたところでございますが、農業にとっては厳しいものであるということはお話のとおりでございまして、私もさように思っておりますが、さらに外務大臣が全体としてその国益の観点からはこれはということで多角的貿易あるいは国民生活というような理由を述べておるとおりだというふうに思っております。
○和田教美君 次に、アメリカの議会がウルグアイ・ラウンド合意実施法について、さきの下院の可決に引き続きまして上院でも予想以上の大差で可決をいたしました。アメリカの承認が決まったことでEU、欧州連合など各国の承認手続も加速されるだろうということは昨日の外務大臣の答弁でも出ておりました。 そこでお聞きするんですけれども、マラケシュで最終文書に署名した国は、参加国は百二十五だけれども正確にはマラケシュ会議で署名をした国は百十一の国と地域というふうに聞いております。今のお話ですと現時点で三十数カ国が批准承認の手続を済ませたということのようですけれども、私が特に重視するのはヨーロッパの主要国がどうなっているかということでございます。 アメリカそれから日本もここ一両日中にはそういうことになるんだろうと思うんですけれども、問題はヨーロッパで、EUと各国の間にまだ調整を必要とする問題が残っていないのかどうかということ。それから、フランスなんかはかなり手続がおくれているという話もございますし、ヨーロッパの先進国といいますか、主要国の動向がどういうことであるかということを一つお聞きしたいわけでございます。 それともう一つは、八日にジュネーブでこの協定実施のための会合が開かれるというお話でございますけれども、そこでWTO協定の来年一月一日からの発効ということが事実上決まるというふうに見ていいのかどうか、その点もあわせてお聞きしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 先般もお答えをいたしましたが、お尋ねでございますので欧州の関係について少し御説明を申し上げたいと思います。 現在、イギリス、ドイツ、アイルランド、オーストリアは既に必要な国内手続は終了いたしております。また、今、御指摘がございましたフランスにおきましては、十一月二十九日にWTO協定が議会に提出をされている。これは若干他の国に比べると遅い手続のように思います。その他、イタリー、ベルギー、デンマークあるいはスペインなどにおきましては議会での審議が行われておりまして、これらは各国ともWTO協定の年内受諾の可能性が大きいというふうに承知をいたしております。 議員お尋ねの来年一月一日にスタートができるかどうか、どういうふうに見ているかというお尋ねがございましたが、御指摘のように、十二月八日にWTO協定実施のための会合というものがジュネーブで開かれることになっておりますが、この会合には恐らく一月一日に発効しようという提案がなされて、そのとおりになるのではないかという見通しを持っております。
○和田教美君 WTO設立協定には、「附属書二紛争解決に係る規則及び手続に関する了解」が盛り込まれておりまして、その中で、WTO設立協定に関連する紛争については、この規則及び手続に従わずに一方的な措置をとってはならないということが明文で規定されております。これによって我々は、アメリカの通商法三〇一条の適用を初めとする一方的措置の発動が大きく制限されるというふうに理解をいたしております。 ところが、ウルグアイ・ラウンド妥結直後の昨年十二月に、カンター通商代表らが通商法三〇一条の発動はWTO協定によって制約されないと発言をいたしましたし、また本年三月には大統領令でスーパー三〇一条を復活するなど、アメリカは依然保護主義的な制裁措置を温存しているというふうに見えるわけでございます。 そこでお伺いしたいんですけれども、このようなアメリカの姿勢について外務省はどう考えているのか。三〇一条のような法律の存在自体がWTOの協定違反、あるいは少なくともその精神に反すると言えないかどうか。仮に協定違反ではないとしても、三〇一条を一方的に振りかざして二国間交渉に圧力をかけるようなやり方は今後も是認されるのか。また、WTO協定の紛争解決手続に違反することなくしかもアメリカが三〇一条のような対抗措置をとり得るケースとしては一体どのような場合が想定されるのか。具体的にひとつお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) アメリカがその実施法の中に三〇一条というものを書き込んでいるということについては、これまでもしばしば御質問、御指摘がございました。 そこで、もう一度お答えを申し上げておきたいと思いますが、アメリカの通商法三〇一条やスーパー三〇一条などの一方的措置の発動を可能とする法令がWTO協定の精神に照らして問題であることは和田議員御指摘のとおりでございます。 〔理事梶原敬義君退席、委員長着席〕 またWTOにおいては、WTO協定の対象事項についてWTOの紛争解決手続を経ることなく一方的措置をとるということは禁止されております。したがいまして、スーパー三〇一条などの存在自体がWTO協定の規定に違反しているというわけではありませんが、アメリカがWTO協定の加盟国に対し、同協定の対象事項に関しスーパー三〇一条などに基づいて一方的措置をとる場合には、WTO協定違反になるということでございます。 いずれにいたしましても、今後スーパー三〇一条などによって我が国の利益が害されるようなことがある場合には、我が国としてはWTOの紛争解決手続の利用を含め適切に対処していかなければならないと思います。 もう一つのお尋ねは、アメリカが三〇一条をそれではどういうふうに使うことがあるかということについてお尋ねがあったと思いますが、今も申し上げましたように、三〇一条の存在自体が違反ではありませんが、アメリカがWTO協定の加盟国に対して、同協定の対象事項に関しWTOの紛争解決手続に従うことなく三〇一条で一方的にやればこれは協定違反、しかし、WTOの紛争解決手続に従いながら三〇一条を使うということはあり得る、こういうふうに考えております。 補足があるかもしれません。
○政府委員(原口幸市君) 今、先生の方から、どういう場合にそれではWTO協定の違反にならないかという御質問がありましたので、今、河野大臣の方から半分お答えになりましたけれども、もう一つ、WTOの非加盟国に対して三〇一条に基づく措置をとる場合にもこれはWTO協定違反にはならないということでございまして、二つあわせてお答えさせていただきたいと思います。
○和田教美君 加盟国に対して……
○政府委員(原口幸市君) 非加盟国に対して適用する場合にはならないということです。
○和田教美君 アメリカの議会は、さきに言いましたように、上下両院ともWTO協定実施法案を可決したわけですけれども、これに先立ってクリントン大統領は、上院の多数派工作のために野党の共和党との間でWTO紛争処理再検討委員会を新設するということなどで合意をしました。 この委員会は、WTOの紛争処理により米国の主権が侵害されることを監視して、侵害を認める判定が五年間に三回に達した場合には議会は大統領にWTOからの脱退を勧告できるという内容のものであると伝えられております。 正確には来年提出される法案を見なければならないのでしょうけれども、政府はこの動きをどのように認識しておられるか。アメリカの主権保護的な動きが他の国にも波及をして今後のWTOの運営に制約要因となる懸念がないかどうか、お尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) アメリカは、中間選挙の結果、行政府にとっては非常に厳しい議会運営を強いられるということになったと思います。しかしながら、アメリカの行政府としては、国際的な約束事でございますWTO協定の国内手続を進めなければならないという状況下にあって、行政府は議会関係者とさまざまな話し合いをなさったというふうに私どもは聞いております。 その結果、行政府は議会からの提案に一部オーケーを出したという結果なのだろうと思いますが、しかし私どもの見解といたしましては、今、議員がお尋ねのように、連邦判事の中から五人を選び出して、五年間に三回アメリカにとって不利益なパネル報告をするようなことがあれば脱会するように勧告する、こういうことを言っておられるわけですが、その話し合いを正確に見てみますと、アメリカはただ単に不利益な報告がパネルから出されたら云々ということではなくて、それが恣意的にアメリカに対して不利益な報告が出ればと、こういうことを言っているわけです。それは正当に判断をされて不利益な結果が出たということではないのであって、不当に恣意的にアメリカにとって不利益な報告が出ればというふうに言われているということに気がつく、注意深く読めばそう書いてあることに気がつくと思います。 他方、私はまた別な角度から申し上げますが、WTO協定の中には脱会手続というものも書き込んであるわけでありまして、脱会をするというならその国の判断で脱会はできるわけでございます。つまり、アメリカはああいうことをやって場合によれば脱会すると言ったんだから、日本もああいうことをやって脱会の手順を決めておいたらどうだという御意見があるいはあるかもしれませんが、もうWTO協定の中に脱会の手続というものは入っているわけですから、そうしたことをすることは日本の場合に果たして絶対に必要なものであるかどうかと言われれば、私はそれは相当研究してみる必要があるのではないか、慎重に検討してみる必要があるのではないかというふうに思います。 アメリカの場合は、あくまでも議会対策ということもあってこういうことになったのであって、もちろんアメリカには主権というものをあくまでも守るという議会の伝統のようなものがあるというふうに伺っておりますので、そうしたものに従ったということはあるかもしれませんが、それ以上どういうことであったかということは、外国のことでもございますからこれ以上私が申し上げるのは控えたいと思います。
○和田教美君 ウルグアイ・ラウンド合意によって、貿易紛争はWTOで一元的に処理されるという原則がつくられたわけであります。しかし、これで二国間協議の重要性が薄れたわけではもちろんございません。貿易はもともと個別取引であって、貿易紛争はまず二国間で生まれるものだから二国間で解決策を探るということが前提となるからであります。しかし、日米の包括経済協議の例を見てもわかるとおり、現実の二国間協議はしばしば厳しい対立の場となって両国関係に悪影響を及ぼすということにもなりかねないわけでございます。 そこで、今後、二国間の問題についても、相手国の要求が一方的で不合理な場合、二国間で妥協するのではなくて極力WTOの紛争処理メカニズムのもとで解決を図るべきだというふうに私は考えますが、この点はどうでしょうか。難航している日米包括経済協議またはその一部についてもWTOの紛争処理にゆだねる考えはないかどうか、外務大臣及びこの問題についてかねて発言をされておる通産大臣の御見解をひとつお聞きしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 日本の立場からいたしますと、通商に関する問題の解決の方法としては、二国間による協議とともに、強化されたWTOの紛争処理手続など多国間の枠組みも当然のことながら積極的に活用していきたいというのが本旨であります。 そこで今、日米フレームワーク協議について具体的にお尋ねでありますが、現在もさまざまな分野で協議が行われておるさなかであります。それだけに、引き続き早期合意に向けて努力をしていくことが大切だと考えておりますが、いずれにしても、仮に米国が国際ルールに照らして問題のある一方的な措置を発動するというような事態が起こるとすれば、これは我々はWTOによる紛争解決手続の活用も含めまして国際的なルールに沿って解決を求めることになるであろうと、こう考えております。 本日ただいまの時点もガラスの協議が行われておるところでありますので、大変微妙な時期ですから、この程度でお許しをいただきたいと存じます。
○和田教美君 次に、サービス貿易についてお伺いしたいと思います。 ウルグアイ・ラウンド交渉では、サービス貿易、知的所有権、貿易関連投資措置など従来のガットにはない新しい分野でのルールづくりが行われました。こうした新しい分野への対応は、東京ラウンド前後から顕著に見られるようになった経済構造の変化、つまり先進国を中心に経済の中心が製造業からサービス産業へ移行するという経済のソフト化、サービス化が進展したためだと思います。例えば、先進国においては金融、運輸、通信、流通、医療、教育などサービス産業とされる分野での雇用やGDP占有率が八〇年代半ばには既に約六割に達しておるわけで、年間伸び率でも物のそれを大きく上回っておると言われております。 そこで、まずお聞きしたいんですけれども、サービス及びサービス貿易の定義についてお伺いしたい。 一体、サービスとはどういうことなのか。具体的にはなかなか概念の規定が難しいから、個別具体的に可能な限りサービス業種を列挙することで実体的なサービス業の全体像をつくり上げるというふうな手法をとらざるを得ないのかもしれませんけれども、もしそういうリストを通産省なりその他で作成されているのなら、その主なものでもひとつ御説明を願いたいと思います。
○政府委員(原口幸市君) ただいま先生御指摘のとおり、サービスにつきましてはなかなか定義が難しゅうございます。ただし、各国とも何がサービス業に属するかということにつきましては相当程度具体的なイメージを共有していると思います。 その前提となりますのが、実は九一年にガットの事務局からサービス分野分類表というものが作成されて参加国に配付されておりまして、各国はこの辺を参考としながら、それぞれ自分が約束するサービスを譲許表に掲げたということでございます。少し具体的に各国が自由化約束を行っているサービス分野の主要なものを挙げますと、金融、これには銀行、証券、保険等が入りますが、それに運輸、観光、建設、通信、流通、法律、会計、教育、健康、娯楽等、非常に幅広い業種がカバーされております。 そこで、こういうような事態を反映いたしまして、サービス協定におきましてはサービスの定義というものが書かれておりますが、それは実は定義とはなかなか言いにくいんですが、政府の権限の行使として提供されるサービス以外のすべての分野におけるすべてのサービスという、サービスはサービスだという定義になっているんですが、それは今申しましたように、サービスについて一般的に確立した概念がまだ存在しないというふうな理由とともに、協定の適用範囲を可能な限り広くしておくことが望ましいという考え方が参加加盟国にあったということだと我々は承知しております。 次に、先生のもう一つの御質問はサービスの貿易についてはどういう定義であるかということでございますが、サービスの定義そのものが今のような定義でございますので、これも直接サービス貿易いかんという定義がなかなかできなくて、その結果、サービスの提供の態様を四つに分けて規定しております。 それはどういうことかと申しますと、まず第一の態様が、いずれかの加盟国の領域から他の加盟国の領域へのサービスの提供、いわゆる国境を越える取引でございまして、具体的には例えば電気通信網による国境を越えた情報サービスというようなものがこれに属します。 それから第二の態様は、いずれかの加盟国の領域内におけるサービスの提供であって他の加盟国のサービス消費者に対して行われるもの、一般に消費の移転と言われておりますが、例えば外国に旅行して観光サービスの提供を受けるというような場合がこれに当たります。 それから第三のサービス貿易の態様は、いずれかの加盟国のサービス提供者によるサービスの提供であって他の加盟国の領域内の業務上の拠点を通じて行われるもの、業務上の拠点を通じたサービス提供と一般に言われておりますが、典型的な例が海外支店を通じて金融サービスを提供するというような場合がこれに当たります。 第四のものが、いずれかの加盟国のサービス提供者によるサービスの提供であって他の加盟国の領域内の加盟国の自然人の存在を通じて行われるもの、一般には自然人によるサービス提供と言われている態様でございまして、具体的に申しますと、例えば外国人弁護士とか招聘を受けた外国人アーチストによる演奏活動、こういうようなものが分類されておりまして、一応この四つの態様をもとにサービス貿易というものは規定されております。
○和田教美君 次に、我が国の規制緩和について、サービス貿易との関連でひとつお尋ねをしたい。 サービス貿易の自由化は各国の規制緩和と密接にかかわっておりまして、両者は表裏一体の関係にあるとも言えると思います。提供されるサービスの公共性、安全性などを考えますと、規制を全廃するということは無論できないわけですけれども、適正な規制のみを残して貿易制限的な効果を持つ規制については自由化、撤廃をしていかなければならないというのが大勢だというふうに考えます。 そこで、サービス分野で強い競争力を持つアメリカが日本の最大の貿易摩擦相手国であるということ、そのアメリカの中長期戦術に基づいてサービス分野におけるルールづくりが始まったというふうなことなどをいろいろ考えますと、我が国の規制緩和を推進することがサービス貿易自由化の将来に備える道ではないかというふうに私は考えます。 そこで、この辺についての政府の見解をひとつお聞きしたい。この点については運輸大臣に対しても、一番規制緩和の問題には関係の深い省庁でございますから、代表的な省庁という意味でひとつお考えをお聞きしたいわけでございます。
○国務大臣(亀井静香君) お答えをいたします。 委員御指摘のように、国際間における自由貿易を推進する上からも、そうした規制緩和というのは運輸分野についても思い切って従来も取り組んできておるところでありますが、その中でも海運関係につきまして我が国は完全自由化しておるわけでありますが、アメリカは貨物の一定量は自国の貨物船でというような保護主義的な処置をとっておるというようなことについて、残念ながら国際的な合意がまだできておりません。 航空交渉等については、御承知のようにシカゴ条約で二国間でこれについては交渉して決めるというルールになっておりますのでそういう取り組みをいたしておりますが、委員御指摘のように全分野についてできるだけそうした規制緩和をそれぞれの国においてやっていくということの中で実現していきたいと思っております。
○和田教美君 次に、関税についてお伺いしたいと思います。 先進国における関税は、今日、国内産業保護のための保護関税が一般的でありまして、財源確保を主たる目的とするものはほとんど姿を消しております。ウルグアイ・ラウンド交渉の結果、鉱工業品の平均関税率が一・五%に、農産物についても関税化品目を除けば九・二%に引き下げられることになります。特に鉱工業品は基準税率からの引き下げ率は約六一%で、アメリカ、EUの三〇%台の引き下げ率と比べますと大幅な引き下げ率となっております。この結果、鉱工業品については平均関税率が米国及びEUの三・六%に対して日本は一・五%となって際立って低いものとなっております。 このことは、少なくとも政府は既に関税に国内産業保護の役割を担わせる必要が薄れたというふうに考えているのかどうか、大蔵大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) この交渉におきまして、我が国も関税引き下げに積極的に取り組もうといたしておるところでございます。その結果、御指摘のとおりウルグアイ・ラウンド合意完全実施後の我が国の鉱工業品の平均関税率は一・五%となりますが、交渉に当たりましては、国内産業への影響については最大限配慮をしてきたものでございます。 例えば、関税化された農産物につきましては関税率を引き上げるとともに、輸入の急増等に対応するため特別緊急関税を導入することにいたしておりますし、鉱工業品につきましても、国際競争力の弱い分野につきましては関税引き下げの時期を長期化したり、関税引き下げ幅を小幅にとどめる等の対応を行ったところでございます。 関税の国内産業保護機能の必要性が減じているとは考えておりません。
○和田教美君 関税引き下げ交渉の際、今もお話がございましたように個々の品目の競争力とか国内事情等を勘案して交渉に当たっていると思いますけれども、鉱工業品や農産物等を含めて関税率全体の姿として他の先進国より譲歩するということになっていないかどうか、お聞きしたい。 例えば先ほどの鉱工業品の引き下げなどを見ますと、アメリカやEUに比べて日本は結果的にはかなり低い関税に抑え込まれた。さっきも述べたところでございますけれども、そういうことになったのではないかと思うんですけれども、その点について大臣はどうとらえておられますか。
○国務大臣(武村正義君) 御指摘がありましたように、ウルグアイ・ラウンドにおける関税引き下げにつきましては、鉱工業品については平均三三%の引き下げでありますし、農産品につきましては平均三六%の引き下げを行うことが合意されました。この原則に従って関税の引き下げが行われた次第であります。 鉱工業品の関税については、我が国の場合、引き下げ前においても主要国と比較して低い水準となっていたことに加えまして、交渉の成功を図る立場からガットの場で約束した譲許税率からの引き下げにとどまらないで譲許税率より既に低くなっている実際の税率、実行税率からも約三割の引き下げを行ったため、引き下げ後の平均関税率は主要国と比較してかなり低い水準となっております。アメリカが三・五、ECが三・六でございますが、対しまして我が国は一・七%であります。これは、市場アクセスの一層の改善を重視する観点から、我が国が主体的に判断した結果によるものと考えております。 いずれにしましても、ウルグアイ・ラウンド合意は多角的自由貿易体制の維持強化、国際経済秩序に対する信頼の確保という観点から極めて重要でございますし、この合意を着実に実施することは鉱工業品はもとよりさまざまな分野における貿易の拡大をもたらし、特に貿易立国である我が国にとって極めて意義深いという認識に立つものでございます。
○和田教美君 京浜急行青物横丁駅における医師射殺事件などで、一般の市民が銃を使った犯罪に巻き込まれるケースが多発しております。ところが、国内に出回っているけん銃のほとんどが密輸されたものであるということでございますけれども、税関における水際の取り締まりが果たす役割は非常に重要である。国民の安心した生活を保障するためにも水際での取り締まりをぜひ強化していただきたいと思います。 けん銃については、今回の関税定率法の改正でやっと関税定率法の輸入禁制品になるわけですけれども、このように新たな法的対応がなされることによって一体どのような効果があるのか、これまでと違った取り締まりが可能になるのかどうか、お答えを願いたいと思います。
○政府委員(鏡味徳房君) 先生御指摘のように、税関では国民生活の安全を脅かすけん銃の我が国への流入を水際で阻止するため、これまでも関係取り締まり機関との連携を強化したり、あるいは輸入貨物等の検査体制の充実など、けん銃の密輸入取り締まりに積極的に取り組んできたところでございます。平成五年の税関におけるけん銃等の密輸入押収実績は二十四件六十九丁となっておりまして、今年は、十月まででございますが、二十件八十八丁となっております。 しかしながら、最近におきますけん銃等を使用した犯罪の多発にかんがみまして、これまでにも増してその取り締まりを徹底する必要性が高まっていますもので、今回、けん銃を輸入禁制品とするという改正をお願いしているわけでございます。 この改正によりまして、税関がその密輸入を関税法犯則事件としてより積極的に取り締まれるよう法制を整備させていただくわけでございまして、もって密輸入事件の調査における税関の能力をこれまで以上に活用して水際における効果的、効率的な取り締まりの強化を図ることができるものと考えております。
○和田教美君 従来、けん銃及びその部品の密輸は関税逋脱罪や無許可輸入罪で規制されているわけですけれども、郵便物が無許可輸入罪の対象になっていないために国際郵便を利用して、部品を別々に輸入して組み立てればけん銃を手にすることができるというふうな話も聞いたことがあります。 けん銃は、今申しましたように、今回ようやく関税定率法で輸入禁止品目として指定されたわけですけれども、けん銃の水際取り締まりを強化すべきであるということはさっきも私が強調いたしましたが、なぜけん銃の輸入禁制品への追加が今回の改正まで引き延ばされてきたのか。遅過ぎたのではないかというふうに思うんですが、その点は大蔵省はどう考えておりますか。
○政府委員(鏡味徳房君) 今、先生から御指摘がございましたように、従来、けん銃の密輸入につきましては関税を脱税しているという逋脱罪、あるいは許可なくして輸入がされているということで無許可輸入罪を適用して処分してきたわけでございます。 これでも取り締まりの実効を上げることは可能だったわけですが、ただ、今御指摘のございましたように、逋脱罪の範囲を立証するのがなかなか難しいとか、あるいは郵便物には無許可輸入罪も適用されているためにこれは他の捜査当局の方へ連絡をして、その捜査当局の行動を待って措置をする、そういうことで対応してまいったわけでございます。 ただ、税関が初期の段階から動けないというようなところで取り締まり上の不都合が生じている面もございましたものですから、先生御指摘のように、今回ウルグアイ・ラウンド関係で向精神薬を輸入禁制品に追加させていただく、こういう機会をとらえさせていただきましてけん銃等につきましても禁制品として追加させていただきたいと考えている次第でございます。
○和田教美君 知的所有権の保護という問題が今度のWTO関係で対象になったわけでございまして、したがって知的財産権侵害物品の水際取り締まりも強化しなければならなくなるわけですが、それに加えて最近の急速な輸入拡大によって輸入手続等の処理がますます煩雑になることも考えますと、税関業務の充実ということはとりわけ税関職員の増員というものが必要になってくるというふうに私は考えます。これは行政改革とはまた別の問題ではないかというふうに思うわけなんです。税関職員の増員問題については、衆参両院で関税関係法案の審議の際、その都度附帯決議が大蔵委員会でついておるわけです。 この点について、職員の定数を管理する総務庁の御見解、状況判断はどうなのか、お答えを願いたいと思います。
○国務大臣(山口鶴男君) お答えいたします。 定員につきましては、現在の厳しい情勢を踏まえまして極力抑制することに努めておりますけれども、和田委員御指摘のような事情は私どももよく把握をいたしております。また、御指摘ございましたが、関税定率法の審議に際しまして衆参両院で附帯決議がなされている点も承知をいたしております。したがいまして、税関職員の問題につきましては、厳しい抑制をとっているときではありますけれども、大蔵省等からの要求も踏まえまして、この問題につきましてはある程度前向きに対応をいたそうと思っている次第であります。
○和田教美君 もう時間もなくなりましたから、新繊維協定とかあるいはローカルコンテントなんかの問題についても質問したかったんですけれども、それは省略いたしまして、最後に次期ラウンドの問題についてひとつお尋ねをしたいと思います。 ウルグアイ・ラウンド調印のために、マラケシュ閣僚会議は準備段階で欧米など先進国と発展途上国とが鋭く対立をしてもめたという記事を見ました。その一つが環境の問題だったわけですが、米国などは環境規制が緩やかな国の製品は国際競争で有利となって規制の厳しい国から企業は逃げ出していく、それは環境ダンピングだというふうなことで、貿易面で何らかの措置をとるのは当然だという主張でございました。これに対して途上国は、フロンガス規制のように国際条約で決まったものはともかくとして、各国が環境を理由に勝手に貿易を制限すればこれは保護主義に道を開くと強く反対いたしました。結局、環境と貿易の関係はWTOに委員会を新設して検討することになりました。 しかし、途上国の反発が強くて委員会の設置さえ決まらなかったのが労働の問題であります。アメリカは去年、北米自由貿易協定、NAFTA批准の際に、労働組合を中心に低賃金国との貿易拡大で雇用機会が失われることへの批判が強かったために、マラケシュ宣言に国際労働基準の設定と遵守を盛り込むよう要求して、フランスもこれに同調したと聞いております。これに対して途上国側は、安い労働力という数少ない比較優位の生産要素が否定されかねない動きに対して、こういう時期に雇用問題を持ち出すのは形を変えた保護主義ではないかというふうなことで結束して反発したために、委員会を設置することさえ決められなかったということでございます。 こういうことで、WTOはこれから先進国主導から漸次南北間調整に運営の軸を移していくと見られるわけですけれども、環境も労働もこのように南北対立が目立つ問題でございますし、当然次期ラウンドの重要なテーマとなると思うんですけれども、日本はこれらのテーマにどのようなスタンスで取り組んでいくのか、それぞれ環境庁、労働省の御見解をお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(宮下創平君) 委員御指摘のように、この問題は一昨年のUNCED、これはブラジルのリオで行われましたが、その宣言等におきましても大いに議論されたところでございまして、各国から強い関心が示されました。その結果、貿易政策と環境政策というのは相互支持的であるべきであも、お互いにサポーティブでなければならぬという原則がとられまして、これは国際的な合意として存在をいたしております。私どもとしても、適切な環境政策に支えられた開放的な多角的な貿易システムというのは持続可能な発展に貢献するものでございます。そういうように認識をいたしております。 そして、今御指摘のように、貿易と環境の問題につきましては、貿易と環境政策の両立を図るために委員会がつくられるということで決定した次第でございまして、私どもとしてはこの場を通じ、これからも関係省庁あるいは国際的な場を通じて環境と貿易の問題について真剣にいろいろ取り組んでいきたい、こう考えておるところでございます。
○国務大臣(浜本万三君) お答えをいたします。 次期のラウンド交渉にかかわる労働問題といたしまして、いわゆる貿易と労働基準の問題がございます。発展途上国を中心とした低い労働基準と貿易上の公正さを関連づけて議論すべきである必要があることは御承知のとおりでございます。 この問題につきましては、委員御指摘のとおり、アメリカが積極的な推進を唱える一方、多数の開発途上国は保護主義につながると猛反発をしているなど、国際的なコンセンサスを得るに至っておらない状況でございます。WTO準備委員会におきましても、現段階において特段の議論の進展はないところでございます。 この問題につきましては、比較優位の原則の否定や保護主義につながることのないよう注意することが必要であり、また既にILOは三者構成で、OECDにおいても議論が進められておるところであるところから、これらの機関での討議の状況や各国の対応を注視しながら慎重に対応してまいりたいと思います。
○和田教美君 メモをちょっと読み間違えまして、私の時間は九分まであるそうですからもう一つ質問をいたします。 これはAPECの関連した問題ですけれども、ウルグアイ・ラウンドでは、地域経済統合と多角的自由貿易体制との整合性を確保するために、関税同盟や自由貿易地域について規定したガット二十四条の解釈に関する了解というものが作成されております。この了解では、地域統合の貿易拡大への貢献を認めるとともに、関税同盟や自由貿易地域がブロック化して多角的自由貿易体制を阻害しないようにWTOが持っている監視機能が作動することを確認しております。 この経済統合の問題に関連してAPECについてひとつ御質問をしたいんですけれども、APECはことし十一月十五日の非公式首脳会議で、御承知のとおり、先進国は二〇一〇年に、途上国は二〇二〇年に貿易・投資の自由化を達成するという共通決意宣言、ボゴール宣言を採択いたしました。発足以来、質的にかなり変容してきているという印象を私は持っております。しかし、その将来像についてはアメリカとASEAN諸国との思惑の間にかなり違いもあって、EUのような地域経済ブロックを目指すのか、それともAPEC賢人会議の提起する緩やかな自由貿易圏としていくのかというふうな点についてももう一つ明確性を欠いております。さらに、共通決意宣言が採択されたものの、自由化の内容や進め方についても詰めた議論はまだされておりません。すべて来年の大阪会議以降の検討として先送りされた形になっております。 そこで、二点お聞きしたいんですけれども、一つはWTOの維持強化を目指す日本は多角的自由貿易体制を守る方向でAPECの将来にかかわるべきだと私は考えますけれども、APECの将来について政府はどのようなビジョンを持っておられるのか、また今回のボゴール宣言についてどう評価しているのか、御見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) APECの将来向かうべき方向については、私は、委員が御指摘になりましたように、あくまでも自由貿易体制というものに向けての緩やかな枠組み、そうした形が望ましい方向ではなかろうかと考えてまいりました。そして、現実にもブロックを形成するといった方向ではなく、多角的な自由貿易体制というものを維持していく枠組みを模索していると私も考えております。そして、今、APECが変容したという御指摘がございましたが、私はむしろAPECがある程度目標の方向を決めてようやく動き始めた、そういった受けとめをしていただく方が正確ではなかろうかと存じます。 今回のAPECにおきまして閣僚レベル会合の中で、例えばアジア・太平洋地域の将来を考えますときに、エネルギーの需給関係についての注意が喚起をされましたり、あるいはすそ野産業としての中小企業の育成というものが非常に大切な問題として共通の認識を呼びましたり、そしてそれを受けて例えば中小企業大臣会合を明年度オーストラリアがホストする、こうしたことを申し出ておられる等、ある程度私はAPECがただ単に集まって議論するだけではなく共通の方向を持ってようやく動き出すところに到達した、そのように参加をいたして感じておりました。そして、その意味では私は目的意識を持った、こう考えております。 ここからの大きい方は外務大臣にバトンタッチいたします。
○和田教美君 では外務大臣に。
○国務大臣(河野洋平君) APECを今後とも、WTOを補完するあるいは多角的自由貿易体制を強化するという意味で我々は大事にしていかなければならないと思います。明年は我が国が議長国ということもございますから、APEC全体のレベルアップということに我が国としてでき得る限りの協力をするということが重要だと考えております。 ボゴール宣言につきましては、中長期を念頭に置いたまさに政治的な宣言ということで大きな目標を我々は与えられたと考えまして、その努力のためにどういう分野、どういう手順等でそれが達成できるかなども具体的にこれから作業をしていかなければならないというふうに考えております。
○和田教美君 ありがとうございました。終わります。
○刈田貞子君 私は、公明党・国民会議を代表して質問させていただきます刈田と申します。 主に、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案について質疑させていただきます。関係の他の大臣には大変恐縮でございますが、質問を用意してございませんので御了解をお願いしたいと思います。申しわけありません。 ウルグアイ・ラウンド交渉農業合意の後の国内対策については後刻またまとまった時間をとってこれはこれで質問させていただきたいと思いますので、きょうは新食糧法について伺います。 一番最初にまずお伺いしたいのは、先ほど農水大臣のお話の中にもございましたけれども、現行の食糧管理法を撤廃して新しく新食糧法をつくるということになったきっかけはことしの米騒動によるんだと、こういうことをおっしゃっておられましたけれども、昨年の暮れからことしの春にかけてパニックに陥った、平成米騒動とも言われることしの米不足の状況から何を教訓とされたか。まずそこからお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(大河原太一郎君) 昨年来の米騒動につきましては、私どもといたしましては国民の皆さんの食味とか安全性とか品質に対する関心が非常に強いということを痛感いたしました。もう一つは、やはりゆとりのある需給というものが必要であるということと、それから今も委員おっしゃいましたように、現行制度と現実との乖離が大きなものであるというような点を主として受け取ったところでございます。
○刈田貞子君 今回の新食糧法の七十二条に「情報の提供」というところがあります。「政府は、主要食糧の適正かつ円滑な流通の確保に資するため、次条の調査の結果その他主要食糧の需給及び価格に関し必要な情報の提供に努めなければならない。」、これは私は、この条項が入ったことは大変に高く評価している者の一人でございます。 今、いわゆる米騒動から得たものということの中で、お話がございませんでしたけれども、食糧庁及びいわゆる農林水産省として的確な情報を生産者、そして流通業者、そしてまた消費者に出し得たかどうかということは大変に大きな課題になりました。こういう問題も含めてこうした七十三条のようなものが入ってきたというふうに思うのでございますけれども、この辺の教訓、総括はいかがでしょうか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 御指摘のとおりでございまして、特に今度の新食糧法案では直接的な管理から部分的な管理というようなことに変わりますので、余計に生産、流通、消費について消費者の皆さんを含めた関係者に、それぞれの部分を担う関係者に対して適切に生産なりあるいは流通なり価格なり等々についての情報を提供していくことが大事であるというふうに思っております。
○刈田貞子君 私は、このたびの米不足事態に際して、食糧庁が情報を提供しなかったとは思いません。新聞の広告まで使って国民に向かって語りかけたと思います。しかしながら、その情報というものをうたうときには、その情報を発する時期とかあるいはまた情報の質であるとか、こういうものが非常に大きな意味を持ってくるわけでございます。そして、そういうものによって消費者も生産者も流通業者も大変な影響を受けるわけであります。ことしの例で言うならば、私の感想ですけれども、非常に情報を正確に出す出し方が遅かった、こういうふうに思います。それから、強いて言うならば、アバウトな情報だったと思います。 こうした点について大臣はどんな見解をお持ちでしょうか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 緊急輸入米の手当て、流通等々につきましては、たびたび当委員会においても御指摘がございました。とにかく、四分の一世紀近く沖縄の泡盛用の原料を除いては一粒も輸入米は入っておらなかったわけでございまして、小麦等毎年五、六百万トンも入れている輸入システムがあるものと違いまして、作況指数七四、秋口から早急な手当てに入りましたために、二百五十万トンの手当てが大変その意味では食糧庁当局も苦労といいますか、大きな努力を要したわけでございます。 したがいまして、輸入米の品質とか手当ての量とかその他消費者や関係業界が了知し得るような必要な情報の提供について、委員指摘のような的確な生きた生の情報を提供することが後手に回ったという点は確かなところでございます。特に今回、新食糧法等においても、情報の提供をそういう反省にも立ってこれを規定いたしまして、本来の情報提供の機能を果たしていきたいと、さように存じております。
○刈田貞子君 それから、同じく七十四条でそうしたいろんな事態が起きたときの調査のことを取り上げられて一つの条項にしておられるわけですけれども、ただここで私は、主要食糧の需給及び価格の安定を図るために「調査を行うことができる。」、こういうことになっているんですが、なぜするものとするとしないで、「行うことができる。」というふうにしたのでしょうか。
○国務大臣(大河原太一郎君) これは、農林水産大臣の権限的にもこれをなし得るようにして「できる。」ということに記載をしたわけでございまして、当然することを前提にしての規定だというふうに御理解願います。
○刈田貞子君 それから、とかく言われていることで、米自体がなかったことからそれにかわる主食に国民が工夫を凝らしたということを通して、実はこれを契機に、今までも米消費量が減退してきていたところへさらに米の消費量が減ってきておるという事態があるやに思います。 そこで、この米の需給計画の見通しとか、あるいは私、先般いただいております長期見通し、その中の米に関する需要の見通しというところでは、これは平成二年に行った長期見通しですけれども、平成十二年になると一人当たりの純食料が六十キロを割るというようなことが予測してあります。しかしながら、先般、何かで読みましたけれども、六十キロを割ったというような話を読みました。それからこれも食糧庁の発表によれば、対前年比マイナスでことし六月から四カ月連続、つまり九月も売却数量が減ったというようなことを発表なさっておられます。こうした問題についてどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 緊急輸入米の食味なり品質、安全性等について消費者の御希望なり御不安がございまして、緊急輸入米についてはあのようないろいろな消費についての問題があったわけでございます。 それに加えて本年の夏場の猛暑も影響いたしましたし、それからもう一つは、本年は大豊作でございますから、新米の出回り期が例年より一月も早いというような事態等も重なっておるという米自体のサイドからの問題が一つと、またパンとかめんの方ヘシフトしている面がある。現にパンやめんの月別消費量を見ると、例年のペースよりも横ばい的なものだったのが増加しておるというような関係でございます。 そういう意味では、我々としては、本来の需給関係、ゆとりのある需給関係が米について戻りましたので、需要の拡大その他によって回復していきたい、さように思っております。
○刈田貞子君 この需給見通しの見直しみたいなことも必要ですし、また今おっしゃられたように需要を回復する手だても必要だと、こういうふうに思います。 その次に、これは来年から入ってくるミニマムアクセス米のことも念頭に置いての質問になりますけれども、ことし二百五十九の輸入米が入ってきましたね。この輸入米の利用状況あるいは受け入れ状況をどんなふうに総括されますかということなんです。
○政府委員(上野博史君) 二百五十九万トンの緊急輸入米の輸入が行われたわけでございますけれども、六年の十月までに主食用向けに百四十三万トン、加工用向けに十八万トン、計百六十一万トンを売却いたしました。この結果、本年十月末現在の在庫量が九十八万トンということになっております。
○刈田貞子君 主食用は幾らですか。
○政府委員(上野博史君) 主食用の売却が百四十三万トンでございます。
○刈田貞子君 加工用は。
○政府委員(上野博史君) 加工用が十八万トンでございます。合計百六十一万トンでございます。
○刈田貞子君 主食用に百四十二万トン、加工用で十八万トン、あと九十八万トン残っている。そうですね。 私がお伺いしたいのは数字のことじゃないんです。この突如起きた輸入米を素直に受け入れて、そしてこれをこれだけ消化した裏に大変な国民の努力があったということを私は総括すべきだと思うんですけれども、この辺いかがでしょうか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 食味その他、大変なれない緊急輸入米について全体の需給の必要から御協力を得たという点については、我々としてはそういう点の十二分な理解をして受けとめなければならない、さように思っております。
○刈田貞子君 一番最初に店頭に輸入米が出始めたのは、カリフォルニア米が最初に出たと思います。そのときは珍しさによく売れました。それから間もなくタイ米が少量出回りました。これも米不足のような情報が流れて飛ぶように売れました。しかし、そのころから国産米志向が高まって、そして国産米を買い走る消費者がふえて、そこからパニックが始まるという、こういう状況があったわけですね。 しかしながら、国産米の数量が昨年の大凶作によって決まっていたわけですから、そこに新たに輸入してきた各国のいわゆる外国産の米が入ってきた、こういうことなんですね。ですけれども、三月を中心にしてその後入ってきた米は、実はこれは先ほどお話がありましたように食糧庁のいろいろな見通しの違いから、例えば荷おろしに時間がかかったとか、予定の船が入る日に来なかったとか、いろいろ検査に時間がかかったとかいうことで当初店頭に並ぶはずの輸入米が並ばなかったではありませんか。 そのときから実は市中で、町の中で大変なトラブルが起き始めたんです。消費者と小売の間の信用関係もなくなってしまった。そしてそれに苦しんで小売が卸に請求をすると、この卵との間の争いが起きて、そして卸と小売の間の信頼関係さえなくなってしまった。私が聞き取り調査をしたところでは、人間関係の回復中であるという、こういう話すらあるんですね。だから、輸入米を受け入れた総括をそういうところまでして、そして来年から入ってくる外国産の米に備える、こういうことも考えていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思います。 さらに、実際の現物を手にして加工用業界があらゆる努力をしたことも御存じだと思うんです。御存じのとおり、水分率は低い、胴割れはある、そして炊くにしてもとにかく洗い方から気をつけなきゃいけない、こういうことでしょう。 私が調べた外食産業のところの努力の実態を少し御披露いたしますと、あるレストランではメニューを変えてタイ米のピラフに挑戦してみたとか、あるいはある店では炊飯のマニュアルの変更を徹底したとか、それからいわゆる米を洗う時間、洗米時間を変更する、あるいは米をつける時間を二時間以上長く延ばしたとか、あるいは再精米、精米をもう一度実施し直したとか、こういうことですね。あるいは炊き方についての水量調整をした、炊飯に当たって改良剤を使用したとか、実はこうした努力は一般家庭でも同じだったわけです。みんな炊飯改良剤みたいなものを使ってみたり、あるいは水の分量を調整してやってみたんですね。 ですから、ただ単に受け入れました、これだけ主食用として消化しました、それでこれだけ残っていますという総括ではなくて、こうしたものがどうやって国民の間にもっと浸透し、そして国民のものになっていくかをきちっと見定めた上でなければ、来年からのこの四十万トンから始まるミニマムアクセス米の問題も大きく課題を呼ぶのではないかというふうに思うんですけれども、農水大臣の御意見を伺います。
○国務大臣(大河原太一郎君) 御指摘のとおりでございまして、我々も緊急輸入米の各般の経験等を参考にいたしまして、ミニマムアクセスによる米についてはやはり主食用なり加工用、あるいは備蓄の一部に回すというようなことで国産米との流通について相当程度の配慮を払いながら供給をいたすわけでございますが、その輸入米自体について、ミニマムアクセス米自体については十二分な、前回のと申しますか、緊急輸入米の経験を基礎にして配慮していきたい、さように考えております。
○刈田貞子君 ところで、来年からのこのミニマムアクセス米はどのように利用する計画になっておりますか。
○国務大臣(大河原太一郎君) ただいまもちょっと御質問に触れたわけでございますが、ミニマムアクセス米につきましてはいろいろ備蓄に回したり援助に回したらよかろうと。国内米の流通等を考えてという御意見もございますが、輸入米についてはガットの三条になるんですか、内外無差別の原則というのが働きまして国産米に対する不均衡な取り扱い、不平等な取り扱いは建前としてはなかなか困難でございます。 したがいまして、主食用なり加工用、特に加工用等については新規の加工需要等を見出すというような努力もいたさなければなりませんし、また備蓄の一部としてこれを充当したいというふうに考えております。
○刈田貞子君 今、加工用米としてという話が出ましたけれども、我が国の加工用米としては、私が言うまでもなくマル化米、つまり他用途利用米というものがあります。まあ三五%ぐらいの比率でしょうかね。それから、あと自主米が三七%ぐらい、政府がお出しになるのが四%ぐらいでしょうかね。あと特定米穀というふうな形で加工用米業界が利用しているわけです。私が知っている限りでは、このシェアは百四十万トンぐらいの業界だというふうに思います。 ここでお伺いしたいのは、この他用途利用米は今後どうなるんでしょうか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 他用途利用米は昭和五十九年から取り上げられました。それについては生産者のサイドからは転用の一環として取り上げたわけです。当時、自給が過剰になり在庫が積み上げられてまいりまして、そして転作面積をふやさなければならない、生産調整を強化しなければならないということでございますが、これは転作扱いにいたしましたことによって生産者は稲作経営の安定性という点についてメリットがあったわけでございます。したがって、ある程度安い値段でも仕方がないということだったわけでございます。 片方の実需者でございます加工業者も、実は安い米が国産米で得られるということで順調なスタートを切ったわけでございますけれども、やはり例えば生産者としては、同じ品種の米が主食用として販売するのと加工用に販売するのとではえらく違うということがございまして、その差額を、今でトン三千円ぐらいですか、国としてもそこのところは補給をしてある程度の、一万五千円ぐらいのベースの他用途米が確保されるというわけでございますのでございまして、実需者の方も、相当高いということもございまして、両方から、この言い方はちょっと不適切ですが、両方から大変評判が悪くて、私どもも頭を抱えてきていたわけでございます。 したがいまして、平成七年産米は新制度、新食管法に行く前ですからこの方式でやりますが、新しい制度のもとにおいての平成八年産米からはいかにするかという点について現在検討中でございます。 廃止を含めて検討しておりますが、一つの考え方としては特約、契約栽培的なものとして仕組めないかどうか。また、契約栽培的なもので仕組めないという部分があるとすれば、それはミニマムアクセス米その他備蓄の一年古米、備蓄というのは順調な場合でも一年持って一年古米として政府米として出すわけですから、そういうことで考えたらどうかとか、いろいろな面でただいま検討し、これから結論を出したい、また各方面の意見も聞いて結論を出したい、さように思っております。
○刈田貞子君 まだ廃止するということにはなっていないようでありますけれども、私が聞いて歩いたところによりますれば、余り人気がないと今おっしゃいましたけれども、やはり大変ここを頼りにしている業界もあるんですね。国産米で、そして生産者の協力をいただいての上ですけれども、安いので大変ありがたいと、こういう業界も実はあるわけでございますので、これはこれから今おっしゃったように生産者対実需者の話し合いによってでき上がっていくものだとは思いますけれども、輸入米等では出せない風味が国産米によって出せる、このフレーバーというものはどうにもいかんともしがたいというのが加工業界の一つの言い分なんですね。米の質の壁に一番ぶつかる、こういう話がございます。 ですから、やはりこの辺のところも勘案いたしますと、マル他米といえども決してこれは簡単に廃止ということにもならないし、しかしながらその上では生産者の多大の御協力が必要になってくる、あるいはまたそこのところを国で少し支える、下支えをするというような考え方も持って、加工業界にもやはりひとつ意見をいろいろ聞いてみていただきたい、こんなふうに思うところでございます。 〔委員長退席、理事稲村稔夫君着席〕 それから今、生産調整に当たっての一つのいい方途になっていたというお話がございました、他用途米について。そこで生産調整についてお伺いをするんですが、生産調整というのは言ってみれば減反、私もこういう質問をするに当たって、日本の農政、稲作農業の減反政策についてずっと振り返ってみまして調べてみたんです。そして一九七〇年、昭和四十五年から始まっているというような稲作転換対策というところから起こしているというようなことを調べてみました。 それから、米生産調整対策、稲作転換対策、水田総合利用対策、水田利用再編対策一期、二期、三期、このあたりから私もかかわったわけですが、それから水田農業確立対策前後期、そして新農政にかかわって水田農業活性化対策というような形で、生産調整について、名前は変えたけれども基本的にはベースに減反というものを置いて、そして我が国のつまり潜在的にある需給ギャップをどのように抑えていくかということがこうした基本政策の主流にあったというふうに思うんです。 そこで、今回の生産調整については、選択的減産とか選択制減反とかいう言葉が早々とひとり歩きをいたしました。そして、今回このでき上がった法案を見ますと、生産者の自主的な意思を尊重しというようなことが書いてございます。しかしながら、生産者の自主的な意思を尊重しと、そして話し合いによってと、こういうふうなことになるんですけれども、その前段にはやはり生産調整を必要とするということが前提になっての手挙げ方式であって、これはつくってもいいよ、つくらなくてもいいよというそういう選択肢があるというふうには私は思わないんです。つまりどういう生産調整をするかというところに選択肢があるのであって、つくってもいい、つくらなくてもいいという選択肢ではないのではないかというふうに思いますが、まず基本的なところをお伺いします。
○国務大臣(大河原太一郎君) 御案内のとおりでございまして、潜在的生産力は需要規模を上回る基調が続くことは間違いないわけでございます。したがいまして、そこにおける全体需給をどう確保するかということがやはり生産調整の一つの眼目でございます。 したがいまして、生産者の地域なり生産者の自主性というものを配慮する場合にはそれとの調整ということが大事なことになるわけでございまして、したがってペナルティー的なことを採用してまいりました。減反の非協力者には、その非協力分を上乗せして減反面積を割り当てるとかいろいろな点もございましたが、そういうものは今後はやめますけれども、やはり一定の国全体の需給調整ということを図っていかなければならないので、おっしゃるようにただ手挙げでそれはオーケーというようなものではないというふうに思っております。
○刈田貞子君 これは、私がかつて視察にも行かせていただいて大変感激をいたしました愛知県の安城市のことでございますけれども、安城の集落農場制の大変理想的な営農をしておられるところの発言でございます。かって私が伺いましたときの農事組合法人では、構成員九人で百五十ヘクタール、それから六人のところが五十三ヘクタールというような大規模経営を法人としてしているようなところを見学したことがございます。そこの発言、論文を読ませていただいたんですが、つまり手挙げ方式みたいな形によって多少なりとも個人の意思が働くというようなことから、こういう理想的な地域でも、もしかするとこうした一つの集落あるいは法人の全体のバランスが崩れていくやもしれない不安を持つ。これは全体と個という関係からいっても私はあり得ることだというふうに思うんですね。 したがって、こうした問題を調整するためにはやはり徹底的な話し合いが必要だというふうに思いますけれども、ここのところの個人の意思あるいは生産者の自主性、こういうものをもう一度お伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(大河原太一郎君) お答え申し上げます。 まさにそこが、委員の御指摘の点がポイントだと思うわけでございまして、それはケース・バイ・ケースと申しますか、地域によってあるいは地域的な集落的な共生の強さとかいろいろな差があると思うわけでございます。私どもといたしましては、生産調整自体はこれは国の全体需要を確保するという意味で国が責任を持つ面もございますけれども、やはり自主流通米を中心とした民間流通、これを主体とする制度へ移行するわけでございますから特にその思いを強くするんですが、生産者が需給調整、価格の安定を図るという主体的な取り組み、この考えについて十二分の理解を深めていただかなければならない段階に来ておるというふうに思います。
○刈田貞子君 そこで、その生産調整の問題のベースに基本計画というものがあろうかと思います。本案では四条で基本計画を立てるものとするということになっております。 この基本計画のことなんですけれども、基本計画を策定するに当たっては指針の策定をするというふうなこともございます。私が教えていただいたのでは、十一月に指針をつくって三月に基本計画を策定するというふうな話を聞いているんですけれども、この一連の計画を策定して、それこそできるだけ早く生産地に情報の伝達をしないと、だれがいっどのように手を挙げていいのか、地域の出荷計画も含めてあるわけで、こういうことについてはどう思われますか。
○国務大臣(大河原太一郎君) お話のとおりでございまして、前年の秋口と申しますか、そういう段階から一つの需給の見通し、あるいはそれに伴う全体需給、さらにはそれに伴う生産調整数量あるいは計画出荷数量等が農家の段階までおりていくということがぜひ必要であるというふうに思っております。
○刈田貞子君 その際、どのくらいの価格で政府は買い上げてくれるのだろうかということも手を挙げるときの何か絶対条件になるんじゃないかというふうに思うんですけれども、この政府買い上げ米の価格が決まっていくメカニズムとこの基本計画とはどこでクロスするんですか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 実は、計画出荷制度によって生産者がどのくらい販売するかどうか、それについては一定の基準の数量をあらかじめ系統が決めてまいりますが、最後はやっぱり作況によっても動くわけでございます。したがって、価格についてはこれはできるだけ早い時点で決めた方がいいという一つの考えもございます、生産者の選択という点で。 他方、やはり政府米買い入れ価格の決定ですから、できるだけ近い時点で、諸要素を入れた算定方式をどうするかというのはこれからの問題でございますけれども、その年の産米に反映するような生産諸要素を入れて、参酌事項にも書いてございますような点もございますのでそれとの兼ね合いかと思いますが、いつごろということについてはまだ、価格の決定については十二分な結論といいますか、検討はこれからということでございます。 御指摘の点は確かに円滑にそれがいく一つの大事な要素だと、計画流通の出荷の各生産者ごとの数量にとって大事なものであると思いますので、御指摘の点を踏まえて最終決めたいと、そのように思っています。
○刈田貞子君 だから、政府買い上げ価格がよくわからないという状況の中で計画を立てて、そして各地域が計画を出さなきゃいけないと、こういう大変都合の悪い状況になっているわけですよね。そうすると、つくっておいて、それでこれだけの数量は売りますよという計画外流通米の方にこれは流れてもしょうがないみたいなものもある。それからまた、適宜に地域で計画をつくって、そしてあけてみたら余り値もよくなかったとかいうふうな感じ。さらには、政府は備蓄用として百五十万トンしか買い上げない。さっきプラス五十万トンの話をしていらっしゃいましたけれども、およそそこら辺のそこそこの数量で、その他のものは、つまり政府米としては買い上げないわけですよね。そうすると、それはいわゆる調整保管みたいな形をとるのか。この百五十万トン以外のお米というのはどこへ行くんですか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 御案内のとおり需給と価格の安定のために計画流通制度、計画流通米、それには生産調整実施者から買い上げる政府米ともう一つは本来の自主流通米。したがって、計画流通の自主流通米の方に本来流れるということになると思います。
○刈田貞子君 今、計画外流通米の話をしましたので伺っておきますが、「米穀の生産者は、その生産した米穀で計画出荷米以外のものを売り渡す場合には、農林水産省令で定めるところにより、あらかじめ、当該売渡しに係る数量を農林水産大臣に届け出なければならない。」というふうになっておりますけれども、これは届け出ると思いますか。
○国務大臣(大河原太一郎君) このような制度をとりましたのは、計画全体の流通量、この把握が計画流通制度との関連でどうしても必要でございますので、生産者の御理解を願って、「農林水産大臣」とありますが、食糧事務所なりあるいはその支所というようなところに対して報告を願うと、そういうことにしておるところでございます。
○刈田貞子君 数量を届け出るものとするとなっていますけれども、これは数量制限というようなものは設けていないわけですよね。そうすると、例えば食糧庁が考えていなかったような数量が届け出てこられる可能性もあるんですが、こういうものについては、これを排除することもあるんですか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 今度の法律の建前は、生産者が従来の食管法三条のように政府に売り渡す義務の条項を廃止しておりますから、したがって計画流通制度に乗った場合でも、その数量をほかに、外として処理することも承認によってできますし、また今言ったような、最初から計画流通外に売り渡す場合には届け出をその食糧事務所にしてもらうわけで、それ以上の規制というのはございませんで、その点では生産者の販売の自由というものは確保されているということでございます。
○刈田貞子君 計画外流通米なんて言うから余りあれかもしれませんけれども、言ってみれば、要するに今の自由米、やみ米の話ですけれども、現状のやみ米の流通数量というのはどのぐらいあると食糧庁では押さえていますか。
○政府委員(上野博史君) 生産者から今の不正規流通米という形で出る部分は、農家保有等という、農家が政府に売らない、自主流通米に出さないお米というのが大体四百万トンぐらいございまして、その中に含まれているわけでございます。 これは、農家が御自分でお食べになるもの、あるいは親類縁者等々に贈与されたりするようなものにお使いになるもの、あるいは他に使うもの、いろいろ含まれておりまして、これをさらに細分してどれぐらいが不正規流通米かということを的確にとらえるところまでは私どもも行っておりません。 これは巷間言われている話でございますけれども、百万トンとか百五十万トンとかいろいろなことが言われているわけでございまして、やはり相当存在をしているということは言わざるを得ないだろうというふうに考えております。
○刈田貞子君 余り数量はよく把握されていないけれども、しかしながら、それらの米のために改めてこの五条の五項を設けた、こういうことになるわけで、これは届け出をしなさいという形の条項を設けたことは、そういう米を認知したことになるわけですよね。だから、それはきちっとやはり責任を持って、どのくらいの数量がありどのぐらいの届け出になるのかということをきちっと掌握できるような形になっていかなければこの条項は死んでしまうわけですね。 私は、これを無視しているやみ米基地と言われるところの人たちの状態を新聞の報道で読みました。全くこんなものは、我々が今やっている行動に対する認知以外の何物でもないというようなことを豪語している産地の状況を新聞で見ましたけれども、基本的にはそう言われても仕方がないような状況にこれはなるのではなかろうかというふうに私は思うんです。 ただ、罰則もいささか盛り込まれておりますけれども、つまりこれは新たなやみ米を創出するのではないかというふうに言われているわけです。手続を簡素化しなければならないとか、それからお互いにそう申し合わせて届け出なければならないとか、いろんなことが言われています。ですけれども、ここのところを実効あるものにするのはなかなか大変がなというふうに私は思っているんです。 現状だって自主流通米が四百五十万トンから五百万トンぐらいでしょう。そして、今度政府が保管する米が百五十万トンだったら、四百万トンぐらいの中に、やっぱりさっきお話があったように、農家の保有米とはなっているけれども農家のどこに保有されているのか、これはどこに流通しているのか、掌握できない四百万トンですから、全部が私は計画外流通米になるとは思いませんよ。思いませんけれども、これは時によって、世相の状況によっては大変な一つのウエートを持つものになるんだろうというふうに私は思うんです。現にことしの米騒動においてはこのやみ米業界がえらい暗躍したじゃありませんか。そして、むしろ主役を演じたような感じがあったわけです。 ですから私は、この五条の五項は、これをきちっと担保し実効あるものにするためにはかなりの御努力が必要だろうというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(大河原太一郎君) お話のとおりだと思うわけでございますけれども、今度の制度、計画流通等における流通は非常に弾力的で、従来のような、例を言えば単協から経済連、それから県連、それから全国連というような単線的な流通、これは現行食管制度においては流通規制をそのようにしてやっておるわけでございますが、今度の計画流通制度における流通、これについては複線的というか大変多様化しております。 例えば、生産者は複数の集荷業者、計画出荷業者、今度の言葉で言うと計画取扱業者ですか、それを複数選択できるとか、それからまた単協と従来言われた第一種の計画出荷取扱業者は直接お米屋さんに、販売者あるいは知あるいは実需者にも売れるとか、一例を挙げて申し上げているわけですが、そういうように非常に多線的、弾力的になっております。 したがって、農家の皆さんもやっぱりそういう意味で、一次集荷業者の努力と相まって、従来のいわゆる自由米というようなもの、やみ米というような規制がなくなりますから大分情勢が変わってくるんじゃないか。制度があってそこで縛っているから出るわけです。そこのところで、制度自体が非常に弾力的になっておるということによって、出荷者の努力によってその御懸念の向きは抑制されるのではないかという点も考えておるわけでございます。
○刈田貞子君 調整保管のことですけれども、先ほど伺いましたが、この調整保管というのは民間によって一種の備蓄形態をつくることになるわけですけれども、これは政府が支援するんですか。
○国務大臣(大河原太一郎君) お答え申し上げます。 備蓄については、政府が責任を持って行う備蓄、きょうも午前中いろいろ御質疑がございましたが、これについては一応基準的な数量を考えて、それでそれを超えるような必要が豊作等によって生じてきた場合には調整保管を民間団体、これは法律にも書いてございます自主流通法人、全国的な自主流通法人、現在では全農等が果たしておる、自主流通法人が自主流通備蓄計画、そういうものを出しまして、それに基づいて調整保管をしていただく。当然これについては金利、倉敷等の助成等を考えなければ相ならぬというふうに思っております。
○刈田貞子君 さっき米の価格の問題が出ましたけれども、内外価格差の問題等も含めて今後どのぐらいに国内産の米が引き下げられるのか、あるいは引き下げざるを得ないといいましょうか、どんなことを想定していますか。
○国務大臣(大河原太一郎君) なかなか難しいお話でございまして、御承知のように、今度の思い切った国内対策で基盤整備をしっかりやる、あるいは意欲がある担い手が米生産の大きな部分を占めておる、あるいは集団的な営農組織等のウエートが高まるとか、そういうことによって国内産の米がコストが下がるということは当然期待されるわけでございます。その点についてはもちろん計画としては、例えば今度の基盤整備事業なんかでは三割ぐらいコストを下げるとかいろいろな目標、それがなくちゃまたいけませんからやりますけれども、実際の米の価格水準については断定的なことを今申し上げる立場にはないというわけでございます。
○刈田貞子君 しかしながら、輸入されてくる米との競合関係や、それから当然いろいろな規制がなくなると価格の競争というのは自然に起きてくるわけですね。その中で、下がらざるを得ない環境ができてくるんだろうと思うんです。同じ新潟県魚沼産米が、あるところでは幾ら、あるところではこんなにというようなことが出てきて当然だし、そういうことを想定してこの法律はできているんだろうというふうに私は思いますから、やはりこれは競争を経て、そして引き下げざるを得ないとも思う。しかしながら、消費者の国産米に対する志向、それから銘柄米に対する志向というのが依然としてありますから、そういうものに集中するとそれだけはえらくはね上がる、こういうようなこともいろいろ起きるんだろうと私も想像をいたします。 それから、これは御通告してございませんけれども、法律をおつくりになった大臣ですからあえてお伺いします。 米の検査体制のことでございますが、米穀の検査に関して、私が伺ったところでは百五十万トンの政府買い上げ米については検査をするけれども自主流通米に対しては自主検査だと、そしてその他の米はさらに検査なしと、こういうことになるんですね。いわゆる計画外流通米、こういうお米の検査についてはどういうふうになりますか。
○国務大臣(大河原太一郎君) お答え申し上げます。 生産調整実施者が、政府が買う場合には、当然従来どおりの検査が行われるべきだと思います。 それから、自主流通米といえども、産地、品種、銘柄、品位等についてはこれがやっぱり円滑な流通の一つの大きなあれでございますから、消費者はもちろんですが、販売業者等もしっかりした検査、それによる格付が行われたもの、それを前提としての取引でございます。 米の流通は戦前からの長いいろいろな経緯がございまして、従来は産地の自主検査だったのを、それでは消費地の販売業者が産地によってまちまちだというようなことで、一時やはり県営検査という時期もありまして、それが最後は現在の国営検査となったという歴史もあるわけでございます。これは全国的な統一、もちろん一方では生産者が自主的に検査すればいいというような御意見もございます、否定しませんけれども、やはりその消費者なりあるいは販売業者と実需者が信頼できるような検査、そういう体制は今度の流通組織が変わってもどうしても必要ではないかというふうに思っております。
○刈田貞子君 検査が行われれば、当然表示もそのように出てくるというふうに思うんです。ただ、今の表示について言えば、消費者の側からいいますと、あれは類別、等級別、そして県産というふうになっておりますね。南魚沼産が全国にいっぱい流れてしまったというときに表示の問題が大変問題になりまして、あのときに私は直截米の話をいたしまして、直截米については特定な表示ができるようになっております。今後、お米についていろいろな競争事項が出てくるわけですから、一つの付加価値を乗せる方法としてそうした表示もあっていいのではないかというふうに私は思うんです。私が生産者ですという写真を袋に載せて出荷しているような直截米を私は知っておりますけれども、これは消費者にとっては生産地と消費地の信頼関係を結ぶ上でも大変に好ましい表示だというふうに思っておりますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 直截米については、消費者の需要に応じていろいろ生産者が工夫しまして取り組んでおる。したがって、その表示の問題等についてもそういうようないろいろな工夫がなされていると思うわけでございますが、今後も一般的にそれ以外の流通についての表示、これについてもやはり一段の工夫が必要ではないか、統一的な最低限の表示というものについての工夫が必要ではないかというふうに思っています。
○刈田貞子君 ぜひいい表示に改善していってほしいというふうに思っています。 最後に、今回のこの新食糧法は、先ほどから、多くの規制を緩めてそしてかなり自由な土壌ができたんだというお話がありました。しかしながら、これは政府がいわゆる主食になる米の責任を回避して、それを民間や消費者にその責任を全部押しつけているにすぎないではないかというような皮肉った言い方をしておるところもあるわけですね。私はこのことには同意はいたしませんけれども、仮にもそうしたことが言われないような形でこの新食糧法が運営されていかなければならないということを思います。 それからもう一つは、今回のこの新食糧法の中で、やはり私は生産調整の問題、これが大変大きな課題になるだろうというふうに思います。これが一歩間違えば、先ほど昭和四十四年からの歴史をずっと申し上げましたけれども、今まで日本の農政の中で稲作水田農業というものを積み上げてきたその歴史をひっくり返してしまいかねない課題がその中にあるかと思いますので、この生産調整に当たってはやはりある意味で、もちろんペナルティーもなくなったし、話し合いでできるんだし、それを積み上げていけばいいのですけれども、国の責任はやはりどこかできちっと担保しておかなければならないというふうに思いますので、この二点の答弁をいただいて質問を終わります。
○国務大臣(大河原太一郎君) 米をめぐる諸情勢、特に現行制度と現実との乖離等を踏んまえまして、農政審議会の報告を基礎にいたしまして、各方面の意見をちょうだいしながらただいまの法案を提出しておるところでございますが、やはり需給なり価格の調整を通じて安定した供給を確保する、それが生産者にとってもあるいは消費者にとってもどうしても必要なわけでございますから、その基本は新しい法案においても十二分に運用を含めまして確保しなければ相ならぬという御指摘でございますので、その点については十二分に今後も検討してまいりたいと思うわけでございます。
○刈田貞子君 生産調整は。
○国務大臣(大河原太一郎君) 恐れ入りました。 生産調整については、全体需給の調整という点と個々の生産者のつくる自由といいますか、販売する自由的な面を尊重する、そこの調整の問題としてなかなかにこれから工夫を要する問題があると思います。それには地域ぐるみの話し合いとかその他もございましょうし、政府買い入れの価格の決め方もございましょうし、助成の水準の問題もございましょう。また、生産調整の手法、例えばしばしばこのごろ議論になります水張り水田というような弾力的な方法とかいろいろあると思いますので、さらにこの点については実施前までに多くの意見を聞きながら、その実効ある方法を確かめたいというふうに思っております。
○刈田貞子君 終わります。
○林紀子君 私は、きょうは農業協定を中心に質問させていただきたいと思います。 まず、外務大臣にお伺いしたいのですが、農は国のもととは古くから言われている言葉ですが、村山総理大臣は衆議院の特別委員会でも、またきのうの本委員会でも農業部門についてはWTO協定を受け入れれば大変我が国にとって厳しいものになる、こういう認識を示されましたけれども、外務大臣はこの農業分野についてはどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 総理大臣が答弁でおっしゃったとおり、このWTO協定は農業の分野については大変厳しいものであるという認識を私も持っております。
○林紀子君 農水大臣にはもう少し細かくお聞きしたいと思います。 この協定を批准することは、米の実質関税化を初め重要基幹作物の総自由化を招くことになるのではありませんか。そして、その結果食糧の安全保障を放棄し、我が国国民の生命を他国に牛耳られることになるのではありませんか。そして、農業のみならず農村、国土の荒廃をもたらすおそれを生じさせ国益を大きく損なうことになる、こういうことではないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(大河原太一郎君) お答え申し上げます。 問責決議等の案文をそのままお読みになったと承知しております。これについてはやはり農業にとって厳しい影響があるということでございますが、米については特別取り扱い、関税化の例外ということによって、しかもそれは国家貿易、国家管理と申しますか食管によってミニマムアクセス分は調整できて、その価格についても相当な上乗せによって国内に放出して国内産の米の価格との調整を図るという点が一つ。 それから、今回数量割り当てから関税化されたものについては、内外価格差を前提とした相当量の関税相当額が設けられておるということから、またその中の乳製品あるいは麦、生糸等については、これも国家貿易機関である事業団等が関与いたしまして、差益を徴収して国内との需給調整を図りながら放出するというような点で、とにかくとりあえずの点についての影響、これは回避できたものだというふうに思っておるところでございます。
○林紀子君 大臣がおっしゃるとおりに、これは畑英次郎君問責決議案の理由の一節ですけれども、これは大臣が信念を持って提出をされたものだというふうに思いましたので、ここで重ねて御質問をしたわけです。 今、とりあえずということをおっしゃいましたけれども、やはり国益を大きく損なうことになる、ここのところというのはそのとおりだと認識をされているのではないかと思います。どうですか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 農業の利益も国益でございますが、さらにWTOという、貿易国家日本、その全体の国益ということから今回の受け入れが決められたんだと思うわけでございます。
○林紀子君 この問責決議案の提案理由を述べた自民党の山本富雄議員は、さらにこう言っているわけです。「米は言うに及ばず、乳製品を初めとする二十品目に及ぶ我が国重要基幹農産物の関税化は、国内各地の畜産、畑作経営等に今後永久にはかり知れないダメージを与えることになった」と。 国益を大きく損ない、今後永久にはかり知れないダメージを与えるこういう協定、批准すべきではないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(河野洋平君) 御指摘でございますけれども、WTO協定は農業協定ばかりではございません。今、農水大臣からもお話がございましたように、WTO協定は御案内のとおり物の貿易のみならずサービスの貿易、その他世界のさまざまな貿易のルールを定めるというものでございまして、繰り返しになりますが、そうした中で農業協定が日本のこれまでの農業に与える影響は極めて大きい、農業は厳しい状況に立たされるという認識はございます。 だからこそ、政府・与党は真剣な討議の結果国内対策をとったわけでございまして、そうしたことを踏まえて今回はWTO協定をぜひお認めいただきたい、こう国会にお願いをしているところでございます。
○林紀子君 全体で見れば日本の利益になるのだというお言葉が二人の大臣からありましたけれども、しかしそのうちの大きな部分を占めている農業でどんなことになるのか。 ここにパンフレットがあるわけですけれども、これは九〇年に農水省が発行した「ガット農業交渉とコメ問題を考える」、こういうふうに題したパンフレットなんです。この中で「コメ市場開放の問題点」ということで、米市場を開放すれば特に生産者にとっては「我が国農業に大打撃」「国内の稲作が大幅な打撃を被るのは疑いありません。」「日本の稲作経営を弱体化させてしまいます。」、こう書いてありますが、農水大臣、間違いありませんか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 九〇年のその中身については十分承知しておりませんが、これはただいま私は、農業協定における関税化品目、自由化ですが、それに対しては高い関税あるいはマークアップという差益の徴収、あるいは国家貿易機関の介入というような点を一切捨象して完全自由化という前提の、まさに裸の自由化という前提で恐らく作業したものだというふうに思っています。
○林紀子君 いろいろ弁明をなさいますけれども、ここにももう一つパンフレットがあるんです。 これは自由民主党が発行した「わが国農政の当面の課題 一問一答集」、これは大河原農水大臣もかかわっておつくりになったものではないか、自民党員としてかかわっておつくりになったものじゃないかと思うんですが、完全自由化はともかくとして、部分自由化程度はやむを得ないのではないか、こういう問いに対しまして、自民党としてはこう答えるべきだというのが書いてあるんです。「一旦輸入枠の設定又は禁止的高関税の設定による輸入制限を行えば、牛肉・かんきつの自由化要求などの例でも明らかなように、その後は枠の拡大が求められるおそれが強くこ「結局完全自由化につながることとなります。従って、軽々に輸入枠の設定提案を云々することは、適切でないと考えております。」と。 ですから、今、農水大臣がミニマムアクセスだということでいろいろ弁明なさいましたけれども、これにもはっきり書いてあるんですよ。結局完全に自由化になってしまうんだ、そこにつながってしまうんだと。どうですか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 今回の米についての国境措置というものは、完全自由化につながるものとは思っておりません。
○林紀子君 このパンフレット、これは先ほど御紹介した農水省が出したパンフレットですね。これには「コメの市場開放による打撃は、生産者だけでなく、消費者を含めた国民全体に及びます。」、こう書いているんです。 さらに、農水省が九二年の農政審議会に出した資料では具体的な数字を挙げてそれを立証しています。米が完全に自由化されて生産が三〇%減少すれば、国内総生産が約五兆円減少する。地域ベースでは全市町村の約三割以上、千三十二市町村で総生産が五%以上減少し、二百八十六の市町村で一〇%以上減少する。特に東北では五%から一〇%減少する市町村を合わせまして七〇%、北陸では何と七五%、こういうところで総生産が減少していく。そして百二十二万人という雇用の減少を招くことになる。こういうふうに分析してあるんですけれども、この九二年の資料というのもお認めになりますか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 私はその資料を読んでおりませんけれども、恐らく完全自由化という前提のシミュレーションだというふうに思いますので、認める認めないについては留保させていただきます。
○林紀子君 完全自由化とミニマムアクセスだから違うんだということを何度も御答弁なさっているわけですが、それならば、今のミニマムアクセスも七年先にはさらに厳しい条件になる。これは確実ではありませんか。 ミニマムアクセスがさらにふやされるか、それとも、陰の関税化ということでもう既に関税率を引き下げられているわけですね、その陰の関税化。六年達成したところから関税化が迫られるか、これより緩くなるなんということは絶対ないわけなんでしょう。それでもそういう言い逃れができるんですか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 御案内のとおり、実施期間終了の最終六年目に交渉によって決まるわけでございまして、その影響をえらく大きく見るか、あるいは交渉の結果、相手方がある話でございますから、交渉によってどうなるかという点についてにわかに断定的に論ずるわけにはまいらぬと思います。したがって、一方的な厳しい厳しいというような御意見は直ちに受け入れられないと思います。
○林紀子君 何度も問責決議案を引いて大変申しわけありませんけれども、ここにも、特に米の関税化猶予後の七年目以降については白紙協議どころか不確実そのものであり、日本の稲作農業に致命的な打撃を与えかねないと書いてあるじゃないですか。 農水省が、本当に七年後大丈夫なんだと、そんな甘いことが言える状況なんですか。そして、きのうのこの委員会では村山総理大臣は、豊かになったと実感できる日本をつくるということで、雇用問題の改善ということも挙げられました。そして、新たな雇用の獲得というようなことも言われたわけですけれども、この試算でも明らかなように、百二十三万人もの失業者が出ると言っているんですから、新たな雇用の獲得どころか新たな失業を生み出す、それがこの農業協定の受け入れじゃないんですか。 ですから農業は、食糧を生産するとか、安全な食べ物を提供するとか、環境を守るとか、そういう意味で本当に大事な役目を果たしているわけですけれども、地域の経済にもこれだけ大きな役割を果たしているわけですから、こんな大事な農業を本当に犠牲にしてしまって、WTO協定批准は全体から見れば利益になる、とんでもない言いぐさだと思います。どうですか。
○国務大臣(河野洋平君) 農業に対して大変御心配をいただいていることは私も大変ありがたいことだと思います。 繰り返しになって恐縮でございますが、農業が大変厳しい状況に直面をしているということを我々は認めております。その上に立って、できる限りの国内対策によって農業の体質といいますか、農業に対する新政策を実行して、それによって日本の農業というものの将来展望を開こうとしているということもぜひお認めいただきたいと思います。
○林紀子君 国内対策というお話が出ましたけれども、六兆百億円で国内対策を十分にやる、当委員会でも本当に何度も言われたことです。しかし、この六兆百億円というのはとても国内対策にはならない、こういうふうに私は思うわけなんです。七千七百億円の融資事業を除きますと、約七割の三兆五千五百億円が公共事業に充てられているわけですね。そして、この公共事業というのは本当に農業のためになるのか、家族農業を発展させるのか、土建業者がもうかるだけで農家のためにはならないものだ、こういう声も上がっているわけですが、農水大臣、どうですか。
○国務大臣(大河原太一郎君) そのような御意見が一部あることは報道等で承知しておりますけれども、我々は全くそう考えておりません。 安定的な経営、効率的な経営の担い手を中心として各地域の農業生産、稲作生産を行う生産の再編成をする、そういう農業構造をつくる、そういうことによって生産性も高めるし、また競争力もつくというようなことで今回の対策を行っておるわけでございまして、そのような、いわばためにするような議論は我々としては受け取りかねるところでございます。
○林紀子君 ためにするというようなお言葉が出ましたけれども、確かに担い手を育成し高生産性農業を確立するための生産基盤整備を促進するというふうにこの対策でうたっていらっしゃいますね。しかし、この高生産性農業を確立するということは、結局、政府が今考えている新政策で大規模な農家を育成していく、そういうところにこのお金も使っていくんだ、こういうことじゃないんですか。そうしますと、中小で零細な農家を切り捨てていく、大臣はこれは衆議院の論議の中でそういうふうにはっきりお答えになったじゃないですか。そういう中小の方々は結果として他に職を求めていただく、二頭、三頭の経営では持続的な安定経営は困難だ、そう言って切り捨てることをみずから認められたんじゃないですか。
○国務大臣(大河原太一郎君) お答え申し上げます。 肉用牛とか酪農等についての傾向、これは多頭飼育が自然に進んでおるわけでございまして、それは何も切り捨てとかそういうものではございません。そういうことを指して申し上げたところでございます。 また本日、午前中にいろいろな御意見、御質問がございまして、その助成対象とする経営等についてどういう考えがあるかというような子細な御質問がございました。これについて申し上げたのでございますけれども、その中核となる担い手、それと兼業農家あるいは後継ぎのない高齢農家、そういうものとが労働力とかあるいは農地等を相互に分担し合って、その地域の生産条件をつくり上げていくということが今回の対策の一つの主眼であり、大経営だけでほかに対して対策の対象にいたさぬというようなわけではないわけでございます。
○林紀子君 それでは、この六兆百億円の中で融資事業というのがあります川七千七百億円組んでいらっしゃるということですけれども、そのうち負債対策事業には六千億円が充てられている。しかし、この負債対策事業というのも、耕しべ投資をし農業経営の改善を進めようとする者に対してだけ今までの借金の利子を軽くしてあげましょう、こういう内容だと思うわけです。そうしますと、新しい投資というのを促してさらに借金をふやさせる、こういうことになってしまうのじゃないかと思いますが、どうですか。
○国務大臣(大河原太一郎君) お答え申し上げます。 我々の統計では、家計ではなく農業経営関係の負債が平均的には二百四、五十万円になっておりますが、中核農家的な農家の人たち、あるいはそういう人たちになろうとするような経営者の借金が七百万円近くになっておるというわけでございます。前向きの経営展開をしようと思う場合にはその負債の重みが大変強い。したがって、これに対しては今回、二歩五厘というような低利の負債の借りかえ資金を用意いたしまして、そして前向きに進んでいただく、そういう負債整理の資金でございます。
○林紀子君 負債整理ということでは、確かにその負債を補っていくというのは必要なわけですけれども、新たに投資をするという条件がつけられているわけですから、やはりそこはまた借金になっていくということだと思うわけです。 そして私は、先ほど酪農のお話も出ましたけれども、北海道の酪農地帯へ行ってお話を聞いてまいりました。平均三千五百万円、農家によっては億の単位で借金を抱えている。それも政府が言うとおりに百頭以上に規模を拡大して、立派なサイロをつくって、機械化もして、一日も休まず夫婦で必死に働いてきた。ところが、牛肉の自由化でぬれ子の価格は暴落した、借金返済分が丸々なくなってしまったと言うのですね。乳価も上がらずに生産調整が押しつけられる。そして、その結果のこうした莫大な借金なわけなんです。 ですから、こういう方たちが今一番望んでいるのは、新たな投資をするということじゃなくて、この借金そのものを本当に肩がわりしてほしい。そっくり肩がわりしてもらうのが無理なら、せめて利子はゼロのそういう融資というのが受けられないのか、負債対策が受けられないのか。本当に血の出るようなお話を聞きました。七千七百億円の融資と言うけれども、一番苦しんでいるこういう人たちに利用できるような、そういう資金なんか全くないじゃありませんか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 今回の対策は各般の前向きの対策として考える、そのためのハンディキャップを除くというわけでございまして、そのお話の経営者の方々は大変御難儀をしているようでございますが、やはりその借金の負債がなくなったら酪農経営を継続していこう、そういうお考えの方であれば、新規投資の具体的な計画が必ずしも明確でなくてもその負債についての配慮、この資金等についての配慮というのは、もうその経営を見ればわかりますから、具体的にはこれは農協資金ですが、それに対する利子補給で二分五厘にするんですから、具体的にその判断がつくと思いまして、新規投資というお話で問題を御指摘でございますが、それは具体的にその経営者の方のあれによって判断できると思います。 〔理事稲村稔夫君退席、委員長着席〕
○林紀子君 そうしますと、必ずしも新規投資をしなくてもいいんだというふうに受け取りました。 それから、農産物が自由化される中で、構造改善が進まない、規模拡大ができない中山間地というのが一番大変だということは今までもお話がありました。我が国耕地面積の四二%、水田の三八%を占めている中山間地の棚田、これはどうやって保全をしていくつもりでしょうか。 また、新規作物の導入推進のために、中山間地に対して四百八十億円の融資対策というのが挙げられております。今までも中山間地というのは、何とか特産品をつくり出していこう、自分のところで特別につくるようなそういう農産物を見つけ出していこうと本当に御努力なさっているわけですけれども、それがなかなかうまいこと見つからないし、うまいこと軌道に乗っていかない、こういう悩みを持っていらっしゃるわけですね。今、改めて、四百八十億円の融資で新規作物の導入推進ということですけれども、一体どんな作物を想定されてこういうことを言っていらっしゃるのか、聞きたいと思います。
○国務大臣(大河原太一郎君) いかなる作物か云々については事務方から答弁をさせますが、中山間地域はなかなか条件が厳しいということは確かでございますけれども、やはり気温の高低が非常に大きいというような特性等から食味のいい米がとれるということが事実でございまして、特別栽培米等については中山間地域のウエートが高いという統計も出ておるわけです。それが一例でございまして、米についても付加価値の高い米生産というようなことについていろいろ考えていただくというわけでございます。 それから、今の付加価値の高い作物等については事務方から答弁をさせます。
○林紀子君 簡単にお願いをいたします。
○政府委員(日出英輔君) 先生お尋ねの中山間地域新部門導入資金でございますが、今検討中でございますけれども、具体的に申し上げますれば、中山間、大変地理的な条件が悪くて生産条件悪いわけでございますが、その中で少しでも付加価値を高めるということで、例えば水田単作でやっておりますところの施設園芸でございますとか、あるいは普通畑の地域で言いますと野菜でありますとか、いろんな種類が実は最近出てきておりますので、これを無利子資金で何とか支援をするというのがこの趣旨でございます。
○林紀子君 いろいろな野菜を今、努力しているということですけれども、野菜ということでは今までももう農産物世界一の輸入国なわけですけれども、この野菜や果物の輸入というのが激増しているんですね。昨年一年間で生鮮野菜四割もふやされています。 野菜に関しては、国産の品薄なときに輸入野菜を補充する、これは今までやっていたやり方ですけれども、今では周年、一年を通してそれを輸入する。また輸入に適さないと言われてきたレタスやセロリといった葉菜類まで輸入される。西友などではカナダで技術指導をして日本向けに開発した野菜を輸入するまでになっている。新規作物を取り入れても、輸入農産物に押しつぶされているのが今の実態だと思います。 そこで、農水大臣にお伺いしたいのですが、今後六年間で国際競争力に対して対応できる内外価格差の解消を図る、こういうふうに今までもこの委員会でも言っていらっしゃると思うわけですけれども、本気でそういうことができるとお考えでしょうか。
○国務大臣(大河原太一郎君) お答え申し上げます。 厳密なお答えも必要かと思います。まず、内外価格差の解消というようなことは、我が国の自然条件あるいは地価、経営規模等から見て解消ということは不可能でございます。できるだけその格差を縮小いたすという努力は、政策としても、また個々の農家の方々にもお願いして、消費者の方々の納得を得なければならない、そういう意味の問題であろうかと思います。 なお進んで、今回のウルグアイ・ラウンドの国内対策におきましては、ただいま高い生産性を上げるための基盤整備事業、圃場整備事業を中心とした事業でございますが、それについてはコストを三割下げることを目標とすると。全体としての米の生産費もそういう地帯ではそのような下げ方をするとか、それぞれ目標を決めた対策を講じようとしておるところでございまして、そういう意味で生産性の格差の問題、内外価格差の問題を取り上げようとしているところでございます。
○林紀子君 全くアメリカなどとは規模が違うわけです。そういう中で内外価格差の解消はできないというお話はよくわかります。当然だと思います。 それでは、国際競争力にそれで対応していけるんですか。対応するということは言っていらっしゃるわけです。
○国務大臣(大河原太一郎君) それについては、協定受け入れに伴う受け入れ方等についてるる申し上げましたが、少しでもこれを縮小してそれに対応していくという努力が必要であろうということで、またその成果も得なくてはならないだろうということで申し上げたわけでございます。
○林紀子君 それでは、食糧自給率はどうなるかということも伺っておきたいと思います。 ミニマムアクセス受け入れで四十万トンから六年後には八十万トン、これが義務になっているわけです。自給率というのはこれより下げないということを言っているわけですけれども、それさえも本当におぼつかないと思うわけです。自給率というのは今後どういうふうにしていくおつもりですか。
○国務大臣(大河原太一郎君) これも当委員会等でしばしばお答え申し上げているところでございますが、農政審議会の答申でも、先進国に比べて異常に低い自給率ということに配慮して、それに対する低下の歯どめをかける方策ということで、今回の国内対策についてもそれが一つの手段だと思いますが、特に農産物の需要と供給の長期見通しをしっかり立てまして、十年間ぐらいの生産構造なり需要構造、これを分析いたしまして、あるいはそこに技術革新というものがどう入るかというようなことを分析いたしました農産物の需要と供給の長期見通し、これの作業にただいま入っております。十年後を目途といたしますが、作業は大体一年以内ぐらいで終わります。 そこで、自給率の低下についての諸般の考え方でございます。その長期見通しというのは単なる見通しじゃございませんで、意欲的な見通してございまして、それぞれの政策手段によってこうするというようなことも明らかにするわけでございます。基本的には、今後の食糧なり農業政策の基本方向を明らかにするとともに、生産者が意欲を持って経営に取り組めるようなそういう生産の見通しを立てるとか、あるいは健康に留意した日本型食生活というものを前提として農業生産のあり方をどう立てるかというようなことについても、その見通しの中に含めまして作業を進めておるところでございます。
○林紀子君 今のお話を聞きましても、食糧自給率を高めるということはもちろんわかりませんが、それで歯どめがかかるということも私は一切見えてこないわけです。 大臣は、衆議院の質疑の中で我が党の藤田スミ議員が、農林中金の総研レポートというのを示して牛肉輸入自由化後の我が国の畜産の厳しい現状を指摘したときに、総合的な展望を持って行わなかったうらみがあることは否定でないというふうにお答えになりましたけれども、今のお話では、長期見通しを立てて十年後にまたこれと同じようなお答えを、そのとき大河原農水大臣であるかどうかわかりませんけれども、そういう同じようなお答えが出てくるといったら、もう本当に農民は意欲を持って農業に励むなんということはできないじゃないですか。そういう意味でも自給率を高める、歯どめをかけるなんというのは本当に無責任な言い分だということを私は指摘せざるを得ないわけです。 そこで、時間もありませんので新食糧法案に関連して少々質問をさせていただきたいと思います。 米の政府買い入れ価格ですが、これは自主流通米の価格動向の反映が基本であり、自主流通米価格は需給実勢をより的確に反映させる、こういうふうに言っているわけですね。そうしますと、政府買い入れ価格は再生産の確保を旨という今までの食管制度の理念を投げ捨ててしまうものになるのではないか。生産者価格が生産コストをどんなに割っても構わないというのでしょうか。また、自主流通米の価格が政府の買い入れ価格より下がるというような実態というのが起こるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 法文にも明記しておりますように、流通の主体は民間流通である自主流通米でございます。したがって、その自主流通米の需給あるいは市場評価によって決まる、これがこれからの米の基本でございます。 したがって、生産調整実施者から買い入れる米につきましては、その政府買い入れ価格については、これを基本としながら、生産条件及び物価その他の経済事情を参酌して再生産を確保することを旨として決めるということになって、一種の歯どめをここでかけておるわけでございます。そういうことによって自主流通米と政府米との価格体系、米価の価格体系というものがバランスを維持されるということと、また政府買い入れ価格はいわば一種の支持価格と申しますか、歯どめ価格としての機能を持ってあろうというふうに考えておるところでございます。
○林紀子君 そうしますと、新政策で示された合理化目標というのがあると思いますけれども、稲作の生産コストを現行水準の五割から六割にしようとしている。そうしますと、これで計算すると米価を六十キロ当たり一万円以下にしてしまうということになるのではないかと思いますし、農業新聞では、政府が国内対策を検討する中で、計画目標として米の生産費を約三割削減して六十キロ当たり一万三百円にしていく、自民党も同じように六十キロ当たり一万三百円程度にする必要があるというふうに報道されているわけですけれども、このような米価の引き下げというのを考えていらっしゃるのか。そして、こういうことをして一番大きな影響を受けるのは新政策で大規模になったその農家ではないかと思いますが、この点はどうでしょうか。
○国務大臣(大河原太一郎君) お答え申し上げます。 やはり基盤整備事業その他、各種の生産性向上対策を講ずるにはその目標というものを定めるわけでございまして、それによってそのそれぞれの経営が努力をしていただく、また国も消費者の理解のもとにこれに対する財政援助をいたす、そういうことでございまして、そのときそのときの生産条件を無視して三割も四割もいきなり下げるとか、そういうことを考えていることはないわけでございまして、その点誤解のないように願いたいと思うわけでございます。 それから大規模農家云々という点でございますけれども、従来の稲作農家を見ますと、二種兼業の方々は価格いかんにかかわらず米をつくろうという動向がありますけれども、大規模の方々はその稲作収入によって一つの経営を支えるということでございますので、米価の引き下げというのは影響があると思いますが、また規模の大きい方はそれなりの合理化、コストはもう統計で明らかなように、規模別の生産費の構成を見れば明らかなように、生産費もそういう規模の小さい方に比べては安いわけでございますから、そういう点の全体を考えなければならないと思いますが、とにかく大規模経営の皆さんは確かに農業収入、稲作収入によって経営を支えるという点で米価の影響は大きいということだけは申し上げられると思います。
○林紀子君 生産コストを下げるということは、農家の方も努力する必要がありますし、それは確かに必要なことだと思うわけですね。例えば、当委員会でも論議になりましたけれども、諸外国に比べて非常に高い農業機械や肥料や農業、そういうものを引き下げるということを含めて生産コストを下げていく、それは大変重要なことだと思います。 しかし、私がどうしても思い浮かべてしまいますのは、今までの政府の買い上げ米価の決め方、生産者米価の決め方ですね、これを考えますと、生産コストが下がった、だから米価も下げる、そういうことでいつでも農家の努力というのは無になってしまう。そういうことが今後も繰り返されていくというようなことになりましたら、今おっしゃっておりましたけれども、特に大規模農家はちょっと下がっても大変な打撃を受けるわけですから、政府が言っている規模を大きくして農業も他産業並みの労働時間と所得をという、それは全く絵にかいたもちになってしまう、生産コストを下げた分がすぐ米価に連動していく、こういうことになってしまうんじゃないですか。
○国務大臣(大河原太一郎君) お答えいたします。 現実の米価決定の方式等については生産費及び所得補償方式によって決めておるわけでございますが、毎年の米価決定においても生産費の低下している、価格は計算上の価格よりもやはり生産性向上のメリットを生産者に還元する必要もあるということで、その引き下がり分を全部価格の引き下げに、生産性向上分を全部価格の引き下げに使った例はないと思います。したがって、やはりその点についての生産性向上のメリット、効率経営のメリットに対しては、その一部は消費者に還元する、財政に還元するというような意味で引き下げが行われますけれども、その生産コストの全部についてそれを価格に反映させている例というのは過去においても私は承知しておりません。
○林紀子君 それから、あと米の流通の部分でお伺いをしたいと思うわけですけれども、日経新聞によりますと、大手商社は四兆円の米市場にねらいを絞って米流通業者の買収というのをねらっている、そして思い切り暴れてやるという戦略を立てているんだということなんですね。これまで商店街の中で営々と米の流通を担ってきた零細なお米屋さん、これは切り捨てになってしまうのではないかという心配があるわけです。 衆議院の議論では、大臣はその実態を見た上で適切な対応をいたしますというふうにお答えになっているわけですが、この実態を見るということは、経営が行き詰まって零細なお米屋さんも経営をやめてしまう、倒産を待つ、こういうこととイコールになってしまうのではないかと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(大河原太一郎君) しばしば大企業の米流通業界への参入ということが伝えられておりますが、これは小売段階に商社等がどういう形で参入するかはなかなか私どもはわかりにくいわけでございます。卸段階とかそういう段階における参入ということについては、今後どう展開するかは私どもも注目しておりますが、小売段階についてどういう形であれをするかについてはにわかに判断をしかねるところでございます。 また、約九万二千戸の米の小売業者がございますけれども、それらの方々は後継者のない方もたくさんおります。あるいは、さらに単に米だけではなくて食料品等の総合店としてやっていこうという方々もおりまして、やはり今回の流通規制の大幅な緩和、競争原理が働くわけでございますから、それに対してどういう意向を持っているかについては早急に調査いたしまして、その意向に沿ったこれに対する支援対策も講じたい、さように思っておるところでございます。
○林紀子君 まだ消費者に対する影響などもお聞きしたいのですが、時間がありませんので。 今お話を聞いただけでも農家も大変、お米屋さんも大変、生産者米価は不安定になる、そして国際競争力というのに打ち勝てずに食糧自給率も高められない、こういう状況というのが浮かび上がってくるのじゃないかと思うわけですけれども、ウルグアイ・ラウンドの農業交渉がどういうふうに行われたかという、その一つの実例があります。 農水省畜産局の参事官で永村武美さんの講演が掲載されている「食料政策研究」という本を見せていただいたんですけれども、永村さんという方はウルグアイ・ラウンド交渉で実務的に一手に担当された方だというふうに伺っておりますが、この中で農業交渉の内容について大変詳しくお話をされています。 紹介いたしますと、我が国が牛肉の関税率を現行五〇%から下げる必要はないと主張していたけれども、アメリカは、日本が五〇%を維持するとオーストラリアで日本の大手のハムメーカーや商社などが肥育し生産した牛肉約四十万頭強の一部がアメリカに入ってくるのではないか。要するに日本の資本のために、日本とアメリカの間に牛肉の関税率に差があると、アメリカが三一%という高い関税相当量を掛けてもなし崩し的に意味がなくなってしまう。こういうわけで、日本の牛肉の関税率を三二%にしろとアメリカは要求してきた。しかし、国内での説明を考えた場合、到底そんなことはできないということで一五%引き下げる、四二・五%までだということで頑張ったけれども、綱引きをしたけれども、結局、結果は牛肉の関税率三八・五%、関税率の引き下げ割合は二三%、これで決着した。 こういう大まかな内容ですけれども、現実に丸紅は、ウルグアイ・ラウンド合意を受けて肉牛の飼育事業を拡大して、日本向けの肉牛の合計飼育頭数を現在の二割増しにする、六万頭を全量日本向けに輸出しているけれども今後は七万二千頭に拡大する。こういうことが現実に日経新聞でも報道されているわけです。また、チーズの関税率の引き下げても同じような状況があった。こういうような交渉というのが行われていたんでしょうか。 我が国の畜産農業を守るのが農水省の役目だと思うわけですけれども、この農業協定は、我が国の畜産農家を守らないでアメリカ企業のおどしに屈した、また我が国の大手ハムメーカーや商社のもうけ優先になってしまった、こういうことじゃないかと思いますが、こういう交渉で決められた農業協定はやはり農家の立場に立ったら絶対に受け入れられない。当然だと思います。いかがでしょうか。
○国務大臣(大河原太一郎君) お答え申し上げます。 最大限の関係者の努力、要するに牛肉については今度関税化したものではなくて、既に関税化され自由化されているものです。したがって、その影響も相当出てきておる。したがって、五〇%の関税の維持について努力をした。 その経緯が今のお話でも見られるところでございますが、関税率につきましては、それはもう既に自由化されている品目の関税率は三六%というふうな引き下げを求められているのが一般でございましたが、それを二三%カットの三八・五に食いとめたという点についても努力があったものと私は考えますし、特にこれと関連いたしまして、今回の自由化品目については特別セーフガードが設定されましたが、牛肉についてはそれに乗れません、既に自由化されている。したがって、緊急調整措置として、数量が四半期別に見て一七%以上増加した場合においては関税率を五〇%に引き上げられるという緊急調整措置、これを牛肉輸出国である米国あるいはオーストラリア等関係国でウルグアイ・ラウンド農業交渉と並行して獲得をしたという点も御留意願いたいわけでございます。
○林紀子君 本当に国内で一番影響の大きいものは関税率一五%の引き下げにとどめるということは、これはだれが考えても当たり前だと思うわけです。牛肉はもう既に五〇%になっている。今、確かに努力をしてこういうふうになったんだと言いますけれども、牛肉の畜産農家、酪農家、一五%、もうそれ以上下げてもらったら困るというのは当たり前ですから、それで頑張るということが必要だったのに、こういうふうにアメリカの圧力に負けてしまったことを評価と農水大臣はおっしゃるわけですから、これは大臣の気持ちと農家の気持ちといかにかけ離れているか、その一番いい例だと思うわけです。 確かに特別セーフガードというのが一七%、四半期一七%ということで獲得できたと言っていますけれども、これも大変な輸入があるからということでこのセーフガードが発動されましても、それは五〇%に戻るだけ。五〇%の現在で既に輸入の割合は半分以上になっている。このことを考えましたらセーフガードというのも本当に役に立たないし、一七%というのは次もまた一七%、一七%と加算されていくわけですから、どんどん量はふえていくというのは当たり前だと思います。 この問題につきましては時間がありませんのでこれ以上論議をすることができませんけれども、本当に大臣、農民の立場に立って御奮聞いただきたい。 そして、あなたは衆議院の質疑で、「主要な交渉国であるアメリカなりEUにおいては、それぞれの関連する部分につきまして国益を賭して激烈な交渉をブリタン、カンターその他、行ったことが目に見える形で行われた」と。それに対して日本はどうかというと、交渉についてもう一段の御努力は願いたかったなという気持ちですというふうにもおっしゃっておりますね。 こういう状況を考えましたら、大臣、本当にもう一段の努力をするのは当然だと思うわけです。そのもう一段の努力というのは何かと言ったら、今この農業協定の再交渉をする、その決断をするということではありませんか。 外務大臣にはまた後ほどお伺いいたしますので、農水大臣、まずお答えください。
○国務大臣(大河原太一郎君) 端的に申し上げますと、WTOの協定並びに実施法案の御承認を願って今日御審議をお願いしていることが委員の御質問に対するお答えだというふうに受け取っていただきます。
○林紀子君 それは到底受け取ることはできません。 河野大臣にもお伺いしたいと思うんですけれども、農産物と工業製品というのはそもそも同じ貿易ルールに乗せるということに無理があるんじゃないでしょうか。 工業製品は全く同じ規格の製品をつくるということは極めて簡単にできると思うわけです。資本を投資すればそれだけ増産することもできるわけです。しかし、農産物は前の年に種をまいて収穫する。しかも、天候によっては豊作もあれば凶作にもなる。去年の例などいい例だと思うんです。また、資本を投下しても自然が相手だ、こういう違いがあるからこそ、全国農協中央会の高野参考人、この委員会におきましてこうおっしゃっておりました。農産物については新たな貿易ルールが必要だ、工業製品と一緒にされては困る。これは当然の話だと思うわけです。 河野大臣も衆議院の質疑の中では、環境保護、食糧安保、こういう問題については今後ともWTOを初めとする国際機関において主張していかなければならないというふうにおっしゃっておりました。ですから河野大臣にも同じことを申し上げたいと思うんですけれども、これから主張するのなら、今、一番大事なこのときに主張をする、つまり批准前に再交渉する、そういうことがどうしても必要だと思います。お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 再交渉するならもう少し早く再交渉をしなければならなかったと思うんです。昨年のドゥニー調停案受け入れのあの時点で交渉がもっとできたかと、我々はもっとしてほしかったと、こう思っておりますが、あの当時の担当者の方から見れば、もうあれはぎりぎりのものであったというふうにお話しになるでありましょう。 今この時点でもう一度再交渉をしろと、昨日も共産党の方からそういう御指摘がございまして、その御指摘の中には、海洋法では再交渉したじゃないか、海洋法で再交渉ができたものがこれでできないということはないだろうと、こういう御指摘でございましたが、それはちょっとお考えをいただきたいと思いますが、海洋法が再交渉の対象になって再交渉されたのは、それは随分と多数の国が再交渉を求めていたという事実があるわけです。 〔委員長退席、理事稲村稔夫君着席〕 今日、この問題でもし仮に、全く仮の話ですが、再交渉しようと言っても、その再交渉にそうだそうだと言う国が幾つあるでしょうか。私は恐らく、米の問題で最後まで粘り強く交渉をされた国が数カ国あるわけですけれども、そういった国が今一緒になって再交渉ということがあり得るかというと、仮に我が国が再交渉、仮にですよ、求めたとしても、それが再交渉の対象になるかといえば、それはもう今の時点ではならないというふうに我々は思っているわけです。 むしろ農業、繰り返しになりますが、農業という、確かに議員がおっしゃるように独特の自然の恵みの中で仕事をするという、そういう環境に非常に強く影響を受けるこの仕事について我々は国内対策でそれに対応する、対処するということが今なし得る最善のものだと、そう考えて国内対策に全力を挙げようというのが我々の今態度でございます。
○林紀子君 海洋法の問題も引いてお話しになりましたけれども、そもそも最初のことを考えていただきましたら、現行のガットに基づく交渉というのは主権を前提にしたものですね。ですから、何を交渉の議題にするのか、各国の主権の承諾があって初めて決まるものだったと思うんです。ですから、EUがAVについてアメリカの要求に対しても断固自国の文化を守るんだということで協定から除外させていること、これを見ても明らかだと思うわけですね。 ですから、歴代の日本政府が米、農業を議題とすることを断固としてノーということを言い続けてそれを貫けば、今日のこの事態を招くことはなかったと思うわけですね。今、農業を犠牲にしまして、全体を見た場合は重要な利益になるとか、トータルで考えれば我が国の将来にとって画期的なことだなどということは到底言えないと思います。 この誤りを正すためにも、批准せずに再交渉すべきだということを私は強く重ねて申し上げまして質問を終わります。
○下村泰君 ただいま審議中の法案に沿いまして、外れませんように障害者問題を幾つか引かせていただきたいと思います。 本題に入ります前に、私、せっかく外務大臣、何かベトナムからお客様が来ているんだそうで、退席せねばならないんだそうですけれども、引きとめさせていただきました。と申しますのは、こんなことを伺いたいなと思いましてね。 けさの新聞を拝見しましても、何ですか、全欧安保協力会議、CSCEというのが名称を今度は全欧安保協力機構、OSCEというふうに変更しながら、今まで敵対をしていたような国々が集まって一つにまとまりかけている。アジアの方ではアジアの方で、ASEANというのでまとまりかけている。それから、アメリカ大陸の方はアメリカ大陸の方で。それはそれぞれの目的は違いましょうけれども、お互いが、けんかをするために組合をつくっているわけじゃなくて、仲よくするために組合をつくっているような傾向が今、世界じゅうにあるわけですね。 これを見ていますと、私はふと江戸時代の長屋を思い出すんです。長屋というのは横に手をつなぐんですね。ですから、横に一列になっていても端から端まで全部見通しがきくんですよね。ところが、上下になりますと、縦に長くなりますと、上のものは下のものが見えないし、下のものは上のものが見えない、遠くは見えますがね。長屋機構ぐらい私はすばらしい原理はないと思うんですよ。 長屋の中には、鋳掛け屋さんもいれば仕立て屋さんもいるし、飾り職人もいるし指し物師もいる。これは零細企業ですよね。幾らか親分になると今度は外へ行きますわね。そうすると中小企業になってくる。それ以上になると今度は大企業になる。長屋の機構というのはあたかも一番基本線みたいな感じがするんです。しかも、外務大臣も大分いろいろとその方はお好きでしょうからおわかりのことと思いますけれども、長屋なんというのは隣に行ってみそを借りたり米をやったり。そうすると、貿易機構というのはそんなものでしょう、早い話が。それが大きくなるだけのことなんですからね、国と国との折衝で。 そうなりますと、今、日本が一番すべきことは何なんだろうか。長屋の中で世話役あるいは長屋の大家さんというふうな存在にもう私は日本はならなきゃいけないんじゃないかと思う。そうすると、ASEANの中でも日本がリードしているかというと、どうもそういうふうには見えません。むしろシンガポールであるとかインドネシアとか、ああいう国々の方々の方が大きな国のアメリカに対して、別に歯をむき出しているわけじゃないけれども、言いたいことは言っていますよね。アメリカという国は何か墓場のタヌキみたいにどこへも出てくるんですよね。ヨーロッパヘも行けば、きのうあたりもそうでしょう、クリントンが出ていってエリツィンと何かけんかしてみたり、ASEANの方へ来ればASEANの方へ来て、何か手前のところがひとりでもってかき回しているようなことを言っているでしょう。 そうすると、こんな時代に日本というものはもっともっと日本の持っているすばらしい能力というものを発揮して、それだけの力を出してこなくちゃいけない。そして、平和的に日本というものの存在を世界に知らしめる。そして、今までやってきたことそのものを振り返ってどうのこうのじゃなくて、これからいかに世界の人たちに日本のものをもってリードしていくかということを考えなきゃならない時期に来ていると思うんですね。 私、この長屋外交というのは大変大切なものだと思うんですが、大体、払いつも気に入らないのは、日本の国会というものを改革しよう改革しようとか言っていながら、予算委員会があると外務大臣を張りつけにして、そのときに一番世界で大きな問題があるにもかかわらず張りつけにして出さない。こんなことをしているようじゃ、とてもじゃないけれども私は世界についていけないと思いますよ。 ですから、今、私の申し上げたことを外務大臣がどうお受けとめになって、外務大臣として、河野外務大臣としてこれからどう日本というものを展開していかなくちゃいけないのか、ひとつ御意見をお聞かせください。
○国務大臣(河野洋平君) 大変含蓄のあるお話を伺いました。 確かに、二つ申し上げたいことがございます。 一つは、アジアにおける日本というものがどういう役回りをするかということについてでございます。 お気づきだろうと思いますが、ASEANとかインドシナとか、日本にとって戦前から随分長いつき合いがあって大分いろいろなことがあった地域ではありますけれども、今日、我が国がASEANあるいはインドシナの人たちに対して非常に静かに、時には目立たないようにしながらいろいろと頑張れよと勇気づけてみたり、あるいは下支えになってみたり、いろんなことをしているということがあります。 これは、カンボジアの問題もそうでした。カンボジアが、御案内のとおり、PKOが出ていって立派に選挙をやり遂げる、あの裏方は日本でございました。ちょうどあのときには日本が国連でも安全保障理事会の非常任理事国だったということもあって、安保理でも日本はカンボジアの立場に立って、つまりアジアの考え方を国連で表明しながらカンボジアがうまく成り立つように裏方に回っていろいろやりました。表はフランスがやったりいろいろやりましたけれども、裏で支えたのは日本であったわけでございます。それはやはり歴史がいろいろあるものですから、余り日本が一人で張り切って飛んで回るということよりも、むしろ地味に裏方に回ってやるということがいいのだろうというふうに思ってきょうまでやってきたということがあります。 しかし、それは来年もう戦後五十周年という、つまり半世紀を迎えるという今、少しずつお互いにもっともっと本音で話し合うという状況になっていくべきだという気持ちもあるかもしれません。ただ、まだまだ傷がいやせない部分もありますから、そうしたことにも配意をしながらやっていかなければならない。これは、だれがやるよりも日本の国が大きな理解力というものを持って支える力になるというふうに私は思っております。 もう一つ、議員がおっしゃるように、長屋的なつながりといいますか、そういうものは私も非常によくわかります。言い方は悪いんですが、言い得て妙だと思います。しかし、それはもうこの長屋はそんなに貧しい者ばかりが集まっている長屋ではなくて、表向き少し貧しそうではあるけれども、実は中身はもう電気冷蔵庫も持っていれば相当いろんなものを持っていると、そういう状況になっております。 今度のAPECなんというものは、アメリカも入っていればオーストラリアも入っていればチリも入っていれば、そしてアジアの国々もみんな入る。それが非常に仲よく会議ができる。それは、一つは余り先進国が自分の考えを押しつけるということはしない、それぞれの多様性というものを認め合う、そして開放的に戸はあけっ放していこう、こういう基本的な了解ができているものですからそれはうまくやれているということだろうと思います。 近ごろは発展途上国と言われる国々が大変元気がよくて、そしてしかも成長のスピードが早いものですから、むしろ我々がびっくりするような、リードされるような状況もあるわけです。例のAPECのボゴール宣言なんというものはインドネシアがイニシアチブをとって、もう二〇一〇年、二〇年には自由化しちゃおうじゃないかというようなイニシアチブをとるという状況でございます。 それらは私は大変いいことで、いろんな人がいろんな意見を言い、それをお互いに尊重し合っていくという条件を大事にしていくという姿勢で日本はいかなければならないというふうに考えております。 いろいろ御指導をいただきますが、どうぞ今後ともよろしく。
○下村泰君 八さん熊さん的な発想でお尋ねしました。本当は外務大臣として、河野洋平として、おれはこういうふうにやるんだということをお聞きしたかったんですけれども。 それでは、今度は著作権についてちょっと伺います。 既に何年も前から何度も問題になっている視覚障害者の情報アクセスと著作権の問題なんですけれども、耳で音声を聞くことができない人にとっての手話通訳とそれから字幕の保障。それから、目で字を読めない人にとっての点字訳と音声訳の保障。これと同様に完全平和と平等に不可欠のものと思いますけれども、文部大臣はどういうふうにお受けとめになっていらっしゃいましょうか。
○国務大臣(与謝野馨君) まず、目に障害を持っておられる方々あるいは聴覚に障害持っておられる方々、この方々も日本の文化、芸術、あるいはニュース等々、そういうものに対するアクセスと申しますか、そういうものを鑑賞したりそういうものに接したりする機会を平等に持つということをやはり我々は大切にしていかなければならないと思っております。 そこで、先生もよく御存じのことでございますが、目の御不自由な方は、例えばある小説を読むということになりますと、これは点字の書物を読むか、あるいは書物が朗読されたもの、録音を聞くか、こういう選択があるわけでございます。点字につきましては著作権法上ある種の保障がされておりますが、録音については実は点字図書館でしか録音ができないという制限がございます。 そこで、もう少し自由に一般公共図書館でも録音ができないかという問題がございまして、しかしながら著作権法上はそういう場合には著作権者の許諾を得て録音するというようなことになっておりまして、こういう問題をどういうふうに解決するかということでございますが、権利者の権利を制限するという方向ではなかなか解決ができません。そこで、運用上どうするかという問題で、今そういう図書館の御関係者あるいは聴覚、視覚障害者の団体の方々、そういう方々と、どうしたら問題が解決できるかという運用上の問題としてぜひとも解決をしたい、そのように思っております。 聴覚障害を持っておられる方々については、実は著作権法上の規定はございません。これもやってまいりますと、例えば聴覚障害を持っておられる方がテレビの画面を通じてテレビ番組あるいはテレビから流される映画の番組を見るときに、字幕のスーパーが入っておりませんとこれはなかなか映像だけではストーリーを追えないということがありますので、そういう点でもそういうことを充実しなければならないわけですが、これも著作権法上はそれぞれ許諾を得て字幕スーパーを入れるということになっております。この件につきましても、やはり運用上解決していくということで御関係者に話し合いをしていただいている、これが現状でございます。
○下村泰君 順を追っていろいろとお答えを願おうと思ったら、文部大臣が全部まとめてお答えになりました。聞くことがなくなりました。 ただ、一つここで申し上げたいのは、今も文部大臣がおっしゃったように、耳の聞こえない方は字幕スーパー、これが一番いいわけですね。ところが、字幕スーパーというのは物すごく要約しなきゃならないわけです、長いせりふを。そうしますと要約するのに時間がかかるわけです。そうすると、点字図書館へ行きますともうおっしゃったようにすべて間に合うんですが、一番蔵書の多いところが困るんですよ。 例えば国立国会図書館であるとかあるいは各県立の大きな図書館へ行きますと、そういうところだと蔵書がたくさんあるんです。あるんですけれども、そこでは今おっしゃったように簡単に点字その他がうまくできないわけです。点字図書館へ行けばできますよ。できますけれども、そういう一番蔵書の多いところへ行って一番欲しいものが手に入らない、これが問題なんですね。しかも、今申し上げましたように、字幕スーパーにするとなるとこれを要約しなきゃなりませんから、これ数カ月かかるわけです。同じこの世に生をうけながら、こういうことを言っては極端ですけれども、生をうけながら、健常者はその場ですぐわかるのに、こういう方々は数カ月おくれなければそれを完全に見ること聞くことができない、こういう大変なマイナス点が多いわけですね。 例えば耳の聞こえない人は、日本人でありながら日本の映画を見てわからないわけですよね、字幕が入っていないんですから。昔の無声映画なら別ですよ。今の映画はだめなんです。そうしますと、日本人でありながら外国の映画はいいわけですよ、スーパーインポーズがありますからね、英訳しているから。日本人が日本の映画を見て全然わからなくて、日本人が外国の映画を見た方がわかりやすい。こんなばかな現象というのはないと思うんです。 ですから、何年前でしたか、一九八八年でしたが、著作権の衆参両院で可決されましたそのときに附帯決議がついております。「視聴覚障害等の障害者が、公表された著作物を適切公正に利用することができる方途を検討すること。」と。これもう大分たっているわけですが、文部大臣は別として、文部省当局の方はその後どういうふうに作業しているんですか。
○政府委員(林田英樹君) お答え申し上げます。 御指摘ございましたように、昭和六十二年の十月二十日に参議院文教委員会におきまして、先生からその審議で関連の御質問がございまして、附帯決議ができておるわけでございます。 その後、まず聴覚障害者の方々についてのビデオ等に字幕を入れることについての問題でございます。これにつきましては、大臣からお話し申し上げましたように、権利者の権利を制限するということにはいろいろ問題もございますので、各権利者団体の間で適切な権利処理ルールを設けていただくというふうなことで御努力をいただいておるわけでございます。 現時点での状況でございますけれども、各権利者団体とも基本的には簡便にかつ低廉な料金で許諾する方針ということでお話し合いをしております。 個別に若干申し上げてみますと、これは社会福祉法人の聴力障害者情報文化センターが東京にございますけれども、ここが中心になりまして、各都道府県等にございますビデオライブラリーの共同事業参加県とも連携をとりながら、障害者のためのビデオ製作の仲立ちをしているような形になっております。 例えばテレビ番組でございますと、これを字幕ビデオ化することにつきましては、社会福祉法人の聴力障害者情報文化センターとNHK、民放のキー局、それから関係権利者団体との間で利用のルールが整っているところでございます。また、劇映画につきましては、日本映画製作者連盟の各加盟社と社会福祉法人聴力障害者情報文化センターの間で字幕ビデオ化するための映画の提供及び映画製作会社を窓口とした各種権利の一括処理ルールが整備されたところでございまして、使用料も通常より低廉なものになっているところでございます。また、アニメーション映画に関しましても、社会福祉法人聴力障害者情報文化センターと日本動画製作者連盟との間で話し合いの結果、既に作品の提供も行われているところでございます。 それから次に、視覚障害者のための著作物の録音テープの作成について公共図書館においても自由に行えるようにすべきではないかという問題もございます。この問題につきましては、先生のその節の参議院文教委員会での御質問では、著作者の了解がなかなかとりにくいというふうな問題があるという御指摘がございましたけれども、これに関しましてその後、社団法人の日本文芸著作権保護同盟が相手になりまして簡易迅速な権利処理ができるような体制が整ったわけでございまして、権利者側も権利処理のルールづくりについては前向きに対処するということで、公共図書館の団体と権利者団体が利用者である盲人の団体の意見も聞きながら話し合いを行うことによりまして、現在の状況をかなりの程度改善できるというふうに考えております。 文化庁としても、このような話し合いが促進されるよう側面的に援助していきたいと考えております。
○下村泰君 大変長々と御説明してくださいましたけれども、今の問題の著作権のあるいわゆる著作物を書いた御本人に問い合わせをすると、点字図書館へ行ってくれと、こっちでは許可しないと言う人も中にいるんです。これは有名な人なんだ、名前出したくないからあれだけれども、腹の立つくらい有名な人、この人は。ですから、そういうこともありますから十分に考えておいてください。 それから、十一月十八日に日本、アメリカ、EUの特許庁長官の会合が日本の通産省で開かれて、日米欧のエイズ関連の特許情報を公開するということを決めたと言われていますけれども、その内容について教えてください。
○政府委員(油木肇君) 若干技術的な事項でもございますので、私の方から御説明させていただきます。 先月中旬、特許情報の効率的利用及び審査実務の調和を目的といたしまして、日米欧三極特許庁会合を持ったところでございます。この会合では、特許情報の提供に関しまして、三極特許庁が所有しています膨大な特許情報、これを共通のCD・ROMで幅広く世界に提供するということを確認しますとともに、先ほど先生御指摘のエイズ関連特許、世界的な課題となっているエイズの治療に関する特許情報を、情報通信網すなわちインターネットを通じまして世界じゅうの研究者等に提供していくことで合意したわけでございます。 なお、エイズに関する特許情報といたしましては、日米欧合わせて約五千件の規模でございます。その内訳としては、米国が約二千件、欧州が約二千件、日本が約千件となっております。
○下村泰君 これはエイズの関係だけに限らず、こういう問題はどんどん情報公開していただきたいと思うんですね。例えばエイズなんという病は、もうこれから先どのくらいたては完全にこれを抑圧、制御するだけの薬ができるのかどうか。 ここにいらっしゃる先生方で言えば、農水大臣は私の年配とたしか同じで、大正十一年五月二十六日ですから私より二十日遅いんです。それから郵政大臣も大体その年に近い方ですから、かつての淋病、梅毒なんというのは御存じだろうと思います。橋本大臣のお父さんは大分御熱心だったと思いますけれども、こういう方々にはかつての淋病、梅毒というのはわかりますね。ところが、あれだけ恐ろしかった病気でもこれを完全に制圧するだけの医薬品が終戦後出てきたわけですよ。 だから、このエイズもやがてはそうなるだろうと思うんですけれども、これは日本だけが固執していたのではだめで、やはりこの情報公開というのは大切だと思いますけれども、エイズに限らず、これから先こういう情報公開というのはなさるんですか、なさらないんでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今回、お褒めをいただいて大変光栄だと思います。長々しい答弁はもういたしません。 むしろ、特許情報というものを内外のニーズに即応する形で迅速に提供するということは、特許行政の重要な役割の一つだと考えています。今後とも情報の内容の充実あるいは提供の範囲を拡大することに努力してまいりたいと考えております。
○下村泰君 片方でこういうお互いに情報を公開していいなと思うと、今度はこっちでは、十月二十三日、ドイツ製のエイズ抗体検査試薬が、感染しても陰性と判定される可能性がある、出荷停止、回収されているというんですけれども、これはまたえらいことですわね。 抗体検査を受ける人は保健所だけで年間十万人を超えている、この試薬によって感染者が検査をすり抜けているおそれもある、こうなるとえらいことになるんですが、厚生省、一体今後残された問題はどういうふうになるのか。
○国務大臣(井出正一君) お答えいたします。 ドイツからの情報によりますと、エイズ検査薬であるべーリングベルケ社製のエンザイクノスト・アンチHIV1,HIV2、国内ではヘキストジャパン社が輸入販売しておりますが、これがエイズ感染初期の検体で当該検査薬では陰性と判定されたが、ほかの検査薬で陽性と判定された例が判明したため、ドイツにおける承認の一時停止と回収を命じたとのことでございます。べーリングベルケ社からヘキストジャパン社に対して、当該検査薬の回収等の要請があり、十月二十八日までに国内製品の自主回収を終了したと聞いております。 厚生省におきましては、都道府県等における当該検査薬の使用実態等について調査したところでございまして、当該検査薬を使用している者についてはすべて確認検査の結果陰性であることが判明しております。さらに、医療機関及び検査センターで使用された者については、医療機関等に対し主治医の判断に基づき必要に応じ再検査を実施すること、また住民に対しエイズの正しい知識の普及、啓発を図ること等を都道府県を通じて依頼をしたところでございます。
○下村泰君 厚生委員会からそのままお越しになって大変御苦労さまでございます。お疲れだと思いますけれども、しかしお疲れたからといって笑っている場合じゃないんですよ。これは恐ろしいですよね、本来エイズを持っている人間が検査をされたらあなたは陰性だと言われて喜んで、勇気百倍、若き肉体を一気がせいでそこらにまき散らしたらえらいことになるわけだ。何のための検査からっともわからなくなる。私はこれを見てぞっとしました。私は体力的にそこからもう圏外に外れておりますけれども。そして、十一月二十二日、今度はこういうのが出ているんです。米国から輸入されている血液製剤に、急性痴呆症状を起こして死亡するクロイツフェルト・ヤコブ病の病原体が含まれている可能性があることがわかり、輸入元のバクスター社は二十一日、使用した医療機関への連絡と回収を始めた。ヤコブ病で死亡した米国の男性患者の献血を含む血液から製造した約一万八千本はすべて日本に輸入されていた。同社から十九日、日本の子会社バクスター社に入った連絡によると、急性痴呆症にかかった男性患者の死亡後、脳を解剖したところ、ヤゴブ病であることがわかった。生前、この患者の献血を含む血液を使ってつくられ、一九九三年二月に出荷された一万八千六百九十八本はすべてが日本に輸入され、七百四十六病院に回されている。出荷後一年半以上たっており、ほとんどがすでに使われたとみられる。一般的に、一人の患者につき二−三本が使われるため、六千−九千人が使用している計算だ。とこうなりますると、橋本大臣もよく国立医療センターへお入りになって毎年毎年検査をなさっていますし、私も一緒にやっているから、よくおわかりですけれども、こんなところでも安心して入院して、輸入されたらこういう結果になる。 これ一体どう対処したらいいんですか。日本における予想される今後の事態、どうなりますか。
○国務大臣(井出正一君) 本件はバクスター株式会社が米国本社より輸入販売している人血清アルブミン、商品名ブミネート二五%、五十ミリリッターが、クロイツフェルト・ヤコブ病と診断されたドナーの血漿を含む原料血漿から製造されていたというものでございまして、本年十一月二十一日にバクスター株式会社より厚生省に当該製品を回収する旨報告があったものでございます。 厚生省といたしましては、使用した可能性のあるすべての医療機関七百四十六施設に情報提供を早急に行うこと、回収を早急に行うこと等を指示し、十一月二十八日には回収作業が終了したとの報告を受けております。 なお、クロイツフェルト・ヤコブ病は血液により感染するかどうか不明でありますが、今後使用した患者のフォローアップを十分に行わせることとしております。
○下村泰君 時間が来てしまいましたのでやめますけれども、ほかに関連のある質問を提出しましてお呼び申し上げた大臣にはまことに失礼でございますが、おわび申し上げておきます。 そこで、このほかにもペースメーカーとかいろいろあるんですね、今輸入されている。結局アメリカでつくった医薬品にしても、アメリカの検査が済んで、向こうで全然何ともなければ日本もそのまま何ともないというように使っているというようなことではこれから先、かといって規制をがんがん締めつけるのも問題でしょうし、一体こういうふうにして一連に出てきていることが偶然なのか、制度、システムに問題がないのか。国民が安心できる状態というのはどういうふうにしたらいいのか、何かこの事態に対する防衛手段とか、通産大臣でもあるいは厚生大臣でも何かお答えがございましたらおっしゃっていただきたいと思います。国民が安心できるかできないかの問題ですから。
○政府委員(田中健次君) お尋ねの医薬品あるいは医療用具の安全性の問題でございますけれども、私どもは約定にのっとり厳正に審査をしているところでございます。 今お話に出ました国際的な認証基準の問題等、外国で臨床試験をやったデータをほかの国に通用させる、こういう問題を含めまして、現在、国際会議をいろいろやっておりまして、その辺の調整を進めております。第三回の国際会議は、来年、日本の横浜でやるということになっておりまして、そういうことで世界を挙げてこういう安全性の問題に取り組んでいくということで準備を進めておりますから、御理解を賜りたいと存じます。
○下村泰君 どうもありがとうございました。
○西野康雄君 新党・護憲リベラルの西野康雄でございます。各大臣、長い間御苦労さまでございます。 私は、質問を文部省に限らせていただきたいと思います。 先ほど河野外務大臣が、アジア諸国で随分と多くの国々が発展をしてきたんだと、そういうお話をなさいました。私は、通称四匹のトラと言われておりますが、韓国、台湾、シンガポール、香港、そしてまた最近目覚ましいインドネシア、そういうふうな国々がなぜ急成長を遂げるかといったときに、教育の問題というのが随分とあるんじゃないか、初等教育が随分と普及している国々がやはり急速な経済の発展を遂げているのではないだろうかと。 逆に、八〇年代に同じようなレベルであった中南米諸国が、国際社会の金利の支払いまで待ってもらわなければならないというふうな状況を見ておりますと、こういう国々に限ってエリートのための大学教育だけに投資をして底辺の初等教育というものに投資をしない。結局そういうふうな国々が経済発展のテークオフに失敗をしてきたというふうなことで、日本がアジアの中で最初に経済成長、ダッシュをしたというのも、やっぱりそういうところに初等教育のすそ野の広さみたいなものがあるのではないだろうか。 また、そういうすそ野の広さが特権階級というものの存在を壊していく、そういう役割も果たしていっているんじゃないか。全体として中産階級を随分と層を厚くしていく、そういうふうな部分の役割というものを初等教育というのが果たじたじ、それが経済発展の原動力になったのではないだろうか、そんな思いを私はいたしておりますが、どうでしょうか。質問通告もしておりませんが、今、大臣、私の思いというものをお聞きになって感想を、所見をお述べいただければと思います。
○国務大臣(与謝野馨君) 日本の教育というのは、明治維新のときに既に二万以上の寺子屋がございまして、相当教育は普及していたわけでございます。 〔理事稲村稔夫君退席、委員長着席〕 したがいまして、開国をいたしまして西洋の制度等を取り入れるときもそういう基盤的な教育レベルの高さというものが非常に役に立っだということは間違いない事実でございます。また、戦後、それまでは六年でありました義務教育制度を初等・中等、小学校・中学校を九年にしたということで、またこれ基礎的な水準というもの、あるいは日本人の学力の平均的な水準というのは飛躍的に私は向上したものだと思います。また、現在、中学の卒業生の九六%が高等学校に進学しているという状況は、さらに日本の教育水準を非常に高くしているものだと私は承知をしております。
○西野康雄君 最近のいじめの問題なんかを見ておると若干制度疲労が起きてきているかな、そういうふうな感じもいたしますが、別に教育論議をするつもりはございません。 私自身も芸能の実演家でございまして、日本芸能実演家団体協議会というものに所属をしているわけですが、そういった協議会とか日本映画監督協会が、映画の二次的利用の増大に伴って映画の二次的利用に際しての追加報酬等が受けられない現状、これを何とか改善したいというふうな要望を出しておるわけでございます。 また、映画だとか実演の現場ですね、日本の映画が何でこういうふうにだめになってきたんだろうかと思ったときに、例えばいろんな権利だとかそういうものがもうないがしろにされている。撮影現場でけがしても、今回はもう勘弁しておいて、そのかわり今度また次の映画のときに埋め合わせをするからとか、舞台でけがをしても、また次回いい役回すからというふうな形で、権利の関係だとかそういうものがあいまいにされてしまっている。 例えば芸術大学を出て映画の道にとか、そういうふうな人々も十年ぐらいたってそろそろ結婚をしようといったときになりますと、ちょうど使い勝手のいい時分なんですね、仕事も覚えて。ところが何の保障もない。脚本家なんかでも、あれ、あのテレビドラマは私がつくったのを一部ちょっととっているなと思って抗議に行っても、まあまあ、もうそれは荒立てんといてくれ、次おまえさんのところにドラマの仕事回すからと、そういうふうな感じで非常に権利義務の関係というものがあいまいになって、そういう中で嫌気が差していく人が随分といらっしゃいます。 アメリカ映画あるいは香港映画だとか、そういうふうなものの制作スタッフのあり方とか権利義務のあり方なんかを見ておりますと、日本という国が一番おくれているな、そんな思いがしてならないわけです。ですから、そういう映画の二次的利用に際しての追加報酬等々、いろんな権利義務の関係とかそういうものをきっちりとしてやっていく必要というのは私あるように思うんです。 今、映画の二次的利用に際しての追加報酬等の受けられない現状に対して改善を求めているんですが、その現状はどうなっておるのか、ちょっと御説明いただければと思います。
○国務大臣(与謝野馨君) はっと気がついて衛星放送を見ましたら自分が出ているという俳優さんはいっぱいおりますし、地方に行ってCATVを見ると自分の出た映画が堂々と映されている。ビデオショップに行くと自分の出た映画がビデオになっている。では、そのときに俳優さんの権利は一体どうなっているのかという問題を先生は御提起になっているんだと思います。 過去っくられました映画等につきましては、その著作物に対する権利というのはほとんどすべての場合映画製作会社が持っておりまして、その映画をつくりました監督さんあるいはそれに出演された俳優さんの権利は、恐らく出演料あるいは監督報酬という形でその場限りで終わっているケースが非常に多いわけでございます。 しかしながら、最近、過去に制作されました映画等がCATV、衛星放送、ビデオ等々、利用形態の変化に伴いまして非常にたくさんの頻度で利用されているという中で、映画監督の方もあるいは俳優の方も、あるいは小道具、大道具含めましたいろいろな製作に携わった方々の中から二次的な使用料は一体どうなっているのかということでございますが、著作権法の厳密な解釈ですと契約の限りであるという解釈をせざるを得ないという状況でございます。 そこで、文部省では今、御関係者に集まっていただいてお話し合いをしていただくということでやっております。もし詳しくその話し合いの状況をということであれば文化庁次長に答弁をさせます。
○西野康雄君 では文化庁の方から御説明をお願いします。
○政府委員(林田英樹君) スキームにつきましては今、大臣から御答弁申したところでございます。 文化庁では、平成四年の五月に映画の二次的利用に関する調査研究協議会を発足させまして、当事者間の検討、協議を進めているところでございます。まだ途中でございますので整理して申し上げるのも難しゅうございますけれども、おおよそどういうことを議論しておるかというのをかいつまんで申し上げます。 まず第一に、映画制作者や二次的利用の実態、それから契約の現状等についていろいろな検討を行ったわけでございます。現在、邦画の制作はいわゆる大手の映画会社によるものは少なくなって独立プロダクション制作のものがふえておりますというふうなこと、それから映画制作会社は配給収入に加えてビデオやテレビ利用等の二次的利用の収入によって利益回収を図っているというふうなこと、それから映画制作に際しての契約の締結方式については口頭によるものが多いというふうなこともございます。 現在、協議会におきましては、これらの現状認識をもとにいたしましていろんな論点を挙げまして当事者間の検討、協議を進めておるわけでございます。映画の二次的利用に係る報酬の実態、それから書面による契約を結ぶ必要性というふうなこと、それから契約に盛り込むべき具体的内容、さらには団体間の覚書の必要性、団体に属しない者との関係等々についての御検討をいただいておるという状況でございます。
○西野康雄君 実は、WTOのこの問題が出てきたときにいろいろ参考資料を見せまして、そしてどんなことを聞いてほしいかというふうなことを聞いたときに、今の問題と、それからWTOに加盟をしたならば映画の著作権や実演家の保護とかそういうふうなものがどのように改善されるのか、その点も聞いてほしいということなので、御答弁ください。
○政府委員(林田英樹君) 映画の二次的利用につきましては今のような状況でございますけれども、もう一点の、WTOに加盟した場合の実演家等の保護の改善点でございます。これにつきましては、現在の世界でこのような権利を基本的にカバーしておりますのはベルヌ条約だとか実演家等保護条約などがあるわけでございますけれども、これらの既存の著作権等に関する条約をこれまで締結していない国々におきましては、我が国と条約上の相互の保護関係がないわけでございまして、我が国の著作物や実演等に適切な保護が与えられていないわけでございます。 しかし、TRIPS協定におきまして、ベルヌ条約を遵守するとともに、著作隣接権に係る基本的な権利の保護が義務づけられているところでございまして、これらの諸国のWTOの加盟によりまして、我が国の映画の著作物等に係る著作権者及び実演家等の著作隣接権の国際的な保護がこれらの国々においても守られるようになってくるということで一層拡充されるものと考えております。
○西野康雄君 WIPOにおいて、実演家及びレコード製作者の権利保護に関しての新たな国際文書を作成するために、一九九三年六月から今申されたベルヌ条約議定書作成作業と並行して検討が行われていると聞いておりますが、その具体的な内容と現状について御教示をお願いします。
○政府委員(林田英樹君) 実演家及びレコード製作者の権利の保護に関しまして、近年の技術の進歩や社会経済情勢の変化並びにレコードなどの利用状況の変化、多様化に対応いたしまして、実演家等の保護がより十分なものとなるよう新たに国際文書を作成することとなっておりまして、そのための検討作業がWIPOの場におきまして一九九三年から進められておるところでございます。 具体的に申しますと、同検討作業におきましては、例えばレコードの貸与に関する権利のあり方や、レコードの複製権に係る規定の整備などについて種々の検討が行われておるわけでございます。 また、著作権の国際的な制度の基礎となっておりますベルヌ条約そのものにつきましても、最新の改正を行ってから二十年以上がたっておるというふうなことでございますので、著作権保護の内容の見直しを行い、ベルヌ条約の補完、強化を目的とするベルヌ条約議定書を作成するための作業が一九九一年から同じくWIPOの場において行われておるわけでございます。 内容につきましては、まだ種々基礎的な検討が行われている状況でございますので、詳細は省略させていただきたいと思います。
○西野康雄君 以上をもちまして私の質問を終えさせていただきます。質問をしなかった各大臣にも残っていただきまして、ありがとうございます。
○委員長(矢田部理君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。 午後五時五十七分散会