世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会 第4号
- 発言数
- 250 件
- 登壇者
- 30 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 1994/12/05
会議録
○委員長(矢田部理君) ただいまから世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る十一月三十日、大渕絹子君が委員を辞任され、その補欠として谷本巍君が選任されました。 また、去る一日、翫正敏君及び喜屋武眞榮君が委員を辞任され、その補欠として西野康雄君及び島袋宗康君が選任されました。 また、本日、須藤良太郎君及び三上隆雄君が委員を辞任され、その補欠として加藤紀文君及び上野雄文君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(矢田部理君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(矢田部理君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に野沢太三君を指名いたします。 ―――――――――――――
○委員長(矢田部理君) 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結について承認を求めるの件、著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律案、特許法等の一部を改正する法律案、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案、農産物価格安定法の一部を改正する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案、以上八案件を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○上杉光弘君 私は、自由民主党を代表いたしまして、若干の質問をいたします。 WTOは、戦後の世界貿易を支えてきました関税・貿易一般協定、すなわちガットにかわりまして、二十一世紀を見据えた自由貿易促進のかなめとなることを確信いたしておるわけでございます。また、これまで物の貿易だけを対象にした関税・貿易一般協定に対しまして、サービス貿易や知的所有権、さらには幅広い国際貿易のルールを定めたものでございます。特に、鉱工業製品の関税率の段階的引き下げや撤廃、また農業保護の削減などの実施というものを織り込まれ、さらに貿易紛争処理機能の大幅な強化がされていると受けとめておるわけでございます。 さような意味で総理に質問をいたしますが、WTO協定への対応は、我が国の生命線をいかに守っていくかという重大事であります。我が国と国民の将来を考え、自由民主党を含む与党三党及び村山政権も責任を持って判断し、同協定の受け入れを決めたと考えておるわけでございますが、長期的な展望に立ったWTO協定の評価及び我が国の同協定締結の意義について、その見解をまずお伺いいたします。
○国務大臣(村山富市君) 今、委員からるる述べられましたように、WTO協定の締結は、多角的自由貿易体制の維持強化並びに国際経済秩序に対する信頼の確保といったような観点から極めて重要な意味を持っていると私は思います。 今、御指摘もございましたように、単に物、いわゆる鉱工業品の関税引き下げだけではなくて、農業分野も含め、さらにまた新たな分野である知的所有権やサービス貿易分野が含まれた上で貿易の自由化と貿易のルールが強化されていった、こういう意味では極めて大きな意味を持っていると思いまするし、同時に、今お話もございましたように、紛争の処理等の手続につきましてもはっきり明記されておりますが、そういう全体的な問題を含めて、貿易立国である我が国にとりましては極めて意義の深いものであるというふうに考えておりますので、ぜひ慎重な御審議の上、この国会で早期に成立させていただきますようにお願い申し上げたいという気持ちでございます。
○上杉光弘君 米国議会におきまして、この協定の批准承認とあわせましてWTOの紛争処理による米国主権侵害を監視する委員会の設置を決定いたしております。大統領にWTOからの脱退を勧告できる法案を成立させたことを条件にこの二日に実施法を可決いたしておりますが、成立をいたしました実施法や監視委員会に関する法案の内容をどう見ておられるのか、この点について総理の考え方をお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(村山富市君) 今、御指摘のございましたアメリカの議会における問題点につきましては、米国の行政府とドール共和党上院院内総務との間の了解ができたことの内容でありますが、WTOの紛争解決検討委員会を設置して、米国にとって不当なWTOの紛争解決についての報告を検討することを主な内容とするものであるというふうに私は承知をいたしておりますが、その限りにおいてはこのWTO協定に違反するものではな保いと理解をいたしております。 また、米国のこのウルグアイ・ラフウンド合意実施法案は、議会がウルグアイ・ラウンドの合意を承認するとした上で、米国としてWTO協定上の義務を履行するために必要な現行法の改正を行うというものを盛り込んだものであるというふうに承知をいたしております。 米国がWTO協定を締結する限り、そのすべての規定を誠実に履行する義務を負うということはこれは当然なことでありまして、これから政府といたしましては、米国の実施法案の運用状況についてこれを注意深く見守りながら、もし不都合なことがあるといったような場合には、WTO協定上の紛争解決手続等の手段を利用していかなければならぬというふうに考えておるところでございます。 したがいまして、この問題が直ちに支障があるとか、あるいは影響を及ぼすとかいうことはないというふうに私は考えています。
○上杉光弘君 影響があったり支障を来すことはないという総理のただいまの答弁でありますが、保護貿易的な条項がWTOの機能を損なうようなことにはならないのか、大変心配されるわけであります。 さらにまた、米国は国際条約でありますとか外交については非常に議会が強いわけでありまして、保行政府との温度差も私はあろうかと思うわけであります。さような意味で、その象徴的なものはドール議員が賛成をするということでクリントン政権との間に合意をいたしたものがあります。その内容と受けとめ方を、総理の考え方をお聞きいたしたい。
○国務大臣(村山富市君) 今お答えを申し上げましたように、行政府とドール共和党上院院内総務との間で了解された事項といいますのは、WTOの紛争解決の検討委員会を設置する、そしてこのWTOの紛争処理の手続の中でもしアメリカが受け入れられないような結論を出した場合にはそのことについて検討していくという意味の検討委員会でありまして、これが直ちにWTO協定に違反をするとかいうようなものではないというふうに受けとめておりまするし、またそうしたことについてWTOの協定に違反するような事態がもしあるとするならば、これはそれに該当する国がWTOに対して紛争処理のための手続をとってこの問題を提起していくということは当然だと思いますから、そういうルールに従ってきちっと各国が守っていく限りにおいては私は支障はないのではないかというふうに考えておるというふうに申し上げた次第であります。
○上杉光弘君 外務大臣にお尋ねをいたします。 ウルグアイ・ラウンド交渉には百二十五カ国が参加をいたしておりますが、実施のための会合が開催される十二月八日の時点までにこれらの国々の締結手続は終了するということなのか、この状況について政府はどのようにとらえどのような見通しを持っておられるか、お尋ねをいたします。
○国務大臣(河野洋平君) ガット事務局の発表によりますと、十二月一日現在で二十九カ国が既に国内手続を終わったと、こういう報告でございます。二十九の国及び地域でございますが、さらにそのほかに七カ国が国内の手続を既に終わったというふうに私ども承知をいたしておりまして、現在三十数カ国ということになっております。 お尋ねのように、WTO協定は本来百二十五の国と地域が参加をしているわけでございまして、まだまだその百二十五に比べますと数は大変少のうございますけれども、その中で大きな役割を果たすであろう幾つかの主要国が国内の手続を終えたことによって他の国々の国内手続は今後加速されるであろうというふうに思っております。 お尋ねのように、十二月八日を目指してそれぞれの国は国内手続を済ませるべく努力をいたしております。私どもは十二月八日に一つのめどをどうしてもつけなければならないと考えておりますが、国によっては若干それを越える国もあるかもしれない。しかし、主要国はこの十二月八日の会合までにそれぞれの立場をきちっとするということが望ましいことは当然のことだと思っております。
○上杉光弘君 外務大臣、実態は今御説明のとおりでありますが、我が国がおくれないように国会承認をしていくことは大変重要であり、また主要国として当然の責任があると思うんです。しかしながら、他方、批准した国はまだ三十国に満たないということであれば、まだ一部ではないかと。しかし、批准をした国の中には主要国が全部入っているよと、そういうことでありましても、批准については米欧等主要国の動向を十分見きわめてから批准を我が国としてはすべきだと思いますが、どうですか。
○国務大臣(河野洋平君) 確かに欧米主要国の動向というものはWTOスタートに当たって極めて重要でございます。したがいまして、総理からも再三国会での承認をお願いしながらも欧米諸国の動向を視野に入れつつこの手続を進める必要があるというふうに御答弁も申し上げておりますし、私どももそうしたことをもちろん視野に入れて作業をさせていただきたいというふうに思います。 いずれにせよ、国会の承認をいただくということは何より重要でございまして、私ども、先ほど委員からもお話がございましたように、十二月八日の実施のための会合にはぜひ我が国の立場を明確にして臨みたい、そのことがWTOスタートに当たって、我が国の立場からいって大事なことであろうというふうに考えているわけでございます。
○上杉光弘君 米国のWTO協定の実施法案の中にスーパー三〇一条の法制化あるいは独占禁止法政策への適用拡大などが盛り込まれておりまして、これはWTOの一方的制裁措置の禁止の精神に反するものであると私は受けとめておりますが、こういうことをやることは外交のあり方としても大国主義というか恫喝外交につながりかねない。そのような意味からすれば、政府の受けとめ方も当然これはあると思うのでありますが、このことについては極めて今後の対応についての基本的な問題でありますから、お尋ねをいたしておきます。
○国務大臣(河野洋平君) 御案内のとおり、アメリカは先週この実施法案を下院及び上院で承認いたしまして、議会の手続を終わったわけでございます。 アメリカがこの実施法案の議会手続を終えだということは、アメリカの議会がウルグアイ・ラウンド合意をきちっと認めたということでございまして、アメリカとしてWTO協定の義務を履行するために必要な現行法の改正などを含めてこうした法律的な処理を済ませたというふうに私どもは考えております。それは、つまり言いかえますと、アメリカ政府はWTO協定の遵守についてその意思を確定した、こういうふうに考えているわけです。 一方、今、議員お尋ねのように、その実施法案の中には三〇一条についての規定も含まれておるわけでございまして、この三〇一条の存在がどうかと、こういうお尋ねでございますが、私どもはこの三〇一条の存在自体がWTO協定に違反するというわけではないと考えております。 アメリカがWTO協定の対象事項について、三〇一条などに基づいて相手国の利益を侵害するような一方的措置をとる場合にはこれはWTO協定の違反になる。その存在自体がもちろん私どもからいえば精神的には問題があるというふうに思いますけれども、実態としてはその法律が実行をされて相手国の利益を侵害したというときにこれは明らかなWTOの協定違反になる、こう考えているわけでございます。 いずれにせよ、今後三〇一条の発動によりまして我が国の利益が害されるというようなことがある場合には、WTOの紛争解決手続の利用を含めてこれに適切に対応していかなければならないと、こう考えております。
○上杉光弘君 アメリカの特徴的な議会と政府との関係でありますが、特に今回ドール議員がクリントン政権に対しまして賛成の条件としてのみ込ませた内容については、十分これは慎重に検討して対応すべきものではないかと私は思っております。また、これは貿易相手国の一方的措置を従来以上に強めるという議会のねらいもあると私どもは受けとめておるわけでございまして、政府の遺漏なき対応をこれはひとつしっかりやってもらいたいと思います。 通産大臣にお尋ねをいたしますが、WTO協定で迂回ダンピング防止規定が盛り込まれず、この面でダンピング制裁が無原則に発動される懸念というか心配が残りました。米国のアンチダンピング法強化の動きと照らしまして、今後、政府としてどのように対応していくおつもりか、お尋ねをいたします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員御指摘のように、迂回防止協定につきましては、ウルグアイ・ラウンド交渉の際にアンチダンピング協定の一環として検討が行われたわけでありますが、結局合意に至らず、合意には盛り込まれませんでした。今後、WTOに設けられますアンチダンピング委員会で検討することが国際的な合意となっております。我々としては、ダンピング防止の趣旨及び協定の作成経緯というものを踏まえながら、今後、委員会におきまして適切な規律が設けられるように努力をしていく所存であります。 米国法における迂回防止措置にかかわる規定というものが今回、文言上の修正があったわけでありますが、実質的な内容が変化をしたと評価すべきかどうか、今後の運用を見ないと正確なところがもう一つわかりません。我々としては、合意されましたアンチダンピング協定の運用につきましても十分な注視を行いながら、問題があれば紛争処理の手続をとるなど適切な対応をしてまいりたい、そのように考えております。
○上杉光弘君 世界で百二十五国も参加をしております多角的貿易協定でございまして、関係国の利害が大きく錯綜する中、WTOの運営に我が国の主張というものを適時適切に反映する体制確保というのは当然のことだ、こう思うんです。そのような意味で、各種レベルの会議への閣僚でありますとか官僚の派遣体制の強化や、事務局に対しましても主要ポストヘの有能な職員の派遣が今後の課題であろう、こう思うわけであります。 今、我々は、ガットの事務局がどういう状態になっておるか、幹部がいるのか調べてみますと、わずかにガット事務局に課長補佐クラスが一人であります。こんな状態で我が国の主権というかあるいは利益に、国益に関する問題というものが十分世界に向かってガットという場で発揮できるのかどうか、私は議会人として大変心配をするわけでございます。 このようなこと等を含めた体制について、外務大臣のお考えをお聞きいたします。
○国務大臣(河野洋平君) 御指摘のとおり、事務局にいる日本事務局員の数はまことに少ない数でございまして、これらは考えていかなければならぬことだと思っております。 もちろん事務職員というものは、それ自体はどの国に対しても公正であらねばなりませんので、我が国の事務職員がいるからといって、その事務職員が我が国に有利な作業をするということではございませんけれども、しかしそれは何といっても世界各国からさまざまな職員が来る中で、我が国からも優秀な人材がそこに行っているということの意味はいろいろな意味であると思っておりますので、WTOという新しい体制ができ上がりましたときには十分考えなければならぬというふうに実は思っているところでございます。 私どもそういう気持ちでおりますが、なかなか国際的な機関におきます待遇でございますとか、それをバックアップするシステム、体制自体がまだ十分ないという問題もございます。これらも含めて検討しなければならぬ、こう思っております。
○上杉光弘君 そのような点、特に日本は海外に向かつて我が国の主張、我が国の理解を求めるためには体制づくりというものは重要な課題でありますから、よろしくひとつお取り運びをこれは強く求めておきたいと思います。 WTO協定は、物の貿易のみならず知的所有権あるいはそのことを含めた知的財産権やサービスもカバーする極めて重要なルールを確立するものであります。世界の貿易、統済システムに大きな影響を与えることは印すまでもありませんが、同協定の意義について通産大臣はどのようにお考えになっておるか、お伺いをいたします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) まさに委員が御指摘になりましたように、私どもは、このWTO協定というものが従来のガットから大きく踏み出し、物の貿易だけではなく知的財産権やサービスをカバーする、まさに二十一世紀に向けての国際経済活動の総合的な基本原則を確立するものという視点からこれを評価いたしております。我々は、このWTO協定が成立をいたしましたことにより、世界的な関税の引き下げあるいは貿易障壁の低減というものを通じまして貿易自由化と貿易ルールの強化というものが実現をされる、多角的貿易体制というものが維持独化されるということになるであろう。これは貿易立国を主唱してまいりました日本として非常に将来の繁栄に向かって大切なことである、そのように考えております。 こうしたWTO体制の意義というものを踏まえながら、その体制のもとにおいて引き続き多角的な貿易体制の強化維持というものとともに自由貿易の促進に努めてまいりたい、そのようにこれを受けとめております。
○上杉光弘君 我々は、貿易の自由化問題については反省すべきこともあるわけでございます。 例えば木材を自由化するときには、木材を自由化した後の国内対策がどうなるかという万全の体制をしかないまま自由化するかしないかが議論の中心で、今のこの立場からいえば、森林経営や木材産業についてはこれは極めて手痛い打撃を受けておるわけでありまして、当事者の努力だけではいかんともしがたい状況下に置かれておることは保事実です。 また、牛肉やオレンジの自由化の折には、自由化するかしないかというのがやはり議論の中心でありました。そして、国内対策への対応もいたしましたが、何しろ初めての経験でありますからこれまた十分なものではなかった。特に牛肉の自由化については、豚肉よりも安い牛肉が国内にいっぱいはんらんをしておる。したがって、これが豚肉の消費を軽減させ価格を低落させた。豚肉がそうなるとブロイラーまで影響があって、どうにもならぬ状態に豚肉やブロイラーがなっておることは御案内のとおりなんです。そういう私どもは反省に立たなければならない。 オレンジでもそうであります。自由化のときには、初めての経験とはいえ私どもはもっとしっかりした見通しを持って自由化に踏み切らなければならなかったが、国会論議も自由化するかしないかが議論の中心で、見通しをしっかり立てることができなかったということについては私どもは反省すべきことだと思うんです。 そのような立場から、私は、ガットからWTOの体制へ移行する各種のルールの確立や貿易障壁低減等を通じて、我が国の産業にもさまざまな影響を及ぼすと考えられるわけです。この点についての見通しというものをどうお持ちになっておるのか、また国際競争力の弱い、経営規模の小さい農業や中小企業等あるわけでありますが、こういう産業に対する配慮というものについて通産大臣、農林水産大臣はどのようにお考えになっておるのか、お伺いをいたします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、一般的に申し上げますならば、このWTO体制に移行いたしますことは、世界貿易の拡大あるいは世界経済の拡大発展、さらに各国の貿易障壁の低減でありますとか諸外国への投資の保護、あるいは輸出先や投資先における知的財産権の保護の強化など、こうしたものを通じまして相手国への市場参人の機会、すなわちビジネスチャンスの増大がもたらされると考えております。同時に、我が国にとりましても貿易障壁は低下するわけでありますから、輸入価格及び国内価格が低減し消費者の実質所得は増加することになり、消費の拡大を通じて生産の拡大というものも期待されると思います。 しかし、御指摘のように、確かに国際競争力の弱い産業に対する配慮というものは必要になるでありましょう。そして、このWTO協定を受け入れることにつきまして、こうした例えば弱い分野というものにつきましては、協定上も輸入急増に対応するための数量制限、緊急輸入制限措置などは認められております。そのほかにも、通常五年の関税引き下げ期間を、例えば繊維・衣服の分野でいきますと十年のように長期化をする、あるいは関税引き下げ幅を小幅にとどめるなどそうした対応を行ってまいりましたわけで、こうしたことによりまして産業に対する急激な影響というものは最小限度に食いとめられるであろう、そう考えております。 同時に、今、委員から御指摘がありました例えば中小企業というものについて考えますならば、輸入品との競合による中小企業者への影響、こうしたことも確かに予想されることであります。これは言いかえれば中小企業における構造変化をもたらすわけでありますが、現在、例えば十月いっぱいをかけまして中小企業の方々からさまざまな御意見を聞かせていただきました。こうした中から出てまいりますものは、新製品開発でありますとか新分野進出といった非常に積極的な対応を図る動きとして出てきており、これは私どもとして本当に幸せに受けとめております。 現在まで、御承知のように中小企業新分野進出等円滑化法、こうした法律によります支援でありますとか新事業育成貸付制度、こうした既存の施策を活用しながら対応を図っているわけでありますが、平成七年度の中小企業対策というものを考えます場合、今申し上げましたような新たな分野への展開といった立ち上がりを考えたり、あるいは中小企業創業の研究開発、事業化の立ち上がりの時点の資金調達等、こうした分野に対していわば創造的な中小企業振興というものを法律の制定を含めまして私どもとしては考えてまいりたい、その中で総合支援体制を組んでまいりたい、そのように考えております。
○国務大臣(大河原太一郎君) 御案内のとおり、農業協定の受け入れと申しますか、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉におきましては、米については特別の取り扱い、すなわち国家管理のもとにおいて輸入規制をいたすというわけでございますし、その他関税化された品目についても内外価格差と申しますか、国内の卸売価格と輸入価格との差額、これを関税相当量と設定いたしまして、はっきり申し上げまして相当高い水準の関税が張られたわけでございます。また、乳製品なり麦等につきましては国家貿易、これによって管理をいたすということでございますので、当面については必ずしも急激な影響を受けるとは考えておらないわけでございますが、中長期的に見ますとやはり海外農産物の影響、特に為替相場の変動等によっても変わってまいるところでございます。 また、先ほど委員がおっしゃったように国内保護水準の規制、これは国内の価格政策に対してもいろいろな拘束をもたらすだろうというようなこともございまして、今後はこの点についての各般の対策を強化しなければならない。今回の国内対策等もその点についてもおもんぱかりまして、生産性の向上なり国際競争力の強化という点のための対策というふうに理解しておるところでございます。
○上杉光弘君 木材の自由化で森林経営や木材業者は個人の努力ではもうどうにもならないところまできておる。さらに肥育関係、牛肉、養豚経営、ブロイラー経営、これも壊滅的状況になりつつある。そういう状況のもとで、私どもは、このWTO問題については過去の見通しの甘かったこと、あるいは非常に判断を誤ったこと、これらは十分。反省を踏まえて対応していただきたい。特に、WTO体制下において経済のグローバル化が進展し、国際的な分業体制が構築されていくと考えられるわけでありまして、その結果我が国のまた中小企業等も一層厳しい競争条件のもとにさらされる。通産大臣の答弁のとおり、国内中小企業に対して対策を十分講じていただきたいと思います。 もう一点通産大臣にお聞きしますが、ウルグアイ・ラウンド交渉の大きな成果の一つに初めて知的所有権に関するルールが定められたことが挙げられると思うんです。TRIPS協定でございます。今回の特許法の改正はこのTRIPS協定及び日米包括協議における日米合意を踏まえての対応と考えられますが、このような特許制度を迎える国際的な制度調和の動きは我が国産業界にとってどのようなメリットがあるのか、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員が御指摘をされましたとおり、私どもとしましては、今回の特許法改正というものがTRIPS協定及び日米包括協議における合意を踏まえて我が国の特許制度を国際的に調和したものとすべく御審議をいただいている、そうしたところに今あるわけであります。 そして、今回の改正によりましてTRIPS協定上の義務を完全に履行いたしますとともに、特許につきまして付与後の異議制度への移行あるいは英語出願などを行うこととしておりまして、経済活動のグローバル化が進む中で特許制度の国際化に十分資していけるものと、そのように考えております。 また、特にここで強調させていただきたいと思いますのは、日米合意における米国側の措置、具体的には特許期間の適正化と早期の公開制度を導入いたしましたことによりまして、かつてしばしば、日本だけではなくこれはアメリカ国内でも大変問題を起こしておったわけでありますけれども、何十年もの問、市場ではもう十分利用されているような技術がある日突然特許になる、そしてその日から十七年間存続するといういわゆるサブマリン特許、潜水艦特許と言われておりましたもの、この問題が完全に解消することになります。これは日本ばかりではなく、世界じゅうの産業界が長年苦しんでまいりました問題が解決されるということでありまして、これは非常に大きな成果と、そのように考えております。
○上杉光弘君 総理にお尋ねしますが、種々議論をしてまいりましたサービス貿坊、知的所有権等はWTO協定で今回初めて対象になったわけでございます。オーディオ・ビジュアルはECの文化政策上の保護必要性の言い分が通りまして、継続交渉となることもなく終了いたしました。金融、海運、基本テレコムは各国の利審が対立し継続交渉となったが、日本としては今後どのように対処していかれるおつもりか、お尋ねをいたします。
○国務大臣(河野洋平君) 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。 御承知のとおり、サービス貿易はこれまでルールがございません。物の貿易についてはこれまでルールがあったわけでございますが、全く新たにサービス貿易の分野でルールをつくるということになりました。したがいまして、まずはルール化をするということのために交渉は非常な努力が積み重ねられたわけでございまして、御指摘のように、相当部分のルール化ができ上がりましたけれども、まだまだ交渉を継続しなければならないものも残ったことも事実でございます。しかし、これらはサービス分野をルール化するという目的のために、とにもかくにもかなり進んだということの評価を私どもはしております。 しかし、交渉が最終的に合意できなかった部分につきましては、私どもとして引き続きその自由化、そして適正なルールができるように努力を続けていくつもりでございます。
○上杉光弘君 総理、これは総理からお答えいただきたいと思うんです。六年後の農業分野の継続交渉に臨む我が国の対応であります。 十一月十五日のAPEC閣僚宣言に、二〇二〇年までの域内自由化がうたわれております。これによって我が国のWTO協定に基づく継続交渉に臨む立場があらかじめ決定づけられてしまうおそれはないのか、その懸念も含めてお答えをいただきたい。
○国務大臣(村山富市君) 協定上、農業貿易の今日まで合意された経過も踏まえながら、例えば環境、人口問題等多角的な観点から、非貿易的関心事項等も考慮に入れながら六年目に行うこととなっているわけです。したがいまして、我が国と いたしましては、その時点における我が国の農業の現状等も踏まえながら総合的な勘案をして交渉に臨まなきゃならぬというふうに今思っておるところでございます。 同時に、今御指摘のございましたAPECの非公式首脳会議において、二〇二〇年を目途に自由化するということをお互いの政治的な目標として意思表明がされたわけでありますが、その席上でも、今後の自由化に当たって農業問題等種々の問題があるというようなことにつきましては十分配慮すべきであるという指摘もいたしておりまするから、そうした経過も踏まえて検討しなきゃならぬという課題でありますが、今御指摘のような懸念はないというふうに私は思っております。
○上杉光弘君 関連をいたします国内対策に移ります。 ウルグアイ・ラウンド関連国内対策は万全の措置が講ぜられることが前提であります。政治折衝の結果、平成七年度から六年間で総事業費六兆百億円が決定をされました。これにつき十分な国費を従来の予算の中で対応していかなければならない、財源もきっちりこれを確保できるかどうかという課題が残されておるわけでございます。 いわゆるこの予算対策として、衆議院でも議論をされてきたところでありますが、新しい事業を政府は責任を持って決定したと総理はお答えになっております。そうすれば、各年度の予算編成は単年度主義なんです。きちっと対処するということになりましても、単年度の予算編成でありますから、六年間で六兆百億円というものをどのようにこれの中に盛り込んでいくかというのが一つあると思うんです。 それからもう一つは、従来の予算については支障を来さないと明言されておるわけでありますから、これらのことにどう対応していくかというのがあるわけであります。 この点について、まず総理と大蔵大臣からお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(村山富市君) これは委員、今御指摘もございましたように、衆議院のWTO特別委員会でもいろんな角度からいろんな意味の発言がございまして、それぞれ関係大臣からも答弁をしていただきましたけれども、若干のニュアンスの違いがあったりしたという経過もありまして、一応そうしたものを総合的に整理いたしまして答弁もいたしておりますから、この際、それを繰り返し答弁させていただきたいというように思います。 今回の対策につきましては、六年間の新しい事業として六兆百億円の事業を講ずる旨を政府・与党が責任を持って決定したものでざいます。これについては、各年度の予算編成過程で検討の上、きちんと対処するという考えでございます。 また、従来の農林水産予算につきましては、これに支障を来さないよう配慮されることとされておりまして、他の予算同様予算編成過程で総合的に検討されるものであるが、従来の農林水産予算をただいま申し上げました新しい事業の財源捻出のために削減、抑制するというようなことはないというふうに考えておりますというふうに私は申し上げたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) 今、総理がお答えを申し上げたとおりでございますが、御承知のように予算は憲法で単年度主義を原則といたしております。そういう意味で、これは六年の政府・与党の約束でございますが、公式に予算という措置は毎年度の予算編成で決めていかざるを得ない、そこできちっと措置をさせていただくということを申し上げたわけであります。 また、一般的に不安を与えております、従来の予算を大幅にカットしてその予算財源を新しい事業の財源にシフトさせるんじゃないかと。これは一種の大蔵省不信のような御心配でありますが、それはありませんと、新しい事業のためにいたずらに既存の予算を削減したり抑制する考えはとりませんということを申し上げているわけでございます。
○上杉光弘君 議論をするとこれだけでも一日あっても私は足りないと思うんですが、非常に難しいことに政府は挑戦をしようとされておるわけです。これはそれだけ国内対策というものは農業関係、極めて深刻な問題であるということの私は象徴だと思うんです。 シーリング枠があるんですから、シーリング枠を外さずに農業の予算をどのように確保していくのか。新しい事業とおっしゃっているんですから、今までの事業と違った事業予算というものを組めば、それはそれだけ拡大していくわけです。ですからいろいろな、財政運用には補正予算の措置もありますが、今はそういうものを論議する段階ではないことは私も承知いたしております。さりとて、これは六兆百億円という、壮大な事業推進をしていく財源措置が必要になってくるわけでありますから、その点は十分指摘を申し上げて、この確保については万全を期していただきたい。 総合的な視点に立った農山村地域の活性化についても、これは農業合意の受け入れによって一番大きな影響を受ける中山間地域の対策として非常に緊要であると同時に、今回の対策大綱において保健・福祉の面まで含めて取り組む内容になっておるわけであります。これはある意味では画期的なことでございますが、問題は各省の縦割り行政の壁がございます。よく言われることに、国益よりも省益、省益よりも局益という言葉がまかり通る我が国の実態は御承知のとおりでありまして、そのようなことに立ては結局は絵にかいたもちに終わるという、非常に末端の農家においては心配があるわけです。こういう心配を取り除いていただきたい。 また、農山村の生活環境、生活基盤の整備も計画的に推進をしていただきまして、活性化のための総合的な法体制の整備も必要である、法律とか制度。六兆百億円また地財の出動いただいた一兆二千億、七兆二千百億というものに対応するとすれば、現行法や制度で万全かというと私はそうではないと思うんです。このことも含めて、これは総理にお伺いをいたしたい。
○国務大臣(村山富市君) 今、委員お話もございましたように、農山村の中山間地域というのは、単に食糧を生産しているというだけではなくて、水の問題やら環境の問題やら公益的に果たしている役割は大変大きいものがあるというふうに思います。したがいまして、現在でも関係する法律というのを挙げてみますと、農業振興地域の整備に関する法律とか都市計画法、山村振興法、あるいは過疎地域活性化特別措置法、特にまた最近できました特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律、こういういろんな関係する法律があるわけです。 今、お話もございましたように、それぞれ農水省は農水省、建設省は建設省というふうに縦割りでされておる。したがって、総合的に中山間地域をどういうふうに振興していくかというふうな視点がやっぱり欠けていた面があるのではないかということは当然だと思います。しかし、新しい法律をつくるというのではなくて、今、委員から御指摘もございましたような視点も十分踏まえながら、各省が連携をとり合って総合的に対策を講じていくということは極めて必要なことだと私は思います。 そこで、閣僚懇談会でも、単にこれは農水省が担当するというのではなくて、むしろ自治省も主体的になって、そして中山間地域全体をどのような町づくりをしていくことが一番いいのかということを連携し合って総合的に取り組んでいく、こういう体制をぜひ確立して取り組んでいただきたいということもお願い申し上げておりまするので、私は新しい法律をつくるということよりも、今ある法律を総合的に方法ややり方について十分検討を加えていけばそれなりの成果も上げてもらえるのではないかというふうに考えておりますから、特にそのことを各閣僚にもお願いしておるということについても御理解を賜りたいというふうに思います。
○上杉光弘君 私は、我が国のこの国土保全という問題を考えると、世界一コストのかかる国になったんですね。十八本長期計画がありますが、第八次では二十兆を超えるものを投資しなければどうにもならない国になってしまった。さらに自然災害、危険箇所だって八万カ所、ずっとこれ減らないんです。 ですから、そういう意味で今回の米の自由化、ミニマムアクセスが農家が意欲を欠いて中山間地帯の田畑の耕作放棄につながるなど、そうなった場合の自然災害の心配。あるいはことしは特に水不足がございました、水不足の問題。あるいは自然を維持管理するという農林業本来の役割が、ある一定のレベルより、これ以上低下した場合に果たしていいのかという懸念があるわけです。 私は、理事会のお許しをいただきまして、ここでひとつ実験をさせていただきたいと思うんです。 きのうの産経新聞に「おいしい水飲みたい「お金払っても」三割」というのがありました。これは総理府が世論調査をしたものです。お金を払ってもおいしい水を飲みたいという時代にもう日本もなったんです。これだけ水がきれい、空気もきれい、緑もある我が国でですよ。これは何かというと、水道水には、これはカルキです、塩素を投入することが許されておるわけであります。塩素を一定の投入をしまして、国民の健康を維持するために当然の措置としてこれは義務づけられておることなんです。 ところが、この塩素というのは非常に、私は御理解をいただきたいことが一つあるんです。それはどういうことかといいますと、カルキでありますが、塩素は水と反応いたしまして次亜塩葉酸と塩酸を生じます。これは非常に、水道水中の適正で人体に影響がない塩素でありましても、食物に含まれるビタミンを破壊してしまうことが解明されております。したがって、ビタミンというものが摂取したほどエネルギー化していないという事実はもう早くから指摘をされておるところでありまして、お茶や野菜に含まれているビタミンC、アスコルビン酸というんですが、水道水中の塩素と反応して瞬時にアスコルビン酸、塩化体と塩素に変わり、これが破壊されるんですね。このことは京都大学の糸川教授が昭和五十三年に、水道水で米を炊くとビタミンBが半減されることを証明したり、ビタミンB溶液を水道水に加えた場合、百度になると二十分後にはBは完全に破壊をされる、こういうデータもあるわけでございます。 飲み水として私どもがいただいておるこの飲み水ですが、これは塩素と反応して、(資料を示す)塩酸液であります。これを入れますと、これは飲んでいる水道水です、これが黄色くなります。黄色くなったですね。黄色くなるんです、黄色くなる。これは水ですが、これだけ黄色くなるんです。 これは茶っ葉です、お茶の葉です、普通飲んでいる。これを入れます。色がほとんど白くなります、もう全く白くなりました。これは何かというと、今説明したビタミンCとこの塩素酸が、ビタミン同士破壊し合って、そしてせっかくとったビタミン、お茶はいっぱいビタミンCがありますが、このビタミンがなくなった、こういうことなんですね。 したがって、耕作放棄やらして水質が悪くなる。浄化能力というのが自然にはあります、あるいは保水力もあります、貯水力もあります。そういうものが低下するということになってはいかがなものかという心配があるわけでありまして、そのような意味で私は政府に対して特にお願いをしたいことがあるんです。 それは何かというと、時間がありませんから急ぎますが、今、全国に十四万集落があります。このまま見過ごしたらもうなくなる集落があります。高齢化がどんと進んでなくなる集落があるんです。数年でなくなる集落もある。もう集落としての機能を持たない集落が大変多く過疎地には残っておる。この集落、十四万集落をどうするのかというのは、私はこれは国家権力というか国家計画で当然取り組まなきゃならぬことだと思うんです。それが計画がありません。 私は、集落を五つ六つ寄せて都市的な若干の機能も持った集落にするとか、新しい集落をつくるとか、今の集落にこの集落を移してやるとか、そういう集落整備というのは、今の集落法というのは既存の集落を整備するという法律ですから、これじゃだめなんです。ですから、その点をどうするかという問題があります。 それから定住化を促進するといったって、自治大臣もおられますが、過疎法ができて過疎化対策で二十五兆円も投じても過疎化はとまっていないんです。とまっておりません。ですから、定住化を促進するためには川上を川下が支援するという体制をつくらなきゃだめだと思うんです。 これは私の書いた本でありますが、外国にはこれはあるわけです。デカップリング的な思想を取り入れた極めて立派なものが外国にはあります。特にドイツには農村空間の計画があったり、その中にFプラン、Bプランというのがあって、景域保全計画まで立ち入ったものが制度化、法制化されておる。フランスには農村計画法というのがあります。ですから、こういうものを我が国も当然取り入れるべきだと。 国土空間の整備に関する基本的法律は、都市計画法、農業基本法、土地基本法でございますが、これを受けた地域計画については、フランスではミッテラン政権誕生後に地方分権法が制定されまして、それにより基本構想や開発と整備に関する市町村連合憲章というのができた、土地占有計画というのもできた、こういう計画の権限や財源が国から地方におろされておるわけであります。外国のとおりに日本がするということじゃありません。こういう一つの行政の取り組みというものは、当然必要だと私は申し上げたいわけでございまして、この点について自治大臣、農水大臣のお考えを承りたい。
○国務大臣(野中広務君) 委員からお話のように、今回のウルグアイ・ラウンドの合意に至ります一連のルールが確立をいたしましたことは評価に値するわけでありますけれども、その中におきます農村合意はまことに我が国農業にとって深刻な影響を与えるのみならず、今お説のように集落の崩壊そして森林あるいは田園等の崩壊につながりかねない、こういう考えは私も意見を同じくするわけでございます。 思えば昨年のちょうど今ごろ、まだ国会においては当時の細川総理初め関係閣僚から、国会決議は守りますと徹底して言われておる最中でありました。それが突然、十二月十四日の午前四時、断腸の思いということでミニマムアクセスをのむという記者会見が行われた。そんなときを思い起こしながら、三千年の間、同じところに同じ作物を植えて、いや地をしない、米を主食として我が民族を営々として支えてくれたこの集落があってこそ、私は今日の日本の環境保全あるいは防災、さらにはお互いに困難な時代があってもおかゆをすすりながら生き延びていくという、そういうことが確保されてきたのではなかろうかと思いますときに、まことに感慨無量でございます。 国土庁が発表いたし、施策として行っております集落再編あるいは定住化対策等ございますし、自治省といたしましても、特別交付税あるいは今回のふるさと創生事業あるいは農山漁村の対策等をそれぞれ各省庁の施策と整合させながら、市町村が主体となって魅力ある農村づくりというものをやっていかなければ、これは単に一つの施策として農業を比較するんじゃなしに、あるいは一つの都市と農村との比較だけでなく、我が国の国土をこれからどのようにして保全していくんだ、そして営々として、一度崩壊したら農村というのはもう再び取り戻すことができないという使命感に立ってこれからの農村というものをとらまえて、市町付が主体になってさまざまな各省庁の施策を上手に組み合わせながら、地方単独事業をあわせてやっていかなくてはならないと存じておる次第であります。
○国務大臣(大河原太一郎君) 集落機能の独化の点については、自治行政の観点からただいま自治大臣からお話のとおりでございます。 集落機能整備等についても単純な一集落ではなくて、中核的な集落を中心とした、再編整備については集落機能強化等の事業として既に取り上げておるところでございますが、さらに全体的な視点から、その独化をするための事業なり、あるいは進んで法制化の検討等についても今後研究をしてまいりたい、さように思っております。
○上杉光弘君 時間が参りましたから終わりますが、明治時代、開国をして我が国は鉄道建設を方向づけしました。それから郵便事業、はがきでありますとか切手でありますとか、そういうものを方向づけしました。さらには国土の計画も方向づけしました。そういう先達たちが方向づけしたことが今のこの時代にも生きておるわけです。 WTOの受け入れというものは、ある意味では国民生活にも影響し、また国の経済産業にもすべてに大きな影響力を持つ今後の国家のあり方を含めた私は重大な問題だと思います。 そういうこと等を念頭に置きながら、私は総理の今後の対応について怠りのないことを、最後に決意のほどをお伺いして質問を終わります。
○国務大臣(村山富市君) 今、委員の御指摘がございましたように、我が国の先達の大変な努力によって今や我が国は世界第二位の経済大国となったわけでありますが、反面、生活者の立場に立って考えた場合に、必ずしもこれだけ経済が繁栄したにもかかわらず豊かになったというその実感がなかなか伴わない、こういう問題もございますし、同時にこれから人口構成上最も活力のある時代が要請されるときに、高齢化が進んでいく、少手化が問題になるといったような困難な状況も抱えておりまするし、かてて加えて廃業の空洞化といったような懸念される問題もあるわけでございます。 したがいまして、そうしたもろもろの問題を十分踏まえた上で、これからの日本の経済なりあるいは社会といったようなものを、どういうふうに改革を進めていきながら、本当に豊かになったという実感が伴う、安心して暮らせるようなそういう社会というものを実利していくために、これから二十一世紀を展望しながら取り組んでいかなきゃならぬというふうに思います。 具体的には、第一に新しい公共投資基本計画等の見直しも行いながら、生活、福祉、文化といったような面を重視した社会資本の整備を着実に進めていきながら内需主導型の総済運営というものを心がけていく必要があるのではないかというふうなことも考えられますし、また思い切った規制緩和を今検討いたしておりまするし、内外のいろんな方々から意見を聞きながら、これから年度内に五カ年計画を策定してそして確実に規制緩和を進めていかなきゃならぬ。同時にそのことを含めて経済の改革も進めていくという視点も大事ではないかというふうに思いまするし、同時に、我が国の産業がこれからも雇用問題は深刻になってまいりますから、雇用問題をより改善していくために新たな事業分野を開拓して創造性豊かな産業というものをつくり上げていく。 こういう視点も踏まえて、WTO後の全く新しい世界情勢の中で日本がどう安定して経済の成長を図っていくか、あるいは雇用の確保を図っていくか、あるいは今申し上げましたような高齢化、少子化に対して本当に活力を見出していきながら、国民全体が豊かさを実感できて安心できるような社会というものをつくっていくかということが何よりも大事ではないかというふうに考えておりますから、今申し上げましたような視点を十分踏まえて、計画的に進んでいって実を結ぶようにしていきたいというふうに考えておるということを申し上げておきたいと思います。
○上杉光弘君 あと関連の問題、農業分野、条約問題は大塚、大木議員から質問をさせていただきます。
○委員長(矢田部理君) 関連質疑を許します。大木浩君。
○大木浩君 ただいま上杉委員の方からいろいろと御質問がありましたが、関連の質問をさせていただきます。 本日は総括質問でございますので、余り条文等々について細かくということにはいきません。何せ何万ページというマラケシュ協定でございますから、協定の中身というよりは、私はまずもって、今度のマラケシュ協定ないしはWTO体制というものが新しくできるわけでございますが、そのもとで日本のこれからの産業政策あるいは経済政策あるいは外交政策といったようなものが順調に行われるかどうか、もしこれから心配しなきゃならぬとすればどういう点があるのかというようなことについて御質問を申し上げたいと思うわけでございます。 まず、せっかくきょうは総理もおいででございますから、総理としてもかつて社会党の委員長のお立場で苦渋に満ちた決断をされたわけでございますけれども、いろいろと国内でも今回の協定についてコメントがあるわけであります。 私は愛知県の選挙区でございますから、御存じのとおりに愛知県は工業生産額では日本でトップでございますが、同時に農業生産におきましてもベストテンに入っております。ということですから、農民の方々、農業関係の方々からもいろいろコメントがありまして、今回の協定は農業あるいは農民の犠牲において製造業を維持するためかというようなコメントをする方もあるわけでございますが、私はそう思いませんし、総理もそういうふうには御判断でないと思いますけれども、どうぞひとつ総理から直接に、今回のこの協定というものは日本の産業、日本の経済全体をさらに守り、そしてさらに発展させる協定であるということを簡潔に御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(村山富市君) 今回のウルグアイ・ラウンドの合意を受け入れるに当たりまして、特に農業問題等につきましては衆参を含めた国会の決議もございますし、そういう国会決議を尊重していくという立場からすると厳しい問題もあったわけでありますから、恐らく当時の政府もその点を踏まえてそれなりに努力していただいて、そして単に関税化を受け入れるというだけではなくて、農業問題についてはミニマムアクセスを受け入れて何とか六年間だけは過渡的に緩和できるような措置が講じられたということについても、私はそれなりのやっぱり成果を上げていただいたというふうに考えているわけでありますけれども、しかしそれだけにまたそうした分野についてはこれからも厳しいものがあるわけでありますから、今お話もございましたような視点も踏まえて十分にその国内対策はやっていく必要があるというふうに思います。 このウルグアイ・ラウンドはそういう厳しい問題も含めておりまするけれども、経済全体から考えてまいりますと、それなりの多角的な貿易の自由化が拡大されていくということになってまいりますと、貿易立国である日本の立場からするならば大変大きな意義があるわけでありまして、日本経済全体を踏まえた立場でやっぱり物を判断していく必要があると思いまするし、こうした国際情勢の中で日本が貿易立国として立ち行くためには積極的にこのWTOを受け入れて、そして多角的な貿易自由化あるいは新しい経済秩序といったようなものについて貢献をしていく必要があるというふうに考えております。 私は、そういうことがこれからの日本にとって大変大きな意義があるものだというふうに認識をいたしておるということを申し上げておきたいと思います。
○大木浩君 総理から今、概括的な御説明がございまして、日本の経済にとっても産業にとっても大変大事な協定だということですが、いろいろとガットの事務局等でも、このマラケシュ協定によりまして世界の貿易がさらに伸びる、あるいは所得もふえると。何か二〇〇五年までに年間五千億ドルぐらいの所得増大があるというようなことを言われておりますが、通産大臣、日本にとってはどういうふうに影響が出てくるのか。貿易がふえるのか、あるいは投資がさらに振興されるのか等々ひとつ日本としての概括的なその効果というものを御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 実は日本政府として、このWTO協定が発効される、実行に移された段階での経済効果を独自に試算したものはございません。 ただ、所得あるいは貿易の拡大効果と申しますものにつきましてガット事務局が先月、西暦二〇〇五年時点におきまして全世界で五千百億ドル、我が国に関しては二百六十七億ドルの所得拡大効果があるという試算を公表いたしました。実はこの数字も何回か踊りまして、計数のとり方、項目のとり方が大分変動したことはもう委員が御承知のとおりでありますが、いずれにいたしましても私どもは、WTO協定が我が国の産業に与える影響というものは分野によってその状況に異なるものがありますが、全体としては好ましい方向が出てくると考えております。 なぜなら、世界貿易の拡大あるいは世界経済の拡大発展、さらに各国の貿易障壁の低減、あるいは諸外国への投資の保護、輸出先や投資先における知的財産権の保護の強化などを通じますと、まず第一に、相手国への市場参入機会、ビジネスチャンスの拡大がもたらされることになります。同時に、我が国の貿易障壁も低下するわけでありますから、これは輸入価格及び国内価格が低減いたします。これは消費者にとりましては実質所得が増加するという意味を持つことでありまして、消費の拡大を通じて生産への拡大が期待をされます。 しかし、これは先ほど上杉委員からも御指摘があったところでありますが、当然のことながら国際競争力の弱い分野への影響は心配があるところでありまして、こうした分野につきましては、協定上も輸入急増に対応するための数量制限など緊急輸入制限措置などが認められておりますし、交渉のプロセスにおきまして関税引き下げの時期を長期化するあるいは関税引き下げ幅を小幅にどとめるといった対応をとってまいりました。これによって我が国の産業に与える急激な影響というものは最小限度に食いとめておると、そのように考えておるところです。
○大木浩君 世の中には意地の悪いことを考える人もおるわけでありまして、今度貿易自由化でますます日本の輸出も大いに促進されるとまた黒字がふえるんじゃないかというようなことを心配する人もおるようですけれども、しかし、それは日本としてもただ単純に黒字を減らしたいからふやすわけじゃございませんし、日本の貿易構造ということを考えれば、日本としては燃料も輸入しなきゃいかぬし、あるいはいろいろ食料もある程度輸入しなきゃいかぬし、それからODAというようなことで経済協力もやると。ですから、全体としてやはり日本は黒字が仮にあればそれも上手に投資あるいは協力というようなことで使っていかなきゃいかぬと思うんですけれども、その辺はこれからひとつ大蔵省あるいは通産省の方で全体の政策というものをよくお考えいただきたいと思います。 ただ、最近の状況を見ておりますと、いろいろと変化が日本の例えは投資についてもあるというような感じを持っております。きょうの新聞も、何かアメリカに対する自動車産業の投資はちょっと頭打ちじゃないかというようなことが書いてございます。他方、アジアにおける日本の企業の投資が逆に今度は製品を日本へ逆輸入というようなこともあり得る。それだけアジアにおける投資企業の能力というものも高くなったと思いますけれども、そういったようなことで、全体として私はこれからの日本の産業あるいは日本の経済というものが大きく変化する面がいろいろあるのじゃないかと思うわけでございます。 そして、先ほど総理もおっしゃいましたけれども、ある面では日本の産業の空洞化というようなこと、あるいは最近は何か金融の空洞化というようなことも言われておるわけでございますが、通産大臣と大蔵大臣からそれぞれ、産業の空洞化、金融の空洞化という問題があるんですけれども、今回のこのWTO体制のもとでそういったことについてはどういうふうにこれから考えていかれるか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、WTO体制のいかんにかかわらず、実はこの急激な円高の進行の中で、我が国の海外投資、企業の海外進出というものがふえておることは御指摘のとおりであります。そして、その中から空洞化が懸念されておりますことも、これは間違いがありません。しかし私は、実は日本の企業が今後ともに海外に展開していく、その趨勢は変わらないものと思います。そして、これは技術移転等から考えましても、私はあっていいことだという部分も認めなければならないと思います。 問題は、その結果として国内に空洞化を生じ雇用不安等を起こすことをどう避けるかということでありますが、その意味では、産構審の報告の中で、御承知のように、例えば情報・通信でありますとかあるいは医療・福祉分野でありますとか、さまざまな十二の分野を今後育成していくべき、また大きな雇用が見込まれるべき分野として定められ、その方向に向けての努力もいたしていかなければなりません。 しかし、より積極的に考えていきますと、実は十月にも中小企業庁を中心に我が国の中小企業の皆さんからこの円高の状況がどう影響しているか、それに対して今後どうしていこうとされるのか、そういう問いかけをさせていただきました。そして、もう九〇%をはるかに超える輸出関連の中小企業は円高の影響というものを既に受けており、また今後受けていく状況にある、経営者の判断としてそのような数字が出ております。 しかし、ここで私が非常に注意をいたしましたのは、これに対する対策として挙げておられるものの中に、例えば業態を縮小するとかあるいは人員を削減するとかいわば後ろ向きの施策に頼ろうとする方よりも、現在の業の安定しているうちにあるいは持ちこたえのきく間に新たな分野への展開を志向される方、あるいはより付加価値の高い商品構成に変えていこうとされる方、さらに従来輸出分野で主として活躍してこられた方々が新たに国内に販路を求めてより付加価値の高い商品を開発しようとしておられるなど、非常に積極的な意欲が出ております。 私どもは通巌省として、この新しい分野に移ろう、業を起こそうという部分に対して、いわばその種を探す段階から創業時の資金需要に対応してまでの努力を系統的に組み立てて、法律案をもって今後御審議を願いたいと考えております。 と同時に、これはこの後、大蔵大臣の御答弁で恐らくお触れをいただくと思いますが、我々としては創業時における資金調達についてより民間における調達がしやすい環境をつくっていかなければなりません。その意味では、店頭市場のより活性化を求めることを初めとして、企業の立ち上がりにおける資金により調達の道を開いていく努力をぜひ関係当局にもお願いをしたい、そのように考えております。
○国務大臣(武村正義君) 通産大臣もお答え申し上げましたように、まずこのWTOの出発も含めて、これから経済はますます国際化をしてまいります。そういう中で日本の経済の海外との結びつきが一層深くなっていく、拡大していくことはまさに時代の趨勢でありますし、このWTOの精神からいってもその流れに逆らうことはできない、むしろそういう状況によりスムーズに、積極的に日本経済がどう対応していくかということではないかと思っています。 海外への進出の比率は、御承知だと思いますが、アメリカは三〇%と言われております。ドイツは約二割、日本はまだ六・四%ぐらいであります。そういう意味では、海外へのシフトといいますか、日本企業の進出はまだまだこれからふえていくというふうにも考えざるを得ません。 問題は、これを空洞化という言葉で私どもは表現をしているわけでございますが、空洞化というと、何となくぽっと逃げていってすっかり穴があいてしまう、被害的なマイナス的なイメージだけが強く残る言葉でありますが、これはもうメーカーでも、今、通産大臣も申し上げたように、東南アジアヘ日本の工場が出ていけば、そこを拠点にして新しいマーケットを拡大していくことにもなりますし、当然ある段階までは大事な部品は日本に依存する、その関係の輸出はふえていくということでもありまして、すっぽり空っぽになるというふうにとる必要はないではないかというふうに思います。 私ども所管の金融関係につきましても、最近、東証外国部に対する上場の数が少し減ってきている、あるいはまたロンドン市場で日本株の取引が始まってくるという状況もございます。これも、個々には詳しく申し上げませんが、大変複雑な要因が絡まっておりまして、一概に空洞化という言葉で表現するのは必ずしも適当でない。ただ言えることは、そういう状況をにらみながら、私どももしっかり分析もし、日本の金融・証券市場の役割とかウエートがぐんぐん下がっていって弱まっていくということは黙認してはならないし、そのことにどういう新しい対応が必要か、ここはしっかり大蔵省としても要因を分析しながら対策を打ち出していきたいというふうに思っているところでございます。
○大木浩君 WTOは必ずしも金融問題を中心的に扱う機関でもございませんけれども、世界の経済が一番成長をしているのはアジアだということでアジアということを中心に考えても、東京の金融市場の地位が低下しておるというのはやはり一遍しっかりと見直さなければいかぬのじゃないか。これから二〇一〇年ぐらいになると世界の中での経済大国というのは、日本が何番になるか知りませんけれども、恐らくアジアの中の五つぐらいはトップテンに入るのじゃないか。その中には中国だとか、あるいは意外に思われるかもしれませんけれどもインドとかインドネシアもだんだんに入ってくるのじゃないかとか、そういったようなこともあるわけでございますから、金融に限りませんけれども、アジアというものを意識しながらこれから日本の経済、日本の産業、金融、すべてをひっくるめて考えていかなきゃいかぬのじゃないかというふうに考えております。 そういうことで、お答えは要りませんけれども、ひとつ東京の金融市場の問題につきましても、それから先ほど通産大臣が言われましたけれども、やはり日本の産業を、リストラと申しますか新しいものを見つけていかなきゃいかぬということで、中小企業を含めたそういった新しい生産と申しますか新しい経済と申しますか、そういったものに対して、これは両大臣そこにお座りでございますけれども、先ほどから通産大臣が大蔵大臣に何かメッセージを送っておられるようでございますから、どうぞひとつその辺もぜひともお考えをいただきたいと思うわけであります。 そこで、今度の協定の中で、いろいろと紛争解決のためのメカニズムというものが従来よりも整備されるというふうに承っておるわけでございますが、御存じのとおりに今までのガット体制というものは、ガットのためにはいろいろと取り決めを変えていますけれども、どうもそれの例外あるいはその外側でいろんなものが行われておったというふうに理解をします。 きょうは細かいところにいきませんけれども、例えば日米の経済、貿易関係を考えてみましても、自主規制だとか二国間の取り決めだとか、簡単に言ってこれはガット違反あるいはガットを無視したとは言いませんけれども、要するにガットでは十分に解決できなかったからそういうほかのところでやった、こういうふうに考えざるを得ないわけでございます。 通産大臣は、随分何回もアメリカヘ行ってカンター等々といろいろと折衝をしておられたんですが、今後これはどういうことになるのか。これは外務大臣か通産大臣わかりませんが、今後このWTO体制というものが整備されれば、すべてとは言いませんが、ほとんどのことはWTOの中で解決されて、従来のような二国間の取り決めだとか自主規制だとか、そういうものはだんだんになくしていくという方向に進み得るのかどうか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は日米の包括協議の状況を振り返ってみまして、必ずしもそう楽観だけを申し上げる気にはなりません。と申しますのは、九月末から十月一日の朝にかけまして交渉いたしました中で、御承知のように自動車の補修部品に対してアメリカは通商法三〇一条の発動を宣言いたしました。そして、当然のことながら私は三〇一条のもとでの交渉は嫌だということを言い切り、今もその体制でおるわけであります。 その後、ジャカルタにおきましてUSTR、商務省双方の最高責任者との議論をいたしましたときにも、彼らは依然として包括協議のルール、それを援用した形での交渉というものを求めております。そして、例えば自動作におけるボランタリープランのように彼ら自身が包括協議のテーマの外であり、ガバメントリーチの外であり、民間の自主的なプランであるということを認めた分野につきましても、なおかつ上乗せを主張する交渉の対象として議論をしたいということを彼らは言い続けております。 こうした状況を考えますと、WTO体制が整備をされたことによって例えば包括協議がなくなる、あるいは二国間の交渉というものの重要度が減じるとは必ずしも想定できません。しかし、少なくともマルチのルールがよりガット体制に比べ幅の広いものとなり、そのプロセスにおいても従来透明性を欠いておりましたところが相当程度明らかになった。こうしたことを考えますと事態はより改善される方向には向かうだろう、しかし二国間における交渉は必ずしも減少するとは言い切れない。率直な印象をそのように持っております。
○大木浩君 今、日米のことをお話しいただいたわけですが、日本とアメリカの関係というのは非常に重大だということは今さら申し上げるまでもないわけで、日本としても単に貿易問題あるいは黒字問題ばかり議論しているわけじゃありませんけれども、やはりあれだけ大きな黒字があるということになりますとどうしてもアメリカの政治家あたりになるとそれを持ち出すというわけで、日本の政府あるいは日本の民間も含めて、私はアメリカからの輸入というか黒字減らしといいますか、随分努力をしておると思うんです。 通産省の外郭同体のジェトロですか、あれは昔はたしか輸出のための機関みたいな名前がついていましたけれども、このごろはむしろ輸入の方が大事だということで随分努力しておられる。先般も私はアメリカに行ってまいりまして、アメリカのいろんな州にジェトロから出したアドバイザー、これは日本人ですけれども配置されて、向こうの州知事さんの顧問としてそれぞれの州の政府の中に事務所を開いて、そしてどうしたらアメリカから日本への輸出、日本からいえば輸入がふえるかということを一生懸命にアドバイスしているわけですね。恐らく私は、政府ベースあるいは準政府機関でこんなに努力しているところは少ないと思うんですが、どうもいろいろと物を読んでおりますと、まだまだ日本の市場というのは閉鎖されているというような議論があるわけでございます。 御存じのとおりに、あれはたしか中曽根内閣のころだったと思いますが、いわゆるオンブズマンという制度をつくりまして、日本のいろんな制度について不合理なものがあったらひとつ向こうの方から言ってこいというようなことでできたと思いますが、その後どうなったかよく存じません。先日も在日米国商工会議所の代表が来まして、やっぱりまだまだいろんな申し上げたいことがあるということで、ここにこういった日米の貿易白書、これは九三年版が既に出ておりまして、最近また九四年版も出たわけでございますから大体内容は各大臣も御存じだと思うんです。どうもこういうところを見ておりますと、せっかく一生懸命やっておるけれどもどうもまだPRが足りないのか、あるいは言っているけれども本当に効果というか結果が出てないのかよくわからないのでございます。 実は数日前の産経だったと思いますけれども、現在日本で輸入促進地域制度というのがございますね。日本へ輸出したい人がいろいろなものを持ってきてそれを提示するというような制度をつくったんだけれども、それに従事する人のビザがなかなかもらえないとか、あるいは大蔵省の方でやっておられます総合保税地域との関連がはっきりしないので、どうも現実にどこがどうなっているか知りませんが、結果としては余り活用されていないんじゃないかというような議論もあるんです。 きょうは細かいところはともかくとして、通産大臣、何かその辺で総合的なコメントがございましたらひとついただきたいと思うんです。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員が御指摘になりました産経新聞の「さらば規制列島」というこの記事は私も拝見をいたしました。そして、こうした視点でなお我々が努力すべきことがあるなと、その感じを深くいたしております。 今日までも、それぞれの輸入促進地域でこれをつくりました場合の保管施設でありますとかその他につきましていろんな御相談を関係各省としてきたと私は思います。しかし、なお我々がある意味では当然だと思っていたようなことで連絡体制の不備によって落ちていた部分等この記事で随分我々も教えられました。むしろ、今後ともによく関係各省と御相談をしながらこうした仕事がより実効の上がるように努めてまいりたい、そのように考えております。
○大木浩君 今回のWTO体制というものを従来のガットと比べますと一つ非常に印象づけられるのは、開発途上国というものが続々と入ってきて、これからまたしかも貿易の自由化あるいは投資の自由化ということについて彼らも積極的に参加しよう、こういうことが非常にはっきりとうたわれておる。先般のAPECの会議でもそういった趣旨の宣言があったように私は理解しておりますが、ただ、いきなり開発途上国が全く先進国と一緒の条件ではなかなか競争もできないだろうというようなことで、ある程度ハンディ、ゴルフで言えばハンディがついているような格好になっていると思うんです。 外務大臣、今、特にアジアが非常に最近は開発途上国から中心的な段階にまで達しつつあります。ですから、こういったような国々、もちろんそのほかにまだ開発途上の国もあるんですが、こういったような国々と全般として日本としてはどういうふうにこれからつき合っていこうか。つまりこのWTOの中で、一方においてはなるべく同じ、近い条件で競争をしましょうと、こういうことがあるわけですね。しかし一方では、やっぱりアジアの国と協力するという面もあるわけですが、その辺をどういうふうにバランスとってとお考えなんですか、ひとつお伺いしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 今回のWTO協定もそうですし、先般のAPECの会合でもそうでございましたが、我々見ておりましても、発展途上国が極めて積極的、意欲的にこの問題に対応していることが非常に印象的でございました。先般のAPECでも、インドネシアがイニシアチブをとって自由化に向けての大きな中長期的な方向性を打ち出すということなどは、まさにその象徴的なことでございます。 ただ一方、確かに実務的にはこうした発展途上国が一遍にそれでは何でもかんでもできるかというとそうではないわけでございまして、今、議員おっしゃるように何がしかの、例えば猶予期間を設けるとか、そうしたことは考えなければならないというふうに考えるわけでございまして、これらのことは今回の協定の中にも何カ所か明示的に書いてございますし、私どもとしては発展途上国に対しましてさまざまな意味で協力をしていく必要がある、こう考えております。 技術的な支援もそうでございますし、それ以外に、政府開発援助においてもそうした支援が必要であれば積極的にこれを行って、世界の経済、世界の貿易というものが発展をしていくという方向にともどもに歩んでいくという気持ちが何より大事だというふうに考えております。
○大木浩君 先ほど知的所有権のお話がちょっと出ておりましたが、これからの経済の発展、特に新しいことを何か考えようということになりますとどうしても科学技術の力というものに期待せざるを得ないわけでございまして、そういった面でもやはり特許というような制度、知的所有権に関するいろんな制度があって、なるべく公正に競争しましょうということになっておる。ただ、今もお話しいただいたように、開発途上国には多少八ンディもあげなきゃいかぬということのようです。 先ほど通産大臣のお話で、先進国の間では特許制度についていろいろ随分長い間お話がありましたですね。今度のWTOの前に、先進国間では特許制度というものについての何か調整といいますか、日米欧あたりでの調整というものが大体一段落しておるというふうに理解していいでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先刻御答弁申し上げましたように、それぞれの制度のハーモナイゼーションは、今回随分図られたと考えております。しかし、問題はそれでは解決したかといえば、解消したわけではございません。その最大のものはアメリカの先発明主義でありまして、この点だけはまだ解決を見ていないわけであります。私ども、この交渉のプロセスを見ておりまして、一時期、アメリカも態度を変えて先願主義に変わるのかという期待を持った時期がございました。ところが、またこれがもとに戻った形になりまして、先進国の中ではアメリカだけがこの先発明主義を現在も採用しているわけであります。 我々としてはこれを何とか、欧州あるいはそのほかの国々とも連携をしながら、国際的な一つのルールとして定着をしております先願主義に移行させるような説得をこれからも続けていかなければならないと考えておりまして、残る最大の問題点はこの点かと、そのように考えております。
○大木浩君 もう一つ、今度のマラケシュ合意の中にも若干入っていると思いますが、繊維貿易ですけれども、これは日本はかつて繊維輸出国ということで、日米繊維戦争というようなことで随分輸出国としていろいろと苦労いたしましたけれども、最近ではむしろ近隣諸国からの輸入というようなことでいろいろと議論があるということで、今度のマラケシュ協定では従来のMFAはだんだんに消滅させていくということでしょうか。 いずれにいたしましても、そういったことを背景にして、先般、通産省の方でも輸入制限措置についての新しいまた制度というようなものを整備されたと思いますが、繊維貿易について通産省としては今どういうふうに考えておられるか、日本を中心にしてのひとつコメントをいただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) とっさのお尋ねでありまして手元に資料がありませんので、概略、自分の記憶の中でお答えすることをお許しいただきたいと、こう存じます。 まず第一点に、MFAは消滅するのかというお話でありましたが、消滅はいたしません。そして我々は今、セーフガードのルールを整備しつつあります。同時に、このウルグアイ・ラウンド協定の論議の中におきまして、繊維につきましては十年という期間を担保いたしました。これによって通常より長い期間保護を加えていく体制にございます。また先般、これは特定国の名前を挙げて申しわけないと言わなければならないのかもしれませんが、ジャカルタにおきまして、例えば中国との論議の際、中国側に秩序のある貿易を求めるといった努力も別途いたしておるわけであります。 我が国の繊維庫業は、確かに今、産業として非常に厳しい状況に置かれており、より付加価値の高い商品構成で競争していかなければならない状況にあるわけであります。そして、そうした視点からの市場のニーズをより把握し、市場の求めるものを生産する体制への移行、さらには流通における努力、こうしたことを含めてのさまざまな措置を講じつつありますが、一番大きなものは十年という期間ではなかろうか。同時に、今後セーフガード措置を整備をいたします。その上で果たして業界がどのような判断をし、考えていかれるのか。この辺にかぎがあるように考えております。
○大木浩君 今、繊維の貿易について通産大臣から御説明ございましたし、最近中国の方で自主規制を、向こうから何かそういう話も来ておるというようなことでございますが、いずれにいたしましても、私の愛知県も繊維産業をまだ抱えておりますし、まだまだ繊維産業は大事な産業でございますので、どうぞひとつ繊維産業についても発展ということについてよろしく御配慮をいただきたいと思うわけでございます。 それから、余り時間がございませんのであと一、二問で終わらせていただきたいと思いますが、最近はガットというものに既に旧共産圏の国がだんだん入りたいというようなことを言っておりますし、いずれ中国なりあるいは旧ソ連のいろんな共和国が入ってくるのか、すぐには入れる体制ではないんでしょうけれども、だんだんにそういう動きはあると思います。これらの国々も今度は市場経済ということだから、だんだんに入り得る体制は進んでくるんだろうと思いますが、こういった国々が加入してくることについて、これはひとつ外務大臣はどういうふうに理解しておられるか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 御案内のとおり、WTO協定は百二十五の国と地域が参加をしている。これは言ってみれば、国際社会の中で国連に次ぐ最も多くの国の参加によって経済貿易のルールをつくると、こういうことであろうと思います。 私どもは、こうした共通のルールのもとで経済や貿易が発展していくということはまことに結構なことでございまして、こうしたルールを忠実に守る、誠意を持って守るということである限り、多くの国が参加をされるということを歓迎したいというふうに思います。
○大木浩君 きょうは総括質問で余り細かいところに入れなかったわけでございます。 私、先ほどからお話を伺っておりますと、例えば通産大臣のお話にもあったんですが、WTOあるいはマラケシュ協定のいろんな中身というものはそれぞれ一つの条文としてあるんです。それの枠外と言っては悪いんですけれども、それと一緒にいろいろと二国間の協定あるいは交渉というようなものもまだまだあり得るように伺っておりますし、それからWTO協定自体を見ましても、それを読んだだけでは本当に実際どういうふうに運営されるのかということが甚だまだ明らかでないというようなこと、これは恐らくまだ政府問でも交渉しなきゃいけない問題がいっぱい残っているんだろうと思います。ということでは、もうこれで終わりだということではなくて、農業にしろあるいは商工業にしろ、まだまだ日本の国益を守るためにはしっかりやることがあるのだろうと思います。 先般の細川内閣のときにマラケシュ協定を一応基本的に受け入れるというお話になりました。あのときでも、あえて申せば、農業に関してはもう一つ粘り強く交渉する余地があったんじゃないのかということは自民党としても申し上げましたし、自民党の要請で、あのときは羽田外務大臣でしたか、わざわざ行っていただいたんですけれども、残念ながら余りあの時点では物を直すとかというようなことにはつながりませんでした。 どうぞひとつ、これで終わりということではなくて、今言いましたように、WTOの運用あるいはその関連の協定の外でも、日本の産業、日本の経済というものを守るために、総理を初め閣僚一致団結してひとつ御努力を願いたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○委員長(矢田部理君) 同じく上杉君の関連質疑を許します。大塚清次郎君。
○大塚清次郎君 私の関連質問は昼を挟みますので午前中は五十五分ぐらいまでだと思いますが、端的に御質問申し上げたいと思います。 まず、外務大臣に対して。 実は、先ほど上杉議員からもあっておりまして、総理、外務大臣と受け答えがあっております。十一月二十三日ですか、クリントンとドール共和党院内総務の取引で、実は近いうちにいわゆる監視委員会的なものを法制化するということがアメリカの実施法案可決への一つの条件になっておる。これはWTOの今度整備された組織・機構、規定からしますと、まあ拘束はしないと思いますけれども、非常な一つの、脅しと言っては語弊がありますが、そういう圧力になる可能性が高い。それからもう一つは、今度は国内法として例のスーパー三〇一条、これを行政命令から法制化する、アンチダンピング法等もある。考えてみますと、これは前の東京ラウンド、あの紛争処理の規定が、またやり方が非常に公正を欠いたのでこの際きちっと整備しようというのがねらいだと思うのですね、ウルグアイ・ラウンドで。だからかなり整備されたと思いますが、やっぱりそこに私は着目して、アメリカが国内的に、あるいは監視委員会等、外に向かって縛りをかけてきているんじゃないか、こう思いますが、どうですか。
○国務大臣(河野洋平君) アメリカの行政府とドール議員との間に話し合いが成立をしたと。 そこで、幾つかあるわけでございますが、その中で、我々、新聞等も大変関心を持ったのは、五人の連邦判事を選び出して、五年間の間に三件以上アメリカに対して不利益なしかも不当な判断が出ればそれはチェックするぞと、こういうことでございました。この点は、確かにアメリカは不利益はもう断じて受け入れられない、こういう強い決意を示したというふうに言われておりますけれども、それは不利益でありなおかつそれが不当である、つまり恣的な判断でアメリカが不利益をこうむる場合には、そういうことが三件以上あれば次の行為に移るよと、こういうことを言っているわけで、あれは我々冷静に見ると、確かに恣意によって不利益をこうむるということを書いているように私どもは見ているわけです。 なおかつ、それは議会の判断であって、USTRのカンター氏などによると、だからといって大統領はそれをそのまま受け入れるとは限らぬよと、こういうことも言っておりまして、アメリカの行政府が議会との間の話し合い、ディールによってああしたことを決めはしましたけれども、結果としてアメリカはWTOそのものは承認をするということであることは変わりがないというふうに私は見ております。
○大塚清次郎君 どうもわかりにくいんですが、実際これが動き出したときにやっぱり相当な縛りになってくるということは考えておかなきゃならぬということですよ。 ですから、アメリカ・アズ・ナンバーワン、こういったような思想が、今までのものがWTOの整備された規定で行われるとどうしてもこういう歯どめをかけておかぬといかぬというのが今度の取引だと思うんです。ですから、そういう点についてはしっかり外交上参加国と一緒になって対応してもらわないと困るんです。それでなくてさえこのウルグアイ・ラウンド合意が、特に農業分野については輸出国と輸入国の間に大変な不公正、不公平が残っている。だから、これでやられた日には本当に大変なことになると、こう思います。 それからもう一つは、いわゆる国内法のスーパー二〇一条の法制化ですね。これもやっぱり一つの圧力の材料に当然なるわけでございます。特にこの場合、WTOの紛争処理の手続は、提訴からいわゆる勧告の採択まで二通りのマニュアルがありますけれども、この中で一年ということなんです、最長。この一年の中に始末しないと、片方はスーパー二〇一条なりアンチダンピング法、これは二国間でやるわけですからそのタイムラグが出てくるおそれがある。そうした場合は、決定的な私はこれはおどしになる、こう思うんですけれども、私の常識的な考えはどうでしょうか、外務大臣。
○国務大臣(河野洋平君) WTOにおいてパネルが正確に判断するかどうかということに何よりも問題があると思います。 今回は、仮に紛争が起こった場合には紛争当事者はもちろんそのパネルに参加することはないわけで、その紛争処理のための小委員会が、パネルが、まさに正確な事実関係に基づいて正しい判断を下すという限りにおいて問題はないのではないかというふうに私は見ているわけです。 WTOがまさに正しく機能するように我々も監視しなければならないと思いますし、またその判断が、例えば特定の国によってその判断が恣意的なものになる、あるいは曲げられる。私はそういうことはないと思いますけれども、仮にそうなった場合には、我々はWTOの仕組みの中でそれを解決するという努力をしなければならないし、またそういうことが今回のWTO設立の大きな意義であるというふうに考えます。
○委員長(矢田部理君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十五分休憩 ―――――・――――― 午後一時一分開会
○委員長(矢田部理君) ただいまから世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結について承認を求めるの件外七法律案を議題とし、質疑を行います。 上杉君の関連質疑を許します。大塚清次郎対。
○大塚清次郎君 午前中に続きまして、今度は事柄を変えまして、先ほど上杉議員からもちょっとございましたけれども、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業交渉の合意の関連対策について質問をいたします。 このことにつきましては、昨年の十二月、あの断腸の思い、苦渋の決断、そして万全の対策ということで一連の大綱が出た、その中に金目を盛ってもらいました。特に、農水省にかかわる六兆百億円、この点について衆議院でそれこそがくがくの議論があったことも知っておりますが、最後にどうも別枠扱いの問題をめぐってなかなかしっくりしたかみ合いがなされませんでしたので、そこを政府・与党首脳会議でも相談いただいて、統一見解として村山総理から十二月一日に出たわけであります。 先ほどもそれについて上杉議員に答弁されたわけでございますが、これは、そのような苦渋の決断、そして万全の対策というその延長線上でこの予算化の問題が今平成七年度を中心に現実のものとして扱われようとしておるわけでございます。 そこで、この統一見解をよく読んでみますと私にはわからないところがある、頭が思いせいか。実は、政府の責任で決めたんだから予算できちんと対処する、従来の農林予算に支障がないようにするという前段がありまして、本音の部分としまして、この対策事業費の財源をひねり出すために従来予算を削ったり抑えたりはいたしませんよ、そして一面では、他の予算と同じように年々の予算編成過程で総合的に検討するということになっております。脈絡があるようでありますが、ないようでもこれはあるわけですね。 実は、私にはわからない点がございますが、もう少し詳しくこれを敷衍しますと、私は、この別扱いの大合唱の中でこの統一見解を最終的に出されたということについては、七月二十九日の閣議了解、概算要求についてということが出ておりますが、その中で七年度予算については、この対策予算については予算編成過程でひとつやっていくんだ、検討する、こういうことに決まっておるわけで、したがってなかなか別枠ということは言えない。そして、一つ別枠をつくれば各省庁にわたって別枠を許さなきゃならぬから収拾がつかなくなるということだから、これはどうしても財政責任者であります大蔵大臣も言えないと思うんです。 それでは、これでみんなが了解するだろうか、あの苦渋の決断、万全の対策を了解するだろうかと思いますと、これはなかなか国民にはわかりにくい。今、現場では非常にわかりにくいと言っております。ですから、これはこの際ひとつみんなが納得するような文責、表現にされないものかということを私は思うわけでございます。 これは、別枠という言葉が使えないとすれば、この統一見解の背景として意味するところは、年々の予算がある、これはシーリングでやっている、大蔵省に予算編成権がありますから既定予算についてはこれでやっぱり考える。そして、今度の対策予算は全く新しい事業として六兆百億円の事業費を今度は真水で予算化していく。だから、私は二階建てになるんじゃないかと思いますね、二階建て。そうでないと、そこを分けないとスクラップ・アンド・ビルドを無限に許すことになる。しかし、それは従来予算を意図的に削ったりというようなことはしないということだから、どこかでひとつきちっとした見解を出すべきだと私は思いますけれども、総理、どうですか。
○国務大臣(武村正義君) これまでの経緯も大変よく御理解をいただいてお尋ねをいただいているわけでございます。衆議院でもこのことはもう十何回か御質問もございまして、真剣な論議が行われてまいりました。先ほど上杉委員の御質問に総理が改めてこの見解をお述べいただいたわけでございます。私どもとしては、ぜひもうこの表現で信じて御理解を賜りたい、ひたすらそう思っているところでございます。 要するに、別枠論というのはどっちかといえば形を非常に主張なさるというか、大事にされる議論であります。それに対して、私どもは中身でお答えをしている、これは新しい事業でありますということでお答えをしている。そこにいわばすれ違いがあるといえばあるわけです。 なぜかといえば、もう委員が先ほどお話しいただきましたように、概算要求の方針を七月二十六日、村山政権発足直後でございましたが、決定をいたしました。当時からも別枠の要求はいろいろございました。新幹線あり、中小企業あり、新ゴールドプランあり等々、一方を認めれば収拾がつかなくなる、シーリングそのものがもう壊れてしまいかねない状況も予想されます中で、ひとしおウルグアイ・ラウンドの対策費は、本当に苦渋の決断の後、農家の皆さんに厳しいけれども新しい農政の道を問いていく政府の姿勢を明らかにする事業予算であると。このことは、規模のこともそうでありますが中身においても、この厳しい農政の状況の中で、それでも基盤整備一つとりましても高生産性の規模の大きい、そして担い手といいますか、この中で意欲的にやっていこうという農家の方々に対応できる予算を組んでいこうということでありますし、過去の借金の問題や土地改良事業の負担の軽減の問題も基本的にはそういう視点に焦点を合わせながら六兆百億円の事業を編成させていただいたということであります。総合的に予算の印で配慮するということは、これはどの予算もそうでございまして、新しい事業だからあるいは別枠だからといっても特別に何か別の予算が用意されているわけではありません。 予算は一般財源を充当させていただくか、あるいは建設国債を充当させていただくか、あるいは融資等がありますれば財投の資金等を充当させていただくか、あるいはNTTということもありますが、そういうさまざまな財源措置を総動員この六兆百億円のお約束をした事業の対応に当たらせていただくということでございます。
○大塚清次郎君 武村大蔵大臣一流の言い回しでますますわかりにくくなりました。 そこで、これは率直に言って私は、名目別枠でなければ、それじゃどういう表現を使うかという問題ですよ。やっぱりああいう文言の羅列でははっきり見えない。だから結局、平成七年度の予算を組む、しかしシーリングは他省と同じようにかかる、平成七年度の既定予算、従来予算にはかかるでしょう。 しかし、この新事業予算、対策予算というのは上積みなんですよね。上に、その上になんです。ですから、別枠という言葉がそういうことでいろいろの制約があって出てこない、出せないならば、やっぱり農水省の従来の予算規模の上積みということぐらいは言わないと、それは歯どめがないじゃないですか、歯どめが。 というのは、十二月一日、斎藤大蔵事務次官は、非常に厳しいですよ、これは一般論でございますけれども、だからどこの省の予算をどういうふうに削るかということについては、やっぱり総合的にですから農林水産省を余計削ることもあり得るということになる。そうすると、実質的にはビルド・スクラップになっちゃうということ、意図的でなくても外からは意図的に見えることになっちゃう。その心配をなくそうというわけでしょう。だから、それはそうしないと、苦渋の決断、断腸の思い。そして万全の対策と、言っている以上、それにふさわしい形を、統一見解はあれでもう訂正しろと、言っても総理は訂正されないでしょう、しかしやっぱりそういったようないわゆる敷衍あるいはブリーフ、背景説明、こういうのをして、この非常な不安感を消してください。どうですか。
○国務大臣(武村正義君) おっしゃるとおり、概算要求の農林水産予算の上積みということを認めるということは即それは別枠ということになるわけであります。そのことは私どもとしては認めておりません。 しかし、あくまでも新しい事業と申し上げておりますように、もう予算も遠い話じゃなしに、今もう農水省、大蔵省も含めて事務的には予算編成真っただ中でございます。間もなくこの国会が終われば政治ベースでも御参加をいただいて最終の年内仕上げに向かって、もう幾日も日がない状況でありまして、ということはもう間もなく私どもがお答えを申し上げていることが数字で結果としてはっきり表に出るわけでございます。当然、予算書ができますれば一体新しい事業はどれとどれで総計幾らだということも皆様から厳しく問われるわけでありますから、そのことを踏まえて私どもは誠心誠意お答えをしているつもりでございます。 総理がお答えしましたウルグアイ・ラウンド対策への新しい事業の第一年度として、こうした事業は優先的に予算編成の中でしっかり責任を負って配慮をさせていただくということを繰り返し申し上げます。
○大塚清次郎君 くどいようでございますが、もうちょっとはっきりしません。実は随分前向きになってきました。 だから、ここでは従来の農水省予算規模、これがシーリングにかかっていくけれども、六兆百億円というのは例えて言えば真水にすると三兆円になるかどうか、六年のタームで。そうするとこれをならしても四、五千億円。そうしたら三兆四千億円の今の予算は、通常シーリングをやって出入りがあると思いますよ、しかしやっぱりふえるのは間違いない。だから平成七年から六年間予算規模はふえると、これを言わないと、やっぱりそれは言えないということになってはこの統一見解に書いてあることに私はもとると思うんです。 総理、どうですか。武村大蔵大臣ではもうなかなか、財政当局ですから、結局斎藤事務次官のこの十二月一日、殊さらに十二月一日、こういう談話を記者会見で出しておりますよ。
○国務大臣(村山富市君) 今、大蔵大臣から御答弁がございましたように予算編成の過程でございますから、その過程でこの予算はこうしますああしますというようなことをここで答弁することは差し控えたいと思うんです。これはもう出た結果によって御批判をいただく以外にないと私は思うんです。 ただ、先ほど来委員からも御指摘がありますように、国会、衆参両院であれだけの決議をしておった。その決議が完全に守られるといったようなことにはなり得なかった。ミニマムアクセスを受け入れざるを得なかった。必然的に日本の農業というのはある意味では世界的な経済・貿易の自由化にさらされるわけですから、そのさらされる日本の農業をどうして維持、守っていくか、そして国民の食糧が安定的に供給できるような体制というものをどうつくっていくかという極めて厳しい課題を背負っておる。その厳しい課題に対してどうこたえていくかということの心構えだけはしっかり持って考えていこうということについて十分御理解をいただきたいというふうに思います。
○大塚清次郎君 それでは、私は次に進みますから最後に。 この問題については目に見える形で、農水省の従来の三兆四千億という予算規模が今度の平成七年度の予算において農家に万全の対策を約束された。断腸の思いとか苦渋の決断は過去のこと、万全の対策は将来に向けて約束されておるわけですから、ひとつ全部に見えるように、ああ、やってくれたんだなということが鮮やかに見えるようにしないとこれはやっぱり政治不信につながってくると思うんです。 したがって、その点について、特に予算編成という人権を握っていらっしゃる武村大蔵大臣、ひとつ勇断を持ってそういうことになりますようにお願いいたしたいと思います。これで終わります。 それでは次に、新食糧法に関連しまして米の需給管理、それからそれと関連します生産調整、これについてひとつ農水大臣なり食糧庁長官にお伺いしたいと思います。 実は、米事情は一転大変な事態になってまいりました。特に去年の緊急輸入の余り米の処理、それからことしの豊作、そして去年五十八万ヘクタールに減反を減らしておりますので復旧がかなり進んでおるということ、それが米の生産増をもたらすということ、それからそれにいよいよミニマムアクセスを受け入れなきゃならぬということ、だからこれは来年の十月末に非常に重い在庫を抱えることになるんではなかろうかと思います。 農水大臣、今度提案されておる新食糧法は施行当初からこの重荷のために非常に需給がうまくいかぬということになりかねないと思いますので、その点について大臣の御所見を簡単にお願いいたします。
○国務大臣(大河原太一郎君) お話してございますが、まず現行制度のもとにおける需給関係、それからだんだんにお話を申し上げますが、緊急輸入米、これは九十八万トンの在庫がございます。これは国内流通とは切り離しましてそして息長くこれを処理する、そういう基本方針でございまして、実需がありますれば受け身の形で低価格米としてあるいは加工原料用米として出す、最後は主食に向かなければ飼料その他主食以外の用途に回すということで取り扱っていきたいと思うわけでございます。 さて、ただいまお話がございましたように生産調整と在庫の問題でございますが、御案内のとおり昨年大凶作で、ゆとりある需給を確保したいということで平成六年、七年歳米で八年の米穀年度末には、百三十万トンの在庫を造成しようとしたわけでございますが、御案内のとおり作況指数一〇九と。したがって、来年の平成七米穀年度末には百五十万近いものが在庫として出るというような情勢でございます。 このことは、単に政府在庫がふえるだけではなくて、御案内のとおり今、流通の主体が自主流通米でございますから、したがって自主流通米の売れ残りなり価格の下落というような問題が生じてくることははっきりしているわけでございまして、生産者サイドの皆さんからもそのようなお話が出ておるわけでございます。しかし一方では、今もお話しございましたが、稲作経営の安定ということで二年間の転作の固定ということも、これも公の約束でございます。 したがって、この自主流通米の販売環境の極めて厳しい条件とこの二年間の農家に対する約束というものをどうするかという問題でございまして、ざっくばらんに申し上げましてただいま生産者団体と協議をやっておる最中でございます。
○大塚清次郎君 ただいま農水大臣から御答弁いただいたわけでございますが、私もこの新食糧法、画期的な米管理システムが当初からつまずかないように、これは経過段階でつまずくと大変なことになりますから、これを特に農水省としてはいろいろ対応策を講じていただくということでございます。 さて、今度の新食糧法は備蓄が柱になっている。だから米の消費需要と供給、このバランスがこの百五十万トンという年々の備蓄を柱にして均衡していくということが一番望ましいわけでございます、これは国内藤についてのみですが。それで、そうなった場合にやっぱり生産調整を将来、これはこれから施行までの間に、来年は間に合わぬかもしれませんけれども、本格的な調整のシステムを一遍考えないと、猫の目のように変わっていくということが非常に生産者としても耐えられぬし、また農水省としても見通しが困難でございますので、これをきちっとひとつお考えいただきたい、こう思います。 ところで、来年の作付は迫っております。だから、二年固定の約束、二年の生産調整面積固定ということばかりではこれはいかぬと思いますね。そういう意味では、この際ひとつ生産調整についての報奨措置について十分お考えいただいて、調整水田等の知恵も出ておるようでございまするから、ひとつ手厚いものをお願い申し上げたい。 その一つの理由としては、生産調整始まって以来もう相当になりますけれども、一番高い生産調整奨励金の年は十アール当たり六万円でした。今、ずっと漸減して十アール当たり一万七千円。しかも、これはいわゆる変質化しております、生産調整奨励金の中身が。というのは、構造政策へ同けて誘導する役割が相当重くこの減ってしまった一万七千円の十アール当たりの奨励金に入っておる。 ここら辺、今度ウルグアイ・ラウンドで減反は新たに日本の義務になりました。減反をしておかないと、米の国境措置で、これはもういけないという一つの義務になっておる。それから輸入も義務になっておるという新たな事態があるわけでございますので、そういう点ではここでその報奨措置を、いわゆる生産調整の助成金等の報奨措置をひとつここで手厚くしていただきたい。これは要望でございます。お答えは求めても具体的に出てこないと思いますので、来年の事態までにひとつ。ただ、農林水産大臣の気構えだけをひとつ。
○国務大臣(大河原太一郎君) 先ほどお答え申し上げましたように、ただいま生産者団体と私どもと十分な話し合いをいたしたいということでやっております。 その話し合いの過程でも、ただいま大塚委員は、例えば水張り水田のお話などもありまして、生産調整の手段の多様化の問題もございましたし、この奨励措置の問題もその一つになるかと思いますが、これらについては十分話し合いの過程で決めていきたい、さように思っています。
○大塚清次郎君 次は、農業交渉で今度の特別セーフガードの制度、これが織り込まれております。一般的なセーフガードもございますが、このセーフガードの効用といいますか、効き目といいますか、これについて私は非常に疑問を持っております。 実は、米等については七〇〇%という高いところから考えられておりますが、今自由化されましたものについては、例えば牛肉であれば関税率は今度五〇%になる。そして、これのセーフガードの役割を果たす最高関税率は、五〇と七〇が三八・五と五〇に今度下げられていくわけでございますが、それと同様に関税率を見てみますと、セーフガードに関税率を使うというような場合、今の状況では私は、量的な輸入制限をこれに置きかえたわけですが、その関税率の高いものを適用して防ぐということはできないと思います。 というのは、今の購買力平価水準とはるかに乖離したこの円高の問題が一つあります。それからもう一つは、彼我の、輸入相手国とのコストの差、いわゆる内外価格差、コストの差による内外価格差があります。それから農産物については、それぞれの種目に大体輸出大国ではメジャーという、穀物メジャー、シトラスメジャー、非常に寡占化されておるという状況があるわけでございますので、セーフガード、いわゆる緊急輸入制限措置というもの、いわゆるその関税率を飛び越えてどんどん入ってくるということが起こり得るわけでございます。その一つの象徴的なあらわれが牛肉じゃないでしょうか。 牛肉は、いわゆる年々一七%以上前年より余計入ってきたときは高い関税率を適用しますよと、こうなっておりますけれども、それでとめられるかというととめられないんじゃないですか、今のところ、最的な輸入制限をしない限りは。それで山中私案という牛肉輸入調整法が一つ試みられたわけですが、これはなかなかウルグアイ・ラウンドとの関係でうまくいかない。そういう点について、東経済局長、どうですか。私の言うとおりになりませんか、なりますか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 大塚委員がおっしゃいました特別セーフガード、これは今度関税化される品目について適用されるものでございまして、牛肉等については、また後ほど申し上げますが、別途の措置がとられたわけでございます。 特別セーフガードの対象品目につきましては、関税化品目については内外価格差を前提とした相当高い関税が張られております。もちろん為替相場の変動その他ございますけれども、したがってそれについては当価大きな影響はないであろうというふうに見ておるわけでございます。それが第一点でございます。 それから年内については、お話しのとおり、これはもう既に自由化されておりますが、今日の輸入牛肉の問題その他から、特に農業交渉におきましても別途の交渉で、四半期別に見て輸入数量が一七%以上増大した場合においては五〇%の関税に伸ばす、そういうところでございます。したがって、関税ではなかなか防ぎ切れないという問題があるわけでございますが、これについてはガット十九条の、輸入の急増等によって国内産業に損害を与えまたは与えるおそれがあるということで、関税の面における措置をするかあるいは輸入数量制限をするかというところ、これを発動するかどうかということだというふうに理解しております。
○大塚清次郎君 特に牛肉については、国内自給というのが非常に追い込まれておる。もう恐らく需要の半分以上じゃないかと思いますが、まごまごしていると国産の牛肉が消えてしまうということにもなりかねないと思います。それが一つの例でございますので、各般のそういうことについて今後農水省はひとつしっかり対応していっていただきたいと思います。 最後に、もう四、五分しかございませんが、米のミニマムアクセスにいわゆる売買同時契約制度方式というのがあります。これは非常に私は気にかかるんです。いわゆる国家貿易として全部六年間入れていく、輸入していくということで国内のものと遮断していくということですが、なぜSBS方式が一部たりといえども入ったかというと、これはアメリカの圧力なんじゃないですか、どうでしょうか。まずそこから。
○国務大臣(大河原太一郎君) お答え申し上げます。 必ずしもアメリカの圧力ではないわけでございまして、私どもとしては輸入外米、これの国内評価を決めて、それで政府の売り渡し価格をどうする、国家貿易ですからこれに差益を乗せて売るんですが、その場合の国内評価を確かめるためといいますか、国内評価を定めるためには一部売買同時契約方式、SBS、これによってやったらしかるべきだろうということでございまして、かって牛肉がまだ専業団一元輸入の際においてもSBS方式を利用してそれで輸入牛肉の国内における評価を決めた例もあるわけでございまして、一義的にはそのように理解していただいたらいかがかというふうに思います。
○大塚清次郎君 最後に、時間がございませんが。 今のSBS方式については農水大臣はそうおっしゃいますけれども、いろいろ私に聞こえてくるところでは、間違いかどうか知りませんが、これに大きなアメリカの将来の日本の米市場参入のなにがここに出てきたなということでございます。 ですから、そういうことであるにしてもないにしましても、この同時売買のやり方、食糧庁でおやりになる、そうした場合に入札条件の設定、これに非常に気を配っていただきたい。例えば予定価格は置くのか。談合のおそれさえこれはあるんですよ。いわゆる卸業者と輸入業者がペアになって入札して、差の開きの大きいものから例えばその人にこれを扱わせるということになるとすれば、やっぱり入札の条件等で相当きちっとした対応をしていかないといけないんじゃないかと思いますが、その点については食糧庁長官、どうですか、最後に。
○政府委員(上野博史君) SBS方式も、国家貿易全体の方式の中の一つの分野としてこれから具体的な手続、条件等を検討してまいりたいと思っております。先生の御指摘も十分に踏まえながら検討してまいりたいと思います。
○大塚清次郎君 ありがとうございました。
○菅野久光君 村山総理に対しまして質問する前に、まず総理御就任、大変時期はおくれましたけれどもおめでとうございますというふうに申し上げますが、それと同時に本当に心から御苦労さまですと申し上げたいというふうに思います。 村山内閣が誕生して五カ月余りたちましたが、自さ社連立内閣は大きな政治課題を次々に解決をしていくということで、課題解決内閣といいましょうか、そういうことで大変高い評価を受けていることは大変私もうれしいところでございます。総理を初め閣僚の皆さんに心から敬意を表したい、このように思います。 この本委員会にかけられております審議案件もまた、国際的にも国内的にも大変重要な課題でございます。七年かかったガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉締結に伴っての世界貿易機関、いわゆるWTO設立協定並びに関連法案の審議でございます。ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉においては、特に農業部門での交渉が難航いたしました。農産物と工業製品の貿易を同じように取り扱うのには無理がある、それぞれの国における米などのような主食は例外にすべきだというふうに私どもも主張し、また政府も主張して交渉してきたというふうに思います。 しかし、例外なき関税化をうたったドンケル・ペーパー、最終的には昨年の十二月八日、ドゥニー市場アクセス交渉議長から関税の特例措置を含む調整案が提示されまして、昨年の十一月十四日未明、最終的に当時の細川総理が、ウルグアイ・ラウンド交渉全体が妥結するとの前提のもとに、農業交渉の調整案を受け入れるとの決断を下されたわけでございます。私ども社会党も与党として本当に苦渋の選択を迫られて、特に村山総理も委員長として両院議員総会を開き、断腸の思いでこれを受け入れるということを決めたのでございます。 私は、三度にわたる国会決議と、米などの例外なき関税化反対を農民の皆さんとともに運動し闘ってきた者といたしまして、本当に私の人生の中でこんなにつらかったことはなかったというふうに思います。私たちが米などの自由化に反対してきたことは今でも間違っていない、正しい主張だったというふうに思っています。世界の人口と食糧、そして環境問題などを考えるときに、それぞれの国の農業を守ることは大変重要なことであるというふうに思いますが、総理はどのように思われるでしょうか。 ガット・ウルグアイ・ラウンドも一応は合意して、そして合意のもとでWTOによって新たな秩序のもとでの貿易が行われるのでありますが、日本はこれからいろいろな場で私どもの主張が実現できるように努力をすべきではないかというふうに私は思うんですけれども、総理のお考えをまず初めにお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(村山富市君) 冒頭に、村山内閣発足につきまして丁重なごあいさつをいただきましたことを心から感謝申し上げます。 今、委員からの御意見を拝聴しながら、昨年暮れのあの調停案を受け入れる際に、社会党も二晩ほど徹夜をして両院議員総会で議論をしながら苦渋の選択をして、これはもう受け入れることは忍びないけれども、しかし農業だけで経済が立っているものではないし、世界における日本の立場というものを考えた場合にこれはもうやっぱりやむを得ないと。特に連立政権に参加している立場からすれば、これをのまざるを得ないという苦渋の選択をして決断をしたという当時のことを思い起こしているわけであります。私は、当時の政府もそれなりに国会決議を踏まえて、何とか農業は別枠にして関税化から外すという方向で努力もしてもらったんではないかというふうに思っておりますが、その結果として、特別な扱いにしてミニマムアクセスを受け入れるということにならざるを得なかったということについては、十分皆さん方からも御理解をいただいていると思うんです。 それだけに、農業の持っておる特殊性というものを踏まえてこういう特別な措置がとられたというこの経過、それからまた今御指摘がございましたように、農業が持っておる例えばこれからの人口と食糧の関係とか、あるいは国土の保全、環境の保全といったような多面的な農業の持っておる役割といったようなものを踏まえて、私はあらゆる機会を通じて主張していく必要があるんではないかというふうに思っています。 先般開かれましたAPECの会合の中でも、そういう農業の持つ特殊性というものを強調して特別な配慮をすべきではないかという意見も申し上げておりまするし、同時に、国連食糧農業機構といったようなものもあるわけですから、いろんな機関を通じて私はその特殊性を主張しながら、私どもの意図するものが実現できるように努力していく必要があるということは当然だというふうに考えています。
○菅野久光君 総理から、私の思いと全く同じような方向でこれから努力されていくという答弁をいただきまして、多くの方々が納得してもらえるのではないかというふうに思います。 いよいよ世界貿易機関、すなわちWTOの設立協定の問題でございますけれども、七年以上にわたる交渉期間の長さもさることながら、条文規定としての量的膨大さの点、私どもの部屋にも一メートル何ぼ高く積み上がっておりまして、とてもとてもそれを見るなんというようなことはできないのでありますが、その量的膨大さの点でこれまでのいかなる条約をもしのぐようなものになっているというふうに思います。 また、多角的貿易体制を構築する上で、従来のように物だけでなく対象分野をサービスや知的所有権といった新しい分野にまで拡大したことや、関係文書をすべて一体の協定として統一的運用が図られるようになったこと、WTOという法人格を持った正式の国際機関を創設したこと、そして紛争解決手続を強化したことなど、今までにない形の条約であるというふうに思います。しかし、同時にそのことは、この協定が発効した暁に、本当に意図した実効性を上げ得るのかどうかといった不安にもつながるわけでございます。 例えば、物、サービス、知的所有権といった相異なる分野のものを一つのパッケージの中でルール化することとして、しかもこれらを一括して受諾することを義務づけたシングル・アンダーテーキング、外交用語というのはやっぱり横文字があるものですから片仮名で申し上げますが、こういうことの採用や、これまで認められてきた祖父条項、いわゆるグランドファーザークローズを廃止してすべての国内法をこの協定に適合するようにすることを義務づけたわけですね。さらには、ネガティブ・コンセンサス方式の導入によって、場合によっては加盟国の主権侵害につながりかねない紛争解決方法がとられるということ。協定違反に対しては分野を超えた措置、いわゆるクロス・セクトラル・リクリエーションが認められることなど、そのどれもが画期的な内容であるだけに逆に加盟国問に無用なあつれきを生じさせて対立を激化させるのではないかということが懸念されるのでございます。 貿易の拡大を最優先の目的に掲げて多角的貿易体制を構築して、そのために非常にきっちりとした枠組みをつくろうとすることは評価されるところでありますが、その枠組みが余りにも強固であるだけにそのシステムが有効に機能して実効性を持ち得るのか心配であります。もちろん政府はそのような心配はないとの立場であろうとは思いますが、この協定の実効性に全く問題はないのか、外務大臣にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 御指摘のとおり、極めて画期的な貿易・経済体制をつくろうと、こういうわけでございます。多数国間の約束事でございますし、今までルールが全く確立されていなかった分野にも新たに踏み込んでおりますだけに御指摘のような心配をする向きがあると思います。しかし、私どもはWTO体制といいますか、この協定発足後はそうしたことのないように各国が一致して誠実にこのルールを尊重するということでなければならないと思っております。 おっしゃいますように、この協定の中には紛争処理手続が入っておりまして、この紛争処理手続というものをやはりお互いに尊重して、問題があればこの手続によって、もちろん事前に交渉で紛争が処理されることが望ましいわけでございますけれども、この手続によって公正、適切に処理をされていくということにしなければならない。私どもも国会で御承認をいただき、WTO体制がスタートいたしますれば、この体制が当初の目的どおりきちっと機能するように全力を挙げていきたいと思っております。
○菅野久光君 当然、政府としてのお立場はそういうことだろうというふうには思います。しかし、この協定をそれぞれの国が批准するに当たって、とりわけアメリカの対応が一番皆さんが心配していることではないかというふうに思うんです。 それはしばしば指摘されますように、アメリカの実施法第百二条の(a)の(1)は、ウルグアイ・ラウンド合意のいかなる規定も連邦法に適合しない場合には国内法上の効力を有しない、こういうふうに規定しておりまして、WTO協定よりも米国の国内法が優先適用されることを明らかにしているというふうに思うんですね。もっとも、このことはウルグアイ・ラウンド合意により生ずる新たな米国の権利及び義務と適合させるために米国政府は国内法を変更することとしておりますが、WTO協定と米国国内法とは抵触しないことが前提になっているのかどうなのか、そこのところについては各方面でいろんな誤解があります。 日本では条約が優先、上位規定なんですが、アメリカでは国内法が上位規定になるのではないか。だから、条約の批准ではなくてウルグアイ・ラウンド協定の実施法案を可決した、その中でWTOの問題も承認をしたという形になっているので日本の国とは仕組みが違うのかなとは思いますが、この点については特にいろいろ心配している向きがありますので、その辺をお尋ねいたしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 御指摘のとおりでございまして、アメリカの法律の仕組みは国内法優先ということになっておりまして、これは何もこのWTO協定と国内法の関係だけが国内法が優先ということではございません。アメリカは本来、国内法優先主義といいますか国内法優先という法体系をとっているわけでございまして、今回もまたそうした文言が入っているということでございます。 したがいまして、WTO協定と国内法の整合性を精査して、それが今御指摘のように矛盾のないように実施法をつくっておられるようでございます。しかし、それでもなおかつWTO協定と国内法がぶつかる場合には国内法を優先するよということを明示的に書いて、しかしアメリカ政府はその場合には自動的に条約、協定が優先するのではなくて、問題があれば国内法が優先するけれども、そのときにはきちっとWTO協定に適合する、整合するようにいたしますということもまたこれは政府はきちっと言っているわけでございまして、十二月二日にアメリカ上院で可決をされました実施法案は、WTO協定そのものを誠実にアメリカが履行するという意思を明確にしたものというふうに私どもは見ております。
○菅野久光君 大臣からいろいろお話がございましたが、フランスのラマスーレ欧州問題大臣が、米国がもしウルグアイ・ラウンド合意を少しでも修正する立場をとるならフランスも同等の立場で対抗するというふうに語っておられるわけです。 それだけに、今回のアメリカの実施法案の可決に当たってのWTO紛争処理再検討委員会だとかスーパー二〇一条だとかあるいは通商法三〇一条だとか、そういうさまざまな問題が、やはり世界各国でこの協定を批准してもそれが本当にうまく機能するのかどうかということについては本当に心配しているということだと思うんです。それに日本がどう対応をきちっとしていくのか、より実効あらしめる協定にしていくための努力というものをどのようにされていくのか、大変難しい問題を背負ってこの協定が発足するのではないかなというふうに私は思います。 この協定締結に伴って、開発途上国にもそれなりに配慮していることは認めるわけでありますが、貿易の拡大を図ることを最優先の目的としているために先進国優位の状況にあることも否めないとは思いますが、特にサービスや知的所有権の分野ではその傾向が強くなることが予想されるわけでございます。また、こうした先進国と開発途上国との間の問題、いわばWTOをめぐる南北問題のほかに、国内的に見ても、例えば日本の農業や繊維産業、皮革製品業界は大変大きな打撃をこうむるのでございます。このように、WTOによって犠牲を強いられる国があって、また人々がいるということを私どもは忘れてはならないというふうに思うんです。 ところが、政府はこの協定を締結することの意義として、まず一つは「我が国が世界の主要な貿易国であることにかんがみ、多角的貿易体制の発展に寄与する」こと、二つ目は「我が国の国民生活に多大の利益をもたらすこととなる」ことという二点を強調されております。何か我々の感覚とはちょっと距離があるように思われるんです。確かにこのことは言えますが、先ほど言いましたように開発途上国だとか、あるいは日本においても農業や繊維産業、皮革製品業界にも大きな打撃を与えるということを考えれば、何かちょっと違うのではないか。 この提案理由の説明は外務省が作成されたのだというふうに思いますけれども、国際的にも国内的にもWTOによって多大の痛みをこうむることになるこのような国々あるいは人々がいることが十分に認識されていないのではないかというふうに思われてならないんです。さまざまな面で弱者に温かい手を差し伸べていくことは、これは国内社会でも国際社会でも今日最も必要なことであって重要なことだというふうに思います。だからこそ村山総理は「人にやさしい政治」ということを標傍されて日々努力をされているのだというふうに思うんです。こうした視点が外務省の認識に欠けているように私は思われて残念でならないわけでございます、大臣がそうだというのではありませんけれども。 WTO協定の実施に当たっての政府の基本認識とともに、こうした国内的、国際的な痛みに対して政府は今後どのような方策を講じていかれるおつもりか。これは、直接の外務大臣、そして総理、通産大臣にも、業界にそういったような痛みを感ずるところがございますのでお伺いしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 国会で協定を御審議いただくために提案理由の説明を行いました本人でございますので、私からまず先に御答弁をさせていただきたいと思います。 確かに、議員が御指摘になりましたように、提案理由の説明の中には二つの点を強調して御提案申し上げました関係で議員の御心配があったのだろうと思います。私どもが若干言葉足らずであったかもしれません。その点は大変申しわけなく思っております。しかし、事の本質は、WTOそれ自体は確かに日本の国内で言えば農業を初めとして国際的な競争力がなかなか得にくいものについて大変問題がある、これは多くの方のおっしゃるとおりであろうと思います。 ただ、先進国と発展途上国との間に例えば知的所有権の移転などを考えてみますと、例えば特許権でございますとか著作権でございますとか、こういったことはどうも先進国の方が有利で、発展途上国の方はなかなかそうしたことは難しいのではないかという一般的な御指摘が一部あるわけでございます。考えてみると、発展途上国にも知的所有権の保護というものがしっかり行われれば、むしろ技術移転などは積極的に行われていくということはあるわけでございまして、そのことは発展途上国にはいろいろな意味で大きなプラスがあるという面もあるわけでございます。 このことは、あるいは総理からもお答えがあるかもしれませんが、WTOさらにはAPECを見ましても、インドネシアが貿易の自由化促進について中長期的なイニシアチブをとられたということなどもそうでございますが、発展途上国の方々にむしろ貿易の自由化というものは非常に意味があるということの認識が非常に進んできているということも言えると思います。 私どもは、このWTO協定が先進国あるいは幾つかの特定の国により多くメリットがあるということではなくて、世界全体の経済、貿易というものが進んでいって、そしてあまねく世界の国々、多くの人々がその恩典に浴すということであってほしい、またそうでなければならないというふうに考えているわけでございます。 多少提案理由に言葉止らずがあったことをおわびを申し上げながら、真意はそういうことだということをぜひ御理解いただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先刻も御答弁を申し上げたところでありますが、確かに委員が御指摘になりますようにこの協定の中、言葉を選んで申し上げると光と影の部分というものは存在すると私も思います。しかし、日本国内について、例えば繊維でありますとか皮革関連産業の分野を委員もお挙げになりましたが、これらの問題意識は交渉当事者自体も持って臨んでおりました。そして結果として、例えば関税の十年間という期間設定あるいは引き下げの幅を縮小する、こうした手段を講じておることも御承知のとおりでございます。また、それとは別に製品輸入というものが積極的に行われるようになることは望ましいことでありますが、競合する分野の国内産業には影響を及ぼすことも間違いがありません。これに対して既にいろいろな警戒をする声も出ております。 しかし、その中で、例えば日本の中小企業がこのWTOとは必ずしもかかわりなく、この円高の状況の中におきましても新たな道を模索しておられることは現実の課題でありまして、私どもが創造的な中小企業育成というものをかざし、また産業政策としてもこうした方向に誘導してまいりたいと考えておりますのは、委員御指摘のような問題意識を共通して持っているから、そう御理解をいただければ幸いであり、お手助けもいただきたいと願っております。
○国務大臣(村山富市君) 今、外務大臣、通産大臣からそれぞれ答弁がございましたから重複はもう必要ないと思いますけれども、この世界貿易機関には百二十五の国と地域が入っておるわけですし、それぞれの国がそれぞれのやっぱり問題を抱えておる。特に、私はAPECに参りまして感じましたけれども、これは先進国もあれば発展途上国もありますし、その発展途上国の中にも、ある程度発農をした国もあればまだこれからだという国もあるわけですね。そういういろんな問題を抱えている国が共通して貿易の自由化を達成していこう、こういう意味で合意しているわけです。 したがって、これはAPECの会合の中でも、例えば先進国と発展途上国がどういう協力ができるのかとか、あるいは発展途上国司十でどんな協力ができるのかとか、あるいはまた先進国同士が協力し合って発展途上国に対してどういう支援ができるのかとか、こういういろんな角度からいろんな組み合わせを考えて、そして共同して地域全体が発展できるようなそういう仕組みというものをお互いに検討していこうと。 こういう議論がやっぱり真剣にされておるということから考えますと、他の国を犠牲にして自分の国がよくなるとかそんなことはもうあり得ない、全体がよくなることによって我が国もよくなっていくんだ、こういう視点というものが極めて大事だという意味では、私はある意味で共通した理解がそれぞれ持たれてきておるんではないかというように思いますから保、そういう心がけで、委員がお述べになったような心組みでこれからも取り組んでいく必要があるというふうに考えています。
○菅野久光君 お気持ちはよくわかりました。ただ、やっぱり言葉というか文字になって出ると、本当にそういうちょっと言葉があるかないかということが、いろんな面でやはり考え方がそこにあらわれてくるということなどもありますので、これからはそういうところにも十分な配慮をひとつしていただきたいということを私の方から申し上げておきたいと思います。 今度の協定については実にさまざまな問題があるわけでございます。例えば食物の安全性についてでありますが、農産物の貿易を容易にするために貿易障壁をできるだけ低くする、そのために残留農薬や食品添加物の国際基準を従来の国内基準よりも低くするというようなことなど、さまざまなことが現実的にやられておるわけでございまして、それが消費者同体の不信を生んでいるわけでございます。 貿易拡大のために健康が犠牲になってはならないというふうに思います。安全な食糧をいかに安定的に供給するかということが国に課せられた大事な責任でございますから、この点を中心に清水委員の方から関連質問をさせていただきます。
○委員長(矢田部理君) 菅野君の関連質疑を許します。清水澄子君。
○清水澄子君 まず、河野外務大臣にお伺いします。 安全の前に一つ。このWTO協定ではネガティブ・コンセンサス方式を採用しておりまして、全会一致で反対のない限り当事国が決定を覆すことは難しいと言われております。アメリカがWTO協定の実施法案に健康、環境、労働者の安全等については保護規定を盛り込んでおりますし、今問題になっております通商法三〇一条を残したということは、私は一面ではアメリカが経済主権を主張していることのあらわれだとも思います。私は、日本もすべてをこのWTO協定の枠の中におさめるのではなくて、日本の経済主権をやはり主張していくべきものだと思っております。 そこで河野外務大臣にお尋ねしますが、大臣は経済主権との関係をどのように考えていらっしゃるか。さらに、このWTO協定では地方自治体や民間専業体の規制や基準までも貿易障壁の対象になる扱いになっております。この点については、自治体や生協や生産者団体等の活動や意思決定権を制約するおそれがあるわけですけれども、そういう自治体や生協等民間事業体の規制や基準についてはWTO協定の枠外にするという措置が図れないものかどうか、その点どうお考えでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 経済主権という角度からの御意見でございます。 もちろん我々は国の主権というものを大事にしながら、これは徹底的に守るという姿勢で国際的な交渉に臨まなければならないのは当然のことでございます。しかしながら、多数国間のこうしたルールづくりということになりますと、やはりすべて我が国の主張が一〇〇%通るというわけにはなかなかいかないところがあることは、議員御理解をいただけることだと思います。 アメリカの姿勢というものについて御指摘がございましたけれども、アメリカもまたこのWTO協定につきましてはいろいろと行政府と議会との間の話し合いがあって、いろいろなアイデアをつけ加えてはおりますけれども、基本的にはアメリカは、このWTO協定というものの承認と、そしてWTO協定のルールを誠実に守るという姿勢であるということには間違いはないと、私はそう見ているわけでございます。 確かに、ドール議員との間にいろいろなやりとりがあって、こういう五年間に三回以上問題があれば脱退を勧告するというようなことなどを見ますと、かなりショッキングな文言だなと感じたこともございますけれども、しかしこれは、WTO協定それ自体には脱退というルールも当然あるわけでございますから、それは別に何も目新しい、全くアメリカだけが主張する新しいことでもないわけでございます。 私は、日本の国の主張というものをできる限り展開しながら、主張しながらこの最終的な取りまとめに当たられたというふうに確信をしておりますので、先ほど菅野議員からもお話がありましたように、この取りまとめがシングル・アンダーテーキングという、つまり一括方式で決めるという状況の中で、最大限主張すべきものは主張されたというふうに私は受け取っているわけでございます。 なお、地方公共団体、さらには生協の問題を御指摘になりました。 これは、まず清水議員に申し上げたいと思いますことは、地方公共団体と生協とは全く性格を異にしておりまして、この二つを一緒に論ずるということはできないことであろうと思います。 地方公共団体につきましては、これはやはり国と同じレベル、扱いということになることは、この協定上そういうルールになっております。生協につきましては、あるいは生協その他そうした民間団体につきましては、国が委託をした場合にそれは国と同じレベルの扱いになりますけれども、恐らく今、清水議員の頭の中にある生協の問題は委託を受けてということではないと思いますので、これは地方公共団体の扱いとはまた別の扱いというふうに考えていただかなければならないと思います。
○清水澄子君 私、一緒にはしていなかったんです。地方自治体とそれから民間事業体という意味で生協というのを言ったんですが、その辺のやはり規制がされないような、そういう配慮をぜひしていただくことを強くお願いしておきます。 次に、厚生大臣に食品の安全基準の見直しについてお尋ねいたします。 消費者にとりましては、農産物自由化の協定とともに心配されますのが輸入食品の安全性についてであります。今回のWTO協定の締結に当たって、各国の検疫衛生措置をコーデックス委員会、いわゆる食品規格委員会に基づいて調和させることを義務づけておるわけです。工業製品と異なりまして、風土や食生活が異なる各国の食品の安全基準を国際的に統一するということになれば、食品添加物やポストハーベスト農業等の残留基準についておのずから私は甘い基準にならざるを得ないのではないかと心配いたします。そこで、WTO協定の締結によって我が国の食品規格をコーデックス規格と照らし合わせて見直し作業を行われていくのか。これはいかざるを得ないことが起きるのではないかと思います。万が一でもその安全性が損なわれることになっては私はならないと思います。 厚生省は、これは特に厚生大臣にお伺いしますけれども、食品衛生調査会が国際基準に反対した場合でも厚生大臣は国際基準を受け入れていかれるのかどうか、その点についてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(井出正一君) お答えいたします。 食品の安全に関する国際基準は消費者の健康、保護を目的としたものでございまして、この協定では科学的に正当な理由がある場合等におきましては国際基準よりも厳しい基準を採用し得ることとされております。したがいまして、食品衛生調査会が科学的な議論の結果正当な理由があると結論を出してくださった場合には、それを優先的に国としてはコーデックス委員会の方へ持ち上げるつもりであります。
○清水澄子君 厚生大臣、本当に国民には責任を持って食品の安全基準は国内の人たちの意見に沿って必ず守るということをここでお約束していただけますか。
○国務大臣(井出正一君) 食品衛生調査会の委員としてお願いしてある先生は、そちらの道の我が国の最高権威者であると私は確信しておりますから、その先生方の出してくださった結論を尊重することは当然だと考えております。
○清水澄子君 次に、食品衛生法の改定に関する問題をお聞きいたします。 コーデックス委員会の食品添加物リストでは、日本がまだ指定していないものが百二十一あります。輸出国がこれらの食品添加物の指定を日本に求めた場合または事業者がそれを輸入するに当たって申告した場合、日本もその食品添加物リストを指定に加えていくことになるのではないかと思います。そうすれば食品添加物の種類がより多くふえざるを得ない。そういう意味でも、食品衛生調査会がこれまでも指定した食品添加物について厚生省はノンと言ったことがないわけです。例えば、防カビ剤イマザリルについては劇物の農業であるにもかかわらず国際基準に従い指定しているわけです。 今後、コーデックス規格の食品添加物の申請があればそういう意味からも受け入れていくのではないかと心配されるわけですけれども、この点について食品の安全性の面から厚生省はどのように考えていらっしゃるか、お聞かせください。簡潔に問題点だけ。
○政府委員(小林秀資君) 新たな食品添加物の指定に当たりましては、個別品目ごとに必要な資料を添えて要請があったものにつき、食品衛生調査会の意見を聞いて、科学的に安全性、有効性が確認されたものに限りその指定を行うという方針で従来から対処してまいりました。 お尋ねのとおり外国等から国際機関で安全と評価されている添加物について新規の指定要請があった場合は、今後とも必要な資料が添付されたものにつき、各個別品目ごとに食品衛生調査会の意見に基づき対処していく方針であります。 なお、個々の添加物の審査に当たっては、国際基準を踏まえ、国民の健康確保を最優先として対処してまいる所存であります。
○清水澄子君 次に、このコーデックス委員会はこれまで、どの国でも採用できるような最低限の添加物、それから農業、有害物質についての勧告基準を出してまいりました。この委員会の各国代表団は企業、NGO、政府代表から構成されております。しかし、第十九回の委員会を見ますと、日本からは六十六名の代表のうち四四%の二十九名が企業の代表であります。 この委員会には、日本の消費者代表を参加させていくことが非常に大切だと思います。消費者の意見を反映させる機会を私はぜひ政府が保証すべきだと思います。そして、そういうことの中から国民の消費生活なり世界の各国の情報を消費者自身が得ていくという、そういう意味でも政府の代表団の中にNGO代表、消費者の代表を今後加えていくことを私は非常に重視しなきゃならないと思いますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(小林秀資君) コーデックス委員会に出席する政府代表団はあらかじめ定められた政府の方針に従って意見表明を行うことにしているところであります。従来から日本代表団については、政府代表のほか、食品加工、保存技術、流通実態等に関する情報提供を政府代表に対して行うことができる製造技術専門家にアドバイザーとして参加をお願いしてきたところであります。 NGOの参加につきましては、NGOの国際的組織であり日本の消費者団体も加わっております国際消費者機構が正式オブザーバーとしてコーデックス委員会に従来から参加をされ意見を述べられたと承知いたしておるところでございます。よって、消費者代表の方を政府代表に加えるということにつきましては、政府としては考えておりません。
○清水澄子君 それはぜひ検討していただきたいと要望しておきます。 現在の食品衛生基準の設定ですけれども、食品衛生調査会において専門家が検討しているということでございますけれども、国民には審議の経過も、その基準がなぜ妥当性があるかという理由もほとんど知る機会がありません。国民の健康にとって重大な影響のある食品の安全性については、私はやっぱり政府は広く国民に情報を公開すべきだと思いますが、厚生大臣、基準設定の情報公開についての御決意をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(井出正一君) 御指摘のように、食品の安全性に対する国民の皆さんの不安感を解消するためには情報公開は大変重要だと考えておりまして、これまでも例えば先般の輸入米の検査結果等の情報も適宜公開してきたところでございます。 今度とも、食品衛生の規格、基準等については、食品衛生調査会の決定の根拠となった資料等は積極的に公開していくべきだと考えております。
○清水澄子君 食品の安全基準の科学的正当性についてですが、先ほども科学的な正当性をこの食品衛生調査会で明らかにしていくとおっしゃったんですが、それについても非常に多くの疑問があります。特にコーデックス委員会では、これは食品に対して安全であるかということの基準よりも、必要最低限の防疫規制としてそれが位置づけられております。 特に日本の場合の例があるわけですが、一九八二年の八月に厚生省が動物実験の結果、発がん性の疑いがあるとして官報に使用禁止を告示した酸化防止剤BHAがあります。しかし、それをガットに通報したものの、四カ国から異議が出されて、そしてコーデックス委員会でも日本の主張は受け入れられなかった例があるわけです。ですから、科学的正当性を主張しても国際的に必ず採用されるという保証はありません。 食品の安全基準というのは、科学的データのみでなくてむしろ付会や経済的要素として決定されるのが一般的だと思います。科学の役割は基準設定の参考とすべき程度のものであって、食品の安全基準というのはリスクを受ける国民、消費者の許容できる範囲で決定すべきものだと思います。そのために、基準の決定にはやはりどうしても国民、消費者の参加と同意が不可欠だと思います。WTO協定の締結に伴う基準の見直しに国民は今大変大きな不安を持っていることは事実なのです。私たちの毎日の食料の半分以上が非常に多くの輸入食品によって賄われているわけです。さらにその上に輸入食品がふえるということは、私たちの食生活と生命を脅かすおそれが十分にあります。 ですから、食品の安全性の確保を優先するとおっしゃったわけですから、やはり私は今後、厚生省は国民からのそういう疑問、苦情、異議などにこたえるために国民サイドに立った新たな食品の安全をチェックする、そういう機関を設置することが必要ではないかと思いますが、厚生大臣のお考えをお示しいただきたいと思います。
○国務大臣(井出正一君) 御指摘の点、例えばいろんな市民団体から御懸念があるというようなことを私も新聞等で拝見しております。食品の安全性に関する国民の皆さんの苦情や相談に応じることも安心感を得る上で効果的でありますので、既存の消費者相談体制との連携を図りながら相談体制のより充実を図っていく必要があると考えております。
○清水澄子君 それでは、もう一つ厚生省に。 コーデックス規格によるHACCP、危害分析に基づく重要管理事項の導入は、日本の食品衛生基準による画一的な基準を製造業者に守らせるものではなくて、製造業者の工程管理基準を衛生基準とするものになっています。ですから、このHACCP制度を厚生省は今後の食品衛生行政のあり方の中でどのように考えておられるか、簡単に御説明ください。
○政府委員(小林秀資君) HACCPに関してでございますが、現在、食と健康を考える懇談会を厚生省で開いておりまして、食品保健の基本的なあり方について検討をお願いしているところであります。その中で高度で多様な衛生管理、いわゆるHACCPの導入について検討が行われております。この手法はアメリカの宇宙開発計画、いわゆるアポロ計画において、宇宙食についての高度な安全性を保証するシステムとして開発をされ、最近では欧米諸国の導入が進み、WHO、コーデックス委員会もその推進を図っているものであります。 具体的に申しますと、食品の製造加工工程のあらゆる段階で発生するおそれのある微生物汚染等の危害について調査分析をいたしまして、この分析結果に基づいて重要な安全対策を講じるものであることから、食品の製造工程全般を通じて製品のより一層の安全確保と高度で多様な衛生管理を可能とするものであります。 食と健康を考える懇談会における議論では、企業からの申請に基づきHACCPの導入を行うことになっており、従来からの製造基準を採用するかHACCPを採用するかの選択は企業に任せるという方向で検討が進められております。また、HACCPの導入に当たっては、衛生当局が現在の食品の製造基準と同等の安全性を確保していることを十分確認する手続を踏んだ上で認めるという方向で検討が進められておりまして、食品の安全確保について国の責任をきちっと全うしてまいりたい、このように思っております。
○清水澄子君 それでは、村山総理大臣にお尋ねいたします。 WTOの機構と権限の割り振りについては、現在のところは協定で示されている以外に明らかにはなっておりません。各委員会、理事会がどの程度の権限を持っているのか、それに各国政府それから国会議員、市民がどの程度の情報のアクセスができるのか、また意見や苦情をどの程度反映していくことができるのか、いずれも明らかになっていないわけです。さらに、このWTO協定の実施によって産業構造の変動や国民生活、とりわけ健康、環境それから生活権への影響が非常に心配をされています。 そこで、政府は今後のWTOへの対応を含めて、この協定実施による影響の緩和とあわせて、WTO協定の実施に伴って起きてくるそういう諸問題を統括的に処理する部署といいますか、行政内にそういう扱う場所がないと、これは全部ばらばらの縦割り行政のために関連して起きてくることを持ち込む場所がありませんし、協議する場所がありません。ですから、そういう意味でもこの点についてやはり統括的に処理する部署をどこかに設置すべきではないかと思いますが、その点についてぜひ必要だというお答えをいただきたいのです。
○国務大臣(河野洋平君) 前段、清水議員がお話しになりました、まだ協定でははっきりしない部分があるではないかという点につきましては、もう議員も十分御承知のとおり、これからWTOがスタートをいたしますと、事務局長が決まり、いろいろな機構が整ってきて、その中でいろいろな問題が議論され処理されていくということになると思います。 その際に、いろいろな問題が生じてくる。我が国としてどうそれに対応するかということが御質問の趣旨だと思いますが、これは総理から御指示、御答弁があると思います。私どもはできるだけ、そうしたさまざまな問題に対して内閣としてどう受けとめていくかという点については、総理の御指示によって対応しようと思っているわけでございまして、その点については総理から御答弁があると思います。
○国務大臣(村山富市君) 御指摘のように、ウルグアイ・ラウンドあるいはまたWTO等が抱えておる問題というのは、単に外務省だけの問題ではなくて、通産省、農水待、大蔵省、それぞれの省がやっぱりかんでおるわけですから、必要に応じてこの交渉の過程で閣僚懇談会を開いたりあるいは関係する各省の連絡会議を開いたり等々して対応してきたわけでございますけれども、これから実施する過程の中でいろいろな問題が当然起こってくることもあります。 したがって、今申し上げましたように、関係省庁等が十分連携をとり合って内閣一体となって取り組むというふうに今考えておりますから、そのために特別に何か担当を設けるということになりますと、かえって各省との関係というものがうまくいかないといったような面も起こり得る可能性もありますから、それぞれの省が責任を持ち合いながら連携を十分にとって、一体として対応していくということが大事ではないかというふうに思いますから、そういう心がけでこれからも取り組んでいきたいというふうに思っています。
○清水澄子君 それでは最後に、やはり総理にお尋ねいたします。 WTO協定の批准につきましては、先ほどからも申し上げましたように、消費者や農業団体、環境団体などから多くの不安が出ているわけです。消費者は、例えば食品の安全基準一つとっても国際基準を押しつけられてくるんじゃないかと。そして食品の安全性への疑問というものが解明されない中で今こういう締結が行われようとしているわけです。そしてまた、農家の人たちは、果たして日本の農業は生き残れるのかと大変大きな不安を抱いております。しかし、その一方においては、経済界では、自由貿易の増大によって日本経済の成長が期待されるのではないかという見方もあるわけです。 私は、WTO協定の基本は、やはり何といっても貿易至上主義になっているということが非常に気になるところです。ですから、そこから生ずるさまざまな影響を考慮しなければ、人の健康とが食べ物の安全とか環境、それに地域農業とか、そういう問題に非常に大きなひずみが生じてくるのではないか。そのことを非常に心配しております。 そこで、私が総理にお聞きしたいのは、日本の憲法第二十五条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」ということを私たち国民に規定しています。WTO協定を締結するに当たって政府は、健康、環境、生活権、そういう憲法の規定する権利を今後どのように守っていこうとしておられるか、その点についてやはり総理は国民の不安を解消していただく義務があると私は思いますので、ぜひその立場から今後の国の施策についての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(村山富市君) 先ほど厚生大臣からも答弁がございましたように、食品の安全に関する国際基準というのは、国際的な機関において消費者の健康の保護を目的として策定されるわけでありますから、したがってその限りにおいては、その国際基準を守っていくことは国民の健康を確保することになるというふうに私は考えておりますけれども、同時に、先ほどもお話がございましたように、その協定の中には、科学的正当性がある場合にはその国際基準よりも厳しい基準を採用し得るというような規定もあるわけでありますから、そういう点も十分踏まえて検討していく必要があるというふうに私は思います。 それから先ほど来の質疑を聞いておりまして、国民の間に不安があったりあるいは不信があったりしますとこれはやっぱりいけないわけですから、できるだけ情報は公開をして透明度を高めて、そしてその経過なり結論というものがよく国民の皆さんに理解できるというような方法というものはふだんから心がけてやらなきゃならぬあり方だというふうに思っておりますから、そういう点は十分注意を払っていかなきゃならぬと私は思います。 同時に、憲法第二十五条で保障されておりまする健康にして文化的な最低限の生活を営む権利というのは、これは国民の権利ですから、その権利を保障する責任というのは国にあるわけですから、何よりもやっぱり国民の健康というものを第一に考えて取り組んでいかなければならないことは当然であるというふうに私は認識をいたしております。
○菅野久光君 ただいま清水委員の方から主として食品安全のことについて質問がございました。今、最後に総理に答弁していただきましたけれども、食品の安全に関する国民の意識というのは非常に高いわけでございまして、正直言って、今までの厚生行政の中では食品の安全行政については国民の間からいろんな疑問が出ていたことだけは間違いがないわけでございますので、ぜひ厚生大臣、福祉の問題も大変大事でございますけれども、食品の安全の問題も大変大事な問題でございますので、ひとつ意を注いでやっていただきたいということを私の方からも申し上げておきたいと思います。 次に、特許の関係について通産大臣にお伺いをしておきたいと思います。 今度の特許の関係につきまして、TRIPS協定合意に至るまでに先進国及び途上国を含めていろいろ議論があったようでありますが、今回の合意は知的所有権の国際調和の観点からどのように評価されておられるのか。また、日米包括協議の中では特許関係の協議は比較的早期にまとまったようでございますけれども、これは制度の国際的調和だとかあるいは日米特許摩擦解消等の観点からどのような意義があるのか、お伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 経済のソフト化あるいはハイテク化の進展に伴いまして、知的財産権の保護を強化する必要というものはますます高まっておりました。その中で、ウルグアイ・ラウンド交渉に参加した発展途上国と先進国との間にさまざまな意見の食い違いは当初あったと私も思います。しかし、これが協調して知的財産権の保護という基本的な枠組みでありますTRIPS協定に合意したということは、私は極めて大きな出来事と受けとめております。 なぜなら、この協定というものが特許権の保護期間を定めるなど知的財産権の保護水準というものを規定いたしました。そのほかに、不正商品の取引に対する効果的な防止措置を定めております。 〔委員長退席、理事稲村稔夫君着席〕 こうしたことによりまして、知的財産権の保護の強化を図っているわけでありますが、これによって投資でありますとかあるいは技術移転というものを積極的に促進させる、そうした効果を考えることができると思いまして、これは世界経済の発展の上に大きな役割を果たしてくれるものと、そう期待をいたしております。 御指摘がありましたように、昨年来の日米包括協議の中で知的所有権制度の調和について真剣な議論を行ってまいりました。そして、二回にわたりましてその成果を合意として確認してまいっております。 アメリカ側の措置として合意をいたしましたものは、特許期間を出願から二十年ということで、これは特許期間の適正化という視点から大きなことでありますし、出願から十八カ月後に出願内容を公表する出願公開制度を導入する、また行政手続による特許取り消しの機会を増大する、拡大する、これは再審査請求の改善ということが主なポイントでありましょう。 日本側の措置としては、英語による出願の受け付け、また特許の付与前に第三者からの異議を受け付けておりました制度を改めまして、特許付与後に異議の受け付けを行うという仕組みに切りかえております。また、早期に審査制度を改善し迅速化に努めるとしたところがポイントでありまして、今回御審議をいただいておりますこの特許法の改正案の中には、日本側措置のうちで法律改正が必要なもの、すなわち英語出願の導入、付与後異議制度の導入、こうしたものを盛り込んでおるわけでございます。 そして、やはり何といいましても、日米という世界における特許の二大出願国の制度調和が図られるという意義は極めて大きかったと考えておりますけれども、それだけではなく、この日米の合意というものは結果として欧州を含めた世界の国々との制度調和に資するものにもなりました。そして、経済のグーロバル化という視点の中でも大きな意義を持っておると申し上げて過言ではないと存じます。 今申し上げましたような合意のほかにアメリカ側の措置として、これまでこれは日本の産業界も大変苦しんだのでありますが、日本だけではなく各国の産業界が苦しんでおりましたいわゆるアメリカのサブマリン特許、この問題が解消されると同時に、金銭的、時間的に負担のかかる訴訟ではなくて、再審査制度の改善によって特許権付与のための行政手続の中で特許の有効性を争うことが可能になりました。 こうしたことを考えてみますと非常にこの役割というものは大きい。しかも、この両国の措置というものが第三国からの出願にも適用されまして、その恩恵というものが広くほかの国々にも及ぶところから各国からも高い評価を得ている、私どもとしてはそのように考えております。
○菅野久光君 今度の改正で、先ほど大臣の方からもお話がありましたが、特許権の存続期間を出願公告の日から十五年というのを今度は二十年というふうに五年延ばしたわけでございますけれども、これは権利付与の期間を短くしなければ恩恵を受けることにならないのではないかなというふうに思うんですが、この辺はどうなんでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに、今、委員が御指摘になりましたように、出願人がその特許期間延長の恩恵に十分浴するというためには、権利付与を早く行うということは間違いなく大切なことであります。そして、通産省自身、従来から一生懸命にその審査のスピードアップに努力をいたしておりました。これは細かいことを申し上げれば切りがありませんけれども、審査官等の増員あるいはペーパーレス化の推進、さらに先行技術調査の外注化といったものが挙げられると存じます。 昭和六十三年ごろには三年を超えておりました平均審査処理の期間というものが、平成五年末の時点で二年四カ月まで短縮をしてまいりました。今、平成七年度末に平均特許審査期間を二十四カ月、すなわち二年、ここまで持っていくという日米構造協議での公約を達成すべく全力を挙げているところでありまして、この目標に何とかまず我々は到達したいと考えております。しかし、そこで努力が終わりということではございません。その後におきましても内外の要請にこたえるべく、審査期間の短縮に一層努力していきたいと考えておりますので、ぜひ御支援を賜りたいと存じます。
○菅野久光君 今度は外国語書面による特許出願ができるという制度を創設することになったわけでございますが、この外国語書面というのは、先ほども大臣からお話がございましたが、事実上は英語であるというふうに聞いております。 英語以外の外国語書面は受け付けられないのかどうなのか、またアメリカやEUでは外国語出願は認められているのかどうか、また英誌以外にもドイツ語だとかフランス語、中国語などのニーズがあり得ると思うんですけれども、他の言語に拡大させる予定はないのかどうか、お伺いいたします。
○政府委員(高島章君) 今回、英語による特許出願を認めることとしたわけでございますが、これはかねてからこの件につきまして、我が国への出願について代理人を務めております弁理士あるいは米国等から非常に強い要望があったわけで、それにこたえたものでございます。 実際に当庁で調査をしてみますと、外国から我が国への特許出願のうち、出願の基礎となります書類が英語で作成されているものが全体の約八割を占めているわけでございます。それ以外のドイツ語やフランス語といったものは非常に割合が少ないわけでございます。このため、英語による出願を認めますればほとんどの外国人出願のニーズにこたえることになると思っているわけでございます。 それから、お尋ねの欧米の事情についてお答えを申し上げますと、米国におきましては日本語による出願はもう既に認めております。ただ、欧州の特許庁におきましては、欧州の特許条約の加盟国の言語のみを認めておりまして、日本語はしたがって特許出願はできないと、特許出願では日本語は認めていないということでございます。 したがいまして、我が国といたしましては、当面、英語以外の言語による拡大は予定はしておりませんけれども、外国人出願の動向とかあるいは諸外国の取り組み状況を見きわめながら今後の対応を検討していきたいと考えているわけでございます。 なお、現在、世界知的所有権機関、WIPOで交渉がなされております特許の調和条約というものがございますが、この特許調和条約案では各国が加盟国の書評による出願を認めることを実は前提にしておりまして、この条約案がもし成立しますれば、我が国も含めまして世界各国で条約加盟国の言語による出願を認めることになるだろうと考えているところでございます。
○菅野久光君 特許権の関係についてはこれで質問を終わらせていただきます。 続きまして、著作権の関係について会田委員に関連質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○理事(稲村稔夫君) 関連質疑を許します。会田長栄君。
○会田長栄君 関連して質問をしたいと思います。日本社会党・護憲民主連合の会田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 村山総理を初め関係大臣、連日の御健闘に心から敬意を表して具体的に質問に入っていきたい、こう思っております。 私はこの時間に質問したいのは四点あります。その第一点はTRIPS協定の途展途上国への配慮の問題、それから第二は知的所有権分野の国際協力の問題、第三の問題は何といっても皆さんから真剣な御意見のあるとおりウルグアイ・ラウンド農業合意に伴うところの今後の農業教育の充実の問題、そして関連をして国内対策の土地改良問題について質問していきたい、こう思っております。 さて、最初にお尋ねしたいのは、WTO設立協定には著作権を含む知的所有権の貿易関連の側面に関する協定が附属書として添付されております。もちろん、TRIPS協定に規定する保護の内容は現行著作権法において既に満たされていると私も思っております。したがって、今回必要とされているのは技術的なものと承知しているところでございますが、何といっても今度のガット・ウルグアイ・ラウンド交渉では、非関税の障壁の一つとして著作権、特許、商標等の知的所有権分野が取り上げられ、その交渉結果がTRIPS協定となったと承知しています。交渉に当たっては知的所有権保護の強化を強力に推進する先進国、それに警戒感を抱く開発途上国との間で南北対立と言える状況もあったとも聞きます。 そこでお伺いしたいのは、交渉の成果を実効あるものとするためには、開発途上国が不公平感を持たず十分な理解の上で参加できる仕組みが実は大事なんではないかと第一に思っているところでございます。その点についてTRIPS協定では途上国に対してどのような具体的な配慮がされているのか、とりわけ我が国においてはどのような配慮をしようとしているのか、この協定を定着させ発展させていく上に立って外務大臣から御所見を承っておきたい。
○政府委員(原口幸市君) 事実関係でございますから事務当局からお答えさせていただきますが、TRIPS協定では開発途上国につきましては協定実施のための国内体制を整備するために特別の猶予期間が認められておりまして、例えば先進国と比べまして開発途上国の場合には五年以内にやればいいということになっておりますし、後発の開発途上国の場合にはこれが十一年以内というふうに長い猶予期間が特別に認められております。 また、同協定では、協定実施を促進するため先進国による開発途上国等への技術協力及び資金協力の実施が定められております。この協力には、知的所有権に関する法令の準備についての支援、関連する国内の事務所及び機関の設立または強化についての支援、人材の育成のための支援等が含まれることになっております。
○会田長栄君 外務大臣、いわゆる発展途上国に猶予期間を五年置くとか六年置くとかということだけで問題が解決するのかというのが私の質問の視点なんですよ。それはそう簡単ではないと。後ほどもう一度触れますけれども、ウルグアイ・ラウンドの農業合意に関しても猶予期間を置いたからその対策ができるという代物ではないんです、これは。その意味では、先進国である我が国を含めてその配慮というのは非常に大事になってくると思うから実は猶予期間以外のところをお聞きしたかった、こういうことでありますから。
○国務大臣(河野洋平君) 議員から発展途上国についてのいわば問題提起がなされたように受けとめますが、今、政府委員から御答弁申し上げましたように、一定期間の時間的な猶予と同時に、我々は我々としてこれら途上国に対する技術協力でありますとか資金援助でございますとか、そうした支援について大いに考えなければならぬことがあろうかと思います。 先ほども一部御答弁を申し上げましたけれども、発展途上国は、例えばアジアの国々の最近の大変な経済的な活力、発展ぶりを見てみますと、その一つの理由に自由化というものがあると思います。極めて積極的に国際社会、世界総済の中に出ていって、そして経済の発展の原動力になってきているという状況は、我々にとっては注目すべきことであろうと思います。 知的所有権の問題について先ほど御答弁を申し上げましたが、これらいずれも、発展途上国が技術的支援を受けるあるいは投資を受ける、そういうときにはやはり一定の知的所有権の保護が発展途上国にも認められることが技術移転にとって非常に重要だという点もあるわけでございまして、こうしたさまざまな問題を考えながら、しかし、議員が御指摘のように、我々として考え得る支援策をとってまいりたいというふうに思っております。
○会田長栄君 次にお伺いしたいのは、知的所有権制度が未整備である途上国にとってはTRIPS協定受け入れに伴う国内法整備は現状では私は大きな負担になるのではないかと。我が国はこれらの国の知的所有権制度確立に向けて我が国の持っているノウハウ、これを伝えて知的所有権保護思想を普及させる等の協力が絶対必要だと私は思っています。その意味でこうした分野の国際協力について力を入れるべきだと思っていますが、とりわけ通産大臣あるいは文部大臣、現在行われている施策、今後この協定を定着させていくために、さらに充実させるためにどのような方策を考えられているのか、聞かせていただきたい。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先刻来の御指摘に敬意を表します。そして、委員が御指摘のように、法制度の整備あるいは運用の改善が必要なところも多く、途上国に対しまして積極的な協力は我々としても全力を挙げて行わなければなりません。 現時点におきまして、通産省は途上国の知的所有権制度の整備あるいは特許審査技術の向上に資するために、一つは特許庁におきまして途上国への審査ノウハウ、特許情報の提供を行うほかに、世界知的所有権機関の途上国協力の中にジャパン・ファンドを設立する、また国際協力事業団の他の各種機関を活用した人材育成、専門家派遣事業等の施策に取り組んでまいりました。先般のAPEC総会の際でもこうした協力要請は大変強かったわけであります。 そして、本年度におきましても、国際協力事業同、海外技術者研修協会などのスキームを活用いたしまして研修員の受け入れあるいは専門家の派遣の拡大を行っておりますが、来年一月にはジャパン・ファンドによりましてシンポジウムの開催が既にジャカルタで予定されておりますし、また審査協力につきましてはタイ国を対象として新たに我が国の特許審査結果の提供を行うことにいたしておりますし、韓国にも特許情報の提供を開始する予定でおります。今後ともにこうした努力をきめ細かく積み重ねてまいりたい、そのように考えているところであります。
○国務大臣(与謝野馨君) 我が国に著作権法が初めてできました明治三十二年でございますが、その当時の著作権法の対象と今の著作権法の対象は非常に違ってきております。ということは、いろいろ新しい著作物が導入されましたし、その利用方法も随分変わってまいりました。また、マルチメディア時代になりますと、さらにその著作物の利用形態、また新しい著作物があらわれる可能性もありまして、発展途上国としてそういう新しい状況に対応するためには相当な苦労があるということはもう先生の御指摘のとおりでございます。日本はこれらのことに関しますノウハウを十分アジア諸国に提供するというのは我々のいわば責任の一つであるというふうに認識をしております。 具体的には、既にそういう事業は始まっておりまして、例えば平成五年度でございますと、昨年東京で行われましたアジア地域著作権・著作隣接権セミナーというのもございます。それから、昨年はバングラデシュ及び中国に専門家を派遣しております。本年度もやはり同じようにアジア地域著作権・著作隣接権セミナーというのをタイで行っておりまして、もちろん日本からも専門家が参りました。また、専門家の派遣はモンゴルあるいはマレーシア等に行っております。また、アジアの諸国から研修生を受け入れるということで、日本が著作権に関しまして持っておりますいろいろな知識やノウハウというものは十分公開し、提供するというのも我々が行うべき国際貢献の一つだと考えております。
○会田長栄君 ところで、ウルグアイ・ラウンド農業合意受け入れの問題と関連をして、その前段に文部大臣に今日の農業教育の問題について二、三お尋ねをいたします。 その第一は、何といっても、どんなに真剣に議論しても、私の持論でありますけれども、農林業の後継者がない限り将来の農林業というものは常に危機にさらされるということだけは事実であります。したがって、その一分野を大きく担っているのが私は文部省だと思っています。教育だと思っているんです。 今日、教育の分野で農林業というのが子供たちに一体どのくらい教えられているのか、どういう実態を、現状を子供たちが見て把握しているのか、このことが非常に私は大事だと思っているんですよ。今の義務教育の中で最も重視されなきゃいけないのは、それは環境、緑化、あるいは特にエネルギーの問題、食糧の問題等は欠かすことはできないのだと思っているんです。ところが、えてしてそういう重要問題というのはそう詳しく子供たちには教示、締験されていないという現実があるんです。 こういう感じを持っていますから、文部大臣に義務教育段階で一体どのように農業問題を、林業問題を扱っているのか、ちょっと見解をお聞かせいただきたい。
○国務大臣(与謝野馨君) 先生のお尋ねは、学校教育における農業の具体的な扱いはどうなっているか、こういうお尋ねだと存じますが、例えば小学校の五年生の社会科では、我が国の農業の特色、国民の食糧確保の上で農産物の生産が大切であるということを理解していただくようにしております。中学校になりますと、地理的分野、では産業と地域についての学習の中において、地域の地理的諸条件と関連づけて農業の様子などについて理解をしていただくことになっております。 その次に、体験的な学習についてお尋ねがございましたが、体験的な活動としては施設の見学などはもとより、小学校一年生、二年生にございます生活科あるいは全学年で行っております特別活動などで小学校低学年から勤労生産的な活動を取り入れ、子供たちが勤労のとうとさや生産の喜びを体得できるように配慮をしております。 文部省では、各都道府県に勤労生産学習研究推進校を指定するなど、農産物の栽培、家畜の飼育等を通じて勤労生産学習の推進を図っておりますが、先生の御指摘のとおり農業の後継者を育成するという意味でその教育が極めて重要な役割を果たしているということは、文部省としても今後さらに自覚を深め、先生の即くれるような方向で努力をしてまいりたいと思っております。
○会田長栄君 今御答弁ありましたとおり、これは総理初め各大臣にも御認識いただきたいんですけれども、要するに義務教育段階ではそう時間をかけていないんです、実際に。これは小学校、中学校を通じてかけていないんです。このごろはそれではうまくないということで勤労体験学習というものを導入してやっている。少し前進している。しかし、先ほど申し上げたとおり、緑化の問題とか食糧問題とか、あるいはエネルギーの問題、とか福祉の問題とかというのを丁寧にやっぱりやっていかなきゃいけない。 もちろん、学習指導要領というのが学校教育の中では根幹になっているわけですね。これは十年に一度しか改訂しない。ところが、御承知のとおり、今は十年などというのはとてもはかり知れないほど変化が出てくるということであって、ここに応用をきかさなきゃいけない、創造することを考えなきゃいけないというところに来ているわけですよ。 したがって、いよいよ農業後継者の問題に入っていきますけれども、御承知のとおり、文部大臣、農業後継者と位置づけて現実に全国都道府県に公立の農業高等学校で教育をしているんでしょう。今日までその役割というのはまさしく大きかったんでしょう。今日、そういう大きな役割を果たしてきた農業高校の子供たちがみずから農業の大切さあるいは重要さ、そういうものを意識してみずから後継者になろうとする雰囲気になっておりますか。ちょっと所見を承っておきたいと思います。
○国務大臣(与謝野馨君) 農業高校の卒業生というのは年間大体四万三千人ぐらいでございますが、そのうち直ちに農業の後継者になる方は二千五百人ぐらいでございますから卒業生の中に占める比率は大変低いわけでございます。 また、農業高校からさらに高等教育機関に進まれる方もおられるわけですが、その高等教育機関を経て農業に従事される方も二千人をやや超えたぐらいでございまして、全体の農業高校卒業生から農業後継者になる方の比率は、卒業者数に比べまして極めて低いというのが現状でございます。
○会田長栄君 総理、実は今、文部大臣が答弁したとおりです。二千五百人を四十七都道府県に割り振ってください。これは寂しい。今まさに農産物の輸入自由化時代、こう言われているわけでありますから、日本人の胃袋というのは大体外国の人の御努力によって賄われつつあるということも事実でありますし、その意味で農家の皆さんにとっては米にとりわけ執着をしているということは事実なんですよ。 そういう意味からいって、やっぱり農業高校の教育のあり方、これを時代に合わせて先取りして取り組んでいかない限り、どんな施策を講じようと中山間地から農業の後継者は自然に消えていく。これは大都市周辺の広大な平地でも同じだろう、私はこう見ているんです。だから、そのことをひとつ大事にしてほしいということを認識して実は文部大臣にこの場に来ていただいたんです。 これはまさしくウルグアイ・ラウンドの農業合意受け入れに伴って農水大胆を初め全力を投入しているようでありますけれども、二十一世紀というのはその意味で日本の農業をどう立ち直らせるかという最後のチャンスだと我々は見ているんです。その意味で、受け入れと同時に、村山内閣が総理を初めとして、農業再建の最後の切り札として六兆百億円、これを決断したということは私は高く評価しているんです、いよいよ今度は今日までの取り組みの決意と一味違うなと。 私も農村に生まれ育ち、そして親と一緒になって今日までそういう経験をしてきたところでございますから、とりわけ農業には愛着を持っている。これを失ったら日本は地方から崩壊していくという考え方をこのごろ強く持っているんです。そういう意味で、どうしてもその後継者対策というところに最大のウエートを今後教育予算の中で私は酌み取ってほしいということを申し上げたくて実は文部大臣に来ていただいたんです。 それはなぜかというと、教育は大事だ、農業は国の基本であるなんということは言葉で言うけれども、現実の日本の政治の上にとっては、予算配分の中では年々一般会計予算の中でも率は低下している。昨年からようやく歯どめがかかったというが、これ以上落ちていったら大変なことが起きるという危機感を持っているものですからお尋ねしたわけでございまして、その点ぜひ強く認識してほしいということをお願いしておきたい、こう思います。 最後の問題でありますけれども、今度の農業合意受け入れに際して、思い切った予算配分というものの大綱を決めて財源を投資しました。その中で私は一つ農水大臣にお伺いしておきたいのは、今日まで実は農水省が、政府が進めてきたいわゆる農業基盤整備の中で、私は特に再出発するに当たって反省と教訓というのは明確にしておかなきゃいかぬと思っているんです。 というのは、私は地方を歩くとよくこういうことを言われる。皮肉たっぷりにですよ。それは大臣に皮肉たっぷりに言うのじゃないんです。私に言うんです。日本の農業、農政というのは政府が言うとおりやると失敗をする、政府が言うことと反対のことをやれば大体うまくいくと、こういうことを聞かされるんですよ。今度はまさしくそういうことから脱皮できるチャンスなんでしょうねと、こう言われるんです。私は何を最後に言われるのかなと思うと、結果的に大枠が決定されて、米の部分開放に伴って緊急対策として六〇%を農業基盤整備に投入すると、こうなっているわけです。そのことと裏返しに、今日までの政府がやってきた基盤整備、国営開発事業、各都道府県の単独開発事業の中で農民が最も今、気苦労している課題は一体何かということも含めて私は進めていかなきゃいけないと思うから、実は農水大臣にその点について端的にお聞きしたいんです。
○国務大臣(大河原太一郎君) このたびの国内対策については、先ほども委員御自身がおっしゃいましたように、ウルグアイ・ラウンドの農業協定受け入れに伴って新しい二十一世紀への農業を切り開く最後のチャンスであると、そうおっしゃったわけでございまして、私どももそのための対策の樹立あるいは財政的な裏づけ等について全力を尽くすつもりでございます。
○会田長栄君 最後にお願いしておきます。 それは何が教訓になっているかといえば、いわゆる国営開発事業、都道府県がやっている基盤整備のための畑地造成あるいは水田造成、これをやって現実に残っているのは農家の受益者負担と言われている問題です。今や後継者の中でこれが語り継がれている。三十年も三十五年もおやじのつくった借金をなぜ跡を継いで払わなきゃいけないのかという問題になっているんです。 このことが今回提起されている新農政とかかわって本当にこの事業が真剣に取り組まれて実を結ぶようにしていくのには、この問題も十二分に考えて対策を練らない限り私はまた失敗するのではないかという危惧を持っていますから、これはぜひ農水大臣初め総理大臣にもこの点をお願いして私の関連質問を終わります。 ありがとうございました。
○菅野久光君 私は農業問題を最後に申し上げるわけでございますけれども、時間が余計にありませんので質問通告したうちのほんのわずかしかでき得ませんけれども、また一般質問の折に質問をしたいというふうに思います。 まず、農畜産物の価格の低迷だとかあるいは農家負債の問題、牛肉の自由化による酪農・肉用牛経営の悪化、さらに担い手の高齢化や後継者の不足、農村の過疎化の進行など、もう極めて厳しい状況に今日の農業が衝かれている中での今回のウルグアイ・ラウンドの合意でございます。三度にわたる国会決議にもかかわらず受け入れざるを得なかったことは本当に遺憾でございまして、国会の責任は極めて大きいと言わざるを得ません。 農業者は、政治に対する不信と農業の将来への不安を募らせております。今、私どもは、政治に対する信頼を回復し、新たな国境措置のもとにあって農業者が自信を持って営農に取り組めるように、そして将来に希望の持てる農業の実現のために抜本的な農業・農村政策を確立して展開しなければならないというふうに思います。 今度の農業対策については、産業界の一部の中には、なぜ農業を特別扱いにするのかという不満の声があります。これは事の本質をよく理解していないことからくる批判ではないかというふうに私は思うのです。 政府が、受け入れ直後の平成五年十二月十七日、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴う農業施策に関する基本方針を閣議了解いたしました。この了解では、農業合意の受け入れが農業に携わる人々にもたらす影響を最小限に食いとめ、その不安を払拭し、安んじて営農にいそしむことができるようにすることが重要であるとの認識に立って、内閣総理大臣を本部長として関係閣僚を構成員とする緊急農業農村対策本部を設置したのでございます。 これは、ガット合意の受け入れが自由貿易の維持増進により全体として我が国に大きな利益をもたらすとしても、農業という特定分野に大きな悪影響が集中し、農業に特別対策を打ち出す必要が出てきたからであって、農業を特別扱いにするものではない。外交交渉の結果、特定の産業や地域に悪影響が集中する場合には対策を講ずる必要がありますし、またそうしなければならないと思います。今回がたまたま農業であったということだと私は思うのです。約一年半後には海洋法条約が国会で審議される予定と音われております。この条約の影響の及ぶ分野の多さはWTOの比ではないとも言われております。このような特別対策について模範的な前例をつくることが私は重要であるというふうに思うのです。 今回のガット・ウルグアイ・ラウンド合意に伴う農業対策についてこのような観点を私は持っておるのですが、総理の所見と決意をお尋ねいたしたいと思います。
○国務大臣(村山富市君) これはたびたび申し上げておりますように、国民の食糧を、どのような状況になろうとも安全な食糧を安定的に供給できるようにしていくというのはある意味では国の責任でもあるわけですから、これは単に農業だけの問題ではなくて国民全体の課題であるという受けとめ方をする必要があるのではないかということがまず一番大事ではないかと思うんです。ばらまき予算ではないかとか、あるいは過保護ではないかとかいろんな批判もありますけれども、私は今申し上げましたように国民的な課題として受けとめて理解をしてほしいということをお願い申し上げているわけです。 それから、これはもうたびたびここでも議論をされてまいりましたけれども、輸出を前提にして営んでおる国の農業と、国内の自給だけを守るためにやってきた農業とはおのずからこれは違うわけですから、したがって一口に関税化とか、あるいはミニマムアクセスを受け入れるにしても、そういう国の違いというものがやっぱり前提にあるわけです。したがって、その違いというものを十分踏まえた上で対策を講ずる必要があるということが私は二番目に大事ではないかと思うんです。 我が国としては、これは食糧を輸出することを前提にして営んでいる農業ではなくて、国内の自給を主体にした農業ですから、したがってそのことも前提に踏まえた上で、これからしかし全体としては自由化の波が押し寄せてくる、厳しい国際競争場裏に置かれるということも踏まえて日本の農業をどう守っていくかという観点が大事ですから、したがってそういうことを前提にしてどう取り組みをしていかなきゃならぬかと。 先ほど来お話がございますように、このウルグアイ・ラウンドの受け入れに対して閣議了解事項もありますし、その了解事項を踏まえた上で緊急農業農村対策本部も設置をされて、そうした経過も踏まえた上で農業対策の大綱というものを決めてそして万全を期していこうと、こういう決意で今取り組んでおることが一つです。 それからもう一つは、これは単に農林水産省だけの問題ではなくて、例えば中山間地域の対策をどうするかという問題については、これは自治省も建設省もあるいは郵政省もいろんな意味で絡んできて、そして都会と中山間地域との交流なり、あるいはレベルアップを図りながら、中山間地域に住んでおってもそれなりに快適な生活ができるといったような基盤をどうつくっていくかというふうなことも極めて大事な問題ですから、したがって内閣が全体として取り組んでいく重要な問題であるという位置づけをして、皆さん非常な決意で今後の対策を講じていきたいというふうに考えておることだけは申し上げておきたいというふうに思います。
○菅野久光君 十一月二十八日に公聴会が開かれた中で財界代表の小島セコム副会長が、世界的な人口爆発、食糧不足の見通し、環境問題の観点から、ラウンド議論の延長線上でなく長期的な視点にも配慮すべきだというふうに述べられておりますし、食糧自給率を低下させないため足腰の強い農業を育てる社会的負担をするのは当たり前のことだというふうにも述べておられて、財界の中でも本当にきちっとした見識を持ってこのように言われていることも大変私は心強く思っているところでございます。 あと余り時間がございませんので、いろいろお聞きしたいことはあったんですけれども、三度にわたる国会決議、そしてウルグアイ・ラウンドの受け入れということで政治に対する国民の不信というのは本当に高まっていると私は思うんですね。政治に対する信頼を回復するのは、まさに今度の農業対策をどのように本当にやっていくのか、政府が言ったとおりにきちんとそのことが実行されるのかどうかということによって特に農業関係者の政治に対する信頼が同役されるものだというふうに私は思うんです。 六兆百億円といいますけれども、実際は従来の例からいくと約半分は政府から、そしてあとの半分については自治体とそれから受益者負担というようなことになっているわけです。その自治体の関係につきましても、ウルグアイ・ラウンド対策のための事業についての自治体の財政面での裏負担といいますか、それを自治省としてもきっちりやっていただくような返事はいただいておるんですけれども、特に大臣から本当は答弁をお聞きすればいいんですけれども、時間がございませんので、まことに申しわけございませんが私の方から強くそのことだけは間違いなくやっていただくようにお願いをしておきたいと思います。 六兆百億円というのが一応六年間でございますから、平均してということには私はなっていかないのではないかと思います。何次計画というものがいろいろありますが、その計画の終わりになったら達成率が何%だったというのがよくあります、港湾でも道路でも全部そうですが。しかし、この問題だけは達成率が一〇〇%でなければだめだというふうに思いますので、その点を踏まえて、そして政治不信を払拭するために大蔵大臣そして農水大臣の特段の御努力をまたお願いいたしたいと思いますし、内閣の皆さん方にもお願いを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
○北澤俊美君 北澤でございます。新緑風会を代表して関係大臣に御質問を申し上げますので、よろしくお願いします。 連日の質疑、大変御苦労さまでございます。私はこのWTOの質問に入る前に、大変心を痛めた、皆さんほとんど認識は一緒だろうというふうに思うんですが、先日愛知県の東部中学校の二年生、大河内清輝君の自殺の問題にちょっと触れて、総理並びに文部大臣の御見解をお聞きしたいというふうに思います。 たびたびあるんです。それをテレビや新聞で報じられるのを聞くたびに、まさに肺胞をえぐられる、そういうつらい思いを私もしますし、皆さん方もそうだというふうに思う。 十三歳の少年が二年、三年にわたって、本来ならば友情を語り合ったり未来を語り合うべき同級生にいじめられて、しかも逃げ場を失う、ついにはみずから死を選ぶ。こんなことが我が国にあっていいのかというふうな私は思いをしておるんです。読むたびに、けさもテレビでやっていました。あわせて御家族が大変立派な御家族で、冷静にインタビューに答えておられるのを見ると余計にそんな気がする。私は、姓がに暮らしている我が国に彼を救うシステムが地域にも社会にも学校にもないのか、そんなふうな思いをしました。 私はぜひこの清輝君の死を悼みながら、総理から再び我々国民に対して、ただいっときの感情でみんながわっと悲しむ、そのことも大切ではありますけれども、国民に対して理性と愛に目覚める、そういう機会にするようなメッセージを送っていただきたい。 それから、文部大臣にはぜひ、学校や教育委員会のこの事件が起きたときの答えは全部一緒ですよ。しかし、よく聞いていくとかなりのサインがあった。それを救うことのできない学校の現場というのは、これは何ですか。私は本当に悲しい。そういう意味において両大臣、総理そして文部大臣に国民に対して改めて呼びかけていただきたい、こんなふうに思います。
○国務大臣(村山富市君) 今、委員お話がございましたように、幼いとうとい子供の命が、みずから自殺をされるといったようなまことに痛ましい事件が起こってきているわけです。本当に残念に思い、遺憾に思う次第であります。 この事件がございましてから、ある父兄から私のところに電話がかかってきまして、娘がおるけれども、内気で外に行って余り人に物が言えないような性格の子だけれども、こんな子供が学校に入ったらどうなるんだろうか、こういう不安も訴えておりました。私は、ある意味ではそういう不安を持っておる御父兄は大変多いんではないかということも心配されます。 この事件につきましては、どうしてこんなことになったのか、恐らくその関係当局、教育委員会等で十分調査もされていると思いますけれども、今お話がございましたように、こういう事件があったときだけ物を考えて、もう時間がたったら忘れてしまうというようなことではやっぱりいけないと思いますから、これは本当に深刻な問題として真剣に、受けとめて、こんなことが二度と起こらないようなそういう対策を講じていくということが何よりも大事ではないかというふうに思いますから、文部省を中心にして、そういう決意で内閣も対応していきたいというふうに思います。
○国務大臣(与謝野馨君) 愛知県で起きましたこの事件は大変痛ましい事件でございまして、あの遺書を読ませていたたくと本当に胸が詰まるような思いがいたします。 愛知県を通じまして文部省には報告書が参っておりますが、この事件の全体像はまだつかめておりませんので、今、警察当局あるいは学校当局が関係者から事情を聞いて、どのようにしてこのようなことが起こったかということについてはいずれ客観的なものが明らかになってくると思います。 そこで一つは、この種のことが起きましたときには、やはりこういうものを教訓として、こういうことが起きないためにどういうシステムを構築していくか、学校の運営をどうしていくかということについて責任を持って我々文部省もさらに深く研究をし学校現場を指導していく、そういうことをしなければならないと思います。 それと同時に、やはり大事なのは、今回のこの件が遺書どおりのことが起こっているとしますと、やはりこれは数々の不法行為に該当をいたします。 まず倫理の問題としては、弱い者をいじめないというのはごく当たり前の倫理観でございますし、人の物をとらない、人をおどかさない、人にけがをさせない、殴らないという普通の倫理観でございます。仮にそのようなことを行った人がありましたら、これは成人ですと当然刑事罰の対象になるわけでございまして、今回の事案でも、行われたことは外形的にはあるいは構成要件という考え方からすれば当然刑事罰の対象になるというような事柄でございます。ただし、年齢が十三歳ということで、責任能力についてやや軽減されているということでございます。 こういうことをどこで子供たちに自覚させるかというと、学校ももちろんでございますが、やはり子供たちを育てる保護者、すなわち多くの場合は両親が子供にどういう教育を家庭でなすかということがまず第一に非常に重要でございます。 このことを申しますのは、何も学校の教育に関する責任を回避しようとするということではありません。教育というのはやはり学校においても行われますし、家庭においても基礎的な教育は行われるべきでありまして、今回のような事件のときに特に思い起こされますのは、家庭において保護者が子供に対するしつけと申しますか、教育と申しますか、そういうことに十分配意をしていただく、基礎的な倫理観を教えるという親の責任をまず自覚していただきたいと思うわけでございます。 それと同時に、学校現場においては校長先生に十分なリーダーシップをとっていただいて、先生が御指摘のようにこの種の事件が起きる前にはある種の兆候があるわけでございます。小さな兆候でも見逃すことなく、こういう事態を回避するために子供たちの話をよく聞き、責任を持って事態を収拾する、そういう行動をするということがやはり今、学校現場に求められていることでございまして、また地域社会もそういう学校の努力をぜひサポートしていただきたい、そのように考えております。 私どもも今後ともこういうことが二度と起こらないように十分な努力をしてまいりますが、これは文部省あるいは教育現場だけで解決できるものではございませんので、やはり家庭や地域社会、学校現場が一体となってこういう問題に取り組んでいく、そういうことの必要性を今痛感しております。
○北澤俊美君 それでは本題へ入りますが、その前に、これはちょっと通告をしてございませんので、外務大臣、外務省条約局来ておりますね、聞いていていただきたいんですが、この世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の結納について承認を求めるの件、こうあって議会に提出をされておるわけでありますけれども、これはマラケシュで調印をしたのは協定本体と附属書一から四まで。この提案の表題、そしてこの中身を見ますと分離していない。これを見ますと当然四までというふうに読み切らざるを得ない。 これは非常に形式的なことでありますけれども、立法府と行政との間で進めることでありますから、ここのところのけじめをきちんとしておかないということは大変なことでありまして、そういう意味で極めて不注意ではなかったのかな、こういうふうに思います。しかし、まだ私の知らざるところで何か理由があればちょっと御答弁をお願いしたいと思います。
○政府委員(谷内正太郎君) 今回、WTO協定として御承認を求めておりますのは、WTO協定、これが大きな傘になっておりまして、その下に附属書の、先生がおっしゃいますように一から四までございますけれども、四の部分については実は四つの協定がございまして、これはシングル・アンダーテーキング、一括受諾の対象にはなっておりません。今回御承認を求めておりますのは、そのWTO協定と附属書一から三までということでございます。 〔理事稲村稔夫君退席、委員長着席〕
○北澤俊美君 僕の質問のことをそのまままた言ったってしょうがないんで、四が入っておらないから、これを見てみると「この協定はと書いてあるだけなんだ。 この論議に即どうということではないんですけれども、やっぱり立法府と行政府が融通無碍になってしまってはいけないことなんですよ。だから、責めるとか瑕疵があるとか、そこまで私は言うわけではないが、やっぱり我が国の将来をきちんとしていくためのこの審議の前段に当たってこういうことはきちんとしておくべきだ。これは私も閣僚の皆さん方も議会人であるわけでありますから、そのことは御理解いただけるというふうに思いますので、外務大臣どうですか。
○国務大臣(河野洋平君) 御指摘の点はよく理解できますので、十分気をつけるようにいたします。
○北澤俊美君 総理にお伺いをいたしますが、本国会は六十五日の会期でスタートをしたわけでございますが、拠出案件の重要さ、それからボリューム、それから国民への影響の重大さ、こういったようなことから我々野党は長い会期を要求したわけでございますが、六十五日でスタートをして、先週六日間の会期の延長を決定して、参議院は本日から審議ということであります。参議院の立場からすると、まあ多くは申しませんけれども、甚だ不満のあるところでございます。 そこで、政府・与党におかれては、臨時国会を開くに当たって会期の問題についてもう少し慎重さが、読みの甘さがあったんではないかということを私はここで反省を求めつつ指摘しておきたい、こういうふうに思います。 さて、本国会は御案内のように政治改革法案、税制改革法案、米に象徴される本委員会のWTO法案、それから長年の懸案であった被爆者援護法、我が国にとって大変重要な課題が今国会で審議を完了すれば解決するわけであります。大変重要な、歴史的な臨時国会だというふうに私は思います。また、それを背負って御奮闘いただいた村山総理以下皆さんには、私は野党の立場でありますが大いに敬意を表したい、こういうふうに思うわけであります。 そこで、いわゆる五五年体制で自社がずっと対決をしてきた、私も一方の自由民主党に長く籍を置いてきたわけでありますが、ただいま申し上げたような課題がどんどん先送りされてきた。大きな時代の流れの中で自社政権という私どもには想像のできない政権ができ上がった。しかし私は、いろんな政党が国民に対して責任を持ちながら国会で論戦をしていく中で政権をお互いに担って国民に対する大きい荷物を順番に背負っていくということは大変貨重なことだというふうに思うんです。そういう意味で、私は自社政権に対して一定の枠の中で評価はいたしております。この問題を解決したということは私は大変なことだというふうに思うんです。 ただ、盛んに言われるように、政権というのは国民の直接的な審判を受けた後に成立するのが本来の姿である、そういうものを経なかったということにおいて大きな指摘を受けておることもこれまた見逃せないことであるわけであります。そこで、この法案が解決して、しかも衆議院では選挙制度も変わるということになりますと、短い期間ではあったけれども大変御苦労をいただいた、いよいよ国民に信を問うべきである、私はそんなふうに思うんです。 村山内閣は細川、羽田内閣のしりぬぐい内閣だとかいうようなしりぬぐい内閣論が盛んに出たりしておりますけれども、そんなふまじめな話ではなくて、私は先ほど申し上げたように一定の評価はいたしております。 そこで、国民の信を問うということは、今の状況では私は大きな意味があると思うんです。ただいま申し上げたような法案が全部終わる、そして私たちは新しい時代へ間違いなく踏み込んでいくわけですよ。 総理は盛んに冷戦構造の終えんをスタートにして社会党の変化についても言われておるわけでありますけれども、私はこの冷戦についてはまだ一つの考えを持っております。どなたが、言われたかちょっと私もう忘れましたけれども、冷戦というものは、平和は不可能だけれども戦争は起こらない、一方で、冷戦が終えんすれば、平和は可能になるけれども戦争は起こるかもしれないと、こういう定義を言っているんですよ。 全く新しい時代に入ったわけです。そういう節目をとらえて大きな課題を解決した村山内閣としては、まず国民に信を問うべきではないかというふうに思うわけでありますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(村山富市君) 現内閣に対する一定の御理解ある御評価もいただきまして、本当にありがとうございます。 私は、昨年七月の総選挙以降、大きく日本の政治が変わるということを国民は期待して審判が出たと。しかし、細川内閣がああいう形でつくられるだろうということはだれも想定し得なかったと思うんですね。したがって、そういう意味から申し上げますと、細川内閣もあるいは羽田内閣も今の内閣も、そうした、歴史的な変化の経緯の中で生まれてきた内閣であると、私はそういうふうに位置づけております。 まして、これはこんなことを言っては大変申しわけないんですけれども、私が首班になるなんてことはどなたも想定しなかったでしょうし、だれも考えていなかったと思うんですよ。私自身もそんなことは思ったことはありません。私は、これはやっぱり。歴史の変化の中で求められた一つの所産ではないか。ある人は天命だというようなことで私に言った方もありますけれども、それなりに歴史的な使命を持っているというふうに私は思うんですね。 したがって、この歴史的な使命をどう果たしていくかというのがこの内閣の役割であるというようなことを考えてまいりますと、これまで解決できなかったいろんな、今お話のございましたような宿題があるわけですから、そういう宿題を解決するのもこの内閣でなければやれないことではないかというふうに思います。同時に、これだけ世界全体が変わるし、同時に日本の国内の状況も変わってきているわけでありますから、この変わってきておる世界の状況の中で、これから日本がどういう役割を果たしていくのかという一定の方向と進路ぐらいはやっぱりきちっと示して、そして展望を与えていくということが、ある意味ではこの内閣に与えられた課題ではないかというふうに私は受けとめておりますから、そういう役割はぜひ果たしていかなければならぬというふうに思っております。 同時に、これは選挙制度も変わったことだから、それは新しい選挙制度でもって選挙をすることは当然ではないかと言われるのも、私は一つのやっぱり理屈だと思います。しかし、仮に周知期間を徹底して、そして国会が解散をした、選挙するといった場合に、国民は一体何を基準にして何を選べばいいのかという選択の課題というものが私は明確ではないと思いますよ。それではやっぱり不親切ではないかというふうに思いますから、やはりそれぞれの政党が国民に訴える課題も明示をして、そして争点も明らかにして国民の皆さんから審判を仰ぎ、選択していただくということも大事なことではないかと思います。 同時にまた、今のような多くの問題を抱えているときに空白をつくることはどうだろうかという見解もございまするし、最近の世論調査を見ますと、解散は必要ないという声も大変多いようにも見受けられておりますから、そういう点も十分勘案をしながら判断をしなければならぬ問題であるというふうに思いますから、今は解散のことは考えていないということだけは申し上げておきたいと思います。
○北澤俊美君 それでは、WTOにまた入ります。 ただ、時間が限られておりますので私は申し上げたいというふうに思うんですが、三回にわたる議決ということを盛んに言われておる。そして、みんなが苦渋の選択だとか、こういうふうに言っておる。我々議会人として、議会で議決したことと違ったことを選択しなきゃならぬということについて、これも相当に深刻に考えておると思うけれども、これをもし軽んずるとしたら、私たちは議会をみずからが軽んずることになって、その議会を基盤にしている民主主義の行方に大きな危惧を抱かざるを得ない。そういう意味において皆さん方に一人ずつお聞きをしたい、こう思ったが、時間がないから大河原農水大阪にお聞きをいたします。 峠を越えてすぐの松井田の御出身でありますし、私は県議会へ出たときから、羽田前総理から、大河原さんという立派な人が出るから応援してやってくれよ、常にこう言われてきたものであります、お言葉を交わしたことはございませんけれども。しかし、私はこの間、野党の立場で御質問された後、羽田さんとお行き会いしたときに、少なくとも保利耕輔さんと大河原さんがあの質問をするというのはどういうことか、こうやって聞いたら、羽田さんがいみじくも、いや、二人ともよくわかって言っているんだよ、責められるおれより責めているあのお二人の方がきっとつらいのかもしらぬよ、こう言われたので話はそこで終わりましたけれども、やっぱり今の内閣の中で農水大臣をお務めになるとすれば大河原さん、あなたしかいない、私もそんなふうに思います。 そういう意味において、野党にあって主張されたことと、今こうして重い荷物を片づけようとしている心境について簡単にひとつ。
○国務大臣(大河原太一郎君) 昨年暮れのその前の七年間、我々としては輸入国の立場あるいは米を守る立場から関税化反対、例外措置ということで一貫して主張してきたわけでございますが、大詰めに参りまして細川内閣のもとでドゥニー調整案を受け入れたわけでございます。それまでの経緯なりあるいは内容等について我々は納得しがたいということで、また、十五分野全体がいかに結論づけられたかということも当時は不明だったわけでございます。そういうことで、自由民主党、我々も反対をいたしたわけでございますし、私は六月二日のWTOのマラケシュ協定の報告についても、諸般の問題について疑問を口平する質問を行ったわけでございます。 そういうことでございますけれども、やはりはっきり申し上げますと、外交関係の継続性はもちろん、さらにはWTO協定の持つ我が国における大きな意味ということを考えると、農業については非常にふぐあいだ、影響も大きいけれども、これはしっかりした国内対策をやる以外はないということを思い定めまして、村山内閣にも入閣をいたし、国内対策の確立に全力を尽くしてきたというのがありのままの気持ちでございます。
○北澤俊美君 では、大蔵大臣にお尋ねをいたします。 先ほど来、これは衆議院から始まってですけれども、六兆百億の位置づけでありますね。どう聞いていても手品師のように聞こえる。別枠ではない、二階建てでもない、しかし六兆百億についてはきちんと農水省の予算の中にやる。先ほど大塚委員がかなり突っ込んでおられました。それでも私にはわからなかった。手品というのは見ていてびっくりしますけれども、種があるんですね。しかし、種を見てしまったらおもしろくもおかしくもない。だけど、この問題はきちんとしていただかなきゃならぬと思うんですよ。 農水省には今、むだな予算はないわけでしょう。ないんですと、そうおっしゃっておる。そうすると、六兆百億というのはきちんと上へ乗せなかったら実現できない。背よくありました、子供の絵の中に隠し絵というのがあるんです。一定の額の中にあって、林があったりして、その中に角度を変えるとキツネがいたりウサギがいたりという絵がありますけれども、これでは説明にならぬが、どうしても、私らがこう聞いているんだから、もうちょっと国民にわかりやすい説明はできませんですか。
○国務大臣(武村正義君) 私は余り手品は得意な方じゃなかったんですが、どうも何回も御説明を申し上げていながらすっきり納得をいただけないのは大変残念に思いますし、同じ考え方を改めて繰り返すことになるかもしれませんが、形をごらんになって納得いかないということではないか。しかし、繰り返し申し上げておりますように、政府・与党としては責任を持って六兆百億円というウルグアイ・ラウンドに対応する新しい事業の政治決断をさせていただいたわけであります。新しいと申し上げているところに大変積極的な意味があるというふうに御理解いただきたいと思います。 財源論に入ると、例えば例を挙げますと、建設国債を充当できる。三兆五千五百億はかなり建設国債を充当できます。これは建設国債を来年度幾ら発行するかという次元の話でございますから、財源としては目をつぶって建設国債を充当するなら、我々、予算編成の展望はそう難しくない話でございます。あるいは財投を充てるとかNTTの資金を充てるとか、そういういろんな手段がございますが、一番苦しいのは一般財源を充当するという話でございますね。 これが一番厳しいということでありますし、片方申し上げておりますのは、今、三兆円を超す概算要求をされている農水省の予算も、政府全体の概算要求に対する精査、査定からは例外ではあり得ない。個々の農水省の予算は、厳しく、まさにほかの省庁と同じレベルで制度の根底にまでさかのぼって論議をし、あるいは優先順位をつけ、節減をし、最終の案を決めさせていただく。 しかし、そこで削ったからその削った一般財源を新しい一般財源に持っていくという、そういうふうにとっていただきたくない。政府全体が予算の総合的な判断の中で仕上げさせていただく。いやしくも農林予算だけはほかの省庁よりもひときわ厳しくというか理不尽なことをするような、そういう考えは全く持っておりませんということを重ねて申し上げているわけでございまして、もう間もなく結果が出るわけでございますから、私どもも責任を感じながらこの編成に当たらせていただく決意でございますので、ぜひ御理解をいただきたいと存じます。
○北澤俊美君 きょうは総括でありますから、実は農水大臣にたくさんお聞きをしたかった。例えば負債対策は、これは農協が酪農でも何でも農家に勧めていって、今、結果的に大変な負債を抱えておる。ところが、今のあれでは農協がそのリスクをしょわないでいるということでありますから、私は、農協そしてまた地方自治体も含めて、みんなでこの際この新しい農業のために負担をしていくべきだと。こんなようなことはまた後ほど別の一般質疑でやっていきたいというふうに思いますし、またそのことも提案をしておきます。 またもう一つは、構造改善事業をさらに進めていく上で今までの一番の弊害は、もう八割にも及ぶ兼業農家を全部護送船団のように一緒に連れてきた。これは農協の体質にもよるんですけれども、私はこれをきちんと見直さなかったら新しい農業への展望はない、農家一律平等主義というもの、この弊害は何とかしなきゃならぬ、こういうふうに思っております。 そこで、ウルグアイ・ラウンドの後に来る農業の困難さは先ほど来も盛んに言われている。私は、我が国の外交の中で、これは外務大臣、いつも後手後手に回っている、このウルグアイ・ラウンドの農業交渉も後手に回ったというふうに総括していいというふうに思うんですけれども、これは自民党さんの中にもそれから我々の中にも一部芽生えてきております食糧についての別の考えがありますので、この辺について衆議院でも何か触れたようにはお聞きをしておるわけでありますけれども、何といいますか、多国間の国際条約を日本から提案して打って出たらどうか。内容についてはもうおわかりだと思いますので、このことについてどんなふうに外務省としてお考えになっていますか。
○国務大臣(河野洋平君) 恐らく議員の御指摘になっているのは、食糧の自給を義務づける、各国に食糧の自給を義務づける協定のようなものを提案したらどうかと、こういう御指摘だろうと思います。 確かに最近は、人口爆発といいますか、人口急増地域とそしてまた食糧問題というのは必ずしもパラレルにいかないということがございました。数年前までは、人口増加のグラフと食糧増産のグラフというものがまあまあいいカーブを描いていた。もちろん食糧の偏在というものはございますけれども、地球全体から見れば、人口もふえるけれども食糧もそれなりにふえてきているというカーブを描いていた時期がございました。近年になりまして、人口の増加率に比べて食糧の増加率は追いつかない。逆に環境問題その他という問題があって耕地の開発というものが、開墾というものがなかなかできにくくなるという状況がございますので、それぞれの国が基本的に自分の食糧ぐらいは自給するべきだという議論があることは承知をいたしております。 ただ、これはなかなか国際的に合意が得られるかどうかということになりますと、例えばアジアの発展途上国を見ても、食糧の輸出によってその国の経済を支えているという地域もございます。そういう国が、先進国が食糧を全部自給してしまうということになると、これはなかなかそううまくいくかという問題も出てくるだろうと思います。さまざまな視点に立って検討をしなければならないというまだたくさん問題点が残っているように思います。ただ考え方は、一つの考え方であることは間違いない。 私も実はカイロの人口会議に参りまして、人口問題を議論するのと同様に食糧問題を議論すべきだ、あるいは環境問題を議論すべきだという提案を私自身してきたものでございますので、お考えは私なりによく理解をすることができますが、国際的にそうした協定のできる可能性があるかどうか、あるいはそれだけの説得力を持つためにはまださまざまな問題をクリアしなければならないということもございますので、検討をさせていただきたいと思います。
○北澤俊美君 現時点ではそういうことだろうと思うんですけれども、しかし人類の歴史というのは飢餓に対する恐怖の歴史なんですよ。そのことをまず考えなきゃいかぬ。それから食糧が豊富で余っているというのはほんのわずかな国だけですよ。そのことを考えれば、新しいものをつくり上げていくというのをこの豊かな我が国が率先して、しかも自国の農業が危機に陥っているこのときにこそ検討すべきだと。外務大臣から前向きに検討のお話がありましたので、ぜひそんな形でお願いをいたしたい、こんなふうに思います。 そこで、いろいろ問題が山積してきた中で、この六兆百億、自治省の方のを含めれば七兆二千何がしですか。それに合わせまして今、我が国はゴールドプラン、新ゴールドプラン。総理は新ゴールドプランはまだ認知してないというふうに盛んに言っておられます。それからもう一つには、新公共投資基本計画、これが六百三十兆。それから農村対策は先ほど申し上げた。それから整備新幹線。内閣がかわったらばかに景気のいいことを言って、私も新幹線待望の地元でありますから大いに歓迎でありますが、これは物にならぬ、いつも繰り返しなんですね。期待を持たせてがっかりさせて、また期待を持たせる。なかなか期待を持たせてくれてありがたいんですけれども。これまた運輸大臣の言うことを聞けば五兆何千億がぽっと出てこなきゃならぬ。それから基礎年金の国庫負担、これは当然避けて通れないところへ来るだろうというふうに思います、この財源。それからODA、大変なことなんですね。 そこで、既にもう御案内のように、国民一人当たり百六十一万円の借金をしょっておる。地方と合わせれば二百兆に及ぶ借金を既にしておるわけですね。隠れ借金を入れたらまたさらにふえるというこういう現状の中で施策を継続していかなきゃならぬ。 一方で、さきがけの存在というのは、行政改革を素人っぽい視点でしゃにむにやろうとしているところに私はなかなか魅力があると思うんですよ。だけれども、これはなかなかできない。だから、私も新聞やいろんな雑誌の書き出しを持ってきてこれをみんなお話し申し上げようと思ったが、時間がないんです。 行政改革は、総理の一枚看板と言うと語弊があるが、それに近いものだというふうに思うんですけれども、行政改革なくしてこれから増大してくる財政負担、それから国民に対する負担の要請、こういうものは国民の理解は得られないというふうに思うんですよ。 まず、どうですか、行政改革についての決意とそれから見通しについて。
○国務大臣(村山富市君) 先般、この国会で成立をさせていただきました税制改革に関連する法案の中にも二年後に見直しをするという条項があるわけですけれども、その中にも行政改革等はやっぱりやらなきゃならぬということもちゃんと明記しています。 今考えておりますのは、まず規制緩和についてはいろんな団体、国内外の意見を聞いていますけれども、その他意見を聴取した上で、年度内に規制緩和を推進する五カ年計画を決めて確実に推進していこうということが一つですね。 それから、特殊法人の見直し等についても、これは全面的な洗い直しをして、そして時代の変化に対応して、もう役目の済んだようなものがあるとすればそれはこの際やっぱり思い切って廃止をするとか、あるいは統合するとか、そういうことも具体的に取り組んで進めていこうということも今、鋭意作業を進めておる段階でございます。 それからまた、国全体の行財政のあり方を基本的に見直す意味で、行政改革推進本部の中に地方分権部会というものを設置して、そこでも検討して報告もいただいておりまするし、同時に地方制度調査会からも報告が出ておりますけれども、そうしたものも含めて、できれば次の通常国会には地方分権を推進する意味の法案ぐらいは出したいものだといって今努力をいたしておるところであります。そういう改革は、これはどの内閣にしろ今の時代から要請されておる大事な課題だというふうに受けとめて、私どもは閣内一致して取り組んでおるということだけは申し上げておきたいというふうに思うんです。 ただ、行政改革をやれば財源がうんと生まれてくるとかいうようなことにはなかなかなり得ない面もあるんではないかというように思いますから、それは総合的に判断をして、できるだけ出るものは抑制をし入るものは正確にとらえて、そして財源への関与もしていくということが大事なので、あくまでも公債の発行は抑制をして、そして健全な財政運営ができるような基盤というものをしっかりつくっていくためには、いろんな角度から総合的に判断をして取り組んでいかなきゃならぬというふうに思っておることだけは申し上げておきたいと思います。
○北澤俊美君 決意はいいです。 最近盛んに、行政改班をやってもすぐ財政的な効果が上がってこない、お金が余ってこないと、こういうことを言われますけれども、そんなことはだれでもわかっていることでして、これを言ったら国民はまた政治に対して不信感を強める、だからやらないのかと、こういう話。こういうおもしろいことを政治に対して言っている人がいる。やるやると言いつつやらない行革、地方分権。やらないと言いつつやったお米と消費税。これは国民のざれうたかもしらぬが、国民の心情をよくあらわしておる。心していただきたいと思います。 そこで、残余の時間は都築議員にしていただきますが、最後に通産大臣にお聞きをいたします。 通産大臣は行政改革については、十数年前になると思いますが、行革を盛んに自民党でおやりになっていたときにお話を聞いて私は大変感動したことを覚えておるのでありますが、あれだけ一生懸命におやりになって、見識を持っておやりになってなかなか進まない。最近私らの仲間の中でちょっと話が出たのは、ちょっと言葉が御無礼でありますが、最近、龍ちゃん悲しそうな顔をしていると、こういう話をされた方がいまして、今の状況を一番よくわかっているから難しさがわかっているのだろうと、こんなような話をされておったわけであります。行革についてのお考えと、それから先ほどお米の方にだけいきましたけれども、繊維の問題でちょっとお聞きをしたいというふうに思うんです。 お米に隠れて繊維の悲惨な状況というのがなかなかクローズアップされない。先ほどもどなたかやっておられましたけれども、大変なことだというふうに思うんです。繊維産業の中にはおおよそ三百万人という人たちがここで生計を立てておるわけであります。これが壊滅的な状況になるということになったら、これは社会問題になってくる。 そういう中にあって、衆議院の議事録を見ますと、通陸大臣はセーフガードの発動について少し踏み込んで、これはなかなか勇気のある、権利として持つものを行使することを恐れないと、こういうふうに答弁されておりますし、その後、準備が整うということは日本の繊維産業が一つ戦う武器を持つことだと、こういうふうに言われておる。これは繊維産業にとっては大変心強いことでありますし、WTOも一段落をしてくる中で繊維産業もきちんとした対応をしなきゃいかぬと。 そういう意味でセーフガードの発動をどんなふうにお考えになっておるか、これも行革とあわせてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) まず繊維から申し上げたいと存じますが、本年の五月、繊維産業審議会の通商問題小委員会から繊維のセーフガード措置の発動の判断の枠組みについて一般的なお考えが示されました。これを受けまして検討を進めてまいりましたが、このたび繊維のセーフガード措置に係る手続などを制定いたしました。 このセーフガード措置は国際取り決めで認められました措置でありますし、今まで国内での取り扱いが必ずしも明確でなかったわけでありますが、今回この手続を制定いたしましたことは、繊維のセーフガード措置に係る運用手続などを明確化した行政の透明性の確保に貢献するものだと考えております。 これを具体的に発動するかどうかというのは、これから関係業界から御要請があった場合、この手続によって判断をすべきことでありまして、現時点で申し上げることではありません。しかし、準備は制度としてきちんとつくり上げましたということであります。 それから、今たまたま行政改革についての意見を求められました。これは個人としての考えてありますので、その点はお許しをいただきたいと思います。 ちょうど鈴木内閣のとき、土光臨調と言われる第二次臨時行政調査会が発足をいたしました。そのとき、いろいろな角度から当然のことながら問題が提起されたわけでありますが、大きく言いますなら、人生五十年時代の行政の仕組みを人生七十年時代、八十年時代に合わせていくという視点が一つあったかと思います。また当時、公社として運営をされておりました幾つかの事業体、これを民営化するかどうかの判断の問題がございました。さらに、行政の効率化という視点からの問題提起もございました。これが第二次臨時行政調査会のもとに集約をされ、それぞれの問題が分析をされ、それなりの処方せんをいただいてきたわけであります。 そして、今でも私はさまざまな評価があるかと思いますけれども、土光臨調というものはただ単に三公社の民営化だけではなく、非常に幅の広い活動をされた、そのように考えております。それからしばらくの時間がたちまして、また行政を見直すということが極めて必要な時代に入ってきたと私も思います。そして、それはいよいよ高齢化社会という、本当の高齢社会に入ってきてしまった日本といたしまして、住民に身近な行政というものはできるだけ住民に身近なところで実行できる体制をつくっていく、これはまさに言い方を変えれば地方分権でありましょう。同時に、制度的にある程度行き詰まってきておりますこの産業界を考えましたときに、もう一度産業界が活力を取り戻し、より活力のある社会を維持して二十一世紀に入っていかなければならない。こうした面から考えれば、これは規制緩和であると存じます。 同時に、そうした角度で動かしていく行政の仕組みそのものももう一度見直す一つのきっかけをここでつかめる。総理として行政改革に対し情熱を傾けると言われた言葉を私も信じております。それだけに何か特定の問題だけが一つ処理されれば終わりといったものではない。むしろ、非常に地味な努力の積み重ねであり、そしてその中には、例えば組織の改廃が行われますならば、そこに現在奉職している方々の人化設計を変える、それだけの痛みを持つ選択を我々はしていくのだという謙虚さは常に持ち続けたいもの、私はそのように考えております。
○北澤俊美君 それでは、残った時間を都築委員の方から関連質問をさせていただきたいと思います。
○委員長(矢田部理君) 関連質疑を許します。都築譲君。
○都築譲君 それでは、北澤委員の質疑に関連いたしまして幾つか御質問を申し上げたい、こう思うわけでございますけれども、その前に、冒頭北澤委員が触れられました愛知県西尾市の大河内清輝君の自殺の事件でございます。 実は私、大河内清輝君が住んでおりました西尾市の隣町の出身でございまして、大変残念に思う次第でございます。文部大臣の質疑通告を出しておりませんので文部大臣にお聞きするつもりはございませんけれども、少しこの点についてもう一度言及したいと思います。 大河内清輝君については本当に心から御冥福を祈りたいと思いますし、家族の皆さんの悲しみはいかばかりかと、本当に心からおいたわりの言葉を申し上げる次第でございます。 ただ、この問題、実は文部大臣、先ほど刑事責任の問題とか学校管理の問題とか家族の倫理教育の問題とか、あるいは生徒の管理の問題とか、そんな観点から大変優秀な答弁をされたように思うわけでございますけれども、実は今ここで議題になっておりますWTO協定が非常に関連しているんじゃないかなというふうな気がするわけでございます。 戦後、私は戦後生まれでございますけれども、それでも三十年代、まだ本当に広々とした農地が広がっておりまして、野原で遊んで田んぼで泥まみれになった、こんな記憶がございます。そんな中で、例えば農家の子供たちは五月、六月になると農繁休業ということで学校がお休みになってしまう。それぐらい農業というのは大事な産業で、日本の国民の食糧を支えてきたわけでございます。農業というのは単に国民の食糧だけの問題ではなくて、日本の農地といいますか自然環境といいますか、そういった面にも物すごく重要な役割を、緑のしたたるような田んぼを夏には茂らせて、そしてまた水も保全するというふうな重要な機能を果たしておるわけでございます。 ただ、個人個人にとっては非常にそういったものを見て心が安らぐとか、あるいは単に農業で米を栽培するだけではなくて花卉栽培というふうな形で花を育てる、木を育てる、あるいは酪農ということで動物を育てる、こういったものが小学校の教育の中でも取り上げられていると、こう思うわけでございます。 だから、本当に今回の事件、大変残念なんですけれども、日本が戦後一貫して工業化の過程を進んで、貿易立国だからということで進んできた結果、世はメタルカラーの時代とかコンクリートの道路、あるいはアスファルトの道路、あるいは金属機械のマシン、そういったものばかりの中で、詰め込み教育に追われて人間性というのがどんどん失われでいっている結果、校内暴力の問題もいじめの問題も起こってきているのではないか。本当に小さいころ、花を育てる、木を育てる、あるいは動物をかわいがって育てる、こういった活動をすることで人間性というものはやはり維持されるだろうというふうに思うわけでございます。 ですから、同僚ではございませんけれども会田委員が先ほど指摘された学校教育における農業の取り上げ方、こういったものが私は人間性教育のために非常に重要な役割を持っているというふうに思っているわけでございまして、先ほどの御答弁、大変立派な御答弁でございますけれども、ぜひそういった会田委員が指摘されたことも踏まえてお取り組みを願いたいなと、このように思うわけでございます。 それでWTO関係、私は総折質疑ということで、総論的な部分ということで三点ばかり、WTO協定の影響の全体像とWTO協定参加予定国の動向、それから紛争解決手続、この三点についてお聞きをしたいなと、こう思っておるわけでございますけれども、その前に実は総理に、大変失礼な質問になるかもしれませんがお許しをいただいて、お聞きしたいことが一つございます。 と申しますのは、十一月の二十一日、参議院の本会議で新緑風会を代表いたしまして私がこのWTO関連の予備審査ということで質問させていただいたわけでございます。大変御丁寧な答弁をいただいて感謝を申し上げるわけでございますけれども、実は総理が冒頭私の名前をトチク議員と、こういうふうにお呼びになられたわけでございまして、私はトチクではございません。 実はもう二十数年前、私が大学二年のころに、今でこそ宅急便で有名になったある運送会社にアルバイトとして、学資を稼ぐためにトラック運転手の助手というのを一カ月ばかりやったことがございます。そのときに、汐留のコンテナヤードに行きますと事務所がありまして、そこで車の手配とか人の手配をやるおじさんがいるわけでございます、総理よりもう少しお若いぐらいのおじさんだったと思いますけれども。その人が、当時はやはり本当に珍しい名前だったんでしょう、読めなくて、トチクとこう呼んだわけです。いや、私はツヅキですと、こう申し上げた。ところが、翌日行くとまたトチクと、こう言われまして、いやツヅキですと、こう言ったんですが、二、三日それを繰り返しているうちにもう私もあきらめまして黙って従っておったんです。ただ、数年たったら、そこの会社の社長さんに私と同じ名字の都築さんという人がなったので、あのおじさん、後でどうなったんだろうなと心配をしておったのでございます。 総理、私の名前は何と申しますか、ちょっと言っていただけますでしょうか。
○国務大臣(村山富市君) 本会議で大変失礼な名前を申し上げまして、改めて訂正をさせていただきます。都築さんです。
○都築譲君 どうもありがとうございました。 それでは本論に入りたいと思います。 まず、WTO協定の影響の全体像ということでございます。今回のウルグアイ・ラウンド交渉の成果、WTOの設立もございますし、それから附属する協定ということで農業協定あるいはサービス貿易に関連する協定、知的所有権に関連する協定、こういったものがあるわけでございます、もちろん貿易関連投資に関する協定などございますが。 こういった協定の実施に伴って、実はこの協定自体は膨大な資料になるわけでございまして、私もこの委員会に指名されまして、資料を送り届けられますとおよそ一メートル以上の資料が積み上げられるような状況になるわけでございますが、ただ、こういったものが我が国の国民生活に、あるいは産業活動に、企業の活動に一体五年、十年、二十年後にどういうふうな影響を与えていくのか、これは国民の皆さんもなかなかわかりにくいところがあるんじゃないか。 実は農業の問題が非常に大きく取り上げられております。これは非常に大きな課題でございますけれども、いろんな分村で、国民生活が本当に豊がになるのか、産業活動はどうなっていくのか、そういった全体像を一言でというのはこれはなかなか難しいかもしれませんけれども、どういうふうになるとお考えになられるか。総理、御見解をお聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(村山富市君) これは、今、委員言われましたように、一口で何年先にはどうなるか、何年先にはどうなるかというふうなことを全体像をここで申し上げるにはちょっと問題が大き過ぎると思いますから、端的に私は申し上げておきたいと思うんです。 これは貿易の自由化が進展をして、そして同時に進展する度合いに応じて国際的な貿易ルールといったようなものが確立されていくという意味では大変やっぱりいい面ではないかというふうに思いますし、この協定の実施が世界貿易に対してどのような効果をそれではあらわしていくのかということにつきましては、本年の十一月のガット事務局が試算をしたものがあるわけです。 それによりますと、物の貿易だけに限っての試算でありますけれども、二〇〇五年時点においてはWTO協定が実施されない場合に比べて世界全体の貿易量が二三・五%増大するというふうに見られているわけです。我が国の場合にはどの程度進展をするかといえば、一八・三%程度増大するだろうというふうにガット事務局では発表いたしておりますから、これをひとつ参考にしていただきたいというふうに思います。 それからこの協定の実施に伴っては、先ほど来議論がありますように、農業問題等も含めて極めて困難な問題もあるわけでありますが、全体として見れば、このような貿易の拡大というものは産業構造の高度化や経済効率の上昇等を踏まえて我が国にとっては大きな利益がもたらされるものではないかというふうに私は考えています。
○都築譲君 ありがとうございました。 それでは、時間も大変わずかになってまいりましたので、参加国の動向についてはちょっと省略をさせていただいて、先ほど来、紛争解決手続の問題で朝から議論があるわけでございます。 今回の協定では紛争処理手続が大変強化されるということで、例えばネガティブ・コンセンサス方式とかあるいはタイムリミットの設定、さらにクロス・セクトラル・リタリエーションの導入とか、そういった形で手続の強化が図られてくるわけでございます。 今回のWTO協定自体そもそもの議論の縦線が、やはりアメリカの通商法三〇一条に代表されるような一方的な対抗措置、こういったものが自由貿易を著しく損なう、こういうふうなことでございましてガットの精神に大変反するものであるということで、何とかして各国でそういったものをやめよう、そして自由で無差別で多角的な貿易体制というのをつくって世界がともども発展していこうじゃないか、こういうことでやってきたはずでございますけれども、アメリカは実は三〇一条というのはまだ有効なんですよというふうなことを、言っておるということでございました。 それで、なぜなのかという午前中の上杉委員の質問に対して外務大臣は、発動されたらそれは協定違反の問題になる、こういうふうなことをおっしゃられました。午後の管野委員の質問に対しては、実はアメリカの今回のUR、ウルグアイ・ラウンドの関連協定の実施法の百二条の関係で国内法が優先するというふうな形で、アメリカの法律体系としてそういう国内法が優先するのか条約が優先するのか、ここら辺のところがどうも日本とは違うんではないか、こんなふうなお話をされておったと思います。 日本は確かに憲法の第十章の中に規定がございまして、条約はこれは国際的な約束であるから誠実に履行する、こういう形になっておりますから、〔日本の場合は国内法を完全に整備して条約に一つも違反しないような状況をつくらないと条約は批准しないというのが今までの慣行だったとこう思うわけでございます。 果たして、アメリカが本当にそんな主張をしていて、祖父条項の禁止と申しますか、これはWTO協定の十六条で祖父条項の排除ということがございまして、そこでそういうものについてはだめなんだよというふうな形になっておる。十六条の四項をちょっと読み上げてみますと、「加盟国は、自国の法令及び行政上の手続を附属書の協定に定める義務に適合したものとすることを確保する。」、こういうことになっておるわけでございますから、三〇一条というのはこの条文からいったら協定に定める義務に適合したものになるわけですか、ならないんですか。
○国務大臣(河野洋平君) 先ほど私は、三〇一条があること自体はWTOの精神から見ればこれは非常に問題があるけれども、それ自体違法だとは言えない。それがWTO協定に加盟している国に適用されればそれは違法になる。これは明らかに違法になる。ただし、WTO協定に加盟していない国もある。そのWTO協定に加盟していない国に適用するということを考えて今そういうものを持っているんだよという説明があるとすれば、それまで排除できるだろうかということを申し上げたわけでございます。
○都築譲君 時間が参ったようでございますので、いずれこの件については一般質疑の中でまた詳しくやりたいと思います。 どうもありがとうございました。
○北澤俊美君 終わります。
○山下栄一君 公明党・国民会議の山下でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 今回、特別委員会という形で、衆議院を終えましていよいよ本日から参議院で審議に入ったわけでございますけれども、私の問題意識としましては、このWTO協定は大変膨大な中身を持った、また壮大な国際機関をつくり、そしてまた国際貿易のルールを築き上げるという大変な内容を持ったものであるわけでございます。ところが、その割には国民の皆さんにはなかなか理解されておらない、こういう面があるわけでございます。 きょうは、テレビを通じて国民の皆さんがこの審議の内容を注目し、またこの審議を通して理解を深めていくという、そういう啓発の意味を込めた審議になっていくのであろうと思うわけでございます。きょうから参議院がスタートいたしまして、我々の国民生活全般に大変大きな影響があろう、そしてまた一次産業のみならず二次産業、三次産業、全産業に対しても大きな影響があるんだということが大分明らかになってきたと思うわけでございます。 ただ、先ほど申しましたように、国民にとっては非常に関心が薄いといいますか、WTOというのは一体何だというそういうことでございまして、WTOというのはお米の国際協定ではないかと、そういうふうな認識になりがちな面があるのではないかと思うわけでございます。それほど農業問題が大変クローズアップされ、強調され、またそれは当然な面もあるわけでございますけれども、我々の食生活に多大な影響を与える、また日本の農業の根本の政策転換にかかわる農業合意が入っておるわけでございますので、そういう意味でWTOというのはお米の問題なんだというふうな認識があるわけでございます。 また、私の出身の大阪の方でも、大阪は比較的都市の比率が高い地域でございますけれども、そこの大手の新聞の社会部の記者の方も、先日電話がかかってきまして、ほかの件であったわけでございますが、ちょっと今、WTOの特別委員会というのができてその委員としておるのでなかなか時間がとれないというふうなことを申しましたら、この大手の新聞の社会部の方がWTOというのは何なんですかというふうな、これは十一月の下旬の話でございまして、それほどこの永田町と一般の地方また国民とは非常にずれがあるというふうに思うわけでございます。ただ、内容的には大変大きな影響を与えるものであるというふうに思いますので、そういう観点から、きょうは特に総理、外務大臣等にお聞きしたいと思うわけでございます。 衆議院の審議におきましても五十時間近い審議が行われたわけでございますが、その八割方はやっぱり農業問題であったというふうに思うわけでございます。そういうことに隠れまして、農業の問題は痛みを伴う問題でございますので、どうしてもマイナスイメージでWTOをとらえてしまうという面があるのではないか。そうではない、これは大変積極的意義があるんだということをきょうは外務大臣、通産大臣、また首相からもお話があったわけでございます。 このWTO、いわゆる世界貿易機構、これは戦後世界の経済復興の担い手として構想されたわけでございますが、なかなかこれが実現しなくて、やっと今回、世界初の国際貿易組織として結実したという、そういうものでございますけれども、このWTO協定の積極的な意義、このプラス面を特に総理にお聞きしたいと思うわけでございます。何度も朝からも、また衆議院の方でもこのWTO協定の意義につきましてお話しされておるわけでございますが、なかなか積極的なアピールという面ではちょっと弱かったのではないか。これぞ大変な意義があるんだぞということを、農業問題の痛みの陰に隠れてかすんでしまっている面があるというふうに思いますもので、それを確認したいと思うわけでございます。 このWTO協定は、七年七カ月というウルグアイから始まったロングランの貿易ルール交渉を経て今回でき上がったものであるわけでございますが、このウルグアイ・ラウンドの提唱者は実は日本である、特に中曽根総理のときであったということでございまして、この七年にわたる交渉にやはり一貫して政府の方でも取り組み、ある意味ではリードしてきたのではないかというふうに思うわけでございます。そういう意味で、国民にわかりやすく今回の協定の積極的な意義を、もしこれ失敗していたら大変な損失になったのではないかということも含めまして、村山総理に国民の方に目を向けた答弁をお願いしたい、このように思います。
○国務大臣(村山富市君) きょう、もう午前中からの質疑の中で、WTO協定を締結することが我が国にどういう意義があるのか、どういう効果があるのかといったようなことに対する質疑も行われておりますので、おおよそもう皆さん方には御理解をいただいたんではないかというふうに思いますが、さっきお話もございましたように、今度の協定は単に鉱工業品の関税引き下げや農業分野だけではなくて、新たな分野として知的所有権や金融、運輸などのサービス貿易分野を含んでおるということは大きな前進でありまするし、同時にまた、最終的には百二十五の国や地域が参加して七年にわたって、お話もございましたように包括的かつ、歴史的な時代考証の結果として妥結を合意されたものでありまして、その意義は大変大きいものがあると私は思います。 この協定の締結は、午前中からもずっと議論されておりますように、多角的な自由貿易体制の維持あるいは強化といった面もある反面、国際経済秩序を、言うならば貿易のルールをどう確立していくかということについても大変な前進を見たし、その意味から申し上げますと、国際経済全体の秩序に対する信頼が高まっていくんではないかというふうに思います。そうした全体の動向の中で、貿易立国である我が国にとっては、先ほど我が国が提唱したというふうな話もございましたけれども、それだけに大きな意義があるんではないか。 ただ、その反面、農業問題等を抱えた我が国にとっては大変厳しいものもあるわけですから、その厳しい問題については国内問題として十分万全の対策を講じていくということはもちろん大事なことでありますけれども、全体としては大変大きな意義がもたらされるものだというふうに認識をいたしております。
○山下栄一君 ちょっとどうしても答弁の中身が同じように繰り返しになるわけでございますが、特に今、最後の方で総理がおっしゃった国民生活への具体的な影響、どのように具体的に国民生活に影響があるのかという、これが一番大事なことであるのではないかなと思います。例えば、消費者という観点から国民をとらえましたら、今回の協定は、人、物、サービス、権利と、本当に衣食住を含めまして、レジャーも含めてさまざまな国民の生活にかかわってくる、そういうことでございます。そういう意味で消費者の選択の幅が今回の設立協定によりまして、また合意によりまして広がるのではないかという、そういう一面があると思うわけでございます。 また次に関税引き下げ。日本は大分低くなってきておるわけでございますけれども、この関税引き下げにより国内価格が低くなるという、そういう面もあると思うわけでございます。これも非常に国民にとって関心の高い問題ではないかなと思うわけでございます。 それと、今おっしゃった食品安全基準の問題でございまして、特に日本の基準が国際基準よりも高いということから、この国際基準に合わせますと国民の健康、安全に大変な影響を与える、そういうことでも今回の協定は国民の生活に大変かかわりがある。 また、物だけじゃないということから、第一次産業、第二次産業、そして第三次産業まで網羅するそういう中身を持っておるということから、全産業に影響を与えるということは、それを通して雇用の面、これもプラス面、マイナス面、そういう形で国民生活に影響を与えていくのではないか、このように思うわけでございます。 そういう国民生活への影響ということを国会の議論を通して浮かび上がらせていくということがやはり重要なのではないかというふうに思いますもので、ちょっとかけ離れた議論にならないように、そういうことを国民生活への具体的な影響で多大な影響があるということを総理のお口からもテレビを通してアピールしていただきたい、このように思います。お願いします。
○国務大臣(村山富市君) 具体的に数字を挙げてどういう影響があるかということについて今ここで申し上げるだけの資料を持っておりませんけれども、しかし貿易が拡大されていくということは、輸出もふえるだろうし、同時に今お話がございましたように、関税が引き下げられるということになれば安く物が入ってくるということにもなるわけでありますから、したがって輸出がふえるだけではなくて輸入ももちろんふえてくるだろうというふうに思います。そんな意味では、消費者の選択の幅も広がっていくのではないかと思いまするし、価格の面においてもいろんな意味で影響が出てくるのではないかというふうに思いますから、そんな面では大変なプラスが出てくるのではないかというふうに思います。 あるいはまた、さっき言いましたように農業問題等については深刻な問題もまた反面抱えておりますし、また産業の空洞化とかいろんな面が言われているだけに、そういう問題に対してどういう影響を与えていくのか。あるいは雇用問題については、これは新しい分野を開拓して貿易の拡大を図っていくというようなこともこれからやっぱりつくっていかなきゃならぬと思いまするし、そんな面では新しい雇用の場も創出されていくというふうに思いますから、言うならばこれが国民の暮らしにとってプラスに展開されていくような国内対策というものを十分これから考えていく必要があるということは申し上げるまでもないと私は思います。
○山下栄一君 今、具体的な数字というお話がございましたけれども、ガットの事務局とかまたOECDのデータ等もきょう朝から披露されておりますが、これは国際機関のデータでございまして、影響がいかに大きいかという観点から考えますと、経済効果の試算、これはやはり政府としておつくりになる必要があるのではないか。 今回の審議を行うに当たりまして、やはりそういう試算も、産業の面、また経済効果、GNPをどれだけ押し上げるのか、貿易量がどれだけふえていくのかというふうなことも含めまして、試算はしっかり用意するべきではないかなと、こういうふうに思いますので、その観点からでございますが、要するにマクロの観点から我が国への経済増大効果といいますか、これがどれほどあるのかということでございます。 通産大臣にお聞きしたいと思うのでございますけれども、きょうの朝の議論で大臣の方から国内産業への影響、これは確かにある、プラス面、マイナス面両方あると、ただ産業分野によって異なるんだ、全体としてはだけれども好ましい効果があると、このようにおっしゃったわけでございますけれども、産業政策を今日まで進めてこられて、日本の産業の今日をつくり上げたのは通産省の力が大変大きいという、そういうことから考えまして、今回の膨大な内容を含むWTOの協定、これが我が国の産業にどのような影響を与えるのか、経済効果があるのかという、プラス面マイナス面を含めまして産業別のそういうふうな試算等ございましたらお示し願いたい、このように思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 産業別の試算と申し上げるようなものは我々として、委員の御指摘でありますけれども、準備をいたしておりません。ですから、その点はどうぞお許しをいただきたいと存じます。 そして、午前中に申し上げたことの繰り返しになりますが、ガット事務局が先月、二〇〇五年時点における効果というものを五兆一千億ドルという試算をいたしたわけでありますが、その中で、日本に対しては二百六十七億ドルの所得拡大効果があるという試算がなされておるということでございます。 個別の分野につきましては、残念ですが、我々そうした試算を用意しておりません。
○山下栄一君 今、大臣も何度も示しておられるわけでございますけれども、ガット事務局の二〇〇五年時点における、これはGNPでしたでしょうかGDPでしたですかね、二百六十七億ドル。だから三兆円近いそういう所得の増大効果があるということでございます。 これは先ほど申しました国際機関の話でございまして、きょう朝からも議論がありますように、第一次産業、農業以外にも、例えば繊維産業にも大変大きな影響がある、皮革産業もそうだと、中小企業にも大変な大きな影響があるんだと、それだけではなくてやはり新しいビジネスチャンスの拡大の効果もあるんだという、そういう御指摘も通産大臣からあったわけでございます。 やはり国民が一番知りたいのは、この協定を通して具体的に我が産業にどのような影響があるのかという、まだこれから始まるわけでございますので確かに具体的な数値はこれからであるわけでございますが、少なくとも試算ぐらいはやはり出すべきなのではないかと、このように思うわけでございますが、この点いかがでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、経済企画庁長官にも確認をさせていただきましたが、そうした試算を行っておられないということでありまして、お許しをいただきたいと存じます。
○山下栄一君 国際組織が具体的な、それは試算でございますので、出しておるわけでございますから、日本の政府も出してないことは僕はないんじゃないかなと思うわけでございますけれども、なかなか公表できないということかもわかりません。 今ちょっと触れられました経済企画庁にお聞きいたしますけれども、このOECDの試算とかガット事務局の試算を企画庁としてはどのように評価されておられますか。
○国務大臣(高村正彦君) 定量的な試算が極めて難しいということで、今、経済企画庁としては試算をしていないわけでありますが、ガット事務局でも二つばかりの試算をして、そしてOECDでも試算をして、ちょっと前提条件が違うとそれが全然違う結果が出ているということで、それなりの意味はあると思いますが、その一つの試算に決定的な意味を持たせ得るものではないと、こういうふうに考えているわけであります。
○山下栄一君 ひとつ別の観点から御質問したいと思うわけでございますが、きょう朝、同僚議員からもお話ございましたけれども、WTOの事務局の体制の問題です。 ガット事務局には五百人近い専門員、事務職員がいらっしゃるというふうにお聞きしておりますが、日本は一人とか二人という数であるというお話がございましたが、日本の置かれた世界の中における経済的な立場を考えますと、やはり事務局の体制にも積極的にかかわっていく必要があると。特に、初代の事務局長の人事の問題につきましても、衆議院でも話題になっておりましたが、ガットの方は、ダンケルさんとかサザーランドさんとかほかの方も含めまして初代から五代目までどちらかといいますと官僚の方が多かったのではないか、このように思うわけでございます。 今回のWTOの初代事務局長は、これはもう極めて重要な国際貿易に関する調整役とか、ある意味じゃ推進役になる立場であろうと思うわけでございますけれども、今回はお役人じゃなくて政治家の方が、それも大物政治家が立候補されておる、メキシコ、イタリア、韓国と。だけれども、日本はそこにはまだ立候補の余地があるんじゃないかと思うんですけれども、そういう気持ちはないという答弁を外務大臣はおっしゃっておりました。それよりも韓国の方を支持するんだと、こういうふうな方向でございましたですけれども。なぜそんなに遠慮されるのかなと思うんですけれども、人がおらないのかなというふうなこと。いろいろそれにかなった方もいらっしゃるというふうに私は思うわけでございます。 日本の政治家で英語とかそういう語学の達者な方で私はいらっしゃらないはずはないと、このように思うわけでございまして、今からでも遅くないというふうに思いますので、外務省といたしまして、また日本の政府として積極的な大きな役割を担う、また初代という重みを考えまして、初代事務局長への立候補、河野外務大臣もその候補者の一人ではないかと私は思うわけでございますけれども、その辺の決意を、お気持ちをお聞きしたいと思うわけでございます。
○国務大臣(河野洋平君) 国際機関の長といいますか事務局長は、各国それぞれいろいろな人材を擁して立候補し、あるいは推薦をし合うということが多うございます。 御案内のとおり、日本でもWHOの事務局長に中島氏、あるいはUNHCRに緒方さん、こういった方々がその立派な国際機関のリーダーとして業績を残しておられます。そういう意味からも、国際社会の中で我が国の人材は十分通用するし、高い評価を受けているということがございます。 そこで、問題はWTOの事務局長人事についてでございますが、これは、今、議員が御指摘のように、今三人の候補者が世上うわさをされているわけでございます。イタリーのルジェロ氏、メキシコのサリナス氏、前の大統領でございますが、そして韓国の金喆寿氏と三人の候補者が今それぞれ支持を得るために努力をしておられます。 我が国も実はこのWTOの事務局長人事に関心が大いにあったわけでございますが、九月でしたか、あるいはもう少し早い時期かもわかりませんが、韓国から金喆寿氏をWTOの事務局長に推薦をしたい、ついては日本からも支持を願えないかという打診がございまして、我が国としても種々検討をいたしましたが、重要な隣国、韓国から、金喆寿氏は国際的にこの種の経験が非常に豊富な方でもございます、立派な候補者だと考えて金喆寿氏を支持することを政府部内で決定をいたしまして、韓国にその旨通報をしたという経過がございます。 したがいまして、今から日本がこの問題について候補者を出す、現在の状況の中で候補者を出すということは現在考えておりません。
○山下栄一君 もう時間が来ましたので、特に農業問題につきましても一言質問したかったわけでございますが、一般質疑に譲りたいと思います。 残余の時間につきましては、関連質問という形で浜四津議員の方にお願いしたいと思います。
○委員長(矢田部理君) 関連質疑を許します。浜四津敏子君。
○浜四津敏子君 それでは関連いたしまして、WTO協定について質問させていただきます。 我が国は、世界最大の食糧輸入国であるというふうに言われております。世界のエビの三分の一は日本人が食べている、こういうふうに言われておりますように、私たち日本人が毎日食べている食料品のうち、カロリーベースで、平成四年度は五四%、つまり半分以上が外国から輸入されたものであります。 ある方はこうおっしゃっております。日本人の胃袋は諸外国の植民地である、こんなふうにまでおっしゃる方がおられるほどでございます。今後、ますますこうした輸入食品の増加そして多様化、また輸入先の拡大の中で食品が本当に安全なのかどうか、こうしたことにつきましてさまざまな課題に私たちは直面しているわけでございます。 各国が生産、製造、流通の各段階で使う化学物質やあるいは法規制の違い、そして我が国にはない有害微生物による食品汚染あるいは長期輸送に伴う腐敗、またそれを防ぐための化学物質の使用等の問題がありまして、今、消費者の皆様は毎日口にする食べ物が本当に安全なのかどうか、また今後この安全性が確保されるのかどうかにあついて大変大きな不安を持っております。 これまでのWTO協定その交渉あるいは協定の経過を見ておりますと、自由貿易拡大のための国際基準。づくりが最優先されまして、食品の安全性の確保は余り重要視されてこなかったという批判がございます。また国内では、厚生省は国内の残留農薬基準を国際的な基準に合わせる等残留農薬基準の設定、新設のあり方について抜本的に見直しを行う、こういうことを決定した、そしてその準備を進めていると報道されております。また、食品添加物の指定も拡大されるのではないかというふうに言われております。この残留農薬の問題あるいは食品添加物の問題は国民の健康に直接かかわってくる問題でありまして、国民の方々は非常に高い関心を持っておられます。 そこで、輸入食品の安全性について質問させていただきます。 今回、WTO・SPS協定によりまして国際的基準整合化を図る、こういうことになっております。残留農薬基準あるいは食品添加物指定を整合化する、どの国も基準を合わせる。しかし、これは国によりまして、食生活あるいは食習慣、食文化は各国によって異なります。例えば、日本人は米やあるいは魚介類を多くとりますけれども、魚介類をほとんど食べない国もあります。また野菜の中でも、例えば大根あるいは白菜を食べる国もあり食べない国もある、各国各様であります。それを一つの基準にまとめるというのがもともと本当は無理があるところではあります。 自由貿易拡大の視点から一定の国際基準が必要だと、それは理解できないわけではありませんが、厚生大臣、こうした外国と我が国の食生活あるいは食習慣・文化の違い等を十分考慮した上で、この基準整合化というのは国民の健康と安全の面から問題がないと言い切れる自信がおありなのかどうか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(井出正一君) お答えいたします。 お尋ねのSPS協定でございますが、お米やリンゴのように日本人の摂取量が多いなど、食習慣あるいは食生活の相違といった科学的に正当な理由がある場合等におきましては国際基準よりも厳しい措置をとり得ることの規定もこれには盛り込まれておりまして、こうしたことからこの協定の締結は食品の安全確保を図っていく上で支障はないものと考えております。 厚生省としましては、今後とも国民の皆さんの健康確保を第一に考えて対応してまいるつもりであります。
○浜四津敏子君 それでは、この国際基準、コーデックス基準と日本の国内基準とをどう整合化させていくのかについて伺います。 厚生省は九一年の九月から基準改正に既に着手しておりまして、緩和されたものもございます。例えば、ジャガイモの発芽防止剤クロルプロファムは従来よりは千倍も緩い基準に改正された、これは一例でございます。 今回、この国内基準の見直し、基準づくりの中で、国内基準の方がコーデックス基準より厳しい場合にはどうされるのか。コーデックス基準に合わせて緩くすることがあるのかどうか、それとも国内基準というのはその分野の専門家の知見を使って国民の生命、健康、安全を守る観点から策定されたものでありますから、そのようにして定められた基準値を貿易拡大の観点から変えるようなことはしない、したがって厳しい国内基準値はそのまま守るということなのか、いずれになるんでしょうか。
○政府委員(小林秀資君) 現在、残留農薬でいきますと、比較できるものでいきますと大体六割がコーデックス基準と同じでございます。それから、二〇%が我が国の基準の方が厳しいものがございます。 この我が国の残留農薬基準を決める際にも、以前からコーデックス委員会のデータ等そういうものに配慮しつつ国内基準を決めてまいりました。それが厳しくなっておりますのは、今、先生が御質問ありましたように、日本が米をたくさん食べる、リンゴをたくさんとるというような国内の食習慣、そういうものに配慮をして厳しいデータをつくってきたわけでございまして、私どもとしては、今度の協定を結ぶことによって新たにこの基準を緩めるということについては国民の健康上からあってはならない、このように考えております。
○浜四津敏子君 それでは、現在国内基準がない場合について伺います。これについても、日本独自に専門家によって日本国民の安全、健康に必要な基準値を策定すべきというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○政府委員(小林秀資君) 厚生省におきましては、昭和五十三年から約十年間で二十六農業の残留基準を設定したにすぎませんが、平成三年から現時点まで三年間に七十その農業について基準を設定したところでございます。 今後の残留農薬基準の設定のあり方については、現在、厚生大臣の私的懇談会であります食と健康を考える懇談会において各方面の有識者の方々の御議論をいただいているところでございます。本懇談会は、今月半ばを目途に報告書をまとめるべく努力いただいているところでございますが、これまでの議論の中では、今後、当面二百農業を目標に基準を設定すべく御意見をいただいているところでございます。厚生省といたしましても、二百農業の基準を設定することにより、主要な農業について残留農薬基準規制を対象とすることができると考えております。 厚生省といたしましては、本懇談会の報告を踏まえ、今後とも残留農薬基準の一層の拡充に努めてまいりたいと思います。
○浜四津敏子君 それでは、食品添加物及び残留農薬基準値の算出方法について伺います。 こうした基準他は、マウスやラット等の実験動物による実験データをもとにいたしまして人体一日摂取許容量、ADIを算出する、こういう方法をとっております。この摂取許容量以内であれば人間が一生涯摂取し続けても影響がないと考えられる、そういう数値を示しているわけであります。例えば、ある一つの農業についての人体一日摂取許容量を人間が一日にとる食事の量で割って農作物についての残留基準値を出しております。 しかし、これらはあくまでも一つ一つの個別の基準であります。私たちは一日何十種類もの農業あるいは添加物等の化学物質を摂取していると言われます。一つを単独に摂取した場合は問題はなくても、幾種類ものこうした化学物質が体内に入って複合した場合に、相乗作用で新たな化学物質ができるということは容易に考えられることでありまして、またそうした不安を現に多くの消費者の方々が持っておられます。 〔委員長退席、理事梶原敬義君着席〕 実は、これは食べ物だけではなくて、空気あるいは水、こうした中にある化学物質も関連してくることではありますけれども、特に、厚生省においてこうした農業、添加物等の化学物質の複合作用の研究体制をつくる、こういうことは不可欠だと思いますが、現在こうした研究が行われているのかどうか、こういう研究体制がどうなっているのか、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 今ここに細かい資料を持ち合わせておりませんが、複合汚染に関する研究も今、着手をしているところであります。
○浜四津敏子君 それについての詳しいことはまた後日に譲るといたします。 次に、安全性、毒性の実験におきまして、人体への安全性確認につきましてはこれまで、急性毒性がない、だから安全なんだ、こういう説明がなされることが多かったわけでございます。例えば、一九九二年、レモンやオレンジなどかんきつ類の防カビ剤イマサリルにつきまして厚生省は、急性毒性は低い、発がん性や遺伝毒性はない、こういうことで食品添加物に指定したわけであります。しかし、このイマサリルにつきましては、大量に摂取すれば肝臓や腎臓障害を起こす、あるいは目や皮膚にも障害を起こすという報告がなされております。 人体への安全性ですけれども、急性毒性については実験も調査も比較的簡単にできるというふうに思います。しかし、慢性の毒性、これは時間もかかりますし、実験というのは非常に困難であるというふうに思われます。しかし、この急性毒性あるいは慢性毒性、両方の安全性が確認されて初めて安全ということが蓄えるわけでありまして、急性毒性については実験もなされており、あるいはデータもあると言われておりますが、しかしこの慢性毒性、長期間摂取による毒性の検査あるいは体内蓄積による影響については実験も困難で、データもないというのが現状であるというふうに思います。 日本においては、近年、がんも増加の一途をたどっておりますし、アトピーとかあるいはじんま疹、ぜんそくも増加しております。あるいは子供たちのアレルギーも非常にふえております。三人に一人はアレルギーだと言われております。また、化学物質過敏症、これも十人に一人がこの症状がある、こう言われております。ほかにも肝臓、腎臓、甲状腺、心臓等にさまざまな症状を持っている方々がふえている。こうした病気あるいは症状の方がふえている裏には、生まれてから毎日のように摂取している食品添加物あるいは残留農薬、この慢性毒性の影響が大きいと言われております。 この慢性毒性についての研究体制についても、今どうなっているのか、どのように取り組まれておられるのか、おわかりであればお答えいただきたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 今、先生のおっしゃられました添加物とか残留農薬の慢性毒性については、現在も十分行われております。 よくADIという言葉をお聞きになられたと思いますが、ADIというのは、その添加物とか残留農薬を毎日一生食べ続けても発がん性だとか催奇形性だとか慢性毒性がないというデータでございますので、慢性関係の御心配は私はないものと考えております。 ただ、先生の御指摘のアトピーだとかアレルギーということにつきましては、何分、動物実験ですと、ラットを中心に使っておりますので、動物は毛が生えておりますのでなかなか実態としてはわからない。そういう意味では、命に別状があるとか奇形が出るということではないけれども、そういう軽微なものについてまだ研究が確立していないという面はあることは事実でございます。 厚生省といたしましては、従来から厚生科学研究費の研究課題として、アレルギー性疾患の発生機序というのを研究いたしておりまして、平成六年度では合計いたしますと一億一千五百万の研究投資をいたしておるところでございますが、今後ともアレルギーの発生機序だとか食物摂取との関係ということについては努めてまいりたいと思っております。
○浜四津敏子君 このSPS協定によれば、各国はコーデックス基準を優先して採用する、ただし有効な科学的根拠の証明がなされた場合には国際基準より厳しい基準を採用していい、こういうことになっております。 この科学的根拠の証明というのが、どの程度の根拠と証明が必要なのか不明であります。また、有害だという証明が必ずしもできないけれども、しかし安全性に疑いがあるという場合は科学的根拠がないといえるのか、これについても疑問があります。いわゆる第四の基準、これが排除されるということなのか、これについても疑問が提示されております。 科学的に安全性が確認されれば問題ない、こういうふうに従来言われておりましたけれども、これにつきましては例えばフロンとかサリドマイドとかあるいはチェルノブイリの原発事故を見てもわかりますように、科学的知見、科学的根拠というのは万能ではありません。絶対でないことは明らかでありますので、有害を証明する科学的根拠がないから安全、有害を証明して初めて禁止というのは食品行政のあり方としては本末転倒であるというふうに思います。 安全性に疑いがあるのであれば、疑わしきは使用せず、食糧は最大限の安全性を確保すべきだというふうに考えますが、食品行政の基本姿勢について厚生大臣に一言、それから総理にも最後に一言お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(井出正一君) おっしゃるとおり、国民の健康にとって安全じゃないのじゃないか、こんな疑いが生じたようなものは使うべきじゃないと私も考えております。
○国務大臣(村山富市君) 御指摘もございましたように、食品中の残留農薬あるいは添加物やいろんなものが今出てきておりますから、そうしたものが単に単品でなくて複合されますとどういう影響が出てくるのかといったようなものもやっぱり不断に研究をして、万遺漏のないように、もうすべてに優先をして健康というものを第一に考えるということは大事なことだということについての認識は十分持たなきゃいかぬというふうに思います。
○浜四津敏子君 ありがとうございました。以上で終わります。
○立木洋君 総理、私は日本共産党を代表して質問をいたします。 世界貿易機関の設立の協定、これに関する諸協定、いろいろ調査をしましたけれども、調べれば調べるほどいろいろな大変な問題があるということが明らかになってきました。公正、公平な世界貿易の秩序の確立ということが言われますけれども、もともとこれにも大きな問題がある。日本の国民にとって言えば食糧農業問題、食品の安全問題、さらには関税引き下げに関連する中小企業の今後の問題等々、国民の生活経済にとって大変な問題があると私は考えるんです。 特に農業の場合には、御承知のように後継者の問題がもう激減していますね。そして、御承知のように食糧の自給率、これが大幅に低下してきている。そういう状況にありますから、自由化の道を進むことになるならば、いわゆる壊滅的な打撃が与えられるんじゃないかというふうな心配というのが大変なことになっています。これは農家の方々だけではなくて、消費者の中でもそういう考え方が広がってきているという問題があるわけです。 そこで、十一月二十一日に衆議院の特別委員会で武村大蔵大臣がこの協定の問題に関して「外国米を入れるということを認めるわけですから、これは国会決議に反しておるというのは、これはもう事実でありますし、率直に認めなければなりません。」というふうに答弁をされました。これに関して村山総理も、十二月一日、大蔵大臣の見解と違いがあるというふうには考えておりませんというふうに述べられているわけです。 つまり、国会決議の違反ということを認められたということになるわけですが、この国会決議に違反するということを御承知の上で今回のような事態を進めるということは、これは非常に問題が重大だと指摘せざるを得ないと思うんです。 国民の厳しい批判もある中で、この問題について国会や国民に対してどういうふうな責任をおとりになるつもりなのか、まず最初にお伺いしておきたい。
○国務大臣(村山富市君) たびたびこの御質問にお答え申し上げておりますように、衆参両院における国会決議に私は沿い得なかったということを申し上げたわけでありますけれども、これは大蔵大臣あるいはまた旧内閣であります細川内閣のときに細川さんが答弁したことについても同じようなことではないかと私は踏まえております。 〔理事梶原敬義君退席、委員長着席〕 ただ、日本の経済というのは農業だけで成り立っているわけではなくて、とりわけ貿易立国である我が国の場合には多面的な産品を貿易することによって成り立っているわけです。したがって、農業だけでもって断じることはできないというふうに思われますので、全体として総体的に判断をして、これはもうやむを得ないのではないかというような断腸の思いで私どもも受け入れたという経過もあるわけであります。 それだけに農業に対する影響というものは大変大きいわけですから、そうした影響をできるだけ最小限にとどめて、日本の農業をどうして守っていくか、あるいは国民食糧というものをどう確保していくかということについては、これが課せられた責任であるし、大きな課題として受けとめて万全を期す必要があるというので今取り組んでおるところでありますから、そのように御理解をいただきたいというふうに思います。
○立木洋君 国会の決議に背反するということは、その内閣の不信任決議が問題になるという重大な問題なんです。国民に対してそういう背反する態度をとるならば、その問題については国民に信を問い直さなければならないという問題にもかかわる重大な問題なんです。特に総理の場合には、この米の自由化の問題に関していうならば、あなた自身の選挙公約にも反しているわけですから二重三重にもこのことは問題になる。今のようなやむを得ない等々の発言では国民は当然納得するものではないということだけははっきり指摘をしておきたいと思うんです。 それで、今、国内の問題に関しては農業についていろいろ手を尽くしていくという趣旨のことを述べられましたけれども、御承知のように、年内を自由化したときにいろいろな手だてをとるということをやりましたけれども、大変でした。今、この牛の飼育農家というのは大変激減してきております。それから、価格も大きな問題になってきている。それだけではなくて、子牛の平均価格等々を調べてみますと、あの当時から、一九九〇年から比べると三分の一に減っているという状況です。北海道の別海町、あそこなんかでは一頭が数十キロの子牛が五百円だというふうな話を聞いて私は大変驚きました。こんなような状態になって、もうまさに自由化を進めるということは壊滅的な打撃を農業に与えるということを意味するわけです。 今度の問題でも国内対策の問題が言われておりますけれども、今、融資事業の問題が問題になりますけれども、これについても使われるか使われないかわからない融資新薬が、何ですか七千七百億、これは結局農家の借金になるんです、問題は。そして、さらにそれ以外の五兆二千四百億、この問題に関しても七割が公共事業でしょう。その半分は国が負担するといっても、あと半分は地方自治体と農家が負担しなければならないような状態です。 そして、今、一番問題になってきているのは何かというと、価格を何とかしてほしい、保証してほしいという農民の要求があるわけですが、これが今度WTOの協定の内容によるならば、それはできないことになっている。そういう状況にあるわけですから、本当にこの問題が、いわゆる今の状況で国内問題を進めれば農家の大変な状態を救うことができるなんというふうな主張は私は通らないんじゃないかと思いますけれども、基本的な点について総理のお考えを聞いておきたい。
○国務大臣(大河原太一郎君) 立木委員の御質問の中で、それぞれの点について我々と見解を異にすることがございますので申し上げます。 まず、牛肉の輸入については、輸入量が激増して、それが国内価格に影響いたしました。これは乳用年等のいわゆる俗にすそ物的なものが非常に影響を受けたわけでございます。これについては御存じのとおり、肉用子牛の補給金制度と、それから肥育農家については労賃部分を補償するというような経営安定制度をとって、それを逐次拡充しながらやっておりまして、全体の生産自体は自由化前よりも落ちておりません。それから、多頭飼育が進んでいるから戸数も減っておるという点もあることも、確かに環境は厳しいわけでございますけれども、その点についての御理解もお願いをいたしたいと、さように思っておるところでございます。 このたびの農業協定においては、関税化される十品目については内外価格差を前提とした相当高い、相当量の関税が設定されておりまして、急激な影響というものはある程度防止できると考えておるわけでございます。
○立木洋君 牛肉の農家に与えた厳しさということはお認めになりましたし、急激にはならないかもしれないけれども、いつなるか、大変な問題がやっぱり農家にあるんだということも認めざるを得ないということが農水相の答弁だと私は思うんです。 私は、最大の問題はやっぱり再交渉すべきだと、この農業の問題は。これは先日、サービス貿易の分野で外務省の原口経済局長が、交渉事だけれども、各国がどうしても除外したいという理由があれば、それに従って除外できるということですと、こういうふうに述べているんです。 これについては、例えばフランスの場合は御承知のように、これは歴史的な文化を大切にするために映画だとかあるいはテレビ番組、この制作等については、これをぜひとも自由化しないでくれといって強い要求をして、これは自由化しないことになりましたね。 それからまた、物の貿易の分野についてもどうかといえば、あの民間航空機の産業に対する航空機開発の補助金、この問題についても補助金協定から除外したことになりましたし、さらにその問題ではアメリカとEUが激しく争って、いわゆる民間航空機協定さえ継続審議になるという状態ですね、継続協議になると。 もう一つの問題は繊維の問題、先ほど来問題になっておりますけれども、繊維の問題についても関税の引き下げについてはアメリカ国内で倣い反対がある。だからこの関税一括引き下げ方式には反対だとアメリカは強く主張し続けて、この問題についても結局合意をしなかったという状況があるんです。 こういう問題を考えるならば、除外したい理由があれば除外できると。それならば、なぜ日本は米と農業の問題で除外すると主張しなかったのか、これが最大の問題です。もちろんそれは細川政権がやったことでしょうけれども、しかし今でもこれは理由があるとして除外を主張することができるという道があるわけですから、再交渉ができるんです。アメリカやEUはやって、なぜ日本が農業の問題について除外の再交渉ができないのか。この問題について総理いかがでしょうか。
○政府委員(原口幸市君) 短くお答えいたします。 私が申し上げたのは、サービス協定についての関連でございまして、農業とは別でございます。
○立木洋君 だから、私は物の貿易についてもちゃんと言った。民間航空機の補助金の問題から繊維の問題からちゃんと育ったんですよ。サービス貿易だけではないんです。 このガットの問題というのは、聞いてほしいんですよ、総理、ガットの問題というのは相手に押しつけることができるようなことじゃないんです。ガットの問題というのは、お互いに協議し合い、そして一致点で合意を求めて、そしてそういう貿易のルールをつくりながらやっていくというのがガットの基本的な精神として発足してきたわけでしょう。そういうこととするならば、日本が強く主張して、日本としてはこの問題はどうしても受け入れることができないんだということを主張すれば、どんな外国だってそれを日本に押しつけるという権利はないんです。そういうことができないことになっているのがガットの話し合いなんですよ。問題は、政府が国民の利益に責任ある態度を貫けるかどうかということなんです。 アメリカだとかEUなんかは、これはどうしてもだめだと国内から強く言われたからといって、あくまでもそれを阻止してきたじゃないですか。どうしてそれが日本はできないのか。結局アメリカやEUは、それは自分たちの死活の問題だと、国民の利益を考えるということであくまで主張し続けてきた。こういう点を考えるならば、日本の農家の方々、さらには全国農協中央会の代表の方も衆議院の公聴会で述べられた、農業合意にはあくまで反対です、新しい貿易ルールをつくる必要がありますと言って再交渉を求めているんです。 どうして日本政府はそれができないのか、政治的な判断ですから総理のお考えを聞かせていただきたい。
○国務大臣(河野洋平君) 農業関係者がこの問題について本当に心配をして希望を述べておられることは、我々ももう十分承知をいたしております。 しかしながら、立木議員はもう大変よく御承知の上での御質問だと思いますが、この時点で再交渉をせよと、言われてもそれは無理というものでございまして、最終合意文書に署名をし、そして今、各国がそれぞれWTO協定の国内手続を進めているこの時点で再交渉を求める、少なくとも今の時点で再交渉を求めるということは我々としてはできないという見解でございます。
○立木洋君 国連海洋法条約というのは一九八二年に署名しているんですよ、日本政府は。いまだに国会では批准していない。しかし、御承知のように、ことしこれは一部修正されているんですよ。だから、どういう状態になったって、国民の利益を守る立場に立つならば、再交渉ができ修正の要求ができるという権利があるんです。それがその国の主権というものなんです。それを今言ったような、これは河野外相の発言とは私は全く思えませんよ。 この問題で時間をとると大変なんで、次に橋本通産大臣にお尋ねしたいんですが、三〇一条の問題ですね。これはアメリカの国内法が優先だという観点に立って、三〇一条の問題については、これはこの問題に拘束されないという趣旨のことが述べられています。 問題は、その点に関して結局、WTOの協定が万的措置を禁止していることにかんがみれば、そのような措置を想定している三〇一条というものはWTO協定の精神に照らして問題があるというふうに考えていますと述べている。この点についてはきょうの河野外相も、あるいは先日の村山総理も述べられているわけですが、こういう問題があるというお考えに立って今までアメリカにはどういうような主張を通産大臣としては述べてこられたんでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 具体的な議論の場として一番新しい場面を迎えましたのは、先日のジャカルタにおけるAPECの会合、その時点におけるUSTRカンター代表並びにブラウン商務長官との会談でありました。そして、たまたま自動車の補修部品に対する三〇一条適用をアメリカは決めておりましたから、そのもとで我々は交渉には応じられないということを申す、その文脈の中からこの議論をいたしております。
○立木洋君 日本側はある程度の主張を述べられたというふうに考えますけれども、しかし現実に今回のアメリカの態度というならば、それで三〇一条の問題について制限をするのかというと、そうではなくてますます強めるという態度をとっているわけですね。 これは大臣のいわゆる管轄下にある産業構造審議会、一九九四年のレポートに書いてありますが、ここでは、アメリカは一方的な措置の発動を自制するどころか一方的措置を広範に活用する動きを見せていると。そして問題なのは、改善の措置がほとんど行われないだけではなくてむしろ問題が深刻化してきている。これはことしの一九九四年不公正貿易報告書、アメリカに対する三〇一条に対してのことなんです。主張しても直そうとしないというところに最大の問題があるんだということを私はこの問題でも指摘をしておきたいと思うんです。 さてそれで、現行ガットのときに、アメリカを提訴して、パネルで提訴国の対抗措置を認める判断が出たのは何件あったでしょうか。事務局でも結構です。
○政府委員(伊佐山建志君) お答え申し上げます。 過去に一度ございました。一九五一年にアメリカが行いました酪農品の輸入制限に対しましてオランダがパネルに訴えましたケースでございます。
○立木洋君 問題は、今お話がありましたように、四十七年間、アメリカに対して提訴をしてそしてその対抗措置が認められたのは結局たった一件ですね。それは結果はどうなりましたか、オランダのその提訴の。
○政府委員(伊佐山建志君) ガットの総会におきまして、その翌年にオランダが米国産小麦粉の輸入数量に関しまして最高枠を設けることを認めました。
○立木洋君 短くて結構です。対抗措置をとったんですか。
○政府委員(伊佐山建志君) とりました。
○立木洋君 いや、それはおかしいよ、あなた。 問題について言うならば、結局七回オランダは繰り返しその権利を要請したけれども、ついに結論としては対抗措置をとらなかったと文献に書いてあるんです。
○政府委員(伊佐山建志君) ガット総会の決定に基づきまして、オランダ政府といたしまして米国産の小麦粉の輸入に数量枠を設置いたしております。
○立木洋君 実施しようとはしなかったと書いてある。これは文献とあなたの主張が正しいかどうかというのを争わなければならないが、時間がないから。 私が言いたいのは、四十七年の間にアメリカに対していわゆるガットのルール違反だということは幾つも出されているわけですね。それからパネルで認められたケースもある。しかし、問題になったのは、対抗措置が認められたのはたった一件なんです。私の調査した結果で言えば、その対抗措置も、七回権利を要求しながらついに実質的には実施しようとはしなかったというふうになっています。 問題は、この点に対してカンター・アメリカ通商代表が、諸外国が自分の利益に反してまで制度を利用して市場から締め出されるリスクを負うようなことをこれまでもしていないことを見ても常識でわかるじゃないか、こんな言い方をしているんですよ。向かってくるなら向かってこい、自分のリスクを冒してまで向かってこれるのか、アメリカにと。こういうことをカンター代表が言っている。この問題に関しては、パネルの勧告が決定されてもアメリカはこれまで従わなかったということも、この通産省の不公正貿易の資料の中にも出されておるわけです。 ここでさらに指摘したいのは、この三〇一条の問題について、これはWTOに提訴をすればこの問題について解決されるかのように述べられていますけれども、アメリカのボーマン・カッター経済問題担当首席補佐官が述べられていることを紹介しますと、WTO協定で決められている問題についてはWTO協定の紛争手続によるけれども、WTO協定で定められていない問題は三〇一条の対象になると発言をしているわけです。そうすると、WTOで決められていない問題について関係国の認識が一致しているのかどうか明白になっているんでしょうか。簡単で結構です。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ガットからWTO体制への移行に伴いまして、WTOの紛争解決手続の対象は物だけではなく知的財産権やサービスもカバーすることになり、その範囲は拡大をいたしました。そして、WTOの紛争解決手続が対象とする範囲は、同手続の附属書に掲載されているところであり、関係各国の間には一致した認識があるものと考えております。
○立木洋君 いや、僕は橋本さんがそういうふうに述べられるというのは非常に遺憾ですね。 このウルグアイ・ラウンドの問題についてずっと外務省で国際貿易・経済担当官として仕事をしてきた赤尾信敏さん、今、ウィーンの代表部で大使をしていますが、この方がこのウルグアイ・ラウンドの問題でジュネーブの交渉にも参加しているんです。その人は、WTOで何がカバーされるかについての認識は彼我に差異がある、ちゃんと報告書で書いているじゃないですか。細部にわたると一致してないんですよ。一致してないということは一体何か。それは結局アメリカがこの問題はWTOの枠内ではない、だから三〇一条を発動しても問題にならないといってやってくる可能性があるんです。だから問題は、三〇一条をかけられたらそれに反対だといって提訴をして、提訴をしたといったって二十八カ月間かかるんでしょう。企業はお手上げですよ。 そんなような状態の中で、一致もしてないような問題でアメリカが公然とやることができる。そうすることになれば、三〇一条が発動しても紛争処理で問題がないということを主張すること自体が間違いなんですよ。問題はそうじゃないんです。アメリカの身勝手なやり方は、今度のWTO協定では抑えることができない状況になっているんだ。だから、あなた方が出されているあの不公正の貿易の中でも深刻な問題が提起されるといって指摘しているじゃないですか。そういう不公正貿易の問題についても、通産省で編集した文書の中でも明確に出されている。 それにもかかわらず、この問題に関してはWTOで、このWTOの問題に関係が出てくれば、いわゆる提訴をすれば問題が解決されますと、だから御心配要りませんというのは、これはいささか橋本通産大臣のお言葉とも私は思えない。ちょっと一言。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は委員ほど名調子でそのような見解を述べておりません。むしろ、今後WTOの紛争手続、解決手続の利用など個別具体的ケースについて、それぞれの場合に争わなければならないということは申し上げてきております。 同時に、確かにWTOがカバーしていない範囲があることも事実です。それは、例えばWTO非加盟国との紛争でありますとか、競争政策などのように規律の存在しない分野でありますとか、あるいは基準額以下の政府調達あるいは非譲許のサービス、こういったものは例外になっているわけでありますから、こうしたものがあることも私は否定をいたしません。しかし、従来に比べて幅が広くなったこと、これはお認めをいただきたいと思います。
○立木洋君 最後に一言。
○国務大臣(橋本龍太郎君) なお、最後に私も一言言わせてください。 委員が先ほど述べられました不公正貿易白書は、現行のガット体制の中で出てきた問題、これをまとめておりますということも申し上げておきたいと思います。
○委員長(矢田部理君) 立木君、時間です。他の時間がなくなりますから。
○立木洋君 総理、これ大変な問題なんですよ、国際貿易の公正を確立するかどうか。私はそのことを厳しく要求、指摘しておいて、再交渉を求めるという立場を明らかにして、質問を終わります。
○島袋宗康君 WTO設立が目前に迫っておりますけれども、現時点において主要各国の内部あるいは途上国と先進国の間に利害対立の火種がまだ消えない、必ずしもそういったことが払拭されていない状況にあるというふうなことが言われております。この問題は、WTOの弱体化につながるんじゃないか、あるいはまた空洞化になるのではないかというふうな懸念があるわけでございます。 去る二日の米国議会の承認によって新たな貿易体制への加速が確実でありますけれども、現時点における主要各国の批准をめぐる動向をここで簡単に御説明を願いたいと思います。
○政府委員(原口幸市君) 先ほど河野大臣からお答えいたしたと思いますが、十二月一日現在のガット事務局の調べによりますと批准をした国は二十九カ国・地域、それに国内で国内手続を下している国が別途七つあるということでございます。 御存じのように、その後、米国はウルグアイ・ラウンド合意の実施法案を上院で十二月一日に承認しております。それからEUでございますが、年内の受諾に向けて最大の努力をしていると承知しておりますけれども、英国、ドイツ、アイルランドは既に必要な国内手続を下していると承知しております。またフランスにおきましては、十一月二十九日にWTO協定が議会に提出されております。その他、イタリア、ベルギー、デンマーク等においても議会において審議が行われていると承知しております。
○島袋宗康君 そこで、昨年は国内の凶作によって大量の米が不足したわけでありますけれども、それに伴い米の緊急輸入をしたわけでございます。そのうち、タイ米の問題についてお伺いします。 タイ米の国内での人気はいま一つでございまして、現在でもほとんど売れ残っているというふうに報道されております。食糧庁が行った八月の輸入米の入札でも落札はゼロだったというふうに聞かされておりますけれども、タイ米の緊急輸入量、政府が抱えているタイ米の在庫量を示していただきたいと思います。
○政府委員(上野博史君) タイ米の総輸入量は七十七万トンでございまして、十月末現在でこのうち二十八万トンが在庫として残っておるという状況でございます。
○島袋宗康君 この問題については、後で時間があればお伺いしたいと思います。 次に進みます。 御承知のとおり、ガット・ウルグアイ・ラウンドで日本の米は関税化の特例措置として認められたものでありますけれども、この特例も七年目以降には再び厳しい交渉が予想されるわけであります。 ところで、国内では人気のないタイ米でありますけれども、皮肉なことに沖縄では伝統的に泡盛の原料として必要不可欠のものでございます。これまで特例的に輸入されてきておりますけれども、ただその際、政府の輸入買い入れ価格と業者への売り渡し価格との差益をめぐって問題になっておりますけれども、タイ米のトン当たり平均輸入価格と売り渡し価格の差額を平成元年以降に限って示していただきたいと思います。
○政府委員(上野博史君) 平成元年以降五年までの決算をもとにいたしました数値でお答えを申し上げたいと思いますが、差額はトン当たり約九万七千円という状況でございます。
○島袋宗康君 その差益についてを聞いておるんですよ、差益について。
○政府委員(上野博史君) 今、私がお答えを申し上げましたのが差益でございます。要するに、政府買い入れ価格と政府売り渡し価格との差額というのが九万七千円でございます。
○島袋宗康君 そこで、九万七千円の差額でありますけれども、私の手元で調べた結果はトン当たり四万円で輸入して売り渡し価格が十四万で、大体今の九万七千円、約十万の差益があるわけでありますけれども、今回のWTOの論議の中でやはりこの問題については整理する必要があるのじゃないかというふうに考えます。 原料米の輸入について、一部の輸入を直接業者に任せることはできないかどうか、WTOを軸とした新たな貿易体制の流れに沿い、その輸入実績は七年目以降の交渉にも有利に作用すると私は思います。 また、泡盛やしょうちゅうなどに対しては、従来、ECなどから国内業者を優遇しているという批判があり、その圧力に対して政府は零細業者の国際競争力を問題にして抗弁してきているわけでございます。競争力の弱い原因は、泡盛の場合には原料コスト高にあると言われてきました。したがって、原料米の輸入を業者に任せることは競争力をつけることになると考えます。 この際、政府は、泡盛の原料米に限り業者が直接輸入できるような方途を考えてはどうかというふうに思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 業者が直接輸入するというおっしゃり方でございますが、それは国家貿易の管理のもとでございますので、業者で直接輸入という、ほかの乳製品とか何かは関税相当量を払えば国内へ入れられますけれども、米についてはそういうことはできません。 おっしゃるところは、きょう大塚委員からも御質問が出ましたが、SBS方式というようなことで、輸入業者とそれから国内の卸売業者等が売買同時契約方式、SBS方式で輸入するような場合にはその業者の意向が反映してくる、そういうことでございまして、その場合においても一定の差益を徴収いたしますから、これは国際約束に従って許されておりますから、したがって御期待するような輸入業者が手に入れる価格になるかどうかは検討を要するのではあるまいかというふうに思っています。
○島袋宗康君 もう時間がありませんので最後になりますけれども、タイ米に限らず、この膨大な在庫輸入外国米を今後どのように利用して処理するおつもりなのか、その辺についてお伺いします。
○国務大臣(大河原太一郎君) しばしばお答え申し上げているとおり、国産米の需給関係に影響を及ぼさないように息長く中期的な視点に立ってこれを処理いたしたい、さように思っておりまして、低価格の何と申しますか、標準価格米的なもの、業務用米あるいは加工用の用途というものを考えております。
○島袋宗康君 時間ですので終わります。
○西野康雄君 新党・護憲リベラルの西野康雄でございます。 まず、総理と外務大臣にお伺いをいたします。 WTO、私の党の立場としても、農業従事者の皆さん、あるいは皮革産業に従事している皆さん、あるいは食品に対して非常に安全の問題に対して疑問を呈しておられる方、そういう方々の立場を考えるというと、とても賛成というふうにはまいらないわけですが、大和総研理事長の宮崎勇氏が十一月二十三日付の朝日新聞紙上で、APECも、WTOを効果的なものにするものであるべきだ。進め方について言えば、同一政策を同一時点で行うのは無理がある。アジアの多様性とは、人種、自然環境、言語のほかに、経済の発展段階の違いを意味する。自由化の時期は努力目標としてならいいが、がっちりしたものでは具合が悪い。強行すれば、経済発展が進んでいる国により有利になってしまう。過去にも強い経済力を背景に弱い国に圧力をかけたケースがあっただけに、あくまで緩い形であるべきだと思う。こう述べられておいででございます。 発展途上国を多く含むアジアに対して、またアフリカに対してもそうですが、慎重に対処しなければWTO加盟がアジア諸国だとかアフリカ諸国とかの摩擦材料になりかねないんじゃないか、そういう思いが私もいたします。 そこで、総理並びに外務大臣の御所見をお伺いいたします。
○国務大臣(河野洋平君) WTOは、議員も御承知のとおり、世界百二十五という大変多くの国と地域が参加をして、合意の上いよいよスタートしようと、こういうわけでございます。 一方、APECも、これまた先般ジャカルタで開かれた会議におきまして、インドネシアのイニシアチブで自由化の方向を打ち出したわけでございます。私どもは、APECで自由化の方向を打ち出すのはむしろ先進国が打ち出して、発展途上国はどうもそれはちょっと待てと、こういう議論になるのではないかと思っておりましたが、そうではなくて、むしろインドネシアがイニシアチブをとると、こういう状況でございました。 考えてみますと、これはいろいろ議論のあるところでございますが、OECDが発表いたしました試算、つまりWTOができて貿易が今度自由化されていく、関税が引き下げられていく、ルールができるということになると、できないときに比べて相当な経済量、貿易量が多くなる、そういう試算を出しましたが、その試算の中で、発展途上国がより多く影響を受けて、つまり貿易が多くなるという数字が出ております。これらを見ましても、私はプロセスはいろいろあると思いますけれども、結果として発展途上国にも多くの利益が出るだろうというふうに思っております。
○国務大臣(村山富市君) 今、外務大臣が答弁されて、もうそれで尽きるわけでありますけれども、私も先ほども申し上げましたように、APECの会議に参りまして、これは十八の国と地域が参加しているわけですが、先進国もあれば発展途上国もあるし、発展途上国であってある程度発展した国もあれば、まだこれからという国もあります。そういう国内事情の違いはあるけれども、相互にやっぱり補完し合い協力し合って地域全体の発展を競う、こういう意味で合意もしているわけであります。私は、WTOのこの合意でこれから経済、貿易全体が拡大する、その拡大する恩典というものはアジアの諸国にもやっぱり享受されるものであるというふうに思いますし、ある意味ではAPECはWTOを補完する意味で大きな役割を果たすのではないかというふうに思いますから、そういう摩擦は起こらないというふうに考えています。
○西野康雄君 ただ、十月四日の国連第四十九回の総会でタンザニアの大統領が、アフリカはガットの合意で失うものしかない、こういうふうな見解も述べられておいででございます。このことだけ少し申し上げておきます。 私は、西野康雄というほかに講談師で旭堂小南陵という芸名を持っております。農学部を出た者あるいは農業学校を出た者が後継者にならないと言われるとまことにつらい部分がございます。私も近畿大学の農学部と大阪府立大学の農学部の大学院を卒業した者でございますだけに後継者と言われるとつらいのでございますが、勉強すれば勉強するほど日本の農業の先行きというものが大変に不安になってまいりまして、人からなぜ果樹園芸か蔬菜園芸か選ばなかったのかと言われたときに、僕は寄席演芸を選んだと、こういうふうに答えるようにしております。しかし、その時点では本当に農業というものをやるというふうな者に対して大変なハンディーがある。経済評論家だとか政治評論家は自由競争させたらいいんだと言うけれども、しかし日本の農業従事者の方々はきっちりと思ってはるんですが、ハンディーが物すごくある。 大河原農水大臣にお聞きしますが、日本の農産物の高価格は土地にかかる税金、人件費等々の要因もありますが、一般に皆が見落としているのが農機具、肥料、飼料、農業の高さ。例えば、参考人の方も前におっしゃっていましたが、トラクターは輸出用は平均して一馬力当たり二万円、日本では国内向けは一馬力当たり十万、ですから三十馬力のトラクターは輸出用は六十万、ところが国内向けは三百万、こういうふうな実態が見受けられるわけですね。ですから、WTOの協定加盟で農産物の内外価格差の増大、すなわち安い農産物が流人して農業の打撃ははかり知れないわけですが、国内の農業の足腰を強くする、基盤整備も必要ですけれども、こういった生産の基礎材の流通のあり方、あるいは価格形成のあり方、こういうものをきっちりとしていかなければならないし、こういうことが今、農業従事者の方にとっては不安な点だと思います。 大河原大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(大河原太一郎君) お答えを申し上げます。 農業生産基盤等も大事だと、これはそのとおりでございまして、我々はそれを進めているわけでございますが、やはり生産資材を含めたコストの低下、この点については我々としても今後最も配慮しなければならないというわけでございます。 今、農業機械を例にお話ございましたけれども、これについても、農機具メーカーのしばしばのモデルチェンジ、アタッチメント程度を変えてそれを農家に持ち込むというような点とか、部品の共通化もできておらぬというような問題等もあるわけでございますし、それから肥料等についてもばら流通あるいはフレコン流通というようなことによって流通コストを下げるとか、それぞれ御指摘のようなコストの引き下げはその部分にも残っており、またその取引形態等についても従来の惰性で行っており、このような厳しい農業情勢についての一層検討を要する点もあるというふうに思います。
○西野康雄君 本当はこの項目は通産大臣にもお聞きしたいんですけれども、時間もございません。 質問通告しておりますので、まず、厚生省の方にお伺いをいたしますが、食品の安全性を確保することは国民の生命、健康を守る上において欠くべからざるものです。 今回の衛生植物検疫措置の適用の、項目を読んでおりますと、第三条、衛生植物検疫措置は国際的な基準、指針、勧告に基づかなければならない、ただし科学的に正当な理由がある場合等には国際的な基準より高い保護の水準を維持することができるとあります。この場合の「科学的に正当な理由」とは何を指すのか。また、科学的正当な理由があるならば、国内の高い保護水準を国際的に広めていくという、そういう努力をきっちりとすべきではないかなと思います。国内の高い保護水準を低い国際保護水準に合わせるということは消費者感情としても納得いかない面があります。この辺について厚生省の所見をお伺いいたします。
○政府委員(小林秀資君) お尋ねの「科学的に正当な理由がある場合」とは、例えば食品の摂取最や食習慣の違いによりまして国民の健康が国際基準では十分に確保できない場合等が考えられると思います。我が国においては、米やリンゴのように日本人の摂取量が多いことから国際基準より厳しい残留農薬基準を定める場合がこれに該当するものと考えております。 御指摘のとおり、SPS協定ではこのような科学的な正当な理由がある場合においては国際基準よりも厳しい措置をとることができると規定されており、この協定の締結においても国民の健康確保に支障を及ぼすような基準の緩和を行う必要はないものと考えております。 さらに、厚生省としましては、食品の国際基準を定めているコーデックス委員会においては食品の摂取量が国や文化、民族によって異なっていることを主張していくとともに、我が国においても関連科学の研究を進め、この成果を国際基準に反映できるよう、コーデックス委員会への一層積極的な参加を進めていきたいと考えております。
○西野康雄君 コーデックス委員会というのは食品企業の関係者が多く参画しております。ですから、甘い基準になるということはこれはもういつも指摘されていることでございます。ですから、その甘い基準に合わせることがないようにということをば申し上げまして、時間でございますので質問を終わらせていただきます。
○委員長(矢田部理君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。 午後五時五十九分散会 ―――――・―――――