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131回国会参議院1994/11/09

産業・資源エネルギーに関する調査会 第2号

発言数
114
登壇者
24
会派数
5
開催日
1994/11/09

会議録

三重野栄子日本社会党・護憲民主連合

○会長(三重野栄子君) ただいまから産業・資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る九月三十日、松前達郎君及び櫻井規順君が委員を辞任され、その補欠として藁科滿治承及び大脇雅子君が選任されました。     ―――――――――――――

三重野栄子日本社会党・護憲民主連合

○会長(三重野栄子君) この際、一言御報告いたします。  本調査会は、調査テーマ、「二十一世紀に向けての産業・資源エネルギー政策の課題」について第一年度、第二年度の調査を行ってまいりました。第三年度につきましては、過去の二年間の調査テーマについて取りまとめを行うほか、なお残された課題等について調査を行うことにいたしております。  具体的な進め方につきましては、理事会におきまして協議を行い、まず産業問題に関しましては二十一世紀に向けての企業行動のあり方について通商産業省、労働省、経済企画庁及び運輸省から、また資源エネルギー問題に関しましてはエネルギー供給の課題と対策について通商産業省及び科学技術庁からそれぞれ説明を聴取し、質疑を行うことといたしました。  また、過去二年間の調査を振り返り、補完すべき課題等について参考人から意見を聴取し、質疑を行うこととし、意見を聞くテーマとしては、産業問題については、産業構造の変化と雇用問題等及び企業のフィランソロピー活動とし、資源エネルギー問題については、エネルギーの有効利用と新エネルギーの開発及び技術開発と研究体制の整備等とすることといたしました。  さらにその上で、自由討議や、必要に応じ公聴会等を行い、課題、提言を絞り込み、最終報告に向けた意見表明及び自由討議を経て最終報告書を決定し、提出することといたしました。  以上の理事会における決定に基づき、本日は産業問題について、また来る十一月十一日は資源エネルギー問題について、それぞれ政府からの説明聴取及び質疑、並びに参考人からの説明聴取及び質疑を行いたいと存じます。  以上、簡単でございますが、理事会協議の結果について御報告させていただきました。  委員各位の御協力をよろしくお願いいたします。     ―――――――――――――

三重野栄子日本社会党・護憲民主連合

○会長(三重野栄子君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  産業・資源エネルギーに関する調査のため、本日、慶応義塾大学商学部教授中条潮君、株式会社野村総合研究所政策研究センター長富田俊基君及び大阪大学大学院国際公共政策研究科教授本間正明君を、また来る十一月十一日午後二時、明治学院大学国際学部教授竹内啓君、京セラ株式会社代表取締役専務山本貞雄君及び東京大学総長吉川弘之君を参考人として出席を求め、その意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三重野栄子日本社会党・護憲民主連合

○会長(三重野栄子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――

三重野栄子日本社会党・護憲民主連合

○会長(三重野栄子君) 産業・資源エネルギーに関する調査を議題とし、二十一世紀に向けての企業行動のあり方に関する件について、まず政府から説明を聴取いたします。  説明に当たりましては、通商産業省、労働省、経済企画庁、運輸省の順でお願いしたいと存じます。  それでは、通商産業省からお願いいたします。堤産業政策局長。

堤富男通商産業省産業政策局長

○政府委員(堤富男君) 御紹介いただきました産業政策局長の堤でございます。  お手元に通産省資料という封筒に御説明をいたしたい資料が入っていると思います。最初に、産業政策上の課題と政策対応と書いてあったものがきょうのお話の概要でございます。  現在、企業を取り巻く環境というのは、円高が大変厳しいということを一般に言われております。おっしゃるとおり、最近の円高が企業に与える影響というのは大きいわけでございますが、我々の認識では、それだけでない広がりがあるのではないかと思っているわけでございます。  まず第一に、左側の方のことでございますが、企業の最近における競争といいますのが大変厳しくなっているということは、この五年、十年内に起こりました東西の壁が落ちた結果、あるいは南の国が大変な工業化の進展が起きた結果、世界の供給構造が非常に安いコストでもって工業製品をつくるようになった。しかも、それが世界人口の大半の南の国が参入をしてきたということが非常に大きな影響を及ぼしていると思っております。特に、累次にわたるウルグアイ・ラウンド等の自由化ということが世界経済全体をボーダーレス化しているということから、従来とは違って、歯あるいは東の国で起きている変化がそのまま先進国全体に大きな影響を及ぼしているというふうに考えております。  国内的には、日本経済の構造は従来、大変競争力があると言われておりましたけれども、よく見てみますと非常にコストが高い、内外価格差と言われているような高コスト構造、それから既存産業の中でリーディングインダストリーと言われていたものがだんだん成熟化してきたこと、それから新しい企業を起こすという意欲が薄れてきている、技術開発の停滞が見られる、設備投資の停滞が見られるというような、大変内外の厳しい条件に加えまして、特にこの円高というのが大きな影響を与えておるということではないかと思っております。  対策の方向といたしましては、規制緩和というようなことがよく言われるわけでございまして、規制緩和もぜひ進めなければいけないと思いますが、規制緩和というもの自身はかなり雇用には厳しい影響があるわけでございます。したがいまして、規制緩和に加えまして国内の社会資本を整備すると同時に、我々の考え方では、経常収支の黒字を減らすことも可能な公共投資というのを拡大、充実すべきではないかということでございます。  それからさらに、雇用の問題を考え、将来の日本の産業のあり方を考える場合には、経済フロンティアの拡大ということが必要でございまして、これは新しい企業が新しい産業を起こすという創業者支援、それから既存の産業が新しい分野に転進し、事業を革新していくということ、それからその二つともそれぞれのベースになります技術開発という三つの柱が経済フロンティアの拡大に役に立つのではないかというのがきょうのお話の趣旨でございます。  その背景を御説明させていただきます。  一枚めくっていただきますと、日本の高コスト供給構造というのが書いてございます。七二年を一〇〇といたしました購買力平価的な考え方で書いてございますが、一番下の二百円というのが消費者物価でございます。消費者がなかなか円高が実感できないというのは、一ドル二百円の購買力しかないということが原因だと思っております。百七十円というのは国内の卸売物価ということでございますが、これは国内の企業が国内で調達するサービス、物品がどの程度の価値があるかということでございますが、これは一ドル百七十円ということでございます。貿易をやっております輸出物価というのは百五円になっておりますが、なぜ企業が今厳しいかというと、労働者である消費者に一ドル二百円という高いコストを払い、国内で一ドル百七十円という高いコストで商品あるいは原材料、部品あるいはサービスを購入し、そして百五円で競争するというところが厳しいわけでございます。  下の経営資源の地域別比較表というのがございますが、日本を一〇〇とした場合に、外国のアメリカ、ヨーロッパ、タイ、中国と、それぞれの国がどの程度の費用コストかということでございます。金利は日本が安いということが見てとれますが、そのほかを見ていただきますと、土地、建築コスト、人件費、運賃、乙仲の費用、倉庫代、それから電力料金、水道、石油製品、事務経費、オフィスあるいは法人税というようなものははるかに日本が高くなっているということが見てとれるわけでございます。これをじっと見ておりますと、単に円高だけが原因でないというふうにも見えできますし、この表を見ながら経営者が投資をしているということが、後で御説明いたします海外投資が最近どんどん進んでいる大きな理由、背景ではないかと思っております。  それから、右側のところでございますが、既存産業の成熟化ということで、これは大体実感が皆様おありだと思いますけれども、鉄鋼等の金属系素材、これは二〇一〇年までに減少傾向が見られますし、自動車等を含む輸送機械でも減少傾向が見られます。電気、電子というのは生産額はふえる可能性がありますけれども、一方合理化によりまして雇用者は減っていく可能性、おそれがあるというふうに思っております。  その下に書いてございますのが開業率ということでございますが、企業の新しく開業していくという考え方がだんだん低くなっている、しかも廃業がふえているということでございます。下が製造業でございますが、昔、開業が六%、廃業が二・五%という時代はどんどん企業がふえていった時代でございますが、五〇年代の後半からがらりと様相が変わってきておりまして、最近ではむしろ廃業率の方が高くなり開業率がどんどん低くなっているという状況が見てとれるわけでございます。  二ページの次の表に移らせていただきますが、最近の技術開発費、これは民間がどういうふうに技術開発費をふやしているかということでございます。八九年まではどんどん前年同期比をふやしてまいったわけでございますが、最近三年間は連続してしかもかなり大幅な――不況下にあるということもございますけれども、実は不況下においても研究開発費だけはという議論がありましたけれども、今回の不況はそれとちょっと様相を異にしておりまして、過去と比較いたしますと研究開発費が大幅に減ってきておるという状況が見てとれるわけでございます。  それから、設備投資につきまして構造的な低迷というのがございます。九三年、九四年、それから九五年の見通しにおきましても、依然製造業のマイナスが続いておるという状況でございます。  労働人口の話は後で御説明がございますけれども、労働人口というのが今世紀末から減り始める、しかもそれが高齢化してくるということが日本の成長力に非常に大きな関係があるのではないかと思っております。  それから、失業率の話は省かさせていただきます。  それから、海外投資の場合にも結構海外への投資をする過程で労働者、雇用に対する大きな影響があるという労働省の御調査がございますが、これも省かさせていただきます。  それから三ページ、海外投資の急速な進展というのがあります。九二年までは実は八九年をピークとして海外投資は減ってきております。しかし、九三年、九四年とふえ始めております。特に製造業のふえ方が非常に大きくなっておりまして、九三年一〇・七%、九四年の四―六でございますが三五・一となっております。その中でもアジアに対する海外投資というのはほかの地区と違いまして九二年からふえ始めまして、九三、九四としり上がりに上がっております。我々が調査した結果でも、九四年度では五六・一%と、非常に驚異的な増加をしておるわけでございます。  これらの結果、海外生産比率と言われておりますが、これは五〇を超えると海外の方が台数が多いという意味でございますが、例えば、カラーテレビが九〇年には六〇%、九三年には七一%ということで、海外の方が圧倒的に多くなってきております。九三年に既にカラーテレビは日本は純輸入国になったのは御高承のとおりでございます。VTRにつきましては日本しかできないというふうに、我々は八〇年代は思っていたわけでございますが、既に四一%は海外で生産されておるというような状況になっております。  海外の方が多いというものを見ていきますと、テレコ、ラジオ、電子レンジそれから扇風機というようなものは海外の方がもう既に多くなっておるわけです。自動車も、これは九四年の数字でございますが、三一%を海外で生産するというような状況になっております。  企業にとりましては、③に書いてございますように最近五〇%原則というのがあるようでございまして、五〇%はなるべく海外でつくるということによって為替レートからの影響を阻止したいというような考え方もございまして、五〇%に向かっていろんな企業が海外生産をふやしておるということでございます。  その背景は、先ほど申し上げましたような日本のコストが高いということもあるわけでございますが、企業の気持ちといたしましても、⑥に書いておりますように価格だけで競争すると既に競争力がないと答えておるのが八四・四%あるという状況でございます。リストラなり何らかをしないとこれから立ち行かないと言っているのが五四・一%あるというようなことで、企業が現在置かれた状況ということから海外投資というのが必然的に出ておるというような状況にあるわけでございます。  中小企業の場合も、親企業が海外展開をすることによって受注量が少なくなったというような声が半分を超えた五五・七%あるというような状況が続いておりまして、先ほど申し上げましたような国際競争が大変厳しくなったこと、円高が来たこと、国内の状況が大変厳しいという中で、企業が大変状況が厳しくなっているということが見てとれるわけでございます。  通産省といたしまして、対策の一つということで最初に申し上げたいのは社会資本の充実ということでございます。何でこの社会資本の充実というのが重要かといいますと、一つは社会資本自身が国内の社会資本を立派にし、これからの高齢化社会に備えるという非常に大きな意味があるわけでございます。それに加えまして、雇用をある程度吸収するという意味でも社会資本の充実をしていくことが重要だと思っております。  さらに重要なことは、現在の円高の根本原因でございます経常収支の黒字をなかなか減少することができないということに対して、我々の考え方では社会資本の充実というのが非常に役に立つということでございます。普通、経常収支といいますと、輸出、輸入の差額に貿易外を足したものというふうに考えられておる等式は有名なわけでございますが、実は日本の全体の貯蓄から投資を引いたものが結局経常収支になってあらわれてくるんだということがあるわけでございます。これは経済学でございます。  日本は四百六十八兆円のGNPを稼ぎ、その中の百六十兆円を貯蓄に回しているわけですが、この百六十兆円のうち百四十五兆円しか国内で投資に使われておらず、十五兆円というのは結局経常収支の黒字として出てまいるわけでございます。この状況をある意味では投資不足というふうにとらえることが可能なわけでございまして、住宅とか民間設備投資というのがかなり厳しい状況にある中で、公共投資四百三十兆を六百三十兆にふやすという計画改定が先日政府でございました。この公共投資の額をふやすことによって経常収支の減少をもたらすことが可能である、いわば一石二鳥であるというふうに考えておりまして、将来の高齢化に備える社会資本、公共投資の充実というのと経常収支の黒字を減らすという両方に役に立つということで、非常に重要な政策であるというふうに思っております。  規制緩和につきましては、次の五ページに書いてございますが、いろんな意味で規制が行われているわけでございます。現在、日本の産業の中には、一ドル百円ですぐに貿易競争をしなければならない産業と一ドル二百円で規制に守られている産業と、どうも二種類あるような感じがしております。一ドル二百円でやっている産業のコストを踏まえて百円の産業が競争しているという状況の中では、単に貿易産業、自動車産業なら自動車産業の効率化だけ、あるいはリストラだけではうまくいかない、むしろ日本経済全体のリストラという意味で規制緩和というのが非常に重要ではないかというふうに思っております。  その中で、規制緩和には二種類の意味があると思いますけれども、一つは非効率産業の効率化を進めるということによって日本全体のリストラを進めていくということ、それから規制によって新しい分野の産業が出てくることを阻止しないようなことが必要ではないかというふうに思っている次第でございます。規制緩和の動きは、年度末に五年計画をつくるということになっていることは御高承のとおりでございます。  通産省といたしましては、もう一つの大きな対策としまして、産業構造転換ということを考えております。これからの需要でどんな分野が伸びるかということで、六ページに書いてございますが、産業構造審議会で十二の分野で試算をいたしました。これはじっと見ていただきますと、従来のような自動車とか家電とかというようなものとは違った需要でございます。環境とか医療・福祉ですとか、住宅ですとか生活文化とか、そういう我々の心の中で必要であると思っているような分野と、いわば社会的ニーズが非常にこれから出てくる可能性のある分野と、しかも技術的に可能であるということを考えましてこういう分野が伸びるのではないかと思っております。それから、新しい技術をベースに新しい需要が起きてくるのではないかということを考えましたが、例えば新エネルギーあるいは情報・通信、あるいは新製造技術関連というような分野が伸びてくるのではないか。  これはあくまでも可能性と社会のニーズから見て必要があるのではないかという二点から詰めて、将来こういう分野が必ず伸びるということを申し上げるというよりは、そういうことがまだ可能な分野がたくさんあるということを申し上げたかったわけでございまして、単純な計算だけでいきましても、二〇一〇年までに二百二十兆、五百五十万人ぐらいの雇用を吸収する可能性がある需要分野だと考えております。ただ、この需要分野というのは、従来のように産業分野という意味ではございません。それを右側の産業分野に落としていろいろ計算をしたわけでございます。  その次のページに二つのシナリオと書いてございます。先ほど申し上げました、三つの政策と我々は思っておりますが、社会資本あるいは規制緩和、あるいは経済フロンティアの拡大ということをやった場合とやらない場合という二つのシナリオをつくらせていただきました。  やらない場合のシナリオというのは経済成長が大体一・六とか一・二と、やった場合の三・一、二・四に比べますと半分ぐらいになります。特に、製造業の伸び率というのが三分の一とか四分の一ぐらいに落ちてくる。結局、今のままでいきますと、製造業が先頭を切って落とされていくというような感じになるのが見てとれるわけでございます。雇用につきましても製造業の方の比率が非常に高く削られていく。  要するに、考えてみますと、現状というのは製造業にとって日本が非常に住みにくい国になっておるということが見てとれるわけでございまして、そのためにはこの三つの改革をすることによって、雇用面でもバランスのとれた姿になっていくのではないかと思っております。  もう少し説明を続けさせていただきますと、八ページのところに、新しい企業が新しい産業を起こしていくということで、俗に言うベンチャービジネスが段階的にシーズの研究をし、そのシーズの研究をしたものをさらに発展させ事業化させ、最終的には店頭市場で資金を集められるような企業になってくるということを考えまして、その段階に応じて総合的な新規事業支援施策体系というのをつくらせていただきました。これは来年度予算に今要求中の施策でございます。  それから、九ページのところに、経済構造変化適応円滑化のための法律を今検討しておりますが、既存の企業が新しい事業を起こしていく、しかも雇用を抱えていくというようなものを応援していきたいという法律でございます。新規分野の展開によって産業構造が転換されていくものを、税制あるいは金融等の措置によりまして応援をしていきたいということを今考えている次第でございます。  最後に、創造的中小企業振興対策というのが十ページに書いてございます。これは先ほどのベンチャービジネスと対をなす法律でございますが、創造的中小企業、技術、ノウハウ、そういうものを持った中小企業あるいは組合が新しい技術に基づいて事業化を計画する場合に、その事業開拓計画をつくり、これが都道府県知事に認定された場合には各種の支援措置を集中的に講じていきたいというようなことを考えておるわけでございます。  以上申し上げましたように、現在置かれた企業の立場というのは、円高だけではなくて内外の厳しい条件の中で、二十一世紀に向かって戦後五十年の総決算とも言われるような事態に私はなっているのではないかと思っております。したがいまして、三位一体と我々は言っておりますが、この社会資本、規制緩和、経済フロンティアの拡大というようなものを総合的に講じておくことが非常に重要なことであるというふうに思っている次第でございます。  以上でございます。

三重野栄子日本社会党・護憲民主連合

○会長(三重野栄子君) ありがとうございました。  次に、労働省お願いいたします。氣賀澤次長、お願いします。

氣賀澤克己労働省職業安定局次長

○説明員(氣賀澤克己君) 労働省の職業安定局次長の氣賀澤でございます。私どもの関係の資料は別の大きな封筒の中に入っておりますので、ご覧いただきたいと思っております。  私の方からは、お手元の資料の企業行動と従業員に基づきまして御説明をさせていただきます。  まず、一ページの非正規従業員(パート、臨時、派遣等)の労働問題の現状と課題について御説明をさせていただきます。  パートタイム労働の現状でございますが、サービス経済化の進展等によりまして、パートタイム労働者は著しく増加をし、平成五年では九百二十九万人、そのうち女子のパートタイム労働者は六百二十三万人となっております。また、質的な面におきましても勤続年数の伸長、職業分野の拡大等、パートタイム労働者が我が国経済社会において重要な役割を果たすようになってきております。  また、二ページの表によりまして雇用形態別に雇用者の構成比を見てみますと、正規の職員・従業員が約七割を占めておりますけれども、趨勢といたしましてはその比率は低下をいたしてきておりまして、逆にパート、アルバイトといったものがウエートを高めてきている。そういう意味で雇用形態が多様化をしているということがおわかりをいただけると思います。今後とも、基本的にはこうした流れが続いていくものと思われます。  こうした流れの中で、労働者派遣といった形態も近年増加傾向にあります。三ページのグラフをご覧いただきますと、平成四年度には登録者の総数が五十万三千百五十六人、常用雇用の労働者が一般労働者派遣事業で六万九千五百三十三人、特定労働者派遣事業で八万九百九人ということでございまして、これらを合計いたしますと、六十五万三千五百九十八人ということになっております。  こうした現状を踏まえまして、四ページには、パートタイム労働に係る施策の概要を掲げております。パートタイム労働者の多様な就業意識や就業形態を踏まえまして適切な管理が行われますように、昨年の六月に短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律、簡単に申しますとパート労働法が成立いたしまして、本年四月から全面的に施行されたところでございます。  また、本年八月には、今後のパートタイム労働者の福祉の増進を図るための施策についての基本的な方向を示しました短時間労働者対策基本方針が策定をされたところでございます。労働省では、この基本方針に基づきまして、あらゆる機会を通じてパートタイム労働法の周知徹底に努めているところでございます。特に、企業がパートタイム労働者の雇用管理の改善等に向けまして自主的に取り組むことを支援するための中小企業事業主及び中小企業団体に対する助成金が積極的に活用されますように、その周知及び啓発活動に努めているところでございます。  また、六ページ以下にありますように、労働者派遣事業制度につきましては、最近におきます経済社会の進展を背景とした労働力の需要と供給の両面におきます多様化に対応いたしまして、従来、職業安定法で原則として禁止をしてきておりました労働者供給事業の一部を労働者派遣法、これは昭和六十一年七月に施行されておりますけれども、これによりまして、一定の規制のもとに労働者派遣事業という新たな労働力需給システムとして制度化したものでございます。この労働者派遣法におきましては、適用対象業務の限定、許可・届け出制の採用等、労働者派遣事業の適正な運営を確保するための措置が設けられておりますとともに、労働者派遣契約、派遣元事業主と派遣先の講ずべき措置、労働基準法等の適用に関する特例というような派遣労働者の就業条件の整備等に関する措置というようなものが定められております。  次に、八ページ以下の外国人労働者問題の現状と対策につきまして御説明を申し上げます。  近年、我が国経済社会の国際化の進展に伴いまして、就労目的で我が国に入国いたします外国人が増加をいたしております。現在我が国で就労する外国人労働者は、合法、不法合わせまして既に六十万人以上に達しておりまして、雇用労働者の一%以上に相当いたしております。  我が国の外国人労働者の受け入れの基本方針は、平成四年七月に閣議決定をされました第七次雇用対策基本計画におきまして、専門的、技術的分野の外国人につきましては、我が国の経済社会の活性化や国際化を図る観点から可能な限り受け入れることといたしますけれども、いわゆる単純労働者につきましては、我が国経済社会に広範な影響が懸念されることから十分慎重に対応するということにされているところでございます。  労働省におきましては、このようなことから、まず一つは、外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針というものを定めまして、これに基づいて事業主に対する指導、援助を行い、雇用管理の改善や労働条件の確保を図るということをいたしております。また、二つには、通訳を配置いたしました外国人雇用サービスコーナーというものを主要な公共職業安定所に設置をいたしまして、外国人の求職者等に対しまして適切に対応をいたしております。また、三つには、関係省庁と連携をしながら、不法就労や不法あっせんに対して実効ある対処を図っていくというようなことをやっておりまして、外国人労働者問題に適切に対応するということで努力をいたしているところでございます。  次に、障害者の雇用につきましては十二ページの表にありますとおり、近年着実に改善が見られっっありますけれども、実雇用率は平成五年で一・四一%となっておりまして、法定雇用率の一・六%を依然として下回った状況にございまして、特に重度障害者の雇用に立ちおくれが見られるところとなっております。  労働省といたしましては、このような状況を踏まえまして、十三ページの体系図にありますように、労働大臣が策定をいたしました障害者雇用対策基本方針に基づきまして、重度障害者に最大の重点を置き、障害者が可能な限り一般雇用につくことができますように、障害の種類及び程度に応じたきめ細かな対策を総合的に講ずることといたしまして、各種の具体的な施策を推進しているところでございます。  また、十四ページにありますように、さきの通常国会におきまして、市町村レベルにおきます職業リハビリテーション体制の整備ですとか、障害者の職業生活環境の整備の促進というようなことを目的といたしまして、障害者雇用促進法が改正されまして、本年十月一日から施行されたところでございます。今後は、この改正法の円滑な施行はもとよりでございますが、企業に対する個別指導の強化ですとか、各種の支援制度の活用に努めまして重度障害者を中心といたします障害者の雇用の促進を図っていくということにいたしております。  次に、十五ページ以下に、その他といたしまして最近の雇用情勢等について資料が掲げられておりますので、これらにつきまして若干説明をさせていただきます。  まず、我が国の経済はこのところ明るさが広がってきておりまして、緩やかながら回復の方向に向かっておりますけれども、雇用失業情勢につきましては依然として厳しい状況が続いておりまして、一層注意すべき状況にあるというふうに考えております。  最近の有効求人倍率でございますけれども、本年九月には〇・六四倍ということで、八月の〇・六三倍からわずかに上昇いたしましたけれども、この数カ月間を見ますと一進一退で推移をいたしております。また、完全失業率はここ三カ月連続いたしまして三・〇%ということになっておりまして、厳しい状況が続いております。  こうした中で、十六ページに見られますように、最近におきましては企業の雇用過剰感はやや弱まってきておりますけれども、その水準は依然として高くなっておりまして、円高不況時を上回るような状況が続いております。特に、大企業で過剰感が強くなっているという状況でございます。  また、二十七ページをごらんいただきますと、これに関連をいたしまして雇用調整の実施状況が掲げられております。雇用調整の実施事業所の割合はここのところやや減少いたしておりますけれども、なお円高不況期の水準を上回っておりまして、依然として高い水準で推移いたしております。  次に、二十一ページの方にお戻りいただきますけれども、近年産業構造の高度化等に伴いまして全就業者に占めるホワイトカラーの比率が高まっておりまして、特にこのところのリストラ等の流れの中で、中高年ホワイトカラーの専門能力の向上等によります生産性の向上が強く要請されているという状況にございます。こうしたことから、労働省におきましてはホワイトカラーの職業能力開発に関する総合的な施設といたしまして生涯能力開発センターというものの整備を進めておりまして、ここで教育訓練、調査、研究開発、情報発信等を総合的に行うことにいたしております。  また、ホワイトカラーの継続的、体系的な職業能力開発を支援するためのシステムといたしまして、ホワイトカラーの職務に必要な専門的な知識を人事・労務・能力開発とか、経理・財務というような分野ごとに体系化をいたしまして、それを習得するための教育訓練の認定等を行う職業能力習得制度、ビジネスキャリア制度とも申しておりますけれども、こういうものを段階的に拡充し、実施をいたしてきております。  さらに、職業能力の開発向上が労働者の職業生活の全期間を通じて段階的かつ体系的に行われることが望ましいということから、これを促進するための生涯能力開発給付金というような制度ですとか、あるいは労働者が定年退職後の再就職等の職業の安定を図ることを目的といたしまして、中高年齢労働者等受講奨励金というような制度を設けて、それぞれの奨励金を支給いたしているところでございます。  また、ホワイトカラーの過剰感が高まる中で、一部の労働組合でホワイトカラー中間管理職の雇用問題に対しまして取り組む動きが見られておりますけれども、二十五ページにありますように、連合におきましては今年一月に決定をいたしました九四年連合行動宣言の中で、管理職の雇用についても代弁して雇用を維持する寺といたしておりまして、産業別の組合では鉄鋼労連、電機連合、全国一般などにおきましても管理職の雇用問題に対する取り組みが行われております。  なお、専ら管理職で組織されるいわゆる管理職組合といたしましては、昨年十二月に東京都と近隣県の企業の管理職を中心に結成されました東京管理職ユニオンなどがありまして、解雇撤回ですとか管理職処遇改善等に取り組んでいるところでございます。  さらに、二十八ページから三十ページにかけましては、いわゆる過労死の現状と課題について資料を掲げております。  最後に、三十一ページ以下に掲げられておりますボランティア休暇の現状と環境整備につきまして御説明を申し上げます。  ボランティア休暇制度の導入状況につきましては、平成四年十二月現在で〇・五%の企業が導入いたしておりまして、企業規模別には、五千人以上では一五・三%が導入いたしておりますけれども、他の規模ではわずかな導入にとどまっているという状況でございます。  また、勤労者のボランティア活動に対します企業の支援状況につきましては、現在半数近くの企業が何らかの支援を行っておりまして、その内容は活動の意義の啓発、支持ですとか、施設や物品の供与ですとか、勤務時間内の活動許可などになっております。  さらに、今後の支援方向につきましては、約九割の企業が今後支援を行うという意向を持っております。そして、その支援方法といたしましては、活動の意義の啓発、支持が最も多く、それに次ぎまして特別休暇を与えるとか勤務時間内の活動を許可するとか休暇を認めるといったものがそれぞれ二割弱でございました。  以上、企業行動と従業員ということで労働省関係の部分を御説明させていただきました。

三重野栄子日本社会党・護憲民主連合

○会長(三重野栄子君) ありがとうございました。  次に、経済企画庁お願いいたします。

坂本導聰経済企画庁国民生活局長

○政府委員(坂本導聰君) 経済企画庁の国民生活局長の坂本でございます。  お手元に産業・資源エネルギーに関する調査会参考資料・経済企画庁というのがございますので、ごらんいただきたいと存じます。  恐れ入ります、目次がございまして、製造物責任法から六つございますが、最初の五つを私から御説明申し上げ、最後の内外価格差につきましては物価局の井出審議官から御説明させていただきたいと存じます。  まず一ページでございますが、製造物責任法についてでございます。1の必要性及び制定経過は御案内のとおりでございますが、六月二十二日、全会一致で参議院本会議で成立させていただきました。この概要を申し上げますと、そこにございますように、「製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任を定める。」ということで、製造物とは製造または加工された動産一般。欠陥とは製造物が通常有すべき安全性を欠いていること。欠陥判断は総合的になされるものであり、その際考慮される代表的な事情を三つほど法文に掲げてございます。  責任主体でございますが、製造業者、輸入業者、製造物にこれらの者としての表示を付した者等でございます。免責事由は開発危険の抗弁、部品・原材料の製造業者の抗弁。期間の制限は十年の期間制限がございます。なお、蓄積損害については被害者救済のための特別の規定を置いてございますが、これは日本独自のPL法ということで、EUにもございません。推定規定は設けてございません。  以上の内容でございますが、国会の御審議の過程におきましても、あるいは参議院商工委員会でいただきました附帯決議におきましても、これからこの製造物責任法について周知徹底を十分図るということが重要であるということ、それから原因究明体制の整備を図るということ、あるいは少額被害の紛争の処理の体制整備を図る必要があるという御指摘をいただいております。  まず、PR、広報関係でございますが、各省庁全力を挙げましてこの内容の周知徹底に努めております。経済企画庁といたしましても、新聞、テレビ等を通じて広報をしておりますし、あるいはパンフレット、ビデオ等を作成する予定でございます。また、政府全体としては、統一の解釈と申しますか、国会の御指摘がございました解説書を既に作成して配付しているところでございます。  それから、原因究明体制の整備でございますが、これは実際の被害者が円滑に原因究明ができるようにということで、各省ばらばらではなくて、政府一体となってそういった体制整備を図れという御指示をいただいておりますので、関係各省と今相談をしているところでございます。少額被害の紛争処理についてもやはり同様、関係各省と相談しているところでございます。  いずれにいたしましても、来年七月一日の施行までにそういった体制整備を図ってまいりたいというふうに考えております。  二ページでございますが、消費者教育の点でございます。背景はもう申し上げるまでもございませんので、二番目の施策の内容について御説明いたします。  消費者がさまざまな消費者問題に適切に対処できるように、若い人からお年寄りに至るあらゆる人生の段階で消費者教育あるいは消費者啓発を拡充していくということが重要であるというふうに考えております。  特に、学校におきましては平成元年の学習指導要領改訂で、消費者教育に関する内容を充実した新しい学習指導要領が告示され、小学校は平成四年度、中学校は平成五年度から実施されており、高等学校は本平成六年度から学年進行で実施されております。  さらに、消費者教育を総合的に支援するための中核的な機構として平成二年に設けられました財団法人消費者教育支援センターにおきましては、消費者教育に関します調査研究、あるいは各種消費者啓発資料の作成などを行いまして、消費者教育の総合的なあるいは効果的な推進を図っております。企画庁あるいは政府全体としても、これから消費者教育の徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。  恐れ入ります、三ページはただいま申し上げました消費者教育支援センターでございますので、省略させていただきます。  四ページでございますが、消費者への情報提供でございます。背景は申し上げるまでもございませんので、施策の内容で御説明申し上げます。  政府として、従来から消費者への情報提供というのは重要であるという認識のもとに取り組んできておりますが、現在平成五年十二月の第二十六回消費者保護会議の決定を受けまして、経済企画庁においては以下に申し上げるような施策を講じております。  一つは、毎年五月に行います消費者月間でございますが、そこで消費者問題国民会議の開催や、あるいは地方公共団体を通じてのパンフレットの配布等各種の事業を実施しております。  それから二つ目には、広域的、全国的な消費者問題に対応するための全国消費生活情報ネットワークシステム、PIO―NETを国民生活センターに設けておりまして、この拡充を図っております。  さらに、国民生活センターにはさまざまな危害情報が集まってまいりますので、そういった情報を収集し、その情報の提供をしておりますが、その機能の拡充を図っております。  また四番目に、国民生活センターを活用したテレビ、ラジオ、出版物等による商品テスト情報等の提供を図っております。  さらに五番目、これは消費者関連専門家会議、ACAPでございますが、これは言ってみれば企業の消費者への窓口部門と申すようなところでございますが、そういった方々にお集まりいただきまして、消費者向けリーフレットの作成等の情報提供を行っております。  こうした施策は、企画庁として引き続き積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。  それから、五ページはその内容を列記したものでございますので省略いたします。  その次、六ページでございますが、国民生活における省資源・省エネルギー政策でございます。  二番目に、政府としては、省資源・省エネルギー国民運動の推進のため、省エネルギー・省資源対策推進会議というものを設けて総合的な施策を推進しておりますが、そのもとに資源とエネルギーを大切にする国民運動中央会議あるいは都道府県ごとの省資源・省エネルギー国民運動地方推進会議が設置されておりまして、民間団体等の自主的な活動を幅広い国民運動として推進してまいっているところでございます。  企画庁といたしましては、こういった施策を推進するために、都道府県に対しまして交付金を交付し、地方推進会議の企画運営あるいは普及啓発活動への積極的な支援、情報提供を行ってまいっております。  さらに、省資源・省エネルギー国民運動の一層の推進のため、小学校高学年向けの漫画冊子や、地域のリサイクル活動のリーダー等を対象とした活動事例などの普及啓発用のパンフレットの作成、配布、あるいは地球環境と調和した省資源・省エネルギー型のライフスタイルの形成のための調査等を行っております。  私どもとしては、関係省庁と連携のもと、こうした運動を進めてまいりたいと考えております。  七ページでございますが、フィランソロピー活動の課題という点でございます。  御案内のように、最近とみにこのフィランソロピー活動の重要性というのが訴えられてきております。私ども経済企画庁におきましては、国民生活審議会の総合政策部会市民意識と社会参加活動委員会というのを設置していただきまして、二十一世紀の日本社会の重要な要素となるべき市民意識とそのあらわれとしての社会参加活動のあり方について検討を行いまして、本年六月に報告書を取りまとめていただいております。企画庁といたしましては、この報告書を受けまして、六年度から社会参加活動推進のためのシステムについてどういうふうにすべきかということで、調査研究を進めていきたいと考えております。  次に、内外価格差につきましては、物価局から御説明申し上げます。

井出亜夫経済企画庁物価局審議官

○政府委員(井出亜夫君) 物価局審議官の井出でございます。内外価格差につきまして御説明を申し上げます。  資料の十ページでございます。経済企画庁で毎年世界各都市の生計費についての調査をいたしておりまして、この整理した結果を並べでございます。九三年の十一月時点のものでございます。東京の生計費とニューヨーク、ロンドン、パリ、ベルリン、これを対比しております。  総合のところを見ていただきますと、生計費全体では東京はニューヨークの一・四一倍の生計費がかかるということになっております。以下、ロンドン、パリ、ベルリン、大体四割高という感じでございます。  中身をもう少しブレークダウンをいたしますと、食料品というところではそれ以上の価格差というものがございます。  それから、耐久財でございますけれども、ニューヨークに比べてやや高うございますけれども、ロンドン、パリに比べてはほぼ同じ、ベルリンに比べてはベルリンよりも安いというふうな感じになっております。  それから、エネルギー、水道という分野につきましては、特にニューヨーク、ロンドンに比べて高くなっている、対ベルリンの関係では大体同じでございます。  それから、保健・医療、教育というところを見ていただきますと、これは各国の保健制度でございますとか、教育制度というものによりましてかなり違いが出ております。アメリカの保健制度が国としては未整備であるということでございまして、ニューヨークに比べて東京の方が安い、逆にベルリンでございますとかあるいはロンドン、パリというふうなところと比べると東京が割高になっておると。教育につきましても、各国の教育に対して国がどの程度お金を出すかということによって違いが出ておるわけでございます。以上、概観でございます。  十一ページでございますけれども、特に内外価格差問題につきましては、プラザ合意以降、八〇年代の後半以降非常に大きな問題として取り上げられております。大変たくさんの要因がございますものですから、何か一つをやれば価格差が縮まるというふうなものではございません。  十一ページには、平成元年以来政府が取り組んでまいりました対策を分類別に分けでございます。一つは内外価格差についての実態調査、産業界への価格情報の提供ということでございます。二番目は流通面での規制緩和あるいは独禁法の厳正な運用による競争条件の整備。三番目はより一層の輸入の促進、生産性の向上という関連の政策。四番目は公共料金の適正化ということで料金の引き下げ。五番目は適正な地価の形成。六番目は消費者への情報提供ということ。七番目は円高差益の還元というふうな、各般に及ぶ政策を政府全体として各役所及び経済企画庁でやってまいった結果でございます。  それから、最近のことでございますけれども、九月二十二日に総理より「内外価格差問題については、消費財のみならず、中間財・サービスについてもその現状を早急に調査し、結果を公表するとともに、要因を分析し、障害除去のための対策を講ずる」ようにという、改めて内外価格差問題についての指示が出されたところでございます。この指示に基づきまして、現在各役所にお願いをいたしまして、広範な調査をお願いし、また実施をしているところでございます。  一つは、生計費全体についての調査を各役所でやります。それから、個別の消費財についての調査というのを各役所でやっていただくようにしてあります。それから、財としてのサービスについての調査というのを通商産業省、農水省、建設省等々でやっていただくことになっております。それからまた最後に、中間財の調査ということで、産業の中間投入に係る内外価格差調査を通商産業省でやっていただくようになっております。それから、木材製品についての内外価格差調査ということで農林水産省でやっていただくということで、改めてまた調査を実施し、この要因分析をし、しかるべき対応を考えてまいりたいと思っております。  以上でございます。

三重野栄子日本社会党・護憲民主連合

○会長(三重野栄子君) ありがとうございました。  最後に、運輸省お願いいたします。  なお、発言につきましては指名を得てから行っていただきたいと思います。運輸大臣官房永井総務審議官。

永井隆男運輸省大臣官房総務審議官

○政府委員(永井隆男君) 運輸省の総務審議官の永井でございます。貨物流通分野における課題とそれに対する基本的な考え方について御説明をさせていただきます。  資料といたしましては、物流部門における労働力の確保と物流効率化の促進についてという簡単な刷り物をお配りしてございます。  物流は、我が国の経済社会の発展の基礎をなすものとして、国民生活と産業を支える極めて重要な役割を果たしてまいりました。しかしながら、近年、道路交通の混雑とか環境問題、労働力問題といった物流をめぐる制約要因が深刻化しつつありまして、今後これらの制約要因を克服するとともに、我が国の経済、国民生活の健全な発展を支える円滑な物流を確保するために効率的な物流体系を構築していくことが物流行政に課された最大の課題であるというふうに考えております。  御高承のとおり、我が国におきましてはドア・ツー・ドアの利便性あるいは随意性などの特性から、トラック輸送を中心とした物流体系ができ上がっておりますが、昨年十二月に導入されましたいわゆるNOx法による車種規制などの環境問題や、平成九年四月から全面的に実施される週四十時間制への移行に伴う労働力の確保の問題、さらには、昨今特に関心が高まっております物流コストの削減の問題など、厳しさを増す我が国の物流を取り巻く諸状況を勘案いたしますと、我が国全体として物流の効率化という課題に真剣に取り組んでいかなければならないという思いを深くしております。  このため、運輸省といたしましては第一に、トラック輸送を中心とした我が国の幹線物流体系におきまして過度にトラック輸送に依存することなく、より効率的な大量輸送機関である海運、鉄道の活用を図るモーダルシフトを推進する必要があると考えており、後ほど改めて付言的に御説明させていただきたいと存じますが、今後ともハード、ソフト両面にわたる施策を総合的に推進してまいる所存でございます。  第二に、端末輸送としてトラック輸送に依存せざるを得ない都市内、地域内の輸送におきましては、現在道路交通混雑の激化、駐車場や積みおろし場所の不足等による走行効率の悪化等により輸送効率の低下が著しいことから、積み合わせ輸送や共同集配を推進するなど、効率化のための施策を講じてまいりたいというふうに考えております。  第三に、近年流通加工や情報処理といった付加的な機能が物流の一環として求められるなど、物流ニーズが高度化してきております。また、高速道路の整備や経済活動の広域化に伴いまして物流開運施設の立地の広域化が進んでいることなどから、幹線物流と地域内物流の結節点である物流拠点整備の重要性が高まっております。このため、流通業務団地や総合輸入ターミナルの整備といった物流拠点の集約化、適正配置を進めるとともに、ニーズの高度化に対応した物流施設の高度化に対する支援を拡充してまいりたいと考えております。  運輸省としましては、今後とも円滑な物流を確保していくために、物流効率化のための施策をより一層推進するとともに、制約要因への対応策を積極的に講じてまいる所存でございます。  次に、都市内物流の効率化の推進と省庁間の連携強化について説明させていただきます。  都市内物流につきましては、商業・業務機能が集積した地域を中心に、先ほど辛言及しております道路交通混雑や環境問題といった制約要因がますます深刻化してきております。その効率化が喫緊の課題となっております。このような背景のもとで、昨年十一月以来、運輸政策審議会におきまして、その推進方策について審議を重ねてまいりました結果、今年三月答申として「地域内物流の効率化のための方策について」が取りまとめられたところでございます。  この答申では、荷主や運送事業者等の幅広い関係者の協力を得て、共同集配システムを構築することが有効な手段であるとした上で、集配拠点用地の確保のための支援策や駐停車、荷さばきスペースの確保等の地域環境の整備方策を総合的に講じていく必要があるとされております。これらの方策を効果的に実現していくためには、民間事業者のみならず国、地元自治体等の関係者の連携協力や地元関係者の共同集配に対する理解を醸成していくことが不可欠であると考えられることから、私どもとしましては、本年四月に地方運輸局に対し通達を発出するとともに、関係省庁に対しまして文書で御協力を依頼し、商業・業務集積地が所在する地元自治体、関係省庁の出先機関も含めた関係者の協力体制づくりを進めることといたしております。  その後の経過といたしましては、九月一日より福岡の天神地区におきまして、共同出資による新しい運営主体により対象エリアの拡大等、従来の仕組みを再構築した形で地域共同集配サービスが開始されましたほか、十月の三十一日には広島市中央地区におきまして、都市内物流効率化のための具体策を検討するため、関係者から成る協議会が発足するなどの動きが徐々にではありますが、広がってきております。  運輸省といたしましては、今後とも関係省庁との連携を密にしながら、共同集配システムの構築を初めとした各地域の実情に即した都市内物流対策を積極的に支援してまいりたいというふうに考えております。  また、都市内物流にとって最大の問題の一つでございます渋滞対策につきましては、去る九月五日に関係省庁間で渋滞対策協議会を設置いたしまして、バイパス、交差点の立体化等の道路整備のほかに、公共交通機関の利用促進、相乗り、時差出勤等ソフト面の対策を含め総合的に推進することといたしております。平成六年度におきましては、総合渋滞対策支援モデル都市を十都市指定したところでございまして、関係省庁間で連携を図りながら総合的な対策を講じてまいる所存でございます。  最後に、モーダルシフト施策について御説明させていただきます。  我が国におきましては、トラック輸送を中心とした物流体系が形成されておることは先ほど説明させていただいたとおりでございますが、幹線物流においてトラック輸送に過度に依存することは、道路交通混雑の激化により輸送の定時性の確保が以前と比べて困難となるなど、物流をめぐる制約要因が深刻化する一因となっております。これらの制約要因に対応した効率的な物流体系の形成のためには、端末輸送におけるトラック輸送との連携を図りながら、幹線輸送の分野において省力型、低公害型の効率的な大量輸送機関である海運、鉄道の積極的活用を図っていく必要があると考えております。  このため、第一に、このモーダルシフトの受け皿となる海運、鉄道の輸送力増強を進める必要があり、船腹調整制度の弾力的運用や船舶整備公団の共有比率の引き上げ等によりまして、小口貨物の輸送に適したコンテナ船等のいわゆるモーダルシフト適合船の建造を進めているほか、鉄道貨物につきましては東海道本線におけるコンテナ列車の輸送力増強工事に対する財政的支援を行っているところでございます。  第二に、モーダルシフト円滑化のため、財政投融資や税制優遇措置を活用し、コンテナデポ等の複合一貫輸送施設やコンテナパレット等の複合一貫輸送用機器の整備を推進しているところでございます。平成六年度から、特に一貫パレチゼーションシステム推進のため、T11型という規格パレットに対応した機器の整備を促進しているところでございます。  第三に、モーダルシフト推進のためには、これらのハードウエアの整備に加えまして、弾力的な運賃・料全体系の構築や、トラックの利用しやすい列車ダイヤの設定など、ソフト面の対策もあわせて講じることが肝要であると考えられることから、これらの点に関し関係行政機関や学識経験者、事業者などによる検討を行ってまいりましたが、その結果、本年四月には、JR貨物の経営体制の強化、フェリーサービスの改善など、当面実施すべき施策について包括的な提言が取りまとめられたところでありまして、今後その実現に向けて鋭意努力してまいりたいというふうに考えております。  また、輸送手段を何にするかは基本的には荷主、運送事業者といった民間事業者の選択にゆだねられる問題でありますので、その意味ではモーダルシフト施策を推進するに当たりまして、地域の実情や貨物の特性に応じて解決すべき課題の異なることから、これらの実態に応じたきめ細かな対策を検討する必要があるというふうに考えております。  このため、私どもとしましては、本年四月に地方運輸局に通達を発しまして、各地域において荷主、運送事業者、行政機関等関係者から成るモーダルシフト推進協議会を設置することを初めとする検討体制の充実につき指示を行ったところでありまして、輸送機関を選択する際に最も重要な要素であると考えられます輸送時間と運賃との関係を把握し、地元レベルでできるところから順次具体策につなげていくなど、今後とも関係者の英知を結集してモーダルシフト施策に対する総合的な取り組みをしてまいる考えでございます。  以上でございます。

三重野栄子日本社会党・護憲民主連合

○会長(三重野栄子君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。

一井淳治日本社会党・護憲民主連合

○一井淳治君 この調査会のテーマは、二十一世紀に向けての日本の産業政策の課題でございます。  激しい国際的な経済競争の中で、日本経済が活力を維持しながらどのように生き残っていくかという問題につきまして、私は三十分という短い時間でございますけれども、最近産業経済構造の中で大変問題になっております物流という問題を横軸にしながら、企業行動のあり方とか労働力問題も非常に顕在化している課題でございますし、また、先ほどの通産省の資料の六ページにも物流の問題が載っておりましたけれども、この物流を中心にして質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず、運輸省にお伺いしたいと思いますが、物流問題が重要な課題となってきました背景事情ですけれども、第一に、物流の需要の質的変化という問題があると思います。第二に、物流量の急増傾向が続いておるということがあると思います。第三に、物流供給面の変化ですね、貨物輸送の中で自動車輸送が非常に割合がふえているという問題でございます。第四に、労働力不足という問題がございます。  こういった課題につきまして、現在は不況でちょっと需給関係が緩んでいるということがあるのかもしれませんが、基本的な傾向といいますか、長期的な傾向がどのようになっているかということを御説明願いたいと思います。

永井隆男運輸省大臣官房総務審議官

○政府委員(永井隆男君) お答え申し上げます。  ただいまも一部御説明をさせていただきましたが、近年、生産流通過程における多品種少量化や在庫の圧縮化、国民生活の向上などによります消費者ニーズの多様化が進行しておりまして、その結果として物流に求められるニーズも、それまでの量的拡大から多頻度小口輸送やジャスト・イン・タイムサービスに見られるような定時性の確保といった質の高い輸送サービスの提供へと変化が見られるところでございます。このような物流ニーズの高度化とともに、これらへの弾力的な対応が可能なトラック輸送への依存度が年々高まってきております。トンキロベースで申し上げますと、今や国内貨物輸送量の半分を占めるに至っております。  このように、トラック輸送は我が国の物流において重要な役割を果たしてまいりましたが、他方、トラックは鉄道や海運に比べますと輸送トンキロ当たりの二酸化炭素排出量や必要労働力が大きく、環境問題、道路交通混雑、労働力不足といった物流をめぐる制約要因の克服という観点からは、トラック輸送に過度に依存することのない物流体系を構築する必要があるというふうに考えております。我が国の国内貨物輸送量は、不況の影響もございまして、トンキロベースで平成四年度、五年度と二年連続減少しておりますが、長期的には物流需要は拡大していくものというふうに考えられます。  その一方で、ただいま御指摘がございましたように、地球温暖化などの環境問題や人口の高齢化に伴う労働力の確保の問題など、今後ますますこれらの制約要因が深刻化するものと考えられるところから、中長期的視点に立って物流の一層の効率化に取り組んでまいることが必要であるというふうに考えております。

一井淳治日本社会党・護憲民主連合

○一井淳治君 産業について所管しておられます通商産業省の方にお伺いしたいわけですが、先ほども御説明が運輸省の方からありましたけれども、産業の発展のためには、物流が好ましくない様相を呈しつつあると言えると思います。  一つは、物流の需給不均衡という問題が顕著になってまいりました。また、物流コストの上昇ということも大きな課題でありますし、外部不経済の問題も激しくなってまいりました。そういった課題について長期的にどういう傾向がうかがわれるのか。といいますのは、今不況でございますから、短期的な問題でなくて長期的な見通しということでお伺いしたいと思いますが、特に物流コストが大変高水準になっているということを聞かされております。  また、通産省の方では平成三年三月に委託調査をされておりますけれども、マクロの長期見通しというものをなさっておるわけでございます。そういったことについて簡潔な御説明をお願いいたします。

清川佑二通商産業省大臣官房商務流通審議官

○政府委員(清川佑二君) 一井委員の御指摘のとおり、物流の需要及び供給の両面にわたって生じました状況変化が背景となっておりまして、日本の物流に関しまして六十二年以降好況期にさまざまな問題が発生いたしました。  具体的には、頻繁に指摘されます三点を申し上げますと、一つには運転手不足あるいは道路混雑などによりまして物流能力の限界ということが生じ、トラック業者が輸送依頼を断らざるを得ないという事態も起こったわけでございまして、物流の需給の不均衡が発生したという問題でございます。  第二は、このような物流の需給の不均衡を背景といたしまして、御指摘の物流コストが大幅に上昇をいたしまして企業経営上も大きな負担となっているわけでございます。  第三には、これも御指摘のとおりでございますが、物流が主要な原因の一つとなりまして、特に大都市圏におきまして道路混雑あるいはNOx問題など、外部不経済と言われる問題が深刻化したということが指摘されているところでございます。  一井委員が御指摘のとおり、景気が調整過程に入っておりますので、平成三年度におきましては物流量の伸びは経済成長率を下回っておりますし、平成四年度、五年度におきましては、トンキロベースで見た物流量の伸びはマイナスを示しているわけでございますので、物流の需給の不均衡は、短期的には、現時点では解消したように考えられるところではございます。しかしながら、平成五年度に実施いたしました景気停滞期の物流コストの実態調査によりますと、売上高対物流コスト、これが六・七三%を占めているという調査がございます。特に、製造業におきましては八・三五%、非製造業におきましては四・〇二%ということで、調査対象企業数は、サンプル数が十六社ということで必ずしも多くはございませんが、コストとしては非常に高い水準にございます。  また、日本銀行が調査しております陸上貨物輸送の価格指数におきましては、六十三年ごろには指数としては一〇〇程度であったものが、バブル期の平成三年ごろには一二〇という状態になっておりまして、景気停滞期の現在でも横ばいの一二〇程度のままとなっているわけでございます。  また問題として、平成二年度に実施した調査によりますと、トラックの台数などの物的制約あるいは道路供給等の人的な制約を考慮しまして物流供給能力を予測いたしますと、二〇〇〇年におきましては物流需要の六〇%程度しか満たせないのではないかという試算結果もあるわけでございます。  また、運輸部門のうちの道路輸送部門の価格と物価の関係についていかがかという御指摘でございましたけれども、通産省が平成二年度に委託調査をいたしまして、道路輸送部門の価格と物価の関係につきまして産業連関表を用いて試算を行ったことがございます。これによりますと、道路輸送部門におきまして一〇%の値上げが行われ、そしてその他の部門が価格転嫁を実施した場合には、国内総合卸売物価は〇・三%、消費者物価は〇・二二%の上昇となるという試算がございます。この試算は、トラック部門のみでなくて旅客部門も含みます道路輸送全体が一〇%値上がりをした場合という前提ではございますが、トラック運賃の上昇による影響だけを取り出したものがないものですから、そのような前提で調査が行われているという点には留意を要するところでございます。  いずれにいたしましても、以上のような物流問題、これは第一には、コスト面では高水準の物流コストは企業経営を圧迫いたしますし、また、これを引き下げるということは、内外価格差の縮小などの面でも大きな課題と考えております。第二に、長期的に予想されます物流の需給不均衡が将来の我が国の経済成長の制約要因となるおそれがあるということも懸念されるわけでございます。物流問題の解決につきましては、引き続き産業政策上の重要な課題と認識をいたしております。

一井淳治日本社会党・護憲民主連合

○一井淳治君 ことしの六月十六日に産業構造審議会基本問題小委員会が報告書をつくっております。  その中に、「非効率産業における労働力の効率的利用」という指摘がございますけれども、読んでみますと、流通や運輸部門は大変生産性の低い部門であるという指摘があります。あわせて資産・情報媒介部門も効率性が高くないという指摘がありまして、これらの産業の生産性が上昇しない場合には、経済成長率が二〇〇〇年においては三・一%であるところが二・一%にとどまるだろうという試算が発表されております。また、二〇一〇年には二・四%あるべきところが一・三%にとどまるだろうという大変ショッキングな試算が示されておるわけでございますけれども、流通あるいは運輸部門の効率化を図るということが日本経済の将来にとってそれほど重要なことであるのか、そのあたりについて御説明願いたいと存じます。

清川佑二通商産業省大臣官房商務流通審議官

○政府委員(清川佑二君) 物流独自の問題と考えますと、この点におきましては依然として高水準にある物流コストの削減、道路混雑あるいはNOx問題といった外部不経済問題の回避という大きな問題がございます。  また第二に、経済成長との関係におきまして、一井委員の御指摘のような問題がございまして、長期的に見て物流の需給不均衡が発生して、これが将来の経済成長の制約要因となるおそれがあるほかに、委員御指摘のとおり産業構造審議会におきまして流通、運輸産業の効率化と将来の成長率との関係も言及があるところでございます。  物流につきましては、これは生産から販売に至るまでのあらゆる経済活動に不可欠な基礎的な機能でございます。物流問題を景気変動に伴う一過性の問題としてではなくて、我が国の経済発展に伴う中長期的な、構造的な極めて重要な問題としてとらえて、価格メカニズムが機能するための基盤整備を中心とした総合的な物流効率化施策を引き続き積極的に推進するということで、この極めて重要な問題につきまして適正な対応を図っていきたいと考えております。

一井淳治日本社会党・護憲民主連合

○一井淳治君 先ほども通産省の御説明の中に少し含まれておりましたけれども、我が国の産業構造の最大の課題の一つとして、効率的な一部の製造業と非貿易産業に代表される非効率的な産業の併存という二重構造の問題がございます。これが我が国経済の代表的なゆがみと言われております内外価格差に関係しておりますし、また貿易黒字がなかなか減らない問題、あるいは過度の円高の問題とも関係があるというふうに言われておるわけでございます。この内外価格差縮小という観点から、経済産業構造の効率化ということはどういう意味があるのかという点についての御説明を願いたいと思います。

堤富男通商産業省産業政策局長

○政府委員(堤富男君) 内外価格差に代表されるような効率部門と非効率部門、それぞれの国が歴史的背景を持ってやっている部分、それからそれが円高によって非常に拡大される部分というのがあるわけでございますが、いずれにしても日本の中に非常に生産性の差があった結果ではないかというふうに思っております。  これを直しておくことは、一つは当然国民生活の実質的向上ということにまずなるわけでございまして、今購買力平価とかいろんな試算がございますけれども、一ドル二百円ぐらいの価値がある――価値しかないという議論もありましょうけれども、そういう中で消費者が、外には強いけれども内に弱い円というところを、内にも強い円というふうになるためには内外価格差の是正ということが必要なのではないかというふうに思っております。  もう一つ、当然のことながら、委員御指摘のような意味で、今世界の中でメガコンペティションという言葉を使ったり大競争時代と言われたりしておりますけれども、非常にコストの低い国とコストの高い国のぶつかり合いの中で、これから日本の産業が残っていくためには日本全体としての効率化が必要ではないか。それによりましてバランスのとれた産業構造というのが構築されるという意味で、産業の健全な発展ということにも非常に大きな役割があるというふうに思っております。

一井淳治日本社会党・護憲民主連合

○一井淳治君 この物流の効率化という問題は、我が国の産業の発展のためにも、あるいは国際競争の中で我が国産業が活力を維持しながら生き残っていくためにも不可欠であるというふうに思います。そのためには、運輸省から先ほど御説明がありましたような、モーダルシフトを推進していくこと、あるいは都市内集配送の推進などのために物流拠点を整備していくこと等のインフラ整備を十分に実行していくということが不可欠であるというふうに思います。その場合に、例えば土地の値段も非常に高いということで、民間企業だけに任せておってはインフラ整備が進まない。物流が非常にネックとなりまして日本の産業の将来にも悪い影響を与えるということが非常に心配されておるわけでありますけれども、やはり物流の効率化、今申し上げましたモーダルシフトや物流拠点の整備等には国の助成というものが不可欠ではなかろうかというふうに思うわけでございます。  私個人の考えですけれども、道路をトラックが走っておりますけれども、これは高速道路以外は無料で走っているわけです。しかし鉄道を見ますと、JRはレールを借りておって無料でないというようなことで、なかなか物流がモーダルシフトの方に動いていかないということもあるんじゃなかろうかと思います。そういった意味で、このインフラ整備に対して国の助成が不可欠ではないかというふうに思うのでございますけれども、運輸省の御見解を伺いたいと存じます。

永井隆男運輸省大臣官房総務審議官

○政府委員(永井隆男君) 先ほど来御説明させていただいておりますが、幹線物流分野におきましてはこれ以上トラック輸送に過度に頼るわけにもまいらないということで、特に幹線物流におけるモーダルシフト乗を推進しているわけでございます。このモーダルシフトの受け皿となる鉄道、海運の輸送力の整備ということがまず必要であるということでこの整備を初め、物流の効率化のためのインフラの整備というのを、整備主体が民間事業者あるいは地方公共団体の場合にはこれらを助成あるいは支援するというようなことにより、計画的かつ着実に進めることといたしております。  具体的に申し上げますと、鉄道輸送力増強に必要なインフラ整備に対する鉄道整備基金からの無利子貸し付けという制度がございますが、これらの制度を活用するとか、あるいは港湾整備事業による内貿ユニットロードターミナル等の整備、それから船舶整備公団を活用した内航コンテナ船等の輸送力の整備等を推進するほか、財投等を活用いたしまして倉庫、トラックターミナル等の整備を推進してきているところでございます。今後とも計画的かつ着実な整備が図られるように努力をしてまいりたいというように考えております。

一井淳治日本社会党・護憲民主連合

○一井淳治君 今回、質問をしてわかったわけですけれども、今申し上げましたモーダルシフト等のインフラ整備に対してどの程度国の予算が分配されているのか、あるいは人の動き、あるいは道路に対してどういうふうな予算がどの程度配分されておるのかというふうな、国全体の予算の配分というものが数字上まだはっきりしていないと思います。そこで、こういう重要な課題でありますので、運輸省の方で、今後そういった予算がどのように配られているか、全体的な分配について御研究をいただきたいという一つの要望を申し上げておきたいと思います。  それから、重ねて運輸省にお聞きしますが、都市内共同配送ということが非常に重要視されておるわけでありますけれども、今のところはこれは民間企業任せになっておるわけであります。非常に細かい御指導を運輸省の方からいただいておるんですけれども、これがなかなか進まないでおるわけです。一つには、自治体あたりが土地を提供するとか相当思い切ったことをしないと、都市内共同配送は拠点の整備、配送センターの整備等があるわけですから都市部では進まないんじゃないかというふうに思いますけれども、この都市内共同配送の問題についてどのようになっているのか、簡単な御説明をいただきたいと思います。

永井隆男運輸省大臣官房総務審議官

○政府委員(永井隆男君) 都市内の物流問題につきましては、商業・業務機能が集積した地域を中心に道路交通混雑だとか環境問題といった制約要因がますます深刻になってきておりまして、その効率化を図るということが喫緊の課題であるというように考えております。  このために、運輸政策審議会におきまして都市内の物流問題をめぐる諸問題について特に御審議をいただいたわけでございますが、この三月に答申として「地域内物流の効率化のための方策について」というかなり網羅的な御提言をいただいているところでございます。  この答申では、共同集配システム構築のための方策としては、荷主、運送事業者、関係行政機関、地元地方公共団体等の幅広い関係者の協力を得て共同集配システムを構築することが有効な手段であるとした上で、集配拠点用地の確保のため、これは今先生の方から御指摘がありましたように非常に大切でありなかなか難しい課題ではございますが、この集配拠点用地の確保のため地方公共団体を中心として公共用地の活用、用地取得のあっせん等の支援策を総合的に講じていく必要があるというふうに御提言をいただいております。  この答申の実現のためには、民間事業者、国、地方公共団体等の関係者の連携、協力等は不可欠であるというふうに考えられるところから、先ほど御説明させていただきましたように、この四月に私どもの地方支分部局に対しまして指示をいたしまして、関係省庁に対してもまた文書で御依頼をいたしたところでございます。今後とも関係省庁や地方公共団体とり連携を密にしながら、各地域の実情に即した都市内物流対策というものを積極的に支援してまいりたいというふうに考えております。

一井淳治日本社会党・護憲民主連合

○一井淳治君 トラックの業者に聞いてみますと、モーダルシフトは非常にトラック業者としても好ましいことだけれども、しかし船、内航の方はなかなかジャスト・イン・タイム的にいかないからということを言われまして、どうしても鉄道の整備を急いでほしいという要望をよく聞きます。鉄道の整備を考えた場合に、運輸省の考えは鉄道を、例えば東京―大阪間にレールをさらに一本引く必要があるのか、あるいは既存の線路の整備で進めていけば何とか需要に間に合っていくのか、その辺のモーダルシフトの受け皿としての鉄道整備についての御見解を簡単にお伺いしたいと思います。

永井隆男運輸省大臣官房総務審議官

○政府委員(永井隆男君) モーダルシフトの推進のためには、受け皿となる輸送力の整備を行うということがその前提としてまず第一に必要なことだと思っております。このために、我が国の物流の大動脈とも言うべき東海道本線につきましては、当面の輸送力増強対策として、平成五年度より鉄道整備基金からの無利子貸し付けと財政投融資制度を活用いたしまして、平成八年度中完成を目途に、現行の二十両編成主体のコンテナ列車というのを二十六両編成主体とするべく、貨物ターミナル駅の改良とか中間駅における待避線の延伸とか変電所の新設や改良などの工事を進めているところでございます。  運輸省といたしましては、今後とも鉄道輸送力の整備の必要性、その整備効果等を勘案しながら、鉄道整備基金からの無利子貸付制度等を活用した鉄道インフラの整備に対する支援策を講じてまいりたいというふうに考えております。

一井淳治日本社会党・護憲民主連合

○一井淳治君 時間が参りましたので、私の質問は終わるわけでございますが、せっかく政府委員の方もいらっしゃいますので、ことしの六月にまとめましたこの調査会の中間報告がございますけれども、その中で、物流問題につきまして二つの提言をしておるわけでございます。  一つは、先ほど来質問しております都市内物流の効率化等の道路対策等の問題、もう一つはモーダルシフトの推進ということでございます。調査会もそういう意見をまとめているということで、一層御研究をいただきたいと思います。  それからまた、この問題につきましてはまさに企業行動のあり方が問われているわけでありまして、これは民間企業でありますから、損益ということが非常に関係しますから、危ない分野に投資するということは困難でありますけれども、しかし経済の将来ということを考えた場合には、企業経営者も相当努力をいたさなきゃならない。  また、通産省の十二の新規分野に物流も入っているわけですけれども、十二の新規分野を本当にそういうふうに活力ある、将来伸びていく分野にするためには、行政の方も相当思い切って、予算面も考え直すぐらいの御努力をいただかなくちゃならぬじゃないかという私の感想を申し上げまして、時間が参りましたので終わらせていただきたいと思います。

楢崎泰昌自由民主党

○楢崎泰昌君 私はこの委員会に属しておりまして二年数カ月審議を行っているわけでございますけれども、私はその二年の間に日本経済に激動が起こっているという感じがしてならないんです。当初のころは、日本の国の不況がだんだん深刻になってきたね、バブル破裂の不況だねということで、何とかしてそれに耐えなければならぬと。まあしかし、一番最初のころは、そうは言っても日本の労働力というものはだんだんだんだんせっぱ詰まってきて少々足らな目の傾向になるんじゃないか、失業率も二%ちょっと上のところでとどまっていた。  ところが、はっと今気がついてみると、不況は底をついたと言われていますけれども、恐らく円高が一つ影響を強くしているんだとは思いますけれども、先ほど通産省が御説明になったように、生産の海外流出が行われているという事態になってきた。同時に、その結果として相当の労働力の緩和感が、緩和感というよりも過剰感がこの世界に広がってきたという感じがしてならないのでございます。  先ほど、労働省から大変だ大変だという御説明がありましたけれども、今労働力問題が非常に大きな転換をしつつあると思います。むしろこれから労働問題が我が国経済にとっての最重要課題になる可能性があるわけですけれども、労働省の方はこのような労働力関係の激変についてどのように御認識になっておられるか、お話を願いたいと思います。

氣賀澤克己労働省職業安定局次長

○説明員(氣賀澤克己君) ただいま委員から御指摘ございましたように、最近のあるいは今後の企業の海外進出ですとか、あるいは製品の輸入の拡大等に伴います国際化の進展、あるいは技術革新、規制緩和というようないろいろな変化が起こってまいりまして、雇用面におきましても大きな変化が生じてくるものというふうに考えているところでございます。  私どもこういう中で、二〇〇〇年ころまでの産業、雇用の姿ですとか、あるいはこれに基づきます政策の方向性につきましていろいろ検討を進めておりまして、先般学識経験者から成ります雇用政策研究会というところに検討をお願いいたしまして、この六月に「中期雇用ビジョン」というものをまとめていただいたというようなところでございます。  このビジョンの中で、今後、国際化の進展ですとかあるいは規制緩和などによります構造改革が進められるということを前提とした場合に、二〇〇〇年に向けまして雇用需要がふえる部分あるいは減っていく部分というような形でいろいろ変化をしていくというふうに予測をいたしております。例えば製造業ですとか、卸売・小売業、飲食店などにおきましては雇用需要が減少するであろうと。一方、サービス業ですとか情報通信、住宅、医療福祉というような分野におきましては大幅に雇用が増加をするであろうというふうに予測をいたしておりまして、そういう意味で産業別の労働力構成が大きく変化をするであろうというふうに予測をされているところでございます。  私ども、そのような大きな変化を踏まえながらこれからの対応を考えていかなくてはいけないというふうに思っているところでございます。

楢崎泰昌自由民主党

○楢崎泰昌君 減っていくだろうというところは確実に減っていくんですけれども、増大するだろうというところはどうも確実でないんですよ。そこが一番の問題点なんですね。  それで、私は規制緩和をすると産業が振興して雇用がふえるんだという神話はなかなか信じがたいような感じがいたしておりまして、今、日本国の政策自体、産業自体が大変革を起こしているわけですから、その中でどのようにして日本の雇用を守っていくかということについて最大の努力を傾けることが私は現在の経済政策の第一であろうというぐあいに思っているんです。  そういう観点から幾つかの問題を論じたいというぐあいに思っているんです。その端緒の一つは円高であるんでしょうけれども、円高よりも何よりも、先ほど通産省から御説明いただいたように、我が国の経営資源というのは外国と比べるとめちゃくちゃに高いんです。  ちょっと例を挙げて恐縮ですけれども、例えば土地は、日本が一〇〇に対してアメリカは八、ヨーロッパが四、タイは一というふうにありますよね。ここら辺は決定的に違ってきて、直そうと思ってもなかなか直らないという分野であるわけです。それから人件費。人件費も、日本は追いつき追い越せでどんどん人件費を上げてきましたけれども、日本一〇〇に対してアメリカ六五、ヨーロッパ三二、タイ六、中国四。私はこの間ベトナムへ行ってきましたが、ベトナムは一という感じですよね。そういう労働力。それから、運輸省がおいでになりますけれども、運送経費もめちゃくちゃ違います。日本が一〇〇に対してアメリカが一九、ヨーロッパ一五というような状態。  そのような環境の中で生産を国内でやっていくというのは、計数的に見れば明らかなような感じがするんです。産業の空洞化を先ほど通産省に御説明をいただきました。経済原則からいえば、安い生産地に事業が移っていくというのはごく当たり前の話のように思っていますけれども、産業の空洞化について通産省はどのように考えているのか。これは是認さるべきものと考えているのか、必死に阻止せねばならぬというぐあいに考えているのか、御見解を承りたい。

堤富男通商産業省産業政策局長

○政府委員(堤富男君) 日本も自由経済あるいは自由市場経済を前提としている以上、海外投資が経済原則に従って行われることを阻止するということには我々は賛同しておりません。海外投資の中には、日本の国際貢献ですとか、南と北の生活のバランスをとるというようなポジティブな意味も入っておりまして、ある意味で世界の経済の、まあ生活のバランスをとるという意味もあるわけでございます。  ただ、現在の海外投資をせざるを得ない状況を考えますと、やはり国内に幾つかゆがみがあるのではないかという感じを持つているわけでございます。その一つが、今御指摘いただいたような国内のコストあるいは産業構造のゆがみのような部分があるのではないかというふうに思っております。  それからもう一つは、経常収支から来ます円高というようなものは他の先進国にはなく、非常に日本に厳しい状況でかかってくるわけでございますが、これも日本のゆがみの一つではないかということを考えておるわけでございます。そういう意味では、このゆがみを是正するということで、過度な海外投資が起こるということを防止すべきではないかというのが第一点でございます。  それからもう一つは、それだけで済むのかという問題がありますので、海外投資あるいは空洞化ということを起こさないため。には、新しい産業、新しい事業を起こしておくということによって日本全体の雇用を吸収するということが必要なのではないか。空洞化自身を是認するということではなくて、むしろ空洞化が起きないように、あるいは空洞化が起きる前に我々は施策を講じておくべきではないかというふうに考えている次第でございます。

楢崎泰昌自由民主党

○楢崎泰昌君 優等生の御答弁なんですけれども、なかなかそうはうまくいかないんですね。  先ほど冒頭で、はっと気がついてみればというぐあいに申し上げましたが、まさしくはっと気がついてみれば日本の経営資源と外国の経営資源との違いがこんなにあったのかということに驚くような状態であると思うんです。それは早くから製造業の中では気がついておられて、少しずつ海外投資をやっておられたということだと思います。  現在のところ、通産省の資料を見ると製造業の海外生産の比率は全体では六・二%といってそれほど大きくないようですけれども、既に経営資源の格差が非常にいたく響いているところ、それから技術移転あるいは海外投資がしやすい分野というものは、国内で生産をするよりも海外に新しい生産拠点を展開するという方向に今どんどん向かっているように思います。それは通産省が先ほど御説明になったとおりですけれども、これは一生懸命やって格差が埋められるというような差では到底ないような感じに私には思われるわけでございます。  そこで、現実の問題として、先ほど雇用の問題がこれの一番の問題点であるというぐあいに申し上げましたけれども、海外生産に製造業が移っていくことによってどれだけの就業機会というものが失われているんでしょうか、通産省はどういうぐあいに考えておられますか。

堤富男通商産業省産業政策局長

○政府委員(堤富男君) 雇用の問題にお答えする前に、確かに施策だけではなかなか難しいということはございますが、ただ、我々一つ申し上げておきたいところは、現在日本は五百兆に近いGNPを生むわけでございますし、世界に類例がなく高い貯蓄率を持っているわけでございます。比率にしますと三三%、百六十兆円ぐらいの貯蓄を毎年する余力があるわけでございます。これから急速に進む高齢化の中で百六十兆円というような高い貯蓄率をいつまで保てるかということになりますと、我々はあと十年ぐらいが貯蓄率が非常に高く、日本がまだ余裕のある時代ではないかと思っておるわけでございまして、そこのところをうまく活用していくということが非常に重要な施策になると思っておるわけでございます。そういう意味で、まだ何をやってもだめな段階だというふうには我々は実は思っておりません。  それから、二つ目の雇用の問題でございますが、空洞化というのが現在起きているかというと、先ほど労働省の方が御説明いただきましたようにまだ三%の失業率で、各国の失業率から比べるとそれほど大きくはないということがあるわけでございますが、それがある意味で企業内失業というような形で抱えられているおそれもありまして、予断は許さないと思っております。  ただ、各種調査がございます。これから海外投資はしますかという調査、あるいはその場合に雇角をどうされますかというような調査を労働省あるいは開発銀行あるいは日刊工業新聞とかというところでやっておりますが、いずれの調査からも見てとれますのは、これから企業は海外投資を大幅にした場合には、調査によって違いますけれども、三〇%台とか四〇%とか五〇%の企業が何らかの意味での雇用調整をしなければならないということをその中で表明しておりまして、今すぐ現実の問題としてあるかどうかということは別といたしまして、現在の海外投資の速度から考えますと、雇用問題に影響が出てくるのほかなり必然的な可能性の強い部分ではないかというふうに思っている次第でございます。

楢崎泰昌自由民主党

○楢崎泰昌君 今開発銀行のお話がひよっと出ました。各企業のビヘービアとしての国内投資はマイナス八・九、そして海外投資は一八・一の増というようなリポートが出ているんです。好むと好まざるとにかかわらず、企業の海外展開というのはこれから進展をしていくに違いない。  しからば、直接的にお答えになりませんでしたけれども、海外の日本現地法人の雇用者数は平成五年の三月時点で百四十万。これはお答えにならなかったという意味は通産省の資料で出ているんですからお答えにならなかったんですけれども、百四十万人と考えられています。そうすると、それの底辺に下請だとかいろいろ企業機会がございますでしょう。だから、二百万強はどうも現時点で海外生産を行うことによって雇用が海外に出ている。これは悪いと言っているわけじゃありません。そうならざるを得ないからそうなっているというだけの話なんです。これが平成五年の三月ですから、もう一年以上たっているわけです。そして、海外進出が進んでいる。どれくらいの割合でやっているのか、一番最新の資料を持っていないんですけれども、相当の雇用が失われ始めている。これはまたそれなりに仕方がない、経済原則ですから進展をしていくでしょう。さてそこで、一体我が国はこの雇用問題に対してどう取り組んでいくか。先ほど労働省が言われましたが、新しい産業ができていくと。まあ新しい産業ができていくだろうとは思いますけれども、どういうぐあいに通産省は今後対応しようとしておられますか。

堤富男通商産業省産業政策局長

○政府委員(堤富男君) 我々も、今までの時代でございますと追いつく時代でございますから、必ずどこかにお手本があったわけでございます。アメリカで自動車産業が伸びている、したがって十年後には日本の自動車産業は伸びるはずであるというようなことが我々のいわば指標であったわけでございますが、最近日本もフロントランナーというんでしょうか、先進国のトップランナーになってきたということから、これから何が出てくるかということが非常に重要でございますし、本当にこれから成長が必要なんだろうか、あるいは成長することが可能なんだろうかという原点に返って、産業構造審議会で二年間大変熱烈な議論をしてまいったわけでございます。その中で、一つの可能性として出てきたものが先ほど御説明をさせていただきました十二分野ということでございまして、我々は予想屋ではございませんから、これが必ず当たるとかいうことを申し上げるあれはないんですけれども、ただ、どんなニーズがあるかということを随分議論をしていただきました。  その中で、やはり我々の心の中で何か欲しいものがあるんだろうかということを真剣に議論したものが、例えば健康ですとか医療ですとか福祉ですとか環境ですとか、そういうものは必ず我々はまだ欲しいんじゃないだろうかというような社会的ニーズという面から一生懸命考えたものが一つの分野を構成しておりますし、日本の技術という面ではどんな新しい技術を持っているんだろうかというようなことを考えたことから出てきたものもあるわけでございます。それが、先ほど申し上げました新エネルギーですとかあるいは情報通信ですとか新製造設備とかというようなものが、これから我々の技術の中から生まれ出てくるものではないだろうか。そういうものがどの程度のマグニチュードでどの程度の雇用効果があるかということを分析したものが十二分野ということでございました。それで、その結果というのは、確かに雇用におきましては五百五十万人ぐらいの雇用吸収力があるというようなことを言っておりますが、その非常に大きい部分が情報通信で、その大半をとっているというようなことも見てとれるわけでございます。今後の必要性、可能性ということを詰めた中で、我々は十二分野というのが将来の一つの可能性として出てくるのではないかというふうに思っておる次第でございます。  そういう意味で、新しい産業がこういう分野を中心としまして必ず需要も出てくるし、技術的にも可能であると。その分野におきまして、一つは、規制があるために出られない分野があるとすれば規制を緩和したらいかがだろうか。あるいは社会資本が、公共資本だけではなくて広い意味の社会資本という意味での情報通信網とかということがあればもっと新しい産業が起きてくる可能性があるんではないだろうか。あるいは、情報通信が出てくれば、我々の医療というようなものも遠隔医療ができるようになるんではないだろうかというような、いろんなことを総合いたしまして環境整備をまずしていく必要があると。それは規制緩和あるいは社会資本整備というようなものだと思っております。  ただ、そういう分野に出ていく企業の創業者というんでしょうか、そういう企業家がやる気、チャレンジを起こさないといかぬという意味で、今いろんな法律を検討しておりますが、企業がやる気を起こすような、新しく企業を起こす人を支援するとか、あるいは既存の企業が新しい事業を起こすことを支援するというようなことで新しい分野をつくっていくということが通産省の仕事だと思っております。  それから、労働省の方のお仕事でございます雇用を保っていく、維持していくということ、あるいは労働移転ということを円滑に行うということと一体となりまして努力をしていかなければいけない。九月末に総理から指示がございまして、労働雇用構造問題と産業構造問題を一体的に策を考えるべきであるというような御指示がございまして、労働省とはビジョン以来御一緒に議論をしてまいりましたし、それぞれ今法律を検討しておりますが、有機的な連携を保った検討をさせていただいている次第であります。

楢崎泰昌自由民主党

○楢崎泰昌君 今通産省にお答えいただきましたけれども、そのとおりだと思うんですね。問題は、それが絵にかいたもちになるかならないかということのように思います。私は、やっぱり新しい分野に新しい産業が起こっていく、そこで労働力を吸収していく、雇用の機会が生まれるということでないと、どうも日本はえらいことになるなという感じがしているんです。  ただ、残念ながら今までの資料を見ていますと、起業意欲、要するに先ほどおっしゃった創業者とかそういう新しい事業を起こそうという意欲がどの程度今の日本の社会にあるんだろうか。これは、新規開業率の話を先ほどちょっとされたように思いますけれども、廃業の方が新規開業より多くなっちゃっているんですね、今の時点ですよ。今の時点は不況のどん底だからしょうがないといえばそうなんですけれども、何かしらそういう意欲が少し落ちているんじゃないだろうか。それから、新しい技術開発が一体出てくるところがあるんだろうか。例えば情報産業の方は相当数進んでいるというぐあいに思いますけれども、しかしそれが先ほどの計表を拝見してみると、技術開発のための民間投資は前年より減っちゃったというようなところがあって、非常に心配をしているところなんです。  それで、新しい企業が起こっていくためにはいろいろな要素がございます。申し上げたように起業意欲というんでしょうか、何かしら新しいものに突進をしていくバイタリティー、それからさらにいえば、それに伴うところの技術というものがあると思うんですけれども、同時に資本が要るんです。お金が要るんです。残念ながら今の日本の銀行はどうも新しいものには土地の担保がなきゃ貸さないという状況で、銀行からの新しい産業、新しい技術に対する投資が非常に停滞をしているように見受けられるんです。先ほど貯蓄率が高いというように言われましたけれども、その高い貯蓄率はどこへ行っちゃったのというと、どこへ行っちゃったのかよくわからぬという現状にある。  それで、そのためには国全体の産業構造が今現在においてこうなっているんだから、それに対して全力を奮ってそのような状態に持っていかなきゃいけないわけですが、特に私は資本の問題に限定をして言いますと、今銀行は貸さない。たしか中小企業庁では創造的中小企業、資料に創造的中小企業振興対策というのがついていますよね。いずれにしても、そういうような何らかの形で、日本の経済が今激変しているんですから、激変していることに対応すべくいろんなことの手を打たにゃいかぬ。  それはただ一つではないでしょう、複合的なものだと思いますけれども、特に資本の点ではベンチャービジネスに対して何らかの形で資金が回るように。今ベンチャービジネスがお金を借りようと思うとなかなか借りられませんよ。そういう状態ではぐあいが悪いんで、産業構造審議会でついこの間、NASDAQのようなものを日本につくったらどうだろうかとか、いろんな提言がなされているように思います。しかし、日本の株式市場というものは投資家保護というのが徹底されていますから、危ない会社には株式上場を許さないということなんです。NASDAQというのはハイリスク・ハイリターンの制度なんですね。  ですから、それなりに物を考えてやるとか、あるいは今は独占禁止法で禁止されていますけれどもホールディングカンパニーをつくるとか、あるいは大企業で言えば分社をして、一分野を分けて新しい子会社をこしらえてこれをやるとか、そういうような方法がどうしても必要だと思いますね。通産省、いかがですか。

堤富男通商産業省産業政策局長

○政府委員(堤富男君) 来年戦後五十年になるわけでございますが、この五十年間日本が坂の上の雲を見ながら一生懸命上がってきて追いつく制度としては、日本の今までの制度は結果としても非常にすばらしかったと思っております。  しかし、先ほどから申し上げているようなお手本がなくなる時代になってきたときにどういうビジネスが育つか、どういうものが出てくるかということについては、もう政府が北斗七星を出すというようなことにはならないわけでございます。その中で、企業が新しい事業を起こしていくというようなお話を考えていきますと、私はいろんな制度に今矛盾があるのではないかと思っております。  そういう意味で、我々第一回の検討は、日本のいろんな意味の制度疲労が来ているのではないかというようなことが実は議論されたわけです。その中には、今お話のありましたようなベンチャービジネスが育っていくための終点とも言える店頭市場、日本は終点になっておるわけですけれども、アメリカの場合には企業を起こしてから五年で既に店頭市場に上場できる。しかもその店頭市場に出ているベンチャービジネスという非常にリスクの高い企業が受けている資金の六割は年金から出てきているというようなことでございますが、一方日本のベンチャービジネスはどこからお金を借りているかというと、今先生が御指摘のなかなか貸しませんよといった銀行から九〇%以上借りざるを得ないという状況になっております。そういうことで、通産省としては補完的な意味で、技術のそれぞれの段階によりまして債務保証ですとか投資ですとか融資ですとか、そういう制度を組み合わせてベンチャービジネスを起こしていくという政府支援策を考えております。  究極は、やはり民間の資金市場で十五兆円も余っている日本の資金が、日本のベンチャービジネスに行くようなシステムができていないのはおかしいと思いますし、じゃ株式市場がうまくいっているかというと、株式市場自身がむしろ空洞化をするおそれがあるということすら言われている現状でございますから、日本の制度疲労に対する検討というのは本当は真剣に行わなければならないんではないかと思っている次第であります。

楢崎泰昌自由民主党

○楢崎泰昌君 今通産省が言われましたけれども、確かにそういうような努力がこれから必要であって、何遍も繰り返して言いますけれども、日本の経済は今激動期、大激変のときに来ているわけですから、それなりの制度を考えていかなきゃいかぬと思います。さっき創造的中小企業についてちょっとペーパーの点を触れましたけれども、あれ見ているとだれかが認定して、だれかがよしと言って出発する、そんなこそくなことを考えちゃだめですよ。もっと伸び伸びと日本の経済が活躍するようにやっていただきたいと思います。  ということを申し上げて、私の持ち時間がなくなりましたので、これで質問を終わらせていただきます。通産省頑張ってください。

星野朋市新緑風会

○星野朋市君 それでは私の方から、少し立場を変えて経済企画庁にお伺いしたいんですが、まだ七―九の結果が出ておらないと思いますけれども、本年上半期の経済成長率はどのくらいであると推定されますか。答えにくいところは結構ですよ。

坂本導聰経済企画庁国民生活局長

○政府委員(坂本導聰君) 担当ではございませんので正確には申し上げられませんが、まだ最新時点での上半期の数字は見通せる段階にはございません。

星野朋市新緑風会

○星野朋市君 これは上半期のことは参考でお聞きしたんですけれども、ことしの経済成長率の見通しは二・四%ですね。これについては今のところ経済企画庁はどう見ておられるか。

坂本導聰経済企画庁国民生活局長

○政府委員(坂本導聰君) これも正直に申し上げる段階にはございませんが、最近やや景気の動きに明るい見通しも見えてまいりまして、こういった動きが仮に順調に推移すれば見通しの数字も達成できるのではないかという見方がございます。しかし、先ほども申し上げましたように、直接の担当ではございませんので正確に申し上げられないことをお許しいただきたいと存じます。

星野朋市新緑風会

○星野朋市君 問題は、実はことしの成長率にあるんではなくて、日本の今の経済の見通しとして中長期的に見た政府の経済成長率は宮澤内閣の生活大国五カ年計画、このときに策定した実質三・五、名目で五、この数字以外のものがあるのかどうか、それをお聞かせ願いたい。

高橋祥次経済企画庁総合計画局計画課長

○説明員(高橋祥次君) お答えいたします。  中長期的な見通しにつきましては現行経済計画、これは平成四年から八年度の計画でございますが、そこで実質経済成長率を年平均三と二分の一%程度と見込んでいるところでございます。

星野朋市新緑風会

○星野朋市君 それ以外にないんですね。実は、ほかの経済政策がこの実質三・五という数字のくびきから逃れられないんですね。  一番大きな問題は、大蔵省の財政計画が依然として中長期的には名目五%、税収の見積もりは弾性値一・一を掛けて計算している、こういう状態です。きょうは論じられませんけれども、十一日の日に多分論ぜられるであろう日本の資源エネルギーの需給計画も実はこの数字をもとにしている、こういう問題があるわけです。日本の経済成長率は恐らく中長期的にもう三・五というのは無理ではないか、OECDは潜在成長率二・五と、こういうふうに言っています。私はここら辺を早く政府内で統一していただいて新しい成長率の策定を急ぐべきではないかと思っているわけです。  きのう月例経済報告を聞きまして、要するに消費はやや拡大してきたけれども、設備投資がなかなか回復しない。これは必ずしもそのとおりいくとは限りませんけれども、経済理論で言うジュグラー波という設備投資の循環がありますね。これからいったら日本の設備投資のピークは九一年の三月であったということは明らかなんですけれども、そうするとそろそろこれは上昇期に入ることになる、循環論から一言えば。  ところが、日本の経済成長率が二・五以下であったならば今の日本には数兆円、はっきり言う人は約七兆という設備過剰がまだあるんです。さらにもう一つ、これはなかなかまだ認知されていないんだけれども、クズネッツ理論というのがあって、大体二十年サイクルで動いている。日本でこのバブル期にどのくらい不動産投資が行われたか、それから見てみると、これはあと十年は多分上昇に入らない、こんな状態なんです。それでいて依然として政府の計画は実質三・五という、すべてがこのくびきから逃れられない、こんな状態であると思うんですが、経済企画庁の御見解はいかがですか。

高橋祥次経済企画庁総合計画局計画課長

○説明員(高橋祥次君) ただいま御指摘がございましたように、これまでの実質経済成長率の推移を見ますと、平成四年度は前年度比で〇・四%増でありますし、五年度は前年度比〇・〇%、それから六年、本年に入りまして四―六月期で見ましても前年度比〇・二%増と、こういうことでございます。しかしながら、今御指摘がありましたように、我が国経済につきましてはこのところ引き続き明るさが広がってきております。それで、緩やかながら回復の方向に向かっているという認識でございます。  そこで、政府としましては、適切かつ機動的な経済運営を図るということとともに、やはり規制緩和などを通じまして、市場機能を生かした経済活性化ということを図りまして経済の構造改革を進めていかなければならないというふうに思っております。  そこで、本計画の残りの期間、つまり平成四年から平成八年までの期間でございますので残りの期間があるわけでございます。その期間につきましてはいろいろ御意見、御指摘があろうかと思いますが、私どもといたしましては、実質経済成長率三と二分の一%程度の内需中心のインフレなき持続的な安定成長に移行させるべく努めてまいりたい、このように考えているところでございます。

星野朋市新緑風会

○星野朋市君 この議論をしているととても時間が足りませんので、要するに、私は早くこれを改定すべきだということを主張しておきます。  同時に、これは後で労働省に聞きますけれども、三・五の延長線上で日本の産業労働人口は非常に不足するという形でもって労働省のいろんな対策がとられておったわけです。ところが、労働省は今年に入って、もし日本の経済成長率が三%以下であったならば逆に労働余剰が起こるという見解を発表したと思うんですが、これも日本の経済成長率のある時期に策定されたものにみんな固定されているという欠陥が私はここへ出てきていると思うんです。  そういうことを指摘しておきまして、時間がございませんので内外価格差の問題にちょっと移らせていただきますけれども、これはきょう御列席の久保田先生が企画庁長官のときに、ちょうど一年ぐらい前になると思うんですが、私は予算委員会で質問をいたしました。  構造的には日本はそのときと比べてほとんど変わっていない状態という前提で御質問をいたしますけれども、円高円高と言うんですけれども、この円高の幅はおととしから去年にかけてが実は一番大きかったんですね、これは二十円上がりましたから。今、一年前の百五円からほぼ百円。百円以上の問題というのは、実はかなり投機的な動きですから実質的には百円程度。そうしますと、いわゆる日本の貿易構造からいって大体千三百億から千四百億ドルの輸出、それから貿易収支が大体千三百億ドルぐらいありますから輸入は千二百億ドルぐらいですね。それで、その輸出の円建て公約四〇%、輸入は円建て分一八%、この構造は依然として変わっていないと。  そういう状態で、私は十円の円高というのは実際とれだけの差益をもたらすのかという質問をしたことがあるんです。同時に、これは片方で輸出で差損をしていますからちゃらになるんですけれども、今の構造からいうと十円で約二兆円、だからおととしから去年にかけては約四兆円。そのうち円高差益還元として政府がやった施策というのは何かというと電力料金の値下げ、これが約二千三百億、それからガス料金、これが三百五十億、その他細々とした二十億とか三十億とか、そういうのを寄せ集めしても約三千億ぐらいしかならないんです。その残り、これはほとんど民間なんですけれども、それが実際に現在の状態でどのくらい内外価格差という形の解消に役立ったか。  これは御報告によると、いろいろ十一月末とかそういうので御調査になって、これから数字は正確に発表されると思うんですけれども、経済企画庁は今のところそれがどのくらい役立っているのか、どのくらい差益というものが還元されたのか、どういうふうに見ておられますか。

井出亜夫経済企画庁物価局審議官

○政府委員(井出亜夫君) 正確な数字を持ち合わせておりませんけれども、私どもの調査によりますと、円高に伴う差益還元の率というものは大体六〇%程度ではないか。それは個々の商品を追跡することによりまして、最終的な市場における価格というふうなものを調査した結果でございます。  円高の差益問題は直ちに還元をされるという問題ではございません。若干タイムラグというふうなものを伴うわけでございますし、また、一般的な市場の需給の状態というふうなものにも関係するわけでございます。現在国内の市況というのは必ずしも需給が逼迫をしておるというふうな状況でもございませんし、また、先ほど来の御議論の中にありますように、アジアの工業化等々によります国内の価格体系の変化というふうなものもございますわけですから、果たしてその六〇%すべてが還元というふうなことになるのかどうかというのはいろいろな御議論があろうかと思いますけれども、一応波打ち際でとらえられたものと、それから最終的な市場で把握したものを概算いたしますと、現在時点で大体六〇%程度還元をされているのではないかというふうに判断をしております。

星野朋市新緑風会

○星野朋市君 そのタイムラグというのはわかるんですが、実はそこに問題がありまして、結局日本の流通業界の多段階、複雑な構造というのがそれに大いに影響していると思うんです。  問題は、円高によって逆に差損をこうむった輸出関連、これは先ほどから論議されているいわゆる産業の空洞化の一因ともなっている輸出の限界産業からの失業を生む。輸入の方は流通段階の多段階なところをかなり整理されていかないと、円高というのは消費者に完全に還元されない。同時に、輸入業者の限界産業のところはそれが淘汰されて失業を生む。  ちょっとマイナス面ばかり申し上げて申しわけないんですけれども、これは両方で約四十万、四十万、失業という言葉を避ければ八十万人ぐらいのいわゆる労働の流動化の問題に至る、こういうことが非常に懸念されているわけでございますけれども、この点については経済企画庁はどうお考えですか。

井出亜夫経済企画庁物価局審議官

○政府委員(井出亜夫君) それに伴う数字というのもいろいろな試算があろうかと思いますけれども、基本的に先ほど来御議論にございますグローバル経済下における我が国のあり方ということを考えますと、やはりある種の国際分業でございますとかというふうなものを前提といたしますならば、産業構造の変化に伴いまして労働移動が生ずるのはやむを得ない面もあるのではないかと。それに対しましては、これまた先ほど来御議論になっております新しい産業の創出でございますとか、各種の労働移動に伴うアジャストメント政策というふうなもので対応をしていくべきものではないかと考えております。

星野朋市新緑風会

○星野朋市君 それに関連して労働省にお聞きしたいんですけれども、今大企業を中心としたホワイトカラーのリストラということが当面の問題になっておりますけれども、バブル期に日本のホワイトカラーというのは約百二十万人ふえておるわけです。  それで、日本の企業の国際競争力というのは非常に強いと思われておったんだけれども、ホワイトカラーを含めた労働生産性というのを欧米と比較してみると、残念ながら平均すると大体八〇ぐらいでしかないというのが日経運の調査によって明らかになって実は愕然としたわけです。  企業の経営者は、国際化という面で言えば、企業形態そのものを当然外国と同じ水準にしなくちゃならないという観点に立てはホワイトカラーのリストラ、これは必然の施策になってしまうわけです。現在の失業率三%、百八十万人ぐらいですか、その分をリストラという形で外に出さない限り企業内失業として抱え込まなくちゃならない。そうすると、実際は日本の失業率というのは今の公表数字の倍ぐらいあるんじゃないか。さらに、私がさっき申し上げたような円高によって出てくる労働の流動化というものを含めれば、日本の実体的な労働過剰というのは実はかなり高い数字になっているというふうな認識を私は持っているんですが、労働省はどう思われますか。

氣賀澤克己労働省職業安定局次長

○説明員(氣賀澤克己君) ただいま委員御指摘ございましたように、日本の失業率は現在三%ということでございまして、欧米諸国に比べますとかなり低い数字になっているわけですけれども、その原因といいますか、理由をどういうふうに考えるか。  いろんな見方があろうかと思いますけれども、先生の御指摘のように、日本では長期にわたります継続雇用システムというものがベースにございまして、今回のような景気後退局面におきましても企業あるいは労使間で雇用の維持に最大限努力をしていく、政府におきましてもそれをできる限り支援していくというようなやり方が大きく作用してそういう結果に結びついているんではないかということが指摘できるんではないかというふうに思っているような次第でございます。

星野朋市新緑風会

○星野朋市君 雇用調整助成金のような世界に冠たる制度がありますわな。これによって外に出さないと。だけれども、この雇用調整助成金の対象企業は、実は設備投資は行われないんですよ、それだけ余剰になっているわけですから。これは関連あるんですね。  それで、昨年成立した労働基準法の改正によって労働省は千八百時間というのを目標にしていますわな。片方で、現状やや景気が回復してきたという形であっても労働雇用というのはなかなか起こらないで、きのうの月例報告でも残業時間が若干ふえて、一九%だったかそれぐらいふえている統計が出ていますけれども、なかなか新規雇用に結びつかない。  先ほどからお話があるんだけれども、新規産業であるとか規制緩和であるとか、こういう未来像はあるんだけれども、片方はもっと瞬間的にで出てくるわけですよ、そういう労働流動化というものは。それに対して、中高年層を対象にして労働省は職業訓練であるとかそういう施策をとられておりますけれども、実際にここでこれを再訓練して新たな雇用に結びつけた実例はどのくらいの数がありますか。

奥田久美労働省職業能力開発局能力開発課長

○説明員(奥田久美君) 具体的に何万人といった数字は持ち合わせておりませんけれども、今、委員御指摘ございましたように、産業構造の変化に伴いまして、需要が減少する産業から新しく生まれてくる産業に人を移しかえるという際には、どうしても新たな職業能力を身につけていただくということが非常に重要になってまいります。  私どもが今やっております対策は、まずは、企業の中で新しい分野に進出をしていくという企業に対しましては生涯能力開発給付金というふうな制度とか、中小企業に対しましては中小企業事業転換等能力開発給付金というふうな、企業が行う能力開発に対する支援措置というようなものを講じております。また全国に、雇用促進事業団が行っております訓練施設が九十幾つかございますし、それから都道府県が運営をしておりますのが二百四十ぐらいございますが、そういう中で、不幸にも失業されたという方に対します職業訓練を実施するとか、最近は企業の中に在職をされている人たちに新しい能力を身につけていただく、技術革新に対応していただくような、私ども在職者訓練と呼んでおりますが、そういったコースを相当ふやしてきております。これも毎年コースを新しく開発をするというようなことで、現場の技術が変化するのに合わせた形での能力開発のシステムをつくってきております。  ただ、今後はこれまで以上に労働移動が多くなるということも予想されますし、また企業の中だけの対応も困難な場合も出てくるということも予想されますので、そういった場合に対応できるような新たな支援策についても今検討をしているところでございます。

星野朋市新緑風会

○星野朋市君 要するに、対策はとられているんですけれども、実質的には労働移動にすごいミスマッチがあるということなんです。  だから、新しい産業新しい産業と言いますけれども、企業は多少の規制があろうがどうだろうが、新しい分野でここが利益を生むところだとするならば従来からも相当実質的にはやっていたわけですよ、免許事業とかそういうのは別ですけれども。だから、マルチメディアが百二十三万人雇用して二百四十六兆のというような夢みたいな話があるんだけれども、あれも精査してみると既存の分野とかなりダブりがあって、そんな楽観的なことは許されない。  ということになれば、大胆に申し上げますと、そろそろ労働省も今までの考えから少し発想を転換していただいて、ワークシェアリングの問題にメスを入れていくべきではないか、こういうふうに私は思っておるんですが、いかがですか。

石川透労働省労働基準局賃金時間部労働時間課長

○説明員(石川透君) お答え申し上げます。  今、先生がワークシェアリングという言葉を言われましたけれども、一般的に申し上げまして、ワークシェアリングといいますと、労働と余暇の間の適切な配分によりまして多様な働き方を可能にし、新たな形態の雇用機会の開発や勤労者各層の生活実態と就業ニーズの調和を目指すものであるというふうに考えております。ただ、これは決まった定義があるわけではございませんで、いろんな使われ方がされているところでございます。  当面の雇用対策としてのワークシェアリングという視点での御質問がと思いますけれども、現実の問題といたしまして、現に働いておられる労働者の方におやめいただく、あるいはパートタイマーになっていただくという形でもう一人のパートタイマーの方を雇用していただく、一人のワルタイマーの方にかえて二人のパートタイマーをという形での雇用対策を進めるということにつきましては、なかなか国民的なコンセンサスが得られないのではないかというふうに考えておるところでございます。  ただ、労働省といたしましてもこれからの労働市場を展望しました場合、女性の職場進出だとか高齢化の進展だとかいろんな働き方が重要になってくるというふうに考えております。これまで主として勤労者のゆとりある生活を実現するという観点から労働時間短縮に努めてきたところでございますけれども、女性の職場進出だとか高齢者の働きやすい雇用形態をふやすといった観点からも、また中長期的に見ました雇用機会の拡大という観点からも労働時間短縮には努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

星野朋市新緑風会

○星野朋市君 時間がありません。これで終わります。

牛嶋正公明党・国民会議

○牛嶋正君 質問に入る前にちょっと委員長にお願いがあるんですが、私の与えられた時間は二十分という非常にわずかな時間でございます。効率的に利用したいと思いますのでレジュメを用意させていただきました。これを皆さんにお配りしたいんでございますけれども、よろしゅうございますか。

三重野栄子日本社会党・護憲民主連合

○会長(三重野栄子君) どうぞ。

牛嶋正公明党・国民会議

○牛嶋正君 それじゃ配ってください。    〔資料配付〕

牛嶋正公明党・国民会議

○牛嶋正君 私も昨日企画庁の方から月例経済報告をお聞きいたしました。その結論は、「引き続き明るさが広がってきており、緩やかながら回復の方向に向かっている」ということだったと思います。しかし、全体のデータの説明をお聞きしておりますと、もうひとつ歯切れがよくないわけでございます。  なぜなのかということなんですが、報告書の中で為替レートの変動というのを一点取り上げておられますが、もっと重要な要因として、私は設備投資がまだ減少を続けておる点が大きいのではないかというふうに思います。また、中長期的に二十一世紀に向けて我が国の経済を早く安定成長の軌道に乗せなければなりませんが、その決め手もやはり私は企業の設備投資にあるのではないか、こんなふうに思っております。  こんなことから、きょうのテーマは二十一世紀に向けての企業行動のあり方でございますけれども、私は特に企業行動の中で企業の投資行動を取り上げて少し御議論をさせていただき、関連して二、三の質問をさせていただきたい、こんなふうに思っております。  企業の投資行動についての分析というのは経済学ではもう非常に早くから議論されております、先ほど星野先生のお話の中にもありましたように。そういう意味では、私は理論的にはこの投資行動に関する理論は一応確立しているというふうに思うんですが、今回の平成不況の動きを見ておりますと、これまでの理論で説明できない部分がいろいろあらわれてきているわけです。そうなりますと、改めてもう一度企業の投資ビヘービアに対して我々としては分析をしておかなければならないんではないか、こういうふうに思いまして投資行動について特に取り上げさせていただきました。レジュメに書かせていただきましたように、三つの設問を私なりに用意させていただきました。  一つは、なぜ企業の設備投資の低迷が続くのかということでございます。在庫調整がほぼ完了し、そして消費需要も少しずつ伸びてきている。これまでの景気変動の下降側面で見ますと、もうすぐにこれに続きまして企業の設備投資が伸びていくんですね。ところが、まだその兆しも見えてこないということであります。そういうことで、なぜ企業の設備投資の低迷が続くのかということを第一番目の設問に挙げさせていただきました。  この変化が恐らくバブル以降起こっているんではないか。バブル以降企業の投資行動にどんな変化が起こったのか、それが我が国の経済構造の変化とどういうふうなかかわり合いがあるのか、こういった点もやはりきちっと議論しておかなければならないのではないか。そこから次に、二十一世紀に向けての企業の投資行動のあり方というものが出てくるのではないかと思います。  通産省の方にお伺いしたいんですが、先ほどから産業政策について三つの非常に具体的な対策の説明を聞きましたけれども、こういったものが効果のあるためには、少し後ろ向きかもしれないけれども今ここで私が挙げました三つの設問についてもう少し真剣に議論しておかなければならないと思うんです。これについてどういうふうにお考えになるか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。

堤富男通商産業省産業政策局長

○政府委員(堤富男君) 大変経済理論的なお話でございますので、私、浅学非才であれでございますが、ただ、設備投資のビヘービアが非常に重要であるということは我々も深く考えているところでございます。  先ほど経常収支の減少のために社会資本の充実が重要だということを申し上げましたが、要するに全体の貯蓄率三三%の中で、従来、民間の設備投資というのは一八%とか二〇%というような世界でも類例のない高さを持っていたわけでございます。ところが、最近はこれが一五、六に落ちてきておりまして、その部分がある意味でISバランスからいくと経常収支の黒字を生み出す、簡単に言いますと投資不足ということになるわけでございます。  それをある程度補完する意味で、我々が公共投資というものを言い出しておりますのは、公共投資の質の問題、やり方の問題に加えまして、従来ですと公共投資自身が大体六%から七%ぐらいを占めていたわけでございますが、今度期待しておりますのは、この六百三十兆というのはいろんな計算の仕方もございますけれども、それを二%ぐらい上げる可能性が私はあるんではないかというふうに考えております。一体、二%なんて大したことないじゃないかとお思いになりますが、我々が今非常に苦しんでおります経常収支の黒字というのはGNPの三%でございますから、そこに一%でも二%でも影響を与えられるということがどのくらいのマグニチュードかというのはおわかりいただけるかと思います。  それから、そういう意味で公共投資論をやっていたわけでございますが、民間の設備投資の重要性というのは、二〇%という世界でも類例のないぐらいの高さのものが最近一五、六ということで落ちておる。その状況がどうして起きているのか、現在の設備投資がふえないのは何のためかということでさっきから私ずっと数字を眺めておったんでございますが、海外投資があるから国内投資が伸びないんだろうかというふうにも思います。ただ、日本が最高の海外投資をした八九年という年は、実は国内設備投資は一〇%伸びており、内外ともにふえているという非常にいいパターンであったわけでございます。ところが、九三年になってみますと、先ほど申し上げましたように、海外投資が一〇%ふえる中で国内投資は一九・六%と、二〇%ぐらい落ちているということでございます。  それで、私はこの投資の理論が一つの同じ条件の中で起こるのであればこういう議論があり得るのかと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、現在の事態は非常にダイナミックな中で発展途上国の投資状況と、それから日本における投資コストの効率性が国内の投資に対してどういう影響があるかということが非常に重要な問題となってきておるというふうに思っております。したがって、今回の設備投資の低迷の中にはやや海外に回っていってしまっている部分、俗に言う水漏れというのがどうも感じられるというのが実感でございます。  企業が投資するときに、先ほど申し上げましたような経営資源のコストをじっと見ていてどちら側に投資するかということを考えますと、従来のように日本で需要があるから生産がふえるかといいますと、生産のところには輸入が入ってくる。生産がふえたら必ず国内でふやすかというと、これは海外と日本の選択の問題というようなことで、大変答弁が長くなって申しわけございませんが、一言で言いますと、どうも空洞化というんでしょうか、内外のコストの差が投資に非常に大きな影響を与えているんではないかというふうに思っております。

牛嶋正公明党・国民会議

○牛嶋正君 恐らく、この問題は少し時間をかけて議論しなければならない問題だと思っております。幸い、私この調査会に入れていただきましたものですから、ここしばらくこの三点の設問について少し分析を進めていきたいと思っています。そのときいろんなデータが必要でございますので、また通産の方にお願いするかもわかりませんが、よろしくお願いいたします。  なぜ企業の投資行動というのが問題になるのか。経済学上非常に重要な取り扱いをしているんですけれども、私はこれはレジュメにも書かしていただきましたように、設備投資が二つの効果を持っているわけです。  一つは、投資の乗数効果と書きましたけれども、これは需要を創出する効果、需要を生み出していく効果。十億の投資がなされますと、大体それの二倍あるいは二・五倍ぐらいの新しい需要が生み出されていくというふうに言われております。この投資の需要効果というのは、今申しましたように、投資がふえていく分について生み出していくわけです。ところが、今のように投資が減少していく場合にはマイナスの乗数効果が起こってくるわけです。ですから、せっかく個人消費需要が伸び、それからまた住宅投資あるいは公共投資が堅調に伸びているにもかかわらず、それが生み出す需要を吸収してしまう、こういう面があるのではないかと思います。  それから、もう一つの投資の効果は供給能力を拡大する。ここでは潜在生産力の増大というふうに書きましたけれども、これが潜在的に経済を成長させていく部分であります。  ですから、この需要創出効果と潜在生産力の拡大の効果が量的に同じで、そして時間的にもほとんどずれがなく同時に起こるとするならば、これは非常に安定成長を生み出していくわけであります。ところが、しばしばこれにずれが生じます、タイムラグが生じます。これが景気変動を生み出していくということであります。  今、投資は減少しつつありますけれども、量的には一定の投資は行われているわけですから、一方ではやはり生産能力は拡大をしているわけです。先ほど言いましたマイナスの投資の乗数効果との間に乖離が生まれてまいります。これが今、必要以上に過剰設備の感を経営者に与えているのではないかというふうに思います。  そうなりますと、企業の設備投資の動向が非常に問題になりますけれども、企画庁はこれからの見通しをどんなふうにお考えでしょうか。減少の率が減ってきたんですけれども、どんなふうに移っていくのかちょっと教えてください。

貞広彰経済企画庁調査局内国調査第一課長

○説明員(貞広彰君) 今の点でございますけれども、先生おっしゃいますように投資に関しては二面性があるというのを、私ども先生の書物等でも勉強させていただきました、需要面と供給面がありますと。  需要面に関して言えば、通常の場合はいわゆる財政金融政策を打ちますと投資がついてきて景気回復あるいは拡大に向かうということでございますけれども、今回の状況のもとでは投資マインドも冷えているとか、バブルの後遺症等々政策効果が目に見える形で出てこなかったと、通常の需要サイドで理解しております。  と同時に、これも若いころ勉強させていただきました投資の供給効果、この供給と需要のバランスが崩れたときに経済成長というのは下振れするんですということを昔ハロッド卿の御説で勉強しましたけれども、バブルのピークのときに供給と需要のバランスが崩れて、いわゆるストック調整、過剰設備の調整、下振れの調整が行われているというふうに基本的には理解しております。  あとは、こういう状況をずっと続けておりましたので、いつの時点でこのバランスがとどまって再度返ってくるか、今後さらに分析をしてみたいと考えております。

牛嶋正公明党・国民会議

○牛嶋正君 我が国の失業率は三%というふうな水準に今来ているわけですけれども、諸外国に比べますとまだ完全雇用というふうに言っていいのではないか。いわば日本の戦後の経済というのは、私は需要過剰というよりも供給不足であった、こういうふうな経済構造であったというふうに考えております。  ですから、オイルショックを二回経験いたしまして、一九八〇年代に入りましても大体完全雇用をずっと維持してきたわけです。言うならば、総需要と総供給は一応均衡していたというふうに見ることができます。しかし、中身はどうだったのか。先ほどから議論が出ておりますように、もし今国民経済を三部門に分けたといたしますと、すべての部門がアンバランスなんですね。  ちょっとそこに書きましたけれども、民間部門、それから公共部門、海外部門というふうに分けてみますと、民間部門の均衡は貯蓄と投資で、これがイコールいたしますと均衡なんですけれども、実は一九八〇年代に入りましてからずっとSの方がIよりも大きいわけであります。すなわち黒字でありますけれども、現象的には金余り、これがバブルを引き起こす大きな引き金になったというふうに見ることができます。  もう一つは公共部門であります。これは、税収と財政支出によって見るわけですけれども、これは一九七五年以降すっと大幅な赤字を続けているわけであります。これが何をもたらしてきたのか。財政の硬直化であります。そして公債の累積。今、税制改革が議論されておりますけれども、この財政の硬直化をいかに解消していくか、これが税制改革を議論する場合にもやはり考えておかなければならない問題だろうと思います。  もう一つは海外部門であります。そして、これはこれまでの議論のように黒字であります。輸入よりも輸出がオーバーしている。全体としてこれをプラスいたしますと、右と左側をプラスいたしますと、一番下に書きましたように均衡するわけです。均衡するわけですけれども、各部門でアンバランス。これがいろいろなしわ寄せ、ひずみを生み出してきた。その最も大きなひずみが円高傾向であります。私は、この円高傾向に対してこれまで企業が、特に輸出企業でありますけれども、どういう投資行動をとってきたか、これが一つ問題だと思うんです。  先ほどの通産省のデータにありましたように、為替レートが百二十円までは円高によって生ずるところの円高差損、これを企業は合理化あるいはコストダウンに努めることによりまして吸収してきたわけであります。ですから、そのときにはコストダウンに努めなきゃいけませんですから投資が行われたわけです。しかし、投資を行うことによってさらに国際市場において我が国の企業は競争力を身につけるわけでありまして、そのために、今度はさらにまた海外部門が黒字が広がるという悪循環がそこに生まれたわけです。悪循環と言っていいのか、好循環かもしれませんけれども。しかし、為替レートが百二十円を切りましてからは企業はこの差損の吸収を何でやったか。一つはリストラであります。そしてもう一つは海外への生産拠点の移転であります。いわゆる産業の空洞化であるわけです。  ところがこのやり方は、先ほどから議論が出ておりますように、国内における設備投資を低迷させます。そして雇用問題を生み出します。そうしますと、この図式でSとIの民間部門の黒字がさらに広がるわけであります。このことが、その黒字を吸収するために海外部門のMとXですね、輸入と輸出のギャップをさらに広げるという圧力。ですから、投資が低迷すると同時に、今申しましたような悪循環がやっぱりここでも起こってくるわけです。これを断ち切るためには、やはり国際収支、経常収支ですね、これをMイコールXに持っていかなければならないのではないか。  ですから、二十一世紀に向けての経済財政運営の一つの方向として、民間部門における黒字そして公共部門における赤字、この二つの部門を一緒にして均衡させていく、これが先ほどおっしゃった社会資本の充実なんですね。  しかし、そこにもまた問題があります。民間の設備投資が余り振るわないと、それを埋めていくためにどんどんどんどん公共投資をやっていかなくてはならない。しかし、公共投資をやるためには財源が必要であります。そうしますと財政の硬直化というのはさらに進む。幾ら赤字公債を発行しなくても公債は累積していくわけです。その問題があります。これは、通産のあれではありませんので、そのことはおっしゃらなかったけれども、かなり大きな問題になります。  そうだといたしますと、やはり海外部門で均衡させる。このためには、これまでの産業政策を続ける限りは均衡へはなかなか持っていけないのではないか。しかし、先ほど申しました海外部門の黒字と、それから産業の空洞化、設備投資の低迷、この悪循環を切るためにはここが必要であります。このためにこういうふうにMイコールXに対して、それじゃどんなふうな産業政策の転換が必要かということはこれから投資の問題を議論していかなきゃいけませんけれども、これについて何か通産の方でお考えがありましたらお聞きをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

堤富男通商産業省産業政策局長

○政府委員(堤富男君) 大変深遠な御質問なので、雑駁なお答えしか申し上げられないと思いますが、先ほど我々実は二つのシナリオというのをつくったわけでございますが、お手元の資料の七ページでございます。  それで今の状態の、先生のおっしゃるような意味で百二十円以下でどんどん進んでいった場合どうなるかというと、我々の計算では、最終的に二〇一〇年には経常収支はマイナスになるという恐るべきことが書いてございます。  これはどういうことかといいますと、現在の生産人口と高齢者の六十五歳以上の人口比というのは、九〇年で五対一でございますが、二〇〇〇年は四対一、二〇一〇年は三対一、二〇二〇年は二対一と、非常に早い速度で高齢化していくわけでございまして、貯蓄率が三三%というような時代はそう長く続かないんじゃないかということで、先生のこの表でいきますと、民間部門のSがIより大きいという時代がそう長く続くんだろうかと。なぜかといいますと、高齢化をいたしますと一人一人の人生の貯蓄のピークというのは恐らく退職したあたりからどんどん減っていって、高齢化する人数が四対一、三対一、二対一の時代になればかなり貯蓄が減ってくることから、正常の投資をするような状況が続いたとしても、ISバランス論からいくと二〇一〇年には経常収支はおのずとバランスしちゃうんじゃないかというような考え方でございます。  ただ、その絵をじっと見ていただきますと、製造業がほとんど、かなりと言っていいんでしょうか、目減りをした状況にあって、こういう状況で非常に活力のない、言葉を慎んで申し上げますと、生産性の高い部門が海外にどんどん出てしまって、規制に守られた生産性の低い部門が残って、かなりのお年寄りを抱えて、それで福祉とかそういうことができるんでしょうかということがこの現状放置ケースで申し上げたい点で、バランスすること自身に意味があるということだけではなくて、産業構造がある程度活力を持ったものが、簡単に言いますと生産性の高い部門が日本に残れるように早くバランスをとらなければいけない。  そのためには、民間投資のおしりをたたくのではなくて、経常収支の拡大というコースに入るのではなくて、確かに財政の問題はございますが、大変厳しいけれども公共投資を引き上げて、二十一世紀に必ず来ると思われる高齢化社会に対して、本当に十分老人ホームはあるんでしょうか、本当に我々の入る福祉施設というのは十分なんでしょうかと、そういうようなことを考えますと、むしろ前倒し的にでも公共投資をやって、早く経常収支バランスをとるということによって、製造業がある程度残っていける素地をつくっていくべきではないか。  先生のお話とどこが違うかなと思って考えておったんですけれども、民間投資行動をファクターに使うか公共投資をファクターに使うかというところがどうも違うのではないかというふうに感じた次第でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 先ほどの通産省の説明で日本経済の構造変化の問題について、海外投資の急速な進展、空洞化の懸念ということを挙げられ、また雇用の不安という問題にも言及されました。これはなぜかということを議論しているととても時間がありませんので、その対応も全般的ではなくて特殊な問題に若干限定してお尋ねしたいと思っているわけです。  もう御承知のように、EUの委員会で欧州労使協議会の設置に関する指令が九月に出されました。この内容は、欧州連合内に拠点を持っている多国籍の企業が、工場の移転だとか閉鎖だとかあるいは大量解雇など、労働者に重大な影響を与えるような経営上の方向転換については事前に労使協議会に諮って協議をするということが義務づけられた協定が決定された。  この経過は、一九七〇年代に石油危機の問題で欧州に進出していた企業が急遽移転したりあるいは閉鎖をするというふうなことがあって、労働者の権利を守るという観点からこの問題が一九七〇年代欧州で登場し、議論されてきた問題であるということはもう御承知だろうと思うんです。  しかしこれについては、日本の方の企業としてはなかなかそういう対応は難しいということで反対の態度をとってきておりましたが、ことしの九月にこれが決定されて、いわゆる指令として出されたわけですね。それで対象になっているのは欧州に進出している日本の日立あるいは東芝、トヨタあるいは日産等々三十社余りの企業が事実上これの対象になるということになるわけです。  労働者側が最高約三十人ぐらい参加して、年に一回必ず労使協議会で検討される。協議の内容が、生産拠点の移転だとか閉鎖、縮小あるいは大量解雇、作業工程の変更、組織の変更、投資計画、新技術の導入、経営、財務状況など、これらの問題を協議するというのが義務とされているということになっているわけです。  この問題については歴史的な経過がありますけれども、これは社会的な政策として当然重んじられるべきものではないかというふうに考えますし、日本の企業だけが不利になって欧米の企業が有利になるというふうな問題では全くないわけですから、この問題については当然しかるべき対応が迫られるわけですね、もう二年というふうに期限が限られていますから。これについて、もちろん最終的な決定権は経営側にあるということも明確になっておりますが、しかし、撤退だとか解雇だとか、以上述べたような経営方針の転換については、一方的に行うのではなくて協議するということが義務づけられたという問題です。  まず最初に、通産省としてはこれについてどういうふうなお考えをお持ちなのかということをお尋ねしたいと思います。

堤富男通商産業省産業政策局長

○政府委員(堤富男君) おっしゃるように九月二十二日に、イギリスは除くようでございますけれども、閣僚理事会で今おっしゃったような制度が採択されたということは伺っております。  ただ、制度を考える場合に、それぞれの国の状況あるいは各国の労使慣行、それから労働組合の状況、そういうものを総合して考えていく必要があると思っておりまして、EU協議の中においてもいろいろ議論があって採択されたものだと思っておりますが、それ自身、日本の企業がヨーロッパで仕事をする場合にはこのルールに従ってやっていくことが当然必要だとは思っております。ただ、それがすぐ日本に適しているかどうかというのは、やはりそれぞれの国の背景を考えていかなければいけないというふうに思っております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 最近の若年層の雇用の規制、つまり新規採用の規制の問題だとかあるいは海外進出等の問題で雇用問題が大きな問題になっていると労働白書に出ているのですが、その雇用の問題から考えて、このヨーロッパで行われているこういう新たな決定について労働省はどのようにお考えですか。

大石明労働省労政局労働法規課長

○説明員(大石明君) 今、堤局長からもお話がありましたように、繰り返しになるかもしれませんが、ヨーロッパにおいてもあるいは日本におきましても、多国籍企業の本部が例えばほかの国にあるといった場合に、ほかの国に大きな工場があってそこで雇用に大きな影響を及ぼすようなことが生じたという場合に当該労働者が話し合いもできないではないかと、背景としてそういった事情を持ちながらこういったEUの指令が出てきたのではないかというふうに思っております。  日本の場合は、世に言われておりますように、むしろ日本自身の企業がいわゆる空洞化ということで外国へ出ていく。その過程で確かに日本の国内の雇用というものに及ぼす大きな影響もあろうかと思います。  そういった場合について、日本におきましては労使の十分な話し合いというものがこれまでも行われてきたと思いますし、また、その上でなされることが極めて望ましいということは申すまでもないことというふうに考えておる次第でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 通産省、先ほども同僚委員の質問で、そういう海外への投資が急激に増大している、それで空洞化の懸念があるという問題についてどう考えるかということについては、自由経済で市場競争のことがあるのでなかなかそういうことを一方的にどうこうするというようなことは、若干基本的な点についての説明はございましたけれども、確かに欧州の場合と日本の場合の状況に違いがあるということを私は否定するつもりはありませんけれども、しかし、少なくとも今まで国会の中で議論されてきて、今の例えは産業の空洞化の問題、海外への進出、これは円高の問題が起こってきて、経済摩擦がある。そうすると、トヨタの社長さんなんかがおっしゃっているのでは、結局欧米に対する輸出を減ずって、そして海外にやっぱり生産拠点を移すということが今のそういう悪循環から抜け出す道だということも強調されています。  それから、それぞれの産業を見てみましても、電機にしろ自動車にしろ精密機械、それから加工組み立てなんかの場に行って見てみると、トヨタの地域なんかではもう有効求人倍率が大体三分の一に減った、この二年間で。ですから、雇用の問題だけではなくて地域経済にとって非常に深刻な問題になると。だから、これは日本経済のゆがみを出すような問題になるので、やはり真剣な対策を考える必要があるんじゃないか。  それをそのまま日本に持ってくるのがいいか悪いかという問題は別としても、そういうように欧州で行われている場合には、少なくともそれについては日本の企業もそれに準じるのは当然でしょうが、日本の場合は事情が違うからどうもそういうことはできませんということでは、社会的な政策として重んじなければならないあり方としてはいかがなものだろうかと、どうしてもそういうところに戻らざるを得ないんです。だから、多少なりとも前向きな方向というのを考えることができないのかどうか、その点もう一遍重ねてお尋ねしたいんですが、いかがでしょうか。

堤富男通商産業省産業政策局長

○政府委員(堤富男君) 繰り返して申し上げるまでもないんですが、日本の失業率は三%、ヨーロッパは今一二、三%いっているでしょうか。それで組合の成り立ちも、日本のような企業内組合型、しかも生涯雇用をベースとした労働者を抱えることを中心として、しかもそれが今まで力となってきた日本の雇用のあり方と、ヨーロッパのように横割りの組合とかあるいは民族的な組合をつくるとかというような形での組合と、そういういろいろ制度が違う中であるいは状況も違う中で、一つの制度を単純に移すことが必要だというふうには私はすぐにいかないと思っております。  もちろん、現在、企業が解雇をする場合には、労働組合法で定められております労働組合の交渉権とかあるいは労働協約というような形で、労働者と経営者の間の話し合いということは必ず行われるシステムになっていると私は思っておりますし、それ自身がワークして、その結果が一三%と三%の差なのかもしれないという気がしておりますので、素直に同じような制度をストレートに導入することについては、私は慎重に検討してしかるべきだと思っております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 もうここでこれ以上言っても前向きの答弁が出るとは思いませんけれども、私は、同じ制度を導入したらどうかという意味ではなくて、少なくともそういう雇用上の問題だとか、あるいは今のような産業空洞化が生じてさらにひずみが激しくなるような状態をどうとどめていくかという点で、いろいろ施策を考えているということを全部否定しているわけじゃないんですよ。だけれども、もう少し前向きに、こういう問題もヒントにして、ヨーロッパの場合ではでき得る、ならば日本だったらどんな形だったらできるのかという問題について、やっぱり多少なりとも検討するという必要性があるんじゃないかということは重ねて要望しておきます。これはもう答弁いただいても同じだと思いますから。  それで、労働省の方ですね、私ちょっと九四年度の労働白書を読ませていただいたんですけれども、これには、先ほどちょっと述べましたけれども、今の雇用の問題については非常に深刻な状態になっているというふうなことが分析されてあるんですよね。今いわゆる第二次ベビーブームの人々が学校を卒業して働くような時期になっている。今のような状況で、御承知のように大学の卒業生が三年連続極めて低率にしか新規採用されないというふうな状況で、いわゆる若年層の新規採用が進まないということが非常に新たな問題になっているということと海外進出の問題とあわせて問題点を指摘されているんです。  ぼくがちょっと遺憾に思ったのは、あの労働白書の中で、労働省としてこの雇用不安に対してどう打開していくのかという点については十分な展開がされていないんじゃないかという懸念を感じたんで、具体的には今の問題だけに限らないんですけれども、そういう深刻な問題だと労働白書で分析されておりながら、それをどう打開するかという点について十分でないような感じがしたので、その点について特別なお考えがあれば、雇用不安を打開するための労働省としての対策をちょっと述べていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

氣賀澤克己労働省職業安定局次長

○説明員(氣賀澤克己君) 今、先生の御指摘ございましたように、若年者、当面来年春の新卒者の就職の問題でございますけれども、最近の大変厳しい雇用情勢を反映いたしまして、例えば大卒等の新卒者につきましては、事務系の職種とか大企業を中心といたしまして採用計画がかなり縮小いたしているということがございますし、高卒とか中卒につきましても、九月末時点で見まして求人数が前の年よりも三割から四割も減少するというふうな大変厳しい状況になっております。  こういう状況に対応するために、私どもといたしましては、労働大臣以下いろんなレベルで、中央、地方の事業者団体あるいは経営者側の関係者に対しまして、求人の拡大あるいは求人の確保といいますか、そういうものをお願いしたり、あるいは求人者と学生等が直接面接をするというような機会を継続的に開催をしていくというような形で、何とか求人の確保あるいは求人と求職の結びつきということにいろんな形で努力をしていきたい。現にやってきておりますし、これからもやっていきたいというふうに考えているところでございます。  それから、企業の海外進出等に伴います国内の雇用問題ということでございますけれども、これも先ほど来いろいろ議論されておりまして、特に最近の海外進出の増大といいますか、そういう傾向に伴います雇用問題、いろいろと心配をされ、いろいろな形で議論をされておりますけれども、それに対応する、それをにらむような形で国内でやはりより付加価値の高い生産基盤というものを確保していく、あるいは今後期待されておりますサービス業等の中で雇用の機会を確保していくということが大変重要ではないかというふうに考えております。  この点につきましては、先ほど通産省の方からもお答えございましたけれども、産業政策とも十分連携をとりながら新しい雇用機会の確保に努力をしていかなくてはいけないというふうに思っております。また、これからそのような形も含めまして産業構造が大きく変わり、また、労働力の産業別の配置の状況、構成の状況も大きく変わってくるだろうというふうに思っております。  その場合に、産業から産業への労働力の調整につきましては新規学卒の段階で調整をするということが今まで多かったわけですけれども、それだけでは十分に対応できない、産業間の労働力移動という形で対応せざるを得ない場合もだんだん出てくるんではないかというふうに思っております。その際に、社会的な痛みといいますか、失業というような形を伴わないように、円滑に労働力の移動ができるようにということを何とか考えてまいりたいというふうに思っておりまして、そこを重点に今政策を検討いたしているようなところでございます。

三重野栄子日本社会党・護憲民主連合

○会長(三重野栄子君) 本件の政府に対する質疑はこの程度にとどめます。政府の皆様御苦労さまでした。  なお、本日、政府側から提出いただきました説明資料のうち、発言内容把握のため必要と思われるものにつきましては、本日の会議録の末尾に掲載させていただきたいと存じますので、御了承をいただきたいと存じます。  午後二時まで休憩いたします。    午後一時十四分休憩      ―――――・―――――    午後二時四分開会

三重野栄子日本社会党・護憲民主連合

○会長(三重野栄子君) ただいまから産業・資源エネルギーに関する調査会を再開いたします。  休憩前に引き続き、産業・資源エネルギーに関する調査を議題とし、産業構造の変化と雇用問題等に関する件及び企業のフィランソロピー活動に関する件について、参考人から意見を聴取いたします。  本日は、お手元に配付の参考人の名簿のとおり、慶応義塾大学商学部教授中条潮君、株式会社野村総合研究所政策研究センター長富田俊基君及び大阪大学大学院国際公共政策研究科教授本間正明君に御出席をいただいております。  この際、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多忙中のところ、本調査会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  参考人の皆様から、産業構造の変化と雇用問題等及び企業のフィランソロピー活動に関しまして忌悼のない御意見をお述べいただき、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。  議事の進め方といたしましては、初めに、産業構造の変化と雇用問題等について中条潮君から、次に、同じく産業構造の変化と雇用問題等について富田俊基君から、次に、企業のフィランソロピー活動について本間正明君からそれぞれ二十分以内で御意見をお述べいただいた後、二時間程度委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じます。  本日は、あらかじめ質疑者等を定めないで、委員の方々に自由に御質疑を行っていただきたいと思いますので、質疑を希望される方は挙手をし、私の指名を待って御質疑をお願いいたします。  なお、意見の陳述、質疑及び答弁とも、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず中条参考人からお願いいたします。

中条潮慶應義塾大学商学部教授

○参考人(中条潮君) 慶応義塾大学の中条でございます。  お昼の食事が終わりまして、二時という昼の一番眠い時間でございますけれども、私は普通の授業のときは、昼間学生が寝ていますとチョークを投げますが、まさか議員の先生方にそんな失礼なこともできません。大変かたい話を一番眠い時間にさせていただくということで、皆様に対して大変同情を申し上げております。私の話よりも後の富田さん、本間さんのお話の方がきっとおもしろいと思いますので、しばらくお休みいただいても結構でございます。  さて、私が話せと言われたタイトルは産業構造の変化と雇用等ということでございます。さらには物流の話もしろということでございますので、まず前半の大半の部分を産業構造の変化と雇用等という内容のお話をして、最後に物流の話を少しつけ加えさせていただきたいと思います。  私が前もって提出しておりますレジュメに沿って大体お話を申し上げていきたいと思います。私の話と、それからこの後でお話をいただきます富田さんの話とかなり重複した部分もございます。それから、別に前もって打ち合わせをしたわけではございませんけれども、ほぼ同じような考え方でございます。富田さんの方で幾つか図表等もレジュメに入れていただいておりますので、私はデータ等も省略いたしまして、私の考えだけをお話し申し上げたいと思います。  まず、きょうお話ししたいことは、産業構造がどう変化してきたかということよりも、むしろどう変化していかなければいけないかということを中心にお話をしたいと思います。つまり、私の考えでは基本的には日本の経済構造、産業構造というのはほとんど変わっていない。むしろ構造が変化してきたという話ではなく、変わっていなくて、ただし部分的に今変わりつつあるところがある、これが今言われておりますいわゆる価格破壊という動きであります。これについては後でお話を申し上げます。  いずれにしましても、変わっていないことが問題であって、変わらなければいけない。なぜ変わらなければいけないか、そして今の構造はどういう構造かということを申し上げれば、まず今の構造は簡単な、俗を言い方で申し上げれば、横並び、もたれ合いの構造である、これが今の経済構造をつくり上げている、それを変えていかなければ日本の将来はないというのが私の考えでございます。  レジュメの一番最初に、経済成長期から成熟・安定成長期における日本経済の課題と書いてございます。ちょっとタイトルが変なんですが、要するに経済成長期がほぼ終わって成熟・安定成長期に日本は達した、その日本にとっての課題は何でしょうかということを一のところで申し上げたい。中身についてはこのレジュメに書いてあります矢印を順番に追っていっていただければおわかりいただける話だと思います。  すなわち、経済が成長しでいっている、特に二けたで経済が成長していたような時代と、それから不況あるいはバブルがありながらも比較的安定的に経済が成長していく、あるいは成熟の段階に入った時代とでは対応が異なるであろう。その話がこの1のaというところの話であります。結論的に申し上げれば、要するにこれまでのようにどんどんどんどん物が売れていくという話ではなくて、コスト構造の改善、効率的な、選択的な投資をしていかなければだめだし、ニーズも多様化していきますから、それに対応するような対応が必要でありますよということであります。  それからもう一つは、成熟した経済ということで、成熟国家としての役割ということも一つあり得るであろう。当然それはまた門戸の開放という要求としてあらわれてくる。門戸を開放すれば、当然競争力を向上させておかなければこれができないということになりますから、結局のところコスト競争力の向上ということが一つ必要になるわけであります。  そのほか、幾つかの経済社会の制約条件としては、このbと、それからcと二つのことが挙げられると思います。このbとcにつきましても、これはレジュメの流れをたどって読んでいっていただければおわかりいただけると思います。いずれにしましても、その後のレジュメのちょうど真ん中のところに、波線部の結果をまとめ、そこから望まれる政策の方向性を示せば以下の①②③に要約されると書いてございますように、生産性、競争力の向上、このためには市場メカニズムをもっと活用していく必要がある。これは後でまた御議論をいただければと思いますが、私は福祉分野に関しても競争を促進していく、マーケットメカニズムをなるべく取り入れていくということを考えていくべきであるというふうに考えております。  それから②は、経済が安定的に成長し、かつ成熟してくると多様化ということが当然起こってくる。この多様化に対応するためには、分権的な意思決定、これは別の言葉を使えばマーケットメカニズムをもっと活用していくべきだ。それによって多様なニーズに対応していくべきである、といいますか、マーケットでなければ多様化には対応ができないということであります。  それからもう一つは、多様化の中身にはマーケットメカニズム以外の部分という問題、環境の問題等を含めた問題がございます。それをいかにして内部化していくかということが対応策として求められるということであります。  ①と②については、このレジュメを見ていただければ御理解いただける話ですが、若干のa、b、cの中の特にbの国際競争という点について補足的に説明を申し上げておきたいと思います。  この国際競争という話は、もうこれは当然な話でありますけれども、国際競争に対応するためには競争力を向上しなければいけない。当たり前の話なんですが、少しこのところ変わってきている国際競争の中身というのは、一つにはアメリカやヨーロッパが効率をどんどん改善してきている。今、日本の国産車と太刀打ちできるような安い輸入車が大衆車としてかなり入ってきているという状況がありますが、そこに典型的に示されますように、アメリカやヨーロッパの効率改善ということが行われてきています。これまでは日本の製品が大変質がよくて安いということで競争力があったわけですけれども、それに対してアメリカやヨーロッパが日本の製品と競争できるような製品をつくり始めてきている、そういう点での競争の中身の変質ということと、もう一つはアジアの追い上げということであります。  このアジアの追い上げということも、実は最近では製品の競争だけではなくなってきている。例えば中国や韓国やシンガポールでつくったものと日本でつくったものとの競争ということではなくて、日本の都市とアジアの都市との競争という段階に入ってきている。これは、特に近隣のアジアの場合にそういう競争が出てきているわけです。  例えば、アジアの港と日本の港が競争する。物流の、特に港湾の労働生産性が非常に悪い、あるいは港湾料金が高いということから、日本の貨物がアジアの港に移っていく、拠点港をアジアに移していくというふうな動きもあります。あるいは、よくお聞きのことと思いますけれども、いわゆるハブ空港の議論というのがございます。その拠点となる空港がアジアのほかの都市に奪われていくというような動きがある。すなわち港と港、日本の港とアジアの港、日本の空港とアジアの空港との間の競争、あるいは日本の社会資本とアジアの国々の社会資本との競争、日本の都市とアジアの都市との競争という形が出てきているわけです。これに勝っていかなければ日本の将来がないということになります。それが後ほど申し上げます社会資本投資の首都圏に対する集中的な投資ということにつながってくるわけであります。  さて、このレジュメの真ん中の①②③、これを満たすにはそれに対応した経済構造の変化が必要であるということになるわけですけれども、これまでの経済構造はどうであったかというと、これは産業保護、競争抑制的な体制である。これが横並びのもたれ合い構造をつくってきた。この産業保護、競争を抑制するような構造というのは、経済が成長していく段階ではある程度必要であった体制であると私は思います。競争によって企業が余りにも経営力を消耗してしまうということがありますと、経済成長が不可能になるということがあります。  ところが、この産業保護、なるべく競争をしないでおこうという体制が余りにも長い間続き過ぎたために、その間のツケが今大きくたまってきている。非効率な制度や非効率な企業が温存されてしまう。一つの産業の中で一種の仲よしクラブのような形になってしまう。サービス、商品についての均一化、横並びの構造ができ上がってしまう。そのために競争力のある、かつ多様な商品やサービスを提供するという意識が欠如してきていたということが言えるわけです。  経済成長の必要な時期はこのような状況に対して国民も我慢をしていたわけです。経済成長していくためには一生懸命みんなでちょうど山に登っていこうというような状況であった。山の頂上に着くためにはみんな飲み物は水だけにしましょう、水は一杯ずつにしましょうということで横並びの平均的なサービスを甘受してきたわけです。山の頂上に着きますと、水だけじゃなくて、私はジュースを飲みたいとかビールを飲みたいという人が出てくる。多様化を求める。社会が成熟しますと、その多様化に対するニーズが高くなってくる。  こういった多様でコスト効率のよい商品、サービスを提供していくということについて一番有効な方法はマーケットメカニズムにほかならない。したがいまして、マーケットメカニズムをもっと活用していく必要がある。ところが、このマーケットメカニズムが機能し、競争が促進されることを阻害している制度がある、これがいわゆる規制であります。  その規制緩和ということが言われるのは、まさにこの競争を抑制しているような制度を破壊して、そして企業間の競争、商品間の競争をもっと促進することによってコスト効率のよい商品、サービスを提供し、多様な商品、サービスを提供するということが必要とされているわけです。もちろん円高不況という状況の中で、企業自身はこれまでの仲よしクラブあるいは横並びではだめで、何とかその状況に対応していかなければいけない、そういう意識は出てきつつあります。  その一つのあらわれが、私は価格破壊という動きであると考えます。価格破壊というのは価格を破壊すると書きますけれども、実態的には何を破壊しているかというと、既存の私的な制度、流通慣行を破壊している、これが価格破壊である。これまで競争を抑制し、産業を保護してきた制度というのは、今言われておりますいわゆる許認可と呼ばれる公的な規制だけではありません。私的な制度、流通慣行といったものもこの競争を抑制してきた制度であります。それが今崩れつつある。私的な制度でありますから、これはマーケットの力によって崩れていくということが可能であるわけです。しかし、公的な制度の方はそういうわけにいかない。したがいまして、公的な規制を緩和していくということが重要であるわけです。  改革すべき制度、競争を抑制しているようなあるいは効率を悪くしている制度としては、公的な規制あるいは私的な制度だけではなくてほかにも幾つもあります。  その一つは社会資本の整備制度である。社会資本投資に対してマーケットメカニズムをもっと導入することによって効率のよい投資に力を向けていく必要がある。それからもう一つは人的な資本、すなわち労働についての投資、これについてもこれまでのような先行投資型ではなくて効率のよい選択的な投資をしていかなければいけない。社会資本についても人的資本についても投資という点では同じような考え方が必要とされるわけです。  すなわち、経済がどんどん成長していく段階のときには、投資のやり方というのはいわば先行投資型であったわけです。少々のむだでもどかっと最初に投資をしておいた方が効率的だった。いずれは元が取れる。それだけ経済成長が望めたわけです。成長率が高い時期には財源も豊富でしたから、新幹線も高速道路もどんどん先行投資しておいても必ず需要がついてくる時代であったわけです。雇用についても同じであって、新卒をまとめて採っておく。定年までにプラス・マイナス元が取れればよい。何に使えるか、どういう職種に使えるかわからなくてもとにかく何かに使えるだろう、そういう時代では今はなくなってきた。選択してから採用するという必要が出てきた。つまり、効率的あるいは選択的な投資が必要という点で、労働についても社会資本についても同じことが言えるわけです。  具体的に言えば、社会資本については効率的な選択的な投資というのはむしろ隘路投資への重点であります。したがって、全国一律に社会資本を投資していくというのは、これはもう限界が来ているし、もうそれをすべき時期ではない。首都圏に対する社会資本投資、これまで資本投資がおくれていた首都圏に対する投資、ここに力を注ぐべきである。これについては、一極集中化を進めるものではないかという御意見が出るかと思います。それについてはまだ後で議論をさせていただきたいと思います。  人的投資の方につきましては、終身雇用制の見直しということになります。先行投資型、供給優先型から需要対応型の雇用関係に変わっていく。これによって競争力の向上も図る。特に国際競争力の向上ということが必要なわけであります。  私のレジュメで、点線で亀井発言と書いてございますけれども、これは言うまでもなく亀井運輸大臣の発言に対しての私の批判であります。亀井大臣の発言は、コスト競争力をつけるという点でも、それから終身雇用制を前提としている点でも私は時代からおくれた発言であるというふうに考えます。  このほか、市場メカニズムによる対応によって効率化を図る必要がある制度というのは、先ほども少し申し上げましたが、福祉の分野、これについてもまた詳しくはディスカッションのときに申し上げたいと思います。それから公営制度の民営化。福祉についてはユーザーサイド側への、すなわちその利用者側に補助をすることによって補助金の額を変えずに福祉政策を効率化させていくということができる。また、そこに競争を導入することも可能になると考えています。  さて、最後に物流に関してのお話でありますけれども、物流に関しても、実は今お話ししたことをそのまま物流に当てはめればいいことである。すなわち物流分野における問題というのは、私は一番大きな問題は規制の問題であると考えます。物流の分野というのは、本来マーケットとしては競争が十分有効に働く分野であります。それを制度で抑えている。  資料にたくさんの物流分野における規制を羅列してございます。この規制の多くは競争を抑制しているような規制、制度である。これを緩和してやって、物流産業の構造改革を進めていく。特に物流産業の中での産業の再編成を進めていくためには、規制を緩和してやって、そして効率的な企業が伸びていくような体制をつくってやる必要がある。規制が物流コストを上昇させて経済全体にコストを課しているということだけではなくて、物流分野における規制が、実は物流産業自体の近代化をも妨げている、物流産業自体の発展をも妨げているというのが私の考えてあります。  物流を支えている交通社会資本については、先ほど社会資本について申し上げましたので、これについては省略をいたします。  それから労働慣行、雇用の問題についてはレジュメの二ページ目の(3)というところに物流問題と労働問題の分離をということを書いております。すなわち、物流における労働者の保護ということと、それから事業を規制して競争を抑制するということは分離して考えるべきである。それを分離して考えないと、事業規制が物流産業の効率化を妨げて、物流産業の発展を妨げてしまうことになる。結局のところは物流産業の労働者の状況も悪化させてしまうというのが私の考えてあります。結局、事業規制というのは産業の効率化を阻害し、近代化投資や産業再編をおくらせて産業の近代化を阻害して、優良な労働力を喪失してしまうことになる。  物流はしばしば三Kと呼ばれますけれども、物流を三Kにしたのはだれか。これはまさに物流についての規制によって競争を抑制して近代化をおくらせてきたその制度にほかならない。物流を雇用調節産業とみなして温存している限り、私は三Kの解消はあり得ないと考えます。  とりあえず私の持ち時間でございますので、これで終わらせていただきます。

三重野栄子日本社会党・護憲民主連合

○会長(三重野栄子君) どうもありがとうございました。  次に、富田参考人からお願いいたします。

富田俊基株式会社野村総合研究所政策研究センタ-長

○参考人(富田俊基君) 御指名をいただきました富田俊基と申します。  産業構造の変化と雇用問題等という表題のもとに、現在の日本経済に閉塞感をもたらしております内外価格差、価格破壊そして空洞化と呼ばれております諸現象と雇用問題についてのお話をさせていただきます。お手元の資料も御参照ください。  現在の日本経済は大きな構造変化に直面しております。それは、次の二点に集約することができます。第一は、欧米先進国へのキャッチアップが終わったことであります。第二は、豊富な労働力を有し、生産力を高めつつある新興国が次々と世界市場に参入し始めたことによります競争環境の変化であります。  キャッチアップ型の経済システムは、次の三つの条件が存在することによって正当化され、意義を持つものでありました。第一は、冷戦構造のもとで日本は戦後復興と経済成長に専念するという合意が国内外にあったことです。第二は、先進国との間に技術ギャップが存在したので、日本の企業はそれを導入して事業の拡大に活用し、生産量をふやすほど単位当たりの生産費用が低下するという環境にあったことです。第三は、この環境のもとでは利潤の極大化と市場シェアの極大化とが一致いたしまして過当競争が生ずるということで、参入規制や、製造業の場合には設備投資規制すら正当化されてきたわけでございます。  これらの前提はほぼ完全に崩れ去りました。冷戦構造は終えんいたしました。賃金コストは世界の最高水準となりました。そして、先進国との技術ギャップの解消とともに、経済規制と行政指導の有効性は消失しつつあります。にもかかわらず、キャッチアップのための経済の仕組みが依然として継続していることがさまざまな弊害をもたらしております。強固な経済規制は産業への新規参入や企業の革新的努力を妨げております。また、高度成長期に後進部門を保護するために行われてきました諸施策が継続されまして、それが内外価格差という問題をもたらしております。  第二の構造変化でありますアジア新興国の台頭によって競争環境が著しく変化いたしました。これよって生産拠点の海外展開、輸入物価の低下が加速しております。しかし、キャッチアップ型の仕組みが残っているために、これらの現象を国際分業の進展、国内物価の安定化というプラス・サムの発想でとらえることができず、雇用不安をもたらす空洞化と価格破壊の原因として位置づけてしまっております。  内外価格差の問題につきまして、まずその意味を検討していきたいと思います。  国民が豊かさを実感できない大きな理由の一つは巨大な内外価格差の存在にあります。ここで内外価格差とは、個人消費支出の全体にかかわります物価水準の格差を意味しております。経済企画庁が毎年発表します物価レポートやお手元の資料の表1にございますOECDの一九九〇年の調査が示しますように、日本の消費者物価の水準は欧米に比べて約四割高いという内外価格差が存在いたします。この内外価格差はどこの国にも存在いたしまして、また国際的に見て、賃金水準が向上すると物価の水準が上昇するという傾向にございます。しかし、日本は国際的に見まして賃金水準に比較して物価水準が際立って高いという特徴がございます。  では、この巨大な内外価格差は何に原因があるんでしょうか。消費者の支出を外国との貿易が可能な財とそうではない非貿易財とに分けて考えてみましょう。  外国との取引が可能な貿易財については、激しい競争にさらされておりますので国際的に一物一価が成り立ち得ます。一方、非貿易財は国際競争から隔離され、しかも国内でも局所的な競争が行われるにすぎなかったり、あるいは参入規制、価格規制によって保護され、競争が制限されていることが多い。この結果、貿易財を生産する製造業と非製造業の生産性の上昇率に大きな格差が発生いたしました。これが内外価格差の原因と考えます。つまり、内外価格差は国内での製造業と非製造業との生産性の上昇率の格差、内外価格差というよりは内内価格差とでも言えると思います。  では、この内外価格差は経済規制とどのように関係しているのでありましょうか。産業内での規制の度合いと生産性との関係を見ますと、資料の図1にございますように、規制の多い産業ほど米国に比べて生産性が低く、それらは鉱業と農林水産業を除きますと、運輸・通信、建設、電力・ガス・水道、金融・保険といった非製造業で占められております。このように規制の存在が内外価格差と関係があり、このことが経済の豊かさと生活実感との乖離を拡大させている要因と考えられます。  そればかりか、非貿易財の価格が相対的に高いことが、それを投入する製造業の海外移転を促進することにもなります。つまり、内外価格差をもたらす規制や商慣行を残したままでありますと、規制で保護されている産業が残存する一方、国際競争にさらされた製造業、また規制からの自由を求める企業は海外へ流出いたします。これが本当の意味での産業の空洞化でありまして、極論しますと、競争力の強い産業が流出し、弱い産業が残存することになりかねないということでございます。  このように、非貿易財産業の低い生産性上昇率が豊かさの実感の欠如と空洞化という日本経済の直面する二つの基本問題の原因と考えられます。非製造業の経済規制、商慣行、政府・企業間関係は、この視点から早急に見直ししなければならないと考えます。また、非貿易財分野を中心とする規制緩和は、内外価格差の是正に対してだけではなく、新規の雇用と投資機会の創出を通じて産業構造の転換を進める上でも重要であります。  次に、価格破壊と言われる現象について考えてみたいと思います。  価格破壊を引き起こしております需要側の要因は生活防衛的な家計の行動にあります。供給側の要因についてすぐ類推されますのは、ディスカウントストア、アウトレット、プライベートブランドなど流通業の合理化によります流通コストや小売マージンの圧縮でありましょう。しかし、現実にはまだ小売マージン率は顕著には低下しておりません。むしろ一九八〇年代後半よりも現状では高い水準にあります。  したがいまして、価格破壊の原因は輸入物価の下落にあります。アジア新興国との相互依存の進展と円高によりまして、安価な輸入品の供給圧力は強まっております。実際、卸売物価で見まして、この平成六年四―九月期には消費財の国内品の下落はわずか〇・九%でありました。これに対しまして消費財の輸入品は五%低下しております。  価格破壊は消費需要を刺激いたします。雇用調整の中で力強さは欠けますが、個人消費に持ち直しの動きが見られるようになったのはことしの夏の猛暑や所得減税による一時的な影響というよりも、価格破壊によります実質所得の下支え効果が大きかったんではないかと思われます。  この一方、価格破壊は石油価格の下落によります輸入ディスインフレとは異なって、国内に輸入財と競合する産業がある場合には、そこでの雇用に大きな影響を与えることになります。伝統的な経済理論によりますと、先進工業国での労働集約的な財の生産は発展途上国の生産に取ってかわられ、非熟練労働の賃金は低下する。これが要素価格均等化の定理と呼ばれるものであります。  この考え方に基づいて実証研究を行った例に、ハーバード大学のサックスとシャッツという人がブルッキングス研究所のことしの経済論集で、産業別に貿易と雇用の関係を実証分析いたしました。八〇年代に入ってから東アジア、ブラジル、メキシコなどとの貿易の拡大によりまして、米国の賃金の半分以下の低賃金国から米国が輸入した財の国内生産に対します比率は、七八年五・一%から九〇年一〇・九%に上昇いたしました。これに伴って、非熟練労働に多くを依存する産業では雇用が減少しました。七八年から九〇年の間に、非熟練労働が雇用の八七%を占める衣料・履物製造分野では非熟練労働は二九%も減少いたしました。一方、熟練労働を多く投入する産業での雇用は拡大し、例えばOA関連分野では熟練労働は二八%も増加いたしました。こうした雇用情勢を反映いたしまして、米国の製造業での熟練労働者と非熟練労働者との賃金格差は、七八年の一・五倍から九〇年一・六五倍に拡大いたしました。  一方、ヨーロッパ大陸の国々では、最低賃金制度、充実した社会保障制度のもとで低賃金国からの輸入増大にかかわらず、賃金格差は米国のようには拡大しませんでした。しかしこの一方で、七〇年代初めには二%台でありました失業率は二けたに上昇しております。  冷戦終えんに伴います中国、ベトナムなどの市場経済への参入は、最近の円高とも相まちまして日本での価格破壊を一段と今後も進展させることと思われます。日本について象徴的に申し上げますと、二ページの図2に示されますように、米国のように賃金格差を通じて雇用量を拡大するか、あるいは欧州のように失業率が上昇するかという選択に立たされていると言っても過言ではないと思います。  雇用情勢に影響を与えますのは価格破壊だけではありません。より一般的に、産業の空洞化による国内での雇用機会の流出問題としてこの問題は考えられております。つまり、日本からの輸出が海外での現地生産に代替されること、また国内生産が輸入に転換されることに伴って、国内での雇用機会が流出するという見方であります。しかし、価格破壊と空洞化という言葉に内包されますような否定的なとらえ方は、生産的な議論を導くものではないと考えます。  価格破壊と空洞化を引き起こしております主要な地域は中国などの東アジア地域でありますが、これらの地域との水平分業を進めていきますことは、消費者にとっては土地・労働集約的な財を国内で生産されたものよりも安く購入できることになります。そして、これによって東アジア諸国の発展が可能になりまして、それに伴って日本が比較優位を有します技術・資本集約的な財の需要がふえるはずであります。つまり、価格破壊と空洞化は、冷戦構造崩壊後の世界経済の中で、日本の産業が従来よりもより一層技術・資本集約的な高付加価値分野へと進化していくべきプロセスと理解すべきであります。  過去におきましても産業構造の変化が著しい時期には、雇用情勢は大きな変動に見舞われてきました。今後、国際的な水平分業が一層進展していく過程で我が国の産業構造は大きく変化し、産業間の労働移動圧力は高まり、キャッチアップの時期に形成されてきた日本的な雇用調整の方法である所定外時間によります調整、配転や出向という企業内の労働移動による調整を超える可能性もあろうと思います。しかし、労働には程度の差はありましても、そこには知識や技術が体化されており、国内である産業が比較優位を失ったからといって、そこで働いていた人たちが直ちに比較優位の産業で雇用されるというわけにはいかないかと思います。だからといって、雇用の安定を重視するが余り労働の移動を阻害することがあっては産業構造の転換自体が阻害されることになります。また、有為な労働力が企業内で遊休化することになっては、当人にとっても日本経済にとっても大きな損失と言わねばなりません。  したがいまして、産業構造の転換によります摩擦的な失業を最小限に抑えるために、労働移動を阻害する諸制度を改革し、労働市場の調整能力を高めていく必要があります。柔軟な労働市場の形成に向けて、求人・求職情報の伝搬の円滑化のために、労働者派遣法や職業安定法の定める事業の許可制や適用業種の制限の緩和が必要であります。また、雇用者が産業間と企業間を移動しても能力が十分発揮できるよう、自己の能力を向上するための訓練、教育に対します国による支援が必要となってまいります。さらに、転職時において企業年金が通算できないことや、勤続年数が福利厚生制度の資格要件となっていること、また退職金への課税など、長期勤続者に有利となっている諸制度についても、それを労働移動に対して中立的なものに改めていかねばならないかと思います。  御清聴ありがとうございました。

三重野栄子日本社会党・護憲民主連合

○会長(三重野栄子君) どうもありがとうございました。  次に、本間参考人からお願いいたします。

本間正明大阪大学大学院国際公共政策研究科教授

○参考人(本間正明君) 大阪大学の本間でございます。  企業のフィランソロピー活動につきましてきょうはお話をさせていただきたいと思っております。この調査会におきましても、企業のフィランソロピー活動について過去にも参考人の意見聴取をしたというぐあいに伺っておりますけれども、総体としまして私の意見も含めて改めてお話をさせていただきます。  九〇年代に入りまして、実はフィランソロピーという言葉が日本におきましてもかなりマスコミ等でも取り上げられてきております。このフィランソロピーというのは、御承知のとおり人類を愛する、人を愛するという言葉で、日本的には社会貢献という言葉で言われるものでございます。  このフィランソロピーへの関心の高まりと申しますのは、九〇年代に入りまして、我が国では一%クラブ、つまり企業の利益や個人の所得の一%というものを社会的に寄附するというような組織ができ上がりましたし、あるいはメセナ協議会と申しまして、企業が文化を支援する組織というものができましたし、さらには大阪コミュニティ財団、地域の人々が社会貢献をしようとする場合に受け皿としてのコミュニティーの組織というものを準備しようと、こういう三つの大きな動きが出てまいりまして、日本でもフィランソロピー元年というような言葉が言われ始めました。  こういう動きと申しますのは、実は日本だけの動きではございませんで、世界的にもフィランソロピーへの問題の高まり及び制度の整備というものが行われております。  その意味するところを少し整理いたしますと、世界経済は、六〇年代は非常に世界的に好景気な状況が続きまして、成長を謳歌したという意味でゴールデンシックスティーズ、黄金の六〇年代と言われたことがございました。このゴールデンシックスティーズがアメリカ的には偉大な社会、クレートンサエティーというような言葉の中で、官が、あるいは公共セクターというものが非常に大きな役割を果たして、それを是認するという考え方が高まったわけでございます。  それが引き金になったかどうかはともかくといたしまして、七〇年代に入りますと、世界全体において経済が不振の状況に陥っていく。これはグルーミーゼブシティーズと言われるような状況に陥りました。そして、このグルーミーゼブシティーズの動きの中で、なぜ経済というものが活力を阻害されたのか、あるいは人々の生活のレベルの向上にとって経済システムというものがいかにあるべきかということが極めて真剣に議論され始めたというのがこの七〇年代でございました。今お二人のお話にございましたけれども、その生産性のパズル、なぜ生産性が上がらないのか、勤労意欲でありますとか、あるいは貯蓄でありますとか、そのような問題意識が高くなってまいりました。  こういう沈滞の七〇年代を踏まえて、八〇年代に入りますと、これは私の造語でございますけれども、ターニングェイティーズと言えるように、これまでの考え方というものを転換する動きというものが、政治のレベルにおいても経済のレベルにおいても際立って動き出したということでございます。  具体的には、アメリカではレーガン大統領の登場でありますし、あるいはイギリスではサッチャー首相の登場でありますし、ドイツではコール首相の登場というような形の中で、官が、あるいは公共部門が極めて過大にコミットしたことへの反省として、過大な政府への危惧として、いわば市場原理というものを重要視し、市場に参加する人々の意欲とインセンティブに基づいて経済というものを再興しようという考え方というものが出てまいりました。  その一環として、実は公共部門においても、例えば福祉、教育、文化というような問題に対しても、政府だけがこれを行っていくということに対して、非効率的で人々の意欲、意思というものをくみ上げるのには不十分ではないかという考え方が出てまいりまして、これをいわばノンガバメンタルなオーガニゼーション、NGO、あるいはノンプロフィットのオーガナイゼーション、NPOの活動の中にこれを組み込んでいこうという考え方であります。これを加速いたしました。これは供給側の問題であったわけでございます。  もう一つは、これは需要側の問題といたしましても、東西の対立の構図が崩壊をいたしまして、東ヨーロッパを中心にして市場経済化の加速というものが進んだわけでございますけれども、こういう状況の中で、今までこのシステムでは公がすべてをやっていた、政府がすべてをやっていた状況からそれを担う者がいなくなってきた状況の中で、東西の交流の中でこれを西側が支援をしていくという動きがフィランソロピーの興隆の一つの潮流として出てきたということがございます。  このように供給及び需要の側におけるフィランソロピーの興隆というものを加速いたしましたのが、いわば参加型社会の幕あけといいますか、生きがいを何に求めるかという個々人の生活意識の変化というものが、自分が何か社会に対してコミットできるのではないかという考え方から、政府に任せておけばよいという一元主義的な考え方に立たずに、個人の価値観に対応するような多元主義的な考え方に基づいてそれぞれの立場から社会のウエルフェアの向上に貢献をする、このような意識というものが高まり、これがトレンドとしてのフィランソロピーの興隆に大きく役立ってきたということになります。  それでは、こういうフィランソロピーの興隆というのがシステム全体として一体どのようなウエートを占めているかということを少し数字的にお話をさせていただきたいと思いますが、表1をちょっとあけていただきたいと思います。民間非営利セクターの国際比較というものがお手元にあろうかと思いますが、これはジョーンズ・ホプキンス大学のレスター・サラモン教授が、日本では私のグループとタイアップをいたしまして国際比較をしたものでございます。  これを見ていただきますとおわかりのとおり、民間非営利セクターの総雇用者数に占める比率といたしましては、アメリカでは六・八%、金額ベースでのGDP比では六・三%というぐあいになっております。それに対しまして、日本の場合には雇用者ベースでは二・五%、事業支出のGDP比率では三・二%、このような数字でございまして、二分の一あるいは三分の一程度の規模というのが日本の実態であります。  このようなレベルだとそれほどでもないのじゃないかというぐあいにお考えかもわかりませんけれども、日本の民間非営利セクターに含まれておりますのは、そこの収入源のところを見ていただきたいと思いますが、政府補助と申しますのが三八・三%、あるいは事業・会費収入というのが六〇・四%、民間が主体的な意思において行っているのは一・三%にとどまっている。本来の意味でのフィランソロピーセクターの活動というのは、この民間の寄附というものが大きくコミットしていく必要があるということでございますけれども、その点でアメリカとの対比で言えば十五対一ぐらいのレベルにとどまっているということでございます。そのパズルをおわかりいただくのに、日本の公益法人の位置づけというものが非常に大きな問題になります。  表2をちょっとお開き願いたいと思います。いわゆる公益法人あるいは非営利法人と日本で言われておりますが、実に多種多様なコンセプトというものが混在をしているということがこの表からおわかりいただけようかと思います。  まず、民法法人といたしまして社団法人、財団法人というものがございますし、それ以外にも社会福祉法人、学校法人、宗教法人、生活協同組合、医療法人、管理組合法人、認可地縁団体、公益信託、このように純粋に公益法人あるいはフィランソロピーセクターと位置づけられる部分というものが、日本ではこの組織面においても極めて例外的少数派であるということがこの表からおわかりいただけようかと思います。こういう純粋に民間によるフィランソロピー、あるいは企業によるフィランソロピーセクターというのがなぜ立ちおくれているかというのが非常に大きな我々の関心事でございます。  その点で申し上げますと、今、中条、富田両参考人からお話がございましたけれども、まず日本の法人の社会とのかかわり方というのが、一つは非常に特異なスタイルをとっているというのがこのフィランソロピー・セクターにおける特異性にも結びついているということでございます。  その意味しますところは、日本の場合にはフローとストックの成果配分におきまして企業が極めて大きなシェアというものを保有し、そしてその上で、終身雇用制、年功序列的なる雇用というものに結びつく、あるいは系列、株式持ち合いというような形でそのストックを保有する。それから、人間の非常に大きな時間というものも企業社会の中で取り込むということでございまして、人、物、金の三面において極めて企業の地位というものが高い社会というのが日本でございます。こういう状況の中で、個人の寄附金というもの、それから保有している企業の寄附行為、あるいはこういうフィランソロピーの行為というものが極めて制限された状況になっているというのが事実でございます。  つまり、まず参加する個人というものが、企業人間ではあるけれども社会人間として自立てきない、そういうような状況が雇用制度との結びつきにおいて出てくるということも一つの理由でございますし、例えば株を例にとりますと、もう八割近くまで企業が株を保有していくというような状況の中で、個人のいわば志というものがなかなかこのようなフィランソロピーの活動に結びつきにくい、こういうことがございます。それと同時に、それをまた制約するようなフィランソロピーに関する制度の未熟さというものが日本では否定することができないということになります。  それでは、どういう問題がフィランソロピーセクターにあるのかということを簡単に整理をさせていただきたいと思いますけれども、まず、我が国の公益法人制度と申しますのは極めて特異な位置づけが与えられているということであります。その意味は、本来の非営利で公益活動を行う公益法人と、非営利・非公益法人、これは中間法人と呼ばれているわけでございますけれども、例えば先ほど表2で挙げられているようなさまざまなそういう法人、組合等の問題も含めて中間法人までカバーをしてしまっているということがございます。  その意味で、公益法人は私の専門であります税制の立場からすると、いわば公平な税制の最も悪い阻害例として公益法人税制というものが指摘されるほどでございまして、公益法人は公悪法人であり、休眠法人であり、あるいは天下り法人と言われるような実態になってしまっている。本当に志のある公益法人というものがそれによって肩身の狭い思いをしているというのが実態でございます。  さらにこのことを助長しておりますのは、公益法人に対する許可というものが極めて官優先になっているんだと。この天下り法人という言葉に代表されますように、いわば退職した後の受け皿としてこの制度というものが活用されている。そして、そういう受け皿としての公益法人については極めて短い期間で許可を与えていく。それに対して民間が許可を求めますと、お金の問題がどうであるとか、あるいはどの先生が口をきいたかというようなことが影響をいたしまして極めて時間がかかるということであります。  さらには、縦割り型にこの許可制度がなっておりますので、活動があらかじめ一つのイシューに絞り込まれて許可される。例えば教育であれば教育、それから医療であれば医療というように限定する。多元的にNPO、NGOが活動をしようということになりますと、こういうことが制約となって国際関係の中でのボランティア活動等が極めて難しい状況を生み出してしまっているということであります。  それからもう一つは、グラスルーツ、草の根のレベルにおけるNPO、NGOの許可というものが信用が置けないものというような意識のもとで、任意団体として何ら基本的に許可の対象になっていないということがございます。その意味では、官優先、縦割り型行政の弊害、これが極めてこの問題の発展の障害になっているということは強調すべき点であろうと思います。  そしてさらに、公益法人の許認可というものが寄附金の優遇税制と結びついているということであります。一たん認められますと、その活動のパフォーマンスの是非を判定することなく自動的に税制上の優遇が受けられる、こういうことでございますから、先ほど申し上げましたように休眠法人等の問題になってしまうということでございます。さらには、この寄附金税制というものはレベルとしても国際的には見劣りがするということになります。詳しい税制のまとめにつきましては表3にまとめておりますのでごらんいただけましたらありがたいと思います。基本としては、極めて厳しい状況が、税制上の優遇措置というのが低いレベルにとどまっているということになろうかと思います。  それでは、真にフィランソロピーのセクターを向上させ、そして我が国が国際社会の中でこの面においても立ちおくれていかないために、つまり、官の面においても非常に日本の活動というのが非難されるような状況があるわけでございますけれども、民の草の根のレベルで顔があり心がある活動を行っていくためにぜひフィランソロピーセクターにおける制度改革の必要性が私はあるだろうと思います。その点では、まず私はフィランソロピーのセクターにおける基本法というようなものを議員立法でも考えていただきたい。これは縦割り型のところでやっていてはとてもこの認識というのは高まっていかないというぐあいに思いますので、この基本法の制定というものを議員諸先生方のレベルでお考えいただければというぐあいに思います。  それからもう一つは、非営利・公益法人というものを中間法人と分離して議論をしてほしい。この点なしにはいつも悪玉となる公益法人というような位置づけられ方になってしまう。善玉と悪玉を仕分けし、善玉に対してはさらなる制度上の優遇というものを与えてほしいということであります。  それから第三番目は、現在の許可制を、はっきりとしたルールに基づいて、縦割り型の弊害をなくした認可制にしていただきたい。ここの問題は、例えばアメリカでは申請をいたしますと一定の書式にのっとって一週間、二週間なりで認められるということでございますし、税制上は、パフォーマンスに従って別の機関、IRSと言われる日本では国税庁に対応する部分がパフォーマンスにのっとって税制上の優遇措置を認めていくということでございますので、この面についても公益法人の認可と優遇税制の分離ということをしていただきたい。  そして、公益法人の許可と優遇税制の認可というものを別々の機関でやっていく、その許可あるいは税制優遇措置の付与については官が行うのではなくて、民間有識者による独立の組織による判定機関というものを考えていただきたい。こういうぐあいにいたしませんと、どうしても官の裁量が縦割り型の発想に基づいてしまうということで、機動的で多面的な活動というものが非常に難しくなるんだということであります。  そして、さらには寄附金税制の抜本的な見直しというものもお考えいただきたい。現在では、企業に対しましてはある一定の寄附金の優遇措置というのが認められておりますけれども、個人においてはほとんど、指定寄附金等の例外はございますけれども、個人には所得税制上の寄附金控除というものが認められていない。こういう状況を改め、企業中心型の社会から個人中心型の社会へと改めていく必要があろうかと思います。この点で改革ができましたら、我が国におけるフィランソロピーの交流というものも一層私は高まっていくのではないか、そして、そのことによって我が国が国際的にも尊敬される国として確立されるのではないかというぐあいに考えております。  以上でございます。

三重野栄子日本社会党・護憲民主連合

○会長(三重野栄子君) どうもありがとうございました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は挙手を願います。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 本間先生に今のところで早速お伺いしたいんでございますけれども、今、個人が寄附をした場合にはほとんど優遇措置はないというふうにおっしゃいましたけれども、表3によりますと、「個人が特定寄付金を支出した場合には、次の額を限度として課税所得から控除する」というふうになっておりますよね。だから、特定寄附金の対象となる財団は少ないかもしれませんけれども、例えば私個人が赤十字に寄附をするとかあるいはだれかが政治献金をするとか、そういうような場合には一万円を除いて全収入の二五%までは控除になるというふうに理解しているんですけれども。

本間正明大阪大学大学院国際公共政策研究科教授

○参考人(本間正明君) 私、詳しく税制の点につきまして御説明いたしませんでしたけれども、私専門家でございますので、広中理事の御質問にお答えということで税金の問題をお話しさせていただきます。  今私が一般的にないと申し上げたのは一般寄附金と言われるものでございます。この一般寄附金というのは、表3のところで公益性の高い寄附金以外の寄附金ということになっておりまして、この点については個人というものは認められない。そして、国がさまざまな活動に対して特別に認めた指定寄附金、これは赤い羽根募金でありますとかそういうようなもの、あるいは、公益性に資するということで特定公益増進法人というぐあいに認定された法人に対する寄附につきましては、御指摘のとおり二五%マイナス一万円という金額で寄附金控除を認める、個人においても認める。したがいまして、限定をされて寄附金の控除というものが認められている。ここの指定寄附金及び特定公益増進法人の認定が極めて狭く、そして限定されたものであるというところに非常に大きな問題点があるのだということであります。  例えば、先ほどお話し申し上げました大阪コミュニティ財団というものが一九九一年にでき上がりましたけれども、これはアメリカでは四百五十ぐらい存在する組織で、地域の篤志家が寄附行為であるとか、自分は医療、私は教育というような形でこのお金を使ってほしいというようなときに、いわばマンション型と申しまして、それぞれの名前をつけた、Aさんの寄附による教育奨学金である、こういうような財団がございます。  この財団は、実は非常にアメリカの社会では優遇がされておりまして、普通の法人よりももっとさらに寄附控除が認められているわけですけれども、これが我が国の場合にはまだ特定公益増進法人にも認められない。それが多目的で環境もやり教育もやり文化もやるから、縦割り型の障害の中でなかなかこの認可というものがおりてこないというのが現状でございまして、ここの狭さというものも非常に大きな障害になっているということでございます。

藁科滿治日本社会党・護憲民主連合

○藁科滿治君 それぞれ貴重なお話を承りまして、ありがとうございました。  中条先生にまず質問させていただきます。  規制緩和が結果的に労働問題にプラスに作用する、こういうふうにお話を伺いましたけれども、特に物流の底辺にある零細企業、こういったところが合理化とかコストダウンとかになかなか対応し切れないでいる実態、こういった問題についてどのようにお考えになっておられますか。  それから、引き続き環境問題でございますが、これもお話にありますように、市場メカニズムが働いて低価格商品、新鮮な商品が出回る中で、消費者が本当に環境コストを負担できるような自然な行動がとれるんだろうか。また、合理的な選択、判断というものができるんだろうか。ちょっとそんなうまくいくんだろうかという疑問を感じますので、この点についてもう一歩踏み込んだ解明をしていただければと思います。  それから、時間が余りありませんのでほかの先生にも引き続き質問させていただきますが、富田先生には、今お話がありましたように我が国でもようやく規制緩和というものが進行し始めております。ガス産業などでも実績を上げつつあるというふうに伺っておりますが、先生のお手元に日本の場合で顕著な価格低下の事例などをお持ちでございましたら、御紹介いただければ大変ありがたいと思っております。  それから、最後に本間先生にお尋ねいたしますけれども、今国会では御案内のように税制改革をめぐる大変厳しい論戦が連日されておりますけれども、それとの対応で、毎回のことでございますが、行政改革の必要性ということが大変厳しく問われております。しかし、結果的になかなかうまくいかない。非営利法人、公益法人などの大胆な再編統合について、先生、何かアイデアでもあればちょっとお話しいただければと思います。  以上でございます。

中条潮慶應義塾大学商学部教授

○参考人(中条潮君) まず、零細事業者に対する競争の影響という点についてお答えをいたします。  私は、零細事業者、小規模事業者が必ずしも非効率な事業者ではないと考えております。規制緩和をやりますと弱肉強食の世界になるんだという批判がしばしばなされるわけですけれども、私はそれは間違いであると考えています。非効率なものが姿を消すのであって効率なものが残るのである。したがいまして、小規模零細であっても効率的なところは当然残るわけです。必ずしも大手の事業者だけが競争で残るわけではありません。  例えば典型的なケースは、航空の場合に、ヴァージンアトランティックという会社があります。この会社は大変小さな会社であります。しかし、大きなブリティッシュ・エアウエイズや日本航空、その他の航空会社と十分に競争をしている。つまり、零細小規模ということは実は大変効率的な部分もあるわけであります。ですから、物流の場合におきましても私は零細小規模事業者の存在というのをむしろ積極的に評価しております。  問題は、産業には多様な事業者が存在するということ、そしてそれらがそれぞれ特徴あるサービスを利用者のニーズに合わせて供給していくということが必要なんだということです。ですから、小規模な事業者というのは大概において低コストである、小回りがきくということがあります。場合によっては革新的な場合もあります。そういう低コストの小規模な事業者とともに情報化、近代化が可能な大規模な事業者も存在する、そういう状況というのが物流産業だけにとどまらず、産業全体の活性化をもたらしていくんだというふうに考えます。  ですから、そういう意味ではコスト効率が悪くて、単に今までさぼっていただけの事業者は姿を消していく。それは私は当然であるというふうに考えます。それを温存していることによって物流のコストが増大し、経済全体のコストが高くなってしまう、かつ近代化がおくれてしまう、産業の再編成がおくれてしまう、そのために産業全体にとってマイナスになってしまうという部分がむしろ問題である。そういう点では、非効率な事業者であれば、零細であろうと大手であろうと私は姿を消していくのは当然だというふうに考えております。  ただ、その場合に発生した短期的な問題についてどう考えるか。例えば失業が発生するということもあり得る。これは先ほどの富田さんのお話にありました。規制緩和をやっていきますと、労働移動をなるべく円滑にするような方法を考えておかないと、仮にほかで需要が発生してもそこへなかなか移動ができないという問題があります。そういう点では、現在の労働慣行というものについて先ほど富田さんがおっしゃったような改善が必要である。労働移動が円滑になされるような方法というのは必要でありますし、短期的には失業が当然発生するわけですから、それに対する対応も考えなければいけない。  私は、結局のところ、失業対策ということのために、特に物流の場合には雇用の調整の場として物流産業というのが使われてきたところがあります。ですから、景気がいいときには労働力が不足して、景気が悪くなるとそこに過剰労働力がたまってしまうというような状況がある。そういった景気の調整、労働力の調整の場として使っている限り私は物流の近代化というのはあり得ないというふうに考えます。  そういう点で、冷たい部分といいますか、言いかえれば痛みの発生する部分というのは当然あり得るということは申し上げておく必要があると思います。  それからもう一点、環境の問題であります。  これは、実は先ほど御説明するときに抜かしてしまいまして、この話をしようと思ったところであのチンというのが鳴りまして、あれが鳴りますと魂がどっかへ飛んでいってしまいまして、話したいこともどっかへ飛んでいってしまいまして失礼しました。  環境の問題につきましては、私のレジュメの2のハというところに書いてございますが、市場対応不可能なニーズへの対応というところで、これは必ずしもマーケットだけには任せられないであろうと。実はマーケットに任せられる部分もかなりあるというふうに考えています。というのは、それはフィランソロピーの話の部分もありますし、それから消費者が環境ということに対して関心が非常に強くなってきますと、例えばこの製品は地球に優しい製品なんだよということが広告されているとそれをなるべく買おうとする、そういうような行動をとるようになってきています。エコ的な点を強調した企業の広告がふえてきているというのも私はその一つだと思います。ですから、そういう点でマーケットの消費者の選択に若干依存できる部分というのも確かにあると思います。ただし、基本的にはやはり環境の問題というのは何らかの形でマーケットに対する介入が必要であろう。  その場合に私が申し上げたいのは、環境のコスト、発生するコストについてそれを課した上で消費者に選択をさせる。例えば自動車とそれから鉄道について、自動車の方は環境を汚染するから鉄道に優先的に補助金を与えるというような政策ではなくて、自動車に発生する環境コストを負担させる。負担させれば当然自動車を使う場合には消費者にとってはコストが高くなります。コストが高くなっても自動車をどうしても使いたい、便益が高いと言う人はそれが使えるというような制度にしていくべきだということが一つであります。  もう一つは、なるべく環境問題についても分権的な対応を考えるべきであろう。選択的な対応を考えるべきであろう。私は日本の社会の中で、環境と経済成長の活性化ということを両立させるというのはかなり難しいと考えています。東京と地方都市とで同じ環境水準を求める、同時に同じ活性化を求めるというのは私は困難であると考えています。  したがいまして、社会を活性化しなければいけない部分については環境についてある程度目をつぶる必要がある、あるいはその逆があってもいい。その地域によって選択ができるような対応が必要だろうというふうに考えます。活力のある町をつくるということは、ある意味ではかなり汚れた部分もできるということです。東京も活力があるからこそ歌舞伎町が出てくるんだというのが私の考えてあります。  そういう点で、なるべく地域によって分権的な対応ができるような措置が必要である。そのためには地方分権ということで対応していく必要があるというふうに考えます。

富田俊基株式会社野村総合研究所政策研究センタ-長

○参考人(富田俊基君) これまでに実施されてまいりました規制緩和と価格下落との関係ということでございますが、これまでに実施されてきました規制緩和といたしましては、長距離電話につきまして新規参入が認められるようになっております。これに伴いまして、例えば東京―大阪間は三分間で八五年には四百円であったのが、最近では二百円かそれ以下に下がってきているというのがございます。それからまた国際電話も新規参入が認められまして価格低下が生じております。また国鉄民営化ということで、JRの料金と私鉄の料金を比べまして、八五年から九二年までの間の料金指数の乖離幅というものを見ますと、JRの方が二割抑えられているというふうに効果が出ております。  それから、大店法の緩和というのがことしから実施されておりますが、それによっても、先ほどお話しさせていただきました中では小売マージンはまだ余り圧縮が進んでないということを申し上げましたが、やはり圧縮方向に作用したものと思われます。  既に住宅・土地、情報・通信、輸入促進・市場アクセス改善・流通及び金融・証券・保険の重点四分野の規制緩和というのが七月に閣議決定されたわけですが、こうしたものを確実に遂行していくことが内外価格差、すなわち非貿易財分野におきます生産性上昇につながり得るんではないかというふうに考えております。

本間正明大阪大学大学院国際公共政策研究科教授

○参考人(本間正明君) 御質問の税制改革を消費税税率引き上げ問題を中心にしながら実行していくときに、この行政改革というものは非常に大きなテーマになるというのは我が国だけではございません。私は昨年イギリスにおりましたけれども、イギリスの場合、付加価値税を食料品でありますとかあるいはガス、電力に対してはゼロ税率を適用してそれまで課税していなかったわけですけれども、これを課税するというときにさまざまな批判が出まして、行政改革の取り組みというのが求められているわけでございますけれども、そういう状況に比べて日本は非常に微温的でなまぬるいというのが私の印象でございます。  例えばイギリスですと、民営化で刑務所、これはもう法律の執行の一番肝心なところでございますけれども、これも民営化の方向に進んでいるとか、あるいはプリンティングオフィス、つまり造幣局、国の根幹にかかわるようなものを民営化していくというふうなこともございますし、あるいは王室の民営化と言われるようなことまで議論をされております。例えば、チャールズが製薬会社とコントラクトを結んでお金を稼ぐ、あるいは国家的な行事につくと、今までは歳費として支出した部分というものを一回当たり幾らというような形で契約するというようなことまで議論されておりまして、タブーはないというのが私の印象でございます。さらには、国家公務員の生産性と賃金の問題にまで踏み込んで議論をしていると、極めてシビアな国民の監視のもとでいろいろな形で取り組んでいるというのが現状であろうと思います。  そういうことを踏まえまして、我が国のこの非営利、非公益法人に対する問題をどう考えるかということでございます。私は先ほど今から許可を受ける新しい立ち上げの問題を中心にお話を申し上げましたけれども、既存の非営利、非公益法人に対する扱い方というのはどういうぐあいにするかというのは非常に大きな問題でございます。私は、これは三つの点で考えるべきだと思っております。  一つはサンセット方式、つまり一度認可されると自動的に再認可をしていくというようなことになっておりますけれども、これはやはり新たな時代にそぐう存在であるかどうかということをきちんと見直していく。そして、それが休眠法人にならないような形での歯どめをかけていくというのが一つであろうと思います。  それから第二番目は、総量規制、こういう行革と言いながら実はことしも、皆様御承知のとおり、こういう許可というのは各省庁の権限の中でふえているというのが実情でございまして、これをだれがチェックするかということになりますと、なかなかそこの部分の歯どめがきかないということになりますので、私は全体の各省庁の既存の枠というものを超えないような形でスクラップ・アンド・ビルド、これを導入すべきであろう。そして、新しいものをつくりたいなら古いものを廃止しろという形で、まずは現状からふえるのを押しとどめる、さらにそこについての切り込みというものを次のステップでやっていくということになるんだろうと思います。  それからもう一つは、公益性というものが担保されているかどうかということを各省庁がみずからの非公益・非営利団体について行うのではなく、第三者が中立的なる委員を中心にしながらこれを再チェックするという、いわば公益性の担保というものをつけていく、この三つがあって初めて私はこの非営利・非公益法人におけるチェックシステムというのが成り立つだろうというぐあいに思っております。

藁科滿治日本社会党・護憲民主連合

○藁科滿治君 ありがとうございました。

立木洋日本共産党

○立木洋君 最初に三人の参考人に質問させていただきますので、後で順次お答えいただきたいと思います。  中条参考人が強調された規制緩和の促進、これが中心的に述べられている先般参考人がお書きになった二つの論文、規制緩和を今阻害しているいろいろな問題を取り上げて手厳しく批判されている論文なども読ませていただきました。私は何も規制緩和が反対だと言っているわけじゃありません。  そこで、社会規制の問題については一様に緩和を言うものではないという参考人の御指摘もありました。それは、例えば反社会的な経済活動なんかについては当然規制が必要ですから問題はないだろうと思うんです。市場規制を撤廃、緩和するという表現が論文の中に書かれてあるんですが、市場規制の問題についても、例えば中小企業なんかの問題でも、中小企業の保護の見地から一定の市場規制が行われるべきではないかという考えが私にはあるんですが、そういう問題についてはどのようにお考えなのか。市場規制は一切なくすと言われる御主張なのかどうか。市場規制において必要な規制はどういう規制か、その点をひとつお答えいただければと思います。  それから富田参考人に、空洞化の問題について否定的にとらえてはならないという趣旨の御説明があったかと思うんですが、最近悪魔のサイクルということがよく言われているんですね。円高になるとコストダウンが必至になる、そして競争力が回復する、それがさらに貿易黒字をふやして再び円高がやってくる、これが悪魔のサイクルだというふうなことが財界の中で言われております。それについて、どことは言いませんけれども、輸出を減らして生産拠点の海外移転を一層ふやすという方向でこの悪循環をなくすべきだということを主張されている大企業の社長さん等もおいでになるわけです。  こういう海外に進出する企業によって生じる空洞化の問題がそのまま放置されていると、これは中小企業に与える影響だとか雇用の問題だとか、あるいは内需拡大してどうこうというふうな、日本経済の本来のあり方を考えていく場合、逆行するという面もとらえておかなければならないのではないかというふうに思うんですが、この悪循環のサイクル、悪魔のサイクルと言われるようなことから脱却することについては富田参考人はどのようにお考えになって、そして空洞化を否定的にとらえてならないという観点とのかかわり合いでどういうふうに御説明なさるのかということをお聞きしたいと思います。  それから本間参考人に、この間この会でアメリカに行ってフィランソロピーの問題についてもATTだとかIBMでいろいろ話を聞いてきたんです。いろいろ聞いてわかる面もあるんですけれども、どうもわかりにくい面もありまして、アメリカなんかで育ってきた経過というのは歴史的にも一定の経緯がありますから、ですから、アメリカで行われているフィランソロピーと言われるものが、つまり企業の責任とのかかわりでどういう位置づけになっておるのかということ。それから、先ほど日本で妨げているいろいろな条件をお挙げになったんですが、日本においての企業の責任におけるフィランソロピーの位置づけがどうも違う点があるんじゃないかという感じがしてならないんです、先ほどのお話をお聞きしていると。違いがあるのかないのか、そこらあたりをちょっと御説明いただければと思います。  以上です。

中条潮慶應義塾大学商学部教授

○参考人(中条潮君) 中小企業の保護という点に関しては、先ほど御質問のありました零細小規模企業に対する影響ということと私は全く同じ話であるというふうに考えております。中小企業であるから保護する必要があるということを私は全く。考えておりません。中小企業だから保護しなければいけない、小さければ保護しなければいけないということは、今の世界では必要がないだろう。  つまり、産業が発展していく段階、幼稚段階の場合には、それが将来においてどういう社会的な役割を果たすかということがよくわからない時代があります。産業がそういう性格を持っている場合には、割と企業の大きさとしては小さいという場合であっても対応が必要な場合があるかもしれない。しかし、押しなべて小企業であるからということで保護をする必要性は私は全くないというふうに考えております。効率的な企業が残ればいいんだということであります。  そういう点で考えますと、市場規制の撤廃、緩和という中で何が一体除かれるものかというお話ですが、これは市場規制という定義の問題ですが、私の多分書いていたことは、競争抑制的な市場規制ということで書いていたんだと思いますが、競争抑制的な市場規制については私はすべて撤廃すべきだというふうに考えています。  マーケットに対する規制の中で、当然残すべきはこれは言うまでもないことでありますけれども、独禁法の関係、すなわち競争を阻害するような制度を助長する行為ですね、それについては当然規制を強化する必要があるというふうに考えます。  以上です。

富田俊基株式会社野村総合研究所政策研究センタ-長

○参考人(富田俊基君) 円高そしてコストダウン、貿易黒字という、非常に重要な側面の御指摘であったかと思います。製造業の観点から見ますと、そうした行動をとらざるを得ないという側面はございます。  問題は、日本国内の製造業でありますと国内から労働とかいろんなサービスの投入を受けます。このサービスとか労働の投入コストが著しく高くなっているというのが現在の日本の抱えている問題であるというふうに私は思います。それが内外価格差でありまして、円高になって内外価格差が拡大するのでますます製造業が苦しくなってしまう。製造業は国際競争の中にありますので、海外に拠点を移してでも生存を図ろうといたします。そういたしますと、製造業の側だけとらえますと、いやが応でも出ていかざるを得ない状況に追い込まれている。これはどういうところに原因があるかということを考えますと、やはり内外価格差が大き過ぎるというところに、我が国の製造業が外に出ていかざるを得ない力として働いてくるということであろうかと思います。  このように考えますと、外に出ていかざるを得ない製造業をいろんな管理的な方法で食いとめるというよりは、国内におきます非製造業の効率を上昇させることによりまして、結果として製造業が出ていかなくて済む可能性も出てくるということであります。現在起こっておりますのは、単に円高だけではなしに、やはりアジアの国々が新しい経済のフロンティアとして世界市場に参入しているという中であります。そういたしますと、それらの国々から物を輸入して、そしてそれらの国々に、より日本として誇るべき製品を輸出するということで新たな国際分業をつくっていくということが、日本にとっても世界経済にとりましても大きな発展の原動力になり得るものだというふうに考えます。  したがいまして、日本から海外に出ていくことを押しとどめるという直接的な対策をとるんではなしに、国内におきますさまざまな非効率性、かつて高度成長期には必要であったというものを取り除いていくということがより正しい処方せんではないかというふうに考えます。それが内外価格差の是正ということで表現されることだと思います。

本間正明大阪大学大学院国際公共政策研究科教授

○参考人(本間正明君) フィランソロピーにおける日米の違いという御質問でございますけれども、私自身も日本とアメリカにおけるフィランソロピーの位置づけというのは、企業というものの性格が非常に違うという点で、かなりそのフィランソロピー自身も違っているというぐあいに感じております。  その違いは、アメリカの場合でございますと、法人企業を取り囲むステークホルダー、これは利害を持つ立場を株主と従業員と消費者という、こういう三つのステークホルダーの関連において位置づける場合に、この三者というもののウエートが割とバランスがとれているというのが実際だろうと思います。これは、株主に対しては配当をしなければならない、従業員の賃金と雇用を守らなければならない、しかし地域を中心にして、消費者にも利益を還元しなければならない、こういういわば三位一体の中でそのフィランソロピー活動というのを展開しているのに対して、日本の場合はどちらかといいますと、いわば人的資本主義と申しますか、従業員の雇用と賃金を守るということが企業にとっては、いわば内なる存在としての社員に対しては外とは区別して非常に大きなベネフィットを考える、こういう考え方が強うございます。その意味では、流動的に雇用をするというような立場における扱いというものとはかなり違いますし、配当性向におきましても、その中に蓄積をする部分が大きいのに対して、配当性向それ自身は極めて低いというのが実際でございます。消費者は割と弊社というような形のイメージがございまして、外の人というようなイメージで考えておりますけれども、アメリカではユアカンパニーというような言い方をして非常に一体感を強調視すると。  したがって、企業がそのフィランソロピー活動をやっていく場合に、アメリカと日本のやり方というのは、これはおのずから違う状況が生まれてまいります。これはアメリカと日本の寄附の額を見ましても、日本の場合には企業がもう圧倒的に高い比率を占めているのに対して、アメリカでは個人のレベルにおけるこういう公益活動というものが非常に高い、こういう逆転が、恐らく九、一ぐらいの逆転の比率になっていようかと思います。ですから、個人ベースにするのか企業ベースにするのかという観点では、アメリカが個人ベースを中心にしながらやるのに対して日本は企業ベースを中心にやっている。  そのことを反映して、日本は先ほども申し上げましたように、個人に対してやることは信頼が置けない。税制調査会の報告を見てみましても、公益法人に対しては、個人がやると個人がその財団に対して発言力を持つから個人には認めないよと。しかし、法人に対しては、複数で議論をしているから余り変なことはやらないだろうと。だから法人に対しては寄附金の税制というのは認めよう、こういうような考え方に立っています。そういう意味では法人実在説的な世界が日本であり、法人擬制説的なる考え方というのがアメリカであると。  しかしながら、その違いを認めた上で企業レベルの公益活動に対する取り組みを見ましても、日本の状況に比べてアメリカというのは、例えばロックフェラー財団一つが日本の財団の活動すべてをドミネートする、凌駕する、こういうような実態になっておりますから、その意味では企業のそういう活動自身も非常に低いというのが現状でございます。これは我が国の企業というのが従業員の所得と雇用を守るということを最重点にし、そしてそれをその企業の中で蓄積をするという構図の中で果たしていく。そして、そのフリンジな活動としてフィランソロピーというものを実行していくという考え方が強いのではないか。  その意味では、私はやっぱり持つ者が、企業が社会的に公益性というものを担保することによって、もっと活動しやすい状況をつくってやるということが必要になってくると思います。現状では個人にやれやれと言っても、お金もなければ時間もない。企業に非常に拘束をされて活動が制約されている状況があるとすれば、企業を中心にしながら人、物、金が動き得るような環境にしませんと、アメリカあるいはヨーロッパに比べていわば閉塞した社会構造、これは労働の雇用の関係と裏腹の関係にございますけれども、流動性ある社会と流動性に乏しい社会との違いの中で、我が国がやはりこの分野で極めておくれていってしまうのではないかという危惧を持っております。その意味では、私自身はその違いがあるというぐあいに思います。  しかしながら、もう一つ指摘すべきことは、アメリカは資本主義の国でございますから、なぜフィランソロピー活動を株主や従業員に対する支払いよりも重要視してやるのかということは、これはもう六〇年代からずっと議論をされてまいりました。例えば、アメリカの企業の例でAPスミス社という機械メーカーがございますけれども、これが従業員を解雇しながらプリンストン大学に対する寄附を続けだというのが従業員及び株主から訴訟を起こされ、企業で利益を追求する存在がなぜ地域社会やフィランソロピー活動をするんだ、こういう根源的な問題が突きつけられたわけです。アメリカの社会においてはこれはエンライナンド・セルフ・インタレスト、見識ある自己利益。短期的にはともかく中長期的に見ると、地域社会に貢献するということが回り回って、その企業にとってもプラスになるという考え方を定着させることによって、これがアメリカの社会の中で力強く育っていったというような歴史的な経緯があるということでございます。  日本においてもそういうパブリックなエンドースメントというものを企業に対してどのように与えていくか。その意味で、私はやはり基本法というようなものでこの点についての社会的なる裏書きというものを与えていただければ、かなりやりやすくなるのではないかというぐあいに思っております。

増岡康治自由民主党

○増岡康治君 中条先生、非常に歯切れのいいしっかりしたお話なんでそれに釣られてしまったんですが、先ほど福祉分野についても市場メカニズム、いわゆる競争原理があるんですよとせっかくおっしゃったものですから、それをひとつ参考のためにお聞きしたい。  それからまた、先生が、いろいろ反論があるかもしれぬがおれはこう思うとおっしゃった、例えば先行投資型から需要対応、隘路対応に行くんだという中で、首都圏の社会資本投資の重点化というのが大切だよと。これをもうちょっと付言していただきたい。  もう一つ、亀井発言についてせっかくおっしゃったんですから、終身雇用制についての先生のお考えをちょっと御披露いただければ非常にありがたいと思います。

中条潮慶應義塾大学商学部教授

○参考人(中条潮君) まず福祉分野についての競争の導入ということで申し上げます。  私は福祉を切り捨てるということを言っているつもりは全然ございません。それで、同じ補助金、同じ金額のもとで、補助を受ける人の満足がより大きくなるような制度、あるいは逆に言えば、同じ満足を与えるに当たって補助金額が少なくて済むような効率的な制度を考えるべきだ、そのためには補助金の分野に競争というものを導入するべきであろうという考えです。  具体的に申し上げますと、例えば、今バスの赤字の路線について補助金を国なりあるいは自治体が出している。ところが、今の制度というのは免許制度でもって、その地域を運行するバス会社というのは決まってしまっていますから、そのバス会社が例えば百万円の赤字を出していれば、そのバス会社に対して補助金を出すという形になっているわけです。ということは、補助金を受けるバス会社が固定されてしまっているということです。つまりそれは、バスの市場において競争が全く許されていないからそういう形になっているわけですね。  これを競争を行うことによって、全体の効率がよくなるということだけではなくて、例えば、どんな効率的なバス会社がやってきてやっても赤字になってしまうという場合に、補助金を入札制というような形でかけてやる。どのバス会社でもある一定のサービス水準、例えば、この路線は一日に二便必要ですよ、運賃は百円取りますよ、その範囲内で一番安い補助金でもって引き受けるバス会社寄ってらっしゃいと入札制をかけてやって補助金を節約するという方法はあり得るわけです。つまり、同じサービス水準を維持するに当たって、競争を導入することによって今よりももっと効率的な方法がとり得るということであります。これは、実際にイギリスのバスの自由化に伴いまして行われております制度であります。  それから、先ほどちょっとユーザーサイドの補助金ということを言いました。今の補助金というのは多くの場合に企業側に、サービスを供給する側に与えられているわけです。しかし、これを利用者側に与えることによって選択の幅が広がるという可能性がある。  これも前にもお話ししたかもわかりませんが、私の母親はもう亡くなりましたが、ずっと松葉づえをついて七年間ぐらい生活をしておりました。バスの停留所までは大変遠いわけです。補助金をバス会社がもらって、そして身障者に対して、あるいは老人に対して安い価格を提供していたとしても、身障者や老人にとって果たして本当にそれが福祉対策なのかということを私は申し上げたい。  むしろ、バスでもタクシーでも使えるようなクーポン券を利用者の方に与えてやる。利用者がそれでもって、例えばバスだったらそのクーポン券一枚で乗れますと。タクシーは少し高いですから、クーポン券五枚ぐらい出さなきゃいけない。だけれども、駅まであるいはバスの停留所まで歩いていきたくないという老人や身障者だったらタクシーが選べる、少し元気なお年寄りであればバスを選べる。ユーザー側に補助金が与えられることによってユーザーの方で選択ができるような、そういう形の補助金に改めれば、補助金額は同じであっても今よりもより高い福祉の内容を提供することができる。  同時に、それをすることによってバス会社とタクシー会社が競争するわけです。お年寄りや身障者にそのクーポンを使ってもらうということが自分たちにとって収入になるわけですから、よりバスを便利にしてお年寄りに乗ってもらおう、あるいはタクシーの方もよりサービスをよくして乗ってもらおうという競争が働いてくる。今交通の話だけ申し上げておりますけれども、交通の事業者にとっては、どちらかといえばお年寄りだとか身障者というのはお荷物なんですよね、供給をする側としては。しかし、自分のところに収入が入ってくる、もうかるということであるならば、一生懸命サービスを改善するようになる。普通のお客さんと同じように顧客として考えるようになる。そういう競争刺激を補助金の分野でも与えることができるだろう。これは医療についても教育についても可能であろう。  教育についてはいろいろ議論がありますが、例えばよく言われている教育のクーポン制度というような形によって世帯の方に補助金を与えてやって、そして世帯の方が学校を選べるようにする。そうしますと、今のように公立学校に対して年間百万円ぐらいの補助金を支払っているわけでありますけれども、それを利用者の方に、世帯の方に渡してやれば、低所得者であっても私立の学校に行くことができる、選択ができるようになる。それによって学校間の競争もできるようになる。そういう形での福祉の分野における競争の導入ということが可能ではないだろうか。それによって効率化を図っていけば、福祉についての資金も少なくしながら、かつ福祉の水準を高めていくということができるというふうに考えるわけです。  実は、スウェーデンが今大変規制緩和を進めておりまして、スウェーデンという国は、御承知のように高福祉高負担の国というふうに言われているわけですけれども、スウェーデンが今非常に変わりつつある。なるべく負担を少なくしながらサービスの改善を行っていって福祉を充実していこうと。その中の一つの方法として、規制緩和、競争ということをいろんな分野で取り入れているわけです。タクシーなんかについても、今申し上げたクーポン制度のようなものを取り入れて、どのタクシー会社にも使えるような形を導入しているわけですが、そういう形での効率化ということが図れるでしょうということであります。  それから、二つ目の首都圏一極集中の話です。  公共投資、社会資本投資を効率優先という形でやっていくと地方部に対する投資がおざなりになってしまうでしょうという反論が当然出てくる。かつ、首都圏に対して投資をどんどんやればむしろ首都圏の一極集中が進むんではないかという批判があるだろう。それに対して私はこう思いますということを申し上げたいんですが、首都圏の社会資本の投資というのがこれまでずっとおくれてきたわけです。なぜそうなったかというのは、全国的な社会資本投資を重点に置いてきたからであります。ある意味では、これは国土の有効な利用という点では必要であった措置であると私は考えます。  しかし、今これから考えていくときに、ほぼ全国的な規模での社会資本の投資、例えば新幹線だとか高速道路だとか空港だとか、そういったものについてはある程度の水準に達している。これ以上地方優先の形で投資を行っていった場合に、だれがその資金を負担するのか。今までの制度というのは、すべてプール制で採算分野の利用者が負担するという形になっています。この負担の程度がかなり限界に来ている。東名、名神の利用者が反乱を起こして高速道路のプール制について反対をするというふうな行動を起こすぐらいにもなっている。そういう負担の不公平という点でも、これまで投資のおくれていた大都市圏に対する投資をもう少し優先すべきである。  それだけではございませんで、首都圏に対する投資がおくれるということは、先ほど富田さんがおっしゃいました、これから日本が依存していかなければいけない先端的な産業、それが首都圏から抜け出ていくということです。すなわち、首都圏に対する投資をおくらせて首都圏のビジネスコストが高まれば、決して地方には分散しません。そういった企業が地方に分散してくれればこれは地方分散になります。例えば金融産業、情報産業、そういった産業は地方都市に行くのではなくて、むしろソウルに行ったりシンガポールに行ったり香港に行ったりする。結局、外国のアジアのほかの都市との間の都市間競争に負けてしまう。これは港もそうです。空港もそうです。空港についてはもう申し上げるまでもないと思います。  港については先ほど少し申し上げましたが、今五大港と呼ばれる日本の大きな港、ここのコストが非常に高くなっている。運送の効率が悪い。日曜には日本の港では営業をやりません、荷役をやりません。そうしますと、そういった拠点港を日本に選ばないで、韓国だとかあるいは香港に選んで、そこを拠点港にして日本の最終消費地へ直接持ってくるという動きが出てきている。  そうなりますと、結局のところ日本がアジアとの競争に負けてしまう。先ほど富田さんがおっしゃった製品によるアジアの国との競争に負けてしまうだけではなくて、都市間競争に負けてしまう。これに勝つためには、やはり一番のエースである首都圏に対して投資を行うことによって首都圏のビジネスコストを下げる、生活コストを下げるということをやっていかなければいけないと思います。  三つ目でありますけれども、これも御批判を覚悟で申し上げます。  亀井大臣の発言でありますが、亀井大臣の発言のポイントは二つある。一つは、運輸産業が非常に規制の強い産業であるということを反映している発言である。これは、例えば通産大臣が百貨店に対して、百貨店にも契約の社員というのがたくさんいるわけですけれども、例えば小田急デパートに対して通産大臣が契約制の社員をやめろというようなことは言わないわけです。運輸大臣は言うわけです。これは、私は運輸大臣は言っていいんだと思います、今の制度のもとでは。すなわち、運輸産業というのは政府の規制が非常に厳しい分野ですから、それを前提とすれば運輸大臣はそれを発言する権限は当然あると思います。しかし、運輸産業における規制の強さということ自体が問題である、それがロッキード事件を引き起こしてきたんだと私は思っています。そういう点で、亀井大臣が発言をしたということ自体については制度上問題はないけれども、その制度そのものが私は問題であるというのが一つであります。  それからもう一つは、亀井大臣は最初は安全の問題で契約制スチュワーデスを批判したわけでありますけれども、その後で雇用の問題で批判をしております。すなわち、契約制のスチュワーデスというのは乙女の夢をうまく利用して、安く人を雇うものであるという発言をされております。私は、これは日本の航空会社が置かれている、あるいは日本の航空会社だけではなくて日本の産業が置かれている国際的な状況を理解していない発言だというふうに考えます。国際競争という場にさらされて、ほかの産業ではどんどんと効率の改善のためのいろいろな努力がなされているわけであります。ところが、航空産業というのは長い間政府の保護があったがためにそれがおくれていた。しかし、国際競争がある分野では日本で幾ら規制を強化しても、日本が幾ら日本の航空会社を保護しようとしてもそれには限界がある。必ず国際競争ということによって日本の航空会社はおくれをとってしまうわけです。それにようやく日本の航空会社が気がついて構造改善をやろうとしている、それに対して水を差す発言であるということが一つであります。  もう一点は、日本の終身雇用制、雇用関係が国際競争の中で次第に崩れつつある。航空産業はむしろおくれているのであって、ほかの産業では先ほど申し上げましたようにどんどん実態的には進んでいるわけです。ところが、航空産業は規制が強いから大臣が出てきてそういう発言ができるような状況にある。せっかく規制が少しずつ緩められつつあって、航空会社がそれに対応して競争力をつけようとしているときに、そういう形で雇用制度について時代おくれの形の発言をするということは、むしろ産業構造の改善にマイナスになるというふうに私は考えます。  以上です。

大脇雅子日本社会党・護憲民主連合

○大脇雅子君 中条先生にちょっとお尋ねをしたいんですが、競争対応、特に国際競争対応に向けて労働慣行の改革が必要だとおっしゃるわけですが、我が国ではコスト、とりわけ人件費の効率化に向けまして多様な雇用形態が進行いたしまして、パートタイム労働者だとか派遣だとかアルバイトだとか、あるいは外国人労働者などの周辺労働力が非常に低賃金で雇用されているわけです。  それから、正社員に関しましても労働時間の弾力化がかなり進みまして、残業も含めて長時間労働というふうな形になり、過労死も問題になっている。さらに、配転や出向については非常にフレキシブルになっている。そういうかなりスリムになりつつある中で労働慣行の改革と言われる場合、具体的にこれはどういうイメージでとらえたらいいのかということです。とりわけ終身雇用制の見直しについては私も賛成するところでありますが、国際競争対応というところについてのとらえ方をお尋ねしたいと思います。  続いて、富田先生にお尋ねしたいのは、私も配転、出向による雇用調整というものがもはや限界に近づきつつあるという認識においては同じように持つものでございますけれども、産業間、企業間の労働移動を阻害しないような諸制度といった場合に、これは例えばどんな制度であるのでしょうか。  こういう産業構造の変化の中で、人的資本への投資というのは必要なんですが、企業がいわば系列化しているために、大企業、中小企業の労働条件格差というものは物すごく開きつつありまして、今やその格差というのは一九六〇年代のアメリカにおける白人と黒人の差に匹敵するというようにまで言われている現状があるわけですが、こういう格差の広がりと、それから労働が移動していく中で、労働者の今まで持っていた労働条件の権利というようなものがだんだん崩されていくということについてどのようにお考えかということをお聞きしたいと思います。  それから、本間先生に関しましては、日本ではNGOへの政府の資金援助というものが非常に少なくて、したがってNGOが全く育たないという状況にあると思います。今NGO、NGOと言われまして、いわゆる政府の推奨するNGOへだけの資金援助というのがなされて、本来の草の根のNGOというのが結局のところ育っていない。おっしゃるように、このNGOを本当に育てないと、いわゆる閉鎖的な社会へ向けて日本社会というのは流れていく。社会を活性化し、そして本当に草の根で公正あるいは平等、公平といったような社会組織をつくっていくにはNGOの活動が不可欠だと思うんですが、そういう官庁側のといいますか、各省庁側のNGOに対する敵意みたいなものに対してどういうふうに考えたらいいのかということをちょっと教えていただきたいと思います。

富田俊基株式会社野村総合研究所政策研究センタ-長

○参考人(富田俊基君) 配転及び出向による調整というのはかなり限界に近づいているという、私も先生と同じ認識なんですけれども、これへの対応ということなんですが、一つは、これまでの雇用慣行でありますと、その企業あるいはその企業系列でしか通用しない技能が優先的に個々人に蓄積されてしまうOJTという訓練方法が主体になってきたと思うわけですけれども、より専門化した形で技能が蓄積できるような形に対応することが必要であろうというのがまず第一点でございます。  第二は、雇用保険についてなんですけれども、こうした状況ですと、やはり社会的により雇用保険の充実ということが大事かと思われます。調べてみますと、どうも雇用保険の加入者の数というのが現在三千三百万人しか入っていないということであります。一方、労働力調査によります就業者数というのが五千四百万人、常用雇用者数が四千万人でありまして、雇用保険の被保険者が三千三百万というのは過少であろうということであります。  同時に、先ほど一九六〇年代のアメリカの白人と黒人の差に匹敵するという極めて興味深い御指摘があったわけですけれども、雇用問題に対しましては、雇用保険の加入者層の拡大とともに、所得再分配機能を高めていくということも国民の選択肢としての一つの候補であろうと思います。それから雇用慣行といたしましては、やはりこれから中高年の労働力が極めて大きな意義を占めてまいりますので、なかなかやり直しのきかない中高齢者層に対しましての雇用調整あるいはその削減といったことにつきまして、若年層よりもそれをおくらせてと申しますか、最後に行っていくというふうな配慮も必要となってこようかと思います。  ただ全体といたしましては、雇用者が持っております生産性と賃金の関係というのが、これまでの長期をならして極めてバランスのとれていた形のものから、より短期的なバランスの方向に向かっていかざるを得ないだろう。そういう前提の中で、先ほど申しました雇用保険の対象者の拡大といった問題等が基本的な問題になってこようかと思います。

本間正明大阪大学大学院国際公共政策研究科教授

○参考人(本間正明君) 今、御質問のNGOと政府のかかわり方というのは非常に日本の場合にも問題になっておるわけでございまして、日本の場合にはいわゆる自社対立を機軸とする五五年体制ができ上がってきたという歴史的な背景の中で、NGOというものあるいは市民活動というものが、どちらかというと反体制的なる動きというぐあいにとらえられてきたという悲しい歴史的な事実があるのだろうと私は思います。その意味で、御指摘のとおりNGOと公共部門、政府との関係というのは、どちらかというとお互いが非難し合い、敵対視するというような状況の中でこれまで続いてきたというのが事実としてあろうかと思います。  しかしながら、過去においてそういうような部分があったかもわかりませんけれども、現在のNGOというのは非常に広い価値観に基づいて、自分の生きざまというものをどのように人生の中で具体化をしていくかという、そういう心の動きとしてNGOに取り組んでいらっしゃる方が非常にふえているということがございます。しかし、こういう志があって、それをサポートする支援体制とかお金の問題、人材の問題が準備されていない、こういうのが実際だろうと思います。  一方において、政府の側は、国際貢献とかさまざまな議論の高まりの中で、昨今予算面においても実は大分充実をしてきた。お金がついたから何かをやらなければならない、こういう精神構造というものができておりまして、NGOと政府の関係というのは非常に逆で、志があってお金がない者と、お金があって何かをしなければならない者、こういうはざまの中でコーディネーションがうまくいっていないというのが私は日本の悲劇であろうというぐあいに思っております。政府の側は、納税者に担保できるような行為だから我々が口を出すという形で、いわばNGOを下請化するような動きが高まっておりますし、そういうような状況の中で、本来的に効果的な活動をするためにはそのようなやり方はまずいという、そういう対立が生じてきているのだろうと思います。  私は、NGOと政府をつなぐシステムをどういうぐあいに構築するか、お金の面でも情報の面でも、そして支援体制の面でも、こういうことを考えていきませんと、日本がリオのサミットでゴールデンベイビーと言われたように、そういう悲劇というものは恐らく今後も繰り返されていくだろうと思いますので、このネットワークシステムというものをぜひ私はつくっていただきたいというぐあいに思っております。その点では私は官主導でいいのだろうと思います。

中条潮慶應義塾大学商学部教授

○参考人(中条潮君) 国際競争対応の労働慣行ということでありますけれども、今まさにおっしゃったような内容のことでありまして、要するに効率化をしていくために、実は産業自体は労働慣行でありますから、マーケットの圧力が変わってくれば自動的に私は対応していくんだと思います。  ただ、私が申し上げたかったのは、そういうふうに対応が進みつつあるところで、亀井大臣のような足を引っ張るようなことは言うべきでないというのが一点であります。  もう一つは、労働慣行というよりも労働力の規制の問題であって、私は効率化を進めていく中で外国人労働者の雇用というものについてもう少し柔軟に考えでいいのではないか。  せっかくスチュワーデスの話が出ましたのでスチュワーデスの話で申し上げますが、例えば、日本航空がなぜ契約制スチュワーデスを導入しようとしたのかという一つの理由は、国際線についてはコストダウンの一つの方法としてタイ人を初めとする外国人のスチュワーデスを導入しているわけです。これは国際線だから日本の労働の規制が及ばないからできるわけです。ところが、国内線ではタイ人のスチュワーデスは使えないわけです。そうすると、人件費を切り下げていくためにどうするかということで契約制スチュワーデスということが一つ出てきた。  ということは、これは二つのことを意味しているわけでありまして、一つは、外国人の雇用ということを国内においてもう少し柔軟にしてやれば効率の改善ということにつながるというのが一つ。もう一つは、契約制スチュワーデスが意味していることというのは、要するに人件費水準そのものが高いということであります。高いけれども全体の人件費水準を下げることができないから、便法として契約制スチュワーデスを導入したということであります。これは結局のところ、日本人の人件費の水準を下げていかざるを得ないということであって、それをやらなければ、普通の産業の場合だったら空洞化をしていく、どちらを選択するかという選択の問題になってくるわけです。これはかなり厳しい選択であります。しかし、そのどちらにせよ日本が沈没してしまったら労働者の権利もへったくれもないというのが私の考えてあります。  もう一つの選択肢というのは、実はこれは富田さんが先ほど挙げておられることで、ヨーロッパ型かアメリカ型かという選択があるわけです。賃金を高くしておいて雇用を少なくするか、あるいはアメリカ型の雇用に重点を置いて実質賃金は低くしておくかという選択があるわけです。私はヨーロッパ型の選択は日本にはなじまないというふうに考えます。  なぜかというのは、ヨーロッパの場合には蓄積がかなりあるということです。すなわち、実質賃金が非常に高くなって、そして経済が停滞してしまって国際競争に負けて、ある程度斜陽になってもヨーロッパは生きていく蓄積がかなりあるわけです。植民地時代の資産がかなり残っている。日本はそうではない。日本の場合にはやはりアメリカ型でいくしかないだろうというふうに考えます。

星野朋市新緑風会

○星野朋市君 主として富田さんにお伺いしたいんですけれども、日本のこれからのあるべき経済成長率というのはどのくらいとお考えですか。まずそれから、一点だけちょっと。

富田俊基株式会社野村総合研究所政策研究センタ-長

○参考人(富田俊基君) 労働力人口の伸びの鈍化ということもありまして、これまでのようにはいかないと思います。これまで四%というふうなことでやってまいりまして、また現在の生活大国五カ年計画もそうした見通しに立っているわけですけれども、労働力の鈍化ということを考えますと、潜在的に持てる力というのは三%台と申したいんですが、三%程度であろうというふうに思われます。マキシマムと申しますか、非常に難しい御質問です。

星野朋市新緑風会

○星野朋市君 けさも経済企画庁を中心にして私は質問したんですけれども、まだ政府は三・五%に固執しているわけですよ。それは、例えば生活大国五カ年計画、これでも前半の三年間は大変な低い状態。ところが、三・五%というくびきから逃れられないために、ようやく少し景気が上回ってきたのでこれから後で何とかと、おまえねえ、本当にあとバブル景気みたいなことを考えなくちゃ達成できないんじゃないかと、それよりも、実際無理だと思ったら計画というのは早く改めるべきだという私の持論なんです。  それで、一つには労働について申し上げますと、千八百時間の問題があって、三・五%成長していったら大変な生産性向上を遂げないとこれは達成できないと。労働省は、これも午前中に指摘したんですけれども、三%成長以下だとすれば、逆に今は労働余剰が起こってしまうという結果を今年になって発表したんです。  それからもう一つは資源配分の問題で、今のような状態でいわゆる成長、すなわち豊かさということからすると日本はどのくらいの資源を一年間に消費するか。これはおかしなことに、輸入金額、輸出金額というのはわかっているんですけれども、日本に一年間にどのくらいの重量トンが入ってきて、その一部は消費され、一部は燃料で燃やし、一部は加工して輸出していくと、日本国内にどのくらいのものが堆積しているかということを政府のどこも計算していない、恐るべき問題があるんです。既に九州では埋立地がなくなっていると。要するに、建物として残ったり、道路に使われたり、そういうものはいいんですけれども、残留物がどのくらいになっているかということ、これは地球資源の問題からいうと大変なことだと私は思っているわけです。  そこら辺の御見解はいかがですか。

富田俊基株式会社野村総合研究所政策研究センタ-長

○参考人(富田俊基君) 日本の潜在成長力ということで、先ほどは最大限三%だろうというふうに申し上げたんですが、私は実は、潜在成長力の議論も内外価格差の是正とか規制緩和によります競争促進といったことに、極めて密接にかかわっているというふうに考えます。  基本的に持てる力が発揮できるというのは、もうキャッチアップが終わったわけですので、見本がない中で企業が多数のアイデアを競争して出し合って、新しい産業をこれからつくっていくということにかかっております。それと同時に、内外価格差が残ったままですと、国内で行われるべき設備投資も海外に流出してしまうということが考えられます。そういたしますと、これから先の潜在成長力といったことも、これまでのさまざまな計算に基づく推定というのが極めて困難になってくるだろうということであります。  大胆に申し上げますと、私は規制緩和等が行われないと、やはり現在のようにゼロないし一%という成長が今世紀末まで続いてしまう、あるいはそうしたイメージを企業経営者も雇用者も現在抱かざるを得ないほど事態は明るくないというふうに思います。  では、三%がどうやったら可能かということなんですが、これはきょういろんな形でお話が出てきた点であるんですけれども、やはり企業の競争を促進することが大きな要因だと思います。また、社会資本整備にいたしましても、従来の方法で果たして新しい世紀が切り開かれるかということについてはどうも疑問が欠きゅうございます。例えば、予算書を繰ってみますと、漁港整備費が空港整備費を倍近く上回っている、こういうことで果たして新しい時代を国民は予感することができるかということについてやはり考えねばならないと思います。  このことも、従来の公共投資中心の社会資本整備であってはなかなか民間活力が出てこないというふうに考えるわけでございます。六百三十兆円という枠ができたわけですが、中身についてやはり民間企業の競争を促進するような、そしてまた個人の多様な価値観が実現できるような形により詳細に中身を検討する必要があろうかと思います。そういうものがなしにこれまでの方法でいきますと、やはり現在のような一%といった成長が続いてしまうんではないかというふうに考えます。  したがいまして、潜在成長率は幾らかという御質問なんですけれども、なかなか現状維持と申しますか、私がお話しさせていただきましたキァッチアップ型の経済の仕組みを維持したままですと、ゼロから一%といったところになってしまうんではないか。もうキァッチアップの終わった見本のない時代ですので、より企業の創意工夫が生かせるような形にして、もちろん労働力人口の伸びの鈍化とか労働時間の短縮といった要素があるわけですけれども、技術革新でもって何とか三%は可能であろうというふうに考えておる次第でございます。  あと、資源の問題という極めて重要な問題の御指摘があったんですけれども、私不勉強でして。

星野朋市新緑風会

○星野朋市君 もう一言だけ。済みません。  これから実は本題に入るわけでございまして、要するに国際化という問題の中に、これも午前中に私が指摘したんですけれども、日本の企業のホワイトカラーを含めた競争力というのは欧米に比して決して高くない。日経連が調査したのでは七〇台から八〇%台なんです。経営者は、企業の国際化ということから考えれば、経営上同じ競争力を持たなくちゃならないとすれば、ホワイトカラーを含めたリストラの問題というのはこれは当然のごとく出てくる。企業というのはそれぞれ赤字のまま倒産するわけにいきませんから、そういう半面がある。それから、内外価格差の問題からするともう限界企業は労働の流動化を図らなきゃならない。  そうすると、この両方から、今の日本の公的な発表である失業者三%というのは実質的にはもっと高いものになるんじゃないか。それから一方では、これに対して職業の訓練化とか、それから新産業であるとかにかなりの新規雇用が見込まれるということを政府は盛んに言ってますけれども、実際にはそのミスマッチがあるわけです。新産業というのをかなり楽観的に見ているわけです。一例を挙げればマルチメディアの問題でも、百二十三万人の雇用、二百四十六兆ですか、そういうことを言っているけれども、あれを詳細に中を調べてみますと、かなりダブりの部分があって、実際にはそんなにはいかないだろう、そう思うわけです。  それから、規制緩和の問題があっても、企業というのは個々には新しい産業、新しい分野、新しい利益を生み出すところがあるんだったら、多少の規制があったってそこら辺はくぐってみんなやっているわけです。ただ、免許事業はだめですよ。  一番いい例を挙げて言いますと、大型店舗の自由化という問題がありましたけれども、これはそれぞれその大型店舗を建設しようとする商圏の問題というのは十分調べられているんです。そして、そこの中でどのくらい購買可能な面積ができるかということを、大型店舗というのはみんな計算してやっているわけですよ。これで自由化ということになったらその購買力を超えて何軒も建つちゃいますから、要するに競争が起こって、それに敗れたところは閉店する。現に今、百貨店がそういう状態になっています。  だから、少しの規制があったとしても、そこに新しい利益を生むところがあるとすれば、企業は独自に相当やっているわけです。だから、規制緩和によって雇用が増大するというのも話半分と見なくちゃいけない。そうなると、片方では相当早目に流動化が起こって、それを吸収する時期というのはかなりおくれるということになります。  そうすると、そのミスマッチをどう調整するか。今企業は失業を表に出さないための最大の努力、これは社会的貢献の第一番目だと私は思っているわけです。それを守るために、これからの日本の労働行政のあり方は、そのミスマッチを埋める間はワークシェアリングをやるほかないと私は思っている。その議論をそろそろ起こして、これが社会的な認知を受けるようでないと実はこの問題が解決できない、こう思っているわけです。  ですから、日航のスチュワーデスの問題もその面から見れば、これはワークシェアリングの一つである、こう考えなくちゃならないと思うんですが、富田参考人、それからもしこれに関連があるんだったら中条さん、お答えいただきたい。

富田俊基株式会社野村総合研究所政策研究センタ-長

○参考人(富田俊基君) まず規制緩和の影響ということで、かなり懸念があるという御指摘であります。規制緩和ですべて何もかもうまくいくということでは決してないかと私も思います。しかしながら、短期的にミスマッチが生じましても長期的にはやはりプラス効果も出てくるだろうというふうに思います。  それはどういう理由がと申し上げますと、消費者にとってみますと、企業が競争した結果、かつてよりも安い値段で物を買うことができる。また同時に、かつてなかった商品が供給されるということで需要がふえてまいります。したがいまして、価格は下がるけれども、売り上げの量や種類がふえるということであります。  この効果がどれだけかということが大きな問題なんですが、アメリカの実証研究とか、日本でも部分的になされておりますけれども、値段が一%下がると一%売上数量がふえる。したがいまして、売上高は変わらないけれどもより量はふえるというのが平均的な考え方になっております。これは極めて見通しにかかわることでして、必ずそうなるかといえば保証はないわけですけれども、消費者から見れば、明らかにこれまで払ってもいいと思っていた値段よりも安く買えるわけですので、そのプラス効果は出てまいろうかと思います。  それから、規制があったら、企業はそれをかいくぐってでもビジネスチャンスがあればやるだろうという御指摘がございましたが、確かに企業にそうしたマインドがあればそれほど現在も困っていないかもしれないと思うんですが、やはりこれまでいろんな指摘がありますが、政・官・業もたれ合いという言葉がよく言われます。そういう中で、企業は自己責任原則に基づいて行動するということをなかなかしない。いろいろお伺いを立てるというビヘービアが定着しておるように私は思います。  そういうことで、やはり規制緩和を行うということと同時に、企業家にとっての自己責任原則、それから消費者にしましても、やはり何か問題が起こると、すぐ、こういうことは問題じゃないかということを担当の役所に申し出る。そうすると、政府はやはり全知全能が期待されているという期待感からいろいろと行政を行うということで、それがかえって規制を膨らませてしまうという結果になりますので、やはり企業もそれから消費者も自己責任原則にのっとって行動するということが規制緩和と同時に行われていくことが基本的に求められていると思います。そういうことがあって初めて規制緩和も効果をあらわし得るんではないか。  そういうことまで考えますと、効果が顕在化するのは少し時間がかかるかもしれません。しかしながら、これを行いませんと、我が国は、世界が冷戦の後市場経済化する中で、やや異質だという感はぬぐい得ないかというふうに思われます。  規制緩和によりまして雇用が中長期的には増大するだろう、その過程でのミスマッチをどう調整するかという指摘でございますが、これは先ほど申し上げましたが、産業構造の転換に伴います雇用の流動化を阻害する要因があるとすれば、それはやはり除去する方向で行かねばならないかと思います。  現在、雇用調整助成金というのが雇用対策として実施されておりますが、えてしてこれが産業構造の転換を阻害する方向に作用しないとも限りません。雇用調整助成金は、短期的な産業構造の変化に対します施策としては有効でありましょうが、それがどんどん延長化されますとかえって産業構造を硬直化させると申しますか、あるいは雇用者の移動を阻害する要因となりかねません。その意味におきましても、雇用者の再訓練、再教育の場を提供していくということが基本的な施策であろうというふうに考えます。

中条潮慶應義塾大学商学部教授

○参考人(中条潮君) 基本的に今の御指摘は、私は考えは同じであります。若干つけ加える点を申し上げます。  少しの規制があったとしても、企業がそれを乗り越えていくというのは、私は実はここのところ下からの規制緩和ということを提唱しておりまして、すなわち規制緩和というのは、上からやろうとしたって絶対うまくいかない。富田さんは産・官・政とおっしゃったんですが、私は産・官・政・労と四つだと思うんですけれども、これががっちり組み合わさっていればそんなうまくいくわけがない。  むしろ企業家が、ビジネスマンが自分で規制を壊していくということの方が大事なんだと。今まで実際に規制緩和の成功例だと言われているものというのはかなりそういう部分が多い。宅配便なんというのは私はそうだと思うんです。政府が規制緩和をやったのは、物流二法でつい最近のことであります。宅配便というのはその前から規制の網の目を縫うようにして、ヤマト運輸が規制にチャレンジしながらやってきたわけであります。そういう企業のバイタリティーというのを伸ばしていくという形で、下から規制緩和を進めていくということが必要であろう。そのためには、私は独禁法の運用の強化という形で、例えば化粧品会社が安売りをした小売店に対して出荷停止をするような、そういう行動をとらせないようなケースを含めて、独禁法の運用を強化していって、そういう下からの規制緩和を支援してやるという方が効果的であるというふうに考えております。  それから、ワークシェアリングの話ですが、別にこの調査会は参議院のスチュワーデス問題調査会じゃないんですけれども、せっかくスチュワーデスの話が出ましたので。ワークシェアリングという側面がある、私もそのとおりだと思います。契約制スチュワーデスというのは同一賃金、同一労働に反するんじゃないかという批判は、亀井大臣あるいはほかのあれこれのところでもありましたけれども、実はスチュワーデスだけじゃなくて地上の業務とかいろんなことをやるわけです。ですから、決して同一労働ではないんです。一緒にやるということによって効率化を図っているという側面が当然あるということと、先ほど申し上げたように、全体の賃金水準を下げるという両方の意味があるんだということで、全くその点では同じであります。  あともう一点、ミスマッチに対応する一つの方法というのは、国際間の労働力の流動化をもう少し考えてもいいという、先ほど申し上げたことです。さっきは、もう少し日本に入ってきてもいいじゃないかということを言ったわけですけれども、実はその先のことを考えると、日本から出ていくことも頭に入れておいた方がいいだろう。  すなわち、日本が将来、例えば周りの韓国なんかに追いつかれちゃって、そのときには韓国に働きに行かなきゃいけないということもあり得るわけです。つまり、日本で労働力が余るということは、相対的に日本の経済が沈滞化してしまうということです。相対的にアジアのほかの国の経済が成長する可能性がある、そういうときにそこへ働きに行く。あるいは、逆に今度は韓国の企業が日本に投資する、既にその動きが出ておりますけれども。  そういうような労働力の流動化というのを、何も外国人が日本へ入ってくるということだけじゃなくて、もう少し先のことを考えて、今度は日本人が外へ出ていかなきゃいけないときにもう少し柔軟にできるように、そのためにはある程度日本側も門戸を開放しておかなければいけないわけです。その覚悟をしておくということが必要だろう。それによって、これは短期的なということではありませんけれども、長期的なミスマッチに対する一つの対応策になり得るんじゃないかなと思います。

牛嶋正公明党・国民会議

○牛嶋正君 私は中条さんと富田さんに同じ問題をちょっと質問したいんです。  それは、中条さんが横並び、なれ合いの社会構造を御指摘になりました。私もそうだと思うんですが、それはそれなりのまたメリットもあったんではないか。その最も大きな点は、非常に安定した社会ということであったというふうに私は思います。これは日本型の雇用制度も同じことで、ですから、言うならば我々は安定性といいますか、セキュリティーといいますか、それを多少は不効率性でもって買っていたというふうに見てもいいんではないかというふうに思うわけです。  そこで、次に問題になりますのは、高齢社会をこれから二十一世紀に維持していくに当たって、従来の横並び、なれ合いの構造の方がいいのか、それとも徹底的に競争を進めていった方がいいのか。私自身そこのところの判断に非常に迷っておりまして、いろいろな議論をさせていただくときに。実際問題として我が国が初めてですね、人口的にいいますと一億二千万の大国が世界でも一番の高齢社会になるわけですから。初めての国づくりなんですけれども、そこのところで市場経済を経済体制の根底に置くことはもうみんな同意していると思いますけれども、今御議論があったように徹底的に効率化を進めていっていいのかどうかという、ここの点をお二人に感想で結構ですからお聞きしたいと思います。  それから本間先生には、先ほどいただきました表1の民間非営利セクターの分野別構成のところの分野を見ますと、かなり今地方自治体、特に市町村がこの分野を受け持っているわけです。御承知のように、自由時間がだんだん延びてきまして、住民の行政に対するニーズが、これまでのいわば生活必需時間とかあるいは労働時間と関連したニーズから、自由時間と関連したニーズが出てまいります。それに対して行政は、十分ではありませんけれども対応してきたと思うんです。  ですから、今までの基本的な行政サービスから、いわば選択的行政サービスにかなりウエートが移ってきて、これは自由時間に関連したニーズですから、行く行くはやっぱりそれぞれ各自が自主的に社会参加して、そしてそこで自由時間をもっと有意義に使っていくというふうにならなきゃいけないと思うんです。しかし日本の場合、非常に急激に自由時間がどどっと延長してきたものですから、それにまだ十分になれ切っていない。その間、市町村が割合がわりをやってきたという面があると思うんです。  そういう意味では、私は今過渡的な段階がなというふうに思うんですけれども、この議論を進めていくに当たりまして、今市町村が受け持っている役割というものをどういうふうに民間非営利セクターの方へ移していったらいいのかということは非常に大きな課題になってくると思うので、その点について何かお考えがありましたら教えていただきたいと思います。

中条潮慶應義塾大学商学部教授

○参考人(中条潮君) まず第一点目の、セキュリティーをある程度の非効率で買っていた。私はまさにそのとおりだと思いますし、これまではそれがむしろ望ましかったんだろう。選択の問題として、これからもそれでいくのか、それとも一回全部壊しちゃってやり直すかという話があって、私はやはりここで一回壊さなきゃだめだろう、壊した上で次に今度また安定ということを考えていいんじゃないか。そうじゃないと、全体の安定した構造がこのあたりのところの構造なのか、それともこのあたりのところの構造なのかという話があって、だから、もう少し効率的にしてからまた安定の話は考え直してもいいかなと。そのためには、一回壊してしまう必要があるのだろう。その壊すタイミングとして、私は今が一番いいだろうと。  それは一つは、円高で内外価格差が非常に広がっているということがあります。それから価格破壊という形で、マーケットの力でもって不況を背景にして自動的に壊れつつある部分がある。だから、それにくっついて公的な規制の方も壊していく、そういう形のことが必要であるだろう。これが、まず第一点です。  それから二つ目は、高齢化社会というときに、これはもちろん先生がおっしゃることと基本的に私も同じで、マーケットに依存する部分とどうしてもやっぱり支えていかざるを得ない部分とあると思うんです。私は一つ高齢化社会について認識として持っておく必要があるのは、高齢化社会で高齢者の比率がふえるという形で見ますけれども、実はその内容というのは今の状態とは大分違ってくる可能性がある。  というのは、今でもそうなんですけれども、高齢者、例えば六十五歳以上の老人という場合に、我々がまず高齢者というとすぐ寝たきり老人とかそういうのだけを思い浮かべるんですね。ところが、実は高齢者と呼ばれる中には、所得も普通程度あってそして体も大変元気だという方がたくさんいらっしゃるわけです。ちょっとその比率を今私は手元に持っていないんですが、この比率が二十一世紀になればもっとふえるということがあるわけです。私はそういう高齢者の方を元気老人と呼んでいるんですが、この元気老人の方々に対してすべて丸抱えの対応が必要なのかどうか。丸抱えの対応が必要な人たちにはもう少しマーケットメカニズムを活用していく、むしろ選択的に対応していいんではないかというふうに思うんです。

牛嶋正公明党・国民会議

○牛嶋正君 前期高齢者と後期高齢者と言いますね。七十五歳ですけれども、七十五歳以上を後期高齢者と言うならば、我が国の今の高齢化率は六%ぐらいになるんですよ。ですから、ちょうど高度成長が終わろうとしていた四十五年ぐらいのところに戻りますので、今おっしゃるとおり高齢者を区別していかなきゃいけない点も確かにあると思います。ありがとうございました。

富田俊基株式会社野村総合研究所政策研究センタ-長

○参考人(富田俊基君) 非常に基本的な問題を提起なさったというふうに私は思います。  私は、これまでがなれ合いであったかといえば、なれ合いにならざるを得なかったということがあると思います。なれ合いといっても、企業間には競争があった。ですけれども、その競争の対象が極めて限定されていたように思うんです。それはシェアを拡大するという競争に限定されざるを得ない。それはやはり規制だとか行政指導というものがとりわけ非製造業にありまして、企業は競争といってもさまざまな創意工夫を凝らして、消費者のために競争するというよりも、限定的なシェア争いにならざるを得なかったんではないか、そういう意味では競争があった。また終身雇用制ということも、やはり厳しい競争環境の中で企業としてそれを採用せざるを得なかったというふうに思います。そういう意味で、これまでも厳しい競争があったし、これからも続くであろうというふうに思います。  ただ、その競争は多様なアイデアを認めない競争ではなしに、多様なものを尊重しなければ、やや短絡的ですけれども、バブルで起こったような横並びでシェアを拡大するといったようなことに再びつながりかねないというふうに思います。したがいまして、量的な競争というよりも、より多様な競争ができるような形に規制を緩めていくと。また企業も、それだけだんだん成熟してきたというふうに思われますし、また個人も、決して保護しなければならないほど知識がないとかいうことではなしに、自己責任を全うできる多数の中間層が輩出している成熟した社会になったというふうに判断いたします。

本間正明大阪大学大学院国際公共政策研究科教授

○参考人(本間正明君) 牛嶋委員の方から御質問をいただきましたけれども、実は牛嶋委員は私の研究室の大先輩でございまして、先輩から御質問を受けるというのは何か合格答案を書けるかどうか非常に不安でございましてあれなんですが、お答えをさせていただきます。  地方がこれまでも極めて多様な生き方、あるいは自由で自主的でしかも選択できる生活という時代的な流れの中で、市町村というのは大きな役割を果たしているのではないかという御質問でございますけれども、私もそのとおりであろうと思っております。  ただしかし、日本の場合には依然として企業中心社会になっているということがございまして、労働移動というものが是か非かという問題が実は雇用の問題の背景にあって、動かないのがいいのか動いた方がいいのかというのが、恐らくこの委員会でも非常に潜在的に迷うところなんだろうと思います。しかしながら、このフィランソロピーの分野におきましても、動きにくい、自主的な活動がしにくい社会というのは、実は国際的に見ると立ちおくれる極めて大きな原因になっておりまして、その意味では、自主的で自分のライフサイクルに応じた生き方というものをやりたいという、もっと前向きな意味での移動というものが、恐らく今後は国際社会との制度的なコーディネーションとも絡んで私はますます起こってくる問題なんだろうと思います。  例を申し上げますと、終身雇用制で年功序列的賃金にしますと、日本は例えば、五年でやめて海外青年協力隊でやってみたいと、三年間行くとそこで切れてしまって、企業年金はだめだとか、それから賃金というのがそこでストップしてしまうとか、あるいはさらには将来退職金をもらうときには勤続年数でだめだとか、あるいは、退職金の税制の問題も二十年で優遇措置というものが与えられるけれども、それ以下はだめだと。みんな動くな動くな動くなという形でやってきているわけですね。  そういう動くな動くなということを今まで、牛嶋委員御指摘のとおり安定という形で、我々は生産性とかけ離れた価格というものをそういう部分につけて、いわば価格をつける社会保障というものを通じながら無理やり維持してきた。そのことが今内外価格差と問われ、実質的で豊かな生活をすることの妨げになっている。これはリーディングインダストリーがあり、経済成長が戦略的にできるような産業がある場合にはサステーナビリティー、維持可能なわけですけれども、これが国際収支、経常収支の黒字の中でなかなかできないということになれば中の移動を高めることによって生産性のギャップを埋め合わせて、価格と生産性がマッチするような産業構造に移動していくということが必須のステップになっていかざるを得ないということになるんだろうと私は思います。  国内的な質的向上というものをどういう形で進めるかということになれば、キャピタル、資本と労働のリシャッフルを通じて再構成をしていく。そこの中での過渡的な問題に対してどのように政策的に対応するかと、この資源配分の問題と分配の問題は峻別を私はずべき点であろうと思います。そういう意味で今後やっていかざるを得ないわけです。  そうしますと、フィランソロピーの分野で自主的で選択の部分というものは恐らく元気印の若者においても私は起こると思います。私どものように戦後の中で働き中毒というか団塊の世代前後の者というのは、まだモラルの面で日本型の経済システムを支えるという気がございますけれども、私があずかっている若い学生なんかを例にとりますと、そんな生き方はださいと、企業にずっと縛られるというのはいわば生活の糧なんであって、自分のライフステージに応じた生き方とは無関係だという価値観をとる方が非常にふえているということ。それから、女性においても、たさい忠臣社会の同志的な企業社会に対しては極めて批判的な女性がどんどんふえているということ。それから、退職をした元気印の高齢者の方がどんどんふえてきて、いわば企業社会に従属するパーセンテージというものがどんどん低くなっていく状況の中で、今まで日本の経済システムを支えてきた制度が旧態依然とし、それを温存するような形になっているということが、国際化の流れの中で制度的に非常に大きな問題になっていくだろうと。  そういうような観点で申しますと、いわば国が中心になり施策をするというようなことが、このようなトレンドの中では実は制約になる。地方分権、地方自治ということで住民とか市民の息吹というものをどういう形でくみ上げるシステムにしていくか。これがまさしく牛嶋委員が御指摘になった地方の時代において市町村がいかに役割を果たすかということに私はなるのだろうと思います。その点では、コミュニティーの再生ということをどういう形でやっていくかということで、主役はNPOでありますとかNGO。これ高齢化社会になりますとお金が物すごくかかります。しかし、そのことを行政にすべて任せていくということは、税金の面でも社会保障の問題でも全く不可能だと思います。  国際社会の中で、例えばイギリスを例にとりますと、医療の問題、ケアの問題というものもコミュニティーの中の人々をボランティアに組み込むことによってやる者が心豊かになって、参加型の社会を構築することによってお金の面では節約できるようなシステムというものをどういうぐあいに組み合わせていくか。これがいわばNPO、NGOの人々と地方、行政の人々の間のコーディネーションと計画化によって実行していくということに尽きるであろうというぐあいに思います。  その意味では、牛嶋委員御指摘のとおり、これからの問題意識としてはグローバルに考え、そして地域の中で活動をする、シンクグローバリー・アクトローカリーということが今後求められていく。その面では、市町村の役割というのはこれから非常に大きな位置づけが与えられるだろうというぐあいに私は思っております。

三重野栄子日本社会党・護憲民主連合

○会長(三重野栄子君) まだ御質疑もあろうかと存じますけれども、予定の時間ちょうどに御答弁いただきましたので、以上で参考人に対する質疑を終了いたします。  参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。  参考人の皆様には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。ただいまお述べいただきました御意見につきましては、今後の調査の参考にさせていただきたいと存じます。本調査会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  なお、本日、参考人から御提出いただきました参考資料のうち、発言内容把握のため必要と思われるものにつきましては、本日の会議録の末尾に掲載させていただきたいと存じますので、御了承いただきたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二分散会      ―――――・―――――

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