環境特別委員会 第3号
- 発言数
- 137 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1994/11/09
会議録
○委員長(篠崎年子君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたします。 これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
○南野知惠子君 おはようございます。自民党の南野知惠子でございます。 今日の環境問題は地球規模の問題から身近な問題まで極めて幅広いもので、日常の国民生活が安全で快適なものとなるように予算も労力も重点配分することが重要かつ必要と思われます。環境庁長官の業務範囲は、総理の業務範囲と同じく、広く全般にわたるものと思います。環境庁長官はさらに腕を振るわれることと確信いたしております。 環境問題で今日最も深刻なものの一つに廃棄物の処理問題がございます。環境庁では自然循環型の社会をつくることを目標としていると聞き及んでおり、リサイクルについても、ストックヤードの確保の問題や、また紙の面では古紙を原料に使った再生紙は新しい紙より高価で採算面で困難を伴うなど、さまざまな問題があるようでございます。環境庁としてリサイクルの最近の実情及び問題点をどう認識しておられるのか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(石坂匡身君) 廃棄物並びにそれに関連するリサイクルという問題は大変重要な問題であるというふうに認識をしております。廃棄物の増大に伴います環境への負荷というものを提言いたしまして一循環を基調とする持続的発展が可能な社会システムを実現していくということは御指摘のとおり大変大切なことであり、そのためにリサイクルの推進、これが大変有効な手段であるというふうに考えております。 この趣旨は、環境庁も長年この問題につきましてさまざまな角度から検討しておりまして、去る平成二年十一月のことでございますけれども、環境保全のための循環型社会システム検討会という環境庁の検討会での結論を一つ出してございます。この検討会では、循環型社会のための施策として五つの柱を提言いたしまして、そのために法制度の整備が必要である、こういう提言をしたわけでございます。 こうした提言を踏まえまして、平成三年に再生資源の利用の促進に関する法律、いわゆるリサイクル法でございますが、これが制定され、それから廃棄物の処理及び清掃に関する法律の改正というものが行われたわけでございます。 御案内とは思いますけれども、リサイクル法は、再生資源利用の促進のために主に事業者が講ずべき施策といたしまして、再生しやすい製品の製造、分別回収のための表示、再生資源の利用の促進、工場や建設現場で発生する副産品の利用の促進といったことを定めまして、それぞれ代表的な品目の指定も行っております。 それから、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の改正でございますが、こちらは、市町村による廃棄物の再生を促進いたしますために、市町村における分別収集、排出抑制等の推進を規定したものでございます。 こうした法律の改正によりまして、その後、御指摘の古紙あるいはスチール缶等のリサイクルの率というものは向上してまいっておりまして、例えば古紙でございますと、平成二年度が五一%でございましたリサイクル率は平成五年度では五三%になっております。それからガラスの破片でございますカレットでございますが、平成二年度は四七%でありましたものが平成五年度では五五%、スチール缶は平成二年が四四%でございましたものが平成五年は六一%、アルミ缶は平成二年が四二%でございましたものが平成五年は五七%ということで、リサイクル率も向上してきておりますし、国民の意識も高まってきているところであるというふうに思っております。 ただしかし、このリサイクルが進められます一方で、生産、消費の拡大やあるいは生活様式の多様化というものがございます。それによりまして廃棄物の排出量そのものが増加をしておりますし、またその多様化というものが進んできておりまして、また御指摘がございましたように、市町村が収集した廃棄物の再生資源業者による引き取りというものも必ずしも円滑ではないという指摘も行われているところでございます。 こうした問題を踏まえまして、今後リサイクルの一層の推進に向けてさまざまな努力をしていくことが大切であるというふうに考えておるところでございます。
○南野知惠子君 それで、今日の廃棄物の根源には、最終段階を考えずに多量の製品を生産し、またこれを多量に廃棄している社会のシステムがあるのではないかと思います。廃棄物の排出を有料化するとか、デポジット制度を取り入れるとか、またはメーカーの廃製品の引き取り、そういったものを義務づけるとか、さまざまな手法が考えられると思いますが、廃棄物の排出を減らしたりリサイクルに回すことを促す何らかの仕組みが必要ではないかと思われますが、いかがでしょうか。
○政府委員(石坂匡身君) おっしゃるように、今日の廃棄物問題というものを解決してまいりますためには、社会システムあるいは国民の行動様式というものにまでさかのぼった対応が必要ではないかというふうに考えておるわけでございまして、こうした考え方に立ちまして、環境庁といたしましても、平成四年以来、リサイクルのための経済的手法検討会というものを設けまして検討をしてまいりました。リサイクルのための経済的手法のあり方、デポジット制度等を含めまして、そうしたメニューを概観いたしまして定性的、定量的な検討を進めてまいりまして、四月に検討会の報告が出ておるわけでございます。 この報告の基本的な方向といたしましては、各市町村におきますところの廃棄物の排出量に応じたごみ処理手数料の徴収、つまりごみ処理の有料化ということを進めるということ、それから製品の製造、流通及び消費に応じて再生資源の回収利用のための費用が負担されるような仕組みの導入を図るべきではないかといった点が重要であるというふうに指摘をしておるわけでございます。 一方、こうした問題につきましては各省もさまざまな角度から関心を持って検討を進めておりまして、厚生省におきましては、生活環境審議会の専門委員会といいますものが、包装廃棄物に関する新しいリサイクルシステムの導入が適当ではないかという報告をしております。 これは、包装廃棄物につきまして、事業者がみずから製造販売した製品から生じるものについて一定の責任を分担することが必要じゃないか。具体的に申し上げますと、市町村が分別収集した包装廃棄物は、製造・販売業者による引き取りと可能な限りの再生利用、あるいはこれらのための費用負担、これを行うシステムの導入をすべきではないだろうか。その他の一般廃棄物については、従量制による処理手数料の徴収を推進すべきではないかといった報告を出しておるところでございます。環境庁の報告ともこれは方向性において軌を一にするものでございます。 関係各方面と連携を取りながら、適切なリサイクルのための仕組みづくりに向けまして積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○南野知惠子君 ただいまの御説明ありがとうございました。 廃棄物処理をさらに困難にしているもう一つの要因があるのではないかと思います。 廃棄物処理場の環境保全対策が国民の信用を得ていないことで、例えば最近ではシュレッダーダストについて規制の強化を行うなど部分的には見直しが行われてきていますが、廃棄物処理場の周辺の環境、そういったものの実態把握が十分でない。また、廃棄物の種類に応じた適正な処分の基準を再構築すべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(嶌田道夫君) 廃棄物の適正処理の推進を図る上で、廃棄物の処分を環境上適切なものとするということは極めて重要であると思っております。環境庁といたしましても、この観点から、これまでも最新の科学的知見の収集それから環境汚染の把握等に努めておりまして、必要に応じ廃棄物の最終処分に関します基準等を適切に改正、強化してきたところでございます。 具体的には、今、先生の方からもお話しありましたように、去る九月に、自動車等の破砕に伴って生じますいわゆるシュレッダーダストを安定型から管理型処分場で処分することを義務づけることを内容とします廃棄物処理法の政令改正を行ったところでございます。また、来年度からは、特に安定型最終処分場を対象とした環境汚染実態調査にも着手いたしまして、その結果を踏まえ現行の規制体系の再検討を進めることとしております。 環境庁といたしましては、こうした施策を通じまして最終処分場に係る環境汚染の防止を徹底いたしまして、最終処分場に対する国民の方々の信頼が得られますよう、引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
○南野知惠子君 そこで、話題を少し変えてみたいんですが、健康保護の面から、医療廃棄物処理問題についてでございます。 環境問題は、帰するところ人の命を大切にすることが基本であり、その一つのあらわれ方の問題だとも考えております。その点は医療の問題と共通するものがあり、ごみ対策、中でも医療廃棄物処理には健康保護、安全衛生教育など、特別な配慮が必要と思われます。これは広く環境問題であると同時に、また厚生省マターでもあると思われます。 昭和六十二年、ある大学におけるB型肝炎の院内感染死亡事故がきっかけとなり、感染性廃棄物の処理がにわかに社会問題化しました。また、昨年二月、毎日新聞の調査によれば、平成三年以降の三年間に発生した医療廃棄物不法投棄事件は六十二件に達しております。発見のきっかけが子供の注射器遊びだった例が多いとされております。さらに、本年七月十日放映のNHK高松の制作番組で「検証 医療廃棄物」においては、丸亀市の不法投棄事件を初め一般廃棄物の処理場に針や血のついている医療器具が発見され、この撤去をめぐって公害調停申請事件にまでなっていることを含めて報道されました。 医療廃棄物の不法投棄事件や医療廃棄物処理に伴う事故の現状をどのように把握されておられますでしょうか。また、その役とられた対策を含めお伺いいたします。
○説明員(木下正明君) 医療廃棄物のうち、感染のおそれのある廃棄物につきましては、先生のお話のとおり非常に社会問題化いたしましたので、平成三年十月に改正されました廃棄物の処理及び清掃に関する法律におきまして特別管理廃棄物に指定され、より厳しい処理基準が適用されることとなっております。また、感染性以外の医療廃棄物につきましても、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき適正な処理が課されているところでございます。 同法では、医療機関等排出事業者についてはその処理責任を有しておりますが、その処理を他人に委託する場合には、その適正処理に必要な二足の施設や能力を持つ者として都道府県知事の許可を受けた産業廃棄物処理業者や特別管理産業廃棄物処理業者に委託しなければならないというふうにされております。このほか、特に感染性廃棄物の処理委託につきましては、処理状況の管理についてマニフェストの使用が義務づけられているところでございます。 さらに、感染性廃棄物の適正処理確保の中核となります処理業者につきましては、先生の御指摘のとおりいろいろと不法投棄を行う事例もございますので、厚生省といたしましては、平成四年八月、感染性廃棄物処理マニュアルを策定いたしまして関係業者等の指導を行ってきたところでございますが、さらに、産業廃棄物処理業者の全国組織であります社団法人全国産業廃棄物連合会では、昨年度より会員を対象に医療廃棄物実務研修会を開催するとともに、平成六年八月、感染性廃棄物処理自主基準を策定し、また、その自己評価のためのチェックリストを作成するなど、自主的なレベルアップ活動を行っているところでございます。 厚生省としても、今後とも医療機関や地方公共団体の廃棄物部局とも連携をとりながら、処理業者におけるこうした取り組みに対し積極的に指導を行い、不法投棄がなくなり適正な処理が推進されていくように努めてまいりたい、このように考えております。
○南野知惠子君 ありがとうございました。 いろいろなレベルアップについてのことを考えてくださっており、また、各業者間または処理業者または医療関係、自治体、それぞれにわたってお考えになっておられることは大変必要なことでありますし、また、さらにそれをお進めいただきたいというふうに思っております。 また、一つ理由といたしましては、医療廃棄物業者のダンピング競争が指摘されておりますが、処理費用の適正化を図って、その裏づけとなるためにはどのようなことが行われるのが望ましいのでしょうか。また、厚生省はそのためどのような方策を出して指導しようとしておられるのか、お伺いしたいと思います。
○説明員(木下正明君) 先生のお話のとおり、一般的には、廃棄物の適正処理の前提としては適切な処理費用が確保されることが必要でございます。感染性廃棄物処理の分野におきましても、適正処理の確保のために処理費用の適正化が前提であり、処理業者におけるダンピングの防止が重要であろうかと思っております。また同時に、排出事業者におけるこうした点の御理解が必要でございます。 厚生省といたしましては、今後とも、関係者多うございますが、関係者間の連絡を密にいたしまして、適切な処理費用のもとに医療廃棄物の処理が円滑に行われるように努めてまいりたい、このように考えております。
○南野知惠子君 ありがとうございます。 処理費用につきましては、中医協の問題、いろいろなものが絡んでいると思います。一言つけ加えさせていただけるならば、中医協には看護職が入っておりませんので、やはりそのようなことも含めまして、教育全般にわたる問題が必要かというふうにも思っております。 さらに次に移りますが、医療廃棄物の処理従事者の事故ということは、特に自治体の廃棄物従事者において起こっていると言われております。医療廃棄物処理従事者の安全確保について、処理実務の現場では細心の注意が必要であるということは言うまでもないことですが、処理業者のみならず排出事業所、医療関係者の適切な協力も必要であり、また強化されなければならないと思います。それについては現在どのような対策を行っておられるのか、お伺いしたいと思います。
○説明員(木下正明君) 医療廃棄物の処理に伴いまして安全上の問題が生じますのは、主として収集運搬過程でございます。このため、厚生省では、平成三年十月の廃棄物処理法の改正及び平成四年八月に策定いたしました感染性廃棄物処理マニュアルに基づきまして、適正な容器の使用、適正な表示による危険の防止等、適切な方法での排出や収集運搬について、排出事業者あるいは収集運搬の作業従事者に対しましての指導を行ってきております。 また、こうした容器につきましては、その構造の一層の向上のために、廃棄物の処理業界、容器メーカー、医療関係者の御参加を得まして、検討を進めているところでございます。 今後、こうした成果を踏まえながら、さらに安全管理の徹底に努めてまいりたいと思います。
○南野知惠子君 ありがとうございます。 リサイクルや廃棄物の問題は、厚生省のほか各事業所管省庁など担当部局が多岐にまたがっておりますが、環境庁は、環境基本計画も踏まえながら、持続可能な社会が実現できるよう環境保全の観点から政府部内のリーダーシップをとって積極的に対応していただきたいと思いますが、長官の御所見をお伺いいたします。
○国務大臣(宮下創平君) 南野委員が冒頭に申されましたように、私どもの環境問題というのは我々の日常生活から始まりまして、その及ぼす影響は地球環境全体にわたっております。そういう中で、きょうは南野委員が主として廃棄物の問題について取り上げられたわけでございますが、これも我々の生活の中の問題として大変重視すべき領域であろうかと思います。 ただいままでの論議、いろいろ参考になる議論をさせていただいたわけでありますけれども、環境基本法におきましても、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築ということが基本理念として柱になってございます。そういう意味で、国としてもこの基本理念にのっとりましていろいろ施策を進めていかなければいかぬ、こう思っております。 特に、環境基本計画を今、中原審におきまして検討いただいておりまして、中間とりまとめをいろいろ議論させていただいておりますが、その中でもやっぱり、廃棄物の発生の抑制でありますとか、今議論のございましたリサイクルの推進、これもぜひ必要でございます。それから廃棄物の適正な処理の推進というようなことによりまして、経済的措置の活用も含めて我々としては検討すべきものだと思っておりますが、中間とりまとめにおきましてもそのような議論がなされておると承知いたしております。 環境庁としては、今御指摘のように、企画調整官庁といいますか、予算は少のうございますけれども、各省全般にわたる環境問題を統括しているわけでございますので、こうした使命の重大性にかんがみて、おっしゃられるとおり政府部内のリーダーシップを発揮してその実効性を上げていきたい、こう思っております。
○南野知惠子君 長官の御発言、頼もしく聞かせていただきました。よろしくお願いいたします。 生活排水の問題に移りますが、国民生活が環境に大きな影響を及ぼしているもう一つの例としまして生活排水がございます。東京湾でサンゴ礁が発見されたといううれしいニュースもございます。また、荒川に魚が戻ってきたなどの問題もございますが、全般的には従来より水質が改善された兆しというものも見えてきておるようでございますけれども、まだまだ満足できる状況ではございません。今や湾や湖の水質汚濁の主因は一般家庭から流されるいわゆる生活排水であり、その処理をいかに効率的、効果的に進めるかが水質汚濁防止のかぎとなっております。 そこで、東京湾と琵琶湖におきまして、その水質の状況と下水道の普及率はどうなっているのでしょうか、お尋ねいたします。
○政府委員(嶌田道夫君) 東京湾につきましては、現在十九の水域に分けまして水質の状況を把握してございます。 各水域におきます代表的な有機汚濁の指標でございますCODの値でございますが、平成四年度におきましては一・五ミリグラム・パー・リットルから四・一ミリグラム・パー・リットルの範囲内にありまして、環境基準の達成率は七四%となっております。近年、東京湾の水質はやや改善の傾向が見られるというような状況にございます。 東京湾沿岸の下水道の普及率でございますけれども、平成五年度末におきましては、埼玉県で五三・四%、千葉県で四四・六%、東京都区部では九八%、多摩地域では八三・六%、神奈川県では七九・四%となっておりまして、これらの四都県全部合わせました下水道の普及率は七二・九%となっております。 一方、琵琶湖の水質についてでございますが、CODで見ますと、平成五年度におきましては、北湖で二・六ミリグラム・パー・リットル、南湖で三・四ミリグラム・パー・リットルとなっておりまして、近年、琵琶湖の水質はほぼ横ばいで推移しているんじゃないかというふうに考えております。 また、平成五年度末におきます滋賀県の下水道の普及率は三六・一%となっております。
○南野知惠子君 それでは、水質汚濁防止などに基づく生活排水対策の基本的考え、また対策の進捗状況、そういったものはいかがなのか、もう一度お聞かせ願います。
○政府委員(嶌田道夫君) 公共用水域の水質汚濁の防止のためには、排水規制の強化徹底を図りますとともに、生活排水対策に積極的に取り組んでいくことか重要であると考えております。 このうち、生活排水対策といたしましては、下水道を初めとしました各種生活排水処理施設の整備を進めるということと、あと、例えば三角コーナーというのがございますが、ああいう三角コーナーの設置など家庭におきます発生源対策を進めることが不可欠ではないかというふうに考えております。 このために、水質汚濁防止法に基づきまして都道府県知事が生活排水対策重点地域を指定しまして、指定されました市町村が生活排水対策推進計画を策定する、その推進計画に基づきまして排水処理施設を整備する、それから台所対策等の普及啓発を推進するということをやっております。 環境庁といたしましては、関係省庁と協力しながら、生活排水処理施設の整備を推進しますとともに、国民一人一人が水環境に関心を持ち、各家庭におきます生活排水対策の一層の推進が図られますよう、家庭でできます雑排水対策を紹介いたしましたパンフレットを作成することや、地域住民の水環境保全活動を推進するフォーラムを開催する、それから、水生生物によります水質調査などを推進するということで、そのほかにあと、事業でございますが、生活排水で汚濁した水路を浄化する事業を推進するというようなことを現在行っているところでございます。
○南野知惠子君 最近の台所改善も大分進んできているようでございますが、今後すべての排水は処理をして流すということの発想に立ちまして、新規宅地造成においては生活排水処理というものを義務づけるなど、積極的な対策の推進を図るべきではないかというふうにも思っておりますが、そのようなお考えはあるのでしょうか。
○政府委員(嶌田道夫君) 現在、下水道が整備されていない地域におきましては、建築基準法でトイレの汚水の処理が義務づけられておりますものの、それ以外の台所等から出ます雑排水につきましては未処理で排出されていることが多いというような状況になっております。 このような地域におきまして、トイレの汚水とともに生活雑排水の処理を行います合併処理浄化槽の設置を義務づけることにつきましては、費用並びに財政の面からまた困難な問題が多いということも承知しております。しかしながら、現在、水質汚濁の発生源としまして生活排水の占める割合が大きいということを考えますと、下水道の整備がされていない地域におきましては、単独浄化槽にかえまして合併処理浄化槽の設置を促進するための施策を講ずることが必要であろうと考えております。 また、このことは昨年の十二月の中央環境審議会の答申におきましても指摘されているところでございまして、環境庁といたしましては、下水道の整備、合併処理浄化槽設置の促進のための施策につきまして関係省庁と連携をとりながら検討してまいりたいというふうに考えております。
○南野知惠子君 お金などの費用の問題もございますでしょうが、環境は国民すべての参加で行わなければならないというふうにも思っております。 生活排水処理の推進には、先ほども申されました合併処理浄化槽など施設、設備も重要でございますけれども、国民が水辺に関心と愛着を持ち、積極的に保全を図るような体制、それをつくることも重要と考えておりますので、環境庁長官の御決意をお聞かせいただければうれしいです。
○国務大臣(宮下創平君) 今いろいろ生活雑排水あるいはし尿処理の問題等議論されておりますが、私どもの生活環境が今大変いろいろな面で汚染をされておるということも事実でございまして、今まで水の問題といえば水の利用という側面に非常に重点が置かれたと存じますけれども、しかし考えてみますと、水と生物との関係、水と人間との関係、そういう意味で非常に密接な多様な関係を持っておるわけでございまして、大変重要な側面であろうと思っております。 そういう意味で、しかしこれは国だけでできる問題ではございませんで、それぞれ国民一人一人が今御指摘のような環境の重要性を認識をされまして、そしてそれぞれ住民や事業者が参加して保全、回復を図ることは重要な政策課題でございまして、そういった面で施策を推進していきたい。 それから、水と人との関係、今申しましたように重要な関係がございますが、いろいろこれを、単に環境浄化というだけでなくて、水と人間が親しめるような環境ですね、今、先生がおっしゃられたような愛着を持つというような構想に立って、もっともっと私どもの自然環境、水環境をよくしていくために努力していかなければいかぬ、このように決意しております。
○南野知惠子君 ありがとうございます。 次は、窒素酸化物の大気汚染問題についてでございますが、これらは国民の健康にとって極めて重要であります。この原因もまた特定企業ではなく広範な自動車の運行による部分というものがありまして、国民全体の自覚と強力な対策の推進が必要だと考えられます。 近年、特に問題が指摘されていますディーゼル車の窒素酸化物対策を推進するためには、規制値の強化は技術開発を待って発動するのではなく、段階的に強化していくことが重要であると思います。また、軽油の価格を上げるなど抜本的対策を講ずることも考えられますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(大澤進君) 御指摘のように、技術開発を待つだけでなく段階的に強化していくということ、私どもそのような考えから規制の強化を図っているところでございます。 環境庁では、中央公害対策審議会が平成元年に答申を示しておりますが、その中で、自動車排ガスの低減に係る長期目標を早期に達成すべく、学識経験者等から成る自動車排出ガス低減技術評価検討会、こういうものを設けまして長期目標の達成についての技術評価を実施してきたところでございまして、このほどこの技術評価の結果がまとまりまして、ディーゼル車につきましては重量車の一部を除き平成十年ごろまでに長期目標の達成のめどが立ちましたことから、今後関係省庁と連携しまして規制強化の手続に入ることとしております。また、残った一部の車種につきましては、できるだけ早期に長期目標の達成を図ってまいりたいと考えております。 また、軽油の価格の問題でございますが、これにつきましても、軽油とガソリンというのは価格の格差があるわけでございますが、従来より環境保全の観点から軽油とガソリンの税制格差の是正を求めてきておりまして、その結果、軽油取引税につきましては平成五年十二月、昨年の十二月から税額が一リットル当たり七円八十銭引き上げられまして、この結果税額の格差は従来の二十九円五十銭から二十一円七十銭に縮まったところでございます。しかしながら、なお格差があるわけでございますので、今後とも、道路整備五カ年計画の改正等の機会をとらえまして、関係省庁に税額格差の是正に働きかけてまいりたい、かように考えております。
○南野知惠子君 ありがとうございました。 でも、最近特にディーゼル車からの黒煙などの微粒子、それらに有害物質が含まれていると指摘されておりますが、今後どのような対策が講じられるのでしょうか。
○政府委員(大澤進君) ディーゼル車から排出されます黒煙等の微粒子につきましては、従来から黒煙そのものについて自動車単体規制を実施してきております。さらに、昨年からは、先ほど申しました平成元年の中央公害対策審議会の答申に示されました短期目標に基づきまして、ディーゼル車から排出される粒子状物質の規制を開始したところでございます。 また、長期目標につきましては、粒子状物質を短期目標から六割以上削減する、こういうことが答申の中で求められているわけでございますが、先月まとめられました技術評価の結果、重量車の一部を除き平成十年ころまでに長期目標を達成できる見通しが立ち、今後規制強化のための手続に入ることとしております。 環境庁としましては、これらの対策に加えまして、本年度から、粒子状物質、DEPにつきまして大気汚染や排出の実態把握についての調査を行うとともに、この粒子状物質の低減技術の開発促進等を図り、総合的な低減施策に取り組んでまいりたい、かように考えております。
○南野知惠子君 では最後に、環境教育のことについてでございます。 今日、学校での月二回の週休二日制がスケジュールに挙がってきておりますが、こうした機会を環境、福祉、生活マナーの習得などに積極的に活用すべきであると思いますが、学校教育のカリキュラムの中では、週休二日制に伴い道徳とか課外活動などが削減されがちであるということを耳にいたします。環境保全などの面からはむしろ逆行しているということを恐れております。 そこで、最近の環境問題は被害を受けるのもまた原因を引き起こすのも国民全体が主体になっている点に特徴があると思われます。環境教育や環境に対する研究の必要性がますます増大してきておるのではないかと考えます。 ペットボトル、これはネコよけボトルでしょうか、それの原因による出火の情報が伝えられたり、またけさの新聞には、厚生省、廃棄物研究財団からの朗報で、プラスチックごみの処理技術について、油化実用にめどがつき、その過程で生ずる塩化水素ガスの対策技術が開発されたという記事がございました。プラスチックは今まで不燃ごみとしての処理に本当に大きな悩みを持っておりましたが、それだけにうれしい情報でございます。ますます研究開発に力を入れてくださるとともに、我々国民のエチケットまたは義務としてプラスチック類の分別収集によるリサイクルシステムを守ることが大切だと思います。 国民の理解と参加を得ながら環境保全の実を上げるためにどのように対処をされるのか、省庁間を超えての体制づくりと、それに対する予算措置など、幅広い範囲でおかかわりと思いますが、長官の御決意をお伺いいたします。
○国務大臣(宮下創平君) 今御指摘のように、最近の環境問題は、国民一人一人が先生のおっしゃられたように加害者であると同時に被害者であるという側面は、これはもう生活公害として紛れもない事実だと思います。そういう意味で、環境に対する国民意識の向上を図って、それに基づく具体的な行動をとっていただくということは基本でなくちゃならぬと思います。そういう意味では、教育というのが非常に御指摘のように重要だと思います。 教育という面になりますと、学校教育それから社会教育の面を通じましてこれは重視していかなきゃなりませんが、特に学校教育では、今週休二日制のお話もございましたが、なるほど御指摘のように週休二日制というのは時代の趨勢でございます。学校においても将来そうなることは間違いございませんが、しかし、ただ子供を家庭にあるいは社会にほうりっ放しというわけにはまいりません。非常に貴重な教育期間でありますから、子供を連れて、特に今御指摘のような福祉の問題とかいろいろございますけれども、特に環境問題については、自然との触れ合い等を通じて、そして環境のありがたさとか貴重さとかとうとさというものを肌で感じてもらうような課外学習的な行動が例えば土曜日に行われるとか、あるいは生徒の自主的な判断でそういう行動計画が組まれるというようなことがあれば大変すばらしいことだと思っております。学習指導要領等につきましても環境教育についてかなり触れられておりますけれども、これらをさらに徹底していくということも必要でしょう。 それからもう一つは、ドイツあたりの学校での話を聞いておりますと、もう教科書は全部再生紙を使わなくちゃいけないというようになっているんですね。印刷技術が発達しておりますから、それを見ても何ら違和感がないというまでに、それはもう印刷技術、我が国でも同様だと存じます。そしてまた筆箱なんかも、今プラスチックの話ありましたが、そういうものは持ってこさせない。木箱、木製による筆箱しか使わせないというような、学校教育における教育それ自体に環境保全の意識が取り入れられて、組み込まれておるという状況もございますので、我が国でもこれからもっともっと、ドイツあたりは学校教育における先進国だと私は思っておりますが、そういう点も取り入れていきたい。そして、子供のころから我々の地球、環境を非常に大切なものとして扱っていく習慣をつけていくことは、これは一番基本だと存じます。 委員の御指摘のとおり、学校教育それからまた社会教育の場を通じていろいろな試みをやることは当然であります。 環境庁としては、来年の試みとして、子供たちを中心にしたエコクラブというのを十万大規模で、これは五千くらいでしたか、とにかく数多いグループを結成させて、そしてそういう自発的な取り組みへのインセンティブを与えたいと思っておりますが、委員の御指摘のとおり教育問題というのは大変重要でございますから、今後も意を尽くしていきたい、こう思っております。
○南野知惠子君 力強い御決意をいただきまして大変ありがたく思っております。これで質問を終わります。ありがとうございました。
○笠原潤一君 自民党の笠原潤一でございます。 ただいま南野先生の後を受けまして、環境行政に対して数点にわたって質問をしたいと思います。 ただいま宮下環境庁長官の御答弁を聞いておりまして大変私も意を強くしたわけでありますか、なかんずく特にドイツの教育等もお引きになりまして、かつて私どもは鉛筆とかすずりとかそういうもので小学校時代習ってきましたが、それも木の鉛筆ケースを使うとか、そういうことをおっしゃっておりまして、大変おもしろいと思いました。 実は私は今その御答弁を聞いておりまして思い出したのは、我が市で、御承知のように児童のための食器を何にするかということで大変に大きな問題になったことがあるんですよ。そのときに、プラスチック製品は公害を惹起するからといって随分反対がありましたけれども、メラミンですか、どこの学校もみんなそういうのを採用しておりましたから、岐阜市においてもそれを採用しようということで、それをやっておったんです。 今、大臣のお話を聞きまして、私どもの東濃地域というのは、昔は瀬戸物といったんですが今は美濃焼といいますけれども、美濃焼というと何か焼き物と間違えられますが、大変有名でありまして、日本国の約六割から七割の茶わんとか血とかを生産しているわけです。したがって、やっぱり今の子供たちは重いものを持たないわけですから、そしてそういう食器のありがたみを知りませんから、考えてみれば私は、陶磁器の本物の血とかそういうもので、これは割れたっていいと思うんですよ、割れるとそれがいかに大事であるかということもわかるわけですから、そういう点で物の教育の面でも大変効果があると思って、今、大臣のお話を聞いておりまして意を強くいたしました。今後とも環境教育行政につきましてはそういう意味で本当に自然を愛するような立場で推し進めていただきたい、私はそう思って、今答弁を聞きまして大変意を強くしたわけであります。 特に私は、これから御質問をさせていただきたいのは、平成七年度環境庁重点事項をおまとめになりまして、いずれもまた本当に時宜を得た当然のことであるし、なお一層これを推進していただきたい、こういうふうに思っています。 その中で特に4ですね、地球環境保全に向けた国際的取組の推進、非常にこれ大事なことであって、我が国といえどもいろいろ環境破壊をしていますからそう大きなことを言えたことじゃないと思いますけれども、しかしいずれにいたしましても、私は、ちょっと古い話になりますが、一九七六年ですから昭和五十一年に実はアマゾンへ行ったんです。 それは何の意味がといいますと、ちょっと前置きが長くなりますが、澤田美喜さんという方が、澤田廉三さんの奥さんですが、エリザベス・サンダース・ホームというものをおつくりになったんです。終戦後、今いろいろ問題になっていますが、日比混血児とかいろいろなことで。今また参議院の女性の先生方もフィリピンまで御調査に行っていただいています。これもありがたいことですけれども、当時日本は戦争に負けて、御承知のように混血児がたくさんふえてきたんです。澤田さんはそういう点で人道主義的な立場でエリザベス・サンダース・ホームをおつくりになったんですけれども、残念ながら日本の国はある意味では非常にそういうことに対する−混血児が劣等感を持ってはいけない、世界で差別のない国はブラジルしかないということで、トメアスヘこのエリザベス・サンダース・ホームを移転されたんです。 このトメアスというところは、御承知のようにピメンタというものを生産しておりまして、かつてこしょうは世界一の生産量を誇ったんです。昔ヨーロッパとアジアが戦争をしたのはなぜかといえば、特にいろんな植民地の争奪をやったのは、一つはこしょうでありまして、こしようというのは本当に西洋料理にとっては一番大事な香辛料、食卓にとって欠くべからざる一番の調味料だったわけですから。そういう点で香辛料を求めて英国もどこもかもインドのゴア、東南アジアあるいはそちらへみんな侵略、侵略というとこれも最近おかしい話ですが、宗主国はみんなそうやってきたわけです。それで植民地をどんどんつくっていきました。 こんな話は別といたしまして、そのトメアスで実はこしょうがたくさんとれたんですが、それは武藤山治さんという方がおられまして、非常にこれは立派な方で、この方がトメアスで実は移住地をおつくりになったんですよ。彼は岐阜県の出身で、偉大な方であります。そこへ澤田さんは目をつけてトメアスの移住地にエリザベス・サンダース・ホームをおつくりになったんだけれども、澤田さんは御承知のように三菱のお嬢さんですから、金銭感覚とかそういう感覚はありませんから、結果的には失敗してしまったんですよ。したがって、それをだれがかわったかというと、私どもの友人の県会議員の杉本という人がかわったんです。 そして、彼が私についてきてくれというものですから行ったんですよ。私はたまたまアメリカへ行って御承知のように牧場地を歩きましたから。彼はそこで、ピメンタではもうからぬからといって牧場をっくったわけです。最初三千ヘクタールぐらいを買ったんですが今や七千ヘクタールぐらいになりましたか、そして一万頭ぐらい牛を飼っています。そのときに私が行って、あなたこれは成功するよと言ったんです。なぜかといえば、牛というものは水と塩さえあれば必ずいいんです。きれいな水が流れておりましたから、その人は素人ですが、私が、あなたの牧場は間違いなく成功すると言ったら大変喜びました。牛には水と塩さえあればいいわけで、塩は買ってくれば幾らでもありますから。 そのときに私はアマゾンへベレンからずっと入っていったんですよ。何しろジャングル地帯、もう密林がうっそうと茂る、こう思っておったんですよ。そして、そのトメアスからずっとパラゴミナスというところまで行きました。そのときに、山形県から来た実習生連がそこでブラジルの方、女性と一緒になって牧場をつくっておりました。 びっくりしたのは、アマゾンが余りにも切り尽くされておったわけですよ。いや、これは密林どころじゃないな、こう思った。飛行機に乗りましても、結構あの森林地帯が伐採されておりました。御承知のように、アマゾンの木というのは太いんだけれども根が浅いものですから、切れば幾らでも開墾可能なんですよ。したがって、もう大牧場がどんどん出現する。ブラジル政府も当時、どこでも開発ブームでしたから、ちょっと今その名前は忘れましたが、SUDAMとかなんとか幾つかが、トランスアマゾニカもありますが、とにかくアマゾンを大開発しようということで大道路をつくりまして、そしてさらに地域のいろんな開発を世界銀行とかのいろんな金を借りてやったんですよ。 したがって何が起きたかというと、一九七五年、有名な暑い夏がヨーロッパを襲ったんです。御承知のようにテムズ川は干上がってしまう。セーヌ川も水がなくなってくる。ライン川は御承知のように船が航行不能になってきた。どういうことかというと、アマゾンの木を切り倒すものですから、結局、葉緑酸素とかそういう地球に異変が起こってきて、非常に暑い夏で水が枯渇していったものですから、当時ローマ・クラブで、いわゆるローマの賢人クラブをおつくりになって、いや、余り開発しちゃいけないぞと。同時に、アマゾンのジャングルを守ろう、密林を守ろうということが当時、一九七七年でしたか、提唱されて、そして今日世界的に森林保全とかそういうことが言い出されてきたわけです。 車ほどさように、いかに森林が果たす役割といいますか葉緑酸素の偉大さというか、地球の環境保全にいかに森林が役立つかということは、これはもう私が申すまでもなく大臣も最も御承知のところでありまして、そういう点で、森林保全のために、もちろん今アマゾンは、御承知のようにブラジルは何か法律をつくりまして、直径二十センチ以上、二メートル以上の木を伐採するときには必ず政府の許可を得なきゃならぬ、こういうことになってきたんです。 それで、一九九二年になぜリオデジャネイロで環境サミットが開かれたかというと、私は一番大きな問題はアマゾンにあったと思うんです。したがって世界の大統領、総理大臣、みんな集まってきましたけれども、残念ながら我が国は宮澤総理大臣はあのとき出席できなかったんです。本当に残念でありますが。本来ならばやっぱり出席して、世界の環境を守るために、地球環境を守らなきゃだめですから、そういう点で言えば、当然日本は国際国家でありますしODAにも随分金を出しているし、世界の環境保全のためには日本国があえて、本当にどんなことがあろうと、やっぱり主導権を握ってやるべきではなかろうか、こう思っております。 しかし、宮下環境庁長官は大変そういう点では非常にこの点に熱心にお取り組みであります。将来、地球環境保全のために、いろいろなこれから問題が起きてくると思うんですよ。あにアマゾンだけじゃないんです。熱帯雨林じゃない。むしろ反対に、これはちょっと話は長くなりますが、私は四十数回ぐらいアメリカ初め各地を往復しておりまして、特に私は若いときにアメリカのバーモント州の山の中で木を切っておったんです。威張るわけじゃありませんけれども、恐らく日本人でチェーンソーを使ったのは私が最初じゃないかと思うんですよ。御承知のように木を伐採するときは、日本だと、がんどうのこぎりという大きなのこぎりで木の根元を切るんですよ。当時は石幾らでしたから、今は立米ですけれども。だから根元を切って、いわゆるよきというかおので切って、それで伐採するんです。そうしないともったいないですからね。ところがアメリカへ行きますと、木をどんどん胸の辺で切るんですよ。だから白ろう病なんか起きっこありません、振動しませんから。そんなことを言うと、林野庁の方がおられますが、そういうことで、話が前後いたしましたが、あの白ろう病も大きな公害病の一つだったんですけれども、事は、日本人は下から切るものだから結局手に振動を与えるけれども、ここら辺から切れば大丈夫なんですよ。 それで、アメリカとかカナダはどんどん今木を切りまくっておるわけですね。日本へどんどん輸出しできますから、日本の林業農家はもう悲鳴を上げていますよ。話の前後はいたしますけれども、空の上から見まして、最近よくカナダも回ってきますが、余りにも木が少なくなっているんです。ナイアガラの辺なんというのは本当にもうほとんど開発されていますし、いつもワシントンあるいはニューヨークから飛行機に乗りますと、ナイアガラを通ってずっとカナダの森林地帯、それからアラスカを通って日本へ入ってくるんだけれども、もうカナダもアメリカも本当にかってのことを思ったら木が減ってきましたよ。そうかといって、これをいわゆるプランティング、植林するというのも余り向こうもおやりにならぬし、そして大体が何十年、何百年たった木ばかりですから、ヘムロックでもスプルースでも。木というのは恐らく最低でも、日本でよく雨が降るところは別としましても大体五、六、七十年か百年かかるんですから、成木にしようと思った場合。そうなったっていったら、あの偉大な森林帯がどんどん消えていく。何もアマゾンばかりではありません。さらにこれからシベリア開発になっていきますと、またこれもどんどん伐採していったら、これは地球環境が余計おかしくなると思うんです。そういう点からいって、今こそ本当に地球の環境保全のためにどうするかということが一番大事なことだと思うんです。 そういう点で、ひとつ大臣にこれから、もちろん環境庁長官として、さらに外務省あるいは日本の内閣としても本当に真剣にこの問題を取り組んでもらうことが、これから人間が生存していく上において一番大事なことだと思いますので、その辺、大臣にひとつ所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮下創平君) 大変私も参考になりました。 やはり、熱帯林に関して言えば、アマゾンは地球の肺だと言われておるくらい重要な地域でございます。先生の御指摘のとおりでございます。そして、これからの二十一世紀に向けての地球環境問題というのは、人口問題とともに最大の二大テーマじゃないか、そしてそれとの開発の調整の問題、そう思っております。 地球環境問題の重要性というのは、ブラジル・サミットにおきますリオ宣言でありますとかアジェンダ21に詳細に述べられていますし、今森林に関しても森林の声明が出されておるというようなことでございます。国境のない大気汚染の問題、あるいは酸性雨でありますとかオゾン層の破壊でありますとか、今申しました地球温暖化の問題でありますとか熱帯林の減少、あるいは砂漠化あるいは海洋汚染、限りなく我々の生存の基盤である地球が病める状況になっているとも言われております。こうした点について、我が国は四十年代高度成長のときに個別公害で大変悩みました。しかし、今は生活・都市型の公害と同時に地球環境問題が世界の関心の的になっていますから、これを先生おっしゃるように我が国のこれからの国際的な貢献の一つの大きな柱として位置づけするくらいのつもりで環境行政、地球環境の問題に取り組まさせていただきたいと思っております。
○笠原潤一君 今、大臣から大変力強いお話を聞きましてありがたく思っています。 実は、日米貿易問題で先般、河野外務大臣、橋本通産大臣、最終的にはいろいろなことがあったけれども、あのような形で一応は決着いたしておりますけれども、なおいろいろな問題も残っております。 私はかねてから、どうも日本とアメリカの間がぎすぎすし過ぎるし、日本政府もそうだけれども、ほとんどワシントンでいろんな交渉をなさるものですから、日米間に本当の意味での−例えば東京で話すといったって、これは地方の鹿児島もあれば北海道もといろいろありまして、日本国全体を東京が代表しているわけじゃなくて、どうも国会での論争というものは何か地域とかけ離れた論争も随分多いんです。アメリカだって同じことでありまして、ワシントンだけでやっていますから、どうも日米間のお互いの共通の認識とか相互理解というのは生まれないんじゃないか。それよりも、私はかってよく自民党の部会でもそうですしいろいろなところでお話し申し上げたのは、何といってもアメリカというのはユナイテッドステーツだから、州権が強いところですから、各州の代表が集まるところで話をしたり、日本の立場、いろいろな立場を話した方がいいんですよと。 実は米の問題で日米が長い間おやりになって、この前、米の問題で一応あれで決着いたしました、ミニマムアクセス、六年後には六十万トンを認めるということで。これがこれからいろいろなことがあって、また少しお話し申し上げますが、こんなことをしておったら日本の国はだめになってしまうんじゃないか。農業を破壊したらこれは本当に国家の存立が危うくなる。 これはアメリカでもそうですよ。私、一九五〇年代にアメリカへ行っておりまして、御承知のようにアメリカがなぜ景気がよかったかといえば、第二次世界大戦でヨーロッパのほとんどの地域が破壊されましたから、アメリカも南米もどんどん食糧の輸出をやったんですよ、史上空前の。とにかくアメリカの農家も南米の農家も本当の話が犬富豪になったり、大好況だったんです。それが十年たったらあっという間に農業は不況になってきた。それはそうでしょう、ヨーロッパが復興してきたものですからフランスだってドイツだってみんな農業に力を入れてきます。イギリスだって穀物自給がおかしいということで、かつては、一七〇〇年代ごろに荘園の領主とかあるいは大地主が、うんともうかるのは何かといったら羊だということで、洋服を着るものですから、だからどんどん農地を牧場に変えていってしまったんですよ。そのためにイギリスの農家というのはどんどん食糧自給は落ちてくる、穀物自給はなくなってくるということで大変だったけれども、戦後だんだんそれは見直されて、今イギリスは大体一〇〇%近くの穀物自給をするようになってきたわけです。 それはそういうことの結果でありますが、したがって、アメリカの方にしてみれば食糧の輸出ができませんから、結局アメリカは何をやったかといったら日本と同じように減反をやったんです一よ、一九五〇年代、新農法をつくって。そして農家に補助を与える。当時は、私はアメリカの実習生で行ったんだけれども、何をやっていたかといったら毎日毎日オークションに駆り出されたんです。それはどういうことかというと、農家がつぶれてきますから、農家のトラクターであるとか機械であるとか年とか、そういうものをみんな売るんですよ。それはオークションですがね。毎日毎日やって、大体四軒の農家がつぶれ一軒の農家になっていったんです。その一軒の農家が立ち直ったかというとそうではなくて、また日本と同じように、日本は今度いわゆる六兆百億円の御承知のようにWTO対策の農業対策をこれから政府もやっていただくことになっておりますが、アメリカだってそういうことをやっておりまして、農家はどんどんつぶれてしまって、残った農家が今度それでいいかといったらそうじゃなくて、大農法は全部だめになったんです、大農家は。みんな借金で苦しんでいるんですよ。これは何も日本ばかりじゃありません、世界じゅう全部そうなんですからね。 だから、これは農林省も考えてもらわなきゃならぬと私はいつも言っているんだけれども、国際競争力とかあんなことばかり言っていますけれども、農業だけは国際競争力でも何でもないんで、もう勝てっこない、日本農業は。それから同時に、大体農業というものを、例えば機械と同じように自動車と同じように、いわゆるそういう大量生産、マスプロダクションができると思うところに問題があるんですよ、そんなことは農業にはできっこないんですから。昔から田んぼ走るもあぜ走るも一緒という言葉がありましたが、どんな農法をやっても大体いわゆる米作の収穫というのは決まっているんです。 したがって、そういう点で言えば、アメリカの農家もだめになったしということで、ヨーロッパ農家がそういうふうになってきましたからアメリカ農業はだめになってくる。あるいは機械産業もそうですよ。今、日本は空洞化の問題で大変なんですけれども、これからもっとひどくなるでしょう。 それで、結果的にアメリカと本当に話をするためにはどこが一番いいか。これはやっぱり州の議員と話をするのがいい。私はかつて県会議員を二十年もやっていましたから、自分でひとり、アメリカのナショナル・コンファレンス・オブ・ステーツ・レジスレイチャーといってアメリカの州の議員会議が毎年、オクラホマのタルサであったり、ことしはニューオーリンズであったんです。私は外務省に行って、そこで話をしなさいと。日米間でやっている、新聞が騒いでいるいろんなことは、アメリカの田舎へ行ったらそんなことはだれも知らないことだし、米だってそうでしょう、カリフォルニアの一部でしかつくらないですよという話から、もう少しPRをしなさいと言つたら、外務省も乗り気になって、今度ニューオーリンズで——ニューオーリンズには世界じゅうの総領事館や公使館が二十二あるそうです。それで、初めて日本の外務省がこれを出したんですよ。(資料を示す)いろんなものを出したら、一番売れたのは何かといったらこれ、環境問題です。 ことほどさように、もう世界じゅうどこの、アメリカでもそうだけれども、アメリカの議員ほとんど全部、環境に物すごい力を入れているんですよ。ですから、私も今まではどちからというと環境というのはまあさほど思わなかったんですけれども、今や世界じゅうは環境に本当に重大な関心を持っているということですから、そういう点からいっても私はやっぱり国を挙げて本当に環境対策に取り組んでいくことが大事だと思うんで、その点は先ほど大臣のお話を聞きまして非常に安心いたしましたが。 そのことのように、アメリカでも各州において、南野先生も今お話しになったけれども、産業廃棄物を初め家庭廃棄物から、いろんな問題で大変困っているんですよ。特に、私は一九五〇年代に行ったときにもうアメリカの田舎へ行って、今でもそうですが、自動車のいわゆる乗り捨てられたものが山のように積まれてある。それはもう環境汚染の原因になっているんです。これは日本も同じようです。最近、日本の中山間地帯に行きますと本当に自動車が山積みになっていますね。これ、どうするんですか、本当に大変なことなんですよ。この汚染を早く取り除かないとだめだと思うんです。 そういう点で、産業廃棄物の処理の仕方についてはいろいろと政府も力を入れていらっしゃるけれども、これは政府だけの方じゃなくて、やっぱり民間もそういうこと、捨ててはいけないというような、昔のやっぱり物を大切にするような運動も環境教育の一環としてしなかったら、これはもう私は大変なことになると思うんです。 ですから、そういう点もあわせて見ながら、その点について南野先生と同じように、いろんな意味でのそういう国民的な合意を、今こそ環境教育以上に、そういうものの対策の国民周知といいますか、国民の理解というものをどういうふうにやられていくか、そういう点について大臣、ちょっと一言、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(宮下創平君) 委員の質問を承っておりまして、委員が非常に国際的な、特にアメリカにおける生活実感その他、国際的に実感に基づいてのいろいろの御意見、大変参考になりました。 幾つかの問題、たくさん御指摘がございますけれども、農業問題に限って言いますれば、農林業の持つ環境保全的な意味というのは極めて大きいものでございます。そして、これが地球環境と非常に関係が深いということも事実でございますから、ひとつそういう面で、世界的な視野で対応を考えていかなくちゃいかぬなと思います。 それから、我が国の環境行政をやる場合でも、世界がどうなっているかということを知ることは、委員のお話を聞いていて私も特にそういう感を深くいたします。そして、地球が実際どうなっているのかということに基づいてやらなくちゃいけない。それにはやっぱり確かに、外交交渉の一つとしてワシントンと東京ばかりでやっていてはいかぬという御指摘は私も同感です。これはやっぱり草の根の対話といいますか、グラス・ルーツ・ダイアローグですね、そういうものがどうしても必要ですし、そういうことが本当の理解を深めていくゆえんだと思います。 委員のさまざまな御指摘は、今後我々の環境行政についても大局的な判断をする場合に非常に参考になりますので、またよく参考にさせていただきたい、こう思っております。
○笠原潤一君 どうも大臣ありがとうございました。 それでは、特にWTOに関連して、今度六兆百億円政府が対策を練ってくださるということで、非常にありがたいことでありますが、今度の対策の中で、特に中山間地域の農業をどうするかということで、ほとんどの国会の先生方も御心配いただいております。私も同様でありまして、したがって、ここで今度の対策のいろんなものを見せていただいて、私は大変その点では同感の意を表しております。 しかし問題は、特にことし御承知のように異常な暑い夏に見舞われまして、本当に、これはヨーロッパを笑えませんけれども、野間先生の愛媛県なんかもまだ渇水であって大変だというお話を聞きました。昔、弘法大師が御承知のようにいわゆる幾つかのため池をおつくりになった、これは小学校の本で習ったんです。当時、四国の有名な水田対策といいますか、弘法大師は偉い人だなと思いましたが、しかし、それですらもことしは香川県、愛媛県を初め四国から九州、中国山地も大変でしたけれども、要は、どうしてこういうことになったかと言いますと、やっぱりそれはもちろん異常気象もありましょう。しかし、それ以上に水が枯渇するような原因を我々がつくっていたんじゃないだろうかということであります。 そこで、特に土地改良について、構造改善事業についてお尋ねしますと、これから中山間地帯、なお一層この構造改善を進めていただかなきゃならぬと思うんです。しかし、御承知のように日本の中山間というのは棚田でありまして、千枚田に象徴されるように、本当に自分が座ったら千枚田一枚どこいったなんて話も出るくらいですが、あれで徐々に間断なく水が下がっていきますし、それから、中山間の山と田んぼの近くには湿田がありまして、これは何も千枚田ばかりじゃありませんし、有名な例の日光の、群馬県のいわゆる湿原地帯ですね、そんなものは、まああれは代表的なものですけれども、もう無数に田舎にあるんですよ。そういうものも全部これは土地改良で、例えば構造改善でやってしまわれますと、結局水源極養するところがなくなってしまうんですね。 ですから、私はそういう点で、特にこれから水源涵養、湿田とか森林を守るためには、やっぱり思い切って環境庁がむしろそういうものを保全するようなところをどんどん事業費としてやっていただかなきゃならぬ。お聞きすると、何かことしは六十億円ぐらいしか公共事業対策がないということでありますが、やっぱり将来環境庁が、そういうような意味で、そういうところの自然を守りながら水源涵養していく、そういうことのためにある二足の事業費をやって、そういうものを取得しながら環境保全に役立ててもらう方法はないかと思っていますが、そういう点についてお聞きしたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(宮下創平君) 中山間地帯の環境とのかかわりにつきましては御指摘のとおりでございまして、我々はやっぱり、中山間地帯の例えは治水、今利水の面の御指摘がございましたが、水田の持つ保水能力あるいは治水的な機能、それから森林の持つ環境保全的な機能、特にこれは大気汚染と関係ありますCO2の吸収作用もございますし、そういった意味ではこういった地域に着目をして、そして国民がひとしくそういう中山間地帯あるいは農山村林の価値を共有できるようにしないと真の対策はできないと思うんです。 私は、中山間地帯のウルグアイ・ラウンド対策としても、単に多少お金をやるとか、そういうことでは解決できないので、やはり国民がそういう中山間地帯なり農林業の持つ価値観を認めて、都会の人たちも、水も供給してもらうんだ、あるいは自分たちの憩いの場所も提供してもらうんだという価値観を持ってこそ、そこに合理的な投資が、税の配分も可能になると思うんです。そういう意味でも、ひとつ頑張ってやっていかなくちゃいかぬと思っています。 ただ、土地改良について言えば、環境庁でそれはやるわけにはまいりません。環境庁は企画調整機能を持った総合官庁と私は位置づけておりますので、そういうことをリードして、例えば農林省が土地改良をやる場合でも、単に合理性だけでなくて環境保全的な役割を持つような事業をやってもらう。あるいは道路にしても、単にスピードアップできるような道路だけをつくるんじゃなくて、その周辺には樹木を植える、それから環境的な整備もやるということを義務づけていくような将来方向でないと、これからの保全はできないと思っております。
○笠原潤一君 大変、大臣の取り組みを私は評価しながら、本当に喜んで聞いておったわけであります。 例えば今、道路でもそうですし河川もそうですし、これは所管外ですから、特にこれ建設省の方に申し上げたいと思うくらいですけれども。大体、河川も最近ほとんど人工河川にしてしまったんですよ。もうほとんど自然河川はないと言ってもいいと思います。長良川も、自然河川と皆さんはおっしゃっていますけれども、これもほとんど人工河川に近くなってきたんですよ。かつては紆余曲折しながら川というものは流れておったんですけれども、みんな全部、川を一本化して、護岸はコンクリートで張る、直流河川にしてしまうということ。本来を言えば、河川の機能というものは、本当に自然のひだを走っていくんですから、川は流れていくんですから、そういう点からいえば、それを真っすぐに切ってしまうとか、流してしまうというようなことになってまいりまして、ほとんど人工的に近づいてきたわけですけれども、これからやっぱり何といいますか、そういう点も考え直さなきゃなりません。 川の持つ機能というものは非常に重大ですから、特に川は、汚水もみんな、ほとんど何でも川へ流せば、日本人というのはおかしなもので、水に流してしまおうというような感覚でしたから、何でもかんでも川に流してしまったのは過去ありますけれども、最近はようやくそれに気づいて、いや、それはいけないと、だんだんいろいろやってまいりました。そういうことも含めながら、河川機能というか、そういう水利の状況というものをやはりこれから大事にしていただきたいと思います。 さらに、日本の森林ですが、これは環境庁にお聞きするのはちょっとおかしな話ですけれども、どちらかというと日本の植林というのは今までは針葉樹が中心でした。そして、濶葉樹、広葉樹がどんどん減ってきたために保水能力が減ってきたとも言われています。 それで、最近これは非常に寂しい限りなのは、林野庁特に国有林が非常に御承知のように大きな赤字を出しましたために、これをリストラしなきゃならぬといって、いろんな意味で何といいますか、国有林の伐採をやったり売却したり、あるいは国有林そのものも売ってしまおう、こんなような計画が最近出てきたんです。これは一たん民間に渡されますと大変なことでありますから、そういう点ではやっぱり林野庁におかれましても、国有林の処分とか、それについてやはり少々国の方がお金を出しても、やっぱり国有林の持つ機能というものは重大でありますので、そういう点はひとつ環境庁としても林野庁とお話しになって、国有林の処分というものを余り軽挙にやってもらわないようにしないと日本全体の環境もおかしくなる、こう思いますので、その点はお願いをしておきます。 それから、実は私の地元、先ほどちょっと関連いたしましたけれども、長良川河口ぜきの問題です。 これは御承知のように、ようやく九九%ぐらいせきが完成してきました。そこで、今一番問題になっておるのは、この環境の問題をどうするかということでありますが、いろいろと賛否両論あって、私の方は、私は岐阜県ですから、御承知のようにあそこは水場地帯でありまして、約六十万人が生活しておるわけです。私もかつて水防団長をやっておりまして、あの水害の怖さというか、堤防の上を歩きますと、洪水のときはほとんど堤防が動くんです。したがって、建設省は絶対直轄河川は切れない、こう言って豪語しておったんですが、もろくもこの神話が岐阜県の安八郡で堤防が決壊して崩れてしまったんです。 それまではみんなどうしていたかといいますと、御承知のように濃尾平野の中小河川はほとんど、改修しないとは言いませんけれども、そこをいわゆる盆にしておきまして、そこに水をためまして、そして長良川本堤の破堤を防いでおったわけです。しかし、それでおってもなおかつあの水害で切れてしまったものですから、結果、これはどうするかといえば、もう長良川というのは御承知のように、明治時代につくった治水計画では大体四千トン流れるということになっていたんです。それが伊勢湾台風で八千トンも流れたものですから、結果的にどうすればいいかということになれば、もう川をしゅんせつして流す以外にないということになったんです。 それはいろいろと環境団体はおっしゃるけれども、もうあそこは新幹線も走り、名神も走る、道路もあってほとんど家も張りついていますし、もうあれ以上堤防を拡幅するといっても大変な金ですし、それはできっこないんです。したがって、どうすればいいかといえば、もうやっぱり河川のしゅんせつ以外にない。 あそこは御承知のように、薩摩義士を初め、薩摩藩の屋台骨がぐらついて、今でも薩摩の皆さん、鹿児島県の皆さんは大変今でも非常に——これは薩摩が貧乏したのは何かといえば、徳川幕府の命令によってあの木曽三川の治水をやったために、本当に莫大な借金をしたために平田靱負以下千何百名の方が本当にもう大変なことになったんです。あの悲惨な物語というのは、薩摩義士というのは−赤穂浪士というのはあれはいわば吉良上野介と浅野内匠頭とのいわば一種の私怨みたいなものですけれども、しかし、この薩摩義士の場合は違って、本当に国家のために木曽三川の分流をやったんです。そのために幕府の役人にいじめられて本当にたくさんの方が腹を切って亡くなったんです。 したがって、そういうことがあって、その後デ・レーケさんが来て初めての近代的治水事業をやって三川の分流をやったりしましたけれども、あそこは海抜ゼロメートルですからね。それは上がってくればもう必ず塩水が浸透するに決まっているんです、それは。私も根は農家ですから、例えば溝をさらえば下からずっと、田んぼの地下から浸透水が上がってきますよ。こんなものは当たり前の原理ですから、そういう点で言えば、やっぱり河口ぜきで塩水を遮断しなければこれは何ともならぬわけです。ですから、そういう点で言っても、いろいろ環境団体の反対もありますけれども、我々もそういうことで、沿岸の濃尾平野、特に高須輪中の水田を守らなきゃならぬし、洪水のためにあれは必要欠くべからざる、もう本当に必要な施設である。それはいろいろな環境、いろいろなことをおっしゃるかもわからぬけれども、何十万という人命が大事ですし、大変なことだからということでやってきたんです。 環境庁としても、その辺は歴代環境庁長官の中でいろいろな方があったんです、御意見が。名前は言いません。しかし、何もお知りにならずにウ飼いができないとかなんとか言って反対と言われる方もあるし、そうかといってやっぱり理解していただいて、これを理解した方もあります。そういう点で言えば環境庁も正しく理解していただいて、この問題だけはやはり環境保全を重視しながらも、なおかつこの沿岸の流域の人たちも守らなければなりませんので、その点環境庁としても、今後の一番残されたのはゲート締め切りの問題です。それについてどんなような県当局、建設省、水資源公団と話し合ってやっていかれるか、ちょっと最後にお聞きいたしたいと思います。
○政府委員(嶌田道夫君) 長良川河口ぜきの問題でございますけれども、河口ぜきの建設に伴いまして、今先生言われましたように環境に及ぼす影響への懸念というのもありましたものですから、平成二年十二月に環境に関します追加的な調査研究の実施を提案するという環境庁長官の見解を当時出しております。 この見解に沿いまして、平成三年度に建設省及び水資源開発公団におきまして、学識経験者の指導を得まして、また環境庁とも調整を十分とりまして追加的な調査を実施いたしました。その結果は、平成四年四月に公表されております。この調査結果は、河口ぜきにおきます水質や魚類の生息等への影響を予測しまして、その結果を踏まえた環境保全のための対策を明らかにする内容となっております。建設省及び水資源開発公団におきましては、この内容に沿いまして環境保全上の措置を講じておりまして、環境庁といたしましては、これらの対策の適切な実施によりまして環境保全上の著しい影響は避けられるものと考えております。
○委員長(篠崎年子君) 笠原君、時間がありませんので。
○笠原潤一君 時間が来ましたので、大変その点につきまして、環境庁の所見につきまして感謝をいたしております。ありがとうございました。
○萱野茂君 私が一昨年三月、社会党推薦によって比例代表区候補としてお誘いを受けたときに、私は本当に困ってしまいました。 そこで、三十年来、二風谷村村ぐるみでお世話になっていた、現在は官房長官であります五十嵐広三先生に相談に来たのであります。 「どうするべな、困ったな、おれなんか政治なんてわからぬもの」。すると五十嵐先生は「萱野さん、今さらあなたに政治家になれというのではなくて、今までやってきたこと、しゃべってきたこと、それを続けてくれということだよ」。それを聞いた私は、そういうことならやってみるかなと考えて決心したのであります。そして社会党推薦比例代表区二十五人の中で、十一番目が私でありました。私の後ろに十四人の社会党党員の方がおられたのであります。何十年も党のために忠誠を誓って働いてくださった方々よりも、私の方が前へ座らせてもらったわけであります。社会党の大英断に改めて感謝したいものであります。アイヌだけでは国会議員の議席を得ることはできない、そこへ社会党は、人権を大事にする、そういう意味で私をここへ呼んでくれたわけであります。 ここでアイヌ風に言うと次のような言い方になるわけであります。十行ほどでありますが、後ほどきちっと日本語に訳したいと思います。 ニシパウタラ カッケマクタラ シネイキンネ コンカミナ ネプクネワ ソモネヤッカ ニシパエウタラネ クキカネワ クコロウタリ ヨロイラウエ シペッテッパクノ クネプキルスイナ エンカオピュキワ ウンコレヤン 「紳士の皆様、淑女の皆様、御一同様にごあいさつを申し上げます。何者でもない私ではありますけれども、皆様の末席に座らせていただき、アイヌ民族の願いである新法制定に向けて力を注ぎます。先生方のお力添えのほどをお願い申し上げたいと思います。」ということです。 ところで、北海道からやってきた私自身のことにちょっと触れておきますけれども、北海道の地図を広げると、右下の方に襟裳岬があります。その襟裳岬から苫小牧の方へちょっと寄ったところに、北海道平取町というところ、そこで沙流川という川が流れています。それも昔はアイヌ語でつけられていたシシリムカという名前が沙流川というふうに変わったわけであります。 参考までに申し上げますが、北海道のアイヌ語地名は四万五千カ所から五万カ所あるわけであります。その上に今、日本人である北海道に住んでおられる五百七十万人の人が住んでいるわけであります。地名の出典あるいはその他については、必要であれば後ほど明らかにしたいと思います。 日本の国に国会が置かれたのは明治二十二年でありますから、北海道のアイヌは国会設置以来百五年を経て初めて国会での議席を得ることができました。アイヌである私がアイヌとして初めて議席をちょうだいし、そしてきよう、この場で当選後初めての質問の時間をいただいたことに対して深い感慨と感動を覚えているものであります。 さて、環境庁長官から極めて格調の高い所信表明がございました。所信表明の背景をなす思想は環境基本法の制定に至る認識が大宗をなしていると思いますし、また長官の所信表明の思想が環境行政の展開に生かされるならば、今後の環境行政の進展に大きな希望となるであろうと考えます。 そこで、私はかねてより、環境庁には崇高な理念なり哲学が存在するものの、どうもその崇高な理念を各省の施策なりあるいはまた環境行政なりに具体的に反映させるに当たっての、手法と申しましょうか力量と申しましょうか、そのようなものが十分に備わっていないのではないかとの感想を持っているものであります。もちろん、その背景には、環境庁自体が庁の設置当初から各省の寄り合い世帯であったということは多少理解をしています。しかし、そろそろ自立した一つの省として本領を発揮すべき時代ではないでしょうか。 そこで、就任後、長官が肌で感じられました環境庁なり環境行政についての率直な感想なり印象についてお聞かせいただければありがたいと思います。
○国務大臣(宮下創平君) まず冒頭に、今、萱野議員から当選についてのお話がございましたが、私も、このたび萱野議員がこの国会に席を初めてアイヌということで占められたことに対しては心から敬意を表し、今後の御活躍を期待申し上げたいと存じます。おめでとうございました。 さて、所信表明に関しての一般的な非常に大切な御質問でございます。 確かに環境行政というのは、先生のおっしゃるとおり、やはり理念とか哲学があるというように私も思っております。ほかの省庁のことを言うわけじゃございませんけれども、単にハードの仕事だけをただ遂行すればいいというようなことではなくて、人類の生存に関するような環境問題、今地球環境問題に幅を広げております。そういう意味では、非常に哲学的な理念的な問題を大切にしてそれをいかに具現化していくかということが非常に重要だと存じます。この点は委員と同感でございます。 ただ、環境庁という役所は昭和四十六年にできました。それまでは厚生省なり各省に分属をいたしましてそれぞれの環境行政をやってきたわけでございますが、委員も御承知のように、四十年代の高度成長と公害垂れ流しというようなことでどうしても独立した官庁が必要である、そして権限を持った官庁が必要であるということで環境庁が誕生したわけです。こういう新しい二十年余の官庁でございますから、まだまだ私から見ましても人員の面、組織機構その他においてこれから検討すべき点が多々あるかと存じます。 環境行政というのは、時代の変化とともに、特に地球環境問題にこれから対応していくためにはもっともっと充実した体制をとらなきゃいかぬと思っておりますが、しかし私が就任しまして三カ月の間感じたことは、いろいろの会議その他でも出席させていただいたり勉強もさせていただきましたが、環境庁という役所は一つは企画調整官庁であるということでございまして、これは各省に対するやはりリーダーシップを持って環境のこの理念を貫徹していきませんと、本当に絵にかいた官庁になってしまいます。 そういう意味では、ひとついろいろの手法を考えて、そして調整官庁として実を上げるような官庁にしていきたい。今の職員は非常に少のうございますけれども、私は、人員の要求よりもむしろ、今の方々が大変熱心に取り組んでいらっしゃいますから、この頭脳をもって、そして企画調整機能を十分に果たしていけばその目的は達し得られるものと思っておりますから、今、先生の非常に大所高所からの御指摘で、私も同感でございますから、そのような方向で努力をさせていただきたいと思っております。
○萱野茂君 ありがとうございました。頑張っていただきましょう。 ここでちょっと昔の話をしたいと思います。それはそんな古い話ではなくて、百五十年から二百年ほど前の話です。そのころの北海道、あの広い島に住んでいたのは全部私の先祖アイヌ民族でありました。 今から百年前、明治二十六年の帝国議会で、北海道土人保護法、現在も名前が変わって北海道旧土人保護法という名において現存している法律でありますが、この法案審議の議事録には次のように書かれています。 「彼等あいの人種」、アイヌとは書いてありません、「あいの」と書いてあります。「あいの人種ハ近古迄ハ北海道即チ日本ノ殆ト四分ノ一二当ル所ノ面積ヲ彼等自ラ占領致シテ、此北海道ノ大地ヲ以テ己レノ衣食ノ料二供シテ、己レノ生活ノ資ニ充テ、居ツタモノニ、疑ハゴザリマセヌことあります。ここではっきり、北海道はアイヌの国ですよということを日本の国会で言っているわけであります。 要するに、二百年ぐらい前の北海道のアイヌ民族は、領土という特別な意識もなく、またお金をためようとか物をたくさん残そうとか、そういう欲望もなく、和人の侵略を除けばとても静かに悠久の時を過ごしていたのであります。 アイヌはまた、固有の言語、固有の文化、独自の自然観を持っていました。それは人間自体が自然の中の一員であり、生態系の中の一つであると考えていたのであります。生活の究極の目的は、ネプアエルスイカ ネプアコンルスイカ ソモキノオカアン。これは、何を食べたいとも何を欲しいとも思わないで暮らしていた、つまり、食べ物さえあればほかに物は要らないという精神であったわけであります。ですから、アイヌが専有していたころの北海道、それはわずか百年か百五十年前のことでありますが、自然破壊、環境破壊は全くと言ってもよいくらいなかったのであります。 このようなアイヌの自然観については、昨年、環境庁が委託事業として実施した環境と文化に関する調査報告書でも記述されておりますので、長官もぜひ目を通しておいてください。私が書いた文章もここに引用されて載っています。 ところが、長官が所信表明で述べられましたように、人間の際限のない欲望、それは文明社会と言われているようでありますが、そのような文明社会が今日地球規模での環境悪化をもたらしました。そして、今後もまた地球環境の汚染、破壊が増加することが予測されます。 人間はどこまで経済の成長、すなわち物質的欲望を追い求めるのか、どこまで行き着けばその欲望は満足するのでしょうか。あるいはまた、経済の成長をとめられないとすれば、経済成長によって発生する環境悪化を未然に防止する知恵を生み出すことができるのかできないのか。文明の価値観への大きな岐路にあるのではないでしょうか。 そこで、長官は、所信表明で述べられた文明社会への警鐘を具体的にどのように生かそうとするのか。今後、政府の経済社会計画にどのように反映させようと考えておられるのでしょうか、伺っておきます。
○国務大臣(宮下創平君) 今、委員の御指摘の環境と文化に関する調査報告書、これは手元にございますが、アイヌの分かち合いということで、委員がおっしゃられたような点が述べられております。これは私も拝見をつぶさにいたしましたが、非常に環境の原点を示していると思うんです。委員がおっしゃられたように、人間は食べ物があればいいんだ、それ以上の欲望は要らないんだというようなこと、あるいはサケだって必要なだけとって自然をそのまま残しておこうというようなこと、それがアイヌの文化である、こういうことが民話にも残されているというような記述がございますね。要するに自然とのつき合い方の文化をひとつ取り戻さなきゃならぬということが書かれております。 こういった視点では、我々は文明社会に今生きているわけでございまして、自然的な原始社会とは違いますので、経済発展あるいは社会発展、あらゆる面で文化的な発展その他をなしておりますし、このことはやはり私どもの生き方をさらに高度化していく、そして本当の人間の幸せを探求するということで、今まで近代文明の歩みがあると思うのでございます。 しかしそれだけに、例えば産業経済的に見ますと大量生産、大量流通、大量消費あるいは大量廃棄というような経済社会を招来しました。このことは生活水準を高めましたが、一万それに伴う弊害、環境への負荷の問題等を発生させているわけでございまして、我々はやはりこういった文化、文明の進歩というものはこれからも追い続けなければなりません。 しかし、それは物質的なものだけでもいけない、やはり心の問題も必要であろうと思います。そして同時に、こういう経済社会の向上に伴いまして、我々がその弊害を除去する努力をしていかなくちゃいけない。これはあらゆる面でそれが行われないといけないと存じます。我々の身近な問題では、ただいままで南野委員からも御指摘があったように、廃棄物の処理問題から始まって地球環境問題をどうやって克服していくか、文明社会の発展と公害との調和をどうしていくかという問題が基本的にございますから、私どもはこれからもさらにさらに高度な文明社会を目指すべきでありましょう、しかし、それに伴う弊害も除去していく。そして、経済発展の中には環境への負荷の問題も織り込んで、例えば自動車一つつくるにしても、先ほどお話しのように古びた自動車が山積みにされるようじゃ困ります。製造者が廃棄物について責任を持つような体制というものがドイツあたりでも今検討されておりますが、一例でございますが、そういった点を含めて我々の生活のライフサイクルといいますか、産業構成といいますか、そういうものをすべて見直す時期に来ているような感じがいたします。 そんなことで、アイヌ文化の原点というものは、これは生き続けなきゃならない原点だと私は存じております。
○萱野茂君 アイヌ精神の一端を知ってもらったような気がして大変うれしゅうございます。 先ほどちょっとアイヌの文明観をお話ししましたが、環境問題を考えるとき、環境を壊してきた文明社会に学ぶだけではなく、後進国であるとか未開部族と言われてきた人たちの文明観に学ぶところがあるのではと私は考えているわけであります。 例えば、アイヌがサケをとる場合も、産卵前のものはその日に食べる分だけ川へ行ってとってきます。つまり自然の利息だけを食べて暮らそうと。今人口もふえていますから、そういう勝手なことはできませんけれども、日本にあってはアイヌの生活に学ぶことこそ生態系の重視であり、今流のリサイクルであると思いますが、長官の御感想をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮下創平君) 今先生御指摘の点は先ほども若干私は触れさせていただきましたけれども、やはりアイヌ文化というのは、今先生御指摘のように海や川から得られた食物を全部取り崩さないで他の生物の取り分を残しておくというような狩猟的慣習、これは大変私は温かいものがあると思います。そういう自然社会でずっと文化が育ってきておるわけでございまして、これは環境の原点ではないかなという感じもいたしております。 文明社会がどんどん進化してまいりますと、ややもすればそうした他への思いやりとか、人間も地球上の生物の一つとして共生じているわけでございますが、そういった意識を失われがちになる。人間だけが何か地球の支配者であるというような感じになっていきますと、これは環境の問題に非常に大きな悪い影響を与えると思います。やはり謙虚な気持ちで、我々は地球上の生物の一つである、地球があってこそあるいは健全な地球社会があってこそ我々の生存があるんだという原点をどうしても忘れてはいけないなと思います。それが環境の原点じゃないかなと思いまして、非常に先生の哲学的な御指摘は傾聴に値すると存じます。
○萱野茂君 傾聴に値する、大変いい言葉であります。それを長官お忘れなく今後の行政に生かしてください。 ところで、環境が大変憂慮されている中で、景気浮揚であるとか対米関係重視の中で公共投資が一層膨らんでいる現状があります。そこで、公共事業の多くは人間の生活にとって本当に必要でしょうか。緊急に必要であるというよりは景気の浮揚策であって、これこそむだ遣い、浪費であり、また環境悪化の原因とも言われていますが、このような経済のあり方、政府財政の執行について長官はどのようにお考えでしょうか。あわせてお伺いしておきます。
○国務大臣(宮下創平君) この点につきましては若干委員と見解を異にするわけでございます。 我々の社会は文明社会といいますか、文化豊かな社会にするための基盤をつくっていくことも重要な国の役割でございまして、こういった側面で国土を保全するとか、あるいは災害を防除していくとか、そしてまた豊かな農産物が供給されるような基盤整備をやるとか、そういった意味で公共投資の持つ意味というのは非常に大きいと思うんです。ただし、その公共投資の執行の仕方その他が非常に環境に負荷を及ぼしたりなんかしていくという事実もまた紛れもない事実でございます。そうした面で注意していかなけりゃいかぬ。 公共投資につきましては、公共投資基本計画を最近閣議決定いたしました。これは今後の平成七年度から十六年度までの十カ年間に六百三十兆円をやろうと。従来の計画は四百三十兆円でございました。それだけ量的にふやしていこうと。これはやっぱり、二十一世紀に高齢化社会を迎えますから、今稼得能力のある世代の多いときに公共投資というものをきちっとやって福祉社会を迎える基盤をつくりませんと手おくれになる可能性もございますから、そういった目的でこの計画がつくられているわけです。 したがって、委員の御指摘のように、一般的に公共投資が自然をつくり直したりする、つまり言いかえれば破壊するという側面だけでこれをとらえることはいかがか、この点はちょっと委員と意見を異にしております。ただしかし、環境に十分注意して、アセスメントの問題等もございますから、調和した形で執行が行われるようにしていかなければならぬ。 それから、現に公共投資でも、環境の問題の記述が非常に多くなってまいります。これは環境庁の意見もかなり入れられておりまして、経済計画におきましてもこの投資計画におきましてもそういう調和の問題というのが大きくクローズアップされて記述されていることも事実でございます。
○萱野茂君 次に、環境基本法に関連してお伺いします。 環境影響評価の制度化についてはこれまでも数え切れない議論が国会の場で続けられてきたことと思います。しかし、環境基本法が制定される一方で、いまだに環境影響評価制度についてはその法制化を見ていません。環境行政の面からは我が国は明らかに後進国ではないでしょうか。そしてまた、環境基本法は片肺飛行の感がなきにしもあらずであります。 長官は、関係方面と調査研究を行い、法制化を検討するとしておりますが、冒頭私が指摘したように、今こそ環境庁は、自立した省としてその本領を発揮し、経済界や他の省庁に気兼ねすることなく、本気でアセスメントの法制化を急ぐべきと思いますが、どのような検討が進められているのか、また法制化の見通しについて長官の御決意をお伺いします。
○国務大臣(宮下創平君) 環境影響評価につきましては、先ほど長良川の河口ぜきの話もございましたけれども、この環境アセスメントについては今法制化はされておりません。これは環境影響評価実施要綱ということで、閣議決定等に基づきまして、あるいは個別の判断に基づきましてこれを実施しているのが実情でございます。 そして、いろいろな問題も提起されているのもよく承知しておりますので、これからもやっぱり現行制度を適用して、しばらくきちっとやっていくということも必要でございましょうが、中環審、今度の環境基本計画の中間とりまとめにおきましてもこの問題にも触れられております。したがって、環境庁の中にもこの研究会等を設けて今検討しておりますので、法制化を含めてどうあるべきかということをひとつ大いに慎重に検討させていただいた上で結論を出していきたい、このように思っております。
○萱野茂君 アセスメントの法制化と関連して伺っておきます。 長官は制度の見直しについても触れられております。これは現在各省が使っています公共事業に係るアセスメント要綱の見直しであろうと思いますが、この見直しの場合、ぜひお願いしておきたいのであります。 現行の我が国の制度は御承知のように実施アセスと言われており、本来のアセスメントの趣旨からしますと、これまたちょっとおくれている制度ではないでしょうか。実施アセスと言われないように、つまり、アセスメントそのものをしたからそれでいいよという免罪符的な役割ではなく、ぜひ計画アセスとしての制度的見直しを御検討いただきたいと思います。 これまでの制度の運用をどのように総括しておられるのか、また、見直しの論点といいましょうか視点といいましょうか、そのような方向が定まっているのであればお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(石坂匡身君) このアセスのただいまのどういうふうな取り組みをしているかということにつきましては、ただいま大臣から御答弁申し上げたとおりでございますけれども、もう少し具体的にこれを申し上げますと、ことしの七月に環境影響評価制度総合研究会、加藤一郎先生を座長とした研究会を発足させておりまして、ここで国内それから外国の制度の実施状況等に関します総合的な調査研究を行っているところでございます。 現在、国レベルの環境影響評価制度につきまして、実際行っております関係省庁、たくさんの省庁がございます。どういうふうな実態でこれを行っているかということを順次ヒアリングをしておるところでございます。さらに、地方公共団体でもこのアセスをやっております、その状況、それから外国でもさまざまな形でアセスが行われております、そうした実施状況等の調査研究を行っておるところでございまして、それと同時に、この環境影響評価の技術、技術指標というものにつきましても、いわばレビューをこれから行ってまいりたいというふうに思っております。 今、先生、個別の計画アセスの点にお触れになりましたけれども、こうした総合研究会におきましてさまざまな角度から勉強いたしまして、それを分析いたしまして、その成果を踏まえまして、どういう方向で見直しを行っていくかというふうなことを検討してまいりたいと考えておる状況でございます。
○萱野茂君 次に、水産行政と環境の問題についても触れておきたいと思います。 私は、今、建設省が進めている北海道沙流郡平取町二風谷ダムについて、その土地の売り渡しを拒否して係争中であります。この際、私の立場を明確にしておきますが、この争いは、土地の値段が気に入らないとか、そういうことではありません。ダムの建設そのものに反対であるとかいって争っているわけでもありません。私の願いはたった一つ、まさに長官が所信表明で述べておられましたところの生態系の回復にあるのであります。 北海道では、そのほとんどの河川、百何十本かあるという川、その河川は水産庁なり漁業組合が行っておるところのサケ・マス増殖河川であります。私が住む二風谷を流れる沙流川は、総延長百二キロ、河口から二キロほどのところにやなが仕掛けてあります。ウライです。サケ・マスは一匹も上流に上っておりません。サケを主食として生きてきたアイヌである私、今サケをとる方法は、特別採捕の許可申請を出して、辛うじて北海道にいるアイヌ、登別アイヌがたった五匹であります。札幌アイヌ、一昨年までは二十匹でありました。ことしはちょっとふえたそうでありますが、その捕獲許可が出ること。これは、本当にアイヌにとってはこんな恐ろしい法律はないと思うほど恐ろしいことでありました。サケ・マスを主食として生きてきたアイヌ以外の動物、クマもシマフクロウも主食を失っているのが現状の水産行政であります。これこそ生態系を全く無視し、人間だけが生き残ろうとするわがままな行為と言わなければなりません。 北海道の横路知事は、このようなことを憂慮して、知床半島の二つの河川でクマやシマフクロウのえさの確保のために河川を開放しました。口の悪い私の友人はこう言いました。萱野さん、アイヌはシマフクロウ以下だよわ、アイヌも天然記念物に指定してもらって、自由にアキアジ、サケをとったらどうですか。これはおもしろい冗談ではありますけれども、本音ではないでしょうか。 アイヌはサケのことをシエぺと言います。シというのは本当に、工というのは食べる、ぺは物です。つまり、主食として暮らしていたわけであります。それを今から百年近く前に、北海道へ雪崩のように移住していった日本人は、まず何をやったかといえば、アイヌにサケをとることを禁じたのであります。主食を奪われました。今日本の国へよその国から、言葉も違う、文字も違う、風習も違う、そういう人が日本へ雪崩のように押し寄せてきて、お前たち、きょうから米食うな、米食ったら逮捕するぞ、そういう法律をつくって押しつけられたと同じ意味があるわけであります。 私は、今まで海外へ二十回、パスポートを必要とする旅をしました。行く先々で先住民族の方々と会ってお話を聞きました。侵略した白人と侵略されたその地域の人たちとの間に条約があります。北海道のアイヌと日本政府の間に条約のかけらもないわけであります。 そういう意味で、主食を奪われた悲しみというのは、私、昭和五、六年ですけれども、目の前から父親が逮捕されていったのを見た記憶があります。そういう意味で、この主食については、本当にぜひアイヌに返してほしい、そう考えております。 参考までに申し上げますが、北海道のサケの値段、今一匹幾らするでしょうか。先生方、長官、想像もっかないでしょう。一匹五円です。これは浜値段、つまり浜での取引の値段なんです。魚かすに炊かれているんです。それほどたくさん、余るほどとれている魚をアイヌが一匹とっても一晩お泊まりです。そういうことを考えると、このことについては、ぜひアイヌに、クマに、シマフクロウにえさを返してほしいと思うわけであります。 その意味で、どうか、自然と人間の共生を口先ばかりでなく本当に言うのであれば、このような生態系無視の水産行政を改めてほしいのであります。当面、全部とは言いませんが、幾つかの河川を指定して生態系の回復をさせることなどを考えるべきであり、水産庁はこの際、これまでのサケ・マス増殖計画を転換すべきと思いますが、御検討のお気持ちはないかどうか、お伺いしたいと思います。
○説明員(下村政雄君) 先生今御指摘のありました北海道におきまして、河川にはダム等の人工の構築物が多数設置されている現状にございます。サケが産卵のために河川に遡上しても、湧水のあります上流部分の産卵場に行き着くにはかなりな無理がある状況であるというふうに考えております。 サケ・マスの生理・生態上では、湧水のあります上流域において親魚を捕獲し、ふ化、放流することが望ましいというふうに我々考えておりますが、現実には河川の状況、人工ふ化を行う施設その他の状況の関係等で、多くは河口近くにやな、ウライを設置いたしまして親魚を捕獲し、湧水等のありますところで稚魚を育成し、各河川に放流している状況にございます。 北海道内におきます河川というのはおよそ千五百ほどあるというふうに認識しておりますが、現在サケ・マス親魚の捕獲河川、先生御指摘いただいた数字でございますが、現在百十七河川でございます。それ以外の河川では、サケ・マス増殖計画に基づきます捕獲のためのウライは設置しておりません。これらの河川におきましてはサケが天然産卵を行っているものもあろうかというふうに考えております。
○萱野茂君 ウライを設置していませんと言いました。これは、サケが上れない川だからウライを設置しないんですよ。サケが上る川は全部してあるんです。そのことを知っておられるでしょうか。
○説明員(下村政雄君) ただいま先生のおっしゃられたそのような大きな河川、サケが上りやすい河川というものにつきましては限られるということは、確かにただいまお話のありましたように、ダム等の人工河川物その他がかなり多数設置されておるということの認識はございます。 ただ、そういう意味では、先生おっしゃられたように、一部の河川ではそういうような天然のところができるような、先ほど先生みずからお話がありましたような河川ということで、我々といたしましても、そういうような河川ということにつきまして、どのような形でのものが必要であろうかということにつきましては、関係機関等と協議しつつ検討してまいりたいというふうには考えております。
○萱野茂君 検討しますという言葉をお忘れなく、ぜひ本気で検討してください。 次に、種の保存に関する法律との関連でお伺いします。 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律が昨年四月より施行されました。そこで、問題は、生息地域の環境保全に当たっての思想が確立しているかどうかであります。それは、ある一つの個体を守る、またある一つの個体の生息域を守るという従来の思想では、多様な生物生態系を守ることはできないのではないかということです。すなわち、特別天然記念物などの指定種、指定域を保存するというこれまでの発想が、佐渡のトキを絶滅に追いやったのではないでしょうか。佐渡の場合であれば島全体の農業をなくすることが必要であろうかと存じます。 今、私たちに求められている保全の思想は、絶滅のおそれのある希少な個体なり地域を守るという施策の根底に、もっと普遍的な意味での広範な環境を保全していこうとする思想がしっかりと確立していなければ、多様な生物生息域を保全することはできない状況になっているのではないかということであります。 そこで、具体的な指摘をしながら私なりの提案をします。 これまでの行政施策といえば、環境への配慮を最も欠いている一つに我が国の河川行政があります。もちろん私は、河川行政が持っている治水であるとか利水の必要性を全く否定するつもりはありません。しかし、生物の生息域、とりわけ鳥類や淡水魚の生息域を脅かしてきたのが河川改修の事業であるとかダムなどの公共事業であります。残念ながら、日本の環境保全の思想の中には自然河川を保全しようとの思想が全く欠落しているのであります。多様な生態系を守るとの視点からは、自然河川の保全こそ大切にすべき課題であります。 例を挙げると、私の近くの山、車で一時間ぐらい走ると、山という山はブルドーザーで削り取られて、そのブルドーザーの牙によって山にかぶっている木の根の網がずたずたに切られます。その年はいいんですが、二、三年して木の根の網が腐ったそのときには、何メートルも深く掘った道路の三角になった部分の土砂が沢へ流れ込みます。水晶のようにきれいな沢はあっという間に泥水になります。そうすると、今度は何をするかといえば、砂防ダムをつくるんです。砂防ダムをつくってもそこに急遽の一つあるわけではありません。そうしたあたりも一度ぜひ地元沙流川のあちこちの部分を見てほしいなと、そんなふうに考えております。 そこで、環境庁は、当面、全国の自然河川についてその実態を調査するとともに、残されている自然度などについての河川地図などをつくるべきと思いますが、いかがでしょうか。 また、建設省などの河川管理者は、既に改修が進んだ河川について、生態系の回復を図るとか改修工事に近自然工法を採用するだけでなく、積極的に自然河川の保全を図っていく、自然景観を保存していく施策に転換していくべきと思うが、いかがでしょうか。
○政府委員(奥村明雄君) 先生御指摘の河川の自然環境の実態把握でございますけれども、私どもとしては、自然環境保全法に基づきまして、国土の全体の自然環境の現況を把握するため、自然環境保全基礎調査を実施しております。 先生御指摘の河川につきましては、昭和五十四年度と昭和六十年度に、その一環といたしまして全国百十三の一級河川を対象といたしまして、河川の改変状況を把握するために、川岸、水際線の改変状況や工作物の存在状況、魚類の遡上の可能性などについて調査を行っているところでございます。また、平成四年度には二級河川を対象に調査を実施しておりまして、現在データの解析を行っている、こういう状況でございます。
○説明員(鈴木藤一郎君) お答えいたします。 河川は多種多様な生物の生息の場でございます。先生からもお話があったとおりでございます。治水・利水機能の確保と並びまして、河川の自然環境の保全は重要な課題であると私ども認識しております。このため、建設省では、河川水辺の国勢調査というのを平成二年度から全国的に大々的に実施しているところでございます。この中身は、点ですとか鳥ですとか植物などの生物の生息状況、あるいは河川空間の利用実態などの定期的、系列的な把握に努める、こういう趣旨で河川水辺の国勢調査というものをやっているわけでございます。 こうした調査結果等を踏まえますとともに、河川の持つ多様な環境の保全と創出に係る施策を総合的かつ計画的に実施する、こういう考え方で、基本的事項を定めました河川環境管理基本計画、これを水系ごとに定めております。この計画は、河川監理者の独断であってはいけないということで、地域の住民あるいは関係市町村、学識経験者、もちろん河川監理者も入っておりますが、こういった方々で構成されます協議会にお願いいたしまして策定しているところでございます。 そこで、こうした調査等基本的な計画に基づきまして、私ども、河川が本来有します豊かな自然環境と美しい風景を保全する、これはもちろん重要だと考えておりますし、さらに、悪くなったところは再生する、あるいは新たに創出していく、こういう治水対策を推進する考え方でございまして、多自然型の川づくりですとか、あるいは先ほどサケの話もございましたが、魚が川を上ったりおりたりする環境を改善するところの、魚が上りやすい川づくり推進モデル事業、こういったような事業も今後とも積極的に推進してまいりたい。もちろん、お話しのとおり、美しい環境を保全するということも大事だと考えておるところでございます、 よろしくお願いいたします。
○萱野茂君 北海道というと自然が残っているやに思われがちです。しかし、私が暮らしている目の前の小沢にどじょっこ一匹いません。この十年間トカゲを見たことはありません。蛇もいません。蛇も少なくなりました、いるにはいるけれども。カエルも少なくなりました。私はある本に書きました。蛇が消えた、カエルが消えた、あなたが消えた、私が消えた、そんなことにならなければいいな、そんなふうに書きました。その意味では本当に自然というのは、町の真ん中の皆さんはカエルや蛇を見ることもないかもしれないけれども、田舎にいてそういうことに気づいています。あなたが消えないように、私が消えないように、自然をもっと大事にしていきたいと思います。 次に、自然公園の整備について伺っておきます。 北海道の利尻礼文サロベツ国立公園か指定されたのは昭和四十九年、ちょうど二十年前であります。この国立公園の指定に当たって、北海道サロベツ原野の南端、天塩川が日本海に注ぐ河口の北側の地域でありますが、この地域が公園の区域から除外されました。公園区域の決定の際、自然環境保全審議会は、速やかに包含するとの附帯意見を付してあります。当時、編入を見送った原因として、この地域が酪農地帯であることから、草地改良を目的としたサロベツ川の河川改修計画があり、この改修が終わるまで編入を保留するというものであったと聞いております。 同時に、このことについては、公園区域の編入と利用の区分について協議するということについて環境庁と北海道開発庁との間に覚書が交わされています。ここにその写しがありますけれども。しかし、この時点から既に二十年がたっています。問題は、二十年間編入を保留、放置した状態で編入予定地域の環境が悪化していることであり、環境行政の面からは行政の怠慢と言ってもいいのではないでしょうか。 そこで、環境庁は、答申どおりに早急に編入すべきであり、そのために関係省庁と協議すべきと思いますが、この間に至る経過、また二十年間放置してきたことによって編入すべき地域の環境が相当悪化していると予想されますが、現況は国立公園としての資質から見てどのような状態にあるのか。また、環境庁は河川改修計画そのものが必要か否かについても関係町村と調整すべきと思うが、いかがでしょうか。念を押しておきますが、環境庁の編入方針は変わらないのでしょうか、御見解をお伺いしたいと存します。 また、この際問題にしておきますが、これだけ公共事業投資がメジロ押しの中で、二十年を経ていまだ改修計画すら一明らかでないということは、この計画自体もともと緊急性を持たないものであったのではないか。自然河川の保全、良好な公園環境を優先させる視点からすれば、このサロベツ川の河川改修計画そのものは必要ないのではないかと思われますが、地元の土地利用計画なりあるいは河川改修計画は一体どのようになっているのでしょうか、また河川改修は本当に必要なのかどうか、開発庁はどのようにお考えか、お伺いしておきたいと思います。
○政府委員(奥村明雄君) 先生御指摘の利尻礼文サロベツ国立公園に隣接する南側の地域でございますが、先生御指摘のとおり、四十九年九月に利尻礼文国立公園がサロベツ地域を含む形で拡張された際に、河川改修計画策定との調整ということで保留になっている、そしてその段階で審議会での附帯意見がございましたこと、及び北海道開発庁との間で協議をすることになっていたという点については、すべて先生御指摘のとおりでございます。 現況でございますけれども、基本的には、私どもとしては、当時考えていた国立公園編入予定地域としての自然景観は依然として保持されているというふうに考えているところでございます。現実の地域の状況は、隣接する公園地域とほぼ同様の自然景観を呈しているというふうに考えているところでございます。 今後、サロベツ川の河川改修計画が決定されるに際して、私どもとしては適当な地域を公園区域に編入する方向で調整を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○説明員(青木東雄君) サロベツ川流域におきましては、森林、湿原、原野が多く残されておりまして、土地利用は農業を中心に進められております用地元からはこのための治水対策の早期実現を要望されております。 これまで北海道開発局におきまして、土地利用や自然環境などの調査を行いながら河川改修計画について検討を進めているところでございます。今後、地元の自治体、関係機関との意見の調整を図りながら早期に策定するよう努力してまいりたいと考えております。
○萱野茂君 もらった時間が十一分までということでありますので、目いっぱい使います。 そこで、十七年前、昭和五十三年一月十三日に私が北海道新聞の夕刊に書いた文章をちょっと読ませていただきます。これにはもちろん返事も何も要りません。 「魚のチャランケ 声なき怒りと悲しみ」ということ。当時の私の肩書は、二風谷アイヌ文化資料館副館長ということであります。 私は、昭和十四年三月、平取村大字、二風谷小学校を卒業、一週間ばかり家にいただけで、山へ働きに行かされた。 仕事は浦河営林署の造林人夫、朝五時半から晩五時半まで、日当一円三十銭であった。 三年ばかり造林人夫、あとは北海道庁の測量人夫、そしてやまご—樵を昭和三十五年までやっていた。仕事場が支笏湖の向かい側とか、石狩川の奥、層雲峡、沙流川の上流や新冠川の源というように山奥ばかりであった。 昔は造林をするために木を伐る場合、ある程度の地形をみて、皆伐にするか択伐にするか決められていた。 それが、このごろは違う。木を伐る目的が木材が必要で伐るのか、業者に仕事を作ってやるために伐るのか、其の辺が分らない。 と言うことは、皆伐のあとで造林をしようとしても傾斜がきつ過ぎる等で、予定だけの植林をすることができない、と働いている人が聞かせてくれた。 それと、山の上から木材を引き出す作業方法にも問題がある。素人の私が言うまでもないが、山というものは、木の根という、でっかい網に覆われている。そのお陰で表土がずり落ちることなく、木が生えているものである。 それが、木材搬出のために大型ブルドーザーで、急斜面を右へ左へと斜めに道をつけて登って行く。幅六メートルの道をつけるために、傾斜によって深さも同じぐらい山の斜面を崩されることになる。 ブルドーザーという化け物の牙で、自然にできた木の根の網目はずたずたに噛み切られる。 道と道のあいだは大雨が降る度に、あちこちで三角形にすり落ちてしまい、岩盤が顔を出している。ずり落ちた土砂はどうなるかといえば、水晶のように美しい水が流れていた沢を埋め、川へ流れ込む。 雨が降る度に川は忽ち泥川に早がわり、沢や川で住んでいたやまべやいわな、そして小魚たちは窒息してしまう。 その土砂の流出を防ごうと、沢や川で砂防ダムが次々と作られる。沙流川ではどの砂防ダムをみても急遽は無い、魚の権利を踏みにじったやり方である。 それに比べると昔は山から木材を引き出すのは、馬の力であった。道幅は二メートル足らず、冬のしばれと雪を利用したので、山肌にほとんど傷がつかなかった。 山肌に傷をつけずに木材を搬出するためには、地形にもよるけれど人と馬以外は山へ入れないようにしなければ、山は傷だらけになってしまう。 先に触れた魚の権利で思い出すことは、熊本県の水俣病のことである。水俣病という病気はまず魚に躍った。昭和二十八ー三十四年にかけて、工場廃液による有機水銀に汚染した、川や海で住んでいた魚が最初に水俣病になった。 病気に躍った魚、つまり水銀に汚染された魚や貝を食べた人々が魚や貝から水俣病を移された。病気になられた方々には誠にお気の毒なことで、心からお見舞いを申し上げる。 しかも、病気の原因が水銀中毒だ、ということが逸早く指摘されながら川を汚した方は言を左右にし、非を認めようとしなかった。 でも長い年月患者の方々が、文字通り心に串を刺される思いの苦しみの挙げ句、多少の金銭のやりとりで、人間同士はやや納得した。言葉を持っている人間はお互いの意思を確かめ、形の上で一応の話はついた。 けれども、言葉を持って人間に、チャランケ談判できない魚や貝は、どんなに苦しい思いをしていることだろう。
○委員長(篠崎年子君) 時間ですからお急ぎください。
○萱野茂君 というわけで、もらった時間があと一分です。 お金を出した人、受け取った人、そのうち何人の人が魚に心からゴメンナサイと言ったでしょうか。魚がこぶしを振り上げて人間に向かって行ったら、私、萱野茂というアイヌもこぶしを振り上げ魚と一緒に怒るし、怒りたい。昨年の暮れにアラスカからエスキモー人が、自然保護のことでアイヌと語り合いたいと私の所へ来られた。 話を聞くとアラスカでは、自然を破壊した場合、お金のやりとりよりもまず、川や山を原形に復させるという。 水俣はどうなっているのだろうか。 この辺で、自然保護はアイヌに見習い立ち木の声に耳を貸し、魚が語る涙のさけび声を聞いてやり、水の神が怒る声に耳をかたむける。 そして、ダム全部に急遽をつけ、魚の権利を回復させる。 すべての生き物の生きる権利を認める、それ、すなわち私共人類が生きて行くことのできる、環境なのだから。 もらった時間を超過して大変済みません。初めての質問でありましたので、手を挙げないでしゃべりかけたり、いろんなことがありましたけれども、どうもありがとうございました。終わります。
○委員長(篠崎年子君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。 午後零時十五分休憩 —————・————— 午後一時十二分開会
○委員長(篠崎年子君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○河本英典君 河本でございます。新緑風会を代表いたしまして質問に立たせていただきます。 午前中はかなりカメラが入ったんですけれども、なくなりまして、よい環境の中での質問でございます。静かに粛々とやりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 現在、政治改革、行政改革を初めといたしまして、日本の社会は大きな変革の時代を迎えておるわけでございます。国際情勢もまた、二極対立の冷戦時代から全く新しい秩序が形成されつつあることも御承知のとおりでございます。こうした中にありまして、自然と人間との関係もまた、征服したりされたり破壊。したりという対立の関係から、新たな共存の関係が求められ、模索をされているところでございます。 さて、一九九二年の地球サミットを経て、我が国では、環境基本法が昨年十一月に成立いたしました。いよいよ新しい環境の時代の幕あげであり、その定着と具体策の推進が大きな課題でございます。政府においては、この実現のため、現在、環境基本計画を策定中というふうに聞いておりますが、環境保全の新しい道を切り開くため、今後どのように進めていこうとされているのかをお聞きしたいと思うわけでございます。 まず、環境基本計画は、環境基本法の第十五条に定められているように、国の環境保全施策の長期的大綱を示し、総合的、計画的な対策の推進を図るものであります。この環境基本計画の策定によって我が国の環境保全が飛躍的に進むことを強く期待するものでありますが、現在どのような基本的な考え方にお立ちになって策定作業をされているのか、そのお考えをまずお伺いしたいと思います。
○政府委員(石坂匡身君) 環境基本計画の現在の状況あるいは方向ということにつきましてのお尋ねでございます。 今、委員から御指摘ございましたように、環境基本法第十五条に基づきまして、環境基本計画の策定作業中でございます。 これは政府全体の環境の保全に関する施策の基本的な方向を示すものでございまして、望ましい環境のあり方とその達成に向けました国の施策の全体像、並びに地方公共団体あるいは事業者、国民を含めました各主体に期待される役割、これを記述するということにしておるわけでございます。現在、専門的な見地から中央環境審議会の企画政策部会におきまして御審議をいただいておるところでございます。 御案内のように、七月五日に「環境基本計画検討の中間とりまとめ」が公表をされたところでございます。この中間とりまとめにおきましては、この基本計画の内容といたしまして、まず第一に期間の問題でございますけれども、二十一世紀の半ばを展望いたしまして、環境基本法の理念を受けました環境政策の基本方針、そして二十一世紀初頭までの施策の方向というものを明らかにするということとしておられるわけでございます。 そして、環境政策の基本方針といたしまして、循環を基調とする経済社会システムの実現、自然と人間との共生、環境保全に関する行動への参加、国際的取り組みの推進、つづめて申しますと、循環、共生、参加、国際というふうな言葉になりますけれども、これを長期的な目標といたしまして、これによりまして、環境への負荷の少ない持続的な発展可能な社会の構築を目指すということでございます。この四つの長期的な目標に沿いまして、問題の性質に応じまして多様な政策的な手法を組み合わせて、そして、有機的連携を図りながら施策を展開するということを明記しておるわけでございます。 このとりまとめを受けまして、国民各界各層からの御意見をいただいたところでございまして、これは九月に締め切っておるところでございます。 そうしたものを踏まえながらただいま御審議をいただいているところでございまして、年内を目途にこの計画を仕上げるという方向で私どもも作業をしておるところでございます。
○河本英典君 環境基本計画は、国の中央環境審議会において専門的な見地から、また、広い見識を集めて検討を進められているということであります。また、広く各界の意見にも耳を傾けて策定作業を進められているということでありますが、こうした環境行政の根底を定める作業は、これまでの我が国における環境問題の経緯を十分に踏まえて行うことが不可欠であります。 かつて我が国は、自然や環境に対する十分な認識もない中で高度経済成長を遂げ、さまざまな環境破壊を引き起こす不幸な結果を招いたわけであります。環境問題を受けとめるだけの社会的な準備のない中で激烈な公害問題を経験したわけであります。必然的にその後の環境問題は、常に環境と開発という先鋭な対立の中で語られることになったわけであります。 こうした背景の中で生まれた環境庁でありますが、これまで大いに努力を傾けられたことは認めますが、発足当初は、政府全体の中で一つの批判勢力でしかなかったと言っても過言ではありません。こうした時代を経て、現在、環境問題は、開発や発展と対立させてはならず、両者を並び立たせることが世界的な課題としてはっきり認識されるようになりました。 今や環境問題は、政府部内においてもさまざまな省庁が深くかかわる問題でありまして、したがって、環境基本計画の実施も、常に環境庁がリーダーシップを発揮して政府全体を引っ張っていく体制をつくることが必要であると思うわけであります。 計画の実効ある推進に向けての環境庁長官の御決意を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○国務大臣(宮下創平君) 委員御指摘のように、今、環境行政は大きな転換期に来ていると存じます。 つまり、我が国の高度成長時代に個別企業の公害垂れ流し、それの防止策、これが四十年代に大きな問題でございました。そのときには、やはり経済発展がややもすれば優先されて、公害防止その他が手おくれになったことも事実でございますが、それは克服をされてまいりました。そしてその後、都市生活型公害と言われるような我々の身近な生活環境から始まって地球規模にまで及ぶ環境問題が発生をしてきております。 特に、地球環境問題につきましては、一昨年にリオのサミットが行われまして、世界各国から百八十四カ国も参加するという異例の国際会議が持たれました。また、今御指摘のように、環境基本法という基本法を昨年の十一月に全会一致で成立させていただいたわけでございまして、今それに基づく環境基本計画の策定に取り組んでいるわけであります。 委員御指摘のように、結論は全く同感でございますが、これからの環境行政は、経済行為一つとっても、その中に統合されたものでないといけないと思うんですね。環境と開発は統合されていかないといけない。経済発展の中に環境問題が統合されて組み込まれていかないといけない。 つまり、これからの経済社会というものは、やはり物を生産するにしても、その後の廃棄処理までを考え、あるいはリサイクルを考えるというような生産形態が追求されなければなりませんし、それからまた、地球環境問題も国際的な枠組みで全体として考えていかなきゃいかぬという新時代に入りつつあるような感じが私はいたします。 そういう意味で、冷戦構造の終結の御指摘もございましたが、まさに新しい国際秩序構築という目的に向かって進む場合に、この環境問題は、そういう枠組みの新しい国際環境の秩序づくりのための基本になる大きな柱ではないかなと私は感じております。 そんな意味で、これからはひとつ、環境と開発の統合、調整の問題を常に視点に置きつつ、本当に地球的な規模で環境問題を考える。しかし同時に、行動は、我々生活者一人一人が加害者であり被害者であると、こういう実態に遭遇しているわけでございますので、そういうことを認識した上でひとつ環境問題に広く取り組み、そしてまた、これは各省庁にみんな及ぶこと、関係することでございますから、環境庁としては、各省庁に対して企画調整機能を十分発揮して、そしてその実効性を期していかなければいかぬ。 そのためにも、この環境基本計画を本当に実のあるものとして、各省庁の意見も反映され、そして国民の意見も反映され、それがさらにこれからの時代の環境行政の中核となって実効性の上がるようなものに組み立てていかなければいけないということで、中間とりまとめを中原審にお願いいたしまして、今国民各界各層の意見も聞いております。 この基本計画について、国民の意見を九ブロックに分けて、二日とか一日とかかけて、私もその九ブロックの一つに参加させていただきましたが、国民の意見を吸い上げて基本計画をつくるというのはまさに画期的なことだと思うんですね。そういう意識のあらわれだと御了解をいただきたい。そして私どもは、本当に実のある環境基本計画をつくっていきたい、かように存じております。
○河本英典君 今、環境庁長官から御丁寧にお答えいただきましたけれども、本当にこれからの環境行政というのは、今までの行政と全く違った新しい環境行政の時代に入ったと思うわけでございまして、何とぞよろしくお願いしたいということと、リーダーシップをぜひとも発揮していただきたいということを重ねてお願い申し上げる次第です。 次の質問をさせていただきます。 政府部内における環境庁の指導力の発揮に期待したいと思いますが、私も琵琶湖のほとりに生まれ育ちまして、環境への取り組みの基盤が地方にあることを強く感じるところであります。環境問題の領域が社会経済全体の問題として意識され、地理的にも地球的な規模で考慮されるようになって、しかし、なおかつ私たちの生活の単位である地方こそが環境を考える際の原点であり、地域がどれだけ環境改善の課題に取り組んでいくかによって地球環境問題の解決も左右されるのではないかと考えます。 そうした意味で、二十一世紀を見通した環境基本計画の策定に当たっても、この計画が地方公共団体の住民や環境対策を担う職員にどんなメッセージを発しているかが極めて重大な問題であります。またこれを受けて、地方公共団体が自主的に、創意を生かし、それぞれの環境問題に積極的に取り組んでいくことが極めて重要であります。 環境庁としては、この計画を地方においても着実に実施せしめ、さらに、地方の独創的な発想と熱意でその大いなる展開を図るためにどのような支援策を講していくつもりかを伺いたいと思います。
○政府委員(石坂匡身君) 委員が御指摘のように、環境問題につきましての地方公共団体に期待される役割というものは非常に大きいわけでございます。基本法の三十六条におきましても、地方公共団体は、区域の自然的社会的条件に応じた環境保全施策を総合的かつ計画的に推進するという規定が置かれてございます。同時に、今御指摘ございましたように国との関係、つまり、いかにしてこの地方の問題を支援していくかということも重要な問題でございまして、四十条におきまして、「国及び地方公共団体は、環境の保全に関する施策を講ずるにつき、相協力する」という規定が置かれておるわけでございます。これを受けまして、現在策定中の環境基本計画の中におきましても、地方公共団体の積極的役割を位置づける方向で作業が進められております。 この中間とりまとめにおきまして、先ほど申し上げましたように、循環と共生と参加と国際という四点を長期目標として掲げておりますけれども、これらのすべての分野におきまして、地方公共団体によりまして地域の特性に応じた自主的な取り組み、創造的な取り組みというものを期待しておるところでございます。 今御指摘ございましたように、こうした地域における環境基本計画に沿った新たな取り組みを定着させていくためには国と地方が和協力していくことが重要でございまして、そうした観点から、環境庁におきましては、地域の環境計画づくりのマニュアルの作成、これを本年度から取り組んでおります。ことしと来年度でこれをつくり上げたいと思っております。 また、県や政令都市あるいは市町村の担当者との会議も重ねておるところでございますし、さらに、ただいま予算要求中でございますけれども、地方公共団体によります環境基本計画の具体化に向けました事業の推進のために、先駆的かつ創造的なものに補助をしていくという必要はあると考えまして、新規の予算項目といたしまして環境基本計画推進事業費補助というものを新たに予算要求しておるところでございます。 こうしたものを踏まえまして、御指摘の点を十分生かした地方公共団体の支援ということに努めてまいりたいと考えております。
○河本英典君 現場といいますか、地方との連絡をぜひとも密にとっていただいて進めていただきたいというふうにお願い申し上げる次第です。 次に、地球環境問題について伺いたいと思います。 地球環境問題は、人類のこれからの死命を制する問題であり、世界各国が力を合わせて取り組んでいくべきものであるということは言うまでもありません。さまざまな地球規模の問題がある中で、本日は特に、地球環境問題のうちでも早い段階から国際的な取り組みが進められてきておりますオゾン層保護問題を取り上げたいと思います。 報道によれば、本年は史上最大のオゾンホールが出現しているとされておりますが、モントリオール議定書に基づいて各国は生産の規制を行っているという中で、大変ゆゆしき問題であると思うわけであります。 そこでまず、環境庁ではフロンガスなどによるオゾン層破壊の現状をどのように把握されているのか、またオゾン層保護対策は現在どのように進められているのかを伺います。
○政府委員(大澤進君) オゾン層の破壊の現状でございますが、地球全体では熱帯域を除きほぼ全球的にオゾン全量の減少傾向が確認されております。 気象庁によれば、本年の南極のオゾンホールも御指摘のように最大の規模、およそ昨年比で約一〇%ぐらい拡大する見込みと、こういう判断をされております。また、国内での観測状況でございますが、札幌、つくば、鹿児島、那覇の四地点で気象庁において観測しているところでございます。これらの観測地点のうち札幌につきましては、オゾン層というのは非常に濃度の変動が激しいものでございますが、傾向的に見てみますと、一九八〇年代以降はオゾン全量の減少傾向が見られまして、札幌では過去十年の間に約五・八%の減少傾向が見られる、その他の三地点につきましては、やや減少といいますか、若干出入りがありますが横ばいに最近は推移している、このような状況になっております。 さらに、オゾンを破壊するフロンの状況でございますが、フロンの大気中濃度はこれも年々増加してきておりまして、北半球では近年、フロンつまりCFC11とか12、これにつきましては年約四%増できておったのが最近は一、二%、依然として増加はあるにしても増加の率がやや低くなっている。さらに1・1・1トリクロロエタンでございますが、これも年の増加が約三%できておったのか最近ではやや減少傾向にある、こういう状況でございます。 そこで対策でございますが、御指摘のように、オゾン層の保護につきましては、地球規模的に取り組むべき課題でございまして、ウィーン条約あるいはモントリオール議定書に基づきまして国際的に協調して対策が推進されているところでございますが、我が国におきましても、オゾン層保護を図るために、これらに必要な法律を一九八八年に制定しまして、フロン等の生産量等の削減とか全廃、あるいは排出抑制、使用合理化対策、さらにはオゾン層及びフロン濃度等の観測監視をする、こういうことをオゾン層保護法に基づいて実施してきているところでございます。さらに国際的な協力としまして、多数国間基金というものが国際間にあるわけでございますが、そこに相当額を我が国も拠出しまして、途上国におけるオゾン層保護対策に協力支援をしているところでございます。 さらに最近、オゾン層破壊の進行に伴いまして、一九九二年のモントリオール議定書の第四回締約国会合においては、規制物質の追加、HCFC、フロンに似たような物質でございますが、そういうものについても規制強化が図られるとともに、さらにフロンの回収あるいは再利用、破壊についてももっと進めるべきだという決議がされておりまして、我が国もことしの六月にこの決議を踏まえまして規制物質の追加等に対応すべくオゾン層保護法の改正も行ったところでございますし、また、フロン回収に関しましては、関係十八省庁から成るオゾン層保護対策推進会議というものを設けまして、関係者間の役割分担や費用負担のあり方等、フロン回収を促進するための方策を現在鋭意進めているところでございます。
○河本英典君 フロンガス等の生産規制など次々に進められてきたとのことですが、先ほど述べたようなオゾン層の現状に照らして考えますと、既に生産されまた消費されているフロンガスを野放しにして十分な効果を上げることができるのかどうかは甚だ心もとない状況であります。 先日の当委員会の琵琶湖視察におきましても、こうした状況を憂慮し対策に積極的に取り組もうとする自治体がフロンの回収作業に取りかかっており、私たち一同興味深く視察したところであります。回収の作業あるいはそのための装置自体は特に難しいものでもございません。むしろ容易に取り組めるものだという印象を強くしたところであります。 一方で、回収したフロンの後始末の問題など、こうした回収の努力を受けとめるための体制づくりかおくれていることが浮き彫りになりました。こうした地方公共団体の取り組みは、滋賀県内のみならず多くの先進的な自治体で行われているものと承知しておりますが、国としてこうした取り組みをどのように支援されていくのかを伺いたいと思います。
○政府委員(大澤進君) 御指摘のように、フロンの回収というのは大変難しい問題がございますが、全国を見まして、地方公共団体の一部ではございますが大変熱心に取り組んでおられるという状況にございます。私どもも、これらの自治体と連携あるいは協力しながらこれらの対策に取り組んでいかなければならないと考えております。 そこで、フロンを回収するに当たりまして、フロンを含む製品を製造する企業、それから使用する消費者、それから廃棄物処理を担う地方公共団体等、これらの関係者が協力して協調して取り組んでいかなきゃいかぬ、こういう課題だと認識しておりまして、その中でも特に地方自治体、都道府県、市町村の役割というのはまことに大きいと考えております。 このため環境庁におきましては、平成五年度から地方公共団体と協力しましてフロンの回収のための社会システムづくりに資するための調査事業を行っておりまして、オゾン層保護対策地域実践モデル事業、こういうものを実施しておりまして、六年度も北海道、大阪等十一都道府県に委託費を出しましてこれら地方公共団体に対しまして支援協力をしているところでございます。
○河本英典君 次に、琵琶湖の環境問題といいますか湖の環境問題、水のことでございますけれども、少しお聞きしたいと思います。 私、滋賀県の選出でございまして、琵琶湖のことばかり申し上げて申しわけございませんが、琵琶湖は申すまでもなく日本を代表する湖沼であります。この琵琶湖を守るために地元では、湖沼環境保全のための国際会議を開催したり国連機関を誘致するなど国際的にも湖沼環境保全の推進に努め、また富栄養化防止条例やヨシ群落の保存に関する条例の制定など、県民挙げての水質浄化への取り組みを進めるなど、努力が払われてまいりました。 湖沼といいますと、特定の水域のみを問題にするようでありますが、いろいろな水問題が集約された形で、また典型的な形で起こってくることから、日本の水環境をどのように保全し人々が活用できるようにしていくかということの代表例と考えられますので、こうした観点から取り上げたわけであります。 琵琶湖を初めとする湖沼が水環境の代表例とも言えるゆえんは、流域の水が一つの水域に流れ込みたまることから、流域のさまざまな人間活動の総決算を湖が映し出しているとも考えられますので、こうした湖沼の特性を踏まえながら、環境庁では我が国の湖沼の水環境をどのように把握され、また評価されているのかをお聞きいたします。
○政府委員(嶌田道夫君) 御指摘のように、湖沼は閉鎖的な水理上の特性を持っておりますので、汚濁物質が蓄積しやすく、湖沼の集水域の人間活動がその水質に反映されやすい水域であると認識しております。 平成四年度におきまして、有機汚濁の代表的な指標でございますCODで見ますと、湖沼の環境基準の達成率は四四・六%となっております。海域が八〇・九%、それから河川が七五・四%となっておりますので、これらに比べますと依然として環境基準の達成率が低い状況となっております。また、経年的に見ますと、一部湖沼におきましては水質の改善が見られておりますけれども、全体といたしましてはおおむね横ばいに推移しているというふうに思われます。 なお、琵琶湖について申しますと、近年の琵琶湖の水質は、北湖の方ではやや悪化が懸念されているようでございますけれども、全体としましてはほぼ横ばいの状況であるというふうに認識しております。
○河本英典君 琵琶湖におきましては、昭和五十年代の赤潮の発生が滋賀県民に大変な衝撃を与えまして、これを大きな契機としてさまざまな取り組みがなされてきたわけですが、この後アオコが出現したり、新たに微小なプランクトンの存在が発見されたり、湖沼の水質問題については、自然界のメカニズムの解明、また人間の諸活動のこれに与える影響など、まだまだ科学的に未解明な部分が多いことを実感するところであります。 今後、国、県が力を合わせて湖沼水質にかかわる幅広い研究をどう展開していくつもりか、また、そうした研究の成果も踏まえて対策をどのように講じていくかを伺います。
○政府委員(嶌田道夫君) 例えば、琵琶湖におきましては、近年ピコプランクドンと呼ばれる非常に微小なプランクトンが夏場に発生いたしまして、水質や生態系への影響が懸念されております。環境庁では、平成四年度よりこのピコプランクドンの発生機構の解明のための調査を実施しているわけでございます。 このように新たなプランクトンの出現など非常に未解明な問題がございますので、今後ともピコプランクドンなどの未解明な問題の調査研究を一層充実するとともに、調査の結果を踏まえまして適切な水質保全対策の検討を行っていきたいというふうに考えております。
○河本英典君 今までの御説明を伺いまして、これまでの努力の跡がうかがえるわけでありますが、問題解決の道筋はまだまだ遠いと言わざるを得ません。 湖沼の水質問題は、いわば流域すべての活動の結果を含んでおるためにその解決が容易でないことは当然であろうと思います。しかし、新しい展望を開くためには、従来の研究や対策の延長のみで追いつけるものではなく、同様に湖沼の水環境問題に悩む世界各国との協力体制を構築するとか、従来の水処理技術を超える新しい水質保全技術の開発に力を入れるとか、抜本的な対応策を積極的に講ずる必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(嶌田道夫君) 御指摘のように、湖沼の水質保全は世界共通の課題であると認識しております。環境庁といたしましても、国際湖沼環境委員会、ILECと言っておりますが、これらと協力いたしまして世界の湖沼の水質保全に向けまして国際協力に努めてきたところでございます。 特に、平成七年度には、世界の湖沼の環境保全に関係します研究者、行政官などが一堂に会します第六回の世界湖沼会議が霞ケ浦で開催されますので、環境庁はこの共催者といたしまして、世界各国、特に途上国におきます水質保全対策推進の支援を図ることといたしております。 また、特に湖沼水質汚濁問題が顕著でございます開発途上国におきます湖沼水質保全を支援するための湖沼水質保全に係る情報整備を進めているということのほかに、外務省と協力いたしまして開発途上国の湖沼水質改善計画策定の支援、それから、途上国からの水質保全に関します技術者を受け入れる研修を現在実施してきているところでございます。 さらに、環境保全対策技術移転を促進しますため、平成四年十月に発足いたしましたUNEPの国際環境技術センターに対しまして、滋賀県などと協力いたしましてその活動を積極的に支援していきたいと考えております。 環境庁といたしましては、今後とも湖沼の水質の改善に向けまして世界各国との協力を進めてまいりたいというふうに考えております。
○河本英典君 最後に、環境庁長官にお聞きしたいと思います。 水はあらゆる生物が生きていくために不可欠なものでありますが、人間にとりましても飲み水として重要であることはもちろん、第一次産業、第二次産業、いずれにとっても産業を支える基礎であります。また古来、水辺は文化発祥の地でありまして、本年の渇水の際には、琵琶湖においても多くの遺跡が新たに発見されたところであります。近年は、人々のレクリエーションや心の安らぎの場としても大きな関心を集めております。 環境の要素は大気、土壌、水等々ありますが、とりわけ水は多様な価値を我々に与えてくれているものと思います。しかし今日、山紫水明の国日本の誇った清浄な水はほとんど失われかけております。また、湖にせよ川にせよ、水量自体が乏しくなったり、コンクリートによって人間との交流が阻まれたり、あるいは生態系が大きな変容を余儀なくされるなど、現状を座視することはできない状態にあります。危機的な状況であります。私たちは、人間の英知を傾けて貴重な水環境の保全に取り組む必要があるのではないでしょうか。 ここまでの経済発展をなし遂げた科学や技術の力を最大限利用しまして、水環境保全のための新たな事業ということを考えまして、そういったことを推進することが必要であり、こうしたことを通じて民間ベースでも環境保全産業が育っていくことが一番望ましいのではないかと思うわけであります。また、国民が広く水環境の実態を知り、親しみを持って接し、水環境保全に積極的に取り組めるような体制づくりが何よりも大切であると思うわけであります。 地元に諏訪湖というまたこれ日本でも代表的な湖をお時もの環境庁長官には、国民総参加による総合的な水環境保全に向けてハード面、ソフト面両面にわたってどのように対応されるお考えか、また今後の方針を伺いまして、私の質問を終わらせていただきたいと存じます。
○国務大臣(宮下創平君) 河本先生は琵琶湖の近くの御出身でございまして、その琵琶湖に対する関心の深さに敬服をいたしております。 特に琵琶湖は、先ほど局長の申されましたように、世界湖沼会議を先導して第一回目の会合をやっていただいた地でもございます。また、先ほどのお話のように、これはUNEPのセンターが大阪にございますけれども、またそのブランチとして滋賀にUNEPのそういう機関を設けておるゆえんも、この琵琶湖の環境保持という問題と非常に密接な関係がございまして、地元の熱意がしからしめたものであると存じております。 人間と水との関係は、やっぱり利水というような、これは確かに大きな目的です。しかし、その利水という面だけで水を見ては間違いでありまして、経済発展その他によって河川が汚染され、また湖沼に堆積するということがございますから、特に、人間の生存にとって大気とか土壌、そして何よりも水という問題が重要な視点でございます。そういった面で、これからもひとつ水環境の保全の問題は真剣に取り組んでいきたいと思っております。 特に私は、今御指摘のように諏訪湖を選挙区に抱えておりまして、諏訪湖の浄化問題は、周辺地区の公共下水の整備によって生活雑排水その他工場排水等の浄化を図ってCODの値もかなり改善をしてまいっておりますが、なおまた不十分でございます。 そういう意味で、これからやっぱり総合的にこうした問題に精力的に取り組む必要があろうかと存じますが、今、環境庁でも水環境に関する懇談会を水質保全局長のもとでつくって各界の意見を聞き、そして、その客観的な分析や議論に基づいて施策を進めようとしておりますが、こうした水問題の取り組みも非常に重要な事柄でございますから、なお一層取り組まさせていただくつもりでございます。
○刈田貞子君 環境庁長官には、先般私ども公明党ジャパン・グリーン会議が北海道千歳川放水路の調査をいたしまして、それに基づき申し入れをさせていただきましたが、そのときには大変お忙しい中、時間をとっていただき、私どもの意見を十分聞いていただきましたことに感謝申し上げますとともに、申し入れいたしました諸般の問題について、環境庁が持っておられるところのいわゆる企画調整機能というものを生かされて、各省庁との連絡をとりつつ対応をしていっていただきたいことを重ねてお願いをする次第でございます。よろしくどうぞお願いいたします。 本日は、先般の所信に基づきまして質問をさせていただくわけでございますけれども、私は、環境問題というのはもう論している時代ではなくて、手だてをしなければならない時代に入ったというふうに思っております。したがいまして、あの所信の中に出ておりますところの哲学や理念、こうしたものが一つの地域におりたときに、具体的にどんな形の施策になっていくのかということを含めまして、本日は一つの地域に絞って質問させていただきたい、このように思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。 昨年の十二月十一日、第十七回世界遺産委員会は、世界遺産条約に基づいて、我が国の鹿児島県屋久島及び青森、秋田両県にまたがる白神山地を世界遺産として登録の決定をいたしました。このことについて私どもは、一国民として大変にありがたいうれしいことだというふうに思うと同時に、大きな義務を感じるような気がいたすところでございますが、この事実について大臣かどのような評価をなさっておられるのか、まず質問させていただきます。
○国務大臣(宮下創平君) 過日のジャパン・グリーン会議の問題につきましては、企画調整機能ということで御返答申し上げたんですか、引き続き実効のあるものにしていきたいと思っております。 それから今御指摘の屋久島でございますが、屋久島それから白神山地はともに今御指摘のように、昨年の十二月に世界自然遺産として我が国で初めて登録をして認知されたものでございます。世界的な顕著な普遍的価値を有するものとして認められましたことは大変重要な名誉なことでございまして、我が国の自然環境の保全にとっても極めて重要なことである、意義深いものであると考えております。 そして同時に、世界共有のかけがえのない財産を将来にわたって守り伝えていく、これは先生がおっしゃられたように義務である、責任であるというようにも感じておりまして、指定をただ喜んでいるだけじゃなくて、それにふさわしい対応をきちっとしてまいりたいと思っております。
○刈田貞子君 その世界遺産条約の四条には、各締約国は自国内の遺産について保護し、保存し、整備し及び次の世代へ伝えるということが書いてございます。したがいまして、十分時間を持っておりませんのでどこまで言えますかわかりませんが、保護し、保存し、整備しという事柄が一つ一つ具体的にはどういうことになっていくのかということを詰められれば詰めてみたいというふうに思うのでございます。 そして五条では、そのための国内的措置としてということで、一般的施策の採用、それから保護機関の設置、そして財政的措置等の努力を払う、こういうことが書いてあるわけでございますけれども、私がきょう問題としたいところは、最終的にはその財政的措置等の努力というところにあるんですけれども、これがまた環境庁にとっては大変厳しいところになるかというふうに思います。 まず、今後どういう方法をもって屋久島を守っていこうとされるのかということでございますが、基本的にはいわゆる指定を受けた地域というのは島の五分の一ぐらいの地域しかございませんですね。ですけれども、私はあの島に入ったときに、洋上に浮かぶ何かすごい自然の宝庫だというぐらいにすばらしい環境を持っているところだなというふうに思ったわけで、あそこは特別保護地域とそれから第一種保護地域ですか、そこのところが指定をされているわけですけれども、その周辺も含めてちょっと伺ってみたいというふうに思うんですが、まず事業として今後どのような対応をなされていくのか伺います。 特に、平成七年の予算については前向きにどういうふうに考えておられるのかというところを伺う方が保護の仕方がわかっていいのかと思うので、平成七年度環境庁重点事項というところの資料を調べてみましたけれども、この中では概算要求の中に世界遺産や希少野生生物等の保護という項目の中には、白神山地のことだけが入っておりまして、屋久島のことは一切書かれておりません。この平成七年度の重点事項の問題からまず伺います。
○政府委員(奥村明雄君) 先生御指摘のように、屋久島はこれまで国立公園や原生自然環境保全地域ということで保全を進めてきたわけでございますが、世界遺産ということで指定をされ、今後さらに対策を強化していく必要があろうというふうに考えておるところでございます。 そこで、これからの対応でございますけれども、先生御指摘の世界遺産センターにつきましては、屋久島につきましては平成五年度と六年度に既に整備を進めてきておりまして、七年度にはこれが完成するということで、今後研究者の方たちの利用でありますとか、それから一般の方たちに普及啓発のための展示をいたしますとか、そういうことで活用を図っていきたいということが第一点でございます。 それから、屋久島や知床など幾つかの特に大切な国立公園につきましては、これまでも重点管理ということで取り組んでおりまして、巡視をいたしますとか歩道をきちっと整備いたしますとか、それから標識を整備して点検を強化するとか、そういう対応をいたしておりますが、今後ともさらにこれを進めていきたいと思っております。 また、施設整備につきましても、これまで鹿児島県とも協議して屋久島の自然を広い意味で観察し、またそれに親しんでいただく、そういう観点から、屋久島環境と文化のむらということで、ネーチャーセンターでありますとか観察施設、それからトイレや遊歩道、駐車場、こういったものを既に平成四年度、五年度と整備をしてきております。今後とも、地元とも御相談しながら整備を進めていきたいというふうに思っております。 また、後ほど御質問があるかもしれませんが、島を訪れる観光客の増加というものも見られるわけでございまして、屋久島全体の利用のあり方、管理のあり方についてもさらに検討を深めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○刈田貞子君 国がこうした自然環境を保護していく費用負担のあり方について、これは私は勉強している過程で改めて読んでみたんですが、例えば自然公園法なんかでは、第五節で費用のことが書いてございまして、そこにおける国の費用負担のあり方というのはあくまでも補助です。しかも今のお話の、環境と文化のむら事業の問題についても、これは平成六年に二分の一補助をなさっていらっしゃいますよね。それから、さらなる屋久島の調査ということでも、六年、七年にかけてやっぱりこれも二分の一補助でやっているんでしょう。 いずれにいたしましても、私は費用負担のあり方について非常にいろんな意見というか考えを持っておりまして、ここではこれが当たるか当たらないかわからないんですが、自然公園法における費用のあり方というのは、国はあくまでも補助なんです。そして、あと地方公共団体の負担、そして受益者の負担、原因者負担、こん青ふうに書かれておりますね。こういう負担の考え方について、この遺産条約の指定を受けた屋久島や、白神もそうなんですけれども、国はいわゆる補助程度のものでいいのかどうなのかという素朴な疑問を持っておりますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(奥村明雄君) 国立公園につきましては基本的には国が指定をして管理をするということでありますが、幾つかの利用施設、例えば歩道でありますとか駐車場でありますとか、そういう整備をいたします場合には地元にとってもいろいろメリットがあるということでございますので、国と地方が共同でつくるという観点から補助制度という形で対応しているものでございます。 しかしながら、先生幾つが御指摘になりましたが、屋久島につきまして申しますと、国立公園でございますから基本的な調査は国がいたします。国の予算でいたします。それから世界遺産センターにつきましては、これは国が直轄事業として整備をいたしておるということでございます。 繰り返しになりますが、先ほど申しました環境と文化のむらについては、いろいろ地域的にもメリットがあるということで、補助事業ということで、これは三分の一でございますが、進めさせていただいておる、こういう整理でございます。
○刈田貞子君 さっきお話しありましたように、世界遺産の指定を受けた後、ことしの連休及び夏休みには大変な人が入島、入山して、そしてにぎやかになったということをテレビでも新聞でも報道しておりました。あそこは一万二千人ぐらいの人口でございますから、一万人を超える人が入ってくるというと地域の人口に等しい人が一時期どっと押し寄せてくる、こういう状況でございますね。 したがいまして、さまざまなもので書かれたり言われたり報道されているように、ごみの問題が出たりトイレの問題が問題になりましたり、あるいはまた道路の整備の問題がいろいろ課題になったりというような事柄があるんだというふうに思います。さらには、一時避難所、休むところですね、こういうところが奥岳の一帯にはたしか十九カ所あると思うのでございますけれども、そこには全部泊まっても百八十人ぐらいしか泊まれないわけです。それがある時期には一日に四百人、宮之浦岳とそれから縄文杉を中心とした奥岳一帯に入り込んだ。したがいまして、その休息所では泊まれませんものですから十個から二十個に近いテントが張られた。こういうこともあるわけでございまして、し尿による山の荒廃みたいなものもあるわけです。 こういう問題は非常に島にとっても予想できなかった問題だろうというふうに思うんですけれども、先ほどお話に出ておりましたが、こうしたいろいろな突如出てきた対策、登山者対策、これを町やら県やらだけでしょっていくのはとても大変なんです。ですけれども、本当のことを申しますと、とっさに出てくる事柄もたくさんあって、その都度やはり現場が対応しなければならないということがいろいろな陳情等によりますとあるようでございます。したがって、国はこうした問題について、特に環境庁はそこの自然を守るためにもさまざまな気配りをしていかなきゃならない、精神的支援もしていかなきゃいけないだろうなというふうに私は思っております。もう一つは、山が荒れる。御存じのとおり一番下が生活圏、ゾーンニングでいいますと生活文化圏ゾーンといいましょうか、真ん中のところが触れ合いゾーンで、この辺のところは屋久杉ランドがある周辺のあたりで、そこら辺のところは少し屋久島を象徴する屋久杉なんかとも触れ合える部分があるわけでございますね。それから、一番の中心地になるいわゆる奥岳周辺の保護地域というところがあるわけですけれども、その保護地域に入る人が、ことし四月二十九日から五月八日までの間に一万二千人の入島者があったと聞いておりまして、そのうちの約三割が奥岳一帯に入山したというふうに言われております。したがいまして、ここの保護地域に入る人たちのマナーが大変に問題になってまいりまして、これは林野庁の仕事になるんですけれども、一番中心になる縄文杉の周辺には既にロープを張ってしまって直接根を踏まないような形に、七千年の杉だということで保護をしているような経過がございます。 私は、この奥岳の一帯、それからまた触れ合いゾーンの一帯あたりのところにたくさん人が入った期間に町のボランティアの方たちがみんなガイドを買って出て、そして山との触れ合いの仕方を一生懸命指導してくれた、あるいはリードしてくれた、非常に喜ばれたという話も聞いているわけです。実は、霧島屋久国立公園、広範囲の国立公園の中でレンジャーと言われる人たちが、霧島も入れて三人、恐らくそのうちの二人を屋久島に充てていただいているのかと思いますけれども、それでも二人のレンジャーじゃとても足りないわけですね。私は、素朴な考え方として、あの島を、自然を何とか守っていくためにやっぱり人手が要るという意見を持っているんです。 それで、ボランティアの方々が大変努力をしてくださっていること、観光協会それから営林署、そして町のボランティアの方々、大変いいチームワークで頑張っておりますので、こうした人たちへの位置づけというか、一つの機能性というか、そういうものをどういうふうに環境庁として認めてやっていけばいいか。それとあわせて、やはりレンジャーと称する人たちの数をもう少しふやしていただきたいなというふうに思うんですけれども、予算のかかわることですが、いかがでございましょうか。
○政府委員(奥村明雄君) 先生御指摘のように、国立公園の管理に当たりますレンジャーの数、これは国の定員にかかわるものでございますから、私どもも努力をしておりますが、まだとても十分と言える状況でないのは御指摘のとおりでございます。ここ数年、実は部門間配転ということで、林野庁、営林署でいろいろ仕事をしていただいた方にいわば移籍をしていただくという形で私どもの体制を強化いたしておりまして、毎年十数人の方が環境庁の方に移籍をしていただいております。その結果、全国の国立公園の管理官の数が百五十人弱というのが現状でございますが、今後ともさらにその充実を図っていきたいと思っております。 そこで、先生御指摘のように、ボランティアの方についても御協力を願わなきゃいかぬというのが現状でございます。例えば屋久島につきましても、自然公園指導員という形で環境庁で委嘱して御協力をいただいている方が九人、それから鹿児島県と上屋久町で委嘱をされて御協力をいただいている方が五人ということで、先生御指摘の国立公園管理官二名と合わせまして十数名の者が管理に当たっておりますが、これだけでもちろん十分というわけではございませんで、広く地元関係者の方々に御協力をいただくとか、関係機関の御協力もいただきながら、例えば利用者が集中しております時期、ゴールデンウイークなどについては利用者のパトロールを強化するとか、いろいろな機会に指導をするとか啓蒙を進めるとか、そういった対応を進めているところでございまして、今後ともこういう努力を続けてまいりたいと思います。
○刈田貞子君 そういう方たちも動員して管理に当たっていただいている、こういうことなんですけれども、自然環境保全審議会自然公園部会小委員会から出ている答申で、屋久島の国立公園全体の管理方針を検討することということが出されております。これは、こういう管理方針があった、そしてそれをさらに検討せよということなんだろうと思うんですが、これはどういうことを意味するのか。つまり、管理とはどういうことなのかということです。
○政府委員(奥村明雄君) 管理というのは、狭い意味で言いますと国立公園の許認可を適正にするということなんですが、それだけではございませんで、先ほどから御指摘がございますように、利用者に対する啓蒙をする、そして違反行為が起こらないように指導する、パトロールをする、こういう業務も当然入ってまいります。 ただ、今申しましたような狭い対応だけでは不十分でございまして、それぞれの国立公園においては、いろいろ地元の方々や学識経験者の方にも御参画をいただきまして、管理の基本方針それから利用の指導のあり方、それから屋久島のような離島でありますと島全体の利用のあり方、そういったものも含めた全体的な方針を立てまして、そして地元にも御理解をいただき、御協力をいただきながら保全の実を上げていくということが必要なわけでございます。そうした島全体の利用のあり方あるいは管理のあり方について環境庁としての方向づけをすべきではないかという御指摘を自然環境保全審議会の答申の際にちょうだいしたという経緯でございます。
○刈田貞子君 いわゆる管理方針というようなことをベースにいたしますと、今鹿児島県が検討しておりますところの奥岳一帯の話ですが、あそこの地域に登山、入山を制限するということで、少し抑制しなければならないということで、環境キップ制度について検討していみようでございますけれども、これはかなり賛否両論ございましてなかなか意見がまとまらない、こういうことなんですが、このことについては環境庁はどういうお考えをお持ちでございましょうか。
○政府委員(奥村明雄君) 先生御指摘の環境キップにつきましては、鹿児島県が策定いたしました屋久島環境文化村マスタープランというところで提案されている考え方でございますが、そのマスタープランによりますと、特定の地域、この場合は屋久島でございますが、屋久島の全域の場合とあるいはその一部と両方の考え方があるようでございますが、事前に手紙などで申し込みを受けまして、その手続を経て一定地域あるいは島に入ってくる許可証のようなものを配付して、その結果、過剰利用の抑制とか利用の平準化というようなことを期待いたしますとともに、利用者の方に環境保全意識を高めていただくというような効果を期待しているものでございます。 またさらに、そのマスタープランにおいては、一定の御負担をいただくというようなことで、将来的には利用者によるいろいろな費用負担の一助とするというような考え方も示されておりますが、いずれにしても、利用、管理のあり方の一つの方法として提案をされたものというふうに理解をいたしております。 私どもといたしましても、自然環境の保全と利用の適正化を図っていくという際に、こうした利用のあり方についての一定の管理というようなことも必要ではないかというふうに考えておりまして、今後地元のいろいろな御意見も参考にしながら、またこの鹿児島県の提案も念頭に置きながら、全体のあり方を検討していく必要があるというふうに考えておるところでございます。
○刈田貞子君 私つらつら考えるに、白神山地の方は林野庁によって三分の二の地域が閉鎖されてしまったという経過がございますね。そういたしますと、いわゆる世界遺産の指定を受けている一方の地域では、これは完全にシャットアウトされている。こういう関係の中で、どちらかといいますと、屋久島の方は入山してくることを前提に、しかしながらある日突如人口に匹敵するような人がたくさん入ってきてもらっては島がパンクするんだということから、入山制限をするという関係の環境キップだと思うんです。しかし、自然とのやはり触れ合い、それからさっき申しました管理とか保全とかいうもののそれこそ哲学ですね、これを具体化するときに、この環境キップ制度のような制限をし、さらに財政的負担をしてもらう、つまり受益者負担、あるいは原因者負担でしょうか、そういう負担をしてもらうというような考え方がいいのか悪いのかという問題については、私はさらに論議を詰めた方がよろしいのではないかというふうに思っている者の一人でございます。 これについてももっと申し上げたいんですけれども、時間がございませんので、西部林道のことについてお伺いをいたします。 西部林道についても、この西部地域というのは御存じのとおり亜熱帯から亜寒帯にまで及ぶ、つまり植物の垂直分布が見られるところというのでは我が国では希有なところだ、こういうふうに言われておりまして、私も大変感激をしながら通ってきた者の一人でございますけれども、あそこの地域にかかわるつまり林道について、県はエコロードと称して環境に対して配慮しながら、しかし道路の幅員を広げる、こういう話になっているんですが、この問題についてはいかがですか。
○政府委員(奥村明雄君) 先生御指摘の西部林道という名称で呼ばれておるものでございますが、これは現在のところその一部地域が非常に狭くなっているということから、地元住民の生活上の必要性ということから、かねがね要望されていたものでございます。 私どもとしては、先生御指摘のように、連続する植生が分断されたり、あるいは野性動物の移動に障害があったりというようなことが極力起こらないように、そして自然環境を最大限保全する立場から、いろいろ鹿児島県と御相談をし、指導をしてきたものでございます。 その結果、基本的に有効幅員四メートルの一車線道路として必要最小限の改良を行うということで鹿児島県の立場が示されましたので、私どもとしても、こうした考え方であれば当該地域の国立公園の特別地域としての資質は維持、保全をされるというふうに考え、本年六月の自然環境保全審議会に諮問をいたしたところでございます。 審議会におきましては、いろいろ慎重に御審議をいただいた結果、諮問どおりの御答申をいただきましたが、事業の執行の段階ではさらに念を入れて細心の注意を払うべく県を指導するようにという要請を受けておりまして、これを踏まえまして、具体的な事業の執行を承認いたしますので、その際、県に対して具体的設計に応じた自然環境調査を実施していただくということと、具体的な地域の自然環境保全に十分配慮した実施設計をしていただくということで指導をしているというところでございます。
○刈田貞子君 県から具体的な実施設計が出てきたときには、さらにこれについても厳しいチェックをしていただく。しかしながら、これはまた島民にとっては必要な道路であるやに聞いております。したがいまして、恐らく島の人たちもあらゆる矛盾を感じながら、しかしこれを進めていきたいという立場になっているんだろうというふうに思いますので、適切な御指導をしていただきたいというふうに思うんですね。 今、東部地域でも県道の一部手直しをやっているようで、それによって斜面にあった大変すばらしい照葉樹林が破壊されているというようなことが問題になっております。それから、南西部では大規模林道の建設が進行しているやに話を聞いております。道路が必要なところであることには間違いないと私も思っています、行って。だけれども、そういう島全体が得がたい自然の生態を持っているところであればこそ、やはり自然への配慮ということをしながら自然と共生じていくあり方を環境庁は強力に御指導していっていただきたいなというふうに思っておるところでございます。 林野庁に伺います。 林野庁は、あそこに上屋久・下屋久両営林署があるわけですけれども、私も行ってまいりました。そして今回、あの両営林署が統合されて下屋久に一つになるんでしょうか。そして、上屋久営林署が屋久島環境保全センターという形で新設されるという計画を聞いておりますが、伺いたいことは、この環境保全センターって何だろうというふうに思うんですね。先ほど環境庁の方でも、自然遺産センターを設置される、何か展示すると言っています。私はこの間屋久杉自然館というところへ行きまして、あそこの杉にかかわる屋久島のいろいろな自然が展示してあるところを見学してきたわけですね。町で言うところの箱物みたいなものがたくさんできても、それは自然の保全とかあるいは保護ということとは何か私は無縁のように思うんです、そういう啓蒙教育ということになれば意味があると思いますけれども。できれば、似たようなセンターがたくさんできるんじゃなくて、有効な何か機能性を持ったものにならないかどうかが一点。 それから、林野庁も、この屋久杉に象徴される国有林と申しましょうか、自然を守っていくために縄文杉のところに見学台を設置して、そして高いところから眺めるという、こういうものにするんだそうでございますが、それはどうなんだろうかということ。前に「生命の砂 一握り運動」というのをやっていらっして、あそこまで登るについては根が大分傷むので、みんな砂をしょって縄文杉まで登るという、そういう作業をいたしておりましたが、これは何かとんざしているように聞いております。いずれにしても、林野庁があの保護地域を守るという場合の作業はどういう作業になるのか。 それで最後に、林野庁は環境庁よりは予算をお持ちなのではないかというふうに思うので、やっぱり林野庁が少し奮発して国の予算としてしっかり充てられる方法が別枠で欲しいと地元は言っておりますが、いかがでございますか。
○説明員(根橋達三君) まず、一点目の屋久島森林環境保全センターにつきましてでありますが、国有林野事業の組織機構につきましては、平成三年七月に策定いたしました改善計画に基づきましてその簡素合理化を図ることとしているところでありまして、営林署につきましてもその統合改組を行うということにしているところでございます。 今年度におきましては、三十八営林署の統合改組を行うこととしているところでありまして、御指摘の屋久島の二つの営林署の統合に当たりましては、屋久島におきます森林が世界遺産条約に基づく自然遺産として登録されたことを踏まえまして、自然遺産を適切に保護するとともに、屋久島の森林が有します保健休養機能を高度に発揮させるというような観点から、屋久島森林環境保全センターを設置することとしているものであります。屋久島の森林環境保全センターにつきましては、このような設置の趣旨を踏まえまして、地域の実情等も考慮しながら、期待される機能が発揮されるよう、適切な運営に努めてまいる考えでございます。 それから二点目の縄文杉の件でございますが、この縄文杉の周辺は、いわゆる保全利用地区、いわゆるバッファーゾーンと申すものでございますが、区分されているところであります。昨年の十二月の世界遺産登録後、観光客が大変に増加いたしまして、踏み固め、あるいは縄文杉の周囲の土壌の流出等が生じたわけでありまして、縄文杉の保全に支障が見られたというようなことから先生が御指摘のような措置を講じたわけでありまして、観光客等の自然観察利用にも配慮しながら、縄文杉の周囲に立ち入り防止のためのロープさく、あるいは土どめ工等を応急的に講じたところでございます。これについての今後の保全といったことでありますが、鹿児島県、環境庁、関係機関との調整を経まして、こういった縄文杉の保全ということについて恒久的にどういった方策があるべきかということについて、さらに検討いたしたいというふうに考えております。 それから三点目の、予算の点でございますが、屋久島の自然環境の保全ということにつきましては屋久島森林環境保全センターで基本的に行うというように考えておりまして、その円滑な推進のために必要な予算の措置の確保に努めますとともに、センターの機能が発揮されるように努めてまいる考えでございます。
○刈田貞子君 応援しますから、大蔵省からいっぱい取ってくださいよ。こんなすてきな島をめちゃめちゃにしちゃだめです。 最後に長官にお伺いいたします。 私は、きょう四十分しか時間が持てなかったものですから、ほんの小さな島のことですけれども、まだまだいっぱい課題がございます。いなか浜というところに上がってくるウミガメの問題。それから、きのうも新聞に出ておりましたが、周辺にまた新たなサンゴ礁が発見されたそうでございますけれども、サンゴの問題。それから、これは林野庁にもかかわるんでしょうが、環境に配慮して松くい虫防除を制限している結果、実は松くい虫被害が大変な勢いで進んでおります。こういう問題等、もう大変なんですね。 それから、あそこの島には一つも病院がないんです。診療所が一つあるだけで、病床ゼロという島でございますから、島民に何か起きたとき、外から入ってきた人たちに何かが起きたとき、あるいはレンジャーに何かが起きてもとっさの手だてができない、救急医療体制もでき上がっていない等々含めまして、これは環境問題とは関係ないかもしれませんけれども、大切な屋久島の自然を守っていくために、大なり小なり私たちやっぱりかかわってくることだと思いますので、ぜひ総合的な温かいお力を環境庁によってこの屋久島に与えていただきたいというふうに思いますが、大臣の御決意を伺いまして、質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(宮下創平君) 屋久島の一地域の問題ということにとどまらず、環境問題の具体的な追求は、やっぱり個々のそういうケースの追求にあるという先生の御指摘は私ももっともだと思います。 今までの議論を拝聴いたしまして、やはり世界遺産として指定をされた屋久島でございますから、これはもう人類共通の財産であるという意識のもとに、やはりいろいろな問題の解決に迫っていかなければならぬと思っております。 一々今御指摘の問題、先生が屋久島を大変つぶさにごらんになった上での御見解でございまして、私はまだ行ったことはないのでございますけれども、豊かなそういう経験に基づく御提案でございまして、非常にきめ細かな対策の提案もございました。これらを踏まえて、ひとつ我々の遺産であるこの屋久島をすばらしい環境保全の姿に持っていきたい、こう思っておりますから、よろしくお願い申し上げます。
○有働正治君 私は、大臣所信でも触れられています環境基本計画の策定に向けまして、中間とりまとめに対し、国民各層からの意見に関連いたしまして、環境庁の基本姿勢とそこに示されました国民の声に対する行政としての対応について質問したいと思います。 まず、この環境基本計画検討の中間とりまとめに関しまして、国民の皆さん方から、意見は何人の方から何件寄せられたのか、示していただきたいと思います。
○政府委員(石坂匡身君) 基本計画につきましては、御審議をいただいております中央環境審議会の企画部会で、去る七月に公表した後、全国各地でヒアリングを行いました。意見は合計六百十人の方々からいただいております。その内容に応じまして、項目別に分類、整理をいたしましたところ、延べ三千三百三十五件に上っておるところでございます。
○有働正治君 まとめられました意見の概要を私も拝読いたしました。その中で私として感じられました一つの実感というのは、九つのブロックごとのヒアリングで、財界の利益代表の意見を除きますと、全国各地で日夜身近な環境保護・保全に直面して、国の抜本対策、具体的な要望を求められて、実効ある対策を要求しておられるということが圧倒的だということを痛感いたしました。 そこで、大臣に端的にお尋ねします。 大臣、こういう意見の概要等、意見も直接もちろん大臣もお聞きになったという先ほどお話もございました、どのようなことを一番お感じになったか。また、この国民の意見をどう行政に反映する方向で大臣として御尽力なされるのか、その決意をお尋ねしたい。
○国務大臣(宮下創平君) 御指摘のように、中間とりまとめの案が七月に出されまして、九ブロックで意見を拝聴したわけです。こういう基本計画についてこういうブロックで各界の方々の意見を聞くという手法は、これはほかではないと私は感じました。 私も、関東ブロックのヒアリングを、長州知事もおいでになられましたが、聞きました。三時間ほどでございましたでしょうか、もう終始熱心に意見を述べられ、居眠りする人一人もなく、それをみんなが熱心に聞き入っておられました。これほどやっぱり環境問題は国民的な関心が高いんだなという実感を持って帰った次第でございます。 これらのいろいろな意見、今三千三百三十五件ということでございますが、多様な意見がこの中間とりまとめの各分野にわたって提案されてございますので、これは中原審が企画政策部会でとりまとめの作業中でございますが、十分にこうした意見を反映して、そして環境基本計画というものはやっぱり単なる官製版であってはならないわけで、国民の皆さんの意見も吸い上げたものであることが今後の環境基本計画の実効性を期す上で大変大切なものである、こう思っておりますので、あとう限り、先生方にもお願いし、また答申を受けてもよくそういった視点で検討させていただいて、新しい時代の環境政策の基本としていきたい、このように思っております。
○有働正治君 特に私が注目した一つは、中間とりまとめの中では欠落して、また批判を招いていました数値目標設定、これに対する意見が出されていることであります。 例えば、地球温暖化防止行動計画の骨格を基本的に組み込み、中間の短期的目標をも可能な範囲で記述し、数値にも触れる必要あり等々、数量的目標設定が必要との意見が、私の計算によりますと六十九件寄せられている。非常に多いわけであります。最終答申には環境保全のための数値目標を明記するよう求める意見ということで非常に強いわけであります。これに対しまして、数量的目標設定は慎重にという意見というのは、私の計算によると大体十件ぐらい。片や六十九件、七十件近い、片や十件と非常に好対照になっているということであります。 最終答申を検討しているいわゆる中央環境審議会も、議論すべき重点課題として、数値目標も含めた計画全体の目標設定のあり方、これを挙げておられることは私も承知しております。この数量的目標設定というのは、環境基本計画策定には、大臣も今強調された、実効性を上げる、この実効性という点からいって私は非常に必要であるし、不可欠であるし、国民の多くの強い意見だというふうに感じるわけで、そういう点で環境庁としてこういうのを積極的に受けとめるべきだというふうに考えるわけでありますが、いかがですか。
○政府委員(石坂匡身君) 委員御指摘のように、この基本計画におきますところの数量的な目標の扱い、これは重要な論点の一つであるというふうに考えておりまして、これは中央環境審議会におきましても議論をなされておるところでございます。 この点につきまして、中間とりまとめの公表に際しまして、参考に数量的目標を整理したわけでございますけれども、この際の企画政策部会長の談話の中でこうおっしゃっておられます。環境保全に係る数量的な目標は、「その期間、意思決定の手続きやレベルなどが多種多様であるため、中間とりまとめの段階では、二十一世紀半ばを展望し二十一世紀初頭までの施策の方向を明らかにする環境基本計画においてこれらをいかに位置づけるべきかについては、必ずしも成案を得ていない。今後、この点については、環境基本計画の最終的な答申までに、さらに検討を深めていく必要がある。」、こういうふうな談話を発表しておられるわけでございまして、引き続き後半におきます議論の大きなテーマであるというのは御指摘のとおりでございます。 そして、中間とりまとめにおきまして、今おっしゃった、計算をなされたそうでございますけれども、確かにたくさんの意見が寄せられております。ただ、ちょっとここで申し添えさせていただきますと、この件数といいますのは一人の人も一件ですし、団体も一件ですから件数だけではなかなか判断できないと思いますけれども、この数値につきましてはいろいろな議論がございます。ございますが、こうした点は審議会で、いろんな方々の意見があるわけでございますから、幅広く検討していただいて成案を得ていくというふうに承知をしております。
○有働正治君 環境基本計画そのものの位置づけでの意見では、環境基本計画を上位優先にしていただきたいというのが私の計算だと四十八件、ほかの計画との整合性をというのが十二件となっているわけであります。つまり、上位優先に環境基本計画を置いていただきたいというのが非常に大きな強い要望である。それから、環境影響評価等に寄せられた意見二百十四件のうち、経済同友会や電気事業連合会などの経済界からの、法制化は慎重にとの十一件を除きまして、法制化の明記、早期法制化が三十五件。公共事業、大規模開発に環境アセスを義務づけてほしい、これ二十七件。それから、情報公開、住民参加が十一件。計画段階でのアセス実施が二十六件。第三者機関による実施が二十四件。現行制度における問題点二十三件等々、実に九五%近くが実効性のある環境影響評価等の確立を強く求めているという状況にあるわけであります。 環境庁はこの意見を尊重していくべきだというふうに私は考えるわけでありますが、これは単なる計画策定のみならず今後の環境保護行政にも生かされるべき国民の大事な声であるという点からいって、簡単で結構ですので大臣の基本認識だけお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮下創平君) 今の環境基本計画と他の計画とのかかわりでありますけれども、少なくとも環境に関する限りはこの環境基本計画が上位置念で位置づけられるものと思います。ただし、他省庁で経済計画でございますとかいろいろございますが、そういった問題はやっぱり上位置念というわけには私はまいらぬと思うんです。しかし、これからの経済開発も環境問題を無視してはこれを論ずることはできないわけでありますから、そういう計画の中にもこの環境基本計画の理念なり考え方、そういうものは浸透されて、そしてその中に具現化されていくべきもの、こう考えております。 なお、アセスにつきましては、今検討しておりまして、その法制化を含めてひとつ鋭意検討を進めておるということで御承知おきいただきたいと思います。
○有働正治君 往々にして、マスコミ、雑誌の中でもはっきりあらわれていますけれども、他省庁との調整の中で開発官庁等に屈伏する傾向があると、今度の場合もそれを憂うる声が既に出されているわけであります。その点やはり上位に置くべきだというのを、こういう御意見、国民の切なる要望、そして大臣が、二十一世紀に向けて新しい視点から実効あるという立場からいったら、こういうものにぜひ耳を傾けて、真に実効あるものにしていただきたい、このことを要望しておきます。 次に、私は河川の汚濁問題とウオッシュロードとの関係について一、二お尋ねします。 例えば、宮城県の広瀬川上流部での開発行為によりまして汚濁が四カ月も続くなどして、仙台市を流れるあの清流広瀬川が汚濁流となりまして、アユもいなくなったなどという事例があります。これは一つの典型例だと私は考えるわけであります。それはウオッシュロードと呼ばれます。近年この問題の研究が進められまして、これは古くいえばアインシュタイン時代からのテーマであったと私は承知しているわけでありますが、近年その問題の専門家による研究も進められて、微細土砂つまり微粒子ゆえに沈殿しないで浮遊する、したがってダム等のいわゆる貯水池等に浮遊して汚濁が長期化する、なかなか消えないという、この問題が環境に深刻な影響を与えているという問題であります。 私は、この問題を昨年十二月二十七日、この委員会で質問いたしまして、その際、上流域の開発行為が水質に与える影響についてその対策を検討中と答弁なされました。その点で、環境庁としてこのウオッシュロードによる河川の汚濁とその環境悪化の実態について、その後の対策、対応はどうなされているのか、簡潔にお願いします。
○政府委員(嶌田道夫君) ウオッシュロードの問題でございますが、上流域での開発行為に伴いまして、降雨時に微細な土砂が流出いたしましてダムなどの水域の水質が悪化するといういわゆる濁水問題が生じる場合がございまして、水道利水等の面からもその影響は懸念されております。 今言われました件に関してでございますけれども、この濁水対策につきましては、昨年の十二月に中央環境審議会より「水道利用に配慮した公共用水域等の水質保全対策のあり方について」という答申をいただいておりまして、その中で、開発行為については、森林法、自然公園法、河川法などによる規制や環境影響評価制度などを十分に活用し、濁水発生の未然防止や是正の措置をとることが必要であるということで指摘されておりまして、環境庁といたしましては、この答申の趣旨を踏まえまして、関係省庁や地方公共団体と緊密な連係を図りまして、濁水の防止に今後とも努めてまいりたいと考えております。
○有働正治君 この問題は本当に全国的な清流の汚濁の問題として極めて広範囲に起きている重要な問題だと思うわけです。したがいまして、今日の環境基本計画等の中でもこの問題の対応を積極的にやっていただきたい、そして実効あるものにぜひしていただきたいということを強く要望しておきます。 この関連で、私農水省に若干お尋ねします。 川辺川、これは熊本県でありますけれども、国営の総合土地改良事業についてであります。この地域というのは球磨川、その支流であります川辺川、水の流量からいきますと川辺川が本流とも言えるほど多い川でありますけれども、日本一の急流下りとアユ、アユの中でも特別大きいアユ、大アユをはぐくむ川として全国屈指の清流であるわけであります。この球磨川、川辺川とのかかわりで、川辺川の利水事業となります国営川辺川総合土地改良事業について、私は、ウオッシュロードその他、土壌その他からいっても心配されているかかわりで若干お尋ねするわけでありますが、きょうは時間の関係で事実確認についてのみお尋ねいたしますので、そのつもりで御答弁いただきたいと思います。 まず、国営川辺川総合土地改良事業の採択要件、面積で何ヘクタールか、結論だけで結構ですから。
○説明員(船野龍平君) 国営土地改良事業の採択要件は、この地区は三事業が重なっております。それで、一番主な事業である農業用排水路、これが三千ヘクタール以上でございます。それから農地造成が、合わせましていわゆる実質の農地造成が四百ヘクタール、及び区画整理がおおむね二百ヘクタールということになっております。
○有働正治君 これは二十年ほど前に計画されて、その後の事態の進展の中で昨年事業計画も変更されてきている経緯がありますけれども、一たんこの開発計画に同意されましたものの、その後同意はいたしかねると撤回を申し入れられている農家があります。その農家の数、それから当初から計画変更にまだ同意されていない農家の戸数、それぞれ幾らで合計数幾らなのかお尋ねします。
○説明員(船野龍平君) 国営川辺川土地改良事業の計画変更にかかわる同意者のうち、同意の撤回を申し入れた農家数、本年の十月二十八日現在でございますが、農業用排水については百九十七名、農地造成については二十四名、区画整理については五十四名となっております。なお、未同意の農家数、これは農業用排水については三百二十四名、農地造成については二十四名、区画整理については九十八名になっております。
○有働正治君 その耕地面積、撤回及び未同意の方、それは中心事業であるとおっしゃられました農業用用排水で幾らでありましょうか。
○説明員(船野龍平君) 三百十八ヘクタールでございます。
○有働正治君 つまり、この農業用用排水は一つは三千ヘクタールが条件だというふうにおっしゃいましたけれども、三百十八ヘクタール既に減っている。変更後の計画は二千八百二十ヘクタールですから、その三百十八ヘクタールを引きますと二千五百二ヘクタールということになるということになります。 なぜ同意撤回をなされるなり、こういう申し入れが相次いでいるというふうに考えられるのか、その点だけ。
○説明員(船野龍平君) 同意撤回の主な理由でございますが、やはり最近における農業情勢が非常に低迷している、そういう不安感、あるいは農家が高齢化が進んでおりまして、それによる後継者の問題、そういうことによる営農意欲の減退が主な原因だろうというぐあいに考えております。
○有働正治君 あるいは農水省等の説明が十分でないということも考えられるんですけれども、そこらあたりいかがでしょうか。
○説明員(船野龍平君) 農林省におきましても、この事業は農林省がやっておりまして、国の職員及び県、市町村の職員ともに一体となりまして今回の計画変更で各地域に地元の皆さんに説明に上がっておりまして、ほぼ十分な説明がなされておるものではないかというぐあいに考えております。
○有働正治君 ほぼ十分な説明がなされていればこういうことは起こらないと思いますけれども、十分と考えられますか。やっぱり不十分な点も一部あるからこそこういう事態が起きているということじゃないんですか。どうですか、そこをはっきり。
○説明員(船野龍平君) 現実に地元におきまして、いろいろ御説明に上がっておりますけれども、例えば地区の皆さんが集まってもらう席で全員の皆様が集まらない場合、あるいは個別の農家のところへお邪魔しても御本人がおられない場合等々ございまして、先ほどのほぼ十分なという説明になったわけでございます。
○有働正治君 とんでもないことで、やはり一たん同意しながら同意できないというのは、納得できないからこそ撤回されるわけでしょう。納得されれば撤回されることはないはずですけれども、その点とうなんですか。納得してないからでしょう。
○説明員(船野龍平君) 現実の事実関係、先ほど申しました同意撤回者がおられるのは事実でございます。 なお、そのほかに約九割の方が賛成していただいております。つまり九割の方は同意いただいておりまして、そういう現状になってございます。
○有働正治君 あなただとなかなか言えないということもあるんでしょうけれども、私は、ひどいやり方が行われているからこそこういう問題も起きているということだけは指摘しておきます。 もともと二十年ぐらい前の計画が、先ほども御説明あったように、農業事情の情勢の激変等々、この二十年間の激変等々があるわけですから、やはり計画変更もせざるを得なかったということでありますけれども、やはり思い切って事業の見直しが求められているということが強い要望として出されています。したがって、計画変更の公告などはやるべきでない、これは撤回すべきだと、これ時間がありませんので、そのことだけ強く指摘しておきます。 それで、環境庁に話を戻しまして若干お尋ねしますけれども、日本植物分類学会が九三年五月に発刊いたしましたレッドデータブック「日本の絶滅危惧植物」によりますと、絶滅の危険等々が相当指摘されている状況があります。時間がありませんので一々私申し述べません。 そこでお尋ねしたいのは、植物分類学会はその事態を大変憂えまして、責任も感ぜられまして、野生植物種の保護の方策として多々申し入れを要望しておられます。例えば生息域の湿地、自然草地の開発への規制強化、これを求めて、具体的には生息域の開発行為に対して環境アセスの実施と絶滅のおそれのある植物の有無に関する調査の義務づけ、生育地の開発の法的規制、野生植物種保護法の制定による採集禁止と採集品売買禁止、そのための地方植物相の調査研究の促進等々を挙げられているわけであります。 環境庁として、この絶滅危惧野生植物種に対する対応の問題でありますが、この間、関連する法律あるいは基本方針の策定、あるいは希少の野生動植物の指定等々、要望にこたえる形で対応されたことも私は承知しているわけであります。同時に、これからやはりやらねばならない、またやっていただきたいという内容は多々ある、山ほどあると言っても過言ではないわけであります。そういう点で、今後どういう点で対応していこうというふうに考えられるか、積極的な対応を求めたいわけで、今後の対応中心に簡潔にお述べいただきたい。
○政府委員(奥村明雄君) 先生御指摘のとおり、種の保存、大切な課題でございます。平成五年四月に種の保存が施行されました後、私どもは同法に基づきまして、当初指定した三十八種に加えまして、平成六年一月に植物二種を含む六種の指定を行い、規制措置を講じているところでございます。現在、さらに生息地等保護区等の指定の検討を進めているところでございます。また、保護増殖を図るために生育環境の改善整備や人工増殖でふやした苗の移植などの事業を行っておりますし、また、植物版レッドデータブック作成のための調査でありますとか、モニタリング調査、それから、本年度から、我が国の動植物相を総合的に把握するための種の多様性調査にも着手するなど、知見の収集に努め、対策の強化を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
○有働正治君 これは本当に開発等によりまして大きな問題になっていて、今後の具体的な保護策が求められている。今局長述べられたとおりです。そういう点からいっても大臣の積極的な決意と対応を求めたいと思うんでありますが、いかがですか。
○国務大臣(宮下創平君) 野生動植物を絶滅の危機から守るということは、これは環境行政の重要な一つの側面でございます。そして、我々の住む生態系を維持していくという観点からも極めて重要なことでございまして、種の保存法もそういった趣旨からして作成されたものと存じますが、今局長の言いましたように、いろいろな調査をやったり、あるいは科学的な知見の集積をやったり、いろいろの各面の努力を通じてこの種の保存の問題に取り組まさせていただきたいと思っております。
○委員長(篠崎年子君) 時間がありませんから、簡単に。
○有働正治君 関連しまして、最後に。 九四年度から環境庁もおくればせながら植物版のレッドデータブック作成と種の多様性調査を開始しているというふうに承知しています。この調査は、先ほど述べました日本植物分類学会に委託し、四十七都道府県で現地調査が進行中と聞いています。 ここで私が、ぜひ御検討して積極的な対応を求めたいのは、その調査費が全国で一千万円で、各県ごとに見ますと二十万円前後が配分されているようですが、一県二十万円前後の調査費となりますと、調査結果の資料、調査票や標本などの郵送料、通信費等々に充てられて、調査の足代、ガソリン代等々はほとんど自己犠牲になっているという状況のようであります。私も直々にいろいろお尋ね申しました。もちろんこの方々はボランティア精神で、そういうことをいとわないでやっておられるということは大前提の上での、私が突っ込んで事情を聞いたらお答えになる、非常に控えめなお答えであったこともつけ加えておきますけれども。いずれにしても、ほとんど自己犠牲的にやっておられると言っても過言でないわけです。一方、各県の調査が、植物分類学会とは別に県の委託調査も併用して行われて、そちらの予算は一定ついているというふうに聞いています。 したがいまして、私は、事実上、手弁当的に自己犠牲的にやっておられるような方々を含めまして、何らかの援助がもう少しやれないかどうか。国と県をダブって調査しておられない方等もおられるとも聞いていますし、何らかの対応をやっていただきたい。また、数年かかる仕事でありますので、国としても、必要な予算は今後増額していく等を含めまして精力的に対応していただきたいということを、これ局長、最後に大臣の決意だけ簡単に。
○政府委員(奥村明雄君) 先生御指摘のレッドデータブックですが、これは研究者が持っておられる最新の資料や知見を収集するということを主体にして行ったということでございまして、この調査の実施に当たっては、先生御指摘のように、日本植物分類学会の呼びかけに応じた全国の多数の研究者の方が日ごろの研究に合わせて現地に赴いて調査確認を行うなど、大変な御協力をいただいているのが実態でございます。その結果、これらの御尽力に対しては十分対応ができていないというのは御指摘の状況のとおりでございます。 私どもとしては、今年度から全国の動植物の分布の全体像を把握することを目的とした生物多様性調査を開始したところでございますが、この調査におきましては、現地で行う調査を重視するということで全体を仕組んでいきたいというふうに考えておりまして、こうした研究者がいろいろ現地へ赴いて確認をしていただく等の費用についても今後はいろいろ配慮ができるのではないかというふうに考えておるところでございます。
○国務大臣(宮下創平君) 献身的な御協力をいただいております学者先生その他、環境庁として調査を十分に行うためにはやっぱりそれなりの手当てをすべきものと考えますから、今後、努力させていただきます。
○有働正治君 終わります。
○委員長(篠崎年子君) 本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。 午後三時五分散会 —————・—————