本会議 第15号
- 発言数
- 30 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1994/12/02
会議録
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。 ————◇————— 日程第一 世界貿易機関を設立するマラケ シュ協定の締結について承認を求めるの件 日程第二 著作権法及び万国著作権条約の実 施に伴う著作権法の特例に関する法律の一 部を改正する法律案(内閣提出) 日程第三 加工原料乳生産者補給金等暫定措 置法の一部を改正する法律案(内閣提出) 日程第四 繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価 格安定事業団法の一部を改正する法律案 (内閣提出) 日程第五 農産物価格安定法の一部を改正す る法律案(内閣提出) 日程第六 特許法等の一部を改正する法律案 (内閣提出) 日程第七 関税定率法等の一部を改正する法 律案(内閣提出) 日程第八 主要食糧の需給及び価格の安定に 関する法律案(内閣提出)
○議長(土井たか子君) 日程第一、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結について承認を求めるの件、日程第二、著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律案、日程第三、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案、日程第四、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案、日程第五、農産物価格安定法の一部を改正する法律案、日程第六、特許法等の一部を改正する法律案、日程第七、関税定率法等の一部を改正する法律案、日程第八、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案、右八件を一括して議題といたします。 委員長の報告を求めます。世界貿易機関設立協定等に関する特別委員長佐藤孝行さん。 ————————————— 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結 について承認を求めるの件及び同報告書 著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作 権法の特例に関する法律の一部を改正する法 律案及び同報告書 加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を 改正する法律案及び同報告書 繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団 法の一部を改正する法律案及び同報告書 農産物価格安定法の一部を改正する法律案及び 同報告書 特許法等の一部を改正する法律案及び同報告書 関税定率法等の一部を改正する法律案及び同報 告書 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案 及び同報告書 〔本号(二)に掲載〕 ————————————— 〔佐藤孝行君登壇〕
○佐藤孝行君 ただいま議題となりました八案件につきまして、世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。 まず、各案件の概要について、世界貿易機関設立協定から申し上げます。 貿易自由化と貿易ルールの強化を目指して一九八六年九月に開始されたガットのウルグアイ・ラウンド交渉は、昨年十二月に妥結し、本年四月にモロッコのマラケシュで開催された閣僚会合において、交渉の成果を取りまとめた本協定等を添付した最終文書への署名が行われました。 本協定は、世界貿易機関を設立し加盟国間の貿易関係を規律する共通の制度上の枠組みを提供すること、関税その他の貿易障害を軽減し、国際貿易における差別待遇を廃止すること等を目的とするものであり、従来のガットが対象としていた物品の貿易に加え、サービス、知的所有権といった新しい分野を含む幅広い分野について規律を策定し、貿易ルールについて定める諸協定をすべて附属書に取り入れ単一の国際約束に取りまとめ、一方的措置への規律の強化を初め紛争解決手続を改善強化しようとするものであります。 次に、この協定の実施等に伴う国内法の整備について申し上げます。 まず、著作権法及び万国著作権条約実施特例法改正案は、協定により我が国が保護の義務を負う実演、レコード及び放送を著作権法により保護を受ける実演、レコード及び放送として追加すること等とするものであります。 次に、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法改正案は、すべての乳製品の国境措置が関税化されること等に対処し、畜産振興事業団が行う指定乳製品等の輸入に係る調整の業務を整備しようとするものであります。 次に、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法改正案は、繭及び生糸の国境措置が関税化されること等に対処し、蚕糸砂糖類価格安定事業団が行う生糸の輸入に係る調整の業務を整備しようとするものであります。 次に、農産物価格安定法改正案は、でん粉の国境措置が関税化されること等に対処し、政府が買い入れたでん粉等の売り渡しに係る規定を整備しようとするものであります。 次に、特許法等改正案は、協定に対応して、特許期間を出願日から二十年とし、ブドウ酒等の地理的表示の保護を強化する等の措置を講ずるとともに、日米合意等を踏まえて、外国語書面により特許出願ができる制度及び特許後に異議申し立てを行う制度を創設する等、工業所有権制度を整備しようとするものであります。 次に、関税定率法等改正案は、農産物のうち現在行っている輸入制限等を関税化する品目について、関税率の引き上げ及び関税割り当て制度等を導入するなど所要の改正を行うとともに、現行の実行税率となっている関税率水準を原則として基本税率とするものであります。 最後に、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案は、近年における米穀の生産、流通、消費をめぐる諸情勢の大きな変化並びに協定の実施に伴う新たな国際的規律に対応するため、今後とも米穀の需給及び価格の安定を図ることを基本としつつ、生産者の自主性を生かした稲作生産の体質強化、市場原理の導入や規制緩和を通じた流通の合理化等が図られるよう、食糧管理法を廃止するとともに、新たな制度を構築しようとするものであります。 以上各案件は、本院に提出され、去る十一月二日本会議において各案件を審査するための本特別委員会が設置され、引き続き趣旨説明及びこれに対する質疑が行われました。 本委員会においては、同月七日各案件について政府からそれぞれ提案理由の説明を聴取し、十七日質疑に入り、二十八日には公聴会、また、同日委員を福島市に派遣して、いわゆる地方公聴会を開催し、有職者から意見を聴取するなど慎重な審査が行われました。その詳細については、会議録に譲ることといたします。 かくて、昨十二月一日質疑を終了し、引き続き討論の後、採決を行いました結果、世界貿易機関設立協定は多数をもって承認すべきものと議決し、著作権法及び万国著作権条約実施特例法改正案及び特許法等改正案は全会一致をもって、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法改正案外四法律案は多数をもって、それぞれ原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。 なお、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案に対し附帯決議が付されました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(土井たか子君) これより採決に入ります。 まず、日程第一につき採決いたします。 本件を委員長報告のとおり承認するに賛成の皆さんの起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(土井たか子君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。 次に、日程第二及び第六の両案を一括して採決いたします。 両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。 次に、日程第三ないし第五、日程第七及び第八の五案を一括して採決いたします。 五案の委員長の報告はいずれも可決であります。五案を委員長報告のとおり決するに賛成の皆さんの起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(土井たか子君) 起立多数。よって、五案とも委員長報告のとおり可決いたしました。 ————◇—————
○山本有二君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。 仲村正治君外二十一名提出、世界貿易機関設立協定の受諾等に伴う国内対策の確立等に関する決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。
○議長(土井たか子君) 山本有二さんの動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。 ————————————— 世界貿易機関設立協定の受諾等に伴う国内対 策の確立等に関する決議案(仲村正治君外 二十一名提出)
○議長(土井たか子君) 世界貿易機関設立協定の受諾等に伴う国内対策の確立等に関する決議案を議題といたします。 提出者の趣旨弁明を許します。仲村正治さん。 ————————————— 世界貿易機関設立協定の受諾等に伴う国内対策 の確立等に関する決議案 〔本号(二)に掲載〕 ————————————— 〔仲村正治君登壇〕
○仲村正治君 ただいま議題となりました世界貿易機関設立協定の受諾等に伴う国内対策の確立等に関する決議案につきまして、自由民主党、改革、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけ及び民主新党クラブを代表し、提案の趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 世界貿易機関設立協定の受諾等に伴う国内対策の確立等に関する決議案 本院は、世界貿易の発展並びに自由貿易体制の維持強化によってもたらされる幅広い国民的利益等を慎重に考慮し、農業協定を含む世界貿易機関設立協定を承認し、また、これに関連する国内法を可決した。しかしながら、これに伴い、農業をはじめとする分野で少なからぬ影響が生ずるおそれがある。 よって政府は、これらの影響を極力緩和し新たな国際環境に対応し得る構造を構築するとともに、特に農業については、予算措置について特別の配慮を払う等万全の国内対策を講ずるほか、食料自給力の強化、食品の安全性の確保等を図り、国民生活の安定に遺憾なきを期すべきである。 右決議する。 以上であります。 我が国は、ガット体制のもとで自由主義経済の恩恵を受け、戦後の廃墟の中から奇跡的に国家の再建に成功し、今や世界経済をリードする主要先進国の一員となる等、目覚ましい経済発展を遂げてまいりました。 しかしながら、戦後四十数年、国際貿易の拡大と進展は目覚ましく、ガットにかわる新たな国際機関設立の必要性が論じられ、一九八六年九月、プンタデルエステ宣言に始まったウルグアイ・ラウンド交渉は、各国のさまざまな利害を乗り越えた末、本年四月、ガットにかわる新たな自由貿易体制を維持強化するための世界貿易機関設立をうたったマラケシュ宣言をもって、その七年七カ月の交渉に幕をおろしました。 世界貿易機関すなわちWTOを設立する今回の協定は、従来のガットが扱ってきた物の貿易に加え、サービス、知的所有権、紛争解決の強化といった分野を取り込み、新たな自由貿易の枠組みをつくるものであります。 WTOのもとでは、今後、先進国と途上国との対立の調整が必要となる「貿易と環境」「貿易と労働」という新たなテーマの確立作業が予定されるなど、我が国としてもかかる重要な課題に積極的に関与し、先進国として、また、アジアの一員という立場を生かしつつ、WTOの今後の活動に積極的に参加すべきものと考えます。 一方、我が国内に目を転じますと、米のミニマムアクセスを受け入れるなどにより、農業を初めとする分野で少なからぬ影響が生ずるおそれがあります。このため、特に農業分野においては、政府が六カ年で六兆百億円の事業費をもって講ずる予定の農業合意関連対策について予算に特別の配慮を払うなど万全を期し、これらの影響の緩和と新たな国際環境に対応した農業構造の構築を図ることが不可欠であります。 また、主要先進国が食糧自給率を向上させているのに対し、我が国の食糧自給率は低下しており、人口問題や地球環境問題を考慮した場合、このような事態はまさに憂慮すべきことであります。 このような状況を踏まえて、政府としては、引き続き、基礎的食糧である米は国内自給を基本とするとともに、その他の農産物についても可能な限り国内生産を維持拡大するように努め、食糧自給力の強化を図るべきであります。 さらに、輸入農産物の増大が予想される中、国民に安全・新鮮な食糧の安定供給を図る観点から食品の安全性の確保に従来以上に意を用いるなど、国民生活の安定に遺憾なきを期する必要があるものと考えます。 本院におきましては、過去、第九十一回国会において「国民生活の安全保障体制として食糧自給力の強化を図る」、第百一回国会において「国民生活安定のため、食糧自給の方針を堅持する」、第百十三回国会において「米国内の我が国に対する自由化要求の動きは、極めて遺憾であり、認められない」との決議を行ってまいりました。 今般、世界貿易機関設立協定の承認に当たり、本院としての決意を表明すべきものと考える次第であります。 以上、万全の体制で国民生活と農業経営の安定が図られますよう心から希望いたしまして、本決議案の趣旨説明とさせていただきます。 何とぞ議員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(土井たか子君) 採決いたします。 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(土井たか子君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。 この際、農林水産大臣から発言を求められております。これを許します。農林水産大臣大河原太一郎さん。 〔国務大臣大河原太一郎君登壇〕
○国務大臣(大河原太一郎君) ただいまの御決議に対しまして所信を申し述べます。 政府といたしましては、世界貿易機関設立協定の受諾等に伴い、所要の農業対策を講ずるなど、ただいま採択されました御決議の趣旨を体し、遺憾のないよう対処してまいりたいと考えております。(拍手) ————◇————— 日程第九 原子爆弾被爆者援護法案(粟屋敏 信君外六名提出) 日程第十 原子爆弾被爆者に対する援護に関 する法律案(内閣提出)
○議長(土井たか子君) 日程第九、原子爆弾被爆者援護法案、日程第十、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。 委員長の報告を求めます。厚生委員長岩垂寿喜男さん。 ————————————— 原子爆弾被爆者援護法案及び同報告書 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律案及 び同報告書 〔本号(二)に掲載〕 ————————————— 〔岩垂寿喜男君登壇〕
○岩垂寿喜男君 ただいま議題となりました二法案について、厚生委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。 まず、粟屋敏信君外六名提出、原子爆弾被爆者援護法案について申し上げます。 本案は、国家補償的配慮に基づき、原子爆弾の投下の結果として生じた放射能に起因する健康被害が他の戦争被害とは異なる特殊の被害であることにかんがみ、高齢化の進行している被爆者に対する保健、医療及び福祉にわたる総合的な援護対策を講ずるとともに、原子爆弾による死没者のとうとい犠牲を銘記するための事業を行うことを目的とするものであり、その主な内容は、 第一に、健康管理及び医療の給付を行うこと、 第二に、所得制限を設けない被爆者年金を支給すること、 第三に、葬祭料制度の発足前に亡くなられた原子爆弾死没者の遺族に対し、国家的関心の表明として、また、核兵器廃絶の祈りを込めて、特別給付金として十万円を二年以内に償還すべき国債をもって交付すること、 第四に、福祉事業として、相談事業、居宅生活支援事業及び養護事業を行うこと、 第五に、原子爆弾によるとうとい犠牲を銘記し、かつ、恒久平和を祈念するための平和祈念事業を行うこと、 第六に、厚生大臣の諮問機関として原子爆弾被爆者援護審議会を設けること、 第七に、都道府県の事業に要する費用に対する補助及び放射線影響研究所に対する補助について法定化すること等であります。 本案は、去る十一月二十五日の本会議において趣旨説明が行われ、同日付託となり、同日の厚生委員会において提出者斉藤鉄夫君から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、二十九日には参考人の意見を聴取し、その後広島及び長崎に委員を派遣し、三十日には現地において意見を聴取するなど慎重かつ熱心な審査を行い、昨日の委員会において質疑を終了し、討論の後、採決の結果、本案は賛成少数をもって否決すべきものと議決した次第であります。 次に、内閣提出、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律案について申し上げます。 本案は、被爆後五十年のときを迎えるに当たり、恒久平和を念願するとともに、国の責任において被爆者に対する保健、医療及び福祉にわたる総合的な援護対策を講じ、あわせて、国として原爆死没者のとうとい犠牲を銘記するための事業を行うことを目的とするものであり、その主な内容は、 第一に、特に前文を設けて、法制定の趣旨を明らかにするとともに、国の責任において総合的な被爆者対策を実施することを明確にすること、 第二に、被爆者であって、広島及び長崎で被爆し葬祭料制度の対象となる前に死亡した者の遺族である方に対し、特別葬祭給付金を支給すること、 第三に、国は、原子爆弾の惨禍に関する国民の理解を深め、その体験を次の世代に伝えるとともに、原爆死没者の方々に対する追悼の意をあらわす事業を行うこと、 第四に、現行制度における各種の手当等につきましては引き続き支給することとしておりますが、健康管理手当等の手当に現在設けられている所得制限を撤廃すること、 第五に、福祉事業の実施及び補助を法定化するとともに、放射能影響について調査研究の促進のための規定の整備を図ること等であります。 本案は、去る十一月二十五日の本会議において趣旨説明が行われ、同日付託となり、同日の厚生委員会において井出厚生大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、二十九日には参考人の意見を聴取し、その後広島及び長崎に委員を派遣し、三十日には現地において意見を聴取するなど慎重かつ熱心な審査を行い、昨日の委員会において質疑を終了いたしましたところ、日本共産党より、本案に基づく各種の給付は国家補償として行うこととすること等を内容とする修正案が提出され、討論の後、採決の結果、修正案は賛成少数で否決され、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 以上、御報告を申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(土井たか子君) 両案につき討論の通告があります。順次これを許します。石田祝稔さん。 〔石田祝稔君登壇〕
○石田祝稔君 私は、ただいま議題となりました原子爆弾被爆者援護法案二法案につきまして、改革を代表して、改革案に賛成、政府案に反対の立場から、討論を行います。 両法案は、現行二法を一本化して被爆者援護法とすること、各種手当の所得制限を撤廃することなど、基本的な骨格では類似したものとなっています。 しかしながら、被爆者の最も強い要求である国家補償に関しては、政府案は前文に「国の責任」という意味不明の言葉を入れることで妥協を図っており、現行二法の条文を単につなぎ合わせただけの内容になってしまっているのであります。与党が政権維持を最優先し、被爆者援護法の最も重要な精神を捨て去ってでき上がったのが政府案であると言わなければなりません。 社会党の従来からの強い主張であった国家補償の精神は一体どこに行ってしまったのでありましょうか。厚生委員会で行った広島、長崎での地方公聴会でも、「国の責任」というわけのわからない言葉には到底納得できないという被爆者の強い意見が出されたのであります。 良識ある議員の皆さん、みずからの公約を捨て去り、被爆者の願いに背を向けるこのような姿勢に、国民の代表として良心の痛みを感じないのでしょうか。みずからの理念まで捨てて維持すべき政権の価値とは、何なのでありましょうか。 十七世紀のイギリスの詩人ミルトンは「やむを得ずというのは圧制の口実である」と述べました。政権維持のためやむを得ず税制改正や年金改正で妥協し、この被爆者援護法まで自民党の主張にすり寄ってしまった社会党に、残るものは一体何なのでしょうか。社会党は、自民党と政権を共有することによって得るものは何もなく、自民党の復権に手をかしていることをこの法案は明確に示しているのであります。 改革案は、この点に関し、最高裁の判例を援用し、「国家補償的配慮に基づき、」援護措置を講ずることとしており、被爆者の願いと法律の体系とのぎりぎりの接点を探ったものとして私は高く評価されるべきものと確信をいたしております。(拍手) 政府案に反対する第二の理由は、政府案は、特別葬祭給付金を被爆者手帳を所持する遺族に支給することとされており、これでは、被爆者の間に支給を受ける者と受けない者という新たな不公平を生じてしまい、被爆によって亡くなったみたまの尊厳を傷つける結果となってしまうからであります。 さらに、現在の葬祭料は、遺族のうち葬祭を行う者一人に対して支給されていますが、今回の政府案は、手帳を所持する二親等内の遺族全員に対し支給するものとしています。これは現行制度と比較して著しく均衡を欠く措置であり、特別措置法以後の事案についても同様の措置を講じなければ整合性を欠いてしまいます。 このような被爆者を分断する措置に反発して、ある被爆者は「自分はこの特別葬祭給付金をもらう資格があるが、もらえない遺族の気持ちを考えると、到底、申請する気持ちにはなれない」と、受け取り拒否を明言しているのであります。 改革案では、この問題を解決するため、新たに創設する特別給付金は、特別措置法制定以前に亡くなったすべての原爆被爆者の遺族に支給することとしており、政府案のような新たな不公平や問題は生じないものとなっております。 最後に、この法案提案に至る経緯について触れたいと思います。 被爆者援護法は、被爆者団体の要望にこたえる形で、社会党を中心とした当時の野党共同法案が何回も提出され、参議院では、その国家補償の精神に基づく法案が、社会党ももちろん賛成して、二回可決されたのであります。 昨年の細川内閣発足に当たり、自民党政権下では実現できなかった最重要な課題として、社会党が提唱して、被爆者援護法に関する旧連立与党のプロジェクトチームが設置されました。改革案は、このような経緯から、もともとの社会党案を基礎にしつつ、慎重な討議を踏まえてつくられたものであり、法律的な整合性を図る観点から、国家補償的配慮に基づく援護措置を講ずるものとしたものであります。 昭和四十九年に被爆者援護法が本院に初めて提案されてから今日まで、二十年にわたる長い期間、この問題の解決に向けて積極的に取り組んでこられた社会党の関係議員の長年の御努力には敬意を表します。これまでの皆さんの努力を無にしないためにも、政権維持のためやむを得ず政府案に賛成することなく、党の立場を超えて、「国家補償」という言葉を盛り込んだ改革案に賛成していただくよう強くお願いを申し上げまして、私の討論を終わります。(拍手)
○議長(土井たか子君) 衛藤晟一さん。 〔衛藤晟一君登壇〕
○衛藤晟一君 私は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけを代表して、ただいま議題となっております政府提案の原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律案につきまして賛成の討論を行い、改革提出の原子爆弾被爆者援護法案に対しては反対の討論を行うものであります。(拍手) 我が国は、世界唯一の原子爆弾の被爆国として、核兵器の究極的廃絶と世界恒久平和の確立を全世界に訴え続けてまいりました。また、被爆者の方々に対しましては、医療の給付、手当等の支給を初めとする各般の施策を講じ、その健康の保持増進と福祉を図ってきたところでありますが、高齢化の進行など被爆者を取り巻く環境の変化を踏まえ、現行の施策を充実発展させた総合的な対策を講ずることが強く求められてきております。 政府案は、こうした状況を踏まえ、被爆後五十年のときを迎えるに当たり、恒久の平和を念願するとともに、国の責任において被爆者に対する保健、医療及び福祉にわたる総合的な援護対策を講じ、あわせて、国として原爆死没者のとうとい犠牲を銘記するためのものであります。 具体的には、特に前文を設け、国の責任において総合的な被爆者対策を実施することを明確にするほか、特別葬祭給付金の支給、平和を祈念するための事業の実施、諸手当に係る所得制限の撤廃、福祉事業の実施及び補助の法定化並びに調査研究の促進などをその内容としており、被爆者対策を大きく前進、充実させるものであります。 特に、原爆死没者の方々全体に対して、国として弔意を表し、恒久の平和を念願する観点から、平和を祈念するための事業の実施を法律上規定したことは画期的なものであると考えます。(拍手) さらに、こうした死没者全体に対する慰霊とあわせ、被爆者対策の充実を見るまでの間に亡くなられた方が経験された苦難は想像に余りあるものがあることから、自分自身も被爆者としてこうした死没者の苦難をともに経験され、いわば二重の犠牲を払ってこられた遺族の方に対しては、特別葬祭給付金を支給することとし、その特別の不安や精神的苦悩を和らげることとしている点は高く評価できるものであります。 被爆後五十年という節目の年を迎えるに当たり、こうした法律が制定されることはまことに時宜を得たものであり、私どもといたしましては、本案に賛意を表するものであります。 次に、改革の提出された原子爆弾被爆者援護法案につきましては、政府案と比較した場合、幾つかの問題点があると考えております。 まず、前文において、政府案が「国の責任において、」との表現をとっているのとは異なり、改革案では「国家補償的配慮に基づき、」とされております。「国家補償」という用語については、不法行為責任に基づく国家賠償、適法行為に基づく損失補償、使用者として行う補償及び結果責任に基づく補償といった多くの意味があり、その意味するところは必ずしも明らかではありません。改革の皆さんは、昭和五十三年の最高裁判決や昭和五十五年の原爆被爆者対策基本問題懇談会報告書で「国家補償」の語が用いられていることから、本法案の場合も「国家補償」の意味するところは明確であると主張されていますが、判決や報告書全体で意味内容を明らかにできる場合に「国家補償」の語を用いることはできても、簡明で紛れの生じにくい表現が求められる法文においては、こうした用語を用いることは不適切であり、改革の皆さんも否定しておられる国の戦争責任に基づく補償と受け取られる可能性の強いものであります。 一方、政府案においては、前文に「国の責任において、」の表現を盛り込んでいますが、これは、被爆者対策に関する事業の実施主体としての国の役割を明確にし、被爆者の方々の実情に即応した施策を講ずるという国の姿勢を、新法全体を通じる基本原則として明らかにしたものであり、被爆者対策における国の役割を積極的に位置づけたものとして評価することができるものです。 また、改革案では、原爆死没者の遺族に特別給付金を支給することとされており、これは改革案の柱となる施策として位置づけられておりますが、この給付金の趣旨や性格については明確な説明が行われておりません。この点で、政府案における特別葬祭給付金は、生存被爆者対策の枠組みの中で、被爆者の方のいわゆる二重の苦しみに着目して支給するものであるとの趣旨が明らかにされております。 さらに、制度の仕組み自体を見ても、改革案では、一人の死没者について、その遺族の間で優先順位の高い一人だけが受給できる仕組みであるのに対し、政府案では対象となる遺族全員が受給できることとなっており、この点でも政府案の方がすぐれたものであると考えます。 このように、改革案には幾つかの基本的な問題点があり、私どもといたしましては、本案に反対の意を表するものであります。(拍手) なお、最後になりましたが、広島、長崎において原爆の惨禍の犠牲となられた方々を初めとして、さきの大戦における多くの方々の犠牲の上に今日の平和が開かれたことを深く心に刻み、改めて心から御冥福を申し上げるとともに、哀悼の意を表する次第であります。 さらに、人類史上初めて原子爆弾の惨禍を経験され、半世紀近くを経た今なおその後遺症に苦しんでおられる被爆者の方々に思いをいたしますと、まことに胸の張り裂ける思いであります。心からの御慰労の気持ちを申し上げます。 今回のこの画期的な政府案をもとに、今後とも被爆者対策の一層の充実に全力を尽くしてまいることをお誓いして、私の討論を終わります。(拍手)
○議長(土井たか子君) これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○議長(土井たか子君) これより採決に入ります。 まず、日程第九につき採決いたします。 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。 本案を原案のとおり可決するに賛成の皆さんの起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(土井たか子君) 起立少数。よって、本案は否決されました。 次に、日程第十につき採決いたします。 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の皆さんの起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(土井たか子君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。 ————◇—————
○議長(土井たか子君) この際、暫時休憩いたします。 午後一時四十四分休憩 ————◇————— 午後十時四十分開議
○議長(土井たか子君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 ————◇————— 会期延長の件
○議長(土井たか子君) 会期延長の件につきお諮りいたします。 本国会の会期を十二月九日まで六日間延長いたしたいと存じ、これを発議いたします。 採決いたします。 会期を十二月九日まで六日間延長するに賛成の皆さんの起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(土井たか子君) 起立多数。よって、会期は六日間延長することに決まりました。(拍手) ————◇—————
○議長(土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。 午後十時四十一分散会 ————◇—————