本会議 第10号
- 発言数
- 51 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1994/11/02
会議録
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。 ――――◇――――― 特別委員会設置の件
○議長(土井たか子君) 特別委員会の設置につきお諮りいたします。 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結について承認を求めるの件、著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律案、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案、農産物価格安定法の一部を改正する法律案、特許法等の一部を改正する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案及び主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案を審査するため委員五十人よりなる世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会を設置いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。 ただいま議決されました特別委員会の委員は追って指名いたします。 ――――◇――――― 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締 結について承認を求めるの件、著作権法及 び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の 特例に関する法律の一部を改正する法律案 (内閣提出)、加工原料乳生産者補給金等暫 定措置法の一部を改正する法律案(内閣提 出)、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格 安定事業団法の一部を改正する法律案(内 閣提出)、農産物価格安定法の一部を改正 する法律案(内閣提出)、特許法等の一部を 改正する法律案(内閣提出)、関税定率法等 の一部を改正する法律案(内閣提出)及び主 要食糧の需給及び価格の安定に関する法律 案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(土井たか子君) 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結について承認を求めるの件、内閣提出、著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律案、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案、農産物価格安定法の一部を改正する法律案、特許法等の一部を改正する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案及び主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。外務大臣河野洋平さん。 〔国務大臣河野洋平君登壇〕
○国務大臣(河野洋平君) 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 この協定は、昭和六十一年九月に開始された関税及び貿易に関する一般協定のもとにおける第八回目の多角的貿易交渉であるウルグアイ・ラウンドの結果作成されたものであり、世界貿易機関を設立し加盟国間の貿易関係を規律する共通の制度上の枠組みを提供すること、関税その他の貿易障害を実質的に軽減し及び国際貿易関係における差別待遇を廃止すること等を目的とするものであります。 この協定は、従来の関税及び貿易に関する一般協定に比して次のような画期的な内容を有しております。すなわち、 第一に、従来より一般協定が規律してきた物品の貿易に加え、サービスの貿易、知的所有権の貿易関連側面といった新しい分野を含む幅広い分野について規律を策定していることであります。 第二に、貿易ルールについて定める諸協定をすべて附属書に取り入れ、単一の国際約束としてまとめることにより、これらの諸協定の統一的な運用を確保するための枠組みを提供していることであります。 第三に、世界貿易機関の設立により、多角的貿易体制を支える制度的基盤が整備されたことであります。 さらに、一方的な措置に対する規律の強化等、紛争解決の手続が強化されていることであります。 世界の主要な貿易国である我が国がこの協定を締結することは、多角的貿易体制の発展に寄与するとともに、我が国の国民生活に多大の利益をもたらすこととなるという見地から極めて有意義であると考えます。 ウルグアイ・ラウンドの多角的貿易交渉に参加した諸国は、この協定に基づく新たな多角的貿易体制への早期の移行の意思を表明しており、当初よりこの協定の作成に積極的に参加してきた我が国としても、この協定の効力発生の日から、この協定の加盟国となり新たな多角的貿易体制の発展に寄与することが重要であるので、他の主要国とともにこの協定を早期に締結することが望ましいと考えます。 右を御勘案の上、この協定の締結について御承認を得られますよう、格別の御配慮を得たい次第でございます。 以上が、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結について承認を衣かるの件の趣旨でございます。(拍手) ―――――――――――――
○議長(土井たか子君) 文部大臣与謝野馨さん。 〔国務大臣与謝野馨君登壇〕
○国務大臣(与謝野馨君) 著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明します。 この法律案は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結に伴い我が国が負うこととなる義務を果たすため、著作権法等の整備を図ることを目的とするものであります。 第一に、著作権法の改正事項としては、世界貿易機関の加盟国の実演、レコード及び放送を、著作権法により保護を受ける実演、レコード及び放送に加えるとともに、これに伴う規定の整備を行うことであります。 第二に、万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律を改正し、世界貿易機関の加盟国の著作物については同法を適用しないこととする、ことであります。 以上が、法律案の趣旨でございます。(拍手) ―――――――――――――
○議長(土井たか子君) 農林水産大臣大河原太一郎さん。 〔国務大臣大河原太一郎君登壇〕
○国務大臣(大河原太一郎君) 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案及び農産物価格安定法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を順次御説明申し上げます。 まず、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案につきまして御説明申し上げます。 主要な食糧である米穀及び麦は、主食としての役割を果たすとともに、我が国農業における重要な農産物としての地位を占めております。 食糧管理法は、制定されて以来今日に至るまで、所要の改善を図りつつ、主食の安定供給という機能を一貫して担ってきたところでありますが、近年、米穀をめぐる諸情勢は大きく変化しており、生産者の創意工夫の発揮、消費者ニーズヘの的確な対応等の要請が高まっているほか、現行の食糧管理制度がその機能を十分に発揮することができなくなっている点も指摘されております。 また、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の実施に伴い、新たな国際的規律のもとで食糧の安定的供給を確保していくことが緊要な課題となっております。 このため、今後とも米穀の需給及び価格の安定を図ることを基本としつつ、生産者の自主性を生かした稲作生産の体質強化、規制緩和を通じた流通の合理化等が図られるよう、食糧管理法を廃止し、新たな制度を構築するため、この法律案を提出することとした次第であります。 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、政府は、米穀の需給の的確な見通しを定め、これに基づき、生産調整の円滑な推進、備蓄の機動的な運営及び消費者が必要とする米穀の適正かつ円滑な流通の確保を図るとともに、その適切な買い入れ、輸入及び売り渡しを行うこととし、これに必要な基本計画を策定することとしております。 第二に、自主流通米及び政府米を計画流通米として位置づけ、その安定流通を確保することを基本としつつ、米穀の生産者に関しては、消費者の必要とする米穀が安定的に出荷されるよう、その売り渡し先を特定するとともに、その出荷取り扱い及び販売を行う業者については登録制とするほか、自主流通米を計画的に流通させる主体として自主流通法人を法律上位置づけるとともに、その流通ルートについても、多様化・弾力化することとしております。 第三に、入札を通じて適正な価格の形成が図られるよう、自主流通米価格形成センターを法律上位置づけるとともに、政府米の買い入れ価格については、自主流通米価格の動向等を反映させるほか、生産条件等を参酌し、再生産の確保を旨として定めることとしております。 第四に、政府は、備蓄の円滑な運営を図るため生産調整実施者からの買い入れを行うとともに、ミニマムアクセスの運用を行うに当たって、輸入した米穀等の売買差額が国際約束に従って農林水産大臣が定めた額の範囲内となるよう、売り渡しを行うこととしております。 第五に、麦等については、国際約束に従って、政府以外の者が関税相当量を支払えば輸入できるものとするほか、政府が輸入した麦等の売買差額について米穀等と同様の規定を整備することとしております。 続きまして、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案につき御説明申し上げます。 我が国酪農は、農業の発展、国民食生活の改善等に重要な役割を果たしてきておりますが、マラケシュ協定による新たな国際的規律のもとで、今後とも我が国酪農の存立基盤を確保し得るようにするため、この法律案を提出することとした次第であります。 この法律案の主要な内容は、 第一に、畜産振興事業団以外の者が指定乳製品等の輸入を行うことができるようにするとともに、当該輸入に係る指定乳製品等の買い入れ及び売り戻しの業務を新たに事業団が行うこと、 第二に、事業団は、指定乳製品等について、現行の価格高騰時の輸入のほかに、国際約束に従って農林水産大臣が定めて通知する数量の輸入を行うこと、 第三に、事業団は、指定乳製品等の売り渡しについて、価格高騰時及び農林水産大臣の指示する方針による場合に行うことであります。 続きまして、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 蚕糸業は、中山間地域等において重要な産業でありますが、マラケシュ協定による新たな国際的規律のもとにおいても、蚕糸業の経営の安定と絹業への生糸の安定供給を図るため、この法律案を提出することとした次第であります。 この法律案の主要な内容は、 第一に、蚕糸砂糖類価格安定事業団以外の者でも生糸の輸入を行うことができるようにすること、 第二に、事業団以外の者が輸入する生糸について、事業団が買い入れ及び売り戻しを行い、その価格を調整するとともに、実需者が需給上必要な量を輸入する場合には、買い入れ及び売り戻しの差額を減額することであります。 最後に、農産物価格安定法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。 カンショでん粉及びバレイショでん粉は、北海道、南九州の地域経済において重要な地位を占めておりますが、マラケシュ協定による新たな国際的規律のもとにおいても、農産物価格安定制度の効果的な運用を確保する必要があります。このため、同法の政府が買い入れた良産物等の売り渡しに係る規定を整備することとし、この法律案を提出することとした次第であります。 以上、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案及び農産物価格安定法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手) ―――――――――――――
○議長(土井たか子君) 通商産業大臣橋本龍太郎さん。 〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 特許法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 この法律案は、工業所有権制度の国際的調和を図り、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の確実な実施を確保するとともに、技術開発成果の迅速かつ十分な保護の要請に的確に対処するため、特許法その他の工業所有権関係法律について所要の改正を行うもめであります。 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。 第一は、特許権の存続期間を出願日から二十年とすることであります。これまで特許権の存続期間は、出願公告の日から十五年または出願日から二十年のいずれか短い期間で終了しておりました一が、これをマラケシュ協定に対応し、出願日から二十年に一本化するものであります。 第二は、外国語書面により特許出願をすることができる制度を創設することであります。本制度により外国語書面の提出日が出願日として認定され、また、二カ月以内に提出する翻訳文に誤訳があった場合には、一定期間、その訂正を行うことが可能となります。 第三は、特許後に異議申し立てを行う制度を採用することであります。これは、これまで特許付与前に行っていた異議申し立てを特許付与後に行い、迅速な権利付与を促進するものであります。 第四は、ブドウ酒及び蒸留酒の地理的表示の保護強化の要請にこたえ、これらの表示を含む商標については、原産地についての誤認混同が生じるか否かを問わず、商標登録ができない商標とすることであります。 第五は、その他制度の国際的調和を図るために必要な事項について所要の改正を行うことであります。 以上が、本法律案の趣旨であります。(拍手) ―――――――――――――
○議長(土井たか子君) 大蔵大臣武村正義さん。 〔国務大臣武村正義君登壇〕
○国務大臣(武村正義君) ただいま議題となりました関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 本法律案は、ウルグアイ・ラウンド交渉の結果合意された世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の実施等のため、関税率及び関税制度について所要の改正を行うものであります。 以下、その大要を申し上げます。 第一は、農産物の輸入制限品目等の関税化に伴う措置であります。 農産物のうち現在行っている輸入制限等を関税化する品目について、関税率を引き上げるとともに、関税割り当て制度等及び特別緊急関税を導入するなど所要の改正を行うこととしております。 第二は、個別品目の関税率等の改正であります。 牛肉及び豚肉について関税率を引き下げるとともに、緊急措置を導入するなどのほか、一部の熱帯産品等について特恵税率を引き下げるなど所要の改正を行うこととしております。 第三は、関税率体系の見直しであります。 現在実行税率となっている関税率水準を原則として基本税率とすることにより関税率体系の見直しを行うこととしております。 第四は、特殊関税制度の整備であります。 相殺関税、不当廉売関税及び緊急関税について課税期間の上限の設定等の制度の整備を行うなど所要の改正を行うこととしております。 その他、知的財産権侵害物品の水際取り締まりの充実、罰金水準の調整、輸入禁制品の追加等を行うため所要の改正を行うこととしております。 以上、本法律案の趣旨を申し上げた次第であります。(拍手) ――――◇――――― 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締 結について承認を求めるの件、著作権法及 び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の 特例に関する法律の一部を改正する法律案 (内閣提出)、加工原料乳生産者補給金等暫 定措置法の一部を改正する法律案(内閣提 出)、繭糸価桁安定法及び蚕糸砂糖類価格 安定裏業団法の一部を改正する法律案(内 閣提出)、農産物価格安定法の一部を改正 する法律案(内閣提出)、特許法等の一部を 改正する法律案(内閣提出)、関税定率法等 の一部を改正する法律案(内閣提出)及び主 要食糧の需給及び価格の安定に関する法律 案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(土井たか子君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。石破茂さん。 〔石破茂君登壇〕
○石破茂君 私は、改革の皆様の御同意を得て、ただいま提案されました世界貿易機構設立協定並びに関連改正法案につき、主として農業問題を中心に、総理並びに関係大臣に質問をいたします。 総理、あなたは御就任以来、従来の社会党の政策をことごとく転換をしてこられました。自衛隊を合意とし、日米安全保障条約はこれを堅持、日の丸・君が代も認める。余りに鮮やかというべきか、その転換ぶりに国民は目を見張り、諸外国は大きな驚きをもって迎えております。私は、その現実的対応は、それ自体高く評価をすべきものであると考えております。現行中選挙区制度のもとにおいて、五分の一の支持を当てにして時の政府一の方針に反対の姿勢を貫いてこられたことが、結果として党の安住をもたらすものであったにせよ、民主主義の健全な発展という見地に立ては、それを阻害するものであったと考えております。 しかるに、今、国民の間に横溢をしておる政治に対する不信感、無力感は、政治家は言うこととやることが実は全く違うということに起因をするのではないでしょうか。国民の前に選挙の際に提示をしたことと実際に行われたことが異なっておる。一体何を信じればいいのか。政治家の言葉とはそのように軽いものであるのか。そう、軽いものであるとやゆし自嘲することは、それはいとも簡単であります。しかし、恐るべきは、それが主権者たる国民の意思の否定、国民主権の否定につながるということであります。 昨年の十二月、細川内閣においてドゥニ調整案を受け入れることは、まさしく苦渋に満ちた選択でありました。細川総理は「この上なくつらく、まさに断腸の思いである」と表現され、国民に対し、年来の主張を一〇〇%貫くことができなかったことを率直にわびたのであります。 私は、WTO設立協定の承認並びに関連法案の成立に決して反対をするものではありません。調整案を受け入れたのも、マラケシュ協定の最終文書に署名をしたのも、まさに細川内閣においてであり、その責任は、たとえ野党になっても負っていかねばならないことは当然であります。与党のときと野党のときと言うことが全く違うようであっては、国民の信頼が得られるはずはないのであります。(拍手) しかし、その我々の責任を果たすがために、どうしても確認をしておかねばならない点が多々ございます。特に、農業・農村対策は本当にきちんと行われるのか、だれの負担によるのか、国家全体の利益にかなうものであるかという点、また、米国、EU等諸外国に比べ不利な形のものとならないかという点であかます。単に期限が迫っているというだけで承認を急ぐという立場はとるべきではありません。与野党共通の責任として、国会の場で十分論議を尽くすことこそ必要であると考えております。 総理、まずこのWTO設立協定は我が国にとっていかなる利益をもたらすものであるか。また、世の中にはいい話ばかりということはないのでありまして、お互いが不利益も我慢をしなければならない。では、我が国にとっていかなる不利益が生ずるのか、御答弁をいただきます。 次に、昨年の調整案受け入れの際、あなたは、社会党中央執行委員長の名において発表された党の「まとめ」の中において、「この調停案は社会党の党の方針に照らせば反対であるが、細川政権の安定と政策の展開において社会党の責任はますます重大となっており、したがって、受け入れについてはラウンドの成功と連立政権に参加する立場からこれを了とせざるを得ない」、そう述べておられます。政権の中にいるのでとにもかぐにも子とするということであるならば、これは一体いかなる哲学に基づくものであるか。今も反対であるが、政権ましてや総理の座にあられるので賛成、推進ということであるのか、そうでないのか、お答えをいただきたいと思います。 次に、農業対策についてお尋ねをいたします。 あなたは、さきの「まとめ」の中で、「長期にわたる自民党政権のもとで誤った農政が続けられ、農業・農村の疲弊荒廃がもたらされた」と指摘をしておられます。だとすれば、一体どこがどのように誤っていたのか、その御認識を示していただきたい。 この私もかつて自民党にあり、農政の一端を担ってきた人間であります。世の中に無謬ということはあり得ないにしても、基本的な方向性に誤りがあったと断ずることにはいささかの抵抗を覚えざるを得ないのであります。この点につき総理の御答弁をいただいた後、大河原農林水産大臣の御見解を承りたいと存じます。 私は、過去三回の国会決議を十分実行できなかった責任をともに負う者の一人として、ラウンド対策は、本当に農家農民、さらに国民全体に得心のいくものでなくてはならないと考えております。そのためには、対策予算は三兆四千億円強の農林水産予算の別枠であり、従来の予算に食い込むことなく純増でなくてはならないと考えております。 あなたも、本年六月二十三日の生産者大会において、ウルグアイ・ラウンド後の国内対策はシーリングの外に別枠予算をつけるべきだ、そのように明言をしておられます。これは総理になられるわずか六日前のことでありますしかるに、先月二十日、我々改革の代表が官邸に参り、申し入れをした際、別枠というわけにはいかない旨発言され、私は我が耳を疑ったことでございました。この点につきどのようにお考えであるのか。生産者団体の前で明言されたこととどのように整合性をとっていかれるのか、お答えを願います。 さらに、財源についてお尋ねをいたします。 同じく先月二十日の申し入れの際、武村大蔵大臣は我々に対し、消費税五%では農業対策は無理である、そのような旨御返答になりました。さすれば、この財源は一体どこに求めていかれるのか。御承知のとおり、韓国においては、特別の増税を行い、国民全体の負担でこれを賄う方針となっております。我が国においては、建設国債を発行されるのか、国債残高二百兆円を抱える現在、そして現下の財政状態を考えるとき、その余裕はあるのか、方針を示していただきたいと存じます。 我々が最も懸念をいたしますのは、六兆百億円という総事業費が実はいわゆる見せかけではないのか、その懸念であります。このうち、公共事業である農業農村整備事業と融資対策が七割を占め、国費は半分弱の三兆円となり、さらに、農家が借りなければ全く意味をなさない融資事業を除きますと、その規模はさらに小さくなるのであります。スクラップ・アンド・ビルドで予算編成が行われ、看板のかけかえ、予算の組み替えで、六年間で総事業費六兆円を超えました、そのように言われては、これは農家を欺くものである、そのように断ぜざるを得ないのであります。 確かに、政府・与党は「従来の農林水産予算に支障を来さないよう配慮する」との合意を行っておられます。しかしながら、予算単年度主義の原則からいっても、国内対策の具体的な予算額は各年度の予算編成作業にゆだねられることとなります。この合意の実効性はいかに担保されるとお考えか、御答弁を願います。山次に、六年度補正予算についてお尋ねをいたします。 農業対策を柱とする六年度補正について、これを編成するお考えがありや否や承りたいと存じます。補正において一部前倒しを行い、七年度の本体予算については手をつけない、そのようなことのないよう強く要望いたしておきます。 言うまでもなく重要なのは、単なる金額の大きさではなく、その中身そのものであります。総理が誤っていると指摘をされた自民党政権下において策定された新政策の展開が、やはり私はその柱になるものと考えます。生涯所得、年間労働時間で他産業並みを実現するために、農業・農村はいかにあるべきか、それが新政策の基本でありました。条件不利地域にももちろん配意をしていかねばなりません、ラウンド受け入れを踏まえ、いかなる農業ビジョンを展開していかれるか、特に、認定農家に傾斜をしておるのではないかという批判についてどのようにお考えか、それを承りたいと存じます。 さらに、食糧需給価格安定法においては、計画外流通がふえることに対する懸念、生産調整実施者からの政府買い入れ価格が自主流通米価格を反映させるとともに再生産の確保を旨として定める、そのように示されておりますが、この算定方法はいかなることになるか、まだまだ不分明な点が多々残されております。 減反につきましても、昨年十二月の閣議了解では、ミニマムアクセスの受け入れによる転作の強化は行わない、そのようになっております。しかし、ミニマムアクセス分の米も主食ルートに乗せるということになれば、いかにこれを実効性あるものとするか、大いに疑問であります。 輸入差益は備蓄経費に充てる旨明示されておりますが、果たしてこれも消費者の理解が得られるものであるか。さらに、過剰在庫については食糧援助としてODAを活用するお考えのようでありますが、ODA予算の使い道としてこのようなやり方は正しいのか、私は疑問なしといたしません。 食糧需給価格安定法においては、一体どこが今までと異なる点であるか、公約であった食管法の根幹維持、それは守られたのか、明確にされたいと存じます。 次に、この批准を急ぐ理由と、国会の承認と政府の条約締結を切り離す、そのようなお考えについて承ります。 現在、米国においては、十一月八日の中間選挙を目前に控え、ウルグアイ・ラウンド協定実施法案が選挙の大きな争点となっております。選挙対策上、表決を十二月に延ばしたことがまさしくそれを物語っております。現在の議員の任期は年内いっぱいあるとはいえ、選挙後の議会が果たして有効に機能し得るか、また、採決は行われず、年明け以降の採決になるとの見方もあります。これにつきどのような認識をお持ちか、外務大臣の答弁を求めます。 このような中にあって、総理は先月十三日の衆議院予算委員会において、国会の承認と政府の条約締結は別であり、米国やEU等の動きにかかわらず、政府としては国会の承認を求めるとのお考えを示されました。確かに、憲法七十三条の規定からこれは導き出される結論でありますが、国際的には、国会の承認は条約批准と同義語と見るのが常識ではないでしょうか。国会は承認したが締結はしないということが果たしてあり得るのでしょうか。国会軽視ではないかという批判をどのようにお考えになるか、明確な御答弁をいただきたいと存じます。 私は、今、昨年十二月に農林水産大臣であった畑英次郎議員の言葉を思い返しております。会議の席上、畑元農水大臣は、受け入れの前提条件である国内対策がきちんと行われることがなければ私は死んでも死に切れない、そのようにおっしゃいました。これは、与党であれ野党であれ、長きにわたり真剣にこの問題に取り組んできた者がひとしく持つ思いのはずであります。(拍手) 本年一月七日、畑大臣に対し問責決議が突きつけられました。その内容はまことに激烈至極なものであり、「農政史上かつて例を見ない大失態」と断じた上で、追加譲歩義務の内容を隠していたこと、さらに、七年目以降が全く不確実であること等を取り上げております。この提出者には今の大河原大臣も加わっておられますが、追加譲歩義務、七年目以降、それについてどのような見解をお持ちでありましょうか。 さて、自由民主党の姿勢に対し、私は、この問題でささやかながら労苦をともにさせていただいた人間の一人として、いささか無念の思いを禁じ得ません。 我々改革は、去る十月二十一日、自民党総裁に対し、次の趣旨の公開質問状を発しました。すなわち、昨年十二月十四日の自民党声明において、ドゥニ調整案受け入れを是認できない旨明らかにし、その後も農相問責決議、本年産米価決定の際の総合農政調査会長発言等々でも同趣旨を表明し、その反対の姿勢は一貫している一方にあって、WTO設立協定の承認や関連法案を提出しようとしていることは、政権党として矛盾というほかなく、場当たり的対応と断ぜざるを得ない、そのように主張いたしました。 その質問に対し、今国民の前で、いかなる変更があったのか、昨年十二月十四日の党声明において、協定全体に対する判断ができない状況でこれは是認できない、そのようにしておられますが、協定全体につきどう状況判断が変わったのか、自由民主党総裁としての河野外務大臣の答弁を求めます。(拍手) また、田中眞紀子国務大臣は、十月三十一日の福島県での党の会合において、細川内閣は米問題で日本農業を売り渡した、そのような旨発言されたと報ぜられました。この発言の真意は何か、現政権はラウンド批准につき消極的であると理解してよろしいか、大臣の見解を承ります。 なお、大臣は、この場において、ほかにもまことに不穏当かつ看過できない発言をされておられます。この点につきましては、後日、委員会の場において明らかにしたいと存じます。 私は、この問題について、与野党お互いの正当性を主張すること、つまり自分たちが政権を持っていればこうはならなかったと言い募ることは、政党や政治家の、大変嫌な表現ではありますが、アリバイづくりにはなっても、決して農家農民のためになるとは考えておりません。 具体的な財政の裏づけもなく、諸外国の状況も見きわめられないまま、初めに承認ありきという態度は決してとるべきではないと信じます。これを批准するか否かは、独立国家として、良家農業者そして国益全体を考え、あくまで徹底的な論議を行い、農家並びに納税者の理解を得た上で、あくまで主体的に決せられるべきものであります。それが我々の後世に対する責任であること、そして農政のみならず政治全体の信頼を回復する道であることを申し述べ、私の質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
○内閣総理大臣(村山富市君) 石破議員の質問にお答えいたします。 最初の質問は、政治家の言葉の軽さについてのお尋ねでありますが、政治家の発言や政党の掲げる公約は、言うまでもなく主権者たる国民に対してなされるものでありまして、政治に対する信頼の確保、民主主義の健全な発展にとって非常に重要なものであると考えています。同時に、その実現に当たりましては、時代や状況の変化に対応した政策転換があることもまた当然であると私は考えています。(拍手) 私の内閣は、イデオロギー対立から、従来の政治的枠組みを超えた政策対話へという時代の変化に対応して、この四カ月間、できるだけ透明度を高め、民主的な政策論議を徹底して行い、誠心誠意改革に取り組んできたつもりでございます。したがいまして、これからも引き続き国民の信頼と支持を得るために頑張ってまいりたいと考えています。(拍手) 次に、WTO協定の締結に伴う利益に関するお尋ねでございますが、WTO協定の締結は、多角的自由貿易体制の維持強化、国際経済秩序に対する信頼の確保という観点から極めて重要な意義を有しているものであって、貿易立国である我が国にとって極めて意義深いものであると考えています。 WTO協定のうち、農業部門については我が国にとって大変厳しいものであることは異論のないところでありますが、WTO協定全体を見た場合に、関税引き下げ等の物の市場アクセスの改善による経済的利益、サービス貿易、知的所有権等、これまでガット体制のもとで貿易ルールの存在しなかった新たな分野における規律の設定、さらに紛争解決手続の強化による一方的措置の発動等の抑制が行われておりまして、我が国にとっては極めて重要な利益となるものと考えているところでございます。 次に、社会党としては調停案には反対だったが、細川政権に参加する立場から調停案受け入れを子としたことについてのお尋ねがございました。 昨年十二月のウルグアイ・ラウンド農業合意の受け入れにつきましては、当時の連立政権において社会党は関税化回避に最大限努力をしてまいりましたが、自由貿易体制を守るという大局的な立場から苦渋の決断を下したものでありまして、このような認識は当時の連立与党が共通して持っておったものだと私は理解をいたしております。社会党としては、論議に論議を重ねた上でのぎりぎりの決断でありまして、単に政権にあったこと、あるいは現在政権にあることによるものでないことは御理解を願いたいと存じます。(拍手) 次に、社会党によるウルグアイ。三ラウンド農業合意受け入れに際して、「まとめ」についてのお尋ねがございました。 個々具体的な事例、政策というよりは、現実に長きにわたり政権を担当してまいりました政党の責任を問う立場から申し上げたつもりでありまして、いずれにいたしましても、政府としては、従来から展政の展開に全力を尽くしてきたと考えておりますしさらに、今回ウルグアイ・ラウンド農業合意の受け入れという状況のもとで、政府と連立与党が一体となって農業合意の実施に伴う国内対策につきましては精力的な検討が行われたその成果として、去る十月二十五日の緊急農業農村対策本部において対策大綱が取りまとめられたところでございます。今後、このような政府・与党各党問での一体となった検討の成果である対策大綱に示された具体的施策を全力を挙げて推進をしてまいりたいと考えているところでございます。 次に、予算のシーリング別枠を含めた国内農業対策についての取り組みについてお尋ねがございました。 ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴う国内対策につきましては、我が国農業・農村が二十一世紀に向けて自立を遂げ、持続的に発展していくことができるように、先般の対策大綱に示された具体的路策を総合的かつ的確に講じてまいる決意でございます。さきに取りまとめられました対策は、ウルグアイ・ラウンド合意に対応する六カ年の新しい事業であります。なお、「従来の農林水産予算に支障を来さないよう配慮する」ことといたしております。こうした経緯も踏まえながら、今後、対策に必要な財政措置の問題も含め適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。 次に、政府・与党の了解の実効性についての質問がございました。 今後は、十月二十五日に決定されました対策大綱を踏まえ、総合的かつ的確な施策を講じることができるよう、政府・与党の「従来の農林水産予算に支障を来さないよう配慮する」との了解を踏まえ、適切に対処してまいる決意でございます。 次に、農業対策を柱とする六年度補正予算についてのお尋ねがございました。 補正予算につきましては、現時点では確定的なことは申し上げられる段階でないことについては御理解をいただきたいと存じます。いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策につきましては、今後、対策に必要な財政措置の問題も含め適切に対処してまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。 次に、今後の我が国農政のビジョン等についてのお尋ねがございました。 ウルグアイ・ラウンド農業合意の受け入れなど新たな国際環境に対応した今後の農政の展開につきましては、政策推進の指針として示された農政審議会報告の趣旨を踏まえながら、我が国農業。農村が二十一世紀に向けて自立を遂げ、持続的に発展していくことができるような幅広い観点に立った食糧・農業・農村政策に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 また、国内対策が認定農家に傾斜しているとの批判に対する見解についてでありますが、今回の大綱に示されました対策におきましては、認定農家を含め効率的かつ安定的な経営体を育成することを中軸に置きまして、農地利用の集積、高生産性農業基盤の整備の推進、さらには、負債、負担金問題への対応を行うことといたしているところでございます。 他方、ウルグアイ・ラウンド農業合意の影響が大きくあらわれるおそれのある中山間地域等農山村地域の活性化対策といたしましては、地域の資源を生かした農林業の振興に限らず、多様な就業機会の確保、生活環境の向上等各般の施策を請じてまいる考えでございます。今回の対策は、このような包括的なものであることについて御理解を賜りたいと考えております。 次に、WTO協定の締結についての国会の御承認と政府による同協定の締結についてのお尋ねがございました。 先般の衆議院予算委員会において私より答弁をいたしましたとおり、政府としては、WTOの発足に当たって、米国、欧州連合等の主要諸国の参加は極めて重要と考えておる観点から、これら諸国の締結がどうなっていくのかということも十分見きわめながら締結手続をとるようにしなければならないと考えておる次第でありまして、国会を軽視するという考えは毛頭ないことは明確に申し上げておきたいと存じます。 次に、WTO協定についての自民党の対応についてのお尋ねでありますが、農業合意が我が国にとって大変厳しいものであることから、自民党としてもいろいろ御議論があったと思いますが、協定及び関連法案について、大きな国益に立ってぜひとも成立をさせていただきたいという政府の立場については御理解をいただいているものと考えております。 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手) 〔国務大臣河野洋平君登壇〕
○国務大臣(河野洋平君) アメリカにおける審議の状況等についてのお尋ねがございました。 アメリカのウルグアイ・ラウンド合意実施法案の審議につきましては、アメリカ議会下院におきまして、十一月二十九日に本会議で採決を行うことにつき既に本会議の合意が得られていると承知をいたしております。また、上院におきましては、十二月一日に上院の本会議で採決を行うことにつき議会指導者の間で合意されており、さらに、このような合意を踏まえ、十一月三十日に審議を再開するとの決議が採択されていると承知をいたしております。なお、米国行政府としては、WTO協定の来年一月一日の発効に向けまして年内受諾を行うとの強い決意を引き続き有していると伺っております。 自由民主党のこの問題に対する姿勢についてお尋ねがございました。 我が党は、昨年十二月十四日、このウルグアイ・ラウンド農業交渉におけるドゥニ調整案の受け入れについて党の声明を出したことは御存じのとおりでございます。さらにまた、我が党は、平成六年十月二十五日に再度この問題について党声明を出しております。この党声明では、村山政権の一角を占めこの政権を支える自由民主党として、外交の継続性という原則及びWTO協定が多数国間条約であるということにかんがみ、自由民主党としてもこの協定の承認を求めるという態度を表明をいたしました。 この協定で農業などに生ずるであろう被害を最小限に食いとめなければならないという必要性を私どもは考えております。そこで、自由民主党は、他の与党とともに真剣にその対策に取り組んでまいりました。そして、種々の対策を講じたことは皆様も御承知のとおりでございます。 この対策の中には、安全な国際食糧の供給体制を維持発展させるための必要な措置、食糧の安定供給を望む消費者にとっても流通の改善とともに重要な措置を含んでおることを、この際、つけ加えたいと存じます。 農産物貿易の部分につきまして、その受け入れが及ぼす影響を最小限に食いとめるべく、ただいま申し上げました対策を決定をいたしました結果、自由民主党としては、この対策を前提に、今次国会におきましてWTO協定の承認と関連法案の成立に向け努力し、国際信義を守ってまいりたいと考えている次第でございます。(拍手) 〔国務大臣武村正義君登壇〕
○国務大臣(武村正義君) 農業合意の関連対策につきましては、先般、政府・与党の間でぎりぎりの真剣な調整を終えて、取りまとめたところでございます。対策に係る経費の取り扱いにつきましては、各年度の予算編成過程において、予算編成全体の中で総合的に考えてまいります。 なお、補正予算につきましては、現在その可能性に触れる段階ではございません。(拍手) 〔国務大臣大河原太一郎君登壇〕
○国務大臣(大河原太一郎君) 石破議員の御意見を交えての御質問でございますが、お答えいたします。 社会党によるウルグアイ・ラウンド農業合意受け入れに際しての「まとめ」に対する見解についてどう考えるかというお話でございますが、歴代の政府におきましては、従来から、我が国農業と農村をめぐる状況が、担い手の減少、高齢化の進行など大きく変貌する中で、魅力ある農業と活力ある農村の実現に向けて農政の展開に力を尽くしてきたものと考えております。 さらに、ウルグアイ・ラウンド農業合意の受け入れという状況のもとで、先ほども総理から御答弁がございましたように、政府と連立与党が一体となって農業合意の実施に伴う国内対策について精力的な検討が行われた成果として、去る十月二十五日、対策大綱が取りまどめられたところでございます。今後、農林水産省といたしましては、対策大綱に示された具体的施策を全力を挙げて推進してまいる所存であります。 次に、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案についてでありますが、新法案は、主食である米について、生産の安定と消費者への安定供給が図られるよう、その需給及び価格の安定を図ることを目的とするものであり、この点につきましては現行食管法の基本とするところと同様でありますが、それを実現する政策理念、手法について両者は大きく異なっております。 具体的には、食管法が政府管理に重点を置いた制度運営を基本とし、厳格な流通ルートの特定を行うこととしているのに対し、新法案においては、自主流通米を基本として、政府が直接的に行う操作は備蓄運営とミニマムアクセス輸入の運用とすること、流通面での規制も極力緩和し、生産者の自主性の発揮や流通の合理化を図ることなど、社会経済情勢の変化に即応したシステムとすることとしております。 いずれにいたしましても、御質問の点でいろいろお話もございましたけれども、今後とも需給と価格の安定を通じ、国民に主食である米を安定的に供給してまいりたいと考えております。 最後に、畑元農林水産大臣の問責決議と七年目以降の取り扱いに関するお尋ねでありますが、関税化の特例措置は七年目以降も継続するか否かについては六年目の交渉で決められ、継続する場合には、追加的かつ受け入れ可能な譲許が求められる旨農業協定で規定されておることは御案内のところであります。 また、私も発議者となっている問責決議案の提出は、何よりも、十二月のウルグアイ・ラウンドの実質合意に至るまでの間の政府の努力が必ずしも十分ではなかったのではないかとの認識のもとに、当時の農民の気持ちを酌んでのことであります。しかし、「外交は継続、内政は改革」とされる村山政権のもとで、WTOの設立は国際間の約束を果たすという重要な意義を有しており、また今般、政府としては、国内農業への影響を最小限に食いとめるための対策を議ずることとしたところ一でありまして、協定の承認及び関連法案の今国会での成立に向け努力をしたいと考えております。(拍手) 〔国務大臣田中眞紀子君登壇〕
○国務大臣(田中眞紀子君) お答え申し上げます。 私の福島県での発言は、昨年十二月のウルグアイ・ラウンド農業合意に関し、これまでまじめに農業に従事してこられた方々は残念な思いをしておられると考え、そのような無念の思いを代弁したものでございます。 政府としては、WTO協定の締結に伴う農業に与える影響を最小限に食いとめるとともに、これを契機に、我が国が、良業の将来展望を切り開き、二十一世紀に向けた農業構造の早期実現を図ることが何よりも肝要であると考えております。(拍手) ―――――――――――――
○議長(土井たか子君) 石橋大吉さん。 〔石橋大吉君登壇〕
○石橋大吉君 私は、自由民主党、新党さきがけ、日本社会党・護憲民主連合を代表し、ガット・ウルグアイ・ラウンド合意に伴う世界貿易機関、WTOを設立するマラケシュ協定及び関連国内法の改正等について、村山総理並びに関係閣僚の御所見と御決意をお伺いいたします。 中心的で最も問題のあるところは農業問題でありますが、まず冒頭、マラケシュ協定に関連して二つの点について、総理並びに外務大臣の御見解を承っておきたいと思います。 マラケシュ協定は、一九四八年に成立した関税及び貿易に関する一般協定、ガットを大きく改め、世界貿易機関、WTOを設立するとともに、物の分野のみならずサービス、知的所有権、投資などの分野でも貿易ルールを定め、また、紛争解決のメカニズムを整備するなど、国際貿易における歴史的な転換をしるすものであり、自由貿易体制を発展させていくものとしてその意義を評価するものであります。しかしながら、本協定の受け入れによって、特に米を初めとする農産物について厳しい条件を受諾せざるを得なかったもとで、もし十分な対策を講じないままであれば、自由貿易体制の発展を力説することができないのも当然であります。 戦後、日本は加工貿易立国として自由貿易体制の多大な恩恵を享受してまいりました。このような歴史認識に立ては、我が国は、本協定によって受ける損失を特定の層だけにしわ寄せすることなく、国際的な競争力の養成に全力を挙げつつ、今後とも自由貿易体制の発展への取り組みを強化していかなければならないと確信するものであります。この点につきまして、総理の御見解をお聞かせいただきたいと思います。 二つ目の問題は、マラケシュ協定と日米経済問題との関連についてであります。 今般、外務大臣の御努力により、日米包括経済協議が、電気通信・医療機器の政府調達、保険、板ガラスの三分野で原則合意を見たことは喜ぶべきことでありますが、他方、自動車部品の補修部品の合意については先送りとなり、通商法三〇一条の適用が表明されたことは遺憾であります。 米国には三〇一条の発動はWTO協定に制約されないといった意見があるやに聞いておりますが、本協定が発効した後は、係争問題について二国間で誠実に話し合うことは当然でありますが、やはりマラケシュ協定の紛争処理メカニズムの枠内において問題解決を図ることを原則とすることを内外にはっきりと表明すべきであると考えますが、外務大臣の御答弁を賜りたいと思います。 さて、今回のガット・ウルグアイ・ラウンド合意に当たって最も深刻な政治問題となりました農業問題に移ります。 まず、当面の国内対策及びWTO協定の扱いについて御質問申し上げます。 政府は、去る十月二十五日に開催された緊急農業農村対策本部において、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱を決定されました。今回決定された大綱では、農林水産省関連の対策が事業規模で六兆百億円、また地方単独施策として一兆二千億円が措置されるなど、期待していた予算額が確保されており、幅広い観点から総合的かつ具体的な施策が盛り込まれたものとなっております。 私は、この大綱が、非常に厳しい財政事情のもとで、関係閣僚の御協力により、村山総理の御決断によって取りまとめられたことを高く評価するものであります。政府が一体となってこの大綱に盛り込まれた施策に全力を挙げて取り組むことにより、我が国の農業・農村が二十一世紀に向けて明るい展望が開かれるものと確信をいたしております。 今般決定された対策は、今後、平成十二年度までの六カ年にわたる新たな事業として予算計上されることになるわけでありますが、一方、これによって従来の農林水産予算が削減をされるようなことがあれば、農業・良村の健全な発展を図る上で非常に問題が大きいと考えます。このため、「従来の農林水産予算に支障を来さないよう配慮する」ことが政府・与党の了解事項として確認されていると承知しております。しかしながら、これは大変重要な問題でありますので、ウルグアイ・ラウンド関連対策の実施に伴って従来の農林水産予算を削減することはないという点について、改めて総理及び大蔵大臣に確認をさせていただきたいと思います。 次に、ウルグアイ・ラウンド対策関連法案の一つとして提出されました主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案、いわゆ石新食糧法案についてお尋ねをいたします。 新食糧法案に基づく新たな米の流通制度は、①自主流通米を流通の主体として位置づけるとともに、価格形成の場を制度化することによる市場原理の一層の導入と、②流通業者の登録制度など流通規制の緩和を骨格とするものであります。また、生産調整についても、生産者の自主的な判断を尊重して行うこととされております。このような新たな米流通制度に対しては、生産調整による需給の調整が必ずしも十分に担保されておらず、需給バランスが崩れた場合、価格が大きく乱高下するのではないかと懸念する声もございます。 申すまでもなく、米は国民の主食であり、また機業生産の上でも最も重要な作物であります。このため、米の需給及び価格の安定確保は生産者及び消費者双方にとって最大の関心事であると考えます。新食糧法案において、需給及び価格の安定をどのように確保するのか、歯どめが十分担保されているのか、与党内においてもかなり論議になった点の一つではありますが、改めてこの点について農林水産大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。 続いて、WTO協定の取り扱いについてお尋ねいたします。 政府は、国会の承認を求めてWTO協定を提出しておりますが、米国やEU等主要先進国における国内手続がどうなるのか、現段階では極めて不透明な状況にあります。すなわち、米国においては、現在、中間選挙を控え議会は休会に入っており、上下両院本会議での審議が終了するのは早くても十二月上旬の見込みであると報道されております。また、EUにおいては、知的所有権やサービスに関するEU委員会の交渉権限をめぐって欧州裁判所で審議中とのことであります。我が国としては、このような米国及びEUにおける審議状況を十分把握をしながら、的確に対応していくことが必要であると認識するものでありますが、米国及びヨーロッパにおける本協定の批准手続の動向と我が国の対応についてどのように見ておられるのか、外務大臣の御所見をお伺いいたします。 なお、この際、特に総理にお伺いしておきたいと思いますのは、この十一月十一、十二日には第六回APEC閣僚会議が、同じく十五日には第二回APEC非公式首脳会議がインドネシアにおいて開催されることになっており、我が国から、前者については外務大臣及び通産大臣、後者については総理大臣が出席される予定と承っております。 新聞報道によりますと、今回のAPEC首脳会議では、インドネシアや豪州等の提案により、将来の一定時期、二〇一〇年または二〇二〇年までにAPECにおいて自由貿易、原則として関税率をゼロから五%水準まで引き下げを達成するとの約束を含んだ寡言が採択されるのではないかと言われております。もしそうなりますと、我が国の場合、特に農業分野において、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意以上に厳しい状況に直面することになります。 総理には、食糧・農業問題の重要性や我が国農業が置かれた状況の困難さを十分認識していただいていると思います。したがって、今回の首脳会議において、農業分野については適切な取り扱いが確保されるよう必要な外交努力が払われるものと確信しておりますが、この機会に改めて、APEC非公式首脳会議に臨まれる総理の御方針、特に自由貿易約束と食種・農業分野の扱いに関するお考えについて明らかにしていただきたいと存ずる次第であります。 最後に、六兆円余に上る国内対策、地方自治体の単独事業一兆二千億円の財政措置は、我が国農業の生き残りをかけた極めて重要な歴史的意義を持ったものであります。それだけに、六年間が終わって、終わってみれば、我が国農業や農村の疲弊が一層進み、潤ったのは土建業界や建設業界だけだったということになれば、二度と再び、我が国農業再生のために多額の国費を投入することについて国民的な理解を得ることは不可能でありましょう。それだけに、今回の我が国農業・農村の生き残りをかけた国内対策や地方単独事業を成功させることは、村山内閣にとって至上の課題であります。何としてもこれを成功させていただかねばならぬと考えるのであります。 その意味で、村山総理及び農林水産大臣の御決意のほどを伺いまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 〔内閣総理大臣村山富市君登増〕
○内閣総理大臣(村山富市君) 石橋議員の質問にお答えを申し上げたいと思います。 まず、自由貿易体制への取り組みについてのお尋ねでありますが、政府といたしましは、世界貿易機関いわゆるWTOを設立するマラケシュ協定の締結は、貿易立国である我が国経済の繁栄の基盤である多角的自由貿易体制の維持強化にとって極めて重要であると認識をいたしております。他方、WTO協定の受け入れが及ぼす影響、特に農業協定の実施に伴い生ずる農業・農村及び関連産業の問題につきましては、さきに策定されましたウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱を踏まえながら、この問題に十分な配慮を行い、生産性の高い農業生産を実現すべく的確な対策を議じていくことが重要であると考えております。政府といたしましては、以上申し上げましたような考え方に立って、国内的な対策を講じるとともに、WTOのもとで引き続き多角的自由貿易体制の維持強化に努めてまいる所存でございます。 次に、ウルグアイ・ラウンド合意関連対策についてのお尋ねがございましたが、今回の対策大綱は、御質問にもございましたように、ウルグアイ・ラウンド合意に対応する六カ年の新しい事業でございます。なお、「従来の農林水産予算に支障を来さないよう配慮する」ことといたしているところでありますので、御理解をいただきたいと思います。 次に、APEC非公式首脳会議に臨む方針についてお尋ねがございました。 今回の会議では、貿易・投資の促進及び自由化の議論を進めるとともに、APECメンバーの発展段階の多様性を踏まえ、人材育成等各種の協力のあり方についても、これまでの我が国の経験を生かしながら建設的な考え方を示し、引き続き、APECの発展に向け大きな貢献を行っていく所存でございます。今次非公式首脳会議では、アジア・太平洋地域における一層の貿易の自由化についても議論されると考えられますが、これは長期的展望に立って自由化の大きな方向性について政治的な意図を表明する性格のものであると考えられます。自由化を進めていくとの方向性は、基本的に我が国の考え方と一致しているところでございます。 また、自由貿易約束と食糧・農業分野の扱いに関する考え方についてのお尋ねがございました。 農業分野につきましては、我が国の農業を取り巻く諸般の事情にかんがみ、ウルグアイ・ラウンド合意を堅持する方針でありまして、今後、APECの自由化努力との関係では、かかる我が国の立場が十分に反映されるよう明確に主張していく方針でございます。 次に、今回の国内対策実施に当たっての決意についてお尋ねがございました。 ウルグアイ・ラウンドの最業合意の受け入れなど新たな国際環境に対応した今後の農政の展開につきましては、農政審議会報告の趣旨を踏まえながら、我が国機業・農村が二十一世紀に向けて自立を遂げ、持続的に発展していくことができるような幅広い観点に立った食糧・農業・農村政策に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。このような観点から、ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴う国内対策につきましては、先般の対策大綱に示された具体的施策を総合的かつ的確に講じてまいる決意でございます。 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手) 〔国務大臣河野洋平君登壇〕
○国務大臣(河野洋平君) 日米経済問題のような二国間の経済問題につきましては、当事国同士がそれぞれの関心事項と利害調整の必要性に応じ随時二国間の協議を行って問題の解決を図っていっているわけでございます。その場合にも、我が国としては、二国間の話し合いの結果を原則として最恵国待遇で適用するなど、ガットを中心とする国際ルールに従って実施をいたしております。日米経済問題については、こうした二国間の話し合いに加え、ガットなどの多数国間のルールによる解決も図られてきたところでありますが、WTO発足の後は、適当な場合にはWTO紛争解決手続に基づいて解決を求めていくことが必要だと考えております。 欧米におきますWTO協定の審議の状況等についてお尋ねがございました。 アメリカにおきます審議の状況については先ほどお答えを申し上げたとおりでございまして、下院では十一月二十九日、上院では十二月一日にそれぞれ本会議で採決が行われる予定であると承知をいたしております。欧州連合につきましては、WTO協定の年内受諾に向けて最大限の努力を行っておられる様子であり、英国、ドイツは既に必要な国内手続を下しております。 政府といたしましては、WTOの発足に当たっては、米国、欧州連合などの主要国の参加が極めて重要と考えておりまして、これら諸国の締結がどうなっているのかということも十分視野に入れた上で我が国として締結手続をとるようにしなければならないものと考えております。(拍手) 〔国務大臣武村正義君登壇〕
○国務大臣(武村正義君) 先ほど総理からお答えを申し上げたとおり、今回の対策はウルグアイ・ラウンド合意に対応する六カ年の新しい事業であります。従来の農林水産予算に支障を来さないよう配慮する姿勢で対応をしてまいりたいと存じます。いずれにせよ、各年度の予算編成過程において総合的に検討の上適切に対処してまいります。(拍手) 〔国務大臣大河原太一郎君登壇〕
○国務大臣(大河原太一郎君) 石橋議員の御質問にお答えいたします。 第一点は、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案についての御質問でございますが、先ほども申し上げましたように、近年の米の生産、流通、消費をめぐる諸情勢の変化のもとで、自主流通米を主体とする民間流通を基本としながら、規制緩和を通じて流通の合理化が図られるよう現行制度の見直しを行ったものであります。 新たな制度のもとにおきましては、米の全体需給のバランスを確保するため、政府はその的確な需給見通しを定め、これに基づき、計画的にがつ整合性を持って全体需給と調整のとれた生産調整の推進、備蓄の運営、適正かつ円滑な流通の確保を図ることとし、また、価格の安定につきましては、生産調整等によります需給の安定を図りながら、需給動向に応じた自主流通米の価格形成の確保や、このようにして形成された自主流通米価格の動向を反映させた政府米の適切な価格設定等を行うこと等により、御質問の需給と価格の安定に対応してまいりたいと考えておるところでございます。 次に、国内対策実施に当たっての決意いかんというお話でございますが、先ほども総理も申し上げたとおりでございまして、国内対策につきましては、先般の対策大綱に示された具体的施策を全力を挙げて推進し、農業合意の実施に伴う影響を最小限度に食いとめるとともに、我が国農業の将来展望を切り開き、二十一世紀に向けた農業構造の早期実現に邁進してまいる所存であります。(拍手) ―――――――――――――
○議長(土井たか子君) 藤田スミさん。 〔藤田スミ君登壇〕
○藤田スミ君 私は、日本共産党を代表して、マラケシュ協定に対して、批准に断固反対の立場で質問をいたします。 まず初めに指摘をしなければならないことは、この議場にいるすべての議員が、総選挙の政党公約として米輸入自由化反対を公約し、国会においても、三回も全会一致で米輸入自由化に反対する決議がなされてきたことであります。政党として、公約を守り、国会決議を守るという民主主義の根本原則をないがしろにし、米輸入自由化を進める協定の受諾を国民に迫る、そんな背信行為は絶対に許すことはできません。(拍手)総理を初めすべての閣僚がみずから責任を明らかにすべきであり、総理並びに関係閣僚の見解を求めます。 さらに、自民党に至っては、ガット・ウルグアイ・ラウンド合意に際して、「長い我が国の農政史上、取り返しのつかない大失策、大失態を犯したものでありますしと、みずから畑農水大臣の問責決議を提出したにもかかわらず、マラケシュ協定を国会に提出し、その審議を促進せよと迫っているのであります。まさに国会と国民に対する信義を大きく踏みにじるものです。外務大臣、自民党総裁としてのあなたの責任を明らかにしてください。(拍手) 予算委員会での松本書明議員の質問で明らかになったように、協定の発効期日は決められていないし、それへの加入は国際的な義務でもありません。それにもかかわらず、政府は、一月一日発効を振りかざして、十二日前に提出したばかりの、全部で二万数千ページ、積み上げれば一メートル数十センチに達する極めて広範囲な協定の年内承認を迫ろうとしています。十分な審査と審議の時間も与えず、国民にも知らせないまま、重大な問題を含んだ協定承認を強行しようとすることは、まさにファッショ的な政治であります。総理、答えてください。 国際貿易の公正な発展のためには、主権の尊重、平等互恵の原則が何よりも重要であります。また、それぞれの国がどう産業を育成するかは主権にかかわる問題であり、当然保護措置が認められるべきであります。ところが、今回の協定は、個々の協定の留保を認めない一括受諾方式をとっています。また、国内法優先を定めた祖父条項を撤廃しています。こうして協定は、著しい主権制限を無差別にすべての国に押しつけるばかりか、知的所有権、サービス貿易など新しい分野に適用範囲を拡大して、多国籍企業、大国の利益を図る一方、発展途上国をいつまでも不利な状態に置き続けるものです。これは、公正公平・平等互恵の原則に真っ向から反しています。 総理、協定の推進者となったのは常にアメリカです。ところが、アメリカは、世界には自由貿易のためといってガット合意の義務を押しつけながら、みずからのウルグアイ・ラウンド実施国内法にはスーパー三〇一条の強化を定めたばかりか、ウルグアイ・ラウンド協定と合衆国法が対立する場合は合衆国法が優先することが明記されているのであります。なぜアメリカにはこんな身勝手が許されるのか。それは、協定が大国と多国籍企業の利益を優先させるだけではなく、アメリカなど大国の力づくの横暴に対する有効な歯どめ措置を盛り込まず、これを容認する仕組みになっているからであります。 これらの点からも、国会が協定を抜本的に再検討することが必要なことは言うまでもありません。総理、外務大臣、アメリカがこういう態度をとっているときに、日本の政府が率先して唯々諸々と批准を進めようとする、こんな道理に合わない卑屈な態度はないではありませんか。見解を求めます。(拍手) 日本国民にとって重大なことは、こうしたとんでもない主権侵害とともに、協定が日本国民に数々の重大な被害をもたらすものになっていることであります。 農産物貿易について、協定は、例外なき関税化、すなわち完全に自由化することをうたっています。水も、六年間の部分自由化の期間を過ぎれば、WTO加盟諸国の同意を得ない限り完全自由化に移行しなければならないことになります。世界的な食糧不足が警告されているさなか、食糧自給率が四六%にまで落ち込んでいる我が国において、米を含む農産物の輸入自由化が強行されれば、農業の壊減的打撃、地域経済の衰退、国土の荒廃にまでつながることはだれの目にも明らかであります。 そして、それは、あれこれの国内対策をとったとしても回避できるものではありません。そのことは、牛肉・オレンジの輸入自由化のその後の実態を見れば余りにも明らかであります。マラケシュ協定をきっぱり拒否することこそが最大の国内対策なのであります。農産物交渉の最高責任者の一人であった塩飽元農林水産審議官も、農業のことを考えれば私はウルグアイ・ラウンドに参加するのは間違っていると言っても言い過ぎではないと思うと述べているではありませんか。総理、農水大臣、あなた方はそうは考えられませんか。明確に答えてください。 さらに、協定は、食品の安全問題でも重大な主権制限を盛り込んでいます。 協定は、国民の命や健康の保証に必要な衛生防疫措置を主権に属する問題であると一応は認めています。しかし、その権利は協定の諸条項に反しない限りで認められると主権を大幅に制限し、自国の衛生防疫措置を国際基準に合わせることを義務づけています。さらに、輸入国が輸出国の衛生防疫措置を受け入れよとの規定も設けられています。これでは、主権はあってなきがごときものであります。 国際基準とされているFAO・WHOのコーデックス食品規格では、その食品安全基準や農業残留基準は日本の基準よりはるかに緩くなっています。しかも、その策定作業には多国籍企業が深く関与し、みずからの世界的な食品貿易を拡大しようとしているのです。まさに、日本国民の命のための食品安全基準が多国籍企業の利益のための基準に従属化されようとしているのではありませんか。このようなことは決して認めるわけにはまいりません。総理の明確な御答弁を求めます。 また、政府は、皮革・靴、木材、繊維を初め、ほとんどすべての品目の大幅な関税率の引き下げを約束しました。これは、円高に苦しんでいる中小企業、業者に対してさらに壊減的な打撃を与えるものです。総理、通産大臣、この影響についてどのように受けとめられていますか。明らかにしてください。 このように、協定は、大企業、多国籍企業の利益優先のもと、公平・平等の貿易原則を著しくゆがめるものであって、その受け入れは日本国民に重大な被害を与え、将来にわたって大きな禍根を残すものにならざるを得ません。今、発展途上国だけではなく、先進国においても協定の批准に反対する運動が広がってきています。 日本共産党は、国会がマラケシュ協定の批准をきっぱり拒否し、政府が、発展途上国を含むすべての国の国民生活の向上、公正公平・平等互恵の原則に立った国際貿易秩序確立の立場から、WTO諸協定の修正を求めて再交渉するよう強く要求して、質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
○内閣総理大臣(村山富市君) 藤田議員の御質問にお答えを申し上げます。 まず、今回の協定により米の輸入自由化を国民に迫ることは問題ではないかというお尋ねでございます。 政府といたしましては、ウルグアイ・ラウンド交渉におきまして、米の自由化反対に関する国会決議の趣旨を体しながら、最大限の努力を行ってきたところでございます。昨年十二月のウルグアイ・ラウンド農業合意の受け入れは、ウルグアイ・ラウンド交渉の成功のために応分の貢献を果たすことが我が国の国際的責務であるとの観点から、ぎりぎりの交渉の結果として行われてきたものであることについて御理解をいただきたいと存じます。 次に、協定の国会審議の時間についてお尋ねがございましたが、政府といたしましては、世界貿易機関すなわちWTOを設立するマラケシュ協定の来年一月一日の発効に向けまして必要な作業を鋭意進めてきたところでございます。協定の国会提出以前の段階におきましても、同協定の概要を国会関係者等ができる限り早くかつ正確に知り得るよう各種の説明資料等を作成し、それらの内容の説明に努めてきた次第でございます。政府といたしましては、WTO協定及び関連法案の国会における審議が円滑に行われ、速やかに成立させていただくよう心からお願い申し上げる次第でございます。 次に、米国の実施法案についてのお尋ねがございました。 米国がWTO協定を締結する限り、そのすべての規定を誠実に履行する義務を負うことは当然であります。同法案は、米国としてWTO協定上の義務を履行できるように必要な立法措置のすべてを盛り込んだものと承知をいたしております。これらの点は米政府も確認をしているところでございます。いずれにいたしましても、政府といたしましては、我が国におけるWTO協定の締結手続を進めるとともに、米国における同法案の運用状況を注意深く見守りながら、必要な場合にはWTO協定上の紛争解決手続等の手段を利用していきたいと考えているところでございます。 次に、農業協定の受け入れに関するお尋ねがございました。 政府といたしましては、ウルグアイ・ラウンド農業合意を含むWTO協定の来年一月一日の発効に向け、協定及び関連法案を今国会に提出したところでございまして、御審議の上、御承認を得たいと考えています。私といたしましては、WTO協定の締結によって農家の方々が不安や動揺を来さないよう、去る十月二十五日に緊急農業農村対策本部において決定されました対策大綱に沿って万全の国内対策を請じていく考えでございます。 次に、WTO協定の衛生植物検疫措置の適用に関する協定についてのお尋ねがございましたが、食品の安全に関する国際基準は、国際的な機関において消費者の健康の保護を目的として策定されているものでございまして、我が国においてもこのような国際基準により国民の健康は確保できるものと考えております。また、この協定は、科学的正当性がある場合等においては、国際基準よりも厳しい基準を採用し得ること等の規定も盛り込まれているところでございます。こうしたことから、この協定の締結によって、国民の健康確保に支障を及ぼさないよう、食品の安全基準の緩和を行う必要はないものと考えているところでございます。 次に、関税率の引き下げによる中小企業者等への影響に関するお尋ねがございましたが、政府といたしましては、ウルグアイ・ラウンドの合意により、世界の市場拡大が図られ、中小企業も含めた我が国経済の長期的かつ安定的な発展に資するものと期待をしているところでございます。しかしながら、円高等を背景とした輸入品との競合によりまして既に影響を受けた中小企業者等が多数存在することも厳しく認識をしているところでございまして、今後とも中小企業の動向には十分注意をしながら適宜適切に対処していくつもりでございます。 次に、WTO協定の再交渉についてのお尋ねでありますが、ウルグアイ・ラウンド交渉は、物の貿易のみならずサービス貿易や知的所有権といった新たな分野を含み、最終的には百二十五の国や地域が参加をいたしまして、七年以上にわたって行われたかつてない包括的かつ歴史的な一大交渉でございました。WTO協定は、各国のさまざまな意見の調整を踏まえ作成されたものであるとともに、我が国の主張のすべてが取り入れられているわけではございませんが、相当程度が盛り込まれていることは確かでございまして、再交渉を求める考えはないことを申し上げておきたいと存じます。 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手) 〔国務大臣河野洋平君登壇〕
○国務大臣(河野洋平君) 米につきましては、特例措置の適用を含む農業協定の受け入れが我が国にとって極めて厳しい、難しいものであることについては全く異論のないところでございますが、ウルグアイ・ラウンド合意全体を見た場合、国会意は全体として我が国の国民生活に多大の利益をもたらすものである、こう考えております。したがいまして、農業・農村に対します十分な対策を行いました後、こうしたことを処理をしたいと考えているわけでございます。こうした認識に立ちまして、ウルグアイ・ラウンド交渉の結果作成されたWTO協定の来年一月一日の発効に向けまして、同協定の締結につき国会の御承認を得たいと考えているわけでございます。 問責決議につきましては、先ほど来、大河原農水大臣からも申し上げているところでございます。本協定は、さきの政権が受け入れたこととはいえ、国際間の約束を果たすことは極めて重要であると考えているわけでございます。村山政権としての外交の継続性という原則及びWTO協定が多数国間条約であるということにかんがみまして、自由民主党としてもこの協定の承認を求めるという態度でございます。 農産物貿易の部分につきましては、その受け入れが及ぼす影響を最小限に食いとめるべく、先般その対策が決定されたところでございます。自由民主党としては、この対策を前提といたしまして、今次国会におきましてWTO協定の承認と関連法案の成立に向け努力をすることを党声明として明らかにいたしております。 米国の実施法案についてのお尋ねがございましたが、総理大臣から既に御答弁がございました。総理答弁のとおりでございます。(拍手) 〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) ウルグアイ・ラウンド交渉の成果についてでありますが、先進国問で鉱工業製品に関する平均関税を約四〇%引き下げることに合意いたしましたほか、物の貿易に関する規律、紛争解決手続等の大幅な強化、知的財産権、サービス貿易についての新たなルールの策定等、我が国経済にとって大きな利益をもたらすものであります。農業協定も含めまして、このような交渉の結果作成されたWTO協定は、全体としてこれを評価いたしますとき、貿易立国である我が国経済の繁栄のために極めて重要であり、我が国としては早期にこの承認、締結を行い、多角的貿易体制の維持強化に貢献することが必要であると考えております。 このように、政府といたしましては、ウルグアイ・ラウンドの合意による世界市場の拡大を通じ我が国の経済が長期的に発展していくことを期待しておりますが、他方、御指摘のように、輸入品との競合により既に影響を受けた中小企業者が多数存することも認識をいたしております。 特に、皮革・革靴製品につきましては、同業界が社会的、歴史的に困難な地域の主要業界であり、厳しい状況に直面しておりますことは十分認識いたしております。交渉においても最大限の努力を払うとともに、関税の引き下げの影響を緩和すべく基金規模四十八億円の基金を関係団体に設置したところであります。 また、繊維製品については、輸入の増大及び消費の低迷に直面している状況にかんがみ、関税の引き下げ率を小幅にとどめる等配慮を行ってまいりました。さらに、繊維産業の抜本的な構造改善を図るため、本年三月に改正、延長されました繊維産業構造改善臨時措置法を活用し、各種の支援措置を講じていくこととしております。 いずれにいたしましても、政府としては今後ともこれらの産業の動向を注視していきたいと考えております。(拍手) 〔国務大臣大河原太一郎君登壇〕
○国務大臣(大河原太一郎君) 藤田議員の御質問にお答えいたします。 三度の国会決議とWTO協定の受諾との関係でございますが、既に総理、外務大臣からお話があったとおりでございまして、ウルグアイ・ラウンド交渉期間中におきまして、そのときどきの政府がその趣旨を体して交渉に臨み、最大限の努力を傾注をしたものと理解しておりますが、最終段階において、激しく対立する各国の意見を踏まえて、ぎりぎりの線としての調整案を細川内閣のもとでウルグアイ・ラウンドを成功裏に導くために受け入れたものと承知しております。 WTOの協定については、「外交は継続、内政は改革」とされる村山政権のもとで、WTO設立の大きな意義と国際間の約束を果たすことの重要性にかんがみ、来年一月一日の発効に向け今国会で御審議を賜っておるところでございます。政府といたしましては、協定の締結に伴う農業に与える影響を最小限に食いとめるとともに、農業の将来展望を切り開くということで全力を挙げる所存であります。 農業協定による影響と国内対策については、藤田議員と御所見を異にするものでございます。ウルグアイ・ラウンド農業合意の受け入れなど新たな国際環境に対応した今後の農政の展開については、御案内のとおり、農政審議会報告の趣旨を踏まえて作成された先般の対策大綱に示された具体的施策を全力を挙げて推進することにより、農業合意の実施に伴う影響を最小限に食いとめ得るものと考えております。(拍手)
○議長(土井たか子君) これにて質疑は終了いたしました。 ――――◇―――――
○山本有二君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。 内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、三塚博君外二十九名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、保岡興治君外十名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、政治改革に関する調査特別委員長提出、政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律案及び内閣提出、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案、右五案のうち、政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律案は政治改革に関する調査特別委員長提出でありますので、委員会の審査を省略することとし、立案を一括議題とし、委員長の報告及び趣旨弁明を求め、その審議を進められることを望みます。
○議長(土井たか子君) 山本有二さんの動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。 公職選挙法の一部を改正する法律の一部を改 正する法律案(内閣提出) 公職選挙法の一部を改正する法律案(三塚博 君外二十九名提出) 公職選挙法の一部を改正する法律案(保岡興 治承外十名提出) 政党交付金の交付を受け政党等に対する法 人格の付与に関する法律案(政治改革に関 する調査特別委員長提出) 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日 等の臨時特例に関する法律案(内閣提出)
○議長(土井たか子君) 公職選挙法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、三塚博さん外二十九名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、保岡輿治さん外十名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律案、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時。特例に関する法律案、右五案を一括して議題といたします。 委員長の報告及び趣旨弁明を求めます。政治政章に関する調査特別委員長松永光さん。 ――――――――――――― 公職選挙法の一部を改正する法律の一部を改正 する法律案及び同報告書 公職選挙法の一部を改正する法 律案(三塚博君外二十九名提出) 及び同報告書 公職選挙法の一部を改正する法 律案(保岡興治君外十名提出) 政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人 格の付与に関する法律案 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等 の臨時特例に関する法律案及び同報告書 〔本号末尾に掲載〕 ――――――――――――― 〔松永光君登壇〕
○松永光君 ただいま議題となりました内閣提出の公職選挙法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、三塚博君外二十九名提出の公職選挙法の一部を改正する法律案及び保岡興治君外十名提出の公職選挙法の一部を改正する法律案について、政治政章に関する調査特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げますとともに、本委員会提出の政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律案について、提案の趣旨及び内容の概略を御説明し、さらに、内閣提出の地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案について、本委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。 まず、内閣提出の公職選挙法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について、本委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。 本案は、衆議院議員選挙区画定審議会が行った衆議院小選挙区選出議員の選挙区の画定案についての勧告を受けて、衆議院小選挙区選出議員の選挙区を定めるとともに、公職選挙法の一部を改正する法律(平成六年法律第二号)の施行日を定めようとするものであります。 本案の主な内容は、次のとおりであります。 第一は、衆議院小選挙区選出議員の選挙区についてであります。 衆議院小選挙区選出議員の選挙区については、公職選挙法の別表第一において定めることといたしております。その内容は、衆議院議員選挙区画定審議会の勧告をそのまま法案化したものであります。 この別表第一に掲げる行政区画その他の区域は、原則として、平成六年八月十一日、すなわち勧告が行われた日現在の区域によるものとし、八月十二日から施行日の前日までの間において同表に掲げる行政区画その他の区域に変更があっても、当該選挙区に関する限り、行政区画その他の区域の変更がなかったものとみなすことといたしております。 第二は、公職選挙法の一部を改正する法律の施行日についてであります。 衆議院議員の選挙制度を小選挙区比例代表並立制とすること等を内容とする公職選挙法の一部を改正する法律(平成六年法律第二号)は、この法律の公布の日から起算して一月を経過した日から施行することといたしております。なお、これに伴って、既に成立を見ている政治資金規正法の一部を改正する法律及び政党助成法は、いずれもただいま申し上げた公職選挙法の一部を改正する法律の施行の日の属する年の翌年の一月一日から施行されることとなります。 本案は、去る十月六日本委員会に付託され、同月二十日野中自治大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入りました。 質疑は政治改革の各般にわたる事項について行われましたが、特に、各小選挙区間の人口の最大格差が二・二三七倍となることについて、一方では、新しい選挙制度の発足に際して最大格差が二倍を超えることは憲法に違反することとならないかとの指摘がなされ、他方では、衆議院議員選挙区画定審議会設置法において、小選挙区定数の配分に当たってはまず各都道府県に定数一を均等に配分した上、残余の定数を人口に比例して各都道府県に配分することとした結果であって、結果として最大格差が二倍を超えることとなってもやむを得ないのではないかとの意見が述べられました。そこで、慎重を期するため、昨一日参考人から今回の区割り案と投票価値の平等との関係について意見を聴取いたしました。 本日質疑を終了し、討論の後、採決を行い、本案は賛成多数をもって可決すべきものと決した次第であります。 なお、本案に対して附帯決議が付されましたことを申し添えます。 次に、三塚博君外二十九名提出の公職選挙法の一部を改正する法律案及び保岡興治君外十名提出の公職選挙法の一部を改正する法律案について、本委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。 両法律案はいずれも、組織的選挙運動管理者等に係る連座制を創設することを主な内容といたしておりますが、両法律案のこれ以外の内容を比較いたしますと、おおむね次の四点で相違しております。 一 三塚博君外二十九名提出の法律案、すなわち前案は重複立候補者に対する連座制について措置しているのに対し、保岡興治君外十名提出の法律案、すなわち後案はこれを規定していないこと 二 後案は組織的選挙運動管理者等に係る買収罪等の法定刑を加重しているのに対し、前案はこれを規定していないこと 三 前案は選挙運動に関する支出の制限規定の適用の明確化について措置しているのに対し、後案はこれを規定していないこと 四 衆議院議員の選挙以外の選挙についての適用の時期について、前案は総選挙または通常選挙のいずれか早い公示日以後にその期日を公示されまたは告示される選挙から適用することとしているのに対し、後案は施行日以後その期日を公示されまたは告示される選挙から適用することとしていることであります。 両法律案は、去る十月十三日本委員会に付託され、同月二十日両法律案の提出者からそれぞれ提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、本日質疑を終了しましたが、両法律案に対しましては、古賀誠君外八名から、両法律案を併合して一案とする修正案が提出されました。 併合修正案の趣旨につきましては、提出者から次のとおりの説明がありました。すなわち、両法律案の提出者は、両法律案に共通している組織的選挙運動管理者等に係る連座制については、選挙浄化の徹底を期するため、衆議院議員の新しい選挙制度の発足に際し、これをぜひとも実現すべきであるという観点から、両法律案に対する修正について鋭意協議を重ね、その結果、両法律案の内容のうち、組織的選挙運動管理者等に係る連座制の創設及び重複立候補者に対する連座制の強化はこれを採ることとし、組織的選挙運動管理者等に係る買収罪等の法定刑の加重及び選挙運動に関する支出の制限規定の適用の明確化は今後の検討課題として今回はこれを行わないこととし、あわせて、適用の時期については所要の調整を行うことで意見の一致を見たというものであります。 次に、併合修正案の主な内容について御説明申し上げます。 第一は、組織的選挙運動管理者等に係る連座制の強化についてであります。 公職の候補者等の選挙浄化に対する責任を問うという新たな観点から、候補者等と意思を通じて組織により行われる選挙運動において、選挙運動の計画の立案調整または選挙運動に従事する者の指揮監督その他選挙運動の管理を行う者を「組織的選挙運動管理者等」として位置づけ、組織的選挙運動管理者等が買収罪等を犯して禁錮以上の刑に処せられたときは、候補者等の当選は無効とするとともに、連座裁判の確定のときから五年間当該候補者等の立候補を制限することといたしております。また、この場合において、当該候補者等が衆議院議員の選挙における重複立候補者であって、比例代表選挙の当選人となったときは、当該比例代表選挙の当選は無効とすることといたしております。 次に、組織的選挙運動管理者等に係る連座制の適用の免責についてでありますが、組織的選挙運動管理者等の買収罪等に該当する行為がおとりもしくは寝返りにより行われたものであるとき、またはそのような行為を防止するため候補者等が相当の注意を怠らなかったときは、連座制を適用しないことといたしております。 第二は、重複立候補者に対する連座制の強化についてであります。 さきに述べた組織的選挙運動管理者等に係る連座制以外の連座制についてでありますが、衆議院議員の選挙における重複立候補者が比例代表選挙の当選人となった場合において、当該当選人について小選挙区選挙において連座制の適用があるときは、当該比例代表選挙の当選は無効とすることといたしております。この場合において、連座制の対象となる罪に該当する行為がおとりまたは寝返りにより行われたものであるときは、当該当選は無効としないことといたしております。 第三は、この法律の施行期日及び適用の時期についてであります。 この法律は、公職選挙法の一部を改正する法律(平成六年法律第二号)の施行の日から施行するものとし、衆議院議員の選挙については施行日以後初めてその期日を公示される総選挙から、参議院議員の選挙については施行日以後その期日を公示されまたは告示される選挙から、その他の選挙については平成七年三月一日以後その期日を告示される選挙から適用するものといたしております。 以上が、併合修正案の趣旨及び内容の概略であります。 本委員会におきましては、本日両法律案及び併合修正案について討論の後、採決を行い、全会一致をもって両法律案は併合して一案とし修正議決すべきものと決した次第であります。 なお、併合修正した両法律案に対して附帯決議が付されましたことを申し添えます。 次に、本委員会提出の政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律案について、提案の趣旨及び内容の概略を御説明申し上げます。 議会制民主政治のもとにおいて、政党の機能及び社会的責務はまことに重要であります。また、政党助成法の施行に伴い、同法に基づく政党交付金の交付を受ける政党は、政党交付金を適切に使用すべき大きな責任を負うこととなります。このような観点から、本案は、政党の財産の所有、維持運用その他その目的達成のための業務の運営に資するため、一定の要件に該当する政党に法人格を付与するとともに、政党交付金の交付を受ける政党は法人でなければならないこととし、もって政党の政治活動の健全な発達と民主政治の健全な発展に寄与しようとするものであります。 次に、本案の主な内容について申し上げます。 第一は、政党の法人格の取得についてであります。 この法律において法人格を取得することができる政党は、政治団体のうち、所属国会議員を五人以上有するもの、または所属国会議員を有するもので、直近の衆議院議員の総選挙もしくは直近の参議院議員の通常選挙もしくはその前回の通常選挙における当該政治団体の得票率が百分の二以上であるものといたしております。この要件に該当する政党は、中央選挙管理会の確認を受けた上、主たる事務所の所在地において登記することにより、法人格を取得することができることといたしております。 第二は、法人の設立手続についてであります。 さきに述べた要件に該当する政党は、名称、目的、主たる事務所の所在地、代表権を有する者の氏名、所属国会議員の氏名等を届け出るとともに、これにあわせて綱領、党則等の文書を提出して、中央選挙管理会の確認を受けることができることといたしております。 中央選挙管理会の確認を受けた政党は、確認を受けた日から二週間以内に、主たる事務所の所在地において設立の登記をしなければならないことといたしております。この設立の登記には、名称、目的、主たる事務所、代表権を有する者の氏名及び住所並びに解散の事由を定めたときはその事由を登記することといたしております。なお、これらの登記事項に変更が生じたときは、変更の登記をしなければならないことといたしております。 第三は、法人の解散等についてであります。 法人である政党等は、任意に解散することができますが、そのほか、党則等で定める解散の事由が発生したとき、または目的の変更その他により政治団体でなくなったときは、解散することといたしております。 次に、法人である政党がさきに述べた政党の要件に該当しない政治団体となった場合についてでありますが、このような政治団体は四年間は法人格を失わないこととし、政党の要件に該当することなく四年を経過したときに法人でなくなることといたしております。この場合において、その団体は政治団体としてなお存続することとし、一切の財産は、整理の手続を経て、当該法人でなくなった政治団体に帰属することといたしております。 なお、法人である政党等が解散したときは解散の登記、法人である政治団体が法人でなくなったときは法人でなくなった旨の登記、法人である政党等の清算が結了したときは清算結了の登記、法人でなくなった政治団体への財産の帰属のために必要な整理が結了したときは整理結了の登記をしなければならないことといたしております。 第四は、政党助成法の改正についてであります。 政党助成法に基づく政党交付金の交付の対象となる政党は、法人である政党に限ることといたしております。 以上のほか、法人の管理、清算、登記等についで民法及び非訟事件手続法の所要の規定を準用することとし、法人である政党等に対する課税関係については、原則として、従前の人格なき社団である政党に対する課税関係と同様のものといたしております。また、この法律の規定に違反する行為に対しては秩序罰としての過料を科することとするなど所要の規定を設けております。 なお、この法律は、公職選挙法の一部を改正する法律(平成六年法律第二号)の施行の日の属する年の翌年の一月一日から施行することといたしております。 以上、本案の主な内容について御説明いたしましたが、最後に、本案と政党の政治活動の自由との関係について申し上げておきたいと思います。 政党の政治活動の自由は憲法上保障されているところであり、これがいささかでも制約されることがあってはならないことは言うまでもありません。そこで、本案の起草に当たりましては、特に行政権が政党の政治活動に介入することがないように留意したところでありまして、第一に、「この法律のいかなる規定も、政党の政治活動の自由を制限するものと解釈してはならない。」との解釈規定を設け、その旨を明文で明らかにしたこと、第二に、法人格を取得することができる政党の要件としては、客観的に明確な基準を用いることとし、具体的には国会議員の数及び国政選挙における得票率としたこと、第三に、政党の行う届け出についての確認は、国会の議決による指名に基づいて任命される委員から成る合議制の中央選挙管理会が行うこととしたこと、第四に、中央選挙管理会が行う確認については、届け出書等の形式上の不備等について行う、いわゆる形式的審査にとどめることとしたことであります。以上の措置によりまして、政党の政治活動の自由は十分に確保することができるものと判断しているところであります。 以上が、本案の趣旨及び内容の概略であります。 本案は、本日成案を得て、政治改革に関する調査特別委員会提出法律案とすることに決したものであります。 なお、本委員会におきましては、本案に関し政党の政治活動の自由に関する決議がなされましたことを申し添えます。 何とぞ速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。 次に、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案について、本委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。 本案は、全国多数の地方公共団体の議会の議員または長の任期が平成七年三月、四月または五月中に満了することとなりますので、前例にかんがみ、これらの選挙の期日を統一し、選挙の円滑な執行と執行経費の節減を図るとともに、国民の地方選挙に対する関心を高めようとするものであります。 本案におきましては、統一地方選挙の期日を、都道府県及び指定都市の選挙については平成七年四月九日、指定都市以外の市、特別区及び町村の選挙については同年四月二十三日といたしております。このほか、同時選挙の手続、重複立候補の禁止、寄附等の禁止期間、共済給付金の特例等について所要の規定を設けております。 本案は、去る十月二十五日本委員会に付託され、本日野中自治大臣から提案理由の説明を聴取し、直ちに採決を行った結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ―――――――――――――
○議長(土井たか子君) これより採決に入ります。 まず、公職選挙法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につき採決いたします。 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の皆さんの起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(土井たか子君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。 次に、三塚博さん外二十九名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案及び保岡興治さん外十名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案の両案につき採決いたします。 委員長の報告は、両案を併合して一案とし修正議決したものであります。両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。 次に、政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律案につき採決いたします。 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(土井たか子君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。 次に、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案につき採決いたします。 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。 ――――◇―――――
○山本有二君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。 参議院送付に係る第百二十九回国会、内閣提出、許可、認可等の整理及び合理化に関する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
○議長(土井たか子君) 山本有二さんの動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。 ――――――――――――― 許可認可等の整理及び合理化に関する法律案 (第百二十九回国会、内閣提出)(参議院送 付)
○議長(土井たか子君) 許可、認可等の整理及び合理化に関する法律案を議題といたします。 委員長の報告を求めます。規制緩和に関する特別委員長後藤茂さん。 ――――――――――――― 許可、認可等の整理及び合理化に関する法律案 及び同報告書 〔本号末尾に掲載〕 ――――――――――――― 〔後藤茂君登増〕
○後藤茂君 ただいま議題となりました許可、認可等の整理及び合理化に関する法律案につきまして、規制緩和に関する特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。 本案は、許可、認可等を整理及び合理化することにより、国民の負担の軽減を図る観点から、四十法律にわたる改正を取りまとめたものであります。本案は、第百二十九回国会に、本院において可決され、参議院において継続審査となっておりましたが、今国会の去る十月二十八日参議院において原案のとおり可決し、本院に送付され、同日本委員会に付託されたものであります。 本委員会におきましては、本日提案理由の説明を省略し、質疑及び討論の申し出もなく、直ちに採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ―――――――――――――
○議長(土井たか子君) 採決いたします。 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。 ――――◇―――――
○議長(土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。 午後五時四十五分散会