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131回国会衆議院1994/12/08

文教委員会 第5号

発言数
102
登壇者
12
会派数
5
開催日
1994/12/08

会議録

伊吹文明自由民主党

○伊吹委員長 これより会議を開きます。  文教行政の基本施策に関する件、特に、先般来の痛ましい事柄がございまして、児童生徒の問題行動等について本日は調査を進めたいと思います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野晋也君。

小野晋也自由民主党

○小野委員 まず、この十一月二十七日の夜、「もっと生きたかったけど…。」という遺書を残し、みずから命を絶ってこの世を去っていった大河内清輝君に、心から謹んで哀悼の意を表したいと存じます。  十三歳という若い命には余りにも重い現実であったのでありましょう。遺書の文章を通読いたしましても、頭脳明日晰で、清純で、優しくて、そして強い意思を持って数々のいじめに耐え抜いてきた清輝君、なぜこの一人の少年を、この日本の社会は、そしてまた日本の教育界は守り抜くことができなかったのだろう、こう考えますと、私自身、自戒の念に駆られてならないところでございます。今回の事件はまことに残念でございます。さらにこの事件の後に、警察庁の方で調べましたところ、ほかにも多数、いじめでみずから命を絶った少年がおられるということでございます。  ここで率直に問わせていただきたいと存じます。文部省は、このようないじめによる自殺を引き起こしてきているその原因について、どのようにとらえておられるのでありましょうか、御答弁をお願い申し上げます。

与謝野馨自由民主党文部大臣

○与謝野国務大臣 文部省といたしましても、今回、あの大変痛ましい事件に関しまして、本当に心を痛めておりますし、何とも申し上げられないような気持ちでいるわけでございます。今回のこの事件の全容については、いまだ完全な報告書は教育委員会等から上がってきておりませんけれども、私どもとしては、こういう問題が再び起こらないというために何をなすべきかということを現在真剣に考え、そして早急に取り組む決意でございます。  この種の件がどうして起きるのか。これは社会全体のある種の風潮もございましょう。しかし、過去こういうことが起きましたときには、結局、学校が悪い、先生が悪い、社会が悪い、大人が悪いというふうに、非常に責任が抽象化され、また責任が拡散される方向で議論が進んできたわけでございます。  確かに、この種のいじめ等を防止する、あるいは、いじめが現に進行しているときに、なるべく早い時期に学校の先生が気がついて、それに対して迅速な措置をとるということが大切なことでございますけれども、それはそれ自体大変大事なことでございますが、やはり根本には、子を育てる家庭と申しますか両親と申しますか、そういう方々も、やはり自分の子供に対して、社会生活をしていく上で必要な、基礎的な倫理観、しつけ、こういうものをきちんと教えていただく、こういう必要がありますし、子供を育てる親の責任の重大さにさらに目覚めていただきた。いと思っております。  それと同時に、十三歳という年齢は、ある程度やっていいこと、悪いことということの弁別能力、いわゆる理非曲直の弁別能力というものを既に有している年齢でございますから、十三歳だからといって決して社会的責任を免れるわけではないと私は思っておりますし、そういう件については、それぞれそういう問題を担当する行政機関が目下いろいろな調査をしているところであります。  今回の事件で特に残念なことは、御本人、あるいは御本人の周りにおられて、この種のことが起きているということに気づいていた方もおられるわけでございまして、そういうことをやはり率直に、校長先生あるいは担任の先生あるいは養護教諭等に勇気を持って御相談をしていただけなかった、あるいは、ある種の兆候が見えたにもかかわらず、それに対して適切な判断をするまでに至らなかった、こういうことは非常に残念に思っております。  いずれにいたしましても、文部省としても、今までも自殺事件というものもございましたが、これほど詳細に遺書も残され、あるいは「旅日記」というような文章も残され、自殺に至った背景というものは御本人の手によって残されているわけでございますので、こういう問題はやはり真剣に取り組む、こういうことでもございますし、また総理からも、このいじめの問題について、専門家を招集しできちんとした対応策を早急に考えるという御指示もございましたので、明日、いじめ対策緊急会議、これは従来から文部省に置いております専門家の会議でございますが、こういうものを招集いたしまして、現在まで判明した事柄の概要を御説明し、緊急にどのような御意見を出していただけるかということを明日行うつもりでございます。

小野晋也自由民主党

○小野委員 大臣より詳細にこれからの取り組みについての考え方を示していただいたわけでございますけれども、大臣が御指摘のとおり、今回の問題を詳細に拝見をいたしておりますと、まず、その問題状況が起こっているということについて、学校現場ないし家庭がその状況をきちんと認識するということが大事であろうかと存じます。そして、それに加えて、その現状を把握されましたら、学校と家庭が協力をしながらその問題を解決するために力を尽くして取り組んでいくという行動の部分も大事かと存じます。  この問題はさまざまなものを含んでいるわけでございますけれども、その中で、きょうはこの文教の委員会ということでございますから、学校現場の問題と、それから文教行政の場面におきます。その問題についての私の方からの質問をさせていただきたいと存ずるわけでございます。  この清輝君のケースについて考えてみました場合に、愛知県西尾市立東部中学校という学校でございますけれども、先ほどお話ございましたとおり、既に学校内部で清輝君をめぐる問題状況をある程度把握されていたという事実がございます。顔にあざがあったとか、自転車の泥よけが壊されていたとか、それから体育館で下半身が下着姿のままぼうっと立っている清輝君の姿を見たとか、それから担任の先生のところに友達が清輝君がいじめられているということでの指摘を行っているとか、それから養護の先生のところには清輝君自身が、恐らく心にいろいろな悩みを持って行ったのでしょう、その先生の前に行って、目をきょろきょろとして不安定な様子で、特にいじめの相談をしたわけではなかったようでありますけれども、親に対してその先生から、精神不安定のようだからカウンセリングを受けてみたらどうでしょうというようなこともあった。  これだけさまざまなサインが清輝君の方から出されてきているにもかかわらず、これをきちんと受けとめて、そしてその対応が進められなかったというところに、学校現場の機能面における問題、そしてこれはひいては、日本全国に随分同じようなケースがあるだろうと思いますので、日本の教育全体の問題としても真剣に受けとめなければいけない課題があるように私は感じております。  その中で、私も昨日現場の先生からちょっと御意見をお伺いしてみようということで、こういうケースをどういうふうに皆さん受けとめておられるのですかということを申し上げますと、とにかくゆとりがなくて、子供たちと心を触れ合わせながらじっくりと話をしていく時間がないのだということを言われるわけでございます。  今非常に受験競争ということも言われております。また、週休二日制の導入に伴いましてカリキュラムが厳しくなってきているというところもあるようでございます。そういう中で、ゆとりを失っている教育現場、そして先生も生徒もともにストレスを感じながら学校生活を行っているというこの現実、これに対する対応をきちんと行っていかないことには、またこのようなケースが引き続いて引き起こされる可能性があると、私はその先生のお話をお伺いしながら感じた次第でございます。  そこでお尋ねをさせていただきたい点は、まず第一点、養護教諭の問題でございますけれども、養護教諭は生徒の心身の健康を見守る立場にあって、しかも授業に追い立てられるというところからは離れたところにおられる方でございます。そしてまた、生徒も割合気安く相談を持ちかけやすい立場にあるのが養護教諭だと私は感じているわけでございますけれども、この養護教諭が、生徒から持ちかけられる心の相談に対してきちんとそれを受けとめる体制というのができているのかどうか。これができていれば、今回のケースの場合、養護教諭を訪ねてきた清輝君の声を率直に聞いてその心の悩みにこたえ、しかもいじめに対する対応が打てたのではないかという気持ちがするのでございます。  それに加えて、養護教諭のところに持ち込まれた問題が、学校全体としてその問題を取り上げながら解決に向かうような仕組みが学校内部ででき上がっているのかどうか、この点につきまして大臣の御所見をお伺いさせていただきたいと思います。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 お答え申し上げます。  養護教諭の重要性についての御指摘でございまして、近年、心の問題を持って保健室を訪れます児童生徒が多く見られる状況になっているわけでございます。  この学校におきましても、養護教諭のところに、今御指摘ございましたようにこの方も来たわけでございますが、養護教諭としては、保健室に来たり通りかかったりしたときにはできるだけ多く声をかけていた、あるいは視線が定まらず、体が落ちつかない症状に気づいてカウンセリングを勧めるとかいうようなこともしておったわけでございます。また、担任の先生も養護教諭等と相談をして、いろいろ心理テストを受けさせるとか、その結果をもとに母親などと相談をするというようなこともしておったわけでございますが、今御指摘ございましたように、それ以上の行動と申しますか、いじめの兆候というようなところに気づくまでに至らなかったということで、私どももその辺の点にもう少し突っ込みができなかったものかというようなことを感じておるわけでございます。  いずれにいたしましても、児童生徒の心の悩みにこたえるように養護教諭が適切な相談活動を行う、あるいは学級担任とか養護教諭などが連携して学校全体の問題としてこういう問題に取り組んでいく必要があるということにつきましては、全く御指摘のとおりだと思うわけでございまして、今後ともそういう方面で指導をしていきたいと思っております。

小野晋也自由民主党

○小野委員 これに引き続きまして、学校内部の問題というのみならず、ここまで事が深刻になってまいりますならば、地域社会全体の問題としてもこの種の問題を取り上げなくてはならないところにやってきているように私は感じております。その観点から考えましたときに、こういう学校内の問題は逆に生徒は学校内では相談しにくい。お互い同じ教室にいる生徒同士が受験戦争の中ではライバルにもなり得るわけでありますから、学校の先生にも素直な話がなかなかやりにくいというような状況を見ましたときに、地域社会の中でこのような問題を受けとめる場所が必要なのではないだろうかというのが私の考え方でございます。  愛媛県の方でも、スクールカウンセラーというような形で県に相談に応じる場を設けておりまして、学校内の暴力だとか登校拒否児童の問題だとか、さまざまな学校の生活に絡む問題をそこに持ち込む形にしているのでございますけれども、残念ながら今のところまだその普及率も低いように承っております。  この種の施設を今後整備することを通して、学校内のさまざまな問題の解決に取り組んでいかれることについて、文部省はどのような御所見をお持ちになっておられるでしょうか。この点についてお伺いをさせていただきます。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 いろいろな地域におきます相談機能とか、こういうことの充実は大変大事だと思っております。いじめの問題につきましては、過去やはり、昭和六十年の時点でございますけれども、「児童生徒の問題行動に関する検討会議緊急提言」というのがございます。「いじめの問題の解決のためのアピール」ということで、六十年六月二十八日に出たわけでございます。  この中でもいじめの問題に関する基本的な認識あるいは学校における対応、そして教育委員会において緊急に取り組むべきポイントというようなことをいろいろ指摘をしていただいたわけでございますが、その中で、今御指摘ございました「教育相談体制を整備充実する。」ということをトップに掲げております。私どももこういう提言を受けながら、今までもそういうセンター、教育相談体制の整備というようなことについて、各県そして市町村の指導を行ってきたところでございます。  現在のところ、県段階で申しますと、機関の数が全国で二百三十四カ所ございます。市町村になりますと、ちょっと今数字が出ませんが、数はもう少しございます。後ほどまたお答えさせていただきたいと思います。  こういう教育センターあるいは教育研究所などが児童生徒あるいは保護者からの教育相談に応じられるような機能を持っていくということは、大変大切なことだと思っておるわけでございます。そして、その機能はますます大きくなる、このように思っておりますので、その充実に私どもも努めてまいりたいと思っております。  なお、市町村の教育委員会が所管いたします教育相談機関の数は、現在千百五十六機関がございます。それぞれに教育相談員等が配置をされている、こういう状況になっております。

小野晋也自由民主党

○小野委員 今回のこの清輝君の事件は、「もっと生きたかったけど…。」という言葉を今紹介しましたけれども、まだまだやりたいことがあったけど、そしてみんなともっと楽しく過ごしたかったというような言葉も遺書の中に残されておりました。私どもの心に鋭く問題を指摘いただいた事件であったと考えております。  私は、この問題は単に愛知県のこの東部中学校という学校の問題ではなくて、日本の社会に突きつけられた問題であろうと思いますし、日本の教育界に突きつけられた深刻な問題であろうと思いますし、また、ひいては私ども政治の場に働く者に問いかけられた重大な問いでもあるというように感じております。  最後のところになりますけれども、約二十年くらい前に「日本の自殺」という本が出されました。これは個人の自殺ということではなくて、日本社会がこのまま歩んでいけば自殺の道を進むのではなかろうかということを指摘している本でございますけれども、その最後のところの一文だけを御紹介させていただきまして、この質問を閉じさせていただきたいと思います。   歴史的事実に照らして見るとき、確かに第二次大戦後の日本は物質的にはめざましい再建をなし遂げたが、精神的には未だほとんど再建されてはいない。道徳は荒廃し、人心はすさみ切って、日本人の魂は病んでいる。日本はその個性を見失ってただぼう然と立ちつくしたままである。未来の歴史家はこの時代をどう見ることになるのであろうか。そして生まれくる若き未来の世代はこの病める日本をどうしようとするのであろうか。 このような深刻な問いにつながる今回の事件であったことをしっかりと受けとめていただいて、今後の文教行政のあり方、ひいては日本の国のあり方を、これは行政のみならず、我々政治の世界にいる者も含めて、真剣に考えなくてはならないところに来ているように私は感じております。  以上で私の質問を終了させていただきます。

伊吹文明自由民主党

○伊吹委員長 これにて小野晋也君の質疑は終了いたしました。  次に、沢藤礼次郎君。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲民主連合

○沢藤委員 今回の事件に当たって、清輝君、そしてまた今までも数多くの自殺者、犠牲者を出しておるわけでありまして、その方々に対する御冥福をお祈りしたいと思いますし、いわゆる未完成の子供たちをそこまで追い詰めた状況というものをつくったのは、大部分は私たち大人であるということを考えて、心から謝罪を申し上げたいと思っております。  最初の質問は、これらの異常現象の起こっている背景ということについて準備したんですが、先ほど小野先生の質問に対して大臣からお答えがありましたので、繰り返し質問申し上げることは時間の関係上遠慮させていただきますが、一つやはり、これからの質問に関係するんですけれども、いじめ、自殺、不登校あるいは暴力行為、こういったものは、根っこ、根が一つであるということ、このことは紛れもない事実だろうと思います。その認識を深くしてまいりたいと思います。  この前、十月のこの委員会でも触れたんですが、文部省の統計が始まって以来約十九年になるわけですが、この間の自殺者の数が合計、小中高校生合わせて四千三百七十八名という数字だった。平成五年の分が加わりますと、恐らく四千五百名前後になるだろうと思われます。大変な数字である。いわば三日に二人自殺者を出しているということになりますから、重大な事態だろうということを御指摘を申し上げました。  このあってはならないこうした事象というものをどのように我々は受けとめ、解決していくかということがきょうの一つのテーマであろうと思うんですが、私は、今回の事件を事件としてとらえて、文部省に質問し、詰問しというふうなことはするつもりはございません。これは、一個の事件としてとらえるということよりは、たくさんある共通の現象、長く続いてまだ解決できないこのような事象というものを、我々全体としてどのように受けとめて、少しでもこれをなくすきっかけをどうつかむかということに時間を割き、これからも論議を続けていきたいと思うわけであります。  そういった視点で、これから幾つか質問を申し上げたいと思います。  私は、まず学校の側のことを考えてみたいんです。担任の教師という方が一番直接的にショックを受けておられるだろうと思います。今回の場合を仄聞しますと、つい先ごろまで、この春まで小学校に勤務しておられた、今度は中学校に来ていきなり難しい年齢のクラス担任をしたという背景があるようであります。  そうした意味で、私は学校内におけるポイントは一体何だろうかということを考えた場合に、二つほど浮かんでくるんですが、それは、やはり教師と子供たちとの接触、先ほども指摘がありましたように、接触の時間を、機会を多くするということが決め手であろうというふうに思います。と同時に、それをあるクラスの担任の問題として終わらせないで、教職員全体としてそれらをそしゃくする、がっちり受けとめる、そういう一致協力体制というのが必要だろう。この二つが学校職場における大きなポイントではないかと思うんですが、このことについての御所見をお聞きしたいと思います。

与謝野馨自由民主党文部大臣

○与謝野国務大臣 生徒にとりまして、まあ我々大人もそうですが、相談をしやすい先生あるいは相談しやすい友人というようなことがございます。やはり基本的には、生徒がある種の悩みを持ちましたときに、あの先生のところに行って相談をしたらきっと聞いてくれる、そういうような信頼関係が先生と生徒の間に醸成されている、そういうことが大事であると思いますし、教師の側も、そういう意味では、人間として懐の深い人間性を持って常日ごろ子供たちに接していく、こういうことも非常に私は大事なことだろうと思っております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲民主連合

○沢藤委員 私は岩手出身で、岩手の教師と、きのう、きょう、電話その他で話し合ったんですが、学校現場におる先生方の声は、今申し上げました、子供ら一人一人の顔を見る時間がない、朝、朝会で顔を合わせる、ぱっぱっばっと過ぎてしまう、あ、あの子供は顔色がこうだとか、何か心配事があるなというふうな、じっくりと子供に接する時間がないというのが一番苦しい、こういうことを言われました。  それは、ではどう解決するかということになると、幾つかあるんですけれども、定数の問題にもなるだろうし、いわゆる校務、非常に煩雑な校務、報告書、会議、そういったものに圧倒されるという実態もあるようであります。したがって、これからの課題としては、学校の先生方にできるだけ子供らと同じ場所、同じ機会を与えるということにひとつ重点を置いた御指導をお願いしたいということが一つ。  それからもう一つは、子供たちの側からすれば、自浄能力が最近足りなくなってきておる。みずからの仲間で話し合って自分たちの中でいろいろなものを解決していく、そういう傾向が少なくなってきている。なぜだろうということになりますと、結局は学科あるいは受験学科重点の毎日であって、昔のように自治活動、児童会、生徒会、あるいは昔は通学区としての上級生、下級生をひっくるめた組織がありましたね。そういったものが、やはり子供たち自身が接触し、触れ合い、話し合い、解決していくという場がなくなってきておると思う。これも一つやはり心にとめていただきたい。  以上、時間の問題と自浄能力を切磋琢磨する機会、場所をつくってやるということ、この二つについてぜひお願いしたいんですが、局長、いかがでしょうか。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 先生の仕事はまさに教育でございますから、子供たち一人一人を大切にしていくということが大変大事なわけでございまして、文部省におきましても、そういう意味で教職員の定数改善などの施策を進めてきております。同時に、今御指摘ございましたけれども、校務分掌なども、やはり適正な、教職員の間にアンバランスが生じないような、そういう校務分掌が整えられる、そして校長を中心にして一致協力した体制が確立されるということが大事だと思っておるわけでございます。  それから、今御指摘ございました児童会あるいは学級活動、そういう面につきましても、私どもとしてさらに指導をしていかなきゃいかぬと思っておりますが、同時に、子供たちが自分で考え判断するような、そういう力を全教育活動を通じて実現をしていくというようなことが大切じゃないか、こう思っておるわけでございます。  今先生御指摘の点につきましては、十分留意をして仕事を進めていきたいと思っております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲民主連合

○沢藤委員 時間が非常に少のうございますので、幾つかの項目については要望、指摘ということで申し上げたいのですが、学校における教師同士の、教師集団と申しますか、その話し合い、つまり今の職員会議はいろんな事項の伝達とかあるいは生徒に対する指導、処分ということが主体になっておりまして、一つのテーマあるいは今のような問題について徹底して同じ学校の先生方が話し合うという機会がすごく少ないという指摘を私は受けているわけです。ですから、通常の職員会議じゃない、先生方同士の、本当に何といいますか、涙をこぼしながらの討論あるいは話し合いということ、そしてその上で学校全体としての協力体制、コンセンサスを形成するという、そういう職場づくりということをぜひ心がけていただきたいということが一つあります。  それから、子供たちのその背景にはストレスがある。その・ストレスはどこから来ているかといいますと、深く考えますとやはり競争社会、それから受験競争、それから校則、いわゆる管理ということからくるストレスというのが非常に大きいという指摘もあります。さらに、そういったものが、じゃ背景に何があるかというと進学競争、いつかもここで触れたのですが、いわゆる学歴社会というものにつながっていく。こういう深いつながりというものを教師あるいは我々教育に携わる者が話し合う、そういう機会が欲しいと思うのです。  これは委員長にお願いですけれども、去年の今ごろでしたか、この委員会でいわゆるフリートーキングをしたことがある、正規の委員会じゃなくて自由に話し合って一つのテーマについて出し合った、これをぜひこれからも機会を見て設定していただきたいということをお願いしたいのですが、このことについて一言お願いします。

伊吹文明自由民主党

○伊吹委員長 委員長から申し上げます。  今回議題になっておりますことを含めまして、教育の問題は、行政と国会という立場で議論をすることも大切でありますが、同時に我々一人一人が政治家としての立場で日本の将来を考えながら意見交換をし、また議論をしていくべきものは多いと思います。  したがって、今の御提案については、各党理事と御相談の上、御要望も踏まえながら委員長として理事会の決定に従って措置させていただきたいと思います。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲民主連合

○沢藤委員 次に、学校教育と生涯学習との関係ということについても、やはり無関係ではないだろうと思うのです。  それは、いろんなこういった事例を見ますと、教師は学校へ出てこいという立場をとる、これはまあ当然だろうとは思うのですけれども。それから、親の方はとにかくよく事情がわからないままに、シグナルを正確に受け取らないままに学校に送り出す、学校に行けと言っている。そして子供たちは学校に行ってはいじめに遭う、あるいは教師がなかなか相談相手になってくれないうちでは学校へ行けと言われる。学校と家庭の間をピンポン玉のように行ったり来たり心がさまよって、結局は行きどころがなくなるというケースが多いわけですね。  私は、学校教育を否定するとか軽んずるという意味じゃなくて、生涯学習を我々が法律で論議したときには、これは政府委員の答弁を引用させていただくのですけれども、学歴社会の是正あるいは学校教育の自己完結性、価値観からいっても学校教育がもう非常に肥大化している、そういったものから脱するためにも、若いときに「どこの学校を出たかということで評価されるようなそういう社会ではなくて、その後、学校を出てからもいつでもまた学校に戻ることができ、そして、そこで修得した学習成果については社会がそれを評価する、そういう社会に直していくことによって学歴社会を是正しよう、そういうのが、我が国における生涯学習社会への要請」であるというふうに答えておられます。  私はこれは大変そのとおりだと思うのですね。したがって、これはお答えにくいと思うのですけれども、本当に親御さんが危険を感じたならば、いわゆる生涯学習ということに視点を移すならば、もう無理やり学校に送り出していくということだけではなくて、そういった長期的な教育観というものもあわせて持ってもいいのではないかという気がするのですが、このことについて一言。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 今御指摘の点につきましては、不登校と申しますか、登校拒否対策を議論する中で、もちろん学校に行くということが前提にあるわけですけれども、どうしてもその専門的な指導が必要である、それで本人がどうしても学校に行けないというような場合に、学校外の専門的な機関等における適切な相談、指導を受けるということもあるのではないかということで、現実に今適応指導教室とかそういうものも用意をされておるわけでございます。  我が国の義務教育ということを考えますと、最終的には学校教育を受けていただくということが前提になるわけでございますけれども、やはりそういういろいろな事情の中で、学校外の施設で教育を受けなければならないというようなことも私どもとしては想定をしておりまして、一定の要件のもとではございますけれども、そういう子供につきまして出席扱いにするというような措置も講じておるわけでございます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲民主連合

○沢藤委員 そのケースごとによる対応ということは考えてもいいだろうと思っておりますので、そういう趣旨に承っておきたいと思います。  残り時間が若干しかなくなりましたので、私の体験を一つ、二つ申し上げて、これからの討議の素材にしていただければと思うのですが、非常に何といいますか、心を開いてくれない生徒と一緒に小旅行に行って、牧場に寝転んで、大地に同じ姿勢で横たわって、先生、見合い結婚か恋愛結婚かというようなことから始まりまして、ぽつぽつと自分の家庭のことを話してくれる。そういうふうに学校の授業時間では得られない機会というものが、機会をつくればあるのですよ。あるいは学校行事、文化祭、今まで見えなかった子供の才能が見えてくる、それをみんなが褒める、すごく意欲を持つというふうなことですね。そういった人間的な体験、それに対する周囲の対応、反応というものが、その子供を立ち直らせる大きな要因になるということを私は体験をしているのです。  そういった意味では、繰り返すようですけれども、先生方も苦しい、もっともっと子供たちの心の中に入っていきたいというのは、教師であればだれでもそう思っているはずですから、そういう条件を、環境をつくってほしいということを特にお願いをしておきたいと思います。  きのう実はある新聞の、今は続き物になっている「かごめかごめ」云々という連載記事がありますが、あれの取材記者の報告会というのがございまして、私、行って聞いてまいりました。政務次官も出席しておられまして、文部省あるいは政務次官としての考え、意欲というふうなものを示された。私は、ああいう場に出ていかれて率直に発言するということは大変いいことだと思うのです。国民の側からすれば、非常に雲の上のように見える文部省という、その要路にあられる方の声をじかに聞くということは大変いい機会だったなと思うのです、内容についてはここでは触れませんけれども。  そういった意味で、この前もこの委員会で、大臣にもあるいは総理にもということでお願いしたのですが、子供らに、そしてあすにもみずから命を絶つかもしれないそういうところまで追い詰められている子供あるいはその周辺の親に対して、我々は、あるいは文教委員会は、あるいは文部省は、こうこうこういう姿勢でもって一生懸命やると、その姿勢がわかるように国民の方にもあるいは教育関係者にも伝える、こちらから信号を送る、そしてそれを受けとめてもらって、自信を持って先生方には教育に当たってもらうし、子供たちには、ああ大人も一生懸命やってくれているのだなという一つの信頼感を呼び戻す、そういうことについて、方法とか形式は申しませんけれども、政府なり文部省の心が伝わるようなことを今後ひとつぜひお考え願いたいということをお願いをしておきたいと思うわけであります。一言お願いして終わりたいと思います。

与謝野馨自由民主党文部大臣

○与謝野国務大臣 あすのいじめに関する緊急会議は、ただ会議をするということではなくて、その場で何らかの御提言をおまとめいただけないかということを専門家の方々にお願いをするつもりでございます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲民主連合

○沢藤委員 終わります。

伊吹文明自由民主党

○伊吹委員長 これにて沢藤礼次郎君の質疑は終了いたしました。  次に、中島章夫君。

中島章夫新党さきがけ

○中島(章)委員 私も、新党さきがけを代表いたしまして、このたびの大河内清輝君の痛ましい事件、このことに、私みずからも長く教育行政に携わってきた人間として、深い反省も込めながら、深い哀悼の意をまず表する次第でございます。  この問題につきまして新聞報道がさまざま行われております。具体の原因追及や対応策というのは学校であり、教育委員会であり、あるいは父母であり、地域の方々でありという方々に御検討をさらにお願いをいたすといたしまして、先ほど小野委員も言われましたように、二度とこういうことが繰り返されてはならないという立場から、教育の制度、内容、方法の一番基本、特に難しい中学生という年齢の教育の一番重要なポイントにつきまして、二、三御意見を申し上げ、また質疑をさせていただきたいと思います。  まず第一点に、私は、中学生の発達段階の特性とその教育のあり方ということについて申し上げたいと存じます。このことは、教育関係者に教育の目標から、原点から考えてほしいという願いと、文部省あるいは教育委員会等もそのための支援体制をつくってほしいという願いを込めてでございます。  ここにお集まりの委員の方々その他も中学生の子供をお持ちの方もいらっしゃると思います。その入学式と卒業式に立ち会われた方はお感じになったかと思いますが、あのまだ子供っぽい、そして非常にまだ純粋で頼りない、心もとないという中学一年生が、わずか三年の間に、卒業式に出てみますと、もう背は自分たちよりもはるかに大きい、大変大きな変化を遂げているのに驚かされるものでございます。大半の中学校では先生方がこの三年間の難しい教育を大変一生懸命やっていただいていると私は思っておりますけれども、この発達の急速な変化ということが中学校の最大の問題でございます。発達が急速でありますだけに、それだけ不安、動揺が大きいわけでございますし、いわゆる能力差、個性差というものも顕在化してくる時代でございます。中学校の中心はやはり教科の教育であると考えますけれども、清輝君のように自分の生き方そのものに不安や悩みを持っている子供にとっては、教科以前の重要な問題があるわけでございます。  文部省の調査におきましても、いわゆるいじめというのは小学校の学年が進行するに従って数がふえてきて、中学校の一年生でピークに達するという結果が出ております。実はこのことに関して私は一つ申し上げたいことがございます。  昭和四十六年にいわゆる四六答申という答申が中教審から出てまいりました。このときには、幼児、児童、生徒の発達ということを押さえて、発達課題から教育課題をきちんととらまえて、教育の本質から見直してみるべきだという、そういうことを前提にしまして、皆さんも覚えていらっしゃるかもしれませんが、先導的試行という提案をしたものでございます。幼稚園と小学校は非常に発達段階が似ている、あるいは中、高が内面的な成熟を果たす時期に、中、高に分かれているということが教育上非常にマイナスになる、あるいは小学校から中学校にかけて思春期発達というようなこともあって、この辺を別の観点からつかまえて、実験、研究をすべきだという提案でした。  このことに関連をいたしまして非常に重要な研究文書が出ております。「幼児・児童・生徒の心身発達について」、これは例のピアジェその他の理論、古今東西の理論、それに基づきました調査研究及び実験を加えまして、発達段階のどこにどういう節目があって、教育上どういう配慮をしなければならないかということを書いたものでございます。実はこの中で幾つか御紹介をしてみたいことがございます。十一歳、十二歳、十三歳、中学校あるいは中学校の前の年代が非常に困難な時代であるということを申し上げたいのであります。  例えば、子供が、ピアジェでいいますと、具体的操作、具体的なものでないと判断できないということから、大人の思考、形式的操作に移るのが大体十一、二歳ころだと言われております。それから、自我意識の発達、情緒的な不安あるいは青年的な反応が起こるのも十二、三歳。思春期発達は最近早いのでありますが、性や異性、大人の世界への興味というのは男で十一歳、女性で十歳。それから、成績の差異や興味の、関心の分化、したがって、個性差、能力差が出てくるというのも十三、四歳の時代であります。親子関係をとってみましても、いわゆる情緒的な一体感から人格的独立志向が行われるのが大体中学校一年ごろ。対教師の関係も変わってまいりまして、批判的、独立的、閉鎖的な態度が強まってまいりますし、その背後にやはり悩みの相談、私淑、思慕といった新たな人間関係が生まれてくる時代でございます。  こういうことを見てみますと、今の中学校教育が教科に非常に大きなウエートがかかり過ぎていて、もっと大事な、人間を総合的に見る、あるいは個性差を見るということが非常に弱くなっているという面がございます。よく塾の教師と学校の教師とが比較されます。塾の教師というのはある教科を見ておけばいい、学校の先生は大変なんだと。八教科、そして道徳、特活と、あらゆる部面を見ていかなければいけない。つまり、全人的な教育を担当しているんだということでございますが、これは今日の中学校教育を見ておりますと、その部分が塾の教師と余り差がなくなっているという感じが実はいたすのであります。  もう一点、小学校では御承知のとおり、学級担任でございます。どんな暴れ者の子供でも、あるいは教科になかなかついてこれないという子供でも、先生はどこか光るところを見ております。そして、君、ここ、頑張れよという、そういう注意がございます。ところが、中学は御承知のとおり、教科担任でございます。ホームルーム担任はございますけれども、多くは教科担任。そうしますと、教科についていけない子供、これははじかれてしまいます。この悩みの多い時代に、どこかで光るものを見つけて自信をつけさせてやるということが極めて大事でございます。  教科で取り残される子供、体力で自信がない子供、これは逆上がりを幾らやってもなかなか人並みにできない子供もおります。そして、この清輝君のように性格が非常に弱い、優しいという子供がいます。しかし、多くの世の指導者は大抵もとは弱い人間でありまして、そういう人ほどそれを乗り越えて、人の信頼を受けて人格的に大きく育ってくるものでございます。私は、この清輝君の例を見て、本当に損失であるという気がしてならないのでございます。また、家庭の人間関係というものも非常に難しい子供もいます。そういうふうにいたしますと、教科よりも大切なケアをまずやるという体制が何よりも必要でございます。  そこで、質問をさせていただきたいのであります。今たしか児童生徒の問題行動に関する調査研究協力者会議、千葉大学の名誉教授の坂本先生を中心にした会議が始まっていると思いますが、これは簡単にお願いをしたいのですが、そこで、どのような審議状況で、いつごろまでにどういう内容を検討して御報告されるのか、質問をさせていただきます。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 御指摘の児童生徒の問題行動に関する調査研究協力者会議、これは八月三十一日に発足をしたわけでございます。学識経験者あるいは学校、教育委員会等の関係者によって構成をしておるわけでございます。この協力者会議におきましては、現在実態調査の準備を重ねておるわけでございまして、内容といたしましては、小中高等学校の児童生徒約一万一千人、それとその保護者、そして教師約六百人を対象といたしましたアンケート調査を実施をしたい。現在その調査の内容を固めているところでございまして、この十二月から来年の五月ごろにかけてその調査を実施をし、集計し、分析をしたいと思っております。  それから、いじめ等に関する事例研究なども実施をいたしまして、そういう調査研究と同時に、先ほど大臣の答弁にございましたいじめ対策緊急会議、これも同じメンバーで実施をしておりますので、そういう検討の結果を踏まえながら、総合的な検討を進めていきたいと思っております。  これからの調査の実施状況にもよるわけでございますけれども、来年の夏ごろまでには所要の対策等を取りまとめていきたい、このように考えております。

中島章夫新党さきがけ

○中島(章)委員 今の協力者会議、実はこの坂本先生というのは、発達心理では第一人者の方でもいらっしゃいます。先ほど私が申しました「幼児・児童・生徒の心身発達について」というのは、極めて大事な内容を含んでおります。しかも今は、教育の問題が、教育の質の問題、つまりカリキュラムや目標や指導方法やというところに中心が移ってきております。そういう意味では私は、中学校の先生方、あらゆる先生方に、ぜひこういう発達課題及び教育課題の本来から物を考えてもらうということをぜひお勧めしたいと思いますので、できれば、これは注文でございますが、その協力者会議にぜひこの資料を活用していただいて、新たなものをつくっていただいても結構ですが、これは昔は教育制度の改革にかかわったものですから文部省は余り出したがらなかったのでありますが、もうそういう時代ではありませんで、ぜひ活用していただくことをお願いをしておきます。  実は、小学校というのは各教科の基礎を共通に学習をする、極めて大事なことでございます。そういう意味で、画一性というのは私は大事なことだと思っておりますが、中学校ぐらいになりますと、こういう清輝君のような場合、あるいは極端ないじめに走る、あるいは非行に走る子供は、大抵教科のどこかにつまずきがございます。そういうことのために、教科のバランスを崩してでも、まず一人一人に異なった指導をするという体制が大事だと思っております。  そこで、文部省で児童生徒といいますと、すぐ問題行動対策というのにイコールになるところがございます。私は、もっと前向きに、子供をどのように光る部分を自信をつけて育ててやるかということの方がはるかに大事だと考えております。  そこで、今、たしか今年度から第六次の公立義務教育諸学校の教職員配置改善計画、六カ年計画が進んでいるはずでございます。この中で、チームティーチングを大いに活用するということが中心になっているはずでございます。そのことについて、こういう個別指導、そういうものにどのように活用されているか、簡単にお教えをいただきたい。

井上孝美文部省教育助成局長

○井上政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘の第六次の公立義務教育諸学校の教職員配置改善計画におきましては、臨教審答申における個性重視の原則を踏まえまして、平成四年度に小学校から順次実施しております新しい学習指導要領における基礎、基本の重視と個性を生かす教育の充実をその基本的なねらいとし、また、教育指導方法につきましても、個に応じた多様な教育を展開するという観点から、今回の定数改善計画におきましては、先生御指摘のチームティーチング等、児童生徒一人一人の個性を生かすきめ細かな教育を実施するための教職員配置を推進しているところでございます。  そこで、チームティーチングとは、児童生徒一人一人の個に応じた教育を展開するために、従来の一斉指導に加えまして、習熟の程度や興味、関心等に応じて、個別指導、グループ指導、少人数指導を行うため、複数の教員が協力して指導計画、学習指導案作成、教材・教具の収集、開発、評価活動等を行いながら、それぞれの専門性を生かして、協力して授業を行う指導形態でございます。  現在行われておりますチームティーチングの具体例といたしましては、小学校では算数や理科など、中学校では数学や外国語などの教科につきまして、二人の教員が同一学級内で協力して指導を行う方法や、学級の枠を超えて学習集団を編制し、複数の教員が協力して指導を行う方法に大別されております。  学級の枠を超えて学習集団を編制する具体的な事例といたしましては、例えば、二人の教員がそれぞれの学級で一斉授業を行い、指導の途中段階で練習問題等によって生徒の習熟程度を評価し、その評価結果に基づいて二学級の生徒を、学習内容を繰り返し行うグループ、基礎的な学習を行うグループ、発展的な学習を行うグループの三つのグループに編制して、この三つの学習集団を三人の教員が互いに連携し、場面に応じて役割を分担するなど、協力的な指導を行うという方法でありまして、このような個に応じたきめ細かい指導を通じて学習内容の確実な定着が図られているところであります。

中島章夫新党さきがけ

○中島(章)委員 今日の教育の中心課題は個性化、多様化でございます。今の御説明のあったこの計画は、ぜひ着実に進めていただきたいと思います。  時間が残り少なくなりましたので、道徳教育について簡単に申し上げ、結論に入ります。  実は中学校の道徳教育は、特に昨年から新しい指導要領に入りましたけれども、人間としての生き方、あり方ということが極めて重視されております。そして、その道徳教育の目標にはこういうふうに書いてあります。「道徳的心情を豊かにし、道徳的判断力を高め、道徳的実践意欲と態度の向上を図ることを通してこ「道徳的実践力を育成する」、つまり、この実践の意欲と態度、それから道徳的実践力の育成ということが中心課題であります。中学校で座学をやりましても、どうしても白けてくる。ほかの教科、社会科その他で、あるいは特別活動等でさまざまな体験をいたします。そういう教科間の連携ということが大事でございますし、何よりもボランティア活動、今これは重視されておりますが、あるいは体験をする、そういう中から、みずから試してみて体験をするということが極めて大事でございます。  これは、もう時間がございませんのでそのことだけにとどめておきまして、やはり何人かの先生もおっしゃいましたように、これは学校だけでできる話ではない、家庭、地域との連携が極めて大事でございますが、私は、教育関係団体というものが、これはいつか質問の機会をつくりたいと思っておりますが、十分機能しできていない、これは大問題であります。特に日本PTA、日P、この場合。あるいは日教組も随分変わってきております。文部省も日教組と対峙する顔をつくっておくのではなくて、これからは教育の質の時代でございますから、日教組と協力、日教組も変わらなければいかぬと思いますが、変わっているようであります。そういう連携を強めていく必要があります。  今、日Pは生涯学習局が担当しております。高Pもそうです。これは、こういう問題が起こりますと、やはり教育と結びつけて、初等中等教育あるいは教育委員会が連携をとる必要がどうしてもございます。すぐに移せよとは言いませんが、この連携をぜひ密にする方策を考えていただきたいと思います。  最後に、私は、学校五日制時代というのがやがてやってくると思います。大臣も決断をされまして、来年からは月二回の学校五日制に、土曜日が休みになってまいります。私は、早晩学校五日制がやってくると思います。昨年の十一月十九日に本委員会におきまして、私は、そういう態勢を今から組むべきだ、小学校から英語を始めては、あるいは社会科の構造をどういうふうに変えるか、根本的な問題があります。各教科の代表を集めて審議するような今までの教育課程審議会の審議では間に合わないということを申し上げました。そういうことから、私は、文部省が今回出しておられるカリキュラムの構成等に関する調査研究、これは極めて大事だと思っております。ぜひ今から次の二十一世紀のためのゆとりのある教育の準備を始めていただきたいと思います。  最後に質問をさせていただきますが、生涯教育が、学校五日制になりますと、土曜日等は特にそうでありますが、親子が触れ合う、あるいは地域の中で子供が今までの教育になかった伸び伸びとした個性を発揮していくというのは極めて大事であります。ごく簡単にその生涯教育、学校五日制と生涯教育のプログラムについて最後に御質問をさせていただきますが、私が特に申し上げたいのは、一国の教育の平均水準を上げるのは国家として大事でございますが、重い人生を背負った一人の青年にとりましては、やはり生きるための悩みを解決するということが極めて大事でございます。すべての先生がカウンセリングマインドを持って対処する、学校五日制時代になれば、そういう先生方がボランティアとしてそういう場に出てきていただく必要があると思うのでありますけれども、この点について御答弁をいただいて、私の質問を終わらせていただきます。

泊龍雄文部省生涯学習局長

○泊政府委員 お答え申し上げます。  昨今、いわば生涯学習ということでの学習意欲といいますか、ニーズが高まってまいっております。これは先生御指摘のとおりでございます。そしてまた学校五日制といったようなこと、余暇の時間がふえてくるというような時代背景がございます。そういった中で、教職員を初めいろいろな方がボランティア活動というようなことを通して地域社会に貢献をする、いわば新しい生きがいと社会参加というような形で取り組んでいけるような対応というものは、基本的にボランティア活動ということで関係者の自主的な意欲、活動にまつところが多うございますけれども、行政として可能なことについてはさまざまな形での支援というものについて考えてまいりたいというふうに思っております。

伊吹文明自由民主党

○伊吹委員長 これにて中島章夫君の質疑は終了いたしました。  次に、青山二三君。

青山二三改革

○青山(二)委員 改革の青山二三でございます。  本日は、初めて文教委員会におきまして質問に立たせていただくことになりました。私もいじめ根絶に向けてともどもに取り組んでいきたいという気持ちできょうは質問させていただきますので、どうかよろしくお願いをいたします。  今回の愛知県西尾市の中学生の少年がいじめを苦にして自殺したという事件は、本当に大きな社会問題になっております。その後、自宅の机の中から出てきた遺書によりましてその内容が明らかとなったことから、教育界にも大きな衝撃が走っております。  万単位のお金をおどし取られたり、川に突き落とされたり、そういういじめを受けていたことがはっきりいたしました。遺書の中にはもっと早く死になかったが、家族が優しいから死ねなかったという言葉から、いじめを受けていながらも耐えてはいましたけれども、耐え切れずに死に追い込まれた一人の少年の悔しさとか無念さがにじみ出ておりまして、子供を持つ母親として、これはもう人ごとではなく、何とも怒りと悲しみが込み上げてまいります。この悲惨ないじめの問題について、先ほどの質問で大臣は大変心を痛めていると御答弁なさいましたけれども、もし大臣がこの少年のお父さんならば、どのような思いでどのような行動をおとりになるのか、まずその辺からお聞きしたいと思います。

与謝野馨自由民主党文部大臣

○与謝野国務大臣 あの遺書は、大変事実を平明に書いてある遺書であるだけに、大変真に迫った文章でありまして、多分あの遺書に書いてありますことはほとんど本当のことだろう、私は読んで率直にそういうふうに実は思ったわけでございます。  子を亡くした親のお気持ちというのは大変つらいと思います。しかし、現在のところまで大変冷静にこの問題に対処されておられました。そういう意味では、感情を抑えて冷静に行動されているということを私は非常に高く評価しているわけでございます。  ただ、私どもがやはり考えなければならないのは、過去にいろいろな自殺がございましたけれども、あれまで詳細にいろいろないきさつがわかるというようなケースはなかなかなかったわけでございまして、こういうことを教訓とするということが私どもに残された責任であり、学校現場も教育委員会もまた文部省においても、今後この問題に対しては真剣な対応が求められているものと考えております。

青山二三改革

○青山(二)委員 この事件の発生後、文部省としてはどのような対応をされたのか、そして学校側からはどのような報告を受けられたのか、お尋ねをいたします。

与謝野馨自由民主党文部大臣

○与謝野国務大臣 この件は学校当局も関係者からお話を聞いておられる段階でございますし、新聞報道によれば、警察当局も恐喝等の刑事事件ではないかという観点から関係者の話を聞いていると伺っております。  文部省に参ります報告は、市教育委員会を通じ、県教育委員会、そして文部省と来ております報告書でございまして、現段階では先生方がお読みになる新聞報道と同等のものでございます。

青山二三改革

○青山(二)委員 学校側からの教育委員会への問題行動調査書の報告には、首つり自殺と書かないで、少年は突然死したというふうに報告した、このようなことをけさマスコミを通じて知ったわけでございますが、もしこの遺書が出てこなければこの事件は葬り去られたように思われます。文部省は徹底的に今回の事件をよくお聞き取りいただいて、二度とこのようなことが起こらないようにということを強く要望したいと思います。  また、マスコミによりますと、その子供がいじめられている件については御両親が先生に相談をしている、しかし対応はされなかった。また、子供が顔にあざをつくっていたけれども、先生は気にもとめていなかった。また、先生はいじめから抜け出せないおまえも悪いと言ったと報じておりますけれども、もしこれが本当ならば余りにも学校の対応がいいかげんであると言わざるを得ないと思うわけでございますが、この事実関係についてお伺いをしたいと思います。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 今、具体的な事実関係につきましては、大臣からお答えがございましたように、県教委を通じまして聴取をしているところでございますので、今御指摘の点、私ども必ずしも十分把握をしていないわけでございますけれども、一点、その学校長の発言として、事件後でございますが、今思えば幾つかのいじめの兆候が出ていました、しかしそれに気づかなかったことが悔やまれてなりませんということを市教委に報告をしているということは私どもも承知をしているところでございます。

青山二三改革

○青山(二)委員 先ほどの御答弁の中にもありましたけれども、文部省はあすいじめに対する緊急専門家会議を開くと決めたということでございますが、このいじめ自殺事件で専門家会議を開いだというのは、ちょうど八年前の、あの葬式ごっこで先生までがそのいじめにかかわっていたというあの東京・中野富士見中学校の自殺事件のときであったということで、昭和六十一年二月以来ちょうど八年ぶりということでございますが、お聞きしたいのは、この専門家会議のメンバー、会議の内容、会議を受けて後の対応、そして今日まで八年間開催しなかった理由などについてお伺いしたいと思います。

与謝野馨自由民主党文部大臣

○与謝野国務大臣 詳細は政府委員から答弁をいたさせますが、いじめに関しては常に文部省はこういう専門家の方にお集まりをいただいて、いじめの実態あるいは対応策というものをずっと研究してまいりました。  実は、この会議も本来ですと十五日に定例日が来る予定でございまして、そのときに会議を開いてそういう研究を継続する予定でございましたが、今回は、こういう異例なことも起きましたので約一週間ほど時間を繰り上げてこういう会議を開いていただき、そして具体的にいろいろなお話をしていただく、こういうことに相なったわけでございます。  メンバー等が御必要であれば、政府委員より発言をいたさせます。

伊吹文明自由民主党

○伊吹委員長 それでは、野崎初等中等教育局長、今の大臣の答弁で質問者からありましたことについて補足してください。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 では、補足して答弁させていただきます。  メンバーは、千葉大学名誉教授で現在聖徳大学教授の坂本昇一先生が主査でございまして、合計十九名で構成をされております。  前回以来八年ぶりということでございますけれども、前回のは、今御指摘ございました中野区立富士見中学校におきます生徒の自殺を契機に、児童生徒の問題行動に関する検討会議を開きまして協議をしたわけでございます。  その前にも、先ほどお答えいたしました、六十年にも「いじめの問題の解決のためのアピール」とか、いろいろな提言をいただいておりまして、そういうものを受けてずっと指導を行ってきたわけでございますので、その間対策を講じなかったということではないわけでございます。しかし、やはり近年のこういう状況の中で八月にこの協力者会議を発足して、実態調査などにも取りかかろうとしておった、こういうやさきであったわけでございます。

青山二三改革

○青山(二)委員 文部省としていろいろ対策をお立てになっていろいろとやっていただいているということはわかるわけでございますけれども、もうことしになって既に七名の中学生や高校生がいじめのためにとうとい命を絶っております。そのほかに未遂も二人いるようでございます。大臣はこの実態をどのようにごらんになっておられますか。

与謝野馨自由民主党文部大臣

○与謝野国務大臣 一つは、対症療法的な物の考え方がございます。学校現場において相談に乗って教育的な見地から問題を解決していく、こういうことも一つございます。  一方、根治的な考え方としては、やはり子を産んだ親がやはり幼児のころから、しつけと申しますか一般的な常識と申しますか、極めて普通の倫理感とかそういうものを子供に教える。この教えるということは、やはり親が持っている一つの物の考え方を子供に伝承していくということだろうと私は思っております。そういうやはり家庭におきます教育の重要性というのを私は改めて再認識をするわけでございまして、そういう意味では、将来に向かって子供を育てる親の重大な責任ということを自覚はされておられると思いますが、やはり親となる人間はそれだけ重大な責任を負っているということをぜひわかっていただきたいと思うわけでございます。  それと、繰り返しになりますが、やはりいじめ等の事件は中学一年、二年というところに集中的に発生をして、その後は発生の件数が少しずつ減っていくというカーブを描いております。十三歳の子供に、していいこと、悪いことということの弁別能力があるかどうかというところはやや論争のあるところでございますが、やはり子供の人権は尊重する、子供の人格は尊重しなければならないという裏側には、やはり子供にもある種の責任というものが発生するということは、私は当然のことであると思います。そういう意味では私は、十三歳であっても、行ったことが刑法に照らして構成要件該当のケースにおいてはやはりある種の法的な処断というものも免れないものだと思っております。  ただし、教育というのは直ちに法律を発動するというものではありません。やはり教育的指導を重ねていくというところに教育というものの妙味があるわけでございまして、直ちに法的な手段というものに訴えるということは、まさに教育者がみずから教育を否定することにもなりかねないと私は思いますけれども、しかしながら、いじめ等の非行を行う少年たちにはやはり法という社会的制裁も待っているということもよくわかっていただかないといけないのだろう、私はそういうふうに思っております。

青山二三改革

○青山(二)委員 ただいまの大臣の御答弁の中で、いじめの発生件数は減ってきていると申されましたけれども、確かに、これを見ますと昭和六十年度には十五万五千六十六件、昭和六十一年度に三分の一の五万二千六百十件、昭和六十二年度には三万五千六十七件、平成四年度には二万三千二百五十八件と、確かに数の上では相当減ってきておりますけれども、しかしいろいろな事件を見てみますと、被害者が自殺してから実態が明らかになる、表面化するという、そういう事例もたくさんございます。ですから、いじめの件数が減ったからといって決して安心はできない問題だと思います。むしろいじめの根はより深く、より陰湿に、より悪質化していると思われるわけでございますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。

与謝野馨自由民主党文部大臣

○与謝野国務大臣 私が申し上げましたのは、毎年発生するいじめの件数の問題ではなくて、小学校一年生から小学校六年生まで、中学一年生から三年生、高校一年生から高校三年生という学年別で、どの学年で最もいじめが発生しやすいか、発生しているかということを申し上げますと、やはり中学に入学した途端にいじめの件数が非常にふえまして、中一、中二、中三というところでピークを迎えまして、高校に入るといじめの発生件数というのは減少傾向をたどるということですから、特に中学の段階でのいじめの発生の原因、こういうことを究明し、またこれを防止するということが大事なことだろうということを先生に申し上げたかったわけでございます。

青山二三改革

○青山(二)委員 それでは、子供の人権についてちょっと法務局の方にお伺いをしたいと思います。  教師による体罰、また親による子供の虐待など、子供の人権問題が数多く生じております。法務省は、本年五月二十二日に批准、発効した国連の児童の権利に関する条約に関連して、子どもの人権専門委員、これは子ども人権オンブズマンと言われておりますけれども、この制度を先ごろ発足させたと聞いておりますけれども、その概略、そして専門委員の具体的な役割を御説明いただきたいと思います。

渡邉一弘法務省人権擁護局総務課長

○渡邉説明員 お答えいたします。  法務省におきましては、法務大臣から委嘱を受けて地域に密着しました人権擁護活動に従事しております人権擁護委員の中から、子供の人権を専門的に取り扱う子どもの人権専門委員を指名したところでございます。他の人権擁護委員の協力を得るとともに、法務局及び関係機関との連絡協調を図りつつ、子供の人権問題の全般に取り組むことにしております。  具体的な活動内容といたしましては、子どもの人権相談所、子どもの人権一一〇番を開設しまして子供からの人権相談に応じ、また学校や子供会との連携による座談会や講演会などを開催したり、子供の人権意識について調査を実施するなどして子供の人権問題の情報の収集に努めますとともに、子供の人権が侵害されているおそれがある場合には、法務局と連携しまして調査を行い、適切な措置をとることとしております。また、専門委員として行った活動を通じて得られました情報につきましては、「子どもの意見集」「子どもの人権専門委員だより」などに取りまとめをして学校等の関係機関及び地域住民に配布するなどいたしまして、地域の実情に応じた活動を進めてまいりたいと考えております。

青山二三改革

○青山(二)委員 今回のこのいじめの問題は、本当にいじめの域を出ているということで心が痛むわけでございますけれども、法務省としていじめと人権についてどのようにお考えになっているのか、その基本的なところをお聞かせいただきたいと思います。

渡邉一弘法務省人権擁護局総務課長

○渡邉説明員 お答えいたします。  いじめは、主として教育の現場において起こるものでございますから、児童生徒に対する教育の問題であると言えますけれども、同時に、心身ともに健全に育成されるべき児童生徒の人格や名誉あるいは身体等を傷つけるものでございますので、その児童の人権を侵害する行為であると考えております。  また、いじめは、それを放置しておきますと新たな差別の芽となる危険をはらんでおりますし、また不登校の一因にもなりますので、人権擁護上放置できない問題であるというふうに考えておるところでございます。

青山二三改革

○青山(二)委員 それでは、実際にいじめがあった場合、学校と教育委員会という連携がありますけれども、具体的にこの専門委員制度はどのように機能していくのか、そのあたりのかかわり方をお尋ねしたいと思います。

渡邉一弘法務省人権擁護局総務課長

○渡邉説明員 人権擁護機関といたしましては、従来から具体的ないじめの事件について情報を得ましたときには、まず学校に連絡をいたしまして人権擁護の観点に立った的確な対応を要請してまいりました。そして、学校と協力してその解決に努めてきたところでございます。  しかし、学校のいじめに対する取り組みが必ずしも十分でないと認められました場合や、自殺、傷害など重大な結果がいじめに起因するのではないかと疑われる場合などには、人権侵犯事件として事実関係の調査を行い、その結果に基づいて学校や教育委員会に対しまして適切な対応を求めるなどの措置をとることにいたしております。  このような活動の過程におきまして、子どもの人権専門委員には、地域や家庭に密着して子供に関する情報の把握に努めていただきますとともに、法務局や教育関係機関と連携をとりつつ情報の収集や調査にも積極的に関与していただくことにしております。

青山二三改革

○青山(二)委員 今回の問題もそうですけれども、いろいろな声がなかなか上まで届きにくいということがございます。私が少し取材したところによりますと、その半数程度がいじめられた経験を持っている。しかし、いじめられていることを見聞きしても先生にはほとんどの子供が報告しないということなのであります。また、そのいじめている子も先生の前ではそのような振る舞いをしないということがわかっております。  このように考えてみますと、この問題は相当に解決は難しいと思えるわけでございますが、私が、こうしたわずかばかりの調査でございますが、このような調査で得た子供たちのいじめに対する対応について、文部省そして法務省とそれぞれ両方の立場からお考えを伺いたいと思います。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 先生御指摘ございましたように、先生にも報告しないということで隠れたものがある、あるいは表面にあらわれない事例も相当あるのではないかというふうに私どもも思うわけでございます。  これは、とにかく今回の事例でもそうでございますけれども、本人が何らかの形でそういうことを打ち明けていただければと思うし、またそういう兆候ということに早く気がつく者がいればということで、大変私ども悔やまれるわけでございますけれども、いずれにしましても、学校にいる時間が長いわけでございますから、学校の中で子供たちがいつでも相談できるようなそういう雰囲気をつくっていくことが大事だと思うわけでございます。基本的には、校長とか担当教員そしてまた養護教諭とか、そういう教師の先生方ということが中心になろうかと思いますけれども、あるいは外部のカウンセラーということを積極的に導入していくというようなことも考えていいのではないかと思っております。  現在、平成七年度の予算要求といたしまして、スクールカウンセラーを活用することについての実践的な調査研究を行いたいということで所要の経費を要求しているところでございますので、そういう面につきましても十分これから配慮をしていく必要があろう、このように思っております。

渡邉一弘法務省人権擁護局総務課長

○渡邉説明員 委員御指摘のように、いじめの解決のためには、その前提といたしまして、いじめについての情報の迅速的確な把握が重要であると考えております。  まず、法務省といたしましては、そのためには、子どもの人権専門委員制度の存在について子供、保護者等の関係者に周知していただくとともに、子供の人権問題に関する適切な活動の積み重ねを通じて、子供たちが進んで相談できるような、信頼される相談体制の充実に努めてまいりたいと考えております。  また、法務省といたしましては、いじめの問題については、従来からその解決に向けて、人権問題であるとの考えから積極的に取り組んできたところでございますけれども、いじめがまた再び増加傾向にあることなどから、本年度は子供の人権を守ろうということを啓発の重点目標と定めて啓発活動を行っておりますとともに、先ほど申し上げましたように、本年の八月一日から子どもの人権専門委員制度を設けたところでございます。今後は子どもの人権専門委員と法務局の連携を密にしながら、地域社会や学校、その他関係機関とも協力しつつ、できる限り子供の人権についての情報を集めるよう努力いたしまして、いじめの実態を把握し、この問題の根絶に向け積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

青山二三改革

○青山(二)委員 事件が発覚いたしますと、学校側は知らなかったとか、またいじめが行われていたとは思わないなどと、またそれは寝耳に水であるというような反応を示していることが多いわけなんであります。また、時間がずっとたっていきますと、そのようなことはあったかもしれないとか、また担任は知っていたようだなどということで、一部これは責任逃れをするという言動がよく聞かれるところでございます。これはひとえにいじめという重大問題の扱いを教師個人の判断や対処に任せてきた結果にほかならないのではないか、このように思う次第でございます。校長先生あるいは教師の中には自分の任期中に表面化させたくない事なかれ主義という、そういう風潮があるようにも私は聞いております。  そこで、御提言申し上げたいのですけれども、いじめを未然に防止して、また小さな芽のうちに摘み取ってしまうために、まず一点目として、声なき声、報告されないようないじめを吸い上げる方法、二つ目は、たとえ小さな事柄でも必ず教育委員会や人権擁護機関などしかるべきところへ報告するという体制の確立、三つ目は、いじめ被害の救済のために迅速な決定を行う窓口の設置、こういうことを具体的に可能ならしめるように、そしてまた、それを守らない関係者には、ちょっときついですけれどもペナルティーを科す、このような措置も検討すべきではないかと私は考えておりますけれども、この点について御意見をお伺いいたします。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 三点にわたりましての具体的な御提言があったわけでございますが、私ども、基本は、いじめがあるということをどういう形で把握をするか、ここがまず基本かと思っておるわけでございます。それがございませんと、旧常的な学校運営活動ということを報告するということにはなかなかならないと思いますから、やはり実際に学校で、これは大変重大な事件の端緒なんだということをどうやって一人一人の先生が、そしてまた校長先生が把握をするか、そこが把握できれば、しかるべきところにそれを連絡するとか、そういうことも次の段階としてはあろうかと思います。  そういう意味では、やはり子供たちが自由に相談できるような、そういう雰囲気というものをつくる、そして先生方がやはりいじめがあるのじゃないかというようなことで危険信号というものを素早くキャッチする、そのあたりが、まず私どもとして各学校を指導していかなければならない大きな課題だというふうに考えております。

青山二三改革

○青山(二)委員 もう何点か提言させていただきたいと思いますが、ともかくこの事件をきっかけにしまして、まず一点目としては、学校ですね、全校挙げていじめの総点検を実施してはどうか。二つ目としては、教師自身がいじめの本質を深く知るために、またそれに対応するために、いじめ問題対応マニュアル、これは仮称ですけれども、こういうものをつくって、そして教師の研修会を実施してはどうか、このようなことを私自分なりに考えているわけでございますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 いじめ問題について、各学校がそういうことがあるのかないのかということを真剣に考えるようにという指導は今までも重ねておったわけでございますけれども、先生御指摘の総点検という御指摘は大変重要な視点だ、このように私どもも認識をしております。  なお、このいじめ問題につきましては、文部省といたしましては先徒指導資料として、「児童の友人関係をめぐる指導上の諸問題」という指導資料をつくっておりまして、その中でいろいろな問題行動が発生した場合の対応の仕方などについて記述がされておるわけでございます。そしてまた、生活指導に取り組むための学校運営上の点検項目というようなことを過去示して、各学校に具体的にこういうことについて点検をしてほしいというようなこともお願いをしておるわけでございまして、各学校におきましては、こういうことを参考にいたしまして真剣に取り組んでいただきたいと思いますし、私どももそういう点の指導をさらに徹底して行っていきたい、このように思っております。

青山二三改革

○青山(二)委員 今回の事件が起きた学校では、ほかにもまだいじめられている子がいるということで、僕も死のうと思ったと告白しておりますことが、過日の新聞に報道されておりました。この事件の五日後には、私、栃木県に住んでおりますけれども、栃木県の芳賀町というところでも、小学校五年生の子が首つり自殺をしております。ですから、いじめ問題の解決は本当に待ったなしの状況であります。  そこで、先生にも両親にも打ち明けることのできない子供たちのために、全国どこからでも無料でかけられるいじめ一一〇番を早急に設置すべきと考えておりますけれども、いかがでしょうか。

与謝野馨自由民主党文部大臣

○与謝野国務大臣 人間、子供のころから大人になるまでいろいろな悩みを持って生きていくわけでございますが、友人や教師の一言のアドバイスで救われるという場合は多々あるわけでございます。そういう意味では、子供がだれかに訴えたいというときに、もちろん教師、校長先生、養護の先生、また人権擁護局あるいは教育委員会の相談窓口等々いろいろございますけれども、率直にかつ迅速にそういう悩みを打ち明けられるという窓口を、新しくつくるかどうかは別にいたしまして、そういう相談ができる体制をさらに充実させていくということは、先生の御指摘のとおり大変重要なことだと思っております。

青山二三改革

○青山(二)委員 では、大臣よろしくお願いいたします。  私は、今回の事件を通じて思いますことは、豊かな人間教育と、それから生命尊厳の教育が今一番必要である、そのように思います。今まで、競争させることで能率的、また効率的な教育を実施してきたこの文部行政、学校教育の構造的なゆがみが今日このような悲劇となって噴き出していると私は思わざるを得ないわけでございます。人の命が地球より重いこと、またかけがえのないものであることを繰り返し繰り返し先生方は子供に教えていただきまして、このような事件が起こらないように心から願うわけでございます。  そこで、今問われておりますのが教育をする教師の問題であります。教師の資質の向上が一番ここで大切になってくるのではないかと思っております。教育の環境は教師自身である、このようにも言われておりますが、この教師の資質の向上に取り組む御決意について文部大臣の御所見、お考えをここでお述べいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。

与謝野馨自由民主党文部大臣

○与謝野国務大臣 教育とは一体何か、教育制度の問題なのか先生の問題なのかという例えば比較をいたしますと、やはり私は、制度の問題というよりは教師の資質の問題がほとんどすべてを決めてしまうのではないかと思っております。  そういう意味では、先生御指摘のように、教師の資質の向上ということには文部省も常に心を砕き努力をしていかなければならないことは当然でございますし、特にこのようないじめというような問題についても、やはり教師がその対応策や子供に対する触れ方あるいは問題の解決策、そういうことに関して常に研究、研修をし、資質を向上していくということが大変大事なことであろう。特に、微妙に揺れ動く児童の心理あるいは生徒の心理をしっかりと把握できるだけの訓練と知識を有する必要があるのではないかと思っております。

青山二三改革

○青山(二)委員 ちょうど持ち時間がこれで終わりました。大変ありがとうございました。

伊吹文明自由民主党

○伊吹委員長 これにて青山二三君の質疑は終了いたしました。  次に、松沢成文君。

松沢成文改革

○松沢委員 改革の松沢成文でございます。  これまでいじめの現場の実態についてはさまざまな先生から質問がありました。まず、一番基本的な問題でありますけれども、大臣にお伺いしますが、昨今のいじめの多発、それによる悲惨な事件が相次いでいますけれども、いじめがなぜここまで多発してしまうのかという問題の原因、さまざまな社会の病理現象が重なり合ってこういう状態になっていると思うのですが、この基本的な原因はどの辺にあると大臣はお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

与謝野馨自由民主党文部大臣

○与謝野国務大臣 私の子供のころも多分先生の子供のころも、多少いじめっ子がいたり、いじめられっ子がいたり、クラスの中で多少のけんかがあったりというのは日常的に実はあったわけでございます。しかし、ここまでエスカレートしたような状況というのは、私はその当時なかったように思うわけでございます。  これについてはいろいろな説がございまして、兄弟が少ないために家庭で兄弟間でそのような訓練がなされていないために、子供自体がどういう秩序で、どういう方法で物事を解決するかという実地訓練を受けていないという説もありますし、あるいは社会が非常に高度の消費社会になりまして、子供の生活の中にもそういう高度の消費社会の影響が入ってきたためだという説もありますし、これについてはいろいろな説があるわけでございます。  しかし、やはり最低限の問題として、人間生まれ落ちたときから両親ないしは保護者によって育てられるわけでございまして、その幼時からの教育過程において基礎的な倫理観と申しますか、社会生活を行っていく上で最低限守っていかなければならないある種の倫理観というものをやはり親から子へ伝承をするということが非常に大事なことであると思っております。そういう意味では、第一には、教育というのを教育現場だけに求めるというのは求め過ぎでございまして、やはり基礎的な家庭教育の部分というのが人間形成に非常に大きな役割を果たしていると私は思っております。  それと同時に、今の中学生をとってみますと、肉体的には非常に発達をしておりまして、背も高いし体格もいいしということで、ある種の肉体と精神の発達段階の乖離というものが起きている可能性も私はあるのではないかと思っております。  そういう意味では、こういういじめの発生の原因を突き詰めていきますと、やはり家庭教育、学校での教育、それからその学校がございます地域社会、そういうものが一体となってこういう問題に取り組む必要がありますし、また学校現場では校長先生を中心に教師一体となってこういう問題に真剣に取り組む、そういう強い決意と姿勢が私は必要なのではないかと思っております。

松沢成文改革

○松沢委員 今大臣のお話を私も基本的に理解をするところでありますけれども、先ほど青山委員の方からも質問がありましたが、私は、このいじめ問題、何か原因を一つ挙げるとすれば、複雑に絡み合っていて難しいのですけれども、やはり今の学校現場の教師がその実態を監督できない、あるいは見つけてもうまく指導ができない、この辺にあるのではないかなというふうに非常に感じているわけなんです。  先ほど青山委員の質問に対して大臣はその部分を強調されておりましたから、大臣が十分その辺を考えておられるのはわかるのですけれども、この教員の資質が、落ちでいると言っては失礼ですけれども、今非常に問題になっているということがいじめ多発の裏に大きな原因としてあるというふうに私は考えているのですが、その点について大臣いかがでしょうか。

与謝野馨自由民主党文部大臣

○与謝野国務大臣 私は、全国で二万五千ございます小学校、約一万の中学校、それぞれの学校において、校長先生も教師の方々も例外なく教育については熱心に取り組んでおられる、そのように思っております。  ただ、教育というのはいろいろな側面を持っておりますから、知識を先生から子供に伝達するということだけでは済まないわけでございまして、やはり人格的な触れ合いあるいは人間的な包容力、あるいはこの種の問題が起きたとき教師がどう対応するか、そういうことを含めまして、やはり教師に求められるものは大変多い。私どもとしては、そういう意味では、いろいろな機会をとらえて先生方の資質の向上というものを考えていかなければなりませんし、教師の資質向上こそ教育の水準を向上させる最も大きな要素であると信じております。

松沢成文改革

○松沢委員 そこで、非常に能力のあるいい先生をつくるということが大変重要で、それができれば、いじめの問題も解決に向けての新たな展開があると思うのです。  そこで、文部省としては、教員の育成の基本的な理念、どういう理念で教員を育成していこうとなされているか、それについてお願いします。

井上孝美文部省教育助成局長

○井上政府委員 お答え申し上げます。  学校教育の成果は、日々児童生徒に接し、その人格形成に大きな影響を与える教育の資質、能力に負うところが極めて大きいことは先生御指摘のとおりでございまして、教員の資質、能力の向上を図るためには、教員の養成、採用、研修の各段階を通じて総合的な施策を講じることが重要でございます。  このため、教員の養成、免許制度につきましては、昭和六十三年に教育職員免許法を改正いたしまして、養成教育における専門性の一層の向上を図るため、専修免許状の創設、免許基準の引き上げ等を行ったところでありまして、採用については、教員としてふさわしい資質を備えた優秀な人材を確保するため、選考方法の多様化、採用内定時期の早期化などにつきまして各教育委員会を指導しているところでございます。  また、教員の研修につきましては、平成元年から初任者研修を実施し、さらに教職経験に応じた研修、校長、教頭、主任に対する研修などの充実に努めますとともに、都道府県・指定都市教育委員会に対しまして研修を体系的に整備するよう指導しているところであります。  文部省といたしましては、これらの施策を通じて、実践的な指導力を備えた教員の育成に今後とも努力してまいりたいと考えております。

松沢成文改革

○松沢委員 私は神奈川県なんですけれども、神奈川県で今この教員をめぐる環境の悪循環があると私は思っているのです。例えば、いろいろ問題が起きて評判の悪い学校がある。そこにはなかなかいい先生が行きたがらないのですね。それでまた教師の方で、その学校に行くのは絶対嫌だとなったら拒否ができる。そうすると、教育委員会はそういう学校には新人の先生をどんどん送って補充をする。そうしますと、二十代そこそこの新人の先生が二年目から担任を持たされる。もう生徒は兄弟みたいな年ですし、父母は自分の親みたいな年で、全く社会経験のないそういう若い先生は進路指導や生活指導がほとんど満足にできない。そうすると、その学校はますます荒れて評判が悪くなる一万だ。この循環を繰り返しているように思えてならないのですね。  他方で、また教員の世界というのは非常に一種独特なもので、ほとんど今神奈川県の場合は教師になれるのは一流大学を出たエリートだけてあります。何も社会経験のないこういう一流大学出のエリート、若造が、極めて閉鎖された空間の中で、また極めて公的な教育をやっているわけですね。これは私は極めて異常な世界とも見られるのです。つまり、この話は教員の社会経験の不足と学校の閉鎖性、これがもたらす弊害を物語っていると思うのですね。  そこで、こういう循環を打破していかなければいい環境が生まれないと思うのです。文部省は、もう七、八年前になりますか、初任者研修制度をいろいろと是非はありましたが導入しました。やはり大学出たての若い先生方をいかに研修をさせていくか、大変重要な視点であると思いますし、私は当時は賛成でありました。  そこで、この初任者研修制度、もう六、七年たつのですか、五、六年でしょうか、これまでどんなことをやってきて、その成果が具体的に上がっているのか、また今後の方針についてお聞かせをいただきたいと思うのです。

井上孝美文部省教育助成局長

○井上政府委員 お答え申し上げます。  初任者研修制度は、平成元年度から、小学校から順次学校種ごとに実施をしてまいりまして、平成四年度からは、小学校、中学校、高等学校及び特殊教育諸学校のすべてで実施をしているわけでございますが、その実施権者であります各都道府県・指定都市教育委員会におきましては、初任者研修の実施の充実に向けたいろいろな御努力をいただいているところでございます。  具体的には、初任者研修制度におきましては、各学校において指導教員を定めまして、週二回、それぞれ実際の指導案づくり、あるいは児童生徒に対する指導の方法等につきまして実際の指導を行っておりますとともに、週一回は学校外の教育センター等の施設に出向き、あるいは学校とは異なる民間企業等、異業種の場所に行って知見を広めるというようなことによりまして実践的な指導力を培うとともに、知見を広め、また教員としての使命感を培うという観点から実施をしているところでございます。  そこで、現在まで初任者研修を実施した実施権者である各都道府県・指定都市教育委員会からは、その成果につきましては、第一に、新任教員が自主的、意欲的に研修に取り組み、資質、能力の向上が著しいという点、第二に、指導教員につきましても、指導教員としての自覚から指導力の向上が図られ、特に広い視野が得られるということ、第三に、学校全体に新任教員を育てていこうとする雰囲気が醸成されますとともに、研修意欲や使命感の向上が図られ校内が活性化したなどの成果が報告されているところでございまして、初任者研修の実施には大きな意義があるものと認識しております。

松沢成文改革

○松沢委員 初任者研修については今後とも充実されて続けていっていただきたいのですが、私は、今の若い教員の方を見ていると、それだけでも不足なような気がするのですね。やはり教師というのは本当に同じ学校の塀の中で暮らす極めて閉鎖的な世界におりますので、ほとんど民間、広い社会の経験がないのですね。  私は、一つ提言なのですが、例えば新任教師、十年以内に半年間なり一年間の民間研修、例えば一般企業に入ってみて一般企業の組織や動き方の原理をよく体得してくる、あるいは企業じゃなくても一般の社会に出て、それもある程度まとまった時間学校から離れて広く視野を広めてくる。教師ほど視野が広くて包容力のある資質を求められる職業はないと思うのですね。お金はかかるかもしれませんが、今例えば一部分の技術系の先生なんかは先端技術の企業に研修に行ってみたり、あるいは海外との姉妹提携を結んで教師が海外の学校に一年間行ってみたり、こういうことをやっていますが、一部の方なのですね。ですから私は、全教員に十年以内に民間研修、例えば半年間、一年間、これくらいの期間でやって、教師の方に広く社会を見ていただくという、これぐらい大胆なことをやらないと、なかなか広い視野を持った先生が育っていかないのじゃないかと思いますが、この提案についてはいかがお考えでしょうか。

井上孝美文部省教育助成局長

○井上政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、教員を学校とは異なった民間企業等に派遣いたしまして、それらの職業における柔軟な思考方法や発想、幅広い人間関係、企業等としての規律などを体験させることは、教員にとりましても、その視野を広げ社会性を養う上で大きな意義があるものと考えているところであります。  多くの都道府県、指定都市におきましては、初任者研修等の一環といたしまして、短期間の企業研修が実施されておりますほか、中堅教員あるいは若手教頭等を民間企業へ現職のままで長期間派遣している県等が増加をしているところでございます。例えば岐阜県におきましては、そういう派遣をいたしまして、ホテル、デパート、運送会社、車体工場等に派遣しまして、そういう民間企業における体験を教育の場に生かすような研修も実施しているところでございます。  文部省といたしましては、各県等の実情に応じまして、御指摘のような教員に対する異なる業種にわたる研修が積極的に実施されるよう、引き続き各都道府県教育委員会等に対して指導してまいりたいと考えております。

松沢成文改革

○松沢委員 次に、教員の人事の方針について文部省はどうお考えか伺いたいんですが、確かに現場をよく知っている校長先生が適材適所、その学校の中で配置をしていくということは大変重要であって、その意味では学校に分権されて校長先生が先生方の適材適所、主任制等もありますから、やっていくのがいいと思うんですが、ただやはり県なら県、布なら市全体を見て、学校間格差もかなりあります。あるいは問題が多発する学校もあります。そういうところにベテランの先生を配置したり、あるいは平均年齢が若い先生ばかりの学校あるいはベテランばかりの学校にならないように全体的なローテーションを組むことも必要だと思うんですね。  こういう先生の適材適所を考える上で、文部省の基本的な指針、より学校に権限をおろしていくのか、あるいはやはり教育委員会で全体的な適材適所の配置を考えていくべきなのか、どちらに力点を置いているのかお聞かせください。

井上孝美文部省教育助成局長

○井上政府委員 お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、公立学校の教員大事につきましては、その任命権者が各都道府県・指定都市教育委員会でございまして、特に各県におきましては、任命権者である都道府県教育委員会が人事異動基準というものを設けまして、各学校における教職員構成の適正化を図る。先生御指摘のような年齢構成、教科、その学校における生徒指導等のいろいろな要素を勘案した教職員構成の適正化を図った人事を行うような異動基準を設けているわけでございまして、個別の大事につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づきまして、校長の意見具申を踏まえて、市町村教育委員会が市町村の中における人事構成を考えて、それを内申して任命権者である都道府県教育委員会が人事を行うということになっているわけでございます。  したがいまして、それらの人事異動を適正に行うためには、それぞれの学校におきまして、教職員構成の適正化を図るとともに、教員一人一人につきましては、適材適所の観点に立って厳正かつ公平に行うように指導をしているところでございます。今後とも私どもとしては、教員人事の適正化につきまして、各教育委員会への指導に努めてまいりたいと考えております。

松沢成文改革

○松沢委員 続いて、先生の選考の基準、より有能な方が教師になっていただくのが一番いいわけですけれども、一つ大きな問題は、教員になりたいと、そういう試験を受ける方の年齢の上限ですね、選考資格年齢というんですか、これがほとんどの都道府県で一般教員は三十から三十五ぐらいなんですね。要するに、これだと若い、大学を出てすぐに教員試験を受けるという方が圧倒的であって、社会でさまざまな経験を積んだ人が今から教師になってみたいといってもほとんど門戸が閉ざされちゃうわけですね。  三年、四年前に、埼玉県でこの年齢を一挙に五十歳に上げようということで、随分新聞の記事になりました。私は、今の学校教育は、生徒が画一化されているだけでなくて、先生も極めて画一化されちゃっている。いろいろな多様な先生を学校に集めでいろいろな形の切磋琢磨をしていただかないと、やはりいい教育はできないと思うんですね。そういう意味で、この年齢が三十歳代以下に限られちゃうということは極めて問題である。よく一芸生徒を募集する大学というのがありましたけれども、私は、一芸に秀でた人にどんどん学校現場で教壇に立っていただく、社会経験のある方が、年はとっていてもいろんな教え方ができるわけで、そういう方が学校の教師の仲間に入れば、若い先生たちにも刺激になります。  そういう意味で、一般教員の選考の資格年齢、早急に私は、全国的にもっと五十歳代ぐらいまで上げて、いろんな方に教員試験を受けていただいて教師になっていただく門戸を開く、そして先生を多様化していく、この方向が絶対必要だと思うんですが、文部省、いかがお考えでしょうか。

井上孝美文部省教育助成局長

○井上政府委員 お答え申し上げます。  学校教育の成果は、実際に指導に当たる先生の、教員の資質、力量に負うところが大きいわけでございまして、教員に優秀な人材を確保することは極めて重要な課題でございます。  各都道府県・指定都市教育委員会が実施いたします教員採用選考試験の年齢制限につきましては、先生が御指摘になりましたが、各県において年齢制限を設けている県が多いわけでございますが、近年、全体的に見ますと、受験年齢制限を緩和いたしまして上限の年齢を引き上げる傾向にございまして、現在のところ、年齢制限なしという県が二県ほどございますし、五十一歳未満まで引き上げている県も一県あるということであります。ただ残念ながら、先生が申されたように、三十歳未満という県も、平成三年度は十六県市であったものが、平成六年度は十一県市に減ってはきておりますが、まだそういうような状況になっております。ただ、その中でも特定の教科については特例を設けるなどいたしまして、一律に受験年齢制限を行っていない県市も、平成六年度では三十二県市ほどあるわけでございます。  文部省といたしましては、今後とも教員全体の年齢構成に配慮しつつ、広く社会に人材を求める観点から、受験年齢制限の緩和につきまして各都道府県・指定都市教育委員会に対しまして指導をしてまいりたいと考えております。  また、先生御指摘のように、一定の分野において特に秀でた能力を有する者を教員として採用することは学校教育の活性化に資するものと考えられ、これらの者に対して特別選考試験を実施しているところでもあります。  文部省といたしましては、今後とも都道府県・指定都市教育委員会に対しまして、教員に優秀な人材を確保する観点から、教員採用選考方法の多様化を図るよう指導してまいりたいと考えております。

松沢成文改革

○松沢委員 ぜひともお願いいたします。  先ほどから申し上げていますが、やはりどんな組織でもどんな世界でも、競争、頑張った者が報われるという競争原理というのは、活性化には絶対必要だと思うんです。その意味で、教師の世界も同じだと思うんですね。  以前、主任制についての論争がありました。いろいろ現場の反対もありましたけれども、今いろいろ教務主任ですとか生活指導主任ですとか、主任制を形式上ほとんどの公立学校で置いてあるわけですけれども、それが余り機能していないように思えてならないんですね、現場で見ていますと。主任というのは今、多分、校長先生の任命だと思うんですね。やはり私は、主任も試験制度を導入したらどうかなと思います。管理職になるにはこの主任を経ていなければなれない。やはり教師が何十人もいる世界ですから、その中で責任の分担制というのは必要であると思います。その責任ある立場になるには、やはり努力した人がなるべきであって、校長の主観というよりも、より公平な選考を経て主任になっていく、そして主任にならなければ管理職になれない、こういう競争がないと、幾ら汗水垂らして生活指導をやっていようと、幾らサボっていようとお給料が同じということでは、私は活性化できないと思うんですね。この主任制における試験制度の導入、こんなことは文部省で検討したことがあるんでしょうか。その方向性についてお話しください。

井上孝美文部省教育助成局長

○井上政府委員 お答え申し上げます。  主任制は、昭和五十年の十二月に省令改正いたしまして、昭和五十一年の三月から主任制度を実施してきているところでございますが、その実施に当たりましては全国の実態調査をして、教務主任、学年主任等については小学校、中学校、高等学校とほとんどの学校で実際に置かれていたわけでございまして、それらの実態を踏まえて制度化をし、昭和四十九年に制定されました教員のいわゆる人材確保法によりまして、主任手当として毎月五千円を支給するということになっているわけでございますが、これらの主任につきましては、その任命方法については、校長が発令をして教育委員会に報告する方式とか、あるいは教育委員会が校長の意見を聞いて発令する、あるいは教育委員会が発令するというような、一応基本的には三つの方式を基本にして、その発令を学校現場あるいは教育委員会にお任せしているわけでございます。  したがいまして、主任はどちらかというとやはり学校における指導関係の業務を円滑にするための職でございますから、そういう意味では、いわゆる校長、教頭の管理職とは異なるものでございます。したがって、学校内における教務関係あるいは指導関係の事務が円滑に行われるような校務分掌の一環として主任の制度化が行われたわけでございますから、そういう意味では、その主任の発令に当たって試験を行うということは私どもとしては考えていないわけでございます。

松沢成文改革

○松沢委員 最後に、ちょっと大臣に感想を伺いたいと思うのですが、私は教員の資質向上がいじめの問題を初めとする学校の諸問題の解決の基本にあるというふうに考えております。その中で、例えば初任者研修も充実させよう、民間研修も導入したらどうか、あるいは一般教員の選考資格年齢をもっと下げていろいろな人が教師になれるように門戸を開いていこう、教師の多様化ですね、そしてまた、主任制に客観的な試験を導入して先生たちの切磋琢磨を促す、こういう提案をさせていただきました。  大臣、今の議論を聞いていて大臣としてはどんなふうにお考えになるか、その辺の感想を最後に聞かせていただければと思います。

与謝野馨自由民主党文部大臣

○与謝野国務大臣 教師の皆さんの資質向上というのが教育の基本であるという認識は、私は先生と全く同じでございます。  初任者研修の制度は導入をいたしました。私は、それは非常に大きな意義があったことであり、また現在のところまで、一〇〇%と言わないまでも一つの成功の道を歩んでいると思います。初任者研修の問題は、しかし、そうはいってもさらにその内容を工夫改善をしていくという不断の努力は、私はする必要があるのだろうと思います。  もう一つ先生が御提案になりました、学校を出ていきなり学校現場というふうに直結しているではないか、やはりもう少し社会経験を持つような工夫はないものか。これは幾つかの、助成局長から御説明申し上げましたが、千葉県あるいは岐阜県、福岡県等々で実験的に民間企業に先生を派遣して、世の中というものを企業という現場から見ていただく、そういう機会もつくっておりまして、こういうものの必要性はますます恐らく高まるものだと思っております。  また、教師の採用年齢につきましては、これは文部省だけで決められることではありませんけれども、非常に多様化したこの社会の中で有能な人材は民間にたくさんおりますし、それがただただ年齢だけで教師の道が閉ざされるというのは残念なことだと私は思っております。  ただし、主任に試験制度という話になりますと、恐らく主任になられる方というのは全人格的な側面からの判断も入ってくるわけでございまして、にわかに試験をということにはなかなか私の気持ちは傾いていかない、そういう気持ちでございます。

松沢成文改革

○松沢委員 ありがとうございました。

伊吹文明自由民主党

○伊吹委員長 これにて松沢成文君の質疑は終了いたしました。  次に、山原健二郎君。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 間髪を入れずこの会議を持っていただいたことを最初に感謝します。  私は、昨日現地へ行きまして、大河内君の家を訪ねまして、御家族、それから校長先生、それから教育長さんに会いました。そして、お母さんの言葉でございますが、大変憔悴されておりますけれども、「今後、このようなかわいそうな子供がなくなることを祈っています。」ということを小さい声で言われたわけでありますが、二度とこのような悲惨な事件を起こしてはならないという点では、文部行政も国会も総力を挙げて取り組む必要があるということを改めて痛感して帰ってきたわけです。  この点で文部大臣に伺いたいんですが、本当にこのような事件を再発させないという決意について、一言でよろしいからお伺いしておきたいんです。

与謝野馨自由民主党文部大臣

○与謝野国務大臣 遺書の全文を読ましていただきますと、大変優しい言葉で書いてございますけれども、大変真に迫る遺書でございまして、読むことすらつらくなるような箇所が何カ所も何カ所も出てまいります。  先生御指摘のように、こういうことを再発させないということをやはり社会全体として決意を持って臨むというのは、先生の御指摘のとおり大変大事なことでございまして、この国会の場におきましても、また文教行政をやっております文部省においても強い責任感を持ってこういう問題に対処していかなければならない、そのように考えております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 この事件の真相を解明することが大変必要だと思っているわけです。お父さんの方からも、実態調査について学校の方に回答を求めておる文書が出ておると聞いてきたわけですが、こうした問題の真相解明は、もちろん学校側が誠実に取り組むべきものだと思います。しかし、校長さんの意見など聞いておりますと、「警察の捜査のことなどがあり、言えることと言えないことがあり苦慮している。」という言葉も出てまいりました。その気持ちはわからぬではありませんけれども、しかし、この問題の解明の第一義的な場所は学校ですね。  したがって、学校としても、また文部省としてももう積極的にこの問題の真実を明らかにして、そして問題の解決に臨むべきではないかと思いますが、文部省としては、今度の事件に関しまして、どのような、いつの時期に大体の全貌をつかんで発表される用意があるか、その点を伺っておきます。

与謝野馨自由民主党文部大臣

○与謝野国務大臣 この種の問題は、別に文部省が直接現場に行って調査できるというものではなく、やはり学校の現場で学校当局が校長先生を中心にこの事件の真実を解明していく、それが市の教育委員会に報告され、県の教育委員会を通じて文部省に上がってくる、そういう経路をたどっております。ただ、学校当局の調査というものは、やはり教育現場での調査でございますから、おのずと限界があるわけでございます。  しかし、今回の件については並行的に、新聞報道によれば、昨日愛知県の県議会で県警本部長がお話をされていますが、もしかしたら刑事事件相当かもしれないということで、関係者を呼んで話を聞いておられるようでございますので、恐らく両々相まって次第にこの事案の全貌が明らかになると思います。ただし、それがいつの時点になるか、現段階で先生にお約束はできないということは御理解をいただきたいと存じます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 このいじめの問題について、わずかな兆候でも見逃さないことが大事だということは、もうかねてより言われているわけですね。ところが、校長さんに聞きましても、「問題がこれほどひどいことになるサインとは受けとめられなかった。」とか、あるいは大河内君が体育館で下着姿でいたということについても「それほど奇異には感じなかった。」というような言葉が出てまいりますが、こういう点から見て、どこかが欠けておったのではないか。  文部省は八年前にいじめの実態調査結果を出しておりますが、当時、「やり方が陰湿で、内容が残忍」「集団で個人ないしは小グループを長期にわたっていじめる」「いじめられた子にともだちが少なく、登校拒否や自殺まで到る」「特定グループや集団の支配的傾向から見でなんらかの形で異質なものがいじめの対象となる」「いじめを批判する子供が少なく、自分もいじめの対象になることを恐れていじめに加担するような子供も多い」、こういうふうに文部省自体が指摘をしているわけですね。  今回の事件の真相が明らかになるにつれまして、この指摘どおりのことが繰り返されているのですね。今度の場合、お金にたかるという問題も出ておりまして、ますます悪質になっているわけですが、こうした文部省みずからの出した指摘も、結局、学校の現場では教訓として生かされていないという問題があるわけでございます。文部省のいじめ問題に関する指導の充実などの通知を見ましても、こういうものが出ているのだけれども、ところがそれがなぜいじめの根絶につながっていかないのかという点は、これは当然反省すべきだと思いますが、この点はどうお考えでしょうか。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 先生御指摘ございましたように、六十年に「児童生徒のいじめの問題に関する指導の充実について」というのを、当時の児童生徒の問題行動に関する検討会議の緊急提言というのを受けまして指導して以来、通知を重ねておるわけでございます。しかし、なかなか、御指摘ございましたように、学校での現実の対応というものが十分でないというような点は御指摘のとおりだと思います。  平成五年十二月二十七日にもそういうことで、いじめの問題ということ、あるいは登校拒否とか、そういうことを含めまして通知を出しておるわけでございまして、児童生徒がいつでも教師に相談できる雰囲気を醸成する、問題の早期発見に努める、とりわけ学級担任というものが重大な職員を有しているんだというようなことも指導しておるわけでございますが、やはり学校の中に、自分の学校にはそういうことがないんじゃないか、むしろないというような気持ちで対応しているところにも問題があるんじゃないかと思いますので、さらにこの点の指導につきましては徹底を図っていきたいと思っております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 私は、中野富士見中学校の鹿川君のいわゆるいじめ自殺事件、あのときにも現地へ行きまして父母の皆さんにもお会いし、昨年の山形のいじめによるマット圧死事件、このときも現地へ参りまして伺ったのですが、今回も共通する命の重みといいますか、人間をどう大事にするかという問題の欠落というのを非常に感じまして、実は山形で調査をしましたときに、当の校長さんが私にこう言ったのですよ。「いじめはいけないんだという子供の認識と私たちの認識が甘かった。正義、勇気、人間としての尊厳なくしては教科も成り立たないんです。今日の教育の原点に立ち返って第一歩から出直したい。」ということを目の前でおっしゃったのです。泣きながらおっしゃったのです。これは一つの私は大事な言葉だと思って、今でも鮮明に耳に入っているのですけれども、今、何のための教育がなされておるのかということを私は問われていると思います。人間を大事にする教育がもっと重視されるべきであって、この大前提を教育の場で打ち立てることが今必要になってきておるのではないかというふうに思うわけでございまして、これがないと教師と子供、あるいは父母との間の信頼関係が出てこないわけですね。  いじめを見つけても、教師に言っても、学校が全力を挙げるという姿勢を見せなければ、子供は物を言いません。今、学校に対する信頼が崩れ去ろうとしている。これはやはり長年の文部行政にも責任があると私は思っておりますが、それをきょう申し上げる時間はありません。けれども、この信頼を取り返すということが、今の日本の教育に問われている。  一方では、子どもの権利条約を日本の国会も批准したという状態ですね。あの中にある一つ一つの言葉というのも、民族が子供に対して最高のものを与えなければならぬというような、そういう子供を中心にして考えるという問題が、案外、今教育問題で論議されがたくなっているという点があるわけでして、そういう世の中で、一方では競争原理第一主義、あるいは先生方にゆとりがなくなって、研究授業から何からいっぱいなんですよね。次から次に上から言ってくるものに対してそれを処理するのに手いっぱい、ゆとりがないという問題も出ているわけでして、そしてそこに管理主義教育が重なってくるということを考えますと、こういう日本の教育の置かれている今の現状というものをどう解決していくかということが、今必要になってきておると思うわけでございます。  だから、大臣みずからが、子供の命を最優先とした教育を取り戻す、人間を大事にする教育をというお話もされているわけですが、私はできればいじめ根絶の緊急アピールといいますか、そういうものも全国に対して出す必要もあるんじゃないか、そういう時期にも来ているのではなかろうかと思うわけでございます。これは簡単にはできないと思いますけれども、こういう点についての何らかの御見解を持っておるかどうか、伺っておきたいのです。

与謝野馨自由民主党文部大臣

○与謝野国務大臣 明日、いじめに関する緊急会議ということで、専門家の方に急遽お集まりいただくことになっております。ただここでは状況の分析等だけをやっていただくのではなくて、やはり全国民に、あるいは全生徒に、あるいは全先生に、その緊急会議としてどう話りかけていただくか、それを先生はアピールという言葉で表現されましたけれども、明日行われる中で、取り急ぎどういうことを訴えるかということも専門家の方に少しお願いをするということも大事なのではないかなと思っております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 信頼される教育、信頼される教師とはどんなものかということをやはり考える必要があると思うのです。試験制度の中で成績がいいとか、そんなことはもう関係ないですよ、今、中学校や小学校の子供たちの教育に。関係ないとは言いませんけれども、もっと何かを今日本の子供たちは求めているわけです。  それからもう一つ、学校が楽しいか。楽しいという子供もおりますけれども、学校へ行くのが嫌だという子供もいるわけですね。それから、いわゆる不登校の子供たちが出てくるという状態がどこからつくられてきたのか。しかもそれが、数日前の新聞によると、中学校ではふえているというわけでしょう。そうすると、これはやはり学校というところは劇場のように楽しいところでなければならぬというバーナード・ショーの言葉がありますけれども、学校というところは朝起きたら早く学校へ行って先生の顔を見たい、友達の顔を見たい、そんなところでなければならぬ学校が、今だんだん、暗くなっているとは私は言いませんけれども、何かおかしな管理のもとに置かれつつあるという状態、これはやはりお互いに正当に論議しなければならぬ問題だと私は思っているわけでございまして、本当に人間を大切にする教育ということを今こそ考える必要があると思います。  そうでなければ、またこういう事件が起こらないという保証はないわけですし、そういう意味で、きょう委員長がこの会議を開いてくれたことを私は非常にいいことだと思って喜んでいるわけです。これは、幾日も先に置くよりも、きょう、しかも会期末の最後の一日を、こういう時間に割いていただいたことを感謝するわけでございますが、できればこの国会の文教委員会の中にあるいはそういう小委員会なるものを開くことによりまして、こういった問題についても、先ほどフリートーキングの提案も出ておりましたけれども、専門家からも具体的な対策を聞くとか、あらゆる衆知を絞って日本の教育と、それから特にいじめの問題について二度とこういう事件は起こさせないという決意のもとに、そういうことも提起すべき時期ではないかと思っているわけです。  私はその意味で、この文教委員会の任務としてそんなこともお考えになってはどうだろうかということを伊吹委員長に提起したいと思いますが、委員長のお答えを聞きまして、私の質問を終わります。

伊吹文明自由民主党

○伊吹委員長 委員長から申し上げます。  ただいま山原健二郎君から御提案のございました件も含めまして、先ほどの沢藤君の御提案等も理事会に諮りまして、理事会の決定に従って処理をさせていただきたいと思います。  なお、きょうは国権の最高機関としての国会で真摯な御議論が行われたということは、文部大臣以下十分よくお聞き取りをいただいているわけでございますから、今後の文部行政の執行の上においても、我々の意見も十分反映されることと思いますので、よろしく御了解のほどをお願いいたします。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 終わります。ありがとうございました。

伊吹文明自由民主党

○伊吹委員長 これにて山原健二郎君の質疑は終了いたしました。

伊吹文明自由民主党

○伊吹委員長 次に、請願の審査を行います。  今国会において、本委員会に付託されました請願は全部で三百四十八件であります。  本日の請願日程第一から第三四八までの各請願を一括して議題といたします。  まず、審査の方法についてお諮りいたします。  各請願の内容につきましては、請願文書表等により既に御承知のことと存じます。また、理事会におきましても慎重に各理事で御検討願いましたので、この際、各請願について紹介議員からの説明聴取は省略し、直ちに採決をいたしたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊吹文明自由民主党

○伊吹委員長 異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  これより採決をいたします。  本日の請願日程中  公立小中学校事務職員及び栄養職員の義務教育   費国庫負担法適用除外反対に関する請願一件  人材確保法に基づく教職員の待遇改善に関する   請願一件  義務教育諸学校の学校事務職員・栄養職員に対   する義務教育費国庫負担制度の維持に関する   請願三件  学校事務職員・栄養職員の給与費の半額国庫負   担堅持に関する請願四件  義務教育諸学校の学校事務・栄養職員に対する   義務教育費国庫負担制度の堅持に関する請願   一件  義務教育費国庫負担制度の堅持に関する請願九   件以上の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊吹文明自由民主党

○伊吹委員長 異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  ただいま議決いたしました各請願の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊吹文明自由民主党

○伊吹委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

伊吹文明自由民主党

○伊吹委員長 この際、御報告を申し上げます。  今国会中、議長より本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してございますとおり、学校週五日制の推進に関する陳情書外八件であります。      ————◇—————

伊吹文明自由民主党

○伊吹委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  文教行政の基本施策に関する件  学校教育に関する件  社会教育に関する件  体育に関する件  学術研究及び宗教に関する件  国際文化交流に関する件  文化財保護に関する件以上の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊吹文明自由民主党

○伊吹委員長 異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。  まず、閉会中審査のため、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、派遣委員、派遣期間、派遣地、その他所要の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊吹文明自由民主党

○伊吹委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中審査のため、参考人から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その人選及び日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊吹文明自由民主党

○伊吹委員長 異議なしと認めます。よって、そのように決しました。本日は、これにて散会いたします。     午後四時七分散会

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