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131回国会衆議院1994/11/21

世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会 第4号

発言数
298
登壇者
29
会派数
5
開催日
1994/11/21

会議録

佐藤孝行自由民主党

○佐藤委員長 これより会議を開きます。  世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結について承認を求めるの件、著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律案、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案、農産物価格安定法の一部を改正する法律案、特許法等の一部を改正する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案及び主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案の各案を一括議題といたします。  この際、公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となりました各案件につきまして、議長に対し、公聴会開会承認要求を行うこととし、公聴会は、来る十一月二十八日月曜日開会し、公述人の選定等は、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立をお願いいたします。     〔賛成者起立〕

佐藤孝行自由民主党

○佐藤委員長 起立多数。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――

佐藤孝行自由民主党

○佐藤委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となりました各案件につきまして、審査の参考に資するため、議長に対し、委員派遣承認の申請を行うこととし、派遣地、派遣の期間、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、これに賛成の諸君の起立をお願いいたします。     〔賛成者起立〕

佐藤孝行自由民主党

○佐藤委員長 起立多数。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――

佐藤孝行自由民主党

○佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田治君。

吉田治改革

○吉田(治)委員 改革を代表いたしまして質問させていただきます。  本当に、APECで休みなくお働きの総理大臣、実は私の父親の方がまだ総理よりも年をいっておりまして、大体七十を超えできますと体力がきゅっと落ちてくるというのは父親を見ておりましたらよくわかっておりますので、なかなか総理という職務も激務だなと非常に感じておる次第でございます。  まず、質問の方をさせていただきたいと思います。  突拍子もない質問ですが、私、大阪市内の選挙区で出ております。大阪二区というところで、大阪市内の半分を地盤としておりますが、総理、大阪市内の専業農家、第一種兼業農家並びに第二種兼業農家、大体大ざっぱで結構です、何軒ぐらいあるか、お答えお願いします。総理にちょっとだけお聞きしたい。大体で結構です。これぐらいじゃないかと、人口二百六十万の市で。

高橋政行農林水産省大臣官房長

○高橋(政)政府委員 大阪府の農家戸数でございますが……(吉田(治)委員「府じゃない、市」と呼ぶ)市ですか。ああそうですか。ちょっと今手持ちで持っておりませんが。

吉田治改革

○吉田(治)委員 本当に瑣末な質問で、なぜそういうふうに申し上げましたかと申しますと、大阪市内、人口二百六十万、専業農家百十戸、第一種兼業農家九十三戸、第二種八百九十四戸。ですから、このWTOの特別委員会で私質問するときに、余り農業問題について深く質問するというよりも、農業を川上、川中、川下という形でとらえて質問をさせていただきたい。それが私どもの選挙区での要望でもあるんじゃないかなと思っております。  まず最初に総理にお聞きしたいのは、総理が、初日の質疑の中で、農業は国民全体の問題だというふうにお答えなくっておったと思うんです。具体的にそれはどういうふうな意味なのか、もう一度総理の所見をお聞かせいただきたいと思います。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 これは、国民生活にとって食糧というのはもう欠かせないものですし、そういう意味で戦後食管法が設けられまして、農業生産の基盤を守っていくと同時に消費者の生活を安定させるという意味で二重価格制度等がとられてきたような経過から考えてまいりましても、私は、食糧というのは単に生産農家だけのためではなくて、国民全体の食生活をどう安定させるかという意味では国民的な課題であるというふうに認識をしていいんではないかというふうに思っております。

吉田治改革

○吉田(治)委員 生産者だけじゃなくて消費者というお言葉が出ましたけれども、それでしたら、具体的にこの協定、ガット・ウルグアイ・ラウンド、締結されて発効されていく過程において、じゃ物価はどれくらい下がるんですか。消費者としてやはり農産物に求めるものは三点あると思うんです。おいしさというのはまずもちろんだと思います。二つ目は安全というもの。そして三つ目はやはり価格というもの。  よく御承知のとおり、日本の食糧の値段は欧米に比べて大体三倍するとか、またよく海外旅行に行った方が、何で日本で食べ物が、同じものが高いんだ。特にアメリカなんかに行かれますと、例えばマクドナルドのハンバーガーでしますと、日本だったら百八十円、二百円するものが、なぜ同じ先進工業国であるアメリカで六十五セント、大体六十五円で買えるのか、これはどうもおかしいんじゃないか。  初日に総理が貿易立国、貿易立国というお話を多分相当されたと思います。その中におかれて、やはり物価というふうなものも、じゃ、これが発効することによってどれだけ下がるのか。具体的な指標というのをつくられたのか、いや、それはまだできてみなけりゃわからないというのか、ちょっとその辺をお聞かせいただきたいと思います。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 今委員が御指摘になりましたように、これは食糧ですから、国民生活に欠かせないという意味で、どういう事態になろうとも安定的に供給できるような自給体制というものをしっかり維持する必要がある。同時に、安全な食糧を供給するということも大事なことだと思いますね。  さらに、価格の問題でありますけれども、これまで食糧というのは、特に米を中心にしてある意味では、先ほど申し上げましたように食管制度等もありまして、生産費を償うだけの価格というものを維持しながら、安定した消費生活を維持するために可能な限り生活の基盤というものを前提にした消費者価格というものが設定されてきた、こういう経緯がありますけれども、いよいよウルグアイ・ラウンドが導入されて、これから自由化の嵐の中にさらされていく、こういう状況を踏まえて、今御審議をいただいておりまする関連法案等につきましては、できるだけそうした国際的競争に耐え得るような、ということは、価格も含めて可能な限り耐え得るような日本の農業をどうつくっていくかということが主眼になっておるわけでありますし、米を政府が一貫して管理をしていた、それをある程度市場価格にさらして、そして需給調整の中で価格が決められていく、こういう方策も取り入れることによって、できるだけ合法的な、客観的に妥当な価格になるような、そういうことになっていくんではないか、その努力はこれからも不断にする必要があるというふうに考えているところでございます。

吉田治改革

○吉田(治)委員 それでは具体的に、じゃ、物価がどれぐらい下がるとか、そういうふうな試算はされていないということでよろしいでしょうか。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 吉田委員にお話し申し上げますが、一つは、前提として、国内の農産物価格の問題、内外価格差大変多うございますが、それには、御案内のとおり国土が狭いあるいは地価が高い、もう先生御案内のとおりでございます、アメリカなりEC諸国と比べて。自然条件が制約がある。したがって、大変なハンディがある。したがって、その点についてはやはり前提に置いてお考えをちょうだいしなければならない。また国民の方々にも、消費者の方にも御理解を願わなければならない。  しかし、それでいいかということになりますと、このたびのガット・ウルグアイ・ラウンドの農業協定の受け入れに伴いまして、国として展開しようとする政策の一つとしては、やはり農業生産を効率が高い安定的な経営に集中していこう。それは既に二年前の新政策でも、それぞれの経営別、米あるいは酪農、肉用牛あるいは野菜、畑作、それぞれについてコストダウンをしようということで、三割、四割、それぞれの作物によって違いますけれども、それを目指しまして農業構造の改善をしようということでございまして、全く内外価格が一致するなどということは、私はこれはできないと思いますが、最大限の努力によってその価格差を解消していくという基本方針で臨んでおるわけでございます。

吉田治改革

○吉田(治)委員 具体的には出ていないということで、民間のビジネスで、例えば今度、初日の話では皆様方、七兆二千百億円ですか、相当なお金をこれから農業にかけていく、六年間にわたってということで、それだけかけて結果が、試算も出していない、これくらいになるだろうというくらいのお話も聞かせていただけないということはちょっと、私も民間にしばらくおった経験からしますと、これだけのお金をかけたら、コストパフォーマンスというのですか、これだけかけたから結果はこうなるよと、こうなるであろうという話だけじゃなくて、こうなるよという部分をやはり教えていただかなければ、先ほど言いましたように、私は、大阪市内で農家の戸数全部合わせましても千句戸、千句戸の方にはお話しできるのですけれども、その他の百何十万人の有権者の皆さんにちょいとこの話を持って帰って、どうですかと言うことはちょっとできないと思うのですけれども。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 重ねての御意見でございますし、御質問でございますが、私が先ほど概括的に、それぞれの作物につきましてコストをこの程度ダウンするという一つの経営展望はできておるわけでございます。したがって、それが消費者価格に反映いたすということで、総合的な物価がどうの、あるいは農産物価格総合というところまでは御指摘のように作業をしておりませんけれども、それぞれの作物についてはコストダウンの目標を定めまして、それをもってこの対策の受けとめ方としておるわけでございます。

吉田治改革

○吉田(治)委員 もう一つ、川下の消費者の立場から申し上げますと、これはきょう事前に労働大臣に通告しなかったのでおいでにならないと思うのですけれども、やはり雇用という問題が出てくると思うのですよね。こういうふうに自由になっていくと、産業的に比較劣位というのですか、そういう業界になったらやはり失業の問題出てまいりますでしょうし、反対言ったら、これが自由になることによって、さまざまな消費者活動でありますとか、厚生大臣も先日お答えなくっていた検疫の問題等で雇用がふえる、そういうふうな部分も両方あるのですけれども、もしも担当者の方おいでになられて、雇用の問題も何かそういう試算なくっておれば教えていただきたいですし、いらっしゃらなければ後日お答えいただければと思っております。

佐藤孝行自由民主党

○佐藤委員長 どなたもいないようですから、次の問題に移ってください。

吉田治改革

○吉田(治)委員 消費者の方からすると、やはりこういうふうな問題が出てくると思うのです。  大蔵大臣、ちょっとお聞かせいただきたいのですけれども、この数字を覚えていらっしゃいますでしょうか。十二万五千二百二十、九万六千二百三十、二十一万四千五百七十九、大蔵大臣、覚えていらっしゃいますか、この数字。

武村正義新党さきがけ大蔵大臣

○武村国務大臣 さっぱり何かわかりません。

吉田治改革

○吉田(治)委員 残念ですな。これは大蔵大臣の過去三回の得票数を申し上げた次第でございまして、ちょっとそれを覚えていらっしゃらないというのは非常に残念な気がいたしております。  なぜそういうことを申し上げたかというと、大蔵大臣の地元は滋賀、近江米の産地でございまして、初回十二万票、二回目が九万票、その後二十一万票と二倍以上の得票をなさっている。この滋賀というところの風土からいいますと、この二倍になったというのは、まあ大蔵大臣のこの四年間、三年八カ月の努力のたまものであるとも言えるでしょうし、またもう一つ、滋賀から大阪、京都へ通われている都市生活者というのですか、サラリーマンの方も非常に多いと思います。その方の票が非常に入ったんじゃないかと推測できるのですけれども、私はその人たちに対して、大蔵大臣が初日になさった発言、非常に残念だと思います。  どういう発言がと申しますと、七兆二千百億の内容、これからやると、こういうふうなことをやります、ああいうことやります、ごらんくださいと、ごらんいただいたらわかるといったしか答弁をなさったと思うのです。  私、消費者だけじゃないですけれども、この七兆二千百億という数字が出てきたときに、地元へ帰りましてどういう反応が出たか。委員の皆さん方から水が飛んでくるかもしれませんけれども、何でそんな使うのだと。国民一人頭にしたら七万円、家族四人にすると二十八万円、これだけ使って何が起こるのか、どうするのかということに関して、私が大蔵大臣に申し上げたいのは、ぜひともそういうふうな数字が出てきたときには、大蔵大臣みずからテレビに出るなりなんなりして御説明をなさって、先日の御答弁も、ごらんになってじゃなくて、私が先日説明したとおりというふうな、政府側のこれからの努力というのですか、そういうふうなものを川下の皆さん方、一般有権者の方々にもどんどんしていただかなければ、これ以上さまざまな農業に対する対策費を、私も後ほど質問させていただきますが、することに対して、私たち都市の議員としては非常に言いづらいというのですか、説明しづらい。また、また、またという発言が非常に強く出てまいりますので、その辺また大蔵大臣よろしく、これはもう質問というよりもお願いという形にさせていただきたいと思います。  それでは次に、川中と申しましょうか、流通のこと。これは事前通告してないのですけれども、ちょっと農水大臣、事務次官まで務められた農政のエキスパートということでございますので、御所見を聞きたいのですけれども、各地に中央卸売市場というのがございますね。やはりこの卸売市場の方々が、このガット・ウルグアイ・ラウンドを含めて、今流通のあり方について非常な危機感を持っていらっしゃいます。  何かといいますと、価格破壊という言葉が出てまいりました。次に来るのは流通破壊ではないかと。ただでさえ場外の取引がふえてきた、こんな状況で果たして自分たちの仕事が進められるのかなと。農業の方々も後継者がいない、いないと、必ず質問には後継者対策ということがありますが、中央卸売市場においても後継者の町題、それから、これから先の卸売市場が、建物の部分はなるほど立派になっていくが、これで卸売としての、流通としての機能が残るのかどうか、そういうふうな部分を非常に心配なさっておりますが、これについて御所見をお聞かせいただきたい。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 突然の御質問でございますが、私どもは、青果物、生鮮食料品の流通については、やはり中央卸売市場が流通のキーステーションと申しますか、メーンステーションである実態は変わらないと思っております。  と申しますのは、御案内のとおり、我が国の消費者は非常に多様な生鮮食料品を消費している。これはヨーロッパあたりに行っていただくとよくわかるのですが、そのような二百種類、三百種類の生鮮食料品、青果物なら青果物、これの集荷と分荷、これを行うのはやはり中央卸売市場の機能でございまして、これはちょっと言葉が過ぎますが、我が国のこの中央卸売市場は非常に各国にも増してすぐれた流通組織だというふうに思っております。  もちろん今委員が御指摘のように、労働力問題もございます。それから市場外流通、これは輸入品等についていろいろ見られるところでございますが、そういう問題については、市場行政といたしましては、市場の作業の機械化とか、その他各般のことを重点的にやっておりまして、農林省が直接消費者に対してお答えする大事な窓口であるというふうに思って、今後も強化してまいりたい、さように思っております。

吉田治改革

○吉田(治)委員 川中、川下の話はこれぐらいにくせていただきまして、WTO協定自身の発効並びに諸外国の状況について御質問させていただきたいと思います。  WTOの協定の発効は来年一月一日あるいはできるだけ早い時期とされています。しかしながら、初日の質問にもありましたように、アメリカなど主要国においては批准が非常におくれておりまして、まだ批准のめどさえ立っていない国もいるという形で、現在WTO協定を批准している国はわずか二十七カ国にしかすぎないという現状が示しておりますように、各国とも、これどうなるだろうなということで模様眺めの状態になっている。  こういうのは、模様眺めというのは、一つが何かのきっかけでどどっと皆さん批准されていく可能性もあるということですけれども、この状況を考慮していきますと、政府としてアメリカの動向というのを逐次確実に把握しておかなければなりませんけれども、政府がアメリカの動向を見守る、批准が行われると確信するというふうな形で、私どもにとっては受け身の態度というのですか、あちら様あってのことと、まあ、外交はそれぞれの国のことですから、余りし過ぎるのも内政干渉という形になるかもしれませんけれども、日本の外交能力というものからしますと、もっともっといろいろしてもいいのではないかなと思っておるのですけれども、協定発効の見通しにつきまして総理の御所見をお伺いしたいと思います。

河野洋平自由民主党外務大臣

○河野国務大臣 ちょっとアメリカ、ヨーロッパ等の状況について私から御報告を申し上げた方がいいかと思いますので、お許しをいただいて申し上りたいと思います。  アメリカの問題につきましては、今議員からもお話がございましたように、中間選挙の結果が御承知のような結果でありましただけに、いろいろと議論がかまびすしくなっておることは事実でございます。しかしながら、先般APECにおきまして、村山総理からクリントン大統領に、私あるいは橋本通産大臣からそれぞれアメリカのカウンターバートに対しまして、状況について質問をいたしました。しかし、アメリカ政府からはいずれも同じように、十一月末もしくは上院におきましては十二月一日をめどとして、それぞれ上下両院審議を終えるということが、APECの当時私どもに対する説明としてございました。  もし御質問があればヨーロッパについても申し上げますが……。  ヨーロッパのそれぞれの国の国内字統につきまして、現在私どもが承知いたしておりますところを若干申し上げたいと思いますが、ドイツにおきましては、六月二十九日、連邦議会が協定及び国内法改正案について可決をいたしております。七月八日、連邦参議院は協定及び国内法改正案について同意をし、既に必要な国内字統は完了していると聞いております。  フランスは、十一月末ごろに国会に協定を提出し、秋季国会会期中に審議を終えるというふうに情報を得ております。  イギリスは、五月十六日、国会に協定を提出し、受諾に必要な国内手続は既に完了をいたしております。  イタリーにおきましても、上院は通過し、現在下院で審議中、十一月末までに議会の承認が得られるというふうに聞いているところでございます。

吉田治改革

○吉田(治)委員 じゃ、そういう情報をもとに、総理、協定発効の見通しというのはどういうふうにお考えになられますでしょうか。

河野洋平自由民主党外務大臣

○河野国務大臣 議員先ほど御指摘のように、明年一月一日をもってこの協定を発効しようという申し合わせが、G7あるいはAPECの席上主要国でそれぞれ確認をされておるところでございまして、私どもといたしましても、我が国の国会での御承認を得て、来年一月一日発効というふうに考えているところでございます。

吉田治改革

○吉田(治)委員 外務大臣、今答弁の中で政府筋の話だけでしたけれども、日本国政府として、共和党が上下両院で過半数とったということに関して、このWTO協定の発効への影響というものをどういうふうに情報分析されているのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

河野洋平自由民主党外務大臣

○河野国務大臣 その点、私どもも非常に関心を持っているところでございます。  中間選挙前から実は民主党劣勢というふうに伝えられておりまして、私どももその点大変関心を持っておりましたが、実は、選挙前にも既に、選挙が終わった後にも、下院十一月二十九日、上院十二月一日に、それぞれ上下両院で審議を終了するということを民主、共和両党のシニアメンバーにおいて合意ができているというふうに聞いておりまして、そのことは選挙の結果こういうことになっても変わらないというふうに私どもは情報を聞いているところでございます。

吉田治改革

○吉田(治)委員 WTOのこの承認問題につきましては、国内におきましても、御承知のとおり、早くすべきだとか、他国に先駆けてすることによって自由貿易の私たちは旗手だということを述べるんだという説でありますとか、いやいや、そんな日本がこういうことで批准のリーダーシップをとるべきではないと、さまざまな意見が出ておるところでありますが、政府の基本方針としては、国会承認を取りつけた上で批准時期については政府に一任というお考えが強いようですし、国会承認を行えば批准時期について政府に一任するのはやむを得ないという部分もあると思うんですけれども、国内対策その他について政府の基本的考え方が見えてこないといううちには、我々としても無条件に国会承認を行うわけにはいかないのではないかなと。アメリカなどに先駆けて批准手続を進める必要がないというふうに私どももある意味で考えるんですけれども、あえて、それとも率先して日本の方が批准をしてリーダーシップをとるべきなのか、この二つの意見があると思うんですけれども、どちらにくみするというか、どういうふうにその辺についてはお考えなのか、外務大臣お聞かせください。

河野洋平自由民主党外務大臣

○河野国務大臣 先ほども申し上げましたように、関係国はそれぞれこの協定の批准承認につきまして誠実に国内手続を終了して、明年一月一日の発効までに準備を整えるということを各国それぞれが確認をしているわけでございまして、その点については、我が国もまた誠実に国内での手続を終えて、一月一日にスタートできるように準備を整えるということがまず必要であろうというふうに思います。

吉田治改革

○吉田(治)委員 万が一の話を、イフの話をするのはいかがかと思うんですけれども、もしもそのときにおいてアメリカがこの批准をなされていないというふうになった場合、日本がどういうふうな対応をとるのか、その辺のシミュレーションなりをしておるのでしょうか。

河野洋平自由民主党外務大臣

○河野国務大臣 御承知のとおり、世界の貿易のルールを定める、こういう問題でございますから、アメリカは、世界の貿易量から考えましても最も主要な国でございます。アメリカがこの協定に参加をしないということになれば、このルールはその持つ意味が減ってしまうわけでございまして、私どもとしては、そうした事態が起こるということは想定をいたしておりません。アメリカは必ずこの協定に参加をして、スタート時点から、この協定の発足時からアメリカは当然メンバーとして活動をするに違いない、こう考えております。  御指摘のように、そうした事態を想定することは、外国の議会とか外国の方針をここで云々することはいかがかと思いますが、私としては、アメリカもまた最大の努力をして、一月一日スタートに向け準備を整えられるものとそう確信をいたしております。

吉田治改革

○吉田(治)委員 ずっと貿易立国というお話をなさってきて、日本は貿易しなけりゃ生きていけない国、また、輸出大国でありながら、一方では農産物においては非常なる輸入大国であると。世界じゅうの米市場が約四億トン、日本の米市場が約一千万トンという中において、日本も、米だけじゃなくていろいろな農産物で輸入大国になってきている。また、工業製品は輸出大国になっていると。ある意味で、自由貿易体制というふうなものの恩恵が一番受けられているのは日本であると思いますし、また、中学校、高校のとき私が習いました公民の教科書においても、貿易立国だ、IMF・ガット体制だというふうなことを徹底的にたたき込まれた世代といたしましては、これは、句としてでもWTOの批准は絶対に行わなければならないと思います。ただ、日本が行うだけじゃなくて、先ほどから申しておりますように、欧米の国々、またできれば発展途上国の国々もあわせてこれを批准するべきだと思うんですけれども、外交的な努力としてこれらの国々に何かをなさっているのか。一緒に批准しましょうという形でしているのか、いや、それはもう各国の内政の問題だからしていないと言われるのか、その辺の御所見をお聞かせいただきたいと思います。

河野洋平自由民主党外務大臣

○河野国務大臣 過般行われましたAPECにおきましても、御承知のとおりインドネシアのスハルト大統領のイニシアチブで、ああした自由化に向けて大きな方向性が打ち出されるという状況でございます。当然、インドネシアは既にWTOの準備を整えておられますが、アジア諸国におきましても、準備には極めて積極的かつ誠実に対応をしておられるというふうに、私ども、APECの席上、各外相との話し合いの中でそうした状況を伺っております。  四極通商会議におきましても同じようなことがございますし、世界各国ともに、この百二十五、国と地域でございますか、いずれもこの協定発足に向けて努力をしておられるということでございまして、私どもがどこか外国に向けて何かをするということもさることながら、我が国国内におきますこの協定の準備を整えるために最大の努力をすることが何より大切だというふうに思っております。

吉田治改革

○吉田(治)委員 WTOの協定批准については、以上大体理解されていくところでありますが、やはり飽くなき外交努力をしていただきたいと思いますし、総理にも、ぜひともいろいろな機会を持って、諸外国に対して総理みずからいろいろ働きかけをしていただきたいと思いますが、その辺の決心というのですか、決意のほどをちょっとお聞かせいただきたいと思いますが。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 先ほど来意見がございますように、これは加盟している国が、また未加盟の国もすべてそうしたルールをしっかり守って自由貿易体制が確立されていくことが大事なので、今外務大臣からもお話がございましたように、サミットにおきましてもあるいはAPECにおきましても、一月一日に発効できるように足並みをそろえて皆さん努力しましょうやというようなことは、もうそれぞれの意見交換の中で申し上げてきたところでありまして、これからも外交ルートを通じていろいろな機会を活用しながら、全体として前向きで進むように政府としても努力をしていきたいというふうに思います。

吉田治改革

○吉田(治)委員 今、ガット加盟、未加盟というお話が出てまいりました。未加盟国の中で非常に大きな地域というんですか、政府の見解としては、台湾の問題が出てくるかと思います。  九三年の日本と台湾の貿易というのは、ドルベースで、輸出が二百二十億八千百万ドル、前年比の四・四%増、輸入が九十六億七千八百万ドルとなっておりますように、この台湾と日本との関係というのは、この数字でもおわかりのように、非常に大きなものであります。たしか、私の記憶に間違いなければ、日本の貿易相手国としては中国と並ぶ、第四位か第五位ぐらいだったと思うんです。それぐらい大きな貿易相手国であります。経済的にも非常に大きな影響を持っている国でありますけれども、この台湾においても、ガットの作業部会が作業を開始して、ガット参加を目指していると聞いております。台湾だけじゃなくて、同じく、同じだけの貿易量ですから、人口からすると台湾の方が物の数、中国には比例できないんですけれども、この中国及び台湾のガット加盟について、政府の基本方針並びに現状分析というものをお聞かせいただきたいと思います。

河野洋平自由民主党外務大臣

○河野国務大臣 御指摘のように、近年目覚ましい経済成長を遂げつつございます中国、台湾、これらは国際経済と整合性のとれた方向に進んでいってくれることが、国際経済にとっても極めて重要でございます。また、これらの主要な貿易相手である我が国にとっても、このことは極めて重要なことだと思います。  こうした観点から、我が国は、御指摘の中国、台湾のガット加入を基本的に支持するという立場でございます。ガットは、国際貿易の権利義務関係を規律するものでございまして、中国、台湾がガット上の要請を満たし、加入プロセスが進展するということが大事なことは言うまでもございません。ぜひこうした点、条件を満たしてほしいというふうに私ども考えているところでございます。

吉田治改革

○吉田(治)委員 そういうふうに政府の認識を持たれる中で、村山総理、総理はAPECの席で江沢民中国国家主席とお会いなくって、来年のAPEC、私どもの地元で開かれまして、会場が私どもの家から五分のところでございまして、そういう身近なところで行われる会議、また先ほど言いましたように、大阪は商業の町、ずっと昔から中国、アジアとの貿易というのは非常に盛んな地域でございます。そこにおいて、報道によりますと、また先日の委員会によりますと、台湾の李登輝総統をお招きしないというんですか、来ていただくのをお断りするとかいう発言が報道されておりまして、それほど日本にとって大きな相手国であり、また世界の経済の中では外貨準備高ですとか、フォードラゴンズと言われる台湾というふうなものを、もうはなから、いや、日中共同声明で日本は一つの中国しか認めていないからということだけで台湾の李総統出席というものをお断りするというんですか、来ていただかないという方針を持つのはいかがかと思うんですけれども、まず最初にお聞かせいただきたいのは、どういう認識を持たれているのか、また来年、一年に四回も総理がかわってきました日本ですから、来年のことを言ったら鬼が笑うというのはそうかもしれませんけれども、もしもこのまま続いたとして、総理としてどういうふうにお考えなくるのか、その二点、お聞かせいただきたいと思います。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 来年はAPECが大阪で開かれることになりますが、今お話聞きますと、何かずく近くだそうで、準備やら警備やら何かとまたお世話になるかと思いますけれども、よろしくお願い申し上げたいと思います。  これは今御指摘もございましたように、日中共同声明や友好条約等によってその基本原則が決められているわけですね。したがって、その基本原則を踏み外すことはできませんので、これは私は江沢民主席とお会いしたときも申し上げてありますけれども、その約束事は必ずきちっと守りますと。したがいまして、大阪で開かれる場合は、昨年シアトルで行いましたし、ことしまたインドネシアであったわけでありますけれども、そのあり方をそのまま踏襲をしてまいりたいというふうに申し上げてあります。

吉田治改革

○吉田(治)委員 具体的に言っていかがかと思いますけれども、じゃ、李総統については今度のインドネシアが行われたような形でするということでしょうか。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 今申し上げましたように、昨年のシアトル、ことしのインドネシア等々の経緯も踏まえて実施をしていきたいというふうに申し上げてあります。

吉田治改革

○吉田(治)委員 本当に基本原則はよくわかるんですけれども、これだけ経済、経済という形でグローバリゼーションですとかボーダーレスという中で、中国との関係もおありでしょうけれども、その辺は基本原則というのを、日中友好もう二十年ですか、なってきましたら、もう一度考え直す時期にも来ているんじゃないかと。あの二十年前というのはやはり冷戦構造というのもありましたし、毛沢東という方、周恩来という方も生きていらっしゃった時代ですし、その辺はもう一歩踏み込んで、これだけ経済の時代になってきた世の中において、世界において、やはり台湾の位置を今のままにしておく、現状のままでもういいじゃないかというのはどうかと思うんです。いかがでしょうか。

河野洋平自由民主党外務大臣

○河野国務大臣 ちょっと私から申し上げたいと思います。  十分委員御承知のとおり、APECの閣僚会議には台湾は経済担当、貿易担当の閣僚が出席をして、これはもう非常に活発な議論をしておられます。しかしながら、今御指摘の問題はいわゆる非公式首脳会議の問題だろうと思います。非公式首脳会議は、恐らく私の思いますのに、シアトルで最初のルールといいますか、パターンがスタートをしたわけですが、それらは恐らく主権国家のリーダーが集まる、こういうことであったのだろうと思います。したがいまして、もちろん経済的に大きな単位を持つ台湾とか香港とか、こういった地域が閣僚会議のレベルで代表を送り込んで、経済、貿易に関する議論をするということは現在でもやっておりますけれども、非公式の首脳会議といういわば政治的な色彩の強い部分には主権国家のリーダーが集まる、こういう認識でシアトルでそのメンバーが集まった、それが今回のボゴールでも踏襲をされたということだろうと思います。先ほど来総理御答弁のように、そうしたことを踏まえて大阪でも対応をするということになるだろうと思います。

吉田治改革

○吉田(治)委員 たしか私の聞いている範囲では、ジャカルタのときには断られるという前提のもとで招待状を出したというふうに私はちらっと聞いたんですけれども、違っておりますか。違っておったら結構ですけれども、やはりそういうふうなことも私はちょっとあえて考えていくべきだと思います。  直接関係はないかと思いますけれども、日本が戦後ここまで来れだというのは、戦争の賠償責任というものをほぼ免責された、その免責するためにだれが発言したかというと、二人いられる。セイロンの首相と当時の中華民国の蒋介石総統だ。この二人が、日本の行ったことについては非常に腹立たしい、こういうことは非常によくないことだけれども、しかし、それだからといって対日賠償は請求しないというふうなことを述べられて、また日本を分割統治もしないというふうなことを蒋介石が言われたということだけは、歴史的な経緯として私は重きを置くべきだと思います。その後継である台湾というふうな国について、私はある意味で今日の日本を考えた場合に、特別な思いだとか特別な取り扱いをしてしかるべきではないかなと意見を述べさせていただきたいと思います。  次に、ウルグアイ・ラウンド妥結による農業のあり方について、農水大臣並びに総理の御所見をいただきたいと思いますけれども、こういうWTOの批准によりまして、農作物はある意味での総輸入自由化という形になっていくと思います。特に、関税化対象になっております乳製品、繭糸などは大きなダメージを受けて、構造転換というものを迫られていると考えますけれども、総理、この辺の二つのことについての認識というものですか、それをお聞かせいただきたいと思います。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 前段私からお答えさしていただきます。  ただいま委員がおっしやいましたように、米に対する特別取り扱いを除きまして、すべての農産物が関税化をされたわけでございます。ただ、関税化については関税相当量を、内外の価格差を前提といたしまして、ある意味では相当高い水準で設定されました。もちろん実施期間中に一五%の削減がございますけれども、一応相当な高い水準でございます。したがって、短期的に見ますと、その影響は必ずしもない、そう懸念はされない。ただし、今もお話ございましたように、中長期的に見ますと、国際市場の影響が国内市場に参るということでございます。  今御指摘の乳製品と生糸につきましては、今度提出している関係法案には、国家貿易としての事業団が介入いたしまして、国際的に承認を得た範囲で差益を徴収して国内価格との調整を図っておるという点もございますが、今後の中長期に見ますと、やはりコストの安い乳製品なり生糸生産ということのための可能な農業構造の改善、これを推し進めることが今回の国内対策のポイントでございます。

吉田治改革

○吉田(治)委員 先ほど来申しておりますように、輸入農産品の増加ですとか今言われた国内農業の構造変換等によって、農産品の多かれ少なかれというものが価格変動の波にさらされるというんですか、そういう中において、国民生活という部分、先ほど申しました川上、川中、川下、くまざまなレベルがあると思います、そういう部分にさまざまな影響が出てくると思うのですけれども、その辺の総理の認識、どういうふうな認識を持たれているのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 今農林大臣から答弁がありましたように、短期的にはある程度の水準の関税が維持されると思いますけれども、中長期的に見ますと、やはり競争が激化する、輸入がふえるというような傾向も出てくると思いますし、為替レート等の関係もあって、相当の影響を受けるんではないかということが想定されます。  それだけに、そうした内外の状況に対応できるような日本の農業をどうつくっていくか、ある意味ではそういう価格競争にも勝ち得るような、これは米は別ですけれども、米以外の農産物が耐え得るようなものをどうつくっていくかということが私はこれからの課題だというふうに思いますから、生産者、消費者等々の総合的な立場に立って、これからの対策を十分そごのないように推し進めていくことが大事ではないかというふうに考えています。

吉田治改革

○吉田(治)委員 そういうふうにお聞かせいただいておるのですけれども、じゃ、農水大臣、初日の発言の中で、答弁の中で、非常に都市住民にとって大切な農村という発言があったと思います。これがちょっとわからないのです、私にとって。お答えいただきたいと思います。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 消費者と言いかえてもよろしいのでございますが、やはり食糧の安定供給という点で、これは国民、消費者全体のものであろうというふうに思っておりますし、また消費者に対して良質、安全あるいはリーズナブルと申しますか、適切な価格で供給を申し上げるという点も農業の大きな役割だという点だと思います。  もう一つは、国土、環境の保全、これについては農林業の役割は非常に大きいわけでございまして、その点もございますし、また、農林業の支えになっている農山村地域、これについては都市住民が保健休養とか、特にこのごろは、グリーン・ツーリズムというような、農山村滞在型の余暇活動をしたりというようなこともございまして、我々農業サイドもやはり全体としては国民のものだというふうな意識を持って今後努力をいたさなければ相ならぬ、そういうふうに思っています。

吉田治改革

○吉田(治)委員 そういう農水の考え方のもとに、ガット・ウルグアイ・ラウンドの合意を受けて、今後六年間、国内対策費として、先ほどから申しておりますように、農水並びに自治省合わせて七兆二千百億円ですか、本当に、多いというのか少ないというのか、私らみたいな者からすると、非常にとんでもない数字だなというふうな予算を計上されておるのですけれども、総額七兆円といいますと、先ほど申しましたように、国民一人当たり、赤ん坊からお年寄りまで入れられて、大体七万円、税金をこれから負担していただく、打ち出の小づちがあるわけじゃありませんから、回り回って国民一人当たり七万円というものの負担という形になっておるわけです。  その中において、先ほども申しましたけれども、地元へ帰りますと、これだけお金をかけて果たして農産物が安くなるの、農業というのは日本の農業生産性にうまく合致していくの。また、ある人は数字を持ってこられて、吉田さん、農業の日本のGNPに占める割合は何%か知っているか。何%や。一・八%や、そんなのにそれだけお金をかけていいの、それよりももっと次世代の産業の種という方にお金をかける方がいいんじゃないのというふうな声も非常に出てきております。  そういう中において、これは総理と大蔵大臣にお聞かせいただきたいのですけれども、この予算というふうなものが国民に了承という形、そういう言い方、表現がいいかどうかわからないのですけれども、どういうふうに思われるか。そして、どう理解していただくようにこれから努力をなさるのかということをお聞かせいただきたいと思います。  なぜかといいますと、昭和三十年代、四十年代というのは、地方から、農村からたくさん都市に人が就職のために入ってこられました。その人たちというのは、もう今五十代、六十代、私たちの父親の世代になっております。その方々は、農村に対してお金を入れるということは、自分が、その人たちのお父さんが、農村での農業の非常な大変さというのを見ていられますから、なるほどと納得しますけれども、私たち子供の世代になってきますと、田舎へ帰る、農業地へ帰るというのも年に一回あるかないか。そうして、都会で働いできますと、源泉徴収票を見て、何でこんなに税金が多いんや、何でこれだけ取られるんや。その一方で、農業だけがなぜそれだけお金をかけられなくちゃいけないんだ、うちの会社はあしたにも倒産する、リストラだ、リエンジニアリングだと言われている中において、何で農業だけがこれだけの、保護と言ったら語弊があります、これだけの補助をくれるのかということをやはり率直に思っている人が多いと思うのですけれども、そういう人たちに対してどういうふうに説明をなさり、どういうふうに納得していただくか、これは総理と大蔵大臣、両方にお聞かせいただきたいと思います。

武村正義新党さきがけ大蔵大臣

○武村国務大臣 農業をどう見るかによって結論は変わってくるのではないか。  農村で農業をやっている方も、大阪のビルの中で生きておられる方も、やはりしょせん食糧というのは絶対に欠かせない、生活の基本になる、生活というよりも人間が生きていくための基本になる物資であります。それをどう、先ほど来議論いただいておりますように、良質で安価でしかも安定した形で供給がなされるかということは国民全員の大きな関心事だと思うわけですね。  問題は、国内で、この日本の大地で生産を主としてこれからもしていくべきか、いやもう比較生産の論理からいって、自由貿易だからまあこだわらないで、安いものはどんどん世界から受け入れて自給率がどんなに下がってもいいという割り切りをするかという、この判断だと思いますね。  世論調査を見ております限りは、都市の方でも、私なんかも自分の講演会で議論をしても、大津や団地の奥さん方を集めても、やはり農業の必要性というものはある程度わかっていただくと、ほとんどがやはりこの日本で少々高くても、農家の皆さん御苦労だけれどもしっかり主な食糧は生産してもらいたいという声が大半だと私は認識しているのですよ。これは、吉田さんが大阪でどう説かれるかによって世論は変わると思いますが、ぜひそういう視点でこの六兆円の予算も、七兆二千億の予算の内容も説明をしていただきたいというふうに私は思っております。  農業だけにとおっしゃるが、そんなことでは絶対ありません。これは、この数字を決して軽いと言えませんが、一年に割れば一兆円。六百三十兆円という大きな公共事業全体の基本計画も先般発表したばかりでございます。そういう意味では、平均すれば年間数十兆円ぐらいの公共投資の中でこのいわば前向きの新しい事業、ガット・ウルグアイ・ラウンドに対応する大規模な圃場整備とかそういうことに焦点を合わせて、まあ六年間で六兆百億円の予算を予定しますということを政府としては決定させていただいたということでございますから、どうでしょうか、これではらまきとかむだなことに金を使っているとかいう印象だけはぜひ取り除いていただけるように、政府としても精いっぱい今後努力をしていきたいと思っております。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 今大蔵大臣から答弁したことでもう尽きるんではないかと思いますけれども、今委員からも過去の農村との関係を振り返ったお話がございましたけれども、日本が戦後から立ち直りを示すときに、産業復興で、産業を興すというので、労働力が不足してますから農村からどんどん労働力が駆り出される。で、都市に出て働く労働者は食糧がないというので、農村から食糧を送るというようなこともあって今日の経済の発展の基礎をつくってきた。私はある意味では、そういう意味で果たした農村の役割は大変大きいと思うんですね。しかし、そういう意味からしますと、農村というのは都市のやはり生産を支える大きな基盤になっておるというふうに言えないこともないと思うんですね。そんな意味では大変大きな役割を果たしておると思いますし、同時に、どういう事態になろうともやはり安全な食糧を安定的に供給できるようにしていくというのは国の責任ではないか、基礎的な私は責任だと思いますね。  そういう意味から申し上げますと、単に、農業をどうするかという問題は生産農民だけの問題ではなくて国民的な課題だというふうにやはり理解する必要があるのではないか。その農村をウルグアイ・ラウンド受け入れ後どのようにして守っていくかということからすれば、私は、国民にとっても大事な課題であるという理解と認識を持って当たっていくことが大事ではないかというふうに考えておりますから、皆さん方の御理解もいただけるのではないかというふうに思います。

吉田治改革

○吉田(治)委員 本当におっしゃられる意味よくわかりますし、また国民の方も、総理府の九三年十一月の調査では、国民の七一%が日本の食糧事情について不安を感じているという結果も出ておりますし、それはやはりとりもなおさず、カロリーベースの自給率が一九六〇年に七九%あったのが九一年に四六%、穀物自給率が八二%から同じく二九%に落ちでいるという、こういう情報がどんどん国民の方にも新聞等を通じて流れでいっている。  やはり情報というもの、情報化社会と言われていますが、それを通じての国民の不安感というのも大変だと思いますし、かえって、それだからこそこの情報を通じてこの七兆円の必要性というものを訴えかけていただきたいと思いますし、本当に必要なものであれば国民も喜んでその負担をすると私はかたく信じております。しかしながら、この七兆円の実際の内容を見ていきますと、ちょっとどうかなと思う部分も何かございます。  例えば、公共事業費であります農業農村整備事業が三兆五千億円と、これは六〇%を占めております。これだけ膨大な税金を投入して農村地域の公共事業を実施するということが本当に日本農業を育成発展させることなのかどうか、また、これが長期的展望に立った農業政策ですよと、反対に国民の皆さんに、だからお金よろしいですかと言えるかどうかということがどうかと思うのですけれども、農水大臣、いかがでしょうか。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 総事業費、国費ベースで、事業費ベースで六兆百億円、それから地方財政措置が一兆二千億円でございまして、六兆百億円のほぼ半額が、半分が国費でございまして、そのほか受益者負担その他もあるわけでございまして、その点はひとつ申し上げておきたいと思います。  それから実は、このたびの、新しい農業構造をつくって国際的な競争力に耐えるという場合に、いかなる経営を育成するかということが、これが国民的な理解を得る大きな問題だと思います。それで、経営感覚にすぐれた安定、効率的な担い手、これをどうしても早急につくり上げなくちゃならない。そのために各般の施策を講ずるということで、ほかにも今度の国内対策では、農地の流動化を極めて促進して、集積する、そういう経営に。それから、過去の借金の重みで動けない、前向きになっている経営に対してはその負担の軽減を図るとか、さらには、何と申しますか、後継者の確保とかいろいろな対策を講じて、その一環として一番生産性向上の基盤になるのは農村の圃場整備等の農業農村基盤整備事業だということで、これに重点を置いたわけでございまして、今度の政策の全体の体系の一環だと。金額は張りますので非常に目立ち、御批判もありますけれども、そういう新しい農業構造をつくるための大きな手段だというふうに委員御理解を願えればありがたいというふうに思っております。

吉田治改革

○吉田(治)委員 こういうふうに景気刺激策として相当公共事業を前倒しでやっておられる中にまたこの新たな公共事業という、こういうふうな、まあ公共事業さえやっておけば十分だ、そのためには基盤整備だ基盤整備だという形のやり方はどうもちょっと、前近代的と言っては語弊がありますが、前時代的と言ってもどうかと思うのですけれども、やはりもうちょっと発想をいろいろ考えていただいて、例えば村山内閣になってから公共料金の値上げという中で、高速料金を上げるというふうな、非常に話題というか論議を呼んでおりますが、やはりこの高速料金一つとりましても、先ほどの川中の発想、卸の皆さんにとったら、産地から持ってくる、そこからやはり今はトラック輸送が主でございます。そうしますと、高速料金が上がるということは、回り回ってやはり消費者の食品まで上がっていく、農産品まで上がっていくというふうになってまいります。それを、まあ反対言ったら、どう解決していくかとか、そういうふうな発想も持っていただいた方が、やはりいつまでも公共事業、公共事業、これは余りいい例えじゃないかもしれませんけれども、どうも農村へ行くと家の前までアスファルトを敷いている、車一日何台通るのというふうな議論をされる方もいらっしゃいますので、その辺の見解というふうなものをもう一度改めてお聞かせいただきたいと思います。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 お答え申し上げますが、この数年、景気刺激のために公共事業を中心とした刺激策が講ぜられたことは御承知のとおりでございますが、このたびの農業農村基盤整備事業につきましては、その生産性の高い経営をつくるための基盤ということで、その事業に限定いたしまして、大区画圃場整備等を中心とした事業あるいは畑作地帯においても同様、あるいは中山間地帯においてはやや土地条件が制約がございますからそれにかなった事業というように、それぞれ事業を積み上げまして、重点的にやって、また一方では消化能力も当然でございますが見なければ相ならぬ、それらをあわせて決定したわけでございまして、景気刺激策の公共事業とはあれを異にするものであるというふうに思っております。

吉田治改革

○吉田(治)委員 必要な農業対策を国民の皆さんに納得していただいた上で実施するためにも、できたらこの三兆五千億というのは見直しをしていただきたいと思いますし、日本農業の育成発展のために、もっとある意味で納得の上で費用を充実させていただきたいと思いますけれども、この辺について総理と農水大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 重ねての御意見でございますが、私どもとしては、国内対策につきましては、各般の方面、まあ当然与党等の各般の御意見等も十二分にちょうだいいたしまして、また背くん方の、野党の皆さんにも説明の機会があったと思いますが、議論を重ねまして最善の、現在においては最善の対策ということでやらしていただいたというわけでございますので、御了解願います。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 先ほど来御議論がございますように、ウルグアイ・ラウンド後の日本の農業をどう維持発展をさせていくかという、基盤をどう確立するかという大事な仕事でありますし、それからまた、この国土全体を均衡ある発展をさせていくという意味からも、農村のあり方を考えていくということは極めて大事なことだというふうに思っておりますが、せっかくの御意見でもありますから、そういう点も十分踏まえながら効率的に、効果的な施策ができるように推進をしていきたいというふうに思っております。

吉田治改革

○吉田(治)委員 もう時間ですので、最後一言だけ申し上げたいと思いますけれども、この農業の問題、特に食糧という形は、やはり人間食べる量が知れておりまして、私のような者でしたら人の三倍、四倍、私のような国民ばっかりでしたら日本の農業ももっと発展していっていいかなと思うのですけれども、なかなかこう、だんだん細い人たちが中心になってまいりまして、スリムとダイエットという言葉がありますけれども、そういう中におきまして、やっぱり食べる量が限られている、消費量がもう決まっている、その中のある意味ではゼロ・サム・ゲームという部分もあると思います。  その辺はよく御認識していただきたいということと同時に、やっぱり先ほどから消費者、消費者という話を申しましたが、日本の米の生産量はたしか一千万トン、去年が冷害で七百万トンでパニックに陥った。資料を調べておりますと非常に興味深いのが出てきまして、日本の残飯量が幾らかといいますと一千万トンだ、これを途上国に持っていきますと、それこそ途上国で五万人の人を飢餓から救うことができる。やはり私たち国民もそういうこと自身を認識する必要があると思いますし、政府におかれましても、そういうことをよく認識されてPR尊していただかなければならないんではないかなと思っております。  以上で質問を終わらせていただきます。

佐藤孝行自由民主党

○佐藤委員長 吉田君の質疑は終了いたしました。  次に、鮫島宗明君。

鮫島宗明改革

○鮫島委員 改革の同僚議員のお許しを得て、主としてウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策を中心にして質問をさせていただきたいと思います。  先日、同僚の松田議員が指摘したように、この七年間の百二十五カ国が参加して新たな自由貿易の枠組みをつくる、そのための新たな国際貿易機関が設置されるということのその歴史的意義というのは、私もまことに大きいものだというふうに認識しております。我が国にとりましても、貿易立国を基本とする立場から、今日本がどのような時期にあって、どういう考え方でこの新たな経済の枠組みというのを受け入れるのか、あるいは新たな環境にどういうふうに日本が対応していくべきか、その骨格をつくる大事な時期に来ているのではないかという気がします。  我が国は資本力、技術力、経営力、まあ今がピークの時期にあると言ってもいいと思いますけれども、ある意味ではこれまでの成長の枠組み、これまでの成長を支えてきた経済、金融の枠組みからなかなか脱却できないで、成長に陰りが出ているということも一方で確かな事実であります。この基本的に今まで我々が体験したことのない地球市場とでもいうべき広大なマーケットが形成されて、各国が公正、同じルールのもとで競争を行うという時代に突入するわけで、人によっては、明治維新それから終戦に次ぐ第三の開国というふうに今の時期をとらえている人がいることもよく御案内のとおりだと思います。特にこの新たな経済環境への移行についてはすべての産業分野に影響が出るわけでございますけれども、特に農業の分野にその影響が大きいということから特別な関連対策が打たれているものというふうに認識しております。  先ほどの吉田議員の立場と私も一部共通するわけですけれども、私の選挙区は東京五区でして、豊島区と練馬区を含んでおりますけれども、豊島区には既に農業はございません。二十三区の中で緑地面積が最も小さくて、一人当たり○・六平米の緑しか持っていないというのが豊島区の特徴です。一方練馬区は、東京の中では世田谷区と並んで農業が盛んと言われておりますけれども、それでも生産緑地の総面積は二百四十ヘクタール。農家人口は○・七%。つまり東京五区全体としては九九・五%がやはり非農家でありますから、こういう関連対策を打つに当たっても納税者である非農家の人たちに対する十分な了解というのを得る必要があるのではないかと思います。  特に、農業以外でも、例えば豊島区、練馬区には個人経営の商店あるいは下請の中小のメーカーたくさんございますけれども、OA機器の部品生産あるいは自動車の部品生産を受けている下請の中小メーカーというのは、この産業空洞化の動きの中で、この一年だけ見ても大変厳しい状況に置かれています。また、個人経営の商店は、大店法の規制緩和なんかもあって高齢化、後継者の不足、それから第二種兼業化、つまりその商店だけでは食べられない第二種兼業化という流れが商店街を襲っていまして、ある意味では農業と同じような難しい状況に置かれている。  こういう方々に、やはり農業が、今まで特にまあ一部分ですけれども統制経済的な状況に置かれていて、今度環境が激変するのでこういう関連対策を打つのだという趣旨だと思いますけれども、やはりほかの分野の方々も大変大きな環境の変化にさらされて、みんな知恵を出し合いながら生き延びていかなければならないという状況の中では、納得のいく説明をほかの産業分野で働く人たちに対してもする必要があるのではないかと思います。  これまでの農業政策の論議、これは国会あるいは委員会の論議も含めてですけれども、どちらかといえば生産者サイドに立った論議が中心で、消費者あるいは都市生活者の立場から見た農政についての検討はどちらかといえば不十分だったのではないかという気がしております。  いろいろ都市の側にも誤解があって、そういうことが無用の対立を招いているということがあると思いますけれども、私は幾つかの事実関係について確認したいと思うのです。  一般的に農業といいますと、特に評論家の方々とかあるいはマスコミの報道なども含めてですけれども、大変規制の強い産業とか統制色の強い産業分野というふうに思われています。これはある意味では誤解がありまして、もちろん米、麦、甘味資源、あるいは価格安定策がとられている農業分野についてはそのような評価も当たるかもしれ・ませんけれども、一方で最も市場原理の働いているのもこれまた農業分野であることは事実でありまして、特に花、蔬菜、果実といった分野についてはむき出しとも言える市場原理が働いている。時々キャベツや白菜がとれ過ぎて、流通の経費を考えるとそのまま畑にすき込んだ方がいいということがニュースになりますけれども、激しく価格が乱高下するというむき出しの市場原理が働いているというのも一方の農業の特徴であるというふうに思います。  ですから、必ずしも農業全体が保護されて規制の中にあるわけではなくて、むしろ食管の枠の中にあった主要穀類を生産する土地利用型の農業というのが手厚く保護されてきた統制経済的な状況に置かれていたのではないか。したがって、新たなWTO体制への移行についてもこの分野が一番環境の変化を迫られるわけでして、やはり関連対策としてはどうしても米生産対策が中心にならざるを得ないのではないかというふうに認識しております。  ただ、議員の、与野党含めてですけれども、農業問題についてはいろいろなお考え、いろいろなお立場があることは周知の事実ですし、出身地域、都市地域出身の議員の方あるいは農業地域出身の議員の方でそれぞれお考え、御意見も違うというのも無理からぬことだと思います。  ただ、今、この大きな時代の変換期に当たって、少なくとも三つの原則だけは踏まえて私も質問を続けたいと思います。  その第一番目は、我が国はマラケシュ条約の批准を進め、WTO体制への円滑な移行に主体的な役割を果たすというのが第一点目です。それから第二点目は、ガット・ウルグアイ・ラウンド合意により環境の変化にさらされる農業、農村については、国土・環境保全、地域文化の伝承と発展、健全な食糧、一次産品の供給確保の観点から、より一層の活性化を図る。それから三番目については、これまで軽視されがちだった都市と農村の相互理解、生産者と消費者との相互信頼を深め、命をはぐくむ産業としての我が国農林水産業の体質強化を目指す。この三点については、恐らくその立場の違いを超えて皆共通の土俵で建設的な論議が行われるのではないかというふうに考えております。  ただ、なかなか農家の実態というのは都市の生活者の方から見えにくい面がありまして、まず、私どもも一番選挙区で聞かれるのは、農家は弱者なのかという質問をよくされます。  例えば、農家と勤労者世帯との所得比較、これは平成四年の数字ですけれども、世帯の可処分所得で比べると、農家全体の平均が七百三十四万、それに対して都市勤労者の世帯の可処分所得五百七十二万、約百五十万の差がある。世帯一人当たりの可処分所得で見ても、農家の全国平均が百七十万、勤労者の平均が百五十五万。純貯蓄、貯蓄から借金を引いた、返済分を引いた純貯蓄ですけれども、農家の平均が二千三百六十三万、都市の勤労者の平均が八百七十六万。この純貯蓄、就業者一人当たりで見ても、農家が九百四十一万、勤労者が五百二十八万と、あらゆる家計の経済指標で農家の方が上回っている。  ただ、農家と一般的に言っても、専業農家、第一種兼業農家、第二種兼業農家で大分その経済状態が違っていて、先ほど農家の可処分所得平均が七百二十四万と言いましたけれども、専業農家は三百五十万、第一種兼業農家が七百八十九万、第二種兼業が七百九十万、二倍以上の開きがある。したがって、同じ農家といっても、専業農家は大変苦しい立場に置かれていて、ある意味では弱者と言えるのかもしれませんけれども、第一種兼業農家、特に第二種兼業農家については、都市生活者から見て果たして弱者と言えるのかどうかというのは常識的に考えて素直に納得できないということがあるのではないかと思います。  それから、申告納税者の所得種類別申告納税額の構成割合で見ましても、いわゆる農業セクターといいますか農業所得の納税額は、平成四年、平成五年とも約四百億で、これは所得税全体の一%。そういう状況がありますし、また特に第二種兼業農家の農業所得というのは総所得の大体五%から八%、つまりほとんどの収入源は農外所得に負っている。  こういうのが農家経済の実態ですから、農業サイドに対する補助あるいは農業の支援策を考えるときに、やはりこういう現状を踏まえて、これが都市の勤労者からどう見えているのかということを踏まえて、十分納得のいく説明をしていただきたいというふうに思います。第二種兼業農家というのは、農業の側から見れば経営面積が狭くて農業だけでは生活できない農業者ということになるのでしょうけれども、都市側から見ると、いわば資産持ちのサラリーマンというふうに見えるということもこれは事実であります。  このような経済的な情勢の中で、今回巨額の関連対策を打つわけですけれども、この大義名分と申しますか、もちろん閣議了解もあるし、政府がお約束したことだから当然十分な関連対策を打つということは一つの理由でしょうけれども、動機といいますかねらいというか、大義名分についてどのようにお考えなのか、総理の御所見を伺いたいというふうに思います。何のためにこの関連対策を打つのか。何のために。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 今いろんな分析をされた結論として農家は弱者なのかどうかというお話がございました。これは、今御説明もございましたように、専業農家、第一種兼業農家、第二種兼業農家、それぞれによってあり方は違うと思いますから、全般的に平均して申し上げればそういうことになるのかもしれませんけれども、やはり農業というのは自然を相手に、自然に働きかけて行う産業だけに、例えば豪雨とかあるいは干ばつとかあるいは冷害とかいろんな自然災害を受けやすいというような意味から申し上げますと、なかなか計画的に生産ができにくい要件があるという弱点があるのではないか。  同時に、今の現状を見ますと、例えば高齢化が進んでいるとか後継者がなかなか見つからないとか、あるいはまた過疎化がどんどん進んでいくといったような状況もあらわれておりまするし、とりわけそういう現状の中でウルグアイ・ラウンドを受け入れて国際競争場裏にくらされていく、こういうことから考えてまいりますと、これは私は、弱者という言葉よりもむしろ大変これからは厳しい環境に置かれていくことになるというふうに受けとめて理解をしていただいた方がいいのではないか、こういうふうに考えております。  そういう状況に置かれておる農業というものを一体これからどうしていくのかということからも申し上げますと、先ほど委員からも御指摘がありましたように、あの三点の視点というのは極めて私は妥当な、だれもが賛意を表するものではないかというふうに私も受けとめておりますけれども、そういう視点に立ってこれからやはりこの日本の農業を見ていく、日本の農業を立て直していくということが大事ではないかというふうに受けとめて理解をしたいと思います。

鮫島宗明改革

○鮫島委員 この関連対策が農家救済というような福祉的視点を中心に行われるとしたら、これはどこの産業分野でも悲惨な例を持ち出して競争したら切りがないというところがありまして、やはり大筋としては、あくまでも農業の産業としての自立を図るための措置だということを踏まえていただかないと、いろんな例を、周辺の例を持ち出して言われても、全体としては必ずしも、特に兼業農家の所得は低くないということがありますので、あくまでも産業政策としてしっかりとした基礎を固めるための対策だというふうな性格づけをお願いしたいというふうに思います。  農業の特殊論ということがよく言われまして、ほかの産業と違って天候の影響を受ける、あるいは自然の中で天変地異にさらされるということで、ほかの産業とは違うということは言いますけれども、それは世界じゅうの農業がある意味ではそういう状況にあるわけでして、他産業と農業との比較という視点ももちろん必要でしょうけれども、この新たなWTOの体制に移行するに当たっては、やはり視点を、同じ農業を見る場合にでも、世界の農業と日本の農業という見方から日本の特質というのをつかんでいかないと、いろんな間違いが生じるんじゃないかと思います。  社会科の教科書なんかにも誤った記述がありまして、多分、小学校の社会科の教科書には、日本は国土が狭いので農業を行うには不利な条件がある、また高温多湿で病虫害が多発し、非常に我が国の農業は難しいというようなことが一般的に書いてありますけれども、これは砂漠の民から見たら大変不届き千万な表現の仕方で、日本の農業経営が零細なのは、土地が狭いというよりも経営面積が狭いから零細になっている。それで、あと、高温多湿で病虫害が多発しというのは、別の目から見れば、一年じゅう湿潤な気候に恵まれて大変生物活性が高い。一つの空間に、植物も昆虫も微生物も、多種類の生物が繁茂できる大変恵まれた環境にあって、したがって、農業を行うには高度な生態系の管理技術が要請されるというふうに記述するのが正確ではないかというふうに思います。  農業の産業としての自立を図る上で、他産業の例を見るまでもなく、国際競争力を強化していくためには、技術革新が極めて重要だと思いますけれども、総理がこの関連対策を本部長として考えるに当たって、この分野における技術革新の重要性というのをどんなふうにお考えになったのか、お聞かせいただきたいと思います。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 先に私からお答えくせていただきます。  国内対策につきましては、安定的な、効率的な望ましい経営体、新政策の言う経営体、これが農業生産の大部分を占めるような農業構造をつくる。それで、今、先ほどもいろいろ御議論が出ました各般の基盤整備その他を集中するわけでございますが、もう一つ大事なのは、やっぱり革新的な技術、これがやっぱり主軸に座らなければ相ならぬ。国なりあるいは都道府県、さらには民間の勢力を結集して、早急に生産現場に直結したような技術開発を行わなければならないということは国内対策にも示しておりますし、我々も新政策以来それらについての施策を進めておりましたが、くらにそれをアクセレートしたい、さように考えておるところでございます。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 生産性をどう高めて、今お話がございましたように、コストをできるだけ下げていくかという意味における技術開発というものも大事だと思いますし、それから、可能な限り消費者に受け入れられるような品質の改善をしていくという意味の技術改善ということも必要だと思いますね。  私は、生産と品質と、これは両面からその技術開発はどんどんこれから進めていかなきやならぬものだというふうに思いますが、今農林大臣からもお話がございましたように、これは単に国だけの問題ではなくて、市町村やらあるいは農業団体やら民間等の持っておるノウハウもやはり活用しながら、全体として技術的なものはもっと重視をして取り組まなきゃならぬ問題だというふうに私は認識をいたしております。

鮫島宗明改革

○鮫島委員 技術開発の重要性についての御認識を伺いましたけれども、先ほどの吉田議員の答弁の中で総理がちょっと、農業の産業としての自立を図るべきだけれども米はちょっと別だがというようなことをおっしゃいましたけれども、これは米生産も含めて産業としての自立を図り、国際競争力を強めるというふうに伺ってよろしいんでしょうか。いいかどうかだけ。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 私が米は別だと申し上げましたのは、米以外の農産物は全部関税化されてまいりますけれども、今度の合意の中では、米については六カ年間ミニマムアクセスを受け入れておるというふうに今申し上げたんで、それは別ですと、こういう意味で申し上げたわけです。それは米の分野についてもやはり同じように技術開発を進めて、できるだけこの国際競争に対応できるようなそういう農業をつくっていくということは当然だと私は思います。

鮫島宗明改革

○鮫島委員 農水省は、平成四年の六月に「新しい食料・農業・農村政策の方向」、通称新政策というものを打ち出して、水田を中心とした大規模経営の実現を目指してきたものというふうに解釈しておりますが、この新政策で目標とされている数値といいますか、合理化目標、投下労働時間あるいは生産コストを多分十年間を見越して試算をしていたと思いますけれども、この達成目標について、具体的な数値を教えていただけませんでしょうか。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 計数にわたるものでございますので、事務方から答弁をさせます。

高橋政行農林水産省大臣官房長

○高橋(政)政府委員 新政策に基づきまして、我々は主要経営部門につきまして経営展望を示したところでございます。  それにつきまして申し上げますと、大体、稲作につきましてはコスト、労働時間、現行の水準に対しまして五割ないし六割ぐらいの水準ということを考えております。そのほか野菜、畑作、果樹、酪農、肉用牛といったようなものにつきましても示しておりますが、それらにつきましてもおおむね六割から七割、そういったコスト水準を考えております。

鮫島宗明改革

○鮫島委員 どうもありがとうございました。  この今紹介されました合理化目標の達成のために特別に計画された研究開発、技術開発の課題、その規模、それがまたいつからスタートしたのかということについて、政府委員からで結構ですけれども、御紹介いただきたいと思います。

野中和雄農林水産省農林水産技術会議事務局長

○野中政府委員 平成四年六月に策定、公表されました新政策におきましては、十年後に目標を置きました中長期的な観点に立ちまして、今後の新たな政策を実現をしていく方向を示しているわけでございまして、この中におきまして、技術開発につきましても「画期的な技術開発の推進」あるいは「基礎的・先導的研究の充実」、「地域に対応した農業技術の開発」等の項目を立てまして、研究開発を強力に推進をしていく方向を示しているところでございます。  そういう意味で、私どもといたしましてはこの新政策の方向を受けまして、土地利用型の農業研究推進方針あるいは環境研究推進方針といったようなものを昨年の八月につくりまして、新政策に示されました大規模経営体の育成のための水稲の直播技術の開発、あるいは優良牛の低コスト生産のための受精卵移植技術の開発といったようなことを進めているところでございます。  金額等でございますけれども、私どもの農林水産省の科学技術振興費、平成六年度におきまして七百三十九億円という金額でございます。

鮫島宗明改革

○鮫島委員 ただいまのは、平成七年度の概算の当初要求に織り込んだ数字というふうに了解してよろしいんでしょうか。

野中和雄農林水産省農林水産技術会議事務局長

○野中政府委員 ただいま申し上げましたのは、平成六年度の予算額でございます。

鮫島宗明改革

○鮫島委員 わかりました。  多分、この技術開発のプロジェクトについての内容を詰めたときには、まだモロッコのマラケシュで交渉が正式に終了していない時期ではないかというふうに思いますが、その後事態が進展していよいよWTO体制への移行というのが現実化してきたとき、当初のスケジュールの見直しが必要になってくるのではないかと思います。つまり、農業に及ぼす環境の変化というのが大変大きいということで、今回もその特別対策が打たれるわけですから、当然技術開発の分野についても当初スケジュールの見直しが必要になってくるのではないかと思いますが、どのようにここを見直して、そのための予算措置等についてどうお考えなのか、農林水産大臣の御所見を伺いたい。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 鮫島委員のお話のとおりでございまして、ウルグアイ・ラウンド農業協定の受け入れによって技術開発を加速化しなくちゃ相ならぬ、さようなことでございまして、先ほども申し上げましたように、国なり地方公共団体あるいは民間の総力を結集して、生産現場に即応した技術開発を行うということでございます。  国内対策についての中でも、例えば生研機構を活用いたしまして民間に対する研究を委託する。国の試験研究機関においてもそれぞれバイオその他をやっておりますけれども、やはり民間にエレクトロニクスとか、あるいはバイオとか蓄積された知識なり技術があるわけでございまして、そういうものを農業関係への実用化に向けて動員をいたす、そういうような点について重点を置いて進めたい、さように思っておるところでございます。

鮫島宗明改革

○鮫島委員 今、民間活力の結集といいますか、産官学の連携によって先端分野の技術開発を進めるというお話がありましたけれども、生研機構はもともと農業機械技術研究所ですか、そこを発展的に改組拡充した機構というふうに心得ておりますけれども、農業分野の技術革新を図る上では、これも他産業と同様、各種作業ロボットの開発等が今後やはり必要になってくるのではないかというふうに思いますけれども、林業分野、畜産あるいは土地利用型の農業分野で、このような分野の取り組みがどのようになくれているのか、御紹介いただければと思います。

日出英輔農林水産省農蚕園芸局長

○日出政府委員 御説明申し上げます。  農作業の効率化でございますとか労働負担の軽減等に資するために、先生お話しのように、作業ロボットその他農業機械等の計画的な開発あるいは実用化というものが大変不可欠でございまして、これにつきましては、昨年、農業機械化促進法の一部を改正いたしまして、この実用化を進めるということをやったわけでございます。  ただいま、この体制の中で、例えば野菜の接ぎ木ロボット等につきましては実用化が完成したわけでございますが、その他作業用のロボットといたしまして、まだまだ耕運ロボットでございますとか、その他の幾つかのものも今取りかかり中でございます。急いで実用化を進めたいというふうに考えている次第でございます。

鮫島宗明改革

○鮫島委員 野菜の接ぎ木ロボットは既に新聞等でも紹介されていると思いますけれども、林業分野では枝打ちのロボットとか、土地利用型の分野でも自走式のトラクターというか、遠隔操作で自分で走るようなトラクターというのも今後開発されていく必要があるんじゃないかと思います。  そのような開発に当たって、やはり特にエレクトロニクス先端分野等では、むしろ農業以外の分野の方が技術蓄積が豊かだというようなこともありますので、昔の田植え機の例を持ち出すまでもなく、ちょうど農業基本法ができるときに田植えが機械化できるかどうかというのが大論争になったというふうに私も恩師から聞いておりますけれども、そのときの東畑さんを中心とするグループでは、技術見通しにおいて、田植えは機械化できないということで農業基本法の骨格が組み立てられたというふうに聞いております。  したがって、その当時の平均的な稲作農家は、一町五反平均ということを一つのモデルとして設定するということがなされたと思いますけれども、皮肉なことに、田植え機の開発というのが工学部の航空学科の方で行われたというようなこともありまして、どうも農林分野の方が考えると、今の自走式トラクターの開発についても、今の田んぼを前提にして、今の形のトラクターを前提にして、そこに制御器をどんどん乗せていくと自重が重くて動けないというような、何のためのトラクターかわからないようなことになってしまうということもありまして、むしろ技術革新を進めるためには一度ゼロベースで全く新しく考えてみるといいますか、むしろ圃場整備のあり方についても、ロボットに適した圃場整備とは何か。例えば幅が四メートルで長さが一キロ、渦巻き状に傾斜を上っていても構いませんけれども、そういう形こそが多分全天候型の、片腕の作業ロボットについてはふさわしい基盤整備の形ではないか。  つまり、そういう意味でこのWTO体制への移行というのをどのぐらいのインパクトで受けとめるかによって発想の深さというのも変わってくるのではないかと思うのです。しかも研究とか技術開発の分野というのは、ある意味ではかなり大胆な発想なり泊由な発想というのを許容されるぐらいの幅で考えていただかないと、非常に先細りがするといいますか、おもしろくないということがありますので、同じ作業ロボットを考える場合でも、余り今の形を前提にしない発想というのが必要ではないかというふうに思います。  農業分野の、畜産も含めてですけれども、今実態として労働条件で何が一番きついのか、どの分野が一番大変かということを農協の方々あるいはその農業県の働いている方々に聞きますと、割合異口同音に出てくるのが、一番きついのはやはり酪農だというのが出てきまして、とにかく朝晩二回搾乳しないと乳房炎その他の障害が出るので、冠婚葬祭にも出られない。ましてや、お正月もなければゴールデンウイークもない。一番きつい条件に置かれているのが酪農家だ。  確かに搾乳機というのは自動化されているのですけれども、その取りつけ、消毒その他のところでどうしても人手が必要なんで、こういう自動化技術というのは、部分的に自動化されていても結局拘束性というものからは解除されないということがあって、搾乳ロボットを例えば開発する場合でも、完全な自動化ということを設計しない限り余りその投資効果もないということになるのではないかと思います。まだこの分野は、オランダなんかに比べて日本は大変おくれていると思いますけれども、今後民間活力も導入しながら、ぜひ力を入れていただきたいというふうに思います。  それから、作業ロボットのような先端的技術に限らず、特に水稲の大規模栽培、この新政策の中では、十五ヘクタールから組織経営体では三十ヘクタールというような大規模な、世界的にいえば必ずしも大規模じゃなくて、これはヨーロッパ的には小規模ということになるのかもしれませんけれども、日本的にいえば大規模な経営を定着させるためには、田植え機を超えて、やはり水稲の、稲の場合は直播栽培をどうしても導入する必要がある。これが決め手になると思いますけれども、現在の栽培の現状、それから今後どう進めようとしているのか、それから直播技術の開発、普及のための具体的方策、直播用の品種の開発のスケジュール等について、簡潔に御説明いただければというふうに思います。

日出英輔農林水産省農蚕園芸局長

○日出政府委員 最初に、生産対策の方の現状を申し上げたいと思います。  先生お話しのとおり、四十年代直播技術が進みましたが、その後、移植技術の進み方によりまして直播が減ったわけでございます。そこで私どもは、これからの労力不足その他がございますので、この直播栽培を進めていくということで、先ほど申し上げました新政策で示した展望におきましても、大規模経営体の低コスト化のために必要だということでございます。そこで、現在は大区画圃場の整備とあわせました現場段階での大規模実証事業を既に実施しております。  それからもう一つは、日本型直播の適性品種の育成等に取り組んでいるところでございまして、今後とも直播栽培の技術の確立と普及に努めてまいりたいと思います。  技術につきましては、技術会議事務局長から。

野中和雄農林水産省農林水産技術会議事務局長

○野中政府委員 技術の開発、導入のための具体的な方策でございます。  直播につきましては、発芽、苗立ちの安定化あるいは倒伏の防止、雑草害の回避といった技術的な課題があるわけでございますが、低コスト生産を実現をする基幹的な省力化技術というふうに位置づけているわけでございます。このため、国におきましては、水稲品種の直播適性の生理、生態的な解明、育種素材の開発といったような全国に共通する技術問題の解決に重点を置いて研究開発を実施をいたしております。また、地域の立地営農条件に応じた栽培技術の確立という点から、各県の農業試験場の共同研究に助成をいたしまして、現地で組み立て実証試験を行っているところでございまして、今後とも強力に取り組んでまいりたいというふうに考えております。  それから、品種の点でございます。  我が国の場合には、長い移植栽培の歴史の中で選抜育成されてきた我が国の品種でございますので、どうしても直播栽培に対する適応性が小さくて、直播の安定と普及を妨げる主な原因になっているわけでございます。このため、我が国の環境条件に適した直播用の品種の育成が重要課題でございまして、私どもといたしましては、平成四年度に策定をいたしました作物育種推進基本計画の中で段階的な改良目標を定めて研究の推進を行っているところでございます。  この中で特に重要なものにつきましては、プロジェクト研究といたしまして重点的に進めておりまして、低温発芽性あるいは耐倒伏性、根の伸長性といったような直播適性につきまして基礎的な解明を行いますとともに、外国の稲を含みます遺伝資源を利用いたしまして、直播用の新しい系統の作出等に努めているところでございます。今後ともこういった品種の早急な育成に努力をしてまいりたいというところでございます。

鮫島宗明改革

○鮫島委員 特に品種の開発は長い時間がかかるものでして、恐らく中間母本をつくるまでに五年間、実用品種をつくるまでにはさらに五年間、十年程度の時間が必要ではないか。今この農業の分野に、特に技術開発によって産業として自立し得る体制を整えるために与えられている時間は、一番厳しく言えば六年間、その六年の間にどれだけしっかりした形をつくれるかという意味では、品種の開発というのはその範囲に間に合ってこないかもしれない。そういう場合にはやはり、先ほど政府委員の方からもありましたけれども、栽培技術といいますか、発芽、苗立ちの安定化等の栽培技術に力点を置きながら新品種の開発を待つというのが真っ当な道筋ではないかというふうに思います。  先日、私ども農林水産委員のメンバーでカリフォルニアの稲作を見てまいりましたけれども、やはり日本の品種と決定的に違うのが初期生育の早くといいますか、深水の中で早く顔を出すという能力がまだ日本の品種には備えられてないということが一番大きな違いではないかというふうに思います。  あとちょっと余談になりますけれども、アメリカの水田に対する評価でやや気になったことが一つありまして、それは日本では、大河原農水大臣も農業の機能という意味で国土・環境保全ということをおっしゃいますし、水田というのが非常に環境保全上いい空間管理であるということが日本では認識されておりますけれども、カリフォルニアではもうこれ以上水田はふやさない、あるいはふやせないと。その一番大きい理由が、水田からのメタン発生による地球温暖化への寄与というのが無視し得ぬレベルにあるのでカリフォルニアではこれ以上水田面積をふやすことは難しいと。もちろん、用水の制約もあるのだと思いますけれども、こういうことが言われていて、このメタンを発生させるかどうかというのは、もちろん水田の管理技術によって制御できますし、日本のすぐれた技術でしたら必ずしもメタンがやみくもに発生するような水田にもならないとは思いますけれども、そういう評価もあるということはどこかで念頭に置いておかなければいけないのではないかという気がいたします。  ここまで農林水産省側の取り組みについて主に伺ってまいりましたけれども、我が国には各県に国立大学があって、大体教育学部と農学部というのがどこの大学にも備えられているはずですが、国立大学の農学部が、農業の環境が激変する中で我が国の農業の活力維持にどのような役割を果たそうとしているのか、文部省側のお考えをお伺いしたいというふうに思います。文部大臣、お願いします。

与謝野馨自由民主党文部大臣

○与謝野国務大臣 先生が大学におられたころの農学部と今の農学部は大分イメージが変わってきております。従前の農学部ですと、やはり農業あるいは畜産、水産、林業あるいは絹の生産等々生物資源をいかに効率よく生産するかということを中心に研究もされておりましたし、またそれに付随する農業経済とか農業土木とかそういう万般の学問があったわけでございます。また、それはそれなりにその時代にふさわしい必要な人材を供給をしてきたわけでございますが、その後、著しく技術も進歩いたしましたし、社会的ニーズも広がってまいりましたので、その間、品種改良等も、従来の品種改良ではなくやはり遺伝子レベルまで考えた品種改良等々もろもろのことが行われました。  また、農学部で今ぜひ研究をしていただかなければなりませんのは、やはりバイオテクノロジーを駆使した新しい技術の水平線に進んでいくことだと思いますし、そのほか環境と農業という問題、あるいは世界の人口爆発と農業、そういうもろもろの問題が実はたくさんあるわけでございます。  そういう意味で、一口に農学部と申しますけれども、農学部が養成しなければならない、また世に送り出さなければならない人材というのは、従前より増して非常に幅広いものになってきていると私は思っております。それだけに、農学部で行います基礎研究等も深くなおかつ幅広くということでございまして、文部省としては、各大学がそういう社会のニーズにこたえた教育あるいは学術研究をやっていただきたいと思っておりますし、私どももそういう方向で物事が進むということを期待をしております。  また、それぞれの大学においてやはり学科の再編成等も幅広く行っていただき、新しい研究課題、新しい学術課題にふさわしいそういう研究体制あるいは教育体制を整えていただきたい、そのように考えております。

鮫島宗明改革

○鮫島委員 私、何度も繰り返して言っていますけれども、WTO体制への移行というのは非常に深いところまで影響を及ぼす。今度初めてお米の生産の分野も国際競争という場にさらされるわけでして、ある意味では戦後この間、農学に対する、特に稲作に対する健全なニーズというのは現場から余りなかったのではないか。むしろ、米価が政治的に決められていたということもあって、経営の合理化あるいはコストダウンというものを他産業並みに図る必要がなかったというのがこの稲作の生産現場。それが六年間のモラトリアムを経て、これからもちろん関税という障壁はあっても、保護措置はあっても、やはり競争にさらされるということになると、私は、研究を取り巻く環境というのも激変ではないか。ある意味では、初めて稲学に対しても、戦後初めて生産現場から強いニーズが出てくる。  稲といえば米というのがイコールと考えるかもしれませんけれども、もっと大胆なイノベーションということを考えれば、必ずしも稲イコール米ではなくて、例えばバイオテクノロジーの技術を応用して、稲の粒の中に必ずしもでん粉をつくるだけではなく、例えばでん粉合成の経路の一部をとめれば砂糖でとまってしまうとか、あるいはくらに別の経路を付加してたんぱくの生産を非常に高くするとか、一つの自然に存在するすぐれた生産モデル、ある種のバイオリアクターという形で稲を考えることによってさまざまな展開の可能性が出てくる。こういうことは今までは現場からニーズとして出てこなかったんですけれども、これからWTO体制に農業も移行していくというのは、こういうニーズも出てくるんだというふうにぜひ大学の側も受け取っていただきたいというふうに思います。  この大学における研究のあり方については、これは日本の二十一世紀の知的社会形成に向けての科学技術インフラ整備の中でさらに総括的な検討を加えなければいけないというふうに思いますけれども、やはり一番の使命はむしろ教育というところに大学の農学部はあって、これまでと環境が変わるんだ、これからはやはり技術重視の世界に農業の世界もなるんだということをしっかり教えていただいて、むしろやる気のある人たちが、大学を出た後、現在国公私立大学を含めていわゆる農学部と言われるところを卒業している人たちが毎年約一万五千人、その中で直接農業の現場に就職する人が三百五十人ぐらいというふうに言われていますけれども、もっといわば専門的な教育を受けた人たちが新しいイノベーショナルな農業分野に参入してくるような、そういうカリキュラムの編成もぜひお願いしたいというふうに思います。  またあわせて、国公立の研究機関との連携を強化して、少なくともその周辺の先進的な農家の方々が見えるようなといいますか、安心できるような未来型の営農モデルといいますか、そういうものを、やはり大学と県の農業研究センターあたりが共同して、ひとつ先端的な営農モデルというのをぜひ展示的に研究していただきたいというふうに思います。  私は、今ずっとこう聞いていて、もちろん農業の産業としての自立を目指す、そのために大型の関連対策を打つといっても、またほかの産業がこれまで経験してきたような命がけの技術革新という覚悟がどうも弱いのではないかという気がいたします。それは、ある意味では六年後にどうなるかわからない、先日の議論でも六年後は白紙だというような話がありましたけれども、大河原農水大臣はもうちょっと正確に、つまり関税化になるかあるいは特例措置が延長になるかは白紙であるという意味の白紙だというふうに御答弁なくっていましたけれども、もう一度、この点について外務大臣の方から、白紙というのは今の範囲だと思いますけれども、例えば特例措置を選択した場合このミニマムアクセスのレベルというのはどうなるのか、お答えにくい面もあるかと思いますけれども、少なくとも今より緩和されるのか厳しくなるのかというその方向性だけでもお示しいただければと思います。どちらでも結構です。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 農業協定のことでございますので私から便宜答弁させていただきますが、農業協定にも明らかなように、ただいまも委員おっしゃ、いましたように、関税化の道をとるか、あるいはスペシャルトリートメント、すなわち特別、今度のとった方式をとるかについては六年目の交渉事で決まるわけでございますが、その場合にも、やはり協定にも追加的あるいは相手方が受容できるような条件を前提にしての交渉というような枠がはまっておるわけでございまして、それがいかなるものになるか、あるいはそれがミニマムアクセスの増加であるかどうかというような点については、これからの問題であるというふうに思っております。

鮫島宗明改革

○鮫島委員 受け入れ可能な追加的条件ということは、具体的に言えば、要するに六年後はある意味ではその延長上で、関税の方は裏関税率で走って六年後には一五%下がることになっていますけれども、ミニマムアクセスについても恐らく、右下がりというか右上がりというか、やはりそのアクセス量はふえていくという方向でしかこの合意はとれないのではないか。そういう意味では、やはりこの六年間というものが大変重要でして、この間に最大限の技術革新のシナリオを描いておくということが重要ではないかと思います。  私、ちょっと気になりますのは、先日の大河原大臣の御答弁でも、一生懸命やってその結果到達したレベルが目標レベルだという言い方が中心でして、あと具体的には、先ほど政府委員の方から現状の五割程度のコストでというような話がありましたけれども、私は、産業として自立し得るレベルあるいは十分国際競争力を持ち得るレベルというのはもうちょっと厳しく設定しないと、結局相変わらず保護的措置が必要で、また国際摩擦を起こさなければいけないということになるのではないか。  一生懸命やればどうなみかというのの結果というのは世間で既に出ているという面があるのでちょっと御紹介したいと思いますけれども、農水省の試算で全国平均の労働生産性、これは反当たり、稲を一作つくるのに四十一時間かかります、これを労働時間当たりの玄米の生産量でいうと、一時間当たり十二・五キロというのが全国平均というふうに試算されていますけれども、全中がコストダウン運動の記録として報告されている資料によると、熊本県竜北町の優秀農家は一時間当たり百三十三・三キロ、つまり今の全国平均の十倍。これはもう一つ非常に大きな要素があるのは、水田の一枚の面積が二ヘクタールという大区画の水田を使って得られた数字ということです。先ほどの全国平均は一反ないし三反という小区画の水田では非常に生産性が低い。それから、よくテレビに出てくる秋田県の大潟村の優秀農家、ここも大区画水田でして、一枚が二・五ヘクタールというところでは二百キロ以上、年次変動がありますけれども百九十から二百五十キロ、全国平均の十二・五キロに比べて百九十から二百五十キロという数字が出ております。それから、関東では千葉県の佐倉市、ここのやはり篤農家の集団では、当然大区画の水田ですけれども、やはり一時間当たり二百から三百キロという、現在の全国平均に比べて十倍ないし二十倍という数字が既に実験的には出ているわけでして、一生懸命やって到達するレベルというのは、ある意味ではこのレベルというふうに言うこともできる。  それから、そうはいっても日本の耕地の分布は悪くて傾斜地も多いという理屈もありますけれども、大規模化が可能な平たん地、つまり傾斜百分の一以下の水田の面積というのは全体の七〇%。したがって、少なくとも全水田の七〇%については、今挙げたような圃場の大区画化、少なくとも一ヘクタール以上というふうな大区画化とそれから先端的な技術を組み合わせることによって、現在の十倍ないし二十倍ということが既に実証されているレベルとしてあるということをやはり御認識していただきたいというふうに思います。  やはりこういうレベルまで目指してしっかりやらないと、少なくとも冒頭に申し上げました非農家の方々あるいは他の産業セクターの人たちからは、一体農業現場で言うイノベーションというのは何なんだというふうに言われかねない。  私は何もコストダウンだけがすべてだというふうには思っていません。生産者と消費者との信頼関係の深化拡大というのがもう一方で大変重要なことでして、先年来のマーケットの動向でも明らかなように、日本の消費者は大変国産のお米にこだわるといいますか、それを愛好する気持ちが強いわけですから、その消費者の信頼関係を裏切らないような市場構造を形成することが、場合によったら安全で品質がよければ海外のお米の三倍、四倍でも消費者は喜んで買うかもしれない。しかし、完全に安全であってしかもブレンドしてない、納品であるというような保証が一方で与えられないと、消費者と生産者の信頼関係が崩れていくという怖さがあることを御承知いただきたいというふうに思います。  私は、全般的に見て、もうちょっと技術開発に力を入れてもらいたい。今の関連対策の中で、確かに生研機構に対して新しい出資の枠を設定するということを御紹介いただきましたけれども、平成四年六月に発表した新政策、そのときにつくった技術開発のシナリオをどうも余り変更してないのじゃないか。今度新たな体制に移行するに当たって、しかも六年間という猶予の期間というのが具体的に出てきた段階で、もっと厳しく技術開発のシナリオを見直して、本当に非農家の人たちがそのためなら十兆でも十五兆でも使ってもいいと思えるぐらいの確固としたビジョン、それからそのビジョンに行き着くためのロードマップというのを示していただきたいというふうに思いますけれども、総理の御所見をお伺いしたい。その技術革新の重要性についてです。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 今いろいろなデータを挙げて、こういう先進的な、レベルの高い地域もあるというようなお話も承りましたけれども、やはり農業というのは自然、土地等々の制約もありますから、すべてそういうふうにいくかどうかは言えないと思いますけれども、しかし、技術の開発によって可能な分野があるとすれば、それはそれなりに技術の開発をやってレベルを高めていく、生産コストを下げていくということは大事なことだと思いますし、今お話がございましたことも十分含んで、これからそういう技術陣を総動員して対応していく必要がある。  これはもう、従来のような単なる技術の受けとめ方ではなくて、やはりウルグアイ・ラウンド合意後の日本の農業というものはそういう厳しい国際環境、競争原理の中にさらされるのだということを前提にして、心して取り組む必要があるということは、お話を聞きながら私は強く認識をくせられました。

鮫島宗明改革

○鮫島委員 総理の御認識を聞いて大分心が安らかになったところでございますけれども、現場対応型の技術開発はもちろん重要ですけれども、やはりもう少し広く考えて、日本全体のこれからの技術立国ということを考えていくときには、独創的な技術の開発なり独創的な研究の深化ということがある意味では国の死命を制するというような重要度を帯びてくるのではないかというふうに思います。  日本のこれまでの技術が、ある意味では応用面を重視して、プロセス技術が非常にすぐれていたということで今日までの繁栄がなされたと思いますけれども、これからいよいよ、日本もほぼ技術レベルではピークに達して、いよいよ独創的なアイデアに基づくくまざまな技術開発あるいは研究開発が必要になってきた。そういう目から、ある意味ではすべての日本の今の意思決定のシステムなり教育制度というのを見直さなければいけないのかもしれない。WTO体制への移行というのは、そういう意味を持っているのではないかというふうに思います。  例えば教育制度にしても、日本はどちらかといえば横並びというか偏差値中心で、一つの価値軸で判断する。余り個性が自由に開花するような教育環境というのはこれまでとってこなかったと思いますけれども、それは、独創的な研究開発、あるいはそのための人材を育てるということからいうと、今の教育制度が必ずしもふさわしいとは限らない。  このことは、大蔵大臣にお聞きしたいのですけれども、研究予算の考え方にも非常に色濃く反映される点ではないかと思います。導入型技術の開発あるいは模倣型技術開発については、歩どまりを重視するというのは大変大事なことだと思いますけれども、むしろ独創的な技術開発、研究開発については、いわゆる通常の予算の査定と同じことをやっていてはなかなか出かかった芽をうまく育てることができない、あるいは思い切って研究者を遊ばせることができないといいますか、自由な知性の活動を支えることができないのではないか。  一年ごとに、ことしどこまでデータが出ましたかということで査定をして、しかも当初のときには、私は不思議な査定の仕方だと思いますけれども、先生の研究は三年後にはどういう結果になりますでしょうか、それがはっきりしていないと予算をつけないというのが一般的ですけれども、結果がはっきりしていれば大体研究をやる必要はないわけでして、どういうことでそういう論理が出てくるのかというのが不思議な気がいたします。  研究予算というのを、単年度主義も含めてほかの予算と同じように考えるのか、あるいは少し研究予算は違うというふうに考えることが重要なのか。これから私は独創的な技術開発なり知的生産性というのが国益にとって極めて重要だと思うものですから、その立場から大蔵大臣のお考えを伺いたいというふうに思います。

武村正義新党さきがけ大蔵大臣

○武村国務大臣 先ほど来、みずからの御経験を背景にしながら、大変含蓄のあるお話を承っております。  今の研究予算に対する姿勢の問題も全く同感でございます。本当に実用本位といいますか、すぐに役に立つということで我が国は、特に民間部門もそうでありますが、試験研究機関のあり方に対応してきたような嫌いがございます。ノーベル賞の受賞の科学者が極めて少ないということもその実態を示しているものだというふうにも言われているところでございまして、政府としましては、そういうことに気がつきながら、いずれにしましても、科学技術の振興、試験研究予算の拡大ということにここ数年来かなり力を入れてきているというふうに思います。大体、一般歳出の伸びよりは科学技術の振興費の方が何%か高い率で来ております。  今後、そうした姿勢を継続しながら、特にまた、同じ研究、科学技術予算の中でも、御指摘のような基礎的な分野、すぐに即効性がなくても、長い目で独創力が発揮いただけるような分野、そういう分野に力を入れていかなければいけないというふうに思っております。  この問題は、ひとり農業分野の将来の問題というだけでなしに、日本の経済全体が直面している一つの大きな壁を乗り越えていくためにも、新しい経済のフロンティアを見出していく、ベンチャービジネスやニュービジネスをどんどん生み出していくためにも、今御指摘のような教育も含めたそういう姿勢がぜひ大事だと思っております。

鮫島宗明改革

○鮫島委員 どうもありがとうございました。  確かに研究の世界はもうほとんどインターナショナルの世界でして、みんな、日本の第一線の研究者たちも、ドイツの学者がどこまで進んだか、あるいはアメリカの学者が今何をねらっているのか、常に世界をにらみながら進んでいくというのが実際の研究の現場の感覚だと思いますけれども、やはりこれからは研究の評価、日本にはアメリカのOTAに該当するような技術評価なり研究評価をきちっと行う部局がないというのがちょっとこれからのWTO体制への移行に当たって弱いところではないかというふうに思いますけれども、やはり技術評価なり研究評価を国としてきちっと行って、世界戦略的にどこの分野を日本が目指すべきかということをシナリオ化すべきではないかというふうに思います。  そのようなことを進める上で、やはり一番大事なのが、クロスカルチャーとかモノカルチャーとか言われているように、例えば外国人の方々を評価委員会に加えるとか、評価部会に加える。なるべく複眼的に研究なり技術の開発の方向性を見きわめる。仲間内だけで、ある程度自分たちにとってやりやすいことだけを評価するような仕組みから、もちろんこれは厳しい審査にさらされるわけですけれども、既に欧米では各大学の研究評価とか国立研究機関の評価もマルチカルチャー方式といいますか、お互いに学者が世界を飛び交いながら、少なくともアメリカとヨーロッパの間では研究機関とか大学の研究評価をやっている。仲間内だけで評価するというのは、ある意味ではちょっと日本の特殊の状況、先進国の中では日本が特殊な状況ではないかと思います。  その辺についても十分大蔵大臣の方も御留意いただきながら、今後の科学技術の振興にお力を発揮していただきたいというふうに思います。  大分かたい話ばかりになりましたけれども、今生に技術開発のことを中心にお伺いしましたけれども、やはり中山間地域といいますか、条件不利地域の振興を図る場合に、これは必ずしも、今言ったような技術開発、そして生産の合理化を図るということだけではなかなかうまくいかない。それは、昭和三十年代から今日まで一応生産振興、これだけの予算をつぎ込めば条件不利地域についても農業の足腰は強くなりますということでこの三十年間やってきましたけれども、結果としてはどうしても条件の悪いところではなかなか合理的な生産ができない。競争力が弱いということもありますので、やはり条件不利地域といいますか、中山間地域についてはもうちょっと社会開発的な視点から、どうやって地域の所得をふやすかとか就業機会をつくり出すかという社会開発的な視点から取り組む必要があるのではないかと思います。  恐らく、ヨーロッパの例を持ち出すまでもなく、非常に条件不利地域の底上げに役に立つのが観光業、観光振興。この条件不利地域というのは、生産をするには条件は不利だけれども、むしろ観光とか、先ほどグリーン・ツーリズムというふうに農水大臣もおっしゃいましたけれども、そういう農業レクリエーションとか農業レジャーというのを楽しむにはむしろ条件がいい地域が中山間地域ではないか。有名な保養地である軽井沢も、恐らくあそこで農業をやろうと思ったら軽石と火山灰の中でろくな農業ができないと思いますけれども、冷涼な気候に恵まれて別荘地としては大発展をしたわけでして、観光産業という切り口から見て、地域の環境資源を冷徹に評価して、どういう振興策ができるのかということをもうちょっと本腰を入れて考える時期に来ているのではないか。  日本は残念ながら観光省というのがないものですから、まあ運輸省が中心でしょうけれども、各省がある意味ではばらばらに取り組んでいる面がちょっとあって、もう一つ正面切った農業観光というのが組み立てられないのではないかということをやや危惧するんですけれども、まず農水大臣の方から、グリーン・ツーリズムとかリフレッシュビレッジ構想とか、なかなか耳ざわりのいいプランがたくくんあるようですけれども、特に中山間地域を対象にした観光振興といいますか、農水省の場合は体験事業振興という言い方をするのかもしれませんけれども、どのようなブランをお持ちか、簡潔に御紹介いただきたいと思います。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 いわゆるグリーン・ツーリズム、農山漁村滞在型余暇活動、これについては、今も御指摘がありましたように地域の資源、文化とかその他の地域の資源、それと、それから農山村の空間を利用して都市との交流を図るというわけでございまして、それによって兼業機会と申しますか、所得の収入機会も得られるというわけでございますので、ヨーロッパ諸国、私どももいろいろ承っておりますけれども、そのような方策を積極的に進める必要があるというわけでございまして、昨年、議員立法によりまして、ただいま申し上げた長期滞在型の施策を進めると。したがって、県あるいは市町村等においても体系的な方針を打ち出して進めるということがだんだんに熟しておりますので、我々としては受け入れ施設、農業構造改善その他いろいろな多面的なメニューもございますので、それらによる受け入れ施設、また、これについては人材も、指導したりあっせんしたりする人材の育成も必要であろうというわけでございますので、これらについても積極的に進めてまいりたい、さように思っております。

鮫島宗明改革

○鮫島委員 農水省が特にグリーン・ツーリズムについて大変力を入れていることは了解しておりますけれども、やはり体験事業という性格の中で展開するために、どうしても宿舎その他がある種の制約がかかって、もう一つ魅力的にならない。例えば、体験をするための宿舎にプールとかフィットネスというようなものは恐らくつけることはできないでしょうし、例えば乗馬は体験になるのかとかハンティングは体験がとか、いろんな意味で、観光業として見た場合は、ある種の体験事業というくくりでは不十分性がどうしてもあるのではないか。  グリーン・ツーリズム、イギリスで行われている運動といいますか思想の実態は、大変根が深いものでして、グリーン・ツーリズムこそが最高の観光である、そこでは、都会のストレスから都会人が自由に解き放されて、あらゆる農業空間を使った、カヌーとか乗馬とかハンティングとか含めてあらゆる遊びが享受できる、最も伸び伸びと農業空間を味わうことができるというのがグリーン・ツーリズムの精神であって、教条主義的な体験事業というふうに位置づけることと大分その内容が違うのではないかという気がいたしますけれども、これ以上は余り言いません。  通産省の方で、今、アウトドア産業が大変ブームになっております。車も、RVといいますか、四WD型の車が爆発的に売れているというのはよく御承知だと思いますけれども、アウトドア関連産業が、都会人のアウトドア志向もあって今後どのぐらいの市場規模に育つのか。もしその辺の予測数字があれば御紹介いただきたいのと、あと、通産省の方では、アウトドア産業の振興という立場から、特に中山間地域を射程に入れて何か振興策というのをお考えかどうか、お答えいただきますでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党通商産業大臣

○橋本国務大臣 アウトドア産業というものに実は必ずしも定義がございません。でありますから、その市場規模というものについての正確なお答えは大変難しいわけでありますけれども、アウトドアに関連する用品、用具といったものの市場でまいりますと、平成五年で約一兆七千億円ぐらいになっております。これは、昭和五十八年当時、約一兆円ということでありましたから、約十年間で一・七倍ぐらいにふえているということも言えると存じます。  また、本年六月の産構審の総合部会の基本問題小委員会報告書の中で、アウトドア産業等を含みました余暇関連産業、これを含めまして、生活文化関連、こうした分野を一つ設定しておるわけでありますけれども、将来における、この市場規模というものは十八兆一千億円ぐらい、雇用規模は約百八十万人ぐらいという設定がなされておるわけでありまして、二〇一〇年になりますと、この生活文化関連分野というものは、市場規模としては三十八・二兆、三十八兆二千億円程度、雇用規模では二百四十四万人程度ということになっております。  従来から、通産省として、ゆとりと豊かさを実感できる社会の実現に資するという視点からこうした産業は重要であるということで育成を図ってまいりましたが、これからもその環境整備に努めてまいりたいと思っております。

鮫島宗明改革

○鮫島委員 ありがとうございました。  今、農業の、全部の生産額が十三から十四兆円ぐらいだと思いますけれども、今のお話ですと、生活関連、文化関連の余暇関連産業が十八・一兆、ほぼ匹敵するような市場規模がある。ぜひ、中山間地域の振興を図るに際して、私は非常にいい意味の観光産業の振興というのが大事だというふうに思いますけれども、運輸大臣、運輸省の方は、特に今環境が変化するに際して厳しい環境に置かれるということが危惧されている中山間地域をにらんで、あるいは過疎地域をにらんでの観光振興の施策について御紹介いただければと思います。

亀井静香自由民主党運輸大臣

○亀井国務大臣 先ほど来、委員の高い御見識に基づくお話を聞いておりまして、私も大変感銘を受けておったわけでありますが、委員御指摘のように、ウルグアイ・ラウンド対策は、特に中山間地帯についてはいわゆる狭い意味での農業対策だけでこれはフォローはできないというように私も考えております。特に農業の効率化等が難しい地域、これは逆に言いますと、そういう地域は観光という観点から見たら非常に価値の高いところもあるわけでございまして、そういう意味で、中山間地帯の所得を確保するという観点から農村観光に取り組んでいくということが、私は大変大事だ、このように思っています。また、都会に住む人の心のバランスを取り戻すという意味からもまさに一石二鳥ではないか、このように考えております。  そういう意味で、運輸省といたしましては、家族キャンプ村、家族旅行村あるいは国際交流村というようなことで、関係各省の御理解と御協力もいただきながら現在取り組んでおりますが、残念ながら予算が年間、ことしは三億円というような状況でございまして、これは国内対策の一環として、ぜひ委員の御協力もいただいて、この面について来年度も力を入れていきたい、このように考えております。  以上でございます。

鮫島宗明改革

○鮫島委員 どうもありがとうございました。  時間がないのであれですけれども、今関係三省といいますか、農林水産省、通産省、運輸省の御見解を伺ったわけです。先ほど、日本に観光省が残念ながらないというふうに申し上げましたけれども、やはり関連する省庁が互いに協力連携して、将来非常に大きな市場規模が見込まれる観光、農業空間を対象にした観光産業がぜひ発展して、少しでも中山間地域の人たちの暮らしかよくなるように、あるいは都会の人にとって中山間地域というのがいかにいいところであるかということをまた体験する機会を拡大するためにも、総理が督励して、関係省庁が縦割り行政の弊害に陥ることなく協力連携してこの分野の振興を図るようにお願いしたいと思うのですけれども、総理のお気持ちはいかがでしょう。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 今委員からも御指摘ございましたように、中山間地域の対策につきましては、これはまあ農業やら林業やらをどう複合的に計画的に推進をして、農業自体もどう守っていくかという問題もございますし、同時に水の問題やら環境の問題やら等々公益的に果たしている中山間地域の役割というものもありますし、それからまた、持っている資源をどう開発をして、今御指摘のありましたような環境面やらあるいは都市の労働者が憩いを求めてストレスが解消できるようなそういう役割を果たしていくようなものにしていくかとか、いろいろな角度からこれから検討しなければならぬと思いますけれども、今お話がございましたように一つの省だけで片がっく問題ではありませんから、これはもう自治省もそれから運輸省も建設省もあるいは厚生省も、いろいろな省が取り組まなければならぬ角度のものがあるわけです。  したがって、私は、先般農林予算を決める際にも、中山間地域の町づくりについては、関係する省が連携をとり合って一体となって取り組んでほしいということは申し上げてありますけれども、御指摘のような面も十分踏まえて、一体となって取り組めるような体制をぜひつくるように今後とも努力していきたいというふうに思います。

鮫島宗明改革

○鮫島委員 ぜひよろしくお願いいたします。  私は、今この一時間半の持ち時間の中で特に二つの点、農業の産業としての自立を図る上でいかに技術開発が大事かという点と、やはり中山間地域の振興を図る上では生産振興と並んでもう一つ、将来発展可能性のある観光業も振興の対象として考えるべきではないか、この二点については大筋で御認識いただき、御了解をいただいたというふうに思いますので、ぜひこの関連対策の中でこの二分野についてしっかりとはめ込んでいただきたいというふうに思います。  まだちょっと時間がありますのでもう一点だけお伺いします。  観光業も一つの異文化体験といいますか、都市・農村交流なり異なった自然空間をお互いに享受するということになるのかもしれませんけれども、やはり生産者と消費者との信頼関係を深めていくというのが、これからのWTO体制のもとでの農業にとって非常に重要なことではないか。その消費者と生産者の信頼関係の接点にあるのが表示の問題です、品質表示。  昨年だと思いますけれども、既に有機栽培についてはガイドラインを農水省の方でお出しになっていますけれども、米についてはまだ恐らくガイドラインができていないのじゃないかと思います。これも早急につくり上げて、表示の紛らわしさを払拭するように、消費者が本当に中身がわかって、消費者が評価できるような表示の仕方というのをぜひ工夫していただきたいと思います。  それからまた、日本には世界から食材が供給されているわけですけれども、輸入食糧とか食品の安全性の確保も非常に重要ですし、それとあわせて、やはりここでも表示の問題が重要です。特に加工食品の場合の表示がいくさか消費者側から見ると乱れていて、例えば、韓国で漬けられた長野県の野沢菜とか、あるいはドーバー海峡でとれた伊豆の干物とか、アラスカでとれた越前ガニとか、大変紛らわしい品物が出回っていて、むしろこういうところは原料原産国を表示すべきだ。原料がどこでとれているのかという原料原産国の表示というのが大変重要になってくるのではないか。消費者は大変品質にこだわりますし、厳密ですから、あいまいな表示で誤解を招くとこれは信頼関係を失っていくということになりますので、やはり正確な表示に心がけていただきたいというふうに思います。  それからもう一つ、その安全性の問題については、今度、旧来の食管法が廃止されて新しい食糧法に移行していきますけれども、この検査の問題についても、今までは、食管法を施行するためにというか食管法を実体化するために、食糧検査官を国内の米の検査だけに専ら配属していましたけれども、今度マーケットが自由化されることによって、海外から今まで以上に多様な食品が入ってくる可能性もある。  農業その他の安全性についてのハーモナイゼーションについては今検討がなされているところだと思いますけれども、ことしの農業白書の中にも、日本人の食生活を支えるために海外で使われている農地、これが千二百万ヘクタール、国内農地の約三倍近くある。ところが検査官の方は、国内に五千五百人張りつけて、この千二百万ヘクタールをだれが見ているのか。どういう農業が行われているのか、どういう農業が使われているのか、生産の不安定要因がどこにあるのか、この定点観測をやっている要員が、まあ聞きませんけれども、実は極めて心もとない。  したがって、外国から見ると、日本は海外生産については非常に深く信頼しているらしい、イシスヘクターを張りつけてない。しかし、国内の生産についてはどうも日本人は疑念を持っていて、五千五百人のイシスヘクターを張りつけてきめ細かく監視している。これはやはり客観的に見れば非常に不思議な配置になっておりますので、こういう今後ますます食材の交流が盛んになるという背景の中で、生産サイドから常時監視する、あるいは定点監視のネットワークをつくるということも将来的にやはり考えていただきたいというふうに思います。  最後に、食の安全性についての総理のお考えをお伺いしたいと思います、安全性確保の重要性について。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 現行の検疫体制で十分かどうかという問題もあると思いまするし、とりわけ、これから貿易等々の自由化がさらに広がっていくということになりますと、一応WTOで必要な国際的安全性の基準というものは示されていると思いますけれども、しかし、その示された基準以上に科学的に必要だというような場合には、またそれを上乗せしてくらに厳しくするということも認められておるわけでありますから、これは何といってもやはり命に関するある意味では問題ですから、厳重の上にも厳重にしてその安全性はしっかり確保しなければならぬものだということについては御指摘のとおりに認識をいたしております。

鮫島宗明改革

○鮫島委員 どうか、都市生活者にも納得いくしっかりした関連対策を打っていただきたいというふうに思います。  これで質問を終わります。どうもありがとうございました。

佐藤孝行自由民主党

○佐藤委員長 鮫島君の質疑は終了いたしました。  次に、川島賓君。

川島實改革

○川島委員 改革の川島實です。よろしくお願いをいたします。  私は、既に通告をいたしております世界貿易機関の設立に関する条約の締結について、今日まで我が国がこれほど繁栄をしてきたというのは、一つには世界の貿易のおかげ、とりわけガットのそういう通商上のルールのおかげだと見ておるわけでございます。今日海外とのいろんな貿易摩擦がある中で、今回のWTOの締結は、これらの問題をくらにガットを含めてルールづくりを新しく行う、こういう形で成ってきているわけでございますけれども、この中身については、十七日の日にも一メーターぐらいの条約の規約書が出されたように、非常に多岐にわたっておるわけでございまして、そういう点で、最初に外務大臣にお伺いをしたいわけでございますけれども、私は、こうした条約の中身を精査をしながら、十分に我が国は積極的にこの条約の締結を推し進めていかなきゃならない、こういう立場からいろいろお伺いをしていきたいと思うわけでございます。  特に、今回のWTOの設立の附属書のリストを見ますと、附属書一には物の貿易に関する多角的協定、それからサービスにおける貿易に関する一般協定、さらに知的財産の貿易関連に関する協定、そのほか十三協定が附属書一にあるわけです。さらに附属書二には紛争処理の規則と手続に関する協定、それから附属書三は貿易政策の審議機構、それから附属書四は複数国間貿易協定はか四協定あるわけです。  こういう多くの協定に対しての分野ごとのルールづくりに外務省として今後どのように取り組んでいく御決意なのか、まずもってお伺いをしておきたいと思います。

河野洋平自由民主党外務大臣

○河野国務大臣 従来のガットは、議員御指摘のとおり物の貿易というものを対象としてきたわけでございますが、今回のWTO協定におきましては、物の貿易に加えて、金融、運輸あるいは通信などのサービスの貿易、あるいは特許、商標、著作権などの知的所有権の貿易関連側面といった非常に幅の広い分野を対象としているわけでございます。  WTO協定に含まれますサービス貿易一般協定や貿易管理知的所有権協定は、これらの分野についての包括的な規律を策定したものでございます。我が国としては、今後WTOのもとで、これらの協定の着実な実施及び運用を通じてこれらの分野の貿易の一層の自由化に積極的に貢献していかなければならぬ、こう考えております。

川島實改革

○川島委員 この中で、サービスというと、普通我々が受けとめるサービスというのは通常のサービスしか受けとめてないわけですけれども、この業種の中に、例えば金融、運輸、通信、流通、医療、教育、建設、さらにまた弁護士だとか会計士、建築士、こういう業種まで実は含まれているわけですね。くらに、その定義の中で非常に広い概念でとらえる国々とそうでない国が実はあるような気がするわけでございます。物、すなわち工業製品、農産品などの販売以外のすべてをとらえるやり方と、もう一つは、第三次産業による生産物のうち、電力、ガス、水道などインフラ的な業種を除いたすべて、こういう見方もあるわけでございますが、この辺の見解については、外務省、どう受けとめておるわけですが。

原口幸市外務省経済局長

○原口政府委員 お答え申し上げます。  今先生御指摘のとおり、サービスに含まれる業種につきましては網羅的に列挙することが非常に困難でございまして、各国が自由化約束を行っているサービス分野のうちで主要なものを挙げますと、銀行、証券、保険等の金融分野、運送、観光、それから建設、通信、流通、法律、会計、教育、健康、娯楽等の幅広い業種がカバーくれております。  ガットの事務局では、九一年のガット文書、事務局の文書におきましてサービス分野分類表というものを作成いたしておりまして、交渉参加国に配付しております。これによりますと、約百六十五のサービス業種が掲げられておりまして、我が国を含む各国は、これらの分類表を参考として約束するサービス分野の分類を行っている次第でございます。  協定におきましては、サービスそのものは、政府の権限の行使として提供されるサービス以外のすべての分野におけるすべてのサービスという、定義というよりも非常に広い規定ぶりになっております。

川島實改革

○川島委員 あと食事の時間で総理や通産大臣もとられますので、ちょっと急ぎますから、ひとつ簡潔にお願いをしたいと思います。  この貿易協定の中で、今までの通商上不公正貿易と申しますか障害になっている部分は、我が国はベストテンを挙げて報告書が毎年つくられているわけですね。アメリカや、EUやカナダもおのおの、韓国も含めて、アメリカに対してこうつくっている。そういう中で、今度のWTOのそういう紛争処理をするための新しい機関ができるわけなのですが、我が国はそういうものに対してどういうふうにルールづくりに参加をしていくのか。紛争があると期限が切られて、十五カ月の中できちっと処理をしなければならぬ、こうなっているわけです。  現在の貿易の相手国でどのくらいがこのWTOの今度の条約を締結をする、こういう国々の数ですね、貿易を行っている国とそれに対して締結を予想される国。そしてまた、ベストテンのうちで、中国や台湾やほか二、三どうも締結は、まずガットに入るのもなかなか難しいというような国々があるわけですが、この辺は、外務省、どういうふうな受けとめ方をしておるわけですか。

原口幸市外務省経済局長

○原口政府委員 国連の加盟国、百八十四カ国ございます。他方、ウルグアイ・ラウンドの交渉に参加した国、地域が百二十四でございますので、これらの国がすべて入るということになれば、国の数で三分の二、経済規模でいけばほとんど、大半の国、地域がこの交渉に入るということになると思っております。  それから、日本の貿易相手国上位十カ国のうちWTOの不参加国、どうなるかということでございますが、先生御指摘のとおり、中国、台湾、サウジアラビアはまだガットに入ってございません。この国は今WTOに参加すべく鋭意国内手続を進めているところだと思います。香港、シンガポール、マレーシアは、既にWTOを受諾しておりまして、英国及びドイツも必要な国内手続を下しております。十カ国の中でそれ以外の国も、参加すべく国内手続を進めているということでございます。  ちょっと言い間違いましたが、中国、台湾、サウジアラビアはガットに入っておりませんので、そのための手続を今やっているということでございます。

川島實改革

○川島委員 外務大臣、この問題は、昨年の十二月十五日、ウルグアイ・ラウンドの合意のときに、はや既にアメリカも平成七年の一月一日にはきちっとやります、こう言って、わかってみえたわけですね。外務省もそのように答弁しているわけですね。なのに、今日、十七日から本格審議が始まって、あと衆議院でも会期末まで十七日しかないですね。慣例でいけば、衆議院で二十日間、参議院で二十日間、普通のところでも審議が要る。ところが、一メーターもある書類をわずか短い期間で審議するとは、これはもうけしからぬと思うのですね。外務省、もっと早くできなかった理由というのは一体何なんですか。

河野洋平自由民主党外務大臣

○河野国務大臣 議員、最終文書、昨年の十二月だったじゃないか、こういう御指摘でございますが、WTO協定は、本年の四月十五日にマラケシュの閣僚会議において、最終文書への署名が行われて確定をしたものでございます。すなわち、四月十五日に最終文書ができて、そして、明年一月一日の発効を目標として各国がそれぞれ具体的な準備に入る、こういう状況にあったわけでございます。  まあしかし、いずれにいたしましても、政府としては、WTO協定の明年一月一日の発効に向けて必要な作業を鋭意進めてきたわけでございまして、WTO協定の国会提出以前の段階におきましても、同協定の概要を国会関係者などができる限り早くかつ正確に知っていただきますように、各種の説明資料などを作成して説明に努めてきたわけでございます。しかしながら、審議がこういう、今委員御指摘のような状況になりました。  しかし、いずれにいたしましても、私どもとしては、繰り返しになりますが、明年の一月一日のスタートに向けてぜひ御理解と御協力を得たい、こう考えているところでございます。

川島實改革

○川島委員 総理大臣、社会党は、昨年の十二月の二十八日に緊急農業対策を決めておるわけですね。さらにまた、細川前総理のときに、村山総理はちょうど社会党の本部長ということで、六項目の農業政策確立に関する申し入れを具体的にやっているわけです。今回総理になって、これらの党の方針がどのくらい生かされているのですか。まず、お伺いしたいと思います。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 ウルグア・ラウンド農業合意の実施に伴う国内対策をどうするかという問題につきましては、今御指摘もございましたように、昨年暮れに、細川内閣当時閣議了解をされています。その閣議了解をされた基本方針に基づきまして緊急農業農村対策本部というものが設置をくれまして、総理が本部長になって取り組んできているわけですね。その経過を踏まえてやってきたということが一つです。  それからもう一つは、農政審議会の報告や連立与党が取りまとめました「緊急農業農村対策について」という文案がありますけれども、それも踏まえて、これは政府・与党一体となって議論をした経過として御審議をいただいているような中身のものにまとめてきたわけであります。したがいまして、党として決められました、今御指摘のありました方針をできるだけ反映できるように、その中で努力もしてまいりました。  その結果、連立与党並びに政府と十分協議を尽くした結論として、今御審議をいただいているようなものになったわけでありますから、その経緯については、御理解を賜りたいというふうに思います。

川島實改革

○川島委員 それでは消費税の問題で、実は私どもは期待をしておったのは、社会党はさきの選挙で飲食料品の全段階非課税、消費税アップは反対、これははっきりしているのですね。それから、自民党は飲食料品の一部消費税非課税、こう公約しているのですよ。これほどわかりやすいことを公約している二つの党が一緒になって、消費税の飲食料品はきちっとした処置ができなかったという理由は一体何にあるのですか。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 それは十分そうした点も踏まえて、何とか実現できないかと言って、三党の中でも議論を尽くしてまいりましたし、これは一連の経過を申し上げますと、昨年七月の総選挙以後、細川連立政権が誕生しました。その連立政権が誕生した、その政権でもやっぱり七%の国民福祉税というものが想定をされたというような経過もございますし、そうした連立政権に参加しておる政党の中でいろいろ政策を議論した、その結論としての合意というものは、例えば消費税の改廃を含む間接税の引き上げ等について検討するといったようなことも議論された経緯もありますし、したがって、そうした一連の経緯の中で出た結論として、五%の消費税率の引き上げという中で、飲食料品だけを軽減税率とするとか、あるいはまた非課税にするとかいうことについては、なかなか実現が難しいということの理解の上に立って、そういう合意がなくれた。したがって、これは今後もやっぱり不断に検討して、何とか逆進性の緩和ができるような努力はしなきゃならぬ課題であるということは、十分認識をいたしておるところでございます。

川島實改革

○川島委員 大蔵大臣、今社会党の一部の人たちは、この消費税の非課税、飲食料品の問題については、二年後の見直しのときに大体見直されるんじゃないだろうか、今総理のいろいろ答弁がございましたが、そういうものを受けて、そう受けとめておる人たちがおるわけでございますけれども、これについてあなたはどのように受けとめておるわけですか。

武村正義新党さきがけ大蔵大臣

○武村国務大臣 それは、川島委員さん、社会党の話でございますから、私どもは、総理と一体になってお答えをしておりますのは、二年後の見直しというよりは今後の課題として認識をいたしまして、不断の論議を今後も進めていくということであります。  厳密に、見直し条項で言う「課税の適正化」という文言がございますが、私ども、立法の立場で考えますときには、そこまでは予定をしていないということもお答えをいたしておるわけであります。

川島實改革

○川島委員 非常にわかりにくいのですね。もう少し国民側がきちっと受けとめられるようなひとつお答えが欲しいのですよ。例えば、今回の村山政権は「人にやさしい政治」、こう言って、キャッチフレーズを出しているわけです。ところが、このWTO条約締結に絡んで国内法のいろいろ改正があるわけですが、それを見ると、都市の生活者、消費者というのは余り優遇されてない、こういう受けとめ方をする人が非常に多いわけなのですよ。なぜなら、お米の輸入で、高いお金を出して買ってきて、国は二五%から利益を上げて普通のお米は売っている。ところが、輸入米については、昨年でも一部報道が流れたように、四千億利益を上げて、そしてもうかったうち三千百億は冷害で不足をする農業共済に補てんをする、こういうような報道も流れる、こういう形で都市の消費者は受けとめているわけなのですけれども、このことについて総理はどう考えていますか。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 都市の消費者からいえば、例えば輸入米を入れれば安い米が手に入るではないかと、日本の米は高過ぎるというような視点も私はあろうかと思いますね。しかし、ニーズからいいますと、やっぱり国内の米を食べたいという声も非常に高いわけです。これはその安全性を気にしているのだと私は思いますしね、やっぱり日本でつくられた米の方が日本の食に合っている、嗜好に合っているという面も私はあろうかと思うのですが、そういう意味では、今までも議論されてまいりましたように、農業というのはやはり国民の暮らしにとって欠かせない大事なものだ。冷害であれだけ米が不足しますとパニックが起こるような現象も起こる状況ですから、したがって、そういうことを考えた場合に、可能な限り自給率を高めて、どのような事態になろうとも安全な食糧を安定的に供給できるような体制をつくるということは消費者のためにも大事なことですから、そういう御理解を深めていただければ農業に対する理解と認識も変わってくるのではないか。都市と農村が、生産者と消費者が対立するのではなくて、先ほども御意見がありましたように、やはり理解と協力をし合うということも大事なことですから、そういう点も含めて総合的に私どもは物事を考えていかなきゃならぬというふうに踏まえております。

川島實改革

○川島委員 私は、農村部の今回のWTOにおける非常な問題についてきちっとやらなきゃいかぬ。土木工事に予算の半分が消えてしまうような、そういう言われ方をするような形では私はまずいと思うのですね。  しかし、都市の消費者から見ると、助成金が三千二百四十億。これは自主流通米助成経費が千十八億、他用途利用米流通助成金二百七十億、制度別・用途別需給均衡化特別対策費五百億、計千七百八十八億、そのほかに、集荷経費が二百七十八億、運搬費二百九十五億、保管料二百十億、事務費五百七十億、金利九十九億、これが千四百五十二億、合計で三千二百四十億、これは平成五年度の予算ですね。これだけ上積みされているわけです、一般のお米に対しても。だから、利ざやが二五%、経費としてこういうものに食われていると消費者側は見ているわけなんですけれども、今回の審議会で食管法の抜本的な改革が提案されていますね。これらの事柄をきちっと受け入れられなかった問題というのは一体どこにあると思いますか、農林水産大臣。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 お言葉を返すようでございますが、後段のお話からお答えいたしますと、農政審議会の答申におきましては、現在の食管制度が現実と乖離して機能を失っておる、大いに生産者の自主的な創意なり消費者の選択あるいは流通過程における競争原理を入れろというような提案がございまして、制度の立て方といたしましては、全量管理的なシステムを変え、部分管理にいたしまして、そして民間流通である自主流通米を基礎として、しかも、何と申しますか、政府の関与は、備蓄なりあるいは輸入されるようなミニマムアクセス米によって操作をいたすということ、あるいは、流通の構造としては、指定なり許可というような厳しい制約から、一定資格の要件がございますれば参入が自由になるというような登録制度を採用し、かつ販売なり集荷の両方の面においては、現行食管制度のような単線的な流通だけではなくて、極めて多線的と申しますか、そのような流通を予定するというようなことでございまして、何と申しますか、農政審議会の本来の答申の趣旨を十二分に生かした制度としておるというふうに私は思うわけでございます。  なお、前段の食管予算については、これは需給についての安定を図る、価格の安定を図るという食糧管理が制度として認められている以上、制度の管理運営費もございまして、必ずしも生産農家サイドヘのものではないということを先生御了解を願いたいと思います。

川島實改革

○川島委員 時間がございませんので、総理、あと幾つかありますが、一点だけお伺いをしておきたいと思います。  一昨日ですか、もう少し前ですね、気候変動条約に関係するCO2の削減問題で新聞報道がなされました。これは、我が国は既に条約として締結をしているわけでございますけれども、二〇〇〇年で一九九〇年の水準にCO2の削減をきちっとやる、こういうふうに決められて努力をしてきていると思うわけです。  平成二年の十月二十三日、これは各省庁が集まりまして、二百九十八項目の行動計画表がきちっと環境庁でできている。なのに、この時点で既に、二〇〇〇年のときに一九九〇年のCO2のこの水準は我が国は守られそうもないという報道がなされているわけですが、総理、これはどう受けとめておるか。

宮下創平自由民主党環境庁長官

○宮下国務大臣 総理の御答弁の前に、事実関係をちょっと申し上げておきますと、今委員御指摘のように、平成二年の十月に地球温暖化防止行動計画を策定いたしました。その中身は、一人頭のCO2の排出量でいきますと、一九九〇年から二〇〇〇年までにおおむね達成できるという見通しを立てました。そしてまた、総量では多少懸念がございまして、その抑制に努めるということでなっておるわけです。  一方、UNCEDのときに百五十五カ国が気候変動枠組み条約に署名いたしまして、我が国も昨年の五月に締結をいたしております。それに基づきまして、ことしの三月にこの条約が発効いたしますので、六カ月後までに報告する義務を負っておりまして、九月に報告をいたしました。  その際は、一人頭ではやはりこれは達成可能であろう、しかし、総量ではいろいろの努力を重ねても、つまり削減努力とか、あるいは吸収努力とか、あるいは科学技術の努力ですね、炭酸ガスの固定化努力とか、そういうことをやっても、なおかつ三・一%くらいは増加せざるを得ないという報告をいたしております。  私どもとしては、この地球温暖化問題は地球環境問題の大きな課題でございますから、なるべくこれを削減する努力を今後ともいたしたいと思っておりますが、来年の三月にベルリンで締約国会議がございまして、二〇〇〇年以降の問題についても議論しますし、また、この条約の締結後のフォローアップもしようということでございまして、私どもとしては、引き続き削減の努力をしていかなければならぬ、こう思っておりますが、今のところは、一人頭では達成できるということを報告いたしております。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 今環境庁長官から答弁もございましたが、この気候変動枠組み条約を締結した際、本年九月に本条約に基づく温暖化防止対策等にかかわる報告書が提出されています。  その報告書によりますと、各般の施策が十分に実施されることを前提とした場合、二〇〇〇年度における一人当たり二酸化炭素排出量は、一九九〇年度実績と比べほぼ横ばいというふうに予測をされておりまして、地球温暖化防止行動計画の第一項の目標は達成できるものだというふうに承っております。ただ、排出総量は約三%増加するものと予測されていることもございまして、地球温暖化防止行動計画の第二項の目標の達成に向けては今後とも一段の努力をする必要があるというふうに認識をいたしておるところでございます。

川島實改革

○川島委員 総理に要望しておきますが、地球温暖化防止行動計画というのは、このように二百九十八項目、各省庁がかかわっているのですよ。これを一つずつ細かく点検するだけで、どれができるかできないかというのはすぐわかるのです。時間がないからこれはやりませんけれども、まだ日にちがございますので、貿易で生きている我が国として、こうした環境問題で、人に優しい政治と言っている総理ですから、必ずやります、努力をします、こういう答弁が私は返ってくるかしらと思って期待をしておったわけです、残念ながら……。努力をこれから続けていただきたい、このことを強く要望しておきたいと思います。  次に、もう一つ、通産大臣と農林水産大臣にお伺いをしておきたいと思いますが、この環境問題で環境基本計画に瓶や缶の業者の引き取り、これを入れ込むのを、第三者機関として設置するのを削除された、こういう報道が流れたわけですね。これは、先ほど言ったように、村山総理が人に優しい、こう言ってリサイクルや省エネに取り組んでいるのに、こういう報道がなされるとは一体政府は何を考えているのか。  だから、一遍ここで、大臣食事の時間で恐縮ですけれども、考え方を農水省と通産省、お伺いをしておきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党通商産業大臣

○橋本国務大臣 まだ当分おりますので、まず御心配なく。  そこで、今委員からお話ありましたけれども、環境基本計画は、御承知のように中央環境審議会の企画政策部会で審議中でありまして、年内の答申を受けて閣議決定をされる予定になっております。そして、そのプロセスの問題としていろいろなお話があるようであります。  私は、今審議会が議論をしておられるさなかでありますので、その中についてのコメントは差し控えたいと思います。その上で、私の立場から申し上げさせていただきますならば、今通産省としてはリサイクル、既にリサイクル法に基づいて、スチール缶あるいはアルミ缶あるいはガラス瓶、それぞれに回収の方法を、再資源化率の目標を設けて現実に実行いたしております。  そして、本年の夏に真島政務次官に海外をも視察していただいたわけでありますけれども、今こうした努力をしておられる国のルールを見ましても、例えば中間に地方公共団体を置かれるところ、あるいは第三者機関を置かれるところ、さらにはいろいろなその後の仕組みも方法がございます。  私の承知いたしております範囲内では、政府部内におきましては、それぞれの仕組みのどれがいいかという利害得失を真剣に議論をしておるはずでありまして、結論として、御指摘をいただき、御心配をいただくようなことにはならない。その方法はどうなるかわかりません、しかし、真剣な議論がなされておることだけは御承知おきをいただきたいと思います。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 ただいまの委員の御指摘でございますが、橋本通産大臣がお話ししたとおりでございまして、食品、飲料その他についての廃棄物の減量化とリサイクル、これは非常に大事な問題でございます。食品業界も努力をして、瓶、缶の回収率も、リサイクル率も六〇%ぐらいにはなっておるようでございます。くらに減量化の要求あるいはリサイクルということで、今環境庁で基本法に基づく検討をしておるようでございますが、これも小委員会における議論でございまして、農林省がこの点について削除とか何とかということは私のレベルとしては承知しておりません。  ただ、今もお話があったように、欧米各国におきましてもいろいろな方式がある、そのシステムについて。それらについて、やはり事業者の負担もできるだけ軽減しながら目的を達するということも一つのポイントでございますので、そういう観点からの議論が行われておるということは承っておりますけれども、削除いたせとか、一つの案に、というようなことについては承知しておりません。

川島實改革

○川島委員 次に、農業問題でいろいろ問題になっている話題について少し触れてみたいと思います、あと時間がございませんが。  今までの米不足のときの昨年の状況を見ていますと、まず一つは、不作だというのに青田刈りをやっている。これは一体何だ。これは率直な国民の疑問なんですね。わからないんです。二つ目は、何百億とかけてつくった、開拓農地をつくっておきながら休耕田にしてしまうというのは一体どういう計画をしているのか。三つ目、減反すると草ぼうぼうで補助金がもらえる、こういうシステムというのは一体どうなんだろうか。こういう話がはね返ってくるわけですが、これはもう今はなくなりましたですか。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 生産調整につきましては、青田刈りの問題がしばしば問題になります。これは、やっぱり加工用とか飼料用に青田の稲が需要されておる。根強い需要が加工用等に、ひもとかあるいはむしろとか等にあって、地域によりますけれども、我々としては、なるべくこれは抑制いたしたいということで、大分転作面積の中の青田刈りの面積は減っておりますが、やっぱりその辺の加工用の需要があるということで、現在も続いておるというわけでございます。  なお、開田を一方に置いておきながら生産調整は何事であるということでございますが、四十年に本格的な減反が始まりましてから、厳に開田は抑制をしております。ただ、既に進行中の干拓等がございますと、これは開田を予定していた、それは畑作の営農計画を立てさせて別途それでやるというように、しかるべき措置をしてきたということでございます。

川島實改革

○川島委員 次に、農協系の金融機関、これが約十二兆五千億ですか、ノンバンクに融資をしている。これは非常に心配しているのですね、農業関係者は。一体自分たちが預けているお金が本当に大丈夫だろうか。日本は、そういう点では銀行がつぶれることない、こういう神話がございますからいいんじゃないか、こういうことなんでしょうけれども、一体これらのノンバンクに貸し付けて融資をしておる状況といいますか、担保がきちっととられて安全に処置ができるのかどうか。今回の中身を見ますと、何か金融機関に政府のお金が、とりあえずですよ、回っていくようなうがった見方をする人も中にはおるわけですよね。こういう疑問に対してきちっとお答えを、まず大蔵大臣からお願いしましょうか。よろしくお願いいたします。

武村正義新党さきがけ大蔵大臣

○武村国務大臣 農林系の金融機関の貸し出しか行われるに当たりましては、ノンバンクに対する貸し出しに限らず、当然のことでありますが、十分な審査、管理を行う、それぞれ経営判断に基づいてなされているものと認識をいたしております。  また、リスク分散の立場からも、貸し出しか特定の業種に偏らないように配慮をすべしというのが基本でございます。  この問題は農林大臣の御所管でございますから、私は一般的なこういう方針だけ申し述べて、かわらしていただきます。

川島實改革

○川島委員 今ノンバンクが非常に問題になっているわけですね。焦げつきやなんかで集まらないんじゃないかという非常に疑問がなされている。  今の日本の、これだけ貿易黒字国で、貿易ではもうけておるのに一向に国民生活がよくならないというのは、貿易のいろんな規制があって、物の値段が世界各国よりも非常に高いわけですね。だから、今度のWTOで私どもが期待をしておるのは、規制が取っ払われて、新しいルールのもとに日本が国際的におつき合いができるようなルールづくりをしながら、規制を外して、仲よく貿易が自由にやれるような、そういう国づくりを私は目指してもらいたい。  そういう中で、こうしたノンバンクに貸し付けておる農協のお金が、まあ非常に金利が高いから貸し付けたんだろうと思います。日本の生命保険会社だとか貿易でもうけたお金が、アメリカの債券買って、それが、百五十円の一ドルの値が百円以下に下がっちゃうと三分の一価格が減っちゃうわけですからね、幾ら利息が高くても。これと同じようにノンバンクに貸し付けた発想が受け取れるわけですよ、一般から考えますと。  それで、先ほど大蔵大臣に質問した中身と同じような形で、きちっと行われているのかどうか、農林大臣、ちょっとお伺いをしておきたいと思います。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 お答え申し上げますが、系統金融機関の貸し付けについては、それぞれの貸し付け先の相手によって担保その他の設定等について行っているというふうに承知しておるわけでございます。特に、ノンバンクについても、しばしば報道等で言われております住専につきましては、現在再建計画が進んでおりまして、母体行ゼロ、あるいは銀行が二・五%、農協系統は四・五%まで減免するということで、現在のところ支払い利息とか元本の滞っているという話は聞いておりませんので、それぞれの関係者の努力によって進められているものと、そのように理解しております。

川島實改革

○川島委員 今回こういう報道がなされて、農林水産大臣としてこの農協の状況についてきちっと係を呼んで、対応策というのは検討されましたか。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 これは、お言葉を返すようでございますが、金融機関相互間の話でございまして、これに対して政府が踏み込んだあれをするということはなかなか差し控えなければならないのではないかというふうに思っております。

川島實改革

○川島委員 しかし、大蔵大臣も農林水産大臣もお互いに答弁を投げ合っていまして、国民からすると中身が非常に不透明でわかりにくいわけなのですね、本当に。どうも農林水産系の金融機関だけ優遇されて、ほかの債権者が、銀行や何かが貸し付けているところ、総額で六十九兆円ですか、どうもおかしいのじゃないかというようないろいろな議論も出ておりますね。そういうものにきちっと国がわかりやすく、公的な資金でございますから、答弁がやはり返ってこなければ納得ができないわけなのですけれども、このことについてコメントございますか。

武村正義新党さきがけ大蔵大臣

○武村国務大臣 一般の都市銀行を初めとした金融機関につきましては、既に発表もいたしておりますが、バブルの時期の土地に対する融資の、いわゆる償還のめどが立ちにくい不良債権、十三兆円余りでございますが、集約をいたしながら、これに対しては共同機構などをつくったりくまざまな施策を講じて、ことしの冬ごろから少し山を越して不良債権全体も少し減る方向に向かってきております。そういう意味で、一応めどが立ちつつあるというふうに認識をいたしておるところでございます。恐らく農林関係の金融についても、それに準じた考え方で対応が当然なくれているものというふうに思っております。

川島實改革

○川島委員 最後に農林大臣にお伺いをしておきたいと思うのですが、食管法の廃止をして自由化を進めてほしいという審議会等の答申がなされていましたですね。それから、米の流通を、市場原理を生かして競争原理が導入ができるように。これから規制緩和をしながら、WTOの条約を締結すると即そういう方向に、努力をしなければならない方向になってくると思います。  そして、農業政策上では、千三百十万六千人の農業従事者がおるわけですね。それが、昭和の一けたの人たちというのは約二百万人おるというのですね。今、一年に新しい若手の働く人たちは結局二千人ぐらいしか入ってこないわけですから、五年で二百万人減ると片っ方は一万人しかふえない。これをどう受けとめておるのか。  そして、こうしたWTOの条約締結における競争原理の取り込みがきちっとなされておるのか、非常に我々心配している。二〇〇一年から関税化されて、五九五%の関税がだんだんとこう減っていく、こういう状況をどうあなたは受けとめておるのか、お伺いをしておきたいと思います。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 二〇〇一年から関税化というのは、委員、これは二〇〇一年でどちら、今の措置をとるかどうかということで交渉で決まるということですから、ひとつこの点については御理解願いたいと思いますし、今申し上げました農業就業者ですが、一日でも働いたような者を統計上、今言った一千万人云々という話でございまして、我々が後継者で心配するのは、要するに今後の担い手、担い手の皆さんの後継者をどう確保するかということでございまして、現在の状態ではようやく、新規学卒者ともう一つUターン者、三十四歳以下のUターン者を含めて五千人というような統計が出てまいりましたので、これを二倍とか三倍に引き伸ばそうということで、今回の国内対策でもこれに対するいろいろな施策、無利子の融資制度その他を用意をして強力に進めたい、先生御指摘の点についてはアプローチしたい、さように思っています。

川島實改革

○川島委員 時間が来たので終わります。  通告をしております諸点については、次回に延ばさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

佐藤孝行自由民主党

○佐藤委員長 川島君の質疑は終了いたしました。  次に、山本拓君。     〔委員長退席、川崎委員長代理着席〕

山本拓改革

○山本(拓)委員 改革の山本拓でございます。  村山総理大臣が食事ということでございますから、まず河野自民党総裁とさきがけの武村代表にお尋ねしたいのですが、いわゆる米の問題で、過去三回ほど衆議院において国会決議がなされていることはみんな知っているわけでありますが、そういう中で昨年、細川内閣がガットを受け入れた。私は当時、国会前で座り込みをやっておったものですから、これはけしからぬ、大体内閣というのは、政府というのは国会決議を尊重する義務があるというところに触れるのではないかということで、強く抗議をいたしました。そのときには、十分な対策を講じるからという条件つきでその場は終わったわけですね。その後細川内閣が、細川さんはやめられた。  今度はちょっと事情が違うのですね。要するに、国会決議をやった衆議院そのものに、今度はそれを破るかもしれない批准がかかわってくるんですね。いわゆる今まで我々衆議院で過去三回、日本の米を、自給を守るということで三回やってきて、今度はその衆議院の段階で、ややもすると八十万トン六年後に入るとか、それから先のことは不安定ですし、非常に米の国会決議というものは、同じ衆議院の我々みんながそれを破る可能性が強い。  私が今お尋ねしたいのは、要するに、同じ我々衆議院議員、外務大臣も大蔵大臣も、政府の立場とあわせて衆議院議員であり、それぞれの政党の代表として、この国会決議に反するおそれのある決議を衆議院で行う。これはもう農業団体から見ればもろにそこがおかしいと強く指摘する人も私の地元ではおります。そこを、この国会決議とまたそれに反する決定を同じ衆議院でするようになると思われている、国民から見れば。  国会決議のけじめですね、どうしてもこれを批准をしなくてはならないということであったら、このけじめ。これは政府に対してというよりも、もっと深刻な、我々衆議院の権威にもかかわる問題ですし、そう簡単に国会決議、あれは昔のことだということで過ごしてしまったならば、今後どんな国会決議をしてももうあいまいに破られて、国会決議の重みというものがなくなってしまう。私はそれを恐れるわけでありまして、今回のガット批准、ウルグアイの批准、WTO批准に対して、どう今までの国会決議と整合性をとるのか。また、今国会で今議論をしているさなかでありますから、その中でちょっとお尋ねしたいのは、自民党として、またさきがけとして、どうけじめをつけるのか、まずお尋ねをしたいと思います。

河野洋平自由民主党外務大臣

○河野国務大臣 今回のウルグアイ・ラウンドの問題について、私も山本議員と同じ立場で、米の輸入自由化反対ということをかねてから主張してまいりました。それはもう国会で、御指摘のとおり三度にわたる決議が行われていたことでも明らかであります。今回のこうした事態が日本の農業にとって極めて重大なものであるという認識を私も持っておりました。したがいまして、昨年の暮れ、自由民主党としては声明を出しまして、こうしたことは極めて重大な影響を農業にもたらすという指摘をしたところでございます。  しかしながら、その後、今回の提案に至るまで、政府・与党一体となって農業農村対策というものを懸命に議論をした結果、総額で七兆二千百億という農業農村対策を決定をいたしまして、この問題について、こうした対策によって農村、農業が新しい体質をぜひ持ってほしい、こう念願をするところが一つございます。  と同時に、委員も御承知のとおり、WTOの設立につきましては、ウルグアイ・ラウンドの交渉の中でシングル・アンダーテーキング、つまり一括方式というものがとられて、農業問題については極めて不満であるけれども、しかし全体として一括これはイエス・ノー、こういう状況になれば、我が国の将来を考えて、この問題はイエスと言うことが国にとって大切であるという判断があったのであろうと思います。それで、一括してイエスと言わなければならないのなら、ちょっと話の順番が前後しましたけれども、農業対策を十分にとることによって、これによって大きな影響をこうむる農村、農業に対しては新しい体制をとってほしいという対策を講ずることによって、全体として進めていかなければならないというのが現在の状況でございます。  お尋ねは、国会の決議との関係で、それで一体よろしいのか、こういうお尋ねであろうと思います。  私どもも国会議員といたしまして、国会の決議は極めて重い、しかも全会一致の決定であるということを考えれば極めて重いということは十分感じております。しかしながら、新しい時代、新しい国際情勢の中で新しい我が国の方針を決めなければならない状況に直面をして、国会の御判断が新たな状況に対応するWTOというものの設立に合意をしてくださるということであれば、国会決議のいわば有権的解釈は国会そのものにあるということもあろうかと存じまして、国会での御判断をお願いをしているところでございます。  三度の国会決議の状況下と今日の状況下は、国際情勢その他、大きな流れの変化が今日の前にあるということを踏まえてこれは対応をしていただかなくてはならない、こう考えているところでございます。

武村正義新党さきがけ大蔵大臣

○武村国務大臣 昨年の決断は、当時の細川総理みずからが表現されておりますように、苦渋の選択、苦悩の中で決断をしたということでありました。国会決議があるからということに限らず、農民を中心として、このことに対して反対ないしは心配をされる方々が大変多いという状況の中の決断であったからでございました。  国会決議そのものは、私も再三この決議を読み直してきたわけでありますが、五十五年と五十九年と六十三年、それぞれ衆参いわば六つの決議があったわけでございまして、共通して農業の重要性を訴え、食糧の自給の大事さを強調したものであったというふうに思っております。参議院の決議の中には「完全自給」という大変明確な表現も入っておりますが、衆議院の場合は、どちらかというと食糧自給力の強化、アメリカの自由化の要求に対する極めて遺憾であるというふうな意思表示であったと思います。  それで、国会決議に違反というときに、どこを基本におっしゃるのか。いずれにしましても、ミニマムアクセスを受け入れる決断をしたことになりますし、その前提で今回も批准の御論議をいただいているわけであります。米を中心とした日本の食糧をしっかり守っていこうということになりますと、外国米を入れるということを認めるわけですから、これは国会決議に反しておるというのは、これはもう事実でありますし、率直に認めなければなりません。  ただ、二年前にドンケル・ペーパーで決まりました、いわば包括的な関税化、すべてもう例外なしに世界のあらゆる農産物についても関税化でいこうというのがガットの決議でございました。にもかかわらず最終的には、日本の米と韓国の米と言っていいのかもしれませんが、この例外なき関税化の例外としてまくに認めさすことになったわけでありまして、これが四%から八%までの六年間の部分自由化の受け入れということでありますが、こういう結果で、少なくとも世界に例のない特例としてこういうことになったこと自身は、まさに国会決議があったからというか、国会決議を受けて政府や各政党も真剣に交渉を進めてくることができた、そのおかげで例外的な扱いになり、自由化といっても完全自由化でなしに部分自由化で当面終えることができたということでありまして、そういう今日までの国会決議を背景にした政府や各政党の努力の足跡を振り返りましても、大変残念な合意ではありますけれども、必死でこの決議の趣旨を守るべく関係者が頑張ってきた、またこの決議があったから頑張ってくることができたということも御理解を賜りたいと思う次第であります。

山本拓改革

○山本(拓)委員 WTOの中身についての重要性は私もよく承知をいたしております。問題は、国会で三度決議をして、今度批准する、それを認めるに当たって、やはりその趣旨は、日本の農業をきちっと守る。今、政府としては六兆百億という具体的な数字を出されてきているわけですね。ということは、国会としてのけじめは、この六兆百億というものは国会できちっと担保する必要があるのではないか。これは別枠であるという担保をすることによって、これは当然その国会決議に反しないという、批准を認めるということになるのではないかと思うのですね。  総理、六兆百億というのは別枠なんでしょう。これは国会で約束していただけますね。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 ウルグアイ・ラウンドの農業合意を受け入れた。できるだけ、国会決議が数度にわたってあるわけですから、この国会決議を生かしていくためには、農業というのはこれは自然を対象としての作物だから一般とは別枠で議論をすべき課題ではないかといって随分頑張ってこられたと私は思います。しかし、これは切り離すのじゃなくて一括で全部処理されるというあり方から、やむを得ず最終的には関税化でなくて、今お話もありましたようにミニマムアクセスを受け入れるという形で受け入れざるを得なかったというのが現状ではないかと思うのです。  それだけに、なぜそれだけの主張をくれたか、なぜ国会の決議があったかといえば、やはり農業は違う、したがってこの農業だけはしっかり守らないかぬというようなこともございまして、閣議了解事項もあるし、対策本部もつくられてこれまで取り組んできたわけです。  したがって、そうした議論の中から最終的に六兆百億円という予算をこれから計上していこうというような、六年間でやっていこうという合意もできたわけでありますけれども、これは今までの農林予算に六兆百億円というものを六年間で全部上乗せするというのではなくて、それを在来の農林予算に支障を来くないという範囲で活用していくということだと私は受けとめております。

山本拓改革

○山本(拓)委員 大体、国民は国会議員の言うことは余りもう信用しないのですよ。守る守るといったって何を守るかわかりませんし、失礼ですけれども、今までの公約違反とかいろいろな議論もありましたけれども、やはりこれは国会として、もう数字だけ別枠で決議、数字は守りますということをやれば、これは納得しますからね。  じゃ確認しますけれども、この六兆百億というのは別枠ではないということですね、総理は。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 ですから、これまでの農林予算に別枠で六年間で六兆百億円を上乗せしますというものではないということは御理解いただきたいと思うのです。

山本拓改革

○山本(拓)委員 じゃ、本当にこれは、今まで年間三兆ちょっと農業予算はあるわけでしょう。一六年間で三、六、十八兆、ほっておいたってあるわけでしょう。その中の六兆円なんですか。ちょっともう一回確認します。

武村正義新党さきがけ大蔵大臣

○武村国務大臣 総理がお答え申し上げたように、ウルグアイ・ラウンド合意に対応する新しい事業だということをはっきり申し上げております。新しい事業である、あるいは前向きと言ってもいいのかもしれません。そして同時に、従来の農林水産予算に支障を来さないように配慮するということも合意をいたしているところでございまして、別枠であるかないかと言われると、別枠とは言えません。  しかし、あくまでもこういう文言で合意をいたしておりますように、前向きの新しい事業として六兆百億円の六年間の事業の考え方を取りまとめた次第でありまして、これは毎年の予算編成の中で個々の予算が具体化されて位置づけが鮮明になってくるということで御理解をいただきたいと思います。

山本拓改革

○山本(拓)委員 私は、これはてっきり別枠だと思っておったのですよ。というのは、自民党を初め与党の皆さんが、地元の農業団体で別枠で取りました、取りましたと言っておられましたので、これは別枠かなと思ったのですが、これはみんなうそついていることになったのですね。わかりました。この問題、また後日ゆっくりやらしていただきます。  それでは、まずWTOの協定については、非常にわかりにくいんですね、国民の目から見て。大体何事も新しいものをつくろうとすると、メリットとデメリットというものがあります。総理の頭の中に、国民にわかりやすくひとつ、WTO協定に当たって日本がそれに参画するメリットと日本にとってのデメリットをちょっと簡単に言っていただけませんか。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 これはなかなか一口で言うのも難しいんじゃないかと思いますけれども、これはこれまでも議論がありましたように、日本は資源もないし、言うならば、いろいろな付加価値をつけていく技術の開発等を含めて、貿易立国で成り立っている国ですから、したがって、世界的に貿易が自由化される、投資が自由化されるというようなことがやはり前提にあって、そしてこれまでの日本の経済の発展をなし遂げ得たということから考えれば、私はそういう全般的な意味からすると大きな意味はある、プラスがあるというふうに思います。ただ、今ここで議論されていますように、これまで国内だけで自給をする体制でやってきた日本の農業なんかから見れば、これからやはり国際場裏にさらされるわけですから、そんな意味では大変厳しいものがある。  したがって、この農業をどう守っていくか、そして国内の自給を保障していくかという意味からこれは大変な大きな課題だという意味からすれば、厳しい受けとめをしなきゃならぬというふうに思いますけれども、しかし、それはそれでやはりきちっと守っていくような体制をつくっていかなきゃならないので、一つの試練にくらされて日本の農業をどう変えていくかという意味からすれば、やはりある意味では前向きに取り組むような体制でいけばプラスに転化できるということも十分踏まえてこれから取り組んでいく必要があるのではないかというふうに思っています。

山本拓改革

○山本(拓)委員 私が心配しますのは、プラスの面、マイナスの面いろいろあるのですが、いわゆる貿易枠を拡大する、日本にとったはいいことだ、確かにそのとおりだと思います。しかし、今の現状の日本を見た場合に、貿易黒字が膨らみ過ぎてあちこちでたたかれているわけですね。その貿易黒字の三大要素というのですか、ベストスリーは、自動車とか事務機とかございます。そういったものはますます今度の枠拡大で売れるのですね。  そうすると、ただ、よく考えてみると、全く今貿易黒字問題がないのならば喜ばしいけれども、貿易黒字を抱えて減らさないかぬというときに枠拡大、枠拡大ということでいきますと、これは貿易黒字がくらに二倍も三倍も膨れ上がっていく可能性があるのじゃないか。そういう認識はお持ちになっていませんか、総理。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 それは、例えば規制を緩和するとかいろいろな国内対策も講じて、均衡のある貿易収支というものを維持していく必要があるというようにも思いまするし、これは、為替相場の変動やら。いろいろな条件を考えてまいりますと、このまま進んでいけばどんどん黒字がふえて、逆に日本がまた責められるというようなことになるのではないかという面もあるかもしれませんけれども、逆の作用もやはり私は働くのではないかというように思いますから、必ずしもそういう一面だけをとらえて判断するわけにはいかないのではないかというふうに思っています。

山本拓改革

○山本(拓)委員 そうすると、総理の頭の中には、例えば昨年で一千二百二億ドルぐらいですかの貿易黒字は、これをどのぐらい圧縮するのが一番いいと思いますか。適当な数値、大体総理の頭の中にあるものだけでいいです。政治判断。

河野洋平自由民主党外務大臣

○河野国務大臣 今回のWTOは、議員も御承知のとおり、関税の引き下げとかそういうものがございます。そうしたことを考えれば、むしろアクセスは非常によくなるわけで、外国から物が入ってくるという部分は非常に多くなると思います。先ほどメリット、デメリットということをおっしゃいましたけれども、農業分野が非常に厳しい状況にくらくれるということがある一方で、関税の引き下げあるいは物以外のサービスの分野に新たなルールができる、こういったメリットもあるわけです。さらには紛争解決の手続というものが確立をくれる、こういうメリットもあるということがあるわけでございます。  そして、今黒字幅についての御指摘がございましたが、これは、国際経済全体がどう動くかということを見なければ、今その予測ができるわけのものではございません。  ただ、我々としては、やはりアメリカ、ヨーロッパ、それぞれ話を聞くたびに、もう少しこのバランスというものがいいバランスになっていくということが望ましいということは我々としても考えなければならないと思いますが、数字を決めて、どの数字が我々にとっていいかということを具体的に言うことは甚だ難しいと思います。

山本拓改革

○山本(拓)委員 今回のWTO批准によって世界の貿易枠が拡大する、で、日本にとっては、やはりこれ以上の貿易黒字をふやすわけにいきませんから、どうしてもこれは輸入促進の方に力を入れていかざるを得ないということですね。  そうすると、今回の批准というのは日本にとっては、大体輸出するのはもう自動車とかそういったのがどんどんどんどん、それなら外国に工場を出したりと、またやっていっちゃうわけですね。それで国内で関税が撤廃されて、鉱工業分野なんかはもう悲惨な状態になっていく可能性があるのですね。そこらがどんどんどんどん入ってくる。だから結局、どちらかというと我々が対策を立てなくてはならないのは、これは輸入がどんどん入ってきますから、そちらの方の日本に対するデメリットが、国内対策として非常に大きいという認識を私は持っているんですね。  だから、私が申し上げたいのは、貿易国であって資源がない国ですから、貿易の収支とんとんということは、収支とんとんまで持っていったらこれは悲惨になっちゃうわけで、例えばアメリカがどんどんどんどん日本をたたきますけれども、どの程度まで圧縮すれば、半分か、それともまた収支とんとんまでが一つの目標なのか、それによっては、私は規模と期間の対応によって国内の対策が大分変わってくるという認識を持っているのですよ。  だから、総理にもう一回お尋ねしますけれども、貿易収支の黒字圧縮というのは、まあ国会で言えないのなら言えないでいいですが、まず頭の中ではそういった概念をお持ちなんですか。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 黒字が一方的にふえて、そして極めて貿易収支が不均衡になっておるということは私は必ずしもいいと思いませんし、ですから、可能な限り内需を拡大して、そして黒字を減らして、輸入もふやそうという努力を一生懸命やっているわけです。  私は、この程度の黒字ならいいんではないか、その黒字の目標を達成させるためには輸入をこれだけふやして輸出をこれだけ減らすというようなことになってまいりますと、これはやはり自由化に反するようなことになるので、これはやはり自然に流れるものだというふうに思いますから、関税を引き下げたり、それからいろいろな手当てを共通してWTO等の機関を通じてやっていくことによって、全体としてだんだん均衡がとれていくような形になっていくような性格のものではないかというふうに思います。  これは、今御指摘もありましたように、関税がどんどん下がっていって、そして輸入がふえてきて逆に赤字を抱えるというようなことになったら、これは日本の国というのは大変ですから、そんなことにならないように十分配慮してやっていく必要があると思いますけれども、それはまたそれなりの私は努力もしていかなきゃならぬというふうに思います。

山本拓改革

○山本(拓)委員 先ほど貿易収支の関係で、為替の動向というお話も言われておりましたが、確かに、円高が進めば進むほど円建てでいくと圧縮しますけれども、向こうはドル建てで判断するということで難しいんですが、日本のリーダーとして、じゃ、この日本の円の適正価格、総理の頭の中では大体どの辺が適当かなというお考えをちょっと教えてください。

武村正義新党さきがけ大蔵大臣

○武村国務大臣 これは、総理がだれであれ、なかなかあるべき為替レートを政府が申し上げることはできない立場だということを御理解いただきたいと思います。  申し上げるならば、それぞれの国の経済の諸条件、ファンダメンタルズと言っておりますが、それを為替が反映するのが望ましい。昨今、どちらかといえば急激な為替変動が思惑、投機等によって見られる状況については、これは正しい状況ではないということは私どもも申し上げているわけであります。円のレートそのものをきちっと政府が申し上げるのは、ひとつ御理解いただきたいと思います。

山本拓改革

○山本(拓)委員 私が確認したかったのは、要するに、対策は打たずに円高が進めばそれで少なくなるじゃないかという円高容認の考え方でやられては困りますので、だから、考え方はあるけれども国会では言えないというなら理解できますよ、当然。ただ、要するに、ややもするとそういうことすら考えてないんじゃないかという心配が一部後援者の中にありましたので、それをちょっとたださせていただいた。  だから、再度お尋ねしますが、村山総理の頭の中には、大体の、ドルもこの辺がなという概念があって、あえて国会で言えないんだということですか。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 まあ、それは正直申し上げまして、ドル安で円高じゃないかなという気はいたしますし、だから、そこはやっぱり、今お話がございましたように、それぞれの持つ経済の実勢が正確に、正しく反映できるようなそういう為替レートにやっぱり安定していくことが必要ではないかという認識は持っています。

山本拓改革

○山本(拓)委員 これから政治改革で、政党本位で、政治のリーダーシップでやっていこうということですから、だからできるだけこういう議論の場では、官僚がつくり上げてきたことを判断するのではなしに、別に、一つの頭の、概念的にきちっと日本の貿易というものはこうあるべきだと。  というのはなぜかといいますと、先ほども言いましたように、日本の場合はこれから、政治はもうけるところ、メリットのあるところは別にほっておいたっていいわけですね。これは打撃を受けるところが悲惨なんですよ。だから、これは今度批准に当たって、鉱工業分野なんか五年にわたって関税がどんどんどんどん下がっていくわけでしょう。そうすると、下がっていくということは繊維業界なんかはもう真っ青ですよね。そこに対する対応もいろいろあるんですが、これらには、大体国内で関税を設けているというのは国際競争力がないから設けているんで、それが一方的にとられていくということになると、これはもう物すごく深刻なんですね。米も深刻ですけれども、それと同じぐらい深刻なんですね。そこらに対する対応というのは、総理としてはきちっと認識はお持ちなんですね。

橋本龍太郎自由民主党通商産業大臣

○橋本国務大臣 官僚の紙を読むなということでありましたが、これは大事な部分ですから間違いのないようにきちんと読み上げさせていただきたいと思います。  今回の関税交渉というもの、これはもう委員よく御承知のとおりでありまして、我が国の市場に対する参入意欲の強い国から広範囲な分野で関税については引き下げの強い要求がございました。しかし、日本としては、その関税の引き下げによる我が国の国内産業に与える影響というものに対して十分な配慮をしつつ交渉に臨んできたことは、自由民主党内閣の時代から変わっておらなかったと思います。これは私は細川政権においても変わらなかったであることを信じたいと思います。  その結果、特に国際競争力の弱い分野については、例えば通常五年の関税引き下げ期間を繊維、衣服の分野につきましては十年のように長期化をする、あるいは関税の引き下げ幅に配慮をするなどの対応を現にもう行っておるわけであります。  さらに、たまたま委員が例示で挙げられましたけれども、繊維につきましては、セーフガード措置につきます運用手続などの明確化など水際緊急対策の整備にも努めておるわけでありまして、関税の引き下げに対する交渉の成果と相まって、国内産業に対する影響というものは最小限度にとどめるような努力をしつつあるところであります。

山本拓改革

○山本(拓)委員 時間がありませんので、ちょっとかいつまんであと質問しますけれども、私が申し上げたいのは、中身はわかるんですけれども、我々政治家ですから、特に弱者対策、これから規制緩和もやっていきますね。規制緩和をやることによって大変被害をこうむる者に対する対応、一番我々が考えなくてはならないのは雇用対策だと思うんですね。やっぱり雇用が生まれなければ、失業者があふれたら何にもならない。中には、規制緩和をやり、批准すればニュービジネスがいっぱいふえて逆に空洞化がなくなると言う人もいますけれども、私らに言わせると、確かにふえるかもしらぬけれども、それはコンピューターとかなんとか、また夜間の労働条件の悪い二十四時間の働き口とか、そういったところは外国人労働者の指定席になる可能性が非常に強いので、特に、若い人は職業はまたどこでも張りつきますが、四十半ば以降の中高年層というのは全く惨めなんですよ。  だから、そこらの雇用対策について、やはり今後の規制緩和五カ年計画をやりますね。この規制緩和五カ年計画をやるに当たって、まず総理にお尋ねしたいのは、規制緩和、規制緩和と言っても、いわゆる大企業が言う規制緩和と、地方の中小企業者が言う規制緩和と、消費者が言う規制緩和と、生産者が言う規制緩和と、アメリカが言う規制緩和と、いろいろ規制緩和とは言うけれども、みんな都合のいい規制緩和を言っているわけですから、各論になるとばらばらですね。だから、そこは総理が、今後規制緩和を推進するに当たって総理の理念がしっかりとしたものがなければ、これはなかなか、があがあがあがあ圧力の強い、またアメリカの圧力の強い方に流されてしまうということになりはしないかな。  これはもう時間がありませんからついでに聞きますが、アメリカから十分野、要求が来ましたね。あの基本原則は、原則自由という基本原則を言ってきていますね。それは基本的には総理としては受け入れられるということなんですか。それとあわせて、総理の規制緩和五カ年計画に当たる基本理念というのをちょっと教えてください。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 今いろいろお話がございましたけれども、例えばWTOでこれから設けられていく国際的なルールに基づく基準とかいうようなもの以上に厳しい規制があるというようなことについては、やっぱり是正をしていく必要があると思いますし、それから、もうこれだけ経済のあり方も変わってきているわけですから、したがって、過去に必要であったけれども、もう現状に照らして必要ではないんではないかというような規制も私はあるんでないかと思いますね。そういう規制というものは、やっぱりできるだけなくしていくということは大事だと思いますよ。  しかし、新しくまた力関係も生まれできますし、非常にいい条件に置かれているものもあれば、そのために非常に弱い立場に立たされるものもあるというような不均衡が起これは、その不均衡はやっぱり是正をする意味で新しく規制を設ける必要もあるというようなところもまた生まれてくるんではないかというように思います。  私はやっぱり、このWTOが目指すような、国際的に貿易、投資が自由化されていくその基準に照らしてどうなのかという判断をすることも大事だと思いますし、同時に国内的には、社会的な公正を維持するという意味で必要な規制というものはやっぱりあってしかるべきではないかというふうに思いますから、そういう基準といいますか考え方で私どもは考えていく必要があるんではないかというふうに思っています。

山本拓改革

○山本(拓)委員 そうすると、今要らなくなったものをなくすのは、時代にそぐわなくなったものをなくしていくのは僕は当然だと思いますが、そこであえて政治的な指導性ということを考えますと、それは役人の事務作業でできるわけですね、今までのことは。要するに、これを規制緩和すれば新しく産業が生まれる、新しく中高年層の雇用が生まれる、村山総理でも、まあ村山総理はあれですが、四十代、五十代でも、地方の人でも職につける、やっぱりそういうことを念頭に置いた規制緩和をまず進めるという考え方はないですか。  というのは、もう繊維でも三百万人の労働者、革職人、何職人、いろんな分野でこれはもう先行きないわけですよ、数字的には何か出てくるでしょうけれども。しかし、現実問題として、政府がせめて、規制緩和をやるというならば、少なくともそういう人たちにプラスになるような、地方に仕事を生み出す規制緩和というものをまず第一義に置いて、そしてから進める、それが政治の指導性ではないかと思うんですが、どうですか。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 今私は、規制緩和あるいは規制というものに対する考え方の前提となる考え方を若干申し上げたんです。人間にとって何が一番大事かといえば、やっぱり生活が一番大事ですから。生活するためには所得が必要ですから、所得を得るためには、これはやっぱり所得が得られるような労働が保障される、雇用が保障されるということは大事なことですから、雇用というものは、これは深刻な問題だというふうに私は受けとめて、認識をいたしております。  そこで、新しい事業分野をどう開拓していくか、開発していくか、新しい雇用の市場というものをどうつくっていくかという意味から何らかの誘導していくための規制が必要だというふうなことになれば、それは当然やっぱり考えるべきことであって、その考え方については、今委員がお話しになったような点についても深く意識をして取り組まなきゃならぬ課題だというふうに思っています。

山本拓改革

○山本(拓)委員 今度この規制緩和を監視するというか監督するのは、行政改革委員会というのができるんですね。メンバーは、これは五人ほどなんだと思うのですが、一番関心があるのは、総理のリーダーシップとしてどういうメンバーを張りつけるかということにみんなが注目してますね。  だからまず、官僚OBは入れないということは明言できるんですか。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 官僚OBは入れないとかなんとかいうようなことを前提にして私は考えない方がいいと思うのですね。やはり一番適当な適任者を選ぶ、これは目的に沿った仕事ができるということを前提にして一番適任者を選んでいくということが大事だと私は思っていますから、別に枠を決めてこれは入れないとかいうような考え方は今持っておりません。

山本拓改革

○山本(拓)委員 これは今までのいろんな審議会でも、別に官僚のOBでもいい人もいっぱいいると思いますが、ただ、総理のスタンスとして、要するに官僚に対してかなり厳しい注文をつけるということで、大体いっぱい人材がいるわけですね、官僚以外にも。だから、やはりそういう意味では私は官僚は外すべきだなと、OBも外すべきだなというふうに思うのですが、総理としては要するに官僚は入れてもやむを得ないということですか。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 私が申し上げておりますのは、この行革委員会というのは、行政改革やらそれから情報公開やら等、これから必要な大事な課題をやるためにつくられる委員会なんですよ。その委員会ですから、その仕事の重要性というものを踏まえて、その目的が十分達成されるような適任者を選ぶということが大事ではないかというふうには思っていますし、言われる意味は、えてして官僚が事務局を握って、そして委員会がつくられてもやはり官僚の主導で進められていくんじゃないかと、こういう懸念が持たれていると思うのですね。それはそうでなくて、独立した機関として、そして自主的に十分目的に向かった仕事ができるような、そういう人選をする必要があるのではないかというふうに申し上げているわけです。

山本拓改革

○山本(拓)委員 独立した機関ということであれば、これは総理直轄ということでよろしいのですか。

河野昭総務庁長官官房審議官

○河野政府委員 お答えいたします。  先般成立いたしました行政改革委員会設置法でございますが、第一条に「総理府に、行政改革委員会を置く。」と規定されてございます。

山本拓改革

○山本(拓)委員 時間が来ましたので、最後に一つだけお願いしておきますが、これはやはり国会で何事も一つ一つ決めていく場合に守られていかなくちゃならない。総理が幾ら答弁しても、それが守られない。ただでくえちょっと信用がないのですよ、正直な話。だから、そういう意味では明確なお答えが欲しかったのですが、今の総理の話では官僚もやむを得ないということですね。  そしてもう一つは、これは、監視をする、またその進捗状況がうまくいく、これに少しやはり法的根拠を持たせる必要があると思うのですが、そういうお考えはないですか。最後にそれだけを。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 官僚を入れてもやむを得ないという見解を私は述べていませんからね。そのことは誤解のないようにしてくださいよ。  それから、勧告をする権限というのがあるわけですから、この委員会には。ですから、お話がございましたように、極めて重要な役割と任務を担うと思います。それに一番適材な人を人選をするということは当然だと思います。

川崎二郎自由民主党

○川崎委員長代理 この際、太田誠一君から関連質疑の申し出があります。山本拓君の持ち時間の範囲内でこれを許します。太田誠一君。

太田誠一改革

○太田(誠)委員 まず村山総理にお伺いをしたいわけでありますが、ハーモナイゼーションという言葉を最近は私どもはよく使うわけであります。国際的調和ということだろうと思いますが、ハーモナイゼーションという言葉は非常によい言葉で、さまざまな各国の国内で通用しておるルール、あるいは国際間でもそうでありますけれども、通用しておるルールというものをなるべくそろえていこうという考え方であります。例えば、このきょうのテーマじゃありませんけれども、商法の改正とか、あるいは金融関係の銀行法の改正とか、そういうテーマについては私も自民党が与党であった時代にずっと提言をいたし、またその推進役を、ハーモナイズするための推進役を務めてきたつもりでございます。  そういう中で、一方でハーモナイゼーションということはあるけれども、しかしながら、我々が住んでおるこの地球というのはこれはボーダーレスの社会ではない、国境のない社会ではないわけであります。インターナショナルな社会だということは、インターとナショナルですから、国と国との間というものがはっきりしておる、すなわち国境のある、国境でお互いに垣根を設けられた、そういう世界に我々は住んでいるわけであります。  そうであるとしますと、ボーダーレスの、つまり国境のない地球社会について言われていることと、それからボーダーのある国際社会というもので言われておるものの中で考えることは、おのずから違ったことになるわけでありまして、経済学者の世界というのは、おおむね国境のない社会、ボーダーレスの社会を考えがちでありまして、そこが我々が実際に取り組んでおる現実の社会との違いになるわけであります。  そうすると、国境があるということは何かというと、相当この社会はハーモナイズしているけれども、それにもかかわらず、国境を画すことによってその内側で守りたいと思うものがそれぞれの国にあるからであります。そして、その国境の中で守りたいものは何かというと、例えば宗教とか、あるいは一種の民族のアイデンティティーとか、あるいはこういう生き方ですね、日本人なら日本人のこういう生き方、アメリカ人ならアメリカ人のこういう生き方というものを守りたい、あるいはどうしてもその社会共通の大切な価値というものがほかにあって、そういうものを守りたいというものがあるからこそ、それは国境を外して互いに同化をしたいということにならないんだ。同化はしたくないという部分が残っているから、これはインターナショナルであってボーダーレスではないということに私はなると思うわけであります。  そういたしますと、そういう自由な競争に完全にゆだねてしまってもよい、基本的には自由な競争でやろうということが今は大体どこの国も合意なわけでありますけれども、自由な競争にすべてのことをゆだねてしまってはならない。国として守るべきものが最小限度これだけあるんだ、それは何も恥ずかしいことではなくて、よその国に対して我が国はこれを守る、そして、これはもうハーモナイズさせてしまうというふうなことを、方針を決めなければならない。そうして、そのような方針に基づいて、内閣総理大臣は、あるいは政府というものは自由な市場に対してこれだけのものは犠牲にして、そうして守るべきものはこうですということを実際に守っていかなければいけないということになるのではないかと思います。  政府というものはそういう役割を担っておる。何もかも自由競争にゆだねていればよいのであれば政府は要らないわけでありまして、政府がそこにあるというのは、そういう国として守るべきものを守るというその役割を担わくれて、自由主義の経済というものの中で、一種の犠牲といいますか、介入をするということになろうかと思うわけであります。  この点について、今急に言われても困るかもしれませんが、私が提起した問題について何かお考えをちょっと述べていただければと思います。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 なかなか難しい問題ですけれども、これはやはり一応境界があって、国境があって、領土というものがある。その領土には国民が生活している。主権が保障されておるという世界じゅうの国の保障された国際ルールというのがあるわけですから、お互いに主権を守り合うというのは当然だと思いますね。  ただ、経済には国境がないと今お話もございましたように、これはもう貿易、投資等の自由化が行われて、全体として協力し合い、助け合うことによって世界全体の経済が発展をしていくということは当然のことだと思いますから。ただ、それぞれの国には、その国の持つ歴史的な伝統、文化、宗教というようなものがあると私は思うのです。そういうものはやはりお互い国民として大事にしていきたいというふうに思いますから、ですから、国際的に協調できるものもあれば、そうでなくて、その国のやはり宝として大事に守っていきたいというものもあるのは当然だと思いますね。私は、そういうふうに受けとめて理解をしていきたいというように思っています。

太田誠一改革

○太田(誠)委員 我が国の民族共通の宗教というのは、あるといえばあるし、ないといえばないわけであります。  私も実は十分詳しいわけじゃありませんけれども、皇室の行事というものを、年間の主要行事というのをこの間見せてもらいましたところ、季節の、秋分の日とか春分の日とか、あるいは大みそかとかあるいは新年の集まりとか新年の遥拝とか、そういうふうなことを別にいたしますと、ずっと長く続いておる本当に大切なお祭りといいますか宗教的な行事というのは、これは新嘗祭、そしてまた即位のときの大嘗祭というのが致命的に重要なものであるというふうに認識をいたしております。  それで他方、古事記という文書が残っておって、これは口頭で伝承されてきた事柄を、ある時代にそれを文章にしたということで、これは歴史的な史料というよりも私は宗教的な史料だと思っておりますけれども、そこには三大神勅というものがあって、つまり、アマテラスノオオミカミがニニギノミコトに三大神勅というものを授けた。それは、一つは鏡であって、一つは曲玉とそれから刀、これはワンセットなんです。曲玉、刀でワンセット、それと稲穂なんですね。つまり、三大神勅の一つとは、これは稲穂である。そして三種の神器というのは、これはちょっと今私は、三種の神器はそのものではないかと言っておるのですけれども、それは曲玉と刀は別になっておりますけれども、ともかく今の皇室の宗教的な背景というのは稲作信仰というものがあるわけであります。  我々は気がつかないけれども、そのもとで、稲作信仰というもとで天皇制ができて、それは宗教的な存在だから別にしているけれども、そのような背景のもとでできた天皇制度というものをきちんと憲法にうたって、それを大切にしておるわけでございますから、そういう稲作信仰というものが我が国の全体の、社会の底辺からずっと定着をしておるということは、これは事実であろうかと思うわけでございます。  何か間違っていることがあったら、宮内庁から御指摘をいただければと思います。

角田素文宮内庁長官官房審議官

○角田説明員 御指摘のとおり、皇室と稲作とは古来より極めて深いつながりがございます。  すなわち古事記に、アマテラスオオミカミが大嘗を行われた御殿についての記述がございますし、また日本書紀に、アマテラスオオミカミが皇孫ニニギノミコトの降臨のとき斎庭の瑞穂を授けられ、ニニギノミコトの皇妃、お后でございますが、皇妃が新嘗を行われたとの説話が見られるところでございます。  このような新嘗、大嘗は、それ以後、第三十四代舒明天皇、第三十五代皇極天皇、第四十代天武天皇それから第四十一代持続天皇などによって行われたとも記されておりますところでございまして、古事記、日本書紀が編さんくれた奈良時代以前に由来するということは明らかでございます。  御指摘のとおり、大嘗は御一代に一度行われ、新嘗は毎年行われる収穫儀礼でございますが、その区別が史書に見える最初は第四十代の天武天皇のときである、こういうふうに言われております。以来、新嘗祭は毎年行われておりますし、大嘗祭は御即位のときに行われるのが皇室の伝統となって今日に至っております。  また、稲作と関係が深い宮中祭祀には、祈年祭、神嘗祭、新嘗祭の三つがございます。このうち、新嘗祭は毎年十一月二十三日に行われまして、宮中恒例の祭典の中でも極めて重要なものの一つとなっております。この新嘗祭には、天皇陛下御みずから御栽培になられました新穀もお供えになっていらっしゃいます。  以上でございます。

太田誠一改革

○太田(誠)委員 ありがとうございました。  皇室というものの存在にとって稲作というのは致命的に大切なことで、それはまた、大嘗祭のときに、日本国内の各国の神様というか、あるいは我々国民というか、がそれぞれ集まって、そして建国をして、そしてみんなでそこでお米とアワを食べて、そしてお米でつくったお酒でもって神々が集まって酒盛りをするというのが大嘗祭の趣旨であろうかと私は思うわけであります。  そういたしますと、これは日本に単一の宗教ではない、宗教問題は非常に面倒なことになるわけでありますが、少なくともそういうものをずっと我が国は大切にしてきたことは間違いがないわけでありますから、先ほどのハーモナイゼーションの問題になりますけれども、もし我が国の国境をそこに設けておって、守るとすれば、私は、多くの国民、全部とは申しません、多くの国民はそういうものを特別扱いにする、稲作というものを特別扱いにするということについて、大勢の合意は得られるのではないかというふうに私は思っているわけであります。  そこで、今度のWTOに至るガットのウルグアイ・ラウンド交渉の最後に至って、本当に最後かどうか知らないけれども、最後に至ってオーディオ・ビジュアルというものが例外扱いになったということが報告されて驚愕をいたしたわけであります。これは、大体オーディオ・ビジュアルの話は前からEUは主張をしておったものなのか、それとも突然そのときになって言い出したものなのか、そこをよく知っておられる方がおられたら、どこの省かわかりませんが、外務省にでもお答えをいただきたいと思います。

原口幸市外務省経済局長

○原口政府委員 EUは、交渉の当初からオーデノオ・ビジュアルを交渉の対象外にするように主張しておりました。

太田誠一改革

○太田(誠)委員 今の当初というのは、いつごろの話ですか。いつごろからですか、何年。

原口幸市外務省経済局長

○原口政府委員 正確にいつからということは今即座にはお答えできませんが、少なくとも中間合意の後、ECはそういう主張をしていたと記憶しております。

太田誠一改革

○太田(誠)委員 何年ですか。

原口幸市外務省経済局長

○原口政府委員 八九年です。

太田誠一改革

○太田(誠)委員 それじゃ、我が国は、先ほど総理に申し上げましたハーモナイゼーションに対して、国境で守るべきものがあるということはだれが決めるのか。何を守って何は開放する、何を調和させて何を調和させないか、同化をしない部分というのはだれが決めるのかといったら、それは主権者たる国民ですよ。主権者たる国民が決めるわけであります。ところが、国民投票という制度があるわけではありませんから、何を大切にするかという優先順位は国民の代表たる国会が決めるわけですね。  ですから、これはこの間から決議の話がたびたび出ておりますけれども、最後の衆議院の決議は、他の商品とは異なって、我が国の国会としては、すなわち国民の代表としては、米というものを最も優先をするといいますか、米というものを特に優先をするという決議をした、つまり例外的なものであるという決議をしたというふうに思っております。そこはどうですか。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 先ほど来御意見がございますけれども、これは、米と稲作というのは二千年の歴史の中で日本の政と深くかかわり合ってきた、ある意味では日本の文化をつくり上げる基礎的なものになってきておるという、切っても切れない大事なものだというふうに思いますからああいう国会の決議もなくれたという、根底にはそういう物の考え方があると思うのです。それだけに、その国会決議を何としても守る必要があるというので私どもも当時政府に要請をしてまいりましたし、政府もまたその腹で、国会決議が生かされないかといって頑張ってこられたと思うのです。  しかし、これは多くの国が議論する場でもありますし、単に農業だけを切り離して話ができる筋道のものでもないものですから、全体として国益の立場から決断をせざるを得なかった、こういう経過があるのではないかと私は認識をいたしております。

太田誠一改革

○太田(誠)委員 そこまでは今お聞きしていないわけでありまして……。  そこで外務省にお聞きをしたいのですが、まず最初に、ジュネーブにおける交渉団というものがあったわけでありまして、ジュネーブにおける交渉団の首席というものは、これはだれが務められたんでしょうか。外務省の方なのか、農林水産省の方なのか。

原口幸市外務省経済局長

○原口政府委員 交渉の分野はいろいろございまして、それぞれ交渉官というものが政府の各部署から選ばれておりますが、全体として責任を持って交渉したのは外務省でございます。

太田誠一改革

○太田(誠)委員 そうすると、これはオフィシャルな場所とそうではない会合というふうに当然あると思いますけれども、オフィシャルな場所で発言をしたのは、農業交渉のことを聞いているんですよ、農業交渉についても外務省が主として発言をくれたというふうに理解してよろしいですか。

東久雄農林水産省経済局長

○東政府委員 常に外務省側と農林水産省側と両方で出席いたしておりまして、いろいろな発言の機会がございます。私もその場におりましたのでそのときどきによって、もちろんその前に十分な部内での打ち合わせの上で、農林省側の代表が発言することもございますし、外務省側の発言にお願いすることもある。それは適宜、例えば非常に技術的な議論が多かったものですから、そういうふうな形で分担をいたしましたが、あくまで大使の指揮のもとにやっていました。

太田誠一改革

○太田(誠)委員 一体いつの時点で米の関税化ということを、米についてはさまざまな商品の中で例外的な扱いをするんだということはいつの時点で主張されてきたんですか。個別的に話したなんていうことじゃなくて、公にはいつ話したんですか。

東久雄農林水産省経済局長

○東政府委員 時期でございますが、正式に提案いたしましたのは、御承知のとおり中間合意というのがございまして、それに基づきまして各国が一九八九年の秋に各国の農業交渉に関する考え方を提出しろということでございまして、八九年の秋の終わり、冬に近いころでございますが、公式に米についての、例外というようなことじゃなくて、アメリカ側が関税化という考え方を九月ごろから出してきましたので、それに対してこちら側は、基礎的食糧については特別の輸入制限措置を設けられるようにするべきだということを中心にして提案をいたしました。

太田誠一改革

○太田(誠)委員 私は、平成二年の夏にジュネーブに参りまして、そのときに、各国の事務局の責任者あるいはガットの事務局の責任者と会ったわけであります。  その際に、ガットの事務局の方で、ちょっと名前をもう忘れましたけれども、何とかいう部長と称する人が出てこられまして言っておったのは、例外的な扱いというものについてくまざまな考え方があると。当時は、我が国の特に政治家が行けば米一粒も輸入しないということを言っておったのだけれども、ミニマムアクセスという形で、そのミニマムアクセスの取り扱いでもって例外を設けることはある。あるいは、関税率は、これは現に今度のWTOの枠組みがそうなっておるように、国内の生産価格というものをそのまま関税障壁の形で認めるということでありますが、これは全体の一般ルールであります。関税化のルールは一般ルールであります。一般ルールでないところがあるとすれば、これはその後の六年間あるいはその先について、そのような関税率を低下させていくテンポ、今度でいえば六年間で一五%というこのテンポをどうするかということについて、日本が言っておるような例外的な扱いというものが考えられるということを言っておったわけでございます。  そして去年の決着は、このミニマムアクセスの方で、ミニマムアクセスを設けて、そして関税化の例外にするというふうに説明を受けているわけでありますけれども、事実の問題として、これだけ高い関税を得られれば、例外だとかなんとか言わなくたっていいわけですよ。事実の問題として、これは例外ではなくて一般ルールに基づいておったってよそから入ってくる心配はないわけでありますから、この六年間について言えば、交渉者が例外扱いだと言っているものと一般ルールとは実質的には何も違いがない、効力は全く同じものであるというふうに思うわけであります。その点についていかがですか。

東久雄農林水産省経済局長

○東政府委員 先ほど先生がおっしゃいました平成二年というのは一九九〇年の夏のことだったと思います。そのころはまだドゥニさんじゃなくてドゼウという方が、オランダの方でございますが、それの議長のもとでやっておったときに、余りにもいろいろなことをおっしゃるものですから、結局そのドゼウ調停案というものが全くまとめられないという状態になってしまって、後、議長がかわられたという経緯がございます。  そういう中でのいろいろな議論があったのかもしれませんが、我々正式の交渉の場で、交渉の場では事務局が提案するわけではなくて各国でやり合うものですから、そういうふうな今先生がおっしゃったようなお考え方は示されていなかったということを申し上げさせていただきたいと思います。

太田誠一改革

○太田(誠)委員 米を特別な扱いにするということを国民の意思として三回も決定しているわけでありますし、しかもそれに基づいて、それを背景として、外務省といえども農林水産省といえどもこれは国民のための組織であって、国民がこのような価値判断を下したら、それに基づいて行動しなければならないわけであります。そのときに、果たして今回のようなミニマムアクセスを設けて、そして六年間は関税化の例外になっておるというふうに言うのがいいのか。それとも、これは関税化というものは受け入れて、しかしながら関税率が下がっていくテンポについては例外的に緩いものにするということが私は本当はよかったのではないかというふうに思っております。六年間で一五%というテンポでいきますと、これは非常に早い機会に、そのテンポがずっと続くとすれば非常に早い機会に我々はもっと困難な状態に陥るわけであります。  あれ、農林水産大臣いなくなっちゃった。それじゃ農林水産省の方でもいいんですけれども、私聞きたいのは、何%の関税率であれば現在の国内の生産水準は守れるというふうにお考えなのかということを聞こうと思っていたんですが、それは前もって質問は提示しておりますので、どなたでも答えられると思いますが。

日出英輔農林水産省農蚕園芸局長

○日出政府委員 先生の御質問については、いろいろな受けとめ方がございますので適当な答えかどうかわかりませんが、まず先生御案内のとおり、関税化の特例措置を我が国では適用しておりますから、内外価格差を関税に置きかえて水準を計算しておることはしていないわけでございます。その上でということでお聞きいただきたいと思いますが、米の内外価格差をまず計算をするということでございますが、このこと自体がまず、この国際価格が変動いたします。為替レートの変動でございますとか豊凶による国際需給の影響を受けるとか、あるいは先生御案内のとおり品質や銘柄の差がございます。そういう意味で、米の内外価格差そのこと自体がまず客観的に国際比較が非常に難しいということがございます。  そういう意味で、先生の御質問に対して的確にお答えはしにくいわけでございますが、ともかく国土条件の制約の中で、我が国の米は国際価格に比べてある程度割高にならざるを得ない面があるわけでございますが、ともかく生産性を上げ、きちっと需給と価格の調整を行っていくということでしかお答えがちょっとしにくいわけでございます。

太田誠一改革

○太田(誠)委員 私は、議員に当選してきたばかりのころは、十五年前でありますが、そのときにょく、関税率が一〇〇%、すなわち国際価格の二倍までが許されるならば、一つの農家の経営単位が十町歩以上であれば何とかなるんじゃないかということをその当時は申しておりました。ところが、実際にはそんなことではできないわけでありまして、その後、為替も変わっております。当時二百五十円ぐらいだったかもしれない。ちょっとそこは不正確なんですけれども、当時、仮に一ドル二百五十円だったとすれば、今はそれは一ドル百円になっているわけでありますから、結局のところ、もしその当時の常識のままだったとしても、私は四〇〇%の関税というのがやはりどうしても要るんではないか。つまり国際価格に対して五倍の水準までは許されるという状況であれば、国内生産の大半が助かるのではないかというふうに漠然と自分ではそう思っております。  そういたしますと、四〇〇%までいくのには、六年間で一五%のペースであれば大体二十年ぐらいたつと、それはそこを突破してしまうわけですね。十数年後に、二十年弱のところで突破をするということになりますと、これはこのガットの農業交渉に臨むときに、何とか経過期間を設けたその間に、我が国の特に稲作、土地利用型の農業の競争力を確保できるように、その間に頑張ろうということであったわけであります。二十年弱というのが、それは果たして十分な期間がどうかというのはわかりませんけれども、私は、もしジュネーブでの交渉で早い機会に合意をしていれば、関税率引き下げのテンポというものを一五%ではなくて、それこそ例外的に特例的に五%とか、そういう数字にする努力をするのが至当であったかと思うわけであります。  言葉でミニマムアクセスというふうなことを言いますけれども、これがむしろ今後我が国の稲作にとっては大変な大きな負担になってくるというふうに思われてならないわけでございます。建前を、各国が包括的な関税化という枠組みになったのならば、その中でどうやって日本の米を守るのかを考えるというふうに頭を切りかえておくべきであらたのではないかと思っております。  私もめったに質問しないものですから時間の配分を間違えて、まだ二割ぐらいしか終わっておりません。そこで最後に、最後には早いのですけれども、牛肉・オレンジのことをお聞きしたいのです。  牛肉・オレンジの自由化をしたわけでありますけれども、そのときに、だれだったか歴代のアメリカの通商代表部の代表のどなたかが、実際に自由化を決定をしたときの代表ではなくて、その二代前ぐらいの代表が日本のテレビか何かに出てきて、オレンジ・牛肉を自由化をすれば米は免除してもいいというふうなことを発言をしたように私は覚えておるのですけれども。

東久雄農林水産省経済局長

○東政府委員 先生、そのとおりでございまして 一九八四年の合意ができたすぐ後に、ブロック農務長官でございました。交渉者は、同じブロックなんですが、その前のときはブロックUSTRでございました。ブロックUSTRは、一九八四年の合意の前の年であったと思います、八三年に日本側の農業団体の代表者が行かれたときに、当時、次は米だろうというお話をした、それに対して、いや米について今考えているわけではないということをおっしゃって、またその後ブロック農務長官が一九八四年の夏に、これは合意後でございますが日本へ来られたときに、これはNHKのテレビで録画されたものがございまして私も拝見いたしましたが、今米を問題にするつもりはないと言っておりました。

太田誠一改革

○太田(誠)委員 これは大切なことでありまして、オレンジ・牛肉の自由化の交渉というのは実はほとんど相互的でない、すなわち一方的に我が国が譲歩をしただけの話であって、さっき申しました、ジュネーブに私が参りましたときにECの代表の人に会ったら、マルチで交渉をしておる、ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉を多国間でやっている最中にバイで交渉して、二国間で交渉してこんなとんでもない譲歩をするというのはばかじゃないかということを私は言われたわけであります。  これは、米などは国際経済の中では非常に小さな取引の額しかありませんけれども、牛肉というのは大変なメジャーなプロダクツでありまして、そのメジャーなプロダクツでもって突然飛びおりて譲歩をしたということをした、そして、しかもそれはマルチの交渉の最中だったということで、あれはまさに私は失政であったというふうに思っております。  そういうとんでもない譲歩を何の見返りもなくしたときに、何で米の話を詰めておかなかったのか、米のことはどうなっていたのかということをお聞きしたいわけであります。

東久雄農林水産省経済局長

○東政府委員 ちょっと経緯を説明させていただきたいと思います。  日米の牛肉・オレンジ交渉というのは、東京ラウンドのときに、一九八〇年に東京ラウンドの一環といたしまして枠の拡大でとりあえず延ばす、ただし、八四年の三月で期限が切れるわけですが、その以前にその後のことについて交渉するということになっておりました。八四年のときも、これも枠の拡大で何とかしのいだというのが現実でございまして、そのときも四年後八八年の三月末までに再交渉するということになっておりました。その一環としてやっておったわけで、八八年の三月までには合意に至りませんでした。その結果、アメリカは即座にガット・パネルの提訴をいたしました。八八年の五月でございました。そこで最後の交渉が行われ、八八年の六月に合意に至ったということでございます。  なお、ガットのウルグアイ・ラウンドとの交渉の経緯からいたしますと、関税化等の各国の考え方が出されたのは先ほどお答えいたしましたとおり八九年でございまして、その後先生が行かれて、その提案との混乱があったのだと思いますが、それはちょっと違う経緯でこの問題については取り組んでおりました。したがいまして、牛肉・かんきつの交渉でございますから、かんきつ類ということでやっておりましたから、十二品目という関係はございますけれども、米はこのときのテーマにはなっていなかったわけでございます。

太田誠一改革

○太田(誠)委員 いやいや、そんなことを言っているわけではなくて、米の話なんか合していない。牛肉・オレンジについて一方的に譲歩をしたときに、そのときに、二国間で交渉をやっていたわけでありますから、アメリカ側からきちんと言質をとって、そして米は例外的な扱いにするということを二国間では少なくとも合意をしておいて当たり前だ、それが外交のやり方だと思うのです。きょうおられる方々はその当時の責任者じゃないから申しわけないのですけれども、そういう過ちを、非常に大きな過ちをどこかで犯しておるというふうに言おうとしているわけであります。  そこで、さっきのオーディオ・ビジュアルの話とも関連をいたしますけれども、通商法のスーパー三〇一条というのはマラケシュ協定と言われるものと反するのか反しないのかということを、外務省でしょう、これ。

原口幸市外務省経済局長

○原口政府委員 スーパ三〇一条は御存じのように米国の法律でございまして、米国が自分で外国のある種の措置を不公正であるというふうに決めつけることができる国内法でございますが、そういう特定を可能とくせる法律であるというだけでWTOないしガットの違反というふうにはならないと考えております。  決して好ましい法律とは思っておりませんが、実際に特定して一方的に相手国のガット上の権利を侵害するというような措置になったときに初めてガット違反あるいはWTO違反ということになると考えております。

太田誠一改革

○太田(誠)委員 今度もこういうふうで、我々はまじめにWTOを受け入れるとすれば、それに対して国内法は矛盾するものがあればこういうふうに整備をしなければいけないということで今回一連の改正案が出てきているんだと思いますけれども、三〇一条が発動するか発動しないかというのは、法律ですから執行権はアメリカの政府に与えられておるわけであって、法律というものは、これは精神なんですよ。考え方であって、どれだけの権限をその政府に与えるかということを法律に定めているわけでありまして、そうであれば、法律に定められたこと自体が協定と矛盾をするということであれば、これは矛盾するじゃないですか。実行しなければ何も問題がないなんということはないわけであります。  法律に書いてあることは、権限を与えるということだけしかどこだって書かないわけです。権限を行使するかどうかということは、これは政府の判断にゆだねられるわけでありますから、法律そのものが、我が国で今直そうとしているのも、これも政府にどれだけの権限を与えるかということをやっておることでありまして、行使されるかされないかというのは全然問題じゃないと思いますよ。

原口幸市外務省経済局長

○原口政府委員 アメリカの通商法を見ますと、アメリカが国際的な通商取り決めを結んでいる場合に、その通商取り決めにかかわる事項について三〇一条を適用する場合には、その国際的な通商取り決めの手続に従ってこれを行うということが書いてございますので、アメリカは、まくにガットは国際的な通商取り決めてございますから、ガットにかかわる問題について三〇一条を発動するときにはガットの紛争処理手続に従って措置をとる、そのように私どもは考えております。

太田誠一改革

○太田(誠)委員 いや、だからその法律が、各国の法律が、ガットというのは包括的な関税化というものを定めてありながも、一方ではアメリカ政府の意思によっていつでも関税以外の自由な貿易というものを制限できるということを書いてあるのならば、それはまさにアメリカの国内法とマラケシュ協定というのは矛盾するものであるということが言えるじゃないですか。

河野洋平自由民主党外務大臣

○河野国務大臣 まさに議員がおっしゃるように、自由貿易体制というものをさらに発展させていこうという今回の考え方からすれば、アメリカのスーパ三〇一条なるものはその精神において、我々から見ればこれは好ましいものではないというふうに思うんです。ただしかし、WTO協定の範囲の外にあるもの、あるいはWTO協定に参加をしない状況の中の部分があるとすれば、それはアメリカがそれを適用するということはあり得るかもしれないということを申し上げているわけです。     〔川崎委員長代理退席、中川(昭)委員長     代理着席〕

太田誠一改革

○太田(誠)委員 時間がないということでありますからこれで終わりますけれども、私は、このような農業交渉に関して言えば、アメリカは大変誠実な交渉相手とは言えなかったと思うわけであります。そうして、今同じ時期にアメリカの議会でもこの同じWTOの承認について審議をしているとすれば、これは我が国がそうしておるように、国内法において矛盾するものは、だれがだれに要求すればいいのかわかりませんけれども、ともかく我が国としてはスーパ三〇一条についても改正をするということを求めるのが当然のやり方であります。  あるいはまたもう一つのことを言えば、私は冒頭申しましたとおり、この世界はボーダーレスの社会ではないわけであって、この社会はボーダーのある社会なんであります。そういたしますと、我が国として一つだけ米を取り上げて例外的な扱いをするということを、その意思を固めたわけでありますから、交渉をする者はすべてそのことを踏まえて、米を例外化するということが第一である、それが国家の目標であるということになるわけであります。そしてその中で、それを優先的に取り扱うということになれば、私は交渉の中で、例えばオーディオ・ビジュアルというものが例外になったということであれば、日本の米についてもさらに関税率の低下の速度、低下テンポというものについて特例的な扱いを求めるというのが当然の態度であったかと思います。結果としてミニマムアクセスを相当認めてしまったということが今後大きな悪影響を残さないかということを危惧をいたしておるわけでございます。  国会の意思というものは、末端まで、外交交渉に臨む人たちの気持ちの末端まで浸透していなければいけない。それはまた、けさのある新聞にも大きく出ておりましたけれども、外務省の開戦に至るときのさまざまな不手際というものがあったりいたしました。今後とも私どもはそのことについて留意をしておかなければいけないということを注意を喚起しつつ、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

中川昭一自由民主党

○中川(昭)委員長代理 次に、石破茂君。

石破茂改革

○石破委員 それでは、質問をさせていただきます。  昨年の合意の際に私は自由民主党におりまして、農林水産委員会の理事という立場でございました。ミニマムアクセスの受け入れも認めちゃいかぬというような決議をしてくれというふうに当時の農林水産委員長に向かって申し上げましたが、それもならぬということでございました。それから立場は変わりまして、今日こういう場所におります。問題は、我々が長い間公約してきたことをどれだけ果たせたか、どれだけ果たせなかったか、果たせなかった部分があるとするならば、それをどういう形で今までずっと約束をしてきた有権者に対して責任をとったらいいのかということだろうと思います。  確かに、外交は継続である、内政は改革である、村山政権のスローガンの一つであろうかと思います。それは村山政権であれ、そしてまた細川政権であれ、私はどっちがどっち、どっちが悪い、自分が政権にいたらこうはならなかったとかそんなことを言っても大した意味がないと思っている。これは国会議員全体として、どうやって今まで約束してきた人に対して責任をとるのかという問題であろうというふうに考えております。  一昨日、私の選挙区におきましても農協大会がございました。全国会議員が出席をいたしました。そのときにおいて、野党は私だけだったのですが、社会党の閣僚の方、そして政務次官の方、自民党の方々、委員長の方々もいらっしゃいました。そこで背くんがおっしゃるのは、別枠なんですよ、別に予算をとるんだよ、だから大丈夫だというようなお話であったかと覚えております。  総理御自身も、六月の二十三日、私も同席をさせていただきましたが、日比谷野外音楽堂の生産者大会において、別枠ですよということは確かにおっしゃっておられるはずでございます。そしてまた、私どもが六兆百億円の問題につきまして官邸にお邪魔をいたしましたときに、いやあれは別枠じゃないんだ、こういうようなお話になっちゃって、私どもびっくりしちゃった。じゃ、六月二十三日におっしゃったことは何だったのだろうというような思いにとらわれたことは事実でございます。  先ほど来、いろんな質疑がございますが、その中にあってまずお尋ねをいたしたいのは、まず農林水産大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  従来の農業予算に支障を来さないように配慮をするというふうなことが政府と与党の合意であったというふうに承っております。これは、政府と与党というのは、どなたとどなたとどなたが合意をなさったのか、そして、どのような形で、文書にでもなっておるのか、口頭のお話なのか、まずそこを承りたいと存じます。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 国内対策大綱を決定し、その際、総事業費六兆百億円、そのほかに地方財政措置がございますが、大綱には六兆百億円でございます。この事業費を含めた決定の際には、政府側としては総理大臣、それから大蔵大臣、私、それから与党側としてはそれぞれの幹事長、政調会長等が出られまして最終決定をしたということでございます。  ただし、文書は配付されたわけではなくて、別枠論が議論になりました。そして、この国内対策は六年間の新しい事業である、それから、既存の農林水産関係予算に支障を及ぼさないようにする、そういう合意ができたというところがありのままの姿でございます。

石破茂改革

○石破委員 農水大臣は、十八日に記者会見においてこういうことをおっしゃっておられる。従来予算を削減して支障を及ぼすようなことがあってはならないと。つまり、私も自由民主党時代に大臣にお仕えしておったときに、何度も何度も予算をとりにいきましたね。大蔵省にお願いをし、とにかく従来のを削るようなことがあっちゃならぬよというようなことをずっとお願いしてきた。そのことをずっと思い出しながら考えますと、従来予算を削減して支障を来すようなことがあってはならないというふうにおっしゃっているということは、すなわち別枠というふうな御認識をお持ちなのかどうなのか、その点を教えていただきたい、

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 国内対策の六兆百億円、これは新しい事業だからまさに全額認めてもらわなくちゃならぬ、私の責任大臣としての理解は。ただ、旧来予算は、毎年度予算編成の際にそれぞれ財政当局のその権限に基づく査定というものはある、これも認めざるを得ないです、ルールでございますから。  ただ、この新しい事業としての六兆を生み出すために、殊さらに既存予算を削減して財源を生み出すことによってするということは絶対に認められない。私どもは通常の予算編成全部から通して眺めるとそういうふうに理解しております。

石破茂改革

○石破委員 要は、みんなが別枠別枠と言ってきたわけですよ。生産者大会に行きましても、農業者の皆さん方の集会に行きましても、今までの三兆四千億円の農林水産省予算とは別に枠をとりますと。そしてまた、農業者、農民もそういうような理解であったということは、私は事実として間違いがないところだろうと思う。どういうふうに言葉をかえてみても別枠だという認識であり、総理におなりになる、そのときはどうだったかよくわかりませんが、社会党の委員長が別枠だよというふうにおっしゃって、その方が総理大臣に御就任になったわけだから、そうなるだろうというふうにだれでも思いますわね、これは。私はそうだと思うのですよ。  つまり、私が冒頭に申し上げた、これまでずっと、自由化は行いません、ミニマムアクセスも拒否をいたします、そういうふうに言ってきたことの責任をどうとるのかという話なんです、我々が国会議員として。それは選挙のときにおいて洗礼を受けることである、私は生産者大会でこのように申しました。一昨日のことでございます。私は、自分の公約は一〇〇%守れたとは思っていない、大変に申しわけのないことである、このことについては選挙において御審判を受ける、御判断くださいというふうに申し上げました。それは、国会議員がそうやって選挙で農家、農民から、おまえ約束破ったね、票を入れてやらないよ、落選させてやる、それは落選すれば済むことなんですよ、責任を果たして。しかしながら、じゃ、それをずっと信じて今まで何年間も運動してきた農家、農民に対して、それで責任とったことになるのか。国会議員が議席を失えばそれで責任とったことになるのか。それはそうじゃないと私は思う。  確かに大臣のおっしゃるように、予算単年度主義ですよ。それと別枠ということは確かに両立をしないことなのかもしれない。しかし、予算単年度主義なんだから別枠ということは認められません、毎年毎年の予算の中でこれは判断していきますで本当に済むことなんでしょうか。本当にそれで農家、農民に対して、今まで言ってきたこと、選挙において公約をしてきたこと、それの責任が果たせるのかどうかというと、私はそれは無理じゃないかと思う。  大蔵大臣、お尋ねをしたいんですが、予算単年度主義ということと別枠ということは、基本的に矛盾をしますか。

武村正義新党さきがけ大蔵大臣

○武村国務大臣 それはそれぞれ別のことだと思います。矛盾はしないと思います。

石破茂改革

○石破委員 私どもが今まで聞いておりましたのは、そうはいっても予算単年度主義なんだから毎年毎年で決めていくんだ、今の農水大臣の御答弁の中にもそういうような片りんがあったような気がいたしますが、毎年毎年単年度主義でやっていくんで、別枠というようなことはそれは無理なのよというようなお話を、私ども説明を聞いてきた。しかし、今大蔵大臣がおっしゃるように、別枠であるということと単年度主義ということは論理的にきちっと結びつくことじゃないと思うんですね。予算単年度主義であるがゆえに別枠はだめだということではないんですね。

武村正義新党さきがけ大蔵大臣

○武村国務大臣 別枠をめぐる議論にそういう言い方がどこかであったかよくわかりませんが、予算は単年度主義、憲法で規定されております。ですから我々は、別枠というときには、来年度の予算編成において別枠なのかどうかということがまず頭にございました。既に御承知のように、七月の二十九日でしたか、概算要求の方針を閣議で決定をいただいたわけですが、それ以前にその議論がございまして、概算要求の方針を新政府が決めたときには別枠であるとかないとかという表現は使っておりません。おりませんが、予算編成時点で適切に対応していく、こういう方針で決めているわけでございます。その考え方に立って、先般の六兆百億円を決めたときにも政府・与党で議論をしていただいて、最終、農林大臣がおっしゃっていただいたような一定の共通の認識を持たしていただいて今日に至っているということであります。  私、財政の担当者として感じましたのは、当時、概算要求で決める前には、もちろん農林がございました。片方また厚生省から新ゴールドプラン、エンゼルプランをめぐって別枠論が強くございまして、厚生大臣、大蔵大臣の部屋まで来られました。あるいは中小企業も別枠だとか、いや新幹線は別枠だとか、いろんな意見が各大臣というか各省からも出てまいりまして、そういう議論の中で、やはり今回は概算要求の方針として、まあ結果的には言葉はないけれども、別枠は認められない、一つ認めればあれこれずっと波及して収拾がつかなくなる、シーリングの方針そのものが大きく崩れる、こういう大所高所の政治判断があって今申し上げたような方針になったというふうに理解をいたしているところでございます。

石破茂改革

○石破委員 例えば生活関連というのは別枠なんですよね、別枠だ。この場合に、じゃ今回の農業対策予算、ラウンド対策というのが何でそれと同じような位置づけにならないのか。それをする責任が我々は与野党ともにあるんじゃないか。そして、今の大臣のお話の中で、別枠じゃないというお言葉がありました。それと従来の農業予算に支障を来さないというのがどういう関係があるのか、一般の人は理解できないですよ。理解してみると言われても、これは難しい。理解できない。  じゃ、今までとどこが違うんですか。今までのように毎年毎年、例えば非公共はどうである、公共事業のシェアはどうである、ライスセンターはどうだ、すだれ事業はどうだということで、それはもう幾晩も幾晩もやりましたよ。生産性向上はだめだとか、箱物つくっても意味ないとか、いろいろなことを言われながら、そうじゃないんだ、今農村がどういう状況にあるのか、それぞれの事業の重要性をお願いしながら、お願いするというのも変な表現ですがね、主張しながら、何とか農林水産予算というものは我々一生懸命頑張ってきた。それは本当に、一緒に闘ってこられた大蔵大臣が一番よく御存じのことだと思いますよ。  従来とどこが違うんですか、それじゃ。別枠ではない、従来予算に支障を来さない、それと今の御答弁と、どこがどう結びつくんですか。従来とどこが違うのか。    〔中川(昭)委員長代理退席、越智(伊)委員長代理着席〕

武村正義新党さきがけ大蔵大臣

○武村国務大臣 従来とおっしゃっても、ある時期までは別枠というような扱いがありましたね。昨今はそういう別枠は設けない姿勢でシーリングは貫いてきているところでございます。  そこで、別枠という言葉にこだわれば今の石破委員のような議論になってしまうんですが、農林大臣や私どもが答弁申し上げておりますように、これはガット・ウルグアイ・ラウンド対応としての六年間の新しい事業であるということを、まずきちっとこの事業の内容の性格を位置づけをいたしているところでございます。新しい事業という認識であります。  しかも、農林大臣からございましたように、これを六年間という一つのタームでとらえていますから、これをどう毎年度消化していくかという議論が残っておりますが、いずれにしましても、来年度はその第一年度としてこの新しい事業に対して真剣に対応をさせていただかなければいけない。六年間でこれだけの新しい事業をやるんだということを政府・与党が責任を持って発表をしているわけでございますから、これは大変大きな公約、政府の新しい、ウルグアイ・ラウンド後の農政に対する姿勢を鮮明に金額で、数字で表現をしたことになるわけでございますから、これは大きく政府を縛ることになると思っております。  既存の農林水産予算云々の表現は、これも答弁ございましたように、政府全体としても今非常に厳しい財政状況の中に立っておりますから、各省庁に対しては、制度の根底にまでさかのぼって見直しをしていただきたいとかあるいは優先順位については厳しい選択をしていただきたいとか、そういう要請を強くいたしているところでございまして、こういう一般的な予算編成の方針は既存の農林予算にも及ばざるを得ないということでありまして、ただ意図的に新しい予算を組むために既存の農林水産予算だけを特別に何か削減してやれば、これは政府・与党の方針にはもとるというふうに私どもは思っております。

石破茂改革

○石破委員 よくわかりません。全然わからないです。それで本当に済むのかなという気がするのですよ、私は。  総理、生産者大会で別枠というふうにおっしゃいましたか、どうですか。御記憶はございますか。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 日比谷で農民大会がございましたが、あのときに私は委員長として出席をしてまいりました。あのときは、まだウルグアイ・ラウンドのミニマムアクセスを受け入れるということが合意されていない段階ですからね。ですから、これはもう絶対反対だという意見を申し上げたわけです。たしかそういうふうに記憶していますけれどもね。  その上で、もし仮に受け入れるようなことがあればこれからの農業は大変だ、その農業を守っていくためには既存の予算に、やはりそれに対する対応策については別枠ぐらいの予算を組んで対応していくべきではないかという意見は申し上げました。

石破茂改革

○石破委員 たしか、私の聞き違いでなければ、別枠とはっきりおっしゃったように思いますよ。言った、言わないは別にここで追及をしようとは思いません。そんなことは考えているわけじゃございませんがね。総理のお気持ちとしても、そういうお気持ちであったというふうに思っているのですよ。これは、今までずっと聞いていて何が違うのかよくわからないのです。   〔越智(伊)委員長代理退席、委員長着席〕  よく大蔵省の文章の中に、効率的にとか重点的にとか、そういうお話が出てきますよ。効率的、重点的ということは、結局はスクラップ・アンド・ビルドで重要なものには予算をつける、そうでもないものは削っていくよというようなお話なのだろうというふうに、翻訳すればそういうことになるのじゃないのか。結果的に今までと何が違うのかよくわからない。  ただ、一般の人の受けとめは、ああやって新聞に六兆百億円、村山総理の決断で六兆円を超えたというと、本当に六兆円という金が降ってくるように思っている人がいっぱいいますよ。そして、午前中の吉田委員の質問にもあったように、都市の人からは、何で六兆なんだね、これだけ都市はひどい目に遭っていて、そしてまたバブルが崩壊して、その後リストラのあらしか吹き荒れていて、何で六兆百億なんだねという気がする人もいるのも事実でしょう。そして、農家、農民は六兆百億が降ってくるというふうに思っている、こんなばかな話はないと思うんですね。  六兆百億というのは総事業費であって、国費の負担分というのは半分ですよね。事業者負担、入っていますよね。農民の負担分も入っていますよね。それだけの額である。農林水産省の予算は三兆四千億である。非常に意地悪な見方をしますと、看板のかけかえ、かけかえで、六年間トータルして六兆百億、総事業費。それだってできるんですよ。そうであれば七兆でも八兆でも金額は膨らむし、本当に中身のあるものであれば、三兆でも四兆でもいいんですよ。六兆百億というものが総事業費であって、国費負担分が半分であって、だとするならば、やはりどれだけふえていくのかということが明確にならないと、私はとても農家に対して、これがラウンド対策ですよということを胸を張って説明する自信はないです。  そして、それが示されないで、この後でまた質問させていただきますが、例えば米価というのはどうなっていくんだろうかということもよくわからないですね。自主流通米の市場動向を反映し、そしてまた再生産を確保すると書いてありますが、これもどういうことを意味するのだか、私の頭の中ではさっぱりわからない、そういう状況である。そして、予算も全くわからない。それで、これを承認し、法律も通せというふうに言われて、さてどうやって説明するんだというと、私は非常に困惑します、正直申し上げて。この点についてどうお考えか。  もう一つお尋ねをいたしたいのは、こういう点であります。  法律と条約を切り離すという話がございますね。法律と条約は切り離していくべきだ。十二月八日の日にジュネーブで会議がございますね。これは一月一日にWTOを発足させるかどうかの会議であるというふうに承っておる。この会議の性格というのは、外務大臣、いかなるものでございますか。

原口幸市外務省経済局長

○原口政府委員 十二月八日の会合は、WTOの取り決めを正式にいつから発足させるかということを決定するための会議でございます。

石破茂改革

○石破委員 これは、どなたが御出席になりますか。

原口幸市外務省経済局長

○原口政府委員 我が方のジュネーブ代表部の大使が出席する予定でございます。

石破茂改革

○石破委員 先ほど来の御議論の中で、ではアメリカの上下両院はどういうふうになるのかねというような話が出ております。これは新聞によって書き方が違います。大丈夫であると書くのもあれば、いやいや十何票も差があってとても危ないねというふうに書くのもあります。外務大臣の先般来のお答えでは、それは向こうから入ってくる情報では間違いなくできるという認識を持っておるこういうお話でございました。まあ外国のことはどうでもよろしいです。この際、ひとまず置きます。  問題は、その十二月八日の日に一月一日から発足するという会合にお出かけになる、それは政府を代表してお出かけになるはずだ。今国会の会期は十二月の三日までである。仄聞するところによれば、十二月一日に衆議院で締めくくり総括、公聴会の日程もそれを前提としてセットをしておる。これは議会の中のことでございますから、政府にお尋ねをすることではないと思います。しかしながら、もう余り日にちはないわけですね。参議院でも審議をしなきゃいかぬわけですね。そうしますと、十二月八日の日に、さあ一月一日からWTOを発足させましょうねというとき、日本の国がどういう状態でなければならないのかということなんです。  それは、普通、条約であれば当然衆議院の優位性がございますから、衆議院だけ通っていればいい、こういう考え方もあるでしょう。しかしながら、これは例えば新食糧法案のように、法案と密接不可分、一体のものであるというふうな理解を私はしなきゃいかぬと思う。仮に条約だけ通りましても、条約だけ承認を受けましても、これは例えば新食糧法案、こんなものだめよということになったならば、これは条約を発効させることはできないですね。難しいであろうというふうに思っていますよ。これはそんなことはないという御見解もあるかもしれない。しかし、十二月八日の日に我が国がそれに臨まねばならないとするならば、どういうような状況が必要でありますか。

河野洋平自由民主党外務大臣

○河野国務大臣 国際的な条約を我が国が認める場合には、国内的にその条約が責任を持って実施できるという体制でなければならないと思います。

石破茂改革

○石破委員 それは、法案も通っておるという意味でございますか。

河野洋平自由民主党外務大臣

○河野国務大臣 そのとおりだと思います。

石破茂改革

○石破委員 そういたしますと、十二月八日に御出発になる、まあ出発はもっと早いんでしょうな、とにかくそこの会議に臨まれる際に、この条約も、そしてまた関係法案も両方通っておらなければこれはいかぬということでしょうね。  そうだというふうに理解をしたとするならば、これは条約だけ切り離しますよというようなことはなく、法律もすべてセットとして衆参両院とも通す、セットである、こういう御認識ですか。総理、承ります。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 今外務大臣から答弁がございましたように、これは条約だけ批准しても、それに関連する国内法が整備されないと責任を持つことにならぬわけですから、そういう責任を持った体制でもって臨むことが必要だというふうに思っています。

石破茂改革

○石破委員 そういたしますと、余り残された日にちはないわけでございます。私たちはこの間本会議でもお尋ねをいたしました。畑英次郎当時の農林水産大臣がおっしゃったことでありますが、国内対策がきちんとしているということでなければ、何のために昨年の十二月にこれを受け入れたのか、私は死んでも死に切れないよというお話でございました。  しかし、今のお話を聞いていますと、別枠なのかどうなのかわからないねというようなことで、それは、従来の方針と同じだけれども、新しい事業というものを掲げたんだからそれだけは着実に実行するよというふうに聞こえる。だとすれば、予算もはっきりしない、七年度予算というものを見なければさっぱりわからない、それでさて本当に、一月一日からこれを発効させるということで与党であろうが野党であろうが議会というものが納得をするか。私個人としてはなかなか得心ができないものがあります。見てみなきゃわからない。とにかく十二月八日に行って一月一日からスタートだということで、本当に従来の言ってきたことと整合性、責任を果たしたことになるのでしょうか。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 審議の問題につきましては議会でお決めになっていただくことですからね、まだ三日まで会期があるわけですから、十分御審議をいただいて、そしてぜひこの成立を期していただきたいということをひたすらお願いを申し上げるだけであります。

石破茂改革

○石破委員 国内対策の本当に財源も含めました中身というものが明らかにならないで、私は今まで有権者に対して言ってきたことに対する責任がとれるとは思っておりません。残念ながら、それで責任がとれると言い切る自信はございません。この後まだ何日も審議がございます、質疑がございます。その中で明らかにしてまいりたいと思いますが、どうか総理におかれましても、やはり六月二十二日、別枠という気持ちで臨むんだということ、そのことは忘れないでいただきたいと思うのですよ。  それは、やはり予算は毎年毎年で組むんだ、従来のやり方とそんなに変わらないんだというようなことで、私は乗り切れると思わないのです。別枠だというふうにはっきりおっしゃることは、予算単年度主義に反するものでもない。ずっと長い間公約をしてきた、そして国会で三回も決議をしてきた、そのことを守っていくために、別枠であるということは言って何ら差しくわりのあるものじゃないと私は思う。何で言えないのか、そっちの方が不思議だ。  また、いずれかの機会に御答弁をいただきますが、今日のところでは、そういうふうに別枠であるというふうに言い切られるということはできませんか。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 このウルグアイ・ラウンド後の日本の農業をどう守っていくか、日本の食糧の安定供給ができるような、国際競争にも耐え得るような農業をどうつくっていくかというようなことからすれば、相当やはり影響が大きいわけでありますから、その影響をできるだけ緩和するためにはそれくらいの決意でやはり取り組んでいく必要があるのではないかというので、これはやはり別枠の予算を組むべきだ、こういうことを私は日比谷の大会で申し上げましたね。  各党で、連立与党の中でそういうことも含めて十分議論をしてもらったのです。十分議論をしてもらったけれども、そうなると、例えば厚生省もあるいは運輸省もいろいろなところからうちも別枠だ別枠だと、こういう意見が出てきますとこれは収拾のつかないことになるんで、別枠に値するぐらいの真剣な気持ちでひとつ今後の農業対策というものを立てていこうではないかという意味で六兆百億円という大枠を決めたということになったのでありまして、これは従来の予算に支障を来さないという意味は、新しい事業も加わっていくわけでありますから、新しい事業が加わっていくのに、従来の予算の枠内ではこれは収拾がつかないわけですから、したがって新しい事業も加える、加わっていくという意味でつくられたものだというふうに私は考えています。

石破茂改革

○石破委員 別に揚げ足をとるつもりは全くありません。ただ、従来の予算の枠内では収拾がつかないからというのがまさしくそこだろうと私は理解をいたします。それは別枠という意味だろうというふうに思いますがね。それを見ないで、さて、これに賛成してごらんと言われても、なかなかつらいものがあるということであります。  それから、これもまた本会議のときに御質問してなかなか御答弁がいただけなかったことですが、従来の農政によって農村の疲弊と荒廃がもたらされたという御発言、総理たしか昨年なくいましたね。誤った自民党農政とかなんとか、そんなことはどうでもいいですよ、それはね。とにかく今、農村の疲弊と荒廃がもたらされているということですね。そしてそれは今までの政策によるものであるということでしょう。農村の疲弊と荒廃というのをもたらしているとするならば、それはどういうことが原因であり、そしてまたこれから先どういうような手を打つことが重要である、抽象的な御発言で結構です、どういうような農業、農村をつくっていこうというふうに総理は思っていらっしゃいますか。  そして、日本の農業の体質というのは確かに強くないです。ただ、私もヤイターなんかと話しておりましたときに、日本の農業規模は小さいじゃないか、零細じゃないかといろいろなことを言われました。おまえらのせいだ、こういう話なんですが、でも、やはり戦後の農地解放というのがあってぱらぱらぱらっと細かくなっちゃって、それも私は大きな原因だと思いますよ。イギリスも同じ島国ですけれども、食糧自給率は大体一〇〇%を超えていますね。日本の国はそうじゃない。そうだとするならば、それは選択的拡大ということがやはりうまくいかなかったんじゃないか。過去のことを言っても仕方がございませんが、どういうような農業、農村をつくっていきたいというふうにお考えですか。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 今お話がございましたように、戦後の農政を振り返ってまいりますと、農地解放から、あるいは食管制度ができて、そしてあの食糧の不足時代には強権を発動させて供出させられた、こういうようなこともいろいろございましたね。しかし私は、ある意味ではやはり戦後の食糧事情やら日本経済全体の中で食管制度の果たしてきている役割はそれなりにあったんではないかというふうに評価もいたしておりますけれども、しかし、もうこれだけ日本を取り巻く国際情勢も変わってまいりまして、貿易等は自由化が要請されるという状況になってまいりますと、なかなか経済ベースに乗り得ない農業の分野というものはやはりあったんではないか。それだけに、農業に魅力を感じなくて若い人がどんどん農村を離れていく、過疎が進んでいく、後継者は得られない、高齢化していく、こういう状況に今なっている深刻な姿というものが見受けられるわけですね。私はやはり、そういう意味における過去のとってきた農政に対する責任というのは問われてもやむを得ないのではないかというふうに思います。率直に思います。  ただ、これから一体どうすればいいのかということになってまいりますと、これはミニマムアクセスを受け入れて、その影響が日本農業には大変もたらされてくるということも踏まえて、できるだけやはり、じゃ七年後はどうなっていくのかというようなことも想定した上で、国際競争に耐え得るような体質を持った自立経営農家というものをどういうふうにしてつくっていくのか。そのためには、やはり基盤整備を拡大してやっていく必要があるんではないかと思うし、技術の開発もやって、そして効率的な、コストのできるだけ下げられた意味で農産物が生産できるような、先ほどもお話がございましたけれども、そういう農業の体質の強化というものをしっかり検討していく必要があるんではないかというふうに思います。  一方ではしかし、そんなものには耐え得ない中山間地域というものも多く抱えているわけでありますから、その中山間地域における集落というものをどのようにして守っていくかというようなことも大事なことだと思いますから、これはやはり単一ではなくて複合的な農業経営というものがどういう範囲で考えられるのか。その場合に、今の経済ベースに乗り得るのかどうかというようなことも十分やはり計算をした上で中山間地域のあり方というものも考えていく必要がありますし、同時に、農業というのは、単に食糧を生産しているというだけではなくて、これはもう水田にしてもあるいは中山間地域の農業にしても、水の問題やら環境の問題やら等々、公益的に果たしている役割も十分あるわけでありますから、そういう公益的な分野の役割というものもどのように保全をしていくかということも大事なことだと思いますから、そういうことを総合的に考えた意味で、これからの日本農業のあるべき姿というものを想定しながら農政をしっかり推し進めていくことが大事ではないか。今度の、今御審議をいただいている法案については、そういう考え方で提出をされているものだと私は考えています。

石破茂改革

○石破委員 そういたしますと、農林水産大臣、米価と規模拡大というのはどういう関係にあったんでしょうね。つまり、米価というものを毎年上げる、上げる、いや据え置きだ、下げるなんてとんでもない、こういう議論がずっとありました。私が議席を与えていただいている八年間、ずっとそういうことで夏は幾晩も徹夜をしてまいりました。今回、食管制度が変わる。米価の算定方式も変わる、変わるかどうかわかりませんがね。とにかく下支え機能というものは随分落ちていくことになりますね。まずそこをお尋ねしたい。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 このたびの新食糧法案における米価の算定につきましては、石破委員御案内のとおりでございまして、自主流通米の市場で形成される価格、需給関係、これを基本として、さらに参酌要件として生産コスト、その他生産条件を勘案して再生産を確保するようにいたす、そういう方式でございます。  したがって、具体的な算定方式、これは石破委員よく御案内のとおり、現行食管法でも生産費及び所得補償方式なんて書いてないわけです。生産費及び物価その他の経済事情を参酌してということになりまして、その算定方式として生所方式がとられておる。したがいまして、その算定方式は、具体的にいかなる算定方式をとるかは、私どもとしては、これからその原則の趣旨を体して算定方式を検討し、考えていかなければならない、さように思っております。

石破茂改革

○石破委員 総理にお尋ねをいたしましたどういう農業ビジョンを描いていらっしゃいますかということは、今の農林水産大臣のお答えとも関連をするわけですが、だれの再生産を確保するんだということ。再生産を確保することをもって旨とする、こういうふうに書いてありますね。片っ方では、自主流通米価格、これの動向に配意をしながら再生産を確保することをもって旨とする、こういう日本語になっているはずなんですが。  問題は、地域方式を導入いたしますときも、それ以前と違って、やはり規模の大きい人の再生産というのを確保していかなきゃいけないんじゃないか、こういう発想だったと思う。地域方式については随分と御批判もございました、これじゃおかしいじゃないか、もっと政府米地帯中心に考えるべきじゃないか、いろいろなお話もございましたが、日本国内全体を考えてみると地域方式以外に手がないね、こういうような結論ではなかったかと思いますし、あれ以外のものを考えてみると言われても、私はなかなか考えつかないような気が実はしているんです。  だから今回、再生産を確保することをもって旨とするというのは、一体どういう方々の再生産、つまり政府として、行政の責任としてどういう方々には再生産というものをやってもらいますよ、そういうビジョンがある程度見えていなければこれはいかぬのじゃないか。要するに、新農政の中で、これは二〇〇〇年を目標に耕作面積が十ヘクタールから二十ヘクタール、これを五万戸つくるんだ、これを中核農家というんですね。五ヘクタールから十ヘクタールを十万戸つくるんだ、これで八割を担うんだ、こういうふうに新農政ではうたっている。これは恐らく新政権においても継続をされるものでしょう。まずそこの確認をしたいんですが、そうだとするならば、それとこの新食糧法案というのはどういうふうにストーリーとして結びついていくんだろうか。  また、十一月に決定するときに、今度は十一月になるんですが、あのばたばたばたばたやって、やれコストがどうだ、労働時間がどうだ、機械機具がどうだ、第一次生産費がどうだ、私はああいうことをもう繰り返しちゃいかぬだろうと思う。少なくとも新農政というものを目指す者に向かって、今回きちっと言うべきことは言っておかなきゃいけないんじゃないか。どういうような農業を育てていくのか、そして、それによって不利益をこうむるとするならば、それは本当に国民全体の負担で負っていくというビジョンを示していかなきゃいかぬと思いますね。韓国は御存じのように、増税までやってこれを守ろう、この負担をしよう。私はそれなりに筋の通ったやり方だと思いますよ。日本で増税ができるかどうか、それはまた別の議論です。政治的に難しい点があろうかと思います。  しかし、消費税は五%である、それはほとんどゴールドプランと減税対策でとられてしまう。この中に農業対策という発想があったのかどうかという点は後ほど大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、何にしても、だれの負担できちんとそれを賄うのかということは今この際明らかにしておくことが、今まで自由化反対と叫び続けてきた者が負う責任じゃないかというふうに思いますが、農林水産大臣、いかがですか。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 新しい米価の基本原則が法案に示されておりますが、繰り返すようでございますが、具体的にその方式になりますと、これはいろいろな議論があるかと思いますが、基本的にはやはり新農政も言っておる担い手、あるいは担い手の数がまだ大変少ないときは、それに向かって進んでいるようなものをどうとるかとか、いろいろ具体的には難しい問題があると思います。  それで、石破委員もよく御案内のとおり、私もあなたと一緒に米価決定を七年、八年やりましたけれども、いかなる階層をとるか。かつては一町五反とかあるいは二町とかいうような議論もありましたが、西の方にそんな一町五反以上の稲作農家はそんなにないよというようなことで、一年やっただけでお蔵に入ったというような経緯もありまして、なかなかに難しいわけでございます。ただ、理念としてその育成する稲作農家の経営ですね、そういうものを十二分に頭に置いた算定方式がとれるかどうか。  ただ、ここでちょっと申し上げたいのは、生産調整実施者から買い入れるわけです、今度は。そうなりますと、これは必ずしも大きな経営だけではないというような点もあるわけでして、いろいろな要素をいろいろに勘案しながら算定方式を考えていかなければ相ならぬ、さように思っております。

石破茂改革

○石破委員 今のお話の中にもございました零細な人も生産調整に参加をするわけですよね。そうしますと、ところが備蓄の範囲内でしか政府米は買ってもらえないわけですから、暴落しちゃったというような場合にどうするんだねということも十分考えていかなきゃいけない。そのことの議論はまたさせていただきたいと思います。暴落の場合の歯どめというのを考えていかなきゃいけない。  そしてまた、これによって米価というのはどうなっていくんだろうか。まさか上がる方向には振れないだろうと思うのですな、やはりなかなかそれをシミュレーションとして想定するのは難しい。もちろんそのときどきの経済状態や天候によって違うでしょうけれども、やはり基本的には、国際価格に近づけるという論がいかにナンセンスなものであるかというのは私自身十分存じておるつもりでございますけれども、やはりコストは下げていくという方向に働かざるを得ないだろう。だとすれば、本当に我々が育てていかなきゃいけない、担っていただかなきゃいけない中核農家、大規模農家、こういうものにとってどうやったら不利に振れないような対策が打てるのかということをきちんと出しておかなきゃいけないだろうというふうに私は考えております。  それで、最後に総理と大蔵大臣にお尋ねをしておきたいと思います。  これは余りに基本的なことで恐縮ではございますが、新農政の大きな柱というのは、先ほどの中核農家の論もございますが、自給率をこれ以上下げないと初めてうたったところにあるのですね。それまでは、低落傾向に歯どめをかけるとか、そういう文言でございましたが、自給率を下げないという方向に持ってきた。それは、これから先、やはり基本的に米は国内で自給をしていくということをきちっと守っていかれるおつもりなのか。そして、議論になります七年目以降、そのことについては、やはり関税化というのは絶対に許さないよという方向でいかれるのか、どのようにお考えであるか。  それから、これは総理と大蔵大臣に御答弁をいただきたいのですが、例の消費税五%とお決めになったときに、農業対策ということが御考慮の中にあったかどうか、そのことについて最後にお尋ねをいたしたいと存じます。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 七年後、関税化を受け入れないかどうかというお尋ねですけれども、七年後どういう情勢になっておるのか、どの道を選択することが農業を守るために一番いいのかということで私は判断をしなければならぬというふうに思っていますけれども、前提としては、やはり米を中心に主要な食糧はできるだけ国内で自給ができるような体制を維持していくということは大事なことではないかということは、そのとおりに申し上げておきたいというふうに思います。

武村正義新党さきがけ大蔵大臣

○武村国務大臣 この日本列島に日本民族が生き続ける限り、農というのは国の基であるという考えが今後とも貫かれなければならないというふうに思っております。この厳しい状況の中で、新しい政策は、まさにより効率的、安定的な経営体が農業の大宗を占めるような状況をつくり出していくことだというふうに私は思っております。  財政責任者としましては、そういう視点に立ちまして、先ほど来議論が繰り返しございましたが、来年度の予算編成も含めて、この基本に立ちながら効率的な予算編成の中で努力をさせていただきます。

石破茂改革

○石破委員 時間が来ましたので終わりますが、発想があっなかなかったかをお尋ねしているのです。あったならあった、なかっならない、そのようなお答えがいただきたかったかと思います。そういうように抽象的なお話というのは私どもわかります。ただ、私どもは官僚にお尋ねをしておるのではありません。政治家としての御判断としてどういう決断があったかということを国民の前で、この国会の場で明らかにしていただきたい、そういうような趣旨からお尋ねをしておるのです。そういうようなことで御答弁を今後ともお願いをいたしたいと思います。  以上で終わります。

佐藤孝行自由民主党

○佐藤委員長 石破君の質疑は終了いたしました。  次に、藤田スミ君。

藤田スミ日本共産党

○藤田委員 農業協定の問題についてお伺いをいたします。  前回、松本善明議員は、農業協定は米輸入自由化は認められないとする三度にわたる国会決議と各党の公約に反するものであって、この協定の批准は国権の最高機関の否定、国民主権の否定につながるものである、こういうことを厳しく指摘されました。  午前中の質疑の中で、大蔵大臣は明確に、この農業協定は国会決議に反しているということをお述べになったわけでありますが、質問の最初に、総理も同様の認識だと受けとめていいかどうか、御答弁を願います。総理にお願いいたします。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 国会決議が実現できるように私どもも要請をしたし、政府も私は努力をしてくれたんではないかと思いますけれども、残念ながら、国会決議には沿い得ない結果になっておるということは認めざるを得ないと思います。

藤田スミ日本共産党

○藤田委員 沿い得ない結果というのは、反しているのは事実だ、そういうふうに受けとめていいですね。もう一度お答えください。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 反したかどうかということがどういうふうに理解をされるかというのは、これはわかりませんけれども、国会決議に沿った結果になってないということは、これは明確に申し上げることができると思います。

藤田スミ日本共産党

○藤田委員 それが反していると、それは普通の人が聞いたらそういうふうに思うわけですから、平たく、反しているというふうに受けとめていいかどうか、それを聞いているわけです。もうこんな簡単なことですから、はっきりおっしゃった方がいいと思うんです。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 例えば十あるとしますと、十全部否定された、こうなれば私はこれはもう明らかに反した、こういう結果になると思いますけれども、そのうち、例えばその趣旨が生かされておるとか、何かこういうのがあるとすれば、それはやはり全面的に反しておったということはなかなか言えないのではないかと思いますから、そこは解釈によって違うのではないかと思うんです。

藤田スミ日本共産党

○藤田委員 全く言葉をいろいろとごまかさないでください。米の完全自給を図るため万全を期するべきことを決議した、こういうことを明記しているわけですよ。そうすると、これに反しているというふうにはっきり総理としては認識するべきじゃないですか。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 これは前例を言うわけじゃありませんけれども、細川さんも同じような質問を受けて、必ずしも国会の決議に合致しているとは言えない面があることは事実、こういう答弁をしているわけですね。私は、ここらはやはりなかなか大変政治的に判断の難しいところがあるのではないかと思うんですけれども、これは言葉の使い方はどうあるにしろ、国会決議に沿い得なかったことに対する責任というものは、やはりお互いが十分踏まえなければならぬという性格のものだということは十分踏まえております。

藤田スミ日本共産党

○藤田委員 非常にあいまいな言い方でごまかすべきじゃないというふうに思うんです。  そこで、質問に入っていきますが、大体私は、この問題は国の存立と国民の今、とりわけ私は、これから先のこの国で生きる人々のその国をどうするのかが問われている非常に重要な問題だというふうに思うわけです。  そこで、総理にお伺いをいたしますが、世界的な食糧需給についてどういうふうに認識しておられるか、そのことをお伺いしたいわけです。  昨年十月に国際稲研究所は、米生産を二〇二五年までに倍増していかないと世界の米の必要量を満たすことができない、そういうことを各国に警告をしました。世界的に権威のあるワールドウォッチ研究所の一九九四年版地球白書では、世界の食糧不足を予測して、「二〇三〇年に世界は飢える」と警告をし、次のように述べています。「一九九〇年代に入って、世界はかつてない体験をしている。つまり、食糧生産の増加が大幅に鈍化し始めたのである。たとえば海面漁業の生産量は頭打ちになり、農業生産も人口増加に追いついていない」「アジアの米作に目を向けるなら、そうした動向はより明確である。」「基本的に世界の農業はもはや増加する人口に対応するだけの食糧は増産できないだろう」。こういう見解は国際食糧政策研究所も同様に出しております。  総理、世界の食糧危機は目前に迫っている、そういう認識をお持ちですか。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 世界全体の食糧の事情を見てみますと、これは例えば、先進国で余っておる、輸出を強要する、そういう国もありますし、それから、現実にアフリカ等を中心に、食べるものもないという食糧の不足している地帯もある。極めて世界全体から見るとアンバランスになっておると言わなきゃならぬと思うんです。  ただ、私も正確な数字は今記憶にありませんけれども、人口がどんどんふえていく、その割合に耕地面積は逆に減っておるというようなことも言われておる状況の中で、私は、やはり食糧不足という深刻な事態が来るのではないかということも想定されますし、極めて見通しの暗い不安定な状況にあるというふうに言わなければならぬと思いますね。それだけに、各国々はやはり食糧安全保障といったような議論もあって、国内の食糧の自給体制はつくっていこう、維持していこう、こういう考え方に立っておるんではないかというふうに理解をいたしております。

藤田スミ日本共産党

○藤田委員 総理、これは農水省自身も発表しているのです。「世界食料需給モデルによる予測結果」、こういうものを出しまして、  先進国における環境問題による制約、開発途上国を中心とするかんがい等農業生産基盤への投資の伸び悩みなどから、過去に実現された単収の伸びと同様の伸びが期待できず、耕地面積の拡大速度も鈍化し、生産量の伸びが制約を受けるとすれば、アメリカの農産物計画による減反の停止にもかかわらず、穀物、大豆の国際価格は大幅に上昇するほか、飼料部門を通じて畜産物の国際価格にも影響を与えると見込まれる。  このような生産制約シナリオは、どのような形で顕在化するか予断を許さないが、長期的な視点でみた場合、人類が早晩解決を迫られる問題であると考えられる。ここまで述べているわけであります。もう一度お答えください。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 ナポリ・サミットでもAPECでも私の方から日米首脳会談の際にも申し上げておきましたけれども、これからやはり地球規模の課題というものが大きく問題になる。とりわけ食糧、人口、環境といったような問題やらエイズやら麻薬やら等々の問題も重要な問題となってくる。ぜひひとつ協力し合って取り組んでいきたいというような意味の意見も申し上げておいたのですけれども、今御指摘がありましたように、食糧と人口あるいは環境というものはこれからやはり世界的な規模でそれぞれが取り組んでいかなきゃならぬ課題ではないかというふうに私は受けとめておりますから、とりわけ食糧というのは人間が生きる上において欠かせない大事なものですから、そういう前提と認識に立って考えていく必要がある。  言われるように、食糧が全体から見ると不足する時代は来るんではないかということも私は想定をしながらこれから考えていく必要があるのではないかというふうに認識をいたしております。

藤田スミ日本共産党

○藤田委員 とりわけ日本の現在の食糧自給率は、もう総理も十分御承知だと思いますが、カロリーベースで四六%の水準です。先進諸国で、世界を見渡してみても、これほど低い食糧の自給率の国はありません。ほかの先進諸国がこの間食糧自給率を引き上げてきたのは、国の基本である国民の命を守るためにはその食糧をできるだけ自国で賄うことが国を安定させるために最も必要なことだ、そういう根本が貫かれていたわけであります。  言うまでもなく、食糧を海外に依存するということは、供給国の気象の変化だとかあるいはそのほかの理由によりまして食糧供給が不安定になって途絶える可能性がある。そういうことだから、国民の食糧の安定供給を図るために自給体制が整っているのは国内産で自給するという、当たり前のことですが、これが必要なのだ。こういうことで、実は三度にわたる国会決議の中身を見てもそういうことで決議をくれている、こういうふうに思うのですが、その点はいかがですか。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 国会決議は、今御指摘のあったとおりだと思いますね。さっき資料としてカロリーベースで四六%という御指摘がございましたけれども、それもそのとおりだと私は思うのです。  これはさっきもちょっと触れましたけれども、安全な食糧をどのような事態になろうとも安定的に供給をしていくという責任はやはり政府にあるというふうに思いますから、可能な限り自給率を高めていく努力はやはりこれからもやっていかなきゃならぬ。そのために、もっとウルグアイ・ラウンド後の農業対策については、大綱の中でも明らかにしておりまするけれども、農業を誇りを持って携わることができる魅力ある産業として確立をしていく、国土資源の有効利用によって可能な限り国内生産を維持拡大していくという方向で今御審議をいただいているこの各関連法案というものは全部貫かれておるというふうに御理解をいただきたいと思うのですけれども、そういう意味で日本の農業を大事にやはり守っていく。  これは先ほども申し上げましたけれども、単に生産農民だけのものではなくて、国民に食糧をどう供給できるか、需要に応じるかという厳正なる問題ですから、これはもう国民的な課題として取り組んでいかなきゃならない問題ではあるという理解と認識に立ってやらなきゃならぬものだというふうに思っています。

藤田スミ日本共産党

○藤田委員 おっしゃることは大変立派なことをおっしゃりながら、総理がやろうとしていることは今のお言葉とは全く逆さまのことになっていくわけです。  今回のマラケシュ協定の農業協定の実施で、米以外はすべて関税化され、新たに関税化されたものは六年間で関税相当量が一五%引き下げられ、既に関税化された農産物はそれぞれ関税率が引き下げられていくわけです。特に牛肉については、現行の関税率五〇%が六年後には国内の畜産農家がとても太刀打ちしていくことのできない水準である三八・五%にまで引き下げられていきます。牛肉の自給率というのは八五年には七二%ありました。ところが、九三年には四九・五%にまで下がり、くらに全農の農業協定実施を前提にした予測を見ますと、二〇〇三年には三七・五%まで下がる、こういうふうに出されています。同じ全農の報告を見ますと、豚肉の自給率も九三年の六九%から二〇〇三年には五七%に、鶏の肉の方は自給率が七一%から五〇%に低下をする、こういうふうになっているわけです。もちろん、自給可能で現在生産調整までしている全く輸入を必要としない米、そういう米が四%から八%のミニマムアクセスが義務づけられ、六年後には八十万トン、水田面積に換算しましたら十六万ヘクタール分の米が入ってくるわけでありますから、米の自給率が下がっていくのは当然のことであります。  総理、協定の受け入れで、四六%と今でも異常に低い食糧自給率がくらにとめどもなく下がり、歴史的にも世界的にも例を見ない食糧自給率のほとんど持てない国、食糧自給ができない国、そういう国になることははっさりしているんです。それでも総理は構わないとおっしゃるんですか。――笑い事じゃないですよ。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 総理へのお尋ねでございますが、今自給率の低下問題がお話がございましたが、このたびの関税化については、御案内のとおり内外価格差、すなわち国内の卸売価格と輸入価格との差額については関税相当量として非常に高い水準がとりあえず確保されたわけでございます。実施期間においては一五%削減されますが、にわかに輸入が急増するというふうには考えておりません。  それから、牛肉や豚肉については、今回の関税化ではございませんでしたが、関税率がお話しのように下がります。これについては特別な救済措置と申しますか調整措置、一種のセーフガードでございますが、これが牛肉や豚肉についてもとられているというように、それぞれの品目につきましての国境的な調整措置に努力をしてきたわけでございますので、お話しのようにがたがたがたがた下がるというようなことはないと思います。

藤田スミ日本共産党

○藤田委員 私は何もがたがたがたがた下がるなんて言っていませんよ。しかし、確実に自給率は落ちていくんです。しかも、総理も認識されているように、食糧の危機、世界の食糧危機が目前に迫っていながら、なおかつ我が国は、世界でも本当に例を見ないような低い自給率のこの国が、さらに自給率を押し下げて食糧が自給できない国になる。それでもあなたは構わないのか。私は、構わないことないのです、子供たちのことを考えるとたまらないですよ。総理はその点とういうふうにお考えなんですか。――総理に聞いているのです。総理、答えてください。

大河原太一郎自由民主党農林水産大臣

○大河原国務大臣 総理はまた後ほどお話があると思います。  そのような問題、自給率に歯どめをかけるということでございまして、先般の農政審議会におきましても提案がございまして、インデンショナルに将来の自給率をできるだけ歯どめをかけるための国内農産物の需要と供給の長期見通し、これをしっかり立ててつくりまして、それによって、国内生産資源の最大の活用とかその他によってその低下に対して歯どめをかける一つの指針にいたしたいということで、既に農政審議会において御議論をちょうだいしているところでございまして、早急にそのような一つの的確な見通しのもとにおいて自給率の低下についての施策を講じていきたい、くように思っているところでございます。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 自給率がどんどん下がっていって、そして日本の食糧が外国にすべて依存をするというようなことになったら一体どうなるのかという御心配はよくわかりますし、そんなことはもう構わないなんということは絶対に思っていません。  ですから、できるだけ自給率が下がらないように、これは、もう輸入の自由化というのは全体の動向の中ではなかなか防ぎ切れないものがやはりあるわけですから、そうした傾向に耐えて、日本の農業が自給率を、これ以上下がらないように、維持していけるようにするためにどうすればいいのかということをお互いに真剣に考えて今議論をしているという状況ですから、下がっても構わないというようなことは絶対に思っていない、そのことだけははっきり申し上げておきたいと思います。

藤田スミ日本共産党

○藤田委員 しかし、この協定を受け入れる、それは結局は、国の基本である国民の命を守るという、そういう責任を放棄するということになるのです。  今おっしゃっていることはとっても矛盾していると思う。自給率が下がる方向で批准を受け入れる、それがわかっていながら受け入れる。それでいて、皆さんはまくか、自給率が下がる、そういうことを言うこともできないので、今私の前では、自給率が下がらないように一生懸命努力をする、そういう言い方をくれるわけです。だけれども、それはもう全く相反する方向に進むことはかっての日本の、これまでずっと作物を輸入してきた経過を見ても明らかじゃありませんか。  日本は、全輸入農産物の四〇%をアメリカに依存しています。それがどんなに危険なことかは過去にも私たちは経験しています。例えば七三年のアメリカの大豆輸出規制、このとき日本ではお豆腐や飼料などが異常な値上がりをして、国民の多くは食糧危機を実感しました。さらに八〇年には、国家安全保障や外交政策上の理由をもとに対ソ穀物禁輸がなされました。これらの輸出規制をアメリカは輸出管理法という国内法で一方的に行ってきたわけです。  今回の農業協定では、輸出規制をするときは事前通告をするということと相手国との協議を行うということは定めておりますけれども、輸出規制自身は認められているわけです。そして、アメリカ政府も輸出管理法についてはそのまま修正することなく残しているわけであります。アメリカ自身の農業生産力が、土壌の浸食だとか砂漠化、地下水の枯渇などによって年々低下しているときに、それがどんなに危険なことかということは総理おわかりでしょうか。

河野洋平自由民主党外務大臣

○河野国務大臣 議員御指摘のとおり、今回の農業協定におきましては、食糧の輸出の禁止または制限を新設する国は、輸入加盟国の食糧安全保障に与える影響に十分な考慮を払うとともに、同協定の規定に従って協議、通報などを行う旨の規定が置かれております。  それで、この協議、通報程度では心配ではないかというのが議員の御趣旨だと思いますが、しかし、これは従来のガットにはない規定でございまして、これによって食糧不足の際における輸出規制に対する規律が従来のガットよりははるかに強化されたもの、こう考えてよろしいかと思います。

藤田スミ日本共産党

○藤田委員 アメリカ自身が輸出管理法を残しているということは、輸出国としてその事情によっては輸出を規制しなければならない、そういうこともあるということで残しているんじゃありませんか。だから、大臣がそういうふうにおっしゃったからといって、私は、そうですか、それじゃもう安心ですねと言うわけにはいかないんです。それほど国民にとっては不安定な問題が一層持ち込まれるということになるわけであります。  さらに言えば、農産物をよその国に依存するということは国民の健康にとっても重大なことになることは改めて言うまでもありません。  総理は御存じでしょうか。十一月の十七日に厚生省はオーストラリア産の牛肉の農業汚染問題について発表しています。つまり、オーストラリアはことしひどい干ばつに見舞われまして、牛の飼料が不足をし、そのためにクロルフルアズロンという有機塩素系の農業が残留している綿のくずや綿の切り株を飼料として与えたために、その農業が牛に移行したということであります。そして、農業の残留水準は三ppmから八ppmという極めて高い水準であります。  全くひどい話でありますが、その飼料を与え始めたというのがことしの四月、そしてオーストラリア政府が出荷禁止令をかけたのがことしの十月ですから、六カ月間はオーストラリア政府も知らない、日本政府も検査をしないからわからない。だから、六カ月間に日本に輸入されたこの手の牛肉は十三万トンに及びますが、既にもう日本人の胃袋に入ってしまっているわけです。総理はオーストラリア産の肉を食べてないかもしれませんが、私は食べましたから、えらいことしたと思っています。  また、日本政府の対応も大変お粗末です。オーストラリア政府から日本政府に連絡のあったのが十一月の十日、そして輸入時の検査を始めたのが十八日。それまでに汚染のあるオーストラリア産の牛肉はノーチェックで日本に入ってきたわけでありますが、安全を強調される総理はこういうことをどう思われますか。総理を中心に聞いているんです。技術的なことを聞いているんじゃないんです。手続のことを聞いているんじゃないんです。

井出正一新党さきがけ厚生大臣

○井出国務大臣 お答えいたします。  御指摘のオーストラリア産牛肉の問題についてでございますが、オーストラリア政府からの第一報の後、農業残留の疑いのある生産地域の特定等必要な情報収集を行い、速やかに輸入時の検査強化を図るとともに、国内に流通しているものについても各都道府県等に検査の強化を指示したところであります。  また、農業の残留の程度は、仮にその牛肉を、先生召し上がったようでありますが、召し上がったとしても、長期間にわたって継続的に食べない限り健康には影響ないものと考えております。  食品の安全確保は国民の健康を守る上で重要な問題でございまして、今後とも輸入食品監視の適切かつ迅速な実施に努めてまいりたいと考えております。

藤田スミ日本共産党

○藤田委員 もうこういう答弁は嫌というほどこれまで私は質問をして背くんから聞かされてきたんです。そのたびに同じようなことはかり言ってきたんです。  過去の例をここで挙げるほど時間がありませんけれども、しかしオーストラリア産の牛肉それさえも、昨年の十月、実はDDTの残留があるというその危険があったわけです。そのほかに、学校。給食のパンからも残留農薬が出てきたとか、アメリカ、台湾の輸入豚の中から合成抗菌剤が出てきたとか、私は随分農水委員会でそういうことを取り上げてきました。しかし結局は、外国に食糧を依存する以上、そういう危険は常につきまとうわけです。  安全な食糧を国民に供給しなければならないなどと総理は簡単におっしゃるけれども、そんな簡単な問題じゃないのです。結局、安全でかつ安定した食糧を供給するためには、自国の食糧の自給率を高める、それ以外に道はないじゃありませんか。そういう立場に立つとしたら、マラケシュ協定を受け入れるなどというようなことは絶対に認めることはできない。もう一度総理の御答弁を求めます。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 ですから、先ほど来申し上げておりますように、可能な限り主要な食糧の自給率は、これ以上下がらないように歯どめをかけていく努力はしなければならぬ。しかし、全体の貿易自由化の中で日本だけが一切輸入しないのだということは、これはなかなか、言うのは簡単ですけれども、いろいろなやはり要件があるわけですから、そう簡単にできないものだと思うのですよ。  しかし、何はともあれ、食糧というものは毎日毎日口に入れ、体の。中に入れるものなんですから、やはり何よりも安全性を確保していくということが大事なことだということはしっかり認識をいたしておりますから、これからもその確保のためには足りないところは補って万全を期していく必要があるということについては、御意見のとおりであります。

藤田スミ日本共産党

○藤田委員 全くお話になりません。そういうことで国民をいつまでもごまかせると思っていたら、それは大変な間違いですよ。国民はそんなにもう甘くありません。国民ももうぎりぎりのところまで来ているのです。ここでこの協定を認めるかどうかということは、最初に言いましたように、それが子供たちに安心できる日本を残すことができるかどうかにかかわっています。  アメリカでは、国内実施法の中で食肉輸入法については廃止することになっていますが、ウエーバーについては廃止するのではなく、WTO加盟国では適用しないとしているけれども、法律は厳然と残している。輸出奨励計画も、実はアメリカの農産物の輸出拡大のためにたがを外して、そうして、不公正貿易のみに対応することになっていたのを全体の輸出拡大のために強化をするというように、とんでもないことが次々に行われている。ところが、日本だけがどうしても先にというあなた方の姿勢は、私はやはり認められないということを申し上げて、質問を吉井議員に譲ります。

佐藤孝行自由民主党

○佐藤委員長 この際、吉井英勝君から関連質疑の申し出があります。藤田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。吉井英勝君。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 私は、まず、食品の安全問題にかかわるところから質問に入りたいと思いますが、現行ガットは、第二十条(d)で「人、動物又は植物の生命又は健康の保護のために必要な措置」はガット協定の一般的例外にすることにしております。これは、自国民の生命保護または健康を守るために各国が採用する食品安全基準措置を妨げてはならないと規定しているものであります。これは、自国民保護の観点から当然のことだと思うのですね。  ところが、今度のWTO協定では、例えば附属書一A物品の貿易に関する多角的協定、衛生植物検疫措置の適用に関する協定の第二条でどううたっているか。衛生植物検疫措置をとる権利を「この協定に反しないことを条件とする。」と制限しているのですね。その条件については第三条で「国際的な基準、指針又は勧告がある場合には、自国の衛生植物検疫措置を当該国際的な基準、指針又は勧告に基づいてとる。」としております。  それでは一体だれが食品の国際的基準を決めるのかということが問題になるので、これは厚生省と外務省に伺いました。そうすると、FAOとWHOの合同食品規格委員会、いわゆるコーデックス委員会が決める基準となるということであります。これは肝心なところでもありますので、こういうことでいいんですねということを最初に厚生大臣から確認しておきたいと思います。

小林秀資厚生省生活衛生局長

○小林(秀)政府委員 お答えいたします。  衛生植物検疫措置の適用に関する協定においては、加盟国は、衛生植物検疫措置について国際的な基準がある場合には、原則としてこれに基づき措置をとることとくれております。  また、その協定には、科学的正当性がある場合においては、国際基準より厳しい基準を採用し得ること等も規定に盛り込まれております。この協定における国際基準とは、委員がおっしゃられましたように、コーデックス委員会によって制定されたものであります。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 要するに、この基準というのはコーデックス委員会が決める基準に従うというふうになっているわけです。  日本は、国民の運動、消費者運動などを背景にして、比較的厳しい基準を設定してきました。しかし、それさえアメリカの圧力などで食品安全に関する規制品目や基準の緩和が行われてきたのが実態でありますが、今日、日本は世界最大の農産物輸入国であり、多くの委員からも指摘ありましたように、カロリー自給率は四六%と世界に類を見ないほど食糧を外国に依存しているわけであります。その安全基準まで日本への輸出国や輸出企業側にゆだねてしまうのでは、とんでもないことになると思うわけです。  実は、コーデックス委員会について中身を調べてみますと、委員九百六十五名のうち企業代表が三五%、多国籍企業が輸出を伸ばすために障壁となる各国の安全基準を引き下げることを要求する舞台であり、実際に低い基準が作成されてきているのが実態であります。  総理、そこで伺いますが、食品分野の多国籍企業の輸出を伸ばすために基準を引き下げる舞台となっているこのコーデックス委員会の基準をWTO協定によって日本に押しつけることが、日本の国民の立場からして、これは私は大変危険なことだと思うが、あなたは危険と思わないかどうか、伺いたいと思います。

井出正一新党さきがけ厚生大臣

○井出国務大臣 コーデックス委員会には各国の政府から代表及び代表代理が出席し、代表が政府としての意見を表明することになっておりまして、コーデックス委員会における検討内容が、先生がおっしゃるような企業の利害に左右されるものではないと考えております。  企業の技術者がアドバイザーとして参加する場合は確かにございます。これは、政府がその立場を主張していく上で、食品の加工、保存技術、流通実態等に関する専門知識を活用するためでございまして、あくまで政府代表団を技術的に補佐するものであり、これらの企業の代表がみずからの意見を表明することはできないことになっておる、こう承知しております。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 実態は、そんな甘いものではありません。  WTO協定で、巨大なアグリビジネスや食品の多国籍企業である、例えばフィリップ・モリス、ユニレバーなどの利益のために現行ガットを否定して、国民の命と健康、安全がないがしろにくれる、これは私はとんでもないことだと思うんです。ハーモナイゼーションといってコーデックス委員会の甘い基準に日本も合わさせようというのを拒否して、本来国民の安全を守る上で必要な厳しい基準というものを日本としては設けていくべきである。  このことを指摘しておいて、次のことに移りたいと思うんですが、今回の協定の一つのポイントというのは、物の取引だけでなくサービス貿易、知的所有権のルールをWTOの中に入れたことが挙げられます。WIPOでの国際的論議に背を向けて、発展途上国の反対を押し切る形でアメリカの主張した特許権などのルールがWTO協定に入りました。  食品安全とともに生命にかかわる医薬及び医薬品の扱いについて聞いておきたいと思いますが、これまで医薬品について特許の対象に入れていない国というのは、インド、ブラジルなど三十七カ国に上ります。それがWTOの協定で、一定の猶予期間を置くとしても、例外なく特許で縛られることになると思うんですが、この点はどうですか。

橋本龍太郎自由民主党通商産業大臣

○橋本国務大臣 確かに、TRIPs協定におきましては、御質問の医薬品を含め、物、方法を問わず、全技術分野のすべての発明を特許の対象とすることが各国に義務づけられております。この論議のプロセスにおきまして、一部の発展途上国では現在医薬品を特許法対象の例外としているのは、御指摘のとおりであります。WTOに加盟する場合には、協定発効後から五年または十一年以内に、医薬品を含めすべての技術分野を特許対象とすることが必要となります。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 今おっしゃったように、すべて一定の猶予期間を置いて縛られるわけです。  インドのガット大使は、WTOによってインドでの医薬品は三倍から二十倍にも価格がはね上がり、インド国民の生命や健康を守る上で大変な障害になると言っています。彼はまた、七〇年制定のインド特許法のもとで国産製薬産業は急速かつ効率的に発展した、これで比較的安価な医薬品を庶民の手に届くようにすることに貢献した、インドのように広範な大衆が病気の犠牲になり、公衆保健衛生体制が不十分な国では、特別重要な問題であると語っています。  ユニセフの報告書でも、世界で子供が年間千三百万人死亡しておる。これは貧困や病気等でありますが、そういう事実を見ても、医薬品価格の上昇というのは、これは実は途上国民にとってまくに死活の問題です。WTO協定で、少なくとも医薬品は特許から除外させるべきだと思いませんか。

橋本龍太郎自由民主党通商産業大臣

○橋本国務大臣 今委員が御指摘になりましたが、私はインドの主張そのものは存じません。しかし、そうした議論があったことは聞いております。  しかし、このTRIPs協定につきましては、知的所有権について最低限の保護期間というものを設けることが技術移転を促進して世界経済の発展につながるという共通認識から、発展途上国を含めて最終的な合意がなされたものと承知をいたしております。  医薬品は、確かに御指摘のとおり生命にかかわるものであります。むしろそれゆえに、技術の適切な保護が行われることを通じて先進国から発展途上国へ技術移転が促される面というものも否定のできないことであると思います。  なお、TRIPs協定では、発展途上国における制度及び運用の改善に伴う困難性というものにかんがみ、実際の発動までの期間内に先進国が最大限の途上国協力を行うことが必要だとしておりまして、日本自身もそうした協力を今後もいたしていくことになると思います。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 実は、日本も一九七五年の特許法改正までは、国民の生命や健康にかかわる産業の保護育成のためにということで、医薬、食物、化学物質については特許から外してきました。どんな国であっても、国情や歴史的発展段階の違いというものがありますし、それは当然配慮されなければならない問題だからであります。日本でわずか十九年前まで医薬品は特許から外して保護してきたのに、途上国に対してはそうした事情を無視して一律に押しつけるという手前勝手なやり方が許されるのだろうか、私はこれは非常に大事な問題だと思うのです。果たしてこういうやり方が許されるのかどうか、今おっしゃったような短い猶予期間を置いてということだけで許されるのかどうか、改めて簡単に伺っておきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党通商産業大臣

○橋本国務大臣 ちょうど私が厚生省の政務次官当時、医薬品産業の資本自由化の問題が議論をくれ、当時日本の製薬産業は資本自由化に対して徹底抗戦の構えをとっておりました。そして、私どももこの自由化に対して非常に懸念をいたしておりました。しかし、五〇%自由化、一〇〇%自由化というプロセスの中で日本の医薬品産業の体質も、今日もなおくまざまな問題はありますけれども、それなりに大きく変化してきたと承知をいたしております。  今回、途上国協力、これはさまざまな分野がありますけれども、例えば特許庁自体にいたしましても、特許審査の結果の提供の努力でありますとか、あるいは御指摘のWIPOにおきましても、ジャパン・ファンドを設けまして、ラウンドテーブルあるいはセミナー等、さらには専門家の派遣、研修生の受け入れといった事業を計画しておりますし、技術水準のリサーチも行われております。また、JICAにおきましても、研修生の受け入れ、あるいはプロジェクト方式の技術協力、さらには長期専門家の派遣等の技術協力をいたしておりますし、民間におかれても人材育成協力が行われておるわけであります。  当時、私どもがその自由化の論議にさらされましたころ、こうしたスキームが国際的に動いていたかどうか、私は必ずしも十分に知識は持っておりません。しかし、こうした支援措置が与えられたという記憶を私は持っておりませんが、今日、日本の医薬品産業は少なくとも相当のレベルを維持しておると心得ております。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 医薬品多国籍企業への特許料の支払いによって、インドのシュクラ大使が心配しておられるような三倍から二十倍、例えば現在のインドのザンタックという潰瘍薬で見ますと、インドで大体百円のものがアメリカでは二千四百円、二十四倍ですね。リューマチの薬でいえば三十八・五倍とか、これだけはね上がることが心配されているわけです。これは途上国の人々の健康にとって重大な問題だと思うのです。  なぜこういうことになってきたのか。実は、経団連の月報の八八年の八月号でそれを解き明かしております。  それによると、まずアメリカのブリストル・マイヤーズ、ファイザー、ジョンソン・アンド・ジョンソン、メルクなど、こういう企業や、あるいはデュポンなどを含めた十一社、このアメリカの化学・医薬品多国籍企業、これがIPCというアメリカでの知的所有権委員会というのをつくっておりますが、これとヨーロッパ産業連盟と経団連、三極の会議が行われて、そこで、知的所有権に関する三極会議の結論として、先進国に有利になるようにとガットに申し入れるという文書をまとめて働きかけたということが紹介されております。  「フォーチュン」によりますと、利益額ランキング世界第二位というのは、今挙げたブリストル・マイヤーズその他、及び日本の武田薬品などを含めた二十六社の医薬品企業です。この分野でも、発展途上国の人々に痛みを押しつけながら多国籍企業の利益のためにWTO協定に特許を入れた、こういう指摘がなされても、私はこれは少しもおかしくない。そういう指摘は当然のことだと言える状況が、こういう月報等を見ても読み取れるわけです。  こうした問題について、自由貿易の原則に立つ現行ガットは個々の国の国家主権の尊重という立場を貫いてきたわけです。現に、東京ラウンドの十一の議定書、協定の批准について見ますと、アジアでも韓国は五つ、インドネシアが二つ、フィリピンが三つの協定にしか批准をしてきませんでした。それは、各国が自国の利益や国民の暮らしにかかわるものについては主権を行使してきたからです。  そこで、総理に伺っていきたいのですが、これに対して、今回の一括受諾方式というのは、個々の国の国民の生命や安全を脅かし、国家の発展段階や文化の違いを無視して国家主権の侵害になるという、こういう重大な問題を持っているわけですが、あなたはこの点について一体どういう認識を持っておられるのか、伺っておきたいと思います。

河野洋平自由民主党外務大臣

○河野国務大臣 今回のウルグアイ・ラウンドの交渉は、もう議員十分御承知のとおり、交渉のスタートから一括方式という方式をとって、百二十を超える国と地域が話し合ったわけでございます。それぞれの国にはそれぞれの国のアドバンテージもあるし、ディスアドバンテージもあるわけでございますが、とにかく一括してこれらの問題を処理をしようという前提での交渉の結果、この交渉がまとまったわけでございまして、御承知のとおり、日本には農業問題という大きな問題を抱えております。  それぞれの国にはそれぞれの厳しい問題も抱えながらも、百二十を超える国と地域が集まって交渉をした結果、合意をしたわけでございまして、これらは交渉の当初からの考え方によるものでございます。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 現行ガットの各国主権の尊重とか自由貿易の原則とは違って、今度のWTOの場合、多国籍企業の利益のために国民の安全も途上国の国益も主権も侵害するという、こういう重大な問題を抱えている。私はここに今度のWTO協定の大きな問題があるということを指摘して、次の問題に進んでいきたいと思うんです。  スーパー三〇一条によってアメリカは、国内法を国外にも適用して制裁を加えるというガット違反をやってきました。USTRのカンター代表は、議会証言の中でも、WTO協定のもとでもアメリカはスーパー三〇一条で制裁を加えると発言しております。これに対して総理らは、WTOで日米の貿易紛争は解決できると答弁してきました。  そこで伺うんですが、アメリカがスーパー三〇一条に基づいて日本の特定分野は問題ありとして調査を開始した場合、その調査を開始した時点で日本は提訴しますか。

橋本龍太郎自由民主党通商産業大臣

○橋本国務大臣 今回、ジャカルタでUSTRカンター代表あるいはブラウン商務長官との会談の中で一番議論になりました部分が、まくにアメリカのウルグアイ・ラウンド実施法案の中におけるスーパー三〇一条の問題でありました。私の立場からすれば、これは疑義ありということであります。アメリカ側の説明といたしましては、スーパー三〇一条等の存在自体がWTO協定に違反するというものではない、そして、WTO協定以外の部分について行使をすることに妨げはないというのが彼らの言い分でありました。この部分は完全に平行線でありました。  ただ、現実の問題として、現在三〇一条の適用をアメリカ側が決定をいたしております例えば自動車の補修部品の問題につきまして、アメリカ側はこのもとでの交渉を求めてまいりました。私は、三〇一条を前提とした交渉には応じられないということで、今日も交渉に応じておりません。  アメリカ側が、今後ともに三〇一条あるいはスーパー三〇一条の行使に踏み切りました場合には、日本は、現在の時点でありますならガット、将来におきましてはWTOに対する提訴を含め、一切の対抗措置をとる権限を有しております。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 今のところで少し繰り返して聞いておきたいのですが、調査を開始した時点、まだ制裁発動にまで至っていない間ですね、調査を開始したという時点ではこれは提訴の対象にならないのだろうと思うのですが、提訴できますか、日本は提訴しますかということを伺っておきたいと思います。

坂本吉弘通商産業省通商政策局長

○坂本(吉)政府委員 スーパー三〇一条あるいは三〇一条による調査が始まっただけでは、通常、関税の引き上げとかあるいはその他の貿易制限措置がとられませんので、具体的な訴えの利益がないということで、直ちにガットにこれを持っていくということには恐らくならないと思います。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 そのとおりですね。  それで、WTOが対象としている分野であっても、スーパー三〇一条によって、かつて半導体でやられたように、パソコン、カラーテレビ、電動工具に一〇〇%の報復関税がかけられたような、そういう制裁が行われたときに日本がWTOに提訴したとしても、パネル認定の採択、控訴、決定までの十八カ月間というものは、期間があるわけですね、アメリカの制裁は続くのじゃないかと思うのです。制裁が行われて提訴という場合、提訴すると同時にこの制裁が中断されるという仕組みになっていますか。

坂本吉弘通商産業省通商政策局長

○坂本(吉)政府委員 そのような仕組みにはなっておりません。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 そうなんですね。つまり、提訴しても十八カ月間というのはずっと制裁が続くわけです。今日の貿易において十八カ月間の制裁の継続というのは、企業の貿易にとってはこれは決定的に死命を制するものとなります。また、スーパー三〇一条の調査開始だけではWTOは違反とは言えないわけです。しかし、調査のおどしでもって、これまで政府調達や木材、オレンジ、皮革など、今自動車とか自動車部品で二国間交渉に追い込まれ、次々に譲歩させられてきたというのがこれまでの経過でありました。WTO協定が発効しても、調査や制裁でおどしをかけて譲歩を迫るというこのアメリカの横暴なやり方の歯どめにはならないわけです。  通産省の通商政策局でまとめられた不公正貿易白書というのを読ませていただきました。これによると、一九三〇年関税法第三百二十七条に係るECとアメリカの事件でガットのパネル報告が出され、八九年十一月にガット理事会で採択されましたが、それはこの報告書によると、第三百三十七条の手続はガット第三条四項の規定に違反する、その違反はガット第二十条(d)の例外として正当化できない、ガット違反であるとする明白かつ断定的な報告が採択されているにもかかわらず、米国は従前の手続を維持し、ガット理事会の勧告に従っていない、それどころか、ガット理事会による修正勧告がなされているにもかかわらず、本条項に基づき頻繁に調査を行ってきたことは極めて問題である、これが通産省の通商政策局がまとめられた報告書に明記されていることであります。  通産省の報告でくえ、現行ガットのパネル報告の理事会採択も無視し続けるアメリカの横暴を指摘しているわけです。そのアメリカがWTOのパネルの決定に従う保証はありません。それはまさに国内法優先を実施法でうたっていることでも明らかです。大体この間、アメリカがこういう横暴なやり方をやってきたのは七九年の東京ラウンドに対応する通商協定法以来、八四年通商関税法、スーパー三〇一条、NAFTA実施法、そして今回のWTO実施法に至るまで、協定よりも国内法が優先する、このことを明記して、これに基づいてガットの決定も全部無視する、修正勧告もはねのける、こういう態度をとってきたわけであります。  総理に伺っておきますが、これでもあなたはWTO協定によってアメリカのスーパー三〇一条を使った不公正な制裁のおどしを食いとめることができるとお考えでありますか。

坂本吉弘通商産業省通商政策局長

○坂本(吉)政府委員 ただいま委員御指摘の、いわゆるスーパー三〇一条ないし三〇一条は一方的な措置ということでございますけれども、この点は、今回のWTO協定の紛争手続に関する了解事項の第二十三条におきまして、一般的に多角的体制を強化するために、こういった各国の利益が無効化または侵害されましたときには、この了解に定める規則及び手続によるものということを、まずその遵守を明らかにし、さらに、第二項(a)号によりまして、この手続以外によって紛争の処理をする、目的の達成を妨げる旨の決定は行ってはならないという意味で、かつてガット体制ではありませんでしたこういった一方的な措置の禁止規定というのを明らかにいたしたところでございます。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 ガットの時代であっても、理事会による決定が下される、従わない。修正をしなくいという勧告がなされる、それにも従わない。なぜ従わないのか。実施法で国内法が協定よりも優先するんだと法律上も明記し、それをはっきり貫いてきたわけですよ。  そしてこれは、私は法律の立て方の問題では済まないことだと思うわけです。しかもアメリカの場合には、何もいきなり制裁して十八カ月間のWTOのこのルールに従う必要はないんですよ。調査を行う、それでおどしになるし、制裁をかける、十八カ月間の間、制裁期間中は中断されるわけですよ。これで十分制裁の効果は果たされるわけです。  ですから、あなたが何をどう言ってみられようと、現実にアメリカがやってきたこのやり方の歯どめにはならないというのがこれまでの経過であります。  総理は、先日も米だけでWTO反対と言えば貿易立国としての日本は成り立たないとあなたはおっしゃいました。しかし、米だけでも重大なんです。米だけであっても私はこのWTO協定というのは批准をするべきじゃないと思うのだけれども、米だけのことを私たちは言っているんじゃありません。革靴や皮革、繊維を初めとする国内産業、中小企業への打撃ははかり知れないものがあります。発展途上国国民の被害、これを考えてみても明らかです。多国籍企業の利益のためにそんなことは私は許されないと思うのです。しかも、貿易立国といいながら、アメリカの経済覇権主義のこの横暴なやり方に対する歯どめにすらならない、これがWTO協定の今日での問題であります。  WTO協定の批准ではなくて、私は、真の公平、平等な貿易ルールの確立のためにWTO協定の修正を求めて再交渉をするべきであると思うわけです。もしあなたに再交渉する気があればお答えいただきたいし、その気がないのなら私はこれで質問を終わりたいと思います。

村山富市日本社会党・護憲民主連合内閣総理大臣

○村山内閣総理大臣 先般私はAPECの会合にも出てまいりましたけれども、APECには十八カ国と地域の代表が参加しているわけですね。その十八カ国の中には、もう最先端を走っておる先進国もあれば、あるいは中ぐらいのところもあるし、これから発展をしようとする途上国もあるわけです。そういう国々が集まって、いかに貿易、投資の自由化を確保していくかということについて議論をした。その議論の経過を踏まえてみましても、それぞれの国には国の事情があるけれども、しかし、やはり貿易の自由化というものが守られて初めてそれぞれの国がそれぞれの国に応じた発展ができるんだ、お互いに協力し合おう、こういうことでこの大枠は決められたわけでありますけれども、私は、今は全体としてそういう状況にあると思いますね。  とりわけ日本の国のように、資源もない、貿易で立っているような国は、やはり国際的な貿易自由化の中で日本の経済が守られておるという前提に立つならば、私は、WTOの協定というものは守るべきものであるというふうに考えています。今、再修正をしようという意思はありません。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 とんでもない話だということを指摘して、私の質問を終わります。

佐藤孝行自由民主党

○佐藤委員長 吉井君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十二日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十二分散会

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