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131回国会衆議院1994/10/20

厚生委員会公聴会 第1号

発言数
122
登壇者
17
会派数
5
開催日
1994/10/20

会議録

岩垂寿喜男日本社会党・護憲民主連合

○岩垂委員長 これより会議を開きます。  第百二十九回国会、内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律案について公聴会を行います。  この際、御出席の公述人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。国民年金法等の一部を改正する法律案に対する御意見を拝聴し、本案審査の参考にいたしたいと存じますので、忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます。  御意見は、丸尾公述人、鷲尾公述人、高山公述人の順序で、お一人十五分程度お述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  念のため申し上げますが、発言する際は委員長の許可を受けることになっております。また、公述人は委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきを願いたいと存じます。  それでは、まず丸尾公述人にお願いいたします。

丸尾直美慶應義塾大学総合政策学部教授

○丸尾公述人 おはようございます。慶應大学の丸尾です。きょうはこういう機会を与えていただきまして、非常にありがたいと思っています。  早速ですけれども、年金の今回の改革案の主要点につきまして、私のコメントを述べさせていただきたいと思います。  今回の年金改正の第一の論点は、年金支給開始年齢を二〇〇一年から段階的に六十五歳まで引き上げるとの案ですが、人口高齢化と年金の成熟化等を考え、また高齢化の進んでいるスウェーデンのような国で年金支給開始年齢を六十五歳から六十六歳まで引き上げるというような経過等々を勘案しますと、また私などが関係しておりました社会経済国民会議、現在の社会経済生産性本部などが援言の中で要求しておりました雇用の保障、中高卒で例えば四十年以上勤務した労働者への年功年金、シニア年金の支給、傷病や障害で雇用継続が困難な人などへの年金の早期支給、部分年金制度の導入など、そういう条件を言っておりましたけれども、そういう条件もかなり取り入れられましたので、年金支給開始年齢引き上げの今回の案には賛成したいと思います。  ただ、六十歳以上の雇用保障に関しましては、高年者の労働条件と労働環境の方を高年者や障害者に適応させる努力をすること、年金支給開始年齢引き上げ以前に定年を年金支給開始年齢と連動するようなことを確実に行うことなどへの一層の配慮をお願いしたいと思います。  第二に大きな改正点は、年金給付を税引き前所得スライド基準から可処分所得スライド基準へと移行するという案であると思いますが、これも、もし現状のままでいきますと、税金と社会保険料の負担率は、人口高齢化の高くなる二〇二五年ぐらいには三〇%近くなるのではないかと想定されますので、そうなりますと、仮に六九%の支給卒というものを想定しますと、それは現役の勤労者の可処分所得に対しましては九八・五七%という非常に高い水準になりますから、やはり段階的に可処分所得基準に移行していくことは合理的であると思います。世代間の所得のバランスということを実質的な手取りで考えますと、そうなっていくことは合理的なことではないかと思います。  ちょっとその点に関しまして、こういう基準でいきますとどういう数字になるかということを資料に示してありますけれども、要するに、そうなりますと年金財政にどういう影響があるのかという点が必ずしも明示されていないといいますか、公表されていないというところがちょっと不備ではないか、その辺は何らかの機会に示すのがいいのではないかと思います。年金支給開始年齢をおくらせると年金財政にどういう影響があるかということが明示されていますけれども、可処分所得基準に移行することによって年金財政にどういう影響があるかということも少し計算された方がいいのではないかと思います。  それから、ボーナスヘの保険料につきましては、これも原則としてはその方が合理的であると思います。定期給与的な部分とボーナスの比重というのは長期的にどう変動するかわかりませんし、ボーナスに負担がかからないとなりますと、ボーナスの比重を高くするというようなことがいろいろな点で起きてきます。そういうことを考えますと、長期的には総報酬に保険料がかかっていくという方がむしろ合理的ではないかと思っておりますから、こういう方向への第一段階の移行として賛成します。  それから、雇用保険と年金の重複給付に関しましても、ここ何年かの年金改正の方向は給付のコーディネーションを貫くという原則でありますから、その原則からしましても、重複給付の廃止ということはやむを得ないと思います。ただ、それに伴う摩擦を避ける配慮は必要であると思います。ある種の期待権ともいうべきものが近年の人についてはないわけではないわけですから、摩擦に関しましては、あるいは移行期に関しましては、若干の配慮が必要であると思います。  育児休業中の社会保険料の本人負担分を今回免除することになりまして、育児休業中の給付、二五%を雇用保険から出す、それに加えてこういうようなことができてきたということは、育児期の働く女性に対する社会的支援として、二十一世紀福祉ビジョンの方向に沿うものとして評価したいと思います。  それから、在職年金の給付に関しましては、かねてから働くインセンティブを損なわないようにし、より多く働けば必ずそれなりに賃金プラス年金の収入がふえるようにという、そういうシステムにすることが要望されておりましたけれども、今回のシステムはそうなっております。  そういう配慮をし、また所得が非常に低い人に対する配慮をする、そういうことをしますと、どうしても式が複雑になります。今回の式はそこに書いてあるような式に、インプリシットにはなっておりますけれども、合理的ではあります。ただ、若干複雑な感じがしますけれども、合理性を貫くとある程度やむを得ないのではないかと思っています。  それから、年金の管理運営の費用に関しましては、これは別に改正事項ではないわけですけれども、どうも管理運営のマネジメントという点について、公的部門の全般に認識が乏しいのではないかという感じがします。マネジメントをよくする、あるいはコンピューターの有効利用をする等々において、なすべきことがあると思います。年金専門家の村上清氏も指摘しておりますように、年金の管理運用費用というのが異常に給付総額に対して高いということ等考えますと、そこにかなり改善の余地があるのではないかと思います。  それから、年金番号制を導入する方向ですけれども、これは結構なことでして、コンピューターが発達した今日、むしろ当然であると思います。そして同時に、年金ポイント制を導入した方がいいという話がありますけれども、そこはまだよくわかっておりませんけれども、できることならそういう方向に早く移行して、全稼得期間の年金ポイントがすぐわかるようになってくるということは非常に好ましいと思います。  それから、基礎年金の公費負担問題ですけれども、これは現在の与党も賛成していたことですし、連合なども賛成していたことですけれども、その財政負担の問題があります。若干そこに財政負担を試算してありますけれども、現時点におきましては、なかなかすぐというわけにはもちろんいきませんし、やるとしましても二〇〇〇年代に入ってからでしょうが、そういうことを考えますと、長期的には基礎年金の公費負担分を引き上げていくということが望ましいと思いますし、いろいろな意味で、ここに書いてありますような理由から好ましいと思いますけれども、現時点では、緊急的には、何といいましても二十一世紀福祉ビジョンの重点政策である老人介護サービスの拡充、それと子育て期の働く女性への社会的支援、それが最優先でありますから、まず新ゴールドプランを作成して、今回は一応予算がついたようですけれども、この点を確実に実現していく方が優先度としては高いと思います。  それから、それ以後は、必ずしも今回の年金改正そのものに関係することではございませんが、ちまたにおきまして、年金財政が将来は破産する、社会保障全般等々が非常に負担が重くなりまして将来は暗いという感じが非常に強い、そういうことも消費を抑えているという感じがします。  それからまた、世代間において非常に不公正である、今の中高年はわずかしか払わなくてたくさんの年金給付を受け取る、今の若い世代はたくさん払って、受け取り額はむしろ払ったより少なくなるというような議論さえ出ておりますけれども、そういう点に関連しまして、ちょっと違う基準から考えてみたいと思います。  それは、要するに、今想定されている程度負担が高まっていきますと将来どれくらいの負担率になるか、そしてその結果として手取りの実質所得がどうなるかというものを私なりの方法で試算したものであります。そうしますと、一九九二年、勤労世帯の平均収入は、月額五十六・三九万円、約一六%税金と社会保険料を取られていますから、手取りが四十七・三七万円ですが、二〇二五年には実質で、現在価値ではかりまして、税引き前が九十二・一六八三万円、手取りでも六十四・五一七九万円となります。もちろん、想定の違いで差はありますけれども、少なくともこれは賃金が一・五%実質で伸びる場合ですけれども、それくらいの上昇がありますれば、将来の世代は現在よりはるかに豊かになる。しかも資産は社会資本も含めて非常に充実していきますから、決して将来の世代は今の世代よりも手取り所得が下がるわけではないですから、負担は多くなるけれどもはるかに豊かになるのですから、そういう動態的基準で考えますと、幾ら払って幾らもらうか、そういう基準で見ますと世代間不公正と言えますけれども、こういう動態的基準で見ますと、決して将来に重い、過大な負担をかけるものではないと思います。特に、二〇〇〇年ぐらいまで大規模に社会資本を充実していきますと、それは将来への資産となりますから、そういうことを考えますと、世代間の不平等になるということはないと思います。それからまた、年功賃金体系が非常に寝てきたということ等を総合的に考えますと、私は、普通に言われるほど世代間の不公正な問題であるとは思わないのです。  この試算には消費税率の影響が入っておりませんけれども、参考として、消費税率が三%から、二〇二五年に一五%になることを想定して計算をしておりますけれども、それでも実質所得は着実に上がるということです。ただ、ここで言いましたことは、経済成長率が二、三%、平均的に見て維持できるということです。少なくとも、経済成長率が二%ぐらいで維持できるということを想定しておりますし、高齢化の程度が今の厚生省の予測よりはるかに高くなることはないという想定ですけれども、その想定自体が崩れるおそれもあります。  その場合を考えますと、今スウェーデンが、高齢化の影響とそれから経済成長率や経済変動の影響に耐え得る年金制度ということで新しい年金制度が発足することになりましたけれども、そういう高齢化と経済変動や成長率の低下等に耐えられる、そういう年金制度までできたら考えていくということも次の段階としては必要ではないかと思います。  以上です。(拍手)

岩垂寿喜男日本社会党・護憲民主連合

○岩垂委員長 ありがとうございました。  次に、鷲尾公述人にお願いいたします。

鷲尾悦也連合事務局長

○鷲尾公述人 連合の鷲尾でございます。公述の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。連合の立場で、今回の原案に対しまして御意見を申し上げたいと思います。  まず、私どもは、将来の高齢化社会を迎えて、この年金の問題を議論する際に、公平な負担と公平な給付ということを主眼に置きまして、我々自身も適正な負担であればきちんと負担をしていかなくちゃいけない、こういう立場に立っているところでございます。ただ基本は、私どもは、しわが寄る、言い方はおかしいのでありますけれども、弱い層にしわが寄らないような公正、適正さが確保できるかということが今回の改正案に対する基本的な考え方に置かれなければいけない、このように考えているところでございます。  その意味からいいますと、今回の改正案が、かつて提案をされておりました六十五歳支給を基本型とする繰り上げ減額支給制度が排除されまして、後で若干詳しく申し上げたいと思いますが、在職老齢年金の就労評価型への改善や、基礎年金額などの引き上げ、さらには老齢厚生年金と遺族厚生年金との調整緩和を初めとする遺族年金や障害年金の改善、あるいは育児休業中の保険料本人負担の免除、あるいは年金資金の教育貸付制度の創設や沖縄の厚生年金の格差是正問題など、大きな改善が盛り込まれていることについては、私どもの主張していましたものが一〇〇%取り入れられたものではございませんけれども、前向きなものだと判断をして、積極的に評価をしているところでございます。  しかしながら、今回の改正につきましては、緊急に迫っております、給付額の改善もございますけれども、保険料の引き上げ、あるいはただいま丸尾先生もおっしゃられましたが、ボーナスに対する一%の保険料を取るというようなことなど、負担が従来に比べてかかってくるということも事実でございますし、あるいはこの年金改正に伴いまして、将来の負担額ということになりますと、二〇二五年で二九・六%にもなる、こうしたことを考えますと、いかにしてこの負担を軽減をすることを一方で考えながら給付に対しての公正さを確保するかどうかということが大変重要なポイントになるのではないか、このように考えているところでございます。  少し具体的に個別の問題で我々としてのコメントを申し上げたいと思います。  私どもは、この年金改正案に対しまして、五つの修正と三つの補強という項目を提起をしているところでございます。お手元に資料も配付をしているところであります。  まず第一番目に、六十歳代前半の厚生年金の問題でございますが、我々としても、別個の給付というものが提案され、定年雇用、それから年金との連結がそれなりに考慮されたものだということで評価をしているところでございますが、御案内のように今日の高年齢者雇用の厳しい現実や高年齢者の肉体的な条件などを考えてまいりますと、まだまだ十分なものと言えない、このように考えているところでございます。  御承知のとおり、ことしの八月の六十歳から六十四歳の有効求人倍率は○・○八でございまして、部分就労、部分年金型でこの六十歳代前半の方にも働いていただくとしても、雇用が本当に確保できるのかという不安が多々あることも事実であります。  したがいまして、私どもとしては、六十五歳になるまでの年金が今の半分程度になってしまうという今回の制度を、すべてが満額ということにはなかなかならないというふうに思いますが、定年後に仮に働くことを希望しても働く場がなかったり病気やけがで働くことが困難な条件の方々については、満額年金を支給するように強く求めたいと思っております。  もちろんこの認定にはなかなか困難がつきまとうと思いますので、十分な御審議をお願いしたいと思いますが、現在の長期加入者四十五年という条件、これは非常に比率としては少のうございますし、また障害者も従来から年金支給の対象になっておりますが、この範囲についても緩和する等々の工夫があり得るのではないか、このように考えているところでございます。もちろん高齢者に対する雇用対策も別途十分に手当てをすることが必要だ、このように考えているところでございます。  次に、在職老齢年金の改善の問題でございますが、これも詳しく内容は申し上げませんが、我々としても賃金と年金の合計額が増加するような仕組みになったということについては評価できるわけでありますが、まだまだ就労促進へのインセンティブを踏まえた場合に、さらに十分に検討をお願いしたい、このように考えております。  在職老齢年金が一律二割カットされるということについて、できれば撤回をお願いしたいと思いますし、賃金の二十万、三十四万という上限規定についてもさらに引き上げを図ることができないだろうか。御検討をお願いしたいところでございます。  三点目には、雇用保険との調整の問題でございますが、改正案では、九六年四月から雇用保険の失業給付を受けますと年金がストップされるわけであります。もちろんこの考え方は、雇用保険と年金では受ける理由が背反してございますから、理論的にはこうした改正案の方向性を一〇〇%否定するものではございません。  しかしながら、今も申し上げました現在の六十歳から六十四歳の雇用の状況や、これまで期待値として持っていた高齢者の方々の気持ちを考えますと、九六年四月からというのはいかにも早いのではないか、この調整の時期を少し延期をしていただけないだろうか、このように議論をしているところでございます。多くの勤労者にとってみますと、失業給付と年金の併給というのは定年後の蓄えであり退職金がわりになっている、ちょっと趣旨は違うというのは重々承知でございますが、という事実も現実も認識をしなければいけない、このように考えているところでございます。  さらに四点目には、高齢者雇用継続給付と年金との調整の問題であります。雇用保険法の改正によりまして、九四年から、定年後の賃金が定年時より一五%以上低い場合には、六十五歳になるまでの賃金の一定割合が雇用保険から支給されることになっているわけであります。  しかしながら、これを受けますと年金が賃金の一〇%カットされてしまうという問題については、この部分について、これまで私ども年金審議会や社会保険審議会の議論に参加してきたわけでありますが、その中でも議論されていないという、やや唐突な内容だというふうに私ども認識しているわけでございます。  もちろん、その後の議論で半年以上たっているわけでありますから今さら突然ということはないのかもわかりませんけれども、もう少し審議が尽くされるべきではなかったのか、このように考えますし、せっかく高齢者雇用継続給付といういい制度を新設していただいた意味が半減してしまう、このように考えているところでございまして、この点についてもいま一段の配慮をお願いしたい、こういうふうに考えているところでございます。  五点目は、制度について、もちろん段階的な負担の増ということを提案をいただいているのですが、新しい制度に移行するまでにまだ時間もございます。したがいまして、次期財政再計算時には、年金財政の安定度やさまざまな国庫負担の割合や総額などを十分に検討され、もう一度次期財政再計算時には見直すということを法律の中にはっきりと明記させることが必要ではないか、このように考えているところでございます。  これが私ども主張しております五つの修正点でございます。  保険料について一言だけ追加して申し上げたいと思いますが、先ほどもちょっと触れましたように、保険料負担については、現在提案されています税制改正における消費税の問題や、さらには既に確定をしております健康保険料の問題、さまざまな負担が一定時期に集中するということになろうかと思います。  もちろんこれは国金の場においても、あるいは国民的な課題としても、総合的なさまざまな議論が行われ、今後の日本の負担のあり方ということについての議論の上で決定されなければいけない問題であることは十分認識しているところではございますが、国民感情としては、一遍に負担がふえていくということについて大変な感覚的な反論もあるわけであります。  その中で、保険料の負担を引き上げていく、さらにはボーナスからも取るということについては、制度の内容が十分国民に納得されることが前提で我々としてはやみくもに反対するものではないということでございますので、制度の内容が不十分なまま負担の側だけが過大になっていくということについては、なかなか感情的にも感覚的にも受け入れがたいものがございます。  そうした意味合いからいいますと、さまざまないい点も今回の改正であるわけでございますから、さらに国民的な納得を得て負担をお願いをするという立場で、その他の修正点についてはぜひ前向きに進めていただきたい、このように考えているところでございます。  次に、遺族年金、障害年金について但、先ほど申し上げましたようにこの改善項目については評価をしているところでございます。また、年金受給権の確保の問題や厚生年金基金の免除保険料の設定方法の改善や資産運用にかかわる規制の緩和等々について、これまた評価をしているところでございますので、さらに内容を詰めていただければ幸いだと思います。  先ほども申し上げましたように、年金教育資金貸付制度の創設、あるいは沖縄の年金問題の格差是正については、これも評価するところでございますし、特に沖縄の厚生年金の措置については、関係省庁検討会をできるだけ早く進めていただきまして一日も早い実現を期待しているところでございまして、ぜひとも推進をお願いしたいところでございます。  最後に、一番大きな問題でございますが、三つの補強では、そこにございますように国庫負担の引き上げと福祉ビジョンの明示、高齢者雇用ビジョンの明示。二、三については当然御検討いただけると思いますので、省略をいたします。  国庫負担の引き上げの問題でございますが、ぜひとも国庫負担率を今の三分の一から二分の一に引き上げていただきたい、このように考えているところでございます。将来の保険料率が二六%台に、また国庫負担率を三分の二まで引き上げますと保険料率は二二%台に抑えられるということでございますので、この点について十分な議論をしていただくことが必要なのではないか、このように考えているところでございまして、ぜひ今回の議論を与野党共同で修正をしていただき、この国庫負担の引き上げについて最大限の努力をお願いしたい。  以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

岩垂寿喜男日本社会党・護憲民主連合

○岩垂委員長 ありがとうございました。  次に、高山公述人にお願いをいたします。

高山憲之一橋大学経済研究所教授

○高山公述人 高山でございます。公述人として意見を述べる機会を与えていただきましたことを大変光栄に存ずる次第でございます。  今回の改正案は十年に一度の大改正という名にふさわしい内容を持っているというふうに私は考えまして、基本的に本案には賛成でございます。  その主たる理由三つを述べたいと思いますが、まず、世代間の信頼を築く上で最も重要なネットスライド方式への切りかえが提案されているということ、長年の懸案であった支給開始年齢問題に決着をつける内容となっていること、社会経済あっての年金制度という基本的スタンスが確認され、二十一世紀の社会経済を展望し、そこから年金制度の側での対応を幾つか図ろうとしていること、この三つが今回の改正案を高く評価する理由でございます。  以下、重要と思われる点、三点について意見を述べさせていただきます。  まず第一点ですが、マスコミの報道等によりますと、年金改革問題は支給開始年齢問題にどちらかというと偏りがちでございました。また、最近におきましては国庫負担問題に集中している嫌いがございます。ただし、私が見ますと、今回の年金改正において最も重要な項目は、実はネットスライドヘの切りかえということではないかというふうに考えております。  給付水準は、長期的に見ますと、税、社会保険料を除いた手取り賃金をベースにして設定されることになります。また、その給付の改善についても同じインデックスに基づいて改善を図っていくということになります。従来とは全く違ったやり方を今回導入しょうとしているわけでありまして、その意味をやはりここで確認しておく必要があるのではないかと思います。  公的年金は、御案内のように、一つのパイを現役とOBでどう分けるかについてのルールを定めるものでございます。ネットスライドヘの切りかえは、このルールを安定化させ、世代間の信頼関係を厚く、また強固なものにする機能がございます。ネットスライドヘの切りかえは、高齢化に伴う公的な負担増を現役だけでなくOBも等しく引き受け、分かち合うということを実は意味しております。このような新しい原則が年金の世界で確立されることは、まさに画期的でございます。  今後、単に年金改革だけでなくて、税制改革、あるいは他の社会保障分野においてもこのような原則が参考にされることを強く願っております。  実は、世代間の信頼をつなぐ上で最も重要なことは何かということですが、それは現役のサラリーマン、現役の人たちが生活水準の上昇を常に実感するということでございます。親の世代より豊かになれないという思いを子供の世代が思い始めましたら、世代と世代の助け合いの制度を円滑に維持していくということは難しくなります。そういう意味で、今後とも経済成長を持続的に図っていくことが重要になります。  二点目は、年金財政対策ということから、従来いろいろな年金制度に関する改正というものが提案されてきたのですが、今回の改正は、確かに年金財政の観点も考慮はされているのですが、それよりももっと大きな問題、社会経済あっての年金制度ではないか、その社会経済がきちんとする、しっかりすることの方がはるかに重要だということであります。  二十一世紀の日本の社会経済を展望する、これはどういうことかといいますと、もう十年ぐらいたちますと日本人の総人口は減り始めます。その中で、働く人たちの人数も減ってくるということです。これは皆さん既に御案内だと思うのですが、特に若い世代、三十歳未満の労働者が激減するということなんですね。その中で、持続的に経済成長を図っていくということが次第に容易でなくなってくるということでございます。そうした中で、労働力の落ち込みをできるだけ回避する、高齢者の就労促進だとか女性の就労を支援する、あるいはもう少し子供を産みやすい環境をつくり、子育てが容易になるような環境をつくるということが大事でございまして、その点について今回年金制度の側からいろいろな取り組みがなされたということではないかと思います。  特に、在職老齢年金の改善あるいは失業給付との併給調整、遺族年金の改善、育児休業期間中については保険料の本人負担分を免除するというようなことが提案されております。この点を高く評価いたしております。  また、支給開始年齢問題についても決着が図られる見通しになっております。給付の一階部分はオールジャパンの制度にする、それで六十五歳支給開始が原則である、二階部分はサラリーマンに固有の年金であり、六十歳支給開始だという形になりまして、年全体系は非常にわかりやすくすっきりしたものになりました。この点につきまして、決着に向けた関係者の努力を多といたしたいと思います。  三点目は、費用負担問題でございます。欧米の工業先進国と比較をいたしますと、日本人の支払っている年金保険料は、今のところ決して高いとは言えません。一方、給付水準はどうかといいますと、むしろ高目だと言うことができると思います。保険料を今後とも引き上げていかざるを得ないという状況に変わりはないわけであります。  ただし、保険料負担あるいは国庫負担の問題をめぐっては、一体適正負担とは何かということが問われると思います。  その適正負担には三つの要件があると思います。その一つは、今後とも持続的に経済成長を続けていくことが大事なんだという観点から見ますと、成長を大きく阻害しないような財源を選択するということです。それから二点目は、異なる世代間での負担の公平が図られるかということ。三点目は、同一の世代内での負担の公平を図るということでございます。  ボーナス保険料を導入するということは、同一世代内における負担の公平に資することになりまして、その意味では新たな前進になったと思います。長期的には総報酬制への切りかえを含めて、さらに検討を進めていただきたいと思います。  厚生年金につきましては、保険料率の引き上げについて、スピードアップが提案をされております。五年間に二段階での引き上げを図る、この法案が成立した直後に二%を引き上げる、その二年後に○・八五%引き上げるという内容になっております。これは高齢化が従来以上のスピードで進んでいること、また、今皆で歯を食いしばって負担増に耐えていけば、将来の負担はそれだけ楽になるということでございまして、そういう観点からの提案であるというふうに理解をしております。  ただし、負担増をめぐりましては、単に年金財政上の観点からだけでの検討ということではやはり不十分だというふうに考えざるを得ません。むしろ社会経済全体にとってこの負担問題はどうかという観点、そういう考え方が必要なのではないかと考えます。  現在政府が提案しているのは二%の一挙引き上げでございます。この二%の一挙引き上げについては次のような見方がございます。  まず、現役のサラリーマン本人にとりましては、事実上手取りが一%減ることを意味しております。先日、新聞報道によりますと、昨年における日本のサラリーマンの賃金は総じて名目額が減ってしまった。手取りで見ましても、標準的なサラリーマンについては実質的に所得が低下したということになっております。  もう一つ、所得の上昇期待が弱い現在において、一挙に保険料を二%上げるということでよいかどうかということです。ことしの春闘におきましても賃上げを見送らざるを得なかったところが少なくありません。あるいは定期昇給を凍結しているようなところもございます。そうした中で、手取りを確実に一%減らすような方法でいいのかどうかという問題です。あるいは企業にとっても、今回の保険料引き上げは事実上一%の賃金アップをしたのと全く同じ効果を持っております。  また、マクロ的に見ますと民間部門から政府部門への資金の移転ということになりまして、これは共済グループの保険料引き上げいかんによるのですが、恐らく、国民年金の保険料アップも総合的に換算しますと、平年度ベースで今回の引き上げ分は総額で三兆円台だというふうに考えております。今回税制改革で恒久減税分は三兆五千億円というふうに決められまして、この大半が保険料の引き上げによって相殺されてしまうということであります。  現在日本の経済にとって最も重要なことは景気回復を着実なものにすることでありまして、その点から見て今回の引き上げの内容でいいのかどうか。経済は現在貯蓄不足の状態にはありません。強制貯蓄を従来どおり続けていくという必要性は特にありません。また、今回提案されている給付改善は、一挙に保険料を引き上げなくても支払いが可能でございます。そういう観点からいいますと、保険料は引き上げなければならない、しかしそのスピードについては別の考え方もあるということでありまして、毎年小刻みに引き上げていくという方式もあわせて御議論を願いたいと思います。  将来の世代から見て高い評価に値するような議論をこの厚生委員会でお願いをいたしたいと思います。賢明な選択だと言われるような形の決着をつけていただきたいと思います。  今回の年金改正法案は、実は三月に国会に提出されておりますが、まだ国会における決着を見ておりません。給付改善を首を長くして待っている人たちが少なくございません。一日でも早くこの年金改正について皆様の合意を取りつけてほしいと思っております。  以上でございます。(拍手)

岩垂寿喜男日本社会党・護憲民主連合

○岩垂委員長 ありがとうございました。  以上で公述人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————

岩垂寿喜男日本社会党・護憲民主連合

○岩垂委員長 これより公述人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村義雄君。

木村義雄自由民主党

○木村(義)委員 公述人の方におかれましては、大変お忙しい中、大変貴重なお時間をお割きいただきまして、まことにありがとうございます。  お三人の方のそれぞれの意見、まことに傾聴に値するすばらしい御意見だと思うわけでございます。つきましては、お一人お一人にひとつ御質問させていただきたいのですけれども、まず丸尾先生に、恐らく三人の方々、同じような中身の質問になるとは思うのですが、やはり一番の問題点は世代間の格差だと思います。そして多くの方々が、特に若い方々は、本当に将来確実に年金を払ってもらえるのだろうか、負担ばかりふえて実際にもらえないんじゃないかという、そういうおそれがある。一方で御年配の方々は、年金はもらっているものの、もっともっとふやしてほしいという御期待があるわけでございまして、それぞれを満たすということはとてもできないことはよくわかっているわけでございます。  そういう中から今回の改正が行われているわけでございますけれども、まず丸尾先生にお聞きをいたしたいのは、これは違った基準でいこう、動態的基準だという言葉を使われたわけでございますが、社会資本がどんどん整備されていくんだから、その社会資本の整備というものを享受するのが若い世代であるからそれでもって満足をしてほしい、こういうようなお話に感じたわけでございますけれども、一方では、この年金の負担とともに、国債等の問題もあるわけでございまして、今、国段階では二百兆円、地方でも百兆円、またその他を合わせますと全体で四百兆円の負債を抱え、これの利息払い等の問題もある。将来においては、これは明らかにインフレという形で後世代の負担となってあらわれてくるわけでございます。  そういう意味からすると、社会資本の整備はそういう意味での負担でもって帳消しをされるのではないか。そうなると、年金だけを取り出しても世代間の格差というものはやはり現実として残っていくのではないか、そして若い方々にとっては不利な状況が残っていくのではないかな、こう思えてならないわけでございますが、その点、先生はどのようにお考えでございましょうか。

丸尾直美慶應義塾大学総合政策学部教授

○丸尾公述人 どうも御質問ありがとうございました。  私の言いました動態的基準は、一つはおっしゃるように社会資本整備の問題ですけれども、もう一つは、基本的には、統計のグラフに示しましたように、実質的な現在価値で見た所得が今よりはるかに高くなるということでありまして、その方がより大事であります。しかし、社会資本及び個人資産も恐らく増加するであろうということを補足的につけ加えたわけでございます。  そしてその場合、将来の負担等々を計算する場合に、私の場合はGNPに対する国債費負担の比率が、絶対額はもちろんふえるでしょうけれども、比率が余り変わらないという想定に立っております。ですから、おっしゃるようにGNPに対する国債費の負担、むしろ国債残高の比率あるいは現在払われる国債費の支出が余り変わらないという想定でございますから、安易に国債を発行しまして現在以上に国債残高が対GNP比で大きくなりますと、木村議員のおっしゃられたような懸念があります。ですから、国債発行はその国債残高の増加卒がGNPの名目増加率以内にいつも抑えていけば、全体としては対GNP比は減っていくわけです。  来年度十兆円ぐらい国債が出るという話がありますけれども、名目成長率が六、七%になればそれでも対GNP比はふえないですけれども、来年度の場合はその可能性は非常に弱いわけですから、まだふえるわけですね。ですから、そういう点で、国債残高の安易な増大によって社会資本を賄おうということは、確かにおっしゃるとおり問題であると思います。

木村義雄自由民主党

○木村(義)委員 ありがとうございました。  次に、鷲尾公述人にお伺いをさせていただきますけれども、連合の皆さん方が年金問題について真剣に取り組んでいただいておる、私も連合の資料等を拝見させていただきましたけれども、厚生省やそういう担当の役所の資料よりもよっぽど詳しい資料をつくっていただいているその真摯な姿に、この場をかりまして敬意を表する次第でございます。  やはり連合と聞くと国庫負担率、鷲尾さんと見ると二分の一あるいはそれ以上か、そういうふうに見えてしょうがないわけでございますが、やはりこの国庫負担率の問題となりますと、どうしても財源の問題が出てまいります。そして、財源というと、今の政府の中ではもう消費税のアップ以外に考えてはいないのが、これが残念ながら現状であろう。どうしてこういうふうに硬直化しているのか私もわからないわけでございますが、もっと別な方法があるのではないかな、そう思えてならないわけでございますが、この点、連合の方では、財源に関してはあくまでもこれは消費税なのかどうか、これが第一点。  仮に消費税と考えた場合には、これはやはり丸尾先生や高山先生の話とも関連してくるわけでございますけれども、どうしても世代間の問題あるいは所得格差の問題等、格差の問題が出てくるわけでございます。特に消費税の場合、やはりどちらかというと逆累進の性格を強く持っているわけでございまして、片っ方で増税をする、片っ方で保険料の負担に充てる。ある意味では冷房と暖房を一緒に回すような面もありますし、また、これを突き詰めていきますと、消費税というのは年金世代の方々、OBの方々にもひとしく負担をしていただくということになりますと、さっき言った高山先生の中にあるOB世代にも等分に引き受けていただける、この観点があるのかなど。  今のOBの方々、先ほどの丸尾先生のお話にもありましたけれども、制度を急ぐ余り、非常に優遇をされている、その面を取り返す面があるのかな、こういうことも観点に入れておられるのかどうかも含めて、年金と国庫負担率の点について今の観点からお話をいただければと思うわけであります。

鷲尾悦也連合事務局長

○鷲尾公述人 ただいま木村先生御指摘のように、国庫負担の問題については大きな財源を伴うということについても承知をしておるところでございます。その点については私どもは、財源の移動を伴う国庫負担、その財源ということについては国民的な合意がぜひ必要だ、こういうふうに考えておりますので、端的に言いますと、税の問題を全く無視して議論するわけにはいかない、こういう観点には立っているところであります。  そして、国庫負担の引き上げについても、例えばそんな極端なことは申し上げてないということは御承知のとおりでありますけれども、ことしから直ちに二分の一とかということを申し上げているわけではございませんで、次期再計算期、一九九九年までに国民的な合意を得て検討し、段階的に引き上げたらどうかという提言もしているところでございます。しかしながら、段階的に引き上げるといっても、財源が必要なことは間違いないわけでありまして、次期再計算までには引き上げ財源についてどのような手だてがあるのかということについても議論を詰めていくというのが第一点でございます。  第二点目には、税制の議論のときでも申し上げているところでございますけれども、私どもは、今回の税制改正においてもまだまだ総合課税の観点や資産課税の強化など、不公平税制の是正が十分だというふうには考えておりません。十分な財源が出るかどうかわかりませんけれども、こうした不公平税制の是正や益税の解消あるいは行政改革の実施などを前提にいたしまして、ぎりぎり財源をひねり出し、これが国庫負担の分にどの程度充てることができるのか、場合によっては二分の一までいかない、三分の二までいかないけれども、このようなところであれば、特段消費税引き上げということに直結しなくても可能かどうかという議論を詰めていっていただきたい。その上に立って、財源の移動あるいは配分の是正という点から消費税と年金の国庫負担の問題の性格を考えていくということが必要なんじゃないかと思っています。  確かに、消費税についてもOBの方々にかかります。しかしながら、年金の掛金と給付は一番フラットなものでございます。消費税は逆累進性が確かに所得税に比べて、比較しますと性格の違いはございますけれども、国民年金の掛金と給付は完全にフラットだというところから考えますと、何が公平なのかという議論をその中で見出していけばよろしいのじゃないかと思います。  また財源についても、その他恩給財源がだんだん減ってまいりますし、今回の六十歳から六十四歳までの部分年金、部分就労という意味での保険料が雇用拡大において増加する、税収が増加するという部分についても考え、あくまでも総合的に評価すべきではないか、このように思いますので、十分なお答えではないかと思いますけれども、皆さん方の御議論をぜひお願いしたいと思います。  以上です。

木村義雄自由民主党

○木村(義)委員 ありがとうございました。  では、最後に高山公述人にお伺いをさせていただきますが、先生の意見の中でやはり一番私、目にとまったのが、先ほど申しましたように、OBの世代にも等分に引き受けていただく、こういうことでございます。  それで、いろいろな点が今回の制度でも改正はされているわけでございますが、果たして今回の制度改正でもってOBの世代と現役世代の格差というのはどれくらい縮まるのだろうか、これで解決できるのだろうか、やはり大きな格差というのは引き続き残っていくのではないか、そうなっていくと、OBの世代にはより一層の負担の引き受けというものが、今後この問題は残っていくのだろうか、また、残していかなければいけないかとか、その辺高山公述人に御意見を承りたいと思います。

高山憲之一橋大学経済研究所教授

○高山公述人 ネットスライドの意味についての御質問だったというふうに理解をしたいのですが、今後高齢化の進行に伴って保険料負担は引き上げていかざるを得ない、あるいは場合によっては、増税ということも受け入れていかなければならない。そうしますと、名目賃金は上昇いたしましても、手取り賃金の上昇はそこには追いついていかない。上昇率で比較しますと、税込み社会保険料込みの賃金の方の上昇率のスピードの方が、税を抜き社会保険料を抜いた賃金の上昇率よりは高くなる。税を抜いて社会保険料を抜いた手取り賃金の増大スピードの方が低くなるということなんですね。現役の人たちがそういう形で手取り所得の上昇に、従来よりはというか、ブレーキがかかる、その分を年金受給者の方も給付改善において同じような苦しみを引き受けていこうという意味なんですね。  従来の年金改善は、長期的に見ますと、税込み社会保険料込みの賃金の上昇に合わせて行ってきたということであります。今後は年金改善に当たって、税抜き社会保険料抜きの賃金改善のスピードに合わせていくということでありまして、それが、結果的にですけれども、高齢者も高齢化に伴う負担増を引き受けるという意味でございます。  これは標準的な現役のサラリーマンと標準的なOBを念頭に置いた話ですが、御案内のように、年金受給者といっても暮らしぶりというものはいわば千差万別でありまして、幅が大きい。一般原則は今申し上げたことであっても、個別に見ればいろいろ具体的な対応が必要になる人たちが出てくるということでございます。それは年金の中でできるのかどうか、あるいは年金以外の形でできるのかどうかをあわせて検討していただきたい。例えば、介護不安への対応だとかいろいろなことが考えられると思いますけれども、そういうふうに私は理解をしております。  以上です。

木村義雄自由民主党

○木村(義)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

岩垂寿喜男日本社会党・護憲民主連合

○岩垂委員長 山本孝史君。

山本孝史改革

○山本(孝)委員 おはようございます。改革(日本新党)の山本孝史でございます。  きょうは公述人の先生方にお忙しい中をお越しをいただきまして、本当にありがとうございます。  今お話を伺いました中で御質問させていただきたいのでございますが、一つは福祉ビジョンの話でございます。  丸尾先生、鷲尾先生、高山先生、それぞれにお伺いをいたしたいのですけれども、私ども旧連立与党の中で福祉ビジョンをつくらせていただきました。現在の与党の皆さんとしては、これから福祉ビジョンをつくっていこうかというような話なのかというふうに理解をしております。  私たちも、まあ国民の皆さんから税金あるいは保険料をお預かりをして、それをどういうふうに使っていくかということを考えていくのが仕事だと思いますが、丸尾先生は、福祉ビジョンの中で、高齢者の介護あるいは子育てに充てる費用を、この年金の国庫負担に使うよりは先にそちらを優先すべきではないだろうかというような御主張であろうかと思います。それで、鷲尾先生としては、福祉ビジョンを明らかにすることというふうにおっしゃっておられるわけですけれども、どちらを先にということに、やはり優先順位の問題も絡んでくるのかと思うのですが、その辺、まず丸尾先生の方からいかがでございましょうか。その辺の御主張をもう少し詳しくお聞かせをいただけるとありがたいかと思います。お願いします。

丸尾直美慶應義塾大学総合政策学部教授

○丸尾公述人 優先度としまして、緊要度といいますか優先度といいますか、それで、相対的におくれが目立つ老人介護サービスと子育て期の女性に対する社会的支援が、どちらかを選べといえば、そちらを削って国庫負担引き上げにするよりは、まず福祉ビジョンで重視したその二つをやるべきだというのが私の考えてして、いずれにしても、いつからとは私言いませんでしたけれども、可及的に早く、財政的余裕があれば国庫負担の引き上げは長期的には二分の一ぐらいまでは必要であろうというのが私の考え方でございます。

鷲尾悦也連合事務局長

○鷲尾公述人 先生お話しのように、既に三月には厚生省が二十一世紀の福祉ビジョンも発表されましたし、日本新党を初めとして各政党の中でも福祉ビジョンの議論をされているということについては、私どもも敬意を表しているところでございます。  三月の厚生省の福祉ビジョンにおきましても方向性は明らかになっておりますが、その中に介護システムの問題や子育て支援の内容は触れられておりますが、私どもの評価は、まだまだ具体性が欠けているのではないか、このように考えているわけであります。  したがいまして、例えば介護の問題は、年金との問題、いわば高齢者に対する支援ということでありますから、強い相関関係があるだろうというように思っております。  今、どちらが優先されるかという先生の御指摘に対しては、介護のシステムというものが具体的になって、このような安心した高齢化社会を迎えられるというビジョンが提示されて初めて、そのことが我々として説得性がある、このように考えているところでございまして、ぜひ、もし優先順位をつけろということについて議論をされるのであれば、もっともっと具体的な介護についてのビジョンを提示され、そうしたことをやるから国庫負担の問題はこうだ、こういう御指摘をいただいて国民的合意を得られることが重要ではないか、このように考えております。  以上です。

高山憲之一橋大学経済研究所教授

○高山公述人 二十一世紀福祉ビジョンは、これまでの施策における優先順位を変更しようではないかという宣言だというふうに私は受け取っております。従来は年金と医療にどちらかというと偏重していた、それを、余り政策の手が及ばなかった介護だとか出産、子育て支援の方にかじを変えていこう、そちらに向けていこうという宣言文書であったというふうに考えております。  それからあわせて、従来の私の理解では、臨調行革路線の中で、対国民所得で見た増税というものはしないということが暗黙の前提になっていたと思うのですが、あの試算の中では明らかに、増税はやむを得ないという宣言をしたというふうに思っておりまして、その二点において、私は基本的に評価をいたしたいと思います。  国庫負担問題につきましては、先ほど来、年金の方の国庫負担、二分の一に引き上げる問題が議論されておりますが、単に年金だけでなくて社会保障分野でも、介護だとか子育て支援の問題をめぐっても、国庫負担問題、密接に絡んできております。そういう意味で、年金だけでなくて総合的な検討が必要になる問題ではないかというふうに考えております。あわせて、恐らくこれをやるには大増税が必要になるわけでありまして、国全体の将来の財政ビジョンだとか税制ビジョン、三点セットで示されないと国庫負担問題の着地点というのはなかなか見えてこないのではないかというふうに考えている次第です。

山本孝史改革

○山本(孝)委員 ありがとうございました。  重複を避ける意味で少し質問が細かくなってまいりますことをお許しをいただきたいと思います。  丸尾先生と鷲尾先生にお伺いをいたしたいのですが、連合の方の皆さんで修正項目の三番目に挙げておられます雇用保険の給付とこの老齢年金との関係でございますが、鷲尾先生は少しおくらせてほしいというような内容でおっしゃいました。それで、筋としてはこのとおりなんだろう、ただ期待値という意味で、こう言ってはなにですが、筋を曲げるということになりましょうか、という気も若干いたすわけですけれども、少しおくらせてほしいとおっしゃる少しとは具体的にどのぐらいのことをイメージなさっておられるのか。  あわせて、丸尾先生は、この重複給付の廃止については配慮が必要である、こういうふうにお書きでございますけれども、その配慮の内容はどのようなものを想定されておられますでしょうか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。

丸尾直美慶應義塾大学総合政策学部教授

○丸尾公述人 私の場合も、配慮というのは若干の時間をおくらせるということであります。

鷲尾悦也連合事務局長

○鷲尾公述人 現在、雇用保険の失業給付とのストップは一九九六年四月からということになっておりまして、現在から、合計で五年程度はというふうに私ども考えておりまして、あとしばらく延期はできないだろうか、こういうことでございます。  以上です。

山本孝史改革

○山本(孝)委員 何歳かの方から結局受けられなくなるということで、どなたかから期待が持てなくなるという意味合いで、これは、私は個人的な考えとして、どこまで、五年でいいのか三年でいいのか、難しいような気が実はしております。  それで、問題はやはり、この六十歳代前半の雇用の確保というところに一番問題があるというふうに思います。その意味でも、この年金法の改正案、厚生委員会の中での審議になっておりますけれども、広く労働の問題と絡んでいるように思うのですね。丸尾先生が御専門であるかどうか、ちょっと私不勉強で申しわけないんですが、もし御所見ございましたら、その六十歳代前半の雇用の確保ということについてどういうふうな見通しをお持ちでいらっしやるか、あるいはどういうふうな対策が立てられるものなのか、もしお持ちでございましたらお聞かせをいただきたい。  あわせて、鷲尾先生、恐縮でございますが、労働者の皆さんの声を非常によくお聞きになっておられる立場として、六十歳定年制ということになってきていますけれども、実際のところは大企業を中心に随分早いところで肩たたきがあるというふうにも思います。実際的な六十歳代前半の雇用の確保、不安な点もございましょう、あるいは連合の皆さんとしてこういうことが必要なんだというふうな御主張がありましたら、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。よろしくお願いします。

丸尾直美慶應義塾大学総合政策学部教授

○丸尾公述人 六十歳代前半の高年者雇用の問題に関しましては、私が社会経済生産性本部の高齢者雇用委員会というのを今やっておりまして、そこの座長をしておりまして、中間報告を出しておりますけれども、その中の幾つかは今回の改正点の中で織り込まれておるということは申し上げたとおりです。  織り込まれていないのは、一つは、やはり高齢者になりますと、働きたいけれども労働条件が厳し過ぎるとか、そういう問題とか、それから企業の側からしますと、働かしてあげたいけれども、今六十を超すと働くのは無理だというふうな話があります。そこで、労働条件に関しましては、なるべくフレキシブルで、パート等を考えて、そこで部分年金等との併給ということなども言ったわけです。  それからもう一つは、労働環境を改善する、この観点は、まだほとんど日本ではないんですね。スウェーデンでは、従業員五十人以上か二十五人以上の事業所では、適応委員会というものをつくりまして、そこで高年者や障害者を雇用するための委員会、もちろん高年者も参加しまして、障害者も参加しまして検討して、何とか働く、こうすれば高年者が働ける、機械のスピードを遅くするとか、字は大きくするとか、電話は大きくするとか、いろんなことで適応さしていく。そういう努力が今のところ企業の側にはほとんど全く火付でいるということですね。そういう点に関しましては、まだやるべきことがあると思います。

鷲尾悦也連合事務局長

○鷲尾公述人 先生御指摘のように、現在の六十歳から六十五歳代の高齢者の雇用の状況というのは大変厳しいものがございます。最近になりまして、六十歳定年制法制化の方向性が出されましたので、私どもはそれも評価しておりますし、我々の側からいたしますと、六十五歳定年制まで法制化できれば一番好ましいことでございますが、現実の労働の現場の状況からいいますと、必ずしもそれが実態にマッチするとは思えないわけであります。  これをその六十五歳までの高齢者の方々に喜んで働いていただくためには、労働環境の整備や職業再訓練、さまざまな社会的なシステムを補完しないとなかなか十分なことはできないのではないか、こういうふうに考えているところでございます。もちろん身体的あるいは経済的な条件から、短時間、少日数労働というものも考えてはいかなきゃいけないということも思うのですが、このこと自体も、今回の年金改正や税制改正によって短時間、少日数労働へ誘導してしまうということについては大変問題がある、こういうふうに思っています。  そこで、先ほど申し上げました在職老齢年金のカットの問題等についても私どもは疑問を呈しているわけでありまして、段階的に賃金と年金を併給をしながら、インセンティブを持ち得る条件を確保することによって、企業の側からも働く側からも、高齢者の雇用が促進される政策的な手当てというものが重要な状況になってきているのじゃないかというふうに強く感じているところでございます。  以上です。

山本孝史改革

○山本(孝)委員 最後に高山先生にお伺いをさせていただきたいのですが、御指摘の中で、毎年小刻みに引き上げていく方式はどうだろうという御提言をしておられるわけですけれども、こういう方式にした場合の、もちろんメリットとデメリットがあるように思います。先生の方はどういうふうにそこの辺をお考えでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。

高山憲之一橋大学経済研究所教授

○高山公述人 保険料の毎年小刻み引き上げは、既に国民年金で実施しております。それから、経過措置という形であったのですが、厚生年金加入の女性についてもこれまで実施してきております。ですから既に経験があるわけで、そこに何か深刻な問題があったかということですが、私は余りなかったのではないかというふうに考えております。  今回の保険料二%一挙引き上げの問題をどう考えるかということが私は焦点だろうと思うのですね。私が申し上げたいのは、年金も社会経済の産物である、社会経済と相談しながら年金の方も変えていかなきゃいけない、そのときに一挙引き上げという形でいいのかどうか。経済全体は、今減税をしなければならないような状況になっている、景気回復を確実にしなければいけない、そうしたことと整合的かどうかということを検討していただきたいと思うのです。  あわせて、サラリーマン本人の所得が確実に毎年少しずつでもいいから上昇していくような状況をどうつくり出すかということも重要な論点になると思います。  以上です。

山本孝史改革

○山本(孝)委員 ありがとうございました。

岩垂寿喜男日本社会党・護憲民主連合

○岩垂委員長 塚田延充君。

塚田延充改革

○塚田委員 三人の公述人の皆様におかれましては、大変貴重な御意見を陳述いただきまして、大変ありがとうございました。  私は改革の塚田延充でございます。細川内閣当時、この年金改正法の基礎になる検討をいたしましたプロジェクトチームの中で一生懸命これらの問題に取り組んできた者でございます。  これからこの法案についての実質審議がいよいよ、やっとでしょうか、国民の期待と関心を集めて始まるわけでございますが、一番大きな問題は、やはり基礎年金への国庫負担の負担率をできればもう少し引き上げたらいかがか、特にこれは連合さんからの補強項目第一項として挙がっておりますし、また修正案の第五項目にも、次期財政再計算のときまでにきちんとしろ、このような御要望があるわけでございます。この問題につきましていろいろお聞きしたかったわけでございますけれども、既に三人の公述人、委員からの質問に対しましてきちんと見解をお述べいただきましたので、私は重複を避けたいと思います。  この改正案をつくるに当たりまして、私どもが一番意を置いたところは哲学ということでございまして、高山公述人もおっしゃいましたように、社会経済の安定という面からやらなければいけないし、そのために就労促進、これは連合さんが唱えております部分就労、部分年金ということも含めて、六十歳から六十五歳あたりに特に生きがいを持って人生処していただきたいし、また、社会全体が活力が維持されなければいけない、このような見地から改正案の基礎づくりに励んだつもりでございますし、それにつきましては、特に高山先生から、今度のこの年金改正案そのものは、パイの分配ルールとしては、税制改革とか、広くこれからの社会のあり方についての一つのルールの、模範とまでは言えないけれども、一つのテストケースになるんじゃなかろうか、このような指摘を受けたことは意を強くするものでございます。  さて、それでは個別の問題につきまして二、三御質問申し上げたいと思います。  まず鷲尾公述人にお願いいたします。  連合の修正項目の第一項でございますけれども、定年後に働くことを希望しても働く場がないなど働くことが困難な場合には、満額をぜひとも保障してほしいという御要望でございます。  私たちは、これにつきまして、非常に限定条件つきではございますけれども、例外の支給ということでもって、四十五年以上の長期加入者及び障害を持たれている方については門戸を開放することについて努力したつもりでございますが、連合が合言っておりますこのような働くことが困難というのに対しては、やはり歯どめというか具体的な制度のあり方がないと、言葉が悪いけれども全部しり抜けになって、オープンになって、全部それならばということでもって六十歳支給になってしまうということもあり得る。となると、その工夫が必要である。認定についての工夫、これについて何か具体的な案を連合さんとして詰めておられるのか、詰めておるのでしたらば、その内容について承りたいと存じます。

鷲尾悦也連合事務局長

○鷲尾公述人 塚田先生がこれまでもこの年金法改正の問題について大変御尽力をいただいたことについても私どもは十分認識をしておりますし、敬意を表しているところでございます。  ところで、御質問の別個の給付の問題でございますが、確かに従来の案に比べまして、長期加入者については満額年金を支給するということについては一定の前進だと思います。しかしながら、六十歳ということになりますと、中学を卒業して直ちに入職をした方々に限られるということでございまして、現在のような教育の進展状況から見ますと、ごくごく少数の対象であるというふうに考えております。私どもは、できれば高校卒以上で六十歳まで働いた方にはというふうな提言をしたところでありますが、これはまた数が相当大きくなりまして、財源的には大変な問題になるのではないかというふうに思っています。したがって、一律にということにはなかなか難しいということでございます。  したがって、認定についてはまず第一に、先ほど申し上げました、特に障害をお持ちになっている方々の範囲を広げていただく。これについては、従来から障害の認定については基準がございますので、そうした基準を少し幅を広げていただく、これが第一番目でございます。  第二番目に、これは十分詰めた問題ではございませんけれども、例えば現在検討されております介護保険の問題等についての、例えば介護保険の支給の対象をどういうふうにするかということにつきましては、例えばドイツなどにおいては、介護保険の制度の中で認定の別組織をつくっているというふうに聞いておりまして、私どもも、これも一つの手ではないかな、こういうふうに思います。したがって、病気で働けないという認定については単なる診断書一枚でというわけにはなかながまいりませんので、こうした別途機関を、認定の機関を考えるということによって、労働に対応できるかどうかということについては工夫が可能ではないか、このように考えております。  以上です。

塚田延充改革

○塚田委員 丸尾公述人にお願いいたします。  丸尾先生の公述の中で、年金の管理運営費が諸外国と比べて我が国の場合高いのではないか、この運営管理については民間企業のノウハウなども取り入れてもっと効率化する必要がある、このように御指摘されておりますが、この問題につきましてもう少し詳しく、また具体的にこうすれば改善できるのではないかという案があれば公述いただきたいと存じます。

丸尾直美慶應義塾大学総合政策学部教授

○丸尾公述人 日本の企業は国際的に、特に大企業は効率的なことで知られておりますけれども、どうも官庁になりますとそういう長所が生かされていないということで、私、今ちょっと関係しているところで、ある報告書に書いておりますけれども、官庁から民間への天下りはある、民間から官庁に天下りがあってもいいのではないか。スウェーデンではごく普通にやっていますね。年金管理のマネジャーなどは民間のすぐれたマネジャーを採用しているわけですね。そういうくらいの発想で民間の活力を生かしていくというのが一つの案であります。ほかにも考えれば、民間の英知を生かす方法はいろいろあると思います。

塚田延充改革

○塚田委員 鷲尾公述人にまたお願いいたします。  活力ある長寿社会を構成するためには、やはり若年層、これがしっかりすること、もしくは数の上でもしかるべき比重を占めないと日本の国自体が大変なことになるという認識を持っておりますが、となりますと子育て支援ということが大変になってまいります。そしてこれが、行く行くはまた年金の財政事情とか支える側の大きな問題になってまいります。働く女性をたくさん抱える連合の立場から、子育て支援について具体的な要望なり策なり、ありましたらばお述べいただきたいと存じます。

鷲尾悦也連合事務局長

○鷲尾公述人 今具体的な決め手があるかというような御指摘だと思いますが、この問題については、日本の家族観あるいは子供を育てるという女性の考え方というものについてある程度一定の合意がなされていかなければいけない、こういうふうに思っています。その中においては、私どもは、最も大切なことは、働く女性が子供をきちんと産み育てることができるような社会システムというのはどういうことなのかということを模索をしなければいけない、こういうふうに思っているところでございます。  したがいまして、働く女性の環境条件という意味合いからいいますと、男性社会においては逆にいろいろな指摘があるくらい積極的に、例えば介護休業制度の問題であるとかあるいは育児休業の問題というものを制度的に保障するということが大事でありまして、制度を先に枠組みをつくることによって子育てを支援することは可能だと思います。その意味からいいますと、何か目新しいものをつくるというよりも、今の制度をより着実に拡大をしていくということが大事でありまして、そのための予算措置等もつけなければいけない。  また、企業に対しましても、企業がそういうことになりますとすぐ負担が大きくなるということを言っておりますが、これは逆に言いますと、回り回って企業にとっても、少子社会ということを迎えますと企業が逆に将来には負担を抱えなければいけないということを認識をいただくということが大事なのじゃないか、こういうふうに思っています。

塚田延充改革

○塚田委員 国庫負担率の問題以外につきましては、私たちとしては現時点で考えられる必要な改正事項はほぼ網羅的に盛り込むことができた改正案ではなかろうかと思っているわけでございますけれども、例えば離婚した場合の年金のあり方など、具体的に検討しなければいけない項目もまだまだ多々あると思います。そこで、三人の公述人それぞれに対しまして、今回の改正以外で今後必要な改正事項、どのようなものがあるとお考えになるのか、それについて御指摘をいただければ幸いと存じます。

丸尾直美慶應義塾大学総合政策学部教授

○丸尾公述人 余り新しいことを提言することを考えてきておりませんでしたけれども、私、最後のところで言いました高齢化の進行とかあるいは経済変動が予定よりかなり違ったときにも耐えられるような制度ということで、スライドの方式、それから報酬比例部分に関しましての年金数理的な要素をもう少し導入するとかいろいろ、そこに関しましてはスウェーデンの今回の改正案等を参考にして、もう少し考慮する必要があるのではないかということも考えています。  それから、ちょっとこれは細部ですけれども、ネットスライドの場合ちょっと気になりますことは、今既に官庁では計算していると思いますけれども、どうして計算しているかわかりませんけれども、確かに手取りは、現役世代について手取り率を計算して手取りをとりますけれども、高年者の方に関しまして、もし高山先生が言われますように、OBにも税金とか社会保険料を負担してもらうということになりますと、そちらも高まっていきますから、片方の可処分所得変化率を考慮に入れるだけでは不十分ですから、私のこの資料にも書いてありますように、高齢者、年金生活者の可処分所得卒の変化率も両方入れて計算しなければならないということですね。  その他周辺問題にはいろいろありますけれども、まあちょっと今気がついたところで、このほかにもこれにいろいろ書いてございます。

鷲尾悦也連合事務局長

○鷲尾公述人 時間もございませんので一言だけ申し上げますが、女性の年金権の問題については、今回の改正でも十分議論が詰められていないと思います。例えば、無給の妻の年金料の負担の問題だとか、遺族年金についての考え方についてもう少し詰めなければいけない問題であるとか、妻の加給年金、大名義になっておりますが、こういう問題についても議論していかなければいけない、こういうふうに思っています。

高山憲之一橋大学経済研究所教授

○高山公述人 残された課題はまだ幾つかあると思いますが、先ほど来御指摘がありますように、年金全体の管理運営コストをどう下げるかという問題、あるいは女性の年金の問題、あるいは今別途検討されていると思うのですが、一元化をどう図っていくか、あるいは一階部分の適用漏れの問題、それから社会政策全体として、年金だけでなくて医療その他の社会保障施策とどうやって一貫性を保っていくか、総合性をどう図るかというふうな問題があると思います。

塚田延充改革

○塚田委員 大変ありがとうございました。  終わります。

岩垂寿喜男日本社会党・護憲民主連合

○岩垂委員長 五島正規君。

五島正規日本社会党・護憲民主連合

○五島委員 三人の公述人の先生には、大変ありがとうございました。  私、社会党の五島でございます。  先ほどからの先生方のお話、大変参考にしてお聞きしてきたところでございますが、大きく二つの点について先生方にお伺いしたいと思います。  先ほどからの話の中にも出てまいったわけでございますが、高齢社会というのは、これはもう単にお年寄りがふえるということだけでなく、この年金が、基礎年金が制定された、あるいは国民年金が制定された時期に考えられた形での高齢というそのイメージと今日の高齢というのは違うわけでございます。そういう意味では非常に、今日では後期高齢者と前期高齢者というような形で言い分けられるという状況になっているわけでございます。  そういうふうな状況の中で、連合の方からの御要望の中にも色濃く出ているわけでございますが、今日こうした高齢社会の進行の中において、日本のシステムが幾つかのところにおいてミスマッチングを起こしているのは事実だと思います。それを福祉ビジョン、いわゆる福祉行政だけで処理をしていくということにも問題があるだろう。  例えば住宅その他の建設行政あるいは労働行政、そうした問題の中において抜本的に変えられないといけないだろうというふうに私は考えているところでございますが、その中で一つ、鷲尾公述人にお伺いしたいわけでございますが、基本的に私は、今日の六十代の方々の健康状態から考えるならば、当然まだ、現在の職場における労働の荷重の問題から考えるならば、六十五歳から七十歳の間に緩やかにそれぞれの状況においてリタイアされる、そういう雇用体制がつくられることが実は高齢社会を建設していく基礎になるのではないか。  ただし、その場合に、長年働いた職場でそのまま六十代になっても続いて働いていくということにはさまざまな問題があるだろうというふうに考えているわけでございます。そのあたりについて、連合の事務局長として御意見がございましたらお伺いしたいと思います。

鷲尾悦也連合事務局長

○鷲尾公述人 今先生がおっしゃいました基本的な考え方、いわばこれからの高齢化社会を迎えて、さまざまな行政や制度を抜本的に見直さなければいけないということについては全く同感でございます。  その意味からいいまして、社会のシステムを変えていかなければいけないわけでありますけれども、ここで大切なことは、いかにみんなが納得してソフトランディングができるかどうかということではないかと思います。  例えば、極端なことを言いますとそつがあるかもわかりませんけれども、例えばの話、今先生が御指摘のように、六十歳から六十五歳、前半代だけではなく、六十五歳から七十歳についてもソフトにリタイアしていく社会ということを考えてまいりますと、当然のことでありますが、労働の態様なり労働の質の問題、いかに環境を整備しても、十八歳、高校を卒業して一貫して七十歳まで同じ職務で、同じ業務を遂行できるということにはなかなかなりにくい、こういうことでございます。  しかしながら、一気にこれを労働の流動化だとか、あるいは長期雇用自体を廃止すべきだとかということになりますと、これはまた弱い層にしわが寄るということが十分考えられるわけでありまして、このシステム構築には比較的長い時間がかかるのではないか。したがいまして、今先生が御指摘のような基本的な考え方をベースにいたしまして、いかにして高齢化社会に対応する制度をつくるかということについては、若年層の時代からどのような仕組みをつくるかということが大変重要な問題であります。  その中で、非常に大きなポイントの一つに私が考えておりますのは、雇用訓練、職業訓練、生涯教育という問題ではないかと思います。今までの日本の生涯教育、いわば労働教育と申しますか、技能、技術を身につける教育というのは、学校では均質で、非常にすぐれておりますけれども、平等な資質というものを育てるということが中心になってございまして、その後企業が一貫して同じ技能、技術を身につけて企業に適合するということになってございますから、これが一たん中断されるということは大変問題がございます。  したがって、それをいかにして転換教育を進めていき、生涯教育の中で七十歳までに対応できるような教育をつけるかということが大事じゃないか。その意味では、労働行政というものが大事になってくるんじゃないか、こういうふうに思っています。  もう一つは、六十歳から七十歳ということを考えますと、どうしても多様化ということが必要であります。日本の社会というのは、どうしても多様化ということについておくれておりますので、多様な価値観を持ち、それぞれが選択できるようなメニューをそろえるということも大事じゃないか、このように思います。  以上です。

五島正規日本社会党・護憲民主連合

○五島委員 ありがとうございました。  私も、恐らくこの問題については今後十五年、二十年のタイムスパンの中でやっていかなければいけないし、これをやり遂げないと、やはり日本の緩やかな経済成長もあり得ないのだろうというふうに考えております。  そうした状況の中におきまして、現実の年金問題でございますが、やはり高齢期の所得保障という意味においての年金問題は極めて重要でございますが、連合が、先ほども御指摘があったわけでございますが、別個給付の中で病弱者の問題が、これどうしても出てまいるわけでございます。  場合によっては、これは必ずしも六十歳を超えていなくても、この病弱者の問題というものが出てくるかと思うわけでございますが、この病弱者の問題を年金という枠の中で解決していくのか、あるいは、長年働かれた上で病弱であるために比較的早くリタイアしなければいけないという方については、別個の社会保障の枠の中において対応していくという考え方もあるわけでございますが、その点についてはどのようにお考えでございましょうか。

鷲尾悦也連合事務局長

○鷲尾公述人 御指摘のとおり、そのような仕組みというのは十分考えられると思います。  私どもの基本は、現在の制度からいいますと、六十歳以前の問題については手がつけようがないということでございますから、現在、年金法の改正を議論している際には、六十歳代前半の問題についてはこのシステムの中で可能かどうかということを御提言申し上げているところでございます。  したがいまして、別のシステムが具体的に提案されるのであれば、私どもは、いわば公正な社会をつくるためには大変重要な提案だと思いますし、十分議論をしていかなきゃいけない、こういうふうに思っています。

五島正規日本社会党・護憲民主連合

○五島委員 それでは話題を変えまして、三人の公述人の先生方にもう一点お伺いしたいと思います。  それは、年金の負担の問題でございます。言うまでもなく高齢者がふえていく。その中で年金の支出がふえていく。この支出については社会全体が何らかの方法で負担をしていくわけでございますから、実は、公費の負担というのは税によってその年金を賄うということであり、現在の年金料の引き上げというのは、年金料というこの世界の中においてこれを賄っていくということにすぎないわけでございます。そうなりますと、いずれのシステムがより社会的な公平さがあり、しかも高齢者にとって、年金制度にとってその安定的な財源たり得るかということが重要な課題ではないかというふうに考えるわけでございます。  そういう観点からいいますと、実は私は、現在の年金料金システムというのは、御案内のように、国民年金において必ずしも水平性が担保されているわけではないという問題もございます。また、厚生年金等にとりましても、労働者の賃金の形態、例えば今回ボーナス一%徴収することになったわけでございますが、ボーナスの額等々によって必ずしも平等でない、あるいは退職金が非常に大きいところと非常に少ないところ、それも基本的には生涯賃金であるわけでございますが、そういうことを配慮して考えた場合に、私は年金料率、現在の年金料システムが、ある意味においてのやはり逆進性を持っていることは否定できないというふうに考えております。  そうしたものを例えば先ほど御議論ございました消費税に置きかえるといった場合に、いずれがその水平性と垂直性において公平であるのかという点について、お三人の先生方の御意見をお伺いしたいと思います。

丸尾直美慶應義塾大学総合政策学部教授

○丸尾公述人 基本的には、もしもうちょっと改革があるとすれば、方向としては基礎年金部分の公費負担を上げていく場合に、それはその方向でいく。基礎的な部分に関しては公費で、消費税も使いまして普遍的にやっていく。そして、報酬比例部分に関しましては、さっき言いましたように、ボーナスとか退職金等々いろいろの点からなかなか公平には課せられないということを考慮しますと、やはりその部分に関しましては、年金数理的にやっていきますればどうしても自分が出した分に対して来るわけですから、そういう意味では公平性が確保されますから、将来の方向としては、私が先ほど言いました経済に耐え得るということとも関係しますけれども、基礎年金部分の公費負担を上げていく場合には、報酬比例部分に関してはもう少し年金数理的な要素を入れていく、そういうことで両方の問題は解決できると思います。

鷲尾悦也連合事務局長

○鷲尾公述人 確かに、五島先生御指摘のように、厚生年金の報酬比例部分についてはどちらが水平的かどうかという議論がございます。しかしながら、基礎年金と税を比較しますと明らかに基礎年金の部分の方が水平的である、こういうふうに認識しております。  また、私どもは、議論を詰めていった際に、基礎年金の国庫負担の引き上げをお願いするとき、そのままストレートに消費税でよろしいということを申し上げているわけではございませんで、先ほども申し上げました総合的な課税制度の中で財源をひねり出すことを議論してほしい、こういうことを申し上げておるわけでございます。  そうなりますと、税で入ります財政というのは、別にお金にこれは消費税分と書いてあるわけではございません。その意味からいいますと、租税全体と基礎年金の国庫負担ということから考えますと、累進性の部分からいいますと、基礎年金の国庫負担の方が水平的である、このように思っております。

高山憲之一橋大学経済研究所教授

○高山公述人 消費税への置きかえ問題についてお答えいたします。  社会保険料は今まで、ある程度社会保険システムということで国民になじんできた面があるのですね。給付水準をそれなりに確保するという意味での貢献は大きかったと思います。  ただし、保険料水準を将来ずっと上げていっていいかということに関してはいろいろ問題があるということで、まず第一の問題点は逆進性の問題です。それから、現在の西欧諸国における議論を拝聴しておりますと、どうも社会保険料を上げ過ぎるとこれは企業いじめになっちゃって、経済の成長というものが担保できないというような御指摘もあるわけでありまして、その面からの反省が起こっております。日本ではまた、先ほど来指摘があるように、国民年金の保険料は人頭税に近い、最も逆進的な負担になっているという問題もありまして、社会保険料にもいろいろ問題があるということです。  問題は消費税ですけれども、消費税は確かに逆進性はあるのですが、定額負担に比べたら逆進性の程度は少ないとかそういう問題がありますし、あるいは逆進性があっても消費税の場合は別途財源措置を講じることで財政支出の方から対応可能であるという面がございます。  それから、これは長期的な話になるのですけれども、やはり最も重要なことは安定的に成長を続けていくことであります。成長阻害度という観点から見ますと、消費税はその阻害度が一番小さい財源でありますので、将来の高齢化のための財源としては非常に有力な財源になっていることは間違いないと思いまして、この辺の理解が現在進んでいると思います。  以上でございます。

五島正規日本社会党・護憲民主連合

○五島委員 どうもありがとうございました。

岩垂寿喜男日本社会党・護憲民主連合

○岩垂委員長 三原朝彦君。

三原朝彦新党さきがけ

○三原委員 三人の公述人の皆さん、御苦労さまでございます。きょう午前中は私でおしまいでありますので、しばらくの間お許しいただきたいと思います。  また、先に質問された方々と重複してもいけませんし、まだかなりの問題点は既に前の四人の方がしていらっしゃいますので、できる限り重複を避けたいとは思うのですけれども、ですから直接三人の方が話されたこととちょっと外れるときもあるかもしれませんが、それはお許しいただきたいと思う次第であります。  福祉とか年金とかいう社会のことを考えるとすぐ出てくるのがスウェーデンでありまして、スウェーデンでは、私の浅薄な知識によりますと、例えば高齢化して入院する、そうするともう公のところが、もらっている年金と医療というのはセットにしておいて、そこから病気している間は管理させていただいて、元気になったらまた年金を皆さんもらって旅行でも、ゆっくり生活でもしたらいいじゃないですか、そういうシステムになってきておる。それだけ、よく言えば、国がちゃんと保護管理します、悪く言えば、余りにもコントロールされた社会のような気もするわけで、そうなりますと、これは極端な例ですけれども、テニスで強かったビョルン・ボルグなんかは、自分では高額取っておいて、それだけ取られるのはばからしい、私は税金払わなくていいから、年とってまで自分で自分の面倒をすべて見ますから、ですからさようならというようなことにもなった極端な例もあるわけです。  しかし、私個人が考えるのには、やはりある程度自分自身で、アリとキリギリスの話じゃありませんけれども、ある程度自分で自分の自助の精神でもやるし、半分では国が最低レベルは見てやるということが正しいことじゃないかと思うのですけれども、鷲尾公述人、どうでしょう。スウェーデン的な、私は、しかしながら病気をすれば一面では国が、今もう老人医療は一人平均六十万ぐらいになっておるというのですね。そういうことから考えますと、年金をもらっていらっしゃる方が病気になられたときには、年金分ぐらいは申しわけないけれどもすべて医療の面でしていただく、それが今から考える介護保険の方にいくのかもわかりませんが、そういう考え方はどうでしょうか。

鷲尾悦也連合事務局長

○鷲尾公述人 私も雑駁な知識しか持っておりませんので、スウェーデンと日本の正確な比較はできないのでありますが、この三月に出されました厚生省の福祉ビジョンやあるいはその前の厚生省がさまざま出しました政策の中で、よいしょするわけではありませんけれども、自助、共助、公助という言葉が出ております。これは大変考え方としてはすばらしいわけでありまして、ただ具体性に欠けているうらみがあるのですが、私は自助、共助、公助のバランスをとるということが基本原則で、常に我々が考えなければいけないことではないかと思います。  したがいまして、そのバランスがスウェーデンにおいて崩れているかどうかという判断は、いろいろな意見がございますけれども、私は若干スウェーデンの場合には崩れているのではないか。自助、共助の部分というものをもう少し考えていかなくちゃいけない。その割には日本においては逆に公助の部分が足りない、こういうふうに考えているところでございます。したがいまして、そのバランスはどうとるかということが問題であります。  それから、今先生御指摘のさまざまな制度がございます。例えば介護の制度もこれからつくられるとします。医療保険の制度もございます。それから年金もございます。あるいは租税による付加価値の再配分もございます。大変何か哲学論争で申しわけないのですが、この組み合わせをどう考えるかということをきちんと提示していただくということが大事じゃないか。その意味では、今回の年金法改正についても、たまたま租税の問題と一緒に議論をされるということになりましたが、その総合的な議論が発展するということについては私ども歓迎をしております。先ほど申し上げました公助の部分が日本は欠けているという観点。  それからもう一つは、どうしても忘れていけないことは、私どもの立場からいいますと、どちらかというと弱い層に対する思いやりというものがこの基本的な政策の骨格にあるということを皆さんが受けとめていただくことが大事じゃないか、こういうふうに思っています。

三原朝彦新党さきがけ

○三原委員 丸尾先生、お願いします。

丸尾直美慶應義塾大学総合政策学部教授

○丸尾公述人 私、スウェーデンを趣味として研究している者からちょっと申し上げます。  第一に、年金給付と医療のコーディネーションはそろそろ本格的に考えていい段階ではないかと思います。ナーシングホームなどの場合、年金が入りますとかなりカットされるというのがスウェーデンの方式であります。まあこれも急というわけにはいきませんけれども、その方向で行くのは結構だと思います。  それから第二番目に、今鷲尾公述人がおっしゃられましたように、公的部門と民間部門、いわゆるインフォーマル部門の組み合わせにおきまして、スウェーデンは公に偏り過ぎて他の部門をクラウドアウトした、締め出したというような感じがあります。その点反省がありまして、新しく政権につきました社会民主党は、もう少しバランスを考えて、前のように公を拡大するということは今言っておりません。ですから、そういうことはおっしゃるとおりだと思います。  それから三番目に申し上げたいことは、今度の年金に関しまして、民の企業年金、職域年金に関してどうなるのかという点が余りありませんけれども、ネットスライド等々によりまして給付率は実質的にかなり減るわけです。そういう点を考えますと、他方において職域年金的なものを育成するという必要があると思うのです。  スウェーデンの場合は、御承知のようにほとんどの労働者をカバーする職域年金があります、公的部門も含めて。それからまたその中に、経済変動にも耐えるという観点からも、職域年金的なもの、そしてまた、必ずしも給付建てでなくてESOPのように従業員株式所有制度を兼ねた年金制度、そういったような形で、掛金建ての形の職域年金、そういったものに対して助成措置がもう少しあっていいのではないか。これは資産分配の平等という観点からも好ましいことですし、国際的な観点から、そういう点をもう少し配慮していただければいいのじゃないかと思います。

三原朝彦新党さきがけ

○三原委員 高山公述人。

高山憲之一橋大学経済研究所教授

○高山公述人 御指摘の問題は、従来私は年金モンロー主義的な発想はもう改めるべきだという形で主張しているものでございまして、その必要性をいたく痛感している次第であります。  今回の年金改正法については、とりあえず雇用保険との関係、特に失業給付だとか高年齢雇用継続給付との調整ですね。それについて着手するということですので、従来から見ますと、一歩そこに向けて前進が図られたというふうに思っておりますが、あわせて、健康保険給付だとかその他のものについても、同じような調整が将来必要になってくるというふうに考えております。

三原朝彦新党さきがけ

○三原委員 それと、丸尾先生のレジュメの中の年金背番号の問題であります。  これは事務方あたりと我々は話してみますと、少し経費はかかりますけれども、そう難しい問題ではない。ただ、国民にみんな十けたか何かの背番号を置くのですが、それによって、私の印象が間違っていればまた御訂正いただきたいのですけれども、若くしてクレジットカードでそれこそ借金して物を買うような若い人が、年金なんてそんな人は絶対考えませんよね。そういう人たちにも、実はあなたも年をとってくるんだ、ですから、優しい気持ちで、国がある程度のことは面倒見てあげます、タッチしてあげますよということで、年金背番号というものを持って、あと、あなたも年に何度か払ってないから何とかしたらどうですかというようなことを慫慂する、そういうシステムだと理解しておるのですが、そのとおりなんでしょうか、丸尾先生。

丸尾直美慶應義塾大学総合政策学部教授

○丸尾公述人 年金背番号というと印象が悪いですけれども、例えばスウェーデンでは社会ナンバーといっています。そしてそれは、そこの中に自分の生年月日等々が番号として入っていまして、そこで社会保障その他かなりの分野に関係する社会ナンバーを持っだということは、今おっしゃったように、ひとつの連帯意識を持つ上でも効果があると思います。  もちろんいろいろな計算上の、集計上の便宜がありますし、それから年金ポイント制などとも連動してやっていくことによって、年金制度、社会保障全般の効率的運営にも役立つ制度であると思っております。

三原朝彦新党さきがけ

○三原委員 それと、今回我々、改正の中で議論になりませんでしたが、大きな問題の一つに、今年金の一元化ということがありますね。  既に私たちのところにも、一番今困っておるところの一つの旧国鉄の共済年金の方々が何度か陳情なんかに来られたのですが、やはり世代間の扶助の年金でもありますけれども、産業界でも趨勢がありまして、栄えているときと、まあ経済的にもう古くなってきた産業に入っておられた方があったりする。極端な例は、石炭産業などそうなのでしょうね。日本では、あと三つぐらいしか山がなくなっている。それも、もう明らかに世界の経済効率からいってもこれはもたないのですが、国家が助成をしてもたせておるような状況です。  年金の一元化に関して御意見がおありになれば、鷲尾公述人、まずお願いします。

鷲尾悦也連合事務局長

○鷲尾公述人 率直に申し上げまして、この年金の一元化問題は、連合の構成組織の中にもそれぞれの立場がございます。したがいまして、一本にまとめるというのは大変難しい問題でございます。しかしながら、基本的な将来長期方向としては、すべての国民が同様な年金給付を受けられるということが基本でございますから、長期的にいえば、一元化の方向を示さなければいけないというふうに思います。  問題は、その具体化の問題でございます。  端的に申しますと、現在大変御苦労をいただいております共済年金グループの問題点でございます。この点について厚生年金の側からの意見を申し上げますと、従来からこの問題は指摘されていたのではないか、その点についての行政なり当該共済年金のグループの方々がどれだけの努力とカバーをしたのかということが、厚生年金の側からは意見としては当然ございます。  しかしながら、共済年金の側は、当面、産業構造の転換というのは一〇〇%予測できたものではない、こういう立場から、何とか全体としていわば平均的な、すべて直ちにというわけにはまいりませんけれども、平均的な年金制度が確立てきるようにという強い要請があると思います。したがいまして、この点については、行政の立場からの財源的な援助というものと、それから国民的な合意形成のための十分な議論というのが必要なのではないか、こういうふうに考えています。  現在、年金一元化の議論も進められておりますので、その中でそれぞれの立場の意見を取り入れた形で成案をいただけるようにお願いしたいところでございます。以上です。

三原朝彦新党さきがけ

○三原委員 高山先生、どうでしょう。

高山憲之一橋大学経済研究所教授

○高山公述人 御案内のように、現在政府の中で懇談会が設けられておりまして、精力的に検討が進んでいるというふうに聞いております。その検討結果に期待をしたいというふうに考えております。

三原朝彦新党さきがけ

○三原委員 終わります。ありがとうございました。

岩垂寿喜男日本社会党・護憲民主連合

○岩垂委員長 これにて午前の公述人に対する質疑は終了いたしました。  公述人の皆さんには、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議

岩垂寿喜男日本社会党・護憲民主連合

○岩垂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、御出席の公述人の皆さんに一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。国民年金法等の一部を改正する法律案に対する御意見を拝聴し、本案審査の参考にいたしたいと存じますので、忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます。  御意見は、福岡公述人、山崎公述人、熊谷公述人の順序で、お一人十五分程度お述べいただき、その後委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  念のため申し上げますが、発言する際は委員長の許可を受けることになっております。また、公述人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきを願いたいと存じます。  それでは、まず福岡公述人にお願いいたします。

福岡道生日本経営者団体連盟専務理事

○福岡公述人 ただいま御指名をいただきました福岡と申します。  今回の年金改正法案につきまして、賛成の立場から意見を申し上げたいと思います。  我が国は、経済の安定的な成長と社会保障制度の充実によりまして、所得水準の向上と高福祉社会を築き上げまして、人生八十年時代を迎えつつあります。このことは大変すばらしいことでございますが、反面、高齢化に伴う年金、医療、介護問題なども顕在化しつつございます。しかも、我が国の高齢化のスピードは、諸外国に比べて著しく速いという特徴を持っております。  このような中で、次世代へも十分配慮しながら問題解決を図り、迎える高齢社会を活力あるものにすることが求められていると思います。このためには、人生八十年時代のライフサイクルの中で大きな意味を持つ六十歳以降の期間を、活力と希望を持って過ごせるようにすることが基本になると考えております。  具体的には、高齢者の高い就労意欲、しかし選択度の高い多様な希望にこたえ、本人の知的、体力町能力に配慮して、いわゆる一律的な定年年齢の延長ではなくて、本人も企業もお互いに理解し合える、多種多様な就労機会の創造に努めるということが必要だと考えております。そういうことによりまして、六十歳以降は自由な就労と余裕の組み合わせによる選択的就労の時代として、高齢期を活力と希望を持って過ごせるようにしていくことが望ましい方向だというふうに考えております。  公的年金は、経済変動などに伴います実質価値の維持を図りながら、老後所得の保障の基本として定着いたしております。そしてこの制度は、現役世代が年金受給者の給付を支えることによりまして将来の年金受給の権利を得るという、世代間扶養の考え方を基本に置いております。したがいまして、年金制度の問題を考える場合には、年金受給者ばかりでなく、それを支えている現役世代のことも十分配慮する必要があると考えております。  このようなことから、今回の年金改正は、活力ある高齢社会を目指し、世代間の納得と理解の上で行うことが肝要と考えております。そして、改正された年金は、高齢者の生活の基本部分を支えるとともに、高齢者の選択的就労の推進に役に立ち、同時に、次世代に大きな負担を残さないよう期待されております。また、制度が将来とも安定的に維持され、次世代へ安心感を与えることも重要な課題と考えております。  以下、今回の年金法改正案における主な点について意見を述べたいと存じます。  まず、支給開始年齢について述べさせていただきます。  年金財政は、今後高齢化の進展に伴いますます厳しくなることが予想されております。現在の保険料卒は標準報酬の一四・五%でありますが、平成六年財政再計算結果によりますと、現行制度をそのままにした場合の最終保険料率は三四・八%になるとされております。現役世代の負担増をこのまま放置しますと、医療保険の負担とも相まちまして、将来社会保障制度全体の負担に耐えられなくなるのではないかと危倶いたしておるところでございます。したがいまして、財源を負担する現役世代のことを考えれば、好むと好まざるとにかかわらず、支給開始年齢の起点を六十五歳へ移さざるを得ないというふうに考えておる次第でございます。  また、人生八十年時代の中で、六十歳以降も働きたいとする方の割合は七割を超えておりますが、その内容を見てみますと、今までどおりフルタイムで働きたいという人は比較的に少なくて、短時間勤務、少日数勤務など、希望する就労形態というものは多様化しております。  このようなことから、今後の高齢社会に対応し、多様な雇用との連携を図りながら、本格的年金の支給開始年齢を、二〇〇一年から二〇一二年にかけて段階的におくらせながら、六十年改正で既に本則として定められております六十五歳とすることは避けられないものと考えております。  次に、六十歳代前半層の年金について申し述べたいと思います。  さきに指摘いたしましたとおり、六十歳代前半層の多くは、フルタイムではなく、短時間あるいは少日数勤務等を希望している方が多いわけであります。しかし、働けない人や、働いていてもその就労形態によっては生活の維持が困難な人もありまして、本格的年金の支給開始年齢が六十五歳であっても、こうした人たちに対する対策は必要になると考えられます。  この対策といたしましては、年金審議会の意見書に掲げられております繰り上げ減額年金方式、早期から繰り上げ年金を支給し、早期支給に応じて一定率の減額を行う方法でございますが、これを採用することが最も適切であると考えております。  今回の改正案が採用いたしております別個の給付につきましては、繰り上げ減額年金方式に比べますと、保険料負担が二ないし三%高くなるわけでありまして、その点は好ましくないと考えるわけでございますが、最終保険料率が二九・六%ということで、ぎりぎり三〇%以内におさまるということでございますので、日経連といたしましては、今回改正案に賛成いたしたいと考える次第でございます。  第三に、在職老齢年金についてでございます。  現在の在職老齢年金制度は、賃金が増加してもほぼ同じだけ年金額が減額されてしまうため、総収入がほとんど増加せず、高齢者の就労意欲を阻害しているものと考えます。そこで、賃金の上昇に応じて年金と賃金との合計額がふえるように改善を図り、雇用促進的な仕組みに改めるべきものと考えております。  第四に、年金と失業給付の併給についてでございます。  現在の制度では、年金と失業給付の併給が行われております。失業給付の多い人では月額で約二十七万円、これが最長三百日間支給されまして、年金と合わせますと月五十万円ほどになるケースもあります。本来、就労意思があって仕事がない人に支給される失業給付と職業からリタイアした人に支給される年金が併給されるということは相矛盾するわけでございまして、これは見直す必要があると考えております。  なお、さきの国会で雇用保険法が改正されまして、六十歳から六十四歳層に対する就労を支援する観点から高年齢雇用継続給付制度の創設が図られたことは、大変好ましいことと考えております。  第五は、年金額の改定方法についてでございます。  将来の税、社会保険料負担は、人口の高齢化に伴って増加していくことは避けられないことと考えられます。したがいまして、年金額の改定を現行の名目賃金の上昇に応じた改定の方式から、実質的な賃金、すなわち賃金から税、社会保険料を引いた金額の上昇に応じた改定の方式に改めることは、現役世代の公的年金に対する理解と納得を得るためにも、ぜひ必要な措置と考えております。  第六に、保険料負担について申し述べます。  今回の改正案のとおり制度が見直されますと、最終保険料は二九・六%と三〇%以内に抑えられる試算結果が示されておりまして、この点については評価できると考えております。しかしその水準は、現行保険料でございます一四・五%の約二倍となります。具体的には、一人当たりの企業負担について試算してみますと、標準報酬を平均値である三十四万円に将来とも固定した場合でも、現行で月二万四千六百五十円が、将来五万三百二十円にと倍増となります。個人負担もこれと同額になりますが、これは企業及び本人にとっては大変な負担で、ぎりぎりの線ではないかと考えております。  また、ボーナスによる負担一%につきましては、医療保険と同レベル以内というところで、納得したところでございます。  以上、主要な点について考え方を申し上げましたが、いずれにしましても、今回の改正案は、二十一世紀の高齢社会を展望し、雇用との連携を図りつつ改正内容を取りまとめたものでありまして、全体として評価できるものと考えております。日経連といたしましては、その早期成立を望んでいるところでございます。  なお、今後の残された課題については、次のように考えております。  まず、基礎年金と国庫負担率についてでございますが、これは、税と社会保険をどう考えるかという問題であろうかと思います。  税は受益との結びつきが希薄なのに対しまして、社会保険は、基本的には保険料を納めた人が給付を受ける権利を持つというものでございます。御承知のとおり、我が国の年金には社会保険料方式が定着しておりまして、このことは、基礎年金についても基本的に同様だと考えております。仮にこの国庫負担率を増額するという場合には大きな財源問題が発生するわけでもありますし、この問題は、年金改正問題といいますよりも、税制全体の議論の中で検討していただく性格のものではないかというふうに考えております。  次に、公的年金の一元化問題についてでございますが、公的年金の一元化につきましては、公的年金制度に関する関係閣僚会議のもとに、現在、公的年金制度の一元化に関する懇談会が設置されまして、本年二月から一元化への対応について検討が進められております。産業構造、就業構造の変化にも対応し、制度間の給付と負担の不均衡の是正を図る観点から、一元化の推進は重要な課題と考えております。  第三に、年金番号の一本化の問題についてでありますが、制度適用漏れの防止や被用者年金制度間の移動者への対処、さらには年金相談等の受給者サービスの向上、負担の公平性や事務の効率化、こういった観点から、基礎年金番号の導入などによりまして、各制度共通の年金番号の早期導入を図るべきだと考えております。  最後になりますが、社会の活力を維持しながら的確な福祉を実現していくためには、適切な経済成長の確保と福祉政策のバランスが重要であると考えております。今回の改正案によりましても最終保険料は三〇%近くになり、さらに高齢化に伴います医療、介護等の負担増も見込まれますが、そういった場合におきましても、臨調、行革審が示しております国民負担率を高齢化のピーク時においても五〇%以下にするという目標は、国の活力を維持するためにも、今後とも堅持されるべきものと考えております。  御清聴ありがとうございました。(拍手)

岩垂寿喜男日本社会党・護憲民主連合

○岩垂委員長 ありがとうございました。  次に、山崎公述人にお願いいたします。

山崎泰彦上智大学文学部教授

○山崎公述人 御紹介いただきました山崎でございます。  本日は、本公聴会にお招きいただき、年金改正法案につきまして所見を申し述べる機会を与えていただきましたことを、心からお礼申し上げます。  話の順序ですが、まず最初に、改正法案の全体的な評価をさせていただきます。その後で、改正法案の最大の柱であります支給開始年齢問題と、争点になっています国庫負担のあり方に絞って所見を申し述べさせていただきます。  法案の全体的な評価としましては、まず第一に、これまでの関係者の合意形成の努力を高く評価したいと思います。  国会では、既に自民党政権下において、年金を政争の具に供してはならないという超党派の取り組みの機運がありましたが、それが政権交代後の与党間の調整作業にも引き継がれました。本国会でも、どうか対話と協調によって合意を得ていただきたいと思います。  この間、労働組合側でも、日本労働組合総連合会の大胆な政策転換がありました。在職老齢年金の見直し、失業給付と年金の調整、ネット所得基準の年金額の改定など、法案の柱になっています主要事項は、いずれも連合の政策要求として掲げられていたものであります。従来の対応から一変した連合の誠実な姿勢と政策立案能力のレベルアップを高く評価しております。  また、厚生省の徹底した情報公開と幅広く世論に耳を傾けるという謙虚な姿勢も、関係者の信頼確保と議論の深まりに大きく寄与したように思います。さらに、高齢者雇用の促進と育児休業の普及という目標に向かっての厚生省と労働省の連携のとれた取り組みも、従来に見られなかった特筆すべきことであります。  このような関係者の合意形成の努力と誠実な取り組みは、年金にとどまらず、今後の国政全般にわたって大きな教訓と財産になるものと思います。  次に、改正法案の中身の評価に移ります。  法案には、二十一世紀の高齢社会に向けて、明るい展望を切り開く年金政策の革新の萌芽が随所に見られます。第一に、高齢者の雇用を促す仕組みに年金制度を組みかえようとしていること、第二に、ネット所得スライド制の導入により、現役世代と高齢世代の生活水準が自動的に調和する仕組みを組み込んだこと、第三に、育児休業期間中の本人負担分の保険料を免除することにより、年金制度の側からも育児支援を強化しようとしていることなどであります。  それにもかかわらず、法案は今日の時代の要請にはなおこたえ切っていないように思います。二十一世紀に向けてラストチャンスだという意気込みの割には踏み込み不足だというのが、私の率直な印象であります。全体としては、意図的ではなかったにしろ、結果的に大企業寄りの内容になっているのが気になって仕方がありません。  例えば、六十歳代前半の部分年金は単純な報酬比例制ですから、賃金格差がそのまま年金額に反映します。ボーナスに対する特別保険料はわずか一%ですから、ボーナスの支給卒の高い企業に有利になるという現在の費用負担面の不公平を是正する効果はほとんど期待できません。  さらに、私のほか立案当時の政権与党の一部や連合からも要求がありました、高齢者雇用への貢献度に応じた保険料のメリット制は採用しないということでありますから、高齢者を雇用しない企業に有利な費用負担の構造も従来どおりであります。  ただし、今回改正がラストチャンスではなく、来年に予定されている公的年金制度の最終的な一元化、さらに五年後の次の財政再計算期の改正、この三つの今世紀に予定されている改正を一体的にとらえ、二十一世紀に向けての基盤固めを行うという観点に立ては、法案の問題点はたとえ今回の改正においてすべて解決することができなくても、今世紀中に解決すべき課題としてとらえることもできます。  次に、改正法案の最大の柱であります、六十五歳支給と部分年金の導入について所見を申し述べます。  法案は、二十一世紀の高齢社会の生活設計のあり方として、六十歳代前半は賃金と年金で、六十五歳以降は年金を中心に生活を支えるものとして、その観点から、満額年金の支給開始年齢を平成十三年度から段階的に引き上げ、平成二十五年度から六十五歳とし、新たに六十歳代前半の年金として部分年金を導入するとしております。  前回の平成元年の改正法案と比較しますと、特例措置を設けるなどさまざまな配慮が見られます。年金審議会の意見書では六十五歳支給論と六十歳支給堅持論の両論併記となっていたわけですが、当時の連立政権与党内の調整によりここまでまとめ上げられた御努力に、深く敬意を表する次第であります。  しかし、それでもなお改正法案は問題を残しているように思います。問題は、六十歳代前半の部分年金の給付体系であります。部分年金は報酬比例制で、従来と違って定額部分や加給年金がないわけですから、在職時の賃金の格差がそのまま年金額に反映します。この影響を受けるのは低賃金労働者、一般には女子であります。部分年金の本来の趣旨は、六十五歳支給を原則としつつも、六十歳代前半において雇用機会のない人や低賃金の高齢就労者に一定のセーフティーネットを用意することにあるはずであります。そうであれば、満額年金の半分程度という部分年金の全体的水準を承認するにしても、社会保障の観点からすると、定額部分のみとか、あるいは定額部分と報酬比例部分の合計額の一定割合、例えば二分の一とするなど、低賃金労働者に配慮した給付設計に改めるべきではないでしょうか。  より大きな問題は、六十歳代前半の雇用が果たして確保できるのかどうかということであります。部分年金の水準は、希望すれば少なくとも六十五歳まで働くことができ、賃金と年金を合わせて生活の安定を図ることのできる社会の構築を前提にしているからであります。  改正法案は、高齢者雇用を促すため、雇用政策に連動して年金制度を雇用促進的な仕組みに改めることとしました。具体的には、在職老齢年金の見直し、定額部分の算定基礎期間の延長、年金と雇用保険の失業給付の併給調整であります。これらは、労働力の供給側である高齢者の就労インセンティブを高めるもので、画期的なものであります。しかし、本格的な雇用促進策としては、さらに踏み込んで、労働力の需要側である企業に対する雇用インセンティブを組み込むことが不可欠な条件ではないかと考えております。  高齢者を雇用することは、年金の支給額を減らし、支え手をふやすわけでありますから、年金財政に大きく貢献します。しかし、現行の制度ではその貢献が一切評価されておりません。これでは高齢者雇用は進まないのではないでしょうか。  高齢者雇用を促すには、企業の高齢者雇用に対する貢献度に応じた保険料の負担、つまりメリット制の保険料を採用することによって、保険料負担の公平化を通して企業の年金制度に対するコスト意識を喚起し、高齢者の雇用環境の整備を促す必要があります。一部には支給開始年齢の引き上げのスケジュールをさらにおくらせるべきだという意見もあるようでありますが、おくらせたとしても雇用が伸びる保証はありません。課題は、おくらせるのではなく、雇用を伸ばすための方策を強化することにあります。  幸い、支給開始年齢の引き上げに着手するのは七年後であります。この間、遅くとも五年後には次期改正があります。改正法案について国民的合意を得るには、高齢者雇用の状況いかんによっては、次期改正において年金と雇用のあり方について再度見直すという再検討条項の導入が不可欠だというふうに考えております。  最後に、国庫負担問題について所見を申し述べさせていただきます。  現在の制度では、国庫負担は全国民共通の基礎年金の三分の一とされていますが、この国庫負担割合を引き上げるべきだとか、将来的には基礎年金の全額を国庫負担によって賄う方向を目指すべきだという主張が高まっているようであります。この主張の背景には、保険料負担増を緩和しなければ、加入拒否者や滞納者がふえ、国民皆年全体制が崩壊するのではないかという危機感があるようであります。  しかし、社会保険庁の調査によっても明らかなように、国民年金の未加入者と加入者、保険料納付者と滞納者の間には、所得水準、家計支出、生命保険の加入率等において実質的な差は見られません。このような状況からすると、国庫負担率を上げて保険料の負担増を緩和したところで、問題が解決するとは考えがたいのであります。  今回の財政再計算によりますと、国民年金の最終保険料は月額二万一千七百円になると見られています。仮に国庫負担率を二分の一に引き上げたとしますと、私の試算では最終保険料は一万六千円程度にとどまります。しかし、現在の一万一千百円の保険料を支払わない人が、一万六千円であれば支払うということはあり得ないことなのであります。要するに、加入する意思のない人、保険料を支払う意思のない人には、国庫負担増による保険料負担増の軽減は何の意味もないのであります。  また、財源問題もあります。直接税に偏った税制のもとでは、財源の確保は極めて困難です。当然、消費税の税率の引き上げということにならざるを得ません。高齢化のピーク時である平成三十七年度の基礎年金給付費は二十三・九兆円であります。これを仮に全額消費税で賄うとすると、消費税一%のうち国の実質的税収分は一・三兆円ですから、消費税の税率に置きかえると約一八%の税率になります。  それに、なぜ年金だけ税負担なのかという疑問もあります。医療も介護もすべて税でということに論理的にはならざるを得ないのではないでしょうか。年金だけが聖域ではありません。まさにこれは、社会保険を中心として発展を図ってきた我が国の社会保障システムの根幹にかかわる問題なのであります。それに、厳しい財政事情からしても、介護や育児支援に租税財源の配分の優先度を置くというのが現実的な対応だと私は考えております。  このように見できますと、国庫負担の引き上げ論や全額国庫負担論には否定的にならざるを得ないのであります。それよりも、未適用者を解消するにはどうすればよいか、保険料の徴収率を高めるにはどうすればよいか、その具体的な方策のあり方を検討していただきたいのであります。  私の持論でもありますが、基礎年金番号制の導入、医療保険と年金の一体的青運営、公的年金と生命保険の関係を整理すること、公的年金加入と車の運転免許証の交付の連動制を確立すること等によって、国民年金の空洞化はほとんど解消するはずであります。また、行政コストも大幅に軽減されるという効果も期待できます。行政改革の観点からも、国民年金の基盤強化策について考えていただきたいと願う次第であります。  以上でございます。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)

岩垂寿喜男日本社会党・護憲民主連合

○岩垂委員長 ありがとうございました。  次に、熊谷公述人にお願いいたします。

熊谷金道全国労働組合総連合事務局長

○熊谷公述人 私はまず冒頭に、労働者や国民の現在さらに将来の生活に重大な影響を与える年金法案が、徹底した審議も尽くされないうちに、法案採決の前提となる中央、地方での公聴会日程が先行して決められて、二十五日ごろには採決などとマスコミに報道されているような国会の運営に対し、主権者である国民の一人として、強く抗議をしたいというふうに思います。  私は、現在審議されている年金法案に反対の立場から意見を申し上げるものです。  その最大の理由は、厚生年金や共済年金などの支給開始年齢を、今日の雇用問題の深刻な実態を全く無視して六十五歳へ繰り延べすることにあります。政府は、六十歳定年制の定着、雇用と年金の連携、高齢者雇用の促進を官民で努力することなどを挙げて、六十五歳支給開始年齢を合理化しようとしていますが、これは、現在の中高年労働者の雇用をめぐる実態と全くかけ離れた、かつ無責任な主張と言わなければなりません。  九割を超える企業が六十歳定年制を設けているとはいえ、労働省の雇用管理調査でも明らかにされているように、大企業では四〇%を超えるほど多くの企業が早期退職優遇制度を持ち、定年年齢前の退職者が、三十人以上の事業所全体では三七・一%、五千人以上の大企業では四四%にも及んでいます。つまり、六十歳定年制が定着しているとはいっても、それは形式だけで、多くの労働者は定年以前に企業から締め出されているということになっています。リストラによる人減らし合理化が大がかりに進められている今日では、これがさらに拍車をかけられています。  政府は、高齢者の就業意欲は高く、働きたくて働いているというぐあいに言っていますが、労働省の高年齢者就業実態調査によっても、高年齢者が働く理由の第一は経済上の理由を挙げており、年金受給者の就業理由でも、第一位は年金だけでは生活できないからと言っているように、高年齢者の多くは、働きたくて働いているというよりは、働かなければ食えない、そういう実態に置かれているということが明らかになっています。  ところが、高年齢者の雇用環境はどうなっているかというと、それは極めて厳しいものとなっています。例えば定年後の雇用継続についても、勤務延長や再雇用制度を形式的に持っている企業は、全体では七三%となっているものの、五千人以上の大企業ではそれが四九%にとどまっています。またその場合でも、会社が特に必要と認めた者に限る企業が大企業では六三・二%を占めているように、労働者にとっては極めて厳しいものとなっています。また、今日の有効求人倍率を見ても、全体が〇・六三倍に対し、六十から六十四歳では○・○八倍という、十二から十三人に一人しか仕事がないという状況になっています。  今日のリストラの中で、多くの企業は終身雇用制や年功制を中心とした雇用管理、人事管理の抜本的な見直しを進めており、高年齢者の雇用機会はますます失われようとしています。先ほども触れた労働省の高年齢者就業実態調査によっても、五十五歳以上の高年齢者の雇用について、ふやす予定の企業が一九・二%、ふやさない予定が二三・九%。さらに、六十歳以上の労働者の雇用について、考えていないとする企業は五八・八%、大企業ではそれが七四・二%にも上っています。  こうした高年齢者をめぐる今日の雇用情勢の厳しさが、政府が言うような本格的な高齢化社会を迎える時点では抜本的に改善をされ、就労を希望するすべての高年齢労働者の雇用が確保されるのか。私は、そうした見通しがないからこそ、昨年の総選挙において社会党初め多くの政党が現行の支給開始年齢の堅持を国民に公約していたのだと思います。  政府はこれまで高齢者の雇用確保に努力するということを繰り返し述べていますが、その努力の内容は何か。昨年の十二月に雇用審議会が六十五歳までの雇用機会を確保するための実効ある推進策について答申を出し、ことしの一月には中央職業安定審議会から「六十五歳までの雇用機会の確保等総合的な高齢者雇用対策の確立について」という答申が出されています。その内容に共通しているのは、継続雇用制度について事業主への個別的指導と企業に対する助成となっています。しかし、これらが実効性を持たないことは、今日のリストラ、人減らし合理化の実態、終身雇用を崩壊させる雇用制度の見直しの動き、さらには、先ほど紹介した労働省自身の調査で明らかにされている企業の高齢者雇用に対する姿勢からも明確です。  さきの国会で当時の羽田首相は、雇用と年金の連携を重視すると言っていましたが、年金の支給開始年齢は法律で繰り延べを強要しながら、雇用については何ら法的な保障もなく、努力するというのでは、余りにも無責任と言わなければなりません。  確かに、多くの労働者は六十歳を越えても働くことを希望しており、政府もそれを支給開始年齢を繰り延べする理由として挙げています。だとするなら、政府がとるべき道は、支給開始年齢を繰り延べすることではなく、高齢者の雇用確保にこそ最大の努力を行うことだと思います。そのことが結果として六十五歳以前の年金受給者を自発的に減らし、年金財政に貢献することになり、一方では働きたくても雇用が確保されない労働者には年金で生活を保障することになるなら、名実ともに雇用と年金の連携ということになると思います。  私たちが今回の年金法案に反対している理由の二つ目は、保険料の大幅な引き上げが盛り込まれていることです。  政府案は、厚生年金、国民年金ともに保険料の二倍以上への引き上げを行おうとしています。厚生年金の保険料を五年ごとに二・五%ずつ引き上げて、二〇二五年には現行の一四・五%から二九・六%まで引き上げるということですが、労働者の賃金が名目でも前年を下回ったということが言われ、日経連や財界が労働者の賃金引き下げを公言しているようなもとで、労働者や国民への一方的な負担増の押しつけには私たちは断固反対するものです。  既に、国家公務員の共済では、この法案の成立に先駆けて、ことしの人事院勧告による賃上げ、平均一・一八%、三千九百七十五円を大きく上回る一・四%、平均で五千二百二十四円の掛金引き上げの定款改定が大蔵省の指導によって強行されています。  また政府案は、こうした保険料の引き上げの一方で、年金の算定基礎となる標準報酬の押さえ方を、今までのような名目賃金から可処分所得に切りかえることによって年金水準の引き下げをも行おうとしていますが、これは、今でさえ低い年金水準をさらに引き下げるものとして、私たちは反対するものです。  最後に私は、膨大な無年金者の実態、さらには老齢年金受給者の六割弱が生活保護基準の半分以下の三万円程度にしかすぎない我が国の年金をめぐる実態を改善し、憲法が明らかにしている健康で文化的な最低生活を保障するためにも、すべての国民に国の責任で掛金なしで支給される最低保障年金制度を創設すること、さしあたっては、さきの国会における自民党や社会党の修正意見、連合を含む多くの団体、組織が一致して要求している、基礎年金への国庫負担を大幅にふやし、年金水準の引き上げと負担の軽減を図ることが、政府が言う生活大国に向けての国民生活の底上げのために重要な課題になっていると思います。  国民生活に重大なかかわりを持つこの年金法案についてこの委員会が慎重に審議されることを切望して、私の意見を終わらせていただきます。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

岩垂寿喜男日本社会党・護憲民主連合

○岩垂委員長 ありがとうございました。  以上で公述人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————

岩垂寿喜男日本社会党・護憲民主連合

○岩垂委員長 これより公述人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。根本匠君。

根本匠自由民主党

○根本委員 自由民主党の根本匠であります。  ただいま公述人の皆様から大変貴重な御意見を伺いまして、ありがとうございました。私も持ち時間が十五分ということでありますので、在職老齢年金と六十歳代前半の雇用問題にテーマを絞りまして御質問させていただきたいと思います。  今回の年金制度の改正のポイントは、御案内のように二つございます。一つは、人生八十年時代にふさわしいものに見直す、二十一世紀を活力ある長寿社会とするために、六十歳引退社会から六十五歳現役社会に、これが一つであります。それからもう一つのポイントは、年金制度を長期的に安定させるために、負担と給付の均衡を図るとともに、将来の世代に過重な負担を生じないようにさせる、この二つのポイントでございます。  特に、六十五歳現役社会の観点から、今回は、高齢者の高い就業意欲を背景に高齢者の雇用促進を図る、そして、あわせて年金制度もこれと連携のとれた仕組みにするということで、具体的には、六十歳代前半は賃金と年金で、六十五歳以降は年金で生活を支えましょう、六十歳代前半には報酬比例の部分年金、これを別個の年金として導入しております。さらに、在職老齢年金は雇用促進的なものに改める、こういう改正内容になっております。  それで、六十歳代前半の雇用促進の在職老齢年金の改正の具体的な内容につきましては、現在の在職老齢年金制度では、賃金が例えば十万、十五万、二十五万になっても、年金の支給停止割合がふえまして、それで合計収入がふえない、だからなかなか就業意欲がわかない、それを阻害する、こんな問題点が指摘されていたわけでございます。今回雇用促進的なものに改めまして、賃金と年金の合計額が二十万円に達するまでは賃金と年金を併給しましょう、それから、これを上回る賃金がある場合には賃金の増加二に対して年金額一を停止する、賃金が三十四万円を超える場合には賃金が増加した分だけ年金を停止する、こんな改正内容になってございます。  まず問い一といたしまして、私は、福岡公述人と山崎公述人に対しまして、今回のこの雇用促進的な仕組みの改正の内容についてどう評価されるか、山崎公述人は画期的なものという御発言がございましたけれども、今回の内容につきましてどのように評価されているのか、その点をまずお伺いしたいと思います。  それから、あわせまして、賃金と年金の合計額が二十万までは賃金と年金を併給します、それから、三十四万を超えた場合には年金を停止します、こういう考え方で、この二十万円と三十四万円の考え方は、まず三十四万円の考え方については、今の現役世代の平均報酬額、これが三十四万ぐらいだから三十四万にしましょう、それから、二十万につきましては、今の現実の年金をもらっている方の平均的な数字が現役世代の六割だから大掛けして二十万円、こんな考え方のように聞いておりますが、私は、今回の年金の現役世代との対比の考え方では、現役世代の七割ぐらいを年金にしましょう、こんな基本的な考え方があるということであれば、これは、三十四万に七掛けをして二十四万まで、もうちょっと引き上げる必要があるのではないか、こう考えておりますけれども、以上、全体のこの内容の評価と、それから、今私は、その二十万円を二十四万円ぐらいに引き上げるべきではないかと思っておりますけれども、その辺の考え方について御意見をお伺いしたいと思います。

福岡道生日本経営者団体連盟専務理事

○福岡公述人 今先生から御質問のありました在宅の関係でございますが、全体的な今回の改正の大きな特徴は、雇用と年金というものをできるだけ組み合わせることによりまして活力のある社会に持っていこうという一つの大きな動きなのでありますが、在宅について今御質問があったわけでございますが、これは一つは、今の制度が大体六割程度を頭に置いているということ、それから、仮に七割にこれを上げるといたしますと、それはいわば底上げみたいな形になりますので、挙げて財源問題をどういうふうにお考えになるかということになろうかと思います。かつ、今回、今お話がありましたように、今までですと大体合計二十五万円で打ち切りというところを少なくとも三十四万円までは伸ばす方式に改正いたしたわけでございますから、その分だけはかなりあるということと、さらに、長期継続雇用給付というものが、八五%に満たない人については二五%支給されるという一つの制度導入もございますので、私どもとしては、今回の改正案でよろしいのじゃないかというふうに判断しております。

山崎泰彦上智大学文学部教授

○山崎公述人 雇用を促す仕組みに改めたことについて山崎は高い評価を与えたというのですが、実は私は五十点の評価しか与えていないわけでございます。もっとも、五十点というのは、今までがゼロだとすると五十点ということではあります。  要するに私が申し上げたのは、労働力の需給両面にわたって雇用を促す仕組みが必要だということでありまして、提案されていますものは、働く側に対してはかなり就労インセンティブをもたらす仕組みになったと思いますが、雇う側に対して何のインセンティブもないということで、これは片手落ちではないかと。やはり雇う側にもインセンティブを持たせないとなかなか雇用は伸びないんじゃないかな、こういう気がいたします。それが一点です。  それから、在宅の三十四万と二十万のお話ですが、三十四万円というのは男子の現実の平均的な報酬であるということで、まあ妥当だと思います。あと、二十万円につきましては、これを二十万円にするか二十四万円にするか、余り大きな問題でないと私思うのでございます。  まあ二十万円についてはそれなりの根拠が政府側から出されているようでございますが、もう少し高いところにということになりますと、今回の改正の、厚生委員会調査室がおまとめになりました資料の十七ページにも出ておりますが、標準的な年金額が六年改正で二十三万九百八十三円になっておりますし、それから、受給者の平均額は二十一万四千三百円になっておりますから、二十万円か二十四万円か二十二万円か、この辺は余り大きな、目くじらを立てて議論するようなことではないというふうに思います。  以上でございます。

根本匠自由民主党

○根本委員 次に、六十代前半の雇用の企業側の取り組みの問題につきまして、福岡公述人にお伺いしたいと思います。  今、福岡公述人のお話にもありましたように、今回の法改正、年金改正では、年金制度を雇用促進的に改める、さらに労働省では、六十歳から六十四歳の就業者に対して高年齢雇用継続給付、こういうものも設けまして、就業意欲のある高齢者にはインセンティブが出てきてございます。  問題は、私は、企業の考え方、行動、今後の取り組みだろうと。労働省では、今般高齢者雇用安定法を改正いたしました。六十歳未満の定年制は定めてはいけませんよと。それから、六十歳以上の雇用計画の策定の促進等の施策、あるいは高齢者に係る労働者派遣事業の特例、こんな内容の法改正をやっておりまして、これから、六十歳以上の雇用、これを私は官民挙げての取り組みが必要だろう、特に、ただいま山崎公述人からもありましたけれども、民間の企業側の取り組み、これが大変重要だろう、こう考えております。  それで、今後の企業の取り組み方について、あるいはあり方についてどのようにお考えかという点と、それから、企業側から見て、今後講じてもらいたい施策、こういった点について御意見をお伺いしたいと思います。

福岡道生日本経営者団体連盟専務理事

○福岡公述人 確かに、今足元の雇用問題は非常に厳しい現実があることは事実でありますが、長期的に見ますと、御承知のように、二〇〇〇年を超えますと大体六十歳未満の雇用というのは、就業者というのは十年間で約四百万人ぐらい大幅に減少する状態になっておりますので、この高齢者雇用というものを真剣に考えていかないと、日本国というものの成長というのが非常に難しくなる断面にあります。そういう意味で私どもは、今回の改正によりまして六十歳から六十四歳までは努力義務ということになっているわけですが、これは真剣に、今先生がおっしゃったように、官民挙げて努力しなきゃならないことになろうかと思います。  ただ、いろいろな意味で考えていきますと、そういった意味で先ほどの在職老齢年金の改正も一つ、それから長期雇用継続給付金も一つでありますし、今回特に労働省が高齢者雇用関係のいろいろな諸制度の整備を行っております。御承知のとおりでございますが、雇用の場の拡大の問題、それから、高齢者が働きやすい施設設備の改善の問題、それから、高齢期に達しても雇用が継続できるような職業能力の開発の促進の問題、そういった問題について、これを俗に三事業、事業主の負担する三事業の中から事業主に対する支援策としていろいろな制度を打ち出しております。  まず、雇用の場の拡大に関しては、継続雇用制度導入奨励金、あるいは高年齢者多数雇用奨励金、あるいは特定求職者雇用開発助成金、こういった雇用の場の拡大についての諸制度を考えて出ておりますし、さらに、施設の改善につきましては高年齢者雇用環境整備奨励金といったものを、あるいは能力の開発については高齢期就業準備奨励金、能力開発給付金あるいは自己啓発助成給付金、こういったものが、これは三事業、事業主が負担する経費の中から事業主に対する支援として出ているわけですけれども、こういった諸制度が今準備されております。  ここから先は挙げて、先ほど私が申し上げましたように、高齢者の方々がそれぞれに六十歳を過ぎられますと、体力的にも、あるいはいろいろな能力あるいは自分の人生設計等にもいろいろなばらつきが、お考えの差が出てまいりますから、短時間就業であるとかあるいはいろいろな就労の形であるとか、そういうものも準備することによりまして、極力その人たちが希望を持って働いていけるような努力を積み重ねるということにかかっているというふうに考えておる次第でございます。

根本匠自由民主党

○根本委員 持ち時間が参りましたので終わりますけれども、私も、今回の年金改革、これに魂を入れるためには、やはり六十歳代前半の年金と雇用政策の連携、これが大変大事だと思っておりまして、これに官民挙げて取り組む必要があると考えております。  終わります。

岩垂寿喜男日本社会党・護憲民主連合

○岩垂委員長 塩崎恭久君。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 自由民主党の塩崎恭久でございます。本日は、お三方の公述人の皆様方に貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。根本議員に引き続きまして、十五分というお時間をちょうだいをいたしまして質問をさせていただいて、御教示をいただきたいと思うわけでございます。  まず福岡公述人にお尋ねを申し上げたいわけでございますが、その前に、今回のこの年金の改正につきましては、言うまでもなく、一つは、六十歳で引退をするという社会から、六十五歳までは現役だよということがまず第一点だろうと思います。それから、先ほど山崎先生からもお話ありましたように、年金制度もでき得る限り雇用促進的にしなければいけないということ、そしてまた、世代間の負担、アンバランスがないようにしなければいけない、この三つが大きなポイントかなと。  特に我々にとりましては、まだ若い者、そしてまた必ず高齢化する者にとりましても、福岡公述人がおっしゃいました、世代間の納得と理解のいく年金の改正にしなければいけないのかなと思っているわけでございます。高齢世代にとっては、働き続けることができるのかどうか、そしてまた現役世代にとっては、しわ寄せやツケが回ってこないかどうか、こういうことがポイントであろうかと思うわけでございます。  まず第一点でございますけれども、日経連というお立場でございますが、今回、三〇%を若干下回る保険料率にとどまるということになるわけでございますが、これについて、労使折半でございますから、先ほどやむを得ないぎりぎりのというお言葉がたしかあったかと思うわけでございますけれども、折しもアメリカの方では医療保険の改革の案が、ヒラリー案が、企業の負担増ということもこれあり、話がうまくいかなくなった、こんなこともあるわけでございますが、もう一回改めて、この二九・六%という負担をどう考えられるのか、一言お願いできたらと思います。

福岡道生日本経営者団体連盟専務理事

○福岡公述人 御指摘のとおりでございまして、これは私どもは、この減額方式、先ほどもちょっと申し上げましたが、その方がむしろよろしいんじゃないかということを申し上げたわけでございます。  それで、これは繰り上げ減額年金方式という、この言葉がいい言葉がどうかちょっと別といたしまして、一日で言いますと、六十五歳から理論的な平均余命年数までの、結局亡くなるまでいただける年金額を、面積を一定といたしまして、仮にそれが六十二歳から欲しいということであれば六十二歳から、六十七歳から欲しいということであれば六十七歳からというのがこの方式になるわけでございます。私どもは、そういう面積一定の方式の方が一番わかりやすくていいんじゃないかということでございましたが、まあ、別個の方式ということになったということであります。  ただ、これによって保険料率が二から三%上がる、現役世代にとっては大変苦しい話になるわけでございまして、ある意味ではつらいということではございますが、まあしかし、ぎりぎり三〇%以内におさまるということなので、諸般の事情を考えて賛成ということでございます。  このほかにも、今御指摘のように健康保険の負担の問題、あるいは医療保険の負担の問題、そのほかにもいろいろな負担の問題がございますし、それから、もっと言いますと、御承知のことだと思いますけれども、例えば諸外国、特に先進国と比べまして法人税が非常に高いというような問題、こういったことで、実は今企業の活力という意味では、非常に負担増の問題で苦しんでいるというのが実態でございます。  同時に、これは企業の問題だけではございませんで、個人のバイタリティーの問題とも関連してくる問題でありまして、やはり現役世代のことを考えたバランス、それが先ほど申しましたような、例えば、今のまま放置しますと、名目賃金だけで改正していきますと、多分、そのまま放置していくと、場合によっては年金所得者の方の方が今働いている現役世代の人よりも実質的に高くなってしまう可能性すら出てくるというようなことで、これを実質に変えていくような努力をしてみたり、いろいろなことで若い人の負担を抑える努力をさせていただいているわけですが、その中で納得が得られる方策にさせていただいているわけですが、若い人なりあるいは企業の負担というものの厳しさが非常に大きいということであることには間違いないということを申し上げておきたいと思います。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 引き続いて福岡公述人にお話を聞きたいのでございますが、先ほど山崎先生が特別保険料ボーナス一%ということにつきまして、納得できないといいましょうか、余り賛成ができないという御意見がございました。逆進的といいましょうか、零細企業と大企業のアンバランスで、大企業寄りになっていて、不公平ではないだろうか、こういうお話があったわけでございます。  たしか、先ほどもボーナスによる負担一%について、福岡公述人は、まあ納得はするけれどもということだったと思うのでございますけれども、先ほどの山崎先生の御意見をお聞きになられましてどのような感想をお持ちになられたか、ちょっとお伺いできたらと思いますが。

福岡道生日本経営者団体連盟専務理事

○福岡公述人 この社会保険方式と申しますのは、説とある意味では違いまして、税はある意味では所得の再配分というような機能が強いのだろうと思いますけれども、社会保険というのは、保険料を払った人がもらう権利を持つというところが一つの大きな特徴だと思うのですね。ところが、賞与の一%という問題は、実は払うだけでありまして、受け取りの権利の方には今回関係させないということになっているわけでありまして、相当大胆な発想であります。  そういうことでございますので、我々としては、しかし一%、実は医療保険で既に一%というのは入っておりますから、そのことであればとにかく納得しようということで納得したわけでございますが、仮にこれが何%とかいうふうにだんだん大きくなってくるとすると、本来の社会保険の性格、つまり受け取る場合にもそれを反映させてもらいたいということに当然になってくるわけで、また根本的な議論を呼ぶことになろうかというふうに考える次第でございます。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 福岡公述人から今のような御意見がございましたけれども、山崎先生、今の御意見を受けて、いかがでございましょうか。

山崎泰彦上智大学文学部教授

○山崎公述人 社会保険の考え方に幅があるのだろうと思うのですが、厳格に拠出と給付をリンクさせるというのは、社会保障としての社会保険としてはどうかなというふうに思うわけであります。現実に、今の厚生年金でも、定額部分あるいは基礎年金という拠出の額に反映しない部分、加入期間だけで決まる部分があるわけであります。それが一つであります。  そういう観点からしますと、日本の社会保険の中にも、例えば雇用保険は総報酬であります。つまり、月々の月収とボーナスにかかる保険料率は同じということでありますが、雇用保険の場合には、受け取る雇用保険の失業給付にはボーナス分は反映されておりません。つまり、総報酬に応じて保険料を徴収し、給付をするときはボーナス分は外して計算しているわけであります。こういう割り切りもあると思います。あるいは、ボーナスを給付に反映させるにしても、頭打ちを設けるというやり方もあると思います。これが二点です。  それから、どうもこれは意図的な現象も最近あると思うのですが、社会保険料負担がどんどん高くなってきます。そうすると、給与よりもボーナスという形をとって従業員に報酬を支払えば社会保険料負担が労使ともにかからない、こういうことであります。あるいは、今の在職年金の弊害として言われています、給料は九万円にしておいて、ボーナスを例えば年間二十四カ月分出して、そして年金を八割受けさせるという、大企業であるわけであります。世間的には、九万円ですから低賃金です。低賃金労働者に対して年金を八割支給する、これは年金の趣旨からして妥当なのですが、しかしその一方でボーナスを二十四カ月分出す、全く社会保険の網にかからない形で報酬を支給する、これはまさにたかりでございます。  こういったことも是正しなければならないというふうに考えていきますと、保険料と給付を断ち切るという雇用保険のような考え方もありますが、どうも操作しているのは経営者でございます。ボーナスを操作して、うまく社会保険にたかっているのは経営者でございます。というふうに考えますと、事業主負担だけを総報酬にして、被保険者の負担は今のままというやり方もあるように思います。  以上でございます。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 本件につきましては、恐らく神学論争でいつまでも続くのだろうと思うので、次の話にいきたいと思います。  国庫負担の引き上げの問題でございますが、山崎先生は先ほど反対と、否定的なお答えを出しておられました。この点につきまして、福岡公述人におかれましては、税の全体の議論の中でというお話があったかと思うわけでございますが、実質的に、何といいましょうか、今でも保険というのは目的税に近いような格好になっておるわけでございますが、将来を展望して、もう少し踏み込んで国庫負担率の引き上げの問題につきまして福岡公述人の御意見を例えたらと思いますが。

福岡道生日本経営者団体連盟専務理事

○福岡公述人 内部の議論としては、初期の段階からいろいろ議論があったことは事実なのですね。現実に社会保険の性格論を先ほど申し上げたとおりでありますし、かつまた、それが基礎年金についても同じ考え方で基本的にはいくべきじゃないかということについては私の意見は変わっていないわけでありますが、現実に現在既に三分の一あるじゃないかということ、そのことを否定するつもりは毛頭ありません。  ただ、確かにそういった意味で若干その基礎年金のところの性格というものを、いわゆる社会保険、本来的な性格から少し変えて考えてもいいじゃないかというお考えはあるいはあるかもしれないと思うのですが、そうだとすれば、それは税体系、税といっても別にどこかから出てくるわけじゃなくて、だれかが負担しなければならぬわけでありますから、国民が負担することになるわけでありますので、かつまた、この税の使うべきと期待されている側面というのは非常にいろいろな側面があるわけでございますので、その税の使い方の優先度の問題として真剣な御議論を願ったらよろしいのじゃないかというふうに考えているということでございます。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 先ほど山崎先生は、なぜ年金のみ税にしわ寄せをやるのか、こういうことでございました。ちょっと話が脱線するかもわかりませんけれども、今回税制改革の法案もこの国会にかかるわけでございます。そんな中で、年金のスライドにつきましては一千億、それから福祉について四千億ということでございますが、これについて一言で御評価をいただけたらと思いますが。

山崎泰彦上智大学文学部教授

○山崎公述人 厳しい財政状況の中で、年金については一千億、福祉に対しては四千億というお話なのですが、それなりの努力は認めたいと思いますが、どうも新聞等の報道によりますと、エンゼルプランも新ゴールドプランも、財政的には全く見通しかないという状況でございます。私も、恐らくそうだろうと思います。こういったところに重点的な税の配分をしていただきたいというふうに思うわけであります。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 今回、いろいろ議論の末にああいう答えを一応出したわけでございますが、やはり国家には打ち出の小づちはないということが、与野党ともに共通の認識として今回できたのだろうと思うのでございます。きょうは年金の話で終わったわけでございますが、今後とも福岡公述人並びに山崎先生、そしてまた熊谷先生に御指導賜りまして、トータルとしての福祉あるいは年金、医療等々の問題につきまして御指導賜るようにお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

岩垂寿喜男日本社会党・護憲民主連合

○岩垂委員長 岩浅嘉仁君。

岩浅嘉仁改革

○岩浅委員 改革の岩浅嘉仁でございます。短時間でございますが、御指導いただきたいと思います。  それぞれ議論があったわけでございますが、今いみじくも山崎先生がおっしゃられましたが、超高齢化社会、そして少子化社会、財源のめどが立たない、まさにこれ、日本の国家自体がトリレンマ状態に陥っておる。そういう中でどうしてもこの年金改革はなし遂げなければならない、そういうことで鋭意取り組んでおりますが、ある意味では、年金改革の成否というのは六十歳代の雇用にある、こういうふうに言われております。これは議論があったところでありますが、この年金改革全体につきましては、お二人の方が全体的に評価をする、お一人の方が反対であると。しかし、三名の公述人に共通した話というのは、やはりこの六十歳代の雇用の問題であったと私は思うわけでございます。  先ほどの根本議員の質問とも重なるわけでございますがお許しをいただきたいのですけれども、政府も施策で六十五歳までの雇用を、これは事業主の努力義務でございますが、としたということで一歩前進だろうと思いますが、実際巷間言われておりますのは、大企業を初めいろいろな事業主体で、それでは会社の人事あるいは労務管理がそれに見合った形に追いついているか。とても追いついていない。五十五歳をめどにしておるようなところもたくさんある。こういうことが実態でありますし、さらにまた、今後予想されます産業の空洞化、これは深刻な問題になろうと思いますが、そういう中で、今回仮に法定年齢が六十五歳に引き上げられたとしても、継続雇用に対する企業の姿勢というのは極めて厳しいものがある、これは経済状況の中で極めて厳しいものがあると断ぜざるを得ないと私は思うわけでございます。  ある意味では、国を挙げてシルバー雇用大作戦のようなものをやっていく、社会全体の構造をそういうものに変えていかなければいけない、大きな歴史的な、日本の国の社会全体の転換点に立ったのがこの年金改革であろうということも言えると私は思いますが、先ほど山崎先生はメリット制、あるいは熊谷公述人はいろいろ今の状況を数字を挙げられて御指摘をされましたけれども、企業が高齢者を雇用する誘導策として、さらに具体的な、こういうことをやればいいというお考えがあれば、それぞれの公述人から忌憚のない御意見を賜りたいと思います。

福岡道生日本経営者団体連盟専務理事

○福岡公述人 確かに御指摘のとおりの問題があるわけでありますが、若干今の雇用状況の厳しさという問題に関して、確かにいわゆる労働省統計で出てまいります物の見方と、それから総理府で見ている物の見方の間には若干ギャップがありまして、例えば総理府で見ております、現在失業率が三・○%と言っている統計の高齢者のところで見ますと、大体五・七とか五・八とかいう数字になっておりまして、確かに厳しいのは厳しいのですが、いわゆる有効求人倍率では○・六一に対して〇・一を切っているというような見方とはまた違った局面が出ている。職安を経由しない形での雇用の充足というものがどういう形で行われているのかということもあるのだと思いますけれども、大分感じが違っている状態にあること、これは足元の問題でございますが、そういう点も一つ頭に置いていただく必要があろうかと思います。  しかし、それにしても、状況の厳しさというのは、特に私自身雇用問題というのは、これからだんだん明るくなってくるというよりも、経済政策によりますけれども、経済政策のいかんによっては、あるいは空洞化問題の認識のいかんによっては、あるいは円高問題の認識のいかんによっては、ある意味ではもっと厳しくなることも考えなければならぬという、非常に重要な岐路にあるというふうに思うわけでございます。  その点もひとつ先生方の御認識をいただきたいと思いますが、それは一応おきまして、考えていく場合に、先ほど申しましたように、全体の労働力構成から考えていきまして、二〇〇〇年を越える段階から急速に六十歳未満の就業者が減っていく、四百万人からさらに大きく減っていくという状態を考えていきますと、やはりいかにこの高齢の方々を企業側としても上手に使っていくかということについて真剣にならなければならぬし、ならざるを得ないという側面もあるということも事実でありまして、もちろん働く人の方についても御努力を願わなければならぬということ、それから例えば今の年功賃金の延長線上での、その線をずっと引き延ばした上での六十五歳の賃金というようなお話であるとしますと、これはもうほとんどインプットとアウトプットの関係が完全に崩れてしまいますので、それは不可能な話になってまいるわけでございます。  そういう意味では、ある程度はっきりアウトプットとの関連での割り切りというものもこの高齢者雇用との関係では考えなきゃならぬ性格を持っているということも事実だろうと思いますが、いずれにしましても、先ほど申しましたようないろいろな今回の諸施策あるいは今日労働省がとっている諸施策、ある意味で厚生省、労働省、省を挙げて取り組んでいるケースでございますし、民間もそれに向けてとにかく努力を積み重ねていこうと。  幸い六年半先から三年ごとに延びていく話でございますので、何としてでもこれは、今、きょうのディメンションだけで物を論ずるのではなくて、とにかくみんなが能動的に行動していくんだということで受けとめるべき性格のものじゃないかというふうに考えているということを申し上げておきたいと思います。

山崎泰彦上智大学文学部教授

○山崎公述人 最近の社会保障制度審議会の将来像委員会の報告にもありましたが、自立と連帯ということが言われています。私は、今後の社会を安定したものにしていくためにとても大事な概念だというふうに思います。つまり、我々はお互いに自立の努力をする、しかし努力し切れない部分がどうしてもこの社会はあるわけであります。その部分についてお互いに連帯する、これが社会保障だと思います。  厚生年金について言いますと、実は退職した人の年金の費用を労使が負担し合うわけであります。半々ずつ負担するわけでありますから、企業で言えば全国のすべての企業が連帯し合っているわけであります。労働者も連帯し合っているわけであります。  ところが、ある企業が六十五歳までちゃんとした給与できちっと雇っているとします。その会社の人は六十五歳までの退職者、つまり年金受給者は一人もいないわけでございます。一方、ある企業は六十歳で全部やめさせているとします。そのやめさせる企業の退職者は年金で生活するわけであります。ということになると、六十五歳まで雇っている会社から雇っていない会社にお金がどんどん流れていることであります。つまり、努力する企業がばかを見るのが今の年金なのでございます。  ですから、私のメリット制というのは、誘導策というよりも中立的にすることであります。努力を当然の努力として認めることであります。六十五歳まで雇わない会社は六十五歳までかかる年金の費用をきちっと負担してください、きちっと雇う会社は年金の財源としては六十五歳以降の財源だけで結構ですよ、これが常識にかなった当たり前の姿ではないだろうかということであります。連帯というのは非常に美しい言葉なんですが、実は連帯という名のもとでいろいろなところでたかりが生まれておる。これはやめなければいけないというふうに私は思っております。  以上でございます。

熊谷金道全国労働組合総連合事務局長

○熊谷公述人 私は、まず高年齢者の雇用という問題を考えるときに、もっと全体としての労働者の雇用確保をどう考えるのかということが当然前提とならなければいけないだろうというように思っているわけです。  その一つには、今のような円高や不況のもとで国内需要を拡大するような、また国内における生産活動を活発にするような産業政策、経済運営をどう進めていくのかということも当然重要な柱になっていますし、また労働時間短縮による雇用の拡大だとか、トータルな意味での雇用確保、拡大ということが一つ必要だろうと思っています。  また同時に、高年齢者の雇用確保という点で言うならば、例えば、既にアメリカでは法律化されているような雇用における年齢差別の禁止を国が明確にする、法律によって明らかにするとか、あるいは先任権の確立だとか、さまざまな形で、やはり高齢者も言うなら労働者として均等に扱われるような、そういう雇用条件をどう整備をするのかということなどが、個々の企業任せではなくて、国の施策として打ち出されていく、あるいは経済団体全体として打ち出されていくということがなければ、個々の企業だけでは、今もお話がありましたように、やはりコストの問題とかいろいろなことになって、結局は締め出されていくということになって、企業として個々には高齢者を雇用しようという意欲が出てこないということになってしまうのではないか、そのように考えております。

岩浅嘉仁改革

○岩浅委員 ありがとうございました。  もう時間がないのですが、私は、山崎先生のいろいろな雑誌等の記事を読みまして日ごろから大変御尊敬申し上げておるのですが、特に国民年金の未加入とか保険料滞納の問題、先生よく御指摘されておりますけれども、例えば保険料負担の逆進性ということを指摘されておりますね。  私どもも田舎でございます。農村地帯ですと三世代同居とか、まあ三世代同居というのは日本の誇るべき含み資産だということを厚生白書は書いておりますけれども、月額五万円を超える世帯もある、そういう実態もありまして、都会の大会社の社長さんと農業従事者とは同じであるというイメージがなかなかわかない、そういう逆進性のイメージがあるのですが、この点をどうお考えになっているのか。  それから最後に、先ほど国庫負担の話にありましたけれども、これは山崎先生で結構ですが、山崎先生は国庫負担について非常に慎重な御意見を述べられましたけれども、当面は国民年金の加入漏れとか滞納の解消の方が先決であるというのが先生の年来の御主張であろうと思いますけれども、国庫負担を見送った場合、新たな財源として、広義の社会保障の中にも応分の負担に回せるようなものが現在先生は考えられてあるのかどうか、もし具体的にありましたら披瀝をしていただきたいと思います。  以上でございます。

山崎泰彦上智大学文学部教授

○山崎公述人 国民年金の定額保険料の逆進性ということについては、もうおっしゃるとおりであります。認めない者はいないと思います。だれも好きこのんでやっているわけではないということなんですが、現実には所得の把握が非常に難しいということであります。  恐らく自営業者、農業も含めて、自営業の就業者で所得税を納めている方は三割とかそんなことだろうと思います。どうも現実には所得の把握が非常に難しいということがそこに出ているのだろうと思います。結局、その逆進性を緩和しているのが免除制度だというふうに思います。ですから、所得がきちっとつかめないとすれば、今のフラット制を維持しつつも免除制度を弾力的に運用するということしか現実にはないというふうに思っております。  それから残念なことに、先生田舎だとおっしゃいましたが、田舎の人はきちっと納めているのでございます。都会の人が納めていないのです。都会の、恐らくお金のある方が納めていないのです、相当数は。都会の、お金がありながら納めていない人のためになぜ大騒ぎをしてまで、大騒ぎになりますよこれは、消費税五%だって大騒ぎになるわけですから。そういう政治的な混乱も避けられないという大きな問題に対して、なぜ都会の、支払い能力がありながら納めない人を救わなければならないのかというのは、私は疑問でございます。  そして、国庫負担を上げたところで、そういった人たちは見向きもしないのだろうと思います。ですから今やるべきことは、やはり対象者をきちっとつかんで、そしてきちっと納めてもらう。そのためにはどうしたらいいかということでございまして、恐らくこれは年金局というよりも社会保険庁に大いに頑張っていただかなければならないということです。  私は、地方の市町村の方々とおつき合いさせていただいてお話をいろいろ伺うのですが、国はもっともっと市町村に仕事しやすい環境をつくってやらなければいけないというふうに思っております。  以上でございます。

岩浅嘉仁改革

○岩浅委員 ありがとうございました。

岩垂寿喜男日本社会党・護憲民主連合

○岩垂委員長 福島豊君。

福島豊改革

○福島委員 改革の福島豊でございます。公述人の先生方におかれましては、本日、大変御多忙の中おいでいただきまして、大変貴重な御意見を陳述賜りましたことを心より御礼申し上げます。  私は、もう今まで多くの先生方が御質問されましたので、重なるところがあろうかと思いますが、何点がお聞きしたいというふうに思います。  今回の年金改正は、二十一世紀に向かって日本の人口構造が大きく変化する、そのような変化をどう乗り越えていくのかということで基本的に設計されると思います。受給者に対しての被保険者の割合が大きく変わる、それを解決するためには、基本的な選択肢というのは限られております。保険料率を上げるか、それとも支給開始年齢を遅くするか、それとも年金水準を下げるか、それとも国庫負担を上げるか、いずれかであろうかと思います。  今回の改正の中では、年金水準に関しましては、ネットスライド制の導入ということが図られておりますし、また保険料率に関しましては、これは三〇%という枠を設けてそこまでは上げていこう、そして、三点目の支給年齢ということに関しては、二十一世紀の高齢化の中で労働者人口が減るということとあわせて、六十五歳まで働き続けられる社会をつくろうということを踏まえた上での引き上げと、そういう意味では、私は是とするものではあります。  しかし、何点がいろいろと懸念されるところがあるわけでございまして、その点に関しての先生方の御意見をお聞きしたいと思います。  まず、基本となる考え方なんですけれども、この保険料率三〇%、これを超えない。これは、そもそもは国民負担率が五〇%を超えないような社会づくりをしようというところに恐らく淵源があると私は思いますけれども、これが果たして妥当なものなのか。負担、負担というわけではございますけれども、しかし負担として、例えば我々が、税金でございますれば税金を拠出した後、その税金はさまざまな形でまた社会に戻っていく。また、年金に関しましても、保険料として納められたものは高齢者の人が年金として受給していく。それはまた消費という形で使われていく。  そういうことを考えますと、単純に負担がふえるから社会の活力が減るという議論は、なかなかしにくいのではないかということを素朴に感じておるわけでございます。この三〇%、また五〇%の問題でございますけれども、一緒にするといけませんが、この点に関しまして、山崎公述人のお考えをお聞きしたいと思います。

山崎泰彦上智大学文学部教授

○山崎公述人 五〇%、三〇%は、どこにも根拠がないんじゃないかなと思います。負担というのはだれも軽い方がいいと、その程度のことだと思います。  以前、テレビを見ておりましたら、渡辺美智雄先生が、昔から五公五民というのは常識だとおっしゃるんですね。年貢が半分以上ふえると百姓一揆が決まって起こったとおっしゃっていたのですが、渡辺先生らしい非常にわかりやすいお話だったと思います。が、私は、昔と今は違うんじゃないか、つまり、専ら収奪されていた五割と、負担したものがほとんどそのまま国民生活の安定のために返ってくる負担とはまるっきり違うのだろう。個々の家庭でも、私が今サラリーマンですから、結構税金も納め、この年齢になりますと給料が上がってくる。税金も納め、保険料を負担しています。しかし、それは自分の田舎にいる親に回っているんだということで、私自身は納得しているわけであります。ですから、五〇%をどうこうと言っても余り意味がないのではないかなというふうに思います。  それから、三〇%の根拠なんですが、恐らく、私厚生省の方にお尋ねしたことはありませんが、有識者調査で厚生年金の保険料負担の限界は三〇%とした有識者が一番多かったということが根拠になっているのだろうと思います。国民年金については二万円を限界とする人が一番多かったわけです。  ちょうど十年前に、昭和五十七年に六十年改正を準備するために、厚生省年金局は同じような有識者調査をしました。そのときに、厚生年金の保険料負担の限界は二〇%、国民年金は一万円とした有識者が一番多かったわけであります。専門家と言われる方が十年前に言ったことと今回言ったことがまるっきり違うわけですね。こんないいかげんな答えを根拠にするのもどうかなというふうに私は思います。  ただ、類推しますと、十年前の調査のときの国民年金の保険料は五千円台でした。厚生年金の保険料は一一%台でした。その倍のところにみんな丸をしたということでございます。去年の調査の時点では、国民年金は一万円ちょっとでございます。厚生年金は一四・五でございますから、やはり倍のところに丸をするという法則があるのかなというふうに思います。ですから、この次のときには三五が倍になるのかもわからないし、三万円が倍になるのかもわからないという、いいかげんな話だというふうに思います。  それよりも大事なのは、過去を振り返ってみますと、国民負担卒は、昭和三十五年は二二・三%でした。今、四〇%弱でございます。厚生年金の保険料は三%でした。それが今一四・五、今後、今回の提案では一六・五になります。もう国民年金は実質的に五倍を超えています。厚生年金も五倍近く、今度五倍を超えようとしているわけです。三十数年前と比べると、もう五倍かそれを超える負担になっているわけです。今我々が深刻に考えているのは、今後三十年くらいで二倍になるということを大問題にしているわけであります。  ということで、結局負担増というのはそれ自体どうこう言ってもしょうがないわけで、結局どういう社会をつくるのか、その負担でお互いにどのように助け合うのか、そういうビジョンがあって、それに伴う負担であれば国民は合意するものだというふうに私は思っております。ですから、立派なビジョンをつくることが大事だというふうに思います。

福島豊改革

○福島委員 引き続きまして、雇用の問題を若干お聞きしたいと思います。  先ほど福岡公述人が、六十歳以降も活力と希望のある社会、選択的就労の時代をつくらなければいけないというふうにおっしゃっておられました。私自身が懸念しますのは、選択というのは、逆に労働者が企業に選択をされるというような時代になるのではないか。  例えば、現在六十歳定年を持っている企業というのは、大企業ではほとんど九十数%が持っているわけでございますが、実質的には五十歳または五十五歳で肩たたきが始まる、幹部社員以外は子会社に出ていくというような実態があるわけでございます。そのようなことを考えますと、形式上の定年が六十五歳に延びたとしても、しかし、それはさまざまな弾力的な形で、また労働者が選別される、選択されるというような形で対応されるのではないかという懸念を私は持っております。  しかし、その弾力的な運用というのが、二十一世紀に向かって日本の経済が変化していく中で、今と同じような形で吸収をできるのだろうか。情報化も進んでいきます。また、空洞化も進む。単純労働というのはどんどん国外に出ている。そうしますと、高齢者の中であっても、例えば大変に高い労働能力を持つ人は就労ということが可能であったとしても、そうでない場合、これは大変厳しい状況になるのではないかという懸念があります。  そのようなことを踏まえて、福岡公述人の御意見をお聞きしたいと思います。  それからまた、もう一点、先ほど山崎公述人がメリット制の導入を図ってはどうかということをおっしゃられましたけれども、経営者の立場として、そのメリット制の導入ということについて、どのような認識をお持ちかということをお聞かせいただきたいと思います。

福岡道生日本経営者団体連盟専務理事

○福岡公述人 後の方の御質問、メリット制の方から先にお答え申し上げますが、メリット制ということにつきましては、私どもとしては、全般的にいろいろな角度で考えた場合に、一つのモデルといいますか、そういう意味で山崎先生が一つのモデルをお考えいただいていることについてはある種の評価ができないわけではないと思っているのですけれども、現実には、職種の性格によっては、幾ら高齢者雇用の時代をつくり出すといってもできない職種もございますし、それを一律に制度で強制するというようなやり方というのは、これは多分成り立たないのだろう。  抽象的モデルとしては、考え方として頭から否定するつもりはないのですが、そういうことで、逆に言うと、どちらかというとややポジティブな考え方に立った方がいいのではないかという意味で、現在労働省が考えております高齢者多数雇用奨励金制度、これは六十歳から六十五歳を六%以上雇用する事業主に対しては、中小企業には手厚くというような形での雇用支援が行われるわけですが、そういった、どちらかというとポジティブなやり方の方がいいのではないかというふうに私どもは考えているわけでございます。  それからもう一つ、最初の問題でございますけれども、これは非常にいろいろ考えていかなければならぬ世界を持っています。したがって、教育という問題につきましても本当に真剣に考えていかないと、これは単に念仏に終わってしまう可能性があります。  それからもう一つは、やはり、もちろん本人が企業を選択する権利を持つわけでありますし、企業ももちろんそういうものを持つわけでありますが、場合によっては、これはいろいろなケースが考えられますが、高齢者だけでつくる会社だって大いにできてくるだろうと私は思っております。  それから、例えば四組三交代というような形で今三交代労働が行われておりますが、例えばそれを六時間で七組づくるというような雇用形態だって今後は考えていけるわけでありますので、時間短縮等をかみ合わせながら思い切った就労形態を考えていきますとすれば、これは経営者の方々にも御相談したこともあるのですけれども、だれがつくったか、非常に悪い言葉ですが、三K嫌い、こういう言葉は世界じゅうにないわけですね。日本だけどうしてこういう言葉ができるのか知りませんけれども、それはちょっと余計なことですが、いずれにしても、むしろ、三交代に体がもうなじんでいるから、ただし八時間で責任を持ってやるのは嫌だ、六時間で週に三日休んでやらせてもらえるなら大いにやってみよう、いろいろな形の発想が始まっているわけですね。  これをやはり今後大事に育てていくということが日本の問題で、要は、人生八十年、二十年間もじっとしていていただくのがいいのか、それともやはり社会に貢献する立場にある、これは働くことだけが貢献ではなくて、ボランティアも貢献だと思いますけれども、いろいろな形で、自分が参画しているんだ、自立しているんだというような形が望まれるのではないかというふうに思っている次第でございます。

福島豊改革

○福島委員 ありがとうございました。  時間が残り二分ほどでございますので、一点だけちょっと確認したいと思います。  先ほど、山崎公述人、国庫負担をふやすということは賛成できないという御意見でございました。旧西ドイツの年金改革のときに、負担の増加というものをどのように分かち合うのかということで、受給者と被保険者と、そして国がともに分かち合おうということで、国の負担も保険料率の上昇に合わせて増加させていこうという考え方が選択されたと私は聞いております。そのような考え方について、公述人のお考えをお聞きしたいと思います。

山崎泰彦上智大学文学部教授

○山崎公述人 どうも、年金だけでお考えにならない方がいいんじゃないでしょうか。先生方はこれから、老人医療だとか福祉とか子供の問題、ここでいつも議論されるわけですね。やはり、全体の中でどこに重点を置くか、どこを伸ばさなければいけないのかということをぜひお考えいただきたいと思うわけでございます。ですから、私は、年金に先に取ってしまうことに反対なのでございます。もっともっと大事なことがたくさんあるということを言いたいということでございます。

福島豊改革

○福島委員 質問はこれで締めくくらせていただきます。  本日は、大変貴重な御意見を賜りまして、感謝いたしております。先生方の御意見をまた参考にさせていただきながら、今後、二十一世紀の福祉社会に向けて、高齢化社会に向けて努力してまいる所存でございますので、今後とも御指導いただきますよう、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

岩垂寿喜男日本社会党・護憲民主連合

○岩垂委員長 岩佐恵美君。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 本日は、公述人の皆様にお忙しい中当委員会に御出席をいただきまして、ありがとうございました。私は日本共産党の岩佐恵美でございます。何点かダブるところもあるかもしれませんけれども、お伺いをさせていただきたいと思います。  まず、先ほどからずっとお話しになっています、六十歳から六十四歳までの雇用の問題です。昨日の委員会でも私取り上げたのですけれども、日経連の永野会長が八月の経営トップセミナーの講演で、これは個人的な御意見ということになるのでしょうか、日本の製造業は急速に空洞化し、雇用を大幅に削減することになる、日本は大失業の発生という事態に直面しており、雇用の減少は数百万あるいは千数百万といった規模になるという内容の話をされたということであります。  きょうは日経連から公述人がお見えでございますので、この点について、先ほどもお話があったと思いますが、現在と将来に向けて、雇用のこういう実態について率直にお話を伺っておきたいと思います。

福岡道生日本経営者団体連盟専務理事

○福岡公述人 八月のトップセミナーで永野会長が申し上げたことは一つの警告でございまして、このまま放置し、何にも無為無策で過ごしますとそういう危機的な状況になる危険性があります、したがって、今ここであらゆる政策手段を通じて円高を阻止し、円安誘導を大胆に導いていくというようなことであるとか、そういうことについて本気でやる、あるいは内外価格差の問題、御承知のように世界で最高の賃金でありますけれども世界で最高の物価という悲劇的な姿というものを、できるだけ早く解消していく努力を重ねていかない限り、日本は大変なことになりますよという警告的な発言であったというふうに記憶しております。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 そうすると、雇用の確保について大丈夫だというふうにお考えなのか。本当に、今六十歳から六十四歳まで、六十五歳定年ということになった場合に、その間の雇用というのは自信を持ってやれますよということになるのでしょうか。その辺、再度お伺いしたいと思います。

福岡道生日本経営者団体連盟専務理事

○福岡公述人 先ほどのお話にございましたように、この問題というのは六十歳から六十四歳の問題だけではございませんで、日本国全体の問題であります。ですから、日本国全体の政策運営を誤ると船が沈没するわけでありますから、船が沈没すればこれは非常に悲劇的な話になってくるということでございます。  今議論しております一つの物の考え方は、政策運営というものがある程度正常的な状態で運営されるという前提の中で、我々何を努力するべきかという点で申し上げているわけでありまして、一番肝心なところの、根っこから日本国が沈没してしまうというふうな次元の話になってまいりますと、これは六十歳から六十四歳の問題にとどまらない話になろうかと思います。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 そう断言できないというふうに伺うわけです。つまり、六十歳から六十四歳まで大丈夫ですということはこれから見てみないとわからないというふうに理解をするわけです。  一方、こういう別個の給付、いわゆる部分年金と言われているそういう年金の支給の仕方というのは、安上がり労働の確保なんじゃないかというえ方があります。つまり、熟練の労働者、六十歳でやめるところを六十五歳までその職場で働いでもらう、ただし賃金は従前どおり払わない、半分は年金から出るから、というような安上がり労働の確保という考え方もあるわけです。  そういう点、労働者の側から見て、安上がり労働の確保という考え方の場合に、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、熟練というか、ある程度技能的な労働者の場合はいいのですけれども、そうでない労働者の場合には企業の側から選別をしていくわけですから、結局部分年金のまま、低賃金のまま六十歳から六十四歳まで暮らさなきゃいけないということになると、本当に生存権にかかわる問題になってくるというようなことが指摘をされているわけですけれども、このあたりについて、熊谷公述人のお話を伺いたいと思います。御意見を伺いたいと思います。

熊谷金道全国労働組合総連合事務局長

○熊谷公述人 先ほども申し上げましたけれども、多くの労働者が六十歳を過ぎても働きたいというぐあいに答えている。これは、私どもの労働組合の調べだけではなくて、労働省の調査などによっても明らかにされている。しかし、実際には合先生も言われましたように、また私も先ほど言いましたように、雇用機会がない、働きたくても働き口がないということがまずある。その一方で、どういうところにじゃ就職を見つけているかというと、結局は不安定雇用労働者群の中に、パートだとか派遣だとかさまざまな形での低賃金労働者群の中にみずから身を置いてどうにか雇用を確保している、そういうのが現実の姿だろうというふうに思います。  またそういった点で、在職老齢年金あるいは部分年金という考え方それ自身私たちは否定するものではありませんけれども、そのことがより一層高年齢労働者の低賃金を加速するものになってはいけないというぐあいに考えているところであります。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 先ほど山崎公述人の御意見の中で、六十歳−六十四歳の問題で、低所得、とりわけ女子の問題が非常に問題になってくるという御指摘がありました。私たちもそこのところを本当に大変だというふうに思っています。  今女性の賃金というのは、男性の六割にしか満たないわけですね。それで、そういう低賃金のままこれが年金に移行するというふうになると、それがまた半分になるわけですから、本当に暮らしていけないわけですね。しかも、女子の労働の場というふうになりますと、男女雇用機会均等法ができてもそれが有効に働いていない。ことしなどは女子学生の就職をめぐって大きな社会問題になり、国会でもあるいは政府、労働大臣も、これはもう放置できないということでいろいろと問題にしている状況にあるわけです。それだけ女子の分野というのは本当に大変なわけですね。  その点について、低賃金に配慮した対策をとるべきだというふうに言われましたけれども、具体的にもうちょっと突っ込んで、どういうことをお考えになっておられるのか、そのことを伺いたいと思います。  あわせて、熊谷公述人にもその女子労働の問題について、それから、女子の六十歳から六十四歳のそういう別個の給付になった場合どういう問題が今不安としてあるのか、そういう点について、あわせて伺いたいと思います。

山崎泰彦上智大学文学部教授

○山崎公述人 先生のおっしゃるとおりでありまして、部分年金は大体十万円だと言っているわけでありますが、このモデルというのは三十四万円の人が四十年間働いた場合に大体十万円でございます。男子をモデルに置いているわけであります。したがって、先生お話しになりましたように女子の賃金は男性の六割弱でございますが、男性と同じように女性が四十年働いたとして、部分年金は六万円、こういうことになります。こういった女性は将来とも非常に少ないのではないかな。恐らく二十年働いたとか三十年とか十五年とか、相当雇用が延びてもこういう状況は相当続くのだろうと思います。そうすると、男性の平均が十万円であれば女性は四十年働いて六万円、またその半分の三万円とか二万円とか、その程度の部分年金というのが女子の一般的な部分年金だというふうに思います。  そこで、どうすればいいかということなんですが、賃金比例ですから、十万円の人もいるけれども、男性で給料が高い人は十五万円の人もいるわけですね。女性のように給与が低い人は五万円の人も出てくるわけです。そういう幅が出てくるのですが、例えば定額部分一本にしますと、加入期間が同じであればみんな十万円、こういうことになるわけですね。  ですからもう少し、単純に定額部分一本というのもどうかなと思います。ですから、その辺はいろいろ工夫の余地があるのだろうと思うのですが、いずれにしても、単純な報酬比例一本というのはちょっと問題があるように思います。  旧連立与党のプロジェクトチームの報告書の中に、報酬比例に加えて加給年金相当分を残すべきだという意見があったということが付記されていました。これは加給年金そのものになるかどうかわからないのですが、いずれにしても、ある程度みんな平等に配分される部分を残すべきだという意見があったと書いてあったのですが、私は貴重な意見だというふうに思います。

熊谷金道全国労働組合総連合事務局長

○熊谷公述人 私は、まず今の均等法が施行されて以降も依然として改まらない例えば雇用だとか賃金だとか、さまざまな問題における、言うなら男性が主で女性が従というような位置になっている雇用だとか賃金だとか人事管理だとか、こういうことをやはり基本的に改めていくということがまず基本に据わらなければいけないのではないかというふうに思っているわけです。そういった角度から女性の年金権の確立ということも重要な問題として考えていく必要があるだろうというふうに思います。  また、今山崎さんからもお話がありましたように、この部分年金についても、今のような男女の大きな賃金格差をそのまま年金に持ち込むということについては、やはり何らかの形で定額なり最低保障というものがそこに設けられなければその格差が老後も引き続いてということになってしまう、これではとても生活ができないというのが今の女子労働者の置かれている実態ではないか。そういった点でのぜひ抜本的な改善もお願いをしたいと思っているところです。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 もうそろそろ時間なんですけれども、最後に、年金の掛金が上がる、あるいは医療費の負担が増大する、消費税のアップという話があるということで、現場の労働者がもう本当にこういう高負担に耐えられないということで大変いろいろ意見も出ていると思うのですけれども、そういう意見を、率直に現場ではどういう意見が出ているのかということをこの場でお聞かせをいただきたいと思います。熊谷公述人にお伺いしたいと思います。

熊谷金道全国労働組合総連合事務局長

○熊谷公述人 私たちは労働組合ですから、この年金問題について冒頭申し上げましたように反対ということで、多くの労働者の中に合意形成を図っていこうということで、この春以来、私たちとしては初めての取り組みでありますけれども、例えば全国で千六百万枚を超えるような大量のビラをつくって、私ども以外の中立や連合の職場の労働者にもさまざまな形で共同を呼びかけてきています。そういう中で、中央レベルでは、きょう午前中鷲尾さんが公述をされたようですが、連合と私たちが共同してということはありませんけれども、職場や地域段階では、やはり私たちの呼びかけに対して多くの地域で、また多くの職場で私たちと共同した運動が広がっている、そこに要求の切実さがあらわれているのではないかというふうに思っているところです。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 終わります。ありがとうございました。

岩垂寿喜男日本社会党・護憲民主連合

○岩垂委員長 これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。  公述人の皆さんには、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  これにて公聴会は終了いたしました。  次回は、明二十一日金曜日、午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十九分散会

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