厚生委員会 第7号
- 発言数
- 106 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1994/10/26
会議録
○岩垂委員長 これより会議を開きます。 第百二十九回国会、内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長勢甚遠君。
○長勢委員 当委員会でるる同僚議員から御質問、御指摘がありましたとおり、これから高齢化、少子化がどんどん進行する中で、年金の問題は国民が最も関心を持っている重大事項でございます。これからの時代にふさわしい年金のシステムというものをつくっていかなければなりません。政治はすべからく公平、公正であるべきであり、また、乏しきを憂えず、等しからざるを憂えるという考え方で、そういう基本で考えていかなければならないと考えております。そういう観点から、年金システムをこれからの時代にふさわしいものにしていくためには、何よりも世代間、制度間の公平、また、給付と負担のバランスの確保ということが大事であると考えております。 このような認識のもとで考えてみますと、今回の年金改正法案については、私はそれなりに高く評価をしておるものでありますけれども、残された課題、問題も多いと思っております。その一つは、今回の改正では手のついていない一元化の問題であります。 政府は、昭和五十九年に平成七年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させる旨の閣議決定をされておるわけでありますけれども、平成七年を目前に控えた現在の公的年金制度の一元化に関する検討状況について御説明をお願いしたいと思います。平成七年実施には間に合わないのじゃないかというふうに聞いておるわけでございますけれども、いつごろその結論が出て、いつごろ実施する見通しなのか、また、議論をする中でどうしてこんなに時間がかかっておるのか、どのようなことが論議の焦点になっておって、そしてどのような方向が検討されておるのか、御説明をお願いいたします。
○近藤(純)政府委員 先生お尋ねの公的年金制度の一元化の問題でございますが、公的年金制度は世代間の扶養のシステムでございまして、保険料を負担する側の被保険者の数と年金を受給される受給者の数の長期的な動向というものが制度の財政に大きな影響を与えるわけでございます。一方、我が国の年金制度は、御承知のとおりその沿革から職域ごとに大変幾つかに分立いたしていますので、産業構造とか就業構造の変化によりまして非常に影響を受けやすいわけでございまして、そのために財政基盤の不安定化でありますとか制度間での負担の格差というものが出てきている問題があるわけでございます。 こうした状況の中で本格的な高齢社会を迎えるということでございまして、先生がおっしゃる公平、公正な制度という年金制度にいたしていくためには、長期的に安定した制度、それから給付と負担の両面にわたります公平を確保する、こういった面での公的年金制度の一元化というものが必要になってきているわけでございます。 先生先ほど御指摘のありましたように、閣議決定で平成七年を目途に一元化を完了させるということで、そこの目標に向けまして、基礎年金をつくりましたりいろいろ準備を進めてきたわけでございますけれども、さらに、年金各制度共通の論議をしていただくということで、本年二月に公的年金制度の一元化に関する懇談会を開いているところでございます。これまで五回懇談会を開きまして御論議を願っているわけでございますけれども、現段階まででは、年金制度の現状でございますとか、あるいはフリートーキングを行っているという段階でございまして、まだまだ結論を得る段階には来ていないわけでございます。 どういう中身を議論しているかということでございますけれども、その検討課題として考えられておりますのは、一つは、将来にわたりまして財政運営の健全性を各制度でどう確保していくのか。それから、現行の各制度の成熟の度合いの相違から来ます負担の不均衡に対しまして、どのような公平化の措置を図っていくか。それから、給付面ではかなり均一化されてきたわけでございますけれども、まだ幾つかの支給要件に差があるわけでございます。これをどのように考えるのか。それから、これまで独立してきた各被用者年金制度の財政運営の違いというものをどのように評価するのか。それから、現業の業務の一元化にどう取り組むのか。いろいろな課題があるわけでございます。 中でも、日本鉄道共済組合につきましては、その財政状況が共済組合として独立してやっていけない困難な財政状況になっております。平成二年度から、制度間調整事業ということで、他制度からの支援と自助努力によりましてその運営が支えられているところでございましで、日本鉄道共済組合につきましては、現在の支援の仕組みがこの六年度で一応終了ということになってございますので、平成七年度以降の支援の枠組みつくり、これは緊急の課題になっているわけでございます。 いずれにいたしましても、この一元化の懇談会の議論を踏まえまして対応する必要があると考えておりますが、当面の課題につきましては、少なくとも年内に結論を出していただきまして、来年度の措置をする必要があるというふうに考えている次第でございます。
○長勢委員 年金の状況はますます厳しい状況になるわけでございますから、そのときこそ公平でなければならないと思います。そういう意味で、一元化の議論を早急に詰めていただくように、一層の御努力をお願いいたしたいと思います。 今お話ございましたように、鉄道共済については、成熟度も高く、またいろいろな事情から破綻状態にあるわけであります。制度間調整によってどうにか息をついておる。他制度の支援を受けながら、また大変な厳しい自助努力を行っておられるわけで、鉄道OBの方々は、給付抑制の中で、他制度の中の同一期間あるいは同一賃金の方々よりも低い給付に甘んじておられるわけであります。 いろいろな事情があるにしても、このような格差というものは鉄道OBの個人の方々にとっては納得できるものではありませんし、ぜひこの給付抑制というものを早急に解消していかなければならぬ、こう私は思うわけでございます。鉄道OBの方々も一元化を大変楽しみにして、そのときにはこの給付抑制を解除してもらえる、このことを信じて我慢をしておられるというのが私は現状だろうと思います。そういう見地からも一元化をぜひ早急に実施していただきたいと思い、またその中で鉄道共済の方々の不安を解消していただきたい、こう思うわけであります。 ところが、今回の国公共済法の改正案では、今回の改正で行われるはずの標準報酬の再評価を、鉄道共済については一九九九年の次期財政再計算まで繰り延べるということになっておるわけでございまして、このような凍結措置というものはぜひ解除すべきであると思うわけであります。一九九九年ということを法律に明記されておるわけでありますが、一元化ができる場合にはそれを待たないで、少なくとも一元化のときには当然鉄道共済についてこの凍結を解除すべきであるというふうに考えておりますが、一元化に当たって鉄道共済のあり方について、まず全体を統括されておられます厚生省の方から御見解をお伺いいたしたいと思います。
○近藤(純)政府委員 先ほども一元化の問題につきましてるる申し上げましたけれども、JR共済の問題につきましては、これは緊急の課題だというふうに考えているわけでございまして、その支援の仕組みというのを、六年度で切れますので、これはぜひやらなければいかぬ課題だというふうに考えています。 それから、例の凍結の措置でございますけれども、これは私どもというより大蔵省の問題というふうに考えておりますが、自助努力の一環として、ほかの制度から支援を受けるという中で自助努力をどうするかということでございまして、その中に受給者の方それから現役の方、こういう方もある程度の負担を、他の支援している年金制度との関係でお願いせざるを得ないのじゃないか。この前の調整懇の、今の一元化の懇談会の前に調整懇談会というのがあったわけでございますけれども、その中で、過去の経緯もございますので、やはりできる限りは自助努力もお願いしたい、こういう趣旨で今の凍結措置というのも設けられているように承知いたしております。 具体的な措置につきましてはこれからの検討課題というふうに考えているわけでございまして、現在の共済の扱いでは、先生の御指摘のように一九九九年まで凍結されるということでございますけれども、これを今後どういうふうに取り扱うかにつきましては、一元化懇の検討結果も踏まえまして適切に措置をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○長勢委員 他制度の方々の問題もあるわけでございまして、おっしゃることはわかる部分もございますけれども、現行制度のもとでいろいろな大変な厳しい自助努力をするということはある程度やむを得ないとしても、一元化をする以上は、その際もなおかつそのことを大変強く維持するということであれば、一元化の名が泣くと私は思うのであります。一九九九年を待たずして、一元化ができるときにはあわせて解除していただくということを強くお願いしたいと思いますが、鉄道共済を直接所管されておられます大蔵省は、ぜひ鉄道OBの方々の心情を十分理解をしていただいて、この点頑張っていただきたい、お願いをしたいと思います。大蔵省の考え方をひとつ御説明をお願いします。
○松川説明員 鉄道共済年金につきましては、ただいま委員からの御指摘もございましたように、いわゆる被用者年金制度の制度間の調整事業によりまして他の年金制度からの財政支援を受けまして、ようやく年金の支払いを行っているという状況にございます。 そこで、いわば拠出側の制度の関係者の方々の御理解を得るため、先ほど来御指摘のありましたように、保険料の引き上げでありますとか、平成元年の標準報酬の再評価の繰り延べ措置を含みますさまざまな自助努力等を行っておりまして、これを前提といたしまして平成六年度末までの鉄道共済年金対策スキームが合意されているわけでございます。 平成七年度以降の対策につきましては、今後関係者の御理解を得て策定する必要があるわけでございますが、いずれにしましても、現在の鉄道共済年金の財政状況からいたしましても、今後のいわゆる標準報酬の再評価の取り扱いにつきましては引き続き拠出側の制度の理解を得る必要があるという判断に立ちまして、本年二月に設置されております、公的年金制度の代表者から構成されております公的年金制度の一元化に関する懇談会の御了解もいただいた上で、平成六年分、今回の標準報酬の再評価の実施を法律上次の財政再計算期まで繰り延べるという扱いにさせていただいたわけでございます。これは、いわば引き続き他の制度から財政支援を受けるために他の制度の関係者の御理解を得るために、必要かつやむを得ないものと判断して提出させていただいておるところでございます。 いずれにしましても、給付と負担の制度間の格差の問題、これは今後真剣に考えていかないといけない問題と認識しておりまして、今後の自助努力等のあり方を含めまして、鉄道共済年金対策全体につきましては、公的年金制度の一元化の問題の中で大きな問題でございますので、その問題の中で今後、先ほど申し上げました一元化に関する懇談会の中で十分検討していただきたいと考えておる次第でございます。
○長勢委員 ぜひ一元化の中で、その問題は凍結解除の方向で結論を出していただくようにお願いをいたします。 それで、時間も来ましたので、大臣に最後に御決意をお伺いいたしたいと思いますが、るる申しましたとおり、一元化を早急に実現をするということについての御決意と、あわせてその際には、鉄道共済年金にかかわる給付抑制措置について、給付と負担の公平化の観点から解除の方向で見直しを検討するということについて、大臣の御決意、御見解をお伺いさせていただいて、終わりたいと思います。
○井出国務大臣 先ほど局長が御答弁申し上げましたように、我が国の年金制度は、その沿革から職域ごとに分立しているため、産業構造、就業構造の変化により影響を受けやすく、財政基盤の不安定化や制度間での負担の不均衡が生じる等の問題がございます。こうした状況のもとで、本格的な高齢社会に向けて産業構造、就業構造の変化に対応できる長期的に安定した年金制度とするとともに、給付と負担の両面にわたる公平が確保されていくことが必要であると考えております。 政府といたしましては、これまで全国民に共通した基礎年金制度の導入を初め、一元化に向けた取り組みを進めてきたところでございます。現在、公的年金制度の一元化に関する懇談会を設け、ご議論をいただいておるところでございます。特に差し迫った課題であります、ただいま長勢委員御指摘の日本鉄道共済組合について、実は私も地元で鉄道OB会の皆様方から御同様の御要請はよく聞いておりますが、これについての新しい支援の枠組みづくりを初め、一元化のあり方について精力的に検討を行っていかなければならない、こう考えております。
○長勢委員 終わります。
○岩垂委員長 網岡雄君。
○網岡委員 まず第一にお尋ねを申し上げたいのでございますが、提案をされております国民年金法等の一部を改正する法律案の最も重要な問題であります基礎年金の国庫負担の割合については、所要財源の確保を図りつつ二分の一を目途に引き上げることが、将来の年金財政の非常に厳しい状況を見ましたときに、当然政府としてとるべき対応であるというふうに私ども考えるわけでございますが、この点について厚生大臣として、将来の問題も含めて、どのようなお考えをお持ちになっておるのか、そのお考えをお聞きいたします。
○井出国務大臣 お答えいたします。 基礎年金の国庫負担につきましては、社会保険方式のもとで税と社会保険料のバランスをどうとっていくのか、また現行制度のままでも急増していく国庫負担の財源をどう確保していくかという問題がございます。 具体的には、年金に対する国庫負担は、現在基礎年金の三分の一となっておるわけでございますが、今後の高齢化の進行に伴う給付費の増大により、現行制度のままでも、現在三・九兆円の国庫負担が二〇二五年には八・一兆円へと倍増することが見込まれております。仮にこの国庫負担率を二分の一に引き上げる場合には、国庫負担額は二〇二五年度には十二・一兆円と現在の三倍に達することとなります。したがいまして、基礎年金の国庫負担率を引き上げるには、必要な国庫財源の確保が大前提とならざるを得ません。また、それだけの財源が仮に確保できたとした場合、社会保障の分野の中でどのような位置づけにするかについては慎重な検討が必要と考えます。 いずれにいたしましても、基礎年金の国庫負担の引き上げ問題は、同じ世代間で年金給付費を税で負担するか保険料で負担するかというものでありまして、世代間の負担のバランスを図ることを第一義とする今回の改正とは別個の問題として、中長期的な観点から国民的な論議がなされる必要がある、こう考えております。
○網岡委員 基礎年金につきましては、やはり国の持つ責任というのは非常に重いわけでございますから、ぜひひとつ将来国庫負担二分の一に向けて厚生省として十分な対応のできるような措置をしていただきたいということを要望いたしまして、次の問題に移ります。 第二は、鉄道共済年金の再評価の問題でございますが、御案内のように、鉄道共済年金の受給者の方々は非常に厳しい繰り延べの状況がずっと続いておるわけでございます。したがって、この際お尋ねをいたしますが、再評価の繰り延べ措置を含む自助努力等について、その見直しを検討すべき時期に来ていると思うのでございますが、その点について厚生省としてのお考えをお尋ね申し上げます。
○近藤(純)政府委員 JR共済につきましては、その財政状況が、独立して財政運営をするのが非常に困難な状況になってきているわけでございまして、現在制度間調整事業に基づきまして、他制度からの支援とみずからの努力によりましてその運営を支えているわけでございます。JR共済組合につきましても、現在の支援の仕組みは平成六年度末までしか定められてないわけでございまして、七年度以降のこの支援の仕組み、いわゆる支援の額と自助努力の額、こういったものはこれから決めていくということでございまして、これは緊急課題になっているわけでございます。 先ほども申し上げましたけれども、本年二月に公的年金制度の一元化に関する懇談会ができているわけでございまして、現在検討を進めているところでございます。今後具体的な一元化の議論をする上でも、JR共済の将来の姿をどのように描くかというのが非常に大きな意味を持つわけでございまして、今後精力的に検討を行いまして、先生御指摘の問題も含めまして、この場におきます検討結果を踏まえまして適切に対応をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○網岡委員 次に、働きたくとも働けない者には現行どおり満額の年金を支給するよう、別個の給付の特例措置を設けるよう検討すべきではないかと思うのでありますが、この点について厚生省のお考え方をお聞きします。
○近藤(純)政府委員 今回の法律の中に、六十歳から六十四歳までの方々につきましては、六十五歳以降の年金とは別の給付を出すという、いわゆる別個の給付の導入をいたしたわけでございまして、十九年をかけまして六十歳から六十五歳まで段階的に導入していくということてございますけれども、その際に、四十五年以上加入した方のほかに、働くことが著しく困難な障害者の方々につきましては、別個の給付導入後におきましても従来どおりの満額の年金を支給する、こういった配慮をいたしたわけでございます。 この例外措置の対象といたしましては、働くことが困難ということの認定を客観的に行える基準であって、かつ、現役の世代では障害年金が支給されておりますので、これとのバランスを図る必要があるわけでございまして、障害年金の障害等級に該当する方を対象にいたしたところでございます。 御指摘のような、働くことを希望しても働けない方まで広く別個の給付の例外措置の対象にいたしますと、この制度を導入した意味というのも非常に薄くなるわけでございまして、現役世代とのバランスを失するというふうな事態にもなりかねないというふうなことも考えられますので、せっかくの御提案でございますので、今後慎重に御検討をさせていただきたいというふうに考えております。
○網岡委員 ぜひひとつ前向きに御検討をいただくようにお願い申し上げます。 それから次に、失業給付や高年齢雇用継続給付といった雇用保険の給付と年金との調整については、その実施を延期すべきではないか、このように考えるわけでございますが、この点についての厚生省の考え方をお尋ねいたします。
○近藤(純)政府委員 今回の改正の大きな眼目といたしましては、雇用と年金との連携を図るという重要なテーマがあったわけでございまして、雇用保険の給付との調整もその一環として行いたいというふうに考えておるわけでございます。 老齢厚生年金と雇用保険の失業給付、それからことしできました高年齢雇用継続給付との調整の実施につきましては、国民への周知の期間が必要である、それから、もう既に年金の受給が間近になった方で、老後の生活設計にも影響をする、こういうふうなことも配慮いたしまして、失業給付との調整につきましては平成八年の四月から、それから高年齢雇用継続給付との調整につきましては平成九年の四月からということで、猶予期間に配慮したところでございまして、私どもとしてはその辺の配慮はいたしている考えでございます。
○網岡委員 最後ですが、国民年金の適用の推進、受給者及び被保険者に対するサービスの向上を図るため、速やかに基礎年金番号の導入を図るべきではないかと思うのでございますが、この点について厚生省のお考えをお示しください。
○横田政府委員 国民年金の一号被保険者なり三号被保険者の届け出漏れを防止いたしまして未加入者の縮小を図っていく、それから複数制度にまたがります被保険者、受給者の年金裁定とか相談の迅速、的確性を向上させていくというためには、私ども、各年金制度に共通いたします基礎年金番号の導入がぜひとも必要だと考えておりまして、今年度からそのシステムの開発に着手したところでございます。できるだけその早期実施に向けて鋭意努力してまいりたいというふうに考えております。
○網岡委員 以上で終わります。
○岩垂委員長 米田建三君。
○米田委員 年金改革法案の質疑に入る前に、ちょっと昨今気になる報道がございましたので、まずその点につきお尋ねをしたいと思います。 非加熱血液製剤へのエイズウイルスの混入の事実、しかも、非加熱製剤がエイズウイルスに汚染されている危険性が浮上していた一九八三年の段階で、製薬会社からエイズウイルスが混入した疑いのある非加熱製剤の国内での出荷を停止して米国に返送したという報告を厚生省が受けていたにもかかわらず情報を伏せていたという報道が、十月二十三日、新聞報道であったわけでございますが、これが事実だとしたらちょっと重大な問題ではなかろうかと思うわけでございます。 我が国で加熱製剤の販売が承認されたのは八五年の七月でございまして、血友病の患者さんがエイズウイルスに感染したのは八三年以降に集中しているわけでございます。したがって、八三年の段階で製薬会社からこのような報告を受け、そしてそれをもし厚生省が広く公表しておれば、感染する方の増大というものを防げたのではないか、こういう考え方もできるわけでございまして、ぜひとも事実経過を御説明願いたいと思います。
○田中(健)政府委員 ただいまのお尋ねの件でございます一九八三年、昭和五十八年でございます。今から十一年前に当たりますけれども、一九八三年当時でございますが、その当時はまだエイズのウイルスが発見をされておりませんで、エイズの原因につきましては今日のように明らかではなかったわけでございます。また、日本ではエイズ患者がいまだ報告をされておりませんで、また血液製剤によりましてエイズが伝播するかどうかも不明な状態であったわけでございます。 一九八三年当時はこのような状況のもとにあったわけでございまして、アメリカにおきまして血液製剤の原料の供血者の一人が供血後エイズ様症状を呈したということから、製薬企業が万が一のことを考えまして出荷停止等を行ったものでございまして、これはしかも医療機関に出荷される前の措置でございましたので、当時の厚生省としては公表しなかったものであるというように理解をいたしておるところでございます。 厚生省といたしましては、当時、万が一の危険性を考えまして、製薬企業に対しまして、輸入血液製剤の原料につきましてエイズのハイリスクグループ、当時はこれは男性の同性愛者、それから麻薬常習者等が考えられたわけでございますけれども、そうしたエイズのハイリスクグループから供血されたものでない旨の証明書の添付を指示をいたしますとともに、エイズの実態把握に関する研究班を設置をいたしまして、専門家によります検討を開始をいたしました。そうしたことを行うなど、当時のエイズに関する知見に基づきまして、適切な対応をしていたというふうに考えておる次第でございます。
○米田委員 ちょっと釈然としないものがございますけれども、本題の質問に移りたいと思います。しかし、一言申し上げておきたいのは、今東京地裁で東京エイズ訴訟が係争中でございますが、血液製剤によるエイズの感染者の方々には、御本人には何の責任もないわけですね。ですから、この皆さんの憤りと悲しみというものは想像に余りあるものがあるわけでございまして、今後の当局の誠意ある対応を望んでおきたいと思います。 次に、高齢者届用対策の充実について、既に同僚議員も御指摘の点でございますが、改めて何点がお尋ねをしておきたいと思います。 我が国は、約三十年後の二〇二〇年代の半ばには高齢化のピークを迎えるわけであります。六十五歳以上の高齢者の数も全人口に占める割合が現在の約二倍になると予測されているわけでありますが、言ってみれば、この高齢化のピークというのは、戦後のベビーブームに生まれた団塊の世代が年金の受給者になる時期に当たるのではないかと思うわけでございます。この世代が六十歳から年金をもらうか六十五歳からになるかで年金の財政事情が大きく変わってくる。だから、年金支給開始年齢を二〇〇一年度から二〇二二年度にかけて段階的に六十五歳にまで引き上げるという今回の改正案は、やはりこの世代の存在をにらんだものでもあろうかと思うわけであります。 実は、私もこの世代の一人でありますけれども、いわばこのねらわれた世代の一人としまして、やはり老後というものが大変心配になるわけでございます。果たして、今中堅世代として一生懸命経済社会の現場で働かせていただいているこの世代というものが、高齢者になった段階で本当に豊かで安定した老後を迎えることができるのか。当委員会でも同僚の議員がいろいろな角度から既に御質問ではありますが、どうも政府の御答弁では気持ちがすっきりしないわけでありまして、やはり問題なのは、大切なのは、六十歳以上の雇用がきちんと保障されるかどうかであろうかと思うのです。六十歳を迎えてもなお住宅ローンや、あるいは教育費に悩む方々は多いだろうと思うのですね。それからまた、現役時代の生活水準を何とか維持しようと思えば、どうしても働く場が必要になってくるわけであります。 そこで、お尋ねをいたしますけれども、高齢者雇用の現状と現行の対策、また、今後さらにどのように充実させていくのか、改めてお尋ねしておきたいと思います。
○太田説明員 今お尋ねいただきました、まず高齢者の雇用の状況でございますけれども、企業における定年制等の状況を見てみますと、平成六年の一月現在で、六十歳定年制をとる企業が八四・一%、予定している企業まで含めますと約九五%に達しておりまして、六十歳定年制は着実に普及してきているのではないかと考えております。 しかしながら、完全失業率あるいは有効求人倍率で見ますと、六十歳から六十四歳の高齢者の雇用失業情勢は厳しくなっておりますし、また、希望すれば六十五歳まで働くことのできる制度を有する企業はいまだ二割程度ということで、御指摘のように、今後六十五歳までの雇用確保が大変重要な課題となっております。 他方、今お話もございましたように、二十一世紀初頭には、労働力人口の四人に一人が高齢者となる、そういう超高齢社会が到来することが見込まれているわけでございまして、また一方で、我が国の高齢者の就業意欲は極めて高いという特徴もあるわけでございまして、これに対応して我が国経済社会の活力を維持するためには、二十一世紀初頭までに、希望すれば六十五歳まで現役として働ける社会、こういう社会を実現していくことが極めて重要でございます。 このため、労働省としましては、さきの通常国会で改正をいただきました改正高年齢者雇用安定法に基づきまして、まず第一には、六十歳定年制を基盤とする六十五歳までの継続雇用の推進、第二には、きめ細かな職業紹介によります高齢者の再就職の促進でございますとかシルバー人材センターの充実等、多様な形態による雇用就業の促進、また第三には、在職中の準備も必要でございますので、在職中の中高年齢者に対する職業生活の設計のための助言等、高齢期の雇用就業に対する援助に重点を置いて施策を推進していくこととしております。 またこれとあわせて、やはりさきの通常国会で改正をいただきました雇用保険法によります高年齢雇用継続給付制度の実施によりまして、高齢者の雇用継続援助促進をすることとしておるところでございまして、こういったことによりまして高齢者雇用の推進に万全を期してまいりたいと考えております。
○米田委員 高齢者雇用の将来においての充実を図る、その努力をされていることはもとより承知はしておりますが、しかし、産業の空洞化現象、これが始まっていると言われております。こういう問題とも相まって、日本の経済社会全体として、高齢者どころか若年の勤労者も含めて、近い将来、失業がより一層増大をしていく、そういう社会になってしまうのではないか、そういうおそれが大変大きいという声が出てきているわけでありますが、そういう状況の中で一体高齢者の雇用を本当に確保できるのか、心配がぬぐえないわけであります。その点も踏まえて、重ねて労働省の見解を伺いたいと思います。
○太田説明員 今先生御指摘の産業の空洞化なり今後の雇用失業情勢の見通しにつきましては、円高やあるいは景気の動向、さらには中長期的な経済成長の推移、また産業構造の変化によって異なってくるものと考えられるところでございますけれども、いずれにいたしましても、先ほど申し上げたとおり、先生も御指摘いただいたとおり、我が国の今後の急速な高齢化社会、こういうものが到来するわけでございまして、こういうものを踏まえて、私どもとしましては、二十一世紀初頭までに、希望すれば六十五歳まで現役として働ける社会、こういう社会をつくっていくことが何よりも重要ではないかと考えているところでございます。 このため、今全体として、先生御指摘のとおり雇用失業情勢は厳しいわけでございますし、その中で高齢者については、またとりわけ厳しいわけでございますけれども、先ほど申し上げました、さきの通常国会で改正いただきました高年齢者雇用安定法あるいは雇用保険法に基づきまして、六十歳定年を基盤とした六十五歳までの継続雇用の推進を柱としながら、高齢者の就業ニーズに応じた多様な形態によりまして、六十五歳までの雇用機会を確保するための施策を全力で実施してまいりたいと考えております。
○米田委員 高齢者が仕事を求めて体力やあるいはキャリアにふさわしくない職につく、そして苦労していくというような、こういう事態を招いてはならないと思うのですね、将来において。 そこで、二〇二五年には六十歳以上が総人口の三割を占めるという予測があるわけであります。三人に一人というような勘定に大体なりましょうか。そこで、三人に一人が引退生活でいいわけがないわけでありまして、そういう将来予測があるときに、やはりこの六十歳代の前半の方々というものを現役と年金受給者の過渡的な存在というふうに見るのではなく、むしろ将来の社会においての重要な労働力である、一線の労働力であるとみなすべきではないかと思うのです、基本的に。そして、だとすれば高齢者がその特性に応じて能力を発揮できる就労のシステムをつくっていくという、こういう積極的な前向きな考え方が必要ではないかと思うのですが、いかがでございましょうか。
○太田説明員 我が国の高齢者の場合特徴的なことは、六割近くの者が少なくとも六十五歳まで働くことを希望するということで、極めて就業意欲が高いということが言えるわけでございまして、こういった意欲にこたえていくことは、雇用政策の大変重要な課題ではないかと考えております。 他方で、高齢者の方々、特に六十歳を過ぎますと健康や体力など個人差が広がってくるわけでございまして、高齢者の雇用の場を確保するためには、高齢者がその知識、技能を生かせる形で現役として働けるように、勤務体制、配置等の雇用管理のシステムの見直しでございますとか、高齢者の方の働きやすい環境の整備を行っていくことが必要ではないか、大変重要ではないかと考えております。このため、私どもといたしましては、高齢者の配置でございますとか職務内容の見直しについては、専門家によります相談、援助を行っているほか、本年度から新たに、高齢者の方々が働きやすくなるような職場の改善を行う事業主に対しまして支給する助成金制度を新設したところでございます。 こういった施策を講ずることによりまして、六十五歳まで、高齢者の方々の特性も配慮しつつ、ニーズに対応した多様な形態によって現役として働ける雇用機会の確保に努めてまいりたいと考えております。
○米田委員 先ほどの質疑でも出た問題でありますが、十月二十日の公聴会で鷲尾公述人が、六十から六十五歳の別個の給付については、定年後に働くことを希望しても働く場がないなど働くことが困難な場合には現行どおり満額の年金を支給すべきだという意見を述べられました。先ほどの答弁を伺っておりますと、慎重に検討するというお答えでありましたが、慎重にではなく、ぜひ積極的に、この認定の問題というそういう難しい面もあるでしょうが、何とかクリアして積極的に検討していただきたいというふうに希望を申し上げておきたいと思います。 次に、老齢厚生年金と雇用保険の失業給付との調整の問題でありますが、これも既に各議員からの御指摘もございますけれども、やはり働く場所が本当に確保できるかという心配を先ほども申し上げたわけでありますが、この働く場所が確保できない人にとってはやはり大きな問題だと思うわけでございます。したがって、雇用の確保の展望が明らかになるまで平成八年の四月からの実施を先延ばしをしていただきたいと思いますし、また、雇用保険の高年齢雇用継続給付と老齢厚生年金との調整についても同様に実施時期を先延ばしをすべきであるというふうに考えるわけでございますが、重ねて当局の見解を伺いたいと思います。
○近藤(純)政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、今回の改正の大きなテーマといたしまして雇用施策と年金制度の連携を図るというものでございまして、その一環として雇用保険との調整を行わせていただいているわけでございますけれども、この厚生年金とそれから失業給付、それから高年齢雇用継続給付との調整につきましては、国民への周知期間が必要である、それから老後の生活設計への影響等があるという面も考えまして、失業給付につきましては平成八年の四月、それから高年齢雇用継続給付との調整につきましては平成九年四月から、こういうふうなことで猶予期間を置いたわけでございまして、国民への周知の期間等におきましてはこの期間で十分対応できるのではないかなと考えてはおりますけれども、老後生活設計への影響、これについてこの期間で十分ではないのかというふうな御議論があるということは承知いたしております。
○米田委員 国民年金の保険料は、現在加入者の三割近くが低所得者で保険料を免除されるかあるいは滞納していると聞いておるわけでありますが、国民年金の保険料というのは所得に関係のない定額制であります。ですから、低所得者層ほどこの負担感が大きいのは当然であります。また加えて、公的年金の将来が信頼できないと、納入を拒否する人も少なくないと聞いているわけであります。このままでは、将来無年金者やあるいはわずかな年金しかもらえない人が大量に出るのではないか。また、生活保護者などの支出がふえる心配もあるわけでございます。 こういう状態の中で、今回の改正では保険料がアップすることになっているわけでありまして、国民から見れば、勤労者の皆さんの賃金が上がってない、あるいは公共料金の凍結の解除、そして消費税率引き上げという問題もあります。そこへさらに保険料もアップするとなると、やはり相当苦しいものがあるわけでありまして、現行三分の一となっている基礎年金の国庫負担率を国民の保険料負担軽減のために引き上げることをぜひとも考えるべきであると思うわけでございます。与党も大方は本来この引き上げに御賛成だったはずでありまして、政府の責任できちんと財源を確保して国庫負担率を引き上げる、この意思をはっきりとお示しをいただきたいというふうに思うわけであります。
○近藤(純)政府委員 国庫負担の問題というのは大変大きな問題であるわけでございまして、巨額な財源が必要であるということのほかに、我が国の年金制度というのは社会保険方式を基本としているわけでございまして、その中での税財源のあり方というのが問題になるわけでございます。 それから、基礎年金の空洞化の問題への対応ということでございますけれども、国民年金の未納、未加入の方は都市部の若年層に多いわけでございまして、必ずしも未納者、未加入者が低所得者層であるというふうには限らない実情にあるわけでございます。必ずしも保険料が高いから納めないということではないのではないかというふうに我々考えているわけでございまして、国庫負担の引き上げたけが決め手にはならない、こういうふうに考えているわけでございます。したがいまして、いろいろ国庫負担率の問題については問題がございますので、これから国民的論議を行って、中長期的観点から検討すべき課題ではないのかなというふうに考えておる次第でございます。
○米田委員 次に、第三号被保険者の問題についてちょっとお尋ねをいたしたいと思います。 年金財政を強化するための一つの考え方として、当然ながら保険料を払い込む人々の数をふやすということが単純に言えばあるわけでありますが、その際、やはり第三号被保険者の問題を考えざるを得ないわけでございまして、サラリーマンの要約千二百万人が保険料を納めなくてもよい、結果として、その分を独身や共稼ぎを含めた厚生年金加入者が肩がわりをする形になっているわけですね。専業主婦の皆さんやパートタイマーの収入が一定限度以下の妻は保険料を払わなくてよいというこの制度は、実際には女性の就業意欲を妨げ、高齢化社会の基盤を弱くしているのではないか。千二百万人の専業主婦あるいは収入が一定限度以下の妻たちも、学生が保険料を支払っているわけでありますから、保険料を支払うのは当然である、それが年金財政にも寄与するのだという考え方があるわけでありますが、当局はどのようにお考えか見解をお尋ねします。
○近藤(純)政府委員 第三号の被保険者の制度は、昭和六十年の改正で女性の年金権の確立を図る、こういう趣旨で導入された制度でございまして、被用者の妻に、若干夫もいらっしゃるわけでございますけれども、独自の基礎年金を支給するという制度でございます。そのときに考えられました費用負担の仕方といたしまして、従来、厚生年金におきましては、妻の分も含めまして夫婦でまとめて世帯という単位で年金保障を行ってきたわけでございまして、そのときにはその保険料は所得に応じまして応能負担ということで、奥さんがいるかいないかにかかわらず応能負担でいただいているわけでございまして、六十年改正に当たりましてもこの考え方を踏襲させていただいたわけでございます。 被用者の被扶養配偶者、奥さんがほとんどでございますけれども、これにつきまして保険料負担を求めることはどうかというお尋ねでございますけれども、配偶者の方は一般的に所得がないか百三十万以下の所得であるとかいうことで、保険料の負担能力というのは非常に乏しいわけでございまして、ここから保険料負担を求めるというのは非常に難しい問題があるわけでございます。このために、女性の年金を保障する観点から、被用者グループ全体でその保険料を負担する、こういうふうな仕組みにいたしたわけでございます。 この問題につきましては、先生御指摘のようないろいろな議論もございまして、収入のない主婦に新たに保険料負担を求めるのがいいのかどうか、所得に応じまして保険料負担をお願いするという社会保険の仕組みとして適当かどうか、こういった問題もございますので、年金審議会の段階でもかなりの議論もございましたし、その後の議論もございます。引き続き検討課題ということで、これから真剣に取り組みをさせていただきたいというふうに考えております。
○米田委員 最後に、もう一点お尋ねをいたします。 大臣の所信表明でも触れられましたが、地域保健対策において今後医療にかかわるマンパワーの確保、充実が大変大切になってまいるわけでありますけれども、しかし実際には、若年の労働力がだんだん減少をしていく、さらにはまた、例えば看護婦さん等の実情を伺いますと、大変ハードな勤務状況の中で、医療にかかわる方御本人が健康を害したり、あるいは耐えられずにやめていく方も多いというふうに聞いているわけであります。こういう待遇の改善の問題とかあるいは若年の労働力が減少をしていくという傾向等をにらみながら、どうやって医療にかかわるマンパワーを確保していくのか、これは真剣に考えていただかないと単なるかけ声に終わってしまうと思うのですが、その点についてどのような展望をお持ちなのか、これは大臣に伺いたいと思います。
○井出国務大臣 お答えします。 御指摘のように、二十一世紀の本格的な高齢社会を国民が安心して暮らすことができるようにするためには、国民のニーズに応じた良質な医療を適切に提供する体制を確立するとともに、これを支える保健医療従事者を確保することが極めて重要であると考えております。 特に、医療マンパワーに占める割合の最も高い看護職員の確保については、これまでも養成力の拡充など各般の施策を講じてきたところでありますが、今後は若年労働力人口の減少もこれあるわけでございますから、それを踏まえ、養成力の拡充だけではなく、離職の防止あるいは再就業の促進、さらには待遇の改善にも重点を置いた取り組みをしていかなくてはならぬ、こう考えております。
○米田委員 以上、質問を終わります。
○岩垂委員長 野呂昭彦君。
○野呂委員 きょうはもういよいよ審議の方も大詰めになってきておりまして、幾つかのポイントについていろいろ議論もされてきたところでございます。全体的に今回の年金法、これは、私は今改革の会派におりますけれども、つい先般まで自民党内で、言ってみればそのときは野党で、そして今一緒にいる仲間が旧連立て与党のときに知恵を絞った、こういうことでありました。委員長の社会党も、そういう意味では最初の議論はきちっと入られてやったところでございます。 二十一世紀の超高齢化社会を活力ある長寿社会にしていこう、その中での年金制度は何だということで、幾つか大きな前提で、抜けておるものはあるかもしれないけれども、しかしそういう前提をとった中でひとつ目指そうという、そういう骨格は随分出ておるのではないか。ただ、例えば六十五歳の支給開始年齢の問題も、本来なら、減額方式というのは、やはり将来の過大な負担を抑えるという意味からいけばこれはそういう方式の方が効果も大きいということもございました。しかし逆に、では六十歳から六十五歳の雇用関係をどうするのだというような、雇用との連携ということを考えていったときに、一つの知恵回しとして別個の給付という、そういう部分年金の考え方、こういうものを導入していくということになった、これも長年の論議にそういう形で一つの決着をつけるということで、大きな評価ができるのではないかな、こう思います。 そしてまた、やはりそういう中での将来の負担につきまして、保険料そのものも三〇%に抑えるのだ、この大原則も打ち立てられてやってられた。そういう点では私は、多くの点について評価をいたしていきたい、こう思います。 しかしながら、そういう状況の中にありますけれども、やはり先ほどからいろいろとこの問題は議論をされておりますけれども、基本的に、国庫負担率の問題についてかたくなにこれまでの三分の一という前提の中で考えられておる。私は、ここの議論の高まりということを考えるならば、やはり政府としてはもう少しこの問題に踏み込んで今日の状況までに議論を詰めていく必要があったのではないかな、こんなふうに思っております。しかし、審議会等の意見を見ても、やはりそこがまだ踏み込めない。それは、行政もそこまでまだ踏み込める状況に至っていないという状況があったからだと思います。 ただ、この法案が出ましたときから今日までの状況というものを見てみますと、旧連立のこの法案が提出されたときには、確かにこの問題については財源の問題もある、そんなことで、これはもう少し長期的な課題がなというようなことで先送りにした状況はあったでありましょう。しかしながら、その後、やはり状況は、また社会経済状況も少しずつ変化を見せておるわけであります。 そういう意味では、例えば、サラリーマンそのものの給与の状況というのは、最近言われておりますように、なかなか実収入がふえない、あるいは横ばいないしはもう実質は下降ぎみではないかというようなことまで心配をされておりますね。そういう意味では、今回のこの法案の中では、将来やはり保険料の引き上げの見直しが必要だ。それは今まで、五年前に考えておった、五年ごとに二・二%よりもまだ高めなければいかぬ、二・五%お願いしていかなければいかぬ、そしてさらにボーナスでの保険料の負担もお願いする、そういうふうな負担については、これはしっかりと担保をこの法律もとっておりますね。ところが、実態が、勤労者、国民からいえば、そういうふうに負担に応じられる社会情勢で進んでおるのかといったら、景気の状況も大変厳しいからサラリーマンの実収入も少し少なくなってきている。 あるいは、これはいろいろ議論があるのでしょうけれども、羽田内閣では、そういう中で公共料金を、ひとつ上げをストップしましょうということが打ち出された。ところが、その後それも解除になって、公共料金はこれからどんどん引き上げられようとしておる。さらに、消費税の議論、これは皆さん、政府の方は五%ということでやろうとしておる。そして、これまでいろいろ議論を積み上げてきた中で、介護の問題はどうするんだ、介護保険ということになったらそれの負担はまたふえてくるんだろうか。要するに、負担ということへの担保というのは、これは政府は手がたいから確かにしっかりとっていくんですよ。だけれども、では、国民から見たときの将来の年金というのは、私たちから見てどういう姿になるんだという明示が、どうもここのところが財源を理由にして鈍っておるのではないか。 そういう意味では大臣、これは大臣だからというそのことではなくて、政府の大事なお立場で、そういう社会的な状況が変化しておる。そのことを、政権が旧連立から皆さんのところへかわったわけですから、少なくとも政治家としてそういう状況変化があるから、旧連立のときに、これは丹羽元大臣も入っておった、さきがけも加わってできた法案であるけれども、新たにできた政権の中でこの年金法についてはやはり議論の土台としてもう少し政府側から、少し違った状況というものを議論の場に提供しようということは検討されなかったのですか。
○井出国務大臣 野呂先生おっしゃいましたように、この法案が提出されてから政治は随分大きく変わったことは事実でありますが、この法案そのものは、長い検討の結果、いろいろな御議論ももちろんありましたけれども、現在においてはベストのものと思って提出したものでありますから、厚生省といたしましては、その上でこの委員会で御審議をいただきたい、こういう姿勢でおりました。
○野呂委員 仕事の責任上、厚生省を代表するお立場からいけばそのような答弁になることはいたし方ないのかなと思っても、今政治そのものが変わろうとしておる中からは、井出大臣がそういう政治家としての線をどこかでもっと生かそうとしたという面が見えなければいかぬのではないか。そういう議論が、大臣が厚生省の内部での議論の中でいろいろやられたのか、そのことについては、大事な厚生行政を国民のサイドから預かるという立場で、今後もう少し真摯に、それは一人の政治家に振り戻った中で、ぜひ大いに議論をやっていただきたいな、このことを私はお願いしておきます。 そして、世代間の負担の格差の是正ということは切り離してというような、今までの議論の中でも大臣は答弁されていますけれども、私は、まさに世代間の負担の格差を是正する最も大きな一つの手だてとしてこの国庫負担率の問題を考えていかなければならないのではないかな、こんなふうに思っております。 今、事国会の中は、さきがけさんもそうでありますし、社会党さんもそう、それから自民党の方では、丹羽先生、今来られておるけれども、小委員会で、この問題について上げようではないか。旧連立は少しためらっておったけれども、やはり財源の問題、政治的な責任を、我々もともにその責任を十分認識した上で、しかし、国民には将来の年金の姿として、それを方向として位置づけることが大事なのではないか、そういう認識が今の国会の状況の中に随分あると私は思うのですよ。それは、財源の問題に我々がしっかり責任を持って、しかし、法律としてきちっとそこを国民にビジョンとして姿を示していく、このことが大事であろうかと思いますが、大臣の所見をもう一度聞いておきたいと思います。
○井出国務大臣 今野呂先生から御指摘ございましたように、確かに私はさきがけに属しておったわけでございます。国庫負担の問題については、当時まだ旧政権時代でございますが、あれは六月の下旬でしたか、社会党、さきがけあるいは青雲、民主の風の中で、福祉・行革・税制協議会福祉プロジェクトというのを組織しまして、そこで検討いたしました。その中で、基礎年金の税方式への移行を展望しつつ、税制抜本改革に当たって国庫負担率を段階的に引き上げていくよう、租税、財源措置を講ずる必要がある旨発表したところでございます。 ここでも示されておりますように、国庫負担率を引き上げるためには財源措置が必要でありまして、国庫負担のあり方の問題は、やはり今回の年金改正とは別個の問題として検討すべきという、今の私の姿勢と当時のプロジェクトチームで発表したのと矛盾はない、こう私は考えております。
○野呂委員 この議論は尽きないわけで、これぐらいにいたします。 さて、この年金改正であと残されておる課題、これは局長、例えば次の財政再計算に向けて残されておるなと思う課題、少し述べてください。
○近藤(純)政府委員 年金審議会の方でいろいろ御議論いだだきまして、その中で取り残しになっている部分というのが我々としては残された問題の一つかなと思っておりますが、一つは一元化の問題でございまして、これは現在取り組んでいるわけでございます。 喫緊の課題といたしまして、JR問題がある。直接私どもが所管しているわけじゃございませんけれども、公的年金制度全体を預かる年金担当大臣のもとでの厚生省でございますので、相応の協力をしなければいけない、こういうふうに考えているわけでございます。 それから、先ほど御質問がございましたが、女性の年金の問題、その他自主運用事業の問題とか、いろいろ課題としては残ってございます。
○野呂委員 今一元化の問題に触れられましたね。これは確かに大きな問題です。ただ、一つ忘れぬと考えておいてもらいたいのは、国庫負担の問題です。これは次へ向けてやはり大事な議論ですから、きょうの、今の時点ではまだそうであっても、これは大事な問題だということで、御認識はいただいておかなければなりません。 さて、一元化ですが、今懇談会を設けてやっておりますね。これは、政府は平成七年完了目途ということになっておりますね。作業はどうなっていますか。どうも一元化の議論というのは、来年目途だという割には、どこまで進んでおるのか、実際にできるのか、私はちょっと心配をいたしておるのです。
○近藤(純)政府委員 この一元化の問題につきましては、先生御指摘のとおり、平成七年を目途に一元化を完了させるということで、これまで基礎年金の導入でございますとか、あるいは被用者年金制度間の費用負担の調整制度、こういったものをつくってまいりまして、一元化を逐次やってきているわけでございます。 現在残っている面につきましては、給付面ではかなりの均一化ができておりまして、残る若干のものはございますが、ほぼ各制度そろってきたと言えるわけでございますけれども、費用負担の面、ここら辺が差があるわけでございます。これをどうするかということでございますが、この極端な例がJRの問題というふうに考えております。 この問題につきまして、検討していただくために、各制度の関係者から成ります公的年金制度の二元化に関する懇談会を設置して、二月から御論議いただいているわけでございます。正直申し上げまして、議論はまだ現状の検討、それからフリートーキングの段階ということでございます。一、二カ月で全般的な検討を終えるというのは非常に難しい時期に差しかかっているわけでございますが、私ども、この法案の審議と並行いたしまして精力的にやっていきたいと思っておりますが、喫緊の課題でございますJR問題、その他の急ぐべきものにつきましては、年内に結論を得まして、その結果に基づきまして予算措置をしなければならない、こういうふうに考えております。
○野呂委員 大事な問題なので、これは大分、本当に急いでも石わなきゃいかぬと思うのです。 それで、JR問題は確かに大きいのでありますけれども、しかしながら一元化ですから、ただ、個々のJRの問題が大きいからといって、全体の姿をやはりきちっと早く提示するということが大事である。例えば、年金数理部会の第三次報告書では、財政方式は三つのモデルが出ておりましたね。ああいう姿、どれになるのか、そういうことも、私は大臣に、国民の前に大体こうだという議論を詰める方向をやはり示していただく必要があるのではないかな、こう思います。ただ、やはりJR問題は、確かにおっしゃるように、この問題の最大の問題であることは間違いありませんね。 そこで、大蔵省、実は十月四日の新聞に、年金財政の見直しを進めている大蔵省は、JR、JTそれからNTT、これを厚生年金に統合する方針を固めた。そして、一兆円前後の持参金をJRにはつけてやる。こんな記事が出ておるのですね。これは聞いたって、私どもそんなことを出すわけはありませんと言うでしょうけれども、一般的な見方は、大蔵省がこの議論に少しあれするのにこれはリークしたのじゃないかな、こういう話があって、まことしやかに言われておりますね。 そこで、この持参金と書いてあるのは年金の移管金の話でありますね。それで、これは鉄道共済を今後どうするかということにおいて、やはり厚生年金と一緒にするというような案というのは相当有力なのでありますか。
○松川説明員 まず最初に、御指摘のありました新聞報道に関して申し上げたいと思います。 去る十月四日付の読売新聞の朝刊に報道されていた件を御指摘だと存じ上げますが、確かに鉄道共済年金問題を含みます公的年金制度の一元化につきましては、いろいろな方面でいろいろな意見が出ておりますので、そういった問題を十分心すべくさまざまな形で研究はさせていただいておりますけれども、報道にありますように、何か特定の方針を固めたということは事実ではございません。 ただ、いずれにいたしましても、公的年金制度の整合性ある発展を図っていくためには、制度の一元化を進めるということは極めて重要ではないかと考えております。とりわけ鉄道共済の例にも見られますように、産業構造等の変化にも十分対応できるような年金制度を確立していくということ、それから、さらには制度間の給付と負担の差がございますけれども、その負担をできるだけならす方向で考えていくということが重要ではないか。鉄道共済の問題も、現在は制度間調整という形で財政支援を受けてやっておるわけでございますけれども、将来的には大きな公的年金制度全体の議論の中で、今後鉄道共済のあり方をどうするかという形で議論していく必要があるのではないかと考えております。 そういった意味におきまして、現在、公的年金制度の一元化に関する懇談会において議論されているところでありますので、早急に検討を進めて適切な対応を図ってまいりたいと考えております。
○野呂委員 さっき近藤局長が、JRの問題は大きいからことしじゅうに結論を出されければならぬというような話をしている割には、何かまだそういう方針とか、そういう議論が行われているわけではない。私はその辺を非常に心配いたします。 しかし、いずれにしろ、これは本当によく議論してもらわなければいかぬ。ただ、やみくもに厚生年金に統合したらいいのだといったって、厚生年金の方だって、何でそんな財政事情の悪いJR共済を受けなければならぬのだ、こういう問題も起こってきますよ。それでは、持参金をようけつければいいんじゃないか、持参金をようけつけるといったって、そのお金をどうするのですか。税金でやるのですか、あるいは事業団の方へ、じゃ、おいねかすのか、あるいはJRの方で持たすのか。今だって調整事業で相当な自助努力で持っていますね。こういう問題を考えていきますと、やはり一方でよく考えなければいかぬ。 ちなみに、新聞では約一兆円の持参金ということが載っておったけれども、これは多分、ちょっと計算機ではじいてみると、その持参金の算定ルール、これは幾つかあるのだろうと思うので、後で年金局長、ちょっと算定のルールを、幾つかあったら申し述べていただきたいのです。例えば被保険者一人当たりの積立金、その厚生年金の積立金に該当するものをJRに持ってきたらどうだ、こんなことでやりますと、割と低い額になってしまう。では、被保険者プラス年金受給者の、プラスの合計で一人当たりの積立金を見ると、厚生年金は大体二百四十万前後であります。これにJRの人数、これは加入者と受給者五十二万人を掛け合わせますと一兆二千数百億円になっています。ところが、JR自身の積立金が今二千八百億円ぐらいありますから、それを差っ引くとちょうど一兆円、なるほどな、うまいこと計算したな、こう思うけれども、一兆円という数字はそういうところの根拠がなという感じはいたしますが、しかしそれは何も合意できるような数字として、これは新聞が勝手に書いたといえば、そうなんですね。一体全体、年金局長、その算定のルールというのはどういう算定のルールがあるのかな。 例えば、六十一年の船員保険の統合のときには、これはたしか石炭産業等の鉱業従事者の積立金のようなものを持ってきて、それで計算した。だから、鉱業だから斜陽産業、言ってみれば非常に悪い状況の中でのものを横並びで持ってきたから、移管金は割と低くなったような感じもありますよ。そこら辺は、厚生省としてみれば、厚生年金が議論に上るかもしれない。そういうときにこの辺は一体どうあるべきなのか。ルールもしっかりしていませんね。その場その場。例えば、昭和二十九年の私学共済のときあるいは昭和三十四年の農林共済のときも、それぞれのあれがあるんでしょうね。これは厚生省としてどう考えておられるのか。
○近藤(純)政府委員 厚生年金とJRの関係を抜きにいたしまして一般論で申し上げますし、さらに船員保険と厚生年金は昭和六十一年に統合されておりますので、その例で若干申し上げますと、船員保険と厚生年金というのは実質的には一緒に運営されてきたわけでございまして、両者の交渉法という非常に複雑な法律もあったわけでございまして、同様の財政運営も行ってきたわけでございます。 この制度を統合するに際しましては、厚生年金と厚生年金の第三種の被保険者、これは坑内員でございます、坑内員の積み立てレベル、いわゆる現在現に受給されている方が将来おもらいになる給付費用、それから現在の被保険者がそれまでの加入実績でおもらいになる給付、これを現在の価格で直したものを過去期間分の給付現価と称しているわけでございますけれども、それに対して積立金をどの程度持っているのか、この比率で移管させていただいています。 したがって、もう一度申し上げますと、船員保険の場合には、厚生年金の坑内員の積み立てレベルに合わせまして移管をやっている。したがって、一番完璧にやりますと、給付現価を全部持ってきてもらう、給付現価を全部持ってきて移管をするというのが一番完璧な方法だろうと思います。いろいろなやり方というのはその場その場に応じてあろうと思いますが、やはり厚生年金と船員保険というのはかなり実質的に一体であったという認識が必要だと思いますし、今まで沿革も、交渉もほとんどなかった制度との統合の場合というのはおのずと違ってくるのではないかというふうに考えております。
○野呂委員 それで、給付現価でもし考えていくと、大体JRの場合には、どこへ移管するにしてもどれぐらいのものになるのですか。これはわかりますか。
○近藤(純)政府委員 私ども、所管もしておりませんので、ちょっと把握いたしておりません。かなりの多額の額になろうかと思います。毎年二千数百億円の赤字が出るというふうな形になっておりますので、それの何十年分というオーダーの金になろうかと思います。
○野呂委員 確かに、そういう給付現価まで考えていくと数兆円以上の規模のものも考えられる。一方で、例えば積立金で被保険者一人当たりというような換算を仮に厚生年金と比べてやった場合には数千億円という額になる。非常に十倍以上の幅があるわけですよ。そういう議論が実はこれまで余り議論として提供されていない。政府側の検討も見えていない。そういう中で、一体全体、一元化というのはJR問題が最大の問題だ、こう言っておるにもかかわらず、その議論がいまだに見えてきていなくて、一体、年末までにできるのですか。私は非常にこの点は危倶しております。もちろんこれは、そうかといって議論を慌ててやってさっと片づければいいんだというほどのそんな簡単なものではない。そういう意味では、一元化そのものの議論の中でもやっておられるように、やはり関係者全体がこのことについて合意をできるものでなければなりませんね。 私はぜひこの機会に、JR問題を含めた一元化の議論についてはどうもいま一つまだ政府の熱意が伝わっていない、ならば、平気でうたってきたけれども、一元化の来年の完了などというのはうそごとといいますか、そらごどのように聞こえてならないので、このことを指摘を申し上げて、私の質問を終わります。
○岩垂委員長 岩佐恵美君。
○岩佐委員 私はまず、無年金障害者の問題についてお伺いをしたいと思います。 無年金障害者の人数やあるいは実態について把握しておられるかどうか、その点についてまず伺います。
○近藤(純)政府委員 無年金の障害者の実態でございますけれども、無年金ということでございますので私どもの対象から漏れているということもございまして、受給者についてはもちろん統計を持っているわけでございますけれども、受給していないということで漏れているということで、納付要件に該当していない者を初めといたしまして、そもそも障害等級に該当しているかどうか、こういうこともわからないということもございまして、私どもとしてすべての把握というのは困難であるというふうに考えております。
○岩佐委員 私の手元に無年金障害者の会が行った実態調査がございます。ここでは、今まで無年金障害者がどういう事情で無年金となったか、無年金は本当に個人責任なのか、国や自治体に責任は全くないと言えるのか、仮に本人に責任があったとしても生涯にわたって無年金のペナルティーを科すのが妥当なのかどうか、こうしたことを明らかにするためにこの調査は行われたということであります。 そしてその中で、なぜ無年金になったのか。本人の意識の問題として、例えば「障害年金の知識」について、障害年金のことを知っていたという人は三割程度で、知らなかったという方が六割以上。あるいは「任意加入制度についての知識と行政努力」ですけれども、これも任意加入制度を知っていたという人は四割近く、知らなかったという人が四割、四四%近い。それから任意加入の勧誘があったというのは一七%で、六割以上がなかったと答えています。 こういうふうに、この障害者の皆さんがもともと年金の制度を知っていないとか、あるいは知らされていないとか、こういうような実情にあることがこの調査では明らかになっています。私は、行政、制度の谷間でこのような無年金障害者になってしまった、こういう問題について国、行政の責任というのは免れられないのじゃないか、そういうふうに思います。ぜひその点について大臣、私は、こうした皆さんの実態調査を行う、そして有効な、本当にこの皆さんが救われる、そういう手だてをとられる、このことが今本当に切実に望まれていると思いますけれども、いかがでしょうか。
○近藤(純)政府委員 先ほど申し上げましたように、障害無年金者の調査というのは非常に難しいわけでございますけれども、私ども、別の部局ではございますけれども、障害者の実態調査を何年か置きに行っております。身体障害者の実態調査というものでございますけれども、障害者全体につきまして幅広く調査を行っているわけでございまして、この中で、障害者で無年金の方が調査で把握できるかどうか今後研究してみたいというふうに考えているわけでございます。 それから、障害者の方につきましては、福祉の問題というのが非常に多くなるわけでございまして、これは厚生省としても非常に重要な課題というふうにとらえているわけでございまして、各般の分野にわたります障害者施策の推進に取り組んでいるところでございます。
○岩佐委員 幾つか具体例があるのですけれども、私のところへ来た手紙によれば、大学二年のとき新聞配達中に交通事故に遭い、現在二級の障害者となった、厚生年金に入っていたが六カ月たっていなかったため、無年金となってしまったというものです。六カ月未満者が障害基礎年金をもらえるようになったことは一定の前進と言えますけれども、この方の場合のように、厚生年金加入者、この方に厚生障害年金を支給できるようにすべきだというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
○近藤(純)政府委員 厚生年金に加入後六カ月未満で障害者になられた方につきましては、それまで保険料の滞納がなくても支給されないというケースがあったわけでございまして、こうした方々を、制度に加入しながら、現在の障害基礎年金の支給要件に該当しながら、過去の制度の谷間の中で支給されないという方々につきましては、今回の法改正によりまして障害基礎年金をお出しするということになったわけでございます。 この障害基礎年金は、全体の制度が金を出し合いまして給付をするというケースでございまして、厚生年金では厚生年金の支給要件に該当しなかったわけでございますので、これを厚生年金で救済するというわけにもまいりませんので、これを全体としての、全国民共通の基礎年金の中で支給をする、こういう形で今回の法改正をしようということで提案をさせていただいている次第でございます。
○岩佐委員 基礎年金だけじゃ暮らしていけない。厚生年金にせっかく入っていたわけですから、そういう方が私は救済されるべきだというふうに思いますし、この点はもっと前進的に考えるべきだというふうに申し上げておきたいと思います。 任意加入のサラリーマンの妻が国民年金に加入していなかったために、障害者となってしまった、そして年金が支給されない、あるいは景気が悪くて保険料を滞納している間に障害者になってしまった、そういう方などからいろいろ話を伺っていますけれども、気の毒な例が余りにも多いわけですね。それで、年金は保険だから掛けていない者には年金は出ませんというような冷たい行政の返事だとか、対応だとか、あるいは年金がなくても生活に困れば生活保護があるのだからいいじゃないかというような回答が返ってくる。本当に、この無年金障害者の会のアンケートの中にもそういうことが訴えられていますけれども、悩んで苦しんでおられるわけですね。 保険制度になじまないと言うけれども、二十歳以下の障害者については、一九八六年四月から、保険料を払っていない障害者にも基礎年金を支給する制度が発足をしているわけですね。ですから、二十歳を超える方にも、制度の谷間で無年金になってしまったそういう方々にも、この保険制度の中でぜひ適用されないかという訴えがあるわけですね。 それで、井出大臣、無年金者の生活実態もこのアンケート調査の中にあるのですけれども、例えば収入ゼロという方が半分なのですね。要するに、もう無年金者が自立して生活するというのはなかなか難しいのですね。相当重い障害を持たれる、仕事がない、そういうことで収入がないわけですから自立てきない、そういう実態に置かれているわけです。 御承知のように、国際障害者年では、障害者の自立を確保する、そのためにいろいろな支援がされるべきだということが強調されたわけですね。本当に障害者にとっては、自立というのはとても大事なことなのです。そういう点で、障害者のこの声をぜひ受けとめて、この障害者の無年金をなくすということでの大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
○近藤(純)政府委員 何度もお答え申し上げておりますけれども、公的年金制度は社会保険方式で行われておりますので、保険に加入されていなかった方々はお気の毒なケースは非常にあろうかと思いますけれども、非常に困難に考えているわけでございますが、制度に加入されていなかったりあるいは滞納された方、これはいわゆる制度の谷間の方ではございませんので、まさに加入されなかったり、滞納されたということでございますので、制度の谷間で、ちゃんと保険料を納めていたという方々については、これはやはりバランス上救済する方がベターではないか、制度に加入されていなかった者まで影響を及ぼしますと、これは制度そのものが崩壊してしまう、こういうふうな考え方でございまして、先生せっかくの御指摘で、非常にお気の毒なケースは多いと思いますけれども、年金制度として対応することは極めて困難であることを再々申し上げたいと存じます。
○岩佐委員 人に優しい政治、そういうふうに言っておられる今の内閣ですね。本当は私は、無年金者の悲痛な叫びというのを受けとめる、そういう政治であってほしいというふうに思うのですね。それが人に優しい政治なのじゃないですか。私は、大臣の、政治家としてのお答えを伺いたいと思います。
○井出国務大臣 ただいま局長申し上げましたように、大変お気の毒なケースのあることを私も聞いておりますけれども、やはり制度の基本にかかわるものであることもこれまた事実でございまして、制度を維持するという意味ではその御要望にこたえることは非常に困難だと思います。しかし、障害を有する者に対する福祉の問題は、厚生行政にとって最も大切な、重要な課題であると認識しておりますから、各般の分野における障害者施策の推進に取り組んでおりますし、また今後ともより一層努力していかなくてはならぬ、こう思っております。
○岩佐委員 二十歳未満の方の場合はきちんと適用されているわけですから、それは私は検討すべきだというふうに思っているわけで、そのことを再度申し上げておきたいと思います。 今の年金制度について、我が国の年金は国際的に遜色のない水準に達しているという発言が繰り返されるわけですけれども、本当に遜色がないのだろうか。 かつて年金局長をやっておられた山口新一郎氏が当時の状況を、厚生年金の現状では平均十万八千円となっている、しかし全部がその程度の年金をもらっているならまあまあであるが、加入期間が短く十万円台を割っている人が六割を占めている。つまり厚生年金受給者の半分以上が十万円を割っているわけで平均だけの議論は非常に問題がある。西欧に遜色ないなどとよく言われるが、受給者の実情から見ればまだそれまで行っていない。国民年金に至っては現実に出ているのは二万円台ばかりで西欧に遜色のないところの話ではない。ましてこちらの方が五百万人と多い。受給者の実感からいって西欧に遜色ないなどと言われたら反感を感じるわけである、当時こういうふうに言われているわけですね。 多少数字の変化はあると思いますけれども、私は構造そのものは変わってないというふうに思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
○近藤(純)政府委員 山口新一郎年金局長の時代にはまだ大宗が老齢福祉年金のころでございまして、恐らく当時からしますと十分の一ぐらいに、まさに全額国庫負担のものになっておりまして経過年金というのが主流のころであったわけでございます。これからはいよいろ本格的な、三十数年あるいは四十年近く入られる年金というのが主流になるわけでございまして、これからの年金水準というのは、制度的にはもう既にかなりのものに来ておりますので、成熟度が進めばかなりの水準になっていくというふうに考えているわけでございます。 三万円台という国民年金のあれでございますけれども、これは経過年金がまだ残りております。それから、受給者が早目に年金をいただく、こういうことで減額された年金になっている。こういう減額した年金が低い年金の額として反映しているということでございまして、これから成熟化が進んでまいりますと、諸外国に比しまして遜色のない基礎的な水準ではないかなというふうに考えているわけでございます。
○岩佐委員 十一月十一日から支給するといわれている老齢福祉年金ですけれども、これでも三万三千三百円ですね。そして、厚生年金受給者で十万円以下が現在でも百二十二万人、二一二%もいるのですね。国民年金の平均受給額というのは三万七千円。三万円台が四百十九万人、二万円台が二百二万人、合わせて六百二十一万人。つまり六九%、七割近い皆さんが二万円台、三万円台なわけですね。 しかも、ニューヨークの物価というのは日本の四割だというのですね。日本は本当に今土地、家屋、それから教育費、食料品が高いですね。そういう中で一体どうやってこういう年金で暮らしていくのか、こういう今悲痛な叫びが上がっているわけですね。五万円の最低限、これを本当に年金に持ってくるというようなそういう底上げが今必要だというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
○近藤(純)政府委員 厚生年金は定額部分とそれから、定額部分は今基礎年金になってございますが、その上に報酬比例ということになっているわけでございまして、基本的には期間に比例をいたしましてふえる。それから、報酬比例につきましてはその期間にプラスして現役当時の報酬の額のいかんによって変わってくる、こういうことでございます。 確かに女性の場合には賃金も低い、それから短い期間しか勤務されない、こういう方が多いわけでございますし、確かに現在の若い人は非常に長い期間被用者として暮らすわけでございますけれども、まさに農業からサラリーマンに移ってくるというふうに、中高年になられましてからサラリーマンになる、こういう短い期間で年金を受給されている方も非常に多いわけでございまして、こういう方を入れれば確かに御指摘のような低い年金の方も多いわけでございます。 しかし、これから女性も長期間勤務され、賃金も逐増されてくる。それから長期間お勤めになるということになりますと男女間の差別もなくなりますし、それから期間が長くなりますのでその意味での制度水準に近づいてくるのではないか、こういうふうに考えております。
○岩佐委員 それは厚生省の願望にすぎないのではないですか。女性の給料というのは男性の六割ですね。これがなかなか是正されてないではないですか。それに長期間働くといったって、今雇用制度が非常に不安な状態ですね。だからそういうことも保証の限りではないわけですから。何かよくなるというようなことを言って、それで西欧に比べて遜色がないなどというのは本当におかしいと思うのですね。現実の数字はそのことを示していないのではないですか。 それに、厚生年金の今度の部分年金の問題ですけれども、六十五歳への繰り延べによる部分年金ですけれども、これは六十歳代は前半は働きなさいというような、そういうことになるわけですね。私は、休息の権利をこれは奪うものだということを言っているわけですけれども、現在の雇用情勢では、もし働く意欲があっても働けない、こういう労働者を生み出すわけですから、とても大変です。 そういう中で緩和策として、長年働いてきた労働者や障害者については六十五歳を待たないでも受給できるようにする、こういうふうになっているわけですけれども、その内容と、予想される人数はどのぐらいなのか、端的にお答えいただきたいと思います。
○近藤(純)政府委員 将来の見込みでございますけれども、平成二十二年、二〇一〇年の推計値でございますが、障害者につきましては五万人程度、それから四十五年以上の長期加入者につきましては、明確にはわかりませんが二十数万人程度ではないか、こういうふうに推定をしております。
○岩佐委員 大変わずかな人数ですね。四十五年以上加入というのは、結局中学を出てすぐ働き出した、そういう方々だけですね。中卒の就職率というのはわずか一・七%ですから、本当にわずかになるわけですね。また、障害者の年金も今の数字でも本当に少ないわけですね。 ドイツ、イタリア等では、この間も申し上げたように、三十五年働けば、六十五歳の年金支給ですけれども六十三歳で受給できるとか、障害者の範囲も非常に広くとっているわけですね。ですから、日本のように定年制があってそこでやめなければいけない、仕事は確保されない、やめることと年金がつながらない、こういう国というのは本当に世界でも例がない、非情なものだということで今国民の問からも怒りが広がっているわけです。こういう実態というのは本当に改めるべきだというふうに思いますけれども、その点いかがですか。
○近藤(純)政府委員 先生、先ほど、中学校卒業だけだということでございますけれども、これは六十歳からなるのは、確かに中学校卒業の方だけでございますけれども、例えば高等学校を卒業されまして四十五年で六十三歳ということになりますと、六十三歳から四十五年になれば出る、こういうケースがあるわけでございます。 それで、四十五年という期間でございますけれども、これからの職業生活というのを考えますと、厚生年金の加入期間というのは大体四十年に近づいてきておりまして、特例として、例外措置という形で決められるわけでございますので、やはりそれを相当上回る年数の方でないと特例という形にはならないんではないか、こういうふうなことで四十五年というのを設定させていただいているわけでございます。
○岩佐委員 年金制度は西欧に遜色ないところか、外国の場合三十五年掛ければいいわけですから、もっと短いところもあるわけですから、日本はそういう点でも大変冷たい制度だということを申し上げておきたいと思います。 今度の改正で被保険者の負担が非常に上がるということですけれども、国民年金の検認率、これが一九六五年から八四年までの二十年間、この問は九〇から九六%を維持していたわけですけれども、六十年改正以降は八〇%台に低下をしております。この大きな原因というのは、保険料の値上げであるというふうに思います。保険料の引き上げというのは、未納者を増加をさせ、年金の空洞化を促進させ、無年金者を一層ふやす、こういう心配が指摘をされているわけです。 ですから、保険料の引き上げではなくて、国庫負担をふやして保険料を引き下げる。もう何度も私もこの委員会で指摘をしてまいりましたけれども、国庫負担を二分の一にすれば国民年金の方は七千円下げられるとか、あるいは厚生年金についていえば三、四%下げられる、こういうことであるわけですから、そういう手だてをとる。そして、すべての人が加入できるそういう年金の制度をつくる、要件を整えるということが非常に今求められているというふうに思います。その点についてお答えをいただきたいと思います。
○横田政府委員 国民年金の検認率でございますけれども、先生御指摘のとおり、六十一年の前の六十年を見ますと八九・七%の検認率でございましたけれども、これが六十一年におきましては八二・五%となっておりまして、その後、平成四年には八五・七と、徐々に向上してきているところでございます。 六十一年に七・二%落ちているわけでありますけれども、この要因といたしましては、六十年の年金制度の大きな改正によりまして、全国民を対象とする基礎年金制度が導入されたわけであります。それまでは、サラリーマンの被扶養者たる妻につきましては国民年金に任意加入をされておりまして、この方が七百万人ぐらいいたわけでございますが、この制度改正によりまして三号被保険者として分離したということで、この任意加入の妻の納入率が非常に高かったということもございまして、この制度改正の前後で検認率が大きく下がったということでございます。 いずれにいたしましても、私どもにとりまして未納の問題は大きな問題でございますので、今後も都市部に重点を置きまして、最大限の努力を払ってまいりたいというふうに考えております。
○岩佐委員 今、国民年金、家族四人で五万円近い負担になるわけですね。これが将来的にこの倍になるわけですから、十万円近い負担になるということになりますね、まあ九万円近い負担になるわけですけれども。そういうことからいくと、もう掛金を上げるということが制度の崩壊につながっていく、そういうことだってあり得るんじゃないでしょうか。そういう点で、本当に真剣にこの制度、保険料の引き上げたけ、国民に負担をかぶせるだけ、そういうことで何とか乗り切るというようなことでは、もう未来がないということを指摘をしておきたいと思います。 京都の公聴会では、厚生年金の支給開始年齢の六十五歳への引き上げについて、半額や、私的年金では安心して老後を送れない、あるいは六十五歳支給は安易に考え過ぎだ、六十歳過ぎの人には危険な職場がある。この陳述者は電力の関係に勤めておられた方だそうで、屋外の鉄塔の整備などについては、これは六十歳はおろか五十五歳ぐらいで、もうそういうところ、危ないところにはつけなくなるというような具体例も話しておられました。また、社会保障の理念に逆行、そういう労働者の実態に合わないということだけではなくて、考え方も示されました。 中央公聴会でも、部分年金、これは低所得者、特に女性に影響が大きい、そういう指摘がありました。先ほど申し上げたように、男性の六割、また、勤続年数が女性の場合少ないということでそのまた半分になってしまうわけですから、そういう点では本当に重大な改悪だ、そういう意見が今国民の間には広がっているわけです。年金改悪に反対、改善を求める意見書というのも、地方議会では八百三十議会で採択をされているわけです。 実は、この委員会、中央公聴会や地方公聴会で非常に貴重な意見が出たと思うんですけれども、まだ議事録になっていないんですね。これは簡単な報告があっただけなんですね。私は、そういう国民の意見を本当によく聞いて、踏まえて、それでこういう改正というのは行っていかなければいけない、そういうふうに考えます。 その点について、最後に大臣のお考えをお伺いをしたいと思います。
○井出国務大臣 今回の提出いたしました改正案も、随分時間をかけて、いろいろな場面でいろいろな方の御意見をお聞きしながらまとめてきたと認識しております。今先生御指摘の公聴会、私もその場へは出席できなかったんですが、議事録をまた私も勉強させていただきたい、こう思っております。
○岩佐委員 終わります。
○岩垂委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 この際、暫時休憩いたします。 午後零時八分休憩 ————◇————— 午後二時二十九分開議
○岩垂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際、本案に対し、戸井田三郎君外二名から、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけの三派共同提案による修正案並びに井上喜一君外三名から、改革の提案による修正案が、それぞれ提出されております。 提出者より順次趣旨の説明を求めます。網岡雄君。 ————————————— 国民年金法等の一部を改正する法律案に対する 修正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○網岡委員 修正案の趣旨説明を行います、 ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけを代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。 修正の要旨は、第一に、在職老齢年金について標準報酬と年金との調整に係る基準額二十万円を二十二万円に改めること。 第二に、厚生年金保険法附則第八条の規定による老齢厚生年金と雇用保険法による基本手当及び高年齢雇用継続給付との調整は、平成十年四月から実施することとすること。 第三に、中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部を改正し、永住帰国した中国残留邦人等(明治四十四年四月二日以後に生まれた者であって、永住帰国した日から引き続き一年以上本邦に住所を有するものに限る。)に係る国民年金法の第一号被保険者としての被保険者期間等については、同法の規定にかかわらず、政令で特別の定めをすることができることとすること。 第四に、政府は、長期的に安定した年金制度を維持していくため、平成七年以降において初めて行われる財政再計算の時期を目途として、年金事業の財政の将来の見通し、国民負担の推移、基礎年金の給付水準、費用負担のあり方等を勘案し、財源を確保しつつ、基礎年金の国庫負担の割合を引き上げることについて総合的に検討を加え、その結果に基づいて、必要な措置を講ずるものとすること。 第五に、改正案の施行が、当初予定していた平成六年十月一日を経過したこと等に伴い、年金額の引き上げ等は平成六年十月一日から適用することとし、厚生年金保険の標準報酬等級の上下限の改定及び保険料率の改定は公布日の属する月の初日から適用することであります。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
○岩垂委員長 柳田稔君。 ————————————— 国民年金法等の一部を改正する法律案に対する 修正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○柳田委員 私は、ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、改革を代表して、その趣旨を説明いたします。 まず最初に、国民負担率以外の修正項目の要旨を説明いたします。 第一に、在職老齢年金の併給調整額の水準については、二十万円から二十二万円に引き上げることであります。 第二に、失業給付との併給調整については、実施時期を平成十年四月に、高年齢雇用継続給付との併給調整については、実施時期を平成十年四月にそれぞれ延期することといたしております。 第三に、中国残留邦人の年金については、沖縄復帰後の前例に倣い、昭和二十六年以降の期間について保険料免除期間及び追納期間として対応することとしています。 次に、「国庫負担率を二分の一を目途に段階的に引き上げることを附則に明記する修正について説明いたします。 我々は、今回の年金改正に当たり、重要な論点となった国庫負担率の問題について、財源確保の問題があることから、当初の政府案から切り離し、今後の重要な検討課題といたしました。しかし、その後、政治状況に変化があったという経緯とは別に、サラリーマン等の実収入が横ばいないしは減少するという厳しい社会経済状況の中で、今回の年金の掛金アップ、さらに消費税の引き上げ、公共料金凍結解除が決められており、今後、介護保険の検討などを考えると、国民の負担の担保ばかりが先行しているのであります。 財源確保や負担の問題を考えるとき、本来、将来の福祉ビジョンがまずあるべきであります。しかしながら、今回の税制改正では、何ら将来の福祉ビジョン、年金制度のあるべき姿が議論されることなく、単に消費税率の引き上げと申しわけ程度の福祉予算の確保が盛り込まれているにすぎません。このように理念もビジョンもない継ぎはぎだらけの税制改革となったのは、将来、どういう福祉社会を実現すべきなのか、それを支える国民全体の公平な負担とは何なのかという根本的問題を避けて、政権維持のための妥協のみが優先した結果であります。 我々は、去る六月に税制改革協議会のもとに設けた年金・医療等福祉に関する小委員会の報告書において、「質の高い福祉」を国民全体の公平な負担で支える二十一世紀の福祉ビジョンを国民の前に明らかにしたのであります。 その中で重要な検討課題とした国庫負担率の問題について、今回、将来の財源確保の問題について、我々も回避できない責任を持つとの認識の上に立って、国庫負担率を二分の一を目途に段階的に引き上げることを本法案に明示すべきであるとの結論に達したのであります。 与党側においても、自民党は六月一日の年金改革検討小委員会中間報告で二十一世紀からの国庫負担率の段階的引き上げを明確に提案しており、社会党も五月二十六日の「高齢社会福祉プログラム中間報告」において、「今般の税制抜本改革時に、国庫負担率を三分の一ら二分の一に引き上げる」と明示しているのであります。 今回の修正論議においても、当初与党側からは段階的に引き上げの方向を示したい、二分の一への引き上げを明示する、といった本修正案と同様の考え方が示されたのであります。しかし、与党の修正案に二分の一に引き上げるという明示がないのは、不思議でなりません。みずからの言動に責任を持つことが、政治の倫理であります。 次期財政再計算までに、財政上の問題には、税制も含めた総合的な検討をきちっと行い、結論を出す決意を政治家として共有することを前提に、国庫負担率を引き上げることを今回法案に明記するよう決断すべきであります。 良識ある委員各位の御賛同をお願いいたします。
○岩垂委員長 これにて両修正案についての趣旨の説明は終わりました。 この際、両修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。井出厚生大臣。
○井出国務大臣 ただいまの自由民主党、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけの御提案による修正案については、政府として、やむを得ないものと考えます。 また、ただいまの改革の御提案による修正案については、政府として、賛成しがたいものであります。
○岩垂委員長 これより原案及び両修正案を一括して討論に付します。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木俊一君。
○鈴木(俊)委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけを代表して、ただいま議題となっております国民年金法等の一部を改正する法律案及びこれに対して自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけが提出した修正案につきまして、修正案及び修正部分を除く原案に賛成の意を表するものであります。 本格的な高齢・少子社会の到来を目前に控えて、国民の老後の生活設計の中心的な柱である我が国の公的年金制度が引き続きその役割を十分に果たしていけるよう、制度を将来にわたって盤石なものとしていくことが要請されております。 政府原案は、このような要請にこたえて、本格的な高齢社会を活力ある社会とするため、高齢者の雇用の場の確保を初め社会経済全体のあり方が問われる中で、年金制度もこれに対応して人生八十年時代にふさわしいものに見直すとともに、年金制度を長期的に安定させるため、将来にわたり給付と負担の均衡を図る措置を講じるものであり、六十歳代前半の老齢厚生年金のあり方を見直すとともに、世代間の負担の公平の確保を図るための措置等所要の改正を行っております。 私は、六十歳代前半について別個の給付の導入や在職老齢年金の改善を図るとともに、厚生年金については、現役世代とのバランスに配慮し、再評価の方式を現役世代の実質的賃金の上昇率に応じたものに改めるなど、今回の政府原案の趣旨については高く評価できるわけでありますが、主として次のような諸点について所要の修正を行うことにより、一層の内容の改善が図られるものと考えます。 すなわち、第一は、在職老齢年金の併給調整額の水準について引き上げること。第二は、雇用保険との併給調整についての実施時期を見直すこと。第三は、中国残留邦人の年金について特例措置を講じること。第四に、基礎年金の国庫負担割合の引き上げに係る検討規定を置くこととしたところであります。 以上の修正は、本委員会でも十分に審議を重ね、最善の努力を尽くした上での結果であり、六十歳代前半の年金の見直し、後世代の保険料負担を過重なものとしないという原則を貫きつつ、さらに、本法案の目的の達成とその円滑な実施に資するものであると考えるものであります。 このように、国民年金法等の一部を改正する法律案並びに自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけ提出の修正案は、本格的な高齢社会の到来に備え、公的年金制度の長期的な安定と整合性ある発展を図るため重要な意味を持つものであり、私どもといたしましては、この修正案及び修正部分を除く原案に賛意を表するものであります。 これをもちまして、私の討論を終わります。(拍手)
○岩垂委員長 山本孝史君。
○山本(孝)委員 私は、改革を代表して、国民年金法等の一部を改正する法律案に対して、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけが提出された修正案に対し反対、改革が提出した修正案及びその修正部分を除く原案に対して賛成の討論を行うものであります。 今回の年金改正では、六十歳代前半層の雇用と年金の連携を保ちつつ、生涯にわたって老後の生活を保障し得る仕組みはどういうものがあるのかとの見地から、長期的な年金財政の安定も考慮した結果、六十歳からの別個の給付という新しい提案が生み出されました。 このほか、在職老齢年金の改善、世代間の公平を考慮したネット所得スライドの導入、雇用保険との併給調整などが提案されていますが、これらは、年金制度の長期的安定、国民の年金制度への信頼確保の観点から、二十一世紀を目前にしたこの時期に、どうしても実施しておかなければならない改革であると考えます。 さらに、在職老齢年金の併給調整額の水準の引き上げ、失業給付等との併給調整の実施時期の延期などの修正は、これが現在の国民的合意であると考えたいと思います。 我々は、「次期財政再計算時を目途に、国庫負担率を二分の一を目途として段階的に引き上げること」を附則に明記する修正を提案いたしました。もちろん、将来の財源確保の問題について、政治家としての責任を持つとの決断に基づいての提案であります。 与党側においても、特に社会党は、基礎年金の全額税方式が一貫した基本方針であり、昨年十月から本法案の基本的方針を討議した我々とのプロジェクトチームでも、一貫して主張されました。 五月十三日の衆議院本会議においても、社会党の野坂議員は、基礎年金の国庫負担率の引き上げについて、税方式を展望して当面段階的に引き上げるべきであると主張されました。こうした主張、みずからの言葉に責任を持っていただきたいと思います。このことを強く指摘しておきたいと思います。 次期財政再計算時までに、財政上の問題には、税制も含めた総合的な検討をきちっと行い、結論を出す決意と責任を政治家として共有すべきであるということを強調して、本改正案に対する私の賛成討論を終わります。(拍手)
○岩垂委員長 岩佐恵美君。
○岩佐委員 私は、日本共産党を代表して、国民年金法等の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。 反対の第一の理由は、厚生年金の支給開始年齢を六十五歳に繰り延べることです。引退と年金支給のリンクは社会保障の原則です。諸外国では六十五歳支給が当たり前と言われていますが、定年と退職は継続しており、ヨーロッパでは年金の繰り上げ受給や失業手当などによって、労働者は六十五歳よりはるか以前に引退生活入っています。六十歳で強制的に退職させられる定年制がある一方、年金完全支給は六十五歳となる、こんな国は日本だけです。このことは、超過密労働の中で働いてきた労働者や危険を伴う労働で早く引退したいという労働者の引退や休息の権利を奪うことになります。 また、定年制を定めている企業のほとんどが六十歳定年であり、六十一歳以上の定年を採用している企業は六%にしかすぎません。さらに、早期退職や出向の強要、首切り、リストラを名目にした人員削減などで、定年前に職場を追われる中高年サラリーマンがふえています。現在の不況下の雇用調整ではまず高齢者が対象にされています。仕事につけない労働者にとって、六十五歳への年金給付引き延ばしはまさに生存権にかかわる大問題であります。 さらに部分年金は、四十年加入の男性で平均十万円であり、女性はこの六割で六万円、そして勤続年数が短いケースが多く、その半分程度、二、三万円くらいにしかなりません。賃金の低い労働者、特に女性は厚生年金額の受給額の半額では到底生活していくことができません。 第二の反対の理由は、保険料の引き上げです。今回の改定で、厚生年金の保険料を引き上げるだけでなくボーナス分からも徴収し、最終保険料率は二倍となります。また、国民年金の保険料も、来年四月から一万一千七百円とし、将来二万円程度にまで引き上げるとしています。労働者にとっては大変な負担です。病院給食有料化、消費税アップ、公共料金引き上げなどで国民生活は大変です。国庫負担を二分の一とすると、厚生年金保険料は三、四%下がり、国民年金は七千円下がるとの試算もあります。国庫負担をふやし保険料を引き下げるべきであります。 第三は、年金の給付水準の切り下げです。政府は、従来標準報酬の六八%の給付水準を守るとしてきましたが、可処分所得スライドとすることにより、将来的には大幅な年金額の引き下げにつながっていくことは明らかです。 第四は、雇用保険との併給をやめることです。もともと雇用保険と年金は別々の目的を持ってつくられた制度で、労働者はそれぞれに長期間にわたって保険料を掛け続けてきたものです。失業保険を受け取っている期間、老齢年金が支払われないことに対して国家的詐欺行為だと労働者は怒っています。社会保障としての老齢年金は、受ける資格があれば無条件で受給者に支給されるべきであります。 今回のような圧倒的国民の権利、負担にかかわる重大な法案を、六十年改正時の半分程度という不十分な審議時間で採決することには反対です。 年金改悪に反対、改善を求める意見書を採択した地方議会は八百三十九議会にも達しています。国民、労働者の生存権を脅かす本法案の撤回を要求して、討論を終わります。
○岩垂委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○岩垂委員長 これより国民年金法等の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決に入ります。 まず、井上喜一君外三名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○岩垂委員長 起立少数。よって、本修正案は否決いたしました。 次に、戸井田三郎君外二名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○岩垂委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。(拍手) 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○岩垂委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。(拍手) —————————————
○岩垂委員長 この際、本案に対し、戸井田三郎君外三名から、自由民主党、改革、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけの四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者より趣旨の説明を求めます。三原朝彦君。
○三原委員 私は、自由民主党、改革、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけを代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 国民年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるよう配慮すべきである。 一 基礎年金の国庫負担の割合については、所要財源の確保を図りつつ、二分の一を目途に引き上げることを検討すること。 二 無年金である障害者の所得保障については、福祉的措置による対応を含め検討すること。 三 鉄道共済年金の再評価の繰延べ措置を含む自助努力等については、公的年金の一元化の在り方を踏まえ、その見直しを検討し、可及的速やかに措置すること。 四 別個の給付の特例措置については、次期財政再計算期までに、十分な検討を行い、必要な措置を講ずること。 五 国民年金の適用の推進並びに受給者及び被保険者に対するサービスの向上を図るため、速やかに基礎年金番号の導入を図ること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
○岩垂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 戸井田三郎君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 「賛成者起立〕
○岩垂委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。 この際、井出厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。井出厚生大臣。
○井出国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力をいたす所存でございます。(拍手) —————————————
○岩垂委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○岩垂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○岩垂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後二時五十六分散会 ————◇—————