安全保障委員会 第3号
- 発言数
- 100 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1994/10/27
会議録
○近藤委員長 これより会議を開きます。 第百二十八回国会、内閣提出、自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口那津男君。
○山口(那)委員 総理には、御多忙のところお越しいただきまして、ありがとうございます。短い時間ではありますが、ひとつ充実した議論をしてまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いをいたします。 そこで、まず初めに伺いますが、ザイールに自衛隊の部隊を派遣をいたしております。現在精力的に活動中であると伺っておりますが、これが十二月までの活動期間を一応実施計画で定めておるわけでありますけれども、現地の状況を見ますと、難民が大量にルワンダ本国へ帰還するということは現在のところ起こっていないようであります。これが短い期間にそういう行動が起こるというのも考えにくいわけでありますが、こうした傾向がずっとこの十二月いっぱいまで続いた場合に、現状に大きな変化がないままで、この部隊派遣をやめて終了させて帰国させる、こういうことは、せっかくのこの人道上の派遣という目的に照らして、国際社会から受け入れられるものかどうか、この点に私は疑念を抱いております。国連のPKO活動であるならば、これは国連のマンデートがありまして、その大枠の中で行動していきますから、先々の予定というのもある程度予測されるわけでありますが、このたびのようなUNHCRの要請に基づくこうした人道支援活動というものは、そうした見通しがなかなか立ちにくいというふうに思うわけであります。 そうした中で、現状に大きな変化がなかった場合に、我が国の判断として、十二月に帰国をさせるおつもりかどうか、この点についての総理大臣の御所見を伺いたいと思います。
○村山内閣総理大臣 委員御指摘のように、この自衛隊のルワンダにおける難民の救援事業は十二月三十一日までというように基本計画で決めております。したがいまして、その期限が来れば当然引き揚げることになるわけでありますけれども、現地でなおかつ自衛隊が行っている業務が継続して必要であるというような事態もまた、これはあり得ようかと思います。その場合には、要請のございました国連の難民高等弁務官の事務所と十分連絡をとりながら、そうした事業を行っておる関係機関とも引き継ぎを行って、事後のことに支障のないようにしなければならぬというふうに考えています。
○山口(那)委員 次に伺いますが、総理は、就任直後の記者会見で、自衛隊の最高指揮監督権があるかどうか、こういう記者団の質問に対して、そういう指揮監督権がない、これは多分誤りでおっしゃったんだと思いますが、しかしそういう発言をされたようであります。 しかし、こうした言動はやはり、自衛隊の最高指揮監督権、これは法律で、七条できちんと法定されているわけでありまして、余りにも無自覚、無責任な発言と、こう批判されても仕方がないと思います。多くの自衛隊の隊員、家族あるいは国民の注目される中でのこうした発言について、私はこの総理の姿勢というものについて、いささか疑問を持っているわけですね。もはや観艦式にも行かれましたし、今度は観閲式にも行かれるでしょうから、そういう自覚と責任感というものはもう疑いないものと思いますが、その点、御決意を確認いたしておきます。いかがですか。
○村山内閣総理大臣 これはまた後で御質問があるかと思いますけれども、これまで社会党が自衛隊にとってまいりました方針を転換をしてまいりました。自衛隊は憲法上も承認されるということに方針を変えたわけであります。 したがいまして、そうした方針も踏まえた上で、私は、この自衛隊の最高指揮官としての責任も十分痛感をしながら、自衛隊の諸君が政府の機関に対して信頼を持ちながらお互いにこの責務を遂行できるように、これからも万全の措置を講じていきたいというふうに考えています。
○山口(那)委員 そこで、自衛隊、かつて違憲という主張をされておって、最近合憲という御主張に変わられ、社会党という政党自体もこの方針を確認をしている、こういうふうに承知しております。 しかし、つい一年前は、社会党の月刊誌でも違憲という論調が張られておりましたし、また昨年の十月四日、衆議院の予算委員会でも、当時の社会党委員長であった山花国務大臣ほか社会党出身の各閣僚が、自衛隊は違憲であるということを明言しておりました。そして、一年たつかたたないかのうちににわかに、合意である、こういう結論を出されたわけですね。これに対して、このたびの衆議院の予算委員会あるいは参議院の予算委員会でたびたび議論になりまして、総理のいろいろな御主張が出てきたわけですが、私には、この議事録等を拝見しておりまして、その論拠というものがよく理解できません。甚だ不明確、非論理的というふうに私は思うわけですね。 例えば、歯どめなき軍拡の懸念が消えたからというような発言のところがございますけれども、しかし十年前の自衛隊と比較してみまして、社会党の党大会で出された「平和への挑戦」という資料の中に、一九八二年と九三年を比較してみると防衛関係費は一・八倍になっておる、また防衛計画の大綱制定時と比べると大幅に戦力はアップしている、こういう費用と装備の内容、双方の面で大幅な充実というものを認識しているわけですね。にもかかわらず、昔と比べてこれだけアップしているにもかかわらず、昔は違憲で今は合憲だ、こういうのは非常にわかりにくいわけですね。 また、軍拡の傾向にあるものはいかぬ、軍縮の傾向に入ればこれは合憲である、こういう何か傾向、トレンドを見て違憲だ合憲だと判断するのは、これは憲法解釈としては余りにも不安定な解釈と言わざるを得ません。 さらに、総理は、イデオロギー抜きの憲法論、安保論の土台ができた、こういうこともおっしゃっておりますが、これは社会党が合憲だとおっしゃったのでそういう土台ができた、これは結果を述べているだけであって、合憲を根拠づける理由には何もなっていないわけですね。 さらに、自衛力の存在を容認する国民意識が形成されてきている、こういうこともおっしゃっております。しかし、日米安保と自衛隊の相まった防衛体制については、国民はもう十五年も前からこれを六割以上の人が容認している、こういう世論調査の結果がずっと継続しているわけですね。今にわかに、この一年内で急速に変わったというものではありません。ですから、これも全く説得力がございません。 さらに、連立政権を担う立場で見解を変えた、こうおっしゃっておるようでありますが、これは昨年でも連立政権下で、社会党出身の委員長初め閣僚全部違憲だと主張しているわけですね。これが自民党と連立を組んだから合憲に変わるというのでは、これもまただれしも納得しないところであります。 したがいまして、総理が挙げられた、この内外情勢の変化で政策判断を変更した、こういう理由がいずれも合憲を基礎づける、合憲に変わった、こういう論拠としては全く説得力に乏しい、こう言わざるを得ないわけですね。この点について総理の御見解を改めて伺いたいと思います。
○村山内閣総理大臣 今委員御指摘になりましたように、社会党がこれまで自衛隊は違憲であるという立場をとってきたことはそのとおりであります。これは、米ソ超大国が対峙するという冷戦構造の中で、日本に対しても防衛力の強化というものが叫ばれておる。それで社会党は、平和憲法という憲法の理念を踏まえた上で、そうした防衛力は拡大されていく、二大国は対立していく、そういうことはもう憲法に沿わないものだという立場に立って、非武装中立という立場を堅持し、掲げて、そして自衛隊は違憲だからこれ以上拡大してはいかぬ、反対だ、こういう立場をとり続けてきたことはもう御案内のとおりであります。 しかし、この冷戦構造が崩壊する、例えばベルリンの壁が取り払われて東西が統一するとか、あるいは東欧が平和と民主主義を求めて開放されるとか、あるいはソ連が崩壊するとか、そういう状況の大きな変化がございましたし、それからまたG7にロシアもテーブルに着く、話し合いができる、こういう国際情勢の大きな変化の中で、日本の場合もやはりその変化を受け入れた形で物事を考える必要があるという、この情勢の変化に対応できるような政策の転換というものがある意味ではやはり必要ではないかというふうに考えてきたわけです。 これは突然変わったんではなくて、そういう国際情勢の変化を反映して、党内ではもう自衛隊は合憲と認めるべきではないか、いやまだいかぬ、こういう議論がずっと続けられてきているわけです。きている経過を踏まえて、たまたま社会党の首班内閣ができるというようなことを契機にして、この際ひとつ踏み切ろうというので、これは若干、ルールの点からいきますと全然問題がなかったわけではないと思いますね。やはり党内で十分議論をして、そして党が方針を変えて、それからまた私が発言をする、こういう順序になればよかったんだと思いますけれども、しかし、そういうことが許されない客観的な情勢がございましたから、もうこれは私がまず決断をして踏み切ろう、それでもって党で議論していただいて、もしそれが否決された場合にはそれはやむを得ないことだし、できればひとつ了解してほしい、こういうことで九月三日の日に臨時大会を開いていただいて、その大会でまた議論をしていただいて、そして最終的に私が出した方針を受け入れる、こういう党の決定をいただいたわけであります。そういう経過でありますから、その点はひとつそのように私は御理解をいただきたいと考えております。
○山口(那)委員 今総理がおっしゃったその経過とか内外情勢の変化のプロセスというのは、私もよく理解できますよ。そして、合憲に変わったその結論も、私は支持いたしますよ。しかし依然として、なぜ違憲だったのが合憲になったのか、この自衛隊の実態等を見てこれはどういう憲法的論拠で合憲とするのかというところは、いまだによくわからないわけですね。何の理由もおっしゃってません。 そこで、参議院の先日行われた予算委員会の質疑の中で、憲法の根拠を聞かれまして、総理は前文を根拠に出されました。しかし、憲法の前文というのは、その予算委員会で内閣法制局長官もおっしゃられましたように、これは憲法の規範、条文の解釈の指針となるものであって、これ自体は違憲、合憲を判断する規範そのものではない、こういうことを言っているわけですね。ですから、前文から直ちに合憲だ違憲だという結論を導くのはこれは余りにも乱暴な解釈でありますし、前文にはそういう規範的効力というものはないというのがほぼ通説であります。法制局長官もそれを確認しておっしゃったわけであります。ですから総理が、前文の理念に基づいて違憲だ、こう言うのであれば、これは余りにも乱暴な憲法論、それも憲法の論議としては全く納得できない、説得力のないものであります。改めて、憲法上なぜ違憲であったのが合憲になったのか、これを国民にわかるように説明していただきたいと思います。
○村山内閣総理大臣 今委員が指摘されましたように、法制局長官の見解を読みましても、憲法の前文というのは、憲法制定の由来、目的、制定者の決意などを宣言するために個々の条文の前に置かれるものであって、そこでは憲法の基本原理が述べられておるのが通常である、こう解釈していますね。この憲法の基本原理というものを踏まえて考えた場合に、今のような国際情勢を反映した中における政府の自衛隊政策というのは、これはあくまでも憲法の理念に反するではないか、こういう意味で私どもは違憲という立場をとって、言ってきたわけです。しかし、先ほど来申し上げておりますように、そうした状況の変化に対応して、自衛隊に対する政策の方針というものを変えるということはあり得ることだ、あってもいいことだ、私はそういうふうに受けとめて解釈しておるわけです。
○山口(那)委員 憲法の前文はあくまで基本原理、基本理念でありまして、それに基づいて、そして具体的な条文をどう解釈をして、そして違憲という結論を導くか、こういうのが論理の筋立てなんですよ。端的に言いますれば、自衛隊が合憲か違憲かというのは、やはり憲法九条の解釈にかかるわけでありまして、総理がおっしゃるように、前文の基本原理を踏まえて、そして憲法九条をどう解釈してきたのか、なぜ違憲だったのか、そしてなぜそれを合憲と基礎づけるのか、これを述べていただきたいと思います。——総理に聞いているのです。外務大臣ではございません。
○河野国務大臣 一言だけ申し上げたいと思いますが、かつて自衛隊を違憲だと言い、現在合憲だと言われる党が、私が見ているところ幾つかあるわけです。社会党もその一つですし、公明党もその一つだと思います。いずれも、なぜ違憲であってなぜ合憲であったかということについて、国民に説明をする必要があるだろうという山口議員の御質問は、私はそれはそれでよく理解ができます。しかし、いずれにせよ、どの部分が違憲であってどの部分が合憲であったかというのは、それはまずは党内の議論の結果ではないかと私は思っているわけです。 私は、社会党と連立を組んでおります、パートナーでございます。私にとりまして、社会党がなぜ違憲だと言っていたのか、それがなぜ合憲だと言っていたのかということについては、私は議員がお尋ねのほどセンシティブにこの問題について考えておりません。私は、現在、自衛隊を合憲だと社会党が認め、その委員長がそれを明確にして、そして日本の国の安全について現状の状況の中で責任をお持ちになる、このことが一番重要なことなのではないかというふうに私は考えておりますが……。
○山口(那)委員 総理、いかがですか。
○村山内閣総理大臣 先ほど来申し上げておりますように、私がわざわざ憲法の前文を引用いたしましたのは、憲法全体を貫いておる平和の理念というものを踏まえた場合に、米ソが対立するという状況の中で日本の置かれている立場を考えた場合に、一方に加担をして軍拡を進めていこうとする動きについては、これはやはり平和憲法の理念に反するではないか、こういう立場を堅持して私どもは運動を展開してきたわけです。しかし、今先ほど来申し上げておりますように、そうした情勢の変化というものを受けとめて、そして、今国民の自衛隊に対する認識の度合いというものも歴史の過程の中では徐々に変わってきているわけですから、変わっている現実というものも踏まえた上で社会党が自衛隊に対する政策の方針というものを変えたわけですから、憲法の解釈を変えたわけではないんです。そのように私は御理解をいただきたいと思います。
○山口(那)委員 わかりやすく言いますと、物差しとそれをはかる対象と二つあるわけですよ。そして、憲法というのは物差しに当たるわけですね。自衛隊の実態等は、これはその物差しではかる対象なんです。総理がおっしゃっているのは、対象の変化を言っているのか物差しの変化を言っているのか、はっきりわかりません。私は、総理が物差しの変化を言って合憲だ、こう言うのなら論理的に理解できるわけでありますが、去年どことしと比べて、その物差しではかる対象が合憲から違憲に百八十度変化するほどの大きな変化があったとは到底思われないわけですよ。ですから、この一年間の転換を考えるときに、その物差しのほかる対象が変わったという論拠は到底説得力がない、こう思うわけであります。社会党の物差しというのは、総理の物差しというのは一体何なんですか。
○村山内閣総理大臣 先ほど来申し上げておりますように、平和憲法を貫いておる平和の理念というものはきちっと一貫してあるわけですよ。この平和の理念というものを踏まえた上で、国際情勢全体の中に置かれておる自衛隊というものの存在、あるいは当時の政府の防衛政策というもの等々を考えた場合に、これはやはり憲法の理念に反するという立場に立って私どもは反対し、抵抗してきたのです。しかし、その自衛隊あるいは防衛、安全保障といったものを取り巻く情勢がうんと変わってきたわけですから、変わってきたものに対して、一貫して同じ方針をとって同じ政策をとるということは私は誤りではないか。やはり政策というのは、そのときの置かれておる客観情勢やらいろいろな情勢の変化に対応して、一番的確な、適正な方針を出していくことが政策であって、そういう意味における政策の方針の転換を私は行ったんです、こう申し上げているわけですから、そのように御理解をいただきたいというふうに思うのです。
○山口(那)委員 全く私の質問に答えていらっしゃらない。到底納得できない話ですよ。答弁がないのと同じです。私は、その物差しというのは何ですか、社会党の憲法の理念とか解釈とかというそういう物差しが何ですかということを伺っているのに、何ら答えらしい答えが出てこない。これじゃ質問できませんよ。もっと誠実に答えてください。国民だってわかりませんよ、これでは。
○村山内閣総理大臣 私は誠実に答えているつもりですけれどもね。 政策の方針を決める場合、政策を決める場合、やはり一つの理念がありまして、その理念に基づいてどういう政策をとることが一番いいのかという判断をする場合に、その置かれておる客観的な情勢というものを抜きにして私は判断はあり得ないと思うのです。ですから、そういう情勢の変化を十分受け入れた立場で自衛隊というものに対する見解の方針を変えたというふうに申し上げているわけですから、私はそれ以外に申し上げようがないのじゃないか、もう私は思ったまま率直に申し上げておりますから、そのように御理解をお願いしたいというふうに申し上げているわけです。
○山口(那)委員 情勢の変化というのは、物差しに当てはめるその対象の変化のことをいっているのですよ、総理。混同しているんじゃないんですか。だから、総理の物差しというのは何なのかということ、憲法の規範、理念というのは何なのかということを全然今答弁されてないじゃないですか。理念に基づいてと所与のもののようにおっしゃっているけれども、あなたのおっしゃる理念というのは何なのか、憲法の基準というのは何なのかということが全然答弁されてないじゃないですか。 これじゃ質問を続けられませんよ。委員長、しっかり正確な答弁を促してください。
○村山内閣総理大臣 いやいや、何度質問されても、それは私は同じ答弁しかできないわけですけれども、前文をわざわざ私が紹介申し上げましたのは、この平和憲法の持つ根幹というのは、一つはやはり平和であり、一つは民主主義であり、一つはやはり人権を尊重する、こういう柱がちゃんと完全にありますね。その中で一貫して憲法の理念を貫いているものはこれは平和である、こういう憲法の平和の理念を踏まえて、あの当時の米ソが対立するといった冷戦構造の中で、一方に加担をして日本の軍拡が進められていくというような政策の遂行は、これは憲法の理念に反するという立場に立って私どもは抵抗し、その反対運動をやってきたわけです。しかし、そうした憲法を取り巻く、あるいは自衛隊を取り巻く、日本の国を取り巻く客観的な情勢というものが大きく変わってきたわけですから、変わってきた情勢を踏まえて党の自衛隊に対する政策の方針を変えた。ですから、私はもうありのまま率直に見解を申し上げているのでありまして、そのまま受けとめていただきたいというふうに思います。
○山口(那)委員 社会党は、かつて長沼裁判に対する見解として、党の中央本部で、正しい憲法解釈をしている、こう評価をいたしました。この長沼判決では、自衛隊は戦力に当たる、憲法九条の戦力に当たる、こういう結論で違憲判断をしたわけですね。社会党は、これが正しい憲法解釈である、こういうふうに言ったわけです。当時の自衛隊の姿と今の自衛隊の姿は格段に違っております。社会党の評価によれば、これは大幅な戦力アップである、こうおっしゃるわけですね。この現在の自衛隊が、当時の社会党の見解に照らして戦力ではないとおっしゃるのですか。
○村山内閣総理大臣 私は、先般の予算委員会でも答弁申し上げましたけれども、戦後、日本国民の間に、文民統制とかあるいは専守防衛とか徴兵制の不採用、自衛隊の海外派兵の禁止、集団的自衛権の不行使、非核三原則の遵守、武器輸出の禁止などの原則が確立されたこと、そして必要最小限の自衛力の存在を容認するという穏健でバランスのとれた国民意識が定着してきたこと等々を背景にして、自衛隊に対する党の政策の方針を変えたわけですから、今裁判の判決に対する党の見解が述べられておりましたけれども、それぞれの解釈はあろうかと思いますけれども、私は党の委員長として、今回とった考え方、方針の変更等について責任を持って答弁をしているわけですから、そのことを受けとめて御理解をいただきたいというふうに思います。
○山口(那)委員 社会党の憲法判断の結論の違いというものは党内の手続で三分の一以上の反対がありながら、この合憲という結論を是認したわけですね、今度の党大会で。しかし、普通、憲法改正あるいはその憲法の規範を変えるためには、改正の手続では、総議員の三分の二以上の賛成、こういう重い手続がとられているわけですね。短い間に、しかも憲法よりも軽い手続で、党内に準じて当てはめれば、そういう軽い手続でこの憲法の結論というものを変えてしまう、これは余りにも民主主義的なルールにのっとっていない暴挙と言わざるを得ないのじゃないですか。 この点、総理はどう認識していらっしゃいますか。
○村山内閣総理大臣 先ほど来申し上げておりますように、この問題はもう随分長い期間、党内では論争が繰り返されてきているわけですよ。そういう論争の経過を踏まえた上で、たまたま私が首班になるという、こういう状況の変化もございましたから、もうこれは私はやはり踏み切らざるを得ないといって踏み切った上で、党の方にこの問題についてはひとつ十分議論してほしいと言ってお願いして、大会を開いて、その大会の中で議論をして、党内の規則に基づいて採決をし、決められたことなんです。これは私はやはり、一貫してずっと運動してきた経過がありますから、そう簡単に右から左に、ああそうかといって、なかなか受け入れられるものではなかったということは十分踏まえておりますけれども、しかし、一応党の運営のルールに基づいて決められたことでありますから、これは私はやむを得ないことだった。時間をかけてさらに了解してもらえない方々には説得を図って、経過の中で国民の皆さんにも御理解をいただく必要がある、こういうふうに今考えております。
○山口(那)委員 いまだに総理の合憲の理論的な根拠、憲法解釈の規範の理解の仕方というのは全く説得力を欠き、納得がいきません。 それはそれとして、時間が限られておりますので、北朝鮮の問題に移ります。 先ごろ米朝合意がなされたわけでありますが、この合意のなされる前に、外務大臣は「核疑惑が完全に払拭される必要がある、」こう予算委員会で述べられております。そして、その前提として、「NPTへの完全復帰であり、IAEAの特別査察を含むすべての核疑惑を払拭する、完全に払拭するための作業、そしてそれは過去にさかのぼって行われなければならない、こういったことが保証をされるということが何より前提だ」、こうおっしゃっているわけですね。今回の合意はこのような前提をすべて満たしている、こうお考えですか。 私が端的に聞きたいのは、日本が支援をするわけでありますから、支援の前提として単なる約束ではならぬと思うのですね。私は、こういうNPTへの復帰とか、あるいは核疑惑が完全に払拭されるための特別査察とか、核兵器を今後持たない、そして既に開発されたそのもとになるようなものがあれば、これが全部撤去されなければならない、こういうことが確実にならなければ支援をすべきでない、こう思うわけであります。これが米朝合意できちんと保証されている、こうお考えですか。
○河野国務大臣 私は、今回の米朝両国間による話し合いによる合意というものを評価したいと思います。我々は、極めて近い朝鮮半島の一地域に核疑惑というものがあるということに対して重大な懸念を持っておりました。もし、この懸念が事実であって、黒鉛減速炉が、言われるように現在五メガワットの黒鉛減速炉でございますが、これが稼働をし、さらに建設中のものがそのまま完成をして稼働する状況になるという状態を考えますと、これを未然に防ぐということは何より大事なことだと思います。 今回の米朝協議の合意は、過去、現在、未来にわたってこうした不安を払拭するための、現在考え得る最もいい合意ではなかったかというふうに私は考えているところでございます。
○山口(那)委員 総理は、この合意で核疑惑が完全に払拭される、こういう御認識をお持ちでしょうか。
○村山内閣総理大臣 この問題解決への重要な第一歩であったというふうに私は受けとめていますから、この合意に基づいてこれからやはり誠実に履行していただくことが大事ではないかというふうに考えております。
○山口(那)委員 誠実に履行させるためには、これは合意の当事者ではない日本は、支援をどういう枠組みでやっていくかというところとの兼ね合いだろうと思うのですね。これをぜひ慎重にやっていただきたいとは思うのですが、そこで、日朝国交正常化交渉というのが今後行われなければならないと思うのですね。 外務大臣に伺いますが、この正常化交渉の見通し、現在与党という政党の代表団でこの突破口を開こう、こういう動きもあるようでありますが、外務大臣の立場として、この正常化交渉の展開をどうされるおつもりか、そして、この米朝合意における軽水炉支援の問題をこの正常化交渉とどういう関係に位置づけるか、こういうことについてあわせて御答弁いただきたいと思います。
○河野国務大臣 御質問が多岐にわたっておりますが、私の考えていることを少し申し上げたいと思います。 今度の米朝の話し合いによります合意は、今申し上げましたように、核疑惑が払拭されるという、今総理から御答弁がございましたように、そのための道筋を決める重要な合意であったというふうに思います。このことは、日朝間に横たわっている、まあ障害というものがあるとすれば、その障害の一つが取り除かれる、そういうふうに見ているわけでございます。 他方、我々が考えなければなりませんのは、戦後、我が国周辺や我が国と国際社会との関係の中でいまだに解決していないものは、この北朝鮮との関係、もちろんロシアとの間には領土問題もございますが、北朝鮮との関係は解決しなければならない大きな問題だと思います。 そこで、この問題解決のためにどういう対応が考えられるかを考えてみますと、一つは民間交流あるいは議員による議員外交と申しますか、こういうものがあると思います。つまり、国交がないわけですから、国交が不正常な状況でございますだけに、議員外交とかあるいは民間交流とか、こういったものはそれなりに大きな意味を持つと考えていいと思います。それで、国交正常化のための交渉はもちろん政府間で行わなければなりませんが、その環境整備といいますか、雰囲気づくりといいますか、そういったものは議員外交であったり民間交流であったり、そういうものが非常に意味を持つというふうに思っております。 ただ、考えなければならないことは、日朝関係を考えていく上で、日朝二国間の不正常な状況というものをどう改善するかという側面と、それから国際社会の中における平和とか安定とかという、つまり国際的にこの問題を見るという側面と、二つがあると思います。それから、さらにもう一つ忘れてならないのは、我々が価値観を共有する韓国との関係がございます。日韓関係というものも大事にしながら、つまり韓国にこの問題に対する理解というものを求めながら考えていくということもまた重要だろうと思います。そうしたさまざまな側面、さまざまな配慮というものをしながら、この日朝関係に対応しなければならないと思います。 日朝関係を進めるに当たっては、両側のこの問題に対する誠実な対応が必要だ、こう考えておりまして、私どもとしては誠実にこの問題には対応したいと考えております。
○山口(那)委員 終わります。(拍手)
○近藤委員長 高木義明君。
○高木(義)委員 私は、自衛隊法を一部改正する法律案に関連をいたしまして、時間の範囲内で、総理並びに関係大臣にお尋ねをしてまいります。 先月の末に私は韓国に行く機会がございました。もちろん、朝鮮半島情勢について、あるいはまた我が国の安全保障問題について関係の深い国でございますから、そういう気持ちで臨時国会を前にして調査をさせていただきました。したがって、私は今、米朝会談のその後については、やや不透明な部分はございますが、この会談が合意を見て平和裏に解決することを強く望むものでございます。 しかし、私どもは、国民の生命と財産を守るという重要な国政の役割もあります。また、防衛に対しては、不測の事態に対してどのようにして対応するかということも、これは大切な課題でございます。したがって、そういう意味から緊急立法について私は総理に伺っておきたいと思います。 まず、総理、一般論といたしまして、ある国に対する制裁措置として在日米軍が海上封鎖など、こういった行動に出ることになった場合に、これは我が国に対する事前協議の対象となると理解していいのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
○村山内閣総理大臣 安保条約上この事前協議の対象となる事項は、我が国から行われる戦闘作戦行動のための基地としてこの日本国の施設、区域が使用される場合ということになっております。 今お話のございましたような海上封鎖は、そもそもその対象が主として商船等になろうかと思いますね。したがいまして、これが事前協議の対象となるかどうかということは、個々の具体的な状況に照らして判断されることでありますから、一概にここでは申し上げられませんけれども、今前段に申し上げましたように、安保条約の上では、日本の基地を使って戦闘行為に行く、こういう場合には当然事前協議の対象になる、こういうことになっておりますから、今御指摘のような場面については、具体的な事象に照らして判断をしなければならぬことだというふうに思います。
○高木(義)委員 それでは、例えば朝鮮半島が緊迫をした状態になったとき、我が国が米軍に対して、例えば言われておりますように洋上給油、あるいは物資等の輸送、あるいは傷病者等の搬送、また宿舎の提供、あるいは海上検査、また状況によっては機雷の除去、こういったことの協力、支援を行わなければならなかった場合に、私は新規立法が必要であると思っておりますが、いかがでしょうか。
○村山内閣総理大臣 これは、私がたびたび申し上げておりますけれども、今、先ほど来議論もありますように米朝会談が一応妥結を見て、そして、これからさらに疑惑が払拭される、話し合いが進められる第一歩を踏み出した、こういう状況にあるときに、もし朝鮮半島で何か緊急事態があった場合にということを前提にした議論をすることは、今話をされておる、しかも委員指摘のように、これはもうどんなことがあっても障害を乗り越えて話し合いで解決しなければならぬ、こういう状況にあるときに、ここでそのことを前提にした議論をすることは余り得策ではないのではないか、私はそういうふうに思いますけれども、しかし、一般論としてあえて申し上げまするならば、そういう事態になった場合には、仮に国連が経済制裁の決議をやった、こうした場合に日本がこれに対してどう対応するかということにつきましては、日本も国連に入っておる立場上、憲法の許容する範囲内でできるだけの協力はしなければならぬというふうに思っています。
○高木(義)委員 防衛庁長官、どうでしょう。
○玉沢国務大臣 総理と全く同じであります。
○高木(義)委員 これまでも議論の中にありましたが、結局、そういう状況は理解できても、やはり国の責任者としては、万が一のときにどうするんだ、こういう対応を前もって十分に検討しておかなければならない。これは当然のことじゃないですか。そういう意味で、これまで答弁を聞いていますと、必要な検討を行っているとかあるいは万全の態勢をとっていく、または憲法の範囲内で責任ある対策をとると言っておられますけれども、いわゆるそういう事態が起こった場合に、これを法案化して国会に出せるまでには大変な時間がかかるのではないか。本当に臨機に対応できるのか、甚だ私は不安でございます。この点についてはどうでしょう。
○河野国務大臣 議員の御心配といいますが御指摘もよく理解できますが、先ほど来総理が御答弁申し上げておりますように、現在、朝鮮半島において平和裏に問題を処理するための努力が続けられている場面でございます。我々としても、平和裏に問題を解決するためのこうした努力というものに協力をするということがまず第一義的に重要だというふうに考えておるわけでございます。一般論としても、総理が先ほど来述べられたとおりでございます。
○高木(義)委員 私は、それはそれでわかるのですが、もっと責任あるお答えをいただきたいと思うわけです。しかし、恐らくこれ以上のことは出てこないでしょう。大変残念です。 質問の角度を変えてまいりますが、今、自衛隊法が審議をされております。たまたま私は、少なくとも五月以降、この法案の成立のために当委員会の一員として微力ながら努力をさせていただきました。当時、社会党さんの理事は今の大出郵政大臣でございました。私もそういう立場から、与野党分かれましたけれども、社会党の大出大臣が中心になって政府案をつくった。我々は過去、自民党さん、公明党さんと一緒になって自衛隊法の一部改正に賛成をした立場がございます。しかし私たちは、社会党さんの意向を十分尊重しながら、ぜひこの問題は党利党略でなくて国家国民のために早く法案を通そう、こういう努力をさせていただいたことを私は今新たに思い出します。総理もそのお話は聞いておったと思うのですが、しかしどうしたことか、社会党さんは動かない。動かなかった。一体これはどういうことと思っておりますか。
○村山内閣総理大臣 私も、この委員会で自衛隊法の一部改正案がどういう審議をされ、どういう経過をたどってきたかということについては、それなりに承っておるつもりでありますけれども、この自衛隊法改正案が提出された当時、やはり国民の中には反対、賛成の声がぐっと反映されておった。これは、やっぱり自衛隊がそのまま出動することについては憲法上問題があるのではないかというふうな解釈もございまして、いろいろ意見が対立しておったということも聞いておりました。 したがって、そういうことも踏まえた上で、連立政権の内部で、これはまあ旧連立政権ですけれども、議論が十分行われて、そして今ここに提案されているような法案に中身が修正をされて、そして上程をされておる。この案に対しては、社会党は異議がなく賛成しておる、こういう立場をとってきておるというふうに私は理解をいたしております。
○高木(義)委員 当時、この問題は慎重にしなければならぬと、社会党さんの内部の論議は私は知る曲もありませんけれども、今この法案を国会で審議をして決めていくならば北朝鮮に刺激を与える、だからこれは今はいけない、こういうことも私は記憶しておりますが、どう情勢が変わったんでしょうか。そのときは私はそれは詭弁だと思っておりましたけれども、今の情勢と当時の情勢、そう変わっていない。そういうことで、この法案の成立に非常に後ろ向きだった。私は残念に思うのですよ。どういう議論がなされたのでしょうか。
○河野国務大臣 私の記憶いたしておりますところによれば、かつて社会党が政府案の中でいろいろと発言をし、気を使われた点は、安全のためにより慎重でなければならぬ、それからもう一つは、とにかく政府専用機を使うということにできる限り限定をするというこの二点。つまり、自衛隊機は余り使わぬという点に非常に強い指摘があったというふうに私は理解しております。
○高木(義)委員 副総理がお答えでございましたから、自民党さんは、この案では臨機な対応はできない、747だけではだめなんだ、やっぱり状況によっては、まあ山崎先生もおられますけれども、状況によっては自衛隊機も使わざるを得ない、だから機動的な法律でなければならぬといって、私も大変御指導をいただいたのです。ところが、今それぞれ、総理も自民党の総裁である副総理もそのときとは全く変わっておる。私は、なぜあのときにこういう私たちが努力をしたことに対して協調してくれなかったんだろうか、残念に思っておりますが、その辺、総理、御所見をいただきたいと思います。
○河野国務大臣 申しわけありません、私から答弁をさせていただきます。 過去にいろいろないきさつがあったということは、議員御指摘のとおりだと思います。ただ、私どもといたしましては、さまざまな議論はあったとしても、少なくともこの法案、きょうまだここで議論をしているわけでございますが、でき得る限り早く成立をすることが重要ではないかというふうに思っているわけでございまして、それぞれが自分の主張がベストだと思って提案をいたしておるわけです。 かつて、我々自民党も、御指摘のような案をベストと考えて提案をした時期がございました。しかし、残念ながらそのときには成立に至りませんでした。今ここで多数の合意ができて成立させていただけるものなら、やはりこの邦人救出といいますか邦人輸送の問題は、いつまでたっても法律案の審議が続いているということよりは、もう成立をさせていただいて、何かあれば邦人の安全な輸送のために行動ができる、そういう状況を一日も早くつくらせていただきたい、こう考えております。
○高木(義)委員 総理、その点御所見いただきます。
○村山内閣総理大臣 先ほど来申し上げておりますように、この自衛隊法の一部改正案が上程された場合には、自衛隊の海外出動に道を開くのではないかという国民の心配される声もありました。同時に、機種が、これは特定の機種が選定されておったわけじゃありませんから、戦闘機まで出動されるようなことになるのではないか、こういったような心配、不安が国民の中にあったわけです。そういう声を払拭して、そして国民的な合意を得るためにはやはりそれなりの議論をする必要があるというので、旧連立政権の内部でも長い時間をかけた議論がされたと聞いておりますけれども、そういう議論の末に一定の合意点を見出した結果、今提案をされて御審議をいただいている法案になっておるというふうに聞いておりますから、したがって、この法案は、先ほど外務大臣もお話がございましたように、一日も早く慎重な審議の上成立をさせていただくことがいいのではないか、ぜひお願いを申し上げたい、こういう気持ちであります。
○高木(義)委員 時間が参りましたからもうお尋ねをいたしませんが、やはり総理、国の安全保障、国民の命と財産を守るという大変崇高な政治課題、決してこの問題に党利党略を絡めてはいかぬと思います。私は、そういったこの法案の今までのいきさつを見てみると、まさにそこに責任ある政治、そういうものが国民から求められておると思っております。どうかひとつ今後そういう立場に立って、国の安全保障の問題あるいは緊急立法の問題等については、前向きに積極的に御検討いただきたい。要望いたしまして、終わります。
○近藤委員長 古堅実吉君。
○古堅委員 この自衛隊法の一部改正案は、日本国憲法の平和原則を守るかどうか、そのことが問われる重大問題を含んでいます。 それで、総理にお尋ねいたします。 一九五四年六月二日に参議院本会議は、「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議」を採択いたしました。それは、「本院は、自衛隊の創設に際し、現行憲法の条章と、わが国民の熾烈なる平和愛好精神に照し、海外出動はこれを行わないことを、茲に更めて確認する。」と述べています。 これは、御存じのように、羽生三七さんなど社会党議員が共同提案者となったもので、そういう立場からも総理に明確な御見解を求めたいのですが、総理はこの参議院決議を尊重されますか、されませんか、その点についてお聞かせください。
○村山内閣総理大臣 これはもう参議院のみならず、衆議院の場合でも、国会の決議は尊重されなければならぬというふうに思います。 ただ、今般の自衛隊法の一部改正案というのは、外務大臣から依頼を受けて、在外邦人の生命の保護を要する場合にその輸送を行おうというものでありまするし、同時に、政府専用機を使うということまで明記してつくられているわけです。今委員が読み上げられました参議院の決議を見ましても、「国民の熾烈なる平和愛好精神に照しこういうことを書いて、そして「海外出動はこれを行わないこと」、こういう文言になっておるわけですね。したがって、これは戦闘行為に行くわけじゃないわけですから、したがって私は、憲法上禁止されたいわゆる海外派兵には当たらないというふうに考えております。 同時に、自衛隊の海外出動に関する今御指摘のありました決議というのは、これは有権的解釈は参議院によって行われるものであって、私がここでその有権的解釈をすることはできないものだと私は思っていますけれども、そういうことも踏まえて、緊急事態に際して邦人の生命や財産を何とか保金をしようというために輸送するという役割は、この決議には反していないというふうに私は考えています。
○古堅委員 参議院決議を尊重されるというのであれば、自衛隊の出動となるようなこういうことを強行できないという立場をとらなければならないのであります。今おっしゃったような内容というのは、これまで自民党政府がそういう出動を広げていくということでずっと言い続けてきた見解にほかなりません。 一九九〇年十月十九日の予算委員会で、この参議院決議を引き合いに出して、現在の山口鶴男総務庁長官が政府を厳しく追及しております。これは、この参議院の決議というのは派兵も派遣も含めて出動さ侮られないのだという意味で理解すべきものではないか、こういう立場からの追及なのであります。これは、当時の社会党の見解であったことは申すまでもありません。総理は、政権についたからということでそういう見解を変えるというお考えなのですか。
○村山内閣総理大臣 いや、政権についたから、つかないからというのではなくて、先ほど来申し上げておりますように、今御審議をいただいておりまするこの自衛隊法の一部改正案というのは、社会党も入って合意をしてつくり上げた法案なのですよ。そのことを私は前提として、十分皆様方に御理解をいただきたいと思うのです。 それから、私は、今参議院の決議、これは何年ですか、昭和二十九年ですね、昭和二十九年当時にこういう邦人の救出のために輸送機が派遣されるというようなことが想定されておったかどうかということもやはり問題ではないかと私は思うのです。恐らくその当時は、こんなことは想定されておらなかったと思います。同時に、先ほど来申し上げておりますように、社会党が今出しておる法案、中身を修正して、これは自衛隊の海外出動につながる道を開くのではないかとか、あるいはまた救出という名目で戦闘機まで出ていくようなことになるのではないかといったような国民のやはり危惧と不安がある、そういう危惧と不安を払拭して、そして、どこから解釈してみても国民的な合意を得られるようにするためには、やはり安全が確保されるとか、あるいはまた自衛隊機でなくて政府専用機が派遣される、どうしても空港が使えない、行けないといったような場合に戦闘機でなくて輸送機が参加するといったようなことまでずっと前段で確認をして、そして今度のこの法案の審議を皆さん方にお願いしておるわけですから、そういう点もよく御理解を賜って、私は国民的な合意も得られるものだというふうに思っております。
○古堅委員 今述べられておることも、従来社会党が追及してきた、自民党政府時代言われてきたような主張なのです。社会党の議員も含めて共同提案されておった、そういう参議院決議をこのような形でねじ曲げていって、それに対して尊重をするのだと言いながら、実際には真正面から踏みにじる、そういう態度というのは無責任と申さねばなりません。憲法と国会決議がある限り、今回言われているような邦人救出も、自衛隊ではなしに、外交折衝による安全確保、情報の早期収集と周知徹底、いち早い引き揚げ指導を行う、そういう立場で邦人保護に徹すべき問題だ、そういうふうに考えます。 それでは、もう一点お尋ねします。 総理は十月五日の本会議で、憲法が禁ずる武力の行使の範囲は何かという質問に対して、「武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣する、いわゆる海外派兵を行うこと」というふうに述べています。この見解は、自民党政府が生み出した自衛隊海外派兵を合理化する、そういう立場から言われてきたものです。 そこで、改めて総理にお聞きしたいのですが、武力行使の目的を持たなければ武装部隊の海外派遣は合憲だということが総理の見解なのかどうか、確かめたい。
○村山内閣総理大臣 これは従来から政府がとってきている解釈でもあると思いますけれども、憲法が禁止している武力の行使の具体的内容について若干申し上げますと、いわゆる集団的自衛権の行使、すなわち日本の国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を自分の国、日本の国に対する直接攻撃とみなして、そして実力をもってそれを阻止するというのは、これは集団的自衛権と言われているわけですけれども、この集団的自衛権は憲法に反するというふうに解釈をいたしておりますから、これは許されない。 もう一つは、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣する、これは、いわゆる海外派兵は一般的に自衛のための必要最小限度を超えるものでありますから、これも憲法では許されないというふうに私は思っています。 それから、先般の湾岸戦争のときに派遣されましたような多国籍軍、これに日本の自衛隊が参加するということも我が国の憲法上は許されないことであるというふうに思っております。 言うならば、そうした戦闘行為につながるようなものに対して自衛隊がそれに加担をするということについては、協力するということについては、これは憲法上は許されない。しかし、今度のルワンダに自衛隊が派遣されたような人道上の救援活動というのは、これは私は憲法上許されることだというふうに考えておりますから、そこはやはりあくまでもはっきり区別をして判断する必要があるのではないかというふうに思っています。
○古堅委員 時間がありませんので最後に念を押してお聞きしますが、国連憲章と憲法の違いと申しますか、国連憲章は、武力による威嚇または武力の行使を慎まなければならないというふうに禁止しながらも、その第七章の軍事制裁や自衛権あるいは安保理の制裁出動に伴う武力行使を認めています。それに対して憲法は、戦争を放棄し、武力行使の目的を禁止するだけではなしに、武力行使につながる行為それ自体を禁止しています。武力行使の目的を持たなくとも、武装部隊の行為が武力行使と結びつくものは違憲だというふうに解釈するのが憲法を守る立場からの当然のことではないか、こう考えますが、念を押して総理の見解を伺いたい。
○河野国務大臣 御指摘の問題は、我が国が国連に加盟する際にも議論になったところだと思いますが、そうしたことに憲法との矛盾はないという判断に基づいて我が国は国連に参加を、国連に加盟をいたしているところでございます。
○古堅委員 総理、問いにずばりお答えください。
○村山内閣総理大臣 これはもう、外務大臣が今申し上げたとおりであります。
○古堅委員 終わります。
○近藤委員長 海江田万里君。
○海江田委員 私は、持ち時間が五分でありますので、手短に質問させていただきます。 村山総理は先日、海上自衛隊の観艦式にお出ましになりました。それから、今度三十日には自衛隊の観閲式に出られる予定だと思いますが、総理になられて自衛隊の幹部の方あるいは一般隊員の方とおつき合いが多くなったと思います。恐らくこれまではほとんどおつき合いをされていなかったのではないかと思いますが、そうして自衛隊の方たちとおつき合いをして、総理自身の気持ちの中で自衛隊観に変化が起きたのかどうなのか。これは頼もしい存在だとお思いになったのか、あるいは相変わらずこれはなかなか油断のならない存在だと思っておられるのか、率直な総理の心のうちをお聞かせいただきたいと思います。
○村山内閣総理大臣 先般観艦式に行ったのも、御案内のとおり初めてのことですし、三十日には観閲式に行きたいというふうに私は思っています。 自衛隊が、やはり先ほど来議論がありますような、日本国の平和憲法のもとにおける自衛隊という存在を十分理解した上で、秩序ある整然とした行動をとられておるということについては、むしろ私は敬意を表したいというぐらいの気持ちでありまするし、同時に、そうした自衛隊の諸君が安心をして、しかも政府を信頼して日常の業務に携わってもらえるようなそういう状況をつくっていくことも大事なことだなというようなことを感じて帰ってまいりました。
○海江田委員 栄誉礼を受けておられるのを見ておりまして、何となく気恥ずかしいような気がしておるのではないだろうかという気がするのですが、いや男冥利に尽きると思っておられるのか、いやどうもああいうのは苦手だと思っておられるのか、一言お聞かせください。
○村山内閣総理大臣 まあ若干照れた感じもありますけれども、何といいますか、気恥ずかしいという気持ちよりも、むしろ本当に御苦労ですなというような気持ちで私は観閲をさせていただきました。
○海江田委員 自衛隊はことし四十周年ですが、これはもう歴史的な事実でありますけれども、自衛隊の誕生は朝鮮半島の情勢と無縁ではないわけですね。まさに朝鮮半島の情勢から自衛隊が誕生したというわけだろうと思いますけれども、そういう意味では、日本の安全保障の一番のかなめは朝鮮半島の問題、朝鮮半島でどういう平和の状態をつくっていくのかということだろうと思いますが、私は、今回の朝鮮半島の核の疑惑の問題を見ていて、本来ならば日本が一番そういう意味では主導的なあるいは主体的な役割を果たさなければいけなかったと思うのですが、そういう意味において、若干日本の主導的な役割、主体的な役割ということに欠けたのではないだろうかという感想を持っておるのですね。総理の率直な御意見、感想をお聞かせいただきたいと思います。
○村山内閣総理大臣 これは、私はあらゆる場面で申し上げているわけでありますけれども、朝鮮半島が二つに分割されて現状のような姿にあることは、これはやはり長い歴史の中で日本にも責任があることだということを十分踏まえておく必要がある、私はそう思っています。 ただ、残念ながらまだ日朝の間には国交が回復されていないわけですから、したがって政府間同士の話というのは、一応窓口は開かれましたけれども今は中断された格好になっておる。したがって、そうした条件の中で、日本の国がイニシアチブをとって平和的に解決される道筋をつけていくということがなかなかできにくい環境にあったということは、もう十分御理解をいただけると思うのですね。 したがって、米朝会談がずっと行われる中でも、可能な限り平和的に話がづけられるような方向に側面的に協力していこうという意味では、韓国や中国とも十分連携をとりながらそういう役割を果たしていって、そして、いずれ日朝会談もやらなきゃならぬ時期が来るわけですから、今前段に申し上げましたような立場を踏まえた上で、やはり誠意を持って、朝鮮半島全体の平和、アジア全体の平和のためにもこれは大事なことだというふうに踏まえて取り組んでいくことが必要ではないかというふうに私は思っています。
○海江田委員 もう最後にしますが、今、日朝の国交回復の問題が出ましたが、米朝会談の一応の妥協、妥結ということで、日本としてはやはり国交回復にさらに歩みを進めたいという積極的な姿勢をお持ちかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
○河野国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたが、我が国が、戦争が終わってから不正常な状況で残されている数少ない地域でございます。こうした不正常な状況は解消されることが当然重要だと考えております。
○海江田委員 終わります。ありがとうございました。
○近藤委員長 小沢鋭仁君。
○小沢(鋭)委員 新党さきがけの小沢鋭仁でございます。自衛隊法の一部を改正する法律案に関しまして、幾つか総理大臣並びに関係大臣に御質問をさせていただきます。 この件に関しましては、大変長い時間が成立までにかかりました。先般の私の質問でも申し上げましたが、法案提出から約二年、その前に、いわゆる政府専用機の保有ということを考えますと、一九八七年だったと思います。そこから約七年ほどかかってきたわけでございます。そういった中において、海外で我が国のために働いていらっしゃる邦人の皆さん、あるいはまたいろんな社会活動をしていただいている皆さん方、そういった皆さん方を、ある意味ではしっかりと最小限の国としての責務としてやらなければいけないことが、長い時間がかかってなかなかうまくこれまでやれなかった。そういった点においては、私は、ある意味ではこの邦人救出というのは国家としての最小限の責務、義務だと考えておるものですから、そういった意味では時間がかかったことは残念だったなと率直に感じると同時に、しかしそういう大事な仕事でありますから、これを一日も早く仕上げて、そしてこれを迅速に、本当に機動的に活用していただきたいと思うわけであります。 その点におきまして、改めて総理の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
○村山内閣総理大臣 今委員御指摘にございましたように、これはいつ起こるかわからないような緊急事態に備えてのことでありますから、したがって、そうした事態が起こらないことがもちろん大事なことでありますし、先ほど来御意見もありましたように、十分ひとつ情報の収集も行って、そういう事態が起こる以前にやはり邦人を移動させるとかいうようなことも大事なことでありますけれども、しかし、予期しない、想定できない突発的なことだってあり得るわけですから、そうした事態に備えて、一日も早く、御審議の上成立をしていただきたいと思いますし、仮に法が成立されたら、有効に活用できるように運用を十分考えていきたいというふうに思っています。
○小沢(鋭)委員 ぜひともそうした決意を持ってお取り組みをいただきたいとお願いを申し上げるわけであります。 同時に、今回のこのケースは邦人救出でありますが、しかし現在のように国際化している時代においては、こうした国際的救援活動といったものを逆にもう少し幅広に考えませんと、ある意味では、日本だけで、一国だけでいいのかというような議論にもなってしまいがちだと思うものですから、やや少し視点を広げさせていただいて、国際的な救援活動といった点につきまして御質問をさせていただきたいと思います。 現在ルワンダで活動がなされておりますが、そういった今までの国際的な救援活動、救出とか、そういったものに対してこれまで政府はどのようにお取り組みになってきたか、外務大臣、お教えいただきたいと思います。
○河野国務大臣 昭和六十二年に国際緊急援助隊法というものができまして、この国際緊急援助隊法に基づきまして今日まで相当多数の活動が繰り広げられております。 お許しをいただければ若干御披露をしたいと思いますが、六十二年から今日まで三十一回、この国際緊急援助隊は出動をいたしているわけでございます。例えばベネズエラの洪水あるいはバヌアツのサイクロンを初めといたしまして、干ばつとか洪水、ハリケーン、地震あるいは難民の疾病、こういった問題に対して国際緊急援助隊は出動をいたしております。中には、原油の流出事故に対する対応でございますとか避難民、津波、あるいはビルの倒壊、こういった問題から多くの人を救い出す、そういうために出動いたしておりますが、この中身も、警察庁を初めといたしまして、地方自治体を含めて延べ三百人を超える人たちが出動をしておるわけでございます。 議員御指摘のように、現在ザイールでルワンダの難民救援活動を展開いたしておりますが、こうした国際貢献は我々としても積極的にやっていくべきである、こう考えております。
○小沢(鋭)委員 今御披露があったわけでありますが、いわゆる安全保障の分野、これは私の分類でありますけれども、幅広に安全保障を考えますと、いわゆる人道的な視点からの救援活動、これがベースにあって、それから二番目にPKO、それから三番目に紛争そのものへの対応、この三タイプあるのかなというふうに私は感じておるわけであります。 PKOというのは、もう言わずもがな、紛争後の処理の問題、対応だというふうに私は考えるわけでありまして、そして先般この委員会で質問させていただいた国連軍等の問題は、まさに紛争そのものへの対応ということであります。そういったPKO並びに紛争そのものへの対応は、今後もこの委員会で議論を深めさせていただきたいと思いますが、今その第一番目の人道的な救援活動、これは今河野外務大臣からお話をいただきましたが、これはもう本当に平和を守っていく、あるいは平和を構築していく、平和を創造していく、そういった意味で、国民の皆さんだれもが支持をいただける内容だと私は思うわけであります。我が国は、まずそういったところにしっかりとした貢献をしていくということが極めて重要だと私は思うものですから、こうした質問をさせていただいたというところでございます。 これに関しまして、一点御披露をさせていただきたいのです。 といいますのは、今回のいわゆる邦人救出、飛行機という輸送手段が問題になりました。そういった観点で私が知り得ている話の中で、飛行機を使ったいわゆる空飛ぶ病院と呼ばれている例がございます。これはアメリカで行われておりますオービスプロジェクトと呼ばれるものでありますけれども、一九八二年から行われておりまして、いわゆる眼科のための手術施設等を全部飛行機の中に組み込んでございまして、眼科の手術でございますから、余り大きな器具やなんかはきっと要らないんだろうと思います。それを飛行機の中に組み込んであって、そして発展途上国の方へ飛んでいく。発展途上国は、眼科の手術といったような話はなかなかできない地域がある。そこのところに飛行機という輸送手段を、まさに現代的な輸送手段を大いに活用してそちらの方に行って、いわゆる目を、視力をまさに与えている、プレゼントをしているわけであります。 私は、今回の輸送機の問題がいろいろあったときに、見方としてそういった使い方、そういったことも考えたらいいんじゃないかなと思いながら聞かせていただいたわけであります。これは単なる例でございますけれども、そういった知恵を出しながら、しっかりした国際貢献活動をやっていくことが我が国にとって大事だというふうに思うものですから、現在、そこにおけますいわゆる、具体的にどうするということではなくて結構でございますが、総理の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
○村山内閣総理大臣 けさ、ある世論調査の結果を見ましたら、ルワンダに自衛隊が派遣されておるということに対して、よかったという支持者の数が圧倒的に多かったという調査を見ておりますけれども、これから、今委員が指摘されましたようなそういう人命の救援とか難民の救援とか人道上の問題については、私は、やはりこれは日本の国の役割として積極的に取り組んでいく必要があるんではないかと思いまするし、これまでの経験も踏まえて、より効果が上がるような、そして本当にみんなから喜ばれるような、そういう国際貢献ができるような道を開いていくために、今後も十分検討させていただきたいと思いまするし、その充実に向けて努力をしていきたいというふうに思います。
○小沢(鋭)委員 ありがとうございました。質問を終わります。
○近藤委員長 山崎拓君。
○山崎(拓)委員 ラストバッターでございますが、村山総理並びに玉沢防衛庁長官に二、三御質問させていただきます。 まず、玉沢長官、お答え願いたいと存じますが、この法案は、邦人輸送を自衛隊機、政府専用機を中心とする自衛隊機で行おうとするものでございますが、仮に自衛隊機を使う場合、政府専用機も自衛隊機でございますけれども、政府専用機が間に合わなくて自衛隊機を使うといった場合に、現在のC130H等の輸送機の状況ではこれを十分に活用できないといううらみがあるんじゃないかと私は心配をいたしておるわけでございます。 また、ルワンダに対しまして、このたび自衛隊が参りましたけれども、そのときに輸送いたしましたのはロシアのアントノフ、ギャラクシーも検討されましたがアントノフということになりました。そういう実情を見ておりまして、この法案がいずれ成立すると思いますし、これから国際平和協力業務が拡充されていくと思いますが、この際、政府専用機の三号機の整備あるいは長距離輸送能力の向上をぜひ行っていただきたい、自衛隊のこの面における能力の充実を図る必要があるのではないか、かように考えるわけでございます。長官、お答え願います。
○玉沢国務大臣 御指摘のように、政府専用機をもう一機必要とするかどうか、こういう点でございますが、一般論として申し上げれば、運航体制に万全を期すという観点からは、もう一機あって三機あった方が適切である、こう考えますが、いずれにせよ、これは今後の対応を見ながら慎重に検討をしてまいる必要があると思います。
○山崎(拓)委員 長官はお答えにならなかった部分に、自衛隊機輸送能力の強化につきまして払お願いいたしましたが、これをぜひ真剣に御検討いただきたい、これをつけ加えておきます。 そこで、これが最後の質問になりますが、村山総理に御質問申し上げます。 率直に申し上げまして、村山政権の発足に当たりまして国民各位が最も懸念いたしましたのは、当政権の危機管理能力であったのではないか、かように考えるわけでございます。安全保障に関します基本政策を従来の社会党と我が党とは異にいたしておりましたし、仲を取り持つ新党さきがけがございましたけれども、この連立政権で果たして危機管理能力を十分発揮できるかどうか、そういう懸念がございましたが、村山総理の果断なイニシアチブによりまして、自衛隊合憲、安保堅持路線に転換をしていただいた。大多数の国民に非常に大きな安心感と現政権への信頼感をもたらしたと確信をしておるところでございます。 この際、自衛隊法一部改正案の審議に当たりまして、きょうは実は採決が行われますが、間もなく附帯決議が行われます。この附帯決議の中に、在外邦人等の輸送は緊急事態に際して行われるものであるから、種々の対応は可及的速やかに、かつ適切に行うことというような附帯決議も用意されておるのでございます。そういう観点から、今後、政府の危機管理体制の充実が必要ではないか、かように考えるので、この点について具体的な方策をお考えになっておられれば、この際、御披露願いたいと思います。
○河野国務大臣 ちょっと私から先に御答弁をさせていただきたいと思います。 附帯決議その他で、この法律が成立の暁には、迅速、果断に運用をする必要があるだろうという趣旨のことを言っていただいたことは大変ありがたいことだと思います。 この飛行機の運用に当たっては安全面で慎重を期さなければなりませんが、より安全に飛行機を運航するということは、早く飛んでいくということが安全に非常に意味があるわけでございます。もたもたして事態が悪化してから飛ぶということが一番安全上問題があるわけでございまして、そうした点は、安全に慎重を期すと同時に、それはできるだけ早く決断をするということが重要であるというふうに考えております。 危機管理の問題は、御指摘のとおり極めて重要な問題だと思います。御指摘のように、社会党と新党さきがけ、そして我が党の連立によります政権でございますけれども、この四カ月、十分な意思の疎通を図りまして、意思の疎通がないために問題が起こるというようなことは一度も当然ございませんし、そうした心配は全くないと私は思っております。また、内閣、官邸を中心といたしまして、危機管理体制にも十分これから具体的に対応していくという総理からの指示もございます。
○山崎(拓)委員 副総理からお答えがございましたので、この点に関しましては総理にお答えは特に求めませんが、情報収集能力の強化、それからそれを処理する際の省庁間の連絡並びに調整が円滑かつ迅速に行われるように、危機管理体制の整備について十分に御配慮を願いたい、御検討願いたいと考えております。 これは総理にお答え願いたいのでございますが、シビリアンコントロールの問題でございます。 先ほど海江田委員から観艦式並びに観閲式について御指摘がございましたが、観艦式における総理のお姿を拝見しておりまして、大変立派であったと考えておるわけでございます。昨年の観閲式を思い出しますと、時の総理大臣は実は背広姿で、そしていわゆる軍縮を中心に据えたスピーチをなさったわけでございます。シビリアンコントロールというのは、これは軍事に対する政治の優先という訳し方もあるわけでございまして、いわゆる二十三万自衛隊員が、最高指揮官である内閣総理大臣並びにそれを補佐する防衛庁長官に対して、十分な敬意と信頼を持つということが必要なのであります。昨年の、当時の総理の振る舞いは自衛隊に対しまして非常に失望と不信を与えた、私はかように承知をいたしておるところでございます。三十日にはぜひ村山総理に御出席をいただいて、そして総理の豊富な政治経験、人生経験に基づく感銘深い演説をぜひお願いをいたしたい。そして、自衛隊員の最高指揮官に対する敬意を、これは私は確信いたしておりますけれども、これを取りつけるようにぜひお願いをいたしたいと考える次第でございます。 士気のない自衛隊、これは石ころの集団なんです。士気の高い集団はダイヤモンドの集団だ。これは四兆七千億の防衛庁の予算がございますが、その半分近くが人件費なんですね。そういう状況の中で、彼ら一人一人が士気を持つか持たないか、専守防衛の体制の中で侵略抑止力として彼らが機能してまいりますためには、どうしても士気が必要だ。二十三万自衛隊員が、内閣総理大臣、最高指揮官の姿をいつも見ているということをぜひ御自覚をいただきたい。さっきちょっと、栄誉礼のときに幾らか気おくれしたのじゃないかとかというような御質問があっておったが、ひとつ堂々とやっていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。一言お願いします。
○村山内閣総理大臣 委員御指摘のように、シビリアンコントロールの前提としては、やはり自衛官の政治に対する信頼、とりわけ内閣に対する信頼が前提になければ、私は、シビリアンコントロールは守れないものだというふうに思っております。 今お話もございましたけれども、今の自衛隊が、平和憲法の理念というものをしっかり踏まえて、専守防衛に徹するという役割というものを十分自覚をした上で、整然と秩序ある行動をとられておる。その姿を見て、私は心から感服もしたわけでありますけれども、そうした自衛隊員の士気を鼓舞する意味でも、三十日にはぜひ出席をさせていただいて、そしてそれなりに私の見解を述べて、そして一体となって任務が遂行できるような、そういう状況をつくるために、私にできることは最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○山崎(拓)委員 終わります。
○近藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○近藤委員長 これより討論に入ります。 討論の申し出がありますので、これを許します。古堅実吉君。
○古堅委員 私は、日本共産党を代表して、自衛隊法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。 本法案は、地震などの自然災害及び騒乱、内乱、内戦、クーデターや国際間の武力紛争を含む紛争などの緊急事態にある外国のすべての地域に、邦人輸送の任務で自衛隊機、すなわち自衛隊航空輸送部隊が出動できるようにするものです。PKO法に続いて、今度は、緊急時の在外邦人救出の名目で、閣議決定も国会承認もなしに、海外の紛争地域にも自衛隊機を出動させようというものであります。自衛隊の海外出動を禁じた憲法の平和条項をじゅうりんするものであり、断じて容認できません。 いわゆる緊急時に政府がなすべきは、邦人の安全最優先の外交努力であり、輸送が必要な場合には民間機で対応すべきです。自衛隊機による輸送は、かえって邦人を危険にさらすものであります。 政府は安全確保が前提だと強調しますが、防衛庁長官は、完全に安全であれば民間機で対応できる、ぎりぎりいっぱいの安全のときに自衛隊機を使うと答弁しました。結局、相手国政府に任しておけない、民間機も送れない危険なときに、自衛隊機を派遣することになるのであります。 しかも、自衛隊は国際法上軍隊であり、政府専用機も含め自衛隊機は軍用機であります。軍用機を紛争地域に出動させれば、紛争状態である当事国の許可を得ていても、他の紛争当事国や内戦の当事者等の攻撃を受けない保証はないではありませんか。 さらに、派遣自衛隊機は、法律上、自衛隊法第九十五条の適用を受けます。政府は昨年十一月、自衛隊機派遣に関し、戦闘機の護衛や武器使用はしないなどの運用方針を閣議決定していますが、このこと自体が、法の運用によって、紛争地域に派遣された自衛隊機が紛争に巻き込まれ、その自衛隊機の防護のための武器の使用に及ぶ危険性を裏づけておるのであります。 また、原則政府専用機を使用するとしながら、それが困難なときは自衛隊輸送機の使用を明記しております。防衛庁長官が答弁したように、本法案は宮沢内閣・自民党の案と全く趣旨は同じであります。この宮沢内閣の法案に、昨年社会党は、海外派兵の実質を備え、憲法に抵触するとして反対しました。ところが今、違憲と断じたものと本質的に同じ内容の法案を社会党首班の内閣が推進しているのであります。まさに国民を欺瞞するものであり、断じて許されません。 以上で、反対討論を終わります。
○近藤委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○近藤委員長 これより採決に入ります。 第百二十八回国会、内閣提出、自衛隊法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○近藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○近藤委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、大野功統君外四名から附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。赤松正雄君。
○赤松(正)委員 ただいま議題となりました自衛隊法の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党、改革、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけ及び民主新党クラブの各会派を代表いたしまして、その趣旨の説明を行うのでありますが、案文の朗読をもってかえさせていただきます。 自衛隊法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行に当たっては、次の点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。 在外邦人等の輸送は、緊急事態に際して行うものであることから、当該輸送の実施に係る種々の対応は、可及的速やかかつ適切に行うこと。 以上のとおりであります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
○近藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 大野功統君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○近藤委員長 起立多数。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。 この際、玉沢防衛庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。玉沢防衛庁長官。
○玉沢国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。 —————————————
○近藤委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○近藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時三十五分散会