政治改革に関する調査特別委員会 第3号
- 発言数
- 12 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1994/09/02
会議録
○松永委員長 これより会議を開きます。 政治改革に関する件について調査を進めます。 本日は、本件調査のため、参考人として衆議院議員選挙区画定審議会会長石川忠雄君及び衆議院議員選挙区画定審議会会長代理味村治君に御出席をいただいております。 両参考人には、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。 それでは、衆議院議員選挙区画定審議会の「衆議院小選挙区選出議員の選挙区の画定案についての勧告」について、石川会長から説明を聴取いたします。
○石川参考人 石川でございます。 体の調子が悪いものですから、ひとつ座ったままでやらせていただきます。 当審議会は、去る八月十一日に、内閣総理大臣に対して「衆議院小選挙区選出議員の選挙区の画定案についての勧告」を行いました。本日、機会をいただきましたので、その審議経過と概要について御説明申し上げたいと存じます。 審議会は、四月十一日に発足以来、九回にわたる審議を経まして「区割り案の作成方針」を取りまとめましたが、この「区割り案の作成方針」につきましては、去る六月二十日に衆議院政治改革に関する調査特別委員会において、六月二十二日には参議院政治改革に関する特別委員会において、御報告申し上げたところであります。そして、その際さまざまな御意見を承りました。 この国会で承った御意見につきましては、その後二回にわたって開催されました審議会において、私及び味村会長代理からその概要を説明するとともに、議事録によりまして詳細を御紹介させていただき、各委員間で意見の交換と議論をいたしました。その結果、国会における御意見を統一的に区割り基準に反映させることは困難なことなどから、「区割り案の作成方針」に定める基準や手順については変更しないこととするけれども、具体的な区割りに当たっては国会における御意見を十分念頭に置きながら作業を進める、そういうことにいたしました。 また、現地調査、地方公聴会の開催等、手続に関しましてもさまざまな御意見を承りましたが、都道府県知事からの意見の聴取のほか、多くの市町村から意見、要望が寄せられていることでもありますし、特に必要があると認められるような場合には、さらに都道府県あるいは市町村から意見聴取を行うことによって、おおむね地域の実情を把握することは可能ではないか、そういう結論になりまして、現地調査は行わないことといたしました。 具体的な区割り作業につきましては、「区割り案の作成方針」を踏まえ、都道府県ごとに第八次選挙制度審議会の区割り案をたたき台として進めることといたしました。その際、事務局から、あわせて知事意見や市町村の意見等の紹介、広域市町村圏や地方拠点都市の説明などを受けまして、審議を進めてまいりました。また、事務局に寄せられました各方面からの要望等は、すべて各委員の手元に配付し、審議の参考とすることにいたしました。 そして、各都道府県ごとに一通りの審議を終えました後に、市区の分割の方法についての審議を行い、さらに総合的な検討を行った上で画定案を取りまとめた次第であります。この間、区割り作業については十一回、区割り基準も含めますと、総計二十二回にわたって審議会を開催したことになります。 次に、勧告いたしました画定案の概要について、区割り基準に沿って御説明申し上げます。 初めに人口基準でありますが、この人口基準については、設置法の一対二以上とならないようにすることを基本とするとした上で、具体的には、全国の平均人口をもとに、その上下三分の一以内とするとともに、各都道府県におきましても、その平均人口の上下三分の一以内とすることといたしました。 今回の区割りの結果、その人口が全国の議員一 人当たり人口の三分の四を超える選挙区は設けておりません。また、都道府県の議員一人当たり人口の三分の四を超える選挙区も設けてはおりません。 人口の少ない選挙区については、都道府県の議員一人当たり人口の三分の二を下回る選挙区は設けておりませんが、全国の議員一人当たり人口の三分の二を下回る選挙区は六選挙区生じております。 この六選挙区の内訳は、島根県で三選挙区、福井県、徳島県及び高知県でそれぞれ一選挙区となっております。すなわち、島根県、福井県においては、県の議員一人当たり人口が全国の議員一人当たり人口の三分の二を下回るため生じたものであります。また、徳島県及び高知県においては、県の議員一人当たり人口が全国の議員一人当たり人口の三分の二をわずかに上回るにすぎないために設けざるを得なくなったものであります。 この結果、人口が最小の選挙区は島根第三区、二十五万五千二百七十三人であり、最大の選挙区は北海道第八区、五十四万五千五百四十二人であり、人口が最大の選挙区と最小の選挙区の格差は二・一三七倍となり、格差が二倍を超える選挙区の数は二十八となりました。 ところで、選挙区間の人口格差については、可能な限り格差縮小が図れるように努めました。すなわち、八次審の区割り案では最小の選挙区となっていた高知第三区の区域及び最大の選挙区となっていた大阪第四区の区域については、それぞれ区域間調整を行い、格差の縮小を図っております。 なお、一層の格差の縮小のために、最小の選挙区となる島根第三区の区域についてもいろいろな角度から検討を行いましたが、歴史的な沿革、地勢等の状況から見て、隣接する第二区との間で区域調整を行うことは適当ではないとの結論に達しました。 また、人口最大の選挙区となる北海道第八区については、地域の一体性を考えた場合、函館市、渡島支庁、檜山支庁の渡島半島を一体の選挙区とすることがより合理的ではないかということから、人口が最大の選挙区となることもやむを得ないと判断したものであります。 このように、本審議会といたしましては、選挙区間の人口均衡を重視し、できるだけ格差を縮小すべきものとの考えに立つものですが、この結果は、設置法で各都道府県に対する定数配分として一議席ずつ均等配分する方法をとっているため都道府県間の格差が既に一・八二倍となっていること、区割り作業に当たっては、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮し合理的に行わなければならないものとされている、そういうことの中でぎりぎりの努力を行った結果でありまして、御了解をいただきたいと存じます。 次に、市区の分割についてでありますが、全国の議員一人当たり人口の三分の四を超えるため分割されることとなった市区は、大田区、世田谷区、練馬区、足立区、江戸川区、堺市、岡山市、熊本市の八市区であります。 都道府県の議員一人当たり人口の三分の四を超えるため分割されることとなった市は、浜松市、鹿児島市の二市であります。 また、高知市、大分市については、それを単独の選挙区とした場合、高知県、大分県の他の地域について全国の議員一人当たり人口の三分の二を下回る選挙区が生ずることとなりますので、これを避けるため、あるいはその数を減らすために、人口が最大の市である高知市、大分市の区域を分割することとしたのであります。 さらに、選挙区が飛び地となることを避けるため、市川市、松戸市、四日市市の区域を分割することとしております。 なお、これらの市区の分割については、八次審の区割り案における市区の分割と同じように、支所、出張所の所管区域、開票区、合併町村の区域、道路等を手がかりとして行っておりますが、八次審の区割り案でも分割されていた市区のうち、大田区、世田谷区、浜松市、岡山市、熊本市においては、分割される市区の意見等を踏まえて、八次審の区割り案とは異なる区域で分割を行っております。 次に、郡の分割でありますが、郡の区域については分割しないことを原則としておりますが、区割り基準で定めたとおり、人口基準に沿った選挙区を設けるために必要な場合、選挙区が飛び地となることを避ける場合、郡の区域が現に他の郡市の区域によって分断されている場合または郡の区域に離島を含む場合には、郡の区域が分割されている、そういうものがあります。 飛び地でありますが、今回の区割り基準においては選挙区は飛び地にしないものとしておりまして、このため、八次審の区割り案と異なる画定案となっております。 すなわち、千葉県においては、浦安市と市川市の南部をもって第五区とし、市川市の北部、松戸市の南部、鎌ケ谷市をもって第六区、松戸市の北部、野田市、流山市、東葛飾郡関宿町をもって第七区とすることにしております。 また、三重県については、四日市市の区域を分割し、四日市市の南部、鈴鹿市、亀山市、三重郡楠町及び鈴鹿郡をもって第二区とし、四日市市の北部、桑名市、桑名郡、員弁郡及び楠町を除く三重郡をもって第三区とすることにいたしております。 最後に、八次審の区割り案との比較について申し上げます。 区割り作業は、さきに申し上げましたとおり、八次審の区割り案をたたき台として行ったものでありますが、合併等による区域変更を除いて、四十八の選挙区において八次審の区割り案とは異なるものとなっております。すなわち、これまで申し上げた格差の縮小の観点からのもの、市区の分割方法の変更によるもの、飛び地を避けるためのもののほか、地域の一体性への配慮、地元の要望等を踏まえて、おおむね次の選挙区について八次審の区割り案と異なる区域とすることとしております。 まず、北海道第八区については、先ほど申しましたとおり、渡島半島で一つの選挙区を設けることとしております。 山形県については、上山市を第一区に、天童市、西村山郡河北町を第三区に、寒河江市、河北町を除く西村山郡を第二区に属させることにしております。 滋賀県については、草津市を第三区に、近江八幡市、蒲生郡を第二区に属させることとしております。 京都府については、京都市伏見区と向日市、長岡京市、乙訓郡をもって第三区とし、宇治市、久世郡を含むいわゆる南山城地域をもって第六区とすることとしております。 和歌山県については、有田市、有田郡を第三区に属させることとしております。 岡山県については、開票区が統合されたことも踏まえまして、岡山市の分割を旭川で行うこととし、御津郡を岡山市の旭川西部と合わせて第一区とし、玉野市及び児島郡は、岡山市の旭川東部、邑久郡と合わせ第二区とすることとしております。 長崎県については、壱岐、対馬、五島を空港のある大村市、東彼杵郡と同一の第三区とし、佐世保市、平戸市、松浦市、北松浦郡を第四区とすることとしております。 宮崎県については、東諸県郡を宮崎市、宮崎郡と合わせ第一区とすることとしております。 このほか、茨城県、群馬県、埼玉県、静岡県について、県議会議員の選挙区を踏まえた調整や郡の分割方法についての調整を行っており、また、千葉県については、千葉市の政令指定都市移行に伴い行政区の区域を単位とした区割りを、神奈川県については、本年十一月に横浜市の行政区の再編が予定されていることから、それを前提とした区割りを行っております。 以上が「衆議院小選挙区選出議員の選挙区の画定案についての勧告」の審議経過及びその概要であります。 御理解のほどをよろしくお願い申し上げます。(拍手)
○松永委員長 以上で説明は終わりました。 ─────────────
○松永委員長 ただいまの御説明に対しまして、委員長たる私より委員会を代表して質疑を行うことといたします。 石川会長、味村会長代理を初めとして審議会の委員各位におかれましては、去る四月十一日に審議会が発足して以来精力的に審議を進められ、去る八月十一日に画定案の勧告をされたところでありますが、この間における御尽力に対し、ここに委員会を代表して深く敬意を表する次第であります。 それでは、先ほどの理事会において了承された質疑事項について、私からお尋ねいたします。 今回の画定案では、各選挙区の人口の最大格差は、先ほど御説明にありましたとおり二・二二七倍となっております。そこで、このように最大格差が二・一三七倍となっており、かつ格差が二倍以上になっている選挙区が二十八となっておる今回の画定案は、衆議院議員選挙区画定審議会設置法第三条第一項の「各選挙区の人口のうち、その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が二以上とならないようにすることを基本」とするとの規定に適合するものとお考えかどうかについての御見解を伺いたいと思います。
○石川参考人 お答え申し上げます。 今、委員長のお尋ねでございますが、もし今回の区割りに当たって、選挙区を、市町村をいわゆるようかんのように切っていくということをすれば、恐らく二倍以下におさまるであろうということは言えると思うのでありますけれども、しかし、御承知のように設置法の中に、「行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならない。」そういうことも書かれてございますし、それから、御承知のように設置法の中に、四十七都道府県に定数一を配分しております。そういういろいろな条件から考えて、我々としてはできるだけ格差を少なくするという意味でぎりぎりの努力をしたというのがこの二・一三七倍ということの数字でございます。 そういうことでございますから、そういう今申し上げましたような事情から考えて、私は、格差が二・一三七倍になった、設置法の中に一対二以上にならないようにすることを基本とする、こういうふうにも書いてございますので、私は、そういう意味で法に適合するというふうに考えております。
○松永委員長 次に、今回の画定案と憲法が求める投票価値の平等との関係について伺います。 衆議院議員の選挙制度として新たに小選挙区比例代表並立制を導入するに当たり、今回の画定案のとおり衆議院議員の選挙区を定める法律が制定されることになりますと、新しい選挙制度は最大格差二・一三七倍で発足することとなります。これは、例えば大正十四年の中選挙区制の発足時の最大格差一・四九五倍、あるいは昭和二十二年の中選挙区制の再発足時の最大格差一・五〇五倍と比較してみると、大きな違いがあると言わなければなりません。 去る六月三日の東京高等裁判所の判決では、「衆議院議員の定数を、人口以外の他の要素をも考慮して配分するとしても、選挙権として一人に二人分以上のものが与えられることがないという基本的な平等原則をできる限り遵守すべきもの」とした上で、選挙制度の抜本改正における定数配分については、従来最高裁判所が示しているような基準で違憲判断をすることは相当ではなく、基本的には右に述べた基準によるべきものであるとの判断が示されております。 また、先般自治省が発表した住民基本台帳に基づく本年三月三十一日現在の人口を今回の画定案に当てはめて試算しますと、最大格差は二・二二六倍となるだけでなく、格差二倍以上の選挙区も二十八から四十一に増加すると報道されております。 これらの事情を考え合わせますと、今回の画定案のとおりの選挙区を法律で定め、これに基づいて衆議院議員総選挙が行われた場合、投票価値の平等をめぐる違憲訴訟が提起されることが考えられますが、これに対して裁判所がどのような判決を下すこととなるのか、危惧されるところであります。 そこで、国会における立法は裁判所の憲法判断にたえ得るものでなければならないという観点からお尋ねしておきたいのでありますが、今回の画定案のとおりの選挙区を法律で定めることと憲法が求める投票価値の平等との関係について、審議会としての御見解を承りたいと思うのでございます。
○味村参考人 今回の、当審議会におきまして決定いたしました、勧告いたしました画定案は、審議会設置法三条に規定されております「改定案の作成の基準」、これにのっとってつくったものでございます。さきに中間報告を申し上げました当審議会の「区割り案の作成方針」の中の基準は、この設置法に定める基準をより具体化したものでございます。 そこで、私どもといたしましては、設置法は、これは国会が慎重に御審議の結果成立したものでございますので、これは当然憲法上問題がないものということで、その設置法に基づきまして先ほど申し上げましたように基準をつくりまして画定案を作成いたした次第でございますので、私どもの審議会の作成いたしました画定案は審議会設置法に適合するものでございまして、したがって、また憲法上も問題はない、このように考えているところでございます。 なお、投票価値の平等ということとその他の国会における考慮要素との関係につきましては、中選挙区制のもとにおきまして最高裁の大法廷が累次示されているところでございますので、それを若干御紹介申し上げますと、選挙区割りと定数配分につきましては、選挙人数と議員定数の比率の平等、まあ投票価値の平等でございますが、これが最も重要かつ基本的基準であるけれども、行政区画、地理的状況等、あるいは人口の都市集中化等の社会情勢の変化を選挙区割りにどういうふうに反映するかなども考慮されるべき事項であるというふうに言っておりまして、そして、仮に具体的な定数配分規定のもとで投票価値の不平等が存在する場合、それが国会において通常考慮し得る諸般の要素をしんしゃくしてもなお合理的とは考えられない程度に達しているときには、原則として定数配分規定は憲法違反である、こういうのが累次の最高裁判所の基本的な考え方であろうかと思います。小選挙区制のもとにおきましても、これは私個人の意見になるわけでございますが、この最高裁判所判決の基本的な考え方は維持されるのではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。 こういう趣旨に照らしますというと、審議会におきまして、審議会設置法に基づき人口基準以外に考慮いたしましたさまざまな事項、行政区画、地勢、交通事情、あるいは審議会設置法自体に定めてございます各都道府県にまず一人議員定数を配分するということ、こういうことは当然国会において考慮し得る事項である、考慮すべき事項であるというふうに考えられますので、憲法上の問題は生じないのではなかろうか、このように考えるわけでございます。 なお、住民基本台帳に基づく御指摘がございましたが、審議会設置法の三条一項の「人口」というのは、国勢調査による人口、こういうふうにされておりますので、審議会の採用いたします人口基準には、住民基本台帳による住民数は反映されません。過去の定数配分規定の違憲訴訟におきましては、住民基本台帳による住民の数あるいは有権者数、それと議員数との比率が問題とされましたけれども、審議会設置法におきましては、審議会は、十年ごとの国勢調査、その結果によりまして選挙区画画定の勧告をすることといたしますし、また中間の簡易な方法による国勢調査、これは中間五年で行われるわけでございますが、そういったことによりまして、人口の著しい不均衡その他特別の事情があるときは改定の勧告をすることができるといたしておりますので、この点も審議会 設置法の合憲性というようなことには影響はないものというふうに考えます。 最後に、御指摘の東京高等裁判所の判決は、その判決の基本的な考え方は、私が先ほど御紹介申し上げました最高裁判所の基本的な考え方によっております。そのことは明言されております。その上で、いわば私どもの使う言葉では傍論として、先ほど委員長がお示しのような判示があるわけでございますが、ここでは「選挙権として一人に二人分以上のものが与えられることがないという基本的な平等原則をできる限り順守すべきもの」と言っておりまして、「できる限り」ということでございますので、行政区画とかその他の事情を考慮して、できないときにはやむを得ないということまで否定しているものではなかろうというふうに思うわけでございます。 以上でございます。
○松永委員長 次に、今回の画定案では、先ほどの御説明でありましたように、十五の市や区の区域が分割されており、このほかにも旧郡の区域や一体的な地域で分割されたものが少なくないと思われます。これらの分割は、人口基準との関係でやむを得ない面があったこととは思いますが、去る六月二十日の本委員会においても、地域の一体性の確保が重要であるとの意見が多くの委員から述べられたところであります。審議会としては、このような市や区の区域の分割あるいは一体的な地域の分割についてどのような考え方で臨まれたのか、また、このような分割によってその地域の一体的な振興発展が阻害されることにならないかについて、御見解を伺います。 さらに、これに関連して、市や区の区域を分割するに当たってはさまざまな手がかりを考慮されたことと思いますが、どのような考え方で臨まれたのか、お尋ねしたいと思います。
○石川参考人 それではお答え申し上げます。 ただいま味村委員も触れられましたけれども、設置法第三条第一項では、選挙区の区割りに当たっては、各選挙区間の人口の均衡を図り、格差が一対二以上とならないようにすることを基本とする、こういうふうに決められておりますが、それと同時に、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に決めなければならないということにもなっておるわけであります。 この人口の均衡と地域の一体性の確保という二つの要請をどう一体調和させて満たしていくかということが、これはもう審議会でも常に議論になったところでありまして、非常にその意味では苦心をした、自分が言うのは大変おかしいのでありますけれども、皆さん苦心をしてくだすったというふうに思います。その結果、「区割り案の作成方針」に定めたとおり、人口基準、市区の分割基準、郡の分割基準、こういうものを設けて、それを手がかりにしてこの問題を具体的に考えようということになったわけであります。 具体的な区割りの作業に当たりましては、こういう区割り基準に沿いながら、一体的な地域にあってはできるだけそれを同一の選挙区にするということに努めてきたのでありますけれども、基準との関係でどうしても市区を分割せざるを得ない、あるいは一体性があると言われる地域を分割せざるを得ないというようなことがございました。これは、私どもとしてはできるだけ地域の一体性というものを考えながらやったわけでありますけれども、そういう結果が出てきたということについてはぜひ御理解をいただきたい、そう思っております。 それからその次に、市区の分割の場合の手がかりでありますが、これは前にも申し上げましたが、支所とか出張所の管轄区域、これが一つの手がかりであります。それから、それでいかなかった場合には、衆議院議員選挙の開票区の区域、それから合併町村の区域、さらにそれ以上に進めば河川とか道路とかそういうようなもので区割りをせざるを得ない、こういうことでやってまいりましたので、御理解をいただきたいと思います。
○松永委員長 最後に、今後の問題についてお尋ねいたします。 審議会設置法第四条第一項では、十年ごとに行われる国勢調査の結果による人口が官報で公示された日から一年以内に選挙区の改定の勧告を行うこととされていますが、このほかに、同条第二項では、審議会は、各選挙区の人口の著しい不均衡その他特別の事情があると認めるときは選挙区の改定の勧告を行うことができることとされております。 そこで、「人口の著しい不均衡その他特別の事情」とは、具体的にはどのような事情と考えるのか、また、十年ごとに行われる国勢調査の中間に当たる平成七年の国勢調査の結果によって改定の勧告をされることがあり得るかどうかについて、御見解を伺いたいと思います。
○石川参考人 「人口の著しい不均衡その他特別の事情」ということでございますけれども、今委員長も御指摘になりましたように、明年は国勢調査の補完調査が行われます。したがいまして、その結果が一体どういうふうに出てくるかということは関心を持って見ておりますけれども、しかしその結果、人口格差が著しく拡大されているというような場合とか、あるいは市町村の合併とか境界の変更がしきりに行われて極めて多くの都道府県において区割りが実情にそぐわないというようなことが出てきた場合とかいうこと、それを私は大体指しておるというふうに考えておるわけであります。 設置法の規定によりますと、改定案を勧告する次の大規模な調査というのは平成十二年の国勢調査ということになるわけでありますが、先ほども申し上げましたように、明年の国勢調査の補完調査がどうなるかということは関心を持って見ておりますけれども、しかし、それが実際にどういう形になって出てくるかというのを見ませんと、それについての審議会の考え方ということは明らかにするわけにはいかないということでございますので、そういうふうに考えているということを申し上げたいと思います。
○松永委員長 ありがとうございました。 冒頭にも申し上げましたが、石川会長初め審議会の委員各位の御尽力に対し重ねて敬意を表しまして、以上で私からのお尋ねを終わります。 両参考人にはまことにありがとうございました。 本日は、これにて散会いたします。