文教委員会 第5号
- 発言数
- 80 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1994/06/22
会議録
○委員長(石井道子君) ただいまから文教委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る二十日、宮崎秀樹君が委員を辞任され、その補欠として下条進一郎君が選任されました。 また、昨日、林紀子君が委員を辞任され、その補欠として橋本敦君が選任されました。 —————————————
○委員長(石井道子君) 去る十七日、予算委員会から、二十二日の一日間、平成六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部省所管について審査の委嘱がありました。 この際、本件を議題といたします。 予算の説明につきましては既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○森山眞弓君 資源の全くない我が国がこれから国際社会の中で生きていって、また貢献もしていくというためには、科学技術の振興、特にこれからは基礎研究に力を入れていかなければいけないと思います。二十日の委員会では子供たちの理科離れのことについてお話しいたしましたけれども、きょうは平成六年度の予算に関して、国立大学、研究機関の問題について取り上げてみたいと思います。 国立大学や研究機関の施設設備が大変老朽化して狭隘であるということが数年前から強く指摘をされまして、この改善が急務であるということから、平成五年度には特に補正予算で大幅な増額の追加予算を認められ、当初予算の三倍が補正予算で加えられまして、合計四千三百二十四億円というかつてない多額の予算が手当てされたところでございます。また、科学研究費の補助金も平成五年度におきましては大幅増額ができまして、それなりにこの改善のための努力も形をつけつつあるというふうに思われます。 平成六年度も引き続きそのような方向で努力をしていただいているということが先般御説明ございまして、大変結構なことだと思っているわけでございますが、この基礎研究に関して残された手つかずの問題が一つあるわけでございます。これは研究の人的支援体制、すなわち研究補助者の不足ということでございます。 文部統計要覧というのを見ますと研究本務者の数というのが出ておりまして、公私、企業も含めこの統計によりますと昭和五十年と比べて約二十年の間に約二倍になっているということがわかります。三十一万人が六十二万二千四百人となっております。特に大学だけ見ましても十三万四千五百人が二十二万人と二倍に近い増加でございますが、これは研究本務者の数なのでございまして、補助者の数はこれには載っておりませんでした。 そこで、お聞きしたいんですけれども、文部省所管の国立大学、研究機関における研究者と補助者の数についてお示しいただきたいのと、特にこの十五年ぐらいの間に増減がどうであったかということをお聞かせください。
○政府委員(遠山敦子君) 国立大学の研究者と申しますか教官の数の推移について申し上げますが、昭和五十五年におきましては六万二百八十一人でありました。平成六年度につきましては七万百三十一人ということで予定をさせていただいております。 それから、事務官、技官でございますが、昭和五十五年には四万九千八百七十二人でありましたものが、平成六年度には四万四千九十四人ということで予定させていただいております。
○森山眞弓君 今、局長からお話しのとおり、教官の方はふえているんですね。その補助者と考えられる事務官や技官は減っているという状況でございます。 どんなに偉い博士でも教授でも一人では研究はできないわけでございまして、これを支え助ける体制というのがどうしても必要だということはお認めになると思うんですが、国立大学等国立機関の場合にはこれは国家公務員ですから、定員削減がかかったりあるいは増員要求したりしてこられたんだと思うんですけれども、その状況はどうなっておりますでしょうか。
○政府委員(遠山敦子君) 手元の数字で御説明申し上げますが、昭和六十一年度末、国家公務員である国立大学の事務官それから技官の定員が四万八千二百六十九人でありましたものが、平成六年度末に四万四千九十四人ということで四千百七十五人減になっております。このうち定員削減ということで減になりましたのが六千三百十人でございます。 ただ、一方で、純新規と申しますか新しい組織なり研究機関なりに必要である定員を増をする、あるいは学年進行による増員というものをトータルいたしまして約千八百人の増が見込まれているわけでございます。
○森山眞弓君 努力なさったとはおっしゃっておりますし、それも私もわかるんですけれども、結果として、非常に教授の方はふえておりますけれども、それを補佐する体制の方はだんだんと弱体化していくという結果になっているのは甚だ残念だというふうに思いますし、せっかく研究者を少しずつふやしても、それは本来よい研究をもっとしてほしいし研究活動を活発にしたいという目標があってのことだと思いますが、研究者、研究に当たる本務者だけをふやしたのではその本当の目的が達成できないのではないかという気がするわけです。 文部省の増員要求の場合は、どちらかといえば研究者の方に重点があって、補助者の方をちょっとないがしろにしてこられたという嫌いがあるのではないかという感じがいたしますが、いかがですか。
○政府委員(遠山敦子君) 確かに森山委員の御指摘のとおり、研究者だけでは研究は進みませんで、教育研究の支援職員といいますか、特に技術職員の不足などにつきましては各大学からの切実な要望もございますし、私どももその状況については承知しているところでございます。 なぜそうなったかということでございますが、御指摘のように、定員削減によります教育研究支援職員の減少にあるわけでございますけれども、さらに申しますと、国大協などの意向も踏まえまして文部省の方針として、国立大学の教育研究を充実するために教員への定員削減というのはできるだけ抑制しながらその定員増をできるだけ図ろうという政策をとってまいっているわけでございまして、事務職員、サポートする職員の定員につきまして削減のしわ寄せが行っているという事実もあるところでございます。
○森山眞弓君 研究者の増員をなさるという気持ちもよくわかりますし、それが悪いとは言っておりませんけれども、本当に不可欠なそのための要員である人々についてもお忘れにならぬように、大変マイナスになっているところですから、これから今までより一層力を入れて補助者の増員について努力をしていただきたいというふうに思うわけでございます。 よくお聞きする話ですけれども、立派な博士や大学教授が実験をなさるのにも実験台を自分でぞうきんがけをしなければいけないとか、片づけた後のお掃除も自分でしなければいけないというような話を伺います。それは別に悪いことじゃありませんけれども、しかしそういうことを手伝ってくれる人があればそれだけのエネルギーを研究に専念することができるわけですし、また聞くところによりますと、外国の研究者についてはもう少しスタッフが余計ついているというような話も聞きます。 私が入手しました資料によりますと、研究者一人当たりの補助者数というのがほかの国に比べて日本は大変少ないようでございます。大学だけについて申せば、日本は研究者一人当たりについて〇・二六人ですか、ドイツが〇・八三人、フランスが〇・六三人、イギリスが一・〇六人というふうな数字がある資料を見ました。 外国の研究者と共同研究をなさるとか、外国から研究のために日本へ留学されるとか、そういう研究者の方もこれからますますふえてくると思いますし、そのような状況を考えますと、日本の今のような体制ではいささか恥ずかしいばかりではなく、本来の研究活動に支障を来していくんではないだろうかということが心配されます。 もちろんすべて国家公務員でなければならないということはないと思いますので、仕事の内容によっては非常勤の人、あるいはアルバイトとかパートの人などが柔軟に自由に使えるような体制ということも必要なのではないだろうかという気がするのでございますが、研究者一人について補助者は大体このくらいというような目安というものはないんでしょうか。研究の内容にもよって違うと思いますが、Aタイプ、Bタイプ、Cタイプというようなモデルをつくって、それを一つの目安にして努力をしていくというようなことは考えられないでしょうか。
○政府委員(遠山敦子君) 現在のところでは、先生がおっしゃったような形で教官何人に技術職員何人というふうな基準を設けているわけではございません。 それと、先ほどお挙げいただきました数字でございますけれども、確かに平均しては日本の大学における技術職員の数といいますか支援職員の数は少ないわけでございますけれども、大学にもよりますし、それから研究機関を多く抱えているようなところにつきましてはまた特別な配慮をしているという背景もございます。 将来の問題につきましては、文部省としましては、例えば新しい学部、学科でありますとか、研究科の新設、改組、あるいは附属施設の新設等に際しましては技術職員等の確保に努めていきたいと考えているところでございます。また、大学の中でもやはりいろいろ有効活用の観点から、定員の再配置でありますとか事務体制の統合あるいは支援職員のプールといったようなものも必要であろうかと思っているわけでございますが、いずれにいたしましても、まだこの面につきましては今後私どもも十分考慮していかなければならないと思っております。
○森山眞弓君 この問題は必ずしも文部省だけの問題ではないと思うんですね。科学技術庁その他、ほかの省庁でも関係のある研究機関というのはたくさんあるわけですし、そこは聞くところによればほとんど同様の状況であるということを聞いております。 ですから、ほかの省庁、科学技術庁を初めこの問題に関心のある、関係のある各省庁と連絡を取り合われて、研究体制の充実、その中の非常に重要な要素である支援体制の充実ということについてこれから特に努力をしていただいて、今までのおくれを一刻も早く取り戻していただきたいというふうに思いますが、大臣の御意見を最後に伺わせていただきたいと思います。
○国務大臣(赤松良子君) ずっと御意見を伺っておりまして、本当に共感をいたした次第でございます。 教員でない技術職員等については、定員削減がオートマティカルにかかってくるという長い間の削減をもろに受けている。一方では必要な増員要求はできるわけでございますが、ここの部分はどうしてもしにくい場所だろうというふうに思います。先生が非常に具体的な御提案もしてくださって、定員でなくても予算措置でできる配置というものがあるのではないかと。それは十分研究に値する御提言だというふうに承っておりました。それからまた、最後におっしゃいました、関心のあるあるいは関係のある各省庁ともこの問題について連絡を取り合うという必要も十分あると思います。 私自身も、大学の先生が、えらい教授がコピーを自分でとっているという話も聞いたことがございまして、そういうことがゼロにはならないまでも少なくなるように微力ながら努力をいたしたいと思います。
○森山眞弓君 終わります。
○田沢智治君 私は、やがて来る二十一世紀社会を迎えようとする今日、新しい時代を支える人間像についてどういうような精神的支柱を今、培わなきゃならぬかということを考えておる一人でございます。 そういう中で、最近、清富の精神、清く富むこと、変な野心を持ってうまいこと自分だけやろうなんというような根性を持つ人間を幾ら育ててもだめだし、知性ばかり発達してもバランスのとれない人間は国家社会のためにならぬ。そんなような人間を教育界がどんどこどんどこつくったとするならば、この地上は悲しい現実を迎えるのみであるというようなことを思うとき、やはりこれからの時代は清富の精神に徹していく、大きな仕事をするよりも人格を通してその時代に非常な貢献ができるような人物を育成することが教育の真髄を追求する私たちの使命であると私は思うのでございますが、文部大臣はどういう所見を持っておられるか、お聞きいたしたいと存じます。
○国務大臣(赤松良子君) おっしゃるように、知識ばかりがふえて、ゆとりだとか他人に対する思いやりとかのない人間を育てていったのでは日本の将来は暗たんたるものだと考えます。もっとバランスのとれたと、まさに先生のおっしゃいましたバランスのとれた、知識も必要でございますけれども、心の温かさとかそういうもののある人間、そして文化を味わうゆとりのある感性も備えた人間を育てたいというふうに念願いたしている次第でございます。
○田沢智治君 私も大臣と同じような考えを持つ一人でございます。じゃ、そういうような人間を育てるには一体どうしたらいいかというような問題点が出てくるわけです。 そこで、きょうは予算委員会の委嘱ということでございますので予算に関連して、その教育の担い手である私学関係の予算が年々削減されたり、政府がことしこういう基準でやるんだと言うと来年はまた別の基準になるし、最近は農業政策を含めて一貫性がないのではないかという不安感を多くの国民が持っているのではないだろうか。特に高校以下の私学助成について非常に私は危機感を持っております。 高校以下の教育というものは、人間の基礎、基本を培う上において大事な教育期間であって、この期間に基礎、基本をきちっと教えないと、その人材が大学へ行きあるいは実社会へ出ても大変大きな間違いを起こすような状況にあるという中で、今の日本の社会そのものが健全であるか健康であるかということに対して、大きな疑点を持って世界の人々が見ている。それは基礎教育がきちっとしていないからだろうと私は思っておるんです。 そういう意味で、高校以下の私学助成についての問題点、これは大蔵省にまず聞かなきゃいかぬと思っているんですが、平成六年度予算において高校以下の私学助成が二五%削減されておる。二百十億円ぐらい削られている。その分は地方交付税で措置されているからいいじゃないかというような意見を持つ人もいるようですが、これは大きな間違い。これまで毎年大蔵省から私学助成削減の方針が示されているが、昨年は何とか回避したが、ことしの予算においては四分の一カットされた。これは大変残念なことであるが、今後こういうものについての扱いはずっとこうやってやっていくのかどうか、大蔵省の所見をまず聞かせてください。
○説明員(田村義雄君) お答え申し上げます。 ただいま御指摘ありました私立高校以下に対します助成につきましては、先生もう十分御承知のとおり、一次的には都道府県が行っているわけでございまして、都道府県が私立高校等の経常費について補助する、そういう場合に国が地方交付税あるいはそのほか一部を私立高等学校等経常費助成費補助金という形で補助をしているわけでございます。 六年度予算編成に当たりましては、一つは私立高校に対します。その都道府県の助成水準が高まってきているというような現状、あるいはこれは申さざるを得ないのですが、現下の極めて厳しい財政事情等を勘案しまして、国と地方の役割分担あるいは費用負担のあり方等の観点から補助金について見直しを行いました。先生、今、御指摘がございましたように、一般補助について削減するとともに、特別補助については拡充を図りまして、トータルとしては二五%のカットとなったわけでございます。 また、国庫補助金の削減に当たりましては、都道府県の実際の私学助成水準の低下という事態を招かないように、地方交付税措置を大幅に重視することによりまして、国庫補助金と地方交付税を合わせたいわば国の全体の財源措置については拡充を図ったということでございます。 今後どうするのかというお尋ねでございますが、今後、平成七年度以降の具体的な取り扱いについてこれをどう考えるのかという御指摘だと思います。 まだ六年度予算を御審議いただいている最中でございますが、一つはやはり今後の国の財政状況、財政事情、それから基本的にまず私学助成の趣旨、非常に重要であるというその重要性、さらには都道府県における実際のこれからの助成状況、そういったものを勘案しながらこれからの予算編成過程において適切に判断してまいりたいと、このように考えております。
○田沢智治君 今、あなたは言うけれども、二百十二億減ずるというのはこれは大変なことなんだよ。何でこんな突拍子もないような削り方をしたの。
○説明員(田村義雄君) 突拍子もないということでございますが、基本的には今申し上げたような最近における都道府県の助成水準が高まってきている現状とか、国の厳しい財政事情等を総合勘案したということに尽きるのでございますけれども、一方において地方交付税、これは大幅にむしろふやしていただいているわけでございまして、トータルとしてこの私学の高校以下の補助金は六%強の増額を見たところでございますので、そこは十分御理解を賜りたいと思います。
○田沢智治君 それはそうだろうけれども、地方間格差というものが非常に広がっていることは、あなた知っているでしょう、数字を僕が言わなくたって。過去、昭和四十五年から五十年には、私立高等学校への財政措置が地方交付税によって行われてきたわけですよね。しかし、その交付税は使い道が限定される目的税じゃないから一般財源に充てるため、地方間で私学の教育水準の格差が生じたんです。その反省のもとに現在の私学助成制度がつくられたという経緯があるんだけれども、この経緯については大蔵省としては認めるの。
○説明員(田村義雄君) そのような経緯があることはもちろん承知をしております。 今の御指摘、むしろ私よりもあるいは自治省からお答えになった方がよろしいかと思いますが、基本的に先生おっしゃるように、地方交付税はもちろん地方の一般財源でございますから使途に制限がないということはそのとおりでございます。しかしながら、そもそも高校以下の私立学校の所轄庁は都道府県でございますし、また今申し上げたように、私立高校に対する都道府県の助成水準が非常に全体として高まってきているということを勘案いたしますと、各都道府県においてそれぞれ適切な対応がなされるものと、そのように私は考えております。
○田沢智治君 今回の地方税交付の一部振りかえということ、これは一つの努力であると私は評価していますけれども、私学の助成本来の役割というものを考える場合、先ほど申したように、人づくりというものをきちっとしないと日本はつぶれていっちゃうんだよね。思いやりの心も持たないし自分だけ豊かになればいいんだというような、そういう人間をつくったらこの国はだめになっちゃう。そういう意味では、一般財源であるから、道路をつくったり橋をつくったりするのは日本人は好きなようでございますし、またそういうものに使われないとは限らない。現状において地方間格差は深刻な問題になっているんですよ。 平成五年度における私立高校生一人当たりの都道府県の助成金、これは国庫助成金を含みますが、最も多いのは東京都で三十万七千二百二十五円、一番少ないのは沖縄県で十九万八千二百円、この格差というものは一・五倍の格差を生じているんですね。ここでさらに私学助成が地方交付税に振りかえられるとすると、地方間格差が一層拡大することが予想されるわけです。 それはなぜかというと、各都道府県によっては財政規模、基盤というものがそれぞれ違うから、当然Aという県はことしはこういうものを重点に住民にサービスしたいんだということになると、この問題がやや削減される可能性がある。そういう意味で、地方間格差が現在あるという認識に立って、人材育成に大きな支障になる危険性が高いということを私たちは憂慮しているわけですよ。 ですから、ことしはこれもうやっちゃったことだからしょうがないけれども、でき得る限り、やはり私学振興法という法律があるんだから、それに基づいて国が責任持つ、都道府県もひとつ大いにやってくださいよというような一つの調和性ある整合性を持った政策を貫いてもらいたい。特に来年度についてはその辺のところを心してやってもらいたいと思うんですが、あなたの決意を聞きたい。
○説明員(田村義雄君) 先生が御指摘なされた事項は、私としても十分理解できるところも多々ございます。 ただ、全体として、七年度あるいは七年度以降のこの補助金について決意と申されても、やはり基本的には今後の今まさに先生がおっしゃられた都道府県の助成水準が実際にどうなっていくかを見守っていくことは大事なことだと思いますし、また財政事情も大事なことでございます。それから、そもそもさかのぼって私学助成の本来の趣旨というもの、これをもちろん否定するつもりはございません。大事なことだと思います。そこら辺を総合的に勘案しながら適切に判断してまいると、抽象的なお答えになってしまいますけれども、私としてはそのように考えております。
○田沢智治君 それじゃ、前向きで努力してくれるというように理解していいね。そのくらいのことはやりなさいよ、せっかく質問しているんだから。 それから自治省にお伺いしますが、今年度そういう不幸な事態が生じて、結局、私学助成というものは一般の財源ということで交付税の中に入れる、足らぬ分は。そうなっておるんだが、各自治体は交付税をきちんと私学に計上して、昨年よりも低いというような状況になっていないんじゃないかと思うんですが、自治省としてどうですか、実態は。
○説明員(香山充弘君) 各県の私学助成の予算計上状況でありますけれども、私ども厳密な調査ではございませんけれども現時点で把握しております数字によりますと、高等学校に対する一般補助の児童生徒当たりの助成額、国の財源措置額をほとんどの県が上回っておりまして、二、三下回っている県がありますけれども、それあたりも今後の補正等で対応するお考えであるというふうに承知をいたしております。
○田沢智治君 大変感謝いたしますが、大蔵省も努力し自治省も努力しているという、もちろん文部省もそれを支えてくれているというような状況に対して私は心して敬意を表します。 これの中心的担い手である文部省として、来年度にかけてひとつこういうことのないように努力をしてもらわなきゃならぬ、こう思うんです。大蔵省もそういうような次元についてはよく理解し努力すると言うんだが、文部省は一体どういうような考えを持っているか、聞かせてください。
○政府委員(泊龍雄君) 田沢先生からのお尋ねの件でございます。私どもこれまでも私立学校振興助成法の趣旨というものを踏まえて、近年の極めて厳しい国の財政事情のもとではございますけれども、私学助成の確保という点につきましては最大限の努力を払ってきたところでございます。 今年度の御提案申し上げている予算の内容については先生御指摘の内容になっておるわけでございますが、いずれにいたしましても、私立高等学校等に対する経常費助成補助金につきましては、御案内のとおり、国としてはやはり全国的な観点で教育の機会均等あるいは教育水準の維持向上ということを考えていかなければならないという観点から、各都道府県における助成水準の引き上げ、あるいは先ほど御指摘のございました都道府県間の助成水準のアンバランスといったようなものの解消を図るということは、なお重要な課題と思っておるわけでございます。 今後ともこういった私学振興の上での私学助成というものの大事さというものを念頭に置いてできる限りの努力をしてまいりたいというふうに思っております。
○田沢智治君 ぜひ文部省も力を入れて、余り不安を与えないように、安定した私学経営ができ成果が上がるような環境づくりに努力していただきたいと思います。 近時、地方の時代とかあるいは地方分権の促進が叫ばれております。個性的で多様なライフスタイルの実現が求められ、各地域がそれぞれの個性や主体性を発揮してその潜在力を十分に活用する分権型行財政システムを新たに構築しようとしている傾向があります。さらに国と地方の機能の分担等を見直しながら新しい時代をつくりたいという国の考え方、多くの人たちはそれをまた求めております。 それでは、それを支えていく基盤的人材の育成というものをどう考えていくんだということになると、どうもその辺のところがスローガン倒れしちゃって、細川内閣あるいは今の羽田内閣を見ても、地方分権だ地方分権だと言ったって、じゃ地方にそれを担う人材養成ができているのか、あるいはしようとしているのかという受け皿、人的受け皿の養成というものが欠如している、私はそう思うんです。 だから、早く自民党政権を誕生させて、そういうことがきちっとできるような安定した強い、国民の期待ができるような政権をつくらなきゃ私はだめだと思う。最近はもう言葉でごまかされちゃって、あのそので終わっちゃっているような、そういうような時代の流れというものはこれは許しがたい。 そういうような意味で、全国の都道府県に存在している私立学校というものがその受け皿として大変大事な存在なんですよ。大学教育の中では八〇%を占めると言われるほど重要な日本の知能的役割を果たしている。こういうものを育成することによって地方分権の実現ができるわけですよ。そういう受け皿というものを整理して、それに力を入れて足腰を鍛えていきながら地方分権を実現するんだという、そういう国家的な展望、政策というものが非常に今の政治の中では欠けている。私は非常に悲しく思っているんですよ。 そういうような使命感に燃えて、私学というものの存在、そして足腰を鍛えですばらしい人間をつくっていく機関、これを育成しない限り地方分権の実現はないのではないかと私は思っておるんですが、文部大臣、所見を伺いたいと存じます。
○国務大臣(赤松良子君) 全くそのとおりだと思っております。 それで、私学助成について議員立法でちゃんとした法的な裏づけが与えられ、それに基づいて私学の助成がなされてきたという歴史を私どもはよく認識をいたしまして、私学に対する助成の重要さというものを予算にも反映させなければならないというふうに思っております。 先ほど私学部長が申しましたように、今年度の予算の二百十二億の削減というのは大変私どもつらい思いで眺めたわけでございまして、しかしこれは補助金全体を一般財源化する、つまり補助金を廃止するという意味ではないということの確認を大蔵大臣、自治大臣と三人の間でちゃんと意見の整理をして、予算委員会でも総括の場ではっきりと申し上げたわけでございますので、そういうつもりでいるということをここでも申し上げさせていただきたいと存じます。
○田沢智治君 ぜひ文部大臣のその決意を通してくださいね。我々も応援しますよ。 いろいろな意見がありますが、私立大学への対応についても同じく平成四年度には二丁七%と、年々低下して最低になっている。今年度になると一一%台になるんじゃないだろうかというふうに思うのでございます。今の情勢がこのまま続くということになると、二十一世紀を迎えてそれを支えていく教育研究機関としての使命を考えると、なかなか中長期的な計画のもとに教育研究施設設備の改善をやったり新しい教育事業を推進しようとしても、助成金がああでもないこうでもないと言われると長期計画が立たないというのが現状なんですね。 ですから、もしそういうような不安定な状況にあるということになるとするならば、私たちとしてちょっと考えなきゃならぬじゃないか。ということは、国家社会の期待にこたえるという次元の中では安定した財政基盤の確立が必要なんです。私学助成について国がしっかりしておらぬというならば、私立学校経常費国庫等負担法というようなものを議員立法で出して、必ず前年度の通常経費の何%はひとつこれは国として予算化しなきゃならぬというくらいな位置づけをきちっとすることによって、各教育機関が十年間十五年間という大きな中長期的計画の中で、我が学校はこういう特色を持ちこういう教育をする、そのために自力で三分の二の財政を確立してあと三分の一を国に助成してもらえるんだというならばそういう計画が立つわけですね。 そういう意味で、議員立法寺含めてこれは検討しなきゃならぬと私たちは思っておるんです。その必要性がないような方向で結果として生み出してもらいたいと思うんですが、もし不安定な状況になるとすればそういうことをも含めて考えなきゃならぬという決意表明だけをしておきます。本当は大蔵省と文部省にどうだと聞こうと思ったけれども、聞く時間がないからこの次にしたいと思っておりますので、よく検討しておいてください。 それから昭和五十年の私学振興法成立当時の附帯決議の中では、私学助成をできるだけ速やかに二分の一まで高めるよう努力するという努力規定になっておる。その附帯決議の最後の項目に、附帯決議に求めた事項の進捗状況を国会に適時報告するということを政府自身に義務づけているんですが、これまで私学助成の進捗状況について国会に報告をしたという事実はあったのかないのか、ひとつ聞かせてください。
○政府委員(泊龍雄君) ただいま田沢先生の御指摘のありました私立学校振興助成法の制定時の文教委員会の附帯決議、私学助成等幾つかの事項につきまして御決議をいただき、そして御指摘のように、「進捗状況について、政府は国会に対し、適時報告すること」という御決議をいただいているところでございます。 これにつきまして、この附帯決議に基づきましたストレートな報告という形ではこれまでなされたことはないというふうに承知をいたしております。
○田沢智治君 文部大臣、附帯決議と言ったってこれは大事な決議だから、報告するということになっているんだから、一遍、私学助成の実態等を含めて今後の展望について国会に報告するように努力してもらいたいと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(泊龍雄君) 今、先生のお話でございますが、私学助成という観点に限って申し上げますと、例えばこうして毎年度の予算案の御審議の際にとかあるいは各種の施策をめぐる国会の御審議等の段階でも私どもも逐次御報告を申し上げてきているといったような経緯でございます。こういった点につきましては今後とも私どもも努力をしてまいろうと思っております。 ただ、この附帯決議全体に対する政府としての対応というようなことになりますと、関係当局との相談をしなきゃいけないとかいろいろな問題がございますので、ここはひとつ今後の研究課題ということで承らせていただくとありがたいと存じます。
○田沢智治君 私学助成を正常な形でやってくれればいいけれども、自分たちの都合であっちをいじりこっちをいじりするようだったら、一応国会でちゃんとした報告をしてそれに対する質疑をしてきちっと位置づけないとこれは困るんじゃないかと僕は思っているんですよ。ですから、今、私学部長が言う意見もわかりますが、これはしっかりやってください、要するに。しっかりやってくれれば別に要求しませんから、ひとつ努力してほしいということです。 時間がないから集中審議で終わっちゃうんですが、あと一点お願いしたいのは、第二国立劇場の整備が大分進んでおるということについては私も大変喜びを持っておるんですが、芸術文化は本来民衆のもの、国のものじゃないんだ、これは。民衆のものなんだ。だから、その芸術文化活動を国が支え発展させる環境づくりをするということが平成文化をつくる上において非常に大事なんです。ところが、ともすると芸術文化というのは国のものだというふうに錯覚を起こしている。そうじゃない、これはあくまでも民衆のものであるから、民衆が自由に発表の場を持てるようにしてみたり、活力のあるそういう環境づくりをしてみたりという政府の施策というものが非常に大事だと私は思うんですよ。 そういう意味では、文化庁の長年の懸案であった第二国立劇場の建設は現在どう進んでいるのか。 また、第二劇場は、現代舞台芸術の殿堂として我が国のオペラ、バレエ、現代演劇の振興の拠点になるばかりではなくて、芸術文化の国際交流の場として重要な施設であると思っております。しかし、その施設の整備ばかりではなくてソフト面の充実に大いに力を入れるべきであると私は思っておるんですが、公演の準備計画などを含めて現状と完成時の方向性について、ひとつ文部省からお聞かせをいただきたいと存じます。
○政府委員(林田英樹君) 第二国立劇場につきましては、現在、京王新線の初台駅の付近におきまして建設が進められておるところでございます。 施設といたしましては、主としてオペラ、バレエの公演を行うための四面舞台を備えた大劇場、それから現代舞踊や現代演劇などの公演を行うための同じく四面舞台を備えた中劇場、そして実験的で多様な演出プランに対応できる小劇場の三つの劇場などを有しまして、国際的に見ても遜色のない高い水準となるよう計画をしておるところでございます。 建設工事につきましては、平成四年八月の着工以来順調に工事が進められておりまして、工期は四年半を見込んでおりますところから、平成九年の二月に竣工する予定でございます。現在は地下部分の最も深い部分まで工事を終えたところでございますので、ことしの夏には地上部分の工事に取りかかるというような状況になっております。 ソフト面の充実の問題でございますけれども、先ほど申しましたように、平成九年の春に工事が完成いたしまして平成九年秋には開場を予定しておりまして、今年度からは特殊法人日本芸術文化振興会と昨年設立されました財団法人第二国立劇場運営財団におきまして、芸術監督を中心にいたしまして開場記念公演を初めとした公演準備を具体的に進めていくこととしております。 これらの諸準備を着実に推進するために、今後とも第二国立劇場運営財団の体制整備を図るなど、第二国立劇場が現代舞台芸術の振興普及を図る、さらにはお話がございましたような国際交流というようなことも十分図れるような目的を達成できるように万全を期してまいりたいと思っております。
○田沢智治君 ぜひそういう方向で内容の充実を期してもらいたいと思っております。 日本の文化予算というのはもう世界最低で、これは数字を挙げても恥ずかしいぐらいの数字だから挙げません。 国民の間の文化への志向の高まりや文化を通じての国際貢献の重要性等を踏まえ、今後、文化予算等の抜本的な拡充を図らなければならないであろう。豊かな時代というのは、物が豊かだから豊かじゃなくて、人間の心の豊かさというものを通してやはり温もりを感じ合えるような人間社会をつくることが豊かな時代をつくることだと私は信じておるんですが、そういう意味で、最後に文部大臣、ひとつ文化予算も含めて教育予算というものを多くとってそういう社会の実現を図ってもらいたいと思うのでございますので、御決意を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(赤松良子君) 先生は、国際的に見て我が国の文化予算は少ないので恥ずかしいからあえておっしゃらないということでございましたが、私は少ないということをやっぱり認識することから始まるのではないかと思いまして、昨年発表いたしました文化を中心にしました文教白書の中では、いかに我が国が少ないかということをあえて公にして、皆様方にこういう少ないのでいいのかということを問いかけたというつもりでございました。 文部省の予算の中で、文部省の予算が決して多いわけではございませんがその中で、文化庁の予算がたった一%にも満たないということでは余りに寂しいのではないかということで、ただいま御審議いただいております文化庁予算は本当に久しぶりで一%を超すことができました。二けたの伸び率ということでもございます。ぜひ御理解いただきましてこれをパスさせていただきたい。 今後とも文化に対して、私どもがもっと世界に貢献できるような文化を生み出すということで、これは文化庁予算だけではございませんで、先ほど先生もおっしゃいましたように、国民全体の心の問題でもございます。感性の問題でございます。そういう人間を生み出すというのは教育でございますから、そういう教育全般の問題としてもとらえなければならないというふうに感じている次第でございます。
○田沢智治君 終わります。
○上山和人君 日本社会党・護憲民主連合の上山和人でございます。 きょうは六月二十二日でございますが、子どもの権利条約が発効いたしましたのは五月二十二日でございましたから、それからちょうどきょうは一カ月目に当たります。そこで、子どもの権利条約に触れないわけにはいかないように思いますので、最初にこの問題について御質問をさせていただきます。 一九八九年の十一月に国連総会で満場一致で子どもの権利条約が採択をされましてから世界では百五十三カ国が批准をしておりましたけれども、私たち日本ではやっとこの三月二十九日の参議院本会議で批准案件が可決承認をされまして、そして五月二十二日に効力を生じたわけでございます。大変大事な、極めて重要な、いろいろな見方、評価はありますけれども、私たちはやっぱり日本の教育がこれを契機にして大きく新しい時代を迎える、またそうしなければいけないと思っているものです。 文部大臣としては、この子どもの権利条約が我が国でも批准され、そして効力を生じたことの教育的な意義についてどのように御認識なのか、率直にお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(赤松良子君) 私、実は国連全般あるいは国連の条約というものにつきましてはいろいろ関係がどちらかというと深い方でございます。子どもの権利条約につきましては直接これまでにかかわったことはございませんが、人権規約あるいは女子差別撤廃条約等につきましては、国連の政府代表部で働いておりましたとき、あるいはその後、女子差別撤廃条約の審査のための委員会のメンバーとしてずっと長くかかわっておりまして、国連条約というものがその加盟国、特に批准をした場合にその締約国に対して非常に大きな影響力を及ぼすということをよく認識しているつもりでございます。 そこで、子どもの権利条約でございますが、これが発効したということは長い間この審議に手間取ったというのはそれは関心が低かったからではなくて、ちょっといろんなハプニングがあって、ほとんどもう国会承認の直前まで行っていたのにそれが飛んでしまったというような出来事もあったのでことしになってしまったわけだというふうに理解をしておりまして、関心が低かったから百五十何番目になってしまったというのでは必ずしもないかなというふうには、あえて弁護をすればそういうことかと思いますが、しかしいずれにしても、この条約が批准され発効したちょうど一月目だという御指摘で、全く意義のある日にこの委員会が開かれているのだなということを思うわけでございます。 子供の権利の基本的な人権を守るという面で、我が国の憲法あるいは教育基本法と軌を一にするものであり、それをより具体的に規定したもので大変重要な条約であるというふうに認識をしております。学校現場の隅々にまでこの条約の精神が及んでいくことを願っているものでございます。
○上山和人君 大臣の御見解はよく理解できました。 ちょうど六月十五日付で発行されております文部広報がございますね。ちなみにこの文部広報というのは週一回ですか、月一回ですか、それとも年何回という発行回数ですか。そして配付対象はどこなんですか。ちょっと教えていただけますか。
○政府委員(野崎弘君) 官房の方で出しておりまして、月に一回というふうに決まっているわけではございませんが、平均しますと年に十回程度出ております。 そして各教育委員会、これは市町村の教育委員会も含めてでございますが、それから各学校に配付をしているということでございます。
○上山和人君 年十回程度、そして各県並びに各市町村教育委員会並びに各学校、これは小中高個々の学校にも送付されておりますか。
○政府委員(野崎弘君) 全部の学校に行っております。
○上山和人君 わかりました。 六月十五日付の文部広報に、これは子どもの権利条約特集みたいなもので、これに関する五月二十日付の事務次官通知を中心にした内容になっているんですけれども、ここに文部大臣の談話が発表されておりまして、今、表明されましたような内容が簡潔にここに集約をされていると思うんです。 一カ月たちまして、外務省は、御存じのように既に百万部のこういうポスター、これは裏表になっていますので一面張ったら半分は見えない、だから二枚使ってやっと表裏が見えるような印刷にはなっておりますけれども、これは外務省が百万部準備をいたしている資料でございます。外務省はこういう条約の趣旨を周知させるような資料をつくっているわけですね。 これは外務省がつくった資料ですけれども、この配付などの取り扱いは文部省ですか。
○政府委員(野崎弘君) 今、外務省のポスターについての御質問がございました。 本条約の広報につきましては政府全体として取り組むべきものであるということで、外務省が中心になってやっているわけでございますけれども、したがって今のポスターにつきましても外務省において準備をいたしたわけでございますが、文部省といたしましてはその作成にも協力をしてまいりました。また、各学校段階のいずれにも、しかもそのすべてのクラスにこのリーフレットが行き渡るように配付等につきましては積極的に協力してまいりたい、このように考えております。
○上山和人君 そうすると、またこれは発送はされていないんですか。
○政府委員(野崎弘君) 現在、そういうことで準備を進めている段階でございまして、その詰めの作業をしているという状況でございます。
○上山和人君 そうしますと、一カ月たちましたけれども、またそれぞれの学校の現場にはこのポスターは届いていない。外務省が批准直後につくった資料も今、配付の準備段階だという局長の御説明です。 これは国際条約ですから外務委員会で審査をされた経緯がありますけれども、批准されて効力を生じた後は、やっぱり教育の内容にかかわる条約ですから文部省所管に移ると思うんです。文部省としては、大臣が表明されたような趣旨をどのように各学校の隅々にまで周知させるかということは極めて重要ですから、そのための手だてはどのように講じておいでになりましたか、ちょっとお聞かせいただけますか。
○政府委員(野崎弘君) 私どもといたしましても広報活動は大変大事だと、このように考えております。 それで、御指摘ございました文部広報もその一環でございますけれども、そのほかいろいろな広報紙あるいは刊行物、こういうものがございますので、そういうものを活用しながら趣旨の徹底を図りたいと思っております。同時に、教育委員会の担当者とか教員を対象といたします会議とか研修会等いろいろな機会がございますので、そういう場でこの条約の趣旨、規定の内容等の周知を図っていきたいと思っております。
○上山和人君 すべてはこれからという段階だと理解をしていいようですが、ただ五月二十二日に効力を生じることになっていましたから、その二日前の二十日に事務次官通知を各都道府県教育委員会あてお出しになって前もっての手だてを講じていらっしゃいますね。その通知の内容について、実はきょう時間の厳しい制限がございますから深くはその内容に入ることはできないんですけれども、かなり消極的だという批判が率直に言ってあります。 特に直接の当事者だけでなくて、例えば一つの商業新聞の記事ですけれども、毎日新聞が五月二十日付の記事で文部省通知について「文部省が学校防衛の通知」、こういうふうに大きな見出しで、かなり内容は批判的です。通知は出したけれども、子供の権利主張から学校を防衛する姿勢を文部省は早くも示している、こういう書き方。これは一つの新聞社の書き方ですから、それはそのように聞いていただきたいんです。私もこれですべてを律するつもりはありません。 そして、文部省としては子供の人権に十分配慮して一人一人を大切にした教育の重要性を強調しているんだけれども、しかし一方では、意見表明権については児童の意思を必ず反映させることを求めたものではないといったような消極的な指導をしているといいますか、そういう批判的な記事がありまして、学校現場のいろんな意見を聞いてみましてもこの通知に対する反応は複雑です。 したがって、効力を生じた後のこの条約とのかかわりで学校現場の抱える課題は極めて複雑だ、そして課題が大変多い、そんなふうに私たちは思うだけに、こういう例えばマスコミの批判的な記事あるいは現場の複雑な反応がありますけれども、この通知については改めて、これは局長でもいい、大臣でもいいんですけれども、しっかりした文部省としての通知をお出しになった背景、通知の内容に対する見解を簡明にお知らせいただけますか。
○政府委員(野崎弘君) その前に、先生からすべてはこれからだという御指摘がございました。実はちょうどこの五月に各小中高等学校それぞれ校長会がございまして、そういう場では既にこの趣旨等につきましてお話をさせていただいております。 それで、通知の背景ということでお尋ねがあったわけでございますが、これは国会でも御存じのように外務委員会そして文教委員会、いろんな場で御質疑がございました。その中で、やはり学校の特に校長先生あたりからこの条約の規定の解釈、そういうものをはっきり示してほしいという見解もあるけれどもどうかとか、いろいろな御指摘もございました。そういうことを踏まえてこの通知は私ども出させていただいたということでございます。 基本的なことは、今、先生御指摘ございましたように、教育活動全体を通じて基本的人権尊重の精神を徹底していくことが大事であると、これを基本に据えておるわけでございます。しかし、具体的な内容につきましては国会での御論議というものを踏まえながら通知を出させていただいたと、こういうことでございます。
○上山和人君 いずれ深くこういう問題についての委員会の審査をしていただきたいものだと、後で委員長にはお願いをしたいと思っております。 この文部広報の中で、「本条約の発効により、教育関係について特に法令等の改正の必要はないところである」という趣旨の説明がございます。しかし局長、おととしの平成四年三月の参議院予算委員会では、当時の宮澤総理は、条約を締結することにより国内法の一層の整備、意識の確立を図るべきだというふうに答弁をしておられるんです。この当時の総理の見解と、文部広報で説明されている特に教育関係について法令等の改正の必要はないこととの整合性はどうなりますか。
○政府委員(野崎弘君) これは国会でもいろいろな場で議論になりました、学校教育法等の改正が必要ではないのかというような御指摘もございましたけれども、本条約を批准することについての可否、そして批准に伴います国内法改正の必要性の有無ということにつきましては、外務省を中心といたします詳細な検討、そして内閣法制局による綿密な審査の結果、この条約は日本国憲法あるいは国際人権規約等と軌を一にするものである、したがって国内法を改正する必要はない、こういう結論に達したわけでございまして、この点につきましては条約の審議の際にも何回かにわたりお答えをさせていただいたところでございます。
○上山和人君 疑問がありますから、きょうはこれ以上この問題をお尋ねをしないことにして次に進みますけれども、いずれもう少し本音を出し合って議論をしなくちゃならない問題が残っているように思います。 そこで、いろんな機会を通してこの条約の趣旨の徹底を図る、今までも機会を見てそうやってきたし、これからも積極的にそういう機会をつくってやるやるという局長のお答えですから、それはそれでいいんですけれども、実は先日の予算委員会で、私は時間がなくて思うとおり御提案ができなかったんですが、文部大臣、少しお聞きいただいたと思うんです。 五月の二十二日に効力を生じましたから、来年五月はちょうど一年記念になるんですね。この条約の趣旨を子供たちにも教職員にも、お父さんやお母さんたち国民の皆さんに広く伝える、理解させるということが、いかにこの条約の趣旨に沿って学校教育を少しでも充実発展させることができるかということに直結しているわけです。したがって、そういう趣旨で来年は、五月五日は子供の日ですから、子供の日を中心にしまして、できるなら例えば子供国会みたいなものを企画をして、ちょうどそのころ国会が休みですから国会に子供たちを集める、地方はまた県議会を中心に子供たちを集める、そしていろんなイベントを企画してこの条約を楽しく理解させるような、そういう文部省として積極的な企画があっていいのではないかという提案を予算委員会ではいたしました。詳しい説明をする時間がなかったんですけれども。 これについて資料はあらかじめ政府委員室を通して差し上げてございますからごらんになったと思いますが、文部大臣、どうでしょうか。大臣が表明されましたような見解に沿うこれからの大事な条約ですので、ぜひそういう大きなイベントを企画しながら、子供たちもお父さんやお母さんたちも楽しくこの条約を理解できるような機会をつくってこの精神を広めていくということが大事じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(野崎弘君) この基本的人権尊重の精神を培っていくということは大変大事なわけでございまして、通知の中でも教育活動全体を通じてということでお願いをしておるわけでございます。したがいまして、日常の教育活動の積み重ねによってこの条約の趣旨を具体化していくということが大事だと思うわけでございます。 もちろん各学校におきましてどういう指導をしていくかということは各学校の判断するところでございますが、例えば学級とか生徒会等で国会のような形式をとって討議する場を設けるような、そういうような形でこの趣旨を具体的に理解をしていくということは大事だと思うわけでございますけれども、先生の御提案ございました子供国会ということにつきまして、全国レベルでどのような形でこれを実施するのか、いろいろな問題点もあるのではないか、このように思っておりまして、私どもとしてはやはり各学校でいろいろな工夫をしていただくということが大事じゃないかというような気持ちでございまして、記念行事的なことをというような御指摘でございましたけれども、特にそういうようなことは考えていないところでございます。
○上山和人君 少し寂しい気がするんですけれども、子供国会というのは例えばオーストラリアでも年に一回やっていますね。あるいは、今ここに資料がありますけれども、ポーランドでも臨時子供議会というのを開いている。 今、局長が言われるのは、それはオーソドックスな日常の積み重ねによって徹底するんだと。これは何でもそうなんですよ。そういうものにインパクトを与えることが必要なんであって、人間の集団ですから、みんな。だから、そういうものとしてもっと積極的に考えてほしい。 これはもう時間がありませんからこれ以上深くは申し上げませんけれども、ぜひ局長の消極的な姿勢ではなくて、世界のほかの国でも日本より先に子供国会とかあるいは子供の臨時議会とかそういうものを企画をして、国会の議事堂に子供たちを集めて議論をさせたり意見を表明させたりしているわけですから、日本も少し今までとは、やっぱり新しい時代を迎えるんです、連立政権の時代に変わったんですから。いろんな環境も客観的にも整いつつありまして、これからの教育の世界というのは新しい時代に向かうことになると私たちは思っておりますので、ぜひもっと積極的に文部省も脱皮してほしい。 大臣、ちょっとその点についていかがですか、御見解を一言。
○国務大臣(赤松良子君) 確かに条約の精神をよりよく多くの人に知っていただくにはいろんな試みがあると思います。その一つとして一周年記念というのは考えとしてあると思いますので、どういうことをすればよろしいかということをよく考えさせていただきたいと思います。
○上山和人君 ここではっきりしたお答えが無理だというのはわかっていますが、ぜひ私が御提案申し上げる趣旨も御理解いただきまして。 やっぱり日常の積み重ねは、局長がおっしゃるように大事なんです。でも、何周年記念というのはどこの世界だってあるわけですから、そういう日常の積み重ねにどうインパクトを与えてもっと発展させるかという観点で申し上げているわけですから、ぜひこれから、大臣、前向きに御検討いただきたい。 それともう一つは、外務省がこういう資料をつくって、文部省も協力なさったと局長からお聞きしました。でも、文部省としてはもっと独自に、副読本的資料といいますかパンフレットといいますかそういうものを、例えばスウェーデンだって、小中高に三段階に分けて子供たちに子どもの権利条約については資料を配布してそれを周知させる努力をしたりしております、外国でも。だから文部省独自にもっと、小学校の低学年、小学校の高学年、小学校は二段階に分ける、そして中学校、高等学校と、四段階ぐらいに分けて子供たち全員に行きわたるような資料をおつくりいただくこともぜひお考えいただきたい。きょうは御提案申し上げておきたいと思いますので、いずれかの機会に御検討なさった結果をお聞かせいただければと思います。 それでは、最後に委員長にお願いしたいのは、今申し上げているように、子どもの権利条約が効力を生じてからちょうどきょうは一カ月目なんですけれども、まだこういう入り口の議論をしなければならないような状態。それは一カ月ですから当然だと思いますのでも、これからはやっぱり文教委員会の問題だと思うんです。今まで条約が審査されたのは外務委員会でしたけれども、批准されましたから、内容はもう文教の内容ですので、ぜひ子どもの権利条約を中心に一遍、文教委員会で集中審査をする機会をおつくりいただけないでしょうか。 それもこういう質問形式ではなくてやっぱり率直なディベート方式を採用いただいて、党派の時間の差があるようなやり方ではなくて、忌憚なく委員個々に意見を交換し合う、また文部省の見解も伺う、そしてみんなで文部省の施策を発展させていただくような、そういう審査ができればと思いますので、委員長、どうぞ御検討いただけませんか。
○委員長(石井道子君) では、後日、理事会に語らせていただきたいと思います。
○上山和人君 時間がなくなりましたが、きょうは文教予算の委嘱審査でございますから、そのことについて。 実は、森山委員の御質問をお伺いしておりました。田沢委員の御主張もよく理解できることばかりでした。いずれも極めて大事なことでありまして、これから文教予算の柱になる問題ばかりだったと思うんです。 森山委員がおっしゃったのは、科学技術費といいますか、そして学者の研究費といいますか、理工離れが起きているそのもとは何かというお話もちょっとなさったと思うんですけれども、これがどんなに重要な分野であるかというのはここでは申し上げません、森山委員がおっしゃったとおりですから。私学をどう位置づけるかということで私学助成に対する姿勢が変わると思うんです。私学助成をどうとらえるのかというのはこれからの日本の教育にとって極めて重大な課題ではないでしょうか。 それと田沢委員が最後におっしゃったのは文化庁関係の予算ですね。文化庁関係の予算が今後また文教予算の大きな柱になるんじゃないでしょうか。ことしは御努力で、私たちも予算編成する立場にあのときありましたけれども、文化庁関係の予算はふえましたね。今後それをどう根本的にさらに充実させていくか。 いずれも大きな柱であるそういう骨格に沿う、今の大きな柱に沿う予算として文教予算を編成するには一体どうしたらいいか。今のままではとても、大事だということは共通に理解されながら、それに沿う予算の措置が実は残念ながら文教予算の中では行われてこなかった。 そこで、私は今、少し文教予算の編成については転換期に差しかかっていると言っていいんじゃないかという気がいたしますのは、最近、特に一両年各界で、教育費というのはやっぱり投資的経費なんだという世論的な盛り上がりも出てきたように思うんです。 例えば去年、日経の「経済教室」に載っているんですが、東大の岩田教授が、道路や下水道が将来の世代のための資産であることは確かであるけれども、若い世代の人的資本形成のための費用もまた直接的な投資であると。これはもう当然のことなのでありまして、御紹介申し上げたい内容もたくさんこの「経済教室」の中に東大の教授が書いておられますけれども、まさに教育投資論なんですね。それからほかにも、例えば前の大蔵事務次官の竹内道雄さん、この人だって教育投資論をやっぱり主張されています。 そういうふうにして私たちの外で客観的にも教育投資論が主張されるようになりまして羽田総理の今回の所信表明演説で、教育や科学技術を未来への先行投資として位置づけるという、歴代の総理がはっきり言われなかったことを明快に表明をされるようになったんじゃないか。そういう意味では、文教予算の編成について大きな転換点に差しかかっているというより、転換させる条件が客観的にも整いつつある状況になったと言っていいんじゃないでしょうか。 だから、いろいろおっしゃった、私もこれから少し申し上げますけれども、そういうものを満たしていく教育予算にするためには、これは平成七年度の予算案がもう既に前年度比マイナス一〇%のシーリングというのは出ていますけれども、連続十三年になるでしょう、これで。そういう一律シーリング予算のもとで文教予算を一切編成されるととても重要な政策が推進できるような予算にならないということは、長い歴史の中で私たちがお互いに悩んできたことなんです。何とかしてここから抜け出さなければ教育政策のこれ以上の発展的な推進はないという思いで、ずっと文部省の皆さんも大臣以下、私たちのこのメンバーも同じ思いでその点については来たと思うんです。 だから、ぜひ私はこの機会に、総理大臣が言ったとかあるいは経済学者が言ったとかいうような対応ではなくて文部省の理念として、教育は投資的経費なのか経常的経費なのかということについては明快に統一をされて、文部省が中心になって主体的にむしろそういう条件をもっと整えていってもらわなければなかなか進展しないんじゃないか。 そんなふうに思いますので、多くの問題を抱えている教育の分野ですから、そういうものを本当に充実させて展開していくためには予算編成の方式を、シーリング方式になじまない文教予算を一挙にとはいかないと思うんですけれども、徐々にこのシーリングを外す。別枠の部分をより多く設定しながら弾力的な予算編成に文教予算をすべきではないかと思います。 はしょって申し上げましたが、大臣の御見解を。
○国務大臣(赤松良子君) 教育が未来への先行投資だということは、非常に多くの方の共感を呼んでいるのではないかと思います。日本が今日のように優秀な人材を多く生み出したということが社会の基本にあるということはだれしも反対されない。それが明治以来非常に先人の御努力で、長い将来を見渡して教育が大事だということを考えて、あるいはもう明治より前からかもしれませんが、教育が大事だということでずっと努力を重ねてきた賜物であろうというふうに思います。 そのことに比べますと、今日、シーリングは全部一緒にかかってしまうというあり方がちょっと昔の方の考えよりも後退しているのではないかと私はひそかに思っているわけでございます。それがおくればせながらといいますか、とにかく総理が所信表明の中で未来への先行投資であるというふうに言われたことは、大変私どもにとってはぴんとくる話でございまして、総理が言ったからどうとかということでなくと先生はおっしゃいますが、でもやっぱり総理が言われたことの重みというのはあるわけでございますから、私どもはそれを、文教予算の充実のためには具体的にどうすればよいのかということを現在研究しているところでございます。 ただ、技術的なことを申し上げると、投資的な経費というのは予算編成上公債発行対象の経費ということで公共事業費出資金及び貸付金に限られているんだということでございますので、どういうぐあいに調整できるのかということでございます。ただ、文部省の予算の中でも、例えば昨年度、先ほども御指摘ございましたけれども、かなり多額の補正予算を組むことができました。これは公共事業費ということで組めたわけだというふうに理解をしております。 いずれにいたしましても、この先行投資という方針を具体化するにはどうすればよいかという研究をさせていただいております。
○上山和人君 時間がなくなりましたけれども、日本以外のどこにもないと思われる問題に大学の授業料、高校の授業料の問題があるんですね。これはまさに日本の思想といいますか、教育にかかわる費用は投資的経費か経常的経費が、あるいは受益者負担であるという位置づけをするのかしないのかという問題がずっとあると思うんです。 大学の授業料を徴収しているのは、これは諸外国と比較しても、フランスやドイツでは大学の授業料は無料ですよね。イギリスでも、制度が違って同列に比較はできませんけれども、学生の負担はゼロなんです、大学生は。アメリカだってうんと授業料は低いんですから、この違いが一体どこから出ているかというのを私たちはいつも考えてきたわけです。 それは、日本の授業料を徴収する根拠というのはやっぱり受益者負担なんだと。大学に子供を通わせるのは親の勝手だとはだれも言っていませんけれども、とにかく受益者負担だから受益者が負担をすべきだと。これは高等学校だってそういう発想で授業料がずっと徴収されている。もう二十年来ずっと国立大学の授業料も公立高校の授業料も上がりっ放しなんです。そういう国が一体ほかにあるだろうか。ないと思うんですね。それは日本のように受益者負担という位置づけではなくて、やっぱり教育を投資的なものとして位置づけるから授業料徴収に違いが出てくるんだと思います。端的に一つの例を挙げただけです。 できたら平成七年度の予算案は、この国会が終わってすぐ編成作業に概算要求から移ると思うんですけれども、せめて大学の授業料や高等学校の授業料を上げることはとにかく一たんやめてほしい。そういう予算をまずつくって、そこから投資的経費としての予算編成への一歩を踏み出さなくちゃいけないのではないか。 わかりやすいところ、国民にまた大きく影響が出る、そういうところから一歩一歩改革をしながら、総理が明らかにされました投資的経費として、予算編成も総理のその所信に沿うような文教予算の編成が行われるように今後ぜひ文部省として主体的な御努力をいただきたいし、私たちもその周りで御一緒にこの問題に真剣に取り組んで、できたら平成七年度予算案では今までにない一定の実績を盛り込むことができたらいいな、そんな思いでございますから、大臣としてもぜひ一層の、今、所信の表明、見解の表明がございましたけれども、それに沿いまして御努力をいただきますようにお願い申し上げまして、質問を終わります。
○橋本敦君 私学助成の問題は極めて重大な問題でありまして、予算委員会の総括でもこの問題が取り上げられ、また本委員会でも重要な課題として先ほど田沢委員からも質問がありました。私もこの問題に絞って予算の関連で質問をしたいと思います。 言うまでもありませんけれども、今日、私学が我が国教育において果たしている役割の重要性、そしてまた毎年私学助成の充実のために二千万を超える請願署名が国会に寄せられているというこの重み、こういうことを考えますと、二五%削減という問題は実に重大な国民要求に対する逆行であると私は言わざるを得ないと思うわけであります。 この問題について一つ文部省にただしておきたいことは、私学間格差の問題が大きくなってきたということは田沢委員も東京と沖縄との比較で指摘をされました。私も調べてみますと、最高の東京都で約三十万七千二百円、最低の沖縄県で十九万八千二百円でありますから、十万円以上の開きがあるわけです。こういった問題の是正どころか格差が拡大するのではないかという危惧が現にあるわけであります。 私どもの調査でも、高校の場合で生徒一人当たりの単価を調べますと、文部省が言う国基準の増九千五百円増より下回っている県が六県もあるという状況、中には国が減らした以上県も減額する、こういう方向で削減まで打ち出している県すら見られるわけであります。中学校、小学校、幼稚園はもっとひどい。国の基準単価そのものを下回っている県が中学校で十一県、小学校で十二県、幼稚園で四県という状況であります。 こういった状況は事実かどうか文部省は把握していらっしゃいますか。まずこの点伺います。
○政府委員(泊龍雄君) お尋ねの件につきましては、私どもこの三月末日現在で各都道府県における予算措置状況について高等学校等について調査をいたしました。 その概略を申し上げますと、今、先生のお話にもございましたように、国庫補助金と地方交付税措置両者合わせたいわゆる国の財源措置単価以上の措置を行っているというものがその時点で四十二県ほどございました。それからまだ国の財源措置単価未満というのが五県ほどございます。これらの県については、高等学校について申し上げれば、いずれも今後補正措置等を講ずる予定であるというような状況を聞いているところでございます。 それからもう一つ、私学で大きなウエートでございます幼稚園について申し上げますと、同様な意味で、国庫補助金、地方交付税両者合わせた国の財源措置以上の単価措置を講じているものが三月末時点で同じく三十県、なおそこに届いていない件が十七県ほどございますが、これらのうちの大半のものについて、今後、補正等により国の財源措置以上の単価を見込んでいるという状況の報告を受けているところでございます。
○橋本敦君 この問題について今、報告がありましたが、今後の動向を見きわめていく必要があるわけですね。だから、そういう点で今後のこの見きわめという点での調査は続けていかれる、実態調査としては正確に把握するつもりであるというように理解してよろしいですか。
○政府委員(泊龍雄君) 今後の各県におきます補正措置状況、九月議会あるいは秋のその後の議会と時期等はいろいろまちまちでございますけれども、各県の補正状況については私どもとしてもフォローアップをしてまいりたいというふうに思っております。
○橋本敦君 その点はぜひ調査を続けてください。そして、その調査の結果に基づいた適正な指導なり対策というものをぜひ打ち出してほしいと思います。 別の観点から問題を指摘したいと思うのですが、文部省から発表された九三年度の私立学校の授業料調査、これを見ましても、幼稚園、小中高、いずれも対前年度のアップ率が前年度のそれを上回っているという現状があります。幼稚園は過去十五年間で最高の五・五%、高校は過去十年間で最高の四・三%、こういう状況です。私学助成削減によってさらに父母負担が増大するということも懸念される、こういう中でのこうした問題について考えてみますと、来年度の予算編成時にどうするかという問題は現に今から本当に文部省が腹を決めて取りかかっていただかなくちゃならぬ大事な問題だと思うわけですね。 そこで、話の本筋に戻るわけですが、予算委員会において文部大臣は、来年度の私学助成の問題について大蔵大臣との協議の上で、予算編成過程においては、国の財政状況、私学助成の重要性、都道府県における実際の助成状況、これから調査されるということが今、話がありましたが、それを勘案しつつ適切に判断してまいりたいと、こうおっしゃいました。 問題は、適切に判断するというそのことの方向づけなんです。そのことの方向づけとして、私は一つは、この二五%削減というのは今年度限りの財政事情における緊急的な措置だということをはっきりさせた上で来年度はもとに戻していくという方向で、文部大臣としては、文部省としては、全力を挙げてその方向で進めていく努力をするということを決意として持っていただいていいのではないか。 私学の重要性、今日のこの問題が出されている教育現場に及ぼす影響等を考えますと、来年度は適切に対処する、そのとおりですが、その適切の中身は、まさに私が指摘したように、二五%削減は今年度はもう緊急措置的なものなんだということを踏まえた上で、来年度は努力をしてもとに戻していく方向で文部大臣は頑張ってほしいと思うんですが、その点について大臣の御所見はいかがでしょうか。
○国務大臣(赤松良子君) 今、先生が御指摘になりました、大蔵大臣、自治大臣との協議の結果を私が申し述べた文書があるわけでございまして、その中で先生お読みになりましたのは第二の項目でございます。 第一の項目にございますのが、今回の減額措置は「私立高校等に対する都道府県の助成水準や現下の極めて厳しい財政事情等を勘案しつつ決定したものでありますが、これは同補助金の一般財源化、すなわち補助金の廃止を意味するものではございません」というふうに第一の項目の中で述べているところでございます。 こういうことでございますので、来年の予算編成、これからになるわけでございますが、適切にという言葉の私どもの心は、今後とも国の財政事情、私学助成の重要性等を総合的に勘案して私学助成の推進に努力をいたしたいということでございます。
○橋本敦君 大臣の御趣旨は今お述べいただいたことで私なりに理解ができるんですが、確かに大臣がおっしゃったように、第一項のところで補助金の廃止を意味するものではないとはっきりおっしゃっている。こうおっしゃっていただいていることの重みが私は大事だと思うんです。 だから、そういうように大臣が、二五%削減、今年度は財政事情でやったけれども、廃止を意味するものではありませんということを予算委員会でもお述べになり、ここでも表明なさったという、そのことの重みが来年度の予算編成に十分生かされていくように、そういう方向で努力をしていただくということを私は期待をしておるところでございますし、またそのために大臣も御奮闘をいただくということであると理解したいと思います。 ただ、私がなぜそのことを指摘したかといいますと、第二項の中に、国の財政事情も勘案しつつという、国の財政事情がやっぱり入ってくるわけでしょう。そして、「私学助成の重要性、都道府県における実際の助成状況等を勘案しつつ」、これが一番大事なところですが、やっぱり頭に国の財政事情が入ってくる。これは無視できないということはわかりますよ。わかりますが、しかし大事なことは、国の財政事情で将来とも大事な日本の教育の根幹が揺るがされるということは、これはもう極力避けなきゃならぬ、こういうかたい思いが我々にもあるし、大臣にもおありと思いますから、あえて私は、まさに今年度は緊急措置的なもので来年度は補助金は廃止しないという、そこの原則に立ち戻っていただいて御奮闘いただきたいという思いで申し上げておることを御理解いただきたいんです。 そういう点で御奮闘をいただくということで理解してよろしいでしょうか。
○国務大臣(赤松良子君) 先ほど申し上げましたのを今、先生がより具体的詳しくおっしゃったのだというふうに伺っておりました。
○橋本敦君 大学等への私学助成問題でも一般補助がふえていないという問題がございます。この問題も大事な問題でございまして、なぜかといいますと、私学の学費、授業料の値上げ、父母負担がもう限界にきている、こういった思いが父母にも強いし関係者にも強いわけです。 日本私学振興財団の戸田理事長が「私学時代」という雑誌の対談でもそのことをおっしゃって、もう限界状況に来ているのではないか、そういう危機意識がございますということをおっしゃっている。非常にその点は心配をしておるわけです。 文部省は、この点についてそういう深刻な状況だということも御理解いただきたいと思うんです。そういう御認識の上に立って御努力をいただきたいと思っておりますが、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(泊龍雄君) 大学等に対する私学助成でございますが、今年度も厳しい財政事情のもとではございましたけれども、御案内のとおり、私立大学等に対する経常費補助につきましては七十八億円増ということで、トータル二千七百二十三億五千万円の計上をいたしているところでございます。それからいわゆる大型の教育研究装置の整備費補助につきましても、対前年度二億円増の八十七億五千万円を計上いたしております。それからその他研究設備に対する補助につきましても、対前年度二億円増の二十六億五千三百三十六万円ほど計上いたしているところでございます。 これらにつきましては、御案内のとおり、現下極めて厳しい財政事情でございますので、その確保については私どももいろんな形で苦慮をいたしているところでございますけれども、先ほど来お述べになっておりますやはり私学に対する助成の大事さというものを勘案してこういった内容にぎりぎりの努力をさせていただいたと思っている次第でございます。 この目的とするところは、既に先生も御案内のとおり、一面ではそのことが就学上の経済的な負担の軽減に資する、また一面では私学における教育研究条件の維持向上に資するということで大事なことだと思っております。 私立大学等経常費補助につきまして先ほど申し上げました対前年度増の七十八億円、これにつきましては、いろんな点を勘案いたしまして特別補助の増額という形をとらさせていただいているわけでございます。これはもちろん限られた財政資金でございますので、できるだけ効率的な配分、執行という観点が大事であろうということがございます。 それからまた、御案内のとおり、ただいま大学教育で申し上げますと、いわゆる大学における教育研究の個性化、高度化等の大学改革を推進してもらっている、こういったものにインセンティブを与えていきたいというようなこともございます。 したがいまして、そういったものを見て、現下の行財政上の諸状況を見ながら御提案申し上げている予算の内容になっているという点は御理解を賜りたいと思います。 また、私学自身の経営も厳しい環境にあることは私どもも十分承知はいたしておりますが、私学自身もまた一面では経営努力というものをしていただく、そして全体としての充実向上につながっていくということを期待しているところでございます。
○橋本敦君 今後ともの努力をお願いして、最後の質問に移ります。 最後は私立専修学校問題でございますが、もう時間がありませんので簡単に申し上げます。 これは私学振興助成法が改正をされて、私立専修学校にも私学振興助成法の対象として位置づけて助成をしていく、補助をしていくという方向が決まったわけですが、十二年たってもまだ経常費助成が実現しておりません。 この専修学校問題ということになりますと、これは今後ますます生涯学習社会の構築という点からいっても大事な問題になってまいりますので、大臣の所信でも生涯学習の強化充実をおっしゃっているところでございますから、この問題とも関連をして一層大きな役割を果たすことを期待しながら、私立専修学校問題についても経常費助成を実現していただきたい、こう思っておるんですが、大臣の御見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○政府委員(岡村豊君) 専修学校は、職業もしくは実際生活に必要な能力の育成を図る教育機関として、社会の要請に応じまして、先生御指摘のように、自由に発展していくことが期待される教育機関でございます。専修学校は大学等と比べまして極めて弾力的な基準で自由に教育を行うというところに特色があるわけで、その結果さまざまな学校が存在しているというのが実態でございます。 文部省としては、このような専修学校制度の特色を生かしまして、一律に助成する経常費補助ではなくて、教育内容の高度化等に積極的に取り組む専修学校に対しまして大型教育装置の補助、あるいは職業教育の高度化開発研究に積極的に取り組んでいる専修学校に対しまして、その開発研究の委託事業等の格好で専修学校教育の発展を図ってきたところでございます。 このようなことから、御指摘の経常費助成につきましては、現下の厳しい財政事情も踏まえますと極めて困難でございますので、文部省としては、現在実施しております大型教育装置の補助等に必要な予算の確保について努力をしてまいりたいと思っている次第でございます。
○橋本敦君 御趣旨はわかりました。今後の課題として研究課題の一つの中には視野に入れておいてほしい、こう思いますが、いかがですか。
○政府委員(岡村豊君) 現下の極めて厳しい財政状況を考えますと可能性は極めて乏しいと思いますが、常に頭の中に入れておきたいと考えている次第でございます。
○橋本敦君 終わります。
○委員長(石井道子君) 以上をもちまして、平成六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部省所管についての委嘱審査は終了いたしました。 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石井道子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時四十七分散会