政治改革に関する特別委員会 第5号
- 発言数
- 82 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1994/06/22
会議録
○委員長(上野雄文君) ただいまから政治改革に関する特別委員会を開会いたします。 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 政治改革に関する調査のため、本日、参考人として衆議院議員選挙区画定審議会会長石川忠雄君及び同審議会会長代理味村治君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上野雄文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(上野雄文君) この際、一言ごあいさつを申し上げます。 石川参考人及び味村参考人には、御多忙中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。 政治改革に関する調査を議題とし、衆議院議員選挙区画定審議会における衆議院小選挙区選出議員の選挙区の「区割り案の作成方針」について、石川参考人から報告を聴取いたしたします。 それでは石川参考人、お願いをいたします。石川参考人。
○参考人(石川忠雄君) 衆議院議員選挙区画定審議会の会長を務めております石川でございます。 本日は、委員長の御許可を得まして、私自身がまだ退院数日後でございますので、どうも体力も余り回復しておりませんので、座ったまま御報告をさせていただきたい、この点、御了承をいただきたいと存じます。 審議の経過についてまず申し上げますが、この審議会は、衆議院議員選挙区画定審議会設置法に基づきまして、去る四月十一日、内閣総理大臣から私ども七人の委員が任命され、その日をもって発足したものでございます。この審議会に与えられました任務は、当面、今回の公職選挙法改正の施行の準備のために衆議院議員小選挙区選出議員の選挙区の画定に関し調査、審議し、委員が任命された日から六カ月以内にその画定案を策定して、内閣総理大臣に勧告を行うことにあります。小選挙区の区割りは、衆議院議員選挙のいわば土俵づくりとも言うべきものでありまして、厳正公正な区割り案の作成という当審議会に課せられました責任を十分自覚いたしまして、その責任の重さを痛感いたしておるところであります。 さて、この審議会は、去る六月二日に「区割り案の作成方針」を取りまとめました。この間、九回にわたって審議を行ってまいりましたが、平成三年六月、第八次選挙制度審議会が今回と同様の三百の小選挙区の区割りについて審議し、答申されておりますので、まず第八次審議会の区割り案及び区割り基準についてその考え方を知っておくということが効率的に審議を進める上に必要ではないか、そう考えまして、これらについて勉強もいたしました。それと並行して、区割り案の区割り基準の定め方及び具体的な区割り案について各都道府県知事の意見を聞くことにいたしました。都道府県知事は各都道府県の行政、地勢、交通等広く全般に通じ、区割りについて都道府県全体を総合的に判断し得る視点を持っているというふうに考えたからであります。 区割り基準に関する知事意見は、そのほとんどが第八次審議会の区割り基準を念頭に置きながら述べられたものでありました。人口基準に関しては、その緩和あるいは弾力的取り扱いを求める意見がありました。また、市区の分割に関しては、その分割はなるべく避けて、分割する場合はそれぞれを独立の選挙区として他の自治体と併合することは避けるべきであるとする意見が一方にありますが、他方で、人口基準にかかわらず、地域の実情により分割することができるとする特例も設けるべきである、そういう意見もありました。指定都市については、他の市町村と同一の選挙区とすることなく行政区の組み合わせのみで選挙区とするべきであるとの意見や、離島の取り扱いについて他とは異なる事情を考慮すべきであるとの意見等もありましたが、総じて申せば、第八次審議会の区割り基準がおおむね妥当と考えられている知事が多かったように受けとめております。 そこで、区割り基準についての議論を御紹介申し上げたいと思います。 この審議会におきましては、こうした都道府県知事の意見も踏まえ区割り基準の検討を進めることといたしましたが、論議の主な点は次のとおりであります。 第一に、人口基準についてであります。 人口基準については設置法第三条第一項において、各選挙区の人口の均衡を図り各選挙区の人口のうち、その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が二以上とならないことを基本とする、そういうことが規定されております。また他方で、第二項におきまして、都道府県に対する定数配分として一議席ずつ均等配分する方式をとっており、都道府県間格差が既に一・八二倍となっているという現実があります。そこで、人口格差が二倍以上とならないことを基本とするという規定を具体的にどう実現するか、その方法をめぐって熱心な論議が交わされたわけであります。 この点につきましては、大別して一つの大きな議論は、人口格差が二倍以上とならないことを基本とするということからは、議員一人当たり人口が最低の島根県の議員一人当たり人口を下限とし、その二倍を上限とする方式をとるべきではないか、こうした方式をとっても、設置法は格差が二倍をある程度超えることも許容していると考えられることから、一定のアローアンスを認めることにより現実的な案をつくることは可能であるという意見がありました。 これに関連して、全国の議員一人当たりの人口をもとに上下三分の一の幅におさめるといういわゆる偏差方式では、島根県と福井県はその平均人口が既に下限を下回っており、基準としては適当ではない、こういう意見が述べられました。 こういう意見に対しまして、諸外国の例を見ても平均人口をもとに一定の幅を設ける偏差によって区割りの基準を定める方式をとることが一般的であり、第八次審議会と同じように偏差方式をとることが適当ではないか、議員一人当たり人口が最も少ない選挙区を基準とする方式をとると、結果によって基準を設けるというような形になって、平均人口により自動的客観的に上下限が決まる偏差方式に比べて分割される市区側から納得が得られにくいのではないか、また下限をもとにその二倍を上限とする方式をとっても一定のアローアンスを認めるということになれば結果は余り変わらないのではないか、偏差方式をとった上で最後に再点検、見直しを行うことによって法の趣旨に沿った区割り案をつくることができるのではないか、そういう意見が述べられました。 また、人口基準の緩和あるいは弾力的取り扱いを求める知事意見に関しましては、設置法では二倍以上とならないことを基本とするものとされておりました人口基準について、弾力的な条項を置くことは適当ではないのではないか、そういう意見が述べられました。 こうした論議の結果、人口基準については、設置法に定められた二倍以上とならないことを基本とするとした上で、具体的には全国の平均人口をもとにその上下三分の一以内とする偏差方式をとることといたしました。 次に、行政区画等についての論議を申し上げます。 市区町村の区域の分割につきましては、行政区画を尊重し分割しないことを原則としながら、人口基準との関係から一定の場合には分割もやむを得ないこととされ、一体どのような場合に分割することにするのかをめぐって議論が交わされました。 この点につきましては、地域の実情に応じて市を分割することができるものとすべきであるとの知事意見があり、また人口基準を厳格に守るために必要な場合には平均人口の三分の四以下の市区であっても分割できるものとすべきであるとの意見が述べられました。 その反面で、市区町村は基礎的自治体であり、地域の一体性ということを考えるとその分割については慎重であるべきであり、一定の事由に該当する場合に限定すべきであるという意見がありました。それとともに、分割に対しいたずらに不安、不信を持たれないようにするためにも分割する場合は明確に列挙することが望ましいとの意見が述べられ、その結果、市区の分割は一定の場合に限定することとされました。 次に、郡の分割についても、郡は行政単位ではないからその分割については余り厳格に考える必要はなく、必要に応じ分割できることとしてよいのではないかという意見もありましたが、その反面、郡の区域は歴史的、沿革的にまとまりがありできるだけ尊重すべきであるとの意見が述べられ、その結果、一定の場合に限って分割できることとされました。 次に、飛び地の取り扱いにつきましては、飛び地を設けないに越したことはないけれども、このために市区の分割が避けられないような場合には慎重な対応が必要である、こういう意見が述べられる一方で、選挙区の隣接性、連続性の観点、選挙民の情報の共有という観点から飛び地は設けるべきではない、市区が連檐して生活圏の一体性があれば市区を分割しても合理性があるのではないかとの意見が述べられ、その結果、飛び地は設けないこととされました。 このほか、考慮要素としての自然的社会的条件をより具体的に示すべきかどうか、作業の手順をどのようにすべきかなどについても意見が交わされております。 次に、区割り案の作成方針の概要について申し上げます。 こうした論議の結果、今後具体的な選挙区の画定を行っていくに際しての方針を示した「区割り案の作成方針」を取りまとめたところであります。お手元に配付しております資料の区割り案の作成方針をごらんいただきたいと存じます。 この作成方針は、「区割り基準」と「作業手順」の二つから成っております。 まず「区割り基準」について御説明いたしますが、人口に関する基準については、設置法第三条の人口格差が二倍以上とならないことを基本とすることを区割りを行う際の基準としております。法律で定められたこの基準を踏まえ、具体的な区割りに当たっては次の方針により行うことといたしております。 まず、各選挙区の人口は、全国の議員一人当たり人口の三分の二、二十七万四千六百九十二人から、三分の四、五十四万九千三百八十二人までとしております。この場合に、全国の議員一人当たり人口の三分の四を上回る選挙区は設けないものといたしました。全国の議員一人当たり人口の三分の二を下回る選挙区はできるだけ設けないものとすることにいたしました。 次に、各選挙区の人口は、当該都道府県の議員一人当たり人口の三分の二から三分の四までとすることといたしました。これは、各都道府県内におきましても選挙区間の人口の均衡を図ろうとするものであります。 次に、都道府県の議員一人当たり人口が全国の議員一人当たり人口の三分の二を下回る都道府県にあっては、格差の縮小を図る観点から、各選挙区の人口をできる限り均等にするものにしております。 次に、市区町村の分割に関する基準でありますが、この基準は、市区町村の区域は分割しないことを原則とするとしておりますが、人口基準等との関係から例外的に一定の場合には分割するものとしております。 すなわち、市区の人口が全国の議員一人当たり人口の三分の四を超える場合には分割することとしております。 また、市区の人口が当該都道府県の議員一人当たり人口の三分の四を超える場合においても、都道府県内の人口の均衡の観点から分割することとしております。 さらに、全国の議員一人当たり人口の三分の二を下回る選挙区をできるだけ少なくする観点から、県内の人口最大の市を単独の選挙区とした場合に全国の議員一人当たり人口の三分の二を下回る選挙区が生じる場合には、当該市の区域を分割するということにしております。 また、今回、飛び地の選挙区は設けないことといたしましたので、飛び地を避けるために必要な場合は、市区の区域は分割することといたしました。 次に、郡の分割についてでありますが、郡の区域は分割しないことを原則とすることとし、一定の事由がある場合には分割することができることとしております。 すなわち、(一)の人口基準に沿った選挙区を設けるために必要な場合には分割できるということとしております。 また、市区の分割と同様、選挙区が飛び地となることを避けるために必要な場合、郡の区域が現に他の郡市により分断されている場合、または郡の区域に離島を含む場合にも、郡の区域は分割できることとしております。 次に、(四)でありますが、先ほど申し述べましたとおり、選挙区の連続性の観点などから選挙区は例外なく飛び地にしないものといたしております。 最後に、(五)でありますが、(一)から(四)の基準に従った上で、地勢、交通、歴史的沿革その他の自然的社会的条件を総合的に考慮して区割りを行うことといたしておるわけであります。 次に、「作業手順」について御説明をいたします。 作業手順は、これまで述べました区割り基準に沿って具体的に区割りを行っていく際のいわば作業の流れを示したもので、二つの項目がございます。 まず(一)は、区割りに当たって都道府県の区域を幾つかの地域に区分する場合には現行の衆議院議員の選挙区を手がかりとすることとしたものであり、その地域に選挙区を設けるときは地理上の周辺部から順次選挙区を設けるものとしたということであります。 また、(二)は、区割り作業の結果得られた区割り案が合理的かつ整合性のとれたものになっているかどうかについて最後に総合的な検討、再点検を行うこととしたものでありますが、当然ながら、人口の基準の範囲内において行うものであります。 以上が「区割り案の作成方針」の審議経過及びその概要であります。 当審議会といたしましては、厳正公正な区割り案の作成に向けて全力を尽くしたいと考えておりますので、御理解のほどをよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
○委員長(上野雄文君) 以上で報告の聴取は終わりました。 石川参考人、ありがとうございました。どうぞ御退席されて結構です。(拍手) それでは、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
○関根則之君 時間もありませんので早速内容に入りたいと思いますが、味村参考人にお伺いをいたしますけれども、今回御報告をいただいております「区割り案の作成方針」でございますか、これは最終的なものと考えていらっしゃるのか、それとも一つの案と考えていらっしゃるのか、どういうふうに考えていらっしゃいますか。
○参考人(味村治君) 今回御説明申し上げました区割り案の基準は、これは八次審の答申とか知事さんの御意見とか、そういったもろもろの御意見を踏まえました上で、審議会におきまして慎重審議の上決定したものでございます。 しかし、国会にこの報告を申し上げて御審議をいただくという以上は、国会で御論議になりましたことは、その内容は審議会に報告いたしまして、その取り扱いは審議会においてまたされるものというふうに考えております。
○関根則之君 いろいろ知事の意見をお聞きをいただいたり十分な議論をしたんだからというお話でございますけれども、実は私どもは、中間報告という形で、審議会の最終固めじゃなくて一つの案の段階で何か考え方の提示がなされるんではないかということを実は私自身はそういうふうに考えていたわけです。そんなことをやっていたらいつまでたっても固まらないじゃないかというような議論はあろうかと思いますけれども、当然、審議会というのは法律に基づいて、政府の状況だとか国会の状況だとか、余りそれこそ一々気にしながらやる必要はないものかもしれませんけれども、しかし、そうはいいましても、この区割りというのは新しい政治改革を仕上げる一番重要な、小選挙区から国会に衆議院議員として出ようという方にとってはまさに死命を制するような重要なものでございますから、そういった国会方面の意向というものも十分参酌をして考慮の中に入れていただいて判断をしていただきたい、そういうふうに考えているわけでございます。 だからこそ、実はこの政治改革法案が参議院におきまして否決をされまして、それをどうするかということで総・総合協議がなされまして、合意を得た。それを受けまして与野党の間で政治改革協議会で議論がなされ、その与野党間の座長間で覚書が交換されまして、その第二項におきまして、いわゆる中間報告と申しますか、「国会に中間報告を行うこと。」ということが合意をされているわけです。 中間報告を行うものとするというこの合意の意味、内容というのは、まさに国会における論議というものも十分審議会に聞いていただいてそれを審議会の原案づくりに反映をしていただきたい、そういう期待を持ってなされた合意であるというふうに私どもは考えております。そのことは、これはもう当然、審議会は直接関係ない、当事者ではないとはいいましても、審議会の先生方には十分わかっている話ではないかと思うんです。 ただ単に報告をするだけであれば、そんなもの、報告なんか余り意味がない。やっぱり報告をすることによって、そこにおける国会の議論を聞いて、謙虚に耳を傾けていただいて、どういう議論がなされているのか、中には余り傾聴に値するような議論はない、自分のことだけを考えているようなものもあるかもしれませんけれども、いや中には傾聴に値するものもあるよというものがあれば、それはやっぱり素直に謙虚に酌み取っていただいて、皆様方の区割りの作業の参考にしていただける、こういう期待をしていたわけでございますけれども、そういう、何ですか、国会における与野党間の合意とかそういうものについては全く考慮なさらなかったわけですか。
○参考人(味村治君) この審議会の仕事は選挙の土俵をつくるという意味で非常に重要なことでございますので、厳正公正に職務を執行したいというのが委員全員の心構えでございます。それで、先ほど申し上げましたように、そういった心構えでもちまして審議会でこの区割り基準というのを決定いたしたわけでございます。 しかしながら、先ほど申し上げましたように、ここで国会におきましてこの区割り基準につきまして御報告を申し上げるというからには、国会においていろいろな御論議が出てくるであろうその御論議の内容というものは、これは当然審議会に御報告をしなければならない、御報告をした上で、審議会がどのように国会の論議を受けとめまして、そして区割り案、区割りの基準につきまして変更するかどうかということは、これはまた審議会で審議をしなければならない、このように思っているわけでございます。
○関根則之君 厳正公平というのは当然のことでございますけれども、自分たちだけの考え方で厳正公平なんだと言っていたんでは、これはちょっと問題があるんじゃないかと思います。やっぱり広く聞く耳を持っていろいろな関係の方々の意見というものを謙虚にひとつ聞いていただいて、それをどう公平に判断をするのか。特定の者の、個別の利益だけで判断をしてはいけないことは当然のことでございますけれども、広く意見を聞くということ、そのことは非常に重要なことではないか。 その中で国会における論議というものをぜひ十分聞き取っていただきまして、必要があれば、一応、案ではなくて作成方針ということでぽんと出されたわけでございますけれども、今御説明をいただきましたようにここでの論議というものをもう一回持ち帰って考慮するといいますか、これからの審議にどういうふうに生かしていくのか、それはまた審議会の中で考えることだ、こういうような感じの御答弁があったわけでございますけれども、ぜひひとつこれから行われます参議院における審議の意見の開陳等につきましても参考にしていただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。 ところで、今度の基準をおつくりになりますに際しましては——物事は何でもそうなんですけれども、政治学の講義などを聞くときも最初のときに政治学とは何ぞやという定義を先生が述べられるわけですが、そのときに、政治学とは何ぞやという定義を完成するにはやっぱり政治学のすべての項目について勉強した最後のときにわかるんだ、そういうようなことが言われます。私は、やっぱり物事というのはそういうものではないかというような感じがしてしようがないんですけれども、基準をつくるというのも最初に基準が出てくるんじゃないんじゃないかという感じがしてならないわけでございます。 個別の具体の区割りにその基準を当てはめたときにどうなるんだ、そこまでいって、各地域ごとに落としてみてどうなるんだということを考えて初めて、ああこの基準は正しいからこれを基準として採用しようではないか、そういう手法を用いるべきではないかというような感じがしてしようがない。 いわば、物事を決めるときに、基準を決めるときに、演繹的な方法で決めるのかあるいは帰納的な形で基準を決めていくのか、どっちの方法で審議会としてはこの基準をお決めになったんですか。
○参考人(味村治君) 先生おっしゃいますように、演繹的な方法と帰納的な方法と両方あると思います。これは両々相まちまして適切な基準というのがつくられるのではないかというふうに考えるわけでございますが、審議会といたしましては、先ほど申し上げましたように、海部内閣当時に提出されました法律案の区割り、それから各都道府県知事の御意見等を参考にいたしましてこの基準を決定いたしたわけでございます。 その際に一番最初に考えましたことは、やはりこれは設置法に基づいて設置されました審議会でございますので、まずは設置法に基づく基準があるわけでございますので、この基準に忠実にしなければならないということがまず第一でございます。その上で、設置法では行政区画、地勢、交通等考慮するということになっておりますので、それをどういうふうに配慮するかということを、この具体のことも頭の中に考えながら決めたというふうにお考えいただいたらよろしいんではないかと思います。
○関根則之君 具体の当てはめまで考えて頭に入れておやりになったということですから、私は考え方そのものとしては大変ありがたいと思っております。そうあらねばならないというふうに考えておりますが、それにしてはちょっと早過ぎるんじゃないかというような感じがしてしようがないんですよ。 知事の意見をお聞きになりましたですよね。知事の意見はどういう形で——これ、審議会でお聞きになったんですね。どういうやり方で知事の意見はお聞きになったんですか。それから知事以外にも、どなたかから意見をお聞きになったことがございますか。 時間がありませんので一緒に申し上げますけれども、知事に聞くときに、県によっては市町村にわざわざ知事から連絡をして、何か市町村長の御意見がありますかとか、市町村議会の方の意見がありますかとか、あるいは県会の方の各党派に連絡をして、御意見、考え方がありますかとか言って、聞いて非常に丁寧にやったところと、まあ余りそういう連絡をしないで手近なところで選挙管理委員会の御意見等を踏まえて知事が意見を出したというところとあるんですが、そういうものについての聞き方ですね、どこまでおろして意見を集約してきてくださいよという統一的なやり方をなさったかどうか、ちょっとお聞きをいたします。
○参考人(味村治君) 都道府県知事の御意見は、先ほど会長が御説明申し上げましたように、都道府県知事は各都道府県の行政、地勢、交通等全般に通じて区割りについて都道府県全体を総合的に判断できる視点をお持ちだ、こういうふうに考えて都道府県知事に意見を伺ったわけでございます。 伺ったことは、区割りの基準についての意見、それからその当該都道府県の区割りについての意見、この二つでございます。なお、この御意見はすべて書面によって出されておりますが、事務局であります自治省の方でそれについてヒアリングをしたということでございまして、そのヒアリングの内容とともに私ども報告を受けております。 それで、都道府県知事がどのように御自分の意見をつくられるのかということにつきましては、これは都道府県知事にお任せしているわけでございまして、どのような方法によるかということは都道府県知事の御判断によるものというふうに考えて、特にそういったことについての注文と申しますか、そういうことはいたしておりません。
○関根則之君 もう既に終わったことですから余り申し上げるつもりはありませんが、その辺の統一がとれてないために県によって大変取り扱いがまちまちだったものですから、あちこちでいろんな、おれのところは知事から意見を何も聞かれていないよというようなことも出てきておりますししますので、こういうときにはできるだけある程度手法を統一して連絡をしてやった方がいいんじゃないか、そんな感じがしてなりません。時間が、知事からの意見が出てきて、それから基準ができるまでの間に大変忙しく処理をなさった関係もあり、これは何か政治的な配慮もあったのかもしれませんけれども、そういうこともありまして、必ずしも十分知事からの意見が生かされていないんじゃないかということを実は私は心配をしているわけでございます。 例えば一九五八年のイギリスの法律では、地方当局あるいは当該選挙区の百人以上の有権者によって異議が出された場合には、区割り委員会の地方調査、ローカルインクワイアリーをやった後でなければ区割りを決めちゃいけないよ、そういう規定を設けているんです。そういうようなこともぜひひとつ、先ほど、基準はこれで最終じゃないんだ、これからの作業でも我々の意見も聞きながら、また基準そのものについても審議会の中で議論をしていくんだと、こういうお話でございますから、ぜひこれからも最後の仕上げの段階まで、知事あるいは地方団体、関係の議会、そういったところからの意見というものには十分耳を傾けていただきたい。ただ、自分たちはこう考えるんだというだけで押し切ってしまわないで、いわば帰納的な方法といいますか、そういう手法を大事にしていただいて、区割りをやっていくようにお願いをしたいと思います。 ところで、区割りを定めるときに選挙区の本質について、これは総理にもちょっと考え方をお聞きしたいんですけれども、選挙区は何だと思っていらっしゃいますか。といってもなかなか抽象的な質問で申しわけないんですが、一定の人口で区分けをした単なる人口単位なんだというふうに選挙区をお考えになるのか、あるいは選挙区というのはそうじゃないよ、一種の地域共同体的なものなんだよ、そういう考え方をお持ちになるのか、どちらでしょうか。
○国務大臣(羽田孜君) これには幾つもの学説があるようでございますけれども、いずれにしましても基本はやっぱり人口だと思います。それから交通ですとかあるいは経済のつながりですとか、あるいは行政区域ですとか、こういったものが考えられるでしょうけれども、しかし、何といってもやっぱり人口が基本。またもう一つの基本は、国会議員の場合にはまさに全国民を代表するということになっておるから、本来だったらこれは単なる議員を選任する選挙手続上の技術的な単位にすぎないというような学説もあるんですね。 いずれにしましても、私は人口が基本であり、そして今申し上げたことがそこに付随してくるであろうというふうに考えます。
○関根則之君 いや、選挙で代表を選ぶための単なる人口の寄せ集めにすぎないというのであれば、飛び地を設けちゃいけないとか何とか、そんなものが出てくるはずがないんですよ。そうじゃないんです。それは昔は、大学の大学区なんという選挙区があって大学の卒業生の中で選挙区をつくって出したり、そういうのが外国には例がありますよ。それからもっと前には、一八三二年の法律改正だと思いますが、その前にはイギリスなんかでも地方団体が投票権というか、国会議員を選出する権限を持っていて、個々の国民が持っていたわけじゃないんですよ。だから、いろいろ歴史的な経緯はございますけれども、それが、投票権とは個人が国会議員を選ぶ権利なのよと、個人に選挙権が付与されたということから、共同体的な要素からの説明を極力排除しようとして、今のような単なる数合わせにすぎない、こういうことが強調されているんです。 私は、しかしそうじゃないと思うんです。確かに選挙権を持っているのは個人個人だ。地方団体が選挙権を持っているわけでも何でもない。しかし、数だけの問題じゃないんです。数だけでいいということで、例えば佐渡島と奄美大島をくっつけてちょうど四十一万二千三十八人になるからこれでいいじゃないかといって選挙区をつくったらどういうことになるんですか。これは、そんな選挙区はやっぱりおかしいんですよ。それが一つの地方団体のような地域共同体にはならないかもしれないけれども、小選挙区のもとにおいては一人の衆議院議員を共有する一つの地域的な広がりで、そこに一種の共同体的なものが存在する、そういう価値を認めなきゃおかしいんじゃないかと私は思うんですよ。 この選挙区の本質論につきましては、味村参考人、審議会ではどんな議論がなされましたか。参考のために教えていただきたいと思います。
○参考人(味村治君) 選挙区は、何と申しますか、地方自治体の長であるとか国会議員さん、各地方自治体の議員さん、そういった方々を選挙する単位となる区域だという認識でございまして、私ども審議会におきまして特にその本質について議論をしたということはないように思います。
○関根則之君 だから、私は心配しているんですよ。 そもそも選挙区とは何だということをしっかり議論をして、それを踏まえた上で、さてどう区分けをすることが選挙区の本質に沿った区割りができるのか、あるいは区割りをつくるための基準ができるのかということをしっかり議論をしてもらわなければ、立派な学者先生に審議会の委員になっていただいているわけですから、それじゃ困るんであって、そういう議論を、遅くてもいいですから、これからしっかりやってください。やって、その基本的な物の考え方に基づいて基準を定めることによって地域の実情というものを本当に反映するようにするのか、いや、そんなものは何言ったってだめだよ、やっぱり数だよ、数だけでいくんだよというような区割りになってしまうのか、そこで選挙区が生きるか生きないか差が出てくると思うんですよ。 私は地域というのは連続主義でなきゃいけないと思う。先ほど石川会長が、連続性の観点から飛び地はつくらないんだ、こういうことにしたということ、それは非常にいいことだと思うんです。しかし、なぜ連続性がなければいけないのか。それをしっかり考えてもらいたいと思うんです。 文献等によりますといろんな理屈が書いてありますよ。補欠選挙をやるときに余り広がりがあって遠くの方にいたんでは職員はあっちの方こっちの方へ配置しなきゃいけないから人数ばかりかかって大変なんだ、補欠選挙の経済性を考えたときにも選挙区というのは一体の方がいいんだなんという、そんな理屈を言っているところもあります。そういう現実の便宜論というものもあると思うんです。 しかし、なぜ選挙区というのは連続性がなければいけないか、一団の地域の方がいいのか。一地体」なんという言葉を使っていますよ。非常に日本でもそういうところが議論をされまして、これは一八六九年のドイツ帝国議員選挙法でも言っておりますが、選挙区は「出来得ル限リ一地体ヲ為スコトヲ要ス」、これを翻訳した一地体」という言葉、最近の都市計画の法律では一団の土地とかそういう言葉で使っているので日本語には余りなじまないところがあるんでしょうけれども、「一地体でなければ」と、一地体」というふうに翻訳しています。これは森口繁治さんの文章ですけれども、そういう物の考え方。 これは、総理、ちょっと聞いておいてもらいたいんですけれども。これは何だと。説明は、選挙の便宜主義だと思うんですよ。しかし、私は単なる便宜主義じゃないと思うんですよ。やっぱりそこに民主主義の本質みたいなものがあるんじゃないか。 ある一定の地域の人たちが、おれの選挙区からはこんな立派な代議士が出ているんだよと、それを誇りに思うことによっていい代議士が出てくる。また、代議士も変なことをしたら選挙民に顔向けできない。そのことによって本当にいい国会議員が誕生する、それを担保することにもなるんだと、そういうことにもつながる。 そもそも全然見も知らないところと一緒にさせられたら——佐渡島は新潟市と関係があるんです。船だってみんな新潟から出ているんですよ。それをとんでもない、どことくっつけるんですか、今まだ具体案は出ておりませんけれども、とんでもない関係のないところとくっつけられたときに、そこの住民はどう判断するんだと、自分の意思じゃないじゃないか、人の意思によって自分の代表が決まってしまうではないか、そういう感覚を持つんじゃないかと思いますよ。 選挙区の人たちというのは、みんなが一体だ、連帯感があるんだ、連帯感の中から自分たちで自分の代表を選んだんだ、そういう民主主義の本質に通じるようなやっぱり一つの一体感、連帯感というもの、それがあるから、選挙区というのは余りとんでもないところとくっつけて数だけでやっちゃいけないのよ、昔からの歴史的な沿革だとかそういうものも大事にしながらやっていかなければいけないのよ、そういうことが出てくるんじゃないかと思うんですよ。 だから、味村先生、ぜひひとつそこのところの問題をもっと深く議論をして、それに基づいて、ある一定の人口的な制限というのは当然必要ですけれども、それをどの程度弾方的に運用していくのかということをそのことが決めてくるわけです。いや、そんなこと考慮する必要全くないんだよ、選挙区の本質というのは人数だけの問題なんだよということであれば、すぱっと割り切っちゃえると思うんですよ。そうじゃないんだと。そうじゃなくて一種独特の地域共同体的な、まあこれ、本当の意味の共同体じゃないですから名前つけるの非常に難しいのですが、そういう性格も持っているんです。 一人の代議士を共有する共同の集団なんだという考え方を強く出せば、人口の方は多少の弾力的な運用をしていかなきゃならない、こういう結論になるでしょうし、いや、そんなものは考慮する必要ないんだということであれば、人口原則というものをびゅっと前ヘ出して、まあ相当強く今度の基準は人口原則が出ているというふうに私は受けとめておりますけれども、そこの結論が変わってくるんじゃないかと思うから申し上げているわけでございます。 ところで、今度の原則の中で大変重要視されているのは、一の(一)の(イ)に規定をされております、三分の二から三分の四の間に原則としておさめるんだ、こういう原則のようでございますけれども、この原則に当てはまらない選挙区は幾つぐらい出る可能性がございますか。
○参考人(味村治君) 審議会の基準が人口だけでというふうにおっしゃったように聞こえたんですが、それはそういうことはないわけでございます。 これをごらんいただきますと、人口基準が最初に書いてありますが、その次には市区町村郡といったような行政単位、これはもう一体として自治体として行政が行われているわけでございますので、そういう行政単位をどういうふうな場合に分割できるのかということを慎重に検討いたしました上でこういう基準を決めたわけでございまして、最後には自然的社会的条件も考えるんだということもございまして、これは審議会としては非常に慎重にそういう先生の御趣旨に沿うような検討もいたしておるということを御理解賜りたいと思います。
○関根則之君 そういうことであれば大変結構なんですけれども、この基準を読みますと、一に三分の二から三分の四までの原則ですよということが書いてあって、しかし下の方は下限を下回ってしまいますから例外を認めますよ、上限はそれはだめなんだと、こう書いてある。これは絶対の原則ですよね。最優先の原則のように書いてありますが、今の味村参考人の御説明だと、いやそんなことはないんだ、人口でぴしゃっと切っちゃうということはないんだと。ということは、上限の方も例外を認めると、こういう趣旨に理解をしてよろしゅうございますか。
○参考人(味村治君) これは、ここに書いてございますように、全国の議員一人当たり人口の三分の四を上回る選挙区は設けないと。これは先生絶対とおっしゃいましたが、そういうことでございます。それを上回る選挙区は設けないんだということでございます。 しかし、下回る選挙区につきましては、これは既に設置法の三条の二項でもちまして、それを下回る選挙区ができることは必至でございますので、これはできるだけ設けないということになっておるわけでございます。 全国の議員一人当たり人口の平均値の三分の四と申しますと五十四万九千何がしでございますが、議員一人当たりの人口の一番多い都道府県と申しますと東京都でございまして、これは四十七万何がしという数でございまして、かなり上限の方は余裕がある、しかし下限の方はもうこの設置法の三条二項によって下回ることは必至ということでございますので、このようなことになっているわけでございます。
○関根則之君 私の質問にお答えいただいてないんですけれども、時間がありませんから一々やっているわけにいかないんで私の方から申し上げます。 もう下限は六つぐらいの選挙区を高知三区を初めとして認めざるを得ないんですよね、二十七万四千人を割ってしまいますからね。それだけもう例外を下限を割ることについては認めるけれども、上限をオーバーすることについては認めないと。非常に一方的だと思いますよ。そんな基準がありますか。それで、いや人口原則だけを優先するんじゃありませんなんて、そんな答弁がありますか。矛盾しているんじゃないですか、おかしいと思うんですよ。 一つの原則をきちっと決めて、しかもそれが一の(一)の(イ)に書いてある重要な原則だと言ったら、審議会の原則というのは人口基準というのを非常に重要視しているなというふうに受けとめたってしようがないでしょう、ほかのことも考慮をするとは書いてあるけれども。 だから、そういうことでの御説明なら、ほかのことも考慮して、歴史的な沿革だとか地勢だとか交通だとか行政区画だとか、そういうものも考慮しますよということであるとすれば、上限だってそういうものを生かしていくために、しかもさっき私が申し上げた選挙区の本質からしてもどうしてもここを尊重しなきゃいけないんだというものがあればそういうものを認めていくという答えが出なきゃおかしいじゃないですか。下限だけの例外は認めて上限の例外は認めないのは、そんなものは理屈にならないと私は思います。 ただ、ここで詰めてどうこうするというなにではありません。参考人でございますので、いろいろとお教えをいただく参考人に余り失礼なことがあってはいけませんが、その点だけはしかし強く指摘をしておきたいと思います。 下限の問題でもそうなんですけれども、例えばイギリスなんかの例を見ますと、ローカルインクワイアリーをもうしょっちゅうやっているわけですよ、細かく。審議会がその選挙区の具体的な事情を見にいっているんですよ。そういうことを何百回もやっているでしょう、みんな。だから、イギリスの最近の例、これは新聞でも報じておりますけれども、全国平均から四〇%以上、五〇%ぶれているところが三つ選挙区があるんですよ。非常に小さい選挙区まで認めているんです。五一%以下のところが一つありますよね。 それを、日本の今度の基準では、基準を四十一万二千三十七人と置いて、それの三分の二以下、下限を決めてそれ以下は認めます、しかし上限の方は一切認めませんと。要するに、両方ヘ三三・三%ですか、基準から三三・三%、人口にして十三万七千。上へも、大きい方へも十三万七千、小さい方へも十三万七千、それだけの幅をつくりますと、こう言っているわけでしょう。それで、それを突破したら下の方はしようがないけれども上の方は一切認めません、こういうやり方というのは非常に私は実情を無視したやり方ではないか、そんなふうに理解せざるを得ないわけでございます。 ところで、どうしてなんですか、真ん中の標準の四十一万二千三十八人を中心にして、数の少ない方へも十三万七千三百四十六人の幅をとり、上へも十三万七千三百四十六人の幅をとっている。一見非常に公平そうでございますけれども、大きいところの幅と数値の小さいところでの余裕幅とはその持つ意味が全然違ってくる、そういうことについては審議会の中では考慮されませんでしたか。
○参考人(味村治君) このいわゆる偏差方式というのは、ドイツやフランス等でもとっているというふうに承知をいたしておるわけでございます。 それで、設置法に書いてございますように、格差が二倍未満となるようにすることを基本とするということでございますので、基本とするわけでありますから、その基本からできるだけ外れないようにするということが私どもは大事であるというふうに考えております。 平均人口から上は三分の一、下も三分の一、それぞれ増減するということは、これはその結果二倍ということになるわけでございますが、各国も採用しておる非常に公平な方法ではなかろうかというふうに考えられたわけでございます。
○関根則之君 二つのことをおっしゃったような感じがしますから、順番に申し上げたいと思うんです。 法律は一対二を基本とすると書いてあるんですよ。基本とすると書いてある。そこで押さえちゃえと言ってない。 私は大きく分けて法律は区画をする場合の原則として三つのことを言っていると思いますよ。 一つは、三条の一項の前段の一対二を基本とするということ。その後に書いてあるのが行政区だとか地勢だとか交通だとかそういうことを考慮しなさいと。 地域の実情というものをよく考慮しなさいということが二番目に書いてありますよ。 三番目に、そうは言ったってべた平均じゃありませんよ、人口でただ平均すればいいんだというんじゃありませんよというのが第二項に書いてあるんですよ。いわゆる基礎配分方式。都道府県に一人ずつはまず配分しなさい、小さな県でも一人の権利はまず与えなさいと。だから、鳥取は二人になっているんですよ。島根県は七十八万人しか人口がありませんけれども、三人になっているんですよ。それを法律は認めているんですよ。ただ基本としなさいということだけが書いてあるんじゃないと思いますよ。 これはいろいろ法律の解釈というのはあると思いますから、人によっては四つに分けたり五つに分けたりするかもしれませんが、私は三つに大きく分けられると思う。その三つの要請をそれぞれ法律は認めているんです。 鳥取県というのは一つのまとまりがあるのよ、そこの地域性、地域の人間の集まりというものを大事にしなさいよ、だから一票を与えましょうと。東京だって千二百万ありますけれども、そこには基礎配分は一票しかないんですよ。平等扱いをしているわけですよ。そういうことを法律は認めている。法律の精神というのはそこに出ているわけですよ。だから、単に人口で一対二の中におさめなさいよというそういう人口基準だけが、法律の言う絶対命令じゃないんですよ。三分の一にすぎない、私に言わせれば。 条文は確かに一項と二項としかありませんけれども、言っている内容というのは三つある。一つは一対二だし、二つ目が行政区と地勢と交通、総合的に考慮して合理的に行わなければいけないということだと思いますよ。三番目が、繰り返しますけれども、まさに小さな県だって必ず基礎配分一票もらえますよ、一人もらえますよと。その結果、べた平均でいくはずないじゃないかと、こういうことを言っているんですから。この三つの法律の要請を等しくバランスよくうまく基準に生かし具体の区割りに生かしていかなければおかしい、そういうふうに思います。 だから、こんなものは法律で一対二と言っているんだからそれを破るわけにいかないという議論は議論としてそもそも成り立たないと、私はそんな感じがします。 それから次に、諸外国でもやっているからって、諸外国なんて変なことをやっている外国、幾らでもあるじゃないですか。諸外国でやっているなんというのは例にならない、一つの参考意見にはなるでしょうけれども。 一票の価値というのは、これはどういう性格のものなんですか。一票の価値の限界価値というものをどういうふうに御理解をいただいていますか。 一票の価値を縦軸にとって、横軸に選挙区の人口をとりますと、どんなカーブになりますか。これは総理もよく御理解をいただきたいんですけれども、分数関数なんですよ。最初がぐっと無限大に高くて、ずっと低くなって、最後もまた無限大にいっちゃうんですよ。そういうものでしょう。だから、例えば四人で一つの選挙区をつくっているとした場合に、人口が半分になって二人になると、一人の投票の価値が倍になっちゃうんです。そういう性格を持っているんですよ。二人の価値で投票の価値が倍になっちゃうでしょう。ところが、選挙区の人口がずっとふえていって何万人というふうになりますと、一人や二人減ったってふえたって関係ないんですよ。まあ関係ないと言っちゃおかしいけれども。 例えば、今の審議会で議論をなさっている数値で言いますと、平均値を四十一万二千人でとって、下限を二十七万、上限を五十四万でとりますと、一票の価値の限界価値というものは上限では〇・〇〇〇一八二%しかないんですよ。下限では、人口の小さな選挙区では〇・〇〇〇三六四%の限界価値があるんですよ。当然のことながら二倍の限界価値を持っているわけですよね。そういう性格のものが一票の価値であり、選挙区の人口と一票の価値というものを考える場合にその曲線をいつも頭に置いて物を考えていかなければいけないと私は考えているんですよ。 だから、限界価値は微分したものですから、マイナスのxの二乗分のaですよね。そういう、曲線なんだよということを考えながら、いろいろ選挙区の定数といいますか選挙区の人数の限界というものを考えてもらわなきゃいけないと、そういうふうに私は思っております。 県によって一市町村当たりの人口というのがうんと違うんですよ。時間がありませんから私の方で申し上げますが、もし違っていたら、自治大臣、言ってもらいたいんですが、一市町村当たりの人口の一番小さいのが島根県で一万三千二百人なんです。一番大きいのは神奈川県の二十一万五千人。これは大変な違いでしょう。どれぐらいになるんですか、これは十五倍ぐらいになるんですか。 しかし、神奈川県は川崎だとか横浜だとかそういう大都市があるからちょっと例外じゃないか、というお話もあるかもしれない。埼玉県は政令指定都市がありませんが、それでも六万九千六百人、約七万人ですよ。五倍ちょっと超えますか。そういう市町村の大きさというものが、人口の大きなところと田舎の県といいますか、地方の比較的人口の希薄な県とでは市町村そのものの大きさが違うんですよ。そうでしょう。 だから、人口の大きい都市では三十万とか四十万とかという都市がごろごろしているわけですよ。そういうごろごろしているところで選挙区をつくろうとすると、ある都市、十万の都市があるとします、五十万の都市があってそこに十万の都市がひっついていますと、これを入れるか入れないかで、限界を超しちゃうんですよ。すぐに超しちゃうんですよ。そこのところで、上限の限界というもののつくり方が非常に難しいんです。 小さな県は一つの市町村の人口が小さいから、平均でも今申し上げましたように十五分の一ぐらいの小規模の町村があるから、市町村境界というものをできるだけ守っていこうと、そうした場合に、つけやすいんですよ。そんなに大きな余裕幅をもらわなくてもその作業ができるわけですよ。 ところが、人口の多いところは大きな枠をもらわないとどうしても分割の数が大きく出てきちゃうんですよ。あっちこっちで分割をしなきゃならない。いかにも、平均値をとって、そこから三分の一下の方ヘ幅を認めます、大きい方へ三分の一幅を認めますというのが諸外国でも例があります、常識で考えたってそれが正当じゃないですかと、そういうふうに御理解をいただいてと御説明があったわけですけれども、そんなものじゃないんですよ、選挙区の問題を考える場合には。日本の実情というものをよく考えてください、頭の中で。 大きな都市の周辺地の一市町村当たりの人口の多いところと、地方の県の一市町村当たり人口が一万そこそこのところとでは、選挙区を組むときに市町村の区域をできるだけ割らないようにとこんなに県から要望が出ているでしょう。そういうときに、そういうものを尊重して市町村の区域をできるだけ割らないようにする、共同体的な感覚というものをできるだけ持たせていこうじゃないかという方向で物を考えれば、そこに与えられる余裕幅といいますか枠というのはおのずから違ってこなきゃいけない。そう思いませんか。今、そう思いませんかと総理にそんなことを言ったって多分すぐ答えられないと思うから求めませんけれども、そこのところをじっくり私は考えてもらいたいんですよ。 それが、十三万七千、小さい方へ向かって十三万七千、大きい方へ向かっても十三万七千、同じ数だけ与えているからいいじゃないか、そういう理屈がどこへ行ってもすぐ返ってくる。私の頭がおかしいのか、そういうことを言う人が少し感覚的に違うのか、そこのところは、これはもう今ここで結論は出なくてもいい、じっくり議論をしてもらいたいと思うんです。 下限の二十七万四千人と中心点である四十一万二千人との差は、全国平均の四十一万二千人の側から見れば三三%の差なんですよ。ところが、下限から見ればそれは五〇%の差なんですよ。二十七万から平均の四十一万を見れば五〇%の差がそこにあるということですよ。逆に、上限の五十四万九千人と平均人口の四十一万人との差というのは、これは中心から見れば三三%だ。しかし、上限の方から見れば二五%の差なんですよ。それだけの余裕をもらったにすぎないんですよ。 そういうことをじっくりと考えて、先ほども申し上げましたが、分数曲線なんです。選挙の人数と一票の価値、あるいは日本の人口の分布、地域によっての違いというものを考えた場合に、曲線なんですよ。そこに癖がある。それを十三万七千、三三・一%、四十一万を基準にしてやるという物の考え方は、これは一次式で考えているんですよ。そうでしょう。絶対数で十三万七千、上へも十三万七千、下へも十三万七千というのは、直線で物を考えているということですよ。 私は、選挙に関する物を考える場合には直線で考えてはいけない、やっぱり曲線として物を考えていかなきゃいけないんじゃないか、そういう感じがするんですが、そういうことが本当に審議会の中で御検討をいただいたかどうか、もう一回ちょっと御答弁をいただきたいと思います。
○参考人(味村治君) 設置法では、人口基準を基本とすると、人口格差が二倍未満となるようにすることが基本だと、こう書いてあるわけでございます。これが区割り基準をつくる際の一つの基本でございます。それから、行政区画、地勢、交通事情等の諸事情を勘案するといういわば考慮事項が書いてあるわけでございます。それから最後に、各都道府県につきましては各都道府県に一人ずつまず最初に配分するということが書いてあるわけでございまして、この三つを組み合わせて基準をつくらなければならないということは先生の御指摘のとおりでございます。それで、審議会といたしましてもその基準を組み合わせてこの基準を作成いたした、そのように御了解を賜りたいというふうに思うわけでございます。 それで、人口基準を優先するということはけしからぬではないかということでございますが、これは投票価値の平等ということはやはり非常に大切なことであるというのが私どもの認識でございまして、そういったことから設置法に格差二倍未満ということを基本としろということが書いてあるということから、それを具体化するにはどうすればいいのかということでいろいろ先ほど会長が申されましたように議論をいたしました。 その中では、先生のおっしゃいますような、何と申しますか、比例的と申しますか、そういうような議論は確かにございませんでしたが、非常に熱心な議論を重ねたわけでございまして、その結果、現在とっております偏差基準と偏差方式というのを採用いたしたわけでございます。 できるだけ投票価値が平等になるようにするということは一つの理想でございますので、平均値から三分の一以上はないとか、三分の二未満はないとかいうのが、これがまあ理想ではないのかということで、理想と申しますか、少なくともこの設置法に定めております人口格差二倍未満とするということの精神に沿うのではないかと、こういう考えでございます。
○関根則之君 出した基準について今ここですぐに再検討とかなんとかそういうことは言えないと思うから、なんなんですが、素直にひとつ私の話もぜひ、再検討といいますか、考慮の中に入れていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 〔委員長退席、理事一井淳治君着席〕 軸を一次式で動かして十三万七千、十三万七千、こう両方へとっておるでしょう、基準点から。基準点四十一万をこういうふうに真ん中に置いて動かしているわけです。それをこっちへ寄せたり大きい方へ寄せるということもできるんです。 例えば、小さい方は小さい幅でも処理ができるんだから十万にする、四十一万から十万減って三十一万にする。大きい方は二十万の枠を与える。そういうやり方をした場合に、例えば最高の一番大きくなるのは東京都で、二十万足すと上限が六十一万になるわけです。そうしますと、最低は、多分もう頭の中にはあると思いますが、二十五万ですよ、二十五万四千。高知の三区ですか。それと六十一万の比は二・四二倍なんです。今皆様方が考えている数値だって、率は二・一六ぐらいですか、そのぐらいの幅になると思うんですよ。それが、今まあ極端ですけれども、六十一万まで認めた場合に、二・四二の中へおさまるんです。それが、基本とするという法律の要請に違反すると思いますか。私はそんなことはないと思うんです。 できるだけそれは一対二の中におさめることがいいけれども、基本とするということを言っているだけであって、もう二つの要請があるんです。行政区画だとか地勢だとか、そういうものも言っているわけです。だから、そういうことを考えて、あと残り二つの法律の要請を満たすためにそういう基準のとり方があるではないかということを申し上げておきます。 人口基準をもとにするのはけしからぬではないかということは、私は言っていませんから。 人口基準というのは大事ですよ。大事だけれども、自分たちで上の幅と下の幅を同じにしておいて、下限は認めるけれども上は認めない、そんなかたくななことを考えることはないじゃないですかということを言っているんです。幅のとり方だって少しずらして、実情に合ったような曲線で物を考えてやるやり方もあるじゃないか。しかも、その場合に、外れるというのは、下限は外れますよ、外れる数がふえてきますよ、今の六つじゃなくてもう少しふえるかもしれない、しかし、いわゆる人口の大きい県の知事さんたちからいっぱい要望意見が出てきているような、行政区を守る、できるだけ行政区を割らないで済む、しかも飛び地をつくらないで、地域の要請を満たして地勢だとか歴史的な沿革だとかそういうものを含めて処理できる、本当にまとまりのあるいい選挙区ができる一つの基準ができるじゃないですか、ということを提案をしておきます。 その具体例で申し上げますと、例えば、飛び地をつくらなければならない三重県の今の一区、四日市の問題。四日市の問題だってそうでしょう、あれ全部、員弁から三重郡を入れたって五十三万ぐらいにしかならないんじゃないですか。そのぐらいにしかならないはずですよ。五十三万。これは全国基準の三分の四はクリアするんです、五十四万ですから。だけれども、なぜだめだといったら、三重県そのものの県の中の中心点からの三分の四の制限にひっかかっちゃうからだめだと。いわゆる否認的に狭く解釈するために、県ごとの平均値というものを使っているんです。 そうじゃなくて、逆に、各県ごとの全国平均の三分の二、三分の四なら、それは一つの基準として置いてもいいですよ。しかし、四十七県の中には大きい県も小さい県もあるんだから、実情が違うんじゃないか。その実情を考慮して、人口の大きい県ではその人口の大きい県の平均値の三分の二から三分の四まで認めますよ、そういうやり方をなぜしないんですか。それこそまさに人口基準だけを優先させようという意図がありありと見えているのじゃないかと私は思うんです。 地域の実情を本当に考慮するというのであれば、大きい県は大きい県なりの平均値をとって、それの三分の二から三分の四にしたらいいんです。そういうことをすれば、四日市の問題だって片がつくんです。ただ、四日市の問題というのは、四日市そのものの問題は片がつくけれども、あとの残りの選挙区の人口がうまくできないという問題がありますから、そういう制約は別途ありますよ。 しかし、四日市、三重県というのは人口が全体としてはそれほど大きな県じゃありませんからできないんだけれども、もっと大きな神奈川県とか愛知県とかそういう大きな県へ行きますと、選挙区の数も多いわけですから、ある特定の選挙区がどうしてもはまり切らないというときには、そこをその県の三分の四まで持っていけば、そこでうまくまとまりがつく。その残りを、例えば埼玉県の場合には残り十三あるわけですから、十三選挙区の中でうまく分ければ片がつくんですよ。そういうやり方が幾らでもできるんですよ。 〔理事一井淳治君退席、委員長着席〕 それをかたくなに全国で制限を設け、また、その県の三分の二、三分の四というものを範囲を狭めるように使っているから、否認的に使っているから、これを容認的に使ったらどうですか。 一つの提言として申し上げておきますので、ひとつ御検討をお願いします。 福島県の浜通りの話なんかもそういう一つの大きな典型的な例だと思いますよ。昔から一つの藩の中で、浜通りというのは歴史的沿革からいったって一体なんですよ。相馬郡と双葉郡ですか、それが一体となって。昔から福島県を三つに分けるときには浜通りと中通りと会津というんですか、そういう形でずっとやってきているんですね。それが、今の人口基準を絶対だと言ってやるものだから、浜通りの一部を中通りとひっつけているんでしょう。あんな無理なことをどうしてやるんですか。それも、多分、福島県の人口基準の三分の四にひっかかるということじゃないかと思うんですよ。そこのところで少し幅を持たせれば幾らでもそういう問題が解決できる、実態に合った選挙区割りができるというふうに私は考えます。 いずれにいたしましても、そういう点をひとつ十分御考慮いただきたい。 この問題は法律に直した上でもう一回、まさに法案審議という形で参議院にも回ってくるわけですから、私は、きょうの議論、これから行われます議論を踏まえて十分また御考慮いただかなければいけないし、いただけるものと思いますけれども、その案を見て議論をしたいと思います。 ぜひ地方の実情に合った選挙区割り、基準の問題は審議会のお話ですけれども、選挙区割りそのものについては、これは提案をするときには政府の判断で御提案なさるわけですから、それについて地域の実情というものをできるだけ尊重するような形で区割りをしていくかどうかについての見解を総理と自治大臣から、一言ずつで結構でございますので、お答えをいただければありがたいと思います。
○国務大臣(石井一君) 私が長い時間を費やすのはきょうはもったいないと思いますから、私はただ一言、例えば、今の容認論をとるとすれば、人口を中心にするわけじゃありませんけれども、その格差が一対三に近づくと思うのでございまして‥‥‥
○関根則之君 いや、そんなにならない。
○国務大臣(石井一君) いや、まあ後でそれじゃそれは議論いたしましょう。 それから、今回、この審議会の皆さんに白紙を与えて何でも書けと言ったのではなしに、一つずつ議席をばらまくということですから、下の方に対して限定を置いてますので、それをやると、そこには「できるだけ」というものをつけざるを得なかった。私は、今の関根議論のあれは物すごく選挙制度学としては最優秀のものだと思いますが、しかし、現実の問題に合わせた場合にやはりそういう問題があるというふうに思います。 それから、基準を御決定いただきました後、きょうのとうとい御議論を味村先生がお持ち帰りになりまして、審議会で議論をされて、しかるべき結論を出すことだと思いまして、我々政府側はこれにどうせいこうせいと言ったらまたすぐおしかりを受けますので、そういう性格であるということを御理解いただきたいと思います。
○関根則之君 はい、わかりました。
○国務大臣(羽田孜君) 区割り委員会の方でも、こうやってわざわざ先生においでいただきながらお話をお聞きしていただいておるわけでございまして、皆さんの御意見等もこうやって生かしながら、厳正、中立、公正な区割り案を出していただけるものであると思っております。 その後について私どもがどうこうと今申し上げるものではないというふうに思っております。
○関根則之君 終わります。
○斎藤文夫君 味村参考人御苦労さまでございます。総理も自治大臣も連日御苦労さまです。 関根委員の後を受けまして、短い時間ですが、私、斎藤文夫、お尋ねをさせていただきたいと思います。 今回の区割りの御方針は、一票の格差、飛び地の解消、こういうことを基本として臨まれておられるところでありますが、八次答申に近い方向で決められそうだという報道もあるし、いろいろ手入れもされておられるようでありますが、私は市町村の分区問題について具体的にお尋ねをさせていただきたい、このように思っております。 それは、私が神奈川県でございまして、指定都市横浜と川崎、二つを持つ、言うならば地方自治のあるべき姿の中でもいろいろこれから二十一世紀に対して問題を含んでいるところでありますし、こういう中で、実は今、横浜市の行政区の一つと同じ指定都市の川崎行政区の一つが一体となる、そして一つの選挙区をつくる、あるいはまた横浜市の一つの区と鎌倉、逗子、葉山の市、町が一つの選挙区をつくる、このように今ささやかれておるところでございます。これに対して、県知事、横浜市長、川崎市長はもちろん反対という立場の意見を述べておられますし、県議会も川崎市議会も議決をもって反対の意見をそれぞれに御提出をしておるところであります。 そこで、なぜ指定都市を県並みの行政区域とお認めにならなかったのか。一部の行政区と隣接地域とによる選挙区というものをつくるということは指定都市制度そのものを崩壊させるきっかけになりはしないか、こういう思いを持っておるところであります。指定都市の行政区を原則分割しないという理由は一体どこにあるんだろう。味村先生は杉並にお住まい、石川会長は今は東京にお移りになっておられますが、かつて川崎の麻生区にお住まいだった。東京の特別区と指定都市の行政区というものが根本的に存在意義が違うという御認識をお持ちになっていられるのか。 東京の特別区は、区長、区議会は全部公選で、予算を持っていわゆる一つの地方自治体としての体をなして活躍をしておられる。ところが指定都市の行政区というものは、言うなら市の出先機関、市民サービスのための機関があって、市の職員の中で市長が任命をする、そういう状況。言うなら出張所を中心として便宜的に大きくなった都市ですから、便宜的に区を分けている。ですから、区民意識というよりは市民意識だ、横浜市市民意識、川崎市市民意識、そういうものが中心になって住んでいるんです。地形だとか文化だとかそんなものは、もう大都市の中ですから、道一つ隔てたところで違いがあるはずがない、それほどの問題はない。 でも、行政区と特別区というものの重み、違いというものを御認識いただかないからこそ、いや、行政区は分割できませんよ、原則しませんよ、こういうことをおっしゃる。ところが、東京都は人口基準で、今も関根委員から厳しい御質問がありましたが、人口基準を中心とする余りに矛盾をいっぱいつくっているんです。そういう矛盾を一体どうお考えになるのか。 じゃ、神奈川県の十七選挙区の人口割合はどうですか。全国に対して二倍以下の選挙区はないんじゃないですか。これ、なかなか、十七選挙区でほとんど全部が、一つあるかないかなんですね。二倍以上ということになれば、最高二・六一まであるんですよ。そういう選挙区であるということを考えれば、いや一票の格差によってこう分けましたと一方では明文をおっしゃるけれども、実態、神奈川県は参議院と衆議院はいつも一票の重みの軽い県です。東京都に比べて衆議院は二番目でしょう。参議院は一番なんですよ。 こういう状態をお考えになると、人口基準が中心でお決めになられる気持ちはわかるけれども、パズルじゃないんですから三百議席を適当に当てはめりゃいいというものではない。とりわけ行政区というものを私はもっともっと真剣に考えていただきたい。 時間がないから、全部まとめて意見を申し上げて後で味村先生から御意見を拝聴いたしますが、むしろ市民感情からいえば、いわゆる一つの市の中で行政区を分割してもその方がよっほど市民感情に合う。ましてや、これはもうお互い指定都市は対等の立場で縦割り行政でしょう。これ、選挙を実際どう運営されますか。選挙長は一体だれがなるのか。同時に、公営選挙といったってお互いてんでんばらばら。横浜市の指揮の中に同じ指定都市の川崎市の選管が下へ入れますか。あるいは横浜市の下に鎌倉市や逗子市、葉山町、それぞれ独立した選管が下部に入れますか。問題があるんですよ。こういう状況というものをお考えにならないと開票事業だってスムーズにいかない。皆さん、選挙をやったときの結果は当然一冊にして出てくると期待したってとんでもない、あれは基本は各市町村の選管が獲得票数を発表するんでしょう。県選管で一冊にまとめたなんということはないんですよ。 こういう事実をもってしても、選挙管理委員会のある姿と、今お考えになっている行政区を市境、市を越えて、特に指定都市の行政区をくっつけたり指定都市と町村とを一緒にくっつけるというのは非常に矛盾がある。この辺のところをお考えいただければ何らかの新しい区割りを同じ市の中で、川崎なら三つとか、横浜なら幾つにするとか、それは人口でもってお考えになれば当然できることです。このように思いますが、いかがでございましょうか。
○参考人(味村治君) まず最初にお断りいたしておきますが、ただいままで審議会で決定いたしましたのは区割りの基準だけでございまして、個別の各都道府県についての区割りというのはこの中間報告を申し上げたその後に審議をするということになっていることでございます。 ただ、この基準の中に、御指摘のように指定都市の行政区というのは市区と同視して基準が書いてあるわけでございます。それは従来から公職選挙法では、衆議院議員やあるいは都道府県議会議員の選挙区の単位、あるいは具体的な選挙の執行面におきましても指定都市の行政区は市と同様に取り扱うという規定がもう既に公職選挙法にございまして、これは今さら申し上げることもないわけでございますが、そういう従来の実績も踏まえましてそのような基準をつくったわけでございます。 なお、現行の中選挙区の中でもその行政区と他の市町村とが一緒の選挙区をつくっているという例もあるやに聞いておりますので、そこら辺を御理解賜りたいというふうに思うわけでございます。
○委員長(上野雄文君) 時間ですから……。
○斎藤文夫君 時間ですからやめさせていただきますが、もう一つ聞いておいていただきたいのは、横浜は緑区と港北区が今度十一月六日に分区するんです。それも、その区が素直に二つに割れるんじゃなくて、二つがガラガラポンで四つに割れるんです。今ここで策定をして隣の川崎の一つの区とくっつけますと、十年間飛び地になったり混乱するんです。そういうことについて、これから具体的策定にお入りになるときによほどお考えをいただかないと、見直し十年間で、その間もう本当にねじれ現象の選挙を続けなきゃいけない地元市民、区民にとっては大変迷惑です。重ねてよくお考えをいただきたい。 ありがとうございました。
○一井淳治君 審議会の方では都道府県知事の意見を聞いていただいておるわけでございますけれども、その内容とかあるいはこれについてのお考えを先ほど概要を御説明いただきましたので、その点については詳しくはお聞きいたしませんけれども、都道府県知事の意向といいますか、都道府県の方から出てきたものを今後どのように活用していかれるのか。私たちとすれば、やはり地域の意見が出てきているわけですから、審議会の中に不当な圧力みたいなものが入ってはいけませんけれども、しかし委員会が余り独善的にもなっていったら困るわけです。ですから、この都道府県知事の意見というものは非常に大切ではなかろうかと思うわけでございます。 この活用、今後どのようにこれを生かしていかれるのかという点について、まず伺いたいと思います。
○参考人(味村治君) 都道府県知事の御意見を伺いました項目は二つございまして、先ほど申し上げましたけれども、一つは区割り基準に関するもの、それからもう一つは当該都道府県の具体的な区割りに関するもの、この二つについて御意見を伺ったわけでございます。 区割り基準につきましても基準を追加、変更しろというような御意見もございましたが、先ほど石川会長もおっしゃいましたように、大方の多数の御意見は区割り基準は第八次選挙制度審議会の答申で結構だという御意見であったように見受けられます。 このような御意見を頭に置きまして審議会で審議されました結果が、ここに本日御説明申し上げました区割り基準になっているわけでございます。 今後は都道府県別の具体的な区割り案をつくらなければならないわけでございますが、その際には、当然のことながら都道府県知事の当該都道府県についての区割りについての御意見を十分参考にさせていただく、こういうことになろうかと思います。
○一井淳治君 先ほど会長のお話を聞いておりますと、私は理事をしているものですからほかの用事もありましてちょっとお話を聞くところが中断しておったんですけれども、八次審の成果をまず研究された、そのお話の後、効率的であるからということを言われたんですけれども、その後、各都道府県知事の意見についてのお考えを長々と説明なさいました。 私は、そういった経過から見ておりますと、今後、都道府県知事の意見というものをかなり重視していただけるんじゃなかろうかと。すなわち、いろんな意見があると思うんですけれども、八次審でいいというふうな御意見もあるし、あるいは県によっては是正を求める意見も出ておったと思うんですが、各都道府県のいろんな実情を今後かなり重視していただけるんじゃないだろうかという期待を持ったわけでございます。 そういった意見を今後入れていくという際には、恐らくこの一の区割り基準の(五)に「地勢、交通、歴史的沿革その他の自然的社会的条件を総合的に考慮するものとする。」という、ここに入っていくんじゃなかろうかと私は今考えておるわけでございますけれども、そういったことの中で重視していただきたいのは、これまでの歴史的な経過というものを、これまで二人の同僚の委員の方から要望があったわけですけれども、やはり民主的な、選挙に対して熱意を持って衆議院議員を選んでいくということが行われるように、自然にそういうような雰囲気が醸成されるような地域が形成されるということは非常に大切ではなかろうかというふうに思うわけでございます。 例えば、先ほども例に出たんですけれども、福島県の浜通りというものがありますね。これはこれまでの選挙で衆議院選挙と言えば三区がもう一体になっているわけです。ですから、その地域の人たちは選挙を通して一体感があるわけで、また今後の選挙になってもそういうことが当然出てくると思いますし、これが党利党略になりまして、ある党はこう希望する、ほかの党はそうじゃないんだということになったらいけませんけれども、地域の住民が一体としてそれを期待しているというような場合にはやはりこういったものは重視されていいんじゃなかろうか。 そういった意味で、今後、都道府県知事の意見を十分に取り入れてお考えいただく、そしてその際には(五)の条件の「地勢、交通、歴史的沿革」、この中には地域の住民の声も強く含めてお考えいただきたいというふうに思うわけでございますけれども、そのあたりの御意見をお聞きしたいと思います。
○参考人(味村治君) 先ほどから申し上げておりますとおり、まだ各都道府県別の具体的な区割りの作業に入っておりませんので現段階では何とも申し上げかねるわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、当該都道府県知事の御意見を十分参考にして区割り案を作成するということになろうかと思います。
○一井淳治君 次に、自治大臣にお伺いしたいと思います。 この区割り案について、設置法の第三条に規定があるわけでございます。そこにも書いておりますように、二以上とならないようにすることを基本とするという基本原則があるわけでございますけれども、同時に、各都道府県に一を配付するとか、あるいはそもそも都道府県ごとに割り振りをしていくというわけですから、この一を基本にするという言葉の意味はかなり弾力性があるんじゃなかろうかというふうに思います。 これは、法律ができたばかりですからまだ学説も何もありませんけれども、考えられる説によっては三以内にしなくちゃいけないとか、あるいは極端に言えば、極めて例外的で、国民的な合意が得られたら三を超えてもいいという学説も、出るかどうかわかりませんけれども、そんな説も考えられなくもないんじゃなかろうかとも思いますけれども、これは私のやや独断があるのかもしれませんが、二以上とならないことを基本とするというこの解釈、それについて自治大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(石井一君) いや、ここにうたっておりますことは、できるだけ二対一以内にするべきであるけれども、そうでない場合も直ちに違法という問題が生ずるものではない、こういう意味を指しておると思います。ついこの間の平成六年六月三日の東京高裁の判決でもそれに近い裁判所の見解というものが出ておるわけでございます。 以上、そうでございますが、私はその後に、そういう形の中から本来審議会は二対一に絶対におさめたいというお気持ちを持っておりますけれども、こういう一千二百万のところと六十万、七十万のところとへそういう条件をつけますとどうしてもできない、やろうと思っても不可能だという問題を与えておりますから、こういう規定がやむを得ないということでございます。 そこで、その次に地勢、交通という問題を考慮してやれと言われますが、私は衆議院の場合には少しこれは割り切ったらいいと思うのでございます、これからの場合は。外国の例でも、イギリスの場合はビルで真ん中を割るということもあると言われます。私は驚いたのでございます。しかし、そうでございます。 それから、もう一つ不思議な現象は、一井先生なら岡山、まああなたのような立派な方はどこでも出られるかもわかりませんが、普通はこの人間はそこでへその緒を切ってないと出られぬというこういう国はございません。これは衆議院という一般の国民の最も原則的な代表はどこへ行ったって出られるということであって、今言っている地勢、交通を余り言い過ぎますと、やはりそこらに新しい政治改革の一つの道を開くべきではないか、ちょっと極端な意見でございますから見識ある審議会はそんなことをされぬと思いますけれども、そういう発想をも同時に考えつつ政治改革を推進すべきだと思います。
○一井淳治君 政治改革を推進することは私どもも犠牲を払って前進しなくちゃいけないわけですけれども、しかし、この政治改革は、政治家のための、政治家のひとりよがりの、自分の要するに意思といいますか、自分の気持ちを押し通して自己満足に終わったということになったら何にもならないわけですね。そのためにきょう皆さん方が意見を言うているわけですから、今の自治大臣の御意見は、せっかく貴重なお時間を委員にとっていただいて、本当にもう会期末で物すごい忙しい時期、そういう中でみんな準備をして意見を言っているんですが、その意見の大勢はやはり地域の実情ということを大切にしろということを言うているわけですね。総理にも来ていただいて本当に貴重な意見を出しているわけですから、今のような我の意見を聞きませんというようなことでは、自治大臣のお役、何のために自治大臣になってくださったのかということになりますので、そういう御意見じゃないと思いますので、もう一遍ちょっとそこのところを承りたいと思います。
○国務大臣(石井一君) 先ほどから熱心に意見を伺っておりまして、それは十分拝聴いたしております。条件が一、二、三とあって、そこにいかにバランスをとるか、また日本的調和を求めるか、そうして改革を推進するかという難しい問題の提起だと思いますが、意見はもう十分拝聴いたしまして、それに沿って、私も日本の政治家でございますから進ませていただきたいと思っております。
○一井淳治君 また私の方は日本的なウエットの方を続いて申し上げるわけでございますけれども、この区割り基準の人口の関係、(一)ですが、その(八)に「都道府県の議員一人当たり人口が全国の議員一人当たり人口の三分の二を下回る都道府県にあっては、各選挙区の人口をできるだけ均等にするものとする。」という条項がございます。これは具体的には島根県以外にたしかないわけでありまして、もうこれは島根県をもろに考えていいんじゃなかろうかというふうに思います。 上限については、このようなそろえるという規定はなくて、下限についてだけこのような規定が行われておるわけでございますけれども、このような作成方針を置かれた理由について御説明をいただきたいと思います。
○参考人(味村治君) この人口基準の(八)の「都道府県の議員一人当たり人口が全国の議員一人当たり人口の三分の二を下回る都道府県」というのは、先生御指摘の島根県のほかに、福井県も若干ながら下回っております。 そういった都道府県につきましては、(一)の(イ)で「三分の二を下回る選挙区はできるだけ設けない」という基準だけでございますというと、一体どういうふうに分けるべきなのかという問題が生ずるわけでございます。できるだけ二十七万四千何がしという全国の議員一人当たりの人口の三分の二を上回るような選挙区を二つつくりますればそのもう一つの選挙区は非常にもう極端に人口が少なくなる、こういうようなことに相なりますので、そういうような都道府県にございましてはできるだけ均等にすると。均等というのは等しくする、もちろん完全に等しくすることはできませんので「できるだけ」と、こういうことにしてやるわけでございます。
○一井淳治君 今、「できるだけ」というお言葉が出ましたけれども、「できるだけ」ということを極力緩やかに解釈いただくのがよろしいのじゃなかろうか、私はそういう意見であります。 といいますのは、この(ハ)を特に置いたのは、一票の格差の関係で余り小さい選挙区ができると一票の格差が拡大してしまうという形式的理由じゃないかと思いますね。それで大きい方については頭を打たないでおいて小さい方だけ下を突き上げるというふうになって、形式的な目標のために地域ががたがたにされてしまう、地域の一体性が崩されてしまうということになっては、非常に残念な結果になると思います。その地域の方々は恐らく全国の一票の格差のために犠牲になったというふうな感じを持って、衆議院の選挙に対して余りいい気持ちを持たないということが起こるようになると私は思います。 私の手元にもこの島根県内の町の方からそういう心配の声が来ておりますけれども、やはりこういうふうな地域の要望というものも考えながら、この(ハ)については今後十分慎重に御配慮いただきながら区割りをお進めいただけたらよろしいのじゃなかろうかという一つの意見を申し上げておきたいと思います。 それから次に、二に作業手順というのがございますけれども、(一)のところに「現行の衆議院議員の選挙区の区域を手がかりとする。」と、そしてそれに続いて三行目から後に、これを地理上の周辺部から押していくと書いてありますけれども、この趣旨を御説明いただきたいと思います。
○参考人(味村治君) この作業手順は、区割りの基準を具体的な都道府県に当てはめる際の手順と申しますか、そういうつもりでここに入れたわけでございます。 最初に書いてございますように、まず、審議会において区割りをいたしますのは都道府県の区域を区割りするわけでございますので、都道府県の区域を地域区分するに当たっては現行の衆議院議員のいわば中選挙区を手がかりとするんだと。 そうしますと、中選挙区を手がかりといたしますので、その中選挙区に例えばちょうど議員二人分でございますればその中選挙区を二つの小選挙区に分けるという場合もございましょう。しかし、そうぴったりといかないで、例えば二つの中選挙区で三人の議員さんが割り当てられるというようなケースもありましょう。そういう場合に、まあいろいろなケースがあるわけでございますが、そういういろいろなケースがあるのでなかなか御理解が難しかったんじゃないかと思うんですが、私がただいま申し上げましたような場合には、その二つの中選挙区を一体としてまず把握いたしまして、そしてだんだん周辺部から議員一人当たりの人口に満つるまで小選挙区の区割りをしていってはどうかと。もちろんそうぴったりというわけにはまいりませんでしょうけれども、だんだん周辺部から攻めていくんだ、こういうことを書いてあるわけでございます。
○一井淳治君 周辺部から攻めていって、薄皮まんじゅうというのがありますが、まんじゅうの薄い皮みたいに細長い選挙区が端っこにあって、あとその中を幾つか切るとなると薄皮の人は非常に困るわけです。まあそのあたりは字句の解釈ですけれども、運用をよいぐあいにしていただきたいと思います。 そして一番最後に、(二)に「作業の結果得られた区割り案が合理的かつ整合性のとれたものになっているかどうかの総合的な検討を行う」と。この「総合的な検討」、最終作業、これはどういうことでしょうか。
○参考人(味村治君) これはこれから各都道府県につきまして具体的な区割り案を作成するわけでございますが、その区割り案を作成する際には、本日御報告申し上げました区割り基準に、まあこれがまた変更になるかどうかは別といたしまして、区割り基準に従って区割りを行う、こういうことになるわけでございます。それで、やっぱり各都道府県別にやってまいりますので、四十七都道府県を全部終わったところでまた全体的に見渡しまして均衡がとれているかどうかというようなことをもう一回見直そう、こういうことでございます。
○一井淳治君 この全国の選挙区を画定していこうという作業は本当に大変な作業ではなかろうかと思いますけれども、今後の衆議院あるいは国政の基本になるわけですから、立派な選挙基盤を、どうか公正なものができるように、そして早くつくっていただきたいということを要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○平野貞夫君 味村会長代理に二点お尋ねいたします。 第一点は、この審議会は法律で定めた第三者機関で、いわば国会が区割りの勧告をお願いしているわけでございます。きょうの中間報告は、区割り基準が決まった段階で具体的な区割り作成に入る前にその基準についての考え方を聞かせてもらうという趣旨だと理解しております。国会での議論を踏まえて基準をつくり直すという性格のものではないと考えておりますが、いかがでございましょうか。
○参考人(味村治君) 審議会に対しまして大変高い御信頼のお言葉をいただきましてありがとうございました。私どもといたしましては、一層心を引き締めまして厳正公正な区割り案の作成にこれから努めたいと思うわけでございます。 ただ、先ほど申し上げましたが、今国会におけます御議論は審議会に報告いたしまして、審議会において国会における御議論の内容を踏まえてどのようにするかということにつきましては、審議会としてまた検討するということになろうかと思います。
○平野貞夫君 国会の立場も踏まえた大変ありがたい答弁でございました。 次に、先ほども議論になっておりました人口基準の問題でございます。三分の二から三分の四というこの問題。下限につきましては、一人均等配分した結果どうしても下回る選挙区が生ずるということは私はやむを得ないと思うんですが、格差一対二未満を基本とするという考え方からすれば上限についてはこれ非常に問題があって、私は上限については厳守すべきだと考えておりますが、いかがお考えでございましょうか。
○参考人(味村治君) 審議会といたしましては、先ほど申し上げましたように、下限の人口は、これはもう各都道府県に一人ずつ議員を配分するという規定が三条の二項にございますので、どうしても守れませんのでやむを得ないと。できるだけ三分の二を下回らないようにするということでございますが、上限につきましてはやはりニ倍未満という基本線がございますので、上限は厳格に守りたいというのが審議会の考えでございまして、先生の御意見のとおりであろうかと思います。
○平野貞夫君 羽田総理に要望いたしたいんですが、今回の政治改革はいわば第一次改革という意味があると思います。参議院の選挙改革それから国会運営の改革初め、行財政改革、経済改革、ポスト冷戦下、改革しなければならない問題は山積しております。国際社会は日本の改革、特に国際協調ができる国会意思決定システムの実現を待ちかねていると思います。 すったもんだいろいろありましたが、ようやくここまで来ましたのは、私は何も連立与党だけの功績ではないと思います。もとは自民党竹下政権下の政治改革大綱から発しているわけでございます。与野党の皆さんのいわば汗と涙の結晶だと思います。この努力を決してむだにすることがあってはならぬと思います。 勧告が出ましたならば速やかに法案化して国会に提出して審議、そして速やかに成立させるべきだと思いますが、総理の御決意をお聞かせ願いたい。
○国務大臣(羽田孜君) 今お話がありましたように、私どもの目前に山積する問題というのは、まさに戦後五十年という一つの節目を迎えまして、すべて改革というものにつながっている問題であろうというふうに思っております。衆議院だけでなくて、二院制というものを考えたときに参議院の本格的な抜本的な改革というものがなくてはならないことであろうと思いますし、また国会そのものについても、これは私が今申し上げることじゃありませんけれども、私も国会改革の委員長なんていうのをやりながらやってきたものですから、やっぱり国会の本当の改革がないと。国会の場から日本の行く末というものが見えるような議論が本格的にできる場にする必要があろうと思います。 また行政改革、これは地方分権も含めてでありますが、また経済改革、これは国際社会に大きな窓口を開くと同時に、それによって結果は国民生活をよりよくしていくという意味でも、この改革、規制緩和等を初めとしてこれはやらなきゃならぬと思いますし、またこの間この特例措置をやったことによる法案の修正の中で、税制の抜本的な改革も年内にやらなきゃいかぬという、実はもうともかく一つずつの問題が避けて通れない、しかもそんなに時間のない問題であろうというふうに考えております。 そのときに国会だけがみずからの痛みをこれ避けてしまうということになったら、これはもう許されないことであろうというふうに考えるわけでありまして、私は国会が本当の改革を、まず衆議院の改革をしたならば、本当に議員にとっては選挙制度の改革が一番痛いわけですが、それをやったということで改革そのものに対する理解というものはさらに深まるであろうというふうに考えましたときに、我々はこの問題を解決するために審議会の御答申をいただいたならば直ちにこれを法案として国会に御提出しまして、速やかに成立を図り対応することが大事であろう。 そして、これは一般のあれでございますけれども、次の選挙というものはそういった新しい制度の中でやること、これが改革を間違いなく進める大きな一歩になるんじゃなかろうか、こんなふうに確信をしながら努めてまいりたいというふうに考えております。 以上であります。
○平野貞夫君 ありがとうございました。終わります。
○吉川春子君 総理にお伺いいたします。 羽田内閣は小選挙区区割り案作成を大変急いでおられますけれども、私ども日本共産党は中選挙区制のもとでの解散・総選挙を要求しております。それは、羽田内閣は少数与党であることに加えて民意に反して国民に犠牲を強いる政策を次々と行おうとしているからです。 昨日、政府税調答申で消費税率の大幅引き上げ方向を打ち出していますし、大蔵省は消費税率七から一〇%の引き上げを試算として示しています。一体、消費税率の引き上げを選挙公約した党があったのですか。 また、永野発言の反省もなく朝鮮有事の対応をしようとしています。総理は、国連安保理で経済制裁決議に対する協力を言明していますけれども、報道によりますと、さらに北朝鮮に対する国連制裁が決定された場合、日本政府はどうするか、もし戦争が起きたら米軍にどう協力するか、関係省庁内の作業内容まで取りまとめているというふうに言われています。こんなことも選挙で公約していないじゃないですか。 さらに、年金支給を六十歳から六十五歳に繰り延べる年金法改悪を国会に提出して成立を図ろうとしています。これも昨年の総選挙では六十歳支給を守ると各党とも公約している問題です。 こういうようなことをどんどん進めるということは非常に強権政治だと私たちは考えますが、総理、いかがですか。
○国務大臣(羽田孜君) 強権政治と言いますけれども、私たちは少数による非常に脆弱な内閣でありますよ。この内閣であっても、先ほど平野さんにお答えしましたとおり、今私たちの前にあります山積している問題というのは、これはどこでも避けて通れない問題であるということであります。 そして、今特にお話があった税制については、私ども、七月二十九日でございましたが、これ選挙が終わってからでありますけれども、所得、消費、資産のバランスのとれた総合税制の改革を行うということを理解しておりますし、また特別措置をやったときにも、これ衆議院全会一致で抜本的な税制の改革をすると、共産党さんはどういう意味でこれにあれされたか私は理解をしませんけれども、しかしやっぱり全会一致でこれが修正されておるということがあります。 それから、年金につきまして、六十五歳については、消費税のときにもう既にこれは出されている問題で、その後何回も実は選挙があったことでありまして、やっぱり年金というものは安定して供給していくということ、日本の福祉というものを安定させるという意味でこういったことをやらなければならないということ。 それから、朝鮮戦争について、有事について、今どうのというお話でありますけれども、私どもは、IAEAの査察をちゃんと受けてほしい、そうでないと国際世論あるいは国連というものは制裁という方向に進んでいかなきゃならないんだ、だからともかくお互いのいろんなところに窓口をあけておきますよということを申し上げておるわけですし、もし制裁をする場合でも常に窓口をあけておきますというのであって、何も朝鮮を制裁してやろうじゃないのであって、核疑惑を晴らそうじゃないかというのが、私のもう一貫した一つの信念であります。また私は、議会のいろんなそれぞれの皆様方の議論を聞いておりましても、いざというときのために対応すべきだよという方の議論でも、やはりそういったことがないようにということを根底に置きながらのそれぞれの党の皆さん方の議論だったのであって、今何か、いかにもそれに対してどういう対応をというようなことのお話は、ちょっと私、少し飛躍されているのかな、またあるいは御心配をされ過ぎているのかなという実は感じを持ってお聞きしたところであります。
○吉川春子君 いろいろ羽田総理おっしゃいましたけれども、一つ一つの問題をきょうは詰める時間がありませんけれども、私は羽田総理が会津若松で演説されているテープを聞きました。それによりますと、次のようにおっしゃっておられます。 ガット・ウルグアイ・ラウンドでも本当のことはなかなか語る人がいなかった。税制改革についても同じ。自民党時代、党議として決めても私は反対しますと演説したものだ。選挙が終わって新しい体制ができると税制改革をやってしまうわけです。結局、国民に本当のことを言わないで選挙をやらざるを得なかった。というふうにおっしゃって、みずから都合の悪いことは言わなかったということを告白しておられるわけです。 選挙のときに言わなくて、選挙が終わったら消費税の引き上げも米の輸入自由化も年金支給の六十五歳繰り延べもやってしまう。それを選挙のとき言えないのは選挙制度だと中選挙区制のせいにして、そして、これまた公約していない小選挙区制の導入を参議院での否決にもかかわらず連立与党は策を弄して強行したわけです。 それで、私は伺いたいんですけれども、公約とは一体何なんですか、羽田総理にとって公約とは一体何なのか、そのことを伺います。
○国務大臣(羽田孜君) 話をもう少しよくお聞きになっていただくと私は違うと思うんですよ。 というのは、私は自分で今お話のあったことを全部選挙のときにみずからの選挙区で語っている人間なんですよ。しかし、私が応援に行きますと、ここの会場でこの候補者はこの問題を語っておりません、どうぞひとつその問題については触れないでくださいと。私はあるときには、そのことについて私が触れちゃいけないというんだったら私はこの会場に出て立つこと、演説をすることをやめようということまで言ったんですよ。 ということは、共産党さんの場合には、まさに小選挙区なんですよ。一つの選挙区からみんな一人ずつこうやって立てられますでしょう。そして、まさに政党が後ろに立って、そして政党の公約と一緒になって歩んでいるわけですよ。 ところが、私、自由民主党におりましたときには、三人の選挙区の場合に間違いなく二人は公認しますが、そのほかに無所属あるいはいわゆる保守系の無所属といって二人、三人と立候補されるということになると、三人区であるにもかかわらず四人ぐらいが立候補してしまうということになりますと、だれもがきつい難しいことについて述べられなくなってしまう。あるときなんかは、政党が、自民党なら自民党が、ここで説明会やりましょう、いや余計なことしないでくれ、私は今こういう主張をしているんだというようなことが何回もあったんですよ。 ですから、私は、もうそういう制度じゃなくて、やっぱり政党もあるいは候補者も一体になってこうやって語れるようなものにしていく、そういうことが大事なんじゃないのかということで私はこの小選挙区というものを選んできた人間であります。しかも、私は、もう十何年前から小選挙区制あるいは並立制、いろんなことをちょこちょこ直してもだめですよ、選挙制度に触れなかったら日本の政治は絶対変わらぬということまで言い切りながら実は皆さんと一緒に全国を回ってきた人間であります。 私はそれで、ウルグアイ・ラウンドだって一つも傷つかなくてあることは難しいんですよということ、あるいは減税だけやって何にも増税なくてあるなんということはあり得ないんですよということを、私は、どこでも、応援に行ったときでも、語らせてもらえぬだったら帰りますなんと言うもんだから、そのことを実は語ってきました。しかも、ほかの政党の人たちは前でからかいながら私をやじっておりましたけれども、その中でも実は語ってきたぐらいの人間であります。
○吉川春子君 日本共産党が小選挙区制だという意味は私はいま一つわかりませんけれども、それはちょっと違うと思うんですね。日本共産党が一人の選挙区から一人しか立てない場合が多いということでありまして、私たちは小選挙区制を全然肯定していませんし、大反対な政党です。 それから、総理、今もおっしゃったように、総理は、やっぱりいろいろな政党やいろいろな候補者が選挙で公約をしていない、新生党だっていろいろ公約していないですよ。それは衆議院でもさんざんやりましたからきょうは繰り返しませんけれども、そういうようなことをこれからもしおやりになるとしたら、やっぱりまず国民の民意を問うて、北朝鮮有事の場合どうしますか、あるいは消費税の税率引き上げよろしいんですか、年金の六十五歳繰り延べ支給いいんですか、そういうようなことをまず公約に掲げて各党が戦って、そしてその国民の民意を得た上でやるというのが民主主義のルールじゃないですか。そういう意味で、そういうこともやらずにそういう政治を進めちゃうということに私たちは強く反対をしているわけです。 世論も私は解散・総選挙を望んでいると思いますよ。 時事通信の六月二十日の選挙に関する世論調査によりますと、速やかな解散を求めた人は五二・三%。実はことし一月はニ一・一%だったんですね。だから非常に数がふえている。そして解散すべきではないという人が二九・五%なんですが、同じく一月のときは六六%が解散すべきではないというふうに答えているわけで、明らかに速やかな解散を求める国民の声というのはぐっとふえてきているわけです。 同時に、総選挙をどの選挙制度で行うかについては、速やかに中選挙区制で行うべきだというのは二三・三%、次の選挙は小選挙区で合意できるならば中選挙区でやむを得ないという人が一九・−%で、合わせると今速やかに中選挙区で行った方がいいという人は四二%となっています。それに対して、区割り成立後の解散というふうに答えた人は二九%というふうになっておりまして、やっぱり国民の声も、もういろいろ国会の様子を見ているとやはり国民の信を問うてほしいと、こういうふうに動いてきているということは明らかだと思います。 そして私は、先ほど幾つか申し上げましたけれども、その一つをとってみてもやっぱり羽田内閣というのは不信任に値すると、そういうことで私たちは速やかに解散・総選挙を行うべきだと、このことを強く要求しますけれども、いかがですか。
○国務大臣(羽田孜君) もしそういうあれでございましたら、私どもはもう真正面から受けて立ちます。 しかし、今世論はと言うんですけれども、その世論調査のとり方がどうだったのかわかりません。しかも、今幾つものいろんな団体の皆さん方が表明されているのも、今選挙をやっているときですかという声というのは私は実は圧倒的に大きいんじゃないのかなという思いがあります。ですから、その辺は全体をやっぱり見ながら物事をやっていかなければいけないんじゃないのかというふうに思っております。 それから、先ほどから有事立法有事立法という何かお話があるわけでありますけれども、有事立法については、あれは五十二年ぐらいから議論をしているのであって、有事立法というのは、例えば国内で戦う、そのときに、例えば戦車というんですか、タンクというんですか、これが田んぼの中を通るとか、あるいは橋を相当重量が重いものが少し無理しても通る、そんなものに対して何か対応するものだというようなふうに私は承知いたしておりまして、今有事立法だというような議論というのは、いろんな皆さんの中で議論ありますが、しかし政府がこれについて今どうこうということを考えているんじゃないんだということ、これはちょっと誤解を呼んでしまうということ。 それから、私たちはまさに脆弱な内閣ですよね。この内閣でも避けて通れないものを率直に訴えるということ。もし私が強引にやって、そしていずれの日か選挙があるわけですから、強引にやったということになったら、あんなやつ、国民の意に沿わないことをやったと。国民の幸せにつながらないことをやったとすれば、私たちは選挙に負けるんですよ。これが民主主義というものなんです。
○吉川春子君 民主主義とおっしゃるんだったらば、やはり各党が公約に掲げて、連立与党も公約に掲げて堂々と戦って、その後でおやりになるべきであって、いや実は選挙制度が悪かったからいろんな人が本当のことを言わない選挙だったんですよと、そういうようなことの後でやってしまって、それは民主主義というふうにはならないと思います。 私は、有事立法のことも入る時間はありませんけれども、本当に政府が各省庁に指示して、いろいろな戦争になったらどうするか、そういうようなことをやっていない、全くやっていないというんだったら、それはそういうことではっきり言明してもらいたいと思いますが、ともかく羽田内閣は解散もせず総辞職もせずこのままずっとこの体制で居座っていく、そして公約にもしなかったことをどんどんやっていく、こういうような内閣であるとすれば、これは民主主義のルールから大きく外れるんじゃないでしょうか。 同時に、私はもう一つ伺いますけれども、今の中選挙区制のもとでの解散・総選挙を行うということについては政治改革つぶしだ、こういう議論もあるわけですね。小沢一郎さんですか、どこかで政治改革があと一カ月かそこらで完結しようとしているときになぜ解散・総選挙をしなきゃならないのか、理由があるのか、政治改革をつぶしたいという意図かとげすの勘ぐりをされても否定できない、こういうふうに述べていますけれども、羽田総理も今解散・総選挙に消極的だという理由の根底には政治改革つぶしということもあるんですね。
○国務大臣(羽田孜君) 居座るという話につきましては、居座りたくても私が皆さんに理解されない政策を次から次へともし本当に提案しやろうとしたら、これは残念ですけれども不信任案を通されてしまうということでありまして、居座りようがないんです。これが民主主義の基本であろうというふうに私は思うんですね。 それから、今の、何ですか、要するに改革つぶしだということ。この改革の問題については、何も私たち今この連立与党になったから言っているのでないのであって、七年何カ月前からこのことを主張してまいりました。そして私が先ほど申し上げたのも、本当に公約を語れるような、お互いが語れるような制度にしていきましょう、やっぱり制度まで踏み込まなきゃいけませんよという思い、それがようやくここまで来たんですから、あとどのくらいということは審議会に対しての制約になりますから私は申し上げませんけれども、ともかく、今もう基準まで国会にこうやって御説明をわざわざちょうだいしたわけなんですから、何とか一日も早くつくっていただいて、そして私どもはそれを審議しながら、この新しい制度というものを全部導入することが大事なんであって、これがだめなときには政治資金規正法であろうと何であろうと全部だめになってしまうということになるわけですから、私たちはここでこの機会に通すということが一番の大事なことであろう、そしてそのときに初めて国民の皆さんにもいろいろときついこともお願いができる。 やっぱり今、戦後五十年たったとき、いやでも改革しなきゃならぬときだと思うんです。その改革というのは全部どれも痛みが伴うものです。私たちも本当は甘いこときり言っていたいんです。しかし、それではこの国は成っていかないだろうと思ってつらい、苦しい思いで今こういったことを一つずつ皆さんに訴えているんだということを、ぜひともこれは理解をいただきたいというふうに思います。
○吉川春子君 公約が語れない選挙制度であったと今おっしゃいましたね。確かに、そういういろいろな公約は語ってきていないんです。それを今おやりになろうとしている。 それで、先の質問に進みたいと思いますが、今も総理がおっしゃったように、解散・総選挙はあくまでも小選挙区制で行うということにこだわって審議会の答申を急がせる、そういうことはあってはならないと思います。これは非常に重要な民主主義の土俵づくり、ルールづくりですから、こういうものはやっぱり慎重にやらなきゃいけない。答申作業を急がせる、選挙の思惑でそういうことがあってはならない、慎重にやる、そういう立場をおとりになるんですか。
○国務大臣(羽田孜君) 吉川委員から今御指摘あったことは、私は基本的に否定いたしません。 もう一つは、やっぱり日本の国会と内閣、これの対決、このときに内閣の最後の手段というのは解散権なんです。これは内閣の固有の一つの権限であるわけです。いかなる場合でももしこれを捨て去るということになったならば、残念ですけれども、内閣は物すごいカのないもの、アメリカの場合にはビート、拒否権がありますよね、日本の場合にはそれがないんですから、解散権というのはいかなるときでも内閣は持ってなければならないものだろうと私は基本的に思います。ですから、わざわざ解散とか何とか、解散はしないんだとか、そんなことをほのめかしながら委員会に対して圧力をかけるなんということは、絶対にあり得ないということであります。ただ、今、解散をやっているときではないねということを私は申し上げているだけでございます。
○吉川春子君 先ほど来問題になっております一票の価値の平等についてお伺いしたいと思います。 これは六月三日の東京高裁の判決ですけれども、非常に重要なことなので、ちょっと長くなりますけれども読み上げたいと思います。 議員定数の配分において投票価値の平等が確保されていることは、代議制民主主義の下における国家意思形成の正当性を基礎づける中心的な要素をなすものであり、国家統治の基本にかかわるのに対して、議員定数の配分において考慮される他の要素は、その性質上このような国家意思の正当性とは直接かかわりないその時々の社会経済情勢や政治情勢によるのである。したがって、憲法上国家意思形成の中心機関とされる衆議院について、これを構成する議員の選挙の定数を配分するに当たっては、投票価値の平等は、他の考慮要素とは異なる本質的な重要性を有するのであって、議員定数について、他の要素に重点をおいた配分を行い、投票価値の平等につき他の要素と同列または第二次的な考慮をしたにとどまるときは、その配分は、憲法十四条の定める法の下の平等の原則に反するばかりではなく、憲法前文及び四十三条一項等の定める国家統治の基本にもとるものとして、違憲の評価を免れないものである。このような観点からすると、衆議院議員の定数を、人口以外の他の要素をも考慮して配分するとしても、選挙権として一人に二人分以上のものが与えられることがないという基本的な平等原則をできる限り遵守すべきものであって、このことは、議員定数の配分をめぐる世論の等しく指摘するところであるばかりでなく、これまでの公選法の議員定数の改正をいずれも緊急措置あるいは当分の間の暫定措置であるとして、その抜本改正を必要としてきた国会自身の認識であったといえる。 こういうふうにした上で、国会の裁量権は認めるけれども、この次の選挙も同じように一票の平等価値を考えないような方法でやるとしたらこれはもう許されない、違憲なんだということを示唆した重要な判決になっているわけなんですけれども、羽田総理、あなたはこの判決を尊重されますかどうですか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) 区割りそのものについて私の発言の中から影響を及ほすことはよろしくないと思いますから、それについてはコメントをすることは差し控えたいと思いますけれども、今お読みになったとおり、人口以外の要素をも配慮して配分するとしても、やっぱり一人に二人分以上のものが与えられることがないという基本的な平等原則をできる限り遵守すべきものであるとされている、そういうふうに私も今度のあれは承知いたしておりますけれども、いずれにしましても、できる限りこれを遵守すべきであるということ、これは私はやっぱり貴重な一つの示唆であろうというふうに考えております。
○吉川春子君 そういたしますと、区割り基準でも選挙区間格差を一対二未満とするようにはっきりすべきではないんですか。この基準では、しかし、「各選挙区の人口は、全国の議員一人当たり人口の三分の二から三分の四までとし、全国の議員一人当たり人口の三分の四を上回る選挙区は設けないもの」と明記していますけれども、「全国の議員一人当たり人口の三分の二を下回る選挙区はできるだけ設けないものとする。」としまして、その下回る選挙区の存在を前提として、したがって格差二倍を初めから超えることも容認するかのような内容になっていると思うんですけれども、そういうことはこの判例の立場からいっても今の総理の御答弁からいってもちょっとそぐわないのではないかと思いますが、総理、この点についていかがですか。
○国務大臣(羽田孜君) 先ほども申し上げました以上のことを私の立場から申し上げますと審議会の審議そのものを束縛してしまうということになりますから、これは遠慮したいと思います。
○吉川春子君 そうしますと、もし区割り基準が、平等原則を守らないような答申が出てきた場合に、法律はもうこれは審議会関係ないですから、そういう法律はつくらない、判例の立場に沿った法律にしていく、こういうふうに受けとめてよろしいですか。
○国務大臣(羽田孜君) 審議会の方も、それこそでき得る限りの配慮というものをしながらぎりぎりのところでお出しになるものであろうというふうに思っておりますから、私どもはこの勧告を尊重しながら法案作成に当たっていきたいというふうに思っております。
○吉川春子君 法案勧告を尊重しながら、しかし平等原則二分の一、一人に二票以上与えないというその判例の立場も踏まえながら、というふうに受けとめてよろしいんですね。
○国務大臣(羽田孜君) これは、勧告がどのような勧告が出てくるか、その辺を見きわめなければいかぬと思います。
○吉川春子君 参考人にお伺いいたします。 参考人は法律の専門家でいらっしゃいますけれども、区割りを作成する前から格差が二倍以上ということが前提になっている方針、それは論外じゃないんでしょうか。まあ結果としてそうなったというんじゃなくて、もう最初からそういうことを容認しますよということは私はいかがかと思うんです。だから、区割りの作成の基準は二倍以内におさめる、こういう基準で臨むべきであると思いますけれども、そういうことは言明できませんでしょうか。
○参考人(味村治君) 審議会といたしましては、先ほどから申し上げておりますように、人口格差が二未満とならないようにすることを基本として、それで行政区画等の事情を考慮する、さらに都道府県別に一人ずつの議員が配分になっている、この三つの要素を調和するという考えでこの区割り基準というのができているわけでございます。 区割り基準に従いますというと、これは二倍未満におさまらないという可能性がある、これはもう認めざるを得ないわけでございます。ただ、従来から最高裁の判決では、平等原則というのは非常に重要なことだけれども行政区画とかその他の事情を考慮して国会でお決めになるということは結構なことなんだと、ただ余り国会が裁量権の範囲を逸脱されるようなことになるというとそれは違憲になるのだと、こういうことでございまして、具体的に何倍ということは言ってはいないんですが、例えば改正の結果二・九二倍になった場合には合憲になった、こういう最高裁判所の判決があるわけでございます。 したがいまして、そこら辺を見ますというと、決して違憲になることはないというふうに私どもは考えているわけでございまして、この審議会の設置法自体も基本とするということでございまして、必ず二倍未満におさめろとは書いていないわけでございますが、したがって若干上回ることもやむを得ないというお考えでこの設置法もできているというふうに私どもは考えるわけでございますが、それが憲法違反になるということはもちろんないものと承知しております。
○吉川春子君 参考人に重ねてお伺いしますけれども、東京高裁の判決で、さっき引用しなかった後半の部分ですけれども、要するに、このような議員定数配分の本来のあり方及びこの問題が取り上げられるようになってから既に相当期間を経ようとしている現状を考慮すると、当裁判所としては云々と、こういうふうに判示されておりまして、そして、要するにこの次の選挙のときも同じような一対二未満という平等原則を貫かない選挙制度でやるとこれはもう違憲ですよというふうに言われているわけですね。そして、裁判所は司法ですから、国会に対して、それは三権分立という立場もありましょうし、かなり国会の裁量ということを認めながら、それを考慮しながら判示しているんであって、だから、裁判所の方がそういう態度でこないからということを理由にして国会が二倍を超えることでいいというふうにはならないと思うんです。やっぱり国会は自身の任せられている選挙制度の問題については、憲法の平等原則、一対二未満ということを厳しく守った上で選挙制度をつくっていかなきゃなりませんし、それはもうぎりぎり結果としてどうなるかということは、それは私は認めるものではありませんけれども、そういうことが仮にあったとしても、最初の基準づくりのときからもう一対二未満が守れない場合はそれは超えることもあるんですよと、こういうこと自体は非常に判例の立場からいってもよろしくないと思うんですけれども、もう一度お考えを伺います。
○参考人(味村治君) 司法部の最終的判断というのは最高裁判所の大法廷の判決が累次にわたってあるわけでございますので、この高等裁判所の判決はまだ確定もしていないというふうにも聞いておりますので、高等裁判所の判決を基準にしてどうこうということを今にわかに申し上げるということは適当でないと思います。 なお、東京高裁の判決を読みましても、まあこれは蛇足でございますが、基本的な選挙権として二人分以上のものが与えられることがないという基本的な平等原則をできる限り遵守すべきものであってとかできる限りということが書いてございますので、一対二未満を少しでも超えればすぐ違憲だということまでは言っていないんであろうというふうに考えます。
○吉川春子君 時間が来たので終わりたいと思いますけれども、私はやっぱり最初からそういうことを予定したような基準のもとに作成作業を行うべきではないと、そのことを最後に強く申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
○委員長(上野雄文君) 以上で質疑は終了いたしました。 参考人には、大変お忙しい中、当委員会に御出席をいただきまして、ありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午前十一時三十八分散会