P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
129回国会参議院1994/06/09

厚生委員会 第5号

発言数
97
登壇者
13
会派数
4
開催日
1994/06/09

会議録

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○委員長(会田長栄君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。委員の異動について御報告いたします。  昨日、横尾和伸君が委員を辞任され、その補欠として中川嘉美君が選任されました。  さらに、本日、菅野久光君が委員を辞任され、その補欠として及川一夫君が選任されました。     —————————————

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○委員長(会田長栄君) 薬事法の一部を改正する法律案及び予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。大内厚生大臣。

大内啓伍改新厚生大臣

○国務大臣(大内啓伍君) ただいま議題となりました二法案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  まず、薬事法の一部を改正する法律案について申し上げます。  近年、心臓ペースメーカーを初めとして以前には予想されなかった高度で複雑な医療用具が出現するとともに、その内容が著しく多様化してきております。こうした状況の中で、医療用具の特質に応じて品質、有効性及び安全性を確保していくことが求められております。  また、医療用具の重要性が高まる中、安全で良質な医療用具を迅速に医療の場に提供することが強く求められております。  このため、医療用具の特質に応じた品質、有効性及び安全性を確保するための措置を講ずるほか、あわせて承認審査の事務の改善等を図ることとし、この法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、製造業の許可等に当たり製造管理及び品質管理に関する事項を基準として追加するほか、再審査及び再評価制度の導入、賃貸形態による医療用具の流通に関する規定の整備を図ることとしております。また、医薬関係者に対する医療用具等の適正使用のための責務を明文化するとともに、人の体内に植え込まれ、生命維持に直接かかわる医療用具等に関する記録の作成及び保存等の措置を講ずることにより、医療用具の品質、有効性及び安全性を確保するための施策の充実を図ることとしております。  第二に、医療用具の承認審査の事務の一部を指定調査機関に行わせることにより、承認審査の迅速化を図ることとしております。  第三に、医療用具の製造工程が二以上の製造所にわたる場合や修理を行う場合には、製造業者に対する規制を緩和することとしております。  なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日としておりますが、指定調査機関の指定等に係る事項は公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日からとしております。  以上がこの法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。  次に、予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案について申し上げます。  予防接種法及び結核予防法による予防接種につきましては、これまで伝染病の予防や蔓延の予防に所期の効果を上げてきたところであり、その役割の大きさは今も変わるところはありません。  しかしながら、伝染病の発生の減少、医学医術の進歩、国民の健康意識の向上など予防接種を取り巻く環境は大きく変化してきております。こうした諸環境の中で、極めてまれにではありますが健康被害が発生する予防接種について、高い接種率を維持していくためには、国民の理解を得られる制度としていくことが重要であります。  こうした状況を踏まえ、今般、予防接種法及び結核予防法について、予防接種の対象疾病、実施方法等を改めるとともに、予防接種による健康被害についての救済措置の充実等を図ることとし、この法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  予防接種法の一部改正につきましては、第一に、予防接種による健康被害の迅速な救済を図ることを予防接種法の目的に追加することとしております。  第二に、予防接種の対象疾病について、その発生状況等にかんがみ、痘瘡、コレラ、インフルエンザ及びワイル病を削除するとともに、新たに破傷風を加えることとしております。  第三に、予防接種について、対象者はこれを受けなければならないとしていたものを、これを受けるよう努めなければならないとして改めることとしております。  第四に、予防接種を安全に実施するため、市町村長等は予防接種の対象者について、健康状態を調べ、接種が不適当と判断される場合には予防接種を行わないことを明文化することとしております。  第五に、国は、予防接種による健康被害を受けた者に対する保健福祉事業の推進を図るほか、予防接種に関する知識の普及、予防接種事業に従事する者への研修、予防接種による健康被害の発生状況の調査などの措置を講ずることを明確に定めることとしております。  次に、結核予防法の一部改正につきましては、予防接種の実施方法、予防接種による健康被害の救済措置等について、予防接種法と同様の改正を行うこととしております。  なお、この法律の施行期日は、平成六年十月一日としております。  以上、二法案の提案の理由及びその内容の概要について御説明申し上げました。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○委員長(会田長栄君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

大浜方栄自由民主党

○大浜方栄君 今、予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案の提案理由の御説明を大内厚生大臣からいただいたわけでございますけれども、私はその件について質問をさせていただきます。  まず、今回の予防接種法等の改正は昭和五十一年以来の大きな改正であります。昭和五十一年当時と比べれば伝染病の発生状況とか予防接種に対する国民の意識も大きく変わってきており、また予防接種事故をめぐる訴訟について、平成四年十二月の東京高等裁判所において国側が敗訴するというような予防接種を取り巻く状況も目まぐるしく変わってきております。  このような状況の中で、今回の予防接種法等の改正案が提案されたわけでございますけれども、今回の改正の基本的な考え方及び改正の概要についてお伺いをいたしたい、こう思います。

谷修一厚生省保健医療局長

○政府委員(谷修一君) 今回の改正は、ただいま先生がお触れになりましたような伝染病の発生の減少、あるいは医学の進歩、また国民の健康意識の向上など予防接種を取り巻く環境が大きく変化するというような中で、予防接種というものが極めてまれにではありますけれども健康被害を発生させるというようなことがあるわけでございますが、そういった中で高い接種率を維持していくために国民の理解が得られる制度にしていきたいということでございます。  具体的には、法律の目的の中に予防接種による健康被害の迅速な救済を図るということを加えること。また、予防接種の対象疾病について、現在の発生状況にかんがみましてその変更を加えること。三番目といたしまして、予防接種について対象者はこれを受けるよう努めなければならないという、いわゆる努力義務とするということでございます。四番目といたしまして、予防接種を安全に実施するために市町村長等が予防接種の対象者について健康状態を調べることを法律の中に明文化すること。五番目といたしまして、国は予防接種に関する知識の普及、予防接種事業に従事する者への研修、予防接種による健康被害の発生状況の調査などの措置を講ずることを定めたものでございます。  以上が今回の改正に当たりましての基本的な考え方及び改正の概要でございます。

大浜方栄自由民主党

○大浜方栄君 今、局長が述べられたように、今回の予防接種法の改正の大きな柱の一つは、従来、「予防接種を受けなければならない。」と義務づけされていたのが、今回の改正では「受けるよう努めなければならない。」とされていることでございます。  予防接種法というのは社会防衛を図ることを目的としていることから、すべての国民に予防接種を受けてもらう必要があり、義務づけを行う必要があるという考えも強いのでございますけれども、今回の改正でなぜ義務づけを努力義務に変えたか、その基本的な考え方について大臣にお伺いをしたい、こう思うわけでございます。

大内啓伍改新厚生大臣

○国務大臣(大内啓伍君) 予防接種を行うことは国にとっての基本的な責務である、そう心得ておりまして、その遂行に当たっては最善の努力を傾注しなければならない、こう思っている次第でございます。  予防接種の義務づけの問題は、予防接種によりまして伝染病の蔓延を予防するという目的を達成するためにいかにして個人に予防接種を受けていただくかということでございまして、これは社会と個人の利益についてどのような調和を図るかという問題だと心得ております。社会防衛という目的を達成するために、一方において国民に接種義務を課しまして強制するという方法も考えられるわけでございますが、他方、現在の成熟した社会におきましては、国民の理解と協力を求めながら国民の自覚を促すことによって結果として国民の皆さんに予防接種を受けていただくという方法が今日の時代の要請になっているのではないか、またこのことによりまして予防接種法の目的が達成されるものであろうと考えておる次第でございます。  したがって、そのような考え方に立ちまして、今回の改正案は国民に対して努力義務を課する、こういうことにしたわけでございます。

大浜方栄自由民主党

○大浜方栄君 義務づけをなくすると個人の意思で予防接種をしないという選択を認めることになるのだから予防接種の接種率が下がるんではないか、そういう声もあるんですが、それに対してはどういうお考えでございましょうか。

谷修一厚生省保健医療局長

○政府委員(谷修一君) ただいま大臣の方からも御答弁がございましたように、予防接種というものが社会防衛という目的を達成するためには接種率の確保ということが大変重要なことでございまして、従来その接種率を確保する手法として義務づけという規制を行ってきたわけでございます。  ただ、現在の国民の健康意識あるいは予防接種に対する関心が高まっているということの中で接種率を確保する方法としては、そういったような義務を課するということじゃなくて、より安全な予防接種の提供、あるいは健康被害が生じた場合の救済の充実、また国民全般に対しまして予防接種に関する正しい知識の普及といったようなことによって予防接種が受けやすい条件を整備していく、そういうことで接種率の確保を図っていきたいというふうに考えているわけでございます。  したがいまして、今回の改正におきましては予防接種を受けやすい条件整備をさらに進めるということにょって接種率を確保していきたいというように考えておりますし、また私どもは、こういったような方法によって従来あるいは従来以上の接種率の確保を図るように努力してまいりたい、このように考えております。

大浜方栄自由民主党

○大浜方栄君 今回の義務づけの緩和措置を見ますと、平成四年十二月の東京高等裁判所の判決において国側が負けた、敗訴したから義務づけを緩和することによって国の責任が軽くなるようにしているのではないかという印象を受ける方々も多いんですが、今回の義務づけの緩和は国の責任の後退を意味するものではないか、それはどうでしょうか。

谷修一厚生省保健医療局長

○政府委員(谷修一君) 予防接種の実施ということを通じまして、感染症あるいは伝染病を予防していくということは国の基本的な責務であるというふうに認識をしております。  今回の義務づけの緩和ということは、先ほど来申し上げているような現在の成熱した社会において国民の理解を求めて接種率を確保していくということでございますが、今回の予防接種法の中におきましても、あくまでもこの義務づけの緩和というのは接種率の確保を図っていく上での一つの手法の変更でありますけれども、国として市町村に予防接種の実施義務を課し、また実施体制の整備を図り、また予防接種の健康被害に対し国の責任において救済を図るということにおいて何ら変更はないわけでございます。そういう意味で、予防接種についての国の責任が後退したということは全くないというふうに考えております。

大浜方栄自由民主党

○大浜方栄君 今回の義務づけを努力義務にする改正は、予防接種を受けなかった者の責任をあいまいにすることになる。すなわち、予防接種について義務づけがなされておれば、予防接種を受けなかったことにより伝染病にかかり、さらに伝染病を乳幼児等にうつした場合うつした人の責任を問えるが、努力義務となって裁量の余地ができればうつした人の責任を問えなくなってしまうのではないか。もう一遍繰り返しますと、うつしだ人の責任を問えなくなってしまうのではないかという声もありますが、それに対するお考えはどうでしょうか。

谷修一厚生省保健医療局長

○政府委員(谷修一君) 今お触れになりました伝染病を人にうつしたあるいはうつされたということにおきます責任関係でございますけれども、現実の問題といたしまして、予防接種法の対象となっております感染症は我が国に常に存在をしているわけでございます。  一方、感染経路というのは予防接種法の対象になっておりませんが、例えば性病のように非常に感染経路が限定をされているというようなものと異なりまして、大部分が例えて言えば飛沫で感染をするというようなことでございますので、だれから伝染病をうつされたということを特定することが非常に難しいんではないかということが一つあろうかと思います。  また、通常の社会生活を私どもが営む中で感染症というものにかかるおそれというのが常にあるわけでございますが、感染症にかかったということをもってすぐうつした人の責任を問うケースというのは現実にはなかなか特定するということが難しいというふうに考えておりまして、そういう意味では訴訟を提起したとしてもその責任を問うことはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。  また一方、仮にそういった訴訟を提起した場合におきましても、感染源である人がその疾病にかかった後に十分な例えば予防接種をしていたかどうかといったような事実上の問題も出てくるわけでございます。そういう点で、仮に感染源であるということが特定されたにしても、そのことと予防接種を受けたか否かということが問題になるというのは現実には非常に考えにくいんではないか。また、予防接種というものの効果というのは人によって御承知のように違うわけでございますけれども、永遠に一〇〇%続くということではないわけでございますので、そういう意味で、先ほど申しましたような予防接種を受けたか否かということだけで問題になるというのは考えがたいのではないかというふうに思っております。  以上申しましたように、現実問題として、今先生が提起をされましたような予防接種を受けたか否かが民事訴訟上の争点となるということは考えられないというふうに思います。したがって、現在御審議をいただいております予防接種の義務づけが努力義務に変わっても民事訴訟上に影響を及ぼすということはないんではないかというふうに私どもは考えております。

大浜方栄自由民主党

○大浜方栄君 今、局長が述べられた接種率は下がることはないんだ、国の責任も後退することはないんだ、またうつした人の責任の問題についても今述べられたようなことだと思いますけれども、そういうことを憂える人が一部あるものだから私はあえてお聞きをしたわけでございますけれども、今度は安全な予防接種の実施について質問をさせていただきます。  今回の改正で、従来省令で定められていた予診に関する規定が法律で明文化されたが、これはなぜか。また、現場の医師としては今後どのような予診を行う必要があるか非常に関心の高いところでございますけれども、具体的に予診の内容としてどのようなことが定められているのか、これをお聞かせ願いたい。時間の関係で簡潔でいいですから、項目ごとにひとつどうぞ。

谷修一厚生省保健医療局長

○政府委員(谷修一君) 十分な予診を行うということによりましていわゆる禁忌の方を的確に識別するあるいは除外するということは、先ほど来先生がお触れになっております東京高裁の判決においても指摘をされたところでございます。  現在の法体系の中では予診規定というのは省令にゆだねられているわけでございますが、今回法律にはっきり書くということにさせていただいております。この予診の内容につきましては現在いろいろ専門家の意見を聞いて詰めているところでございますが、厚生省令の中では、具体的には例えば問診とか検温とか診察というようなことをやっていただくという形で規定をしていきたい、このように考えております。

大浜方栄自由民主党

○大浜方栄君 今回の改正で集団方式から個別接種方式に転換をしたわけでございます。安全な予防接種を実施するためには接種を受ける子供の体調がベストの時期に、しかもふだんから診察を受けている主治医の先生の診察を受けて、その子の体質や体調をよく知っているいわゆるかかりつけ医のもとで当日の体調を把握した上で接種を行う個別接種を推進することができるというのは今度の個別接種方式の利点である、私はこういうぐあいに思っております。  日本医師会の小池常任理事からもいろいろ御指導をいただいて私は質問させていただいているわけでございますけれども、日本医師会も今かかりつけ医運動を提唱しておりますから、ぜひひとつこの個別接種方式はもっともっと内容を充実し、またいろんな方面に気配りをしてやってその利点を上げてもらうことが大事だ、こう思っております。乳児健診が三カ月、六カ月、九カ月と定期的に方法がありますから、かかりつけ区とこの個別接種とを結びつけていったらいいんだと、こう思っております。  それから、利点を申し上げましたけれども、今度は個別接種方式の欠点があるわけです。それは何かというと、ポリオの場合ですが、一バイアル当たり現在は二十人分入っています。今後少人数製剤が個別接種方式をやることによって必要になってくるんじゃないか、こう思っております。その点をどうお考えになるか。  また、ポリオは経口的に服用するわけでございますから、そういう面で個別接種方式では接触感染も考慮しなければいけないんじゃないか、こう思っていますが、この利点と欠点の二項目についてお考えを賜りたい、こう思います。

谷修一厚生省保健医療局長

○政府委員(谷修一君) 今回改正をするに当たりまして、専門家のお集まりでございます公衆衛生審議会にいろいろ御意見を伺いました。その御意見の中でも個別接種を基本とすべき、また先生がお触れになりましたように、いわゆるかかりつけ医というものにできるだけ個別に接種をしてもらうことが望ましいといったような御意見をいただいたわけでございます。そういう意味におきまして、従来から予防接種についてはできるだけ個別接種でやるようにという指導はしてきたわけでございますが、今回の改正を契機にいたしまして改めて予防接種の実施要領というものの改正を行いまして、市町村においての個別接種化ができるだけ進むように指導してまいりたいというふうに考えております。  一方、個別接種につきましては、特に今具体的な例として挙げられましたポリオの場合には、確かに地域的に接種をした人から未接種者への二次的な感染という問題が従来から専門家からも指摘をされているわけでございます。そういう意味において、できるだけ地域において同じ時期に接種をするということが望ましいわけでございます。ただ、そういったようなポリオについての非常に特殊な事情もありますので、ポリオについて当面ある程度集団接種方式というものも残していくということはやむを得ないのではないか、またそのことの方がむしろポリオについては望ましい場合もあるのではないかというように考えております。  一方、小包装の問題については、先ほど触れました専門委員会におきましても、個別接種を前提として考えた場合に小包装の供給ということが必要であり、それについてはメーカーにそういう理解を求めて小包装化を進めていく必要があるといったような御意見もいただいておりますので、メーカーの方に既にそういうお話はしておりますけれども、今後脚協力をいただくようにお願いし、また業務局を通じていろいろ指導をお願いしたい、このように考えております。

大浜方栄自由民主党

○大浜方栄君 今回、義務づけを努力義務としたわけでございますけれども、そういう方式の転換で予防接種をした医師の責任に何らかの変化があるのかどうなのかということが一つあります。  それからもう一つは、集団から個別接種に移ると、万が一割反応による健康被害が発生した場合、接種した医師個人による医療事故と同じように受けとめられる可能性が高くなって、接種医に怨嗟の声が向けられるんじゃないか。しかし、法的な実施者は予防接種法の第三条に明記しているとおり市町村長であり、接種医は嘱託で臨時職員として実施するのですから、私は接種医個人にその責任が転嫁されてはいけないと思っております。直接責任は従来どおりと考えていいのかどうかを確認したいわけでございます。

谷修一厚生省保健医療局長

○政府委員(谷修一君) 今回、義務づけを努力義務とするということにいたしましても、先ほど申しましたように国の予防接種に対する責任というものは何ら変わらないわけでございます。その中で、予防接種を実際に担当していただきますお医者さんは、今先生お触れになりましたように市町村長から委嘱を受ける、あるいは補助者という立場で予防接種を実施するわけでございますので、この予防接種にかかわって事故が生じた場合におきましては、予防接種の実施義務者であります市町村長がその責任を負うということでございます。  その意味におきまして、今回の努力義務ということによっても、従来の市町村長と医師との関係、あるいは予防接種法におきます現場の医師との関係は何ら変わらないというふうに考えておりますし、また個別接種ということと集団接種ということにおいても今申し上げましたことは何ら変更はないというふうに理解をしております。

大浜方栄自由民主党

○大浜方栄君 局長の手元に私が差し上げた質問事項の九番は時間の関係で飛ばさせていただきます。  それで十番、予防接種健康被害についてですけれども、国において認定が行われているわけでございますが、その認定部会に申請が上がってくるのに一年以上もかかる、現場でそういう声が強いんです。予防接種の被害者を速やかに救済するためにも、認定の迅速化あるいはその他の点で直すべき点があるんじゃなかろうか、特に認定の迅速化を図るべきだと思っていますけれども、局長、これの要点だけをひとつびしゃっと言ってください。

谷修一厚生省保健医療局長

○政府委員(谷修一君) まず、予防接種の健康被害の認定につきましては、毎月一回専門委員会、審査会を開いておりますが、一つは、その認定に上がってくるのが遅い、それから審査に時間がかかるということでございますが、それにつきましては、まず今回の改正にあわせて予防接種の健康被害のモニタリングというようなことをやっていきたい。従来は待つだけだったわけでございますが、医療機関から積極的に情報をとる、また医師会の御協力をいただいて実態把握をやることによって早期の救済の認定に、申請が上がってくるということをできるだけ早くしていきたい。  それからまた、実際に審査に入りまして科学的なデータがどうしても必要な場合に若干時間がかかる場合があるわけでございますが、そういったような審査に必要なデータの把握ということもモニタリングを通じた実態把握ということによって改善を図っていきたい、このように考えております。

大浜方栄自由民主党

○大浜方栄君 今回の改正は、国民の健康意識や予防接種に対する国民の意識の変化等を踏まえて全般的な見直しを行ったものであると思います。安全な予防接種の実施体制の整備、例えば個別接種の推進、予診の徹底、接種医の研修等の整備、また予防接種健康被害救済制度の充実、これは死亡一時金や障害年金の増額、殊に従来はなかった介護加算の創設、在宅での介護料を支給するというのはこれは非常に画期的な見直しでありまして、私は高く評価をするものであります。  予防接種制度は、社会の中で多くの人が接種を受けることによって初めてその目的を達成されることから、その目的を実現するため時代の要請を踏まえ常にその要請にこたえられる制度としていくことが必要ではなかろうか。予防接種制度については、伝染病の発生状況やワクチンの開発状況など予防接種を取り巻く環境の変化に対応し、時代の要請に合った制度となるよう今後とも常に制度の見直しを行っていく必要があると私は考えておりますけれども、これに対して大内厚生大臣はどういうお考えを持っておられますか。大臣の御答弁をいただいて私の質問を終わりたい、こう思います。

大内啓伍改新厚生大臣

○国務大臣(大内啓伍君) 先ほど来、るる御説明を申し上げておりますように、今回の改正は伝染病の発生の減少、あるいは医学医術の著しい進歩、また国民の健康意識の向上等々、その環境の変化を踏まえまして時代の要請にこたえるための改正でございます。  御指摘のように、予防接種を取り巻く環境というものは今後もやはり変化していくわけでございますので、私どもといたしましては、国民に信頼されるよりよい制度としていくために必要に応じ所要の措置をとってまいりたい、こう考えております。

今井澄日本社会党・護憲民主連合

○今井澄君 大浜先生が大変手際よく終わりましたので、私も努力しなければならないと思います。  そこで、予防接種法の改正の問題について大浜先生が詳細にわたって質問されましたので、私は一点だけお尋ねをしたいと思います。お答えも簡潔にお願いしたいと思います。  この改正の背景には時代の変化というもの、環境の変化があるということですが、これは公衆衛生審議会の昨年十二月十四日付の答申を受けてこういう改正が行われていると思うわけですが、その答申を読みますと、そこには成熱社会の中での個人の意思を反映できる制度ということと同時に、個人の健康の保持増進を図るという従来の社会防衛という考え方だけではない新しい考え方があると思いますが、そのことは国民の健康状態や環境衛生が大変向上したという意味で、言ってみれば社会防衛的側面という意味が多少減じてきている背景もあるというふうに理解しておりますが、いかがでしょうか。イエスかノーか、簡単で結構です。

谷修一厚生省保健医療局長

○政府委員(谷修一君) 今お触れになりましたように、予防接種というものが社会防衛というものであると同時に、個人の健康を守っていく非常に有効な手段であるという認識でございます。  そういったような観点から、具体的にはいわゆる感染症という意味においては、人から人にうつるわけではない破傷風というものにつきまして非常に予防接種が有効である、かつまた、もし予防接種なしにこれにかかった場合にはかなり高い死亡率を持っているといったようなものについて対象疾病としたということが一つの具体的なあらわれだというふうに理解をしております。

今井澄日本社会党・護憲民主連合

○今井澄君 そういったことで、社会防衛、社会防衛ということを前面に出した時代ではないということを確認しておきたいと思います。  次に、薬事法の方に移りたいと思います。  今度の薬事法については薬剤のことに関する改正もございますが、主に医療用具にかかわる問題が改正の主眼だと思います。ところで、現在日本においては医療用具というか、私は医療機器というふうに、機械器具というふうに言った方がより正確であろうというふうに思いますので、いずれそういう用語の改正もお願いしたいと思います。  この問題では薬害というものは割合はっきりしておりますが、医療用具による被害というものが余り問題になっていない。昨年の十月に出されました医療機器政策検討会の「医療用具の分類とそれに応じた規制のあり方について」という報告書の中でも具体例はほとんど挙げられてないんですね。こういう被害について厚生省ではどんなふうに実情を把握しておられますか。

田中健次厚生省薬務局長

○政府委員(田中健次君) 医療用具に関する被害につきましては、これはモニター病院の協力を得まして報告を収集しております。そのほかに、製造業者等からの報告を義務づけておりましてその実態把握に努めているところでございますけれども、私どものところに参ります報告を整理しますと、毎年数十件程度の報告を受けております。  最近の具体的な例を申し上げますと、心臓ペースメーカーの機能停止、それから血漿分離器によりますショック、骨セメントによります血圧の低下、あるいは手術用手袋等の天然ゴム製の医療用具によりますアレルギー反応等の報告を受けております。これらの報告につきましては、専門家の検討結果に基づきまして使用上の注意の改定など所要の安全対策を講じてきておるところでございます。

今井澄日本社会党・護憲民主連合

○今井澄君 確かにモニター制度があるのは存じておりますが、このモニター病院なんかも非常に少ない、薬のモニターに比べればもう圧倒的に弱体だというふうに思います。  私は臨床医として現場にいた経験から言いますと、例えばカテーテル、体内に留置している管というか、血管に入っているわけなんですが、それを抜去しようとしたときにその先がとれて体の中に残る、血管の中に残る、まれならずあるんです。これはもちろん人命にかかわらずに事なきを得るからいいんですけれども、意外と医療機器、器具用具によって発生している事故というのは少なくないと思うんです。  このことに関しては先ほど言いました検討会の報告書にもありますけれども、医療用具については薬事法の規制を受けない品目が非常に多いとか、それからいろいろもう千差万別なんですね。家庭用の用具からCT、MRIまで全部一緒に含まれて、これが一緒になって法律の対象になっていたりならなかったり。それから、適正使用のための情報を提供するような義務規定がないとか、品質保証の規定がないとか、それから非常に恐ろしいことは保守点検が義務化されてないんですね。そうしますと、今のように医療経営が厳しくなると、CTにしろ何にしろ買った業者に保守点検をすると保守料を払わなきゃならないんですね、契約料を。そういうのをけちるというところがありまして、非常に危ない。  今は薬事法の体系の中で、あるいは厚生省においては業務局の中の医療機器開発課という一つの課のもとでこういう医療機器、医療用具というのは管理されているんですけれども、今のような情勢の中では、率直に言ってこれはもう時代おくれではないか。明らかにこの医療機器については、法律を余分につくることがいいかどうかわかりませんけれども、やっぱり薬事法という従来のお薬に関する法体系、管理体系とは別に考えるべき時期に来ているんではないだろうかと思いますが、いかがでしょうか。

大内啓伍改新厚生大臣

○国務大臣(大内啓伍君) 今井先生の今の御提言は一つの大事な御提言あるいは御見識だと思っております。  今私どもとして考えておりますのは、医療用具は適切な保守点検というのが欠かせないわけでございまして、今度は改正法律案の中でそれを義務づける、こういう措置をとろうとしていることは御案内のとおりでございます。そういう面では医薬品とは異なる一つの特殊性というものを持っているわけでございますが、しかし同時に、両者とも診断、治療に用いられるものであるということと、それから有効性、安全性を確保するための事前の審査システムといいますか、そういうものが必要であることなど、医薬品と共通している面が非常に多いわけでございます。したがいまして、薬事法の体系の中で医療用具の特殊性も考慮しながら対策を講じていくことがまず必要ではないか、こういう考え方に立っているわけでございます。  また、今回の制度改正におきましては、審査業務のうち定型的調査を指定の調査機関に行わせるようにいたしまして業務の合理化を図ることとしているわけでございます。したがいまして、厚生省といたしましては、新しい医療用具など安全確保が重要となる医療用具に対する審査の充実というものはきちっとやってまいりたいというふうに考えておる次第でございまして、先生の御提言についてはなお勉強させていただきたいと思っております。

今井澄日本社会党・護憲民主連合

○今井澄君 私も薬事法というのは今般初めてずっと目を通して、目を通したということで必ずしも全文読んではおりませんが、確かにその中でうまいこと医療用具も組み込まれているなと思いました。医療用具、先ほども申しましたようにいろいろもう千差万別、ピンセットからMRIまであるわけですので、これは改めて御検討いただきたいと思いますし、少なくとも薬品に対すると同じぐらいの取り組み方を医療用具についてもお願いして、次に移りたいと思います。  ところで、この薬事法改正に絡んでお薬の問題でございますが、既に五月三十日の決算委員会において堀委員の方から、それから昨日は衆議院の厚生委員会において五島委員の方からも質問が行われているソリブジンにかかわる問題です。  これは、昨年九月に発売された帯状疱疹、ヘルペスツォスターですね、この痛いぼつぼつに対する飲み薬ということで、これは非常に効き目もいいそうですし、飲み薬ですのでいいお薬がなというふうに思われていたと思いますが、これが発売後わずか一カ月かそこらで十五人副作用で死んだという、これは日本の戦後の薬剤史上でも医療史上でもまれに見る恐るべき事態が起こっていると思うんですね。  それにつきましては開発の段階でいろいろ問題があったとか、中央薬事審議会での審査の過程でいろいろ問題があったとか、使われた現場で問題があった、あるいは薬屋さんが医者に売るときの宣伝方法やそのとき渡したパンフレットに問題があったとかいろんなことがあると思います。これだけ大きな事故が起こったのを契機に、わずか一カ月に十五人副作用で死んでいるわけですね、この際今のお薬の審査とかあるいは開発だとか使用について、本当にこれが正しいのかどうかを厚生省として何らかの機関をつくって、検討会なり研究班なりをつくって検討してみなければいけないんじゃないかと私は思います。  そこでお尋ねしたいわけですが、まず第一にお薬の治験です。一応、厚生省の許可を得て健康人あるいは患者さんに投与して、その効き目だとか薬用量、用法、副作用などを調べた段階で、初期第二相試験で女の方が一人死亡しているわけですね。それ以外には死亡はなかったようですけれども、結局そういう一人の死亡例を含みながらこのお薬が厚生省に申請をされた、このお薬には致命的な副作用があるということが明らかにならないままに申請された、そういう経過があると思います。  それで、この治験が始まる前に既にベルギーでの実験で、ちょっとお薬の種類は違いますが、似た構造のもので抗がん剤と一緒に使うと抗がん剤の濃度を十倍ぐらいに高めるということで、副作用が生ずるおそれがあるという論文が出ているわけですね。そして、開発した会社はその論文を手に入れて配っているんですね、実験に参加した医者に。それがなぜ生かされないままにこのお薬が市場に出回ったと考えておられますか。

田中健次厚生省薬務局長

○政府委員(田中健次君) ただいまの件でございますけれども、製造元の日本商事からの報告によりますと、一九八九年の五月に治験医師全員に対しまして、ベルギーの論文の要旨とそれからソリブジンとフルオロウラシル系の薬剤との併用を避ける旨の注意を伝達したということでございます。  それで、これもメーカーからの報告でございますけれども、お話のございました女性の方の死亡例、これは一九八七年に起こっておりますが……

今井澄日本社会党・護憲民主連合

○今井澄君 短く答えてください、もうそれはわかっていますから。

田中健次厚生省薬務局長

○政府委員(田中健次君) それは研究会におきまして検討した結果、原因不明という結論であったので治験段階での決着を見たという判断でベルギーの論文と特に結びつけて検討はしなかったということでございますけれども、そういう実態にあるということでございます。

今井澄日本社会党・護憲民主連合

○今井澄君 いや、そこが一つ問題なんですね。既にベルギー論文が出ていて、それが全部担当の医者のところにも配られた。そして、一人亡くなったのは配られる前ですけれども、亡くなった人の原因が結局わからないということになっちゃったわけです。それだけじゃないわけで、このベルギー論文を手に入れた日本商事は、余りあることじゃありませんけれども、直ちにもう一度動物実験をやったわけですね、ラットを使って。そうしたところが、そのラットがばたばた死んだわけです。ところが日本商事は、そのラットがばたばた死んだという論文を改めてベルギー論文につけて実験している医者のところに配ってないわけですね、これは甚だ問題なわけですよ。  そして、死んだ患者を担当した医者は、これは新聞報道ですけれども、その動物実験結果が知らされていれば原因不明とはしなかった、新薬申請時には副作用があって危険だということを明らかに書けたはずだ、犠牲者を出さないで済んだはずだというふうに言っているというんですね。私はちょっと時間がなくてまだ本人に確かめてはおりませんけれども、新聞報道ではこうなっております。  ところが、この動物実験結果は医者には配られなかったけれども、新薬の申請のときに厚生省には出されているんですね。ところが、この一番重大な動物実験の論文はまだ公表されていないんじゃないですか。この前厚生省に堀委員が尋ねたときには、これはメーカー側の知的所有権の問題があるから厚生省は公表できない、ただし学術誌などに発表するように指導しているというふうに言われたわけですね。この辺、非常に問題があるわけです。  ところで厚生省は、この動物実験、ラットがばたばた死んだそうですけれども、それは公表されたわけですか、あるいは日本商事にこれを公表するようにどういうふうに指導したのか、いつごろ公表される見込みなのか、それをお尋ねいたします。

田中健次厚生省薬務局長

○政府委員(田中健次君) お話のようにこれは知的財産のものでございますので、私どもとしては従来からメーカーがみずから公表するようにということで指導してきたところでございまして、今回のケースもこの前の御議論を受けまして、メーカーの日本商事の方に公表するようにと指導をいたしました。企業からは、鋭意努力をいたしますという回答を得ておりますので、近々公表されるものというふうに思っております。

今井澄日本社会党・護憲民主連合

○今井澄君 ところで今度は、中央薬事審議会における審査が本当に適当に行われたのか。先日業務局長は、慎重に行ったというふうに答弁されておられますが、しかし本当に中葉書できちっと審査されたのか。  中葉審には本当に分科会とか特別部会がたくさんあります。それぞれに分けてやっていると思いますし、そこには専門家がいると思うんですが、聞いてみますと、結局こういうところの委員に選ばれる方は現場で仕事を持っている方が多いんです。一般的に言って忙しい。特にその中でも学長だとか学部長だとか、とてもじゃないですけれどもこんな山と積まれた論文を読むことができないだろう人なんかも結構選ばれているらしい。そして、これは中葉審の委員をやったある方に聞いてみますと、あらかじめ書類がどんと送られる、今だと宅急便だと思いますが。それをふろしき包みで当日持ってくるんだけれども、とても読めなくて当日来て初めて読んでいるような委員もあるということなんですね。  そうしますと、日本商事の側は致命的な副作用があるということは書いていない。ところが、そこにはこっそりだか何だか知りませんけれども、動物実験でラットがばたばた死んだという事実も隠さずに一応は出ていた。それを中葉審で改めてこれは非常に危険な副作用がある薬だということを判定できなかったわけですから、今の中葉審には残念ながら、これは悪意があっなかなかったかは別としまして、こっちの実験、こっちの研究結果、治験結果、こういうものを今の体制では全部結びつけて総合的にする能力がないんではないか、そういうふうに思わざるを得ないんですね。幸い今までソリブジンみたいな事故が出てなかったからよかったですけれども、今度のことで中葉審の弱さが明らかになったと思うんです。  例えば中葉審で新薬を検討する場合、私が聞いたところでは、二カ月に一遍ぐらい二十人ぐらいの委員が集められて、一回の書類の高さだけでも数十センチ、それで新薬だけだと二、三種類について三、四時間かけて審査をする。事前に読んできている委員もいるし、全然読んできていない委員もいる、そういうことだそうですが、そのとおりですか。

田中健次厚生省薬務局長

○政府委員(田中健次君) 中央薬事審議会の審査の状況でございますけれども、例えばこのソリブジンの例でお話をいたしますと、一番下部機構に新薬の調査会というのがございますが、ここで四回審議をいたします。それから、その上部機関の医薬品特別部会で一回、五回審議がなされております。それから、調査会では十三名の委員が審議を行っておりますし、特別部会では二十二名の委員でございます。  それで、ただいまお話がございましたが、各委員は事前に送付されました資料の内答を自宅等であらかじめ検討された上、審議会当日の議論に臨んでおられるということでございまして、私どもとしては、各委員は週末の土日等を事前調査に当てているというふうに聞いておりまして、具体的な時間数等は詳細には把握しておりませんが、相当な時間を費やしているものというふうに思っております。  それから、この件の資料でございますけれども、資料として添付された文献数はおよそ八十報ということでございまして、お話のように相当ボリュームはあるわけでございます。  それから、お話の委員の方々は、例えば品質試験、毒性試験、臨床試験等を担当するさまざまな分野の専門家に御参画をいただいておりまして、調査会におきましては薬効分類別の医薬品を専門的に審議をしていただきますけれども、さらに上部の部会におきまして広い分野の専門家に検討をいただいておるというふうな状況でございます。  私どもといたしましては、この審査に当たりましては提出された資料だけではございませんで、専門家の判断によりまして必要な追加資料等も逐次求めまして審議をいたしておるということで、十分な審査が行われているものと考えております。

今井澄日本社会党・護憲民主連合

○今井澄君 それは形の上ではそのとおりで、そうお答えになるのもわかりますけれども、しかし発売一カ月で十五人も死ぬという事故が起こっていて、しかも後から調べてみたら全部のデータを突き合わせればわかったということがわかっているわけですから、それはシステムとしては成り立っていてもこれは大変なことで、やっぱり空洞化していると言わざるを得ないと思うんです。  それで、前回の決算委員会での局長の答弁では、慎重に検討した結果これが危険な状態になり得ることもあると判断して、併用を避けるという使用禁忌の表現を薬剤の添付文書にしたと。確かに私読んでみましたら、そういうおそれがあるので併用を避けることとなっているんですね。これを局長は使用禁忌というふうにこの前の答弁で表現しておられますが、私など臨床で医者をやってきた人間から見ますと、これは大浜委員も御同意いただけると思うんですが、併用を避けることというんだと、できたら避けてくださいよという程度にしか理解できないのが現状なんです。全国の医者に聞いてみたって、恐らく九〇%以上は、そういうふうに書いてあるんだったらこれはできるだけやめなさいということなんですね。禁忌というのは違うんです、やっちゃいけないということなんですよ。そうしますと、業務局長の答弁は実情と合わないものですから、訂正してくれとは申しませんけれども、やっぱりちょっと問題だったというふうに私は思います。  ところで、厚生省としても副作用が大変だというので、早速通知を出して添付文書を直させているんです。その添付文書の前の部分には「使用上の注意」、全部で九項目に分かれている。「一般的注意」から「9その他」まで九項目に分かれている。その九項目の中の第八項目「相互作用」のところで、何とかを「増強するおそれがあるので、併用投与を避けること。」、こう書いてあるんです。ところが、これで死んじゃったわけです。  それで注意を出して今度書きかえたのは、その「使用上の注意」のまず第一、「一般的注意」のところに下線つきで「フルオロウラシル系薬剤が投与されていないことを確認すること。」、患者さんに飲ませるときにはそのお薬を飲んでいないことを確認しなきゃいけないと、下線つきです。  それから、二番目の「次の患者には投与しないこと」、もともとある項目ですけれども、それに次のことを下線つきで追加しているんですね。「フルオロウラシル系薬剤を投与中の患者」には投与しちゃいけない、こうなっているんです。  そして、「8相互作用」のところも文章を書き直して、「副作用が発現するのでこ、いいですか、「するおそれがあるのでこじゃないですよ、今度は。高めるのでとかそういうのじゃない、「発現するので、併用を行わないこと。」というふうに表現が変わっているんですよ。これが正しいんです。こういうふうになっていれば、これも新聞報道ですけれども、例えばあるお医者さんがお薬やろうと思ったら、患者さんが私この薬飲んでいますと持ってきて、それがどうもうFUだったらしいんですけれども、いや心配ないよと言って飲ませちゃったというんです。そういうことは起こらないんですね。ですから、この最初の添付文書がおかしいわけです。  そうすると、さっきの中央薬事審議会もそれは別に悪意でやったとか手を抜いたとな言いませんけれども、今の中央薬事審議会では最初に言ったこういう軽い添付文書しか書けないような体制で審査をしていたということなんですよ。ですから、やっぱりこれも大いに見直していかないと、今後またこういうことが起こると大変恐ろしいというふうに私は思います。  さらに、この前の決算委員会での局長の御答弁にもありますけれども、特にこの場合はがんの薬、5FUですね、これとの併用の問題ですから、がんの告知は合してないという問題があって、患者さん本人もがんの薬を飲んでいるというのを知らないでいるから、医者の方が聞いたって答えてくれない。あるいは今度のソリブジンは皮膚科ですから、それでがんのお薬を飲んでいるのは内科か外科が主ですね、そうしますと、違う科にかかっているということでわからないと、そういういろんな問題。  それから、医薬分業の問題とか薬歴管理、これは大臣の御答弁にありましたけれども、まさにこういう問題も考えていかないと、今は薬の併用による副作用というのは非常に大きいわけです。どちらかというと、今までこのお薬は副作用があるかどうかということはよく実験してきたけれども、このお薬とどのお薬をまぜたら副作用が出るかということはこれはもう大変なことですからね、なかなか手がついていないわけですよ。ところが、今高齢化が進んでお年寄りは幾つも病気を持っている。いろんなお医者さんにかかって、いろんな薬をもらっている。そうすると、その組み合わせの悪さでどこで副作用が出るかわからないということになっているわけですね。もう時代が変わってきた。  そうなりますと私は、これは別に日本商事が悪かったとか、厚生省が悪かったとか、今の中葉審はいけないとかと言うんじゃないんです。今まではそれで済んだのです。それが済まない時代になったから、ここで厚生省として、例えば業務局長の諮問機関として何か検討会をつくるなり、あるいは厚生科学研究費をとって研究班をつくるなり、その薬の開発が始まって飲むところまで一体どこにどういう問題があるか、問題点を全部挙げてそしてそれを一つ一つ解決する、全体のグランドデザインをかくことに着手すべきじゃないかと思うんですが、大臣いかがでしょうか。

大内啓伍改新厚生大臣

○国務大臣(大内啓伍君) 今お伺いいたしておりまして、本当に先生の御指摘は的を射ている御指摘であると思っております。したがいまして、それらの御意見も踏まえまして、新薬の治療及び使用等における安全確保の方策につきまして、この際専門家による研究会等の設置について早急に検討をしたい、こう考えております。

今井澄日本社会党・護憲民主連合

○今井澄君 どうもありがとうございました。  これまではこういう事故がなかったので本当によかったと思いますし、実際みんな善意でやっていると思うんです。やっぱり薬屋さんだってそんな変な薬をつくろうと思っているわけじゃないから、薬屋さんが出してきたデータを中葉審は信用して見ると、それでなかったら世の中成り立たないと思います。しかし、ぜひお願いいたします。  さて、残された時間、本当はまだ十数分あるんですが、早くやらないといけませんので頑張ります。  これはきょうの改正法律には関係ないんですが、ひとつどうしてもやっておきたいことがありまして、神奈川県秦野市の精神病院、越川記念病院というところのことがこの間新聞に出ました。  それで、これについて記事を拾ってみますと、ちょっと長くなりますが、一つ、昨年九月八日、精神保健指定医の資格のない越川理事長らが三人がかりで家にいる患者さんのところに押しかけて、入院を拒否する患者さんに薬を注射して無理やり入院させた。  二番目、昨年九月二十八日付で医療保護入院患者九人分の定期報告書を出したわけですが、当時その病院の指定医は休んでいた。それで本人に聞いてみると、署名した覚えはないという報告書が出ている。  三番目、指定医不在の四カ月間、今の指定医が九月から休んで十二月、結局退職しているようですが、七人の入院患者さんが死亡した。ところで、この病院ではそれ以前の死亡者は二年間で五人程度だった。それが四カ月で七人死んだ。なお、その病院のほかの医師らが疑問を持つぐらい多量の薬を投与していた。これは全部報道です。  四番目、患者がエアガンでおどかされたり、けがをさせられていた。  五番目、看護職員の数を水増しして報告し、診療報酬を不正に受け取っていた。  六番目、国から支給された生活保護費や患者から預かった小遣い金の計二百八十万円を病院が無断で流用していた。これが最近の某紙をちょっと拾ってみた記事なんです。  厚生省は、この報道に関して一つ一つ事実を確認したのか、事実はあったのか、そのことについてちょっとお答えください。

谷修一厚生省保健医療局長

○政府委員(谷修一君) まず、昨年の九月に三人がかりで入院をさせたというところでございますが、これについて神奈川県によります調査では、昨年の九月に家族からの依頼に基づいて、前の院長を含めて四人の職員が患者の自宅に行き、精神障害として入院をすることが必要だという判断をいたしまして、ただ患者さんに興奮状態が見られたということなので、鎮静剤の静脈注射を行って入院させたということでございます。

今井澄日本社会党・護憲民主連合

○今井澄君 指定医ですね、それ。

谷修一厚生省保健医療局長

○政府委員(谷修一君) 前院長は指定医ではございません。したがって、つけ加えますと、本来なら指定医の診察結果に基づいて医療保護入院とすべきであったという判断でございます。  二番目でございますが、医療保護入院患者の定期報告で、当時休んでいた指定医の名前を本人の了承なしに使ったかどうか。これはそのとおり事実でございます。  それから三番目でございますが、指定医不在の四カ月間に七人の入院患者が死亡しているということでございますが、これは神奈川県の調査によれば七人の患者が死亡しております。これにつきましては、神奈川県が立入調査をした際に、この病院の外の医師、専門医二名がそれぞれの患者のカルテと治療内容というものの調査をしておりますが、治療内容と死亡原因との間の直接の因果関係というのは認められていないという判断でございます。  それから、エアガンのことにつきましては、ほぼ先生がおっしゃったような事実だということを承知しております。  それからもう一つは、いわゆる患者から預かった金のことでございますけれども、この越川病院においては患者から預かった金を現金の形で保管していた、管理していたということでございます。したがって、調査をした段階においては残高に見合った現金が保管されていたということなので、その間にその金が動いていたかどうかということはつかんでいないと。  今お尋ねのありましたことについて、ごく簡単でございますが答弁させていただきました。

今井澄日本社会党・護憲民主連合

○今井澄君 もう時間がなくなりましたので、あと一問だけにしますが、実は精神病院の中でもこういう悪徳病院はそんなに多くはないと思います。私の知っているところでも非常にまじめにやっている。ところが、精神病院は職員は来ないし診療報酬は安いしということで非常に苦しみながらやっておるわけですが、そういう中でこういう悪徳病院が発生してきているんで、ぜひこれは、いい病院がきちっとした医療ができ、悪い病院が撲滅されるようにさらにしていただきたい。  特に精神科の病院については職員が非常に集めにくいとか、職員の質の向上こそが今求められているんですが、その中で一番大事なことはこの前の精神保健法改正のときにも出たPSWですね。PSWの資格化の問題ということが急がれているということなんですけれども、これは病院においてもそうですし、また入院不要な患者さんが在宅で暮らすためにも、あるいは精神医療のためにも非常に大事なものだと思います。厚生省の方ではこれに対して早急に取り組むという御返事が前にあったんですが、このPSWの資格化については今どういうふうに進行しているでしょうか。

谷修一厚生省保健医療局長

○政府委員(谷修一君) これは先生も経過は十分御承知だと思いますが、従来MSWについての資格化を図ってその中にPSWも含んで資格化をするということでやっていたわけでございます。一方、昨年、PSWの方からMSWとは分けて自分たちの専門分野としての資格化という要望がございました。これは日本精神医学ソーシャルワーカー協会からそういったような要望がございました。一方、ことしに入りまして日本医療社会事業協会からは、やはり精神科ソーシャルワーカーの単独立法による国家資格には反対だという御意見がまた寄せられまして、精神医学ソーシャルワーカー協会と、その母体と言っていいのがちょっと言葉は不正確かもしれませんが、MSWとの間の見解が分かれているというのが現状でございます。  それで私どもとしては、精神科ソーシャルワーカーの業務と医行為との関係、つまり具体的には医師法による医行為との関係、それから精神科ソーシャルワーカーと他のソーシャルワーカーの業務との関係、そういうものを少し整理しよう、それで問題点を出してその上でさらに詰めていこうということで、今月その研究会を設けて、現在その具体的な検討をしていただいているところでございます。

今井澄日本社会党・護憲民主連合

○今井澄君 終わります。

西山登紀子日本共産党

○西山登紀子君 予防接種法の改正案に関してお伺いをいたします。  厚生省の配られました説明資料を見ますと、東京高裁判決を通じて行政側に提起をされた個別具体的な課題として二つ挙げているわけです。一つは、予診の徹底など予防接種実施体制の充実、二つは、予防接種に関する情報提供システムの充実、こうあるわけですけれども、これはこれとして非常に重要な課題ですけれども、果たしてそれだけであろうかと私は疑問を持ちます。  この判決全体を通じて指摘されました重要な点は、国は安全で有効なワクチンの開発研究の責任があり、疾病の蔓延を予防するとともに被接種者の生命、健康を守るために不断の努力をする、その体制をどうつくり上げるか、この点が国の責務として追求されなければならない、このように指摘がされたのだと思うのですけれども、こうした点が残念ながら欠落しているように思うのです。  こうした点が六十二人の被害児、被害者が提起をし、東京高裁などの判決が行政に訴えた最大の教訓ではないかと考えるわけですけれども、大臣の御所見をお伺いいたします。

大内啓伍改新厚生大臣

○国務大臣(大内啓伍君) 今、御指摘の点は重要な反省点であると、こう考えております。  御指摘いただきました平成四年十二月の集団訴訟といたしましては最大規模の東京訴訟につきまして、東京高裁が国側敗訴の判決をし、国はこの上告を断念したわけでございます。この東京高裁判決に始まります一連の司法判断を通じまして行政に課せられた最大の課題は、今も御指摘いただきましたが、安全な予防接種の実施、その中にはより有効なワクチンの開発といったようなものも含むと思いますし、また予防接種による健康被害の救済の充実といったような問題について格別の努力を払うことによりまして、国民に信頼される予防接種制度としていくことにあったと私どもは考えております。  今回の改正を通じまして、そのような反省の上に立ちまして私どもとしては努力をさせていただきたい、こう思っている次第でございます。

西山登紀子日本共産党

○西山登紀子君 大臣のそういう御所見をここで確認させていただきたいと思います。  しかし、私はこの法案の概要説明のその次を読みまして、またまた気になるところがありました。一々そういうところに異を唱えるものではありませんけれども、しかし国会に提出されたものでもありますので、少し御紹介したいと思うんです。その役なんですけれども、「行政側がいかに注意を払っても不可避的に事故が起こり得る予防接種」、こういうふうに記述がしてあります。東京高裁などが提起をして行政側に求めたことの真意が一体理解されているのだろうかと疑問を持たざるを得ないような表現なわけですね。  東京高裁判決の中では、例えば「厚生大臣は、予診・問診が実際には殆どされずに接種が行われていることを知りながら、これを放置、容認したのである。」というふうな指摘もございますし、もう少し指摘をさせていただければ、例えば厚生省の指導の中でいろいろな体制をとっているわけですけれども、「一時間の接種対象を八〇人とすれば、一人当たりの予診及び接種行為に要する時間はわずか四五秒、一〇〇人とすれば三六秒である。このような短時間に医師が禁忌該当の有無を判定し得る適切な問診や視診をすることは不可能である。医師一人当たり一時間に八〇人ないし一〇〇人に接種を行えと指導することは、とりもなおさず、予診は十分しなくともよいと指導することである。」、これほどにまで厳しく判決は指摘をしています。  さらに、問診票を活用していたということにつきましても、「問診票が効果を上げるためには、それを記入する被接種者若しくはその保護者が禁忌の意味やどのような事項が禁忌に該当するかを理解し、接種に当たる医師も禁忌について十分な知見を有していることが必要である。」、しかし国は、「禁忌について医師に対する指導を怠り、被接種者やその保護者に対しても禁忌についての情報を敢えて与えようとはしなかった。」、このように非常に厳しく判定をしているわけです。  政府は、こういうふうな指摘を本当に真剣に受けとめているのだろうかというふうに私は思うわけですけれども、この点しっかり教訓を酌み取って今後の行政に生かしてほしいと思います。  そこで、質問なわけですけれども、改正案の第七条で、厚生省令で定める方法により健康状態を調べて、禁忌者にはそういう当該の予防接種を行ってはならないという規定が設けられます。予診の必要性を初めて法定するわけでありますので、これは非常に大事な点です。問題は、先ほど紹介いたしましたような判決を受けまして、予診の実効を上げる体制をどうつくるか、この点が非常に国民が期待している点でもあります。この点を具体的にお伺いいたします。

谷修一厚生省保健医療局長

○政府委員(谷修一君) 先ほど先生がお触れになりました東京高裁の判決においても、確かに予診の問題あるいは禁忌の把握の問題につきまして、特に昭和四十年代中ごろまでの厚生省、あるいは現場の市町村等の実施体制について厳しい指摘がされているわけでございます。  それで、今回提案をさせていただいておりますこの予防接種法の改正案におきましては、第七条に予診規定を設けるということでございますが、できるだけ予防接種による副反応というものを防止するために医師が十分な予診を行い、かつまた禁忌者を的確に識別除外することが必要である、またそういうことが先ほど来触れられております東京高裁の判決、あるいはその後の幾つかの高裁レベルでの判決においても指摘をされたわけでございます。  実際に予診の実効を上げるための体制づくりということにつきましては、先ほど触れられたことにも関係いたしますが、できるだけ個別接種ということを推進していき、また予診の内容について充実していくということでございますが、具体的には現在専門家の御意見などを聞きながら詰めていただいているところでございますけれども、問診あるいは診察あるいは検温ということを行うような形で厚生省令において規定をしていきたい、このように考えております。  また一方、実施体制ということに関しましては、今回の改正を契機といたしまして予防接種の従事者についての研修の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。具体的には、医師だけではなくて接種の会場で問診等に当たります保健婦さん、看護婦さん、また地方公共団体の行政担当者を対象にいたしまして、予防接種の実施方法、特に予診、問診の方法、また今回の法改正の概要なり考え方、そういったようなことも含めた研修事業というものを行うことによりまして、予診体制というものの充実あるいは実効の上がるような形にしていきたい、このように考えております。

西山登紀子日本共産党

○西山登紀子君 できるだけ個別接種の方向でと言われましたけれども、集団接種の体制も残るわけですね。その場合に、先ほど判決を紹介いたしましたけれども、医師が一遍に八十人、百人というような形で並ばせて、だだっとやるというふうな安易なやり方というのはなくなるんでしょうわ。どうですか、その点は。

谷修一厚生省保健医療局長

○政府委員(谷修一君) これは、具体的には先ほど申しました厚生省令なり予防接種の実施要領というものに明らかにすることにいたしておりますけれども、もちろん先ほど申しましたような予診あるいは問診をやるということのためには十分な時間をとる、あるいはそういったようなことが十分できるような体制の上で予防接種をやるという形で指導してまいりたいと考えております。

西山登紀子日本共産党

○西山登紀子君 ぜひそのように実行していただきたいと思います。  次に、お医者さんの問題なんですけれども、東京高裁判決は医師に対する指導も不十分だったというふうに指摘をしておりまして、このように述べているわけですね。「国は、禁忌該当者を的確に識別排除するために、接種担当医に対して、単に禁忌該当事由を記載した予防接種実施規則や予防接種実施要領を示すだけでなく、具体的にいかなる症状が禁忌該当事由になるのか、その根拠は何か、禁忌該当事由を集団接種の場の短い予診で見分けるにはどのようにしたらよいのか、また、接種後に副反応が生じたらどのような手当てをしたらよいかを、明確に指導する必要があった。」、こういう指摘が随所に出ております。この点がどのように改善されるかということ。  それからまた、医師の方にお伺いいたしますと、この法改正によりまして医師や市町村に事故責任が転嫁されてはかなわないという意見が多うございました。接種担当医に安易に責任を転嫁しないことも含めて、この点どのようにお考えでしょうか。

谷修一厚生省保健医療局長

○政府委員(谷修一君) 安全な予防接種ということを実施するに当たりまして、やはりお医者さんに十分理解をしていただく、また私どもとしては必要な情報を提供していくということは重要なことであると思っております。  具体的には、先ほど言いましたような研修を行うということのほかに、予防接種に関するマニュアルというようなものをつくりましてお医者さんへの情報提供を図るということを考えております。また、副反応についてのモニタリングを医師あるいは地域医師会を通じて実施したい。予防接種の副反応情報の収集ということを行うことといたしておりますが、あわせてそういったような収集されました情報を医師会を通じて個別の医療機関に還元していくというようなこともやっていきたいと考えておりまして、そういうことを通じまして予防接種についての第一線の医療機関の方たちの御理解を得られるのではないか、またそのような形にしていきたい、このように考えております。  一方、予防接種が今回努力義務という形になるわけでございますが、この予防接種制度に基づいて予防接種を実施します医師につきましては、市町村長の補助者という立場で接種を行う者でございますので、仮に予防接種に係る事故が生じた場合におきましても、予防接種の実施義務者である市町村長がその責任を負うということでございまして、この義務が努力義務に緩和をされたということによって医師へ責任が転嫁されるということはないというふうに考えております。

西山登紀子日本共産党

○西山登紀子君 次に、この改正で接種の任意性が高くなるわけですけれども、若いお母さんが集まりますと、一歳半健診とか六カ月健診のときに予防接種をどうしますかというのが話題になるそうです。その根底には、やはり予防接種行政に対する不安とか不信というのがあると思うんです。ですから、お医者さんなどへの的確な情報提供、講習などとともに、何よりもお母さん、国民に正確な情報とか知識を与えて普及するということがやはり基本でなければならないと思います。  そこで、具体的な提案なんですけれども、母子手帳がその有力な手段の一つになるのではないかと思います。私はきょう、この母子手帳を借りてまいりました。この母子手帳の中には予防接種について、受ける時期だとか予防接種の中身、それから受けられない場合の説明、そういったのが詳しく書かれております。法改正が行われますと当然この部分が改訂されるわけですけれども、今母子手帳を持っている保護者にもそのことが的確に伝わるようにする必要があると思うんですね。  そして、中身のことなんですけれども、判決にも触れられている禁忌児の中にアレルギーの子供の問題が触れられております。最近、アトピー性皮膚炎だとかぜんそくなんかのアレルギー疾患の子供がふえているわけですけれども、私も聞きましたら、アトピー性皮膚炎で卵の除去食をしていた子供さんがポリオの生ワクを飲んだ、すると全身にアトピーが出てしまった、それでも飲ましてよかったのかどうか心配だ、こういうふうな声も聞いたわけですけれども、今の母子手帳にはそういう問題は記入されていません。  ですから、こういう時代的な背景もございますので、そういう禁忌の中身につきましてもわかりやすく記述をしていく必要があるのではないかということで、この点の改善を要望したいんですが、いかがでしょうか。

谷修一厚生省保健医療局長

○政府委員(谷修一君) 先ほど来お話がございますように、予防接種について十分理解をしていただくという意味におきまして、医師を初めとする実施担当者側と同時に、今回努力義務というような形に変わるわけでございますので、接種を受けていただく方、具体的には今のお話にございました保護者といいますか、あるいは母親に理解を得ていただくということが大変大事だと思っております。  具体的に今考えておりますのは、今回の改正を契機といたしまして、保護者等に対します情報提供のためのできるだけわかりやすいパンフレット、その中には予防接種の効果ですとか副反応といったようなことについてもできるだけわかりやすい形でまとめていきたいというふうに思っております。  また、母子健康手帳については、現在も予防接種についての種類ですとか接種時期あるいは接種の注意事項等がたしか記載をされていると思いますが、具体的に今おっしゃったような禁忌事項について、個別のそれぞれについてどこまで細かく書けるのか、そこはちょっといろいろ専門家の意見を聞いて考えていかなきゃいけないというふうに思います。  ただ、もう一つつけ加えさせていただきますと、今回の法律の中に予診の規定を創設するということに関連いたしまして、従来の予防接種の実施要領の中ではこの禁忌というものについての考え方が必ずしも明確には示されていなかったというようなことから、いわゆる絶対的な禁忌、例えばその日に発熱をしているとか、あるいは前の日に生ワクをやったばかりだとかいうような禁忌と相対的な禁忌というような形で分けて、わかりやすい形にしていきたいと思っております。

西山登紀子日本共産党

○西山登紀子君 次に、このたびの改正で対象疾病外になるものもあるわけですね。その場合に任意接種になるわけですけれども、希望をされる方とか関係者から、過大な負担になるから何とかしてほしいというような声も聞いております。任意接種の場合にも費用の負担を軽減するような工夫が何かできないかどうか、お答えください。

谷修一厚生省保健医療局長

○政府委員(谷修一君) 具体的にはインフルエンザのことをおっしゃっておられるのだろうと思いますけれども、今回の法律をつくるに際しましての公衆衛生審議会の意見の中でも、インフルエンザについては病気の重症化防止効果は認められるということでございましたけれども、全体の流行を阻止するという形にはなかなか現在のワクチンではならないんではないかということで外したわけでございます。  したがって、今後は各個人がかかりつけ医と相談をしながら接種するという、いわゆる全くの任意の予防接種でございますので、今お話のございましたその費用についてはそれぞれの方に御負担をしていただくということにならざるを得ないんじゃないかと思っております。

西山登紀子日本共産党

○西山登紀子君 最後に、SIDS、乳幼児突然死症候群の問題についてお聞きしたいと思います。  このSIDSで我が子を亡くした両親たちが集まりまして、昨年親の会ができております。この病気というのは、本当に健康であった子供が突然死んでしまうという、寝ているうちに死んでいたというようなことで、御両親の悲しみを考えるととても胸が痛む問題なんです。厚生省も一九七五年からこのSIDS、乳幼児突然死症候群の研究班を発足させておられますし、最近、診断基準の案もできっっあるというふうに聞いているわけですけれども、これができれば非常に大きな前進だと思いますので、これからこのSIDSを予防するためにどのような対策が考えられているか、ぜひお聞かせください。

瀬田公和厚生省児童家庭局長

○政府委員(瀬田公和君) 先生から御指摘いただきました乳幼児突然死症候群、SIDSでございますけれども、乳幼児にそれまでの健康状態などからは全く予測できない突然の死をもたらすといった症候群でございまして、我が国の乳幼児の死亡原因では若干高い位置を占めており、出生数千に対して○・五一ぐらいというふうに承知をしているわけでございます。  このSIDSに関する研究というのは先生からも今御指摘ございましたけれども、厚生省の心身障害研究におきましてこれまで十五年間にわたりまして実は研究を行ってきたところでございます。  この間、この研究によりまして発生頻度とか発生しやすい年齢や時刻等の疫学データと申しますか、そういったものを明らかにすることができたわけでございます。また、このSIDSで死亡した乳児の解剖の結果、呼吸をつかさどる中枢神経細胞の成熟のおくれ、そういったものを疑わせる例も集められてきたということでございまして、現在この研究によりまして、病気の原因解明の糸口としても重要な成果が上げられてきたのではないかというふうに思っております。  今後は、このSIDSの発生と育児の環境と申しますか、例えば御両親の喫煙の状態とかまたはその御家庭の部屋の温度でございますとが、そういった要素との因果関係などの予防に資する研究というものを中心にしてこの研究をなお推進してまいりたいというふうに考えているわけでございます。  また、先生御指摘のように、昨年SIDSで子供を亡くした親の会というものが結成されましたので、この親の会と十分連携をとりながら、相談事業その他社会への啓発活動といったものにも十分意を用いていくつもりでおります。

西山登紀子日本共産党

○西山登紀子君 どうもありがとうございました。

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○委員長(会田長栄君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案の修正について大島君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。大島君。

大島慶久自由民主党

○大島慶久君 私は、予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、新緑風会、公明党・国民会議、日本共産党を代表いたしまして修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  これより、その趣旨について御説明申し上げます。  政府は、この法律の施行後五年を目途として、疾病の流行の状況、予防接種の接種率の状況、予防接種による健康被害の発生の状況その他新法の規定の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○委員長(会田長栄君) これより両案並びに予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案に対する修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより順次両案の採決に入ります。  まず、薬事法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○委員長(会田長栄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、大島君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○委員長(会田長栄君) 全会一致と認めます。よって、大島君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○委員長(会田長栄君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  この際、菅野君から発言を求められておりますので、これを許します。菅野君。

菅野壽日本社会党・護憲民主連合

○菅野壽君 私は、ただいま可決されました予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、新緑風会、公明党・国民会議及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  以下、案文を朗読いたします。     予防接種法及び結核予防法の一部を改正     する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、適切な措置を講  ずるべきである。  一、予防接種の重要性につき、国民の理解を高   め、引き続き接種率を引き上げるため努力す   ること。  二、個別接種の推進を図り、安全な予防接種の   実施体制の整備に努めること。  三、予防接種による健康被害の発生を予防する   ため、予診の充実を図ること。  四、予防接種による健康被害者に対する保健福   祉事業については、健康被害者の実態等を十   分把握し、事業の推進に努めること。   右決議する。  以上でございます。

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○委員長(会田長栄君) ただいま菅野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○委員長(会田長栄君) 全会一致と認めます。よって、菅野君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、大内厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大内厚生大臣。

大内啓伍改新厚生大臣

○国務大臣(大内啓伍君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存であります。

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○委員長(会田長栄君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○委員長(会田長栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○委員長(会田長栄君) 次に、社会保障制度等に関する調査を議題とし、厚生行政の基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

前島英三郎自由民主党

○前島英三郎君 夜遅く、委員長初め御苦労さまでございます。十七年間、国会に通っておりますけれども、この委員会でナイターは初めてじゃないかと思います。外は雨でもございます。こよいは私だけで終わるということでありますから、私が終わるころ雨がやむのを期待いたしまして、またお急ぎの方、お忙しい方はどうぞ途中退席されても結構でございます。五十分間ほどおつき合いをいただければと、このように思っております。  我々は、二十一世紀に向けまして、活力ある高齢化社会を迎えるために、社会全般にわたってリストラを進め万全の備えを行おうとしているところでございます。    〔委員長退席、理事菅野壽君着席〕  年金、医療、福祉、そして雇用、教育などの重要な各種施策ががっちりとかみ合いまして、各世代が助け合い支え合う社会にシフトしていかなければならないと思います。そのための残された時間はだんだん短くなってきていると思うのであります。  ところが、昨年来の連立与党の態度を見ておりますと、このように歴史的な大きな課題に向き合っているという緊張感が全く感じられないのであります。予算編成のおくれ、国民福祉税騒動、羽田内閣成立時の混乱。その点大内大臣は、就任後間もなく福祉ビジョンづくりに取り組まれたぐらいでありますから、私たち日本人が今どのような大仕事にかかっているのか、まさか認識を欠いているようなことはないと思うのでありますが、改めて大臣の所信を伺っておきたいと思います。

大内啓伍改新厚生大臣

○国務大臣(大内啓伍君) これから日本が二十一世紀を迎えるに当たりまして、私どもが目指し克服しなければならない多くの課題があるわけでございますが、今前島委員御指摘の点につきまして若干の所見を申し上げますと、日本が目指すべきこれからの大きな課題の一つは、国内的には生活先進国をつくり上げる、これが最も重要な課題だと思っております。その生活先進国をつくり出すためには、社会保障という面でも先進国を形成しなければなりません。今回、高齢化社会あるいは少子社会に向けまして福祉ビジョンというものを就任早々提起いたしましたのも、そのような視点に立つからでございます。  超高齢化社会も少子社会も日本としては避けて通ることができない重要な課題でございまして、憲法の第二十五条を改めてあの当時読み直したのでございますが、あそこには、すべての国民に健康で文化的な最低限の生活を保障する責務を国は負っている、そのために社会保障、福祉という面での政策を充実しなければならない、こう書かれております。この憲法の第二十五条を読み直しながら、これから日本は二十一世紀及びそこから始まるもろもろの事態に対処するために、生活先進国そして社会保障の再構築をしなければならない、こう考えておる次第でございます。    〔理事菅野壽君退席、委員長着席〕  また、それは生活面でございますが、精神面におきましても、その国の評価というものはその国の持つ文化の程度によって決まるとさえ国際的に言われるわけでございますが、文化という面で先進国を形成しなければならない。その心は、言うまでもなく、この地球上に生をうけた一人一人の人間がそれぞれ価値ある存在として処遇されるようなそういう心組みを持った社会をつくり出さなければならない、歴史と伝統というものを大事にしこれを維持し発展させるような国家でなければならない、国内的にはそういう二つの目標というものがこれから政治においても行政においても重要な視点ではないかと考えておるわけでございます。  同時に、日本は国際国家でございますし、あの憲法の前文を見ますと、国際社会の中で名誉ある地位を確立したいと思うと。国際的に名誉ある地位とは、よその国から見て信頼され尊敬され必要とされるような国家になることである。そして、世界にはさまざまな矛盾またいろいろな問題が起こっているわけでございますから、日本はひとり自分さえよければよいという考えではなくて、世界の困った方々に対しても、あるいは世界の重要な人類的な問題に対しても果敢に挑戦し、その面で国際貢献ができるような国家にならなければならない。そういう意味で、国際貢献という面での先進国を形成しなければならない。  申し上げたいことはたくさんございますが、そのような心組みを持ちまして今日の私の仕事に当たらせていただいている次第でございます。

前島英三郎自由民主党

○前島英三郎君 まことに格調高く、しかし余り演説が長くなってしまいますと私の質問の中身がなくなりますので、これからは簡潔にひとつお答えいただければと思います。  しかし、二月でしたか国民福祉税騒動、厚生大臣には何の相談もなしに細川さんが真夜中の打ち上げ花火をしたと、そのようなことを怒りを持ってテレビを見たわけでありますが、私もあれには正直言って驚きました。いろいろびっくりしたんですが、その一つは税のネーミングに本当にびっくりしたんです。税の名前というのは課税する対象を明示する例がほとんどであります。所得に課税するから所得税でありますし、消費に課税するから消費税、ガソリン税というのはガソリンに課税する、酒には酒税であるように。ですから、国民福祉税といえば福祉に課税する税だと真っ先に思うわけであります。  これはタイムなんですけれども、ピープルズ・ウエルフェア・タックス、こういう訳され方をしているわけです。ワシントンにおります私の友人から電話がありまして、ということは、ミスター細川は福祉の受益者に新税を課すのか、私へこういう一つの問いかけがあったわけで、私もなるほどというのでびっくりしたわけであります。当時の関係者の頭の中には、国民の理解や合意を得るには福祉という言葉を入れた名称にした方がよい、こういう判断があったからだと私は思っているんです。  しかし、それはごまかしでありまして、だれもが知っているように、減税の財源ということが第一だったんじゃないかというふうに思うんですが、大臣、当時は中心的ではなかった。しかし、この福祉ビジョンとのかかわりを持ってからはかなり積極的に超高齢化社会とかいろんな発言をされておるんですが、今度は大臣として何か新しいネーミングは考えておられるんでしょうか。またぞろ国民福祉税では、これはまた我々は反発せざるを得ないんですが。

大内啓伍改新厚生大臣

○国務大臣(大内啓伍君) 経緯的に申し上げますと、国民福祉税につきましてはこれは突然の提案でございましたので、私自身は閣内にありましてその白紙化を求めたわけでございます。  新しい税の問題につきましては、今は政府・与党の中でいろんな議論もされておりますし、また政府税調の方でも議論をされているわけで、厚生大臣という立場でそのネーミングを考えるという立場にはないわけでございまして、それらの審議の状況というものを見定めてまいりたい、こう思っております。

前島英三郎自由民主党

○前島英三郎君 予算委員会なんかを見ていますと、割合に超高齢化という言葉が出てきて、もし超高齢化税なんというネーミングが出てきたらこれは驚きですから、ネーミングというのはかなり慎重にしていただかなければならないというふうに思います。  福祉ビジョンにつきましては後ほど議論させてもらうつもりでおりますが、一つ危惧される面を指摘しておかなければなりません。高齢化が進むにつれて国民の負担が現在のままで済まなくなってくることは間違いないと思うんです。その場合、負担が偏ったりすごく重くなったりして負担し切れなくなるようなことのないように、今から体系的に整備しておくこと自体は大変重要だと思います。しかしながら、それが即消費税、つまり間接税の大幅引き上げということに直ちに結びつけられてしまうことでよいのかという問題があります。  福祉ビジョンに対するマスコミ等のいろいろな解説でも、福祉目標ではなく増税目標を設定の大見出しや、あるいは試算根拠不明瞭という解説記事があったり、大蔵省周到な作戦などという、増税に持っていこうとするところに厚生省が巻き込まれてしまっているような論調もあったりしまして、非常に私も残念に思うわけであります。  総理を初め厚生大臣の話を聞いていますと、何かそういう形で、間接税に触れるときは必ず超高齢化とか、これからの少子社会、高齢化時代、福祉ということが出てきて間接税の問題が議論されていくと、何か世論の中で長生きすることや障害を持つことが罪のような機運が生まれやしないかと私は非常に心配をしているわけです。余りにも超高齢化時代、だから間接税の引き上げたというようにいってしまうことに私は非常に心配をしておるわけであります。  福祉を必要以上に増税の理由とされるのは、そういう意味では大変ゆゆしきことだと考えるんですが、大臣のお考えもこの際伺っておきたいと思います。

大内啓伍改新厚生大臣

○国務大臣(大内啓伍君) 福祉ビジョンを何とかつくり上げたいという私の提言は、昨年の八月九日に大臣に就任した直後に提起したものでございまして、これは税制の論議とは全く別の問題として提起したのでございます。  というのは、いろんな世論調査等を見ておりますと、もちろん社会保障という面では日本は相当前進をしてきたのでございますが、にもかかわらず老後に対して不安をお持ちの方々、国民でございますが、これが七割以上にも達する。やはり自分の将来の社会保障に対して不安を持つという状態を放置することは、政治、行政という面で無責任である、私はそう確信をしておりました。かつて、昭和六十三年に定性的な福祉ビジョン的なものを私どもの要請によって当時の自民党がつくった経緯はあるのでございますが、そのときはまだ定量的な面も含まれておりませんでしたので、そういう純粋な意味から社会保障の再構築をやる必要がある、これが福祉ビジョンというものの提言であったわけでございます。そして、皆様の御協力によりましてこの三月二十八日に成案を得た、これがいろんな方向から御注目をいただいているわけでございます。  いずれにしても、高齢化社会の進行とかあるいは少子社会の進行というものは今後非常な財源を要求してくるわけでございますから、保険料とか説とか負担とかいったような形でどのように区分していったらいいのか、あるいはシェアリングをしていったらいいのかという問題についていろいろ御検討いただくことはこれは大変結構なことである、こう思っている次第でございます。

前島英三郎自由民主党

○前島英三郎君 高齢化社会になって大変だという面ばかりが強調されるのは私は問題だと思っておるわけでありますが、少子社会についてもそうなんです。子育てが大変だとか、教育費が高い、大変だというようなこと、それ自体は私も否定しませんけれども、しかし長寿はまことにめでたいことである、これが基本でなければならないと思います。  また、子供はかわいいし、子育てほどあるいは孫育でも含めるべきかもしれませんが、こんなに張り合いのあることはほかにはないんだ、またこういう社会環境をつくることも大切だし、そう感じるのがまた人間本来備わった感覚であったはずであります。そう感じられないとしたらそれはなぜなのかといいますと、これは原因を見きわめなければならないと思うんですが、社会のひずみが原因の一つとして考えられております。ひずみのために未来に不安を感じる、あしたに期待が持てない、あるいはそうした不安感をマスコミなどがどんどんあおるというようなことも大変問題だと思います。  ですから、今私たちは制度を万全なものにする努力を続けるとともに、未来を自信と確信を持って展望できるような国民全体の連帯感や心というものを取り戻す努力もあわせて行う必要があろうかと思います。  三月末に、先ほど来おっしゃっております高齢社会福祉ビジョン懇談会が出されたいわゆる福祉ビジョンでありますが、私も読ませていただいて、これは大変注目すべき報告書であるというふうに思います。これだけ大胆に将来のあるべきビジョンを描き、これに必要な財源についても描き出してくれたことは、先ほど大臣がおっしゃったように、国民的コンセンサスを得るための議論にも極めて有益であるとは考えております。  ところが、一方で当面の制度改正も進められていく必要があります。現に、年金や医療の法改正が今国会に提出されておるわけであります。提出された法案には国民の負担をふやすといった内容も含まれておりますけれども、福祉ビジョンに沿って増税するなら今回のような負担増は必要ないんじゃないか、そういうような声もまた一方ではあるわけであります。将来の話と当面の話が、関係なくはありませんけれども何か混同されてしまっているという感が否めないと私は思っております。税であれ保険料であれ、負担に対して極めて敏感であるのはもう当然のことであります。  二月の国民福祉税騒ぎも影響しているんではないかとも思うんですが、ぜひ当面する課題と福祉ビジョンとの関係というのはわかりやすく、やっぱり明快に違うんだということを含めて御説明願えればと思うんですが、再度いかがですか。

大内啓伍改新厚生大臣

○国務大臣(大内啓伍君) 福祉ビジョンというのは、言うまでもなくその名前が示すようにビジョンでございまして、いわゆる年次計画とか実施計画といったようなものとは全く性格が違うわけであります。例えば、年金制度の改正とか今度の医療保険の改正というのはそれよりももっと具体的なものでございまして、しかしそのビジョンにおいて選択すべき重要な政策の方向というのは示しているわけでございまして、その政策的な方向というものを年金においては具体的にどう煮詰めていくか、あるいは医療、福祉という分野においてはどう煮詰めていくかというものが残っているわけでございまして、その残っているところをカバーしているのが今回の年金制度の改革であったり、あるいは医療制度の改革であったり、きょう御審議いただきました予防接種法の改正であったりするわけでございます。  したがって、そのビジョンというものは大体これからの三十年ぐらい先を見通しながら、その中で起こってくる日本が避けがたい現象というものを的確につかみ、それに対応する重要政策の方向を示す、それは単に定性的なものではなくて、現在の統計を最大限に活用して推定できる量的な面においても一つの選択をお示しするということに主眼があるわけでございます。そこからさっき申し上げたような年金、医療、福祉というものを専門家の皆さんで詰めていただいて、一つ一つその結論を固めていただく。両者はそれぞれ中身が違いますが、それぞれ大きな関連を持っているものである、こう考えております。

前島英三郎自由民主党

○前島英三郎君 福祉ビジョンは現在の社会保障給付の割合を転換することを提案しているわけです。年金、医療、福祉の給付の比率が五対四対一から、これを将来は五対三対二にしたい、こういうこともうたっておるわけであります。医療を効率化して伸びを抑えその比率を少なくする、その一方で福祉の比率を伸ばすとしておりますが、その主な内容は介護と子育てだということがうたわれているわけであります。  介護につきましては、関連する施策も含めて高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランという形で推進しているわけですが、ビジョンではこれを見直して新ゴールドプランを策定するということを提唱しております。  四年前でしたか、福祉八法改正による地方の老人保健福祉計画の策定も大体順調に進んでいるようでもありますし、新しい目標も現実的な数字として積算できていると思うんです。その一方で、ホームヘルパー倍増の方針を厚生省が固めだということが報道されたのでちょっと不思議に私は思っておるわけでありますが、ゴールドプランの見直しについて一体どのように行おうとしているのか、この辺はいかがでございましょうか。

横尾和子厚生省老人保健福祉局長

○政府委員(横尾和子君) ゴールドプランの見直しにつきましては、既に本委員会でも、二〇〇〇年までこのままの計画でいくのではなくしかるべきときにはその内容を精査して再検討してはどうかというような御意見も出されておりました。その一つの節目となるところに地方自治体の老人保健福祉計画が出てくるところではないかということを申し上げた経過もございます。その計画もまだ全体は出てきておりませんが、おおむねそろってきたというような状況でございまして、ただいま精査を行っているところでございます。  新しいゴールドプランは、こういった地方自治体がそれぞれの地域の実態調査を踏まえて、将来のニーズを把握して必要なサービスの量を改めて定めているわけでございますので、その各自治体が改めて定めた目標量が現行のゴールドプランの目標量とどう違うかというところを点検いたしまして、地方の目標量が相当上回っているものであれば、その内容を精査した上ではありますが、それが実現できるように政府ベースの計画を上方修正するというようなことが必要であろうと思っております。  先般来ヘルパーの倍増というようなことが言われておりますが、これはまだ十分な精査が終わっておりませんけれども、介護を必要とする高齢者の数等が、当初私どもゴールドプランを策定したとき以上に高齢化の進展が急であったこともありまして、増加をしているということがうかがえるところから、各県の新たな目標量を積み上げると大体倍増程度のところにいく可能性が高いというふうに考えているところでございます。  いずれにいたしましても、もうしばらく精査をした上で目標水準の新たな策定と新たに加えるべき諸サービス、例えば福祉ビジョンにおきましても訪問看護ステーションの問題等が指摘されておりますので、新たなサービスも加えまして計画の立案に踏み切りたいと考えております。

前島英三郎自由民主党

○前島英三郎君 ゴールドプランの予算には現在特別の財源はないわけであります。見直しを行って目標を高くすればそれだけ財源も必要になります。ここに消費税か別の間接税かは別にして増税と関連づけて論議される理由が出てくる、私はこう思っているんです。  ところがゴールドプランとは、私も当時この政策をいろいろ政調におりまして担った一人でありますが、地域福祉、すなわち向こう三軒両隣福祉、もっと平たく言えば心の財源をもっと出し合おう、こういうことが背景にありまして、それが健やかな老後をという一つの理念に合致して私たちも考えてきた政策だというふうに思っているわけです。  着実にこのプランを進めることによって、例えば寝たきり老人ゼロ作戦なんという言葉のものもありました、あるいは中学校区へ一万カ所支援センターをつくろうとか。まだそこも達成途上であるにもかかわらず、またここで新ゴールドプランというようなことが果たしていいものかどうかというような若干の心配、これも間接税の増税にすべて取り込まれた形の一つの感覚であるとしたら私は大変な間違いであるというような気がするんです。  長期的には介護等に要するコストの増加を抑えていくという方向に持っていく、なるべく寝たきり老人をなくしたり痴呆老人をなくしたりあるいは病院への入院を減らしたり、いろいろな効果が徐々にではあるけれどもあらわれ始めているという部分も私はこのゴールドプランによってあるだろうというふうに思うんですね。こうした期待される面をやっぱりこれから大きくしていくことが望ましいと考えるわけでありますが、横尾さんはいかがお考えですか。

横尾和子厚生省老人保健福祉局長

○政府委員(横尾和子君) 先ほどちょっと触れましたように、高齢者数の伸びに伴いまして、また特に後期高齢者の伸びに伴いまして介護を要する方々の数がふえていくということは、ゴールドプランを進める上での新たな条件になるわけでございます。  また、今委員御指摘の病院からそれ以外の施設への、あるいは病院から在宅へのというような利用者の立場に立ったサービスの提供を進めるためにもゴールドプランが必要になるわけでございまして、そうすることが第一義的には利用者の立場から適切な処遇を提供するということになりますが、いわゆる社会的入院を是正して医療費の面では負担が軽くなる可能性もありますが、それもやはりゴールドプランの方の充実があってこその効率化というふうにとらえております。

前島英三郎自由民主党

○前島英三郎君 十カ年戦略の中では、例えば介護のホームヘルパー十万人。三万が四万になり五万になり、それでもまだ道半ばです。五万人、十万人という当初の目標もまだ道半ばなのに、あえてさらに新ゴールドプランでは二十万人にするのかどうするのかは別としましても私は何かちょっと中途半端なような気がしますので、その辺は指摘しておきたいと思います。  福祉ビジョンは、「少子・高齢社会に向けて」となっているわけでありますが、実態的には子供のための施策がかなりおろそかにされてきたと、これは我々も含めて反省しなければならないわけでありますが、過去十年、二十年の子供軽視のツケが今回ってきているんじゃないかというふうにも感じます。  女性が母親になりたいと思わない社会というのは不自然な社会だと思いますし、人間本来の感覚がゆがめられていると思います。しかし、母親になることを困難にする諸条件があるとしたらそれは取り除いていかなければならないと思います。子供を産み育てたくなる社会、安心して子供を産み育てられる社会、そういう社会を実現するための総合的な施策の体系が今我が国では求められていると思うのであります。  既にエンゼルプランと命名されておるわけで、大変かわいい名前で結構だと思いますが、厚生省ではまだプレリュード、前奏曲だ、こういうぐあいに言っているわけですが、一体いつごろこれは本番の幕があくのであろうか。本格的なエンゼルプランの策定についてお伺いをしたいと思うんですが、いかがでしょう。

瀬田公和厚生省児童家庭局長

○政府委員(瀬田公和君) 先生今御指摘をいただいたわけでございますけれども、近年の急速な少子化の進行につきましては、将来の経済社会全般への大きな懸念というものが予想されるわけでございまして、今のうちからこの厳しい現実に対して計画的な政策展開を図るということが急務だというふうに私たちは考えております。特に女性の社会進出の増大など、今後の社会の大きな流れに対応しながら子供の健やかな成長を確保していくということが非常に重要な課題になっているというふうに考えているわけでございます。こうした点につきましては、先ほどから御議論のありました高齢社会福祉ビジョン懇談会においても強い意見が提起されているところでございます。  私たち厚生省といたしましては、ただいま御審議をいただいております予算案にも関係することでございますが、平成六年度に実施をいたしますエンゼルプラン・プレリュードの成果を踏まえながら、そしてまた関係省庁の協力を得ながら、雇用、教育、住宅など広範な分野を網羅した子育て支援の総合的な計画としてのエンゼルプランというものをできるだけ早く策定すべく、現在関係省庁とも協議をしながら鋭意検討を進めているところでございます。  このエンゼルプランの中には三つの主要な柱があるというふうに私たちは考えているわけでございますが、一つは、子育てと仕事の両立を支援するためのきめ細かな保育サービスの確保、それから、育児休業制度の普及充実といった問題、それから、子供が健やかに成長するための遊びの環境とか住環境の整備の問題、それから、安心とゆとりを持って子育てができるような条件整備として、住民に身近な市町村を中心とする母子保健サービスの確立と相談支援対策といったものをその基軸に据えて現在検討を進めさせていただいている、こういう状況でございます。

前島英三郎自由民主党

○前島英三郎君 局長さん、ぜひ一日も早く全曲を御披露いただきまして、すばらしいハーモニーが奏でられるように期待をしたいと思っております。  次に、障害者のための施策のあり方について質問をさせていただきます。  先日の大内厚生大臣の所信表明演説からは、障害者のための施策について大臣がどのように考えておられるのか、残念ながら知ることはできませんでした。あるいは、大臣はさして重要な課題とは考えていないという気持ちを表明されたのであろうかというふうな思いがいたします。  社会労働委員会が厚生委員会と労働委員会に分かれてから、今回が三回目の厚生大臣の所信表明であります。前の二回の所信表明はどうだったか、ちょっと読んでみます。  平成四年、山下厚生大臣。   また、本年は、国連障害者の十年の最終年に当たります。ノーマライゼーションの理念に基づき、障害を持つ人も持たない人もともに生活し、活動できる社会を目指して、障害者の自立と社会参加を支援する各般の障害者対策を強力に推進していくとともに、最終年にふさわしい各種の事業を行ってまいります。  平成五年二月十八日、丹羽厚生大臣。   障害者対策に大きな成果を残した「国連・障害者の十年」は昨年をもって終了し、本年からは「アジア太平洋障害者の十年」が始まります。これまでの十年の成果などを踏まえ、障害者の方々のニーズに応じた対策を一層充実させるよう取り組んでまいります。こうおっしゃったわけであります。  そこで、昨年十一月、障害者基本法というものが制定されました。ことしは重要な節目の初年度であります。既に施行もされております。すなわち、障害者のための施策のあり方は画期的な新しい局面を迎えたことしであったはずであります。その最初の大臣の所信において、いいですか、「このほか、」の中で十数文字で済ませておられるんです。「このほか、」の中でですよ。一番最後の四、五行目あたりですよ。「このほか、」「やさしいまちづくりなどの障害者対策、中国残留」と、こうなるわけです。私は、大臣がこんなに障害者問題には冷たいのかということでがっかりいたしました。  この機会ですから、あの冒頭の長演説でなくてもいいですから、改めてひとつ基本的な障害者施策に関する大臣の気持ちを率直に私は聞きたいと思います。いかがですか。

大内啓伍改新厚生大臣

○国務大臣(大内啓伍君) 所信表明におきましては、御指摘のように確かに言葉は少ないのでございますが、実際に私どもがこの問題に対応している政策の中身というのは、平成六年度の予算案等もごらんいただいておわかりのとおり、これは最重要政策の一つとして位置づけておるわけでございます。特に、昨年十一月に御指摘のような障害者の基本法が成立いたしまして、この基本法に沿いましてあらゆるとり得る施策を展開したいと思って今頑張っているわけでございます。  厚生行政を預かる責任者といたしましては、障害者対策推進本部の副本部長でもございますし、さきに策定されました新長期計画あるいは今申し上げました障害者基本法、この趣旨を十分踏まえまして、これは厚生行政だけでできない分野が相当ございますので、各省庁との間にも緊密な連携、協議を重ねながら各種の施策の充実を図ってまいりたい、そう決意をしているわけでございます。  平成六年度予算におきましては、具体的には、一つは障害者にやさしいまちづくりの推進、これは厚生省だけではなくて運輸省も建設省もやっておりまして、これの一元化という問題が一つの課題として残っているわけでございます。私どもとしては、特に公共施設における点字ブロックの敷設あるいは段差の解消といったようなこと等を中心にいたしまして、やさしいまちづくりの推進を図る。あるいは二番目には、盲導犬の育成やリフトつきの福祉バスの運行、あるいは手話通訳の配置といったような障害者の社会参加の促進について努力をさせていただきたい。そして三つ目には、特に地域で利用しやすい施設の整備といたしまして、障害者が通所しあるいは作業やレクリエーションを行うデイサービスセンターの整備。そのほかいろいろございますが、それらの総合的な政策を障害者対策として平成六年度に推進したい。  具体的な中身はたくさんあるわけでございまして、そういうような印象を所信表明でお与えしたということについては深く反省をいたしまして、これから注意をさせていただきます。

前島英三郎自由民主党

○前島英三郎君 若干当事者でありますから、「このほか、」などとその中に取り込められてしまうのは何とも私は悲しい思いをしたことだけ申し上げておきたいと思います。  今回の障害者基本法成立の基礎的な条件の一つは、障害者に関するもろもろの施策が何でもかんでも厚生省という所管官庁からすべての省庁に解き放たれたということが重要だと思っているわけであります。各省庁が障害者のための諸施策をみずからの本来の任務の一部として正しく位置づけるようになってきたことが背景として大きくなったと考えております。  建設省が出したやさしいまちづくりの法律も通りました。あるいは情報の新しい法律も、福祉機器の開発の新しい法律も、いろんなものがそうやって出てくるわけでありまして、こうした状況をとらえてさらに政府全体として総合的、系統的かつ計画的に施策を推進していただくべく、我々は議員立法で大幅な見直しをしたわけであります。とはいえ、厚生省の役目が小さくなったわけでは決してないんですね。むしろ、かなめとして前にも増してより大きな役割が私は厚生省には求められると思います。  また、厚生行政の内部におきましても、第二条の定義規定の改正など施策のあり方を変革していく必要があるというふうに思うんです。大きく「「障害者」とはこと、精神障害者という新しい一つのカテゴリーも入りました。あるいは知的障害、そして身体障害、この三大カテゴリーのもとに新しい画期的な議員立法、その初年度でありますから、ひとつ厚生省としてこの議員立法の障害者基本法を、土井局長さんですか、どのように受けとめておられるか、伺いたいと思います。

土井豊厚生省社会・援護局長

○政府委員(土井豊君) ただいま前島先生がお話になりました障害者基本法、昨年議員立法で制定をしていただきまして、その中で法律の目的規定あるいは基本的理念に関する規定といったようなものを初めといたしまして、障害者の自立と社会経済活動への参加を促進すべく各般の規定が見直しをされているわけでございますが、私どももそのような基本的な立場に立ちまして施策の充実を図ってまいりたい、そのような姿勢で臨んでいるところでございます。  若干具体的に申しますと、一つには、公共施設の利用に関する規定、これが整備をされたことに伴いまして、関係省庁と連携をとりながら障害者にやさしいまちづくり推進事業、そういったことに取り組んでまいりたいと考えております。  二つには、情報の利用という面で規定が整備をされておりまして、聴覚障害者情報提供施設の整備等々、障害者による各種の情報利用に関する施策の推進に努めてまいりたいと考えております。  さらには、ただいまお話にもございましたが、障害者の定義規定が改定をされまして、精神障害者が法律上障害者の範囲として明定をされたことに伴いまして、精神障害者に対する各般の施策、とりわけ社会復帰施策の推進等に力を注いでまいりたい。そのようなことで、今後とも最大限の努力をしてまいるつもりでございます。

前島英三郎自由民主党

○前島英三郎君 画期的な内容の一つは障害者の定義の規定、先ほど申し上げましたが、特に精神障害者がこの法律の対象であることを明確にした点は極めて大きな意味を持っていると思います。  精神障害者のための施策としては、社会復帰及び福祉の充実が緊急の課題となっておるのは御承知のとおりでありますが、先ほど今井委員からもございました越川記念病院の甚だ残念なああいう事件も現状は起きているわけです。この事件は決して特殊な事件とは思えません。現在の精神保健行政の弱点、問題点が事件となってあらわれた、このように判断すべきだと思います。  このように、まだまだ多くの問題点と課題が残されております。障害者基本法の成立を受けて、この面で問題点の克服と施策の飛躍的な前進を図るべくぜひ御努力をいただきたいと思います。  精神障害者の社会復帰及び福祉施策につきましては、精神医療との関係を抜きにしては語れませんので、現在衆議院で審議しております健康保険法の改正案、この中にも我々は指摘したい部分がたくさんございますから、参議院に送られてまいりましたら角度を変えてやっていきたい、このようにも思っております。  さらにまた、てんかんとかあるいは自閉症の方々、あるいは身体や精神の障害を有する難病の方々、こういう方々も法律の中に含まれているんですぞということも改めてこの議員立法では附帯決議の中に明記いたしておりますので、どうぞきめの細かい精神障害者を初め日の当たらぬ人々のための施策を、この福祉ビジョンの中では障害者の問題も取り上げられてはおりますが、全体の中ではまだまだ小さい枠、私は高齢者福祉と障害者福祉というのはまさに両輪のようにやっていくべきだというふうに思っているんです。  お年寄りに住みよい町は障害者にも住みよい町、障害者に優しい町はお年寄りにも優しい町、車いすでも歩ける町、それは足腰が弱ったら車いすに乗っていただく、視力が落ちたら眼鏡をかけていただく、こういう感覚で、まさに障害者福祉と高齢者福祉というのはこれからの福祉ビジョンの中でもあるいはゴールドプランの中でもあるいは障害者基本法に基づくもろもろの施策の中でも、私は両輪のようにぜひやっていただきたいというふうに思うわけであります。  何よりもまた、今は情報化の時代でありますので、その情報という点ではこの基本法の中でも大変強くうたっているわけでありますが、実はきのう視覚障害者の団体の皆さんから、質問するならこんな項目を取り上げてほしいというメモをいただいたわけであります。  その第一の項目がこの点でございました。情報障害といわれる視覚障害者の情報環境を改善するため、全ての活字情報が墨字または音声で簡単に操作できる視覚障害者用情報端末機器を福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律を利用して開発していただきたい、日本は科学技術の国なんだから。また、視覚障害者向けの放送に対しても助成していただきたい。聴覚障害者の皆さんも同様な期待を持ってこういう要望、陳情を大変多く寄せられておるわけであります。ぜひこういう点も、これから福祉ビジョンの中あるいはゴールドプランの中あるいは障害者基本法の施策のあり方の中でも積極的に取り組んでいただきたい。  何よりもことしはアジア太平洋のいわば第二の十年であります。そのアジア太平洋の十年というのが国連・障害者の十年に比べて何となく鎮静化しているという思いもいたします。ちょうどあの十年が始まったときには障害者対策室が総理府にできて、児童家庭局長の瀬田さんが初代の対策室長になって、もうねじり鉢巻きで日本じゅうを飛び回ったことをきのうのように思い返すわけであります。あのころのエネルギーに比べて、このアジア太平洋の第二の十年というのは私は非常にさめた感じがあるように思います。  そういうことも踏まえて、先生方皆さんの熱い視線をいただいておりますが、最後に熱いお言葉を大臣から伺って、きょうの私の質問を終わります。

大内啓伍改新厚生大臣

○国務大臣(大内啓伍君) 高齢者対策と障害者対策は車の両輪である、こういう御指摘、大変感銘深く拝聴いたしました。私もそのような認識と決意に立ちまして、必ず御期待にこたえるように、単に厚生省のみならず政府全体で力を尽くしたいと考えております。  ありがとうございました。

前島英三郎自由民主党

○前島英三郎君 どうもありがとうございました。

会田長栄日本社会党・護憲民主連合

○委員長(会田長栄君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後八時二十九分散会      —————・—————

国会会議録検索システムで原文を見る ↗