外務委員会 第2号
- 発言数
- 156 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1994/06/03
会議録
○委員長(井上章平君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る五月十日、荒木清寛君が委員を辞任され、その補欠として常松克安君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(井上章平君) 国際情勢等に関する調査を議題といたします。 柿澤外務大臣から就任のごあいさつがあります。あわせて、所信を聴取いたします。柿澤外務大臣。
○国務大臣(柿澤弘治君) このたび外務大臣を拝命いたしました柿澤でございます。井上委員長初め外務委員会委員の皆様の御指導をお願い申し上げますとともに、あわせて所信の一端を申し述べたいと思います。 国際情勢は依然として変革期にありがちな不透明で流動的な状況にございます。北朝鮮の核兵器開発疑惑、旧ユーゴスラビア等での地域紛争、ロシア等の改革に伴う諸困難はその例であります。また、先進国経済は、ようやく回復の兆しが見られるものの、失業者の増加が深刻化するなど、平和と繁栄の確保のために克服していくべき数多くの問題が山積しております。 こうした点に関連いたしまして、幾つかの主要な国際問題につき申し上げたいと思います。 北朝鮮の核兵器開発疑惑につきましては、三月三十一日の国連安保理議長声明を受け、対話と協議による解決に向け努力が続けられてきたところであります。三月の査察において積み残しとなっていた査察はおおむね無事に終了したものの、IAEAによる努力にもかかわらず、北朝鮮が五メガワットの実験炉における燃料棒取り出し作業につき誠意ある対応をしなかったことから、五月三十日には、北朝鮮に対し、同実験炉における燃料棒取り出し作業はIAEAの保障措置に従った形でのみ行うこと等を要請する安保理議長声明が発出されるに至りました。 このような国際社会よりの呼びかけにもかかわらず、北朝鮮がIAEAとの合意に達しないまま、五メガワットの実験炉の燃料棒の取り出し作業を続行した結果、過去における右実験炉の燃料棒の軍事不転用を確認することが不可能となったことは極めて遺憾であります。 我が国としては、こうした事態を深く憂慮しており、今後の対応について、米国、韓国、中国を初めとする関係国と緊密に連携しつつ検討していく考えであります。 新たな国際情勢のもとにおいても、日米安保条約を基礎とする日米間の緊密な協力関係を維持し、発展させていくことが、我が国の外交の基軸をなすことにはいささかの変わりもありません。先ほど触れました北朝鮮の問題を初め、アジア・太平洋地域の平和と繁栄の確保等の主要外交課題や、環境、エイズ等の地球的規模の諸問題について、引き続き米国と緊密な意思疎通を維持し、日米パートナーシップの精神に立って政策協調を発展させていく所存であります。 さらに、日米経済関係の安定は、両国間の経済発展のみならず、世界経済の安定的発展に重要であり、とりわけ二月の日米首脳会談以降中断していた日米包括経済協議については、これを二国間経済関係を処理する主要な手段と位置づけ、その再開が日米経済全般、また、世界経済にとって極めて重要との認識のもと、建設的な雰囲気の中で非公式協議を続け、今回再開に合意いたしました。これをもって再び日米両国が相互信頼の基礎の上に交渉を行うことが可能となり、両国関係をめぐる雰囲気の改善にも役立つことを期待いたしております。 このような包括経済協議の再開という機会をも十分に活用しつつ、規制緩和を初めとする市場開放や、内需主導型の経済運営を進めてまいらなければなりません。特に、先般の対外経済改革要綱に従い、規制緩和等六月末までに検討の成果を取りまとめることとされているものにつきましては、真に実のあるものにすべく政府を挙げて最大限努力していくべきであります。 また、日ロ関係につきまして、我が国の対ロ外交の基本は、領土問題を解決し、平和条約を締結して日ロ関係の完全な正常化を達成するため最善の努力を払うとともに、国際協調のもと、ロシアの改革に対し、適切な支援を行うことであります。 昨年十月のエリツィン大統領の訪日により、今後の関係進展のための新たな基礎が築かれ、その成果は、日ロ両国首脳の署名した東京宣言に結実しております。その後も、種々のレベルを通じ、日ロ間の対話と交流はその幅を広げております。このような中、三月の羽田大臣の訪日においては、東京宣言を基礎として領土問題を含め両国関係をさらに進めていく決意を改めて確認いたしました。 ロシア情勢は、内外ともに引き続き困難で不透明な状況が続くものと予想されますが、日ロ関係の完全な正常化は、日ロ二国間のみならず、アジア・太平洋の平和と安定のために極めて重要であることは言うまでもありません。私としては、このために日ロ間の政治対話を一層促進し、両国にふさわしい協力関係の展望が開かれるよう全力を尽くす所存であります。 冷戦後の今日、国連の役割はますます重要であり、その機能を一層強化していく必要があるとの点において国際的に幅広い合意があります。安保理改組に関する動きもそのような背景のもとに活発化したものであります。また、こうした改革の流れの中で、我が国に対し、国連において、より大きな役割を果たすべしとの期待が高いことも客観的な事実であります。 我が国は安保理において、過去においても、カンボジア等における地域紛争の解決のために積極的な役割を果たしてきました。これからも、こうした過去の実績を生かし、真の世界平和の構築のために主体的に貢献していくことが必要であると考えております。我が国は、国連改革に積極的に取り組むとともに、このような姿勢に立ち、安保理常任理事国としても、世界の平和と安定のためになし得る限りの責任を果たしていきたいと考えております。 七年以上にわたって行われてまいりましたウルグアイ・ラウンド交渉が、去る四月のマラケシュ閣僚会合をもって正式に終了いたしました。交渉の成果は最終的に世界貿易機関を設立する協定として取りまとめられましたが、現在各国とも同協定の来年一月一日の発効を目指して国内手続を鋭意進めております。ガットに基づく多角的自由貿易体制のもとで経済発展を遂げてきた我が国にとって、この体制の維持強化に向けた国際社会の努力の結集であるこの協定の年内締結を目指すことは、国際社会に対する重大な責務であります。政府としては、この協定及び関連法案を本年中に国会に提出し、年内に成立を図るべく全力を挙げて努力したいと考えております。私は、この機会に、米問題などの困難を抱えながらも交渉をまとめるに当たり御理解と御協力を賜りました皆様に改めて深く感謝申し上げるとともに、世界貿易機関設立協定の締結についての国会の御承認を求める際には、委員の皆様の引き続いての御理解と御協力をお願いいたしたいと存じます。 ただいま申し述べましたような国際情勢の中で、我が国は、国際社会の責任ある一員として、世界が直面する問題を克服し、建設的で安定した国際関係を構築するため、これまでにも増して一層積極的な役割を果たしていかなければなりません。これは、まさに我が国自身の平和と繁栄を確保するためにも極めて重要であります。 このような問題意識を持って、私は、これまでの我が国の外交政策を継承し、さらに発展させていく決意であります。具体的には、次の分野で、能動的で創造的な外交を展開していく方針であります。 一に、世界経済のインフレなき持続的成長の確保、二に、地域紛争の解決を含め、世界平和の確保のため、国連を中心として進められる国際的努力の強化、三に、軍備管理・軍縮の一層の促進、四に、開発途上国及び旧社会主義国への支援、五に、地球環境といった地球規模の問題の解決などであります。 こうした方針に従って、私は、羽田内閣発足直後の五月二日から八日まで、エジプト、イスラエル、占領地、ジョルダン及びシリアを訪問しました。特にエジプトでは、イスラエル・PLO間のガザ・ジェリコ撤退合意署名式典に出席するとともに、クリストファー国務長官等と会談し、中東和平等について緊密な意見交換を行いました。また、先ほども触れました日米包括協議に関しましては、私自身カンター米国通商代表と数回にわたり電話で協議し、日米包括協議もようやく再開する運びとなった次第であります。 今日、外交と内政は一体であります。国際社会における我が国の立場と果たすべき役割について国民の御理解を得るためにも、本委員会での御議論は重要な役割を果たすものと確信しております。 私もその任務を全うすべく全力を尽くす決意でありますので、本委員会の皆様の御指導と御協力を賜りますよう心からお願いを申し上げます。 どうぞよろしくお願いいたします。
○委員長(井上章平君) 以上で柿澤外務大臣の所信表明は終わりました。 引き続き、平田外務政務次官から就任のごあいさつがあります。平田外務政務次官。
○政府委員(平田米男君) このたび外務政務次官に就任をいたしました平田米男でございます。一言ごあいさつ申し上げます。 冷戦終結後も北朝鮮の核兵器開発疑惑、核兵器等の拡散の危険を初め世界はさまざまな困難に直面をしております。これらの問題を克服し、より平和で、自由で、豊かな世界を築くことは我々に課された歴史的課題であると考えます。 今日、国際社会の中での我が国の存在は飛躍的に大きくなっており、我が国はこうした課題に取り組み、よりよき世界を築くため、経済、政治のみならず文化面においてもより能動的で創造的な役割を果たしていかなければなりません。 私が外務政務次官に就任いたしましてわずか一カ月足らずの間にも、五月十六日にはカリーモフ・ウズベキスタン大統領が訪日した際、日本に対し高い期待が表明されるのを直接伺いました。また、二十四日には広島で国連軍縮会議が開催され、私が日本政府代表として軍備管理・軍縮の重要性を訴える機会がありました。このように国際社会の我が国に対する期待と希望は高く、また、その中で我が国自身にとり外交のかじ取りがかつてないほど重要となっているときだけに、重い責任に身の引き締まる思いでございます。 このような考えのもと、私は柿澤外務大臣を補佐して職務を全うするため、全力を傾注する決意であります。 外交に精通しておられる井上章平委員長を初め本委員会の皆様の御指導と御協力を賜りますようお願いを申し上げまして、私の就任のごあいさつとさせていただきます。 よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――
○委員長(井上章平君) 次に、オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の改正の受諾について承認を求めるの件、国際電気通信連合憲章及び国際電気通信連合条約の締結について承認を求めるの件、国際電気通信連合憲章、国際電気通信連合条約及び業務規則に係る紛争の義務的解決に関する選択議定書の締結について承認を求めるの件、千九百九十三年の国際ココア協定の締結について承認を求めるの件、以上四件を一括して議題といたします。 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。柿澤外務大臣。
○国務大臣(柿澤弘治君) ただいま議題となりましたオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の改正の受諾について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 この改正は、平成四年十一月にコペンハーゲンで開催されたオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の締約国の第四回会合において採択されたものであります。 この改正は、オゾン層を保護するための措置を強化するとの観点から、生産、消費等の規制の対象となる物質の範囲を拡大すること等を目的とするものであります。 我が国がこの改正を受諾し、オゾン層の保護に関する国際的な取り組みに一層積極的に参加することは、環境保全の分野における国際協力を推進するとの見地から有意義であると認められます。 よって、ここに、この改正の受諾について御承認を求める次第であります。 次に、国際電気通信連合憲章及び国際電気通信連合条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 この憲章及びその補足文書として同時に一括して締結することが求められているこの条約は、平成四年十二月にジュネーブで開催された国際電気通信連合の全権委員会議において作成されたものであり、我が国は、同会議において同年十二月二十二日にこの憲章及び条約に署名しております。 この憲章及び条約は、千九百八十二年の国際電気通信条約にかわる国際電気通信連合の新たな文書であって、同連合の組織等に関する規定に所要の改正を加えたものであります。 我が国がこの憲章及び条約を締結することは、我が国の国際電気通信業務を引き続き円滑に運営し、また、電気通信分野における国際協力を一層推進する見地から有意義であると認められます。 よって、ここに、この憲章及び条約の締結について御承認を求める次第であります。 次に、国際電気通信連合憲章、国際電気通信連合条約及び業務規則に係る紛争の義務的解決に関する選択議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 この選択議定書は、平成四年十二月にジュネーブで開催された国際電気通信連合の全権委員会議において作成されたものであり、我が国は、同会議において同年十二月二十二日にこの選択議定書に署名しております。 この選択議定書は、現行の紛争の義務的解決に関する選択追加議定書にかわるものであって、国際電気通信連合憲章等の解釈または適用に関する紛争をいずれか一万の紛争当事国の請求により義務的仲裁に付することができるようにするものであります。 我が国がこの選択議定書を締結することは、電気通信分野における国際協力を一層推進する見地から有意義であると認められます。 よって、ここに、この選択議定書の締結について御承認を求める次第であります。 最後に、千九百九十三年の国際ココア協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 この協定は、千九百八十六年の国際ココア協定にかわるものとして、平成五年七月十六日に、ジュネーブで開催された国際連合ココア会議において採択されたものであります。 この協定は、国際ココア機関の加盟輸出国による生産管理、すべての加盟国による消費振興、加盟国間の情報の交換等によって世界のココア市場の安定に寄与することを目的とするものであります。 我が国は、千九百七十二年の協定以来、国際ココア協定の締約国となっており、我が国がこの協定を締結することは、世界のココア市場の安定に寄与するとともに、開発途上にあるココア生産国の経済発展に引き続き協力する等の見地から有意義であると認められます。 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。 以上四件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いをいたします。
○委員長(井上章平君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 これより四件の質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○成瀬守重君 柿澤外務大臣が初めてこの委員会に大臣として所信表明をされました。私どもとしてはもうこれだけで本来なら時間をとっていろいろと大臣にお伺いしたいことがある、先ほども理事会において理事の方の中からもそういう声がございましたが、国会の日程上、四件の条約と抱き合わせでいろいろの面でお伺いしなければならない、まことに残念でございますが、まずお伺いしたいと思います。 今から十六年前の一九七八年に、日本に大きな衝撃を与えた二つの外交上の出来事がございました。一つは日中平和友好条約の調印であり、いま一つは日本の安保理事国選挙での敗退でございます。 この当時、大臣はどのようなお立場でしたか。
○国務大臣(柿澤弘治君) この参議院に在籍をしていたと思います。
○成瀬守重君 この年、日本は七九年から八〇年の安保理理事国選挙に立候補して、アジアの国々に統一候補として支持していただきたいと要請しましたが、バングラデシュが立候補したために非常に苦しい立場に追い込まれたと聞いております。 バングラデシュは、大臣も御存じのように、七一年の十二月にパキスタンから分離独立した新興国で、しかも当時は一人当たりの国民所得が年間わずか八十三ドルと世界でも最も貧しい国の一つで、国連の分担金や経済協力など国際協力の貢献度は日本とは比較にならない国でした、こういうぐあいに承っております。その前年の一九七七年の十月末に日本の外貨準備高は史上最高の百九十五億七千七百万ドルと大蔵省は発表しておりますが、この当時我が国の外務省は、国力の差だとか、在外公館数、世界の国々と結んできた外交関係、集票協力のための代償など、あらゆる点から見て有利と分析したと思います。 ところが、選挙結果は、第一回でバングラデシュが八十四票となったのに対し日本は六十五票、第二回投票では八十七票対六十一票と差が開いて、この段階で日本は立候補辞退宣言を行って、バングラデシュの当選が確定したと伺っております。 なぜ、日本は敗れたか。柿澤外務大臣は外交通と自認なさっていらっしゃるようですが、当然この出来事は御存じでいらっしゃると思いますが、なぜ日本はバングラデシュに敗れたか、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(柿澤弘治君) その段階で私は直接外交には携わっておりませんでしたが、やはり安保理理事国選挙でバングラデシュに敗れたことは私にとっても衝撃的な事件だったと今でも記憶をいたしております。 その原因につきましてはいろいろな分析があろうかと思いますが、一つは、アジア諸国の支持を十分に固め得なかったこと、またバングラデシュはイスラム系の国として日本よりも幅広い支持を得ることができたこと、それに加えまして、やはり日本として国連の分担金その他ではある程度の金額には達しておりましたけれどもまだまだ国際社会においてさまざまな分野での貢献が十分に理解をされていなかった、また我が国としての努力も足りなかったということではなかったかと存じます。
○成瀬守重君 私は、日本の惨敗、まさに惨敗だと思うんですけれども、これはアジアを初め第三世界の国々から、ただいま外務大臣のおっしゃるようないろんな事情もあったと思いますが、基本的な面では信頼されていなかったんじゃないか、私はそういうぐあいに考えるわけです。 確かに、日本は世界の国々や発展途上国に対して、まあ今日ほど多額な資金援助や莫大な開発援助をしていませんでしたけれども、やはりアジアの国々に対しての協力体制はあったと思います。また、そういった中でアジアを初め第三世界の国々、そういった国々が日本を信頼して安保理で活躍してください、日本を頼りにしていますよというような一票を入れてくれなかった、これはやっぱり何といってもそういった面での日本に対する信頼の欠如というものが大きく影響したんじゃないか。 バングラデシュは、近隣諸国やあるいはバングラデシュを支援した多くの国々に対して、経済的な面あるいは軍事的な面での貢献度というものは私はなかったと思うんです。今、外務大臣はイスラムというような宗教上の一致というものもあったとおっしゃいましたけれども、もちろんそれもあったでしょうけれども、イスラムの画すべてが私は応援したとは思わないんです。 しかしながら、第三世界の国々、こういった国々は民族問題や経済問題などでさまざまな国際紛争に見舞われるんですが、日本に頼るよりもバングラデシュを応援した方が我々のためになるんじゃないか、そういった考え方が第三世界の国々の人たちにあったんじゃないか。外交力という点からいったら私は日本の方がはるかにあったし多くとったと思いますけれども、ただ一点、私は、日本はアメリカやヨーロッパの先進諸国とかなり考え方が一緒であり協調的な姿をとった。それに対して、多くのバングラデシュを支持した国々が、そういった面で自分たちとは日本は違うんじゃないか、バングラデシュの方が自分たちの頼りになるんじゃないか、そういった信頼関係というものがこういった投票行動にあらわれたんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(柿澤弘治君) 成瀬先生御指摘のような問題も確かにあったと存じますが、同時に、当時はまだ国際社会が南北問題という問題が非常に深刻な事態でございまして、我が国としては、戦後の復興過程でいわば発展途上国的な経済的なレベルから先進国レベルへ到達をして、ある意味で先進国としても十分ではないし途上国の仲間でもないという非常に難しい時期にあったという点も影響しているかと思います。 その意味で、その後の情勢は大きく変わってきておりまして、南北問題または自由主義圏対社会主義圏という対立も従来とは様想を異にしてきておりますし、我が国としては先進国の仲間入りをしながら開発途上国の立場にも立ったいろいろな活動もしてきております。 その意味では、そのときの反省にも立って努力をしてきた結果、その後、非常任理事国としては七回にわたって選ばれてきておりまして、これは世界の非常任理事国の中でも最多の回数の中に入るであろうと。その意味でも、その後の我々の努力が実を結んできているというふうに考えております。
○成瀬守重君 確かに今、大臣のおっしゃるように、その後、日本は非常任理事国として選ばれてまいりましたけれども、しかしながら、その当時の時点において私も非常に大きなショックを受けて感じたわけですけれども、そのときに、やはり何といっても国と国とのつき合いの関係というものは、三木元総理が言われたように、信なければ立たずという言葉がありますけれども、やっぱり信頼関係というものは非常に大事じゃないかと。確かに国際関係というのは南北関係やあるいはさまざまな複雑な要素が絡み合っておりますけれども、しかしながらその根本には、この国をサポートしてこの国に協力して一票を投ずれば、その国が我々のためにも骨を折ってくれるんじゃないかと。やはり経済的な援助とかそういったものも大事だけれども、それ以上に人間的な触れ合いや協力関係というものが大きくそういう国際社会での活動に影響するのではないかということを痛切に感じたわけです。 丹波局長にちょっと伺いますけれども、非同盟諸国というのは今どれぐらい国連の議席の中でありますか、大体。アバウトで結構です。
○政府委員(丹波實君) 突然の御質問でございますけれども、現在、国連加盟国百八十四カ国ございますけれども、分け方にもよりますけれども、百カ国を相当上回るのではないかというふうに考えております。
○成瀬守重君 やはりそういった国々と日本との信頼関係というのは、私はこれは大きな今後の、今いろんな新聞やテレビや、またこの委員会や予算委員会等においても我が国の常任理事国入りという問題がいろいろな面で議論もされ望まれておりますし、私も日本が常任理事国として国連の場において国際貢献しその責任を果たすということを願うものでございますが、しかしながら、その基本となる我が国の外交姿勢、特に外交担当者の中にそういった面での信頼関係というものが本当に培われなかったならば、幾らいろいろな条約とかあるいは借款だとか政府開発援助を行ってみても、いつどこでどういうぐあいになるのかわからないというような疑念というか不安を持たれるんじゃないかと。 そういう意味で、大臣、まことに失礼ではございますけれどもお伺いしたいんですが、あなたは五月二十日の参議院予算委員会で我が党の前島英三郎議員の質問に答えて、「外交の基本は、国と国との信頼関係、そして国民と国民との信頼関係を確立して紛争のない平和な社会をつくるということであろうかと思っております。」と言われました。私もまさにそのとおりだと思うんです。続いて前島議員が、「三月に、自民党を代表してあなたは外交問題に大きく時間を割いた質問を衆議院本会議で行いました。そして、大いに羽田外交への批判を行った。そのわずか二カ月後に、批判した相手の連立内閣の閣僚、それも外務大臣に就任するということが世界各国の人々に理解され信頼されるとお思いかどうか、伺いたい。」という質問をしました。私ももう一度この場において、大変失礼ではございますが、外務大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(柿澤弘治君) 私の政治姿勢についていろいろと御批判をいただいていることは私の不徳のいたすところと思っております。 ただ、私なりに御説明をさせていただきますれば、三月に確かに自民党を代表して代表質問をいたしました。その中では、連立内閣としての弱点といいますか、を指摘して、なかなか政治改革が実現した後の外交政策や経済政策について合意が得られない、合意がおくれるという点を主として指摘したつもりでございます。 例えば、日米包括経済協議について十分な政治的なリーダーシップが発揮されないままに総理が訪米をされる、そしてノーと言って帰ってくる、これは我が国にとってもゆゆしき大事であるということを申し上げたつもりでございまして、そしてそのときに私なりの幾つかの具体的な提案をさせていただきました。数値目標は受け入れるわけにはいかないけれども、何らかの定量的な基準も含めた客観基準というものを日米の間で合意することが必要だということを訴えたつもりでございます。そして、羽田外交は批判をしておりませんが、そうした連立内閣の政策合意の十分でない内閣の弱点というものは指摘したつもりでございます。 今回、図らずも政党構造の再編成の中で連立内閣の一員として加えていただきまして、外務大臣の要職を与えていただいたことは、私にとってはその責任の重さを痛感いたしております。その点もございまして、日米包括協議についてはできるだけ早く再開をしていきたいということで私も努力をし、羽田総理の御指導のもとで早期の再開にこぎつけることができた、その意味では三月に私が主張したことが一歩前へ前進したということを感じておりまして、さらにまだまだこれから努力を積み重ねなければいけないと思っておりますが、そこで指摘した点については単なる批判に終わらずに、むしろ建設的な批判として実現させるべく今後努力をしていきたいというふうに思っております。
○成瀬守重君 確かにそのような意味の御発言も承りました。と同時に、このような発言もなさっていらっしゃいます。「私も長い間ヨーロッパで生活をいたしておりましたが、連立政権というものが常態化している国がたくさんございます。そうした中で、野党のときに連立政権を批判し、そして連立の組みかえのときに自分の志を生かすべく、政策を生かすべく新しい内閣に参画をするということはしばしばあることでございまして、これが連立の時代の政治家の自分の志を生かすやり方であろうと考えております。」と、大臣、あなたはこのようにお答えになっていらっしゃいますが、このお考え方は今でもお変わりございませんか。
○国務大臣(柿澤弘治君) 冷戦構造が崩壊して価値観が多様化する中で、政治のあり方も大きく変わりつつございます。そうした中で、一つの現象として多党化現象というものが進んできていることは、日本だけではなく一つの世界的な流れであろうかと思います。もちろん従来どおりの政党構造を持っているところも、維持しているところもございますので、一般論としてすべてをカバーすることはできませんが、その場合にはいろいろな形で連立の枠組みが変わりながらそれぞれが自分の政策や意思を生かしていくということはヨーロッパの諸国ではまま見られることでございまして、私はベルギーに四年生活をしておりましたが、一年に二回ぐらい政権交代があります。外務大臣が総理大臣になったり、総理大臣がほかの大臣になったりというようなことで、組み合わせが変わることをずっと見てきておりましたので、それをそこで若干申し述べた次第でございます。
○成瀬守重君 確かに、おっしゃるようにヨーロッパ社会においてはそういったことも見られることは私も承知しておりますが、日本人のシンパシーにはなかなかまだちょっとなじみにくい点があるように思います。 それはともかくとして、大臣、あなたが渡辺元外務大臣や伊吹衆議院議員とお書きになられた「新保守革命」という本の中で、私の考えも本書の提言の中に盛られているとお書きになっていらっしゃいますが、この本の中に、「国際社会での役割を責任を持って果たすため、国連の安全保障理事会常任理事国入りを実現し、国際社会での意思決定へ積極的な参画をはかる。」という提言があります。 私も同感でありますが、ところが、大臣、あなたは三月七日に自民党の代表として衆議院の本会議で代表質問された中で、「現政権」、これは羽田内閣ではなくて細川内閣ですが、「現政権には、我が国が国連の安保理に入ることについて否定的な意見があると聞いておりますが、これも国際連盟を脱退したときの孤立主義と相通ずるものがないとは言えないでしょう。」と、批判していらっしゃいます。 大臣、いわゆる我が国が安保理に入るということについて消極的というか否定的な考えが細川政権にあったわけですけれども、そうすると、その後もちろん総理は細川首相から羽田首相に変わったわけですけれども、我が国が安保理に入ることについての否定的な意見があるという閣僚といいますか、あるいはそのグループといいますか、そういった意見の方は大臣がお入りになられたことによってやめられたわけですか、どうなんですか。
○国務大臣(柿澤弘治君) この公の席で特定の政党または個人の方の名前を申し上げるのは恐縮かと思いますので差し控えたいと思いますが、羽田内閣になってその点では細川内閣のときよりも前向きになっているのではないか、羽田総理の御発言を伺いながら、そう考えておりますし、それは私の考えにも近いと思っております。
○成瀬守重君 私は今のお考えを聞いて、一つには安心し、一つにはちょっと不安に思ったんです。ということは、そういった考えがあろうとなかろうと入ってやるということは、そういった考え方を克服できる自信がおありなのか、それともそういった考え方の人がいなくなったから入って志を遂げられるようになるんだと、そういうお考えなのか、その点をもう一回、ちょっとお伺いしたいんですが。特定の個人の名前やグループの名前は結構です。
○国務大臣(柿澤弘治君) 私並びに私の同志である七人の者でございますが、自由党という小さな政党を設立いたしましたときに、ちょうど同じころ、連立与党側は大変御苦労をされながら七項目の合意確認書というものをおつくりになりました。これは細川内閣が誕生したときの非常に大まかなといいますか、大枠の政策合意に比べればかなり踏み込んだ内容のものになっておりまして、私はそれなりの評価ができるものであったというふうに考えました。 そうした段階で、羽田総理候補から自由党に対して話し合いをしようという働きかけをいただきまして、政策についての話し合いをいたしました。そして、私の方は、合意書は前向きに評価できるものだと。ただ、三点について私どもの意見を申し上げたいということで申し上げましたところ、羽田総理候補、当時でございますが、それは我々も同感だと、政策が合意ができるならぜひ協力をしてほしいというお話がありましたので、私たちは羽田総理の名前を首班指名で書かせていただいたわけでございます。 そこから先のことはもう私のそのときの想像を超える状況でございまして、今、成瀬先生がおっしゃったようなことを想定して行動したわけではないということは御理解いただきたいと思います。
○成瀬守重君 多分そういうお答えが返ってくるんじゃないかとも思っておったわけですが、そうしますと、政局がどういうぐあいに動くかわかりませんけれども、もしそういった我が国が安保理に入ることに対して否定的な見解を持った個人あるいはグループ、まあグループがどうかはわかりませんけれども、再び政権に入るというようなことになって、しかもそれが同じ政権の中でいらっしゃるということになると、ほかの大臣の方はいいでしょうけれども外交を主管とされる外務大臣としては非常に悩まれるんじゃないかと。ある意味においては自分の恋とかあるいは自分の願った政策が、それも軽い政策じゃないわけです、非常に大きな政策ですが、それが実現できなくなるような事態が起きないとも限らないと私は思うんですが、そういった場合、大臣としてはどうなさいますか。
○国務大臣(柿澤弘治君) 私の任命権者は総理大臣でございますので、その点は総理大臣の御判断にまちたいと思いますが、一つだけつけ加えますと、昨年からことしにかけて、国際社会においてもまた我が国の国内においても、日本が国連改革の中で積極的な役割を果たし、またそれに国力に相応した責任を果たしていくということに対する理解が随分深まってきているように思います。その意味では安保理常任理事国になるという、これは選挙運動と違いますので、なりたいなりたいと余りえげつなくやるものではないと思っておりますが、国際社会また国内における世論はそういう方向に進んできているのではないか。 ただ、一つの懸念は、国連常任理事国になったときにどこまで軍事的な責任を負わされるのか、またどこまで責任を負うべきなのかという議論について一抹の不安があろうかと思いますが、この点については国連の事務総長も決して日本の憲法のもとで常任理事国としての責任が果たせないものではないということをおっしゃっていただいておりますので、私どもはそうした方向で、日本は日本なりの平和に対する貢献ができるというふうに考えております。
○成瀬守重君 アメリカでは大統領も議会も基本的には日本の常任理事国入りを支持していると聞いておりますが、しかし一九九四年一月二十八日、アメリカ上院は、軍事作戦参加が絶対条件で、日本とドイツの常任理事国入りに関し、アメリカ政府は両国が国連の軍事作戦に参加し、軍事的責任を果たすことが可能になるまで支援すべきではないとする決議を全会一致で可決したと。しかも、提案者のロス上院議員は、両国は常任理事国になる前にまず常任理事国としての全責任の遂行を妨げる障壁を取り除くべきだと強調したと聞いております。この日本における障壁というのは恐らく現行憲法のことだろうと思いますが、こういった事実があったのかどうか、ちょっと伺いたいと思いますが。
○政府委員(野上義二君) ただいま先生御指摘の決議は、先生御指摘のように本年一月二十八日、米国の上院において上院の意見、センス・オブ・ザ・セネトと言っておりますけれども、上院の意見として採択されたものでございます。 その中で、主要点は二点でございますけれども、一点は、原則的に米国は日独の安保理常任理事国入りを支持すべきである、第二点は、両国とも現常任理事国が受け入れている責任を全面的に果たすべきである、この二点でございます。 私どもの考えでは、現在の常任理事国が果たしている責務というのは日本として果たせるという解釈をとっております。
○成瀬守重君 この点につきまして、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(柿澤弘治君) 成瀬先生も御承知のとおり、アメリカの上院下院は決議をたくさん出しますので、もうその意味ではその決議の中の一つということで、私どもが考えているよりもその重要性というのは若干低いんじゃないかと思います。しかし、そういう意見があることは事実でございますが、私も国際社会、いろんな形で今までかかわってまいりましたけれども、決して今の上院の決議が世界の多数意見であるとは考えておりません。また、国連事務総長は、再度にわたってその点をきちっと説明をしておられます。 また、御承知のとおり、常任理事国の中でPKOその他に必ずしも積極的に参加してない国はたくさんございます。今回のソマリアでもアメリカは犠牲者が出たときに直ちに引き揚げました。しかし、それだから常任理事国として責任が果たせていないとアメリカを非難する国もないわけでございますので、そうしたことは懸念をすることはないのではないかと思っております。
○成瀬守重君 五月十三日の参議院の本会議で、我が党の平井卓志両院議員会長が代表質問されまして、それに対して羽田総理は、「軍事的な責務につきましては、現行の国連憲章のもとで我が国は安保理常任理事国となったといたしましても、追加的に我が国の憲法上問題となるような具体的な法的義務、これを負うことは通常想定されておりません。この点はブトロス・ガリ国連事務総長が昨年十二月に来日された際繰り返し指摘されたところであります。」と、答えておられます。 どうも何か羽田総理のお答えを聞いておりますと、丹波条約局長が総理にかわられて何かお答えになっているような、そういったような感じがするわけですが、それはともかくとして、私の頭の悪いせいかどうかしりませんけれども、非常にわかりにくいお答えだと思うんですが、さっきの上院の決議と今の羽田総理のお答えになられたようなそういったこと、これは法的な形では問題はないと言うけれども、現実的にも問題はございませんか。
○政府委員(丹波實君) 具体的には、問題になっておりますのは国連憲章第七章の四十二条、四十三条が定めますところの集団安全保障のいわば核心をなしますところの軍事的な措置についての問題だろうと思いますけれども、四十二条におきまして安保理が軍事的措置を定める、それは四十三条によって成立する国連軍というものを前提にして考えられておる場合が多いわけですが、その場合、この国連軍、いわゆる括弧づきの国連軍に参加するかしないか、あるいはいかなる態様で参加するかということにつきましては、必ずしも義務になっておるわけではないと。 したがいまして、この義務になっておるわけではないという点は、通常の加盟国であれ、あるいは非常任理事国であれ、あるいは常任理事国であれ、この三つに差別なく必ずしも義務にはなっておるわけではないという意味で整理した考え方を総理が申しておられるわけでございまして、少なくとも国連憲章の解釈といたしましては、国連の安保理の常任理事国になるから即座にこの四十三条上の何かの義務を負うという形には、そういう仕組みにはなっておりませんということを申し上げておる次第でございます。 一言つけ加えさせていただきますと、現在の安全保障理事会の任務、責任というものは冷戦後非常に広く考えられておりまして、その中には環境とか人権とか難民とかいろんなものが広く入ってきておりまして、私は、各国がそういう中に入ってきて自分の国の得意とする分野で全力を挙げるということであれば、それは国際社会に十分受け入れられる姿勢であり考え方であるというふうに考えておる次第でございます。
○成瀬守重君 もう少し後で伺ってそういう答えをいただこうと思ったら、先に言われちゃったのであれですけれども。 もう一つ、国連財政についてちょっと伺いたいんです。 一九九二年から九三年の国連の通常予算では二十四億六千八百三万九千二百ドル、一ドル百円計算で換算すると約二千四百億円と伺っておりますが、二年間を一単位としているのか、一年分に換算しますと約千二百億円。日本の人口二十万大規模の地方都市ぐらいの予算だそうですが、加盟各国の分担金で賄われているようですが、一九九二年から九四年で第一位がアメリカで約三億ドル、全体の二五%。第二位が日本で一億二千七百五万ドル。続いてドイツ、ロシア、フランス、イギリスという順番になっているようですが、こういった分担率というものは一体どこでどのような形で決められるのか、ちょっと伺いたいと思います。
○政府委員(高野幸二郎君) 基本的には加盟国の支払い能力に応じて定めるという考え方でございまして、具体的に申し上げますと、各国の国民所得等に基づいて一定の計算を行いまして、三年ごとに国連総会において決定されているということでございます。 今お話しのありました数字につきましては、九一年の国連総会で決められておりまして、九二年、九三年、九四年ということで三年間適用されております。
○成瀬守重君 そうすると、案は委員会でつくって総会で決定するわけですね。
○政府委員(高野幸二郎君) さようでございます。
○成瀬守重君 これはその国の、例えば理事国に入るとか常任理事国に入るとかそういったものとは全く関係なく、その国の経済力で決められるわけですか。
○政府委員(高野幸二郎君) 先ほど申し上げましたのは国連の通常分担金の話でございまして、今の御質問の絡みで申し上げますと、義務経費といたしましてPKOの分担金というのがございます。こちらの方は安全保障理事会の常任理事国につきましては調整されまして少し上乗せが来るということで、例えばアメリカの場合、通常分担金の分担率は二五%でございますが、PKOになりますと少し上積みが来ますので、三一%をちょっと超えるというふうなことになっております。
○成瀬守重君 その次に、ただ常任理事国になればいいというものじゃなくて、理事国になったら一体どのようなことをしたらいいのか、どのような形で国際貢献したらいいかということをお伺いしょうと思っていたら、丹波局長が非常に先見力があって先にお答えいただいたようですが、それはともかくとして、そういったことだけで先ほどの軍事的な貢献という問題を我が国が担わなくてもいいのか、そういった面についての不安は恐らく国民の皆さん方に常につきまとっている問題だと思います。 そういった面で、これに対して大臣からもお答えがあったし、また丹波局長からもさまざまな分野でのそういった貢献の道があるということをお教えいただきましたけれども、しかしながら、これからますます多様化する国連を中心とする活動というものに我が国がその中で活躍するということは望ましいことだと私も考えていますが、そういった面において我が国がその中で活躍するには、特に常任理事国という世界の運命を左右するような中に入る以上はやはり信頼関係をきちっとした形で確立していくことが大事じゃないかと。 そういう意味において、大変失礼な言い方ですが、先ほど私は大臣に対して申し上げましたけれども、今後ともそういう意味での、国連ところか日本の各界各層の信頼関係を確立する、そういった意味での御努力をいただいて、内外ともに皆から信頼される外務大臣としてのお働きをぜひお願いしたい、そういうことを私は申し上げまして、大変申しわけございませんがこの問題を打ち切らせていただき、続いてオゾン層の保護あるいは国際電気通信条約、この問題についても質問したいんですが、ちょうど時間がなくなったようでございますので、これで質問を打ち切らせていただきます。
○笠原潤一君 自民党の笠原潤一であります。 まずもちまして、柿澤外務大臣御就任おめでとうございます。あなたは非常に外交政策に詳しいというお話を聞いておりましたし、いずれかは外務大臣におなりになる、こう信じておったものですから、このたびの御就任、大変私は期待いたしております。 しかし、大臣、今、世界を取り巻く情勢というのは非常に厳しいわけでありまして、かつてないくらいいろいろな諸問題がここ一年の間に起きております。なかんずく、今一番大きな問題はアジア北東部における問題でありまして、この問題は一歩誤ると大変なことになる、こういうことを大変懸念いたしておるわけです。そういう点で、私は、我が国のとるべき道、それにもしも誤りがあった場合はそれは大変なことになるだろう、こう信じて疑いません。 きのう、あなたは中国の外務次官とお会いになっております。そのことについて内容をお聞かせいただければありがたいと思います。
○国務大臣(柿澤弘治君) 中国の唐家雅外務次官とは長い友人でございましたが、今回は次官レベルの協議ということで日本へおいでになりました。しかし、ちょうど北朝鮮の核開発疑惑の問題が厳しい状況に立ち至っておりましたので、あえて国会の会期中でございましたが会談をいたしました。そして、この問題について意見の交換をしたわけでございます。 我が国としては、話し合いによる解決を望む、そして北朝鮮がIAEAの査察を受け入れてNPTの加盟国としての責任を果たしてもらいたい、そして核不拡散体制の崩壊を防ぐ、そして北東アジアの安全のためにそうした疑惑を晴らしてもらいたいと真剣に考えているということを申し述べ、中国の御協力もお願いをしたいということを言いました。中国側からは、中国としても、北朝鮮がまた朝鮮半島が核保有の地域になるということは望んでいない、その意味では国際社会と協力してできるだけ努力をするつもりであるということをおっしゃっておられました。またあわせて、しかし朝鮮半島における平和と安全というものにも関心を持っている、その意味では北朝鮮の核開発疑惑の解消と安全というものとをどう両立させていくかというのが中国の考え方であるという説明がございましたので、私どもは、それには同意できるものでございます、その点で今後とも協力し合い、意見の交換をし合って協力していこうということをお互いに誓い合って別れたわけでございます。
○笠原潤一君 実は、きのう、御承知のように、韓国の金泳三大統領とエリツィン大統領が会談してお互いに協定書を結びましたね。その中でエリツィン大統領は、もし核の問題がこれ以上問題になれば北朝鮮に対するいろいろな軍事物資の調達等も行わないということを言っていましたね。さらに、その中でエリツィン大統領は、北朝鮮との国交条約はもう死文化しているんだということを言っているわけです。ロシアですらもそうなっておるんです。 今IAEAの査察を北朝鮮が拒否したわけですよ。今伝えられるところによれば、核燃料棒の抜き取り作業はもう半分以上進んでいる。そしてもうそれが実際に行われておって、もし核爆弾なりあるいはそういうものを北朝鮮が持ったとするならば、これはもう当然国連は制裁に踏み切ることは間違いないし、もう今そういうことをガリ事務総長も言っておるわけですから、その場合に日本は一体どういう立場をとるのか、その点を外務大臣にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(柿澤弘治君) これも羽田総理大臣が再三にわたって答弁をいたしておりますが、我が国としてはあくまでも話し合いによる解決を引き続き模索をしていく、そしてそのために関係諸国と協力をしていくという立場でございますので、国連において制裁その他の議論が行われる前に、公の場で我が国としてどうこうということを議論することは差し控えたいと申し上げておりますので、お許しをいただきたいと存じます。
○笠原潤一君 まあそれはそうでしょう。 ところで、これまた報道によれば、この北朝鮮が開発したノドンですね、これの弾道の距離というのは大体関西以降だという話です。したがって、もしも一朝有事になった場合に我が国に対してそういうものが発射された場合の問題があると思うのです。これは仮定の問題ですがね。 この前もペリー国防長官でしたか、ソウルへ行かれまして、北朝鮮は核爆弾は二個持っているんだ、こういうことをおっしゃっておりましたね、新聞の報道によりますと。これは、米国がそういうことを言っておるということは、私どもはそれはもうその報道でしか知りませんけれども、果たしてそれは本当に核兵器を持っておるのかどうかということを、外務省としてはそれを承知しておるというか、そういうことは認識されておるんですか、どうですか。
○国務大臣(柿澤弘治君) 事実関係でございますので、アジア局長から。
○政府委員(川島裕君) お答え申し上げます。 米情報関係者が、北朝鮮が一、二個の核兵器をつくるのに十分な量のプルトニウムを保有している可能性があると言ったわけでございまして、その可能性があるというところまででございます。それからもう一つ、プルトニウムまでで、果たしてそれが核兵器になっているかということはまた別の問題でございます。いずれにいたしましても、日本自身としてはこれを保有しているか保有していないかということについては確言できないわけでございます。 ただ、いずれにいたしましても重要なのは、持っているか持ってないかではなくて、とにかく北朝鮮が査察を完全に受けて核疑惑を完全に晴らしてもらう、これが一番重要だろうと、そういうふうに考えておるわけでございます。
○笠原潤一君 それは当然だと私も思います。だからこそIAEAの査察を受け入れるべきであるし、中国とかあるいはロシアもそれを大変心配しておるわけであります。もちろん米国もそうですが。本当にそういう意味で、アジア北東部の非常な脅威といいますか、それに対する我が国国民のやっぱり疑念もあると思うんです。先般の連立のお互いの合意の中でもそれがあったわけですから、北朝鮮の問題については。 したがって、日本国民も非常にそういう点では心配をしておるんじゃないか。そういう点では我が国がそういう疑念がないということをやっぱり国民に知らしめることがいわゆる国の安定だと思うし、そのために外交があるわけですから、そういう意味であらゆるルートを使ってそういうものに対する対処をしてもらいたい、こう思うんです。その点はどうですか。
○国務大臣(柿澤弘治君) 先生、おっしゃるとおりでございまして、その点で疑念を晴らしていただく最良の方法はIAEAの査察のもとでその過程を検証してもらうことだというふうに思っておりますので、これから安保理で議論をされることになると思いますが、できるだけ北朝鮮がそれに従って、IAEAのメンバー国としての責任を果たしてもらうということを期待いたしております。
○笠原潤一君 そこで問題は、この北朝鮮に有事が起こらないことを私も一番期待しておりますけれども、今非常に心配されてきておるのは、きのうのテレビでしたか、例えば前の駐北朝鮮ロシア大使が、いやもう北朝鮮側は核兵器をつくる意思は十分にあると、それを持ちたいという意思が十分にあるということを言っておりましたですね、きのうのテレビの報道の中で。そうしてさらにきのうのテレビの報道によると、ロシアの国際核研究所に過去三十八年間に百五十人の研究員を受け入れている。それだけ受け入れていれば、それはもう核兵器をつくるのに十分のいわゆる技術力を持っていると思うんですよ。 したがって、そういう問題がある限りは、やっぱり国際的にそういう懸念がある問題を払拭させるためにはかつて金丸さんと田邊さんというのが北朝鮮に行ったでしょう。日本は、北朝鮮に対してはほとんどコネクションといいますか、そういうものはないわけですね、今実際に。したがって、だれかがやっぱり北朝鮮とお互いに腹を割って話し合って、やっぱりその問題に積極的に取り組む方法を日本も考えなきゃならぬと思うんですよ。そういう点では、そういう金丸・田邊ミッションと違ってまたある意味では非常にそういうルートを持っている人たちもおると思うんですけれども、そういうのをやはり大いに積極的に活用する必要があると思うんですが、その点はどうですか。
○国務大臣(柿澤弘治君) 我が国は、一昨年の十一月に日朝国交正常化交渉が断絶して以来、公式の接触のルートは断たれているわけでございます。しかしながら、北京やニューヨーク等でさまざまな形で先方とも接触をする努力はいたしておりますが、現在北朝鮮側は米朝交渉というものを重視しておりまして、我が国との話し合いを再開する機運には残念ながらないというのが事実でございます。政府としては、今後とも核疑惑の解消を先方が誠意を持って努力してくれるなら、心を開いて北朝鮮とは話し合いをしていきたいというふうに考えております。 それから、これは政府の立場でコメントすべきことではございませんけれども、最近自民党の有志の議員の方、社会党の有志の議員の方がいらっしゃるということも伺っております。その意味では、我が国の国民の希望を先方に伝えていただけるなら、これは大変いい機会ではないかと思っております。
○笠原潤一君 よく言われるんですが、日本と韓国は一衣帯水と言われたんです、まあ中国もそうですが。北朝鮮だって同じ一衣帯水の仲ですからね、不幸にして長い間国交断絶になって今日に至っているんですが。もしものことがあった場合は恐らく世界の破滅に通ずると思うんですよ。ですからこそ、議員外交であるとか民間外交というのはそのためにあるんです。 政府間レベルでできなければ、そういうのはやっぱり政府がある意味ではバックアップしてやるのも私は一つの方法だと思うんですよ。それは日中国交だってそうです。かつてはいろいろなこともそういう形でやってきたんですから、そういう誠意と努力がもっとあってしかるべきだと私は思うんですが、この点はいかがでしょう。
○国務大臣(柿澤弘治君) 今申しましたように、政府としてなかなかコメントしにくい状況でございます。ただ、そうしたルート、窓口は多様である方が望ましい。 ただ、先ほど来申し上げておりますように、核開発疑惑、IAEAの査察拒否というものがかなり現在国際社会全体の重大な関心事になっているだけに、それの動きを妨げるようなことがあってはならないという点だけは配慮しなければならないことではないかと思います。
○笠原潤一君 それはよくわかるんですが、しかしもうこれは一触即発で、もし起こったときにはこれは世界の不幸になるんですから、私はその点はもっと積極的に取り組む必要があると。起きてしまってからでは遅いわけですよ。かっての戦争時代と違いますからね、核というのはもう完全に人類を破滅するんですから。私はそういう点で大変今心配しています。小手先じゃなくて本質的にそれを実行するのがやっぱり一番大事だと、こう思っております。 それからもう一つは、もし仮に北朝鮮で有事が起きた場合に、今、中国からも大量の難民が日本へ流入しできますね。暴力団とも組んでおって、そして一部はわかったんだけれどもほとんどわからなかった、何といいますか、福岡の何か倉庫の中に隠れていたというようなこともありまして、中国からも随分たくさんの密入国者があると思っているんです。もしもこれ有事の場合、北朝鮮から工作員が大量に、組織的に、日本にある在日朝鮮人組織とそういう連携をする可能性もあると思うんです。そういう点は非常に心配していますが、これは公安調査庁はどんなふうにお考えになっていますか。
○説明員(松浦恂君) ただいまお尋ねのことは、現時点におきましては仮定の問題でございますので軽々に予測は申し上げられませんけれども、過去におきましては密入国した北朝鮮工作員の活動に朝鮮総連関係者が関与していた事件が幾つか報告されております。
○笠原潤一君 非常にこの問題も懸念される問題でありますから、今お尋ねしたわけです。 一応、北朝鮮の問題は大体その程度といたしまして、もう一つは日米問題です。今、予備交渉の最中でありまして、最近新聞の見出しを見ておりますと大変うまくいきかけておるように私は拝察いたします。 細川総理大臣はこの二月十一日にわざわざ建国記念日をほうっておいてアメリカへ行かれたわけですが、この是非は別として、まあアメリカの大統領でもよその大統領でも外国の元首たる者はその国の建国記念とかそういうときには大概国内にいるものですよ。恐らく出ていかれぬのでありますけれども、細川さんはこの日に行かれたんです、それはいろいろな日程の都合もあったかもわかりませんが。しかしそれはそれといたしまして、あの時点では決裂したわけです。そして大人の関係とおっしゃった。自来ずっと日米間は非常に険悪な状況で、例えばカンターさんがおいでになってモトローラをこうやって振りかざしてやられたというようなこともありますが、これもちょっと私も問題だと思うんですけれども。先ほど、大臣の所信表明の中でいろいろ触れておられまして私もよくわかるんです。 アメリカという国は基本的にはおもしろい国で、先ほどあなたがおっしゃったように、上院で幾つかの決議がされる。上下両院でいろんなのがある。さらにアメリカというのは御承知のように有名なロビイストの国でもあるわけです。したがって、必ずしも新聞の報道どおりではないと思う。私は、今、予備交渉で非常にうまくいきかけておるので、これはやっぱり積極的に達成することが一番大事だろう、こう思いますよ。 それで、今の状況としては、まあ大臣もおっしゃったようなふうにいくんじゃなかろうかと私も思っていますが、今後の日米関係についての見通しとしてはどうですか。
○国務大臣(柿澤弘治君) 日米の包括経済協議につきましては、御承知のとおり、分野別の協議、またマクロの問題、それから規制緩和その他、いろいろな項目を含んでいるわけでございます。 その中で、分野別の協議の目標について、いわゆる数値目標はいいか悪いかというような神学論争で二月は決裂してしまったわけですが、今回はもうそういう神学論争は避けようということで、お互いの理解が完全に一致したとはまだ言えません、しかしその差が狭まったということでございます。その枠の中で分野別協議が今行われつつあります。その意味では道半ばという感じでございますが、何とかまとめていけるように努力をしたい。また、マクロの政策についても、やはり内需主導型の経済運営というのをやっていかなきゃいけない、こう思っております。
○笠原潤一君 幾つかの問題をお尋ねしたいんですけれども、時間もありませんから、最後に一つ。 実は米の問題でガット・ウルグアイ・ラウンドで羽田外務大臣が最後に行かれまして、そして結果的にはああいうことになった。我が国は国会で六回も決議しておきながら結果はミニマムアクセスを受け入れたわけですよ。それはそれとして、先般また羽田外務大臣がマラケシュへ行って一応その最終的な話し合いをしてきた、こういうことでありまして、これから今度日本国で批准に入るわけですね。この批准ですが、非常にこれは私は疑問に思っているんですよ。必ずしもこれが批准されない可能性だって私はあると思う。そのときは一体どう政府としては対処されるのか。 かつてアメリカで、今は国際連合ですが、国際連盟をウィルソン大統領がつくったんですよ。彼は意気揚々と帰ってきたけれども、アメリカの国会で否認されてしまったんですね、実際の話が。国際連盟を提唱したウィルソンさんが、自分の国で批准を否決されたけれども、別に問題は起きなかったわけであって、国際連盟は堂々と生きていったわけです。これに限らず幾つかの問題で批准されないのがよくあるんですよ、アメリカの国会というところは。 ですから、我が国でこの問題が、どういう形でガット・ウルグアイ・ラウンドの条約が出てくるのかわかりませんけれども、個別で出てくるのか、米だけは米だけで出てくるのか、あるいはその他はその他で出てくるか知りませんが、仮定の問題ですけれども、この米に関しては批准されない場合が想定されるときはどうするのか。
○政府委員(丹波實君) 先生、御説明申し上げるまでもないことと思いますけれども、日本ほど戦後のいわば自由貿易体制が裨益してこれほど繁栄した国はある意味ではないわけでございまして、今回のWTOの設立というのは、そういう仕組みというものを人類全体としてもう一歩進めようという考え方でできておる協定でございますので、私たちはひたすら国会に批准をお願い申し上げる立場でございますので、不承認などということはぜひこの段階でおっしゃっていただかないように、本当に努力いたしますので御理解をいただいて批准させていただきたい、そういうふうに思います。
○笠原潤一君 私は、米の問題はこの前も言っているんだけれども、日本の国会で六回も決議したんだけれども、じゃ、実は米のことを一体だれが一番よく知っていたのかということなんですよ。 柿澤大臣、あなたもよく海外、アメリカへ行かれますが、米というのはアメリカではカリフォルニアだけでしかできないんです。なぜかというと、私が今さら申し上げるまでもなくあそこは非常に天候が温暖なんです。雨が降らない。したがって、カリフォルニアのサリナス一帯の米というのはフーバーダムとかシャスタから水を引っ張ってやっているんです。だから計画生産ができるんです。あそこは台風もなければ何にもありませんから非常にうまく米ができます。かつて日本が米を買ってくれると思って南部の方もつくろうと思ったんだけれども、あちらの方はハリケーンが来ますから、それは倒伏してしまったら大変なことをやらなければなりませんから、米の取り入れ作業なんてできっこありませんから、南部の方はどんどん米はできなくなって加州一州なんですよ。それもカリフォルニアでわずか二百万トンか三百万トンぐらいしかできないんです。 したがって、アメリカの国会でフォー・エグザンプルで米の問題が例えば日米のインバランスとか貿易障壁の話で出てくるけれども、本気になって米の開放を推進しようと言った議員はおりますか、実際に。私はその辺を非常に疑問に思っているんですよ。 そういう点からいって、なぜ日本が六回も国会決議をしながら、そしてアメリカでもっと本当に日本の立場を、アメリカの国会とかそういうところで日本がどれほど取り組んでいったか非常に私は今でも疑問に思っているんです。その点についてどうですか。
○政府委員(原口幸市君) 農業の問題は、関税以外の国境措置は基本的には認めないという物に関するガットの既存の貿易ルールの中に農業をどのように取り込んでいくかということが大きなイシューでございまして、それが恐らく今回のウルグアイ・ラウンド交渉の一番大きなイシューになっていた。したがって、日本は非常に大きな経済力を持っている国であるということ、それから米の扱い自体がそうした農業交渉の目玉というか争点の一種のシンボル的な問題になっているというところがあったと私は思っております。
○笠原潤一君 いや、実はそこがシンボル的だというのはおかしいのであって、今、日本は約四兆円の食糧を輸入しています。約四百億ドルないし五百億ドルぐらい。大豆、トウモロコシ、小麦、もう圧倒的にアメリカから全部入れて、本当に日本の主要食糧というのはみんなアメリカから入れてきているんですよ。米というのはミニマムアクセスで最終的に受け入れてもせいぜい八十万トンです。この四兆円もの食糧の輸入をしているにもかかわらず、日本の米が本当にそれこそ例外措置がなぜ認められなかったかということを私は非常に不満に思っているんですよ。 今度のウルグアイ・ラウンドで、アメリカの場合、例外措置としてはアメリカの海運、これ入ってないでしょう。それからフランスなんかどうですか、オーディオビジュアル、これが例外になっていますよ、特例措置になっているわけですよ。オーディオビジュアルといったらこれ最初、アメリカでつくったものじゃないですか、考えてみたら。それがフランスの特権として特例措置になっている。本来ネーティブなものじゃないわけですよ。海運だって日本はすごい海運国だけれども、アメリカはこの海運だけ特例措置で認められているんですから、これはちょっと私も非常に疑問に思っているんですよ。しかし、皆さん方の努力は大いに買っていますけれども。 そこら辺の問題がありまして、日本の外交の姿勢についてそこら辺がちょっと取り組み方が甘いと言うとしかられるかもわかりませんが、どうもそこら辺の問題が乱すっきりしないと思うんです。その点はいかがですか。
○政府委員(原口幸市君) 先ほど申しましたように、この農業交渉の成否がウルグアイ・ラウンド交渉全体を左右するというようなウエートの大きなものであったということを第一に指摘させていただきたいと思います。 それから、確かに先生御指摘のとおり、ECにおけるオーディオビジュアル、あるいはアメリカの海運という問題がございましたけれども、これはいずれもサービス交渉分野における争点でございまして、サービス交渉自身はこれまで既存のガット、物の貿易に関するような取り決めがあってその中に取り込んでいくということではなくてこれから新しくルールをつくろうというような状況でございましたものですから、やっぱり若干そこに差はあったということは言えるんではないかと考えております。
○笠原潤一君 ちょっとそこら辺が私どもどうも非常に不審に思っているわけですけれども、何といいますか、フランスのオーディオと米国の海運、さらに物すごくウエーバー条項がたくさんありまして、アメリカのこのウエーバー条項を見ていますと、こんなものがアメリカは特例措置で認められなきゃならぬのかというのが随分たくさんあるんですよ。それに対して日本は押しまくられてしまって、全部向こうの一方的な何か押し切りのようなふうに見られますがね。その点ちょっと、私は非常に不審に思っていますが。
○政府委員(原口幸市君) 今、先生ウエーバー条項の問題を御指摘になりましたが、アメリカの農業調整法に基づくウエーバー品目のことと存じますが、米国が昨年提出いたしました農産品に関する国別表によりますれば米国のこのウエーバー品目も関税化されるということになっておりますし、さらに農業協定第四条には、現行ガット上のウエーバーに基づく非関税措置を含めて関税化の対象となった措置については関税化を撤回できないこととなっております。さらに、WTO設立協定中の一九九四年のガットの規定の中で一九九四年のガットのもとで引き継がれる予定のウェーバーのリストが引用されておりますけれども、同リストには米国の農業調整法第二十二条に対して与えられてきたウエーバーは含まれておりません。 したがいまして、このような交渉の経緯によりまして、米国のウエーバーはWTOの設立協定において一九九四年のガットのもとで引き継がれることとされておりませんで、右ウェーバーはWTOのもとにおいてはもはや効力を有していないというふうに私たちは理解しております。
○笠原潤一君 幾つかの質問ありましたし、中国問題もやりたいんですが、人権問題もあるんですけれども、これは時間がありませんから。 最後に国際化の問題ですが、ODAの問題もありますけれども、私どもの岐阜県の場合、実は海外派遣職員を十人から十三人にふやしました。そして、県から外務派遣も今全国最大四人になっておりますが、今回また一人入れて五人も外務省へ派遣させていただいて国際化に非常に貢献をさせていただいておりますが、今後、各地方自治体の海外職員の派遣ですね、これにどういうふうに取り組まれるおつもりかということと、同時に、日本はどうもPRが下手なんですよ。アメリカの場合はアメリカンセンターがあって随分日本の中で活躍していますけれども、またイギリスのブリティッシュカウンシルがあって非常に日本人がたくさん利用できますが、海外にもっと図書館とかジャパンセンターというものをつくって、もっと日本の立場をどんどんどんどん説明しながら利用できるようなシステムをつくることも大事だと思いますが、この点、大臣どうですか。
○国務大臣(柿澤弘治君) 先生御指摘のように、やはり日本をよりよく知ってもらうという努力はこれから一層続けていかなければならないと思っております。その意味でもあちらこちらからそうした文化センターをつくってほしい、また日本語の教師を送ってほしいという要望がたくさん出ておりますが、今のシーリングとかいろんな枠の予算の中でなかなか思うように対応できないというのが残念でございます。これからも努力をいたしたいと思います。
○笠原潤一君 どうもありがとうございました。
○松前達郎君 先ほどから北朝鮮の問題が随分出ております。恐らくIAEAは核査察の問題の結論として、その結果軍事目的でないという保証ができないといったしか声明をきょうしたんじゃないかと思うんですね。そうなってきますと、この問題というのは非常に緊迫の度を増していく問題になってくるだろうと思います。先ほどからいろいろと論議がされていたその心配がだんだんと近づいてくるような気もするんですけれども。 外務省、柳井局長をアメリカに派遣されましたね、急送。これは特に核問題とは関係ないのかどうか。例えば米国と日本の間に二国間でも北朝鮮に対する何らかの対応を今後していこうということで柳井さんを派遣したのか。あるいはそうじゃないのか。これます最初にちょっとだけお伺いしたいと思います。
○国務大臣(柿澤弘治君) まず最初のIAEAの声明というお話がございましたが、IAEAのブリックス事務局長が国連のブトロス・ガリ事務総長に書簡を送りました。その中に、五メガワットの実験炉の燃料棒の引き出しかIAEAの査察のもとでといいますか、監視のもとで行われなかったために、過去における軍事転用の有無が検証できないことになったということを明確に述べているわけでございます。これは、IAEAはそういう事態になったときに国連に報告する義務があるそうでございまして、その義務に基づいて報告をしたということでございます。 また柳井局長をワシントンへ送ったことも事実でございますが、これはまあ本来は不公表で話し合いたいということだったんですけれども、公表されてしまいましたが、日本、韓国、アメリカで相談をするということでございます。 〔委員長退席、理事野沢太三君着席〕これは制裁の是非というような問題よりも、国連の事務総長に報告されましたので、これから安保理でどういう形で対応していくかというようなことを日米韓で相談をしたいということでございます。
○松前達郎君 この問題はそれから先はもう質問いたしませんので。 それでは所信に対する質疑に入らせていただきたいと思いますが、柿澤外務大臣はこれまでしばしば、冷戦後の今日の国際情勢のもとで我が国が果たすべき役割として世界の平和と繁栄の構築に貢献するんだ、こういったことが重要なんだということを述べておられるわけですが、これは私も同感なんです。 ただ問題はどういう貢献をするのか、これはいろいろと意見があるところだと思いますけれども、我が国は独自の貢献できる独特のものを持っているだろう、得意とする分野の貢献ができるんではなかろうかと、これは私はそういうふうに思っているんですが、科学技術、私もそれに携わってきた一員ですけれども、科学技術の問題ですとか、あるいは環境保全の問題ですとか、そういった面で貢献するのも一つの貢献のうちに入るだろうと。また別の観点からしますと、これは我が国自身の政治、行政、経済、そういったものの変革、しかも外圧に依存しない自発的な変革というものが開かれた世界で大きな貢献につながっていくのじゃないかと。これもまた一つの面だと思うんです。 こういった点も踏まえまして、大臣の国際貢献に対する基本的な御見解があると思いますから、それをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(柿澤弘治君) 松前先生御指摘の点、私も全く同感でございます。 我が国として国際社会に貢献できる一つの方法は、やはりここまで築き上げてまいりました日本の経済力を世界のためにどのように役立てるかということでございます。その意味では、日本のODAが開発途上国の生活水準の向上、また産業の発展に役立っていることは、これも世界への大きな貢献であろうかと思います。 〔理事野沢太三君退席、委員長着席〕 また、今御指摘がありました国内市場の開放等を進めまして、日本が国際社会の中で、やはり日本の発展が国際社会の利益だというように、利益を共有できる体制をつくっていくということもこれも大事なことであろうと思います。 また、環境問題は、私自身環境政務次官も務めたことがございますし、日本として一九六〇年代から七〇年代の厳しい環境問題を乗り越えてきたこの経験は世界でもユニークなものであり、世界の環境問題の解決に大きく貢献できる分野であろうかと思います。 また、科学技術の分野でも日本独特のさまざまな分野での技術を確立してきておりますので、これもそういう面ではできることだと思います。 さらに、世界平和については、一つは予防外交といいますか、政治的な対話を通じての平和の醸成、これも今まで日本としてはどちらかというと慎重にといいますか、やや控え目な立場をとってきましたけれども、カンボジアの和平も、実現したのは必ずしもPKOとか自衛隊の方々の御努力だけではなくて、シアヌーク殿下を立てながら三派の間の和平への努力に日本も後ろからサポートしてきた、そうしたある意味ではソフトの面の努力もあったことを忘れてはならないと思います。 そうした面を組み合わせて、多様な国際的な貢献ができるというふうに考えております。
○松前達郎君 全般的にお話しになったわけなんですが、とりわけその中で今ソフトという言葉を言われたわけです。我々アジアの一員としてアジア・環太平洋地域の平和と安定といいますか、実は本院の調査会でもそれを問題にしているわけですが、これに一体日本がどういうふうに寄与すべきかという問題です。これについてはちょっとアジアというものを視点に置いてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(柿澤弘治君) 先生御承知のとおり、「歴史の終焉」という本が出て、イデオロギー対立の時代は終わったというのは定説になったと思います。しかし同時に、ハンティントン教授の「文明の衝突」という論文が出まして、今後の国際紛争の種は文明と文明の衝突だという考え方もあるわけでございます。 しかし、文明が出会うということは、衝突の原因になると同時にある意味では新しい文化、文明を生んでいく一つのオポチュニティーといいますか、チャンスにもなるんだろうと思います。その意味では、明治以来東洋文明に属しながら西洋の文化を吸収し、導入し、ユニークな日本文化をつくってきた我々の百年の経験というのは今後の人類丈明といいますか、そういうものを創造する上で大変大きな意味があると思っておりますし、アジアという視点からそういう意味で日本は貢献していける部分があるのではないかと思います。 政治に関連して申しますと、例えば人権民主化というのが世界の共通の価値になっているわけでございますが、ともすれば欧米がそれを非常にせっからに実現しようとするのに対して、日本は最終的なゴールは同じであってもそれを実現するプロセスにおいてはやっぱりアジア的な方法があるというふうに考えておりますし、その点、最近ではアメリカでも中国に対する人権外交等も今までのような一本調子のものではなくもっと柔軟なものになってきている、この辺についても日本はいろんな意味で積極的な貢献ができるのではないかと思っております。
○松前達郎君 いろいろなやり方はあると思うんですけれども、その貢献の基本となるのは外国からの信頼を得るかどうかという問題、これが基本にあると思うんです。それから、やはり理解も求めなきゃいけない。相互信頼といいますか、これが基本にないと幾らどんなことをやってもそう大きな貢献の成果は出てこないんじゃないか、こういうふうに思うんです。特に、人権問題も今申されましたけれども、もう既に戦後五十年になるわけです。 かつて、一九八五年でしたか、ドイツのワイツゼッカー大統領、今度六月で引退になるんですが、この大統領が連邦議会で演説を行ったんです。これは有名な演説として今でも評価をされている演説があるんですけれども、これ御存じですか。もちろん御存じだと思いますが、記憶されていると思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(柿澤弘治君) はい、大変有名な演説でございますので、私も承知しております。
○松前達郎君 この演説の中でワイツゼッカーさんが言っておられるのは、戦争の悲惨な出来事の反省がその主流になっているんです。 その中で、過去からの問題というものについて、これを消し去ることはできないんだ、過去を変えたり起こらなかったことにすることはできない、そして、過去に目を閉ざす者は結局のところ現在でも盲目になってしまうんだという、そういう趣旨です。しかも非人間的な行為がかつてアウシュビッツとかそういうところであったわけですが、こういった行為を心に刻もうとしない者はまたそうした危機に陥りやすいものであります、こういうふうなことを述べておられるんですね。これはドイツの敗戦四十周年で、これはお祝いにするのか反省にするのかいろいろ議論はあったようですけれども、述べられたことなんです。 来年、日本が今度はちょうど五十年という歴史を迎えるわけなんですが、その五十年の歴史のときを迎えるに当たって、我が国として一体どういうことを考え、何をするべきなんだろうか、あるいはそっとそのままにして通過させてしまうのか、これは教科書問題もいろいろありますね、南京の問題とかいろいろありますが、そっとしておく方がいいのか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(柿澤弘治君) 今、松前先生お話しのように、過去を忘れず、そして未来に生かしていくということが我々にとっても大事なことであろうかと思います。 その意味では、終戦五十年の機会に、さまざまな機会を通じて過去の日本の歴史、また植民地支配、そして侵略的行為と言われておりますが、そうしたことで苦しみを与えた国民の皆さんに日本としての反省の意を伝えながら、真の信頼関係というのをつくる機会にしていきたいと思っております。政府としてもいろいろなことを考えておるところでございます。
○松前達郎君 いろんなことを考えているというのは一体どういうことを、幾つかもう既にターゲットが決まっているんじゃないかと思うんですが、そういったことをきちっとしてからODAにしろ何にしろそれを基本にして展開をしていかないとならないのじゃないかと私は思っているんですが、行事その他で何かターゲットはありますか。
○国務大臣(柿澤弘治君) これは外務省だけでできることではございませんで、関係各省と御相談をしながら、実は平成七年度の予算にどういうものを盛り込んでいただくか、お願いや相談をしているところでございます。 ただ、大事なことは、やはりアジア・太平洋地域、またこの戦争にかかわった国々の人たちと一緒に過去を考え、そして青年の交流を深めることによってその体験を将来に生かしていくということを、いろいろな形の行事を通じて努力をしていきたいというのが基本的な考え方であろうと思います。
○松前達郎君 大変立派な御意見なんで、ぜひともそういった方向に向けて努力をしていただければと、これは私からの希望です。 さて、次にオゾン層の問題なんですが、モントリオール議定書改正に関する問題について、ちょっと専門的になるかもしれませんが、質問させていただきたいと思うんです。 今回の改正を見ますと、規制強化につながっているわけですね、もちろんこれがいけないというわけではないんですが。オゾン層の破壊というものが当初の予測以上に大きいから、それに対して新たにその対象物質を追加していくという、そういう内容だと私は理解しているんですが、現在オゾン層の破壊というのは進行が確認されているのかどうか、これについてどういうふうなデータのもとにこういったものに賛成をしてきたのか、その辺ちょっとお願いしたいんですが。
○政府委員(高野幸二郎君) 私どもが承知しております観測データ等について申し上げたいと思います。 具体的に申し上げますと、データを有しておりますのは、世界気象機関WMO、それからアメリカ航空宇宙局いわゆるNASA等でございますが、そういうところによります地上及び衛星からの観測によりますと、熱帯域を除きまして全地球的にオゾン層が減少しつつある、かつ高緯度ほどその傾向が強い、また、そのオゾン層の減少は最近十年間の方がその前の十年間に比べて急速であるというふうなデータを承知しております。 さらに申し上げますと、南極域の上空におきましては、一九八〇年代に入りましていわゆるオゾンホールの拡大が見られるようになっておりまして、八九年から九三年にかけた五年間、連続いたしまして最大級のオゾンホールがあらわれている。かつ、そこのオゾンホールの形成というものが季節的に年々早くなっている。最初のころは、これは南極の春でございますが、九月、十月ごろだったのが、ここ五年、年々それが少しずつ早くなっているということもございます。 それから、北極の方の上空でございますが、これは南極域ほどではございませんが、一九八九年、九〇年及び一九九二年に、冬の間でございますが、著しくオゾン層が減少した地域が一時的に観測されているということでございます。 なお、最後に、我が国におきましては、これは気象庁による観測データでございますが、札幌上空でオゾン層の減少傾向が確認されているというふうなことを承知しております。 以上でございます。
○松前達郎君 今おっしゃるような観測結果から、こういった新しい物質のさらに強化しての追加があったと思うんですね。 これは気象衛星ニンバスという衛星の観測だと思うんですけれども、オゾンホールそのものは南極が一番はっきり出てくるわけですね。これは南極には低気圧の渦がありますから、当然南極が一番対象となる。それで、しかも南半球は陸地が少ないですね、ですから渦ができやすい。いわゆる人間の活動というと北半球の方が多いんですね。恐らくフロンガスの放出もそっちの方が多いんだけれども北半球にはできにくいと。これは山があったりなんかするから渦ができない。 ですから、そういった結論をまとめますと、どうも犯人はフロンガスばっかりじゃないと、そういう結論がどうも今、学者の間では出ているわけですね。 例えば、オゾンホール出現の限定的条件というのがもう決まってきまして、冬の南極の極渦の中に限定されるということと、それから出現領域は六十日から九十日にわたって気温がマイナス八十度以下にならなければならない、そういうところに限られる。しかも、その期間の後半に太陽が差し込まなきゃいけない、こういうふうな幾つかの条件が大体わかってきているわけです。周期性もあるということもある程度言われていますし、そういうことからいきますと、必ずしも犯人がすべてフロンガスであるというわけにもいかない、フロン系だけではない。こういうふうな結論がどうも出てきているようであります。地球環境システム全体の中で見て、太陽の活動とか、そういうものにも関係あるんじゃないか、こういったことなんで、オゾンホールができるのが少なくともフロンだけが犯人でないということだけは、どうも確認されているようだ。しかし、フロンガスそのものがO3を分解するということはわかっていますから、これを少なくするというのはいいことかもしれません。 ちょっと私も不思議なんですが、幾つかのデータの中の限られたものだけを強調しながら取り上げて、そしてそれがこういった結論になってくるような気がするんです。それは外務省の責任じゃありませんけれども、そういったことが往々にしてあるような気もするんですが、フロンガスがすべてじゃないということを我々認識しながら、もっとほかにもたくさん原因があるんだ、そういうことでこの議定書に他の原因となるべきものを、これ三つですか、追加するのは、物質として。
○政府委員(高野幸二郎君) そのとおりでございます。 委員御承知のとおり、代替フロン系統、それから代替ハロン系統、それから臭化メチルの系統の三種類でございます。
○松前達郎君 そういうことで、三つほど追加をされるわけなんですが、これは結構な話だと私は思っています。 さてもう一つ、今度は国際電気通信連合憲章に関する問題なんですが、ITUジュネーブ全権委員会議における憲章及び条約の署名が行われたんですが、そのときに我が国は二つの宣言を行ったというふうに伺っているんです。一つは、他国の留保が我が国の利益を害する場合等には必要な措置をとる、これが一つです。それからもう一つは、赤道諸国による対地静止衛星軌道に対する主権の行使に関する主張は認めることができない、こういった二つのことを宣言されているようでありますけれども、これはどういう意味で行ったのか、それを説明していただきたい。
○政府委員(高野幸二郎君) まず、前者の方の宣言でございます。今委員御指摘のとおり、最初の方の宣言は、他国の留保が我が国の利益を害する場合等には必要な措置をとるという宣言を行っております。この意味は、これはこれまでもITUの全権委員会議におきまして国際電気通信条約の作成及び署名の際に各国によってしばしば行われてきているものでございまして、我が国がこれを今回行いますことによって多数国間条約の締結国となる場合の、いわば当然の態度を念のために明らかにしたということでございます。 それから、もう一つの宣言の方は、今委員御指摘のとおり、赤道諸国による対地静止衛星軌道に対する主権の行使に関する主張はこれは認めることができないという宣言を日本は行っております。ただ、これは日本だけではなくて、赤道諸国以外の他の締約国と一緒に日本はやったわけでございます。 その宣言の趣旨は、ちょっと長くなって恐縮でございますが、実は今回の憲章及び条約の署名に際しまして、コロンビア及びケニア、この両国が以下のような趣旨の宣言を行っております。すなわち、対地静止衛星軌道は赤道諸国の国民、国際社会及び特に開発途上国に利益をもたらすことが意図されており、また赤道諸国は対地静止衛星軌道との関係において特別な地理的位置にあるという宣言を行っております。 この宣言は、もしその意図するところがこの静止衛星軌道の部分に対するこれら国による主権の行使を意味するということである場合は、これは我が国といたしましてもその主張は国際法上根拠がないということで認められないということでございますので、他の赤道諸国以外の国と日本は一緒になりまして、この両国の宣言が主権の行使を意味するものである限りはITU全権委員会議としてその宣言を承認することができないという宣言を行ったものであります。 一言で言いますれば、そういうことによって日本を含む赤道諸国以外の国の法的立場を明らかにしたと、それによって本件に関する無用の誤解を避けることを期待したということでございます。 なお、最後に一言つけ加えさせていただきますと、この赤道諸国以外の国は、現在のナイロビ条約でございますが、それの署名の際にも同様の宣言を行っておりますということでございます。
○松前達郎君 そうしますと、随分複雑な表現になっていますけれども、赤道上空三万六千キロですね、静止衛星は。その赤道諸国が、上空権というんですか、自分の国の上空に関する主権というものを主張することができないということですね、一言で言うと。
○政府委員(高野幸二郎君) 全くさようでございます。 念のために申し上げますと、委員御承知のとおり宇宙条約の第二条で、宇宙、あれは主権の対象地域ではないという趣旨の規定になっておりますので、まさにそういうことでございます。
○松前達郎君 終わります。
○大脇雅子君 日本と北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国は歴史的、文化的、地理的にも密接な関係を保ってきた国であります。まだ国交が正常化していない現段階において、我が国は今後その立場を踏まえて独自の外交を確立するチャンスだと考えます。 核査察問題は現在まだ完全に決裂したわけではありません。北朝鮮の政治的意図は、米朝高官会議を通して国際社会の中で朝鮮民主主義人民共和国を公式に認知させようという意図にあるということが言われているわけです。 六月二日の朝日新聞の記事によりますと、国連が制裁を見送った場合、日米韓で独自制裁の行動を起こす可能性がある旨、外務大臣が衆議院の予算委員会で答弁されたということがありますが、かかる行動はあり得るのでしょうか。
○国務大臣(柿澤弘治君) 羽田総理それから私も、国会の場で再三にわたって、国連制裁がある場合ない場合、そうしたことはまだ予断を持って議論をすべき段階ではない、話し合いによって解決を図るというのが我が国の基本的な姿勢であるということを申し続けておりまして、そうしたことを今この場で申し上げることはできないと思います。 この朝日新聞の記事をきちっと読んでいただきますとわかるんですけれども、これは連立与党の合意の書き方、内容はどうかという質問がありましたので、まあ二段階に分けて考えているのではないでしょうかという合意の解釈をちょっと私申し上げたわけなんですが、それがこういう形で見出しか出ているのはちょっと私の真意に反しますので、その点だけは釈明をさせていただきたいと思います。
○大脇雅子君 そうすると、国連が何らかの措置を見送った場合、日米韓で独自制裁をするということは現在考えていないということなんでしょうか。
○国務大臣(柿澤弘治君) 現在は議論する段階ではないというふうに考えております。
○大脇雅子君 先ほど松前委員の御質問に対して、アメリカに柳井局長を派遣されたのは制裁よりも国連の安全保障でどう対応するかということだと言われましたが、我が国はどう対応するんでしょうか。
○国務大臣(柿澤弘治君) これはまさに今、これからアメリカ側の意見も聞きながら対応を考える段階でございますので、ここで日本政府の方針というものを申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
○大脇雅子君 なぜアメリカの意見を聞いて日本の外交姿勢を考えなければいけないのでしょうか。日本は独立国なんですから、日本のスタンスを明確にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(柿澤弘治君) これはアメリカや韓国とそれぞれ意見を持ち合うということであって、そういう意味でも、何もアメリカの意見を聞くというわけではございません。その点は誤解を与えたとすれば言葉を訂正させていただきます。 それから日本の姿勢は、先ほど来申し述べておりますように、この問題については話し合いによって解決をしてほしいということでございます。そういう姿勢を申し述べることになろうかと思います。
○大脇雅子君 具体的に話し合いの姿勢というものをもう少し説明してください。
○国務大臣(柿澤弘治君) 先ほど松前先生の御質問に対してお答えをいたしましたように、現在の段階は、IAEAの事務局長は、五メガワット実験炉の燃料棒についてはIAEAの十分な監視のもとでなく引き出されてしまったために、過去に軍事転用があったかどうかを検証することが不可能になったという、かなり厳しいものでございます。 しかしながら、その段階でなおかつ検証の方法がないものかどうか、また北朝鮮に対して国際社会としての一致した見解を伝え、そしてほかの方法で何らかの形でそうした検証ができないものか、その辺の最後のぎりぎりの議論をしなければならないと思っております。
○大脇雅子君 国際の平和と安全を危うくするおそれというものの認定というのは国連安全保障理事会のみが行い、それ以外の国が勝手にそれを認定するということは国連無視でありますし、国際法違反となると思います。日本はあくまで、まず国連の協議と決定ということを待って行うという態度には変わりありませんか。
○国務大臣(柿澤弘治君) 変わりありません。
○大脇雅子君 安全保障理事会が制裁を決めた場合には、日本は後方支援を含めた軍事的措置及び協力は憲法の枠内では一切できないと思いますが、そうでしょうね。
○国務大臣(柿澤弘治君) どのような措置が、措置というよりもどのような決定が安保理で行われるか、これから議論がされる段階でございますので、その内容に立ち入って是非を論ずることはこの際は差し控えたいと思っております。
○大脇雅子君 私がお尋ねをしておりますのは、憲法の枠内では軍事的な措置及びその協力は一切できないということを確認しているのであります。
○国務大臣(柿澤弘治君) あくまでも憲法の枠内でございます。
○大脇雅子君 憲法の枠内はわかりましたが、私のストレスは軍事的措置及び協力というところにあるのでありまして、そこはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(柿澤弘治君) ちょっと議論が余りにも先走っているような感じがするんですけれども、まだその前にいろいろやることがあるのではないかと思っております。そういう意味では、軍事的措置の是非を論ずること自体がやはり北朝鮮に対しても間違ったシグナルを送ることになりますので、この点は公の席での議論は避けていきたいと思っております。
○大脇雅子君 柿澤外務大臣のお答えは、安保問題での政府統一見解によればどうして答えられないかおかしいと思います。 安保問題での政府統一見解によりますと、「集団(的)安全保障は、平和に対する脅威、平和の破壊または侵略行為が発生したような場合に、国際社会が一致協力して、このような行為を行ったものに対して適切な措置をとる」、「国連憲章第七章のうちの軍事的措置に関する部分であろうが、いずれにせよ、政府としては、前述の通り憲法の枠内で対処して参る」ということで、軍事的な措置ということは、先回羽田総理も軍事的措置は含まないというような趣旨を明言されていると思うんですが、その点は柿澤外務大臣はいかがでしょうか。
○国務大臣(柿澤弘治君) 憲法の解釈から見て、軍事的な措置に参加することは難しかろうということを総理はおっしゃったんだと思います。
○大脇雅子君 柿澤外務大臣はいかがかとお尋ねをしているんでございます。
○国務大臣(柿澤弘治君) 私も総理と同じ考えでございます。
○大脇雅子君 私は、中国やロシアが反対している例えば経済制裁を日米韓で行っても、海上で行ってもそれは効果がない。北朝鮮は、そういった行為に日本が加わるということは敵対行為とみなすと言っているわけであります。経済制裁を行った場合に、被害者は常に民衆でありまして、私は経済制裁というのは行うべきではない、もっと積極的に対話の外交を行うべきだという考えを持つものでございます。 経済制裁をアメリカが、国連がでもいいんですが、国連が経済制裁を行った場合に、アメリカが軍事力をもって海上封鎖を行った場合、日本の憲法の範囲内では自衛隊は一切出せないと思うわけですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(柿澤弘治君) 先ほど来申し上げておりますように、憲法の範囲内でどこまでできるかということは、国連がどのようなことを決めるかによって判断すべきことでございまして、その点では、今のようにこれができるこれができないというような仕分けはなかなか容易ではないと思っております。
○大脇雅子君 新聞報道によりますと、政府はさまざまな場面を想定して、どのようなことが法的に対応できるかということは検討していると言われているわけですが、私が伺っているのは原則論でありまして、国連が経済制裁を行った場合、そしてアメリカが軍事力をもって海上封鎖をした場合、日本は自衛隊は出せないというのが憲法の解釈ですが、それを否定なさるわけですか。
○国務大臣(柿澤弘治君) 軍事力というものをどう解釈するかでございますが、国連の警察的な活動、例えば国連軍ができたときには日本も参加できるというお考えが社会党の中にもあるやに伺っておりますし、その点ほどのような対応のものになるかによってその辺の解釈が変わってくるだろうと思っております。
○大脇雅子君 私は、自衛隊が出せるか出せないかとお聞きしたんです。
○国務大臣(柿澤弘治君) 先ほど来何度も申し上げておりますように、その態様によって異なると思っております。
○大脇雅子君 出せるか出せないかはその態様と言われても、私の方ははっきり理解できないのでありまして、出せる場合もあるということですか。もしそうだとすれば、どういう場合を想定しておられるんですか。
○国務大臣(柿澤弘治君) 具体的な想定はいたしておりません。
○大脇雅子君 それでは、例えば巡回とか臨検行為みたいな行為というのはどうですか。
○国務大臣(柿澤弘治君) これも、自衛隊によって行われるのか海上保安庁によって行われるのか、領海の中か外か、いろいろな状態があろうかと思います。
○大脇雅子君 自衛隊が行うことは許されないのではありませんか。自衛隊の趣旨には反するのではありませんか。
○国務大臣(柿澤弘治君) ちょっと解釈の問題もありますので、条約局長に。
○政府委員(丹波實君) ちょっと事実関係を整理させていただきたいと思うのでございますけれども、先生がおっしゃっておられる海上における活動は、通常海上封鎖という言葉がよく使われておりますけれども、これはいわゆる戦時の封鎖で使われる言葉でございまして、通常、国連の経済措置を実効あらしめるための海上における国連加盟国の活動は、海上封鎖という言葉にはなじまない活動でございます。 それではどういう活動を安保理が考えているかと申し上げますと、過去の最近の例ですと、イラクの事件のケース、それから旧ユーゴの事態、それから最近のハイチの事態、三つの例がありますけれども、それはまず、貿易のエンバーゴーといいますか貿易の禁止という決議がありまして、この貿易の禁止を実効あらしめるために、各国に対しまして海上における船舶、基本的には商船でございますけれども、その積荷の検査と目的地の確認という行動を要請するということでございます。基本的に商船に対する検査と確認という行動でございますので、そもそも相手が商船でございますから、商船が大砲を抱えて走っているということはまず考えられませんので、そういう意味で、向こうからまずどんぱちが行われてくるということも考えられない。したがって、通常の場合は、こちらからいわゆる先生が念頭に置いておられるであろうところの、日本の憲法九条との関係でも論議があるいはあり得るかもしれない武力の行使ということを行わなければならないケースというのはそう想定されないんではないかと。 しかしながら、つけ加えさせていただきますけれども、これらの三つのケースにつきまして、日本は参加したことはございませんので、今いろいろ情報を集めて具体的にどういう活動なのか調べておりますし、かつ今後の、北朝鮮との関連で申しますと、果たしてどういう海上における活動が求められるのかわからない状況で日本が参加できるできないということを論ずるのはちょっと早いんではないかという趣旨を大臣が先ほどから御説明申し上げている次第でございます。
○大脇雅子君 憲法の範囲内で厳重に対処をしていただきたいというふうに思います。集団的な自衛権に関する解釈は柿澤外務大臣も五月十八日の予算委員会で撤回をされているわけですから、その点よろしく御検討をして対処していただきたいと思います。 経済制裁に参加した場合、あるいはこのままこういった核疑惑に対する緊張が高まった場合に、我が国がアメリカとともにいわば今現在言われておりますような共同行動みたいな形への参加というような形になりますと、七月に予定しておりますASEANのフォーラムにも信頼醸成を損ないまして悪影響が出るのではないかということを私は非常に危惧をするものであります。とりわけ南北朝鮮統一は民族の悲願でありましょうし、非核共同宣言というものは二国で締結されておりますので、我々は有事をつくらない、対話を基軸に据えた外交を今全力をもって展開をする時期であるというふうに思います。 先ほど御質問ありましたけれども、これから日本独自のそういった平和的な手段を基軸にした外交でどんなことを行われるのか、世界そしてアジアの人に見える外交を積極的に展開していただきたいと思うわけです。どんな外交を進められるのか、大臣、御返答いただきたいと思います。
○国務大臣(柿澤弘治君) 我が国としても、先ほど来申し上げておりますように、話し合いによる解決を模索していろいろと努力をしてまいりました。その中にはアメリカとの接触、中国との接触、ロシアとの接触、韓国との話し合いというような間接的なものもございましたし、直接に北朝鮮の出先と接触をしたいということで努力をしたこともございます。 ただ、先生も御承知のとおり、現在北朝鮮側は米朝の交渉というものを優先させたいということで、そちらに努力を集中いたしておりまして、私どものいろいろな形のそうした接触には乗ってきていないというのが事実でございます。にもかかわらず、私たちとしては決して門戸を閉ざすことなく、機会があればいつでも話し合えるように、いろいろな形での努力はさせていただいているところでございます。
○大脇雅子君 ともかく、相手が開かない、こちらはいつでも開いているといっても、それはかなり受け身的な対応ではないかというふうに思わざるを得ません。例えば、財界あるいは民間の各界各層のいわばさまざまなルートを通じて積極的に紛争を未然に防止する予防外交といいますか、そういったものをアジアにおいて日本が先駆けて行うというチャンスを逃さないように、積極的に御展開をお願いしたいと心から願うものであります。
○国務大臣(柿澤弘治君) 政府としても努力をいたしますが、先ほどお話がありました議員外交という面でも、いろいろと御尽力をいただければありがたいと思っております。
○大脇雅子君 最後に、少し論点が違いますが、ILO百五十六号条約の批准問題がありますが、その国内法整備の障害となっているものはどのあたりにあるのか、具体的にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(高野幸二郎君) 委員御承知のとおり、本件条約八条におきまして、家族的責任をもって雇用の終了としてはならないという規定がございます。そこのところを国内的にどうやって担保していくかというところが最大の問題でございまして、私どもといたしまして、現在批准に向けましてその点を中心に関係方面との協議、詰めをとり行っているというところでございます。
○大脇雅子君 どうもありがとうございました。
○立木洋君 私も、北朝鮮に対する対応の問題についてお尋ねしたいと思います。 これまでいろいろ大臣のお話や説明など国会での答弁をお聞きしていますと、どう対応するかという問題についてまだ何らの話し合いも行っていないということなんですが、アメリカと日本の間で、北朝鮮に対する対応の問題について、いかなる意味でも非公式においても話し合いをしたことがないのかどうなのか、そういうことがあるのかどうなのか、まずそのことを最初にお聞きいたしたい。
○政府委員(川島裕君) 実は核査察の問題はもう一年以上ずっと続いておりまして、それでもうちょっとでうまくいくかなと思ってたらまたうまくいかないというようなのがかなり繰り返されたプロセスでございますけれども、それぞれの節目節目で日米間でよく意見交換を行っております。それからその際にまた非常にしばしば中国ともやりとりをやっておりますが、要はどうやって北朝鮮に査察を受け入れてもらって、そうすれば北朝鮮が国際社会の中に積極的に入ってこれると、そういうやりとりを具体的にどう取り進めるかというのは、非常にしばしば過去行ってきておる次第です。
○立木洋君 制裁の問題についてもいろいろ言及して話し合ったんじゃないでしょうか。
○政府委員(川島裕君) 制裁のやりとりということに入ったことはございません。いつも査察を受けた場合には、例えば米朝関係をどういうふうに前に動かすことが可能かとか、それから韓国の場合は、むしろ本来は北に対する経済支援を非常にしたいという雰囲気なわけでございます。ただ、核査察の問題が片づかないままそれをやるのはできないという状況でございますので、むしろ査察の問題と、それが解決されれば非常に展望が開ける、それをどうするかとか、そういうやりとりでございました。
○立木洋君 五月十六日のワシントン発の時事電によりますと、日米両政府は最近、北朝鮮の核問題で外交的手段による解決が失敗した場合に備えて、日米両政府の実務者レベルの緊急対応計画会議が設置されて、本格的協議が開始されたと報道されているんですね。それで、制裁の内容としては、北朝鮮への送金の停止の問題、それから洋上給油の問題、それから臨検の問題、これらの問題が考えられるということで、本格的な検討に入った。そして、外務省の鹿取安保課長、防衛庁の伊藤防衛政策課長、アメリカ側からはジアラ日本部長が出席していると名前まで明確に出ているんですが、この事実はないんでしょうか。
○国務大臣(柿澤弘治君) 一般的な意見交換であったかと思っております。
○立木洋君 一般的な意見交換というじゃないんですよね。制裁の内容に踏み込んだ、そういう可能性についての検討が本格的に開始されたんだと。開始された日にちは五月の四日ですよ。その時期にはこの鹿取安保課長も伊藤防衛政策課長も日本にはいなくてアメリカに行ってますよ。そういうふうに見ると、幾らその問題については話し合いをしてないと言ったって、それはだめなんです。現に制裁の問題を含めてアメリカとの間での話し合いが進められているというふうに私は明確に指摘しておきたいと思うんです。 だから、そういう問題は、やはりオープンにしないといけないですよ。結局、そういう問題は先々の問題だからそういう先走った問題についてはなんて、先ほどの同僚議員に対する言い方なんというのは、私はやっぱり失礼だと思うんですよ。ちゃんと答えぬといかぬ。 そこで、私が聞きたいのは、アメリカがいわゆる北朝鮮に対して、いわゆる核疑惑の問題に対してどういう対応をしていくのか。これは北朝鮮だけの問題でなくて、アメリカ自身が核拡散を防ぐという問題に関して基本的な構想を確立したんですね、昨年。これはクリントン政権になってから、アメリカの戦力構造の徹底見直しという問題の中に明確にされているわけですけれども、この拡散対抗構想という内容については大臣御承知でしょうか、アメリカの。まず大臣が知っているか知っていないかということをお聞きしたい。拡散対抗構想、今までお話を聞いたことがあるか、見たことがあるか、知らなければ知らないで結構なんです。
○国務大臣(柿澤弘治君) 正確な内容についてはまだブリーフを受けておりませんので、お許しをいただきたい。
○立木洋君 この問題について、簡単にどういう基本的な構想、これまでの核兵器が拡散しないように対処してきたアメリカの基本的な何が変わったんですか、これは。簡単に言ってください。
○政府委員(林暘君) 昨年の九月にクリントン大統領の発表いたしました米国の不拡散及び輸出管理政策のことであろうかと思いますけれども、これはいろいろなことが書いてございます。核分裂物質の……
○立木洋君 基本だけ言ってください。あなたが基本だと思う一言だけ聞かせてください。
○政府委員(林暘君) 世界における核拡散を防止するためにあらゆる措置をとりたいということだと思います。
○立木洋君 この構想の問題についてはアスピン国防長官が日本に来て説明したんじゃないですか。説明したのかしないのか、一点だけで結構です。
○政府委員(林暘君) アスピン国防長官が説明されたかどうかは承知しておりませんが、我々は昨年アメリカからこの話は聞いております。
○立木洋君 そうですね。 これは大変な問題なんですよ。核不拡散、つまり核兵器が拡散しないように防止する、予防するというアメリカの基本的なこれまでの対応というのは、非軍事的な措置で対応するというのが基本だったんですよ。この拡散対抗構想というのは、非軍事的な措置では不十分だから軍事的な措置で対応するというふうに決めたのがこの拡散対抗構想なんですよ。極めて重大な問題なんです。 これは、去年、アスピン長官がこの問題について詳しく何回か説明していますよ、NATOの国防相会議に出る前の演説だとか、それから科学アカデミーにおける十二月七日のアスピン長官の演説だとか。 その最も典型的なものを、若干特徴的な点を言いますと、一つは、核不拡散のために軍事的な、攻撃的な立場をとるということをアメリカが決定したことです。これが第一です。 第二には、核兵器を新たに持とうとすることはアメリカに対する脅威だと。アスピン長官の発言を引用しますと、彼らは、つまり核兵器を開発しようとする彼らですね、彼らはまだ核兵器を持っていないかもしれないし、もし持ったとしてもそれを使わないかもしれないが、米軍が脅威にさらされることを想定しなければならなくなるだろう、脅威は現実であると。いいですか、つまり、疑惑であっても、核兵器が持たれているかどうかわからない、また使わないかもしれないけれどもアメリカの脅威だと。つまり大変な過剰反応ですよ。それに武力で攻撃すると言うんです、反応すると言うんです。これが二つ目です。だから、先ほどあなたが言われた、一発か二発かとそれが想定されても、持っているかどうかまだわからない、だけどやっぱり制裁の問題を考えているんです。 三つ目の点、これについて新しい兵器の開発が必要だ。核兵器が開発されているかどうかそれをスパイする設備だとかそういう機材を開発せぬといかぬ。それからまた、どういうところにあろうとも核兵器の開発を未然に破壊するそういう新たな武器を持たなければならない。これが三つ目の特徴です。 最後には何か。核兵器の使用さえ認めている。アスピン長官は、こう言っているんです。この新しい核の脅威は新しい核の対応を必要としている、それは以前の対応のものとは全く異なったものだということまで述べているわけです。これらの問題は、今直ちにアメリカがやるということじゃないんです。しかし、こういう構想をアメリカが持っているということですね。 これに基づいて、アメリカの議会調査局の報告「一九九四年の朝鮮危機――軍事地理、軍事均衡、軍事選択」、一九九四年四月十一日に出された報告によりますと、この朝鮮に対する選択肢が八つあるんですね。第一には、うまくいって米軍が南朝鮮から撤退する。撤退です。第二が、軍事的現状を維持する。第三番目が、抑止と防衛態勢の改善を図るということです。四つ目以降から、前進防衛の実施、五つ目が北朝鮮の封鎖、六つ目が敵の核施設の破壊、七つ目が先制攻撃の実施、最後が核兵器の使用ですよ。これは国連において、いわゆる原発の施設に対する攻撃はやっぱり控えるべきだ、やってはならない、重大なことになるからというふうなことで何回か決議された内容もあるわけですね。 そうしますと、このような大変な事態を想定されて、既にアメリカ自身がそういう計画を持って、日本に対してもそういうことが説明されて、それにもかかわらず、そういう問題については一切明らかにしないで、そしてアメリカとはまた制裁などの問題については一切話し合いをしていませんというのは私はいただけない、これは重大な問題があるわけですから。 そこで、私はお尋ねしたいのは、この構想をアメリカは昨年の十月二十日にNATOの国防相会議で提起をしました。提起した結果、NATOではこのアメリカの拡散対抗構想にどういう結論を出したんでしょうか。述べていただきたい。
○政府委員(林暘君) 私としては、承知いたしておりません。
○立木洋君 こんな重大なことについて承知していませんじゃ、私なんかだってわかるんだから、いろいろ状況を聞いて調べたら。 開いたんですよ、この会議を開いた。そして、この問題については大変な抵抗があったんです、西ヨーロッパの諸国の中から。この問題についてはどういうふうなことが出されているかというと、これは大変な過剰反応になるし、こういうふうなことは逆効果になる、これは政治的な危機をもたらすというふうなさまざまな意見が出されているんですよ。 そして、ことしの一月にNATOの首脳会議で出された共同宣言の中には、正式な戦略として採用してほしいということをアメリカが繰り返し提案したにもかかわらず、核拡散対抗構想などという文字は一言も入らなかった。ましてや今日の事態の中では、こういう核開発の疑惑の問題が現実的な脅威になるというそういう表現すら入らなかったという事態になっている。つまり、核兵器が開発される疑いに対してまでもこんな大変な過剰反応をするような軍事的な対抗措置をとるというふうな方針を西側諸国でさえ認めなかった。 それを日本政府は説明を聞いておきながら、またましてやその問題について、大体外務大臣にそういうことが報告されていないということ自身がやっぱり問題なんですよ、報告されていないのが事実とするならば。そして、具体的にどこだかわからない形でどんどんどんどん話は詰めていく。今度柳井さんが行ったら、そういう問題がさらに具体的な話し合いが進むことになるでしょう。これは大変なことですよ。 そういうふうな事態になったら、アジアの平和、安全、日本の平和、安全どころか、これは重大な事態になる。だから、我々はこの問題に対しては、北朝鮮自身が核兵器を持つべきではないと、その問題については十分な話し合いで査察を受けるようなことは当然やらなければならないということを私たちも考えています。 同時に、こういう過剰反応で対応するんではなくて、やっぱり徹底した話し合いをやる。何か、最後通告だ、最後通告だとどんどんどんどんやって、軍事的な措置をとる状況を一刻も早くつくり出そうとするようなやり方については、きっぱりと日本は拒否する態度を私はとるべきだと思うんです。 このような拡散対抗構想について明確に日本政府は拒否をするという態度を私はとるべきだと思いますが、大臣の御所見を聞いておきたい。
○国務大臣(柿澤弘治君) まず、五月の初めの会合についてでございますけれども、今私もメモを読みましたが、これは日米安保の事務レベルの会合ということで定期的に行われているものであるということでございます。そういう意味では、北朝鮮の核開発疑惑に対応して、特定して計画をされた会合ではないということをまず申し上げておかなければならないと思います。 それから、核拡散対抗策については、NATOですら採用されなかったものを日本がやすやすとのむとお考えかどうか、私はそう日本政府も独自性がないとは思っておりません。その意味で、その内容について十分承知しておりませんのでここで的確なコメントはできませんけれども、その点は日本政府も御信頼をいただきたいと思っております。 また、もう一つだけ申し上げますが、何でも軍事的な対抗に持ち込もうとするアメリカの考え方とおっしゃいますけれども、この十五カ月の間、辛抱強く北朝鮮に対してIAEAのメンバーとして正常な査察を受けるようにという話し合いを続け、それが実行されれば米朝会談もやるということを言っているのはアメリカ側でございます。今回も三回目の米朝会談をやるという約束をしたわけでございますが、しかしながら、北朝鮮側がそれに対して、IAEAの要請を無視して燃料棒の抜き出しをしてしまったということでございまして、むしろ私は、アメリカは忍耐強く努力をしている。アメリカの国内では、クリントン政権が北朝鮮の態度に振り回されているんではないかという批判さえ出ている厳しい状況であるということは、これは一方的な判断でなくて、その辺も見ていかなければならないのではないかと思っております。
○立木洋君 核兵器一発か二発か、まだ持っているか持っていないかわからぬのですね。それから第一、核実験をやらなくて核兵器が開発される道理がないんですよ。核実験どこでやっているんですか、北朝鮮。やっていないですよ。 私は、北朝鮮のいろいろな問題についてすべて肯定的に見ているわけじゃありません。しかし問題は、核兵器の開発の疑惑があるという事態に対してこれほど厳しい対処が行われるのに、一万発以上持っているアメリカの核兵器に対してはどういう態度をとっているんですか、日本は。それは野放しじゃないですか。そして、それによってやっぱりいろいろな威嚇が行われているという状態についてだって一言も言わない。核兵器の廃絶の問題が問題に提起されながら、そういう問題についてさえ堂々と日本の政府として主張すべきことが行われていない。 この問題については結局、核不拡散体制、核独占体制をあくまでも維持していくために自分たちが膨大な核兵器を持っているというふうなことについては、これは全く道理がないと思うんです。自分たちは膨大な核兵器を持ちながら、他国に対してはいわゆる疑惑であってさえ一方的にそれを認定して、それについての制裁を加えるというふうなことを行うような態度は、これはどのように考えたって道理がない。 だから私たちは、北朝鮮に対してもアメリカに対しても、世界のすべてから核兵器を完全に一掃するという国際協定を結ぶという努力をしていくならば、核兵器の新たな開発、つまり核拡散を防止しなければならないということが大局的に問題を解決する立場になるんだということを強調したいんです。 先ほど大臣が日本政府を信頼してくださいと言われましたけれども、あなたも批判したように、日本政府にはカメレオンみたいなことがあったんですから、今まで何回も。いろいろと変わるというふうな事態があったわけですから、この問題については実際の行為によって示されないとだめだと。ましてや日米間において北朝鮮に対する対応の問題で話し合いを行っていながら、いまだに国民の前では、話し合いは一切やっていないというふうな言い方をする。そして、事実を突きつけられるとその問題については言を左右にするというふうな問題については私は承服できないので、この問題について、核兵器の廃絶の方向に努力していくべきだという点についての明確な大臣の最後の御答弁をいただいておきたいと思います。
○国務大臣(柿澤弘治君) 広島、長崎という大変痛ましい経験を持つ、世界でも唯一の、そういう意味では核兵器の被爆国である我が国が核のない世界を目指して努力をしていくことは立木先生御指摘のとおりでございますし、これは国民的な悲願であろうかと思います。 それに対してどのような形でアプローチをしていくかという点については、現実的な対応として考え方に若干の相違、若干ではないかもしれません、ある程度の相違があるかもしれませんけれども、究極の目標は同じであると考えております。
○委員長(井上章平君) 他に御発言もなければ、四件の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。――別に御意見もないようでありますので、これより直ちに採決に入ります。 まず、オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の改正の受諾について承認を求めるの件の採決を行います。 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(井上章平君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 次に、国際電気通信連合憲章及び国際電気通信連合条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(井上章平君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 次に、国際電気通信連合憲章、国際電気通信連合条約及び業務規則に係る紛争の義務的解決に関する選択議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(井上章平君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 次に、千九百九十三年の国際ココア協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(井上章平君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 なお、以上四件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(井上章平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後七時七分散会 ―――――・―――――