外務委員会 第1号
- 発言数
- 160 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1994/03/29
会議録
○委員長(井上章平君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る二月三日、田英夫君が委員を辞任され、その補欠として角田義一君が選任されました。 また、去る二月十五日、角田義一君、中村鋭一君が委員を辞任され、その補欠として大脇雅子君、椎名素夫君がそれぞれ選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(井上章平君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(井上章平君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に松前達郎君、猪木寛至君を指名いたします。 ―――――――――――――
○委員長(井上章平君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。 本委員会は、今期国会におきましても、国際情勢等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(井上章平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(井上章平君) 児童の権利に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。羽田外務大臣。
○国務大臣(羽田孜君) ただいま議題となりました児童の権利に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 この条約は、平成元年十一月二十日に第四十四回国際連合総会において採択されたものであります。 この条約は、生命に対する固有の権利、思想の自由、社会保障についての権利、教育についての権利等の児童の権利を定め、これらの権利がいかなる差別もなしに尊重され及び確保されるように、締約国がすべての適当な立法措置、行政措置その他の措置を講ずることを定めております。 我が国がこの条約を締結することは、児童に対する人権の保障に関する我が国の姿勢を内外に示すものとして望ましいと考えられます。さらに、この条約の締結は国際社会における児童の人権の尊重の一層の普遍化に貢献するという意味からも極めて有意義なものと考えます。 なお、我が国としては、この条約中の自由を奪われた児童の成人からの分離についての規定に関しては、その内容にかんがみ、留保を付することが適当であると認められます。 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。 何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願い申し上げます。 以上であります。
○委員長(井上章平君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○大木浩君 きょうは、議題として児童の権利に関する条約について承認を求めるの件というのがございますけれども、これにつきましては同僚議員の質問にお譲りいたしまして、私といたしましては、ただいま非常に国際的な注目を集めております北朝鮮の核査察の問題ないしはそれに関連する朝鮮半島情勢、またそれとの関連におきまして非常に今いろいろな役割を期待されておる中国との関係というようなことについて御質問を申し上げたいと思います。 先般、韓国の金大統領が来られて、政府の総理なり外務大臣といろいろとお話をされたと思うんですが、個別的な問題についてはまだ別途お聞きすることにして、国会でも演説をされたわけですので、外務大臣、あの演説を聞かれてどういうふうに、一般的な印象をお持ちになったか、ちょっと一言、まずスタートとしてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) 金泳三大統領のこのたびの来日、これは私どもといたしましては総理そして大統領の間におきまして率直な話し合いが行われたということで、そのときに一番大事なことは、私はこの前総理が訪れたときにもお話ししたことでありますけれども、過去の歴史というものをやっぱり率直に見詰めながら、しかしお互いに未来に向かって志向しながらこれからお互いが協力していこうということが話し合われたということでありまして、日韓関係というのが新しい時代が、しかも二国間と同時に二国間の協力がアジア・太平洋に対してもあるいは国際的な問題に対しても協力していこうという新しい素地が私はでき上がったというふうに理解をいたしております。
○大木浩君 韓国も非常に国力が伸長しておるし、そういったことを反映して、私はあの金大統領の発言などもそれだけの自信とそれからまたさらに開かれた国際社会の中で活動しよう、こういう意欲がうかがわれると思うんです。 それに引きかえてと言うとあれですが、北の場合は核査察を十分に認めない、こういう言うなればかたくなとも見えるような態度を示しておるわけでございますけれども、北鮮の核査察、まあ拒否というか、一部は認めましたけれども結局本当のところ拒否しておるということですから、これについて今の時点で政府・与党としてはどういうふうに受けとめられるか、これまたちょっと一般論としてまず基本的にどう認識しておられるか。
○国務大臣(羽田孜君) ただいま御指摘がありましたように、北朝鮮がIAEAとの二月十五日の合意を誠実に履行しなかったことによりまして核物質の軍事不転用が依然として確認されていない。という事態、これに対してまず深く私どもは懸念をいたしております。今後、北朝鮮が先般のIAEAの特別理事会の決議、これをやっぱり真摯に受けとめてもらいまして、IAEAによる査察を完全に受け入れるよう強く私どもとしても要請したいというふうに思っております。 我が国としましても、アメリカあるいは韓国、ここと緊密に連絡をとりながら、また中国ですとかロシアですとか、そういったところとも連絡をとりながら、北朝鮮に対しまして引き続き強く働きかけをしていく必要があろうというふうに思っております。
○大木浩君 今、外務大臣は北の態度については懸念を表明せざるを得ない、しかし引き続き核査察を十分に受け入れるように今後も要請をしていく、懸念と要請ということを言われたわけでございますが、従来からの北の対応というものを見ておりますと、何といいますか予定の行動と言っちゃ悪いんですけれども、かなり今のような状況になるんじゃないかということはいろいろな方面でも予想しておった。つまり、一応査察は受け入れるけれども、本当はきりきり一〇〇%は認めないんじゃないかという予想もされておったわけでありまして、それに対して今、一応アメリカあるいはその他の国連の諸国、そしてまたアジアの諸国におきましてもいろいろと対北鮮制裁措置が必要になるのかどうかということで議論がされておるわけであります。 それについて、例えば中国あたりは多少ほかの国とは違ったようなニュアンスの発言もしておるというようなこともあるわけでございますけれども、一般的に外務大臣にお伺いするんですけれども、仮に国連その他の国際機関の場で何らかの形での対北鮮制裁というものが必要になった場合には日本政府としてはこれに協力をするのかどうか、その基本的なところだけまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) 基本的には各国とも話し合いで解決していきたいという強い気持ちというのは今でもやっぱりあろうというふうに思っております。そして、今御指摘のありました経済制裁ということにつきましては、国連の安保理事会におきましてもまだ実は議論はされておらないというのが現段階であります。 ですから、今お話があったような対応ということに対して私どもとして一般論としてもし申し上げるとすれば、仮に安保理事会で何らかの措置が決定される場合には、我が国としても憲法の範囲内で責任ある対応をとっていくことが重要であろうというふうに考えております。
○大木浩君 基本的に憲法の範囲内でということはおっしゃったわけでありまして、これは当然今急に憲法をどうしろといっても間に合わないわけですから当然そういうことになると思うんですけれども、政府側あるいは政党の方でもいろいろな御意見が出ておるようでありまして、憲法の範囲内であるにしても現行法令の中でできることもあるでしょうけれどもできないようなものもできてくるのじゃないか、こういうような議論もあるようでございますが、制裁というのは何となく経済制裁という言葉で言われておりますけれども、ただ、その結果生ずるいろいろな措置ということになりますと、これは単なる経済行為だけでなくていろいろな措置が必要になると思うんです。 例えば、一種の緊張状態が生ずる、そういった場合に、日本の防衛体制は改めてどういうふうに見直す必要があるのか。あるいは、私も先般外務省の方から聞きましたけれども、例えば韓国に日本人が相当数いるわけですけれども、非常に緊張状態が生じた場合に、仮の問題ですけれども、そういった在韓日本人をどうするのかといったような問題も生ずるし、きょうは新聞でもいろいろ書いてございますけれども、経済制裁を実効あらしめるためにはいろいろそれだけの措置が要るわけですね。例えば船舶の航行をどうするかというようなことが出てくるわけでありまして、これ今すぐにならないにしても、私はちょうどいいというと悪いんですけれども、やっぱりこういう緊急事態に対する体制というものは、本当にこういった問題が生じたときに防衛庁としても具体的に検討しておく必要があると思います。 これは外務省にお聞きするんだろうと思いますけれども、仮に経済制裁を行う、そして日本がそれに参加した場合に、どういう措置を考えておく必要があるのか。つまり、日本の国内、防衛問題も含めて日本の国内の問題、それから朝鮮半島においてどうするのか、それから例えば在日米軍との関係が何か生ずるのか、その辺ひとつまとめて、どういう問題が起こり得るかということを、例示的といいますかむしろ類別的にどういうことを御検討になるのか、あるいは必要があるのか、その辺の御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) 御質問の御趣旨は私どもよく理解できるところでありますけれども、御案内のとおり、IAEAにおきます決議というものは非常に慎重な配慮をされた決議であります。そして今、今度の査察の結果についてIAEAから正式に国連に対してこれを説明しておるという段階でありまして、国連の方でも経済制裁も含めて制裁ということについては今まだ議論をされておらないという段階であります。 やっぱり国際社会もこの問題に対して非常に神経を使いながら実は対応しておるという状況の中でございまして、今私の方から一般論としても今お話がありました問題について申し上げることはちょっと差し控えたいと思います。お許しをいただきたいと思います。
○大木浩君 不要な摩擦というか、非常に微妙な事態だから北を含めて無用な刺激を与えない方がいいんだろう、こういう議論はわかるんですけれども、少なくとも非常事態というのは現実にそれが起こってから手を打つんじゃ遅いわけですよね。 これは私も要望として申し上げるわけですけれども、やはりいろいろな状況に対応して、こういうことがあり得るというようなことは勉強しておく必要があるんじゃないか。何か最近は、政府・与党の方でも外交研究フォーラムですか、というようなことをいろいろやっておられるけれども、中長期的なフォーラムもいいんですけれども、やっぱり現実の問題に対処するという体制が欠けておるということではこれはやっぱり困るのじゃないかというふうに思います。私も、今、経済制裁が仮に行われて、日本が参加するからといって何か北からの軍事行動がすぐに起こるとか起こらないとか、そういう可能性は非常に少ないと思うけれども、やはり防衛体制というものはいろんな状況を想定してやっていかなきゃいかぬわけでありますから、やはりそれは今この場でこれ以上細かいお話はなかなか伺えないような感じでありますけれども、ぜひともひとつそういった検討というものは進めておいていただきたいと思うわけであります。 そこで、今、北がどういう考え方に基づいてこの核査察の完全なる実施というようなものを拒否しておるかということについていろいろ議論があるし、まず、その前提として一体北の状況というのは今どういうふうになっておるかということが非常に、まあ北朝鮮というものが非常に閉鎖社会でございますからなかなかその実態はわからない。あえて言えば、やはり金日成主席のもとに一種の、いい悪いは別としまして非常に独裁的な国家だと思うし、それから残念ながら今のところ経済状態が悪いと思うし、そういう意味では北朝鮮に対していろいろとネガティブな報道はされていますけれども、しかし、片ややはり北としては北としての論理があっていろいろと外交政策を展開しておる。つまり、私は今の核査察の拒否というのは、何か非常に言葉が悪いけれども、やけくそになって何か言っておるということじゃなくて、かなり計算された外交政策じゃないかと思うんです。ですから、それに対してはこちらとしてもきちっと対応する。つまりは軍事的な、軍事的と言うと言葉が悪いんですけれども、日本の防衛の立場からの対応も必要ですし、むしろ政治的にどういうふうに対応するかということが非常に必要じゃないか。 こういう点については、先般韓国の大統領が来られたときもいろいろと、韓国は何といったって自分と分裂国家の片方でありますから当然非常に関心を持っておるし、いろいろとお話、情報の交換もされたと思いますけれども、私も実は金大統領の発言等々、あるいは韓国側のいろいろな発言を聞いておりましても、かなり私は韓国側も抑えた発言をしておる、つまり冷静に対応しようという気持ちは非常にあらわれていると思うんです。ですから、私もその点については日本もそれと同じような考え方で対応していいと思いますけれども、何せ非常に北朝鮮自体のことについて情報が少ない。 これは私も、例えば外国の、アメリカあたりが一番それは情報が多いかなと思っていろいろ聞いているんですが、結局のところ非常に限られた情報しかないということなんです。ただ、考えてみますと、日本にはこれだけ在日朝鮮人といいますか、そういった系統の人もおられまして、ある程度の行き来もあるし、あるいは日本も多少商売やっている人もいるしというようなことですから、やはり私は極力北朝鮮というものの実態を少しでも、なかなか政府間交渉はできないにしてもそういうものを情報収集する努力というのは続けていただきたいと思うわけでございます。 北との交渉は今中断しているというふうに理解しておりますけれども、たしか遠藤担当大使ですか、北との交渉のための、彼は任命されてからまだ一回も交渉していないわけですね。今、北との交渉はどういうことになっておるか、ちょっと一言教えていただきたい。
○政府委員(川島裕君) 一昨年の秋に会談がございましたときに、恩恵問題の取り扱いをめぐりまして交渉が中断いたしましてそのまま中断して現在に至っているということでございます。 この間、何回か交渉の再開をしようではないかということで北との接触を試みたんでございますけれども、北側はこれに応じようとしない。さらに申せば、今のところ見ておりますと、北の外向戦略としては専ら米朝の話し合いを軸に局面の打開と申しますか、動かしていくという考えのようでございます。
○大木浩君 米朝の話し合い、これはそういう形になっておるということは私も一応聞いておりますけれども、米朝が中心になっているから日本は何もやらないというわけにもいかないんで、これはやはり日本は日本独自で、仮に向こうどの政府間交渉はできないにしてもいろいろと情報収集はすべきだと思うんです。今申し上げましたように、ある程度北との人的な交流というのはあるわけですし、民間ではいろいろと、例えば大学とか研究機関では向こうの人との、研究者というような立場の人との接触もあるようでございますね。 先般、立命館大学の国際地域研究所ですか、あそこで何かセミナーをやられまして、北の方からの代表も来ていました。これは政府代表じゃなくて、チューチェー科学院という研究機関がありますね。それで、かなり政府にも近い人というふれ込みでいろんな方が来ておられました。それから、むしろこれは私は関西が非常に多いと思うんですけれども、民間のいろんな研究機関というものがかなり向こうの人と接触もしておられるわけで、例えば京都の日朝文化交流協会でしたか、ああいうところは向こうどの接触はかなり恒常的にあるようでございますから、それはそこですぐに政府の意図というものがわからないにしても、少なくともいろいろな意見交換ができるんじゃないかということで、そういったものも含めて私は政府の方でもいろいろ情報を集められてはどうかと思います。 きょうは各党の、政府の側の先生方もおられますけれども、社会党さんは従来から北の方の労働党とは非常に親しい関係でございますし、ほかにもいろいろと個人的にも接触しておられる方もあるようですから、私はそういったものも含めて北の情報を集めるということについては、これはもう本当に、あえて言えば与野党を通じてやっぱり一生懸命情報収集するための体制というものはつくらなきゃいけないんじゃないかと。ほかのことになりますと、よくすぐにアメリカがどうだとか中国に頼むとかいろんな話が出てくるんですけれども、やっぱり私は外交というものはある程度主体性を持ってみずからのいろいろな情報機関も駆使して、あるいはいろんなチャネルを駆使してやらなきゃいかぬのじゃないかというふうに考えております。 そこで、きょうは防衛庁も来ておられますね。実は私、先般、この外務委員会じゃないんですけれども、国際問題に関する調査会というのが参議院に、一種の特別委員会でございますが、その視察できょうここにおいでになる松前先生やら荒木先生も御一緒に行かせていただいたんですが、実は広島県、熊本県の方を視察いたしまして、そのときに陸上自衛隊の西部方面総監部ですか、あそこもお邪魔させていただきました。そこで、西部方面総監部の立場からの今の防衛体制のようなものについていろいろとお話を伺ったわけでございます。 そのとき、いろいろと例の島原の災害に対する救援活動というようなことについては非常に西部方面陸上自衛隊が努力されて地元からも大いに評価されている、それはそれで結構なんです。結構なんですが、やはり自衛隊でありますから、災害はもちろん大事な一部ですけれども災害だけじゃちょっと消防署と一緒になっちゃいますから、これは防衛の方もきちっとやっていただきたいということを申し上げて、もちろんそれはよくおわかりなんですが、一つ私の懸念がありましたのは、御存じのとおり西部方面総監部というのはかなり海も含めた統括地域ですよね、永野先生はよく御存じだと思いますけれども。そうしますと、これは一たん緩急というのは言葉が悪いけれども、しかしやっぱり防衛体制ですから一たん緩急のことを考えなきゃいかぬのですが、一たん緩急あった場合にきちっと陸海空の自衛隊が共同作業をとれるのか、どういうふうにやっているんだという質問をしたんですが、余り私が納得できるようなお答えをいただけなかったので、一体陸海空は、これまた細かい話は別といたしまして、一般的にまず平時及び有事のときにどういうふうに連係プレーするのか、ちょっとわかりやすく、素人にもわかるように教えていただきたいと思います。
○説明員(伊藤康成君) 陸海空自衛隊、一見ばらばらというふうによく言われるわけでございますが、これは指揮系続から申しますと防衛庁長官のもとで陸海空自衛隊が一本になっておるわけでございます。そして、その陸海空自衛隊のそれぞれに対する最高の軍事的な専門の助言者としては統合幕僚会議というものがございます。私ども日ごろから統合幕僚会議のもとで各種事態に対する計画を練りまして、それをもとにしまして陸海空それぞれの計画を練っているという状況でございます。平時からそのような準備をしている、この内容につきましては控えさせていただきたいと存じますが、平時からそういう準備をしておるということでございます。 そしてまた、有事ということが万が一あったといたしますと、その場合には当然防衛庁長官が陸海空各自衛隊を指揮してそれぞれの部隊に適切な対処行動をとらせるわけでございますが、その際におきましても行動の基本ということで統合幕僚会議がいろいろと助言をする、そういう形になっております。 それで、それぞれ事態の様態によりまして陸海空それぞれの役割あるいは行動というのは違ってまいると思いますけれども、それらはいずれにいたしましてもそういう形で統一を保つということでございます。
○大木浩君 今、防衛庁長官のもとに各自衛隊があってまた統幕もあるという話でしたけれども、統幕の議長というのは指揮命令系統に入っているんですか。
○説明員(伊藤康成君) 統合幕僚会議議長と申しますのは、行動の際に実は指揮命令の基本ということが統合幕僚会議の仕事としてございますが、これについての助言者でございます。実際の部隊に行動を命ずる場合、通常は陸海空幕僚長を通じていたします。これは陸上自衛隊なら陸上自衛隊だけがどこそこに行って何々せいという命令は陸上幕僚長を通じていたします。ただ、必要な場合には陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、その二つあるいは三つの統合部隊というのをつくる場合がございます。そういう場合には統合幕僚会議議長を通じて指揮をするというケースもあるわけでございます。 繰り返しになりますが、通常の場合、陸海空幕僚長に防衛庁長官が指揮をいたします。統合幕僚会議議長は、その指揮について行動の基本に関することということで助言者という立場にあるわけでございます。ですから、その意味で最高の幕僚指揮者であるということでございます。
○大木浩君 今の話を聞くと、統幕議長というのは何か事が起こったときに例外的に指揮命令系統の中に入ってくるというような感じなんですが、そういうことですね、一応形としては。違うなら言ってください。
○説明員(伊藤康成君) ちょっと私の説明が悪かったのかもしれませんが、事が起こりますと当然陸海空に対して防衛庁長官は命令を出すわけでございますけれども、その命令を出す段階において統幕がいろいろと助言をするという意味において、必ずしも統合部隊をつくらない場合でも統幕並びに統幕議長というものは自衛隊の行動に深く関係をするわけでございます。
○大木浩君 どうも細かい話になるんですが、しかしやっぱり有事のときも含めて考えているので申し上げるんですが、例えば今の西部方面ですか、西部方面が何か有事になって行動するときには先ほど申し上げましたように陸海空の連係プレーが必要じゃないかなという感じがしておるわけですけれども、有事になる前の平生は、平時の場合には陸海空の連係プレーのための何か仕組みというのはないんですか。
○説明員(伊藤康成君) ちょっと御質問の趣旨があれなんでございますが、自衛隊は当然のことながら有事のためにいろいろ訓練をしておるわけでございますから、平時もそういう例えば統合訓練、統合演習というようなものをやっておるわけでございまして、そういう中で統合幕僚会議というものが関与をしてそれぞれの陸海空連係プレーというものを演練をしておるわけでございます。 もちろん、それが十分であるか否かということについてはいろいろ御批判もあろうと存じますけれども、私どもこれについてはいろいろと力を入れてやっておるところでございます。
○大木浩君 今、演習では一緒にやるよという話でしたけれども、演習じゃなくてやっぱりいざというときに、特に先ほどから今の核の問題、北鮮の問題はまだそんなに緊急事態ということとすぐつながるような状況じゃないとおっしゃいましたので、それはそういうふうに一応理解させていただきますけれども、しかし、やっぱり防衛体制というものはいざとなったらどうなるんだということを、平生からそういう体制を発動する必要はないにしても、そういう状況になったらすぐにそれに切りかえるというような体制でないとどうもいかぬのじゃないか。例えば今の話を伺いますと、どうしてもそういった三自衛隊の連係プレーというのは東京でやるのであって、各地域ではそんなものは何もできないんだというお話だけれども、しかしいざというときはそんな暇もないということもあるんじゃないですかね。これは私の意見として述べさせていただきます。 そこで、先ほどのお話で防衛庁長官が最高責任者とおっしゃいましたけれども、もちろん日本における自衛隊の最高責任者は総理でしょう。総理と防衛庁長官がそれぞれに最高責任者あるいはその下の二番目の責任者ということになっていますが、この法律的な根拠は何ですか。
○説明員(伊藤康成君) 先ほど答弁では防衛庁長官のもとに統一されるというふうに申し上げましたが、当然その上に内閣総理大臣が自衛隊の最高指揮権者としておるわけでございます。 法律的には、自衛隊法の第七条に「内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する。」という規定がございます。また、続きまして自衛隊法の第八条に「長官」、これは防衛庁長官でございますが、「長官は、内閣総理大臣の指揮監督を受け、自衛隊の隊務を統括する。」というふうに規定されておるわけでございます。
○大木浩君 自衛隊の隊務を統括する、それは防衛庁長官のことですね。総理の指揮命令に従ってと、こういうことですね。そうすると、総理もやっぱりその隊務の大枠については指揮命令されると。 外務大臣、外務大臣は外務大臣兼、兼というより副総理兼外務大臣なんですが、副総理というのは何か総理に事故が起こったときは総理にかわられるわけですよね。そうすると、副総理は法律上どういう状況になるわけですか。今例えば総理が何か事故が起こったとき、あるいはおられないときには副総理として総理にかわって今の防衛庁長官を指揮されるわけですか。
○国務大臣(羽田孜君) 内閣法の第九条では「内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う。」というふうに定めておりますけれども、細川内閣におきまして外務大臣を拝命した際に、この九条の規定に基づき私が内閣総理大臣の臨時大臣たる副総理としての指定を受けたということであります。 したがって、御質問のような事態が万一あった場合には、私が総理大臣の職務を臨時に行うこととなるというふうに承知いたしております。
○大木浩君 ということで、羽田大臣も潜在的には防衛の最高責任者のお一人、こういうふうに理解するわけなんで、そういったことも含めていろいろと御意見も伺いたいんです。 先ほど申し上げました指揮命令系統の話と、もう一つは有事の際の、いろんな法律上、自衛隊が十分に活動できるかということになると、どうも有事立法というものが非常に不完全じゃないかということ。これはもう前に、私ども自民党の中でも参議院でいろいろ勉強会やりましていろいろ申し上げて、これは自民党政権のころからなんですけれども、いろいろ難しいということで、どうもその辺のところが十分じゃないんじゃないか。 例えば、よく半分笑い話みたいにして言われるんですけれども、自衛隊の戦車、自衛隊では何と言うんですか戦車じゃなくて特車ですか、特車が橋を渡ろうと思っても重量制限で渡れないとか、それから、信号が赤になっておったらとまらなきゃいかぬとか、そんなことは有事のときにでも法律上は今のところそれに対する何というか除外規定というのはないんでしょう。どうなんですか。そういうものを要するに一言で言うと整備されていないと思いますが、いかがでしょうか。
○説明員(伊藤康成君) 有事法制につきましては、昭和五十三年でございましたか、当時の総理の御指示のもとで防衛庁あるいは関係省庁において検討をいたしまして、昭和五十六年に一回報告をし、あるいはその後も何回か取りまとめをしたところでございますが、幾つかの分類に分けまして、第一分類としまして防衛庁設置法あるいは自衛隊法とか防衛庁の所管法令に関するもの、それから第二分類としまして部隊の移動とかそういった今まさに先生御指摘のような問題、それから第三分類としては、これは各省庁どこの所管がははっきりしない部分ということでございますが、住民の保護等の三つの大きな分類に分けまして検討をしておりまして、第一分類、第二分類につきましては一応こういう問題点があるという整理を終わったという今の段階でございます。 ただ、そこがもちろん現段階において既に具体的な法律案となっているという状況ではございません。
○大木浩君 まあ問題点の整理が終わったということは、それに対する対策はまだできていないということですよね。特に防衛庁の大先輩の永野先生もあそこにおられて、我々も前々からそれを早く整備した方がいいんじゃないかということを言っておりましたけれどもなかなかできないということですけれども、今度は幸か不幸か政府・与党の方は今まで防衛問題については非常に違ったお立場の党も一緒になって政府・与党をつくっておられるわけだから、こういう時期にひとつ必要なものは、これは何も我々もそういう必要なものは別に自民党としても反対する立場じゃないんですから、むしろしっかりとやっていただきたいという気持ちがあるわけであります。 それで、そうすると一言で言いますと、どうなんですか、これ、さっきから外務大臣はいやいやまだまだそんな緊急事態じゃないよというニュアンスのことを言っておられるんで、いやいや緊急だから頑張れと言ってもなかなか答えが出てこないのかもしれぬけれども、少なくとも防衛庁としてはやっぱり自分の話ですから、そういう問題をもう少しきちっと強力に進めなきゃいけないんで、防衛庁長官も飛行機に乗って選挙演説もいいけれども、それよりも自分のところのことを少ししっかりやってもらいたいと思うわけであります。 これ、今、問題点を整理したとおっしゃいましたけれども、これからそういった問題についていろいろ研究されるわけですか。聞くところによりますと、政府・与党の方でもそれからまた防衛庁の中でもいろいろと防衛問題についての研究会ですか、審議会ですか、おつくりになったか、そういう状況になると思いますので、そういった問題も含めて議論されるのか、それともこの二つの、政府・与党の方の勉強会と防衛庁の方の勉強会と何か二つあって、これはその関係もよくわからないんですが、これはどちらにお聞きしていいのかわかりませんが、副総理にお聞きするのか、防衛庁にお聞きするのか。
○説明員(伊藤康成君) 先生御指摘のお話は、たしか総理のもとに設けられました防衛問題懇談会とそれから防衛庁に置いております防衛力のあり方検討会議、この二つに関するものだと思います。 防衛問題懇談会は、今の中期防衛力整備計画の中でこの中期防期間内に防衛力のあり方について検討して結論を出せというふうに書いてあるわけでございますが、それを受けまして総理のもとで、私的懇談会という形でございますが、今の防衛計画の大綱にかわる新しい防衛のあり方の考え方、その骨格について御議論をしていただくということで設けられたというふうに承知をしております。 それから、私どもの防衛庁の中に設けました防衛力のあり方検討会議と申しますのは、総理のもとで設けられました防衛問題懇談会に対して適切な意見を具申するなり、あるいはその質問にお答えするといったこともあろうと存じますし、また、総理のもとで行われますのは大枠、骨格でございますので、私ども内部ではさらにその細部と申しますか、いろいろ詰めていかなければならないこともございますので、それらについて今私ども内部でもいろいろ勉強しておるということでございます。これはいずれにいたしましても基本的にはこの防衛力のあり方をどうしていくかという、これからのやや長期的な目を持ちまして議論をしていくということでございます。
○大木浩君 どうぞ一生懸命やってください。 それからもう一つ、私、防衛庁がこれは一生懸命やっておるとまた言われるのかもしれませんけれども、いろんな情報収集、情報収集には例えば先ほど申し上げましたような北朝鮮の内部はどうなっているか、そういうような情報もあるし、それからもうちょっと即物的なといいますか、例えば最近はやりの衛星でいろんな写真を撮りますよね。今の核査察の問題についてもいろいろと衛星で撮った写真を持ってきて、いややっぱり北には何かあるんじゃないかというような議論をしている。 実はこの間、先ほども申し上げましたけれども、国際問題調査会で熊本の方へ行きまして、松前先生きょうおいでですけれども、松前先生の東海大学に宇宙情報センターですかがありまして、あそこでも、いろいろ民間における衛星によるいろんな航空写真も非常にもう高度に発達しておるというお話を伺いましたし、これは当然各国ではそういった衛星による情報収集というようなことをやっていると思うんですけれども、これどうなんですか、これまた余り細かいことを聞くとこれは機密に属するというお話になるんでしょうけれども、そういったものも含めて、防衛庁としてはそういった必要のある情報収集をしておられると思いますが、何か一生懸命やっておると自信を持って言い切れますか。
○説明員(伊藤康成君) 情報収集と申しますのは、手段が多ければ多いほどよろしいというのが一般論でございまして、我々もちろん一生懸命やっておるつもりでございますけれども、常にこれで十分ということはなかなかないかもしれません。 御指摘の衛星の問題でございますが、例えばランドサットですとかあるいはSPOTといったような衛星の情報というものは、これは広く一般にデータが提供されておるわけでございまして、私どもも当然それは利用しているところでございます。 ただ、いわゆる軍事偵察衛星と申しますか、これにつきましては中身もいろいろと専門的にはいろいろな使い道によって分かれてくるようでございますけれども、これらにつきましては私どもも非常に関心は持っておりますけれども、まだ防衛庁としてこれらをどうしていこうという意思決定をしたということではございません。今後とも注意深く各国の利用の動向等を見守っていきたいというふうに考えております。
○大木浩君 多少細かいことを質問しておるようですけれども、やっぱり日本の防衛体制というのは専守防衛ということになっていますよ。だから、こっちから攻撃する能力というのはほどほどにするけれども、やっぱり守りのための体制、それについては当然情報というものは入りますよね。ですから、そういったものはきちっと整備する、こういうのが基本的な考え方じゃないか。これは私は与野党含めて共通の認識だとあえて言っていいと思うんですけれども、そういうものを大いにひとつきちっと整備していただきたい。 細川総理が何か最近いろいろと防衛計画の見直しというようなことを言っておられまして、例えば陸上自衛隊がどれだけ兵隊が要るのかというようなことについて、片っ方でただ数をふやせばいいということじゃないんですから、質の強化ということも含めながら全体としてある程度のスクラップ・アンド・ビルドも必要だと思いますけれども、私は現在の防衛体制ということを考えますと、そういった今のような、例えば衛星による情報の収集というようなものも含めて、やっぱり防衛体制も高度化しなきゃいかぬということだと思いますので、どうぞひとつ、せっかくいろんな研究会もできましたから、正面からそういうものについて取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思います。 そこで、先ほどから朝鮮半島のことを中心にしてお話を伺っておるわけですが、先般金大統領が来られたときも、朝鮮半島、特に核の問題については中国が一番北に対する影響力があるんだから、やっぱり中国の仲介ないしは影響力の行使というものを期待せざるを得ないということはいろんなところで、細川総理も先般中国に行かれたときもそういう話が出たんでしたかね。それから今、金大統領が中国へ自分で出かけてまたまたそういう同じような調子のことを言っておられるわけですが、どうなんでしょう、私は中国の最近の核の問題に対する反応というのを聞いておりますと、影響力があるのかないのか知りませんけれども、少なくとも自分が正面から出かけていって北鮮に対して物申すという構えじゃないんじゃないか。つまりは、何かこの問題については余り抑える気がないのじゃないかなと、悪く言えば、という感じさえあるんですが、外務大臣はどういうふうに考えておられますか。
○国務大臣(羽田孜君) 私が訪中しましたのは一月の八日、九日ということでございまして、ちょうどその直前に米朝がIAEAの査察の実施を含みます原則的な合意に達したということが発表されたときであって、これは銭其珠外務大臣もこうした進展というものを評価するということとともに、この問題の解決と朝鮮半島の非核化の実現、これを強く希望しておるという発言があったところであります。 そして、中国がどのように問題をあれしているのかということですけれども、やっぱり中国は、朝鮮半島に新しい核というものが存在するあるいはそれがつくられるということに対してはこれは決して望むものじゃないし、これは非核化宣言というものをやってもらいたいという強い意思を持っておるということは私は率直に感じたところであります。 ただ、問題は、俗にいうところの制裁とかそういったことよりは対話によって何とか解決していきたいという気持ちが私は中国に相当あるというふうに思っております。そして、北朝鮮にとりましてはやっぱり中国というのは最大の友好国であるということでありまして、北朝鮮に国際社会の懸念を正しく理解してもらうためにも、やっぱり中国が果たす役割というのは大変大きく重要なものであろうというふうに考えておるところであります。 ですから、この間、総理が中国を訪ねましたときにも、この核の問題についてきちんと進んでいくこと、これを中国が望んでおるということでありまして、実際に中国は要するに北朝鮮の友人であるという立場で国際社会の懸念というものを率直に伝えてくれておるものであるというふうに私は理解をいたしております。
○大木浩君 そういうふうに理解しておられるのでそれは間違いだと言うわけにもいかないし、ただ先ほど申し上げましたけれども、私は今の北朝鮮の方の核査察の拒否というのは相当いろんな計算された上での行動なので、なかなか話し合いとかいったようなことで簡単に解決するのかなという疑問を持っております。もしこんな私の疑問が間違いであれば幸いなんですけれども、これは私の意見として申し上げさせていただくし、中国に頼むというだけじゃ余りにも自主性がないので、日本としてはどういうことが言えるんだろうというようなことも今後ともひとつ引き続き御検討願いたいと思います。 それで、せっかく朝鮮半島の話が出たので、条約局長もおられるので、これはちょっとおさらいの意味でお聞きするんですけれども、御存じのとおりに朝鮮半島は二つの分裂国家になっているんですが、今何とか交渉したいと言ってもむしろ向こう側の理由で交渉がなかなか進展していないんですけれども、今後交渉される場合に、二つの国家というか政府があるわけですね。それで、これはちょっとおさらいですけれども、これから交渉される場合に、北及び南のそれぞれの国というか政府というものがどういう存在であるのか。つまり、朝鮮半島全体についての支配は日韓条約をつくったときにはできていないし今もできていないんですが、今後、今度北鮮との国交をスタートする場合の北鮮というものはどういう存在であるかというふうなのをちょっと法律的に説明していただきたいんですが。
○政府委員(丹波實君) 先生御承知のとおり、いわゆる南、韓国と日本政府とが国交を樹立したのは日韓の正常化におきますところの条約によって成立させたわけですが、そのときの私たちの考え方は、韓国の北に存在しておるところの地域については白紙である、こういう考え方に立っておったわけでございます。 御承知のとおり、何と申しますか、南と北に存在しておる二つの政権というものが二つとも国として国連に加盟しておることは御承知のとおりでございます。その北との関係を日本政府がつくった暁には南とは別の国として日本が承認しそこと外交関係を樹立するという、そういう取り決めになろうかというふうに考えておる次第でございます。
○大木浩君 そこで、南、韓国との関係については、政府間というか国家間というか、そういう公の請求権というものは日韓の基本条約その他の取り決めによって一応全部法律的には解決済み、こういうことですね。しかし、ここに新しい北という、朝鮮民主主義人民共和国ですか、というものがあって、国連に入って、日本としてもこれから国として交渉していくわけですね。そうすると、請求権の問題はどうなるんですか。北からの請求権、あるいはこれは総合的なものかもしれませんけれども、北との関係での請求権というものはどういうふうに法律的には考えておりましょうか。
○政府委員(丹波實君) 先生御指摘のとおり、韓国との関係におきましては韓国との請求権・経済協力協定によりましていわゆる請求権絡みの問題は法的に解決しておるわけでございますが、北朝鮮との関係におきましては今後の交渉の中でそういう問題も含めて話題に上り、解決されるという、そういうふうな考え方で今後の交渉に臨むということでございます。
○大木浩君 そうすると、常識的に言えば、要するに南との話は終わっているけれども、北との話は残っておる、請求権については、こういうことですね。
○政府委員(丹波實君) 請求権絡みのその種の問題につきましては、今後北朝鮮との交渉の中で話題に上り、それが解決されるというふうな考え方で今後の交渉に臨むということでございます。
○大木浩君 あれは一九九〇年でしたか、金丸衆議院議員とそれから田邊衆議院議員その他、要するに自民党と社会党の代表団が北鮮へ参りまして、金日成主席等々とも会談して、あのときはいろいろほかの問題ありましたからいろんな話をされたわけですが、あのときに金丸議員が何か日本と北との国交の回復が非常におくれているのは何となく日本が悪いみたいなことを言われたですよね。それに対してはいろいろとジャーナリズムも疑問を呈しておりましたし、私も金丸先生に申し上げたんだけれども、ちょろとあれは言い過ぎじゃないですかと。やはりそれはいろいろと国際情勢があって何も日本としては南とだけ仲よくして北を置いておいたわけじゃないんで、それはそれなりの国際環境が整っていなかったということであったと思うんです。 これは外務大臣、南と北というものもこれからいろいろと微妙な関係になってまいりますが、どういう態度でこれから北との、まあ国交の交渉と今すぐに言えるのかどうかわかりませんけれども、少なくとも北との関係をこれから話し合いを大いに進めていこう、こういうことでしょうし、それから核の問題につきましても余り制裁制裁などと言わずになるべく話し合いを進めていこう、こういうお話のように私も受け取っておりますから、やっぱり日本側としても北との交渉というものは常に頭に置いてできるところからやれるならやっていく、こういうことだと思うんですが、どういう態度というか方針でこれから進まれますか。
○国務大臣(羽田孜君) これは御案内のとおり、北との関係の中でこれから国交正常化する、というのは北は間違いなく日本のこれは隣国であるということでありますから、この国と率直に話し合う、そういう関係というものを構築するということはどうあってもやっぱり大事なことであろうと思っております。 ただ問題は、例えば平和条約を結んでいくというような場合には、今の核疑惑の問題ですとか、こういった問題がきちんと解明されていかないと、やっぱり私どもはそういったものを、平和条約について話し合うということはできないだろうというふうに思っておりまして、まずこの核疑惑という問題を解決していくということは非常に重要だなというふうに考えておるところであります。
○大木浩君 時間が来ました。
○矢野哲朗君 外務大臣から提案理由説明をいただきました児童の権利条約について質問させていただきます。 思い起こしますと、児童の権利条約は昨年の通常国会の第百二十六回国会において衆議院から参議院に送付されたわけでありますけれども、本委員会でもおおむね質疑が終了しまして、質疑、採決の委員会を予定したところ、内閣不信任決議案の可決によって衆議院が解散してしまった。そのあおりを受けて廃案になってしまった経緯があるわけであります。その後、百二十八回国会に再提出されて継続審査、このたび再度衆議院から送付されたものでありますけれども、私もその際、本条約について質疑をさせていただいた経緯がございます。 ですから、内容については大方それで尽きているわけでありますけれども、反面、当時と変わったことは政権交代があったということでありまして、与野党攻守かえでの質疑になった。大変感慨深いものを改めて感じているわけでありますけれども、さりとて私ども自由民主党の一員として当時質問させていただいた趣旨、内容を変えてというふうな気持ちは毛頭ないわけでありまして、先ほど外務大臣が速やかに御審議いただきたいというふうな話がありましたけれども、こちらを向いて言うよりもかえって与党内部の方に向かってお願いをしておるような感じもしまして、ぜひともその辺で、政権交代があったから骨格並びに細部に至っての解釈が当時から一貫性が貫けられているかどうかということを確認する意味で質問をさせていただきたいと思います。 改めて申し上げますけれども、本条約は、平成元年の十一月に国連総会で採択されたわけであります。翌年九月には発効して、その締約国も現在では百五十カ国を超えている。本条約は、十八歳未満の児童に対して日本国憲法に明記しであるような基本的人権を適用させようとするもので、さらには難民の児童に対する保護、援助や麻薬等の不正使用から児童の保護をしよう、武力紛争の影響を受ける児童の保護等、今日のグローバルな課題にも取り組んでいる画期的な条約と私は考えております。ですから、自由と人権の擁護を国是とする我が国にとっても速やかに批准すべきものだ、基本的にこう考えております。 しかるに、新内閣の成立の後、本条約が国会に再提出されたのが、第百二十八回国会九月十七日に召集されたわけでありますけれども、それ以降二カ月余たって十一月の二十六日だった。かなり時の経過があったなという感じがいたすわけであります。なぜこれほどまでに国会提出がおくれてしまったのかな、先ほど申し上げましたように、政府・与党間での意見調整、何か問題があったのかなと、その辺での御説明を願いたいと思います。
○政府委員(高野幸二郎君) 政府といたしましては、本件条約は児童の権利保護の促進を目指したものであり、その意義を積極的に評価しておりまして、そういう観点から、百二十六回国会における審議未了などを受けまして早期に再提出を目指しておりました。 しかしながら、再提出に当たりましては、改めて関係省庁間で協議を行い、またあわせまして法制局の審議を受ける等一層慎重な検討を行いました結果、再提出が昨年の十一月二十六日ということになった次第でございます。
○矢野哲朗君 次に、条約の内容について質疑に入らせていただきます。 冒頭、総括的に確認させていただきたいことでありますけれども、この条約が自由民主党政府のもとで提出された当時の国会論議で行われました政府の答弁についてであります。つまり、政府がかわって条約を新たに提出し直したことで政府の見解が変わったという点が、まさかないとは思うんでありますけれどもその確認、万が一あるということになればお示しをいただきたいと思うんであります。
○国務大臣(羽田孜君) 今御指摘があったわけですけれども、政権交代がございましたけれども、この本条約についての政府の基本的な考え方、これは百二十六回の国会で説明されたものと同じでございまして、私ども解釈については異なっておりません。
○矢野哲朗君 当時を思い起こしますと、論議が集中した条約の名称、このこともかなりちょうちょうはっし委員会でもやられたということで特に記憶に残っているわけでありますけれども、従来、今の与党の方々の中で「子どもの権利に関する条約」、そうすべきだと強く主張された方々がたくさんいらっしゃいます。私も平常心で考えてどうあるべしかなというふうなことなんでありますけれども、元来条約の訳語も法令用語である以上、語感やら嗜好、それによって左右されるものではない。正確な用語を法令用語として整合性、一貫性を図った上で使用されるべきだ、こういう趣旨から当然児童ということでいいんじゃないのかな、こういうふうな考え方をまとめさせていただきました。 今回提出された条約では、従来同様「児童の権利に関する条約」、こういうふうになっているわけであります。したがって、このことは新政権の中で検討の結果児童の方が正しいんだと、そういう判断に立ったということだと考えております。 ですから、その根拠を改めてお伺いいたしたいし、再提出に際し新与党各党もそれで納得したという私なりの理解でいいものかどうなのか、ひとつお聞きしたいと思います。
○政府委員(高野幸二郎君) 政府といたしましては、我が国が締結済みの条約や憲法を初めといたします国内法令で低年齢者の者を一般に指す場合には広く児童が使われているという、今、先生御指摘もありましたが、法令用語の整合性という観点から、今回の再提出に当たりましても本条約にいう「チャイルド」の訳語としては児童が適当であると最終的に判断した次第でございます。 最後にお尋ねの点につきましては、ただいま私が申し上げましたような理由からいたしまして、政府・与党として最終的に児童が適当であると判断したものであると認識しております。
○矢野哲朗君 きょうの質疑においてもまさかその点での質問はないと思うんでありますけれども、確認をさせていただきたいと思います。 次に、本条約の訳文の訂正についてお尋ねをいたします。 前回提出された条約の日本語訳と今回提出の日本語訳が数カ所異なっているわけでありまして、大変問題だなと考えております。その修正箇所について説明をいただきたいし、特に翻訳について当時国会でも相当な論議が交わされました。外務省の立場として正しいとした部分について、これを改めたということについては大変問題だ、国会の審議を軽視するものであり、まことに遺憾だと考えております。なぜそのようなことになったのか、加えて、本当は訂正したくなかったんだけれどもやむを得ず訂正したと、その辺での真相を明らかにして陳謝すべきは陳謝してもらいたいなと、いかがでしょうか。
○政府委員(高野幸二郎君) まず、変更の三点の内容でございますが、まず第一点は三十二条一項でございます。 これを現在の訳文に変更いたしました理由は、原文にございます「ハザダス」、これは慣用的には「ウィズ・ザ・チャイルズ・エデュケーション」という部分にはつながりにくいというのが一つ。もう一つは、本規定は人権A規約の第十条の三項と同趣旨でございまして、その趣旨に照らして解釈することが適当であるという、この以上の二つの理由から「ハザダス」の訳語を「危険となり」というふうに変更した次第でございます。 第二点の第三十七条の同項につきましては、文理的には従前の解釈をとることもできないわけではないと考えておりますけれども、第百二十六国会の委員会での御指摘もありまして、主要締約国の解釈について改めて調査いたしましたところ、多くの国が従前の訳文とは異なり、問題の「セーブ・イン・エクセプショナル・サーガムスタンシズ」というのは「家族との接触」のみにかかるというふうに解釈しているということが判明いたしました。以上の理由から訳文を変更することが適当であると判断した次第でございます。 第三点は、第四十五条の(d)項でございますが、これにつきましては、第百二十三国会に提出した従前の訳文では、本条約上で予定されております児童の権利に関する委員会の既に作成されております仮手続規則の第七十一項で規定されている内容と本規定に関する手続等が一致してないということがその後判明いたしました。また、あわせまして主要国のこの点に対します解釈を調査いたしましたところ、訳文を変更することは適当であるということで変更した次第でございます。 以上がその三点の変更内容でございます。 そこで、基本的になぜ変更したのかという点でございますが、政府といたしましては本条約を再提出するに当たりまして、百二十六国会での御審議その他、報道、出版物等で指摘された諸点を参考といたしまして、またあわせまして前回の提出後に入手いたしました情報、先ほど若干申し上げましたが、そういう情報等も踏まえて改めまして条文全体のチェックを行いました。その結果、先ほど申し上げたような理由等から三カ所につき訳文を変更した次第でございます。 以上の次第で従前の訳文に必ずしも適切でない部分があったことによりまして、政府が一たん国会に提出した訳文を変更することになりましたことは遺憾でございまして、国会に御迷惑をおかけすることになったことを大いに反省しております。今後このようなことが生じないよう、訳文の作成に当たりましてはこれまで以上に慎重を期してまいる所存でございますので、何とぞ御理解いただきたいと存ずる次第でございます。
○矢野哲朗君 先回の百二十六国会で予定どおりといいますか、可決目前までいった。あのとき可決してしまったらこの対応はどうなったんでしょうかね。
○政府委員(高野幸二郎君) 先ほど申し上げましたように、政府といたしましては国会に条約の承認を求めるに当たりまして作成いたします訳文につきましては十分慎重を期さなきゃいけないということで従来からやっておりますので、かかることが今後ないように一層慎重に対応してまいりたいというふうに考えております。
○矢野哲朗君 答えになってないような感じですけれどもね。 それで、前回の質疑の中で、国会審議の対象がどうなんだということ、それから条約の訳文についてということで、政府として国会に語るのは条約を締結することの可否であって、日本語訳については国会が締結承認の判断をするための審議の際、条約内容理解のための資料として提出しているものだ、だから承認を判断するにあたり訳文を変更することはできない、こういうふうな法制局の政府委員の方からの答弁があったわけでありますけれども、その辺での一連のやりとりを考えますと、今回のこの訂正についてはどうも納得でき得ないなというふうな感じがしてならないんですよ。今後反省して十分慎重を期すということだけで果たして済むのかなという考えがあります。その辺、今後の対応も含めて、外務大臣ひとつ御答弁をいただきたいんでありますけれども。
○国務大臣(羽田孜君) 今、子細につきましては部長の方からお答え申し上げましたとおりでございまして、ただ、今お話がありましたように、本当に訳文このままで通っちゃったらどうするのかという御指摘もあったとおり、やっぱり今後こういったものの運用に対しての問題にもなってこようということを考えましたときに、私どもといたしましても反省すると同時にやっぱり訳文というものは適切なものを国会に提出するために我々はそれこそ最善の注意深い努力というものが必要であろうということを改めて感じております。
○矢野哲朗君 それで、今回の衆議院の議事録を読みますと何か特別な委員会も設置して万全を期しますよというような答弁もあったように聞いているんだけれども、その答弁が今回ないんだけれども、その辺もやっぱり丁寧さ親切さを欠くからちゃんとはっきりしておいてくださいよ。
○政府委員(高野幸二郎君) 私どもの内部的なチェック機能の強化という観点から、新たに外務省内に訳文委員会を設置することといたしました。訳文委員会は、条約局審議官を長といたしまして現局の審議官、参事官ほかの関係者を構成員といたしまして、内閣法制局が最終的な審査を行う前の段階で外務省として訳文作成に慎重を期するという趣旨でございます。
○矢野哲朗君 ぜひ冒頭から、私が要求する前に、そういう内容でもって熱意のある反省を踏まえた答弁をくださいよ。それでないとまずいよ、これ。 それで、もう一つ申し上げておきたいのは、どうしても正文を正確に訳すとこういう表現になってしまうのかなと思うんだけれども、二十九条(b)、(c)、(d)、(e)ですか、一例でありますけれども、「人権及び基本的自由並びに国際連合憲章にうたう原則の尊重を育成すること。」、こういうふうな一文がありますね。この「尊重を育成する」という言葉が果たして日本語で通じるのかどうなのか。ちょっとその辺の解釈を聞かせてもらいたいんです。その一連が全部そうなんですよ、尊重を育成するというふうな話で、それは日本語じゃないような感じがするんだが。
○政府委員(高野幸二郎君) 本法の趣旨は、児童の教育が指向すべき事項について、児童の能力等の最大限度の発達、人権及び基本的自由等を尊重する等の態度の育成、それから児童の文化的同一性、言語及び価値観並びに自己の文明と異なる文明等を尊重する態度の育成、人民の間の理解、平和、寛容等の精神に従い、自由な社会における責任ある生活のために児童に準備をさせること、それから自然環境を尊重する態度の育成を宣明したものでございまして、以上のようなことを総括いたしましてそういう物事の尊重を育てていくという意味で育成という言葉が使われているものと解釈しております。
○矢野哲朗君 そういうふうに口語的に言っていただくとわかるんですけれども、しかしこう法文が書いてあって、指向すべきことに同意します、それでもって結果的には「原則の尊重を育成すること。」、「児童に準備させること。」、この言葉は日本語じゃないと思うんです。 ですから、法令用語の表現だとこうなってしまうということになるのかもしれないけれども、それはちょっともう少し、しかも児童の権利に関する条約でしょう、児童が読んでこれ日本語じゃないと言ったらどうするんですかね、これ。ですから、その辺は今後の対応についても、せっかくそういうふうな一つの委員会を設置したということで、ただ単に法令用語を正確に使うことと同時に、わかりやすくしかも日本語でということを十分加味してひとつ成案していただきたいな、これはお願いしておきます。
○政府委員(高野幸二郎君) 特に本条約のような場合、ぜひわかりやすく国民各位名層に知らしめる必要があるという観点からいいましても、今、先生御指摘の点全くそのとおりだと存じております。ただいま御指摘のありました点を今後十分踏まえまして、御趣旨に沿った対応を今後広報等の面でぜひ実施してまいりたいというふうに考えます。
○矢野哲朗君 その点では前向きにお願いします。 それから、従来新しい与党の皆さんの中にはこれを批准することと同時に国内法の整備が必要だ、この主張を繰り返し行っておられた党もありました。今回、法の改正を伴わずに再提出をされたわけでありまして、従来の政府の見解どおり早急に整備しなければならない国内法はない、そういう判断に立っているものと考えるわけでありますが、それでいいのかどうなのか、検討の結果を説明願います。
○政府委員(高野幸二郎君) 本条約の内容は基本的には国際人権規約に規定されております。また、我が国憲法を初めとする現行国内法制、民法、少年法、学校教育法等の国内法制で既に保障されていると考えております。したがいまして、条約を締結するために現行国内法令の改正または新たな立法措置は必要ではないと考えております。 しかしながら他方、このことは立法政策上の観点から将来児童の法的保護、福祉の向上等をさらに一層図る一環として新たな国内立法措置が行われることを排除する趣旨ではないというふうにも考えております。
○矢野哲朗君 留保並びに解釈宣言について、このことについても従来新与党の中では条約の趣旨そのものがゆがめられることになるんだということで主張されていた方もたくさんいらっしゃったわけであります。 同様な質問になりますけれども、再提出に際して新与党の方々が従来どおり留保・解釈宣言を付すことで納得されたのかどうなのかを含めて、留保・解釈宣言の必要性を説明願いたいと思います。
○政府委員(高野幸二郎君) まず留保宣言でございますが、この留保は本条約第三十七条の丙項について行われております。 この趣旨は、この同項は自由を奪われた児童が原則として成人と分離される旨規定しておりまして、この分離の基準が本条約においては十八歳になっております。他方、我が国の関係法令におきましては原則として二十歳未満の者と二十歳以上の者を分離することとされております。このように分離の基準年齢について本条約と国内関係法令との間に明らかな差異が存在するため、この条約第三十七条同項に留保を付すことにしたものでございます。 それから解釈宣言でございますが、二点ございます。 一点は第九条一項に係るものでございます。これは締約国に対しまして、父母による児童の虐待または父母の別居等の特定の場合において権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として、児童の最善の利益のために必要であると決定する場合を除きまして、児童がその父母の意思に反して父母から分離されないことを確保するよう義務づけているものでありまして、これは児童または父母の退去強制、抑留、拘禁等、この条約の九条四項において国がとり得る措置として認められている措置によりまして結果的に親子の分離が生ずることを妨げるものではないということをはっきりさせる必要があるという観点からの解釈宣言でございます。 二点目の解釈宣言は本条約第十条一項に関するものでございまして、締約国が出入国の申請を積極的、人道的かつ迅速な方法で取り扱う旨をこの十条一項は規定をしておりますが、この規定に言います「積極的」という意味は、出入国の申請を原則的に拒否するような消極的な取り扱いを禁ずる趣旨でありまして、また次の「人道的」という意味は、出入国に関する申請の受理から申請を通じた手続の中で人道的配慮が必要と認める場合はかかる配慮を行うべきものとの趣旨であり、またこの「迅速」という意味は、右手続がいたずらに遅延しないよう取り扱いを適正に行うべきことをそれぞれ意味するものと考えられております。したがいまして、この十条一項に言います「積極的、人道的かつ迅速な方法で取り扱う。」という意味は、出入国の申請の審俊の結果を予断し、抱束するものではないという点を明らかにする必要があるという観点からの解釈宣言でございます。 以上の留保宣言及び解釈宣言につきましては、政府・与党として御了解いただいているものというふうにかく考えております。
○矢野哲朗君 先ほどの国内法の整備という案件で、具体的な話になるわけでありますけれども、非嫡出子についての民法の改正が条約批准に不可欠だという主張もありました。この問題をどうクリアされたのか、明らかにしていただきたいと思います。 加えて、去年の六月だったか、非嫡出子と嫡出子との間の遺産相続に対して、東京高裁の判断として、民法の規定は法のもとの平等を定めた憲法第十四条に反し無効であるというような判決も出された経緯もあります。また、国連規約人権委員会においても法のもとの平等に反する差別だというふうな非難もあることも事実であります。児童の権利条約との関連での御見解もいただきたいと思います。
○説明員(小池信行君) 嫡出子と嫡出でない子の相続分について差異を設けております我が民法の規定は、結論から申し上げますと本条約には抵触をしないというふうに考えております。 具体的に申し上げますと、この規定が問題になりますのは本条約の二条との関係においてであろうというふうに思われます。 まず二条の一項でございますが、この規定は、締約国は児童に対して本条約に掲げる権利を尊重し確保しなければならない、こういうふうに規定しております。しかし、本条約に掲げる権利の中には相続椎は含まれておりません。これは、この条文の各条を精査すればそのとおりでございます。したがいまして、児童の相続権はこの二条一項の保護の対象外であるというふうに理解をしております。 次に二条の二項でございますが、この条文は、締約国は児童がその家族の構成員等の地位に基づいて差別または処罰を受けないようにするための適当な措置をとらなければならない、こういうふうにしております。しかし、この地位と申しますのは、本条の制定過程にかんがみまして、同じ条文に言う、活動、表明された意見または信念と並びまして社会的または政治的な地位を意味する、そういうふうに理解をしております。したがいまして、父母が婚姻をしているかどうかというような身分上の地位はここには含まれない。したがって、嫡出子と非嫡出子の相続分についての差異はこの二条二項の保護の対象外であるというふうに理解をしております。 ただ、先生御指摘がありましたように、この民法の規定につきましては従前からさまざまな議論がございまして意見も分かれております。高裁段階での判断も合憲とするものもあれば御指摘のように違憲としたものもございます。この問題は、私どもはこの民法の規定が正当な婚姻関係及びそれに基づく家族関係を保護するもの、そういう合理的な目的に出たものでございまして、嫡出でない子に対する不合理な差別をするものではないというふうに考えております。 ただ、立法政策の問題といたしまして、このような規定を将来にわたって維持するかどうかということにつきましては慎重な検討が必要だというふうに思っておりまして、現在、法務大臣の諮問機関でございます法制審議会におきまして、婚姻と離婚の法制に関する見直し審議を行っておりますが、この嫡出でない子の相続分の問題につきましても、先ほど来御指摘があったような近時の状況にかんがみまして、この問題の取り扱いを身分法小委員会において審議をしていただくということをお願いする予定でございます。
○矢野哲朗君 前回のとき私、この条約第四条などに触れられている条約の履行に係る国際協力についてお伺いをいたしました。今回のこの条約の背景を考えますと、本当に世界でも大変な飢餓に苦しんでいる子どもたちがたくさんいる、その人たちを見捨てていいのか、こういうふうなことが一つの大きな原因になったとも思います。その悲惨な子供たちを救ったり、特に発展途上国の児童の生活条件の改善を目指す上で我が国の役割は大変大きいんだ、こう考えています。 その点に関して、我が国のODAの実施面で具体的にどのような配慮が今後なされるのか、お伺いをします。
○政府委員(平林博君) 今、先生御指摘のとおりだと存じます。 この条約の前文の末尾にも、「あらゆる国特に脚発途上国における児童の生活条件を改韓するために国際協力が重要であることを認めてこと、こうございます。また、政府の政府開発援助大綱、いわゆるODA大綱におきましても、経済協力に当たりましては社会的に弱者とされる方々にも十分配慮する、こういうふうにうたってございます。 こういうような考え方のもとで、政府といたしましては今までも、二国間援助の分野につきましても、小中学校の校舎の建設あるいは教材の供与、母子保健、さらには小児ワクチン、例えばポリオとかはしかの供与、さらには小児病院のプロジェクト等々の協力を行ってきております。また、国連児童基金ユニセフ、国連世界保健機関WHO、さらには国連教育科学文化機関ユネスコ等のいろいろな国際機関を通じた多数国間の資金協力につきましても積極的に貢献を行ってきたわけでございます。 日本が行ってまいりましたこういった協力は、児童の最善の利益を考慮しながらその権利を尊重することについて定めておりますこの本権利条約の趣旨にも十分に沿ったものと認識しております。政府といたしましては、この条約の文言及び精神を外しまして、またODA大綱を踏まえまして、さらに一段とこの分野での協力を充実してまいりたい、こういうふうに考えております。
○矢野哲朗君 数字に十分あらわれるような対応をしていただきたいと思いますね。 自分の意見を形成することのできる児童が、自分に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保すると、条約第十二条の内容でありますけれども、この件で前回、この権利を確保するために学校教育の現場での校則やカリキュラムまで児童の意見を聞かなければ決定できない、こういう主張がありますけれどもいかがなものかな、意見表明権の本来の趣旨を履き違えたものだ、こういうふうなことで私意見を述べさせてもらいました。 政府側からは、児童の意見を無制限に認めるものじゃないよと、校則やカリキュラムについては学校の判断と責任において決定されるものだ、こういうふうな答弁をいただいておりますけれども、この件で再度確認をさせていただきます。
○説明員(富岡賢治君) 先生御案内のように、校則は児童生徒が健全な学校生活を営む行動の指針として定めるものでございまして、その関係で条約の十二条第一項は、児童に影響を及ぼすすべての事項について自己の意見を表明する権利を規定するものでございますけれども、同条は児童の意見を年齢等に応じ相応に考慮することを求めるものでございまして、児童の意見を無制限に認めるものではございません。 したがいまして、例えば校則あるいはカリキュラムにつきまして児童の意向を優先するということまで求めるものではございません。したがいまして、それは学校の判断と責任において決定されるということについては以前も御答弁したとおりでございます。
○矢野哲朗君 加えて、条約第二十八条第二、項の件でありますけれども、児童の人間の尊厳に適合する方法ですべての措置をとる、このことでややもすると校内無秩序体制をつくり上げてしまうような解釈もされている節があるということでありますけれども、本来この趣旨には全く校内無秩序というのは相反するあり方かなと。校内の規律の維持についての考え方をお伺いします。
○説明員(富岡賢治君) 学校の教育活動が個人の尊厳を重んじ、個人の価値を尊重して行われるということにつきましては、我が国教育の根本理念で、既に教育基本法等で明らかにされているわけでございます。また、学校教育法におきましても体罰を明文等で禁止するなどの所要の措置をとっておるわけでございまして、文部省といたしましては、もともと学校におきましてはそういう基本的人権に十分配慮した教育指導、学校運営が行われるように指導してきたところでございます。 この点につきましては、全く今後も引き続きその線で指導してまいりたいというふうに考えておるところでございまして、混乱のないように今後とも指導、助言に努めたい、このように思っております。
○矢野哲朗君 条約第二十九条であります。児童の教育が指向すべき事項として「児童の居住国及び出身国の国民的価値観並びに自己の文明と異なる文明に対する尊重を育成すること。」、先ほどちょっと問題として出てきましたが、「自由な社会における責任ある生活のために児童に準備させること。」、こう規定されているわけでありますけれども、社会に奉仕する心、国を愛する心、責任感を育成することは本条約の精神そのものだ、こう考えております。所見をお伺いします。
○説明員(富岡賢治君) 具体的な教育の場といたしましては、例えば十四条との関係で国を愛するというようなことから国旗掲揚、国歌斉唱の指導を行うことというようなことにつきましての恐らくお問いかけかというように思うわけでございます。 私どもとしましては、再三お答えいたしておりますように、条約の十四条の思想、良心の自由は既に憲法や国際人権規約に規定されているところでございまして、これは一般に内心について国家はそれを制限したり禁止したりすることは許されないという意味と解されるわけでございますので、我が国におきましては、長年の慣行によりまして日の丸が国旗、君が代が国歌であるという認識が広く国民の間で定着しているものでございますので、学校教育におきましては、学習指導要領に基づきまして児童生徒が入学式や卒業式などにおいて国旗掲揚、国歌斉唱指導を行うことということできちっと指導を行っているわけでございます。 この点につきましては、先生御指摘のように第二十九条の趣旨にまさに合致するものだという認識を持っておるところでございます。
○矢野哲朗君 一連の教育現場での問題提起をさせていただきました。今回のこの条約の解釈をめぐって余りにもいろんな意見がそれぞれの立場で発表されている。特に一番心配なのが学校教育の現場で混乱を引き起こすんではないのか、このことを一番私は危惧する一人であります。 本条約が初めて国会に提出されました平成四年三月から既に二年を経過しておりますが、その間、正しい解釈と運用についての広報活動がどうされたのかちょっとお伺いしたいし、現実に教育現場でそれを正しく理解されているのかどうなのか、その状況も踏まえて説明を願いたい。今の状況、私も完璧な理解を示してもらっているなというような状況にあり得ないという立場から、今後いかにこの趣旨を徹底していくんだと、そういう意味も含めての考え方を説明願います。
○説明員(富岡賢治君) 先生御指摘のとおり、教育現場で本条約の趣旨等につきまして理解が十分進んでいるというふうな認識は私ども持っておらないわけでございまして、今後批准されました暁におきましては、この条約の趣旨の徹底につきましては最韓の努力を尽くしてまいりたいと考えておるわけでございますが、先生御案内のように、本条約の趣旨につきましては我が国では既に憲法や国際人権規約の規定によりまして種々保障されているものでございまして、その意味では条約の批准によりまして現在の学校教育の制度や仕組みに基本的な変更が求められるものではないという認識を持っておるわけでございます。 しかしながら、学校教育におきまして児童生徒の人権に十分配慮して一人一人の個性を大切にした教育指導や学校運営が行われるということは大切なことでございますので、これが批准されました暁には、いろんな機会がございます、研修会とがそれぞれの段階ごとでいろいろ種々の研修・広報資料等もございますので、いろいろな形を通しましてその趣旨の普及につきましては努力してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○矢野哲朗君 終わります。
○清水澄子君 まず最初に、私の質問時間は二十五分しかありませんので、答弁は要点のみ答えてください。 まず、国籍の取得の権利についてですけれども、この子どもの権利条約の第七条では、子どもが生まれたときから名前を持つ権利と国籍を取得する権利というものが明記されています。これは子どもの人権の基礎としてこの条約は無国籍児の発生の防止を趣旨としているわけですけれども、日本の国籍法はこの条約の趣旨にそぐわない面があると思いますけれども、法務省はどのように条約の趣旨を生かすお考えか、お答えください。
○説明員(原田晃治君) ただいま議員から御指摘がございましたように、無国籍児につきましては、各国の国籍関係法令によりましてできるだけ無国籍の児童が発生しないようにそれぞれ配慮をしているというところでございます。 御質問のございました我が国の場合について申し上げますと、国籍法が、出生のときに父または母が日本国民である場合にはその子は日本国籍を取得する、いわゆる血統主義の原則を採用しております。この原則を貫きますと、例えば日本で生まれながら父母が判明しない場合、それから父母はわかっているが無国籍である場合、こういう場合にその子が無国籍になってしまうという不都合が生じるわけでございます。そこで、我が国の国籍法は、日本で生まれた子で父母がわからない者、また父母が国籍を有しない者につきましては日本国籍を取得するということで、いわゆる生地主義の考え方を一部採用し、無国籍児の発生を防止するための配慮をしているということでございます。 さらに、我が国の国籍法は、日本で生まれ、かつ出生のときから国籍を有しない者で、しかも出生のときから引き続き三年以上日本に住所を有する者につきましては、帰化の条件を大幅に緩和して簡易な帰化手続によって日本国籍を取得することができるという規定を設けております。 我が国の国籍法につきましては、申し上げましたようにできる限り無国籍児の発生を防止するための配慮をしているというところではございますが、議員の御指摘の点につきましては、今後とも我が国の国際化が進展し国際交流が活発化するという中で国籍行政全般につきましてどうあるべきかという観点から、各国の国籍立法の動向、さらに我が国が置かれました国際情勢等にも十分に配慮しながら、これからも研究を続けてまいりたい、このように考えております。
○清水澄子君 ぜひ研究を続けてください。 例えばフランスは日本と同様に血統主義の伝統を持っ国籍法ですけれども、フランスで生まれ、両親が外国人であって、かつ外国法によってその両親のいずれの国籍もその子に付与されないという場合にはフランス国籍が取得できるというふうに改正されております。私は子どもの権利条約の批准に際して、ぜひそういった子どもの権利の観点から国籍法を見直していただきたい。 そこで法務省にお尋ねするんですけれども、日本に居住している無国籍児は何人おりますか。どういうふうに把握しておられるでしょうか。
○説明員(原田晃治君) 当局では正確な数字を把握しておりません。 と申しますのは、このような無国籍児につきましては市区町村長から出生届の受理伺いがあった場合に限り事案の事実関係が把握できるということでございますし、さらにこのような事案について出生届がされないという場合もございます。したがいまして、その実態を正確に調査することができないということでございます。
○清水澄子君 実態が調査できなければ無国籍児をなくすということが非常に難しいわけです。ですから、やはりそれは制度やいろんな仕組みに問題があると思います。 ことし一月に、長野県在住のアメリカ人牧師のウィリアム・リースさん、その夫妻に養子として育てられている無国籍の男の子アンデレちゃんの日本国籍の確認を求める裁判に、東京高等裁判所は父母がわからないことを証明しなければ日本国籍を与えられないという判決を下しました。しかし、この判決は何の調査能力もない請求者に余りにも私は冷酷な判決だと思っています。しかし、きょうは私はこの裁判についてお聞きするつもりはございません。 子どもの権利条約の第三条は、やはり児童に関するすべての措置をとるに当たって、これは社会福祉施設もそうだし、裁判所もまた行政当局や立法機関のいずれにおいても児童の最善の利益を考慮されるものとあるわけですから、この条約の批准に当たって裁判所に対して法務省はどのような具体的な措置というんですか、施策を講じられるのか、一言。
○説明員(原田晃治君) 先ほど議員御指摘のございましたようなフランスにおける無国籍児発生防止のための規定等、世界各国の国籍法令について種々検討がされているところでございますので、法務省におきましても今後とも世界各国の国籍法令でどのような配慮がされているか等につきまして十分調査研究を重ねてまいりたい、このように考えております。
○清水澄子君 日本の国籍法の第二条は、先ほど説明もありましたけれども、子どもが出生したときに父または母が日本国民である、あるいは父が日本人であるときにしか子どもの国籍を取得できないとなっているわけですけれども、ここで言う父というのは法律婚による父であって、事実婚による父は排除されているわけですね。ところが最近は、日本の男性を父とする、いわゆる外国人女性との間に生まれた子どもの無国籍児というのは非常に、倍々数でふえてきているわけです。ですから、この問題はいわゆる法律婚以外に生まれた婚外子の差別にも通ずるという問題を含んでいると思います。 したがって、先ほどもこの婚外子差別の問題について質問があったわけですけれども、先ほど法務省はこれに対しては民法九百条の四号、財産権の問題とかそういう問題について法制審議会の身分法小委員会で審議をしているということでありましたけれども、この婚外子の問題というのはそれだけではなくて、戸籍制度の身分関係の記載とか住民票、出生届の記載などさまざまな子どもの人権問題に広がっているわけです。 ですから、この問題についてはぜひ法務省は今後関係省庁との協議を深めていただきたい。そして、きょうは私はこれは答弁求めません。これらの問題はやはり昨年秋の国連規約人権委員会でも指摘されているわけですから、ぜひ見直しをされるように私はここで指摘をしておきたいと思います。 次の質問に移ります。今度はやはり法務省に子どもの性的搾取、それから児童売春についてお尋ねいたします。 子どもの権利条約の第三十四条は、あらゆる形態の性的搾取及び性的虐待から子どもを保護するということを決めておるわけです。しかし、日本の刑法では強制わいせつとかその未遂など日本人が海外でそういう犯罪を犯した場合に罰せられるという法律にはなっているわけですけれども、警察庁にお聞きしましたところ、子どもへの性的虐待というのはもとよりこの法の中には明確には規定されていませんけれども、この種の罪で日本人の国外犯を刑法の規定によって処罰した事例は一件もないということでありました。 この子どもの権利条約を批准した締結国のドイツでは、昨年の九月に法を改正していますし、オーストラリアでもことしの三月に児童売春をした自国民を処罰するための刑法の改正が行われているわけです。ですから、私は日本でも子どもに対する性的虐待の禁止を明確にした刑法の見直しが必要と思いますけれども、その点についていかがですか、一言お答えください。――時間がありません。一言言ってください。イエスかノーか、一言でいいです。
○説明員(倉田靖司君) 刑法の改正をすべきではないかという御質問でございますが、確かに傾聴に値する御意見ではございますが、我が国におきましては、児童を性的虐待等から保護するために児童に対して性的な虐待、広い意味での虐待がなされた場合におきまして、種々事案に応じまして罰則の規制がなされておりまして、これらを踏まえて考えますと、今直ちに刑法そのものにつきまして条約の批准に伴う法改正が必要であるとは考えていないのでございます。
○清水澄子君 もう結構です。警察庁はやはり法がなければ非常に難しいと言っておりましたけれども、ちょっと答弁が食い違っておりますから結構です。また後ほどやります。 そこで、次は厚生省にお尋ねいたします。 児童福祉法の第三十四条における禁止条項というのは、児童に淫行をさせたときとあるわけです。私、けさ辞書をいろいろ調べたんです。淫行という全然辞書にも載ってない言葉が法律であるわけですけれども、もうそんな淫行なんという言葉はちょっと古いんだろうと思います。そういう淫行させたときが禁止されているんですけれども、大人が子どもを性行為の対象にした場合は禁じられていないわけです。つまり、子どもを買うという、そういう非人間性を罰するということはこの児童福祉法にはないわけですけれども、この権利条約三条との関係で、厚生省はどのようにお考えになりますか。
○説明員(宮島彰君) 今御指摘の少女売春につきましては、売春防止法と今御指摘の児童福祉法三十四条第一項第六号によりまして売春のあっせん等が禁止されております。これによって条約第三十四条の趣旨は実質的に担保されていると考えております。 ただ、今御質問の売春の相手となることについて罰則をするのはどうかということですけれども、売春の相手となることを禁止することについては、売春防止法において「何人も、売春をし、又はその相手方となってはならない。」というふうに定めております。ただし、その売春の相手方となった者についても罰を与えるべきであるかどうかにつきましては、売春防止法の中で一応検討、問題になるのではないかというふうに思っております。 児童福祉法の関連におきましては、今後とも条約の趣旨を踏まえながら、児童福祉の一層の向上に努めてまいりたいと思っております。
○清水澄子君 この権利条約はもっと積極的なものなんですね。 ここに私はある週刊誌をお見せいたしますけれども、これは昨年の七月に掲載されて、子どもを使ったポルノグラフィーです。これだけ見ていれば何だとおっしゃいますが、この前をずっとお見せすればこういうポルノグラフィーのところに、これ愛ちゃんと言うらしいんですけれども、このポルノグラフィーを見たい人はどうぞということ。で、全部これが一つのあれになっているわけですね。 それで、こういう場合、児童福祉法では親権を持っ親の承諾があれば子どもをこういうポルノグラフィーに使ってもいいような内容になっております。子どもの権利条約では子どもが権利の主体者でありまして、今回のこの条約の批准によって親の承諾にかかわりなく子どもをポルノグラフィーに使ったり性的な対象とか虐待してはならないというものであるわけですから、この点について、私は本当は児童福祉法の見直しかやはり必要になっていると思いますけれども、厚生省どうぞ積極的な答弁をお願いします。
○説明員(宮島彰君) 今御指摘のような写真への児童の出演に関しましては、児童福祉法第三十四条第一項第九号のいわゆる有害支配の禁止によって実質的に担保されているというふうに考えております。 ただ、この規定は親の承諾のもとに行われた場合については一応適用外になっております。その考え方としましては、親子関係につきましては第一義的にはその親子の情義にまずゆだねようという考え方が基底にあるかというふうに思いますが、ただし、その行為が著しく児童の福祉を害するというふうに判断されれば、児童福祉法に基づきますいわゆる児童福祉のケースワーカーによります親に対する指導でありますとか、さらにはいわゆる一時保護あるいは施設入所等への措置、こういうものを児童福祉法に基づいて行いまして、児童の権利が保護されるように行うということであります。 また、その際にそういう措置をとることが親の意に反するという場合につきましては、児童福祉法第二十八条によりまして家庭裁判所の承認を得た上で児童の保護なり必要な措置を行うということもできることになっております。こういった措置を一応使ってまいりまして、条約の趣旨を実現できるように今後も努力していきたいというふうに思っております。
○清水澄子君 全然答えになってないんですね。日本の児童福祉法は親権による子どもの保護の方の骨格になっているために、今度の子どもを権利の主体にした条約との間ではいろいろ本当に検討し直さなきゃならない問題が含まれているということは率直にやっぱり認めるべきだと思うんです。 例えば九三年九月にドイツが法改正した、十四歳以下の子どもの性的虐待を扱うビデオとかそれからフィルムなどのそういうポルノ制作とか売春、そういうふうなものの所有とかそれを使うことも禁ずる、そのために懲役を一年から五年に延長するとかいろんな努力がなされているわけです。ぜひそういうふうに、全くこの官僚答弁というのは本当に私気に食わないんだけれども、やはりそういう点、ちゃんともう一度率直に、きょうは子どもの権利について一緒に大人が論議しているわけですから、ぜひ今後そういう姿勢をとっていただきたいと思います。 次に、外務省にお尋ねいたします。 児童売春は今日では国際的な問題になっております。国連の報告によりましても毎年百万人の子どもが性産業へ送り込まれている。そして、インドやフィリピンとかタイ、スリランカが最も多い国として名を連ねているわけです。そしてまた、フィリピンやタイなどのいろいろな新聞には、日本の男性が児童売春をさせて逮捕までされているというケースが時折出てくるわけですけれども、この子どもの権利条約の第三十四条の実効性を確保するためには、この条約にもありますように、こういう問題について二国間あるいは多数国間の措置をとらなきゃならないとなっておるわけですけれども、政府はこういうふうな、特にアジアの国との関係で児童売春を防止するためにどのような措置をとる用意があるかお聞かせください。
○政府委員(川島裕君) 日本人旅行者が今御指摘になったいろんなアジアの国で児童売春をやっているというようなことでありますれば、これは何と申しますか形容詞にちょっと窮する感じでございますけれども、まことにひどい話だと思う次第でございます。同胞としても恥ずかしいし、それからそういう国との友好関係に非常に害があると考える次第でございます。 そこで、何ができるかということ、二国間、多数国間の措置でございますけれども、これはちょっとこれから条約の趣旨を体して何ができるか考えたいと思います。
○清水澄子君 ぜひ二国間でのいろんな協定とか協議、協力できるものをつくっていただきたいと思います。 次に、やはり外務省ですけれども、国連人権委員会では子どもの権利条約を担保するために、子どもの性的虐待、搾取、人身売買を一掃することに関する選択議定書の作成のための作業準備が進んでいると聞いております。 日本はこの選択議定書の作成にもっと積極的に参加をしていくべきだと思いますし、それから選択議定書の内容をもっと高めるための提案者になる、それこそが私はこの国際社会における日本の子どもの人権の尊重の姿勢をあらわす場になると思いますけれども、外務省としてはそのことについてどのような準備をされていらっしゃいますか。
○政府委員(高野幸二郎君) ただいま先生御指摘のとおり、本年三月九日、国連人権委員会におきまして採択されました決議の中で、今、先生からお話しのありました作業部会の設置ということが予定されております。 今後、作業部会の設置に向かいまして、国連の経済社会理事会の承認を得た上で実際に作業部会が設置されるというふうに理解しておりまして、私どもといたしましてはこの作業部会にぜひ積極的に参画、参加してまいりたいというふうに考えております。
○清水澄子君 では、それらに参加された結果とかまたそういう選択議定書については、ぜひ多くのNGOとかいろんな皆さんに公表していただくようにお願いしたいと思います。よろしいですか。
○政府委員(高野幸二郎君) できる限り努力してまいりたいと考えております。
○清水澄子君 それでは、私は今度は大臣にお伺いしたいと思います。 先ほど提案理由の説明を伺っていて、実に立派な提案理由の趣旨をお聞きしたわけですけれども、この中には子どもに対していかなる差別もなく子どもの人権の尊重が確保されるように適当な立法措置とか行政措置とかその他の施策を締約国に対して定められていると、そういうことはただ定められているじゃなくて日本もなさるんだろうと思いますけれども、それに対してこの子どもの人権というのは、やはりまだまだ私たちはどうしても子どもというのは親が保護するものという認識、習慣というのが非常に根深いと思うんですね。ですから、こういう問題について子どもたち自身にも、また社会、成人、大人たちにも、子どもの人権についてこの条約の趣旨をどのように広報活動されていくのか、徹底されていくのか、そのことについてぜひ御意見をお聞かせください。
○国務大臣(羽田孜君) この条約の重要性、これを述べたわけでございますけれども、この条約の紹介、普及には今後とも政府の広報誌はもちろんでございますけれども、各種のメディアですとかあるいは講演会、こういうものを通じながら適切な広報を行っていく必要があろうと思っております。具体策についても、全国の例えは小学校、中学校、高等学校、児童福祉施設ですとか、あるいは図書館等に小冊子を配付していきたいと思っております。 特に子どもに対する広報につきましては、できるだけわかりやすいものになる工夫というものは大変大切だろうというふうに考えまして、そういったことを私たちは念頭に置きながら、国民に理解していただくように、また子どもたちにも理解していただけるように広報活動を積極的にやっていきたいというふうに考えております。
○清水澄子君 それでは、文部省は学校の現場で、低学年、中学年、高学年、それから社会人、成人教育を含めて本当に具体的にどういうふうな内容で徹底をされていこうとしているのか、答えてください。
○説明員(富岡賢治君) 条約を締結されました後には、私どもといたしましては、まず学校関係者への通知の発出、それから各学校段階の先生向け、学校向けのいろいろな広報誌がございますのでこれなどを用いまして、外務省とも連携しながら積極的に条約の趣旨、規定の内容等を周知していきたいというふうに考えておるわけでございます。 先生御案内のように、本条約を教育の場で取り上げますに至りましては、子どもたちの発達段階ということもよく踏まえて指導する必要がございますので、その指導のあり方なんかにつきましても、現在、中学校の社会科や高等学校の現代社会あるいは政治経済等の教科書などにおいても記述がなされているところでございますので、それぞれの発達段階に応じて適切な指導がなされるよう今後も指導を図ってまいりたいというふうに考えております。
○清水澄子君 では私、大臣に最後にもう一つお伺いしたいんですが、それは大臣が副総理でもいらっしゃいますので。 やはりこの子どもの権利条約は非常に子どもの人権に広範な問題を提起していると思うんです。ですから、それらを批准後にフォローアップしていくには関係省庁の連絡や調整、総合的なそういう機関があったら非常にそれは効果的な実効性を上げるんじゃないか。 女性差別撤廃条約が批准されましたときに、総理を長とする婦人問題企画推進本部というのが内閣の内政審議室に設けられたわけです。そのことによって女性の性差別撤廃に対する行政からの問題提起、指導というのは非常に全国的な広がりをしているわけですけれども、私はこの子どもの権利条約もやはりそういう行政というのですか、そういう問題意識で本来内閣の中にそういうものを設置していくぐらいの意欲が必要だと思うんですけれども、これは私がそれを希望しているわけですけれども、大臣はやっぱり副総理の立場でもいらっしゃるので、ぜひこういうことについて再度ひとつ御検討いただけないか、このことを希望して私の質問を終わりたいと思います。
○政府委員(高野幸二郎君) 大臣からお答え申し上げる前に、事務方としての答えを一つ申し上げさせていただきたいのでございますが、御指摘の点、私どもも大変問題意識としてはございます。つまり、政府部内における関係行政機関の連絡調整、これを緊密にやる必要があるということは大変深く認識しておりまして、先ほど来政府委員の答弁にございますとおり、連絡調整の度を非常に最近深めておりますので、基本的には今のラインを、関係行政機関の連絡調整を深めるということを引き続き今後とも大いに努力してまいりたいというふうに考えております。
○国務大臣(羽田孜君) 今、清水委員の方から御指摘があったわけでありまして、それで今、高野部長の方からもお答えをいたしておりますけれども、間違いなくこれはもう相当広範囲にわたる問題であるということを我々も念頭に置きながら、これに対してきちんとした対応ができるように内閣としてもしてまいりたいというふうに考えております。
○清水澄子君 どうもありがとうございました。
○委員長(井上章平君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午後零時四分休憩 ―――――・――――― 午後一時開会
○委員長(井上章平君) ただいまから外務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、児童の権利に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○北村哲男君 私は、時間の関係もありますので、四点だけの質問をしていきたいと思います。そのうち二点は、午前中に矢野委員が与党は十分納得したのかという質問をされた点でありまして、私どもは連立与党全体としては合意をした、されど社会党は、あるいは私は必ずしも納得していないという点もありますので、あえて「子どもの権利条約」という通称をもってこれから質問をしていきたいと思っています。 まず最初の二点は大臣に対してでありますけれども、この条約を実施するに当たっての大臣の御所見あるいは決意を問うわけでありますが、先国会の最終段階でまさに承認を得るに至らんとしたときに、私どもはかっての与野党間で一つの決議案をつくりました。この中に盛られているものは条約実施に際して重要なものと思われます。今回、決議としては出せませんけれども、実質的には現在の与野党間でも合意を見ているものと思われますし、かつ、ここにおられる当時の自民党の理事であられた椎名先生と苦労してつくったものでありますので、今後条約実施に当たって指針としていただきたいと思うわけです。 ひとつそれを細分をしていきたいと思います。それは、 世界人権宣言の採択四十六周年に当たる本年、我が国が、未来を担う子どもの権利の尊重及び保護の確保を目的とする児童の権利に関する条約を締結することは、極めて意義深いものがある。この条約は、基本的人権の国際的保障を確保するための国連を中心とする努力の成果であり、その趣旨は、基本的人権の尊重の理念に基づく我が国の憲法が目指すところと合致している。 政府は、この条約を締結するに当たり、これを誠実に遵守するとともに、次の事項について特段の努力を払うべきである。 一、今日、世界の多くの子ども達が紛争、飢餓、貧困等の中で極めて困難な状況におかれていることに留意し、子どもの生命及び人権の保障を確保するため、国際協力を一層推進すること。 二、我が国における子どもの権利の尊重及び保讃の確保に一層努めること。殊に、各般の分野における子どもに関する措置をとるに当たっては、子どもの最善の利益並びに父母の責任、権利及び義務を考慮すること。その際、障害を有する子どもの尊厳の確保、自立の促進及び社会への積極的な参加に配慮すること。 三、この条約の内容が広範な分野に及ぶことにかんがみ、条約の運用に当たり、関係行政機関の緊密な連携を確保すること。 四、この条約に基づく広報義務の履行に当たつては、関係行政機関、地方公共団体、教育現場を始め広く国民全体に、この条約の趣旨及び内容の周知徹底に努めること。特に、この条約が十八歳未満の子どもの権利について定める条約であることを踏まえ、子どもが理解し得るよう十分配慮すること。 五、この条約第四十四条に基づき、政府がこの条約において認められる権利の実現のためにとった措置及びこれらの権利の享受についてもたらされた進歩に関する報告を児童の権利に関する委員会に提出したときは、これを当委員会に報告すること。 六、未批准の人権に関する諸条約の締結について、その検討を促進すること。 以上を踏まえて、大臣の御所見と今後の御決意をお伺いしたいと存じます。
○国務大臣(羽田孜君) 本条約の権利につきましては、既に憲法を初めといたします現行国内法制、こういったものによって保障されておりますけれども、政府といたしましては、この条約の締結を契機にいたしまして、意識面及び実態面を含めまして児童の権利の保護のため一層の努力を行っていきたいというふうに考えております。その際には、今委員の方から御指摘のございました先国会で御議論があった決議の案、こういったものについても私どもよく念頭に置きながら、一つの考え方として大切にしていきたいというふうに思っております。
○北村哲男君 ありがとうございます。私は、この条約が国の政策において誠実に実行されることを心から願うものであります。 次に、この子どもの権利条約は一九八九年十一月に国連総会で採択されて、我が国は翌一九九〇年九月に署名しております。締約国は現在百五十三カ国と、ほとんどの国が締結、締約をしておる状態であります。それから約三年半を経て、今ようやく国会において承認され批准されようとしておりますけれども、この間、国会の内外において多くの議論が闘わされてきました。 私は、この子どもの権利条約を承認、批准するに際して大切なことは、後を絶たない子どもの権利侵害をどうやって防ぎ、どうやれば子どもの人権を徹底的に守り抜くことができるかということであると思います。私は、そのために三つの論点を挙げてみたいと思います。 一つは、家庭崩壊を防ぎ、子どもの成長を十分に保障できる家庭を築き上げねばならないこと。このために国の家庭に対する援助が必要であること。 二つは、家庭及び家庭内で対等な人間関係を確立して、夫婦の平等、兄弟その他家族関係を含めた対等な人間関係を築き上げること。 そして三つ目、特に大切なことなんですけれども、親の子に対する意識の変革が必要であること。この親の意識の底流にある子は親の附属物といった考え方を改めて、子どもも一個の権利行使の主体として認めて意見を表明させこれを尊重する意識の変革が必要であるということであります。そして、その意識の変革を指導する国の指針が必要であると思っております。 このような考え方から私どもは、特に私の言った三番目の観点から、この先進的な条約を象徴するものとして、政府訳の「児童の権利条約」という名称を「子どもの権利条約」に変革しようという立場をとってまいりました。この考え方は、日本弁護士連合会を初め多くの団体、そして何千何万という子どもたち、そして幾つかの政党の支持も得てまいりました。しかし、今日に至ってもこの変革への指針は受け入れられることができなかったことは、まことに残念に思っております。 私は、この段階に至って、もはや「子ども」とか「児童」という論争はもうやめたいと思っておりましたけれども、つい二、三日前に私のところに初々しい女性の大学生が訪ねてきてくれました。そこにもう既に来ておられますけれども、傍聴しておられるお嬢さんたちの仲間の一人の方でありました。 彼女は、今回希望していた大学についに合格できたというふうに言っておりまして、その彼女がこう言ったんです。私は、受験勉強しながら、一方で、子どもの権利条約の中の「チャイルド」は「児童」ではなく「子ども」と訳してくださいと国会議員の方々にも一生懸命お願いしてまいりました。でも、ついにそれを実現することはできませんでした。私はもう十八歳を過ぎてしまいました。でも、これからも後輩たちのためにこの条約が晴れて「子どもの権利条約」となるまで何十年でも言い続け、きっと私たちの時代にそのようにならせてみたいと思っていますというふうに言いました。 私はこの言葉に一瞬胸が詰まったわけですけれども、いかがでしょう、大臣、今のこの言葉に対する御感想と子どもたちへの希望あるメッセージを一言お聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) 今、御指摘のあったその思いというのは、私も個人的なあれで考えたときには理解できないことはないわけであります。ただ、条約の名称で使われております「チャイルド」の話訳、これにつきましては、我が国が既に締結しております。その他の条約の訳文ですとか、あるいは我が国の憲法、労働基準法ですとか児童福祉法、こういったものに用いられております法令用語との整合性、この立場から「児童」を用いることとしたわけでございます。 一方、国会の承認後、この条約の広報活動を行うに当たりましては、今お話しかございましたことをよく念頭に置きながら、「児童」ばかりではなく「子ども」という言葉も使用していきたいというふうに考えております。
○北村哲男君 どうもありがとうございました。 次にまた、午前中矢野委員の御指摘になった三十七条(c)項の留保についてお尋ねします。 政府は、自由を奪われたすべての児童が成人から分離されなければならないという旨を規定しているこの三十七条(c)項を留保しております。留保の理由として午前中も非常に簡単に述べられましたけれども、これがなぜ問題かというと、この理由が定かでないために多くの批判と混乱が起こってきたということであります。 すなわち留保した趣旨が、万一留保しないとすると、条約に従って十八歳未満と十八歳以上を分離して、さらに二十歳という国内法に従って十八、十九、そして二十歳以上を分離するという三段階の取り扱いをすることが実務上大変であるという理由なのか。あるいは条約四十一条に基づいて、そもそも二十歳で青年と少年を分離する国内法の方が十八歳未満の子どもにとって子どもの権利の実現に一層貢献するという判断をしたためなのか。あるいは単に条約と国内法が矛盾するから言ったのか。その点について政府の意図がいま一つ定かでないという留保であったわけです。 また、この留保は国際的に、我が国が三十七条同項の、少年司法における子どもと成人との分離原則という大原則自体を留保したのではないかという誤解を招きかねない形の留保の仕方である。そして、国内法的には代用監獄に少年を今なお留置している現状、これを恒久化しようとしているのではないかという疑問も呈されております。 このように、たった一つの留保ということがこれほどまでに国内的に混乱を巻き起こしていることは、甚だ遺憾であると思います。 今私が指摘した点を踏まえて、外務省及び法務省当局から留保の理由背景を明快に説明を願いたいと存じますし、また、これも午前中訳語が非常に不適当だという指摘が委員からありましたけれども、十八歳、十九歳だけが例外であるということであるならば、これだけが例外であることを明らかにするように、もう少しましな、わかりやすい留保という形の留保をする仕方はなかったのか。すなわち大原則をも否定するようなやり方でなくて、一部だけを例外、除外するような留保の仕方はなかったものかという点についてお聞きしたいと思います。
○政府委員(高野幸二郎君) ただいま委員のお話にもございましたとおり、この条約におきましては児童と成人の分離基準年齢を十八歳としている。他方、我が国の国内関係法令では二十歳を分離の基準年齢としている。そういう分離の基準年齢につきましての本条約と国内関係法令との間に明らかに差異があるということからくる留保でございまして、我が国として児童と成人を分離するという原則自体を問題にした留保ではないということは、委員が御指摘のとおりでございます。
○北村哲男君 その点を、今の分離原則を明確にするということがあるにもかかわらず、分離原則をうたっている条項自体を留保したということが私は混乱を巻き起こしたのではないかと思いますので、今回についてはやむを得ないと思いますけれども、今後、その点についてはもう少し工夫が必要であるんではないかと思っております。 そしてあわせて、将来、国内法の改正あるいは法意識の変遷によって留保を撤回したいという場合、これは国際法的には条文に出ているとおりですけれども、国内法的にはどういう手続をとればいいのか。そして加えて、もう一つ問題になっておりました解釈宣言についても、時代の変遷によってその必要がなくなったときにはどういうふうな手続をもって撤回をしていくのか。この点について、ひとつ答弁をお願いいたします。
○政府委員(小池寛治君) 先生御指摘のとおり、本件条約第五十一条三は、 留保は、国際連合事務総長にあてた通告によりいつでも撤回することができるものとし、同事務総長は、その撤回をすべての国に通報する。このようにして通報された通告は、同事務総長により受領された日に効力を生ずる。 という手続を定めております。したがいまして、国際的な手続としましては、国連事務総長に対する通告により撤回することとなります。 それから、国内的な手続についてでございますけれども、従来から政府が答弁申し上げてきておりますけれども、当初の留保を行政府限りで行ったものについては、その撤回も同様に行政府限りで行うことができる。他方、留保を付して条約を締結することについて国会の承認を得た場合の留保の撤回については、本件のような場合でございますけれども、戦後先例はございません。 本件条約についての留保の撤回の手続については、今後その必要が生じた際に、憲法第七十三条の全体の趣旨、他の国における憲法、制度、慣行などを踏まえつつ、いかなる手続によるべきかを慎重に検討することといたしたいというふうに考えております。 それから、解釈宣言についても御質問がございました。先生御承知のとおり、解釈宣言というのは多数国間条約において字句や表現について複数の解釈が許容されるような規定が存在する場合、それらの解釈の中で政府のとる解釈をあらかじめ明確にするものでありまして、当該規定の適用すなわち法的効果を何ら変更するものではないというのは先生よく御承知のとおりだと思います。 本条約の解釈宣言につきましては、条約の寄託者である国連事務総長に対し書面で通告することとなる予定でございます。国際的には、一度行った解釈宣言の撤回についていかなる手続で行うかという一般的な手続は定まっていないというふうに考えられます。また、我が国が解釈宣言の撤回を行った例はございません。 国内的にどういう手続がということにつきましても、解釈宣言は留保と違いましてそもそも条約の法的効果を変更するものではないので、解釈宣言の撤回がそもそも必要なのか、また仮に必要があるとしてもそれがいかなる場合がは必ずしも明らかではございません。 将来、我が国が行った解釈宣言を撤回するような事態が生じる場合には、その時点でどのような国際的な手続が適当であるか検討することとしたいというふうに考えております。
○北村哲男君 最後の質問に移りますが、法務省及び厚生省同時に、一つずつ聞いていきますと時間がありませんので、二つ聞きます。 というのは、この間、条約の内容を先取りあるいはその精神を踏まえて幾つかの政策が実施されようとしております。その中で私は、法務省が実施しております子どもの人権オンブズマン制度、そして厚生省が実施しようとしている児童福祉アドボケーターという点について注目しております。 残された時間の範囲内で結構ですから、順次、子どもの権利条約との関連において御説明をいただきたいんですが、この報道によりますと、アドボケーターがどういう資格の人かということで、アドボケーターを派遣して親と話し合って親から子どもを引き離した方がよいと判断した場合はこれに対応した措置をとるという、ちょっと物騒なことも付してあります。というのは、簡単に引き離されてはこの条約の精神にも、反することですので、子どもの人権、親子の人権に対する相当の配慮も必要だと思いますので、その点も踏まえて、時間の範囲内で結構ですから、両省から御説明を願いたいと思います。
○説明員(河野芳雄君) 法務省の人権擁護機関におきましては、従来から、いじめ、体罰、不登校児などの子どもの人権問題に積極的に取り組んできたところでございますが、近年、不登校児の増加、それからいじめによる重大な人権侵害の発生が続いてきたところでありまして、これらを防止して子どもの人権を擁護するための適切、有効な対策が求められているというふうに思われます。 そこで、人権擁護委員の中から、子どもの人権を専門的に取り扱う子どもの人権専門委員を指名いたしまして、他の人権擁護委員の協力を得るとともに、法務局及び関係機関との連携を図りながら子どもの人権問題の解消に取り組むこととして、平成六年度の政府予算においては所要の予算を計上しているところでございます。この予算におきましては、十都道府県において実施することとすべく一千六十五万七千円を計上しているところでございます。 今後の取り組みにつきましては、この平成六年度における実施状況を踏まえてさらに検討していきたいというふうに思っております。
○説明員(宮島彰君) お尋ねの児童福祉アドボケーターの関連について御説明いたします。 御案内のように、近年非常に核家族化なり都市化が進展しまして、その中でいわゆる家庭における育児の孤立化というのが進んでおります。特に大都市におきましては育児不安なり虐待、非行といったようないわゆる養育問題に悩む家庭が非常に増加してきておりまして、そうした家庭に対する相談なり支援対策というものの充実が非常に求められているわけでございます。 このため、平成六年度におきましては、民間の養護施設等が持っております児童の育成についての専門性を活用いたしまして、都市家庭在宅支援事業を新たに実施することとしております。この事業は、児童の育成については豊富な経験と知識を有します養護施設等の主任児童指導員、こういった方々を児童福祉アドボケーター、いわゆる権利擁護者というものに指定いたしまして、児童の養育に不安や悩みを持つ家庭からの相談に応じますとともに、地域の児童委員や保健婦等の協力によりまして児童側の視点に立った家庭への訪問、援助等の活動を行うというものでございます。 平成六年度におきましては、人口百万以上の大都市におきまして十カ所の実施を予定しております。今後、この実施状況等を勘案しながら対象都市の拡大等を検討してまいりたいというふうに思っております。 それから、子どもを親から引き離していろんな措置を行うという問題についてでございますけれども、基本的には今言ったような形で家庭に訪問指導等を行うわけでありますけれども、やはり子どもの福祉の観点から、いわゆる児童福祉司等のケースワーカーによる指導なり一時保護なり、あるいは養護施設等へのいわゆる施設入所等の措置をした方が子どもの利益のためには最善であるというふうに判断された場合は、児童相談所の中におきまして専門家による判定会議を行いまして、そこで慎重に検討した上でそういった措置を決めるということであります。 この場合もいわゆる親の理解と同意を得た上でそれを行うということでございまして、親の意に反してどうしても子どもの利益のためにはそうしなければいけない場合は、家庭裁判所の承認を得た上でないと行えないという仕組みになっております。
○北村哲男君 終わります。
○武田邦太郎君 まず大臣に伺います。 第三十八条の第三項にはこういうふうにあります。「締約国は、十五歳未満の者を自国の軍隊に採用することを差し控えるものとし、また、十五歳以上十八歳未満の者の中から採用するに当たっては、最年長者を優先させるよう努める。」。この第三十八条の第三項は戦争放棄の憲法を持っております日本の国民には、国内法その他において適用除外を明確にした方が適当ではないか。お考えを伺います。
○政府委員(高野幸二郎君) 今、先生御指摘の規定につきましてはおっしゃいましたとおり、この三十八条整二項の規定といいますのは、十五歳未満の者を自国の軍隊に採用することを差し控える、それによってこれらの者が敵対行為に直接参加しないことを確保する、それにあわせまして、十五歳以上十八歳未満の者についても、これらの者の中から採用するに当たっては最年長者を優先させるよう努めることによって児童を武力紛争の危険から保護するという趣旨でございます。 この趣旨は我が国の自衛隊におきます隊員の採用におきましても十分確保されておりますので、この条約との関係において格別な問題は生じないというふうに考えております。
○武田邦太郎君 第二番目は、文部省関係の方に伺うんですが、児童の教育の段階から平和という問題について確信を持てるような教育をもっと徹底すべきではないか。戦争の歴史からいえば現代は核ミサイル段階に入っているわけでありますけれども、核ミサイル攻撃に対しては完全な防衛は成立しないわけですね。したがって、これに対しては核ミサイルを持たないようにする以外に人類の安全保障はあり得ない。 先ごろアメリカが発表したところによりますと、これまで中国が核ミサイル関係の機材及び技術を輸出した国を列挙してありました。記憶ははっきりしませんが、インド、パキスタン、イラン、イラク、イラクはちょっと今中断された格好でありますが、シリア、南アフリカ連邦、アルゼンチン、ブラジル、まだあったかもしれませんがこういう諸国が列挙されているわけですね。 こういう状況は、つまり人類の科学技術はずっと発展しまして核ミサイルに途上国がそう困難なしに手を伸ばし得る文明の段階に来ておる、こういう状況として理解しますならば、今の北朝鮮のように、ただ経済制裁だとかあるいは大規模な演習でおどかすとか、そういうことで核ミサイルに対して途上国が手を伸ばすことを制御することは恐らく不可能ではないか、こういうふうに思います。そういうことではなくて、人類の安全保障は戦争放棄以外にあり得ない歴史の段階であるということを各国の子ども、もちろん日本は真っ先にやらなきゃなりませんけれども、徹底的に教育する。 それより前に、例えば地球環境の問題一つ考えましても、国境を越えて人類の運命はもう一蓮托生といいますか一つになっている。こういう時代に我々は生きている。したがって、まず地球環境を改善するのには、まあカーターさんのグループの研究では年間六千億ドルの金が要るそうでありますがそんな金は全くないわけですね。ただ、それは軍事費がその二倍ぐらい、一兆二千億ドルぐらい使っておるそうでありますから、戦争放棄を各国が歩調をそろえてとることにおいてのみ人類といいますか地球上の生命といいますか、それは生き延び得るということになるわけであって、だから今日では戦争放棄ということは最高のモラルでありますけれども、単なるモラル以上に、歴史の現実に照らして我々が一緒に、すべての国が一緒に生きていくための絶対必要不可欠の条件である。 こういうことで、現在のように非常に各地で民族、宗教の闘争があって、国連のPKOかPKFか、それさえ大して効果的な行動をなし得ないということはソマリアあるいは旧ユーゴの実情に照らして明らかでありますから、これをなくするにはどうしても先進国から戦争放棄をやる、十年計画か十五年計画か知りませんけれども、核兵器を廃絶するということを先進国からまずお手本を示すぐらいにしないと人類の前途の安全は望めないではないか。これは大人にとっては受け取りにくい問題かもしれませんが、子どもにとってはこれは、今の時代は平和者こそが最も強いんだ、武力を持つより平和者の方が強い、こういう教育を徹底的にやるべきだと願うものでありますが、これは今即答は難しいでしょうが、文部省の関係ではどういうふうにお考えになりますか。
○説明員(河上恭雄君) 学校教育におきましては日本国憲法、それから教育基本法というものを踏まえまして平和的な国家社会の形成者として必要な資質を養うこととしております。 平和に関する教育につきましては、小中高と子どもの発達段階に応じまして、主として社会科におきまして世界平和の必要性あるいは日本国憲法の平和主義の原則、これらにつきまして指導しております。 例えば、具体的に申しますと、小学校の六年生では、「平和を願う日本人として世界の国々と協調していくことが大切であることを自覚できるようにする。」、こういう考え方で指導しております。また、中学校段階になりますと公民科という分野がございますが、そこで「日本国憲法の平和主義について理解を深め、我が国の安全と防衛の問題について考えさせる」、さらに「核兵器の脅威に着目させ、戦争を防止し、世界平和を確立するための熱意と協力の態度を育てる。」という指導を行っております。高等学校になりますと、現代社会という科目がございますが、そこで「平和主義と我が国の安全についての理解を深めさせ、日本国憲法の基本的原則について国民生活とのかかわりから認識を深めさせる。」、あるいは「核兵器と軍縮問題など国際平和を推進する上での課題について理解させこ、こういうことで指導しております。 これは学習指導要領に書かれております方針でございまして、これらに基づきまして具体的に教科書でもそういう考え方に立った編集がなされておるわけでございまして、それに基づいて学校でそういった平和主義についての教育が行われているという現状でございます。
○武田邦太郎君 今の段階はそれぐらいでしょうけれども、私が申し上げたいのは、国の防衛ということは国家単位では不可能な時代に入っている、全地球的、全人類的な安全保障をみんなでやらなければ安全は期し得ない時代に入っておるということを申し上げたのでありまして、急にはいかぬでしょうが、一つの問題として取り上げていただくことを希望します。 それから、これはまた別の問題でありますが、この委員会で取り上げたことがございますけれども、海外に七十万人の日本の国民がいるわけですね。この人たちは選挙権を行使することができておりません。それは、この前問題になったときに自治省関係か、非常に手数が迅速にいかないので、なるべく早くそうしたいことはしたいんだけれども急にはやりにくい、そういう事情の御説明があったわけでありますけれども、これはやはり日本の国民の主権に関することでもありますし、また今日のような国際化時代には海外におる日本国民の物の考え方が非常に意義のあるものだということもございますので、いろいろ困難なビジネス上の事情はございましょうけれども、少しでも早く選挙権を行使できるように、私どもの方の寺澤議員などの話を聞きますと、アメリカなんかにおりましてもほかの多くの国はきょうは祖国の選挙だと言って誇りと喜びを持って投票に行くというんですね。その中で日本人だけが我々は選挙権を行使できない、非常に情けない気持ちで外国の人が選挙に行く姿を見るというんですね。こういうことはやはり先進国の一員とみずから認ずる日本のあり方として少しでも早くこういう状態を解消していただきたい、こういうふうに思います。これは単なる希望でありますけれども、よろしくお願いします。
○国務大臣(羽田孜君) 今御意見がございました点、我々も踏まえながら何とか私も実現できる方向に努力していきたいなというふうに思っております。衆議院の方でもこの間現地を調査するというんで石井委員長のもとで視察等も行っておりますから、そういったことも参考にしながら関係各省とよく連絡をとっていきたいというふうに思います。
○武田邦太郎君 お願いします。終わります。
○荒木清寛君 議題となっております条約につきまして、まず大臣にお伺いしたいと思います。 児童は、その人格の完全かつ調和のとれた発達が確保され、社会の中で個人として生活するために十分な準備が整えられることが必要である。これが条約の基本的な考え方と思う。このように、これは前総理が本会議でおっしゃっているわけですが、今、日本の児童また子どもが現実にそういう環境に置かれているかどうか、大臣の認識をまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) 現在、我が国におきます児童の人権保護の水準というのは、国際的に見ましても既に高い水準にあるというふうに考えております。しかし一方、児童の人権保護の水準につきましては法制度の面ですとかあるいは意識面、また実態面、こういったあらゆる面におきまして不断の努力をすることによってさらに向上させることが必要であり、また大事なことであろうというふうに考えております。このような考え方から、この条約の締結は我が国にとっても大きな意義を有するものであろうというふうに理解をいたします。
○荒木清寛君 私は、この条約の理想と日本の現実との間にはかなり乖離があるんじゃないかというふうに率直に考えるんですね。例えば教育の問題にしましても、二十九条では「児童の人格、才能並びに精神的及び身体的な能力をその可能な最大限度まで発達させること。」、そういう教育を受ける権利がある、そういう規定なんですけれども、では実際に日本の今の教育がどうかといいますと、率直に申しまして、個性を伸ばすというよりはむしろ偏差値という単一の物差しで評価をされるという、そういう画一教育を受けていると言っても過言ではない、そう考えるわけで、そういう意味でも条約の理想と日本の現状とには多々乖離があるんじゃないかというふうに考えるわけです。 そこで、払お願いをしたいんですけれども、この条約の批准を契機としまして、外務省を中心としまして各省庁が連携をとりまして、条約の広報ということはもちろんでございますけれども、それ以上にこの条約の精神を生かすために何をすべきか、何ができるか、そういうことを真剣に検討していただきたいというふうに考えるわけですが、いかがでしょうか。
○政府委員(高野幸二郎君) 今、委員御指摘のとおり、本件は大変多岐にわたる問題でございまして、したがいまして多くの関係行政機関にかかわる問題でございます。そういうこともございまして、外務省といたしましては関係省庁と密接な連絡協議を保ちつつ、ぜひ本条約の趣旨を十分踏まえた対応をいたしたいというふうに考えております。
○荒木清寛君 ぜひそうあっていただきたいと思います。 次に、四十四条の一項ですけれども、締約をしました場合には当初二年以内、その後は五年ごとに国内における条約の実施状況を児童の権利に関する委員会に報告をする、そうなっておりますけれども、この報告書はどなたがおつくりになるんですか。
○政府委員(高野幸二郎君) 外務省におきまして、関係省庁との協議のもとに外務省が取りまとめを行うという予定でございます。
○荒木清寛君 なぜこういう報告をすることになっているかといいますと、条約を読んでみますと、この児童の権利に関する委員会は、条約の各国における実施状況といいますか、条約の義務の履行の状況につきまして審査をして場合によっては勧告ができる、その勧告のための一つの基礎資料がこの報告書だ、そういう位置づけじゃないかというふうに思います。ですから、この報告におきましては、光の部分もまた影の部分もきちんと正確に報告をされるということが大事じゃないかというふうに考えるわけですね。 そういう意味では単に外務省あるいは政府がつくるというのではなくて、民間団体の方の意見もよく聞いて、場合によっては例えば弁護士会の代表に報告書の作成に関与してもらう、そういうことも考えたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(高野幸二郎君) この報告書の内容にかかわる問題というのは、実はその多くはそれぞれの関係省庁の問題でございます。したがいまして、今御示唆のありましたような対応をするかどうかは、一義的には国内各関係行政機関の判断にかかわる問題というふうに外務省としては今考えております。 他方、事外務省につきましては、私どもといたしましては、民間団体等と意見交換する機会があれば、そのような機会を通じまして民間の御意見も十分参考にさせていただきたい、拝聴させていただきたいというふうには考えております。
○荒木清寛君 民間団体の意見を聞くことはもちろんですけれども、それ以上もう一歩進んで、その作業の過程に何らかの形で参画できる、そういうこともぜひ前向きに検討していただきたいというふうに要請をいたします。 次に、北朝鮮の核疑惑の問題につきまして若干お尋ねしたいんですけれども、この問題につきましては、大事なことは、朝鮮を徹底的に追い詰めてしまう、そういう状況だけは何としても避けなければいけない、そう考えるわけなんです。 といいますのは、「窮鼠猫をかむ」というような言葉もありますけれども、徹底的に追い詰めてそういう状況になってしまった場合に、一番危険にさらされますのは韓国であり日本でありということになりますし、また、核査察を一部拒否しているわけでありますけれども、それをもって直ちに国際の平和と安全に対する脅威がある、そのように決めつけてしまうことにもいささか問題があるんではないか、そう考えるわけです。安保理におきましてそういう経済制裁、あるいは一歩進んだ軍事的な色彩のある制裁ということも可能性としてはあるわけなんですけれども、日本としては、ぜひ慎重に対応するということをもって各国に働きかけていただきたいというふうに思うわけなんです。 そこで、一点だけお尋ねするんですけれども、近々大臣はフランスの外務大臣とお会いになるというふうにお聞きしておりますけれども、フランスが実はこの制裁につきましては随分積極的といいますか強硬な意見を持っているというような報道も一部あるわけなんですけれども、大臣がお会いになった際に、ぜひフランスの外相に対しまして、経済制裁等につきましては慎重の上にも慎重に対応してもらいたい、そのように進言をすべきであると考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(羽田孜君) フランスのジュペ外相との会談におきましては、北朝鮮の核開発問題についても協議をずる予定を私ども持っております。 ここでは、この問題の解決には国際社会がやっぱり一致団結して北朝鮮に対して確固たる姿勢というものを示すことが必要であろうと思います。しかし、一方では北朝鮮との対話の窓を残しておく、これが大事であろうというふうに考えておりまして、今日までも、米国の皆さんとお話しするときにもそういうことを申し上げてまいったわけでありますけれども、今度のジュベ外相が来られたときにも率直にやっぱりそのことをお話ししていきたいというふうに考えております。
○荒木清寛君 最後に一点だけ関連しましてお尋ねしますけれども、この安保理の決議で制裁ということは、拒否権を持っております中国が恐らく賛成しませんでしょうから、実際はそう簡単には実現をしないというふうに思っております。しかしそうなった場合に、中国を除きましてアメリカを中心としました多国間の協議でそういう事実上の制裁に移行してしまう、そういう可能性があるんではないかという心配をするわけなんですけれども、その辺の見通しを最後にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) 制裁について国連の場では議論というものはまだされておらないという現状であります。ですから、私どもといたしまして、非常にこれはデリケートな問題でございますから、今、仮定の議論は差し控えたいと思っております。 いずれにしましても、北朝鮮がやっぱり国際的に非常に懸念を持たれておるということ、そして今まさに核軍縮の時代にあって拡散する時代じゃないんだということ、これについて北朝鮮側でもぜひともそういったことに対して理解をしてほしいなという思いを強く持っていることを申し上げたいと思います。
○立木洋君 大臣、この子どもの権利条約がやっと批准に至るという気持ちを強くしているんです、もう何回も国会を経てきましたから。 そこで、改めて大臣にお伺いしておきたいんですが、子どもの権利条約が国会で批准されて子どもの権利問題は終わりということじゃなくて、これからやはり一歩一歩向上させていく、前進させていくという努力がなされなければならないというふうに私は考えるわけですが、この批准に当たって、この権利条約をどのようにさらに日本の実際の中でより前進的な、向上させていく努力を大臣としては行われるつもりなのか。その決意のほどを最初にお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) 先ほど荒木委員にもお答えいたしましたように、私は、基本的には日本の子どもたちの今の立場というのは国際的には割合と高いところにあるだろうというふうに思います。このことは立木委員もお認めだと思いますけれども、しかし、今お話しがありましたように、いろんな一つずつの事例なんかを見ますと、本当に子どもの基本的な人権が守られているのかというようなことは、実際に私たちも遭遇したりあるいは話に聞くこともあるわけでありまして、そういったことがないようによくこれを徹底して、いわゆる子どもたちと接することのある人たち、そういったところにまで、また、行政を進めるところでも、地方の末端にまでやはりそういったことをよく広報するということが大事だろうと思っております。そういう中で、そういう事案というものを一つずっやっぱりなくしていくための努力というものを我々はさらにしていかなきゃならぬだろうというふうに思っております。
○立木洋君 これからちょっとどういう問題が今現存しているのかということについて具体的にお尋ねしていくので、最後にまた大臣に改めてそれらの討議を踏まえてお尋ねしますから、聞いておいていただきたいと思うんです。 最初に厚生省の方にお尋ねしたいと思いますけれども、この権利条約の二十四条に、到達可能な最高水準の健康を享受することを児童の権利とするというふうに述べられていて、そこでは、すべての児童に必要な医療及び保健を提供する、これは確保されなければならないということになっているわけです。この点については保健制度などでそれが行われているわけですけれども、実は今回、地域保健法というのが上程されているわけですね、国会に。 その内容を見てみますと、保健所が今までやってきている仕事の一つとしては、妊産婦の家庭訪問だとかあるいは乳児の健診だとかという児童にかかわる部分というものも非常に多いわけですね、子どもにかかわる部分。全国で八百四十八あるその保健所がこれでは約半分に統廃合されるというふうになっております。仕事も専門的なサービスだとか市町村への援助に限定すると。サービスの大半ば市町村に移るということになっているわけですけれども、九四年度の政府予算案を見てみますと、市町村の保健婦の人件費への交付金というのは全額廃止されるんですね。 こういうふうなことになってくると、乳幼児の健診だとか、いわゆる若いお母さんたちのいろいろ育児のための相談だとかというふうな問題についてやっぱり大幅に後退するおそれがあるんではないかというふうな危惧を感じるんですが、この点について、厚生省の方はどのようにお考えになっているのか、まず最初に説明してください。
○説明員(伊藤雅治君) お答えいたします。 私どもが今国会に御審議をお願いしております地域保健法案におきます基本的な考え方でございますが、母子保健サービスなど非常に基本的な保健サービスにつきましては、都道府県と市町村の役割分担を見直しまして、利用者の便も考慮いたしまして、住民に最も身近な市町村に事務を移譲したい、このように考えているわけでございます。一方、都道府県の役割といたしまして、保健所、特に都道府県の保健所におきましては専門的、技術的な機能を強化していきたい、このように考えているわけでございます。したがいまして、地域保健体制全体といたしましては、市町村におきまして体制整備を図ることにより、年次的、計画的に体制の強化を図っていく、このようになるわけでございます。 市町村におきましては、既に一歳六カ月児の健康審査などをやっているわけでございますが、今回基本的な母子保健サービスを市町村に移譲いたしまして、そして市町村の求めに応じまして都道府県の保健所からもいろいろ必要な支援を行う、このようなことも法律上予定しているわけでございまして、十分準備期間をかけて実施に移していきたいと考えているわけでございます。さらに、保健婦などの必要な人材の確保につきましても、計画的に増員を図っていくという考え方でございます。 さらに、市町村の実施体制の整備の一環といたしまして、市町村の活動の拠点でございます市町村保健センターにつきましては、その整備の促進を図るために今回の地域保健法の中におきましてその設置の根拠を法律の中に明らかにいたしまして、国庫補助規定も新たに創設をして整備を促進していきたいと考えているところでございます。市町村保健センターの運営につきましても、地域の医師会など関係医療機関等の協力を得ながら適正な運営を確保していくと考えているところでございます。 なお、お尋ねの市町村保健婦の人件費についての考え方でございますが、人件費につきましては一般財源化を図るという基本的な考え方に基づきまして、平成六年度から、市町村が交付金という形ではなくて、市町村の実情に応じて弾力的に保健婦の増員が図られるように、そのような考え方から今回一般財源化をいたしまして、地域財政計画の中におきまして必要な保健婦の増員が図られるよう、年次的、計画的に今後増員を図っていくという考え方でございます。 したがいまして、今回の地域保健の関連の法改正におきましては、母子保健法などの改正を行いまして、母子保健対策の強化とあわせまして市町村を含めました全般的な体制整備を行うわけでございまして、このような点を総合的に勘案いたしますと、児童の権利条約の第二十四条、このような趣旨にかなうものではないかと考えているところでございます。
○立木洋君 いいことだけをたくさん並べ立てているので全部うまくいくように見えるけれども、実際はそうじゃないですよね。 市町村の保健センターでやると言っても、設置している市町村は全国でどれぐらいありますか。三分の一以下です。三分の二は保健センターがないんですよ、市町村は。ではどうするのか。これをつくるとなったら何年かかるのか。現実に乳幼児を見なければならないという保健センターの任務が統廃合されてしまったら実際には大変なことになるんですよ。そうでしょう。そして、あなた、今の市町村の保健センターについては法的な規定は何にもない、そうでしょう。法的に保護されるという状態が全くなくなるんですよ、市町村の保健センターに行けば。さらにそれだけでなくて、国から補助金が出るのは建設のときだけでしょう。運営費についてはただの一銭も出していないじゃないですか。そういう状態にあるのが現状なんですよ、市町村の保健センターというのは。それを統廃合をやって今の保健所を半分に減らしてしまうとなったら子どもの事態というのは一体どうなるのか。 まさに今ここで問題は、このような子どもの保護についての問題が重大だということになって、改めてこの子どもの権利条約というのが批准されるというそのときに、その同じ国会で子どもの保健の状態が後退するような法案を出すなんというのは、政府の姿勢を疑われるというふうに言わざるを得なくなるんですよ。あなたが今言っていることを全部並べて、これが全部完全にできるというのは何年先ですか。何十年先かわからぬですよ。そしたら何十年の間、子どもが待てるんですか、一歳、二歳、三歳の子どもたちが。 私はそういう意味でこの保健所の問題というのは深刻な問題だと。これは後退させるような事態は絶対に出してはいかぬというふうに私は考えているんです。 あなたは課長さんだから説明しかできないので、大臣、このようなことを今日の重大な権利条約の時期に出してくるというのはやっぱりいかがなものかと思うんですが、大臣としても今後、先ほど申し述べられたように子どもの権利の問題に関してはこれから一歩一歩向上させていく、それはもうもちろんそうなんですけれども、これはまさに後退させるという内容なんですよね。だから、この辺についてちょっと大臣の御意見をお聞きしておきたいんです。
○国務大臣(羽田孜君) 後退させる、これは統合の問題等についても御指摘なのかもしれません、そういう中で各村からまたさらになくなっていっちゃうよという御指摘なのかもしれませんけれども、そういうことなんかを含めて。ただ時代が、何というんですか、道路が整備されるとか、あるいはそれぞれの家庭が車を持つようになったとか、一昔とは大分変わってきているという中で、より効率のいい診療とか、あるいは対応というものをするために統合等をするということも必要な時代になってきているのかなという思いがあります。 しかし、私ども、子どもたちに対して後退するような措置だけはとらないように、やっぱりきめ細かい対応をする必要があろうというふうに思います。
○立木洋君 今、大臣がおっしゃったのは、後退するような措置だけはとるべきではないということですね。これはやっぱり具体的によく検討していただいて、もちろん所管の大臣ではございませんから外務大臣がどうこうするということではございませんけれども、先ほど話が出ましたように、できるだけ各関係省庁と連絡を密にしてそういう事態が絶対に起こらないように、少なくとも前向きに進むという方向があることが当然なのに後退なんというようなことになったらこれは大変ですから、そういうことがないように、ひとつ厚生省の方もお帰りになってよく実態を見て検討していただきたい。 将来的な展望を持つということは、これは我々何も反対しているわけじゃないんです。しかし、現実に後退するというような事態が起こるというようなことは絶対に避けないといけないんですから、この保健所の問題についてもよく検討していただきたいということをあわせて要望しておきたいと思うんです。 次に、保育所の問題でお伺いします。 この保育所の点については、ことしの一月に保健問題検討会で報告書が出されました。これは両論併記という二つの考え方が出されているわけです。 この一つの考え方というのは、今の措置制度についてはこれを縮小することは公的な責任の放棄につながる。だからそうならないようにすべきだし、措置費の公的な負担を拡充して職員の配置などこういうふうな最低基準を大幅に見直してより向上させるべきだというのが一つの考え方です。 もう一つの考え方は、児童の保育、この第一義的な責任は保護者にある。だから、そういう点から行政の関与のあり方を見直して直接入所制度を導入する。でもこれは五百万円以上の親権者の場合には、その入所に関しては直接保育所との間で契約を結んで実施するという内容のものだと思うんです。 私は、この後者の問題の見方というのは、この子どもの権利条約の趣旨から見ていかがなものだろうかと。保育所の問題については、これはもう三条で、社会福祉施設の問題についての充実のことが、確保が図られるべきだということが明確に定められておりますし、ましてや第二条の基本的な原則の中では、この条約に定める権利についてはいかなる差別もなしに尊重し確保しなければならないということになっているわけです。 そうしますと、そこには結局、社会的出身、財産、心身障害、出生その他の地位にかかわりなくと、だから親権者、保護者が五百万円以上であろうと以下であろうと子どものすべては措置を受ける権利があるわけで、それを財産の形で差別をするというようなこともこれもやっぱりいかがなものかということになるわけですね。 少なくともこれはそういう方向で、公的な保育制度の問題については、やはり完全に子どもの権利条約に沿って進めていくならば、先ほどから問題になっている直接入所制度による公的な責任を放棄しかねないようなそういう事態はとるべき方向ではないということを指摘したいんですが、その点についての厚生省のお考えをまずお聞かせください。
○説明員(柴田雅人君) ただいま先生から御指摘のございました保育問題検討会の第二の考え方ですが、もう先生から概略お話しいただきましたけれども、さらに具体的に申し上げますと、直接入所を希望する場合には、今の措置制度とは別に、所得水準にかかわりなく契約による入所を可能にしようとするものであるというのが第一点。それから二番目は、一定の所得水準以下の保護者につきましては、その負担能力から保育料の減免などを希望する場合にはこれまでどおり市町村に措置の申請を行うことができるようにするという考え方であります。 この考え方からすれば、所得水準によって保育所の入所の方法を直接入所か措置入所に区分するというものではなくて、措置の場合には保育料の減免を受けるために市町村の窓口に行っていただくということでもありまして、その手続はむしろ当然必要なものじゃないかというふうに考えております。 それから、保育所には直接入所の場合であろうと措置入所の場合であろうと、保育所の収入というものは措置費の場合と同じ金額になるように考えられているということでございます。ですから、直接入所の場合にはたくさんお金を取ってプラスアルファのサービスをする、そして入っている子どもさんに差別が生じるということがないように、要するに経済面からの差別が生じないようにしているということが二番目でございます。 それから三番目ですが、子どもさんには入所方法のいかんを問わずに同一の施設設備基準それから保母さんの職員配置基準を適用して、要するに措置で入ろうが直接入所で入ろうが同じ内容の保育を行う。もしこれに違反するようなことがあれば、行政が指導監督するというふうな考え方でありましたので、保育内容に差別が生じないようにこれも配慮をしている。 以上のことからまとめて申し上げれば、報告苦の第二の考え方というのは決して差別が生じないように考えられている。したがいまして、児童の権利条約に反するものではないというふうに考えております。
○立木洋君 それで差別が生じないんだったら、なぜ直接入所なんという別の入所の仕方を設けるのかということが根本的な問題で問われるんですよ。 だから、大体国が今までのこの十年間、保育施設の運営の問題についていわゆる国庫負担をやってきた内容を見てみますと、今から十年前では六百六十三億円、それが去年は三百九十五億円、今年の予算、平成六年度は二百二十五億円、国の負担がずっと減っていくという状態がつくり出されているんです。結局それはだれが負担するのかという問題になってくる。それは親が第一義的に責任があるからといって、いわゆる所得の多い部分にその費用負担を持たせる。そういう形で入所の差別をつくるということ自身は事実上財政上のあり方でいわゆる保育行政に対する差別をつくり出すことになるわけで、問題は、保育園というのは保育に欠ける子どもたちを入所させる児童福祉法上の社会福祉施設なんですから、これは完全に平等で扱わなければならないあり方なんです。 だから、そういう事態をとるなどいう厳しい批判が全国的にも出てきているわけで、そういうふうなことを国が自分たちの負担の責任を免れるためにやろうとするようなやり方は、これは子どもの権利条約から見ても我々は適切な内容とは言えないというふうに考えるわけで、大臣、この点についてもよく検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(羽田孜君) まさに保育に欠ける子をお預かりする、そしてそういった子どもたちに対しては適切な措置をしていく、これが保育園の目的であるということでありまして、私どももこれからそういったところ等につきましても、今保育園は地域によってはもう完全に幼稚園と同じようなあれなんかもありますけれども、しかしそういったことも踏まえながらもそういう欠ける子に対しての適切な対応というものは必要であろうというふうに思います。
○立木洋君 もう少しこの問題も議論したいんですけれども、先ほど言われた趣旨と同じように、差別が生じるだとかあるいは後退が生じるだとかという事態がないように十分今後見守っていっていただきたいし、そういう趣旨を踏まえて厚生省も努力していただきたいということをあわせて要望しておきます。 さて最後の問題では、二十八条と二十九条にかかわる教育の問題についてのお尋ねですが、二十九条の一の(a)、「児童の人格、才能並びに精神的及び身体的な能力をその可能な最大限度まで発達させること。」というのが同に書かれてあります。 さてそこで、私はいろいろ現実に教育を行っている先生方のお話を聞いてみたんですが、今、新学習指導要領というのは非常に評判が悪いですね。これは何かというと、一つは内容が難しいというんです。それから、量が多過ぎる。進度が速過ぎる。これは大変な状態になっている。それでもう半分以上の子どもがついていけない。教育課程の中では文部省の方は、教育のあり方としては子どもが関心を持つように、興味を持っておもしろく勉強できるようにと。第一わからなかったらおもしろくならないんですよ。 そこで私は、ちょっと具体的な事情を聞いてきたのでお話しをしたいと思うんです。 新学習指導要領に沿って進められる教育が一昨年からやられてきているわけですけれども、小学校一年生の国語、平仮名五十音を濁音を含めて全部五月中に教え終わるようになっています。四月に入学して五月中に全部終わるというのです。平仮名の濁音も含めてですよ、五十音全部。それから、入学してから九時間目の国語の授業で、「つ」「く」「し」、この三つの平仮名を教えるというのです、一時間で。その後一時間で、「あ」「い」「う」「え」「お」の五文字を一時間で教えるというのです。実際にできるのかと聞いたんです。まず第一に、子どもは一年生に入ったばかりですから、まず字の書き方から教えなきゃいかぬというのです。ここから先にやって、こうやってこう書くんですよと教えなきゃいかぬ。それを五文字全部教えるんです。 それで、その文字はどういうときに使いますか。「あ」ということは何のために使いますか。「赤ちゃん」の「あ」ですよと言って教えるというのですよね。そういうふうなイメージを持ってその字を覚えていくようにする。それからまた、どういう場合にそういう言葉を使うのかというふうな、いろいろなことを総合的にやって教えていく。一時間で、学校に入学して一カ月そこそこで五文字も一遍に教えられるか。みんなそうですよ。だから、文部省の立派な方に来ていただいて、一時間で教えてもらってほしい、お手本を示してもらいたい、そういう話まで出るくらい深刻だというんです。 それから六月には、促音から長音から拗音、これを教えないといけない。これは皆さん御承知のように、「切手」の「っ」です。それから、「らっぱ」の「っ」です。ところが今度「松ぼっくり」と言ったらどっちの「っ」が促音になるのか子どもたちはわからぬというのです。そういうふうなことになっておる。長音というのは長く伸ばすんだと。片仮名の場合だったら長音というのは棒を引っ張ればいいというのです。「ラーメン」と言ったら、「ラー」と棒を引っ張れば「メン」となる。ところが、平仮名でやる場合には棒を引っ張るわけにいかぬです、あれは。「らーめん」というんじゃなくて「らあめん」と書くんです。それから、「スキー」だって「すきい」と書くんです。こうして教えるということになっているんです。 ところが、そういう「あ」だとか「い」だとかというふうに伸ばす言葉はいいけれども、え段になると伸ばし方が変わってくるというんですね。例えば「時計」、「とけえ」と言って伸ばすんでいいんだけれども、「とけい」となる。これは「い」になる、このえ段は。ところが、「お姉さん」の場合にはえ段だけれども、「い」にはならないで、「おねえさん」になる。こういうことを、言葉の使い方で同じえ段にありながらなぜ「い」とし、「え」とするのかというふうなことまで今度教えていかないといけない。例えば今度、お段になると、「お父さん」の場合には「う」、ところが例外としては「狼」なんというのは、「おおかみ」になる。こんなのを六月に入ってからこれを教える。今度二学期になると漢字を教えるというのです。大変な内容なんです。 こういう話を聞いてみて、本当にこれで興味を持っておもしろくなって、いやあ、きょうはこれだけわかったから勉強できる気になったなんて子供たちがなるんだろうかと。やっぱり子供たちもなかなかついていけないという状態になるということがたくさん出されております。 この子どもの権利条約の問題では、教育の権利というのは子供が知らなくても上からどんどん詰め込んでいって、子供がわかろうがわかるまいが時間さえ過ごせばいいというのが教育では私はないと思うんですよ。だからこそこの二十九条でちゃんと「児童の人格、才能並びに精神的及び身体的な能力をその可能な最大限度まで発達させる」というふうになっているわけですから、これがならないというのはやっぱりどこか指導要領に問題があるんではないかというふうに考えるのは、だれでもそういうふうに考えるんですけれども、文部省としてはこのことについてどのようにお考えになっているか、まず最初にお聞きします。
○説明員(銭谷眞美君) お答え申し上げます。 ただいまの学習指導要領の件につきましてでございますけれども、先生御案内のように、学習指導要領は全国的に一定の教育水準の確保と実質的な教育の機会均等を保障するために、国が学校教育法に基づきまして教育課程の基準として定めているものでございます。これまでおおむね十年ごとに時代の変化に合わせて改訂をしているものでございます。 ただいまお話しのございました新しい学習指導要領は平成元年に改訂をいたしまして、小学校につきましては平成四年度から、中学校につきましては平成五年度から実施をしているものでございます。なお、高等学校につきましてはこの四月から実施をいたしました。 そこで、今、先生のお尋ねの中で、新しい学習指導要領が内容的に難しい、量が多い、進度が速過ぎるというような御指摘があったわけでございますけれども、例えば今、先生がお話しございました小学校一年生の国語について申し上げますならば、小学校一年生の国語で平仮名を一年生の間に学習をするということ自体は今回の指導要領で変わっているところはございません。むしろ今回の指導要領では、従来は小学校一年生の国語は過当なりにしますと八時間だったわけでございますけれども、それを九時間にいたしまして、子供たちがじっくりと学習できるように改善をしたところでございます。 また、漢字の問題もちょっとお話がございましたけれども、小学校全体では漢字については従来は九百九十六字を学習することになっておりましたけれども、今回の改訂では十字ふやして千六字としたところでございます。ただ、これもただいま申し上げましたように、国語の学習の時間を一年生で過当なり一時間、二年生で過当なり同じく一時間ふやしまして、むしろ漢字一字当たりの授業時数は前よりもふえているという状況にございます。 いずれにいたしましても、文部省といたしましては学習指導要領は社会的な要請や実施の経験などに考慮いたしまして多くの学校関係者や学識経験者などの協力を得て改訂をし、その内容は適切なものと考えております。ただいま御指摘の事項につきましても、今申し上げましたように、それぞれの改善の趣旨というものを十分御理解いただき実践をしていただければ決しでそのような批判は当たらないというふうに考えているところでございます。
○立木洋君 いや、さっき長い肩書を言われたので何の訳かよくわからなかったんですけれども、だけどあなたがすんなり指導要領について見直しを検討しますなんて答弁ができるとは私は思っていませんから、今までの文部省のお考え方をそこで述べられたと思うけれども、しかし現実にはやっぱりこういう形で子供の教育上で大変な矛盾が生じているんだということについては文部省としてもよく検討していただきたいと私は思うんですよ。 大臣、こういう教育の状態になっているので、子供が本当に興味を持ち、喜びを持って、わかったことに喜びを感じるような教育にしていく必要がどうしてもやっぱりあると思うので、その点についても一言だけ。
○国務大臣(羽田孜君) きょうはいい勉強をさせていただきまして、ありがとうございます。
○立木洋君 それで最後に、先ほど来出ていましたように、この問題については報告せぬといかぬのです、二年以内に。二年以内に報告するときには、先ほど同僚議員も言ったようにいい部分も悪い部分もやるんです。実際には後退する問題があったなら後退した部分も報告しなければならない。ましてやそれが、報告するという内容は児童権利委員会に報告するだけではなくて、児童権利委員会はそれが法的にどう担保されているかということではなく、それが実際にどう行われているかという実態を徹底して検討するというのが児童権利委員会の内容なんです。そしてまた、その報告の内容については広く周知徹底を日本の国民にしなければならないということもこの条文では出されているわけです。 結局、日本は何か子供の権利というのは守られている水準が高いんだというふうな状態をおっしゃっているけれども、現実の実態というのは大変な実態があるんだということも含めて、真剣に今後一歩一歩やっぱり努力して、実質的にこの権利の状態が改善し向上できるようにやっていただきたいということを最後に特に重ねてお願いしておきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(羽田孜君) もう先ほど来御指摘があったわけでありますけれども、私どもも、この権利条約というものがここにきょう御採決いただくということでいよいよ我が国の中でも日の目を見るわけでありまして、今日までも努力してまいりましたけれども、さらに子供たちが本当に伸び伸びと成長できるような環境というものをつくることがやっぱり重要であろうというふうに思っておりまして、ただ条約が通ったからといって安心することは許されないことはよく承知しながら対応していきたいと思います。
○委員長(井上章平君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。――別に御意見もないようでありますので、これより直ちに採決に入ります。 児童の権利に関する条約の締結について承認を求めるの件に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(井上章平君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 なお、本件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(井上章平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時十八分散会 ―――――・―――――