科学技術特別委員会 第4号
- 発言数
- 157 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1994/06/20
会議録
○委員長(中川嘉美君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。 科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、科学技術振興のための基本施策に関する件を議題といたします。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○志村哲良君 私は、長官の所信表明に関して幾つかの御質問を申し上げます。基本的には全く私も同感でございます。ただ、その中で幾つかの件に関してお伺いをいたしたいと思って、今こうしてこの場に立ったわけであります。 我が自民党のある国会議員が、科学技術庁の予算を倍増させようじゃないかという運動を呼びかけました。我が党内ではこのことが多くの同僚議員の共感を呼びまして、実は現在、我が党の当面する科学技術施策を推進する上での大綱とさえなっておる状況であります。 率直に申しまして、大臣の任期もずっと続くものではないと思います。近江大臣は、現在、科学技術の振興で国際交流の進展が極めて必要であると言われております時期に御就任になられたわけでございます。この際、これこそ近江大臣の施策であると言われる、そんな方策を打ち出されたらいかがですか。ここにおりますメンバーでは最も反対の側に立っております私たち自由民主党も、もちろんその内容が建設的であることを条件とはいたしますが、全面的にこれに協力すると私は確信いたしております。その点に関して、ひとつ大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(近江巳記夫君) 今志村先生の方から科学技術政策の中で特に重点は何かという問いかけがあったわけでございます。 先生も御承知のように、二十一世紀も目前に迫っております。そういう中で、地球環境問題あるいはエネルギー問題等非常に大きな問題があるわけでございますが、そうした諸問題を解決していくために、この科学技術の果たす役割というのは極めて重要でございます。 そういう中で、私といたしましては、人類の夢を実現いたしまして創造性にあふれた二十一世紀の社会を構築していく、そのためには何といいましても研究開発の投資を拡大していく。今先生からも強く御指摘があった点でございますが、これに特段に力を入れてまいりたいと決意をいたしております。研究情報ネットワークの推進、研究施設・設備の充実等の研究開発基盤の整備を図りまして、未来に向けた基礎研究を一層盛んにしていく、これはもう第一でございます。 次に、原子力、宇宙、海洋、ライフサイエンス等の先端科学技術分野の振興、さらに生活者としての人に役立つ分野、例えばがんの研究、地震予知等の防災・安全のための研究等、こういう点に力を注ぎたいと思います。 三つ目には、積極的に国際貢献をする必要があろうかと思います。 さらに、現在、若い世代を中心といたしまして、科学技術に対する関心の低下が見られるわけでございます。将来を科学技術の発展に託するところが大きい我が国にとりまして重大な問題であると考えております。私といたしましては、教育の場のみならずさまざまな場におきまして科学技術に対して親しむことができるような努力をするなど、科学技術分野での人材の育成と確保のために、地方自治体や民間企業などの協力も得ながら、政府が一丸となって取り組むべきものではないか、このように考える次第でございます。 以上のような認識に立ちまして、我が国の科学技術の一層の振興に向けて今後とも努力をしていきたいと決意をいたしております。 以上でございます。
○志村哲良君 ただいま大臣から非常に心強い御答弁をいただくことができまして、まことにありがとうございます。 ただいま大臣がお述べになりましたようなことに関しましても、所信の二ページで、創造的・基礎的研究の充実強化と科学技術振興基盤の整備を第一にしなくてはならないとお述べになっておられます。 御承知のことと存じますが、今月の十三日から一週間、持続可能な地域開発のための科学技術に関するIPUアジア・太平洋会議が東京で開催されました。当初の予想を上回りまして、三十五カ国、百八十七名の代表がこれに参加をいたしたわけであります。 その会議におきましても、キーノートスピーカーの皆さんがいろいろなテーマで報告をなさいました。我が国からも筑波大学学長の江崎玲於奈博士がゲストスピーカーとして、東海大学の唐津一教授がキーノートスピーカーとして、それぞれ所信を発表なさったわけであります。この中でも、二十一世紀を迎えるアジア・太平洋地域の経済的、社会的開発のダイナミックな要素としての科学技術の進歩が、それぞれ大いに強調をされたところであります。 私もこれに参加をいたしましたが、代表の方々の御意見を拝聴いたしながら、アジア・太平洋地域の国々が今まさにあらゆる分野で科学技術の発展を希求なさっておられること、また我が国へのさまざまな期待が大変大きいなということを改めて痛感いたした次第であります。 そのようなことを経験いたしましたが、所信の中で、「昨年発足した連立政権がそれまでの科学技術政策を継承したのも、このような認識によるものと思います。」と書いてあります。何となく遠慮っぽくお述べになっておられますが、「それまでの」というのは自由民主党政権のことでございますか。「それまでの」の具体的な意味をも含めて、先ほどの問題等に関して長官の御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(近江巳記夫君) 昨年の八月に連立政権が誕生をいたしました。今、羽田内閣で第二期連立内閣が発足したわけでございますが、昨年の発足のときにも、前政権の基本的な問題は継承するということを私たちは約束して発足したわけでございます。その羽田内閣におきましても、外交、エネルギーを初めといたしまして、第一期政権の政策の継承ということをお互いに約束したような次第でございます。 特に、科学技術の面につきましては、先生も御承知のように、我が国は科学技術立国として今日まで来たわけでございます。そういう点におきまして、従来からの政権が力を入れてまいりました政策の継続性ということを私たちはしっかりと肝に銘じて、今後実現に向けて頑張っていきたい、このように思っております。
○志村哲良君 ありがとうございました。 「このため、科学技術振興調整費を拡充し、」云々という御主張がございましたが、実は我が党の部会では、現在、部会長を先頭といたしまして科学技術基本法をひとつ考えてみたらどうかというようなことで、ほとんど連日のように朝早くから部会を開催いたしまして、この問題の討議をいろいろ進めております。 〔委員長退席、理事大久保直彦君着席〕 そんなこんなに思いをいたしますと、先ほどの御主張にありました振興調整費が確かに大変有効なものであるということを私も痛感いたすものであります。調整費は随分ふえてはまいりましたが、官房長、今年度の予算は百五十五億ですね。それでいいんですか。
○政府委員(井田勝久君) 平成六年度、百五十五億でございます。
○志村哲良君 これは議員の皆様方また役所の皆様方の大変な御努力の中でここまで来た数値ではありますが、私は諸般の状況にかんがみまして、この極めて重要な科学技術振興調整費がまだこの程度でとまっておるということは非常に残念であります。これらがさらに一層拡大しますように、冒頭申し上げました長官の絶大な御努力をひとつ期待したいと思っておりますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(近江巳記夫君) 先ほど、朝九時から科学技術会議が開催されました。総理を初め閣僚、議員の皆さんも出ておられたわけでございますが、そこでもさまざまな議論がございました。そういう中で、政府がさきに十八号答申を決定いたしまして、平成四年四月に科学技術政策大綱を決定いたしております。そこでは、時々の財政事情を考えながら早期に研究開発費というものの倍増をうたっておることは先生御承知のとおりでございます。その研究開発費についてきょうも話題になったような次第でございます。 そういう中におきまして、科学技術庁で行っております研究調整費というものは、各省庁を超えた新しい、またそうした研究開発の取っかかりといたしまして非常に有効な働きをいたしております。そういう面で科学技術庁といたしましても大変努力をいたしてまいりまして、先ほど官房長からお話ございましたように百五十五億という線まで参りました。しかしながら、二十一世紀を展望いたしましたときにますますこの調整費の役割というものは重い、このように思うわけでございます。 そういうことで、全体の研究開発費の投資額の引き上げの中でも、調整費につきましては今後とも大蔵当局等にも十分よく話をいたしましてこの増額に向けて力を注いでいきたい、このように思う次第でございます。 以上でございます。
○志村哲良君 非常に心強いお話を承りました。ただ、ちょっと誤解があるといけませんから。 倍増計画、我が党のある議員が科学技術庁の予算を倍増させようじゃないかと冒頭に申し上げましたあの運動が、今我が党の科学技術政策の大綱とすらなっておると私は考えております。これは実は科学技術庁全体の予算を倍増させようじゃないかという計画でございます。 次に、放射光に関しての御説明がございました。いわゆるスプリング8の整備に関してであります。 私も過日、この委員会の視察におきまして、播磨テクノパークの見学に参加をいたしてまいりました。壮大な施設の概要を拝見いたしましたが、まことに見事なものでありました。それにつけましても、あの大きな放射光の中心になる施設の建設状況を見ましても、科学技術振興調整費を含む科学技術庁の予算の大幅な増加が必要であると改めて痛感をいたした次第でございます。そんな中で、一日も早くあの見事な播磨テクノパークの中心施設を完成させていただきたいものだと考えておるのであります。 官房長、あれの中心は動燃と原子力委員会ですか。
○政府委員(井田勝久君) 日本原子力研究所と理化学研究所が共同で建設を進めているところでございます。
○国務大臣(近江巳記夫君) 志村先生も現地を御視察いただいたようでございまして、本当にありがとうございます。私も先般視察をさせていただきました。先生おっしゃるように、進行状況も順調に着々と進んでおる姿を私も拝見いたしまして、地元の皆さんの御協力に大変感謝したような次第でございます。 それで、先生からも一日も早くこれを完成させなさいというお話がございました。私も同感でございまして、当初、政府の計画では平成十年からこれを行うということでございました。しかし、平成四年、五年の補正予算におきまして先生方に大変力を入れていただきまして、おかげをもちまして平成九年には一部供用開始という一年前倒しの線まで進むことができたような次第でございます。そういう点で、政府といたしましても一層力を注ぎまして、御期待に沿えるよう努力してまいる所存でございます。 以上でございます。
○志村哲良君 現地でいろいろ御説明をいただきましたが、その中でも内外のいろいろな研究所あるいは研究者たちから相次いでこの施設を早く利用させてほしいというような希望が寄せられておるというようなことでありました。一年でも縮まったということはまことに結構なことと考えております。 次に、本年打ち上げに成功しましたHⅡロケットのことにも触れられておりましたが、次のHⅡロケットはいつごろ打ち上げられる予定か。また、さらに引き続いてこれは進めなくてはならないと思います。ここにもありますが、宇宙往還機などは大体いつごろの計画になっておるのかをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(近江巳記夫君) お答え申し上げます。 二トン級の静止衛星を打ち上げる能力を持ち、全段自主技術によりまして開発を進めてまいりましたHⅡロケットにつきましては、本年二月四日に初号機の打ち上げに成功いたしまして、その基本性能が確認されたところでございます。我が国のロケット技術がようやく国際的水準に到達したところでございます。 続くHⅡロケット試験機二号機は、八月十七日に技術試験衛星Ⅵ型を打ち上げる予定でございます。この衛星は、我が国では初めての二トン級大型静止衛星の技術を確立するとともに、高度な衛星通信のための技術開発を目的とするものでございまして、これらの成果は、より便利で簡易な通信システムの普及に資するものでございまして、豊かな国民生活の実現に大きく役立つものと期待をされております。 さらに、我が国は今後、気象、通信・放送、地球観測等の幅広い分野の人工衛星を打ち上げる計画を有しておりまして、これから平成九年度までに合計五機のHⅡロケットの打ち上げが計画されております。 HⅡロケットは、このような多様な打ち上げニーズに柔軟かつ機動的に対応するために必要不可欠な基幹技術として期待されており、今後とも信頼性の向上と安全性の確保を旨として、完成度の高い技術として確立してまいりたいと考えております。 なお、HOPEについてお話ございましたが、このHOPEにつきましては、無人有翼往還機、通称HOPEと呼んでおりますが、宇宙ステーション等への物資の輸送及び回収、人工衛星の修理や回収等のニーズに対応することを目的としたものでございます。 昨年の七月、宇宙開発委員会の宇宙往還輸送システム懇談会が取りまとめましたHOPEの研究開発の進め方に関する報告書を踏まえまして、現在、その内容に沿って、宇宙開発事業団と航空宇宙技術研究所が協力をいたしまして研究開発を進めております。 具体的には、まず本年二月四日のHⅡロケットの初号機によりHOPEの頭部に当たる部分を軌道上から大気圏に再突入する実験、OREXと呼んでおります、が行われまして、必要な実験データが収集されました。また、平成七年度にはHOPEの小型模型によります小型自動着陸実験、ALFLEXと呼んでおりますが、及び極超音速飛行実験、HYFLEXを実施いたしまして、さらに今世紀中にHOPEの試験機の打ち上げを目指しまして積極的に研究開発を推進していきたい、このように考えておる次第でございます。 以上でございます。
○志村哲良君 次に、海洋開発に関しまして「しんかい六五〇〇」あるいは無人探査機「かいこう」に関しても所信でお述べになっておられます。これは、私は実は五、六年前のこの委員会であったと思いますが、やはりこの問題に触れた覚えがございます。 地震の予知に例のプレートテクトニクスという理論が何の疑うこともなくまかり通っておるというような気がいたすものであります。どうもこれはさっぱり予知ができない、実際に確認もできないその逃げ場を、まことに雑駁なプレートテクトニクスという理論の中に埋没させているのではないかなという不安さえ感じます。 例えば、これは釈迦に説法ですが、アインシュタインの相対性理論ですら実験によって確認されて初めて最終的にオーソライズされるものであったと私は思いますが、地震の予知に関して、口を開くとプレートテクトニクスと言いながら、このことを本当にしっかりと確認し、どのような構造でどのような物質がテクトニクスをつくり地震の原因になっていくのかという、その過程が全く究明不十分なままに地震の原因とされております。 このことに間違いはなかろうかとは思いますが、五、六年前の質問のときでも、当時においてすらもし関東大震災並みの震度を持った地震が発生したら国家予算の五倍の損害が起こるであろうと言われておりました。現在ではいろいろな施設が官民挙げて近代化しておる現状でありますから、もしそのような大きな地震が起こったらその被害たるやまことに私は目を覆うようなものがあるだろうと考えますが、この点に関して大臣のひとつ忌憚のない御意見を拝聴したいと思います。
○国務大臣(近江巳記夫君) 地震予知の問題につきましては、科学技術庁といたしましても力を入れて今日まで取り組んだところでございます。そういう中で先生が仰せのように特に海底の状況というものはまだまだ未解明が多い、そうした解明に一層力を注ぐべきである、またそのための「しんかい」等の活用について力を入れるようにというお話がございました。私も全く同感でございます。 ちなみに、現在「しんかい六五〇〇」あるいは「かいこう」等を地震予知のための研究にどのように今月を入れておるかという点につきまして御報告したいと思います。 科学技術庁におきましては、海洋科学技術センターにおきまして、これまで有人潜水調査船「しんかい二〇〇〇」及び「しんかい六五〇〇」並びに無人探査機「ドルフィン3K」などを開発いたしまして、大学や関係機関と連携しつつ、海底鉱物資源の調査、深海生物の調査、海底地形等の地球物理学的な調査を実施するなど、深海の実態を解明するためにこれらの深海潜水調査船を活用してきておるところでございます。また、現在一万メートル級無人探査機「かいこう」の開発を進めている状況でございます。 これらの深海潜水調査船によります深海の調査研究の一環といたしまして、地震発生と関連の深いと考えられる海底プレート運動や海底火山活動等の深海底の実態を解明する地球物理学的な調査を実施してきているところでございます。 この結果、例えば海洋プレート沈み込みの証拠と見られる海洋プレートの裂け目及び海底における熱水噴出現象を発見いたし、プレートテクトニクス理論を実証する一つの資料を得るなどの成果を得ましたほか、昨年七月の平成五年北海道南西沖地震の後、「しんかい二〇〇〇」や無人探査機「ドルフィン3K」を活用して調査を行いまして、海底下の砂が液状化を起こした証拠である噴砂の跡を発見し、本地震が強く圧縮を受けて発生したものであるということを確認したなどの成果が報告されております。 今後とも、これらの深海潜水調査船を積極的に活用いたしまして、地震予知研究に資する深海底の地球物理学的な調査研究を推進してまいりたいと考えております。 なお、「しんかい二〇〇〇」につきましては運航開始が昭和五十六年でございまして、年に大体平均七十五回、今日まで七百二十回潜航いたしております。 「しんかい六五〇〇」につきましては、平成元年に運航開始をいたしまして、年六十回の予定でやってまいりました。現在まで二百回潜航をいたしております。世界で最も深い深度六千三百六十六メートルでのシロウリガイの生息の発見、あるいはまた日本海溝で世界で初めての海洋プレートの裂け目群を発見するなど成果を上げておる次第でございます。 なお、無人探査機「ドルフィン3K」、これは昭和六十二年からやっております。 それから、「かいこう」につきましては現在開発中でございまして、一日も早い完成を目指して努力をいたしておる次第でございます。 以上、簡単でございますが、御報告させていただきます。
○志村哲良君 ただいま大変御丁寧な御説明をいただきました。ただ、これは役所の方々にも申し上げますが、プレートの割れ目からの熱水鉱床の噴出ということがございましたが、熱水鉱床の存在というのはプレート理論なんということが言われ出すばるか以前から取り上げられている問題であるわけです。ですから、そのことが帰結的にプレートの確認とかプレートの中身の問題にまで少しも有効な理論づけの資料にはならないと私は思うんです。それよりも「しんかい六五〇〇」や「かいこう」、こういうものが、あるいは何でしたか、「むつ」は何にすると言いましたか。 〔大久保直彦理事退席、委員長着席〕
○政府委員(石井敏弘君) 大型海洋観測研究船でございます。
○志村哲良君 一時ははた目にも「むつ」が何かできの悪い息子のように取り扱われていたというようなことがありまして、「むつ」の名前を聞くたびに時にはつらいような思いさえいたしましたが、今は海洋の、何でしたかね。
○政府委員(石井敏弘君) 大型海洋観測研究船として「むつ」を改造したい、こういうことでございます。
○志村哲良君 大型海洋観測研究船として「むつ」が新しく出発するということを伺いまして、非常に心うれしく、よかったなと。できの悪いと言われていた息子が見事に立ち直ってきたというような、そんな思いをいっぱいにいたしております。大臣、この研究船を十分に利用なさって、また予算をこれに投入していただいて、「むつ」の名誉回復、基本的には申し上げましたような海洋の探査にぜひ御尽力、御努力を願いたいと期待を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(近江巳記夫君) 志村先生、「むつ」を初めといたしまして科学技術の施策につきまして本当に深い思いを持って応援していただいているというお気持ちをひしひしと感じるわけでございます。 この機会に、「むつ」の問題につきまして若干御報告をさせていただきたいと思います。 地球表面の約七割を占めて海洋環境変動と大きなかかわりを持つ海洋につきまして、全地球規模でその現象を解明することが世界的に重要な課題でございます。これらの研究を進めるためには、広大な海洋のさまざまな海域におきまして、長期間にわたり熱や物質、生態系及び海洋底に関する多様なデータを幅広く取得することが不可欠でございます。昨年十二月に取りまとめられました海洋開発審議会第四号答申「我が国の海洋調査研究の推進方策について」におきまして、海洋調査研究基盤の充実のため、大型海洋観測研究船の整備の必要性が指摘されたところでございます。 一方、現在解役中の原子力船「むつ」は八千トンクラスの大型船であり、この原子力船「むつ」の原子炉を撤去した後に大型海洋観測研究船に改造することによりまして、海洋・大気相互作用の研究上重要な海域でありながらデータが不足しております高緯度域、荒天域下の観測、大型の海洋観測ブイ等のさまざまの観測研究機器等の搭載及びこれらの設置・改修と点検・修理、広大な海域で継続的な観測を行うための長期航海などが可能となりまして、地球環境問題の解明に大きく貢献することと思っております。 このため、原子力船「むつ」を大型海洋観測研究船へ改造するための経費を平成六年度政府予算案に計上しているところでございまして、平成九年度から運航を開始することを計画いたしております。一日も早く完成をいたしまして、先生御指摘の御意向に沿えるように頑張ってまいる所存でございます。 以上でございます。
○志村哲良君 まことに御丁寧な答弁を本当にありがとうございました。あと二分ほどまだ残っておりますので、おしまいですなんて申し上げておいて失礼ですが。 先ほどのプレートですが、新潟あたりを中心とした中部日本海地震というのが起こりましたね、大きなのが。あれが起こるまでは樺太のあたりに引かれておった北米プレートの線が、あれが起こった途端に新潟のあたりまで下がって引かれているんです。私はあれを見まして、これはとても信用できないと。 でございますから、先ほど来申し上げましたような、また今大臣から御説明いただいたような、そのような御努力をいただく中で、もしプレートが本当にそうであるならば、どんなところまでどんな形で入り込んでいるのかというようなことを、ぜひひとつ一刻も早くきわめるようなことをお願いしたいと申し上げまして、今度こそこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○国務大臣(近江巳記夫君) じゃ最後に。先生先ほどから御指摘の「しんかい二〇〇〇」、「六五〇〇」等をさらに有効活用いたしまして、科学技術庁といたしまして全力を挙げまして、日本海周辺の精密な調査がさらにできますよう今後努力をいたします。
○志村哲良君 ありがとうございました。
○鹿熊安正君 最近、北朝鮮の核開発疑惑が大きく取り上げられてきております。この点について二、三質問をさせていただきます。 その第一点は、寧辺の核施設についてでありますが、今日の朝鮮半島情勢をかんがみるに、北朝鮮の核施設に対する国際原子力機関の査察をめぐる動向には、我が国としても注意深く見守り、必要な外交姿勢を示していく必要があると考えます。 そこでまず大前提として、問題となっている寧辺の実験炉について、その規模及び方式がどのようになっているのかお伺いいたします。
○説明員(天野之弥君) お答えいたします。 IAEAが明らかにしているところによりますと、本件実験炉の規模は電気出力五メガワット、方式としては、天然ウランを燃料とし、冷却材にガス、減速材に黒鉛を使用しているものと承知しております。
○鹿熊安正君 次に、プルトニウムの抽出についてでありますが、使用済みの燃料を再処理することによってプルトニウムが抽出され、これがもし仮に軍事転用されるようなことがあれば、周辺地域の安定と平和にとってもマイナスであり、そのような事態はぜひとも避けなければなりません。 そこでまず、問題となっている寧辺の実験炉からどの程度のプルトニウムの抽出が理論的に可能なのか。また、軍事転用の可能性についてどう推測ができるのかお伺いいたします。また、建設中と言われる大型の原子炉は今どうなっているのか、わかる範囲で御説明をお願いいたします。
○説明員(天野之弥君) お答えいたします。 一般的に申しますと、本件実験炉から使用済み燃料を取り出し、放射化学実験施設、これは再処理施設と言われているものでございますが、ここで再処理すればプルトニウムの抽出は可能でございますけれども、どの程度のプルトニウムの量が抽出可能であるかは明らかでございません。 軍事転用の問題でございますけれども、北朝鮮がIAEAとの合意に達しないまま本件実験炉の燃料棒の取り出しを続行しましたので、IAEAとしましては、本件実験炉の燃料棒が過去において軍事転用されたか否かを十分な確信を持って究明する可能性は消失したとしております。 最後の大型原子炉でございますけれども、現在のところは建設が中止されているものと承知しております。
○鹿熊安正君 わかりました。 次に、日本の外交努力について申しますが、極東地域の平和と安定を維持していく上で北朝鮮の核疑惑は我が国にとっても無視できない問題であり、我が国としても、北朝鮮の核施設に対して行われる国際原子力機関の査察が完全にかつ円滑に行われるように積極的な外交姿勢を示していく必要があると考えます。 そこで、韓国、中国、ロシア、アメリカなどの諸国が密接な連携のもとで、北朝鮮に対して完全な査察を受け入れるように説得していくことが必要となるであろうが、我が国のこの周辺諸国との連携と今後の対応についてどのようにお考えなさっているか、お伺いいたします。
○説明員(中村滋君) 北朝鮮の核開発問題につきましては、今先生御指摘のとおり、我が国を含む北東アジア地域における安全保障の問題及び国際的にも核不拡散体制に関する協議の問題ということを常々我々も認識しているところでございます。 そこで、我が国といたしましても、これまで北朝鮮に対しましては、IAEAの査察を受け入れるべく、我が国と北朝鮮との間の日朝国交正常化交渉の過程におきましてもその説得に努めてきたところでございます。一方、北朝鮮側におきましては、本問題はアメリカとしか話さないというかたくなな態度を崩してきていないという中で、米国におきましても、国際社会における北朝鮮の核疑惑に対して、それを払拭するよう米朝協議などを通じまして努力をしてきているところでございます。 今御指摘のとおり、我が国におきましても、アメリカあるいは韓国と密接に連携及び協調をとりながら、本問題、すなわち北朝鮮がIAEAの保障措置協定の履行を行うよう強く求めてきたところでありますし、今後もこれら関係国とも密接に協議して求めていくところでございます。 また、御指摘の中国の役割につきましては、やはり中国も北朝鮮との友好国という位置にかんがみまして、先般の柿澤大臣訪中におきましても、中国側から積極的に北朝鮮にその半島における非核化については働きかけを行っている旨確認をしております。 今後ともこれら諸国と密接に協調、協議いたしまして本問題の解決に努めていきたい、こう考えております。
○鹿熊安正君 次に、中国の環境破壊と日本の対応について質問をいたします。 中国では経済開放政策に伴い特に重化学工業を中心にダイナミックな経済発展が進んでいると推察いたします。しかしその一方で、環境への対策は十分とは言えず、環境破壊が急速に進んでおります。そして、この中国の環境破壊は中国一国だけの問題ではなく、アジア・太平洋、いや全世界的な問題であります。そこで、速やかに我が国としても適切な対応が求められるのであり、以下この問題に関して政府の施策などをお伺いいたします。 その第一点は中国の経済成長と環境破壊の現状についてでありますが、まず中国における環境破壊の実情についてお伺いいたします。 成長と環境の調和は二十一世紀に向けて全世界で取り組むべき課題であります。人口十億を超える隣国での経済成長に伴う環境破壊は世界的な問題でありますが、特に我が国にとっては極めてゆゆしき状態であります。そこで、中国における環境破壊の実情はいかなる程度のところまで来ているのか、お伺いします。 それから、環境破壊については中国の問題であり、中国が主体的に環境対策を講ずべき事柄であり、中国でも環境法などが一応整備されているとのことでありますが、なぜか環境対策が十分に機能を発揮していないのではないかと思います。その点について考え方をお聞かせ願います。
○説明員(野本佳夫君) お答えをいたします。 中国におきましては、先生御指摘のとおり、経済発展に伴いまして環境問題が深刻化しており、大気汚染、酸性雨、それから水質汚濁等の問題が深刻に広がっておるというふうに承知をしております。 中国は、環境保護法それから大気汚染防止法、こういうものの環境分野の基本法を整備するとともに、行政面におきましても第八次五カ年計画、これは九一年から九五年までの五カ年計画でございますが、そこで環境関連の投資額をGNPの〇・八から一%に増大する目標を掲げております。 またさらに、一九九二年六月に開催されました国連環境開発会議、いわゆる地球サミットでございますが、これを受けまして、本年三月、中国アジェンダ21、これは中国二十一世紀の人口、環境及び発展に関する白書でございますが、それを作成いたしまして、環境と両立した持続可能な開発計画を掲げるなど、環境問題にも積極的に取り組んでいるというふうに承知をいたしております。 ただ、環境分野の責任者も、中国全体の環境はある程度改善されたが環境問題は依然として非常に深刻である、こういうふうにも指摘をしておりまして、中国の環境分野の責任者も環境の改善というものを切実な問題と認識しておるというふうに承知をいたしております。
○鹿熊安正君 それでは、日本における測定体制についてお伺いをいたします。 日本における中国の環境破壊の影響を測定する体制についてお伺いいたしますが、我が国においても酸性雨など周辺諸国の環境破壊による影響が少なからず生じていることは多くの方々が指摘しております。我が国の農産物、林産物、水産物、建造物等への影響も危惧されております。 そこで、この問題に関する調査研究も含め、我が国における酸性雨の測定体制について現状はどうなっておるのですか。特に酸性雨の影響を受けやすい日本海側の観測体制はどうなっておりますか。どの程度の影響が出ているのか、その対策や調査がしっかり行われ解明がされておるのか、これらについて御説明をお願いします。
○説明員(柳下正治君) 御説明申し上げます。 環境庁では昭和五十八年以来十年来、酸性雨のモニタリング、それから生態系への影響などにつきまして総合的な調査研究を進めてきております。これまでの調査結果によりますと、全国的に欧米並みのPHで四台の酸性雨が観測されていること、それから影響についてさまざまな知見が得られてきてはおりますけれども、この面でさらに酸性雨等の影響に関しては調査研究が必要であることなどの点が明らかになっております。いずれにいたしましても、現在の状態が継続した場合には将来的に影響が顕在化されることも予想されますので、一層のモニタリングの充実、調査研究の推進が必要だろうと考えております。 お尋ねの中国との関係でございますが、中国におきましては目覚ましい勢いで工業化が進展をしておりまして、関連物質の排出量も増大しております。また、中国からの酸性雨の越境移動の可能性についても、幾つかの調査研究でこれまで指摘されているところもございます。 環境庁におきましては、平成元年度から日本近海の離島に酸性雨測定局を整備いたしまして酸性雨関連物質の長距離輸送の監視を行うとともに、さらにその長距離輸送のモデルの開発に取り組むなど行っているところであります。 また、この問題は国境を越えた問題であり、地域協力の共同の取り組みが大変重要でございます。したがいまして、その共同の取り組みの第一歩として、環境庁といたしましては中国や日本を含めた地域での共同のモニタリングのネットワーク化が重要ではないかと考えております。 この具体化を図るべく、昨年、富山におきまして第一回の国際会議を開催したところであります。この会議は今後も継続して、近いうちに何らかのコンセンサスづくりに努力してみたい、こう考えております。 いずれにいたしましても、我が国におけるモニタリング、調査研究の推進はもとより、国際的な協力も含め、対応に全力を挙げたいと考えております。
○鹿熊安正君 それでは、汚染の損害の賠償について質問させていただきます。 中国の大気汚染などから生ずる酸性雨によって我が国の農業、林業等にも悪影響が発生し、もし仮に損害が発生した場合、被害者をいかに救済していくかが問題となります。国際司法による救済は現状において非常に困難と考えられますが、また被害者救済の道は十分確保されているものか、政府の認識と今後の対応についてお伺いいたします。
○説明員(野本佳夫君) お答えをいたします。 ただいまの先生の御質問について外務省が全面的にお答えできるかどうか若干疑問でございますが、中国との関係につきまして。 中国の大気汚染が我が国の農林水産業等にいかなる影響を与えているかにつきましては、外務省といたしまして現在まだ必ずしも明らかではこざいませんが、日中間ではODAを初め政府間それから民間の間で環境面での協力を実施しております。 また、本年三月、日中環境保護協力協定が署名されたところでございます。この協力対象といたしまして大気汚染及び酸性雨の防止も明示をされているところでございまして、この協定のもとでの協力も推進をしていきたいというふうに考えております。いずれにいたしましても、関係省庁とも相談し、協力をして対応してまいりたいと考えております。
○鹿熊安正君 今の問題につきまして農水省から来ておいでると思うんですが、来ておりませんか。じゃ、また次回に農水省の方のこれに対する考え方をお尋ねさせていただきたいと思います。 次に、我が国の試験研究費についてお尋ねいたしますが、先ほど科学技術全般にわたる予算の配分についてのお尋ねがありましたが、我が国の研究者の実情については、従来から試験研究費の面、研究施設などの環境の面、さらには処遇の面などで諸外国などと比較して恵まれていないと指摘がされております。資源の少ない我が国は、二十一世紀に向けて科学技術力をもって生き残りを図る必要があると考えます。特に、試験研究費の拡充は我が国の科学技術水準の向上にとって重要課題と言えます。そこで、試験研究費の充実に向けて二、三お伺いいたします。 まず、大学などの試験研究費の現状についてでありますが、我が国が科学技術立国を進め技術力をもって国際社会で生き残っていくためには、十分な試験研究費に裏づけされた研究開発体制が産学官ともにバランスよく確立されていなければならないと私は思います。しかし、特に大学については、基礎研究の主要な担い手として期待されているにもかかわらず、研究費は必ずしも十分とは言いがたいのではないのか。基礎研究の積み重ねが将来の技術力につながっていくのであり、特にこの分野での予算拡充が求められるのであります。 そこでまず、大学などを中心とする基礎研究への研究費拡充についての政府の考え方をお伺いいたします。 〔委員長退席、理事大久保直彦君着席〕 また、諸外国に比べて研究費の政府負担割合が低いように思います。特に大学などについてはこの割合を高めていく努力が必要ではないのかと思いますが、お伺いいたします。
○説明員(崎谷康文君) お答えを申し上げます。 先生御指摘のように大学におきます研究、学術研究と通常呼んでおりますけれども、人文社会科学から自然科学にわたる極めて幅広い分野でやっております。人間の知的な要求に根差して人類の知的共有財産をつくっていくものでございまして、その振興は極めて重要なものと考えております。今後、大学におきます独創的、先導的な学術研究を一層推進しまして、世界の学術研究の推進に貢献していくことが必要と考えております。 文部省といたしまして、平成六年度予算案におきましては、平成四年の学術審議会答申等を踏まえまして、我が国の学術研究基盤を国際的な水準に引き上げるということを目標に、科学研究費補助金の大幅な拡充、大学の研究施設・設備の改善、あるいは研究者養成のための特別研究員制度の拡充など、学術研究充実のための予算の確保に努力をしたところでございます。 しかしながら、先生御指摘のように、欧米先進諸国と比較いたしますと、公費負担において大学に対する研究を援助している割合というものを見てみますと、欧米と比べてほぼ半分程度にあるというような状況で、まだまだ不十分でございます。施設設備、研究費あるいは処遇の面もお話ございましたが、それらを含めまして、今後とも大学におきます学術研究予算の確保に最大限努力をしていきたいと考えております。
○鹿熊安正君 それでは次に、独創的個人研究育成制度についてお伺いいたします。 基礎研究については、個人による研究の独創性が重要視されるべきであります。既に科学技術庁においても独創的個人研究育成制度などこの問題を意識し、施策を講じているようだが、これらについて制度の充実を一層進めていくべきではないかと思いますが、お伺いいたします。 大臣には、あともう一点ありますので、まとめて最後にひとつ決意をお聞きしたいと思います。
○政府委員(新欣樹君) 先生御指摘の独創的個人研究育成制度、いわゆるさきがけ研究21と呼ばれている制度でございますが、これは一定期間研究者個人に自由に研究させるということで、平成三年度に新技術事業団を実施母体として創設した制度でございます。 この制度の仕組み、特色でございますけれども、二十一世紀に向けて新しい技術の芽を生み出すようなそういう領域を三つほど求めまして、その領域ごとに総括責任者という方を置き、その総括責任者のもとにいろいろな研究者を募集いたしまして選考委員会で研究者を厳選してやっていく。そのような制度のもとで、大体二テーマ当たり三年間で、おおむね六千万円の研究費が支給されるという制度でございます。これまで三年間やってまいりました。 平成六年度におきましては、既存の三研究領域の七十二テーマございますが、これについて引き続き研究を推進いたしますとともに、新たに三研究領域を設定いたしまして、今度は三十テーマ、一領域大体十テーマといたしまして三十テーマの研究を開始する予定でございます。 こういったことで、独創的な発想を持つ個人の研究をさらに積極的に推進するために、今後ともこの制度の拡充に努力をいたしてまいりたいと考えでございます。
○鹿熊安正君 では最後に、民間における試験研究費についてお尋ねいたします。 昨今の経済情勢のもとで、民間すなわち産業界でありますが、これらの試験研究費が落ち込んでいるようなことはないのでしょうか。我が国の試験研究全体において民間の占める比率は極めて大きく、また民間の試験研究が今後我が国産業の国際競争力を維持強化していく上で極めて重要なものであろうと思います。厳しい不況下において民間の試験研究費が落ち込まないように必要な施策を講じていくべきだと思いますが、その点についてのお考えをいただきたいと思います。大学の試験研究費、独創的個人研究費の制度、それから民間における試験研究費、あわせて大臣から御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(近江巳記夫君) それでは、三つの問題がございますが、簡潔に申し上げたいと思います。 御承知のように、研究開発費の投資でございますが、平成四年のデータでは十二兆八千億ということでございまして、民間が十兆五千億、政府が二兆三千億でございます。政府系は一八%となっております。これはGNPの中で約〇・五%、先進諸国は大体一%の線に来ております。きょうも朝の科学技術会議におきまして、各議員、総理からもその旨のお話ございましたし、政府といたしまして全力を挙げて今後取り組んでいきたいと、このように考えておる次第でございます。努力をいたしてまいります。 それから、独創的な研究制度につきましては、今局長から答弁申し上げたとおりでございます。今後さらに力を入れていきたいと思います。 なお、民間の試験研究、これが落ち込んでないかという御心配のお話ございましたが、先生御指摘のとおりでございまして、昨年十二月に総務庁の統計局が発表いたしました科学技術研究調査の結果によりますと、九二年度の我が国におきます民間の研究開発費の総額は前年度に比べて一%減少して、約十兆五千億となっておるわけでございます。先ほど申し上げたとおりでございます。そういうことで、近年の景気低迷の影響というものがやはり出ているんではないかと、このように思っております。 そこで、科学技術庁といたしましては、科学技術振興のための税制及び日本開発銀行の出融資制度等の整備を図ることによりまして、民間の研究開発の振興を図っておるわけでございます。我が国科学技術の振興におきます民間の担う役割の重要性にかんがみまして、今後とも関係省庁とも連携をとりながら、民間の研究開発投資の一層の充実に対しまして、税制、金融なども含め適切な支援を図ってまいりたいと考えております。 特に、先生御承知のように、現在ある制度といたしましては、一つは、試験研究費が過去の最高額を超えた場合、超えた金額の二〇%を法人税から税額控除する増加試験研究費税額控除制度というのがございます。また、基盤技術開発研究用資産の取得価額の七%相当額を法人税から税額控除する基盤技術研究開発促進税制、いわゆるハイテク税制等を整備いたしております。 また、平成六年度税制改正におきましては、技術と海外取引に係る所得の特別控除制度の適用期限の延長を二年間行ったところでございます。さらに、金融面の支援措置といたしまして、新技術開発等に対して低金利で融資する日本開発銀行の技術振興融資制度、多極分散型国土形成促進法に基づくNTT無利子貸付制度等を整備いたしております。 そのように、税制度の問題、金融制度等につきまして今後一層努力をいたしまして、民間等もさらにまた意欲に燃えて力を入れていただけるような施策の充実に力を注いでまいりたいと思います。 以上でございます。
○鹿熊安正君 今ほど大臣から大学の試験研究費、それから独創的個人研究育成制度、また民間における試験研究費等についての心強い決意のほどを承ったわけであります。どうぞひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。 次に、昨年十月のロシアによる日本海への液体放射性廃棄物の海洋投棄は、日本海沿岸の住民を不安に陥れました。特に、漁業に従事している人々にとっては死活問題であります。そのような国民の不安をよそに、ロシア側の最近の情勢を見ると、極東沿岸地域の軍や地方政府は放射性廃棄物の日本海への再投棄をうかがわせる発言を繰り返しており、何よりもすべての放射性廃棄物の海洋投棄を全面禁止したロンドン条約をロシア側が依然として適用除外申請したままで海洋投棄の権利を留保しているという、まことに不安定な状況が続いているのであります。昨年十月の海洋投棄以後のロシア側の動向についてお伺いいたします。 また、海洋投棄の第一報を我々は民間環境団体、すなわちグリーンピースから知ったわけであるが、その後、政府はロシア側の動向を把握するための何らかの手段を講じたのかどうか、あわせてお伺いいたします。 また、日韓ロ及びlAEAによる共同調査がことしの三月から四月にかけて行われたところであるが、日本海における拡散した放射能が魚介類などに蓄積され、体内濃縮される可能性があります。長期にわたって継続的に調査を行う必要があると思いますが、今後の放射能調査の進め方についてお聞きいたします。放射能がどのように拡散するのかを知るための日本海の海流の動きを詳細に調査する必要があると思われますが、科学技術庁としてどう考えておいでるのか。 また、三カ国共同調査は最終結果の発表まで時間がかかるとお聞きいたしておりますが、日本の分だけでも調査結果をでき次第発表することができないのかどうか。これらについてお伺いいたします。
○説明員(伊東喜昭君) お答え申し上げます。 委員御指摘のロンドン条約につきましては、外務省・政府といたしましても非常に重要な問題意識を持っておりまして、特に昨年十月、日本海におきまして海洋投棄を行った後、先生御指摘になりましたロンドン条約第十六回締約国会議におきまして、低レベル放射性廃棄物の海洋投棄を禁止する条約の附属書の改正が行われました。 残念ながら、これにつきましては、ロシア側はその後この改正を受諾しない旨の異議の通告を本年二月十八日にロンドン条約の事務局でありますIMOに対して行いました。これに対して外務省としましては、外交ルートを通じてロシア政府に対して、これらの異議の通告はロンドン条約の趣旨、すなわち海洋環境保護を強化せんとするこのロンドン条約締約国会議の大多数の参加国の意向に反するものであるということで、ロシアの放射性廃棄物海洋投棄に対する我が国の強い国民レベルでの懸念に対する配慮を欠くということを指摘し、遺憾である旨を申し入れました。また、あわせてこの異議の撤回を行うよう強く申し入れたところでございます。 このように、外務省としましては、ロンドン条約の締約国会議等あらゆる機会をとらえまして、ロシアに対して粘り強くロンドン条約の誠実な履行を求めていくということを今後ともやっていきたいと思っております。 とりあえずロンドン条約の関係でございます。
○説明員(天野之弥君) 情報収集体制とロシアの動向についてお答えいたします。 情報収集体制でございますけれども、ロシアによる放射性廃棄物の海洋投棄に関しまして、従来から我が国としては、ロシア自身は当然でございますけれども、そのほかの関係国、IAEA、IMOなどの国際機関との間で情報交換を緊密に行ってまいりました。 昨年の十月の投棄以降でございますけれども、直ちに関係の公館に指示をいたしまして、情報収集体制の一層の強化を指示いたしました。特に、昨年の十一月にはウラジオストクに総領事館が開設されましたので、このウラジオストクにおきます総領事館を拠点にいたしまして情報収集に努めております。 さらに、昨年の十月以降、ロシアとの間で現在までに二十回近くの専門家によります協議が行われております。このような専門家によります協議を通じまして、協力の促進を図ると同時に、情報収集に努めております。 ロシアの動向でございますけれども、昨年の十月の投棄の直後、当時の羽田外務大臣からコズイレフ・ロシア外務大臣に対して申し入れを行い、ロシア側は投棄の続行を中止いたしました。その後、日本とロシアとの間で海洋投棄の再発を防止すべく協力についての協議が行われております。ロシア側といたしましても、最終的には海洋投棄の全面禁止を実現するとの方針は不変であると承知しております。また、現在のところ、ロシア側は海洋投棄を行うような計画はございません。
○国務大臣(近江巳記夫君) 今外務省から御報告があったわけでございますが、科学技術庁といたしましても、外務当局を初めといたしまして情報の収集に力を入れると同時に、ロシア側のそうした不法投棄のないように今後とも努力をいたしてまいりたいと思っております。 それから、今後の私どもの対応でございますが、旧ソ連、ロシアが行いました海洋投棄による放射能の影響調査につきまして、昨年の春と秋に日本海におきまして我が国独自の海洋環境放射能調査を行いまして、特段の異常がないことを確認いたしております。 また、本年三月から四月にかけまして、日本、韓国、ロシアの三カ国の共同によりましてIAEAの専門家も招請し、日本海の投棄海域におきます海洋環境放射能調査を実施いたしました。船上において実施いたしました簡易な測定結果からは、特段の異常は認められていません。また、持ち帰った試料につきましては、現在参加機関で精密な分析を実施しているところでございますが、今後、分析の結果が得られ次第、参加機関共同で科学的な評価検討を行いまして、結果を公表する予定でございます。 さらに、現在国会におきまして平版六年度予算案を御審議いただいているところてございますが、今年度からは、従来から実施してまいりました日本周辺海域の海洋環境放射能調食をさらに充実することといたしております。いずれにいたしましても、今後とも継続的に我が国国民の健康への影響というものを十分監視してまいりたいと思っております。 以上でございます。
○鹿熊安正君 時間が来ましたのでやめますが、実はもう一点、ロシアに対する放射性廃棄物処理施設の支援のあり方についてお尋ねしたかったのでありますが、特にこのロシア太平洋艦隊の原子力潜水艦、艦艇の廃棄問題が問題となっておる。このことについては次回にまた質問させていただきます。 どうもありがとうございました。
○三上隆雄君 私は日本社会党・護憲民主連合の立場で、近江科技庁長官の所信と科学技術政策全般について御質問を申し上げたいと思います。 〔理事大久保直彦君退席、委員長着席〕 その前に近江長官、大変難しい時期に、そしてまた期待される時期でありますから、大変御苦労さまでありますけれども、ひとつ一生懸命御努力あらんことをお願いを申し上げ、お祝いを申し上げたいと思います。 我が国は戦後の荒廃から半世紀、平和憲法とすぐれた教育制度のもと、国民のたゆまぬ努力と勤勉性によって、いろいろ問題はあるにしても、世界の経済大国、文化国家となったわけであります。大臣の所信にも申されておりますように、まさに追いつき追い越せの姿勢から反省、脱却をして、社会や経済の構造改革を推進しなければなりません。また、限られた資源とこれ以上壊してはならない地球環境という状況のもとで、人類が協調そして共生じていかなきゃならない時代になったのだと、こう思うわけであります。私も大臣の認識と立場を同じにするわけでありますけれども、以下質問をしたいと思います。 我が国は、狭隘な国土と少資源国としての科学技術振興発展をもって豊かな国民生活と世界への貢献を果たさなければならない立場、時代になった、こう思うわけであります。それには創造的・基礎的研究の充実強化であります。そのために若い創造性豊かな研究者、技術者の層を広めなきゃならぬ、こう思うわけであります。 そこで、先ほど自民党の議員からも質問がございましたけれども、現在理工系、技術系の志望者が少ないという実態があるわけでありますけれども、この原因と対策を示していただきたいと思うわけであります。
○国務大臣(近江巳記夫君) 先生御指摘の最近若者の科学技術離れという問題、これは非常に深刻な問題でございます。きょうの朝九時から総理を迎えた科学技術会議におきましても、冒頭での問題として取り上げられたような次第でございます。 現在、若い世代を中心といたしました科学技術に対する関心の低下が見られるわけでございますが、科学技術離れが非常に進んでいる。こういう状況は、国民の知的創造力が最大の資源で、将来を科学技術の発展に託するところが大きい我が国にとりましては、先生御指摘のとおり重大な問題であると考えております。 若者の科学技術離れは、科学技術の成果が日常生活に普及して科学技術が特別の存在ではなくなった反面、科学技術自体が高度化したことによりまして科学技術が見えにくいものになってきていることが原因の一つと考えられております。また、理工系は実験などで勉強が忙しいなどの科学技術活動のイメージの一部が若者気質に合わなくなったことや、理工系の職場は処遇が悪いというイメージもその原因となっていると考えられます。 科学技術系人材の確保の問題につきましては、先ほど御報告申し上げたとおり、政府全体としても大変これは重要な問題である、そういう認識をいたしておるところでございます。 本日の科学技術会議におきまして中間報告がその問題でなされたわけでございますが、今後若者の科学技術離れに対応するに当たりまして、一つは、若者が科学技術を身近にとらえ考えるための多様な機会を提供すること。二つ目に、教育の場における創造的探求心の育成を図ること。三つ目に、研究者、技術者が最大限能力を発揮できるような研究環境を整備するとともに、研究者、技術者の処遇を改善することにより若者が夢と希望を持って研究活動に従事してくるようにすることなどが非常に重要であるということが話し合われた次第でございます。 また、先日、私は日仏科学技術協定に基づく会議のためフランスを訪れました。ラ・ビレット、パリの外れにあるわけでございますが、科学産業都市という科学技術に親しむための施設、博物館をつくっているわけでございますが、学年別にすばらしい深い考えのもとにいろいろな施設が設置されておりまして、非常に感銘を受けたような次第でございます。我が国におきましても、教育の場を初めといたしましてさまざまな場におきまして科学技術についての理解を得られるような努力を、今後、地方自治体や民間企業などの協力も得ながら政府が一体となって取り組むべきものと認識をいたしておる次第でございます。 以上のような認識に基づきまして、今後とも科学技術系の人材の確保のための施策の強化に取り組んでまいりたい、このように考えておる次第でございます。 以上です。
○三上隆雄君 ただいま長官から一般論、総論的なお答えがございましたけれども、若干具体的な問題を質問させていただきます。 先ほどもお答えがありましたように、公立大学、公的な機関の研究開発費が欧米に比べて約半分程度だというお答えがありましたけれども、どうしてそういう状態になっているのか、まずお尋ねしたいと思います。 それから、民間の研究あるいは教育機関と公的機関と比較して、公的な機関の設備それから環境等々が落ちる、そういう状況にある。それを改善するには、長官、余り長答弁は必要ありません、端的にお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(近江巳記夫君) 今先生お尋ねの研究開発費全体の問題でございますが、御承知のように我が国は平成四年度で申し上げますと十二兆八千億、そのうち十兆五千億は民間でございます。政府は二兆三千億、一八%であります。二割に満たないわけです。GNP比でいきますと〇・四九、まあ〇・五%でございます。その点、欧米先進国におきましては一%前後まで来ているわけですから、先生御指摘のように約半分です。 それはなぜかというお話でございますが、一つは、日本は民間が非常に研究開発に力を注いできた。そういう点は欧米先進国がまた逆の面で、民間は非常にえらい力強いですねと、向こうはそういう感心の仕方をしているわけですが、しかし今後を考えますと、例えば最近のデータにおきましても民間の研究開発費というものは落ち込んできているんですね。十兆五千億と申し上げましたが、やっぱりそれは落ち込みが見られるわけでございます。 そういう点からいきますと、特に基礎研究というものは、じゃ民間が力を今後発揮できるかといいますとなかなか難しい問題があるわけです。そうなってきますと、この基礎研究に政府はやはり力を入れなきゃならない。政府全体で二兆三千億でございますとGNPの〇・五%でございますが、これは十八号答申を受けまして、平成四年四月の科学技術政策大綱におきまして早期に倍増を図ろうと、政府もそういう合意がなされておるような次第でございます。 したがいまして、これからの二十一世紀を考えましたときに、やはりこの基礎研究に今こそ力を入れていく、その中心は何といいましても政府の研究投資、これはやはり増額していく必要がある、このように思っている次第でございます。そういう現状でございますので、今後とも政府としては力を入れてまいりたいと思っております。 それから、民間の機関と公的な機関のお話でございますが、今国立の研究機関は九十四と聞いております。大学の研究所を合わせまして二百四と聞いております。政府といたしましても、平成四年、平成五年、特に補正予算等にも大きく上積みを図りまして今かなりの改善は進んでおりますが、何といいましても中核をなすのは国立の研究機関であり、大学の研究機関でございます。そういう点では特に今後方を注いでいきたいと、このように考えておる次第でございます。
○三上隆雄君 ただいま極めて積極的な御発言がありましたけれども、どうかひとつそれを実現するような方向で御努力をいただきたい、こう思います。 そこで、今長官からいろいろ御答弁がありましたけれども、私は今の日本の経済構造というか風潮というか、それに問題がありはしないかと、こう思うわけであります。産業界の動向、趨勢を見れば、いわゆる今三K産業、四K産業と言われるものの若者の参入率が極めて厳しいという状況、しかしながら人間が生きていくためにその業界こそ大事な産業ではなかろうか、こう思うわけであります。今回の議論になっております基礎研究、技術研究者の養成、育成が、日本の国家を運営し、そしてまた豊かな人類を、安全な地球を築いていくための一番大事な部分が極めて今軽視されているんではないか、こう思うわけであります。 いわゆる三Kというのは、汚い、厳しい、危険、それにもう一つ、今流に言うならば格好よくなきゃ若者が寄ってこないという問題があります。職業別に見ると、看護婦や福祉の関係の従事者、それから農林漁業に働く従事者、工業で実際現場で物をつくり生産する従事者、そしてまた、そのもとをなす今議題になっております研究開発に関係する技術者。今一番我々が尊敬する重要な部門を優秀な若者が敬遠しているということを私は大変な事態だと思うわけでありますから、どうぞひとつ閣内において大胆にこのことを科技庁長官として発言をしていってもらいたい、こう思うわけであります。 時間の関係がありまして、この会の運営が十一時四十分で終わらなきゃならないので、そこで具体的に今の問題、四十分まで長官のお答えをいただきたいわけでありますが、今私の提案したそれに対して、今までとは違う形で大臣はどう具体的に対処されるか、決意をいただきたいと思います。
○国務大臣(近江巳記夫君) 先ほど科学技術会議が行われたという御報告をいたしましたが、その中で人材の育成の問題につきましてきょうはいろいろと話し合われたわけです。その中で中間報告もなされたわけでございますが、そこでの御報告等を交えまして御報告させていただきたいと存じます。 一つは、若者の科学技術志向の高揚と科学技術に対する国民的な理解を深めるための方策といたしまして、次代の科学技術を担っていこうとする志を有する多くの若者が輩出される土壌といたしまして、人々が科学技術に対して興味や関心を抱き、探求し、積極的にかかわっていこうとする社会的な環境を構築することが重要であるということでございます。これが基本であります。 一つは、科学技術を身近にとらえる、考えるた。めの多様な機会の提供といたしまして、科学技術の意義、研究者、技術者の人間像等について、活動の現場や国からの情報の発信、特色ある自然科学系の博物館等の整備充実と関係機関相互の連携の促進、学校教育、社会教育等の教材としての各種メディアの活用とマスメディアへの積極的な情報提供。 二番目に……
○三上隆雄君 それはわかります。それはさっきの答弁と同じです。
○国務大臣(近江巳記夫君) はい。 そういうことでございまして、今先生おっしゃっておりますように、これは科学技術庁がそうした中心的な立場といたしまして、教育の面ということでは文部省とも密接な連携をとりまして特に高等教育の充実、これにつきましては大学、大学院の教育研究費や施設設備の充実等、これを早急にやはり図っていかなきゃならない、そのように思っております。 それからさらに、このすそ野としまして、教育の場におきます創造的探求心の育成ということがやはり非常に大事になってくると思います。そういう点で、知識偏重型の教育を克服いたしまして自然に親しむ機会や探求活動、実践活動重視と個性、能力に応じた指導が大事であろうと思います。 また、実験と実技を重視した教員養成など教員の資質向上、児童生徒が自然や研究者、技術者に直接触れる機会の拡大、学校におきます博物館、青少年教育施設等の計画的な活用。いわゆる高等教育に至るそのすそ野、小さいときからやはりそういう科学技術に触れ、興味や関心を持っていくその土壌づくりも非常に大事なことであろうかと思うわけでございます。 今後、人材の確保といたしまして、その能力が発揮できる環境条件の整備ということが最も大事であろうかと思います。最新の技術の進展、情報化、エレクトロニクス化に対応いたしました高等学校等におきます。そうした教育の充実、処遇の改善、発想の柔軟性や自己の能力開発の機会を確保できるゆとりのある勤務環境 企業内教育や再教育、いわゆるリフレッシュ教育に加えまして中小企業のニーズにこたえられるような教育訓練機関の充実等、さらに地域におきます関係機関の連携の強化等々、こういう広範ないわゆる連携によります活動が大事ではないか、このように思うわけでございます。 いずれにいたしましても、科学技術系離れまた技術者の処遇等の問題は、社会全体が本当に技術者や研究者を大事にしていこうと、そういう考えといいますか認識をやはり本当に持っていただくことが非常に大事なことではないか、そのように考えておるわけでございまして、今後そうした啓発活動にも科学技術庁といたしましては力を注いでいきたい、このように考えておる次第でございます。
○三上隆雄君 時間ですから。
○委員長(中川嘉美君) 三上君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午前の質疑はこの程度といたします。 午後一時まで休憩いたします。 午前十一時四十分休憩 ―――――・――――― 午後一時開会
○委員長(中川嘉美君) ただいまから科学技術特別委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、科学技術振興のための基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○三上隆雄君 それでは、引き続いて質問させていただきます。 今の質問は環境庁に対する質問になるかと思いますが、御出席ですか。――我々人類は、生活の利便性を追求し、科学文明を謳歌している。特にこの一世紀はすさまじい発展を遂げたわけであります。輸送手段、そして戦争、また我々人間そのもののライフスタイル、経済構造等々のあり方すべてが反省される時代ではなかろうかと思います。 その意味で、最近、酸性雨あるいはオゾン層の破壊等々、地球環境に対する関心がいやが上にも高まっております。先ほど自民党の先生も御質問をされました。しかし、環境破壊に対する調査とその体制は、今までと違った形で緊急に具体的に取り組まなきゃならない時代だと思います。これは環境庁の領域になるかもしれませんけれども、そのことについてお尋ねをしたいと思います。
○説明員(岡澤和好君) 御指摘のとおり、地球環境の問題は人類の生存基盤に深刻な影響を与える緊急かつ重要な問題であると認識しております。このために、我が国を初めとしまして関係各国が協力し合って、さまざまな対策に取り組んでまいっているところでございます。しかし、現在のところ対策が必ずしも十分に行われているというふうには言いがたいところでございまして、問題によっては環境が悪化しているという問題も多々あるというふうに認識しております。
○三上隆雄君 ただいまのお答えの中で環境は悪化しているという認識ですが、当然だと思います。 この種の問題をいろいろ議論するときに、私は経済人や政治家は何かそのことを実直に受けとめて、その改善に向けての議論がなされ得ない状況にありはしないか、こう思うわけであります。今の経済構造を見れば、大量生産、大量消費、大量廃棄、このようなサイクルで世の中全体を維持しているわけであります。それを、例えば今環境破壊の原因を助けるということになれば、経済を重点的に考える方々、そしてまたその延長路線にいる政治家の環境に対する考え方というのはどちらかというと当然後ろ向きでありますから、その意味で私は科学者がこれに勇敢に提言をしていく時代であるなど、こう思うわけであります。 その意味で、人間がこの地球に生きていくための環境を維持していくためには、これ以上壊してはならない、経済の若干の停滞があってもやむを得ない、そしてまた我々政治家が次の選挙で落選してもやむを得ないという覚悟で科技庁が提案をしていかないと、今のこの大きな流れというものは改善できないだろう、こう思うわけであります。この点は、直接的な担当ではないにしても、内閣の一員としての長官の御決意をいただきたいと思います。
○国務大臣(近江巳記夫君) 平成四年四月の科学技術大綱におきまして我が国の科学技術政策大綱を決定いたしておりますが、その大綱におきまして三つの主要なポイント、柱を立てました。それは、先生御承知のとおりでございまして、一つは地球と調和した人類の共存、二番目には知的ストックの拡大、三番目には安心して暮らせる潤いのある社会の構築、この三つの目標を掲げておるわけでございます。 そうしましたときに、この地球と調和した人類の共存というテーマの中にまさしく先生がおっしゃっている問題があろうかと思うのでございます。そういう面におきまして、環境保全の技術開発、これは私たち科学技術庁にとりまして非常に重要な問題でもございますし、絶えずこのことを念頭に置きながら今後とも力を注いでまいりたい、このように考える次第でございます。
○三上隆雄君 今の環境悪化の状況を打破するには、できたものを改善するという考え方では環境の改善はできないと、すべての学者がそう言っているわけであります。ですから、環境破壊の原因をいかにして断ち切っていくかということに主眼を置いてそれに積極的に努力しなきゃならぬ、こう思うわけであります。どうぞ今までとは違った感覚ですべてに対処していただきたい、このことを要望申し上げておきます。 それでは次に、原子力エネルギー開発長期計画の変更です。 先ほど来質問しているその路線の中で、今までのエネルギー政策の中で、いわゆる化石エネルギーは地球の温暖化を促進して環境の悪化をつくる、そういうことからいわば原子力は夢のエネルギーだ、環境に極めて優しいエネルギーだというキャッチフレーズで進めてきたわけでありますけれども、事ここに来て、世界が原子力、特にプルトニウム政策から撤退しているという状況、昨今見られるように北朝鮮の核問題、査察に象徴されるように、あのように危険なものであるということも理由の一つにあると思います。 そういうことで、原子力エネルギー政策の見直しというものが言われておりますけれども、それについての経過と方向をお示しいただきたいと思います。
○国務大臣(近江巳記夫君) 現行の長期計画の策定以降、国際情勢のみならず、核燃料サイクル事業を初めといたします我が国の原子力開発利用の進展の状況、プルトニウム利用をめぐります内外の関心の高まりなど、原子力をめぐる情勢も大きく変化いたしております。そこで、原子力委員会は、これらを踏まえまして長期計画を改定することといたしておるわけでございます。 既に主要分野ごとに設置されました分科会での検討は終了いたしまして、先月その概要を公表いたしました。現在これらをもとに長期計画の取りまとめを進めておりまして、近日中にも新しい長期計画を明らかにできるものと思っております。 現在、原子力委員会決定には至っていませんが、我が国の原子力政策の基本でございます核燃料リサイクルの進め方を初めとする各般の課題につきまして、二〇三〇年ごろまでを展望しながら、二〇一〇年ごろまでの推進方策を明らかにしたものになると考えております。 なお、核燃料リサイクルの中核であるプルトニウム利用の推進に当たっては、余剰プルトニウムを持たないとの原則の堅持や計画の透明性の向上が重要であると考えております。 最終段階を迎えた長期計画の取りまとめに当たりましては、私も原子力委員会の委員長といたしまして、皆さんの御理解を得ることのできる、そういう長期計画となるよう努力していきたいと思っております。
○三上隆雄君 これまた先ほどの鹿熊議員の質問にもありましたように、中国の環境悪化が質問に出されました。 今、中国を含めて、東南アジアの経済発展に伴ってエネルギーの消費が拡大しているということは事実なわけであります。そこで、中国は別にして、東南アジアに対して日本が原子力技術を提供というか販売というか供給というか、その動きがあるのか。あるとすればどこの国へ、これは政府みずから提供するわけじゃないでしょうから、何会社がいつごろどういう形で進出しようとしているのかをお示しいただければと思います。
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。 原子力のいわゆる先進国とでも申しましょうか、でございます我が国といたしましては、国際貢献の要請の高まりにこたえるということとともに、国際協力によります研究開発や共通の課題に対する取り組みということが極めて重要になってきておるという認識に立ってございまして、従来から積極的な国際対応を展開していくことを原子力開発利用の長期的な政策の柱の一つとしておるところでございます。 特に、今先生御指摘のアジア地域でございますが、御指摘のとおりに、今後飛躍的な経済発展が予想されております。原子力の開発利用を推進していこうということを明らかにしております国もございまして、これらの諸国からは、既に原子力開発利用に長年の実績を有しております我が国に対しまして従来以上に大きな協力の期待が寄せられております。 これまでアジア地域との協力につきましては、我が国の原子力委員会の主催によりますアジア地域原子力協力国際会議というのを開催いたしてきておりまして、この枠組みのもとに研究用原子炉、研究炉の利用あるいは放射線の医学、農業利用等の分野におきまして具体的な協力を進めてきておるところでございます。 また、国際原子力機関、IAEAのアジア原子力地域協力協定、これはRCAと呼んでおりますけれども、このRCAの枠組みを通じまして放射線利用等の分野におきましての専門家派遣等を行ってきておるところでございます。 また、日本原子力研究所、原研では、それぞれの国の実施機関との間におきまして、研究炉の利用とか、あるいは放射線の利用等の分野におきます協力を行ってきておるところであるわけでございます。 今後アジアの国々との協力はますます重要になってくるというふうに考えておりますが、今申し上げましたように、これまで我が国が有しておりますポテンシャルを活用いたしまして着実な協力を進めてまいりたいと思っておるところでございます。 具体的にどういう展開があるかということでございますが、それぞれの国が研究炉あるいは放射線の利用等々をやっておるわけでございます。原子力発電所につきましては、これは先生御案内のとおり、特に私ども認識しておりますのは、インドネシアにおきましてジャワ島等で原子力発電を進める計画があるというふうに認識しておるところでございます。
○三上隆雄君 そこで、これまた払いつも自民党の先生方を引用いたしますけれども、特に原子力に関しての技術、すべての機器の製造に当たっても日本は世界最大であるという言い方を最近言われております。今まではアメリカを初めヨーロッパが原子力先進国だと言われておりましたけれども、日本が今そういう頂点に立っているという言い方もされているわけであります。 日本が今まで進めてきた原子力政策、施設に関してもノウハウに関しても管理に関しても、日本の技術力それからそれを操作する人間すべてを総合的に判断して日本はよしとしても、東南アジアにこの技術を提供したときにそのような総合的なものまで期待できるのかどうか、その点についての御見解をいただきたいと思います。 なおまた、今回のIAEAの査察の実態、これは世界全体の査察の人員、日数でいって、日本が査察を受けている日数がその約四分の一、一万人中二千五百人をIAEAでは日本のために費やしている。IAEAそのものの査察の実態というのがどうなっているのかをお示しいただきたいと思います。
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。 今先生御指摘のアジアの国々、特に開発途上国におきます原子力開発利用の協力ということでございますけれども、基本的にはそれぞれの国がどのようなエネルギー政策をとるか、どのような原子力政策をとるかということでございまして、それがまず第一ということであろうかと思います。それに対します協力の実施に当たりましては、当然核不拡散と安全性の確保というのが第一であるというふうに認識しておるところでございます。 今先生お触れになりました世界で我が国の原子力技術がいかほどのものであるかというのは極めて難しいところであるわけでございますが、私どもの認識といたしましては、我が国の原子力の特に製造、加工の技術というのは、これはむしろ私どもといいますよりも民間の方々の御尽力によって非常にすばらしいものであるというふうに認識しておるところでございます。 ただ、それとともに、最近の状況ではございますけれども、アメリカは非常に幅も広くあるいは非常に厚みのある研究開発人員を擁しておることは御承知のとおりでございますし、フランスもまたフランス独特のすばらしい技術開発力あるいはそのポテンシャルを持っておるということでございますので、当然これら途上国との協力におきましては、それぞれの国の持ち味を生かしながらやっていくということになっていくのじゃないかなと思っておるところでございます。 いずれにいたしましても、実際、開発途上国との協力におきましては、まずその国がどういうことを欲しておるかということが一つでございますし、その開発途上国が求めておることが安全に行われるということも極めて大事でございますので、それ等は先方とよく相談しながら進めていくということが肝要であろうかと存じておる次第でございます。 なお、後段の御質問の、国際原子力機関の我が国に対する査察でございますけれども、我が国に対します査察の割合といいますのは今大体先生がお示しになったような数字であろうかと認識しておるわけでございます。これにつきましても、これ以降さらにIAEAの査察が円滑に実施できるよう我が国としても最大限の協力をしていきたい、かように考えておるところでございます。
○三上隆雄君 総合的には後ほどまた議論したいと思いますけれども、今のお答えの中で査察の関係。日本が努力するのでなくして、四分の一に当たる日数を日本に費やしている。これほど公平、民主、公開、この原則を貫いている国になぜ四分の一までそういう査察が傾注されているのか、その理由を聞いているんです。
○政府委員(笹谷勇君) IAEAが行っております我が国の査察は、NPT条約に基づきましてIAEAと日本との保障措置協定によって行われているわけでございます。IAEAはほかの国とも同様に保障措置協定を結んでおりまして、それぞれの国とその協定に基づいた査察を行っているわけでございまして、その国々の核燃料施設あるいは原子力施設等の規模等によってその査察の量が決まってまいるわけでございます。 したがいまして、日本が四分の一程度に実態上なっているわけでございますが、特段我が国の核開発に平和利用の観点で査察上の問題があるとか、そういう形で多くなっているわけではございません。
○三上隆雄君 いや、プルトニウムの扱い量、それからその技術的諸条件を見た場合に、日本がその四分の一の査察を受けなきゃならない事情にあるのか。しからば、よその国々が日本以上のプルトニウムを使用しながら、軍事力を持ちながら、そういう国々の査察をしていないのは那辺にあるのかを聞いているわけでありますから、その点についての明快な御答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。 先ほど安全局長の答弁のとおり、基本的には我が国が受けております国際原子力機関の査察と申しますのは、NPTに基づき、あるいはそのNPTに基づく保障措置協定に基づいてやっております査察であるわけでございます。それは当然各国々の原子力施設の性格にももちろんよりますが、性格を加味した量といいますかウエートで当然査察をやっておるということであるわけでございます。 これに対しまして、御承知のようにNPTの枠組みでは、核兵器保有国とそうではない国があるわけでございます。核兵器保有国はNPTの枠組み上、核兵器非保有国にはないそういうステータスというのは認識されておるところであるわけでございます。したがいまして、核兵器保有国の場合と核兵器非保有国を同一平面上に置きまして査察の大小を比較するという、そういうことにはなっていないということを御認識賜りたいわけでございます。
○三上隆雄君 簡単に申し上げまして、核兵器を保有している国は査察の対象というか度合いが少ないという解釈でよろしゅうございますか。
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。 核兵器保有国も、彼らの持っております施設の一部につきましてはボランタリーサブミッションということで査察の対象にはいたしておりますけれども、全体その査察の根拠といいますか、そういうベースは非核兵器保有国と異なるというふうに認識しておるところでございます。
○三上隆雄君 その点についてはこれからまた若干の研究をしながら質問の機会を持ちたい、こういうふうに思っております。 ただ私が懸念することは、発展途上国にこのような大変な、確かに人類に及ぼす効果はあってもその危険度も極めて大きいわけですから安易に提供すべきではない。例えば、旧ソ連の民族の意識、国家的ないろんな歴史的なものの違いがあるといえばそれまでですけれども、経済的に窮してくれば、これまた先ほど問題になった日本海へあのような放射性廃棄物を投棄するという、そういう事態があるわけでありますから、私はそれには慎重に対処していってもらいたいと。そのためにはやはり世界的なレベルで慎重に議論して、その世界的な合意の中で発展途上国に供給していくという、そういう姿勢が必要であると思うわけでありますけれども、その点についての御見解をいただいて、次に入ります。
○国務大臣(近江巳記夫君) 先生御承知かと思いますが、今月の十四日から外交会議におきまして、原子力安全条約というものにつきましていろいろ作業をいたしております。この十七日に条約案の正式採択がなされまして、今後九月のIAEA総会の機会に署名のための会合が行われることになっております。 この条約は、世界的かつ高いレベルでの原子力安全の達成等を目的といたしまして、各国において遵守されるべき安全確保のための基本原則を包括的に定めようとするものでございます。本条約の成立がなりますると、旧ソ連、東欧諸国や今後原子力利用を進めようとしておりますアジア諸国等も含めまして、世界的な原子力安全の向上と原子力安全文化の醸成に資するものでございます。また、本条約は各国の条約の遵守状況をチェックするため、定期的に会合を開催することとなっておりまして、この過程を通じまして各国の安全水準の向上に向けた取り組みが強化されることが期待されるわけでございます。 そういうことで、まさに先生御指摘の世界的にこの安全性を確保していく、こういう点におきましてこの条約ができるということにつきましては、我が国といたしましてもこれは今まで前向きに取り組んできたことでございますので一層力を入れていきたい、このように考えておる次第でございます。
○三上隆雄君 世界から期待される日本でありますから、十分慎重に対処されんことを希望しておきたいと思います。 それから、返還プルトニウムの関係についてお尋ねしたいと思います。 これまでフランス、イギリス等に再処理を依頼して発生したプルトニウムなりあるいは高レベルの廃棄物が来年返還の予定だそうですけれども、来年のいつごろ、どこにどんな形態でどの程度の量が、そしてまたその輸送の手段はどういう形で返還になるのかをお答えいただきたいと思います。
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。 先生御指摘のとおりに、イギリス及びフランスと契約いたしております再処理契約、その再処理契約の結果出てまいりますプルトニウムと高レベル廃棄物等々の返還でございますが、プルトニウムにつきましては、核分裂性プルトニウム約一トンがあかつき丸によりまして返還輸送されましたことは御承知のとおりでございます。 それから高レベル放射性廃棄物、いわゆる返還されるガラス固化体でございますが、これにつきましては、今先生御指摘のようにいよいよその返還の計画が具体化しておること、御承知のとおりであるわけでございます。これにつきましては、今のところ私どもが承っておりますスケジュールは、来年の二月ごろにフランスを出まして、恐らくそれ以降どれくらい海上輸送でかかりますか詳しくは今現在認識しておりませんが、二カ月前後かかつて我が国に着くというふうに認識しておるわけでございます。 この輸送につきましては、輸送の責任はフランスの核燃料公社とでも言うべきコジェマであると思っておりますが、使います船はコジェマの船ではないというふうに思っております。着く港あるいはコース等々、いろいろ現在詰めておるわけでございますが、御承知のとおりに、最終的に着きますのは青森県の六ケ所村でございまして、六ケ所村に現在建設が最終段階に来ております廃棄物管理の施設に納めるということであるわけでございます。 以上、先生の御質問、メモしました範囲でわかります点をお答え申し上げました。
○三上隆雄君 量はどのくらいですか。
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。 ガラス固化体二十八本入りのキャスク、輸送容器でございますが、これ一基であるわけでございまして、御承知のとおりにガラス固化体一本キャニスターと申しますのは、正確なスペック、今この場では持ち合わせておりませんけれども、これくらいの大きさのもので、高さが一メートル前後のものであると思いますが、そういうものをガラス固化体一本といたしますと、それが二十八本入っておりますキャスク一基を持ってくるということであります。
○三上隆雄君 そのガラス固化体ですが、今現在、フランスではもはやそれがガラス固化体になって、そういう形で保管されているんですか。
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。 私の知り得る範囲では、今現在、フランスのラ・アークにあります再処理工場におきまして、既にガラス固化体になっておるものであろうかと認識しておるところでございます。
○三上隆雄君 今仮定のお答えをいただきましたけれども、現実に今の時点で固化体になっていないと来年船積みする状況ではないと我々素人は思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。 私もそのように認識しております。
○三上隆雄君 それからもう一つの情報は、低レベルの放射性廃棄物が全量、来年度返還されるという情報もありますが、それは定かですか。
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。 これにつきましては、低レベル全量を来年返還されるかどうかということでございますが、基本的に申しますと、低レベル放射性廃棄物は高レベル放射性廃棄物と同様に当然我が国の電気事業者に返還されていく、そういう予定であるわけでございます。 この低レベル廃棄物の返還時期や数量でございますけれども、今後事業者間、すなわち日本でいいますと電力会社、それからフランス側では核燃料公社たるコジェマでございましょうが、事業者間の協議を経まして決められるということでございまして、その受け入れに当たりましては、当然六ケ所村の核燃料サイクル施設の中の一時貯蔵施設がちゃんとできるということであるわけでございます。それとの関連において今後返還輸送されてくるというふうに認識しておるところでございます。
○三上隆雄君 時間がないから急ぎます。高レベルの廃棄物の最終保存地の場所はまだ決まっていないと思いますけれども、昨年の今ごろから一年かかってどの程度その選定に向けて進んでおりますか。
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。 高レベル廃棄物の最終処分地でございますが、これは先生御指摘のごとく今現在決まっておるわけではございません。と申しますのは、昨年の今ごろから今まで申し上げてきましたように、高レベル廃棄物の最終処分の事業主体でございますが、これが二〇〇〇年ごろをめどに事業主体をつくるという計画になっておるわけでございます。 それまでの間いろんな準備がございます。これにつきましては、これまたよく御承知のように高レベル事業推進準備会というグループがございまして、ここでいろんな準備もやっております。動燃事業団は、地下深く処分することにおきますいろんな研究開発を進めておりまして、治験を蓄積しておる最中でございます。そういうことで、実際高レベル廃棄物ガラス固化体が地下深くおさめられますのは三十年から五十年後ということであるわけでございますから、一歩一歩段階を踏んで進んでいっておる、そういうことであると御認識承れば幸いでございます。 〔委員長退席、理事大久保直彦君着席〕
○三上隆雄君 この議論はまだ全然進展していない、こう思っております。青森県民は最終保存地になるのではないか、そういうことで今大変心配しておりますから、早い時期にはっきりした最終処分地をお示しいただきたいということを要望しておきます。 最後に。こういう議論がございます。原子力エネルギーをなくした場合に、果たしてその代替エネルギーはどうするかという議論が当然出てくるわけでありますけれども、クリーンエネルギーの研究開発、そして普及について、実はことしの予算編成の段階では私どもは与党であって、我々の要望が若干通ったわけであります。それは、家庭用の太陽光発電の総費用、一千戸、四十億円を要望したわけでありますけれども、ことしの予算編成の実態を見ると七百戸の二十億ちょっとという予算が計上されているようであります。 ひとつ私どもが要望したクリーンエネルギーの開発にどうぞ力点を置いてこれから政策を進めていただきたい、こう思うわけであります。そのことに対するお答えと、もはや来年度のシーリングに入っているわけでありますから、どうかひとつ来年度は少なくとも私どもが当初要望した以上の普及実現ができるように、その点についても明快な御答弁をいただきたいと思います。
○説明員(藤野達夫君) ただいま御指摘いただきましたように、平成六年度の概算要求段階では住宅用の太陽光発電普及事業につきまして、補助率を三分の二と想定し、普及戸数千戸ということで概算要求したことは事実でございます。 ただ、補助率等につきましては、各種電源につきましての、あるいは一般のそうしたものの普及策ということにつきまして政府部内で御議論を行いまして、例えば同じリニューアブル・エネルギーでございます水力についての現在補助の最高額のものが三〇%であるとか、その他の事情を勘案し、それから基本的にはマーケット商品として普及を考えていくという性格からしまして、二分の一の補助率ということにいたしたものでございます。 今後どう進むのかということでございますけれども、本年度の御審議いただきます予算が成立後、できるだけ早いタイミングでこの補助事業、モニター事業でございますが、これを実行に移しまして、マーケット体制等の整備を進めていきたいというふうに考えております。 現在太陽光発電によります電力コストというのは、一般の家庭用の商業電源の七、八倍ぐらいの水準ということでございますので、こうした面でのマーケットメカニズムの中でコスト低減というものを図り、それがさらなる需要を生み出していくという好循環を形成していきたいというふうに考えております。来年度以降につきましては、本モニター事業の動向等も勘案しまして判断してまいりたいというふうに考えております。
○三上隆雄君 最後に要望のような形での発言になりますけれども、原子力政策を進めるための手段、方法について若干御意見を伺いたいと思います。 今世界の原子力政策、とりわけプルトニウム政策については、撤退または中止の状況にあると思うわけであります。しかし、日本だけが突出して推進の立場をとっているようであります。やはり地域住民の正しい認識と協力がなければならないと思います。単に地域住民だけではなく、国民それから世界人類全体の正しい認識と協力がないと、私は現在、核に対する推進は相当慎重にかからなきゃならぬなと、こう思うわけであります。 そのために国も事業者も何十億、何百億という巨額の金を推進のために投資し、それを電気料または税金で負担してきたわけであります。いわば素人にしてみれば子供だましのような形で、バス旅行を含めていろいろ普及に当たっているわけでありますけれども、県民の意識調査では、青森県の県民ですよ、その意識調査では、不信、不安が六〇%前後ある、こう私どもは見ているわけであります。そこでその解消は、反対の根拠を断ち切ることが私は大事だと、こう患うわけであります。 昨年大阪で、原子力資料情報室と日本原子力産業会議共催の国際シンポジウムがございました。今回青森で、今なぜ再処理がというシンポジウムがございますけれども、それにひとつ、この団体とできれば私は共催でやっていただきたいものだなと。こうなると、県民もまた国民も、公平な会議であるし、そこから出た情報というものは公平な情報であるし、判断に立てるわけでありますけれども、今回それに参画できない。最終的には協力するという状況を先日聞きましたけれども、これに対する対処についてお尋ねをして質問を終わりたいと思います。
○政府委員(石田寛人君) まず最初に私の方から事務的な状況を御報告申し上げて、それから大臣からの御答弁という順序にさせていただきたいと存じます。 先生御指摘の再処理を考える青森国際シンポジウム、「いま再処理の是非を問う」というシンポジウムでございますが、こういう各種のシンポジウムあるいは討論会、催し物等々でございますが、これは確かに原子力に対する我々国民全体の認識を深めるということでは極めて重要なものであろうかと思うわけでございます。 御指摘の、大阪におきます日本原子力産業会議と原子力資料情報室との共催のシンポジウムでございますが、これもそういう観点から一生懸命いろいろ双方で議論しまして共催にこぎつけたというふうに認識しておるところであるわけでございます。 ただ、こういうものをなるべくやればいいわけでございますけれども、何遍も先生に申し上げておりますように、実際これは具体的な計画といたしますといろいろ双方のすり合わせ、あるいはどういう場を設けるか、なかなか難しい点もございます。そういうことを最大限うまくすり合わせていきまして諸条件が満足されるならば、こういうものはいろんな形態で行われていくというのが極めて望ましいということであろうかと思うわけでございます。 それを含めまして、この青森のシンポにおきましては、本来、先生共催と今おっしゃったわけでございますが、共催という格好ではございませんけれども、現在私ども当庁の職員を派遣するという方向で具体的な参加の形態につきまして主催者の方と調整を進めているところでございまして、先生の御意見は十分にこれからも挙々服腐させていただきたいというふうに考えているところでございます。
○国務大臣(近江巳記夫君) 先生おっしゃることは非常に重要なことでございまして、行政を進めるに当たりましてはいろいろな方の御意見を聞くことはまことに重要なことでございます。今回の長期計画の策定に当たりましても、原子力委員会の長期計画専門部会におきましても意見募集、実に三千通を上回る御意見もいただいておりますし、あるいは御意見を聞く会も行われたところでございます。 また、私たちの仕事を御理解いただくことも非常にこれは重要なことでございます。したがいまして、今回の長期計画の改定に当たりましても、その重要性を考慮した上で審議を進めてきたところでございます。先生のお申し出のそうしたことも十分今後よく勉強させていただきたい、このように思います。 今後とも、本当に多くの皆さんの声を十分に政府としては聞かせていただき、大いに勉強し参考にさせていただきたい、このように考えております。
○三上隆雄君 終わります。
○長谷川清君 近江大臣に二点にわたりましてお尋ねをいたします。私は、自分の持ち時間を大体三分の一ぐらいに短縮いたしまして、本委員会に協力したいと思います。 近江大臣、私は今回初めての質問でございますので、大臣になられての抱負をお聞きしたいのでありますが、科学技術という非常に幅の広いテーマを持っていらっしゃいますから、所信でも述べられておるとおりあちらこちらにたくさんポイントがあると思います。その中でも特に就任に当たりまして、任期中にこれだけはやっておきたいなといったようなものが構想の中に優先度の高いものとしてはあるんじゃないか。例えば、科学技術の博物館などをつくる、しかもこれは国際比較をしてもけた外れに立派なものであるといったようなものを象徴的につくるということも私は非常に意義あることではないかと思いますが、こういう点などについて抱負をお伺いしたいという点が一点であります。 〔理事大久保直彦君退席、委員長着席〕 時間の関係で続けて申しますと、二点目は原子力エネルギーというものに対します現在の評価、そしてまたこれからの原子力の占める役割といった点でございます。 今も三上先生の方から、地元で大変御苦労いただいて御理解をいただいておりますという視点でいろいろと原子力という問題について御意見と質問がございました。よく議論の中に、最近のエネルギーは多種多様になってきておりまして、太陽熱の利用だとか地熱あるいは風力、波力といったクリーンと言われるエネルギーがそれぞれございます。その中でも太陽光子不ルギーは実用化に向かいましてその緒についているというふうに言えると思うんです。これらのエネルギーというものと、発電の電源になっております原子力であるとか水力とか火力とかLNGとか、大きく分けるとこういう二色ございます。 この原子力のように非常に大きな容量を持っている、一基だけでも百十万キロ以上の力を持っております。言うならば、太陽光などのクリーンなエネルギーをどんどん進めていけばそれが原子力エネルギーに取ってかわれる、こういう誤解があると思います。それは誤解でありまして、現実には多種多様なエネルギーを、それぞれ短所を閉じ込めて長所を生かしてベストなミックスで全体を賄っていくということこそ大事な点だろうと思うんです。 そういう点におきましては、国際的なベストミックスという視点から見ましても、原子力のような今世紀最大と言われる科学技術、これを平和的利用ができる条件を持った国々と、そうでない、化石燃料をどうしてもたかざるを得ないという国々がそれぞれございますから、そういうものにおけるバランスシートもございます。できるだけそういうものは後発国にお譲りして、日本の国内にあっては今やれる範囲で最大限を尽くすということが国際社会に対する貢献でもあると思います。 そういう視点に立ちまして、これらの点についていわゆる原子力というものの位置づけを大づかみにこの場においてはお聞きをいたしまして、具体的な問題等につきましては自後に譲りたい、こう思っている次第であります。 以上二点について答弁をいただきましたならば、私の質問は終わります。
○国務大臣(近江巳記夫君) 初めの御質問でございますが、私は昭和四十二年一月に国会に送っていただきまして幾つかの委員会でずっと勉強させていただきましたが、科学技術委員会は十五年になるわけでございます。その間、昭和四十七年でしたか、科学技術特別委員長にも就任をさせていただきました。 私は、資源のない我が国が今後二十一世紀を目指して成長して生きていくためには、科学技術立国として歩んできたこの道は正しいと信じて、微力でございますが、私も国政の場で勉強させていただいているような次第でございます。その信念はいささかも変わっておりませんし、日がたつにつれ一層その思いが強くなっておる次第でございます。 そういうことで、今日まで日本は立派に成長はしてきてはおりますが、欧米先進諸国から見ますと、応用には力を入れるけれども基礎には少し足らないというような批判もあったわけでございます。これからの二十一世紀、本当に夢のある創造性のある社会をつくっていくためには何よりも今こそ科学技術の振興、特に基礎研究に力を入れるときである、このように考えております。そういうことで、きょう朝の科学技術会議におきましてもその旨を関係閣僚の皆さんに私からもお願いしたような次第でございまして、その点に特に力を入れてまいりたいと思っております。 さらに、先端技術の振興につきましてもこれは頑張っていかなきゃいけませんし、生活者として人に役立つ分野にも力を注ぎたいと思っております。二十一世紀、国際化の時代、国際貢献にうんと力を果たしたいと思います。 特にまた、先生御指摘の人材の育成につきましては、午前中にも答弁させていただきましたが、高等教育を初め、またすそ野すそ野の青少年の育成、そういう点につきまして、今博物館の話もございましたが、地方公共団体等にお聞きしますと日本にも四十数カ所あるようでございます。これなどもさらに内容も充実いたしまして、きょうの科学技術会議におきましても地方の科学技術の振興ということがうたわれたわけでございます。そういう点では、そういうことも十分協力もしていただきましてその充実を図り、本当にこの人材の育成に力を注いでいきたい、このように考えておる次第でございます。 第二点のエネルギーの問題でございます。 先生御承知のように、原子力は我が国の総発電量の約三割を担っております。供給安定性、経済性の面でも非常にすぐれておりまして、資源に乏しい我が国におきましてエネルギーの安定的確保を図る上で重要なエネルギーであることはもうこれは間違いないと思っております。先般フランスヘ参りましたときも、フランスでは七三%が原子力発電という状況でございまして、近隣の諸国に電力を輸出しておるという状況でもございました。 そういう国際的な観点から見ましても、原子力は化石燃料のような地球温暖化の原因となる二酸化炭素などを排出しないことから、地球環境に対する影響が少ないエネルギーであることは御承知のとおりでございます。 さらに、開発途上国を中心に世界のエネルギー需要が高まることが予想されておりますが、限りあるエネルギー資源を開発途上国や子孫に残していく上におきましても、科学技術立国たる我が国が原子力を利用していくことは必要なことであると考えております。化石燃料、新エネルギー等、エネルギー資源はおのおのの特徴を生かしてバランスよく開発利用していくことが重要であります。その中でも原子力は、エネルギー供給の安定的確保を図る上での基軸エネルギーであると思っております。今後、我が国のエネルギー供給におきましてその比重が高まるものと見込んでおります。 いずれにいたしましても、今後とも安全性の確保、これは最も大事でございます、大前提といたしまして、国民の理解と協力を得つつ、長期的視点に立って着実な推進を図ってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○委員長(中川嘉美君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
○委員長(中川嘉美君) 次に、特定放射光施設の共用の促進に関する法律案を議題といたします。 本法律案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○河本三郎君 自民党の河本です。 先日の法律案提案理由説明のところで、「近年、科学技術の一層の高度化、複合領域化等が進みこと、こういうふうに理由説明がございましたが、この「複合領域化等」、これをちょっと具体的に教えていただきたいんです。
○政府委員(新欣樹君) 従来の科学技術の研究分野というものにおきましては、例えば物理でありますとか化学でありますとか、あるいは生物というような、一定の分野分野というものがあったわけでございます。ところが、最近の研究分野というものは、そういった一定の研究領域にとどまらず、その分野を超えた格好で、例えば物理の関係者が生物の関係も研究する必要が出てくる。例えばバイオコンピューターというようなものなどもそれに当たるのかと思いますけれども、そういった分野分野を超えた研究の必要性が出てきておるということを「複合領域化」ということであらわした次第でございます。
○河本三郎君 本法案は、現在、世界最高性能の研究施設として整備が進められております大型放射光施設の利用の促進に向けて体制整備を図るもので、共用の促進は基本的に大変結構なものでございます。いわゆるスプリング8の建設地であります兵庫県の播磨科学公園都市を委員会で訪問いたしました。本法案を提出してスプリング8の共用の促進に臨む政府の考え方についてお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(近江巳記夫君) 大型放射光施設スプリング8は、指向性の強い極めて輝度の高い光を発生する施設でございます。この光を物質に当てますと、従来見えないものまで観察することが可能となるために、先端的な試験研究における汎用的な分析・解析手段として、ライフサイエンス、物質・材料、医療等の幅広い分野の研究に活用が可能な施設であります。 また、本施設は、完成しますと世界最高性能を有するものとなるために、およそ世界の科学技術の研究者すべてに開放すべきものであると考えております。御承知のように、グルノーブルにおきましては六十億電子ボルト、アルゴンヌは七十億電子ボルト、我が国は八十億電子ボルト、世界最高の性能を持っておるわけでございます。 このように高い汎用性、革新性、希少性を兼ね備えました試験研究用基盤施設は、他に類例を見ないものでございます。スプリング8のこのような特質にかんがみ、国としてその共用について特段の措置を講ずることが必要との判断に立ちまして、立法措置を講ずることとしたものでございます。
○河本三郎君 世界最高性能を有する施設ということでございますが、具体的に放射光というのはどういうものか、この利用によってどのような成果が期待されるのかを理解すれば、この法律の必要性が一層理解しやすいと思います。私が思いますのには八GeVで満足なのか、この辺も含めてちょっとお聞かせを願いたいと思います。
○政府委員(新欣樹君) まず、放射光というものでございますが、これはもう先刻先生御承知のとおりでございまして、電子ないしは陽電子を加速器によりまして光の速度に近いところまで加速をいたします。これを蓄積リングという装置の中に導入をいたしましてその中でぐるぐる回すわけでございますが、そのときに磁力によってこの電子ないし陽電子の軌道を変えます。曲げるわけでございますが、そのときにちょうど円軌道の接線万句に強い光が出てくるわけでございます。これが放射光というものでございます。 この放射光は、現在、私の承知しておる限りでは中・小型のものが国内に十四もう既にございまして、いろいろな研究ないしは半導体の加工といったようなことに使用されておるわけでございますけれども、この播磨科学公園都市に建設中のスプリング8は八GeVという御指摘のとおりのものでございまして、非常に大型のものでございます。これに類するものとしては、先ほど大臣が申し上げましたように、ヨーロッパにおきます六GeV、アメリカにおきます七GeV、いずれも建設中でございますが、こういったものがございまして、そういう意味ではこの八GeVというのは世界で最高性能を有するというものになるわけでございます。 この八GeVから得られます放射光は、まず第一には、赤外線領域から硬エックス線領域までの広いエネルギー領域の光が出るということ。それから第二に、非常に指向性が高く発散せずに遠くまで届くというようなこと。三番目に、非常に明るいということで、現在あります中・小型の放射光の一万倍以上明るいというような性質を持っているわけでございます。この放射光を利用することによりまして、各種の材料あるいは生命を構成する物質の構造や性質、こういったものの解明などに幅広い利用の方法があるものと考えられております。 現在想定されております具体例ということで御説明申し上げますと、一つには半導体や超電導体などの電気的及び磁気的性質を支配している原子、分子の構造解析や分析によりまして新しい素材、材料の開発ができるというようなこと。それから第二には、生物・生体の機能維持に関与しております各種たんぱく質の構造解析を行うことによりまして、発生・分化・老化・がん化、さらには神経・免疫・内分泌などの機構解明ができるわけでございまして、こういうことができますとまた新しい医薬品の開発につながるというようなことでございます。 さらには化学反応がございます。これは非常に高速で進行するわけでございますが、この反応の過程を現在の解析手段では見ることができません。しかし、これを連続的に観察・解析することがこの放射光でできることによりまして、新しい化学反応プロセスの開発などもできるわけでございます。 さらに、医学利用といったようなことが期待をされてございます。例えば、がんの診断について現在よりも高精度のエックス線CT像の撮影で早期のがん診断ができるというようなこと、あるいは心臓冠状動脈の診断、これも従来の診断方法に比べましてより安全で簡便な方法で行うことができるというようなこと等々、あらゆる分野への利用というものが期待されておるわけでございます。 なお、八GeVで十分かということでございますが、先ほど申し上げましたように、ヨーロッパ、アメリカにおきましても六、七GeVというようなところで、この八GeVを上回るような計画というものは今のところございません。したがいまして、この八GeVというのは、でき上がりましたら恐らく今後十年、十五年あるいは二十年といった期間を通じまして世界一の最高性能を有する施設になっていくものと思われます。
○河本三郎君 ありがとうございました。 スプリング8は、局長おっしゃるように幅広い分野において飛躍的に試験研究を発展させるということでございます。その利用に大きな期待が寄せられております。この共用を促進するということは大変重要だと思います。 そこで、現時点でスプリング8を利用して試験研究を行いたいという科学者、研究者の方々がどのくらいおられるか、またこの法案とは別に、世界最大規模ということで、内外を含めて具体的にどのような分野で研究をしたいという希望者がおられるか。例えば、政府レベルでそういう予約をさせてくれというようなお話があるのでしょうか。
○政府委員(新欣樹君) 御指摘のように、この施設は原研と理研とが共同で建設をいたしておるわけでございますが、原研、理研の持ち物とするだけではなくて、日本じゅうの研究者、官民の研究者あるいは大学の研究者等に広く開放する必要がある。また日本だけではなくて世界の研究者にも開放する必要があるというようなことでありますが、これは何も一方的に思っているわけではございませんで、そういった研究者からの強い期待というものを私どもひしひしと受けとめておるわけでございます。 では、どれだけ研究の希望が寄せられておるかということですが、まだ正式に利用課題の募集というものを現段階では行っておりませんので明確ではございませんけれども、一つのメルクマールといいますか参考になる数字といたしましては、SPring-8利用者懇談会というものの会員数がございます。この懇談会はスプリング8の利用に関心をお持ちいただいております材料科学あるいはライフサイエンス、化学などの幅広い分野の大学や国立研究機関あるいは産業界の研究者、技術者によって自発的に組織されたものでございまして、現在約八百六十名という会員数になっておるわけでございます。 それから、筑波に文部省の高エネルギー物理学研究所の放射光施設、これは二・五GeVでございますが、この放射光施設におきましては、平成四年度の実績で伺っておるところでは利用者が約二万人と言われておるようでございます。しかも、この数というのは年々ふえてきており、それから利用研究分野の数も年々ふえてきておるというようなことで、一日も早いスプリング8の供用開始に対する研究者の期待は非常に高い状況にあると理解しております。
○河本三郎君 先日視察を行いました播磨科学公園都市、ここでも民間企業が放射光施設を建設しております。ほかにも同様の施設の建設の構想があると聞いております。今後、これらの施設とスプリング8の間に協力関係あるいは役割分担が不可欠になってくると思いますが、この点について政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(新欣樹君) 放射光施設はその性能の違いによりまして得られる波長、光の波長が異なるわけでございます。すなわち、スプリング8におきましては八GeVという電子エネルギーでございますので、波長の非常に短い硬エックス線領域までの光が得られるわけでございます。したがいまして、これは広範囲の科学技術分野に及ぶ基盤施設といたしまして、その性能を最大限に引き出せるような世界のトップクラスの放射光利用研究というものが行われるだろうと期待しておるわけでございます。 他方、先ほど十四あると申し上げましたより小型の放射光施設、こういったものにおきましては比較的波長の長いいわゆる軟エックス線領域、このあたりまでの光を使っていろいろな研究等を行っておるわけでございまして、これによりまして例えば半導体の微細加工技術の開発とかあるいは新しい光源の開発等への利用、こういったことなど新しい産業技術の開発のために活用されていくものと思っております。 いずれにいたしましても、放射光利用研究の促進に向けて、このスプリング8とそのほかの放射光施設の有機的な連携を図っていき、また適切な役割分担を考慮した協力関係の確立ということは大変大事でございますので、そのように努めてまいりたいと思っております。
○河本三郎君 よくわかりました。 さらに小型の放射光施設、これも放射光利用研究全体の底上げをして、スプリング8の利用の拡大、効果的な利用の促進に資するものと思います。 そこで、このような施設による放射光利用の促進に関して政府の考えをお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(新欣樹君) 中・小型といいますか、そういった施設をこれからもつくって活用していくということはやはり大変大事なことでありますし、現に企業や大学などがそういった施設を建設し、研究開発に利用しようという動きも出てきておるところでございます。私の耳にも三つ四つの計画というものが入ってきておるわけでございますので、政府といたしましてもそういった動きを支援する措置を講じていく必要があるだろうと思っております。 具体的な支援措置といたしましては、いわゆるハイテク税制と呼ばれております基盤技術研究開発税制、これは放射光装置を取得、製作、建設して事業の用に供した場合に、その取得価額の七%を法人税または所得税額から控除をするという制度でありますがこういった制度、あるいは日本開発銀行のシンクロトロン放射光装置促進融資制度というもので、その装置、装置というのは加速器や蓄積リングでありますが、さらにはビームラインも含めまして、こういったものに対して事業費の五〇%を低利融資するという制度などがございます。 また、本年度から日本開発銀行の出資制度として、複数の利用者が共同で利用する放射光施設を建設、運営する主体に対しまして出資ができるような形の制度も発足させた次第でございます。 こういったようなことを通じまして、中・小型の放射光施設の建設の支援にも努めてまいり、スプリング8との連携を図っていくということに努力をしてまいりたいと思っております。
○河本三郎君 スプリング8を利用したいと考えている研究者に実際に施設を利用してもらうためには、本体の整備それからビームラインの建設等を進めなければならないと思います。 それ以外に、例えば利用者のための宿泊施設、環境整備が大変重要かと思いますが、地元の地方公共団体の協力が不可欠でございます。スプリング8の立地場所の選定においても重要な要件として検討されたと思いますが、スプリング8が播磨科学公園都市に建設をされるに至った経緯と立地決定の理由についてお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(新欣樹君) スプリング8の施設の建設に当たりましては、やはり施設の配置と将来的な利用に供するための十分な広さの用地の確保というもの、あるいは機器の安定運転のために堅固な支持層としての地盤、地盤が非常にかたいということ、また御指摘のように、総合的な研究都市開発計画地域で宿泊施設等も含めた立地の条件が満たされているということが必要だと考えたわけであります。 このあたりの考え方につきましては、昭和六十三年の二月に科学技術庁が大型放射光施設立地選定指針検討会というものを設置いたしまして、そこで立地選定指針というものを作成していただいた結果でございます。その指針に基づきまして、昭和六十三年七月に兵庫県など四県からぜひ誘致をしたいという誘致のための資料が提出をされました。この資料などをベースに科学技術庁、それから原研、理研におきまして現地調査を実施するなどして、技術的な評価あるいは総合的な評価を行ったわけでございます。 この結果、他の候補地よりインフラ整備や用地の広さあるいは支持地盤等の点ですぐれておりましたことから、兵庫県の播磨科学公園都市を候補地として選定いたしまして、平成元年六月にその旨を兵庫県に通知した次第でございます。
○河本三郎君 施設の共用を促進していく上においては、今申し上げました利用者のための宿泊施設、居住施設等の一層の整備が不可欠であると思います。地元への働きかけも含めて政府の対応を聞かせてください。
○政府委員(新欣樹君) この施設、国内はもとより海外から研究者がやってくるということが期待されておるわけでございます。したがいまして、スプリング8の供用開始時点、一部供用開始でございますが、平成九年度には相当遠方から研究者等が研究利用のためにこの施設を訪れることが予想されます。そういった方々が安心して研究できるような宿泊施設など生活環境が整備されているということも、この施設の共用を促進するための必要な要件であるというふうに認識をしておるところでございます。 そこで、こういった宿泊施設等の生活環境整備につきましては、本件プロジェクト開始のときから地元兵庫県の積極的な協力のもとに計画的に進められてきておりまして、現在スプリング8の周辺には研究者などの長期滞在にも対応できる宿泊施設として兵庫県立先端科学技術支援センター、これは四十人を収容できる施設がございます。また、法人向けの分譲住宅四十戸が既に整備済みでございます。 さらに、兵庫県におかれましては今後、先ほどの供用開始の平成九年度までに毎年住宅を増設整備する計画でございまして、平成九年度には賃貸住宅で四百五十九戸、分譲住宅で九十五戸、合わせて五百五十四戸が整備されるというふうに伺っております。こんなことで地元の自治体とも協力をしながら生活関連施設の整備充実が図られるように心がけてまいりたいと思っております。
○河本三郎君 局長、生活環境整備ということでお聞きをしたんですが、学校や病院はどういうふうなお考えなんでしょうか、ちょっと教えていただきたいと思います。
○政府委員(新欣樹君) 学校につきましては、もう既に姫路工業大学の理学部というものがこの播磨科学公園都市に平成二年の四月に開かれております。その附属高校がこの四月からまた開校をされたというような状況でございます。さらに小学校などは平成七年の四月に開校予定というようなことで、着々と整備がなされている状況にございます。 また、病院でございますけれども、兵庫県におかれましては、まだ構想の段階でありますが、いわゆる重粒子線がん治療装置、これが現在千葉県の放射線総合医学研究所に間もなく臨床開始というところまで来ております。この技術をより小型化したものでございますが、こういうようなものを使ってがん治療装置などをこの播磨科学公園都市に建設をし、スプリング8との連携のもとに医学利用なども図っていきたいということで考えておるようでございます。 そのほかの、一般病院をこの地域につくるかということについては、現在のところ私どもの方ではまだ兵庫県の方から伺ってはおらないところでございます。
○国務大臣(近江巳記夫君) 今局長からお答えいたしましたが、先般私も視察に参りまして、また随分多くの先生方に視察に行っていただいたということをお聞きいたしておりますが、受け入れ側の兵庫県におかれましては、非常に熱意が感じられたわけでございます。また、地元三町も力を合わせて播磨科学公園都市を、世界最大のスプリング8が来てくれている、これを核としてすばらしいものにしていこうという、その熱意を感じた次第でございます。特に、支援センター等につきましては、諸外国の方々がお見えになっても誇れるすばらしい中身のものでございまして、建物も著名な設計家が設計担当しておるというような、非常に細かな点に至るまで神経を払っておるということを感じたわけでございます。 今後、住宅等につきましても、平成九年度一部供用開始まで四百五十九戸、分譲が九十五戸とか、そのように力も入れておりますし、姫路工大の理学部附属高校、あるいはまた小学校についても平成七年四月には開校予定でございますし、中学校は今検討中ということでございます。あるいは生活サービスセンター、地区センターも九年度には供用開始、音楽ホールも九年には供用開始と。非常に力を入れてくれておることに対し、政府として感謝をしたいと思います。 そういう状況でございますので、今後供用開始までさらに地元の兵庫県とも十分いろんなニーズを私たち勉強させていただきまして力を入れていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○河本三郎君 ありがとうございました。 平成二年度に建設が開始をされまして、局長のお話にもありますように平成九年度に一部供用開始ということでございますが、その利用まで約三年余裕がございます。法律を整備する必要があるのであれば、建設開始の時点でも可能だったはずでございます。なぜ今の時点で法律が必要であるのか、教えていただきたいと思います。
○政府委員(新欣樹君) 現在建設中のスプリング8でございますが、平成九年度に利用が可能となるという予定でございます。そのためにはやはり一年前までに利用者の選定ができていることが必要だと思っております。そうしますと、そのまた一年前の平成七年度には募集選考手続が既に行われているという状態になっていなければなりません。そのためには、さらにその一年前である本年度、平成六年度にはこうした一連の手続が制度上整備をされている必要があると考えておりまして、ある意味では私ども本年度はぎりぎりのタイミングで法案化をお願いしておるというふうに考えておるところでございます。
○河本三郎君 本施設の完成につきましては地元も本当に一年でも早い、一カ月でも早い完成を望んでいるわけでございます。平成九年度に一部供用開始と言わずにすべてが完成をできるように、大臣のこのプロジェクトについての決意をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(近江巳記夫君) このスプリング8は大学、国研の研究者はもちろん、産業界からも利用に対する期待度が非常に大きい施設でございます。平成十年度供用開始を目指しまして、平成二年度から建設に着手をいたしてまいりました。 その早期利用に向けまして、補正予算を含めまして予算確保にこれまで積極的に努めてきたところでございまして、具体的には平成四年度から五年度にかけて四度にわたる補正予算を確保させていただきました。平成四年度には五十億円、平成五年度には百五十五億円、今日まで累計四百六十億円、現金ベースで四三%、契約ベースで六九%を確保いたしております。また、平成六年度予算案におきましては約百十億円を計上しておりまして、これにより建設費総額約一千百億円のうち、約五百七十億円、現金ベースで五二%、契約ベースで七三%を手当てすることになります。この結果、従来の供用開始予定を一年前倒しいたしまして、平成九年度より一部供用開始することを目指して建設を進めておるわけでございます。 先生から熱意あるそうした御支援のお声を聞きまして、本当にありがたく思っております。平成九年一部供用開始でございますが、御趣旨に沿いまして、政府といたしましても一日も早く立派に完成できるように、今後努力をいたしていきたいと思います。 以上でございます。
○河本三郎君 法案についての質問は以上で終わります。 次に、ちょっと時間を利用させていただいて別件でお尋ねをしたいんですが、科学技術庁としては、HⅡも見事に打ち上がった、向井さんも間もなくスペースシャトルで七月ですか行かれる、「もんじゅ」も臨界に達した、八GeVも今大臣のお話では最善の努力をされるということで大変心強いんですが、海洋について二、三お聞かせをいただきたいと思います。 地球表面の七割が海ということ、その平均深度は四千メートル近くあるということで、海底に生息する微生物については生態や働きがほとんど解明されておりません。深海探査につきましては別の機会にいたしますが、大型海洋観測研究船「むつ」の今後の利用をどのように進めておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(石井敏弘君) 先生御指摘のとおり、海洋は地球環境問題を今後解明していくためにも極めて重要な問題でございまして、そういったようなことから海洋の観測ということは大変重要な問題になっておるところでございます。 昨年の十二月に、海洋開発審議会が第四号答申を出していただいております。これは我が国の海洋調査研究の推進方策に関するものでございます。この中で、海洋調査研究基盤の充実のために大型海洋観測研究船の整備の必要性が指摘されているところでございます。 御指摘の「むつ」、現在解役中でございますが、「むつ」は八千トンクラスの観測船といたしましては大変大型の船になるわけでございまして、この原子力船「むつ」の原子炉を撤去した後に大型海洋観測研究船に改造するというようなことを行いますと、海洋と大気の相互作用の研究上極めて重要な海域として見られております高緯度地域の海、さらにはCO2等の物質が海洋に吸収される、荒れた海で吸収されるというようなことが言われておるわけでございまして、こういった荒天域下での観測といったようなことが可能になるとか、あるいは大型の海洋観測ブイ等種々の海洋観測研究機器等を搭載することができる、あるいは洋上での点検・修理が可能であるとか、さらに広大な海域で継続的な観測を行うための長期観測が可能であるといったような、「むつ」を大型海洋観測研究船に改造するならば地球環境問題の解明に大きく貢献すると考えられるわけでございます。 このため、政府といたしましては、原子力船「むつ」を大型海洋観測研究船に改造するための経費を平成六年度の政府予算案に計上しているところでございまして、平成九年度から運航を開始する、このようなことを計画しておるところでございます。
○河本三郎君 局長ありがとうございました。 法案についての審議は以上で終わります。
○委員長(中川嘉美君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、市川正一君が委員を辞任され、その補欠として立木洋君が選任されました。
○川橋幸子君 スプリング8のプロジェクトは、一千百億円と非常に予算規模も大きいのですけれども、内容的にも世界最高の機能を持った特定放射光施設と伺っております。科学技術関係の事業につきましては、事業といいますか科学技術そのものが明と暗の部分を持っている、人類にとってプラスになるときと非常に注意しないとマイナスになるときとある、そういう大きな課題を抱えている科技庁の施策とすると、この法案はきっと夢のある方の事業であると思い、私ども社会党としても応援したいと思っているところでございます。せっかくの機会ですので何点か伺わせていただきたいと思います。 予算規模千百億、先ほども口にしたところでございますけれども、機能もフランス、アメリカのさらに上をいく八GeVということでございます。こういうすばらしい施設ができる。このすばらしさが実際に活用されるかどうかというのが一番大きな課題になるのではないかと思います。宝の持ちぐされにならないように利用がどのように促進されるのか、それはきっと利用者が使いやすいように配慮をするということが肝要なのではないかと思います。まず、そういう意味で利用の促進につきまして大臣に所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(近江巳記夫君) 先生御指摘のように、このスプリング8は世界最高性能の先端的な施設でございます。そういう先端的な研究手段等を提供いたします研究基盤施設でございまして、国内外の優秀な研究者を引きつけ、創造的・先端的成果を生み出すことが期待されておるわけでございます。国内の産学官の研究者はもとより、海外の研究者にも広く開かれた施設として最大限活用することが重要であると考えておる次第でございます。 このような観点から、本法案におきましては、利用課題の募集・選定や技術的支援等の利用者との関係を二元的に扱う指定法人制度を導入するなどいたしまして、利用者本位の考え方を原則とした体制整備を図ることとした次第でございます。あくまでも利用者本位の考え方を原則とする、これを中心にいたしておる次第でございます。 本法案の整備を通じまして、利用者に対して責任を持った体制を構築するとともに、安全管理に万全を期した本施設の運営を図りまして、あらゆる分野の多くの研究者に利用しやすいものとなるよう努力してまいる所存でございます。
○政府委員(新欣樹君) 利用者に対してこの法案の中でどういう配慮がなされているかということにつきまして、一言補足して御説明を申し上げます。 まず、この法案の取りまとめに当たりましては、科学技術庁長官の諮問機関でございます航空・電子等技術審議会電子技術部会におきまして、産業界あるいは学会、それから国立の試験研究機関、こういった利用者の代表者も参画をいたしました大型放射光施設分科会を設置いたしまして、スプリング8の効果的な利用、運営のあり方について審議を行っていただいているところでございます。その中間取りまとめを踏まえてこの法案が作成されておるということでありますし、また個々の法案の内容につきましては、先ほど申し上げました自発的に組織されましたSPring-8利用者懇談会の事務局を通じまして要望も承っておるところでございます。 こういったことを踏まえまして、私どもとしては研究者、利用者が利用しやすいものになるように、次のような点に配慮をいたしてございます。 その一つは、国の基本方針の策定とその公示によりまして利用者本位の考え方を明確化するということ。それから第二に、利用課題の応募・選定等の利用者に対する窓口を一つの組織体へ二元化することによりまして利用者に対する責任を持った体制を構築するということ。三番目に、幅広い分野の研究者が放射光利用技術に習熟していなくても利用ができますように、放射光利用の情報提供とか技術支援の実施というものを図ってまいるということ。そして四番目に、公平な利用課題選定などのために学識経験者の参画を得ました諮問委員会を設置するというようなことでございます。
○川橋幸子君 大変結構な大臣の姿勢でいらっしゃいますし、また局長の方からも、これからお伺いしようかと思いました問いを先取りされまして幾つかお返事をちょうだいいたしました。 万全を期しておられまして結構ずくめのようでございますが、やはりこれも多少の、明と暗と申しましたけれども、気をつけなければいけない暗の部分が心配されるかと思います。利用者といいますかこれを利用なさる研究者の方に、大丈夫ですというお答えに違いないと思いますけれども、でも大丈夫ですというそのお答えを聞きたいのですけれども、エックス線ですとか電磁波というものを使う大型研究施設である、しかも世界最大規模である、人体面への影響あるいは非常に大きな施設のハード面での災害面での配慮、こういうものに対する配慮についてお伺いいたします。
○説明員(加藤康宏君) 安全対策について今二点御質問がございました。 一つは、エックス線を中心としました安全対策についてでございますが、スプリング8から出てきます放射光は、赤外線領域からエックス線領域までの広い範囲の波長を持った非常に強い光でございます。当然その安全管理には万全を期しているところでございますが、具体的には、放射光が出ているときはビームライン中のビームの照射域内に入ることができない。これは、実験室の中にビームラインがあるわけでございますが、そこに入ることができないようにインターロックを設置する。同時に、そこの照射区域内に人がいるときには放射光が出てこない、そういうような仕組みをとりまして安全対策がなされておるわけでございまして、人体に放射光が照射されることは基本的には考えられないわけでございます。 また、蓄積リングの構造上の特徴としまして、リングの中は非常に高度の真空でございます。宇宙空間に近い真空でございますので、仮にどこか一部破損いたしました場合、真空でなくなりますと電子がそこで消えてしまいますので放射光も出てこないということで安全が保たれるわけでございます。 さらに、蓄積リングの周辺には一メートルの厚さのコンクリートの壁が設けられておりますので、実験をする人たちに対して放射線上の問題はないと考えている次第でございます。これにつきましては、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律がございまして、それに従いまして万全な管理を期してまいる所存でございます。 もう一点、電磁波の話がございました。電磁波の場合、磁場が人体に与える影響と非電離放射線が人体に与える影響に大別されるわけでございます。 まず、磁場が与える影響でございますけれども、スプリング8で使用されています電磁石は電子が通過する中心の部分に磁力線が集中いたしますので、磁石の外側にはほとんど磁力線が漏れてこないわけでございます。したがいまして、そこから少し離れれば磁場は急激に減衰するという物理的な性質を持っておるわけでございますので、これも人体に影響はほとんどないと考えられます。また、スプリング8では先ほど申しましたようにインターロック機構がございますので、磁場の影響もそこではないわけでございます。 非電離放射線による影響につきましては、これは高周波電源というのがございまして、電子にエネルギーを与えるための高周波システムがあるわけでございますが、それも電波が外に漏れるような構造になっておりません。したがいまして、それによる放射線の発生源、それも非電離放射線の発生源でないということから、特段問題は考えられないわけでございます。 以上のように、エックス線につきましても磁場につきましてもスプリング8では適切な措置がなされておりまして、安全上万全な措置がとられておるものと考えております。
○川橋幸子君 審議官でいらっしゃるからには当然プロでいらっしゃって、技術面の細かいことまでよく熟知していらっしゃるんだろうと思いますが、聞く方は素人でございまして、そこまで技術的なことを求めないときもございます。教科書をお読み上げになるようなことではなくて、会話体でひとつお返事いただければありがたいと思います。 さて、このスプリング8ですが、原研と理研の共同プロジェクトでございます。先ほど河本議員の質問の冒頭、複合領域化が科技庁の政策として非常に重要なんだということを言われました。それに対しての大臣のお答えもございましたけれども、この原研、理研の共同プロジェクトというのもそうした複合領域化をねらったものなんですか。
○政府委員(新欣樹君) このスプリング8のそもそもの契機でございますけれども、昭和六十二年七月に航空・電子等技術審議会からの答申が出てございます。諮問十一号というのがございまして、「光科学技術の高度化に関する総合的な研究開発の推進について」という諮問に対する答申でございます。この答申によりまして、輝度が高く、より微細な構造が確認できる波長の短い光が得られる大型放射光施設の必要性というものが指摘されたわけでございます。 原子力研究所でございますけれども、こういった大型放射光施設は、例えば原子炉材料の高度化というようなことを解析する上で原子力研究所の必要不可欠な研究施設にもなりますし、また理化学研究所におきましては各種の先端的な研究を行うものでございます。したがいまして、理化学研究所におきましても、こういったものは必要な研究施設ということになってございます。 こういったことから、原研、理研におきましては、それぞれのノウハウ、例えば原研におきましては加速器の物理、加速器エンジニアリング、こういったようなものないしはJT60といういわゆる核融合の技術などが実績としてございますし、それから理化学研究所は御案内のように仁科芳雄先生以来サイクロトロンの技術というものにつきまして十分な技術的な蓄積があるわけでございます。 こういったそれぞれの技術の蓄積、ノウハウに着目をいたしまして、それぞれの得意な分野をそれでは担当させていこうではないかというようなことから、原子力研究所におきましては主として線型加速器及びシンクロトロンという加速器部分、それから理化学研究所におきましては蓄積リング、直径で約五百メートルぐらいの大きな蓄積リングでございますが、この部分をノウハウに応じて担当をさせていこうというような経緯で分担関係が決まったものと理解をいたしております。
○川橋幸子君 なかなか理解が難しいので、それは多分私の理解能力が余り高くないせいなんだろうと思いますけれども。 結局光速技術というんでしょうか、この施設を運転する、あるいはこういう施設を製造して高輝度のビームラインをつくり出す、そういうところは共通するけれども、それを使ってやることの中身はやっぱり理研と原研というのは別々の研究テーマを持つことが多いのですか。
○政府委員(新欣樹君) もちろん原子力研究所というのは原子力の開発利用というようなことについてできるだけ役立つような、先ほどちょっと申し上げましたような、例えば原子炉の新しい炉の材料を開発するためにはどうしたらいいかというようなところにどうしても重点のある研究ということになってまいりましょうし、理化学研究所におきましては、現在いろいろ柔軟に研究開発を行っておりますけれども、それらをさらに発展をさせていくという観点からのものがあろうかと思います。したがいまして、研究そのものは理化学研究所と原子力研究所が必ず共同して打ち合わせをしてやっていくということではございません。研究テーマそのものはそれぞれの研究所がまとめていくということだと思います。 ただ大事なことは、この理化学研究川や原子力研究所に限らず、ほかの大学の研究者あるいは民間の研究者、さらには外国の研究者等々、そのほかの方々にこの施設を開放するというところが大事なところだというふうに理解をしております。
○川橋幸子君 どうやら両者の設置目的も研究テーマも異なることが多いけれども使うツールが一緒だという、この程度の理解で間違いないのでしょうか。間違いないらしいですね。 それでは次に進ませていただきまして、加速器とシンクロトロンは原研ですか。蓄積リングが理研ですか。 区分所有がはっきりしているのはわかりましたけれども、これがそれぞればらばらじゃなくて一体性を持つものとして動かすためには何か別の仕掛けが必要だということで、放射光利用研究促進機構というものが設けられて、これもこのためにわざわざものをつくるんじゃなくて、また特殊法人をおつくりになるのではなくて、現在ある高輝度光科学研究センターにその任務を委託されたり、それから業務代行されたりと、このようになっているようでございます。 ところで、ちょっと言葉が過ぎるかもわかりませんけれども、私も視察に行きましたときに、大学以上に大学らしい理研と役所以上に役所らしい原研と、この二つを融合化させるのは大変な御苦労なんです。融合化させるための仕掛けが財団なんですよね。両巨頭を小さなできたばかりの財団がうまく使いこなしていけますでしょうか。これは大臣に伺ってよろしいですか。
○国務大臣(近江巳記夫君) 先生おっしゃるとおり私もその点が気がかりでございまして、その点につきましては振興局長初め何回も部内でいろいろと意見調整をいたしました。そして、この財団も今までそれだけの勉強もしてきておりますし、今後供用開始までまだ数年あるわけでございます。そういうことで十分、御利用に当たりましては御期待にこたえるだけの内容を持っておるという確信を持つに至ったような次第でございます。そういう点で、御指摘の点を十分体しまして、しっかり内容のあるものにしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○川橋幸子君 大変わかりやすい答弁で、ぜひ大臣のその信念が、ずっと御在任で実現されることをお祈りしたいと思います。 さて、原研、理研の機能、今までのノウハウなりあるいは機能なりを融合化させて世界第一の大型放射光施設を動かすわけでございますけれども、この仕掛けに放射光利用研究促進機構、先ほど申し上げましたように高輝度光科学研究センターを充てるということになっておりますが、これはこの財団一つだけが予定されているんでしょうか。もっとニーズが高まればさらに複数つくるというようなことも考えられておるんでしょうか。
○政府委員(新欣樹君) この法律によりまして、放射光の利用研究促進機構は全国を通じて一つに限りということで指定がなされることになっておりますので、他に指定をするということは考えておりません。ただ、御指摘のありました財団法人高輝度光科学研究センターでございますが、これは今の段階ではまだ指定されておりません。いずれにしましても、このノウハウの蓄積状況等から見ますとこのセンターが一番適任であろうかと思うわけでございまして、指定の有力な候補と申し上げておきたいと思います。
○川橋幸子君 全国をカバレッジして、しかも海外の研究者にとっても魅力ある施設にして運営していく、大変重い任務を持った機構であることが予想されるわけでございます。 今局長おっしゃいましたように、やはり内外の研究者にとって非常に魅力がある、多分ニーズも多くて応募も多いだろうということであるとすると、だれが利用できるかというところの透明性、公平性というところが御苦心になるところじゃないかと思いますけれども、この研究促進機構では応募者の選定あるいは利用課題の選定、募集、こうした面についてはどのように運営されるおつもりでしょうか。
○政府委員(新欣樹君) 先生がただいま言われました透明性、公平性ということ、これは非常に大事なポイントでございます。内外のあらゆる利用者、すべての研究者に対しまして透明な手続によって公平な利用機会を提供するということは極めて重要と私ども認識をしておるところでございます。 このため、放射光利用研究促進機構に学識経験者による諮問委員会というものを設置いたしまして、広範な科学技術分野からの提案課題を専門的かつ総合的に評価することにいたしております。そしてまた、この課題の選定基準や選定された課題につきましては、広く公表をいたす所存でございます。こういったようなことによりまして、透明性、公平性というものを確保いたしまして利用者本位の考え方で運営が図られるように努力してまいりたいと思っております。
○川橋幸子君 ぜひそうした仕掛けで、今はやりの言葉でございます透明性、公平性、決定プロセスの明確化という政治全体の課題になっているような言葉でもございますけれども、こうした機構でもそのような御工夫に万全を期していただければありがたいと思います。 施設本体、ハード面の整備も千百億と非常に多額な金額を要するものでございますけれども、これを動かすビーム一本、短いので六億から七億ですか、最大のものになりますと、ちょっとよく覚えていませんが、視察のときに伺った話では十億、二十億というようなこんな金額が耳に残っておるわけでございますけれども、いかがでございましょうか、採算はとれるのでございましょうか。逆に採算のとれるようなことですと、料金が高くなって個人の利用者には負担ができないということもあろうかと思うのでございます。この施設そのものの採算面とそれを利用する人間にとっての廉価性、これはどうも両立しがたいような課題のような気がいたしますが、この両者の両立はどのように御工夫なさいますか。
○政府委員(新欣樹君) 大変頭の痛いところの御質問をいただきました。といいますのは、これは非常に利用分野の広い、またいろいろな研究者の方々に使っていただきたい施設でございます。したがって、そういう観点からしますと、利用料金というものは安ければ安いにこしたことがないわけでございます。 ただ、現在、それでは国が持っておる施設を一般の利用者の方々にお貸しする場合はどうしておるかといいますと、ある程度の適正応分の負担というものを原則にするわけでございまして、やはり一定の応分の料金というものが必要になってくるわけでございます。 したがって、こういったような二つの要請というものをいろいろな場で、国内外の同様の施設を持つ例を参考にしながら、例えば成果の公表というようなものをしない場合にはある程度料金は高くなる、しかし公表すれば料金は減免措置を講ずるとか、あるいは大学の研究者などによります知的公共財の形成に資する創造的・基礎的研究のための利用に関しましてはある程度減免措置というものを講ずるとか、いろいろな例を参考にしながら両方の要請の均衡のとれたラインで料金設定を考えていきたいと思っております。 この料金設定の考え方につきましては、先ほど申し上げました航空・電子等技術審議会におきましてなお検討をしていただくことになっております。そういったところの結論を得ながら料金水準についても指導してまいりたいと思っております。
○川橋幸子君 公表する場合には、これは一般社会の中での知的なストックになる、そういう意味で安くする、公表できない場合には財産権を研究者個人といいますか利用者に帰属させることになるんだから高くすると。なかなか意味のあるおもしろい発想のように承りました。でも、実際には情報と知的所有権の関係というのは非常に難しい問題があるのではないかと思いますが、その辺についても十分この施設を動かすことによってそうしたノウハウも蓄えていただけるとありがたいと思います。 五分まで時間をちょうだいしておりますので、あと十分ばかりは国際交流の問題について伺いたいと思います。 今回、このスプリング8、アメリカがありフランス・グルノーブルがあり、そして日本と。世界三大施設になるわけでございます。立地としましてもアジア地域に置かれるということで、これが国内だけじゃなくて国際的に活用されて、センター・オブ・エクセレンスのまた一つアジアの一大センターになってほしいと私も思うわけでございますけれども、そうした国際交流といいますか国際協調といいましょうか、そういう観点からこのスプリング8についての大臣の所信をまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(近江巳記夫君) 先生の御指摘のとおり世界最高性能を持っておりますので、非常に外国の科学者なども注目をいたしております。 この六月、カーネギー・グループの会合が箱根でございまして、私は国会がございましたので森科学技術会議議員に出ていただいたわけでございますが、その折、先進国の大臣が随分お見えになりました。例えばアメリカのギボンズ大統領補佐官、それからカナダのジェラード大臣、イギリスのウォルトクレーブ大臣、ドイツのクリューガー大臣、それからEUのルベルティさんとかお見えになりました。これは本当に先進国の科学技術担当の大臣、またそれの責任者でございまして、スプリング8も非常に注目をされておられたわけでございます。そういう点で、今後国際交流という点におきましていろんな点で注目を浴びておりますので、大いにこの交流が進むことと思う次第でございます。 スプリング8は、極めて汎用性の高い先端的な世界最高性能の放射光施設でございます。国内外の優秀な研究者を引きつけまして、創造的。先端的成果を生み出すことが期待されておるわけでございます。そういうことで、研究交流の一層の推進に大きく寄与できるのではないかと考えております。 このスプリング8の利用に当たりましては、国内の研究者と同様に海外の研究者にも広く開放をしていきたい、このように思っております。国際的なシンポジウム等を活用することによりまして、そしてその成果を世界に向けて発信をしていきたい、このように考える次第でございます。 今後ともスプリング8の積極的な活用などによりまして海外との研究交流を一層促進してまいりたい、このように思っておる次第でございます。
○川橋幸子君 大臣の所信を伺いまして、もうこれ以上お伺いすることもないのかとも思いますけれども、ちょっとプラスしてお伺いしたいと思いますのは、アジアというこの地域性を大臣はどのように重視していらっしゃいますでしょうか。フランス、アメリカそれぞれ機能が違いますので、すみ分けがあるんだとおっしゃればそれまででございますけれども、やはり日本とアジア、隣国の国々に対する日本の貢献というものを大臣としてどのようにお考えになられますか。
○国務大臣(近江巳記夫君) 二十一世紀はアジア・太平洋時代と、このように言われておるわけでございます。これは経済にとどまらず、科学技術も全般にわたってまさに太平洋時代を迎えようとしております。そういう中で、特に先生御指摘のアジア、ASEAN地域等におきましてもこの施設が注目を浴びておるわけでございます。利用に当たりましては、このアジア、ASEAN地域の国々の研究者の受け入れに積極的にこれまた対応することが大事であると思っております。 具体的な研究者の受け入れに当たりましては、フェローシップ等国際的な研究交流制度の積極的な活用を図りますとともに、原研、理研、機構との共同研究の実施等によりまして、国際的にも共用の促進が図れるように積極的に対応してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○川橋幸子君 アジアを重視してくださるということで安心いたしたところでございます。 これはお伝えしていないものなんですけれども、別に特に事前に御準備いただくことでもないかと思いますので触れさせていただきたいと思いますが、十八日付の日経新聞でございます。「サイエンス・アイ」という記事がございまして、論説委員の鳥井弘之さんとおっしゃる方がとてもいい論説を書いていらっしゃいます。 どういうタイトルかといいますと、「科学振興に安保の視点を」。安全保障でございますね、非軍事で世界貢献をする、そういう意味でこの科学振興というものが安全保障に非常に役立つのではないかという、こんなことを言っていらっしゃるのでございます。特に予算にまで触れておられまして、本年度予算は二兆三千五百八十五億円、前年比四・一%増ということでございまして、大変詳しい、科学技術庁の中でさまざまな取材をしていらっしゃる方じゃないかと思います。 この方の論文の最後のところに、そうした科学技術というものを総合的な安全保障に役立てていくことが重要なので、こういう視点からすると、日本が科学技術立国というなら新しい時代に向けて予算配分の見直しを求めていく、そういう視点が必要じゃないだろうかという、こんなことがございます。 今、公共事業費の配分、今までの硬直的な配分を見直して、文教ですとか科学技術ですとか、そういうところの公共事業費のシェアを伸ばしていくというようなことも話題になっておりますけれども、こういう点で、大臣いかがでございましょうか、財政当局にはどのような姿勢で今後お臨みになるおつもりか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(近江巳記夫君) 先ほどから御答弁しておりますように、十八号答申を受けまして、政府の科学技術政策大綱におきまして、これは平成四年の四月でございますが、ときどきの財政事情にかんがみて研究投資については予算の倍増を速やかに達成しよう、こういう方向が示されたわけでございます。ところが、現実に今二兆三千億、これは我が国全体の研究投資というのは十二兆八千億でございますから一八%、GNPの〇・五%です。ところが、先進国ではGNP一%に達しておるわけでございます。 きょうの朝の科学技術会議におきましてもこの点が指摘をされまして、とにかく予算倍増を速やかにしていくためにはどうしていけばいいか、別枠でいった方がいいのじゃないか、あるいは新社会資本という、そういう社会資本という形で持っていった方がいいんじゃないかとか、さまざまな意見が出ましたが、いずれにいたしましても、来るべき二十一世紀を控えましてこの科学技術の振興ということは非常に重要な問題である、したがってとにかく研究開発投資を増加していくということが大事であると、基本的な認識は一致したような次第でございます。 したがいまして、各省の取りまとめに当たる科学技術庁といたしましては、全力を挙げまして概算要求、来年度予算の編成作業にもこれから入るわけでございますので、各省とも十分連携をとりながら、速やかにこの倍増に達することができるように頑張っていきたい、このように思っております。
○川橋幸子君 ありがとうございました。 終わります。
○立木洋君 私もこの放射光施設の運営の問題に関連して、短い時間ですが、二、三お尋ねしたいと思います。 この放射光施設は、もう既に皆さん主張されておりますように世界最高の性能を持っておる、そして国内だけじゃなくて海外の研究者にも広く開放するということで、大変な注目を集めているというふうに言われているわけです。この場合に、どのように運営するのか、それから研究課題をどうしていくのか等々の問題が、正当にといいますか、先ほど来透明あるいは公平という言葉もございました、あるいは利用者本位の配慮を尽くして進めていくというお話もございましたけれども、やはり外国との関係があり、国際交流の問題としては何としても自主性それから民主性、こういう自主、民主という観点も大切ではないだろうか。そういう点で、基本的な点をお尋ねしたいわけです。 我が国の科学者の代表機関として御承知の日本学術会議があるわけですが、ここでは国際交流の原則として五つ挙げております。そういうものがこれからのこの施設の運営について担保されていくのかどうかという点をお尋ねしたいんです。 第一に、科学の国際交流は平和への貢献を目的とすべきこと。それから二つ目が、科学の国際協力は全世界的であること。三つ目には、科学の国際協力に際しては自主性を重んずべきこと。四つ目には、科学の国際協力は科学者間で対等に行わるべきこと。五つ目に、科学の成果は公開されるべきこと。この五つが出されているわけですが、その点についてそれぞれ項目ごとにどういうふうに保障されているのか、御説明いただきたいと思います。
○政府委員(新欣樹君) 今先生御指摘のものは、恐らく共同研究といったようなたぐいの場合に当てはまる原則なのではないかと思われます。このスプリング8につきましては、もちろん共同研究というような形で日本の研究者と海外の研究者とが行う場合、こういうものもございますが、あるいはもう海外の研究者に丸ごとお貸しをして御利用をいただくというようなケースというものがございますものも想定してございます。 そういう意味で、今の五つ言われましたものにぴたりこの施設の運営がはまるかどうかということでございますが、スプリング8というのは、言ってみますれば電子顕微鏡をさらに高性能にしたようなものでございます。したがって、どういう分野でも使っていけるというものとお考えいただければわかりやすいんじゃないかと思うわけでございます。したがいまして、いろんな分野で研究がなされるということでございますし、そういう意味では全世界的、全世界から集まってくる研究者にも開放されるということだろうと思います。 それから、自主性というのは恐らく共同研究の場合のケースだと思いますけれども、もちろんそれは当然対等な形でなされることだろうと思います。四番目の対等というのと自主性というのは同じょうなことかと思いますけれども。 それから、成果の公開でございますが、これはもちろんできるだけその成果の公開というものには努めてまいりたいと思いますが、ある研究におきましてはどうしてもやはりこの成果は公開したくないというようなケースも間々あろうかと思います。その場合に、強制的にこれを公開させるかというようなことにつきましては、科学全体の進歩発展というような観点から考えまして、公開しなければ絶対に使わせないというような強圧的な感じで運営するのほかえって科学の進歩発展との関係でいかがなものかというふうにも考える次第でございます。
○立木洋君 時間がないんですけれども、今お話をお聞きしただけでも、運営の問題あるいは研究テーマをどう選択するかという問題は、私十分に配慮していただきたいと思うんです。 これを実際に運営される過程というのはなかなか微妙な問題があります。今言われたような基本的な見地に立ってやろうとしても、外国ではいろいろな方がおられていろんな研究をやりたい、そんなこともありますから、そこらあたりの兼ね合いというのは十分に配慮していただかないと、せっかく善意を持ってやっても出てきた結果から見ると結局そうは思わなかったということがあり得るわけです。 私は、外務委員会を長いことやっているものですから、そういう見地から問題をちょっと見させていただいたわけですけれども、今後とも十分に御配慮をいただきたいということを重ねて大臣に御要望申し上げたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(近江巳記夫君) 先生御指摘のとおりでございまして、特に運営の問題、それから研究テーマの選定等、これは本当に公正さを持ってやっていかなきゃいけないと思います。 先ほど川橋先生からも御指摘ございましたが、指定法人にこれを委託するわけでございますが、ワンクッション置く格好になるわけでございます。それだけに、政府といたしましては、準備期間がございますので、御指摘のとおり運営、研究テーマの選定等につきまして公正さが保たれ、そこで効率的な研究ができるように今から十分配慮して今後努力することをお約束申し上げる次第でございます。
○委員長(中川嘉美君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 特定放射光施設の共用の促進に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(中川嘉美君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中川嘉美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時十三分散会