労働委員会 第2号
- 発言数
- 157 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1994/06/03
会議録
○松岡委員長 これより会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野功統君。
○大野(功)委員 自由民主党の大野功統でございます。 きょうは、大まかに言いまして三つの分野について鳩山労働大臣に質問させていただきたいと思っております。 まず第一に、鳩山労働大臣はいかなる思想の持ち主であるかというような、個人的な問題にかかわるかもしれませんけれども、労働行政を預かる最高の方としてやはり我々が知りたいのは、どういう考え方で大臣が労働行政に臨むのであろうか、こういう問題であります。 それから二番目には、労働行政、私は労働省というのは二十一世紀の省だと思っておりますから、やはりもっともっと中長期的な視野に立った問題を考えていただきたいし、それに対する対策も講じていただきたい。こういう観点から中長期的な問題を質問させていただきたいと思っております。 最後に、もちろん短期的な、もう緊急な問題がございますので、この点についても具体的な対策をお伺いしたい、このように思っております。 ただ、どうしてもその前に、この大きな三つの問題の前に鳩山大臣にお尋ね申し上げたいことがある。それは何かといいますと、先週でありますけれども、私は大阪へ参りましてタクシーに乗ったのであります。タクシーの運転手さんがこんなことを言っていました。予算が通って二カ月か三カ月するとお客さんが元気づいてくるんだ、こういうようなお話でありました。 考えてみますと、まだ予算が成立をしていない、これは異常事態であります。例年であれば三月三十一日、年度内に予算が成立して、公共事業なんというのはどうやって前倒しのお金を出していこうか、こういうことが議論になる時期でありますのに、まだ予算が成立していない。景気の悪いときにこういうことでいいのかどうか。自由民主党は、政治改革と予算の成立とどちらを先にするか、当然景気対策のために予算を成立させることを優先させるべきである、こういう主張をしたわけでありますけれども、残念ながら連立与党の方は政治改革の法案を優先させて成立させる、こういうことでありました。 大臣にお伺いしたいのは、いまだにそれでよかったとお考えなのか。どうもやはり順番は、予算の成立を優先させて、そして政治改革というのは後でよかったのではないか。これはもう政治に過去を論ずるというのは余り意味のないことかも知れませんけれども、私は、やはり予算の成立を優先させて、そして政治改革は後でもよかったのではないかと。何といっても、今申し上げましたような大阪のタクシーの運転手さん、予算が成立して二、三カ月たったらお客さんが元気づいてくるんだ、私はこの言葉に政治家として思わずはっとさせられたし、また恥ずかしい思いをいたしました。 それからもう一つは、この労働委員会の法案の審議のスケジュールであります。 恐らく例年であれば、予算は三月三十一日、年度内に成立しておったであろうし、それからゆっくりと労働委員会でも審議をできたのではなかろうか。国会議員というのは、どういうのが国会議員の政治活動かという問題ももちろんあるのでありますけれども、私は、やはり法律をつくりあるいは内閣から出てきた法案を十分に審議する、これが国会議員の第一の責務であろうかと思います。 ただ、現状を振り返ってみますと、残念ながら大変タイトなスケジュールのために十分な法案審議ができない。しかも、今回内閣提出法案として労働関係で出てきている法案というのは、私どもから見まして実に画期的な法案、すばらしい法案であります。自由民主党が何年か前から準備をし勉強してやってきたものが、残念ながらここで野党となってこの法案ができるというような面もありますけれども、我々も十分勉強して準備をしてきた、このすばらしい法案。 例えば、第一に高齢者の問題があります。高齢社会というと、何といっても暗いイメージがしますけれども、能力があってそして働く意欲がある者がいつまでも働けるというのは、実に高齢化社会の暗いイメージを払拭して明るいイメージをつくり上げる法案だ、こういう意味で私は評価しております。 それから、雇用保険の改正問題にしても、高齢者の雇用継続あるいは育児休業給付金という実に画期的な考え方をここに法制化している。こういう問題があって、中身については余り問題がないような気もいたしますけれども、やはりこういうすばらしい、世の中を明るくする、あるいは三つ目の障害者の問題でありますが、これもそうであります。 政治というのは、やはり競争条件をつくり出すと同時に、弱い者の立場に光を当てていく、こういうことでありますから、私はこの三本の法律とも実にすばらしい法案だと思っておる者の一人でありますけれども、こういう法案をじっくりと我々がまず理解する、審議する、そして国民に広く知ってもらって、労働行政こういうことをやっているんだ、そのためにはやはり時間が必要だと思います。みんなで議論することが必要だと思います。 こういうふうに極めて厳しい、タイトなスケジュールのもとに審議をしなければいけなくなってきた。これは、実に連立与党側のスケジュールについての考え方、これが影響しているわけでありまして、言ってみれば、私たちが国会議員として法案を十分議論するという義務を果たせない、これはやはり連立与党の責任ではないか、このように私は思っております。 第一の予算がおくれてしまっているということ、これは景気の回復をおくらせているということ、そして第二の、審議日程が厳しくなっているということ、この点について鳩山大臣は責任をお感じになっているのか、どういうふうにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 ただいま先生の御指摘のお話は、すべて私から反論するべき点があるわけではございません。 ただ、大野功統先生とはたしか数年前に、負けてしまいましたが、アメリカの大統領選挙、民主党のデュカキスの方の集会へ御一緒したことがございます。もちろん、各国それぞれ政治の形態はいろいろ違っていると思うのですが、ただ私は、個人的につくづく思うことは、日本の経済は超一流ではあっても、政治の仕組みというものが非常にレベルが低い。そういうレベルの低い中から、例えば古くは、私の主張でもありますが、ロッキード事件も生まれ、リクルートも佐川も共和もゼネコンもみんなそういう体質の中から生まれてきてしまっている。 これは、五五年体制というものが、一時は日本の国際社会への復帰とか経済成長という意味では政治の安定に大きく寄与したことは間違いがないわけですが、ただ、議会制民主主義というのは、一党だけが常に政治を続けるのは、独裁政治ではないんだけれども、必ずそういう腐敗や堕落を生むことを予定をしているわけでございまして、政権交代ということ、緊張感あふれる、政権交代のある政治ということと議会制民主主義というものは本来切っても切れない関係にあるんだろう、そう思う中で、現代の停滞する政治あるいは決して高まることのできない政治の質というものに疑問を感じて、私も自民党を離れ無所属になり、いわば連立政権側に身を寄せて今日に至っているわけでございます。 ですから、小選挙区制をつくることが目的ではありません。そうした中から緊張感あふれる政治が生まれ、派閥のようなものが消え去っていく中で、政党本位の政治ができて政界が再編成されて、緊張感あふれた政権交代、こういうふうな願いを持って政治改革を一生懸命やろうとしてまいった仲間や私自身の立場から言えば、どうしても政治改革は成就させねばならなかった、そのために予算が越年編成になったというところで、その辺の判断はどこでどう下されたか、私にはわかりません。 でも、これはへ理屈のような話かもしれませんけれども、もし政治のレベルが高かったら、政治改革か予算編成かという、これは当然同時並行で議論すべきものだという仕組みをとることができただろうと私は思うわけで、そういう意味で、日本の現在の政治のレベルからいってそこに大きな問題があったということでありましょうし、また、これは、細川さんもああやって突然おやめになったわけですから、いろいろな問題がおありだったろうと想像もしますけれども、細川さんのお金とか資産にまつわるあるいは株にまつわるような話が出てきた場合に、もう予算委員会の理事会はおろか、理事懇談会の話さえできない。つまり、証人だなんだということで、そういうことで一月、二月というような時間が経過していく。 それは、もちろん一国の総理ですから、その問題が大きいことはわかっている。しかし、片や今の経済情勢、雇用情勢というのがあって、予算も一日も早く通さなければいけないというならば、これも何か同時並行というか、切り離して議論をするということも本来あってもよかったのではないか。私は、事態を非常にそんな残念な事柄の連続だったと受けとめています。
○大野(功)委員 私も、大臣おっしゃったように、政権交代可能な、緊張感あふれる政治のシステムをつくっていく、政治の浄化をやっていく、こういう点については全く同感でありまして、そういう点をお尋ねしているのではなくて、まさに今景気の悪いときに、あのときやはり予算を先にやるべきでなかったのかという反省はなかったのか、こういう質問でございますが、過去のことはこのぐらいにいたしまして、やはり前向きにこれからどういう姿勢、どういう考え方で鳩山大臣が労働行政に取り組んでいかれるか、まずその点をお伺いしたいと思います。 今一番国民が困っているのは、これは政治改革の話、思想の話とも関連してくるのですけれども、政党を選択していくんだ、こういう話があるにもかかわらず、政党間の政策に違いが余り見られないことであります。今の連立与党が自民党の政策を継承する、こういうことになりますと、一体有権者は、国民はどの政党を選んだらいいのか、やはり人間を選ぶしかないんじゃないか、こういうことになってしまう。これが一番国民の皆さんが今困っていることでありまして、そういう意味からすると、やはり今度の労働大臣鳩山邦夫という男は一体どういう人物なんだろうか、これを毎日働いている人は知りたいんじゃないか、こういうことだと思うのであります。 そこで、ちょっとお尋ねいたしますが、鳩山大臣は満員電車にお乗りになった御経験はございますか。
○鳩山国務大臣 もちろん学生時代まではそういう経験はたっぷりいたしておりますが、私はいわゆるサラリーマン経験というものがありませんで、田中角栄先生の秘書になって、あとはこの道一筋に参りましたので、超満員の地下鉄に乗ったということが、三年ぐらい前に、車が故障をしてやむなく、どうしても間に合わなくなりそうでと、あるいは、あれは都知事選挙か何かのときにやはりちょっと長距離の移動をしなくちゃいけないときに、車ではとても間に合わないというときに、これは比較的混んでいるのに乗ったというような、必然性から来るのではなくて偶然性でしか物が言えませんけれども、現在はそういう経験しか持っておりません。
○大野(功)委員 大変御丁重にお答えいただきまして、ありがとうございました。 もうイエスかノーかで結構なんですけれども、お昼御飯を食べるのに、行列をして並んだことございますか。
○鳩山国務大臣 ございます。
○大野(功)委員 働いた後、夕方、ビールを一杯飲んでうまいと思ったことありますか。
○鳩山国務大臣 主として日本酒でございますが、仕事の後の一杯はうまいと毎日思っております。
○大野(功)委員 何となく働く者の気持ちも幾分はわかるような大臣だと思うわけでありますが、大臣御自身は働く者の気持ちがわかると思っておられますか。
○鳩山国務大臣 それは私自身がみずからに課している課題だと思うわけでございまして、先ほど申し上げましたように、いわゆる勤労者あるいはサラリーマンという経験を持ち合わせておりません。私は、今回図らずもこういう労働大臣というような職を与えられまして、全く入閣の予定もありませんでしたからみずからも驚いたわけでございますが、そんなときに私の母から連絡がありまして、あなた労働大臣だというけれども、勤めた経験が全くないあなただから、いわゆる給料をもらって暮らすという生活をほとんどしていないから、一生懸命働く人の気持ちというものが本当にわかるだろうかと。 また、妙な話ですけれども、閣僚の資産公開もごらんいただいたかと思いますが、私の母の父親が、いわゆる地下足袋というものを九州で発明したことによってタイヤ業を興して大資産家になって、その創業者利得がみんな我々のところまで回ってきておりまして、あなたはそういう意味での苦労もしていないから、本当によほど心してかからないと、働く人の気持ちがわからないという労働大臣としての適格性の第一条件に欠けることになるから、これは心に期してやっていかなければいけないということをおふくろが言ってきました。 ただ、そのときにおふくろが、実は祖父がまだ生きておりましたころに、私どもの家に庭師というのでしょうか、すごく高齢の、庭の面倒を見てくれる方が別棟の小さなところに住んでおられたわけで、あなたはいつもあのおじいさんがかわいそうだ、かわいそうだと言って私たちに文句を言ったりそのおじいさんのところに遊びに行ったりしていたから、あのときの気持ちを思い出せばいいんじゃないの、そういうことも言っておりまして、労働行政というのは働く方の気持ちにどこまでなれるか、それは私だけでない、労働省というものが、労働官僚というものが、労働行政というものがどこまでそこへ近づいていけるかという課題だと思っておりますから、心に期してみずからに厳しくやっていきたいと思います。
○大野(功)委員 お母様の戒めを十分守って、ひとつ労働行政に取り組んでいただきたいと思うわけであります。 先ほど私は、国民が一番困っているのは、一体政党間でどれだけの考え方の違い、どれだけの政策の違いがあるかということでありまして、これは今後どういうふうに政界再編成があるのか、こういうこととも絡んでくる問題だとは思いますけれども、政治というのは、やはり一番上層、構造の一番上には理念なり政策があって、それを支える集団あるいは政党があって、その政党を大きくするためにけんかなり政権闘争がある、これは当然のことであります。 その一番上部構造に理想的にどういう政策があればいいのか。これを考えてみますと、最近はやりでありますけれども、やはり保守という考え方、つまり世の中を、透明な競争条件をつくっていくという考え方、それからもう一つはリベラルという考え方で、競争だけでは弱い者は大変だ、弱肉強食になっていくから小さい者にも光を当てていこうというリベラルという考え方、その先には社民という考え方もありますけれども、この競争という考え方とリベラルという考え方、経済学的に言えばアダム・スミスかケインズかという話になってきますが、世の中、両極端に分かれるものではなくて、どちらの要素が多いかということで国の政策は成り立っているとは思います。 鳩山大臣に、あなたは競争派なのか、それとも公平派なのかとお伺いしても、やはりあや織りなすような考え方だとお答えになるとは思いますが、競争か公平かということについて一言、簡単で結構ですからお考えを聞かせてください。
○鳩山国務大臣 大野先生御指摘のとおり、それは経済社会には競争原理がやはり強く働くことが自由社会の基本だと思いますし、かといって、弱者が云々とおっしゃった大野先生御指摘のとおり、これはどっちこっちと決められるものではありませんが、ただ、先生からの質問通告文書も読んであえてお答えをすれば、私はリベラルな方だと思います。何も強きをくじく必要はありませんが、ただ政治とか行政というものは、やはり弱い立場、特にケアが必要な方々に手を差し伸べて、救うというのはあれかもしれませんが、より幸せになっていただくということに力点を置くべきであって、強い者はみずから強くなっていくというふうに私は考えるからでございます。
○大野(功)委員 リベラルという考え方に十分力点を置きますというお答えに私は安心をいたしておるものでありますけれども、今の労働大臣の答えが本物かどうであるか、ちょっとテストをさせていただきたいのであります。 これは具体的に、例えば大臣は規制緩和を絶対に進めていきたいと思うかどうか。つまり、規制緩和というのは透明な競争条件をつくっていくということでありますから、言ってみれば新保守派の考え方になってくるわけでありますね。そういう意味で、今、連立与党、羽田総理大臣は規制緩和ということを言っておられる。外国からも、アメリカからも規制緩和ということを強く求めてきております。これについて大臣、どうお考えになりますか。
○鳩山国務大臣 私は多少ひねくれているのかもしれません、あるいは私の物の見方が正しくないのかもしれませんが、私は、日本の国が小さな島国であるということに、こんな美しい国であってすばらしい自然環境に恵まれておって、大雪山の山頂は北極、南極に値するような気候で、石垣、西表、与那国まで行けばこれはもうハワイでしょう。こんな自然環境は最高なんですが、残念ながら小さな島国であるために、一つのことがブームというのか、一つの言葉が世の中を支配してしまうケースが非常に強い。 それが残念で、大野先生は国際派で私の何百倍も国際経験が多い方だけれども、私は学生時代の終わりに、アメリカに兄が留学しておって、ちょっとだけ御説明させてください、それを訪ねたときに衝撃的だったのは、アメリカだと、ニューヨークの方あるいはサンフランシスコの方、真ん中の中西部の方、全部ヒットチャートが全然違うのですね。ところが日本は、恐らく音楽のヒットというのは、若干のずれがあっても北海道から沖縄まで大体同じ曲がトップの方を占めるという、何かそういう中で、規制緩和という言葉も、地方分権も、実は私は同じではないかと思う。 規制緩和の意味はわかる、意義はわかる。地方分権もわかる。ただ、規制緩和、規制緩和というと、日本列島が規制緩和一色になってしまって、何でもかんでも緩和すればいいというふうになれば、私はこれは非常に危険だと思いますね。だって、何のために規制があるか。それは、もう時代に合わなくなったとかむだだとかということが明らかにわかるものの規制は緩和すべきだけれども、国民の健康とか安全とかあるいは弱い立場の方とか、そういうものを守るために、いわば日本人の英知でつくり出してきた規制というのもあるわけですから、その辺の仕分けを決して間違わないことが大事なのではないかなというふうに思っておるのです。
○大野(功)委員 もう一つの問題は、これからの政党というのは、どんな政党であっても、福祉は必ず十分に実行します、こういう政策を掲げると思うのであります。しかし問題は、福祉を支える財源をどこに見出していくか、どういう税制で財政を賄っていくか、こういうことだと思うのです。 今の連立与党は、やはり消費税、間接税ということに非常にウエートを置いていらっしゃる。それに対してリベラルという考え方からすれば、当然総合累進課税から始めてみよう、こういうことになると思うのでありますが、一番大きな問題、これから後でも議論させていただきますけれども、高齢化社会というのは、まさにお年寄りが消費をする、お年寄りが消費の主役になっていく時代だと思うのですね。そういう意味で、二十一世紀は高齢者が消費の主役である。 二十一世紀のお年寄り、消費の主役になるお年寄りというのは、いわば戦争体験もないし、日本が高度成長期に働いた人であり、非常に個性的であって、消費はむしろ美徳と考える。ですから、まさに二十一世紀の高齢者にとって消費というのが生活の支えになるわけでありますが、そこへ消費税、間接税が、税率がアップされた形で出てまいりますと、大変なことになるんじゃないかという懸念もあるわけであります。そういうことで、簡単でいいです、ここはもう鳩山労働大臣という方がどういう方かということをちょっと知りたい、国民として知りたい、こういうことで尋ねさせていただいておりますので、非常に簡単で結構です。もっと後で労働問題、中長期的な労働問題について詳しくお尋ねしたいと思っていますので、簡単で結構でございますが、お答えいただきたいと思うのです。
○鳩山国務大臣 それは、今の財政状況とか、二十一世紀になってどういう財政状況になっていくかということを考えれば、今の税制構造のままでいいとは思っておりませんし、連立与党の政策協議の合意内容にも私は参加をいたしておる人間ですから、十二分に理解をいたしておるつもりはあります。 ただ、また他方、中曽根元総理大臣が明らかな公約違反をされて、縦横十文字、投網を打つような、国民の反対する、自民党の党員の反対する大型の間接税はやらないなどと言いながら、選挙が終わるとすぐ、別の舌を使って売上税導入を図ったという非常に不愉快な出来事を私は今でも忘れないわけで、ですから私は、そんな公約違反はおかしいと言って一生懸命反対運動をやったら、自民党から懲罰を食らって文教部会長になれなかった、こういう思い出があるわけです。 私は、公約違反ということもありましたし、増税というものは安易に国民に押しつけるべきではないということを身をもって体験もさせていただいた人間でございますので、今後の財政の状況というものをきちんと説明をして、結局は、何といったって財政のバランスというのは収入が足りなくなったら出るを制するのが当たり前でございまして、それは何も私は行政改革という言葉で言いたくないのです。というのは、行政改革という名のもとでどれだけ節約ができるかといえば、それは国鉄とか電電公社のような大物の場合は別かもしれませんが、例えば一つ二つ省庁が合体したところで三兆円も五兆円も浮くわけではない。 そうではなくて、今の日本の行政全体を考えて、本当にこんなものを国家が負担する必要があるのかということを全部見直せば、それはある程度出てくるものもあるだろうと思いますね。そういうこともすべてやっていく中で、でも結局福祉というもの、これは高福祉高負担か、中福祉中負担か、低福祉低負担か、どれかしかないわけでしょうから、福祉のためにはやらなければいけないことがあるんだなということはまた明々白々でございますから、そこのところを十二分に国民に説明して、わかっていただけるような形で消費税率のアップということを考えていかなければいけないなと思います。
○大野(功)委員 ただいま鳩山大臣からも行政改革とは少し話が違うんだというようなことが出ましたけれども、私も、行政改革というのは今申し上げたような基本的な考え方とちょっと違うと思う。これはもうリベラルであろうとそれとも保守であろうと、いずれにしても取り組まなければいけない。つまり、行政改革というのは合理化、効率化の問題であって、合理化、効率化というのはどういうことかというと、やはり大臣も所信表明の中で中長期的な問題を述べておられますけれども、変わる世の中につれて体を変えていくということだと思うのです。 最近、特に民間ではリストラという言葉あるいはリエンジニアリングという言葉が使われておりますけれども、労働省の行政の中身を見ましても、従来は例えば労使紛争の処理ということが主体であったものが、労使紛争というものがなくなってきましたから、やはりそこはリストラをやっていかなければいけないんじゃないか。あるいは、例えば職業安定所の役割も変わってきつつあるんじゃなかろうか。 私は、やはりここで、今考え方を聞かせていただきましたけれども、若い、柔軟な考え方をされる労働大臣にぜひとも労働省のリストラをやっていただきたい、時代に合うリストラをやってもらいたい、このように期待しておりますが、今大臣、ごらんになって、労働省の中でどの仕事がむだで、どういう仕事をつけていかなければいけないとお感じになっていらっしゃいますか。
○鳩山国務大臣 これは日本の政治のシステムの問題でもありますし、今少数与党ということでもありまして、正直言って、二年ぐらい労働大臣を続けさせていただけるような状況であれば、私なりのかなりきっちりとした見解というものも持たせていただいて、労働官僚を震え上がらせることぐらいできるかもしれませんけれども、今のところは、目の前に労働省出身の長勢甚遠先生という大変な、将来次官間違いなしと言われながら政界に身を転じた方がおられるわけでございまして、それは今でも省内の誉れの高い方で、政界に転じられてもう数年になられるでしょうから、自民党から見た、政界から見た労働省ということを一番語れる資格はむしろ長勢先生ではないか。 そういう方々にも教えていただきながら考えていきたいと思いますが、ただ、今大野先生が御指摘いただいた、つまり、時代も変わった、世の中も変わった、そうすると労働省という役所の役割もまた変わってきているのではないかという視点で物を見ることはとても大切だし、そういうふうな視点や視座を持てるようにみずから努力をしようと思っております。
○大野(功)委員 二年労働大臣をおやりになればというお話でございます。ぜひとも長くやっていただいて労働省を変えていただきたい、いい仕事をつけ加えていただいて不必要なものは直していただきたい、こう私は希望を申し上げまして、次の大きな問題である中長期的な問題、それに対する対策、対応についてお伺いしたいと思います。 大臣も所信表明の中で、中長期的に見るということでいろいろな問題を指摘されている。その中で若干の問題についてお伺いしたいのでありますが、まず第一には産業の空洞化の問題であります。 御存じのとおり、今回の不況というのは平成三年の四月に始まっておりまして、大変長引いておりますが、これに拍車をかけているのが平成五年、去年の二月からの円高であります。この円高は、国民側といたしましては購買力が高まって国民生活にプラスになるという面ももちろんあるわけでありますけれども、短期的には大変輸出産業が困る、そしてまた産業がどんどんと外国へ拠点を求めて出ていってしまう、こういう問題を生んでいるわけであります。 例えばカラーテレビ、これは代表的な日本の輸出産品の一つでありますけれども、今やテレビの輸出と輸入を比べてみますと、輸入の方が多くなっておるのですね。それから、冷蔵庫なんかもそうなんです。家電が日本経済の牽引車と言われておりましたけれども、これがもう輸入になってきている。それから、やがて洗濯機とか掃除機、エアコン、これが輸入が輸出を上回る時代も見えてくるんじゃなかろうか。恐らく、今までは海外に日本の産業、企業が拠点をつくっても、そこで単に組み立てをしていたということであったかもしれませんけれども、今やもう一貫生産をするようになってきている。いわば半製品の組み立てじゃなくて、一貫生産でやってきている。 こうなりますと、日本の中での仕事をどんどん、日本の企業がみずからが首を絞めているというような格好になるわけですね。企業の経営者は外へ出ていってもうけられますけれども、そこで働く人間というのは仕事をどんどん奪われているわけでありまして、日本の雇用を減らしているのですが、労働省はこの点についての対応策、あるいはこれから先この問題はどのぐらい日本の雇用の数に影響をしていくのか、その辺の見通しをお聞かせいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 産業構造の変化ということが雇用にどういう変化をもたらすかということを見通していくのが一番難しい、また重要な作業だろうと思うわけです。 そういう中で、産業の空洞化という、海外直接投資、海外生産ということが非常に勢いを増しておるわけですね。それは、単純に言えば、日本国内の仕事が海外へ出ていくわけですから、雇用機会が失われていくわけで、海外に雇用を創出していくわけでありましょう。ただ、そのことが逆に、例えば部品の調達等のことで戻ってきて、我が国の景気刺激、雇用の創出に向かう部分もあるでしょうし、また、海外で日本の企業が生産をすることによって、例えば一定の発展途上国がより大きな市場になってくることによって反射的にまた日本の産業界が活性化をするというような面もあるわけでございましょう。このトータルがプラスであるかマイナスであるかというのは相当議論があるわけです。 ただ、いずれにしましても、トータルはプラスだというような意見を採用したとしても、大野先生御指摘のように、急激にこの空洞化が進んでいくようになれば、我が国で一時的に雇用からはじき出されてしまう人間が出てくるのは当然のことでございますね。そういう方々が速やかに再就職できるように、きちんと職能開発をしておくとかそういうことが重要なのだろうと思うわけです。 実は、労働省でも勉強会をつくって、二十一世紀へ向けての中期雇用ビジョンというものを策定したり、あるいは、政労使が集まってフリーにトーキングをしてもらって、中期的、長期的な雇用の姿というものを描いてもらおうということをいろいろやっているわけです。 そんな中で出てきた議論をこの間見ておりましたら、経済成長三%というのですから、ことしの二・四だって非常に難しいでしょうから、それは成長率に問題があるかもしれませんが、もし我が国が経済成長を三%ぐらいずつしていくと、この数年の間に産業構造が大きく変わって、雇用を非常に新しく生む部門、例えば福祉とか医療だとか教育関係とか情報通信とか、それからまた、逆に雇用が減っていく部分というのが出てくる。 でも、その辺のトータルが、三%ぐらいの成長をすれば、人口の構成の問題もあるでしょうけれども、大体うまく移動できるのではないかなどというふうな見方も一応はされているわけで、要は、長期的に見れば労働力の移動の問題だと思うのです。しかし、短期的に見れば、その労働力の移動が、あるいは産業や雇用の高度化、高付加価値化というものができる限り失業を生まないで行われるように努力することが我々の仕事だ、こう思います。
○大野(功)委員 今大臣からもお話ありましたけれども、やはり中長期ビジョン、きちっと勉強されていらっしゃるようでありますから、どうぞひとつ部門別にもきちっと勉強していただいて、大体将来こういうふうになっていくんだというような話を、産業構造の変化につれて見通しを立てておいていただきたい。お願いをいたしておきます。 それから、大臣、日本はよく世界で一番月給の高い国、収入の高い国と言われるわけであります。大臣の所信表明の中にも豊かさを享受できるというような表現でも書いてありますけれども、本当に豊かなのかなというのはよく議論されることであります。そこでいつも問題に出てくるのは、国際比較の場合、物価でも収入でも、為替の実勢レトでやるのではなくてむしろ購買力平価でやるべきである、私はこのように思っているんです。購買力平価でやれば日本の暮らしはそんなに豊かであるなんと言えないわけでありますけれども、この点についてはどういうふうにお考えになっていますか。
○鳩山国務大臣 私は、大野先生のように経済の専門家ではありませんので、その辺は十二分に把握いたしておりませんが、例えばアメリカという国と比較した場合、これは円とドルの問題であろうかと思いますが、実は、ひょんなことがあって、私が結婚したときの約束事でもあって、約二年、小学生の子供二人と女房とアメリカで暮らさせたことがあります。家も一応二年間ほど向こうに置いて、またすぐ売ったわけでございますが、これはポートランドというオレゴン州のいわば田舎都市でございます。 しかし、田舎都市であっても大変な公共投資というのが既に完了しておるわけですね、交通網にしてもあるいはさまざまなショッピングモールにしても病院にしても。そうしますと、あそこまで快適、便利になっておったら、妙な話ですけれども、同じ金額をもらっても、先ほど大野先生最初にお話があったが、例えば通勤地獄があるかないかというのと、五分ですっと車で快適に行けるというのでは、もうそこで豊かさの感覚というのは全然違ってくると思います。 だから、我が国の場合は、何といっても、賃金水準は高くても公共投資の投下量が話にならないくらい少ないんだろう。多分、わからないんですけれども、私は戦後生まれでわかりませんが、それこそ、太平洋戦争というような時期に、日本はみんなで「欲しがりません、勝つまでは」といったころでさえ、アメリカは公共投資を国内で続けておったのかなというような部分がありまして、その辺も全部ひっくるめないと、豊かさとか今言った実際のお金の持っている本物の価値というのはなかなか判断できないのではないかと思うことがあります。
○大野(功)委員 豊かさがあるのかないのかという論争はちょっと収拾がつかないかと思いますけれども、豊かな国にしていくのが我々の役割でありますし、その豊かさを本当に実感できるような、働く者にとって実感できるような労働行政をお願いしたいと思うのであります。 今私が非常に感じますのは、例えば時短が進んでいる、大変結構なことだと思います。時短が進んで、時間的なゆとりは、少なくとも時間というゆとりは出ている。ただ、実際に時間のゆとりが出ているんだけれども、果たして働く人々は家族同士で遊びに行けるのだろうかどうか、こういう問題が一つあると思うのですね。 それはどういうことかというと、私はかつてジュネーブで何年か過ごしたことがあるのですが、スイスの働く者というのは、休みになると、休暇の日曜日なんかには、家族一同で車に乗って、車の中に例えばござを入れておいて、そして山の上へ上がってそのござを敷いて、携帯ラジオを聞きながらお昼御飯はブドウ酒とパンだけで済ましている、こういう休暇の過ごし方をしている。 でも、私がすばらしいと思うのは、そこに家族の触れ合いがあるんですね。そしてまた、見渡すとすばらしい自然がある、ちょっと行くと野イチゴが摘める、こういうような状態。まさに日本に欠けているのは、せっかく休みがあっても、ごろ寝でテレビを見ているという程度、あるいは家族がばらばらで遊びに行っているという状態、これは私は大変嘆かわしい状態だと思っているのです。 労働行政の一環として、ゆとり、豊かさを享受できる世の中をつくるとすれば、私は、今まで住宅とか体育館、これに力を注いでこられたと思います。それはそれなりに意義があったと思うのでありますけれども、これからは、もっともっと家族一同が、安上がりで、今家族一回遊びに行ってどこか外食レストランで食事をしますと一万円札がどんどん飛んでいきますから、そうじゃなくて、本当に安上がりで遊べるような、リフレッシュできるような場所を労働行政の一環としてつくっていく。これもリストラだと思うのでありますけれども、むしろウエートをそちらへ移していただきたいということをかねてから私も申し上げているのです。 例えばオートキャンプ場とか、あるいは、外国へ行きますと、子供のころから実に美術館とかそれから音楽会とかそういうところへ行っていますから、どうしてもそういう素養が自然に身についているわけですね。そういうことに力点を置いた労働行政をやっていく。つまり、体育館をつくる、住宅をつくる、ここから、家族全体で楽しめる、一例でいいますとオートキャンプ場あるいはコンサートホール、こういうものをつくるのが本当に今の現状で豊かさを感じる世の中をつくる労働行政になるのじゃないか。この辺の現状について御説明いただきたいと思います。
○齋藤政府委員 今先生御指摘がございましたけれども、私どもの行政の目的は、勤労者一人一人が豊かさ、ゆとりを実感できる社会をつくり上げるということだろうというふうに思っております。 そういう意味から申し上げますと、やはり勤労者一人一人を大切にしなければならない。したがって、勤労者生活にはいろいろな場があると思います。職場の場がありますし、また家族という場もあるだろうと思いますし、地域という場もあるだろうというふうに思いますが、それぞれの場においてそれぞれ充実した、全体としてバランスのとれたような形の勤労者生活というのを実現しなければいけないだろうというふうに思います。 そういうことから考えますと、先生御指摘のように、勤労者のための福祉施設についても、やはり個々人を大事にしたような形の施設というのも今後つくっておく必要があるだろうというふうに思います。今年度、今、予算で御審議をいただいておりますけれども、福祉施設の予算について若干見直しをいたしまして、先生御指摘の例として挙げられましたオートキャンプ場などもできるような仕組みをつくってまいりました。 今後、私どもの行政というのは、やはりそのときどき、時代時代の流れに合わせて、一番国民の期待しておるところはどこかということを敏感に反映しながらやっていくのが我々の行政だろうというふうに思っておりますので、先生御指摘の点も踏まえて十分これからやっていきたい、このように思っております。
○鳩山国務大臣 大野先生の御指摘の中で、重要な部分がありますので、私、一言だけ追加させていただきます。 猿が木から落ちるといいますけれども、人間というのは猿が樹林から草原へおりてきたものだと言われています。つまり、樹林と草原の境目で生活するようになった猿が人、ホモサピエンスになったわけでございまして、人間は、そういう経歴をたどっておりますから、基本的には樹林と草原と両方あるその境目のようなところにいるときに一番の安らぎを感じるわけでございます。 ですから、森林浴などというような言葉がありますが、あれは太古の昔に返れば安らぎを覚えるのは当たり前のことで、そういう意味で、オートキャンプ場とかいろいろおっしゃったけれども、私もチョウを研究して四十年近くでございますが、やはり美しい森林や、できる限り自然草原を復元して、そういう中でサラリーマンも家族もいい空気が吸えるということが本当の豊かさにつながると私は信じております。
○大野(功)委員 私の考え方を高邁なる学説で裏づけていただきまして、本当にありがとうございます。 将来の労働力人口の問題であります。 これは、もう基本的な問題で、十分御検討中でございますし、また今回も、雇用保険の改正で育児休業給付金を創設するということで人口問題に対処されております。このほかに、例えば子供の扶養控除、税制の問題でありますけれども、扶養控除をふやすとか、あるいは地元へ大学をつくって教育費が親にとって余り大きな負担にならないようにするとか、いろいろな対策があると思いますけれども、基本的に言いまして、世界の場合はカチッと一秒いいますと三人人口がふえているのに、日本はどんどん減っていく、これは私はゆゆしき問題である。 この点は、後に同僚議員から質問があると思いますので、大まかな方向でだけ答えていただきたいのでありますが、スウェーデン並みに、例えば育児休業給付金なんというのはスウェーデンはたしか八割くらい出していると思うのでありますが、大体理想的に言うとどのくらいまで、これは人口問題であります。人口問題と関連してどのくらいまで出していけばいいのだろうか。ひとつ、大ざっぱな答えで結構でございますから、四分の一を固定するのじゃなくて、将来どのくらいまでできるのか、もちろん雇用保険会計の勘定の問題もありますけれども、大ざっぱにお答えいただければ幸いです。
○鳩山国務大臣 私が知り得ている限りでは、例えば育児休業給付の二五%というものがどういう数字であるかといえば、結局、お子さんを産んだ御婦人が会社をやめて失業給付を受ける場合九十日間お受けになるというようなところからはじき出した数字だ、こう思いますから、いわば雇用保険の制度全体の中で考えないといけないのかなというふうに私は思いますが、詳しくは事務方から御説明申し上げます。
○大野(功)委員 将来の日本の、長期的に考えますと日本経済のアキレス腱というのはやはり人口問題でありますから、雇用保険という枠にとらわれずに、ひとつそれだけの問題として考えるということも大切なのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。 それから、大事な問題、高齢者の雇用の問題でありまして、これはもう言うまでもないのでありますが、二〇〇〇年、二十一世紀ということになりますと、日本のイメージというのは、やはり国際化、高齢化、成熟化、この三つの問題だと思います。高齢化というのは、ちょっと統計を見てみてびっくりしたのですけれども、一九五五年には男性が平均寿命で六十三・六歳、これが二〇二五年には七十八・二七歳となっているのですね。老齢人口も、七十年間にわたって見るわけでありますが、一九五五年には四百七十九万人、それが二〇二五年には三千二百四十四万人。大変な、静かであるけれども、静かに徐々に起こっている大革命だなと私は思っているのです。 高齢化のイメージというと、寝たきりとかぼけ老人とか介護疲れとか、あるいは年金の財源を一体どうしたらいいのだろうかとか、どうも暗いイメージばかり多いのでありますけれども、先ほど申し上げましたように、今回の法律によりまして、働きたい意欲のある人、能力のある人は働けるようにしよう、大変明るいイメージを加えてつくり出していくものだと思っております。 それで、では一体どのくらい高齢者の皆さんは働きたいのだということを見てみますと、六十歳から六十四歳の間の人で九〇%以上の人が六十五歳以上まで働きたい、こういうふうに言っているわけですね。ですから、今回六十歳から六十五歳までというふうに限定しておりますけれども、今回の法律ではそのような限定がありますけれども、一体その辺はどう考えたらいいのだろうか。 日本というのは、考えてみますと、年で、年ということでいろいろな制限を加えていく。むしろそういう制限なしに、働きたい人は六十五になろうが七十になろうがいつまでも働いてもらえるような世の中は一体できないのだろうか。エージレス時代をつくっていくのが労働行政の一つの役割じゃなかろうか。 見ていますと、敬老の日になりますと市や町村で高齢者の方に一万円を配っているということがよくあるのですね。そういう一万円配るくらいなら、もっともっと働きたい人が働けるような世の中をつくっていくべきじゃなかろうか。 あなたは何歳ですかとよく日本の社会では聞いて、いや、お若いですねなんていう会話がありますけれども、外国へ行ったら絶対年は聞きませんね。ついでに言いますと、宗教も聞かない、あなたのガールフレンドの名前も聞かない、三つは聞いてはいけないということになっているみたいですけれども。 エージレス社会をつくっていく、これは雇用保険の会計の問題等関連しますので大変難しい問題でありますけれども、ひとつそういう方向でも今後考えていかなければいけない、それが政治家の役割だと思っております。 ところで、これに関連しまして、一つ質問としては、六十五歳以上の働く高齢者についてはどう考えるか。それから二つ目、とはいえ高齢者ですから、やはりパートで働きたいのですね。これも、調査によりますと、普通に働きたいという人が一五%程度であるのに対して、パートで働きたいという人は三六、七%ある。倍以上なのですね。だけれども、若い人のパートというのは仕事はあります。でも、年寄りのパートというのはなかなか仕事が見つかりません。その辺をどうやっていくのかという問題。それから三つ目に、しかしながら高齢者の雇用を優遇し過ぎますと、今度は企業あるいは若年者の労働市場に影響を及ぼしてぐるわけでありますので、その辺はどうお考えになるのか。この三点について、お答えをちょうだいしたいと思います。
○鳩山国務大臣 全部はお答えできる能力がないかと思いますが、法律の世界で物を決めていくわけでございますから、そこのところにおのずから難しい限界があるのだろうかと思うわけでございます。 これは、大野先生、参考のためにお話を申し上げますと、私は昭和二十三年の生まれなのです。これは、皆様方に覚えておいていただきたいのは、昭和二十三年というのは戦後のベビーブームの真つただ中、大体昭和二十一年、二年、三年、四年ぐらいが多いのだと思いますが、二十三年生まれの私は、現在は四十五歳でございます。その私が六十五歳になりますのが二〇一三年でございます。 こうなると、皆様はおわかりでございましょう、今のこの年金問題は、二〇一三年に六十五歳になるのですね、満額支給が。ですから、まさにこれは国家財政上もやむを得ないことかもしれません、我々、いわゆる戦後の団塊の世代がねらい撃ちされて、私と同年齢の者がちょうど年金を追いかけて、もらえそうになると先に年金が延びていって、六十五歳、二〇一三年、ああやっと到達したときには六十五だったなということなのですね。 だから、その辺は非常に難しいと思いますが、でもやはり、そうしますと私どもの方も六十五歳まで現役。もちろん、六十歳からはいろいろな働き方があるでしょう。でも、できれば六十五歳現役時代というものをつくろうということで、一応今のところ政策は全部組み立てておりますから、それはいろいろな、雇用保険上のさまざまな制度についても、雇用継続給付についても、あるいはその他の制度についても、一応六十五歳というところで区切りができているわけですね。 しかし、これは考えてみれば、大野先生おっしゃるとおり、これからもっと長寿社会になって、もっと皆さんが元気に働く世の中になるかもしれない。障害者の世界でノーマライゼーションとかインテグレーションという言葉があるけれども、要するにこれは、意識しない存在、つまり普通の、当たり前の存在として頑張ってもらうということが高齢者にも当てはまるとすれば、七十歳でも七十五歳でも元気な方にはもう、別にお年寄りとして扱う必要もなくて、ただ元気に働いていただくというようなことにもなるのかもしれない。そう思うと、この辺は、日本人の今後の平均余命の延びにも照らし合わせながら、実際には弾力的に運用をしていくべきものだと思います。 ただ、一応法律というのはその辺をあいまいにはできませんから、我々は今のところ六十五歳現役、すなわち、一九八〇年ごろに五十五歳であった方が大体一七%ぐらいだと思うのですね。それが二〇〇〇年になりますと、大体六十五歳ぐらいの方がそれくらいの割合になってくる。高齢化が進むというか、平均寿命から数えても、それだけ日本人は若くなって、年をとらなくなってきていますから、昔五十五歳だといった年齢は確実に今六十五になってきているわけだし、これは七十にもなりかねないわけですから、この辺は将来的には弾力的に見ていかなければいけないことと思っております。
○七瀬政府委員 先生御指摘の残りの二点でございますが、パート的な働き方で高齢者に働いていただくという仕組みは極めて重要だと思っておりますし、私ども、それにかなり重きを置いて政策を推進いたしております。 それから、高齢者の雇用が若年者に及ぼす影響、それは確かにそういうことがあるのだろうと思いますが、かつてドイツ、フランスで、若年者の失業問題を解決するために高齢者の若年退職制を推進しかけたことがありますが、これはやはり失敗であった。高齢者は高齢者として、世代間のバランスをとって雇用対策をしていかなければならないというのが、この前のデトロイト・サミットの国際的なコンセンサスでもあったというふうに理解いたしております。
○大野(功)委員 時間がなくなりまして、あと私は、ホワイトカラーの問題、これも中長期的な問題だと思います、職業訓練の問題などお聞きしたいと思っていたのでありますが、ただ、一点だけ、お答えは要りませんけれども、在宅介護の問題についてだけ申し上げたいと思うのです。 それはなぜかといいますと、今、高齢化社会との関係で、在宅介護の労働力というのは非常に必要になってきているわけでありますけれども、現在ホームヘルパーの数も五万人ぐらいしかいない。ところが、北欧並みに考えてみますと、日本では五十万人ぐらい在宅介護の労働力が必要だという説があるわけでありまして、五十万人で、一人年間三百万円の給料を出すといたしましても、これは一兆五千億円なのですね。一兆五千億円というと、消費税の大体四分の一相当であります。それに比べて、ゴールドプランの最終目標が十万人でありますから、相当な在宅介護の労働力が不足してくる。さらに、家政婦さんの問題につきましても、今、家政婦さんは十四万四千人いらっしゃると聞いておりますが、その中で在宅介護へ回せる方々がどのぐらいいらっしゃるのだろうか、十万人いるのだろうか。十万人に達しても、なおかつ三十万人ぐらいの在宅介護の労働力が必要になってまいります。 そういうことを考えますと、労働省としては、やはり在宅介護ができる人々を教育し、供給していく、このことを長期的に考えていかなければいけない。さらに、家政婦さんが在宅介護に回っていくときには、やはり各介護をお受けになる方の負担も相当あるようでありますけれども、今申し上げましたように、一人当たり三百万円の年間の給与といたしましても、全体で一兆五千億円だとすれば、国全体として真剣に考えればできないものではない、このように私は思うものであります。ぜひとも、この在宅介護の労働力の供給について、真剣なお取り組みをお願いしたいと思います。 短期的な問題について質問させていただきたいと思っておりましたけれども、時間がございませんので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○鳩山国務大臣 今のことは、よく、いわゆる介護労働力、ちょっと白けたというか、何か介護労働力なんという言い方は余りいいのかどうかわかりませんけれども、要するに、介護をしていただける方々を確保することは大変重要な課題と思って、先ほどのお話で言えば、これから産業構造の変化等に伴って新しく生まれる雇用という形でとらえることができればなと考えています。
○大野(功)委員 ありがとうございました。
○松岡委員長 寺前巖君。
○寺前委員 時間がありませんので、簡単に質問をしたいと思います。 労働大臣から、「雇用の安定は労働者にとって生活の基礎となるものであります。」「失業中の生活の安定、再就職の一層の促進を図っていくことが必要であります。」という決意を表明されました。 それで、私は、労働大臣の御出身のもとであるところの革製造の労働者の問題について、きょうは絞って聞きたいと思います。というのは、この分野では、IQからTQの制度に変わっていき、さらに今日ガットの受け入れ、ウルグアイ・ラウンドの問題で深刻な事態を迎えようとしているというふうに私は見るわけです。 そういうことになってきたときに、通産省をこの間呼んで、それではどうなるんだと聞いてみたら、ここ数年の間二〇%ずつ枠をTQで決めてきているけれども伸ばしてきている。だんだんふえてきて、IQの時期と比べると、その枠そのものが五倍からにしてきたものだ。だから、これから将来の八年計画でやっていく道筋をとっていくならば、それは大変だと思います。それで、私の方としては、日本タンナーズ協会に二十四億円、日本皮革産業連合会二十四億円、合わせて四十八億円の基金をつくって何とか日本のこの産業の分野の市場を守るようにしていきたい、こう思っています。こういう話でした。 それでは、そこで働いている労働者に対して何らかの新しい対応策を検討しているのだろうかということで、まず大臣の所信に対する態度としてどんなことをお考えになっているのか、お聞きしたいと思います。
○鳩山国務大臣 この問題は、寺前先生御指摘のとおり、私ども、選挙区が東京の下町でございますから、米というよりも革靴という方がよっぽどぴんとくる。ウルグアイ・ラウンド、ガットと言えば、米じゃなくて革靴、こう思ってまいりましたから、実際、IQ制度の維持ということで決起集会もいつもやって、それは日本の革靴産業を守らなければならない、中小零細企業が多いのだからとやってまいったわけで、それが残念ながらTQ制度に移行をした。 TQ制度に移行をするのはまあやむを得ない、世界の趨勢かなと私も一国会議員としては思いましたし、そうした中でいわゆる産業政策として通産省から幾ばくかのお金が出て、そこで中小企業に資する政策もやる、対策もやるということでしばらく参ったわけですが、結局はこのウルグアイ・ラウンドの妥結ということで、このTQ制度がまたより一層、我が国の皮革そして革靴産業に不利な形のものになっていってしまったわけでございまして、今まさにぎりぎりのところに来ているのだなとつくづく思うわけでございます。 ただ、ここまで私が申し上げたことは、言ってみれば産業政策、通産省的な観点で私も物を言ってきたわけで、先生から御質問の通告を受けてみれば、確かにそれは産業政策という問題かもしれないが、労働政策として、家内労働法はあるけれども、今後いわゆる下請、孫請というか、例えば靴のかかとだけをあれするとか型抜きだけをなさるとか、我々もそういう方に支えられて政治家をやっているわけですから、そうした方々が一般的には雇用関係というものがないから雇用保険法の世界の外にもおありになるというようなことで、そういう方々の今後の厳しい、ウルグアイ・ラウンドを受けての厳しい毎日の中でどういうことができるかということを、これは一生懸命勉強しなければならぬなと思います。
○寺前委員 勉強して、どういうふうに勉強をされますの。私聞きたいのは、要するに雇用不安が現実には起こっていく。労災保険に入っておったら、普通だったらちゃんと、賃金が未払いになったら未払いに対する法律があって、賃金確保法によって未払い分を立てかえで払ってくれるとかいう措置がある。この分野では、同じ労災に入っておって、一人親方の労災ですからそれは適用されませんと。未払いになったらパアになってしまう。雇用保険の適用にはならない。そして、被害だけはばあっとかぶっていく。 勉強するというだけではぐあいが悪いので、これに対応するところの対処を早急に検討しますか。私、それだけ聞きたいのです。
○鳩山国務大臣 それは率直に告白いたしまして、先生からもお話があったし、こういう仕事についてみて、これは私は労働行政の場に来るのは初めてでございましたから、なるほど雇用保険の世界の外にあられる大量の皆さん方が地元にもおられて、そういう方が苦しんでいるのだなということを実感として持ったわけでございますから、今それがわかるようになったわけでございますから、今までのみずからの無知を恥じるような気持ちでもありますが、私としてはこれは何ができるかの検討を懸命にしていきたい、そう思います。 これは、地元エゴとかなんとか、革靴ロビーとかそういうふうな感覚ではなくて、全国の同じような、一人親方の方もおられるでしょうが、家内労働者の方々の問題だと思うからでございます。
○寺前委員 専業家内労働者の対応というのは、家内労働法ができて二十五年になってきたのだから、こういう事態になったときに十分な役割をせぬなということをお感じになったと率直に言われたと思う。それだけに、せっかくの機会ですから、再検討もされるなり、何らかの対応でこの事態の乗り切りを検討できないものだろうかというお話だったと思うのです。ぜひ検討してください。 次に、大臣の所信の中に、「職場における安全と健康の確保に向け、総合的な労働災害防止対策の一層の推進を図るとともに」云々とされ、「的確な労災補償の実施に努め、重度の障害を負われた方々に対する介護施策の充実を図ってまいります。」こういうお話がございました。 私、村上労働大臣のときに、日本に十一工場あるレーヨンの製造工程におけるところのガスの発生に伴ってたくさんの人が倒れられるという事態が発生しているよ、これについて、労災分野で対応するだけではなくして、こういう分野に働いている人たちの問題を、あるいは退職した人たちの問題をどうするんだという問題を指摘しました。また、こういう工場そのものの対応をどうするんだという問題も提起をいたしました。例として京都の宇治のレーヨンの話をしたわけですけれども、その後労働省としてどんな対応をされ、今何を考えておられるのかをお聞きしたいと思います。
○石岡政府委員 先生からの御指摘もございましたので、労働省といたしましては早速、昨年三月に日本化学繊維協会に対しまして、設備の見直し、適切な防毒マスクの着用の徹底、産業医による継続的な健康管理の実施など労働衛生管理のあり方について検討を行い、その結果に基づいて会員事業場を指導するよう文書により指示したところでございます。日本化学繊維協会は、これを受けまして、指示をした事項について検討を行い、その結果に基づいて会員事業場を指導しているところでございます。 中でも、御指摘のユニチカ宇治工場につきましては、昨年から退職時に健康診断を行うこととしており、これまで四名が継続的に健康管理を行っていく対象となったと報告を受けております。これとは別に、各レーヨン工場に対しましては、所轄の都道府県労働基準局及び監督署がそれぞれ所要の指導も実施してきております。 労働省といたしましては、今後ともこの問題につきましては引き続き監督指導に当たってまいりたいと考えております。
○寺前委員 CS2にかかわる労災認定は既に六十五人も出ています。内容は、主として熊本の興人とか今の話の京都の宇治工場とか、あるいは福島県の工場などでありまして、必ずしも全国的にまだ、労働者がどういう実態になっておったのかという反応というのは、労災の関係から見てもこれは全面的に十分な調査が得られておるなという感じは受けません。 しかし、それにしても、去年京都のユニチカにおいては退職時に調査をおやりになりまして、ことしの二月初めに二十一人のことしの退職者の健康診断をやったら、五分の一の四人からこれから引き続き検査をしていかなければならないという数値が出てきている。だから、全面的にこういう工場における全退職者を直ちに診るという問題と同時に、今後の問題として、労働安全衛生法の問題として、じん肺やベンジジンの場合のように健康管理手帳を渡して、その工場のそこでだけ調査をするのではなくして、過去にそこの工場におったということなどを理由にして、一般的に労働省が直接面倒を見ることができる。そういう健康管理手帳の支給などをこの際に検討するということも、私は、この分野が過去に与えた影響であっただけにはっきりさせておかなければならぬのじゃないだろうかという感じを受けますけれども、こういう工場、このまま置いておいていいのだろうかという感じもまた強くするのですが、改めてお聞きしたいと思います。
○石岡政府委員 現在労働省が要請いたしまして、日本化学繊維協会において、二硫化炭素に暴露される業務に従事した労働者の退職後の健康管理のあり方について調査検討を行っていただいております。ただいま健康管理手帳の交付のお話があったわけでございますが、労働省といたしましては、今申しました日本化学繊維協会の調査の検討結果の報告などをよく参考にいたしまして検討をしてまいりたいと考えている次第でございます。 また、御指摘のようにレーヨン工場は十社、十一工場全国にございまして、まだまだ問題なしとはいたしませんので、先ほども申し上げましたが、今後とも監督指導を徹底してまいりたいと考えております。
○寺前委員 最後に大臣に、こういうような近代的な製造をやっていく工場をつくっていくと、そういうふうにして新たな健康被害の問題が広がっていく。その場合に、私は二つあると思う。その施設をそのまま外国に送ってしまったら外国で迷惑を受けるという問題、これは日本の恥となってまた出ていくという問題が出る。通産省の所管か知りませんけれども、こういうことになってはならない。 今大臣は職場におけるところの労働安全衛生の問題を御指摘になりましたけれども、私は、こういう問題について、もっと全面的に積極的に過去にさかのぼってでも調査をして、そして被害を受けた労働者の健康を守ることを積極的にやるということは、地域環境に与える影響もまた重大だと思いますので、労働大臣のそういう分野に対する御見解をお聞きしたいと思います。
○鳩山国務大臣 そもそもが、労災保険ということを勉強して、労働大臣になってどれくらいの労災保険の適用される事案があるのか、あるいはどれくらいの事故があるのかということを聞いたときに、その数が余りに多いのでびっくりしたわけでありますけれども、たまたま何らかの事故に出会ったということでなくて、いろいろ科学的にもその原因がある程度わかっておって、そしてまた継続してそのような疾病が続発をするというようなことがあっては、本当の意味での快適な勤労生活というのはあり得ないわけで、我々労働省の仕事は、働きがいのある仕事をゆとりを持って、そして安心してできるところに人間の幸せの扉が開かれるという、そういう哲学に基づいてやっていく仕事でございますので、先生御指摘のとおり、こういう職業性の疾病というものがなくなるように全力を尽くしていかなければならないと思っています。
○寺前委員 時間が来ましたので終わります。どうもありがとうございました。
○松岡委員長 岩田順介君。
○岩田委員 先ほど大野先生が、鳩山労働大臣の人となり、思想なり労働行政にどう対処されるかという決意が質問として出されまして、それは私どもも、大臣御就任の後にさまざまなところで話題になり、議論になった点でもあるわけであります。果たして労働大臣は、汗して労働してその対価を得て、その苦しみや喜びというのは恐らく味わってないお方ではないか。 そこで、後ろに座っております、つい最近まで政務次官をなさいました永井先生のごときは、ぜひそれは労働大臣に聞いておけという強いお話もございましたが、そうこうするうちに閣僚の資産公開がありまして、いやこれまた大変なお金持ちであられまして、その話に輪が広がったという状況がありますが、先ほどの御答弁で前向きな姿勢が表されまして、これは評価をしたいと思います。 なお、文部大臣をなさっているときに、おやめになる間際だったと思いますが、例の改革問題、あれは何でしたか、業者テストの問題について前向きな姿勢を表されまして、大変文部省、議論になりましたが、勇気と行動があるお方だなというふうにも思っていますので、ぜひとも前向きのお取り組みをお願いを申し上げておきたいと思います。 そこで、まずお聞きをしておきたいと思いますのは、旧国鉄労働組合、いわゆるJRの不採用問題についてお尋ねをしたいと思いますが、時間がございませんので経過は省かせていただきます。前労働大臣、前運輸大臣はこの件につきましてもとりわけ腐心をされまして、関係者との協議や、具体的にはこの問題解決のための協議機関のようなものもつくっていきたいという示唆もあっておったと思いますが、残念ながら昨年の十二月の中労委の命令があった際に、一つの大きな契機ではあったのですが、残念ながらこれは解決に至りませんでした。不幸にも裁判になっていったという経過がございます。そこで、前労働大臣からも引き継ぎもあっているやに思いますが、この決意と、どう解決していこうとされるのかということをこれはお聞きしておかなければならないだろうというふうに思います。 それから、この問題が提起した問題というのは、単に千人余の労働者の解雇問題にとどまらずに、中労委、地労委という救済機関が果たしてどういう役割を果たしたのかということを考えてみますと、極めて大きな問題だというふうに思います。この不況下にありまして、いわれなき不当解雇という事案も相当ふえておりますが、つまり、国鉄というのは大組織でありまして、中小零細を問わず大企業を問わず、日本の雇用問題、労働問題の解雇されたときの救済という仕方は、救済機関があるのだけれども果たして機能しているかという問題、すぐ裁判にいってしまわなければならないというこの不幸な問題も提起をしたわけであります。単に不採用問題だけではなくて、さまざまな問題がある意味では労働省、労働行政に突きつけられてきている問題だというふうにも思いますが、あわせて御答弁をいただきたい。
○鳩山国務大臣 実は昨日の晩に、前に公労委、中労委の会長をなさっておられました石川吉右衛門先生と食事をする予定にいたしておったわけでありまして、先生からのこういうような御質問も予想されておりましたし、中労委というもののありよう等についてもお話を承れればと思っておりましたが、予算委員会が十二時近くまであったものですから、それはだめになってしまったわけです。私は、石川先生には随分お世話になって、ゼミには入っておりませんでしたが、ただ石川先生の、そのとき我々の学年に出された問題はただ一問、「不当労働行為について記せ」という問題であったということを今でも覚えているわけでございます。 これはもう先生から今るる御指摘があったように、JR関係の問題について膨大な資料を労働省から与えられて私なりに相当読んでみましたけれども、複雑過ぎてまだ理解をしていない部分もありますし、全部読み切っていない部分もあるわけでございます。ただ、我が国で最大の行政改革でもあった国鉄JRということ、この偉大なる行政改革をやっていく中でこういうような事件が不当労働行為として起きてしまっていること自体が一つ大変残念であって、しかも中労委の命令というのが出ながらも、結局これが裁判ということになってしまえば、こんなことを言ったら怒られますけれども、じゃ全部何でも裁判、裁判になってしまうんだったら、労働委員会という制度は何のためにということにだってなりかねない。ですから、できればそういう中労委の命令というものを労使双方が真摯に受けとめて、それを軸に話し合って調整できればと願っております。 前労働大臣、前運輸大臣、現実に努力をされたわけでございまして、今予算委員会で身動きのとれない私ではありましても、これは当然坂口さんからも引き継いでいる事項でございますし、現在の運輸大臣にもお話をして、まあ我々が労使協議の何らかの糸口のような役割を果たすことができれば幸いだ、これは前向きというよりも積極的に取り組んでいきたいとは思っております。
○岩田委員 この事件が発生をして以来、何人か労働大臣もかわられました。運輸大臣も交代をされましたが、そのたびにこの質問は出ていると思います。今大臣から御答弁のありましたような解決のための努力ということは発せられてはいるのですけれども、なかなか前に進まない。おっしゃいましたように、一大行政改革であった国鉄の改革、その犠牲になっているという現実がここにあるわけでありまして、ぜひとも二年くらいはやっていただいて、解決をしていただくということも結構なんですが、ぜひとも前向きのお取り組みをお願いを申し上げておきたいと思います。 今行政改革という問題ございましたが、細川政権は改革政権としてスタートをされまして、政治改革を主として努力をされてきた政権でありましたが、政治改革だけではなくて、行政改革、経済改革、それからさらに地方分権という意欲的な提起をされてきたわけであります。そこで、限られた時間の中でありますけれども、地方の労働行政をどういうふうに見ておられるのか、どういうふうにこの改革をされようとしておられるのかという点についてお尋ねをしたいと思います。 まず前提として、この羽田内閣も、分権も含めまして改革政権という色彩の強い政権でありますが、やがて地方分権に関しましては分権基本法の成立を目指して検討中であるということもお聞きをしているわけであります。これはどういう枠組みの法律になっていくかというのは定かではありませんけれども、地方と中央の役割分担の見直しというのは、当然これは焦点になっているわけですから、労働行政においてもそのことは論議されていくべきだろうし、またあっておるかもしれません。そこで、いわゆる労働行政における分権化という問題、地方と中央の労働行政についてどういうふうにお考えになっているのか、御認識があればお聞かせをいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 私は、地方分権というのは地方のそれぞれの地域が個性ある発展を遂げていくというためには大いに必要なことだと思いますし、また国家あるいは政府のスリム化という意味でもそのことは同様に主張することができるのですが、先ほどの規制緩和と同じように、何でも緩和されればいい、何でも中央の権限が少しでも地方に移っていけばいいというふうに安易に考えることは決して正しくないと思うわけであります。 労働行政においては、御承知のように我々でいえばいわゆる安定局関係において地方事務官という存在がいまだに大変数多く存在していることからも御推察いただけますように、なかなか微妙な問題があるだろうと思うわけでございます。 かつて文部大臣を務めておりました。それは、アメリカのように道路一つ隔てて小学校が五年生で卒業するところもある、しかし、道路のこっち側は小学校は七年間行くとなっている、こういうようなことはやはりアメリカの教育にとってもプラスではないだろう。やはり学年編制、学制とかあるいは教科書の検定だとか学習指導要領とか、こういうものは全国一本でなければいけないだろう、私はそう思ってまいりましたし、職種によっていろいろあろうとも、例えば労働基準局の行政だって、それは中小企業のために猶予期間とかはいろいろあっても、北海道は二千時間で沖縄は三千時間で東京は千時間だなどというような行政はできない。 そう考えてみますと、いわゆる職業安定局に関しても、あるいは労働基準局関係にしても、それなりに国としての基本的な考え方を徹底させるための網の目のような組織が必要になってくるわけで、今回男女雇用機会均等法の指針を改正して女子学生の就職の問題を考える場合も、全国の婦人少年室に一斉に相談窓口を設けるというようなことをいたしまして、存外労働行政というものはきちんと一本でやらなければいけないことが多いなという印象を受けておりまして、どういう部分が分権化できるか、地方にお渡しできるかということに関していえば、いろいろな行革大綱もありますし、検討はいたさなければならないと思っておりますが、今私頭の中ですぐ浮かんでくるものではありません。
○岩田委員 今お話がありましたように、規制緩和だとか分権というような問題について画一的にどうするということを私は言っているわけではありません。基本的には、先ほどの答弁にもありましたような規制緩和だとか分権問題、行政改革問題についての大臣の御発言は私も理解をしているところであります。 しかし、この地方労働行政というものも、戦後やがて五十年を経過いたす今日、大変変化をいたしております。さらに、経済社会の急速な転換の中で労働行政も多岐にわたって変貌していることは事実でありまして、そういった意味で見てみますと、国や都道府県や市町村における労働行政の事務の配分ということが実態的にこれでいいのかという問題があることは、これまた事実だろうというふうに思うのであります。 例えば、地方行政における労働行政の分野の予算や人員の実態を見ても、後ほどまた御指摘をしますけれども、これは年々減少していることは現実であります。それから一方、行政需要といいますか、新規事業というのは膨大にふえているということも事実でありまして、大臣は一本であることが望ましいという御答弁もありましたが、それはその分野であるかもしれませんが、しかし一本でやれない分野だって最近大変多くなっているのじゃないかというふうに思うのですね。 そういったことを考えたときに、私の質問というのは、そういった地方労働行政の実態を踏まえて、再編や拡充ということに対してどういうふうに考えておられるのか、いや、それは必要ない、一本でやる方がいいのだ、今のままでいいんだというふうにお考えなのかということをお聞きしておきたかったわけであります。
○齋藤政府委員 ただいま先生、端的に申し上げれば、都道府県におきます我が労働問題についての行政と、労働省本体と申しますか、労働省の直轄でやっております事務との分担の問題にかかわる御指摘であろうというふうに思います。 確かに、各都道府県におきまして、それぞれの立場立場で地域に密着した労働問題というのが起こっておるだろうというふうに思いますし、その地域の実情に応じて具体的に解決していかなければならない問題というのも多々あるだろうというふうに思います。そういう意味で、私ども、都道府県の労働行政と申しますか、その点についての行政を決してないがしろにしているつもりではございません。いろいろな補助金その他のシステムもございますし、それからいろいろなことを都道府県にあるいは市町村にお願いをしているということもございます。 今後どのように認識をするかということでありますが、やはり地域に実際に密着した行政というもののあり方もあるでしょうし、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、直轄でやらなければいけないものもあるだろう、その辺の調和をどういうふうにとっていくか、これから時代の流れに合わせていろいろ考えておくべき問題だろうというふうに認識をいたしております。
○岩田委員 時間がございませんから細かいことは言えませんが、例えば、これはいろいろな御説明もあると思いますが、都道府県の一般予算の中に労働費という款項目の款が昔はずっとあったのですが、最近随分減っているのですよ。こういう現象も一つあることは事実ですよ。 それから、一九六四年に都道府県決算統計というのが出ておりますけれども、この中で労働費を見てみますと、八〇年と九一年を比較いたしますと、八〇年というのは財政再建のスタートの年なんですが、これと比べてみますと、例えば都道府県の決算で見てみまして、確かに二三・六%は伸びておりますね、都道府県で伸びておる。しかし、国の、労働省の予算よりもずっとこれは抑え込まれているという現象は明確に出ているわけですね。それから、市町村で見ますと、九一年と八〇年の伸びはわずか一・五%なんですよ、これは。こんなに市町村が労働行政をやらなくていいかというと、そうではないのですね。一・五%しか伸びていない。 それから、自治体の、都道府県の労働職員を見ましても、これは二三・四%、二千六百三十名も減っていますよ。それから、市町村になりますと、九二年と八〇年の比較ですけれども、約四千七百人、五六・五%も減っておるわけですよ。市町村はしなくて一本でいい、こんな状況じゃないと思います。こうなっていますね。 労政事務所は、これはちょっと古いのですが、一九七一年、百六十一カ所あったものが、九一年は五十九カ所になっています。これはもちろん商工労働部だとか労働商工部だとかいろいろな名称があって合体していますが、これらも含めて見てみましても、労政事務所の数というのは六割程度も減らされている。こういうことを私は今申し上げたかったのであります。 そういったことを前提に考えてみますと、例えば労政事務所というのはかつては自治法上の必置機関だったのです。これが廃止になってきたわけでありますが、労働省も五十九年には労働教育を廃止していますね。これは必要かどうかというのは時代の流れがありますから、それは議論があるところですけれども、労政事務所の位置づけはやはりもう一回、現在の労政事務所として置くかどうかということは別ですよ、中身の検討を含めて、先ほども御質問がありましたが、これは地方の時代だから何でもやれというふうに私言っているわけじゃない、それほど地方における労働行政の重要さというのが増大しているということで申し上げているわけですから、そういうふうに理解をしていただきたいというふうに思うわけであります。 それから、これは都道府県が主でありますけれども、事務の配分を申し上げましたが、最近傾向として新規事業が随分ふえていますね。例えば、時短問題、週休二日制、これだって大変苦労しているわけですよ。国際化の問題、外国人労働者問題というのは大変です。それから、地方で海外労働事情の調査までやっているところもありますね。それから、女性の問題、雇用機会均等法、育児休業、介護休業、これは大変重要さを増しているわけです。それから、パート労働。それから、ゆとり創造事業なんというのがありまして、中小企業の勤労者福祉サービスセンター、これも独自にやっているところがございますね。それから、生涯生活設計による支援事業等があります。それから、中国との関係では比較的やっているところがありますね、研修生の受け入れを独自にやるとか。こういったものはやはり関係なくはないでしょう。主要な労働行政の一貫したものを、地方が分担をして、しかも予算外でやっているというところが多いのですよ。こういう認識がなければ、一体的な労働行政というのはむしろ無理であろうというふうに私は思うのであります。 時間がありませんからついでに申し上げますと、その中で特に最近ふえているのは、労働相談ですね。東京は最も多いところなんですけれども、一九八〇年は二千四百足らずの労働相談が、三万八千ぐらいに上がっているわけですよ。先般も労働委員会で視察に行きましたけれども、てんてこ舞いでしたね。今英語やフランス語だけではだめですね。少なくとも八カ国語ぐらいのスタッフをそろえておかないと十分なサービスができないという状況になっているわけですが、外国人労働相談というのは大変多くなっていますね。 それだけではなくて、最近の不況による雇用問題というのは多岐にわたる相談がありますよ。冒頭申し上げましたように、不当解雇なんというのはざらにありますね。その不当解雇も、大臣、二十人や三十人の小さな企業の労働者が解雇されたというところも多いのですが、大企業の社員が解雇されるんじゃないか、解雇されたという事件も大変多いのでありまして、これは、サービスというか、行政が行き届いているかどうかというのは、簡単にあなた方の方で、いや一本がいいとか万全にサービスをやっている、これだけでは済まされない現実があるから私は聞いているわけであります。 公益法人もたくさんつくってありますけれども、つまり、労働省の基本の機関では到底及ばない状況が生まれているということを私は憂慮しているわけでありまして、そういった意味では、労働省の基本政策について地方は一生懸命補完をしてやっているということについての認識はきっちりしていただきたいと思います。
○齋藤政府委員 最初に、具体的な労政事務所の件についてお答えをいたしたいと思います。 御指摘のように、最近労働相談の件数、ふえてきておるようでございます。例えば東京都を例にとりますと、平成五年度には四万件を超えまして、大体四万二千件というふうに承知をいたしておりますが、こういうように増加傾向にあるというふうに思っております。私ども労働省としましては、こういうような労働相談に対応するために、労働相談員の設置補助を行っております。 それからまた、最近非常に相談内容が複雑あるいは高度なものが多くなってきているということがございます。例えば、先生今御指摘のように、外国語が必要になるような相談等もふえてきておりますので、そういう意味で、特別相談員体制というのも強化をしていきたい、このように思っておる次第でございます。 今後とも、労政事務所の役割というのはやはり草の根の相談に応じられるというところにあるだろうというふうに思いますので、その辺につきましては充実をさせていきたい、このように考えております。 また、先ほど先生御指摘ございましたのに多少お答えをいたしましたけれども、決して、都道府県なり市町村なりがやっております行政につきまして軽んじているという意味では全くございませんで、やはりそれぞれ私どもの行政、直轄でやっております行政、国全体として統一的にやっております行政をそれぞれ地域地域に実情に応じた形でそれを展開していくという意味では非常に重要なことだろうというふうに思っております。
○岩田委員 軽んじているというふうに私は思いませんが、努力はもう一つ不足しているんじゃないかというふうに指摘をしているわけであります。 あわせて申し上げますと、やはり八〇年と九二年の労働予算を見てみましても、時間があと数分しかありませんから内容は省きますが、例えば都道府県のいわゆる労働費の一般財源ですね、それを見てみますと、確かに都道府県は伸びていますね。一般財源では三七・八%伸びています。それから、基準財政需要額として算定されたものも、これは伸びています。しかし問題は、一般財源と基準財政需要額との差が都道府県の場合四百四十四億円もあるのですよ。こんなにあるのですよ。それから、市町村の労働予算で見ますと、これは一般財源では五・三%減っているのですよ。それから、基準財政需要額で見ますと何と五二・二%も、半分以下に減らされているのですよ。 これは確かに、市町村の、いわゆる地方による特徴によってそんなに労働費が要らないところもありますが、しかし、こんなに減らされているのですよ。持ち出しは百八億円というふうになっているのです。東京や神奈川も、大都市は多くなっていますが、我が県でも三十二、三億くらいは持ち出しに、平成四年度の決算ではそれくらいになっているというふうに記憶をいたしますが、これについての見解は求めません。 最後の御質問ですけれども、いわゆる大蔵省や自治省とはもう少し、地方のことを労働省本省は考えて予算の折衝はやらなければいかぬのじゃないですか。もう少し、どういうところに予算が必要で地方は苦労しているというような指摘を僕はきょうはしたがったのですけれども、それはいたしません。 最後に見解を伺っておきたいのは、例えば基準財政需要額の算定方法について、労働省は今のような算定基礎でいいと思っていますか。例えば、都市の場合でも都道府県でもそうですけれども、その基本になるところはいわゆる製造業労働者の数でもってまだ算定をする。今そういう時代じゃないでしょう。サービス産業、第三次産業、こんなに膨れ上がっているわけですからね。相変わらずそこで算定していくわけですよ、算出方法の基礎は。それから、失対事業の就労人員によって基準財政需要額の根拠を求めていく、これは全然時代錯誤じゃないですか。 そういうことの議論というのは一体、大蔵省との間でするのですか。僕は余りにも、地方の労働行政というのは時代の要請にこたえて一生懸命やっていると思いますよ、それはお認めでしょう。にもかかわらず、その予算のいわゆる確保について、労働省というのは少しやはり不足しているんじゃないかということを私はお聞きしたいのです。
○齋藤政府委員 先生御指摘の一般労働費が減ってきておるという事情は、いろいろな事情があるだろうというふうに思いますが、終戦直後に非常に労働争議が多発した時代の労働相談のあり方と現在のような時代になってまいりましたときの労働相談のあり方というのはおのずから違ってきておるだろうというふうに思いますし、それに伴って労働教育の重要性というのもまた変化してきているのだろうというふうに思います。 それからさらに、正確な数字その他で検証したわけではないものですからはっきり申し上げられませんが、多分失対事業が非常に重要性を失ってきたというところが一つの理由としてあるのだろう、予算的にはあるのだろうというふうに思いますが、それを別にいたしまして、そのときどきで私どもの行政で必要なことを都道府県にお願いをする場合には、自治省にいろいろお願いをして、基準財政需要額の計算の仕方の中にこういう要素も入れてもらえないかということを逐次お話をしていることもございます。 ただ、先生御指摘のように、抜本的にと申しますか、いろいろ総合的に見直しをしてお願いをしたということではございませんので、少し省内で考えて関係各省ともお話をしてみたい、このように思っております。
○岩田委員 積極的な努力を期待をして終わります。
○松岡委員長 宇佐美登君。
○宇佐美委員 新党さきがけの宇佐美登です。 もう十二時を過ぎまして、昼食前の時間ですから、十五分という限られた時間をさらに短くしながら、手短に何点か具体的なテーマを質問させていただければと思います。よろしくお願いいたします。 諸先輩がもう御質問の中で、幾つか重なる部分があるかと思いますけれども、まず最初に、ここ数年言われております新卒者の就職難についてお伺いしたいと思っております。 御存じのとおり、バブルがはじけたと言われる二年前より、不況のあおりを受けまして、新卒者の採用数は軒並み減っております。私は今、就職というか、大学を卒業してから五年目でして、その当時はまさにバブル全盛時でして、説明会に行けばその場で就職が内定する、そんな状況も時にあったわけです。 しかしながら、新卒者の採用数はどんどん減っておりまして、ことしも、新聞を見ておりますと、どこどこの企業は何割減といった記事ばかりが目につきますし、実際、私の周りでも、大学の後輩たちに聞いても、ことしはどん底だとか氷河期だとか、そんな話を聞いております。五月三十一日の総務庁の発表によれば、中学校から大学院までの新卒者のうち、ことしの四月段階での未就職者は、昨年より四万人ふえまして過去最高の十五万人、これは八人に一人の割合で就職できなかったことになっています。 例えがいいのか悪いのかわかりませんが、これを衆議院議員に当てはめて考えてみれば、現在の定数五百十一人のうち大体六十三人から四人あたりに当たります。これはかなり厳しい数字だと各議員の皆様もお思いになるかと思います。この調査結果について労働省はどのように考えているのか、まず御質問させていただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 新卒者の就職状況については、ちょっと統計というか調べ方によって幾つか違ってくるわけで、例えばこの四月に、まあ四月というのですか三月というのでしょうか、この春に卒業をした男子学生、女子学生、これをトータルで見ると、男子は九八%、女子は九三%が厳しい中でも就職できたとなっているのですね。ただその一方、あなたからも今数字が出たかと思いますが、いわゆる十五万人ぐらいが就職浪人という形になっていませんかというようなことも言われているので、これはまた事務方の方からこの数字のあやについては御説明をいたそうと思います。 ちょうど私が昭和四十六年に大学を卒業するころ、私だってかつては若手議員だったのですが、宇佐美さんのような方を見ると、私もいわゆるこの特定求職者なんというのに入る四十五歳の中高年に入ったんだなという非常に愕然たる思いがします。これは冗談にしても、我々のころは物すごく景気がよかったというか、売り手市場というか、もうありとあらゆるところから、就職してくれ、勤めてくれといって、お昼御飯をごちそうするからうちの会社に来てくれといって、みんなで昼はただ飯が食えたものですよね。ところが、そういう我々が今、いわゆる昭和四十四、五、六、七年ごろにホワイトカラーを採り過ぎたので、彼らはもう窓際族じゃなくて出窓族に一気に持っていきたいと、こういうふうな雇用過剰の最大のターゲットは今の我々の年代なんですね。 だから、これは宇佐美さん、おわかりいただきたいと思うことは、私も経済界に懸命に言っているのですが、それは、景気がよくなった、いろいろ事業拡大しよう、人もいっぱい雇おうと、気持ちはわかるけれども、この景気変動と人員の変動というのが同じような大きな波だったら、これは雇用情勢というのはいつまでたっても落ちつかない。景気は変動しても雇用情勢は安定をしているというのが、これからの企業の社会的な責任ではないだろうか。 私はそう思いまして、来年の就職戦線、今もう既に始まってこの十月から内定していく新規学卒者の就職問題については、ありとあらゆる経済界にお話をしておりますし、特に女子学生については厳し過ぎるほど厳しいものでありますから、羽田総理を中心にきょうも第二回目の閣僚懇談会を開いたというところでございます。
○宇佐美委員 女子学生の就職問題もお話しいただきましたけれども、それは後に御質問させていただくとしまして、今の件についても、去年もことしもどん底だと言われてきているわけですけれども、では来年度の見通しはどのようにお考えなのか、また今後の対策についても手短にお聞かせいただければと思います。
○七瀬政府委員 来年度の新卒者の就職状況がどうなるか、今の段階で正確に予測できませんけれども、大卒の場合には、長期的な企業の動向を意識いたしますので、かなりことし以上に厳しいのではないか、同時に、経済対策、その他雇用対策の効果が出てきて、少しでもそれがよくなるような方向に持っていかなければならないと思っております。現段階で見ますと、例えばこれは本当に千ぐらいの企業の抽出でございますけれども、ことしと同程度採用するというのが三〇%ぐらいございまして、採用するが減少させるとか、採用しないとかというのがかなりあるという非常に厳しい状況でございます。 対策といたしましては、何としても今、何といいますか学卒と労働市場を非常にオープンにする、情報、そんなものにアクセスできる機会をつくる。そういうためには、適当な時期をねらって重ね重ね就職面接会のようなものを全国各地でやらなければいけない。そのためには、まずは基本となる求人を足で、今全国の安定所が足で稼いでいる、こういう状況でございます。
○宇佐美委員 今の件についてちょっと深くお伺いしたいのですが、といいますと、現在行われている就職協定というもの、ちょっと基本的な質問ですけれども、あれは企業が独自に行っているものなのか、また行政指導的なことは行われているのかどうか、教えていただけますか。
○鳩山国務大臣 いわゆる就職協定というものは、これは経済界と文部省の方で話し合って自主的にやっていることであって、実は私も文部大臣をやっておったことがありまして、そのころも就職協定の問題というのはいろいろ触れましたけれども、非常に触れにくいというのでしょうか、それは学生さんの自由もある、企業の自由もある。そこに無理やり当てはめても、枠をはめても、結局守られない枠ならばない方がいいというので、毎年くるくる変わっちゃうんですね。会社訪問をしていい日だとかなんとか、毎年くるくる変わってしまうというような状況があります。 これは本来は、文部大臣として申し上げるならば、高校三年生とかあるいは大学四年生という最終年次を勉学にいそしんで、それでも安心して就職できるようにというのが理想なんでしょうけれども、就職のことばかり考えて大学四年生を過ごしたのでは、実質大学は三年間じゃないかということから考えれば、就職協定というのはとても大事なんですけれども、何かその辺は協定があった方がいいのか、ある程度オープンな方がいいのか、物すごく難しい問題だと私は思っています。
○宇佐美委員 まさに今おっしゃられた就職協定の問題、あるべきかないべきかという議論がそろそろ必要なのかなと考えているわけですけれども、この六月に入りまして学生の就職活動も本格的になってきている中で、実際にはもう五月、六月の段階から内定が出ていたり、特にここ数年は就職難を懸念して学生側も早い時期から、聞いてみますと、昨年の十一月、十二月から動いている人もいると聞いております。 また、企業側も疑心暗鬼になっており、逆に、少数の人数を採るわけですから、協定破りをして少しでもいい人間を先に押さえようという状態の中、いわゆる軟禁状態と言ってもいいような異常な状態も発生しているわけです。 先ほどおっしゃられたような、四年生においても、大学において四年間しっかりと勉強して、高校生においては三年間しっかりと勉強するというのが本来の学生の姿なのかなと、皆さんも御同意いただけると思いますけれども、実際のところ、授業があるからといったことで例えば就職の説明会などを欠席しても、理由として会社側は認めてくれないというのが現状だと聞いております。 こういうことを考えていきますと、就職協定という形骸化した、今言われている規制というものの一つとして考えたときに、撤廃して、そろそろ学生と企業が個人ベースで、先ほど大臣がおっしゃられたように、開かれた議論というものを、好きな時期に好きな時間をかけてじっくりと決定していくという方法をそろそろ検討した方がいいのかと考えておりますけれども、重ねて御質問させていただきます。
○七瀬政府委員 就職協定につきましては、先ほど大臣から申し上げましたとおり、大学当局と産業界とのお約束事でございますし、非常に微妙な問題がございますが、いずれにいたしましても、私どもは側面から、この就職協定は就職協定として存在するものという、それを尊重しながら、ただ、できるだけオープンな場で求人情報を提供できる、そういう機会をつくっていくということが今一番私どもとして必要なことではないか。 そのためには、先走って個別の求人情報をどうのこうのというわけにはまいりませんので、その時期時期に応じて対応していくということと、それから、今でも対応できるいろいろな一般的な相談事とか一般的な情報の提供とか、そういったものは学生職業センターで御相談に応ずるような体制も整えているところでございます。
○宇佐美委員 ありがとうございます。 続きまして、女子学生の就職難の現状及び要因についてお尋ねしたいと思います。 女子学生によりますと、企業に電話を入れてみると、ことしは女子は採用しませんといきなり電話を切られたり、また、男子学生には送られてくる資料が女子学生には送られてこないといったようなことを多数の方から、複数の方から聞いております。 労働省におかれましても、近ごろ全国の婦人少年室に女子学生の相談窓口を設けられたと聞いておりますが、女子学生の就職についての現状を手短にお話しいただき、また、就職が特に女子学生にとって厳しいということについて、その要因についての御見解をちょうだいできればと思います。
○松原(亘)政府委員 御指摘のように、ことしの就職活動における女性は非常に厳しい状況に直面しているようでございます。これは、従来女性を多く採用してきた業種ですとか職種、そういうところで採用手控えがあるということから、女性に全体的な採用抑制の影響が特に出てきているということだろうというふうに考えております。 御指摘になられましたような、女性だから資料が送られてこないとか、ことしは女性は採らないと言われたといったようなことは、実は昨年の就職活動の時期にもございました。そういった声、私どもも随分把握いたしまして、ことしもそういったことが繰り返されてはならないということから、男女雇用機会均等法に基づく指針を改正し、その周知徹底を図るということにいたしているわけでございます。 また、御指摘されましたが、一昨日から全国の婦人少年室で特別相談窓口を開設いたしまして、問題があるということでぶつかられた女子学生の相談に的確に対応し、個別指導が必要な場合には企業に対する指導もやっていきたいというふうに思っているところでございます。 ところで、ではなぜ全体が厳しい中で特に女性が厳しいような状況なのかということにつきましては、さまざま見方があろうかと思いますけれども、昨年の十月時点の内定状況調査で、男子学生に比べて女子学生の内定をより一層抑えた企業につきましてその理由を聞いたわけでございます。 それによりますと、四年制大卒以上の事務・営業系のいわゆる総合職とか技術職、こういった職種につきましては、優秀な男子がより多く応募してきたので、その結果として女性の採用内定者が減少したというのが非常に多くなっております。一方、四年制大卒、同じ大卒ではありますけれども、事務・営業系のいわゆる一般職ですとか、短大や専門学校、高等学校卒業の事務・営業系、こういった職種では、女性の定着率が高まったので退職補充すべき人数が減少したということをその理由で挙げているわけでございます。 これらの背景には、私どもは、企業はまだまだ女性を本格的な労働力としてとらえていないということがあるのではないかというふうに思っておりまして、労働省といたしましては、職場において女性がその能力を発揮しやすい環境の整備を進め、女性の能力に対する社会全般の認識というものを高めていく、社会全般の理解を促進していくということが必要だというふうに考えているところでございます。
○宇佐美委員 質疑時間が終了しましたと、今紙が来ましたので、お約束どおり終わらせていただきたいと思いますが、民間の企業の雇用についてさまざまな問題が生じているのは今お話があったとおりでありますけれども、国家公務員の各省庁の採用についても、努力されているとはいえ、手元の資料によれば、労働省のこの五年間のⅠ種採用実績によりますと、百四十三人中女性は二十八人ということで、二割を少し切っている状態であるそうです。 私のところで今政策秘書を雇って、公費でいただいているわけですけれども、昨年の試験の中で、千人ぐらい試験を受けたと聞いておりますが、女性が約三分の一、三百人ぐらい受けているという中で、結果的には六十三人ということで私聞いているのですが、政策秘書として試験をパスしている。残念ながら、そのうち女性は二人だったということで聞いております。 これは問題に対する答えというものもあるのかもしれませんけれども、各省庁におかれましても、男女間の差別がなされないように御努力をいただくことをお願いして、また、いずれにしましても将来的に労働人口の減少が見込まれておりますし、雇用という非常に重要な問題でありますから、さらなる改善に向けてより一層の御努力をお願いしまして、質問を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
○松岡委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時十七分休憩 ――――◇――――― 午後二時三十五分開議
○松岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 内閣提出、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長勢甚遠君。
○長勢委員 法案の質疑に入ります前に一つだけ大臣にお伺いしたいと思っておりますが、新規学卒者の就職の問題が大変やかましいと思います。ことしの四月も大変やかましかったわけでございますが、来年就職見込みの方々はもう二月、三月から、きょうは御同業の方々ばかりでございますから、いろいろな方々が頼みに来られたりしているのですが、大変難しいという状況だと思います。 明春卒業予定の方々の就職についてどういう状況になっているのか、そしてまた、ことしがどうだったのか。先ほどベビーブーム時代のお話がございましたが、来年はもっと数が多いとすれば、ことしと同じペースでいっても、就職がはっきりしないという方の数はもっと多くなることが数量的には予想されると思うのです。そこらについて、どういう状況かを御報告をいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 先ほどベビーブーム時代のお話をいたしましたが、雇用情勢については安定局長の方から御説明をいたすと思いますが、私が文部大臣をいたしておりましたときに、一学年当たりの子供さんの数が二百五万という学年がありました。多分現在二十になってきている人たちの学年が二百五万だったと思います。それから速やかに百二十万くらいにまで減ってまいりますから、考えてみますと、雇用情勢ということは、景気だけでなくて、将来の若年労働力の著しい不足ということは今ごろから予測していかなければならないわけでございましょうし、合計特殊出生率一・五〇ということもまた将来大変難しい要素になっていくのであろうと考えるわけであります。 一つは、先生よく御承知のとおり、有効求人倍率とかあるいは失業率というような雇用に関する指標は、四半期かあるいは四半期二つ分、すなわち半年くらいおくれてくる遅行指数でございます。きょうの新聞あたりに、設備投資が三年ぶりに上向きではないか、あるいは、景気に一部明るみが、家電製品が、などということが言われますけれども、そうしたことにしばらくおくれてから雇用は改善されていくというのが通例でございますので、その点、これから景気は回復基調になっていくと思うのですが、そのおくれ分を少しでも取り戻すというか、景気が少しでもよくなったらすぐ雇用情勢もよくなるようにしりをたたくのは、これは政府の役割だ。 総理を中心にして、女子学生の問題が中心ではありますけれども、来年の新規学卒者の就職問題について相当数の大臣が集まって、例えば大蔵大臣だったら銀行あるいは保険、証券会社に自分から指示をしよう、こういうようなことで、すべての大臣がみずから立ち上がって陣頭指揮をしようというようなことをきょうみんなで決めましたのも、そういう意味合いがあるわけでございまして、なかなか厳しい状況になることはよくわかっております。 本年の数字も、大学の新卒という形で見た場合に、三月末ぎりぎりいっぱいで約九七%くらいでなかったかというのが私どもの調査でございますが、そのうち、男性と女性とでは相当な、数%の開きがあって、女子学生の場合はせいぜい九三%ぐらいであった、こういうふうに言われておりますので、なかなか厳しい状況にあることがわかっておりますがゆえに、大規模な面接会を大きな都市でどんどんやっていくとか、さまざまな情報へのアクセスが学生さんに可能になるように手配をするとか、全力を尽くしていきたいと思っています。
○長勢委員 委員会審議に協力をしたいと思っておりますので、恐縮でございますが、短時間で御答弁をお願いしたいと思います。 それでこの点、大臣おっしゃったとおり大変厳しい状況でございます。今とにかく消費税を上げたいために所得税減税をするなどという話を一生懸命やっている向きもあるわけでございますが、そんなことどころか、来年息子、娘が就職できないということになれば、だれが面倒を見るかといったらそれは親になるわけで、所得税減税どころの騒ぎではないので、私は大変深刻なことが起きなければいいかなと。 今大臣おっしゃいましたけれども、担当事業官庁が企業に雇えというのは、格好はいいですけれども、なるべくリストラはするな、不要な人材を抱えろということなのか、あるいは中小企業に人を回すなということにもなりかねないと思うのであります。むしろ現実は現実として直視をして、就職できない学生の方々も大変でございますが、その親御さんも大変なんです。もちろん労働行政が一生懸命就職あっせんに努められるのは当然でありますし、やっていただいておるわけでありますが、そうはいってもだめなものはだめということだって考えなければならぬ。そういう観点からも、私はぜひこれからの状況に応じて考えていただきたいということを御要望申し上げたいと思います。 それから、法案の審議に入らせていただきますが、今回議題になっております法案は、私個人にとりましては大変思い出の深い法律であります。したがいまして、私自身個人的な思い入れもある点はひとつお許しをいただきたいと思うのでございます。 今回の法案の中で一番大きな目玉は、定年延長を促進するということ、さらに六十五歳までの継続雇用を促進するということであります。今回いろいろな手だてを講じておられるわけでありますが、ただ、午前中同僚の大野議員からもお話があったように、大変厳しい高齢化社会を迎える。果たして六十五歳までの雇用というものを定年延長あるいは継続雇用、つまり同一企業の中でずっと勤めていただくというスタイルでやっていくことが本当に可能なのだろうか、あるいは企業、労働者も含めた社会全体として適切なのだろうか、何かほかの雇用システムというものも考えていかなければならないのではなかろうかという思いがいつも捨て切れないでおります。 そうしますと、今回義務化をするあるいは継続雇用の促進をするということは現状ではやむを得ないというか、私は、それしか方法がない以上はやむを得ないと思いますが、長期的にはこれだけでは高齢化社会を乗り切れないのだということも視野に入れて検討していただかなければならぬのではないかと思います。ここ最近、中期雇用ビジョン等も議論をされておるというふうに聞きます。先ほど来、大臣いろいろな観点からの柔軟なお話もお聞かせいただいておりますが、この点についてどのようにお考えか、一度お伺いさせていただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 中期雇用ビジョンも内容が明らかになりつつありますけれども、これもしかし二〇〇〇年程度のことでございますから、本当のことを言えば、もう少し長期の雇用ビジョンをどう描いていくかということが重要になってくるわけでありましょう。これは当然年金の議論とも一致してくるわけで、年金では二〇一三年というのが一つの節でしょうし、あるいは二〇二〇年とか二〇二五年というような議論もされているわけで、そのころの我が国の人口構成がどうなっているかということ、そして産業構造がどう変化していくかということをあわせ踏まえていかなければいけないのだと思うわけです。 私どもは六十五歳まで現役で働ける社会をつくろうと、これは年金の支給を六十五歳へ延ばしていくこととぴったり一致する形で議論をしておるわけですが、それでは六十歳というところには何の意味もないかというと、やはりそうではないだろう。六十歳まで懸命に働いた方がもちろんこれから継続して、日本型の長期安定雇用というのか、昔でいえば生涯一つの会社に勤め続けるということでありましょうか、そういうような形で勤めていくとこを希望される方はそうやって現役を続けていただこう。しかし、もっと多様な就業形態、短いものがいいとかもつと別の形がいいとかいう形で多様な希望があるだろう、個性的な御希望もあるだろう。そうした方々ができるだけ希望に沿っていろいろな形で就業できるように整えていくのが、また別に大きな仕事であるだろうと思います。 基本には、今までの会社でこのまま、まさに昔からの日本風のやり方でございますが、続けていきたいという方が六十五歳まで続けていけるように基本線を固めようというのが今回の法改正の基本中の基本にあることだと思います。
○長勢委員 今回の法改正の趣旨はそのとおりだと思いますし、当面この問題として前向きな施策だと評価しております。 ただ、今はまだ六十歳ぐらいでやめて、六十五歳まで働かないのか働けないのか知りませんが、そういう部分の方々もおいでになるとか、特に人手不足時代はある程度余裕を持った雰囲気もありましたけれども、これからずっと法律的に義務づけて、六十五まできちっとおるのが当たり前という社会にしてしまうことになるわけであります、六十五まできちっといかないにしても。とすれば、若い人たちがどんどん減る、企業の新陳代謝はそれだけ固定化をしていく。 技術革新の中でいつも同じ会社におって、企業でさえ一つの企業の寿命が何年と言われておる時代に、同じ企業におることを当たり前のように考えるという発想自体が、社会全体、個人の労働者の人生設計において本当に正しい姿なのかどうかということを少しは考えていかなければならぬのではないか。私は、今回の法律について申し上げているのではありません。そうすると、大臣の御専門の一つでもあります教育のあり方から考えなければならぬかもしれない。そういう視点について、一遍大臣の見解を伺ってみたいなと思ったのが質問の趣旨でございます。次の質問にしたいと思いますので、また改めていつかの機会にお聞かせいただきたいと思う次第であります。 私は、この法案の中で、今回改正はないようでありますが、ぜひ大臣にシルバー人材センターの重要性ついて認識を新たにしていただきたいと思っております。これはもう大臣御案内だと思いますが、発祥の地は東京都であります。そして、東京都でも現在会員の方々が四、五万人はおいでになるのではないかと思いますが、全国で大変に喜ばれておる制度である。私がその立案者の一人でありましたので、自画自賛するようでございますが、私自身大変誇りに思っております。これについて、ひとつ大臣の評価というか御認識を伺いたいと思います。
○鳩山国務大臣 高齢者が仕事を通じて生きがいを持って、結果として若さを保ちながら有意義な人生を過ごしていく、これは従来から大勢の皆さんが希望しておったことでありましょう。そのことが大河内先生の発案等に相まって、いずれ予算補助をするようになり、そして法律化されてシルバー人材センターという、今でも毎年何カ所かずつふえているように聞いておりますが、立派な仕組みができ上がった。 しかも、長勢甚遠先生はいわばシルバー人材センターの生みの親というか育ての親であるという評価が労働省内では定着をいたしておりますから、そういった意味では、政界に身を転じられた長勢代議士におかれては、これからもシルバー人材センターの守護神としての御活躍を心から期待申し上げる次第であります。
○長勢委員 ありがとうございます。私個人のことは結構でございます。 シルバー人材センターの理念というものがあるわけでありまして、自立自助、共働共助、こういうふうに申し上げておるわけであります。そして私は、その運営については役所は口を出さないというのが基本だと思っている。自立自助で運営してもらう、つまり、自分の考えでやってもらう。役所が通常の団体のようにいろいろな監督をしたり指導をしたりということのないようにした方がいい、自由にやってもらうというのが基本だと思っております。 ところが、誤解をされておって、自立自助というのは、国が金も出さないのが自立自助になる、金の面で自分で自立をしていくのが自立自助の精神だというふうに誤解をしている向きが前からあることを私は大変残念に思っております。運営は自立自助、したがって、その運営ができる最小限の補助にとどめるべきでありますし、といって、何もしないでほっておくというのはその話とは全然関係のない話です。 なぜならば、この団体は利益を生む団体でもなく、また、この団体を通じて働きたい方々が生活する場を求める団体でもないわけであります。まさに生きがいを求め、就業を通じて社会に貢献しよう。そこで仕事がないといって文句を言ったりという団体ではないわけでありますから、安定所とは違うわけでありますから、こういうことの理解の上に立てば、そのあっせんあるいは就業開拓のお手伝いをする人件費、事務費だけは国で見る、その運営費は自分らの考え方で運営をしていくというのが基本だと思っております。 ややもすると、自立の方向を目指す、補助金をなるべく減らすのが正しい方向だというようなことを言う向きがあるやに聞いておりますが、大臣の耳に入っておられるかどうか、あるいはそういう考え方についてどのようにお考えか、お伺いさせていただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 正直言って、財政当局から直接聞いたわけではありませんが、財政当局の考え方は、シルバー人材センターのようなものが一定の年限歴史を築いていけば徐々に軌道に乗っていくのではあるまいかというようなことで、いわゆる経常費ですね、運営費の補助も減らしていってもいいというような見方があるような、そういううわさは実は聞いたことがありますが、私はただいまの長勢先生のお話に全く賛成でございます。 それは、仕事をいろいろとってくる、市役所等から仕事が来た場合の、委託の場合の補助の話がありますね。このことについてもいろいろ議論があるのだろうと思いますが、そのことはちょっと別に置いたとしても、この運営費については、こういう貴重な活動をしている方々のことはきちんと面倒を見るべきであって、その運営費補助の割合を減らしていこうという財政当局の意向があるならば、これとあくまでも戦っていかなければならないと思うし、そういう考え方に妥協する労働省のお役人さんがいれば説得をしていきたい、こういうふうに考えております。
○長勢委員 大変力強い御答弁でありがたく思いますし、ぜひお願いしたいと思います。 同時に、このシルバー人材センターが国なり市町村の補助に頼っておんぶにだっこになるようでは、これまたろくなことはない。そういう意味で私は、通常の人件費なりなんなりと同じように毎年上げていくとかそういうこそくなことはやめて、ある程度ばかんとやって、それで、あとは頑張ってもらう、また相当程度乖離が出たときに考えるというぐらいのやり方でいいのじゃないか。この団体まで一般の補助的団体と同じように扱われることは非常に自主性を失う、法の趣旨に合わないと思っております。 そういう意味で、事務的にお伺いしますが、一団体当たりの通常経費に対する予算の補助の額はどういうふうになっていますか。過去からどれくらい上がっているのか、下がっているのか。
○渡邊(信)政府委員 シルバー人材センターにつきましては、会員の数とか就業延べ日数に応じてAからDまでの四ランクございまして、Aランクが一千八百四十万円、Dランクが一千二百九十万円ということで来ております。
○長勢委員 それは予算の制度ですよね。それはどういうふうに上がってきたのか。それから実績はどうなっていますか。わからなかったらいいです。済みません、資料要求してなかったので。 年々伺っていると、私も役人上がりですからやり方はよくわかりますが、何か名目をつけていろいろな上げ方をしておられる。それは大変御苦労いただいていることはわかるのですが、やはり私は、前向きに、人件費それから経常経費というものはきちっと渡す、確保していく。しかも、必要があるときにはある程度の段階で上げる。余りわけのわからぬ形で予算づけをしていくことは、逆に運営に対する介入を招いたり、そういう意味での自立性を失ったりするという意見を私は持っております。 ぜひ大臣には、このシルバー人材センターが法の趣旨にのっとって発展をしていくように、いじるとかえって違った、あらぬ方向で巨大化していくとろくなことにはならないと私は思っておりますので、ぜひその点よろしくお願いいたしたいと思います。 今回の改正の中に、高齢者の派遣の特例という制度が設けられることになりました。これも実質的には六十歳以上の方々が短期間働くような感じの運営になるのかなと思うわけでございますが、派遣のあり方をこういう形で取り入れたことは画期的な一つの改正だと思っております。ただ、そうはいっても、これはうまくいくのかなということも心配をしているわけでございますが、この特例の基本的な考え方、運営方針等について、問題がないようにしていただかなければなりませんので、一応お伺いさせていただきたいと思います。
○渡邊(信)政府委員 今般の高齢者雇用安定法の改正の大きな目的は、六十歳代前半層の高齢者の雇用をどういうふうに進めていくかということでございました。その一環といたしまして、高齢者の多様な働き方のできるような場を確保したいということで、今御指摘のような高齢者の派遣事業の特例というものを今回設けているわけであります。 六十歳を過ぎますと、必ずしもフルタイム雇用だけではなくて、専門的な知識等を生かして裁量的な働き方をしたいという高齢者もふえているわけでありまして、六十歳以上の高齢者だけで行う派遣事業については、原則自由にこれが行えるようにしたいということでございます。 ただ、これは初めての試みでございますので、実際の運用になりますといろいろな問題もあろうかと思いますが、その点十分審議会等の御意見も聞きながら、あるいはまた常用労働者との摩擦の問題等ができるだけ起きないような、そういったことを工夫しながら運用していきたいと思っております。
○長勢委員 午前中も大野先生から御質問があったようでございますが、いわゆるこれから介護を要する方々が大変ふえるという問題が言われておるわけであります。また、医療体制についてもいろいろな意見があるわけであります。しかし、私が先日の本会議でも御質問を申し上げましたように、こういう場合に、いろいろやるにしても、みんな人の問題がついて回るわけであります。必要な介護労働力を確保しなければならないとか、必要な医療従事者を確保しなければならないということがよく言われておるわけでありますが、これはかかって雇用労働政策に大きくかかわる問題であります。 介護労働力あるいは医療従事者の労働力確保ということが言われておりますが、労働省として、そういう方々の量、質、例えばパートであるとかという質もあるでしょうし、技能の質もあるでしょうが、量、質等についてどれだけの供給が日本の労働市場の中で適当であるという観点を持って、その幅の中で厚生行政、医療行政を進めてもらわなければ、日本全体がおかしくなるわけであります。 私は、あるところで、これから看護婦さんが大変足りない、これから卒業していただく若い女性の十分の一は看護婦さんになってもらわないと困るという話を聞いて、ちょっと頭がおかしいんじゃないか、余りにも世間をばかにしていると思いました。その方がどういう意味でおっしゃったのかわかりませんが、それから私の聞き違いであるかもしれませんが、そういうことを各行政がやれば、若い人たちはみんなでとり合いになる。 これをきちっとして、日本の中でどこの分野へどういう人たちに行ってもらうようにしなければならないかということをきちっと整理をして、その範囲で行政をきちっとやってもらうように工夫してもらう、これは普通の会社なら当たり前のことなんですね。みんな勝手に自分の欲しいものをてんでんばらばらに言って、労働省がそれをやれと言われて、やれない労働省はけしからぬと言われて、それでわんわんわんわんとやって、やれないことをやっていって、これでは下請もいいところで、現場の安定所でも監督署でも大変困るわけです。企業だって、労働省の言うことと監督官庁が言ったことが違ったのではやっていけない。私は、このことをぜひ大臣には認識をしていただきたいと思うのです。 今介護から申し上げましたが、これからこういう問題が大変大きいだけに、ぜひ、必要な労働力というのはその政策官庁だけで決められるものではないということをまず関係大臣にはわかってもらわなければいかぬ、それは労働大臣の責任だと私は思います。そうしなければ、労働省だけではなくて日本の労働政策はめちゃくちゃになる、そのことに大変危機感を持っておりますが、最後にこれについて、力強い御決意を聞かせていただいて終わりたいと思います。
○鳩山国務大臣 今のお話は全く先生のおっしゃるとおりで、私は労働大臣になってまだ一月と二日か三日だと思いますから、まあ短いことは理由にはなりませんが、こうした問題を知って、もっともっと労働省がイニシアチブをとってやっていかなければいけない問題だなとつくづく思いました。 看護婦さんについては、これは資格のあることでございますので、私は医療について詳しいわけでもありませんから、主として介護というような点でお話をするとすれば、今厚生省の方の方針では、基準看護、介護というのでしょうか、そういう感覚で、これは患者の、あるいは患者の家族の負担ということで、一つの病院の中ですべてを完結できるような仕組みというようなことを盛んにやっておられるわけですね。 それはそれで一つの患者負担の軽減になればいいことですが、専らがそういうような形で行くと、今いわゆる個人的に雇われて介護しておられる方、私の父も昨年の十二月に亡くなりましたけれども、約三年半寝たきりでございましたから、病院に常にそういう介護の方に家政婦紹介所を通じて来ていただいておったわけですね。そういう方々は、私たち、締め出されちゃって病院に入れなくなるから仕事がなくなっちゃう、どうしてくれる、こう言うわけですね。ところが一方では、介護労働力が決定的に不足するだろう。それは病院で何人の方が面倒見てもらえるかわからないけれども、在宅で寝たきりの世話をする必要な方がそれこそ百万人いるかもしれない、あるいは八十万人いるかもしれないという話になってきますね。 だから、そうなってくると、私たち、病院から締め出されて仕事がなくなっちゃうのよという話がある、片方は、もう介護労働力が全く不足していて、一体どうすればいいんだという話があって、ですから、厚生省的な話と労働省的な話というのが、それは打ち合わせばいろいろやっているとは思うのですが、一見すると物すごくばかばかしい、矛盾するような話なんかまで出てきてしまっておりますから、この辺は、要は今後の日本の人口構成の中でどれくらい介護が必要な方が出てこられるか、そういう方が病院にはどれくらい入られるか、在宅では一体どれくらいなのか。いわゆるゴールドプランで言われているようないろいろな制度がどの程度必要なのかということから計算すれば、当然必要な介護労働力というのは出てくるわけですね。 今後の日本の産業構造の変化、産業構造審議会が何と言うのか知りませんが、産業構造の変化というのを考えてみれば、そこから労働力の需給関係も決まってくると考えた場合に、むしろこの介護労働力などという分野は、成長産業というわけではありませんが、最も新しい雇用を創出する分野ではないかとさえ言われているわけですから、その辺はできる限り労働力の総量をどう考えるかという形で、具体的には家政婦紹介所と企業がタイアップするような形だとか、いろいろなことは専門家がみんな、長勢先生の後輩の方々がみんないろいろプラン練っていますよね。しかし私は、大まかに言うと、労働省がもっとイニシアチブをとってやるべき問題だなということをつくづく思い知らされた、そんな気持ちです。
○長勢委員 どうもありがとうございました。 終わります。
○松岡委員長 寺前巖君。
○寺前委員 先ほど労働大臣から、この間ですか、急速な高齢化の進展に対応するため、二十一世紀初頭までに少なくとも六十五歳まで現役として働けるような社会の実現を目指したい、そのために六十五歳までの継続雇用の推進以下云々ということをおっしゃいました。本当に継続雇用ができるのだろうかということが私は気になる。 最近労働省の資料を読ませていただいておりましたら、六十歳定年制を定めている企業は、政府の調査で八〇%、予定を含めると九四・四%になってきた、定年の方はずっと行ったなと。ところが、早期退職優遇制度とか退職出向とか、いろいろな形で出てくる。雇用管理調査報告というのを見ると、それが非常に明確に出ている。退職出向の年齢別企業数の割合を見ると、五十歳から五十九歳までの退職出向の企業というのは五六・三%を占める。ちょっとあそこへ行ってしもうてくれやという話でしょう。企業規模別で五千人以上というところでは七九・二%という統計数字が出ておる。 そうすると、継続雇用ということを言っておられるけれども、六十五歳までどころか、六十歳の定年まででも事実上継続雇用にならないという実態が現実化している。これをどうするかという問題に対して、労働大臣としての所見を聞かせてほしいと思います。後の話は私が具体的に聞きますから、大臣から聞かせてください。
○鳩山国務大臣 これは労働力の移動の問題と、長期的に安定的にずっと一つの会社に勤めるという、しかも年功序列制のもとで勤め続けていくということ、両極端に二つの制度があるとすれば、我が国はもちろん労働力の移動というような観点は今までは比較的少なかったわけでございますが、今後産業構造の変化としてどういう形を生んでいくかということに私たちは最も大きな興味を抱いているわけです。 基本的に、これは年金のこともありますけれども、六十五歳まで現役で働いてもらおう、もちろんそれは同一の会社に働き続けるケースもあろうし、あるいは別の会社へ移ることもあろうし、あるいは就業形態を変えていく場合もあろうし、その間に成長していく産業もあるし、衰退していく産業もありますから、当然労働力の移動というのもあるわけですから、例えば四十五というような中高年になってからみずからの新しい職能を開発して移っていこうという、自発的な意思で移っていこうという方も出てくるわけでございましょう。 ですから、それはいろいろなことがあろうと思うのですが、とにかく私たちは、六十五歳まで現役で働くという場合に、その一つの背骨のようなものとして、一つの企業にずっと勤め続けたいと希望する方が勤め続けることができるように方法を考えようというのがこの法改正の趣旨でございまして、それは優遇された退職金をもらって自分で事業を起こすとか別の方向へ行こうという方をとめることはもちろんできない、こういうことだと思います。
○寺前委員 そこで、私、具体的に聞きたいと思うのです。これは担当の局長さんなりで結構です。 新日本製鉄株式会社の三月三十日「「第三次中期経営計画」における人員対策について」という文書を私はいただいたのです。この文書を見ると、文書の中にこういうところがある。出向計画、いろいろ書いてあるのですが、「こうした出向先企業からの転出要請と、」転出要請ですな、来てくださいと、「総労務費の構造的な圧縮の必要性」これを踏んまえる、自分の会社の、新日鉄の労務費の構造的な圧縮の必要性を踏んまえて、「関係会社への転出については、現行協定の「関係会社勤務のため退職する者に対する援助措置」を改訂し、五十七歳以上の方々に対し会社としてこれを要請することとし、」五十七歳以上はもう無条件に、出向先からいろいろ言ってきているからそういうようにやってもらおう、「加えて、早期に要人員・労務費構造のスリム化を図らなければならない実情を踏まえ、五十五歳以上の方々に対しても、関係会社への転出を要請することとする。」上からのしかかってしまう。こういうええのがありますさかい、あんたちょっと協力してここへ行かれたらどうですかという、紹介じゃない、五十七歳以上は無条件、いや、五十五歳からも考えさせてもらいましょうと。 さあ、大臣は、一つの企業における継続雇用を目指していきたいということを今おっしゃった。今度の法改正はそういうことで考えているんだ、こうおっしゃった。それじゃ、この現に起こっている新日鉄の問題、法は直ちに施行しないかしらないけれども、日本の企業の背骨をなすところの役割を担っている社会的に大きな企業がこういう方針をお出しになっていることに対して、労働省としてはどういう対応をされるつもりですか。
○渡邊(信)政府委員 今後日本の国は非常に急速に高齢化が進展することが見込まれているわけでありますが、これは、私どもが今まで経験したことがない時代だということであろうかと思います。そういう時代に対応して雇用慣行を変えていきますためには、大変長い血のにじむような努力がやはり必要だろうというふうに思います。処遇、採用あるいは賃金、こういったものの見直しを行いながら、着実にこれを実現していくということであろうかというふうに思います。 先ほど大臣が答弁をされましたが、一つの企業において継続雇用するということは、やはり一つの背骨という大原則であろうかというふうに思いまして、当面の課題として、企業が企業グループも活用しながらできるだけ雇用の場を確保していこうというふうな雇用の確保のやり方は一つのあり方ではないかというふうに考えております。
○寺前委員 あなた、背骨や言うたけれども、その背骨に対して、今言ったような新日鉄の方針は、これはどういうふうに、この法の、直ちに施行じゃないから今やらぬというわけにいかぬでしょう。こういう精神を、日本の背骨をなすところの新日本製鉄ですか、やるとなったらこの協力方を要請するという措置をやらないかぬことになるでしょう。もうやっているんですか、やってないんですか、やるという方向を明確に言えるんですな、どうでしょうか。
○七瀬政府委員 六十歳定年というのは、年齢が六十歳に達したら自動的にか、あるいは予告があるのかもしれませんが、そこで退職をするというシステムでございます。ただ、これはその前の年齢、もう少し若い年齢において企業が、例えば労使間でよく話し合っていろいろな措置を設けながら、早期に退職していただくような要請をしたり、そういうことは企業の置かれている経営状況その他トータルで考えなければならないわけでございますので、こういった措置が直ちにその六十歳定年ということを目指すこの法案の趣旨に抵触するものではないと考えております。
○寺前委員 あなた、何を聞いておるんだ。私は大臣の話を慎重に聞いた。六十五歳までの継続雇用の推進というのを大臣にして言われたんですよ。その前段として六十歳までの義務化を言われた。しかも、企業の継続雇用を提起された。それを柱にすると部長は言うた。ところが、新日鉄は今つぶれそうになっておるから仕方がないとあなたはおっしゃるんですか。新日鉄がつぶれるとなったらどないなります、日本の国。そうでしょう。そういう会社の問題で大臣の所信に対する方向と違うことが起こっていたら、これは指導してもらわないかぬことになる。法の施行が直ちでなくたって、精神は、背景をなすところの問題に対してやってもらうというのが重要だと私は思う。これは後からもう一回答弁してもらいますよ。 それでは、国が直接つくってきた会社とか、国が直接面倒見てきた会社というのは、労働政策をやっていく場合にはやはり大事なんだ。私、ここに国鉄が分割・民営化されて、そして今JRという会社になりました。JR東海の「六十才定年に関する協定」というのを見せてもらった。こう書いてあるんです。「(一)五十五才以上の者の在職条件は、次のとおりとする。」「在職条件」「五十四才に達した日以降の人事運用については、原則として出向するものとする。この場合、賃金は、会社基準により支給する。」「(二)前号によらず、その職を継続させることがあるが、現業管理者等の職にある者が、会社の都合によらないで職を継続するときは、五十四才時以降の人事異動において、その職の指定を解き、新職名を命ずる。」要するに干してしまうでと。「(三)昇進は、行わない。」こんな扱いを受けるんですよ、JR東海であなた知ってますのかいな。 こういう問題では、大臣のおっしゃった六十五歳まで継続雇用、その企業の中において継続できるように、全然違う方向になるじゃありませんか、JRの問題。 私、この問JR東海のある人に話を聞いたのです。今回四十人ほどがこの協定に基づいて出向させられることになる。どういう問題が起こっているかといえば、普通六十歳定年制の職場なら、六十歳になって退職するときに、御苦労さんですと慰労会を開くのが、ここでは五十四歳で出向激励会と兼ねてお別れ会を開くという。今までの同僚とはその時点でもう会うことはなくなるんだ。賃金については出向元の基準で支払われることになっているが、それも五十五歳の時点から八五%にカットされる。今までと全く労働条件が違うところで働くことになり、それまであった特勤手当とか乗務旅費の手当が支給されないことになって、月五、六万円の減収になってくる。出向に応じた後も行き先は知らされない。ある労働者の場合には、この方は車掌長でしたけれども、長年腰痛を思っているにもかかわらず出向先での業務は駅舎、車両の清掃だと言われ、だから当然それでは体がたまらないという問題が起こってくる。そうすると、ついにやめていかなければならぬという問題に直面するのじゃないだろうか。 出向というのは、御協力いただきました、そんなきれいごとじゃないのだ、こういう被害を受けて。しかも、そこで年いってから新しい仕事に行ったときにはもう耐えられなくなる、やめていかざるを得なくなってくる、こういう事態が生まれるということになると、この肩たたきとかいろいろな形の出向問題に対する対応策を持たなかったならば、せっかく大臣、六十五歳までの継続雇用とおっしゃっても、これが死んでしまうじゃないか。この際、この問題について改めて検討してくれますか、大臣にお願いしたいと思います。私は担当の人の話はさっき聞きましたから、もう私の質問時間ありませんから。
○七瀬政府委員 定年制をもとに継続雇用を推進していくということ、それは非常に大事だと思います。 ただ同時に、個別企業の置かれている状況の中で、いろいろな労使問の話し合いなどの中で早期退職制度とか出向とかいった制度をかみ合わせて運用していくということそれ自体がだめだというようなことにはまいらないだろうと思います。要するに、六十五歳へ向けてそういうシステムを定着させていくには、先ほど部長が申しましたように労使の努力が要るわけでございます。またそういった意味で、出向制度というものも継続雇用の一環として位置づけられております。それから賃金の問題については、またいろいろな合理的な枠の中で常に賃金が上がっていくわけではない、場合によっては仕事の内容が変わるに従って下がるということも、労使の話し合いの中であり得ることだろうと思っております。
○寺前委員 もう時間が来たので、大臣にお話を聞きたいのです。 要するに、大臣がせっかく雇用の継続を言って、そうして定年の時期を延ばして義務化させて、さらに六十五歳までと言うのに、その前にこういう処置をしておったらそれは名前だけになるよ、私はここは検討してもらう必要がある。
○鳩山国務大臣 昨日、先生の同僚の吉井英勝議員から予算委員会で御質問を承って、そのときにいただいた資料は鉄鋼関係の円高不況時のものだったかと思いますが、雇用調整助成金が相当出ておる、しかしその間に、人員整理というか、これは欠員不補充のような形ではないかと思うが、雇用調整助成金がどんどん出ていながら結局社員総数が減っていくのは一体どういうわけだ、こういう趣旨の御質問がありまして、やや関連する部分があろうかと思います。私は、労働協約その他については全く知識がありませんが、雇用調整助成金をもし出していなければもっとひどいことになったのではないですか、決して会社が雇用調整助成金を取り得しているような情勢ではないと思います、などというような御答弁もいたしました。 それと同時に、産業構造の変化、つまり成長していく産業と成長できない産業と分かれていくわけでありましょうから、当然その企業その企業の経営状況とかどの程度利益が出ていくかという変化の中で、それは私どもがいろいろな法律や施策をつくりましても、どうしても経営が悪化して人員を整理せざるを得ないようなところが出てくれば、これは各企業の判断に任せるしかない、こういうことになろうかというふうに思うわけでございます。 ただ、先生の今の御指摘やお話は私は非常に意味を感じるわけでございます。というのは、今回の高齢者雇用安定法というのは高らかに理想をうたいとげていると思うのですよ。六十五歳まで現役で働ける世の中をつくろうという、そういった意味では相当な高い理想、高い理想というか現実化しなければならない理想を掲げているわけですから、その理想に反するような事柄というのはすべて問題意識を持って見詰めていかなければならない、そういう気持ちは持ちました。
○寺前委員 ありがとうございました。
○松岡委員長 次に、池田隆一君。
○池田(隆)委員 今回の提案されています安定法の改正案については、私たち社会党としては大変評価をしております。さきの細川政権時代につくり上げたということにおいて、私たちが加わっていた意味も大きかったのかなという意味も含めて評価をしておりますけれども、確かにこの定年制の延長問題については長い歴史があるわけでございます。 二十年前の一九七三年一月には第二次雇用対策基本計画が出されて、六十歳を目標に定年延長を促進するということからこの問題が始まっていったというふうに理解しております。そして、途中ちょっとはしょりますけれども、直近の八六年の現行法の中でやっと努力義務として法の中に明文化されていった、そして今回初めてそれが六十歳未満の定年を禁止するという形で導入されたことは、本当の意味で積極的に評価をしていきたいと思います。 しかしながら、昨今の雇用状況を見ますと、これが本当に確実に実施していけるのかどうかというような意味においては、非常に不安を感じるところでございます。そういう意味で、労働大臣の方から、この六十歳定年の早期確立と六十五歳までの雇用確保についてどのように進めていくのか、その御決意をまずお伺いしたいと思います。
○鳩山国務大臣 きょうの午前中の大野功統先生の御質問で、あなたは保守かリベラルかということを聞かれて、私は、強きをくじく必要はないけれども、やはり配慮や場合によってはケアが必要な方をきちんと面倒見るのが政治ではないか、こういうことを申し上げた。そういった意味で言うと、例えば子供とか御婦人とか障害者とか高齢者というのは配慮を払わなければいけない人たちというふうに思い当たるわけでございまして、私はいつもそういうふうに物を考えているから、大野先生にあのようにお答えをしたのです。 ただ、池田先生にちょっと私矛盾したことを言うのではありませんが、これは日本の国がこれだけの長寿大国になってきたということと直接大きな関係があるわけでございまして、それは我が国を繁栄に導いていただいた先輩であるお年寄りに敬意を払おう、そしてお年寄りは体力的に衰えてくることがあるから余計神経を使って見てあげなければならないということは十二分に考えていますけれども、率直に申し上げて、今のお年寄りは総じて非常に元気があって、昔のお年寄りと同じ年齢でいえば十年ぐらい若いということが明らかに言える。 そうなりますと、まさに統合というのでしょうか、不自然なく統合する、インテグレーションなんという言葉が障害者教育等でも言われますけれども、要するに、六十歳の方はもちろん、六十五歳ぐらいまでの方はいわゆる働き盛りの方々と一緒に仕事をして生きがいを感じられるだろうし、世の中もそれて発展するだろうし、そういう世の中を描いていこうというのが、厚生省的にやっていく作業も労働省的にやっていく作業もある程度の一致点を見出しているのではないだろうか。 ただ、六十歳という線がないかといえばそうじゃなくて、六十歳ぐらいになったときにはもっと別の仕事にしようとか、もっと自分の好みに合った就業形態で短期的なものでやっていこうとか、それこそシルバー人材センターのようなところでむしろ仲間と地域コミュニティーを楽しみながら共同で仕事をしていこうとか、いろいろなことが発想できる、その辺の自由な選択の余地を残しつつも、六十五歳まで基本的には現役でいける世の中をつくりたいというのが私の気持ちです。
○池田(隆)委員 高齢化社会と言われる中で、本当に生きがいを持って生活できるためにも雇用というものが非常に重要になってくると思っておりますので、よろしくその決意を進めていただければというふうに思います。 それで、具体的に法案の中身に入らせていただきたいと思いますけれども、この改正案でいけば、六十歳の定年を導入した、しかしこれを完全に実施していただきたいという年を平成十年度としているわけですね。この間猶予期間を持っているわけですけれども、この猶予期間はなぜ設けられたのか。御説明によりますと、一応中小の企業、そこに配慮してという形でとられたというふうに説明を聞いておりますけれども、猶予期間を持った理由は本当にそういうことでいいのかどうかということが第一点でございます。 ちょっと時間がありませんので、もう一点これに関連して、そういう理由だとすれば、期間を持ってきちっと整備をしていただこうということであれば、定年制をすぐ六十歳にできる企業は率先してやっていかなければならない、平成十年まで待てばいいんだという理解ではないだろうと思うのです。ある程度の従業員を抱えている、例えば中企業といいますか大企業といいますか、そういうようなところについては速やかにこれを履行していくような形を労働省としても指導していくべきでないかと考えるわけです。 例えば、五千人以上規模のところでもまだ決めていないというところもあるように聞いておりますけれども、とすれば社会的責任も大きいわけですから、そういう企業については、現行法に基づく指導ばかりでなくて、企業名の公表も行う中で行政指導を強化していくべきではないかと考えます。そして、他の企業についても、さっき言ったような理由であるならば、一日も早く、一年でも早く対策をしていく、そして平成十年を待たないうちに完全実施ができるようにやっていただきたいと思いますけれども、具体的にどのような対策を講じていくおつもりなのか。この二点をお聞きしたいと思います。
○渡邊(信)政府委員 まず初めの、六十歳定年制の義務化の施行時期を平成十年四月一日としている点についてであります。 現在から三年強の期間があるわけでありますが、これは従来、現行の努力義務規定に基づきまして指導している際に、三年程度の期間内に引き上げをしてほしいということで要請してきておるわけであります。定年年齢の引き上げは実際には相当な問題を伴うわけでありまして、例えば採用をどうするか、一歳定年が延びますと、その一年間新規採用をしないのか、あるいはポストをどうするか、退職金をどうするか、いろいろな問題がありまして、最低三年くらいの準備期間は必要であろうということで、従来から三年の期間ということで指導してまいりました。そういったことと、六十歳定年の普及状況を見ますと大企業と中小企業との間には顕著な格差がない、こういった実情にありまして、こういったことを踏まえまして、今回の改正案におきましてこの六十歳定年の規定の施行時期を平成十年四月一日と、三年強の期間を持って施行することとしておるところであります。 続きまして、このことによってもう少し早く六十歳定年に引き上げができるのに延ばすという問題はないのかという点についてでありますが、現在私ども現行規定に基づきまして引き上げの計画を提出していただいております。その中には、ことしやる、あるいは来年やるというものが既にあるわけでありまして、そういった企業については現行法に基づきまして引き続き速やかに引き上げの指導を続けてまいりたいというふうに思っております。
○池田(隆)委員 いずれにしても、どうしても時間のかかる部分もあろうと思います。しかし、すぐ実施できるようなところもあるのではないかと思いますので、強力な働きかけをお願いしておきたいと思います。 先ほど早期退職優遇制度のお話が質問されました。これはるる申し上げることはいたしませんけれども、やはり働く者として、退職優遇制度があるということは、みずから何か事業を起こすとかそういう部分については自分個人として考えてみればそういう制度があることはいいことですけれども、逆に自己都合ではなくて会社側からという場合、肩たたきみたいな形で来るとこれが悪用されるのではないか。そうなれば、せっかく定年制を設けたけれども結果的には定年で終わる者は極めてわずかだったということになると、この問題は大きな問題ではないかと思います。それは出向も同じ。特に退職出向というものも大きな問題だというふうに考えます。そういうことで、悪用をさせないためにきちっとした指導をしていかないとならないという立場で、労働省はどういうふうな指導をしていくおつもりなのか、それについてお答えをお願いします。
○七瀬政府委員 御指摘のとおり、早期退職優遇制度はあくまで任意に退職するということを前提に退職金を上積みするなどの優遇制度を講ずることでございますので、その趣旨どおりに運営されている限りにおいて、六十歳定年と矛盾するものではないと考えております。 それから、退職出向は、さまざまな事情から労働者を定年である六十歳まで企業内において雇用することが困難な場合に、実質的に六十歳までの雇用の場を確保しようとするものでございまして、労使の合意の上で出向を雇用確保の手段として使っているということがあれば、それは一つのやり方であろうかと思っております。 ただ、早期退職とか退職出向の勧奨というものがおっしゃるように強制にわたるというような、そんな方法によって行われて、実質的に解雇と同じような判断がされる場合には、やはり六十歳未満定年を定めているのと同じではないか、こういうことになろうかと思いますので、なかなかその判断が微妙な点はあろうかと思いますが、ともかく実質的に解雇と同じだというような運用がなされているものについてはきちんとしていかなければならない、このように考えております。
○池田(隆)委員 いずれにしても、悪用にならないように、きちんとした調査も含めて指導方をお願いしたいと思います。 次に、六十歳以上六十五歳までの再雇用の問題で若干質問をさせていただきます。 雇用管理調査の数字ですと、六十歳以上の定年制のある企業のうち、勤務延長制度や再雇用制度のある企業の割合は約七〇%に達しているという形で、その年齢も六十五歳を超えている部分があるというふうな数字がございます。しかしながら、その定年制を設けている企業で勤務延長制度や再雇用制度のある企業全体のうち、原則として希望者全員を対象としている企業を見てみますと、二つの制度とも希望者全員ということは二八・六%ぐらいしかない。そして、会社が特に必要と認めた者が三八%、三七%。それから会社が定めた基準に適合する者全員ということが、これは極端に減りまして一二%、一六%、こういう形で数字は少ないのですけれども一割強あるわけです。 つまり、自己の希望によると言っていながら、会社の特に必要として認めた者、基準に適した者という形が多いとすれば、企業の選別が行われていって、多くは一年ごとにしか更新されていないようですけれども、六十歳以上六十五歳まで雇用をしていきたいということがなかなか進んでいかないのではないか。結局は、この六十五歳までの継続雇用制度が現在二割程度しか普及していないということでいけば、このような状況を踏まえて、労働省としてはどのような具体的な改善策を進めていこうとしているのか、それを明らかにしていただきたいと思います。
○渡邊(信)政府委員 六十歳定年制につきましてはようやく八〇%というところまで達してきたわけですが、六十歳を超えて六十五歳程度まで雇用するという企業は、先生御指摘のように、まだまだ非常に少ないというのが実情であります。これからの高齢化社会を展望いたしますと、これはどうしても六十歳代の雇用を促進していくということが大きな課題であろうかと思っております。 こういった状況を踏まえまして今般の法改正をお願いいたしまして、六十五歳までの継続雇用ということについて労働大臣が企業を指導できるという根拠規定を置かしていただきまして、この規定に基づいて企業の実情に合った計画というものをつくっていただく、こういったことを行いながら、二十一世紀初頭までにはこういった制度が普及するように努力をしたいというふうに思っているわけであります。 一方、このような指導に合わせまして、高齢者を雇用する場合の、例えば環境改善の際の助成でありますとか、多数の高齢者を雇用する場合の助成金でありますとか、こういった助成措置を効果的に使いながら、あわせて六十歳代前半の雇用が進むように促進をしていきたいというふうに考えております。
○池田(隆)委員 いずれにしても、そういうような統計からいきまして、雇用をしていても企業の都合のいい者しか、そのような状況であればこの法の精神も失われていくと思いますので、改善方、指導、新しい問題ですから十分慎重な対応を含めてやっていただきたいと思います。 それで、六十歳を超えて再雇用を希望するということになりますと、いわゆる六十歳までの現役世代としての職種の希望とそれからその後の六十歳以上の希望とおのずから変わってくるのではないかという感じもします。特に、本人の健康問題または体力の問題等々があるだろうし、また、六十歳まで人生を過ごしてきたその人生経験上からいっての希望というものも出てくるのではないかと思いますね。 そういう意味で、勤務態様のメニュー化というものがどうしても職種の選択について出てくるのではないのかなと思うのですけれども、それをどうしていかれようとしているか、労働省としては指導されようとしているのか、その辺のお考えがあればお聞かせください。
○渡邊(信)政府委員 御指摘のとおり、六十歳を超えますと個人の健康や体力等の差が出てまいりまして、希望を聞いていましても、いろいろな働き方をしたい、必ずしもフルタイムの希望ばかりではないというふうな状況になっておりまして、継続雇用という場合にもこういった、企業なり勤労者の希望に応じた選択の道がいろいろとあるということが望ましいというふうに思っております。継続雇用のいわゆるメニューの中には、フルタイムにあわせまして、短時間勤務やあるいは隔日勤務といったようないろいろな雇用の形態があってもいいのではないかというふうに考えております。 また、高齢者を多数雇用した際の奨励金、助成金につきましては、短時間雇用については二分の一程度支給するというふうにいたしまして、短時間勤務であっても助成の対象になるというふうに考えておりますので、こういった助成措置も効果的に使っていきたいというふうに思っております。
○池田(隆)委員 体力ばかりでなくて健康問題も考えて、終日働くということだったですが、そうじゃなくて、短時間または隔日に、週のうち何回かだとか、そういうふうな希望も出てくるだろうと思いますけれども、そういうふうなことも含めまして態様のあり方を、本当に喜んで働く、生きがいという側面もあるようでございますから、そういう部分も生かしながら積極的なメニュー化の対策をお願いしておきたいと思います。 次に、大きな問題なんですけれども、今言われている年金問題との兼ね合いでございます。 雇用政策というのは、今やっと法的に五十五歳から六十歳になろうとしています。しかし、年金の方は五年間進んでいまして六十五歳支給という形が考えられている。これにも経過措置があるわけですけれども、しかし、基本的な理念として、年金と雇用という関係はきちっとした明確な接続をすべきではないか。つまり、雇用が終わったときに年金が支給されるということが、生涯安心して生活していけるということがやはり働く者としては大事なことではないかと思います。 ヨーロッパでは、そういうような公的所得保障、年金、保障が、年金が得られる年齢に達したときに初めて企業の論理で定年制が可能になるというような紹介もあるわけですけれども、これは、日本としては残念ながらそういうことがないわけです。そこのところがやはり雇用不安にもなるし、生涯の不安にもなっていくわけですので、労働省としてはこの六十五歳までの雇用が早期に、保障との関係がうまく接続していけるような体制も労働省側としてもやはり真剣に考えていかなきゃならぬと思うのですけれども、労働大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○鳩山国務大臣 今まで雇用といわゆる老齢年金の問題とがどの程度歩調が合っていたのかということについては、それは、私には評価できる力がないかもしれませんが、現在、雇用政策でいろいろな議論をしていく場合に、そのほとんどが六十五歳までということで切っておりますね。それは、この法律もそうでございますけれども、例えば、特定求職者雇用開発助成金などというものも四十五歳から六十五歳までというような形ではなかったかと。ですから、六十五歳までは基本的に現役ですよという世界を今まさにつくろうとしてきているんですね。 午前中の委員会で申し上げたのですが、二〇一三年に年金が完全に六十五歳になってしまいますね。その二〇一三年というのは、昭和二十三年に生まれた鳩山邦夫、現在四十五歳。これが二〇一三年に六十五歳になるわけですから、ちょうど戦後のベビーブームに生まれた団塊の世代が、年金が先へ逃げていくのを一生懸命追いかけていく形になるわけで、だから確かに、何か印象としては、年金の方が先に決めちゃって雇用政策の方がちょっと後追いなのかなというふうな印象を、私自身も全然持たなかったわけではありません。 しかし、今こうして労働省に参りまして、さまざまなきめ細かな施策をじっと勉強しておりますと、向こう様も二〇一三年でございますから、その間にきちんとこの六十五歳現役時代というものをつくり上げればそこで歩調は合うというふうに考えられるのではないか、私はそう思います。
○池田(隆)委員 時間もありませんので、最後に一点だけお聞きをして終わりたいと思います。 この法案によりまして、高齢者にかかわる労働者派遣事業が原則的に認められるということになるわけです。しかし、現行の派遣法によりますと、職種が限定をされている、その職種しか派遣されない。これは港湾労働、運輸労働、これ以外は後で検討して認めていきたいという形になっていくわけですけれども、先ほどもありましたが、介護の問題等々いろいろあるわけですけれども、この派遣のあり方をどういうふうに基本的に進めていきたいというふうに考えておられるのか。これからは審議会等でやっていくというような形もありますけれども、どのような職種を考えておられるのか、その辺を含めて具体的にあれば出していただきたいと思います。
○渡邊(信)政府委員 今回、創設をすることとしております高齢者の派遣事業でございますが、この条文におきまして、派遣労働者に従事させることができるようにする必要がない業務というものを労働省令で定めることにしております。この省令は、関係審議会の意見を聞いて定めるということになろうかと思いますが、基本的な観点から申しますと、高齢者の雇用の場の確保という点からは、できるだけ広く高齢者が就業できることが望ましいというふうに思っております。 今まで審議会の議論等の場で出ました点は、この労働者派遣法が制定されたときの国会の附帯決議を踏まえまして、直接的な生産工程の従事者、こういったものは除外した方がいいのではないかというふうな議論が出ております。いずれにいたしましても、法制定後、関係審議会の意見を聞いて、議論してまいりたいと思っております。
○池田(隆)委員 いずれにしても、さまざまな問題がありますので、それに十分配慮しながら進めてください。 人生八十年時代を迎えて、六十五歳まで働くのが普通の時代という形で私も代表質問で言わせていただきましたけれども、それに対応して雇用システムづくりというのは本当に急務だろうと思っております。そういう意味では、労働省に課せられた任務というのは非常に大きいのではないかと思いますので、大いに期待をしておりますので、先ほど一番最初に言われました大臣の意図それからその考え方、それが十分反映されるようお願い申し上げまして、終わりたいと思います。
○鳩山国務大臣 今回三本の法律案を提案いたしておりますけれども、これは御承知のとおり、細川内閣の時代に既につくり上げてまいったことでございまして、永井政務次官の時代に法律はすべてでき上がってきている。 私は、生意気なことを言うようでございますが、今たまたま少数連立政権というような状態にはなっておりますが、労働行政というようなことであれば、それはやはり長年の歴史と伝統があって、社会党の皆様方の方がはるかに我々よりも正しい皮膚感覚を通じての知識も知恵もお力も持っておられる。そういった意味では、労働行政というのは基本的に与党も野党もないんだなということを労働省に来てつくづく思うわけでございまして、今後、日本の政治全体がそういう流れをたどっていければ、勤労者、労働者の皆様方は本当によりよい、向上した毎日を送れるだろう、そんな願いを持つ次第でございます。
○松岡委員長 宇佐美登君。
○宇佐美委員 午前中に引き続きまして、新党さきがけの宇佐美登でございます。 午後は、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案に対しての質疑をさせていただいておりますので、諸先輩と重なる点がまたあるかと思いますけれども、大臣もお疲れかと思いますが、ぜひとも御答弁をちょうだいできればと思います。 本案に関しましては、高齢者の雇用の安定を図っていく上ではさらなる前進である、そういう面から評価すべきであると我々も考えておりますが、本案について、六十歳定年制の定着及び六十五歳に達するまでの継続雇用の推進というのが一つの大きな柱であると思われますが、定年制というものが、この年齢になったらやめなくてはならないというものですから、継続雇用というものを考えたときに、長期的には、定年制は固定的なものではなく、時代の流れの中で見直されていくべきものではないのかなと。 私の場合ですと、まだ四十年ぐらい先のことになるわけですけれども、その世代になったときに、つまり、二〇一〇年になったときに我々がちょうど、二〇一〇年ですと十六年後ですか、四十三歳の働き盛り、鳩山大臣と大体同じ年ごろに私もなるわけですけれども、そのときに長期的に、先ほど申しましたように、定年制が固定的なものではなくて、時代の流れの中で見直されていくべきものではないのかな、そんな議論もあるわけですが、それについてどのように思われるのか、御見解をちょうだいできればと思います。
○鳩山国務大臣 大先輩の西岡先生がおられますけれども、私は西岡先生によく、私が高校受験の勉強を始めたころに先生はもう代議士だったのですねと言うと、そう人を年寄り扱いするな、こう西岡先生に怒られますが、宇佐美さんの今の話を聞いていると、何か非常に元気の出なくなる部分があります。ただ、これが世の中というものだ、これが時代というものだ。 したがって、私、生物学者とか人類学者が何と言うかわからないけれども、それはやはり、平均寿命、平均余命が延びて、もちろんそのためには科学技術、医療の発達、環境、衛生、いろいろな要素があったと思うけれども、それが人生八十年とか、いや、八十年じゃない、女性で言えばもう人生九十年時代に近づいてきたからこういうような問題が起きてきたわけですから。したがって、本来、定年制というものだって時代とともに変わっていくのは当然なのですよ。 だから、今まで例えば定年というのは五十五だというような、その前は五十かもしれない。でも、これは六十歳にしようじゃないか。六十歳定年ということは、我々は六十五歳まで現役で働けるような世の中をつくっていこう。したがって、年金の方も基本的には六十五歳へ延びていくんだから、二〇一三年に六十五歳まで年金の満額支給が延びていくときまでには、六十五歳までは基本的に現役でみんなが仕事のできる世の中をつくっておかなければならない、こういうふうに考えているわけです。 それは、私よりも十八歳若い、私はこれでも最年少閣僚でございますからね、その最年少閣僚の私よりも十八歳若い宇佐美代議士が、それは西岡先生ぐらいのお年になると、もうそれは時代が変わっていますよ。だから、あなたが私の年齢になったときだってもう時代は完全に変わっているわけです。ですから、それはそのときに考えなくちゃいけないけれども、やはり一つの背骨みたいな形でその辺は制度化しておかなければいけないということで、今回のこの法律によって六十五歳現役というものを基本に据えようという形にしたとお考えください。
○渡邊(信)政府委員 定年制が時代とともに見直されるというのは、御指摘のとおりだろうと思います。 六十歳未満定年と六十歳定年の比率が逆転をしましたのが昭和五十年代のちょうど終わりごろ、昭和六十年ごろであると思います。こういったことを見ましても、定年制というものは時代とともに変遷をしていくものであると思います。ただ、現在時点では、六十歳というものがいろいろな意味で節目になっているということも事実であろうと思いますから、やはり当面は六十歳定年を目指すということではないかというふうに思っております。
○宇佐美委員 どうもありがとうございます。 本法案のもう一つの柱として、六十歳以上の高齢者に対して派遣の枠が大幅に広げられたという点が挙げられると思います。この点を見ても、また現在の状況を見ましても、私、六十歳以上が高齢者とは思わないのですけれども、確かに高齢者の人材活用は進んできているわけです。しかし、まず量が必要というのも事実ですけれども、質、つまり諸先輩の長年蓄積された経験や知識を生かせるような仕事を確保していくことも大変重要ではないかと思います。この点についてどう思われますか。
○渡邊(信)政府委員 ご指摘のとおり、高齢者の方の雇用機会を確保する上では、単に量的に雇用機会の場が充足されるというだけでは不十分であろうと思っております。高齢者がそれまで蓄積してきました技能や経験、こういったものを生かして生き生きと働いていけるということが大事ではないかと思います。そういった意味では、高齢者雇用という場合にも質の確保ということが大変大きな論点であろうというふうに思います。 こういったことを実現していきますためには、高齢者が、例えば六十になったら全く別の仕事につく、例えば単純な作業につくというふうなことではなくて、同一企業なりあるいは同一企業グループにおきまして今までの知識、経験、技能、こういったものを生かして継続して働いていけるというふうな環境をつくっていくことが大切であるというふうに思っております。
○宇佐美委員 今の御答弁のように、仕事の質、量をそれぞれふやしていけば職業の選択の幅も広がっていくことになるわけです。そうすれば、まさに働き続けたいと思う方もふえてくると思いますけれども、当然退職後はのんびりと好きなことをして暮らしたいという方もふえてくるかと思います。 選択の幅という点から考えれば、働く仕事の内容という選択もあれば、ボランティア等の社会活動やまさにその知識、経験を生かした地域活動に参加するという選択も重要なことになってくると思われます。厚生省の政策にも関係するかと思いますが、労働省としてこのようなことを念頭に置いて施策を進めていくべきではないかと思いますが、この点についてどのように考えていらっしゃいますか。
○鳩山国務大臣 それはもうおっしゃるとおりでございまして、六十歳あるいは六十五歳になった時点で多様な選択肢が用意されているということが一番いいわけで、それは、同一の企業に骨を埋めるような気持ちでお勤めになるのもいいでしょうし、自分で事業を起こすのもいいでしょうし、新しい職種を見つけていくのもいいでしょう。同時に、ボランティアを生きがいにされるというのも一つの道でございますし、いわゆる地域社会の活動あるいは奉仕活動等をなさるというのも非常に有意義な人生だと思います。むしろそういうようなことでいえば、厚生省、文部省、労働省、みんなで力を合わせて多様な道を用意をすべきではないかと思います。 そこで一つ言えるのは、先ほどから長勢甚遠先生が御自分が育てられたシルバー人材センターの話をされておられるけれども、シルバー人材センターで働かれるような場合は非常にボランティア的な色彩が強いと私は思うのですね。あるいはボランティアというよりもコミュニティー活動的な色彩が強いと思います。私もこの間、地元のシルバー人材センターのメンバーというのはどういう方かなと見たら、町会活動とかそういうことを非常に活発にされておられる方が登録をされておられますね。ですから、そういう地域コミュニティー活動を通じて老後に生きがいを見出すというのも一つではないかと存じます。
○宇佐美委員 これからの高齢化社会というものを考えた場合、高齢者の社会参加ということを考えなくてはならないのは当然のことでありますけれども、その一面で、介護の必要な高齢者がふえてきているのも事実であります。 医療技術の進歩とともに長年生き長らえる方がたくさんふえてきている、これは事実でありまして、私も大学時代人工心臓の研究室におりまして、少しでも皆さんの知識と経験をこの世の中に生かしていただきたいと思い人工心臓の研究をしてきたわけですが、介護する人間の必要性も高まってきているのは事実でございます。 この点で、若い入間が介護するのももちろん重要でございますけれども、元気な高齢者の方が介護の必要な高齢者の介護をするということも一つの方法として考えられるのではないでしょうか。これは、高齢者の雇用にも役立つとともに、介護マンパワーの充実にもなると思います。これもまた厚生省の政策にも関連してくるとは思われますが、この件についてどのように考えられますか。
○鳩山国務大臣 これは宇佐美議員おっしゃるとおりでございまして、物すごく妙な言い方をすれば、介護労働力というのはこれから大いに必要になってくるし、寝たきり老人が百万人だ何だという中で成長産業と言ってもいいわけですね。つまり、その成長産業という言い方は変なのですが、すなわちこれからの産業構造の変化を見た場合に、どこに雇用が失われていくか、どこに新しい雇用が生まれてくるかということになりますと、実は新しく雇用が生まれる場所、それは医療、福祉、介護だ、こういうふうに言われているわけですね。 だから、成長産業という言い方はちょっと変ですが、実はそういう部分がありますので、当然中高年の方がみずから何がしかの訓練や勉強や修行をされてそういう介護パワーとして生きていかれるというのは、今後大いに進めていかなければならない政策の一つだと考えています。
○宇佐美委員 最後になりましたけれども、先ほど一番最初に定年制についての御質問をさせていただいたわけですけれども、お答えの中で定年制に一定の意義があることは承知いたしました。 その上で、さらに定年制の前提の一つとも考えられる、時に日本的とも言われるいわゆる年功序列制というものがございます。年功序列制が高齢者に高額の給与やポストを与える関係からも、定年制の一つの要因となっていることは御承知のとおりでございます。年功序列制は、以前の高度経済成長下では労使双方に利益をもたらしてきたとの経済的な分析も行われております。しかし一方、急速な高齢化や長期的に企業の安定的な成長が予測しにくい今後の経済情勢のもとでは、必ずしも有効な制度ではないとの議論も出てきております。 こうした意味から、高齢者の雇用を広げる定年制見直しの観点からも、さらには若く有能な人間の活用が必要であるという観点から考えましても、年功序列制に関して今後ともさまざまな議論が出てくることと思われます。鳩山大臣の年功序列制への長期的な観点での御意見を伺わせていただきまして質問を終わらせていただきます。
○鳩山国務大臣 あなたのお話は、これから時代の変化も激しくなるので、労働力の移動、フリーエージェントじゃありませんけれども、それは落合選手が中日に骨を埋めればいいかなと思っておったら巨人へ移ったとか、プロ野球でもいろいろな動きがあるわけですね。その辺、産業構造の変化とともに労働力の移動というのはうんと激しくなるべきである、したがって、長期雇用、安定的な雇用の継続というものは余りに日本的過ぎてどうだろうかという疑問があるわけです。 ただやはり、これも背骨としては一つの会社にずっと勤める、能力によって常に職場がオープンになっておってどんどん移り歩くということがいいか悪いかということを考えれば、やはり一つの会社が一人の人間を育てていくという中で、人間を育てる、人材育成をやっていくというのは日本の経済の一つの力強さだったと私は思うわけですね。 例えば、武村先生が宇佐美さんという人を一生懸命育てた、政治的に修行をした。五、六年たったら、宇佐美さんというのはもう大体政治的なことはわかったから、それじゃ私新生党へ行ってきますと言ったらやはり困るのですね。だから、そういう移動が余りに自由になり過ぎると困るという部分はやはり各企業あるわけですから、そういう部分もあってもいいけれども、背骨的にはやはり日本の伝統的な年功序列制というものは、私は捨て切れるものではないと思います。
○宇佐美委員 鳩山大臣のある一定の意図が感じられるお答えもちょうだいしたわけですけれども、これからの高齢化社会に向けて、福祉面での対応はもちろんでございますが、それと同時に、いつまでも元気に暮らせる社会づくりをしていくことも重要な課題であります。 今後もより一層の御努力をお願いしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○松岡委員長 岡崎宏美さん。
○岡崎(宏)委員 質問をいたします前に、まず、委員長それから理事の皆さんにお礼を申し上げたいと思います。 私は、今無所属の議員でございます。法案の質問に当たりましても、それぞれの委員会での審議は、その審議時間はドント方式と言われまして会派の大きさによって配分をされております。しかし、私どもの生活にかかわりますさまざまな法案の審議は、その会派の所属にかかわりなくやはりいろいろな意見が出ることがいいのではないかというふうに、委員長に無所属の議員の質問も御検討をお願いをいたしましたところ、大変前向きに御検討いただきまして、今回ドント方式にかかわらず質問の時間をいただきましたこと、本当にありがとうございます。これを第一歩にいたしまして、これからもぜひ御配慮をいただきたいと存じます。 さて、きょう私は午前中の大臣の所信に対する質疑を大変興味深く聞いておりました。私も大臣とほぼ同じ世代の人間でございますが、大変前向きのというか、これからやはり時代というものは変わっていくかもしれない、働く人たちの味方も変わってくるかもしれない、実は大変関心を持って聞かせていただいたわけです。 特に、もう何度も皆さんがおっしゃいましたけれども、保守かリベラルかという表現、最初は競争か公平かという表現だったと思いますが、競争を否定するものではないけれども、しかしケアを必要とする部分に対する保障、そういう意味での公平というものは考えなければならない、そういうふうに言い切られました大臣に、ぜひこの姿勢で頑張っていただきたい、そんなふうに思ったわけです。高齢者の対策というのは、そういう意味では働く人の層の中でもケアが必要、そういうふうに考えられる部分だろうと思います。 もう何度も同じような質問になってくるかと思いますが、労働省が出しておられます資料の中でも有効求人倍率、この倍率は、特に高齢者にかかわる場合、不況であろうと好況であろうと、最近では大変人手不足が叫ばれました九〇年ですら、高齢者にかかわる有効求人倍率というのは低いですね。その現実を一つ前提とした上で、継続した雇用というものをどう具体的に図っていくのか。先ほど例えば早期の退職、この優遇の制度が悪用にならないようにきちんとという答弁もあったわけですが、どうきちんとするのかということが実際には求められているわけでして、追加をしてお聞きをするようになりますが、どうきちんとするのかということをまずお伺いをしたいと思います。
○渡邊(信)政府委員 今回、六十歳代前半における継続雇用の制度につきまして、労働大臣が個別の企業を指導できるという規定を置かせていただきたいと思っているわけでありますが、この規定に基づきまして各安定所を通じまして企業の実情に応じた指導をすることが必要であるというふうに思っています。 従来は六十五までの継続雇用につきましては努力義務規定があるだけで、私どもの指導も企業を集めた集団指導というふうなものにとどまっていたわけでありますが、この法案を成立させていただきました暁には、安定所を通じまして個別個別に企業に対して直接的な指導をさせていただきたいというふうに思っております。あくまで企業の実情に沿いながら、労使の意見を聞きながら実情に合った形で指導を行うということによりまして、この継続雇用の制度が実を結ぶように努めていきたいというふうに考えているところであります。
○岡崎(宏)委員 現行の制度の中でも、この現行法の中でも企業に対する働きかけというものは、例えば高年齢者雇用安定センターですか、これは企業に対するいろいろな働きかけができる、啓発もできるということであったわけですし、それは長く働きたいということをどのように企業も含めて保障していくかということであったと思いますけれども、そうした機能がどういう形でこれまで生かされてきたのか。 私は、労働省が決してサボってきたとは思ってはおりませんし、例えば公共職業安定所も随分いろいろな努力をしてきたというふうに思いますけれども、それでもなお不況となれば職を失う。肩たたきという言葉が出ていますけれども、実際にみんなが認めるような事実が後を絶たないということに対してどう手を打つか。これまでやってみたけれども、ネックになるのは何だったのかということを労働省としてははっきりさせていきませんと、今後の対策の力点というものを間違うのではないかと思いますので、あえてお尋ねをいたします。
○渡邊(信)政府委員 高齢者雇用の促進につきましては、今御指摘の高齢者雇用安定センターを通じまして、具体的にはアドバイザーの指導によりまして各企業の相談を受ける、あるいは指導を行う、その内容につきましては、賃金制度をどういうふうに改変しどのように定年制を引き上げていくかといったふうなことを相談に応じながらやってきたわけでありまして、その中では企業の人員配置や労務コストの割合、そういったものを具体的に分析をしながら指導してまいりました。さらにこれからは六十歳代前半の雇用のあり方についてもこのようなやり方をさらに緻密にやっていかなければいけないというふうに思っております。 こうしたものとあわせまして、行政としても財政的な面でも助成をするというふうな方策をさらに充実をさせていくというふうなことと相まって、具体的な指導と財政的な側面での支援、こういうふうなものが相まって高齢者雇用が促進をするように検討していかなければいけないというふうに思っております。
○岡崎(宏)委員 努力は幾らしていただいてもいいのです。私は、労働省が努力がなかったと言っているわけではありません。ただ、この法案にかかわらず、労働省が抱える法律案の場合は、えてして労働者の側とそれを雇用する企業の側と個々の利害が現実にはぶつかるわけですから、その間に立つというか、間に立っているわけではないけれども、大臣の言葉で言えば、強い者はおのずと強い、だから勝つ、その際に弱い方の者を一方的に弱くならないようにするために法律というものがある。 特に、労働省が抱える法律というのはそういう役割を持っているわけですから、いろいろやってみたけれどもなぜこれがし切れないかというときに、あるいは企業に努力をお願いをしても、お願いはしたけれどもできなかったというものをどう踏み越えていくかが、私は、役所の役割あるいは大臣がこれからどういう形でこの事業をやっていかれるかということの問題だろうと思うのです。 私たちはすぐ、じゃ、罰則をというふうな声は出るけれども、罰則がいいかどうかの問題ではなくて、守れないものをいかにして守るか、それは弱い者をとことん弱い者に置かないためにどう守るかという努力だけはしていただきたいと思っております。これは大臣、決意をいただけるのだったらお聞きしたいと思います。
○鳩山国務大臣 姿勢は全くおっしゃるとおりだと思いまして、例えば男女雇用機会均等法のことも同じなのですね。これも罰則がありませんよね。きょうも総理を中心にみんなで閣僚懇談会をやりました。ただ、どこまで強制力があるかというと、例えば均等法にどうも違反ではないかと思われる企業の名前を公表するというのも一つの方法でしょう。しかし、公表するからといって、じゃ、実際に女子の雇用がふえるかどうかといえば、私は必ずしも答えは肯定的とは思わないわけですね。 私は、前に文部省というところにおりまして、文部省という、文部行政というものは非常に地方分権が進んでいる関係もありますし、いわゆる民間、例えば私立の学校に直接物を言うということは非常に難しいのですね。ところが、今回のこの法律は、雇用ということに関して、あるいは定年制というか、定年制を超えた六十歳以上の継続雇用について直接に企業に物を言えるということでございますから、この物の言い方一つで本当に弱い者の味方にもなれるし、なれないかもしれない、こういうふうに思っておりますから、運用次第というか、法律によって与えられた権限をどう使っていくかということが中心課題であって、その使い方はあくまでも弱い立場にある方に味方する、こういうことだと思います。
○岡崎(宏)委員 ぜひその決意を生かしていただけるようにお願いしたいと思います。 時間が余りありません。幾つか細かいことですが、お尋ねをしたいと思います。 先ほども出ておりますが、現行法にシルバー人材センターがあります。このシルバー人材センターの設置の目的あるいは業務の内容を見ておりますと、今回の改正案で提案をされております高年齢者職業経験活用センターとそんなに変わらないのではないのか。 この改正案が通りましたら、この法律にセンターと名のつくものが実際は三つでき上がっていくわけでして、労働省の法律ではこの間センターの設置が間違いなく一つずつふえてきているわけですが、これは、実際の職業安定所の業務あるいはシルバー人材センターも、これは労働大臣の諮問機関になるんでしょうか、「シルバー人材センターの在り方に関する研究会報告書」というものが去年の秋に出ておりますが、より充実をさせるというふうな中身で、これを見る限り、今回の改正案で設置のセンターと余り変わらないように思います。 この違いというものがどこにあるか、あるいはふえていくこういう機関と本来の職安の事業とどう違いがあるのかということだけは教えていただきたいと思います。 もうお尋ねだけ先に言ってしまいます。 もう一つは、関連をして、派遣の特例がございますね。派遣事業に対しては、これはこれで実はさまざまな意見があるのはもう労働省も御承知だろうと思います。派遣で働いている人たちの条件、例えば雇用の不安定さがどうかという問題、それから派遣した先の正規で働いている人たちとの兼ね合いの問題がありますが、派遣で働いている人たちの方の問題として、不安定だ、こういう不安定なところをふやさないかどうなのかというふうなことをお尋ねをしておきたいと思います。
○渡邊(信)政府委員 初めに、各種センターあるいは安定所との関係でございますが、公共職業安定所は唯一の公的な職業紹介の機関でありまして、この安定所を中心といたしましていろいろな労働力需給調整システムというものが構成されているということであります。 シルバー人材センターは、先ほどから議論が出ておりましたが、このセンターは市町村を主体といたしまして設立をしまして、いろいろな前職、職業にあった方が地域に帰ってきて高齢期の働きがい、生きがいを求めるといったものでございます。したがって、いろいろな前職を持った方がこのセンターに集まりまして、このセンターで仕事を請け負っていきまして、これを会員の中で配分をして働いていくというものでございまして、基本的に、雇用するとかされるとか、そういった関係にはない働き方でございます。
○岡崎(宏)委員 それはわかっているのですが、例えば報告書の中身から考えていけば同じようになりませんか。
○渡邊(信)政府委員 それで、仕事の内容ですけれども、これは、今後はホワイトカラー的な仕事もできるだけふやしていこうという報告をいただいておりますけれども、基本的には今言ったようなことですから、過去にいろいろな職業を持った方が集まって仕事をするということで、屋外の軽作業というものがやはり主体ですし、これからもそれは、主体としては変わらないだろうと思います。 一方、今回設立を考えております職業経験活用センターといいますのは、特に地域を限って設立するものではありませんで、むしろ職域的な仕事の場というふうに考えておりますし、仕事の形態も雇用労働でございます。派遣なりあるいは職業紹介によってどこかの企業にまた行くというふうな形で、人材センターのような請負という仕事ではなくて、雇用労働として働くというものでございます。 特に、この運用につきましては、企業なり企業グループを主体としてセンターをつくっていただいたらと思っておりまして、いろいろと今議論されておりますホワイトカラーの方の新しい働き場所となるのではないかというふうに思っております。
○岡崎(宏)委員 時間が来ていますので、これはまた事務的にもいろいろお尋ねをしたいと思いますが、最後に一つだけ、派遣の問題で答えていただいて、それでついでに、派遣事業そのものの見直しが検討されているかに聞いていますが、その見通しをお聞かせください。
○七瀬政府委員 派遣については、賃金を払う使用者と実際に作業を指揮するところと異なっているということなどに伴って、運用上いろいろ問題があることも御指摘のとおりでございます。 ただ、それとは別に常用雇用との関係がいろいろありまして、そういった意味においては、高齢者に限っては、高齢者の雇用を伸ばすためにホワイトカラーを中心にそういうシステムを認めよう、こういうことで考えているわけでございます。 それから、派遣法自体の問題につきましては、派遣法の業種が十六業種でいいのだろうかとか、いろいろな議論がございますので、そういった点については、真摯にいろいろな問題点をお互いに意見を交換しながら見直していくという場があってもいいのではないか、こういうふうに考えているところでございます。
○岡崎(宏)委員 具体的な検討に入っていないということですか。
○七瀬政府委員 派遣法の業種を見直すとすれば、公労使、三者構成の中央職業安定審議会で見直しをするということになりますが、現段階ではまだ具体的な作業には入っていないところでございます。
○岡崎(宏)委員 ありがとうございました。皆さん焦っていらっしゃるようですから、終わります。
○松岡委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。 ―――――――――――――
○松岡委員長 これより討論に入ります。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。赤城徳彦君。
○赤城委員 高年齢者雇用安定法改正案に対する賛成討論を行います。 私は、自由民主党を代表し、政府提出の高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、賛成の立場で討論を行います。 高齢化社会を迎え、我が国経済社会の活力を維持していくためには、雇用を初めとする経済社会システムを人生八十年時代に適合するように再構築していくことが極めて重要であり、六十五歳まで働けるような社会を実現していくことが急務となっております。 政府案は、同様の認識に立った上で、二十一世紀初頭までに、希望に応じた多様な形態により現役として六十五歳まで働くことができるための施策を講じようとするものと言えようかと考えます。 すなわち、第一に、企業において六十歳定年制を確立するとともに、六十五歳まで継続雇用される制度の導入を促進することであり、二十一世紀初頭までに計画的、段階的に進めることとしております。 第二に、高齢者のニーズに応じた雇用確保の手段として、一部の業務を除き、原則として自由に労働者派遣を行うことができる制度を創設するなど、柔軟な形態での雇用を促進するための施策を講ずることとしております。.本法律案に盛り込まれているこれらの施策は、自由民主党政権のもとで進められてきたこれまでの政策をさらに進めるものと考えられ、おおむね我党の政策を具体化したものとして評価するものであります。 高齢者雇用の問題については、もとより労使のみならず、国会や政府はもちろん、国民全体がその重要性を十分に認識し、一致協力して取り組みを進めていくことが必要であり、今後は、本法律案に基づく政府の取り組みを見守りつつ、我々としても引き続き努力していくことを申し添えまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
○松岡委員長 松本善明君。
○松本(善)委員 私は、日本共産党を代表し、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。 改正案の継続雇用の計画の作成や六十歳定年制義務化などは、前進面として評価できます。しかし、本改正案の主要な問題点は、労働者派遣事業の特例であります。現在において賃金面や就職面でさまざまな差別を受けている高年齢者の雇用を、労働者派遣事業の特例を設けることによって確保しようというのは本末転倒であり、無権利で不安定な条件の労働者を大量につくり出すことになります。 労働者派遣法は、そもそも職業安定法第四十四条が「労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。」と禁じていた人貸し業ともいうべき労務供給事業を派遣の名目で容認することになりました。雇用と使用を分離させ、派遣先の使用者責任を免除する、労働者に対する資本の中間搾取を許し、低賃金、無権利の労働者を大量につくり出すこと等の問題点が指摘され、多くの労働者が法制定に反対をしてきたものであります。 今回の改正案は、六十歳以上の者に限るとはしていますが、派遣事業の特例を設けることによって、安価で不安定な労働者を大量につくり出すことになり、労働力の流動化を一層促進させるものであって、高年齢者の雇用の安定につながるものではありません。高年齢者職業経験活用センターの設置も、労働力の流動化促進の組織的保障と言えます。 したがって、本改正案は、高年齢者の雇用や労働条件を安定させるものではなく、逆に不安定な身分の高年齢労働者を大量につくることになり、賛成できるものではないことを述べて、討論を終わります。
○松岡委員長 これにて討論は終局いたしました。 ―――――――――――――
○松岡委員長 これより高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○松岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ――――◇―――――
○松岡委員長 この際、内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。鳩山労働大臣。 ――――――――――――― 雇用保険法等の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 ―――――――――――――
○鳩山国務大臣 ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 我が国における雇用を取り巻く諸情勢は、今後大きく変わっていくものと予想されます。すなわち、急速な高齢化や女性の職場進出が一層進み、また、産業構造の転換や技術革新が進展しております。さらに、中長期的には労働力の供給制約が見込まれております。 このような状況の変化に的確に対応し、雇用保険制度が今後雇用に関する総合的な機能を一層発揮できるよう、現在の制度を見直し、その整備充実を図っていくことが必要であります。すなわち、高年齢者、女性を初め個々の労働者について職業生活の全期間を通じてその意欲が生かされ、能力が十分に発揮できるよう、また、労働者の失業中の生活の安定、再就職の促進等に一層の実効を期すことができるよう対応していくことが重要な課題であります。 雇用をめぐる社会経済の変化に対応した雇用保険制度のあり方については、中央職業安定審議会の雇用保険部会において二年にわたる検討が行われ、昨年末に、労働者の職業生活の円滑な継続を援助、促進するとともに、失業中の生活の安定、再就職の一層の促進を図るため制度を改善すべき旨の報告をいただいたところであります。政府といたしましては、この報告を踏まえつつこの法律案を作成し、関係審議会の全会一致の答申をいただき、提出した次第であります。 次に、その内容の概要を御説明申し上げます。 第一は、雇用保険法の一部改正であります。 その一は、雇用継続給付制度の創設であります。 本格的な高齢社会に対応して、高年齢者の働く意欲と能力にこたえ、六十歳から六十五歳までの継続雇用、再就職の促進を図るため、六十歳時点に比して賃金が相当程度低下した状態で雇用を継続する被保険者に対し高年齢雇用継続給付を支給することといたしております。 また、女性の職場進出の進展、少子化の傾向に対応して、労働者が育児休業を取得しやすくし、その後の円滑な職場復帰を援助、促進するため、満一歳未満の子を養育するための休業を取得した被保険者に対し育児休業給付を支給することといたしております。 なお、この雇用継続給付については非課税とするとともに、これに要する費用は、労使が折半して負担する現行の保険料率による保険料及び国庫負担をもって充てることといたしております。 その二は、一般被保険者に対する給付の改善を図ることであります。 まず、所定給付日数について、現在五十五歳以上六十五歳未満を一の年齢区分としている点について、六十歳定年制の定着の状況等に対応し、六十歳以上六十五歳未満の年齢区分を設けるとともに、四十五歳以上六十歳未満を一の年齢区分とし、六十歳以上六十五歳未満の年齢区分に係る所定給付日数の引き上げ等を行うことといたしております。 また、再就職の促進、失業中の生活の安定を一層きめ細かに図っていく観点から、基本手当の額の算定の基礎となる賃金日額の上限額について、受給者の年齢に応じて設定すること等の改正を行うことといたしております。 さらに、産業構造の転換等が進む中で、再就職に対する援助を図る観点から、受給資格者が公共職業訓練等を受講する場合については、その受講開始日以後の期間について給付制限を解除することといたしております。 その三は、高年齢継続被保険者に対する給付の改善等を図ることであります。 すなわち、高年齢継続被保険者が失業したときに支給される高年齢求職者給付金の額について、被保険者であった期間が一年以上十年未満である者について引き上げること等の改正を行うことといたしております。 その四は、日雇労働被保険者に対する給付の改善を図ることであります。 週休二日制の普及等に対応し、失業の日の属する月の前二月間に通算して二十八日分以上の印紙保険料の納付を要するとの現在の支給要件を改め、二十六日分以上の印紙保険料の納付とすることといたしております。 また、給付金について、最近における日雇労働被保険者の賃金分布状況の変化等を勘案して、現行の四段階制を改め、現在の第一級の給付額の上に一段階を設け、下位の二つの段階を廃止することにより三段階制とすること等の改正を行うことといたしております。 その五は、再就職手当の改善を行うことであります。 再就職手当の支給要件について、産業構造の転換、高齢化の進展等に対応し、受給者の一層の早期再就職を促すため、支給残日数が三分の一以上ある者についても原則として再就職手当を支給することといたしております。 さらに、現下の厳しい雇用失業情勢に照らし、当面の措置として、現在基本手当の百二十日分以下の範囲の額とされている再就職手当の額を基本手当の百四十日分以下の範囲の額とすることといたしております。 第二は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正であります。 日雇労働者の給付金を三段階制とすることに伴い、印紙保険料の額を現在の四段階制から三段階制とすることといたしております。 第三は、船員保険法の一部改正であります。 船員保険についても、雇用保険と同様の趣旨から、雇用継続給付を創設すること、失業保険金の給付額の算定方法を改善すること、高齢求職者給付金の改善を行うこと、再就職手当の支給要件の改善を行うこと等の改正を行うことといたしております。 以上、雇用保険法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要について御説明申し上げました。 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 ありがとうございました。
○松岡委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 次回は、来る六日月曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十八分散会 ――――◇―――――