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129回国会衆議院1994/05/25

予算委員会 第9号

発言数
388
登壇者
30
会派数
5
開催日
1994/05/25

会議録

山口鶴男日本社会党・護憲民主連合

○山口委員長 これより会議を開きます。  平成六年度一般会計予算、平成六年度特別会計予算、平成六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。保利耕輔君。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 やっと平成六年度の予算の審議に入りました。連日、閣僚の皆様方御苦労さまでございます。同時にまた、予算委員の先生方、本当に御苦労さまでございます。長時間でお疲れだと思いますが、きょうは午前中二時間、私が質問をさせていただきます。  質問に先立ちまして、まず総理大臣に申し上げたいと思うわけでありますが、私は、羽田総理大臣にはいろいろ御指導をいただき、また一緒に仕事をしてまいりました。そういう意味で、いつの日かは自民党総裁として首相に選ばれ、そしてその場で堂々と御答弁をなさる、それを私たちが補佐をする、そういうことを夢見ておりましただけに、何か運命の皮肉といいますか、今野党という立場で、先輩であります羽田総理に御質問しなければならないということを、運命の皮肉を感じておるわけであります。  総理は、民間のサラリーマンの御出身でありました。私も、二十一年民間のサラリーマンとして仕事をしてまいりました。いわば民間の気持ちを持って政治に当たるという意味で、私も同じ気持ちを持っております。そういう中で、総理は、御就任早々、目安箱というのをおつくりになりました。目安箱というのをおつくりになって、いろいろファクスとか手紙で来るんだろうと思うのですが、総理、これはもう予告にはございませんけれども、目安箱の中で、総理がお気づきになって、ああ、これはおもしろいなと思われる御提案とか御意見とかがあっただろうと思うのです。そんな中で印象の強いものはどんなものだったか、一つだけ御披露いただければありがたいと思うのですが。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 この目安箱に対する御意見は、今の政治の運営に対するもの、あるいは景気に対するもの、そのほか、国際情勢に対するもの、幾つもございました。その中で一つだけというお話でございますけれども、例えば、韓国のサラリーマンの女性の方から、韓国人の方から手紙が来ました、ファクスが来ました。これは、いわゆるこの国で生まれ、育ち、そして学び、勤める、そして税金を払っている、しかし、残念だけれども有権者としての扱いを受けることができないということ、そして、韓国に自分が帰ったときに言葉ができない、まさに韓国ではお客様であった、しかし、日本にあってもお客さんなんだと、何か私たちもこの国を愛してこの国の中で生きているので、意見を言うその一票というのを投じたいんだという非常に素朴な手紙が来ました。  これは私が自分でちょっと返事を出しておきましたけれども、ただ国籍の問題、そして私がいろいろと調べますと、大体どこの国でも国籍がない方々というのは投票できないというようなことがあるので、こういった問題も含めてこれからお互いに勉強しようじゃないかということを申し上げたところでありました。一つ非常に印象的でした。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 ありがとうございました。非常に難しい問題ですね。これは私も文部大臣当時、在日朝鮮人の問題についてはいろいろ問題を意識をいたしました。総理御自身のいろいろの御判断でこれから進めていかれることも多いと思いますが、そういった民衆の声を聞くというか、それはぜひお続けをいただきたいと思います。  私どもは、ここに列席しております議員の皆様も同様でありますが、毎週地元に帰りまして選挙民に接触をして、そこの中から吸収してくるものというのを私たちの糧にしてこの議会の活動をしておる、それはもう間違いないことであります。それで、これは特に官庁の皆様方はそういう御経験というのは私どもよりも少ないだろうと思うのです。私どもが本当に身に感じてきたことを官庁の皆様にお伝えすることによって行政を確かなものにしていくということがあるだろうと思います。そういう意味で、目安箱の中をちょっと紹介をしていただきました。  ところで総理、ちょっと大変失礼なことを申し上げますが、昨日はよくお眠りになりましたでしょうか。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 昨晩はクリントンさんから電話がかかってくる、そしてけさは早くからちょっと打ち合わせ等がございました。ですから、正味寝たのは五時間ぐらいだと思います。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 まあ、個人的なお休みの時間まで伺うというのは大変失礼なことだろうと思います。しかし、クリントンさんからお電話があった、から電話があったということは、非常に大きな意味があるだろうと思います。このことは後ほど御質問をさせていただきます。  実は今、幾ら寝たかということについては、これは記者からも聞かれたことがあるのだろうと思うのです、記者の皆さんから。そうしたらある新聞に、「「よく寝たよ。といっても昨夜はあれからあれで、結局寝たのは一時半ごろだったかね」首相指名直前のある日、議員宿舎を出る際の発言だ。「あれ」「これ」の多さは記者を困惑させる。」こういう記事があるんですね。  それから、きのうちょっと役所の方に御説明をしておきましたけれども、新聞の中にも投書がある。これもまた大変失礼なことかもしれませんが、羽田先生のお言葉の中には、「羽田首相はおしゃべりだ。まるで中年のオバサンの井戸端会議のノリだ。でも中身が全然なく、」一体何を言っているのかわからない。「まさに「言語多量、意味不明」だ。」こういう投書がありますね。これは総理のところには来なかったのですけれども、目安箱の一つだと思っていただいていいんだろうと思うのです。  今、記者の皆さんがお困りになった。それからこういう、これは三十六歳の坂口アリスさんという方の投書なんですが、アリスさんというから恐らく外国の方かもしれませんが、翻訳業なんです。言葉を大事にする仕事をしておられる方なんです。御感想がございましたら、ちょっと御披露願いたいと思います。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 宿舎を出る日の朝、あの前日は大変な動きがあったことで、あれこれしか説明はできなかったということであります。  それから、確かに話が、私はよくみずから言います、ある人は非常に短いために誤解される、私は少し長過ぎると。これは半分にした方がいいんだなと自分で実は思っている人間であります。しかし、割合とわかりやすいよという実はいろんな手紙等もたくさんあります。しかし、今お話があったことを拳々服膺しながら、やっぱり国の方向を語っていかなきゃならぬわけですから、わかりやすい言葉でありながらも中身のあることを申し上げていきたいというふうに思います。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 わかりやすい言葉で中身のある御答弁をいただければ、これはもうベストであります。私はそう思う。  で、わかりやすい言葉というのは、この投書の表題にもありますが、「その「軽さ」が少しさびしい」というのが表題になっております。わかりやすいということは、逆に軽さにも通じるんです。ですから、総理大臣のお言葉というのは、あるいは閣僚のお言葉というのは、私は、この議会の場で発せられるお言葉というのは、六法全書にも匹敵するべき言葉だろうと思うんです。そういう意味で、軽さはあってはいけない。やっぱり総理大臣の一言というのは重いんだということをよく御認識をいただいて、これはもう当然御存じのことだと思いますが、そのことを指摘した投書だと、民の声だというふうにお受けとめをいただきまして、この委員会におきましても、わかりやすく、重く、そしてしっかり御答弁をいただければありがたいと思います。  今のお話は、議会でございますから、議会は英語でパーラメントと言うわけでありますが、フランス語で言えばパルルマン、そのもとになったのはパルレという、話すという動詞でありますね。パルレという動詞で、これはもう外務大臣がよく御存じ、ほかの先生方も御存じなんです。そういうことですから、話すということがいかに大事か、そして自分の思っている意思を正確に伝えるということがいかに大事かということだろうと思います。  で、実は、これは日本人は余り得意じゃない分野でありまして、これは、文部大臣いらっしゃいますけれども、教育問題とも関係があると僕は思っております。それはどういうことかというと、日本の大学の入学試験というのはほとんど筆記なんですね。だけれども、外国の入学試験というのは口頭試問が多いんです。要するに弁論で先生にお答えをして、その弁論が正しいかどうかということが合否の判定基準になる。こういうことで練られてきた人たちを相手にしてこれから外交を展開していかなきゃならない、そういう点で大きな教育問題になろうかと思うわけであります。文部大臣もこちらをごらんになっていらっしゃいますけれども、この問題はまた文教委員会等でやらせていただくことといたします。  そこで、私はこの際、野党という立場でありますけれども、国会の民主主義ということについて、これも予告にはございません、総理の御所見をちょっと伺いたいと思うのであります。それは、私がまず意見を申し上げますので、それに対して御感想をお述べをいただきたいと思います。  私は、民主主義の大原則はやっぱり多数決の原理だと思うわけであります。しかし、同時に少数意見を尊重するというのも、これまた民主主義の原則だろうと思うんです。この少数意見を尊重するというのは非常に難しいことなんですね。で、今の場合は、野党側が多数意見を持っている、野党の方が多いということになるわけですから、多数意見を尊重していただくことはもちろんでありますが、少数意見の尊重というのは、これは非常に難しいと思います。しかし、これはどういうふうな形で少数意見を尊重するのか。よく耳を傾けるとかいうような言葉がありますね。それをまた結論の方に反映させていかなきゃならぬというようなことがあると思います。そうしたこと。  あるいは、もう一つ別の観点からいいますれば、政治は、理念と同時に手続でもあると思います。予算委員長は議運に長いことおられまして、私も御指導いただいたんですが、政治は手続が大事だということを随分僕は議運の場で習わせていただきました。多数のコンセンサスをつくる、つくっていくということは、これは理念とともに手続が必要である、コンセンサスをつくっていくときに。で、民主的なコンセンサスはいかにつくられるべきかというのは、これは政治の手続論だと思います。そこには、やはり自由な論議がなければならない。まあ言いにくいことも先ほど申しましたように言わなければならない。そして同時に、民主的な手続がとられなければならない。そして、合意が図られなければならない。これが国会あるいは政治というもののあり方だろうと私は思っておるわけであります。こうしたことに対して、総理、まずお考えをお述べをいただきたいと思います。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 今御指摘あったことは私も全く同感であります。少数意見というのをどう反映するのかということのお話がありましたけれども、やはりこういったものも、例えば議会であれするときには議論を踏まえながら、ただ聞き逃しにするという、そのままそこでただ時を過ごしてしまうということではなくて、やはりそういった中に正しいものがあればこれを採用していくという度量がなければいけないというふうに思います。  それから、理念と同時にやっぱり手続が大事で、そしてその間に自由な論議があり、そして最後に合意というお話も、これも全く同感で、保利さんとともに自民党にありましたときに、価格その他難しい問題が農政上ありました。このときはもう徹底して論議を、それこそ二晩も三晩も徹夜したことがありましたけれども、しかしその結果は、いろいろな不満があっても、まあこれだったらやむを得ぬなというところに落ちつけることができたんじゃなかろうかというふうに考えまして、そういうやはり手続というものは非常に大事であるということ、そして嫌な議論でもやはり自由に、率直にし合っていくことが大事であろう、そこに真実が生まれてくるというふうに私は思います。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 大変重い御回答をいただきましてありがとうございました。  私はこのことをなぜ言いたかったかというと、自由民主党という党は自由なる論議のもとに民主的な手続によって合意を得ていく政党である、このことを申し上げたかったからこのことを申し上げた。ちょっと前置きが長くなりまして済みませんでした。  先ほどのクリントンさんからの電話、この内容はどういう内容でありましたか、ちょっと御報告をいただきたいと思います。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 クリントンさんからの電話は、二月の十一日に不調に終わった、しかし、その後マラケシュで、またその後事務方同士、率直に語り合う中で一つの、例えば客観的な基準ですとか、そういった基本の問題についてお互いに合意を見ることができたということはとってもよかったということ、そしてこれを土台にしながらできるだけ早く各分野の問題についてもお互いに合意をすることにお互いがこれから努めていこうというお話があったということであります。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 クリントンさんから電話があったというところに私は非常に大きな意味がある。アメリカ側から日本の総理大臣に対して電話があった、そして話し合っていこうよということでありますから、非常に大事な意味を持っていると思います。  そこで、きょうの新聞を見ますと、日米の包括協議再開発表というようなことで大きな見出しが出ております。政府調達など三分野、これを優先三分野と言って、それを先にやろうや、こういうことでありますね。そこで、数値目標とはしない、ただし客観基準を決めるというようなことがある。客観基準という言葉と数値目標という言葉はどこがどう違うのか、これどなたからか説明していただけないでしょうか。外務大臣、お願いします。

柿澤弘治改新外務大臣

○柿澤国務大臣 客観基準という言葉は、昨年のクリントン・宮澤会談で合意をした言葉でございます。その後、その解釈につきまして日米双方の間に若干の相違がございまして二月の合意に至らなかったわけでございますが、今回、客観基準は数値目標を意味するものではないということを合意の中で明確にいたしました。また、数値目標に限りなく近いものでもないということも明確にいたしました。そして、客観基準は定性的なもの、定量的なもの、両方を含む。つまり、我々が今後市場開放のためにどのような努力をしたかという、国内市場の性格の変化、開放度という定性的なものも含む、あわせて定量的なものも含むということになっております。  定量的なもの、定量的な基準と数値目標がどう違うかということでございますが、あくまでも我々の市場開放の努力を量において評価するものとしての定量的な基準ということでございますので、原則として過去の伸び率とかデータ、そういうものを考えるということで、将来の数値を約束するものが数値目標、それはとらないということになっていることが今回の合意の中での前進だと思っております。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 外務大臣の御答弁、極めて明瞭でありまして、わかりやすいわけでありますけれども、やはり客観基準の中の定量という問題になると、将来のことについて全く述べないでアメリカ側は満足をするんだろうか、こういう疑念があるんですけれども、その点はどうですか。

柿澤弘治改新外務大臣

○柿澤国務大臣 今回の文書の中で、基準につきましては定量、定性、両方を含む、しかもその基準は政府の努力を評価するために使うということになっておりますので、その点は将来を約束するものにならないというふうに考えております。その点では日米双方に合意があると思っております。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 私は、どうもまだ何となくもやもやしているなと思うのですよ。というのは、開放度の度合いをはかるんですから、これからどのくらい開放していくかという度合いをはかるのに定量という言葉が入っていて、先のところは数字はありません、何もありません、それは物差しにはならないですね。どうもそういう感じがしてなりません。いかがでしょうか。定量という言葉が入っていて将来の日本の市場開放の度合いをはかるという。はかるんだったら目盛りがついてなきゃはかれないのですよ。そこはどうでしょうか。

柿澤弘治改新外務大臣

○柿澤国務大臣 定量という言葉にもいろいろなものがございまして、つまり、販売額というようなものが露骨に出るとすれば、過去の評価というものがそのまま伸び率として将来どうかというようなことで、それになりがちであるというおそれはあると思いますが、しかしそのほか、例えばどのくらいの会社が日本の市場に参入したか、これも定量的なものでございます。支店がどのくらいできたか、自動車のセールスディーラーが何社になったか、そういうようなものも定量の中に入っているというふうに思っておりますので、その点はいろいろな決め方があろうか。この辺は各分野ごとの特性に応じて今後分野別のワーキンググループで詰めていくということになっておりますので、それぞれの分野で我々としても今御懸念のようなことにならないように努力をしていきたいと思っています。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 必ずしも私はまだ十分のみ込んではおりませんが、そういうふうにならないように努力をしていくと。  例えば一つ過去に例があるのですね。ウルグァイ・ラウンドの非常に重要なドゥニー調整案の中で、六年後に再交渉をするときに、アディッショナルな、アクセプタブルな条件をのまなければ今の関税化の猶予は認められない格好になっているのですよ。アディッショナル、アクセプタブルという、アディッショナルはまだいいでしょう、アクセプタブルというのは物事を決めるときに非常に抽象的な決め方だったと僕は思うのですね。当時柿澤外相は自民党におられましたから、そのことについて述べることはないと思いますけれども、これは当時の畑英次郎農林水産大臣のときにお決めになった。こういうものは、これは後でまたいろいろ議論させていただきますが、アクセプタブルというような言葉が入っているというようなのは非常にぐあいが悪いと僕は思っているのです。  ですから、今度の客観基準の中におきましても、その定量の部分においてはそういう抽象的な文言を避けるように、そしてしかも将来を、それは悪くても何でも買いますよというようなむちゃな約束をしないように、これは絶対に守っていただきたいと思います。その決意をひとつ。

柿澤弘治改新外務大臣

○柿澤国務大臣 私も今回の非公式の協議の過程では、羽田総理からの御指示もありまして、カンター特別代表とは、この予算委員会の議事の合間を縫って、五回電話で会談をいたしました。  その意味では、折々にきちっと念を押してございますが、一つは今お挙げになられました例、またもう一つは半導体の例、これも私の方から触れまして、定量というものが入った場合にその数字だけがひとり歩きをして、そこだけが早く取り上げられて制裁の対象になるようなことでは困るということは、明確に私からカンターに言いました。  カンターさんはそういうことにならないようにということで、今度の合意の中でも基準は複数のものを、定量、定性あわせて複数のものを決める、そして、その中に定量的なものもあるかもしれないけれども、その一つの基準だけをとらえて我々の努力の物差しにするということはない、複数の基準を総合的に評価するということも日米の合意に書き込んでもらいましたので、その点は数字だけがひとり歩きすることはないというふうに今後確信をしておりますし、その方向で関係各省の皆様にもお願いをして交渉していただくことになろうかと思います。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 我々は、この問題をしっかり注視していかなきゃならぬと思います。それでむちゃくちゃに買わされるというようなことがあってはならない。  それは、なぜ私がここまで心配するかというと、きょうの同じ新聞に「協議物別れなら「三〇一条」検討示唆 カンター代表」という見出しで出ているのです。つまり、言うこと聞かないなら棒でたたくよというものがあるんですよ、片っ方で。だから、外務大臣が今こういうふうに御答弁をなさいましたけれども、それは意思としてやられたのでしょうけれども、三〇一条をやられたらかなわないからねといって折れちゃうようなことがないように、やっぱりここはしっかり頑張っていただきたいと思います。  次に、きょうの本題でありますウルグアイ・ラウンドの問題について若干御質問申し上げます。  羽田総理大臣が国会で総理大臣として御指名を受けられたのは四月二十五日のことでありますが、その前に、細川内閣の外務大臣としてマラケシュの閣僚会合にお出になられたわけであります。そのときに、各国首脳と会談をしておられます。いろいろな方とお会いになっていらっしゃいますが、特にアメリカのカンターUSTR代表あるいはEUのブリタンさん、こういう方々とどういうお話をされましたか。御報告を願いたいと思います。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 かンターさんとの会談は、昨日ですか、合意されましたいわゆる包括協議、これの基本の問題について、日本側の立場を述べると同時に、アメリカ側の考え方というものをお互いに意見の交換をしたということ、もうこれに尽きるということだろうと思います。  それから、ブリタンさんの方は、今度の日米の包括協議の問題についても話がございまして、自分たちとしてもこの問題に関心を持っておる、日米だけで物事が進められて自分たちがらち外に置かれるということは、これは困るねというお話があったところでございまして、我が方は、二国間で話し合ったことでも必ず世界各国に対してこれが均てんされていくものであるのですよということで、彼らの懸念というものを払拭するために努めたということであります。  そのほか、個々の具体的な問題等については、また二十二、二十三と、あのときにはこちらに来る予定であったものですから、非常にグローバルな問題についての話し合いが行われたということであります。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 こうしたカンターさんとかブリタンさんに接触をされて今の貿易問題等について十分御協議をなさる、これは総理大臣の指名をお受けになる直前においでになっていらっしゃるということですから、大変なことだったと思うのですね。しかし、私は行かれてよかったと思うのです。もしあのときに行っておられなければ、日本はマラケシュの会合に政治家が来なかったという話になって、世界から笑い物にされるのじゃないかなと思っておったのですが、そういう難しい情勢の中でおいでになったことは、私は評価できると思っております。  それで、実はこのカンターさん、ブリタンさんという名前をどうして出したかというと、日本のカウンターパートといいますか、カンターさんやブリタンさんの立場に当たる大臣はここの中にいらっしゃいますか、いらっしゃいませんか。いらっしゃらないと思うのです。例えば、通商産業大臣は農林大臣は今は兼務しておられないわけですよね。この場合は、カンターさんは通商産業大臣であると同時に農林水産大臣も兼務しておられる。こういうことは、これからWTOだとかいろいろな世界の中での貿易の問題で協議する場合にどうしてもやはり必要なんじゃないかというふうに思いますが、ちょっと御所見を伺いたいと思います。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 確かに日本の場合にはそういった立場の人がおらないということで、前回のときにはちょうど私がそんなことを担当しておりましたけれども、今そういった個々の、全体をあれしながら先方の国と交渉するという人はおらないということであります。  まあ事と次第にもよるのですけれども、ただ、二重外交なんということをよく今まで対外経済相なんてつくったときに言われたことなんかもありまして、そのあたりも私ども踏まえながら考えていかなきゃならぬ問題、そして、特にマルチで話すようになってきたということがこのごろ多くなってきておりますから、そのあたりもこれから考えなきゃならぬ問題だろうというふうに思います。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 これは民間の方を起用されてもいいと思うのですね。それで、やはり実際商売をなさった経験のおありになる方とか、商売上の交渉というかトラブルの交渉とかそういうものをおやりになった方、そういういわば外国の方とちょうちょうはっしとやり合った方がなるべきだと僕は思うのです。こういうものには多分官僚出身の方を任命されるケースが多いのですけれども、民間のサラリーマン御出身の羽田総理大臣は、やはり民間ということを少し強く考えていただくべきだ、私はそのように思います。  そこで、マラケシュでそういう方々にお会いになったわけですが、実はマラケシュでは重要な署名を外務大臣としてなさいましたですね。どういう文書に署名をされたか、御披露いただきたいと思います。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 私が署名をいたしましたのはいわゆる最終文書でありまして、世界貿易機関を設立する協定の文言、これを確定する効果を有する、この協定に私は署名しております。それからもう一つは、これは遠藤大使が署名しておりますけれども、政府調達協定、これにかかわります新協定、これに署名をいたしております。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 最終文書に署名をした。この署名の意味はどういうことでしょうか。外務省からいろいろ御連絡をいただいたところによりますと、最終文書には附属書がいっぱいついているのですね。何々に関する協定とか、いろいろあります。これ、内容を細かくここで申し上げるのもちょっと時間がありませんが、たくさんの協定がついておる、それが総括、まとめられて最終文書というものの附属書になっているのですね。  それで、最終文書に署名をされたのですが、その最終文書に署名をされたことの効果というのは、日本政府としてはこの最終文書でいいよという意思表示をされたのか、それともこれは単に最終文書の文言がこれで確定したのですということの確認の意味の署名なのか、どちらかお答えいただきたいと思います。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 これは、今お話がありましたように、文言を確定する効果を有するものであるということであります。ただし、この協定を受諾をするというのは国会の御承認をいただくということであります。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 総理大臣の非常に重要な御発言がございました。国会の御承認をいただいた後、確定をするということであります。それは憲法七十三条の規定によるものだろうと思うんです。  そこで、これは外務省にお伺いをいたしたいんですが、最終文書に添付された文書として御説明をいただいておりますのは、世界貿易機関、WTOを設立する協定、この中にはたくさん入っておりますが。それからもう一つは閣僚決定、宣言。いろんなやつがあるんですけれども、例えばその一番最初に書いてあるのは、後発開発途上国のための措置に関する決定とか、そういうのがある。それから三番目に、金融サービスに関する約束に関する了解事項、この三本柱になっておりますね、この最終文書の附属文書というのは。これに間違いないかどうか、確認しておきたい。

丹波實外務省条約局長

○丹波政府委員 お答え申し上げます。  いわゆる最終文書として署名されたものの中身は、基本的には今先生がおっしゃったとおりですが、念のため申し上げさしていただきますと、まず世界貿易機関を設立する協定、この協定には附属書が四つございまして、そのうち、附属書の一から三まではこのWTO設立協定の不可分の一体であるということでございます。附属書四につきましては幾つかの協定が挙がっておりますが、これはWTO設立協定とは別途の協定である、そういうことで、この政府調達に関する協定が署名されたわけでございます。  それからさらに、もう一つございますが、それは閣僚決定と宣言でございまして、これは法的な効力を有する文書であるというよりは、むしろ政治的な文書であったというふうに考えておりますが、ファイナル文書に署名するということは、この場合、閣僚決定、宣言というものをその場で採択したということになろうかと思います。その中に、先生が言及になられた金融サービスの問題、あるいは開発途上国のための措置に関する決定その他が含まれておる、そういう関係になってございます。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 今の御答弁、私ちょっとわかりにくいところがありました。最後に言われました、金融サービスに関する約束に関する了解事項というのは別の柱になっておりませんか。

丹波實外務省条約局長

○丹波政府委員 今申し上げましたとおり、その金融サービスに関します決定は、この閣僚決定、宣言の中に入っているというふうに考えております。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 外務省から御説明を受けましたのとちょっと違います。閣僚決定、宣言の中に金融サービスに関する約束に関する了解事項が入っているのではなくて、金融サービスだけは別に出ていると私は理解しております。後でも結構ですから、そこのところは確認しておいてください。  そうすると、この金融サービスに関する約束に関する了解事項というのは何ですか、これは内容を、大蔵大臣、御説明願いたい。

加藤隆俊大蔵省国際金融局長

○加藤(隆)政府委員 今御指摘の金融サービスに関する約束に関する了解事項は、加盟国がその希望するところにより、サービスの貿易に関する一般協定に加え、別途了解されたより高い自由化の基準に従い、金融サービスの分野における自由化を約束することができる旨定めた了解事項でございます。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 これはウルグアイ・ラウンドの中の最終文書の中の一つをなしておりますが、協定あるいは条約というような形できちんと完結するような了解事項になっておりますか。それともペンディングマターを含んでおりますか。

加藤隆俊大蔵省国際金融局長

○加藤(隆)政府委員 了解事項に基づいて、我が国の場合金融サービスに関する約束表を提出いたしておりますので、我が国は、金融サービスに関する了解事項も約束表に添付して国会に出させていただく予定でございます。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 私がお尋ねしているのはちょっと趣旨が違いまして、ウルグアイ・ラウンドの協定ということで国会の承認を求める、これは最終文書の中の一つになっているわけですね。これは明確なんだ。どういう解釈をしても、これは最終文書の中の一つになっている。これはやがて訳文ができて、そして国会に承認を求めてくる格好になるんだろうと思うんですよ。であるならば、条約としての形が完結していなければならないと思うんですね。  ただ、聞くところによりますと、金融については必ずしも全部了解しなかった、ウルグアイ・ラウンドの中でややペンディングマターとして残った部分があるというようなことを聞いておりますが、そういうことはないんでしょうか。

加藤隆俊大蔵省国際金融局長

○加藤(隆)政府委員 金融サービスに関するルールそのものは、参加国により完全に合意されております。貿易サービスに関する一般協定、その中に金融に関する附則も含まれております。これよりも高い自由化義務を負うことをみずからの意思で希望する一部の国については、サービスに関する一般協定に加え、了解事項に基づいて、より高いレベルの自由化義務を受け入れる、そういう意思表示をする申し合わせが、この了解事項に従って提出いたします約束表でございます。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 この問題は、またウルグアイ・ラウンドの国会批准の中でやがて問題になってくることであろうと思います。  したがいまして、きょうはこれ以上申し上げませんが、別の角度からいいますと、附属書がいろいろあるとか、あるいは協定だとか決定だとか了解事項だとか、いろいろなものを含んで最終文書に羽田外務大臣、当時の羽田外務大臣がサインをされて、これが最後ですとこうやってサインをされた、確認をされたんですね。  まだ個々の協定にはサインをしていないという段階だと承っておりますが、それでは、国会に承認を求める協定ないしはその最終文書の範囲というのは、どういう範囲になるんでしょうか。これ、最終文書があって、その下にいろいろな協定がたくさんあるわけでしょう。その協定のこの部分は除くんですとかなんとかというんじゃなくて、全部網がかかっているのか、それともそうではないのか、最終文書は全部一括して訳がされて国会に批准を求めてくるのか、そこら辺はいかがですか。

丹波實外務省条約局長

○丹波政府委員 お答え申し上げます。  先ほど、最終文書のもとに二つの書類があるということを申し上げました。一つはWTO設立協定、もう一つは政治的な文書と考えられる閣僚決定、宣言でございますが、この上記の協定及びこれに不可分の一体として附属されております附属書一から三まで、これを私たちは一つの国際約束と考えておりますので、これを一本といたしまして国会に批准のために提出させていただくという考え方でございます。  それから、先ほど附属書四、こういうことを申し上げましたが、附属書の四は不可分の一体ではございませんので、別途の国際約束と考えております。この中で国会に批准のために提出しなければならないものを選択して、それを国会に御提出申し上げるという考え方でございます。典型的には、政府調達に関する協定というものが別に国会に提出される書類としてあるわけでございます。  以上でございます。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 そうすると、確認をしたいんですけれども、ウルグアイ・ラウンドの批准国会に提出されるべき文書は、最終文書に附属をされております世界貿易機関を設立する協定、WTOを設立する協定の附属書一、附属書二、附属書三、そこまでを一括して国会に提出する、こういう意味と解してよろしゅうございますか。

丹波實外務省条約局長

○丹波政府委員 今の点につきましては、先生のおっしゃるとおりでございます。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 そうすると、どうも最終文書の中にはいろんなものが入っている。それで、外務大臣がこれは間違いありませんと言ってサインをされた。しかし、国会に承認を求めてくるのは、今申し上げましたように、附属書一から三までを束ねて、その上にWTOの設立に関する協定というのが乗っかって、それを国会に承認を求めてくるということであります。そうすると、ほかのものは承認は必要ないということでございますか。

丹波實外務省条約局長

○丹波政府委員 お答え申し上げます。  ほかのものは基本的に法的な性格を有する国際取り決めというものに該当しないというふうに考えておりますので、国会に御提出申し上げて締結について承認を得るという対象にはならないというふうに考えております。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 それでは、今度のウルグアイ・ラウンドの国会では、今私が申しましたような範囲で政府は承認を求めてくる、こういうふうに確認をさせていただきます。  そして、実はもう一つ伺いたいことがあります。それは、先ほど総理大臣から御答弁をいただいたんですが、政府調達に関する協定というのにはサインをされましたですね。これは遠藤大使がおやりになっていらっしゃる。  それは、憲法七十三条で言っておりますが、憲法七十三条というのは「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。」というふうに出ておりまして、その第二号に、「外交関係を処理すること。」内閣が外交関係を処理する、これは当然であります。第三号に、「条約を締結すること。但し、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。」こういうのが憲法七十三条第三号の規定であります。  そうすると、国会に承認を求めるべき条約というものは一体どういうものなのか、どこまで含まれているのか。例えば、今、国会に承認を求めないと言っておりました中に、民間航空機貿易に関する協定とか国際酪農品協定とか国際牛肉協定とかと、いろんなのがあるんですね。そういったものは国会の承認は求めない。さらに政府調達に関する協定についても承認を求めない。先ほどの局長の御答弁だとこれは外れているんですが、そうすると、憲法七十三条に言っている、条約は事前または時宜によっては事後に国会の承認を求めるというのとどういうふうに整合性があるのか。ちょっとわかりにくい話で恐縮ですが、これはどちらから御答弁いただくかな。まずは外務省。

丹波實外務省条約局長

○丹波政府委員 政府調達協定につきましては、この協定の中にそういう条項がございますけれども、署名をできるのは四月十五日だけであるということになっておりまして、仮にこの日に署名しなかった場合には、この協定に後で加入するという方式がとられるわけです。  その場合には、新たな条件をその時点で締約国と交渉しなければならないというふうになっておりますので、例えばその交渉の結果、日本としては非常に、今まで譲歩できる最大限の条件を出して交渉がまとまってこういう協定になったにもかかわらず、たまたま後で入っていくということによってさらに交渉させられるということになりますと、先生の方が私よりお詳しいと思うのですが、例えば中央政府機関の範囲とか地方政府機関の範囲とか、調達の範囲、規定の範囲が広がったりして日本に不利になるということなんです。  したがいまして、最初から原加盟国として署名した方が日本の国益上有利であるということで四月十五日に署名させていただきましたが、その場合、国会によります批准を条件として日本は署名するんだということをはっきり書いてございます。それはまさに、そういうことをしておかなければ、状況によっては、国会に提出申し上げる前にこの条約が発効してしまう。そうすれば、先生がおっしゃる七十三条の三号の「事後」に当たってしまうので、それを避けるために日本としては国際社会に対して、これは国会が承認することが条件ですよということを明文で、明文でというか署名の上にそういうふうに書いた。これは各国が行う慣行でございます。  したがいまして、くどいようでございますが、まさにここの「事後」に当たることを避けるために、日本はそういう条件を付してこの調達協定に署名してきておる、こういうことでございます。したがいまして、別途の機会に、今後国会に御提出申し上げて批准を得るということでございます。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 今のことでちょっともう一つ伺いたいのですが、なぜ四月十五日に署名をしなければならなかったのか。署名をしなければならなかったとだけおっしゃったのですが、なぜ四月十五日に署名をしなきゃならなかったのか、それを御説明願いたいと思います。

丹波實外務省条約局長

○丹波政府委員 これは、お答え申し上げますが、この政府調達協定の中にそういうぐあいに書かれておるわけですが、したがって、交渉の結果、この協定に当初から入るためには四月十五日に署名しなければいけないという、そういうことが交渉の結果まとまった。恐らく締約国の考え方は、私の想像でございますが、こういうぐあいに長い間をかけて交渉した協定をできるだけ四月十五日に固めてしまいたいといいますか、多くの国に署名させたいという考え方で、したがって、この政府調達協定の安定性を達成したいという考え方が背後にあったのではないかというふうに考える次第でございます。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 これはまだ議論をしたいのです。例えば、これが国会で批准できなかったらその署名の意味というのは一体どういうふうになるのか、この辺もちょっとわかりにくいのです。  それから、実はこの際、憲法七十三条を引用いたしましたので法制局長官にもお伺いをしておきたい。  この憲法七十三条の三号には、「条約を締結すること。但し、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。」こういう文言でありますが、このWTOの、今度のウルグアイ・ラウンドの主要な世界貿易機関を設立するのは、協定と名前がついております。協定という訳文になっておりますが、条約ではないのですが、この「条約」というものの中には、協定でありますとか協約でありますとか、あるいは決定でありますとか宣言でありますとか、そういうようないろいろなものが含まれるんだろうと思うのです。この「条約」の解釈、これはもう広い解釈だろうと思いますが、それでよろしいかどうかということを一点御確認をしたい。  それから、「事前に、」これは非常に大事なことでして、国会に事前の了承をとるのか。それとも、「時宜によっては事後に、」というのがあるのですが、この「時宜によっては事後に、」というものの意味、どういう場合に事後が許されるのかという意味。この二つをちょっとお答えをいただきたいと思います。

大出峻郎内閣法制局長官

○大出政府委員 お答えをいたします。  まず最初の点は、条約とは何か、わけても憲法第七十三条の第三号で規定している国会の承認を要する条約というのはどういう範囲のものか、これが第一点の問題であったかと思いますが、条約といいますのは、その名称のいかんを問わず、先生いろいろ御引用になりました協定とか協約とか、あるいは議定書とか宣言とか、そういうような名称をとっているものもあるわけでありますが、その名称のいかんを問わず、国の間において文書の形式により締結され、国際法によって規律される国際的な合意をいうとされているわけでありますが、この意味における条約、これは広い意味の条約でありますが、これがすべて憲法第七十三条第三号に言うところの条約、すなわち国会の承認を要する条約に当たるわけではないわけであります。  憲法第七十三条第二号が内閣の事務として「外交関係を処理すること。」を掲げているというところから見ましても、外交関係の処理の一環として一定の範囲の国際約束が行政府限りで締結し得るものであることは当然なわけであります。  そこで、いかなる範囲の国際約束が国会の承認を要する条約に当たるかということについて申し上げますと、第一点といたしまして、国会の立法権に制約を課する内容、つまり、法律事項を含むそういう国際約束、これが第一点であります。  それから第二点といたしまして、国会の議決を経た予算または法律で認められていない財政支出義務を含むそういう国際約束、こういうものは、憲法の四十一条、つまり立法権に関する規定でありますが、とか、あるいは第八十五条、国費の支出及び国の債務負担についての国会の議決を要するという規定でありますが、の規定による国会の機能を制約するものでありますから、当然国会の承認を要するというふうに考えられるわけであります。  さらに、これらの事項を含まなくても、三番目の問題として、我が国と相手方との間あるいは国家間一般の基本的関係を法的に規定するという、そういう意味において政治的に重要な国際約束でありまして、それゆえに、発効のために批准という手続が要件とされているそういう国際約束、こういうものも、国際約束に拘束される旨の国家の最高の意思表示の形式たる批准を要求しているわけでありますから、我が国憲法上、国権の最高機関たる国会の承認を要することとされる条約に当たるというふうに考えられるわけであります。  以上、要素として三点を申し上げたわけでありますが、このことは、昭和四十九年の二月二十日の衆議院外務委員会におきまして、当時の大平外務大臣が答弁をされているところでありまして、政府としては、従来からそのような取り扱いをしてまいっておるということであります。  それから、もう一点は、憲法第七十三条三号に規定するところのただし書きのところで、「事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。」というふうに書かれておりまして、その「時宜によっては」というのはどういう趣旨のものであるか、こういう御質問であったかと思いますが、この「時宜によっては」といいますのは、別の言いかえをすれば、場合によってはとか、あるいは便宜によってはというような意味であろうかと思います。  そこで、「時宜によっては事後に、」といいますのは、例えば、緊急を要して国会の承認を得る余裕がないような場合など合理的な理由がある場合においては、条約の締結後に国会の承認を得ることとしてもよいということを定めたものであるというふうに理解をいたしておるわけであります。  そこで、憲法のこういう規定をもとにいたしまして、政府としては、万やむを得ないような場合 を除いては事前に、すなわち条約の締結の前に国会の承認を得るように従来から努めてきておるということであります。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 法制局長官から御答弁がございましたけれども、これは後ほどやはり議事録に載りまして、この時期の法制局長官の御答弁として、条約というものの解釈と、それから原則事前であるということと、それが後々の例として残ることになる、そういうふうに重く受けとめさせていただきます。  ちょっと先を急がせていただきますけれども、実は政府調達協定、先ほどお話があったのですが、そそくさとやったというか、四月十五日に署名しなければならなかった、それだけが突出して署名されたというところにちょっと不思議な点があるなと思っているのですが、これは、日米包括協議で政府調達というのがトップに来ているでしょう、それと何か関係がありますか、ありませんか。

原口幸市外務省経済局長

○原口政府委員 全く関係はございません。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 全く関係のないという御答弁でありますが、何かそういう感じがいたします。それは主観の違いになりますので、これ以上言いません。  次に、このウルグアイ・ラウンド、これだけ今お話を申し上げた大きな協定が、これは前に総理が外務大臣当時に、私が、これをまだ国会に報告をしていないのは国会軽視だと申し上げたのでありますが、それで、それはできるだけ早く国会に報告するようにというような御趣旨の御答弁をいただいたように思います。しかし今日、今もってウルグアイ・ラウンドの全体像についての本会議における説明はありません。各委員会におけるパートパートの説明もありません。  それで、本会議が開けなかったという事情もあるのでしょうけれども、しかし細川当時の総理大臣、前総理大臣は、日米協議をおやりになった直後に本会議で演説をされて、アメリカとの日米協議の内容を報告をされております。それに対して質疑があっております。  これだけ長い期間をかけた、しかも多国間でやった協定について、政府がまだ国会に報告をしていない。しかし、外の方では、例えば前の委員会のときには、全中にはいち早くその経過報告をしたとか、いろいろなことを申し上げましたが、最近でもアジア・太平洋会議なんかで外務省が詳しく説明をしている。国会に対して本会議で、これこれこういう内容を含むものであり、やがて批准はこういう形で出てくるとか、そういう御説明がないと、やはりこれは国会軽視をし続けていると言わざるを得ないのですが、総理大臣、この辺またもう一度御答弁ください。そして、できるだけ早く報告をするように御努力をいただきたいと思います。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 これは前回も御指摘があったことでございまして、私どもの方としても作業を済ませて、そして国会の議運の方に御相談を申し上げておるというふうに私は承知しておりますけれども、今御指摘のとおり、できるだけ早く国会に御報告申し上げ、御論議をいただきたいというふうに考えます。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 報告をできるだけ早く、それはマラケシュで最終文書確認をされてからもう一カ月以上たっているわけですから、そして概要の説明というのはいろいろな場でされているわけですから、国会できちんと報告をされるというのは、これは必要であると思います。  そして、これだけ多岐にわたる協定でありますから、各委員会においても、その部分部分についてはきちんと担当大臣から分科会的に御報告をいただくのが本当だろう。それに対してまた御論議をするのが本当だろう。しかし、まだ、いまだ正式な訳文が出ておりませんから、正式な御報告ではないかもしれない。取り急ぎ御報告ということになるのかもしれない。しかし、取り急ぎにしても少し時間がかかり過ぎているということを御指摘を申し上げ、今総理大臣から、できるだけ早くやるというお話でありますから、そのことを重く受けとめさせていただきます。  そして、このウルグアイ・ラウンドの協定は、私は御提案申し上げたいと思いますが、これは国会の中のことでありますが、やはり小選挙区制の区割り法案と並んで大きな今後の課題になると思うんです。したがって、やはり特別委員会を開き、さらに特別委員会のもとに分科会をつくり、そして日本が間違いない方向に歩いているかどうか、そういうチェックをすることをするのが国会の役目だろうと私は思っておりますので、私どもの御提案として申し上げておきたいと思います。  もう時間が半分たちましたので、次の話題に入らせていただきます。やや詳細に入るわけでありますが、ここから先は農林水産大臣の分野であります。  加藤農林水産大臣は、もう前にも農林水産大臣をお務めになり、農政のベテランとして私どもも御指導賜ってまいったわけでありますが、御就任早々、生産調整は強化しないんだという旨の御発言をしておられますが、それは今でもお気持ちお変わりありませんかどうか、お伺いをいたします。

加藤六月改新農林水産大臣

○加藤国務大臣 今も変わっておりません。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 今のお話は、これは後へ続きますので、非常に大事なことなんであります。  その前に、これは畑英次郎当時の農林水産大臣と随分やり合い、また細川総理大臣からも御答弁をいただいておる点でありますが、今度のウルグアイ・ラウンド協定、ドゥニー調整案の中で示されたミニマムアクセスというのは、我が国にとつては義務か義務でないかという議論を随分させていただきました。当時の畑農林水産大臣の御答弁の、私の質問に対する最後の御答弁は「いわゆる国家貿易という立場にございましては義務を生ずると、かように受けとめております。」これは議事録からそのままとったものであります。細川総理大臣はこれを受けてこういうふうに言っておられます。これはまたうまいなと思うんですが、「私は、義務に近いものと考えると言った方がより正確なのではないかというふうに思います。」非常にうまくオブラートに包まれたんですね。ここのところ僕もよくわからないでおるんですが、加藤農林水産大臣は、ミニマムアクセスは義務だと言い切っていただけますかどうですか。

加藤六月改新農林水産大臣

○加藤国務大臣 本年二月二十一日の当予算委員会において、今保利委員がおっしゃいましたような畑農林水産大臣と細川内閣総理大臣のお答えは、私も今手元へ持っておりますが、そのように、そのまま読んでおります。  このミニマムアクセスの約束というものが、約束、まあどういう、いろいろ議論はあると思うんですが、条文の上では、国内消費量の一定の割合の数量について輸入機会を提供すればよいということになっておりますが、しかし、そこから先が問題でございまして、米のような国家貿易品目については国が輸入を管理し得る立場にあることから、通常その数量の輸入を行うべきことになると考えられます。  しかしながら、この後があるわけでございますが、仮に、しからば、国際需給が逼迫になった場合どうかという問題を常に議論しておかなくちゃならぬと思います。その場合には、ミニマムアクセス数量の輸入が客観的に見て困難な場合があれば、ミニマムアクセスの提供についてその責任を追及されることはない、こう考えております。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 非常に重要な御答弁だと思います。  もし、例えば米の生産国において干ばつが出ちゃって輸出能力ありませんといったときは買わなくていい、こういうふうに聞こえましたけれども、それでよろしいですか。

加藤六月改新農林水産大臣

○加藤国務大臣 ミニマムアクセスの提供について、その責任を追及されることはないと考えておるということでございます。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 それは、「いわゆる国家貿易という立場にございましては義務を生ずると、かように受けとめております。」という畑農林水産大臣の御答弁とちょっと違いますね。場合によっては輸入しなくてもいい、こういうふうに聞こえますが、それでよろしゅうございますか。

加藤六月改新農林水産大臣

○加藤国務大臣 前半の場合が、というのは、国家貿易品目でございますから、その数量の輸入を行うべきであるという大前提はあるわけです。大前提はあるわけでございますが、国際需給の逼迫等により客観的に困難という場合は、仮にあった場合は、その責任は追及されない、こういうように解釈して、全体としては責任があるということはもうはっきりしておるわけですから、私はそう判断しておるわけです。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 国際価格が高くなったり、あるいは物が本当になかったり、あるいは世界じゅうが協定してもっと飢餓で苦しんでいる国々に回すべきだという議論になったとき、そういうようなときにはミニマムアクセスの義務は免れる。これは外務省、条約を結んだ係としてはこれでよろしいですか。

原口幸市外務省経済局長

○原口政府委員 お答え申し上げます。  仮に、国際需給の逼迫等客観的に困難な状況があることによって、現実に輸入される数量がミニマムアクセス機会として設定される数量に満たされなかったとしても、そのことをもって法的義務違反というものにはならないというふうに我々は理解しております。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 義務を免れるということについて基準というのははっきりしているのでしょうか。そこはどうなっていますか。はっきりしているのですか、してないのですか。

原口幸市外務省経済局長

○原口政府委員 協定上は、ミニマムアクセスの機会を設定するというのが義務でございます。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 それはもともとの、ダンケルさんのペーパーの大もとのもとなんですよね。それは前にも議論したのです、ここで。そして、当時の畑農林水産大臣からその辺はしっかり御答弁をいただいております。細川総理もそこのところは本会議で御答弁になっていらっしゃるのです。どういうふうに言っていらっしゃるかというと、従来ほとんど輸入がされていない農産物について、一定量のミニマムアクセスの機会を設定することは締約国の義務であるとされていると承知しております。というのは、ダンケル文書の大もとのもとなんですよ。それに対して例外を我々が求めたものですから、日本が求めたものですから、国家貿易の名のもとに義務になってしまったと私どもは思って、大変だと思っていたんです。  場合によっては買わなくても済むということになると、じゃ場合によってという抽象的なことではなくて、何かその判断基準があるのかと、こうお伺いをしているんですが、御答弁がどうもはっきりいたしません。これは、今までの御答弁ですと、農林水産大臣、義務だとおっしゃっているんですよ。どんなことがあったって買わなきゃならない、そういう約束をしたんだと、私どもはそうとったんですよ、今までの。これは当時の農林水産大臣の畑英次郎今の通産大臣、そこはどうお考えになります。

畑英次郎改新通商産業大臣

○畑国務大臣 先ほど保利先生御指摘のとおり、私のたしか答弁の後で、細川総理、当時の総理が先ほど御指摘のような発言をなさいました。私はそのとき、自分の表現よりも、先ほど保利委員も御指摘のとおり、ある意味では幅のある上手な御答弁だなというのがその瞬間の受けとめ方でございましたが、その後、私なりの頭の中では、我が方が恣意的にいわゆるこれを免れるということはできない、かような受けとめ方を私自身はさせていただいているわけでございます。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 このポイントは、実は非常に重要なポイントですから、農林水産委員会等でしっかりした政府の統一見解を出していただきたいんです。これは、国民は買わなきゃならないと思っていますからね、この間の答弁で。どんなに余っていても、日本がどんなに余っていても、世界じゅうがどんなに飢えに苦しんでいても買わなきゃならない、それが国家貿易のもとでのミニマムアクセスの形態だと、こうとっちゃってますよ。それを今修正をされることならば、この羽田内閣としてはこの点についてはどうされるのか、きちんとした統一見解を出していただきたいと思います。要求いたしますが、いかがでしょうか。これはどなたかから御答弁いただけますか。

山口鶴男日本社会党・護憲民主連合

○山口委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕

山口鶴男日本社会党・護憲民主連合

○山口委員長 それじゃ、速記を起こしてください。  ただいま保利委員御提起の問題につきましては、極めて重要な問題でありますので、政府の統一見解を速やかに出していただきたいと存じます。  保利君。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 非常に大事なことですから、統一見解をしっかり見せていただきまして、それでまたいろいろな場で御質問申し上げるということはあり得べしというふうに申し上げておきます。  次に、ことしはお米が随分、ことしというか去年ですか、不作になりまして、その結果、緊急輸入がありました。減反緩和をやりました。ことしの減反は六十万ヘクタール、七万六千ヘクタール減反を緩和して六十万ヘクタールになりました。その結果、作付面積はどのくらいになり、そしてさらに、予定の生産量はどのくらいになっておりますか。これは事務当局からお答えください。

日出英輔農林水産省農蚕園芸局長

○日出政府委員 ことしの減反、六十万ヘクタールで昨年の十一月に各県に指示しておりますが、現在、作付につきましては、田植えの真っ最中でございます。五月十五日現在で約五〇%弱の田植えでございますし、六月一日で約七十数%の田植え状況でございますので、まだ水稲作付面積、正確にはわかりませんが、おおむね大体私ども予定しておりました二百二十万ヘクタール前後になるのではないだろうかというふうに思っておりまして、転作の緩和につきましては順調に進んでおるというふうに承知しております。  まだ、数字につきましては、これから精査をいたしましてお話し申し上げたいと思っております。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 二百二十万ヘクタール作付いたしまして、こちらから申し上げれば、千五十八万トンというのが食糧庁がこの間発表しておった数字でありますね。ことしの予想生産、平年作であれば千五十八万トン、こういう数字を発表しておられました。  そこで、加藤大臣が先ほど、生産調整は強化いたしません、こうおっしゃつているわけですから、千五十八万トンというのは、少なくとも今後数年間にわたってずっとつくり続けるという政策をおとりになるわけですね。そのことは大臣よろしゅうございますね。減反はふやさないのですから。

加藤六月改新農林水産大臣

○加藤国務大臣 昨年十二月十七日の閣議了解においても、その線がはっきりうたってあります。私はそれを誠実に実行していく決意でございます。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 そうすると、先ほど輸入の義務云々ということを申し上げたのですが、ウルグアイ・ラウンドの協定である文書によりますと、一九九五年は三十七万九千トンの外米を輸入する。義務じゃないとおっしゃったのですけれども、私どもは一応義務ととっておったのですが、三十七万九千トンの外米を輸入するというウルグアイ・ラウンドの取り決めになっておりますね。さらに、二〇〇〇年には七十五万八千トン、いわゆる四%−八%条項、これは数字にも出ている。そして年々〇・八%ずつふやしていく。最初は四%だ、その次は四・八%だ、その次は五・六%だというふうに年々〇・八%ふやしていく、そういう取り決めになっておりますね。このことについては御確認いただきたいのですが、農林水産省お願いします。

東久雄農林水産省経済局長

○東(久)政府委員 御答弁させていただきます。  関税化の特例措置としての取り決めの中で、今先生の御指摘のようになっております。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 関税化の特例措置として、そのくらいの数量を輸入するということを国際約束をしておる、今そういうことでした。義務条項については、また後ほど議論させていただきますが。  そういうことでありますと、年々年々ふえていきまして、そして西暦二〇〇〇年には七十五万八千トン、精米ベースですからね、これは精米ベースで輸入するというふうに言われておりますので、それだけ入ってくるわけであります。  そうすると、結論として申し上げますと、日本の米は、国産のお米は今の水準でつくり続けますよ、輸入はふやし続けますよ、こういう結論になるのですが、それでよろしゅうございますね。これは農林水産大臣からお答えいただきます。

加藤六月改新農林水産大臣

○加藤国務大臣 そのように私も理解しております。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 これはもうそうならざるを得ないのです、今までのお答えをずっと積み重ねていくと。しかし、これは国家にとっては大問題である。  かつて余剰米を始末するのに三兆円使ったことがありますね。一兆円と二兆円合わせて三兆円使ったことがある。それで全中の豊田会長が羽田総理大臣のところに伺って、二百万トンの備蓄をしたらどうですかということを言いに行ったら、羽田さんは、総理大臣は、財政負担が大変だからこれはそんなにはできないよとおっしゃっておられました。そのことは間違いありませんか、総理大臣。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 それに一言加えましたのは、要するに二百万トンということになりますと、これがまた豊作であるとこれはまた上積みするということで、大変な財政負担を経験したことを考えると、二百万トンということについて私が今申し上げることじゃないだろう。要するに、二百万トンというのは非常に大きいねということを率直に申し上げました。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 実は、日本ではここ数年のうちに、平年作が続いていけば、完全に過剰基調になるということは、今の、私ずっと議論を重ねてきましたその過程でもおわかりいただけたと思うのです。  ところで、世界の人口というのは、今たしか五十六億人ぐらいだと思います。このことについては総理府が統計を持っておられるのですかね、たしか。五十六億人ぐらいだと思うのです。これはこちらから申し上げます。それで、年間——厚生大臣、厚生大臣から世界の人口、御答弁いただけますか。

大内啓伍改新厚生大臣

○大内国務大臣 私の机の前には、刻々人口の変動のあれがございますが、五十六億を今超えております。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 しかも、一年間に一億人ぐらいずつふえていっておる、刻々大変なスピードでふえていっていることは事実であります。やがて百億を超し百二十億ぐらいまでいっちゃうだろうと、この間新聞にも出ておりました。  その中で問題は、五十六億の中で食糧不足に悩んでいる人口がどのくらいあるだろうか。これは政府の中でおつかまえになっていらっしゃる部署はございますか、世界の飢餓人口。

高野幸二郎外務省総合外交政策局国際社会協力部長

○高野政府委員 飢餓人口という意味では正確な定義がございませんので、そのものずばりの数字はございませんが、慢性的な栄養不足にある人々の数という意味では、一昨年にFAO、世界食糧農業機関が推定数値として出しましたのがございます。それは八億。これは開発途上地域におけるそういう人たちの数ということでございます。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 五十六億のうち約八億が飢えに苦しんでおられるというこの地球上の実態であります。片一方、日本はウルグアイ・ラウンド協定によって必要のないものも買わなきゃならないという事態になりそうであります。買っていかなければならないという事態になりそうであります。よっぽどの場合は義務を免れるというような御答弁もございましたけれども、まともに読めば、買っていかなきゃならないということである。  そうすると八億、十億近い方々が地球上で飢えに苦しんでいながら、日本ではそういう世界の米を、必要もないのにと言ってはちょっと語弊がありますけれども買う。そのことによって世界の米の価格が上がる。そして、先日、北朝鮮は米の輸入を断念したというふうなことが報じられておりましたけれども、そういうような事態がどんどん起こっていくわけですね。  そうすると、おなかを減らして飢えに苦しんでいる人たちが八億もいるのに、日本においては、世界の市場から米を買って、しかも備蓄と称してしばらくとっておいて、食べられなくなったら今度はえさに回していくというようなことをやるのは、八億の飢えに苦しんでいる人たちに対してまことに申しわけないことなんじゃないんでしょうか。  場合によっては、もっと言い方をきつくすれば、そうやって日本が世界から米を買っていって、そして自分のところで抱え込んで古くして、えさに流していくというようなことは、飢えに苦しんでいる人類に対する犯罪であるかもしれない、ちょっと言葉がきついですけれども。そのことをやはり世界に向かって日本は言っていくべきじゃないか。その場は、やはりこれはサミットしかないだろうと僕は思います。ほかに世界人口会議とかあるいは国連環境会議とかいろいろあるのです。  これは、環境会議のこと、あるいは人口増加のことについては、厚生大臣あるいは環境庁長官にももっと細かく伺おうと思いましたけれども、ちょっと時間が迫ってきましたので話をはしょりまして、その辺は失礼をさせていただきます、せっかく御用意をいただいておりますのに恐縮ですが。  ポイントは、そういう飢えに苦しんでいる人たちに対して我々が自由貿易の名のもとに犯罪を犯そうとしていると言っても過言ではない。ちょっと言葉がきつ過ぎるかもしれません、再度申し上げますが。その状態はやはりこの地球の上から解消していく努力をするのが、G7の一国の総理としてこれは求められる仕事ではないかと思うんです。  そこで私は、この際、羽田総理がナポリ・サミットに恐らくおいでになるでしょう、七月の七、八、九。そのときに、ぜひ日本の提案として積極的に言っていただきたい。そういう飢えに苦しんでいる人たちに対して、我々は自由貿易の名のもとに罪を犯すことはできない、やはりこういう人たちに世界の農産物は回してあげるべきだという御提案をされてはいかがでしょうか。そのためには、やはり日本もそれなりの財政負担を覚悟する、このくらいの覚悟はなくちゃだめです。それでこそ、世界に向かって日本は胸を張っていけるんじゃないかと思うんです。  さらにもう一つ言わせていただければ、羽田総理にお願いをしたいのは、できるかできないかはわかりません、今まで海外援助ということは何回もこの予算委員会の場でも議論になりましたけれども、その都度、役所の論理で大体うやむやになって結論が見えませんでした。しかし、サミットの場でこそ、世界に対して罪を犯したくない、自由貿易もこういう点がぐあいが悪いんだということを言っていくのが日本の立場である。  そして、申し上げますが、世界食糧管理機構というようなものの設立を提言されてはいかがでしょうか。日本だけが差し上げるというのではなくて、日本が協力をして世界食糧管理機構というのをつくって、そこに世界の余剰農産物というのを集めるなり、あるいは日本が買ってそこへ供出するなりして、そこから安い価格で、あるいは場合によっては無償援助で差し上げるという国際機関を設立する。そういうふうにやっていかないと、今のままのウルグアイ・ラウンド協定、ドウニー調整案のそのままをいつまでも続けていったら、これは日本がおかしいことになっちゃう。こういう御提案を申し上げて、サミットでぜひ総理大臣に世界食糧管理機構の設立について御提言をいただくように御尽力をいただきたいと思うのでありますが、総理大臣の御所見いかが。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 先ごろの我が国の不作、そういう中で我が国が、二百万トンですか、その前後のものを購入する。そういう中で、米の価格が、国際価格が大変暴騰してしまったということもありました。それはまさに飢餓と栄養失調に苦しむ国の人たちが買えなくなってしまったということに言いかえることもできるんじゃなかろうかというふうにも思います。  そして、今御提言のありました問題は、私ども、この七年何カ月の間各国に対してもお話をしてきたことでありまして、私自身の中にも、やはりガットというところはただ貿易だけではいかぬじゃないか、やはり人口だとかそういったものを考えながらこういったものに対応すべきだということも主張してまいったという経緯があり、また、そういったときにFAOなんかの意見を聞く必要もあろうということも言ってまいったわけであります。  しかし、この問題につきましては、過去において、世界食糧管理機構というようなものがたしかアメリカから提案されたことがFAOで提案されたことがありました。もう十四、五年前のことだと思います。しかし、そのときは、残念ですけれどもそういったことが実らなかったということでありますけれども、そういったものに対して日本が積極的に提案していくべきじゃないかという御意見は、私は貴重な御意見であろうというふうに考えておりまして、それがどんなふうな影響を及ぼすのか、いろんなことを私としても勉強してみたいというふうに考えます。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 私たちも、このウルグアイ・ラウンドで約束したこういう事項が、このままほっておくとえらいことになるんだ。飢えに苦しんでいる人たちがありながら、そのことはわかっていながら、我々がむだな買い物をしていくということは、これは許されないんじゃないか。どうも、やはり自由貿易万能の姿で日本が押しまくられているという姿が印象に残って仕方ありません。したがって、この世界の、地球上で人類が平穏無事に皆幸せに生きていくためには、そういう提案をきちんとしてこそ日本の真価が発揮できるんだ、そして、自由貿易だけではありませんよ、世界をマネージしていく論理というのはそれだけではありませんよということを声高らかに叫んでいただきたいというふうに思います。  この点は非常に大事なことでありますから、総理大臣、まことに恐縮ですが、もう一度、サミットの場でそういう提案をしてみよう、そして研究だけではなくて、これは役所の皆さんにいろいろ言うといろいろなしがらみがありましてなかなかできないことですが、まさに羽田総理のリーダーシップのもとにこういうことが設立できれば、人類に対して大貢献をしたという総理大臣ということになると思いますので、御決意のほどをもう一度、大変恐縮ですがお聞かせをいただきたいと思います。よろしくお願いします。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 私も、先ほど申し上げましたように、保利委員からの御提言というのを、全く同じような考え方を持っていろいろと話してきた人間であります。  実は、そういった問題について勉強するということは、そういう問題について提言をする、しかし、かつてアメリカが提案したときにこれはついえてしまったという経験がある、そのあたりなんかについてもひとつ勉強してほしいということで検討をさせておるというのが実は現状であることを申し上げ、しかし、今の御意見は私は大切にしていきたいと思います。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 ポイントは、人類に対して罪を犯したくない、そこなんです。そのことをよく総理の頭の中に入れておいていただいて、御発言をいただきたい、このように強く要望を申し上げる次第であります。  さて、時間が迫ってまいりましたが、ウルグアイ・ラウンドの対策というようなことが盛んに言われるわけですが、ウルグアイ・ラウンドが国会に報告にもなっていない、また条約として国会の審議にもかかっていない。審議もしていないうちに賛否を申し上げるという立場に私どもはありません。国会が通るか通らないかがわからないうちにその対策で走り過ぎるというのも、政府としてはいかがなものかと思う。国会が通って初めて対策というのは本格的にできるのですね。  しかし、農村や漁村の全体のありさまを見てみると、非常に疲弊しておる。これはウルグアイ・ラウンドがなくてもあっても、後継者不足とかいろいろな問題で苦しんでいる人たちが多いのですね。それに負債が多いとか負担金が多いとかということで悩んでおられます。  農林水産省は、新農政というのを展開しておられます。加藤農林水産大臣はこの新農政ということについてどういう御所見をお持ちか、伺わせてください。

加藤六月改新農林水産大臣

○加藤国務大臣 一昨年、農水委員会を中心に、国会議員の皆さん方が英知を結集していろいろな新施策を決定していただきました。それがある面では、今保利委員がおっしゃいました新農政であると思っております。  今改めてそれを、その線に従いまして平成四年六月に農林水産省が策定しました「新しい食料・農業・農村政策の方向」というのがございますが、それを見ますと、まず第一は、我が国農業が新規就農者の減少、高齢化の進行、耕作放棄地の増加等の厳しい状況の中で、今申し上げましたような事態に適切に対処しょう。一点です。それから二は、可能な限り効率的な農業生産を行い、国土資源を有効に利用することを基本としよう。それから三番目は、長期的展望のもとに魅力ある農業と活力ある農村を実現していく必要があるというもとに、基本ビジョンをまとめておるわけでございます。  したがいまして、新政策といいますか新農政は、魅力とやりがいのある農業経営を育て、効率的・安定的な経営体が生産の大半を担う力強い農業構造の実現を目指すということと、地域の特性を生かした農業生産の振興や、さまざまな資源を生かした地域の活性化を進めていく、これらが私は一つの重要な新農政、新政策であると考えておりまして、今後は今申し上げましたような施策の厚みを増すような方向で早急に実施していきたい、こう考えておるところでございます。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 国際競争力をつけるということ、そのために規模拡大していくということ、まあいろいろと言葉は並ぶのです。しかし、私どもも農政に携わってきて、総理ももうずっと御苦心なさってきたわけですけれども、その言葉の意味をもう少しやはり深く突っ込んで農林水産大臣御自身もお考えをいただきたいなと、釈迦に説法のようで申しわけありませんけれども、そういうふうに思うのです。  例えば、国際競争力をつけるというのは一体どういう意味なんだ。ほかの国の一番安い農産物と価格がそろわなきゃ国際競争力がつかないのか。それとも、一番安い国の三倍までは許容できるのか、五倍までは許容できるのか。そういういろいろな問題が国際競争力という言葉一つとってもあるのですね。まさかアメリカと同じ価格というのは、だれだってそれはできないよということになるのです。  しかし、それならどこまでだというのは、これは永遠のテーマなんですね。例えばウルグアイ・ラウンドの中では国内支持を二〇%削減するというそういう協定があるのですが、そこの中で、新聞の見出し風に書きますと、政府が米と麦の価格を西暦二〇〇〇年までに二〇%下げるんだ、こういう方針を出した、こう書いてあるのですよ。大体そういうことは前々から言われているわけです。  しかし、二〇%で国際競争力がつくのかどうか。まあ、いろいろあるでしょう。むしろ、明るい農村をつくるとかそういうようなことで後継者を育てていくということになれば、いい価格で売れないと後継者は育たないでしょう。そういった矛盾もあるのです。  そういったことを十分御勘案をいただいて、あと農政の問題については、非常に長くなりますので、農林水産委員会の場での議論に回したいと思います。     〔委員長退席、後藤委員長代理着席〕  そのほか重要な問題としては、中山間地対策、我が党は中山間地対策のプロジェクトチームをつ くっております。私がその座長になっておりますが、またいろいろ農林水産省にも御協力をいただいて立案をしていかなければならない、このように思っておるわけでございますが、ほかにも農家の負担金対策とか、畜産対策であるとか、あるいは分野は小さくなっているけれども蚕をどうするかとか、いろいろな問題があります。そういった問題について、一々プロジェクトをつくって私たちはいろいろ論議をしているということを申し上げておきます。  農民の方々も、一体、下げろ、下げろってどこまで下げればいいのよというのは、これはもう率直な疑問です。やはりそれに対しては、加藤農政ここにありというような感じで、一つの目標点を明確に示すというようなことができれば一番いいんだがな、こう思っております。  時間があと十五分になりましたので、残った話題について二、三御質問させていただきます。  最近のテレビ、きのうもやっておりましたけれども、中国からの難民というのでしょうか、あるいは不法入国というのでしょうか、福岡あたりでは百五十人くらいが倉庫の中に何となくいた、上陸してしまった、こういう問題が言われております。大変なことだと思います。島根県でもありました。鹿児島でしたか、南九州、それから先日は紀伊半島の先、和歌山でもありました。日本は海岸線に囲まれておりますから、夜陰に紛れて入り込もうと思えばどこからでも入り込めるような感じですね。  実は、見つかったのは四件かもしれないけれども、上陸に成功しちゃった人はかなりいるのじゃないかという懸念を私は持つのですが、この辺については、これは海岸を警備しておられるのは警察庁だと思いますし、不法入国については運輸省、海上保安庁、それから法務省は不法入国担当、中国との関係で言えば外務省、いろいろあると思うのです。どなたからでも結構です、この問題についてどうお考えになっていらっしゃるか、対策があるのか。まず警察庁からお答えいただきます。     〔後藤委員長代理退席、委員長着席〕

菅沼清高警察庁警備局長

○菅沼政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、最近集団密航、集団不法入国事案が多発傾向にございまして、ことしに入りましてから警察で検挙いたしましたものだけで六件、二百六十四人でございまして、昨年一年間では百三十三人でございましたので、既に倍になっている状況でございます。このうち、御質問にございました中国人について言いますと、二百三十四人でございますので、ことしに入って警察で扱ったものの約九割が中国からの集団密航ということになります。  警察といたしましては、海岸付近の住民あるいは漁協、漁民等の協力だとか、海上保安庁等関係機関の連携によりまして沿岸警戒を強化して、いわゆる水際検挙を図るべく努力をしているところでございます。  なお、最近の集団密航事案につきましては、一般に、蛇頭、これは蛇の頭と書くのでありますけれども、蛇頭と呼ばれる密航請負人グループが中国、香港、台湾等にございまして、また、日本の暴力団員が組織的、計画的に関与してビジネスとしてやっているというような状況がうかがわれます。ちなみに、一人当たり手数料が約二百万円、百人扱うと二億円というようなことも聞いております。  警察といたしましては、言葉の問題等ございますので、この種の事件に精通した捜査官の育成でありますとか、中国語等の通訳体制の拡充などをやっているところでございます。また、外交ルートを通じて、中国側に対して不法出国の防止等につきましても外務省等を通してお願いをしている状況でございます。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 運輸大臣、手を挙げておられたように思うのですが、海上保安庁関係ではこの対策は何か特別にとっておられますか。

二見伸明公明党運輸大臣

○二見国務大臣 まさに水際で阻止するというのが海上保安庁の職分でございますが、特に最近は大変悪質巧妙化してきておりますし、昨年は日本の暴力団も関与したというふうな事件もございました。  海上保安庁としては、巡視船艇や航空機を不法入国のおそれのあるところに重点的に配備をして警戒をするとか、それでも海岸線は長いですからなかなかカバーし切れませんけれども、例えば漁船などにも何か怪しい船があったならば教えてもらえないかとか、そういういわゆる情報収集体制も強化して、水際でもって捕捉、検挙するということに今力を入れているところでございます。  以上です。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 警察庁にしても海上保安庁にしても大変御苦労さまでございます。  そこで、警察庁にもちょっと伺っておきたいのですけれども、不法入国に成功した人たちというのは、いる可能性というのは否定できないと思うのですが、いかがですか。

菅沼清高警察庁警備局長

○菅沼政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、警察で扱ったものは恐らく何分の一かであろうというように思われますので、これは一説によりますと四、五倍という説もございますけれども、不法に入国をして国内にいるという者もあるというように考えられます。検挙いたしました事案でも、到着後、私どもが捕捉した者のほかに、いわゆる保冷車とかトラックとかそういったもので既に運び去られたというような話も出ておりますので、相当な暗数はあるであろうというように考えております。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 暗数という言葉を使われたわけですね。私もその辺が非常に心配です。それが、捕まった方々、不幸にして捕まったのはちょうど都会で駐車違反で捕まったのと同じぐらいで、ほかに駐車違反を見逃されている方は随分ある、そのくらいの割合があるんじゃないかと私は懸念をいたしております。  警察庁は、そういった警備体制をとっていくのに予算等については十分ですか。例えば朝鮮で、私たちは希望することではありませんが、有事のときにはたくさんの難民の方がおいでになる。その方々をきちんと収容するような場所というのがあるかどうか、今の予算でそういうものがっくれるかどうか。そこは警察庁どうですか。警察庁になるのかな。これは法務省になるんですか。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 今お答えがありましたように、過般二件の事件の中でも逃亡した人が五十一人おると見られておりますし、日本国内全体には約三十万人の不法滞在がおるんじゃないかと私どもは考えております。  鋭意、関係各省と連絡をとり合いながら調査をし、警察等で摘発され検察へ送られましたのは一生懸命処理をいたしておりますが、例えば検事の数も足りない、言葉の問題もある、あるいは収容所等も大変満杯、そこにおける食事代等も大変厳しい。  また、強制送還をするわけでありますが、強制送還を、中国側は船で送り返せ、こう言うのでありますが、送り返しますと、その船の中での食事代をみんな持たなければならない。そうすると飛行機でチャーターして送る方が安いとか、工夫はいたしているわけであります。問題は、この送り返した、強制送還した人々が相手国で意外と罪がきちっとしていない、処罰されていない感じがあります。  ここら辺も含めまして、関係各省等で十分な連絡をとり合いながら最大限努力をしていきたい。また、予算面等につきましては先生の御声援等もお願い申し上げたい、このように思います。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 法務省というのは割と応援団が少ないんですよね、本当に。ですから、刑務所の施設の改良とか、そういうことで私も随分お手伝いをしたことがあるんですけれども、法務省自身も緊急性とか重要性とか訴えて、そういった施設を充実、充実するのは好ましいことかどうかわかりませんけれども、やむを得ずやることについて十分頑張っていただきたいと思います。  また、警察庁や海上保安庁におかれましても、国民に不安が起きないようにきちんと警備体制を とっておいていただきたい。それだけの予算については藤井大蔵大臣が胸をたたいて保証すると思うんですが、まあ大蔵大臣からは御答弁求めませんけれども、大蔵大臣には御要望を申し上げておきます。  次に、羽田総理大臣、お伺いいたします。  羽田総理大臣は、同時に科学技術会議の議長であるということは御存じでいらっしゃいますね、科学技術会議というのは非常に権威の高い会議でありまして、年に何回か会議を、総会をおやりになるだろうと思います。この次のテーマももう決まっておると思うんですが、今日本では科学技術の振興が叫ばれている、にもかかわらず理工系を志望する人が少なくなっているというようなことが言われている。これは文部大臣から後で実情について御答弁いただきます。ただ、科学技術会議の議長としての羽田総理大臣には、科学技術の振興という観点から、やっぱりきちんとした政策を持っていていただきたい。  特に私がお願いをしたいのは、宮澤内閣のときにも、総理は大蔵大臣でいらっしゃったと思うんですが、そのときに、科学技術の振興について当時の宮澤科学技術会議議長が宮澤総理大臣に対して、今度は羽田議長が羽田総理大臣に対して答申されるわけですけれども、その中で「時々の財政事情を踏まえつつ、」これはもう大蔵省がまくらに必ず入れる言葉なんです。「時々の財政事情を踏まえつつ、政府の研究開発投資額をできるだけ早期に倍増するように努める。」これは努めていただかなきゃならないんです。お名前が孜でありますから、ひとつ一生懸命この科学技術の振興についてお努めをいただきたい、このことを申し上げておきます。  これは一つ典型的な例があります。  SSCというプロジェクトは、アメリカのテキサス州で行われる予定だった大体円周九十キロのいわゆる粒子加速器でありますが、これはアメリカの財政事情等もこれあり、計画が中止になってしまいました。あとは後始末の予算だけが計上されていると聞いております。  それで、今度はそれじゃ世界の大型加速器はどこかといえば、私が再三行っておりましたジュネーブにあるんですね。CERNという機関がつくっておりますところの加速器があります。これは一周が二十七キロあるんです。一周が二十七キロ、地下百メートルのところ、ジュラ山系のかたい岩盤の中をくりぬいて、ドーナツ状にこういうふうにあるんです。私はその中へ入って、見ました。それで、何やるのかなと思ったら、電子と電子をぶっつけて、そして物質の究極の姿を究明するんだ、それだけのことなんです。そんなことをやって何になるの、これを聞いたら、そんなことをやって何になるのということを聞いたら、これは科学技術の振興にならないんです。むだかもしれない、千に三つかもしれない。しかしそれをお金を出してやると何か出てくるんです。アリストテレスの時代からずうっと、物質の中身が究明されるに従って科学技術というのは進歩してきた。だから、もっと細かくいけばもつと進歩するというのが学者の意見でありましたけれども。  そこから今度は、陽子と陽子をぶつけるためのLHCというものの参加申し出が日本に来ております。SSCの場合は数千億協力しなければならなかったのでありますが、これは加盟国以外では大体四百億程度、数百億で済む話であります。我々の科学技術の振興のためにぜひこれは参加をする、そして乗りおくれないようにする。CERN、まあジュネーブにもおいでになると思いますが、そのときはぜひ地下百メートルのドーナツの中へお入りになってみて、いかに学者というのが難しい研究をしておるのか、そのための手伝いを我々がしなければならないのかという認識を深めていただきたいのであります。  SSCが終わってLHCの問題、これは文部省にもアプローチが来ております。その辺を含めて、理科志望者が少なくなったこと、それからLHCの参加、まず文部大臣からお答えをいただいて、総理大臣の科学技術会議議長としての御決意なり御意見なりをお聞かせください。お願いします。  文部大臣、お願いします。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 お答えいたします。  実は昨日もここで若い者の理工科離れについて憂慮をするという御答弁を申し上げましたが、本当に理工科に魅力を感じるような若者を育てたい、そして魅力のある分野だということをもっと知らせたいということをお答え申し上げました。  もう少し具体的に申し上げますと、理工科系大学を充実させるために、現在、戦後最大と言われる大学の改革が進められているわけでございまして、その中で情報やバイオなどの社会的要請の強い分野の学部をつくっていくというようなことに大いに努めているところでございます。その効果がそんなにすぐにあらわれるというような種類のものではございませんが、長い目で、できるだけ理工科に対する若者の志向が高まっていくようにということを願っております。  もう一点のCERN関係のことでございますが、先生のおっしゃったLHC、ラージ・ハドロン・コライダーでございますか、のような大型の事業の協力につきまして、大変重要なことだというふうに思います。私は先ほどお触れになった科学技術会議のメンバーでもございますので、その席で、基礎科学、基礎研究ということを日本がもっと本当に真剣に取り組んで、その分野で貢献ができるようなふうにしたいということを力説をいたしまして、これにつきましては大蔵大臣も賛回していただいたというふうに記憶をいたしております。  その結果かどうかは別といたしまして、本年、ただいま御審議を願っております予算の中でも、科学技術研究の補助につきましてはかなりの増額ということを認めていただいているわけでございまして、ぜひこれを早く通していただきたいと心から願っておりますが、このCERNの施設での我が国の研究者と共同研究という点について、円滑にこの共同研究が進めれば非常に大きな成果が上がるものというふうに期待をしておりまして、良好な研究協力関係が維持されるように十分配慮することが必要であると考えております。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 宮澤元総理が議長をされながら大綱を、たしか平成四年でしたね、つくられたわけでございまして、私もこれは継承していきたいというふうに考えております。  そしてやはり日本という国は、知的創造力、これが何といっても資源であろう、最大の資源であろうというふうに考えますし、今文部大臣からもお話がありましたけれども、やはり日本はもっと基礎科学といいますか、こういった問題に対して力を尽くしていかなければならないということ、私もそのとおり考えておるところであります。その意味で科学技術の振興、このためには我々も全力を尽くしたいということを申し上げます。  また、今、LHCの問題につきましては、これはSSCの話がありましたときにも実は大分議論になりました。ただ、国内の学者の中でも確かにLHCに対する議論というのは、これはどちらかというと国内のいろいろな問題が整備されないからまだという話も一つあり、また、この技術というものについての議論というのもたしか学者の中にあったということを承知いたしております。  しかし、基礎科学というものについては、もうただ一国だけでやるものじゃない時代になっているんだろうということを思うときに、我々としてもこの問題について真剣にやはり勉強しなければいけないというふうに思っております。

保利耕輔自由民主党

○保利委員 長い時間ありがとうございました。  きょうはまだまだいろいろなことについて御質問申し上げようと思いましたけれども、私の不手際でちょっと御答弁いただけなかった大臣もございましたが、大変失礼をいたしました。  最後に、きょうは羽田総理がきちんとわかりやすい言葉で重く御答弁をいただいて、ありがとうございました。  新聞を見ていたら、フランスでは、フランス語使用法案というのが圧倒的多数で国会を通っているんですよ。それくらい国の言葉を大事にしようという、きょうは民主主義の話もさしていただきましたが、民主主義のイロハのお話を総理大臣に申し上げる議員なんていうのはちょっとおこがましい話であって、大変恐縮をしたんですが、実は、イロハというものが言える若い人たちというのはいないんです。イロハが最後まで言える人というのは、若い人はいないんですよ。民主主義のイロハという言葉は言うんですよ。だけれども、イロハニホヘトからンまで四十八文字言える人というのは、若い人では、特殊な人を除いてはありません。  本当は文部大臣にも御意見をいただきたかったのですけれども、こういう日本のいい伝統というのはやはり守っていくべきだし、その範はやはり国会が示すべきであろうという意味で私は、言葉を大事にしたいが余り、先ほど失礼な質問をさせていただきました。  きょうは、いい御答弁をいただきましてありがとうございました。終わらせていただきます。

山口鶴男日本社会党・護憲民主連合

○山口委員長 これにて保利君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時六分休憩      ————◇—————     午後一時開議

山口鶴男日本社会党・護憲民主連合

○山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。柳沢伯夫君。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 まずもって羽田総理に、御就任に対しまして、心からのお喜び、お祝いを申し上げたいと思います。  羽田総理とは、私ども自民党にありましたときにもいろいろな形で政策面で御指導をいただいてきた。加えて、プライベートの面でもいろんなおつき合いの手を差し伸べていただいておりまして、大変お親しい方であると私ども思っておりまして、ある意味で質問も若干しづらい気持ちを、率直に言って感ずるわけであります。  しかし、考えてみますと、今や羽田先生は政権の首班であるということでありますし、また私どもは野党であるということで、野党といたしましては、政権に対しまして厳しいチェック、また批判をしなければならない、こういう使命を私ども持っておるわけでございます。そういう意味合いで、質問に当たりましては、やはり厳しい言葉も投げかけなければならない場面もある、こういうことで、あらかじめそういうプライベートの感情を超えた以下応答をさせていただきたい、このように考えておるわけでございます。  きょうは、質問の通告の順番を変えさせていただきまして、政治と宗教の関係を先に取り上げさせていただきたい、かように思います。  その前に、羽田総理の言葉につきましては、午前中の保利先生の質問でも、遠慮のない質問をさせていただくという前提ではありましたけれども、いささかの意見を投げかけられておりました。私も若干それに似た感じも持たないわけではありませんので、そのあたりから入らせていただきたい、このように思います。  羽田内閣の組閣のプロセスについて、羽田総理は、これは新聞の報道でございましたけれども、首班の指名の後、組閣がなかなか思うに任せなかった四月の二十六日の未明に、報道各社のインタビューで、新会派の結成に絡んでのお話だと思うのですけれども、自分は知らなかった、承知していなかったということを発言されたというふうに伝えられました。  また、せんだってでございますが、五月に入りまして、二十日の夜に、衆議院の前副議長村山先生の慰労会でございましょうか、そういう場で、あの件については自分は怒っているんだ、こういう発言があったというふうに伝えられました。  そこでまず冒頭でございますけれども、この知らなかったというのはいつの時点のことでの話を言われたのか、また何を知らなかったとおっしゃったのか、この点をまずお伺いしたい、このように思います。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 これはもう率直に申し上げますけれども、ちょうどたしか投票日でありましたか、首班指名の日でありました。あの日の午後ぐらいにうちの方の党の幹部の方からその話を聞きました。  ただ、社会党さんその他はどうなんだろうかということでありましたら、社会党さんの方なんかには話はついておりますということで聞いておって、それはもうそういうことになると大変いいなということで実は申し上げておったわけでありますけれども、当日、実は会派の届け出をするとかそういった問題については私は承知しておらなかったということであります。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 そうすると、新会派の結成は知っておった、社会党がこれに不同意なことは当然知らなかったというお話なんですが、同時に、この会派の届け出を知らなかったんだ。そうすると、会派の結成が行われ、それが届け出られるということは知らなかった、こういうことでございますね。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 会派がこういうぐあいに話が進んでいいところに来ておるという報告は実は私は受けたわけです。そういうことで、またその日のうちに届け出られるということについては承知しておらなかったということであります。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 じゃ、次の発言であるところの、怒っている、自分は怒っているんだということは、これはいつの時点で怒っておられるのか。つまり、ずうっともう時間が経過して、そして連立から社会党が離脱した、必ずしも満足できない組閣に終わったというその後で怒っているのか。  そうではなくて、当初党首である自分に、会派の結成をすれば届け出るというのは、これはもうある意味で必然的な手続問題でございますね。そういうことを自分に断らずにやってしまって、その結果社会党が連立から離脱するということになったわけですが、いわばこの会派の届け出をするというようなことを党首である自分に断らずにやったことを怒りたのか。  そうじゃなくて、その後ずうっといって、最近ますますお怒りになっていらっしゃる、こんな不満足な組閣をやらせてしまってというふうに怒っていられるのか。そのどちらなんでしょうか。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 私は、外務大臣に在任しておりましたときにも、党のことはどちらかといいますと離れておる、これはもうみんな任せておるということであります。ですから、そのことについてどうのこうのということじゃありません。  それともう一つは、私は、やはり政権というものをこれから、これからというよりあの時点でもそうでありましたけれども、運営していくのに当たって、余り幾つもの会派に分かれているとなかなかこれは、全部その都度党に持ち帰らなければならぬというところに難しさがあるねということでき得ることだったらこれはなるべく、だんだんみんなが集約されていくことがいいということは、実は私も数日前のテレビなんかでも発言をいたしておるわけでありますから、会をみんなの同意の中で進められるということに対しては何にも別に反対でもないし、また、そのことは私に一々報告だとかなんとかしなくたって、それについては構いません。  ただ、残念ですけれども、社会党さんの方と話がうまくいっているという話だったのが、それがそうでなかったということで、結局ああいう中でスタートしなければならぬということは、一体これはどうだったんだということで、それでしかも社会党の方々は私に一票を投じていただいたわけでございますから、それを裏切るような形になってしまったということに対して残念であったということであります。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 会派の届け出を当日やるということは知らなかった、しかし会派の創立をやるということは知っておった、こういうことですね。  それから、怒っておられるのは、別に自分が知らされなかったことを怒っているわけじゃないんだ、結果においてこういうふうなことになっていることを怒っていらっしゃるんだ、こういうことだというふうに今承ったわけであります。  しかし、ちょっと私はその当時の新聞記事を見ますと、必ずしも総理がおっしゃったことが正しくないんじゃないかというふうに思うわけです、組閣のいきさつからいっても。  それはどういうことかと申しますと、総理が四月二十五日衆議院本会議で首班指名を受けられたのは十三時三十八分、それから参議院の本会議で指名を受けられたのは十四時二十五分、こういうふうに新聞は報じております。我々別にストップウォッチを持っているわけじゃありませんが、そういうことを新聞は報道されている。そういうことを受けて総理が組閣のために官邸に入られたのは十五時三十一分だというふうに新聞は報じておる。それから、初めて村山委員長を初めとする当時の連立与党の党首が官邸にお集まりになったのは二十時二十分、こういうことですね。  十五時三十一分から二十時二十分というのはほぼ五時間ですね。この間、総理は何なさっていたのでしょうか。どこにいらっしゃったのでしょうか。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 総理大臣の執務室におりました。そしてその間にはいろいろな実は、政権を担当しなければならぬということでありますから、どう対応をするのかということ、そういったことについて勉強したりあるいは連絡をしたりしておったということであります。  それともう一つは、やはり組閣するに当たりましては各党の方からも御協力をいただかなければならないということでございまして、そういったところの御連絡なんかを待っておったりなんかしておったということがあります。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 結局、今の総理のお話を聞きましても、私どもは、やはり総理が総理官邸の執務室の中にいらっしゃって、そうしてその外でこの新会派の結成の手続が進んでいる、そのことを総理は御存じで、そうしてそれが行われた後に本格的な組閣作業に入ろう、したがってその届け出までの、届け出によって完成されるこの新会派の設立という問題を予期して、予想して、そうして官邸執務室の中にいらっしゃったというふうに考えざるを得ないんじゃないでしょうか、これは。  もちろん組閣という微妙きわまりない作業のことでございますから、我々外からの傍観者がこうではないか、ああではないかというふうに言うのは僭越至極だと思いますが、少なくとも我々が知っておる、連立てはありませんが、例えば自民党の時代の組閣作業を私もいささかわきで見させていただいた経験もあるわけでございますけれども、そうしたものからしますと、何と申しますか、まず官邸に入られてやられることは組閣であります。  まさに政治は人事でありますから、組閣でありまして、そうしてそのためにまず官房長官をお決めになって、官房長官をまず入れて、そしてその官房長官を相手に作業を進められるということであるはずなんでございまして、五時間もほとんど何も、あの当時テレビは、どうも所信表明の演説に手を入れているなどというような情報ももたらされて、それが報じられておりましたけれども、通常、かたずをのんで国民が注視している、そういう官邸の一挙手一投足、これに総理が何も応じられないでずっとただ待ちの姿勢にいたということは、それ以外には考えられない。  つまり、もし党首会談というものがおくれているんだったら電話をして、何しているんだ、まあどこへ電話していいかちょっとわからないですけれどもね。私はどうもそのあたりは、本当は総理は予測して、今外界で着々と進んでいることを予期しながら、少しは時間がかかるであろうからこれを待っていらっしゃる、そういうようなことの方がむしろ我々の、何と申しますか、政治的なプロセスについて若干の経験しか積んだことのない者でもはるかに自然だ。自然でないことというのはやはりおかしいのですね。  私は、大変僭越なことでございますけれども、ここで時間を費やそうとは思いません、これは本題じゃありませんから。しかし総理、もっと自然な形でのいろいろな御発言をいただかないと、私は総理のお人柄をよく知っているだけに、やはり総理大臣になって変わられちゃったのか、そういうこと、そういう気持ちすら抑えがたいような気分になるんですよ。これ以上の御答弁は必要ありませんが、要するに私は、間違いというのはあり得ると思うのですね、人間ですから。しかし、やはり羽田総理の持ち前の誠実さでもって言葉をこれからも発していただきたい。僭越ですけれども、そのことはどうしても冒頭お願いしておきたい、このように思います。いかがでしょうか。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 私が発した言葉というのは、全部本当のことっきり語っていたわけです。  ただ、私は、先ほどもお話ししましたように、そういった会派というものはだんだん集約されていくということは大変いいことだというふうに受けとめておりましたし、また、社会党さんのお立場は一体どうなのかということも聞いたときに、今度はちゃんとこういう話があったということでございました。ただ、やはり話の行き違いとかいろいろなものがあったようでございます。私は、ですから、ただ会派の届けをするのを待っていたとか、そんなものではなかったということは、これはもう率直に申し上げておきます。  それと、自民党時代と違うのは、それぞれ連立でありますからやはりいろいろな党内の事情もあるということでございまして、今度新しい組閣名簿といいますか、そういったものを出すのになかなか時間がかかるという思いがあった。しかし、その間、一体どうなっているんだ、まだそれが連絡がつかないのかというようなことは、何回も実は連絡しておったというところが本当のところでございまして、結果としてそのようにとられるようなことになったことは大変残念でありますけれども、私はこれからも本当のことを率直に語っていきたいというふうに思っております。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 怒っているということについても、総理は、二十六日の同じ未明ですが、これは読売の記事ですが、社会党が政権離脱を決めた、この手続の中間段階で、「そもそも、何人、集まったんだい。出ないだろう。正規の執行委員会でもないんだよね」こうおっしゃっているのですね。これは新聞記事に刻一刻、まあドキュメント風に最近は報道が行われるわけですが、そういうことで社会党の皆さんが政権の運び方に対して、組閣の運び方に対してもういたたまれない気持ちで離脱をなさったわけですが、私は、その怒っているというのも、その後よくよく考えてみると損したな、怒れるなという程度であって、その当時はこのようにかなり強気で、社会党、出られっこないじゃないか、出ないだろう、こうおつしゃつているんですよね。ですから……(羽田内閣総理大臣「それは違うよ」と呼ぶ)じゃ、これは新聞報道も必ずしも一〇〇%正確でありませんから。ただ、我々は、そういうように受けとめても不思議でないプロセスをたどったというふうに申させていただきます。  ここで時間を費やすわけにいきませんので、ちょっとスピードを上げさせていただきますが、本題の政治と宗教の関係でございます。  私は今回このことについて取り上げようというのは、かねてこの問題について私は私なりの関心を持っておりました。しかし別に私、率直に言うと公明党の皆さんとも個人的にはかなりお親しい人もいるわけだし、そういう何か特定の政党、個人を誹謗するというようなことは、これは差し控えないといけないという気持ちの方が私は強い人間でしたので、こんなことを専門的に考えたことは別にないのですが、やはりここまできますと、総理、私は、我が国の政治システムの健全さという観点から、憲法に照らしてですけれども、この問題を一度整理しておく必要があるだろう、こういうように思っております。  取っかかりを申しますと、三つありまして、一つは、公明党の皆さんが連立に参加をして極めて 多数の閣僚を出すに至っている、こういう現段階でやはりこの問題を憲法に照らして整理しておく必要があるじゃないか、こういうことでございます。  第二番目は、これから政党への公費助成が行われる、こういう情勢にあることです。これも憲法に照らしてやはり問題なしとしないのじゃないか、こういうように思います。  それから第三番目に、これは先般来取り上げられております一羽田総理が池田大作氏の親書を携えてバチカンに出かけられたんじゃないかという週刊文春という週刊誌の記事でございます。  それで、この三つから、この問題をこの際私なりに整理をさせていただきたい、こう思っておるわけでございます。  まず第一に、昨日でございましたか、我々の深谷筆頭理事の質問に対しても、またその前の参議院段階での前島議員の質問に対しても、総理は同じような発言をなさっておられますが、こういったことはあり得ない、まずそういう言葉ですね。それから、常識に合わない、こういうことをおっしゃっていますね。  それから、この前、特に深谷先生の質問に対して、公明党の皆さんや創価学会の皆さんがそういうような依頼をするはずもないんじゃないですか、そんなはずはないはずだ、こういうことを言われた。そして、深谷議員が、それじゃ万一これがあった場合に総理は責任をおとりになりますかと、こういうことをやや詰問されたわけでございますけれども、この四点につきまして、この発言を再度確認をさせていただきたい、このように思います。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 親書の話につきましては、これはあり得ないということよりは、これは全然なかったということであります。  それから、常識でないというのは、私はどちらかというと常識的に行動する人間でありまして、一国の総理が一つの宗教団体の方の親書を持っていくということはあり得ないという常識で、私は、もしそういうことの御依頼があったとしてもそれはお受けしないということ、これが第二であります。  また、公明党、創価学会の皆さんもそんなこと頼みつこないだろう、常識的にこんなことは頼みつこないということを私は申し上げておるということであります。(深谷委員「どうしてわかるんだ」と呼ぶ)いえ、わかるって、私にないのでございますから。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 ちょっと、総理、質問は私でございますから。質問を続けさせていただきます。  ここで、私どもの政治のシステムを決めております根本法規であります憲法に立ち返ってみたいと思うのです。  第二十条と第八十九条にその関連の規定があるわけでございますけれども、大変恐縮千万に存じますけれども、法制局長官、一番権威があられるわけですが、この二十条と八十九条を朗読をしていただいて、簡潔な説明を付していただきたい、このように思います。

大出峻郎内閣法制局長官

○大出政府委員 まず、日本国憲法の第二十条でございますが、「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」これが第一項であります。それから、第二項ですが、「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。」これが二項であります。それから、第三項でございますが、「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」というふうになっている、これが三項であります。  それからさらに、第八十九条の方でありますけれども、「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、」その後今度は教育や慈善のことが書かれてありますので省略をいたしますと、「維持のため、」「これを支出し、又はその利用に供してはならない。」というふうに条文としては書かれておるわけであります。(柳沢委員「長官、大変恐縮ですが、それで結構です」と呼ぶ)よろしゅうございますか。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 時間がないものですから、勝手を申し上げて大変恐縮に思います。要するに、今読んだとおりでございます。  結局、二十条は第一項の前半で、これは信教の自由のうちの内心の自由というものを規定している、こういうように思うわけですね。それから第二項は、信教の自由のうちの行為の自由、これを規定している。そして第一項の後段は、これはこういう信教の自由、内心の自由、それから行為の自由、これをいわば制度的に保障する、制度的保障、こういうふうに言われているわけですけれども、これは宗教団体の政治的中立性をうたっている、こういうように考えられておるわけです。そして、第三項及び八十九条は、それぞれ国の側の宗教的中立性をうたっている、こういうように一般に私どもも大学時代から教わってきた。こういうことで、こういう大筋の理解についてはほとんどみんなが共通の認識を持っている、こういうように私は考えております。  そこで、確認のためでございますけれども、公明党の存在そのもの、また公明党のやられている政治活動というものが政教一致ではないか。今申した信教の自由を制度的に保障する政教分離をうたった憲法との間で違背が起こっていないかというようなことがかねていろいろなところで問題になるわけでありますが、この際、石田総務庁長官にいわば模範答弁をお願いいたしたい、このように思います.、

石田幸四郎公明党総務庁長官

○石田国務大臣 政教分離の憲法規定というのは、私が申し上げるまでもなく、過去の歴史的な経過がございます。いわゆる神道が国家権力の利用によって、それを中心として他の宗教を弾圧をしたというような経過があるわけでございます。あるいはヨーロッパにおきましても、中世期におきましては、逆に宗教が国家権力に介入をしたという、そういう歴史的な事実があって、そういったものがさまざまな戦争の遠因にもなったというようなことで、厳しいそういった信教の自由、政教分離の規定が憲法第二十条に盛り込まれたというふうに承知をいたしておるところでございます。  同時にまた、信教の自由というものは、それが結社の自由が基本的に保障されているところに活動の一つの根拠があろうかと思うわけでございまして、そういった宗教団体がどういう活動をしていくか、それはそれなりの宗教団体の自由であるというふうに思うわけでございます。  じゃ、政党との関係。いわゆる私ども公明党は、党を三十九年に結成をしてから今日に至るまで、それぞれの政策あるいは人事、財政、そういったものを独自に定めて、それぞれの大会でそれを決定し、そして政党活動、政治活動をやっているわけでございます。  その政治活動の目的は、それぞれの政党の綱領の中に明確にうたわれているわけでございますし、私どもは信教の自由、いわゆるいかなる宗教団体としてもその信教の自由は保障する、この憲法の規定をそのまま綱領の中に盛り込んでおるわけでございまして、そういうような信念の上から、今まで公明党としては、例えば、こういった国会の予算委員会等におきまして他の宗教団体について何か言及をし、批判をし、何かそういったものに対して圧力をかけるというようなことはただの一遍もしたことがないわけでございまして、この信教の自由については、当然政党として守らなければならない、そのことは明確にいたしているわけでございます。  私ども公明党から閣僚を出したことにつきましても、当然閣僚は憲法を遵守すべき義務を負っているわけでございますから、仮に、そういったある特定の宗教に対して何か政治的な権力を振るうなどということは考えられないことであろうと思うのでございます。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕  したがって、宗教団体は宗教団体としてのいわゆる憲法その他の法律に基づいて活動をしてい る。日本は法治国家でございますから、当然そういったものは遵守されているというふうに私どもは承知をいたしております。  また、政党は政党としての認められた範囲内で、国民の皆さんのいろいろな選択を受けて、その範囲で政治活動をやっている。したがって、その間に特別に、いろいろな方が政教一致じゃないかとおっしゃるけれども、かえってその政教一致の何が政教一致なのか、そこのところが今までの議論の中でも余り判然としないことではないでしょうか。  選挙において応援した、それがけしからぬというような言い方は、まさにこれは結社の自由に反することでございますし、いかなる団体においても選挙活動に参加することは、これは憲法その他の法律で認められていることでございますから、そういうことにもよくひとつ御理解をちょうだいをいたしたいと思うわけでございます。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 一つは、今の石田長官の御答弁は、党の綱領の中に信教の自由を明確に書いてあるし、他の宗教をやっつけるようなことを国会へ出てきてやったことはない、信教の自由はちゃんと確保されております、それから、創価学会と公明党との選挙における関係については、これは結社の自由というようなことで選挙が創価学会としても行われているわけである、こういうことですね。それから、それによって政策の策定に影響を与えるようなことはないので、ここのところは切り離されているんだというようなお話があったわけでございます。  この前参議院で、羽田総理、我が党の前島議員に、公明党を宗教政党と言ったということに関連して、外国の例を引かれておっしゃっておられました。その点が今石田委員長、いつもは御答弁の中に入れられるわけですが、今回は外れておりましたから、むしろ総理の方からちょっと御答弁いただいたらいかがかと思います。総理どうぞ。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 ちょうどあのときには社会主義インターの総会といいますか、船でのパーティーがあったときに、私はお招き、お招きというよりは私が主催をしたわけでありますけれども、そのときには各国のまた宗教に関係の名前のついた政党なんかの方も集まっていらっしゃる、そういうときにぽっと思って実は何げなく申し上げたわけであります。  宗教というのはやはり一つの理想とかそういったものを追求いたしますね。そういうものを常に、精神といいますか、中にありながら一つの理想を追求するという意味で、私はそういうこともあり得るんじゃないのかという意味で申し上げたことであります。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 大体論点が出そろったわけなんです。  まず、外国にもある、この認識が相当おかしいのですよ。おかしいのです。なぜか。政教分離というのは、まさに石田委員長が言われたように、その国々の歴史や伝統、文化、これに深く根差しているのです。したがって、そういうことから、これは識者によりますと、この政教分離につきましては、イギリス型、ドイツ・イタリア型、アメリカ型、完全に違う法の体系になっておるということなんです。  イギリス型は、イギリスは国教を持っております。しかし、国教というものが形骸化してきた。このことによってと申しますか、こういうことに伴って他の宗教に対しても大変寛容になっている。こういう型が政教分離です。国教を持っているのです。  ドイツ・イタリア型は、昔からの血みどろの闘いの中でどういう妥協が成り立って今国家の根本法規が成り立っているかというと、政教同格型なんです。宗教の力が非常に強いのです。宗教団体の中には徴税権も持っているところがあるのはドイツ・イタリア型なんです。  最後にアメリカ型、これは最も厳格にこれを分離するという型でありまして、申すまでもなく、我が国憲法はこのアメリカ型に属するというのが、これはだれもが知っていることであろうと私は思うのです。したがって、ドイツのキリスト教民主同盟だとかあるいはイタリアのキリスト教民主党だとかというようなものが存在するということをもって、我が国にも宗教的な政党があっていいんだということにならないということをまず知っていただきたいのであります。  そんな簡単な理屈で成り立っているんじゃないのです。石田委員長もまさしく言われたように、本当に歴史、伝統、文化、こういったようなものに根差して我々の国法の体系というのは成り立つているのです。それを、どこかの外国へ行ったら、どこかキリスト教と名のっているところがあったぞ。  石田委員長は、五十数カ国宗教政党があって、そのうちの少なからぬものが政権にも参加しているというようなことを言っておられますが、しかし現実は、政教分離と同じように言っていてもこれだけの違いがあるのです。歴史や伝統に根差した違いがあるのです。我が国は、これはアメリカ型なんです、明らかに。そこのところは実は非常に厳しい規定になっているのです。だから簡単に、外国にそういうものがあったからといって、これが是認されるものじゃないということを知っていただきたい、まず。  総理、いかがですか。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 私はずっと申し上げてきましたが、いわゆる宗教というもの、こういった中には高い教義、そういう中で一つの理想を求める、そういった理想というものを常にみずからに律しながら政治に当たっていくということ、これは私は決して否定するものじゃないだろうという意味で申し上げていることであります。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 そういう一般的な、抽象的なお答えでは、なかなかこれ我々の納得を得られないのじゃないでしょうか。ここに非常に厳しい問題が実は存在しているということは、総理、私の今言ったことで御認識いただかないと困るのですよ。  法制局長官、いかがですか。

大出峻郎内閣法制局長官

○大出政府委員 我が国の憲法の定めるところの政教分離の原則の趣旨に関連してのお話であったかと思いますけれども……

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 そういうことじゃなくて、国々によって……

中西績介日本社会党・護憲民主連合

○中西(績)委員長代理 待ってください、まだ答弁途中ですから。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 いや、時間節約のために……。ちょっと待ってください。趣旨が、そう迂回されちゃ困るのです、答弁が。  私の質問は、こういうように国々によって宗教政党のあり方については違いがあるんだ、そのことについてのコメントをいただこうと。

大出峻郎内閣法制局長官

○大出政府委員 ただいま先生の方から、各国の政教分離といいますか、政教の取り扱いに関する制度的な考え方についての御披露がございましたけれども、突然のお話でございますので私ちょっとその点をつまびらかに調査してきておりませんが、我が国の政教分離原則というのは、私の知識によりますというと、やはりアメリカの傾向をもって定められている制度ではないかというふうに、これはちょっと私もよく調べてみたわけではありませんので御猶予をいただきたいと思いますが、そういう感じを持っております。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 法制局長官にはきょうは憲法論議、私、きょう宗教と国家との関係については憲法に限ってやらせていただきますということを事前に申し上げておったのですが、突然であるということですが、常識的に見て今法制局長官がおっしゃったとおりであるということで、私もそれで一応よしといたします。  そこで、憲法には、いかなる宗教団体も国から特権を受けちゃいけない、また、いかなる宗教団体も政治上の権力を行使してはならない。これは宗教の政治的中立性をうたったものだと私ども考えております。こういうような制度的な保障がない限り、信教の自由も危うくなってしまうのだということで置かれている、これももう申すまでもありません。  そこで、公明党さんのこの関係でどういうことが問題になるかと申しますと、まず選挙そのものなんですね。つまり公明党さんの選挙は、創価学会という宗教団体が宗教的信条の表現として選挙運動をやっているのではないか。  公権力の、議員一人一人もまあここで言う公権力というか、政治上の権力というのは、もうこれは政府というふうに限定的に解釈した方がいいというような説もあるのです。これは後で言う背景があるのです。日本国憲法は、後で言うような我々の歴史的経験からいって、信教の自由というものを大変広くとろうとしておりますからそういうこともありますが、文言からだけ見る限り、こういうように宗教団体が、国会議員といえども政治的な権力でありますから、宗教的な活動、宗教的信条の表現活動として選挙運動をやって、公権力の創造に参画というより、むしろそのことをやろうということは、この憲法の条項に抵触しないのかというようなことがあり得るわけです。  そこで、一橋大学の田上教授はこういうことを言っているのです。政治上の権力の不行使のこの憲法の規定の解釈として、「宗教団体が政党を組織し、その他積極的な政治活動によって政治に強い影響を与えることを禁止」した規定だと、これは。もう一回読みましょうか。「宗教団体が政党を組織し、その他積極的な政治活動によって政治に強い影響を与えることを禁止する。」規定である。これは田上穣治教授の著書に書いてあるのです。  それから、ちょっとその前の、「国から特権を受け、」ということについても、これは学界で論議があるのです。「宗教法人のすべての活動に本来免税にしなければならないだけの十分な公益性があると言えないのに一律に免税するのは違憲」である。  別に創価学会さんと公明党さんのことだけ言っているわけじゃありませんが、今具体例として我々がすぐに思いつくのはそのことですから、それを例に挙げて言いますと、創価学会さんのように、創価学会さんの活動として、これはもうこの前、水野清先生がここで言いましたね。創価学会のそういう宗教施設を使って選挙運動をやっている。それで石田委員長も、そういう強い支持をいただいていますということで肯定されましたね。そういうことですよ。そういうようなことをやっているのは、宗教という十分に公益性があるものだけをやっているということにならないから、こういう宗教団体に対してまで一律に免税特権を与えるのは違憲である。これも実は憲法の学者の中にはある意見なんです。  ところが、ところがですね、同僚の皆さんに聞いていただきたいのですが、なぜ、それにもかかわらず、こういうものが多数説にならないのか。我が国学界を支配し、そして裁判所を支配して、こういう考え方が我が国の国法として行われないかということを顧みますと、これは、戦時中に余りにも信教の自由が踏みにじられた。  ですから、信教の自由をうんと尊重しょうよ、なるべく政教分離で宗教の側の政治的中立性は本当は望みたいところだけれども、そこを余りに厳しく言っちゃうと、信教の自由をまた戦前のように大変拘束することになるじゃないかということで、非常に信教の自由を重んじるために、政教分離の規定をぐっと後退させているというのが我が国憲法の解釈なんです、総理。だからこういうものが支配的な学説になり切れてないのですね。  しかし、そうは言い条、私は、ここまで来ますと、もっと突っ込んでいきますけれども、ここまで来ますと、憲法にこうした解釈があったこともやはり顧みなければいけない段階に来ているのかもしれない、そういう思いを私は持つのであります。御感想はありますか。簡潔にお願いします。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕

石田幸四郎公明党総務庁長官

○石田国務大臣 憲法解釈の上で、宗教問題に対する解釈もそれは学者によっていろいろあると思いますけれども、しかし、考えていただきたいのは、いわゆる宗教というのは基本的な哲学の問題でしょう。宗教活動というのは、それを具体的にどういうふうに社会活動の中で具現していくかという問題だと思うのですね。  今まで、例えばキリスト教が、一つの人類愛あるいは他人を愛する心を育てようということで、その思想に基づいていろいろな慈善活動をしてこられた。その人類愛の思想あるいは人を愛するそういう考え方、そういうものを何らかの政治権力によって制限されるとすれば、これは大変なことだと思うのですね。また、そういうような基本的な哲学の問題、基本的な信仰の問題というものは権力で抑えつけようと思ったってそれはできるものではないというのが、私は、今までの人類が学んできた一つの歴史の成果ではないかと思うのでございます。  じゃ一体、私ども公明党が創価学会の支援を受けている、そういったことが本当に、政党というのはもう申し上げるまでもなく、いろいろ大会で議論をして、そして、現在の社会活動、経済活動に対して将来どういうふうに改革をしていくかというのを常に訴えながらやっていく問題ですよね。宗教は、しかし、そういった個々の政策の問題について、一々そういった問題を検討し、そういう政策を掲げるということになりますれば、これは宗教本来の目的を失ってしまうわけでございますから、私は、そういうふうに基本的な活動分野というのは明確に分れていると思うのでございます。そういうような立場をきちんと確認し合わないとならない。  それから先ほど、世界にも各宗教政党があるということを私が言ったということをおっしゃいましたけれども、それは事実だと思うのです。中には、まさに国教という形で政教一致という国もそれはあるわけでございまして、そういったものを、日本はアメリカ型だからそういった世界の話は認めないのかというような、そういうような議論だって起こりかねない話でございますから、私は、そういった意味におきまして、やはり基本的な哲学を扱う宗教というものは、できる限り考え方の自由なり行動の自由なりというものは保障されてしかるべきものだというふうに確信をいたしております。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 二つ、今の委員長のお話から、私として申し上げたいことがあるのですね。  一つは、キリスト教を挙げられるのですよね。しかも、このキリスト教というのも随分いろいろな歴史を踏んで今日のああいう普遍的なものになっているのですが、問題はやはり普遍性だろうと思うのですね。  普遍的なものになると、逆に今度は形骸化とかそういうものが起こってくるわけですが、まさに創価学会の場合には、私もそういった事情についてはつまびらかではありませんけれども、普遍性について十分まだその基盤を確立し得ていないわけですね。したがって、まさに運動中の、まさに教勢を拡大することを、日夜そのことに腐心しているようなそういう団体でいらっしゃるわけですね。これは否定するのじゃないのですよ、事実を言っているわけです。  そういうものと、非常に普遍的になり切ったそういうキリスト教を対比して論ずることについてはいささか問題ありまあ、私の言うことだから聞いてください。これは、私と石田委員長あるいは総理とのこの応酬の中で、どっちの言っていることが正しいか、論理の争いなんですよ。私はそういう意味で発言しているのです。  それからもう一つ、非常にいいことをおっしゃったのです。これは、私が今申し上げることと非常に関係があるのですよ。綱領にうたっていますよ、我々は哲学を持ってやっているわけで、政治活動に哲学を持って何が悪いのですか、こういうふうにおっしゃったわけですが、実は、今我々が論議しているのは、宗教の政治的中立性の問題、場合によって政治の宗教的中立性の問題と非常に交錯したその領域について議論を実はしているのですけれども、政治の宗教的中立性について、実はアメリカの中には非常にたくさんの判例の積み重ねがあるのです。  その中で、今一番最先端の判例の教えるところはどういうことかというと、レーモン・テストというものなんです。レーモン・テスト。レーモンという、これは判事さんでしょうね。レーモン判事が判示した、判決で示したその基準なんでございますけれども、目的効果基準というものですよ。  そのときにどういうことを言っているかというと、一番大事なのは、公言をしている、目的とかあるいは効果について公言されている、公に言挙げしているようなことだけではだめなんだと言っているのです。実際上どういう機能、役割を果たしているかによって黒白を決すべきだと、こう言っているのです。  ですから、石田委員長が幾らここで、綱領でうたっているんだ、我々は国会の議政壇上で他宗派を攻撃したこともない、あるいは行政官として大臣を務められている上において何ら、公の政策において我々は自分たちの宗教団体を助けたり、それから布教を促進したり宗勢を拡大したりするようなことは一切していない、そのとおりだろうと思うのです。  しかし、アメリカの判決はそれではだめなんですよと言っているのです。公言されたものだけでは判定はできないのですよと言っている。事実問題としてどうなのか、これを言っているのです。ですから、百万だらそういう公で言われていることについてここで言を費やされても、この判定基準というものにかかってはどうにもならないということなんです。  そこで、一番最初の問題に戻ります。この問題ですね。羽田首相は池田大作氏の親書を持ってバチカンを訪問したかということなんです。これが問題になるんです。つまり、綱領だとか政策だとかということではないところで問題になりはしないかということなんです。事実問題として、その宗教の布教を促進するようなことを実際やらないか。いや、理論的な問題なんですよ、総理、これは。そういうことなんです。そういうようなことでこのことが非常に問題になるのですよ。  そこで、答えはある意味で言ってしまったようなんですが、あり得ない、総理ちょっと今修正されましたけれども、この問題が持ち上がったときに、こんなことはあり得ないと総理はおっしゃった。このあり得ないということは二つ意味があるのですよ、総理の心の中を分析しますと。一つは、道理の上であり得ない。もう一つは、事実問題としてあり得ない。この二つ意味があるのです。  それで、その道理の問題としてあり得ないということについて、自分は常識人だからということでその発言を補足されているのですね。常識の内容をちょっと教えてください、総理の常識の内容。何でそれが自分の常識なんだ、やらないのが常識なんだと総理はお考えか。私がこれだけ長く論じてきましたから、失礼ながら随分啓蒙されたところもあるのじゃないかと思いますが、しかし、この段階で常識と言われたのは何なんだ、これをお尋ねいたします。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 大変啓蒙されたことはまずお礼申し上げます。  そして、今私が常識だと申し上げましたことは、一国の内閣の責任者、この者が一つの宗教の代表の方の親書というものを外国の方にお持ちするということはないということでありまして、そして、まさに今政教分離というお話があったわけでありますけれども、もしどこかの宗教のあれを私が持っていったとするならば、まさに政教分離に対して私は違反をするということにもなろうかと思います。  いずれにしましても、私はそれが一つの常識であろうというふうに考えております。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 もうちょっと具体的に、政教分離に反するんじゃないかということですが、恐らく、こういうことをやりますと、じゃ例えばこの週刊誌がいみじくも論じておりますように、バチカンの法王さんにお会いしてない、池田名誉会長が。したがって、もしそれによって池田会長がお会いできますれば、これは一大ニュースですよね。当然、何とかいう、聖教新聞ですか、というものが一面トップに上げて、我が名誉会長はこうですよということになりますね。  そうすると、信者の人たち、あるいは信者以外で今どうしようかなと思っている人たちも、これはそういう立派な方ですかということになるという意味で、布教の促進というか信教の助長になる。事実問題としてそのことに総理が加担することになるんですよね。だから、恐らく総理は、そういうようなことについて自分としてなすべきではない、つまり、政治権力の宗教的中立性という常識、この常識に自分が反することになるのは嫌だ、こういうことをおっしゃったのだろうと思うのです。  しかしながら、ここに非常に大きな問題がありますのは、今の道理上の問題で、この前の水野委員が遠藤さんに、当時の通商産業政務次官の遠藤先生に質問をされたときの議事録によりますと、遠藤議員が立候補をされるときに、「学会を守り、民衆を守る妙法の政治家として、力の限り戦い抜くことをお誓い致します。私も池田門下生の一人としまして、先生より数多くのご指導、ご薫陶を賜ってまいりました。先生のご薫陶のおかげで、広布に生きる使命を自覚することができ、妙法の外交官となって二十年にわたり世界を舞台に存分に戦ってまいりました。」というところを引いているわけですよね。  そうなるとこれは、僕は、遠藤先生にしても、それからここにお並びの大臣諸公にしても、宗教人として大変すぐれた方だろうと思うのです。これは恐らくもうあらがうことのできない事実だろうと思うのですね。このことと、今言った、公言されていない、事実問題としての、実際上の中立性の侵犯ということのおそれは本当にないんだろうか。本当にないのかと。公言されたところ、公式のところ、ありません、これは。石田長官もよくそこのところは御注意なさっているという御答弁でございました。しかし、そうでない、公言されたところ以外で本当にないのか。  ところが、実際にこれだけの数の議員を擁して議会の両院に存在しているということは、他党にとって無視できません、それぞれ一票持っているから。そこから実はこのシステムの本当の病理が生まれてくるのだ、のではないかということを私はこの際問題にしておきたいのです。  事実上の意味について、あり得ないということの事実上の意味についてどういうふうに総理はおっしゃられたかというと、皆さん、公明党の皆さんや創価学会の皆さんがそんなことを依頼されるはずもないんじゃないですか、こう言われました。依頼されるはずもないでしょうか、皆さん。自民党の歴史の上で、本当に依頼されるはずもなかったか。我々は深刻にこの問題は考えてみないといけないのです、公言されたこと以外の問題として。現に議席を有されているのです。  そこで、総理は、この問題についての対応だかなんだか知りませんが、検討されると言いました、検討される。だれに何を検討されるということでおっしゃられたのでございましょうか。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 私ども、こういったものに対応しておるのには秘書官の皆さんがいますけれども、そういった皆さん方とも話しながら、この問題については、要するに一国の総理が届けたとかなんとかということが、しかも何かまことしやかにこうやって書かれているということは、これは要するに私個人ということじゃなくて、首相という立場で、これは困ることであるということを言いました。  ただ、問題は、今までもいろいろな問題で対応しますと、それでまた何ページも書かれるというような、現実に何回も遭っているというのが現実のようですね。しかし私は、国会というところ、しかもこれはテレビも入り、報道もされるこの場所で明言をしておるわけですから、これが最もこれに対する対応として正しいんじゃないのかというふうに私は考えております、今は。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 でも総理、検討されるとおっしゃったのでしょう。検討されるとおっしゃっているのです、総理は。だから、だれを相手にして、何を検討されるのだということをお尋ねしているのですね。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 いや、皆さんがこれに対して訴訟を起こしたらどうだとか、あるいは抗議を申したらどうだというようなお話もありました。それは、そういうことをやることも一つのあれでしょう。しかし、またそれで同じような、要するに全然ないことだって書いてしまうのですからね。  ということは、要するにまたいろいろなことを、こんなふうに抗議されました、これはこうこうこうでしょうなんというふうに、またどんどんどんどんあれされることになる。むしろ私は、こういう公の場所で明確に物を申し上げておるわけでありますし、ですから、その方が私はむしろはっきりとするのじゃなかろうかというふうに今考えておるところであります。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 これが最近の、一番最初に言った言葉の問題に返ってきてしまうのですね。つまり、ここでおっしゃられる、内閣総理大臣、日本国の政治の最高責任者としておっしゃられることが次々実は事実に反することだったことが過去にあったのです、総理。  ですから、例えば刑事告訴したらどうですかと言うと、これは刑事事件で、もし名誉棄損でやったら、それが事実であったことになれば、どんなにそれが名誉棄損に当たっても公の職にいる者は名誉棄損にならないのです。ですから、刑事手続において真実か真実でないかを徹底的に調査するのです、強制権をもって。そうでなければ信じられないのですよ、今これだけ言葉が軽くなってしまったこの段階ではと言うのも、総理、もっともだと思いませんか。  もし総理がそういうことをおっしゃるのだったら、私は大変、私としてこれは言いたくないことでありますけれども、しかし、やはりお頼みになられたと言われておる池田大作名誉会長にお出ましいただく。  そして、私は、実は先ほどから取り上げている政教分離の問題について、石田総務庁長官、この段階でやはり整理しておくべきだと思うのです、日本の国政のあり方として。私はそう思うのです。だって、もう公明党出身、創価学会所属かどうかは私つまびらかにしませんが、公明党の議員の先生でも六名の大臣、行政機関の最高の長の地位を占められているのですね。  しかも、まさにこのアメリカの判決が言うように、公言されたものだけじゃだめなんですね。事実上のことについても大変な、実は宗教の政治的中立性を侵犯するおそれがあるということなんですね。そのことはやはりとがめられなければならない。これは信教の自由を守るためにもやはりとがめられなければならない。  こういうことになっているわけでありますので、私は、そういう意味で、この段階、もうここまで来た段階で、日本の政治はいろいろな、これから政界再編とかなんとかということがあるわけですが、そういういわば政策理念によって政界を再編成していくということにまさるとも劣らないテーマとして、この宗教の政治的中立性を我々の政治はしっかり確保していかなければいけない。  そういう意味で、ここまで来られた公明党・創価学会さんの最高責任者の方と国会の側が対話を交えることは私は無益ではないと思うのですね。私は、冒頭申し上げたように、大変友人も多いわけでありますから、誹議したり中傷したりしようなんという気はないのですが、私は、事がここまで来た以上、そういった観点からの整理がぜひ必要なんだということについて、本当にそう思っているのです。  そのためには、ついでと言ってはなんですけれども、こういった問題もありますから、事実もこれは簡単に確かめられるわけですから、私は、最高指導者であられる池田名誉会長にお出ましをいただく、証人喚問とかそんなことは理事会にお任せいたしますけれども、どういう形であるかは理事会にお任せしますが、やはりそういう段階に我が国政治は立ち至っているのではないかということを申し上げたいわけであります。総理、ちょっと御答弁をお願いします。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 今の、お呼びするとかそういった問題については、私から答えをする立場ではございません。  ただ、やはり政教分離、これはまさに今お話があったとおりでありまして、しかし各閣僚の皆さんはまさに憲法に基づきながら、法律に基づいて、まさに中立という立場で政務に携わっていただいておるというふうに私は確信をいたしております。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 総理としてはそういう御答弁しがなされないということも十分わかります。わかりますが、先ほど来私が申し上げますように、これはどんぴしゃじゃないですよ。どんぴしゃじゃなくて、これは国の、あるいは政治の宗教的中立性についてのアメリカの判例なのでありますが、私は、もうほとんどそれと同然のことが我々として留意しなければならない原理になっているんじゃないか、こういう意味で以上申し上げたわけであります。  私は、重ねて申しますが、やはり総理、これだけの大問題なんです、実はこれは。今言ったようなコンテクストのもとでの問題なんです。私は、この記事を見たときどう思ったかというと、ついにここまで来たかと思ったのです。若干の経験を持っているのです、私は。ここでつまびらかにはしたくありません。しかし、ここまで来たかな、こういう感じを私は持ちました。  これだけやっているわけにいきませんので、しかし総理、どうですか、告訴なさったら。だってこれ、もう一番はっきりするのですよ。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 私が国会でこれだけ明言申し上げているわけですから、それじゃ、その結果どうなるかということですよ。ですから、ただそれでまた記事になる。どんどんどんどんただ広がっていくだけの……(発言する者あり)いや、避けるって、あなたに答えるわけじゃありませんけれども、私は正式に申し上げているわけですから、これは当然週刊文春の方もごらんになっているというふうに思っております。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 じゃ、次の問題に移らせていただきます。  私は、年来税制改革の問題はここの場で論議しようというふうに思ってきたのですが、次々いろいろな問題が起こってしまいますものですから、どうも緊急性に負けまして、時間がまた残り少なくなってしまったのでございますけれども、大蔵大臣、税制改革の問題に入りますのでよろしくお願いしたいと思います。  まず税制改革の理念ですね、これについて私も大分耳にたこができるくらい聞かされておりますが、この際、この議場の皆さんにも確認する意味で、今次税制改革なるものの、私は税制改革なんて思っていないんですよ、税制改革なんかなすべきじゃないと思っていますから。税制改革なるものの、いわゆる税制改革の理念はどういうことになっておりますか。

藤井裕久改新大蔵大臣

○藤井国務大臣 まず所得税減税、景気対策としての話は、これは除いておきます。もうその問題ではないと理解いたしますから、除きます。  現在の税制というのは、シャウプ税制以来、はっきり言えば直接税中心主義で来たと思います。それなりに機能を果たしてきたとも思います。  しかしながら、現在の段階に至って、いよいよ二十一世紀に本格的な長寿社会を迎えるに当たって、この御負担というものをどういう形であらわしていくのがいいのか、こういう問題に直面している中で、私は、やはり今までの所得税中心の税制だけでは将来の、一部の方、特に勤労者を中心とする中堅階層の方の御負担が余りに重くなり過ぎる、つまり、福祉国家を支えるには余り大きな所得税中心主義には無理がある、こういうふうに考えております。したがいまして、広い立場での消費課税の充実ということが一つのそれに対する答えだと思っております。  同時に、所得税というものは私は基幹税だと今でも思っておりますが、そのことが余りに中堅以上に重くなるということが、一人の人間としても生涯を通じて余りに、一番働き盛りのころ、そしてまた家庭の経費がかかるころに負担が重くなり過ぎるというそのライフサイクルから見ても、所得税の問題点が出てきていると考え、これによって税制改革を実現したい、こういうのが理念であります。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 もっと決まり文句を言っていただきたかったのです。公正で活力ある高齢化社会を目指して所得、消費、資産等のバランスのとれた税体系の構築、これが理念、何回も聞かされました。総理からも御答弁で本会議場で聞いたような記憶がございます。  そこでまず第一ですが、公正で活力があるという話を初めに。  実は、高齢化社会を目指してとか高齢化社会に備えてというのは、前回の税制改革のときから我々の意識に上っていたことで、このことは同じですから。前回は公平、簡素、中立だったのですね。今回は、これが公正で活力のある、こうなった。非常に私は、まあ当然ねらっているところがねらっているところですからこうなったということでありますが、とげを感ずるのですね、ここに、とげを。公正で、何で公平じゃないんだ。  これは私なんか読みますと、これは水平的公平だけを言っているな、こう思います。活力がある、これは累進のフラット化を言っているな、垂直的公平を軽視するということを言わんとしているんだな、こう思いますね。何でこんなふうに変わってしまったのでしょうか。なぜ簡素、中立ということがなくなってしまったのでしょうか。  あえて言うと、中立がなくなったことによって私は何を考えるかというと、これは消費税を物すごく高くするから複数税率を入れることあるべし、だから中立てなくなる、だから中立をやめてしまう。そうでしょう、結局。そういうことなんですよ。どうでしょうか。

藤井裕久改新大蔵大臣

○藤井国務大臣 今お話ありましたが、そういうことではないというふうに私どもは考えております。  活力あるという言葉は、今も私が第一番目に申し上げたとおりでありまして、余りに一部のグループのところ、特に働き盛りの方々の負担が多過ぎるということが経済、社会にとって活力を失うということを申し上げたつもりであります。  公正ということは、決して柳沢委員のおっしゃった垂直的公平を損なうという形で申し上げたつもりはございません。垂直的公平というものも同時に非常に重要な要因であるということは、何ら変わっておりません。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 公正では、水平的公平を重視しようとしているということを言ったのです、私は。まあそれはいいです。水平的公平を重視したいということで公正と、公平じゃなくて公正が出てきた、こういうことなんです。  そこで、次の税制改革の理念であります所得、消費、資産等のバランスのとれた、総理、お聞きいただいているでしょうか。大変恐縮ですが、総理のお得意の税制調査会答申のこのページを私今見させていただいているのです。所得、消費、資産等のバランスのとれたというのは、実は前回の税制改革のときにも言われておりました。  しかしそれは、消費税を何とか国民の皆さんに受け入れていただきたい、こういうような思いもありましてやったのでございますが、今回の場合は、既に消費税が導入された後でございます。その後におけるこの段階ぐ所得、消費、資産のバランスのとれたという言葉のもとでこの表が掲げられております。総理は本会議で何回もこの表に言及されました。この場所でもひとつおっしゃってみていただいたらいかがでしょうか。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 どこがバランスがとれているということについては、これはなかなか難しい論議でありましょうけれども、所得課税というのは、これはOECDの中でやはり一番目であるということ、そして消費税は一番下であるということ、そして資産については第七番目ということでございますか、こういった中で、今藤井大蔵大臣の方からもお話がありましたように、やはり所得税に偏り過ぎているという面があるということは否めない事実であろうというふうに思います。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 全く総理は認識が間違っているのです。本当にこういうことでこの大税制改革をやられたのでは困るのでございます。  まず最初からいきましょう。  所得、消費、資産等のバランスのとれた、バランスとは何ですかと、私、本当に聞きたかった。バランスはなかなか難しいというお答えを既になさいました。大蔵大臣もうなずいています。この所得課税日本トップ、消費課税一番びり、資産課税は大体真ん中というか中止だ。消費課税をびりから上げて資産課税のところぐらい、所得課税を下げて真ん中ぐらい、こういうことをやろうとしているのですか、バランスのとれたというのは。まさかそうは言うまいと思うのですよ。

藤井裕久改新大蔵大臣

○藤井国務大臣 まあ、お答えでやや極端な話から申しますが、一つの税制だけが正しいならば単一税になるはずです。そうでなく、おのおのの税制に長所と欠陥がある。この長所と欠陥は、もう専門家でいらっしゃいますからこれ以上言いません。その長所と欠陥のバランスをとることによって一つの仕組みができ上がるということが一つと、おのおのの国の税制にはいずれも歴史とか国民性というものをしょっているということです。  したがって、そういうことを見ながら、今二十四の例というのは、まあ大体世界の先進国と称する国はこんなことかなということも見ながら、おのおのの国の伝統とか国民性とかいうものを見ながら一つのバランスをとっていきたい、単一税ではだめだ、こういうことを申し上げているつもりでございます。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 なぜ総理、私が総理の認識は、まあ大変恐縮なんだけれども間違っているんじゃないか、こういうふうに指摘させていただいたことは、所得、消費資産、課税ベースという考え方だろうと思うのです、言葉からは省かれておりますが。  課税ベース論というのはどこから出てきたかといいますと、租税理論上は支出税論というものが基礎にあって出てきたものでございます。支出税論とは何か、これはここで私、解説するつもりはありませんから申しませんが、大蔵大臣は当然わかっているでしょう。専ら個人に対する課税について言っているのです。ですから個人について、いいですか、所得課税をした方がいいのか、消費課税をした方がいいのか、資産課税はどういう位置づけであるべきかということが問題になるのであります。いいですか。ところが、この表では法人税が入っちゃっているんですよ。  お尋ねいたします。法人税について、所得、消費、資産にバランスのとれたというような話をどうして、どういう観点からやろうとなさっているのですか。大蔵大臣にお尋ねします。総理大臣にもお尋ねします。

藤井裕久改新大蔵大臣

○藤井国務大臣 今のバランス論というか支出税論、それは個人の話が中心であるということは御指摘のとおりだと思います。  しかしながら、その中で法人税をどういうふうに位置づけるかということが一つ現実の問題として大きな論点であることは事実だと思います。今の法人税の税率、また税収に占める位置とか、そういうこともやはり考えながら法人税のあり方は考えるべきだし、それの全体の姿として、今のようなバランスを見るというのも一つの目安であるということは御理解をいただきたいと思います。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 大蔵大臣、税金というのはしっかりした理論に基づいて出してもらわなければ困りますよ。そんないいかげんな考え方で何だかよくわけがわからない、だけれども法人についても同じように考えていくんだなんて。  私は、ここで申し上げたいことは、法人について所得、消費、資産、バランスのとれた、どうやってやるんだ、議論したことないです、そんなことは。ですから、所得税にそんなものを一緒に して、所得、消費、資産のバランスを議論するということは、意味のある議論と意味のない議論を一緒にしたら、イコール意味のない議論になってしまうんですよ。意味がないんですよ、こんな議論をしているのは。どうやって議論するのですか、これで。(藤井国務大臣「委員長」と呼ぶ)いや、いいです、まだ。  総理、依存率の議論というのはあるのです。これは租税負担を考える場合に、依存度という、税収の中でのその税目の依存度ですね、このレベルの話がある。それから、各税についても負担率の問題がある。GDPと比較することもあるし、国民所得統計の個人所得なんかと比較することもある。それからまた、恐らく階層別の負担もあるでしょう。最後は税率があるでしょう。四次元ぐらいの比較の基準、次元というものが私はあると思うのですよ。  しかし、この依存度でいって、総理、日本の所得税の負担率というのはOECD加盟国のうち、主要な国のうちびりなんです、一番低いのですよ。七〇%ぐらいの負担率、依存率がありますけれども、このうち法人税の方は三〇%ぐらい取ってしまっているのですよ。そうやって法人税を取って、所得税の依存率でも、依存率ですらOECD加盟国の先進国の中ではびりです、ほとんど。  フランスがあるじゃないかといったって、フランスは実は間接税が重いし、それからまた社会保障が物すごく重いのです。税では取っていないのです。社会保障は社会保険料で取っているのです。そういう特殊な事情があるのですよ。そういう特殊な事情の国を除いてびりなんです。一番低いのですよ、所得税の依存率は。負担率も同然なんです。  どうしてそれを、所得課税のこのあれで見ると、法人課税も一緒にしてしまって、日本がOECD二十四カ国のうちでトップだなどということを本会議場で堂々と言って、しかも、総現今いみじくもここで答弁されたように、所得課税はトップでございますから所得税が重いんです、そうじゃないのです。これは法人税も入ってしまっているのです。  しかも、法人税については今言ったように課税ベース論というのはほとんど議論なんかされていません。そんな意味のない議論を追加して、そうして意味のある、個人課税における所得、消費、資産のバランスをどうとっていくかということと一緒くたに議論して、意味のある議論をしようと言ったって無理です。私は、これで満足がいく答弁ができなければ、ここでもう中断させていただきます。ここは最も総理も大蔵大臣も一番強く言われた点なんですよ。ごまかしなんです。

藤井裕久改新大蔵大臣

○藤井国務大臣 まず、所得税、所得課税のあり方ということから議論しても、今おっしゃったことが当たっているのは、まず課税最低限が高いですよ。そして、ずっと低い税率で行って、ある段階からくうっと上がっていく、そういう所得税の形態になっている。そういうこと自体を私どもは直すべきであるということを言っているのであって、そしてもう一つのめどとして、今のようなこのOECDの数字も出している。所得税自身の問題として議論しているということは、柳沢委員と同じだということに御理解をいただきたいと思います。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 全然回答になっていないですね。ここはもうわかり切っていますよ。法人税における所得、消費、資産の課税のバランスいかにあるか、こんな議論なんか全然したことないじゃないですか。  それで、所得税、個人課税についてはまさに我々幾らでも議論できます。今からしようと思いますよ。思いましたが、一番の基本のところで、政府が今回の税制改革の基本に据えているこの表に基づく議論がほとんどナンセンスである、無意味である。これ以上質問はできません。

山口鶴男日本社会党・護憲民主連合

○山口委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕

山口鶴男日本社会党・護憲民主連合

○山口委員長 速記を起こしてください。  小川主税局長。

小川是大蔵省主税局長

○小川(是)政府委員 まずデータから申し上げます。  いつもOECDの加盟国の中での税収構造について申し上げております我が国の所得課税の税収ウエートが最も高いというところの所得課税は、所得税と法人課税と両方含んでいるというのはそのとおりでございまして、例えば平成三年度で所得課税のウエートが六七%、税収の六七を占めるというときには、いわゆる個人所得課税が三八・四で、法人課税が二八・六という形になっております。  法人税の性格につきましては、委員御案内のとおり、国々によってその性格づけ、あるいは現状の働きについていろいろな議論がございます。法人税を個人所得税と統合して強く考えられる国と、これをどちらかというと切り離して考えられる国とございます。OECDがこういうデータを出しておりますのは、恐らくEC諸国で統合している国が多いというところから、所得税と法人税合わせて、通常呼ばれる所得課税としてデータを出しているのだと、このように考えられるわけでございます。  次は、そこで所得、消費、資産等の間でバランスのとれた税体系の構築ということで何を議論をしているのかという点でございます。  それは、たびたび大臣から御答弁申し上げておりますように、所得課税、個人の所得課税のあり方、消費課税のあり方、資産課税のあり方それぞれについてどういう課税のあり方がいいか、そのバランスが我が国の経済社会の中で、あるべきバランスからずれていないかということを議論しているわけでございまして、バランスとして出てくる数字はいわば結果であるというのはたびたび申し上げているところでございます。  したがいまして、法人課税を所得、消費、資産のバランスで議論をしているかと申しますと、昨年の政府税制調査会の答申におきましても、法人課税は確かに所得課税の中で議論はいたしておりますけれども、法人税の負担水準のあり方、あるいは課税ベースのあり方という形で議論をいたしておりまして、個人の所得、消費、資産のバランスの問題とはもう一つ別の次元で議論をしているというのが実情でございます。したがいまして、このOECDのデータだけをもって、この数字を入れかえるということを目的にしてバランスのとれた税体系の構築を目指した税制改革を行おうとしているということではございません。  以上でございます。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 まあ私も、これはなかなか複雑な心境なんですよ、正直言って。私は主税局で仕事をした人間でありますからなんですが、しかし、今小川主税局長からいつものとおり明断な答弁があったんですが、世の中の人は今主税局長が詳細にここで説明されたようには受け取っていませんね。そういうふうに、はっきり言ってミスリードされてきたのですね。  それは、どうしてミスリードされてきたかというと、いいですか、結局、所得、消費、資産のバランスのとれたと言ってこの表を見せるわけですよ。それで、所得税を下げなきゃと言うわけ、消費税を上げなきゃと言うわけですよ。しかし、いかにもこれは法人課税分が入っちゃっているもので、これはおかしい。片っ方、これをもとに議論するんだったら、法人税についても同じように所得、資産、消費について議論が始まるのでなければおかしい。こうはすかいになっちゃっているんですね、議論が。そうでしょう。そういうことをやって、総理に、あの国会の本会議の議政壇上ぐそんな国民全体を惑わすようなことをするのは、私は誠実さに欠けると思うのです、はっきり言って。  そういうことでありまして、今小川主税局長がいみじくも言ったように、これは学者の議論で、我々資料をお渡しいただきませんけれども、学者の議論で言いましても、依存率は今私がたびたびここで申し上げましたように低いんですね、低いと言われているのです。さっき言ったように依存 度も低い そういうことを実は言われているわけであります。依存度はフランスに次いでこれは低い。  それから、きょうの新聞なんかにもありましたように、与党の方でも法人税が高いということを何か言っているようでありますけれども、むしろ法人税こそ国際比較では非常に問題があるんですよ。所得税は問題ないのです。所得税、この依存率に関する限り、また平均負担率に関する限り、何にも問題ない。低いのです。どうしてそれを引き下げようとするのですか。依存度も低い。それから平均負担率も低い。どうしてそれを引き下げなきゃならないと言うのですか。私は、非常にここに新保守主義の思想を感ずるのですよ。大蔵大臣、どうですか。

藤井裕久改新大蔵大臣

○藤井国務大臣 最後にここで御答弁した、後半に言ったことだろうと思うのです。それは、要するに所得課税、所得税自身の持っている問題点ということをさっき申し上げたわけですが、おっしゃるとおり、その依存度等々においては御指摘のとおりだと思いますが、その所得税のあり方が、私は今課税最低限が非常に高いということを申しましたが、それは非常にいいことだと思いますね。いいことだと思いますが、急速に上がっていくというそのこと自体に所得税自体が持っている問題点がある、こういうことを申し上げてきたつもりでございます。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 もっと明確に答えてもらいたいのですよ、混乱させないで。いいですか。  次元は、依存度の問題、平均負担率の問題あるいは階層別の負担の問題、さらに税率の問題。大蔵大臣の答弁はあっちへ行ったりこっちへ行ったりで混乱するのですよ。非常にこれは不誠実ですね。言を左右にしているとしか言えません。階層別負担が高所得者に偏っているというのもこれで大いに言っていますね。少しばかり何か動いたと言っていますね。  しかし、それは六ページに言っているところなんですけれども、これも二〇%までで、平成四年でほぼ九〇・二%になったということなんです、構成比が。これは実はねらいどおりなんですよ。ねらいどおり。当時、大蔵大臣橋本龍太郎氏は、九割の人が一〇%ないし二〇%の税率の二本で実はおさまることをねらいとしているんだと、目的としているんだと、そういうことを言っているのですよ。全くねらいどおりのことが行われていることを、何がゆえに今これが問題があると言わなきゃならないんですか。意味なさないですよ。今私は階層別所得税負担のことを言っているんですよ。

小川是大蔵省主税局長

○小川(是)政府委員 若干データのことを答弁をさしていただきたいと思います。  まず、税収に占める所得税のウエートが我が国では諸外国に比べてどうなっているかと申しますと、アメリカは所得税、直接税中心の国でございますから、全体の税収に占めるウエートは七三でございますが、その次はドイツ、日本が約四割でございます。日本は三八でございます。ドイツが四〇でございます、それからイギリスの三五・七、フランスの二二・八というところで、我が国は所得税に税収上頼っているところが約四割あるという点でございます。  それから、所得税の負担率につきましてお話がございました。個人所得に対する所得税の負担割合は、これは平成四年のデータでございますが、日本の場合には五・三%ということになっております。アメリカ、イギリス、ドイツは九%、一〇%でございますから、確かに日本は全体として低い。住民税を入れまして八%ぐらいでございます。フランスが一番低くなっております。  ところが、何が問題かと、これだけ所得税の負担率は諸外国より低いわけでございますけれども、例えばイギリスであれば最高税率は四〇%でございます。日本の最高税率は住民税と合わせて六五%でございます。それにもかかわらず、全体としては個人所得に対する負担率が低い、課税最低限は高いということは、たびたび大臣が申し上げているとおり、税率構造、全体の累進構造が途中で大変きついという形になっている、そこに現在もこの所得税が問題を抱えているのではないかということを議論をしてきているということでございます。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 ちょっとまた問題が、次元が変わっちゃったんですがね。小川主税局長の答弁はそれはそれでわかる。わかるというか、言葉は、数字を並べたばかりですからいいわけですが、ただ、税率の議論になる前に、要するに高所得階層に税の負担が重くなっていますという六ページの表ですね、この税調答申の。これです、これ。これについて私は順番に議論しておったわけですね。  それについて私は、今もちょっと申したように、これは橋本大蔵大臣のあのときの答弁なんですね、大税制改革。「今回の税制改正の結果として、給与所得者の約九割の方々は最低税率の一〇%一本の税率が適用されていきますと同時に、給与所得者の大半の方々については、就職してから退職されるまでの間に適用される税率は大体一〇%の一本かあるいは二〇%の二本、」というぐあいに言っているわけですね。  ですから私は、まあそれは若干のところは出入りがあったでしょう、当然物価の変動、給与の上昇等がありましたからね。しかし、基本は枠内に入っているんじゃないか。九〇%の人たちが二本の税率の枠内に入っているということでは、ある意味で予想どおりのことが起こって、ねらいどおりで万歳と、こういうことのように私は思うんですよね。ここを強いて何で言挙げしているんだろうかということについて私は疑問に思った。  それから第二点は、今小川主税局長がちょっと私の議論よりも先走ったわけなんですけれども、税率がイギリスなんかに比べて五〇%は高うございますというふうに言っておられるわけですが、これは……(発言する者あり)五〇、それで向こうが四〇。そういうことを言っているわけですが、これについては、我が国の利子配当の所得税が分離二〇%になっているということも頭に少なくとも置かなきゃ公平じゃないですね。あるいは頭に置くだけじゃなくて表現をしなければですね。そういうことをやはり私どもとしては言わざるを得ないと思うわけであります。  それで、しかも一遍に、急に立ったというようなことを言っているわけだけれども、これもこの前の税制改革のときにもうみんな承知したのですね。つまり、あれは階層区分を非常に簡略にしちゃったんだ。十二階層あったのを五階層ぐらいにしちゃったですか。そうなれば、最高税率は下げましたけれどもそれなりに階段の高さ、一段一段の高さというのは高くせざるを得ないですね、これは。論理必然的にそうならざるを得ない。だから、こうなってきたらぽんと上がるのは、前のその間に階段があったときに比べてそれは高いに決まっていますね。そんなことを今さら言ったって、それを覚悟で階層、階段の数を少なくしたのではなかったんですか、何を言っているんでしょうかということを私としては申し上げたいのでございます。  大蔵大臣どうですか。うなずいてばかりいて、それじゃ議論にならないように思うのですがね。

藤井裕久改新大蔵大臣

○藤井国務大臣 今おっしゃったように、過去の経緯は、そういうことで十三段階から五段階に直した。そして、所得でいうと三百万、収入ベースでいうと七百万、これを一〇%にした、こういう事実はあるわけですね。  そして、それが何を志向していたかというのは今おっしゃったとおりですが、やはりそれがだんだん上へ行っているということが一つあると思いますし、また、その次の段階ですね、その次の段階というものに対してもう少しフラットにするということが非常に今、働く中堅階級の方にとって大事である、こういう観点で所得税の減税案が出ているということは御理解いただきたいと思います。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 そこが理解できないんです。御理解いただきたいという点が、まさに我々が今の政府案に対してちょっとおかしいんじゃないですかということを言うポイントなんですね。  要するに、サラリーマンとかなんとかいうんだけれども、じゃあ、サラリーマンの税率をこの前七五から五〇に、七五から五〇というのはこれは大変なものですね。三分の二にしちゃったわけです。三分の一とっちゃったわけですからね。(藤井国務大臣「二回に分けた」と呼ぶ)二回に分けましたよ、それはそうですよ。そういうことをやった。  何がどうなったんですか、効果は何なんですか。活力活力と言いますけれども、それじゃそれによって、何ですか、サイドビジネスでもサラリーマンの人にやらせようというのですか。何を言っているのかさっぱりわからない。自営業者のことはどうも頭にないようだ。自営業者はあるかもしれませんよ、税率が低くなったらもうちょっとは稼ごうかなということがあるかもしれませんよ。サラリーマンなんというのはしょせん、仕事をして、雇われて、会社の給与規則でもって与えられる給与をもらったり、あるいは役員賞与でもらうということだけじゃないですか。活力云々というのがそれとどう関係があるんでしょうか。本当、自分の頭で考えてもらいたいんです、これは。私わからないんですね、そういうこと。  フラット化フラット化、要するに新保守主義なんですよ。高所得者の税金を軽減しよう、それを本当に言って、日本の今日までこれだけやってきた、自民党が一生懸命いろいろなことをやってきました。自民党は社会的配慮を非常にしてきました。これに挑戦する気ですか。じゃあ挑戦されたらいいですよ。そのかわり、ごまかさないでくださいよ、いろいろな議論のときに。

藤井裕久改新大蔵大臣

○藤井国務大臣 私は所得税が基幹税であるということを何ら否定しておりません。これはこの委員会でずうっと申し上げてきたつもりです。それがシャウプ税制以来日本の経済社会にとって非常にプラスになってきた、これはもう否定しておりませんし、今後ともその役割を果たすと考えております。  七五から落としてきた段階というのは、上の人の問題でなく、フラットという言葉で言われましたけれども、角度ですね、勾配というものを緩やかにするということは、全体として中ぐらいの方々にとっても大変大事であるという観点からこれをやってきたわけであるというふうに御理解をいただきたいと思いますし、また、今国際的に見ると、まだ日本としては角度がきつい。(柳沢委員「利子配当」と呼ぶ)わかっています。  その点について今柳沢委員は利子配当ということを言われたわけでありますが、利子配当についてもかつては分離二〇というような、あるいは譲渡所得でございますね、譲渡課税についても非課税というような措置、そういうものも一つ一つ直ってきているということもあわせて御理解いただきたいと思います。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 全然答弁になっていないんですよ、本当に。利子配当は二〇%ですよ。それから、所得階層別に貯蓄の率なんというのはなかなかこれは統計に出ていないんですが、私出して、精査しているのですよ。そういうものを考えて、その人たちは、それは上積み税率は五〇%かもしれないですが、分離の利子配当に関する税は二〇%でしょう。そうするとぐっと平均では下がりますね。そういうことだってあるんですよ。  それで、何だか知らないけれども、とにかくフラット化フラット化というようなことを言っておられるわけだけれども、これはもうあのときやりました。ちゃんとやったのです。あのとき私は自民党税調の中で、なぜそんなに高率の税率のところを下げるんだと言ったら、これはカーブをなだらかにするために必然的にこうならざるを得ないんだと。これはそうでしょう。それは所得税の専門家がそう言って私を説得したから、それならそれでやむを得ないでしょう。決して高額所得者の負担、税率を下げるということを別にねらっているんじゃないんだ、必然的にそうなってしまうんだということで私どもはやったのであります。  それを今度、こういうように高額所得者の税負担が、率が大きくなったからというのは、まさに高額所得者の税率を低めんとすることである。つまり、これは新保守主義、皆さんが信奉される新保守主義で、要するにレーガン減税と同じですよ。二本ぐらいにしちゃおうというようなことと軌を一にした話であるというふうに私は思っております。  そういうことによって、所得再分配機能、所得税は基幹だ基幹だと言いながら、実際は基幹的な色彩を薄めていこうというのが藤井大蔵大臣のお考えなんですよ。余りフラット化しちゃうと、そんなものだったら、所得再分配機能があるからこそ国税になっているんですよ、所得税は。地方税にしたらいいですよ、そんなに階段を小さくしてしまうのなら。  そうでしょう。所得再分配機能があって累進カーブがあるからこそ、それは国家がやることだといって所得税は国税になっているのですよ。どんどん階段を少なくしてフラット化していったら、そんなもの地方税にやらしたらいいじゃないですか。そうなるんですよ。この辺はよくお考えいただきたいところだと思います。  これだけやっているわけにもいきませんから、だんだん少なくなってきましたが、消費税の問題に行きましょう。  消費税を引き上げようという趣旨は何ですか。

藤井裕久改新大蔵大臣

○藤井国務大臣 これも先ほど申し上げましたように、これからの長寿社会の中で所得税だけに過度に期待するのではなく、広く多くの方にお願いをするというのがやはり一つのあるべき姿だと考えているからでございます。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 要するにこれは、直間比率の是正と言っているんですよ。しかし直間比率は、確かに日本の場合には直接税にウエートがかかっていますね。かかっているけれども、事個人課税についていえば、所得税の負担率は先ほど来言うように非常に低いです、平均的には。それから高率のところに、高額所得者についての負担は重いけれども、それは我々が予想したところにおさまっている。一番高率の上積み税率についても、利子配当のことを考えれば、他の諸外国に比べて別にそう今これをとりたてて言う必要はない。  そういうことになって、じゃ、何でこの所得税を税制改革で下げるのか。これはわからなかったわけですが、それは直間比率を直したい、こういうことなのかもしれません。しかし、所得税が高くないんだから、別にこのまま置いておけばいいんですよ。  それで、本当に消費税というのはつらい税金です。つらい税金だからこそ本当に必要な財政需要が起こったときに、そのタイミングで、いいですか、本当に必要なものを国民の皆さんにお願いして、一%でも二%でも、一%刻みで上げていく。そういう考え方でなければ、税率を倍にしちやう、もっとにしちゃう、まともな財政家の考えることだと私は思えないんですよ。ちょっと今の取り消しますが、藤井大蔵大臣、本当に私はまじめに考えていただきたい。消費税を入れるためにどれだけの犠牲を払ったんですか、理解をしていただくために。  この貴重な財源を必要もない所得税の減税の財源に使うとは何ですか。そうして、福祉に要るのだ。九兆五千億のうち福祉に回せるというのは、この前の国民福祉税構想のときにわずかに八千億ですよ、皆さん。一〇%を切っちまっているのですよ。そんなものでそんなことがどうして言えるんですか。  それで、きょうあたりの新聞を見ると、あの厚生大臣の福祉ビジョンだとかというものに必要なものはこれでございます、こんなことは、私、大蔵省開闢以来初めてじゃないかと思いますよ。大蔵省の伝統は、入るをはかって出るを制するんでしょう。二〇二五年、今から何年先のことですか。あるいは二〇〇〇年でもいい。七年後のことがただの一回だって当たったことがありますか、財政需要で、中期財政計画で。当たったことなんかないんですよ。入るをはかって出るを制する、そういうように匍匐前進で行くしかないんですよ。どうしてそんな乱暴なことを事ここに来てやるんでしょうか。  私は、本当に財政についてというか、もっと言えば税制について、非常に素人の人が言い始めたのがこれが初めだといういきさつも頭に入っているんですね。きのうお出ましになった熊野通産省次官。  それは藤井大蔵大臣、本当にここは、財政家として藤井財政をやるということだったら、今からだって急転回してちっとも遅くないんですよ。まじめに考えてください、これは。聞いている人だれも思うと思いますよ。おまえ間違っていると言う人はいませんよ。どうしてそういう無謀なことをやるのか。お答えください。

藤井裕久改新大蔵大臣

○藤井国務大臣 今所得税の税体系の問題について柳沢委員からるるお話がありましたが、所得税の減税ということは私は大きな国民的課題だと考えておりますし、御承知のように全会派一致して、所得税の恒久的な減税を図る中で税制改革を行うこと、こういうことは一致した決議になっておる、というよりも修正されている、こういう事態はそのことをあらわしていると思います。  私は、そういう中で、今のような税制改革、また、その税制改革で初めに何%ありきということでは全くないということもこの際あわせて申し上げておきたいと思います。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 まあ、答えにならない答えをただつぶやいていらっしゃるという心境もわからないわけではないんですけれども、所得税減税も私反対しました、正直言って、自民党の中で。こんなもの意味ないんです。お金がなくて消費が縮小しているわけではない、ことしの海外旅行を見てください。減税を当てにしていると言うかもしれませんけれども、お金のない人は行けませんわね。減税なんてまだ入っていませんよ。それでも行っているのですよ。  そういうようなことで私は、アメリカに対してももっと丁寧に——総需要の拡大策はもっと、本当に日本の将来を見据えたところであるんです。私はそれを主張したのです。ずっと景気対策としての効果も高いし、強いし、そういうものはあるんです。あんなにすごい財源を使わなくてもあるんです。なぜそんなばかげたことをしたのか。それは消費税のことが頭にあったからです。所得税減税で消費税の引き上げをつろうとしたんです。実際、私は、そんな不誠実なことを大蔵大臣がやっちゃいかぬと思いますよ。  ここで、私は、じゃ、税体系というのは、議論したいことはいっぱいあるんですが、これからどうなのかというと、やはり公平だと思います。それから中立だと思います。消費税が仮に将来少しずつ、本当に国民生活にとって必要な財政需要のために引き上げざるを得ないときにも、私は中立性はできるだけ守り通したいと思います。それから、成長ももちろん考えなきゃいけませんでしょう。  それからISバランスです。所得税を大幅減税して可処分所得を大きくして、そうして片っ方で消費税をやったらどうなりますか。貯蓄はふえるんですか、減るんですか。日本の経常収支のインバランスでみんな今苦しんでいるんじゃないですか。可処分所得を減税で大きくして、消費はなるべくブレーキがかかるような消費税の引き上げをして、貯蓄はどうなると思いますか。ISバランスどうなると思いますか。  わかり切ったことじゃないですか。そんなISバランスを、さらにインバランスを拡大するような租税政策を、どうしてこんなものをふれ回ってやろうとしているんでしょうか。国際的な側面が租税政策の中から欠落しているんじゃないですか。いかがでしょうか。

藤井裕久改新大蔵大臣

○藤井国務大臣 ISバランスは結果として出てくることは、もうそれは否定いたしません。  ただ、現在の景気対策という中で減税政策というものは非常に大きなウエートを占めているということは、これはもう前からお話ししているとおりであります。しかしながら、同時に、この減税政策が歯どめない赤字国債の発行につながってはいけないということから今のような話が出ているということも御理解をいただきたいと思います。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 あえて言えば、藤井大蔵大臣、所得税減税の財源をおまえはどうするんだということを私に反間されているんだろうと思いますね。私は、所得税減税の財源は所得税にすればいいと言っているんです。戻しゃいいんです、何も高くないんだから。やっちゃったんですからね。私もその前提で物を考えます。  私は反対しましたよ。しかし、やった以上はこれはもうやむを得ません。やむを得ないからこれは所得税で、財源は所得税なんですよ。何も消費税に迷惑をかけることはないんですよ。消費税はもっと本当に日本の国家国民にとって必要な財政需要にこたえる貴重な財源なんです。  消費税が低い、直間比率が低い、租税負担率も相対的には低い。何を意味するか。我々には力が余っているということです。対応力が余っているということです。消費税についてある程度引き上げさせていただきさえずれば、まだまだ財政需要に応ずることができるということを意味するだけなんです。そんなものを今七%にしちゃって、早く一五%、なぜ将来の世代のためにこの貴重な財源をとっておけないのでしょうか。今の所得税減税、今の連中がジャンクのようなものをたくさん買うかもしれない。何が生活に困っているのでしょうか。考えていただきたいと思います。  それから、もうあとわずかですから最後の締めに行きますが、私は、税制改正のプロセスが何でこんなにゆがんでしまうのだろうかということを考えざるを得ないのですよ。  大蔵大臣、昔の自民党の大蔵大臣は税制調査会でというのを言っておりましたけれども、このごろは何か、政府の税制調査会でということのかわりに、与党がただいま協議しています、こう言うのです、いつでも。  イギリスの議院内閣制における大蔵大臣、御存じでしょう。全く財政家としての自分の抱負経論を予算で出すのです、税制改正で出すのです。まあ、もちろんこの日本の議院内閣制は、伊藤博文さんの昔から与党の了解をとらなければならない議院内閣制になっちゃった。これは、伊藤博文が政友本党にそういう形で譲ったからなんです。しかし、本当の議院内閣制じゃないのですよ。  議院内閣制というのは、そういう政策的な事柄については与党は注文を出さない。もし自分たちが不満足なことがあったら、首を切れとやるのですよ。人的にチェックしろ、おれのやることが悪かったらと、こういうことなんですよ、イギリスの議院内閣制は。そこまでは私は要求しません、今日の我々の政治制度はこうですからね。しかし、そうだからといって、与党の協議にお任せします、大蔵大臣としての、財政家としての抱負経綸はどこにあるのだ。私は、あえて申しますが、苦言を呈したい。  それから、役人の皆さん、大蔵省の皆さん、私は田舎の出身ですが、このごろ見ると、物すごく東京出身の大蔵省の役人が多くなっているということなんです。二代目なんですよ、みんな。  私は、大蔵省へ入るときに、当時の鳩山課長から言われました。お父さんです、鳩山労働大臣の。柳沢君、本当に田舎者の見識をずっと忘れないでやってくれ、感覚を忘れないでやってくれと言われました。  それからまた、外国に行きますと、非常に能力主義で、貧富の格差がありまして、自分らがつき合うカウンターパートなんか大体みんな別荘持ちなんです。それは我々ぐらっとするんですよ。これは日本は平等過ぎるかなんて変なことを思ったりするんです。しかし、これも私は自分の地元の選挙の人たちを見まして、これは藤井さんも同じことを私と語ったことがあるじゃないですか。やはりそういうことで、私はこれは役人の皆さんも採用なんかも考えなきゃだめですよということなんです。やはり東京と地方との間に差があるということなんですね。  それから税制調査会、もうほとんど機能していません。これは私はかねて言っているんですが、もうリポート方式の方がいいですよと。そんな役人の人たちがいろいろなつまみ食いして、政府の人たちの顔色をうかがって、さっき言ったように変な理屈つけてつくっているんですよ。全然変な理屈だったでしょう。だめなんです。だから学者なりミード報告だとか、あるいは何でしたか、カーター報告だとかという有名なのがありますよね。それでやればいいんです。これは本当に考えていただきたい。  そういうことでありまして、いろいろ申し上げましたけれども、とにかく税制という一番大事な問題であります。国民生活にも影響が大であるし、また政治そのものです。ここで本当に抱負経綸を発揮していただくようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

山口鶴男日本社会党・護憲民主連合

○山口委員長 これにて柳沢君の質疑は終了いたしました。  次に、中尾栄一君。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 羽田内閣総理大臣、羽田さんおめでとう。本当にこのたびは大変な御苦労で、苦労だろうと思うけれども、あなたとついこの間まで農林関係の仲間であったからこの私にはひとしお情愛、情念を感ずるものです。しかし、私とは他党になったことではあるし、同時にまた、あなた自身の農林関係における考え方は幾つも一にしておったことは事実ですから、そこで、あなたに対してもきょうばいささか辛らつな質問もしなければならない。  同時に、ただ考えてみると、農林というのは土臭い言うなれば省ではありますから、したがって、米の値段を上げる、養蚕の基準糸価を上げる、あるいはまた菜種の値段を設定する、徹夜のようにやりましたね。ちょうど僕が農林部会長の後は江藤隆美君がやり、その後をあなたがやり、私はじっと目を配っておっても、なかなか熱心な立派な人物であることは私がよく承知しておる。それだけに情愛も感じますよ。  しかし、褒めるものは褒めるけれども、やはり是々非々でいかなければならぬという立場からいくならば、あなたが米の問題のときに、まず最初に申し上げておきたいんだけれども、三回にわたる国会決議を踏まえて細川さん、前の総理大臣があのような形でクリントン大統領と会ったときに、クリントンさんに対してぴしゃっと枠にはまったようにイエスという答えを出した。あのときにあなたはどういう心境と対応を党内でしたのか、与党連立の中でしたのか。  特にあなたの場合は、アメリカに行ったときに、自民党の代表として米の問題をひっ提げて行ったときには人間の体の腸の問題までを含めて、日本人の腸の長さと欧米人の腸の長さは違うんだから、だから米なんてものを一々制約するべきことじゃなく、我々自身には我々自身の特殊な伝統と風潮と今日までの流れがあるんだから、これはなかなか受け付けるわけにはいかぬと冗談とも本気ともつかない話をしたことも私はよく聞いておる。どういう心境であのときにおられて、しかも賛意を示したのか、ちょっとその考え方を聞かしてもらいたい。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 ちょっとそのクリントン大統領のときの話というのは今記憶には新たにしませんけれども、まさに今の話のところでの肉の話と米の話は全然別の話で、要するに、日本が肉を多くとるようになると腸が長いためにそしゃくに時間がかかる、そこに成人病等を起こすんだ、あなた方のあれとは違うんですよという話で実は申し上げたことであります。  それから、米の問題については、もう今さら細かく申し上げるまでもなく、衆議院における三回の決議というものはもちろん基本にあります。そしてそういう中で、環境の問題ですとか、あるいはそこで生きている人たちの問題ですとか、あるいは将来の食糧の問題ですとか、そういった問題をずっと、そうですね、六年、もう何年も各国に訴えたことはもうよく御案内のとおりであります。  ただ問題は、やっぱり百を超える国がガットに集まっているわけですね。こういう中で議論していったときに、みんなが、各国とも難しい問題をテーブルにのせて、そしてそれを少しずつ譲っていかなきゃならないというのが現実であるということ。これは、私は各国を回り、いろんな人たちと議論をし、まさにそのことに気がつかされたということで、何の傷つくこともあり得ないんだということは、私は自民党におった時代からそのことを申し上げてまいりました。  ただ、報道はすぐ、羽田氏は自由化を容認なんてことで書かれたことがあったわけでありますけれども、その背景はもうそこまでにいたしますけれども、いずれにしましても、そういう中にあって、私は最後の段階、ぎりぎりの段階にあっては、やっぱりミニマムアクセスというものはこれを認めざるを得ないなということで、本当に長い歴史の中で語ってきた中でつらい決断であったということを申し上げられます。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 長い、つらいその遍歴の中で最終的な決断を下したんだ、その気持ちはよくわかります。しかし、それならそれで、あなたは前に自民党におられたんだから、だから自民党の農林関係の同志やその他ぐらいには、儀礼、仁義、そしてこのような形で私は踏み込まざるを得ない——何も今、羽田さんにウルグアイ・ラウンドの問題をどうのこうのと私は講義を聞くまでもない。私の方がよく知っているぐらいだ、それは。そのことを我々の、少なくとも農林関係の二十数年間飯を食った連中にはやっぱり義を通して言うくらいの構えがなぜなかったのかということを私はあなたにあと一回問いたい。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 これは、自民党時代の皆さんと一緒に議論をしたことを私は改めて申し上げるつもりはありませんけれども、しかし、私は自民党にあったときにもそのことを申し上げてまいったわけで、その延長線で結局決断をしたということでありまして、決して何も細川内閣になってから変わったというものではないんだということ。自民党の皆さんと議論しているときから私は、ですから、たしかあなたと御一緒のときにも、いろんな団体の方々にも現場の本当の各国の状況、また会議の模様というのを全国の皆さんに知らせてくださいよということまで御一緒のときにも申し上げたぐらいでありまして、決して何も私は細川内閣になったから変わって決断をしたとか、そういうものではないということは御理解いただきたいと思います。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 それでは、国会決議というものを三回にわたってなさったというときに、どれだけのあなたのエネルギーと、しかも能知、能力を絞って訴えるというくらいの構えを自民党の中でもしたことがあるか、一度でも。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 私は、あの決議をつくるときに、実際にことしのような米の状況になることもあるということ、そういうことのために常に関与してまいりました。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 これは、私とあなたの仲だから、そう詰めて細かく言うと、ともども同根の世界の中においてやったということで、あなた自身も言いたい気持ちがあるでしょうから、このくらいでやめましょう。  ただ、きょうは実は私は、本当にある意味において自民党の執行部に不愉快に思っておる。なぜかといったらば、きょう私はたくさんこんなに、この国会をとめてもこのことだけは明快にさせなきゃならぬということを幾つか持ってきておる。それを、何だか知らないけれども、執行部に任しておったらば、総裁の河野さん、おい、あんた、おれの時間帯だけはあなたに任せるからと言ったらば、定例日で全国版にも映らないようなこんなときにこの私に二時間くれたんだ。これは私は不愉快だね。だから、私は執行部の皆さん方にも言っておきたいけれども、とんでもない話だ。少なくとも私が質問するときに、こんないいくりかげんなときにこんな質問をさせるような時間はくれるな、重大な委員会だと、これは。  だから、私は心魂込めて十一月から申し込んできておって、今おくれにおくれて、しかもそれはそっちの連立与党の責任なんだけれども、年内に編成すべきこの予算の骨格をこれまでずらして、 いいくりかげんな状況の中においてここまで延ばされて、しかも今日ここまでやってきたら、私はこれを書きかえ書きかえ、三回も四回も、細川から羽田と書きかえただけでも二日間ぐらいかかったよ、これは実際。だけれども、それはあなた方の責任じゃないんだよ。  私は、テレビで出て言いたいと言ってるんじゃない。テレビに向かって全国の国民に、こういうことだけはきちっと訴えておくぞということは幾つかあったんですよ。それを、きょうは少し時間の関係でこれは難しいな。しかもテレビでもってやるインパクトはもうちょっと後になるなと思っておるから、私はきょうはその点はやめたいと思う。ただ、問題はやめるけれども、少しく問題点を長引かせる意味において、二時間という時間をいただいたので、これははっきりと幾つかの分派に分けて御質問申し上げたい。  一つは、羽田さん、まあ水を飲んでいても結構だけれども、私はあなたにちょっと言っておきたいと思うんだが、細川さんの八カ月の仕事を一つ  一つ今追及しても、これは意味がなくなってしまった。時間も足りない。そこに、景気問題あるいは政治改革の問題あるいは税制の問題等々、先ほどから柳沢君の話を聞いておっても私も同感の思いがいっぱいありますので、これはまあ皆さんやっておるなと思いますから、これについては私も質問したかったけれども、言わない。  そこで、まず私は最初に一つの問題に絞って申し上げたいと思う。この問題、非常に重大な問題である。しかし、多くの人にはまだその重さがわかっておらないという点がありますから、この問題、今ここにおられる熊谷前通産大臣、現官房長官に、昨年の十二月の問題について少しく、内藤正久産政局長を事実上解任したというこの事件について質問をしたいので、まことに申しわけない言い方だが、藤井君、悪いけれどもちょっと場所をかわってくれないかね。もう何回も何回も出たり入ったりされるのは、これはもう迷惑なことなんで、私の時間もないから、あなたに徹底的な質問をする。  まず、多くの新聞や雑誌などが取り上げておったことだから、今なお取り上げますから、どういう事件なのか、御承知の方も多いと思いますが、この事件には非常になぞが多い。それに今なお事件の真相、背後究明、これを追っているマスコミもありますから、私もこの国会の予算委員会の場でこの質問を通じて真相を明らかにしていきたい、こう思っておるんです。  しかし、この問題を取り上げるのは、理由はそれだけじゃない。この問題は単なる通産省の人事だけの問題にはとどまらない。大蔵省や外務省あるいは波及する方向に必ずあった、こう思っておりますので、さらに重要なのは、この事件、羽田政権のある意味における一面危険きわまりない本質になってしまうぞということを恐れるがゆえに質問を申し上げるのであります。  羽田政権時代の危険きわまりない性格とは一体何なのか。これは細川政権からのコンティニュアスに私は言わなければならぬことでありますが、それは民主的な手続を無視して顧みないというプロセスの手続上の問題この問題なんです。政治改革でも税制改革でも、表面とは裏腹に、陰じゃ恫喝をする、また、専らとする、時には恐怖政治でもある、このことを、手法を得意とする点もあるんじゃないのか。これは、私は、羽田という人物を知っているだけに、そんなことは言いたくはない。  だけれども、そのように専ら言われているということは、よく英語の言葉にあるでしょう、バーズ・トールド・ミー。フー・トールド・ユー・ソー、バーズ・トールド・ミー。だれがそんなことを言ったんだ。小鳥がさえずったんだよ。こういう言葉があります。しかし、私は、何もそれを引用するわけじゃないが、これが流布されているという限りにおいては、小鳥がさえずったと言い得ないんで、この国会の公的な場で申し上げておかなきゃならぬ、こう思っておるのであります。  この細川前政権の本質を象徴する事件として、この通産省の局長の事実上の罷免を追及したい。官僚支配打破というまことに耳ざわりのいい看板のもとで、政治による強引な行政支配を遂げようとする人事介入というのは、憲法の根幹とも言える三権分立をなしまし的に破壊せしめようとする暴挙にほかならないと私は思っておる。  さてそこで、総理。羽田さん、あなたは憲法十五条、この問題について知っていますか。それで、どういう認識をそれに対しては持っていますか。お答えください。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 すべての公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない、ということであります。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 まさにそのとおり。日本国憲法十五条の二項、「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」と規定されておる。これは、立法府の多数党、少数党にかかわらず、公務員が政治的に偏してはならないことを意味しておるので、昭和四十九年の最高裁の猿払事件判決でも確定していることです。熊谷前通産大臣の辞任勧告は、こうした憲法の禁止規定に違反している疑いがある。  総理大臣は、内閣に実情を調査する指示をなぜ下さないのか。これは、下さないのかというよりは、我々が違反しているなと思ったから、ここに御案内のとおり、私は、総理に対する、時の総理大臣の細川護煕さん並びにその他に対して公開質問状を出した人がいる。私が出したんじゃないんだ。私や、前通産大臣であったところの田村元、あるいは森喜朗、あるいは松永光、武藤嘉文、この名前において四十名が署名をして、四十名の書類も、署名もここにあったんだけれども、幾つもこれはつくったから、だからそれはこの中に添付されていないけれども、四十名が署名をして、そして出した。出した先は、内閣総理大臣、一人は法制局長官、一人は人事院総裁。出したんですよ。知っていますか、その事実は。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 それは承知しておりません。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 承知してない。では、申し上げる。  その返事が、内閣総理大臣より、どう考えてみても、これ子供が書いたような表書きのこの字で、何とも簡単な文句なんです。読んだ方がいいだろう。平成六年一月二十七日で送付した——一月のことですよ、公開状については、関係者を代表して以下のとおり回答します。一については、「今回の人事は通産省内の人心の一新のために行われたものであると聞いており、特段この大事に関連して各省庁に指示することは考えてない。」二については、「今回の異動においては、内藤氏は退職勧奨を受けて自らの判断において辞職したものと聞いており、国家公務員法との関係で問題が生ずるとは考えていない。」三については、「一、二の認識から本件人事を巡り、特段の調査等を行わせることは考えていない。」こういうことです。これはちょっと私にとっては大変なことだなという考え方なのですよ。  これに対して、人事院総裁からも返事が来ておる。人事院総裁の返事は、きょう、人事院総裁を呼んでいる。おられますか。あなたにも私は聞いておきたいと思うのだけれども、あなたの答えは、どういうこれに対して答えであるか、あなたの口でもって答えてください。

弥富啓之助人事院総裁

○弥富政府委員 お答えを申し上げます。  私の方にも、今お話しのとおりに、今回の大事に関しまして公開質問状が送られてまいりました。私の方には、これにつきましては、専ら所管の大臣の人事権の範囲内にあるものもございます。したがいまして、私の方ではお答えを申し上げる立場にないものもございますけれども、人事院としてお答えすべきもの、それからお答えできるものについては、人事院独自としてお答えを申し上げたつもりでございます。  その内容を申し上げますと、すべての選挙立候補を前提とした箔づけ人事等の優遇人事を調査し、このような悪弊を一掃すべきである、そういうこととか、国家公務員に対して、罷免または事実上の罷免をなし得る場合の具体的な基準はどう であるか、箔づけ人事を理由として内藤局長を事実上の罷免に付した今回の熊谷通産大臣の行為は、基準に照らして違法ではないか、熊谷大臣によるこのような人事権の乱用が容認されるとすれば、国家公務員の公的身分保障はなきに等しいことになる、いかが考えるか。それから、内藤局長への辞職勧告の不当性を判断するため、怪文書事件その他について調査すべきではないか、特定の政治家ないし政党の利益や好みにより人事介入を許すことは行政の中立と公正を損なうものではないか、今回の大事について、党派的野望や、個人的好みに基づく行政への違法な人事介入ではないか、国公法は全体の奉仕者としての国家公務員の政治的中立についてどのように規定をしているか、その他でございます。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 この回答は、一貫して、内藤氏のみずからの意思、判断で辞職願を出したと、こうしておる。  昨年、十二月二十二日に内藤氏が辞表を提出するまでに、前通産大臣はいかなる勧奨を行ったのか。はっきりと言うなら、なぜまたこの不況の真つただ中に、その最高責任の任務のある産政局長というキーパーソンを、六月の定期異動に異動させるというならまだしも、なぜこんなに急いで、前任大臣などの意見を問うこともなく、個人的な思惑だけで、事務次官を本来飛び越えるべきでない、事務次官に言い渡すならまだしも、大臣が直接にやめてくれという前例のない人事を行ったのか。またそれに対して内藤君はどのような反論をしたというのか。熊谷さん、あなたに答えを聞きたい。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 まず、あるいは聞き落としがあるかもしれませんから、そのときにまた御指摘いただきたいのですが、この案件につきましては、まず、私ども、人事の案件につきましては、御案内のとおり、大臣に任免権はあるわけぐ法的にはあるわけでありますけれども、慣行上は事務次官、官房長など事務当局とよく相談をするというシステムになっておるわけでございます。私自身、この二人とは相談をいたしました。ただ、事柄が事柄であるということで、まず私が、これは先輩でもございますし、私の方から情を尽くしてお話を申し上げましょう、そしてその後で事務次官が内藤局長にお話をされたという経過でございまして、そして勧奨退職をお受けになられた、内藤局長は受けたということで決まったわけでございます。  それは、その背景といいますか、今そのことについてどうなのかというお話でございました。既に昨日もお答えしたところでございますが、省内の人心一新もしなければならないというふうに思い立ちまして決断をしたわけでございます。  そして、景気云々のお話がございましたけれども、ちょうど国会、ずっと日程的に見ますと、この時期しかない、ちょうど切れ目のこの時期しかないなということでやりましたし、現に私どもあの当時、たしか幾つかの省におきましてちょうど人事異動が行われていたように記憶、今すぐ何がというのは正確に覚えておりませんが、ちょうどその時期であって、もうこのタイミングしかないというふうに考えたところでございます。     〔委員長退席、後藤委員長代理着席〕

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 私の質問以外のことは余計なことは答えない方がよろしい。  ともかく、あなたの言っているのは、人事異動というのは六月に行われる。六月以前に人事異動が行われるなんということは決まっているわけでもなければ何でもない。その全くの突然に、降ってわいたようにあなた自体が呼び込んで、そして言い渡した。よほどの事情がなければそんなことを言うわけがないんだ。  さて、そこで、この不況の真つただ中にと私は言うたけれども、まさに不況の真つただ中だった。そのとき、日米関係は一番大事なときであった。そのときにキーパーソンを首にした。これに対しては米国議会からも声が聞こえてきて、モンデール駐日大使も、聞いてごらんなさい。この日米間の重要な時期に内藤産政局長のようなリライアブルなキーパーソンを、首を切った、ファイアしたということは、まことに甚だ、このときは細川内閣ですから、細川総理にディスアポインテッドであると言っておった。理由はともかくとして、辞職を勧奨したのは熊谷君の発意と責任において行われたんだ、こう理解するんだけれども、いかがですか。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 もちろん、事務当局とよく相談をいたしましたけれども、私の判断があったことは事実でございます。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 何も新生党のみんながみんな、あなたに賛成したわけじゃないんだ。言うなれば仲間の新生党の人も、まことにこれは憤慨にたえないと私に言ってくれた人もおる。恐らく羽田さんもそういう気持ちをお持ちだったんじゃないかと思うんだけれども、あなた自身はこの問題についてどう思っておりましたか。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 この問題については、今私は内閣総理大臣、そして官房長官というお立場であり、またこれは人事の問題でありますから、今私がみずからの感想を述べることはやめたいと思います。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 一部の新聞などの報道で内藤前局長の一部企業との癒着の問題、これも辞任勧告の理由の一つだと、こう言っておる。この点についてはどう思っておるのか。  熊谷さん、あなた、内藤局長が企業と癒着していたことはなかったと後で明言されておるけれども、この点を、本人の名誉のためにもあと一回明快に聞いておきたい。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 私、本人にもそのことを申し上げたのですけれども、特定企業の癒着とかそういう理由ではないということは本人にもお話ししましたし、それから、今委員御指摘のように、マスコミに対しても内藤局長の名誉のためにもそのようなことが理由ではないということを申し上げたところでございます。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 余りそんないいかげんなことは言っちゃいかぬよ。あなたのOB、少なくとも通産省のOB、その諸君にも僕はみんな会っているんだよ。僕が会っているのではなくて、向こうから来ているんだ、僕のところへ。その連中が言っておるのは、あなたはその理由をそのOBの連中にひとつ明快に言っておるじゃないですか。しかも、この内藤君は企業との癒着があったんです、だから通産省の中に置いておけないんですと。名前言おうか、そのOBの。そこまで言っていいのかね。余りそういう、まあ私は何もほかに詰めることもあるから申し上げたいと思うが、余りそういうことを言って、ごまかしみたいなことを言ってはなりませんぜ、この際に。いいですか。  そこで、そのほか熊谷さん、あなた自身が棚橋前事務次官の箔つけ人事の責任、それから省内を暗くした、こういう理由を辞職勧奨の際に、癒着の問題を含めて言ったという。それは、国家公務員法第七十八条または八十二条の免職基準に該当すると考える、このように考えておるのか。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 まず、免職ということではございませんので、私どもは省内の人心の一新をするために退職を勧奨したという一連の決定過程の中の話であったということで御了解をいただきたいわけでありますが、個々の、一つ一つの問題につきまして、人事の問題でございますので、ここで一つ一つ、あのときどれをどういうふうに言ったかというようなことは、ここでコメントするのは差し控えさせてもらいたいと思います。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 人事院総裁名の回答書には、「任命権者は人事管理上の必要に基づき職員に辞職を勧奨することは可能であるが、本人の意に反してこれを強要することはできない。」とあります。熊谷さんの辞職勧奨が内藤氏の意に反して強要されたということは、内藤氏が辞職に際して発した声明からも明らかではあります。それでも国家公務員法上の問題は考えない、生じない、起こらない、こうお考えなんですか。  ここで私は、内藤官房長ですか、がやめた、そのときのあれがある、書いたものがありますが、文言があるけれども、これを読んでいる時間もないから。彼はそんなことは全く言っていない。私はやめたくもない、何もない、したがって私は頑張った、なぜ私がやめる理由があるんだと、簡潔に言えばそういうことですよ。それを、私は涙をのまされた、こういう発言。  もしそのようなことが生じないとの見解であるというならば、今後どのような強引な人事が行われようとも人事院としては黙認するということが、これでいいと思っておられるのかどうか。それで公務員の権利あるいはさらには政治的中立性というものは保てるのかどうか。人事院総裁、腹を決めてこれは申し上げておきたい。これは官吏諸公全体に通ずる問題であるから、私は申し上げておる。はっきりとお聞きしたい。

弥富啓之助人事院総裁

○弥富政府委員 お答えを申し上げます。  国家公務員につきましては、成績主義、能率主義によって、その任用が行われる。他面、身分保障というものが規定をされております。  国家公務員法の第七十五条によりますと、「職員は、法律又は人事院規則に定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、休職され、又は免職されることはない。」と、このように規定がされております。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 今回の事例に関して、本人はやむなく辞表を提出するに至ったものであるというが、本人が国家公務員法第八十九条第二項に規定する著しく不利益を受けたと思慮しく同法九十条第二項に規定する期間内、すなわち処分があった日から起算して一年以内に不服の申し立てを行った場合には、人事院はこれを受理し、公務員擁護の立場から事案を調査し、結論を出すことを確認されたいと。これは弥富総裁の回答書を私も持っておるから、改めてあなたの御意見を聞きたい。

弥富啓之助人事院総裁

○弥富政府委員 お答えを申し上げます。  「職員に対し、その意に反して、降給し、降任し、休職し、免職し、その他これに対しいちじるしく不利益な処分を行い、又は懲戒処分を行わうとするときは、その処分を行う者は、その職員に対し、その処分の際、処分の事由を記載した説明書を交付しなければならない。」「職員が前項に規定するいちじるしく不利益な処分を受けたと思料する場合には、同項の説明書の交付を請求することができる。」と。  それから九十条、ちょっと飛ばしまして九十条によりますと、「前条第一項に規定する処分を受けた職員は、人事院に対してのみ行政不服審査法による不服申立てをすることができる。」と。これが九十条の二によりますと、処分があった日の翌日起算から一年経過したときには不服申し立てができませんが、その間では不服申し立てができると。不服申し立てがありました場合には調査しなければならない、人事院はこれを調査しなければならないという規定になっております。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 今のことを私の口からあと一回確認申し上げておけば、一年以内に不服申し立てができる場合には不服申し立てができると、一年以外はその例にあらずと、こう解釈するわけです。それでよろしいですね。  さあ、箔づけ人事の問題についてこれまた伺いたい。  こうした人事は、熊谷通産相自身の立候補時の明白な箔づけも含めて、程度の差こそあれ、過去に行われてきたことであり、他省庁でも行われた事実を、羽田さん、あなた知っておるかな、この問題は。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 そうですね、過去にそういうことを言われたことは、私ども、例えば参議院なんかに立候補するとか、あるいはその地域から出るときに地方局長になったというような話は伝聞として聞かされたことは何回かあります。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 このような箔づけ人事が行われてきたと、こう言うならば、官僚王国の非常識のあらわれであって、これは羽田内閣全体の公約である綱紀粛正、こういうものをもとに考えられるべきもので、国民に対する釈明と、かかる悪習の即時中止がなされるべきじゃないかと思うが、それは羽田さん、どう思われる。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 まあ基本的には、そういうことはあることはよくないというふうに思います。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 いやいや、このような悪習をなくしていこうということに対してどういう決意を持っておられるかと、それを聞きたい。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 その今の事実についてはこの間まだ話があったところでありますけれども、私どもといたしましては、そういった問題が今後起こらないようにしていくことが重要であるというふうに考え、私の決意をそのようにこれから進めていきたいというふうに思います。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 そのような議論も粛正も行われないままに、大臣、常識的な手続を欠いたまま、内藤個人を魔女狩り的に、まさに一方的に罷免するのはまさに本末転倒、ファッショ的手法、恐怖政治、恐怖の至りの政治である。不当じゃないんですか、これは。実はそこには政治的な意図が隠されていたんじゃないんですか。前通産大臣並びに総理大臣羽田孜として率直に、個人的な見解でもいいですから、お答え願いたい。前通産大臣。     〔後藤委員長代理退席、委員長着席〕

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 まず結論から申し上げますが、全く、その政治的意図というのがどういう意味かよくわかりませんが、そういうことでやったわけではございません。  ただ、先生、今私の箔づけ人事ということでございましたが、もう十八年、十九年前になりますけれども、いや、二十年前になりますね、私は政治に出てから一年まさに走り回っておりましたので。一年二カ月、中小企業庁の室長という仕事をちょうだいして、予算もとり、さまざまなことをしてやってまいりました。決していわゆる箔づけ人事だとは思っておりません。  ただ、今回の場合について申し上げますと、仮にも先ほど来申し上げておりますように、実質的に人事権者である事務次官のしかも息子が、ほとんどだれにも知られない新しいポストをつくって大抜てきをして、そしてそれを消す、こう数人の者でやった、こういうことはやっぱり私は非常に大きな問題があるというふうに判断をいたしております。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 余り熊谷君、自分自身をかばう余りに、他の者だけはこれは特例に悪いんですという表現は、私は少なくとも政治家のプロだから、余りそういうばかなことは言わぬ方がよろしい。  いいですか、あなたこそ昭和五十二年に参議院議員に出馬したんだ。私はあなたの、静岡県かな、応援に行ったのよ、私とか中川一郎は。当時、福田赳夫さんに頼まれてあなたの応援に行ったんだよ。そのときにも私はあなたの肩書は見た。そのときにあなたの肩書も麗々しく書いてあったんだ。箔つけ人事の恩恵を受けて、その後もあなたはハーバード大学に留学をして、中小企業庁の施策普及室長の肩書をフルに利用しているんじゃないの。  例えば、私はここにあなたが言うところの人事というものについてのあれを取り寄せてみた、一応は。あなたのはこう書いてある。一番最初に出たときにも、いいですか、一橋大学出身、通産省入省、ハーバード大学留学、中小企業庁施策普及室長、これは七月の十八日のこの前の選挙だよ。それから、その前は、いいですか、あなたが一番先に出たときにも、一橋大学、通産省入省、ハーバード大学留学、それから通産省中小企業庁普及室長、全部出ておる。それから、三十七歳訴えるといって出したときにも、あなたは全く同じ肩書をそのまま並べておる。  片や、あなたが今云々くんぬんと言うた棚橋君の息子さんというのはどんなポスターをつくっておるかね。これは棚橋君の息子さんのだ。私は見たこともない、この人は。見たことはないが、彼のことは保守系無所属。通産省もなければ何にも書いてない。中小企業庁普及何とかなんという立場も書いていない、何も。  それからそのほかに、ここに麗々しく私は持ってきた、このポスターを。何が書いてある、この中に。通産省が書いてあるのか。通産省の役割が書いてあるのか。無所属と書いてあるだけなんだ。何も書いてない。ごらんいただいたらわかる。このとおり。皆さんにもごらんください。

山口鶴男日本社会党・護憲民主連合

○山口委員長 許可します。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 いいですか。委員長、ありがとうございました。  こういうことなんです。いいですか。ほかには何も書いてない。彼のは何も書いてないんだ。しかも、この文章にも何も書いてない。彼の肩書、通産省すら書いてない。話がまるで違うじゃないか。一体どっちが利用しておる。しかも、彼はとんでもなく、今あなたのことを聞くならば、えらい抜てきを受けたと言う。何が抜てき。抜てきを受けたのだったら、それを麗々しくこのポスターにも書くでしょう。あなたが書くように書くでしょう。それを書いてない。それをさえもあなたは責めまくろうというのかな。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 私は、一年二カ月その仕事をして、最後のところのお仕事を確かにいろいろ経歴の中に明示したとは思いますけれども、もともとそういういわゆる箔づけ人事だったというふうには思っておりません。  ただ、今回のポストに関して言えば、やはりどう考えても常識的に、それは違法かどうかというのは別でございますけれども、当不当という点からすれば、その人事のやり方というのはいささか問題があったというふうに思っております。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 こんな発言がまかり通ると思うかね。あなたは自分でもって、中小企業庁というものを利用できればそれが一番票が集まると思うから、麗々しくハーバード大学であるとか中小企業庁の普及室長であるとかその他るる書いて、そして静岡県で訴え、中尾栄一もそれを一生懸命かざしながら、こういう立派な人物は当選させてくれと言ってきたんだから、静岡県で。  あなた自身は、何にも書いてないこの棚橋君の息子を、これは抜てき人事であってとんでもない、そんなことを言えるあなた柄かね、一体。とんでもない立場じゃないか。私は責めたいよ。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 私は選挙運動の形態は存じ上げません。存じ上げませんけれども、およそ役所の人事のやり方として、例えばこういう企画官というような仕事をやるとすれば公知しなければなりません。そういうようなものもなしに新しいポストをみんなでつくって、そしてわずか一週間で消してしまう、だれにもわからないようにやってしまう、やはりそこにはいろいろ問題があるというふうに判断をしたところでございます。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 企画官であれ何であれ、プロモーションがあった場合には給料も違うはずなんです。給料も上がっておらない。調べてごらんなさい。給料も少しも上がっておらない。これが大抜てきかね。それで、しかもなおかつ、こんな一切自分自身を売り出さなければならぬという選挙にも使えないような肩書が、とんでもない肩書を与えたと、こうとも思っておるのかね。そういうところがあなた自身の一方的な政治的な意図だと、こう言われても仕方がないんだ。熊谷通産大臣、昭和五十二年に出馬するときにはハーバード大学留学、これは言うたとおり。  しかし、事件の発端は匿名の怪文書が乱舞するという官庁にはあるまじき事態からだと、こう聞いておる。しかも、怪文書の内容が内部から流されたことは、文芸春秋三月号の百六十七ページで通産省の広報課長も認めているところなんだ。熊谷君自身が怪文書に加担したこともさまざまな報道で伝えられておる。さっきのバーズ・トールド・ミーじゃないけれども、私の耳にもたくさん入っておる。否定しますか。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 私は、怪文書の作成や配付に関与したことは一度もございません。ただ、いわゆるマスコミに流布されるようになって初めてその事実を知ったわけでありますけれども、当時は、私自身は、ひとつ丸くおさめていこう、しかし綱紀粛正だ、これは国会でも答弁して、ほぼおさまったと思っておりました。  しかしながら、この案件について御質問がありましたから申し上げるわけですが、現実に私の手元に、告発状が取り寄せられ、東京地検特捜部がこれを受理してくる。そういうことに対する批判がますます、私の国会での答弁で大体けりをつけたというつもりでいた段階以降にそうしたことが起こってまいりまして、これはやはりなかなか問題だなというふうに感じたところでございます。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 余り質問をそらすなと、私が余り怒り心頭に達するようなことは言うなとまず申し上げておきたい。  いいですか。内藤君が省内を君は暗くしたと言うけれども、この男が暗くしたなんて全く考えていない。彼は私が通産大臣だったときの二代目の官房長だったんだ。そのときに通産省の中で、あるべき官吏としてだれを師表にしたいかと。これは私がやらしたんじゃないけれども、全部を私は調べて、どういう人間がどういう形において配分されているかということを私はチェックしてみた。そのアンケートをとったところ、九〇%の人たちが、もちろん全員からもらったわけじゃないが、九〇%の人たちが内藤正久君という名前を挙げた。この内藤局長が省内を暗くしたなんということはまさに言いがかりであって、政治的な意図を持った罷免のための口実であったと言って何が差し支えあるのか。  また、熊谷君自身も、通産省時代に後輩としてこの内藤局長に教えられて、世話になった面も少なからずあったと思うよ。特に、あなたの米国のハーバード大学留学については、内藤前局長の論文で内藤君が受かって内藤君がアメリカに行くべきを、君がいよいよ立候補するということを聞いて、自分の部下に立派な思いをさせてやりたいということでもって、そして合格をさせて、国会に出馬するという熊谷君に対する思いやりでもって譲ったのじゃないのか。その点を否定するか、あなたは。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 これは、委員、御確認の上でお話をされておられますか。(中尾委員「もちろん」と呼ぶ)冗談じゃないのです。これは人事院の所定の試験を受けておるわけであります。私はすべての試験を受けました。かつ、みずからの手でハーバードの、いろいろな形でお話をいたしまして、籍をいただいた。わずかな期間だったものですから卒業とかなんかじゃありませんでしたけれども。まして、この制度は初めての制度でございまして、替え玉試験などというのは真っ赤な偽りでございます。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 この問題は後で調査に付しましょう。いいですか。(熊谷国務大臣「結構です」と呼ぶ)  そして、この怪文書一本で、だから怪文書が出た、それによって罷免してしまうというのは、あなたの人間としての心、バランス感覚を疑わざるを得ない。なぜか。むしろ大臣としては、卑劣な怪文書による被害者をかばい、怪文書に惑わされず、省内一丸となって通産行政に邁進するよう職員を指導し、明るさを取り戻すというのが大臣としての本質的な役割じゃないのかと私は思う。器量、人としての道理ではないのかと私は思う。暗くなったと言うけれども、明るさを取り戻すという努力を、あなたは大臣として、熊谷君はどういう行動をとったのか、それをまず聞きたい。  熊谷君は若くして通産大臣という要職に抜てきされて慢心したんじゃないのか。大臣としての資質に欠けているんじゃないのか、あなたは。大臣を重ねて任用した羽田総理大臣、あなたにも私は聞きたい。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 政治的な関与というよりは、むしろ人心一新ということで、あのときには熊谷大臣はそれをなされたのであろうというふうに私は承知いたしております。  そして、そういう中で円満に辞任をされた。辞表を出されて辞任をされたということでありまして、私は、そういう中にあって、また通産行政、商工政策というものをよくやってこられたということで今度の改造のときにも重用をしたということであります。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 私自身は、各セクション、セクションの人たちとよく意思交換もし、自分のかつての経験も語り、仕事についても課題を与え、努力をしてきたつもりでございます。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 総理、羽田さん、あなたは勘違いしておるね。総理は、辞任をするに当たっての内藤君の文書を読んでみたの。  例えば何と書いてあるか。「一、辞任を求められた二つの理由については、職を辞すべき主たる理由としては、理解し難い。」これは内藤君の文章ですよ。発表している言葉ですよ。「第一点の企画官問題は、当省出身者が選挙に出馬するに際して、然るべき肩書を与え、厚遇して来たという通産省の従来からの慣例に従ったものであり、」これはあなたも肯定したとおりだ。「今の時点で、社会的にみて適当であったかを反省すべき点があるとしても、それに対する対応の形態として、辞任まで求めることは、理解しかねるものである。」これが内藤君の言葉。「第二点の通産省を暗くしたといわれる点については、怪文書事件が唯一の根拠であり、その怪文書に名前が出たということがその主たる理由だと考えられるが、その作成と作成のための情報提供を行った関係者に対する対応がなされないことは、いかにもバランスを欠いたものであるとの印象を拭えない。」  二番。「しかしながら、」内藤君の言葉ですよ、これは。「全国民に対する奉仕者としての公務員の基本に立ち帰れば、一刻の行政の停滞も許されない。とりわけ、景気の現状は深刻であり、その早急な対応策が求められている現在において、今回の人事案件が省内の混乱の原因となり、事務の停滞を招いていることを踏まえれば、事態の打開を図るため、辞任することが適当であると判断した。」  三番目。「現在に至るまでの過程で、省内の現役、OB、他省庁の友人からも、多数の支援を頂いたこと」まことに感謝にたえない。「また、二度とこういう事態が生じることのないよう、更には、風通し良く一体感溢れる通産省を再建できるよう、省内の後輩諸兄が努力していくことを期待したい。」  だからこそ内藤君に対して九〇%の若い官吏たちが、この内藤君を慕って、将来の通産官吏の師表たるべき人は内藤さんだと九〇%がそういう烙印を押して出してきておる。そのことを知ってなおかつ総理はそういう言葉を使うのか、羽田さん、お答え願いたい。同時にあなたもお答え願いたい。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 その記事は私承知しておりませんけれども、しかし、私も実は内藤さんとは、ちょうど私が大蔵大臣なんかやっておったときに彼は通産の官房長なんかやっておられたということで親しくしておりましたから、やめられるということになったときに、私も実はあっと思ったわけです。そのときにお聞きしましたときにも、まさに一新をするということであるということで、もう決定された後ではございましたけれどもね、そういうふうに聞いておりまして、私はそのことについて、もうその後は特にこだわらずにおったということであります。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 怪文書で省内が暗くなった、こういうことが国家公務員法に照らして罷免の理由になり得るのか、見解を問います。国家公務員の権利を保護する立場を踏まえつつ、まず答弁を願いたい。弥富人事院総裁にお聞きしましょう。

弥富啓之助人事院総裁

○弥富政府委員 国家公務員法は、職員は、法律に定める次の四つの事由のいずれかに該当しない限り、その意に反して免職されることがないということとされておりまして、それは、第一は「勤務実績がよくない場合」、二つ目は「心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」、三つ目は「その他その官職に必要な適格性を欠く場合」、四番目は「官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」というふうに規定がされております。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 今の報告を聞いてもわかりますように、これは各大臣諸公にも申し上げておきたいと思いますが、一体これは何ゆえの罷免なのか、さっぱりわからない。だれもわからない。内藤君が特別、先ほど言うたようにとんでもない試行錯誤のようなことをしてみたのか、あるいはとんでもない間違いを犯したのか、とんでもない泥棒にも似たような行為を働いたのか、あるいは人心を乱したようなことをしたのか、省内を暗くしたのか。  省内ではむしろ九〇%の若者の人気を集めている内藤君が、なぜこのような形でもって罷免されなくちゃならぬのか。その罷免する権利が大臣にあるとはいえ、大臣自身が少なくとも反省もせずして、このように暗くしたということをよく言えたものだと私は思う。あなた自身が暗くない、私が暗くした覚えはない、通産省の中においては私は全くもって公明正大なる態度をとり得たと自信を持って言えますか、あなた。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 この案件についての見解は、率直に言いまして委員と私の意見はいささか異にしていると思います。このようなことがもしこれだけ騒ぎになって放置されるということになれば、あと大事に関して言えば、ほとんど事実上の人事権者は何をやっても認められる、こういうことになるわけで、その意味では私は、やはりきちっとすべきだったというふうには思っております。  ただ、省内が暗くなったかというお話でございますけれども、事実、若干の期間混乱があったことは私も認めますけれども、しかしその後、次官を中心にいろいろな作業をいたしまして、省内一致結束し、業務に当たる体制になっているというふうに思っております。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 言葉というものは、こういう中で一対一でやってみると、いろいろな形で逃げも打つものだな。よくまあ、この私に対してもそんな言い回し方でもって逃げおおせようというのか。これは熊谷君、君自身の人間性の問題だよ、はっきり言うと。  もっと単刀直入に言いましょうか。いいですか。調査を行い得ない理由というのは一体何なのか。怪文書が出た、怪文書なるがゆえに犯人を特定し得ないということだと思いますが、怪文書というものは一体何なのか。こういうものは選挙につきものであるから、あなた自身が一番よくわかっておるはずだ、怪文書なんというものは。怪文書などというものがどの程度のものであるかなんということは、選挙をやっておる人間でわからない者は一人もいない。だから怪文書というんだ。相手のあて先も身元も何もわからぬ。そんなもの、何ぼでもまかれたから、まかれた人間は絶えず罪だ、こう判定しろというのかね。あなた自体、そういうことにおいて、私などは、あなた自身の言いわけがましいその話は全く卑劣であると言わざるを得ない。  しからば、その卑劣な怪文書を根拠に、むしろ怪文書の被害者ともいうべき局長を罷免するというのは不当じゃないのかね、これは。今後怪文書が出るたびごとに、そこに出た人間を罷免していくのかね、熊谷君。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 マスコミに書かれたり怪文書に書かれたから問題というのではなくて、そこに書かれた内容が事実であり、そこに当不当の問題が問われることになれば、私は、問題にされるべきだというふうに思います。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 一体、その暗くしていった要因の、どこか会社であるとか、そういうことを指摘でき得るような要素があるのかね、あなたに。  もっと単刀直入に言いましょう。省内を暗くしてきたというならば、最も暗い手法をとったというのはあなた自身、熊谷君自身じゃないのかね。一月七日の読売新聞によれば、大臣は、国会でのやらせ質問を自作自演したそうだが、これは一体本当かどうか。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 質問を受け、私が回答したことは事実ですが、やらせのようなことはございません。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 この質問、これはどうかな。熊谷通産大臣「やらせ質問」、ここにおられるのはだれかな、中尾栄一かね、これは。熊谷通産大臣だ。「辞任勧告を正当化?」「前局長の「優遇人事」問題で工作」、「工作」と書いてある。いいですか

山口鶴男日本社会党・護憲民主連合

○山口委員長 許可を得てからやってください。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 ごめんなさい。委員長、申しわけない。私も委員長やっておりながら、申しわけない、本当に。

山口鶴男日本社会党・護憲民主連合

○山口委員長 許可します。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 さて、熊谷通産大臣、あなたの国会質問の依頼の件、これははっきり申し上げるけれども、ここに私は、読むのも長くなるから、ちょっと読んでもどうかなと思うけれども、本当は読めば全員がわかってもらえると思う。いいですか、ちょっと読みましょう、ざっくばらんに、早口で。  一月七日、十日両日、まあ名前も、今野党になられたから言ってもいいでしょう、井上一成議員から議員会館の事務所で取材。熊谷と会談したのが昨年九月二十一日昼。場所はウナギのかば焼き料理屋、山の茶屋。そこで、会談時間は四十分ぐらい。大臣就任祝いを兼ねて、井上が声をかけたのに熊谷が応じた形だが、しかし、この日の料現代の支払い、一人五千円程度のウナギの飯を食いながら、井上は断るのも大人げないと思い、後日秘書を通じて熊谷に、これをごちそうになった後にケーキを届けた。  会談で話題になったのは、井上が会長を務めている日本セネガル友好協会の一件ではあるが、どんどんとことんとんとんといっていって、そこで言うなれば熊谷は、セネガルの一件が一段落した後で、例の怪文書問題を話題にした。井上からは、熊谷が質問依頼したとの一言は聞けなかったが、井上によると、熊谷からは、同文書と関連づけて、省内には自分よりも入省年次が古い幹部職員がいて仕事がやりにくいという話があった。井上は当時、怪文書を見ておらず、何のことかよくわからなかったが、通産省内に派閥争いがこうした騒ぎになっているのではないかと思ったという。  なお、熊谷が、怪文書は後日届けると言ったとされる点については、井上は否定。後から調べたところ、議員会館の事務所に匿名で同文書が送りつけられていることがわかったという。  井上は熊谷に対して、しっかりやってくれと激励し、別れたというが、この直後、通産省OBの知人(大塚を指すと見られる)を通じて、怪文書の内容について同省側の見解を確認。既に一件落着済みで何の問題もないとの回答を得たこともあり、怪文書の件については、その後すっかり忘れていた。後日、熊谷から再度電話での要請があったとされる点についても、これを否定。日笠議員が実際に国会で質問した事実は、今回一連の問題が取りざたされるようになって初めてわかったという。  国会質問の依頼について、井上は一貫して、詳しいやりとりははっきりと覚えてない。当時、熊谷が何か言っていたと思うが、とてもまともに取り上げる問題ではないと判断して聞き流したと、二人の間のやりとりを具体的に明らかにすることは避けている。しかし、一方で、自分には質問を頼まれたという意識はないが、熊谷には国会で取り上げてもらいたいという思惑がありありとあったのだと思う。  また、省内の問題である以上、本来は大臣みずからが解決すべきであり、国会議員を使って質問させるという手法は筋違い、大臣の見識を疑う。こうした問題に引きずり込まれるようなことになって大いに迷惑しているとの感想も述べて、おり、話の内容に、大臣からの質問依頼を間接的にうかがわせるような一面もある。井上は八日付で、本紙朝刊の「質問働きかけ 社党議員認める」の記事について、七日夜、電話で読み聞かせた際、それで結構だと了解している。  あなたは大体において、あなたが大臣に就任して以来、一方的に、この内藤正久君を何とかしたい、邪魔な先輩だ、この問題だけにおいてとことんまで、こういう格好で質問を他の政党の人に、連立与党の仲間に依頼した覚えはないのか、絶対ないと言えるかね。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 全くありません。  あの当時、予算委員会のメンバーにその手の文書が送りつけられてきて、話題になっておりました。で、私は、まあこれは、いろいろありますから自分たちの手で片づけますよというような話を申し上げてまいりまして、予算で質問されたときにも、私はそのときはそのつもりでいたということは、先ほど申し上げたとおりでございます。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 あなたは、この私の言ったことが、何の裏をとるのでもなく勝手ほうだいのことを言っておる、こういうように解釈しておられるのかな。それとも、私にけんかでも売るつもりかな。  一体、あなた自身はこういうことを日笠議員にも頼み、それから井上議員にも頼み、井上さんはこれを見識をもってお断りしたが、日笠議員はこれを、あなたと同じ会館であるのかどうか、この点について質問をした。やらせ質問じゃないの。天下の読売新聞が、こんなに大きくうそでも書いたとでも言うのかね。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 全く事実はございません。  確かに、井上先生と食事をしたことはございますし、そのときの話題に若干の議論はあったと思います。なかなか厳しい物の見方をされる方でありますので、いろいろのやりとり、御批評はいただきましたけれども、やらせ質問というような会話ではなかったというふうに私は思っている。本人自身がそう思っておりますし、そういうことであったと思っております。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 本人自身が思うわけもなかろうが、それは。本人自身はなるべくひた隠しに隠そうと思うだろう。そんないいかげんなことでもって答弁になるのかね、一体。この私は、少なくともあなたより大先輩だ。この大先輩がそんないいかげんなうそをついて、この満天下に中尾栄一がうそを言ったというのか。それとも君自身がうそを言ったというのか。  これは私は、委員長の名において私は問いたい。私自身はそれに政治生命をかけて問いたい。あなた自身がうそを言ったというならば、直ちにやめなさい、大臣を。この中尾栄一がうそを言ったというならば、この私は、私がみずから責任をとってやめる。いいかげんなことを言うな。あなた自身はそういう男なんだ、体質的に。そしてそういう形をとって、いろいろの——この私はあなたの応援に行った。あいさつも受けたことはないが、福田赳夫さんに頼まれて応援に行ったんだ。私は当時青嵐会の座長で、そして大勢集めて言ってやったんだ。熊谷君という人は、知らぬけれども、なかなか有能な男らしいうそも言わないらしい。そして、だから応援してやりたい。やったものだ。これほどのうそつきを私は応援したつもりはないんだ。  じゃ、さらに聞く。質問依頼された井上議員からの相談の件。一月四日から七日の間、数回にわたって、大塚というのは通産省の男なんだが、彼は知り合い。  熊谷から質問依頼を受けた井上は、九月二十一日、かねてより知り合いの大塚に数回にわたって電話をかけて、どういうことか教えてくれと接触を求めている。大塚は、その日は時間の調整がつかずに井上と会えなかったが、電話であらましを聞いた結果、怪文書問題については通産省としての見解を聞いておくことが必要だと判断。井上にはないしょで、井上一成さんにはないしょで、牧野官房長に熊谷が井上に国会質問を依頼した事実を伝え、棚橋ジュニアの箔づけ人事問題については既に決着がついた問題という同省のスタンスを改めて確認した。大塚は同省の見解を井上に伝えることを約束したが、その際、牧野は井上と会った結果を報告するよう要求、大塚は了承した。  大塚は翌二十二日、井上と連絡をとり合って、同日昼、議員会館で面談することになった。大塚が井上から聞いた話によると、前日すなわち二十一日の熊谷との会談で、熊谷から、御存じのことと思うが、通産省内で問題になっている内部告発文書の一件をぜひ予算委員会で取り上げてほしいとの要請があった。井上が、そんな文書のことは知らないと言うと、熊谷は、後で届けさせる、文書で名前が出てくるように問題人物がいて、何とかしたいと思っているんだ、国会で質問してもらえれば、私が綱紀粛正を約束して、しかるべき措置をとりたいと持ちかけたと言い、井上は検討すると答えたが、腹の中では何とばかなことを言うかと思った。  しかし、大塚から通産省の見解を聞いた井上は、怪しい話だと思っていたが、やはり自分の直観どおりだった、質問はしないと言い切って、井上はやめた。大塚は井上と別れた後、この日の井上との面談の主な内容を手書きのメモに二枚にまとめて牧野君に、官房長に提出したという。これが実態だ。  あなたは、この私にとことんまであなたを責めろというのか。私自身は、とことんまで、一たん言い出した限り、この私自身が議員をやめるのか、君が大臣もやめ、議員もやめるのか、私はとことんまで問いたい。責任を持って答えてごらんなさい。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 先ほど申し上げましたように、井上先生と会って、その当時の先輩も多いし苦労をしておりますとか、こういう文書が出ちゃってもう本当になかなか難しくてとかいう議論は、私はいたしました。しかし……(「さっき違うと言ったじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、そういう議論はしましたということは申し上げたのです。しかし、やらせ質問などということは、お願いをするということはしておりません。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 余り問題をすりかえちゃいかぬ。問題をすりかえているんじゃない。私は、あなたの大臣としての資質、しかもなおかつ、少なくとも人間としての資質、人格の問題、これを問うておるんだ。  だから私は、羽田さん、あなたに聞きたい。あなたの官房長官というのは女房役だ。女房役が、少なくとも私は、内藤君であれだれであれ、正義感とともに正しいことのニュースを得たから言っているだけなんだ。しかも、私は綿密に調べた。この問題の私とのやりとりを聞いて、あなた、どう判断するんだ。このようなこそくな手段をとっても、しかもやらせ質問をさせても、こういう格好でもって内藤君をやめさせていくという根拠は那辺にあったのか、それをあなたは問いなさい。問うていくだけの責任がある、総理として。お答えを願う。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 今お話はるるあったわけでありますけれども、私は、まさに人心一新ということはよく役所の中でもあることでありますけれども、そういう中での措置であったのかなという思いであれしておりますし、残念ですけれども、そういう怪文書というのは、私も怪文書というのは一時期見せられたことがありました。(発言する者あり)いやいや、そうじゃなくて、私が見せられたことがありました。ただ、これは省内の問題だよということを当時言ったことを覚えておりますけれども、いずれにしましても、今誠心誠意務めてくれておるということで、私は信じていきたいというふうに思っております。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 僕が、羽田さん、あなたに頼んでおるのは、こういう問題が起こって、鋭意、誠意努力をするという限り、今度はこちらの問題はあなたに降りかかる問題なんだ。  だから私は、あなたとは長い間、二十数年以上も農林問題をやって、私は多少あなたの先輩だから、私は先輩として、あなたとともども農林行政にいそしんできた。だから、あなた自身に、私はある意味における、そこはかとない情感がある。だからこそあなたに頼んでおる。こういう邪道、邪悪なことをしていく人間をあなたは許しておき、官房長官にしておくのかね。それとも、もっと真相を究明して、理非曲直を問おう、こういう見解に立つのか。私は、それをはっきりとこの際申し上げておきたい。  私は、このお顔ぶれを見ておって、私の兄事する仲間もおる。しかし、ちょっとこれはどうかなと思うのもおるが、熊谷君のこの行為は、私は断固として認めるわけにはいかぬ。あと一回御答弁願う。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 私としては、当然今ここまで御議論あったわけですから、事情はよくお聞きいたします。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 この問題はひとつ、私は先ほど申し上げた。熊谷君、君自身がこの問題に職を賭してこの私に答弁をしたというなら、私も国会議員、衆議院議員、長年の衆議院議員として私も職を賭してこの問題を問う。したがって、あなたが衆議院議員をやめるか、もし中尾栄一がでっち上げのうそ八百を並べてここでもって問うたというならば、この中尾栄一が職を賭して衆議院議員をやめよう。あと一回答弁を願いたい。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 私は、事実を、真実を申し上げているところでございます。したがいまして、今先生がおっしゃられたような責任を問われる筋合いはないと思っております。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 時間の関係で、たくさん言いたいことがありますが、私は、実はきょうほかに爆弾的に申し上げたいことがたくさんある。しかし、恐らくこの内閣の中でも、私のその質問があるならば、ちょっと困るというよりも立ち往生する場合があるでしょう。したがって私は、その中にも、こういうビデオテープまで持ってきた。ビデオテープは、この間亀井君の問題を聞いてもどうも一遍に云々するというわけにはいかぬようだから、これは、もし見せると言うなら見せますが、私はあえてその問題についてはきょうは触れまいと思います。それほどもう時間がなさそうだ。  同時に私は、この問題点を皆さん方に見せることによって、いかに皆さん方の中においても震え上がるような問題があるかということも申し上げよう。これはビデオテープだから、単なる亀井静香君のテープレコーダーとは違う。写真まで全部写っているから迫力が違うよ。これはひとつ皆さん方も、じっくり私が次に質問をするときには、まあおどおどもするでしょうけれども、多少おどおどもするだろうけれども、覚えのある人は困ったなということにもなるでしょうし、羽田内閣そのものの問題にもなるだろうから、私はそのことはきょうはやりますまい。  なぜかといえば、先ほど言うたように、河野君以下執行部が、この私を、大体テレビにも出ないこんな時間帯をこの私にくれたということにいささか私は憤怒にたえない思いであるから。委員長、よくわかって——野中君頼む、これは。  さて、私は、四番目に日米関係についてお話を申し上げたい。  羽田総理、あなた、日米経済摩擦の問題点ほどこにある。総理はそれに対して率直に、簡潔にお答え願いたい。簡潔に。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 この問題は、まず昨年の七月のサミットの折に、クリントン大統領と宮澤当時の総理との間で、を中心にしながら包括協議がそこから出発したということ、そして、その協議の結果が二月十一日のクリントン・細川会談、この中で残念ですけれども、またそれから、その以前に私自身が十一日の朝まで話し合った中で、これが実は残念ですけれども不調に終わったということであります。  この不調に終わった理由は、いわゆる客観的基準という中にありまして、定量的なもの、定性的なもの、またはその両方を使うというその定量的なものというものが、これが数値目標ということになったらこれは大変であるということのために、ここがどうしてもお互いに理解が当時できなかったということのために不調に終わったということ。  そして、一番のそのもとは何かというと、やはり日本の経常収支というものが、一方的という言い方がどうか知りませんけれども、六百億ドルに近いものが今日米間にあるということが一番の原因で、それから包括協議が始まり、そして先ほど申し上げたところに帰着するというふうに思っております。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 細川前総理は、この前の日米首脳会談でみずからがノーと言ったことを、成熟した大人の関係と自賛している。また、言ったことがある。アメリカ、ヨーロッパ、アジアから聞こえてくる話は、ノーと言うだけで建設的なカウンタープロポーザルがないのは大人の関係ではないとの声が極めて強い。日本としても、ノーと言ってそれで事足れりというのじゃなくて、やるべきことをやらなければならない。  そこで総理にお伺いしたいが、マクロ面について、中期的、短期的、どういうことをやっていくつもりなのか、お答え願いたい。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 一つは、マクロでいいますと、日本の経済というものを確固たるものにしろということがやはり一番大きな問題であろうと思っております。それに対応するものは、例えばこの前やりました第三次補正というものは非常に大きなものであったろうというふうに思っております。それと、今度のとりました所得税減税、こういったものも一つのものであろうと思います。あと、例えば公共事業等内需を拡大する、そういうことのための措置、そういったものがあろうかと思っておりますけれども、今は、そういった問題については、六月の末までを目途にしながら方向づけを今しようといたしておるところであります。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 そのようなことで日本に拡大を求めているアメリカ、ヨーロッパ、アジアが一体納得をするというように思っておられるのか。それが責任ある態度と私は思えないけれども、それについて説明を申し上げてもらいたいと思うんだけれども、マクロ的な問題についての説明はちょっと足りないと私は思う。質問、あと一回。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 ちょっとその前に、例の大人の関係について簡単に申し上げさせていただきたいと思いますけれども、これは私が総理に報告したその言葉の中から生まれてきたのかなという思いが実はあるのです。  というのは、カンターさんと最後、不調に終わる寸前に、もうだめかと彼は言いますから、私は、そう言わずにもう少し話そうよと。というのは、ある程度、何というんですか、数値目標とは、彼らの考えているのはこうだというのが見えてきたものですから、私はもう少し話してみないかという話をしたのですけれども、いや、もうこれ以上はやめようやという話でした。  いや、しかし私は、どうしてもこういった問題がおかしくなると日米間がおかしくなるということを申し上げたわけでありますけれども、カンターさんは、ヨーロッパともあるいはカナダともこういうことはしばしばあるんだ、そういったことによって二国関係あるいは地域との関係が悪くなるということはもう絶対大丈夫だよというお話があったことを、私は実は総理に御報告したものですから、大人の関係ということになったんじゃないのかなというふうに思っております。  それから、マクロの問題につきましては、しかし、まあ幾らでもマクロについてこういうあれがあるよということもあるんだと思いますけれども、私は、当時アメリカの人たちが考えておったり、あるいは日本に対して期待しておったのはそういうことであろうというふうに考えております。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 マクロ経済政策に関連して、多年度または恒久的減税を含む相当程度の景気刺激策、特に増減税間の三年間の間隔が求められている。これはどう対応するつもりなんですか。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 その点につきましては、当初私どもが連立与党として考えておりましたのはまさに恒久的な減税、しかし、そこで直ちに増税というものがあったのでは、これは残念だけれども景気に対して対応ができないであろうということで、私たちは三年間、三年を置こうということであったわけであります。しかし、御案内のとおり与党内の協議というものが不調に終わったために、残念ですけれども単年度の所得減税という形になってしまったということであります。  これに対して、我々といたしましては、やはりこの六月の末を目途にしながら今御論議をいただいておるということでございます。これは、政府税調の方でも今御論議いただいております。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 景気回復というものを確認するというかアクノーレッジするというか、そういう格好で税制改革を行うということを求める米国の考え方は、消費増進による景気回復のために納得し得る考え方だと私は思っておる。  他方、健全財政が重要な原則でなければならないということは論をまたないけれども、なぜ増減税を同時に決めなければならないのか。政治の指導力不足を露呈しているものじゃないのか、私はそのように思うけれども。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 減税は、その効果とかいい悪いは別といたしまして、これをやることは、これはだれでもできることであります。しかし、増税というのは、これはなかなか、やると言っても、残念ですけれども、それはいつもなかなか先延ばしになっていってしまうということがあります。そういうことを考えたときに、あれだけ大きな減税というものをやるとすれば、やはりこれをきちんと埋めることは考えなければ、これは責任ある政治ということは言えないんじゃなかろうか。きちんとしたリーダーシップであるということは言えないというふうに思うわけです。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 これは、先ほど柳沢君との間におけるやりとりを見ても、大蔵大臣とのやりとりを見ても、どうも私は、柳沢君が我が党の士であるからというわけではないが、ちょっと明快を欠くなと、この答えには。そう思わざるを得ない。したがって、私としては、その点においては関連して、余りはっきりした答えではないなという感じがするのです。裏づけがない。だけれども、まあこれはいいでしょう。  当面の経済運営に関連して、三月二十九日の対策では、経済見通しで示した経常収支の少なくとも縮減幅に言及しているけれども、もしそれが困難と見込まれるとき、苦しいなと思われるとき、追加経済政策をとる用意があるのですか。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 これはもう中尾先輩よく、何回も閣僚をされながらもう御案内のとおりでありまして、今予算を御審議をいただいておる。しかも、この予算の中にはやはり内需拡大をする策というものが盛り込まれておるということで、この御審議しているさなかに、私が、その後どうするということを申し上げることはお許しをいただきたいと思います。  いずれにいたしましても、一日も早くこれを通していただき、それを、できるだけ執行というものを有効なものにしながら、消費の拡大、需要拡大というものを図り、景気の回復というものを本復させるということが我々がとらなければならない姿勢であろうというふうに考えます。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 今度はミクロ面についてちょっとお聞き申し上げたい。  数値目標についてはどうお考えになっているのか。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 ここが一番議論になったところでございますけれども、やはり数値目標というものを立てます。しかし、これについては、クリントン大統領もカンターさんも、そのときに同席したカッターさん、そういった人たちも、決して数値目標というものではありませんと、これが達成できなかったらどうこうというものではありませんと、一つのやはり議論をする客観的な、定量的な基準として要るのですということをあの方々は言われておりました。  ただ、私の方からこれに対して申し上げましたことは、過去にあっても、例えば民間がこうしましょうと言ったこと、それが達成できないと制裁というような形が今日まで起こってきた過去の私たちは苦い経験を持つときに、これは数値を、こう伸びていくだろうというこの数値の目標を立てることは、残念ですが、あなたはそう言うけれども、じゃ、今度ほかの方々がこれをとられてひとり歩きしてしまうということになったら、これは大変危険ですということを申して、私はこれは断固のむことはできませんと、そして、このことはまた、アジアの国もあるいはヨーロッパの国の人たちも大変注視している中で、日本の国がもしそんなことをやってしまったならば、他国にも影響を及ぼすことになりましようと。そうしたら、他国からはそんな話は聞いてないというのがあったのですけれども、いや、聞いてないと言うけれども、これだけの、私のところへもいろんなあれがございますよという話まで実はいたしたところです。  しかし、カンターさんは、自分たちはあくまでも日本に対して、開かれたところに本当に売り込みができているのかなということをチェックするだけで、決して目標、ターゲットにするものじゃないということを口を酸っぱくして彼らは言っておったことも事実であります。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 アメリカでも良識派の間では、少なくとも管理貿易ということになるならやらない方がいい、やるべきじゃないという声が強いのですよ。ヨーロッパ、アジアはみんな同じように数値目標には御指摘のとおり反対しておる。だから、あなたの今、先ほど言った、アメリカが云々くんぬんでやらなければなりませんがという原則論というならば、それはやはりあなた御自身もはっきりとその点は申し上げなければいかぬと思うね。  それで、原理原則というものを曲げてしまうということは、日本への尊敬を失わせることにもなりますよ。だから、これについてはあなた御自身、あと一回、率直な答えを出してもらわなきゃ困る。これは先ほども言ってはおるが、さらに確認のために申し上げたい。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 これを明確に申し上げたために不調に終わったということであります。  ですから、私は、今度マラケシュでまた二時間ほどお話しいたしましたけれども、そのことをよく説明申し上げました。そういう中で、お互いにだんだん理解をし合ってきたなあ、それから、アメリカ側も決してこれ、ターゲットにするんじゃないんだということを、私も彼らの言うことをさらに理解したということです。ただ問題は、だから、いずれにしても、ターゲットみたいな数字をつくっちゃうと結局そういうことになるんだから、これは困るからほかのいろんな考え方というものをお互いに勉強しようやということでマラケシュでは別れたということであります。  今の中尾委員の御指摘は全く私も同感であります。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 自動車電話の決着というのは、数値目標を採用したものとしてはクリントン大統領もカンター通商代表も評価しておるということは聞いておる。しかし、数値目標反対の原則にこれは反するものじゃないのかということになるけれども、これはどう思いますか。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 ちょっとこれ、私もし間違えているといけませんけれども、これは企業と企業の間の中での話し合いということが基本にあるということであろうと思っております。そして、あの場合には、例えば無線塔というのですか、それを一つずつつくっていくことによってお客さんがふえてくるということでありまして、そのあたりは、ほかの自動車ですとかあるいは部品ですとか、そういったものとは多少異なるというふうに私は考えております。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 自動車電話の決着に対して政府の職にない政党側の有力者が実質交渉に当たったと言われておるけれども、対米交渉でも二重権力構造になっているんじゃないのかと私は考えざるを得ない。その点についてはどう思っているのか。  ついでにあと一つ。自動車電話の米国側の納入状況については、米国が日本側に協議を申し出たときにはいつでも応ずることになっておるけれども、これは日本側の立場を一方的に放棄したことになるのじゃないのか。  私、その二点を続けてお伺いしたいと思います。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 これは二重構造ということではない。これは本当に企業のみずからの命にかかわる問題でございますから、企業としてこれでやっていけるんだというものがなかったら受けるはずのものではないわけでありますから、私はそれは間違いないと思います。  ただ、もう一点の点は事実関係でございますから、ちょっと担当の者から答えさせることをお許しをいただきたいと思います。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 いや、もうきょうは官僚は要らない。  私は、今の問題点についても次にちょっと問題点を提起したいことが幾つもあるけれども、これは、ちょっときょう残る二十分しか時間がないので、たくさんやりたいことがありますが、きょうはちょっとこの問題だけに絞っておきましょう。それで、この次にひとつ皆さん方に申し上げたい。  それは、あなたの言うところのそういった原理原則で言ってみても、世界の経済運営上、これは望ましくない。したがって、ミクロで日本として何をやっていくのか、あなたに本当に見解を承りたい。恐らくいろいろの、具体的に規制緩和の問題とかなんとかかんとか輸入促進であるとか当たり前のことを言うかもしらぬが、それにつけてもあなたの意見を率直に聞きたい。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 まさに今お話がありましたように、今度の合意というのは、優先分野それぞれにつきまして、包括経済協議全体としての目標と分野ごとの目標とを有することが明らかになったということでありますから、その分野ごとの明らかになったものについてこれから協議に入るわけでありますけれども、そういった中で、今実は御指摘がありましたけれども、私どもとしては規制緩和をすべきものはやはりしていくということ、そしてそういうものをすることによって、それからあと政策的にもいろいろとやっておるわけでありますけれども、そういったものをリンクさせながら日本の市場というものを開放していくということ、しかもこれは国民生活にもやはり大きくプラスになる、そういった思いで私たちが思い切ったことをやっていく必要があろうというふうに考えておるところであります。  そして、ただ優先分野といいましても、例えば政府調達という分野ですとか、あるいは保険ですとか、また自動車及びその部品ということ、それぞれ分野ごとに違った内容になっていくであろうというふうに考えております。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 これは石田総務庁長官になるのかな。規制緩和は一体具体的にどういうことをやるのか。三年以内に一万一千の規制を半分にするとでも言うのか、あるいはまた、スクラップ・アンド・ビルドで規制の広がりを抑えるといったそういう考え、気持ち、そういうことをお持ちなのか、これはどうなんですか。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕

石田幸四郎公明党総務庁長官

○石田国務大臣 お答えを申し上げます。  規制緩和の問題につきましては、先生も御存じのとおりでございますが、今までの経済社会の仕組みを支えるために、規制そのものは、欧米に追いつけ追い越せということで、産業社会を育てるために大きな役割を果たしてきたのでございますが、しかし、今日、このような経済情勢の中で、経済のリストラと同時に新しい経済改革というような表現を使っておりますが、これをやっていかなきゃならない。そのためには何としても規制を緩和して、そして市場参入を促進していかなければならないわけでございます。  今までいろいろなことをやってまいりました。九月の緊急経済対策あるいは二月の中期行革大綱等においてやってまいりましたが、その成果としては、既に国会へ提出しておりますが、一括法で四十本、個別法で二十四本、規制緩和を国会で審議をしていただくというような状況にいたしております。そして、六月末には、対外経済関係の問題も含めて、何としても成果を出さなければならない。  それからもう一つは、今後の規制緩和については、やはり今年度中にこれからの五カ年計画を立てて順次規制緩和をやろうといたしております。今先生が言及をされました規制緩和のやり方というのは、ただこのまま放置しておりますと、どうしても法律が生まれてくるたびごとに規制はふえてくるというようなことでございますので、これは法制局の方にもお願いをいたしまして、これからつくる法律については原則見直し条項を入れ る、こういう方針を一つ立てたところでございます。後は、そういった意味で、五カ年計画等を立てて着実に市場活性化のための規制緩和をやってまいりたい、こんなふうに考えております。  それからもう一つ申し上げますと、この規制の中で、報告事項、届け出事項、これが非常に今経済を阻害している例が多いものですから、これも積極的にやっていかなければならないという方針で各省庁にお願いをいたしているところでございます。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 競争促進について、カルテル規制の強化、不公正取引についてちょっと質問を申し上げたい。  カルテル規制の強化は言うまでもありません。不公正取引については、日本国内でダンピングを行わせないということによって日本企業の行動を利益優先に変えていくという必要はないのかどうか。これちょっと、羽田さん、あなたどう考えておられるか聞きたい。

八木俊道総務庁行政管理局長

○八木政府委員 お答えを申し上げます。  政府の、先ほど総務庁長官から御答弁のございました平成六年二月十五日の閣議決定におきまして、競争政策の積極的展開につきまして、個別法による独禁法の適用除外カルテル制度等につきまして、五年以内に原則廃止する観点から見直しを行う等、独禁政策の適用強化につきまして方針を決定をいたしているところでございまして、今後、具体的な取り組みが政府部内において行われると存じます。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 ちょっとこれ、官吏に聞く質問じゃないんでね、基本的なことですから。だから、私は基本的なことで官吏にはもう頼らない。あなたの内閣のその前の総理大臣であった細川さんは、一切官吏に頼らないで一問一答をやろうじゃないかということが彼のテーゼになっておったからね。だから、それだけに私としては、官吏に頼る必要も全くないだろうと思っておるのだけれども、これはもう基本的な政治的質問ですから。それじゃ、あなたにあと一つ質問しておきます。日米の独占禁止協定、これを結ぶ考え方はないのかどうか。独禁協定、独占禁止協定そのものを結ぶ気持ちがあるかどうか、まずそれが一つ、こうしておきましょう。  それから、これは本来通産大臣に答えてもらいたいところだけれども、農林大臣から急に通産大臣になってもちょっと答えられないと思うから、無理だ、それは、急に。農林大臣と通産大臣と、ちょっと全く見解が違うことになるかもしらぬ。そこで、輸入促進に関して、せっかくある輸入促進税制、これは今機能していないと思うけれども、これを機能させる気持ちがあるかどうか、これについて質問しておきます。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 独占禁止協定等につきましては、これから私どもはもう少し勉強しなければならないことであろうというふうに思います。  それから、輸入促進のための税制、これを促進するためには、税制措置なんかもやっております。予算措置等もやっておるということでございまして、私どもといたしましては、市場開放するということ、このテーゼといいますか、これは大事にしていかなければいかぬと思っておりますから、今おっしゃった点については、我々としてもこれからもさらにきちんと進めていきたいというふうに思っております。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 輸入促進税制を拡大して、輸入しやすい環境づくりということを考える気持ちはないのか。つまり、輸入促進税制を活用してアファーマティブ・アクション・プログラムというものをつくる気持ちはないのかどうか、これをまず聞きたい。  あと一つ、ついでなので聞いておくと、政府調達については政府みずからがやることだから民間の場合とは違う対応、つまりは弾力的な対応があるとはお考えにならないのかどうか。細川さんがよく言っておったような大人の関係というのは、大人の対応の案を国民に示して説得して実行するというのが総理たる者の仕事じゃないのかと私は思っている。細川さんはそれもやらないで、ノーとだけ言って帰ってきた。それは大人の関係じゃなくて子供のやることであって、児戯に等しい外交状況であったと私は思う。そういう意味においては、あなたはどう考えておられるのか。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 今の件につきましては、先ほども実はお答えを申し上げたのですけれども、ちょっとお聞きになっておられなかったようであります。  いずれにしても、輸入促進の税制につきましては、これは今私ども法律をあれしながら進めておりますし、また予算でもインポートマートですとか、あるいは住宅なんかの、向こうの国の住宅、こういったものを展示する場所、こういうものまで実はつくってやっておるということでございまして、私どもはこういったものをきちんと進めることが大事であろうと思っております。  それから、今大人の関係という話でありましたけれども、先ほどもこれはちょっと御説明したのですけれども、もうこういう問題についてはたまに意見の相違があって別れることがあってもしようがないんだ、ヨーロッパでもカナダとでもしょっちゅうアメリカはあるんだよという話で私は頑張っておったのですけれども、残念ですけれども、細川総理のところにちゃんとした成果を持って会談に臨んでいただけることができなかったというのは、私自身これはみずからを問わなければいけない問題だろうと思っております。  しかし、私はそのときに申し上げたことは、アメリカも今本気で日本に売る気になってきたのですね。例えば右ハンドルの車をつくるとか、本気で売る気になってきたということ、そして日本の方も、規制緩和等をしながら市場を開放しようという気持ちに今なっておるということ、これを今我々お互いにやっていけば大丈夫なんだよということまで実は申し上げたわけでございまして、児戯に等しいということはなかったと思う。いろいろな提案を私たちはしておるわけです。  それから、政府調達については、これは大人としてやることもできるんじゃないのかということでありますけれども、これは政府調達であろうと、やはり競争力のあるものでなければいけないわけであって、日本の製品よりよりよいものである、あるいは日本のサービスよりよりよいものであるということであれば、私どもは情報はきちんと彼らにも知らせてあげる、そして、彼らに参入の機会をつくってあげるということの中でお互いに競争していく、この環境をきちんとつくり上げることが我々がしなければならないことであろう、また、これが自由貿易だろうというふうに考えております。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 私は、どうもそれは余りにも一般的な答弁で、例えば、そんな企業努力を、右ハンドルを左ハンドルにする、左ハンドルを右ハンドルにする、そんなような努力は、これはもう前から言われていることなんだ、十数年前から。ただ、やるかやらないかの努力を今やっているというのでしょう。それだけのことなんだ。そんなことを聞いているんじゃない、気持ちは。  私は、そこで、米国の輸出の六〇%は米国系の輸出先国における現地法人によって行われているわけだけれども、と言われていると言った方がいいかな、輸入促進のために対日投資促進が必要だと思われるけれども、税制上の恩典というものを含めて対策を講ずるという気持ちはないのかどうか。これもちょっと総理にお答えを。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 日本に輸出をするために、日本に立地をしようということですね、これに対して税制的な優遇措置をとるようにというお話だと思うのですけれども、私どもとしては、いろいろな点で、例えば規制緩和して日本の市場に入りやすいように、例えばこの間電話機が自由化しましたね、携帯電話。自由化して規制を外したら、たくさんの会社が参入できるようになってきたということで、今二十社ぐらいが売るようになって、電話機そのものも安くなっております。  そういう意味での日本投資の促進のための対応というものは、これは我々やはりやっていくことが必要であろうというふうに思いますけれども、投資をするために特別に税を優遇するということは、ちょっとこれは私またよく勉強してみますけれども、今ここでちょっとお答え申し上げることは控えたいと思います。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 積極的な勉強をお願いいたします。  ただ、あと十分くらいでしょうから、私はきょう肝心かなめの質問をしたいとは思いながらも、冒頭にお断りしたように、そこまでの時間帯はない。それは、皆さん方に非常に大きなショックも与えるような問題点も私はここに抱えてきておる。しかし、それをお見せする、あるいはまた言う機会もないということで、私はきょうはそれを言うまいと思う。この次に私はまた出張ってそれを申し上げましょう。  そこで、私はごく簡単に、質問ですから、お答え願いたいと思うんだけれども、日米関係で、北朝鮮の核問題について関心が高まっているけれども、日本としてはどう対応するつもりなのか、これをちょっと羽田さん、あなたに御質問したい。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 この核の問題につきましては、もう再三申し上げておりますけれども、我々といたしましては、やはり北朝鮮がIAEA、これの保障措置というものを受け入れてもらうこと、そしてNPTにやはりもう一度帰ってもらいたいということ、こういうことを対話によってやろうということで、各国に対しても、アメリカに対しても、あるいはそのほかの国に対してもそのことを申しておるわけであります。  そういうことに対して、やはり北朝鮮がそれをちゃんと受け入れて、今一応この前のときのものは受け入れて、実際に実施しておるようでありますけれども、それ以上のことについても、例の燃料棒問題等についてもきちんとした話し合いがIAEAとつくこと、そして米朝会談等が開かれること、これを今私たちは見守っておるというところであります。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 では、基本的な問題だけちょっと、幾つかまだあるのですが、時間がだんだん迫っておりますから、これは申し上げたいと思いますが、連立与党内で、新生、公明が日米韓の連帯安全保障というものを主張したのに対して、社会党はその中に、当時社会党が連立の中にいたときに、中国を入れるべきだと主張し、すなわち日米中韓で進むべきである、ごく当然な意見を述べておる。それに対して主張が食い違った、こう聞いておるのです。  その点に対して、北朝鮮の現況を考えたときに、私は社会党の主張の方に賛成せざるを得ない。中国を入れずして、全くもって日米韓だけで話をすれば、北朝鮮の問題が片づくとは全く思っておらない。そういう意味においては社会党の主張に賛意を表するものでありますが、羽田さん、あなたはどう思っておるのか、この問題。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 私自身、中国に行きましたときにも、中国の北朝鮮との友情関係、こういったものを通じながらよく北朝鮮に対して国際世論というものを伝えていただきたいということをお願い申し上げてまいったわけでございまして、私どもは全く中国を度外視するどころか、やっぱり今最も親しく話せるのは中国であろうというふうに考えておりまして、中国ともこれから緊密に連絡をとりながら対応していくということについて、今御指摘がありましたこと、全く同感であります。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 官房長官がお帰りになりましたから、私は官房長官が帰るのを心待ちに待っておりましたから、したがって、最後に少しく官房長官、熊谷君、あなたに御質問申し上げたい。  人事権を持つ大臣というものが省庁の大事に介入することはあっても、それは国家公務員法の枠組みの中で省庁の独自性、権力からの中立、公正を配慮したところの必要最小限のものであるべきであって、このような脱法的人事は断固許されるべきではないというのが、私のみならず、自民党の私に対する賛同者は極めて多いのであります。  今さら言うまでもないが、法治国家という枠組みは、さかのぼればワイマール共和国の崩壊からナチスの台頭、さらには悲劇な戦争という歴史を踏まえて、いわば長年の風雪の中で、人類の平和と幸福を追求する英知としてその価値を磨かれてきたものであると私は思う。日本は戦後、我が自由民主党の政権のもとで必死にこれを構築して守ってまいりました。それを打破するものがファッショであるというならば、今回の羽田政権の、少なくとも通産大臣という主要閣僚をやった熊谷君、君の違法、脱法行為はまさにファッショ的行為だと私は思う。  今回の人事は事務当局との相談の上だと言ってみても、しょせん大臣のごり押しに屈せざるを得なかった通産省幹部もまた被害者である、あるいはあったと言うべきでありましょう。熊谷君の暴挙は、結局、不幸にも内藤君という立派な局長の、辞職勧告の理由には全く当てはまらないものの国家公務員としてこれ以上の混乱を避けたいという、個人にとってはとてつもない、断腸の思いで自己の犠牲による辞職で幕を閉じたと思います。これに対するあなたの、その態度には敬意を表するなどという白々しいコメントというものは、一体どこのボタンを押して、あなたの体のどこの箇所を押してこの言葉が出てきたのか。  幕を閉じた以上静かにおさめるべきではないのか、今さら国会で質問しても仕方がないんではないのかと考える向きも多いと思いますよ。しかし、私は、我が国百年の大計を考えるほどに、この問題を座視し得ない。今や問題は、一個人、一組織の枠を超えておる。  すなわち、このような特定の政治家あるいは政党の好みないしは野望によるゆえなき人事を許すということは、やがてこれが前例となって、独裁的ファッショ、独裁的支配というものの出現が誕生する一里塚になるでしょう。マックス・ウェーバーの「官僚論」を引くまでもない。技術的専門集団たる官僚は、それ自体ファッショ的勢力に転化することはないけれども、ファッショ的勢力に利用されると、民衆弾圧の武器とさえなり得る。かかる危険をはらむ前例を画策して実現した熊谷大臣の責任はまことに重大である。民主国家に対する犯罪的行為ともいうべきものであると私は思う。  このような暴挙が一人の国務大臣によっていとも簡単に行われたということに対して、私は言いようもない戦慄と怒り、これを禁じ得ない。熊谷君はみずからの行動を反省し、直ちに職を辞して、国民の前に謝罪すべきだと思うが、一体あなたはどう思っておるのか。これを理事諸君にも私は申し上げておきたいし、委員長にもお願いを申し上げておきたい。この逸脱的な行為は私の正義感が絶対許さない。私はそれをあえて申し上げる。お答え願いたい。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 率直に申しまして、事柄についての見解は先生と私はいささか異なっていると思います。私自身、この行動に間違っていなかったと思っておりますし、また、大臣の任免権をみだりに振り回したというつもりもありません。十分考えた上で、慎重にも慎重に事を進めたというふうに思っております。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 時間が参りました。そこで私は、この問題については提起を申し上げたい。  私は、先ほど言うたように、マイクを持って申し上げるときにうそを申し上げたことはないつもりである。君はうそ八百を並べておる。私はそう断定する。私はそこにおいて委員長に申し上げたい。もしこの私がうそを言うたというならば、私は衆議院議員をやめます。しかし、その観点において、もし彼がうそを言うたというならば、大臣はおろか、ともども衆議院議員をやめることを私はお願い申し上げたい。

山口鶴男日本社会党・護憲民主連合

○山口委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕

山口鶴男日本社会党・護憲民主連合

○山口委員長 速記を起こしてください。  それでは、二十分休憩をいたします。     午後五時五分休憩      ————◇—————     午後六時十分開議

山口鶴男日本社会党・護憲民主連合

○山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、内閣総理大臣から発言を求められておりますので、これを許します。羽田内閣総理大臣。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 先ほど中尾委員の方から御指摘のありました点につきまして、御質問の趣旨を踏まえながら、本人及び関係者からよく事情を聞きまして、後刻御報告を申し上げさせていただきたいと存じます。

山口鶴男日本社会党・護憲民主連合

○山口委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕

山口鶴男日本社会党・護憲民主連合

○山口委員長 速記を起こして。  この際、委員長から発言をいたしたいと思います。  ただいま、総理からの答弁はお聞きをいたしました。ぜひ鋭意調査をいただきまして、来週月曜日には事情調査の結果を当委員会に報告をいただきます。  なお、官房長官に一言申し上げたいと思います。  中尾委員が、いわば政治生命をかけて御質問をされました。したがいまして、官房長官もその意を体して謙虚に御答弁をいただくように、私の方からお願いをいたします。熊谷官房長官。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 御注意を十分踏まえまして今後答弁させていただきたいと思います。

山口鶴男日本社会党・護憲民主連合

○山口委員長 中尾君。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員 山口鶴男委員長は、私の日ごろ三十年来兄事する委員長であります。しかし熊谷前通産大臣は、全く私は信用しておらない。全く信用しておらない。しかも、なおかつ、この私に抵抗するのみならず、この読売新聞にもあらわれておるように、読売新聞そのものの記事においても、これはうそだと断定をする限り、私と読売新聞社の社長ともども話し合って、ともどものチャレンジをいたす、その気持ちであります。  私は月曜日の報告を待ちます。しかし、私は月曜日にはあいにく講演を頼まれてここにおりません。おりませんから、でき得るならば火曜日にお願いをでき得ないかということを山口委員長にお願いを申し上げたいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。(発言する者あり)  今、自民党の委員からいろいろとサジェスチョンをいただきましたから、月曜日に報告を受けとめるという点において私も納得をいたします。それ以外の点におきましては、ただいまの私の友人である総理の発言もあったことでございますから、私も右をもって了解といたします。しかし、今の報告をきちっとしていただきまして、その後の対応は私にこれまたお任せいただかなければならぬ、こう思っておる次第でございます。委員長、お願いいたします。

山口鶴男日本社会党・護憲民主連合

○山口委員長 はい、承りました。  これにて中尾君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤信二君。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 大変遅い時間で、委員の各位も御苦労さまですが、しばらくおつき合い願いたいと思います。  羽田総理、あなたとは昔の仲間ということでお互いによく知り合った仲だ。私の性格も考え方、手法も御存じだと思います。同時に、私自身もあなた自身の知識も知能程度もまあわかっておりますから、その範囲で質問しますから、わかりやすくお願いしたいと思うのです。  一番先にまずお聞きしたいのは、きょうの質問を、今の中尾さんじゃありませんが、昨年からずっと実は用意していたわけであります。そこで、細川さんがあのような格好で退陣されて後を継がれたわけですが、大体すべての点で細川内閣の継承ということで認識していいでしょうかどうか、これだけまずお聞きしたいと思います。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 すべてといいますか、今、戦後五十年というときを迎えるということで、細川内閣のときに掲げました政治の改革、経済の改革、そして行政改革、やはりこれを私どもは継承してまいりたいというふうに考えております。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 きょう質問通知してあるように、時間もあれですから早くやりたいと思うのですが、確かに細川内閣を受け継いだなと思うのは、昨年八月に細川さんが細川内閣を発足して大臣の所信表明演説をされている。施政方針を三月にされましたが、今度羽田総理が言われた第百二十九回国会における羽田内閣総理大臣所信表明とこれは大体中身がダブっています。  特に、私が注意して読んで、全く同じ表現を使っているところがあります。それは、何ページというとおわかりにならないかもわからぬが、この中で「信頼と協調のための積極外交の確立」という見出しに羽田さんの場合はされているし、細川さんの場合には「国際国家としての自覚と国際社会への寄与」という表現で今次大戦というかその位置づけをされています。その中で同じ言葉というのは、どちらを読んでも同じになるわけですが、「我が国の侵略行為や植民地支配などが多くの人々に耐え難い苦しみと悲しみをもたらした」、全く一字一句も変わらないわけですね。それはまあ役所がつくったのでしょうから同じかもしれません。そうすると、今、御自分がつくられたというと、細川さんの方が前に出されているのだから、細川さんに教えたと。いずれにしろ、同じ考え方だということさえ確認すればいいのです。  そこで、初めの通告では戦後処理の問題についてお聞きするわけですが、きょう五月二十五日というのは何の日か御存じですか。五月二十五日といったら、羽田総理は何の日と思われますか。わからなければわからないで結構です。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 ちょっと承知いたしません。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 きょうこの中で、御存じかどうかわかりませんが、年配の方で東京の在住の方は御存じと思うのです。昭和二十年の五月二十五日、大空襲があったのです。  東京大空襲というと三月の十日というふうに代表されます。このときは、ここにいる深谷さんのところ、台東区とか今の江東区、そうした下町、ここがなくなりました。そういうことで、人々の記憶の中には三月十日ということで本までなっている。早乙女勝元という人が書いた「東京大空襲」というのがあります。  ところが今度は、五月二十五日には山手中心に、渋谷とか新宿だとか、そのかいわいが焼けたわけです。そういう人たちに対して、また同じように空襲の犠牲になった方というのは、広島、長崎の原爆が有名ですが、そのほかにも全国で百十六都市があるわけなんです。その人たちのことを考えてこのような文を書かれたのだろうかということをお聞きしたい。その認識なんです。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 その認識は、今度、そこのところは多少違うと思いますけれども、私はその問題について、実は簡単にでございますが、まずそのことについて触れながら、なお他国にもというふうにたしかお話をしたはずでございます。なお、ほかの国にも迷惑等をかけたということを申し上げているはずでございます。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 そういうことで、戦争というのはやはりやっちゃいけないことなんだという認識は、これは共通だろうと思うのです。そしてあたかも、特に羽田総理の話の中ではアジア諸国に迷惑をかけた、諸外国にかけたと、そのとおりだと思います。  だけれども、余り国内におけるそうした苦しみをした人に対する配慮がなかったように思う。細川さんの場合にはこれを言われていますね。そしてその中には、「それは先の大戦での尊い犠牲の上に築かれたものであり、先輩世代の皆様方の御功績の賜物であったことを決して忘れてはならない」というふうなことで出ているのですが、羽田総理のはいかんせん、そういう文句がないと思うのです。——ああ、ありましたね。  国民に多くの犠牲をもたらしたばかりでなく、近隣諸国の人々に今なお大きな傷痕を残しております。 そして、  先般の閣僚の発言が近隣諸国の方々に与えた悲しみと憤りは、このことを示すものであり、発言が撤回されたとはいえ、このような事態に至ったことは誠に残念であります。この機会に、 先ほど私が読み上げました  我が国の侵略行為や植民地支配などが多くの人々に耐え難い苦しみと悲しみをもたらしたとの認識を新たにし、これを後世に伝えるとともに、深い反省の上に立って、平和の創造とアジア・太平洋地域の輝かしい未来の建設に向かって力を尽くして まいります、まあこういうふうな美辞麗句が書いてあるわけなんです。  じゃあ、お聞きしますが、国内に対して具体的に何かお考えなんですか。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 国内に対してということは、少なくも佐藤さんと御一緒に私どもとしても対応すべきことは今日まで一生懸命やってきたと思います。  ただ、ちょうど五十年を迎えるときというふうに書いてありますけれども、やはり五十年を迎えるときにもう一度そういった方々の犠牲というものが戦争によって起こったのだということ、これを私は振り返ることが大事であるということで今ここで述べておるということであります。しかも、こういった経験というものを踏まえながら、再びこういう戦争を起こしてはいけないという決意を私はここで述べたということを御理解いただきたいと思います。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 私が言っているのは、今自分もやってきたと。それは同じ党から出られた方ですから、そういう表現をしたのは間違いないと思うのです。それなら、自民党の中で具体的にあなたは一体何をしていたか、言えますか。言えないでしょう。それはあなたの仲間がやっていた。私がやっていた。そして、死んだ中島源太郎であり、戸塚進也がやっていたわけでしょう。それに対して、残念ながら、私はこの問題を参議院に当選以来二十年間言い続けたが、なかなか結論が出なかったのです。だけれども、今言われたように来年が五十年だということがあるので、ここで何とか決着をつけようということで話はどんどん進んでいたのです。  だから、そのときに対して、今申したように具体的にどうするのか。アジア諸国に対して謝罪をする、私は悪いとは申しません。結構なことです。だけれども、同じようにやはり日本に対してどうするのかということになると、はっきりさせなければいけないのは、確かに日本は戦争によって、中国大陸にもあるいはアジア諸国に行って人を殺したでしょう。申しわけなかったと思う。だから私は、日本は加害者の立場をとらざるを得ない、こう思うのです。その点、間違いありませんね。  そうすると、今の、国内でもって火あぶりになって死んだ人たちというのは加害者ですか、被害者ですか。     〔委員長退席、後藤委員長代理着席〕

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 国家が進めた行為によって、その結果としてそういう被害を受けられたわけでありますから、私は被災者であるというふうに思っております。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 私は、そんなことより、冒頭言ったように平易な言葉で話してもらいたいのですよ。戦後五十年もたっている。歴史というものがわからなくなっているのですよ。  どこの国が日本に、東京に二十年前、きょう落としたのですか、明確に言ってください。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 これは、連合軍の航空機がまさに爆弾を落としたということでありましょう。その中の中心であったのはアメリカであることは間違いありません。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 そのとおりアメリカが落とした。これは、やはり確かに戦争だからいたし方ないと言うことはできないだろう。非戦闘員を焼き殺したという事実、これはどういうふうに認識されるかと思うのです。だから、当然日本がアジアに対して残虐な行為もあったかというのも、それも非戦闘員に対しての行為だと思うのです。だから戦時国際法でも、非戦闘員を殺してはいけない、こういうことであると思うのですね。  だから、今言われている南京虐殺でも、戦争で兵隊を殺したのならだれも問題にしなかっただろう。中国の一般人民を殺したという点に問題があったのだろう。同じように考えるならば、当然、アメリカに対してそのことをやはり認識させる必要があると思いますが、いかがですか。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 認識させるというのですか、これは間違いなく日本が戦火を切ったという事実であります。そういう中で、この本土で戦わなきゃならぬところまで追い込まれてしまったという事実、知らせるとか知らせないという問題じゃないんじゃないでしょうか。  私はむしろ、この戦争というものがどんなにむごいものであったかということ、そしてなぜこんな戦争を始めなきゃならなかったのか、これを私たちはやはり考えなきゃいけないというふうに思います。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 具体的に、今のように戦争の犠牲者だということなら、そういうことで総括した場合に、それに対して、その処遇を来年五十年と言われるならば、どういうふうに感じますか。だれがやはりその問題に関して中心となって考えればいいのかという点をお聞かせ願いたいと思うのです。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 ちょうど五十周年を迎えるということでありますから、これは、戦争の悲惨さをやはり次の世代に語り継ぎ、再び戦争の惨禍というものを繰り返さないよう引き続き一般戦災者の慰霊に関する諸施策、こういうものを講じてまいりたいというふうに思っております。  一般戦災死没者の慰霊の措置といたしまして、一般戦災死没者遺族代表の全国戦没者追悼式、こういったものに対して国費による参列ですとか、あるいは全国戦災史実の調査の実施あるいは戦災に関するビデオの制作ですとか、また一般戦災死没者の慰霊事業等の検討、こういったものをしていきたいというふうに考えます。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 そんなことは今までずうっとやってきたことなんですよ。総理が言う五十年という区切り、御存じのように、仏典でも五十年になったら土に帰ると言われているんだ。だからその五十年というときに、何かやはりはっきりしたことを決着をつけようということで、ずっと私が会長をしている一般戦災者の遺族会も議員連盟も頑張ってきたわけなんです。今のような、やってきたことを聞くわけじゃない。  それで、もう既に宮澤内閣の時代から、五十年には結論を出してくれということは再三事務当局に話したんだ。ところが、なかなか決めてくれなかった。私は、総理自身のこの所信表明を聞いて、そして細川内閣でもそのことに触れられている。そして、もとをただせば、羽田さん自身は我々の仲間から分かれたんだ。  それなら聞きたいのですが、あなたは新生党御出身の総理ですが、新生党の考え方、あなた自身の考え方と、私たちの所属する自由民主党とどこが違うのですか。そのことをちょっとお聞きします。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 私は再三この委員会でもお答えしてまいりましたけれども、基本的な考え方というのは変わりません。政策で私たちは分かれたということじゃなかったわけであります。ただし、新しい政党と一緒になることによって、また新しい分野に私たちは思いをいたすことが出てきておるというふうに思っております。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 今の言葉は、連立内閣をつくったときの話はそうでしょうが、新生党の出生を言っているのですよ。  基本理念もそして基本政策も変わらないの。何が違うの。手法が違うの。体質が違うの。その点言ってください。違わないものが何で我が党からあなた方は出たのですか。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 あのとき私が白票を投じなければならなかった状況、よく御存じのとおりであります。私たちはやはり党として、正式に自由民主党として公約をしたことでありました。だとすれば、例えば会期を延長してでもこのことを協議してほしい。残念ですけれども、そういった行動をとっていただくことはできなかった。私たちはそういう中で、本当につらい苦しい思いをしながら出たのだということ、これはぜひとも理解いただきたいのです。  ですから私は、政策とかなんかの基本的なものについては、この前も申し上げたときも、確かに少数の与党であるけれども、基本的な政策については違わない。ですから、私たちは誠心誠意いろいろとお話し合いしていきますから、ぜひ御協力をいただきたいということを申し上げながら今日までやってきております。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 きょうはそれが本題ではありませんからそれ以上は追及しませんが、ただ一言だけ言うと、あなたは当時、内閣の中枢にあった方です。で、やめたのか。——ああ、逃げたわけだな、先に。それで、あのときのいきさつというのはよく御存じだと思うのです。  必ずしも我が党が決めたことに対して——党の執行部でもいろいろなことを考えて工作していた。ただ、そのことは、やはり各党間の信義がありますからこの場で言うわけにはいかないということで、その質問はそれだけにしておきますが、その認識、私は非常に重大だと思うのは、今のように、理念も政策もおんなじだというならば、このやり方に関しても同じやり方じゃ済みませんよ。  だから、もうここまで来ているのだから、来年五十年だから、この場でもつくどうするのです、処遇に対して。確かに、申しわけないから、気の毒だから、それに対して今から全部ほかの戦争犠牲者と同じようにお金をもってするのか、あるいは書状をもってするのか、どういうふうに考えているのですか。今の場合でも盛んに言われましたね、調査とかなんとか。それは今まで私が全部関与しているのですからわかっているんだ。最終的に、その結果でもってどういうことをしてこの問題に決着をつけようかというときなんですから。  そのときにあなたは五十年だというかつこいいこと言われたのだから、責任とってくれよと。しかも、今も言ったように、自民党の理念、政策というものはそのままずっと同じなんだというのですから。自民党の政策だとか手法が違っているからやめたというならば、それはいいですよ、違うのですから。その辺をはっきりしてもらいたいということです。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 私は、戦後五十年を語るのに、ただもう一度改めて処遇をどうこうしようということじゃないので、やはり戦後五十年というときに、どんな犠牲があったのかということを振り返らなきゃいけない、そして再びこんなことを繰り返しちゃいけないということをまず述べたわけです。  それから、今もお話があったのですけれども、お金か何かで何とかしろという話でございますけれども、私ども、いろんな幾つもの問題を抱えながら、これは皆さんと本当に一つずつみんな解決してきたはずですね。しかも、これは十分なことはできなかったと思う。精いっぱいのことをやりながらこたえてきたんだと思うのです。  ですから私は、今もう一度、戦争後五十年たったからそこで考えて処遇をしなさいということは、これは私は、今すぐここで直ちに約束しなさいと言われてもできませんし、また、では持ち帰って何とかいい御返事申し上げますなんて調子のいいことを言うことも、この問題についてはそうできないことは、これはぜひ御理解をいただきたいと思うのです。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 理解できません。それは、この所信表明でもっていろいろ言われていますね、さっき読んだように。何をしようと考えたのですか。ただ、美辞麗句というか、国会でもってこの演説さえすればすべて氷解すると思っていたのですか。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 美辞麗句というのは、大変これは違ったあれですよ。やはり、戦後五十年たったときに、もう一度第二次大戦というのを思い返してみる。そして、私たちが反省しなきゃならぬことは反省する、また、おわびすることはおわびする。そしてまた、そういった気持ちをこの五十年のときに我々がまた持つことによって我々の子供たちに伝えていくということが再び戦争を起こさないことに私はつながっていくと思うし、また、私たちはいろんな迷惑をかけたことに対して、いろんな国の人たちに対してこたえていくという意味で働いていくということも、私はこういったときにもう一度思いを新たにすることが大事じゃないかなというふうに思うので、その点についてぜひ御理解をいただきたいということであります。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 だから私はきょうは何の日かとお聞きしたのですよ。それも知らないでもって、こんな言葉だけではだまされないということなんですよ。わかりますか。そうでしょう。それだけの認識がなくて、国内で幾ら我々の同胞が苦労したのか、ひどい目に遭ったのかということも認識しないで……(羽田内閣総理大臣「よく知っていますよ」と呼ぶ)知っているはずないでしょう。知っていればきょうの日を忘れるはずないじゃないですか。  そこでお聞きするのは、今いろいろな方策を考えていると言うのですが、そのやり方として、今さらお金とかなんかはできません、こういうことなんですね。そうすると、では何が残っているのですか。どうやって後世にこの人たちの苦労を、平和のとうとさを、その犠牲というものを残すのですか。例えば、教科書にでも載っける気ですか。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 先ほどもうこれはお答え申し上げましたけれども、全国の戦災史実の調査を実施する、あるいは戦災に関するビデオを作製することとか、あるいは戦災に関する展示会の開催、また、一般戦死没者の慰霊事業の検討、こういったことをやることによって私どもはこれを伝えていくことができるであろうというふうに考えております。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 さっき言ったように、私はこの問題、二十年取り組んで、そして、与党であるがために言えなかったこともある。しかし、これを私は、やはり政治家として、参議院当選以来これだけは自分の在職中に何とかしようと思ってきたのですよ。  それに対して、今、我々は協力したと。それは、確かに羽田さんは私よりか当選回数も多いし、先輩です。大蔵大臣もされた。幾ら予算をふやしてくれたのですか。何にもしていないじゃないですか。だから、それをまとめて今度は、五十年目に何でもいいからやってやる、こういう方針だと出してくれる段階だ。  一つの例を言うと、政府の中でもって平和祈念事業特別基金というのをつくりましたね。これが通過するとき、私は内閣委員会で質問したのですよ、この中に入るかと。この「等」という中に読めますと、こういうこともあるのです。しかし結局その話はほごになったし、この特別基金というのもどうなったかわからない状態なんですよ。  だから、総理、わからなければわかる人に答弁させてください。そして、最後にあなたの方が、わかったから、こういうふうにやるから、君、安心しろとおっしゃったら、私はこの質問をやめます。その結論が出るまではこの質問を続けさせてもらいます。

石倉寛治総理府大臣官房審議官

○石倉政府委員 お答えさせていただきます。  平和祈念事業特別基金というものがあるのはもう先生御承知のとおりでございまして、これの設立の趣旨も御存じだと思うのですけれども、昭和五十九年の戦後処理問題の懇談会の報告を受けてつくったものでございまして、いわゆるシベリアからお帰りになった強制抑留者の方、それから恩給欠格者の方々、それから在外資産問題を中心とする一般引揚者の皆さん方、この三グループの皆さん方に対して、まず特別な事業として個別の慰藉事業をやろうということで始まったわけでございます。  したがいまして、先生おっしゃるように、一般戦災問題も含めて「等」で読めるということについての御質問がございましたけれども、現在のところ、御存じのように、一般原理原則として、この特別基金は、果実、基金を積み立ててございますので、この果実を中心にして事業をやる、こういうことにいたしておりましたために、一遍に全部をやってしまうということができません関係上、財源上、今問題といたします対象事業を、将来の課題としては考えることができるわけでございますけれども、直ちにこの基金で対処をするということは極めて難しいかと、こう考えております。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 要するに今の結論は、平和祈念事業特別基金でやろうとしたら何年先かわからぬ、少なくとも五十年には間に合わないということだと思うのですね。そうでしょう。それならそれでいいよ。  それならば、次に打つ手は何なんですか。

石倉寛治総理府大臣官房審議官

○石倉政府委員 四百億まで基金を積み立てる予定を考えてございますので、これの完成を待ちませんとまだ全体の事業量の確定ができません。  それからもう一つは、先ほど申しましたように、先行いたしております三つの事業、これの完成をまず先行してやりませんと十分な対応ができないということでございますのでこの基金の果実で仕事をするということに関しましては一つの限界があるということを申し上げているわけでございます。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 だから、これを待っているのでは百年河清を待つのでしようと、こう言っているのですよ。それなら次に打つ手というか、総理は五十年にはそういうことの祈念事業的なものをやるというような意味合いだと思うのですが、何か案があるのですかとお聞きしているわけですよ。

石倉寛治総理府大臣官房審議官

○石倉政府委員 御承知のように、私ども予算の中で仕事をしてまいります。したがいまして、来年度、つまり平成七年度の予算要求というものは九月までに取りそろえまして要求する、こういう形で事務的に積み上げていくわけでございます。  したがいまして、今の段階で成案はでき上がっているかとお聞きになりますと、今の段階ではまだ十分ではないという段階でございます。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 時間ばかり食ってもしようがないから結論を申し上げると、やはり今何ができるかといったら慰霊事業しかできないのですよ。今さら金だ書状だといっても、当時何人亡くなったかわからないのですよ。約五十万と言われている。それは、私がということは口幅ったいけれども、八月十五日の全国戦没者追悼式、あれでも、最初のときは二百五十万と、こう言われたのです。最近は、行かれた方はわかるでしょうが、内外で三百余万と言われている。これは大体五十万なのです。当時の記録はわからないのです。  それを、はっきり言って今まで我々の先輩が怠ってきていることは事実なんです。それは私自身、先ほど羽田さんにお聞きしたら、自民党とは何か別れてきたというような、私はやはり自民党も反省すべきところがあるなと。特に、この問題はやはりなかなかアメリカへの遠慮もあったのです。今までの国会でもって、爆弾を落とした、焼き殺したのがアメリカだと言われた総理はいなかった。聞いた人もいなかったと思うのです。私はだから、その点でもって、大変羽田内閣というのは今までの自民党と違うなという評価を国民も持っているんじゃないだろうか。  ところが、今の話を聞いたら全然変わらない。かえって後退したわけですね。私の方は、宮澤内閣からずうっとやっているときにもつと進んだ案を話しているのですから。それは今言ったように、慰霊にしましょうと。そうなると今度は慰霊を、この平和祈念事業特別基金の中に慰霊項目でと思ったのですが、なかなかはかどらない。実際的には、これに対してシベリアの抑留者から始まり、そして恩給欠格者、その人たちが書状をくれ、そういうことからずっと費やしているのですね。  だから先はどのように、これを待っていたのじゃ少なくとも五十年には間に合いっこない。今羽田さん自身が政権をとられて、そして今までの自民党の積み残しを全部やるんだと言われていますね。結構なことだと思うのです。ぜひやってもらいたい。——やらないの。おかしいじゃないの。そういうことで、来年の概算要求にこれをどういうふうにしてのっけてもらうか、このことも具体的に聞きたいのです。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 これは、具体的に今ここで述べよと言われましても、まだ我々が来年度の予算について云々するところではございませんけれども、しかし、まさに五十年を迎えるわけですから、この慰霊の事業、慰霊というものについては、私たちはできるだけやはり手厚くやるということは大変大切なことであろうというふうに私はその点は同感いたします。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 今の話のように大切じゃだめで、この予算が終わったら概算要求ですね。ところがもう各省準備していますよ。そうでしょう。だから、ここの場でもって総理が、わかった、これに関して来年五十年、それでその五十年にすぐつくれとは、やはり時間的な問題があるでしょう、予算があるでしょう。だけれども、少なくとも来年の概算要求にはこの項目をのっけます、責任持って言いますと言ってもらいたいし、今までのあなたの政治行動からいってそういうことではないだろうか、こう思うのですね。そのことをはっきり言ってもらいたいのです。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 いずれにしましても、私どもといたしましても、五十年のこのときを卜して慰霊のための何らかの措置というものは必ず考えたいと思います。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 さっき冒頭に、私の性格しつこいこと御存じでしようと申し上げたのぐはっきり申し上げたいのは、考えるというのは具体的にのっけてくれるのですか、くれないのですか、イエス・オア・ノーを言ってください。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 いずれにしましても、慰霊のための対応というものをしなければならないわけでありますから、この問題についての私どもがやり得る限りのことをやることをここで申し上げることはできると思います。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 今までの自民党の大臣、総理の答弁と何ら変わらないじゃないですか。私が要求しているように、また国民があなたに期待しているのは、もっとはっきり物事を言うだろう、あなたの得意な、率直に言ってもらいたい、率直に。やりますと言えばそれでいいのですよ。どうして言えないのですか。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 内容を具体的に申すことはできないものですから私はこう申し上げているのでありまして、この慰霊の事業というものは私は必ず予算の中には計上いたします。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 それでは、それ以上出ないけれども、私は今度の概算要求にのっかるということを信じて、この問題は一応おきます。  そこで、次に、同じようにやはり戦後問題として、先ほど読み上げました中に植民地支配という言葉がありますね。外務大臣、植民地支配という植民地の範囲、これは常識の線でいいのですよ、そんな、やれ国際法だどうだじゃないのです、どの地域を指されて言っているのかなと思いますので、そのことをお聞きしたい。——外務大臣だれだい。少しこの内閣ひどいんじゃないだろうか。国会軽視じゃないだろうか。私は難しいことを聞いているんじゃないのです、さっき言ったように。植民地はどこか、どういうことを言っているのかと。具体的に今の韓国ですとかいわゆる北朝鮮、それもわからないのですか。それが外務大臣ですか。

柿澤弘治改新外務大臣

○柿澤国務大臣 お答え申し上げます。  佐藤先生がおっしゃったように、国際法上は非常に厳密な定義がございませんのでちょっとちゅうちょしたのですが、条約局長にと思ったのですが、一般には朝鮮、台湾、現在の北朝鮮、韓国、台湾のような地域を指しているものと理解をいたしております。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 後からたくさん質問があるので時間をとり過ぎて困るのですが、台湾と今言われ たが、そのとおりです。  その台湾というのは確かに日本が植民地支配したということだと思うのですが、外務大臣、あなた非常に台湾に親しい人がいる、友だちが多いということを、この間の野中さんの質問ですか、言われましたので、外務大臣という立場を離れて、この地域の認識をちょっとお聞きしたいのですが、どういうふうに台湾を思われておりますか。  もっと言えば、その台湾なんかに行かれたときの動機なんかもあるだろうと思うのですよね。特にあなたの場合には、昭和五十八年には、環境庁政務次官という公的職務にありながら台湾地方を視察されたか行かれましたね。そして、帰られてから、当時の官房長官から厳重注意を受けたというようなことも聞いているのですが、それほど親しいあなたなんですから、ほかの人と違うやはり認識をお持ちだろうと思うのです。

柿澤弘治改新外務大臣

○柿澤国務大臣 私は三回ほど行っております。そして台湾が、日本との関係があるといいますか、日本政府が支配していた時代に教育を受けた方々がたくさんいらっしゃって、親日的な感情を持っているということを痛感をいたしました。またそれから、台湾の人たちの勤勉さ、必ず将来経済的に成長するなということも期待をしたわけでございます。それ以来おつき合いをしている方がおるということを先般申し上げましたが、この十年、ちょっといろいろな事情がありまして行っておりません。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 別にあなたの台湾との関係を掘り下げようというのがこの趣旨じゃありませんが、私が言いたいのは、台湾というところはそういうことでちょっと違うのでしょう。今からその台湾の問題をお聞きするから、まず認識をお聞きしたのです、外務大臣に。  そういうことで、ちょっと話はそれますが、この間、南京虐殺ということでもって永野法務大臣がやめましたね。そしてそのときに、そういうふうな日本の旧植民地で迷惑をかけたところ、当事者国と申しますかそういうところに、総理から何か電話をかけられたところもあるし、あるいは何かみんなそうした釈明をされたと思うのですが、そのときにこの台湾地方は入っていますか、入っていませんか。

後藤茂日本社会党・護憲民主連合

○後藤委員長代理 川島アジア局長。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 私は大臣に聞いているのです。至って簡単なことでしょう。長々答弁は要らないのですよ。出したなら出した、出してないとおっしゃればいいのです。それだけですよ。知らないなら知らないとおっしゃって結構です。

柿澤弘治改新外務大臣

○柿澤国務大臣 台湾も御迷惑をかけたところに入っております。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 だから、何か連絡したのですか。

柿澤弘治改新外務大臣

○柿澤国務大臣 はい。事務所を通じて出していると思います。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 そうでしょうね。大変台湾の新聞の評価は高いのですよ。今までこういうことでは、今までの自民党内閣のときはいかんせんおくらせて連絡した。今回は同じ時期に言われたのです。やはり台湾に友人があって事務所もつくられた、秘書の方もいたと言われている柿澤さんというのは大したものだという評価を台湾はしているのですよ。  そこでお聞きしたいのは、本論ですが、その今の植民地支配の中の、多くの耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたことを新たに認識して何かしましょう、こういうことを羽田さんは言われたのだが、そういうことで台湾からもいろいろな、私は実は自民党の日華関係議員懇談会という組織の会長代理をしていますから、来ているのです、陳情が。その中に、マルク債、これを何とかしてくれというのがあるのです。  これは事前に通告しませんでした。古い話なんですよ。何しろ第一次世界大戦、日本はそれに参加してドイツを破ったのですね。破ったから日本は、その賠償の一部かもしれませんが、ドイツのマルク債が日本に大量に流れてきた。それを台湾の人たちに売りつけたかおどしたか知りませんが、与えた。  この問題は前から起きている問題なんです。しかし、先ほど申したように植民地支配ということになると、これなんかその全く代表的なものじゃないだろうか。こういうものに対してはどういうふうに外務大臣はお考えですか。     〔後藤委員長代理退席、委員長着席〕

柿澤弘治改新外務大臣

○柿澤国務大臣 私も前にそうした話を伺ったことがございます。そして何とかならないかなということで相談をしたこともありますが、ただ当時、マルク債は当時のドイツ政府が発行したものであり、購入をした人が現在日本の国籍の方でないということで、その点は日本政府としてなかなか責任を負いかねるということでございまして、それに対して日本政府として補償する立場にないというように返事をしたことを覚えております。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 やはり我が同志というか、台湾通、よく御存じですな。感服いたしました。  確かに言われるように、そうしたことは台湾に行った日本の国会議員にひとしく陳情しているから。ただ、一回だけ行ったとか旅行で行った人には言っていないようですね。やはり、そちらの方に根を張っているなと思う人に言われたのでしょう。  それは結構なんですが、確かに今の話で若干問題になるのは、日本がマルク債をドイツからもらったという事実、それをやはり大蔵省に聞いてもなかなかわからないのです。だけれども、問題なのは、非常に古いのですが官報というのがあるのですね、印刷局で出した。大正九年八月三日。その中に「賠償金特別會計法」というのがあって、第六条に「濁逸國等トノ平和條約賠償條項ニ基キ受領スル有償誰券其ノ他ノ物件ハ本會計ノ所属トス」。入っているのですよ、日本には。官報なんですから。  だから今までは、はっきり言って古いことだということでもってそんなものは払えるかと言ったのだが、細川さん以来、植民地支配の反省と。だから向こうは大いに期待しているのですよ、その細川さんの後を継がれた羽田さん、やってくれるだろうと。  このことはきょうの主題じゃありませんから、そういうことですから、何とかこれに対して前向きの回答をしてもらいたいということだけでおしまいです。  そこで本論は、いろいろお願いしたように、今向こうとの間に確定債務という問題があるのです。それはどういうのかといったら、戦争中に日本は、当時の植民地の台湾の人を軍属やあるいは兵隊にしました。ただこれは、韓国と若干違うのは、志願兵という格好にしたのです。これは台湾の現地の人というか、昔で言う高砂族の方なんです。ですから、非常に勇猛果敢だというので、インドネシアとかああいうところに、密林の戦いに使ったのです。その人たちは日本人と同じような待遇でもって給料をもらったのです。ところが、終戦のどさくさというかその間際になって、給料は払ってないままに、そして復員したら、あなた方は日本人じゃありません、違う国の方です、戦勝国ですということで帰された。  あるいは、当時のやり方で貯金をしていたわけですね、郵便貯金を。これをそのまま返してないということで、そういう問題、これは一体どうして、御存じのように、日本は戦後中華民国と日華平和条約というのを結んで、その中にちゃんとそれを処理する項目があったのです、第何条かは忘れましたが。しかし、そのこと自体は日中平和条約樹立と同時に条約が失効した、それで今日になっているわけなんです。そういう問題を、向こうから確定債務と、こういうことでなっているのです。  それに対して、やはりもうずうっと支払わなければいけないということでもって、関係省、結論から申しますと、郵便貯金の場合には郵政省、片一方の給与の場合には厚生省、それぞれ苦労されているのです。大体数も決まっているのです。それで、返そうということになっているのです。ところが、そこでややこしい問題は、そのままのお金じゃ嫌だ、物価が違うじゃないか、こう言っているのです。  これに対して総理、お聞きしたいのは、そういう背景なので、今のように郵政省の方もわかりましたと。六万一千件あるわけですね、ちゃんと記入しているのは。そしてその金利を乗っける分なら、これは払いますと。大体一人平均一万円ぐらいになるんですよ。ところが、それじゃちょっとひどいじゃないかと。あのときにもらっていればそれは使い道があったが、今もらっても困ると。それで国交がない、こういうことでもって、その問題はちょっと棚上げになっているのです。こういう問題もやはり戦後五十年を迎える来年までに解決しなければいけないと思うのですが、総理、どうお考えですか。官房長官どうぞ。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 総理の方針のお話の前に状況だけ御報告いたしますけれども、日台間の請求権問題についての事情については、もう先生が御指摘のとおりでございます。  そこで、政府は、我が国の国内法上、これらの確定債務の支払い義務を有しており、何らかの形で債務の履行をしなければならない立場にあるということでございます。本件に関しては、日台間に外交関係がないことからくる種々の技術的問題、いかなる形での債務履行が実際的かなどの問題がございまして現在、関係省庁連絡会議の場でいかなる対応が可能かつ適切であるかについて、先生御指摘のようにできるだけ早期に基本的な考え方を取りまとめるべく、鋭意検討を重ねているところでございます。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 その答弁書は、やはり役人が書いたことを読まれたので私は政治家羽田総理に聞くのです。今、国民の期待というか、みんな、今までのような自民党と違って何かやっていくだろうというのが、そんながたがたの内閣でも支持率が高いのですよ。でしょう。今の、全然変わっていないじゃないか、自民党と。(「もっと悪いんだよ」と呼ぶ者あり)その悪い点は後から質問しますけれども。  その前に、時間がないからお願いしたいのは、これはいつまでに片をつける気ですか。それこそ今度の概算要求でこの項目を出すのか出さないのか。それだけ言ってください。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 今官房長官からもお答え申し上げましたように、今話し合っておりますけれども、問題点はやはりあります。ただ、私たちとしては、今佐藤委員の方からも御指摘がありましたように、これをただ延び延びにさせていける、そんなものじゃありませんから、ただ、今すぐいつだということを言われても私も困りますけれども、これは技術的な問題を克服して、一日も早く対応するようにしたいと思います。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 今いろいろと話し合っていると言われましたね。どことどこが、だれとだれが話しているの。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 内閣官房の外政室と、先生御指摘になりましたように例えば郵政省あるいは厚生省、それぞれの所掌の役所の間で情報交換もし、話し合いもいたしているところでございます。  できるだけ早く詰めて、御指摘のような政治的な判断を下さなければならない、私もこのポストにつきましてそういう感じを強く持っているところであります。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 何にも知らない総理と官房長官。多分ほかの大臣も全部——知ってる。それなら聞くのですが、それは失礼だから聞かなかったのですよ。  もう各省とも決まっているのですよ。あとは政治判断だけなんですよ、この問題は。政治判断なんですよ。だから、総理がわかったと、この問題は責任を持って概算要求にのせると。というのは、こちらで持っていったって相手のあることなんですよ。だから政治判断というのですよ。そして相手には、やはり各党超党派でできているそうした議員懇談会みたいなものもやっている。そうでしょう。私も先ほど申したように、日華関係議員懇談会としてもこの問題は真剣に取り組んでいる。そのときに、参考までに申しますと、やはり時間がたてばたつほど、向こうとしてももう理屈ではなくたくさんもらいたい、年もとってきているんだ、こういうことなんですね。  この間中華航空、悲惨な事故がありました。今新聞だと、その賠償というか慰謝料の問題、中華航空が提示したようですが、あの金額に対して羽田総理は高いと思われますか、安いと思われますか、率直にお願いします。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 この問題についてこそ、私から申し上げることは今差し控えたいと思います。今お話をしている最中ですから、一国の総理がこれは安いとか感じで物を言うということはお許しください。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 あなたは普通の人としょっちゅう言うからお聞きしたのですよ。それはいいとして、実は私自身、それは高い安いじゃなくて、やはりこれが一つの相場になっていますよということを認識してもらいたい。  そして、これはぜひとも概算要求にのっけてもらいたい。官房長官、あなたが責任者ならば、またその上の総理ならば言わかったと、よく今までやるでしょう。項目だけのっける。あとは、金額についてはそれは秋でも何でもいいのですよ。はっきり言ってもらいたい。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 この問題について、今話がありましたように、各関係省庁の連絡をしていること、それから、佐藤委員もあるいはたしか参議院の井上計さんでしたか、こういった方々も大変御苦労いただいておるということ、これもお聞きいたしておりますので、私も具体的にどう対応するのか、報告を聞きながら私自身もやはり決断していかなければいけないというふうに思っております。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 そんな決断だとか悠長なことは言っておれないのですよ。もうどこでも、郵政省でもそして厚生省でも払うと。ただ、今の総理では、内閣では、出したって決まらないだろうからとなっているのが実態なんですよ。だからよく調査して、少なくとも今のように簡単なことですから、よく聞いた上で概算要求には必ずのっけます、ただし羽田内閣が続く限りと、こうおっしゃってください。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 ですから、先ほど申し上げましたように、ちゃんと報告をいただいて決断するべきものは決断していくということを申し上げたのです。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 不十分だが、いろんな話があるので先に進みますが、私の方は概算要求で出すものと了解してますから、その点を承知願いたい。  実は、きょう水曜ですな、月曜日からこの予算委員会が始まって、非常に私も関心があるし、自分の質問と前者の我が党の質問がダブるかどうかというので全部一応聞いているのですが、特徴として、非常に、やれ新聞に出ていた、週刊誌だというのが多いのです。で、こういうものに対する総理の認識というものをお聞きしたいのですが、ということは、どうもやはり、新聞にあることには抗議をするのか、週刊誌はしないのか、週刊誌ならというような気がするので、どういうふうにお考えなのかと、一般論で構いませんよ。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 言論というものは自由ですから、これはいろんな形で発表されることは私は差し支えないと思うのです。しかし、事実とあるいは意見と何か混同されているようなことがあるんじゃなかろうかというふうに私は率直に思うところがあります。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 非常にこの質問自体も難しいし、私もどういうふうにお聞きしていいかわからない。  私、確かにこう思うのですね。民主主義社会というのは大事ですね、民主主義というのは。そういう社会においては、国民の知る権利というのがありますよね。情報公開という制度もある。成熟した民主主義社会はそうですね。  そして、片一方では言論の自由とか放送の自由という問題がある。そういうことで、今マスコミというのははんらんしていますね。それでそのことを、今国民の知る権利、情報公開からいって、あらゆるそうしたマスメディアを通じて国民は知識を吸収しているのですね。その一番いい例が、何にもしない細川さんでも、襟巻きしたというだけで映ったらぼうっと人気が上がるのですから。  そういうことを考えた場合に、やはり非常にこれ自体怖いなと。だけれども、中には自分の名誉を傷つける、うそを今おっしゃるように報ずる場合がありますね。そうすると、政治家の場合、それに一体どういうふうに対抗すればいいのだろうか。やはり、著しく傷つけられたというか、うそだったら告訴という手段がありますね。  それを、この間からの質問を見ていると、何か都合の悪いところは告訴をされないような気がする、処理されないような気がするのです。しないということになると、私はそうした同じ政治家で、あなたと同じような生い立ちをしていますから知っていますが、一般の人は、あれはやはり抗議も何もしないから本当だなと思うんじゃないでしょうかね、どうなんでしょうかね。

羽田孜改新内閣総理大臣

○羽田内閣総理大臣 私が申し上げているのは、これは全部、それこそこの間の雑誌どころか、全国の新聞ですとかに報道されておりますから、みんな国民はごらんになっていると思います。  困ったことに、ああいうものについて、これはいろんな人の話を聞いておりますと、告訴なら告訴をしますと、またその告訴されましたということで、またそれで何かおもしろい記事なんかを書く、そういうものがあるということでありまして、私は言論の自由というものを守っていくためには、自由な言論を扱う人たちもやっぱりみずからが自重していくということが大事じゃないのかなというふうに思います。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 時間があと三十分しかありませんから急ぎますが、そうなると、一番私なんか怖いのは、先ほど民主主義社会と申したが、歴史を見ても、情報操作というのが今度行われることがあるのですね。これが一番怖いんですね。これは全体主義社会、その典型的例がヒトラー、ファッショと言われたヒトラー、その人は、ゲーリング情報相を使ってうまくやったのですね。  ところが、今の羽田さんはそういう考え方だが、あなたの親友の方というか後ろ盾というか同志というか、小沢さんなんか、やはり率直に、気に入らない記事を書かれたら、その新聞記者を外すとかあるいはわめいていますね。ああいうのをどう思われますか。何にも感想がなければないでいいです。  そこで、私実は、羽田さん御存じのように、自由民主党の中で女性問題連絡協議会の会長を引き受けさせてもらっているのです。平たく言えば女性の権利ということで、あそこで今赤松文部大臣が自分に指名があるかと思って言われていますが、ちょっと赤松さん待ってくださいよ。  今、官房長官にと言われたのだが、非常に私自身、そういう女性に会った場合でも、羽田さんのうちでも家庭争議のもとになりそうだと思うんですが、女性べつ視、国会べつ視、国会議員の品位を汚した。だれと寝ようが自分の勝手だと言われた。これは、そのときの対象の社会党に対しても大変侮辱だろうと思うのですがね。その発言、一体それを書かれてどうされましたか。  聞くところによると、この問題に関して、先日の深谷質問でもって、女性担当大臣と言われている熊谷官房長官から、真偽のほどがわからないからよく調べてくると、こう言われましたね、報告すると。三日間という期限だったと思うのですが、期限はなかった、なかったそうですが、その聞かれた結果、どうなりましたか。簡単に、本当に発言した、発言しないだけで結構ですから。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 お答えします。  イエス、ノーというわけにはいかないのですけれども、深谷先生からの御質問に答えるべく私も先方と、政府という意味じゃなくて、おまえ新生党のメンバーじゃないかというお話もあったものですから、率直に聞きに行ってまいりました。  これ、よろしいですか、余り片言隻句切るとまた問題が起こりますので、丁寧に読ませて……(佐藤(信)委員「いや、時間がないからね」と呼ぶ)いや、イエス、ノーというわけには……。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 イエス、ノーというのは、発言したかしないかということだけ言ってよ。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 いや、発言……。ちょっと待ってください。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 されたのでしょう。してないの。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 いえ、そのような発言はしておりませんということであります。(「じゃ、朝日はうそだな」と呼ぶ者あり)朝日はそのときに現場にいなかったと。  やっぱりばらばらに言いますとあれですから、ちょっといいですか。じゃ、簡単に言います。  小沢先生が改新の結成に関連して、どの女と寝ようといいじゃないかと発言したと朝日新聞が報道したことについて、小沢先生に事実関係を確認いたしたところ、次のようなものでありました。   朝日新聞の報道は事実ではない。私と産経新聞、共同通信、時事通信の記者との私的な会話を又聞きで歪曲して伝えたもので、憤慨にたえない。そのような発言はしていない。顔見知りの記者三人との私的な会話である上、一カ月も前のことなので、はっきりと覚えてはいないが、国会内のエレベーターに三人の記者と乗った際、改新の結成と社会党の連立離脱の動きについて解説を求められ、若い記者も理解できるように、例えばこういうことだ、どういう女性と結婚しようと、デートしたりしても、その人の自由ではないかとわかりやすく解説したと思う。   朝日新聞自身認めているように、その場に朝日新聞の記者はいなかった。当然、朝日新聞の記者は、私たち四人の会話を聞いていない。四人の私的な会話の内容がどこでねじ曲げられたかわからないが、朝日新聞の記者は三人の記者のだれかから内容を聞いたようだ。しかし又聞きだから、朝日新聞は当然私にその内容を確認すべきだったにもかかわらず、私に確認しないまま、歪曲したまま報道した。しかも、その是非は別にして、本来…… まあこういうことですね。  こうした取材報道姿勢は又聞きやうわさをもとにして真偽の確認や裏づけ取材をしないまま、ある意図を持って書き散らす、いわゆるアカ新聞やブラックジャーナリズムとどこが違うのか。さきの講演で朝日新聞を批判したのはその意味においてであり、朝日新聞の記事一般について言ったものではない。 このように言っておりました。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 どうもよく納得できないので、それで官房長官、それ、いつ確認されました。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 実は昨日来、まあ言われて以来たびたび連絡をとりましたのですが、本人になかなか直接連絡とれませんで、秘書の方ときちっとやりました。そして、その上で私が本人にこのことはこれで間違いないですねということで確認したものでございます。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 それじゃ、その女性問題の話は次の機会にしますから、赤松文部大臣、ちょっときょうはあれですがね。  時間の都合から、きょう通告してある問題ですが、もうこの通産省の問題に関しては私が三人目になると思うのです。それは、先ほど申したように昨年からのずっと仕掛かりですからね、そういうことになるのですが。私は率直に言って、この問題というのは、単に怪文書がどうしたかというよりか、何かやはり大きなねらいがあっただろうと思うのです。  それは、今官房長官が小沢さんに確認した文書の中において、官房長官は小沢一郎先生と敬称をつけたね。普通はつけるものじゃないです。それはそうでしょう。側近中の側近なんですから。懐刀なんですから。私がさっき申し上げたかったのは、もう朝に夕に連絡されているはずですからね、どうして時間がかかるのかと、こういう意味だったのです。  そこで官房長官、この小沢一郎さんが書かれた「日本改造計画」「小沢一郎は、この日本再生ビ ジョンにすべてを賭けた。」という本は当然お読みになっていますね。読んでないですか。一熊谷国務大臣「全部は読んでおりません」と呼ぶ一全部読まれない。これは新生党のバイブルですよ。どうして読まないのですか。(熊谷国務大臣「読んではいます、読んではいますけれども……」と呼ぶ)それはまあ読まなくても、御自分が参画しているところは、それは知っているでしょう。かつて田中角栄さんが、「日本列島改造論」がベストセラーになったら、そんないい本があるなら買ってこいと言った、自分が書いたのでなかったことがわかった、それの反対ですよね。  それはそれとして、この中で、確かに思い切ったことを書かれているのですよ。  それは、この五十九ページに、いろんなことがございますが、「いま、政治の改革を」という第一部の中で、「百六十人の議員が政府に」という見出しがあって、ちょっと読ませていただきますと、「省庁ごとに二〜三人の政務次官と四〜六人の政務審議官ポストをつくり、与党議員を割り振るのがよい。その結果、閣僚を含めて与党議員のうち百五十〜百六十人程度が政府に入る。」それはそうでしょうね。「政府ポストを与えられた与党議員は、各省庁の局ごとの分担なり、テーマごとの分担なりを決めて政策を勉強し、政策立案に参画する。」こうあるわけです。おもしろい案だと思ったのです。  それで、その問題をなぜ私が言うかというと、先ほどから質問された中尾さん、ちょっとあの方とは意味が違うのですが、やはり細川内閣でも羽田さんでも、非自民ということでなさっている。ところが、その本体の自分たちの政党なりあるいは考え方というのは、自民党と理念も、そして政策も、先ほど言いましたが、手法も体質も違わないようなことを言われた。私は、私自身は自由民主党の党員でありながら、やはり反省すべきことはあると思うのです。そして、その中でもって、二口目には官僚政治の打破と言い、あるいは政官業の癒着という問題、これは国民から見ると、そうだと喝采を浴びますね。  ところが、今の文を見てわかるように、そうは言っているけれども、本当はやはりこの小沢一郎さんの考え方の中には、官僚支配の打破ではあっても、まず機構を支配しよう、官僚機構を押さえていこう、そして、それによって財界、業界に手を伸ばしていこう。今まで自民党で悪いと言われた先輩がおりますが、その人たちの手法そのままじゃないだろうか、こう思うのですね。  そういうことから考えた場合に、この内藤局長というものが邪魔になった存在じゃないだろうか。だから、そういうことで、今言うように官僚機構を押さえるためには、自分の反対というか、意に沿わない者は首を切るんだ、その見せしめというか、その犠牲になったのが私は内藤局長だろうと位置づけているのです。当時の通産大臣の熊谷さん、どうですか。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 まず初めに、その御本のことでございますが、私はこの本の作成には一切参画をいたしておりませんので……(佐藤(信)委員「そんなことは聞いていないから、早く今のを答えてください」と呼ぶ)もう一方的にレッテルを張られると困るものですから、弁明をさせていただいたわけでありますが、今の、見せしめとかそのようなことではございませんで、るる御説明しておるところでありますが、いろいろな経緯があって、省内のやはり人心一新を図っていきたい、そういう気持ちで判断、事務当局と相談をして決めたものでございます。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 さきの人と質問がダブるのは嫌ですが、あなたも官僚出身だからよく官僚機構というのを御存じだと思うし、私も会社員でしたから、大体組織というのはわかっているつもりなんですが、権限というのは上から下にどんどんどんどん委譲されるのですね。総理、そうでしょう。違いますか。ところが、その逆に、責任というものは下から上にいく、こういう解釈でいいのですか。  そうすると、今度の一連の問題、この問題の最高責任者というのはだれになりますか、官房長官。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 もちろん、大臣でございます。通産大臣でございます。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 そこで、話を端折るのだが、きのうの野中質問、事務次官が来られて、そして当時の大臣である熊谷官房長官、二人でお話しになっていますが、これを見ると、非常に含蓄のあることを言われているのですよ、熊谷さんではなく熊野さんが。きょうは証人喚問じやありませんから、あなたがうそついたとか申しませんがね。  非常に気になるのは、こういうことなんですよ。熊野次官が「いずれにいたしましても、本件につきましては、私が熊谷当時の通商産業大臣と十分な相談を行った上で決定をしたものでありまして、」ということで、別にルール違反じゃない、こう言われている。「また、そういう中で私から正式に内藤前局長に辞職の勧奨を行って、」と、「正式に」とわざわざ言っているわけだ。だから、その前にやはり大臣の方から内示というか、詰め腹を切らしたなということをこれで言っているわけですね。そうですね。  そしてまた、おもしろいことを言っているのですが、それはきのうから答弁されていますが、私はやはりひとつ今までのこの霞が関のルール違反だと思うのですよ。人事を決めるのだけれども、一応やはり官房長なり事務次官なりが呼んで話をして、そしてやる、それが今までのルールと思うのですよ。そのことをまず指摘したい。  そして、人事は省内の人心一新を図るためというが、聞こえはいいけれども、不定期異動で、そして、あのときに後の人をすぐ決めたとかなんかじゃないのですね、二カ月空白があったのですよね。産政局長なんというのは、空白にしていいポストなんだろうか、こう考えるときに、どうしても力強い政治力があったというのは当然じゃないだろうかと私は思うのです。違いますか。  そして、最後にいろんなことを野中委員が質問して、そして通産省の中の不正に近いことを言った。そして、そのことについては熊谷国務大臣は、全体に私のほとんど知らない話ですが、一つだけソ連云々があるのですが、後で熊野説明員が、どういうことかわかりませんが補足説明されたのでしょう。通産省大事については、「先ほども申し上げましたように、常に公正中立、成績主義、適材適所という基本方針にのっとって」やったのです、こう言うのですね。それでちょっと聞き漏らしたが、その答弁を考えている間に、あのときにやはり内閣の方針として、この際人心一新しろという命令が下ったのですか。下ってなかったでしょう。だから、あくまでも熊谷大臣が自分の判断でしたと。  ところが、今のように、いみじくも事務担当者が言っている公正中立というのはわかりますよ。適材適所もわかりますよ。適材適所という場合は、普通、首じゃなくてポストをかえることですよね。この成績主義というのがひっかかるんですよ。先ほどの中尾質問でわかるように、よくやった人だという評価なんですね。本人にはそうした間違いはなかった、こういうわけですね。この成績主義というのは一体何を示すのでしょうか。  私は先ほど、だからそこの点がやはりこの「日本改造計画」、これの著者の考え方、官僚機構を支配していこう、そして日本じゅうを自分の力で制圧しておこう、ちょうど先ほどマスコミ問題で総理に質問したように、かつてヒトラーがやったと同じ独裁的なことで、だんだんだんだんやろうとしているんだと言われても抗弁できないだろうと思うのです。この成績主義とは一体何を指すのですか。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 それは、およそ人事を行う場合に、基本的な考え方といいますか物差しといいますか、そういうものを列挙したものであったのだろうと思うわけでございます。そういうものをすべて勘案をし、総合的判断をし、私どもは人事をとり行ったということでございます。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 そこで、具体的に、あくまでも大臣というか、通例の人事でやったのだ、こう言うが、先ほど中尾さんが言ったように、本人がまずあなたに呼ばれたときに四つ言われたのだ。一つは怪文書の問題、その前に箔づけ人事の問題、そして省内を怪文書で暗くした、それで、あまっさえ自民党の一部議員と非常に近い、業界と癒着だ、そういうことからいって、あなたが、おまえよくないぞと言われたのですね。  そこで、もう時間があと十分しかないので、皆さんのリクエストがあればまた延長しますけれども、そうもいかないでしょうから、非常に問題だらけですから、またこの問題は次の機会に細かく話しますから、そのときにまたします。  それで問題なのは、先ほど念を押したように、まず、箔づけ人事云々という問題はほかにあった、ないなんてつまらぬことを申しているのではないのです。そのときの人事の発令者というのはだれなんですか。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 私は、正直言いましてそんなに細かな文書その他を全部点検したわけではございません。これは事務当局から、こういういろいろなことがあるけれども検討してみた方がいいぞということで、やはり多少問題がある、現に告発もされたというようなことがありましたので、問題があるという認識は持っておりました。  ただ、先生今いろいろおっしゃられましたけれども、私は、今言われたような物差しを使って退職勧奨をしたことはございません。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 そうすると、何で首になったのか、本人もわからない、首にした人もわからないのですか。  私はこういう気がするのです。きょう実は呼ばなかったのですが、役人のことを公僕というわけでしょう、国家公務員というのは。普通の人と違うというのは、税金でその給与を賄っているということではないでしょうか。非常に権限を持って地位が高い、その逆に身分保障もある。だけれども、その税金を払うということは、いわゆるその人の能力だとか経験、そういうものなんですね。だから私は、官僚の公僕と言われるゆえんは、やはり国家国民のためなんだと、簡単に言えば。税金を払っているのですから。それを理由なくして今のように簡単に首にするのはおかしいだろう。だから私は、さっき言うように、そうじゃなくて、これは上から言われたからやりましたとおっしゃれば、それで私は満足するのですよ。それ以上追及しようというのではないのですよ。  だけれども、そういうふうにのらりくらり言うから困るわけですが、そこでちょっとお聞きしたいのは、そのいきさつ、全部この文芸春秋というのに書かれているのですね。これを一々読んだらもう時間がたつ。あなた、お読みでしょう。  これに関して、やはりおかしいじゃないかと、さっきの羽田さんとちょっと違うのですが、これでもってやはりどういうふうな処置をされましたか、当時の大臣は。ここに書いてあることが本当だと思ってほっておいたのですか。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 もうそこに至るまでに、それこそいろいろな雑誌、ジャーナリズムで報道されたことは承知しておりますが、私は率直に言いまして、記者からこれこれを書いているよというようなことで聞かれてコメントを受けたことはございますけれども、これ、ちょっと事実誤認をして誤ったコメントをしたことがありますが、その種のものを丁寧に読んで、一々もう反論するのもばかばかしいと、そんな気持ちでおりましたので、今の文芸春秋ですか、それをさらっと読んだことはありますが、丁寧に読んだことはありませんので、反応をいたしておりません。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 それでは、これが出されたのが三月号ということで、二月の八日、十日ぐらいだと思うのですが、いやいや、あなたに聞いているのですよ。聞いていません、あれには。だから、これ三月号ですから、少なくとも二月に出ている。そのときに、あらかじめゲラが来ますよね、役所には。これは大変だということで文春に抗議に行かれているはずなんですが、その命令をあなたは出されましたか。  ということは、二月二十四日号に、熊谷通産大臣よと、問題の記事を書かれた方が、「「問題記事」の筆者が大反論」「品性下劣はあなたの方だ」と、こういうように書いているんですよ。それで、その場合に、「通産省は「事実無根」と抗議し、熊谷通産相は「品性下劣」と評した。」というのは、あなたが、こんなものは品性下劣だと、こう言っているでしょう。  ただ、問題になるのは、品性下劣というけれども、確かに怪文書というやつは、あれは品性下劣なわけですね、違いますか。で、それをやはり根拠にして、しかもそれの調査もろくろくしなくてやったこと自体どうなのかと思うのですよ。簡単に。もうあと五分だからね。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣 その前後のことはあれですが、私は、自分が指示してこれに抗議を申し入れるというようなことはやっておりません。正直言って、事務当局にこの種のことでああだこうだと指示はいたしておりません。  ただ、今のその品性下劣だというのは、記者会見の場で、この種の、口頭で読み上げられたものですから、その事実は違う、そんなその、ということで申し上げたコメントがそういうふうに伝えられたということであります。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 ちょっと、そういうことならば、それでやはり抗議に行っているんですよね、通産省のその方が。では、それはその人たちの判断で行ったということですね。だから、大臣にごますったということだ。それでいいのです。それは別に、その問題を追及しようというんじゃないのだから。ただ、品性下劣ということになると、私はこの怪文書、品性下劣だと思うのですよ。  ところが、不思議なのは、この内藤さんが追放になってからも怪文書は出た。そして、あまっさえ、あなた自身の怪文書もあるんだね。これはこの場でもって読むのもはばかるわけですが、これは私自身ももらって見たら、同じものをかつて見たことがある。あなたの選挙区で見た。  私はさっきの中尾さんじゃないが、やはり応援に行った。そのときに、我が陣営というか熊谷陣営では、怪文書とは品性下劣だと、あんなものは相手にするなと、こう言った。「新版熊情話」という題なんです。わかるでしょう。「十三年前に一匹の熊が現われた」とあるのですよ。これはまあ時間があれだからやめますが。  だから私は、そのときに品性下劣と言って攻撃した熊谷さん、間違っていないだろうし、その方だから少なくとも内藤君の辞任の理由に怪文書ということを入れるはずないだろうなと。それでさっき言ったように、それはこじづけであって上の方から来たんだろうなと。「日本改造計画」、この一環としてやる、だと思うのですよ。  そして、もう一つあれですが、それはなぜかというと、後から、先ほど中尾さんが言うように、産政局の仕事でもって大変に問題があるわけなんです。そこで、今の経済界との結びつきというのは、やはり細川内閣のときに総合経済対策とか税制改革の話をした、あれを業界に流しましたね。流しているのですよ。それをあなたの命でやっているのですよ、それは。  それがあるが、もう時間がないというから、最後に、その問題はまだ途中でしり切れトンボで申しわけないけれども、次の機会を請う御期待ということでいますが、これは私よりか、言われたのですが、さきに我が党や山口委員長が要求した連立政権樹立のための確認事項、普遍的安全保障等に関する政府の統一見解をこの際示してもらいたいということで終わりたいと思うのです。

熊谷弘改新内閣官房長官

○熊谷国務大臣      連立政権樹立のための確認事項に関する政府統一見解  一 新たな連立政権樹立のための確認事項については、政府として有権的解釈を行う立場にない。    政府としては、与党統一見解で示された考え方を踏まえつつ、憲法の枠内で適切に対処して参りたい。  二 憲法と条約との関係については、憲法の尊重擁護義務を負っている国務大臣で構成され る内閣が憲法に違反する条約を締結することができるとすることは背理であること、また、条約締結手続が憲法改正手続よりも簡易であること等からして、一般には憲法が条約に優位すると解される。なお、以上のことは国連憲章との関係でも同様である。  三 「集団安全保障」は、平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為が発生したような場合に、国際社会が一致協力してこのような行為を行った者に対して適切な措置をとることにより、平和を回復しようとするものであり、国連憲章にはそのための具体的措置が規定されている。国連による平和と安全の維持のための枠組みの総体に関し、国連憲章と憲法との関係で問題となり得るのは、国連憲章第七章のうちの軍事的措置に関する部分であろうが、いずれにせよ、政府としては、前述の通り憲法の枠内で対処して参る所存である。

佐藤信二自由民主党・自由国民会議

○佐藤(信)委員 今の問題というか、統一見解に関する質疑は、あす以降我が党の委員からいたしますから、私の質問はこれで終わりますが、またの機会にいたしますので、本国会中に決着をつけたいと思いますから、よろしくお願いします。  以上です。

山口鶴男日本社会党・護憲民主連合

○山口委員長 これにて佐藤君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十六日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時四十七分散会

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