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129回国会衆議院1994/06/03

法務委員会 第2号

発言数
259
登壇者
25
会派数
6
開催日
1994/06/03

会議録

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 これより会議を開きます。  理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い、現在理事が二名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事に       中村 時広君    冬柴 鐵三君 を指名いたします。      ────◇─────

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。  この際、法務行政等の当面する諸問題について、法務大臣から説明を聴取いたします。中井法務大臣。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 このたび、法務大臣を命ぜられた中井洽でございます。  内外にわたり極めて困難な問題が山積しておりますこの時期に法務行政を担当することになり、その職責の重大であることを痛感いたしております。  法務行政に課せられた使命は、法秩序の維持と国民の権利の保全にあります。国民生活の安定を確保し、国家社会の平和と繁栄を図るためには、その基盤ともいうべき法秩序が揺るぎなく確立され、国民の権利がよく保たれていることが極めて重要であると考えます。  私は、こうした認識のもとに、法務行政の各分野にわたって適切な方策を講ずるよう全力を尽くしたいと考えております。  以上、簡単でありますが、就任のあいさつといたします。  次に、当面する法務行政の重要施策につきまして所信の一端を申し述べ、委員の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。  第一は、治安の確保及び法秩序の維持についてであります。  最近における犯罪情勢を概観いたしますと、全般的にはおおむね平穏に推移していると認められますが、強盗、殺人、放火等の凶悪事犯が多発し、暴力団関係事犯、薬物事犯、過激派や右翼によるテロ・ゲリラ事犯等も後を絶たない上、地方公共団体首長らによる涜職事犯、大型の脱税事犯を初めとする財政経済事犯が相次いで発覚しております。また、来日外国人による犯罪が増加、凶悪化するとともに、諸外国との間において相互に犯罪人引き渡しや捜査共助等を要する事件が増加するなど、犯罪の国際化の傾向が顕著であります。  私は、このような情勢のもとで、各種犯罪事象に的確に対処するため、検察態勢の一層の整備充実と適正な検察運営に不可欠な綱紀の保持に意を用い、さらに、刑事司法に関する国際協力を促進していくことにより、時代の要請に応じた良好な治安の確保と法秩序の維持に努めていきたいと考えております。  第二は、出入国管理行政の充実強化についてであります。  本格化する国際化時代を反映し、最近の出入国者数は増加の一途をたどっており、また、不法在留者も現在約三十万人と推計される状況のもとで、出入国管理行政における事務量は急激に増加し、これに加えて、本年九月には、関西新空港の開港が予定されておりますので、出入国管理行政を迅速かつ円滑に遂行していくため、今後一層の業務体制の充実強化に努めてまいりたいと考えております。  また、出入国管理行政の遂行に当たりましては、我が国社会の健全な発展の確保及び国際協調と国際交流の増進への寄与という基本理念のもと、専門的技術者等の外国人の受け入れの促進及び実践的な技術等の海外移転を図る技能実習制度の円滑な実施を図る一方、不法就労外国人問題に対する厳正かつ効果的な対策を推進していく所存でありますが、外国人に関する諸問題については、今後とも内外の情勢や世論を踏まえながら幅広い角度から検討を加え、これらに的確に対処してまいりたいと考えております。  第三は、一般民事関係事務の効率化と訟務事件の処理等についてであります。  一般民事関係事務は、登記事務を初めとして事務量が逐年増大するとともに、社会経済活動の多様化、国際化を反映して年々複雑、困難の度を強めてきております。特に、登記事件は、公共事業の活発化等を背景に依然として高水準で推移しており、一般国民が直接窓口を訪れる機会も多くなってきております。そこで、このような現状に対処し、窓口サービスの抜本的改善を図るため、引き続き登記事務のコンピューター化を推進し、行政サービスの向上に努めてまいりたいと考えております。  民事関係の立法につきましては、法制審議会の各部会において調査、審議を進めているところでありますが、自己株式の取得規制の見直しに関しましては、本年二月に法制審議会の答申が得られましたので、商法及び有限会社法の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしたところです。また、戸籍事務のコンピューター化につきましても、本年一月の民事行政審議会の答申を踏まえ、戸籍法及び住民基本台帳法の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしました。  次に、訟務事件の処理についてでありますが、最近の訟務事件は、量的にも高い水準にあるばかりでなく、質的な面においても、国際化の進展を反映したものや、最先端の知識、技術が問題となるものなど、複雑、困難なものが増加する趨勢にあります。また、これらの訴訟は、集団化、大型化し、全国各地の裁判所に提起される傾向にあり、訴訟の結果いかんが国の政治、行政、国民生活等に重大な影響を及ぼすものも少なくありませんので、訟務事務処理体制の一層の充実強化を図り、適正円滑な事件処理に努めてまいりたいと考えております。  第四は、人権擁護行政についてであります。  人権の擁護は、憲法の重要な柱であり、民主政治の基本でもあります。人権の擁護については、国民のすべてが人権について正しい認識を持ち、互いに他人の人権を尊重し合いながら幸福を追求するという態度が必要であると考えます。  人権擁護行政につきましては、各種の広報活動によって国民の間に広く人権尊重の思想が普及高揚するよう努めるとともに、具体的な人権に関する相談や人権侵犯事件の調査、処理を通じて関係者に人権尊重の思想を啓発し、被害者の救済にも努めてまいりたいと考えております。  中でもいじめ・体罰などの子供の人権問題、部落差別を初めとする各種の差別問題につきましては、関係省庁とも緊密な連絡をとりながら、一層活発な啓発活動を行ってまいりたいと考えております。  また、法律扶助制度は、国民の裁判を受ける権利を実質的に保障するために極めて重要なものでありますから、今後ともその充実に努めるとともに、法律扶助制度の調査、研究にも意欲的に取り組んでまいりたいと考えております。  第五は、犯罪者に対する矯正処遇と更生保護についてであります。  犯罪者の矯正処遇につきましては、対象者に暴力団関係者、覚せい剤事犯者のほか、施設への入出所を繰り返している累入者等改善困難な者の占める割合が増加しているのに加え、外国人被収容者が増加し、あるいは高齢化傾向が顕著であるなど処遇の複雑、困難化が著しくなってきていることから、これらの者の年齢、犯罪傾向、刑期その他の特性等を考慮した適切な処遇を推進するとともに、医療体制の拡充や社会内処遇への円滑な移行を図るなどして、処遇の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。また、これらの者の社会復帰及び再犯防止につきましては、犯罪のない明るい社会の実現のために多大な貢献をしている民間篤志家、団体との緊密な連携を保って、社会内処遇の一層の充実、発展に努めてまいりたいと考えております。中でも更生保護会の保護施設につきましては、緊急にこれを整備する必要がありますところ、昨年十月、矯正保護審議会から建議を受けまして、施設の整備を図るため、更生緊急保護法の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしました。  なお、監獄法の全面改正を図るための刑事施設法案につきましては、第百二十回国会に再提出されました後、継続審議の扱いとなっておりましたところ、第百二十六回国会におきまして衆議院の解散に伴い廃案となっております。  しかし、刑事司法の重要な一翼を担う行刑制度の近代化を図る上におきまして、制定後八十年余を経た現行監獄法の全面改正は不可欠の課題であり、法改正へ向けて検討を加えてまいりたいと考えております。  第六は、司法制度に関する立法についてであります。  我が国における外国弁護士の受け入れ制度は、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法施行後、円滑に運用されてまいりましたが、臨時行政改革推進審議会第三次答申、外国弁護士問題研究会の提言及び総合経済対策等を踏まえ、最近における弁護士業務を取り巻く国際環境の変化及び国際的法律事件の増大にかんがみ、渉外的法律関係の一層の安定を図る等のため、外国法事務弁護士に係る承認の基準についての相互主義を緩和するとともに、外国法事務弁護士が弁護士と共同の事業を営むことができることとする等外国法事務弁護士の活動に関する規制を合理化する等のため、右法律の改正法案を今国会に提出いたしました。  また、社会の高齢化等に対応した施策として、一般職の国家公務員について、家族を介護しなければならなくなった場合、一定期間、介護に専念することを認める介護休暇制度を設ける等のため、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律案が提出されているところでありますが、裁判官についても、これと同様の趣旨で介護休暇を導入する必要があることから、裁判官の介護休暇に関する法律案を今国会に提出いたしました。  最後に、これら法務行政の適正円滑な推進の確保のため本国会に提出し、御審議をお願いすることを予定しております法律案は五件であります。今後、提出法律案の内容について、逐次御説明することになりますが、何とぞ、十分な御審議をいただき、速やかな成立に至るようよろしくお願い申し上げます。・以上、法務行政の重要施策につきまして所信の一端を申し述べましたが、委員長を初め委員皆様の一層の御協力、御支援を得まして、法務大臣としての重責を果たしたいと考えておりますので、どうかよろしく御指導のほどをお願い申し上げます。(拍手)

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 平成六年度法務省関係予算及び平成六年度裁判所関係予算につきましては、お手元に配付いたしております関係資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承をお願いいたします。  この際、牧野法務政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。牧野法務政務次官。

牧野聖修改新法務政務次官

○牧野(聖)政府委員 お許しをいただきまして、一言あいさつを申し上げさせていただきます。  このたび法務政務次官に就任をいたしました牧野聖修でございます。  時局柄、大任ではございますけれども、中井法務大臣のもとに、よき補佐役として、時代に即応した法務行政の推進のため、微力ではありますが、誠心誠意努力をしてまいりたいと考えております。  何とぞ、よろしく御指導、御支援をくださいますよう、心からお願いを申し上げまして、簡単ではございますが、あいさつにかえさせていただきます。よろしくお願いいたします。(拍手)     ─────────────

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 この際、お諮りいたします。  本日、最高裁判所高橋刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤斗志二君。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 自由民主党の斉藤斗志二でございます。  大臣の所信表明についての質疑ということでございますが、まず、大臣に御就任のお祝いを申し上げたいと思います。本当におめでとうございます。前法務大臣、永野さんの後を受けてという大変異例な事態の中での御就任でございますが、法務行政の最高責任者として国民の期待にこたえて職務を全うしていただきたいと思います。大臣の御活躍を切に期待を申し上げたいと思います。  そこで、大臣の個人的な御感想をまずお聞きいたしたいわけでありますけれども、大臣、たしか当選六回で就任をされました。大臣は二世議員で、大臣のお父さんも長く衆議院議員、この国会の場におられたわけでございます。調べますと、お父さんも六回まで当選をされて、後、その業半ばにしてこの世を去られたというふうに聞いておるわけでございますが、父上はたしか徳次郎さんとおっしゃったと思いますが、殊のほか喜ばれているのではないかなと思います。お父さんが六回でその思いを半ばにされたということ、大臣は六回で見事大臣ということでありますが、大臣の率直な御感想をお伺いしたいと思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 斉藤先生の御激励、肝に銘じて頑張りますので、御指導のほどをお願いいたします。  父のことをお尋ねいただきまして、ありがとうございます。父親は日本社会党におりまして、当選六回をいたしまして引退を、実は勇退をいたしまして、その後十五年、病気の中でおととし亡くなりました。  私は、父親と党を違った形で六期当選を果たさせていただいたいわゆる二世議員の一人でございますが、親の代から私も十年秘書をいたしておりました。政権の交代ということが一番大事だと唱え続けてまいりましたが、正直言いまして、こういう形で政権交代になって私自身が大臣という、しかも法務大臣という重責を担うとは実は夢にも考えておりませんでしただけに、感慨無量なものがございます。  同時に、それだけに、野党時代を通じていろいろ考えてきた問題を少しでもこの機会に生かしていきたい、こんな思いでいっぱいでございます。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 大臣にはぜひ父上の分まで頑張っていただきたいと思います。  そこで、まず最初に、二日前、六月一日に金沢元検事の判決が出たわけでございます。それについてお聞きしたいと思います。  金沢元検事の参考人に対する暴力事件について有罪判決がございました。懲役二年、執行猶予四年の判決が言い渡されたわけでありますが、その要旨の一部を少し読ませていただきたいと思います。「捜査において、供述を得るため暴行を加えることがおよそ許されないことはいうまでもなく、とりわけ検察官は、犯罪捜査および公訴の提起の強大な権限を付与されている半面、その行使に当たっては、刑事訴訟法一条に定める公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を解明すべき重要な職責を有しているところである。」にもかかわらず、「強大な権限を背景に、無抵抗な参考人らに対し、長時間壁に向かって立たせたり、床上に正座させるなどの理不尽な要求をし、かつ、多数回にわたり執ような暴行を加え、傷害を負わせたものであり、被害者らに与えた肉体的な苦痛はもとより、精神的にも大きな屈辱感を抱かせたものであって、悪質、卑劣な犯行である。このような被告の行為は、検察官に課せられた前記の重い責務を全く無視したものであり、捜査の適正ひいては検察権の行使に対する国民の信頼を著しく損い、刑事司法の運用に携わるものに大きな衝撃を与えたものといわなければならない。」と指摘されており、またそのような判決文になっているわけでございます。そして、検事が捜査中の暴行で有罪判決を受けたのは初めてだという指摘もあるわけでございますが、裁判長は、捜査の適正、検察権の行使に対する国民の信頼を著しく損なった、このように強く述べているわけでございます。  そこで、法務大臣、マスコミを通じてコメントを出されてはおられますが、法務大臣の本件に対する所見をまずお伺いしたいと思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 まことに残念なことで、またあってはならないことが起こったと考え、心から遺憾の意を表したい、このように感じております。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 大臣、今遺憾であるという御発言をいただいたわけでありますが、先般のマスコミへのコメントは「このような事件が発生したことは誠に遺憾である。法務大臣としても、検察がその適正な運営に不可欠な綱紀の保持に努め、国民の期待と信頼にこたえるよう尽力したい。」このようなコメントを出されているわけでございまして、再びこのような事件が起こらないようにぜひ陣頭での指揮をよろしくお願い申し上げたいと思います。  次に、国民の立場からいたしますと、このような暴力事件を起こした人物が今後も国民の権利義務にかかわる法律家として仕事をしていくことには強い懸念、心配を感じているわけでございます。今後の、このような刑事事件を起こした検事の法律家としての資格ということについてお尋ねをいたしたいと思います。

原田明夫法務省大臣官房長

○原田政府委員 ただいま御指摘いただきました事案につきまして、まず、法務当局といたしましても大変申しわけないことが発生したということで、この場をかりまして深くおわび申し上げたいと思います。二度とこのようなことのないように、あらゆる観点から努力させていただきたいと存じます。  今お尋ねの身分関係、法律家としての資格という点でございますが、金沢元検事に対しましては御指摘のとおり、懲役二年、四年間執行猶予という厳しい判決の言い渡しがなされたところでございます。この判決はまだ確定していないのでございますけれども、確定したということで一般論として申し上げますと、禁錮以上の刑に処せられた者は、裁判官、検察官及び弁護士の欠格事由と法律上されております。そのうち、禁錮以上の刑に処せられましても、その執行が猶予された場合には、執行猶予期間中は法曹資格を欠くことになるのでございますが、その執行猶予を後の犯罪等により取り消されるというようなことがなくその期間を経過した場合には、その言い渡された刑が科せられることがなくなり、また刑の言い渡しの効果が消滅するのでございます。したがいまして、法的には法曹資格はその時点で回復するということになるわけでございます。  なお、弁護士となるには、所属しようとする弁護士会を経まして日本弁護士連合会に登録される必要がございます。その日本弁護士連合会に対する登録請求に関しましては、その所属しようとする弁護士会からの進達によるわけでございまして、そこにも弁護士会としての一応の基準と手続があるというものでございます。  したがいまして、資格回復したから直ちに法律家として活躍できるというものではないのでございますが、法的な資格としては、執行猶予期間が無事満了いたしますと資格が回復するということになるわけでございます。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 ただいま法文の説明を受けたわけでありますが、有罪判決を受けても執行猶予が終了後国家公務員としての採用も法律上は可能だということでございますか。そういうことですね。

原田明夫法務省大臣官房長

○原田政府委員 法的には可能になるということでございます。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 今、法的には可能になると。そういう現行法の範囲でありますけれども、国家公務員への採用ということにかんがみた場合、このようなケース、例えば刑事事件を起こしたというようなこと、確かに随分反省もされ、また関係者から情状酌量の要請も多々出ておるというふうには聞いておりますけれども、国家公務員ということになりますと一般企業とは立場が違うわけでございまして、私としては、現在、国家公務員法、裁判所法、検察庁法等々、これに準拠するわけでございますけれども、国民の側からいうと、もう少し工夫があってもいいのではないかという感がいたすわけでありますが、大臣、この辺御感想があれば。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 御指摘の点は承って研究はしてみたい、このようには考えております。  同時に、大臣に就任いたしまして幾つも決裁をやっておりますが、一番多いのは恩赦の決裁でございます。その中で、交通違反の関係がかなり多うございまして、中身を問いただしますと、学生時代にスピード違反あるいは交通事故、こういうことで刑を受けておる。ところが、それがありますとお医者さんの試験を受けられない、こういう形がございます。また歯医者さんの試験を受けられない。そういう形で、本人が反省をし、きちっと服したということであるならば、恩赦の適用をする、こういうことで試験を受けていただく、こんなところもありまして、なかなかこれらの問題については難しいいろいろな面があるな、こういう思いでございます。  しかし、御指摘の点は金沢元検事の件でございます。お話はしかと承って対応いたしてまいりたい、このように考えております。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 次の質問に進みたいと思いますが、報道によりますと、これは同じく六月一日の大手新聞の記事でございますが、金沢元検事のほかに二人の検事が取り調べ中に暴力を振るったとして告訴されているという報道があるわけでございます。これも報道によるのでありますが、一人は殴られて下あごを骨折したと報ぜられているわけでございます。このような不祥事が繰り返されてはならないということでございますが、法務、検察当局としてはどのような再発防止策を講じているのか、また、これからさらに講じられるのか、具体的にお聞きいたしたいと思います。

則定衛法務省刑事局長

○則定政府委員 お答えいたします。  御指摘の、今回の金沢検事のほかに二件、検事が取り調べ中に事件関係者に対しまして暴力を行使した、こういう申し立てで告訴がなされております。  これらにつきましては、現在慎重かつ厳正にその事実関係の調査及び捜査を行っているわけでございますけれども、先般、この二件のうちの一件につきまして国家賠償の請求が行われて、その記述におきまして、国側といたしましては、けがの程度はまだ争いがあるわけでございますけれども、有形力の行使をしたという点についてはこれを認め、また、その結果現に傷害を負わせたということは否定し得えないということになっておるわけでございます。  このような件が発生した、本当にあってはならないことでございまして、私ども、検察運営を一般的に指導監督する大臣を補佐する立場といたしましては大変申しわけないことである、したがいまして、御指摘のようにその再発防止に真剣に取りかからなければならないというふうに考えております。  そこで、その再発防止を図るためには三つの観点から考えてみる必要があろうと思っております。一つは、何よりもまず責任の所在を明らかにする、いわば信賞必罰の姿勢をもって臨むということが今後の戒めになるということ。  それから、このような職務に関して有形力の行使が行われるということがあってはならないというその趣旨をよく徹底するという、部内の指導監督の問題が一つございます。  それから三つ目には、若い検察官の指導育成面におきまして、このような職務行為につきましての基本的な心構えをより一層徹底させる、そういう指導教育の面がございます。  そこで、現在調査中のものにつきましては、いずれその事実関係が明確になりました段階におきまして法務大臣の懲戒権等について適正に判断を求めることになろうと思いますし、部内の職員に対する趣旨の徹底という点につきましては、昨年の暮れ以来今日まで、全国の検察官幹部の会同あるいは中堅監督者の会同、さらには若手検事の研修の機会その他あらゆる機会を使いまして、この例を戒めとして、職務の執行に当たりまして関係者の人権の尊重という点について注意を喚起するということを繰り返し行っているところでございます。  最後に、若手検察官の指導育成の問題につきましては、従来から、いわゆる新任検事期間ということで、実務の面及び心構えの面両面にわたりまして指導を行っておるわけでございますけれども、これらの事象を踏まえまして、できれば来年春の段階から、この新任検事教育のあり方及びその指導養成の実施のシステムというものを根本的に改めまして、実務面及び精神面両面において教育の徹底を図ってまいりたい、このように思っておるわけでございます。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 御答弁いただいたわけでございますが、今回の事件は検察並びに司法の権威を著しく損なった、失墜させたということでございますので、ぜひ一日も早い回復をするための関係各位の御努力を切にお願い申し上げておきたいと思います。  次に、入国関係の質問に入りたいというふうに思います。  外国人スポーツ選手の日本入国につきましては、日本の国際化や、またスポーツの振興によりまして青少年の健全な育成を図るといった観点からも大いに歓迎すべきだと思いますが、法務省はその外国人スポーツ選手の入国についてどのようにお考えでございましょうか。

塚田千裕法務省入国管理局長

○塚田(千)政府委員 スポーツの交流を通じまして国際間の親善と相互理解が増進されますことは、我が国にとりましても、また、各外国人スポーツ選手の出身国との関係におきましても大変望ましいことだと考えております。特にサッカーのJリーグで活躍している外国人選手の有する、国際的に通用する高い技術やスポーツマナーを青少年を初め多数のファンがつぶさに見る機会を有することができることは大変有意義であろうと考えております。  お尋ねのように、スポーツの振興は青少年の健全な育成を図るという観点からも歓迎すべきことでございますので、法務省といたしましても、かかる観点からスポーツの振興にできる限り協力してやってまいりたいと存じております。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 それに関連していくわけでありますが、最近のスポーツブームの中で、相撲もしかり、野球もしかり、サッカーもしかり、またゴルフもしかり、大変多くの外国人が来日しているわけでございます。一体どれだけの外国人が日本で活躍しているのか、法務当局の把握している現状の数をまず御説明いただきたいと思いますし、加えまして、続いて、外国人スポーツ選手を入国させる場合入管法上どのような資格で受け入れ、また、審査する場合の基準はどのようになっているのか、簡単に御説明いただきたいと思います。

塚田千裕法務省入国管理局長

○塚田(千)政府委員 プロ野球、サッカーのJリーグ、大相撲、ゴルフのように、テレビや新聞等で広く報道されている分野から、実業団のアマチュア野球、Jリーグの下部リーグ、大学や実業団チームに属しての陸上競技あるいは柔道等、幅広くスポーツに従事しようとする外国人の入国を私ども認めてきております。このようにスポーツの分野で入国を認めている外国人のカテゴリーは多数にわたっているわけでございますが、Jリーグに属しているサッカーチームに登録されている選手は約六十名と承知しております。  プロのスポーツ選手として入国しようとする外国人に対しましては、入管法の別表第一の二、「興行」という在留資格を付与して入国を認めております。審査の基準といたしましては、現にスポーツ選手として興行に従事することを前提に、省令において定めておりますけれども、その要点を簡単に申し上げれば、日本人が受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることでございます。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 そこで、先般、アルゼンチンのサッカー選手である、世界のスーパースターと言われるマラドーナという選手の入国が拒否されたとして大きなニュースとなったわけでございます。本人の査証申請、ビザ申請から拒否に至るまでの日時を追った経緯を御説明いただきたいと思います。

塚田千裕法務省入国管理局長

○塚田(千)政府委員 在アルゼンチンの日本国大使館に対しましては四月二十七日付で査証発給の申請がございました。法務省は、外務省から五月六日に協議を受けまして慎重に検討した結果、査証発給不適当との結論に達し、五月十二日に外務省に対しその旨連絡いたしました。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 これは、通常査証を発行する場合は現地、在外公館で発行できるのではないかというふうに私は承っておったのですが、もし私が間違いならそうかもしらぬけれども、その点はいかがですか。

塚田千裕法務省入国管理局長

○塚田(千)政府委員 案件によりましては、在外公館限りで査証の発給をできるようにしている分もございます、スポーツということではなくて、査証一般の話でございますが。多くの場合は法務省と協議の上に発給するということになっております。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 そこで、今日時を追って御説明いただいたわけですが、最終的に拒否という結論を出して外務省に伝えたというわけでありますが、入国を認めなかったその理由は何かということをお聞きしたいし、また結論について関係者、特にそのサッカー協会にきちっと伝えたのかどうか。というのは混乱をしたというふうに聞いておりますので、サッカー協会にきちっと伝えてあるのかどうかということについてもお聞かせいただきたいと思います。

塚田千裕法務省入国管理局長

○塚田(千)政府委員 マラドーナ選手は、イタリアにおきまして麻薬取締法違反により刑に処せられた事実がございます。これは、一九九二年の三月十一日に確定いたしまして、懲役一年二カ月執行猶予つき、ほかに罰金四百万リラというものがあることが私どもの調査で判明いたしました。これは、入管法第五条一項五号に定められている上陸拒否事由に該当するものでございます。  そこで、特別に上陸を許可すべきその他の事情の有無を総合的に勘案したわけでございますけれども、査証発給を認めるまでの判断には至らなかったということでございます。  また、日本サッカー協会に対して連絡をどうしたかというお尋ねでございますが、五月十二日に入国が認められない旨を連絡いたしました。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 外国人の上陸に関して、「上陸の拒否」、第五条ということに準拠してそのような措置がとられたという説明であります。法務大臣において特別に上陸を許可すべきその他の事情の有無を総合的に勘案した結果ということですが、多くの関係者やサッカーファンが本人の来日を心待ちにしているということも十分承知した上での判断だと思いますが、本件について一体どのような事情を考慮したのか、また判断に当たっての基準というのを大臣からもお聞きしたいと思いますが、いかがですか。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 ただいま政府委員の方から詳しい御説明を申し上げたわけでございますが、四月の末から五月の八日まで、御承知のように連休ということもございます。私自身は八日に任命を賜りまして、その場で、総理官邸を出ますときにマスコミの方から、マラドーナの入国はどうなんだという御質問をたしかいただきました。帰りまして、事務当局に調べるように、こういうことを申し上げ、十一日のたしか朝であったかと思いますが、私のところへ書類が上がってまいったわけでございます。  法的なこともいろいろ調べましたし、同時に日本の今のサッカーブームあるいは世界じゅうにおけるスポーツとしてのサッカー、十分認識をしているつもりでもありますし、マラドーナという選手の名前の大きさ、これも承知している。この中で、半日ほど時間をとりましていろいろ検討をいたしましたけれども、今回の場合には特別入国を許可するに当たらない、こういう最終的な判断をいたしまして、外務大臣あるいは文部大臣等には、当日園遊会がございましたので、園遊会の席上で大変恐縮ではあったのでありますが、そういう方向であるということをお伝えを申し上げた次第であります。  なお、外務省、サッカー協会については、十分御連絡するように私自身の口から局長にお願いをし、そして処理をしていただいた、このようにも聞いているところでございます。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 そこで、マラドーナ選手に関しては、確かに今、一年二カ月の懲役ということでしたね。そこで、こういうような指摘があるんですよ。  事件はイタリアで起きたわけでありますが、イタリアでは社会復帰を促すために、二年未満の刑罰については刑が終わった時点で無罪証明書を出すということになっているということでありますが、このような事実に関して法務省当局は御存じだったんですか。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 それらのこともすべて研究をいたしました。マラドーナ選手の場合には、イタリアにおけるその刑、そして同時に、その後アルゼンチンに戻りましてから麻薬不法所持で実は逮捕されている、こういったところもあります。それらを総合的に考えた上での決定でございます。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 単にイタリアだけの問題、イタリアでの事件だけではなくてその他もろもろの事由があったんだ、こういう大臣の説明でございますが、アメリカはこのたびのワールドカップには、アメリカで開催されるわけでありますが、本人を出場させるというふうに聞いておりますが、その点何か割り切れない、日本ではだめでアメリカではいい、割り切れない感がいたすわけでありますが。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 アメリカで今回行われようといたしておりますワールドカップにつきましては、開催の条件の中に、選手、関係者をすべて受け入れる、こういうことが開催条件で入っておること、承知をいたしております。  今回、マラドーナ選手を招いてゲーム等を行いたいと言いましたのはキリンカップと言ったと思うのでありますが、これは大変恐縮でありますが、あくまで一民間団体のスポーツ行事であろう、このように考えて判断をいたしました。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 よくわかりました。  そこで、次に参りますが、今後ともマラドーナ選手と同じような犯罪歴を有している者の入国ということに関して、前例にのっとるのか、その対応はケース・バイ・ケースになるのか、お伺いをしたいと思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 法の原則に基づいて対応をしていきたい。そして、その法律の中には、法務大臣が入国を許可することができる、こういう条項もあります。これらを含めて、総合的に個々の事件で判断をしていきたいと考えております。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 先般、これは歌の世界の話ですが、歌手のミック・ジャガーやポール・マッカートニーの入国は認められておるわけでございます。彼らも麻薬取締法違反者ではないんですかということに対しまして、今回のケースと彼らのケースとの違いはどこにあるのか、スポーツのみならず芸能界に関してもその違いをお伺いしたいというふうに思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 何人かそういう著名な方のことで騒がれたこと、記憶をいたしておりますが、それぞれ事件が起こりましてから五年なりかなりの年数を経過した、こういう中での当時の入国許可であったと聞いております。  今回のマラドーナ選手の事件は、一九九〇年、九一年、こういう極めて近々の事件であったということも判断の材料でありまして、今後ともこういう原則については守っていきたいと考えております。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 同じようにスポーツの世界で、最近マジック・ジョンソンというオリンピックでのドリームチームの選手が来日してプレーをしていった。そして、大変なファンを集め、そして観客に喜んでいただいたということがございますが、彼の場合はエイズ患者ということでもあるわけであります。このエイズ患者という扱いにつきましては、入管法五条の入国拒否事由ということがあるのでありますが、これに該当するのかしないのか、お伺いしたい。

塚田千裕法務省入国管理局長

○塚田(千)政府委員 出入国管理及び難民認定法附則第七項というのがございまして、これに「後天性免疫不全症候群の病原体に感染している者」、これはいわゆるエイズのことでございますが、「感染している者であって、多数の者にその病原体を感染させるおそれがあるものは、当分の間、第五条第一項第一号に掲げる患者とみなす。」と定められておりますが、これは、同人がエイズ感染者であっても、多数の者にその病原体を感染させるおそれがないものであると判断され、したがいまして、入国拒否事由には該当しない。マジック・ジョンソンの場合には、本人自身がエイズ感染者ではありましても、多数の者にその病原体を感染させるおそれはないというふうに判断いたしまして上陸を許可したものでございます。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 そのエイズの問題に関連して、新聞報道等によると、八月に横浜でエイズ会議があると聞いているわけです。同会議にはエイズ患者や売春に関係したことのある者も参加するということでございます。ここに六月二日付の新聞を持ってきたのでありますけれども、「厚生省は一日までに、入管難民法で入国が禁止されている海外での売春行為者らが会議に参加できるように入国審査の際に「特別の配慮」を法務省に要請した。」こういうような状況にございまして、見出しは「法務省が入国ノー」こういうような大きな見出しになっておるのであります。  そこで、きょうは厚生省に来ていただいておりますが、それがどのような国際会議であるかということと、二つ目、法務省にはどのような要請を行っているのかということでお聞きしたいと思います。

尾嵜新平厚生省保健医療局エイズ結核感染症課長

○尾嵜説明員 お答え申し上げます。  第一点目の国際エイズ会議の内容でございますけれども、本会議は一九八五年から毎年開催されておる会議でございまして、これまで過去九回北米あるいはヨーロッパで開催をされておりまして、今回は十回目ということで、初めてアジアで開催される会議でございます。  この会議につきましては、エイズにかかわります基礎的なあるいは臨床的な研究のみならず、社会的あるいは教育学的あるいは倫理的な面から、あるいは広報の考え方あるいは感染者、患者に対しますサポートの研究とか、そういったエイズ対策にかかわりますあらゆる分野の研究発表あるいは交流が図られる場でございます。そういう意味で、エイズ対策にとりまして、世界にとりましてもあるいは我が国にとりましても非常に重要な意味を持つ会議だというふうに考えておるわけでございます。  二点目の御質問でございますけれども、今申し上げましたように、本会議におきましては、研究者のみならず患者、感染者やNGO関係の方々も多数参加をされる予定でございます。そういった方々が大勢日本に来られるということで、入国手続が円滑に進みますように、法務省を初め関係省庁にも御協力をお願いいたしておるところでございます。今後とも、関係者の御理解を得ながら会議の成功のために努力をいたすつもりでございます。  以上でございます。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 これは、入国管理等の関係があるわけでありますが、そこで法務省には、多くの参加者があるわけでありますけれども、トラブルが起きないように、入国申請があった場合でも適切に、またスムーズな対応ができるようにお願いをしなくちゃいかぬと思っております。  今回、この新聞報道によると、いささかうまくいってないのではないかというニュアンスで報道されていますが、このエイズ会議について、法務省はどのように対応するのか、お伺いしたいと思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 八月に横浜でエイズ会議が行われることは承知いたしておりますし、またエイズ対策について国を挙げて取り組んでおるということも十分承知をいたしているところでありますし、この会議が有意義な会議であることもわかっております。しかし、今まだ私どものところへ主催者側から何も正式にお話があるわけではございません。  お話がありましたように、事務当局同士で幾らかの話し合いが行われていると聞いてはおりますが、今後そういう話し合いの積み重ね、また同時に、主催者あるいは厚生省等からのお話を十分聞かしていただいて判断をしていきたい、このように考えております。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 アジアで初めて行われる大会だそうでございますので、法務大臣にもよろしく御協力のほどをお願い申し上げたいと思います。  そこで、国際会議というか国際大会ということにかんがみますと、二〇〇二年にワールドカップを我が国へ招聘しようという大きな動きがございますが、法務省はサッカー協会等関係者から何らかの相談を受けておるのかどうか。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 過日、予算委員会におきましても招致運動に内閣挙げて取り組んだらどうかという御質疑があったやに記憶をいたしております。しかし、サッカー協会あるいは関係の皆さんからこの点につきましていまだ何のお話もございません。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 大変多くの、事前運動と言うと語弊があるかもしれませんが、このワールドカップ誘致への運動がなされておるわけでありますが、まだ入国に関して法務省には全然問い合わせもないし、事前打ち合わせもないということでございます。わかりました。  これは、実際日本で開会されるという前提になるわけでありますけれども、仮にこのような世界的スポーツ大会が日本に招聘された場合、法務省としてはどのように考えるのかということの御質問に入りたいと思います。  ここに、一昨年でありますが、「招致活動基本計画概要」というのを持ってまいりました。その中にワールドカップ開催条件が幾つかございますが、その中に査証の関係、これは「政府の保証」という内容になっているわけでありますが、「国籍・人種・宗教にかかわらず、FIFA」これは国際サッカー連盟です。「FIFAが資格を認定した役員、選手、報道関係者に対して無条件で査証を発給すること。これは同じく外国からの観客にも適用する。」こういう内容になっているわけであります。  外国人が無原則に入ってくるということについて、法務省は当然入国管理という機能を果たさなければならないというわけでございますが、先ほどのマラドーナ選手の場合、アメリカでのワールドカップと日本との対応の違い等々、さらにまた、そういうようなさまざまな対応をなされなければならないと思います。この「FIFAワールドカップ開催条件」にビザの発給ということがございまして、これは政府の保証を要求しているわけでありますが、こういったものについての法務省の考え方をお聞きしたいというふうに思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 先ほども申し上げましたように、現在どこからも何の話も私を含めて事務当局にもございません。お話があるならば十分聞かしていただいて、検討したいと考えております。  ただ、オリンピック等でそういう経験もしている、またアジア大会等にも各国の選手やら役員の皆さんを受け入れるわけでございます。それらの大きな国民のすべて歓迎するようなスポーツ大会あるいはスポーツの祭典、こういったことは、斉藤先生御指摘のとおりでありますので、それらも踏まえてお話があれば対応を考えたい、このように思っております。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 今大臣から、そのような国際的な、また権威ある大会については最大限の協力を惜しまないという御発言をいただきました。招致された場合は、その大会が成功するようぜひ御協力をいただきたいというふうに思います。  僕の持ち時間があと十分ほど残っております。そこで、せっかく時間がございますので、大臣の政治姿勢ということについてお伺いをしたいというふうに思います。  大臣は、二世議員でおありになるということ、また中国吉林省長春のお生まれで、そして戦後日本へ引き揚げてこられたというような経歴、御苦労もおありになったというふうに聞いております。また、昭和十七年生まれでいらっしゃいまして、そして慶応大学出身ということになると、どうも小沢一郎さんと同じ背景じゃないか、こういう感じもいたすわけでございます。  まず最初に、せっかくですから、昭和十七年生まれの慶応大学、小沢一郎さんと一緒だということで、小沢さんに対する感想、見方、これは法務大臣ということではなくて政治家個人として、同じ学友ということでお伺いしたいと思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 小沢一郎議員と余り過去に接触したことはございません。過日、民社党の仲間と一度食事の機会がありましたときに、昭和十七年生まれ、同じ慶応大学の経済学部で、あなたは何年に入塾したのだと聞きましたら、私より一年後でございまして、卒業は彼の方が二、三年早かった。私、ちょっと父親の秘書をいたしておりまして、学校を休んだりいたしておりましたので、卒業年数が遅うございました。そんな感じの話をしたことを先生の質問で思い出しております。  私どもと同じ年代ながら、当選回数もはるかに上でございますし、大変政権の中軸に長くあって、私どもよりもはるかに大きな仕事をなさっておられるな、こんな思いをいつも持っております。彼の考えている方向というものについては、余り直接聞いておりません。いろいろなマスコミ等を通じて漏れ聞いているぐらいでありますが、私ども同世代の者が持っている感覚、共通のものもあるかな、こういう思いも抱くこともございます。  ただ、同じ五十一、二でありますから、少し急ぎ過ぎられるのかな、なぜ、どうしてあんなに急ぐのかなという思いは時々持つことがございます。そこら辺が私自身と小沢さんの今の差になっているのかなという感じもありますが、私は私なりのペースで行くんだ、こんなことを言い聞かせながら今日まで至っております。  まとまりませんが、率直な思いでございます。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 今、大臣の率直なお話をお伺いして、小沢一郎評というのを聞いたわけでありますが、たしか交通安全の標語にこんなのがあったのを思い出したのですね。狭い日本そんなに急いでどこへ行くというようなのがあったような気がいたしまして、立派な政治家だとは思いますけれども、世に合った、また、国民の支持がなくてはいかぬのかなという感がいたすわけでございます。  そこで、今回、閣僚の資産公開がなされたわけでございますが、大臣も資産公開をなされまして、コメントでこういうふうにおっしゃっているのですね。親子で野党として四十年まじめにやってきたが、大体こんなものかな、借金は十年前に新築した家のローン、こう率直なコメントを載せられておるわけであります。一方、民間から当選をいたしまして、そして二年目にして大臣になった浜四津さんという環境庁長官がおられるのですが、長官についてはこのようなコメントを新聞で報じているわけです。「政治家になったからといって、自分なりの人生設計で行った財産形成まで公開するのは本来の趣旨から外れている。ここまで公開しなればならない政治不信は残念だ。」こういうふうに浜四津さんはおっしゃっているわけでありますが、大臣は、この政治家並びに閣僚の資産公開についてどのようにお考えでいらっしゃるか、お伺いしたいと思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 いろいろな機会に、この資産あるいは資産公開のことについていろいろとお尋ねをいただきますが、こういう時代でありまして、自分の資産を公開いたしまして、余りに少ないので、時々恥ずかしいという思いを感じるときもございます。同時に、そういう中で御支援をいただいてやってこれたということに誇りも持っております。  同時に、この資産公開の制度というのは、いろいろと御批判もあり欠陥もあるのであろうかと思いますが、私は、続けていくということが大事だ、そして、政治以外の分野で資産を形成なすった方は、それはそれで立派であって、ただ、政治家をやっている間に政治家であるために資産がふえたか、こういったことが常にチェックされるということは、一つの政治改革という時代にふさわしい制度であろうか、このように考えております。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 確かに、大臣は、さらにこのようなコメントを出されているのですね、一回きりでなく続けていくことが大事だ。今そのような趣旨でお伺いをいたしたわけでございます。  平成四年十二月十六日に、政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律というのが成立いたしておりまして、実はそういうことを踏まえて今回の資産公開ということになっているわけであります。閣僚の場合は奥様も含めて自己申告ということでありますが、この第七条に「都道府県及び地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市の議会の議員並びに都道府県知事及び市町村長の資産等の公開については、平成七年十二月三十一日までに、条例の定めるところにより、この法律の規定に基づく国会議員の資産等の公開の措置に準じて必要な措置を講ずるものとする。」ということで、来年、平成七年末までには知事さん等々もこの資産公開を行うべきだ、こういう法律になっているわけでありまして、一緒にこれは成立させていただいたわけであります。  実は、先週ですか、愛知県でまた不祥事が起きて、非常に残念に思っておるわけでありますが、愛知県の場合、知事さんではなくて副知事さんが逮捕されたという経緯になっているわけであります。この事件も大変残念なことでありますが、先ほど説明いたしました法律では、副知事さんは含んでいないのであります。その辺の、例えば知事のみならずというようなことを考えた方がいいのか悪いのか、その点、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 私も、かつて選挙制度の改革の特別委員会の理事なんかもいたしまして、いろいろな各党間の論議に加わってまいりました。しかし、そういう論議の中で、副知事さんまで入れるという話は、実は先生のお話が今初めてであろうか、このように思います。  地上自治体の権限、そして地方自治体の財政、そして地方自治体の首長さんがこのごろ多選化をしている傾向、これらをすべて含めて考えていかなければならないことであろうか。同時にまた、ゼネコン疑惑等にかんがみて、かなりの汚職摘発があった、こういう時代背景もございます。しかし、これらの問題について御議論いただくのは、やはり国会の各政党間であり、また、地方自治体それぞれの条例の中で御判断を賜るものだと考えておりまして、法務大臣としては、直接的にどうこうという意見を言うことは差し控えさせていただきたい、このように考えています。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 時間がなくなりましたので、最後に、大臣は、中国でお生まれになって大変御苦労されたということをお伺いしております。前法務大臣が、中国の南京事件にかんがみて、この発言によって辞任をされたという異例の事態になったわけでございますが、大臣就任時の新聞報道によると、いわゆる南京大虐殺事件について、大臣は、残虐な行為をしたのは事実、こういうふうなコメントを出されております。大臣の南京事件に対する考えを改めてお伺いしたいというふうに思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 あのときの記者会見は、急速呼び出されまして、思いもかけぬことで何の準備もなしに記者会見に臨みまして、そこで、いわゆる南京虐殺事件のことについてあなたはどういうふうに思っておるか、こういう質問をいただいたと思っております。  私自身は、その時点で、いわゆる南京虐殺事件については、国内においてもいろいろな論議があることは知っている、しかし、いずれにしろ市民やらあるいは向こうの人に御迷惑をかけた残虐な行為があったことは事実であろう、そして、このことは率直におわびをし、次の世代にも伝えていかなければならないことであろう、このように答えたことを覚えておりまして、今もその気持ちのとおりであります。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 最後の質問にいたします。  そこで、大臣、残虐な行為という言葉をしばしばお使いになられる。前大臣は、南京大虐殺はなかった、こういうことで問題になったわけでありますけれども、大臣の言う残虐な行為と大虐殺とどのように違うのか、御説明いただきたい。というのは、たしか大臣の発言の中で、残虐な行為はあった、ただ、その規模についてはわからぬというような趣旨の発言も報道されておりますものですから、規模についてはわからないけれども残虐なのかどうか、その辺を最後にお聞きしたいと思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 永野先生がどういう形で発言をされ、どういう思いをこの事件に関してお持ちかは、御当人から直接聞いておりません。しかし、あの南京入城の後、いわゆる兵隊でない一般の中国国民の人たちが、殺されたりあるいは傷ついたり、かなりの多数の人たちがそういう被害を受けられた、そのことについて私は、残虐な行為があった、こういう形で認識をして申し上げているところでございます。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員 終わります。ありがとうございました。

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 山本有二君。

山本有二自由民主党

○山本(有)委員 大臣におかれましては、突然の御就任で、しかし、にもかかわらず懸命な御努力のもと法務行政を推進されておられますことを、大変感謝を申し上げる次第でございます。しかし、多事多難でございますので、今後、なお一層気を引き締めて御活躍をいただきたいと思います。  そこで、まず、一番最近の犯罪白書、これに基づいて冒頭お伺いするところでございますが、犯罪白書の巻頭には「犯罪の概観」という欄がございまして、いわゆる日本における犯罪の認知件数がどんどんふえておるわけであります。昭和二十一年からこれは右肩上がり、まさに経済成長と同じぐらいであります。件数にしまして二百三十五万五千五百四件、これが平成四年の一番新しいデータで、交通関係の業過を除きますと百七十四万二千三百六十六件、そして、その増加傾向。これは一体どういうことに基づくのか、法務省が把握していなければそもそもの法務行政というのは全く成り立たないわけでありまして、犯罪を認知する、そういう仕組みが充実したというだけではなくて、なぜこの社会に犯罪がこんなに多くなってきているのかという原因、対策、そういったものがしつかり考えられていなければならぬわけでありますけれども、この点について、大臣にお伺いさせていただきます。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 先生御指摘のように、交通関係の業務上過失致死傷を除いた刑法犯全体の認知件数は増加傾向にございます。その原因等については、さまざまな要因が関係していると思われて、一概に申し上げることはできないと考えております。  しかし、私就任いたしまして、いろいろと説明をされました中で、例えば自転車の窃盗等、これらが非常に増加してほったらかされているんじゃないか、こんなことを含めてもう少し詳しく分析をしてくれとお願いもいたしておりますけれども、一概になかなかこれだと言いにくいというのも実情であろうかと考えておりますが、御指摘のような状況にあることは事実でございまして、今後とも、良好な治安の確保と法秩序の維持に全力を挙げて努めてまいりたい、このように考えております。     〔委員長退席、斉藤(斗)委員長代理着席〕

山本有二自由民主党

○山本(有)委員 確かになかなか難しい点ではありますけれども、この把握ができなければそもそも法務行政が成り立たないわけでありますから、ぜひこの点についてしっかりと分析、検討をお願いいたします。  認知件数はふえておりますけれども、減っておるのが検挙人員でございます。検挙人員、すなわち、捜査機関が犯罪者と目される人を把握したかどうかということにつきましては、昭和二十一年から見ましても非常に減っております。特に最近減っております。最近認知件数はふえて検挙人員が減っている、こういうことであるならば、捜査の怠慢と言われても過言でないわけですね。一体どうして検挙人員が減少しているのか、これについても大臣の把握、お考えをお聞かせください。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 御承知のように、第一義的には検挙は警察の担当でございまして、法務大臣がこういう公式の場でとやかく言うのは、せっかくのお尋ねでありますけれども御遠慮を申し上げたいと考えております。

山本有二自由民主党

○山本(有)委員 確かにそういう御遠慮をされることもいいかもしれませんけれども、犯罪白書の冒頭に書いてある検挙人員グラフでして、それでグラフでこうなっているということで、国民もこのグラフ簡単に見ただけで何でかなと思うのが通常なのですよ。それについて、一般的な答弁も控えるというのは、それは大臣、積極的に頑張っていると僕は思っているのですから、それについてはどうぞ自分のお言葉で言っていただきたいと思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 御激励をいただきながらまことに申しわけのないことでございます。  しかし、法務大臣として、裁判のことあるいは警察のことをどうだこうだと、たとえ分析であろうと申し上げるというのはやはり差し控えるのが適当ではないか、こんな思いでやっておりますので、御理解のほどをお願いいたします。

山本有二自由民主党

○山本(有)委員 法務は検察行政も含んでおるわけですし、そうすると、捜査権というのもあるし、一番大事な公訴権というのを裏づけるわけですから、その点におきましては遺漏のないようにすべきでありますし、国民の期待というのはそこですから、どうぞひとつこれについては、しつこく聞いても仕方ありませんけれども、しっかりやっていただくように大臣から省内に威令をとどろかせていただきたいとお願いを申し上げます。  法務省刑事局長さんあるいは官房長にお伺いしたいのですが、では、犯罪は増加しても検挙が少ない、こういう事実についてどうお考えであるかをお聞きいたします。

則定衛法務省刑事局長

○則定政府委員 大臣の答弁もございまして、事務当局から直截にお答えするのはなかなか難しい問題でございますけれども、私ども検察をケアする立場から、最近の検察活動の重点ということをいろいろと聞くわけでございますが、そこでは、やはり治安の根幹にかかわるような犯罪事象について重点的な検挙活動が行われておるというふうに承っておるわけでございまして、先ほど大臣も言及されましたような、いわば軽微な犯罪に対するマンパワーと機動力の投入よりも、いわば凶悪犯罪あるいはその他の社会の法秩序に深く影響を及ぼすような事象について重点的な活動が行われているといったことも反映しているのではなかろうかというふうに受けとめておるわけでございます。

山本有二自由民主党

○山本(有)委員 もう少し分析がシャープにいただければありがたいと思うのですけれども、いずれにしましても、犯罪はどんどん増加しているけれども検挙件数は少なくなっている。すなわち、それは社会に不安を起こすわけでありまして、その不安は重圧となって検察の両肩にかかってきている。つまり、国民は、検察頑張ってほしい、警察も頑張ってほしい、早くいろいろな犯人を検挙してどんどん懲らしめてほしい、こういうように思っているけれども、それにどうもこたえられていない、ここに今の検察行政の社会の中の位置づけがあるような、私はそんな気がします。そこに私はどうも何か検察官の捜査等々、これに焦燥感を覚えているのではないかというふうに思うのです。その点において、どうですか、犯罪が増加して検挙が少ないということにおいて焦燥感を覚えたり焦り等々の、いわば何ともいたし方ない、ただ思いは社会正義実現だ、だけれどもどうしようもない、そんなふうな気持ちはないのですか、率直にお伺いします。

則定衛法務省刑事局長

○則定政府委員 ある意味で検察活動に対する激励といいましょうか期待といいましょうかというふうにも受けとめさせていただくわけでございますけれども、いわゆる検察官の活動、特に捜査活動及びその処理といいますのは、委員御指摘のとおり、個々の被疑者に対する嫌疑の有無について証拠と法に基づいて適正な判断をしていくということでございます。いわば、個別ミクロの分野ということになるわけでございまして、これをしっかりと処理していくということが国の全体の法秩序、ひいては犯罪事象に防圧としての効果を及ぼすということになろうと思っておるわけでございます。  今御指摘のような犯罪の認知件数の増加という点、これらも中身の問題、例えば薬物事犯あるいはけん銃事犯とかいろいろございます。これらの問題につきましては検察もよく踏まえまして、それぞれ個々の案件の処理について反映させていく、こういう姿勢でございます。  したがいまして、全般的な犯罪事象から焦りを生じて職務執行についていささか問題が起こるのではなかろうかという御指摘については、私どもが今申しましたような理由から、そういう点はなかろう、こういうふうに考えておるわけでございます。

山本有二自由民主党

○山本(有)委員 検察の仕事は個々のケースに応じてやるわけだから焦りはないというわけでありますが、これは本当に卑近な例です。六月一日付の朝日新聞夕刊でございますが、金沢元検事に有罪判決があったという記事の中、東京地裁竹崎裁判長の判決理由の中で、「かねてから希望していた東京地検特捜部に応援として派遣され、世人の注視している重大事件の捜査に携わることになった気負いと功を焦る気持ちから、自己の期待する供述を性急に求める余り暴行に及んだもの」、こういう動機の認定が裁判所でされておるのです。  つまり、金沢さんという検事さんが別に破廉恥行為を職務外でしたわけじゃなくて、まさしく犯罪捜査という点において職務上焦りを感じてと、職務上焦りを感じていたけれども彼が自白を参考人から引き出すことができない、しかしこいつはやったのだという有罪心証のもとに何とかしてという気持ちからこういう事件が起こっているということなわけでございます。そうすると、焦りというのは私はないわけじゃないと思うのですけれども。さて、こういう判決理由に基づいた焦りという竹崎裁判長の判決理由等をお示しさせていただきましたけれども、この点を踏まえて再度御答弁いただきたいと思います。

則定衛法務省刑事局長

○則定政府委員 今の判決理由の説示は、金沢元検事の法定における供述といいましょうか、あるいは関係者の証言等を踏まえて認定されていることだと思います。  焦りという点は、これはいわば冒頭に御指摘ございました犯罪事象全体ということではなくて、地方の検察庁の検事をしていた金沢元検事が、世間の注目を浴びる事件を捜査中の東京地検特捜部に応援派遣されて、そこで期待される職責を果たしたい、また応援期間というのは一定の期間がございます。また、身柄になっております事件ですと、その処理までに許される時間という制約もございます。それらを共同捜査の中でみずからの職責を十分に果たしたい、こういう自負とそれから思うように関係者の供述も得られないといったところから、いわば心理的に焦り、こういったものが生じたのではなかろうかというふうに理解するわけでございます。

山本有二自由民主党

○山本(有)委員 先ほどの御答弁では、金沢元検事さんの個人の問題である、犯罪者個人の問題である、こういう分析でありましたが、同紙の社会面に署名記事で解説というのが載っておりまして、そこにこのようなことが書かれております。「検察側は、今回の事件が組織や捜査の在り方と関係するのか、あるいは、それとは関係のない金沢元検事の個人の資質が生んだ犯罪なのか、」こういう点がこの事件に伴って問われることになるという分析をされております。  犯罪というのは個人が起こすわけでありまして、決して組織や団体が起こすわけではありません。しかしながら、この一連のゼネコン疑惑等々における検察の皆さんの御努力は御努力とするわけでありますけれども、巷間ささやかれるように、思うに任せない捜査だとかいうことも流布さておるわけでありまして、この点において、この社会面の記事に対する国民の疑問というのも当然あるはずでございます。  したがいまして、もう一回、今回の事件は組織、捜査のあり方に関係するのか、金沢元検事の個人の資質の生んだ単なる偶然的な個人の事件なのか、この点についてお伺いさせていただきます。

則定衛法務省刑事局長

○則定政府委員 検察組織に属します金沢検事が、その職務執行の場におきまして、今回有罪判決が出たような極めて違法性の高い行為を行ったという点、これをすべて金沢元検事の個人の資質に帰してしまうということは、職務に関連した犯罪でございますから、これは許されないことであろうと思います。  ただ、検察が現在のいわゆるホワイトカラー犯罪等に対応するのにいろいろと限られた武器の中で捜査を行うに当たりまして、必然的にそういう問題を発生しやすい状況にあるのではないかということであるとするならば、私どもといたしましては、必ずしもそういうことではないと考えております。検察の捜査というものは、事件関係者にいわば説得をする、その説得は情理を尽くし、あるいは論理、理詰めでと、いろいろとそれぞれ当該捜査官、検事の持ち味及びその後の修練といったことがあるわけでございますが、それらを熱心に積み重ねることによって、事件関係者の人権にも配慮しつつ事実の認定に迫っていく、こういうことを日ごろやっておるわけでございます。これらの点につきましては、今後ともなお一層指導、訓練を重ねて、今回のような過ちの起こらないように徹底していく必要があろう、こういうふうに考えておるわけでございまして、一〇〇%個人の問題であるというふうにこれを受けとめて、改善策あるいは再発防止策について全く問題にしないということではないという点を御理解いただきたいと思っております。

山本有二自由民主党

○山本(有)委員 こういった事件が新聞で散見されるわけでありますが、法務省当局が最近の検察官の不祥事について把握している近年の実情についてどうであるか、お伺いさせてください。

原田明夫法務省大臣官房長

○原田政府委員 お答え申し上げます。  最近の事例といいますか、これは過去類例を見なかったというふうに私ども考えておりますけれども、検事が取り調べ中の参考人あるいは被疑者に対しまして暴行を加えるというようなこととして告訴された事件が三件ございます。うち一件は、ただいま委員御指摘のとおり、既に東京地検において東京地裁に公判請求いたしました金沢元検事の事案でございます。あと二件、実は未処理のものがございます。この二件につきましては、現在検察当局において捜査中であり、またその実情につきまして職責上の観点からも調査している実情にございます。

山本有二自由民主党

○山本(有)委員 金沢元検事を含めて三件ある、そしてうち二件が未処理である、こういうわけでございますけれども、職務上行われたこの種の犯罪、未処理も含めて犯罪と呼ばせてもらいますが、これは過去ずっとさかのぼって戦後コンスタントにあったのですか、それともごく最近こういうことが出てきたのですか。

原田明夫法務省大臣官房長

○原田政府委員 検察の長い歴史の中で、もとよりコンスタントにあったというものではございません。確かに、捜査、公判の過程におきまして関係者からいろいろな形での御指摘があり、場合によっては告訴、告発がなされた件というのはかなりの件に上がりますが、この点につきましては、捜査、調査の結果、そういう事態はなかったということが判明したものがすべてであったというふうに私は理解しております。また、資料上もそのようになっております。  ただ、そういう観点から申し上げますと、まさにこの金沢元検事につきましては、御指摘がなされた後、検察当局におきましても、法務当局におきましても直ちに厳正な処置をとるべきだということで、本人につきましては、身分上の措置といたしましても懲戒免職という形で最も重い措置もとらせていただきましたし、検察当局におきましても、同僚検事でございますが、他の検察官において逮捕、勾留した上厳正な取り調べをして公判請求をしたということで、これについては、事件そのものについて大変な衝撃を受けた、そういう観点からそのような措置をさせていただいたというふうに理解しております。  そういう意味で、他の二件についてもそういう観点から現在慎重かつ厳正な調査及び捜査をしているものということで、最近のことかというお言葉でございますけれども、コンスタントにあったということではなくて、最近におけるいわば顕著な事案ということで、それゆえに衝撃も大きく、また対策も十分にしなければならないというふうに考えている現状でございます。

山本有二自由民主党

○山本(有)委員 金沢元検事というのは特別公務員暴行陵虐致傷罪、こういう罪名でありまして、検事の職務上の行為をめぐって同罪の成立が認められたのは初めてなんですね、職務上検事さんが調べている相手方に暴行陵虐を加えたのは。有罪も初めて。  そうすると、これを考えてみますと、一つにはこんな検事は初めて出てきた、不届きな検事が出てきたということも言えるわけですけれども、逆に言えば、今まで包み隠してきておったような、疑惑は持たれておったかもしれませんけれども、しかしそれをお仲間が、いやこれじゃだめだ、我々も綱紀粛正して、こういうところは明らかにして、とにかく赤心を、みずからの心を全部さらけ出して、お互い悪いことは悪いで認め合おうじゃないかという意味で同僚検事が同僚を起訴した、こういう意味においては検察官同士の物の考え方が変わってきたということが言えるかもしれません。  さらには、私はこういうことを思うのです。戦後教育というのは、私も戦後教育を受けた一員でございますけれども、教育の中で情よりも知、知識偏重。特に司法試験、これまた知識偏重の最たるもの、昔の中国の科挙に等しいと言われて久しい。そういうような中で何を選んできたのかという中で、特に人情が問われる捜査、一対一で対面したときに、ああこの検事さんの前ではうそっけないなというような、いわば人間の大きさというものを要求される捜査の段階にあって、単なる教科書をそのまま言うというような検事さんがもし多くなったとするならば、私は国民は非常に危惧を覚えざるを得ないし、とにかくこういう法務、検察に対する信頼がますます失われてくるだろう。やはり大岡越前というのが日本の純風美俗に合うわけでありまして、そういう意味では、人間を磨いて、そして捜査における情というものをいただける、そのテクニックが先輩から後輩に順次受け継がれているのかな、どうもこのことが受け継がれてないのではないか。  そうすると、そこがまさしく犯罪における一番重大なことであって、本来改善ができるはずなのです。本来、こういう検事さんを生むことがなかったはずなのです。ただひたすら、自転車窃盗が多い、あるいは覚せい剤の事犯が多い、外国人の犯罪が多くなった、苦情も大変山積をしておるという中で、検事に、この処理をしろ、一月五百件だというようなことでどんどん事件を配点していく。ただそれだけが、配点するだけが上の役目であって、実際に最先端で捜査している個々の検事に対する、おまえどうかと、本当に先輩として、心からいたわりながらその人の能力を引き出していくということが欠けておったのではないかというような気がするのでありますが、この点においていかが考えておられるか、お伺いします。

則定衛法務省刑事局長

○則定政府委員 検察活動の日常の運営に関しますので、私からお答えさせていただきます。  今相当広範囲にわたります、検事の採用から指導、各般にわたります最近の現象といいましょうか、これは戦後世代、特に最近任官いたします若い世代についての御指摘のような傾向というのもあるかもしれません。  また、指導は日常の事件処理を通して行うということが一番効果的であるわけでございまして、その点につきまして、いわゆる決裁官が若手検事につきまして具体的に調べ方を含めて指導していく、これは決してなおざりにするものではなくて、日常よく次席あるいは部長検事から行っているわけでございます。  しかしながら、今回相次いで事件関係者に対する有形力の行使があった、あるいはあると思われるという現状にかんがみまして、私どもは、採用から指導育成、日常業務の場における、決裁の場における研修、あるいは指導、あるいは調べ室の配置の問題等も含めまして、原点に返って対応策を考えてみる必要があろう、こう思っております。

山本有二自由民主党

○山本(有)委員 先ほどの、自民党の斉藤委員からもこの点についてはお伺いをさせていただきましたし、長く質問をするつもりはありませんけれども、捜査技術の修練というような具体的なことについて、法務省は研修所等をお持ちでございますけれども、そういったところで具体的にこの修練等を行っているのかどうか、そしてその修練のやり方というのはどういうことなのか、わかる範囲で結構でございますから、お答えいただきたいと思います。

原田明夫法務省大臣官房長

○原田政府委員 検察官一般に対する指導等につきましては、まず検事の場合でございますが、任官一年間はいわゆる新任検事と称しまして指導、教育を行います。  その後、任官年数に応じまして、一般的な素養、教養を高めるとともに、具体的な捜査、公判等、検察実務に関します基本的な技術、技能、知識の習得を目的といたしまして、さまざまな研修がなされてまいります。三年程度たちました者に対しましては、一律に一般研修。また、それから数年たってまいりますと、捜査あるいは公判ごとにそれぞれ専門的な知識、技能を要する事犯に対する能力を高めるという意味での専門研修を行っている。これは中央の法務総合研究所等でなされるものでございます。  ただ、従来伝統的には、検察の捜査及び公判に関する基本的な技術、技能というものは、やはりオン・ザ・ジョブ・トレーニングと申しますか、個々の具体的な事件に当たりまして誠心誠意対応していく、その中で悩み、考え、一つ一つ知識及び経験を積んでいくということで能力の向上を図ってまいる、それに対して、先輩に当たる決裁官あるいは同僚からもいろいろな形での助言がなされていくということで行ってまいりました。  先ほど刑事局長から御答弁申し上げましたとおり、これらについても、現在もう一度さらに見直して、新たなこのような事態を踏まえて適切に対応できるように最大限の努力をしていこう、その中で、新任検事制度というものにつきましても、従来の枠を超えて、もう少し基本的なものにつきましては、いわばオン・ザ・ジョブのトレーニングに偏ることなく、集中的に基本的な物の考え方というものを深く突っ込んで、伝統的な検察の物の考え方、そして、一たん事を誤りますと一般国民の方を含めて関係機関にも御迷惑をかけるということを念頭に置きまして新たな対応をしていこうということで、そのためのカリキュラムを含めた対応の仕方について、現在関係の部局で真剣に協議を続けさせていただいているところでございます。  これらにつきましても、施設その他についても現在諸般の状況を踏まえて検討しているところでございますが、そのプログラムの詳細ができてまいりましたら、これにつきましてはまたいろいろな形で明確にお示しさせていただきまして、後継者の確保と養成に今後とも最大限力を入れていかなければならないと考えております。  そういう点で、ただいまいろいろな角度から御指摘いただきました点を十分参考にさせていただきますし、今後ともいろいろな角度から御指摘いただければと考えております。

山本有二自由民主党

○山本(有)委員 これまでのいわば研修システムということを根本的に見直していただかなければならぬ時期が来ているような気がいたします。  我々の社会はストレスの社会だと言われておりますが、特に捜査に当たられる第一線の検事さんのストレスというのは、並み大抵のものではないと僕は思うのです。特に検事さんの知識水準や教養水準、文化水準から、いわゆる被疑者、被告人となったような人たち、大変恵まれない人たちではありますけれども、そういう人たちと話をする中で、みんなやはり罪を逃れたいわけですから、だからそこに言い逃れやうそがあってもそれは当然のことなのですが、そういう会話の中、そういう心配の中、精神構造の中で真実を明らかにするというのは、ストレスばかりなのです。このストレスに対するいわば社会的な認知、検事さんがストレスを覚えるということを社会が本当に知っているのか。そして、ストレスを解消するように法務行政もその点について温かく研修システム等々あるいは休暇のとり方ということをやっているのか。とにかく事件を処理するだけ、検挙件数が少ないから早くやれ早くやれ、多くやれというだけで済ましているのではないか。個々の検事に対する愛情、それから事件処理に対する一つの正確さ、完成されたもの、こういうものをつくるための法務行政に欠け過ぎてはいなかろうか。  心身の管理、ストレス、そういったものに対して法務当局がもっと真剣に考えてやらなければ、検察官になる人はおりませんし、なってもすぐやめますし、いわばこういう不祥事もこれからどんどん出てくる、私はこういうことだろうと思いますので、この点についての法務行政、一番大事ですから、この点の覚悟というか、今後の改善の方向について、大臣とそれから法務省当局にお伺いをさせていただきます。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 先ほどから山本先生、また斉藤先生からもそれぞれ御指摘を賜りましてお答えしましたように、まことに残念で、あってはならないことが起こった、この思いでいっぱいでございます。個々の御指摘について個々にお答えをするというわけにいかぬかとは思いますけれども、先生の御指摘の全体の流れ、私はそのとおりであろうか、このように承知をいたしております。同時に、検察当局におきましても、大変大きなショックと反省をいたし、今お話がございましたような点も含めて、対応策を鋭意協議していただいておると思います。  六月一日に判決がおりまして以来、御承知のような国会情勢でございまして、私もまだほとんど法務省大臣室へも座っていられない状況でございますが、本日御指摘のありましたお話を含めて、十分検察当局に伝えて、対応を急ぎたいと考えております。  反省をしていかなければならないと同時に、萎縮してはならない。やはりプライドを持って法秩序維持のために、また同時に、人間らしい感性を持ってこの仕事を全うしていただく、そしてその中で国民の信頼をいただく、このことも大事だ。そういう両面から、十分な対応ができるように指導してまいりたいと考えております。

原田明夫法務省大臣官房長

○原田政府委員 大臣から基本的な考えが示されましたので、蛇足でございますが、法務当局といたしましても、ただいまの山本委員の指摘はまことに重要であると受けとめております。  山本委員は、同じ法曹として、検察の現場についてもその実情をよく把握された上での御指摘ということで、なおさらでございますけれども、検察の第一線における検察官のストレス、またかかってくる重圧というものについての基本的な御認識の上に立っての御指摘ということで、それだけに、私どもとしては大変ありがたく思うと同時に、そういうことがあるから職務執行について一点の誤りも許されないという考えを一方に持ちつつ、しかしながら、そのようなことが起こってまいりますと、とんでもない不祥事が起こるということも認識いたしまして、そういうことを少しでも解消できるための、例えば職務のあり方であるとか休暇のとり方であるとか、あるいは一般的な教養、世の中に対する目の広げ方であるとか、それらにつきましてもこれからますます重視してまいりまして、それを具体的に実現していくように、一層努力させていただきたいと考えております。

山本有二自由民主党

○山本(有)委員 ぜひそういうように御努力いただいて、二度と金沢元検事のようなことが起こらないように、御努力を再度要請させていただきます。  犯罪は増加する、しかし検挙は十分に伸びない、そしてその中で焦りを覚える、私はそう理解しておるわけでありますけれども、その焦りの中で、そして現状の検事さんの捜査技術、そういうレベルの中で、私は二つの方向に検察官の心が動いたのではないかというように危惧するところでございます。  その一つは、先ほど言いましたように、なかなか捜査がはかどらない、そして参考人を連れてきても不祥事、暴力事件を起こしてしまうという方向。もう一つの方向は、有罪の心証を持っている、しかし証拠がなかなかない、自白も得られないということで、マスコミはどんどん自分たちのところへ来る、マスコミの人たちは警察官や検察官が全部明らかにするという期待を込めておると思いますけれども、しかし、そういうマスコミの人たちが来ることに対して、特に話題の多い事件に対してマスコミへのいわゆるリーク、公表、こういうことが行われているのではないかという、私は非常に危惧をするわけでございます。  証拠不十分だから起訴はできない、起訴ができなくっても有罪の心証は確実にある、そこに、やってはならぬいわゆる制裁の意欲、リンチ的なマスコミへのリーク、欧米で言われておりますペーパートライアル、すなわち不当な社会的制裁を紙の力でやってしまわないかということでございます。この捜査対象の参考人、被疑者、被告人は何でもしゃべるだろう、しゃべらなかった場合許しはせぬぞというような思い、これは捜査をする者にとっては仕方がない部分かもしれませんが、近代国家、民主主義国家では絶対やってはならぬことでございます。  そこで、ペーパートライアル的な事件があってはならぬという意味を込めまして、このことをお伺いするわけでありますが、一般的に、現在法務省の記者クラブでの会見といったものは、個々の事件に対してどういうような基準、どういうような時期、内容で行われているのか、それをお伺いいたします。     〔斉藤(斗)委員長代理退席、委員長着席〕

原田明夫法務省大臣官房長

○原田政府委員 お答え申し上げます。  法務省の記者クラブにおける会見という点でございますが、御指摘のとおり、法務省に関係する記者クラブといたしましては、裁判所に関係する司法記者クラブと検察庁に関係する法務記者クラブがございますが、主として検察庁を対象とする記者クラブとしてはそういうものがございます。それと、現在法務省の法曹記者クラブがそれとは別に、主として政治部関係の記者で構成されるクラブでございまして、これは法務省の中にあるクラブでございます。そういうわけで、法務省本体にあるクラブと検察庁、裁判所を主としてカバーされるクラブと二つあるわけでございます。  法務省の記者クラブにおきましては、慣例といたしまして、法務大臣の就任時あるいは閣議後に定例的に記者会見が行われておりますほか、その他の記者クラブからの要請に基づくもの、また、法務省側から申し入れまして不定期的に行われる法務大臣また関係部局による対応による会見というのが行われているものでございます。  ただいま御指摘の事件そのものの捜査処理に関する会見と申すのは、主として検察庁が独自に対応するというもので、私もその詳細については存じませんけれども、定例的に、例えば地方検察庁でございますと次席検事が、対応するクラブの方々とお会いして、事件の概況等について重立ったことについて御説明申し上げ、また質疑に応じているというふうに承知しております。

山本有二自由民主党

○山本(有)委員 法務省の会見はわかりましたが、個別事件において、東京地検特捜部を含めて、各地検でどのような基準で会見をしているのか、このことについてお伺いします。

則定衛法務省刑事局長

○則定政府委員 大きな規模の検察庁と中規模以下の検察庁では、頻度、対応がいささか違うかと思いますが、代表的な東京地検におきましては、毎日午前と午後に対応する司法記者クラブの方々と次席検事が会見しております。そこで、その時点で処理あるいは裁判の言い渡し等がありましたものにつきまして、その概要及びコメント等を発表させていただいております。  中規模以下の検察庁におきましては、マスコミ側が関心を持つような案件が捜査なり公判なりで係属しておるという場合にこれは大体行われるわけでございますが、これまた当該検察庁の次席検事が適宜会見させていただいている、こういうことでございます。

山本有二自由民主党

○山本(有)委員 次席検事のそういう公の会見以外で、例えば捜査検事、記者さんというのは我々の宿舎に訪ねてこられたり、もちろん昼間事務所に来られたり、大変熱心でございます。熱心なゆえに、一番のニュースソースは捜査検事だ、当該事件を一番正確に把握するのは捜査検事だ、こうなった場合、記者さんは密接に関係をしていくだろうと想像をしております。多分そうだろうと思います。その場合に、検事さんはその記者さんとの関係をどう保っているのか、どう処理しているのか、ここの捜査検事と記者との関係についてお伺いいたします。

則定衛法務省刑事局長

○則定政府委員 これまた大きな検察庁と小さな検察庁では違うかと思いますが、東京地検におきましては、大型の事件は一般的に共同捜査を行うわけでございまして、関係する検事の数が多数になるのが通常でございます。その場合を含めまして、直接的には今申しました次席検事が対応するわけでございますが、捜査過程における取材等につきましては担当の副部長以上の地位にある者がこれを行う、それ以下の検事、主任検事を含めまして、平たく申しますと平検事と申しましょうか、これについては接触していただかないようにマスコミ各社にお願いしておりますし、またそれぞれの検事にもその旨を徹底させているわけでございまして、そういう配慮のもとでできるだけこの一元的な対応あるいは少数による対応によりまして情報管理を徹底するというふうに努めているわけでございます。  地方におきましては、次席検事が先ほど申しましたように通常対応するわけでございますが、例えばそれ以下の若手検事が主任検事になるという場合に、それぞれの地元の駐在の記者の方々に主任検事が対応する、こういうことも行われているように承知しております。そして、その結果につきましては必ず次席検事に報告する、こういうふうな運用がなされていると承知しております。

山本有二自由民主党

○山本(有)委員 次席検事の発表でも、あるいは部長以上の担当捜査検事のそういう発表でもこれは問いませんが、逮捕された段階の被疑者あるいは公訴提起された被告人、ここぐらいまでで固有名詞、実名を挙げて発表するということがあり得るのか、あるのか、さらに、それ以前の任意同行の段階で実名を挙げてこれを発表することになるのか、さらにその前の嫌疑の段階、単に疑わしいという段階で実名を挙げることもあり得るのか、それついてちょっとお伺いさせていただきたいと思うのです。  いわばそういう発表がなければとてもこんな記事が書けないという記事が、三大新聞でも公然と社会面あるいはいろいろな面に出てくるわけでございますが、その点について、情報管理、そしていわば嫌疑を受けた人たちが一体どの段階で固有名詞として公表されていくのかという点についてお伺いをさせていただきます。

則定衛法務省刑事局長

○則定政府委員 実名を挙げての発表、これが行われますのは、基本的には強制捜査が行われる、あるいは起訴が行われる、こういうものに限って行っておるわけでございます。したがいまして、その前の段階におきます内偵捜査あるいは任意同行、こういった段階で実名を挙げて記者発表するという運用は行われていないと承知しております。  いささか、何といいましょうか、御質問、いわばペーパートライアルということでございますので、その点に関連した御答弁をさせていただいてよろしゅうございましょうか。  巷間、一部に検察リークによるそういうペーパートライアルというのがあるのではないかという御質問でございます。これは、先ほど申しましたように情報管理の面、もとより徹底するわけでございますが、いわゆるリークによって、本来なら正当な刑事手続で当該人物の刑事責任を追及できないにもかかわらず、いわば社会的制裁によってそれを当該捜査担当者が、何といいましょうか、一種の憂さを晴らすというふうに先ほど言及されたわけでございますけれども、これはもちろんあってはならないことですし、現にそういうことは行われていないというふうに私どもは考えておるわけでございます。  なぜかと申しますと、先ほど委員御指摘のとおり、検察といいますのは、その当該事案に即して、法と証拠によって刑事責任を追及していくという権限が認められておるわけでございますが、また、そういう土俵に上がってくるものについて適正な手続を遂げた上で、もし嫌疑が固まり、かつ犯情において起訴相当という場合には公訴を提起する、またそれが期待されておる役割でございます。  ところが、今委員御指摘のような方法で、本来刑事責任が問えないケースについて、あたかもそれが一定の犯罪を犯したものであるがごとくリークするということがあったといたしますれば、それらがマスコミに伝えられ、国民の関心を呼ぶということにつながるわけでございます。その場合の反応は、検察は現に嫌疑を固めて起訴できなかったじゃないか、こういう反応になるのが必定でございます。ということは、みずからがもし仮にそういう行為に出た場合には、自分たちの首を絞める、評価を失墜させるということが目に見えておるわけでございまして、こういうことを検察がみずから好んで行うということはあり得ない、また考えられないというふうに私どもは受けとめておるわけでございます。  では、どうしてそういったふうに受け取られる報道がなされるのであろうか。これは、その問題についての真相究明をするのは大変難しいところではございますけれども、御案内のとおり、最近のマスコミにおきましては、いわゆる調査取材という活動に相当のマンパワーを割いているわけでございます。事件関係者に直接取材するという場合も少なくないわけでございます。また、それぞれの特別の取材能力等によりまして、場合によりますと、検察捜査よりも先走って一定の構図というものを構築するというほどのこともあり得るわけでございます。  そういったことで、社会から見ますと、検察がまさにそれに焦点を合わせてやっている捜査活動の内容がそのまま記者に流れているのではないかというふうな誤解を招く場合があろうかと思いますけれども、これは、重ねて申し上げて恐縮でございますけれども、決して検察サイドからそういうふうなリーク、あるいは先ほど御言及されました意図のもとに特定の者に特定の情報を流すということを行ってはいないと考えておるわけでございますし、またそういうことはないと確信しておるわけでございます。

山本有二自由民主党

○山本(有)委員 刑事局長のお話、本当にそのとおり承りたいと思います。だけれども、実際に、現実に局長さんがお話しになられたように、誤解を生むという記事があることは事実だろうと僕は思うのです。そうすると、ひいてはこの記事がある以上は、検察庁の信用とか信頼とか、そういうものがうせてしまいはしないかという、国家機関の、特に法務司法行政に対する信頼が欠けたときの国家の存在、あり方等々を考えるときに、私は非常に危険を感じるわけでございます。  したがって、第四の権力、どこからもチェックを受けることのないこのマスコミ犯罪報道、こういうものがこのまま野放しで、このままどんどんどんどんエスカレートしていくということになるならば、私どもはいささかのちゅうちょとまたいささかの懸念を覚えざるを得ない。そうすると、政治権力でもって表現の自由のあるこのマスコミに我々が介入をするというこれまた大変危険なことも考えられるわけでございまして、そういう憂慮すべき事態に今検察当局も置かれ、法務当局も置かれているというように私は把握しております。  したがって、この点をうまく解決していかなければ国家機関自体が国民から信用を失い、国自体が崩壊する、民主主義が崩壊するだけでないというような観点におきまして、また午後に質問を継続させていただきますけれども、こういうことを本当に、その問題意識、憂慮する事態であるということ、これを刑事局長さんとともにその認識を共通にしたという点において、午前中の私の質問を終了させていただきます。

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十二分休憩      ────◇─────     午後二時三十四分開議

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村時広君。

中村時広改新

○中村(時)委員 このたび法務委員会の末席に加えさせていただきました改新の中村時広でございます。  当委員会は専門家の先生方もたくさんいらっしゃいますので、私は全くの素人でありますから、先輩諸先生の御指導をいただきますように、心からお願い申し上げたいと思います。  また、中井大臣におかれましては、このたびの御就任、まことにおめでとうございます。午前中の斉藤先生の質問の中で、中井先生は二世議員であるということ、そしてまた御尊父とは別の政党に属されているということ、そして慶応義塾大学の卒業生であるということ、こうした点が明らかになりましたけれども、実は私はこの三点セットにつきましては全く同じ立場にありまして、そういう意味から、御活躍を心から期待しつつ、質問に入らせていただきたいと思います。  当委員会には五本の法案が付託を受けておりますが、それぞれの法案ごとの質疑につきましては、後日十分な時間がとられておるようでありますので、私は今回、かねてよりこうした機会をいただいたときにはぜひともお伺いしたいなというふうに思っていた件について質問をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  質問につきましては、現在御当局の方で準備をされております拘禁二法の絡みもあるのですけれども、ある事件の事例を出させていただく中で取り進めさせていただきたいと思います。  そこで、その事件のあらまし、概要につきまして冒頭に説明をさせていただきたいと思います。  その事件とは、平成二年の衆議院選挙におきまして無所属で立候補し、落選をした某候補の運動員ら四十四名が、某候補といっても、質問が続いていきますと明らかになりますので、某候補とは不肖私でありますけれども、四十四名らが決起集会の帰りのバスの車中におきまして現金五千円を受け取ったなどとして、公職選挙法違反に問われた事件であります。この件は、実に三年半の長い年月とそして五十回にわたる公判を経まして、昨年の十月十二日、全員無罪の判決が下されたわけであります。この大量無罪判決は、昭和六十一年の参議院選挙で百二十四名全員が無罪になりました、いわゆる京極事件に次ぐ大量無罪判決でありますが、まず冒頭に、この事件に関して御当局に御認識がおありなのかどうか、そしてまた、簡単で構いませんから、率直な御感想をお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

則定衛法務省刑事局長

○則定政府委員 御指摘の事件及び判決は、昨年十月二十七日に確定しております、松山地裁での被告人三十三名に対する無罪判決のことであろうと思いますが、私ども法務当局の立場といたしましては、個別の判決につきましてコメントするということは差し控えなければならないと思っております。  ただ、たくさんの方々につきまして無罪判決が出たということであるわけでございますけれども、本来、公訴権の運用は慎重の上にも慎重に行うということで従来から検察はやってきておるわけでございまして、特に我が国の刑事裁判におきましては、起訴された者の九九・何%までが有罪になる。ということは、一たん起訴されますと、法律上は無罪の推定を受けながらも実社会においてはこれが必ずしもそうではない、こういったところもございますので、検察といたしましては、当該事案についての証拠関係等を精査して、高度の有罪判決を得る蓋然性があるときのみ公訴権を 運用しているというふうに私どもは確信しておるわけでございます。

中村時広改新

○中村(時)委員 御認識をいただいているということで、安心をいたしました。四国あたりで起こる事件というのは、これだけ大きな事件でも、関西までの新聞では一面扱いなんですが、東京へ参りますと三面ぐらいになってしまうので、御認識いただいているかどうか御確認をさせていただきました。  この事件について、もう少し詳細に述べさせていただきたいと思います。  この事件の争点は、大まかに分類をいたしますと、大体四点に集約をされます。その一つは、今申し上げたバス車中での金銭授受の有無についてという点、そして二つ目には誤認逮捕の可能性という点、そして三つ目には自白調書の信用性、そして任意性という点、四点目には捜査の違法性、暴行の有無、大体以上四点に集約をされるわけでありますが、この点につきまして、松山地裁の判決ではそれぞれ、一のバス内での金銭授受につきましては、バスの運転手あるいはガイドさんといった第三者の前で、しかもバスの中で前方座席から後方座席に向かって大きな封筒、これが現金入りだそうなんですけれども、それを手渡しで順送りに渡したとする点は極めて不自然である、また、ほかのバスでは同様の行為は認められず、現金授受の証拠はないという指摘をしております。  二点目の誤認逮捕の可能性につきましては、これはあえて某被告と申させていただきますが、某被告の当日の行動を考えますと、バスの乗車は時間的に不可能である、また、着席する席もなく、顔や体型の類似した別人と取り違えられた可能性があると判決文で指摘しております。  また、三点目の自白調書の信用性、任意性につきましては、余りに執拗、強引な取り調べを避けようと、捜査官の誘導に乗り、事実に反する不合理な供述をした可能性も否定できない、調書の信用性には疑問が残るというふうな見解を示しております。  四点目の捜査の違法性、暴行の有無につきましては、取り調べ室内においてけん銃型のライター、これをこめかみに突きつけ、引き金を引いてみせるなど、違法と見られる余地のある行動があった、捜査官の誘導の余地も認められる、判決文の中でこうした見解を示しております。  この判決を受けまして、日弁連は会長声明を出しております。こうした個別案件で、しかも再審案件ではありませんから、こうした問題で会長が声明を出すということは極めて異例のことだと聞いております。その声明は、捜査当局に対し、その捜査のあり方を批判するとともに、控訴しないように、被疑者の犠牲をいやすように、こうしたことについて求めております。また声明では、その判決内容を引用して、同事件が密室取り調べと自白強要、代用監獄の弊害を端的に示すものではないか、こうした声明を出しております。  具体的には、いろいろな提言をされているのですが、一つ目には、控訴断念による速やかな無罪判決の確定と関係捜査官の責任の明確化というふうな内容になっております。二点目は、自白強要やそのための身柄拘束取りやめと客観的捜査に基づいた捜査の徹底を求めております。三点目には、政府による被疑者段階の公選弁護人制度の実現、それから代用監獄の早期廃止着手、こうした要望をその阿部三郎会長声明の中に盛り込んで出していたようであります。  この声明、御存じでしょうか。また、御存じであればどのように受けとめておられるのか、御見解をお伺いいたしたいと思います。

則定衛法務省刑事局長

○則定政府委員 日弁連の会長声明の内容は承知しております。これは、弁護士会のこのような無罪判決に対する貴重な提言ということで受けとめておるわけでございます。

中村時広改新

○中村(時)委員 実は、先ほども触れましたけれども、こうした状況の中で、検察当局は控訴を断念されております。しかしながら、関係者の傷というのはかなり深いものがありまして、これはちょっと個別な話でありますけれども、この捜査取り調べから体調を崩されまして、入退院を繰り返し、そしてこの無罪判決の声を聞くことなくこの世を去られた方も一名いらっしゃいます。また、家庭崩壊とか人間関係をずたずたにされてしまった方であるとか、今なおその取り調べの恐怖にうなされる方もいらっしゃいます。こうした何ら補償も担保もない事件の後の辛苦というのは、恐らく数え上げれば切りがないと思います。  そこで、こうした事件というものはやはり謙虚に受けとめていくべきではないかなと思います。なぜならば、捜査当局、検察、警察に対する犯罪の違反摘発、そうしたものに対する国民の期待というのは極めて大きいからです。その期待というものはやはり絶対的な信頼の上に立った期待でありますから、こうしたことを考えますと、この判決結果を受けて、何が問題だったのか、捜査体制に欠陥がなかったのだろうか、そうしたことを真剣に点検し、再発防止に努めるということは至極当然のことであろうと思います。  こうした点に立ちまして、また今の会長声明に沿った形で、個別の質問をさせていただきたいと思います。  まず第一に、責任の明確化についてお伺いいたしたいと思います。  本件は、大変長期間の公判年月を要しました。その間に、警察、検察ともに当然組織でありますから大幅な人事異動が行われるわけであります。ですから、判決時にはだれもいなくなっていたという状況でありました。こうした無罪判決の場合、恐らくどのケースでも公判期間というのは相当長期になるのだろうなということが推測できると思うのです。その場合、今回と同じように、恐らく無罪判決時の矢面に立つのはそのときの責任者でありますけれども、その責任者は恐らく捜査当時とは無関係の方であるというケースが大変多くなってくるのではないかと思うのです。  そこでお伺いしたいのですけれども、こうした場合、責任は一体どこに帰属するのでしょうか。それは、例えばその判決時の組織の責任者なのでしょうか、この場合は悲劇としか言いようがないのですけれども。あるいはまた、捜査当時の責任者の方なんでしょうか。そしてまた、その責任の範囲というのは最高責任者だけなのか、それとも捜査官の範囲まで及んでいくのでしょうか。それとも、全くそういう責任の明確化というのはなされないということなんでしょうか。こういった点につきましての組織的な制度が一体どのようになっているのか、これは検察、警察ともにおわかりになられたらお伺いしたいと思います。

則定衛法務省刑事局長

○則定政府委員 一般的に申し上げまして、検察官が先ほど申しましたような心証の上で、有罪判決が得られる蓋然性が高いという心証のもとで公訴を提起して、その結果、裁判で種々の攻防が行われる、最終的に有罪の判決が得られなかった、無罪の判決が出て、それを断念せざるを得ない状況であるという場合に、それ自体で直ちにその捜査、公判あるいは起訴のそれぞれの段階に関与した検察官なりが責任を問われるということではないと考えております。  ただ、それぞれの段階で関与した者が、違法、不当に一定の方向に捜査を持っていったり、あるいは公訴の提起を行ったりといったことになりますと、それぞれのそのときのその問題に直接関与した者あるいは監督者につきまして、組織としては例えばいわゆる懲戒処分の問題もございましょうし、それから故意、過失というところまで不当なものがあるということになりますと、民事的にはいわゆる国家賠償の問題ということにもなろうと思います。  それからさらに、特定の検察官について頻繁にそのような極めて不当な捜査処理が行われる、あるいは本来検察官として備うるべき知識と能力をもってすれば、さような捜査処理というものが行われないということになりますと、当該検察官についての検察官としての適格性を疑われる。この場合には、国会議員を初め有識者等から構成されております検察官適格審査会におきまして、検察官として職務を執行するのが不適格という判断で分限免職されるという可能性も持っているわけでございます。

中村時広改新

○中村(時)委員 無罪判決、控訴断念というこの二つの要件だけでは責任というものは生じないということだろうと思います。ただ、それではこの事件は何ら生かされないということにもなりかねないと思いますので、そこから先は申し上げませんけれども、この無罪判決、控訴断念という重みはぜひとも受けとめていただいて、今後の検察取り調べ等々のあり方にぜひともこれは反映させていただくように、いろいろな機会に頭にとどめていただきたいということを要望させていただきたいと思います。

則定衛法務省刑事局長

○則定政府委員 御指摘の点は、まさに私どもそのように受けとめて、またそれを今後の一層適正な検察運営に反映しなければならないと思っております。

中村時広改新

○中村(時)委員 再び本件を引き合いに出させていただきながら、事例として使わせていただきたい件があるのですが、刑事訴訟法第百四十四条に絡む件であります。  実は本件は、とある人物の一警察官への情報提供に端を発しております。こうした点は公判中明らかになっているわけでありますが、弁護団は公判中、この人物の特定ができない限り事件の全貌解明はできないという判断をいたしまして、証人尋問の場におきまして当該警察官に対しまして、この名前を明らかにしてくれないかという要請をいたしました。これに対しまして、その件についてはこれは捜査上の秘密である、なおかつ今後の国民の捜査への協力という面から見てもそれは言えないということを理由に、証言が拒否されたわけであります。これを受けまして弁護団は、裁判長を通じまして監督官庁に対して、その名前を明らかにするようにという要請をいたしました。これも回答は同様に、刑事訴訟法第百四十四条に基づいて、本件は職務上の秘密であるとして、同様の趣旨の回答でありましたので、人物名は明らかにされないまま今日を迎えているわけであります。  確かに、たとえその人物名が明らかにならない限り事件の全貌というのがわからない、解明できないとしても、この公判中、有罪判決時においては、百四十四条の趣旨というのは私も十分理解ができるものであります。しかし、無罪判決、控訴断念といった今回のようなケースの場合、果たしてそれでいいのかな、こんなふうにも思うのです。この提供者の名を明らかにし、解明をすることこそが再発防止につながるのじゃないだろうか、そんな感想を持っております。もし明らかにならないとするなれば、やり得という言葉は余りよくないですけれども、やり得とでも申しましょうか、要は誤った情報を提供し他人を無実の罪に陥れようとも心配ないんだという前例ができてしまう。すなわち、そうしたあしき情報提供者を培養することにもつながりかねないのじゃないだろうか、そんなふうに思えるのです。  また、今回いかなる角度から検討しても、この捜査自体が客観的証拠に基づいた捜査ではなくて、明らかにこの情報提供者の話をもとにした見込み捜査という可能性が非常に強い。こうした状況を踏まえて、その情報提供者というものはよほどの信頼があったのだろうなと推測するわけであります。その信頼というのは一体何だったのだろうか。裏に政治的な意図があったのかな、そんな声が実は県民から聞こえてまいりました。こうした全貌が明らかにならない限り、この疑問というのは決して消え去ることはないのじゃないだろうかというふうに思うわけであります。  かかる観点から、捜査の体制に対する信頼を回復させるためにも、これは一般論です、無罪判決、控訴断念というようなケースの場合は、情報提供者などについて明らかにすることが必要なんじゃないだろうかなというふうに思うわけでありますが、御当局の御見解をお聞きいたしたいと思います。

緒方右武警察庁刑事局刑事企画課長

○緒方説明員 お答えいたします。  捜査を行う場合は必ず秘密を厳守しなければなりませんし、特に情報提供につきましては、その秘密を厳守することを前提として情報を受けている場合におきましては、その氏名を公表したりすると、今後の捜査協力というのが、ほかの人たちも、捜査機関に言えばいつ言われるかわからないというような、捜査に重大な支障が起きてきます。  それから、一つの情報提供があっても、それは一つの端緒でありまして、やはり捜査というのは、一つの情報提供に基づいて、それが本当かどうか、それを精査して初めて警察としましては、これは間違いないだろうかということで判断して、捜査を扱っております。  したがいまして、無罪判決があったといっても、その氏名を明らかにすると、これは今後の捜査に対する国民の協力が非常に得にくくなりますので、よろしく御理解の方をお願いしたいと思います。

中村時広改新

○中村(時)委員 ただ、私の指摘させていただいた、これが明らかにならない場合、その誤った情報、相手を刺すような話をしても大丈夫なんだというような前例になりはせぬかという危惧があるわけであります。そういった点の問題点というのは、これはこの話には私は含まれていると思いますから、その観点からのお考えというのは常に持ち続けていただきたいな、これはあえて強く要望させていただきたいと思います。

緒方右武警察庁刑事局刑事企画課長

○緒方説明員 御指摘のように、捜査というのはその一つの情報提供だけをうのみにしないで、全体の事件の全貌をあらゆる角度からやはり吟味してやるという、慎重にしていかなければならないことは事実でございます。そういう面を生かしていきたいと思います。

中村時広改新

○中村(時)委員 時間も余りありませんので、本当はもうちょっとお聞きしたいのですが、きょうは概要だけということでありまして、次に移らせていただきたいと思います。  先ほど述べましたとおり、会長声明の中には、代用監獄の問題、弊害というのを指摘しているわけであります。これはきょうは基本的なお考えだけお尋ねしておきたいと思うわけでありますけれども、僕は、この代用監獄制度、これはその弊害があることも、逆にないということも一〇〇%客観的に証明するというのはなかなか難しいことなんだろうな、困難だろうな、そんなふうに思えるのです。だからこそ、この制度に対して、基本的にどのような認識に立って本制度をとらえているのかということを確認しておくということは極めて重要なことじゃないだろうか、そんなふうに思います。  具体的には、確かに拘置所の現状、今全国に二百カ所ぐらいしかない、留置場は千二百カ所あるけれども、拘置所は二百カ所ぐらいしかないとか、捜査機関から拘置所までの距離が離れているので非常に不便だとかいう現実論を考えれば、それはすぐにというわけにはいかないのは十分理解できます。その現実論をあえて別といたしまして、その制度そのものが弊害があるのか、それとも弊害のある可能性があるのか、それとも全く弊害はないのか、そういった基本的な認識についてお尋ねしたいと思います。  お尋ねする前に、ちょっと一件事例を、また別件なんですが御紹介をさせていただきたいと思うのです。  昨年十月九日夜に秩父の方で、これは俗称でありますけれども、秩父スナックママ殺人事件という事件が起こっております。これは、本件発生二十日後に被害者と関係の深かったイラン人が逮捕されているわけであります。この逮捕後、代用監獄に置かれていたイラン人の勾留をめぐって、弁護人は浦和地裁に対しまして、勾留の取り消し、しからずとも勾留場所の変更を求めて準抗告を申し立てております。これに対しまして裁判所は、勾留自体は取り消さなかったのですけれども、次のような決定書を出しているのです。それをそのまま読ませていただきますと、今後の捜査に当たっての公正さを客観的に担保し、将来の紛争を予防するという観点からすれば、被疑者の勾留場 所を拘置所とするのが相当であるとの判断を下しております。このことは極めて注目すべきことだなと思うわけでありますけれども、ある意味では、代用監獄に被疑者を置き続けた場合、公正さが担保されなくなる可能性があるというふうな意味にもとれるのではなかろうかと思うわけであります。  このことをあえて指摘させていただいた上で、そして繰り返しになりますけれども、拘置所の現状というのは別としまして、その制度そのもの、弊害があると認識するのか、そういう可能性があると認識するのか、それとも全くないんだと認識されているのか。基本的な認識についてお伺いさせていただきたいと思います。

則定衛法務省刑事局長

○則定政府委員 まず最初に法務当局の方から答弁させていただきますけれども、制度でございますからいろいろとよい面、それから問題のある面あろうと思います。お尋ねの、代用監獄一般につきまして、制度としていいのか悪いのかという点、これは結局運用いかんであろうと私どもは考えているわけでございまして、代用監獄の管理運営をされております警察御当局におかれましても、いわゆる捜査系統と管理系統の分離等々いろいろと実行されておるわけでございます。  私どもは、代用監獄であるから捜査に悪影響を及ぼすなり、あるいは任意の供述を得られないということが絶えずついて回るというふうには考えていないわけでございまして、それが適切に運用されれば、まさに法律に認められておる代用監獄としての機能を適正かつ十分に果たしていくというふうに認識しておるわけでございます。

渡邉晃警察庁長官官房総務課留置管理官

○渡邊説明員 いわゆる代用監獄制度につきましては、勾留事務が捜査に利用されることのないように、それぞれの担当部署を組織上別系統にいたしまして、捜査部門には留置業務に一切関与させないなど、捜査と留置業務を厳正に分離して、被疑者の人権保障上問題のない制度としているところでございます。  いわゆる代用監獄におきまして不適正な捜査が行われるというような批判がございますけれども、ただいま申し上げたように、捜査と留置の業務を厳正に分離して、被留置者の処遇につきましても十分配意しているところでありまして、自白強要といった問題につきましては、いわゆる代用監獄制度そのものの問題ではないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、暴行、脅迫といった不適正な取り調べにつきましては、その絶無を期すように常に適正捜査に努めておるところでございます。

中村時広改新

○中村(時)委員 時間もありませんので、もう質問はいたしません。  この点についてはもっといろいろお聞きしたい点があったのですが、そうした御見解ということを受けまして、そうすると今の浦和地裁の話は一体どうなんだとかいろいろとお尋ねしたい点はあるのですが、またそういう機会がありましたらお尋ねさせていただきたいと思いますので、きょうはこれで時間が終了いたしましたので質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 大口善徳君。

大口善徳公明党

○大口委員 公明党の大口善徳と申します。  今回、中井大臣、御就任大変おめでとうございます。先ほどの答弁を聞かせていただきまして、非常に意欲的な、前向きな、わかりやすい答弁をお伺いいたしまして、非常に感激しております。よろしくお願いいたします。  時間もありませんので、早速お聞きしたいと思います。  インドシナ難民問題について聞いてまいりたいと思います。  我が国は、昭和五十年五月十二日にベトナムのボートピープルが九名千葉港に到着しまして、現在まで一万三千七百六十八人のボートピープルが到着しておるわけでございますが、昭和五十二年、閣議によりまして、このボートピープルについては定住を受け入れる、こういうことになりました。  ところが、平成元年に経済難民が急増する、こういう事態を受けて、平成元年六月のインドシナ難民国際会議におきましては、スクリーニングというものを実施して難民性の認められた者についてこれは庇護する、こういう包括行動計画が採択されました。そして、我が国におきましては、平成元年九月以降、このボートピープルに対してスクリーニングを行って、そして迫害を逃れてきた者のみを受け入れる、こういうことになったわけでございます。そしてまた、平成四年から五年にかけてボートピープルが大幅に減少し、ことしの二月十四日のインドシナ難民国際会議第五回運営委員会において、この包括行動計画、これを平成七年末までに終了する、こういうことになったわけであります。それ以降は、条約上難民性がないボートピープルについては不法入国者として扱う、こうなったわけでございます。  そこで、まず前提問題として、外務省にお伺いしたいのですが、このインドシナ難民問題が最終段階に入ってまいりまして、そして今アジア諸国に滞留しているインドシナからのボートピープル、これが九万人を超えている。そして、その九万人の中には難民性を認められる人たちが約四千人。そういうことで、今月の一日、二日、技術会議というので、この九万人についてどうするのか、こういうことが検討されているというように聞いております。難民性のある四千人の定住促進、また難民性のない八万六千人につきましても、これは自主帰還あるいは秩序ある帰還等々の問題がございます。  特に、この難民性のある四千人の第三国定住促進について、これは我が国は緒方さんが第八代の国連難民高等弁務官ということで活躍されておるわけでありますけれども、この難民性が認められる四千人についてはどう扱うのかということについて、外務省にまずお伺いしたいと思います。

國方俊男外務省総合外交政策局国際社会協力部人権難民課長

○國方説明員 お答え申し上げます。  インドシナ難民の定住受け入れにつきましては、我が国はアジアの主要な一員といたしまして、また人道上の見地及び東南アジア地域の平和と安定に寄与するという観点から、閣議了解に基づき実施しているものでございますが、インドシナ難民問題の解決に向けまして、今後とも引き続き定住の促進に努める所存でございます。  先生から御指摘ございましたとおり、ASEAN諸国に滞留するインドシナ難民問題の早期解決を促進するために、六月一日、二日の二日間、バンコクにおきまして、国連難民高等弁務官事務所主宰で技術会合が開催されたわけでございますが、私どもといたしましては、この技術会合における議論をも踏まえながら、我が国としてどのような協力ができるかさらに検討してまいりたいと考えておる次第でございます。

大口善徳公明党

○大口委員 私、五月十六日、大村難民一時レセプションセンターに視察に行ってまいりました。財団法人アジア福祉教育財団の難民事業本部が、政府の委託を受けて、スクリーニングのためのボートピープルの滞在施設の管理をしておるわけです。現地の職員の方、非常に一生懸命頑張っておられます。そして、今百六十八人のスクリーニングを待っている人たちがおるわけでありますが、今回のこの措置でスクリーニングが廃止される、こうなった場合、この施設のことが非常に問題になってきます。  ことしの四月十六日の朝日新聞朝刊におきまして、この大村一時レセプションセンターの施設を解体するか、あるいは難民のための定住促進施設などとして残すかということで法務省で検討されている、こういう記事が載っておりますが、地元でも話題になっております。この件についてどういう方針があるのか、法務省にお伺いします。

塚田千裕法務省入国管理局長

○塚田(千)政府委員 当面は、現在入所中の者が在所している限りは、この大村の難民一時レセプションセンターは存続させることになります。しかし、今後は到着するボートピープルは入所しないわけでございますので、現在入所中の者が退所した後のあり方につきましては、関係機関等の意 見を参考にしながら、今後の利用方法も含め検討中でございます。

大口善徳公明党

○大口委員 最近の国際情勢の流動化等を考えますと、インドシナ難民の問題に類似するケースというのが発生する可能性が皆無とは言いません。こういう万一の類似するケースが発生した場合のことを考えますと、貴重なノウハウがこの施設にはありますので、また、一たんこれを壊しますと、今度、必要に応じてすぐ簡単につくれるものではございません。こういう施設の場合、地元等の了解が要ります。  そういうことからいきまして、先ほど外務省の方から話がありましたが、今ASEANに滞留している難民性のある四千人等のうちの一部の受け入れと、あるいは現在定住している難民の家族の呼び寄せに対する対応等いろいろと考えられると思いますが、この施設につきましては、やはり私は存続すべきである、そういうふうに思いますが、どうでしょうか、法務省、お願いします。

塚田千裕法務省入国管理局長

○塚田(千)政府委員 ただいま御指摘いただいたような点も念頭に置きまして、今後関係者と検討を進めていきたいと存じます。

大口善徳公明党

○大口委員 大臣、ちょっとこの件につきまして一言お願いいたします。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 国際情勢緊迫した中でいろいろと予想されるというお話がございました。予算委員会等あるいは本会議等でさまざまな論議が行われておりますけれども、この点からの御質問は先生が初めてであったやに記憶をいたしております。  今事務当局を含めまして幾つかの点で検討をしておる、このことは確かでありますし、また、万一の場合には政府一体となって全力を挙げて対応していかなければならないと考えているところでございますが、国連安保理の議論が始まるか始まらないかという今の時期に、予断を持って中身のことやら踏み込んだことにお答えするのは御遠慮を申し上げたい、このように思います。  同時に、一般論といたしまして、先生の御質疑を聞いておりまして、私も国会へ出て十四年でございまして、この難民問題で二つ強く印象に残ったことがございます。  一つは、まだ日本が難民を受け入れる受け入れないでもめている時期に、超党派の議員でアメリカへ実は行きました。たしかその飛行機はパンナムだったと思うのです。乗りましたところ、機長とスチュワーデスが、日本の国会議員にぜひ見せたいものがある、こういうので飛行機の中で後ろの方へ案内してくれまして、カーテンをあけましたら奥から全部、難民を輸送しておった。ただ見ていただくだけで結構だ、こう言われまして、非常にショックを受けたことがございます。  その年にでしたか次の年でしたか、年次は少し忘れましたが、オーストラリアへ参りました。オーストラリアは御承知のように、白人しか入れなかったという中で日本人を受け入れた。それに引き続いて、オーストラリアもベトナムに参戦をした。こういうことをもって約十万人のベトナム難民を国民として受け入れた。ここらについて諸外国の対応と日本の対応、こういったことを痛感をさせられたこと、先生の御質問で強く思い出したところでございます。  そういう気持ちを思い出しながら、御注意のありました点を含めて対応させていただきたい、このように思います。

大口善徳公明党

○大口委員 同じ問題は、外務省が所管だそうですが、インドシナ難民の定住促進事業を難民事業本部で行っている。そして姫路、大和定住促進センター、また品川の国際支援センターの受け入れ施設がありまして、三月三十一日時点において、姫路は七十七名、大和が三十六名、国際支援センターが二百二十四名今在所されておるわけでございますが、この方々につきましても、これは期限がありますので、この包括行動計画、これは来年の末で終わりますと、この施設についても同じ問題が起こってくるわけでございます。この点につきまして、外務省の方からその辺をお願いします。

國方俊男外務省総合外交政策局国際社会協力部人権難民課長

○國方説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、包括的行動計画は終了するわけでございますが、この包括的行動計画が終了いたしましても、合法出国計画に基づく我が国定住インドシナ難民の家族呼び寄せなど受け入れ対象者が残っておりますので、インドシナ難民の定住受け入れが直ちになくなるわけではございません。  しかしながら、近い将来、現状のままでは確かに先生の御指摘のとおり施設の用途がなくなるのは明らかであると思いますので、外務省所管の定住施設の存廃につきましては、これらの施設の運営を委託しておりますアジア福祉教育財団とも協議しながら、また地元の方々との関係など諸般の事情を十分考慮しながら検討してまいりたい、このように考えております。

大口善徳公明党

○大口委員 このインドシナ難民問題につきましては、内閣におきまして、十八省庁から成るインドシナ難民対策連絡調整会議事務局というのが設置されております。今後、インドシナ難民流出の類似のケースがございますと考えますと、やはり政府といたしましても、インドシナ難民対策のこの事務局が、これは行く行くもうなくなるわけでありますが、もっと広くボートピープル対策連絡調整会議事務局等の設置をする必要があるんじゃないか、こう思います。この点につきまして大臣の御意見をお伺いいたします。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 先ほどからの御議論を含めまして、先生の御意見を承って、検討をいたさせていただきます。

大口善徳公明党

○大口委員 次に、マラドーナの入国拒否の問題につきましては先ほど斉藤先生の方から詳しく御質問がありました。私も同じ静岡県でありまして、サッカーについては非常に関心があるものですから、同じ認識だなと思って、ともどもにサッカーの振興について頑張ってまいりたいと思います。  そこで、少し文部省にお伺いしたいのですが、ワールドカップの件についてお伺いしたいのです。  平成六年五月十三日の朝日新聞の夕刊に、ワールドカップの開催条件における政府の保証事項の一つとして、「国際サッカー連盟が資格を認定した役員、選手、報道関係者に対して無条件でビザを発給すること」とある、こういう報道があるわけであります。国際サッカー連盟の規約に開催条件としてこういうものがあるのかないのか、これをお伺いします。

笠原一也文部省体育局競技スポーツ課長

○笠原説明員 ワールドカップサッカーは、国際サッカー連盟が四年に一度開催しますサッカーの世界選手権大会でございますけれども、国際サッカー連盟、FIFAと呼んでおりますが、その規約におきましては、常任委員会の一つでありますFIFAのワールドカップ組織委員会に関します規定が設けられているだけでありまして、ワールドカップの開催条件については規定されないと聞いております。

大口善徳公明党

○大口委員 私の調べたところによりますと、FIFAの規約には、ワールドカップの開催条件は、今、慣例だそうでありますが、大会の七年前に開催条件を決める、そして大会の六年前に開催国の決定をする、こういうことで、来年の春にこの開催条件について検討して決定する、こういうふうに聞いております。  そしてもう一つ、本年のアメリカのワールドカップにおきまして、アメリカは出入国許可に関して、「国籍、人種、宗教にかかわらず、全てのFIFA代表派遣団及び報道関係者に対して査証を無規制に発給すること。これは同じく外国からの観客にも適用する。」、こういう政府保証を出している。また、一九九八年のフランスのワールドカップにおいても、フランスが、 「国籍、人種、宗教にかかわらず、全てのFIFA代表派遣団、有資格のサッカー協会の派遣団及び報道関係者に対して査証を無条件で発給すること。これは同じく外国からの観客にも適用する。」との政府保証を出している。こういうことですが、これでよろしいでしょうか、文部省。

笠原一也文部省体育局競技スポーツ課長

○笠原説明員 お答えいたします。  ことしの六月になりますけれども、アメリカで開催されます一九九四年のワールドカップの開催条件におきましては、政府保証のうち出入国の部分は、先ほど先生もおっしゃいましたようなことなのですけれども、財団法人日本サッカー協会の訳ということによれば、「国籍、人種、宗教にかかわらず、全てのFIFA代表派遣団及び報道関係者に対して査証を無規制に発給すること。これは同じく外国からの観客にも適用する。」と規定されておりますし、フランスについても同様でございます。

大口善徳公明党

○大口委員 そこで、過去の例については言いませんが、ことし、そして一九九八年と、この政府保証が条件となっております。そういうことが二〇〇二年のワールドカップにおきましても、どうもこれが開催条件になる確率が私は高いと思います。その場合、来年春に開催条件についても決定されるわけでありますが、そして来年の秋には立候補、こういう形になるわけでございますけれども、政府といたしまして、先ほど、キリンカップというのは民間のものにすぎない、ただワールドカップについては、ある意味では、人に言わせればオリンピックよりも非常に価値が高いんだ、こういうことをおっしゃる方もいますが、この点につきまして大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 私は三重県の伊賀上野というところでございまして、私の町も大変サッカー熱の高いところでございまして、私ども小学校のころも、サッカーをやるか野球をやるか、こういう時代を過ごして、マラドーナ選手の問題の判断のときに一瞬頭をよぎったこともございますが、先ほどからお答え申し上げました件と同時に、麻薬撲滅ということも日本の大きな目的の一つだ、こういうことを考えて決断をいたしたわけでございます。  お尋ねのサッカーのワールドカップ開催については、いろいろとマスコミで報じられ、マラドーナ選手の事件以来議論になっていることを承知いたしておりますが、午前中お答えいたしましたように、私どもはまだ、日本の開催意思というものがどういう形で行われ、そして政府に対してどういう協力要請があるか一切お聞きをいたしておりませんので、これらのものがもし出てきますならば、今いろいろとお話のありました点を含めまして十分検討していきたい。今の時点でどうだこうだと申し上げるのは御遠慮申し上げたいと考えております。

大口善徳公明党

○大口委員 本年開催の、広島で行われますアジア競技大会、これにおきましても、これはアジア競技大会の場合、主催者であるアジアオリンピック評議会の規約に、開催を申請するときに、代表選手団の自由入国について政府の保証を条件としています。そういうことから、このアジア競技大会におきましては、政府がちゃんと出入国について政府保証を出しているわけであります。それと同じように、ワールドカップにおきましても前向きに検討していただきたいと思います。そのためにも閣議了解をぜひともよろしくお願いしたいと思います。  次に、今度八月に行われます第十回国際エイズ会議の件につきまして、本日の朝刊に法務省が見解を出しております。その中で、第十回国際エイズ会議についてはスピーチをするなどのキーパーソンであれば、いわゆる入管法第五条一項七号に該当いたします方であっても上陸の特別の許可、これは法十二条でありますが、これを与える、こういうふうな形で発表をされております。この点について確認をしたいと思います。よろしくお願いします。

塚田千裕法務省入国管理局長

○塚田(千)政府委員 委員がお尋ねになったのは、入管法の第五条一項七号に該当する者、つまり過去に売春に従事した者ということであろうかと思いますが、売春関係の業務に従事したことのある者につきましては、これは上陸拒否事由に該当するものでございまして、その上陸は認められておりません。仮に、今回のエイズ会議参加者のうち売春関係の業務に従事したことがある者から上陸申請があったときは、その時点において特別に上陸すべき事情があるかどうかについては慎重に検討することになろうかと思います。  法務大臣の上陸特別許可につきましては、個々の具体的事案に応じて諸般の事情を総合的に判断する。これは違う案件でございますけれども、マラドーナのときもまさにそういう諸般の事情を総合的に判断して、ああいう結論に至ったわけでございます。新聞に出ておりますことは私どもの立場を正確に反映したものとは言いにくく、ただいま私が申し上げたところが私たちの現在の立場でございます。

大口善徳公明党

○大口委員 そうしますと、そのキーパーソンについては上陸許可を与えるということは事実でないということと聞いていいわけですね。

塚田千裕法務省入国管理局長

○塚田(千)政府委員 キーパーソンというのは、俗称といいますか、最近使われている言葉でございますけれども、そういうことも含めまして、関係者、会議の主催者あるいは厚生省等とも相談しながら、先ほど申し上げました出入国管理の基本のルールに従って判断していくということでございます。

大口善徳公明党

○大口委員 ただ、このエイズ会議というのは、御承知のとおり非常に大事な会議でございます。また、どうしても、やはりそういう方々が発言をするということがこの会議の一つの存立の基礎になっておるわけでして、そういう点は最大限尊重していただきたい、私はそういう思いでおります。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 エイズ会議が八月に行われますことは承知をいたしておりますし、大事な会議であるということも、法務大臣になる前、厚生大臣は大内民社党委員長でございましたので、承っております。  具体的には今担当局長からお答えを申し上げたような形であろうかとも思いますし、同時にまた、事務サイドでは厚生省と法務省とで話し合いも始まっているやに聞いてはおりますけれども、これも先ほどのワールドカップのことと一緒でありまして、主催されます方々から、あるいはバックアップされます役所等から正式な話がやがて参ろうか、そういう中で、先生のお話にありましたことを含めまして十分検討させていただきたい、このように考えております。

大口善徳公明党

○大口委員 時間も大分なくなってまいりました。その中であと一点お伺いしたいのですが、本年の四月二十二日に子どもの権利条約が批准されました。そして、この子供の権利を守っていこうということは、人権擁護ということから考えて、やはり非常に大事であると私は思います。特に、最近も岡山県の小学生の自殺等非常にかわいそうな事件もございまして、いじめの問題あるいは体罰の問題、そして登校拒否もふえております。そういうことからいいましても、子供の人権をどう守っていくか、この体制をしっかりと確立してまいらなければいけないと思います。  そういう中で、法務省が子どもの人権専門委員というものを従来の人権擁護委員の中から選んで、大体十都道府県で百五十名ですか、子どもの人権専門委員というのを選任する。これは子どもの人権オンブズマン、こういうふうに称すようでありますが、そういうことであります。そして、十都道府県の人権擁護委員連合会に子どもの人権委員会を設置する、こういうふうに聞いております。子どもの人権オンブズマンについては、いろいろな種類といいますか、弁護士側においても提言されておりますし、また、児童の権利に関する条約においても、これは国連において委員会を設置する、こういうことにもなっておりますが、法務省のこういう姿勢は非常に大事であろうと私は思います。  そういう中で、十都道府県ということでありますが、私としてはやはりできるだけ早く、予算の関係もあるでしょうが、全国展開をしていただきたい、こう思います。十都道府県の中に岡山は入っておりません。いずれにしても、子供のそういう状況を受け入れるような体制をきちっと、人権擁護委員会もやっておりますが、やっていただきたいと思います。  そして、提言としまして二番目に、人権擁護委員そして人権擁護委員会とこれは設置されるわけでありますが、あと都道府県にできるだけ早く広げるとともに、この人権擁護委員会の上部団体に全国人権擁護委員連合会及びブロックの連合会があります。この上部組織においてもこの子どもの人権委員会を設置していただいて、そして子どもの人権専門委員のバックアップをしっかりとしていただきたい。  そしてまた、子どもの人権専門委員は、専門委員ですから、そういう点では、心理学あるいは福祉、社会学、法学とかそれなりの知識あるいはノウハウ、カウンセリング等々の技術も研修でやはり身につけていただきたい、そういう思いがございます。  この三つの提言について、ちょっと大臣の方から。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 お話しの点、御激励も含めまして確かに承りました。予算等が厳しい環境にあることも御承知でありますが、できる限り早く達成ができるように頑張る決意でございます。  なお、今週人権擁護の連合会の会合がございまして、その席上、総会にはお邪魔できなかったのですが、役員の皆さん方と会する機会がございましたので、この点にも触れてお訴えとお願いを申し上げた次第でございます。  十分御趣旨を体して、権利条約が発効した年、よりよいスタートが切れるように頑張る決意でございます。     〔委員長退席、斉藤(斗)委員長代理着席〕

大口善徳公明党

○大口委員 大変前向きな御答弁、ありがとうございました。本日はありがとうございました。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員長代理 簗瀬進君。

簗瀬進さきがけ・青雲・民主の風

○簗瀬委員 さきがけ・青雲・民主の風、簗瀬進でございます。  まず、質問を始める前に、中井大臣、本当におめでとうございました。かつては政界再編の夢をともに語り合った瞬間もございます。そういうわけで、私自身といたしましても大変親密な感情を抱いておりますので、どうか頑張って立派な法務行政を、短期だとか少数だとかそんな外野の声には一切耳をかさずに、ただひたすら職務精励に頑張っていただきたいなと思っておる次第でございます。  さて、細かい法案の質問についてはおいおいやられるだろうと思います。そこで、今、大口委員から質問をしていただきました。実は、彼とは司法修習三十三期ということで、同期でございます。ちょうど私の質問と彼の質問がうまいぐあいにつながるのかなという感じで、非常に楽しく質問をさせていただきたいなと思っております。大口さんは、今、ボートピープル、あるいはマラドーナ、あるいはエイズ国際会議、子供の人権問題、人権ということを中心に大変細かく質問をしていただきました。  それを受けまして、私は、さらにそれをまとめるという意味で、これからの法務行政の中で人権というような問題を一つの根幹に置くといった、そういう新しい考え方で法務行政を進ませたらいいのではないかな、こういう考えを強く持っております。  実は、この所信表明でも、ずっと読んでまいりますと、人権の問題が第四番目ということでございます。たまたまそうなったのかもしれません。ある意味では、法務行政の中の位置づけで第四番目に置かれているのかもしれません。しかし、私は、これから日本がいろいろな意味で新しい時代を切り開いていく、世界の先端に立とうとするのであるならば、むしろ人権行政というようなものこそ法務省の仕事の一番出発点に位置づけられていかなければならないのではないかな、こんな感じを非常に強く持っておるわけであります。  ボーダーレス時代、米ソ冷戦構造が終わり、そしてイデオロギー対立の時代が終わった。世界は押しなべて混迷の時代である。日本は、これから進んでいく羅針盤の中心軸に何を据えるべきであろうか。それぞれの政治家の思いはあるだろうと思います。しかし、私は、基本的には世界からの信頼であろう。信頼というもの、これを基本的に位置づける形で今後の日本の政治を進ませていくべきなのではなかろうか。とするならば、その信頼を得るための一番根本に何が置かれるべきなのだろうかということになるわけです。  私は、そこで一番必要なことは、人権を大変守る国柄なんだよ、あるいは人権を守るために精いっぱいの努力をしている国なんだよ、こういう姿勢を世界に見せていくということによって信頼というようなものが高められていくのではないか。でありますから、そういうふうに考えてみますと、人権政策はまさにこれから日本の将来を位置づけていく上においての基本政策に当たるのではないか。そして、その部分を現在の行政体系の中でつかさどるのはどこかといえば、これは法務省しかないわけでありますから、そこをしっかりと踏まえて行政の中に位置づけていくといったお考えはどうなのかなと思っているわけであります。  時々欧米からリビジョニストの声が沸き上がってくるわけであります、日本は異質な国なんだと。その異質性の中には、例えば経済的なものもあるかもしれません、あるいは政治的なものもあるかもしれませんが、一つ、人権感覚というようなものがあるのではないかなと思っております。でありますから、リビジョニストに対する、日本への批判にこたえる意味でも、やはり人権というようなものを大変しっかりと守っている国なんだということをいろいろな意味で見せていく、これが必要なのではないかな、このように考えておりますが、その点について大臣の積極的なお考えを聞かせていただければと思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 簗瀬議員の友情あふれる御激励に感謝を申し上げ、同時に、政界再編の夢を、瞬間語ったとおっしゃらずに長くともにできるように、ぜひこれからも御指導のほどをお願い申し上げます。  私は国会へ出まして一番長くやってまいりました委員会は、実は環境対策でございまして、初めのころは余り環境ばっかりやっておったら選挙で落選するよと言われた中から、今や世界、政治家すべての共通ワードになるぐらい認識は深まってきたし、問題が広がってきた、こんなふうに感じて喜んでおります。人権というのは、そういう新しいことではなしに、本当に古くから民主主義あるいは自由というものの根幹にある大事な問題だ、このように考えております。国内だけじゃなしに、世界じゅうに日本がそういう形で頑張っておるということを御認識いただく、世界の平和や安定に貢献すると同時に人権問題にも物が言える、そういう国家でありたいということは、もう先生のおっしゃるとおりでございます。  この人権をつかさどる法務省、実は先生のお話を聞いておって、同じようなことを言ったなという思いがあるのでありますが、何人かの幹部の方に、ボーダーレスの時代だ、法や発想が朝令暮改であってはならない、しかし国内の動きだけじゃなしに世界の動きは極めて激しい、その中で常に発想を広く世界に向けてと、こういうお願いをしたことも事実でございます。そういう意味で、お役に立つ役所として頑張っていける、リードを少しでもやっていきたい、こんな思いでございます。

簗瀬進さきがけ・青雲・民主の風

○簗瀬委員 さらに、人権の規模も、今大臣既にお触れになったように、国内的な問題にとどまらなくなっているというのが現代の特色でございます。先ほど大口委員が御質問なさったこと、子供の人権は国内的な問題かもしれませんが、その他の問題は全部国際との絡みでございます。そして、先ほどの委員会の風景の中にもあったように、答弁が法務省と外務省人権難民課の方に分かれるというところが、若干私は現在の行政の体制というようなものが、人権の国際化といいますか、そういう新事態に対応し切れてないのではないのかな、こんな印象を実は強く持つわけでございます。  してみますと、新しい時代に我が国が臨む人権政策の基本的な位置づけができたとするならば、さらにその人権というようなものも地球的な規模で考えていくべきなのではないか。例えば人権擁護行政の中で啓発活動もあるわけでございます。そういう中で、一つのポイントとして、人権というようなものの普遍性あるいは国際性といいますか、そういうようなものを大変強くアピールしていく姿勢も必要でありましょうし、また人権の感覚も、むしろ日本国民というよりも地球人として、あるいは地球市民として、そういう意味での観点が必要なのではないか。最近私どもも政党の綱領づくりの中でいろいろと努力をいたしておりますけれども、どういうふうになるのか、まだ結果は見えておりませんが、地球市民としての人権あるいは地球的人権、こういうようなものを広く位置づけていくといった姿勢を打ち出そうといたしております。そういう意味合いにおいて、まず地球市民とか地球的人権という発想がどうなのか。  あるいは、それに積極的に取り組もうといたしますと、どうも法務省と外務省の壁というようなものがいつも出てくるような感じがいたします。その壁を乗り越えていくような新しい、これは行政改革にもつながっていく話かもしれません。その辺についての大臣の御所見があればお伺いをさせていただきたいなと思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 簗瀬議員初めさきがけの皆さん方とお話をさせていただきますと、私どもよりかはるかに遠くを見詰められ、理想を持たれて頑張っておられる、このことをいつも痛感をいたしております。そういう意味で、大変いい理想というものをお聞かせいただいたと考えております。  日本の人権擁護の機関、特に人権擁護委員という形で、一万三千名の方々に御努力をいただいております。これは世界でも珍しい、本当にありがたいボランティア的な形で御活動いただいている組織でございます。この皆さん方にも、日本にいらっしゃる外国人の人権ということではお願いはいたしておりますけれども、将来的には、国際的な援助でいろいろな方が海外へ出ていく場合に、こういう人権の問題でもこれらの方々が諸外国へ出ていく、今のお話を聞きながら、こういうこともあるのかな、またそういう方向も頭の中に置いて行政というものは考えていかなければならないかな、こんなことを感じているところでございます。

簗瀬進さきがけ・青雲・民主の風

○簗瀬委員 大変前向きな御答弁ありがとうございました。私の持ち時間二十分ということで、あと五分ちょっとしかございません。そこで、用意した質問のもう一つがございますので、そちらの方に移らせていただきたいと思います。  私も多少弁護士の経験をさせていただいておりますが、その際に大変印象に残っておる仕事が登記にまつわるトラブルでございまして、昔の古い登記が現在もたくさん登記簿上に残っております。特に私が携わったのは、土地区画整理に伴いまして新しく土地を利用したいと思ったら、調べてみたら古い抵当権がたくさんついていた。しかもその抵当権が分筆をされていくわけでございますが、昔の登記簿謄本というのは、御案内のように毛筆で書かれておったところがございます。毛筆で草書体で書いてあるものですから、これを転記して、移記していく過程で随分誤字が出てまいります。ところが、なぜ間違えたのかなんということはだれもわかり得ようもないし、それが長い間残ってしまいますと、誤字の部分も別の権利主体として、別の抵当権として扱われてしまう、そこで抹消に大変骨が折れたという経験がございます。  登記事務所のコンピューター化ということは、そういう意味では大変重要なポイントだと思っておりますが、登記事務のコンピューター化、これは一般民事関係事務の効率化ということで、今回の御所信の中でもしっかりとやっていきたい、そういう意気込みが述べられておるわけでありますが、登記事務のコンピューター化の現況はどうなっているのかということと、もう一つ、実は昨年も頼まれまして、栃木県の法務局を見てまいりました。特に登記のコンピューター化の現場を見てきたわけでございますが、これはまた大変な作業でございます。  御案内のようにコンピューター化は三段階のシステムになっておりまして、三階層ネットワーク方式ということで組まれているわけでありますけれども、特に乙号業務といいますか、登記の甲欄と乙欄があるわけでありますが、その乙号の業務については、意外に、外部に委託をするということで、人が少ないところを何とか補っていこうと大変苦しいやりくりをしながら皆さん頑張っていらっしゃるわけであります。そういう意味合いにおいては、この登記事務のコンピューター化というのはある意味では国家的な大事業であると私は思いますが、にもかかわらず、人の手当てというようなものが非常に難しい。一方で行革ということもございますので、なかなか人員増もままならないということで、現場の皆さんは随分苦労なさっているようでございます。  この辺についての御工夫、あるいは今後の御方針等がございますれば、お聞かせいただきたいと思います。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 まずもってコンピューター化の促進に大変激励をいただきまして、また法務局の現場についても御理解を賜りまして、ありがとう存じます。  まず第一点の登記事務のコンピューター化の現況ということでございますが、御案内のとおり、昭和六十三年に必要な登記法の改正を実現していただきまして、六十三年秋から一号庁をスタートさせて、それから一登記所ずつ、少しずつ展開していくということで始めてきたわけでございます。最初のころは、いわば実験的というようなことで、その展開も徐々でございましたが、ここ一両年はようやく展開のペースも軌道に乗ってまいりまして、着実に展開をしているというふうに考えております。現在、全国で約九十の登記所においてブックレスシステム、コンピューターシステムが稼働しておりまして、ことし十二月までには百庁を超える庁で稼働することができることになろうと考えております。  なお現在、今御指摘の移行の作業、ブックからブックレスに記録を移しかえる作業、これを約四十庁において行っておりまして、それらの庁においてその作業が完了次第、順次コンピューターシステムで稼働させるということでございます。  それから今後の展開についての努力の問題でございますが、御指摘のとおり、この移行の作業につきましては、職員の数が限られているということで、できるだけ外部の力を使わせていただく、とりわけある程度の登記の知識を要する部分については、登記に関する知識を持った、いわばOBの活力を外部の活力として利用させていただくということでやらせていただいております。  しかし、最終的には権限のある登記官が移行が正しいかどうかということを確認しなければならぬということが残ります。日常業務をやる傍らそういうことをやらなければならぬということで、移行の現場では大変苦労しているわけでございますが、何とか少しずつ着実に、必要な人員もいただきながら頑張ってまいりたい。全部を完成するまでにはいろいろの問題がございますので相当の期間がかかりますけれども、どうか長い目で御支援を賜りたいというふうに思っております。

簗瀬進さきがけ・青雲・民主の風

○簗瀬委員 質問時間も終わりました。この登記のコンピューター化というのは、私はある意味では、先ほど申し上げましたが、我々の権利の中で一番大切な不動産をしっかりと権利として証明をするということで、非常に重要な、ある意味では大変大きな歴史的な事業だと思っております。いろいろと厳しい制約の中で大変だろうと思うのですが、どうか頑張っていただきたいなと、心からお願いいたします。  ありがとうございました。

斉藤斗志二自由民主党

○斉藤(斗)委員長代理 正森成二君。

正森成二日本共産党

○正森委員 中井法務大臣、大臣就任どうもおめでとうございます。  私はきょう、所信表明に対する質問で、これを読ませていただきましたが、そのうちの相当部分は五つの法案についての簡単な所信が述べられておりますので、それはその法案の質疑のときにまた大臣に改めて伺うとして、それ以外の点で、短い時間でございますので、二つ聞かせていただきます。  その一つは、最初の部分で、大臣は、「法務行政に課せられた使命は、法秩序の維持と国民の権利の保全にあります。」こう書かれております。法秩序の維持、国民の権利と申しますときに私たちが考えなければならないのは、もちろん新憲法のもとにおけるそれであります。新憲法のそもそもよって立つ基盤は何かといえば、それは少なくとも昭和六年以来の十五年間の侵略戦争に対する反省であり、その結果、主権が国民にあるという原則のもとでの憲法秩序のはずであります。しかし、非常に申し上げにくいのですが、前任者である永野法務大臣がこれらの問題について非常に看過できない発言をなさり、そして辞任されたということは御承知のとおりであります。  そこで最初にまずそのことについて伺いたいと思いますが、永野法相は三つほど問題点を言われたのですが、きょうは時間の関係で、太平洋戦争の位置づけについてだけお伺いします。  こう言っておられました。「日本で言う大東亜戦争というものが、侵略を目的にやったか。日本がつぶされそうだったから生きるために立ち上がったのであり、かつ植民地を解放する、大東亜共栄圏を確立するということを、まじめに考えた。(日本の状況を)そこまで持ってきた諸外国が問題だった。戦争目的そのものは当時としては基本的に許される正当なものだった。」こう言っておられます。これは、十五年にわたる戦争、特に太平洋戦争と呼ばれるものが諸外国の方が問題だった、こう言っておられるわけで、私たちは看過できないと思います。  まず第一に、大臣は、以前にも御答弁があったように承っておりますが、簡単で結構ですから、基本的な認識をお示し願いたいと思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 侵略戦争であったかなかったか、これをめぐっていろいろな論争が今日まで依然として続いております。侵略戦争という定義そのものもどういうことか定まっていないということも事実であろうか、このように考えています。  しかし、昭和二十年以前、日本がいろいろな国に侵略的行為あるいは植民地支配、こういったことをやって多大な被害とそしていまだいえぬ傷をお与えした、このことは間違いのない事実だ、このように考えており、私どもはこのことを常に思って、後世に対してもこれを伝え、そして相手の国々の人たちに謙虚なおわびの姿勢を持たなければならない、これがいつも私の思っておる感じであります。

正森成二日本共産党

○正森委員 きょう私が特に問題にしたいのは、大臣も、侵略戦争かあるいは侵略的行為があったか、あるいは侵略行為があったかということで区別されましたが、予算委員会でも我が党の志位書記局長が問題にされたときは席におられましたので御存じと思います。日本が生きるために立ち上がった、そこまで持ってきた諸外国が問題だったと言っておられますが、やはりそれは歴史的事実をひもとかなきゃならないと思うのですね。  きょうはちょっと歴史の本を持ってまいったわけでございますけれども、結局、当時、昭和十五年、戦争の始まる前に、日本は南部フランス領インドシナに、進駐という言葉を使いましたが、前進をしました。これは例の「時局処理要綱」では、「仏印当局に日本軍の補給担任、軍隊の仏印通過、飛行場使用等を認めさせ、かつ必要な資源の獲得に努める。情況によっては武力を行使する」こういう政策を決めまして、当時ドイツに負けておりましたフランスのヴィシー政府と交渉を進めるということをやりまして、その年の九月ずっと交渉しましたが、「現地交渉の成立と否とにかかわらず、九月二二日に実力で北部仏印に進駐することを決定した。」歴史の本にはそう書いてあるのです。  そこで、やむを得ないということで、仏印当局が北部仏印、ハノイを中心とする地域ですが、進駐を認めた。そうしますと、「九月二三日、アメリカ国務長官ハルは、強迫による仏印の現状変更を承認せずと声明、」して、「二六日には一〇月一六日以降の対日屑鉄輸出禁止を発表した。」くず鉄は非常に大きな意味を持っていますから。それ以前に、通商協定はこれ以上延長しない、もちろん通商はしておりましたが、そういうことを言っておりました。  それからさらに、今度は南部仏印に進駐するということになりました。南部仏印というのは、今のホーチミン市ですね。そこへ進駐するということを考えまして、「政府は一方では七月一四日」、これは昭和十六年、開戦のすぐ前、「ヴィシーのフランス政府に、日本軍の南部仏印進駐をみとめさせる交渉を開始しながら、他方ではフランスの同意の有無にかかわらず二四日を期して進駐することに決定した。」一方、「海南島で待機している第二五軍に、南部仏印進駐の奉勅命令が出された。」奉勅命令というのは天皇の命令であります。「フランス政府はやむをえず、二一日、日本の要求を受諾した。日本軍は二八日サイゴン地区への上陸を開始した。」こう書かれております。そして、「日本軍の南部仏印進駐は、アメリカの対日戦の決意を最後的に固めさせた。アメリカ、イギリス、オランダが、いっせいに対日報復のために経済断交に等しい措置をとった。日本政府が、まさかここまではやるまいと思っていた石油の全面禁輸も、アメリカは八月一日に断行した。」こういういきさつです。  ですから、石油がなければ経済もやっていけない、もちろん戦争はできないという状況に八月一日になったわけですが、それは今ここで失礼ですが簡単に歴史の本を引用しましたように、中国だけでなしに、マレー、シンガポールあるいはビルマというところに進駐する拠点に、もし同意しなければ武力でも進出するという事実があったために、アメリカあるいはそれに倣ってイギリスあるいはオランダというところが反応せざるを得なかったということになっているんで、それを、向こうがやってきたからこっちが立ち上がると言うのは、今までの、昭和六年以来の、特に中国に対する戦争やそういうものを全部不問にするということになるんですね。そういう御認識は恐らく私と余り変わらないと思いますが、一言だけ御意見を承りたいと思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 一言だけと言われましても、大変な問題ですから、なかなか一言ではお答えができません。  この間から予算委員会でいろんな方から太平洋戦争の問題あるいは戦犯の問題、いろんな観点から議論があったことは承知しています。またそれに対して、今正森先生から、本当に御勉強の中から私どもに御質問がございました。  私は、昭和十七年に生まれ、戦後憲法の中で育った一員として個人的にいつも思いますことは、どうしてああいう情けない外交をやり、そして結果として戦争に突入し、相手の国々に多大な御迷惑をおかけし、そして日本人自体も膨大な犠牲を払ったことをやったのか、またなぜ政治が軍をコントロールできなかったのか、ここらをどんな書物を読んでも常に思っておりまして、私自身は政治家として、これらのことはこれからの日本の政治家も常に反省をして、二度と起こしてはならないということを基本として対処をしていかなければならない問題である、このように常に考えております。

正森成二日本共産党

○正森委員 私は、昭和十六年十二月八日、戦争が始まったときは中学の三年でありまして、当時は宣戦の詔勅も全部覚えるということで、今でも私は半分ぐらい、「天佑ヲ保有シ、萬世一系ノ皇祚ヲ践メル大日本帝國天皇ハ、昭二忠誠勇武ナル汝有衆ニ示ス。 朕、茲ニ米國及英國二封シテ戦ヲ宣ス。」そういう宣戦の詔勅を覚えております。  その中にどういうぐあいにこの問題が書かれているかというと、永野前法務大臣の言われた言葉と全く同じなんですね。この宣戦の詔勅にはこう書いてあるのです。「中華民國政府、襲ニ帝國ノ眞意ヲ解セス、濫ニ事ヲ構ヘテ、東亜ノ平和ヲ攪乱シ、途ニ帝國ヲシテ、干戈ヲ執ルニ至ラシメ、茲ニ四年有餘ヲ経タリ。」こう言いまして、中略「米・英兩國ハ、残存政権ヲ支援シテ、東亜ノ禍亂ヲ助長シ、平和ノ美名ニ匿レテ、東洋制覇ノ非望ヲ逞ウセムトス。剰へ與國ヲ誘ヒ、帝國ノ周邊ニ於テ、武備ヲ増強シテ我ニ挑戦シ、更ニ帝國ノ平和的通商ニ、有ラユル妨害ヲ與ヘ、遂ニ経済断交ヲ敢テシ、帝國ノ生存ニ重大ナル脅威ヲ加フ。」中略「斯ノ如クニシテ推移セムカ、東亜安定ニ關スル帝國積年ノ努力ハ、悉ク水泡ニ歸シ、帝國ノ存立亦正ニ危殆ニ瀕セリ。事既ニ此ニ至ル。帝國ハ、今ヤ自存自衛ノ爲、蹴然起ツテ、一切ノ障凝ヲ破砕スルノ外ナキナリ。」こう言っているのです。  だから、永野前法務大臣の、法相として最初に行いました発言は、昭和十六年の宣戦の詔勅と一緒なんですよ。だから、軍国主義思想に深く染まったものということで、文民の資格さえ疑われるということになったわけであります。  もちろん、永野前法務大臣の発言が、政治家としての永野議員の発言であり、法務省はいささかも直接の関係はないと信じておりますが、いやしくも法務省もこういう見解に染まるというようなことがあっては、日本国憲法のもとの法務省としてはもう一大事でありますから、そういうことに、幹部の中には外務省に長く行っておった人もおるようですから、特に自戒されるように希望して、次の質問に移りたいと思います。     〔斉藤(斗)委員長代理退席、委員長着席〕  次の質問は、法務大臣、人権擁護の行政について述べておられます。その中で、「中でもいじめ・体罰などの子供の人権問題、」ということにわざわざ触れておられることを私は非常にいいことだと思って拝見しました。  時間がもう余りございませんので、ごく簡単に申しますが、最近、子供のいじめ、人権について注目すべき判決や決定が次々に出ております。これらを詳しく論議するだけで随分おもしろい問題があり、時間が要るのですが、二つだけ簡単に申します。  通常よく言われる、山形のマット死事件という問題で、新庄市の市立明倫中学校における児玉有平君という十三歳の中学一年生がマットで窒息死した事件。保護処分決定を受けた少年三人が再抗告を申し立てたのについて、最高裁の第二小法廷が再抗告を棄却する決定をしたということになつておるわけであります。  このときには、一審の家裁の裁判官は、三人については保護処分にしましたが、首謀者と思われたような他の三人についてはアリバイを認めて処分しないということになりました。  ところが、高裁の決定を新聞紙上等で読ませていただきますと、高裁は一審の判決をほとんど否定いたしまして、そして、どうして供述が信用できるかということをずっと引用しております。  それを見ますと、例えば、これ名前は申しませんで、新聞によってはDとなったりEとなったりしておりますが、私の今持っている新聞では、Eという子供は「トップクラスの成績で、レベルの高い高校への進学を目指しており、両親も期待していることを述べた。そこで同巡査部長が、『一番大切なことは正直に生きることだ』と言うと、Eは涙を一粒、二粒こぼして『僕がやりました』と述べた。」というように言われておりまして、ところが後で調べられるとこれをひっくり返した、それはなぜかというと、両親の期待が非常に大きくて、おまえはやっていないよと言われたんでひっくり返す、それからその次はお父さんに付き添われてまた責任を認めたら、その次の日には今度はお母さんがついてきて、それで母親が、署名をしません、子供からやったという話を聞いていないので子供にも署名させませんということを言ったというのが高裁の決定には書かれておるというように報道されております、私は詳しくは申しませんが。  こういうことについて一般の新聞ではどう言っているかといいますと、「教育現場で生徒が亡くなっているのに、その真相究明に不熱心で口をぬぐっている学校側の態度はどうしても理解できません。こうした問題を過去のことと、ほったらかしにしていては、学校はいつまでたっても良くなりません。大変でしょうが、粘り強く真実を明らかにしてください」という投書。これは一月十七日の東京新聞。  あるいは、この問題をずっと追ってきた朝日新聞の記者は、「あえていえば、教育に携わる立場の人は過ちを犯した者に名乗り出る勇気を教え、更生を見守り、あわせて学校の再生をはかる責任がある。だが、学校は「受験を控えている。早く静かにしてほしい」「『あの中学の出身だって』といわれて困る」という生徒の父母の声に後押しされるように、どうして事件が起こったかについては、捜査や審判にゲタを預け、事件前の学校に戻す「再生」を優先した。」というように言っているのですね。  あるいは別の新聞では、「「真犯人を含めて関係者の人々に良心というものを感じない。法治国家とは人間の良心や良識をよりどころにして成立している。子供たちに、良心に従い、真実を述べるよう指導すべき親や周りの大人たちの無責任な態度には失望せざるを得ない」」という意味のことを言っております。  今度は別の、中野区で鹿川君という人がいじめを受けて、それで学校の先生まで四人も入って葬式ごっこをして、お焼香までされたという事件。  その前に、ぶん殴られたり、いじめを食らっていますが、「「まだ死にたくない。だけど、このままじゃ〝生きジゴク〟」」という遺書を残して、いじめの首謀者の二人の子供の名前を書いて、それで家出をして首をくくって自殺した。それに対しても損害賠償を求めたのに、一審の裁判官は、まあ言うたら葬式ごっこはエピソードだというようなことを言っておった。それに対して高裁は、これはそんなことではない、いじめであるということで、中野区に賠償命令を求めたという事件があります。  これもいろいろ引用したいことがあるのですが、時間がありませんので、また機会があればやることにして、子供の人権というのは非常に大事で、加害者といいますか、事件を起こした方の子供の人権も非常に大切だ。特に、一般事件で何らかの事件があったときに、たまたま被疑者の一人として疑われたというような場合は、警察が功を焦って拷問したり、──検察はあんなことしないかもしれませんが、検察官にもいろいろありますから、だから油断できないということですが。  学校の現場で、山形のマット死事件なんか体育館で五十人もおったのですからね。そんな中で殺された事件なのに、死んだ事件なのに、真相がわからないというようなことはあり得べからざることなんですね。それが事実上そのままにほっておかれるなんということは、文部省にも来てもらっておりますが、教育としてもこれはあってはならないことであり、そういう教師の態度は非常に問題だと私は思っております。  それで、もう時間が来たという紙が来ましたので、残念ながら結論になりますが、それにつれて少年法を考えますときに、私は決して、少年法で真相発見を優先させて、子供に何でも真実をしゃべらせろというような主張をしようとは思っておりません。けれども、例えば禁固一年以上の罪に当たる事件では、普通の裁判では合議であります。ところが、どんな殺人あるいは傷害致死のようなものでも一人の裁判官がやらなきゃならない、あるいは判例上は再審請求に位置づけられております処分取り消しの申し立てが保護処分継続中に限られて、それを過ぎると、これは再審ではないんだから、もうそれ以上はできないというような面を持っている。あるいは国選弁護のような制度が少年審判にはないというような数々の問題があって、法務省は検察官の審判廷への立ち会いなどを求めるというような考えを持っておるようですし、日弁連は、これに対して、保護、教育優先から刑罰優先主義に法の理念が変わってしまう というような意見も持っておるようであります。  だから、なかなか難しい問題ですが、しかし私は、少年法のあり方というのが非常に不備な点があるということは何人も否定できないと思うのですね。  それで、大臣が所信表明でたまたまああいうことを指摘されておりますので、少年法の問題点についてどういうように認識され、あるいはこれを積極的に──私、真相究明一本やりにせよと言っているんじゃありませんよ。御見解がございましたら承りまして、私の質問を終わります。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 子供の、あるいは学校におけるいじめというのが頻発をしておることは、まことに憂慮すべきことだと考えております。  私も幾つか実際に聞いたり、頼まれたり、泣きつかれたりしたこともございます。その中には、葬式ごっこじゃありませんが、校庭に穴を掘って子供を首まで埋めてしまう、それを学校の先生が教室から見て、手をたたいて喜んでおるなどという事件もございまして、抗議をいたしましたところ、もうあと一年で卒業するんだから黙って見てくれみたいな話で唖然としたことも実はございます。人権擁護を預かる機関として看過できない傾向であると考えております。  少年法の趣旨そのものに私どもは何も反対ではございません。しかし、こういう事件を契機に少年法の中身について、検察官関与あるいは国選付添人制度、刑事訴訟における再審類似の制度の創設等を含め、先生からお話のあったような問題点があることを十分承知をいたしております。また、昭和五十二年、法務省当局におきましても改正の作業という形で取り組んだわけでございます。お話ありましたように、弁護士会の反対等があり、これが実現をしていない、こういう状況であります。  少年法の全体構造にかかわる大事な問題でもありますし、こういう非常に難しい時期でありますけれども、少年法全体の改正作業検討を十分いたしていきたい、このように考えているところでございます。

正森成二日本共産党

○正森委員 終わります。

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 小森龍邦君。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 主として人権擁護の観点から、何点かについてお尋ねをしたいと思います。  その前に、中井法務大臣、御就任まことにおめでとうございます。全力を挙げて人権擁護のために奮闘されますことを心から期待させていただきます。  さて、私がまず第一にお尋ねをしたいと思います点は、厚生省を中心に若干の経過のある問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  精神障害者の強制入院にかかわる問題でございますが、人権を尊重するという立場から、慎重の上にも慎重な手続をとってこの問題の行政を進めるということは申し上げるまでもないところでありますが、事が強制入院ということになれば、これまで大体どういう手続を経て強制入院というものが行われるか。これは手続上の問題でありますから、なるべく簡単にひとつお願いをいたしたいと思います。

平良専純厚生省保健医療局精神保健課長

○平良説明員 お答えいたします。  精神障害者が入院する場合に、旧の精神保健法では、措置入院というのと同意入院というのがございます。それで、措置入院というのは、自傷他害があってすぐ強制的に入院させる方法と、それから同意入院というのは、保護義務者の同意を得て入院させる方法がございます。それから新法、昭和六十三年に改正されました精神保健法においては、措置入院と医療保護入院がございます。  以上でございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 強制入院の際に、本人を入院させるということになる、その際に、しかるべき人の同意というものが要ると思いますが、それは大体どういう立場の人の同意を必要とするわけですか。

平良専純厚生省保健医療局精神保健課長

○平良説明員 その場合におきましては、法律に基づきまして、まず後見人それから配偶者、親権を行う者及び扶養義務者が保護者となる旨の規定がございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 ここで私が提起をします問題は、固有名詞は避けたいと思いますが、Yさんという女性にかかわる問題であります。病院名も、固有名詞は避けて、T病院と表現をしたいと思いますが、このYさんがT病院へ強制入院をさせられたときに、私の調べたところによりますと、親権者とかあるいは配偶者とか、そういう立場の人でなくて、おじさんの立場の人が同意をして、その同意に基づいて強制入院をさせておるという事実がございます。これは、東京精神医療人権センターの、こういったことに深くかかわっておられる担当弁護士の方が、このYさんのT病院への同意入院は、法的には保護義務者となる資格を有しない本人のおじの同意に基づいており、明らかに手続上違法であります、こういうことを、この弁護士の方も調べられて、そういう気持ちを表示されておりますが、こういう場合は、つまり違法な強制入院措置である、こういうふうにお認めになりますか。いかがですか。

平良専純厚生省保健医療局精神保健課長

○平良説明員 同意入院の場合のお話のようでございますけれども、一般的には、先ほど申し上げましたような順序で大体保護義務者の認定をやるわけでございます。  ただ、後見人、親がおる場合に、また未成年者である場合に、扶養義務者に該当するおじが保護者となるということの場合は、これは一定の手続を経てやる場合はございますけれども、普通は、順序がありますから、そういうことはございません。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 今のような事実、つまり、保護義務者でない者の同意を得て強制入院、もちろんそれには、かぎもがけたり、あるいは自分が退院したいと言っても退院をさせてもらえなかったり、そういう強制力が伴うわけですから、手続は慎重を期さなければなりませんが、要するに、保護義務者でない者の同意をもって、それを一つの、どういいますか、法律的な手続を踏んだということでやる場合は違法ですか、どうですかと尋ねております。

平良専純厚生省保健医療局精神保健課長

○平良説明員 保護義務者でない者が保護義務者として、同意を得て強制的に入院したということは、精神保健法の中ではございません。違法でございます、もしそういうことが端的に行われたとしたならば。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 法律はそういうことを想定してないということと想定してないことをやったということとは違うんですからね。ちょっと事を正確に言ってくださいね。つまり、そういうことがあれば、それは違法だということでしょう。もう一度ちょっと答弁してください。

平良専純厚生省保健医療局精神保健課長

○平良説明員 そういうことがあれば、これは確かに違法でございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 そうすると、そういうことに対しては厳格な上にも厳格な措置を講じて、今後そういうようなことがかりそめにも起きるようなことのないように万全の方策を講じてもらわなきゃなりませんが、その辺のお気持ちはいかがですか。

平良専純厚生省保健医療局精神保健課長

○平良説明員 今後、強制的に入院させる場合の手続につきましては、当然法の趣旨に従って万全を期していきたいと思っておりますし、またそのように行うよう指導もしてまいりたいと思っております。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 先ほど法務大臣がちょっと席を外されておりましたので、詳細を法務大臣はお聞きになっておりませんので、今聞いておる範囲で、人権擁護局長、事実の問題をここでやれば相当時間がかかるから、名前もYとか、病院もTとかいうようなことを私は言って、やったわけです。だから、あなたが、そういう事実があったかなかったかは、そこは認定できないが、やむなく私は、問題のここでの議論を進めるために、そういう事実があったとすればということで、人権擁護局長にひとつ見解を聞きたいと思いますが、そういうことは人権上大変な問題であるから人権擁護行政としても多大な関心を払う、こういうお気持ちかどうか、ちょっとコメントをお願いしたいと思います。

筧康生法務省人権擁護局長

○筧政府委員 事精神障害者の強制入院手続に関しましては、病院の行政にかかわることでございますので、第一義的には厚生省の方で対処をされておるというように承知しておりますが、事実関係を委員御指摘のように、強制入院についての同意すべき権限のない者が同意をして強制入院手続がとられるというふうなことは違法であると考えます。それは当然のことでございまして、そのことは、もとより、これは人の身にかかわることでございまして、人権擁護の観点からも重要な問題であるというように考えております。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 それでは、時間の関係もございますので、行政はこれからそういう問題については慎重の上にも慎重を期し、人権擁護の観点から違法なことのないように最大の努力をしてもらえる、こういうふうに期待をいたしまして、次の項目に移りたいと思います。  これは、裁判所の方にお尋ねをしたいのでありますが、私が以前三度にわたって当法務委員会でいろいろと議論をしたと思います。それは、広島県出身の山本さんという、ついこの間九十五歳で亡くなられた方なんでありますが、母親を殺したということで罪に問われまして有罪判決を受けて長らく獄中につながれておりまして、絶対に私はやってないということで、再審請求をしておったわけであります。これには、相当権威のある人の、母親は他殺ではなくて病気で死んだ、そういう鑑定書も出ておるという再審事件でありますが、私がこの際問題にいたしますのは、相当老齢な方でありますから、生きておる間の勝負にしてもらいたいということを裁判所の方に当委員会におきまして強く要請をいたしたのであります。ところが、ついせんだって、四月二十九日、九十五歳の高齢をもってこの方は亡くなられました。  時間を節約するためにこの事件の背景を簡単に申しますと、この人が警察にとらわれの身となったころはちょうど前の天皇の即位の礼が行われるころでありまして、警察は全国に通達を出して、ちょっと問題になるような者は皆しょっぴいておけというような時代でありました。そして、自白をさせるために、私は広島県ですから広島県の地名もよく知っておりますが、庄原警察署の武道の道場で、ソバの種をまいて、ソバの種はいがぐりがついていますからね、その上に正座をして座らされて、そして、その正座をした足のここに竹刀を何本も入れられて、責めせっかんに遭うた。だから、私、この前写真をここで見せましたけれども、この人は足がこういうふうに曲がっておるんですね。それは、そのときの拷問の跡形なんでありますが、亡くなられた方なんでありまして、今から悔やんでも悔やみ足りないんでありますが、一体この再審請求などというものは都合によって幾らでも、判決というか結論は延ばせるのか。裁判所はどういう一つの能率というか、そういう時間帯をもってやろうとしておるのか。ちょっとお答えいただきたいと思います。

高橋省吾最高裁判所刑事局長

○高橋最高裁判所長官代理者 具体的事件の審理に関しまして御意見を申し上げる点は差し控えさせていただきたいと存じますけれども、一般論として申し上げますと、再審請求事件の審理に当たって、担当の裁判官としましては、一般の公判事件と同じように迅速かつ適正な裁判をするように努めているところでございます。とりわけ、有罪の言い渡しを受けた再審の請求権者が高齢であるような場合には、その点を考慮して、より迅速な裁判を心がける、こういう必要があると思われます。  ただ、一方におきまして、十分に慎重な審理を行うということも必要でありまして、また、個々の裁判所のそれぞれの事情もあろうかと思います。それらの諸般の事情を踏まえた上でなるべく迅速な裁判を行いたい、そういうことはどこの裁判所においても考えていることと思います。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 言葉の上では迅速という言葉を使うのは簡単でありますけれども、やはり人生には限度というものがあるわけでありまして、特に私が発言をしたときは既にこの人はもう大変な高齢でありまして、九十歳を超えて九十二歳ぐらいではなかったかと思うんです。それが九十五歳で亡くなったわけですね。だから、九十五歳亡くなったわけでねす。だから、そういうことを考えると、意地悪くこれを邪推すると、死ぬのを待っておったんじゃないか、こう判断されなくもないんですね。裁判官の個々の人がそんなことを考えるとは思わぬけれども、裁判所の仕組みが、迅速な公平な裁判という憲法の原則は現実には無視されておるように思いますね。それをやりとりしてみても仕方がないが、私は、これを非常に悔やんでおります。そして、この人の名誉のために、六十何年間無実だと言い続けて、そして再審の結論も出ずに死んでいったんです。そして、それには、相当有力な岡山大学の名誉教授でその筋の日本の第一人者が、それは他殺ではないという鑑定書も裁判所に出しておるのに、それがついに審理の結論に至らずにその人は事切れてしまったということで、私は、同郷の者として、せめて国会でそういう問題については言っておかなきゃいかぬ、こういう気持ちで言っておるわけですから、このことに限らず、ひとつ本当に公平な迅速な裁判が行われるように努めていただきたい。申し上げておきたいと思います。  次に、これも私は毎たびここで申し上げておるところでありますが、狭山の仮出獄の問題であります。これは、狭山というと、またなかなか具体的な問題であるから答えにくいということになるかもしれませんが、こういうことなんですね。  二審とそれから上告審の判決によって、未決勾留を刑期に算入するというのが実は四千二百八十六日算定されておるんですね。この前、根來さんが刑事局長のころに、私は、無期懲役の場合は仮出獄の場合に全く問題にならぬのかと言うたら、いや、それは判断材料の一つです、こういうことだったんですね。判断材料の一つならば、何かの形で判断材料の一つになっておるというような状況が出なきゃならないけれども、既に逮捕されて、これは事件になってから、これだけ未決勾留日数が多いということは相当事件が長引いたということでありますが、三十年超えておるんですね、三十年を。通常は十年を超えたところで仮出獄の審理の対象になるということでありますが、何か聞いてみると、全国的には十六年ぐらいが平均らしいというようなことですがね。未決勾留日数の算定ということで、この点を答えてください、結論は今まで何遍も聞いておるけれども。結局、日弁連にしてもあるいは学者の意見にしても、逮捕されて勾留されておる期間は本人にとっては身柄を拘束されているわけですから、苦しみをその期間受けておるわけです。だから、本人にとってはこの未決勾留日数を本当に算定してもらわなければいかぬということになると私は思います。ところが、それは別だ、無限大から幾ら引いても無限大だというような理屈をつけて、最近の改正刑法草案なんかを見ると、そういう考え方は間違っておるから直そうというような動きもあるわけでしょう。これはもっと本当に人間味のある態度はとれないものか。だから、勾留されたら受ける苦しみというのはほぼ同じでしょう、その点についての配慮はどういうふうにお考えですか。

則定衛法務省刑事局長

○則定政府委員 前回もこの委員会で質疑がございましてお答えしたわけでございますけれども、無期懲役と申しますとまさに期限のない刑期、終生続く刑ということでございまして、そこに未決勾留日数を本刑の一部として算入するというのは理屈の上からできないのではないか。また、法律の規定におきましても、有期刑につきましては刑期の三分の一を超えると仮釈放の対象になるという規定でございますけれども、無期懲役刑につきましては、いわゆる暦年といいましょうか、歴史的時間の経過の十年を超えたという規定でございますので、無期懲役中の仮釈放の資格要件としての期間の経過については、これまで未決勾留日数を加えて十年の期間を計算はしていない、こういうことでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 そうすると、裁判所の判決は物事の飾りくらいの意味しかないのですか。裁判所が未決勾留日数を算入すると言ったら、その重さも考えなければいけないですね。それは根來局長時代に判断の中の内容の一つなんですと言ったわけです。判断の中の内容の一つなら、三十一年目ですよ、全国の平均は十六年ですよ、ここで結論を出すとは言われないと思うけれども、これは受けとめておいてください。こんなことが、くるくる刑務所長が変わるたびに、いや、もう近い時期ですというような印象を与えておいたり、刑務所ではまことに優良な服役態度ですとか、いろいろなことを言って、それがだんだん変わっていって三十一年ですよ。これは我々の方は部落差別の問題として受けとめていますが、国民はその目でずっと見ますよ。  ついでに、もう一つこれに関連してお尋ねしたいのは、結局、未決勾留日数の算入が多いということは、裁判を争った日数が多いということです。裁判を争った日数が多かったら結果的には不利を受ける、これも虚偽の自白をするような条件になりませんか。自分はやっていないのだから、やっていないとずっと頑張り続けると、つづまるところが損になるかもわからないと思ったら、うその自白をして早く出てやろうかという気持ちにならぬとも限らぬわけです。そのためにも、今申し上げましたようなこと、それから改正刑法草案なんかも、今あなたが言っているような答弁とは全然違う方向に来ているわけでしょう。そういうことを考えてもらわなければならぬ。  これも名前は挙げませんけれども、同じ時期に事件として警察にとらわれて裁判になって、そして判決を受けた、どちらも無期懲役なんですね。片方は三年半で上告審の判決までいったのです。片方は十二年かかったのです。刑の確定ということだけに重点を置いたら、裁判を争うということは国民の大事な権利ですが、その権利を行使した者が大変な損をする。そして、一番悪いケースは、早く自白した者の方が早く仮出獄で出られるということになるでしょう。これはきょうは提起だけにとどめますが、この点は十分に考えてください。  次は、法務大臣にお尋ねをいたします。  法務大臣はかねてから同和問題についてかなり熱心に取り組んでいただいておりまして、民社党の社会問題特別対策委員長も務めておられ、今務めておられるのか、閣僚になられるつい最近までの役職か存じませんけれども、いずれにしても、長い間いろいろなことをやっていただいて、私どもは感謝をいたしておるわけであります。  そこで、これは非常に言いにくい話かもわかりませんけれども、関係者というか運動側は、連立内閣ができて、社会党とか公明党とか民社党とか、二十人ほどの閣僚のうち十三人も、以前基本法問題について骨を折っていただいた政党の閣僚が過半数以上おるということで物すごい期待をしておるわけです。今もしておるのです。今は社会党の離脱でちょっと状況が変わっておりますが、中井法務大臣は基本法制定について法務大臣としてどういうお考えをお持ちかということをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 お話しのように、民社党の組織の名前はいろいろ変わりましたが、ここ十年ばかり同和対策の責任者をやってまいりまして、当時の野党側の協議会、先生とも御一緒させていただき、いろいろな形でお手伝いをさせてきていただいたと考えております。  一昨年、法改正あるいは基本法制定をめぐって、私どもは社会党さんと一緒に基本法を制定すべし、こういう形で自民党さんと長い、また熱心な話し合いをいたしまして、結果は、五年の法延長、そして審議会の中に小委員会をつくってこの問題について御協議をいただく、簡単に言えばこういう結論が出て現在二年目を迎えておる、このように考えております。  私個人は基本法は必要だと考え、今日まで運動をし、またそういう形で各地の会合等でも明言をしてまいりました。  ただ、社会党さんあるいは運動体の皆さんが持っていらっしゃる基本法そのもの全部がいいとか悪いとかということじゃなしに、とにかく基本法をつくるというテーブルに各政党、政府機関も一緒に着くべきである、こういう形で運動をしてきたことは事実でございます。  今日、法務大臣になりまして、個人の気持ちを何も変えるつもりはございません。今までどおりであると考えておりますが、法務大臣といたしましては、この法制定ということにつきましては、担当の役所が違いますので、審議会の審議、御議論を十分見守っていく、これしかお答えをさせていただけないこと、大変残念に思うところでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 閣僚になられた方はその枠組みでいろいろ行動しなければならぬわけですから、それもわかるのですけれども、強く願う関係者は、私らがそういう話を持っていったときに、それは結構なことだと言っておったような大臣がたくさん出ておるのになぜできないかというような落胆をするわけです。したがって、法務大臣の立場から最大限にそのことは念頭に置いて努力するというお気持ちですか。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、この審議会に小委員会がかつて私どもが野党時代に約束した年度内につくられていくのかどうか、そして五年という期限の中でどういう方向が出されるのか、これを十分見守っていきたい。同時に、閣僚内部であるいは政府内部でこういう議論がありましたときには、そういった方向をきちっと申し上げてみたいと考えております。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 最大限の努力をお願いをしておきたいと思います。  そこでこの機会に、いろいろかかわっていただいておるわけですから、私が簡単に話をしても法務大臣には理解をしていただけると思いますので、ごく簡単に申し上げます。  今、法務大臣が審議会という言葉を使われたのは地対協、協議会のことだと思います。その協議会にいわば小委員会みたいなものができています。それもある程度活動しています。  しかし、私どもは、協議会というのはあらかじめ政府の定めた方針をいかに政策的に具体化するかということを審議する会であるので、できるだけこれは審議会のような水準のものに持っていってもらいたい、こういう話は社会党の田邊委員長と自民党の森幹事長との間で話をした経過があります。そのときに、審議会と言おうが協議会と言おうが、とにかく政府は尊重するのだからということで中折れみたいな話になったわけです。  しかし、結局これは審議会とならず、最近の総理大臣の答弁、最近と言っても細川さんが総理大臣になられたときの答弁を聞いてみると、いわゆる一般行政への円滑な移行、現行法律でさえも切る、こういうふうなことを参議院の本会議で答弁をなさっているわけです。そういう思いが、少なくともあの地対財特法の延長のときに努力をされた先生方、また運動の我々の方からする思いと逆行していますから、そこも閣僚の一員としてぜひ頭に入れておいていただきたいと思います。  それからもう一つは、実態調査の問題です。これはやがて実態調査の結論をまとめるわけですけれども、残念ながら昔から六千部落と言われておったけれども、そのうちの約一千部落は法律的に未指定地域である。これを全然実態調査しないのですね。だから、指定されている地域のことを解決するということはもちろん大事なことなんだけれども、それはある程度ルートに乗っているわけです、問題は全く手つかずの一千部落をどうするかということが問題なので、簡潔な言葉で言いますと、日本の部落問題がそれで解決がつくのですかという意味のことをこの間決算委員会の分科会で、閣僚の皆さんは出られなかったけれども、話したようなわけであります。  したがって、一千部落は手つかずであるということも、かねてからいろいろな知識をお持ちですから、法務大臣はそれも念頭に置いていただいて最大の努力をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 お話のありました小委員会、どういう名称にするか、どういう構成にするかというところまで与野党でかなり議論のあったことは十分承知をいたしております。また、先生が最後まで未指定問題を含めて大変真情あふれるお話をなさったことも承知をいたしておりますし、また運動体の方々も、名称、やり方、それと同時に未指定地域の問題について最後まで御主張なさったことを忘れるわけにはまいりません。  結果的にはああいう決着でありまして、今小森委員から中折れという話がありましたけれども、私ども野党の立場にあって、しかも時間的な制約がある中でああいう決着もやむを得なかったかと考えておりますが、これからまだ年数もあることでありますから、御指摘いただきましたことを十分腹に畳んで閣僚の一員としても対応していきたい、こんな思いでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 先はどのようなことをぜひ念頭に置いて、物事が前に進むように御尽力を賜りますことを重ねてお願いを申し上げておきたいと思います。  さて、次は同じ人権擁護にかかわることでありますが、一般的に言えば、いわゆる差別語と言論の自由というか表現の自由の問題であります。  それについては、まことに遺憾なことでありますが、昨日の衆議院予算委員会におきまして石原慎太郎議員が、私から言うとちょっと常識を逸脱したようなことを言っておるわけですね。例えばこう言っているのですよ。私が環境庁長官のとき、ひどい目に遭ったことがある、役人の言ったことをふんふんと聞いてやる、聞いて聞かないふりをする、つまり何でもかんでもめくら判を押してつんぼ桟敷にいることが名大臣だと椎名大臣が言ったとされる。一体何でここでめくら判とかつんぼ桟敷とかいう言葉を乱発しなければならぬかというふうに思うのですね。  しかもまた、こういうことを言っているのですね。絶対につんぼ桟敷にいちゃいけないし、めくら判を押してはいけない、あなたたちは国民から選ばれた大臣だ。これは赤松文部大臣とか浜四津環境庁長官にそういうことを言ったのですかね。  あなたたちは国民から選ばれた大臣だ、私はそう思っていたから、そんなもの男のやる仕事じゃないと私が言ったら、そのころフェミニズムが台頭しているころだから非難された、女の大臣もいなかったし、赤松さんや浜四津さんだって、つんぼ桟敷にいてめくら判を押すことがいい大臣じゃないよ、つんぼ桟敷やめくら判がなぜ差別用語かと社会党の議員に聞いたら、目に不自由な人に気の毒だと言う、それじゃ何と言ったらいいかと聞いたら、目の不自由な人の押す判と言えと言った。そんなことありますかね。めくら判をどう言ったらいいかと言ったら、目の不自由な人の押す判と言えと社会党が言ったと。こんなことは本当に私は聞くにたえないと思う。  それで後にまた同和問題が出るのですけれども、ここで一段落しておきますが、実はさらに私が残念でならないのは閣僚の答弁です。  羽田総理大臣は、差別用語とは、その言葉によって痛みを覚える人たちがある、そういう言葉のことを言うのではないかと答弁をされている。これも満足な答弁ではありません。差別用語というのは、痛みを覚えるというだけで差別用語とは規定できないですからね。残念なんですよ。我が国の内閣総理大臣が、そういうことはちょっと慎まなければいかぬというぐらいの前向きなことを言うべきだが、差別用語とは、その言葉によって痛みを覚える人たちがある、そういう言葉のことを言うのではないかと言っているわけです。  今度は赤松文部大臣、これは問題ない。差別っていうのは、差別される身になって考えることと、非常に深く傷つけられる。ちょっとこれは日本語になり損ねていますけれども、一方、表現の自由や思想の自由は保障されるべきだ、そのバランスをどの辺でとるかが問題だ。  だから、今あなたが言っていることは、非常に余計なことを言っていますよ、何遍も何遍も繰り返して、そんなことを何のために言わなければならないのですか。表現の自由で、何か小説を書くときにめくら判という言葉が出るのは一向差し支えありませんよ。差別を助長するような形で使っておれば、それは世間から非難されるのですから。使うなといってだれも規定してないですよ。それなのに、使ったら文句を言われるというようなことを言いながら、そういう質問をしたことに対して、赤松さんがまたそんなあいまいな答弁をしておる。人権を守ろうという姿勢なんか私は見受けられないと思うのですね。  今度は柿澤外務大臣が、これはどういうわけで外務大臣がここで出てきたのか知りませんけれども、いろいろハンディキャップを負っている方に、そうでない人が思いやりを持つということは大事だ、しかし、一方では石原議員御指摘のように歴史的ないろいろな表現がある、それらを全部否定していいのか少し疑問だ。だれも全部否定しておる者はいないのに、全部否定しておるというような仮定の上に立って、そして人権を守るというような観点からの閣僚の発言は全然ないのですから。恐らくは中井法務大臣も同席されておったのではないかと思うのですね。したがって、このようなことについて、人権擁護局を所管する大臣としてどういうお気持ちをお持ちになっておられるか、お尋ねしたいと思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 実は、石原議員の御質問を聞いておりまして、大変懐かしいというのはどうかと思いますが、いろいろなことを思い出しまして、あの環境庁長官としての問題になりました当時の発言は、たしか昭和五十二年、環境対策特別委員会での社会党の上田卓三議員との質疑の中で出てきたことと思います。私は初当選でございまして、環境の公害の特別委員会の理事をいたしておりまして、大紛糾をいたしましたことを思い出したわけでございます。片手落ちという言葉はどうだとか、もうすさまじいやり合いになったのを覚えているわけでございまして、会議録を探させたわけでありますが、見つからないところを見ると削除をなさったのか。当時、石原さんが使っている言葉で傷つく人たちがおるということに気がつかなかった、今後十分気をつけて発言をする、こういう形で最終的には決着がついた。これを石原議員が十七、八年たってなぜ予算委員会の場で言われたのかな、こんな思いで聞いておったところでございます。  大変難しい問題でありますし、石原議員は一方では文士という、しかも高名な方でございまして、昨今私どもも少し聞いておりますマスコミ等あるいは文壇関係者の中で言葉が使えなくてもうやっていけないじゃないか、こういう声を代表して、あえて問題を自分のことの経験に照らして御提起をなすったか、こんなふうには思っておりますけれども、これはこれ、マスコミのいわゆる人権問題から認識した対応であろうか、国会の場でああいうことが論議される、おもしろおかしく取り上げられるということは大変残念なことだな、このようにあの質問を聞き、感じたところでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 これは、差別語を追及する立場というか、それは困るという立場の者が世の中におってよいわけですよね。そういうことも実は言論の自由の一つなのです。ところが、だれもそんなことを使うなと言っておる者はいないのに、使い方の場所によって人を侮辱することをするなということを言っておるわけで、それをこういうふうに短絡的に物を言うということは、私はやはり羽田総理大臣にしても、特に赤松文部大臣なんかはもっと見識のある答弁をしてもらわなければ困る。これはまた、私は個人的にでも面会を求めて文部大臣等には言わなければいかぬと思っています。  つまり、誤解をしてはいけないのです。最近、筒井さんという文壇の方が何か言われたといってちょっと立腹して断筆宣言をされましたが、この人と私は朝まで生テレビに出てやったのです。その生テレビでやっている間は割合納得したようなことを言うのですよ。それは、だから論理が貧困なのです、思い込みが激しくて。やっている間は納得したようなことを言って、またそうやって出たらまた違うことを言ったりしておるので、これなんかは一番よい例ではないか。法務大臣がその歴史的経過を説明してくれたからよくわかるのですが、そのときに一たん何らかの形で決着をつけておいてまた言うというごとは、やはりこういう言葉を侮辱的な場所に使わなければ文章が書けないということは、その人自身の表現力が貧困なのですよ、これははっきり言って。  だから、そういうことでこれまたいろいろ法務大臣、人権擁護局がありますので、重い荷を大臣にかけるようですけれども、こういうことも閣内にあってともに、閣僚側の物の考え方ということが問題ですから、気をつけてひとつ手だてをしてもらいたいということをお願い申し上げておきます。  それから、ここになると全くこの論理はきわまったということになるのですけれども、こう言うのです。数を数えるとき、一つ、二つ、三つ、次だけヨンと言うのか、勘定するとき、一、二、三、四、五とは言えない、四だけ飛ばして言うのはおかしい。四だけ飛ばして言うのはおかしいというのは、一つ、二つ、三つ、四つと言ったら文句を言う者がおるというのだな。ばかばかしくてかなわぬ。  だから、そんなことぐらいは閣僚が、あんた何言うとるのか、同和問題を解決するのは人類普遍の原理の問題であり、基本的人権にかかわる問題だ、これは国の責務なんだ、そんなことを言うこと自体が大変な悪い差別感情というものをばらまくではないか、しかもこれは国会ではないかということを諭さなければならぬのですけれども、こんなことになっているのですね。これもひとつ十分に頭に入れておいていただいて、大臣として努力をしていただきたい。  それで、もう余り時間がありませんから簡単に申し上げておきますが、要するに石原さんのこの発言というのは、既に行政的には地方自治体に対して自治省行政局行政課長、あるいは行政局長も出したことがありますが、条例なんかにいろいろあるでしょう。例えば、建設工事でいったら四方コンクリ、暗渠になっておりますね。それはめくらと言うのですな、一般的な呼び方をすれば。それから、ここに例を挙げておるのは不具廃疾とか、要するに身体障害者のことをなぞらえてそういうものをいろいろ言っておるのがあるし、条例にまたそういう文書がある。それは改めなさい、こうなっておるのですから、たとえそれは閣僚がどれだけそういう文章とか表現とかという問題について自分の考え方がどうあろうが、一応行政の態度を守るという意味でも、今のようなことは閣僚はしっかりしなければいかぬ、こういうように思います。  したがって、それもひとつ頭に入れておいていただいて、先ほどの一、二、三、四というのは二度目の私の質問ですから、大臣の見解があれば出していただきたいと思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 基本的には、国会議員それぞれ発言の自由というものがおありであろう。予算委員会で行われた発言に対して、私がとやかく批判をするということではないわけでありまして、この点だけはひとつ御理解を賜りたいと思いますが、先生、人権問題に絡めてのお問いでありますから、先ほども回り回ったようなお答えを申し上げました。  聞いておりまして、ございました一、二、三、四つと言ったと思うのですが、何かそれを言ってはだめだという放送局の内規がある、このことはばかばかしいことだ、こういうように言われましたが、私はそういう内規があるとは知りませんし、一度確かめてみようと思いますが、そういう内規があるとしたら、それは全くおっしゃる意味でナンセンスなことであろうか、こんなふうに考えております。そして、そういうことを世間に流布されることによって、同和問題の理解ということにあらぬ誤解やつまらないやゆをされるということを担当大臣として大変心配をする、こんな思いでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 これでやめますが、受けとめは、マスコミがそんなことを自主規制しておるんだというようなことを言っていますが、そんな自主規制は私はないと思います。私は表現の問題で何回も朝まで生テレビに出て討論していますが、そんなちゃちくさいことを自主規制しておるのではないのですね。  ただ、先ほど大臣が言われたように、そのことをやゆの論理展開の中で言われるということが大きな問題だと思いますので、ひとつ閣内にあっていろいろ努力をしていただくようにお願いします。ありがとうございました。      ────◇─────

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 内閣提出、更生緊急保護法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、趣旨の説明を聴取いたします。中井法務大臣。     ─────────────  更生緊急保護法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 ただいま議題となりました更生緊急保護法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  更生保護会は、更生緊急保護法に基づき、犯罪者に対する更生保護事業を営むことを目的として、法務大臣の認可により設立された民間の公益法人でありまして、法務大臣の指導監督のもとに、刑務所から釈放された者や保護観察中の者などで住居や身寄りのない者に対し宿所を与え、生活指導を行い、就労を助けるなどの業務を行っており、犯罪前歴者の再犯の防止や社会復帰を助ける上で大きな役割を果たしております。最近では、更生保護会に保護された者の約八割が保護観察中の者で占められるようになり、また刑務所から仮出獄される者の約三割が更生保護会に帰住している状況にありまして、更生保護会は、仮釈放及び保護観察制度の運用上不可欠な施設となっており、我が国の刑事政策上ますます重要な機能を果たすべき存在となっております。  ところで、更生保護会の施設の現状を見てみますと、社会福祉施設などは国民の生活水準の向上に伴って居住環境の改善が進んでいるのに比較しまして、更生保護会の保護施設の多くが建築後相当年数を経過して老朽化し、あるいは円滑な社会復帰を援護する場として十分な設備が整っていないなどの問題を抱えております。しかしながら、更生保護会は、自己資金の不足などによりその財政基盤が極めて脆弱であり、また現行の更生緊急保護法のもとでは、保護施設が経営認可の基準に適合しないほど劣悪な状態となり国がその改善を命令したときに限りその施設改善費用につき国が補助することができることとされておりますために、時代の変化に応じた居住環境の改善や被保護者に対する処遇機能の充実強化などのための施設整備を行うことが困難な状況にあります。  このような実情にかんがみますと、この際、国が、更生保護会の施設整備に積極的に関与し、それに必要な財政的援助を行うことが更生保護会の運営上不可欠であると考えられます。  本法律案におきましては、更生保護会に対する監督及び補助金交付に関する現行の規定を改め、国がその整備等について積極的に助言、指導または勧告を行うとともに、施設の改善を命ずべき状況に至っている場合はもちろん、その状況に至っていない場合であっても、被保護者の改善更生を図る場にふさわしい施設として更生保護会を整備するために、補助金を交付できるようにするなど、所要の改正を行うものであります。  以上が、更生緊急保護法の一部を改正する法律案の提案理由であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     ─────────────

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本有二君。

山本有二自由民主党

○山本(有)委員 この法律によって更生保護会の施設等の充実が図られるというように思うわけでありますが、この法律を変えなければならないくらい今更生保護会の施設は劣悪で、そして国からも補助金等を交付するのに困難だ、こういうことであるわけでありますが、さてそうすると、この更生保護会に対して国が一体年間幾らくらいの予算を出して、実際どれくらい改善をし施設を充実されているか、具体的にこの窮状についてお教えいただきたいと思います。

杉原弘泰法務省保護局長

○杉原政府委員 お答えいたします。  ただいま全国の各都道府県に一団体以上この更生保護会がございまして、全国で九十九団体となっております。これらの中には複数の施設を持つ団体もありますので、施設の数は合計百ということになっております。  ただいまお尋ねの、この施設についてどのくらいの国の金を支出して、どのような改善を行っているのかということでございますが、現状を申し上げますと、現在の更生緊急保護法の上では、施設に対する施設改善のための補助金というのは非常に限られた範囲内でしか認められておりません。具体的に申し上げますならば、更生緊急保護法の十二条の規定によりまして、この更生保護会が大臣の認可の際に満たすべき最低の設置基準に該当しないような劣悪な状態になった場合に、大臣の改善命令が出されまして、その改善命令を前提といたしまして、それに要する施設の改善の費用の一部を補助することができるというふうな規定になっております。  措置されております予算の額は年間約三千五百万円でございまして、ただいま申し上げましたように、全国合わせて百近い施設があるのにわずかこの三千五百万円で措置しなければならない、しかもその措置すべき条件として、それは最低限の設置基準に該当しない場合、そのような劣悪な状態に限って措置をするというようなことでございまして、これまでのところ施設の改善というものが非常に思うように進んでいないという状況でございます。  実際は、その足りない部分を更生保護会の独自の自助努力、あるいは更生保護関係者その他民間の篤志家からの寄附、あるいは民間の助成団体からの助成金等に依存しまして、何とかしのいできているというような実態にございますが、やはり最近の景気の後退その他からしまして、こういった自助努力にも限界があるということで、ますますこの施設改善についての状況が深刻なものとなっている、こういう状況でございます。

山本有二自由民主党

○山本(有)委員 施設は充実していただきたいわけでありますが、施設を充実しましても、要は、社会復帰、これを十分にしなければならないわけでありまして、その意味で御努力をぜひいただきたいと思います。  社会復帰に当たっては、私は午前中に質問をいたしましたように、犯罪報道における犯罪、そんなふうなマスコミと犯罪との関係について、またもうしばらくお聞きをしておきたいと思います。重要なことだと思います。  そこで、刑事局長が申されました、ペーパートライアルは日本においてはないんだ、我が日本の検察においてはペーパートライアルといういわば不当な社会的制裁を意図的に加えることはないんだ、こういう御答弁でありましたので、私もそう信じたいわけであります。そして、マスコミにリークする、公表する、犯罪の事実、特に実名を公表するときには強制捜査があったとき、こういうようにお聞きしたわけでありますけれども、強制捜査がなくても現実には犯罪報道は必ずあります。それは、起訴前にたまたま被害者の届け出で犯罪が表にあらわれて、そして、たまたま実際に任意同行等について取材ができたというようなことも十分あるわけでありまして、特に、昔からこのことが問題になっておるのは、こんな事実からも明らかでございます。  一九五〇年、随分昔でありますが、九州弁護士会のマスコミに関連した決議というのがありまして、これが「人権の尊重を期するため、起訴前において被疑者その他の関係人の氏名及被疑事実を発表して新聞紙等に掲載、公表するに至ることのなきょう、検察庁及び警察署に要望する。」つまり、こんな事実が間々あるわけであります。  そこで、刑事局長にお伺いいたしますが、刑を受ける前に制裁があること、社会的に既にマスコミ等の報道によって制裁があること、この事実があるかどうかについてお伺いいたします。

則定衛法務省刑事局長

○則定政府委員 法務当局から、そのお尋ねの点につきまして、あるかないか公的にコメントするのはいかがかと思いますけれども、一般に、犯罪の被疑者であるというようなことで報道されるということは、近隣社会における当該行為者に対しまする評価が消極の方向に向かうといったようなことで、事実上そういったことはあるだろう、こういう点は私どもも否定できないと思っております。

山本有二自由民主党

○山本(有)委員 特に量刑において社会的制裁という言葉が使われます。社会的制裁、一体この中身は何なんだろうというときに、それこそ、午前中にも示しました金沢元検事の有罪判決のときに被告弁護側が主張した情状の理由について、マスコミ報道により社会的制裁を受けているということをもっていわば量刑に勘案を加えてほしいという要望をしています。そしてまた、間々論告求刑におきましても、社会的制裁、そういうことを用いられます。裁判の判決書におきましても、既に十分な社会的な制裁を受けたというような文言が出てまいります。これは、すなわち、新聞報道、マスコミ等によって社会的に葬り去られたというようなことを意味しているということは、一般的常識ではないかというように思います。  そうすると、論告求刑でこの言葉を使うならば、既に社会的制裁を法的に認めてしまったということにつながってしまわないか、こう思うのですが、この社会的制裁の中身、特にマスコミ等の報道について、プライバシーを侵害されたとかそういうことが含まれるのかどうか。これについて刑事局長にお伺いします。

則定衛法務省刑事局長

○則定政府委員 社会的制裁という用語がそういう法律の実務の場で使われておる関係上それは法的用語ではないかということでございますけれども、これはいわば、まさに社会的用語と申しましょうか、漠然とした概念を内包する言葉であろうかと思います。  マスコミ報道によります影響としての社会的制裁というものが、いろいろな場面で生ずるではないか、これは確かにそうだろうと思いますが、これは、報道される内容でありますとか、その対象になっております当該個人の地位とか、これらによりましていろいろな場面でそれぞれが社会的制裁と受けとめているのではなかろうか。したがいまして、ケース・バイ・ケースによってその内容も違ってくるであろうというふうに思っております。

山本有二自由民主党

○山本(有)委員 最高裁判所の方にお伺いしますが、この判決書に間々出てくる社会的制裁、その中にマスコミ報道によって被疑者、被告人の社会的な評価を下げしめたというようなことが入るかどうか、これについてお伺いします。

高橋省吾最高裁判所刑事局長

○高橋最高裁判所長官代理者 判決の理由中で述べられたその社会的制裁が何を指すかというのは、個々の事件における諸般の事情とかあるいは裁判官の考え方によるところもありますので、これは一概には申し上げられないと思います。  ただ、一般論として申し上げますと、例えば事件によって被告人が職を辞することになったとか、あるいは社会的な信用を失ったとか、そういったことを指す場合もありましょうし、あるいは事件の犯人として逮捕され、起訴されたというような犯罪報道を契機として、地域社会において不利益をこうむったり、あるいは精神的な苦痛を受けた、そういうことなども含んで考えている、そういうような考え方もあると思います。

山本有二自由民主党

○山本(有)委員 以上で私の質問はまた後日にさせていただきます。採決の関係で、以後の私の持ち時間は省略させていただきます。

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 冬柴鐵三君。

冬柴鐵三公明党自治政務次官

○冬柴委員 公明党の冬柴鐵三でございます。  連立与党各派のお許しをいただきまして、本法案につきまして質問をさせていただきます。  法務省に伺いますが、これは予算関連法と言われるものでありますが、本年度、平成六年度、本法改正に伴いましてどれだけの予算要求をしていらっしゃるのか、それだけをお尋ねしたいと思います。

杉原弘泰法務省保護局長

○杉原政府委員 お答えいたします。  本年度の予算要求におきまして、更生保護施設整備費補助金として一億四千二百万円の要求の結果、一億四千二百万円の大蔵原案の内示を得ております。

冬柴鐵三公明党自治政務次官

○冬柴委員 大臣、先ほど同僚の質疑を聞いておりまして、大変老朽しておる、今まで三千万円余りしか計上していなかったものを今回このような法を改正することにより一億四千二百万円ほど要求することになった、このように伺ったわけですが、約百施設とおっしゃいましたが、資料によれば六十八施設、相当老朽したものがあるようでございます。一億四千二百万円でも、とても満足に、社会福祉施設のようなレベルまでこの住環境を向上させることは非常に困難ではないかということを思うわけであります。  先ほどの提案理由説明で大臣が申されましたように、「社会福祉施設などは国民の生活水準の向上に伴って居住環境の改善が進んでいるのに比較しまして、」云々というくだりがありました。なぜ社会福祉施設は改善されるにもかかわらずこちらの方は改善されなかったか、こういうことを考えてみますと、今までは、いわばほとんどが更生保護の団体の自前で調達したもので細々とやっていた、国も細々と補助をしてきたという実態がここにあると思うわけであります。今回、一億四千二百万円、決して大きい金額ではありませんが、これも、補助金であれば、国の補助金というのは二分の一が限度ではないでしょうか。そこのところを確かめたいわけです。  ということは、一億四千二百万円を補助するということは、片や保護団体は一億四千二百万をどこかから調達をしてこないと所要の改築なり改造ができないということを意味する。反面、社会福祉施設では、国が半額、例えば一億四千二百万出しますと、都道府県がその半額の半額、約七千万円ほど出し、市町村が七千二百万ほど出して、そういうことで改造が進んできたわけですが、この更生緊急保護事業というのは、国固有の事務だというとらえ方から、地方がこれに対する補助金を出すすべがないのじゃないかというふうにも思うわけでございます。  そういうことを考えますと、今回法が改正されたわけでありますが、目指すような早急な住環境の改善をしようと思えば、補助率を変えなければいけないのじゃないでしょうか。五〇%でとどめていたのでは、これは、例えば今後こちらが五億出しますと言われても、保護団体は大変ですよ、五億調達するなんということは。これをもう少し変えてするという工夫はないものだろうか。これは私の素人の判断ですが、大臣のその点についての所信をお伺いしたいと思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 先生御承知のような形で今回御無理をお願いをして御審議を願うわけでございますが、いずれにいたしましても、緊急を要する施設だけでも二十八くらいある中で、この予算でございます。これからおいおいと予算の獲得等頑張ってできる限り急いでいきたい、こんなふうに考え、同時に、お話のありましたような諸問題があることを承知もいたしております。しかし、今日まで本当に献身的に御努力をいただいてきた皆さん方でございますし、この皆さん方にとりましては、国の補助率五〇%で順番も大分待たなければならないけれども、国が金を出す、この法律のもとで出すということで、大変元気をお出しをいただいて、今まで以上に意欲を持って取り組んでやろう、こういう空気が出ていただければ大変ありがたいことだ、このように考えておりますし、同時に、厳しい財政状況の中で、地方自治体の皆さん方も、それぞれやりくりをされて御援助を賜っている分野もあるやに聞かせてもいただいております。  福祉の諸施設どおりといかないのは私どもも承知をいたしておりますけれども、いずれにいたしましても、大事な施設でございます。十分な改善が図られるよう民間団体へお願いをする、こういった面でのお手伝いもさせていただきながら、少しでも早く施設改善ができるよう努力をしてまいりたいと考えております。

冬柴鐵三公明党自治政務次官

○冬柴委員 この法律についての質問はそれくらいにとどめまして、この機会に法務委員会の所管事項について若干伺いたいと思います。  平成五年六月二日に当委員会理事会が法律扶助に関しまして画期的な申し合わせをしたことは、法務大臣においても十分承知されているものと存じます。この申し合わせに対する所信なり決意をお述べをいただきたい、このように思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 お話のありましたように、昨年六月二日の当委員会理事会において、政府に対して法律扶助に関する調査、研究に取り組むことを求める申し合わせを賜りましたことを承知をいたしております。また、この申し合わせが実現するにつきましては、冬柴先生が大変な御熱意でお取り組みをいただいた、このことも承知をいたしております。申し合わせの御趣旨を十分尊重して、誠意を持って対処してまいる決意でございます。

冬柴鐵三公明党自治政務次官

○冬柴委員 非常に力強い所信を伺いました。  そこで、法務省に伺いますが、平成六年度予算に法務大臣官房費として、ただいま大臣申されましたような趣旨で約二千三百万円要求をされておりますが、それの使途とか方針、現時点のことで結構でございますが、大要を伺っておきたいと思います。  なお、これに関連いたしまして、この制度研究の対象の中にいわゆる当番弁護士制度についても加えるべきだという意見も多々聞くわけでありますが、この点について法務省は現時点でどのようにお考えなのか、それもあわせてお示しをいただきたいと思います。

原田明夫法務省大臣官房長

○原田政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、我が国の司法制度にふさわしい民事事件における法律扶助制度のあり方につきまして抜本的な検討を行う機関ということで、法律扶助制度研究会を発足させる予定でございます。この点につきましては、冬柴委員にかねてからいろいろ御指導いただきました一つの成果がこういう形であらわれたものというふうに考えております。  その運営経費といたしまして今回予算要求したものが御指摘の経費でございます。その要求の中身は、基本的にはこの研究会の運営に必要な経費ということで、その構成委員に対する研究会出席謝金、旅費及び会議費というものと、あわせまして、この点については多大な経験もございます諸外国におきます法制及びその実情を調査、研究するための費用等でございます。  この研究会につきましては、これまで省内の関係部局と日本弁護士連合会及び法律扶助協会との間で長年にわたって行われておりました民事事件における法律扶助に関する勉強会での検討を土台といたしまして、本格的に我が国の法律扶助制度のあり方についての検討を行うことを目的とするものでございます。法律扶助の理念、法律扶助の基準のあり方や実施機関の組織体制の整備といった制度の骨格につきましても、内外の実情等を調査、研究した上、我が国の司法制度にふさわしいあり方を検討してまいることになると思います。その面でも、今後とも、見守っていただきまして、必要に応じて御助言を賜ればと存ずるものでございます。  なお、御指摘の当番弁護士制度につきましては、日弁連の各地、また日弁連のさまざまな機関におきまして、既に検討され、実施に移され、また、その中には多大の成果を上げておられるやに聞き及んでおりますけれども、これにつきまして直ちに国庫補助の対象とするということにつきましては、現段階では、法曹三者の間も含めまして、いまだコンセンサスが形成されていない段階というふうに考えております。  したがいまして、法律扶助制度のあり方を検討するこの研究会における検討の対象とするということについては、必ずしも適当ではないのではないかと現在のところ考えております。

冬柴鐵三公明党自治政務次官

○冬柴委員 私の持ち時間、あと七分になりました。もう一つだけ取り上げたいと思います。きょうは法務省及び警察庁からも来ていただいているわけでありますが、一々伺う時間がありませんので、大変失礼いたしますが、私から問題点を整理して簡略に申し上げたいと思います。.いわゆる拘禁二法関係であります。私は法務委員会に久しく席を置いているわけでありますが、私が当選したときには、既にこの拘禁二法は法務委員会にかかっていたわけであります。現在なお、いわゆる解散で廃案という形になっておりますけれども、私は、この古い監獄法というものをこのまま置いておいていいというふうには思っておりません。何とかこれを近代的なもの、また国際的なもの、あるいは人権という時代の流れに即したものに処遇法として一日も早く成立をさせたい、させるべきである、そのように思っているわけであります。  なぜここまでこれがもめたのだろうということを久しく考えてまいりました。一つの考え方、私が今思っていることは、要するに、被逮捕者を留置する場合の法的性質なりあるいは根拠というところに本質的な争いがある、これをそのままにして拘禁二法という形で出てきたところに、この問題の今日までこじれた深刻な根源があるのではないかというふうに思っております。  どういうことかといいますと、司法警察員が被疑者を逮捕状によって逮捕した場合には、調べて釈放するのが適当だと思えば釈放するわけでありますが、なお事情によって勾留をしなければならない、このように判断したときには四十八時間以内に検察官に送致する、刑事訴訟法二百三条にその規定があるわけであります。この四十八時間というのは二昼夜です。これをどこで留置するのかということについて明確な定めが刑事訴訟法にはないというところが深刻であります。  恐らく、法務省及び警察庁は、二百三条そのものに、いわゆる逮捕の性質そのものに、本来的に司法警察員が逮捕した場合には警察員の手元で留置できる、このように解釈をしていらっしゃるのではないかと思うわけであります。講学上これは本来的収容説と言われていると思います。それ以外に、そうじゃなしに、刑事訴訟法には二百九条というところがありまして、逮捕状による逮捕については七十五条、すなわち引致後の監獄留置の規定を準用するという規定があります。この規定をずっと読んでみますと、逮捕した場合には監獄、すなわち監獄法に言う拘置監というところに、すなわち刑事施設ですが、そこへ留置するのが本来である、ところがそれは代用監獄としての警察附属の留置場に、監獄に代用するということで入れることができるという解釈が一方にあります。いわゆる代替的収容説というものであります。ここら辺に、警察に被逮捕者を四十八時間とどめおくのが本来なのか、それとも、本来は拘置所に置くべきだけれども、それをここへかわりに置いている、代用監獄としてここへ置いてある、こういう考え方をとるのかというところに実は深刻な争いといいますかがあって、そして、このような代用監獄を恒久化する留置施設法というものは絶対反対だという考え方が一方で出てきて、それが深刻に絡み合ってこういうふうになっているのではないか、このように思うわけであります。  私は、最後に一つ提言したいのですが、刑事訴訟法の中に被逮捕者を留置する場所をはっきり決めてもらったらどうだろう、警察附属の留置場に四十八時間はとどめおいてもいいんだということがはっきり疑いなく明定されれば、この問題は解決するのではないか、このように思うわけであります。  刑事訴訟法の一部改正ということは、法務大臣の諮問機関である法制審刑事法部会等に諮ったりする大変な手続がありますけれども、ぜひそういうふうな方向に進んでいただきたい、これがこの問題を解決する一番の近道ではないかというふうに愚考をいたします。  その点についての法務大臣の所感をお伺いいたしまして、私の質問は終わりたいと思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 逮捕に伴う留置の場所は留置に適当な場所であればよく、特に限定しないとすることには合理性があるので、現段階においては特に留置の場所を明示する先生のお話の改正は考えておりませんが、御意見として十分承らせていただきたいと考えております。  なお、蛇足ながらつけ加えますと、百二十国会に拘禁二法が出されたと考えておりますが、たしか私自身はこのとき議運の理事をいたしておりまして、いろいろな論議があった中で継続という形になったわけでございます。法務大臣に就任をいたしまして、これらの問題、もう一度おさらいの意味を含めて勉強させていただき、重要性、必要性を認識をいたしているところでございます。  今国会、御承知のような短い期間でございまして、また、御審議をいただいている法案を含めまして重要な法案が五つございまして、到底拘禁二法というところまでいかなかったのも事実であろうかと思います。この国会におきまして、予算成立、法案成立、その後、御意見のありましたことを十分踏まえて、次回のチャンスに向かって十分勉強させていただきたい、こんなふうに考えておるところでございます。

冬柴鐵三公明党自治政務次官

○冬柴委員 どうもありがとうございました。

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 佐々木秀典君。

佐々木秀典日本社会党・護憲民主連合

○佐々木(秀)委員 日本社会党の佐々木秀典でございます。当委員会での質問はこれが初めてでございます。よろしくお願い申し上げます。  初めに、中井法務大臣、御就任まことにおめでとうございます。私は、元法務大臣になられました三ケ月法務大臣のもとで、昨年の八月から四月まで、法務の政務次官を務めさせていただきました。その間に、きょうもお見えの法務省の各部局の方々、本当に御尽力されている様子をつぶさに見ることができまして、私にとっては大変貴重な経験になりました。今後は、この経験をこれからの国民のためになる法務行政あるいは司法のために生かしてまいりたい、こんなふうに思っているところでございます。  三ケ月法務大臣、そして私ともに退任させていただきました後、永野法務大臣の御就任、それに伴う問題で、大変法務省も御苦労がありましたし、その短い期間の後御退任になったその後の法務大臣御就任ですから、中井法務大臣にしても、本当に早々から御苦労がおありになったこととお察しを申し上げますけれども、ひとつ法務行政の範囲、非常に守備範囲が広うございますし、どちらかというと、国の行政の中でも比較的地味に見られがちでございます。先ほど法務大臣は、環境関係のお仕事をやって余り選挙に役に立たないという話があったけれども、法務を余り一生懸命やると、これもまた選挙でマイナスになるなんということを時々聞かされることがあって非常に心外なのですけれども、国民の権利のために、あるいは治安のために、非常に大事な仕事でございますから、もう釈迦に説法でございますけれども、ひとつしっかりと取り組んでいただいて、この司法行政充実発展のために、法務行政充実発展のために御努力をいただくことを心から期待をしております。私もまたお手伝いをさせていただきたいと思います。  そこで、きょうは、御提案のありました更生緊急保護法の一部改正法律案について質問させていただくわけです。  私は、この後また当委員会に提案されております裁判官の介護休暇法、それから、その後はいわゆる外弁問題外国人弁護士に関する法律、これについても質問を予定しておりますが、これらはいずれも私の在任中に協議をいたしまして、こういうものがあるべきものだということで提案をさせていただいたものでございますから、ここに質問に立つというのは大変内心じくじたる思いがあるのですけれども、もとより、これが必要だ、これは賛成だという立場で、しかしそれぞれ制度の充実発展をさらに期したい、この改正あるいは今後審議をされる法律についても、それをどうやって生かすか、そういう思いを込めた、念のためにの質問というように受けとめていただければありがたい、このように思っております。  そこで、先ほど山本委員あるいは冬柴委員からももうお尋ねがいろいろございましたけれども、提案理由の御説明でほぼ尽きているやにも受けとめられます。しかし、大前提として、この更生保護事業というのは刑事政策の中で重要な位置づけを占めておりますし、先ほどもお話がありましたように、犯罪を摘発する、捜査する、そして、それを起訴して事実の有無を確かめて、有罪と裁判所が判断したものについては刑の執行をする、執行を済ませた者、あるいは執行猶予になった者、あるいは起訴猶予処分になった者を含め、あるいは非行を犯した少年たちを含めて、保護の対象になる人たちについての保護事業を行うわけですけれども、本来この事業というのは当然のことながら国の責任において行われる、そのことも本法の三条においてはっきりと明記されているわけですね。ところが実際には、民間団体である更生保護会に多くをゆだねているという実情であります。法制の上でもそうなっているわけですけれども、この理由ですね、なぜ国が全部をやらないのかということについて、これは意外に国民の皆さんにも知られていない部分があるだろうと思いますので、この点についてひとつ明快に御答弁いただきたい。これは局長で結構でございます。

杉原弘泰法務省保護局長

○杉原政府委員 お答えを申し上げます。  佐々木委員御指摘のとおり、更生緊急保護法は、更生保護の措置を国の責任で行うことを明らかにしておりますが、一方で、国がみずから行い、あるいは地方公共団体もしくは更生保護会に委託してこれを行うものとしております。しかし、現在は、国及び地方公共団体の営む保護施設がございませんので、これを更生保護会に委託して行っているというのが実情であります。  被保護者の改善更生を図るためには、本人に一人の人間として社会に受け入れられているという帰属感情を持たせることが大変重要ではないかと思います。この意味で、地域の民間篤志家によって経営、運営されておりますこの更生保護会というものは、やはり民間のよさを生かした家庭的な雰囲気、家族的な雰囲気の中で人間愛に基づく補導援護が行われているということ、そして、本人の更生に極めて重要な就職の確保その他の補導援護の措置がこの保護会の近辺の地域の人々の協力を得て有効に行われているという事実がございまして、このように地域社会に受け入れられ、そして温かく支えられながら犯罪者処遇がなされているというところに、民間団体である更生保護会の存在意義があるというふうに考えております。  法務省といたしましては、このような更生保護における民間の果たす役割の重要性にかんがみまして、現在の更生保護会の維持発展に努力を注いでいきたいと考えております。

佐々木秀典日本社会党・護憲民主連合

○佐々木(秀)委員 法務行政を見てまいりますと、本来は国が行わなければならないような事業について、民間の方々にお願いをしているということが随分たくさんあるのですね。本法の事業もそうですし、それから保護司さんたちにお世話になること、あるいは教護という受刑者に対する教育その他の面でのこと、それからまた人権擁護活動についても、各地で民間の人権擁護委員の方々に随分頼っているところが多い。そういう方々の協力がなくてはなかなかにできないということがある。それらのことというのは、本来は全面的に国でやってもおかしくない。しかし、今局長がおっしゃったように、そこに民間のよさというか、官だけではできないような、あるいは官では行き届かないようなところを補っていただく、あるいはそういう民間の方が主導でやっていただく方がより制度の効果を上げられるという思いがあるのだろうと思うのですね。しかし、それにしても、それぞれの事業というのはやはり国が責任を持つべきことであろう。  ということになると、国の責任の持ち方といい、いろいろあると思いますけれども、先ほど冬柴委員からも御指摘があったように、一つはやはりお金の面になるわけですね。今度の改正によって予算措置も具体的に出ました。これは私どもも携わりましたので承知しておりますが、確かに余りにも少ないですね。資料によって見てまいりましても、よくこういうことでやってきたなということで、内心じくじたる思いがありました。ただ、今、国の財政状況も大変よくない中で、今審議中の本年度予算案については、まことに厳しいものがあるわけですけれども、しかし、そんな中で随分法務省の皆さん頑張って、それから、おやめになられましたけれども三ケ月大臣も頑張って、法務省関係の予算は大体満度に獲得できた。中には、さっき冬柴委員から御指摘のあった法律扶助の予算なんかについては、たしか去年の概算要求よりもむしろ上回るようなものがついたと思うのですね。その中で、本法案の改正に伴っても、先ほど御指摘のように、従来三千五百万程度の更生保護事業費補助金となっていたものが、今度は、更生保護施設整備費補助金というように名前が改まりましたけれども、一億四千二百万というのは随分多くなったと思います。しかし、率的には多くなったけれども、これも冬柴委員御指摘のように、今改善を要する施設の状況などからすると決して多くはないわけですね。さっきの局長の話だと、施設としては全部で百カ所あるということですから、これを平均的に均てんしていっても一カ所百万ちょっとということになるので、これはとてもどうにもならない。そういうことで、この改正で、そしてまたこういう予算措置ができたということは大変結構なことだと思いますけれども、この予算が通りますと今度はすぐに来年度の概算要求ということになるわけですから、これを機会に、やはりこういう大事なものについてはもっと大蔵も大胆に予算をつけていただく、それによって法務行政の伸長を図る。  これは一つは、法務とか司法予算の大きさというのは、私はやはり近代国家としての大きなバロメーターになると思うんですよ。そういう点で、さまざま比較してみますと、どうも我が国の場合の法務関係の予算、司法関係の予算というのは先進諸国に比べて非常にまだまだ少ないように私は思えてならないんですね。この辺について、ぜひまた中井大臣にも頑張っていただきたいと思うんですが、その辺のことを含めての御決意と申しますか、これをひとつお話しいただければと思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 佐々木議員の何もかもわかった上での御激励、肝に銘じて頑張らせていただきます。  先ほどから冬柴先生以下法務委員の皆さんから御質疑を賜りまして、皆さん司法試験を通られた専門家の方が多いわけでありまして、私自身は、初めての法務委員会でございます。勉強しなければならないことが多いわけでございますが、先生御指摘ございましたように、想像しておった以上に民間の皆さん方に大変なお助けをいただいておる。私は、日本人というのはすごいな、ある意味で、改めて誇りにも思ったところでございます。これらの皆さん方がこれからもプライドを持って、また使命の重さを十分御自覚を賜って引き続き御協力をいただけるように、大臣としても感謝を申し上げ、またできる限りお願いを申し上げていきたい、こんな思いでございます。そして同時に、こういう時代でありますから、できる限り予算的な措置が伴う感謝であり激励でなければならない、このようにも考えております。  厳しい予算の中でありますが、引き続き頑張ってまいりますので、また委員皆さん方の御尽力、御協力をこの機会にお願い申し上げます。

佐々木秀典日本社会党・護憲民主連合

○佐々木(秀)委員 ありがとうございました。  局長にお尋ねいたしますけれども、先ほどのお話だと、更生保護会、全国で九十九団体ですか、それから施設は百カ所、こういうお話がありました。大体県庁所在地にはあるようですけれども、中にはないところもあるように聞いております。青森県にないと聞いておりますね。この辺の確か めと、沖縄県はどうでしょう。

杉原弘泰法務省保護局長

○杉原政府委員 御指摘のように、更生保護会は各県に一つ以上ございます。ただし、青森県につきましては、更生保護会としては、財団法人としては存在しておりますが、施設の整備ができませんで目下休止中ということになっておりますので、青森県に限りましては、施設が存在しないという状況になっております。  それから、沖縄県につきましては、一つ施設がございます。

佐々木秀典日本社会党・護憲民主連合

○佐々木(秀)委員 青森県にないということになると、やはりいろいろな点で都合が悪いんじゃないかと思うんですね。(発言する者あり)今何かお話がございましたけれども、これは必要な施設ですから、私どもとしても、積極的に設置についてはぜひ協力しなければならない、こう思っているんですね。  これについて、ないとすれば、新しくつくるためにはどうしたらいいのか、そういうことを含めて、一番最近できた保護会というのはいつごろで、どこなのかということをちょっとお尋ねしたい。

杉原弘泰法務省保護局長

○杉原政府委員 まず最初の青森県の実情について簡単に御説明いたしますと、実は、青森県には戦前から更生保護会の機能を果たす施設がございましたが、戦後、更生緊急保護法施行と同時に新法における更生保護会としての認可を得て運営されておったわけです。それが、昭和四十年代に入りましてから、施設の改築の際に住民の反対運動が勃発いたしまして、これが大変深刻な問題に発展しまして、それこそ地域ぐるみの反対運動、成田の空港反対運動ほどではございませんけれども、青森では相当、市民のうちで知らない者はないというぐらいの大変深刻な運動に発展いたしました。そういうことで、その後、たびたび場所を移転して、候補地を探しては再開を図ったんですけれども、これまたその都度大変な反対運動に遭いまして、結局今日に至っているというのが実情でございます。  それで、現在は、やはり建設準備委員会というのを数年前に設立いたしまして、この委員長には元国会議員の先生も就任しておられまして、その先生が中心になりまして、もちろん地元の保護観察所等も協力いたしまして、官民共同で土地の確保ということに努力をしているという状況にあります。  この問題につきましては、もちろん国有地の無償貸与を受けられるという国有財産特別措置法の規定もございまして、現にそういう取り扱いで運用している施設も全国には幾つかございます。ただ、国有地も常に都合のいいところにあるわけではありませんので、いろいろな問題がありまして、まだ実現に至ってないという状況にあります。  ただ、最近では、そうした建設準備委員会の地元の皆さん方、そして官側の努力もありまして、次第に、誤解と申しますか、偏見と申しますか、そういったものもだんだんと解けつつあって理解が深まっているというふうに私ども理解しております。私どもとしましても、なお一層現地の団体それから役所と協力しまして、実現に向かって努力したいというふうに考えております。  それから、委員お尋ねございました、つい最近できた施設はあるかということでございますが、昭和六十二年十一月に埼玉県の浦和市にございます財団法人清心寮というのが、最も最近設立された新しい保護会でございます。この更生保護会の収容定員は、家庭裁判所で保護処分に付されました少年の男子五名と、それから成人の男子十八名の合計二十三名であります。  埼玉県では、昭和四十五年に成人の保護会があったわけですが、その保護会と、それから昭和五十年に少年の保護会、これは少年を対象とする保護会でございますが、その保護会があったわけです。二つあったんですが、それぞれ、例えば職員の体制の弱体化、あるいは経営難というような理由から廃止されまして、長らく少年や刑余者の保護ができない事態が続いていたんですけれども、その後、地元の更生保護事業関係者の努力の結果、今申しましたように、ようやく再建に至った、こういう状況になっております。

佐々木秀典日本社会党・護憲民主連合

○佐々木(秀)委員 よくわかりましたけれども、昭和六十二年というと、もう随分前になるわけですね。その後なかなか新設がされてない。今のままで、施設その他からいって、毎年、平均すると約一万人ぐらいがお世話になるということのようですけれども、しかし、今ある施設の数それから規模、それから建物にしても改善を要するところがたくさんあるというふうなことなどなど考えますと、本当は、やはりこういう施設というのは、多くて悪いということはないはずですね。それに比べて新設数が少ないというのは、やはりこういう事業をやることの難しさが多いからだろう。金銭的に、あるいはエネルギーの面で、あるいは人的な面でですね。それだけに、実際にやっておられる方の御苦労は大変だと思うので、国のやはり援助というものが、お金の補助の面だけではなしに、いろいろともっと配慮されなければならなかろう。そういう意味では、今度の改正で法務大臣の権限が、監督権限なども、指導権限もふえているわけですから、ひとつ大臣、十分にこの辺を発揮していただきたいと思うことが一つ。  それから、局長にお尋ねしますが、十二条が改正になりますね。それに伴ってこの予算措置もとられるわけですけれども、現行十二条で、二項の一号が事務費、それから二号の方で例の改善命令による施設の改善費用、こうなっていたものが、これが削除されて、それで、もう少し広く「その事業に要する費用につき、補助することができる。」というようになりますね。従来の事務費というのも、この中に入るということでよろしいですか。事務費の補助もあるというように確認していいですか。

杉原弘泰法務省保護局長

○杉原政府委員 含まっております。

佐々木秀典日本社会党・護憲民主連合

○佐々木(秀)委員 はい、わかりました。  それと、先ほど、直近にできた、昭和六十二年の浦和の場合には保護対象になった少年とそれから成人と両方が一緒に入れるような寮になっているということですね。これは、いろいろな寮ごとにやはり実情が違うんだろうと思いますけれども、少年と成人の仮出所者だとかあるいは満期出所者だとか、これ、一緒になって差し支えないのかな。この辺の心配ないですか。

杉原弘泰法務省保護局長

○杉原政府委員 ただいま御指摘のとおり、少年の健全育成あるいは非行防止というような観点からしますと、確かに施設としては別々の、独立のものが望ましいことは御指摘のとおりだと存じます。  ただ、先ほど来申し上げておりますように、施設を複数つくるということにつきましては大変難しいといういろいろな事情もありまして、やむを得ず成人と少年を同時に収容する形にはしておりますけれども、そこでは、収容のための教室を離すとか、特に常時接触をすることをなるべく避けるような形で配慮がなされているというふうに理解しております。

佐々木秀典日本社会党・護憲民主連合

○佐々木(秀)委員 先ほど青森については住民の方々の反対があった、何か社会党の方からも反対があったようにちょっとお話があったようですけれども、随分昔の話ですから、状況も変わっておりますし、それと、何といっても、こういうことについては、それは住民の皆さんの御理解がなきゃいかぬわけですよね。そういう点で御理解を得る努力も足りなかったんじゃないかと私は思うんです。つまり、刑務所などと同じように考えられる。刑務所に対する反対というのは問題があるんですけれどもね。  そういう点で、実は私、これを見せていただいた。保護局で「更生保護会 インフォメーション」というパンフレットをおつくりになっていますね。ただ、これを見ますと、このパンフレットは一体だれを対象につくっているのか、ちょっとはっきりしないようなところがあるんです。確かに、これを見ると、ああ、こういう更生保護会というのがあって、そういう方々のお世話をしているんだなということはわかるんだけれども、一般の方々に渡すんだとすれば、それこそ御理解と御協力をいただきたいということまで織り込んだものであっていいように思うんだけれども、これにその御協力をという点がさっぱり出てこないんだ。もっとこの辺は自信を持って、お金の面でもあるいはボランティアとしても、御理解をいただいた上でこういう事業に積極的に参加していただけないかということまで含んでつくっていただいてもいいんじゃないかと思うんですけれども、これは最近そういう配慮、PRなどの配慮はありますか。

杉原弘泰法務省保護局長

○杉原政府委員 佐々木委員には大変法務行政について温かい御理解をいただきまして、本当にありがとうございます。  御指摘のパンフレットにつきましては、保護局で作成いたしたものでございます。やはりいろいろな場面で誤解や偏見あるいは理解の十分でないところがあるものですから、社会を明るくする運動その他いろいろな機会をとらえまして、そうしたパンフレットを配布しまして正当な理解を促すように私ども努力をしているつもりでございますが、なお不十分な点があるとすれば、御指摘の点も含めまして今後十分改善に努めたいというふうに思っております。

佐々木秀典日本社会党・護憲民主連合

○佐々木(秀)委員 時間が大分たちました。  実は、私の地元の旭川市にもこういう施設がございますけれども、ちょっと苦い思いが私にはありまして、もう六年ぐらい前になりますけれども、私はある国選弁護を受けました。その国選弁護を受けた犯人というのは大変頭のいい男で、前科が何犯もあって、そんなことなものですから詐欺が多いんですが、強盗事件もやって、旭川の刑務所に長く入っていて、それで、その年の五月に出所をしまして、八月に犯罪を起こしたんですが、その犯罪を企てた場所が実は更生保護会の施設だったんですね。本人に言わせますと、何とかまじめになって今度こそ働こうと思ったけれども、なかなか、もちろん雇ってくれるところがない。それこそ、俗に言う土方働きでもと思ったけれども、心臓が悪いということで働けなかった。それで、いろいろ考えているうちに、非常にワープロの上手な男で、はたと思いついて手すさびに検事の肩書の名刺をつくっちゃいまして、それで、その保護会に一緒にいた若いのを自分の子分に仕立てて、これを検察事務官に仕立てまして、それで、実に勉強していて、それこそ、捜索差し押さえ令状、裁判官の名前も入って、判も自分でつくって、印鑑から何からみんなつくっちゃって、それが、そのあった場所というのは、昔は旭川の市内でも郊外だったはずなんだけれども、今は町の真ん中になって、その近所に産婦人科があるんですけれども、そこに目をつけまして、そこへ行って、脱税事件で告発があって、それで捜査に来た。令状を出して、先生がいなかったから奥さんなんですけれども、すっかりだまされちゃって、実に上手なんですよ。詳しくは申し上げませんけれども、週刊誌なんかにも出た事件なんですがね。それで、証拠として押収するんだと称して、銀行預金からわざわざ金をおろさせて、その現金を、カルテから何からみんな出して、実に専門用語から何から勉強しているんですから。それを持っていっちゃって、一千万ちょっとの現金と、それからいろいろなカルテから何からの資料等を保護会に持っていったんです。余りうまくいっちゃったというので、高飛びしなかったんですね。だから、次の日はもう逮捕されちゃった。そういう事件だったんですけれども、そういう再犯の場所に使われたというのはまことに残念だったんですけれども、まあ逮捕されたからよかったんですがね。  事ほどさように、やはりそこでお世話をする人たちの数も限られているし、なかなか大変な御苦労が本当に多いだろうと思うんですね。そういうことで、私どもとしても協力をしなければならないところがたくさんあると思いますし、現場でやっていらっしゃる皆さんの御苦労を考えますと、本当に国の援助というのがもっともっとあっていいだろうと思います。そういう点で、ひとつしっかりやっていただきたいと思います。  法務大臣も、もう時間でございますから、先ほど決意を伺いましたので、どうかひとつ皆さんとしっかり力を合わせていただき、その人たちを激励していただくようにお願いをしたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 正森成二君。

正森成二日本共産党

○正森委員 今回の改正で更生保護会への補助金の支出基準の緩和と国の責任を明確にするということと、施設整備補助金として保護会への補助金を増額をするというようなことにはもちろん私どもは賛成であります。また、先ほど法務大臣の提案理由説明でも「更生保護会は、仮釈放及び保護観察制度の運用上不可欠な施設となっており、」というように言われておりました。  しかし、資料を拝見すると、法改正前ですが、昨年の更生保護会の施設改善の実施状況を見ますと、総事業費九億三千六百万円に対して、国の費用はわずか二千三百万円しか出されておりません。それで地方自治体が一億円、日本更生保護協会が五千五百万円、それから日本自転車振興会が三億三千三百万円で、その他が四億二千五百万円ということで、先ほど他の委員の質問に対するお答えを聞いておりますと、法務大臣は、民間の協力が非常に大きい、日本人は非常にすばらしいという表現だったのですが、日本人がすばらしい、民間がすばらしいというより、国が余りすばらしくないというか、やっていないから、やむなくそういうところから出しているのじゃないか。決して責めるつもりで言っているのじゃないのですが、それで、今度はこういう法改正になりましたから、改善命令が出たもの以外でもお金が出せるということで、今年度の予算ではたしか一億四千万余り、大幅に改善されたということだろうと思うのですね。しかし、全体の額から見ると、それでもなお僅少だということですので、財政状況が苦しいことは、私も大蔵委員を法務大臣同様相当やっておりましたのでよく知っておりますが、しかし、この法改正を機会として、今年度は最初の年ですが、来年度以降、総額の中での国の比率が余りにも少ないというのはやはりよくないので、増額する方向で考えていかれるべきだと思いますが、その御決意、お気持ちについて、まず伺っておきたいと思います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 先ほどからお答えを申し上げておりますように、当面急いで改善をしていただかなければならない施設だけでも二十六あるわけでございます。本年度予算が通りますと、四つの施設でこの予算を使って改善をしていただく、こういうことになりますので、そこから計算しても、まだまだ時間のかかることでございます。したがいまして、少しでも来年度予算を増額できるようにして、一刻も早く施設改善が進行しますように努力をいたしてまいります。     〔委員長退席、斉藤(斗)委員長代理着席〕

正森成二日本共産党

○正森委員 施設の充実ももちろん大事ですが、その次といいますか、それにも増して大事なのは、更生保護業務に従事する職員の人員とその質の問題であります。  更生保護関係の職員の人員は今大体千三百人前後と承知しておりますが、そのうち管理職と一般事務官を除いた保護観察官はほぼ八百人程度と思われます。ところが、その人員で大体どういうぐあいにやるかといいますと、保護司が全国で五万人弱おられる。それから、一人の保護司が、例えば、私は江戸川区をちょっと調べたのですが、江戸川区では全体で三百五十人の観察対象者がいる。それに対して保護観察官はわずか三人ぐらいなので、一人で百人以上の面倒を見ているということで、なかなか実のある観察あるいは保護をすることができないということで、全国の更生保護官署から増員要求がされていると思いますが、職員がどのぐらい不足していると局長は承知しておりますか。

杉原弘泰法務省保護局長

○杉原政府委員 お答えいたします。  保護観察官は、保護観察事務を中心といたしまして、更生緊急保護とか地域における犯罪予防活動、それから保護司あるいは各種民間団体の育成指導という非常に広範な事務をやらなければいけないということで、非常に多忙をきわめております。先生御指摘のように、千三百人前後ということで、実働人員は、管理職を除きますと御指摘のとおりでございます。  最近は、処遇困難な対象者と申しますか、覚せい剤の乱用者とか高齢者とか、それから累犯者とか、そういったような非常に取り扱いの困難な対象者が全体に占める割合がふえる傾向にありまして、またそれとともに、更生保護を取り巻く環境と申しますか、社会の複雑多様化、家庭のきずなの弱体化というようないろいろな諸条件の悪化に伴いまして、こうした犯罪者の更生保護業務そのものがだんだんと難しくなっているということであります。そういう意味で、保護観察官の業務がだんだんと難しくなっているということも言えるかと思います。  そういう意味で、私どもといたしましては、中身の濃い保護観察をやるためには、やはり今後も保護観察官の人員の増員が望ましいというふうには思っております。ただ、政府全体として人員削減の方針が示されておりますし、毎年私どもも計画削減という目標がございますので、その中においていろいろな努力をしながら増員に努めているということであります。つい最近は、いわゆる部門間配置転換の方式で若干の増員を図ってきているというのが実情でございます。  数につきましては、どのぐらい足りないか、こういう御質問でございますが、これを今この段階で何名足りないということを申し上げる根拠はございませんが、今の状況はまだ満足すべきものではないというふうに考えております。     〔斉藤(斗)委員長代理退席、委員長着席〕

正森成二日本共産党

○正森委員 官僚として非常にすぐれた答弁で、今の状況は満足すべきものではないと言いながら、あえて各方面を刺激する人数は言わないという賢明な答弁をされたのですが、しかし、中身の濃い、能力のある人員が一定数要るということは認められたと思うのですね。  それで、私調べてみたのですが、更生保護官署の職員を増員せよという国会請願が過去十四年間にわたり毎年採択されている。つまりそれは、ある意味では国会の意思といいますか、国会もそうだなというように見ていることになります。  それで、中井法務大臣にお願いなのですが、大臣の属しておられる党は、行政改革とか、人員整理は余りやらないで能率を上げよということを、ある意味では非常に強くおっしゃる傾向のある会派でございますが、法務大臣としては、こういう請願やこの保護官署の実情を考慮されて、そして行政が充実するように御努力願いたいということをお願いしたいと思うのですが、一言御答弁を願います。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 私、かつて、今もそうなのですが、民社党の議員になったときに、後藤田さんが総務庁長官をなさって、人員削減の華々しいころでございます、党を代表してお目にかかりまして、法務省管轄の刑務官、国税の職員、ここらについては人員削減の折からだけれどもふやせという要求に行ったことがございます。  なお、正森委員とは大蔵委員会で御一緒で、御指導も賜りましたが、この間常に、関税、国税の職員はふやせ、待遇もよくしろ、こういう要求をしておったことを覚えておりまして、現在、法務大臣といたしまして、お話のありましたことを忘れずに頑張ります。

正森成二日本共産党

○正森委員 非常に心強い答弁を伺って、ありがたいと思います。  その次に、職員の待遇改善の問題について伺います。  俸給調整という加算額があるそうですが、現在、保護観察官の俸給調整は八%と承知しております。類似した仕事と言うと言い過ぎかもしれませんが、家庭裁判所の調査官はたしか一六%のはずであります。いきなり二八%に上げないまでも、これに近づけるように努力すべきではないかという気がいたしますが、いかがでしょうか。

杉原弘泰法務省保護局長

○杉原政府委員 お答えいたします。  保護観察官の俸給の調整額につきましては、人事院規則九-六第一条及び別表第一に定められているところでありまして、委員御案内のとおりでございますが、その調整数は、地方更生保護委員会事務局及び保護観察所の管理職を除く保護観察官が二、そして地方更生保護委員会事務局の事務局長及び総務課長を除く管理職と保護観察所の所長及び次長を除く管理職が一というふうになっております。  それで、一、二と今申し上げましたが、二というのがつまり今の保護観察官の処遇でございまして、いわゆる八%の取り扱いということになるわけですが、御指摘の家庭裁判所の調査官との対比においてどうかという点でございますが、私も必ずしも自信があるわけではありませんけれども、家庭裁判所の調査官と保護観察官とではやはりその職務の内容に類似性がある、専門性その他を考えましてもやや近いということで、この家庭裁判所の調査官に対しては一六%の処遇がなされている実情を踏まえて、観察官の処遇につきましても、調整数の引き上げについては今後関係機関と協議をしていきたい、このように考えております。

正森成二日本共産党

○正森委員 今そういう答弁を伺いましたので、予算要求のときに私どもも人事院にしかるべく申し入れをしていきたい、こう思います。  その次に、何か宿泊駐在という制度があるらしいですね。普通、保護観察官は更生保護会に定期駐在という制度があって、一泊ないし数泊してそしていろいろ仕事をするというのとは区別して、更生保護会に夜間に駐在したり宿泊して、夜間の集会指導とか個別の相談、助言にあずかるというのがあるようなんですが、しかし、特にこういうことをしなければならないのかどうか。問題が発生したときに駆けつけるとか、あるいは今まで行われていた定期駐在でも十分ではないか、区別して設けるのはどういうわけかというのが、実際にこういう仕事に当たっている人から出ているようであります。  この点について、少し専門的になりますが、どう考えておられるか。実際に従事している人から声が出ておりますので、御答弁願いたいと思います。

杉原弘泰法務省保護局長

○杉原政府委員 お答えいたします。  更生保護会に対する保護観察官の宿泊を伴う駐在、いわゆる委員御指摘の宿泊駐在につきましては、更生保護会在会者に保護観察官が直接接触をいたしまして処遇を行う、つまり具体的には、いろいろな補導援護についての指導をすることが処遇のあり方として有効ではないかという観点が一つございます。そしてまた別の観点では、更生保護会というのは、先ほど来出ておりますように、民間のいわゆる公益法人としての団体でございまして、そこで稼働しております職員は、専門官としての職員ではなくて、言ってみれば民間の職員でございます。したがいまして、保護会に対象者を預けてそして社会復帰のための補導援護を図るためには、やはり専門家としての保護観察官が直接行って接触するほかに、その保護会の職員に対する指導も十分尽くさなければいけないということで、保護会の職員との連携ということも必要になる。この二つのことから、適宜必要に応じて観察官を宿泊させまして、今のような目的のために宿泊駐在を実施している、こういうことでございます。  ただ、この実施に当たりましては、形式に流れるというようなことがあってはいけませんので、やはり更生保護会の実情や事案の必要性に応じまして機動的に行うように、保護観察所を指導いたしております。

正森成二日本共産党

○正森委員 最後の質問ですが、実際に関与している人に直接聞きますと、職員の旅費が非常に少ないのではないか。こういう仕事を実際にやるためには、環境調整といいますか、刑務所に出向いて対象者に面会したり、あるいは身元引き受けする親族にいろいろ相談したりということが必要なんだけれども、旅費が少ないのでそれが思うよう にできないということで、旅費を大幅に増額してほしいという要求が保護観察官から出ているはずであります。  これについてどういうように考えておられるか、あるいは御努力をされるかどうかということと、あわせて、職員が少ないために代替要員として賃金職員を雇用するということの必要性が出ているようでありますが、それについてどうお考えになっているかということを伺いまして、ちょうど時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 正森先生の保護観察官に対する大変御理解ある御質疑を承りまして、法務当局においても代々改善を積み重ねてきたと考えておりますが、これが後退することのないように私も努力をいたしてまいります。

正森成二日本共産党

○正森委員 終わります。

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 これにて質疑は終局いたしました。     ─────────────

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  更生緊急保護法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 この際、本案に対し、山本有二君外五名から、自由民主党、改新、日本社会党・護憲民主連合、公明党、さきがけ・青雲・民主の風及び日本共産党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。山本有二君。

山本有二自由民主党

○山本(有)委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  本案の趣旨につきましては、既に当委員会の質疑の過程で明らかになっておりますので、この際、案文の朗読をもってその説明にかえさせていただきます。  それでは、案文を朗読いたします。     更生緊急保護法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   更生保護は、国の責任において行う事業であって、更生保護会が、犯罪や非行を行った人たちの円滑な社会復帰を図る上で欠くことのできない施設として我が国の刑事政策上重要な機能を果たすべき存在となっていることにかんがみ、政府は、その健全な育成、発展のため、法制度の整備に努めるとともに、施設についてなお一層の改善・充実が行われるよう、格段の努力をすべきである。 以上であります。  何とぞ本附帯決議案に御賛同くださるようお願い申し上げます。

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  山本有二君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中井法務大臣。

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 更生緊急保護法の一部を改正する法律案につきまして、委員の皆様方には、大変厳しい日程の中、熱心に御審議され、可決いただきまして、ありがとうございました。  ただいまいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に踏まえまして、今後とも努力を重ねてまいりたいと存じます。     ─────────────

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 次に、内閣提出、裁判官の介護休暇に関する法律案並びに商法及び有限会社法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより両案について順次趣旨の説明を聴取いたします。中井法務大臣。  裁判官の介護休暇に関する法律案  商法及び有限会社法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕

中井洽改新法務大臣

○中井国務大臣 裁判官の介護休暇に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  政府においては、人事院の国会及び内閣に対する平成五年十二月十七日付の意見の申し出にかんがみ、社会の高齢化等に対応した施策として、一般職の国家公務員が、家族を介護しなければならなくなった場合、一定期間、介護に専念することを認める介護休暇制度を設ける等のため、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律案を提出しているところでありますが、裁判官についても、これと同様の趣旨で介護休暇制度を導入する必要があります。  この法律案は、一般職の国家公務員の例に準じ、裁判官について介護休暇制度を導入するための法整備をしようとするものでありまして、その要点は、次のとおりであります。  第一は、裁判官の介護休暇については、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の適用を受ける職員の例に準じ、最高裁判所規則で定めることといたしております。  第二は、裁判官は、介護休暇中は報酬を受けないことといたしております。  第三は、この法律の施行は、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の施行の日からとすることといたしております。  以上が、この法律案の趣旨であります。  次に、商法及び有限会社法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、会社制度をめぐる最近の社会経済情勢及び会社の業務の運営の実態にかんがみ、株式制度及び有限会社の出資制度の運営の一層の適正化及び円滑化を図るため、自己株式及び自己持ち分の取得規制を弊害の防止のための措置を講じた上で緩和することを目的として、商法及び有限会社法の一部を改正しようとするものでありまして、その改正の要点は、次のとおりであります。  まず、商法につきましては、第一に、会社は、正当の理由があるときは、定時総会の決議に基づき、配当可能利益の範囲内において、発行済み株式の総数の百分の三を限度として、使用人に譲渡するために自己株式を取得することができることとするとともに、取得した自己株式は六月内に使用人に譲渡しなければならないこととしております。  第二に、会社は、定時総会の決議に基づき、配当可能利益の範囲内において、株式を消却するために自己株式を取得することができることとしております。  第三に、株式の譲渡につき取締役会の承認を要する会社は、株主から株式の譲渡承認及び買い受け人指定の請求があった場合において自己を買い受け人に指定して株式の売り渡し請求をするとき並びに株主の相続があった場合において相続人から株式を買い受けるときには、株主総会の決議に基づき、配当可能利益の範囲内において、発行済み株式の総数の五分の一を限度として、自己株式を取得することができることとするとともに、取得した自己株式は相当の時期に処分しなければならないこととしております。  次に、有限会社法につきましては、第一に、会社は、定時総会の決議に基づき、配当可能利益の範囲内において、持ち分を消却するために自己持ち分を取得することができることとしております。  第二に、会社は、社員から持ち分の譲渡承認及び買い受け人指定の請求があった場合において自己を買い受け人に指定して持ち分の売り渡し請求をするとき並びに社員の相続があった場合において相続人から持ち分を買い受けるときには、社員総会の決議に基づき、配当可能利益の範囲内において、出資口数の総数の五分の一を限度として、自己持ち分を取得することができることとするとともに、取得した自己持ち分は相当の時期に処分しなければならないこととしております。  以上が、この法律案の趣旨であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 これにて両案についての趣旨の説明は終わりました。     ─────────────

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま趣旨の説明を聴取いたしました商法及び有限会社法の一部を改正する法律案につきまして、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高橋辰夫自由民主党

○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次回は、来る七日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、各委員の皆様の御協力に感謝申し上げ、これにて散会いたします。     午後六時四十六分散会      ────◇─────

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