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129回国会衆議院1994/06/03

文教委員会 第3号

発言数
235
登壇者
22
会派数
6
開催日
1994/06/03

会議録

嶋崎譲日本社会党・護憲民主連合

○嶋崎委員長 これより会議を開きます。  文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸田文雄君。

岸田文雄自由民主党

○岸田委員 私は、自民党の岸田文雄でございます。本日は、さきの文教委員会で表明されました大臣の所信に関しまして、質問する機会をいただきましたことを心から感謝申し上げます。  所信におきまして、大臣は、変わる時代への柔軟かつ的確な対応、そして時代を超えて変わらぬ価値の追求、この二つの使命をいかに統一するか、これが課題であるという力強い発言をされたわけでございまして、私自身もまさにそのとおりであるということを感じ、聞かせていただきましたが、それにしましても、その中で幾つかの点で大臣のお考えを確認させていただきたい、そういう思いでここに立たせていただいたような次第でございます。  まず、きょうお伺いしたかった一つ目は、学校教育におきます教科書の問題でございます。  大臣は所信の中で、「義務教育教科書無償給与制度は、今後とも堅持してまいります。」ということを言っておられます。このことにつきましても論議があるのは事実でありますが、よい教科書を多くの生徒により手に入りやすくするということに関しましては、私自身も引き続き努力していくことが大切であるという認識を持っております。  しかし、大臣、私は最近大変気になるニュースをテレビ、新聞等で見たわけでございます。といいますのは、児童生徒数の減少に加えまして、長い間教科書の価格が低く抑えられているために、教科書の発行から手を引く出版社がふえているという報道でございました。その記事を読ませていただきますと、九六年度から使われる小学校教科書の検定をことし申請した会社は、前回の四年前に比べまして、社会科で三社減り五社に、生活科で二社、理科と音楽で一社ずつ減っているという報道があったわけであります。  確かに教科書をめぐりましては、本当にさまざまな問題が存在するわけでございます。先ほどの無償給与の問題も大きな問題でもありますし、また、さらに大きな問題としまして検定の問題等もあるわけであります。しかし、無償給与の問題は、言ってみれば教科書ができ上がってからの問題でありますし、また検定の問題は、教科書をつくる上の過程における問題だと思うわけであります。そもそも教科書をつくる人間がいなくなってしまうということは、教科書づくりを始める以前の問題であるというふうに感じるわけであります。そもそも教科書をつくろうという意欲がなくなってしまうというのですから、それはすべての教科書問題の出発点にかかわる問題ではないかということを感じたわけでございます。  そこで、まず最初にお伺いしたいのは、大臣、この報道についてどのようにお感じになられたか、御所見をお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 私も、今御指摘の新聞報道は何日前でございましたか、いろいろあったような気がいたしますが、二十四日に二、三の新聞で見まして、ちょっと心配はいたしているわけでございます。  御指摘のように、いい教科書がつくられるということは基本的に大変重要なことでございますから、教科書づくりが嫌になるというのは困るわけで、そういうことのないようにというふうに思っておりますが、これは基本的に自由におつくりになるわけでございますから、経営の状況や方針などいろいろ事情がおありでございましょうから、どうしろこうしろとはちょっと言いにくい。  それから、無償で教科書を提供するといいますか給付するという方針は、先ほど所信表明でも触れました。これはぜひ堅持をしたい。この点については変わりがないわけでございます。

岸田文雄自由民主党

○岸田委員 出版社が教科書づくりから撤退するという報道に関しまして、その理由は何かということが問われているわけですが、これにつきましては一つの理由として、教科書の価格が長い間低く抑えられているからではないかという話があったわけであります。それにつきまして、私も文部省の方からわざわざ来ていただいて話を聞かせていただきました。そして、ここにあります「教科書制度の概要」こういった小冊子をいただきまして、この中にあります教科書の価格等の部分に従って御説明を受けたわけでございます。  この御説明によりますと、平均価格は小学校で二百九十一円ということになっておりますし、また部数もある程度つくるということで、大丈夫だという御説明があったわけであります。ただ、そういう説明を聞きながらも、一方で百九円とか百六十五円とか百七十円とかいう教科書の値段を見ましたときに、どうも今の物価状況、世の中の概念からしまして、大切な教育の基礎となる教科書、この教科書の価格が百九円、百六十五円、百七十円、こういった価格の教科書が並んでいるということを聞きますと、十分納得がいかない部分もあるわけであります。  そこで、実態はどうなのかということについて文部省の方では一応御説明をしておられるわけでありますが、こういった報道が行われ、そして世の中にこういった問題提起が行われたことを機に、この辺の価格を設定する方法なり現状の価格について、もう一度検討してみようというお気持ちはおありになりませんか。その辺をちょっとお伺いしたいと思います。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 教科書の定価につきましては、これを低過ぎるとか高過ぎるというのは、なかなか一概に言えない点がございます。一般の出版物と違いまして、売り上げ面での長期にわたる安定性があるということ、あるいは資金面におきましても前払いによる保証等をしておりまして、そういうことを考えますと、単純に高低ということは申し上げるわけにいかないわけでございますが、現在、この定価の定め方につきましては、教科用図書検定調査審議会におきます主要教科書発行者、ここの教科書関係部門の経営分析、こういうものを審議会にしていただいておりまして、そういうものを踏まえながら、一方では父母負担に係ります公共料金、あるいは財政的見地というものも考慮した上で毎年度改定をしておるわけでございます。消費者物価指数と比べましても、確かに消費者物価指数より低いときもありますけれども、逆に高いときもあったり、そのときどきの状況の中でこれが決まってきているということでございます。  また、低い教科書もあるじゃないかという点の御指摘もございましたけれども、例えばそういうものについては、発行部数が比較的多いとかいろいろな要素がありまして、これもなかなか一般に出ている図書と比較をすることは難しいのじゃないかと思うわけでございますが、少なくとも毎年の定価改定につきましては、そういう教科用図書検定調査審議会におきます慎重な審査、そういうものも経ながら改定を行ってきている、こういう状況でございます。

岸田文雄自由民主党

○岸田委員 今御説明をいただいたわけでありますけれども、実際のところ、本当に価格について今までどおりで採算がとれているのであれば、それは問題ないわけでありますけれども、もしこれが不十分なものであり、かなり出版社に無理を強いているということになれば、これはいい教科書をつくろうという意欲すら失ってしまうことになってしまう。これはまさに教科書の質の低下につながるということになるわけであります。  今回のこの報道について、実際はどうだということももちろん大切ではあるのですけれども、こういった報道がされたことは、問題意識として、よい教科書をつくるためには文部省が環境づくりに努めなければいけない。これは間違いないと思うわけでありますけれども、そういったことに関して問題意識を提起したという意味で、一つ意味があったのかなと思うわけであります。よい教科書をつくるための基本となります環境づくりという面からも、今後よい教科書づくりのための予算という観点からしても、ぜひ十分検討いただいて、そして慎重に対処していただきたいということをお願い申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  さて次に、私は、大臣が所信の中で文化行政について触れられた部分についてお伺いしたいと思います。  大臣は、所信の中で「時代の変化に対応した文化財の保存と活用のための諸施策を推進します。」と言っておられます。  そこで、文化財の保存という問題でありますが、私の地元広島には、大臣も御案内のとおり原爆ドームというものがございます。この建物は、もともとは大正四年、チェコスロバキアの建築家ヤン・レツルの設計によりまして当時の広島の繁華街の中心に建てられました広島県物産陳列館、昭和八年に広島県産業奨励館と改称されたわけでありますが、こういった建物でございます。昭和二十年八月六日、一発の原子爆弾の投下により広島の町は廃坑と化したわけであります。ほぼ爆心地直下にありましたこの広島県産業奨励館も大破いたしましたが、奇跡的に本屋の一部は倒壊を免れまして、その姿からいつしか原爆ドームと言われるようになったものであります。  この原爆ドームにつきましては、広島市におきまして、人類最初の原子爆弾使用の惨禍を後世に伝え、さらには核廃絶と世界恒久平和を訴えるあかしといたしまして、日本の歴史上のみならず、世界の歴史においても普遍的な価値を有する遺跡であるという認識に基づきまして、国内外の世界平和を願う人々の浄財によりまして過去二回にわたりまして保存工事を実施し、また平成二年三月には広島市原爆ドーム保存事業基金条例を制定いたしまして、永久保存を図っておるわけでございます。  まず大臣、原爆ドームというものにつきまして、大臣自身の御認識をお伺いしたいと思います。お願いいたします。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 私も広島へ参りましたときに、このドームを見学する機会が何回かございました。何回かというのは、私、役人をしておりましたときに広島を時々回る機会がございましたので、そのたびに必ずドームヘ行って、この原爆のことを思い起こすという機会にしていたものでございます。これは我が国が唯一の原爆被爆国であるということを思い起こす機会に非常に有効なといいますか、大事な記念すべき、何と言うんでしょう、建物はもう壊れてしまって、そういう今ある原爆ドームの姿が保存されるということは大変重要なことだというふうに考えております。

岸田文雄自由民主党

○岸田委員 大臣もたびたびごらんいただいておる、そして、これが保存されることは大切なことであるというお話をいただきまして、大変うれしく思ったわけでございます。  大臣も聞いておられるかとは思うのですが、実はこの原爆ドームをめぐりまして、最近マスコミ等で報道されておるように、一つの運動が盛り上がっておるわけでございます。それは、世界遺産条約に基づきまして、世界遺産一覧表に原爆ドームを登録しようという運動でございます。  この世界遺産条約、正式には世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約と申すわけでございますが、この条約というのは、世界の貴重な文化遺産及び自然遺産を保護することを目的としまして一九七二年ユネスコ総会で採択されまして、九二年九月に我が国も締結国になった条約であります。九四年二月現在で百三十六カ国が加盟いたしまして、ベルサイユ宮殿ですとか、ロンドン塔ですとか、ピラミッドですとか、万里の長城ですとか、まさに我々が小さいころからいろいろな機会に見聞きいたしました世界の自然遺産、文化遺産、こういったものが四百十一件、現在登録されておるわけであります。  我が国も、昨年十二月に白神山地ですとか屋久島ですとか法隆寺地域、姫路城を登録いたしまして、そして古都京都の文化財を登録するよう推薦しておるわけでございます。  ただ、この登録基準につきましてはさまざまな基準がございます。その一つとしまして、すぐれて普遍的な価値を持つ出来事、思想、信仰に関するものというものがあるわけでございます。そして、この基準から、ポーランドからはアウシュビッツの強制収容所が登録されておるわけでありますし、また最近の情報によりますと、アメリカも世界初の核爆発の地でありますトリニティー・サイトを推薦予定の暫定リストに載せるという情報も入っておるわけであります。  そういった状況の中で、今日の世界、きょうの朝のニュース等を見ましても、北朝鮮の核問題等がトップニュースになっておったわけであります。こういった問題を初め核の脅威が言われる今日におきまして、原爆ドームは核戦争と核兵器の恐怖を物語る証人であり、だれが加害者であるとか、だれが被害者であるとかいうことではなくして、二十世紀に人類が犯した愚行に対する悔悟の象徴として、そして人類にとっては忘れてはならない負の遺産として、世界遺産に登録すべきではないかという声がわき起こっておるわけであります。  折しも来年は被爆五十周年という区切りの年になるわけであります。半世紀という区切りの年にぜひ実現したいという声も、こういった運動に拍車をかけておるということが言えると思うわけであります。そして、実際の運動といたしましては、日本全国から百三十四万人の署名が集まりまして、昨年十月十四日、衆参両院議長に原爆ドームの世界遺産化を求める請願を行ったわけであります。そして、この請願に対しまして、今年一月二十八日、参議院におきましては本会議で全会一致で採択されたわけでありますしかるに、衆議院におきましては残念ながら保留扱いということになり、現在再度請願が行われておるという現状であるわけであります。そして、そういった動きを受けまして、現在地元におきましては、広島市が中心になりまして、県選出全国会議員を顧問といたしまして、原爆ドーム世界遺産化推進委員会を発足する予定にしておるという状況であるわけであります。  先ほど大臣に原爆ドームそのものに対する御認識をお伺いしたわけでありますけれども、それでは大臣、こうした原爆ドームの世界遺産一覧表への登録を望む動きに対してはどのようにお感じになるでしょうか。御所見をお伺いできますでしょうか。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 今先生が御指摘になりましたような動きがあるということも、いろいろと伺っております。  一方、文化財保護法で対象となる史跡をその遺産条約に推薦するということになるのだと思いますので、その観点から申し上げますと、先ほどお触れになりましたように、四点の史跡が日本からは登録をされたわけでございまして、その中の二つは、これは文部省でございました。法隆寺と姫路城。それから、先ほど委員がおっしゃったピラミッドとかベルサイユ宮殿とか、たくさんお挙げになりましたのも、姫路城、法隆寺と時代はいろいろ違いますけれども、いずれも非常に古いものであるというふうに伺っていて気がついたわけでございます。  我が国でもいろいろ指定をする場合に、歴史的に評価の定まったものというような観点でいたしておりまして、時代的に言えば明治の前半ですね。明治時代は、近代、現代に入るかと思いますが、それも本当の現代ではなくて、評価をするのにかなり時間がたったものというので、今まで来ているという事実があるわけでございます。それ以降のものについてはまだ検討の対象とはなっていないわけでございまして、そういう点で、原爆ドームの場合はまだなっていないというのが実態でございます。でも、これはまあ世の中いろいろあるわけでございます。絶対新しいものをやらないかというと、それは検討の対象として取り上げていくということは、いろいろ歴史的、学術的に価値を考えて、総合的、体系的に検討していく中で考えるべき事項であるというふうに存じます。

岸田文雄自由民主党

○岸田委員 私が今お伺いしたかったのは、ちょっと表現が悪かったかもしれませんが、世界遺産一覧表に原爆ドームを載せようというこの動き、要はこの動きについて大臣は聞いておられるとお答えをいただきました。そして、これについてはこういった問題点、課題があるというお話があったわけでありますが、要は、その動き自体について大臣はどうお感じになられますかということをお伺いしたかったのです。お聞かせいただけますでしょうか。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 私のところへも直接話してくださる方もいらっしゃいますし、動きがあることは十分理解ができるし、そのおっしゃっている内容も理解のできる点が多いわけでございます。  先ほど委員お触れになりましたような原爆ドームの歴史的な意義、あるいはそれが後世に与える影響というものは、私も申しましたように理解のできるといいますか、共感のできる点が多くあるわけでございまして、運動がそういう観点で起こっているということについては、無理からぬなんというのはちょっとネガティブな、もう少し積極的な評価をいたしております。

岸田文雄自由民主党

○岸田委員 今大臣から、言葉を選ばれて御苦労されておったようでありますが、理解できる、そして積極的に評価できるというお言葉があったことを大変心強く思ったわけであります。  そこで、先ほどの大臣のお答えの中にありましたように、この一覧表への登録につきましては、問題点がある、課題があるということになるわけであります。  先ほど大臣が文化財保護法のお話をされました。これは、要は世界遺産一覧表に登録推薦するにつきましては、その国の国内法において保護、保存のための措置がされていることが必要だというふうにされておること、これにかかわる問題なわけであります。それについて、大臣のおっしゃったように、この場合の国内法は文化財保護法が該当するのではないかなと今考えられているわけであります。そして、それについていろいろ問題点がある、課題があるということであるわけであります。要は、根本的にはどの法律で保護すべきかという法解釈の問題があるということになると思うわけなんです。しかし、私は思うのですが、どうあるべきかより先に、まず法律論を持ち出して、これに当てはまるかどうかということを言ってしまうのは、どうも本末転倒ではないかという気がしてならないわけであります。どうあるべきかを考えまして、そのために法律をどうするべきかということを考える必要はないのかなという気持ちを強くしておるわけであります。  大臣も、世界遺産一覧表への登録につきまして、理解できる、積極的に考えるというような御答弁をいただいたわけでありますが、多少なりともこの意義を感じていただけるのであれば、確かに現状そういった課題はございます。そして、すぐにそれに結論を出すということ、これはそう簡単ではないということを私も理解できるわけでありますが、それにしましても、多少なりともこの動きに対して積極的に考えていただけるのであるならば、一応この問題も含めて検討していただけないかということを思うわけであります。  先ほど言いましたような地元の状況もございます。地元や、それから我々国会議員を初め関係者とも協議の上、この問題について一応検討をすることを考えていただけないかということを思うわけであります。その点については大臣、いかがでございましょうか。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 法律というのは固定的なものではなくて、必要に応じて改廃のできるものだという御指摘はそのとおりでございます。しかし、現行法というものは生きているわけでございますから、その中での保護措置等についての課題というのは先ほど申し上げたとおりでございますので、慎重に検討いたしたいと思います。

岸田文雄自由民主党

○岸田委員 大臣もまさに所信の中で、時代の変化に対応した文化財の保存のために諸施策を推進いたしますということをおっしゃっておるわけであります。時代の変化、まさにこういった問題一つとりましても、その時代の変化をひしひしと感じる問題ではないかということをつくづく思うわけであります。  今、大臣、慎重にという御表現もあったわけでありますが、きょう大臣にこの問題について十分現状を聞いていただいたこと、これは大変ありがたいことだと思っておりますし、そして慎重にとおっしゃいましたものの、地元とも協議しつつ検討をするという約束をいただきましたこと、これは大きな前進であったというふうに思うわけでございます。ぜひ引き続きまして前向きな対応を期待申し上げる次第でございます。どうかよろしくお願いいたします。  加えまして、現在、衆議院議長に対しまして、この問題について請願が出されておるわけでございます。本日御出席の文教委員会の委員の皆様におかれましても、ぜひこの問題につきまして前向きな理解が得られることを期待申し上げまして、次の質問に入らしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。  さて、次に大臣にお伺いいたしますのは、所信にあるところの高等学校教育についてでございます。  大臣は、高等学校教育につきましても、改革を積極的に推進されると発言されておられます。この問題は、先日決算委員会の分科会においても政務次官にお伺いしたことなんでありますが、私、今の高等学校において何とかならないかと思っておる問題が一つございます。それは公立高等学校の転編入の問題でございます。  日本の経済がこれだけ広域化し、国際化したのに伴いまして、日本の企業においては転勤というものはまさにつきものでございます。ちょうど思春期の子供を持つ年代のサラリーマンに単身赴任が多いこと、このことは社会問題にすらなっておるわけでございます。確かに住宅問題等、ほかの問題等もこの問題に関しましてかかわっていることも事実だと思うわけでありますが、私は単身赴任につきましては、やはり一番大きな理由は子供の教育ではないかということを思うわけでございます。  その中で特に困難な問題として感じますのが、公立高等学校の転編入の難しさでございます。私もこのことで何度か陳情、相談を受けた経験があるわけであります。また、私どもの党の他の議員のところでもいろいろ話をしたことがあるわけでありますけれども、他の議員におきましても、他の地域におきましても、同じ悩みが多く寄せられているという話を聞くわけでございます。単身赴任が家族のきずなや思春期の子供に対して好ましくないということ、これは間違いないことだと思うわけでありますが、この公立高等学校の転編入の難しさがその大きな原因の一つになっているのではないかということにつきまして、大臣はまずどのようにお考えになっておられますか、お聞かせいただけますでしょうか。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 おっしゃるとおり、転勤で子供を連れて行きにくいというようなことで、単身赴任をしている方が多いという実情がございます。その単身赴任が子供の教育にとってちっともいいことでないということも明らかでございます。だから、転任に伴う転校をもっと容易にするということは、学校側の受け入れ態勢ということもございますし、それからほかの条件ももちろんございます。  それについて文部省として受け入れる機会をふやす、受け入れを拡大する、そういうようなことでできることをいろいろしてきたところでございますが、私は、これまでしてきたのかどうかよくまだわからないのですが、もう少し子供のことを考えた転勤の時期の選び方とか、それから家族状況を全く考慮に入れないでどこへ行けというのは、できればもうちょっと配慮をしてもらいたいということを企業に対しても言っていいのじゃないかという考えを持っております。

岸田文雄自由民主党

○岸田委員 今大臣の方から、この問題について大臣自身問題意識を持っていろいろお考えになっておられるというお話を聞きまして、大変心強く思ったわけでございますが、確かに今大臣言っておられましたように、この問題に関しましては、文部省においても決してないがしろにしておられるわけじゃないこと、これも私は認識しております。  昭和五十九年あるいは平成三年、初等中等教育局長のお名前で通知を出されるなどされております。その中で、転編入の特別枠の設置ですとか、それから試験日の受けやすさへの配慮等、努力されておられますことは十分認識しておるわけでございます。ただ、今申しました転編入の特別枠につきましても、これは最終的には都道府県の教育委員会、それから各学校長に任せられているということでありますので、結局学校によって対応がまちまちになっておるというのが現状でございます。  私は、この転編入の特別枠一つとってみましても、転編入というのは、表現は悪いかもしれませんが、いわばキャッチボールであります。ですから、ある県とかある学校だけがこういった特別枠を設けましても、こういった制度というのは十分機能しないのではないかということを思うわけであります。ですから、全国的に各学校がこの枠を設けてこそ、初めてこの制度についても意味が出てくるのではないかということを思うわけであります。  そこで、この転編入の枠を全国の高等学校に広げることができないかということにつきまして、自分自身問題意識を持ちまして、いろいろ自分なりに勉強し、文部省の皆様方にもお話を聞かしていただいたわけでございます。ところが、文部省のお答えは、実際努力はしております、しかし、いろいろ限界があるわけであります、つまるところ、そういった内容のお答えの繰り返しであったような気がするわけであります。確かにいろいろな問題があって、簡単な問題ではないということは私自身も感じます。しかし、私自身もまだあきらめたわけではありませんので、何とかこの問題について配慮、前進をすることができないかということを思うわけであります。  そこで、きょうはここで大臣にいろいろ細かいことをお尋ねしたり、それから、はっきりしたお約束をいただくということはなかなか難しいと思いますので、とりあえずきょう一つ大臣にお願いしたいことは、この問題につきまして、文部省も転編入の特別枠というものを御指導されておられること、これは事実でありますので、この特別枠の設置についてその現状を調査すること、全国の高等学校においてどれだけの枠ができ上がっていて、どれだけそれが機能しているか、そういった現状を調査することだけでもお願いできないかということを考えておるのですが、いかがでございましょうか。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 私どもも、各県それぞれ、御指摘ございましたように取り組みを促しておる状況でございます。ただ、設置者がそれぞれの都道府県あるいは市町村ということでございますので、国から強制的にいろいろなことをやれということは大変難しいわけでございますが、先生の実態調査をする考えはないかという点は大変貴重な提案だ、このように受けとめておりまして、どんな方法があるのか、どういうやり方でこれをしたらいいのかというようなことにつきまして検討してみたい、このように思っております。

岸田文雄自由民主党

○岸田委員 検討していただけるということで、大変うれしく思うわけでありますが、やはりこの辺の問題も、昭和五十九年、平成三年、こういった時点で御指導をされていた問題が現在までその結果について把握がされていないということを考えますと、何かやりっ放したというような気がしてならないわけでございます。  文部省が実態を把握するということで、各教育委員会とか学校の方に連絡をとられるということになれば、そのことだけでも各教育委員会、それから学校に対して問題意識を提起することにつながるのではないかなと思うわけでございます。ぜひこの問題につきましても、もう一度思い返していただきまして、この重要性をもう一度考えていただきまして、とりあえずはその実態の調査、まあ調査の方法、内容についてはいろいろ難しい点もあるかとは思いますが、ぜひ工夫していただいて検討していただいて、その実態の把握に努めていただきたいということを強くお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。  さて、いろいろとお伺いしてまいりましたが、最後に一つ大臣にお伺いさせていただきたいと思います。  それは、先日、朝日新聞の一つの報道をめぐって騒動がございました。この騒動についてでございます。  騒動というのは、連立与党の某幹部が会派「改新」の結成をめぐって、どの女と寝ようが勝手ではないかというような、女性べっ視ともとれる発言をされたという問題でございます。ただし、事実関係につきましては、現在水かけ論が続いておるようでございます。私は、あえてこの場でその事実関係について論じようとは思いません。しかし、あの騒動のやりとり、報道を見ておりまして私自身感じましたのは、国民の多くが見守りますこの国政の場において、本当に言ったか、でっち上げたかわかりませんが、どちらであったにせよ、そういった発言の有無が取りざたされたということ、多方面に影響を及ぼしておること、これは事実でありますし、私は、なかんずく教育の場において、こういったやりとり、事件が与えた影響というのは決して小さくはないのではないか、かなり大きな影響を教育の場に与えたのではないかということを考えるわけでございます。  大臣は、労働省御勤務時代に女性の権利、立場について大変な御努力をされ、格別御尽力をされた方だと聞いておるわけでございます。その大臣が、この事件、騒動につきましてどのようにお感じになられたかをお聞かせいただきたいと思います。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 実はこの問題、五月十三日に参議院の文教委員会で南野先生から御質問がございまして、そのときは、後で公式に官房長官から当該先生のおっしゃった言葉というのはまだ発表されておりませんで、新聞に出ている今委員がおっしゃった言葉のままで私どもも聞いておりました。それで、どう思うかと御質問がございましたから、私は、自分の耳で聞いたことではないので、コメントは余りするべきでないかと思いますが、もしそういう言葉だったとすれば、もう我が目を疑ったというふうに申し上げて、情けない、こういうふうに言ったのでございます。  その後、そういう言葉ではなくて、どういう女性と結婚しようと、デートしたりしても、その人の自由ではないかというふうに言ったんだという発表があったわけでございます。こっちの方ならそんなに品が悪くないといいますか、まあまあ普通の言葉だというふうに思いますが、もう一つの方は、もう一つの方というのは、私、言うのが嫌だから言わないわけですが、本当にこれはちょっと……。どっちかは、水かけ論と先生おっしゃいました、わかりませんから。どっちが本当というのは私も全くわかりません。  こういうやりとりを聞いていまして、教育上本当によくないというのはもうそのとおりでございまして、幸か不幸か、今とても政治家の方たちの言動というのは、すぐ新聞に載ったりテレビで客間にもぱっと届けられたりするわけで、それはまあ昔でしたらちょっとその間にいろいろあって、子供がそんな言葉を聞くということはなかったかもしれません。今はすぐそういうのを聞いちゃうので、本当に気をつけていただきたいというのか、私ども気をつけるべきだと言った方がいいんでしょうが、教育に与える影響というのははかり知れないものがあるというふうに心を痛めております。

岸田文雄自由民主党

○岸田委員 大臣が言うのも嫌だということをおっしゃったわけでありますが、まさにそれほど不適切な言葉だと私も思いますし、こういったやりとり、騒動が、日本の国政の場において発言されたかどうかということが取りざたされること、本当にはかり知れない影響を教育の場にも与え、本当に残念に思うわけであります。  大臣もまさにそのようにお感じになられると承ったわけでありますけれども、それでは大臣、文部大臣のお立場として、そして多くの皆さんから期待された民間出身の女性の文部大臣、女性から文部大臣になられたという多くの期待を集めておられる赤松文部大臣としまして、この問題につきまして何か対応なりを考えておられないかどうか、お聞かせいただけませんでしょうか。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 先ほど申し上げましたように、公式に発表されな言葉でございますと特に問題にならないように思っております。

岸田文雄自由民主党

○岸田委員 公式の場で発表になったのであれば問題にならないとおっしゃたわけでありますが、そうしますと、なぜこういった報道がされたのかということになるわけであります。そうしますと、報道の姿勢について問題があるのかなということになってくるのではないかと思うわけでございます。ですから、逆にそちらの方で何か行動をお考えにならないかということについてはいかがでございましょうか。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 私自身も、何か本来の言いたかったこととちょっと離れたところの言葉を報道されるということもないではないのですが、しかし、それはおとりになる方がどこに印象を強く持たれたかということが出るわけで、しょうがないかなというふうに思っております。この件については、いろいろどれが本当なのか、本当にやぶの中という感じでございまして、それを取り上げて公式の場で何かするというのは適当でないのではないかというふうに思っております。

岸田文雄自由民主党

○岸田委員 大臣は、混迷する政局の中で、民間御出身の、そして女性文部大臣といたしまして、教育関係者のみならず多くの方々の注目を集めておるわけでございます。ぜひこうした問題、特にこうした問題につきましては、憶することなく積極的に発言をしていただいて、そして行動をしていただいて、その存在感を示していただきたいということを強く思うわけでございます。  今後の御活躍を心からお祈り申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

嶋崎譲日本社会党・護憲民主連合

○嶋崎委員長 塩崎恭久君。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 岸田議員に引き続きまして、自由民主党の塩崎恭久でございます。どうぞひとつよろしくお願いをいたします。  さきの大臣の所信を受けまして、私もその中の幾つか、主に二つの点について御質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  今回の所信の中身を拝見させていただきまして、すべてこのとおりいけば文部行政も万々歳かなというぐらい立派なものだと思いますが、中で幾つか私どもとしても再考をお願いをしなければいけない点もあろうかな、あるいは追加的にお考えをいただかなければいけないことがあるのかなということで、一つは私学助成、とりわけ高校等の私学に対する助成の問題でございます。それからもう一つは学術研究の推進ということ、この二つを主に聞かせていただきたいと思うわけでございます。  まず、私立学校の助成につきましては、この所信の中でも、「財政事情が厳しい中ではありますが、私立学校振興助成法の趣旨に沿って、その教育研究条件の維持向上と修学上の経済的負担の軽減等を図るため、私学助成の確保など私立学校の振興のための施策の一層の推進に努めてまいります。」というお言葉でございました。まさにそのとおりにいけばいいわけでございますけれども、私学は、言うまでもなく、古くは寺子屋とか私塾とか、古くから民間の中で行われておりまして、学生の数のベースでいつでも、大学では八割、高校で三割、幼稚園で八割といったくさんの生徒学生を今抱えているわけでございます。  これに対して、戦後、昭和二十四年の私立学校法に始まりまして、いわゆる私学三法というのでしょうか、これができ上がり、また昭和五十年に私立学校振興助成法ができ上がったというわけでございまして、それが今度平成六年度の予算の編成の中で大分物議を醸したのが、この高校等の私学への助成の問題でございました。いわゆる前年の五〇%に大蔵原案ではなっていたのが、いろいろな形の動きの中から七五%にまで戻ったということでありますけれども、全国津々浦々、私学関係者あるいは私学に通っているお子さんの御父兄は御心配を今されているわけでございます。  実は、私ごとで恐縮でございますが、この私学助成法の提案者の一人が私の父でございましたし、それから私の息子、二人おるのでございますけれども、一人は地元の私立の高校に今行っておりまして、父親の一人として大変心配をしている。子供の教育環境はどうなんだろうか、こういうことがあるわけでございます。  まず大臣、それから、きょうは大蔵省にもおいでをいただいていると思うわけでございますが、私学教育、私学助成、とりわけ高等学校以下といいましょうか、高等学校等の私学教育あるいは助成についてどう考えているのか、基本的なスタンス、それから何を目的にこの助成を行うのか、この点についての基本的なお考え方を聞かせていただきたいと思います。     〔委員長退席、松田委員長代理着席〕

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 私学教育について大変熱心な御指摘がございまして、実は私自身も旧制の専門学校、私学で勉強いたしました。それからまた、文部大臣になる直前は私立の女子大学で教えていたという経験もございまして、私学の我が国の教育の中で占める大きさというものは、よくと言えばあれになるかもしれません、ある程度認識を今までしてきたし、文部大臣になる前も、自分の経験からいって私学というものの認識はしてきたと思っておりますが、文部大臣になりまして以降、なおさらその認識を強めたということができるかと思います。  今先生御指摘になりましたように、大学では八割、高校生三割、義務教育では少ないようでございますが、幼稚園また八割、こういう比重の大きさから申しましても、その重要性はだれに対しても十分説得できる数字だというふうに思いますし、また、その内容につきましても、個性を尊重した教育という現在の考え方からいいましても、私学はそれぞれ建学の精神というものにのっとって教育をしておられるわけで、これが教育のバラエティーと申しますか、いろいろなニーズに対応した教育ができるという点でも、非常に果たしている役割が大きいというふうに考えている次第でございます。  先生のお父様が私立学校振興助成法の生みの親でいらっしゃるということはまことに意味のあることで、また、お子様も私学へおいでになっているということでございますから、ぜひ今後とも私学の振興につきまして御助力をいただければ幸せだと思っている次第でございます。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 今の助成の目的についても、一言ちょっとお聞きしたいと思うのです。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 まず、私立学校振興助成法に書かれておりますように、教育研究条件の維持向上、修学上の経済的負担の軽減に資する、私立学校の経営の健全性を高めるということであろうかと存じます。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 その目的の中に、憲法第二十六条で認められております教育の機会均等といいましょうか、この点は含まれていると考えなくてよろしいのでしょうか。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 当然そのように考えております。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 同じ質問を大蔵省の方にお願いをしたいと思います。

田村義雄大蔵省主計局主計官

○田村説明員 お答え申し上げます。  私学助成について、目的等を含めて大蔵省はどう考えているのかという御質問だと承りました。  ただいま大臣からお話がございましたので、若干繰り返しになりますけれども、私学助成は、まず私学の教育条件の維持向上ということが一点、それから、私学に実際に在学しております学生の方々に係る修学上の経済的負担の軽減を図るということ、それから、今大臣の御答弁にもございましたが、私学の経営の健全性を高め、もって私学の健全な発達に資するということのために、私どもといたしましても私学助成ということも重要な役割を果たしている、そのように考えております。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 先ほど私も追加的に聞きました教育の機会均等という観点から、この助成というものをどう位置づけられているのでしょうか。

田村義雄大蔵省主計局主計官

○田村説明員 これもただいま大臣からお答えがありましたとおり、私どもも考えております。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 今基本的なスタンスをお聞きしたわけでございますけれども、とりあえずこれまでの助成の状況、推移につきまして、ごく簡単にちょっとお願いできますか。

泊龍雄文部省高等教育局私学部長

○泊政府委員 ただいま塩崎先生が御指摘のとおり、沿革的に申し上げますと、私学助成、経常費等の助成を開始いたしましたのは昭和四十五年度からでございます。そして、当初は御案内のとおり、大学等につきましては予算措置、高等学校等につきましては交付税措置によって対応してまいったということでございます。  ただ、そういう形だけではなかなかその姿勢がはっきりしないといったような御指摘、それから当時、やはり戦前と違って、戦後いわば戦災からの復興期を乗り切って、一面では教育爆発の時代と言われるように、高等学校の進学率あるいは大学の進学卒等が急速に伸びてまいったという時代背景がございまして、そういった中でいわば私学の経営面も非常に逼迫をしてきた。そして、先ほどの私学振興助成法の中の一つの目的といたしております教育研究条件の維持向上の問題、あるいは修学上の経済的負担の軽減の問題等々課題がございました。  そこで、大臣からもお話がございましたように、昭和五十年に塩崎潤先生を初めとする関係の先生方の御尽力によって、現在の私立学校振興助成法が御案内のとおり制定をされて、いわゆる大学、高校等に対する国庫補助が従来の予算補助から法律補助へ変わってきた、こういう経緯がございます。そして、その後この振興助成法の趣旨に基づきまして、厳しい財政事情の中ではございますが、いわば最重要な政策課題の一つとして、文部省としてもその額の確保に努めてまいったところでございます。  ところが、御案内のとおり、昭和五十年代後半から特に国の財政事情というものが厳しい状況になってきたということで、概算要求等につきましても、御案内のとおりマイナスシーリング・システムをとらざるを得ないというような状況がございまして、その後の対応には非常に苦しい対応を余儀なくされてきているという状況でございました。  御案内のとおり、文部省所管予算と申しますのは、八割近いものがいわゆる人件費でございます。私学助成を初めとするいわゆる政策的経費に充てられる物件費のウエートが非常に小さいというようなことがございまして、ますます財政事情全体が厳しい中でございますので、その対応というものは非常に厳しいものになってきたということでございます。  今年度の予算編成の過程におきましても、私どもも私学助成の重要さというものは、もちろん重々承知をいたしております。そういう中で、特に厳しい現下の財政事情にかんがみまして、私立大学等には経常費補助金等を初めとする額の確保というものに努めながら、かつ、言葉は憩うございますが、残念ながら高等学校につきましては、一般補助につきましては削減をせざるを得ない状況になり、いわばぎりぎりの対応を迫られたということであろうと思います。そういった中で、私どもとしては、各都道府県における高校以下に対する私学助成の財源措置について、可能な限りの努力をさしていただいたというのが今回の編成の過程に至る経緯ではなかろうかと思っております。  私どもとしては、今回、残念ながら最大限の努力をしたぎりぎりの結果として、やむを得ない措置として受けとめておるところでございますけれども、この問題は非常に重要な政策課題でございますので、厳しい財政事情といったようなものも勘案しながら、振興助成法の定める目的等に従って今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 今、平成六年度のお話まで御説明をいただいたので、具体的には、国からの補助が前年から比べるとちょうど二百十二億円減額になっている、こういう話でありまして、その分は地方交付税で補てんをする、こういうことであろうかと思うのですけれども、今文部省からの御説明を聞いたので、大蔵省と自治省、それぞれの説明を聞かせていただきたいと思います。それはことしの、平成六年度の予算についてのお話で結構です。

田村義雄大蔵省主計局主計官

○田村説明員 お答え申し上げます。  六年度の予算編成に当たりましては、私立高校等に対します都道府県の助成水準が近年高まってきているという現状、あるいは現下の極めて厳しい財政事情を勘案いたしまして、国と地方の役割分担あるいは費用負担のあり方という観点から、この補助金につきまして見直しを行うこととしたところでございます。  具体的には、もう御承知のように、一般補助については三割をカットし、他方、特別補助につきましては、緊急の政策課題となっております教育改革、これを一層推進していくという観点から、拡充することとしたわけでございますが、トータルでは、先生ただいま御指摘のとおり、二五%のカットということになったわけでございます。  国庫補助金の削減ということにつきましては、都道府県の私学の助成水準、実際のその水準が低下しないように、一方で地方行政の方の立場から地方交付税措置が大幅に充実されるということになっておりまして、国庫補助金と地方交付税を合わせましたいわば国の財源措置という観点については、拡充が図られているというところでございます。

香山充弘自治省財政局財政課長

○香山説明員 自治省の方から交付税措置の考え方について御説明さしていただきます。  御指摘ありましたように、平成六年度におきましては、私学助成に関する国の予算につきまして、文部省、大蔵省との間でいろいろなやりとりがございまして、私どもも経過をお聞きしておった次第でございます。結果としては二五%カットと相なったわけでありますけれども、これを受けまして、私ども地方財政計画を策定する過程におきまして、地方費としての財源措置の検討に入った次第でありますけれども、私学が果たしております役割あるいは経営の実態等にかんがみまして、国費と地方費を合わせた助成の総額につきましては一定の伸びを確保することが必要であるというふうに判断をいたしまして、国費の縮減も考慮いたしまして、地方費による私学に対する財源措置につきましては、一三%の増と大幅な拡充を図ることといたしまして、必要な財源を確保した次第でございます。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 自治省にちょっとお伺いしたいのですけれども、交付税というのはどういう性格の資金なのかという極めて基本的なお話で大変恐縮でございますが、一般的に我々の常識では、交付税というのは、ひもがついてない、使途が限定されない、それぞれ地方自治体が判断をされてプライオリティー、順番をつけて配分をしていくというふうに理解をしているわけですけれども、こういった交付税の性格と、それから今回いろいろ問題になった私学助成の目的から考えて、交付税をどういうふうにお考えになるか、ちょっとお願いします。

香山充弘自治省財政局財政課長

○香山説明員 ただいま先生の方の御説明にございましたとおりでございまして、地方交付税はあくまで地方公共団体に対する一般財源ということで、使い道を国として拘束することはできない性格のものでございます。  ただ、その地方交付税の積算に当たりましては、国として標準的な水準というものを考えまして、全国的に標準的な水準を維持するためには、どういうふうな財源措置を講ずればいいかというのを具体的に基準財政需要額という形で算定をいたしまして、その数字を使いまして個々の団体に対する配分額を決定するわけであります。その過程で当然、国として標準的に考えているのはどういう水準であるかという判断をいたすわけであります。そういう形で計算されました地方交付税を具体的に配分した後につきましては、その使い道は、そういう財源措置の考え方を踏まえた上で、個々の地方団体が自主的に御判断いただくということになるわけであります。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 その点について大蔵省はどんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。

田村義雄大蔵省主計局主計官

○田村説明員 地方交付税の性格等につきましては、今自治省から御説明ございました。  今回の措置に関して私どもの考え方といたしましては、地方交付税自体はもちろん言うまでもなく一般財源でございますし、その使途に制限がない、これはもうそのとおりでございます。しかしながら、そもそも高校以下の私立学校の所轄庁は都道府県でございますし、あるいは、最初に私が申し上げましたように、私立高校等に対します都道府県の助成水準が非常に高まっていること等の現状を勘案いたしますと、各都道府県において適切な対応がなされるのではないか、そのように考えております。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 私ども地元の愛媛県の予算のつくり方をちょっと聞いてみましたら、とりあえず前年と同じだけの補助を計上して、九月でまだ考えるということなんだろうと思いますけれども、しかし、先々どうなるか大変心配をしているというのが現実でありまして、ことしはともかくとして、将来的に地方財政がさらにタイトになる可能性がある中で、この算定基準はあるといえども、トータルで抑えられた中でまたやらなければいけないということになれば、県によっては、場合によっては今までのようなわけにはいかなくなるところも出てくるかもわからない。もちろん、それぞれ頑張ろうということで、それぞれの都道府県が今お考えになっていると期待をしたいところでありますけれども、しかし、それはよくわからないのです。  これは文部省にお伺いしたいのですが、各県は今どういうような受けとめ方をして、どういうふうにやられているのか、その辺ちょっとお伺いできますか。

泊龍雄文部省高等教育局私学部長

○泊政府委員 交付税の性格等につきましては、先ほど自治省の方からお話があったとおりでございます。ただ、私ども、私立高等学校等に対する助成の重要性ということにかんがみまして、各都道府県に対してその重要性に理解を求め、そして国庫補助金、地方交付税合わせた国の財源措置に見合った対応をしてほしいということでお願いをいたしております。  御案内のとおり、今先生お話がございましたように、国の今年度の予算編成日程等の関係もございまして、すべて当初予算に計上するという形ではございませんが、三月の末時点で私ども高等学校を例にとりまして都道府県の調査をさせていただきました。そこで、平成六年度の国の財源措置との関係で予算措置状況を調査した結果によりますと、ほとんど大半の県がこの両者合わせた国の財源措置以上の措置を計上いたしております。この時点で五県ほど、なお平成六年度の国の財源措置額を下回っているところがございます。これらの県につきましては、いずれも今後九月補正ないしは十二月補正等で、補正予算において追加の計画があるというふうに私どもとしては承知をいたしております。  今後とも、私立高等学校以下の学校に対する助成の重要性ということに着目をいたしまして、各都道府県にその理解を求めてまいりたいというふうに考えております。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 自治省にお伺いしたいのですけれども、その交付税の扱いという観点から、今、県がどういうふうに考え、またどういうふうに指導をされているのか。同じような問題ですけれども、お言葉をお願いします。

香山充弘自治省財政局財政課長

○香山説明員 私どもは、交付税の性格につきましては先ほども御説明申し上げたとおりでございまして、その基本線を崩さない範囲内でありますけれども、国として交付税の計算をする場合の考え方、そういったものを末端に周知徹底を図る、そういった意味では懇切な指導をしてまいりたいというふうに考えております。  さらに具体的に申し上げますと、この私学の助成単価につきましては、交付税上は密度補正という特別の補正形態をとっておりまして、国として生徒一人当たり幾らの交付税措置をとるかというのが法令上見えるような形で財源措置をいたしております。そういったものの周知徹底を図りまして、地方公共団体が御判断をされる材料として提供したいという形で従前から指導いたしておりまして、今年度も事務次官通達等を通じまして、そういった指導をしてまいる考え方でございます。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 私は、基本的には今までどおりの助成の仕方というものを続けるべきだという考えに立っているわけでございまして、これは各県に聞いてもかなりそういう声が強い。私どもの地元の愛媛県も、かなり厳しい結果だと思っているようでございますし、それから、補助率の復元も含めて再検討をしてもらいたいという意向も強いようであります。  ですから、国が地方公共団体の裁量に任す部分と、そうじゃない部分というものをどのくらいのウエートでやるかという問題ですが、私は今までどおりやるべきではないかと思っておるのです。この助成法の中で、以前もたしか二月二十一日の予算委員会で赤松大臣もお答えになっていると思うのですが、第四条で、大学については経常経費の二分の一以内を補助するということになっているわけですね。第九条では、高校等は都道府県が責任を負っているということで、「国は、都道府県に対し、政令で定めるところにより、その一部を補助することができる。」と法律に書いてあるわけでございます。これが、大学の扱いは二分の一以内という、二分の一が上限という考え方がこの中にも入っているのかどうかということで御議論があったかと思うのですが、改めてお聞きしたいと思うのです。  二月二十一日の大臣の御答弁を見ますと、「この法律案の趣旨についてはよく理解をさせていただきました。」ちょっと飛びまして、「ただ、二分の一という基準につきましては、この法律ができまして以来、達成したことがないという点は残念なことでございます。」残念だということは、二分の一ということをやはり肯定しているのかなというふうに私はとっているのでございますが、その解釈でよろしゅうございますか。

泊龍雄文部省高等教育局私学部長

○泊政府委員 私立学校振興助成法の制定時の審議の経過等がございますので、私からちょっと御説明させていただきたいと思います。  私立学校振興助成法におきます私立大学等に対する経常費の助成、それから私立高等学校等に対する都道府県が行う助成に対する国の補助については、今法令上は先生御説明のとおりでございます。その当時の立法提案者等の御意向については、これについていろいろな御議論があったようでございますが、もろもろの審議の過程を通じて現在の仕組みになっているという状況でございます。特に附帯決議等におきまして、大学等につきましては速やかに二分の一の実現を期するべきだというような御決議もあったというふうに承知をいたしております。  私どもとしては、もちろん現在の私学振興助成法の規定と、それから、そのとき込められていた制定への背景といったようなものを尊重しながら努力をしてまいっておるところでございますが、何しろ財政事情その他と勘案をしながら対応せざるを得ないということでございますので、御指摘のとおり、二分の一まで到達したということは過去にございません。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 もう時間もあれでございますので、まとめに入りたいと思うのですけれども、やはり今子供の数が大分減ってきている中で、私学の経営というのはなかなか難しい状況なんだろうと思うのです。ですから、頑張っている私学にはきちっと手当てをしなければいけないし、頑張っていないところはさらに頑張ってもらわなければいけないということであろうかと思うのです。  何でも無条件で生き残れるような時代ではないと私も思っているわけでございますが、しかし、先ほどお話がちょっと出ましたように、国庫補助から交付税に振りかえるということで大変心配をしているところが多いわけであります。問題は、このパターンをもとに戻してもらいたい、私はそう思っております。これについて文部省、大蔵省はどう考えていらっしゃるのか、また自治省も含めて、その点の今後の方針についてお聞きしたい。  そのときに、先ほど冒頭お聞きしました、この助成の目的は何だという話でありまして、文部省も文部大臣も、文部大臣が一番明確に言っていただきましたが、大蔵省も自治省も、この憲法第二十六条の教育の機会均等という点も含まれるということを明確に言っていただきました。  私はそれをあえて申し上げたのは、それぞれの自治体にお任せをするということになる地方交付税のウエートを高めるということは、やはりそれぞれ、県、知事さんあるいは議会によって、教育に最優先で予算を回すところと、そうじゃないところがあるのだろうと思うのです。しかし、教育の機会均等ということに責任を負うのは国であるべきであるわけでございますから、そういう点で、今までの助成のあり方というものは変えるべきではないのではないだろうかというふうに私は思っているわけです。ですから、その点、文部省、大蔵省、自治省、それぞれの今後の方針、お考えをお聞きしたいと思います。

泊龍雄文部省高等教育局私学部長

○泊政府委員 先生のお尋ねのございました憲法の教育機会均等の精神というものを踏まえて、当然のことながら現在の私立学校振興助成法も制定をされているということであろうと思います。そういった中で、先ほど大臣が御説明申し上げましたような大きな三つの目的で、私立高等学校等に対する助成の仕組みというものができているというふうに理解をいたしております。  努力する私学を大事にすることが大切ではないかという御指摘もございました。私ども現在の状況を見ますと、例えばなお学校納付金の問題、あるいは教育条件として先生一人が何名の子供を担当しているかといったような点、これらもおかげさまで逐年私学の条件も改善はされておりますけれども、なお公立学校等と比べると十分でない面がございます。  また一面では、まさに先生が御指摘のとおり、教育の機会均等ということを考えますと、幼稚園教育しかり、高等学校教育しかり、いわば準国民教育となっている状況でございます。その意味では国民生活にも非常に密接に関連をする事柄であるというようなことを考えますと、国としては、やはり全国的な観点から初等中等教育の水準の維持向上を図っていくということを考えていかなければいけないのだろうと思っております。そういった中で、各都道府県における助成水準の向上なり、あるいはできるだけ都道府県間のアンバランスがないような形に持っていけたらなというふうに思っているわけでございます。  来年度以降の問題につきましては、そのときどきの財政事情等も勘案をしなければならないということでございますが、私どもとしては、振興助成法等の趣旨に基づいて、もちろん財政事情等の厳しさを勘案をしながら、できるだけの努力をしてまいりたいというふうに考えております。     〔松田委員長代理退席、委員長着席〕

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 もう少し簡単にお願いしたいのですが、要は、このパターンを戻したいと思っていらっしゃるのかどうかということをお聞きしたい。大蔵省、自治省はこのパターンで続けたいと思っているのか、もとに戻してもいいと思っているのか、その結論だけで結構ですから、もう一回。

泊龍雄文部省高等教育局私学部長

○泊政府委員 大変難しい御質問だろうと思います。毎年度、八月ぐらいになりますと概算要求基準といったようなものが設定をされて、それに基づいて各省庁対応していく、これまでの仕組みですとそういうことになろうかと思います。そういった中で最大限の努力をしてまいりたいというふうに思っております。御了承をいただきたいと思います。

田村義雄大蔵省主計局主計官

○田村説明員 今後の方針ということでございますが、平成七年度以降のこの私学助成の具体的な取り扱いでございますが、まず私ども財政当局としては、先生御質問ございました私学助成のこの趣旨といいますか目的といいますか、これがまず第一点。それから、実際に今後都道府県が私学に対してどの程度の助成水準をどういうふうにやっていくか、それを見守ることが第二点。第三点は、やはり財政事情ということを勘案しながら、今後の七年度の予算編成過程の中で適切に対応してまいりたい。  パターンに戻す戻さないということについては、結局はそういう三点を重視しながら適切に編成過程の中で対処してまいりたいということでお答えさせていただきたいと思います。

香山充弘自治省財政局財政課長

○香山説明員 私学の大切な役割につきましては、各都道府県も大変重要な意味を認めまして、これまで助成を続けておられるわけであります。まず、県行政におきます私学助成の意義というようなものは、今後も私ども大きく変わることはないと思っておりますが、いずれにいたしましても、自治省としては、各県の対応、さらに国の予算の動向、さらには私学経営の実態を踏まえまして、今後とも必要な財源措置を講じてまいる考え方でございます。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 必要な財源措置という言葉は簡単でありますけれども、打ち出の小づちがあるわけではないわけでありますから、この点については改めてまた別の機会に質問をさせていただく機会もあろうかと思いますし、来週あたりも予算委員会の分科会等で話が持ち上がってくると思いますので、その点でまた改めて文部省の姿勢、大蔵省、自治省の姿勢というものを明確にしていただきたいと思います。  次の話題にちょっと移らせていただきますが、大学等における学術研究の振興についてでございます。大蔵省、そのままお残りいただいてお願いします。  先般、文教委員会から視察で、私はちょっと行けなかったのですが、東大の航空工学の研究所というか研究施設を見に行った方々が多いようでございますが、余りのひどさにびっくりした。古さといいましょうか、こんなところで本当に研究しているのだろうかというぐらい、皆さん愕然として帰ってこられたという話がありました。  この間も科学技術庁あるいは通産省の方からも話を聞きましたし、文部省からもお聞きをいたしましたが、今回の大臣の所信の中にも、大学等における学術振興、研究振興については熱心にやっていきたい、こういうお話でありました。特に、これから円高による産業の空洞化とか、それから産業構造の成熟化、低成長化、そういう中で、やはり科学技術をてこに世界をリードする役割をさらに強めていかないと、国際社会の中で日本は生き残っていけないんじゃないだろうかという声が最近多いわけであります。新たなる成長の源というのは、結局この科学技術といいましょうか、もちろん実社会に役立つ科学技術でなければいけないということだろうと思うのです。  もう余り時間がないので、その中で特にきょうは産業界との研究協力の現状ということについて、ちょっとお話を聞かせていただきたいと思うのであります。  その前に、科学技術庁が出してきたこの数字を見ますと、日本の政府の科学技術に対する支出の割合というのは、各国比較してみると、研究活動の政府負担割合というのが、日本は、これは九一年だと思いますが一九・四%、アメリカは四三・三%、それからドイツが三六・六%、もう格段に日本は低いということで、どうもこれまで日本の政府の科学技術に対する考え方というのは少し軽かったかなというふうに思うわけであります。  そういう中で産業界との研究協力でありますけれども、かつて、我々はちょうど学生紛争華やかなりしころの世代であります。全共闘世代でありますから、あのころ産学協回路線といえばもう悪の代名詞みたいなもので、ベトナム戦争も華やかなりしころでございました。そういうことでありましたけれども、大分世の中変わってきたと思うのです。この辺ちょっと産業界での研究協力の現状と評価をごく簡単にお願いします。

佐藤禎一文部省学術国際局長

○佐藤(禎)政府委員 ただいまお話がございましたように、かつて大学の中でいろいろな考え方があったわけでございますけれども、大学改革を進めていきます中で、大学が社会と連携をしていかなければいけない、社会の要請を適切に受けとめて、それにこたえていくということが一つのポイントになってきたわけでございます。  そういうことを受けまして、私ども、共同研究でありますとか受託研究あるいは受託研究員というカテゴリーでの協力のシステムをつくりまして、あわせて奨学寄附金、これは国立学校特別会計で設定をされております特別の会計のシステムでございますが、こういうものを活用いたしまして社会からの資金の援助というものを慫慂してまいったわけでございます。  それに、国立学校の場合には、加えまして共同研究センターというものを年々計画的に設置をいたしまして、社会との連携の実際の窓口になるという姿をいたしてございます。所要の予算額もこの十年ばかりで約四倍になるというような実態でございまして、この面での増強というものは着実に図られている、このように考えている次第でございます。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 今共同センターの話がありまして、実は本年度予算で愛媛県も入っておりますので、ぜひこれはよろしくお願いしたい。  それで今、十年で四倍になったというお話でございます。もともと発射台が低いわけでありますから、四倍にといっても、恐らく国際比較してみればかなり低いのではないかと私は思っておりますが、特に企業とのつながりで、科学技術振興に頑張ってきたアメリカあたりと比べてどんな現状が、ちょっとお話を伺えますか。

佐藤禎一文部省学術国際局長

○佐藤(禎)政府委員 実は、これはなかなかその研究費のつかまえ方が難しいのでございます。アメリカの社会の場合は全体にプログラム主義でございますから、人件費も含めてプログラムごとに予算が整理をされておりますけれども、我が国の場合は、どちらかといいますと費目別に管理をして、つまり、人件費などはのけて研究費はどうかという推計をいたしますので、その推計の仕方というのが非常に難しくて、私ども公的にこれをまだきちんと分析をし切っていない状況にございます。  したがって、しっかりした数字を申し上げることはできませんけれども、一定の条件のもとに我が国における研究費というものを見てみますと、今の予算の中では比較的面倒を見ていただいているというような形になっております。  その中で民間の資金等の受け入れのぐあいはどうかという比較は、残念ながら的確なお答えはできかねております。見方によってはある程度頑張っているという見方もできるのでありますけれども、しかし、ただいま御指摘のように、世の中の社会全体の寄附に対する考え方、社会貢献というものに対する姿勢等が、我が国では残念ながらまだまだアメリカには立ち至っていないというような現状かと思っています。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 私もアメリカの大学院に行ったとき、その大学院の名前はジョン・F・ケネディ・スクール・オブ・ガバメントという、多分ケネディ家がお金を出しているのだろうと思います。例えばMITのビジネススクールはスローン・スクールといいますし、ペン大はウォートン・スクールといいますし、大体みんな名前がついている。ハーバードの中の建物の名前にもほとんどだれかの名前がついて、多分それもみんなお金が出ている。  それから、教授の名前、ポストの名前にも、何とか何とかプロフェッサーという頭に寄附している人の名前が乗っているということで、考えようによっては、とりようによっては非常に日本も頑張っているじゃないかというお話ですが、また、とりようによってはとんでもなくおくれているのじゃないかという気がしてならないわけでありまして、むしろそっちの方が正しいのじゃないかと私は思っております。  例えば、ことしの予算でトータル六百七十四億の産業界からの寄附というか、共同研究とか合わせて考えておられますけれども、しかし、考えてみれば、この間九三年度の経常利益というのがベストフィフティーぐらい新聞に出ておりました。 トヨタの経常利益というのは二千八百六十四億ですから、六百七十四億で四倍ですごくふえたといっても、やはりすごく少ないのだろうと思います。ベストテンの中のベストナインまでが経常利益千億を超えているわけでありますから、その一社の利益にも満たないぐらいしか企業は学校に出してきていないということです。  では、学校に出してこない理由というのは何だろう。その辺はどういうふうにお考えになっているか、ちょっとごく簡単に。

佐藤禎一文部省学術国際局長

○佐藤(禎)政府委員 これも分析の難しい問題でございますが、基本的には、先ほどお答え申し上げましたように、社会貢献に対する考え方が我が国では必ずしもアメリカと同じような考え方まで立ち至っていないということがあろうかと思います。  あとは、いろいろな要因が考えられますけれども、これを慫慂する税制とかそういった措置についても、実はいろいろな形で措置を重ねてきておりますけれども、なお充実が望まれるという要素が残っておるのか、このように考えております。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 社会貢献というお言葉がありましたけれども、「学術研究推進の基本的考え方」、これは文部省のものですが、この三番目に「研究者の自主性の尊重と社会的貢献への期待」、僕は、社会的貢献に期待をするだけでは、とてもじゃないけれども企業というのはお金を出さないのだろうと思うのです。  フィランソロピーという言葉があります。それはそれで養わなければいけない考え方だと思いますし、そうしていただきたいと思いますが、企業というのは当然結果を求めているわけでありますから、自分たちが求める結果が出てくるものだったらお金も出すと私は思うのです。それが、今は恐らくそれをしても自分たちの求めるものが戻ってこないから金を出さない。あるいはそういう仕組みになっていない。共同研究にしても、大分頑張っておられますけれども、まだまだニーズがぱっちり両方とも、学者さんのニーズと企業のニーズというものが合っていないということじゃないかなと思うのです。  日本の高等教育については、大臣を前に失礼ではありますけれども、かねて日本の高等教育から何も学ぶことはないという報告がアメリカであったやに聞いておりますけれども、やはり企業が積極的に投資をしようと思うほどの創造性が見受けられないということが一番問題なのじゃないかと思うのです。  もちろん企業側にも、基礎研究で三十年先に戻ってくるかもわからないぐらいの長い発想をする企業も少ない、そういう問題もあるのかもわからない。しかし、今までのように自分の会社で研究施設も全部持って、スタッフも全部抱えてやるというやり方では、とてもじゃないけれども、企業もなかなか今利益も上がらないわけですから、無理だろうと思うのです。  やはりお互いに学校と企業がいい意味で深く結びつくということがこれからは大事であろうと思いますし、いわば大学と企業との間の研究開発の好循環といいましょうか、今は恐らく悪循環で、出しても大したものは戻ってこないよということを思っているかもわからないし、先生の方も必ずしも企業が思っているようなことをやろうとも思っていないかもわからない、そういうような気がしてならないわけであります。  結局、先ほど申し上げたように、これから空洞化等々やはり深刻なことになってくるかもわからない。キャッチアップをされて、今まで日本が産業界はトップだ、世界一番だと言っていたけれども、どんどん追いつかれている。ここでまた差をつけていくためには、科学技術にかなり力を入れて、それこそ百年の計でやっていかなければいけないんじゃないかと思うのです。  冒頭申し上げたように、科学技術に対する日本の政府の今までの予算のあり方というのは、国際的に見てもかなり低い。ですから、じゃ、どうしたらいいのか。予算があるいは企業の資金か、どちらかしか資金はないわけであります。予算を急にふやせといったって、これは大蔵省おられますから、この点についても聞いてみたいと思いますけれども、そう簡単にはいかないと思います。ですから、これはこれで政府の予算をとるということも大事でありますし、研究施設等々の改善もしなければいけない。しかしその一方で、やはり企業からの資金の導入というのも図っていかなければいけないと思うわけであります。  大蔵省、せっかく残っておられますから、その辺の基本的なスタンスについて、この科学技術に対して国の予算としてどう考えているのか、もうほんの一言でお願いします。

田村義雄大蔵省主計局主計官

○田村説明員 産業界との研究協力、非常に大事なことだと思いますし、先ほど共同センターのようなお話がありました。  いろいろな工夫を講じながらやっていく必要があろうと思いますが、応用技術と違って基礎技術といいますかあるいは基盤技術といいますか、ここら辺ではやはり国の果たす役割も重要だと思います。これは文部省に限りません。例えば科学技術庁さんなんかでも、できるだけそういう基礎研究費とか何かをこれからも十分見守っていく必要があるし、文部省でいいますと例えば科学研究費補助金とか、ここら辺については、全体の財政事情は厳しいですが、できるだけの措置を講じていく必要があるのではないか、そのように思います。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 もう時間がございませんので、大臣に基本的にどういうお考えでおられるかをお話しいただきたいと思います。

佐藤禎一文部省学術国際局長

○佐藤(禎)政府委員 大臣が御答弁申し上げます前に、一言お話を申し上げたいと存じます。  私どもが担当いたしております大学における学術研究は、科学技術という分野のみにとどまらず、人文、社会、自然、全部の分野を通じまして、あらゆる分野の知的興味というものを満足させる活動を慫慂しているわけでございます。したがって、基礎研究と申しましても、これは大まかに言いますと二種類ありまして、ある程度の目的的な基礎研究と全く無目的的な基礎研究があり、大学ではそういったことを主として担当し、大学の自主的な活動というものに根差してその活動を私どもお勧め申し上げているわけでございます。したがって、よい方法は、産業界のニーズとそういうものが意見交換のちゃんとした場を整えて、意見を交換をしながら進むということが大切なことではないか、このように思っております。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 この問題を担当するようになりまして非常に気にかかっていることは、先ほど委員がおっしゃいました、日本はどうもそういう点に対して、何といいますか、予算の面でもですし、また社会の関心という面でも、ほかの産業があるいは企業が世界的に見て高水準になっているのと比較すれば、余り自慢できないのではないかという印象を非常に持っております。  それで、これは評論家としてそんなことを言っている立場ではございませんから、ぜひ予算あるいはその他の面にこの印象を反映させて、そうでないようにするように努めたいと思っております。

塩崎恭久自由民主党

○塩崎委員 最後に一言。  アリとキリギリスの話がありますけれども、福祉の問題なんかは、もう目の前に来て、待ったなしでやらなければいけないということです。この教育とか科学技術の問題というのは、目の前には切実さは余り感じない。しかし、気がついたときには遅いということが多いのだろうと思うのです。  今までは確かに先輩方が頑張ってきて、世界の中でも追いつけ追い越せで頑張ってきた。しかし、今追いつかれてきて、また引き離さなければいけないという立場でありますから、この辺の問題というのは、財政事情大変厳しい中でありますし、公共事業の見直し等々が行われているようでありますけれども、全般的に考えてみて、この今の問題、科学技術の開発の問題については、もっと本当に百年の計で考え直していかなければいけないな。  私はそもそも大ざっぱな文科系の人間でありますけれども、私でさえそういうことを考えるということでおりますので、先ほどの私学助成とあわせてよくお考えの上で、日本の将来を考えていただきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。

嶋崎譲日本社会党・護憲民主連合

○嶋崎委員長 田野瀬良太郎君。

田野瀬良太郎自由民主党・自由国民会議

○田野瀬委員 それでは早速質問に入っていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  まず、英語教育について質問をさせていただきたいと思います。  今や日本は、豊かで、安全で、自由で、平和で、すばらしい、世界でも一等国になったわけでございます。それがゆえに、諸外国からの日本に対する期待あるいはまた逆に日本から海外への進出等、すなわち国際交流が非常に盛んになってきておりますことは、もう言うまでもないことでございます。  そんな中で、私は今ほど英語力、特にその中にあって会話力が求められておるときはない。どうも日本人は会話下手である、英会話下手である。顔の見えない日本人だとか考え方のわからない日本人だとか言われるのも、そのゆえんであろうと考えるわけでございます。海外への旅行者も昨今ますますふえておるわけでございますが、恐らく大半は会話ができなくて欲求不満で帰国するという人がほとんどではないか、私も含めてでございますけれども、こんなふうに思うわけでございます。  そんなことをよく文部省も御理解、認識されまして、特に英語教育について大変力を入れておられる。その成果もおいおいと上がってきておるというふうに聞き及んでおるわけでございますけれども、今の英語教育、特に会話についての文部省の取り組みはどんなふうにおやりになっておるのか、説明をしていただきたい、かように思います。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 先生御指摘ございましたように、英会話と申しますか、英語のコミュニケーション能力の育成ということは大変大事だということで、いろいろな取り組みをしております。  英語教育でございますから、聞くこと、話すこと、読むこと、書くことのバランスのとれた指導はもちろん大事なわけでございますけれども、その中で、特に平成元年に学習指導要領の改訂をいたしました。その中で、聞くこと、話すことを独立した言語活動として指導内容を重点化、明確化をしたわけでございます。特に英語を初めて学習する入門期におきましては、音声による指導ということを重視しまして、聞くこと、話すことの言語活動を重点的に行わせるようにした。そういう中で、教育機器の有効な活用あるいはネーティブスピー力ーの協力などについても配慮するように学習指導要領の中で示しております。  そういうことを受けまして、ネーティブスピーカーから直接外国語の指導を受ける機会を与える、こういうことで、いわゆるJETプログラムと略称しておりますけれども、語学指導等を行う外国青年招致事業、これを昭和六十二年に創設いたしました。そのときは八百十三人の招致者でございましたけれども、平成五年度には三千五百八人に達しております。平成六年度の予算案におきましては、これを四千人に伸ばしたい、このように考えでございます。  そして、中高等学校の英語担当教員の研修につきましては、特にコミュニケーション能力向上ということで、昭和五十一年から一カ月間の集中的な宿泊研修というものを実施しておりますけれども、これにつきましても平成六年度から参加者数を拡大する方向で予算案に計上してございます。平成五年度で約二百人でございましたが、これを平成六年度には三倍にふやしまして、六百人に増加する予定でございます。  それから、英国とかアメリカで研修を行う海外研修につきましても、昭和五十四年度にこれを開始しておりますけれども、毎年拡充をしておりまして、平成五年度では、二カ月、六カ月、十二カ月の三種類の研修事業によりまして、計二百七十四人の英語担当教員を派遣しております。  そのうち、平成六年度におきましては、十二カ月研修というものを二十六人から三十人に拡大する予算を計上しているところでございます。この海外研修につきましては、まだ人数がそういうことで二百七十四人という数字でございますが、こういう先生方が日本に帰られて、またそれぞれの地域におきます指導者として活躍をしていただきたいということで、こういう事業を実施しておるわけでございます。  現状はそういうような状況でございます。

田野瀬良太郎自由民主党・自由国民会議

○田野瀬委員 英語教育、中でもコミュニケーションの英語教育が大変重要であると文部省も十分認識されて、次から次へといろいろな施策を講じてきたことは十分理解できます。今御説明いただきましたように、学習指導要領の改訂あるいはJETプログラム、すなわち語学指導等を行う外国青年招致事業、あるいは外国語担当教員の研修であるとかあるいはその教員の海外研修であるとか、それなりの成果は上がっておるとは思うのです。  思うのですが、ここでちょっと私の体験から話をするのですけれども、私どもは九年前に中高等学校を奈良県において設立をいたしました。設立当初から、ひとつ国際理解教育に力を入れていこう、その一環として、国際理解の第一歩は隣国を知ることであるということで、隔年ではありますけれども、高校一年生の末期、すなわち三月に韓国と中国へ、海外研修旅行と称して一学年毎年約一週間ずっと送り込んでまいりました。  その中で約一日確保して、韓国、中国の同学年の生徒との交流会、スポーツを一緒にやったり、あるいは文化の交流をしたり、あるいは演劇を一緒に披露し合ったり、そういう交歓会をこの九年ずっとやってまいりましたが、その生徒たちの交流の言葉はやはり英語なんですね。それが韓国へ行っても中国へ行っても、私どもの生徒はとてもかなわないということで、後寄りをして戻ってくるのですね。  お前のところの生徒のレベルが低いのじゃないか、こういうふうに言われるかもわかりませんけれども、これはちょっと手前みそな話になるのですが、決して低くない。標準よりは高いレベルを有した学校だと自負をいたしておるのです。  もう何年も前から、日本の英語教育はどこか欠けておるのじゃないかということがずっと叫ばれ続け、それをよく理解して、文部省もいろいろと今御説明があったような施策は講じていただいてはまいりましたが、いまいちその効果たるや、いかがなものかと疑わざるを得ないわけでございます。  そこで、私どもの学校においても、今御説明いただいたように、JETプログラムによる外国人の英語講師で週一時間か二時間か、私はちょっとはっきり記憶ございませんが、こういう教育を取り入れ、あるいはまた私どもも英語教師を米国へ派遣してやっておる。こういうこともやっておるのですが、どうもその効果が出てこない。すなわち、外国人の一時間の授業を見ておりますと、ほとんど遊びの授業なんですね。気を抜くというか遊びというか、慰労の時間というのでしょうか、余り力が入らない。なぜなのか。すなわち、それは大学受験に何ら英語会話力を求める試験がないのですね。これが最大の原因じゃないかということを我々よく現場で話し合っておるところでございます。  実は、これはまた私どもの学校の話になって大変恐縮なんですが、中学生においても、中学三年生の早々に、大体二年間で中学の英語課程を終わってしまうものですから、その英語力を試すべく、語学研修旅行と称してアメリカ西海岸へ約十日間派遣して、いろいろ交流をやってくるのですが、一日たち、二日たち、三日たつと、日に日に会話力の上達が目に見えてくるというか、中学校で修得した単語力で現地の方々と十分会話はできるのですね。そんなことで、やれば実効は上がる、私はこういうふうに思うのですね。  そんなことで、私は、今文部省から説明を受けましたいろいろな施策の中へ、どうしても高校受験と大学受験、これに英会話力を求める試験を導入してもらいたい。確かに、読む、書くことも非常に大事ではありますけれども、果たしてあれだけの、例えば大学受験に求められるようなあれだけ高度な読み書きが必要なのかどうか。私は半分ぐらいのウエートで、五〇%の割合で英会話力を求める試験を高校と大学の入学時の試験に導入してもらいたいということを強く要望するわけでございますが、どうぞひとつその辺のところの考え方をお聞かせいただきたいと思います。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 私の方からは高校入試の関係をまずお話しさせていただきまして、大学入試はまた後ほど政府委員の方からお答えがあると思います。  今先生御指摘ございましたように、外国へ行った者が日に日に伸びる。実は私ども文部省職員の中でも、外国勤務などを命じられますと、出た当初は必ずしも十分ではなくても、帰ってきたときにはばりばりになってくる。やはりそういう外国教育の中に浸るということが、英語の力を伸ばす上では一番大事なことじゃないのかなとは思っております。  ただ、先生御指摘ございましたように、入試の面でももちろん我々はそういうことを考えていかなければいかぬということで、実は高等学校の入学者選抜でも各県いろいろ御努力いただいております。私どもも指導をしておるわけでございますが、例えば昭和五十八年ですと、英語の学力検査の中にヒアリングを実施している県は二十七県でございましたが、昭和六十二年では三十五県というような数字でございまして、平成五年度の十二月に調査した数字では、受験者全員について実施をしている県が四十県ございます。  何らかの形で、何らかの形でというのは、例えば英語科の受験者については実施しますとか、いろいろな形で実施しているところを入れますと、実はこれは全県でヒアリングを入れている、こういうような状況になっておりますので、先生御指摘の点は文部省ももちろん十分そういう認識を持っておりますし、実際に入試を実施いたします各県におきましても、そういうことについては十分認識を持っておると思います。そういう意味で、御趣旨も踏まえながらこれから努力していきたい、このように思っております。

遠山敦子文部省高等教育局長

○遠山政府委員 まことに先生御指摘のように、外国語というのはコミュニケーションの手段でございますので、これは実際に使えるようにならないと意味がないとも思うわけでございます。  現在、大学の方では大学改革が進んでおりまして、その中でカリキュラムの改革等が大いに行われているわけでございますが、特に語学教育につきましてもう少し実際的な能力を身につけるように、教材のあり方あるいは授業のあり方等が抜本的に工夫され始めております。  その意味では、これから先生おっしゃるような方向にだんだん行くのではないかと思っておりますが、入試の件について申し上げますと、大学入学者の選抜といいますものは、基本的には各大学が自主的に決定すべきものではございますけれども、受験生の多様な能力あるいは適性等を多面的に判定することが大事だと思っておりまして、御指摘の外国語のリスニング試験というものも次第に取り入れられつつございます。  実態をちょっと申し上げますと、国公立の大学、学部では、平成六年度入試におきましては四十六大学、これは全体の三二・六%でございます。学部で申しますと六十三学部で、一三・三%まで実施されておりますし、私立大学につきましては、平成五年度の入試におきまして、四十四大学、一一・三%、七十学部、七・七%が実施しているところでございます。また、推薦入学の際には、英語の口頭試験を実施している大学、あるいは実用英語検定試験、TOEFLというようなものの得点が一定以上の者を推薦入学で入れているというようなことで、徐々にではございますが、大学でも進みつつあるというところでございます。

田野瀬良太郎自由民主党・自由国民会議

○田野瀬委員 高校でも大学でも入試にヒアリング、スピーキングが徐々に導入されつつある。このコミュニケーション教育が大事であるということがやはり認められつつあるのだなということがよくわかりました。  しかし、私が申し上げたいのは、このヒアリングにしても、コミュニケーションの試験ですね、その配点は恐らく微々たるものじゃないのでしょうか。私は、もう五割ほどの配点にすべきだと思うのです。今言っているヒアリング、リスニングですか、これをほったらかしても十分合格できる範囲の配点じゃないかなと思うのです。これを欠かすと、とてもじゃないけれども英語は合格点に達しないというほど思い切った入試の内容にすべきじゃないか、かように思うのです。  そうなってまいりますと、外国語教師の皆さん方の英会話力も非常に求められるようになってくるわけでございまして、私は、その教師の採用試験にも大きなウエートをかける、そういう試験の内容にすべきじゃないかと、あわせて思うわけなんですね。  実は私、これまた私ごとになって申しわけないのですが、学生のころに、世界一周無銭旅行と称して現金十万円をひっ提げまして、ロシアからヨーロッパ、中近東、東南アジア、ずっと働きながら回ってきた体験を持っておるのです。中学三年生、高校三年生の六年間、しかも学生で二、三年英語を学んだのですから、こんな英語なんて何ぼでもしゃべれるだろうという思いで出かけていったのですが、英会話ができないものですから、もうとてもその旅が続けられないようになってしまいました。  最初の訪問国のモスクワでそれに詰まってしまって、大変な目に遭った苦い経験がありまして、それから一目散にイギリスへ行ったのです。ストックホルムで約二カ月働いて、アルバイトで稼いたお金五十万円をイギリスへ持っていって、英会話のための学校へ約二カ月、五十万円が二カ月でなくなってしまいましたので、それで学校を退校しましたが、約二カ月やって何とか日常不便でない会話力を身につけて、今はとてもできないですけれども、それからの旅は実に楽しく有意義な旅になったのです。  インドで、名前を申し上げますと差しさわりますので、ある国立の、外大ですよ、外大の英文科出身の学生と出会いまして、そして一週間ほど一緒に旅したことがあるのです。おれはとても会話ができないから、どうぞ田野瀬、君、いろいろと話ししてくれ、折衝してくれというようなことで、外大生ですら会話ができないというような今の貧困な、非常に貧弱な英語の教育の内容であると言わざるを得ない。  そういう実態に今あるので、徐々にそういうことを認識されて導入されつつあるとはいえ、ほとんど実効が上がっておらないと私は理解をするのですね。ここで抜本的な英語教育のあり方に一遍改革しないと、いつまでも顔の見えない日本、考え方のわからない日本——実態は決してそうじゃないのですが、しかし、会話ができないから、コミュニケーションができないからそんなことになっておるのでありまして、私は、もう抜本的な英語教育のあり方をここで一遍考えないと、これからの国際社会の中で日本はますます取り残されていってしまうという、非常に危惧、懸念あるいは焦りを覚えるような思いでおるわけでございます。  これに余り時間をとってしまいますと、あと三項目ございますので、これぐらいにしておきたいと思うのですけれども、もう一遍局長と文部大臣のその辺のところの思いというか、あるいは決意というのでしょうか、そんなものがいただければ答弁をお願いしたい、かように思うわけでございます。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 今御指摘の点につきまして、私から現状をお話しさせていただきまして、また大臣から御答弁があるかと思います。  英語科担当教員の選考採用、これにつきましても、やはりコミュニケーション能力の評価ということを大事にすること、これは私ども大変大事だと思っておりまして、そういう評価を重視するように各都道府県教育委員会にお願いをしております。今先生からの体験に基づくお話がございましたが、私ども、日本の中で英語教育を受けてもなかなか実際問題難しい。つまり、学校を離れますと日本語で生活ができるわけですので、やはり外国に行ってそういう環境に浸るということは大変大事なことだと思っております。  そこで、大学におきます外国語教員養成課程の在学者に対しまして、外国における学習機会拡大ということで、国費留学生制度の拡充を平成六年度にお願いしております。教員養成課程国費留学制度というのは、従来ございました。その中で、実行上八十人ぐらいの養成課程の生徒のうち、外国語担当教員を目指す学生をこの留学制度にのせて外国に行かせていたわけでございますが、平成六年度には特に外国語担当教員養成課程の学生枠というもの、二十人の枠でございますけれども、そういう枠を創設いたしました。従来どおりの実行の八十人を加えますと、百人程度がこの制度によって実施ができる、こういうようなことでございまして、やはりこういう現地の外国語というものに親しんでいく機会をできるだけつくっていくということが大事なんじゃないか、このように考えております。

田野瀬良太郎自由民主党・自由国民会議

○田野瀬委員 ちょっと時間がないので、大臣にはまた後でゆっくりと聞かしていただきます。  今お話しのように、確かに英語圏の国へ行ってその生活に浸ること、それがもう一番の方法はよくわかっております。しかし、そんなことはできないのですから。みんな生徒を英語圏の国へ連れていくというようなことはできない。そこで、どんなふうにしたら一番実効が上がるか。  しかし、韓国にしても中国にしても、十分会話ができるのですよ。私は、その無銭旅行のときに台湾へ行ったときも、汽車の中で大学生と一緒になったのですが、もうどんどん英会話でしゃべってくるのですね。こっちがたじたじするぐらい。私は、二カ月その英会話の専門の学校へ行って、まだ生活に余り支障のない会話力を持っておったころでありますけれども、学生がどんどんしゃべってくる。外国では、近隣諸国ではもう十分実効を上げておるという実態もありますので、どうぞひとつその辺をよく調べていただいて、この機会に英語教育、特にコミュニケーションをどう図るかということを一遍抜本的に検討してもらいたいというのを私の強い要望にさせていただきたい。  それで、ひとつ次に移らせていただきたいと思います。  次は留学生の問題でございます。文部省は十万人目標に向かって今鋭意努力をいただいておる。大変煩雑で難しい問題を抱えながら、よくおやりいただいておるということは私も十分認識いたします。留学生への情報提供だとか、授業料をどうするのかとか、あるいは宿舎、医療費、あるいは帰国後のアフターケア等非常に苦労の多い仕事であろうかと思いますが、十万人に向かって鋭意努力されておられる。その実績が上がっておる。目標を超える留学生を確保しておる。  これもよく評価できるのですが、私は、五万人だとか六万人だとか七万人はさることながら、要は延べ人数だと思うのですね。何人一年間に留学生をふやしていったか、あるいは留学を終えて帰国していったかということだと思うのですけれども、昨年度の留学生が五万二千人ですね。そのうち何人去年一年間で日本に来られたのか、あるいは帰られたのか、その数字がすぐわかりましたら。わからなかったら結構ですけれども、わかりませんか。  私は、恐らく何千人の単位じゃないかなと思うのですね。長期滞在者が非常に多い。せっかく五万二千人もおりますけれども、ほとんど長期滞在者じゃないかなと思うのですね。私の周囲にアジアから来ている留学生がおりますけれども、何とか長期滞在をして、そのまま日本にできるだけ長く住んで、我々が目的としておる留学生に本国へ帰っていただいて、日本とその国とのかけ橋になってもらいたいという思いに、決して今の留学生はその実態にないということを目の当たりにいたしておりまして、何人毎年ふえていくのかということ、もっともっとそこに注目しなきゃならないのじゃないかな、私はかように思うのですね。  そういう意味からいきますと、短期の一年間の留学生の確保ということになりますと、高校生の留学生をどんどんふやすことが非常に実効が上がるのじゃないか、私はこういうふうに思えてならないわけでございます。  これまた私どもの学園の例を挙げて恐縮でございますけれども、我々もこの国際理解教育を当初から目指しておりまして、毎年二、三人ずつ交換留学生、私どもからも外国へ派遣するし、外国からも二、三人、大体三カ月か四カ月単位でホームステイをさせるのです。一年間ホームステイだとそこの家庭が大変ですから、三カ月か四カ月で一年間、ですから三家庭、四家庭を一人につき確保しておければ大体一年間賄えるのですね。  ほとんどお金は要りません。短期留学生ですから、宿泊施設をどうするかとか、あるいはアルバイトをどうするかとか、日本語を習得するために大学に入れる前に日本語の予備校的なものをどうするかとか、あるいは専門の教育をどうするかとか、奨学金をどうするかとかというような難しい問題はほとんど皆無ですね。しかも、帰国時には非常に親日家になって帰り、後から何度となく手紙等で日本での一年間の生活を報告していただくわけでございまして、この十万人計画の中に短期留学生、一年間の高校生の留学生をもっとふやすという方針を、ひとつここに着目する必要があるのじゃないか、私はかように思うのですけれども、いかがなものでしょうか。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 高校段階への外国人留学生の受け入れということで御質問ございましたので、現状をお話しさせていただきますと、高等学校に受け入れております外国人留学生、これが昭和六十三年ですと七百九十四人ということでございましたが、平成四年度では千八十九人の受け入れをしております。公立が五百十六人、私立が五百七十三人ということで、私立の方が若干数が多いようでございますが、そういうようなことで年々増加をしている状況でございまして、これらは大体ホームステイの形で受け入れているという実情でございます。  それで、昨年、平成五年の五月に「高校留学の手引」というのを作成いたしました。この中でも各ホームステイ先の確保等の受け入れ態勢の整備、こういうことも含めました円滑な受け入れのための配慮事項を解説しております。特にこのホームステイの受け入れ態勢の充実ということにつきましては、各学校においてPTAの中に留学生係を設けることとか、ホストファミリーによる宿舎の確保、あるいはボランティアの確保等の地域社会の支えが重要であるというようなことを要請しておりまして、こういう点につきましても各都道府県教育委員会の留学担当者会議等を通じまして取り組み方の要請をしておる、こういう現状でございます。

田野瀬良太郎自由民主党・自由国民会議

○田野瀬委員 去年千八十九人ですか。この資料によりますと、日本人の諸外国へ留学しておる高校生は平成四年度で四千四百八十七、恐らく平成五年度で五千人ほどでしょうね。日本から諸外国へ留学しておる高校生が、恐らくほとんどホームステイだと思いますが約五千人、日本が受けておる高校生が千八十九人。国際貢献という意味からもこれでは余りにも少な過ぎるのじゃないかな、かように考えるわけなんですね。  私は、先ほど申し上げたように、非常に実効の上がる、トラブルの少ない、しかも高校生は感受性が非常に強いので、高校生の留学生をもっともっと受け入れる施策、これをもっと制度化して——国としての制度化はないのですね。全国の高校生の留学・交流団体連絡協議会が辛うじてその事業の支援をしておるのですね。  諸外国はいろいろありますね。例えばオーストラリアですと、オーストラリア・シドニー大学物理学財団主宰の高校生の留学受け入れ制度だとか、米国へ行ってもエネルギー省主宰の受け入れ制度だとか。もっと国策として、高等教育の留学 生もさることながら、高校生の留学生を受け入れる制度、これを別に設ける必要があるのではないか、私はかように切実に思うわけでございます。  例えば、私学であっても公立てあっても各県に一校なりあるいは二校なり指定校を設けて、そして十人だったら十人ずつ受けてくれ、それだけで全国的に見て大変な数になってくるわけでして、しかもほとんどお金はかからない。若干の補助金は要るかもわかりませんが、高等教育、大学生を受けるよりは高校生を受ける方がずっと少ない費用で済む、それだけ人数がたくさん確保できる、こういうことになろうかと思いますね。それをぜひ制度化すべきじゃないか、かように思うわけでございます。  そんなことで、ぜひ何らかの制度化の試案を一遍つくっていただいて、そして大学生一人当たり高校生だったら何人受けられるのかというような試算も一遍してもらって、ひとつそのデータを私にいただけないかな。あるいは、そういう試算をするときに、私もなんでしたら参画させていただいても結構でございます。それを国策として制度化すると、もう幾らでも受けてくれる私学は全国にあまたあるはずでございますので、そういうことをぜひひとつ考えていただきたいと思うのですが、あと二問ありますので、時間がなくなったので、ちょと簡単に御答弁いただきたいと思います。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 高校段階の留学生受け入れ態勢、大変私ども重要だと思いまして、「高校留学の手引」等でも指導しておりますが、さらに今、各県段階でも留学生担当の指導主事を置くとか、いろいいろな取り組みがなされております。私どももそういう指導をしつつ、今先生御指摘の点なんかもよく踏まえまして、さらに充実方策について検討を進めていきたい、このように思っております。

田野瀬良太郎自由民主党・自由国民会議

○田野瀬委員 よろしくお願いいたします。ちょっと時間がなくてはしょっていってしまうので、またこういうことは次の委員会の機会にずっとこれからフォローさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  次に、スポーツ振興の現状とこれからの課題というようなことについて御質問させていただきたいと思うのですが、スポーツは、もう言うまでもなく、健康な心身をつくる、あるいは青少年の健全育成、あるいはまたスポーツをともに見てともに語りともに感動するという、我々国民の共有財産であります。もう本当にスポーツの持つ意義は極めて大きいと思うのですが、改めて文部省として、スポーツの意義について簡単にちょっとお述べいただきたいと思います。

奥田與志清文部省体育局長

○奥田政府委員 先生御指摘のように、スポーツは、国民の心身の健全な発達と明るく豊かで活力に満ちた社会の形成に資するものであり、特に二十一世紀に向けまして、都市化の進展や自由時間の増大、高齢化社会の進展や、さらには学校五日制の推進などに伴う青少年のスポーツ活動の必要性の増大などがございまして、その重要性はますます高まってきている、これからますます重要になっていくというふうに認識いたしております。

田野瀬良太郎自由民主党・自由国民会議

○田野瀬委員 十分文部省もその意義の重大さを御認識いただいておるわけでございます。  そこで、スポーツの振興を所管する文部省として、これからのスポーツ振興の施策、今までもやられてまいったと思うのですが、さらにこれから重要なスポーツの振興の施策を行う際の基本的な考え方というのでしょうか、あるいはまた広く国民の意見を聞くという意味で審議会等からの答申を受けておると思うのですが、どのような指摘があったのか、文部省として基本的にどういうふうに振興していこうとしておるのか、あるいはその審議会の指摘はどうだったのかというようなことについて御答弁をいただきたいと思います。

奥田與志清文部省体育局長

○奥田政府委員 文部省におきまして、現在スポーツ振興の施策といたしましては、スポーツ施設の整備、あるいはすぐれた指導者の養成確保、スポーツ団体への支援、各種スポーツ事業の推進というふうなことを柱にいたしまして、例えば平成六年度の予算案でございますと、地域スポーツセンターの整備、職場スポーツ施設の開放促進事業、高齢者の体力テストなどの新しい施策を組みまして、総額で三百七十五億円を計上させていただいておるところでございます。  御指摘ございましたように、これら施策の基本的な考え方といたしましては、平成元年の保健体育審議会の答申に基づいているわけでございますけれども、この答申の中で、「我が国スポーツの現状と課題」「二十一世紀に向けたスポーツの振興の基本的方向」、そして「スポーツ振興策の計画的な推進」ということにつきまして、それぞれ生涯スポーツ、競技スポーツ、スポーツの国際交流、そしてプロスポーツの振興などについて提言をしているわけでございます。私どもにおきましては、これらの答申の趣旨を踏まえまして、具体的な施策を着実に推進していきたいと考えております。

田野瀬良太郎自由民主党・自由国民会議

○田野瀬委員 そこで、我が自民党では、平成四年一月に、日本体育協会及びJOCから、スポーツ振興のためのくじ制度を含む新たなスポーツ振興策の確立について要望を受けたところでございまして、それに受けて我が党では、新しいスポーツ振興政策を検討するために、保利元文部大臣を座長にしたプロジェクトチームを設けまして、広範かつ慎重に審議を進めまして、昨年の五月に中間のまとめを決定いたしたところでございます。  この間には、有識者からのヒアリング、あるいいは地方公共団体におけるスポーツ振興施策の実情などを検討しましたが、特にその中で、地域におけるスポーツ活動の抜本的な振興が極めて重要である、こういうふうに結論を得たところでございます。  そこで、中間まとめでは、地域におけるスポーツ活動の推進方策として、コミュニティー・スポーツプランという名前をつけまして、市民の手によるスポーツクラブの育成を核として、スポーツ施策の充実、指導者の養成確保、地域の実態に応じた創意あるスポーツ活動の推進を通じて、明るい生活大国にふさわしい環境の整備を提唱したところでございます。  さらに、その中で、特にコミュニティーにおけるスポーツ活動を生活レベルで定着していく上で、同好の者が自主的、自発的に集まって活動していく市民の手によるスポーツクラブの育成は必要不可欠、こういう結論を得ております。スポーツ施策の充実や地域のボランティア指導者の養成確保も、例えばクラブハウスの整備やボランティア指導者への活動実費の支給など、スポーツクラブの活動がよりよく発展し得るように、その内容や配置を考える必要があると考えておるわけでございまして、この中間の取りまとめは実によくできておると我々自負をいたしておるところでございます。  そこで、スポーツ振興を所管する文部省におきまして、この中間まとめについてどのように受けとめておられるのか、そのことをちょっとお示しいただきたいと思うわけでございます。

奥田與志清文部省体育局長

○奥田政府委員 先生御指摘の御提言、私どもも拝見をいたしました。特に、お触れいただきましたように、身近なスポーツ環境というものを整備することの重要性、るる述べていらっしゃいますし、さらに、これから実施すべきいろいろな諸施策についても言及をしておられます。  これらにつきまして、平成二年につきましては、例えばスポーツ振興基金も創設をしていただいたわけでございますけれども、なおこれらの施策を推進していくためには、現在の財源では不十分ではないかというふうな御指摘もいただいておりますが、先ほど私申し上げました平成元年の保体審の答申と基本的には同じ方向を目指しているというふうに理解をしておりまして、貴重な御提言と受けとめております。

田野瀬良太郎自由民主党・自由国民会議

○田野瀬委員 かなり広範多岐にわたっておりますので、早急に施策を進めていくということは確かに困難を伴うかと思いますが、特に地域に根差したスポーツクラブの重要性に着目していただいて、さらに突っ込んでこれからそれを進めていくときにどんなところが問題になるのか。今財源が問題になるとおっしゃられましたが、さらにいろいろな困難な問題があるのかどうか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思うのです。

奥田與志清文部省体育局長

○奥田政府委員 御指摘ございましたように、地域のスポーツクラブを育成するということが非常に望まれているところでございまして、私どもにおきましても、現在、少年スポーツクラブの育成事業あるいは地域スポーツクラブ連合育成事業というものなどにつきまして、市町村に対する補助事業を行っているところでございますが、これらの結果、徐々にではございますけれども、スポーツクラブというものが育成されつつございます。  先生の方からお話がありましたネックでございますけれども、やはりすぐれたスポーツ指導者が必ずしも確保されない、あるいはスポーツクラブがよりどころとできるようなクラブハウスなどを備えた施設が必ずしも十分ではないといったような点がネックかと考えておりまして、これからの課題だと考えております。

田野瀬良太郎自由民主党・自由国民会議

○田野瀬委員 積極的に前向きにこれから取り組んでいこうというこのお考え、私も期待するところ大であるわけでございます。  そんなことで、この自民党の中間の取りまとめを具現化というか実現化していくために、ひとつぜひ文部省の御努力をこれからお願いして、最後に文部大臣の決意のほどをお聞かせいただいて、これについての質問を終わらせていただきたいと思うのですが、よろしくお願いいたしたいと思います。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 委員御指摘の自民党の中間報告をよく研究させていただきまして、前向きに取り組んでいきたいと存じます。

田野瀬良太郎自由民主党・自由国民会議

○田野瀬委員 それでは、スポーツ振興の方につきましては、ひとつどうぞよろしくお願い申し上げておきたいと思います。  最後の質問でございますが、少々ローカルな質問になって恐縮でございますけれども、私は奈良県選出でございます。その奈良県の国立大学の事情を中心として質問させていただきたいと思うのです。  先般文部省からいただきました資料によりますと、国立大学の都道府県別の入学定員、これを見させていただきました。見させていただいて愕然といたしましたのですが、奈良県は八百十名で、その入学定員数が四十七都道府県中、後ろから二番目。しかし、奈良県は大学への進学率が四四、五%と、教育にかける理解、情熱、認識が非常に深い県でございます。大学への進学卒は日本一です。しかも奈良県の人口は、百四十万といいますと四十七都道府県の中でちょうど中位に位置します。  なぜその奈良県が後ろから二番目なのか。最下位は和歌山県でございます。和歌山県は人口百万です。人口比率からいくと、これはもう奈良県は最下位。一体なぜこんなことになってしまったのか。この定員が中位に位置するのであれば私は理解できるのですが、これが最下位ということになるとどうも理解ができにくいのです。その辺の文部省の所見をいただきたい、かように思うのです。

遠山敦子文部省高等教育局長

○遠山政府委員 大変難しい御質問でございまして、今日の時点において計算をしてみますと、先生がおっしゃるように、私も初めてこの表を拝見いたしましたけれども、奈良県における国立大学の入学定員、八百十ということでございます。  この問題につきまして、どういう経緯でこうなったかということでございますと、なかなか答えにくい点もあるわけでございますが、奈良県内におきます国立大学は、奈良教育大学、奈良女子大学、いずれも伝統的な分野の教育研究を行っている大学でございます。ただ一方で、ごく最近でございますが、奈良先端科学技術大学院大学、日本の最先端のものが奈良県内につくられているという実態もあるわけでございます。

田野瀬良太郎自由民主党・自由国民会議

○田野瀬委員 過去のことをとやかく言ってももうもとに戻りませんので、これからにかけたいという思いでさらに質問をさせていただきたいのです。  さらに、この資料によりますと、下位から十位ぐらいに入っておる県の中で八県が工学部がないのですね。先ほどの質問の中にも、これから日本の生きる道は科学技術だ、こういうふうに叫ばれておる中で、この工学部、自然科学系が一つもないという県がいまだもって八県ある。  なるほど和歌山県と島根県、和歌山大学と島根大学には創設の準備費が計上されておるということで、前向きにそれを解消しようという文部省の姿勢は十分理解できるのですが、残りの六県につきましても、しかも教育の機会均等ということからいきますと、その定数の枠は非常に格差が大きいということからいきましても、残りの六県についても早急に工学部を設置してもらいたい、こんなふうに強く要望するのですが、その辺のこれからの取り組みにつきまして、簡単にちょっと御答弁いただきたいと思います。

遠山敦子文部省高等教育局長

○遠山政府委員 先生御指摘のように、これからの日本のあり方を考えますとき、あるいは技術革新が大変急速に進展しておりまして、工学教育を受けた人の活動範囲は大変拡大をしておりますし、産業界等からも工学系人材の不足が指摘されているところでございまして、この分野におきます専門技術者、研究者の養成に対する社会的な要請というものにこたえていくことは重要であるというふうに考えているところでございます。  一方で、昨年度、平成五年度以降、十八歳人口が急激に減少する傾向にございますし、また日本の財政状況は、先ほど来るる御審議がございましたように、大変厳しい状況があるわけでございます。そこで、既設の国立大学につきましては、学部、学科の改組あるいは再編というような学内におきます工夫、改善努力というものを踏まえながら、社会的なニーズの強い分野の人材養成あるいは学術研究の推進に適切に対応しようということで、私どもも努力しているところでございます。  ちょっと前置きが長くなりましたけれども、そういうふうな背景を持ちまして、国立大学において工学系の学部が未設置である県について、どういう取り組みをしているかということを御説明させていただきたいと思います。  このことにつきましては、それぞれの県域の実情というものがそれぞれ異なっておりますので、これを一律に扱うことは大変困難であるわけでございます。その県域の実情と申します中には、その県域におきます国公私立大学の工学系学部の設置状況、そして入学定員、あるいは既設国立大学の学部、学科構成、高等学校卒業者の大学進学希望状況、あるいは既設国立大学の検討状況等、さまざまな角度から検討しなければならないと思っているところでございます。先ほど来申しましたそのような諸事情を十分踏まえながら、今後適切に対処してまいりたいと考えております。

田野瀬良太郎自由民主党・自由国民会議

○田野瀬委員 高校生が減少しておる状況にあって、大学の設置あるいは新しい学部の設置は抑制段階に入っておるということは私も承知をいたしておりますが、しかし、今申し上げたように、都道府県間の格差はございますし、また現実に四十万人の浪人生がいまだもっておるわけでございまして、この四十万人の一年間あるいは二年間遊ばせるエネルギーたるや日本にとって大変な損失である。そういうことで、しかもこれから自然科学立国として進んでいかなければならない日本、これはやはり少なくとも工学部は四十七都道府県にまず設置をするということが急務ではないかと私は考えるわけでございます。  そんなことで、もう時間がなくなりましたので要望で質問を終えさせていただきたいと思いますが、この残りの六県についても早急にそれを進めていただきたいと同時に、我が奈良県においても奈良教育大学がございますので、これに工学部を併設して奈良国立大学、総合大学にひとつぜひこれを発展させていただきますように強く要望させていただいて、私の質問を終えさせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。

嶋崎譲日本社会党・護憲民主連合

○嶋崎委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後二時三十四分開議

嶋崎譲日本社会党・護憲民主連合

○嶋崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。福留泰蔵君。

福留泰蔵公明党

○福留委員 公明党の福留泰蔵でございます。本日は、文部大臣の所信に関して質問を行う機会をいただいたことを、まず冒頭感謝申し上げたいと思います。  文部大臣の所信を伺いまして、文教関係といってもそのカバーする範囲は非常に広いということを痛感し、また、学校教育問題一つをとってみても、課題は非常に多岐にわたっているな、そしてまた、それぞれ重要な問題をはらんでいるということを改めて実感しているところでございます。しかし、きょうは時間の制約で、文部大臣の所管の中で特に文化に対する政策に絞って質問をさせていただきたいと存じます。  今、日本は、世界もそうでしょうけれども、新世紀を前にしまして時代が大きく激動しているわけでございます。イデオロギー対立の時代が終えんしまして、新しい国家のあり方というのが問われているのでないかと私は思っております。その国家像についてはさまざまな考えがあるようでありますけれども、私は、まず平和な国家でありたいというのはだれしも共通な思いではなかろうかと思います。そしてその上で、それを前提にしながら、私たちがゆとりと豊かさというものを実感する、そんな社会を築いていこう、こういうことが大事であろう。そういう意味において、文化の馥郁たる薫りというものが感じられる国家、つまり文化薫る平和国家というようなものが私たちの目指すべきものなのかなというふうな感じがしております。文化というのは非常にこれから重要になるのではないかと考えているゆえんの一つであります。  それからまた、これからの時代を考える一つの言葉として、世界の中の日本ということもよく言われているわけでございます。  フランスのかつての文化大臣でありまして、ドゴール大統領の右腕でありましたアンドレ・マルローという方がいらっしゃいますけれども、かつてこの方が、世界の中で日本は誤解のただ中にあると言っておられます。そして、昭和四十四年から十年間で、ドゴールとマルローによって、協力を得ながら日仏文化交流というものが盛んに行われたわけでありまして、この日仏文化交流というものは、こうした日本の誤解というものを払拭し、世界に日本の正しい姿を認識させるための明確なビジョンを持ったものだと私は思っております。この理念に沿って、日本からは平重盛像を初めとして日本芸術の粋をパリで展覧し、その返礼にフランスからはモナ・リザが日本に来まして、大変好評を博したわけでございます。  私は、世界の中の日本という観点からも、文化交流という面でも、文化の重要性というものは大きいのではないかと思っておりまして、まず初めに、赤松大臣の所信の中にも「文化発信社会」の構築ということが述べられているわけでございますけれども、文化の重要性、また文化発信という観点から御見識を承りたいと思います。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 私はどこかでお話し申し上げたかもしれませんが、四、五年前に「ある通商国家の興亡」という本を読みまして、歴史の本でございますが、その中で、ローマ時代にさかのぼってカルタゴという国が大変繁栄をした。通商国家としては本当に世界で一位。ローマがそれを非常にねたんで、三次にわたるポエニ戦争というのをやって、最後にカルタゴは滅ぼされてしまうわけでございますが、その本の中から非常に大きな教訓と申しますかを得たのです。要するに、経済が非常に繁栄する、通商国家として世界で覇を唱えても、すぐれた文化を生まなければほかの国からは尊敬されない。尊敬されないで競争相手としてだけ考えられれば、その国の将来は非常に暗たんたるものだということを二千年前にさかのぼって歴史が示しているということを読みまして、大変感銘を受けました。それは、やはり日本の現在というものを頭に置いて書かれたところが非常にあるわけでございます。  私は、今の日本が、このようにちょっと陰りは見せたというものの、経済的には大変繁栄をしている国だということでございますが、いい文化を生まなければ尊敬されないという点では、二千年前の教訓が今も生きているのではないかと思うわけでございます。  おっしゃいましたように、平和なというのは、これはまず第一に来るわけで、二度と再び軍事大国への道を歩みたくない。まあ経済大国としてはかなり成功をしたわけでございますが、経済的な成功だけで終わっては、二十一世紀は私たちの世紀とは言えないのではないか。やはり質の高い、世界じゅうの人たちに喜ばれる文化を日本が生み出すということが、二十一世紀を迎えようとしている現在、私たちのとても大きな課題であり、美しい夢を私たちにも描かせてくれるものではないかというふうに思っております。  これが私の文化に対する基本的な考えでございます。

福留泰蔵公明党

○福留委員 これからの時代、日本がいい文化を、また質の高い文化を生み出していかなければならないというふうな文部大臣の御所見でございますけれども、私もそう思います。そのいい文化を生み出すために、私は一つの認識として、そのニーズを生み出す背景というものは国民の中に高まってきてるのではないか。そのために、その環境をこれからいかに整えていくのかというのが重要じゃないかと思っているところでございます。  ことしの春に上野の国立西洋美術館で、大臣もごらんになったかどうかわかりませんけれども、バーンズ・コレクション展が開催されました。これは大変好評だったようでございまして、百七万人の方々が見学されたということで、大変多くの方が来られたために開館時間の延長までされたというふうに好評だったようであります。これは、先ほども紹介しましたけれども、昭和四十九年のモナ・リザ展が百五十万人だったと聞いておりますが、それには及ばなかったようでありますけれども、それに次ぐ記録的な数字が出たということを聞いております。  このバーンズ・コレクションというのは、御存じだと思いますけれども、アメリカのフィラデルフィアのアルバート・C・バーンズ博士という方が集められましたルノアール、セザンヌ、マチスなどの印象派中心の大変質の高いコレクションで、今回は建物改修の資金を補うため、その改修期間に限って一時的に、この故バーンズ博士の門外不出の遺言の執行停止までして実現したものであったと聞いております。  このようなバーンズ・コレクションに限りませず、海外の有名な美術館の展示物などをこの日本に呼ぶということは、海外に今多くの方々が行くようになったという状況はありますけれども、行ったとしてもまだまだ気楽に美術館めぐりというものができる状況にないわけでございまして、こういうふうな大変質の高いものが来たときにこのように好評であったということは、国民の方々の美術品に対する高いニーズというものがあるということを示しているのではないかと思っているところでございます。  その観点からちょっと御質問させていただきますけれども、今国内でも数多くの美術館ができているわけでございます。建物はできているわけですけれども、その中身の問題でございます。その常設の絵画とか美術品などの中身がまだ伴っていないのではないか。だからこそ、このように海外からすばらしいものが来たときに数多くの方が来られるのじゃないかと思うのです。しかし、こういうふうなすばらしい常設の展示をするといっても、これはお金もかかりますし、一朝一夕にはできないということはわかります。そのためにでしょうか、今回は文部省の平成六年度の予算で、新規事業の中に国立博物館・美術館の地方巡回展というものを全国五カ所で開催するようになっているわけでございます。  さらに文化庁としても、これは喜ばしいことだと思いますけれども、今後、例えば地方の公立美術館等が海外の美術館に所蔵している美術品等の企画展示を行う場合に、もっと積極的な支援を行っていったらどうかと私は考えているところでございます。こういう事業については、現在でも日本芸術文化振興会に設けられております芸術文化振興基金でも助成を受けることはできるのかもしれませんけれども、助成額も小さく、今までそういった例もほとんどないようであります。この件についての文化庁の見解をお伺いしたいと思います。

林田英樹文化庁次長

○林田政府委員 先生今御指摘のように、地方の公立美術館などでの展示の機会をより豊かにしていくということで、平成六年度から国立博物館・美術館の地方巡回展を実施することにして予算を計上しておるところでございますけれども、さらに海外の美術品を国内巡回することにつきまして、できるだけ御協力できる部分は御協力していきたいと思ってはおります。  しかしながら、実際の問題といたしましては、例えば美術品を貸し出す側からいたしますと、その貸し出しの期間でございますとか巡回の箇所というふうなことについても、美術品を守るという立場からいろいろな制約というものもございまして、必ずしも実現が容易ではないという側面もあることも事実でございます。しかしながら、例えば現在国立の西洋美術館で開催しておりますドイツのアーヘン市立美術館の所蔵品を中心にいたしました「聖なるかたち」という展覧会などをとりましても、これを終了後、愛知県立の美術館に巡回を予定しておるというふうなこともございます。確かに御指摘のような御要望が多くなってまいっておりますので、できるだけそういうものにこたえるようにしていきたいと思っております。  それから、先ほど先生御指摘ございました芸術文化振興基金の助成でございます。美術館展示活動に対する助成といたしまして、地域文化施設の公演・展示活動に対します助成制度を設けておるわけでございまして、平成三年、四年、五年と年次を追いまして、対象になります箇所や金額もかなり伸ばしてきてもおるのが実態でございます。まだまだ十分とは言えないかもしれませんけれども、そういう点で努力しておりますことも御理解いただければと思っております。

福留泰蔵公明党

○福留委員 今、文化庁の方からお話を伺ったわけでございますけれども、海外のすぐれた美術品を国内の、いわゆる地方の公立の美術館で企画展示を行ってはいかがでしょうかという質問に対して、具体的な例として、国立美術館で行ったものを愛知の県立美術館でしたでしょうか、そこへ回すようにしているというお話でありました。これは地方の方へそういう支援をしていただきたい。これから恐らく地方の方でもそういう美術館をつくって、そういう美術品を展示したいという要望も強く出てくると思いますので、その御支援をよろしくお願いしたいと思います。  今は地方の公共の美術館に対する支援という角度での質問でございましたけれども、もう一つの観点からいえば、今度は国としても、文部省としても、支援するだけではなくして、積極的に海外のそういう美術品を、今国立美術館等でやっていらっしゃるのかもしれませんけれども、もっとそういう企画展示を主体的にやっていかれたらどうかと思っているところでございます。  例えば、伺うところによると、世界ではルーブル美術館だとか大英博物館とかさまざま有名な美術館、博物館があるわけでありますけれども、ルーブル美術館等は大変所蔵品が多くて、それを全部展示できていないようなお話を伺っています。例えばそういう展示できていないものを国として積極的にお借りして、それを日本の中で展示するような企画をもっと、今度は主体的にという意味で、支援ということではなくしてやっていかれたらどうかと思っているところでございますけれども、この点について文化庁とそれから文部大臣の御見解を伺いたいと思います。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 先生のアドバイスというかサジェスチョンというか、前向きに受けとめたいと思います。  また、日本の中にも結構、例えば印象派の芸術作品などが東京の昔の美術学校、今の芸術大学にも、あるいは国立美術館の収蔵庫などにもかなり眠っているというか休んでいるというか、かなりのものがあるというふうにも私は見せていただいたりして承知しておりますので、そういうものも大いに活用いたしたいというふうに考えている次第でございます。

林田英樹文化庁次長

○林田政府委員 大臣から今御答弁ございましたように、大臣からも特にそういう個別のものをもっと活用するようにという御指示もございまして、先ほどの地方巡回展などでは、国内外のもので、文化庁が直接お願いをして協力いただけるもので国内のものについては、できるだけ展示に協力をいただくような形で、豊かな内容の巡回展ができるように努力をしておるところでございますけれども、あわせて、先生がおっしゃいました、いわゆる海外との交流をもう少し活発にして、いいものをお借りできるような形の努力をすべきではないかという御指摘でございます。  私どもも、できるだけその線で努力をいたしたいと思っておりまして、特に文化の国際交流・協力ということで努力をいたしておるわけでございまして、例えば博物館等の古美術などの海外交流というようなことも新たに始めようというようなこともいたしておりますし、特にこれまでの実態で申しますと、日本の国立美術館・博物館の施設的な整備というものも、必ずしも諸外国と比べますと十分でないというようなこともございましたので、先般来の補正予算を中心にいたしまして、施設の充実も図ってもまいっております。  それから、所蔵品の購入費などについても増額もお願いをしておるというふうなことでございまして、なかなかこの財政事情でもございますので、一挙にはまいりませんけれども、御指摘の方向で努力をしておるところでございます。

福留泰蔵公明党

○福留委員 今積極的に取り組んでいっていただけるというお話で、大臣の方から、日本の国内にもたくさんのすぐれた美術品がまだまだ埋もれているのだというお話でありました。私もそのとおりに実は感じておるところでございます。  私、そんなに美術に詳しい方じゃないですけれども、私の承知している範囲では、日本の美術品は海外の美術品に比べてより特徴的なことが、たくさんあるでしょうけれども、一つあるとすれば、それは修復だとか補修とか、それが非常に日本の美術品は手間暇かかるのだ、それをきちんとやらないと日本の美術品はだめなんだというお話を聞いたことがあります。確かに建物をつくったりすることも重要ですけれども、私はきょうは余り時間がありませんので、次の機会がありましたらそういう面をお尋ねをしたいと思いますけれども、こういう面を支える学芸員の方々も実はたくさんいらっしゃるので、この辺の育成のところが不十分ではないかというか、もうちょっとここに力を入れるべきではないかというふうなお話も伺っております。  また、海外の美術館等にも日本から流出した日本美術品というのはたくさんありまして、そこの美術品がきれいに保存されないまま、修復されないまま何か埋もれているというような話も伺っておりますので、その辺のところも、学芸員を育成したりしながら、海外にある日本の美術品についても日本の方できちんと修復して、日本のすばらしさというものをもっと理解していただけるような方面にも私は力を注いでいただきたいなと思っているのですけれども、この件について文化庁。

林田英樹文化庁次長

○林田政府委員 御指摘のように、日本の美術品は、いわゆる洋画の油絵などに比べますと、相当保存に気を使われなければならないのも事実でございます。このために、私どもといたしましてもこの点での努力を続けておるところでございまして、国内で申しますと、東京の国立文化財研究所におきましてそういう研究をいたしますとともに、関係者と協力をいたしまして研究体制の充実に努めておるところでございます。  それから、東京と京都の国立博物館におきましては、美術の修復の作業も年々やっておるわけでございますし、京都には特別な施設もつくりまして、博物館の研究者とそれからいわゆる美術の装黄師さんの皆さんたちが一緒になって、修復を実際に協力してやっていくような形もし、その中で、実は外国の方たちもいらっしゃって、日本美術の修復の研修などもなさっているという実態もございますけれども、そういうことを踏まえて、修復の研究と専門家の養成には努力をしたいと思っております。  それから、いわゆる在外日本美術品の修復協力でございますけれども、御指摘のように、特に明治の初めごろに海外へ流出いたしました日本美術品を中心にいたしまして、かなりのレベルの日本の美術品が欧米を中心にいたしまして所在をしていることが近年の調査でわかってまいりました。これにつきましては、特にアメリカのフリア美術館が所蔵いたします美術品に対しましては、既に約三年前から計画的に毎年数点ずつの修復をいたしまして、大変喜ばれておるというような実態がございますし、この事業を新年度予算ではアメリカのほかの美術館にも広げたいと思っております。  それから、日本美術の修復の専門家につきましては、アメリカとヨーロッパから各二名ずつ日本に約二カ月ぐらい来ていただいて、修復についての研修もしていただくような予算も新たにお願いをしておるところでございまして、この点でさらに努力していきたいと思っております。

福留泰蔵公明党

○福留委員 なかなかお金のないところで大変御苦労があるかと思いますけれども、ぜひお願いしたいと思います。  最後に、これは余りお金のかからない提案をさせていただきたいと思うのです。  実は、私どもも美術館に行きましても、すばらしい絵がかかっていても、そのいわれというものがなかなか理解できないでいる。その美術館の展覧が終わった後、出口でお金を出せばパンフレットの案内書みたいなものを売っておりまして、その絵がどういうゆえんのものかということはわかる。私が聞いた話では、パリのオルセー美術館というところでは、各飾ってある絵ごとに詳しい解説文、プラスチックケースに入っているらしいのですけれども、そういうものがそれぞれに置いてあって、それをだれでも自由に見ることができるというふうな話を聞いたことがあります。その絵のことを知りたいという人は、自由にその絵の解説文を持ってその絵の前に行って、より詳しく鑑賞できるような配慮がなされているということだそうです。  私は、こういった方式を、まず私たちの日本の国立の美術館で採用したらどうかと思っております。値段の高い写真集なんかは、先ほど申し上げたとおり、出入り口へ行くと売っているわけですけれども、そういうものではなくして、もっとそういうものに身近に親しめて、そしてその価値がもっとわかるような配慮、細かいことですけれども、それをしたらどうかと提案を申し上げて、私の質問を終わります。  最後に、今の質問に対しての見解をお願いいたします。

林田英樹文化庁次長

○林田政府委員 先生御提案のオルセー美術館の実情につきましては、残念ながら私も詳細を承知しておらないわけでございますけれども、御指摘のように、特にいわゆる来館者サービスという点で、諸外国と比べた場合に、我が国の実情というのはまだまだ十分でない面があるのではないかというふうな御指摘もいろいろな機会にいただいておるわけでございまして、私どもも近年特にそういう点には留意をいたしまして、できるだけのサービスに努めるようにいたしておりまして、例えば平成六年度予算案におきましては、障害者の方が鑑賞の機会をちゃんと持っていただけるというふうな観点から、美術鑑賞用の特別の車いすというようなものも計上させていただいておるところでございますけれども、御指摘のようなことも含めまして、今後よりよい鑑賞をしていただけるような努力はしていきたいと思っておりますし、オルセーの実情につきましても、ぜひ調べさせていただきたいと思っております。

福留泰蔵公明党

○福留委員 ありがとうございました。

嶋崎譲日本社会党・護憲民主連合

○嶋崎委員長 中島章夫君。

中島章夫さきがけ・青雲・民主の風

○中島(章)委員 私は、さきがけ・青雲・民主の風を代表しまして、文部大臣のさきの所信表明のうちの一点について、御提案と御質問を申し上げたいと思います。質問にいただいています時間が二十五分と限られているものですから、私はきょう申し上げようと思っておりますのは、政府開発援助資金、いわゆるODAによりまして開発途上国の初等教育システムを援助してはどうか、こういうテーマでございます。  大臣は、さすがに国際舞台での御活躍も多うございますし、所信表明の総論部分でも、世界に貢献をしていくということをきちんとおっしゃっておりますし、六つの主要課題の一つ、まあ第五の課題でありますけれども、「教育・学術・文化・スポーツを通じた国際社会への貢献」ということを特におっしゃっているわけでございます。私は、これは極めて大事なことであろうかと思いますし、特にその中で言っておられます「ユネスコ等の国際機関を通じた教育協力や開発援助に携わる人材の養成など、人づくりに重点を置いた途上国への協力を推進する」ということが明言されております。  実は、我が国が今日これだけ世界に冠たる経済発展をしてまいりました非常に大きな原因の一つが、教育の充実、特に初等教育の質の高さ、平均的な質の高さだと私はかねがね申しております。これは諸外国からの訪問者を含めまして、万人の認めるところではないかと思っております。これは言うまでもなく、明治以来の私どもの先輩の先見性と努力の成果でもございますし、特にこういう教育というものに対して、先行投資をしてくるという我が国の国民が持っているよい資質のあらわれであるというふうに考えております。  子供がどんな家庭に生まれても、どんな地域に生まれましても、読み書き算の基礎というものはきちんと身につけられるということがどれほど民主主義社会にとって大事なことか。お互いが、個人個人が競争していくというのは民主主義社会の基本でございますが、そのときに基礎的な識字とか、あるいは基礎的な教育が身についていないということがどれほど人権を阻害し、どれほどみじめなことになるかということは、世界が既に経験をしていることであろうかと思っております。このことにつきまして、いわゆる個人主義の教育から始まった西洋の教育、アメリカでもイギリスでもそうですが、今平均的な質を上げようということで、大わらわの努力を国を挙げてやっていることも御承知のとおりかと思います。  ちなみに我が国で言えば、このことは随分ノウハウとして知っているわけでありまして、もう既に大正のころからでありますが、特に戦後は、義務教育費国庫負担法とか理科教育振興法、産業教育振興法、へき地教育振興法等々が昭和二十年代の後半にそれぞれできて、今日まで努力をされて、その基礎教育が積み上がってきておりますから、北海道から沖縄に至りますまで、どこに生まれても子供は基本的な教育を身につけられる。我々にとっては当たり前のことでありますが、世界の国々ではこの事実がまだできていないということでございます。  実は、私は、きょう申し上げます前提にもう一点つけ加えたいのでありますが、それは西洋と東洋の教育に対する歴史、考え方の違いでございます。西洋の方は、御承知のとおり、今申しました個人主義、それから合理主義、これが今世紀のガイディングプリンシプルであったと私は思っております。それが今日の経済発展を生み出してまいりましたし、言うなれば南北格差という今日の問題にも至っているわけですが、この個人主義、合理主義というのがやはり教育制度にもあらわれておりまして、特にヨーロッパ諸国で発展をしました教育は、中等教育の段階になりますと非常にさまざまなコースに分かれてまいります。そういうことで、これが初等教育システムにもあらわれているところがございます。  ところが、我が国で特に明治以降、実践、実験を始めましたのは、今申しましたように、どこの家庭、どんな地域に子供が生まれても、少なくとも基礎的な教育に限って言えば非常に高い教育を与えられている。よい意味での全体主義というんでしょうか、和の精神というんでしょうか、他人への思いやりというんでしょうか、こういう東洋に独特の新しいプリンシプルが二十一世紀を導いていきませんと、今日言われております環境問題あるいは人口問題、民族問題、特に人権といったような問題は解決をしていかないんではないか、こういうふうに思っているわけでございます。  そこで、我が国で特に充実をしてまいりましたこの基礎教育の充実というのは、例えば韓国とかマレーシアとかあるいは台湾、シンガポールといったような諸国でも、相当な程度これに見習った制度も動いているようでありますが、二十一世紀の国際社会、特にアジアの基礎教育ということは非常に大切なことではないか。アジア・太平洋地域に世界人口五十五億余りの五分の三は住んでいると思っておりますが、そういう人たちの教育というのが非常に大事になってまいります。しかも、そのアジア・太平洋地域の非識字人口というのが非常に多うございまして、これも世界全体の三分の二と言われているわけであります。  そこで、ことしの予算案の中で、大臣が初めて女性のための識字教育モデル事業というのをやられました。まずその内容、概略について教えていただきたいと思います。

佐藤禎一文部省学術国際局長

○佐藤(禎)政府委員 ただいまお話をいただきましたように、アジア地域には、世界の非識字人口の四分の三とも言われておりますが、多くの人々が住んでいるということから、この地域における識字教育の進展というものは大変重要な課題であると私どもも認識をしてきているわけでございます。  そして、そのことはかねてよりユネスコにとっても大きな課題であったわけでございまして、ユネスコの目から見ますと、これまでAPEIDあるいはAPPEALというような事業の名前のもとに、幾つかの事業が進展をしてきているわけでございます。  その中で、私ども識字教育の信託事業、信託基金というようなものをユネスコに寄託をいたしまして、事業展開をしてまいったわけでございますけれども、さらにきめ細かい対応ということを考えてみますと、これまでの識字教育の信託基金によって行われておりますセミナーでありますとか指導者の養成という、言ってみれば指導者側といいますかリーダー側からの目だけではなくて、現実に現場において識字活動を実施をしていらっしゃる多くのNGOがございますけれども、そういったNGOの活動に着目をしてひとつモデル活動を支援をしてみたい、こういう考え方から、文部大臣のイニシアチブのもとに今回新しい予算を提案さしていただいているわけでございます。

中島章夫さきがけ・青雲・民主の風

○中島(章)委員 今の指導者の育成ということでありますが、どれくらいの人間をカバーするのでありましょうか、ちょっと参考までに教えていただきたい。

佐藤禎一文部省学術国際局長

○佐藤(禎)政府委員 お尋ねはセミナーの対象といいますか、指導者ということでございますか。ちょっと手元に数字がございません。

中島章夫さきがけ・青雲・民主の風

○中島(章)委員 いずれにいたしましても、ほかの、例えば日本のユネスコ協会が識字のための寺小屋の運動をやっております。これも私は大事なことだと思っているのです。善意としてNGOがやられるものとしては、極めて望ましい、すぐれたプログラムだと私は評価しておりますが、これから申し上げますODA援助として国がするなれば、もっと大きなカバー、その国の国家政策のプライオリティーのナンバーワン、ナンバーツーにこの初等教育システムの充実ということを置いてもらって、それに我々が持っているノウハウと資金力を提供していく、こういう運動が大事なんではないかと私は思っているわけでございます。  そこで、今たまたまお話が出ましたAPPEAL、エイシアン・パシフィック・プロ・グラム・オブ・エデュケーション・フォー・オールですか、このプロブラムがたしかユネスコで行われておりますが、これについて、いつごろからどれぐらいの規模で実績を持っていて、今後の見通しといったようなこと、概略を教えていただきたいと思います。

佐藤禎一文部省学術国際局長

○佐藤(禎)政府委員 ただいまお話しのAPPEALでございますが、これは一九八七年に策定をされたものでございます。先ほどお話がございましたように、世界の非識字人口の約四分の三を占めるアジア・太平洋地域におきまして、この地域での関係機関の支援協力を強化して、西暦二〇〇〇年までに初等教育の完全普及を達成し、非識字問題を解決しょうということを目指しているわけでございます。  協力機構といたしましては、ユネスコのアジア事務所、PROAPを中心といたしまして、各機関と連携をしながら行っております。事業の領域は、非識字問題の解決、初等教育の完全普及及び発展のための継続教育ということが目指されているわけでございます。  こういったユネスコのAPPEALの枠内で加盟各国は各事業の支援をしてきているわけでありまして、我が国といたしましても、関連の国際会議に積極的に出席をいたしますとともに、セミナー等に専門家を派遣するあるいは受け入れるというような事業を実施し、重ねて一九九〇年度からは、識字教育の信託基金として毎年七十万ドルをユネスコに拠出するというようなことをやってまいっているわけでございます。  加えて、先ほど御説明をいたしました女性のための識字教育のモデル事業というものを実施をすることにいたしておりまして、平成六年度の予算の中で関連の予算額を拾ってみますと、一部若干推計も入っておりますが、ほぼ二億一千二百万円程度の事業規模になっているところでございます。

中島章夫さきがけ・青雲・民主の風

○中島(章)委員 今御説明がありましたけれども、毎年七十万ドル、二〇〇〇年までにその事業をということですが、御承知のとおり、ユネスコ自身も、あるいはアメリカ、イギリス等がまだ戻ってきていないということも含めて、財政的にもいろいろ問題があります。これについてはまたいつかの機会に御質問をすることにいたしましても、ユネスコのアジア・太平洋事務局に任せておいて、二〇〇〇年までにその目標が達せられるとは私はどうしても思えないのであります。  そこで、きょうの私のテーマでありますけれども、せっかくのODA、これは私が理解をしておりますところでは、たしか一九七八年から五年置きに中期計画を立ててきているはずでございまして、既に第二期ぐらいのころからそれのソフト化つまり、インフラのハードをどんどん整備をしていくというのは当初非常に大事なことでありますが、それがある程度のところまでいきますと、今度はそれをどうオペレートしていくかという、徐々にソフトの方に重点が移っていくのは当然のことでございます。そこで、ODAのソフト化ということが言われてかなり長いのでございますが、きょうは外務省からもお越しをいただいておりますので、今までのソフト化と言われた経緯と、それから今までどういうふうな動きになってきたかということについて、概略御説明を願います。

黒木雅文外務省経済協力局調査計画課長

○黒木説明員 お答えいたします。  政府開発援助の実施に当たりましては、先生御指摘のとおり、当初実施が始まった段階では、インフラ整備等のハード面を主として重点的に行ってきたわけでございますけれども、次第にODAの対象も広がっておりまして、教育等も含めた援助のソフト面あるいは社会セクターへの協力というものが充実してきております。  特に教育につきましては、開発途上国の経済社会開発に寄与する人的基盤づくりであって、かつ長期的には国づくりの基礎になるというふうに認識しておりまして、政府といたしましても、平成四年六月に閣議決定いたしました政府開発援助大綱の中におきましても、教育を含む人づくりにつきまして国づくりの基本であるという認識を明確に示しまして、かつ援助の重点項目というふうに位置づけております。こういう考え方に基づきまして、教育分野への援助も積極的に実施してきております。  実績といたしましては、特に二国間援助におきましては、技術協力と無償資金協力を主として実施してきでおりまして、一九九二年、暦年で見ますと、九百二十九億八千百万円、約九百三十億円の規模の協力を実施してさております。さらに、その二国間協力に加えまして、ユネスコ等の国際機関を通じた協力も、ODAということで実施してきております。今後とも、教育分野における援助を積極的に進めていきたいというのが考え方でございます。

中島章夫さきがけ・青雲・民主の風

○中島(章)委員 ありがとうございました。今の御説明にありましたように、政府開発援助大綱というのが閣議決定されたというのは大変結構なことだと私も思っております。  そこで、次にお伺いをしたいのですが、援助の実施機関でありますJICAの組織図を私、前からもらって見ておるのですが、非常にたくさんの部ができております。八人の理事がおられまして、次長も十人以上でしょうか、それからさらに部長というふうにたくさんの方々が各省庁からも来て、専門性を発揮しながらこの仕事に取り組んでおられるのでありますけれども、このJICAの教育事業担当部局というのは、たしか社会開発協力部というんでしょうか、その中の開発協力一課でしょうか二課でしょうか、やっておられると思うのです。まず、今やっておられる事業の主なものを二、三御紹介いただけませんか。

黒木雅文外務省経済協力局調査計画課長

○黒木説明員 国際協力事業団は、主として技術協力を実施する機関でございますので、ここで実施しております教育分野の協力といたしましては、例えば日本の教育行政制度の紹介でありますとか、教員の養成とか教材の作成方法について途上国の研修員を日本に受け入れまして研修を行ったり、あるいは日本から専門家を派遣いたしまして、今申しました分野についての技術移転を行っているということが主でございます。  それに加えまして、青年海外協力隊の派遣を通じまして理数科教師あるいは小学校の先生を派遣して、その分野での協力を行っているということでございます。  それから、JICAの中におきまして、昨年、外部の有識者の方から成る開発と教育に関する研究会を設置いたしまして、この研究会で今後の教育分野の援助のあり方について検討をしていただいております。そういう御意見も踏まえて、途上国向けの教育分野での技術協力を積極的に進めたいと思っております。

中島章夫さきがけ・青雲・民主の風

○中島(章)委員 今お話しのように、少しずつ教育関係のものを充実をしてこられているわけではありますけれども、やはり相手国の要請に応じて日本で研修をするとか、あるいは教員を派遣して指導に当たるとかということが多いようでありますけれども、私は基本的には、我が国でもやってまいりましたように、初等教育システムを充実させるために、義務教育費国庫負担法がやってまいりましたような教員給与の補助の問題だとか、あるいは建物の二分の一とか三分の一を補助していくとか、あるいは教材教具の半分くらいを援助するとか、あるいは教育課程の基準をつくってそれを各地方に紹介もし、研修もする、こういったシステムそのものを援助していくべきではないか、こう考えているわけであります。  特に、非識字率が高い国というのは、今のアジア地方でも、ネパールの七四・四、アフガニスタンの七〇・六、パキスタンの六五・二、カンボジアの六四・八、バングラデシュの六四・七と非常に高い非識字率があり、それから初等教育就学卒が低いところというのは、アフガニスタンの二五%、ブータンの二六%、パキスタンの三九%しか初等教育に就学してない。今の後のは一九八八年で若干古うございますし、さっきの非識字率は一九九〇年のユネスコの統計局の数字でございますけれども、そういう状況でありますから、どうしてもこれを国を挙げて組織的に援助をする。  我が国の国際貢献、いろいろ言われております。地球緑化の問題あるいは地球温暖化、すぐれた学術研究を利用して地球温暖化の問題を援助する。それは開発途上国の指導者、学者を養成しながらそういうことに貢献をしていく。さまざまなやり方がありますが、私は、特に二十一世紀の世界の文化を考えますときには、先ほども申しましたように初等教育、だれもがチャンスを持てるという機会をこの国の人々に与えていく必要があると考えております。  そこで、先ほどJICAのことについてお尋ねをしましたが、参考までに、出向というんでしょうか、理事それから部長等で各省からはどういう出身になっているのか、お教えをいただきたいと思います。

黒木雅文外務省経済協力局調査計画課長

○黒木説明員 理事、部長等で各省庁から出向しているあれにつきましては、詳細はまた追って御報告したいと思いますけれども、基本的には、外務省を初めとしまして国内官庁かなりのところから理事及び部長クラスで出てきていただいて、特に各省庁が持っているその専門性をJICAの事業に生かすという観点から出向していただいておるというふうに思っております。詳細は別途御報告いたします。

中島章夫さきがけ・青雲・民主の風

○中島(章)委員 今詳細は後ほど、それはそれで結構なんですが、私が存じ上げる限りにおいては、八人の理事の中では、外務、農水、通産、建設、大蔵といったところ、あとJICAプロパーの人ということで、別に文部省からその人が行っていることが教育の専門性を上げるとは必ずしも思いませんけれども、例えば初等教育システムというものをこれから援助していこうということになれば、これはもうとてもこういう体制では、たしかこの四月か何かから文部省からJICAに、何百といる課長さんのうちの一人が出向するという話を聞いておりますが、これでは、こういう教育ソフトを充実すると言いながら、体制がほとんどできていないということだと思いますし、JICA、外務省もしかることながら、文部省の方からもそういうことについて本当に働きかけがあるのかどうか、私は大変不満に思っているところでございます。  そこで、大臣にぜひお伺いをいたしたいのでありますが、この教育援助といったようなものにつきましても、これは申請主義というんでしょうか、そちらの国からやってほしいという申請がないと動けないはずでございます。しかし、今日これだけさまざま各国にも大使館がありますし、それから文部省関連でも学術振興会その他の人たちも出向しておりましょうし、アタッシェもいるでありましょう。そういうチャネルを通じまして、その国々がこいう初等教育システムという国家の将来にとって物すごく大事なことについてプライオリティーを上げてもらう、そうすれば我が国はそれにノウハウを提供することができるぞという、そういう体制を積極的に働きかけていってほしいという気がいたしますけれども、大臣にその点についての御見解を最後にお伺いをいたしたいと思います。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 ずっと伺っておりましたが、そのディベロッピングカントリーにおきまして教育、なかんずく識字教育というのがいかに大事かということは、もうそれを上げることが一石二鳥なんというものじゃなくて、三鳥も五島も一つの石で鳥が落とせるというぐらい広範にいい影響があるというふうに私は思います。先生御指摘のように、要請があればというのが基本的な建前でございますが、その要請を掘り起こすということでございましょうから、そういうこともできるのではないか。  さっきここへ参りますまでにちょっとオフィスへ帰る時間がございまして、その短い間にフィリピンからのお客様とお会いしたのですが、その方が真っ先におっしゃったのがフィリピンでの識字教育というお話でございました。それから留学をもっとさせたいとか、フィリピンの中で日本語を勉強する機会がもっとふやせられないだろうかというお話でございました。それから、御一緒に来られた方、日本人の方ですが、バングラデシュの関係の本を書いて持ってきてくださったわけですが、やはりそういうお話がございまして、これは要請主義だからといって座っているというばかりが能ではないというふうに思います。

中島章夫さきがけ・青雲・民主の風

○中島(章)委員 もう質問は終わりますけれども、私が申し上げましたようなこういう事業がもし大切とすれば、それをJICAが実施するかどうか、これはまた相談の上でありますが、少なくとも教育ということが大事と言われてきて久しいのに、先ほどのようにJICAの中に理事もいない、部長もいない、部局もない、これは極めて怠慢、双方の怠慢だと思いますので、どうか文部省と外務省あるいは関係部局でその点を真剣に御相談をいただきたい。そのことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。

嶋崎譲日本社会党・護憲民主連合

○嶋崎委員長 輿石東君。

輿石東日本社会党・護憲民主連合

○輿石委員 私は、社会党の輿石ですが、ただいまの中島理事と文部大臣のやりとりをお伺いし、最後に、フィリピンの方にお会いをしたら、まず識字教育を、こんな要請もあった。我が国の教育の特徴は、どこに生まれても、どこに育っても基礎教育を受けられる、そんなすばらしさを中島委員は訴えられたわけであります。私は、そうした日本のすばらしい教育の機会均等、そんなものに浴している日本の子供たちは幸せだとは思いますけれども、さらに個性化を求めておるという大きな教育の転換期にもあると思うわけであります。  本日の委員会の冒頭に、岸田委員の方から、過日の新聞報道、十日ぐらい前の五月二十四日だったですか、教科書出版社が撤退をしていく、そんな報道に驚き、また心配をしている、そんなお話もありました。私は、本日は教科書の問題について、与えられた時間六十分という範囲内で御質問をしたいというふうに思いますが、まず最初に、岸田委員も触れられましたあの新聞報道について、文部大臣の感想なり、どう考えられているか、まずお聞きをしていきたいというふうに思います。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 午前中にも申し上げましたが、あの報道を見まして、それは大変なのではないかと思って、いろいろと考えさせられることが多うございました。教科書は教育の本当の基本的な部分でございますから、これが部分的に撤退があるということならばまあまあかと思いますが、そういう傾向がどんどん続くようでは大変憂慮すべきことだというふうに思います。また、そのために質が低下するというようなことがあっては、日本の教育水準の低下につながるわけでございますから、そういうことのないように、優秀な適切な教科書が確保されるように努力をいたしたいと思っております。

輿石東日本社会党・護憲民主連合

○輿石委員 文部大臣も大変この状況を心配をされ、こういうことによって主たる教材であります教科書の質の低下につなかったり、さらには今後、発行者、出版社が大幅に教科書発行から手を引くというような形になれば、大変なことになるだろうという御感想、お考えを訴えられましたけれども、文部省としてこういう状況をどうとらえ、どう分析されているか、お願いをしたいと思います。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 先般の新聞の記事につきましては、現在検定の途中でございますので、その申請状況等についてここで申し上げることはできないわけでございますけれども、大臣と同様、私どもも、そのような報道に接し、いろいろ考えなければならないことはあるというふうに認識をしております。  ただ、その状況としましては、御存じのように、近年の経済状況あるいは児童生徒数が大変減少してきております。そういう中で、教科書の発行者におきましても厳しい状況に直面をしておるのではないか、こう推察するわけでございまして、そういう中で発行者の中では経営の方針を見直す、このような動きがあることは承知をしているところでございます。

輿石東日本社会党・護憲民主連合

○輿石委員 発行者の方で経営方針を変える、考えていく、それは発行者の立場からすれば当然でしょうし、その方針を変えるという中身が、これでは採算がとれないので我が社は発行をやめる、そういうような状況に次々になっていった場合には、教科書発行を民間にゆだねた理由もなくなるでしょうし、それへの対応をも文部省はあわせて考えていかなければならないというふうに思うわけですけれども、その点についてはどう処理されるつもりか、お答えいただきたいと思います。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 これは発行者におきます経営の状況あるいは方針等さまざまな事情がありますので、今後、発行者数が減少するかどうかということは一概に申し上げられない面があると思います。  それから、これは申請の状況でございますから、現実にどれだけの教科書が発行されるかということとはまた別のことでございます。申請を出さないから発行がないという論理的な関係はないわけでございまして、申請がなくても発行するということはあり得ると思いますので、現時点におきまして発行者数が減少するのかどうかということにつきましては、私どもとしては申し上げることができない、こういうことでございます。

輿石東日本社会党・護憲民主連合

○輿石委員 今申請中で、最終的にどれだけの発行中止ということがあり得るのかどうかはまだわからない、だから現時点で判断をすることは差し控えたいというふうにもとれるわけですけれども、では現実にこういう状況が出てきたのはどこに原因があるのか、その原因をどう考えられますか。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 これはいろいろ複雑な要因があろうかと思います。  教科書の場合には、先生の御指摘では、あるいは教科書の価格が低いのではないかというお気持ちも込められているのじゃないかと思いますけれども、御存じのように、教科書の場合は、一般に店頭に出る書籍と違いまして、学校で採択をし、そして購入をするという部数がはっきりしている。そういう意味では大変安定性があります。それから、財政的な措置もしているというようなところから、そういうようなことが私どもも原因というふうには申し上げがたいわけでございまして、現在におきますいろいろな経済の状況あるいは児童生徒数の減少とか、そういうことが複雑に絡み合っていることではないのかな、こんなふうに考えているわけでございます。

輿石東日本社会党・護憲民主連合

○輿石委員 あなたは、撤退をしていく最大の理由に、価格が安いということをまずその原因の第一に挙げているんだろう。私が言わない前にそちらで分析をしていただいたわけですから、今度はその点について触れざるを得ないだろう、こう思うわけであります。  今おっしゃいましたように、価格の問題がありましょうし、それ以前に、局長お話しになりましたように、児童生徒数の減少ということははっきりしているわけでありますね。必要とする数が、絶対量が違ってくるわけですから、ここに最大のこれからの対応の仕方も出てこなければならないだろうし、それに価格も原因をするとすれば価格の問題、両面で考えていく必要があるだろうと私は思うわけであります。  それでは価格の問題。何か小学校五年生の家庭科は百九円。まさにこの百九円という実態を子を持つ親が果たして知っているだろうか、国民の皆さんが知っているだろうか、そんなことを思うわけです。教科書の性格上、定価というものは印刷されておりませんし、百九円ということになりますと、週刊誌を買っても二百八十円、そして缶ジュースも飲めるかどうかもわからない。家庭科を例にとれば、週に二時間、三十五週として、その子供が年間七十時間使う家庭科の教科書が百九円。まさに朝の冒頭のお話にもありましたように、そんな状況で果たして採算が今後とれていくだろうかな。発行者の心配をするわけではありませんけれども、そういうものが原因で、加えて児童生徒減は間違いなくやってきているわけであります。  そうしてみますと、この辺で主たる教材である教科書の問題について、抜本的にあるいは真剣に文部省としても考えざるを得ない状況ではないかと私は思っているわけであります。その辺どのように対処されますか。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 今、家庭科の教科書についての御指摘がございましたので、それについてお答えいたしますと、小学校家庭科の発行者数は現在二社のみでございまして、一点当たりの発行部数が比較的多い、あるいは一冊当たりのページ数が四十八ページと比較的少ない、こういうことなどこの製造費あるいは編集費等にかかります経費の軽減要因がございまして、他の教科に対して割安となっているわけでございます。  教科書の定価につきましては、先生御存じのように、教科用図書検定調査審議会におきまして、主要教科書発行者の教科書関係部門の経営分析というものをしております。その中で人件費とかいろいろな点を考慮しながら経営分析を行い、同時に、父母負担あるいは財政的な観点というようなことで定価改定を行っておるわけでございますので、私どもとしてはそういう中で適正な定価改定ということを行ってきた、このように考えている次第でございます。

輿石東日本社会党・護憲民主連合

○輿石委員 家庭科の教科書百九円、それを単に金額の感覚でとらえることは危険だと私も思いますし、それが適正であるかどうか、そのことについても見方によっていろいろあるでしょう。しかし、ほかの諸物価や公共料金とか、常識的に考えてもこの百九円、ページ数が少ないからとかいろいろな理由づけがありましたけれども、それならば大体同じページ数で何にも書いてない大学ノートが一冊百三十円だ、こういう状況であります。それは、適正価格かどうかという判断に大学ノートと家庭科の教科書を比べて、さあどうだというのもおかしな話でしょうけれども、どう考えても教科書は安過ぎる。そうとらえざるを得ない、そうも考えますが、いかがですか。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 これは先ほどもお答えしたわけでございますが、教科書の場合にはまさに学校で使うものということで、採択によって使用部数が決まってしまう。そういう意味で大変安定性がある。そういう要素の中でこの定価が決まっているわけでございますので、先生も御指摘になりましたように、ほかのものと高低というものを比較するということはなかなか難しいのじゃないか、このように思っております。

輿石東日本社会党・護憲民主連合

○輿石委員 それでは、教科書会社や発行者にとれば全く返品もないわけですね。ほかの週刊誌にしても、売れるようだけれどもどれだけ売れるかの推測はつかない。だから発行者や経営者は、その点では大変な競争原理にのっとって強いられるでしょう。その点では教科書無償制度という形で間違いなく定期的に入ってくる。午前中のお話の中でも、前払い金という制度もあるんだと。そこに魅力があって教科書発行者もやっているのかもしれません。しかし、生徒減、児童減があるわけですから、その中で、今何社あるかわかりませんけれども、発行者が競ってそれをやっていくとすれば、必然的に自然淘汰されざるを得ないという状況もあると思います、価格が余りに安ければ。そして一方では、発行者の方では人件費その他の経費がかかるとすれば、これは手を引くのは火を見るより明らかだと思うわけであります。そういう事態がこの状況では必ず来るだろう。そうしたときに文部省はどういう対処をしていくのか。  一日も欠かすことのできない子供にとっては主たる教材であり、指導要領があり、採択制度があり、検定があり、そういう状況の中で、子供にとればみずから求めて教科書を使っているのではなくて、ある面では与えられている。そのことは中島委員が言われるように、我が国には指導要領があり、そして検定もあり、初中教育分野におければ世界に名をはすすばらしい基礎教育ができているので、識字教育という面についてはアジアへ目を向けてやっていこうではないか、それが国際貢献という立場だというお話があったわけです。まさにそうでありましょう。しかし、全国一律に教育水準は保たれていた。そういう画一教育から発想を変えて、新しい指導要領もつくられ、新しい学力観で個性を重視する教育へ大きく変えていこうというのが文部省の最大の今の施策であろうと思うわけであります。  今、政治改革、経済改革、税制改革などと大きく騒がれていますけれども、その中で最も必要なのは教育改革だ。だから一昨日の文部大臣の所信も、国づくりの基本は教育だ、こういうふうに位置づけ、十日の羽田総理の初の就任演説の中で、教育を未来への先行投資だとまで位置づけているわけであります。  そういう点から見れば、この教科書、何としても大事な教材ですから、これをきちんと確保していくというのが文部行政の最高分野にあります文部省がきちんと考えていく問題だろう、こう思いますので、この問題は単に生徒減、適正な価格であるなどという範疇でとらえていただきたくない、こう思うわけですけれども、その点についてもう一度お伺いをいたします。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 適正な価格ということでございまして、これは先ほども大臣からも御答弁ありましたように、教科書は学校教育におきまして一番大事な教材なわけでございますから、いい教科書が確保されなければならないことは当然でございます。そういう意味で、従来からも適正な価格改定ということで努力をしてきたわけでございまして、私どもも今後ともそういう気持ちを持ちながら、そして今のような状況でございますから、さらにそういう点につきましては教科用図書検定調査審議会におきます経営分析とか、あるいは物価の動向とか、いろいろなことを総合的に勘案して適正な価格にするよう努力を続けていかないといけない、このように考えている次第でございます。

輿石東日本社会党・護憲民主連合

○輿石委員 価格にかかわる問題でもう一点だけお伺いをしたいと思うわけですけれども、新指導要領になりまして登場してきた小学校の低学年の生活科の教科書。新指導要領によって、体験を重視する、教育の中身も変えていこう、現代の子供は直接体験が不足をしているということで、理科や社会を統合して生活科が生まれた背景も、五日制が出てきた背景も同じ道筋だろう、こう思うわけでありますけれども、その生活科の教科書が私の調べたところでは六百九十二円、こういうことでありますね。  そして、先ほどページ数や印刷、カラーになっているかどうかという分野で、家庭科は安いというお話もあったわけです。ほぼ同じページ数で同じようなカラーの小学校三年生の理科の教科書、現物は今ここにありませんけれども、ほぼ同じだろう。まあ編集の仕方や著者や何かがかけた時間が違うといえばそれまででしょうけれども、それを比べますと、小学校三年生の理科の教科書は四百九十六円。およそ七百円と五百円ととれば二百円の誤差が出ている。この状況を文部省はどう分析されておりますか。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 これは先生も御指摘ございましたように、小学校の生活科の教科書は、平成四年度の新学習指導要領の実施に伴いまして新設された、そういうことで、従来の教科とは違いまして、編集面でも全く新しい企画をしなければいけない、そういうことに基づいて製造されている。こういう教科の特殊性がございますので、従来から利用されている理科の教科書とは、ページ数あるいは態様等が同じだといってもなかなか単純な比較は難しい、このように考えております。

輿石東日本社会党・護憲民主連合

○輿石委員 何かしつこく聞くようですけれども、今、編集段階で新しいものをつくったわけですから、前の例に倣ってつくるというわけにもいかない。そういう点では、既にある教科書よりも編集は、第一回は大変でありましょう。しかし、私はそんな問題ではないというふうにとらえたいのであります。  そこでお伺いをしますけれども、それではこの教科書の価格の決定の仕組みはどのようになっているのか。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 これは、従来の教科書はずっと無償制度が継続されておりますので、当初原価計算はしたわけでございますが、その後につきましては、先ほどからお答えしておりますように、教科用図書検定調査審議会におきます主要教科書発行者の教科書関係部門の経営分析、それから父母負担の状況、そういうようなことを総合的に勘案しながら定価の改定ということを行ってきたわけでございます。

輿石東日本社会党・護憲民主連合

○輿石委員 そうしますと、教科書の価格は、今局長が言われました検定審議会が中心にいろいろな分析をされて決定をされるという仕組みだということですね。そうしますと、今言う生活科と小学校三年生の理科も同じ条件で価格決定がされているというふうに理解してよろしいわけですね。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 仕組みとしては同じでございますけれども、生活科につきましては新しい教科書でございますので、その基礎となる価格がないということで、生活科については原価計算をした上で価格を決めた、こういうことでございます。

輿石東日本社会党・護憲民主連合

○輿石委員 生活科は新しく編集をしたので、そういう差が出ているというお答えですけれども、ある方々に言わせますと、義務教育の教科書の無償措置法が成立したのが一九六三年、昭和三十八年というふうに記憶をしているわけですけれども、そのときに原価計算がされた。そうしますと、もう三十年以上たっているわけですけれども、その原価計算のままで行われているのが家庭科や現行の教科書であり、生活科は新しく出てきた、登場した。そうすると、保健の教科書も同じことが言えると思いますが、原価計算の仕方は、そのときの原価計算が今も生きているというふうにとらえてよろしゅうございますか。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 従来からの教科書につきましては、その時点において価格があるわけでございますので、教科用図書検定調査審議会等の議論を経た上で価格改定率というものを算定して、その価格改定率を掛けて定価を出している、こういうことでございます。

輿石東日本社会党・護憲民主連合

○輿石委員 その改定率というのはどのくらいになっておるでしょうか。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 これは年によって、先ほどのようないろいろな要素を入れるものでございますから、違います。最近でいきますと、前年度の価格に対して平成五年度が二・七%、それから平成六年は二・五%の改定、こういうようなことでございまして、過去でももっと高い数値もございますし、もっと低い数値もあるということで、年によって定価改定率というものは差がございます。

輿石東日本社会党・護憲民主連合

○輿石委員 わかりました。私は、価格の問題はこれ以上お尋ねする必要もないというふうに思いますが、しかしながら、幾らいろいろな条件があると答えられても、常識的に考えて百何円とか二百円とか、週刊誌も買えないような状況でこの教科書がつくられている。これではますます先日の新聞報道のような状況に必ずやなっていくだろう。だとすれば、教科書を民間にゆだね、自由な発想でつくってくれというその精神からも逸脱をしていくでしょうし、第一、教科書をつくるには指導要領があり、その指導要領に準拠しているかどうかを検定で問い、そして出てきた教科書について、どの教科書を採択するかという採択制度にもかかわる。  そうすると、発行者にとれば、検定でチェックをされ、そして価格のことも考えていかなければならない、採択制度も切り抜けなければならない、価格は全然上がらない、こんなもうからない商売はもうやめたということになって、極端な話、もう民間では発行できなくなったとき、教科書づくりの基本は個性豊かな多様な教科書をつくるんだということに目的を置いているが、その目的さえも失うことになると思いますので、この辺については真剣に今後の対応を考えていってほしい、こう思うわけであります。  価格問題については以上で終わらせていただきまして、私は、次に検定にかかわる問題について触れさせていただきたいと思うわけですが、この価格の問題で、せっかく大蔵省も来ていただいておりますので、ここで検定問題に入る前に大蔵省の皆さんにお尋ねをいたします。  けさからずっと、羽田総理自身が所信表明の第一に国づくりの基本を教育に置き、文部大臣も強調をされました。まさに教育や科学技術は我が国の先行投資である、そういう位置づけをしまして、だから義務教育費国庫負担法もあり、事務職員、栄養職員の問題が八月ごろから文部省とせめぎ合いをする。その中の一つに教科書の無償問題も毎年必ず出てくる。もう一つ、午前中からありましたように私学助成の問題があります。この三点が必ず出てきている。  こういう子供にとっては一日も欠かせない教科書の無償制度、もし単価アップすれば、今の四百四十億は千億ぐらいになるかもしれない。しかし、私はそうはならない。四百億か五百億確保していれば、生徒減があるわけですから、価格がアップしても、今の現状を押さえれば国庫から余計に出すという事態は何ら考えられないわけです。教科書無償というこの精神と教育の機会均等、中島委員も言われましたが、そのことによって世界に誇れる教育水準を少なくとも初中教育の分野では確保している。それは胸が張れる一つだと言っているわけですから、こんなところへよもや手はつけてはこないと思いますけれども、念のためにお伺いをしたいというふうに思います。

田村義雄大蔵省主計局主計官

○田村説明員 先生の御質問、広範にわたっておりますので、ポイントだけお答え申し上げたいと存じます。  まず、教育は国づくりの基本である、私どもも全くそのとおりであると思っておりますし、限られた財源事情の中ではございますが、文教予算についても精いっぱい平成六年度においても予算づくりをしていったつもりでございます。  教科書の無償給与制度につきまして今後どう考えるのかという御質問でございますが、まず六年度予算は、先生まさに御承知のように、ただいま文部省から御説明ありましたように、審議会の答申の二・五%という価格改定を受けまして、これを尊重しましてそのまま取り入れて、ただ、生徒数がちょっと減っておりますから教科書の額自体は減っておりますが、四百二十四億円ということで計上をいたして、無償措置を継続したというのが六年度でございます。  今後でございますけれども、私ども財政当局としては、この教科書無償給与制度というもの自体について、財政資金の重点的使用、効率的使用というふうな観点から、今後とも検討を行っていく必要がある。それはこれまでも臨教審とかあるいは臨時行政改革推進審議会とか、あるいは私どもの財政制度審議会、いろいろなところで議論をずっと重ねてきた経緯がございますが、そういう経緯を踏まえながら、また今後先生方の御意見、各方面の御意見を承りながら、やはり有償化という問題については引き続き勉強してまいりたい、そのように思っております。

輿石東日本社会党・護憲民主連合

○輿石委員 僕は有償化を勉強してほしいなどと大蔵省にお尋ねをしているのではなくて、この無償制度を確保していくんだという文部省の考え方を受けてというよりも、国民の意思を受けて、有償化を検討するんじゃなくて、無償化を堅持していくという姿勢を示してほしいとお尋ねしたわけですから、それに答えていただきたいというふうに思います。

田村義雄大蔵省主計局主計官

○田村説明員 教科書無償ということについての私どもの基本的考え方は、要するに教科書無償というものが、家計の負担能力なんかを問わず、一切一律に無償ということにしていること自体がまず所得配分の観点から適当かどうかということ、それから、教科書の価格自体はそれぞれが数千円ということであっても、全体としてはこれで四百数十億のお金が出ているわけでございますから、そこら辺を財政資金全体としてどういうふうに考えるかという問題もあるということでございます。  先生の御意見は十分頭に置いておきますけれども、私どもは、無償制度というのはこのままずっと存置すべきであるとは考えていないということは申し上げたいと思います。

輿石東日本社会党・護憲民主連合

○輿石委員 大蔵省も本音を言ってくれたので、そのまま結構ですと言うわけにはいかぬわけですから、もう一度質問をさせていただきます。  先ほども申し上げましたように、昭和三十八年、一九六三年にこの教科書無償制度ができて、三十年たった、大蔵省から言わせれば、三十年たって豊かな我が国を迎え、今九三年度の日本全国の小 中学校の児童生徒数は千三百八十一万人、これも御承知だと思います。そして、先ほどから再三出ていますこの国庫負担の金額が四百四十億円。これは小学校一年生でも、割り算をすれば一人当たりが出てくるわけですね。それで、子供たちにとって主たる教材費とはいえども、一人当たりは単純に計算をすれば三千百円か二百円。このくらいのものを出せない状況ではないだろう、所得を考えたら。これも一つの見方でありましょう。しかし、教育の機会均等、義務教育は無償と憲法、教育基本法に示されているその精神を踏みにじることになるわけでありますね、金額の多い少ないではなくて。そうしたことが日本の教育水準をこれまで保ち、これから個性重視の教育へ向かうということですからね。  それに比べてよく出てくる話が、国会でもよく論議される話の中に防衛費との論議が出てくるじゃないですか。大蔵省でそういうことを言われたのであえて言わせていただくと、今度の九四年度の予算で早期警戒管制機E767、これを二機買う予算がついていますね。これを二機にするか一機にするか、こんなものを買うな、いやこれは防衛上大事だ、こういう論議も再三重ねてきたわけですけれども、この購入費が一機五百七十億円ですよね。この飛行機一機にも満たない四百四十億を削って、子供たちの教科書を有償にしていこうなどということが許されていいかどうか。未来を託する、日本の将来を託する、まさに日本の平和や繁栄を託する次代の子供たちのために金をかけるのが総理の言う教育は先行投資だ、人づくりなくして国づくりなし、そういうことだと思うわけであります。  そうした意味で、限られた財政の中で削減をしなければならないというが、物から心の時代と言いながら、教育や文化を大事にすると口では言いながら、そういう施策にならないというその辺の問題点もあるわけですから、そこも十分大蔵省としても御理解をいただいて、検討の糧にしていただきたい、そのことを強く要望を申し上げ、大蔵省への質問を終わります。  それでは、若干教科書問題にかかわって、検定制度の面からこの教科書問題について触れさせていただきたいと思うわけであります。  この問題につきましては、私は国会へ出てきまして四年を若干過ぎたわけですけれども、その間に総理が海部さん、それから宮澤、細川、羽田と四人がわったわけであります。そして文部大臣は、保利文部大臣、そして井上文部大臣、鳩山文部大臣、森山文部大臣、赤松文部大臣、赤松文部大臣と、赤松文部大臣は続けてやっていただきましたので大変ありがたいわけですが、内閣がかわったときにかわれば六人だったかもしれない。総理が四人、文部大臣が五人がわったことになります。そして、そのたびに教科書問題にかかわると思われる歴史教育にかかわる問題が出てきていただろうというふうに思うわけであります。  最初の羽田首相の演説の中にも、羽田政権の出発が法務大臣の辞任から始まったような印象さえも国民に与えてしまった。それは、南京大虐殺がでっち上げ発言ということになったわけであります。これは中国、韓国から一斉に御批判をいただいて、電話も入れなければならない、首相は親書も出さなければならない、こういう状況になったことは御案内のとおりであります。  羽田総理はその中で、細川総理の言葉を引用しながら、「我が国の侵略行為や植民地支配などが多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたとの認識を新たにし、これを後世に伝えるとともに、深い反省の上に立って、平和の創造とアジア・太平洋地域の輝かしい未来の建設に向かって力を尽くしていくこと」が新内閣の政治の信条だとまで言い切っているわけであります。この中で、後世に正しく伝えるとともにと明言をしています。この後世にこうした事実を正しく伝えるという伝え方の中に、歴史の教科書の中へこれをきちんと位置づけ、伝えていくというのも大きな任務だろうととらえるわけです。  それについて文部大臣にお聞きする前に、文部大臣が最初の昨年八月に就任をされたときに、教科書検定が余りに厳し過ぎはしないかという記者の質問に答えて、これは全国の教育水準を守るために検定があるのですから、余りごりごり細かい点までやるのはいかがなものかという柔軟な発言をされ、国民の皆さんもそこに御期待をしたりした経過があるわけですけれども、そのことも含めて、文部大臣、検定問題について今のお考えをお伺いしたいというふうに思います。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 まず、過去の歴史を正しく反省をし、それを後世に伝えるということを私ども非常に重要なことと考えているわけで、その方法といたしまして、今御指摘のように、教科書に書くということはまさに第一歩といいますか、あるわけでございます。このことが教科書の中にどのように書かれているかということを見ますと、先ほど御指摘の点には、かなりの教科書がそのことを取り上げ、そして正確に記述をしているところでございますので、その点は私ども教科書を具体的に見てみまして、正しく記述がなされているという認識をいたしました。  それから検定の問題でございますが、これは昨年八月のインタビューにおきまして、たしか余りごりごり言わない方がいいというような表現だったかと思いますが、水準を維持するあるいは向上させるということ、それから内容が公正中立、正確であるというようなことが非常に重要なことであるので、現在の時点で検定制度というものは維持されるべきである。しかし、それがどういう過程でどういうふうな意見が出されたかというようなことは、多くの国民にはっきりわかるように、クリアにオープンにというようなことを言ったかもしれませんが、そういうものであるべきだ。  つまり、余り細かいことをごりごり言わないということと、結果がはっきり多くの人の目に明らかになるようにされていれば、検定制度のいいところは維持しながら、難点は排除できるのではないかというふうに思ってそういうふうに言ったわけでございまして、その気持ちは今も全く変わっておりません。

輿石東日本社会党・護憲民主連合

○輿石委員 検定の目的は、大里言われますように、記述が公正、正確であるかどうか、指導要領に準拠しているかどうかというのが一番あれでしょうから、そうしないと教育の水準を保てない。そのことも十分私も承知をしているわけですけれども、最も大事なのは、検定の結果がどういう形でこういう結果になったのかということをはっきりする必要がある、そう言われまして、私もその点では、検定結果を公開をしていくというのが新しい指導要領にのっとった新しい検定の仕方の、方法のねらいでもあった。その点は検定制度が一歩その面では前進をしたのかな、こういうふうに理解するわけです。  それでは文部省の方にお尋ねをしますが、九〇年、新しい学習指導要領が登場してきた当然の結果として、新しい検定制度も変えられた。その検定制度を変えた理由をもう一度ここで確認をしたいと思いますので、その目的について触れていただきたいと思います。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 これは臨時教育審議会の答申もございまして、もう一つ簡明でわかりやすい制度にしたらどうかということでございます。  そういうことで、平成元年度以降、検定の手続あるいは基準の大幅な簡素化、重点化ということを図り、同時に検定の公開なども進めてまいりました。そしてさらに、本年三月にはその運用の改善も図っております。また、大臣の御指摘もございまして、この平成六年からは、従来東京だけやっておりましたけれども、これを全国六カ所に公開の場所を広げるというような措置も講じようとしておるところでございます。  では、実際どうなったかということを少し数字で見てみますと、旧制度下の昭和六十一年度検定と平成四年度の検定というのを比較してみますと、一冊当たりの検定意見数、これは例えばでございますが、地理歴史科では二百七十から六十二に減っております。また、公民科では二百から四十五に減少しているということで、新しい制度のもとでこのような結果が出てきている、こういうことでございます。

輿石東日本社会党・護憲民主連合

○輿石委員 検定を簡素化、重点化した、そして基準の見直しも行った、それが新しい検定制度のねらいである。それで、これは検定をする指導要領がある。すべて教科書へ直結していく問題ですね。  一つ僕はその中で大きなねらいが欠落しているのではないか。結局は指導要領に準拠をし、公正、正確であるかどうか、そのために検定が行われる。その検定は簡素化をしました、そして基準の見直しもやりました、著者や発行者の創意や工夫が図れるようにしました、そういうふうに返っていくと思うわけであります。  しかし、本当にあの検定の改訂が教科書発行者にとって、著者にとって創意工夫の余地があり、すばらしい教科書づくり、再三言っております、子供にとって主たる教材である教科書の最終目標は、個性豊かな、多様な教科書をつくることにこの検定の目的の一つはあるのでしょう。そうしないと、正確な知識を得るとか、全国ほぼ同じような教育水準が確保できるという保証もなくなるということだろうと思うので、私は、個性豊かな、多様な教科書づくりという点から、この検定がもし妨げになっているとすれば大変だろうと思いますが、それは文部省としては、今回の改訂で自信を持ってすばらしい教科書づくりに寄与できる改訂だと言い切れるかどうか、お答えいただきたいと思います。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 今先生御指摘ございましたように、私どもも、個性豊かで多様な教科書が発行されるということは大変に大事なことだと思っております。現実に新しい検定制度のもとでいろいろな記述が教科書の中でもされまして、そういう意味では多様な教科書というものがどんどん出てきておりますし、これからもぜひいろいろな工夫がなされることを期待していきたい、このように思っております。

輿石東日本社会党・護憲民主連合

○輿石委員 基準の見直しもこれから定期的に行われるでありましょう。そういう点については、すばらしい教科書が生まれてくるような視点から検定制度についてもぜひ検討していっていただきたい、そんなふうに思います。  私は、一つ過去にさかのぼってこの問題を考えてみますと、基準の問題が出ましたからあえて言わせていただきますが、この教科書問題について一九八二年、昭和五十七年ですけれども、これはちょうど先ほど教科書の価格の問題を論じたときに、この年は、くしくも一九八二年から児童生徒がピーク時になり、これ以降すっと減少していくわけですね。そして教科書の価格も、この辺からずっと発行者はピンチに陥っているという実態があるわけであります。  生徒が減っていくのだから、逆に言えばそれだけ発行部数が必然的に少なくなってくる。一方では採択制度で広域採択制度をとっているわけですから、ますますその種類は少なくなっていくという傾向になりやすいわけであります。  それはさておきまして、この一九八二年に例の教科書問題、侵略か進出がで、家永裁判を引用するまでもなく、大変な国際的摩擦を起こしたというふうに思うわけであります。宮澤元首相が当時官房長官時代に、宮澤官房長官談話というのを出していることは御案内のとおりであります。そこで、この教科書検定基準が追加されたという歴史があるわけですね、この談話によって。  中国や韓国から、侵略行為を認めないで進出とは何事だ、教科書のこの記述を直せということから、この基準も変えなければならないということで宮澤談話が出て、そして国際協力とか国際理解とかという基準の一項目が加えられたということは私があえて指摘するまでもないことだと思います。  そのように、この基準の問題は一歩誤りますと国際問題や政治問題にも絡んでくるということをよく御理解をいただいて、基準の見直し、これをよく考えますと、官房長官がここに国際協力なり国際理解をつけ加えなさいと言えば、それが基準の中へ今までなかったものが入っていってしまうということも一つは大変な、見方によれば危険な状況だと見る人もいるわけであります。この辺について文部省、どう考えられているか。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 私ども、この教科書検定というのはまさに客観的かつ公正に行わなければいかぬということで考えておりまして、そういう意味で教科用図書検定調査審議会の議を経て検定を実施しているわけでございます。  この教科書検定基準改訂につきましても、当時の教科用図書検定調査審議会におきまして、その議を経て決定をしたわけでございまして、先生御指摘のように、この基準の改訂ということにつきましてはやはりそういう慎重な手続を必要とするもの、このように考えております。

輿石東日本社会党・護憲民主連合

○輿石委員 いずれにいたしましても、ずっとこの間の御質問の中で、要は検定の問題についても、教科書の価格問題一つとってみても、採択制度についても、願うところは子供たちにすばらしい教科書を与えたいという願いは私どもも文部省も一緒ですから、今後とも私が御指摘を申し上げたような点についても検討をいただいて、子供たちにとってすばらしい教科書をつくっていただきたい、こう考えます。  時間も少なくなりまして、最後の質問になりますが、教科書問題ではありません。ひとつ学校内における災害事故に関する問題について、ちょっと御検討をいただきたいと思うわけであります。  これから、貴重な体験が不足をしている子供たちにとって体験学習もしていきたい、学校の外へ出ていろいろな行事もやりたい、そういうときに出てくるのが学校災害、事故の問題であります。これをめぐって、やり方を間違えると裁判問題にも派生をするということですから、そのことが余り露骨に新聞等で報道されますと教育活動が萎縮してくるという背景もありますね。そういう状況で、日本体育・学校健康センターの災害共済給付の問題について、ぜひこの辺を改善をしていただきたいということであります。  ここで扱っている共済制度の給付水準は、五十二年に学校災害小委員会というものの報告に基づいて大幅に改善をされたという歴史的経過もありますが、現行では死亡見舞い金として一千七百万、障害の程度に応じてその見舞い金は一級から十四級、一番重度のもの、一級というのが二千二百九十万、一番軽い十四級で四十九万、こう抑えられております。  一方、予防接種法の問題、予防接種の裁判等がありまして、厚生省の管轄で同じような給付を行っているわけですが、こちらの方は死亡一時金の場合、現行額が二千百十万円、これを本年度十月から四千二百十万円、約二倍に引き上げるということが言われているわけです。厚生省だからこんなに額が違うのかな、私どもそういう乖離はないでしょうけれども、いずれにしましてもこのセンターが行っている災害共済給付について、厚生省の行われている例もあるわけですから、改善へ向けて努力をしていただけるかどうか、最後にその質問をして終わりたいと思うわけであります。

奥田與志清文部省体育局長

○奥田政府委員 先生御指摘のように、学校におきましては、事故の発生を懸念する余り、教育活動が消極的になるというふうなことがあってはならないと思います。  災害共済給付制度は、御案内のように昭和三十五年にできまして、積極的かつ円滑な教育活動を確保するために、国、設置者、そして保護者の三者が協力して、互助共済制度として、先生御指摘のように死亡見舞い金などを支給するということで今日定着をしてきているわけでございます。  一方、御指摘ございました予防接種健康被害救済制度は、法律に基づき地方公共団体が実施義務を負っております予防接種が原因で生じる不可抗力的な被害を救済するという目的でございますし、国と地方公共団体がその財源を負担するということになっておりまして、申し上げましたようにこの二つの制度はその趣旨、仕組みを異にしているわけでございます。  確かに、御指摘ございましたように、一時期ほぼ同額だった時期がございますけれども、そういう仕組みなども違っておりまして、私どもは、今後とも財政状況、社会経済情勢や、国、設置者、保護者が負担するわけでございますので、その負担額等も総合的に勘案しながら、給付水準の改善について検討をしてまいりたいと考えております。

輿石東日本社会党・護憲民主連合

○輿石委員 もう時間も来たようですけれども、厚生省、文部省、所管が違う、それから仕組みが違う、こういうことでこの差はあるんだ。しかし、災害を受けた親や子供にとっては同じであります。厚生省であろうと文部省であろうと、仕組みがどうあろうと受ける側は同一ですから、そのことも踏まえて、そういうことだけで片づけられない問題だという御理解をいただいて、今後ぜひお願いをしたいというふうに思います。  本日は時間が来ましたので終わらせていただきますけれども、私どもも文部省と一緒に子供のために頑張り抜く決意を申し上げて、終わります。  ありがとうございました。

嶋崎譲日本社会党・護憲民主連合

○嶋崎委員長 濱田健一君。

濱田健一日本社会党・護憲民主連合

○濱田(健)委員 一時間、時間をいただきましたので、一日の大臣の所信及び平成六年度の文部省所管の予算概要説明を受けましたことに関して、先輩議員の輿石先生と違った観点で、学校五日制と子どもの権利条約のことを中心にしながら質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず、学校五日制に関する事柄について質問いたしますけれども、学校五日制は、所信にもございましたとおりに、学校、家庭及び地域社会が一体となってそれぞれの教育機能を発揮しながら、子供たちの望ましい人間形成を図ることを目指して、御案内のとおり、平成四年の九月から月一回の部分学校五日制という形で実施されたというふうに、ここにいらっしゃる皆さん方は御存じだと思います。  この間行われましたいろいろな調査を見てみますと、月一回の土曜休業というものについておおむね肯定的に受け取られていると思いますし、特に子供たちの九〇%がよかったというように答えております。私も小中高と三人の子供たちがいるわけですけれども、第二週の金曜日の夜は何だかほっとしたような様子で、土曜、日曜の休みの計画を三人で立てているように聞いております。  それでまず最初に、直接的でどうかなとは思うのですが、所信にありました「実施の過程で出された課題」というものがどのようなもので、それをどう解決していこうとされているのか、お聞きしたいと思います。もしよければ、今、月一やっているところの問題と月二の試行をやっている問題で違った課題、問題というものが把握されておりましたら、その辺を分けてでも教えていただければ幸いだなと思いますが、よろしくお願いします。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 実施過程で出された課題ということでございますが、やはり一番大きいのが教育課程の編成上の問題、つまり授業時間数をどうするか、学校行事をどうするかとか、そういうようなことが課題としてございます。あるいは家庭、地域社会との連携協力というようなあたりも課題として出されておりますが、今先生のお話にございましたように、それぞれ地域によって事情が違いますので、一律的にこういう対応をしたというようなことは申し上げかねるわけでございますけれども、これまでのところ各学校におきまして積極的な対応がなされている、このように受けとめています。  月一回と月二回ではどうかというお話でございました。月二回は現在指定校という形で実施をしておりまして、これから状況をよくまとめてみなければいかぬと思っておりますけれども、やはり月一回と二回で一番違いますのは、当然のことながら土曜日の休みがふえるわけでございますので、授業時数の確保、そしてまたいろいろな教育課程上の工夫というあたりが月一回の場合よりもいろいろ難しい課題がある。これは地域によっていろいろ違いますので一概に言えませんが、そのようなふうに受けとめております。  なお、過度の学習塾通いとか、あるいは休業日となる土曜日におきます対応、こういう問題につきましては、これまでのところ特段の問題は生じていないのではないか、このように考えております。

濱田健一日本社会党・護憲民主連合

○濱田(健)委員 ありがとうございました。  今お話があった部分で幾つか具体的に出てきました部分を聞いていきたいと思うのですが、まずこの学校五日制と家庭や地域、学校の役割なんですが、私もこのとき現場に近いところにおりましたので、平成四年九月の第一回の導入の際について、やはり受け皿づくりというものが盛んに論議されたと思うのですね。私はそのときに、ゆとりというものを生み出そうとしているためのこの土曜休業に余り受け皿づくりを言い過ぎると、子供たちをその受け皿の中に囲い過ぎてしまって、固定的な生活しかさせなくなるのではないかというような心配をしたこともあったわけですが、その辺の状況はどのように把握をしていらっしやいますか。

岡村豊文部省生涯学習局長

○岡村政府委員 学校週五日制の導入に伴い休業日となる土曜日におきましては、子供は家庭や地域において自分の興味と関心を生かして自主性をもととした生活をすることが基本と考えております。  しかし、それが困難な子供に配慮して、また学校週五日制を契機として子供がさまざまな新しい活動体験をすることも重要でございますことから、教育委員会等において必要に応じてスポーツ、文化活動等を行う場を用意するなど、適切な対応をする必要があるわけでございます。このため、こういうことができるようにするための措置等も講じているわけですが、このように教育委員会等が活動の場を用意した場合においても、子供たちの参加はその自主性において行われるべきだというふうに考えております。  なお、昨年六月の休業土曜日における実態調査の結果によりますと、休業土曜日をどのように過ごしたかということについて子供たちで一番多かったのは、ゆっくり休養した、それから近所での遊びや運動、散歩というように、おおむねゆとりやさまざまな体験を得る機会として活用されているというふうに考えております。

濱田健一日本社会党・護憲民主連合

○濱田(健)委員 後ほど質問をします子どもの権利条約の三十一条に、休息、余暇、遊び、文化的芸術的生活への参加という項目があるわけです。日本人の生活の感覚というのは、大人は仕事に一生懸命、子供は勉強を一生懸命することがよいことだというような歴史的な風潮があったわけですが、それがいわゆる労働時間の短縮の意味も含めて、子供たちのこの学校五日制も含めて、やはり余暇というものを権利というふうに考えながら、自分の自由に使える余った時間を十分に楽しむという活動等を、強制的ではないですが、この土曜休業というものはねらっているだろうというふうに思うのです。  それで、今お話しくださいました部分も含めて、受け皿というよりも、私たち国を預かる者たちが、そして各地方の自治体を含めて、今二年ちょっとやったこの状況の中で、もっとこのような子供たちへの活動の場、ハードな面もソフトな面もですけれども、どのように取り入れてやったらいいのだがなというようなビジョンといいますか、そのようなものがありましたら、ちょっとお聞かせ願いたいというふうに思います。

岡村豊文部省生涯学習局長

○岡村政府委員 基本的には、先生のおっしゃるとおり、余暇については、子供の興味と関心に従って、自主性を持って子供がどういう過ごし方をするかということを選択するということが大切というふうに考えております。  その際、学校外活動の場として、いろいろな場が用意されているということが子供の選択の幅を広げるという意味で大変大切だというふうに考えておりまして、私ども、そのような学校外活動における子供の選択の幅が広げられるような活動の場が用意されるよう、教育委員会あるいは青少年の関係団体とも十分連絡をとりながら、いろいろな施策を進めているところでございます。

濱田健一日本社会党・護憲民主連合

○濱田(健)委員 少し観点を変えます。  関連するのですが、養護学校に通っている子供たちの保護者、特に知的障害を持っている子供たちの保護者の中から、両親が働いている中で学校五日制は子育ての負担が大きいというような声がよく聞こえてくるのです。決して学校五日制が始まったから、その趣旨自体、始まった中身自体がおかしいと言っているのではなくて、こういう障害を持っている子供たちが健常児と一緒に土曜日を過ごす場というのがなかなかないというようなことを含んでいらっしゃると思うのですが、これらの点について何か手を打っていらっしゃるところがありましたらお知らせ願いたいと思います。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 養護学校に通っております児童生徒につきましても、家庭とか地域社会で生活をするということが基本だと思っております。先ほど生涯学習局長からお答えしておりましたように、子供たちが自主性を生かして生活する、こういうことがあらゆる学校、校種を通じて基本になるものと思っております。  ただ、先生御指摘のように、そういうことが困難な児童生徒ということは当然予想されるわけでございまして、そういう場合には必要に応じて遊び、スポーツあるいは文化活動などを学校や地域社会において行っていくことが必要である、このように考えております。これは学校五日制を発足するに当たりまして、どのようにしたらいいのかということでいろいろ議論もございました。私どもとしては、各教育委員会あるいは学校がいろいろな取り組みができますように地方交付税で財政措置をしようということで、現在取り組んでおるわけでございます。  具体的に申し上げますと、指導員への謝金といたしまして、幼児、児童生徒三人に一人程度を措置できるような指導員への謝金を用意しております。そのほか、その指導員の保険料とか材料費等の実施経費とか、あるいは推進委員会の経費、そして学校に行く必要も出てまいりますので、スクールバスの運行委託費というようなものを特殊教育諸学校分として地方交付税で措置をしております。  現実に都道府県教育委員会におきましては、こういう財源措置を活用いたしまして、地域や児童生徒の状況に応じましてきめ細かな対応をしていただいていると思っておりますし、私どももさらなる指導をしていかなければいけない、このように考えております。

濱田健一日本社会党・護憲民主連合

○濱田(健)委員 お金の面とか施設の面というのは努力はしていただいていると思うのですが、養護学校に通う子供たちというのは、一つの養護学校にいろいろなところから通ってくるわけですね。だから、自分の地域に帰ってそこで生活するときには、同じ仲間というのは一人だとか二人だとか三人だとかいう少数になってしまって、その地域の中で障害を持っている子供たちに視線を当てた形での土曜日の対応の仕方というのがなかなか見えてこないという状況があって、私が先ほど申し上げたような話になっているのだろうと思うのですね。  ぜひ地方の教育委員会等にも、そのような視点でも注意深く子供たちを見ながら対応していただくように、御指導をよろしくお願いしたいというふうに言っておきたいと思います。  もう一点ですが、これも若干受け皿との関係なんですけれども、土曜休業日の部活動が勝利至上主義の中で過熱してきている実態も、自分の子供たちを含めて若干見えるのです。中学校の全国レベルの大会というようなものがさまざま進んでくる中で、この是非は私は問いませんけれども、このような状況についての認識はどのように持っていらっしゃるか、お願いいたします。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 土曜日が休業になったための部活動の状況ということでございますけれども、文部省の調査によりますと、小学校で約三割、それからほとんどの中高等学校で部活動を実施しておりますけれども、これを休業土曜日ということで見てみますと、ほとんどの小学校で原則として部活動を行っておりません。そしてまた、八割以上の中学校、四割程度の高等学校でも原則として休業土曜日については部活動を行っていない、こういうような状況になっております。  そういうようなことから、土曜日が休業日となったために部活動が特に過熱になったというふうな認識は持っておりませんけれども、やはり部活動が適切に行われるようにしていくことは大事なことでございますので、その辺につきましても私どもとして十分指導してまいりたいと思っております。

濱田健一日本社会党・護憲民主連合

○濱田(健)委員 学校現場から上がってくる調査というのは、原則という形で実態を伴っていないという状況がありますので、私の見ています鹿児島の状況は、先生の意識として、この日の趣旨といいますか、月の第二土曜日の趣旨に基づいて部活はやらないというふうにきちっと区切りをつけている方もいらっしゃるようですけれども、全般的に見て部活をする日という傾向も、クラブスポーツのなかなか進んでいない田舎では多いのですよ。だからその辺の部分も、もう少し中身を伴った実態というものを把握していただく必要があるなというふうに今お聞きして感じました。  もう一点ですが、昨年の十二月二十九日の新聞だったと思うのですが、文部省は隔週学校五日制の九四年度からの導入を見送ることを発表されました。その理由の一つに、私立学校での導入がおくれているということを挙げていらっしゃいますが、私立学校のこの五日制の現時点の進捗状況をお知らせください。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 月二回の学校週五日制の実施時期についてのお尋ねもございました。それで、今私立学校での導入のおくれが理由ということで挙げられましたが、実は、私どもは当日文部大臣のコメントも出させていただきましたけれども、この中では、月二回の学校週五日制を実施した期間が短いこともあって、今後研究を深めるべき課題も残されており、平成六年度の四月以降も引き続き研究を推進したいということで、私どもとしては直接的に私立学校ということを考えてはおりません。  ただ、学校週五日制の導入の趣旨ということを考えますと、私立学校におきましてもできるだけ公立学校と歩調を合わせて学校週五日制を導入していただきたい、こういう気持ちは持っておるわけでございますが、それではこれが全部実施できないと次のステップに進めないのかというと、そのような論理必然の関係の問題ではないのではないか、このように考えております。  それで実施の状況でございますが、平成四年九月に調査したものと平成五年四月に調査したものがございます。両者を比較しますと、例えば高等学校ですと、平成四年九月が三二・七%、これに対して平成五年四月が五一・一%、中学、小学校につきましても同じように、平成五年四月の方が導入が進んでいる状況が見られます。しかし、まだ導入につきましての検討が行われていない私立学校もございますので、平成五年の九月十日付で各都道府県知事あてに調査結果を通知いたしました。そして、主管部課長会議等を通じまして指導方をお願いしているところでございます。

濱田健一日本社会党・護憲民主連合

○濱田(健)委員 次に、先ほども申し上げましたけれども、いろいろな調査から、九〇%の子供たちが土曜休業日ができてよかったというふうに述べているようなんですが、それでは日常の学校生活はどうかというふうに翻って考えてみますと、もともと学校五日制というものを想定していない現学習指導要領の中で、やはり学校現場は、学力水準の維持とか標準時数の確保というのが優先されて、論議不足等も加わった中での時数合わせとか、安易に学校行事を削るとか、カットされた授業をほかの日に上乗せするというような形で、逆に過密になっている。そして、先生たちは多忙化という状況を生み出されている。  そういう中で、実際私たちが願っている子供や教師間の心の通いとか、ゆとりとか、潤いとか、そういうものが逆に奪われてきているというような報告等もなされているわけなんです。やはり隔週二日に持っていくためにも、学習指導要領の改訂というものの方向を早く模索しなければならないというふうに私は思うのですが、その辺の見解をちょっとお聞かせください。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 この学校週五日制を導入するに当たりましては、果たしてどういう方法がいいのかといろいろな研究も行われました。これは、あるとき急に完全に学校週五日制を実施すると申しても、国民の一般の方々の御理解もなかなか得られない。なぜそうするのか、学校の教育内容を一体どうするのか、あるいは子供の学力をどうするのか、いろいろなことが当然起きてくるだろう。そういうことを考えますと、この問題につきましては段階的に実施をしていくことが一番いいのではないかということで、現在、月一回の学校週五日制を実施しているわけでございます。  私どもは、この月一回の段階的実施というのは、単に月一回を過ぎたら次に月二回という意味の段階的実施とは考えておりませんで、その間にいろいろな問題をそれぞれの地域で考えていってほしいという気持ちを込めているわけでございます。明治以来の長い歴史の中で、それぞれの地域の御要請も各学校には来ておるわけでございますから、そういうものをこの月一回の実施の中で解決していく、そういうことが当然大事でございます。  いずれ月二回の段階ということになりますと、先生御指摘のように、現在の学習指導要領のもとで実施するわけでございますから、月一回のときよりもさらにいろいろな面での工夫が当然必要になってくるわけでございます。そういう工夫をすることによって、それが将来の学校週五日制の完全実施というものにつながっていくし、そういうことによって円滑な完全実施の道が開かれるのではないか、こう私どもは考えておるわけでございます。  月二回用の学習指導要領をつくるとか、そういうことは現実問題としてなかなか難しいので、私ども、完全実施のときには今の学習指導要領のままでいいとは考えておりませんけれども、かといって、それじゃ月一回用の学習指導要領だ、月二回用の学習指導要領だというようなことでこの問題に対処するということはいかがなことか、このように考えておる次第でございます。     〔委員長退席、輿石委員長代理着席〕

濱田健一日本社会党・護憲民主連合

○濱田(健)委員 月二回用の学習指導要領をつくれと言っているわけじゃなくて、そういう方向で、十年に一回ということじゃなくて、早くこれに持っていけるような作業を進める準備をしていかなくてはならないのじゃないですかということを申し上げているわけですので、御理解をいただきたいと思います。  先ほども、昨年十二月の九四年度からの見送りという部分で私が認識していない説明をしていただいたわけですが、やはり一番の問題点というのは、いかに学校の行事を減らしたり、授業時数の組み合わせとかカット授業の上乗せというのをやってみても、指導要領の中身というものをきちっと定着させるという文部省の指導の中で、学校現場はきゅうきゅうになっているというのが今の実情だ。その辺、文部省の皆さん方はもうおわかりになっているのじゃないかなというふうに私は思うのです。  それでこの十二月の見送りというものが一つの中身として出てきたと思うのですが、四月十日に全国連合小学校長会が教育改革研究委員会の調査結果として、五五%が月二の対応可能、そして三〇%が完全実施を希望するという数字が出てきているわけですね。この辺が私が先ほど申し上げた指導要領との関係で若干食い違いがあると思うのだけれども、現場はやはり土曜休みというものが、子供たちにとっても先生方にとってもいいのだということの認識が大分高まってきているという状況があるという証拠だと思うのですね。  それにもう一つつけ加えますと、平成四年六月三十日に閣議決定された「生活大国五カ年計画」へ宮澤首相のときだと思うのですが、「労働時間短縮に向けた条件整備」の中で、学校五日制については「段階的な拡大を図る。」というふうな文言があるわけです。平成四年に月一を入れ、そして、ことしはちょうどその真ん中の年。この大綱は平成八年までに完成するというような形になっているわけですけれども、そろそろ月二回の休みに向けた方向というものを決断する時期というものが来ているのではないかというふうに思うのですが、その辺はどうお考えですか。     〔輿石委員長代理退席、委員長着席〕

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 これは先ほどお話がございましたように平成四年の九月、年度途中から導入したわけでございまして、平成四年度はもう既に週六日制の授業計画が決まった中でこれを組み込んだということで、各学校いろいろな御苦労があったように聞いております。  平成五年度が年間を通じての実施ということでございまして、状況としましてはおおむね順調に進んでいると思っておりますけれども、平成五年度中の研究状況というものを取りまととめて、その上でこれらの研究成果などを見ながら適切に対処したい、このように考えておりまして、現在この平成五年度中の研究状況の取りまとめ、こういうところに着手をしたところでございます。

濱田健一日本社会党・護憲民主連合

○濱田(健)委員 先ほど、最初の質問で回答してくださったとおりに、問題点というのは大体浮かび上がってきていると思うのですね。そして、学校現場も事務局の方も、それを乗り越えるための努力をしながら現在進行形ということで、小学校の校長さんたちも五五%が二回は可能だという状況になっているわけです。  やはりこのことは国民の多くが望んでいることですし、きょうの本会議でありましたとおりに、土曜休みというのは公務の方も大分進んでくるということも含めて、お父さん、お母さんたちが、なぜ子供たちが休みでないのという状況のところまで少しずつ来ているところですので、ぜひ月二回という状況を進めてもらうように強く要請をしておきたいと思います。  それじゃ、先ほどの平成四年六月三十日の「生活大国五か年計画」の大綱で、平成八年までに段階的にという部分が入っているわけなんですけれども、完全学校五日制に向けてのプロセスといいますか、文部省が描いていらっしゃるプロセスというものがありましたら、それをちょっとお知らせ願いたいと思います。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 現在のところは、月二回の学校週五日制について、これをいっそういう形にするかということで研究をしておるわけでございます。それで、最終的なねらいとしましては、毎週土曜日を休みといたします学校週五日制ということになるわけでございますけれども、これは学習指導要領の改訂が必要でございます。  学習指導要領の改訂につきましては、教育課程審議会等いろいろな手続を経てこれを実施しなければなりません。そしてまた、これからの世の中が学校教育にどういうものを期待していくのか。とにかく土曜日の授業時間が全部なくなるわけでございますので、必然的に授業時数の削減になるわけでございます。これは総論賛成なんですが、各論になりますと大変いろいろな議論が出てまいりますので、学校教育というものの基本的な考え方、世の中の方々の動向というものも見ながら検討していかなければならない、このように考えております。

濱田健一日本社会党・護憲民主連合

○濱田(健)委員 それでは、五日制について最後の質問にしたいと思うのです。  本日、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律案、これが全会一致で衆議院の本会議を通過したわけですが、週四十時間労働制を柱とする労働基準法の改正を受けて、政府は昨年末に省令や政令を決定をしたと思います。  これによると、一部を除き九四年四月からという形になっておりましたが、四月からは実施できなかったわけですけれども、週法定労働時間を四十時間適用とし、中小企業に対する猶予措置も九七年三月で廃止されることになったと思います。しかしながら、教職員は労働基準法の特定業種に該当しないにもかかわらず、学校五日制が実施されていないということを理由にして、当分の間、一週間について四十四時間、一日八時間労働で、その場合の変形労働時間は一カ月単位というふうになっていると思います。  それで、文部省の方も、まとめ取りにかかわる通知を出しておられると思うのですね。学校五日制が実施されてないから先生たちも休めないじゃないかということで、ぶった切られてしまうと困るわけですが、常識的に考えて、いわゆる週休二日制というものは、土曜日と日曜日に休んで、そこで週末の計画を立てるということが基本なのでありまして、長期休業中にまとめ取りをするということは本当に変則だというふうに思うのですね。  それで、学校現場の先生方の声というのは、まあ皮肉なのかどうかはわかりませんが、事務局は休んで、教育委員会は休んで、現場で必死に頑張っているおれたちだけは月一回かというような声も上がってきております。まあそんな言わずに頑張ろうやというふうに私たちもハッパをかけているわけですが、この部分等も含めて、何らかの形でバイパス的な休暇のとり方というものを文部省は考えようとしていらしゃらないのか。  この条文については、看護婦さんとか刑務所の看守さんたちも同じようなレベルに置かれていると思うのですが、その辺のことを研究されている状況はないのかどうか、ひとつお聞きしたいと思います。

井上孝美文部省教育助成局長

○井上政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生が御指摘のように、平成六年四月から労働時間を週四十時間とする労働基準法が改正された際に、教育職員につきましては、政令、省令により、週四十四時間まで労働させることができるとする特例措置が設けられているところでございます。現在、公立学校におきましては月一回の学校週五日制が実施されており、毎月の第二土曜日は学校の休業日でございますが、それ以外の土曜日には児童生徒が登校し、授業等が行われているところでございます。  公立学校教育職員の週四十時間勤務制につきましては、学校における教育活動の円滑な実施への配慮が必要であることから、学校週五日制の休業土曜日を勤務を要しない日とするとともに、夏休み、冬休み等の長期休業期間中に休むいわゆるまとめ取りにより、五十二週間を平均して、週当たりの勤務時間が四十時間となるように勤務時間を割り振ることにより、実施しているところでございます。  したがいまして、学校週五日制を実施している週につきましては週四十時間でございますが、それ以外の週については週四十四時間となっている実態を踏まえて、労働基準法の政令、省令におきまして、教育職員について特例措置が設けられたものと承知をしているところでございます。教育職員の労働時間の取り扱いについては、今後の学校週五日制の状況を踏まえまして、適切に対処してまいりたいと考えております。

濱田健一日本社会党・護憲民主連合

○濱田(健)委員 五十代の先生たちが、おれたちが現職の間に完全学校五日制が来るのかな、逆に言うと、自分たちも世間の人たちと同じように土曜、日曜休みという時代が来るのかなというふうな淡い期待というか、願望をお持ちですので、子供たちにとっての学校五日制、そして先生たちにとっての週休二日等という表裏一体として、ぜひ文部省サイドも進めていただくようにお願いをしたいというふうに思います。  大臣の所信にも「国民一人一人がゆとりと潤いの中で多様な個性を発揮し、自己実現を図ることができるよう」という文言があります。学校五日制は、まさに子供たちにとっても教職にとっても、これを実現するためのシステムだというふうに皆さん御理解いただけると思うのです。  私は、一番のネックは現行の学習指導要領、この中身がそのままで授業する時間が削られていくということに現場の中では矛盾が出てきているということを感じますので、質的にも量的にも変えていく方向性というものを早く模索をしていかなくては、準備ができていかないよというふうに申し上げておきたいと思います。  ぜひ今の時点での大臣の、とりあえず隔週二日制に向けてのお考えといいますか、決意というものをお聞かせ願って、この質問を終わりたいと思います。お願いします。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 学校五日制の意義につきましては、もう繰り返して申し上げる必要がないと存じます。ただいまるるおっしゃったり、あるいは私の所信の中で述べたとおりでございます。これを着実に進めていくということが大事だというふうに命思っております。完全にそれを実施するという方向に向けて、後戻りをしないように進めていくというふうにいたしたい。  そして、そのことが教育水準の低下を招かないようにということも、同時に大事なことであろうと存じます。そのためには、やはり一歩一歩前に進んでいくということでいたしたいということを考えているということで、まことに基本的なことでございますが、細かいことは政府委員が既に御説明いたしましたので、そのような基本的な考え、これは進めていく。後戻りは決してしないということで、しかし、いろいろな状況を見ながら、弊害が起こらないように実質的に実行していきたいというふうに思っております。

濱田健一日本社会党・護憲民主連合

○濱田(健)委員 ありがとうございました。時間がありませんので、次の質問に移りたいと思います。  子どもの権利条約についてお尋ねをしたいと思います。  正式には児童の権利に関する条約となっておりますけれども、いわゆる十八歳以下の子供たちにこの条約は適用されるということで、私たち文部省関係といいますか、そういう職業についていた人間、そして本庁の皆さん方を含めてここにいらっしゃる皆さん方、十八歳以下の子供たちということを現場の感覚で呼びますと、幼児、児童、生徒、学生となると思うんですね。それを一くくりにして児童の権利に関する条約というふうになぜ外務省がまとめたのか、私はいまだにわからないわけです。  それで、きょうも質問させていただく中では子どもの権利条約というふうに言わせていただきますが、大臣はこの児童の権利条約という日本語訳、今私が言ったような違和感はございませんか。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 条約の名前というのは、ほかの条約あるいはほかの法律との整合性ということを外務省、あるいは外務省というよりもむしろ法制局かもしれませんが、大変厳しく言われるわけでございまして、この場合は児童ということになったわけでございますが、私ももう一つ、女子差別撤廃条約というのをあれしたときにも、今ごろ女子かしらと思ったのですが、あれもやはりほかの法律との整合性からいって女子であるというので、まあそんなことで余りごたごた言うと、批准が先へ延びたりするのもうまくないということで、じゃ、女子でという経験もございます。  だけれども、これは子どもと言っていけないということは何もないわけで、条約としては、例えば条約集に載せるとか正式のときはあくまで児童だと思いますが、呼び名として子どものというふうに今先生がおっしゃったように言われたからといって、それは間違いだとか、それとは違うものだとか何を言うつもりは全然ございません。

濱田健一日本社会党・護憲民主連合

○濱田(健)委員 ありがとうございました。先に進みます。  五月の二十二日にこの子どもの権利条約が発効したわけですが、政府訳を三カ所訂正させて発効したわけです。  条約の第十二条、意見表明権に象徴される、保護の対象から権利の主体という子供観を図らなくてはならないというふうに私自身は強く思っているわけですけれども、発効の二日前に、五月二十日に出された文部省のいわゆる通知を読むと、何か私にとっては、本当に学校を子供たちを尊重するものに改革しようとしている様子が見えない、疑問符を打たざるを得ないというふうに考えたわけです。  例えば通知の四項目、校則についてこう記述されていると思います。   本条約第十二条から第十六条までの規定にお  いて、意見を表明する権利、表現の自由につい  ての権利等の権利について定められているが、  もとより学校においては、その教育目的を達成  するために心要な合理的範囲内で児童生徒等に  対し、指導や指示を行い、また校則を定めるこ  とができるものであること。   校則は、児童生徒等が健全な学校生活を営み  よりよく成長発達していくための一定のきまり  であり、これは学校の責任と判断において決定  されるべきものであること。 あとはもう省略したいと思いますが、「これは学校の責任と判断において決定されるべきもの」というここなんですけれども、やはりこの意見表明権その他の部分も含めて、私はせめて子供たちの意見や要望も取り入れながらというふうに文部省の皆さん方の表現がならないのかなというふうに感じているところなんです。  そしてまた、第五項目はこう書いてありますね。   本条約第十二条一の意見を表明する権利につ  いては、表明された児童の意見がその年齢や成  熱の度合いによって相応に考慮されるべきとい  う理念を一般的に定めたものであり、必ず反映  されるということまでをも求めているものでは  ないこと。 私はここでも、ぜひ文部省の皆さん方が、子供が一つの人格として表現した意見を正当に位置づける努力が必要だというくらいの文章を書いて出していただきたかったなというふうに思うのですが、本当にこの条約というものを文部省側として実効あるものにしようという気持ちがあるのかどうか、この辺の私の疑問符を重ね合わせながら、ちょっとお答え願いたいと思います。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 この通知の前文の部分を読んでいただきますと  児童の人権に十分配慮し、一人一人を大切にし  た教育が行わなければならないことは極めて重  要なことであり、本条約の発効を契機として、  更に一層、教育の充実が図られていくことが肝  要であります。 ということで、私どもとしては、条約の趣旨というものを十分受けとめてこの通知を出したつもりでございます。  今先生御指摘の点がございましたが、実は児童の権利に関する条約については国会でいろいろな議論がございました。やはりそういう国会での議論というものをそれぞれの関係の方々にも十分理解をしていただく必要があるだろう、そういうことを込めましてこういうような通知を出させていただいた次第でございます。

濱田健一日本社会党・護憲民主連合

○濱田(健)委員 前文には確かにそのように書いてあるわけなんですが、具体として出ているこの八項目、非常にここはいいなとか、先ほど申し上げたように、少し考えさせられるなという部分もあります。  これが現場におりたときに、学校の先生たちが、ああ校則も今まででいいんだ、子供たちの意見を聞く教師としての態度も今まででいいんだということでは、何ら変わりようがない、発効した意味がないというふうに私は思います。そういう意味で、これから文部省として指導されていく中で、このことの徹底をといいますか、私が申し上げたような趣旨というものをぜひ織り込みながらやっていただきたいというふうに思います。  具体的な部分について若干御質問をします。  平成六年度予算案が今まさに衆議院では終局を迎えていこうとしているわけですけれども、この子どもの権利条約に関する予算として、どのようなものがどのような費目で計上されているのか、その辺おわかりでしたら、外務省予算、文部省予算、どちらとも私は知っているのですが、一応教えていただきたいと思います。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 主に条約の広報、周知ということが大事であろう、こう思うわけでございます。文部省段階におきましては、各種の広報資料あるいは研修会、連絡会、そういうものがございます。そういうような場を活用してこの周知を図っていくということで、新たな予算措置を講ずるというようなことは考えていないところでございます。

濱田健一日本社会党・護憲民主連合

○濱田(健)委員 外務省はいかがでしょう。

國方俊男外務省総合外交政策局国際社会協力部人権難民課長

○國方説明員 お答え申し上げます。  私どもはこれまでも、例えば広報誌でございますとかあるいは定期刊行物、ラジオ、テレビ番組、あるいは講演会などを通じまして、この条約の意義、内容等につきまして紹介、普及に努めてきたところでございまして、五月二十二日にこの条約が発効したことを受けまして、外務省の広報予算の中から、この条約の意義を幅広く周知させるために適切な広報活動を行いたい、このように思っております。

濱田健一日本社会党・護憲民主連合

○濱田(健)委員 そのような形で、予算らしい予算はないという状況だというふうにわかっております。五月二十二日に発効したという状況の中で、補正でも結構ですし来年度予算でも結構ですので、ぜひ広報を含めた、この子どもの権利条約が徹底できる、国民に知らされるという状況をどうつくっていくのか、努力を願いたいと思います。  四月でしたか、ある先生たちの、百四十人か百五十人ぐらいの教育研究集会に伺ったときに、私が見ておりましたら、一人の先生が、子どもの権利条約について知っている人というふうに先生たちに尋ねました。そうすると、知っている人という意味がいろいろありますので、いろいろな受け取り方があると思うのですが、一人だけ手を挙げました。その中身をというふうに受け取ったのかどうかちょっとわかりませんけれども、それだけ現場の先生たちも、このことについて、言葉としては知っているけれども、中身というものを知らない状況というのがまだまだあるというふうに、私はそのときその場面に遭遇して思いました。  それで、文部省としては、学校現場や教職員にこの条約の広報体制を、今少し出たと思うのですが、どのように具体的にされていこうとするのか、都道府県教育委員会への指導はどのようにされるのか。具体的に学校現場や教育委員会等がされる研修体制の中に周知徹底できるように、どのように組み込まれていこうとお考えなのか、お答え願いたいと思います。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 これは、今先生もお話の中にございましたように、ある研修会だけでといっても限定をされてしまいます。私どもは、できるだけ幅広くいろいろな広報資料とか刊行物、そういうものを使ってこれを周知をしていくということが大事だ、こう思っております。したがって、そういう意味では、特定のこれをすれば済むのだというふうな押さえ方をしていないわけでございます。  それから、一人一人の先生方に対するいろいろな研修につきましても、特定の研修の場でやれば済むというふうには押さえておりません。初任者研修とかいろいろな研修の場が既に用意されております。そういう場でこの条約の趣旨とか内容について周知をしていくことも大事です。また、教育委員会の段階におきましてもいろいろな研修の場があるわけでございますので、教育委員会の担当の方々あるいは教育長会議等でこういうものの周知につきましてのお願いをしてまいりたい、このように思っております。

濱田健一日本社会党・護憲民主連合

○濱田(健)委員 時間がありませんので、急ぎます。  五月二十日に出された通知は、条約発効に伴う現場の指導体制について出されたというふうに思うのですが、国連子供の権利委員会でも話が出ているように、条約に関する教育というものを教育課程の中にどのように組み込んでいかれようとしているのか、お知らせを願いたいと思うのです。  先ほど輿石先輩の教科書の話を聞きながら、教科書の中に政府広告としてこの条約の中身を盛り込んでいくとか、そういうことなども考えられるのじゃないかな。  もう一つ余計なことですが、教科書が安くて教科書会社が困っているということであれば、教科書に広告を載せる。検定ではありませんが、文部省がこういう広告だったら子供たちに役立つというようなものなんかも取り入れられたらいかがかなと、先ほどの話を聞きながら思ったのですが、これは余計なことです。それもぜひ大臣にもお考え願いたいと思うのですが、教育課程にどのように組み込んでいかれようとお考えか、お願いいたします。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 先ほどのお話に出ました事務次官通知の中でも触れておりますけれども、教育活動全体を通じて基本的人権尊重の精神を一層徹底していくことが大事だ、こういうふうに触れておるわけでございます。したがって、特定のどの部分でこの条約について触れるか、これはむしろ各学校でそれぞれ御判断をしていただくということだと思いますが、基本はやはり教育活動全体を通じての課題である、こういう押さえ方をしております。  そしてまた、各学校におきまして具体的にどういう形でこれを指導するかということにつきましては、従来から指導あるいは教材の取り上げ方、そういうようなことにつきまして文部省が個別に指示するということはしておりません。やはり各学校で創意工夫をしていただくということが大事じゃないかと思っております。  教科書についてのお尋ねもあったわけでございますが、教科書におきましては、既に中学校の社会科、これは公民的分野でございます。あるいは高等学校の現代社会、政治経済、家庭一般などの多くでこの条約を取り上げているところでございまして、学校におきましては、これらの教科の時間、あるいは道徳とか特別活動等におきまして取り上げられていくのではないかと思っております。  なお、教科書についてどういうことを記述するかということは、まさにこれは執筆者に任されていることでございまして、従来、文部省から教科書についてこういうことを書けというような、内容について指示をするというようなことはございません。

濱田健一日本社会党・護憲民主連合

○濱田(健)委員 先ほど余計なことだと言いましたが、隣の委員がそれはいいことだとおっしゃいましたので、教科書会社が単価が安くて教科書をつくらないという状況を克服する意味でも、政府の広告とかまじめな広告を教科書に掲載させて、いわゆる教科書会社に入っていくお金の中身というものを高くしていくこともぜひ考えていただきたいなというふうに思います。  次に、いわゆる条約を批准していくという意味で、今までは外務省がこの子どもの権利条約についてはかかわってきたわけですが、これから先の文部省と外務省との連携というものについて、例えば今外務省でポスター等をつくっていらっしやると思うのですが、どのようにすり合わせをしていかれるのか、その辺を両省からお聞かせください。

國方俊男外務省総合外交政策局国際社会協力部人権難民課長

○國方説明員 お答えいたします。  五月二十二日にこの条約が我が国について発効いたしまして、先生御指摘のとおり、今後の広報が大変重要でございますが、条約の広報につきましては、外務省といたしまして、今後とも関係省庁と協力しながら、政府全体としてさまざまな手段を通じまして、適切な広報を行っていくこととしているところでございます。特に教育現場などにおきます広報につきましては、文部省の方と緊密に協議しながら、小冊子の作成、配布ということを考えておる次第でございます。

野崎弘文部省初等中等教育局長

○野崎政府委員 今外務省の方からも答弁がございましたように、わかりやすい子供向けのリーフレット、こういうものを外務省において準備をしているもの、このように承知をしておりまして、文部省といたしましても、その作成に協力をしていきたいと思っています。また、教育委員会あるいは学校への配布等につきましても、積極的に協力をしてまいる所存でございます。

濱田健一日本社会党・護憲民主連合

○濱田(健)委員 ありがとうございました。時間が来ましたので最後の質問にさせていただきたいと思うのです。  第四十四条で、子どもの権利条約の締約国は、国連子供の権利委員会に対して、条約発効後二年以内に、「この条約において認められる権利の実現のためにとった措置及びこれらの権利の享受についてもたらされた進歩に関する報告を国際連合事務総長を通じて委員会に提出することを約束する。」というふうに定められているようです。そして、国連子供の権利委員会が採択したガイドラインは、条約実施のための政策調整機関と条約監視機関を設けることを締約国の実施義務としておりますが、これへの関係省庁の対応はどのようにされようとしておるのか、最後の質問としてお聞きしたいと思います。

國方俊男外務省総合外交政策局国際社会協力部人権難民課長

○國方説明員 お答え申し上げます。  先生が今御指摘になりましたガイドラインは、各締約国が提出する最初の報告書に記載すべき事項を統一することにょりまして、児童の権利に関する委員会によります報告書の検討を容易かつ効果的たらしめることを目的とするものでございます。  このガイドラインは、締約国が提出いたします最初の報告書におきまして提供する情報として、各締約国の現行の主要な立法、司法、行政上などの措置、条約の規定の実施に当たって直面する困難及び達成された進展、将来の目標などを掲げておりますが、そのうちの一つといたしまして、児童に関する政策調整及び条約実施のメカニズムについての情報の提供を求めているものでございまして、御指摘のございましたように、機関を新たに設置することを求めているものではないと考えておる次第でございます。  いずれにいたしましても、我が国につきましては、報告書を提出する過程におきまして関係の行政機関が緊密に連絡をとる、そういうことを通じまして条約を効果的に実施し、また履行状況を十分チェックすることができる、このように考えております。

濱田健一日本社会党・護憲民主連合

○濱田(健)委員 一時間にわたって二つの点についてお聞きしたわけですが、学校五日制にしても、子どもの権利条約の発効というこの時点にしても、子供たちのこれからの生活がどのように変わっていくのか、やはり私たち大人の責任として、両方とも非常に前向きにといいますか、正しくとらえながら対応していかなくてはならないというふうに思いますので、一番中心として頑張ってもらわなくてはならない文部省の皆さん方にぜひ前向きに取り組んでいただきたいということをお願いして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。

嶋崎譲日本社会党・護憲民主連合

○嶋崎委員長 山原健二郎君。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 初めに、文部大臣に伺います。  私の経験では、非政党員の文部大臣は、昔は天野点祐さんなどおりましたけれども、永井道雄さんと赤松さん、お二人だと思います。非常に自由な立場で物を言えると思いますので、よろしくお願いします。  昨年の十一月十九日の本委員会で、大臣は次のように答弁されております。「私の、昭和一けたでございまして、戦争の記憶というのが非常に、それこそぞっとするような記憶があるわけでこというのが最初の言葉ですが、それに続いて召集令状のこととか出ております。「私どもの世代はこの戦争中の重い思い、戦争の悲惨さ、その非人間性というものを後世に伝えなければいけないという気持ちがずっとしております。」「繰り返したくない、繰り返してはならない」「だから、機会があればそういう戦争の悲惨さ、非人間的であったということを言うべきだというふうに思っているものです」こういうふうにお答えになっておりますね。これはいわゆる丸坊主発言に関連した問題だと思います。  これは非常に感銘深い御発言だと私は思っておりまして、私自身も直接戦争というものを体験した者としまして、戦後教師になりまして、戦争の悲惨さ、非人間性を後世に伝え、絶対過ちは繰り返してはならない、こういう気持ちで教育の場に立ってまいりました。そういう意味では思いは一緒だと思いますが、この点について大臣のお気持ちはお変わりないというふうに判断してよろしいでしょうか。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 そのときの言葉は、今も全く変わっておりません。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 それでは、一九三一年に始まりました満州事変から十五年戦争、これについてどういう御認識を持っておるかということでございます。侵略戦争であったというふうにお考えになっておるかどうか、端的に伺っておきますが、この点いかがでしょうか。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 いわゆる十五年戦争と言われているとおり、長い、いろいろな局面があったと思います。  例えば、中国に対する日本の起こした戦争はまさに侵略戦争の名にふさわしいというか、ふさわしいと言うと褒めたように聞こえますから適当でないかもしれません、まさに侵略戦争と言えるのではないかと思いますが、十五年の間にはまた別の局面もあるわけでありまして、その後、今度は別の方面に進出をいたしましたが、戦争の相手方は必ずしもその場所に住んでいる方ではなくて、そこを前から植民地として支配していたほかの国の軍隊と戦争したわけです。これは中国に対する戦いとやや性格を異にしているのではないかという気がいたします。  それからまた、最後の一九四五年の八月に、今度は北の方から別の国が、向こうの方からどっと入ってきたという状態がございました。これは日本がその国に対して侵略したわけではなくて、たしかあれは不可侵条約がまだ有効だった時点ではないかと思いますが、不可侵条約は破られてその軍隊がこちらの方に侵攻、我が国の軍隊が占領していた場所に入ってきたという事実はございます。  こういうふうにいろいろな局面がございますから、十五年金部を一括して侵略戦争と言うのは正確性がやや欠ける面があるのではないか。  そこで、私自身はどう思っているかといえば、やはり侵略行為があった、あるいは植民地支配があったというふうに言えば、これは全くそのとおりであって、正確であろうというふうに考えております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 これは大変重要な問題でして、世界史をどう見るかという問題とも関連してまいりますけれども、今おっしゃるのは中国に対する侵略、そしてもう一つの面は、例えばマレーシアあるいはインドネシア、それからビルマ、フィリピンというふうに行われたのは、植民地であったものに対して進んでいったという大変複雑な表現であります。  これは非常に大事なことなので、これから教育する上におきましても、また教科書の面から見ましても、ちょっと申し上げますと、もう御承知だと思いますが、これは小学校六年生の教科書でございます。これは「日本のあゆみ」というのですが、これには「十五年もつづいた戦争」「中国への侵略」、こういうふうな大きな見出しが出ておりまして、本文も   一九三一年九月、満州に駐屯していた日本軍  は、中国軍のしわざと見せかけで南満州鉄道の  線路を爆破し、各地で中国軍を攻撃しました  (満州事変)。そして、満州全土を占領すると、日  本は、よく年、ここに満州国をつくり、この国の  政治の実権をにぎりました   中国は、これを日本の侵略だとして、国際連  盟にうったえました。 こういうふうになっております。そして、「日本は、中国をどのように侵略していったのでしょう。」という問いがございます。  「新版社会六上」でも「中国大陸への侵略となっており、「太平洋戦争のはじまり」の項では「日本軍は、豊かな資源を求めて、東南アジアヘの侵略もはじめたのです。この戦争は、太平洋戦争とよばれています。」となっています。そして、ポツダム宣言を受け入れて降伏した、こういうふうになるわけですね。  小学校六年生でこのように、あの十五年戦争は侵略戦争だというふうに教科書で教えることになっておりまして、日本の文部行政の長である文部大臣がなぜ侵略戦争と言えないのかという点が疑問になってくるわけですが、その点について御見解を伺っておきたいのです。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 教科書は、私はきのうもたしか予算委員会で答弁いたしておりますが、いろいろな種類の教科書がございまして、決して一種類の記述ではないというふうに記憶いたしております。  それで、五十七年の「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること。」といういわゆる新しい条項が入りましたので、その後はこの二点について、侵略という言葉を避けて進出というような記述にしろというような意見は付さないということにしたところでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 ちょっと複雑になりますから、これ以上もう申し上げるつもりもありませんけれども、六月一日の所信表明の中でも国際化の時代だというふうに言われておりますし、国際交流、真の国際連帯を図らなければならないというふうに大臣が所信でおっしゃったわけです。  ところが、戦後の出発点となったあの十五年戦争に対する基本認識が違っておりますと、これは本物の国際交流にはなりがたい面があるわけですね。例えば今、近代史あるいは現代史を重視すべきであるという意見があらゆる方面から出されておりますが、まさにこの点での理解が十分なされておらず、アジア諸国の青年との近代史、現代史の認識においてギャップが深いことが要因となっておりますと、この点で本当に真の国際友好、国際協調ということがなし得るかどうか。  アジアの教科書では、もう明らかに日本の侵略と抗日運動、日本が東南アジアを侵略した理由など日本の戦争犯罪を綿密に描きまして、いかに日本の侵略と戦ったかを描いているわけですね。こういう事実に基づいた共通認識があって初めて、二十一世紀を担う世代の国際交流というものは、上辺だけでなく、真の意味での友好のきずなの基礎になるのではないかというふうに思います。  そういう意味で、私は大臣に、十五年戦争は侵略戦争であり、絶対繰り返してはならない戦争であった、この立場に立って今後教育行政に当たっていただきたいという切なる願望を持っておりますからそのことをお尋ねしたわけですが、この点はいかがでしょうか。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 先生のただいまの御趣旨はよく受けとめております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 これはこの時間帯だけで問題の決着をつけられるような問題ではないと思います、今の御答弁から聞きますと。  次へ移ります。  今問題になっているサッカーくじについて質問をいたします。  六月一日付新聞を見ますと、サッカーくじ法案の大綱がスポーツ議員連盟、スポーツ議員連盟には私ども日本共産党は除外されておりますから入っておりませんが、一日の午前の役員会でサッカーくじ導入を柱としたスポーツ振興くじ法案の大綱を了承したと伝えております。文教委員長の嶋崎さんも副会長をされているから、その辺のことはよく御承知かもしれませんし、あるいは会議に出ておられなかったかもしれませんが、この一日に大綱確認、法案化の方向ということになったのかどうか、この点、委員長とうですか。六月一日に大綱が決定したのでしょうか。

嶋崎譲日本社会党・護憲民主連合

○嶋崎委員長 私が答えるテーマなのかよくわかりませんが、一日のスポーツ議連で、スポーツ議連の役員を、私は総選挙が終わりまして前の我が党の代表にかわって入りまして、まだ議連の会合、この間で二度目でございます。  しかし、日本のスポーツ振興の政策が、昭和三十五年でしたか、スポーツ振興法ができているにもかかわらず、以来国の予算で十分な措置がされてないということから、日本のスポーツ振興の条件が劣悪であるという判断に立って、緊急な対応をすべきだという審議が各党でかなり長い期間にわたって行われてきていたようであります。  そういうことから、昨年の十一月の議連の役員会に私が初めて出たときに、各党からこれを推進方の議論が出てまいりましたので、私の方の党は当時は反対の立場でございましたので、すべての党に徹底した議論をしていただいて事の方向を決める必要があろうということで、スポーツ議連の内部に専門の小委員会をつくることになりました。  その小委員会が随分長い議論を重ねたようでございまして、一日の日にその専門委員会の小委員会と申しますか、その小委員会で出た結論の報告がございまして、その報告の大綱を大筋において了承する、これを議員立法という形で推進をしていきたいという方向が決まっております。  そこまでです。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 結局、六月一日のスポーツ議連の役員会で大筋了承という格好だと思います。  ところで、五月三十一日付の毎日新聞の夕刊を見ますと   日本PTA全国協議会は三十一日、赤松文相  にサッカーくじ反対の陳情を行ったが、文部省  が事前にくじ制度を説明する異例の「懇談会」  を開催し、そのために反対陳情が六日間も遅れ  た。PTAの動きを知った文部省が呼びかけ費  用なども文部省が負担した。議員立法として進  められているくじ構想に行政が積極的に「関与」  したことにもなり、疑問の声も上がりそうだ。 というふうに書かれております。この記事によりますと、「懇談会は三十日午後、東京都千代田区で開かれた。」となっておりますが、文部省主催でこのサッカーくじ法案について日本PTA協議会に対して三十日に説明会ないし懇談会を行った事実はありますか。

奥田與志清文部省体育局長

○奥田政府委員 先生今お話しの件ですけれども、私どもが承知しておりますのは、五月の三十日に日Pと文部省合意の上で、両者の間で意見交換といいますか、特に日Pの方々は、新聞報道等で大体の情報は得ている、より正確な情報が得たいというふうなこともありまして、私どもの担当者も知っている限りの情報を提供したいというふうなことがあって、この話し合いが持たれたというふうに承知をいたしております。  それから、先ほど費用の関係……

山原健二郎日本共産党

○山原委員 それでいい。あったということですね、事実はあったようですから。  何で文部省がこんな説明をしなければいけないのですか。この記事について日本PTA協議会に確かめましたところ、五月十九日にスポーツ議連のプロジェクトチームの案がマスコミで報道され、その中身について文部省から説明がしたいとの話があり、三十日に懇談会を持ったとのことでございます。この懇談会に文部省体育局の石川審議官が出席して、スポーツ議連の案について説明したということでございます。  スポーツ議連、しかも特定政党の集まりが進めていることをなぜ文部省から話を持ちかけて説明しなければならないのか。しかも、まだスポーツ議連として正式にまとめたものでもなく、少なくとも三十日の時点ではまだ議連においても了承されたものではなかったものでございます。それをどういう理由で文部省が説明をし、どういう立場で懇談会、説明会を開いたのか、簡潔に答えてください。

奥田與志清文部省体育局長

○奥田政府委員 私どもが承知しておりますところは、四月十五日に青少年育成国民会議主催の説明会が持たれまして、その席に日Pの関係者も出ていた。日Pの関係者は、その段階では十分な情報が得られないというふうな気持ちもあって、より情報が明らかになれば知りたいというふうな意向がそんたくされましたし、そして一方で、先ほど申し上げましたように新聞報道がなされ、日Pという社会的にも影響力のある団体でございますので、より正確な情報を得た上で態度を決定したいというふうな意向もあり、したがって、先ほど申し上げましたような会議を持ったというふうな経緯だと聞いております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 では、日Pの方から要請を受けたわけですか。赤松文部大臣、このことを知っていましたか。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 私自身は存じません。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 おかしな話ですよね。文部省という今回起案者でもないものが、しかもまだまとまっていないものを、誤解もあるので十分説明したいというような行為に出るということ自体が逸脱行為だと私は思います。  私は、二十五年この文教委員会におりますよ。意見の違いはあっても、日本の子供たちをどう育てていくか、必死でここで論議してきたのです。こんなギャンブルみたいなものをここで論議するなんて、私は本当に恥ずかしいよ。(発言する者あり)いや、ギャンブルだよ。こんなものをここで論議するということは、しかも文部省がその光やりをやるというのは、これは逸脱行為じゃないですか。聞いておきたい。

奥田與志清文部省体育局長

○奥田政府委員 五月三十日付で決定されたと思いますが、先生お触れになりましたけれども、翌三十一日に文部大臣に対して陳情という形で要望がございました。  その中身でございますけれども、御案内かと思いますけれども、日Pといたしましては、スポーツ振興政策については大事なこととして認識している、このため、サッカーくじを導入することについては慎重に審議すべき事項であるので、したがって、国会で議論される前にPTA会員に対し理解を求めるべき方策をぜひ講じていただきたいということを述べております。反対の理由の中にも、なぜサッカーでなくてはならないのか明確にしてほしい、あるいは十八歳未満の購入を制限するという意見があるようだけれども販売方法が明確でない、こういう点を知りたいというふうに述べております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 いわゆるスポーツ予算が少ないとか、いろいろな問題があることは私も知っています。それから今、十代、二十代の青少年を中心にしましてサッカーブームが大きくなっていますし、また、Jリーグのプロらしい技量とスポーツ精神が共感と感動を与えておることも知っております。  でも、サッカーくじが導入されるなら、勝ち負けにこだわる風潮が助長されることは事実です。健全な空気も一変することは予想にかたくないのですね。だから、サッカーくじ導入がスポーツのあり方をゆがめ、青少年に非常に大きな悪影響を及ぼすことへの懸念が、日本PTA協議会もそうした懸念を表明しているのですよ。(発言する者あり)私の発言じゃない、これはちゃんと書いてあるのだ。あなたはここで横におって、私が原稿を読んでおるから、他人が書いたものを読んでおるなんて言っておるけれども、そうじゃありませんよ。(発言する者あり)良識があるからこの問題を取り上げているのです。  それで、Jリーグをギャンブルスポーツにして、そして健全な発展をゆがめ、青少年に悪い影響を及ぼすなどということは、当然これは予想しなければならぬことでございまして、そういう意味で、もともと青少年に対する影響から文部省みずからギャンブル法案を提出することができないということから、スポーツ議連を動かしてこういうものができようとしているのではないかというふうな憶測すらなされているわけでございます。  だから、天下り機関の確保であるとか、新たな利権あさりでこういうことが出てくるわけです。(発言する者あり)これは新聞に出ているから……(発言する者あり)では、あなた、時間があったら議論しなさい、幾らでもやりますから。今後とも行動を慎重にすべきであることはもう間違いありません。(発言する者あり)  あなたが先やりに立っていることは知っているよ。でも、こんなことで、目の前に選挙もありますよ。本当にこういうギャンブルを許してよろしいか。この文教委員会でそんなことを、提案されたらここで審議しなければならぬけれども、私はそんな審議をする必要はないと思っていますから、おやめなさいというのが私の信義です。  当委員会でこういう問題が取り上げられるのは今度が初めてでして、本当に不愉快でもありますし、私どもが考えてきた文教委員会における文教行政の問題とは異質のものがここへ入ってきたという感じを抱かざるを得ないものですから、このことを取り上げているのですが、この点について文部省の見解を伺っておきます。

奥田與志清文部省体育局長

○奥田政府委員 先ほど委員長からもお答えがございましたけれども、私ども承知いたしておりますのは、スポーツ議員連盟におかれまして、六月一日の役員会で、地域におけるスポーツの振興等を目指したスポーツ振興施策と、その財源確保策としてのスポーツ振興くじの大綱についておおむね了承されたということを聞いております。  大綱におきましては、先生御存じだと思いますけれども、当選確率等の点でも射幸心を殊さらあおることのないような工夫をしているとか、十八歳以下の青少年へのくじの販売を制限することだとか、あるいは制度の透明性を確保することなど、広く国民の合意が得られるような配慮がなされているものと考えております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 きょうあたりの新聞、きのうの新聞を見ましても、この中に入っておる政党もあるわけですけれども、その中にも随分反対の意見も強いということも出ておりますし、それから全国PTA連合会というのは大きい組織でしょう。しかも、ひたすら子供の成長を願ってつくられた団体でしょう。ここは文教委員会、教育の、子供のことを論議する場所でありますからね。しかも、今度は地域婦人連絡協議会ですか、地婦連という大きな組織でもありますが、これは全国的な組織でしょう。そういうところが危惧の念を持って反対しておられるという事実があるわけですね。  これを進める勢力もあると思います。それは想像にかたくありませんけれども、しかし、さればといって、文部省としては、いや、もう少し慎重にやってくださいとか、もうちょっとお待ちなさいとか言うのが文部省の仕事だと思っておりますので、あえてきよう、これは提案が決められてから話し合ったのではどうにもなりませんし、その前に、こういうものはもう文部省としては受け付けませんというぐらいの姿勢を持って、日本の子供たちの成長を見守ってほしいということを私は申し上げておきたいのです。  これは今は少数かもしれませんけれども、必ず大きな国民の批判を受けますよ。全国のPTAの皆さんが、本当にこれでいいかどうか今研究もされておると思いますし、判断もされようとしておると思いますが、これは大変なことになるという危惧の念も持っておりますから、私はあえてきょうここで取り上げたということを認識していただきたいと思います。  三つ目の問題に入ります。  私学助成の問題ですが、昨年二月二十四日の本委員会での私の質問に対しまして、中林私学部長は次のように答えられました。   御案内のように、昭和五十年度から高校以下  の経常費助成金を設けておるわけでございまし  て、都道府県の助成水準の維持向上あるいは保  護者の負担の軽減等を図っているところでござ  います。この施策を通じまして、教育の機会均  等あるいは教育水準の維持向上、こういった文  教行政の大変重要な課題に文部省としても責任  を果たしているところでございます。 これはもう本当にそのとおりですね。   この補助金を、仮の話でありますけれども、  地方一般財源化するということは、本来持って  おります国庫補助制度、このような役割を失わ  しめることになるのではないか、かつてのよう  に助成水準の低下とか都道府県間の格差の拡  大、そういったことが広がってくるのではない  かということを心配いたします。 とお答えになったですね。これは私はそのとおりだと思います。そして、学費の負担の増加などを挙げまして、一般財源化は適当ではない、総額として確保できるように最大の努力をするとお答えになったわけです。  ところが、きょうも質問が出ましたように、今年度の予算編成では高校以下の私学助成金が二五%カットされました。しかも、これは一人当たり単価で見ると三〇・二%の大幅カットになっております。本委員会に対する答弁と違うのではないかということが出てくるのは当然でございまして、各県ではこの私学助成の大幅カットで既に影響が出ていることを文部省は御承知でしょうか。この点、簡単にお答えいただきたい。

泊龍雄文部省高等教育局私学部長

○泊政府委員 私学部長の泊でございます。  私学助成、特に都道府県が行います私立学校に対する経常費助成につきましては、沿革的には、昭和四十五年度から、当初交付税措置で実施をされ、そして昭和五十年に私立学校振興助成法が制定をされ、国庫補助も昭和五十年から開始をされ、翌年、五十一年度から国庫補助という形で実施をしてまいっております。その趣旨等につきましては、先生お話しのございましたように、教育条件の向上あるいは修学上の経済的負担の軽減に資するということで努力をしてまいってきたところでございます。  そこで、今御提案申し上げております今年度の予算案におきましては、残念ながら高等学校の経常費補助金につきまして、一般補助について削減措置を講じざるを得なかったという状況でございます。これは、国の財政事情が非常に厳しい中で、私どもとしてはぎりぎりの対応ということで、一方で地方交付税の拡充措置を図り、そして、全体として国庫補助金と地方交付税措置を合わせた国の財源措置というものの充実を図るということで対応したところでございます。この点につきましては、またこの趣旨に沿って各県での積極的な対応ということも期待を申し上げているところでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 御承知のように、交付税は自治体によって使い道が違うわけでして、私どもの調査では、文部省のお話を聞いてもそうですが、各県において大きなアンバランスが出ておりまして、高等学校の場合、生徒一人当たりの単価で見ると、前年度以上の私学助成の増額県は滋賀と青森だけで、その他の県では、伸び、傘ともに昨年度を下回っています。  一人当たりの単価を見ますと、交付税も入れた単価で国基準では前年度より九千五百円の伸びとなっていますが、その増より下回っている県が六県にも及ぶなど、大きな問題を残す結果となっています。また、中学校、小学校、幼稚園ではもっとひどく、国の基準単価を下回っている県は、中学校で岩手、山形、福島など十一県、小学校で十二県、幼稚園で四県となっています。これらは交付税措置したからといっても、必ずしも国基準の単価まで助成を行っていないということになります。  これから補正を組むというところもあると思いますけれども、現状ではこうした事態となっておりまして、交付税で措置したから大丈夫だということにはならないわけでございまして、こうしたことで推移しますと私学経営は悪化する一方です。経営状況悪化については「今日の私学財政」の中にも出ておりまして、父母負担も大変な事態にならざるを得ません。  今回の予算カットは認めることはできませんが、これからまた概算要求期を迎えることになるわけです。ことしの予算編成時この二五%カットを文部省がのまされたとき、たしか助成カットは九四年度限りの緊急避難的措置と説明をしておったのでありますが、来年度予算編成に向けて、今年度分を取り返すための総額確保、今年度より二五%以上の伸びを確保することが必要だと思いますが、この点についての文部省の決意はいかがでしょうか。  これはもうよほど決意を固めなければできないわけでございまして、大蔵省は引き続き一般財源化をねらっているわけでございますから、ぜひ文部省挙げて増額要求をしなければならないときだと思います。この点についての見解を伺っておきます。

泊龍雄文部省高等教育局私学部長

○泊政府委員 まず、この来年度の予算をどうするかというお尋ねでございます。  これは事柄の性質上、予算というのはそれぞれの各年度ごとの財政事情その他を踏まえて対応せざるを得ないということで、現段階で具体に申し上げられないという点については御了解をいただきたいと存じます。ただ、私どもとしては、私立学校振興助成法の趣旨に沿って、今後ともその推進に努めてまいらなければならないというふうに思っております。これはまた私どもに課せられた重要な政策課題の一つであろうと思っております。  なお、一般財源化云々の議論につきましては、私どももいろいろな機会に申し上げておりますように、今回の一般補助の削減措置というものについて、これは将来のいわゆる一般財源化を前提として考えているものではないということを私どもとしては考えております。したがいまして、この補助金の役割、性格といったようなものについても変更はないというふうに私どもとしては考えているところでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 もう時間がないものですから、最後に文部大臣、後で結構ですが、お答えいただきたいのです。  このことは相当文部省としても難しい段階の中で頑張らないと、なかなか実現しがたい面も私どもわからぬではありません。しかし、この文教委員会、きょうも質問がありましたように、各党ともこの点では一致した見解だと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思いますが、これについてのお答えをいただきたいと思います。  もう一つは女性教員の問題ですが、今、小学校で六割、中学校で四割を女性教師が占めております。そして、その労働条件のことは、これも非常に過重な労働のために大変な事態ですけれども、きょうはそれじゃなくて、「学校施設整備指針策定について」(小学校編)平成四年三月を見ますと、「便所(トイレ)「教職員や外来者の便所は、児童とは別に、児童の学習・生活空間と分離しているなど適切な位置に計画することが重要である。」とかいうふうに文部省としては指針を出しておられます。  また、更衣室についても、休憩室についても一定の基準を示しておりまして、このことが実現できれば大変幸せなわけですが、どこの学校へ行きましても、休み時間になったら、子供も先生も、男の先生もトイレに駆け込んで列をつくらなければいかぬとか、そんなことを各地で私は聞くわけでございます。  例えば今度、全日本教職員組合婦人部の調査によりますと、トイレの場合、例えば京都の奥丹後では、男女別は六八%、男女共同が三二%残っております。和歌山の場合では、男女別が三三%に対して男女共同が二七%、男女別だが子供と共同が二五%、男女ともしかも子供と共同が一四%というふうになりまして、子供も大変ですけれども、女教師にとってはトイレの問題は深刻な問題ですね。  そういう点から考えまして、これらの実態を文部省としてもお調べになって、これは人間の生活の、しかも勤務条件の基本的な問題でございますから、ぜひこの解決のために努力をしていただきたい。  もうこれ以上時間がありませんから申し上げませんが、よく実情はおわかりの点もあると思いますので、この二つの点につきまして文部大臣の御見解を伺って、私の質問を終わります。

赤松良子文部大臣

○赤松国務大臣 二点ございましたので、分けてお答えいたします。  私学助成の件につきましては、従来から申し上げておりますように、私立学校の役割の重要性にかんがみまして、厳しい国の財政事情のもとではございますが、私学助成の確保に努力をいたしてまいりたいと存じております。  それからもう一点の学校の施設が非常に悪いという御指摘でございますが、これは、そういう状態は非常によくないわけでございまして、従来から学校施設整備指針が守られるようにということで改善に努めているわけでございますが、まだ十分でないという御指摘でございます。よく実態も把握をいたしまして、この点につきましてできるだけ早く改善をいたしたいというふうに思っております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 終わります。

嶋崎譲日本社会党・護憲民主連合

○嶋崎委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十三分散会

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