農林水産委員会 第3号
- 発言数
- 41 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1994/04/27
会議録
○竹内委員長 これより会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 この際、保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。 本件につきましては、先刻理事会におきまして協議が調い、お手元に配付いたしてありますとおりの起草案を作成した次第であります。 その内容につきまして、便宜、委員長から御説明申し上げます。 本案は、保安林整備計画の実施の状況及び最近における山地災害の発生状況等、保安林に係る諸情勢の変化に対処し、保安林整備の緊急かつ計画的推進が緊要であることにかんがみ、本法の有効期間を平成十六年三月三十一日まで延長しようとするものであります。 以上が、その内容であります。 ————————————— 保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○竹内委員長 この際、発言を求められておりま すので、順次これを許します。久間章生君。
○久間委員 ただいま委員長の方から提案されました保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、一言発言させていただきたいとと思います。 細川内閣があのように急に内閣を投げ出されるような格好になりまして、時限立法でありますこの保安林整備臨時措置法が一体どうなるのか、政府としては全くもって無責任じゃないか、そういうような心配をしておったわけでございます。 御承知のとおり、四月三十日で法律は切れるわけでございますが、昭和二十九年から今日まで保安林を整備する必要があるということで続けられてきた法律が、あのような無責任な形で、予算ももちろんでございますけれども、この時限立法までもなくなってしまうということになったならば、せっかく進められており、しかもまだそれが中途半端で、これから先予算措置も大事なこの時期に、この法律がなくなったら大変だということで大変色倶しておったわけでございまして、しかもその危惧がもう目の前に来ておったわけでございます。そういうときに、幸い我が党を初め各党の皆さん方が英知を出されて、どうしてもこの法律は残そうというような考え方から、委員長提案という、このような形で法律が延長されるめどがついたということは大変喜ばしい限りでございます。そういう意味では、法律の延長に関するこの法案については賛成の立場から発言するわけでございますけれども、ただ一言だけ、この際政府、林野庁にも聞いておいていただきたいと思います。 といいますのは、昭和二十六年に森林法ができまして、保安林が果たす役割を非常に重要ととらえて、しかもそれを補完する形でこの臨時整備の法律ができたわけでございますが、あの当時は日本全国ほとんどが山であり、また農地であり、一部は宅地になっておったわけでございまして、それぞれ農地法あるいは森林法あるいは都市計画法、こういう法律でいろいろな保安の問題も守っておったわけでございます。ところが、今日の日本を見てみますと、この三つだけではなかなか片づかない、保安整備する場所というのはたくさん出てきているわけでございまして、やはりもっと大所高所から、保安林だけじゃなくて国土の保全という考え方から、こういう保全すべき土地についてどうしていくかということについて研究する必要があるのじゃないか、そういう気がしておるわけでございます。 したがいまして、本法律はそのまま延長するとしましても、これを機会に政府においては国土の保全を今後どうとらえていくか、法体系をどう改めていくか、そういうことについて、各省庁が自分の縄張りの問題として維持するだけではなくて、研究していく時期に来ているのじゃないか、そういう気がします。 都市計画法も、御承知のとおり、大幅な改正が行われました。そして、開発許可の制度がかなりまた戦後のあの時期とは違って広範囲に取り入れられました。農地法についても変わってきておりますし、これからまた変わろうとしております。森林法については、従来どおりそのままの体制がつくられております。そういう点で、やはり時代の移り変わりと同時に、この問題も大きくとらえていく、そういう必要があるのじゃないかと私自身考えております。 それともう一つ、その中で特に保安林については、そういう大きな制度的な改正をしないまでもやはり考える必要が来ているのではないかという気がするわけでございます。 それは何かといいますと、昭和二十九年、あるいは二十六年から二十九年、その当時は、日本の土木技術も余り大がかりな土木工事が実はできなかった時代でございます。皆さん方は御承知かどうか知りませんけれども、我が国で始めて大型機械が導入されましたのは昭和三十年でございまして、この当時に機械公団をつくって根釧原野のあの開拓パイロットを始めようということで、世銀から借款して大型機械を入れました。あるいは愛知用水公団が大型機械を初めて世銀から借り入れてやりましたし、道路公団ができましたのもその当時、あるいはまたそのほかの住宅公団を初め大型の団地造成がやっと始まったのは昭和三十年以降でございます。 したがいまして、この二十六年と二十九年、この当時はまだ十分なそういう能力が我が国になかった時代につくられた法律ですから、その当時の法律事項として掲げられております例えば保安林の解除にしましても、公益上の事由というのとあるいは指定理由の消滅といっただ二つだけを掲げておるわけでございますが、その当時の背景とは大分変わってきているのではないか。 そうしますと、その当時は、公益上の必要性といっても、大型の機械を使って保安林を壊廃していろいろなことをやるようなことは、国がやるか地方自治体がやるか、あるいはせいぜいやって国の公団であります住宅公団がやるとか、それぐらいのことしか考えられなかった。ところが今日では、民間のいわゆるデベロッパーと称するそういう住宅供給関係の事業者あるいはゴルフ場の開発事業者、こういった方々がかなり大がかりに事業をやります。それがその法律を制定した当時の公益上の必要性といいますか、そういう概念にはまるのかはまらないのか、これが非常に難しいわけでございます。 したがって、現実にいろいろと保安林の解除が行われている理由を見ますと、指定理由の消滅のみなし規定でやっておられる。一方、指定理由の消滅という場合には、これは完全に指定理由が消えてしまった場合に事後的に保安林を解除するという役回りでございますから、あの当時に想定した二つの内容が、二つの事由しか挙げておりませんけれども、これだけでいいのかどうか。いいとしても、公益上の必要性という公益上というのがもっと広くとらえられていいのではないか、そういう時代背景が変わってきておるということについて考える必用があるのではないか、そういう気がするわけでございます。 林野庁長官の通達で、各都道府県までいろいろおろされております。しかし、そのおろされております通達を読んでみましても、第一線の都道府県の担当の職員も非常に困っておるのが実情でございます。地元からは、これはやはり公益上の必要性として、社会通念としては公益上認めでいいのではないか、この地域を森林で残すのがいいのか、あるいは住宅として開発するのがいいのか、あるいは過疎地域でゴルフ場として開発した方が地域のためにはいいのではないか、そういうような判断を市町村とか都道府県がしましても、きのうまでやっておった行政の指導と違うことはなかなかやれない、その板挟みに地方自治体の職員等もなっている例がたくさんあるわけでございまして、そういう意味では、現在行われておる通達の中身についてもやはり研究してみる必要があるのじゃないか、そういう気がするわけでございます。 保安林の整備はこれから先必要であり、保安林の指定もしなければなりませんし、また、指定した以上は、保安林については整備計画に基づいて治山工事その他いろいろとやっていくことはたくさんあろうと思います、それはまたやらなければならない、そういう予算もとっていかなければならないわけでございます。 そういう意味では、この新しい、延長されます法律に基づく第五期の整備計画も積極的にやっていかなければならないわけでございますが、それと同時に、やはり時代の移り変わりというのをとらえながら行政というのは対応していかなければならない。特に、許認可権限を持っている側としましては、どうしても公平に物事を処理しなければならない。公平に処理しようとすると、きのうときょうとで変えるわけにはいかないということから、前例を非常に重んじる。前例をずっと重んじますと、時代が変わっているときに、前例、前例になってまいりますと、そのときの時代背景をもとにいろいろなことがされていますから、どうしても一歩一歩おくれる形になっていって、先取りする形にならないおそれがあるわけでござい ます。 どうかひとつ、今回のこの保安林整備の法律がさらに十年間延長されるのを機会に、林野庁においても長官通達等もよく見ながら、また必要に応じて法律も改正するところは改正案を出しながら、これから先ぜひ検討を進めていっていただきたいものだなと思っております。 特に、例えば指定理由の消滅のときに、五ヘクタール以上の場合には云々とかそういうことを掲げておりますけれども、これは表面的に読んでみましても、指定理由が消滅するのならば、五ヘクタール以上であろうが以下であろうが、本来なら変わらないはずなんです。これは指定理由の消滅とみなしていろいろなことをやってきているがゆえに、大規模な開発についてはいかがなものかとか、そういうような判断が働いているので、法律が本来つくられたときの指定理由の消滅ならば、その面積が広がろうと狭かろうと、あるいはだれがそれをやろうと、指定理由が消滅してしまえば本来こういう所有権の制限等はもとに戻す必要があるわけです。だから、法律上も、一項から三項ですけれども、指定理由の消滅の場合は、遅滞なくしなければならないというふうに書いてあるのであって、公益上の必要性のときには、農林水産大臣は、これはすることができると書いてある。その使い分けをしているわけです。だから、指定理由の消滅でいく場合には、やはりそこのところは遅滞なくやらなければならないというふうになっているわけでございますから、どうかひとつそういう点も踏まえてこれから失いろいろと検討をしていただきたいものだなと思っております。 こういうことにつきまして、もし林野庁の方で発言する御意思があれば発言していただければありがたいと思います。
○塚本政府委員 ただいまお話にございましたように、保安林の解除につきましては、指定理由の消滅と公益上の理由、この二つの理由をもって解除いたしておるわけでございます。そして、この法律が制定された当時は、指定理由の消滅というものにつきましては、受益の対象が消滅した場合とか、あるいは自然現象によって保安林が破壊されて森林に復旧することが著しく困難と認められるとき、こういったことにしておったわけでございますが、その後、我が国の経済の発展や地域開発の進展等に伴いまして、保安林も開発対象となってくるにつれまして、転用のための保安林の解除というものがいろいろなところで起こってまいりまして、このために、今先生のお話にございましたみなし解除、つまり、当該保安林の機能に代替する機能を果たすべき施設等が設置されたときはその保安林を解除してもいい、こういうことになってきておるわけでございます。したがいまて、後からこういう規定が挿入されましたために、今できる、できないといったようなこと、しなければならないといったようなことについて見れば不備な点はあろうかと思っております。 ただ、保安林につきましては、基本的に森林として維持していく、公益的な機能を果たす森林として維持していくということで、開発については基本的に抑制していく、こういう考え方がございますので、やはりこのみなし規定におきましても、例えばいろいろな開発を考えていく場合には、その市町村の土地利用計画とある程度整合性がとられているとか、そうした方向に沿っている、こういうことをまた一つの要件として考えてきておるところでございます。 いずれにしましても、世の中がどんどん変わっていくわけでございまして、これにつれて保安林の役割等についてもまた変わっていくわけでございますので、今後、引き続き研究をいたしまして、保安林についてしかるべく対応をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
○久間委員 終わります。
○竹内委員長 中谷元君。
○中谷委員 中谷でございます。 現在、この国におきましては、無政府状態に近い状態ではないかというふうに思います。細川内閣の総辞職によって首班指名をして二日もたつのに、いまだに大臣が決まっていない、内閣機能がほぼ停止をしているということで、脳死を人の死に例えるならば、この国は今死んでいる状態になりますが、いわば辛うじて心臓が動いている状況でありまして、その心臓部分がこの国会の当委員会という役割を果たしているんじゃないか。 つまり、委員会の英知によってこの法案の審議ができるということに対して敬意は表しますけれども、とにかく、この委員会の場に農林大臣が不在であり、また、四月三十日にこの法案が切れるということをわかっておりながら、これまで他人任せ、他党任せで、連立与党の皆様からは全くこの法案を審議する姿勢や意欲が見られずに本日この場に至ったということにつきまして、私は、連立与党の姿勢に強く遺憾の意を表します。 本日、こういう状況で、委員長の提案による議員立法というふうになりましたけれども、委員長におきましては、元連立与党のお立場で、四月末のぎりぎりのこのような状況でのこのような審議のあり方についてどのように感じておられるのか、委員長の御見解をお述べいただきたいのです。
○竹内委員長 委員長としては、大変責任を感じています。 期限が切れることがわかっていて、しかも重要な、この日本の国土を保全し、先ほど久間委員からも御意見があったように、この法案の持つ社会的、経済的な意味が非常に大きいだけに、この期限の中でこれを処理しなければならないということを痛切に感じておりましたが、残念ながら、我々、党も含めて与党の内部において非常にいろいろな経過がございまして、皆さんに御迷惑をかけ、こういう形でこの法案を処理をしなければならないということを大変遺憾に思っておりますけれども、幸いに野党の皆さんの温かい御協力をいただいて、きょうここにこの審議が円満に進みつつあることを大変うれしく思っておりますと同時に、今日までの不行き届きに対して心からおわびを申し上げたいと存じます。
○中谷委員 では、そのような状況においてこの法案の審議をさせていただきますけれども、林野庁の方からきょうは説明を求めたいと思います。 まず、保安林整備臨時措置法が制定されてことしで四十年、過去三回延長されてきたわけでありますけれども、そのときどきの保安林の整備の背景と成果及び今回再延長が必要である理由についてお尋ねしたいと思います。
○塚本政府委員 保安林整備臨時措置法は、当初昭和二十九年、十年間の限時法として制定されたものでございますが、その後、保安林をめぐる社会情勢等の変化に対応するため、昭和三十九年、昭和四十九年及び昭和五十九年の三回にわたりましてその有効期間が延長され、今日に至っております。 この間、昭和二十九年度から三十八年度までの第一期には、災害の防備を主たる目的として保安林の整備がなされてまいりました。三十九年度から四十八年度までの第二期には、我が国経済の高度成長による水需要の急激な増大に対処いたしまして、水源涵養保安林を中心に保安林の整備を促進してまいりました。それから、四十九年度から五十八年度までの第三期には、都市化の進展、生活環境の悪化や森林レクリエーション需要の増大等に対処いたしまして、保健保安林等の整備を促進してまいりました。そして、五十九年度から平成五年度までの第四期には、保安林の質的整備を実施するとともに、地域の実情に即したきめ細かな保安林の配備を促進してまいったところでございます。 以上の措置によりまして、昭和二十八年度末には二百五十二万ヘクタールでありました保安林の面積は、平成四年度末現在で森林面積の約三割、国土面積の約二割に当たる八百三十六万ヘクタールに達するなど、全体的にほぼ当初の目的を達する等、相当の成果をおさめていると思っております。 しかしながら、最近における保安林をめぐる諸情勢について見ますと、国土の開発、都市化の進展に伴いまして山地災害の危険性が高まっており ますほか、良質な飲用水の確保、身近な緑の保全等に対する国民的な要請も急速に高まっております。さらに、林業を取り巻く諸情勢が悪化する中で、機能の低下した、手入れの行われていない保安林も今なお存在しているという状況にございます。 このため、山地災害の防備に重点を置いて、良質な飲用水の確保や身近な緑の保全にも配慮しつつ、保安林の整備を緊急かつ計画的に進める必要があり、保安林整備臨時措置法の有効期限を平成十五年度末まで延長することとしたところでございます。
○中谷委員 そのような経緯で今回延長したと思いますけれども、現在保安林の整備状況につきまして一体どうなっているかということと、前回の改正におきまして、特定保安林制度を設けて保安林の整備を重点的にやることについて努力をされたと思いますけれども、その成果につきまして御説明願います。
○塚本政府委員 保安林の整備につきましては、指定された保安林につきまして、造林事業、治山事業、あるいはこれからお話し申し上げます特定保安林制度等を利用いたしまして着実に整備を進めてまいってきておるところでございます。 ただ、先ほど申し上げましたように、日本の林業が経済的に大変厳しい状況にある中で、手入れの行われていない保安林、こういったものもふえておるところでございまして、こういったものについては、今回の新しい制度等を利用いたしまして、逐次整備を進めていかなければならない、このように考えておるところでございます。 特定保安林制度でございますが、この制度につきましては、林業をめぐる諸情勢が一層厳しくなる中で、森林所有者が通常の施業により実施していくことがなかなか困難な中でこれを特定保安林として指定をしまして、それについていろいろな助成を講じつつ、あるいはまた治山事業、造林事業等を集中的に行う中で整備していこう、こういうことで設けられておるものでございますが、当初、十年前に三十七万ヘクタール程度の機能の劣った森林が存在していたわけでございますが、これについて七割程度の整備が行われた、このように考えております。
○中谷委員 こちらの資料によりますと、現在機能低位な民有林の保安林が四十八万ヘクタール存在するというふうにありまして、この制度によりますと、林業収益を期待し得るものについては所有者みずからの林業活動にゆだねることが必要かつ得策であり、森林の所有者がみずから実施する造林等の通常施業を推進する制度ということで、森林の所有者の自主的な努力に力点を置いているわけでありますけれども、ことしの林業白書の中に、非常に山村、林業が停滞しているというふうに明記をして、山の危機が一段と進んでいるというような状況の中で、林業の生産高もこの三十年間の総括として九千四百九十三億円から六千二百四十二億円に、また木材の自給率も七二・九%から二五%、杉の投資利回りも六・三%から〇・九%、一般金利よりも低いです。それから、就業者においても四十四万人から十一万人、四分の一というふうに非常に低迷をしている中で、この保安林をあくまでも森林所有者の自主的な努力によって維持しようというような方針でございますけれども、この三十年間の林業の推移を見るにつけ、その当時の時代認識と現在の現状をどう認識されているのか。それから、林業基本法のそもそもの精神がありますけれども、この林業基本法の掲げた政策目標の達成状況がどういうふうに認識されているのか、この点につきましてまずお伺いさせていただきます。
○塚本政府委員 その前に、特定保安林に関する面積でございますが、先生のお話は現在の手入れのおくれておる森林の面積でございまして、私の申し上げたのは十年前に手入れのおくれておる面積ということで申し上げましたので、一言つけ加えさせていただきます。 それから、今お話にございましたように、ことしの白書は三十年間の林業、木材産業の歴史を振り返っておるわけでございますが、林業基本法が制定されました三十九年当時は、我が国の木材需要が薪炭材から用材需要へと構造的な変化を伴いながら量的にも急増していた時代で、外材輸入量の増加をも意識しながら長期的な国内森林資源の供給力の向上が必要な時代であったというふうに思っております。また、高度経済成長に伴いまして、林業部門と他産業部門との所得格差の拡大や山村からの労働力の流出が顕在化していた時代でもあったと思います。 こういう状況の中で、林業基本法は林業の安定的発展と林業従事者の経済的社会的地位の向上を目標として制定されたわけでございますが、この法制定後三十年を振り返ってみますと、森林資源の充実、林業の生産性の向上、林業労働の安全性の向上、木材産業の発展、こういった点については一定の成果がもたらされ、目的も達成されたと考えております。 一方、林業生産の停滞と木材自給率の低下、林業の採算性の悪化、そして他産業部門との所得格差の拡大、林業従事者の減少、高齢化、こういった点について問題が生じており、こうした点の目標についてはこれからまたさらに努力をしていかなければならない、このように考えておるところでございます。 現在、木材輸入の自由化や円高の急速な進行等によりまして、国内の林業は大変厳しい状況にあるわけでございますが、しかし、長期的な視点からすれば、世界的に森林資源の利用が制約を受け外材輸入が不透明となっている中で、我が国の森林資源が充実してきているということ、それから国民の森林に対する価値観が、木材生産のみならず、森林の多様な公益的機能の高度発揮を求める方向に変化し、環境に貢献する林業の役割に対する関心が高まっていること、地球的規模での森林の保全についての重要性に対する内外の関心が高まっている、こういったことで林業を維持発展していく上での潜在力となる変化も見られてきておりますので、今後とも森林・林業施設の積極的な推進に努力してまいりたい、このように考えておるところでございます。
○中谷委員 そういう認識でやられているということは非常に評価すべき点もありますけれども、ことしの白書を読みますと、本当に勇気のある白書だと思います。非常に林業の現状が厳しくて、将来も大変だということを明記をし、山村、林業が停滞しているとも明記をし、また木材産業もこれから設備の廃棄とか方向転換をしてリストラをしろと、そこまで明記をしているということで、林業リストラ白書というような名前もつけられるくらい林野庁が踏み込んで書いているわけであります。 問題は、この日本の山を一体だれがこれから管理をしていくかということで、一千万ヘクタールの人工林に毎年七千万立方メートルずつ増加をしている、二十一世組には国産材時代が来るというふうに言われておりますけれども、この三十年間に林業の従事者が四十四万人から十一万人に、単純計算すると毎年一万人ずつ減っている。このままのペースでいくと、十一年後にはゼロになってしまうというような厳しい数字でございまして、もはや山林保有者に国土保全という名目で山を管理せよという重い荷物を背負わすということはもう限界に来ているんじゃないかと思いまして、明るい経済的な希望の光を今こそ林政に当ててもらう時期でございます。 このような中で、林業の収入だとか、後継者難だとか、育てるための経費の増大だとか、林業基盤整備の立ちおくれだとか、非常に苦しんでいる現状の中で保安林整備ということをしなきゃいけないという、その保安林整備との調和が問われているわけでありますが、この保安林整備と各種の林政助成施策との調合というか兼ね合いはいかにあるべきかとお考えでしょうか。
○塚本政府委員 保安林の整備を担っておりますのは森林所有者等の林業に直接携わっている者でございますが、これら林業をめぐる最近の状況は、造林等経営コストの増大、あるいは山林の過疎化 の進展等を背景といたしまして、林業従事者が減少するあるいは高齢化が進むなど大変厳しいものがありますし、また一方で、林業の生産性向上のために不可欠な林道等の基盤整備もそれほど満足すべき状態にはない、こういうことであると思っております。 このような状況を踏まえまして、林野庁といたしましては、保安林の整備につきましては、治山事業の実施のほか、造林事業あるいは税制、金融上の優遇措置を特に講じるとともに、森林整備事業計画に基づく造林、林道の計画的な整備でありますとか、あるいは林業事業体の体質強化、機械化の促進、労働力の確保等の林業の担い手の育成強化等々の林業振興施策を講じているところでございます。 平成六年度におきましては、今回の法律延長の関連施策といたしまして、特定保安林整備緊急治山事業、こういったものを新設することによりまして保安林の整備の促進を図ってまいりたい、このように思っております。今後とも治山事業等の積極的な実施等と相まって、また林業者自身が森林を整備していく、こういったことを推進する中で保安林の整備に努力してまいりたいと考えておるところでございます。
○中谷委員 森林所有者の努力も必要ということですけれども、現状ではなかなか厳しい面があるということで、森林所有者に期待するのはこれから多少無理があるのではないかなという気がいたします。 そこで、こういう国土保全という意味では、むしろ治山事業で国みずからが対処するという点をこれから充実、拡大していくべきだと思いますけれども、この治山事業の積極的な実施と今回の保安林の法案の法的延長という問題はどのような関係があるのか。関連があるという意味は、単なる法の延長だけでよいのか。つまり、治山事業の予算要求をもっと積極的になすべきではないかというふうに思いますが、この点につきましてはどのようにお考えでしょうか。
○塚本政府委員 林業をめぐる諸情勢が大変厳しくなる中で、所有者みずからが森林の手入れをしていくということがなかなか難しくなっているという実情にあるわけでございます。しかし基本的には、森林所有者が通常の施業を実施することによって森林というものをきちんと維持管理していく、そして将来は一定の林業収益を得ていく、どういうことが基本になるわけでございまして、そういうものはやはりきちんと持っていきたいと思っております。 ただ、お話にもございましたように、林業というものが大変厳しくなっておりますので、相当部分については治山事業というものを投入することによりまして森林の整備を図っていかなければならない、こういうことで、治山事業五カ年計画等によりましてもそれなりの事業計画がつくられておるわけでございますので、そういったものを積極的に活用することによりまして保安林の整備に当たってまいりたい。 特に、平成六年度予算につきましては、この保安林整備臨時措置法延長の趣旨に沿いまして、特定保安林の整備を集中的に行います特定保安林整備緊急治山事業でありますとか、取水施設の上流等の保安林において水質保全施設等の整備を行う水質保全環境整備事業でありますとか、あるいは貴重な自然環境を保全する観点から保健保安林等の整備を行う自然環境保全林整備事業、こういったものを新たに創設いたしたところでございます。このように治山事業の内容もさらに拡充する中で今後保安林の整備に全力を尽くしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
○中谷委員 加えて、保安林整備の中で森林の整備において、努めて林道の整備も不可欠であるというふうに思いますが、この林道整備の目標と達成状況、そしてこの保安林整備制度の法の延長との関連性につきましてお伺いしたいと思います。
○塚本政府委員 林道は、効率的な森林施業の実施や適正な森林の維持管理、機械化の促進を図っていく上で根幹をなす施設であり、また農山村地域の生活環境の整備や地域産業の振興等にとっても重要な役割を果たしているものでございます。 林道の平成四年度末現在の開設延長は十二万六千キロメートルでございまして、全体計画であります森林資源に関する基本計画における林道の整備目標延長に対する達成率は約四四%となっております。今後とも計画的かつ着実な林道の整備に努めてまいりたい、このように考えております。 なお、保安林整備臨時措置法に関連いたしまして、林道事業におきましても、特定保安林の早急な整備と保安林機能の維持向上に必要な林道を開設するために、特定保安林緊急整備林道事業をこれまで実施してきたところでございますが、今回、法律改正に際しまして、当該事業をより一層拡充を図ってまいる、このようなことで現在作業を進めているところでございます。
○中谷委員 そのような努力で山の整備をしていただければ大変ありがたいというふうに思いますが、先ほどの白書の話に戻りますけれども、やはり白書でこれほど山にわたりましてそれなりの懸念材料が横たわっていることは事実でございまして、それをやはり乗り越える、あるいはまた足腰の強い分野としての活性化を促す、これから与えられた一つの課題であるというふうに考えるわけでございますが、ただいま御指摘がございましたように、酪農関係、乳製品等々につきましては、関税化、その中にございまして六年間で三六云々というような御指摘もございましたが、すべて一五%カットというような形に位置づけさせていただいたわけでございますし、これから与える影響のマイナス要因といいますものを和らげる、そしてまたプラスの要因をつくるべき環境整備に全力を傾けてまいりたいが、かように考えておるところでございます。
○倉田委員 大臣の取り組みに対する強い姿勢は私もよく理解できるわけでございますけれども、今、酪農家の方々がお考えになっている現状、それから将来展望、非常に暗い思いを持っておられる。ラウンド合意の実施期間である九五年から二〇〇〇年においてはある程度の高関税が設定されております。しかしそれ以降になると関税率が引き下げられていく、相当なことだな、こういうふうに思います。 これに対して、では具体的にどのような対として国土保全をしていただきたい。 現在、国有林の赤字がふえ続けて大変だというふうに言われて、当局の方も大変御苦労をされておりますけれども、今の特別会計で問題を解決しようとしているから、無理して若い木を売ったり、将来性のあるところまで切り売りをしている状況でありますけれども、本来山は国民の山という発想をとれば、山の保全を国有林の経営にリンクさせ、負いかぶせるべきではない、そのような問題ではないというふうに思いまして、発想を転換して、国有林は国民の山である、国民のために公益機能を果たしている、保安林はその中心となるもので、保安林の所有と経営を分担して、後の施業も公的機関で管理すべきではないかというふうに思います。 今度は、その国有林の問題で、一般的な経費はもっと一般会計から繰り入れをして山の管理をしていくべきだと思いますし、この現在の国有林の財政悪化が保安林の維持に悪影響を与えているものなのか、その点につきまして御所見をお伺いしたいと思います。
○塚本政府委員 国有林の約五割は水源涵養林や山崩れの防止などを目的とした保安林に指定をされております。これらの保安林につきましては、その指定目的を適正に果たすための森林施業の実施や治山事業の推進等によりまして、国民の多様な要請にこたえ得る森林の整備に努めてまいっておるところでございます。 国有林につきましては、全国有林を国土保全林、自然維持林、森林空間利用材、木材生産林の四つに区分をいたしまして、それぞれの森林にふさわしい山の取り扱いをしておる、こういうことになっております。 また、国有林の公益的機能の発揮のための費用 につきましては、治山事業につきましてはすべて一般会計で現在負担をしていただいておるところでございますし、造林、林道整備等の事業施設費や保安林等の保全管理に係る経費につきましても、国有林野事業勘定に対する一般会計からの繰り入れを行ってもらっているところでございまして、平成六年度予算案におきましては、前年度に比べ一二%増の二百二十七億円の繰入額を計上いたしておるところでございます。 国有林につきましては、財務状況は依然として厳しいわけでございますが、国民の山として保安林等公益的な機能を果たす森林につきましては引き続き、きちんと管理をしてまいりたい、このように考えております。
○中谷委員 では最後になりますけれども、今までハード的な面において質問をさせていただきましたが、今度はソフトの面で質問させていただきます。 林野庁の予算を見ますと、保安林の関連予算が約十億ありまして、つまり八百三十万ヘクタールに対して十億円の経費が投じられておりますが、うちの七億円がいろいろな補償費に充てられておりまして、実質、保安林の管理というと、残りの三億円ですべてを管理しているというふうに思います。 そこで、その保安林の指定と解除につきましては、県が国から委託をされ管理をしているわけでありますが、この台帳の整備や国土調査につきましては、国土庁が一筆調査等をやっておりますけれども、現場では進捗が遅い状態で、法務省との関連もあって、県が管理をさせられても、なかなか法的な知識者と経験者がいないために非常にこの作業が前へ進まない、次々と書類がたまっているのが現状ではないかというふうに思います。そういう意味で、このソフト面での管理費につきましては、毎年一〇%ずつ削減をされているという現状の中で、しかし、きちっと管理をする上においては、こういう事務経費もおろそかにできないと思います。 そこで、アイデアでありますけれども、ひとつ第三セクターのようなものをつくって、県の仕事をこのセクターが代行して行えるようにすれば、管理費の面につきましても多少知恵が出てくる問題だと思いますけれども、この点につきましてお伺いをさせていただきます。
○塚本政府委員 保安林の整備管理に係る経費につきましては、都道府県に対して補助金等を交付いたしておるところでございます。平成六年度につきましては、対前年度一一六%、先ほどもお話にございました損失補償金を除くと、対前年度一五一%の伸びとなっておりまして、予算的にはそれなりの措置がなされているというふうに思っております。 御指摘のございました第三セクターに保安林の台帳等の管理を任せるということでございますが、保安林の適正な管理については公共目的の達成といった重要な役割を担っているということ、それから、保安林台帳は保安林の適正な維持管理等を行うための基礎となるものでありまして、適切に調製、保管される必要があるということ、それから、保安林台帳が特定の者に利用され社会的な不公平が生じないようにする必要がある、こういったことから、第三セクターといいましても、受け皿になるものがどういうものになるのか、こういったことも含めて慎重に検討を今後も行ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
○中谷委員 お話のように、非常に厳しい中で保安林を整備しなければいけない現状の中で、保安林の重要性とか意義というのは十二分にわかっておりますので、この法案の延長には賛成したいと思います。しかし、林業を取り巻く環境とか地球全体の環境問題で、林業をとらえる考え方等も大きく変化しておりますので、次の改正期には抜本的に、森林法の見直しも含めまして、保安林を維持管理させる方法等も視野に入れた林政というものを行っていただきたいことを心から要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
○竹内委員長 藤田スミ君。
○藤田委員 首班指名が行われましたが組閣もできないという異常な状態にはありますけれども、私は保安林の整備を本当に進めていかなければならないという立場から、きょうは林野庁長官に特に御意見を聞いておきたいというふうに思うわけです。 時間がありませんので端的にお伺いいたします。が、昨年の鹿児島の集中豪雨や北海道の南西沖地震など土砂流出防備保安林や防潮林の重要性が改めて確認されたわけでありますが、山地災害危険地区は全国で二十万カ所ある中で、保安林に指定されているのは七万七千カ所であります。四割です。経年的に見ても山地災害危険地区は、一九八六年から六年間に実に二万九千カ所ふえているのに対して、指定地区は一万五千カ所増ということで、とても危険地区の増加に追いつかないという状況が浮かび上がっているところであります。どうしてこういう状況になっているのかということを長官にお伺いをしておきたいわけですし、それから、保安林関係の予算を端的にもっとふやさなければならないというふうに私は考えるわけです。 過去五年間の保安林の買い入れ実績を見てみますと、八八年は八十ヘクタール、八九年は七十六ヘクタール、九〇年は四十六ヘクタール、九一年は十三ヘクタール、九二年は十一ヘクタールと激減をしています。買い入れに必要な保安林関係予算の推移を見ますと、同じこの期間、八八年の十一億九千六百万円から九二年には十億九千三百万円と一貫して減らされてきているわけであります。したがって、本当に保安林整備を抜本的に強化するというのであるならば、保安林関係予算をそれこそ二倍、三倍にふやしていかなければならないのじゃないかというふうに考えますが、どういうふうにお考えでしょうか。
○塚本政府委員 まず山地災害危険地区に関する御質問でございますが、山地災害危険地区は、治山対策等の防災計画の策定に資するとともに地域住民に情報を提供する、あるいは防災意識の高揚を図る、こういったことを目的といたしまして、森林の地形や地質や保全対象の状況等に着目して、既存の資料をもとに指定をいたしておるところでございます。これにつきましては、こちらが勝手にやると申しますと語弊がありますけれども、そういった資料でもって指定をしておるということでございます。 他方、この保安林につきましては、災害の防備等の指定の目的を達成するために、保安林に指定をいたしまして森林所有者に対して強度の私権の制限を課することになりますので、指定の理由指定による受益の程度、それから森林所有者の意向、こういったものを聞くなど慎重な調査を行った上で保安林の指定をしてきている、こういうことがございます。これまで山地災害防備のための保安林につきましては、この山地災害危険地域、こういったものを最優先をして指定をしてきているわけでございますが、やはり権利関係が非常に錯綜している場合であるとか、あるいは所有者の意向、こういったものを聞いていくという過程の中でなかなか保安林の指定が進まない、こういったことが一番大きな理由ではなかろうか、このように思っているところでございます。しかし、ほかの民有林に比べれば、民有林の指定率は二五%でございますが、四割ということで山地災害地域の指定率が高くなっているところでございまして、今後とも私ども、こうした山地災害危険地区の住民等の意向、こういったものも踏まえる中で保安林の指定を積極的に進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。 それから予算につきましては、買い入れ予算は、一つは治山事業あるいは造林事業等がこれまで随分いろんな箇所で行われてまいりまして、従来であれば買い入れの対象となるような地域につきましてもそういった治山事業が実施されるために、特に買い入れをしてまで整備をしていく必要がない、こういった状態ができてきているということが一つあると思います。それからもう一つは、や はり何といいましても国有林野事業の特別会計でこの買い入れを行っておりますので、特別会計の財政事業が大変厳しい、こういうこともございまして、近年この買い入れ額というものが減ってきている、このように考えております。
○藤田委員 厳しさを認めておられるわけですけれども、やはりもっと力を入れていかなければいけないというふうに思うのです。 今回のこの法廷長に際して非常に気になる点があります。それは法案成立後策定に取りかかるという第五期保安林整備計画の重点事項の中で、社会環境の変化に対応した保安林の解除、指定がえが挙げられている点です。また保安林法制度検討会の報告書を見ましても、「森林を対象として宅地の開発、森林レクリエーション施設の設置等多岐にわたる要請が増加しており、保安林についても諸手続きの迅速、円滑な処理が望まれている。」こういうふうに述べられております。これまでのリゾート法によるリゾート乱開発によって貴重な保安林が全国各地で解除され、伐採されてきましたし、現在も多くの環境保護団体が自然環境を守るために保安林解除に反対をしてきております。このようなときに保安林の解除を保安林整備計画の重点事項に位置づけることは、ますます乱開発に道を開くのではないかと私は危惧するわけでありますけれども、この点についてはそうではないと明確にしていただきたいわけです。
○塚本政府委員 第五期の保安林整備計画におきまして、保安林の解除あるいは指定がえ、こういったものを予定しておるわけでございますが、これは保安林の実態をよく調査、把握いたしまして、自然現象等によりまして保安林が破壊され、かつ森林に復旧することが著しく困難と認められるような保安林、それから受益の対象が消滅したもの、つまり鉄道を保護するために設けられておった保安林が、鉄道がなくなることによってその受益の対象が消滅する、こういったことがあるわけでございまして、そういった受益の対象が消滅した保安林、こういったものを中心に計画的に解除していくということにいたしております。いわゆるリゾート等に供するために使用が見込まれるような保安林を見込みで解除していく、こういうことではございません。 保安林につきましては、やはりこれは森林として維持していくということが原則でございます。国民の生命財産に直結し、国土の保全や環境の保全に重要な役割を担っておるわけでございますからそれは当然でございまして、今後この保安林の解除につきましては、法律あるいは通達、そういったものに厳正に照らしてしかるべき対応をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
○藤田委員 もう一度念を押しておきますが、たとえその指定理由が消えたとしても、それを簡単に解除したり伐採するというようなことがあってはならない。指定理由が消えたとしても極力指定がえをし、そして保安林解除と伐採がそのまま乱開発に道を開くというようなことにはしない、こういうふうな姿勢なんだというふうに聞いてよろしいですか。
○塚本政府委員 指定理由が消滅したものにつきましては、これは法律上解除しなければならないということになっておりますので、全くその指定理由が消滅したものについては解除をしていかざるを得ないと思っておりますが、ただ、保安林として指定された理由が消滅したと認められるものでありましても、生活環境の保全等新たな指定目的が生じているようなこともこれは大変多うございますので、こういったものにつきましては新たな保安林に指定がえをしていく、こういうことで対応してまいりたいと思っております。
○藤田委員 この問題ともかかわるわけでありますが、九一年の三月に林野庁は、森林都市構想というのを打ち出されました。私は、ここにそのときに講演された塚本長官、当時は長官ではなくて業務部長のこの講演された中身、本を持っておりますが、この説明書を見ますと、「森林と人間との新たな共存関係を構築するという発想をもとにした街づくり、いわば「列島規模の未来都市モデル」」、「森林都市は、森林地域において地形等自然条件を活かしつつ、ゆとりと風情のある居住・業務空間を創出するものである。」、こういうふうに言われているわけであります。 列島規模の未来都市モデルだとか、あるいは森林地域に居住・業務空間を創出するというんですから大変なものでありますが、同時に一方では、社団法人森林都市づくり研究会、これは森林都市づくりの広範な普及と円滑な推進を図るということを目的にしてつくられているわけです。この研究会の理事会員のメンバーを見ますと、大林組それから清水建設、一般会員には鹿島建設、大成建設といった大手ゼネコンが名を連ねておりますし、新日鉄、伊藤忠、第一生命、三井不動産というような面々が、つまり大企業が群がっているわけです。その期待の大きさがどれほどのものであるかということは十分うかがえます。 その当時の新聞記事を見ますと、九三年度から着工して今世紀中に皇居の四倍から九倍の広さを持つニュータウンを全国に十カ所つくるということを言っております。私は、まさにバブルに踊った無謀な計画としか言いようがないし、バブルの崩壊とともにこの森林都市構想も音さたがなくなったわけでありますけれども、この任に当たられ、現在長官になられた長官としては、まだこの構想を推し進めようというお考えをお持ちなのかどうか、お聞かせください。
○塚本政府委員 この森林都市構想につきましては、ゆとりある生活の実現や自然との触れ合いに対する国民の要求が高まっていることを踏まえまして、森林の新しい利用、管理のあり方を創造するという観点から、良好な森林環境を維持しながら、緑豊かな居住・業務空間を整備しようということでございます。平成三年三月の公表以来、その実現に向けましてさまざまな観点から検討を行っておるところでございます。 確かに、最近バブル経済が崩壊いたしまして、この森林都市構想に対しまするこうした研究会の活動も若干下火にはなっておるわけでございますが、しかし私どものこの森林都市に対する考え方としましては、いわゆる従来の都市開発ではなくて、むしろその従来型の都市開発に対するアンチテーゼともいうべき、森林というものとそこに住む住民、これが緑と共存して都市というものをつくっていく、こういうことでございますので、従来型と別の意味の森林都市をつくるという意味におきまして、今後とも適切に検討を行って、ぜひ実現に移していきたい、このように考えておるところでございます。
○藤田委員 もう時間が来ましたけれども、私は、林野庁はいつの間に開発屋になったのかというふうに思うんです。この本を見ましても、森林都市フォーラムで講演を行っていらっしゃる著名な建築家は、日本の山林の傾斜のきつさや樹木の構成、からも解決できない問題があるし、インフラ整備を相当しないと実現できない、生活排水や農業排水が公害にならないようにすることも難しい問題だというふうに言っておられますよね。もともと困難な構想だったんです。 私はもう、バブルの崩壊がおくれなくて本当によかった、もしそれがずっと延びていたら森林都市構想は進行して、森林の開発は途中でとんざして、参加した企業は撤退をするというようなことで、残ったのは何か、森林の崩壊だけが残ったというようなことにならなかったという点では、本当にまだよかったなというふうに思っているんです。これはもうぜひ検討をし直すべきです。 林野庁は本当に林野に責任を持つ省ですから、もともと政府が木材の輸入自由化政策をやめて国産材の材価を上げ、林業を振興すれば、山村は生き返り、自然に山村の人口もふえ、そこでの都市機能も高まってくることは改めて言うまでもありません。国有林をこんなふうな乱開発をするこの計画はもうやめていただきたいということを私は最後に申し上げますが、長官にもう一言だけ御答弁をいただいて、終わります。
○塚本政府委員 この森林都市につきましては、 従来型の都市開発ではなくて、いわゆる緑と共存しながら生きていく、こういうことを目指した都市ということであります。したがいまして、そうした乱開発にならないように十分歯どめをかけながら今後検討を進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
○藤田委員 終わります。
○竹内委員長 以上で発言は終わりました。 本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣における意見を、便宜、委員長から聴取いたしましたところ、本法律案につきましては、保安林整備の必要性にかんがみ、政府としては、異存はないということでありました。 お諮りいたします。 お手元に配付してあります保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案の草案を本委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案といたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○竹内委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とすることに決定いたしました。 なお、ただいま決定いたしました本案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時三十九分散会 ————◇—————