大蔵委員会 第5号
- 発言数
- 115 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1994/05/31
会議録
○宮地委員長 これより会議を開きます。 国の会計、税制及び金融に関する件について調査を進めます。 財政金融の基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩崎恭久君。
○塩崎委員 自由民主党の塩崎恭久でございます。 本日は、大臣におかれましては、予算委員会に引き続いてということで、連日お疲れでございましょうけれども、しばし質疑におつき合いをいただきたいと思うわけでございます。 三月に質問させていただいたばかりでございますが、きょうは、規制緩和に絡んで二つほどトピックスを選ばせていただいて、質問をさせていただきたいと思います。 もう言うまでもないわけでございますけれども、新しい今の日本の経済の曲がり角で、規制緩和というのが避けて通れないということは私どもも同感でありますし、自己責任原則、そしてまた競争原理を重んじた経済のあり方を追求していかなければいけないということは、私どもも共通して思っているところだろうと思っているわけでご ざいます。 私もアメリカに、ちょうどレーガン大統領が初当選をしたときにおりました。レーガン政策のもとでいろいろな規制緩和が行われましたことをつぶさに現地で見てまいりました。特に航空の規制緩和、それからその後、これは競争政策ということでAT&Tの分割であるとか、随分いろいろなものを見せていただいて、私も消費者の利益のあり方というものを考えさせられたわけでございます。 特に最近、羽田総理を初め皆様方、内外価格差のことについて随公言及されるようになってまいりました。私もその問題については随分前から考えておったわけでございますけれども、特にアメリカなどで家族連れで生活をしておりますと、同じ給料をもらっても、その豊かさの実感というのが残念ながら随分違ったなという気がいたしたわけでございます。 政治の最終的な目的は、豊かさをみんながどれだけ実感するか、それを実現することに尽きるのだろうと思うわけでございますけれども、そういう面で、本当の豊かさを実現するための規制緩和というものをやっていかなければいけないと思っているわけでございます。ただ、そういう中で多少配慮をしていかなければいけない問題というのが、必ず物によってあるのではないかというわけでございます。 まず最初に、酒・たばこの規制緩和の問題について御質問させていただきたいと思うわけでございます。 酒・たばこの規制緩和につきましては、三月二十九日の閣議決定、対外経済改革の要綱の中にも、「酒類・たばこ等販売について、参入基準の見直し、手続きの簡素化・迅速化など、関係規制の見直しを進める。」こう書いてあるわけでございます。 この規制緩和を進めるに当たっての、大臣としての基本的な考え方をまずお伺いしたいと思うわけでございます。
○藤井国務大臣 今御指摘のように、規制緩和は今の内閣として非常に基本的な姿勢であるというふうに御理解をいただきたいと思います。特に、内外価格差という言葉でもいいし、内に弱い円で外に強い円というのでしょうか、そういう状況を直していかなければならないと思っております。 そこで、酒とたばこでございますが、規制緩和はどちらかというと、社会的規制というものはあってしかるべきだ、経済的規制というものは原則自由であるべきだ。これは全部原則でございますけれども、そういう基本的な物の考え方があるわけですが、その中で酒とたばこについては両面を持っていることは事実だと思います。 社会的面としては、前回のこの委員会でもお答え申し上げたと思いますけれども、酒については財政物資という言葉をいつか使ったら、それは随分古い言葉ですねとたしかお話がありましたが、課税額を大分しょっているという意味に加えて、青少年の犯罪、アル中、交通問題等々の観点から、大体世界の先進国という国にはそれなりの規制がある。 たばこにおいてもやはり健康というような意味においてある。さらにたばこについては、御承知と思いますが、三公社、専売公社を廃止いたしましたときに、激変緩和という意味も含めて許可制度が残っていること等々考えまして、基本的にはこの許可の制度というものは残すべきものと考えております。 ただ同時に、消費者のお立場、そういうものも十分考えなければならないのは事実でありますから、そこいらの基本的な考え方としては両にらみでやっていかなければならないと考えております。
○塩崎委員 ちょうどけさの日経新聞の一面トップに行革本部の部会の意見書の案というのが、これは別に発表したわけではなくて、どこかから漏れてしまったのでしょうけれども、出ているわけでございます。その中で特に酒、米、たばこということを例示的に書いてございます。大分大胆に規制緩和をしようという報告書を今つくりつつあるというふうに報道されているわけでございますけれども、この辺の作業部会での検討状況についてはどんなふうに把握をされておられるのでしょうか。
○藤井国務大臣 これは行政改革推進本部の中で流通作業部会というのがあって、いろいろ勉強していただいております。民間の方も入っていただいて、むしろそういう方が中心でやっていただいております。 きょうの新聞記事はよくわかりませんが、一部の委員の方の御意見ではないかと想像いたします。これがまとまっているわけではないわけでありまして、恐らく一部の委員の方の御意見と承知をいたしておりますが、そういう中途の段階でございますもので、この部会としてこういう結論を出すということについてはお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○塩崎委員 一部の意見というも言葉でございますので、それを留意しておきたいと思うわけでございますけれども、前回、私三月二十四日にこの場で質問させていただいたときに、きょうもおいででございます窪田審議官の方から、免許制度については消費者重視の観点から規制緩和を今実施中だということでありますけれども、免許制度そのものは今後とも堅持をする、こういうお考えであったかと思うわけでございます。その点についてはやはり変わってないと考えてよろしいのでございましょうか。
○藤井国務大臣 冒頭申し上げましたように、その基本は酒・たばこについて守ってまいりたいというふうに考えております。それにあわせて、今の消費者の方々のお気持ちというものを配慮しながら、具体的な措置を決めてまいりたいということでございます。
○塩崎委員 酒・たばこの免許のあり方についてはもう少し述べてみたいと思うわけでございますけれども、規制緩和の本家本元とも言われているアメリカにおける酒・たばこの販売規制、特に酒が中心でございますけれども、酒・たばこの販売の規制について、どんなふうになっているのかをちょっと御説明いただけたらと思います。
○藤井国務大臣 政府委員に答弁させますが、冒頭申し上げましたように、先進国はほとんど何がしかの規制がある、アメリカもその一つであると思います。今、具体的に答えさせます。
○窪田政府委員 米国における酒の販売でございますが、酒類は、ただいま大臣からお話があったように財政物資、アメリカですと連邦税と州税、両方がかっております。それから、アルコール飲料としての性格を有するということから、厳格な販売規制を実施しております。 具体的には、全米五十州のうち三十二州が人口基準等による免許制であり、残りの十八州は政府による専売制を採用しております。また、料理飲食店にも酒の販売の免許制が取り入れられております。 その人口基準と申しますのは、例えばカリフォルニア州ですと人口二千五百人当たり一件、アーカンソー州ですと人口四千人当たり一店舗というふうに決められております。また、地域的な規制としては、学校や教会、病院の近くで酒類を販売しようとしても、免許はされないのが一般的でございます。さらに、対面販売が原則でございまして、酒類の購入者にIDカードの提示が求められる場合があるというふうに承知しております。 以上でございます。
○寺本政府委員 たばこについてお答えいたします。 米国におけるたばこの小売販売業につきましては、約半分の州において許可制等、これは英語ではライセンスまたはパーミットと申しますが、これを採用しておりまして、許可制等を採用している州等におきましては、税法等の違反は取り消し事由になっております。 具体的には、州税務当局により許可等が行われておりまして、十八歳以下の者にたばこを販売し た場合及び州・市税法及び諸規則の定めに従わなかった場合、取り消し・欠格事由となることがございます。 以上でございます。
○塩崎委員 規制緩和をする場合には必ず、既存の業者がどのくらい影響を受けるかということを当然考えなければいかぬだろうと思うわけでありますけれども、それぞれ、今日本で酒・たばこ販売に携わっている人たちは大体どのくらいおられて、どのくらいの規模でやっていらっしゃるのか、ちょっと御説明いただけますか。
○窪田政府委員 酒について申し上げます。 小売販売場の数は約十七万五千場でございまして、従業員総数は約四十七万人、一店舗当たりの従業員数は二・七人、平均の売り場面積は三十一平米程度でございます。こういうことから、非常に零細企業であるということがうかがわれるわけでございます。
○寺本政府委員 たばこについてお答えいたします。 たばこの小売店数を見ますと、平成五年三月末現在で二十八万五千店が許可されておりますが、社団法人流通問題研究協会の調べによれば、従業員規模別のたばこ販売店の構成比は、一名から二名という店が七〇・九%、三名から四名が一六・〇%となっております。他方、通商産業省商業統計表によります一般小売業の従業員規模別構成比を見ますと、一名から二名が四六・○%、三名から四名が二六・○%となっておりますので、たばこについては中小の事業者のウエートが高いものと理解いたします。 同様に、たばこ小売業と一般小売業の売り場面積を比較した場合に、たばこ小売業の場合十坪未満の店が五四%、一般小売業の場合は一四%でございますので、たばこについては売り場面積も小さいものが多くなっております。 以上でございます。
○塩崎委員 一言で言えば、たばこにしても酒にしても、随分小さなところで経営をしているということに尽きるのではないかと思うわけでございます。今規制緩和をしようとしているこの作業部会の中で言われていることは、大体スーパーでの売り場面積制限を変えるとか、あるいはビール等の三年間の規制をどうするというようなことがきょうの新聞にも出ているわけであります。 この作業部会のメンバーをちょっと見ますと、学習院大学の先生とか丸紅の社長、ダイエーの会長、一橋大学の先生、ヨーロッパ代表、アメリカ代表、あと国際大学の先生、こういうことで、中小というかもう本当に零細の、二人、三人でやっているようなお店ばかりであるにもかかわらず、この作業部会に、中小あるいは零細企業を代表するような人たちの意見を述べる方がちょっと見当たらないのであります。この人選、もちろんこれは大蔵大臣がおやりになったわけではないとは思いますけれども、この辺は少し公平さに欠けるような気がしてならないわけでありますが、その点はいかがでございますか。
○藤井国務大臣 学者さんにもいろいろな意見の方がありますが、そういう面は別にいたしましても、これは規制緩和のための推進本部というようなこともあって、今塩崎委員の御指摘のような面は確かにあると思います。それを最後に政治の判断によって決定していくのは政府であるということでございます。政府としては、冒頭申し上げましたような基本姿勢で臨みたいと思っております。
○塩崎委員 先ほどアメリカの酒の販売のことがございました。前回も申し上げましたけれども、私も一回アメリカで、もう大学へ行っているにもかかわらずパスポートを見せると言われて、子供扱いされたことに非常に憤りを持ったことがありましたが、そのくらいうるさい。それからまた、飲む場所も大変規制をされている。 そういう意味で、日本の場合はどうしても財政物資という観点が強いのですけれども、先ほど大臣御指摘のあったように、青少年の問題、アル中の問題、交通の問題、こういうことをいろいろ考えてみれば、規制緩和をしてはんばんこれを売りなさいというようなことを国家がやる筋の品物では、やはり酒もたばこもないのではないかと思うのです。 たばこがここにありますけれども、ここにちゃんと「あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう」、こう書いてありますし、我々はいつも、何か病気をすると、必ずお医者さんから、お酒は控えなさい。大臣はしょうちゅうがお好きだというお話でありましたし、私も大変酒は好きではありますけれども、決してはんばん飲みなさいという品物ではないと思うのですね。そういうことであれば、例えばアメリカでも、学校のそばではなかなか売らせないとか病院のそばでも売らせないとか、そういうことがあれば、やはりおのずと他の品物とは違った規制があってしかるべきかな、そんな気がしてならないわけであります。 先ほど大臣がお話をされました、特に平岩レポートの中で、経済規制は原則自由、それから社会的規制については必要最低限を残すのだという話で、この両面を持っているというお話がありました。私もそうだろうと思います。 むしろ社会的な規制という面の方が強いのかなという気はいたしますが、それに加えて中小企業の問題というのは、先ほど来申し上げているようにやはり大事なことであって、酒であったら四十七万人ですか、たばこだったら二十八万五千店がやっているということであれば、中小企業への配慮というのが当然あってしかるべきであろうと思うのです。もちろん、既存の業者を全部守れということでは決してなくて、努力をする小売業者については生き残れる道を残すだけの配慮をする規制緩和をしていかなければいけないのではないか。 この間、予算委員会での総理の答弁を見ても、やはり規制緩和の陰の部分があるのだというお話がございました。中小企業にも十分配慮をしなければいけないというお話でありましたし、きょう、本会議で鳩山労働大臣が、規制緩和の雇用に与える影響についても、安易な規制緩和は雇用の問題を巻き起こすことがあるから注意しなければいけないという御発言をされていたと思うわけでございます。 そういう観点からすれば、きょうのこの新聞の出し方を見ていると、一部の御意見という話がありましたけれども、どうも財政物資だけではなくて、青少年の非行の問題あるいは健康の問題、こういう点を考えなければいけないし、中小企業への影響の問題というものを十分考えた上で、それでなおかつ消費者の利益を考える、こういう点を十分考えて慎重に検討をしていただかなければいけないのではないかなと思っておるわけでございます。大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○藤井国務大臣 今塩崎委員が締めくくられたような気持ちを私、冒頭申し上げたつもりでございます。規制緩和の本来の意味であります消費者の方々の利便、このことは基本的に考えていなければならないことでありますが、同時に、今のような商品の持っている特殊性などにつきましては、十分考えていくべきことだと承知をいたしております。
○塩崎委員 大上段に振りかざしたようなことで恐縮でございますけれども、会社の経営の場合には、どうしても合理化をしなければならない場合には人を整理するということがあるわけですが、国家の場合は経営とは言いません。国家の運営を図る政府としては、人を整理してしまうわけにはなかなかいかないわけでありまして、やはり規制緩和による影響で何らかの雇用の問題等々が出てきた場合のことも考えた上で配慮をしなければいけない。ですから、スーパーの問題で今回のこの規制緩和の方向が示されるとするならば、小売の現状の問題点を踏まえた上で、きちっとしたすみ分けを考えていかなければいけないのではないかなと思っている次第でございます。 酒・たばこの問題については以上にいたしまして、次に移りたいと思います。 次はちょっと趣が変わりますが、同じ規制緩和のお話にしても、金融の問題でちょっとお話を申し上げたいと思うわけでございます。 五月二十六日付の、これも日経新聞のトップに出ていたのでありますけれども、アメリカが日本に五十五項目の規制緩和を追加要求したというような記事であります。そもそもこの五十五項目の規制緩和の追加項目、これが一体どんなものなのかというのをまずお話しいただけたらと思います。
○藤井国務大臣 ただいま御指摘のような一部報道は私も読ませていただいておりますが、そのようなことは私どものところへ参っておりません。五十五項目について参っておりません。
○塩崎委員 大蔵省の方に来ていないというお話でございます。しかし、これだけ項目を並べるということは、やはりどこかに何らかの形で、どこかのステージで、どこかの場所で要求自体は出されているのかなと思うわけでございますが、今の来ておりませんというのは、この要求自体がアメリカからも来ていないということでございますか。
○藤井国務大臣 日米包括協議については、既に御承知のように優先三分野というのがあるわけでございますが、きょうは大蔵委員会だから大蔵関係で申せば、そこには保険が入っているわけでございます。この優先三分野については、もう既に御承知のようなことで、あした、六月一日から協議の場が持たれることになっております。 金融につきましては、今のような話はないのでございますが、アメリカ側として非常に関心を持っているというようなことは承知をいたしております。
○塩崎委員 特にきょうは金融のことでお伺いをしたかったわけでございます。金融の十二項目の追加というか要求があるというふうに新聞には書いてあるわけでございますけれども、それぞれ一応これは来ていると考えてよろしいわけでございますか。もう一回。
○加藤(隆)政府委員 大臣が答弁申し上げましたように、九分野五十五項目について、そのような形でアメリカから要求が来ているということは承知いたしておりません。ただ、一方におきまして、三月末にUSTRが発表いたしました九四年外国の貿易障壁に関する年次報告におきまして、年金でありますとか投資信託、証券発行あるいはクロスボーダー取引、こういった項目について指摘がなされていることは承知いたしております。
○塩崎委員 そうしますと、何らかの形でこれに近いようなお話は来ているということだと思うのですが、私どもこの内容の十二項目しか知らないわけでございます。 こういう要求もあるのかなというような中身の要求なのか、それとも全然的外れなのか、あるいはこれをちゃんと取り上げてこれから協議をしていくのか。日米の包括協議に新しく金融サービスも追加するという新聞報道もありますけれども、そういう中で取り上げていく筋の問題なのかどうかということをちょっと教えていただけますか。
○加藤(隆)政府委員 会融サービスにつきましては、日米フレームワーク協議の中で作業部会を設けまして、これまで五回協議いたしてきております。 その内容については、まだ協議中でありますので具体的に言及することは差し控えたいと思いますが、先ほど御紹介いたしましたUSTRの年次報告には、金融につきましても米国政府の関心の所在が一つの形であらわれたものだというふうに理解いたしております。
○塩崎委員 その年次報告を私は拝見していないので、この項目が入っているかどうかよくわかりませんが、なかなかおっしゃりにくいお話のようでございますから、こういう問題はこれから議論するのかなというふうに理解をさせていただきたいと思うわけでございます。 きょう国土庁からおいでになっていらっしゃいますか。ここで話がちょっと変わります。この間平成六年三月に、国土庁の大都市圏整備局整備課で「東京の国際金融機能についての研究」というぺーパーをおつくりになられて、私も拝見をさせていただいたわけでございます。国土庁からおいでいただいておりますので、この結論部分というか、エッセンスというか、メッセージを一言でお願いできますか。
○山中説明員 先生御指摘のレポートは、実は現行の基本計画、それから四全総におきまして東京都区部において整備すべき機能の一つとして国際金融機能を挙げている、そういうことを受けまして、その現状と課題について、私どもの内部で検討、研究をいたしたものでございます。 この結論は、東京は金融市場や資本市場の規模という点ではニューヨークやロンドンと肩を並べているわけでございますけれども、外国金融機関やその従業員の数あるいはシンジケートローンの実績など、いわゆる国際金融活動の活発さという点では、なおその規模は小さいのではないか。外国の金融機関等を対象といたしました各種の調査によりますれば、国際金融センターの条件として、市場の自由度の確保のほか、インフラストラクチャーの整備ということも挙げております。 また、東京のビジネス環境は、住宅生活環境あるいはオフィス賃料などの面で、ロンドンあるいはニューヨークといったところから比べると劣っているといった指摘もございます。東京におきます国際金融機能の集積を高めていきますためには、比較的安価で良質な住宅とかオフィス、さらには都市基盤などのインフラの整備充実が必要であるといった結論でございます。
○塩崎委員 恐らく大蔵省もこのペーパーはごらんになっただろうと思うのですけれども、大蔵省は今のような結論についてどんなふうな御見解をお持ちでしょうか。
○加藤(隆)政府委員 今国土庁の方から御説明がありましたように、御指摘の研究につきましては、東京市場を維持発展させていくため、主として、国際金融機能の集積を支える海外とのアクセスの利便向上等、インフラ面の条件整備について提言がなされているというふうに理解いたしております。
○塩崎委員 インフラ面というお話でございますので、金融の活動そのものではないというふうにとってよろしいのですか。
○加藤(隆)政府委員 主としてということで申し上げました。この研究の中でも、「市場の自由度の向上など制度的な面での対応は勿論であるが」ということも同時にうたわれておるところでございます。
○塩崎委員 今のやりとりをお聞きになって、大臣、東京の国際金融機能の役割について、今どんなふうにお考えになっていますか。
○藤井国務大臣 東京市場は国際金融市場として大変大事だと私は思っております。そういう意味からいっても、規制緩和など一層整備に努めていって、ニューヨーク、ロンドンと並ぶような世界の立派な市場に育てていかなければならぬ、このように思っております。
○塩崎委員 全く同感であります。 また新聞の話で大変恐縮でございますけれども、この間も、ニューヨークでは外国企業の上場ラッシュで大変忙しいけれども、東京の方は逆に外国企業が上場を取りやめるあるいは撤退をするというような話が出たりしておりまして、ちょっと寂しいようにとれる記事が見受けられるわけであります。例えば、特にアジアの企業が日本を通り越してニューヨークあたりで上場するというようなことがあっては、我が日本の金融市場はそれほど魅力がないのかと考えられてもやむを得ないというふうになってしまうのではないかと思うのです。その辺については、大蔵省としてはどんなふうにごらんになっているでしょう。
○日高政府委員 まず今御指摘がございました最近の事例でございますと、例えば、一、二の中国の会社が、東京に上場せずにニューヨークの市場に上場したという例があることは事実でございます。 ただ、この背景にはもちろんいろいろな点があ る。例えば、東京におけるマーケットのいろいろばコスト面とか、そういったものがあることも指摘されているわけであります。それと同時に、証雰市場の場合には、時間差がない、同じ時間帯で開かれているマーケットより時間帯の違う市場、マーケットの方が好まれるということも一部に言われていることがございまして、一概に何か日本側の事情でそういうふうに流れていったということではないだろうと思っております。ただ、この点については、私どもも十分関心を狩って眺めて、勉強をしなければならないと思っております。先般、東京証券取引所の方で東南アジア諸国の方に出張されて、それで各国の意見等を伺って、この問題についても積極的に取り組んでいこうということで勉強を始めたところでございます。 ただ、当面の株式市場そのものについて見てみますと、御承知のように、本年に入りましてから、外国の機関投資家を中心に日本株への投資が積極的に行われて、それが現在株式市場が堅調に推移している一つの大きな理由になっているわけでございます。そういう側面において、外国の証券会社の活動は我が国においても非常に目立っているということは指摘できようかと思います。
○塩崎委員 東京で上場するときにはすべて日本語で資料をつくらなければいけない、この翻訳も大変だという話であります。それ自体は大変だろうということはよくわかりますけれども、それ以外の規制あるいは隘路があってはならないと思うわけでございます。 これは、個別の名前を出すのは差し控えたいと思いますけれども、最近、在日外銀あるいは外国証券会社の中で、一部業務を東京から香港やシンガポールに移している例が見受けられるというお話をそここで聞いております。こういった問題というのは、アメリカが今回も種々の金融に関する規制緩和を出してきていることとやはりリンクしているのかなという懸念も持ちたくなるような事例があるわけです。 例えば、フロントオフィスの業務であれば、円以外の金融取引をシンガポールヘ移管してしまうとか、あるいは、インターバンクの外為取引と非日系企業相手の派生商品、デリバティブズというのですか、取引をシンガポールに移管するとか、こんな動きがあったり、アジア地域のコンピューターセンターをシンガポールや香港に移しているところもある。これは、フロントオフィスというよりはバックオフィスになるのでしょうけれども、こういうような例が見受けられる。もちろん、生活コストが高いとかオフィスレントが高いとか、当然そういうものがあると思うのです、円高でもありますから。 ただ、それが、どうも東京での商売は余りおもしろくないねというふうに思われているのだとしたら、これは問題だろうと思うのです。今申し上げたようなこと、業務を一部シンガポールや香港に移しているところがあるという事例についてどうお考えになっているか、ちょっとお答えいただきたいと思います。
○寺村政府委員 在日外国銀行についてのお尋ねでございますが、支店数自体は総じてまだ増加傾向にございます。 その業務の一部を移しているかどうかにつきましては、私ども具体的な計数で把握して確認するということはできておりません。その辺はちょっと把握できないわけでございますが、ただいま先生が御指摘になられたことが巷国言われているということは承知をしております。 その原因でございますが、今既に委員の方から御指摘がございましたけれども、やはりバックオフィス、伝票整理とか取引整理、そういった問題につきましては、従業員の人件費あるいはオフィスの賃料それから住居費等、物件費、人件費の面でかなりコストが違うというコスト要因がございます。 それから、たまたま日本はバブル経済の崩壊によりまして金融業務も低迷をしておりますが、一方東南アジア諸国は、急速な経済発展で金融業務も非常に盛況、急速に発展をしているという環境的な要件がございます。そういうことが言われております。 さらに、今御指摘のございますように、市場の自由な発展を阻害するような制度的な要因があるのではないか、これは大変議論の分かれているところでございます。 日本は、最近市場の整備にも大変努力をしてきております。例えば金融先物市場も平成元年に初めて整備されたわけでございますが、この金融先物市場につきましては現在順調な発展を遂げておりまして、この分野で業務がシンガポールや香港に移されたということは承知をしておらないわけでございます。 この辺は大変議論のあるところでございますが、いずれにいたしましても、市場の健全な発展のために、その環境整備のために私ども努力をしていく必要があると考えておりまして、本年三月の対外経済改革要綱におきましても、「金融サービスについて、金利の自由化や金融派生商品を含め、業務、商品等の関係規制の見直しを進める。」としたところでございます。そういった方向で今後検討してまいりたいと考えているところでございます。
○日高政府委員 外国の証券会社の問題について御指摘の点についてお答えいたしたいと思います。 ただいま銀行局長がお答えいたしましたように、私どもも外国証券会社の活動のすべてについて把握しているわけではございませんけれども、御指摘がございましたように、一部の証券会社の中に、特に先物やオプション取引あるいは裁定取引といった、いわゆる派生商品業務のスタッフを一部香港なりシンガポールに移しているという例があるように承知をいたしております。 ただ、この問題についての背景といいますか、これははっきりしない面があるわけでございます。一つには、最近アジアの株式市場が非常に活性化されてきている、活発になってきているということがございますが、それと同時に、今申しげた派生商品、先物市場等につきましては、我が国のマーケットがかなり成熟化してきたのに対しまして、アジアのそういった先物市場等についてはまだ未成熟な面がある。そういった側面から、いわばアジアにおける先物市場の方が利益を得る確率が高いというような意識が、一部そういったスタッフを移した証券会社の意識の中にはあるのではないかというふうに考えられるわけでございます。
○塩崎委員 今証券局長が具体的にお話に出されたのであえて聞いてみたいと思うのですけれども、日本には外為主義というのがあるわけでありますが、デリバティブズの中で為替と絡まないとできないものがあるわけです。それが、外国証券会社は為銀主義で外国為替業務ができないということで、今おっしゃったようなデリバティブズの取引が東京ではできないということでスタッフを動かす、業務を動かすということはないのですか。
○日高政府委員 デリバティブという言葉が最近よく言われるようになっておりますけれども、証券の分野では、通常は先物なりオプション取引ということが言われているのだろうと思います。 それで、先物取引につきましては、バブルがはじけた後、証券市場が非常に低迷している。その過程で、我が国の先物市場のいわば行動、ビヘービアが現物市場へ悪い影響といいますか、それを与えるのではないかという御議論がございました。そのようなことから、我が国の先物取引については、日経二二五にかわる日経三〇〇という新しい加重平均型の指数をつくるとか、同時に、先物市場におけるいわば管理といいますか、公正な取引が確保されるための施策を講じようということで、昨年来いろいろな政策をとってきたということでございます。 その間において、シンガポールのいわゆるSIMEXという取引所でございますが、そちらの方に一部流れたのではないかという議論がございましたけれども、量的な面では我が国の方が実際ま だまだ圧倒的に多いという状況でもございますし、基本的に今申し上げたような現物市場へのはね返りといったものも十分管理できるのであれば、そういう日経三〇〇という加重平均型の指数が定着していくのであれば、今まで以上に先物取引に対する規制を緩和してもいいのではないか、そういうふうに考えているところでございます。昨年、規制緩和の方向で動いたわけでございますけれども、その影響を受けて、現在は日経三〇〇という新しい加重平均型の指数が定着するのを見守っている、そういう状況にございます。
○塩崎委員 もう時間もございませんのでまとめたいと思うわけでございますが、今お話がありましたような業務が香港、シンガポールに流れているかもわからない。大量に流れているわけではないわけでありますけれども、一部そういう動きが見られるということで、今のお言葉でもさらに検討をして、東京市場がアジアの中心的な金融センターとなるように頑張られるというふうに私は受けとめました。 コストの面とかそういうことはもちろん、土地の問題とかいうことは土地政策等々からもやらなければいけないし、内外価格差の問題などでやはり解決をしていかなければいけない。しかし、さらにそれを乗り越えるだけの魅力がないといけないわけでありまして、いろいろな人に会っていろいろ聞いてみますと、やはり金融・証券固有の問題点ということをおっしゃる方がおられるわけであります。 きょうはもう時間がないのであれですけれども、例えば金融、税制の問題、それから会計制度の問題であるとか、それからこれはもう細かいプロの話かもわかりませんが決済制度の問題、それから一番よく聞くのは、手続が煩雑である。それから、例えば新しい金融商品をつくるときに、必ず大蔵省にお伺いをしなければいけないとか、それからもう一つは、規制が不明確だ。規制が、あってもいいのだけれども、諸外国に比べると不明確だというようなこともおっしゃる方がおられるようであります。そういうことをもう少し、改めて機会を設けて、もう一回私も勉強し直してお伺いをしたいと思います。 国土庁がおつくりになられたペーパーにあるようなインフラの問題だけではなくて、この東京市場が十分伸びていないということがあるのではないかという節が、ところどころといいましょうか、数々といった方がいいのかもわからない。問題があって、アメリカからいろいろな要望が来たり、ヨーロッパからも来ているようでありますけれども、そういうことを考えてみれば、規制緩和はこの辺はもう少し考えていかなければいけない。 もちろん、今まで護送船団方式と呼ばれている政策で日本の金融・証券界を引っ張ってきた大蔵省、財政当局でありますけれども、東京で金融センターが伸びる中で、そこからの成長のスピンオフといいましょうか、そういうもので、我が国の金融機関あるいは証券会社がメリットを享受して、地方に行けば地方の経済の活性化にも役に立つ、そういうことが本来のあるべき姿なんではないかなというわけで、それを邪魔するようなものがあるのだったらやはり考えなければいけない。もちろん、全体としての金融界あるいは証券界の、先ほどの酒・たばこと同じですけれども、ほかの中小の金融機関、証券会社等への影響も十分考慮した上でやらなければいけないと思うわけでございます。 そういうことで、今申し上げたようなことで、大臣、一言最後のまとめをよろしくどうぞ。
○藤井国務大臣 東京市場をより一層活性化することは大変大事でございます。今お話しのように、家賃だとか人件費だとかいう問題もありますけれども、それとは別に、規制緩和ということが非常に大事だという認識を持っております。 したがいまして、三月二十五日の対外経済改革要綱の中にも、金融・証券の規制緩和、その中には、御指摘の透明性でございますね。規制があってもどうもはっきりしないとか、そういう問題も含めて規制緩和を積極的に進めてまいりたいと思います。 これは日米間の折衝問題にとどまらず、世界の中の東京市場という意味から考えてもやはり非常に大事なことだと思います。貴重な御提言をありがたく受けとめさせていただきます。
○塩崎委員 ありがとうございました。
○宮地委員長 次に、岸田文雄君。
○岸田委員 自由民主党の岸田文雄でございます。 私も、藤井大蔵大臣に質問をさせていただくのはこれで三回目になりますが、きょうもこうしてお時間をいただきましたことを心から感謝申し上げます。 さて、大臣も大蔵委員会での所信表明の中で触れておられますように、昨今、国債残高等に関しまして財政改革、あるいは間接税等に関しまして税制改革、本当に論議の方が華やかでございます。予算委員会等でもたび重なる質問をお受けになられ、大臣もさぞかしお疲れだと思うわけでありますけれども、私は、そもそもこうした論議の発端は何だったかということをつくづく考えるわけであります。 そもそもこういった論議が行われます発端は、所得税減税を実施するかどうかという論議から始まっていたのではないかと私は思うわけなんです。そして、この所得税減税の実施とは何だったのかということを考えますと、これはいろいろな意味合いはあったと思うわけですけれども、国民の消費を喚起するために、景気対策という意義づけが第一であったのではないかと私は思っておるのです。 こうして見ますと、景気対策に端を発したこの論議が、随分ひとり歩きをしてきたような気がするわけでございます。そして、そもそもこの論議の発端でありました景気対策という部分につきましては、いつの間にか他の論議の中に埋没してしまって、影が薄くなってしまったような気がしてならないわけでございます。公債残高や間接税の税率アップが言われれば言われるほど、論議の発端でありました景気の現状はどうなっているのか、政府は景気の現状をどう認識しているのかという思いを強く抱かずにはおられないわけでございます。 民間エコノミストの中には、今回、景気の底は九三年の十−十二月期であって、九四年初めからは日本経済はもう景気回復過程に入っているという極めて楽観的な見方もあるわけでございます。しかし一方で、まだまだ悲観的な見方のあるのもまた事実であります。 先ほどの財政改革、税制改革、こういった論議も、その議論の出発点でありましたこうした景気に対する認識が違えばすべての論議の前提が変わってしまう、議論がかみ合うはずもないと思うわけであります。 そこで、大臣の景気の現状に対する認識、そして今後の見通し、それも財政や税制に関する論議につきまして、二、三年先からさらには二〇〇〇年以降の話にまで及んでおるわけですから、少なくともここ数年先の経済の見通しに対する認識について、ぜひ大臣に御所見をお伺いしたいと思います。お願いいたします。
○藤井国務大臣 当面の経済は、俗な言葉で言いますと、いろいろな方に聞くと、おっしゃるように一月に入って随分様子が変わったねという方がある反面、まだ全然変わってないなという方もあります。数字も両方あります。今非常に難しい局面にあるように思います。 一つ一つの項目を挙げるまでもありませんから時間の節約上申しませんけれども、そういう難しい局面にある中で、これを完全な回復軌道に乗せる最大のポイントは、私は二月八日の総合経済対策だと思っております。 この二月八日の総合経済対策は、総需要政策については締めくくり的な意味も込めて相当大幅なものになっていると思います。同時にまた、総需要政策でないいわゆる資産インフレの後始末のような問題、そしてまた、さっきも出ました規制緩和に伴うことも含めて、景気の問題も含めての雇 用のトータルプランの問題、さらに中小企業、農業の問題なども組み込んでいるわけであります。これを着実に実行することによって、平成六年度中に本格的な回復軌道に乗せて、平成七年度以降は安定成長に持っていきたい、これが私の描いている図式でございます。幸いなことに、国会におかれましては税制に関する諸法律を全部通していただいたことは、この間再任されましたときも記者会見で申しましたが、国会の御処置に対して感謝をいたしております。 また、今御審議をいただいております平成六年度予算の一日も早い成立を今お願いをし、私どもも全力で頑張っている、これを何としてもやっていかなければならないと思っております。 そこで、もう少し長期に見ますと、私は、日本の経済というのが、景気がよくなるときは輸出で伸びて、一たんは景気が伸びると落ちできますけれども、また経常収支の黒字を累積していくというような問題については、やはり相当考えていかなければならないということを一つ思っております。 そして、そのことが為替レートの円高に振れる要因にもなり、そのことがまた日本経済に水をかける。ここいらの体質を直していくことが非常に大事なことだと考えておりまして、やはり産業構造を国際的に調和できるような構造にしなければならないし、同時に、市場の開放であるとか規制の緩和というようなものが重要な要因としてそこにあるように思います。 そういうことをあわせて実行することによって、やや中期的には、本格的回復軌道に乗せて、また同じようにある段階に来ると経常収支の黒字とか輸出だけで伸びていくような体質に戻らないように——私は恒常的黒字体質になったのは昭和四十三年ぐらいだと思うのです。一九六八年ぐらいからだと思うのですね。急速に景気に関係なく黒字がたまるような体質になってきたと思います。今までの先輩方も皆さん大変努力されたのですが、なかなかそれがうまくいっていない。 そういう意味においては大変難しい仕事だと思いますけれども、これを乗り越えていくことが、世界経済に調和した中で日本経済が伸びていく重要な要因ではないかと考えていることを申し上げたいと思います。
○岸田委員 ただいま大臣の方から日本経済に対するこれからの見通し、力強いお話があったわけでありますけれども、私は一つお伺いしたいのは、先般五月二十四日、大蔵省の主計局が「我が国財政の展望」という試案を提出されました。これは二〇〇〇年度の財政試算ということで資料をおつくりになったわけでございます。また、五月二十七日には「税制改革に関する機械的試算」といった資料を提出されたわけでございます。 この両方の資料を見まして、その試算の前提となります名目成長率、これはすべて五%で試算をつくられておるわけであります。この五%という数字は、今大臣に景気に対する見通しをおっしゃっていただいたわけでありますけれども、この見通しに基づいた数字ということでよろしいのでありましょうか。御所見の方、聞かせていただけますか。
○藤井国務大臣 名目成長率五%、実質成長三・五でございます。今の状況からいっていかがかといっただいまの岸田委員の御指摘はよくわかります。 ただ、現在長期的な経済の見通しとしては、前内閣のときに策定していただいております「生活大国五か年計画」というものがあるわけでありまして、これに基づいてまいりますと今の数字が載っておるわけであります。ただ、御指摘のような御疑念は十分承知をいたしているつもりでございます。
○岸田委員 名目成長率五%ということについて疑念を持つことは理解できるという大臣のお話であったわけですが、今回の不況についてはさまざまな要因が絡み合っている、これはだれもが言うわけでございます。景気循環的要因ですとか為替等の外生的要因ですとかバブル崩壊という要因、こういったさまざまな要因が絡み合っている。 そういった中で、景気循環的な要因ですとか為替等の外生的な要因はこれから薄らいでいくことも十分考えられる。しかし、バブル崩壊という要因はかなり根深いというような意見もございまして、トータルして考えてみますと、景気の方は底は打ってはみても回復のテンポは緩やかなものではないか、極めて緩やかな回復のテンポしかあり得ないのではないかという見方がありまして、私もそういった見方に賛成する一人なわけです。そうやって見ますと、名目成長率五%という今回の試算はいかがなものかということを思うわけです。 またさらに言えば、先日新聞を読んでおりましたら、九三年度の一般会計の税収は、景気低迷の長期化の影響から昨年十二月に減額補正した予算額を下回ることがほぼ確実であるというような記事が出ておりました。不足額が一兆円に達する見通しが強まっているという記事が載っておったわけでございます。低成長によって税収が政府の見込みを下回ってしまったという現実を見るわけでございます。 またさらに言えば、この試算を見ましても、消費税率の試算を七%から一〇%の六通りのみ、これに対して連立与党の税制改革協議会の方からも四%−六%の案を示せという意見すら出ている。また、そもそも今回の試算は歳出の見直しに踏み込んでいないとか、政府部門の合理化を伴わない内容であるとか、試算につきましては随分厳しい批判の声をあちこちで聞くわけでございます。 将来、日本の国の、一つの国の将来を左右する税制改革の論議のたたき台になるこの試算としては、試案としては極めて大ざっぱ過ぎる案ではないかということが言われるわけでございます。この点について、大臣はどのようにお考えになっておられるかお聞かせいただけますでしょうか。
○藤井国務大臣 税制調査会に提出いたしました試算についての御質問だと思います。 実は、過般から税制調査会にいろいろ御審議をいただいております中で、定量的な一つのめどのようなものが全くないと、抽象的議論ばかりではなかなか進まないもので、ぜひ定量的なものを出してほしいという御要望がございました。 私どもといたしましては、今岸田委員御指摘のように、こういうものを出すこと自体が、一つの数字としてひとり歩きするおそれがあるということで極めて慎重に考えておりました。しかし同時に、税制調査会のお立場というのはよくわかるわけでありまして、全く定量的なものもなしで御議論いただくことはかえって失礼なことではないかと考えまして、実は税制調査会が一定の条件をつけてくださいました。三つの条件がございます。 一つは、方向としては我々が前々から申しておりました、また細川前総理そして羽田現総理も税制調査会で諮問というかごあいさつで言っておられる点でありますが、これからの方向として消費課税の充実、所得課税の軽減という方向、これを一つ出すということ。第二番目に、これによって財政を悪化させないようなものであってほしいということ。それからまた長寿社会、将来の高齢化社会に対応する福祉施策に対して適切な措置がとれるようなものであってほしい、こういう条件をいただきまして、今も申し上げたような六つの機械的計算を出させていただきました。 これは、今申し上げましたようにあくまでも機械的な計算でございまして、御指摘のような成長率はそれでどうかとかいろいろありますが、それしか基準が今ないという現状の中で、そういう成長率の中で、かつ今の条件を満たした六つの機械的計算を出しました。 そこで、機械的計算でありますから、この消費課税の充実をどうするというような政策的選択は一切入っておりません。同時に、政策的選択が一切入ってないということは、そのほかの分野についてもそうであります。不公平税制の是正という問題あるいはまた行政改革という問題、さらに歳出の削減という問題、これらはいずれも政策選択 の問題だと考えます。それに対して、政府が機械的計算の中で、例えば何についてはどのくらい減るとかいうようなことを出すこと自体がかえって不見識なことであると考えたからでございます。 したがいまして、あれは一つの機械的計算でございまして、その上に立っていろいろな御議論をいただくというのが、そしてその御議論を謙虚に受けとめさせていただくというのが私どもの立場である。税制調査会の御議論もありましょうし、そしてまた国民の多くの皆様の御意見、またその代表でいらっしゃいます国会の各党の皆様の御意見、何よりもそういうものを自由にいただくための機械的計算であるというふうに御理解をいただければありがたいと思います。
○岸田委員 今大臣の方から、これは定量的な資料がないという要望にこたえて、極めて機械的に出した資料であるという御説明があったわけでありますが、そうしてみますと、現状のこの論議というものは、まだその程度の資料に基づいて行われておる、この問題に対する論議は、極めて機械的な数字が初めて出された段階の論議であるということが言えると思うわけであります。 そうしてみますと、大臣は当大蔵委員会におきます所信表明におきまして、税制改革は六月中に成案を得て必ずや年内に実現するよう最大限の努力を傾けていかれると言っておられるわけであります。ですが、本当に六月までに、現在このような段階であるにもかかわらず、国民の理解が得られるような成案が得られるのか甚だ疑問に思わないわけにもいかないわけであります。 そこで、ひとつ確認なんですが、大臣が六月中に成案を得てとおっしゃいましたこの六月という期限の根拠は何だったのか、もう一度確認させていただけませんでしょうか。お願いいたします。
○藤井国務大臣 過般のこの国会におきます特別減税法におきまして、全会一致の合意でもって修正をしていただきました。附則において、平成七年度以降の恒久的減税を、言葉ははっきりあれでございますが、恒久的減税を行う、そのために基本的な税制改正をする趣旨の修正をいただいております。平成七年度以降のそういう基本的税制改正をやるためには、このくらいの時期というものは、私は当然一つの限界ではないかと考えております。
○岸田委員 大臣の方から、スケジュール的にこの六月というのが限界ではないかという御答弁があったわけでありますが、この六月に成案を得るということに関しましては、さまざまなことが言われております。七月にサミットがあるから、それにお土産が必要なんでどうしても間に合わせたいというような話もあるわけであります。とはいいましても、昨今の政局を見ておりますと、だれがサミットに行くかわからないような状況でもありますし、十分な論議も尽くさないうちに、国民の将来に大きくかかわってしまうような問題を性急にまとめてしまうのはいかがなものかなと思うわけであります。 そしてまた一方で、この税制改革の問題はまさに今の内閣、この羽田内閣にとって命運がかかった大問題だと思うわけであります。そこで下手なものを出せば内閣不信任案提出の理由にもなりかねない。内閣はそんな危険まで冒して六月中には成案を出すことはないといううがったマスコミの見方もあるわけでございます。 そこで大臣、もう一度この大蔵委員会の場でお伺いするわけでありますが、六月中に成案を得ること、このことに関しまして確認をし、はっきりもう一度お約束をしていただくことができますでしょうか。
○藤井国務大臣 繰り返しになりますが、今のような国会の御意思、これに基づいて、法律になっているということもあります。さらにまた、連立与党の皆さんも協議会を通じてずっと勉強を続けていただいておりますし、私どもとしてはそういうものを基礎として各党の皆様に誠心誠意御理解をいただく努力をして、六月に成案を得るというために最大限の努力をいたしたいと思います。
○岸田委員 大臣のお言葉でありますので、六月中に成案を得る以上は、ぜひ十分な国民の理解が得られるような議論を経た上で六月中に成案を出していただきたい、このことを強くお願い申し上げて、この問題をひとまず終わらせていただきたいと思います。 さて、今税制改革について申し上げたわけでありますが、この税制改革によって制度面を改良して充実していくこと、これはもちろん大切でありますけれども、それに執行面の環境整備が伴わなければ国民の信頼を得ることはできない、これは間違いないことだと思うわけでなんです。 そこで、税務執行面の環境整備という点から考えました場合に、私は一つ気になりますのは、去る三月二十五日、衆議院の大蔵委員会における租税特別措置法の一部を改正する法律案の採決に際しまして附帯決議を付すことが見送られたことであります。この附帯決議は、大臣も御承知のとおり、十九年間連続してつけられたものでありますし、その結果、国税職員の処遇、定員に配慮がされたという経緯があるわけであります。 そこで、この附帯決議を付すことが見送られたことにより、国税職員の処遇改善等に対する考え方が従来と変わるようなことがあるのかないのか、これをぜひ確認させていただきたいと思います。これにつきましてはぜひ国税庁の次長の方からお答えいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○三浦政府委員 ただいま委員の方からお話がございました点につきまして、庁の方から申し上げたいと思います。 委員の皆様方先刻御案内のとおりかと存じますけれども、最近の税務行政を取り巻く環境、課税対象の増大、あるいは不正手口がますます巧妙化いたしますとか、経済取引の複雑化、国際化、それと、特に最近の物納申請の激増といったようなことに伴いまして事務量が著しく増大しておるわけでございます。また一方では、私どもの税務執行面に対します公平確保の要請がますます厳しく高まっておるということでございまして、言ってみますと、質、量ともに一段と厳しいものになっておるということが言えるかと存じます。 このような状況でございますので、国税庁といたしましては、従来から事務運営の合理化や効率化に努めてまいりましたが、それでもなお必要となる要員につきましては、その確保に努めるとともに、複雑困難な事務を遂行しております国税職員の労苦をぜひ御理解いただき、その労苦に報いるため、処遇の改善あるいはまた職場環境の充実に努めてきたところでございます。 そういう観点から、私ども、今後とも事務運営の合理化や効率化等の努力はさらに続けてまいりますけれども、税務の困難性とか、あるいはまた歳入官庁という特殊性を踏まえまして、この厳しい行財政事情のもとではございますが、国税職員の増員あるいは処遇の改善や職場環境の充実について、関係御方面の御理解が得られますよう一層の努力をしてまいりたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。
○岸田委員 今のお答えですが、この国税職員の処遇環境、定員については、一応従来どおりの努力を続けていただけるというふうに理解してよろしいかと思うのですけれども、よろしいでございましょうか。 それでは、次の話題に入らせていただきます。 もう一つ私の方からお伺い申し上げますのは、金融機関の不良債権の問題、これについてお伺いさせていただきたいと思います。 先日都銀十一行の九四年三月期の決算が発表になりました。これを見てまいりますと、前年の二倍の償却を行ったために経営利益を随分圧迫したという記事が新聞にも出ておりました。二倍の償却を行ったがために、不良債権の残高の増加はようやく頭打ちになったという評価がされております。しかし、それでもなお都銀十一行で約八兆九千七百四十七億円、さらに長信銀や信託の分まで加えますと十三兆五千七百五十九億円という莫大な不良債権を抱えておるということになっております。 それで、昨年十一月、私が当委員会で質問させていただきましたときに大臣は、金融機関の不良債権の償却につきまして、公的資金の導入については否定された上で、金融機関の自己努力に期待するというお答えをされておったと思うわけであります。そういった御答弁をいただいたことを思い出すわけであります。 大臣は、今回の都銀の決算、そして金融機関の不良債権のこの数字等をごらんになられて、現在いかが感じておられるか、御所見を聞かせていただけますでしょうか。
○藤井国務大臣 今御指摘のように、去る九月末で十三兆八千億、それが今十三兆六千億、しかも、債権償却特別勘定を含めて積み増しかより行われているということから見ますと、金融機関は大変な経営努力をしてもらったと私は思っております。そのことを評価すべきだと思います。特に、今岸田委員御指摘のように、私どもは自己責任でやってもらいたいという気持ちを持っておりましたが、自己責任によってそのような一つの山を越しつつあるということは非常に評価すべきことだと考えております。
○岸田委員 今大臣の方から、金融機関の自己努力を評価すべきであるというお話があったわけでありますが、私も、確かにこの決算の数字、不良債権に関する数字だけを見た場合、大変厳しい状況であることとか、また、まだまだ道のりは長いということは感じるものの、金融機関の自己努力によって少しずつはいい方向に向かっていると見えないことはないなと感じたわけであります。しかし現実には、公にあらわれているこうした不良債権の数字以上にやはり金融機関の経営は厳しく、先行きに不安を抱かざるを得ないものがあると感じるわけであります。 この不良債権の問題の重要性につきましては、大蔵省の方も十分御認識いただきまして、ことしの二月八日ですか、「金融機関の不良資産問題についての行政上の指針」を出され、不良債権の償却の促進について金融機関に促されたことは私も認識しております。 しかし、不良債権の中身といいますか、金融機関の資産内容の悪化ということを考えた場合に、この指針の「はじめに」の(3)に書いてあるわけでありますが、金融機関の資産内容の悪化というものは段階が幾つかあると思うわけなんです。この指針の中身を見させていただきますと、金融機関の資産内容の悪化が一応三段階に分類されております。 時間がありませんので簡単に申し上げますと、第一段階は要注意債権、第二段階は金利減免等の棚上げをしている債権、そして第三段階として破綻先債権と六カ月以上の延滞債権というふうに、この指針の中でも分けておられるわけなんです。要は、今回決算等で出てまいりました不良債権というのは、この三番目の破綻先債権と六カ月以上の延滞債権、この数字がどれだけかということになるわけです。 確かに、この三番目というのはゆゆしき問題である、重大に考えなければいけないと私は思うわけでありますが、この指針の中で分類されておる二番目の段階、金利減免等によって棚上げをしている債権、この債権も決して見逃すことはできないと思うわけなんです。要は、金は貸しているけれども金利は入ってこない。金利が入ってこないわけですから、収益は上がらない。これは金融機関の経営として決して好ましいものではない、健全なものではないと思うわけなんです。 そして、この棚上げされている債権の数字が、世の中においては数十兆に上っておるという話も出ておりまして、この数字が明らかにされていないということを感じるわけであります。この棚上げされている債権が金融機関の経営を圧迫して不信感につながっているのではないか、この数字が明らかにされていないので、ますます金融機関に対する不信につながっているのではないかということを思うわけなのです。 そこで私は、この指針の中にあります二段階目、金利減免等によって棚上げをしている債権、この債権の実態を明らかにしなければ、本当の金融機関の現状の姿はわからないのではないかということを思うわけなのです。ただ、先ほど言いましたように、一説には数十兆という数字があるのではないかといううわさもあるのです。下手な数字が出てきてしまっては金融パニックに陥ってしまうというような声まであるわけであります。 ただ、やはりこの辺の数字をあいまいにするということは、これから日本経済の景気回復を考えた上で決して好ましいことではないのではないか。そもそも、大蔵当局はこの部分の数字、要は金利減免等で棚上げされている債権の部分につきまして、数字を把握されているのでしょうか、その点についてお聞かせいただけますでしょうか。
○藤井国務大臣 まず、不良債権というのは何かということ、そして、それをディスクローズするという話だと思いますね。 ディスクローズという話と、金融機関の余りにディスクローズすることによるマイナス面ということを考えて、金融制度調査会に対してディスクローズの範囲というものを伺って、金融制度調査会として結論を出していただいたのが今の形であるわけでございます。第一地銀、第二地銀は全くの破綻債権だけだとか、おのおのの実情にあわせてそういう基準をつくった。そして私は、それは客観的な皆さんの意見に基づいて出しているものでありますから、正当なものであり、それに従うのは正しいことだと思っております。ただ、今お話しのように、ではその次の段階というのはあるのではないのと言われれば、そのとおりだと思います。 ただ、金利減免債権というのは、あくまでも元本の回収可能性ありということから来ているという点も見逃すことはできません。そういう意味で今回、今御指摘の二月八日対策では、それを流動化するための特別目的会社のようなものをつくるということについても記述されているわけでございます。 そういうことから、これらを軽く見ているわけでは全然ございませんが、今申し上げたようなことで、全部をディスクローズする形にはなっておりませんが、対策としては今のような二月八日対策によって措置をしていくというふうに考えております。恐らく政府委員に答弁させても、その数字は現在つかんでおりませんということを申すと思いますので、もしあれでしたら政府委員を御指名いただきたいと思いますが、同じことだと思います。
○岸田委員 今大臣の方から、対策の必要性は感じておられるというお話があったわけですが、そうやって考えると何か不思議な気がしてならないわけであります。実態を把握されておられないのに必要性を感じるというのであれば、どうも話が本末転倒なのではないか。もしその重要性を感じておられるのであれば、実態を把握する必要は感じておられないのかどうか。 確かに、そういった基準を各金融機関つくっておられることはわかるわけでありますけれども、それであれば、その重要性を感じられている部分に対してこのままでいいというのは、何か話のつじつまが合わないという気がしてならないわけなのです。その点について聞かせていただけますでしょうか。
○寺村政府委員 銀行検査におきましては、金利減免債権というだけでなくて、行政当局として、検査当局として問題のある債権は把握しているわけです。これはもうずっと銀行法制定以来そういう作業をやってきております。問題は、それをディスクロージャーするかどうかということは別の問題のように私どもは理解をいたしております。 そのディスクロージャーの必要性につきましては、先ほど大臣が御答弁を申し上げたとおりでございますが、一昨年の十二月に金融制度調査会での御議論ございまして、不良債権のディスクロージャーというのは実は世界でもアメリカしか当時行われていなかった。ヨーロッパ諸国は全く行われていない。それは何かというと、不良債権の開示のもたらす副作用、信用秩序に対する影響をや はり慎重に考慮する必要がある。そのために、やるとしたら、世界で二番目の実験ということになりますから、やはり段階的、漸進的にやっていかざるを得ない、そういう観点から御議論いただいたわけであります。 特に元本回収がほとんど不可能であると見られるような破綻先債権、それから元本回収が不能となる危険性が非常に高いという延滞債権をまずやって、それから、その実施の状況を見ながら段階的に進めざるを得ないのではないか。特に調査会の議論で出ておりますのは、今のような状況で金利減免債権の開示を求めた場合に、再建の可能性の高い企業に対する金融機関の支援がそれによって抑制されるおそれがあるのではないか。そういう副作用も考えるので、当面は見送った方がいいのではないか、こういうような認識で、そういう現状判断でそういうお答えが出たのだと思います。 私どもといたしましても、検査において金融機関の不良債権の実態は把握をしております。そのためにいろいろ問題意識は持っております。まさに委員御指摘のような金利減免債権の問題が、これはディスクローズはしておりませんが、金融機関の収益を圧迫する要因があるという問題を、実は先ほどお話がございましたように、二月八日の行政運営上の指針におきましてもそういう位置づけをして、そのための環境整備といたしまして、金利減免債権の流動化方策とか償却の有税引き当て制度の拡充等の環境整備を図ったところでございます。
○岸田委員 そうしますと、今のお答えは、要は把握とディスクロージャーは別問題である、一応把握はされておられるが、これをディスクローズするのはまだ別の観点が必要だというお答えだったように感じるのですが、それでよろしいでしょうか。
○寺村政府委員 我が国は戦前から金融機関の実態把握はずっとしております。諸外国においても同じようにそれぞれ行政当局が実態把握しておりますが、ディスクロージャーの問題はまた別の次元から、特に今そういう議論が出てまいりましたのは、まさに金融自由化の進展に対応いたしまして、自由化が進展する中で適正なリスク管理を図っていくためにはやはりマーケットの機能に依存しなければいけない分野が出てくる、金融機関がディスクローズをすることによって自己規制でリスク管理をやっていかなければいけないという、長期的にあるいは将来の方向としてはディスクロージャーは拡充していかなければいけない、そういう問題意識で今進めているということでございます。
○岸田委員 おっしゃることも理解できるわけであります。ただ、金融機関に対する大蔵当局の実態把握という面ももちろんでありますけれども、国民から見た場合の金融機関というものを考えた場合に、どの程度までディスクローズするか、これも大きな問題でございます。そして、その辺の適切な対応が行われなければ、金融不安というものはなかなかぬぐうことはできない。そして、利用者に対する金融機関の接し方、態度もまた変わってくるわけですし、回復が期待されます日本経済、景気についても金融機関が本当に期待される役割を果たしてくれるのかどうか、この辺また疑問に思わないでもないわけでございます。 ですから、この辺につきましては、その重要性は十分認識しておられる、また数字の方の把握も努めておられるということであります。また、ディスクローズすることにつきましても、随分先進的な試みだという話もあったわけでありますが、引き続きまして前向きな努力をぜひお願いしたいと思います。 以上をもちまして私の質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○宮地委員長 次に、永井哲男君。
○永井(哲)委員 日本社会党・護憲民主連合の永井哲男でございます。社会党はこれまで質問する機会がなかったので、私が初めてということになりますが、よろしくお願いします。 ただいま岸田委員の質問に答えて、大臣は機械的試算のことについて御説明しました。なぜ七%から始まったのか。特に諮問の趣旨であるということもいろいろ説明されましたが、やはりこれは納得できないと思います。 特に減税規模、個人所得に関する約五兆五千億ではなく、法人特別税の減税も含めた六兆二千億としていること、国債の償還期間を十年と短期にしていること、また自然増収が算入されていない。これは、消費税を増税すれば、特に物価が上がって多目的に税収もふえるというような関係も無視しているのではないか。また、社会保障関係の増額の根拠というものが非常にあいまいである。特に、試算の中にも出ておりますけれども、来年度から七%実施するという試算では、一挙に来年度から五兆五千億も福祉関係の予算がふえるというような試算になっておるわけですけれども、これらの点について大臣はどうお考えでしょうか。
○藤井国務大臣 機械的計算であるということは十分御理解の上の御質問であると思いますので、前段階は省略いたします。 省略いたしまして、特に十年というのをなぜとったのか、あるいはいきなり六兆二千億ではなくて、本当は所得税減税は五兆五千億じゃないか等々のお話がありました。また自然増収のお話もございましたが、自然増収は付表の方につけてあるということは御理解いただいておると思いますが、今お話しになったようなことすべてを含めて御論議いただければありがたいと思っております。 〔委員長退席、海江田委員長代理着席〕
○永井(哲)委員 やはり新聞等で言われているように、不確実なもののうち歳出を多く見積もる、そしてまた歳入を少なく見積もった。初めに消費税ありきではないかというような印象を持たざるを得ないと思うわけであります。 そもそも、試算をしたという意味は、この考え方でも示されておりますけれども、試算の前提になる事項、そして試算の前提に加えていない事項についても検討されるべき問題と考えられる、そういうふうにしているわけであります。そして、あくまでも機械的計算であるということは、そういう意味ではわからないわけではないのですが、この試算はそれぞれこのような検討を、本試算を踏まえながら検討をされるべきだ、そういうふうにしているわけであります。国民がそれなりにしっかりと納得できる、理解ができる、そういった試算というものを提出すべきではないかと思うわけでありますけれども、この点どうお考えでしょうか。
○藤井国務大臣 先ほども申し上げましたように、政策選択的なものは一切除いて、捨象して機械的計算をしているわけであります。したがいまして、税制調査会はもとよりでありますが、国会の皆様方のいろいろな御意見を伺う中で、こういうあたりが国民の皆様に一番御理解がいただけるのかなというあたりを模索していくということは決して間違った手法ではないと私は思っております。むしろ、これからこれをもとにしていろいろなお立場の方が御議論をいただくべきものだと考えておりますし、先ほど申し上げましたように、いろいろな項目については、いずれも御議論いただければ私どもは謙虚に受けとめさせていただく、こういう姿勢でございます。
○永井(哲)委員 これをもとにしてと言われますけれども、試算では、七%以上のそういった試算しかなされていないわけでありますから、十分な広い議論ということにはならないのではないか、そういうふうに思います。 社会保障の増額の見通しというものを切り離したものをつくったらどうか。また四%、五%、六%と、三%から始めて、そういったような試算を出したらどうか、そういうふうにも言われておりますけれども、どうお考えでしょうか。
○藤井国務大臣 私が今申し上げた当然の筋道として、そういう御要望があれば検討すべき事項だと思っております。
○永井(哲)委員 税制改革はあくまでも国民のしっかりとした理解を得られて、それで解決しなければならない、納得を得なくてはならない、そういうふうに思います。御要望があればというふうなことでありましたけれども、当局としても、国民がこの試算をどう考えるのだろうかということを含めて、試算というものをつくるときには十分注意していただきたい、そういうふうに思うわけであります。 特に、この改正の中で不公平税制といったものについて、これは解決しなければならない問題であると思います。この不公平税制の是正によって一説には十一兆四千八百億の財源が生まれる、そういった本も出ているわけでありますが、国民が広く、一体どうなっているんだということを理解するためには、機械的な試算で結構ですけれども、大蔵省として、不公平税制の是正をすればこの程度の財源が生まれるというものを出すつもりはあるのでしょうか。
○藤井国務大臣 不公平という言葉と一致するかどうかはわかりませんが、私どもは政策減税と呼んでおります。政策減税による減収額は、提出するのは毎回やらせていただいております。
○永井(哲)委員 政策減税ということばかりでなく、いろいろ言われている部分、このようにすればこうなる。一つには、ある本によって、こういうことをすれば先ほど言ったように十一兆円以上の金も生まれるということもあるわけです。私は、その本は必ずしも正しいとは思っておりませんけれども、これに対比して、では一体どれくらいなのかということを大蔵省として、当局として一定の目安を出してくれるということも必要ではないかと思うのですけれども、どうでしょうか。
○藤井国務大臣 この不公平税制の議論というのは、大変大事なのは今御指摘のように具体的な話だと思います。抽象的な不公平税制の是正ではなく、何と何だということが非常に重要なことだと思っております。私どもといたしましては、政策減税というものが、私は不公平という言葉を使っていいかどうかわかりませんけれども、いわゆる客観的公平という意味からいえばそうではないという意味において政策減税は行われていると思います。 そのほか、こういうものが不公平であるということであれば、お示しいただければ、またそれなりにお答えをすることはできると思いますけれども、私どもは政策減税というとらえ方をいたしております。
○永井(哲)委員 そこで示されている一定の試算、細かな税額を立てて試算というものをこの本は出しているわけですけれども、こういうものを示して、こういったことが現実に起こるのかどうか、こういうことを実行すればどうなるのかといったことに対する試算であれば、試算を出すことは可能なんでしょうか。
○小川(是)政府委員 私ども、今御指摘のような各種の書籍での主張等について目を通しているつもりでございます。その中には、基本的な考え方あるいはデータ等についていささか理解に苦しむところがあり、あるいは税、企業会計その他についての理解において全く異なるというところがございます。したがって、一つ一つのそういったものについて反論したり、あるいはこれについて幾らになるかといったようなことをするつもりはございません。 ただ、委員御指摘のとおり、例えば昨年の政府の税制調査会におきましても、今後においても各種の租税特別措置については具体的に見直しを行っていくべきであるという指摘を受けておりますから、そういった問題については今後とも適切に対応していかなければならないと考えております。
○永井(哲)委員 消費税のことについてそれではちょっとお聞きしますが、消費税のいわゆる国庫不入、益税についてであります。これについて、一兆五千億というものから八千億というものまでいろいろあるわけですけれども、この益税と言われているものは一体どのくらいになるのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
○藤井国務大臣 益税という意味もなかなか難しいのでございますが、本来転嫁すべきでないものを転嫁していたかどうかというような話であれば、私は中小零細企業がそのような転嫁ができているとはとても考えられません。 それからもう一つは、平成三年の税制改正によりまして、仕入れ率を四分類いたしまして実情に非常に近くしているということもあわせて御理解をい。ただきたいと思います。 さらに、いわゆる中小企業の特例のお話であれば、例えば三千万円の問題とか限界控除あるいは簡易課税という問題がほかにありますが、これは私どもは益税というふうに考えておりません。ただ、制度としてどう考えるかということは税制調査会において御議論をいただいているところでございます。
○永井(哲)委員 国庫不入になる金額が具体的に幾らになるかということについて、お答えいただきたいと思います。
○小川(是)政府委員 今お尋ねの件は、特例措置によって、もしその特例措置なかりせばどれだけ税収が上がったであろうかというお尋ねでございますが、現在のところわかりますのは実は限界控除制度だけでございます。 限界控除制度だけは申告書上それによって幾らが減額されているかというのがわかるわけでございまして、それは約一千億円でございます。しかしながら、免税点制度につきましては、先ほど大臣から御答弁いたしましたとおり、三千万円以下の免税事業者につきまして免税点を廃止したとしたら幾ら税収が上がるかというのは、それらの人たちがどのように新しい負担を転嫁をして、そしてそれが納税額にはね返ってくるかというところでございます。 二つの問題がございますが、減収額あるいはそれを廃止したときの増収額というのは、現状ではちょっと計算ができませんものですから、特別の減収額の計算はいたしておりません。 繰り返しになりますが、仮にその計算ができましたといたしましても、減収額は、いわゆる益税、消費者からそれだけのものを得て国庫に納めていないという性格のものではないという点はぜひ御理解をいただきたいと存じます。 それから、簡易課税の問題につきましては、それまた概算率と実際とがどうなっているかという点でございまして、先ほど大臣から申し上げましたように、実態にできるだけ近い形で平成三年度で改正が行われております。これにつきましても同様のところでございまして、とりわけ減収額というものが立つという性格のものではございません。
○永井(哲)委員 免税制度については、これは幾ら転嫁ができるのかというところで、丸々それが益税というわけではないということもわかりますが、三百八十三万社、六三%のものが免税を受けている。これは、国民としては、額の多寡とかそれはどうあれやはり納得がいかない、そういうふうに思います。 また、簡易課税制度でも、六〇・九%、百四十一万のものがこの簡易課税を利用しておる。実際に損であれば別なものを、実際のものを使えばいいわけですけれども、メリットがあるから使っていると考えざるを得ないわけです。また、こういったものが利益を得ているというふうに考えざるを得ないと思いますけれども、こういう点は、不公平、制度のおかしい点だというふうに言わざるを得ないと思います。 この点について、導入から時間も大分たっているということで、何らかの是正の方法を考えているかどうかについてお聞きしたいと思います。 〔海江田委員長代理退席、委員長着席〕
○藤井国務大臣 平成元年の導入のときには、私はそれなりに意味があったと思います。特に、中小零細企業の方でいらっしゃいますから、そういう方々が大変な御不安を持たれないようにという意味において、特別措置として導入した意味は十分あったと思います。 これについて、また今御指摘のような御批判もあるということも事実であります。ここらをどう考えるかということは、税制調査会にもいろいろ聞いて一定の結論を出すべき事項だと考えております。
○永井(哲)委員 消費税について、選択の余地のない食料そしてまた生活必需品というものについて軽減税率を採用する複数税率がどうか、そういった問題もあります。また、ガット・ウルグアイ・ラウンドというような状況を受けて、これから消費者負担型の制度から財政負担型の農業保護の制度にという形で移転せざるを得ない。そのときに、食料といったものにかかわるものを農業の保護に使ったらどうかといった意見もあると聞いておるわけですけれども、その点どのようにお考えでしょうか。
○藤井国務大臣 今の御意見は、いろいろな方々から伺っておるところでございますが、現在の基本税率、あるいは若干の上乗せをした基本税率の中で食料というものを特別扱いをするのは極めて煩瑣であるということと、一体食料とは何かということがなかなか把握しにくい、むしろ非常に関係の方々の事務の煩瑣を来すのではないかというようなことがあります。 ただ、これらの問題についても税制調査会の意見を伺っておりますが、税制調査会の意見も今私が申し上げたような方向ではないかと考えております。
○永井(哲)委員 時間も余りないので、次の質問に移らせていただきます。 所得課税の関係でありますが、言われているのは直間比率、ほかに比べて日本は直接税の比率が高いという形で言われておるわけですけれども、実際の所得税の負担はそれほど多いものではない。所得税への依存度、そして個人所得税のGDP比率、これがどのような状況であるか、日本とアメリカ、ドイツそしてイギリスあたりでその数字をお示しいただきたいと思います。
○小川(是)政府委員 国税収入に占める所得税収入の割合は、我が国は、平成四年ですが四〇・五%でございます。最もウエートの高いのがアメリカで七〇・九%でございます。ドイツが四〇二一、イギリスが三五・七%、フランスが低く二二・八%という形になっております。これが国税収入に占めるウエートでございます。 なお、もう一点、個人所得に対する所得税の負担割合という角度からこれを見ますと、日本の場合には、所得税五・三%、住民税と合わせますと八%でございます。アメリカは同じく国税だけで八・九、地方まで入れまして一一・〇でございます。イギリスが一〇・八、ドイツが九・五、フランスが低く四・六%、このような状況になっております。
○永井(哲)委員 今聞いたように、諸外国に比して所得税はそれほど高いものではないという中で、消費課税を充実しなければならないといったことについて、そのお考えを聞かせていただきたいと思います。
○藤井国務大臣 これも予算委員会でお答えしたのでございますが、最大の理由は、課税最低限が非常に高いことだと思います。三百二十八万円という数字は、イギリスであれば二けたでございますし、大体百万円台、二百万円台というのが先進国の通例でありますから、その課税最低限が非常に高い。そして、一〇%税率で始まっているというあたりが、今主税局長が申し上げました原因である。しかし同時に、最高税率は極めて高い、世界一高いということもあわせて申し上げたいと思います。
○永井(哲)委員 累進構造のことについてちょっとお伺いしますが、幾ら段階を細かくしても、そこで段階がある。五%にしろ一〇%にしろ、段階状になると、そこには格差というものが生じてくるわけですけれども、ドイツみたいにこれが滑らかになるような方式を日本でとるという考えはないのかどうかということについてお聞きしたいと思います。
○藤井国務大臣 ドイツとかイギリスは最低税率が非常に高こうございますね。いきなり二〇%ぐらいでだあっと始まるやり方でございます。そういう税制というものが我が国にとって適当かどうか。これは長い歴史の中で、特に戦後のシャウプ税制以来の長い歴史をたどる中で、私は、日本の成長の成果として、課税最低限を高くする、最低税率を低くするという基本的な税制ができ上がったと考えております。
○永井(哲)委員 ドイツではそういう意味で、階段状ではなくて直線的に累進構造になっているといったことについてお聞きしたかったのです。
○小川(是)政府委員 お尋ねのとおり、ドイツの場合には最低税率が一九%、最高税率が五三%でございますが、普通の国のようにその間に税率の刻みがございません。 我が国ですと、所得税は一〇%から五〇%まで五段階であるとか、あるいはイギリスですと二〇から四〇まで三段階となっているわけでございますが、ドイツの場合には一定の方程式を立ててございまして、それに課税所得を当てはめますと結果的に税額が出てくるという方式をとっております。したがって、階段、税率の刻みは持っておりませんけれども、基本的にはこの累進のカーブは、先ほど大臣から申し上げましたとおり、課税最低限が我が国より低く、最低税率がかなり高いところからスタートしているというところから、図でごらんになったような累進構造になっているわけでございます。 これに対しまして我が国の場合には、繰り返しになりますが、最低税率が大変低く、しかもそのブラケット、適用範囲を非常に大きくいたしているものでございますから、大多数の人の入る中低所得者層につきましては諸外国のような立ち上がりの負担のアップがなくて、非常に緩やかな、非常に低い負担になっている。その後のところが、他国を上回るような形で上がっていかざるを得ない、こういう形になっているわけでございます。
○永井(哲)委員 ちまたで言われているように、同じ百万円でも、標準世帯で九百五十万円から百万円ふえると、これは住民税の関係もあり一挙に一五%上がるという形になる。そこにおかしいというような意見もあるわけですけれども、例えば、なだらかにそういったドイツ的なことをすれば、所得に応じてそれなりに比例していくということであるので、そういったような問題が少なくなると思うのですが、その点どうでしょうか。
○小川(是)政府委員 今のお話のような形をとろうといたしますと、夫婦、子二人のサラリーマンの場合、例えば給与収入が五百万円の人で我が国は負担率が四%でございます。これに対してドイツは二三・八%と、そこが非常に高うございます。それから、七百万円まで上がりますと、日本は四から七・六ですが、ドイツは二二・八から一八・〇に上がる。イギリスの場合にも同じように五百万で二一・七%と高い。そして、七百万でも二六・九%と高いわけでございます。 そこで、課税最低限が高く、あるいはこの中低所得者のところで我が国の場合には非常に低い負担率の税率構造をつくっておりますので、ドイツ、イギリスの場合に比べますと、給与収入の水準に応じ、あるいは給与収入の増加に応じての負担の増加、累進の負担感、負担額の増加が大変違った形になっているということを御理解いただきたいと思います。
○永井(哲)委員 要するに、ブラケットを設ければ、そこの境目、多い、狭いありますけれども、そこを乗り越えて別な段階に行けば、そこでは大きく変わるということが、これは必然的に生じるわけですから、そういったことをお聞きしたかったわけです。 特に、公平な税制といったものが一体どういうものなのかということ、余りにも簡素化というような形で最高税率を抑えるというような話、フラット化するのがいいんだというようなことばかりが前に出てきますが、所得に応じてそれなりに順次変わっていくような制度というものも、これは考慮に入れる余地はあるのではないか、そういうふうに思います。 特に、国民に本当に理解されるような、そういった公平な税制を確立するということを肝に銘じて、あらゆる機会をとらえて国民の皆さんに税制というものをわかってもらうという姿勢を強く見せることを、その点では強く要求しておきたい、そういうふうに思います。 次に、国際税制の関係のことをお聞きいたします。もう時間もありませんが、特に、今経済が国際化して伸展が著しいという中で企業が国際的な活動をする、その中で本当に適切に課税ができているのか、我が国の税収というものがきちんと確保されているのかといったことが問題となるわけです。そういう観点から幾つかお尋ねしたいと思います。 移転価格税制でありますが、これは、グループ企業内の取引価格の設定の仕方を変えることによって所得を海外に移転させる動きにどう対応するかという問題です。アメリカは、移転価格税制の中にみなし課税的なCPMという新しい手法を導入してきた。課税強化を図っている、そういうふうに言われますが、国際取引に関するこのアメリカの課税強化は、最終的には日本の税収にも響いてくる、主権的な利益というものが侵害されるおそれがある。当局として、この問題をどうとらえて、どう対応しているのでしょうか。
○小川(是)政府委員 移転価格税制につきまして、我が国も昭和六十一年から導入いたしております。アメリカはこの制度につきまして、新しい規則において今お話のあった利益比準法、我が国やあるいは国際的には独立企業間価格原則というのを普通とっておりますが、利益比準法という新しい課税方法を導入し、昨年の四月からこれを実施して課税強化を図っているところでございます。 ただいま委員御指摘のとおり、こうした動きによって、国際的な二重課税が発生したりあるいは日系企業のアメリカにおける税負担が不当に高まることがないよう、実は規則の制定以前から、OECDなどの場におきまして関係各国と協調の上、問題点の指摘を行ってきておりまして、昨年四月のアメリカの規則の制定の際にも、それがそれなりに反映をされたものとなっております。 また現在、OECDにおいては、我が国などが中心になりまして移転価格税制についてガイドライン見直し作業を行っております。各国当局が共通のルールのもとに適正な課税を行えるようにするため、私どもは作業に積極的に参加いたしておりますが、アメリカも、この見直し作業における議論を踏まえまして、みずからつくった規則についても今後改正をする意向を示しているというのが現状でございます。
○永井(哲)委員 移転価格の認定に際して、日本とアメリカが意見が異なるといった場合に、これは租税条約に基づいて相互協議をされるわけですが、そういった中で、このアメリカのごり押しに負けないような形でしっかりと我が国の言い分を十分主張できているのかどうか、そういうところが心配にもなるわけですけれども、その点どうでしょうか。
○三浦政府委員 お答え申し上げます。 ただいま御指摘のございました相互協議は、二国間の租税条約に基づきまして、権限ある当局というのが指定されております。日本の場合は、権限ある当局は国税庁の国際課税問題を担当する審議官でございまして、そこにスタッフが、国際業務室のメンバー十七名がおる、そういう体制でございます。私ども、まず移転価格等にかかわります二国間の相互協議の前提として、各国の国際課税当局間で共通の意見、共通の認識を持てるように、ただいま主税局長からの御答弁にもございましたが、OECDでの場等を通じて国際課税ルールについての国際的な共通準則の確立にまず努力しておるというのが前提でございます。 さて、個別の事案になりますと、これは当然二国間の課税当局の見解が異なって、例えばアメリカに課税された事案につきまして日系の企業から国税庁に相互協議の申し立てがございますれば、国税庁としては、日系の企業からの申し立てに理由がある、つまり米国の課税の仕方には問題があるというぐあいに考えて相互協議をスタートするわけでございますから、その立ち上がりから二国間では基本的に意見が相反する、そこからスタートするわけでございます。 そこで、両国間で個別の事案に合意するのには、十分な議論を尽くして説得をする必要があるわけでございます。委員御案内かと存じますけれども、二国間協議のために、相互協議では合意することに努めるというのが条約上の義務でございまして、私ども、同意に至れるよう十分な努力はしております。 そういう意味で、私どもも毎日大いに頑張っておるということを御理解いただきたいわけでございますが、決して安易な合意はしておりません。
○永井(哲)委員 時間もなくなってまいりましたので、外国税額の控除制度、その問題をお聞きしたいと思いますが、一つはみなし外国税額控除。これは、二重課税の排除という目的を逸脱してむしろ税の空白を招くといった点で見直しが必要ではないかというものと、もう一つは、一括限度額方式といいますか、それぞれ個別の国を明らかにしないで一括して控除できるといった制度でありますが、これも見直しが必要ではないか、そういうふうに言われておるわけですけれども、その点どうでしょうか。
○小川(是)政府委員 外国税額控除制度は、一般的に法人企業に対する国際的な二重課税を調節するために、我が国は法人税法上、外国において払った法人税額の控除を置いているわけでございます。 そこで、お二つお尋ねがありました。 一つ目のみなし外国税額控除は、開発途上国が経済開発促進のために減免した税額につきまして、租税条約の規定に基づきまして、我が国の課税上外国において納付したものとみなして税額控除をするものでございます。 これは逆に申しますと、せっかく開発途上国において企業を誘致するために自国において法人企業に対する課税を減免した。ところが、我が国において、当該企業の全世界の所得を対象にして日本で法人税を課しまして、その分について外国で税金を納めていないからというので外国税額控除を認めませんと、当該開発途上国のいわば課税権を放棄した分を全部こちらで取ってしまうということになります。そこで、これは相手国と租税条約で、特に発展途上国の場合には、ぜひ認めてほしいというときにこれを認めてきているものでございます。 しかしながら、当然のことながらその対象範囲は合理的な範囲にとどめるべきものでありまして、これを外すといったようなことも、相手国の経済発展段階に応じて条約交渉で進めてきているというところでございます。 いま一つ、外国税額控除を日本で行いますときに、一括限度額方式でいいのだろうか、それを各国別にするということは考えられないかという御指摘でございます。 これはもとより各国によりまして、多くの国は一括限度額方式でございますけれども、個別というのは考えられないわけではありません。ただ、納税者にとりまして、それぞれの国において、経済活動を行った国ごとに所得であるとか税額を細かく計算をしなければならないその手間と、それからこの制度の目的という観点からいたしますと、実務上はやはり一括方式が簡便であり、現状においては合っているというところでございます。 しかし、細かくなりますので省略いたしますが、その制度の範囲内において、この制度の趣旨を逸脱することのないよう、特定の、非常に高い税率で課している国の外税控除については限度を設けるといったような形で適正化を進めてきているというのが現状でございます。
○永井(哲)委員 時間が参りました。 今、一説には、海外での脱税というもの、この取り締まりを強化すれば三千百億円もの財源が生 まれるというようなことも指摘されております。国際化の中で、今移転価格、OECDでガイドラインの改定作業中でありますが、一刻も早く一定の国際ルールの確立を目指し、そしてまた、この国際化の中での国際企業の足かせとならないような税務、そしてその強力体制というものをつくっていかれるように希望を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○宮地委員長 次に、佐々木陸海君。
○佐々木(陸)委員 去る五月十三日の本院本会議で、羽田首相はこういうことを言いました。 個人所得課税の軽減と消費課税の充実を柱とする税制改革を年内に実現することは、緊急に取り組まなければならない重要な課題でございます。ここまではいいのですが、国会で全会一致で議決されておりますことを踏まえますと、その速やかな実現は、今や国民的な課題であろうというふうに考えておりますというふうに首相は言いました。 先般の、二十七日に行われました本院での所信表明でも、大蔵大臣は全会一致の議決ということに触れられておりますが、一体、全会一致の国会の議決で個人所得課税の軽減と消費課税の充実を柱とする税制改革を年内にやるなどというのものがあるのかどうなのか。私はそんなものに賛成した覚えは全くありませんが、あったら教えていただきたいと思います。
○藤井国務大臣 法律の修正は、「平成七年分以後の所得税については、速やかに、税制全般の在り方について検討を加えて税制改革を行い、抜本的な所得税の減税を行うものとする。」これに尽きておると思います。
○佐々木(陸)委員 その修正案が本院で論議されたときも私は、ここに税制改革という言葉があることに留意して大蔵大臣に、税制改革という言葉で何をあなたは想像されるのかというのに対して、大蔵大臣は、「抽象的に税制改革とは何かと言われても、なかなかイメージはしにくいのでございますがこ「今後のあるべき社会において、国民の皆様の御負担をどのような形でお願いするのが次の世代の社会にとって望ましいかということを見据えた改革」、そこまでは言っておられますが、この羽田総理が言っているように、個人所得課税の軽減と消費課税の充実を柱とする云々というようなことは断じて言ってないし、私はそんなふうに理解してこの議決に賛成したわけではないということを明確に確認していただきたいと思います。
○藤井国務大臣 御堂がそのような御意向であるということは今はっきり承りました。
○佐々木(陸)委員 それでは、今後政府もそのような、個人消費課税の軽減と消費課税の充実というような方向を全会一致で議決というようなことは絶対に言わないように慎んでいただきたいと思います。よろしいですか。
○藤井国務大臣 私どもといたしましては、この税制全般のあり方について検討を加えての税制改革というのは、今佐々木委員がむしろ言ってくださったように、所得課税の軽減と消費課税の充実と考えておりますが、御堂がそういう意向ではないというのを承ったということで御理解をいただきたいと思います。
○佐々木(陸)委員 ではもう一つ、時間がありませんから、別の問題を伺います。 政府税調の首脳が、これは去年の十一月の話ですが、高齢化社会を迎えるためには消費税率を引き上げるしか方法はない、それがわからない人間は社会的人間じゃない、この国から出ていってもらおうと言ったのが新聞に報道されました。この首脳はことしになってからも、消費税は一五%にすべきであるということも発言し、それに符節を合わせるように、この政府税調の求めに応じてということですけれども、大蔵省が消費税の税率アップ九%でもまだ足りないというような機械的試算なるものを出すということが行われております。そして、本日のある新聞によりますと、この税調首脳に時々挑発的なことを言ってもらった方が関心が集まっていいと大蔵省幹部らは言っているということが出ております。 率直に言いまして、まじめな税制の論議ではなくて、何か宣伝戦みたいな、自分の意見に賛成でない者は日本から出ていけというようなのはまあファシズムの思想ですけれども、何かナチスの宣伝戦みたいな、極端な言い方をすればそういうことになるようなことがやられているのは全く望ましくないことだと私は考えております。 こういう政府税調首脳の発言に対して、幸いなことに連立与党税制改革協議会税制基本小委員会の村井仁座長、今ここにも御出席になっておりますが、ある新聞によりますと、政府税調の審議について、国民の負託を受けた人間が議論しているのではないと牽制をしたと。国民の負託を受けてないから好きなことを言っていいというものでも政府税調はないと思うのです。 率直に言いまして、最初に引用した総理のあの本会議の発言自身も、うがった見方をすれば我田引水、あの全会一致の議決を自分に有利な方に解釈して宣伝しているともみなし得る。税の問題は大変大事な問題ですから、この国会においても、そして政府税調においても政府においても、そういうおかしな宣伝戦に終始するような態度は厳に慎んで、本当に冷静にまじめな論議をすべきだと思いますが、その点について政府としての大蔵大臣の感想を伺っておきたいと思います。
○藤井国務大臣 税制というものは極めて重要な問題であり、国民生活に大きな影響を与えるものであります。これについては、まじめにかつ冷静に深い議論をしていく必要のある問題だと思っております。
○佐々木(陸)委員 もう時間もありません。このけさの新聞に書かれているような、時々挑発的なことを言ってもらった方が関心が集まっていい、無関心が一番怖いというような大蔵省幹部の発言、こういうようなものは絶対にないように厳に慎んでいただきたいと思います。そのことを要望して私の質問を終わります。
○宮地委員長 次回は、来る六月三日金曜日午前九時理事会、午前九時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後八時四十九分散会